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1992/06/17 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第10号
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1992/06/17 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第10号

#1
第123回国会 労働委員会 第10号
平成四年六月十七日(水曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     狩野  安君     岩崎 純三君
     堀  利和君     西野 康雄君
 六月一日
    辞任         補欠選任
     西野 康雄君     青木 薪次君
 六月三日
    辞任         補欠選任
     青木 薪次君     西野 康雄君
     中西 珠子君     常松 克安君
 六月十五日
    辞任         補欠選任
     西川  潔君     下村  泰君
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     岩崎 純三君     須藤良太郎君
     川原新次郎君     狩野  安君
     平井 卓志君     星野 朋市君
     常松 克安君     中西 珠子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         向山 一人君
    理 事
                田辺 哲夫君
                仲川 幸男君
                細谷 昭雄君
                山中 郁子君
    委 員
                狩野  安君
                佐々木 満君
                山東 昭子君
                須藤良太郎君
                星野 朋市君
                清水 澄子君
                庄司  中君
                対馬 孝且君
                西岡瑠璃子君
                西野 康雄君
                中西 珠子君
                橋本孝一郎君
                下村  泰君
   国務大臣
       労 働 大 臣  近藤 鉄雄君
   政府委団員
       労働大臣官房長  齋藤 邦彦君
       労働省労働基準
       局長       佐藤 勝美君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定
       局長       若林 之矩君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐野  厚君
   説明員
       公正取引委員会
       事務局経済部事
       業者団体指導官 小久保榮一郎君
       厚生省健康政策
       局看護課長    矢野 正子君
       厚生省児童家庭
       局母子福祉課長  冨岡  悟君
       労働省労政局勤
       労者福祉部長   廣見 和夫君
       労働省労働基準
       局賃金時間部長  井上 文彦君
       労働省労働基準
       局賃金時間部労
       働時間課長    鈴木 直和君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案
 (内閣提出、衆議院送付)
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
 き、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(向山一人君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る六月十五日、西川潔君が委員を辞任され、その補欠として下村泰君が選任されました。
 また、本日、川原新次郎君、岩崎純三君及び平井卓志君が委員を辞任され、その補欠として狩野安君、須藤良太郎君及び星野朋市君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(向山一人君) 労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○清水澄子君 おはようございます。
 大臣は、きょうは健やかなお顔で出席していたださまして、本当にスリムになって参加されておりますけれども、手術後というのは体には大変大さな負担ですから、どうぞ無理なさらないように大事にしていただきたいと思います。
 そう申し上げながら、きょうは大臣をいじめたいわけですけれども、まず最初に、労働時間の考え方について確認させていただきたいと思います。
 労働時間はさまざまな立場からのアプローチができます。しかし、かなめは、労働者の心身ともに健康で文化的な生活を営む権利を有するというあの憲法の二十五条及び二十七条の規定に従って、労働者の家庭生活そして地域生活、社会生活を保障したものでなければならないと思うわけです。現在の日本の労働時間の特徴は、申すまでもなく諸外国と比較いたしまして、所定の実労働時間が非常に長いわけです。連合の調査によりましても、連合というのは組合でちゃんと労使間がいろいろ相談をして進めていく割合に大きな職場だと思いますけれども、ここの調査でも一日八時間十八分という統計が出ておりますし、非常に残業時間も長く、休日出勤も多くなっています。こういう労働時間の実態というのは、およそ心身ともに健康で文化的な生活を営むという人間の基本的な権利を私は脅かしている、侵しているものだと思いますけれども、労働大臣はこの労働時間というものについてどのような基本的な認識をお持ちなのか、そして労働時間というのは、これは一つの労働条件の中の基準ですから、その基準はどうあるべきだとお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
#5
○国務大臣(近藤鉄雄君) 冒頭、清水先生から大変温かいお言葉をいただきありがとうございます。先生方に御心配をいただきましたけれども、二週間ちょっと入院しておったわけでございますが、おかげさまで悪いところは取ってしまいましたし、大変元気で戻ってまいりました。これから一生懸命また頑張りますので、よろしくひとつ御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。
 冒頭、先生から労働時間についてどう考えるかというお話でございまして、私も入院中に労働ということについて幾つか考えたことがあったわけでございます。人間の生活には、人間は生きていることにいろんな目的があるわけでありますが、またいろんな行動をしているわけでありますが、その中で働いて物をつくり出す、働いて生活の糧を得るということは人間の生活にとって必要なご
とであるし、またそのこと自体がすべて悪だということじゃなしに、むしろ人生の大きな目標の中では働きの中の価値創造ということも非常に大事なことではないかと思うわけであります。しかし同時に、今度はそのことだけにかまけてしまって、人間としての例えば健康だとか幸せな家庭だとか、それから仕事以外の教養だとかレジャーだとか、そういったことに充てる時間がなくなってしまうということではこれは問題でございます。
 したがって、経済発展の歴史をずっと見てまいりましても、だんだんミニマムな生活の必要なものを生み出すために費やす時間というものは短くしてきて、そしてそれ以外のいろんなまさに多価値の追求に対する時間もふやしていくということが大事であって、そういった意味で、私は大事なことは生活に必要な労働と、それからそれ以外の家庭生活や健康やそういったものとのバランスをどういうふうに保っていくかということではないかと思うわけであります。
 残念ながら、我が国の場合にはこれまで多少以上バランスを欠いて、そしてよく会社人間だとか働きバチだとか、そういうふうに言われる状況もあちこち見られたわけでございますが、そういったものをこれから社会全体の努力として秩序立てながら、そして必要な労働とそれ以外の人間生活というもののバランスをどう達成するかということであって、今度の時短促進法もまさにそういう方向への大きな前進になるものと私どもは考えているわけでございます。
#6
○清水澄子君 私は、時間短縮というのは、まず今おっしゃったように、第一には働く人々の健康と生活条件をいかに高めていくか、そういう上での絶対的な条件だと思います。さらには、やはり国際的に不公正な競争をなくしていくという国際的な義務であり責任があるという側面も非常に強いものだと思っています。
 ですから、そういう面で日本の非常に長時間労働というこの実態をどうなくすかということは、これは極めて私は重要な政治の課題だと思うわけです。しかし、政府みずからが目標としておりました一九九二年度には千八百労働時間を達成するといわれていたその目標は、現在もう既に不可能という状態になっているわけです。そういう状態の中でこの法案が提出されたわけですけれども、この法案を見ます限り、そういう本当に労働時間短縮を緊急な政治課題として急がなきゃならないという意気込みをここの法案の中からは感じ取ることができないわけです。
 労働省は、この法案で果たして千八百時間の早期達成が可能にできるという確信をお持ちなのかどうか、お願いいたします。
#7
○政府委員(佐藤勝美君) 昭和五十年以降ほぼ横ばいで推移しておりました労働時間が、六十三年の労働基準法の改正以降着実に減少してきているわけでございますけれども、年間総労働時間千八百時間程度に向けてできるだけ短縮するという目標から見ますと、現状ではこれが計画期間中には達成をできないという厳しい状況になっているのは御指摘のとおりでございまして、私ども労働行政の担当者といたしましても、決意を新たに一層努力をしなければいけないというふうに認識しております。
 現在、御審議をいただいておりますこの法案におきましては、労働時間の短縮のための国の基本的施策を盛り込んだ労働時間短縮推進計画を策定することといたしておりまして、この中で労働時間短縮の目標も掲げ、その達成に向けました積極的な取り組みを行うことといたしております。また、業種ごとに事業主が共同で策定をする労働時間短縮実施計画を行政が承認して、これに基づいて各種の援助等を行うことにいたしております。こうした施策を積極的に講じることによりまして、目標の達成をできるだけ早い時期にしたいというふうに思っております。
 もちろん、この法律のみでそれが達成をできるということではございません。将来には労働基準法の改正も控えております。そういういろんな施策と相まって、できるだけ早く目標である千八百時間程度の労働時間の達成ということを成就したい、こういうふうに考えているところでございます。
#8
○清水澄子君 今お答えがありましたけれども、労働時間とはやはり労基法の第一条一項で「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」と、そういうふうに定められておりますように、労働時間というのは労働者の生存の権利と労働権を保障するものだと思います。したがって、これは使用者がそれを守る義務を課せられているそういう性格のものであると思うわけです。
 ですから、こうした権利義務のはっきりした問題については、やはりその根幹となる労働基準法の見直しか本筋でなければならないと、こういうふうに考えているわけです。今将来はということをお話になりましたけれども、もう既に労働省は一つのめどをお持ちだと思います。いつまでも何か達成できなかったから、今度は次何年後なのか、はっきりそういう問題が労働省の中で私は何もめどがなくはやっていらっしゃるはずはないと思うんですけれども、労働省は年間千八百時間の達成年度をいつと定めていらっしゃるか、それから週四十時間に向けての労基法改正時期をいつというふうに腹を固めていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#9
○政府委員(佐藤勝美君) 労働基準法につきましては、改正労働基準法の附則の規定に基づきまして、平成三年四月から中央労働基準審議会におきまして週四十時間労働制への移行の問題も含めまして、労働時間法制全般についての検討を既にしていただいている最中でございます。この五月、六月に全国的に労働省で労働時間総合実態調査というものをやりました。その結果も踏まえまして、さらに鋭意検討を進めていただきたいというふうに考えておるところでございます。
 この検討のスケジュールでございますけれども、ことし、つまり平成四年中に審議会の結論をいただくように審議会にはお願いをしておりまして、私どもとしてはその結論をいただきますれば、速やかに必要な措置を講じたいというふうに考えております。
 なお、千八百時間の達成はいつになるのかという御質問でございますけれども、千八百時間というのはこれは法制とは別に実態が変わっていって、統計上それが千八百時間というような結果になってあらわれてくる、こういう問題でございますけれども、こういった現在御審議をいただいている法案に基づく諸施策、それから基準法の改正、こういうものと相まちまして千八百時間の達成が早期にできるように見直しの努力をしたいというふうに考えております。
#10
○清水澄子君 本年度中に目標達成であったわけですから、これは早期というのは、もう本来本当の意味の早期でなきゃならないと思います。ですから、早期ということは、一、二年ということでのそういうふうな受けとめをしてよろしゅうございますか。
#11
○政府委員(佐藤勝美君) 御承知のように、現在経済企画庁でも新しい経済計画の策定作業中でございますし、その中で千八百時間の早期達成ということが恐らくうたわれることになると思います。それから、現在御審議いただいております法案に基づきます推進計画の中でも、これを踏まえた目標が掲げられることになると思いますけれども、その中で例えば経済計画あるいはこの推進計画はそれに合わせまして恐らく五年というような期間になると思います。ただ、五年のうちにその目標を達成すればいいということではなくて、できるだけその中の早い時期に達成をできるようにということを私どもは考えておるところでございます。
#12
○清水澄子君 では、五年というそういうめどではなくて、本当に早期ということを確認してよろしいですね。
 日本の労働時間の長い理由として、残業や休日労働の割り増し賃金率が低いことが、企業が残業、休日労働によって人件費の節約効果が大きいということがメリットになっているということがあると思うんです。ですから、そのために要員不足から来る残業、休日労働の増大になっていると思うわけですけれども、このような悪循環を断ち切らなければ労働時間の短縮というのは非常に難しいと思うわけです。そういう意味で労働省は、残業や休日労働を前提とした企業の業務計画に対して、労働時間の短縮化を図る目的でむしろ要員の労働時間に合わせた業務計画を立てるように指導していく考えはありませんか。
#13
○政府委員(佐藤勝美君) 現在の労働基準法では、労使協定による限度を前提として所定外労働が行われることになっているわけですけれども、もともと労働基準法の考え方でも、残業というものは臨時、緊急の必要があるときにのみ行われるという前提での立法がなされているというふうに私どもは考えております。そういうことから、昨年まとめました所定外労働削減要綱におきましても、そういう考え方を改めてはっきり出しまして、労使その他関係者に対します啓蒙に努めておるわけでございます。また三六協定、その労使協定の届け出が出てまいりました際にも、そういう観点から指導いたしておるわけでございます。そういうことでございますが、ただ実態から言いますと、日本の雇用制度との関係からなかなか残業が減らない。とりわけ最近は恒常的な残業部分がふえてきているという状況がございます。
 この問題はやはり労働時間短縮を進めるに当たりましては、一つ解決をしなければいけない問題であるというふうに私どもは強い問題意識を持っておりまして、今後この方向に向けてのいろんな施策を進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
#14
○清水澄子君 しかし、そういう残業や休日労働を前提にした業務計画そのものを見直す、改めることがもっと強力に進められなければ私は本当に時間短縮は進まないと思うわけです。
 特に、時間外労働につきましては、いわゆる戦後労基法が制定されたとき、一九四六年、昭和二十一年ですね。そのときにその当初案でも、時間外労働二時間までは三〇%の割り増し賃金、そしてそれ以降は五〇%以上の割り増し賃金を払うことという、そういう案が出ていたわけです。それがこの法案作成の過程で二五%となったわけですけれども、それが何と四十六年間も続いている。こういう実態を見ましたときに、それこそ国際化を叫び、そしてこれほど経済大国と言われながら、働く人々の最も基本的な人権と言われている時間、しかも残業や休日労働に対する割り増し賃金が四十六年間放置されてきた、このことが私は既に労働省の行政として非常に基本的な怠慢ではないか、このように考えます。
 ですから、この意味でも私は、時間外労働の割り増し賃金率の二五%というのを五〇%以上に改正すべきだ、そして同時に、休日労働もこれはもう当然一〇〇%に割り増し賃金を改正するということについて、もっとやっぱり勇気を持って、今の時代ですから、そのことをぜひ進めていただきたいと思いますが、いかがですか。
#15
○説明員(井上文彦君) 残業とか休日労働に関します割り増し賃金率の問題でございますが、これはさまざまな意見がございまして、私どもといたしましても、中央労働基準審議会で今検討していただいているところでございます。
 審議会の中でも、割り増し賃金率につきましては、全体の事業主の負担を増加することによりまして時間外労働に対する抑制効果があるのではないかとか、国際的に見ましても、御指摘のように諸外国に比べますと割り増し率が低いというふうなことも指摘されてございます。また一方では、時短自体が事業主のコストアップになるわけでございますから、割り増し率はそれのさらにコストアップで中小企業等には大変な負担になるではないかとか、そういういろんな議論が今中基審の中で厳しく行われているところでございます。
 私どもといたしましては、割り増し賃金率につきましても、中基審で早急に結論をいただいて所要の措置を講じたいと考えでございます。
#16
○清水澄子君 それでは次に、この法案と労働基準法との関係をお尋ねしたいと思います。
 労働基準法は、さっきも述べましたように、憲法二十七条二項の、賃金、就業時間、それから休息その他の勤労条件に関する基準は法律で定めるという、そういう規定に基づいて制定されていると思うわけです。しかし、この法案では、この法律で強制適用される労働時間に関して法律の適用を除外しているわけですね。そして、労働時間について、労使の委員の決議によって決められるということになっておりますけれども、労働省としては、憲法との関係、労基法との関係についてどういう御見解をお持ちでしょうか。
#17
○説明員(井上文彦君) 労基法につきましては、これは憲法で定めております労働条件等の最低基準を定めているわけでございますが、この時短促進法におきます労働時間短縮推進委員会につきましては、これは労使の代表によりまして労働時間の短縮に向けまして積極的に話し合いを進めていただくという、そういう観点を生かします意味で、例えば推進委員会の決議によりまして、三カ月単位の変形労働時間制とかフレックスタイムの実施方法、時間外とか休日労働の上限等につきましてはこの委員会の決議が有効というふうにしているわけでございます。
 ただ、この推進委員会の決議が労働基準法上の労使協定と同等の効力を持つということとなりますので、この委員会につきましては労使協定と同視し得るだけの要件が必要だというふうに考えてございまして、例えば委員の半数が労働者の過半数を代表する労働組合の推薦を受けた者であること、決議は委員全員の合意により行われるものであること、委員会の設置につきましては労働基準監督署に届け出ていること、当該委員会の議事について議事録が作成、保存されているというような非常に厳格な要件を課しているわけでございます。
#18
○清水澄子君 それは、また後ほどお尋ねいたします。
 そこで、本法案の目的でございますけれども、法案の目的が完全週休二日制、そして年次有給休暇の取得の増大、残業の規制などによって総労働時間の短縮を目指していくというものであれば、やはりこの政府の経済審議会が言う年間総労働時間千八百時間、週四十時間、時間外労働年平均百五十時間ということをはっきり明記して、その達成年度を法案の中に掲げるべきではないでしょうか。そうしなければこの法案は何の具体性も持たないし、それからいつどういうふうに何を目指し、ただ事業主の自主的な努力というだけでは。
 そこで、私は最初に、何ら本当の意味の意気込みとか決意がうかがわれない法律である。これを読んだだけでは、いつ何をどうするのかというのが不明確です。ですから、労基法改正時期を明確に示していく、そういう目標を明確にここに書くべきだと思いますが、労働省いかがですか。
#19
○説明員(井上文彦君) 御指摘の具体的な目標でございますが、この時短促進法案によりますと、ここで先ほども申し上げましたように、労働時間短縮推進計画を政府全体として立てることになってございまして、その中で政府の経済計画なりそういうものと整合性青保ちつつ、具体的な目標をその計画の中で明らかにしていきたいというふうに考えてございます。
#20
○清水澄子君 それでしたら、国が策定する労働時間短縮推進計画の中でそれらの問題を明らかにされるわけですね。であるならば、その中にそれをどう達成していくのかという具体的なプロセスはどのように明記されますか。
#21
○説明員(井上文彦君) 労働時間短縮推進計画につきましては、これは政府全体として作成するものでございますが、その過程におきまして、中央労働基準審議会の意見を聞きながら具体的な目標及びそれの達成に向けました状況、手段等につきましても私どもとしては明らかにしていきたいというふうに考えてございます。
#22
○清水澄子君 特にこの中で、これは長期連続休暇制度の導入という問題が要求も非常に強いわけです。このことについて衆議院での答弁でもその内容がはっきりしていないわけですけれども、長期連続という場合、最低のめどというのはどんなふうにお考えになっていますか。
#23
○説明員(井上文彦君) 連続休暇の問題でございますが、私ども千八百時間の具体的な内容といたしまして、年休の二十日取得、それから連続休暇の実現等があるわけでございまして、ぜひ今後連続休暇の問題につきましても積極的に取り組んでまいりたいと考えでございます。
 ただ、各企業の実情によりまして休暇のとり方もさまざまでございますので、これを一律に何日間というような形で規定することはなかなか適当でないというような場合もございますので、私どもとしては、推進計画の中で企業の事情に応じながら連続休暇をとるというような体制を整備していただくようお願いしたいというふうに考えてございます。
#24
○清水澄子君 何か企業の実情によって決まるんですか、労働時間というのは。人間の生活、必要なものが決められていくんじゃないんでしょうか。
#25
○政府委員(佐藤勝美君) 運続休暇の問題でございますが、年間を通じましての年次有給休暇の付与の日数そのものは、これは労働基準法で最低基準を定めて実施を強制しているというものでございます。そのような休暇、それから基準法を超える休暇を年間どういうふうにとっていくか。半日だとか一日だとかというとり方もございますけれども、しかしそういった休暇の本質から考えまして一週間とかそういう長期に連続してとることが好ましいということになりますれば、そのとり方をどうするかということにつきまして、これはやはりその労使がその企業の事情、実態あるいはその労使の意向に沿ってどういうふうに決めるか、こういう問題になるかと思います。
 そういうことでございますので、休暇の日数等の最低基準の問題を労使任せにする、こういう意味では決してございませんで、どういうふうにとるかということにつきましては、その企業の中の労使が十分協議をして決めていただきたい、こういう趣旨でございます。
#26
○清水澄子君 最低一週間以上という想定はお持ちなんでしょうか。
#27
○説明員(井上文彦君) 先ほども申し上げましたように、できるだけ連続をして休暇をとることが、年休の消化、それから労働者の方々にも非常に好ましいというふうに考えてございまして、例示というような形であれば一週間とか、そういうようなことは掲げてまいりたいというふうに考えてございます。
#28
○清水澄子君 そういう計画の内容について、具体的なものをどういう形で指導されていくのか。政令事項として扱われていくのでしょうか。それとも行政通達文書にされるのか。どういう方式をとられますか。
#29
○説明員(井上文彦君) 具体的な目標でございますが、これは先ほども申し上げましたように、政府全体として具体的な目標なりそのプロセスを含みまして労働時間短縮推進計画を立てるわけでございますので、その推進計画の中で具体的に記述してまいりたいというふうに考えております。
#30
○清水澄子君 それでは次に、労働時間短縮推進計画というのは労働大臣が作成されて、そして閣議決定を求めるという、そういう点では労働時間政策に政府が一体となって取り組むという、それなりの重みとして受け止めますけれども、実際に通産、建設、運輸、厚生という、そういう各関連の省との作業、そういう管轄下にある関係分野の縦割りの縄張り争いというふうなものが本当になくなって、お互いに連携して時短の促進のためにやれるという、そういう見通しはありますか。
#31
○政府委員(佐藤勝美君) 労働時間の短縮は、これは基本的には労使の問題であるというふうに言っていいと思っております。
 ただ、特に我が国では、それに加えまして、あるいはそれと同じくらいに国の役割というのは大変大きいというふうに考えております。そういう意味で、我が国では、時間の短縮は国、労使が一体となって全体として取り組むべき国民的課題であるというふうに認識をしておるわけです。そういう意味から、労働行政はもちろんでございますけれども、政府、各省全体として取り組んでいく問題であろうということで、この労働時間短縮推進計画を閣議決定により策定するということにしているわけでございます。こうした趣旨で、推進計画の案の策定の段階から、産業政策、公共政策を担当いたします他の省庁と十分協議を行っていきたいと思っております。
 最近、労働時間短縮の方向というのがやっと定着をしてまいりまして、各事業所管省庁もその所管行政の範囲内におきます労働時間短縮ということには大変積極的になっているわけでございますし、またこの法案をまとめます過程におきましても、通産省初め関係の省庁、大変密接に連携をとりながらまとめてきたという経緯もございます。そういうことから、この推進計画の案の作成に当たりましてもこういった関係省庁とも十分連絡をとってやりたいと思っておりますし、またそういうことによりまして内容のある計画ができるというふうに確信をしている次第でございます。
#32
○清水澄子君 今度は第六条のところなんですけれども、労働時間短縮推進委員会の設置等による「体制の整備に努めなければならない。」という努力規定になっているわけです。これをやはり労働時間短縮推進委員会の設置を「努めなければならない。」じゃなくて、設置を義務づけるべきではないかと思いますが、いかがですか。
#33
○説明員(井上文彦君) 委員会の設置の問題でございますが、現在の状況を見ますと、企業内で労使の方々がいろんな形で努力をしてございまして、例えば労使協議制とか労使懇談会とか、いろんな形で今企業内で時短等の問題についても議論されており、いろんな場があるわけでございます。
 そういう状況を見ますと、やはり企業内のそれぞれの労使の方々の実情に応じた努力ということをやはり尊重することが必要ではないか、またそれが効果的ではないかというふうに考えまして、委員会につきましては一律な形で規定するのではなくて、自主性を生かした形での設置をお願いするというふうに考えているところでございます。
#34
○清水澄子君 次に七条の件で、労働時間短縮推進委員会の決議による労基法の適用に特例を設けてあります。ここでは労使協定にかえて変形労働時間制の導入の推進を労働時間短縮推進委員会の決議で行えるようになっているわけです。
 そこで、お尋ねしたいわけですけれども、変形労働時間制の導入が労働時間の短縮に結びついているという具体的な事実及び統計データを労働省はお持ちでしょうか、ぜひ示していただきたいと思います。
#35
○説明員(井上文彦君) 変形労働時間制につきましては、昭和六十二年の改正労働基準法のときに、労使の工夫をしていただくという観点から柔軟な枠組みを設けたわけでございまして、そこでは労働者の生活設計を損なわない範囲内におきまして労働時間を弾力化して週休二日制の普及とか年間休日の増加、業務の繁閑に応じました労働時間の配分を行うということによりまして時短を進めやすい環境づくりを目指したわけでございます。
 変形労働制の問題でございますが、平成二年の労働時間総合実態調査によりますと、一カ月単位の変形労働時間制を採用しております事業場の平均の過所定労働時間は四十三時間二十四分でございまして、全体の平均過所定労働時間よりも一時間二分短いという結果が得られております。また、平成元年の労働時間短縮に関します意識調査によりますれば、フレックスタイム制を導入した企業のうち約四分の一、二五%が残業時間削減の効果が得られたというふうな回答が見られるところでございます。
#36
○清水澄子君 それは本来、変形労働時間制については今届け出制ですから、その届け出数のみで、所定外の労働時間については余り調査はされていないと思うんですが、いかがですか。
#37
○説明員(井上文彦君) 御指摘のように、変形制採用企業の中で時間外労働がどうなっているかという数字は持ってございません。
#38
○清水澄子君 先ほどから所定外、いわゆる残業とかそういう労働時間が非常に長いというところで、変形労働時間制の導入から、一日自分がどれだけ働いているかというのが統計にも出ないしなかなかわかりにくくなっている、しかし全体的、総体的に労働時間が長くなっているという実態ができているわけです。それが連合の資料によりましても、通常の労働者で一日七百一分ですから、残業を含んで十一時間十分というのが出ています。それがまた交代変則勤務で七百十分、それよりも十分長いわけですけれども、自分が一日働いている所定内と所定外が含まれるわけで、そうすると十一時間十分というのは非常にやはり、本来八時間というのでもこれはある意味で大正八年時代の基準ですね、一日八時間労働なんというのは。それ以上の時間になっている、そのことが今日本の働く人々が過労死とかそれから非常に何か疲れているとかいろんな問題が起きていると思うわけです。
 そういう中で、今度変形労働時間制の導入が推進委員会の決議のみで行えるようになるということになったときに、それはむしろ変形労働時間制の拡大につながるんじゃないかと思いますが、その関係を説明していただきたいと思います。
#39
○説明員(井上文彦君) 変形労働時間制の問題でございますが、私どもといたしましては、変形労働時間制の導入はあくまでも労働時間の短縮という観点から導入をしていただきたいというふうに考えてございまして、今後そういう形で努力していきたいと考えます。
 それから、変形制の導入の問題でございますが、推進委員会の決議によりまして行われるということでございますが、これは先ほども申し上げましたように、委員会の構成につきましては委員なり決議の方法なり議事録なり非常に厳密にやってございますし、委員の選任等につきましては労使協議と同等の方法をとってございますので、これが安易に行われるというふうには私ども考えてございません。
#40
○清水澄子君 それはやはり官僚の答弁なんですね。現実に非常に労働時間が長くなっている。それが一週間の間で決めればいいというふうな労働時間になって、一日単位の時間というのがはっきりしなくなっているということが非常に大きな問題になっている。ですから、労働省、労働基準監督署というのはそういう実態を調査した上でおっしゃるべきだと思うんです。ところが、今変形労働時間制の所定外労働時間については調査をしていない、できていないと言いながら、それは労働時間短縮を目指しているものですと幾らおっしゃっても実態がそうじゃありません。むしろ、労働基準監督行政というのはもっと実態を調査をなさって改善を図るべきだと思うわけですけれども、今回この法案によりますと、労使協定によらないで変形労働時間制と時間外労働、休日労働が労働時間短縮推進委員会の決議によって可能になるわけです。このことは労働者側に不利益になるということが非常に心配されますし、そしてそのことが同時に労働監督行政の放棄ではないか、この点について労働省のお考えを伺いたいと思います。
#41
○政府委員(佐藤勝美君) まず、変形労働時間制の問題でございますが、この制度はもちろん労働時間の短縮に資するという意味で設けられている制度でございまして、変形労働時間制が個々の企業で導入された場合に、そのために労働時間がむしろ長くなるというようなことはあってはならないことでございます。そういう点につきましては、今後監督行政等を通じまして十分に見てまいりたいと思いますし、必要があれば必要な指導はしていきたいというふうに思っております。
 今回の法案の七条の届け出の問題につきましては、これは今部長からも答弁がありましたけれども、労使協定にかわる決議として法律上有効であるためには、その委員会の構成あるいは設置の届け出、それから議事録がきちんと整備をされていること等大変厳格な要件を設けているわけでございます。したがいまして、そういうことから労働基準監督をするに当たりまして、この法律に基づきます厳格な要件に基づいて届け出が免除されていることによって監督行政が阻害をされるということがないような仕組みを考えておりますし、また実際の運用としてもそういうことがないように適正な運用に努めてまいりたいと思っております。
 一方におきまして、労働時間短縮推進委員会をつくった場合には、この委員会の中で日常的に労働時間の問題が話し合いをなされて、その成果が事業場の労働時間の諸制度の中に生かされるということが必要でございます。こういった委員会の活動を奨励をし、それが労働時間の短縮に実際に結びつくためには、そういうことが必要であるというふうに考えてこの制度を設けているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、御心配のような監督行政上問題が生じることがないような厳正な運用に努めてまいりたいというふうに思っております。
#42
○清水澄子君 まず、どんなに所定外労働時間が長くなっているか、その労働時間の実態はぜひ調査いただきたいと思います。それから、今その推進委員会へのいわゆる労働者の過半数を代表する者の性格について、労働時間が長くなったり、いろんな問題がないようにしたいという希望は先ほどから述べていらっしゃるわけですから、それの希望と実態というのはなかなか一致しませんけれども、ぜひその点は厳格にやっていただきたいと思います。
 そういう中で、今回は特にこの委員会が一定の要件を満たした場合は労働基準法の特例が適用されることになるわけですから、本当にこの委員会が真に労使が対等の立場で運営され、そして委員会の決議には労働者の意見が適切に反映されるようにする必要があると思うわけですけれども、現行の規定のままで果たしてそれで十分であるかどうかということは、やはり非常に危惧されるわけです。
 それは、この委員会の労働側委員は、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の推薦に基づいて指名することにされております。しかし、まず第一にこの労働者の過半数を代表する者が適切に選任されるかどうか、その点についてはだれも確認ができにくいわけです。非常に疑問があるわけです。ですから、この過半数代表者制度というのは、労働基準法においても三六協定の締結など幾つかの法律で用いられている非常に重要な制度であると思うわけです。
 前回の労働基準法の改正の際にも、多くの委員から指摘があったと伺っていますけれども、これまで過半数の代表者に会社の庶務課長とか親睦会の会長が会社の指名で過半数代表者になると、そういう選任されたという例は非常に多くあるわけです。そのために、これは労働者代表がこの過半数代表者の選任手続や資格要件を法律に規定すべきだということが要求されてきていると思うんです。ですから、労働省は六十三年の一月に通達ではっきりと過半数代表者は管理監督者ではないこと、それから選出方法については労働者の投票など民主的な手続がとられることという要件を示してこられたんだと思うわけです。しかし、今日でも依然としてこの過半数代表者制度の運用については非常に問題が多くあります。
 例えば、昨年の労働問題リサーチセンターの「中小企業における企業内コミュニケーションの実態」という調査によりますと、三六協定の締結などを労働組合以外の従業員代表と行っている企業の三割が会社の指名で代表者を選出している。そして代表についている者の役職は、管理職以上が六割を占めるという結果が出ているわけです。ですから、こういう調査結果から判断しましても事態は全然改善されていないということが出ているわけです。労働省としては、先ほどからその労働者の過半数を代表する者については厳格な要件をここに規定しているんだとおっしゃいますけれども、本当にそれは保障できるという確信をお持ちでしょうか。
#43
○説明員(井上文彦君) 労働者の過半数の問題でございますが、これは今先生御指摘のように、労使協定の締結におきます過半数代表者につきましては、六十三年の通達によりまして、その適格性とか選任方法を明示してございます。私どもはこれをしっかりとやっていくことが大事だと考えでございます。
 推進委員会につきましては、届け出がございますので、その届け出に際しましては、その適格性及び選任方法につきまして厳重に審査していきたいというふうに考えてございます。
#44
○清水澄子君 ぜひその点は徹底をしていただきたいと思います。
 次に、八条の関係ですけれども、ここには「同一の業種に属する二以上の事業主」とあるんですが、「同一の業種」とはどういうものを具体的に指していらっしゃるんですか。法的な定義はどこにあるんでしょうか。
#45
○説明員(井上文彦君) 「同一の業種に属する二以上の事業主」という趣旨でございますが、これは現在の状況を見ますと、過当競争のもとで非常に企業が競争をやっているわけでございますが、その中でやはり同業他社との横並び意識が非常に強いということで、その横並び意識に着眼いたしまして時短の阻害要因を克服しようというのが本法案の趣旨でございます。
 そういう意味で、同一の業種につきましては、横並び意識が働いている業界なり、そういうものを大きくとらえていきたいというふうに考えてございます。
#46
○清水澄子君 だけれども、大手の企業と下請、孫請は同じ同一業種でも一律にやれますか。
#47
○説明員(井上文彦君) 親なり下請なりの関係、同一業種に含まれる場合につきましては、これはそれぞれ一体となって計画をつくっていただきたいというふうに考えてございますが、それは規模の大小によりまして状況が違いますので、そこらは統一的な計画ではなくて、その業種といいますか、その規模等におきます計画といいますか、それぞれがつくって、全体としてその実現方を努力していくということも考えられるんじゃないかと考えでございます。
#48
○清水澄子君 それでは、工業団地とか商店街などの異なった業種ですね、そういう地域集団などではどういうふうになさるおつもりですか。
#49
○説明員(井上文彦君) 異業種等も入りました工業団地でございますが、やはり工業団地を一体として、横並び意識なり同業といいますか、横を見るというような関係もございますので、そういう点に着目いたしますと、工業団地等もできるだけ広く対象にしていきたいというふうに考えてございます。
#50
○清水澄子君 そして、この同一の業種に属する二以上の事業の事業主のみが本法案では実施計画の提出ができるようになっているわけですけれども、当該事業の労働組合または労働者の代表からの労働時間短縮実施計画ですね、そういうものを出せるようにして、そして労働時間の短縮を本当に実効性のあるものにすべきだと思うんですけれども、この点について中央、地方の労働基準審議会を活用して、労働組合または労働者の代表からの労働時間短縮実施計画を考慮した、労働時間短縮の効果を上げるようなそういう方法を講ずることが必要ではないかと思いますが、いかがですか。
#51
○政府委員(佐藤勝美君) この労働時間の短縮実施計画につきましては、労働時間の短縮のために経営者が経営事項その他事業主が実施しようとします措置に関する計画でございますので、まず事業主を計画を策定をする者というふうにして、その計画の承認の申し出の主体としているわけでございます。ただ、そうしてできました計画が円滑に実施をされるためには、計画の策定に当たりまして関係労使の話し合いが行われることは重要でございます。
 それから、労働時間短縮実施計画の承認に当たりましても、関係労働者の意見を聞くように努め、今までも御指摘ございましたように、関係審議会等におきまして意見を聞くように努めるというふうに考えております。そういったことで、あらかじめ計画の策定時に労使の話し合いができる限り行われるように、またその計画の承認に際しまして労働者の意見が十分聞かれますように努めてまいりたいというふうに考えております。
#52
○清水澄子君 さらに、この八条の三項の一に「事業場の労働者の労働時間等に関する実情に照らし」という文言があるわけですけれども、こういう文言があると、長時間の労働の実態を追認しているような受けとめになるんですけれども、なぜ「実情に照らして」ということがわざわざ入っているんでしょうか。
#53
○説明員(井上文彦君) これは、計画につきましては進んでいる企業とか、時短がおくれている企業とかいろいろあるわけでございますが、できるだけ全体として進めたいという観点で、時短が比較的おくれている業界、業種等につきましても積極的に取り組んでいただくという意味で「実情に照らして」というようなことでございまして、決して時短が進んでないという実情を追認しようというわけではございませんで、段階的に時短を進めていただきたいという趣旨で入っているわけでございます。
#54
○清水澄子君 それでは、やはり八条の中で、改正労働基準法では、本来一律に適用すべき労働時間の基準を、業種別、経営規模ごとに労働時間の枠組みを設けてきたと思うんですね。ですから、原則四十四時間としたものを四十六時間とか四十八時間とか五十四時間と格差を設けて猶予特例としていると思うんです。
 そこで、猶予期間後に一律に復帰して週四十時間にする見通しが、この猶予特例とした業種の中でどの部分を予定されておるのかという点についてお伺いします。
#55
○説明員(井上文彦君) 御指摘のように、猶予されている事業が今四十六時間でございますが、これにつきまして平成五年三月三十一日には四十四時間と一斉に横並びになるわけでございます。一方、中央労働基準審議会におきまして週四十時間労働制への移行の問題も含めて検討してございますので、平成五年以降につきましては、どういう形で進めるかは基準審議会の意見を早急にいただいて所要の措置を講じたいというふうに考えてございます。
#56
○清水澄子君 この労働時間の猶予特例にされた業種の労働者は二千七百七十八万人なんです。ですから、全体の労働者の六三%がこの猶予特例の中に入っているという、その部分をどう改善するかということを抜きにこの問題は解決できないと思います。ですから、労働時間というのは一律の基準を実行していくという、そういう姿勢で臨んでいくべきだと思いますので、その点をやはりきちっと、それは本来あるべき姿なんですから、ぜひその点をひとつ考慮いただきたいと思います。
 次に、看護婦さんの労働時間の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 国立病院の看護婦の週四十時間勤務体制というのは五月から実施されていると思いますが、民間病院の実態というのは、看護協会の調査によりましても、週休一日半のところが四四%なんです。完全週休二日制はわずか六%なんです。ですから、一般の民間企業に比べて非常におくれておりますし、それから年間実労働時間は、平成二年の賃金構造基本統計調査によりましても、正看護婦で二千百四十八時間と、これは厚生省の方は二千十時間だとおっしゃるんですが、統計はそういうふうになっています。それから、准看護婦で二千二百二十時間。統計は異なるわけですけれども、毎月勤労統計調査の全産業の男女平均二千四十四時間、それらに比べまして、特に女子の場合にはパートが入った統計ですからはっきりした統計にならないんですけれども、それらの全産業の平均よりも相当長くなっているという数字が出ているわけです。
 ですから、厚生省、労働省は、看護婦の労働時間短縮の見通しを、年間千八百時間を達成するという立場に立ってどういうふうにこれを検討され実行されようとしていらっしゃるのか、厚生省、労働省、それぞれの立場からお聞かせいただきたいと思います。
#57
○説明員(矢野正子君) 看護職員につきましても、働きやすい職場づくりを進めるということは非常に重要な課題であると認識しております。
 このため、週四十時間労働等の事項を踏まえまして、養成力の強化でありますとかあるいは院内保育施設への助成強化等を含めまして、看護職員確保対策費という形で平成三年度予算、平成四年度予算と大幅に増額いたしまして、特に平成四年度予算については平成二年度予算の約八割増ということでそういったことを行うとともに、さらにことしからでございますが、業務負担軽減のための省力化機器につきましても税制上の特別償却制度の創設を行ったところであります。また、今回の四月からのものでございますが、診療報酬改定に当たりましても看護料の大幅な引き上げを行いましたし、また労働時間及び夜勤体制に応じた加算を新たにつくったということもありまして、そしてまた今国会には御承知のごとく看護婦等の人材確保の促進に関する法律案を提出しているところでございます。
 このような対応を行うことによりまして、社会全体の労働時間の短縮の動きに従って看護職員につきましても千八百時間制に向けて時間短縮を進めるということができるであろうというふうに考えております。
#58
○政府委員(若林之矩君) ただいま厚生省の看護課長の方からもお答えがありましたように、厚生省の看護職員需給見通しにおきましても平成十二年に百十五万九千人が必要であるという見通しになっておるわけでございますが、この見通しを昨年十二月に立てるに当たりましては、今後の時間短縮等の勤務条件の改善に伴う看護職員需要についても従来以上に考慮してこれを策定したというふうに考えておるわけでございます。
 やはり看護婦さんの人材の確保につきましては、その勤務条件というのは大変大きな問題でございまして、厚生、労働、文部三省で今国会に提出いたしまして御審議いただいております看護婦等の人材確保法案、これを成立させていただきました場合には、私どもこれを基軸といたしまして関係省庁連携し、全力を挙げて看護婦さんの福祉の向上、人材の確保、そして時間短縮に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
#59
○清水澄子君 このゴールドプランにおいて平成十二年には百十五万九千人という看護婦の需要という形で数字が出ているわけですけれども、この数字はもう既に労働時間千八百時間というのを平成五年には実行されるものという想定をされて出されているんでしょうか。そしてまたその中に、労働基準法のいろんな要件を満たした数字であるというならば、例えば年休、産前産後の休暇、それから生休、育児休業、それらは何日分ぐらいを見通しての数字になっているんでしょうか。
#60
○説明員(矢野正子君) 昨年つくりました需給見通してございますが、この中には週四十時間制、夜勤回数の月平均八回以内とか育児休業、それから今御指摘がありましたような産前産後の休暇とか、そういったことを含めまして策定しているわけでございます。それからまた、指摘がありましたような高齢者保健福祉推進十カ年戦略の策定等の需要も考慮いたしましてつくっておりまして、それらをつくる際の一つの指針といたしまして作業を進めてまいりました結果、この百十五万ということでできてきているということでございます。
#61
○清水澄子君 それは何年を想定されていらっしゃるんですか、労働時間の千八百時間というのは。
#62
○説明員(矢野正子君) この策定作業を始めました年というのが一九八八年、六十三年でございまして、その当時ありました経済運営五カ年計画の趣旨にのっとりましたものでございますので、先ほどお話がありました経済五カ年計画等の今後の数字の動きがございますが、それにつきましては現在の課題でございますので、前回のものに従って平成五年三月三十一日までにそういったことを織り込んだ計画をつくるようにという指示をしております。
#63
○清水澄子君 それでは、今度は逆に百十五万九千人という看護婦のいわゆる人材が確保できないんじゃないかという問題が非常に大きく言われているわけですけれども、もしそれに見合った看護婦が確保できないときは労働基準法関係の前提条件というのが達成できるのかどうか。その点については労働省、厚生省いかがですか。
#64
○政府委員(若林之矩君) ただいま御答弁申し上げましたように、大変急務でございます看護婦さんの人材確保の問題、労働条件の改善というのは大変大きな要素でございます。私ども、これにつきましては関係省庁一体となりましてその改善を図り、また円滑な需給の調整を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
 具体的には、需給調整ということにつきましては、私ども公共職業安定所を中核といたしまして各県に福祉重点ハローワークというものを設置いたしまして、ここで潜在求職者の把握・登録、また情報提供、専門的な相談・紹介等を推進いたしまして、円滑な需給調整を進めていきたいというふうに思っているところでございます。また、今回の御審議いただいております看護婦等の人材確保法におきましては指針を策定することになるわけでございまして、その指針の中にもこういった勤務条件の方向というものを、これはいろいろ審議会等で御審議をいただくべき内容でございますけれども、そういったものを盛り込みまして、そういったことを一つの指針として指導を進めていきたい、勤務条件の改善を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
#65
○清水澄子君 本当は社会福祉施設や保育所などの分も伺いたいと思って厚生省にきのう話をしていたんですけれども、その担当の方が電話で話をして、公務員は時間短縮は人も予算もふやさない方法でちゃんとやっていますということをおっしゃったわけです。そして非常勤をふやしていますということをおっしゃったんですが、私は非常にこの発想は間違っていると思いました。きょうはもうその質問ができませんからあれですけれども、やはり時間短縮というのは本来は人間のゆとりをふやしていくわけですから、人もふやさなければならないということは当然出てくるわけです。ところが、人も予算もふやさないということを大変美徳のようにおっしゃっている。そういう発想のところで私は、公務員の中に時間短縮というものの思想性、それから今日の時代ではもっと発想を転換しなければならない、そういう点について労働省の方でも内部に向けても時間短縮の意義というものをもっと教育、啓発をしていただくようにお願いしたいと思います。
 次に、今度は私は労働基準法女子保護規定の見直しをめぐる問題についてお伺いをしたいと思います。
 五月二十一日に経済審議会の生活大国部会の報告が出まして、その中で「生活大国実現のための具体的施策」という中の「ゆとりと生きがいのある生活の実現」の第一に「労働時間の短縮」ということが掲げられていて、そういう位置づけというものには私は大変賛成をしております。しかし、その中身は、なぜ今年度千八百時間を達成できなかったかという分析とか反省というものは一行も出ていない。こういう内容については、政府の書くものはいつもこういうものなんだなというふうに思うんですが、そこは今ちょっと時間がありませんので、その次に行きたいわけです。
 さらに、私はそこで承服できないことは、この生活大国部会報告の中に、「誰もが社会参加できる環境の整備」というところで、女性の雇用の機会を拡大するために女性の夜間労働の禁止など労働基準法の女子保護規定の解消の方向を打ち出しているわけです。むしろ現在、日本の男性の長過ぎる労働時間の解消をいかに図っていくかということが今一番緊急の課題になっていると私は思うんですけれども、そこのところにちゃんとこの労働基準法の女子保護規定の解消ということが明確に文言として出ている。これは、私は労働時間短縮の全体の流れに逆らうものと言わなければならないと思うわけです。女性の深夜労働の禁止は百五十時間ですから、むしろ百五十時間というのは全体の男性労働者にもそういう基準を一緒にしていくというのがこれからの時代のあり方なんです。そのときに全体の上限をなくすのだとか、そういうことが言われているわけですけれども、私はここで労働大臣に、女性が長時間労働の男性並みに働くことが本当に豊かなゆとりある社会と言えるのかどうかということについてお尋ねしたいと思います。
#66
○国務大臣(近藤鉄雄君) 我が国の労働者の労働時間を短縮する、確かに先生のおっしゃるように長過ぎる労働時間の短縮というのは全く賛成でございます。そのためにいろいろ今度の法律を含めて御審議をお願いしておるわけでございます。それと同時に、片方ではまさに男女雇用平等という考え方のもとで男女の労働条件、労働環境のいわば差というものを解消していくこともあわせ必要ではないか。
 実は、労働者の作業環境というものがひところと相当違ってまいりまして、例えば私、先日も横浜のみなとみらい計画の中で建設作業に従事していらっしゃる女性の方々とお会いしてお話をしてきたわけであります。非常に意欲を持って仕事をしていらっしゃって、もうまさに作業機械の操作でございますから必ずしも肉体的な力を必要としない分野もあるわけでございますので、そういった従来女性が進出していなかった分野に積極的に進出しているということについて非常な誇りといいますか、意欲、仕事のやりがいを持っていらっしゃる、これを見て私も感銘してまいったわけでございます。そういうことでございますので、だんだん男性と女性の作業環境が似てくればおのずから相互乗り入れがあっていいというふうに考えております。
 しかし、その中で家庭生活だとか、それからまさにお産だとか育児だとか、また育児というと必ずしも女性特有のことじゃないと、これは男性の側も責任があり、男性がやっていいわけでありますから、そういうことを踏まえながら、いずれにしても肉体的、性的な条件で女性にはやっていただかない方がいいんじゃないかというふうな仕事だとか、または仕事のやりようだとか、場合によっては時間だとか、そういったこともあり得ると思いますが、そういった男女の生理的な、また社会的な家庭的ないろんなことからくるものを十分踏まえながら、しかし基本的には男女の雇用機会、雇用条件をいわば同じくしていくという努力はあわせて進めていいのではないか、かように私は考えております。これは大きな問題でございますから、いろんな審議会その他において十分議論を図っていただきたいと思っておりますけれども、方向としてはだんだん同じような条件に行くのじゃないか。だけど、男性の徹夜、長時間労働をそのままにして、女性をそこに持っていくんだということでは決してないということを御理解いただきたいと思います。
#67
○清水澄子君 千八百時間の実現の方が先なんですね。そういう基盤が先にできることであって、その問題の方はなかなか遅々として進まない。企業の横並び意識を大事にしなければと言いながら、一方ではここで、日経新聞の六月一日付の報道によりますと非常に具体的に書かれているわけです。しかも「労働省」とはっきり書いてありまして、「女性の時間外労働、深夜勤務などを制限している労働基準法の「女子保護規定」を九四年度にも大幅に緩和する方針を決めた。」というふうに書かれているわけです。そして中身は、深夜勤務を認められている職種の範囲を広げていくんだと、そして時間外労働の上限百五十時間というのを原則として撤廃するということを検討するんだということがうたわれていますけれども、この要求は経済界の要求で前からあるわけです。このことが、働いている労働者側の代表の意見とか多くの働く女性たちの意見とここが違っているわけですが、労働省は、この経済界の要求といいますか、その立場を、アドバルーン的な効果を私はねらったんだと思います。
 それは断定できるんです。なぜかというと、こんな詳しいことは、これはだれかが労働省の中で発表されていると思うんです。ですから、これは労働基準にかかわる内容なんですけれども、基準局長はこの問題については何ら御存じなかったのかどうか。
#68
○政府委員(佐藤勝美君) 後ほど担当局長の方からまた別の答弁があるかと思いますが、基準局としては、この六月一日付の日経新聞の記事の内容は寝耳に水でございます。
#69
○清水澄子君 そうすると、すごくなめられているんですね、労働基準局長というのは。こういう問題は労働基準局長の頭越しに本来出してはならないものだと思うんです。しかし、労働省のこれは内部のことがうかがえるわけですよ。だから、これは企業の側の立場に立っている内部の人が何らかの報道をしているわけですね。
 ですから、これはぜひ私は調べていただいて、後から、どこがこういうことをなさるのか、そしてそうでなければ、「労働省」なんて書かれていたら抗議をなさるべきです、間違っているならば。何にもなさらないということは、マスメディアでこういう問題が出るというのは大変大きな問題だと思いますので、その点についてはぜひはっきり処置をお願いしたいと思います。
#70
○政府委員(松原亘子君) 労働基準の問題でございます女子保護関係は婦人局の方で所管をいたしておりますので、私の方から御答弁させていただきますけれども、基準局長からもお答えがありましたけれども、私どもの方も全くこの記事は関知をしておらないところでございます。
 新聞記者の方々は、先生方も取材を受けられることがあるので重々御承知のことだと存じますけれども、御自分の中でいろいろ何か情報をとってそれを記事にされるということは多くあるんではないかというふうに思いまして、労働省が必ずしも発表したわけではございませんし、そういう意味で、中身についても私も見て驚いだというのが正直なところでございます。
 ただ、基準法の女子保護規定につきましては、またこれも先生も十分御存じのことと存じますけれども、六月一日に私どもが官報に載せました第二次女子労働者福祉対策基本方針、これから五カ年の女子労働者対策をいわば総括して方針として書いたものでございますけれども、その中に、「労働時間を始めとした労働条件等労働環境、女子が家事育児等のいわゆる家庭責任を負っている状況、女子の就業と家庭生活との両立を可能にするための条件整備の状況等を的確にとらえ、男女同一の法的な枠組の整備を視野に入れて検討を行うこととする。」ということを労働省としても方針として持っているということは確かなことでございます。
#71
○清水澄子君 私もそのことは労働省の婦人少年問題審議会の審議経過またはその答申を見まして、この新聞は内部の人の一つの別の行為が行われているんだというふうに受けとめておりますけれども、しかし非常に影響力が大きいわけです。
 ですから、こういう中で、特に私は松原婦人局長にお伺いしたいんですけれども、いわゆるこの五年間に女子労働政策の中で、特に「女子の就業と家庭生活との両立を可能にするための条件整備の状況等を的確にとらえこという面ですね、その点ではどういう実態になっているか。今労働省はもっと働いている人たちの実態を調査する必要があると私は思うんです。実態をつかまないでは政策は出てまいりません。調査なくして政策なしですから、ですからここでもぜひ実態を把握していただきたい、こういうことを私はお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#72
○政府委員(松原亘子君) それはおっしゃるとおりでございます。
 私ども、実態を的確にとらえという場合には二つの側面があろうかと思っております。一つは、条件整備といいますのは法制の変化がどうなっているかということも一つの大きな要素でございます。前回、労働基準法の女子保護規定を六十年に改正いたしました。それ以降、労働基準法本体で法定労働時間が当時四十八時間であったわけですけれども、それが漸次短縮され、現在四十四時間というふうになっているとかそういったことも反映しまして、年間千八百時間というところまではいかないまでも労働時間というのは徐々に短縮してきている、また週休二日制の普及率も昭和六十年から比べますと普及してきているということもあるわけでございます。それからまた、家庭生活と職業生活との両立、ストレートな問題といたしましては育児休業という問題がございます。六十年当時、まだ一一%程度の普及率でございましたけれども、それが法制化され、あと三年たちますとすべての事業所の労働者が、男女いずれかでございますけれども取得できるということになったというようなことで、法制上の変化が非常に大きくあったわけでございます。かつまた、家庭生活と職業生活との両立という面で介護の問題というのが大きな問題でございますけれども、これも徐々にではありますが、普及率が高まってきているということもございます。
 そういったようなことも考慮しつつ、さらにまた今後の検討に向けまして、おっしゃいましたようにいろんな場面での実態の把握ということに努めたいというふうに思っております。
#73
○清水澄子君 それで、ぜひ私はここで労働大臣に一つお願いをしておきたいんですけれども、産業界の声に押し切られて女子の年間残業時間の百五十時間規制を緩和することはしないということをここではっきり約束してもらいたいと思いますが、いかがですか。
#74
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先ほども答弁をいたしましたように、私どもはまさに男女を通じまして長期労働時間については抑制を図っていく、こういう大原則のもとに取り組んでございます。実は、私は入院しておりましていろんな先生方の意見を聞いたんですが、心療内科の山本というおもしろい先生がおられて、たとえ週休二日制でも五日間めちゃくちゃ働いて、あと二日間はだっとまとめて休むというのでは、人間のバイオリズムというんですか、それはよくないので、二十四時間の間に働く時間と食事する時間と眠る時間とバランスをとっていかなきゃいけないので、まとめて休んだらだめだという話を心療内科の先生がされて、そうかなと思ったんです。
 ですから、それはまさに。男性であれ女性であれ、そういった長期労働時間また深夜労働時間というのは抑制すべきであるという大原則で措置しているわけであります。ただ、そうは言っても、例えば病院のことで恐縮でございますが、まさに看護婦さんは二十四時間勤務で、その前からも来ていろいろ私の体をチェックしておられた。だから、どうしても必要な労働条件というか時間があるわけでありますので、そういったものとその他の人間生活との調整をどうやっていくかということが最大の課題であって、そういう意味で、最初申しましたけれども、男性の過酷な長期労働時間に女性を近づけるのではなしに、どっちも正常化といいますか、理解していきながら、しかし生理的なまたは母性といいますか、家庭とかそういった女性特有のことを十分踏まえながら、しかし方向としては男女の差というものを漸次なくしていく。
 産業界の要請に応じてということでは絶対にございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
#75
○清水澄子君 では、百五十時間というのは、これは人間にとって基本的な最低限の基準だというふうに確認してよろしゅうございますね。
 それで、今調査のこともお願いしていたんですけれども、最近東京都の品川労政事務所が、「深夜働く人々に関する実態調査」というので、一千カ所ぐらいの事業所で働いている人、それから事業者の方にも調査をしているわけです。この調査と、それから労働省が九一年九月に全国の企業三百九社を対象に調査された内容と全然違う数字が出ているんです。
 これは統計のとり方なのかどういうのかよくわからないんですが、労働省の方は、女子保護規定について昨年三百社を対象に実施したところが、時間外労働の規制緩和を求める回答が七割を超えた、そして深夜労働についても三割の企業が業務の支障になっているというふうに出していると、こう出ているんです。こういうものも出てくると、何か全部企業はそうかなと思っていましたならば、企業だから当然と思っていたんですが、東京都品川労政事務所が調べました統計によりますと、一千カ所の事業所の中で八百二十その回答が来ているんですけれども、何とここでは、そういう女性の深夜業の規制の緩和は余り希望しないというのが多いんです。深夜の女性活用は考えていないが六八・七%なんです。それから、規制緩和を希望しているというのは八・八%で、それは運輸・通信とそれからサービス業がちょっと多いわけです。だから、ほとんど深夜は余りやるべきでない、それから規制はもっと続けていくべきだというのも一〇%もあるわけです。
 ですから、労働省がお調べになっている統計と地域の事業所で調べているものとでこんなに差があるというのは、非常に調べ方に――やっぱり大きな企業では、その会社の管理関係の人が書いちゃうんでしょう。ですから、こちらは割に東京都の方が本音が出ているんじゃないかと思うんです。そして、これからさらに二十四時間化の営業、そういうものをどう考えるかという中で、やはり消費者のニーズに合わせてやっていくべきだというのは一九・四%であって、逆に消費者が必要以上にそういう便利さを求めるというのを考え直すべきだという考えの方は三五%あるんです。それは事業者の方が答えているわけです。この中には、もっとそれぞれの行政にこういうことを望みたいという非常に生の声がいろいろ出ているわけです。もう時間がありませんのでそれは紹介できませんけれども、ぜひ調査をなさるときには、底辺の実態の中にもう少し入っていただいて調査をしていただきたいというふうにお願いをしておきます。
 さらに、その次にお願いしたいんですが、今女性の平等というとき、均等法の制定と平等ということと女子の深夜労働の特例措置をどう広げるかと、絶えずそこばかりが問題になっていくわけです。だけれども、それは本当にごく一部の人たちにそれが必要な場合はあるでしょうけれども、やはりここで、労働基準というのは全体的な基準ですから、そういう中でむしろ母性保護という面についても戦前のままの母性保護条項が続いていると私は思うわけです。
 今労働環境それから生活環境も変わってきている。そういう中でも非常に休日が日本では少ないわけです。そういう中で、日本の場合は長い通勤時間がありますね。そういう中で、ただ妊娠期間中だけが保護されていればいいというふうな問題ではないと思います。やっぱり出産前後の女性の健康な母体というものが健康な子供を産むわけですから、やはり労働環境とか労働条件というのは非常に重要なのであって、産前産後もまだ産前六週間産後八週間という、何か非常にこれも古い数字をそのまま温存しているわけです。多胎妊娠の場合は十週間というのがありますけれども、ほとんどECでは大体十二週間なんていうことになっています。そして子供が病気のときの看護とか、それから育児休業も日本では半分以上の企業が乳養期間でしょう。ですから、もっとそういう面を、働く人々の本当の権利を、やっぱり労働省しか労働者の権利についてはそれを行政の中に、また法制化できないわけですから、平等という場合には女性の産む機能を権利として労働法の中に保障させていくということにぜひ私はもっと熱意を持っていただきたいと思うわけです。
 もう時間がありませんので、その点について最後に私はもう一度これも労働大臣にお願いしたいわけですけれども、これからは本当にただ口先だけで男女が仕事と家庭生活の両立を可能にすると言っているだけではだめで、これはなかなかそう簡単にはいかないわけです。やっぱり女性の方にその負担は多い。しかし、労働人口が不足していて人手不足で女性の社会的な進出とか活用の要求も多いわけです。そういう中でもっと急がなきゃならないのは、労働時間の短縮というのは絶対的な、女性が家庭それから子供を持ちながら男女が人間らしく働くという意味では重要な課題です。
 特に、その場合に人間の生活時間というのは一日単位です、一週間単位ではありません、子供を育てているのも、病人とか介護、家族の生活ですね。ですから、そういう当たり前の人間の生活が維持できるような労働時間のあり方というものはぜひそこを基本にしていただきたいし、それから男女平等の基盤というものを本当に人間らしい働き方ができるように、それは現行の男子労働者の基準ではないと思います。
 ですから、その辺を根本的に改めるという決意を持って私はこの介護休業法を進めていただきたいし、育児休業中の経済的支援をぜひ実行していただきたい。そして、ILO条約の批准という問題、百五十六号条約を必ず批准をするという方向の決意を持っていただきたいと思うんです。特に、一九九四年は国際家族年でございますから、そういう中で本当に国際社会で日本の私たち女性も誇りを持って、日本はこういう実態をつくり上げているということが報告できるように、そういう点で最後に労働大臣の決意をお伺いしたいと思います。
#76
○国務大臣(近藤鉄雄君) 近く労働白書を労働省は発表いたしますが、その端書きを私は書かせていただきました。
 その中でも強く申し上げているわけでございますが、日本は経済大国になったといっても、人手が足りないからそこの奥さん働きにいらっしゃい、そこのおじいちゃんも働きにいらっしゃいと、全部労働者、労働力を集めて、さあ物をつくれ物をつくれでは、これはもうまさにひところの国民労働力総動員みたいな感じになって、何のための豊かさかということになるんじゃないか。そうでなしに、むしろ社会が豊かになったんだから、女性の方々が自分の持っていらっしゃる能力を積極的に発揮できるような、そういういわば社会的なあるいは技術的な、例えば家庭電化で時間が生まれてきていろいろやれるんだと、また豊かになったから御年配の方々が仕事できるようなそういう作業施設、それから雇用形態ができるんだと、そういう発想で取り組むべきじゃないか、こういうことを書かせていただいておりますので、ぜひひとつ出てまいりましたら読んでいただきたいと思うわけでございます。
 先生の御指摘、まさにごもっともでございまして、私たちはこの日本が経済大国と言われる、それにふさわしい生活の状況をいかにして実現するかということを今まさに宮澤内閣で総理以下挙げて取り組んでいるわけでございますので、その重要な政策としてこのたび労働時間短縮ということについての法案を御審議いただいているわけでございます。また、育児もそうだけれども、介護についてもこれも私はやっぱり余裕だと思うんです。そういうことができる余裕ができたのだから積極的に取り組む。ただ、といっても具体的な企業あるいは産業の中でいろんな事情もございますので、これは言いわけじゃなしに、そういうことをひとつ具体にこなしながら実行してまいりたいということで、いろいろ関係の方々の御理解、御協力もあわせてお願いしながら進めてまいりたい、そういうことでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
#77
○清水澄子君 終わります。
#78
○委員長(向山一人君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#79
○委員長(向山一人君) ただいまから労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#80
○山中郁子君 前回に続きまして、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案についてお伺いいたします。
 初めに、この法案の附則第二条で、五年間で廃止するものとするとうたわれている件についてでありますけれども、五年たつと自動的に廃止されるという理解ができるのかどうか、この具体的な取り扱いのお考えについてお伺いします。
#81
○政府委員(佐藤勝美君) 附則の二条で、「この法律は、この法律の施行の日から五年以内に廃止するものとする。」というふうにございますので、自動的に五年たつとなくなるのではなくて、五年以内に廃止のための法律、法案を出すということになります。それが成立しないとこの法律はなくならないということになります。
#82
○山中郁子君 廃止される場合には廃止する旨の法案が出されることによって廃止されるということだと承りました。
   〔委員長退席、理事仲川幸男君着席〕
 そうしますと、時短の促進をうたった法律でありますから、五年という時限立法の性格を持って提出されている以上は、この間に責任を持って政府が時間短縮を労働基準法の改正などによって実現していくという、そういう確信と決意をお持ちだということと関連すると私は存じますが、その点について大臣から御所見を承りたい。
#83
○国務大臣(近藤鉄雄君) 前にもこの委員会でお話をしてございますけれども、本来ですともう今年度じゅうに千八百時間を達成することで計画があったわけでございますが、いろんな理由からおくれてございますけれども、今度の時短促進法では五年以内に必ず千八百時間の達成を期すと、こういうことでございますので、努力目標ではなしに、五年以内に確実に千八百時間に時短をする。したがって、その折には今度の法案を廃止させていただく、こういう決意を持つものでございます。
#84
○山中郁子君 御病気の後で恐縮なんですけれども、ちょっとここの場所が遠いものですから、局長もそうなんですけれども、正確に言葉が聞こえないところがあって、恐縮ですがひとつよろしくお願いいたします。
 それで、今の件は、五年もかからなきゃ生活大国なる宮澤内閣の公約、あるいは国民に対する、労働者に対する約束である千八百時間を初めとするもろもろの問題が解決しないんだというふうに私どもも受けとめているわけではございませんが、そのことについて、もうちょっと端的でいいんですけれども、今の御答弁がちょっと私わかりにくかったんで、要するに労働基準法の改正という基本的な問題との関係で、労働大臣としての決意というか、この五年ということで提起されているものとの関連で簡潔にお答えいただきたい。
#85
○国務大臣(近藤鉄雄君) 年間総労働時間千八百時間は五年以内に達成をいたします。そして、今度の法案はそれを実行するための具体的な枠組みづくりである。そこで、基準法の改正は、それと並行いたしまして現在中央労働基準審議会で審議をしていただいておりますので、成案を得次第早急に立法化して法案として上程させていただく、こういうことでございます。
#86
○山中郁子君 じゃ、その労働基準法の改正についての具体的な見通しについてもう若干踏み込んだ御答弁がいただけると幸いなんです。つまり、成案を得てというのは、大体いつごろにその成案
というか、建議という形になるのではないかと思いますけれども、それが出されて、そして建議を受けてからどのような見通しを持って政府において用意されて提起がされるのかということがもう少し定かに例えれば幸いですが。
#87
○政府委員(佐藤勝美君) 中央労働基準審議会におきます基準法の見直し作業は、御承知のように既に平成三年の四月から始まっておりまして、それからこの審議の資料とするために、ことしの五月、六月には全国的な労働時間の実態調査を行っております。したがいまして、この調査の結果も踏まえましてさらに検討が詰められるわけでございますけれども、労働省からは、中央労働基準審議会に対しましては審議会の結論をことしじゅうにいただきたいというふうに申し上げてあります。
 したがいまして、そのとおりにことしじゅうに審議会の結論、これは仰せのように建議ということになると思いますが、建議をいただきますと、労働省ではそれに基づきまして法案要綱を作成して再度審議会にお諮りして、その結果国会に提出の運びになる、こういうスケジュールを考えているところでございます。
#88
○山中郁子君 先ほど大臣から、この法案は労基法の改正と並行してという位置づけの趣旨の御答弁がありました。先日もたしか主張したと思うんですけれども、この時短法には、「我が国における労働時間の現状及び動向にかんがみ、労働時間短縮推進計画を策定するとともに、事業主等による労働時間の短縮に向けた自主的な努力を促進するための特別の措置を講ずることにより、労働時間の短縮の円滑な推進を図り、もって労働者のゆとりのある生活の実現と国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」、このようにかなり大げさというか、大上段に振りかぶった、時短法という名前がつけられている割には、この五年間に一体具体的にそれではどのように時短を図っていくのかということが何ら明記されていません。
 この問題は、衆議院段階においても我が党の金子委員がいろいろ質問も申し上げ、主張も申し上げておりますし、本委員会においても私も提起したところでありますけれども、本来、労働時間の短縮は労働基準法によって明記されるべきであるということだと私たちは考えていますので、この点について見解をお伺いしたいんです。
 それは、前回もお話というか主張もいたしましたし、若干の議論もありました。それで、先ほども清水委員の質疑の中にも触れられていたというふうに承りましたけれども、憲法二十七条第二項の「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」として規定されていることが、これが母法としての労働基準法ができ上がっている根拠になるわけですね。ですから、この点について労働基準法がこういう性格を持っているものである。したがって、ここで憲法二十七条で言っているように、「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準」ということが基準法で定められるべきであって、労働時間の短縮というものも当然のことながら基準法で定められる性格のものであるということについては疑問の余地がないと考えておりますが、その点について大臣の御意見をお伺いいたします。
#89
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働基準法によって規定をいたしますときには、これが完全に実施される客観的な条件がなければいけない、こういうことでございますので、今度の時短促進法はそうした労働基準法、いわゆる週四十時間に基づく労働基準法が現実的に実行できるためのこれはいわばフレームワークづくり、土台づくりである、こういうふうに私は理解をしております。
#90
○山中郁子君 憲法二十七条に基づいて制定されている労働基準法のその関係、基本的性格、それについては当然のこととして受けとめていらっしゃると理解してよろしいわけですね。労働基準法というのはそういう基本的な性格を持つものであると、憲法二十七条に基づく。
#91
○国務大臣(近藤鉄雄君) 憲法二十七条はいわゆる抽象的に我が国の労働者の労働状態といいますか、労働条件とかそういったものを言っているわけでございますが、具体的にそれが週四十時間であるのか週四十四時間であるのか週三十五時間であるのか、そのことについては憲法では明示していないわけです。ですから、具体的なまさに労働基準というものについてはこれは労働基準法で法定をする、こういう構造になっているのではないかと思います。
#92
○山中郁子君 申し上げるまでもないわけですけれども、二十七条をさらに敷衍すれば、二十五条の健康にして文化的な生活というものがすべての勤労者、国民に保障されるべきであるというところから発しているわけであります。
 それで、私は、労働基準法をないがしろにするというか横に置くというか、政府に言わせれば別にないがしろにしているとはおっしゃらないと思うけれども、これは片方で今改正のための準備を進めている、こうおっしゃっているわけですね。私の見解からするならば、労働基準法によってきちんと時間短縮を改正の中に盛り込んでいくべきであるということこそが本道であって、別な道を通って労働時間問題をあれこれする、つまり今提起されている時短促進法なるもの、こういう別な道を通ってあれこれすることは憲法の理念をもゆがめるものになるおそれなしとはしないということを申し上げておきます。
 さらに次に、具体的に労働基準法との具体的な問題の関連についてお伺いいたします。
 本法案によりますと、事業主を代表する委員または労働者を代表する委員、そういう時短推進委員会なるものをつくって、その全員の合意があれば労働基準法上の一定の事項、つまり例えばフレックスタイム制度、三カ月単位の変形労働時間制、一週間単位の変形労働時間制、時間外・休日労働等々につき決議した場合には、労働基準法上の労使協定にかわるものとして取り扱われることになっている、こういう問題があります。私どもは、これは大変労働基準法との絡みで重要な問題だととらえております。
 これは、先ほど指摘しました憲法第二十七条二項に基づく労働基準法を他の個別法、つまり今回の場合にはいわゆる時短促進法、これによってないがしろにし形骸化することで事実上大幅な改悪に導き入れるものであるという点を見逃すわけにはいかないという立場に立っております。この点については御見解はいかがでしょうか。つまり、労働基準法上定められていることをこの法案によって、労使の協議でなければならない労使協定にかわるものとして時短推進委員会というものが決めればそれにかえられるということは、労働基準法が現在の段階で取り決めている労使協定というものを後退させる、そういう内容につながるものであるということは否定できないのじゃないかと思いますけれども、まず基本的な見解をお伺いします、この点に関しての。
#93
○説明員(井上文彦君) 御指摘のように、労働時間短縮推進委員会の決議によりまして、三カ月単位の変形労働時間制等に対して決議を行えることになってございます。これは、労働時間短縮推進委員会の決議が労働基準法上の労使協定と同等の効力を持つということになりますので、労使協定と同視し得るだけの要件が労働時間短縮推進委員会に必要だというふうに我々は考えでございます。
 同視し得るだけの要件ということで、先ほども申し上げましたように、委員の半数が労働者の過半数を代表する労働組合等の推薦を受けた者であること、決議は委員全員の合意により行われるものであること、委員会の設置について労働基準監督署に届け出ていること、当該委員会の議事につきまして議事録が作成、保存されていること等の厳格な要件、労使協定と同視し得るだけの要件が必要だというふうに考えてございます。
#94
○山中郁子君 私が指摘しているのは、今いろいろおっしゃった内容は、そのおっしゃったことがそのとおり現実に実現できているのか、今後この法案によってもさらに実現できるのかということについては、それが非常に困難であるということ
はあなた方自身よく御承知のはずだということで私は強い怒りを覚えますが、それは今ちょっと百歩譲って、仮にそれが実現し得たとしても、それは労使協定イコールではないということだけははっきりしているでしょう。そのことを私は申し上げている。
 それで、ちょっと確認をいたします。
 この時短推進委員会が決議した場合ということで、労使協定にかわるものとして許されるという事項は次のようなものだというふうに確認してよろしいか。法律というのは何か読むのはなかなか大変なわけなんですけれども、フレックスタイム制度、三カ月単位の変形労働時間制、一週間単位の変形労働時間制、時間外・休日労働、事業場外のみなし労働時間制、裁量労働のみなし労働時間制、計画年休制度、それぞれ労基法三十二条の三、三十二条の四、三十二条の五、三十六条、三十八条の二、三十九条の五項というように私は理解をしておりますが、この判断は確認されるでしょうか。
#95
○説明員(井上文彦君) そのとおりでございます。
#96
○山中郁子君 さらに、この法案は、今私が七項目申し上げましたうちの三カ月単位の変形労働時間制、一週間単位の変形労働時間制、それから事業場外のみなし労働時間制、裁量労働のみなし労働時間制等について、この決議によって行政官庁への届け出義務を免除するということになっている、この点についても間違いありませんか。
#97
○説明員(井上文彦君) そのとおりでございます。
#98
○山中郁子君 私どもが衆議院において修正案を提出いたしました経過も御承知のとおりでありますし、また労働組合の運動の中にも、あるいは労働関係法律専門家の皆さん方の中にも、その他多くのところでさまざまな意見が多く重要視されて取り上げられているのはここのところが一つの大きな要点になっています。
 したがって、私どもはこの問題がやはり現行の労働基準法の形骸化、そしてこうしたことが労使協定も外され、それからさらに変形労働時間制でいうならば届け出も免除されるという事態が非常に大きな、例えば変形労働時間制の拡大とか、そうしたものにつながるという現実の条件が、日本の労使関係ないしは力関係、それから企業の体質、そうしたものの中にないということは絶対になくて、むしろそういうことがあるというおそれを持つのが当然の常識であり、当然の理解だと考えます。
 それで、労働者に不利益な大幅な労基法の実質的な改悪、そういうものにつながっていくというこのことについての指摘にどのように労働省は、ぜひ私は労働大臣の見解を伺いたいんですが、この問題についてどのようにこたえられるのか、それを伺いたい。
#99
○国務大臣(近藤鉄雄君) 時短推進委員会を企業内につくるわけでありますけれども、これはいわゆるマネジメントの代表の方と、それからその会社で働いていらっしゃる労働者の方々の大多数を代表する方がお集まりになって、そして議論されるわけでございますので、率直に言って労働基準法に違反するような取り決め、フレックスタイムであれ何であれ、そういったものは起こり得ないと私は思います。
 また、我が国の労働者の方々が、そこは日本の労使関係、環境の中じゃだめだよとおっしゃるお気持ちも私はわからないじゃないんですけれども、もうこのあたりでというとあれでありますけれども、自分たちの権利は権利としてきちっと主張されて、公平に経営者の方々と話し合いをされて、そして勤労者の立場も十分に反映した協定を結ばれる、こういうことを私は期待すべきであって、いつまでもそれは組合、労働者はだめだから、やっぱり監督署が入ってこなきゃだめだということではもうないのじゃないか。また、そういうふうに我々行政としても指導するといいますか、バックアップするということが必要ではないかと、こう考えております。
#100
○山中郁子君 大臣の御発言でありますから、その御発言に責任を持っていただきたいということを私はまず真摯な気持ちで申し上げます。しかし、現実がそうでないということはこれまた真実なんですよ。
 私も長年にわたって現場の労働運動に携わってまいりました。この労働委員会の委員の皆さんの多くもそうした経験をお持ちでいらっしゃいます。だれ一人、大臣が言われるようなことが担保されているという現実をそのように見ている方はいらっしゃいません、ちょっとでも知っている人間は。そういうのが今の実態なんです。だから、過労死などということが国際語になるような、こういう日本の労働実態というものが生まれてきて、現実にはびこっているわけでしょう。裁判にまで行って、それでもまだ、この前も大同特殊鋼のことを私は申し上げましたけれども、そういうことが現実にあるんです。だから、私は大臣のおっしゃることは真摯に誠実に約束を守ってほしいということは申し上げるけれども、約束というか、労働行政の中で真に実現してもらいたいと、それは申し上げるけれども、現実はそんななまなかなものじゃないということもあなた方もよく知っていらっしゃるはずなんで、労働行政が真に労働者の立場に立つかどうかが、それが分岐点であるということをこの際改めて申し上げておきます。
 次に、具体的な問題になるんですが、本法第六条は、「労働時間短縮の実施体制の整備」ということで、「事業主はこ「全部の事業場を通じて一の又は事業場ごとの委員会を設置する」ということを決めています。「全部の事業場を通じてこという委員会は、労働基準監督行政が事業場を単位として、特定地域を管轄する労働基準監督署を通じて行われているという原則のもとでは、地域の異なる幾つもの事業場、つまり同一企業のたくさんの工場が地域を異にしていろいろありますね。その場合の企業に対しては監督ができないというところが出てくる。かなりの範囲で監督ができないというところが出てくるのではないかという理解がされています。私も、この条文上からそういう理解が出てくるということも大いに考えられるわけで、この点についてはどう対応されるのか、あるいは明確な判断を、判断というか労働省の考え方を明らかにしていただきたい。
#101
○政府委員(佐藤勝美君) まず、複数の事業場を通ずる委員会をつくる、あるいは各事業場ごとに委員会をつくるということと、労働基準監督との結びつきというのは直接は私はないと思っております。
 ただ、この労働時間短縮推進委員会の趣旨というのは、なかなか日常的に事業場の中で労使が労働時間の問題について話し合う体制がないところが多い。特に、中小企業ではそうであろうかと思いますけれども、そういう状況の中で労使が日常的に話し合う場をできるだけつくる必要があるということで、このような規定を設けているわけでございます。その場合に日本の企業は、外国と比べますと労使協議の制度を持っている企業は非常に多いわけです。したがいまして、この法律がなくても現にそういった場を設けて労使の話し合いが行われているところもあります。そういう場があるところは、これはそのまま尊重してやるということで、その辺はかなり緩やかな労使の話し合いの場、いろんな形での話し合いの場をつくって活用していただきたいという考え方がまず基本にあるわけでございます。
 この委員会の基本はそういうことでございますが、しかしまた一方におきまして、労働基準法に基づきます労使協定の締結、それから労働時間の管理というものは、仰せのように事業場ごとに行われるわけでございます。それが基本でございますけれども、事業場の規模等の実態によっては、事業場ごとに労働時間短縮のための実施体制を整備することが難しい場合もございます。そういう場合に、複数の事業場を通じて委員会のような話し合いの場という体制を整備するということが現実的であり、かつ効率的であるということから、必ずしも事業場ごとに体制整備を図るということにしていないわけでございます。
 ただし、第七条で、一定の要件を満たす委員会につきましては、例えば一定の場合の届け出の免除等の効果を与えているわけでございますけれども、この場合の七条の要件に該当するためには、委員の半数が事業場の過半数労働者を組織する労働組合等の推薦に基づいて指名されている、その他の要件がございまして、この場合には事業場ごとの委員会ということでありまして、複数の事業場を通じて一つでいいと、こういうことにはなっていないわけでございます。
#102
○山中郁子君 いろいろ私の質問の範囲を超えたお答えでちょっとごちゃごちゃしているんですが、要するに法律上の担保はどこにあるというふうに理解して、直接関係はないと最初におっしゃいましたね。私の質問したことについて、事業場の今の基準監督行政というのは地域になっている。それを一つの事業場に取りまとめると地域が全国に散らばるわけでしょう。そのことが地域の労働基準監督行政と別に、監督行政が及ばないところでそうしたものが取り決められていくということはまずいのではないかということを伺っているんですが、それは直接関係しないんだと最初にたしかおっしゃったので、そのことの法律上の担保がどこなのかということを教えてください。
#103
○政府委員(佐藤勝美君) まず、この委員会がその事業場に一つあるのか、あるいは複数の事業場に一つあるのか、そのことと監督とは直接関係はないと申しましたのは、要するに労働基準監督が事業場ごとに行くわけですから、この委員会とはその意味では直接関係がないわけです。
 それからもう一つは、基準法上一定の効果を持つ委員会といいますのは、これは七条の要件を満たす委員会に限っているわけでございますけれども、この七条の要件を満たす委員会というのは、これはまさに事業場ごとの話でございまして、事業場を幾つかまとめて一つの委員会があってそれが七条に該当するということはないわけでございます。そういう仕組みになっているわけでございます。
#104
○山中郁子君 それでは、労働監督行政というか、基準監督署の範囲、対応する基準監督署の範囲を超えていろんなところにある工場、一つの企業の工場が全国に散らばっていますね。それが一つの企業でもって委員会をつくった場合に、それぞれ工場なりなんなりの対応する労働基準監督行政が何らかの形で行われ得なくなるということではない、そのことは現状から後退するものではないということが、今最初の御答弁の中で言われていると理解してよろしいですか。私どもは、今の労働基準監督行政というのは非常に不十分である。担当者の方たちが一生懸命努力されていることはよく知っていますけれども、いかにももう人手、人数が少ないということも再三申し上げてきているところで、大幅な増員を要求しているという立場ではありますが、それにしても現状の監督行政のシステムがこれによって後退する、あるいは穴があくということはない、これは法律上担保されているんだ、法文上担保されているんだと理解してよろしいということかどうか、明確にお答えいただきたい。
#105
○政府委員(佐藤勝美君) 一部繰り返しになりますが、要するにいろんな形での事業場の中での労使の話し合いの場をつくるということをまず促進したいというのがこの六条の内容でございます。そういった委員会の中で一定の要件、これは具体的には第七条に規定をされているわけで、これは御承知のとおりでございます。それで、この第七条に規定をされている要件に該当する委員会については、基準法上の一定の効果を認めていると。この七条をごらんになっていただきますと、「前条に」、つまり六条に「規定する委員会のうち事業場ごとのものであって次の各号に適合するもの」と、こういうことでありまして、したがいまして法律上一定の効果を認める委員会というのは事業場ごとのものに限ると、こういうふうになっているわけでございます。
 そういうことからいいまして、労働基準監督とこの委員会制度ができるということとの間にはまあ直接関係がないといいますか、関係がないという言い方よりは、労働基準監督を妨げる、あるいはその低下を来すというようなものではないということを申し上げておきます。
#106
○山中郁子君 労働基準監督行政の現状を後退させるものではないし、法律上もそういうものではないという御趣旨の答弁と承るとするならば、労働大臣からその点についてぜひお約束をいただきたい、現行の労働基準行政の後退をもたらすものではないと。
 私どもの立場は、今の労働基準監督行政が十分だという立場ではないということは先ほども申し上げたとおりで、もっと前進させなきゃいけない、充実させなきゃいけないというふうに思っておりますけれども、この法律によって現在の労働基準監督行政の後退につながるものではないし、そういうものをもたらすものではないという御答弁だと承りましたので、大臣からもお約束をいただきたい。
#107
○国務大臣(近藤鉄雄君) まさにこの法律は、時短を促進する立場で考えた法律でございますから、従来の労働基準行政を後退する意図を持って実施されることは全くないと、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
#108
○山中郁子君 そういう考え方の問題じゃなくて、私が申し上げたのは、一つの事業所ということで、先ほどから何回も言っているんだけれども、全国にたくさんの事業所を持っている一つの企業があるでしょう。それが一つの委員会をつくって、その委員会で労使協議にかわる問題をして、そしてしかも届け出までしなくていいみたいなことにもしなるならば、例えば一つの企業で九州にも工場がある北海道にも工場があるというような場合に、対応する労働基準監督署――労働基準監督行政というのは、その地域に対応するわけでしょう。だから、それが抜けちゃうんじゃないですかということを申し上げているんで、局長の御答弁は、そうではなくて、その場合には届け出を除外するとか免除するとかそういうことではないと、こういう御趣旨の御答弁だと思いましたので、私は再度大臣にその点についてのお約束をいただきたいと思って御答弁をいただいているわけです。
 わからなかったらいいです。わからなかったらというか、私の趣旨は、基本的な見解という、労働監督行政を後退させますなんておっしゃるはずがないんであって、そうじゃなくて、この法律がそういう危険を持っているというのがいろいろな人たちの危惧の中にあるんです。それは、一つの事業所で一つの委員会をつくる。一つの企業、それは全国にたくさんの事業所を持っている企業があるわけでしょう。東京の例えば本社でもってそういうものを一つの企業全体として結ぶ、時短委員会で。そこの企業は、トヨタならトヨタはいろいろ持っている、たくさんの工場を。そうすると、労働基準監督行政というのは地域の労基署でそこの事業所との関係で監督行政が行われるわけだから、そこのところがみんな埋没しちゃうじゃないか、そこのところの監督行政というのがもう消えちゃうじゃないかという危惧と心配を持っていらっしゃる。私は、ややこしい法文を見るとそういうことだって考えられるというふうに思っても無理ないと思うので、そこがそうでないのかどうかということを今お聞きしているんで、どうぞ局長、ごちゃごちゃしないで、そうじゃないならここでもってそう書いてあるからそうじゃないよとおっしゃってください。
#109
○政府委員(佐藤勝美君) これもちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、この第七条に、「前条に規定する委員会のうち事業場ごとのものであって次の各号に適合するもの」ということで、以下一定の要件が書いてあるわけでございまして、「事業場ごとのものであって」というふうに書いてありますから御心配のようなことは法律上にもなっていないと、こういうことです。
#110
○山中郁子君 最初からそういうふうに答えていただければよかったんで、大分時間をむだにいたしました。
 それで、ほかにもいろいろ問題があるんですけれども、時間の制限がありますので、今までやりとりしてきた中で、時短委員会なるもので全員一致で決めるんだから問題がない、危険はない、そういう御指摘の心配はないだろうと、こういうのが一つのベースになっているわけです、政府側の。私は、その時短委員会なるものというのは、やはりこれは非常に大きな問題を持っているものだと思います。
 まず、「当該委員会の委員の半数については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する」者の推薦に基づき」と、こう述べられているわけです。事業主が指名する者によって時短推進委員会を構成することになっているというんですね。私は、事業主が指名するということが異様だと思います。今日の労使の力関係や圧倒的多数の未組織労働者の現状を考えるときに、果たして事業主がこの委員の指名を公正に行うという保証があるのか。私は、むしろないと思います。ここで一〇〇%ないということを断言するということが重要な問題じゃありませんけれども、先ほども申し上げましたように客観的に今の企業の実態、経営者の体質、それから労働組合の組織状況あるいは幾つもの労働組合がある現状、そういうものからいって、事業主が公正な指名を行うという保証は私はないという方が高いと思います。
 そういう点での公正な指名を行うということを、ちょっと端的に伺いますが、大臣はそれは確信できますか。そういう心配がないということの確約をここでされますか、できますか。
#111
○説明員(井上文彦君) 委員会の委員の選任の問題でございますが、労働組合がない場合の過半数を代表する者の選任につきましては、これは労使協定の締結と同じにしてございまして、例えば管理監督者でないこと、民主的な手続で選任されていることなど、その適格性、選任方法について現在通達で明らかにしてございますので、それと同様の方法で選任を行いたい。特に、短縮推進委員会の委員の選任については重要な問題でございますので、委員会の監督署へ届け出のときにこれらの要件につきまして十分吟味したいというふうに考えてございます。
#112
○山中郁子君 先ほども何かそれに類した御答弁があったように承りましたけれども、それは六十三年三月十四日の基発百五十号、婦発四十七号の労基法関係解釈例規についてのことを指しておられると理解してよろしいんですか。
#113
○説明員(井上文彦君) 昭和六十三年一月一日の基発一号の労使協定の締結の適正手続のことでございます。
#114
○山中郁子君 そこのところ、メーンだけでいいからちょっとおっしゃってください。
#115
○説明員(井上文彦君) 「労使協定の締結の適正手続」につきましての問題でございますが、「過半数代表者の適格性としては、事業場全体の労働時間等の労働条件の計画・管理に関する権限を有するものなど管理監督者でないこと」「過半数代表者の選出方法として、(a)その者が労働者の過半数を代表して労使協定を締結することの適否について判断する機会が当該事業場の労働者に与えられており、すなわち、使用者の指名などその意向に沿って選出するようなものであってはならず、かつ、(b)当該事業場の過半数の労働者がその者を支持していると認められる民主的な手続が採られていること、すなわち、労働者の投票、挙手等の方法により選出されること」ということでございます。
#116
○山中郁子君 先ほど申し上げたことと同じように、そうしたことが現実に事業場において実現し得ているかと言えば、それは非常に大きな問題点があるのだということも改めて同様に指摘をしておかなければなりません。なお、その上に立って、本当にそれが実現できるように労働省、政府における指導が行われない限りは、この時短促進法なるものは私が最初から指摘しているようなものになっていくということを重ねて指摘しておきたいと思います。
 そこで、これと関連して次の問題ですけれども、このような形で時短推進委員会というようなものがつくられた場合に、少数派労働組合の意向が反映される仕組みがあるのでしょうか。これは、条文上は明らかにされていないと思いますが、この点についての見解を伺います。
#117
○政府委員(佐藤勝美君) この七条の労働時間短縮推進委員会でございますけれども、これは先ほどから出ておりますように、その「委員の半数については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の推薦」を要件として規定をしているところでございます。つまり、過半数労働者の意思が代表されるような形にしているわけでございます。
 これは、この法律だけではなくて、他に労働基準法でいろいろ労使協定の規定が幾つかあるわけでございますが、その場合の労使協定の締結者である労働者代表の選任と同じ考え方をとっております。したがいまして、もしこれが少数組合の団交権の剥奪ということになりますと、みんな同じ問題があるわけですが、そういうものではないわけでございます。
 逆に言いますれば、こういった委員会で労使協議を行っているからといって団体交渉の申し入れを拒否するということは、それだけでは団体交渉の拒否の正当な理由があるというふうには言えないというふうに思っております。つまり、この委員会で交渉を行っていることを理由にして団体交渉を断るということはできないわけでございますから、そういう意味で少数組合の意思の表明を剥奪するということにはならないわけでございます。
#118
○山中郁子君 労働者の過半数を組織している労働組合の理屈というのは、立法の基本にそれを置いているとおっしゃるけれども、今いみじくも局長が先行して答弁してくだすったのかどうかわからないけれども、労働組合の団体交渉権、労働組合法に基づく団体交渉権というものが、労働時間に関しては少数組合が参加し得ない状態のもとでの時短委員会で決議されたものが実現する以上、少数組合の団体交渉権を仮に否定されないとしてもその団体交渉の中の対象として労働時間の問題は権限がなくなるわけですね。そうとしか考えられないんじゃないですか。少数組合の意見というか考え方というのが、普通のそういう時短委員会がない場合だったらそれなりに労働組合法に基づく団体交渉権によって団体交渉をするわけですね。そうでしょう。だけれども、労働時間に関しては、この時短法ができて時短委員会ができれば、労働者の過半数を組織する労働組合が労働者の代表として事業主によって指名されるとするならば、その団体交渉権を行使する場がなくなるんじゃないですか。労働時間に関して言うならば。その点はどうでしょうか。
#119
○政府委員(佐藤勝美君) この第六条あるいは第七条の委員会ができたことあるいはそこで労働時間の問題が話し合われていることと、それから同じ問題について団体交渉を受ける必要がないというのとは全く別の問題でございまして、団体交渉は団体交渉であり得るというふうに思っております。
#120
○山中郁子君 労働時間に関してそういうことですね。関係ないとおっしゃるのは、労働組合の団体交渉権というのは当然あって、少数組合が労働時間に関して団体交渉を行うということはこの法律によって制約されないということですね。
#121
○政府委員(佐藤勝美君) これはこの法律の解釈の問題ではなくて、むしろ労働組合法の解釈がと思います。要するに、この委員会でやっているから労働組合としての団体交渉はやらないということが認められるというものではございません。
#122
○山中郁子君 私は、当然それが労働組合法の第六条ですか、交渉権限の問題を阻害するものであるはずがないと思いますけれども、具体的に考えてください。この促進法に基づく時短委員会ができた場合に、そこでもって一致すればそのようにして労使協定にかわるものとして機能するというわけでしょう。労働者の過半数を占める労働組合の代表。そうすると、それが機能をして時間短縮と称する労働時間が決まるわけですね。実際上の時間短縮になるのか、それがどういう中身になるのかともかくとして労働時間が決められるわけですね。そういうことと別に、少数労働組合が団体交渉によって別な労働時間の協定を結ぶことがあり得ると、そういうことを意味しているんですか。
#123
○政府委員(佐藤勝美君) 一般的には過半数労働者を代表する労働組合あるいは労働者の代表が締結した協約というのがその事業場で適用されることになると思います。それは、この問題だけではなくて、例えば労働基準法の三十六条に基づく協約でも同じ要件になっているわけでございまして、もし先生の御心配のようなことがあるとすればそちらの方も同じようなことになるわけでございます。要するに、集団的労働関係を律する方法としてそういう方法をとっているということなんで、それと少数組合あるいは少数労働者との交渉が阻害をされるされないという問題とはこれまた違う問題であるというふうに認識いたしております。
#124
○山中郁子君 三六協定だって同じことじゃないかとおっしゃるけれども、あなた、そういう態度だから労働省というのは一体どっちの味方かと私は言わざるを得ないのよ。よく知っていますよ。よく知っているからこそその上にまた同じような問題点をこの法律によってつくっちゃいけないんじゃないかと私は言っているのよ。局長、それを取り消してください。三六協定だって同じだと、そういう矛盾があるから、その矛盾をさらにこの法律によって広げちゃいけないということを私は今言っているのよ。あなた、そういう言い方はないでしょう。むしろそういうことから問題がたくさん起こっているから、だからそういうことは百も承知です。だからこそ、私はこの新しい法律によってさらにその矛盾が大きくなってはならない。本当の時間短縮のための法律なら、労働者の声を全部代表するそのようなものとして運営されなきゃいけないでしょう、機能されなきゃいけないでしょう、こういうことを申し上げているんです。
 大臣、筋はおわかりいただけると思いますので、ぜひ大臣のお立場として責任をもって、こういうことが逆に、少数派の労働組合のことを私は提起しましたけれども、少数派労働組合だけの問題じゃないんです。すべての労働者の人たちの声を公正に代弁するということを本当に機能させるということが、今のやりとりでもいろいろ隆路があるということがおわかりになったと思うので、基本的な労働省としての行政の姿勢、そのことについて少数労働組合も含めて、すべての労働者の声を公正に反映させるということを、具体的に言うならば、時短委員会の構成についても立ち入ったこれからいろいろ細かい政省令やガイドラインなどをおつくりになるわけでしょう。そういう中で、私が申し上げた点を積極的に受けとめて解決を図っていくという、そういうことのお約束をぜひいただきたい。
#125
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生のお気持ちはわかります。わかりますが、いろんな立場、いろんな意見の人たちが働く立場の側にもいらっしゃるわけでございますので、やはりある程度考えをまとめていただくときには大多数の方の意見を代表する方が委員会の場で発言をされるということで、その方と経営の方で話し合いをしていろんな取り決めをされるわけでございます。
 ただ、時短であれ何であれ、こういったものがスムーズに行われるためには、やはり少数の方々の御意見も全くないがしろにするわけにはいかないということも当然であると思いますので、当然時短推進委員会でいろいろ話が行われる場合には、少数の方々の意見も何らかの形でそれは反映されるものというふうに私は理解をしております。
#126
○山中郁子君 少数派労働組合の労働時間問題ないし労働時間短縮問題に関する団体交渉権が否定されるものではもちろんないという御答弁はいただきました。しかし、私はその中身とするものが先ほどの局長のようなそういう発想で行われるのだったら、また結局屋上屋を重ねるいろいろなトラブルを起こすだけだということを真摯に申し上げておきます。
 今大臣が、実際上の問題として、それはどういう労働組合に属していようとすべての労働者の声が公正に反映されるようなものとして行政指導されなければならないということにとどめざるを得ませんけれども、御答弁いただいたように。そこのところは局長もよくよく私の申し上げたことを、少なくともさっきのようなことで、今までだってそういうことはあるんじゃないかというようなことだったら、何の労働者の立場に立った労働省の見解かと。それはその責任が、かなえの軽重が問われるものだということをよくよく考えていただきたいと思います。
 それで、労働側が推薦したけれどもあれは気に入らないからということで、事業主が指名するわけですから、形としては、いずれにしても。それは拒否した場合はどうなるのか、拒否できるのか。法律上何にも規制がないと思いますけれども、こういう問題、当然拒否はさせないようにするということなんだと思うんですが、そういう点がどうなのか。
 それからさらに、労働組合がない場合に、労働者の例えば直接無記名投票、無記名制などの公平な代表を選出する投票が担保されるのか。具体的に言えば、選挙だとかそういうようなことが担保されるのか。
 それから、時短委員の任期ですね。任期がここに明記されていませんけれども、こういうものがどういうふうに考えられるのか。一たん選出されてしまうと、真にその人が労働者側の代表にふさわしくないということが仮にわかったとしても、任期が明記されていない以上五年間ずっとその人が代表の地位に居座り続けるのか、その辺の問題はどうなのか。私はしかるべく任期を決めて、労働組合の役員にしてもそうでございますけれども、そこの労働者の審判というかチェックというか、そういうものを常に受けるようなシステムでなければならないと思いますが、これらの点が真に労働者の公正な声を反映するということを目指して、政省令ないしはガイドラインその他どういう形であるか生かされてしかるべきだと思っておりますが、その点についての御見解をまとめてお伺いいたします。
#127
○説明員(井上文彦君) まず、労働組合等による委員の推薦を拒否した場合でございますが、その場合には推進委員会の労使協定の締結の要件を満たさなくなりますので、その場合には有効な決議にはならないというふうに考えてございます。
 それから、労働組合のないところで選挙によってということでございますが、先ほど申し上げましたように、過半数の労働者がその者を支持していると認められる民主的な手続がとられていること、すなわち投票とか挙手とか、そういうものによって確認をしたいというふうに考えてございます。
 委員の任期につきましては、これを一律に省令で定めることが適当かどうか一応問題がございますので、中央労働審議会の意見も聞きながら任期については検討してまいりたいと考えますが、委員の資格すなわち労働者を代表しなくなったような場合につきましては、それは資格がなくなるということで推進委員会としての要件を欠くというふうに考えてございます。
#128
○山中郁子君 時間が参りましたので最後に。
 中小企業の場合、下請などの方たちが時間短縮を図るということの困難さということはしばしば問題になってきました。
 具体的に言うならば、例えば下請条件ですね、
工期だとかあるいは労賃を十分に保証する単価など、そういうものが保証されるように是正されなければいけないというふうに思うので、この法案の中にはそうした中小企業への助成関係が何ら記されていないんですけれども、やはり何らかの形で中小企業に対する助成措置が講じられなければならない。今後この法律が成立されるとするならば、それに伴うさまざまな具体的な政府の対応の中でそうしたことが保証される努力がされなければいけないと思いますが、最後にその点に関しての大臣の御意見、御所見というか、ぜひお約束を賜りたいと思っております。
#129
○国務大臣(近藤鉄雄君) 中小企業の場合には、例えば下請の場合も元請と下請との競争関係、競合関係もございますし、またいろんな地域的横並びの問題等もあって、なかなか単独で時短がしにくいような状況がございますから、まさにそういったことに対しての横並びで、また元請、下請が十分な話し合いがなされますように、例えば公正取引委員会等の配慮だとか、その他中小企業庁との話だとか、いろんな入札の仕方等々、こういった問題を縦割りじゃなしに全体として取り組む必要がございますので、まさに上では閣議において時短推進計画ですか、これを決定する、そういうことでございますし、また地域についてはいろんなそういったことも講じて、そういった意味で時短ができるような枠組みづくりにこの法律で努力をしたい、こういうことでございます。
 ただ同時に、この法律の中には明文化してございませんが、既に昨年来中小企業労働力確保法で、労働力を確保するために中小企業の労働条件の改善をするに必要な融資制度というのができてございますが、これを積極的に活用していただきたいと、こういうことで実は今度の政府の緊急経済対策の中にもそのことについては触れでございます。労働省といたしましても、そういう労働力確保法関連の融資について実は今省内でパンフレットを作成中でございまして、この法案を通していただくと、並行いたしまして労働基準局、また末端の労働基準監督署にそうした労働力確保法関係の融資、一括して時短促進関連融資と私は言っておるわけですが、時短促進関連の融資について基準局が、また監督署が中小企業の方々にある程度アドバイスできるような体制をぜひつくって積極的にこれを進めていこう、こういうことでございますので、いろんな形で中小企業がこの法律に基づいて時短が促進できるように私たちも省を挙げてこれから取り組んでまいりたい、こういう決心でございます。
#130
○山中郁子君 終わります。
#131
○橋本孝一郎君 私も常々申し上げておりますように、本来これは労働組合のあるところでは時短なんというのは労使の本来の任務でありますから、任せるべきことだと思うんですけれども、ないところが非常に多いわけでありますから、そういう面での法律的な整備が必要であると思います。
 そこで問題は、今まででも、六十三年の基準法改正時点でも、当時は平井労働大臣だったと思いますが、二千労働時間をひとつの目標にし、古いんですけれども、所定外時間の短縮だとかあるいは長期有給休暇の取得だとか週休二日制の実施だとか、いろいろな具体的な施策を並べて、その目標に向かっての努力をなされてきたと思うんです。
 現実に、今出されておる法案、特に一つのビジョンというんでしょうか、目標というんでしょうか、千八百時間ということに一応置きながら、しかもこれからの経済の五カ年計画ともあわせて達成していこうとするための努力、それはそれで認めるんですけれども、結構ですが、これは実際問題、今までもいろいろなこういう時短を進めるための御努力をなさったいろいろな原因があると思うんです。時短が難しい、生産性の問題だとかいろいろあると思うんですが、それらとは別にこれが大臣がおっしゃるようなフレームづくりだということで、五カ年間を時限立法としてこの間に目標達成をしよう、そのフレームづくりだ。しかし、そのフレームづくりではなかなか不十分であって、根っこにある問題はもっとほかにあると思うわけです、重要な問題が。これにはいろいろ問題によっては手をつけられない問題がありますから、まさにそれこそ労使間の問題ですからやむを得ぬと思うんですけれども、そういう面から見ていくと、もっと本当の根っこの手のつけられない原因があるにもかかわらず、このフレームづくり、しかも五年の時限で可能性があるのかどうか。
 私は責任を追及するという意味じゃなくて、そういう面での責任と、それは労働省だけの責任じゃなくて、労働組合のあるところは私は労使が問題だと思う。労働組合だって問題がある、責任がある、ないところは別にしましてもね。
 そういう面からいって、もっと幅広いやはり運動展開ということも大事ではないかということが考えられるわけですけれども、まず第一番に、そういう点からいってこの五カ年の時限のフレームとして目標達成は可能であるかということ、それからそういった場合の責任をどう感じてみえるのかをお尋ねしたいと思います。
#132
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生の御指摘にもございましたが、前回の労働基準法改正以来、我が国の総年間労働時間の短縮はこれまで停滞しておったわけでありますが、自来積極的に時短が進められてまいり、最近の例で言いますと大体年間三十数時間ぐらいずつ時短が進んできたわけでございますが、依然として二千時間でございますから、あと二百時間これを減らしたい、こういうことでございますが、三十時間で割ってまいりましたら六年かかるわけですね。
   〔理事仲川幸男君退席、委員長着席〕
 ですから、これを五年間でというか、三十時間を四十時間までやっていくと二百時間が大体五年間で達成できる、こういうことでございますので、三十数時間から四十時間にあとひとつ促進していこうということで、こういうこともございまして、今度時短促進法を提案させていただいたわけでございます。既にもういいスピードで進んでおりますから、この促進法ができて私ども全力を挙げて御協力いたしますと、私は五年以内に目標千八百時間を達成することは必ず可能であると、かように考えております。
#133
○橋本孝一郎君 その決意は結構で大いに努力を期待したいんですけれども、いわゆる労使の本来問題、その使の方の例えば日経連の永野さんなんか、新五カ年計画が出た段階で東京の商工会議所で言っておる言い方は、まるっきりこれは否定していますね。あの人を私は攻撃するわけじゃないんですけれども、政府が鳴り物入りで労働時間の短縮を求めている例は先進国のどこにもないと。
 もちろん新五カ年経済計画ですから、ゆとりという問題については、労働時間以外に住宅問題とかいろいろたくさんございますからそれは別にして、今回はこの労働時間の問題ですけれども、一方労働省がなさる審議会、労使の代表が出られて、第三者も入れて、いろいろな知恵を集めての審議会の答申をなさるんでありますけれども、そういう中でちょうちょうはっしと労使やられると思いますけれども、その片っ方の方が既にこの問題について非常に非協力的といいましょうか、千八百時間というのは、しかもある意味においては日本が別に公約したわけじゃありませんけれども、事実上これは国際的に見れば、今日の日本経済の発展の度合い等から見ましても、むしろおかしいと言われておるぐらいですから、もう公約以前の問題だと思うんですね、千八百時間の目標というのは。だから、当然そんなものは五年もかからず三年ぐらいの間にやってしまうというのが当然だと思うんですが、なかなかこれも難しい。
 しかし、そういうことになってきますと、いよいよもって私は、相当な労働省の指導も結構ですけれども、もっと幅広い運動展開が必要じゃないかというふうな気がするわけですけれども、何かその点についてお考えがあったらお聞きしたいと思います。
#134
○国務大臣(近藤鉄雄君) 私は、日経連の永野会長といろいろお話しする機会があるわけでございますが、やはり日経連の立場としては、まさに国際的な競争力のある大企業もあるけれども、国際的競争力のないような中小企業があって、なかなかこの時短時短では経済的、経営的にもやっていけないような企業もあるよと、こういうことをおっしゃっておられるんです。
 私は、この間、日経連の総会後のパーティーでもあいさつをしろと言うものですから、行って発言をしてまいったわけでございます。いろんな企業のお立場を代表される永野会長のお気持ちもわからぬじゃないけれども、しかしこういうものはやっぱり横並びですから、もう宮澤内閣ぐらい時短というものを掲げている内閣は歴代なかったんです。そして、さっき言いましたように、だんだん時短が進んできているときでありますから、ここでできないということをおっしゃらないで、五年なら五年の目標を掲げていただいて、そのためにどういうような条件を整備すればできるのか。むしろそっちの発想を変えて、そっちの方でひとつどんどん私どもに御指示といいますか、注文をつけてくださいと。そうすれば我々もいろんなことを考えて、それで一斉に五年間の間に千八百時間ということの目標達成に、まさに官民挙げて、また労使挙げて達成をする、そういう体制をまずつくろうではありませんかと、こういうことをこの場で申し上げてまいったわけでございます。
#135
○橋本孝一郎君 大きなネックの問題の一つとして、この時短ということを労使間協議を仮にやりますとすると、どうしても出てくる問題が生産性の問題だと思うんです。ダウンするあるいはコストアップになるというようなことが労使間係争の問題になりまするし、労組がないところではましてやそれがもう一方的に経営者の恣意によって決せられるという可能性が非常に強いわけです。
 労働省は、かつて生産性問題については何か民間研究機関にこの時短の生産性への影響ということですか、調査されたというようなことを聞いたわけですけれども、その分析をどうされておるのか、それからどうそのそういう点についてのPRをなされておるのか、お尋ねしたいと思います。
#136
○説明員(井上文彦君) 調査でございますが、労働省が日本能率協会に委託しまして、「労働時間短縮が生産性向上等に及ぼす影響に関する調査」ということで、実際に労働時間短縮に取り組んでいただいている中小企業百社を対象にその影響について調査いたしました。
 これによりますと、時短に積極的に取り組んでいる中小企業を見ますと、約九割強の事業所が時短をやったにもかかわらず生産性が向上しているというようないい数字を報告してございます。さらに、その八割強の事業所でその時短の短縮率と同等ないし時短の短縮率を上回る生産性の向上を見ているというような結果も出でございます。また、時短を一%短縮した場合にいろんな形で機械の合理化とか、そういう努力によりましてかえって三、四%の生産性の向上を見ているというような報告が出てございます。
#137
○橋本孝一郎君 せっかくそういった調査をして、いわゆる時短というのはある程度の一つの全体的な機運を盛り上げていかなきゃできないわけですから、そのPRといいましょうか、特に組織のない中小企業、そういうところに対してはどういうふうなPRをなさっておるのか、その実績についてお尋ねしたい。
#138
○説明員(井上文彦君) 例えば、先ほど申し上げました時短の及ぼす影響調査でございますが、これをパンフレット等を作成いたしまして全国の基準局なり監督署からいろんな機会を通じまして事業主の方々、中小企業の集まりの場等で配付をするとか、そういう形で時短のやり方なり時短がもたらす効果なりにつきまして我々としてはいろんな機会を通じて広報等に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
#139
○橋本孝一郎君 次に、ちょっと角度を変えまして、ゆとりという立場からゆとり創造の宣言都市という点についてちょっとお尋ねしたいと思います。
 ゆとり創造の宣言都市奨励事業は、市レベルの地方自治体の協力を得て地域における労働時間短縮の機運の醸成を図り、そして労働時間短縮の一層の推進を図るために社団法人全国労働基準関係団体連合会に委託して行う事業である、こういうふうに理解しておりますが、この事業が時短の推進により役立つようにするための政策の展開についてこれらの生産性問題も含めて伺いたいと思います。
 ゆとり創造宣言都市を行った都市は平成二年度が十都市、三年度は二十四都市と承知していますけれども、現在の宣言都市は幾つで、全体の割合はどの程度になっているのか、まず知らせてください。
#140
○説明員(井上文彦君) 労働省では、先ほどお話にございましたように、市の協力を得まして労働時間短縮を初めといたしますゆとり創造に積極的に取り組もうとしております都市におきまして、ゆとり創造都市宣言の実施その他地域の実情に即しました広報啓発活動等を行ってございます。
 本事業の対象となりました市は、平成二年度で十市、平成三年度で二十四市の計三十四市でございます。これは、全国六百六十二市のうちの約五%でございます。なお、平成四年度は二十市を対象に実施したいと考えでございます。
#141
○橋本孝一郎君 十都市、それから三年度は二十四都市、今年度は二十市ですけれども、首都圏とか中京圏といったいわゆる大都市圏というんでしょうか、こういうところでの宣言都市の実情がわかったらお聞かせ願いたい。
#142
○説明員(井上文彦君) 首都圏につきましては、平成二年度で山梨県の甲府、平成三年度で茨城県の日立、栃木県の大田原、神奈川県の大和の三市が対象となってございます。これらの市におきましては、ゆとり創造プランということで、その地域の実情を踏まえた活動が行われているところでございます。
#143
○橋本孝一郎君 これだけでは、ゆとりという言葉は労働時間だけではございませんから、なかなか実態と結びつけるのは難しいんですけれども、地方の基準局、ぞしてそのゆとり宣言との関係ですか、そして労働時間短縮の進捗状況、今後そういったものの実態把握に努めてもらいたいと思いますけれども、問題はローカル、そういう首都圏とか工業圏に比べれば既に地域的に住宅あるいは通勤その他を含めて随分ゆとりのあるところが宣言しておるが、本当はそうでない、首都圏初め過密地帯においてどういうふうなゆとりを持つ状況になっておるかということを知るのが大事だと思うんです。
 これは、労働省に求めても無理な話でありますけれども、問題はやはりそういった地域全体の時間短縮という機運を盛り上げていくということ。かってヨーロッパは、この前私が申し上げましたように長期休暇取得一つにしても、地理的条件、あるいはそういった地域全体がそういうことを肯定した上で、労使間交渉ももちろん努力なさって現代の実績があるんでしょうけれども、そういう機運があったから可能だったと思うんですが、日本の場合には、特にそういう長期休暇取得にしてもヨーロッパあたりのような条件と違うものですから、なかなか地域的な機運がないために、このごろでは余り問題視されぬようになりましたけれども、まだまだ非常にかけ離れておるという感じですね。そういうものがまだ全体的にはあるわけです。
 そういった面では、先行するところも大事ですけれども、先行と同時に、それに引っ張られていくようにやはりムードづくりをしていくという、そういう施策が労働時間短縮にはないと、労働組合と経営者の労使対等の原則によって時間短縮をどんどん進めていくと同時に、それと並行してやはり地域のそういう機運を醸成していかないと、いつまでたっても全体的にはレベルが上がらないという、もうこれは日本の宿命だと思う。
 しかも、労働組合がヨーロッパのように職能的じゃありません。企業内組合ですから、それなりの長所、短所はあります。だけれども、そういったいわゆる地域の機運醸成といういわゆる政策的面については、これは短所なんです。弱いんです。向こうは横断式ですから、職能的に。だから、そういう点では企業の枠を超えたものになってきますから、運動そのものが非常に地域的に広がるし、また支持も受ける。日本は企業内ですから、非常に小回りはきくけれども、そういう点での小回りは、新しい技術を入れてそれを消化してどんどん競争の中で勝っていくという、そういう特徴は持っておるけれども、全体的なものを上げていこうということについては、ややもすると企業内労働組合の欠点として今日まで労働時間短縮をワーワー言いながらもできないところに問題がある。同じ企業内同士でも、産業同士でも競争があるものですからなおさらであります。
 したがって、今度の場合でも横断的に計画を出さすということですけれども、どこかやっぱり一つ突破口をつくっていかないとなかなか進んでいかない。だれが突破口になるかというのも問題ですから、そういった点でいわゆる先見投資も、これは労働時間の短縮だけじゃございませんけれども、全体的にやはり機運をつくり上げていく中で時間短縮というのは政策を進めていかないと、五年間という目標をせっかく掲げておるけれどもなかなか難しいのではないかと私は思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。
#144
○国務大臣(近藤鉄雄君) 全く先生御指摘のとおりでございまして、実は国家公務員と地方公務員の週休二日制の問題も、お役人さんというのは、お役人たくさんいるわけだけれども、先憂後楽じゃないかと。国民が週休二日をする前にお役人さんが週休二日ではおかしいな、こういった考え方をごくごく最近は持っておったわけであります。
 特に、地方の場合、地方公務員、それから金融関係、そして学校の先生方、そういった人たちが週休二日というものに踏み切っできますと、そういう地域地域の、やっぱり土曜日曜働くべきじゃないな、そういうムードをつくるのに相当な影響があるんじゃないか、こういうことでございまして、そういういろんな面からやっぱり土曜日曜働くことはおかしいんだというような社会的な雰囲気をつくることが極めて大事であって、そういう点で地方のゆとり都市宣言というのも私は非常に象徴的な役割を果たしておる、かように考えております。
#145
○橋本孝一郎君 具体的な問題についてこれからちょっと入っていきたいと思いますが、時間短縮の一つの手段としての有給休暇の取得です。休暇の計算期間なんですけれども、大多数の企業というのは三月決算なんであります。したがって、有給休暇の計算期間は決算期に合わせて四月一日から翌年三月三十一日まで、これが一般的な休暇の取得可能期限だと思うんですけれども、実際のところサラリーマンの場合には休暇をとらない原因の一つとして、万一の場合のためにちょっと残しておくとかなんとか言って、せっかく休暇があるのにそういうことでとらない場合があるとか、あるいはそうでなくても実際期末で非常に忙しくて期末にはとてもそんなものとれない、期末でなければやっぱりその年度の状況わかりませんから結局消化できなくなってしまう、そういうとりたくてもとれないというものがあるわけです。
 今までの答弁を聞いておりますと、平成二年度の取得率は約半分、五〇・一%ということになっておるわけです。したがって、会社の会計年度と有給休暇の期間をずらす。例えば、三月決算企業の場合には期間は十月から翌年九月までとする、こうすれば繁忙期を避けて残った有給休暇をあるいは夏休みに活用するとかもっとそういう機動的なプランが自分でも立てられると思うんですけれども、大体こういったスタイルをとっておるような企業はありますでしょうか。あったら教えていただきたいし、なければこれならそう無理のある話じゃありませんから、少しアピールしてやればとれないことないんです。
#146
○説明員(井上文彦君) 御指摘のように、年休の取得率につきましては期間の問題がかなり影響するというふうに私どもも考えます。いろいろ例を調べますと、実際に夏に年休がとりやすいというようなことを考えまして取得期間の開始を十月からしている企業もございます。
 その企業について見ますと、期間は十月から九月でございまして、取得状況を見ますと二年間でこの会社については一〇〇%というような状況でございまして、非常にアイデアを凝らしているということがうかがえるわけでございます。私ども、こういう例もできるだけ広く知っていただくということで、例えば連続休暇取得促進要綱とかいろんな形のパンフレット等にこういう例を入れていきたいというふうに考えてございます。
#147
○橋本孝一郎君 有給休暇が出ましたので、ついでに有給休暇について、基本的な問題はこれは別にして、休暇の与え方の問題でひとつぜひこれは労働省の指導の中でもお願いしておきたいと思うんです。
 基準法の三十九条によれば、有給休暇を与える要件として、一年間継続勤務及び八割以上出勤という要件がついていますが、この規定からは有給休暇は勤務に対する報奨的な性格というものがにじみ出ておると思います。もちろん報奨的なものという、私は全面否定するわけじゃありませんけれども、しかし先ほどの生産性のアップの問題だとか、最近の新規労働力というんでしょうか新卒というんでしょうか、彼らの一つの傾向というのは御案内のように花長風月型だと。つまり、花形産業で、長期休暇がとれて、そして風紀のよい、しかも月給の高い会社、こういうのが一つの流れになっておるようでありますが、その中の有給休暇というものが企業のそういった面での彼らが選択する場合の非常に大きな要件の一つになっていることは事実です。しかも、それはリフレッシュする立場からしても非常にいいことでありますから、この点については、一年未満の新入社員にももっと認められるような指導といいましょうか、そういう改正というものはできないものかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
#148
○説明員(井上文彦君) 年休につきましては、今御指摘のように休日のほかに一定の有給休暇がございまして、これにつきまして労働者の方々の心身の疲労の回復とかあすへの健康の育成というような面があろうかと思います。
 それから、新しい方の有給休暇の与え方でございますが、御指摘のように一年勤務、八〇%という要件がございます。ただ、今中央労働基準審議会で有給休暇につきましてもいろいろ議論されてございますが、その中で一年勤務という要件は少し長いのではないかという有力な意見もございますので、そこらは十分議論をしていただきまして、私どもといたしましても適正に対処したいと考えでございます。
#149
○橋本孝一郎君 これは本法とは直接関係ございませんけれども、今後の基準法の改正との絡みもありまして、そういった一つの希望を申し上げておきたいと思います。
 それから、所定外労働時間の問題について二、三質問したいと思います。
 近年、所定外労働時間は平成二年度までの五年平均をとってみましても百八十時間程度でずっと推移してきておりまして、余り短縮が進んでおらないのが実態のようであります。これは日本の場合、所定内労働時間、所定外労働時間、定員制の問題あるいは雇用の形態、レイオフ等々いろいろな原因がありますから、突き詰めていけばこれもなかなか難しい問題ですけれども、しかし所定外をもう少し抑えていく方法。三六協定でどんどんしり抜けで、しかも最大限に協約しておいて、そして労働者の時間外をどんどんしりをたたくというようなことも無限にやられてはこれはたまったものじゃございませんので、実際にそういうことでは実効上がりません。
 そこで、所定外労働時間の削減について、昨年八月の所定外労働削減要綱によって行政指導を行っているようでありますけれども、どの程度浸透してその成果が上がっているものか、改善例があればひとつあわせてお聞かせ願いたいと思います。
#150
○説明員(井上文彦君) 所定外の問題でございますが、御指摘のように年間百八十時間前後で推移してございまして、最近、景気の影響もございまして百六十時間台と若干減少してございますが、まだ私どもかなり多いんではないかというように考えでございます。そういう観点に立ちまして、昨年の八月に所定外労働削減要綱を作成いたしまして、呼びかけ的な形でございますが、一〇%の残業削減、サービス残業をなくそう、また休日労働をなくそうというような形で御協力をお願いしているわけでございます。
 具体的に見ますと、例えば各企業におきましてノー残業デーを設置するとか、フレックスタイム制を設置するというようないろんな工夫をされている企業が最近かなりふえたんではないかというふうに考えてございます。
#151
○橋本孝一郎君 この時間外、所定外労働時間という問題になりますと、やっぱり三六協定ということが一番基礎になってきますけれども、この間の新聞報道によれば、所定外労働時間の上限の目安については二、三割削減を検討中というようなことがちらっと出ておりました。二割減ぐらいでは、現在のやつからいくと四百五十の二割ですから三百六十時間であって、余りにもこれでも長いんでありますが、もっと実態と合わせて下げられるときには下げておいた方がいいんじゃないか、上限の目安というものを。その点についてどういうふうにお考えですか。
#152
○説明員(井上文彦君) 三六協定、時間外労働協定の適正化指針の問題でございますが、先生御指摘のように現在中央労働基準審議会で検討しているところでございます。
 時間外労働協定は、その企業の最長ランナーを規定するという性質のものでございまして、そういう意味ではどうしても長くなるわけでございますが、現在年間四百五十時間でございますが、これを幾らにするかにつきまして、今労使が真剣に議論しているところでございまして、まだ労使の間にかなり意見の開きがございますが、私どもとしてはできるだけ近い時期に結論をいただきたいというふうにお願いをしているところでございます。
#153
○橋本孝一郎君 当然そういう場で議論されていることは承知しておりますけれども、全く白紙の議論じゃなくて、ある程度労働省はこう考えるという意見等も付加してやれぬこともないわけでありまして、そういう面からもう少し私は、まるきり白紙じゃなくて、労働省として、この三六についてはもうしり抜けなんだからもっと抑えてもいいという強硬な態度ですとか、一つの介入というとおかしいですけれども、そういうものの諮問をかけてもいいんではないかと思うんですが、その点どうですか、くどいようですけれども。
#154
○政府委員(佐藤勝美君) この所定外の上限の目安時間の問題につきましては、今の審議会の審議状況は多分部長から御説明しましたような状況にございますが、私どもとしましては、この労使の双方の意見を十分出していただきまして、一定の時期が来ればその意見を参酌した案を行政側としてつくって、これについてまた再度御意見をお伺いするというような手順を考えているところでございます。
#155
○橋本孝一郎君 ちょっと今度は本論に入りますけれども、いろいろ業界から時短実施計画というものが提出されてくるわけでありますけれども、同一の業界から複数の異なった労働時間短縮の実施計画が提出された場合の取り扱いはどうなるんですか。
#156
○説明員(井上文彦君) この法案によりますと、同一業種の二以上の企業、集まりということでございますので、先ほど申し上げましたように企業の横並び意識等を問題視いたしまして、ひとつ業界としてのまとまった計画ということでございますので、実効性のあるような業種のまとまりというふうに私ども考えてまいりたいものと思ってございますので、二つとか三つの計画というようなことが出てまいりますれば、その業種の実態を考慮いたして、それが例えば一つの全体的な計画にまとまらないかどうか、そういう点につきましても十分地方の基準審議会等で議論をしていただきたいというふうに考えてございます。
#157
○橋本孝一郎君 これも先ほどのどなたかの質問ともそういう意味で関連してくるわけなんです。同一業種だから、例えば同じ業種でも組合は全然違う組合というところがあるわけです。そういうところでこそむしろ私は競争させて、そして短縮をやらせるというのが一番いい、競争の原理を利用して異なるところを認め合って競争するということはまさに私は新しい手法だと思うんです。それをすべて初めから同一業種ですから一つにしろということは、結局下方修正されます、どうしたって、上方修正するというようなばかはいませんから、経営者では。だから、そういう意味でむしろ競争を利用した方がいいんじゃないか。特に、ある業界なんかは、私は示しませんけれども、そういうところにおいてやらせて、そしてある意味においては社会的にそれの利用を含めてコントロールしていく。コントロールというとおかしいですけれども、やらないとなかなかそれは言うべくしてなりにくい。むしろ、競争の原理を、競争を維持させて、そしてともに発展させていくという、これはまさに新しい理念、共生だと私は思うんです。そういうものを利用した時間短縮方法だって、特にややこしい業界なんかは、私はそういう手法を用いて、しかも地域が違うんですから、こういうところではこういう実績でできておるというような実績例も含めて、そして別にやらせるという行政の上からの抑えじゃなくて指導し、あるいは知らないものは教えていくというふうなそういう手法でいかないと、特に全体的な平均時間のレベルを下げておるような業界、私はそういうような気がするんですが、いかがですか、そういう点についてちょっと。
#158
○説明員(井上文彦君) 御指摘のように横並び意識といいますか、そういうものを利用するというような観点もございますし、御指摘のように業界といいますか、まとまり同士が競争するということも非常に時短を進める上で有効だろうと思います。実態のあるようなまとまり、そういうものが地域なんかでお互いに競争するということは非常にそういう意味では有効と思いますので、そういう面も大いに生かしていきたいというふうに考えてございます。
#159
○橋本孝一郎君 ということは、認めていくということですね。
#160
○説明員(井上文彦君) 実態を見ながら、大いにそういうのを認めていきたいと考えでございます。
#161
○橋本孝一郎君 問題なんです。結局、そういう点で私は実態を見ながらということだと思うんですからそれでよろしいんですが、やはり片方もできるんだから片方もやらせるというふうな、むしろそういう指導にウエートを置いていかないと、実態を見ながらということになると下方修正にされる形になりますので、ある意味においてはせっかく行政指導という指導権を持っておるんですから指導なさって、それこそ私は下手な介入をやるよりはそういう御指導をなさった方がいいと思うんです。あえて意見として申し上げたいと思います。
 そういう関連からいきますと、もう既に過去にも何回も取り上げられております。界がたくさんあるわけです。どうしてもその業務の関係上、時短がそうなかなか一般的な生産向上のようにいかないというふうな業態が幾つかあるわけでありますが、そういう点で既に出ておりましたけれども、いわゆる業界としての横並びとそれから地域としての横並び、その関連について建議ではいわゆる業界になっておるんですけれども、地域というものは余り取り上げられておらないように思うんですけれども、地域のいわゆる横並びということについてどういうふうに御指導なさるのか、お尋ねしたいと思います。
#162
○説明員(井上文彦君) まず、繰り返しますけれども、業界なり業種なりの横並びを利用した計画というようなこともございますが、地域に関しましても、例えば工場団地とかそういうまとまりのあるようなところにおきましては、計画の作成をしていただきましてそれを承認するというようなことが十分考え得るところでございます。
#163
○橋本孝一郎君 これはちょっと重複するかもわかりませんけれども、今までの諸外国の例を見ましても、今回の法律というのは余り諸外国に例を見ない一つのやり方だと私は思う。日本独特のやり方だと思うんですけれども、本来ならばこれはずばり言えば労働基準法の改正でやっていくべきだ、これが一番ずばっとしておるわけであります。今回の法案がそこまでに至る過渡的なケースとしてやられておるわけですけれども、実際これで果たして今言った目標値ができるのかどうかということ。千八百時間の枠組みづくりの方策としてそれはそれなりに結構なんですけれども、それだけで果たして目標を達成できるかどうか、もう一遍くどいようですが、大臣にお尋ねしたいと思います。
#164
○政府委員(佐藤勝美君) まず、労働時間法制の基本は労働基準法であるわけですが、御承知のように現在の基準法では本則で週法定労働時間四十時間と書いてありますが、そこに至るまで段階的に短縮をしていくというような仕組みになっておりますし、それから有給休暇の日数にいたしましても、中小事業所におきましては段階的に上げるということで、まだ現在上げつつある途上にある、あるいはその改正附則で六十三年の施行後三年後の見直し規定が設けられておって、現在その検討が行われているというふうに一種の過渡的な状況にあるわけでございます。そういうことからいたしますと、近い将来に予定をされます労働基準法の改正をにらみまして、この労働基準法の最低労働基準はこれは罰則をもって強制をするというものでございますから、そういった性質の法律が実際に行われるというための環境をつくる必要があるというようなことで現在御審議をいただいている法案の役割もあるわけでございます。
 したがいまして、もちろん現在御審議いただいております法案ができれば経済計画で定められております目標が直ちに達成がされるかというとそういうことではないわけで、この法案も含め、それからそれ以外の現在とられております種々の助成、援助対策も行う、あるいは業種別にきめ細かな指導も続けていく、その上でまた労働基準法の改正がなされるというようなことで、いろんな手段をあわせて千八百時間の目標が達成をするような方策をいろいろとっていかなければならないものというふうに考えております。
#165
○橋本孝一郎君 目標は千八百、五年間というシンプルではありますけれども、非常に総合的な幅広い施策の推進によってやはり進めていかなきゃならないことはもう御承知のとおりだと思います。そういうようないろいろな手法として休暇の問題だとか所定外、所定内の問題だとか、いろいろな具体的な推進方法があるわけでありますけれども、まとまったものとしては、やっぱり休日の増加というのが例えば一番まとまった時間、しかも一斉に休めるということでこれはもう前から触れられておる問題ですけれども、メーデーの祝日ということについてちょっとお尋ねしたい。
 これは連合なんかでも盛んに言っておるわけでありますけれども、この間の新聞報道によりますと、労働省でそんなこと言うかどうかと思ったんですが、私の間違いでなければ、間違いだと思うんですが、労働省はこの発想に対して、「金融機関などが長期に休むと、国内だけでなく、わが国の国際的な役割にも支障がありこ、国際的な出来事ですからこれはもう当然でありますが、「問題が生ずる」、こういう発言をしたと記されております。これは私は労働省の発言じゃないと思うんですけれども、こんなものはいろいろそういうことがはっきり休みとわかれば当然その措置が金融機関等でも、あるいは外国とのそういう関係でできるわけでありまして、今でもやれるわけでありますから、そういう理由でどうも反対というようなことが書かれていまして、まさかそんなことじゃないと思うんですが、メーデー祝日についてどういうお考えを持っておるか、念のためにお尋ねしたいと思います。
#166
○政府委員(佐藤勝美君) この問題につきましては、大臣は大臣のお考えがあるかと思いますが、一応事務当局としてお答えをいたしますと、今引用されましたような新聞に報ぜられるようなことで、労働省が反対をしておるというふうに読めるような記事になっておりますが、労働省が反対をしているということはないのでございます。
 労働省の考え方でございますが、従来から、五月一日につきまして法律で国民の祝日として法律上の休日となるということになりますと、例えば今先生もちょっと触れられましたが、金融機関のように法律上の休みに従って閉店をするというような公共的な機関も数多くあるわけでございますので、そういう点を考えますと、やはり法律で休みにするということにつきましては、国民生活や経済活動上の各方面に与える影響をいろいろ考えておく必要がある。とりわけ、この五月一日が法律上の休みになりますと、御承知のようにちょうどこれがゴールデンウイークの前後でございますので年によってはたしか十日ぐらいの法律上の続けての休みになるということがございます。
 そういう意味から、これを法律上の休みにするかどうかということについては、そういう問題について十分議論をして国民の間に幅広いコンセンサスができた上でどうするかということをやる必要があるのではないかということは私どもは考えておりますし、そういうことも方々で発言していることは事実でございます。
#167
○国務大臣(近藤鉄雄君) メーデーを国民の休日としていわば法定をする。こういうことになるといろいろ国際金融の面で問題が起こるじゃないか、こういう趣旨でございます。
 実は、私が予算委員会でこの問題の質問があったときに、金融筋の人の考えとして、暮れからお正月にかけてはある程度まとまって休むわけでございますが、このゴールデンウイークの時期は日本だけが十日前後休みになるわけであります。そうすると、まさにニューヨークとかロンドンだとかフランクフルトだとか国際的なマネーマーケットが恐らく二日か三日休むときに日本だけが全く十日間ばっちり閉鎖、東京市場を。そうなると、こういうようなもう国際的な、まさにディジタルコンピューターでお金が回っているときに世界の三大マネーマーケットで東京だけは十日間ということだとどうなのかなと、こういう危惧を金融関係の方がおっしゃる向きもある、こういうようなことを四月に申し上げました。
#168
○橋本孝一郎君 それで、祝日ということについてはお考えは基本的に何かございませんですか。
#169
○国務大臣(近藤鉄雄君) 国際的にメーデーを休みにしておられる国は結構多いわけです。ですから、そのこと自体私は反対ではございませんが、ただメーデーと同じと言えるかどうか、例えば勤労感謝の日だとか多少そういう勤労者の方々に休んでいただく日がほかにございますので、すりかえるというとあれでありますけれども、これは全体として我が国のそういう国民の休日というのが数から言うとそう少なくはないんです。国際的にはいい線をいっているんじゃないか、こう思います。
 ただ、繰り返しますけれども、五月の連休というタイミングのときに、さっき言いましたようなことを心配する向きもありますので、そういった動きも考えながらこれは慎重に考えることがあるな、こういう感じでございます。
#170
○橋本孝一郎君 独禁法との関係、先回もちょっとお尋ねしたと思うんですけれども、落としておるかしれませんので念のためお尋ねしたいと思います。
 公正取引委員会との関係ですけれども、労働時間短縮実施計画の作成に当たり、一般消費者あるいは関連事業主の利益を不当に害するものではないこと、また計画実施の参加、脱退を不当に制限するものではないことという規定がありますが、ここで言う不当とはどの程度のものを言うのか。ある程度計画に強制力を持たさないと、せっかく横並びというようなことで判はついても実効が上がらないと思うんですけれども、その兼ね合いをどう考えみのか、最後にお尋ねしたいと思います。
#171
○説明員(小久保榮一郎君) 公正取引委員会といたしましては、昭和五十四年の八月に事業者団体の活動に関する独占禁止法上の活動の指針、事業者団体ガイドラインというものを示しておりまして、その中で事業者団体が労働問題に対処するために休業日等の基準を設けて時短を推進すること、これは事業者の利益を不当に害さず、かつ構成事業者にその遵守を強制するものでない限り、原則として独占禁止法上問題ないという考え方を示しておるわけです。
 今度の法案につきましても同じような立て方になっておりますし、基本的には我々のその事業者団体ガイドラインの相談、経験を照らしてみますと、事業者団体の時短推進というものが独占禁止法上原則として余り問題はないであろう、そういう考え方をとっておるところでございます。
#172
○橋本孝一郎君 私は、これは大臣の方にも労働省の方にもお尋ねしておきたいと思うんですけれども、労働時間問題については、もうこれは一つの国民的な課題でもあり、かつまた国際的にもフェアな競争下における云々と、日本はまだそういう点では労働時間なんかについてはアンフェアだと言われておるわけでありますから、その中でこういう政策を遂行していこうという場合に当たっては、労働時間に関する協定締結というものは独禁法の適用から除外していいと考えられると思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。
#173
○国務大臣(近藤鉄雄君) まさに今度の法案の中で、そういう労働時間に関してのある程度企業間が協定を行った場合に、これは独禁法に言う共同行為ではないか、企業の方々がそういう危惧を持たれて、そして話し合いができない。したがって、横並びで時短の推進ができないということでは困るから、こういう問題については公取委とも相談しながら、これは独禁法で言う共同行為じゃないよということを確認して、そして企業の方々に積極的にこれを横並びでやっていただける状況をつくろう、こういうことでございます。
#174
○橋本孝一郎君 総体的にこの法案に私どもは賛成でありますけれども、隘路も幾つかあります。そういった問題をやはり強力に打開していくこと等が大事でありますし、せっかくこれだけの条件、経済的にはちょっと今冷え込みでありますけれども、やはりまだ条件がいい、日本の経済成長が諸外国に比べればまだいいわけであります。
 最近の情報によりましても、大蔵省の発表によれば、いわゆる日本の海外の純資産、つまりどの程度の金持ちかという一つの指標ですけれども、三千八百三十億ドルで再び日本が世界一になった。これは、統計が一九七二年から一貫して純資産が黒字で、八五年から五年間は世界一を続けて、九〇年にドイツにトップを譲ったものの再び最大の債権国に返り咲いたとここで言われているわけであります。それに比べれば、物はあふれておるけれども、疲れ果て、貧しい公共施設で、狭い住宅で我慢し、せいぜい海外旅行でうっぷんを晴らしてやっと息を抜いてくる、これが世界一金持ちの国の日本の平均的な息抜きなんでありまして、これすらもできないのがいっぱいおるわけであります。せめて、生活にゆとりという意味においては労働時間短縮、これはひとつ強力に進めていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
#175
○下村泰君 私はこういう労働問題はまるで素人でございます。障害児者の雇用でございますとかあるいはその雇用福祉とか、障害者のことに関しましてはそれ相当の自信を持って質問をさせていただきますけれども、まるでこういう問題は素人でございますので、ほかの先生方に御迷惑なことがあるかもわかりませんけれども、ひとつ勉強させていただくつもりで質問させていただきます。
 平成元年に経済企画庁が労働時間短縮のインパクト研究会報告というのを公表しました。そこで、一九九二年までに労働時間を千八百時間程度にするための方策を多角的に検討していくと言っているんですが、その中で労働時間短縮の必要性について次の三点を挙げています。
 その第一は、労働時間の短縮が生活のゆとりを生み出し、多様性に富んだ創造的な国民生活を実現し得るという点。睡眠、食事、休養等の基盤的ニーズを充足させ、創造力や多様な発想を可能とさせるものである。さらに、時短は家庭におけるコミュニケーションを回復させて家庭基盤の強化につながろうし、地域活動への参加も可能とさせようということ。第二には、先進国にふさわしい経済環境、労働環境条件の確保という観点が挙げられる。先進国で完全週休二日制が定着していない国は例外である。国際社会に通用する労働時間の実現が求められている。また、時短がなければ優秀な人材の養成確保が困難となり、むしろ発展性を阻害するということ。第三に、内需拡大を目指す経済運営のため、休日増、時短による消費拡大と経営効率化の設備投資増を期待することなどが挙げられています。
 この指摘を含めて、労働省の考える時短の必要性について、まずお伺いいたしたいと思います。
#176
○政府委員(佐藤勝美君) 今先生が述べられました企画庁の報告書はそのとおりであろうかと思いますが、もし労働省としてつけ加えることがあるとすれば、やはり今後高齢者の方の雇用の問題がますます重要になる、あるいはまた障害を持っている方の雇用の問題もございますし、あるいは事実上家庭責任を負う婦人の就業の問題も出てまいりますから、そういう方々を含めた多くの労働者が快適に働くことのできるような環境をつくるという意味からも労働時間の短縮が重要であろうというふうに考えております。
#177
○下村泰君 例えば、こんなことが言われていますけれども、オーストラリアの少数民族であるアボリジニーズは、その食べ物探しに男性で平均一日三時間四十分、女性で三時間五十分。サン族の一分族ドープ族という方々は一日約六時間働いているが、二、三日に一度というリズム。週に直すと約十五時間、年間たったの七百八十時間で、一日二時間九分という計算になる。これは一九六〇年代のいわゆる未開社会について述べた論文の中にあるわけです。しかも、彼らは全員で働くわけではなく、老人、子供は当然生産活動から除外されています。さらに、結婚するまで元気な若者も一人前とみなされず、彼らも扶養されているというわけです。一日数時間のパートタイマーで家族大体四、五人を扶養して、ほぼ老若男女に食べ物は均等分配される。しかも、二千カロリー以上の栄養を摂取している、こういうわけです。
 では、この人たちがそれ以外のゆとりの時間に何をしているかといいますと、パイプをくゆらせたりおしゃべりにうつつを抜かしたり矢に毒を塗ったり、まさかこれは人間をやるわけではない、恐らく動物が対象だろうと思います。矢に毒を塗ってやたらに撃たれたらかないませんけれども。それからお面を彫ったりと非常に優雅な時を過ごしておるわけです。こうした社会の生活史を調べますと、まるで人間は眠るため、遊ぶために生まれてきたんじゃないかなという錯覚をするほどだと言われます。
 こうなりますと大臣、一体働くということ、労働とは何なのでしょうということになるわけです。生産が人間の目的なのか、人間のために生産があるのか時々わからなくなる。特に、日本人はわからなくなるくらいよく働くんです。
 私がびっくりしましたのは、ハワイへあゆみの箱という運動で、今は亡くなりましたけれども長谷川一夫先生や何かと御一緒に出かけたんです。そうしますと、向こうにはユニオンという制度がしっかりしておるわけです、同じミュージシャンでも。楽団です。日本では、歌謡曲のバンドがいますね、バックで演奏している。こういう人たちはほとんど歌い手の専属であったり、あるいはあるプロダクションの専属で派遣されてくるわけです。何時であろうと、ステージに出る中心人物のためにあるバンドですからバンドの言い分は通らない。主役の人の言い分どおり。そのつもりで我々行ったわけです、ハワイへ。そうしましたら例えば九時からおけいこするとします、リハーサルを。向こうにはティータイムというのがあるんです。ティータイムになったら全部いなくなっちゃうんです。私たちはそういう習慣知りませんから、おい、どこへ行った。全部固まってお茶飲んでいるんです。すぐちょっと音合わせをする。音合わせというのは、バンドと歌い手と音を合わせたり、あるいは踊り、日本舞踊を持っていきましたので、それに洋楽の譜面がついておりますのでそれを合わせたり、それやってくれと言ったらだめなんです。時間が来るとちゃんと出てきてくれるんです。そこで音合わせします。昼になります。完全に一時間いなくなります。そして、また午後ティータイムがあって、四時になるともういなくなっちゃう。これは日本人の感覚じゃそんなんじゃないんです。日本人というのは時間があればすぐ始めるんです。合わなければ合うまでやる。合って初めてティータイムなんです。あるいはランチタイムなんです。
 つまり、こういう文化といいますか、生活の感覚がまるっきり違うわけです。だから、これで時短といってもそう簡単に日本じゃうまくいかないと思います、こういう点から見ても。そうしますと、一体人間というのは何のために働くんでしょうという疑問が出てくるんです。大臣はどういうふうにお考えですか。
#178
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生から大変示唆に富むお話がございまして、私も今お話しのオーストラリアの先住民の状況に戻った方がいいのかななんという感じすらします。
 ただ先生、どうでしょう。まさに人間は何のために働くかということでありますが、一体人間の人生とは何か、生活とは何か、労働とは何かということを振り返ってみると、いわば素朴な原始的な身なりで、そしておなかいっぱい食べれていればいいという生活状況からどんどん進んできまして、農村のこと言ってはおれかもしれませんが、今はもう農家だってそれはもう電気洗濯機、電気器具からテレビから、最近CDから、自動車も耕運機もみんな入っているわけです。そうなると、従来は例えば一町歩田んぼがあれば、生活は非常に地味で、日の丸弁当におみおつけがあればもう生活はよかったわけですから、だからそれで成ってきたんだけれども、今度は自動車も買いたい、CDも買いたい、テレビも買いたい、農機具も買いたいとなってくると、ただ農家だけでは所得が足りなくなる。したがって、内職をする、それから今度はパートタイムで共稼ぎやる、さらには出稼ぎもする、こうなってくるわけであります。
 私は、やっぱりだんだん人間の経済的な生活の向上と同時に、そのためにそういったものを得るための労働時間というのもおのずからふえてきて、先生が最初に御指摘のような状況からだんだん離れてきた。それが幸せかどうかという議論はまた一つございます。ございますが、人類の進歩というのはやはり何か新しいものをクリエートすることであります。だから、そう考えてくると、やはり豪州の先住民の皆さんの立場よりは日本の方が、またいわば先進社会の方が、これは価値の問題ですから難しいですけれども、一応進歩した状況下にある、こういうことだと思います。
 ただ、そのことだけにかまけてしまって、結果的にはもう家庭がばらばらになって、子供との対話どころか夫婦の対話もなくなってしまうようなことでは困りますので、やはりそうした物質的な生活の向上とそしてその人間としての大事な生活、家庭生活、社会生活との調和をどのあたりに持っていくかということが今私たちに課せられた大きな課題であって、先生御指摘の国民生活審議会の答申ですか、何かそういったものもそのあたりを模索しながら、何がしかるべきバランスかということをみんなで今考えている、こういうことではないかと考えておりますが、お答えになっているかどうか。
#179
○下村泰君 済みません、何か社会科の勉強みたいになりまして。
 実際、私何年か前になりますけれども、国会の方に便宜を図っていただいて欧州の方へ行かせていただいたことがあります。イタリアという国からいよいよスイスへ移るときに、領事館の方が、イタリアの紙幣を持っている方は全部使っちゃってくださいと、ここで。何でですかと言ったら、スイス行ったらあれは紙きれ同然ですよ、イタリアのお札は、ですからもう使えるものは全部使っちゃった方がいいですよと言われまして、こんなに価値のない国の紙幣なのかと。その前にミラノに行きましたら、タクシーがほとんど走ってない。ここにはタクシーがないんですかと言ったら、いやいやありますよと。何でタクシー走ってないんですか。いえタクシーの運転手さんも夏になると十日以上休みくれないと会社に勤めないんだ、今ちょうど休んでいるんですと。我々日本人じゃ考えられないでしょう。一カ月以上は休まなかったらいけないんだと。それじゃ赤字になるのは当たり前じゃないか、国が。日本人だったらどうなんだろう、そんなことも考えたことがあります。
 そうすると、日本人というのは何というんでしょうか、これ。働くことに喜びを無上に感じる民族なんですかね。働かないといられないような気持ちになるんでしょうか。自分でも不思議に思うときあります。だから、貿易摩擦がどうのこうのというと、そういうところの文化の違いじゃないんですかね、根本は。私は学者じゃありませんからわかりませんけれども。
 人間は一生のうちにどのくらい働かねばならないのか考えますと、これは全く人それぞれの人生のあり方と深くかかわってくるわけですが、また労働時間といわゆる生産性との関係を考えますと、私たちの生産レベルといいますか、生活レベルをどうするのかということについても議論が起きると思います。なぜ、何のために働く時間を短くしようというのかということがきちんとわかっていないと、なかなか進む話じゃないと思うんです、この時短というのは。欧米とは文化や習慣、その考え方も違うわけですので、単純な労働時間の比較はどれくらい本質的に意義があるのかよくわかりません。わからない点ではありますが、今の日本の社会全体にゆとりがないことは、これはよくわかります。とりわけ、障害を持った人々や難病の人々に対する対応を見ますと、この社会にはゆとりがないなとつくづく思うわけです。
 そんなこともあわせて考えますと、労働時間の短縮のあり方というのは、単に休め休めということではないのかなと思うんです。社会全体の生活のあり方を考えるくらいの大きな問題だと思います。どんな社会をつくるのかという方向性が必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#180
○国務大臣(近藤鉄雄君) 日本人は、まずなぜ働くかということで、私も余り文化、社会学的な教養はないわけであります。ただ、やっぱりこういう島国で大勢の人が、しかも厳しい自然環境の中で長く生活してまいったわけでありますので、そういう点では勤勉というのはまさに日本の国民の生活の中におのずからビルトインされてしまって、しかも明治以降も今度はそういった日本に必要な資源を買うためにも輸出しなきゃだめだと、こういうことでありますから、国内的にも非常に厳しい競争社会になって、国際的にもそういった非常に競争社会になって、それがもう明治以来一貫して日本人の生活力になってきている。早い話が、近年の受験勉強も、そういった意味で競争社会を助長していると思うのであります。
 ただ、さっき先生、イタリアの例に触れられましたけれども、日本はまさにもう世界で最大の資産国になっているわけです。それだけ海外に投資をしてお金がたまっている中で、しかもいつまでもあくせく働くのかなという、そういう反省が今出てきているところでございまして、そのあたりでちょっと待てと。考えてみると、日本が一生懸命働いてそして物をつくって、そしてアメリカや世界に売って見返りにドル、お金をもらいますが、この紙切れがすごい額、使わないのを何千億とためているわけでしょう。そうすると、考えればばからしいですね。立派な自動車や立派なテレビをつくって、そして紙切れとかえているわけですからね。それで紙切れを積んで喜んでいる。しかも国民の生活にゆとりがない。あくせく働いている。
 だったら、いい物をつくって紙切れにかえるんだったら、それは向こうへ持っていかないで国内でそれをうまく使えるようなそういう経済の枠組みを考えようじゃないか。これが実は、この前やった経企庁長官時代に、内需を拡大しようと、日本経済を国民化しようと当時私は申しました。日本経済を国民生活化するということへ切りかえていこうと、こういうことでやってきたわけであります。それには成功しましたけれども、また最近みたいに輸出がどんどんふえちゃって、それで外貨がたまると、こういうことでありますので、そういう観点から見ても改めてもう一回、まさに日本経済、国民生活、やっぱり日本の我々の生活にもっともっとゆとりを持って、そして物を何でもつくらない。場合によっては海外からも買うことですね。むしろ海外に雇用もつくってやる。そして、私たちはアメリカ人やイタリア人がつくったものをきちんとした紙切れに今度はかえるわけですから、我々の実質的な生活をよくしていくと、こういう段階にまさになっていて、そのための大事なステップが今度の時間短縮の促進に象徴されるような、新しい勤労のパターンをつくっていく。
 ただ、そのことはもうできるだけ働かないで遊んでいいんだということでは私はないと思います。やはり勤労時間を整理してやる。そして、我々日本人のやる仕事も整理していって、そこで限られた時間で必要な物はちゃんとつくって、そして残った時間をもっともっと多様な人間生活の充実に充てると、こういうことではないかと考えております。
#181
○下村泰君 いろんなお話をありがとうございました。
 次に、それならば逆になぜ長時間働くのか、また時短が進まないのかということなんです。これについて教えていただきたいんですが、例えば同僚、組織への迷惑、病気や事故に備えて有林をためておく、雰囲気としてとりにくい、関連企業との関係、他社との競争、生産高、売上高の低下などが理由として考えられますが、こうした点についての対策があればそれもあわせて教えてください。
#182
○政府委員(佐藤勝美君) 時間短縮が進まない直接の理由、あるいはそういった直接の理由のもとになっている理由といろいろあるんだろうと思いますけれども、今先生の御指摘になったような点から申しますと、例えば有給休暇をなぜとらないかといいますと、おっしゃいましたように調査の結果そういうことになっているわけです。
 では、それはそういう気持ちが変わらなければ変わらないのかというと、私はそういうわけでもないと思うわけで、一つの事業の中でその人が突然休むというのは別ですけれども、計画的に休むならばその間にだれがかわってその業務をやるのか、あるいは全然やらなくて済むのか、そういうことをあらかじめ予定しておけば克服できない問題ではないと思うんですが、今までそういう習慣がなかったということがあると思います。
 ただ、最近はこういう時間短縮ということが基本的には必要だという合意ができてきておりますから、そういう点についてもだんだん解決をされてきておりますし、また特に若い人を中心に意識も変わってきておりますから、この問題はだんだん解消していくんだろうというふうに考えております。また、そういう方向にいくようにいろんな啓発、資料をつくったり指導したりしているわけでございますし、それから企業間の競争が激しい、あるいは発注主との関係あるいは取引先との関係でできにくいという点につきましては、そういった発注元と下請を含めた一つのグループを対象にして指導するというようなことも行っているわけでございますし、それから今回この審議をしていただいております法案の中におきましても、労働時間短縮推進計画の実施に当たって、必要があれば関係者等に対しまして行政の方から要請をすることができるというようなこともございますので、そういうことで解決をされる問題もたくさんあるかと思います。
 それから、もう一つ大きいのは、やはり現在は消費者のサービスに対する欲求といいますか、要するに安いサービスが無限にあるような感じの仕事というのはたくさんあるわけで、そういう状況は今後この労働時間短縮を全体的にこれ以上進めていくということになると、そういう点も見直しが必要になってくるだろうというふうに思います。
 今先生の言われました時短の阻害要因は非常に広範多岐にわたるわけでございますけれども、私どもとしましては、それぞれの問題につきましてこれまでも対策を進めてきたつもりでございますし、これからもどういうことをさらにやっていかなきゃいけないかということを真剣に考えて対策の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
#183
○下村泰君 しかし、日本人というのは、例えば休暇ができるとこの休暇の使い方、これすらにまごまごしていますね、今お父さん方は。休みなんか家で困っている、どうやって一日過ごすか。日本人というのはよほど働き好きなんですね。
 私なんかもよく昔こんを言葉で、朝は朝星いただいて、昼間梅干しいただいて、夜は夕星いただいて、寝につくと。鶏がコケッと鳴きゃ仕事すると。カエルがケロケロ鳴いたら寝ると。そんな理屈はこれから先だんだん通らなくなると思うんですけれども、通らなくなるから時短なんという問題も出てくるんだし、今の若い方々が我々の年代になるころには、これがどうなんでしょうかな、ちゃんと根づくものなんでしょうかね。そんなふうに考えることがあります。
 今度は、福祉労働者の時短についてちょっと伺います。
 福祉において労働時間の短縮を考えますと、二つの側面があります。一つは、働く人の立場です、施設で面倒見るため。それから、サービスを受ける側の事情もあります。そこで、まず働く人々の問題として考えますと、それでなくても今マンパワーというのは不足です。これはもう労働大臣もよくおわかりのことだと思います。労働省でも介護問題なんかもやっていますね。時短を進めることについては思い切った決断が必要だと思います。
 昭和六十三年の社会福祉施設調査報告によりますと、社会福祉施設の週休二日制の実施状況というのがあります。実施ありの社会福祉施設が五九・三%で半分ちょっとです。完全週休二日制をやっているところが一・四%、それから隔週週休二日制が三四・〇%、それから月に一回週休二日制が二三・二%、その他が〇・七%となっています。実施していないところが四〇・七%、こういう結果が出ています。完全なのが今申し上げました一・四%、それから勤務形態も不規則なわけですね。一方、給与というと、精神薄弱児施設の施設長の方が二十五万四百円、それから指導員の方が二十二万九千百三十円、それから保母さんが二十万五千百四十八円、それから精神薄弱者援護施設、ここの施設長が二十四万千九百円、指導員が二十二万九千百三十円、看護婦さんが二十一万九千四百五十六円、こういうふうに出ています。これは予算上のこととはいえ、その仕事の内容からすると決して恵まれた額じゃないですね。これは大変な労力が要りますから、こういうところで働くということは。ですから人が集まらないということになる。そうすると、マンパワーはますます足りないわけです。
 こんな労働条件下での時短をいかに進めるのか。労働省としてはどういうふうにお考えでしょうか、教えてください。
#184
○説明員(井上文彦君) 御指摘のように、社会福祉施設で働く労働者の方々は、施設に入っている方の看護や介護など非常にとうとい仕事をしているわけでございます。一方では、非常に人手がかかるといいますか、労働集約的な面もございまして、また看護・介護のサービスを常時提供しなければならないというような状況でございまして、先ほど指摘がございましたように、週休制等につきましてもまだまだ一般とはかなり開きがあるというような状況でございます。私どもといたしましては、将来社会福祉施設に働く方々の人手の確保の観点も踏まえまして、やはり労働条件の向上が必要だというふうに考えてございます。
 なかなか難しい状況でございますが、現在私どもといたしましては、例えば東京の労働基準局等におきまして、東京都社会福祉協議会を対象にいたしました時短の問題とか労働条件の問題に対しました集団指導等を行ってございます。今後ともそういう形で東京とか、現在大分でもやってございますが、そういう形で対象団体等に対しまして、週休二日制の問題を含めた労働条件の問題等についてきめ細かな相談等を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
#185
○下村泰君 全国社会福祉協議会が一九八八年に公表した調査によりますと、国の職員配置基準を上回る常勤職員の配置をしているかという問いに対しまして、サンプルの百十四施設すべてで何らかの形でしているという答えが出ています。すなわち、自分たちの努力で大変しんどい思いをしてやっているということなんですね、これは結果的には。
 これは厚生省に言うべきことなんですけれども、そこでちょっと伺いますが、社会福祉施設における労働時間短縮の意義をどういうふうに労働省はお考えですか。
#186
○説明員(井上文彦君) 社会福祉施設におきます労働時間短縮の意義でございますが、労働時間短縮は、そこで働く方々の労働条件の向上になるだけでなく、同時に労働時間短縮によるすべての人にとっての働きやすい職場環境づくりによって労働力の確保といいますか、働く人たちの確保に大いに役立つというふうに考えてございます。また、そこにおきますサービスの質的向上をもたらすということで福祉の充実につながっていくというふうに考えてございます。
#187
○下村泰君 言葉の上ではそういうふうになりますけれども、先ほどお話ししましたように労働条件が余りよくないんです。仕事の内容はきついわ、給料は安いわ、これじゃ幾ら時短をしようが何しようが、そうは人は集まりません。
 こういうところを労働省がどういうふうにこれから改善をしていくのか、どういうふうにしていったならばマンパワーが充足できるのか。それはどういうふうにお考えですか。
#188
○説明員(井上文彦君) 先生御指摘のように、社会福祉施設関係に働く方々の労働条件といいますか、時短等を含めて非常に厳しい状況にあるというふうに考えてございます。
 これは、私どもだけではなくて、やはり厚生省等とも連携をとってやっていく必要があろうと思います。先ほど申し上げましたように、社会福祉団体等の集団に対します啓蒙とかそういう面もございますし、また厚生省段階で施設費とかいろんな予算等の問題もございます。私ども、これから時短を進めるという観点からも厚生省等ともいろいろ話し合いを持っていきたいというふうに考えます。
#189
○下村泰君 とにかく、あらゆる角度からひとつ努力していただきたいと思います。
 今度は、時短の問題になるわけでございますけれども、こういうことが起きてくるんですよ、大臣。これは東京都内のある区の話なんですけれども、「区職員の週四十時間労働、週休二日制。これに伴い、共働きや父、母子家庭の子供が放課後の時間を過ごす児童館、学童保育室の土曜閉館が具体化、父母たちが反対――。」、こういう記事なんです。
  区側は「各自治体でこれ以上の人員増はでき
 ないという状況の中で、週四十時間労働を実現
 するためには、どうしても週休二日となる。児
 童館を日、月曜日休み、保育室を土、月曜日休
 みにしてどちらかを利用できるように工夫し
 た。細かい点についてはこれからも検討して、
 時短とサービスとの調和を図るよう努力する」
 と説明。
  しかし、父母たちは「利用者である住民の声
 を聞かずに行政の都合で決定するのはおかし
 い」と、区の姿勢を批判。
  子供が保育室を利用する父親は「児童館では
 学童保育室の役割をカバーできない。子供のこ
 とをよく知っている指導員はいないし、土曜日
 にみんなで仲良く弁当を食べる場所もない。学
 校五日制になれば一層必要になる場所だ」。
  また、子供が児童館を利用する母親は「今の
 子供は放課後に一緒に遊ぶにしても、学校で約
 来するか電話ぐらいでしか会えない。そこに行
 けばだれかに会えるという場所は、児童館しか
 ないんです」とこういう訴えがあるわけなんです。
 そうしますと、この人たちにとっては時短も結構でございましょうけれども、こういう方々、利用している方たちにとっては大変なことです。えらい問題なんです。だから、福祉施設における時短の難しさを凝縮していると思うんですが、大臣はどういうふうに思われますか。
#190
○国務大臣(近藤鉄雄君) まさに先生御指摘のとおり、週休二日制が画一的にいってしまいますと、そういうところでも休みだということになっていろいろまた問題を起こすわけであります。私は、これは週休二日、時短といっても、そのやりようではないかと考えておりまして、やはり土曜なり日曜なり働く方はほかに代休をおとりいただいて、それで週休二日を実質的に確保していただくということを、そこは具体的な必要に応じてうまく人事管理していただくということじゃないかと思います。
 それからもう一つは、介護とか看護というのは非常に大事な、これからまさに主要な労働力でありますから確保する必要がある。そのためには、これはやっぱり国というか公の責任でその方々の賃金水準というものを、御指摘ございましたけれども、多少予算的な御無理があってもできるだけ上げるべきだ。もうそういうことをしないで、大事なところに人が集まらないから困るというわけにいかないわけでありますから、これはどなただって金銭的な待遇がいい方がいい、これは当たり前なことでありますから、だからそれはすべきであります。しかし同時に、特に介護労働なんかの場合、私も実は田舎でいろいろ座談会なんかをして話を受けるわけだけれども、自分のところのお年寄りはまだお元気だけれどもいずれそういう時期が来る、そうすると今からそういう介護というものを勉強しておきたいという奥さん方がいらっしゃいまして、そういう方々は、いわばフルタイムじゃなくたって、例えばお昼の時間とか、また夕方でしたら夕食を外してその後だとか何かそういうパートで介護労働を勉強してもいい、勉強会をやっていい、こういう方がいらっしゃる。ですから、こういったパート労働といいますかフレックスタイムといいますか、そういう形で柔軟に必要に応じてそういったものをやっていく。場合によっては、毎日は嫌だけれども二日に一遍ならいいよという人もいらっしゃるわけです。
 そういういろんなことを考えていくと、私はこれからますます必要な介護労働力の確保ということは決して不可能じゃない。いろんなことを知恵を出してやっぱり確保していくべきである、かように考えております。
#191
○下村泰君 今ちょうど大臣の方から介護労働というお言葉が出てきましたけれども、それではひとつ介護休業制度についてちょっとお伺いしていきたいと思います。
 私自身も何年か前に申し上げておるんですけれども、各党の方々もまたいろんなところで要望されていることでもあるんですが、介護休業制度の現在の導入状況と傾向、見通しについて教えてください。
#192
○政府委員(松原亘子君) 介護休業制度の普及状況でございますけれども、私どもが昨年二月現在で把握したところによりますと、従業員三十人以上の事業所の一三・七%がこの制度を導入しているというふうに答えているわけでございます。
 ただ、最近の春闘の状況などを見ますと、例えば昨年は自動車業界、ことしは電機業界、いずれも大手企業ではございますけれども、そういったところで介護休業制度の導入が合意されたという情報も聞いておりますので、今後の見通しはなかなか確たることは申し上げられないわけでございますけれども、今後の高齢化の進展等を背景としまして労使の関心というのは非常にこれについて高まっているという実態もございます。私どもとしては、今後ともこれがさらに普及するということを期待しているところでございます。
#193
○下村泰君 労働省の方として、行政として今後どういうふうに御指導とかあるいは導入の方法を考えていらっしゃいますか。
#194
○政府委員(松原亘子君) 介護休業制度につきましては、平成二年に、このことについての社会的機運を醸成するという観点からシンポジウムなどをやってまいったわけでございますけれども、もう少し具体的なあり方といいますか、そういったものを示して、各企業なり労働者の方々にこのことについての認識を深めていただき、さらに企業に対してはもっと導入を促進するといいますか、そういうことが必要であろうということから、実は昨年の七月から介護休業その他介護についての企業内の、それ以外の制度もあるわけでございますが、そういったことについてのガイドラインを検討していただくための検討会議というのを開催しております。
 その検討会議の検討結果がこのほどまとまりまして、私どもとしては、その検討結果に基づき行政としてのガイドラインを定め、それに基づく具体的な普及指導などをやってまいりたいというふうに思っているところでございます。
#195
○下村泰君 企業にとって法制化されると困るという企業もあると思いますが、あるいは法制化しても現実にすぐに導入できないということはあるでしょうけれども、私はこうした制度は企業の都合を超えた社会の要請だと思います。こうした制度を整備しないことには、働く人々にとって働き続けることができないような事態がもう現実にあると思います。どんなに公的サービスを整備してもすべてをカバーすることは不可能だと思います。
 これは北欧を見ても明らかですが、そう考えますと、のんびりと企業の自主性を待つだけではその間に働いている人々は疲れ切ってしまうだろうと思いますが、行政としての対応、大臣の御見解、あればお聞かせください。
#196
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御案内のように、育児休業法がこの四月から施行されたわけでございます。これは子供ができた場合に一年間、夫でも妻でも休んでいい、こういうことでございますが、介護休業の場合にはもうちょっと複雑だと思うんです。その要介護の方の状況から考えて複雑である。しかも逆に、赤ちゃんだったら常時一緒にいなければならないということがありますけれども、介護を必要とされる方は必ずしも毎日でなくてもいいかもしれませんし、場合によっては時間的にある程度、もう休まなくたって午前なり午後だとかそういうこともあり得る。
 ですから、先ほど婦人局長も御説明申し上げましたけれども、この介護労働というものが今後ますます必要になってくる。そして、そういった家庭生活と職場との調和をどうするかということが大きな課題でありますから、これは逃げないで真っ正面から取り組むべきだと思いますけれども、どういうような対応をしたらいいかということについては少しいろんな角度から検討、研究をして、そして何かいい、介護休業じゃなくてもいい、介護が可能な体制というものをひとつ企業と社会また関係者協力、理解のもとで何としてもこれはつくり上げていきたい、かように考えております。
#197
○下村泰君 ありがとうございました。
 今度は、ボランティア休暇についてちょっとお伺いします。
 私の記憶に間違いかなければ、一九九〇年の七月、ちょうど二年前に富士ゼロックスがボランティア休暇という制度を導入しました。これが最初だったと思うんですが、それがその後次々と多くの企業で導入されてきました。例えば、東京ガスあたりが、これは九二年の一月ですけれども、勤続三年以上で期間は一カ月以上二年以内とか、給与、ボーナスとも全額支給とか、いろんな手だてをつくって社員にこういったボランティア休暇というものを奨励しているんです。
 労働省として、現状をどう把握されているんでしょうか。また、今後こうした制度の方向をどう見ていらっしゃいますか、お聞かせください。
#198
○説明員(廣見和夫君) ボランティア休暇制度の普及状況についてでございますが、最近行いました私どもの委託調査によりますと、五・八%の企業で従業員が行っておりますボランティア活動に対しまして何らかの特別有給休暇を与えているという状況がございます。また、三・七%の企業でボランティア活動のための休職制度を設けている、こういう状況が見られるところでございます。この水準自体はまだ決して高いとは言えないかと存じますけれども、最近急速に勤労者の人たちの関心も高まっておりますし、またこういったような制度を設けます企業も着実にふえてきているのではなかろうか、このように見ておるところでございます。
 今後、やはりこういったような状況にございますので、こういったようなボランティア休暇制度の普及というものは一層進んでいくのではなかろうか、またそういうふうに期待したいと、このように考えておるところでございます。
#199
○下村泰君 今東京ガスについてちょっと細かく申し上げませんでしたけれども、東京ガスのボランティア休暇・休職制度というのは、
  対象は@高齢者や身障者の施設での介護A青
 年海外協力隊への参加B天災被災地の復旧支援
 C少年野球、ボーイスカウトの指導――など。
 休職の場合、勤続三年以上の社員で、期間一カ
 月以上二年以内。給与の保証以外に、退職金の
 算定にも合算。希望者は人事部長の面接を通れ
 ば、一カ月ごとにリポートを提出するだけで自
 由に活動できる。休暇の場合は、年間五日まで
 認められる。これは詳細なんですけれども、こんなふうなことで奨励をしていも。これは結構なことだと思います。
 福祉関係者の話によりますると、ボランティアのほとんどは五、六十代の婦人が多い。若い人の支援がふえてくれればありがたいということで期待は大きいわけです。しかし、これはあくまで企業にとってみるとイメージアップあるいは社員の社会貢献を助けるということで行われてきたと思います。言いかえると、企業メリットとかかわっているということになるわけですけれども、ところが最近こうして参加した人々の意識が変化しまして、それが企業のあり方にも影響しています。当然、時短の持つ意義にもかかわるわけでございますけれども、こういうことを考えますと、こうした制度を行政としてバックアップする、あるいは行政自身が、例えば労働省がボランティア休暇を導入するよう人事院に働きかけるとしても、きちんと位置づけて施策として何かすべきじゃないかと思うんですが、この二点について大臣はどういうふうにお考えになりましょうか。
#200
○国務大臣(近藤鉄雄君) これは先生、大変御示唆に富む御提言だと思うんであります。
 最初に、日本の社会はなぜこうあくせく働くんだという御質問がございましたけれども、それに関連いたしますが、欧米と比較して日本人は余りボランティア活動はこれまでは多くありませんでした。それは、どうも私はよくわかりません。宗教的な、欧米のキリスト教的な、そういう精神構造の中で積極的にボランティアでいろんな社会福祉をおやりになる。日本の場合は、金にならないことはしないと言うとちょっと言い過ぎでありますが、いかにもそういう世知辛い面があったと、例外はございますが。ですから、そういう意味でこれからの日本の社会の中でボランティア活動というものが非常に大きな役割を果たすと思いますし、昨今の例の地球環境会議においても、NGOの活動をテレビなんかで見ておりまして非常に私は感激をしたところでございますが、そういう社会風潮を醸成することは私は大変大事がなと思います。ただ、今の段階でそういうボランティア休暇制度を企業に行政として積極的に求めることは多少まだ熟していないのかな。ですから、育児休業、介護休業そしてボランティア等々、そういったことを漸次一つ一つこなしていくということだと思うんであります。
 ただ、先生もお話しございましたように、やっぱり日本の企業でそういうボランティア活動を認めて、従業員にいろんな従来の企業以外の分野での経験を持ってもらうということは、長い目で見て企業経営にとってもプラスという面も私はあると思うんです。ですから、目先の金もうけばかりじゃなしに、離れていろんな活動をという余裕を持つこともこれから企業も真剣に考えていく時代になりつつあるんではないか、こんな感じでおります。
#201
○下村泰君 まだ時間は余しておりますが、ここで私はやめさせていただきますけれども、かつて私どもが伴淳、今は死にました伴淳三郎と一緒に「あゆみの箱」という運動を開始いたしました当初、名前は挙げませんが日本でも有名な企業が御寄附くださるところもありました。ところが、中にはそんなところへ寄附したっておれの会社は一銭ももうからない、そういうところへ寄附するのはどぶに銭を捨てるようなものだ、こういうことをはっきりおっしゃった企業もありました。ところが、最近その企業がどういうわけか社会福祉活動を始めているんです。これも時代の流れかなと。結局、そういった企業の考え方の方々の中にも、ただ単に利益を上げるだけではない、やはり消費者あっての企業であり、その方たちに還元をしなきゃならないというような精神になってきたのかな。この進化にはちょっと私は驚いていますけれども、それが当たり前だと思うんです。ただ、そういう企業もあるということをひとつ労働大臣に念頭に置いていただきたいと思うんです。
 ですから、そういった社会還元してくださるような企業がどんどんふえればおのずからこういった問題も徐々に解決していくんじゃないか、そんな気もします、福祉問題に関しましては。どうぞひとつ念頭に置いていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#202
○中西珠子君 労働大臣は病み上がりでいらっしゃいますので、大臣への質問は最小限にとどめたいと思いますが、二つばかりお聞きしたいと思います。
 この法案は、法的な強制力を持って労働時間の短縮を推進するのではなくて事業主の自主的な努力を促進する、それによって時短を実現するということを目的としているわけでございますが、年間千八百時間の早期達成は事業主の自主的な努力に任せていたのではなかをか実現できないのではないかと思うのですが、大臣いかがでございましょうか。
#203
○国務大臣(近藤鉄雄君) 時短が成功裏に行われるためには、やはりそれを行った企業が経営的にもうまくいく、こういうことでなければならないと思うわけであります。私は、戦後のいっときとか最近まではともかく、最近の我が国の経済力、金融力を考えれば、もう十分に時短ができるだけの技術的な経済的な条件は整いつつある、こう思います。
 ただ、それが整っているんだけれども、たびたびこの委員会でも出ておりますように、非常に我が国の競争社会では、一社だけが例えば時短をやって、その分だけ発注を受けても仕事がおくれてしまうとなると次の会社に仕事がとられてしまう、こういった心配もあります。したがって、やるなら横並びでみんなで同じような条件で時短に取り組めるような、そういう条件整備を行政がひとつ旗振り役をしてやれば、もう既にある程度時短をしていかなければ必要な労働者の確保もできないという意識を、大企業はともかくとして、むしろ地方の中小企業でも真剣に考えている時代でございますから、やっぱり状況整備をすることで、あとはおのずから経営者の自主的な判断で時短が進む時期に今や近づきつつある、かように私は考えております。
 決して、個々の企業に全部任せることじゃないわけでありますけれども、環境を整備することで自発的にそれができるような状況をぜひひとつつくっていきたい、こういうことでございます。
#204
○中西珠子君 いつごろをめどに達成なさるおつもりでしょうか。一九〇〇年代の早い時期に年間総実労働時間千八百時間を達成するというのが一応の目標であったわけでございますね。ところが、なかなか難しいということでございますが、この法案は一応五年間の時限立法でございますけれども、この五年以内には是が非でも達成すると思っていらっしゃるのかどうか、その点もちょっとお伺いしたいと思います。
   〔委員長退席、理事仲川幸男君着席〕
#205
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先般、労働基準法の改正があってから、それまで二千二、三百時間年間総労働時間で低迷しておったんですが、最近非常に時短が進んでまいりまして、今はもう二千時間ちょっとのところまで昨年で来ているわけです。ですから、あと千八百時間までに二百時間でございますので、二百時間を五年間で達成するとすると、割り算で言えば四十時間でございます。最近のペースが三十数時間ですから、だから三十数時間のペースをちょっと一押ししてやって四十時間になればことしを含めて五年間。ですから、ちょうど新経済五カ年計画の大体期間でございますし、労働省で現在審議をお願いしております雇用審議会で新しい基本計画をつくりますが、これも近々発表することになるわけでございますが、これもおよそ五年間でありますので、ことしを含めて五年間に千八百時間は私は必ず達成できると確信を持っております。
#206
○中西珠子君 この前の委員会で、第七条の「労働時間短縮推進委員会の決議に係る労働基準法の適用の特例」というものに関していろいろお伺いいたしましたけれども、この前時間の関係で伺えなかった点を伺いたいと思います。
 まず第一に、労働時間短縮推進委員会の委員全員の合意による決議をもって労働時間の弾力化、時間外・休日労働などに関する労使協定とみなすとされていますが、その理由は何でございますか。
#207
○説明員(井上文彦君) 時短推進委員会の決議の問題でございますが、これは先ほども申し上げましたが、厳格な労使協定と同様の効力を有するということでございまして、その委員の選任につきましては労働組合または過半数以上と、その他厳密な要件を付しまして時短推進委員会の決議を労働基準法上の労使協定と同様の効力を有するとしたものでございます。
   〔理事仲川幸男君退席、委員長着席〕
 これは、時短推進委員会におきましていろいろ議論され、決定されたことが労使の自主的努力を尊重する意味で、そこの委員会の決議を労使協定と同様の効力を有するものとしたというふうに考えてございます。
#208
○中西珠子君 この時間短縮委員会の決議のうちで、時間外・休日労働に係る決議以外の決議、すなわち三カ月単位の変形労働時間、一週間単位の変形労働時間、それから事業場外また裁量労働のみなし労働時間制については労働基準監督署への届け出を免除することになっていますけれども、変形労働時間制の三カ月単位また一週間単位の届け出件数というのはどのくらいありますか。どんな業種から届け出が出ていますか。
#209
○説明員(井上文彦君) 変形労働時間制、これは三カ月と一週間の届け出件数でございますが、平成二年におきます三カ月単位の変形労働時間制に関する協定届の届け出件数は四百十一件でございます。一週間単位の非定型的な変形労働時間制に関する届け出件数は十八件でございます。
 それぞれの件数につきまして、業種別の状況は把握してございません。ただ、三カ月単位の変形労働時間制に関する平成二年の抽出調査、これは八十八件やってございますが、それによりますと製造業で三十二件、商業で十八件、金融・広告業で十一件、その他が二十七件というふうな状況でございます。
#210
○中西珠子君 それで、変形労働時間制というのは労働時間短縮に効果があるからということで、この前の労働基準法の改正のときに導入されたわけでございますが、果たしてその効果があるとお考えですか。
#211
○説明員(井上文彦君) 変形労働時間制につきましては、これは業務の繁閑等によりまして労働時間が変革を受けます。その変革を受けない形で時間短縮を進めるという意味で変形労働時間制を採用しているわけでございますが、私どもの調査によりますと、変形労働時間制を採用している企業とそうでない企業を見ますと、やはり労働時間が変形労働時間制の場合に少ないというような状況も聞いてございますので、時短を進める上で変形労働時間制は私ども有効ではないかというふうに考えてございます。
#212
○中西珠子君 変形労働時間制というのは、年間の労働時間の短縮ということについては効果があるかもしれないのですけれども、働く女性、殊に家庭を持ったり子供を育てながら働いている女性にとっては、一日の労働時間の長さというものが非常に重要なので、変形労働時間制の導入によって業務の繁忙な時期には一日十時間まで働かされるということは、仕事と家事や育児の両立が非常に困難になるわけでございます。子供を育てなきゃいけない、また世帯持ちであるというふうな女性にとっては、育児のためのいろいろな環境整備がまだまだ足りない、殊に、延長保育、夜間保育、乳児保育などをやってくださる保育所が非常に少ないというふうなこともありますので、非常に困る場合が出てくるわけです。
 厚生省の方がいらしたら、どのように延長保育、夜間保育、乳児保育というものが行われているかということについて御答弁願いたいのですが。
#213
○説明員(冨岡悟君) 側説明申し上げます。
 女性の社会進出の進展とともに、保育のニーズは非常に多様化してきております。このために、各種の特別保育対策の推進に努めているところでございますが、先生お尋ねの実施状況につきましては、現在全国に二万二千六百七十五カ所の保育所がございます。このうち、乳児保育を実施いたしております保育所は五千六百六十二カ所でございます。延長保育、これはおおむね夜七時までお預かりするものでございますが、これは九百五十二カ所となっております。それから、専ら昼過ぎ夜十時まで預かります夜間保育所につきましては、全国で三十六カ所となっております。
 以上でございます。
#214
○中西珠子君 延長保育は午後七時までで、それが九百五十二しか全国でない。夜間保育、十時までのは三十六しかないということですね。
 それで、とにかく十時間変形労働時間で、業務の繁忙のときには働かなくちゃいけないという人、それからまた変形労働時間でなくても残業を非常に多くしなきゃならない母親というものは、とにかく保育所が閉まってしまった後またベビーシッターを雇って、そして働き続けるというふうな状況にあるわけです。ベビーシッターを雇うだけの給料はもらってないというふうな人はやめざるを得ないということになるわけです。
 こういう状況の中で、厚生省は大いにもっと延長保育や夜間保育をふやしていただきたいと思うのですが、乳児保育もまたふやしていただきたいと思うのですが、何か大変大きな障害というものがありますか、増加させるための障害。
#215
○説明員(冨岡悟君) 私ども、先生御指摘の特別保育事業は大変重要なものと承知しておりまして、今までも力を入れてまいりました。実施状況をいろいろと見ますと、実は早い段階で実施されました事業は比較的普及が進んでおるし、最近実施されました新しい事業は少し実施状況が遅いという傾向はございます。
 それで、特に延長保育といったものにつきましては、最近の数字を少し御紹介いたしますと、昭和六十三年には四百八十七カ所であったものが、平成元年には七百四十六カ所、平成二年に八百十九カ所、平成三年には九百五十二カ所といったように着実に増加してきております。乳児保育につきましても同様に着実にふえてきております。そういうことで、今後ともPRに努めまして、各保育所の御理解をいただきまして、鋭意ふやしてまいりたいと思っております。
 なお、夜間保育につきましては確かになかなか進まない面がございます。これにつきましては、実際働く保母さんの確保といった面もございまして、なかなか進まないわけでございますが、今後とも努力してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#216
○中西珠子君 とにかく延長保育、夜間保育、乳児保育をふやしていただきたいということを深く必要と感じておりますので、お願いいたしておきます。
 それから、育児休業法も成立いたしましたけれども、所得保障が全然ないわけで、育児休業はなかなかとりにくいわけです。何とか労働保険や社会保険の掛金ぐらいは支給できるように労働省は考えていただきたいと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
#217
○国務大臣(近藤鉄雄君) 育児休業中の所得保障につきましては、これは予算委員会等でもいろいろ御質問がございましたし、御要望がございました。
 率直に言うと、私など地元に帰りますと婦人会の皆さんが、せっかく育児休業法ができたけれどもその間収入がなくなっちゃ困ると。片方で育児休業やりながらパートで働いていいですかなんという御質問も現地の婦人少年室長が受けるという話も聞きます。そういう点では、育児休業も大変ありがたいけれども所得が減ってしまったのではという気持ちもございますので、これは私は個人的には何とかならないか、こういうふうに思っておりますが、ここに至るいろんな経緯もございまして、これについて今審議会等でいろいろ検討をしていただいている状況でございます。
 私の個人的な意見をあえて申し上げれば、丸々はともかくとして、きっきおっしゃった社会保険料その他の支払いから多少はプラスアルファがあってもいいのじゃないか。そういうことで、安心して育児にかかっていただくということが今後いろんな意味で日本の社会のために大事じゃないかと、私は個人的に考えております。
#218
○中西珠子君 労働大臣、その点につきましてはどうぞよろしく頑張っていただきたいと思います。
 それでまた、女性がそういうふうな変形労働時間というものによって悩まされるということを申し上げましたけれども、この労働時間短縮推進委員会の構成につきまして、一応法律では労働組合のあるところは労働組合、それから労働組合がないところは労働者の過半数の推薦によって委員会を構成するために事業主が委員を指名するということになるわけでございますけれども、その場合にやはり女性の代表を入れることを奨励していただきたいと思うわけでございます。
 未組織の労働者の多い現在の労使関係から見まして、労働者の意見というものの反映はなかなか困難だと思いますけれども、殊に女性の代表を入れて女性の労働者の意見を反映させるということは困難ではないかと思いますが、労働省の方でやはり女性の多い職場では女性の代表も入れるというふうな指導をやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
#219
○政府委員(佐藤勝美君) 労働時間の問題は当然すべての労働者に関係する問題でございますし、今御指摘の変形労働時間制の問題のみならず女性労働者に当然かかわりを持つ問題でございます。また、事業場によっては女性の比率が非常に多いというところも当然あるわけでございます。
 そういうことを考えますと、やはり委員会の運営に当たりましては女性労働者の考え、意見が反映をされるということが必要かと思いますので、そういった運営がなされますように制度の趣旨、目的につきましての周知徹底を図ってまいりたいというふうに思います。
#220
○中西珠子君 時間短縮委員会が全員で合意した場合は、三カ月の変形労働時間制、また一週間の非定型的変形労働時間制、またみなし労働時間制などの労働基準監督署への届け出というものが免除されるわけです。それで、その届け出が免除されるということは歯どめがなくなるのではないかという心配が非常にありますし、労働基準監督行政が後退するのではないかとか、労働基準監督行政の方の責任放棄だという批判もあるくらいでございまして、非常に我々は危惧を感じるわけなんです。
 議事録を保存させておいて全員の合意があったかどうかというのをチェックするというふうにおっしゃっておりますけれども、果たして議事録が作成されて保存されている、それを見るだけで確認がきちっとできるのでしょうか。この点も非常に危惧している点なんですけれども、いかがですか。
#221
○説明員(井上文彦君) 委員会の決議につきましては、御指摘のように、委員会の決議をもってできるというようなことでございまして、時間外労働等の三六協定以外につきましては、監督署への届け出を免除するというようなことでございます。
 これにつきましては、委員会設置の趣旨から考えまして、当然労働時間の短縮を促進するためにいろいろ考えるものでございますし、委員の半数が労働者の過半数を代表する労働組合等の推薦を受けた者というような形で厳格な要件をかけてございますので、適正な運営が担保されているというふうに我々考えるところでございます。
 なお、万一適正な運営がなされていない疑いがある場合には、委員会の設置につきましては監督署への届け出要件もありますし、また決議は御指摘のように書面で行われる、議事録が作成、保管されるという面もございます。監督官による地域の各事業場の点検もございます。その際、重点的にチェックをしていく体制をつくってまいりたいというふうに考えてございます。
#222
○中西珠子君 この第七条、これに「当該委員会の設置について、労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出ていること。」というのが一つの要件になっております。設置の場合はとにかくそういう届け出がなされるというわけですが、委員のメンバーが変わった場合、そういった変更の場合は届け出は必要ないのですか。
#223
○説明員(井上文彦君) 委員の問題でございますが、途中で変わった場合にその都度届け出ていただくということは考えてございませんが、先ほども申し上げましたように、時短委員会の設置に関しましては、私ども重点的に各事業場においてこれをチェックしてまいりたいというふうに考えますので、その際委員の適否については十分私ども調査する考えでございます。
#224
○中西珠子君 とにかく、第七条につきましては非常に心配なことが多いわけです。労働者の過半数を代表する者が果たして民主的に公正に選ばれたかどうか、また使用者側が指名する場合に、自分の意見が通るような委員を選ぶのではないかと、いろんな心配があるわけですから、労働省はやはり厳しく監督していただきたいと思います。
 労働時間の短縮というのは、なかなか難しいわけでございまして、時間外労働が非常に日常茶飯事になっていて、おまけに時間外労働の割り増し賃金というものが生活の資になっている、生活費の中に組み込まれている、そういう状況がある中で、時間外労働の規制というのは非常に難しい。自主的に少なくさせるということは難しいことだと思うので、時間外労働の規制というのが法的に必要なのではないかと思うんです。
 今の三六協定だけで、とにかく協定ができれば男性の方は何時間でも時間外労働ができるということがやはり多くの長時間労働を引き起こし、時には過労死まで引き起こしているという状況もあるわけでございますので、女性に対する年間百五十時間の時間外労働の上限というものを男女ともに適用してはどうかと思うわけですが、労働省はどのようなお考えでいらっしゃいますか。
#225
○政府委員(佐藤勝美君) 全体としての労働時間の短縮を進めるということになりますと、現状で見る限り、所定外労働時間の削減ということが非常に重要な要素になってまいります。
 現在の基準法では、御指摘のように労使協定の定めを限度として時間外労働ができるようになっているわけでございまして、その労使協定が届け出られましたときに内容を見て指導するということを監督署でやっておるわけでございます。その場合に、指導のよりどころとして上限時間の目安というものを大臣告示で定めておることは御承知かと思いますけれども、この上限告示につきましても、現在その改定につきまして、中央労働基準審議会で審議をしていただいているところでございまして、近く結論が出ると思います。それに基づきまして必要な措置を講ずることといたしておるところでございます。
 また、この現行制度そのものをどうするかという議論も当然あるわけでございまして、例えば割り増し賃金率が低過ぎるのではないか、これをもう少し高くすることによって抑制効果を持たせるべきである、あるいは直接に上限労働時間の制限を法律上やったらどうかというような御意見、先生も御指摘でございますが、我々は現段階ではこれは余り一般的な意見ではないと思いますが、そういう意見もあるというようなことでございます。そういった点も含めまして、現在中央労働基準審議会で労働時間法制のあり方全般につきましての審議をお願いいたしておるところでございますので、私どもとしましてはことしじゅうにその結論をいただいた上で必要な措置をとりたいというふうに思っております。
#226
○中西珠子君 割り増し賃金率を引き上げたらどうかということにつきましては、この前の委員会で一種のペナルティーという考えで割り増し賃金率を高くしている国のことを例に引きまして申し上げまして、割り増し賃金率の引き上げについては引き上げる方向に行くのではないかと思うという労働大臣の御答弁をいただいたわけでございますけれども、これはやはり時間外労働の規制をやって上限を決める、もしくは両方あった方がいいと思います。割り増し賃金率も引き上げるという方向でぜひやっていただきたいと思います。
 今中央労働基準審議会で審議中でことしじゅうに結論が出るであろうという労働基準局長の御答弁でございましたけれども、その中央労働基準審議会には女性が一人もいないんでしょう、委員としては。
#227
○政府委員(佐藤勝美君) 公益委員に女性委員が一人おられます。
#228
○中西珠子君 公益委員にいらっしゃいますか。お名前は。
#229
○説明員(井上文彦君) 弁護士の若菜さんでございます。
#230
○中西珠子君 たった一人でもいらっしゃるということはいいことですけれども、けさのテレビの報道によりますと審議会で一人も女性がいない審議会があるというふうなことを伺いました。
 中央職業安定審議会はどうですか。
#231
○政府委員(佐藤勝美君) ちょっと安定局の担当の者がおりませんので、もし間違いましたら後で
訂正させていただきますが、どうもおらないというようなことでございます。
#232
○中西珠子君 中央労働基準審議会も一人いらっしゃることは大変いいことですけれども、もう少しふやしていただきたいと思います。それから、ほかの労働省の審議会につきましてもどうぞ女性の委員を入れていただくように労働大臣にお願い申し上げます。大臣、やっていただけますか。
#233
○国務大臣(近藤鉄雄君) どうぞ、大丈夫です。
#234
○中西珠子君 次に移ります。
 次に、法案の中身についてちょっと伺いますが、第五条、これには「労働大臣は、労働時間短縮推進計画の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、関係団体に対し、労働時間の短縮に関する事項について、必要な要請をすることができる。」と、こう書いてございますが、「関係団体」というのはどういうものを示すんですか。労働組合も入るわけですか。
#235
○説明員(井上文彦君) 労働時間短縮推進計画でございますが、これは政府が閣議で決定するものでございますので、ここで考えております関係団体とは全国的な業種横断的な労使の団体とか消費者団体とか、そういうものを今想定しているわけでございます。
#236
○中西珠子君 「必要があると認めるとき」というのはどういうときでしょうか。
#237
○説明員(井上文彦君) これは労働時間短縮のために関係団体、先ほども申し上げました消費者団体とか、それから業界団体では例えばトラック協会とか建設業団体とかいろいろそういうものがございます。そういうところで時短計画等の作成に関して協力とか、そういうものが必要と考えた場合には要請をしたいというふうに考えてございます。
#238
○中西珠子君 協力が必要な場合と、こういう意味ですね。ちっとも協力してくれないとか、困ったことだというときにだけ要請するわけですか。
#239
○説明員(井上文彦君) 最近、時短に関しまして特に全国団体等について非常に御理解を得てございますので、私どもがお願いをしますと、それに対して当然こたえていただけるというふうに考えてございます。
#240
○中西珠子君 では、第八条に移ります。
 同一の業種に属する二つ以上の事業主であって、労働時間の短縮の円滑な実施を図るために、営業時間の短縮とか休業日数の増加その他の労働時間の短縮が見込まれる措置を実施しようとする者は、共同して労働時間短縮実施計画を作成して、労働大臣及び当該業種に属する事業を所管する大臣に提出して、適当であるという承認を受けることができるとなっておりますが、第八条の三項の四、これはどういう意味でしょうか。
#241
○説明員(井上文彦君) 第八条の三項の四号でございますが、これは計画への参加とか脱退の自由を規定してございます。
 私ども、業界がっくります計画につきましては、できるだけ関係企業の方々等が参加いたしまして、より実効性のあるものにしていきたいというふうに考えてございます。ただ、参加とか脱退、特に脱退等の場合につきましてペナルティーを科してそういうのを紡ぐとか、そういうことは適当でございませんので、参加とか脱退に関しましてはあくまでもその企業の自主性によって判断していただくという趣旨でございます。
#242
○中西珠子君 衆議院の修正で第八条に一項が加えられまして、第五項ということになりまして、「労働大臣は、第三項の承認をするに当たっては、同項第一号に規定する労働者の意見を聴くように努めるものとする。」と、こうなりましたね。この関係労働者の意見を聞くように努めるというのは非常に重要なことだと思いますが、どのような方法で意見を聞くようになさいますか。
#243
○説明員(井上文彦君) 御指摘のように、計画の承認に当たって関係労働者の意見を聞くということは非常に重要でございます。私ども、実際承認に当たりましては労働大臣が中央労働基準審議会の意見を聞くということになってございますので、例えば中央労働基準審議会に関係組合の労働者を代表する者に参加していただきましていろいろ議論をしていただく。また、地方段階におきましても地方労働基準審議会等に参加していただきまして意見を述べていただくというふうに考えてございます。
#244
○中西珠子君 そうすると、労働基準審議会を媒体としなければ関係労働者の意見を聞かないということですね。
#245
○説明員(井上文彦君) 正式には中央労働基準審議会なり地方労働基準審議会の意見を聞きたいと思っでございますが、その過程におきまして当然労働大臣なり地方の労働基準局長は関係労働者の意見をお聞きするという場はつくりたいと思っでございます。
#246
○中西珠子君 それでは、第十条につきましてお伺いしたいんですが、公正取引委員会との関係です。公正取引委員会との調整を労働時間短縮実施計画を承認するに当たってなさるということが決められているわけですね。だけれども、いわゆる独禁法に抵触するようなことが労働時間短縮の計画の中に果たして入ってくるというのは何か奇異な感じがするんですけれども、どのような具体的なことを想定してこういう条文をお入れになったのでしょうか。
#247
○説明員(井上文彦君) 例えば、時間短縮という名目で営業日とか営業時間を制限いたしまして、それによって例えば値上げの問題とか価格の引き上げを図るとか、そういういわゆる消費者に不当に迷惑をかけるというふうな、そういうことに関しましては独禁法上からも適当ではない、そういうふうに考えます。例えば、そういうこと等も問題の一つとして考えられるんではないかというふうに考えてございます。
#248
○中西珠子君 そういたしますと、次の第十一条につきましてちょっとお聞きしたいんでございますけれども、「労働大臣及び当該業種に属する事業を所管する大臣は、承認計画の的確な実施を確保するため、承認事業主に対し、必要な情報及び資料の提供、承認計画の実施に関する助言を行う者の派遣その他必要な援助を行うように努めるものとする。」と、こうなっていますね。「必要な援助」というのはどういう内容をお考えですか。
#249
○説明員(井上文彦君) 労働時間短縮実施計画が承認された場合でございますが、当該計画が実効性が上がりますように当該事業主団体に対しまして、私どもといたしましては例えばパンフレットの作成とかフォローアップのための会議の開催等に対する援助とかアドバイザーの派遣、時短に関します各情報提供等を行いまして、その計画の実効性が上がるように援助してまいりたいというふうに考えてございます。
#250
○中西珠子君 助成金などの支給はお考えになっていないわけですか。
#251
○説明員(井上文彦君) 各事業主団体に先ほど申し上げましたアドバイザーの派遣とか情報の提供とかということで、助成金までは考えてございません。
#252
○政府委員(佐藤勝美君) 特に、中小企業団体の時短等の雇用改善の措置につきましては助成金等の措置が別途ございますが、その場合に、この法律に基づきます計画を実施する事業主に対してアドバイザーの派遣等のいろんな相談、指導の業務があるわけでございますが、そういう業務を通じましてそういった助成金の利用の仕方等の指導を十分にやっていきたいというふうに考えております。
 それから、ついでで恐縮ですが、先ほどの中央職業安定審議会のメンバーの件で、実は私の申し上げましたのは間違っておりまして大変失礼をいたしました。中央職業安定審議会には公益委員に女性の方が一人おられます。佐野先生が入っておられます。
#253
○中西珠子君 女性をふやしていただくことをさっきお願いいたしましたから、繰り返して申し上げません。
 とにかく日本では、長時間労働長時間労働ということで国際的な経済摩擦の一つの原因にもなっ
ているわけで、勤労者、日本人全体のゆとりある生活の実現のためにも労働時間短縮をしなければならないけれども、やはり国際的な基準に近づけていく必要があるわけでございますね。ですけれども、現在産業別の中分類で見た場合の労働時間がもう非常に長くてどうにもならないような業種、職種というのはあると思うんですけれども、それはどのようなところでしょうか。
#254
○説明員(井上文彦君) 長時間労働の業種でございますが、平成三年度について見ますと、最も長いのが木材・木製品製造業でございまして、これが二千百九十五時間、続きまして輸送用機器製造業が二千百六十一時間、運輸・通信業が二千百五十四時間、建設業が二千百四十八時間、こういうような状況になってございます。
#255
○中西珠子君 職種で言うとどういうところが多いとお思いになりますか。
#256
○説明員(鈴木直和君) ただいまのは業種別に申し上げましたが、職種別という観点からは現在統計をとっておりません。
 職種につきましては、こういった業種の細かい統計で具体的にどういった職種が長いかということを推定しながら考えております。
#257
○中西珠子君 こういった長時間労働の業種につきまして、労働時間短縮を実現するためにどのような指導をやっていらっしゃいますか。
#258
○説明員(井上文彦君) 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような長時間労働の業種につきましてはその業界等といろいろ相談いたしまして、例えば現在労働時間短縮のおくれております四つの業種につきまして、木材・木製品製造業、印刷業、建設業、道路貨物運送業等につきまして、それぞれその業界としての労働時間の短縮の指針を労働省として作成いたしまして、これをもとに関係団体、それと関係省庁と連携しながら労働時間短縮のための措置といいますか、労働時間短縮に向けての努力を業界全体としておとりいただくようお願いしているところでございます。
#259
○中西珠子君 今おっしゃいませんでしたけれども、情報サービス業、この中で殊にシステムエンジニアとかプログラマー、こういう人たちは徹夜の連続だそうで、三十歳代でもうへとへとになってしまって仕事が続けられなくなる人もいると聞いておりますけれども、こういう人たちに対しての労働時間短縮の指導はやっていらっしゃいますか。
#260
○説明員(井上文彦君) 御指摘のように、情報サービス業につきましては従来から残業時間が長いこと等が注目されてございます。私どもといたしましては、昭和六十二年度におきまして業界団体の協力を得ながら情報サービス業における労働時間の実態と労働時間の短縮の進め方に関する調査研究を実施いたしました。この調査研究を踏まえまして、平成元年四月に業界団体に対しまして労働時間短縮の推進に関する計画の策定とこれに基づきます。界団体としての取り組みを要請いたしました。業界としては、この要請を受けまして情報サービス業労働時間短縮計画を策定いたしまして平成二年一月に労働省労働基準局長あてに報告があったところでございます。
 これらの計画をもとに、業界として自主的に時短に向けて努力をお願いするとともに、我々としてもできる限りの協力とか指導等を行っているところでございます。
#261
○中西珠子君 運輸・通信業がまた非常に労働時間が長いということで、先ほども二千百五十四時間だというお話がありましたけれども、その中で職種別に見ると、殊にトラックの運転手やタクシー運転手の長時間労働が非常に問題だと思うんです。事故にもつながるわけでございますが、この人たちに対してはどのような指導をやっていらっしゃいますか。
#262
○説明員(井上文彦君) 御指摘のように運輸関係、特にトラックとかバス、タクシー、ハイヤー等はその労働の実態等もほかの産業とかなり違っている面もございますので、トラック、バス、タクシー、ハイヤー等につきましてはそれぞれ独自の指針をつくりまして私どもと運輸省、それとトラック業界、バス業界、ハイヤー業界、タクシー業界等と例えば一日の拘束時間なり一カ月の拘束時間なりを具体的に定めまして指導を行っているところでございます。四十時間制に向けましてそれぞれの業界で一日の拘束時間、年間の拘束時間等を今検討しているところでございます。
#263
○中西珠子君 建設業についても非常に長時間労働だという御答弁がありましたけれども、建設業の週休二日制の普及状況というのはどういうふうになっていますでしょうか。また、どのような指導をやっていらっしゃいますか。
#264
○説明員(井上文彦君) 建設業に対する指導でございますが、一つには建設業協会に全国的な建設業界としての指針をつくっていただきまして建設省と一緒になってその実現方を努力しているところでございます。また、定期的に建設省とも協議会を開きまして時短について検討しているところでございます。建設省の方でも、例えば公共工事等でモデル的に週休二日制の導入等勘案した予算のシステム等をとっていただいているところでございます。
 それから、建設業における週休二日制の実態でございますが、平成二年の数字でございますが、何らかの形の週休二日制適用労働者数の割合は、調査産業計で八六・四%でございましたが、建設業では六七・一%と、まだ二〇ポイントぐらいの開きがあるということでございます。建設業、特殊な面もございますが、公共工事等におけるモデル的な週休二日制の導入等、こういうものをてこに我々としても今後努力していきたいと考えでございます。
#265
○中西珠子君 私の持っている資料では、これは労働省の賃金労働時間制度等総合調査によるものだと思いますが、完全週休二日制をとっている企業の割合は平成二年てだった三%、月三回が二・二%、隔週が六・五%、月二回が一〇・八%、月一回が一九%と、こうなっているわけです。非常に週休二日制の導入はおくれているということが言えると思いますが、この数字は間違っていますか。
#266
○説明員(鈴木直和君) ただいま手元に平成二年の数字を持っておりますが、平成二年では調査産業計が三九・二%でございます。それに対して建設業では、完全週休二日制の採用をしている企業の割合は七・五%ということで、現在手元に平成二年の数字しかございませんが、おっしゃるように全産業と比べてかなり大きな差があることは事実でございます。
#267
○中西珠子君 建設業では、労働時間の短縮が非常に難しいその一つの理由は、工期とか発注時期等の発注条件に大きく左右されるから非常に労働時間短縮が難しいということがあると思うんです。発注者の理解の促進とか発注時期の平準化、適正工期の確保等いろいろ発注条件の改善に取り組んでいくことが必要だと思いますが、この点に関しては労働省としてはこの法案の中にどのような対策を盛り込んでいらっしゃいますか、お聞きします。
#268
○説明員(井上文彦君) 建設業、御指摘のようにいろんな難しい問題がございます。建設業の時短に関しましては、建設省も熱心に取り組んでございますので、私どもといたしましてはこの法案にございます労働時間推進計画等におきまして、その時短の進め方等につきまして具体的な記述等検討してまいりたいと考えでございます。
#269
○中西珠子君 法案の第二条三項それから法案の第十一条二項、こういったところを使ってやっていらっしゃるおつもりですか。
#270
○説明員(井上文彦君) 具体的には、実際にはそういうところを使って推進計画等の中で盛り込んでいきたいと考えでございます。
#271
○中西珠子君 とにかく、長時間労働が恒常的になっている業種が多いわけで、その時間短縮のための指導というものは大変難しいとは思いますけれども、印刷業あたりはどういうことになっておりますか。
#272
○説明員(井上文彦君) 印刷業も納期の関係等相手に左右されるものもございまして非常に難しいところでございますが、ただ印刷業におきましても、やはり将来の労働力の確保の観点なり現在の労働者の健康の観点等から積極的に業界として取り組む姿勢ができてございまして、先ほども申し上げました印刷業における労働時間の短縮の指針を作成いたしまして、印刷業界として構造改善の一環として各県の工業会等を中心に現在取り組んでいるところでございます。
#273
○中西珠子君 先ほどからいろいろお話を伺っていますが、いわゆる四業種の長時間労働で悪名高い業種に対して、指針をそれぞれ労働省がおつくりになって業界への指導をやっていらっしゃるわけですけれども、これを関係省庁と一体になってやっていただく必要があるのではないかと思います。それを労働省の指針ばかりでなく国の全体の指針として業界指導をやっていく、また地域ごとに業界指導をやっていくというお考えはありませんか。
#274
○説明員(井上文彦君) 先ほども申し上げましたように、四業種について現在指針をつくってございます。この指針につきましては、例えば建設省とか運輸省とかそういう関係省庁と共同で進めているわけでございまして、業界ともあわせて三位一体といいますか、三者一体になってやってございますので、その点で十分効果が上がっていくんではないか。また、地方におきましても、例えば先ほど申し上げました各県の印刷工業会等が積極的に取り組んでございますので、それに対する支援を講じてまいりたいというように考えでございます。
#275
○中西珠子君 労働時間短縮推進のために、関係の諸官庁をやはり大いに労働省としては刺激していただきまして協力してやっていっていただきたいと思っておりますし、また先ほどおっしゃったように大いにもう協力関係ができているということでございますが、労働時間短縮推進本部というふうなものを総理府に置いて、そして関係官庁が全部そこへ出てきてやるというふうなことは考えていらっしゃらないんですか。
#276
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御案内のとおり、今度の法案が通りますと労働時間短縮についての推進計画、これは閣議決定でございますので、当然閣議決定までの段階で関係各省と十分連絡をして、そして関係各省が協力をするという決定をしてくれないと閣議決定となりませんから、そういう点ではまさに内閣挙げてこの問題に取り組むいわば基本的な姿勢があって初めて閣議決定がなされる、こういうことでございます。それが決定された上はもう関係各省それぞれ約束していることでございますから、労働省としては積極的に協力を求めてその実質の効果を上げてまいる決心でございます。
#277
○中西珠子君 労働時間推進計画をおつくりになって閣議決定をなさるということで、これまでよりもずっと労働省としてはやりやすくおなりになるんだろうと思います。ですから、これが国を挙げて労働時間短縮に取り組んでいくという姿勢をあらわしているものと受けとめますけれども、閣議決定の前にいろいろほかの官庁や地方のレベルでも協議をなすったり協力を要請するときに、常時本部があった方がやりやすいのではないかと思ったわけでございます。でも、そんな本部など要らないと、閣議決定はきちっとやるからということであれば、またそれで大いに国を挙げてやっていくという姿勢をお示しになって、労働省が強力にこの労働時間短縮を推進していただきたいと思うわけでございます。
#278
○国務大臣(近藤鉄雄君) 最近、この時間短縮に熱心なのは労働省だけじゃございませんで、労働省もまさに一貫して言ってきたわけでありますけれども、最近は例えば通産省も、中小企業の時間短縮をどうするんだということを言っておりますし、例えば通産省産業構造審議会がなんかで自動車業界がどうだとか電気機械がどうだとか、どんどん取り上げておりますし、それから建設業は建設省、運輸業は運輸省、それぞれ所管の行政に対して積極的に時短に取り組もうということを出しておりますので、私は非常にいい雰囲気だと思うんです。
 ですから、関係各省が挙げてそれぞれ自分の所管産業での時短を進めるようにアイデアをどんどん出してくれておりますから、労働省はその中心に立ってそして大いにこういった各省の創意工夫とか発想というものをまとめていこうと、こう思っております。
 むしろ、これは私の個人的な考えてありますが、労働大臣は責任を持ってこれをやるんだと、内閣総理大臣の指示を受けてという形で。いろんな本部はたくさんございます、ありますが、私もいろんな関係で出ますけれども、形は本部なんだけれども何かかえって責任が分散するような面もございまして、むしろ労働省が中心になってやるということでいいのじゃないかと私は考えております。
#279
○中西珠子君 中曽根内閣のときに、中曽根総理の施政方針演説に対して私は質問をさせていただいたんですが、そのときに労働時間短縮の必要性を訴えましたところが、労使の間でそれは自主的に決めるものだというお答えだったわけです。そのときのことを考えますと、やはり国際的に経済摩擦の一つの原因として長時間労働がたたかれたということもありますし、また国民がちっともゆとりや豊かさを感じられないという声を上げてきたということもありまして、労働時間短縮が絶対にこれは緊急事であるいうことを広く各関係省庁も認識されたということは非常に喜ばしいことだと思いますし、本当に国際的に時間短縮をやっていくという決意を示すためにも、また実態において時間短縮が実現するためにも、ILOの時短関係の条約とか、それからまた家庭責任を持つ男女労働者の均等待遇に関する条約、百五十六号ですが、こういったものを近い将来において批准するおつもりは大臣、おありになりますでしょうか。
#280
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働省としてはといいますか、我が国政府としては、ILO条約の中でまだ未批准のものにつきましては、これは我が国の国情、実情を踏まえながら、しかも必要な法案整備をしながら速やかに批准をしてまいりたい、こういう基本的な考えでございます。
 先生御指摘の労働時間に関するILO条約でございますけれども、これはまさに今労働時間短縮についてこういう法案の御審議をお願いして進めているわけでございますけれども、多少まだ法律技術的に我が国の国情に合わないような面もございますので、こういったものをどういう調整をするかということを考え中でございますし、また家族的責任を有ずみ労働者条約ですか、これにつきましても、まさに家族的な責任といいますか、家庭生活そして雇用労働関係、雇用状況というものをいかに調和するかということがこれからの労働行政の大きな課題でございますので、これも具体的にいろいろな問題はございますからなお国内的にも整備をする必要があると思いますけれども、批准する方向で今後ともいろいろ検討を続けてまいりたいと考えております。
#281
○中西珠子君 どうもありがとうございます。
 時間が参りましたので終わります。
#282
○委員長(向山一人君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#283
○委員長(向山一人君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府より趣旨説明を聴取いたします。近藤労働大臣。
#284
○国務大臣(近藤鉄雄君) ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 近年、職業生活の中でその能力を有効に発揮したいという希望を持つ女性が増加している中で、それぞれの就業ニーズに応じたきめ細かな再就職援助措置を講じていくことが重要になっていることにかんがみ、労働省では、平成三年度から、女子の就業希望登録、離職期間中の職業情報の提供、職業講習、きめ細かな職業紹介サービス等を内容とするレディス・ハローワーク事業を実施しております。
 この案件は、レディス・ハローワーク事業を専門的に推進する組織として、公共職業安定所の出張所を横浜市、神戸市及び福岡市の三カ所に設置するほか、近年の地域における労働市場の変化や産業構造、企業立地の動向等を踏まえ、公共職業安定所の出張所二カ所を設置することについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、国会の御承認を求めようとするものであります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承認くださいますようお願いを申し上げます。
#285
○委員長(向山一人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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