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1992/06/18 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第11号
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1992/06/18 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第11号

#1
第123回国会 労働委員会 第11号
平成四年六月十八日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     清水 澄子君     喜岡  淳君
     下村  泰君     西川  潔君
 六月十八日
    辞任         補欠選任
     星野 朋市君     平井 卓志君
     喜岡  淳君     清水 澄子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         向山 一人君
    理 事
                田辺 哲夫君
                仲川 幸男君
                細谷 昭雄君
                山中 郁子君
    委 員
                狩野  安君
                佐々木 満君
                山東 昭子君
                須藤良太郎君
                清水 澄子君
                庄司  中君
                対馬 孝且君
                西岡瑠璃子君
                西野 康雄君
                中西 珠子君
                笹野 貞子君
                橋本孝一郎君
                西川  潔君
   国務大臣
       労 働 大 臣  近藤 鉄雄君
   政府委員
       大蔵大臣官房審
       議官       西村 吉正君
       中小企業庁計画
       部長       桑原 茂樹君
       運輸省自動車交
       通局技術安全部
       長        堀込 徳年君
       労働省労働基準
       局長       佐藤 勝美君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定
       局長       若林 之矩君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐野  厚君
   説明員
       公正取引委員会
       事務局経済部調
       整課長      山田 昭雄君
       公正取引委員会
       事務局経済部事
       業者団体指導官 小久保榮一郎君
       厚生省健康政策
       局看護課長    矢野 正子君
       林野庁林政部長  鈴木 久司君
       運輸省鉄道局次
       長        黒野 匡彦君
       労働省労働基準
       局賃金時間部長  井上 文彦君
       建設大臣官房審
       議官       小野 邦久君
       建設大臣官房技
       術調整室長    青山 俊樹君
       建設省建設経済
       局労働資材対策
       室長       尾見 博武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案
 (内閣提出、衆議院送付)
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
 き、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○トラック運輸労働者の待遇改善に関する請願
 (第一三〇号外一一件)
○パートタイム労働法の早期制定等に関する請願
 (第七一六号外九件)
○パートタイム労働者の労働条件改善に関する請
 願(第一三八九号外二件)
○パートタイム労働法の制定に関する請願(第一
 四〇八号)
○パートタイム労働者に関する法の整備に関する
 請願(第二〇六四号外一件)
○障害者の雇用率引上げ、雇用完全実施、職域拡
 大及び指導の強化に関する請願(第二二三二号
 外三一件)
○労災補償保険法等福祉諸制度改悪、後退の阻止
 に関する請願(第二二三七号外三二件)
○労災ナーシングホームの増設と入居基準に関す
 る請願(第一二三八号外三一件)
○労災病院の全府県設置に関する請願(第二二三
 九号外三一件)
○労災年金受給者の遺族補償制度の受給要件の改
 善に関する請願(第二二四〇号外三一件)
○パートタイム労働者の労働条件の改善に関する
 請願(第三〇三一号)
○介護休業制度の導入促進に関する請願(第三〇
 三二号)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(向山一人君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、清水澄子君及び下村泰君が委員を辞任され、その補欠として喜岡淳君及び西川潔君が選任されました。
 また、本日、星野朋市君が委員を辞任され、その補欠として平井卓志君が選任されました。
#3
○委員長(向山一人君) 労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○山東昭子君 まず最初に、二点お伺いしたい。
 労働時間については、既に労働基準法により一日と一週間単位の法定基準が定められていますが、なぜそれ以外の法律が必要なのかということ。また、使用者が守らなければならない最低基準の法的効果は今までもあり、それを上回る時間短縮は労使間で協議の上進めることが労使自治の原則だと思うのですが、いかがでございましょうか。
#5
○政府委員(佐藤勝美君) 労働基準法は最低基準を定める法律でありまして、労働時間につきましても法定労働時間その他必要な規定を設けているところでございます。ただ、それを超えまして労働時間をどう短縮していくかということにつきましては、本来労使間の問題ということになるわけでございますけれども、ただそうは申しましても同業他社との横並びの関係等の阻害要因によりまして労使の自主的努力が進めにくいという状況が見られるわけでございます。そういう状況にかんがみまして、そういった阻害要因をなくして、労使が労働時間短縮を進めやすくするような環境整備を図りたいということで、今回御審議をいただいている法案を提出しているところでございます。
#6
○山東昭子君 経済審議会で審議されている新経済五カ年計画では、平成八年度までに年間総労働時間千八百時間にしたいということですが、労働省の毎月の勤労統計調査では平成三年度が二千八時間平均になっておりますが、この二百時間以上の差を縮めるには、大臣、どうすればできるとお考えでしょうか。
#7
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御案内のように、現行の経済五カ年計画の中で既にもう千八百時間にしたい、こう言っておったわけでございますが、実は私もこの計画をつくる初期の段階で関係をした者として反省しておるわけでございます。当時は、今思い起こしますと内需拡大のために、週休二日制とかそれから連続有給休暇をとるとそれがまさに勤労者のレジャーとかいろんな消費を引き起こすだろう。そういうことの視点が先行しておって、そして実際それができる企業経営とか産業構造等についてはどうもはっきりした認識がなかったのではないかなと私は今反省しておるわけでございます。
 そうは言っても、先生も御指摘ございましたように、労働時間の短縮はもう年間三十数時間ずつ減っているわけでございますから、二百時間というと単純割り算いたしますと六年かかれば二百時間減ると、こうなるわけでございます。したがって、これを今新しい経済計画の中では千八百時間にしよう、そういうことをはっきりと目標を掲げるというふうに聞いておりますが、そのために五年間で二百時間ということは一年に四十時間でありますから、既にもう三十数時間、三十六時間ぐらいで最近下がっているのをあとひとつ頑張って四十時間ずつ減らしていただけると五年以内に二百時間の短縮が可能だと、こういうことでございます。
 そのために、今局長も答弁いたしましたようにやっぱり国としていろいろお手伝いすることはしなければならないし、またそういった環境づくり、フレームワークづくりをやりたいし、また御指導、御援助申し上げたい、こういうことで今回この法案を提案させていただいて、御審議いただいて、この法案の成立を見て三十六時間から四十時間まで後押しをして、そしてぜひひとつ今度はきちっと達成をするようにいたしたい、こういう考えでございます。
#8
○山東昭子君 労働省では、一九八九年の年間総労働時間について欧米との比較を発表しておりますが、欧米では一人で二つ以上の職業を持つマルチジョブも見られるといいます。我が国でも以前、国鉄時代の労働者がアルバイトをしていたことがございました。こうした実態を踏まえますと、推計値だけで単純に比較し時短が進んでいると判断するのはちょっと難しいんではないでしょうか。
#9
○政府委員(佐藤勝美君) 労働時間を国際間で比較する場合につきましては、統計調査の方法が違うあるいは定義が違うというようなことでなかなか比較困難な場合が多いわけでございますけれども、労働省で発表しております数字はそういった国際間、国による違いをできるだけ調整をいたしましてデータの基準をそろえた上で推計、試算をいたしておるわけでございます。また、対象労働者につきましても、全産業ということにつきまして今申しましたことをやるということはなかなか難しい面がございますから、製造業の生産労働者につきましての数字を発表しているわけでございます。こうしてつくりましたデータの比較によりますと、いわゆるヨーロッパの先進国あるいはアメリカ等と比較して年間で二百時間から五百時間ぐらい日本の方が多いのではないかという結果が出てきているわけでございます。
 こうした違いが出てくる背景には、例えば完全週休二日制が欧米諸国ではほとんど完全にそうなっているというのに対して、我が国ではまだ中小企業を中心に普及がおくれているというようなこと、それから欧米諸国では夏に長期休暇をとるというような慣行が定着をしていること、あるいは年次有給休暇を完全にとるというようなことがございます。そういったことから年間の労働時間の差が出てくるわけでございます。
 ただ、先生御指摘のように一日の労働時間が短くなればなるほど本業のほかにもう一つ仕事を持つというような傾向が出てくることはあり得ることでございまして、これは欧米でそういうことがあるというふうに聞いておりますし、日本でもそういうことがある、あるいはまた今後ふえてくるかもしれません。しかし現状では、そういうことを考えましても、やはり日本の労働時間が同じようなあるいはそれ以下の経済レベルにあるような先進国と比べて長いことはほぼ間違いないというふうに私どもは考えておりますけれども、今後そういったマルチジョブホルダーのような問題がだんだん出てくるに従いまして、こういった比較についてもいろんな考慮を加えて正確な比較方法を考えるようにしなければならないというふうには思っておるところでございます。
#10
○山東昭子君 千八百時間を法的基準内で考えますと、残業部分の余地がゼロに等しいわけですね。残業は、企業の景気の変動に応じてふやしたり減らしたりしながら労働力の大幅なレイオフを回避するというプラスの機能があると思います。その点から、千八百時間の目標が国民の、特に使用者のコンセンサスがあるのかどうか疑問なのですが、大臣はどう思われますでしょうか。
#11
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生も御指摘のとおり、千八百時間の計算根拠を見ておりますと、有林二十日間休んで国民の休日十五日、それから週休二日、あと三日余分に休んで、残ったいわば労働に及ぶ日が八時間で計算すると、計算上はおよそ千八百になるわけであります。まさにこうきちっとなっちゃいますと身動きができないんじゃないかということで、これは先生も御指摘になったようにある程度雇用調整を、頭数でしないで勤労時間で調整するのがむしろ日本の経営の、また産業構造のフレキシビリティーであったという、そういう評価もあるわけでございますから、きちっきちっとしちゃうとどうにもならないじゃないかという御指摘は私もよくわかります。
 ただ、これは率直に言って二点ございまして、一つはこれはマクロの、平均の議論でございますから、だから今局長兄話をしましたように国全体の平均で千八百時間ということはその中でいろんなでこぼこがあるわけです。だからもう率直に言って、フレックスタイムだとかパートだとかそういう形で、非常に労働時間の短い人たちとそれから一部長い人たちとの合計で議論すると国全体として千八百時間ということは可能なわけですね。だから、そういう意味で平均値としての議論でございますから、個々の産業の中ではある程度の余裕が、調整の余力があるというマクロの関係が一つ。
 それから、そう言ったってそれじゃ片方でフレックスタイムとかパートがたくさんいるから、こっちはじゃんじゃん二千何百時間やっていいのかということではないのであって、それはそれなりに目標として千八百時間を個別企業の中でやっていただくんだけれども、全体で千八百時間を達成する状態では、率直に言って先進的な企業においては週四十時間、これは法定労働時間だけれども、いわゆる企業ベースの所定内労働時間は四十時間を切って、例えば三十五時間とかいう形で、プラス所定外で仕事が一つと、合わせて四十時間、こういう形でそういう企業内の調整もできるような状態になってくるんじゃないか、こういうことでございます。
 マクロの議論が一つとそれからミクロの議論と、両方の視点から私は千八百時間というのは達成すべき時間であり、また経営者の方々もそういうことでそれを頭から前提にしていただいて、だから労働者が遊ぶのではなしに、限られた時間の中でより高い生産性を上げるような努力を労使ともども真剣にしていただきたい、こういうことを申し上げているわけであります。
#12
○山東昭子君 残業削減のために、現在二五%以上となっております時間外の休日労働の法定割り増し賃金率の引き上げが検討されているようですけれども、果たして残業の削減になるかということでございます。私もこの委員会の視察で大手の自動車工場に参りましたけれども、労使で話し合うと労働者がみずから残業したいと言ってくるのでさせている、こういう話も聞きましたし、勤労者の中には残業所得を生計費の一部として考えて生活設計を立てている人もいると思うのですが、割り増し賃金率の引き上げはむしろ残業促進効果になるんじゃないかと思うのでございますが、いかがでしょうか。
#13
○説明員(井上文彦君) 割り増し賃金の問題でございますが、これは現在中央労働基準審議会で検討されてございまして、その中で今いろんな意見があるわけでございます。例えば、今先生御指摘のように労働者が収入増を志向することからむしろ残業を誘発するのではないかというような指摘もございます。また、残業自体につきましてはコストアップにつながりますので、全体としては残業の抑制効果になるのではないかという意見もございます。また、そのほか割り増し率につきましては国際的に見て欧米諸国の実態と比べますとかなり低いのではないかというような意見もございまして、今それらの意見が真剣に議論されているところでございまして、私ども割り増し賃金率につきましては十分議論をしていただき、コンセンサ又を得ることが必要ではないかというふうに考えてございます。
#14
○山東昭子君 次に、労働基準法の見直しについて伺います。
 現在、原則として週四十四時間が基準になっておりますが、実態として多くの事業所でこれは適用されているのでございましょうか。
#15
○説明員(井上文彦君) 四十四時間の問題でございますが、事業場が就業規則などで定めております週の所定労働時間は、御存じのように週休二日制の普及などを反映いたしまして着実に短縮しているところでございます。賃金労働時間制度等総合調査というのがございますが、それによりますと平成二年におきまして事業場平均で四十三時間十九分というのが現状でございます。また、その分布状態を見ますと、四十四時間以下の事業場が五八・九%というような状況でございます。
 なお、基準法上四十四時間を猶予されている問題がございますので、平成五年三月三十一日までの間、規模、業種によりましては四十四時間を猶予して四十六時間というような状況でございますが、このため法制上四十四時間労働制が適用されている事業場は現在八・九%、適用労働者数は三六・三%というような状況でございます。
#16
○山東昭子君 今お話がありましたように、時短が困難な業種や中小企業には猶予措置として週四十六時間、特例として四十八時間という基準がありますけれども、こうした対象事業所というのは業務の性格上今後も大幅な時短は困難ではないかと思いますが、その辺の見通しはいかがでございましょうか。
#17
○説明員(井上文彦君) 御指摘のように、業種、規模等によっていろんな実態がございますので、私どもといたしましては、今後週四十時間労働制の実現とか、年間総労働時間千八百時間程度に向けての努力につきましては、やはりその規模なり業種ごとの実態を踏まえた対策が必要だというふうに考えてございます。特に中小企業につきましては、大企業に比べまして経営基盤の問題とか取引先との関係、同業他社の動向等もございまして、現在週休二日制の導入等につきましてはかなり差があるというような状況でございます。
 私どもといたしましては、特に中小企業の労働時間の短縮につきましては集団として取り組むということが非常に効果的であるという観点から、同業種集団とか同一地域集団等に対しまして中小企業労働力確保法による措置などを活用いたしまして、いろんな形で助言、支援を行っているところでございます。また、今後本法案を生かしまして、労働時間短縮実施計画等によりまして企業、業界、一体となった取り組み措置を支援することによりまして、私どもとしてはできるだけ円滑に労働時間短縮を進めていきたいというふうに考えてございます。
#18
○山東昭子君 これまで四十八時間から四十六時間、四十四時間と段階的に短縮されるように図られてきましたが、今回の見直しも四十二時間制というくらいが考え方として妥当なのではないでしょうか。
#19
○政府委員(佐藤勝美君) これまで再三申し上げておりますように、この労働基準法の問題につきましては現在改正労働基準法附則の見直し規定に基づきまして昨年の四月から中央労働基準審議会で御審議をいただいているわけでございまして、その審議内容は週四十時間労働制への移行も含め労働時間法制全般にわたっての検討ということでございます。
 それで、現在私どもは四十時間への移行ということで考えているわけでございますけれども、ただ労働時間法制につきましては、特に基準法におきます問題としては業種や規模の違いも含めまして全体的な労働時間の実態を踏まえて検討することが必要であるということから、ことしの五月、六月に全国的に労働時間総合実態調査によりまして実態の把握をいたしております。この調査の結果等も踏まえまして鋭意検討が進められるというふうに考えておるところでございます。
#20
○山東昭子君 先ほどもちょっとコストアップの点については触れられましたけれども、企業にとって週二時間以上の短縮は相当なコストアップになると思われますが、どの程度を見込んでおられるのかお伺いしたい。
#21
○説明員(井上文彦君) 企業が労働時間の短縮を進めるためにはそのための要員の確保の問題等がございまして、企業のコスト構造、いろんなあり方はあるかと思いますが、これに見合いました生産性の向上がないと当然企業のコストアップにつながるわけでございます。
 時短とコストアップの関係につきまして、いろんな要素がございましてなかなか一概に言えない面がございますが、例えば私どもが委託して中小企業百社につきまして調査をいたしますと、時短に積極的に取り組んでいる中小企業百社でございましたが、そのうち約九割強で時短に伴って生産性を向上させている、また同時に、時短の短縮率と生産性の上昇率がほぼ同じかそれを上回る生産性の向上を実現しているという報告もございます。これらの企業につきましては、時短をやるに際しまして労使が協力いたしまして業務の効率化とか原価管理とか在庫管理の徹底、従業員の意識向上対策、そういう面に積極的に取り組んだ結果、時短のいい効果を導き出しているんではないかというふうにも考えでございます。
 また、私どもが慶応大学の研究所に委託して調査をやりますと、経済全体で二%程度の時短では、約〇・五から〇・九%、三分の一から約半分ぐらいの生産性の上昇が見られるというような報告もございます。
 一概に時短とコストアップの関係につきまして計算することは難しいとは思いますが、私どもといたしましては、ぜひ労働時間短縮に当たっては労使の努力によりまして生産性を向上し、これができるだけコストアップに結びつかないようにすることが重要だというふうに考えてございます。
#22
○山東昭子君 労働コストのアップが生産性を上回る場合、最も頭が痛いのは当然製品価格のアップになることでございます。すると国民は、休みはふえたけれども物価は上がるし、どこに遊びに行っても人件費アップでサービス産業の利用は高くつく、また日給の人は収入が少なくなる。先日タクシーに乗りましたら運転手さんが、我々のような歩合制の勤労者というのは、休日はマイカーがふえてちっとも乗ってくれないもので商売は上がったりだ、平日に売り上げを上げるためには早朝から深夜までくたくたになって働かなければならない、そんなことを言っておりました。
 こういう話を聞きますと、時間短縮も本当にいいのかちょっと首をひねってしまうわけでして、こうしたことを少しでも回避するために政府としては企業、特に中小企業に対して一体どのような支援策を考えておられるのか、大臣にこれはお伺いしたいと思います。
#23
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生から大変大事な御指摘がございまして、週四十四時間の企業が二時間減らすということは約五%ですよね。五%労働時間を減らすわけですから、その分だけ五%生産性を上げてくれなければ、賃金支払いは変わらずに時間だけ五%減らして、そして生産性が五%ふえなければ元が取れないわけですからこれは大変なことで、まして今度は四十四時間から四時間減らすということは一割ですからね。ですから、まさに先生の御指摘のとおりコストアップになるということはあると思います。
 ただ問題は、一挙に一割なり五%じゃなしに先ほど言いましたように五年なら五年かけてやるということであれば、例えば五%のコストアップを一%ずつやっていって、そうすると生産性の向上と今部長が言いましたようにどれだけ相殺しながらいくかというこういうことであって、私は私自身の近藤鉄雄事務所の経営を考えてみてまだまだこれは合理化の余地があるかもしれませんね。だから、やりようではそういうふうに初めからもう――私もいろんな中小企業の方々から御相談があるものですから、申し上げるのは、腹をくくって決めたら案外それは社長むだに時間を使っていますよと。だから、そういう形で考えていくと私は、生産性アップでそして時短がうまくいってコストアップにならない、こういう分野はまだまだあるというふうに考えているわけであります。
 ただ、さっきのタクシーであるとか理髪だとか、それからいわゆるサービスというのはなかなか合理化、機械化で代替できない分野も多いわけでありますから、これは私はやはり率直に言ってコストアップになって、それが先般タクシーの運賃料金の引き上げみたいな格好になっているわけですね。あのときも、タクシーの運賃の引き上げは運転手さんに対してちゃんと還元をしてくださいよという話があってのことだというふうに私は記憶しているわけでございます。そういう分野がございますから、そっちの方では確かに消費物価を上げてしまって、そして時短は進むけれども、消費物価水準が高くなって国民生活からはマイナスだ、こういう面は確かにあると思いますが、最初に申しましたように、私は今の日本の経営、相当進んでいけばもっともっと努力して生産性を向上する余地もありますから、そういうサービス分野一分野の物価の上昇と、それから生産性の向上によって安くできる分野とがバランスをしていけはできるんじゃないか、こういうことでございます。
 そこで、前置きが長くなってしまいましたけれども、そういう企業で設備合理化、省力化、時短促進の投資をすることで生産性の向上に資するような分野、特にこれまでおくれておった中小企業について私は積極的な協力の措置を講じていきたい。幸い、既に昨年から中小企業労働力確保法という法律がございまして、これは中小企業の方々がある程度まとまってそういう合理化、省力化投資をしようというためには財投金利と同じ五・五%で国民金融公庫、中小企業金融公庫でお貸しできる制度がございますので、これは去年できたばかりの制度で余りまたPRされていないですね。
 ですから、今度の緊急経済対策の中でもこれを表へ取り上げまして、そして県と基準局とそれから関係者が通産局も中小企業庁も一緒になってこういう時短促進融資というものを積極的にPRをして活用していただこう、こういうことになってございます。特に、労働省はその中で、今私が基準局長や関係者に命じて、そういう時短促進関連融資のパンフレットをつくらせておりまして、わかりやすいパンフレットをつくって、そしてこれからこの法案ができたら今度は基準局や監督署の窓口にパンフレットを積んでおきなさい、そしていろんな方々が時短の御相談に来られたときは、こういうようないい制度がありますからぜひ活用していただきたい。場合によっては、中小企業金融公庫や国民金融公庫に連絡してやりなさいよというぐらいのバックアップをしますよということを考えて、やっぱりこれからは生産性向上の余地のある中小企業に対しては積極的な融資や、場合によってはこれから税制も考えて、そして十分な時短を促進しながら生産性を向上していただく。そして、中小企業の経営が成り立つようなことを政府の責任において積極的に進めていきたい、かように考えております。
#24
○山東昭子君 続いて、ホワイトカラーの労働時間管理の見直しについてお伺いしたいと思います。
 ホワイトカラーとブルーカラーとは区別して考えるべきなどの論議があると聞いておりますけれども、私もアメリカの企業を幾つか視察をいたしまして感じたんですが、会社の中でフィットネスクラブをつくって、仕事上でストレスがたまると二時間ぐらいそこへ行って休んで、そしてまた仕事につくというように、実にフレキシブルに会社が労働時間を管理している姿を見て感心をいたしました。
 ホワイトカラーの場合、日々の労働時間と成果というものは生産現場と違って明確な関連性がないと思っております。したがって、労働時間基準とは異なった適用外といった考え方があってもいいのではないかと考えているんですが、欧米の例と労働省の考え方はいかがでございましょうか。
#25
○政府委員(佐藤勝美君) 近年、産業構造や職業構造が多様化をしてまいりまして、その中で定型的でない業務といいますか、言ってみれば労働時間の長さと業績とが必ずしも比例的でないような、創造性を必要とする業務といいましょうか、そういう業務がふえてきたということで、一律の労働時間管理にはなじまないような分野もふえてきていることは御指摘のとおりでございます。
 こういった状況を背景にいたしまして、例えば研究開発職などのように、労働時間管理が実際には困難な職種につきまして、一定の業務遂行に必要な時間を労使協定によりまして定める、その業務に従事した勤労者、労働者はその時間労働したものとみなす、裁量労働制と言っておりますけれども、こういった裁量労働制が認められているところでございまして、こうした分野におきましては、このような制度の導入によりまして、労働者の自主的な活動を尊重することが望ましいというふうに考えております。
 欧米の例ということでございますけれども、日本の労働基準法に当たります各国の法制によります労働時間の規制というのはいろいろでございまして、なかなか単純に比較することが難しいわけでございますが、ホワイトカラーの適用除外につきましては、一部の国ではかなり広いというふうにも言われておりますし、大体見ますと管理監督的な立場にある者がその適用除外とされていることが多いわけです。
 ただ、この点につきましては日本も同様でございまして、我が国の労働基準法でも労働時間や休憩、休日に関します規定は、管理監督的な職務についている方あるいは機密を扱う職務についている方につきましては適用除外というふうにされているわけでございます。したがいまして、細部につきましてはいろいろ違いはありますけれども、大体はそういった欧米の国と似たような制度になっているというふうに考えております。
#26
○山東昭子君 さらに、一部の企業では管理職を中心に年俸契約社員制という方法もあらわれておりますし、雇用契約や賃金の支払いの方法などについても、ホワイトカラーの労働基準に関する見直しが必要だと思いますけれども、その点はいかがでございましょうか。
#27
○政府委員(佐藤勝美君) おっしゃいますように、年俸制というのは、つまり業績と年間の報酬を直接結びつけるような形のものがこれからだんだんふえてくると思います。
 こういう点につきまして、現在の法制との関係はどうなるかという研究は私どももいたしておりますし、また将来そういった実態の変化に応じた措置もとらなければならない時期が来るのかとも思っておりますが、ただやはり気をつけなければいけないのは、ホワイトカラーであるあるいは事務職であるということで無原則に労働基準法上の規制を外すというふうなことにならないように、十分その実態と法律の意味を考えながらこういう問題に対処をしていく必要があろうというふうに考えておるところでございます。
#28
○山東昭子君 よく労働の後の休息は最大の喜びであるというような話もございますけれども、大臣はゆとりであるとかあるいは快適さ、こういうことは一体どういうことが目標といいましょうか、大臣のお考えになるそうした理想というもの、それをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#29
○国務大臣(近藤鉄雄君) 私ども労働時間短縮をこうして推進する立場にあっていつもぶつかる疑問は、仕事がそんなにおもしろくなかったら仕事なんかやめたらどうだと、人生にはほかにいろんなことがあるじゃないかと、こんなことをおっしゃる。私は必ずしもそうじゃないんで、私も二週間ばかり入院をしておりまして、楽といえば楽だけれども、やっぱりこうして大臣として国会で皆さんから御質問を受けて御指導を受けるのも、これは大変楽しいというとあれでありますけれども、刺激になること、励みになることでございます。だから、私は短ければいいというものではないとまず基本的に考えているんです。
 だから、私もいろんな経営者の方々と御相談をする、お話をする機会がございますけれども、片一方で時短を進める立場に立ちながら、同時に理想かもしれないけれども、もう時間が来ちゃったのかなと、何だあと一時間でも二時間でもこんな楽しい仕事ならしたいのだけれども、もう帰らなきゃならないのかというような職場の雰囲気をつくることも大事であるとこういうふうに考えます。私は基準局の幹部と話をしているんだけれども、やっぱりこれからの基準行政というのは、労働時間だとか最低賃金だとかそういうミニマムな条件をパスするということじゃなしに、むしろ最低水準じゃなく、いかにこれから上に行くかということであって、今度の国会でも皆さんに御審議いただいた快適職場づくり、それから安全な職場づくりについての労働安全衛生法の改正もお願いしたわけでございますが、そういう形の仕事の環境自身を快適にしていくという、そういう前向きな労働管理ということに我々は取り組むべきじゃないかと、かように考えているわけであります。
 しかし、それをあれにして、快適だからいつまでもいいのかなというわけでもないんであって、そこは人生は、仕事も大事でございますけれども、家庭の生活だとかそういう自分のいろんな仕事以外の趣味に生きるということも大事でありますから、そういう楽しい仕事をしながら片一方で家庭を大事にし、そしていろんな文化的な行動もする、また最近のような社会的なボランティア活動にも積極的に参加をする。そういうことがまさに生活大国日本の私たちの生活のありようではないかと、こんな理想を掲げながら私ども今労働行政に取り組んでいる、こういうことでございます。
#30
○山東昭子君 私も昨年、科学技術庁長官として、二十一世紀に向けて「ゆとり」・「優しさ」・「快適さ」を考える懇談会を設けまして、さまざまな研究をして仕事をしてまいりましたけれども、生活大国を目指す我が国の勤労者が男女ともに気持ちよく働けるような環境づくりに労働省が全力を尽くしてくださることを期待いたしまして、質問を終わります。
    ―――――――――――――
#31
○委員長(向山一人君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、喜岡淳君が委員を辞任され、その補欠として清水澄子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#32
○細谷昭雄君 本題に入る前に、大臣とそれから運輸省にお聞きしたいと思うわけでございます。
 大臣、退院も日の浅いのに、きのうからきょうと大変に御答弁を御苦労さまでございます。余りたくさんは大臣には質問しないつもりでございますが、冒頭のはどうしてもこれは大臣にお願いしたい、こういうふうに思っています。
 それはあえて説明を要するものでもございませんが、去る五月二十八日に、いわゆるJRの採用差別事件に対する中労委の、最終のいわば解決案なるものが出されたわけでございます。極めて微妙な段階でございます。五年前に私は当時衆議院でこの問題に参画いたしましたけれども、これは大変な問題があって、しかも国会の決議で、政府に対し一人も路頭に迷わせることのないようにということを国会で決議をして、政府にその責務を負わせてきたという経過がございます。
 去る三月二十三日ですか、大臣にも総理にも、そして運輸大臣にも私は要請いたしました。汗を流していただきたい、その点の御回答も得ておるわけでありますが、なお一層極めて難しい段階、極めて微妙な段階にございますが、所管大臣としまして、やっぱり何とか国会決議にありますように、困っている全員の皆さん方を救済するということに一汗も二汗もかいていただきたい、このことが一つでございます。これは運輸省に対しても同様の質問をしたいと思います。
#33
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘の、国鉄民営化に伴うこの問題につきましては、私も労働大臣になりまして以来大変頭を痛めておる問題でございまして、中労委の会長にも最初お会いしたときから、これは大変な問題だけれども、ひとつ何とか皆さんの御努力で円滑に円満な解決ができるように努力していただきたい、こういうふうに申し上げてまいったわけでございます。
 御案内のように、中労委としてもこれまでもいろいろ議論をして関係者の意見を聴取してまいったわけでありますが、三月いっぱいに双方で何とか歩み寄れないかということで、まず双方の歩み寄りの努力をまつ、こういうことでおったわけでございますが、残念ながら両者の意見の一致ができなかった。こういうことを受けて、しからば中労委としてその中に立っていろいろ努力しよう、こういうことで、中労委としての案を四月、五月、二カ月かけた議論を尽くした上で発表したのが五月二十八日の案であったわけであります。
 これに対して、いわゆる国労側では不満だと、こういうようなことで中労委の方にその旨申し入れているというような状況でございますし、片やJR側はまたこれもいろいろ意見があるようでございまして、今まだ検討中、こういうことでございます。私は、これは率直に申し上げまして最近の我が国の行政の中で、NTTの民営化とか国鉄等の民営化というのは一つの大きな行政の実績だと評価しているわけでございますが、そういう中で国鉄問題では、もう依然として千名を超える方々が大変な御苦労をしていらっしゃるということは、私は非常に胸を痛めるものでございます。
 これは、いろんな経緯があってのことでございまして、それぞれの立場立場のお考え、御意見は十分私もわかったつもりでございますが、問題は今のような状況をこれからいつまで続けていっていいのかということでございまして、やっぱりこれは労働省としては一日も早いこういった方々の再就職を何とか実現をいたしたい。
 そのためには、両者歩み寄っていただけることがあれば何とか歩み寄っていただいて、そしてそういった方々がこれからちゃんとしたお仕事についていただけるために、労働行政の面でいろいろ雇用調整とか雇用創出だとかについてはこれまでの政策手段もございますから、そういう雇用創出のための政策手段というものを全面的に活用させていただいて、そういった方々の速やかな雇用確保に全力を傾けてまいりたい。運輸大臣に対しても、そういうことをひとつ運輸省としても力になってくださいよということを申し上げておりまして、せっかく中労委がいろんな苦労をして出されたものでございますので、何とかこの線で関係者に御理解、御同意いただけないかというのが現段階の私の本当の率直な気持ちでございます。
#34
○説明員(黒野匡彦君) 今先生御指摘のとおり、五月二十八日に中労委が解決案をお示しいただきました。大変この間、中労委の委員の方々、事務局の方々に御努力いただきまして、その点につきまして私どもといたしましても心から敬意を表させていただきたいと思っております。
 ただ、この内容につきまして、JRの立場からいえば従来の主張からかなり離れておりまして、それなりに厳しいものではございます。これは率直に申し上げましてそう申し上げたいと思います。
 ただ、私どもといたしましては、今労働大臣の方からお話し申し上げましたとおり大変経緯のある話でもあり、重要な問題でございますから、決して軽々な判断をすることなく、慎重の上にも慎重に考えるようにと、こういう指示をJRにしております。今JRの方でいろいろな面から検討を進めているところでございます。
 ただ、国労側の方が早々と拒否の回答をされたというふうに伺っておりまして、これまた何と申しましょうか、我々といたしまして困惑しているというのが正直なところでございまして、これから一体どういうふうに持っていったらいいのかなというふうに正直申しまして悩んでおります。ただ、それはそれといたしまして、この長い間の懸案事項を解決する非常に大事な機会だと我々とらえておりまして、そういう方向でこれからも対応してまいりたいと、かように考えております。
#35
○細谷昭雄君 中労委の最終解決案に対する批評というのは私はいたしません、ここでは。いろいろな考え方があるわけです。やはりさっき言いましたように、非常に微妙な段階というふうに思います。
 どうかひとつ近藤大臣も、そしてきょうは奥田大臣のかわりに局長、次長がおいでになっておると思いますので、ぜひまた大臣にもきょうの私の趣旨をお伝え願いたい。そして、やっぱり一汗も二汗もかいて解決に善処をしていただきたいということを強く要請したいと思うわけであります。
 それから次に、これもまた運輸省にお聞きしたいんですが、実は私は去る三月二十三日の予算委員会で、新幹線に「のぞみ」を走らせた、この「のぞみ」が本当に安全なのかどうか。東海道新幹線に私たまに乗りますと物すごく揺れる。あんなので大丈夫かと、こういうふうに念を押して聞いたところが、鉄道局長がこれはもう安全設計を第一に考えた、しかも実験を重ねておる、したがってこれは大丈夫ですという太鼓判を押したんです。ところが、あに図らんや、その直後にボルト事故が起きておる。
 そして、新聞報道によりますと、私が質問するその前の三月の十四日時点で既にそういう事故がもう発生しておったということが後からわかったというふうな話もあるんです。問題は、私はJR、まあJRといってもあそこは東海だと思うんですが、安全第一よりも営業第一に考えているんじゃないのかな、その営業姿勢ということにやっぱり問題があるんじゃないか、こんなふうに思うんです。別な報道によりますと、確かに東北新幹線にもあったというふうに聞いております、このボルト事故というのは。しかし、東北新幹線の場合は実験段階でもう既に発見されておる。ところが、根本的に違いますのは、東海道新幹線の場合は営業してから発見する。そこが根本的に整備体制といいますか点検体制というか、そういう意味の安全に対する姿勢というのが違うんじゃないのか、こんなふうに思うわけです。
 細かな説明は要りませんけれども、こういうことに対するいわゆる安全性に対しての国民の不安、「のぞみ」に対する不安、こういうものをきちっと解消する意味で、監督官庁であります運輸省に今後の対処の仕方について端的に答えていただきたいと思います。
#36
○説明員(黒野匡彦君) 鉄道といたしまして、特に新幹線という高速走行するシステムにとりまして安全が何よりも大事であるということはまさに先生おっしゃるとおりでございます。
 今回の事故は、まさに我々が想像しなかったような原因によって起きたわけでございますが、これを教訓といたしまして、車両納入の際の安全点検とかその辺につきましてJR東海の方に厳しい指示をいたしましたし、現にJR東海の方でそれに対応した体制を組んでおります。こういうことのないようにさらに万全を期したいと思っております。
#37
○細谷昭雄君 去年ですか、信楽鉄道の大事故、そしてせんだっては関東鉄道ですか、この電車が駅ビルかどこかに突っ込んだというふうな事故が続いているわけです。これはやっぱりどこかにそういう意味では営業第一主義の問題があるんじゃないか、こんなふうに思うんです。したがって、監督官庁の運輸省はそういう点では今後も万々全の対策、点検、そういう安全対策、こういったものについてひとつ念入りにやっていただきたいということを強く要望したいと思うんです。
 一つだけお礼申し上げたいと思うんですが、この前の労働委員会におきまして、去年の信楽鉄道の大事故の遺族に対して西日本首脳部が遺族に対する陳謝をしていないということを指摘しましたが、皆さん方の運輸省の恐らく指導があったと思うんです、その後首脳部が遺族会に参りまして、そしておわびをしたということが報じられておりました。その労を多としたいと思うわけであります。
 次に、本題に入りたいと思いますが、いろいろ同僚委員の皆さん方からるるお話がございました。私も、大抵我々の党は一番先にやりますので、後の方々の苦労というのがよくわかりました。今、山東委員もお話がございましたが、いろいろ重複することが多いわけでございます。これから私たち、対馬委員と一緒に最後のあれをやるわけですが、いろいろ重複することがありましたらひとつ御勘弁願いたいというふうに思います。
 私は、主として労働時間が非常に長いと言われております四業種、こういったいろんな業種についての問題について取り上げたいと思うわけでございます。大変多種多様にわたり、しかも監督官庁も七つぐちいにわたっておるという関係もございまして、私も修飾語を一切除いて端的に質問いたしますので、皆さん方の方も修飾語は全然除きまして端的に短い時間でお答え願いたい、こんなふうに思っております。
 まず、労働時間の長いというのは、何といいましても一つは建設業、それから木材・木製品製造業、印刷産業、陸上貨物運送業の四業種というふうに言われておりまして、この四業種が労働時間短縮指針が策定されそれに基づいて指導が行われておりますけれども、これらの業種につきましては、本法案による労働時間短縮実施計画に移行することが考えられているのかどうか、これが第一点であります。その場合、指針によって描かれている時短目標はそのまま実施計画へ引き継がれるのかどうか、これが第二点。この点をまず最初にお伺いしたいと思います。
#38
○政府委員(佐藤勝美君) 特定業種労働時間短縮推進事業を平成二年度と平成三年度に労働省で実施したわけでございますが、対象業種は今先生が言われたとおりでございます。
 この特定業種労働時間短縮推進事業では、労働時間短縮指針というものを行政がつくっていたわけでございます。内容は、労働時間短縮の目標、業界、それから個別企業が取り組むべき課題等を内容とするものでございますけれども、この指針に基づきまして個別企業におきます取り組み方法を示すマニュアルをつくる、あるいは労働時間短縮推進員の選任を促進する、あるいは推進員に対します研修等を行ってきた、こういう性格のものでございました。
 一方、現在御審議いただいております法案の労働時間短縮実施計画の承認制度におきましては、同一の業種の事業主が共同で策定した計画を行政が承認をするということでございますので、両方の制度は性格が違うわけでございますけれども、ただ指針に基づきます指導や指針に盛り込まれました目標等は、これはその業界の労働時間短縮促進のためのものであります。制度が違うということから、そのまま両制度の間で引き継がれるものではございませんが、今申しましたように、当該業種におきます労働時間短縮を進めるためのものでございますので、この法案の中で規定をされております事業主の実施計画の策定に当たりましては、これまでの特定業種の事業においてつくられました指針が十分生かされますように指針の周知徹底に積極的に努めてまいりたいというふうに思っております。
#39
○細谷昭雄君 局長、もうちょっと手短にひとつ答弁願いたいと思います。
 第二番目は、労働省は平成四年度予算に業種別労働時間短縮推進事業、これを創設したわけでありますが、この事業は、四業種について時短指針を策定した事業の形を変えたもの、つまり続編というふうに受け取っていいのかどうか、本法との接点ほどこなのか、今後のこれらの業種に対する事業の拡大をどういうふうに考えておるのか。これは端的にひとつ御答弁願いたいと思います。
#40
○政府委員(佐藤勝美君) これまで実施をしてまいりました事業につきましては、この新しい法律に基づきます各種措置の推進に当たりましても、従来の業種別の事業の目的や内容を十分踏まえた取り組みができるように努めてまいりたいと思っております。
#41
○細谷昭雄君 次に、具体的な業種にかかわる問題を提起したいと思います。
 まず最初にトラック関係でございます。四業種の中で最も労働時間が長くて、時短指針では、平成二年の労働者の一人当たりの年間総労働時間は、全産業平均の二千五十二時間に対し、このトラック業界は二千五百三十八時間と五百時間近くも上回っております。時短というのが大変これはもう求められておるというふうに指摘されておるわけであります。
 一方、昭和六十三年の四月に施行されました改正労働基準法、これでは平成三年四月一日以降法定労働時間が週四十四時間、こういうふうに改められておりますけれども、運輸交通業にあっては時間短縮の困難性という点から平成五年三月三十一日までの間は週四十六時間とする猶予措置が適用されております。これはもう御案内のとおりであります。
 そこで、まず私はお聞きしたいんですが、このような道路貨物運送業への法定時間の適用については、昨年の四月一日から四十六時間へ移行されておりますが、これに際しまして業界に無理がなかったのかどうか、このことをお聞きします。
#42
○政府委員(堀込徳年君) お答えいたします。昨年四月一日の週四十六時間への移行状況を運輸省が調査しましたところによりますと、ちょうど一年前でございますが、所定内労働時間につきましては、週四十六時間を超える事業者は全体の三・二%でございましたが、その後運輸省の指導によりまして、昨年の暮れにはほぼ一〇〇%の事業者が四十六時間以下となっております。トラック運送事業について労働時間の短縮ということはなかなか困難なことでございますが、運輸省といたしましても、トラック事業に係る長時間労働の是正は輸送サービスを提供する上からも、また労働力確保の上からも重要なことでございますので、今後ともあらゆる機会をとらえて労働時間の短縮を指導してまいりたいと思います。
#43
○細谷昭雄君 道路運送業は三K職場の一つというふうによく言われておりまして、特にトラック運転手を中心に恒常的な人手不足が言われておるわけであります。しかし、これを理由にして時短に対して改善努力を怠るということはますます労働力の確保を難しくするということの一面がございます。
 したがって、このような事態は当然のこととして理解されていることなのでありますから、猶予措置に甘んずることなく大規模経営から率先して四十四時間へ移行させるべきであります。例えば、東京証券取引所の一部上場されておるような大企業でさえもこの猶予措置が講ぜられておるということはやっぱり不自然だと思うんですね。これは何としましてもそういう点でもう当然四十四時間制にする、この猶予措置はそういう大企業は外すというほどの英断がなければ進まないと思うんですが、いかがですか。
#44
○説明員(井上文彦君) 道路貨物運送業や道路旅客運送業の労働時間は、先ほどもお話にございましたように最近では着実に減少してございますが、ほかの産業に比べますと相当長い実態にございます。こうした運送業につきましては週法定労働時間に関しまして一定の猶予措置を講じているところでございますが、この措置は来年三月限りで廃止されることになっておりますので、すべての事業場で四十四時間制に移行されるよう指導援助の強化をまず図っていくことが重要だと考えております。
#45
○細谷昭雄君 猶予措置の点でやっぱり本格的にひとつ考える必要があるんじゃないかというふうに思うんです。現在の改正労働基準法は、法定労働時間四十時間を本則で規定はしておりますが、いかなる業種にも四十時間が適用されておらず、すべてを経過措置に任せておるという仕組みになっていると思うわけであります。それで、本則で四十時間制ということを規定しておりながら、そういうことをとっておりますので実質的にはまだ四十四時間であるということになってしまうわけでありまして、このような愚かさを二度と繰り返さないよう審議会の真剣な検討を望みたいと思うんですが、いかがでしょうか。この点の検討です。
#46
○政府委員(佐藤勝美君) 現在でも猶予対象事業場につきましては、猶予期間は四十六時間のままで結構ですと言っているわけではないことは御承知のとおりで、できるだけ早く四十四時間をクリアするようにという指導をしているわけです。御指摘のように、この改正労働基準法附則に基づきます見直しにおきましては、この猶予措置の問題は大変重要な課題の一つでございまして、この点につきましては、労働基準審議会での議論あるいはその後の私どもの案の作成に当たりまして一つの中心的な課題であるというふうに認識いたしております。
#47
○細谷昭雄君 ぜひ審議会ではその点を本腰を入れてひとつお願いしたい、こんなふうに思っております。
 次に、四週六休制の普及の見通しについてお伺いしたいと思うんですが、トラック業界に現在適用されている猶予措置、これは先ほど言いましたように平成五年三月三十一日まで週四十六時間、これは四週五休制に相当するわけであります。
 そこで、時短指針では平成四年度までに全企業において四週六休制を実現し、その後三年以内の間に完全週休二日制の実現に努めるものとすると規定しておるわけでありますが、今年度中に四週六休制を実現するということは可能かどうか、これをお伺いしたいと思います。
#48
○政府委員(堀込徳年君) お答えいたします。
 四週六休の実態でございますが、トラック業界の調べによりますと、本年五月現在で四割弱でございます。時短指針に基づきまして現在私ども一生懸命指導しているところでございますが、今一年度中に四週六休を完全にということになるとちょっとまだはかり知れないものがございますので、引き続き強力に指導してまいりたいと思っています。
#49
○細谷昭雄君 さっきの猶予措置の全部一律というのはやっぱりおかしいんですよ、大企業ありますから。ああいう問題になっているようなのもありますし、そういう点でできるところからやっていくということをぜひお願いしたい。
 そこで、「流通ニッポン」という業界紙の報道によりますと、運輸省はことしの三月三十一日に全日本トラック協会あてに自動車交通局の貨物課長名で文書を送って、まあ一部の地域で既に実施しておりますが、地域別一斉休日を全国に拡大するよう積極的な取り組みを求めておるというふうに報道されております。大変これはいいことだと思うんですが、問題は運輸省の指導によって全ト協、全日本トラック協会、これの実施しておるトラック業界における一斉休日、これの推進活動を時短促進案の実施計画制度にのせていったら大変うまいことになるんじゃないかというふうに思うんですね。この点のお考えはございませんか。
#50
○政府委員(堀込徳年君) 私ども、先生御指摘のように、時短の呼びかけから本年三月に課長名で地域別一斉休日ということをトラック業界に指導したところでございます。
 これは、そもそも平成二年十二月の運輸政策審議会の中でトラック運送事業の労働時間の確保のための方策としてそういう策が打ち出されたわけでございまして、私どもそれにのっとって指導しているわけでございます。全ト協、全日本トラック協会を通じまして現在地方トラック協会に対してそういう指導をしているわけでございます。だんだんこういうものが制度として定着していく傾向にあるんじゃないか、かように思っているわけでございます。
#51
○細谷昭雄君 問題は、今私が聞いているのは、今度の法律案で実施計画が立てられるわけです。その実施計画にその申し合わせをそのまますっとのせられないのか、そのことなんです。
#52
○政府委員(堀込徳年君) 実施計画にのせる件につきましては、もう少し法案の段階で労働省さんともいろいろ詰めてまいりたいと思っております。
#53
○細谷昭雄君 そのために、きょうは皆さん方においで願っているわけです。これは、労働省任せではない、政府一体として閣議決定でやるということでありますので、政府の一員として運輸省もぜひもう一体になってやっていただきたい。そのことが今一番いい方法だし理想だというふうに思いますので、ぜひ積極的な検討をお願いしたいというふうに思います。
 次に、公正取引委員会においで願っておりますので、独占禁止法との調整についてお伺いしたいと思います。
 物流関係の問題は、例えば今言ったような運輸省の自動車交通局貨物課長の文書によりますと、一斉休日に関する独占禁止法の考え方、これが添付されておったようであります。そのいわゆる基本になっているというものは、昭和五十四年八月に出されました「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」、こういうのがあるわけです。
 要は、この独占禁止法との関係は、業界団体が横並びで具体的な時短計画を実施していく場合、非常に難しい調整を余儀なくされることにならざるを得ないと思われます。公正取引委員会は、労働基準法における法定労働時間の遵守、時短促進法が成立した場合には、その趣旨に沿った時短の推進、政府の決定する経済計画の実現のための時短の推進のために、労働省及び事業所管官庁の承認を受けて実施する業界団体の活動については独占禁止法の適用についても配慮されてしかるべきではないか、このように思うんですが、その点はいかがでしょうか。
#54
○説明員(山田昭雄君) 私どもといたしましても、時短の促進ということが非常に重要な課題であるということを認識しておるわけでございまして、この本法案の八条に基づいて設立されます実施計画が法案の要件に適合すれば、一般的に言えば通常は独禁法上の問題は生じないというふうに考えております。
 他方、事業者の不安を解消して計画を実施する、そのために、実施計画の承認につきまして個々のケースごとに問題ないということを主務大臣と事前に調整し、お伝えするということが必要であるとこのように考えておりまして、そういう今法案のスキームにもなっているわけでございまして、これを適正に運用してまいりたいと、このように考えております。
#55
○細谷昭雄君 この時短を今回の本法を入れますと、すごく公正取引委員会に実際は触れていくということにならざるを得ない点が非常に多いわけです。
 そこで一つの例なんですが、需要者の利益を不当に害しない、こういうことがいわば公正取引委員会としては少なくとも需要者の立場でつくられておる委員会でございますので、この不当に害しないという概念の問題ですが、この解釈が、例えばある特定の県の道路貨物運送業者が全ト協の指導によって四週六休体制を導入した場合、新たに実施される休日には業務が行われない。そうすると、需要者はその日に今までのような輸送サービス、宅配を受けることができなくなる。その意味では、利益を害されたということになりますけれども、これがいわゆる公正取引委員会で言う需要者の利益を不当に害したことになるかどうか。そして、需要者の利益が害されてもそれが不当であるかそうでないかはどのような判断によって決めるのか、この明確な基準があるのかどうか、非常に難しい問題なんです。この点についていかがでしょうか。
#56
○説明員(小久保榮一郎君) 事業者団体が労働問題に対処するために休養日等の基準を定めて時短を推進することによって、需要者にとっては従前に比べて何らかの不便をもたらす。そういったことが予想されないわけではないわけですけれども、独占禁止法の立場から申しますと、それが直ちに独占禁止法上の問題になると考えておるわけではございません。
 しかし、需要者にとって必要不可欠な財、サービスの利用ができない、それによって著しい不便を来す、そういったものであってはならないであろうと思いますし、またそういうものであれば時短を推進するために需要者の理解なり協力が得られないという趣旨で、需要者の利益を不当に害さないという要件を設定したものと考えておるわけです。需要者の利便に著しく不便を来すかどうか、これは本来個別的に判断を要する事柄ではあろうと思いますけれども、先生お尋ねのケースについてあえて一般的に申し上げれば、通常独占禁止法上の問題に直ちになるとは考えがたいというふうに考えておるところでございます。
#57
○細谷昭雄君 これは恐らく基準というのは社会の要請なり、社会の進展に伴って変わっていくんじゃないか、こんなふうに思います。したがって、便利だ便利だ、ニーズをどんどん要求していきますと、そこに働いている皆さん方は際限なくもうコマネズミのように働かなくちゃいけない。今では、宅配は時間指定までされておるというほどの過当競争です。したがって、これはどうしてもやっぱりどこかで歯どめをかけなくちゃいけないというふうに思うわけであります。
 守るべき需要者の利益というのは何なのか、これについてひとつお伺いしたいと思うんですが、独占禁止法の制度が消費者の利益保護と公正な競争の維持を目的としていることはよく理解できますし、自由主義経済のもとではこれが共通のルールでなければならないというふうに私も思います。しかし、各論に入りますと、無限とも考えられる消費者の利益を前提にしていたら、そこで働く労働者の権利というのが守られなくなる。これも当然なわけです。
 そこで、その両立をどうするのか。例えば、翌日配達を原則とした宅配便、これは現在花盛りであります。もう過当競争と言ってもいいと思います。この人手不足が深刻化しておる道路貨物運送事業に従事する労働者の労働条件をますます悪化させておるという要因になっておるわけでありますが、このような状況のもとで労働者の労働時間の短縮を図る結果として、翌日配達が困難になるなどサービスの低下を余儀なくされる、こういう事態が発生したとしても、それをもって需要者の利益を害したと言えるかどうか。
 これは、独占禁止法の立場上守られなければならない需要者の利益というのは何か、そしてこの場合に労働者の権利との調整はどのようになされるのか。これは非常に難しい問題でありますが、どういうふうにお考えなのかお伺いしたい。
#58
○説明員(山田昭雄君) 先生御指摘のとおり、独占禁止法は一般消費者の利益の保護ということを究極の目的にしておるわけでございますが、それは公正かつ自由な競争を促進することによりまして、究極的には一般消費者の利益を確保する、こういう考え方に立っておるわけでございます。
 したがいまして、例えば労働時間短縮の名目で事業者間で生産数量を制限したり、あるいは価格を引き上げる、こういうことによって本来そもそもは市場において自由な事業活動を通じて決定される価格とか数量、これが制限されるということになれば、こういった行為は一般消費者の利益を不当に害することとなると思います。他方、労働時間が本法案に定める要件に適合するものであれば、その実施によって若干の不便が生ずることがありましても、独占禁止法に規定する一般消費者の利益を害するということではないというふうに考えております。
 そういうことでございますので、独禁法の枠内で労働時間の短縮を促進するということは十分可能でありますし、またこの法律案の私どもと所管大臣との事前の調整ということもそういうために置かれているというように考えておるわけでございます。
#59
○細谷昭雄君 今お話しのとおり、トラック協会ならトラック協会がそういうふうに進めた場合、これは世の中にどこにもあるわけですが、抜け駆けのいわば利益を得たいアウトサイダーがあらわれるのはこれは世の常なわけでありますが、業界横並びでないと時短が進まないというこういう現状の中にそういう抜け駆けをするもの、これが出てくるところがあります。そこで問題になるのは脱退することを不当に制限しない、こういう問題があります。これとアウトサイダーの規制をどのようにバランスをとっていくのか、この点についてひとつ労働と公取の見解をお聞きしたいと思います。
#60
○説明員(井上文彦君) 時短の実施計画の承認制度につきましては、これは業界一体の自主的な取り組みを促進するというものでございまして、仮に参加、退脱の自由を不当に罰金等によって制限しますと、これは独禁法上の問題が生じますし、また参加を強制しても自主的な努力を期待できないというものほかえって計画実現の上で阻害要因にもなるというふうに考えますので、あくまでも参加、脱退の自由を承認の要件としたものでございます。
#61
○説明員(山田昭雄君) この承認制度は、業界の実情に応じた業界の自主的な取り組みによって時短が促進されるというものであるというふうに承知しておるわけでございます。事業者がお互いの理解のもとに自主的に時短を進めていくということが効果的であると思いますし、独禁法の立場から申しますと、脱退者に過大な違約金を課すそういった場合は別とすれば、実際問題といたしましては、脱退しようとする者に対しては計画にとどまるようにというような話もあるでしょうし、また労働省の方からもあるいは監督官庁が計画にとどまるように慫慂するようなこともあると思います。
 したがいまして、御質問のようなケースというのはそういう措置等によりまして実際には適切に実施されていくものではないか、このように考えておる次第でございます。
#62
○細谷昭雄君 どうかひとつ監督官庁としましても、運輸省としてもそれから公取、労働省としましても、そういうアウトサイダーが出てこないよう具体的にそういう側面の指導もぜひしっかりやっていただきたい、こんなふうに思うわけでございます。要望しておきたいと思います。
 労働省にお伺いしますが、年間所定労働時間の目標についてお聞きしたいと思います。
 印刷産業労働時間短縮指針、これが平成五年までに全企業において年間所定労働時間は千九百五十時間以下とするものとするという目標を掲げているほかは、木材・木製品産業それから建設業、陸上貨物運輸業のいずれについても達成すべき年間所定労働時間の目標が示されていない、これが現状であります。そこで、目標を設定することが難しい現実というのは理解しないわけじゃございませんが、新経済計画では計画期間中における千八百時間の達成が具体的に示される状況であることを考えると、いかに難しいとはいえ、これらの特定業種において千八百時間へ向けての道筋、これを具体的に示すときではないのか、こんなふうに思うんですが、労働省の見解を簡単にお聞きし、たいというふうに思います。
#63
○説明員(井上文彦君) その指針でございますが、これはもう先生御指摘のように、それぞれの業種の実態を踏まえまして業界全体が取り組むべき当面の目標というものを定めたものでございます。
 業界団体、個別企業等におきましては、この指針の実現に向けて労働時間短縮推進員とか労働時間短縮推進マニュアル等をつくりまして努力しているところでございます。具体的な目標につきましては、その進捗状況によって今後の問題だというふうに考えてございます。
#64
○細谷昭雄君 これはやっぱり甘えさせるということはよくないと思うんですよ。これは難しい難しいというのは私だってわかるんですよ、実際。わかるんですが、やっぱりこういうふうに来年度のいわば基準法改正という大目標に向かっての環境整備でありますので、ぜひこの点はやっていただきたい、こんなふうに強く要望したいと思います。
 次に、中小零細企業、先ほど山東委員からも御質問がございましたので重複するかもしれませんが、お許し願いたいと思います。
 中小零細企業、特に零細企業の場合は労働組合を持っておらない、そして長時間労働だということはもう御案内のとおりであります。大変なものだと思うんです。まず最初に、中小零細企業の労働時間の問題について中小企業庁にお伺いしたいと思います。
 平成元年の毎月勤労統計の調査によりますと、一人から四人程度の事業所、零細企業ですね、これの年間総労働時間は二千百七十一時間であり、五百人以上の規模の事業所、二千九十五時間に比べますと、統計上だけでも七十六時間多くなっておる。特に大企業と零細企業との間で顕著な規模間格差が認められておりますが、中小零細事業所の労働時間の実態をどのように理解され、そして中小零細事業所に対してこの法案がどの程度に効果があるというふうにお考えなのか、中小企業庁としてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#65
○政府委員(桑原茂樹君) 中小零細企業の労働時間につきましては、今御指摘ございましたとおり、より大規模の企業に比べますと労働時間が長くなっております。残念なことではございますが事実でございます。しかし、中小零細企業といえども労働力を確保するという観点から労働時間を短縮しなければならないというような実情にもございまして、いろいろの努力をされておられまして、近年統計を見ますとそれでもだんだん総労働時間も短くなっていく傾向にございます。我々としましては、そうした傾向を今後とも引き続き維持していくように、いろんな形で中小零細企業に援助をしていきたいというふうに思っているわけでございます。
 今回の法律で中小零細企業の労働時間の短縮というものがどう図られるかという御質問でございますけれども、現在御審議いただいておりますこの時短法案によりますと、時短促進のために同業種の中小企業が共同で計画をつくるということになってございまして、この計画づくりは中小零細企業も含んだ形でつくられるということもあろうかと思いますので、そういう意味で効果があるというふうに思います。そういうものと並行いたしまして、従来中小零細企業の時短を促進するために我々とってきたいろいろな施策がございます。金融上、税制上あるいは下請中小企業振興法に基づくいろんな措置、その他いろいろございますので、こういうものをあわせてこれからも活用をいたしまして中小零細企業の時短促進を図っていきたい、こういうふうに思っております。
#66
○細谷昭雄君 特に私たち感ずることは、零細企業におきましては、もう労働組合もないし、ほとんど町工場の親方といいますか工場主、その方々の善意に頼っているという状態が多いわけであります。そういう意味では、業界という形でまとめていくしかない。しかも、労働省なり中小企業庁は直接的にじゃなくて、恐らく地域のそれぞれ都道府県段階における業界の指導ということにならざるを得ないんじゃないか、こんなふうにも予想されますので、十二分にひとつ、今までは余り中小企業庁自体がもう零細企業に働く人力の労働条件云々なんということは頭になかったと思うんですが、これを機会にひとつ一体になってそれらの労働条件の向上に一汗流していただきたい、こんなふうに要請したいと思うわけです。
 次に、中小企業は大企業に比較しまして所定内労働時間が非常に長くて残業が少ない、こういう特徴がございます。要するに週休二日制の普及がおくれているということでございますが、週休二日制の実施がおくれているのは親会社、取引先の関係がその理由の主なものになっておるようであります、いろいろ統計ございますが。そこで、中小零細企業における週休二日制の労働時間短縮を促進するためには、環境整備に努めることはもとより、必要な指導を行うとともに財政上、金融上のあらゆる援助措置を積極的に拡充すべきではないか。それがなければなかなか進まない。もうやっぱりお金の相談ということになると思うんです。
 その点で、中小企業庁が今考えられていること、ないしはこれから考えられることはどんなことがあるんでしょうか。
#67
○政府委員(桑原茂樹君) 中小企業の時短促進あるいは週休二日制の普及に向けまして、我々今までもいろいろ努力してきましたけれども、これからも引き続き大いに努力をしていきたいと思っております。
 どういう分野でこうした支援をするかというのについては、三つの分野があるというふうに思うわけでございまして、まず一つは省力化投資の問題でございます。省力化投資を中小企業も積極的に進めまして、職場環境の改善はもとより、少ない人手で生産が図られるというような環境を整備する必要がございまして、このために従来から金融なり税制なり、あるいは予算上のいろいろな措置を講じておりますけれども、昨年中小企業労働力確保法を制定していただきましたので、この法律も大いに活用いたしまして、そういう努力をしていきたいというふうに思うのが一つでございます。
 もう一つは、中小零細企業の場合、あるいは下請企業の場合でございますと、親企業からのいろいろな下請をするときの条件がございまして、この条件によってはなかなか時短が図れないということがございますので、我々としては下請中小企業振興法に基づきまして、その下請のいろいろな条件が中小企業にとっても時短ができるような条件になるように、これからも大いに努力をしていきたいというふうに思うわけでございます。
 それから三番目といたしまして、その労働時間の短縮に関して中小企業でいろいろ努力をするわけでございますけれども、いろいろなアドバイスを差し上げる、相談に親切に応じる、あるいは技術の開発をするというようないわば指導助言業務というものがございますけれども、この辺につきましてもこれからも積極的に拡充をしていきたいと、以上三つの分野でおっしゃるような方向で努力をしていきたいというふうに思っております。
#68
○細谷昭雄君 アドバイザー事業につきましては、私が今質問しようと思っておったんですが、わかりました。
 次は融資制度の問題と利用状況についてお伺いしたいんですが、平成四年三月三十一日の緊急経済対策におきましては、省力化投資、今お話がございました充実促進ということでいろいろやっておるようでございます。しかし、これは大蔵の関係ということで、中小企業庁は零細企業ですので直接は関係ないと思うんですが、いろんなこういうふうな融資制度、今お話ししました三つの点のほかにこの時短という点で直接入るというふうなそういう助成制度があるのかどうか。お考えなのかどうか。その点についてお伺いしたいと思います。
#69
○政府委員(桑原茂樹君) 中小企業の時短を進めるために、金融上の制度は我々いろいろ考えて現につくってございます。主なものが二つございまして、一つは国と都道府県等が協力して運営しております体質強化資金制度というのがございまして、低利のお金を中小企業にお貸しする制度でございます。中小企業人手不足対策緊急貸付制度と、こういうものがございまして、人手不足に対処して中小企業がいろいろ設備投資をするのに必要なお金を貸しておるわけでございます。金利につきましては、さきの三月三十一日の緊急経済対策で、基準となります金利を五・一%から四・六%に引き下げましてやってございます。
 もう一つの制度は、中小企業金融公庫、国民金融公庫によりますところの特別な融資制度でございまして、我々労働環境整備貸付制度と言っております。これでやはり中小企業に対して低利の融資をしておるわけでございます。
#70
○細谷昭雄君 次に、これは労働省とも関係あると思うんですが、中小企業庁にお伺いしたいと思うんです。法に基づいて改善計画を作成している団体としては、運輸業それから建設業での取り組みが少ないのではないかというふうな印象を受けるわけであります。これらの業種に対して、中小企業人材確保法に基づいて改善計画を作成するようこれは指導を強めるべきではないのか。人材確保法という法律がもう新たにできておりますので、この部分、運輸業と建設業、これに対してやっぱり直接的に入っていくということが必要じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#71
○政府委員(桑原茂樹君) 労確法につきましては、昨年から実施いたしておりまして、全体的に見ますと相当な反響もありますし、中小企業もこの法律に基づいて計画を積極的に実施し始めておるというふうに認識をいたしております。
 今御指摘のありましたような業種につきましては、必ずしも通産省の業種ではございませんので、そういう関係の省庁とも相談しつつ努力をしてまいりたいと思っております。
#72
○細谷昭雄君 労働省にお聞きしますが、昨年成立しました中小企業人材確保法、これは中小企業における人材確保の観点から、労働時間の短縮、職場環境の改善、福利厚生施設の充実に取り組む中小企業を支援するための法律というふうになっておるわけであります。
 この法律の施行状況については、まず一つは法に基づいて改善計画を承認した団体もあるわけです。いろいろあるんですけれども、どのような業種が労働時間の短縮を取り上げているか。そして、あわせて労働時間短縮の上で中小企業人材確保法の実施状況は、これをどのように労働省は評価しておるのか。この点についてお伺いしたいと思います。
#73
○政府委員(佐藤勝美君) 労確法に基づきます改善計画の認定状況でございますが、本年の三月末時点で百二十一団体について認定をしたという報告を都道府県よりいただいておるところでございます。これらの認定組合のうちで、労働時間の短縮に取り組むものは百十五団体、つまり百二十一団体に対しまして九五%でございまして、その構成中小企業者の常用労働者数は約七十五万人となっております。
 なお、この認定組合を業種別に見ますと、つまり労働時間の短縮に取り組んでおります認定組合を業種別に見ますと、鉱業が一団体、建設業四団体、製造業が六十七団体、運輸業が五団体、卸売・小売が十六団体、サービス業十三団体、残る九団体につきましては、複数の業種で構成をされているわけでございます。
 この評価でございますけれども、この認定団体の取り組んでおります労働時間の短縮計画の内容として、完全週休二日制の実施あるいは週の所定労働時間四十時間制の確立というものを目標に掲げて積極的に事業をやっているものが多く見られるわけでございます。
 したがいまして、この法律が当初から目指した形で改善事業が進められているということになるわけで、今後その効果が上がるものと考えておりますし、またそういった方向での指導を一層積極的に行っていきたいというふうに考えております。
#74
○細谷昭雄君 中小企業庁にお伺いするんですが、中小は非常に下請中小工場が多いわけですね。したがって、労働時間の短縮というのは大変に難しいと思うんです。
 これに関連しましてお伺いしたいんですが、中小企業の時間短縮のネックになっているのは週末発注など親会社の無理な発注と納入システムに問題が一つある。それから中小企業庁は、昨年二月に下請振興基準を改め、発注納入方式の改善などを指導してこられました。しかし、その後の同庁の調査におきましても、なかなか改善が進んでおらない。改正下請振興基準が十分守られていない。この実情を踏まえて、改正下請振興基準の徹底も含め、取引条件の適正化のための指導監督を一層強化すべきではないかというふうに考えますが、どうか。また、今後も適宜追跡調査を行う必要があると思いますが、どうか。この点についてお伺いしたいと思うわけでございます。
#75
○政府委員(桑原茂樹君) 御指摘のございました振興基準でございます。我々が調査をいたした結果を見ますと、残念ながら週末発注等の無理な親企業によるところの下請中小企業のいろんな慣行が改善をされていないという結果が出たわけでございます。これは振興基準改正後、日が浅いというようなこともあったのではないかというふうに我々は見ているわけでございまして、今後この振興基準の遵守方について大いに努力をする。既に親企業者の団体に対しまして、三百六十団体でございますけれども、通達を発しまして、その下請振興基準を守るようにということを言っております。
 今後、この講習会を開催する、これは親企業の担当者を集めた講習会でございますが、こういうものを頻繁に開催する、あるいは各種の広報をする、あるいは下請代金支払遅延等防止法というのがございますけれども、こういうふうな検査を重点的にやりまして、下請振興基準が守られるような形でその法律の運用を行うというようなことでございまして、要すれば御指摘のとおり、振興基準が一層普及し、遵守されるように大いにこれからも努力をしていきたいというふうに思うわけでございます。
 さらに、御指摘のございました追跡調査の件でございます。ことしの秋口にもさらにこの調査をやるという予定にしてございまして、我々の期待としては、今度調査をすれば相当改善が見られる結果になるということを考えておるわけでございます。
#76
○細谷昭雄君 労働省にお伺いしたいと思うんですが、今お話しのとおり零細企業の場合は、どうしてもやっぱり業界団体が全体としてまとまっていかないとなかなか指導がしにくいということになると思うんです。本法、つまりこの本法案では、「関係者の責務」というのが定められておりまして、事業主団体の責務として、「その構成員である事業主の雇用する労働者の労働時間の短縮に関し、必要な助言、協力その他の援助を行うように努めなければならない。」旨定められておりますが、具体的にはどのような援助を行うというふうに期待しておるのか。
 それから、いわゆる本法でいうこの団体には、中小企業団体も含まれておるのかどうか。中小企業団体が含まれておるとすると、中小企業団体が構成事業者に行う援助というのはどのようなものを想定しておるのか、この点についても明らかにしていただきたいと思います。
#77
○説明員(井上文彦君) 第二条第二項の責務の対象となります団体には、広く構成員に労働時間の短縮の指導を行い得る団体はすべて含まれるというふうに考えてございますので、中小企業団体も含まれるというふうに当然考えでございます。
 また、事業主団体が行う援助の内容といたしましては、具体的には団体の構成員であります事業主が時短を進めやすくするよう、啓発資料の作成とか配付、各種情報の提供及び時短方策の検討とかその実施に関します事業主間の意見の交換の場の提供等も予定してございます。
#78
○細谷昭雄君 午前中の最後の質問になるわけですが、これは大臣にお願いしたいというふうに思います。
 中小零細企業の時間短縮促進対策の強化は、大変に難しい問題を含んでいるわけです。小規模企業においては労働時間の短縮が進みにくい。これは経営基盤がもう脆弱なこと、激しい企業間競争があること、こういうことが挙げられておるわけでありますけれども、そのほかに小規模企業における労働時間の短縮の最大のネックは、経営者自身の時短に対する認識不足、これがもう指摘されると思います。経営者に対する啓蒙活動というのは極めて大きいし大変だと思うんです。これについての取り組みを強化すべきであるというように思うんです。
 いずれにしましても、中小零細企業の時間短縮を進めるためには各種の中小企業の振興対策の連携が非常に重要である。我が国の従業員の八割が中小零細企業に働いているというふうに言われております。中小企業対策の充実とそこで働く労働者の労働条件の改善は、我が国の経済の活力の維持と国民のゆとりのある生活という点ではもう不可欠の問題でございます。これらの点について大臣の認識と中小零細企業の時間短縮促進の強化への取り組みについて御決意を伺いたい、こんなふうに思います。
#79
○国務大臣(近藤鉄雄君) 中小企業の労働問題につきましては、今先生からるる御指摘がございました。労働省初め、通産省その他建設、運輸、行政を担当する各省が総力を挙げて取り組むべき問題であると私考えているわけでございます。
 私は、かねてから日本経済の強さというのは、確かに大企業のすぐれた経営者、またすぐれた技術者、労働者もさることながら、それを末端で支える中小企業がきちっとした部品をつくるから、それのいわば組み立てとして立派な自動車ができ、コンピューターができるわけであります。したがって、もしも我が国にちゃんとした仕事をする中小企業がないとすれば、私は日本の産業構造はもう一夜にして瓦解するといってもいいと思うわけでございます。そういった大事な中小企業に質のよい労働者が確保できないということは、これは一大事でございますが、きょうもいろいろ御指摘ございましたように、下請の問題や、また過当競争、いろいろな問題がございます。
 私は、よく地方に参りまして中小企業の経営者の方とお話しするわけでございますけれども、労働大臣、今労働力不足のときに時短なんかとんでもない、むしろ人が足りないんだから、やっぱり一人の方に余計働いていただかなきゃだめじゃないか、こういうようなお話を受ける機会も実はございます。ただ、私が申し上げておりますのは、労働力不足の状況だから、したがって時間短縮というものをしていかないと、むしろ中小企業といっても必要な労働力を確保できないじゃないか、こういうことを申し上げております。
 私は、むしろ現在の労働力不足の経済状況が、逆説的だけれどもまさに時間短縮を進めるある意味では一つの好機だと、こういうような理解である。しかし、そのためには、それが可能なような必要なロボット化、省力化、いわば時短化の投資ができるように、きょうもいろいろ説明が政府委員からございましたけれども、労働力確保その他の措置で融資を考えるだとか、適当な税制も考えるとか、そういったことをすべきである、かように思うわけであります。
 そして、これは実は円高不況のときに私も関係したのでありますけれども、円高不況の波をかぶって全部下請の生産費のカットがあった場合もあります。円高で高く売れないものだから、そこが下請にみんなしわ寄せしたというようなことが現実に地方で私も存じておりますけれども、私は大企業の時短が、それが下の中小企業のいわば時短にしわ寄せに逆になることがないように――私は、この際の労働省もそうでありますが、通産省・中小企業庁、その他関係各省の幹部と御相談したんだけれども、むしろこれはボトムアップだと思うんです。
 ボトムアップという意味は、やっぱり中小企業が時短をやる、そしてそれに必要な設備投資はして、できるだけコストは上げないようにする。先ほどもお話がございましたけれども、ぎりぎりの段階で時短を進めるためにある程度のコストアップがやむを得ないということであれば、その時短の結果のコストアップはむしろ元請が受けていくということですね。そのコストアップ分は、今度は元請の方で、また大企業の方で合理化でむしろ生産性を上げて経費を縮減する、こういうことでありまして、やっぱり下からボトムアップしていかないと、結局大企業の時短が地方の中小企業のしわ寄せになってしまって、中小企業が質のよい労働力を確保できない。中小企業が質のよい労働力を確保できなければ、私は産業構造が一夜にして崩壊する、こう思っています。
 これはなかなか難しい問題だと思いますけれども、私はこう積み上げていって、そして中小企業、大企業がともに時短を推進して、そしてびしっとした生産構造を確立していくということがこれからの産業運営の中で非常に大事じゃないかと思っておりますので、労働省はもちろんでございますが、関係各省といろいろと常時連絡をとらせていただきながらこの実を上げてまいりたいと思っておりますので、よろしく御指導をお願い申し上げます。
#80
○委員長(向山一人君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十五分開会
#81
○委員長(向山一人君) ただいまから労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#82
○細谷昭雄君 午後の質問に入りたいと思いますが、金融・保険業に関係して大蔵省にお伺いしたいと思います。
 このほど、毎月勤労統計調査の平成三年度における年間労働時間に関する確定値が発表になりました。これによりますと、金融・保険業の年間総実労働時間は、新経済運営五カ年計画が平成八年度までに達成しようとしている目標の千八百時間にぴったりの結果になっておるわけであります。これは最も進んだ業種というふうになっておるわけですが、しかしこの発表をまともに信用する人はだれもおらないと思います。
 衆議院の労働委員会において、佐藤労働基準局長が次のように報告をしているわけですが、平成三年度における東京都内の金融機関十二行八十店について臨検監督を実施した。その六八%に当たる五十四事業場で、労働基準法、労働安全衛生法に関する何らかの法違反が認められておる。そのうち、労働時間に関する違反が一六%、時間外労働の割り増し賃金に関する違反が三五%もあったというふうに報告をされておるわけであります。こうして考えてみますと、これらの法違反は実際は労働省の是正勧告によって是正されたと承知しておりますけれども、世間の常識は統計よりもまさに正しかったというふうに言わざるを得ないんです。このような経過を前提にしてお尋ねしたいと思うんですけれども、まず金融機関におけるサービス残業の問題、これはもう極めて一般的な問題として議論されてまいりました。それにもかかわらず、事業の所管官庁たる大蔵省は特段の措置を講じてこなかったのではないか、こんなふうに思っておるわけであります。今回の立入調査は樹めて部分的なものであり、もしも仮に全国一斉のこういう臨検調査が実施されるとすれば、金融機関の構造的な労基法違反の実態が明るみに出ているというふうに思われるほど大変な実態だったと思うわけであります。
 大蔵省は、この結果を見まして全国の金融機関に対してどのような改善措置を指導したのか、これをまず最初にお伺いしたいと思います。
#83
○政府委員(西村吉正君) ただいま御指摘の経済計画における千八百時間という目標は、私が経済企画庁に勤務しておりますころ、当時の近藤経済企画庁長官の御指導を得ながら策定したものでございます。
 今御指摘の金融機関のサービス残業につきましては、基本的には何といっても労働行政に係る問題であると認識しておるわけでございますが、私ども金融行政を担当いたします者としての考え方を申し上げれば、金融機関は公共性の高い免許法人でございますので、その営業活動等に当たりましては各種の法令等の遵守に特段の努力を払う、そういうことによって社会的な批判を受けることのないよう留意する、そういう立場にあると認識しておるわけでございます。したがいまして、当局といたしましてもそのような見地から指導をしてきておるところでございます。
 一方、金融業界におきましても、私どものこういう考え方も踏まえまして、例えば全国銀行協会連合会におきまして、労働行政当局の御指導あるいは国会での御論議等を踏まえましてその改善について検討しておりまして、いろいろ具体的な措置をも講じているところと承知しておるわけでございます。
#84
○細谷昭雄君 要は、やっぱり非常に巧妙だと思うんです。統計上はこういうふうに千八百時間を多くしてやっております、いち早くもう達成しております、統計上はそうなっておるんです。しかし、実際は世間の常識からしましてもサービス残業、もう今でも実際にやっておるという実態があるわけでありまして、これは今お話がありましたとおり銀行協会、そういう協会を通じて、最も先端的な産業なはずなんですから模範的に、名目じゃなくて中身も同じようにすべきじゃないのかというように思うのです。今一番問題なのは、サービス残業をどう廃止するかという問題なんですが、大蔵省はもっと厳しい態度でこれに臨んでいただきたい、これは要望しておきたいと思うわけであります。
 次に、大蔵省の銀行局だと思うんですけれども、この構造的な問題の解決のための本法における実施計画、これを作成するわけですが、同一の業種に属する二以上の事業主が共同して労働時間短縮実施計画を作成し、これを労働大臣及び当該業種に属する事業を所管する大臣に提出して承認を受けるというシステムが一番大きな柱になっておるわけであります。
 金融・保険業は、統計上既にこの千八百時間を達成している。これは見かけのあれだと思うんですけれども、こういうふうになっておりますと、基本的には政府の労働時間短縮に基づいて計画的に時短をこれはやっておるというふうになってしまっているわけです。しかし、サービス残業というのは恒常化し、それが業界の体質となっておるという現状を改善するためには、本制度に基づいて体質改善のための実施計画を作成し、全国の金融機関が改善に努力する必要があるのじゃないかというふうに思うわけであります。実際はもう達成しているんだから要らないということになるわけです、理屈の上では。しかし、そうじゃない。したがって、大蔵省は金融業界に労働時間短縮実施計画、この制度への参加を指導することが必要だというふうに思うのですが、そういう指導をするお考えがおありかどうか、この点についてただしておきたいと思います。
#85
○政府委員(西村吉正君) かねてから全銀協におきましては、ゆとりと生きがいのある職場づくりのための諸施策としまして、各金融機関に対して連続休暇の実施を徹底するとか、あるいは行員の日々の生活を時間的に極力ゆとりあるものとするため、各銀行におきまして定時退行日を設定する等の環境整備に努めるとか、いろいろな努力をしておるところでございます。
 私ども、銀行行政を担当する者といたしましても、業界のそういう自主的な努力を側面から援助してまいりたいとも思いますし、また労働行政に当たられる御当局ともよく御相談しながら努めてまいりたいと存じます。
#86
○細谷昭雄君 この金融業が、言われるようなそういうふうな体質を持っておりますので、今までは銀行局の直接の所管じゃなかったと思うんですね、そういう問題は。しかし、今度はひとつ労働省と一体になりまして、ぜひとも金融業界におけるそういうサービス残業、これの根絶を期していただきたいということを強く要望申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 次に、林野庁の問題に移りたいと思います。
 この四業種の中に、製材関係それから林業伐採関係の労働者の時短の問題がございます。いわゆるこの民間の製材関係職場の労働時間の実態をどのように林野庁は把握されておるのか。それから、長時間労働せざるを得ない、長時間労働にならざるを得ないという、その理由をどのように把握されておるのか。当面はこれから除かれることになっておりますので、林野庁の直用ないしは管下の労働者は除かれるわけでありますので、民間の場合でございます、把握されておる点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#87
○説明員(鈴木久司君) 木材・木製品製造業の年間の労働時間は、労働省の調査でございますけれども、平成二年度におきましては二千二百六十九時間、平成三年度におきましては二千百九十五時間になっておりまして、逐次減少はしておりますけれども、なお製造業平均に比べまして約六%ほど長い状況にございます。
 これは、木材・木製品製造業が経営基盤が弱い中小企業が圧倒的に多いという実態、二つ目には、コストに占める原材料のウエートが高くて、原木事情もございまして合理化がなかなか図りにくいという状況にあるといったようなこと、さらには受注型産業という側面があること、こういったような事情によりましてなかなか時間短縮が図られていないという実態にあるものというように認識しております。
#88
○細谷昭雄君 今お話がございましたとおり、林業労働者の労働時間というのがいわゆる労働基準法の適用から除外されておるというふうになっておる理由はいろいろ理解できるわけでございます。問題は、それでは現代の若い人力がいわゆる林業に従事する意欲を持つことができるのかどうかという側面の問題であります。これをこのまま放置しておりますと、さなきだに林業労働者の後継者がいないというふうに言われている中で、到底これは魅力ある職場というふうにはできないというふうに思うわけであります。
 労働省に要請したいと思いますが、来年度予想される労働基準法改正、この法改正の際に、ぜひともこれは林業労働者の労働時間を労働基準法内の適用範囲に含めるということについて、中央労働基準審議会の検討に入れてもらいたい、こんなふうに思うわけでありますが、その点いかがでしょうか。
#89
○政府委員(佐藤勝美君) 林業労働者につきましては、基準法上の労働時間の規定が外されているんですが、これはまあ御承知のように業務の性質上、天候等の自然条件に左右されるということから来ているわけで、諸外国でもそのような取り扱いがなされている例が多いわけでございます。しかし、社会全体として労働時間短縮が進む中で、林業労働者の労働時間、休日等の労働条件の改善を図っていくことはもちろん重要なことであるというふうに認識をいたしております。
 それで、中央労働基準審議会におきます労働基準法の見直し検討におきましては、この問題も含めまして検討していただくように既にお願いをいたしているところでございます。もちろんいろいろ前提条件が考えられるわけでございまして、林業におきます労務管理の改善等労働時間に関する規定の適用の前提条件の整備の状況等、これは林野庁におきましてもいろいろ御努力をされているというふうに伺っておりますけれども、そういった状況等も考慮しつつ、適切な結論が出されるように期待をいたしておるところでございます。
#90
○細谷昭雄君 最後に、林野庁にお願いしたいと思うんですが、特に製材業ですね。製材業というのは、地方に参りますと非常に零細が多いわけであります。そして、低賃金でしかも長時間労働という実態なんですが、何としてもこれは業界の指導ということが必要だと思うんです。
 それで、今度は各都道府県の段階になると思うんですけれども、ぜひとも各県の地域の営林局の皆さん方ともお互いに指導しながら、各県の労働基準局と提携をしてもらうような、そういう具体的な指導をぜひお願いしたいと思うわけであります。これは簡単で結構ですから、その点いかがでしょうか。
#91
○説明員(鈴木久司君) 労働時間の短縮は、人材の確保あるいは勤労意欲の向上等企業の活性化あるいは発展にとりましても大変重要な課題であるというように認識しております。このため、林野庁としましては、特に製材工場等を中心にしまして、時間短縮に不可欠な高性能省力機械、こういったものの整備を促進するための諸事業を実施しておりますほか、関係団体を通じまして労働時間の短縮等の指導に努めているところでありますけれども、なお関係の機関とも十分連携をとりながら対応してまいりたいというように思っております。
#92
○細谷昭雄君 次は、建設省関係の質疑に移りたいと思うわけであります。
 建設業関係は、もう御案内のとおり大変な長時間労働という業種になっておるわけでありまして、たくさんの質問がでざいますので、どうぞひとつ項目的に、端的にお答え願いたいと思います。
 まず最初に、週休二日制の普及のおくれが非常に著しいわけでありますが、建設業における労働時間短縮を効果的かつ計画的に進めていくためには一体どうすればいいのかという問題なんですが、私は労働省と建設省、これが本当に共同してこれに当たるということがどうしても必要だと思うんです、建設業の場合は。その点で、ひとつ労働省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#93
○説明員(井上文彦君) 御指摘のように、建設業の時短を効果的に進めますには、やはり工期に関します発注者の理解の問題とか受注条件の改善の問題、工程管理の問題等生産性向上対策の充実が特に不可欠でございます。そのため、私どもといたしましては事業所管官庁でございます建設省との一層の連携が必要だというふうな考えでございまして、本省レベルでも建設省との時短に関する連絡会議を開催してございますし、地方におきましても主要公共工事発注機関でございます建設省の関係機関、基準局等との連絡会議を開催し、連携に努めているところでございます。
#94
○細谷昭雄君 次に、建設省にいろいろ質問をしたいと思います。
 まず最初に、建設省の場合、公共事業を直接発注する立場ないしは監督する立場という、両方あるわけであります。この公共事業というものが労働時間短縮に大きな役割を果たすというふうに私は思っているわけであります。そこでお聞きしますが、建設業における労働時間短縮については、公務員の週休二日制、これが年間の労働時間短縮の促進に先導的な役割を果たしている。同じように公共工事というのは先導的にこうした役割を果たすべきじゃないのか、こんなふうに思うんですが、まず最初にその点はどうかという点です。
 もう一つは、平成二年度からは公共工事の現場では四週六休制というものがしかれておるわけですが、これはどのようにやられておるのか。私もたまたま出稼ぎの現場の関係で、工事現場をたくさん歩くんですが、まず四週六休なんてどこの話だということで、大体私の知っている範囲では、首都圏にしろ、それから大阪圏、名古屋圏にしろ、休みは毎週でなくて隔週置きなんです。とにかく平成二年度から四週六休なんというのはやっておらない。もう遠い遠い実情にあるんです。その点、多分把握されておると思うんですが、まず公共事業が先導的な役割を果たすべきだという観点でお答え願いたいと思います。
#95
○説明員(青山俊樹君) 先生お話しございましたように、建設現場におきます週休二日制の導入など労働時間の短縮は、労働環境を改善することによって建設現場における人手不足を改善し、また施工体制の確保を図るとともに、施工の安全性を確保し、良質な社会資本を整備するために極めて重要なことだと考えております。
 また、おっしゃるとおり、現場における労働時間の短縮に対しましては、公共工事が先導的な役割を果たす必要があるという認識もいたしておりまして、このような認識のもとに平成二年度から直轄工事におきましては完全週休二日制によるモデル工事を試行的に実施しているところでございます。このモデル工事は、平成二年度は五カ所でございますが、平成三年度は全国に展開しまして、九十カ所に上る箇所に実施したわけでございます。
 また、実態はどう把握しているかというお尋ねでございますが、まず発注に際しての工期の考え方につきまして御説明させていただきたいと思います。これにつきましては、建設労働者の休日の日数、それから降雨日、雨が降ったら仕事ができないということがございますので降雨日、それから出水期等における作業不能日等を見込んで工期は適正なものにするというふうにしております。
 具体的に申し上げますと、休日といたしましては官公庁の土曜閉庁日、それから夏季及び年末年始の休暇を見込むことといたしておりまして、また今御指摘のとおり平成二年度より四週六休に対応した工期設定と積算を行っておるわけです。例えば、機械損料等に関する積算も四週六休でしているわけでございます。さらに、平成四年度からは、公務員の完全週休二日制への移行に伴いまして、建設省直轄工事におきましてはこれに対応した工期設定、具体的に申し上げますと、四週八休制を頭に置いた工期設定を行っておりまして、またこれを特記仕様書に明記している状態でございます。
 現場におきます労働者の方の詳細な勤務実態につきましては把握いたしておりませんが、平成三年度より建設業の法定労働時間は週四十六時間となっておりまして、これに対応した就業規則の改正が各現場で行われている、各社で行われているというふうに認識いたしております。
 先ほど申し上げましたように、直轄工事におきましては、先導的な役割を果たすべく、特に完全週休二日制に対応した工期設定をこれからも続けていきたいと思いますし、また建設業界におきましても、本年二月に建設生産システム合理化推進協議会におきまして、四週六休をしようという申し合わせ等がなされておりまして、こういったことも踏まえまして積極的な取り組みがなされるというふうに認識いたしております。私どももこのような建設業界の努力、それから私どもの工期設定によりましてできるだけ早期に週休二日制の実現もしくは労働時間短縮が実現されることを期待しているところでございます。
#96
○細谷昭雄君 私がこれから聞きたいことをほとんどみんな答弁しちゃったというようなことで、大変あれなんですが、とにかく聞いたことに対してお答え願いたいと思うんです。
 要するに、建設現場の実態というのは建設省は余りよく御存じでない。計画は、机上プランは立てるんです。しかし、これではだめだということなんです、言っていることは。到底もう今お話しのきれいごとじゃなくて、しかもモデル事業はこれから県別に見なくちゃいけない点なんです。それをどう今進めていくかということなんです。それが当たり前だと思ったら大間違いです。実態はそうじゃない。そのことについてひとつきちっと認識していただきたいと思うんです。問題は、賃金形態の問題が非常に多いんです。これは、モデル事業をやっていただいてもうはっきりしているんですが、ああいう形で賃金の保障でもしてやればそれはできますよ。そうでない限りは非常に難しいんです。
 そこで、いわゆる公共事業の場合の設計単価の積算に工夫をする必要があると思うんですが、これはなかなか難しいでしょうね、どうでしょう。
#97
○説明員(尾見博武君) 今先生御指摘のように、建設業の場合、賃金形態が日給制ないし日給月給制という方が相当多いという実態でございますので、労働時間の短縮に伴いましては、時短に伴って労働者の方の収入を従前どおり確保するということが大前提になろうかと思います。したがいまして、ただいま御説明いたしました業界の申し合わせの中でもそれを第一にやっていこうということでございます。
 設計労務単価は、御案内のように公共工事につきまして各地域の建設労働者の職種ごとの賃金実態というものを調査しておりますので、したがいまして時短に伴って賃金アップというのがございますれば、それが調査結果として設計労務単価に反映される、こういう仕組みになっております。
 あわせまして、労働基準法の改正によりまして、平成三年の四月一日から法定労働時間が短縮されたわけでございまして、ほとんどの建設業で四十八時間から四十六時間へと変更になったわけでございます。このときの公共事業労務費調査の関係でございますが、その前の年の平成二年の十月に調査を実施いたしまして、これは翌年の四月からの単価を決めるものでございますが、その際に労働時間の短縮があったということを加味して補正をして適切に措置するということをやってまいりました。今後ともこういう考え方で進めてまいりたい。
 以上でございます。
#98
○細谷昭雄君 そういうふうに工夫をされておるわけですが、実際は労働者にも全然伝わっていない。我々自体にもそういうのはほとんど情報として伝わっていない。これは大きなキャンペーンでも張りまして、公共事業はこういうふうにやっていますよ、それで建設労働者の実態を踏まえてこういうふうにやっていかなくちゃいけない。さっき言ったように、やっぱり公務員の週休二日制をやるという大胆な発想というのは、そうしない限りは民間を引っ張ることはできないということの発想なんです。同じだと思うんです。そのことをもっと皆さん方が工夫されておりましたら、これはちゃんとしたキャンペーン、そして我々一般の国民が周知できる、そこで働いている方々もその恩恵を受ける、このようにすべきだと思うんですよ。この点の工夫をひとつ室長とうです、やる気はありませんか。
#99
○説明員(尾見博武君) ただいま御説明いたしましたように、法定労働時間の点でいきますと来年の四月から四十四時間ということでございますが、建設業界ではそれを一年先取りしてことしの四月から実質四十四時間に対応します四週六休制というのを、そういう週休制度をやっていこうというふうなことで申し合わせをしてまいりました。建設省としても、これに対して全面的な支援をしていこうということで、この三月から四週六休制の普及キャンペーンというのを全国的に展開しております。その中で業界への浸透、それから建設省以外の公共発注機関への浸透、さらには民間の発注団体、そういうところにも一応お願いをして回るというようなことをやっておりまして、今先生御指摘のような形で全国民的に建設業の時短問題を理解していただくということをお願いして回っておるところでございます。
#100
○細谷昭雄君 ぜひひとつ推進していただきたい、このことを要望したいと思うわけであります。
 先ほどお話がございました建設生産システム合理化推進協議会、これにつきましては私も非常に期待もし注目をしておるところなんです。しかし、さっき言いましたようにまだまだこれは一つの実験の段階。それをどう地域のメーンにしていくのかということがこれからの課題だと思うんです。ぜひこれを大事にしながら、四週六休制の申し合わせというのができておるわけでありますけれども、これは一つの問題なんですが、建設省としてはこの申し合わせの実効性が確保できるように発注者に対し協力を要請すること、会員に対しては申し合わせの遵守を要請すること、会員に対する特別の援助を実施すること、公正取引委員会との調整を行うなど、強力なバックアップを行うべきと考えておるわけでありますが、その点者さん方はどういうふうにお考えか。
 また、こういった協議会の申し合わせについては、現在審議しておりますこの法案のいわゆる労働時間短縮実施計画そのものとして位置づけ、労働大臣並びに建設大臣の承認を求めるようにすべきじゃないか。これは非常に大事な点ですが、この点どうでしょうか。
#101
○説明員(小野邦久君) お答え申し上げます。
 ことしの二月の末に建設生産システム合理化推進協議会におきまして週四十四時間を一年間前倒しで実施しようという、そういう目標を定めたわけでございます。これにつきましては、申し合わせの翌日に私どもの担当の局長から各建設業者団体の長にその旨を要請いたし、協力をお願いしたところでございます。
 また、引き続き四月には建設産業における労働時間短縮推進要綱というのを定めまして、いろいろな民間の発注者等を含めてのお願いとか、他の公共発注者への指導助言、あるいは直轄工事におきましては先ほど青山室長の方からお答えをいたしました積算、工期の改善というようなこと、いろんなことをお願いしてまいりまして、これを先生御指摘のとおり強力に何とかバックアップしていく体制をつくろう、こういうことを考えたわけでございます。
 後半の御質問は、との法案の審議をいただいております時短の実施計画そのものにしたらどうだという、こういうお話であるわけでございますけれども、考え方自体は法案の考え方あるいは私どもの先ほどの建設生産システム合理化推進協議会の申し合わせも軌を一にするというふうには考えておりますけれども、何といっても法案の時短の実施計画自体はやはり事業主の方々が自主的に計画を定める、こういうことにもなっております。また、形式的なことでございますけれども、私どもの団体の申し合わせは事業主団体と申しますか、事業主自体ではなくて事業者団体の申し合わせだと、こういうようなこともございます。
 そういう点もございますので、この申し合わせ自体を直ちに実施計画にするというようなことそのものはちょっといかがなものかというふうにも考えておりまして、やはりあくまでも時短の実施計画は事業主の方々が自主的にいろいろな場でつくっていかれる、こういうようなことだろうと思っておりますので、考え方は軌を一にするものではございますけれども、何とか実施ベースで労働省とも十分御相談をしながら実施計画の策定がうまくいくように地方をいろいろ指導してまいりたい、こういうふうに思っております。
 最後に一つだけつけ加えさせていただきますと、建設業の場合は、いろいろ屋外でございますとか移動生産でございますとか、あるいは何といっても総合組み立て生産というようなこともございます。たくさんの事業者の方々が参加をいたします。建設業全体として一つの元請の方々あるいは工事業者の方々含めて申し合わせをしたわけでございますけれども、実態的には二十八に及ぶいろいろな業種の方々があるとか、そういうこともございますので、実施ベースで円滑になるように今後とも十分努めていきたい、こういうふうに考えております。
#102
○細谷昭雄君 ぜひ建設省にお願いしたいと思いますのは、建設省は何といっても所管官庁です。しかも、膨大な公共事業というのを持っておるんです。業者団体にとっては物すごいそれが刺激といいますか、刺激というよりも今審議している法律がうまく運用できるためにはうんとその点を活用すべきだと思っているんです、これは。したがって、そういう影響力の非常に大きな官庁でございますので、今言ったような建設業協会等々こういった事業団体を積極的に活用するということをぜひともやっていただきたい。影響力を最大限に発揮していただきたい。そうしなければ、いつまでたってもこの建設現場における近代化といいますか体質の改善というのは行われないというふうに思いますし、今のような時期にこそやっぱり一瀉千里でやらなくちゃいけないというふうに思っておりますので、ぜひ労働省との連携の上でこの実現方を期していただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。
 労働省にお伺いしますが、建設業の場合、労働集約的な面が非常に強くて、製造業と異なって生産性の向上が非常に困難であるという面を持っております。しかも、小規模零細事業者が非常に多い、賃金形態が日給制が多くて週休二日制導入のためには収入面でも配慮する必要があるという等々大変労働時間短縮を進めるに当たってはコスト面での制約が他の産業に比べて極めて大きいという業種でございます。現在講ぜられております融資を中心とした財政的な援助では不十分ではないか。建設労働者の労働条件の改善を図るためにも、現在他の助成制度に加えて建設雇用改善助成金制度が設けられておりますけれども、同様な見地から建設業については労働時間短縮のための特別な財政援助制度を設けるべきではないか、こんなふうに思うんですけれども、どうかという点をまずお聞きしたいと思います。これは端的にお答え願いたいと思います。
#103
○政府委員(佐藤勝美君) 問題につきましては、今先生の方から述べられましたので省略いたしますけれども、端的に申しまして、御質問のような助成金といったものにつきましては、労働時間の短縮を進めることが困難であるということをもって助成金というようなものを支給するのが適当なのかどうか、あるいはそういった助成金を支給することによる効果がどうなのかというようなことで検討を要する問題が大変多いのではないかというふうに思います。
 ということで、直ちに導入するというようなお答えをすることは困難であると思いますけれども、今後とも建設業の労働時間短縮のための指導援助につきましては、既存の制度の活用のほか、いろんな方法をさらに検討していきたいというふうに思います。
#104
○細谷昭雄君 次に、前回の労働基準法の改正に際しましては、出稼ぎ労働者に対する年次有給休暇が付与されるよう関係業界を指導する旨の附帯決議が本院で行われたわけであります。これを踏まえて、労働省としましては、昭和六十三年に当該年度における継続する就労月数が三カ月以上六カ月未満の者には三日程度、六カ月以上一年未満の者には六日程度を付与するよう指導するというふうにいたしまして、御案内のとおりいわゆる各関係都道府県知事並びに業界に対して文書あるいは通達を出して指導されたという経緯がございます。
 特に、建設業界に対しましては指導を重点的に行うということで、当時のたしか建設業協会の鴻池会長だったと思いますが、鴻池会長を労働省にお招きして直接それを伝達したという経緯を私も聞いておるわけであります。その後これがどのようになっておるのかということは、もう私自身が一番よくわかっております。局長から聞かなくてもわかっています。もう日暮れて道遠しという状態、よほどいい業者団体の事業所に回答を求めましても、その実施率というのは二〇%前後だったと思います。私どもが歩いてみますと、二〇%なんというのは絶対に考えられない。もう一〇%以下、ほとんど見えないという状況でございます。むしろ、建設業界よりも他の製造業の方に広がっているというのが実態でございます。したがって、この点ではもう何としても待っておられない、そんな感じがするわけであります。
 そこで、有給休暇問題についてひとつ具体的な要請をしたいと思うんです。年次有給休暇制度というのは、そもそも労働者の労働再生産に必要な労働力の確保というふうに歴史的な過程をたどっておると思うわけであります。現在におきましては、そういう疲労回復という年次有給休暇からリフレッシュタイムという観点での長期休暇、こちらの方にむしろ移行しておるというのが現在の状況じゃないのかというふうに思うわけであります。しかし、その疲労回復の機会さえも与えられておらないというのが今言いました季節労働者を初め有期の、つまり一年未満、労働基準法に言われております一年以上というその以上に入らない、そういう人方がどう思っているか。そこで、抜本的に有給休暇制度というのを見直すべきではないかというふうに私は思っておるわけです。
 ちょっと長いわけですが、これは非常に大事だと思いますのでひとつ提起したいと思うわけです。
 千八百時間の達成には、年次有給休暇を二十日取得することが必要とされているが、現状は付与日数すら平均十五・五日であり、完全取得しても千八百時間の達成は不可能である。そこで、年休の付与日数をふやす必要があるが、その方法として、スウェーデンが十年以上前の一九七八年に導入したものが大変参考になると考えるので、提案し御所見を承りたいと思うわけであります。なお、これから申し上げるものは、一九八三年三月に出た専修大学法学会の雑誌「専修法学論集」第三十七号に載った菱木昭八朗氏の論文「スウェーデン新年次休暇法」を要約したものであります。
  スウェーデンの年次休暇は、一九七八年以前は、我が国と同じように一年間の勤務が付与条件となっていたため、新規採用ないし転職中途採用の労働者は採用年度には年次休暇が与えられなかった。一九七一年の実態調査で、調査対象となった低所得労働者のうち約五十万人が年次休暇をとっていないことが明らかになり、しかもそのほとんどが新規採用者ないし中途採用者であることが判明した。そこから、新規採用労働者などに対しても採用年度から年次休暇を認める必要があるということと、どのような形で年次休暇を与えるかということが問題として取り上げられるに至った。
  このような経緯があって、一九七八年に定められた年次休暇法は、五週間年次休暇法と呼ばれているように、レジャーの大型化に伴う労働者の余暇期間の拡大要求にこたえて、年次休暇の期間を四労働週から五労働週に延長するとともに、新規採用労働者などにも、採用年度から原別として無給であるが二十五日の年次休暇を与えることとした。つまり、新規採用者にも採用年度から年次休暇を与えるかわりに、従来の有給の年次休暇のほかに無給の年次休暇という制度を設けたのである。新規採用者の翌年度以降の年次休暇が有給であるのは従来と同じである。
  また、これとの関連で重要なことは、年次休暇手当補償制度が充実されたことである。ス ウェーデンでは、年次休暇中に支払われる賃金は、前年度に取得した賃金に応じて計算される年次休暇手当と呼ばれているが、この年次休暇手当補償とは、労働者が既に付与されている年次有給休暇を取得する前に退職したためなどにより年次有給休暇の権利を行使できなくなった場合に、年次休暇手当のかわりに支払われる金銭的な補償である。この制度が充実された理由には、転職中途採用者にも、採用年度から原則として無給であるが二十五日の年次休暇が与えられるようになったことから、経済的理由によってせっかく与えられた年次休暇を放棄してしまうことがないようにしょうとしたことが挙げられる。すなわち、転職中途採用者に与えられた無給の年次休暇の経済的基礎を、前の使用者から支払われる年次休暇手当補償によって補おうとしたのである。このような制度を参考にすれば、千八百時間達成のために必要となる年次有給休暇の拡充や、かねてから私が要望してきた季節労働者の年次有給休暇の問題も解決できることになると思う。
 労働大臣、問題は、今審議されております中央労働基準審議会、これにスウェーデンのいわゆる新年次有給休暇法、この手法というものを労働省として提示をしながら検討をしていただくという点のお約束はいかがでしょうか。
#105
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生からいろいろ年次有給休暇の問題について御指導、御発言があったわけでございますが、まさに年次有給休暇の問題は、やっぱり我が国の制度や慣行を踏まえながら検討していくことが基本ではございますが、同時に御指摘のような諸外国の動向等も参考にしながら考えていくことも必要であると認識をしております。
 そこで、年次有給休暇の付与要件でございますけれども、これは大変重要な検討項目の一つであると認識をしております。これについては、年次有給休暇制度の基本にかかわることでもございますし、労使等の間の十分な議論を踏まえて検討する必要があると考えております。
 現在、中央労働基準審議会において年次有給休暇の問題を含め、労働時間法制全般についての検討がなされておるところでございますが、先生御指摘の外国の事例等については事務局として審議会の委員の先生方に伝えまして、こうした問題について十分議論が行われるように努めてまいりたいと考えております。
 なお、出稼ぎ労働者等の季節労働者についてでございますが、昭和六十三年以降、その就労日数に応じ、一定日数の有給休暇を付与するよう指導に努めてきたところでございます。さらに、平成三年に策定をいたしました「出稼労働者対策要綱」にもその内容を新たに取り入れたところでございまして、今後ともこの要綱の普及、定着に一層努力し、出稼ぎ労働者に有給休暇が付与されるように努めてまいる所存でございます。
#106
○細谷昭雄君 ぜひ今大臣がお話しのとおり、ひとつ努力をしていただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。
 建設省にも伺いましたので、こういう新しい法律ができた機会に、今まで以上に労働省との密接な連携を保っていただきまして、ぜひひとつ暗いイメージの建設業界から明るい、どんどん若い人力が行けるような、そういう職場に体質的に転換できるように、そういう日が一日も早からんことを期待したいと思います。ひとつよろしくお願いします。
 それでは、最後の官庁になりましたが、厚生省にお伺いしたいと思います。
 厚生省は、きのう清水委員からも指摘がございましたいわゆる看護婦さんの勤務の問題でございますが、これに付随いたしまして、私からも労働時間の短縮、労働条件の確保について若干の質問をしたいと思うわけであります。
 看護婦さんというと夜勤というふうに言われるくらい、看護婦の資格を持ちながらなぜ病院に行かないのかというと、夜勤が非常に多過ぎるということだと思うんです。看護婦さんの夜勤というのは、これは必要欠くべからざる問題ではありますが、余りにも多過ぎる。まず夜勤体制について挙げるならば、夜勤体制のあり方については、いわゆる二・八という言葉があるくらいに複数勤務、月八日以内ということが言われて久しいにもかかわらず、今春闘における労使の話し合いを見ても、実際には夜勤は月十回から九回というのが現実の姿であります。
 国を挙げて労働時間の短縮の促進に当たっている今、本来夜勤回数原則月六日、当面八日とすべきであり、そうでなければ看護婦確保は屈めて難しいと言わなければなりません。厚生省としては現在の夜勤の実態をどうとらえて、具体的な改善策をどのようにとっておられるのか、これを最初にお伺いしたいと思います。
#107
○説明員(矢野正子君) 看護職員の確保を図る上において、働きやすい職場をつくるということは非常に重要な課題であると思っております。
 厚生省の調査によりますと、今御指摘の夜勤の状況は病院によって非常に異なっておるのでございますが、一般病院における看護婦等の夜勤回数は平均八・二回、これは六十三年六月の調査でございますが、そういう状況になっております。厚生省といたしましては、月平均八回以内、それから週四十時間制等の事項を踏まえまして、これは今先生御指摘ありましたような人事院判定等のことでございますが、一つは養成力の強化とか院内保育施設への助成ということでとにかく離職しないというようなことを含めまして、看護婦の確保対策費の増額を大幅に図ってきたわけでございます。
 特に、平成四年度予算におきましては二年度予算の約八割増といたしましたし、また今回の診療報酬改定に当たりましても看護料の大幅引き上げということで、その中で夜勤体制の充実ということを念頭に置きましてそれを勘案した加算制度の新設も行った。それからまた、人材確保ということで、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案も国会に今提出しているという状況でございます。
#108
○細谷昭雄君 本法がもしもきょう成立いたしますと、具体的に今後労働時間短縮実施計画を各病院が立てるということになろうかと思うわけです。その際には、やっぱり夜勤体制の改善というのが一番の重要な問題だというふうに私は思うのです。月六日以内というのを実現するためには、かなりいろんな人員の問題とかそういうのがあろうかと思うのですが、そういうふうに積極的に指導を進めるべきじゃないのかというふうに思いますが、現実にはかなりあるんですね。課長は八日というふうに言うんですが、今回の春闘では夜勤を十回から九回というのが今命題になっているわけです。したがって、実態とは私は違うと思うんです。それを今回の法律の網をかけられますと、この実施計画というのを立てなきゃいけない。その場合にどうするのかという具体的な問題が出てくるわけです。その点とういうふうにお考えでしょうか。
#109
○説明員(矢野正子君) 夜勤体制の改善の問題は非常に重要な問題でありまして、特に今回の労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法につきましては、労働時間の短縮を目的としておるわけでございます。厚生省といたしましては医療機関に対する経営管理指導というのをやっておりまして、これはことしも局長通知で平成四年に出しているわけでございますが、看護婦などにつきましては夜勤回数、それから労働時間の改善等に配慮する、それから離職防止策を含めた確保対策を講ずるように指導を行っているわけでございます。先ほど申し上げましたようないろんな措置を含めまして、とにかく総合的な推進を図るということで努めているわけでございます。
 それから、今六回の話がございましたけれども、なかなかこれは今のところは実現は難しい面がございまして、努力はしておりますが、とにかく今は八回ということを何とかしようということで頑張っているわけでございます。
 なお、労働時間の短縮の促進につきましては、労働省との連携も図りまして協力していきたいというふうに考えております。
#110
○細谷昭雄君 厚生省としましては、国立病院も持っておるわけですが、これは公務員ということで今回は法律から除外されるわけです。難しさは民間を相手にするという点だと思うんです。具体的に民間の病院、医院に勤務されておる看護婦さん方の実態からしますと、やっぱり何といっても人員確保というのが一番先決の問題だろうと思うんです。病院はもう入院患者がおるわけですから、その人力を無視して勤務時間を短くするわけにいかないと思うんです。必然的に人員を確保する。ところが、人員を確保するということになりますと、問題は特別の賃金助成等の夜勤の配慮をせざるを得ないということになると思うんですが、そういうふうな労働条件向上のためにいわゆる厚生省としては何らかの財政的なことを考えておられるでしょうか。
#111
○説明員(矢野正子君) 労働条件改善のための財政的ということから見ますと、先ほど申し上げましたように診療報酬の改定でありますとか、また公務員につきましては人勧とかそういったことを含め、それからまた数の問題というのがどうしてもその背景にございますので、需給対策ということでどれくらいの数が要るかという算定も去年発表したわけでございまして、いろんな側面から条件を整えていかないと夜勤対策はうまくいかないのではないかということで努力しているわけでございます。
#112
○細谷昭雄君 最後の質問になりますけれども、御案内のとおり看護婦さん方につきましては、一足先に育児休業法の適用になっておったわけです。
 この育児休業の問題に関連しまして最近の看護婦不足を考えてみますと、この四月の育児休業法の施行と同時に従来の施策の経緯を踏まえながら、看護婦につきましては一般労働者に先んじて育児休業法を拡充する考えが一つあると思うんです。なかなか先発したという問題がありまして、教員、看護婦さん、保母さんですか、そういう人力については、やはり共済の掛金の部分を支給するとかいろいろなごちゃごちゃはあるんですけれども、やっぱり看護婦さんの人手不足を解消する、こういう意味からしますと看護婦さんになると育児休業の部門はほかの業種よりはいいんだという実績があるとまた違うと思うんです。
 その点で、これはなかなか難しい問題だと思うんですが、育児休業は今は一年なんですが、それを看護婦さんの場合は思い切って三年に延ばすとか、そういう特別な制度を厚生省としてお考えになったらどうかというふうに思うんですが、その点も含めましていろんな法的な整備、今のような労働条件の悪いところで看護婦を集めるという努力にはいろんな工夫が必要だと思うんです。そこら辺何かお考えなのかどうか。私は、むしろ一年でなくて三年、二年でも三年でもいいんですが、ほかのところと違って看護婦さんにはそういう優遇措置を法的に認めたらどうか、こんなふうに思うんですが、その点いかがでしょうか。
#113
○説明員(矢野正子君) 最初の育児の問題でございますけれども、これは従来から非常に大きな問題でございまして、特に子供ができますとやめてしまうという実態がいろんな統計からも出ているわけでございます。このために、院内保育施設に対しまして予算補助をしてきたわけでございますが、これも平成四年度におきましては約三五%増ということで約十四億の予算を確保したところでございます。
 また、育児休業法につきましてはことしから施行でございますので、この面につきましても需給見通しの中にもその要件は入れ込んではございますが、とにかくまだ実施されたばかりでございますので、その様子を見ながらさらに協力していきたいというふうに思っております。
 それから、いろいろ労働条件についての御指摘がございますが、今後さらに努力してまいりたいというふうに思っております。
#114
○細谷昭雄君 終わります。
#115
○対馬孝且君 時短促進法は、名のとおり時間短縮を促進する法律でありまして、もちろん賛成法案でございますから、次の視点に立って私は質問いたしたいと思います。
 まず、この法案を審議するに際しまして、昭和六十三年度に基準法改正法案がございました。このとき六十二年九月十七日に、私はこの基準法改正の際に中曽根総理大臣に総括質問を当委員会で行っております。本来ならばこの法案は、特に宮澤総理の生活大国という重大な政策方針を国民に公約いたしておりますので、その意味では生活大国を目指す一つの基本の考え方に労働者のゆとり、豊かな生活を実現するためには時間短縮という問題が出されております。そういう意味では、やはり総理大臣がここに来ていただいて最終的な法案の総括質疑をしてこの法案の決定をすべきである、こう私は思っておりました。しかし、今日の異常国会もこれありまして、会期末を控えこれが実現できなかったということについては非常に残念に思っております。
 そのことを冒頭に言いまして、私はこの法案につきまして促進をすることが最大の任務でありますから、明年の基準法改正に際して、法案成立に当たってどれだけの環境条件をつくり、明年の基準法改正に確たる時間短縮が実現できるかということが当委員会の一つの任務である、これが第二点であります。
 第三の問題は、私は社労委員会に所属をして約十五年になります。十八年間の政治生活のうち三年間は商工委員会に所属しておりました。約十五年間は社労委員会に所属して多くの勉強をさせていただきました。そういう意味では感慨無量で、私も今期をもって勇退をするという決断をいたしました。これが最後の質問になります。そういう意味でもひとつ、私自身もこの社労委員会に所属して基準法も手がけてまいりましたが、それなりの反省を込めて、また本当に時間短縮が実現できるのかということを多くの同僚議員からも相当厳しい質問もございましたし、またそのとおりだと思います。私はそういう視点で、これまでの時間短縮法案が取り上げられた一つの歴史的な経緯といいますか、こういうものを振り返ってみる必要があるのではないかと思っているわけであります。
 そこで後半は、昨年の育児休業法の際には参議院の主体性といいますか独自性といいますか、知恵を出し合って、時の小里労働大臣と私との間に、社会、公明、民社、連合参議院、第二院クラブを代表いたしまして、本来なら修正をすべきでありましたが、時間的な余裕もこれございまして、微力でありましたが私が代表して大臣と一問一答の形で確認質問をいたしてあの育児休業法が成立いたしたのであります。その点を、私も基準局長の段階でも鋭意検討して詰めてまいっておりますので、後半の質問にはひとつ育児休業法のあの経験を採用いたしまして、大臣との間に一問一答で十八問程度質問して終わりにさせていただきたいと思っております。
 まず最初に、時間短縮法案というものを問題提起されたのはこれが一つのきっかけだったのではないかというふうに私はとらえています。それはどういうことかといいますと、大蔵省の官房審議官でございました田辺さんが、次のようなことを第三次円対策の推進という問題で触れられたのです。これが私の最初の時短に対する一つのきっかけだったと私はとちえているのであります。
 それはどういうことを言っているかと申しますと、
  国際収支に大きなゆとりがあり、自由世界第二位の外貨準備を有するに至ったにもかかわらず、経済の担い手である国民の生活実感は「豊かなゆとりある生活」という域にはほど遠く、貧弱な生活環境の中で働きづめに働き、なお物質的欲望のみが肥大化して行く、というのが実態ではなかろうか。一人当りのGNPの数字はヨーロッパ諸国並となっているが、一人一人の国民の実質的な生活内容は彼等に比肩できるのか。
これは、今から二十年前、大蔵省の広報誌「ファイナンス」の一九七二年十二月号に掲載された論文の一節であります。
 ここで指摘されているのは、第三次円対策の第五の柱、福祉対策の充実として週休二日制の推進を取り上げられたわけですが、この文書は大臣も御存じだと思いますが、今私が提起した問題についてどういう御感想をまずお持ちでありますか、その点をお伺いいたします。
#116
○国務大臣(近藤鉄雄君) 田辺さんは、私は大蔵省におりましたので、指導を受けた先輩でございまして、最後は国税庁長官になった人であります。
 二十年前というと、私が実は初当選をした年でございますが、今先生の御指摘があったものですから、ちょっと読み直してみたわけでございますけれども、当時の役人さんとしてはなかなか先見性のある発言をしておったと改めて評価しますし、もう二十年前に一官僚が言ったことを、これをきっかけにして時短問題に取り組まれた対馬先生に対しても、私は改めて敬意を表するわけでございます。労働行政、その他社会政策全般にわたっていろいろ御指導賜りましたことを、私、改めてこの場をおかりしてお礼を申し上げたいと思います。
 私は、ちょうど円高対策のさなかに経済企画庁長官をしたわけでございますが、恥ずかしながら、そのときからやっぱり時短は大事だなということを初めて考えましたし、そういう中で日本が働いて働いて、まさになりふり構わず働いていい物をつくって、それを海外に輸出して外貨を稼いだ。結果的には、その分だけ物が国内から流れ出て外へたまっちゃうわけですね。それで見返りに紙切れしかもらっていない、ドルという紙切れというと怒られるかもしれませんが、そんなものですよね。そして、逆にいい物をつくるものだから、アメリカの自動車産業だとか、VTR産業だとか、テレビ産業だとか、そういったものが今度はやられちゃうと。
 だから、我が国は働いていい物をつくって嫌われている。おかしな話でありますから、そういうなりふり構わず働く段階を越えて、むしろ私たちの生活も向上していく。そして同時に、世界に対してもある意味じゃ雇用機会をつくるといいますか、むしろ世界経済に対してのマーケットを我が方が確保してやる。そういう形で私たち日本の勤労者の生活水準を上げることが、時短を含めて上げることが、私は日本経済の国際化の道である。だから、日本経済を国民のためにする。私は、これを国民化と言っているわけです。日本経済の国民化が裏返せば日本経済の国際化になるんだ、こういう認識を持ったわけでございます。そういう中で時間短縮というのは非常に大きな政策であると考えて努力している次第でございます。
#117
○対馬孝且君 今大臣からまさに田辺審議官の先見性と、またそういう意味での国際協調の時代、その認識はまずほぼ一致すると、こういう御意見ですから、私も全く同感であります。
 このときに田辺さんが、二十年前にやっぱりこのことを強調されておりますね。「国際協調の推進を目的とする各般の施策が、同時に生産第一主義から生活中心主義への転換を目指すものであり、また国民福祉の充実を図ることが、同時に対外均衡の達成にも通ずるというこ、基本認識を持つことが極めて大事であると、極めて明瞭に二十年前にもはや生産第一主義から生活中心の主義にむしろ転換の方向を求めることが対外均衡への維持、確立になるんだという。むしろこういう認識を持ってこれまで二十年間時間短縮問題ということがとらえられてきた。この認識は今大臣も一致するということでありますから、私も大臣の認識どおりです。
 そういう認識を持ちながらも、次に私は、それでは第二問をお伺いしなきゃなりませんが、当時の状況をやっぱり振り返ってみる必要がある。私は随分これ取り上げてまいりました、当委員会でも。そこで、やはりこの問題を振り返ってみますと、一九六九年六月、これはもう大臣も経済企画庁長官をなさっておりますから、その先のことは別にしまして、六九年六月に経済企画庁が、日本の一九六八年のGNPは西ドイツを抜いて資本主義世界第二位になったという発表をした時期でございます。
 この情勢のもとで、労働省も一九六九年の九月に、第一次労働基準法研究会を発足させて、労働基準法の全般的見直しに着手をしました。同研究会は一九七一年、今から二十年前ですが、十二月に、一日八時間、一週四十八時間制の早期再検討などを提言しています。
 そして、翌一九七二年の十月に、週休二日制・定年延長問題関係閣僚懇談会が設置をされまして、第三次円高対策で、先ほど申しました週休二日制の推進が打ち出されたのであります。さらに労働省は、労働者生活ビジョン懇談会中間報告というのを出されておりまして、「週休二日制普及促進の考え方と推進策」に対する報告が出されました。この報告の中で、「わが国の経済は、世界各国に類のない高度成長をなしとげ、今や量的にも質的にも国際経済社会で大きな力をもつようになった。」、そういう認識を示しました。「一九八〇年代早期までには、完全週休二日制」、「企業はもっと進んだ形態となっていよう。」、十年先を展望しますと。要するに、西側諸国は既に完全週休二日制、週四十時間の労働制が確立しているが、我が国も経済力をつけたのだから、一九八〇年代早期までの十年間で完全週休二日、週四十時間労働制を確立し、西欧諸国に追いつこうというわけであります。
 いわゆる前川レポート以来の、労働時間短縮を含む国民生活向上の問題はこのような経過があり、今回初めて実は打ち出されたものではありません。したがって、一九九二年度や一九九六年度に実現すればよいという問題の認識はなかったはずであります。しかし、現実はなっておりません。
 そこで、さきの労働者生活ビジョン懇談会中風報告では、十年前の一九八二年度に完全週休二日、週四十時間労働制の確立をしようとしていたのであって、それから十年の今日でもなお現実のものとならず、依然として課題であり続けているのであります。
 こういった状況について、大臣は一体どのような考え方に立っているのか、ここ数日来聞いておりますと、特に時間短縮に相当な決意を示されておりますけれども、いま一度本腰を入れた大臣のひとつ考え方をお伺いを申し上げたいと思います。
#118
○国務大臣(近藤鉄雄君) 七二年十月に発表されました労働者生活ビジョン懇談会の中間報告、私実は存じ上げなかったわけでございますが、先生の御指摘で読み直してみまして、まさにこれも二十年前でございますが、大変先見的なビジョンを出しておられたと改めて先輩に敬意を表するわけでございます。その段階で十年後に、ということは今から十年前のまさに八〇年代の初めに週休二日制、週四十時間、全産業に一般化すると見込まれる、こういう見通しはやはり実態認識が甘かったといいますか、私は前にも申し上げましたが、日本というのはまさに輸出がしからずんば死かみたいな、そういうせっぱ詰まった気持ちで経済をやってまいりまして、非常に競争的な産業体制だったと思うんです。それは日本経済をこれほど大きくしたけれども、これがもう限度を超えてしまって、ある意味では世界経済の破壊者というと言い過ぎでありますけれども、擾乱者にまでなっていて、まさにアメリカに象徴的なジャパン・バッシングにもなっているわけでありますから、改めて我が国の労働者の勤労条件、そして生活条件の向上に真剣に取り組まなきゃならない時期になっておる、こう思っておるわけでございます。
 実は私、前川レポートのときの経企庁長官でございまして、そのときがまさに今の現行五カ年計画をつくった段階で、そのときも五年以内には千八百時間、こう言っておって、依然として二百時間足りない状況になっているんだと。ただ、私は今反省をしておりますのは、勤労者の生活はこうあるべきだということを言ったけれども、それが実現するための条件について甘かったんじゃないかと思うんですね。
 たびたびこの委員会で申し上げておりますように、例えば中小企業の元請、下請の問題だとか、それから大企業といえども非常に競争的な関係にある社会の中では、A社が休んでもB社が働いている、そうすると負けてしまうということで、そういう世界で最も厳しい極度の競争メンタリティーがあってそれがなかなかできなかった。したがって、この際は歩調というのは横並びで、みんなで一斉に目標を定めてやっていこうという、そういう社会的な状況、条件をつくっていかないとだめだという認識が私どもの中に強くあって、今回の法案によってそういう下請、元請、また横並び、さらには建設業界、運輸業界、その他関係各省、中小企業庁なら中小企業、そういった行政当局も一緒になってこの問題に国を挙げて取り組む姿勢が必要だということを、大変おくればせながらでございますが認識しておる、そして今我々内閣を挙げて取り組んでいる、こういう現状でございます。
#119
○対馬孝且君 一口で言うと、つまり行政なり全体の時間短縮に取り組む全体像というのがやっぱり甘かったというのが今のお答えですが、労働省の四十七年当時の労働者生活ビジョン懇談会報告というのがありますけれども、かなりその点を分析して出しています。大臣もそのとおり認識されていますから、何も間違いだということを言っているんじゃなくて、かなり目標として、こう言っているんです。
  従来の労働時間の減少傾向、週休二日制普及の状況、所得水準との関係、国際経済動向等を考慮すると、一九八〇年代早期までには、完全週休二日制週四〇時間労働制が全産業界に一般化すると見込まれる。この場合、先進企業はもっと進んだ形態となっていよう。
  そしてこの目標をできるだけ早く達成するよう国民各層がそれぞれの立場において努力することが、現在大きな意義があると考えられる。
  それに至る道程においても今後遅くとも五年間のうちには、大企業では大部分の企業と労働者が完全週休二日制に到達することは可能であろう。また中小零細企業とそこに働く労働者についていえば、五年後までにはなんらかの週休二日制の一般化を図ることをめざすことがこの際現実的であると考える。
かなり分析しているんですよ、ここで。
 これは、極めて大臣、当時の労働者生活ビジョンというのは、昭和四十七年に既にある程度の時短を進める枠組みといいますか、それを大企業、中小企業分けてかなり展望しているんです。その意味ではこのビジョンというものは大したものだと思って私は評価しているんですが、しかし実態はそうならなかった。今大臣が言ったように、甘さがあったというんだけれども、甘さだけじゃなくて、私なりに言うと、先ほどの当時の田辺大蔵審議官が訴えておりますように、やっぱり経営万能主義、生産第一主義にすべてをかけて、生活第一主義の方向に転換をするという行政並びに経営体制がそういう方向にはなかった。これは私が言っているんじゃない、田辺大蔵審議官が言っているんだ、当時の第三次円対策で。
 私は、そこだと思うんだ。その基本がやっぱり国全体が、そういう方向に提言では言いながら、実際に対してはそれは伴っていがなかった。そこに甘さももちろんでありますけれども、根源的な対策というものを見直さなければ、この法律ができても五年たったら、三年たったらまた同じだったと、二度、三度反省だけしているんじゃ、経済大国の今日に、時間短縮では全くバングラデシュや開発途上国と同じだというんじゃ、我々経済大国だといって胸張って歩けないですよ、私は。
 そういう意味で、歩く、歩かないは別にして、大臣も謙虚にそういうものを認めていますから、私は何も指摘するとかそういうことを言っているんじゃなくて、そういう基本的な恒常的な対策というものを今根本的に見直さなければ、これからの時間短縮は、ここで成立したとしても、三年後だって、五年後だってまた再びそれが達成できなかったという繰り返しになってはならない。これを私は強く労働大臣に申し上げておきたい。
 もちろん、労働大臣だけでできるわけじゃありませんから、何回も申し上げておりますように、宮澤政権としての閣議においてきちっと、決意はもちろんのこと、具体策として各省庁の全体の取り組みがなければできないわけでありまして、経営者の体制または労働組合の体制、全体の体制というものはもちろんでありますけれども、基本はそこだということを私ははっきり申し上げておきたい。この点いかがですか。
#120
○国務大臣(近藤鉄雄君) 習い性となった極端な競争的な社会構造というのはなかなか直したいという思いがあっても直らないで現在に至っていることは事実でございます。
 ただ、私はあえて宮澤内閣の閣僚の一人として申し上げますけれども、歴代の政権の中で宮澤内閣ほど時間短縮問題に総理以下取り組んでいる内閣はなかったし、労働大臣は当然でございますが、私の同僚の閣僚の通産大臣も運輸大臣も各大臣も一緒になってやろうという気持ちになっておりますので、だんだん問題がわかってきたと、おくればせながらということだと思います。
 同時に、私は田舎でいろんな中小企業の方々とお会いするんだけれども、おまえ、だめだよとおっしゃる方が今もいらっしゃいます。ただ、この方々にしてみても、やっぱり土曜日曜休まないでは人が集まらなくなってきた。残業残業ではだめだということを身をもって知っていらっしゃる。ですから、逆説的だけれども、この人手不足がある意味では時短を進めているんです。結局、人手不足だったら時短なんかとんでもないという発想から、むしろ逆に人手不足だから時短をしていかなければ人が来なくなった、こういうことが末端の中小企業の方々までわかってまいった。
 それで、さきの春闘ではいろんな議論がございましたが、少なくとも時短については、片や日経連、片や連合等の組合の皆さんもまさに一致しておられたということでありますので、そういう点で政労使の末端まで時間短縮というものにいよいよ取り組まれて、そういう社会的なムードができておりますので、これをひとつ法律の対象をつくって一押しをさせていただきたいというのが私の気持ちでございます。
#121
○対馬孝且君 今大臣から、そういう今後の取り組みのある意味での決意というか考え方が出ましたから、それなりに理解しますけれども、決して中小企業が時間短縮によって経営が破綻していいとか倒産していいなんてだれも思っていない。私自身も微力ですけれども、北海道に私の中小企業後援会というのが三百八十二社ございまして、私は三月に一回講演会等やっていますから、よく聞いています。
 ただ、問題は国の時間短縮を進める基本姿勢というものが、全体の進める構造の姿勢が、中小企業の皆さん言いますよ、要するに横並び横並びということを大臣も盛んに言うんだけれどもい横並びで全体をつくっていくというのは政府ですから、国がそういう指導をしなければ横並びで全体が動くわけないんです。そういう確たる具体的な施策を出してもらいたい。そういうことであれば、今は人手不足の現象もありますけれども、中小企業の今日の経営者というのは社会的に責任があるんですから。
 今の中小企業経営者は立派です。社会的な責任もきちっと持ちながら、また労働者の権利というものを尊重しながら、どうしたら企業というものが社会性に富んだ経営をしていくか、私どもの中で随分出ますよ。それは五人未満の零細企業その他またいろいろありますけれども、流れとしてはそういう方向なんです。だから、今回の時短促進にしろ、法律をこれから成立をして促進するわけですけれども、大臣はそこらあたりのむしろ確信を持ってひとつ推進するという姿勢に立ってもらいたい、このことは特に強調しておきます。
 そこで、私は次の問題で、皆さんから出ている問題ですけれども、年間の総労働時間を千八百時間という現行経済計画の目標として、問題は最終年度がいつかということが盛んにここでも言われておるわけです。ただ、盛んに大臣は早期に早期に、できるだけ早期に実現したいと言う。早期ということは抽象的な言葉なんです。それは気持ちの上でわかっておったって国民はわからない。経営者の姿勢だって、あるいは労働者の立場に立った場合に、できるだけ早期に千八百時間を達成します、これではまた同じことになります。私がなぜ今二十年前のことを取り上げたかと、二十年後の展望をずっと取り上げたかというのはそこを言っているんです。
 だから、例えば姿勢として一九九三年あるいは九四年度を目指して、それに千八百時間の体制というものをつくり上げるというような何らかのめどを出さないと。これはお互いにそうでしょう、物事だってやるのに、例えば政府だって法案を通すのだって一定のめどを立てて法案通しているんだから。今回のPKOだって同じじゃないですか、皆さん方の考え方があって、それはそこがいいわけで言っているんじゃなくて。だから、労働省の姿勢として、早期とはやっぱり二年後をめどに千八百時間を達成する、このくらいの決意で取り組みますということを言わないと、これはまた同じことを繰り返します。あなたはそのときには労働大臣でないからそれは知りませんというわけにはいかないんだから。国民がまた今や労使の問題として、一定のめどというものがないと、企業だってそうでしょう。中小企業の皆さん方は言いますよ、二年なら二年に千八百時間にするあるいは三年後にするというならそれなりの経営体制の仕組みというものも考えていかなければならない、私の後援会の皆さんもそう言っています。
 だから、それを出してもらわぬと。ただ、できるだけ早期にとか、早期というのは二年も早期だし、あなたの考えと私は違うんだし、あるいは人によっては五年が早期だなんと言う人もいるかも知らぬから、そういうことを言っているんです。やっぱり政治というのは国民にわかりやすく、またそれはできないことを私はやれと言っているんじゃなくて、二年なら二年をめどにきちんと千八百時間を達成する一つのフレーム、枠組みというものがこれでできるわけですから。もちろん不十分でありますけれども、そういう一歩進んだ答えというのはあっていいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#122
○国務大臣(近藤鉄雄君) 現五カ年計画で今年度末までにはと言っておって、依然として今年度末は二千時間を多少切るという程度でございますから、また約束をしてできなかったからどうということではないように現実的な数字を出したいというのが私ども関係者の気持ちでございます。ずばり申し上げて、先生から怒られるかもしれませんけれども、マキシマムは、新しくことしからスタートいたします新五カ年計画中にこれは必ず千八百時間にいたしますと、これはもうぎりぎりのところでございます。
 問題は、あとどれだけ前倒しかできるかということでございますけれども、端的に言って二百時間というのは二千時間だと一割ですから、そうすると一割を二年でやると五%ずつ。五%ずつ時間を短縮して、それで産業構造全体がどうなるかというと、なかなか生産性の伸びでその分カバーできないということであって、それはこの間もちょっと議論が出ましたけれども、そうなるとそれは全体としてインフレになるかなという危倶もございます。危惧もございますから、やはりこれは率直に言って、私たちとしては最高ぎりぎりことしを含めて五年だけれども、それを経済構造に不当なゆがみを起こさない形でどれだけ円滑にこの目標達成時期を前倒しできるかということでございまして、これはこの法案は皆さんに御苦労いただいて御審議いただいて通していただくということであれば、我々としてもさらにそうした努力をして、できるだけ早い機会に千八百時間に達成したい。
 ただ、いつだということになると、今の段階ではまだちゃんと申し上げられないということでございますので、そこはひとつ御理解賜りたいと思います。
#123
○対馬孝且君 大臣が盛んに五年の間の前倒しと言うことが、それが何年であるかということは、できるだけ早くと。やっぱり抽象的なんだよね、言っていることが。
 だから、私はそこで言わなきゃならぬのは、なぜそういうことを私は申し上げるかというと、これは大臣もお読みになっていると思いますけれども、五月二十五日の週刊労働ニュースの中にこういうのが出ているじゃないですか。
  労働時間短縮の目標については、計画期間中に年間総労働時間一八〇〇時間を実際に達成するというのが当初案だった。しかし、経営側委員の反対により、「達成することを目標にする」という表現に一歩後退した。これは、当時新経済五カ年計画の経済審議会労働小委員会、委員長辻村江太郎日本労働研究機構会長のあれでこう出ていますよ。こういうことが出るから私は言うんですよ。
 それと、相変わらず国がこういう時間短縮法案というのを提出して、しかし日経連というようなものが反対すれば、千八百時間を達成すると当時の小委員長が言っていながら、経営者側の日経連の反対に遭って目標に変えましたと。そこを言っているんです、私は。また同じことになりますよと言うんです。だから、行政府ですから、政府ですから、目標はきちっと示して、二年後なら二年後に達成するということを言い切って、その環境が整わなかったら、それは整わなかったらといって、そこまで姿勢を正して労働省としてやったけれども、結果として若干のずれがあったとかというならわかりますよ。
 私は、なぜそういうことを厳しく言うかといったら、こういうことが出るから私は言うんです。現に言っているじゃないですか。これは二、三年
前の話じゃないです、五月二十五日です。しかも、今経済審議会で新五カ年経済計画がやられているわけでしょう。その小委員会の中で議論した発言がこうなっている。そうすると、また後退しているんじゃないかと思うのは当然じゃないですか。大臣はできるだけ早く、前倒しはと。何も私はむちゃくちゃなことを言っているんじゃなくて、こういうことが出てくるから問題だといって厳しく言わざるを得ないわけであります。
 しかも、私はこれを持っていますけれども、これは日経連の六十一年一月二十一日、日経連労働時間問題研究委員会報告書というのがある、大臣。これはわかっていると思いますけれども、この姿勢が今でも変わっていないんです。だから、私はしつこく物を言っているんです。どういうことを言っているかというと、ここでこう言っているんです。この姿勢はもう六十一年以来変わっていませんよ、日経連の今の態度は。こう言っているじゃないですか。
  労働時間に合理的視点を
  労働時間問題については、過去年々の本報告書で詳述してきたところであるから、本年はとくに基本的な考え方についてのみ明確にしておきたい。
  第一、労働時間短縮は、生産性向上の成果配分でなければならない。それは賃上げと同様である。この点が忘れ去られ、労働時間短縮論だけが、生産性向上の問題とは別個に独り歩きしている傾向がありはしないか。
これは認めることができないと書いてあるんです。これははっきり書いてある。これをお見せしますか。
 この考え方がある限り、六十一年以来何も変わっていないんです。私も随分ここで社労委員会時代に質問しています。この姿勢が何ら変わっていないのに、また相変わらずできるだけ早く前倒しをして新経済五カ年計画の中で時短は千八百時間を達成しますと、こう大臣が言ってみても、そういうふうになっていないから私が言うんです。何も大臣だけに言っているんじゃないんです。私は、できないことをできるなんて無理やり言えと言っているわけじゃないんです。しかし、こういう姿勢で法案が成立して、日経連が反対したらまたずっとずれていく、まただめになる、これでは国民は政治不信になります。
 そこらあたりをひとつ、先ほども述べられましたけれども、もう一回大臣の考え方を聞かせてください。
#124
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生のお話は私もよくわかりますが、日経連としてもいろんな企業を代表しておるものですから、やはりそんなことはできないよというような末端の経営者、中小企業の方々の声も多少配慮しているのではないか。
 ただ私は、日経連の幹部の方がそういう話をされたということを伝え聞いたものですから、先般、日経連の総会がございまして、その総会に間に合わなかったんですが、終わってからのパーティーに間に合いまして、ごあいさつを申し上げたんです。そういうお話も聞くけれども、実は私はむしろ率直に申し上げたんです、条件闘争をしてくださいと。条件闘争という意味は、もう千八百時間にするんだということを皆さんが決めてください。しかし、そのためにはどういうことを政府としてすべきか。例えば、中小企業がそのために省力化、合理化投資をするんだったら、そのための融資をもっともっと安いのをやってくれだとか、必要な税制的な措置を講じてくれたとか、いろんなことがあるでしょう。それから下請、元請の関係とか、まさに横並びだとか。だから、この際ある程度の目標を定めて、これまではともかく、今はもうまさに日本の労働条件というのが世界の関心の的になっていて、ジャパン・バッシングをやられているわけですから。だから、ここはひとつ皆さんはふんどしを締め直して、やるということを決めていただいて、そのかわり条件を言っていただきたいということを日経連の総会後のパーティーに私が参りましてきちっと申し上げて、ひとつ御協力をしてくださいと申し上げました。
 先生のいろんなお気持ちもわかりますが、まさに我々は今度は不退転でこの問題に取り組む、こういうことでございますので、御理解を賜り、また御審議をお願いいたしたいと思います。
#125
○対馬孝且君 今大臣から答弁がありましたけれども、私としては理解はできません。少なくとも前倒しは、私の理解ではせいぜい二年間の間に千八百時間は達成するというのが前倒しであって、五年のうちの三年後なんというのはどこの言葉を使ったって前倒しとは言わないですよ、こんなものは。そういう認識が千八百時間の労働省としての一つの答えでなければならないということを強く私は申し上げておきます。
 そこで、私は違う視点からちょっと労働省側に申し上げておきたいんです、大臣ではなくて。このままでいくと、また西欧との関係がますます開いていくんじゃないかと。これは、ILO条約上の精神からいってどういうふうに受けとめますか。これを前倒しして三年後、二年後になってまた千八百時間ぼできないということになったときにどうしますか。どうしますかというのは、西欧側との差が、ECとの差がますます開いてくる。
 それはどういうことかといいますと、西欧諸国では、御案内のとおり四十時間労働制どころか週三十五時間労働制に向けての時間短縮の取り組みが行われています。特に、我が国とドイツは戦後同じです。その中で、ドイツ金属労働組合の時間短縮の取り組みというのは我が国でもよく知られていますけれども、一九九三年です。つまり、来年の四月から現行の週三十七時間労働が三十六時間に短縮をされるということになっているんです。しかも、九五年の十月からは週三十五時間です。それで、我が方が四十時間にならないということになるのです。もしできなければそういうことになるんです。したがって、九〇年の労使交渉が締結されていますけれども、週二時間の短縮といえば、年間に引き直して実に約百時間の短縮です、大臣もちょっと今触れましたけれども。
 ことしの二月二十七日の新聞に次のような記事が載っているんです。例えば同じ国内の企業がドイツに進出した、その場合にどうなりますか。ドイツのそういう労働慣行なり時間短縮という方向と一緒にしてもらわなければ、ドイツに企業は進出できないでしょう。そこの問題を私は言いたいんです、国内の企業との関係。我が国はこれから四、五年かけて仮に千八百時間にいくとした場合に、ドイツでは千六百時間からさらに千五百時間、千四百時間に短縮するという取り組みになるわけであります。特に、フォルクスワーゲンでは、一九九五年には千二百時間に短縮すると、こう言っているんです。これはもう労働協約を認めると言っているんです。そういう努力が払われている。
 日本がようやく千八百時間を達成したころは、ヨーロッパでは逆に千五百時間になってしまっている。これではますます開いて、日本の企業がドイツなりECに進出した場合にどういうことになるのか。この関係は矛盾を感じませんか。国内では千八百時間だ、ところがドイツに企業が進出すると千五百時間か千二百時間になります、それで企業の採算性は合うんだ。これはどういうことですか。我が国として矛盾を感じませんか。そういうことで、EC諸国に対してサミットだとかなんとかに出ていって宮澤総理は本当に物を言うことができますか。
 そういう矛盾点をどういうふうにこれから解消していくのか。何も国内だけを言っているんじゃないですよ。日本の企業はどんどんアメリカヘ行ったりECへ行っているでしょう。そのときは、やっぱり向こうの国の労働者の慣行、時間短縮という方向に向けて経営の枠組みはつくられている。しかし、我が国ではそうならない、国内だったらそうならないのだと。この点が私はやっぱり問題点だと言うんです。その点、大臣どうですか。
#126
○国務大臣(近藤鉄雄君) なかなか厳しい御質問でございます。ただ、これは先生との関係でございますから率直に申し上げますと、やっとおくればせながら、週休二日で、そして二十日間の有給休暇で国民の休日が今進んでいる。こういう形でコンセンサスができているわけです。これは地方の中小企業も、先ほど申しましたように、もう中小企業といえどもこうしないとだめだという気持ちにだんだんなってきたんです。
 私が労働大臣になったときに、労働大臣就任おめでとう、だけれども時短はだめだよということを言ってくる僕の支持者がいるわけであります。だけれども、彼にしてあれから半年たちまして、もう変わってきましたね。だから、これはもう近鉄が労働大臣になって時短をするのはやっぱり当然だとみんなわかってくれている。ただ、これがまた千八百時間から、はい、千七百、千六百、千四百と、こうやられますと、一体どこまでいくんだと。これは率直に申し上げているんです。
 ですから、私は、一応千八百時間ということをまず達成をして、そこから先についてはまたいろんなことを考えさせてくださいと申し上げておるわけでありますし、これはまた率直に申し上げて、今までみたいになりふり構わずもう時間を無視して家庭をぶん投げて働くのは問題だけれども、これはやっぱり人生の中で大事な時間を職場で我々は過ごすわけです。その職場で過ごす労働時間というのが少なければ少ないほどいいんだ。裏を返して言えば、仕事はつまらないので一時間でも十分でも一分でも一秒でも短い方がいいんだという形はどうなんでしょうね。ここまでくると私は多少保守反動かもしれませんが、そんなにどんどん減らしてしまって一体どうなるんだろうなという感じが率直にいたしますので、まず千八百時間でこれをきちっとやって、いろんな経済のあり方を見ながら、また先生の御意見を聞くなりいろんな方の御意見を聞いて次は考えさせていただきたい。アメリカの場合は今逆に、決してアメリカがいいと思いませんが、千九百時間よりもむしろ多少ふえているぐらいの面もある。
 それから、もう一つあえて申しますと、ドイツやフランスの場合に、私もそう詳しくはございませんけれども、いわゆる外国人労働者がおって、それが同じ西欧社会の中で二重構造になっているという、そういう面で多少そっちの方にしわ寄せをしているのじゃないかということを言う人もおります。いろんな問題がたくさんございますので、先生の御期待に沿えなくて申しわけないのでありますが、まず千八百時間をさせていただいた段階でまたいろいろ考えさせていただきたいという私どもの思いでございます。
#127
○対馬孝且君 今大臣から苦しい答弁がありましたけれども、ただこれは何も私は責めているんじゃないんです。海外に企業が進出したときにはその国の労働時間短縮という慣行の中で経営がなされている。しかし、国内で、我が国でいうとそれは千八百時間を達成できない。
 それは、構造は私も知っています。中小企業は下請があって二重構造、三重構造、知っています。しかし、そういう流れの中でも踏み切らなければ、先ほど何回もしつこく言っているようにまたずれていくという、また達成できないということでは困るというだけでなくて、政治に信頼がなくなるということを私は言っておるんです。何もお互いに政治家やってきて、何だ言うだけじゃないかということじゃだめじゃないかということを言っているんです。だから、経営者側も随分知っています、そこら辺のことは。ただ、示してもらえばそこに合わせる、経営体制というのは合わしていくと言っておるんです、私が聞いているのは。話はしませんよ、みんな企業関係ではそう言っています。
 そういうものが示されないから、それは今の状態がいいというのは決まっているんであって、やらなければなおいいという、それはありますけれども、時代はそうじゃない。二十一世紀を目指した場合に、人間の労働の質が変わってきているということもあるし、それから労働力不足もある、社会的責任も出てきた。しかし、そういうことを踏まえればある方向に踏み切っていかなきゃならぬと、こう言っているんです。これは大臣だって相当な私以上の企業の後援会を持っていると思いますけれども、話せばちゃんとそれが出てきます。そういうことを私は言っているんであって、何も企業が倒産してまでやれなんてだれも言っているんじゃないんだ。そういう方向に国の方針なり行政が踏み切った場合にその方向で努力しましょう、こういう体制があるということも大臣ひとつしかと確認しておいていただきたいと、私はこう思います。
 そこで、こればかりやっておれませんので、それでは次の問題に入りたいと思います。時間外労働削減の問題で、先ほども若干皆さんから出ておりますけれども、私はこの問題についてちょっとお伺いしたいと思います。
 一つは時間外労働削減問題の割り増し率の問題です。先ほども山東先生からも出ておりましたけれども、つまり二五%というのは今国際的な位置づけとなっています。そこで、我が国の割り増し賃金のあり方に考える場合に、国際協調ということを全然考慮しないで考えるというわけにもいかないという認識は私も持っています。
 一九八九年の「海外労働情勢」というのがございます。これを持っていますけれども、これは労働省から出たものです。これを参考にして申し上げますと、労働大臣官房国際労働課から出た資料でございますけれども、最低割り増し賃金率を二五%としている国もかなりあることを認めていますけれども、その内容を詳しく検討してみると、平日時間外労働二時間のみが二五%、それ以後は五〇%あるいは一〇〇%という国が相当多いということです。これは何も先進国だけ言っているんじゃないんです。欧米先進国の趨勢は五〇%から一〇〇%になっていますけれども、この資料によりますと、イタリアの通常の割り増し賃金率は一五%、休日・深夜などの時間別で見ますと七五%になっています。ILOの資料をもとにした鉄鋼産業における割り増し賃金率調査によりますと、最初の二時間は二五%、その後は三〇%、夜間は五〇%、祝日は五五%、そして祝日の夜間は七五%と、非常にきめ細かい割り増し率が適用されています。
 このような国際的動向を考慮すれば、これから二十一世紀に向けての時間外労働割り増し賃金率を検討するということになっていますが、一般的な最低割り増し賃金率は五〇%とし、深夜。休日労働は一〇〇%とするようなことを念頭に置いての今後の対策が必要ではないかと、こう私は考えますが、いかがでしょうか。
#128
○政府委員(佐藤勝美君) 全体の労働時間の削減のためには、残業・休日労働、特に恒常的なそれを削減するということは大変重要な要素でございます。そのためのいろいろ指導啓発に努めているわけですが、一方において、現在の二五%という法定割り増し率を上げたらどうかという大変有力な御意見があるわけでございまして、この点は現在中央労働基準審議会での見直し検討の一つの重要なテーマでございます。
 考え方はいろいろあるわけで、その割り増し率を上げることによるコスト効果で残業が抑制されるではないかという御意見があるのに対して、逆に、現在がなり労働者の意識は変わってきたといってもなお所得選好が強いという中で、むしろ残業をふやす方に働くのではないかという心配をされる方もおります。それから、時短そのものが特に中小企業にとっては大変なコストアップ要因になるところに、さらに割り増し率が上がるというのはダブルパンチではないかと、いろんな御意見があるわけでございます。また、仮に上げるということになった場合にも、一律に上げるのがいいのか、あるいは毎日の残業と休日労働とを区別するのはどうかとか、あるいは一定の時間を超えた場合には上げるのはどうかと、いろんなバリエーションがあるわけでございます。
 そういう点を踏まえまして、これからいよいよ議論が本格化をいたしますし、私どもとしては必要な資料の提供をするなりあるいは審議会の議論に参加をするなり、鋭意努めてまいりたいというふうに思っております。
#129
○対馬孝且君 今局長の対応については、それなりの考え方ですからあれですけれども、一番問題は、私は何も西欧を言っているんじゃないんです。開発途上国の割り増し賃金の状態は一体どうなのか。これは盛んに日経連が言っているんです。西欧だけを見ないでアジアを見たらどうだと、アジアの開発途上国を見て言わないと、客観的に言うと公平、公正を期せないのではないかという言い方があるから私は申し上げるんです。
 ところが、これはおたくの調査によっても出ていますけれども、韓国は一五〇%でしょう。バングラデシュは一〇〇%ですよ。間違いであれば別だけれども、バングラデシュは通常一〇〇%、特別の休暇、深夜など一〇〇%。インドが通常は二五%です。それから特別の休暇、深夜、これは一〇〇%。インドネシアは通常が五〇%、例えば特別の休暇、深夜の場合は二〇〇%。これはパキスタンだって一〇〇%でしょう。
 こういう開発途上国で、日本は経済大国どころか、経営者が言う、日経連あたりが言う、こういう開発途上国の資料がこれだけの割り増し率を払っているんです。私はそこを言いたいのだ。何かヨーロッパのいいところばかりとって話しているんだと、そうじゃないんです。これは、国際労働課の出した資料で私は言っているんです。どこへ行ったって、日本の経済大国がパキスタンと比べれば、いや失礼だけれども、それより以下でなきゃ企業の採算性はとれませんと、どうやって物を言えますか、具体的に。言えないですよ、こんなことは。私は無原則に言っているんじゃないんです。
 こういうのも一部の資料の中にありますということを申し上げているので、ひとつ時間短縮、時間割り増しは、必ずしも私だって先ほど申しましたように割り増し率を払うことが経営コストにどれだけの負担になるかという、山東先生がおっしゃったとおりです、認識は。逆に、今また労働者を一人養うよりも、割り増し率を払った方がいいと言う経営者もいるでしょう。現に私の中にもいますよ、これはっきり言って。対馬先生そう言うけれども、今人一人採用するよりも、割り増し率を五〇%から一〇〇%払ったってその方がかえっていいという、こういうやっぱりコスト論的に物を言えばいろんな見方はございますけれども、今人手不足の解消の道では、むしろ割り増し率を払う方が人を採用するよりもかえっていいと、こういう経営者も一部にはあるということもこれは事実なんです。そこらあたりを踏まえた場合、今局長からそういう答えがございましたから、やはり思い切った考え方を出していった方がいいと思う。
 労働省は、すぐ審議会審議会と盛んに言うのだけれども、審議会の決定が出るまで待っていますなんというのは、これは主体性がないです、私に言わせれば。少なくとも、事務局で出しておると思うけれども、審議会に対して一つの試案がこうであるというようなものを労働省が出さなきゃ、これは当然のことであって、もちろん出しておると思いますけれども、それは審議会の方をお待ちでございますというのは、これは労働省要らなくなるんです、はっきり言って。少なくとも、審議会に対して一定の事務局の考え方を出されておるということを聞いていますけれども、その旨をやっぱりきちっと出していくという、それが審議会全体で今の時期は早いとか遅いということはこれはあるでしょう。そういう意味で、私はこの割り増し問題についてはぜひひとつ取り組んでいただきたいということを申し上げます。いかがでしょうか、もう一回。
#130
○政府委員(佐藤勝美君) これは、再三申し上げておりますように、現在労働基準法の見直しか中央労働基準審議会で検討されている最中でございますけれども、申すまでもなくこの労働条件、とりわけ労働時間の問題は労使の利害に大変深くかかわっている問題でございます。しかも、この結果はいずれ将来の法律改正につながるということになりますと、罰則をもって実施が強制される労働基準法の改正ということになるわけでございますから、なおさら十分な議論を尽くして意見を集約する必要があるわけでございます。
 そういう見地から審議会に議論をお願いしているわけで、私どもとしてはことしじゅうには結論をまとめていただきたいということで進めているわけでございまして、労働省の立場としては、こういった三者構成の審議会の御議論の結論を踏まえて労働省なりの案をつくってまたお諮りする、こういうことを考えているわけでございます。
#131
○対馬孝且君 今基準局長からございましたけれども、ぜひひとつ積極的な取り組みをして時間短縮の推進の役割を果たしていくというその姿勢をとってもらうということを強く要望しておきます。
 次に、先ほども若干出ましたけれども、時間外労働の削減の実態のサービス残業の問題、この点について触れておきたいと思います。
 先ほどもちょっと出ました、特に毎勤統計の調査によりますと、三十人以上、労働者一人当たりの年間所定外の労働時間、平成元年度で百八十八時間から三年度に百七十時間、この間に十八時間減少しています。これは労働省の資料ですから、間違いであれは御指摘願っていいんですが、このまま推移すれば二、三年のうちに年間総労働時間千八百時間を達成する上で必要と考えられる百五十時間の実現はそう困難ではないんではないかという見方が一つございます。したがって、事業所調査である毎勤統計がどれほど残業時間の実態を把握しているかについては疑問視している向きもございますけれども、首都圏のサラリーマン、公務員の残業時間を調査したリクルートリサーチ実態調査、これは平成三年の十一月によりますと、一年間の残業時間は四百五十一時間という結果が出ています。また、これは中央大学の角田教授が「月刊労働組合」という雑誌で触れられていますけれども、労務行政研究所が実施をした調査結果について、上場企業の六十四社のうち二十三社が三百五十時間から四百時間残業を行っている、こういうふうに言われています。
 私は、毎月勤労統計調査の正確性について議論するつもりはございませんけれども、事業所統計と労働者を対象とした統計の格差の中にいわゆるサービス残業が含まれているという問題がどの程度あるのかという点をちょっと指摘しておきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#132
○政府委員(佐藤勝美君) 私ども労働省が労働時間の問題を考える場合には、毎月勤労統計調査の数字を使っているわけでございますが、そのほかに、先生御指摘のような民間の調査もあるというふうなことです。民間の調査そのものはいろいろベースが違いますからこれは比較の対象にはなりませんが、ただ家庭の調査ということで総理府の調査が別途就業構造基本調査などがあるわけでございますが、その数字との間に差があるという御指摘でございまして、学者の中にもそういった指摘をして、毎勤とそれとの差がサービス残業だというふうなことを書いておられる学者もあるんです。
 ただ、就調の方は、これは御承知かと思いますが、毎月最後の一週間についての調査をやっているわけでございます。しかも、家族の調査をしていますということで、結局毎月最後の週ということになると普通の場合は一番忙しい時間である、それから事業所側の調査ではないわけで、結局会社にいる時間全部を労働時間というふうに考える場合もあるということで、どうも同じには比べられないんではないかという問題が一つございます。
 それから、毎月勤労統計調査、これは労働省でやっておりますが、この調査自体、どんな調査もそうですが、常に正確にとれるようにという努力をする必要がございますけれども、調査のやり方としては、賃金の支払いの対象となるか否かを問わずとにかく実際に働いた時間を記入すべし、こういうことになっているわけでございます。実際にそのような記入がなされているかどうかという問題提起は常になされるわけでございますけれども、私どもはできるだけ適正にそれが記入をされるようにという努力は引き続きやってまいりますが、世上言われているように毎勤統計調査の数字が非常に問題が大きいというようなものでは決してないというふうに考えております。
#133
○対馬孝且君 いや局長、そのことを指摘しているんじゃなくて、それは結構だと思いますから、自信と確信を持ってひとつ進めてもらいたいということを申し上げておきます。
 私は、まだ実は有給休暇問題、地方自治の役割などたくさんあるんですけれども、三十五分までだといいますから、先ほど申し上げましたように大臣との間に一問一答でひとつ問題点をきちっと整理しておきたいという意味で、むしろ確認をして、次の段階に再びこういう議論のないように、近藤労働大臣時代に成立した千八百時間はかくなる成果を得たということで、日本に冠たる労働大臣として役割を果たしたというぐらいのひとつ実績を残してもらいたいと思いますから、私は次の問題点、質問できなかった分も含めて十八問ございますから、育児休業の方式で、小里労働大臣と私との間でやりましたが、その方式でいきたいと思いますので答弁をいただきたいと思います。
 第一問として、つまり政府の現行経済計画に掲げられた年間総労働時間千八百時間程度という目標は、その最終年度である今年度中に達成することは不可能である。経済審議会生活大国部会では「計画期間中に年間総労働時間千八百時間を達成することを目標とする。」となっているが、仮にこれを尊重して新経済計画に定めるとした場合計画期間中にということになるが、本来は平成四年度中に達成されるべきものであることから、新計画の策定により目標の達成時期が四年間先送りされ余裕ができたとするような消極的な姿勢ではなく、現行計画の趣旨や西欧諸国の動向を踏まえれば、新計画期間の前半に達成できるよう最大限の努力を払うべきではないか、この点についてお伺いをいたします。
#134
○国務大臣(近藤鉄雄君) 私といたしましては、先生の御指摘を踏まえ、年間総労働時間を千八百時間に短縮するという目標ができる限り早期に達成されるように最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
#135
○対馬孝且君 それでは、第二問を申し上げます。
 年間総労働時間千八百時間を達成するためには、完全週休二日、週四十時間労働を確立しなければならないはずである。したがって、年間総労働時間千八百時間を新計画期間の前半に実現するよう最大限の努力をするということであれば、当然完全週休二日、週四十時間労働制についても新計画期間の前半に実現するよう最大限の努力を払うべきと考えますが、お伺いをいたします。
#136
○国務大臣(近藤鉄雄君) 週休二日制の普及状況を見ますと、中小企業では普及が困難な面も見られるところでございますが、今後とも中小企業を含め完全週休二日制が早期に達成されるよう最大限の努力をしてまいります。
#137
○対馬孝且君 第三問。我が国の場合、完全週休二日、週四十時間労働制を普及させるためには、週法定労働時間を四十時間としなければならないし、それがまた改正労働基準法の趣旨でもある。したがって、我々としては早急に労働基準法の改正を行うべきと考える。
 この点について、現在改正労働基準法の附則第七条に基づき見直し検討が行われているようだが、中央労働基準審議会の審議も踏まえ、速やかに改正法案の取りまとめを行い、次期通常国会に提出するものと受けとめてよいか。この点をお伺いいたします。
#138
○国務大臣(近藤鉄雄君) 週四十時間労働制への移行の問題を含む労働基準法の見直しについては、週四十時間労働制が労働基準法本則に規定されている趣旨を十分踏まえつつ、政府として積極的に検討を進めるとともに、中央労働基準審議会の結論が得られ次第、速やかに改正法案の取りまとめを行い、国会に提出する考えであります。
 なお、今後の具体的なスケジュールについては、審議会に検討をお願いしているところであるので具体的に申し上げる立場にはございませんが、労働省としては、平成四年中には結論をいただき、次期通常国会に法案を提出したいと考えております。
#139
○対馬孝且君 第四問。時間外労働が恒常化している我が国の現状にかんがみ、時間外労働は本来臨時、突発的な業務に対応するものであって、必要最小限にとどめられるべきであるという観点から、時間外労働の上限について年間百五十時間とする法的規制を設けるべきである。少なくとも、時間外労働協定の適正化指針を大幅に見直すとともに、時間外労働の賃金割り増し率の大幅引き上げを図るべきではないか。
 また、いわゆるサービス残業については、労働基準法を逸脱するものであり、その根絶を図るため罰則の適用も含む強力な指導監督を行うべきと考えるが、お伺いをいたします。
#140
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働時間短縮のためには恒常的な時間外労働の削減が重要であると認識をしております。
 このため、時間外労働協定の適正化指針の見直しについては中央労働基準審議会に検討をお願いしているところであります。また、労働時間法制全般の見直しについても同審議会に検討をお願いしており、その中で具体的な検討項員の一つとして時間外・休日労働の割り増し賃金率も含め検討していただいているところであります。労働省としては、これらの結果を踏まえて必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
 いわゆるサービス残業については、労働時間管理の適正化を図ることが重要であり、今後ともサービス残業を生むような土壌をなくすよう、啓発指導に努めるとともに、監督の際に割り増し貫金の不払い等の法違反等の事実を把握した場合には、是正勧告を行うなど厳正に対処してまいりたいと考えております。
#141
○対馬孝且君 第五問をお伺いいたします。ILO第百三十二号条約の趣旨を踏まえ、年次有給休暇の平均二十日付与、二十日完全取得へ向けて年次有給休暇の法定付与日数の引き上げを図るとともに、年次有給休暇の付与要件の見直しを進め、さらに二週間以上の長期連続休暇制度の導入を検討すべきと考えますが、お伺いをいたします。
#142
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働時間法制については、現在中央労働基準審議会において、年次有給休暇の問題も含め労働時間法制全般についての検討をお願いしているところであり、その検討結果を踏まえて必要な措置を講じていきたいと考えております。
 なお、年次有給休暇については労働時間法制の面だけではなく、年休を完全取得するという意識の徹底や連続休暇の慣行の定着等の問題が極めて重要であり、こうした点を中心に取得促進のための施策を強力に進めてまいりたいと考えております。
#143
○対馬孝且君 第六問。法案第四条に基づき政府が策定する労働時間短縮推進計画においては、一、年間総労働時間千八百時間の達成時期。二、週四十時間労働、完全週休二日制の達成時期。三、年次有給休暇の付与日数の増加と完全取得に関する事項及び長期連続休暇制度の導入に関する事項。四、時間外労働を年間百五十時間程度に削減する等の時間外労働の削減に関する事項が定められるものと理解してよいか。この点についてお伺いをいたします。
#144
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働時間短縮推進計画については、中央労働基準審議会等の意見も踏まえながら、目標として年間総労働時間の具体的目標値及び週四十時間労働制の早期実現を掲げるとともに、完全週休二日制の普及、年次有給休暇の完全取得、所定外労働の削減のための取り組みについての基本的な考え方を織り込む方向で今後検討してまいりたいと思います。
   〔委員長退席、理事仲川幸男君着席〕
#145
○対馬孝且君 第七問。労働時間の短縮を推進するためには、労働省を中心に、通産、運輸、建設、厚生各省などの事業所管官庁を初めとする関係省庁間の連携、協力を一層強化しづつ、政府が一体となって業界全体としての取り組みを積極的に指導援助していく必要がある。特に、運輸・交通業、建設業などの労働時間の長い業種については、所管官庁と連携して指導を格段に強化するものと受けとめてよいか。この点についてお伺いをいたします。
#146
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働時間の短縮については、政府が一体となって推進すべきものであることにかんがみ、事業所管官庁を初めとして関係省庁間の連携、協力を一層強化しつつ、今回の法案に基づく労働時間短縮実施計画承認制度の活用の促進を図る等により、業界全体としての労働時間短縮のための取り組みを積極的に指導援助するとともに、特に労働時間の長い業種については、強い決意を持ってきめ細かな指導援助を実施するように努めてまいります。
   〔理事仲川幸男君退席、委員長着席〕
#147
○対馬孝且君 第八問をお伺いします。
 法案第七条における労働時間短縮推進委員会の委員の指名の前提となる過半数労働者代表による推薦に関しては、その適正な手続を確保し、労働者の意見が十分反映されるようその基準を明確にすべきと考えますが、お伺いをいたします。
#148
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働時間短縮推進委員会の要件である過半数労働者代表による委員の推薦の手続については、御指摘の趣旨を踏まえ、できる限りその基準を明確にするとともに、これが適正になされるよう啓発指導に努めてまいります。
#149
○対馬孝且君 第九問。労働時間短縮推進委員会による決議に対して、労働基準法上の労使協定にかわる効果を付与する際には、労働基準法の趣旨を逸脱することのないよう厳正な運用に努めるべきではないか。
 また、労働時間短縮推進委員会の決議のうち、労働基準監督署への届け出が免除される部分については、監督行政の放棄につながることのないよう厳正な運用を行うべきと考えるが、お伺いをいたします。
#150
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働時間短縮推進委員会による決議について、労働基準法上の労使協定にかわる効果を付与するに当たっては、委員の半数は労働者代表が推薦した者とする等の要件を付しているところであり、労働基準法の趣旨を逸脱することのないよう、その厳正な運用に努めてまいる所存でございます。
 また、その決議について、労働基準監督署への届け出の免除を行うに当たっても委員会の設置の届け出を義務づける等の要件を付与しているところであり、監督行政上問題が生ずることのないよう厳正な運用に努めてまいります。
#151
○対馬孝且君 問題十。個々の企業の自主的な努力のみでは労働時間の短縮の促進は困難であるという現状にかんがみ、業種ごとの実情に応じた取り組みを促進し、本法に基づく措置の実施が実効あるものとなるようにするためには、地方労働基準審議会や労働時間問題懇談会などの地域における関係者の話し合いの場の活性化を図るとともに、業種別労使協議機関の設置等関係者の合意形成を積極的に推進すべきと考えますが、お伺いをいたします。
#152
○国務大臣(近藤鉄雄君) 個々の企業の自主的努力のみでは労働時間短縮が困難であるという現状を踏まえ、業種ごとの実情に応じた取り組みを促進することが必要であるとの観点から設けられた本法に基づく措置の実施が実効あるものとなるよう、地方労働基準審議会や地方労働時間問題懇談会を活用し、業種や地域の実情に応じた労働時間短縮の進め方について十分な議論を行う等関係者の合意形成の積極的推進に努めてまいります。
#153
○対馬孝且君 問題十一。法案第八条の労働時間短縮実施計画の承認については、都道府県単位の同業種に限らず全国規模の同業種、幾つかの都道府県にまたがる同業種や工業団地や商店街など地域的にまとまっている事業主も計画の承認を受けられると理解してよいか。この点をお伺いいたします。
#154
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働時間短縮実施計画の策定主体は、「同一の業種に属する二以上の事業主」とされているところであり、同一業種に属する事業主である以上、一つの都道府県、複数の都道府県、全国規模といった地域の範囲を問わずいずれも対象となるのであります。
 したがって、全く異なる業種に属する事業主の集まりは対象とはならないが、「同一の業種」の判断に当たっては、法の目的に照らし実態としての競争関係や横並び意識の生じている事業主の集まりをできるだけ広く弾力的にとらえていきたいと考えており、工業団地、商店街等についても実態を見ながらできるだけ広く対象に含めるよう対応してまいります。
#155
○対馬孝且君 問題十二。本法に基づく労働時間短縮実施計画制度の運用に当たっては、関係労働者の意見ができる限り反映されなければならないことにかんがみ、計画策定時に労使の話し合いが行われるよう指導すべきではないか。
 少なくとも、衆議院修正の趣旨を踏まえ、その承認に対しては関係労働組合または関係労働者の意見を十分聞くように努めるとともに、計画策定時に労使の話し合いが行われるよう啓発に努めるべきではないかと考えますが、お伺いをいたします。
#156
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働時間短縮実施計画が円滑に実施されるためには、計画の策定に当たって関係労使の話し合いが行われることが重要であると考えております。
 このため、衆議院修正の趣旨も踏まえ、労働時間短縮実施計画の承認に当たり、関係労働者の意見を聞くように努めるとともに、あらかじめ計画の策定時に労使の話し合いができる限り行われるよう啓発に努めてまいります。
#157
○対馬孝且君 問題十三。法案第十条の運用に関し、労働時間短縮のための営業日または営業時間に関する申し合わせについては、労働時間短縮が効果的に進められるための必要性という観点を重視して、労働省等と公正取引委員会との事前調整が行われるものと理解してよいか、この点お伺いをいたします。
#158
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働大臣及び事業所管大臣が法第十条第一項に基づき公正取引委員会に意見を述べる際には、当該計画に係る事業分野での労働時間短縮が重要であること、労働時間短縮の目標が適切であり、その目標実現のために計画記載の措置が必要不可欠かつ有効なものであること等の意見を述べることとし、御指摘の趣旨を踏まえた運用に努めてまいります。
#159
○対馬孝且君 問題十四。同一業種の事業主であって、共同の労働時間短縮実施計画に加わらない者が多数あるということになると、当業界の労働時間短縮の進展を十分に期待することはできない。したがって、本法の趣旨を踏まえ、労働時間短縮が進められるよう必要な要請、指導を行うべきと考えますが、お伺いをいたします。
#160
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働時間短縮実施計画に基づく労働時間短縮への取り組みが効果あるものとなるようにするためには、同一の業種に属し競争関係や横並び意識の生じている事業主の集まりにおいて、事業主ができるだけ広く計画に参加することが必要であることから、本法の趣旨、目的について周知徹底されるよう業界団体に対し啓発を行うように努めてまいります。
#161
○対馬孝且君 問題十五。労働時間短縮実施計画対象事業主に対し、十分な助成措置を含む支援措置の充実に努めるものと受けとめてよいですか。この点をお伺いいたします。
#162
○国務大臣(近藤鉄雄君) 計画対象事業主が、労働時間短縮実施計画に基づき円滑に労働時間の短縮を図ることができるようにするため、公正取引委員会との事前調整、取引先事業主への協力要請、時短アドバイザーの派遣等の指導援助等の措置を積極的に実施するとともに、今般の緊急経済対策によって拡充された省力化投資促進融資制度の有効活用に努める等事業主に対する積極的な支援を実施してまいります。
#163
○対馬孝且君 問題十六。承認計画に係る取引先事業主等に対する協力要請に関する法案第十一条の規定の運用に当たっては、改正下請振興基準を踏まえ、納期や単価について十分配慮し、下請企業における労働時間短縮の取り組みが円滑に進められるよう積極的運用がなされると受けとめてよいか。この点についてお伺いをいたします。
#164
○国務大臣(近藤鉄雄君) 承認計画に係る取引先事業主等に対する協力要請に関する法案第十一条の規定については、改正下請振興基準も参考にしつつ、積極的な運用に努め、当該承認計画の円滑な実施を図ってまいります。
#165
○対馬孝且君 問題十七。労働基準法における女子保護規定の見直し問題については、男女がともに人間らしく家庭生活と職業生活とを両立させ得るような労働条件の確立を初め、社会的環境を整備した上で行うべきと考えるが、この点についてお伺いをいたします。
#166
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働基準法上の母性保護を除く女子保護規定については、男女労働者が同一の基盤で働けるようその労働条件の法的枠組みを同じくする必要があるとの観点から、将来的に解消するという展望のもとに、昭和六十年、労働時間を初めとした労働条件等労働環境、女子が家事、育児等のいわゆる家庭責任等を負っている状況、女子の就業と家庭生活との両立を可能にするための条件整備の状況等当時の女子労働をめぐる環境条件を考慮しつつ改正したところでございます。
 今後ともこれらの状況を的確にとらえ、男女同一の法的な枠組みの整備を視野に入れて検討を行ってまいりたいと考えております。
#167
○対馬孝且君 最後の問題十八。労働基準法を最低基準として十分機能させ、労働時間短縮の一層の促進を図るため、労働基準監督官等の増員を初め、労働基準行政体制の充実強化に努めるべきと考えますが、この点についてお伺いをいたします。
#168
○国務大臣(近藤鉄雄君) 安全かつ健康でゆとりある勤労者生活の実現に向けて、労働基準行政の推進を図るため、関係機関と協議しつつ、今後とも事務の効率化を図りながら、労働基準監督官等関係職員の増員等行政体制の充実に努めてまいります。
#169
○対馬孝且君 以上、確認答弁をもちまして私の質問を終わります。
#170
○委員長(向山一人君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#171
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#172
○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法に対し反対の討論を行います。
 反対する第一の理由は、この時短促進法は労働時間の短縮を標榜する個別、具体法であるにもかかわらず、政府が繰り返し言明している週休二日制や年間労働時間千八百時間の実現などの具体的な目標が何らうたわれていないだけでなく、企業に対しては法的な時短の義務づけも罰則もなく、ただ自主的な努力を期待しているだけにすぎない点にあります。
 本法案が、真に労働時間の短縮の促進をまじめに目指すものならば、いつまでに、どのように時間短縮を実現するのかの具体的な目標やプロセス、法に違反した場合の罰則の規定などがどうしても必要であります。
 ところが、この時短促進法には、そういう肝心なことが何も明記されていないと言っても過言ではなく、その実効性はほとんど期待できないと言わざるを得ません。
 反対する第二の理由は、法案が労働者と労働組合の権利にかかわる重大な条項を含んでいる点にあります。
 法案は、労働者にとって賃金とともに最重要の労働条件である労働時間の決定を事業所ごとに事業主が設置する時短委員会にゆだね、実質的に時短委員会での決議を労使協定にかえ得るものにしております。
 しかも、時短委員会の委員の半数は労働側委員としていますが、それも労働者側の推薦に基づいて事業主が指名することになっているのです。
 このような仕組みは、改めて指摘するまでもなく、労働者からの選挙で選ばれたり、推薦されても事業主が気に入らない場合には、指名を拒否したり他の人物を推薦させようとするなどの妨害や干渉を可能とする余地を残しており、法律上に何らこれを規制する歯どめがないのは重大な問題点であると言わなければなりません。
 これらの問題は、労働条件は労使が対等の立場で決定するとして労働基準法が定めている労働者の権利、すなわち労使協定やそのための団体交渉権を労働時間という重要な分野で否定することにつながるものであります。
 また、変形労働時間制、みなし労働時間制などについて、この時短委員会が決議すれば、労使協定や労基署への届け出を不要としています。このことは労働基準法が一日八時間制の例外として認めるかわりに設けた歯どめさえ外し、変形労働時間などの際限のない拡大に道を開くもので軽視できない後退であります。これは労働時間短縮に名をかりた労働基準法の事実上の改悪であり、到底容認できないところであります。多くの労働組合や有識者が強い批判と反対の声を上げているゆえんもここにあります。
 日本共産党は、以上の見地に立って、衆議院段階における本法案の審議に際し、週四十時間、完全週休二日制を初めとする労働時間短縮促進の目標と計画を具体的に明らかにすること、さらに本法案による労働組合の基本権の侵害を排除するための手だてなど、四項目を柱とする修正案を提出したところでありますが、残念ながら否決されました。
 したがって、本日、当委員会において、本法案の審議が終局するに当たりまして、それらの問題点を改めて指摘し、私の反対討論といたします。
#173
○委員長(向山一人君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#174
○委員長(向山一人君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、細谷君から発言を求められておりますので、これを許します。細谷君。
#175
○細谷昭雄君 私は、ただいま可決されました労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党。スポーツ・国民連合及び参院クラブ、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、ゆとりある勤労者生活の実現、国際社会との調和ある発展等に資するため、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
 一、年間千八百労働時間の達成に向けて、関係省庁間の連携・協力を一層強化し、政府が一体となって労働時間短縮対策を総合的に推進すること。
 二、本法の趣旨、内容について、事業主団体等に対する周知を図るとともに、業種や地域の実情に応じた労働時間短縮の進め方については、地方労働基準審議会や地方労働時間問題懇談会等の場を活用して、十分な論議が行われるようにするなど、関係者の合意形成の促進に努めること。
 三、本法に基づく労働時間短縮実施計画制度の運用に当たっては、関係労働者の意見ができる限り反映されることが望ましいことにかんがみ、計画策定時に労使の話合いが行われるよう啓発に努めること。
 四、労働時間短縮推進委員会の決議に係る労働基準法の適用の特例については、労働基準法の趣旨に反することがないよう厳正な運用に努めること。
 五、中小零細企業における週休二日制等の労働時間短縮を促進するため、環境整備その他必要な援助を行うとともに、必要な指導の強化に努めること。また、下請企業における労働条件の改善・向上に資するため、取引条件の適正化のための指導監督を一層強化すること。
 六、週四十時間労働制への移行、恒常的な所定外労働の削減、年次有給休暇の増加及び完全取得問題を含む労働基準法の見直しについては、中央労働基準審議会における結論が得られ次第、速やかに改正法案を国会に提出するよう努めること。
 七、労働時間短縮実施計画についての公正取引委員会との意見調整に当たっては、ゆとりある勤労者生活の実現が国民的緊急課題であることにかんがみ、その目的が達成されるよう十分配慮すること。
 八、労働基準法の履行確保、労働時間短縮の一層の促進のため、労働基準監督官等の増員をはじめ労働基準行政体制の充実強化を図ること。
  右決議する。
 以上であります。
#176
○委員長(向山一人君) ただいま細谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#177
○委員長(向山一人君) 多数と認めます。よって、本附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、近藤労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。近藤労働大臣。
#178
○国務大臣(近藤鉄雄君) ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
#179
○委員長(向山一人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#180
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#181
○委員長(向山一人君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。
 本件につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#182
○中西珠子君 この法案は、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所の出張所五カ所の設置に関し国会の承認を求めるものでありますが、横浜市、神戸市、福岡市、三田市、大川市にそれぞれ出張所を設置する理由をまず伺います。
#183
○政府委員(若林之矩君) まず、全五つのうちの三つでございますけれども、横浜、神戸、福岡に出張所を設ける件につきましては、御承知のとおり平成三年度に東京、大阪にレディス・ハローワークを開設いたしました。レディス・ハローワークは潜在的女子求職者の就職の援助とその能力の活用を目的として就業希望登録、就業前における職業情報の提供、職業講習、きめ細かな職業相談等を実施するものでございます。
 幸い、開設いたしました東京、大阪につきましては大変好評でございまして、今後も引き続き女子の就業率の低いところで潜在的な女子求職者の多いところにつきまして増設を図りたいということで、ただいま申し上げました三所につきまして新設をお願いしておるというものでございます。
 また、神戸の三田と福岡の大川でございますけれども、公共職業安定機関はその設置を終えまして相当年数を経ておるわけでございまして、それぞれの地域あるいは社会事情、産業の事情、こういったものによりましていわば設置の見直しと申しますか、こういったものをいたしておるわけでございますけれども、こういった近年の地域におきます労働市場の変化や産業構造、企業立地の動向等を踏まえまして、そういった要請の大変強い、ニードの強い三田と大川について出張所を新設しようというものでございます。これにつきましては私どもスクラップ・アンド・ビルドということで対処しているところでございます。
#184
○中西珠子君 いわゆるレディス・ハローワークというのが横浜、神戸、福岡に新設されるということです。レディス・ハローワークという名前はどうやっておつけになったわけでございますか。最近日本語の純粋性が損なわれるのではないかと心配するほど片仮名文字がはんらんしているわけです。レディス・ハローワークというのは何語だかわからないのですけれども、英語から来たものらしいとは思いますけれども、これを女性専用の職業安定所とすぐわかる人が日本人にも外国人にも余り多くはないのではないかと思うわけでございますが、この名前をおつけになった理由をお聞きしたいと思います。
#185
○政府委員(若林之矩君) 実は、公共職業安定所というものにつきまして、地域住民に一層親しんでいただく、そういう存在になることを目指しまして、出会いを大切にする公共職業安定所の精神を込めてハローワークという二ックネームを平成元年から使用させていただきまして仕事をいたしております。
 このハローワークというものを決めるに当たりましては、公募をさせていただいたわけでございますが、四千ぐらいのいろいろな案が出てまいりまして、これをそういったネーミングの専門家と申しますか、そういったことに大変お詳しい方にお願いをいたしまして選考していただきました。それで、このハローワークという愛称を決めていただいたわけでございまして、全国六百の安定機関が現在このハローワークという愛称で仕事をさせていただいておるわけでございます。おかげさまで大変この愛称も国民の皆様の間に定着をしてまいっていると思うわけでございます。このたび潜在的な女子求職者の再就職援助のための事業を専門的に行う安定所ということにつきましては、これもただいま申しましたようにハローワークが大変定着してまいっておりますし、利用者に親しんでいただきたいという願いを込めまして、レディス・ハローワークという愛称をつけさせていただいているわけでございます。
 これにつきましては大変好評でございますが、特に私ども注目いたしておりますのは来所者の方の三分の一が初めて公共職業安定所というところの敷居をまたいでくださったということでございまして、もとよりいろいろとPRもさせていただいた結果でございますけれども、その一つにこういったソフトな名前でPRをさせていただいたということもあるのではないかというふうに考えているところでございます。
#186
○中西珠子君 先ほど、レディス・ハローワークというのは女性の就業希望者の多いところ、そして就職率の割合と低いところにつくると、だから今度は横浜、神戸、福岡ということだとおっしゃいましたけれども、これはちょっと古いかもしれませんけれども、昭和六十二年の総務庁の就業構造基本調査によりますと、都道府県別の女子就業希望者数というのは東京、大阪、神奈川、その次が埼玉なんです。それから兵庫、福岡の順に多いのですけれども、埼玉にレディス・ハローワークをおつくりにならない理由は就職率が非常に高いからですか。
#187
○政府委員(若林之矩君) 私どもこれを設置してまいるにつきましては、潜在的な女子求職者の多いところ、そして女子の有業率が低いところで進めてまいっております。その点につきましては先生御指摘のとおり、埼玉県も潜在的な女子の求職者が二十七万でございますし、また有業率も四一・五%ということでございます。比較的低い方に属するかと思います。
 このレディス・ハローワーク、首都圏とかそういうような大都市圏の周辺につくっていくわけでございまして、東京、大阪にはできておりますが、さらにその周辺につくっていこう、そしてまた、それだけではなくてある程度ブロック別にもつくっていこうというようなことも考えておりますものですから、そういったことを総合勘案いたしましてこの三所についてお願いをすることにいたした次第でございます。
#188
○中西珠子君 平成三年度に東京と大阪にレディス・ハローワークを設置されて、そしてこの名前は非常に女性にとって魅力的であったということでございましょうが、先ほど三分の一は初めて来た人だとおっしゃいましたけれども、東京の方は初めて公共職業安定所を利用した人は二分の一ということを伺っております。とにかく、非常にいいお仕事をしていらっしゃるのではないかと想像いたしておりますが、このレディス・ハローワークの業務実施状況についてお伺いしたいと思います。
 まず、月平均の来所者数、新規の求職者数、新規求人数、これは他の安定所から連絡してきた求人数もあると思いますが。それから職業紹介件数、就職件数などについてお伺いしたいと思います。
#189
○政府委員(若林之矩君) ただいま御質問の順に御説明申し上げますが、まず来所者数でございますけれども、月平均でございまして、東京は月平均で約三千五百十人、大阪が約二千三百十人でございます。それから新規の求職者数でございますが、月平均で東京が約六百九十人、大阪が千五百六十人でございます。それから新規の求人数でございますが、月平均で東京が約三百十人、大阪が約六百二十人でございますが、これにつきましてはただいま先生御指摘ございましたように、他の安定所からの連絡求人というのがございます。これが月平均で東京が七千五百六十、大阪が三千六百でございます。それから就業希望の登録者数でございますが、東京が約二百、大阪が約四百でございます。それから就職件数でございますが、月平均で東京が百五十件、大阪が約二百二十件、以上でございます。
#190
○中西珠子君 新規求職者の年齢別構成の比率はどのようになっていますでしょうか。
#191
○政府委員(若林之矩君) 求職者の年齢構成でございますが、東京は二十五歳未満の方が約二割、二十五歳以上三十五歳未満が約三割、三十五歳以上の方が約五割、こういうことでございます。大阪は二十五歳未満の方が約三割強、二十五歳以上三十五歳未満の方が約三割、三十五歳以上が約三割、こんなような比率になっております。
#192
○中西珠子君 職業別に就職状況を教えていただきたいんですけれども。
#193
○政府委員(若林之矩君) 新規の求職の申し込み職種の構成でございますけれども、東京は事務的職業が約七二%、専門的・技術的職業が約一四%。大阪は事務的職業が約七〇%、専門的・技術的職業が約一三%というふうになっておりまして、就職の方の職種でございますが、東京は事務的職業が約七七%、専門的・技術的職業が約一〇%となっております。大阪は事務的職業が約七六%、専門的・技術的職業が約八%、こういう状況でございます。
#194
○中西珠子君 販売とかサービスの職業、その他技能工のようなもの、そういったものは余りないんですか。
#195
○政府委員(若林之矩君) そういった職種につきましてはもちろんございます。
 まず、求職の方から申し上げますと、東京の場合には、販売の職業が三・四%、サービスの職業が二・九%、技能工等でございますが、五・一%となっております。大阪の例では、求職の申し込みでは、販売の職業が五・二%、サービスの職業が一・七%、技能工等が五・九%となっております。就職の方でございますが、東京の方は、販売の職業が三・七%、サービスの職業が三・五%、技能工等が五・四%でございます。大阪につきましては、販売の職業が六・五%、サービスの職業が二・一%、技能工等の職業が七・〇%、こういうことになっております。
#196
○中西珠子君 レディス・ハローワークと、総合的女子就業援助事業をそのように呼んでいらっしゃると理解しておりますけれども、今お話しのありましたいろいろきめの細かい職業紹介をなさったり女子の就業希望の登録というものもなさって、その数字も今いただきましたけれども、そのほかにまた職業相談もなさっているでしょうし、それから離職期間中の職業情報の提供、それから求職活動、就職の支援情報の提供、例えば保育所やなんかが近くにありますとか家政婦、ホームヘルパーのことだとかベビーシッターの話だとか、そういった情報の提供をなさるというふうに理解しております。また一方、女子の就職促進を図るための事業主に対する雇用管理の指導もやっていらっしゃるというふうに理解しておりますけれども、これらについての実施状況と申しますか、数字というのはないのでございますか。
#197
○政府委員(若林之矩君) ただいま御指摘の数字につきましては手元にございませんので、わかるものにつきましては後ほどまた御報告させていただきたいと思います。
#198
○中西珠子君 それでは、数字でなくてもいいんですけれども、離職期間中の職業情報の提供なんというのは、これは就業希望の女性が登録していますね。その人たちが来所しなければ上げないわけですか。郵送でも上げる、そういうふうなこともやっていらっしゃるんですか。
#199
○政府委員(若林之矩君) これにつきましては、できるだけ私ども郵送によりまして、新しい求人情報でございますとかあるいは御希望の職種についての動向の情報、こういったものをお送りするということにいたしております。
#200
○中西珠子君 それから、職業講習の実施というのをなさるそうで、これは公共の職業訓練校の方に、今度は職業訓練施設になったんでしょうけれども、人的能力開発施設ですか、そういうふうになったわけですが、その方に紹介なさる、それとも、それと同時にまた別個にこのレディス・ハローワークの中で職業講習もなさるんですか。
#201
○政府委員(若林之矩君) これは両方やっておりまして、レディス・ハローワーク自体でもそういった講習をいたしております。それからまた、公共職業訓練施設あるいは雇用促進センター、こういったような関係の施設と連携して行うということもいたしております。
#202
○中西珠子君 関連して伺います。
 レディス・ハローワーク自体でなさる講習というのは、内容はどういうものでしょうか。
#203
○政府委員(若林之矩君) これは、ワープロの実習でございますとかあるいは女性の方のいろいろな講演会のようなものを開催いたしておりますけれども、大阪で実施いたしましたものはワープロの実習の職業講習でございます。
#204
○中西珠子君 東京ではどうですか。
#205
○政府委員(若林之矩君) 東京ではまだ準備いたしておりまして実施をいたしておりません。
#206
○中西珠子君 求職活動、就職の支援情報の提供については、これは来所した人に、また向こうがこういう情報が欲しいと言ったときにお出しになるわけですか。
#207
○政府委員(若林之矩君) 求職の情報でございますか。
#208
○中西珠子君 就職の支援情報というのは、保育所やベビーシッターや家政婦やホームヘルパーのことだというふうに理解しているんですけれども。
#209
○政府委員(若林之矩君) これにつきましては、もとより来所されましたときにいろいろ情報提供させていただくわけでございますけれども、先ほどの登録をなさいました方、こういった方は随時その後もいろいろと連絡をお互いにとり合っていくということでございますから、必ずしも来所なさらない場合でも、電話等でもそういったことにつきましては情報を差し上げることはできるだろうというふうに思っております。
#210
○中西珠子君 事業主に対する雇用管理の指導をなさっているそうですが、これは事業主が来所したときですか。それとも、もっと一般的に雇用管理について何かセミナーのようなものをなさるとか、そういうようなことをやっていらっしゃるんですか。
#211
○政府委員(若林之矩君) 現在のところは、事業主の方が求人を持ってこられましたときにいろいろと条件の内容等について御相談に乗っているというのがございます。例えば、具体的には持ってこられました求人の年齢の問題などにつきましても、そういった年齢の要件を緩和していただくとか、そういったことも指導の中で行っております。その他、最近の労働条件その他につきましてもいろいろと御相談に応じるという形になっております。
#212
○中西珠子君 いろいろ内容について御説明いただきましたけれども、先ほど申し上げた数字ですね、私は大変関心がありますので後ほどぜひお届けいただきたいと思います。
 それで、とにかくもうあと一分しかありません。就業を希望する人は女性も男性もすべて憲法二十七条の勤労の権利を実質的に保障して、そしてそれぞれの能力が発揮できるような適職につかせて、そして勤労権の行使を通じて経済社会の発展に貢献することができるように効果的な職業安定行政をきめ細かに、また強力に推進していただくことを大いに期待しておりまして、これをもって私の質問終わりたいと思いますが、大臣の御決意のほどを二言お願いいたします。
#213
○国務大臣(近藤鉄雄君) 女性の方々がお一人お一人の生活環境に即して……
#214
○中西珠子君 女性も男性もと私申しました。
#215
○国務大臣(近藤鉄雄君) 一般的に女性も男性もでございますが、しかるべき仕事について大いに能力を発揮される、社会的貢献をしていただく、豊かな人生を送られることこそが私たち労働行政の基本でございますので、そういう方向に沿ってひとつこれからも鋭意努力してまいる決心でございます。
#216
○中西珠子君 ありがとうございました。
#217
○山中郁子君 昨年の九月二十四日の当委員会で、東京で初めて渋谷公共職業安定所宇田川町出張所ということで西武デパート内に開所されましたレディス・ハローワークの承認に当たっての質疑を思い起こしていただきたいのであります。このとき私は、職業安定所の方々の労働条件の変化の問題について中心的にただしました。
 初めにこの点だけ一つ、その後の状況に照らしてどのような現状があるのかを端的にお伺いいたします。
#218
○政府委員(若林之矩君) ただいま御指摘の質疑のときにもお答え申し上げたわけでございますけれども、レディス・ハローワークは就業を希望しながら育児、家事等さまざまな制約条件を抱える主婦層の方々を対象に、それぞれの就業ニーズに応じてきめ細かな職業紹介等のサービスを提供させていただくということでございますので、そういったサービスの提供に当たりまして、大都市における潜在的な女子求職者層の日常的な生活空間と申しますか時間等を十分考慮した業務展開を図ることが必要であるということを申し上げたわけでございます。
 こうした観点から、レディス・ハローワークの開庁及び閉庁の時刻につきまして、試行的に一般の公共職業安定所より繰り下げることにいたしました。東京につきましては、開庁時間を十時から十八時までといたしますとともに、土曜日及び日曜日につきましても開庁をしてまいったところでございます。
 こういった試行の結果、十七時以降の来所者数が少なくないわけでございまして、しかもその時間帯でなければこのレディス・ハローワークを利用しがたいという方が相当数見られるわけでございます。また、土曜日の来所者数も平日とほとんど変わらない状況でございますし、日曜日につきましても午前中はともかく生いたしまして、午後は平日とほとんど変わらない、こういう状況でございます。
 こういったことでございますので、労働省といたしましては試行してまいりました開庁時間について高い評価と利用度を得ている、こういう判断をいたしておりまして、今後も当分これまでと同様の勤務体制を継続することが適当であるというふうに考えておりまして、現在職員団体と鋭意話し合いをいたしているところでございます。
#219
○山中郁子君 お伺いしているのはそうではなくて、当時の議事録を読んでいただければわかるのですが、職業安定所の職員の方々がこうした形で労働時間が変化する、変わることに対する大変いろいろな御意見があったわけです。そのときに、当時労働大臣は小里さんだったわけですけれども、それは十分職員の皆さんの合意を得てやりますということは繰り返し私の質問に対して答弁されておりました。
 これだけで時間をとるわけにいきませんので端的に申し上げますが、開始されて以降、その問題については必ずしもお約束があったような状況で円満に事が運ばれていない側面もございますので、当時の労働大臣の御答弁、私の発言のことを指しています、「先生御発言の趣旨は最高に尊重しながら、鋭意折衝に当たってまいりたいと思います。」と、こう答弁されている。私の発言の趣旨というのは、そこの職員の皆さんの合意をちゃんと得なければならないということを強調したわけですので、そこに立ち戻って、今からでも決して遅くないわけですから、誠意ある対応を示されることを強く要望いたします。
 それでは次に、今回のレディス・ハローワークの問題に入るわけでありますけれども、昨年の十月から実験されています「働く女性のための二〇二〇テレフォン」というんですね、これはさっきの中西委員のあれによりましても何語がしらと思うんです。フレフレというのは二〇二〇なんです、電話番号が。それで、「働く女性のための二〇二〇テレフォン」で、何語であってもそれは横に置いて、働く女性のための就業支援事業の実施ということなんです。これが十月より実験されているわけですけれども、この趣旨について説明いただくと同時に、こうした情報案内はレディス・ハローワークの今後の事業にとって大変密接な関連を持ち必要とされることだと思いますが、その辺についての見解を伺います。
#220
○政府委員(松原亘子君) 私の方から先生御質問の前段の部分、どういう趣旨からこれを設けたかということについて御説明させていただきたいと思います。
 これは、御指摘のとおり平成三年度から女性職業財団に委託をいたしまして、働く女性のための支援事業ということでやっております。フレフレが何語かとおっしゃられましたけれども、働く女性のための支援事業という非常にかたい言葉でもありますし、利用していただく方々が一般の女性の方でもありますものですから、フレフレというのは二〇二〇の電話番号をそのままとったわけでございます。というよりはむしろそういう番号を欲しいということで頑張った面もございますが、そういう番号でフレフレ事業ということで私どもやっております。
 この趣旨は、まあ女性だけの問題ではございませんけれども、家庭責任を持った方が家庭生活と職業生活を両立させて働くというためにはやはりいろいろ手当てをしなきゃいけない場面というのは出てまいります。育児が必要な方についてはそれをどうするか、それから介護が必要な方が家族にいればそういう一方々に対してどういう措置をとって働きに出るかということもあるわけでございます。そういうものにつきまして具体的なサービスがいろいろあるわけでございますが、どういうサービスがどういうところで受けられるかという情報が必ずしも個々の労働者の方々に十分届いていないという面もあるのではないかということから、そういう問題を持った方々の相談を受け付けますとともに、そういう相談に応じまして的確にそういうサービスが受けられるように情報を提供をしようということで、東京、大阪で実験的に開始をしたものでございます。
#221
○政府委員(若林之矩君) 後段の方でございますけれども、レディス・ハローワークの方といたしましても、こういった働く女性のための就業支援事業による各種の情報をいただきまして、登録している方々等の御要望に応じて提供すると、こういったような連携体制をとっていきたいというふうに考えております。
#222
○山中郁子君 労働省の調査というか、情報の取りまとめの資料をいただきましたけれども、働く女性の求める情報は圧倒的に育児に関するものであるということがこれで判明いたします。したがって、育児が七〇%、それに次いで多いのが介護だと読み取れますが、それはそのとおり理解してよろしいでしょうか、伺います。
#223
○政府委員(松原亘子君) おっしゃるとおりでございまして、私どもとりあえず実験的に始めました昨年度の情報をまとめましたところによりますと、六五%が育児に関するものでございまして、約一割が介護に関するもの、それ以外がその他家事サービス等に関するものでございました。
#224
○山中郁子君 とりわけ、育児と仕事の両立を図るということがこの数字の上からも大変重要な問題になっています。それで、労働省の労働白書のようなものでしょう、「労働問題のしおり」の中でも、「育児と仕事の両立を図る制度が立ち遅れている状況にある。」ということも指摘されています。事実そのとおりだと思いますが、こういうことの制度的な整備がおくれていることがざまざまな女性の社会的進出の上での隘路になり、またそのことがいろいろ関連し合って出生率の低下というようなものにまでリンクしていっているというふうに判断して差し支えないと思うんです。
 そこで伺いますが、育児休業法が施行されて二カ月たちました。その取得の件数や取得の特徴についてはどのように把握されていらっしゃるか。育児休業制度ありというふうに求人案内の中ではっきりとしている企業はどのくらいあるのか、把握されているところをお伺いします。
#225
○政府委員(松原亘子君) この四月一日から育児休業法が施行になったわけでございますけれども、まだ施行後日が浅いということもございまして、この法律の施行の結果、育児休業を取得した方がどの程度いらっしゃるかとか、そういったことまではちょっと私どもまだ現時点で把握しておりません。
 個別には、ある企業で男性が取得しているとか、そういった個々の情報はございますけれども、平均的におしなべてどういう状況かということはちょっと申し上げられるまでの十分なる情報はございません。いずれにいたしましても、今後適当な時期にこの法律の施行状況を把握してまいりたいというふうに思っております。
#226
○山中郁子君 育児休業法自体は、まだまだこれからさまざまなクリアしなければならない問題も抱えての出発でありましたけれども、いずれにしても出発したところですので、今局長が御答弁になりましたようになるべく早急にそれらのことを労働省として把握されるように努められたいと思います。
 企業の中で、こういう問題をそのようにある程度認識を持ち重視し、取り扱っているようなところがあるかないか。それもまた調査していないというふうな御答弁だと承ってよろしいでしょうか。
#227
○政府委員(松原亘子君) 重視しているという御趣旨がどういう趣旨かちょっとわかりかねるところもございますけれども、いずれにいたしましても三十人以上の事業所につきましては、この四月一日から資格要件に合う労働者が請求した場合には休業を認めなければならないということになっているわけでございます。
 もちろん、企業によりましてはこれを契機として、個別の情報ではございますけれども、これまで一年であった育児休業を二年にしたというような企業もありますし、企業内でこれまで六カ月だったのを法律に合わせて一年にしたといったようなことで、積極的にこの法律に対応し、雲ださらにこれを上回るような水準で労使で合意されて進められている企業もあるということは聞いておりますが、まだそれがどれぐらいの割合かと一般論として申し上げるまでには十分な情報がないというりが現状でございます。
#228
○山中郁子君 先ほども申し上げましたように、今は人手不足ということでなかなかそういう面でも困難があるのだけれども、求人案内の中で育児休業制度がありますよというふうに明記されているように事態が動いていけば、企業の中でも認識が深まっているという一つのバロメーターでもあると思います。そういうことなどは、例えばの話ですけれども、今局長がおっしゃったようなことも総合的に把握される必要があると思います。
 それで、育児休業法によりますと時間休業も取ることができるわけです。また、無給ということの制限がありますので一年以内の休業も多いということも推定されますけれども、そういう場合、保育所はもちろんでありますけれども、育児中の女性の就業を促進するさまざまな施設の整備や制度がとりわけ大切だと私たちは考えております。
 そこで、それらのことを全部ここでいろいろ伺ったりなんかするわけにはいかないので、この機会に一つだけ労働省として積極的な取り組みを図っていただきたいということについて申し上げます。
 いわゆる労働安全衛生規則に言う休養室、これは古くて新しい問題だと思うんです。私が職場で現実に働いていた時分、ということはつまり何十年も前なわけですけれども、そういう時期から、やはり子供を産んで育てながら働いている人々にとって大変必要なものが女性の休養室です。特に、搾乳の必要があるんです。授乳という性格からは育児時間自体が転化してきました、今回の育児休業もそうだと思いますけれども。しかし、搾乳の必要がまたどうしてもあるわけで、これは昔からやっぱり変わらず必要なわけです。そういうようなことを考えますと、やはり働く女性にとっては、そうしたことが保障される休養室というものがどうしても必要です。
 ところが、労働安全衛生規則の六百十八条は、労働者五十人以上あるいは女子労働者三十人以上を雇用する事業主は、男女別の休養室を設けなければならないということになっています、御承知のとおりでありますけれども。これは、やはり今の育児休業法が施行され、そしてレディス・ハローワークの中で明らかに示されているというふうに労働省も把握されているニーズにこたえて改善する時期ではないかと思うんです。つまり、それ以下であっても当然そういうものはしなければならない、つくらなければならないというふうに義務づけるべく改正する時期ではないかと思いますが、それらの積極的なお考えがないかどうか、お。伺いいたします。
#229
○政府委員(松原亘子君) 女子労働者の母性保護につきましては、既に御承知のとおりでございますが、労働基準法上の母性保護規定に加えまして、男女雇用機会均等法に基づきます母性健康管理指導基準というものを私ども定めておりまして、そういったものが徹底されるようにということで指導をこれまでもやってきております。
 その指導基準の中に、妊娠中ということではございますが、妊娠中の女子労働者が有効に利用することができるような休養室の整備ということもこの指導基準の中に入れて、PRが十分なされているかと言われますと、若干不十分な点もあるかもしれませんが、いずれにせよこの指導基準の中にそれを盛り込んでやってきてはおります。
 ただ、御指摘の労働安全衛生規則に基づきます休養室につきましては、規模によって設置が義務づけられているところとそうでないところがあるということはそのとおりでございまして、特に義務づけられていないところについて、今おっしゃいました産後の搾乳等についての問題というのはあるということは認識いたしております。ただ、小さい規模の事業所でございますし、そういったところに独立した休養室を設けることを直ちに義務づけられるかといいますと、また個々いろいろ難しい問題もあろうかと思いますが、実情に応じてそういったものが設けられるということは望ましいことであるというのは私どもも理解できるところであります。
 いずれにいたしましても、母性保護というのは極めて重要な観点だというふうに認識しておりますし、今後これについてどういったような対策をさらに加えてやるかということについては、今後の検討事項ということにさせていただきたいというふうに思っております。
#230
○山中郁子君 先ほど労働時間の短縮の問題で、中小企業、下請企業なんかの問題でも対馬委員も強調されましたけれども、もっともではあるけれどもいろいろ困難なんだというところに行政がとどまっていたら、やっぱり進むべきところを突破していく道がつかないわけです。
 私は、労働安全衛生規則の問題一つを取り上げて、そのことを声高に言うつもりはありませんけれども、そうしたことが困難だからということだと、やはり中小企業における育児休業の実施というものはできないという前提に立ってしまうことになるわけです、労働省自身が。そこのところは、ぜひひとつ積極的にその隘路を打開していく行政指導は当然のことでありますけれども、やはり労働安全衛生規則の改正という意欲を持った取り組みの方向だけでも示していただきたい。大臣、いかがでしょうか。
#231
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生のお気持ちはよくわかります。ただ、現実に大きな企業と小さな企業ではそれぞれ人事管理の適用の差がございますので、なかなか思うとおりにいかない面もあると思います。
 しかし、そういった中小零細の企業もできるようないろんな手だてを考えるのがこれからの私たちの課題であると思いますので、ひとついろいろ努力してまいりたいと思います。
#232
○山中郁子君 次に、二番目の重要なネックとして、介護という問題が浮き彫りにされています。育児に比べれば比率はかなり低いんですけれども、やはり量的には二番目になっているわけなので、この機会に介護休業等の介護に関する企業内福祉制度の導入促進のためのガイドラインの策定、いろいろ言われて今までもやりとりされていますけれども、こういうことの具体的なスケジュールはどうなっているのか、その見通しはどうか、簡潔に御答弁いただければ幸いです。
#233
○政府委員(松原亘子君) 何回もお答えしたとおりでございますが、研究をお願いしておりました検討会議から先月報告が出されました。今これに基づきまして行政としてのガイドラインの策定作業を進めているところでございまして、できるだけ早く、七月上旬には出したいというふうに思って今作業を進めているところでございます。
 今年度のその後の事業といたしましては、このガイドラインを出しました後、これに基づく具体的なモデル事業をやるとか、さらにこのガイドラインのPRを全国的にやるといったようなことをやってまいりたいというふうに思っているところでございます。
#234
○山中郁子君 レディス・ハローワークは、非常にニーズがあってそれにこたえて好評であるということを労働省は胸を張っておっしゃるということは、その中身というのはいかに育児あるいは介護、こうしたものを乗り越えていく、このネックを乗り越えていく、そういうニーズがどんなに高いかということのまた証明でもあるわけで、その辺に対する意欲的な解決のための指導を進められるよう強く求めます。
 私が与えられた時間が間もなくなくなります。
 最後に、これは質問ではありません。先ほど対馬委員がおっしゃいましたけれども、私も十八年間参議院で多くの委員会において仕事をしてまいりました。図らずも、労働委員会におけるきょうの質問が最後ということになります。別に大げさなことを申し上げるつもりはありませんけれども、当委員会での仕事は短い期間ではありましたが、そしてまた労働行政の先端にある方々の御努力を十分承知しているということは申し上げつつも、私はやはり法はだれのためのものか、そして行政はだれの味方なのかということを今強い批判的見地に立って振り返らざるを得ないという気持ちでおります。
 したがいまして、あえて労働省設置法というものをここで引き合いに出させていただきます。これは釈迦に説法ということは百も承知でございますけれども、労働省設置法第三条「労働省の任務」は、「労働省は、労働者の福祉と職業の確保とを図りこということを前提にしつつ幾つかの項目を挙げています。労働条件の向上及び労働者の保護、労働者の安全及び衛生の確保、婦人の地位の向上、職業の紹介、指導、失業対策、職業訓練、労働者災害補償保険事業、雇用保険事業その他等々でございます。この中に、企業の利便を図る、企業の都合を考えるということは一つもありません。
 そこで、私はあえて申し上げたいのは、労働省が少なくともこの設置法にうたわれている任務に照らして適切な存在たり得ることを肝に銘ずべきであるということを強く申し上げて、きょうの質問を終わります。
#235
○委員長(向山一人君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#236
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#237
○委員長(向山一人君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#238
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#239
○委員長(向山一人君) これより請願の審査を行います。
 第一三〇号トラック運輸労働者の待遇改善に関する請願外百九十件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会における協議の結果、第二二三二号障害者の雇用率引上げ、雇用完全実施、職域拡大及び指導の強化に関する請願外三十一件、第三〇三一号パートタイム労働者の労働条件の改善に関する請願及び第三〇三二号介護休業制度の導入促進に関する請願は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一三〇号トラック運輸労働者の待遇改善に関する請願外百五十六件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#240
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#241
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#242
○委員長(向山一人君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#243
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#244
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#245
○委員長(向山一人君) ここで、第百二十三通常国会の閉幕を控え、一言ごあいさつ申し上げます。
 私、この七月の任期満了をもちまして委員長を退任することになりました。昨年八月委員長に選任されて以来、理事の方々を初め、委員各位の御協力を得まして無事委員長の職員を全うすることができ、ここに改めて厚く御礼を申し上げます。
 委員の皆様方におかれましては、今後の一層の御活躍を心から御期待申し上げます。
 また、今期をもちまして御勇退される委員各位のこれまでの御尽力に対し、深甚なる敬意を表するとともに、今後の御健勝をお祈り申し上げ、御礼の言葉といたします。
 大変ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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