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1992/03/27 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 逓信委員会 第4号
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1992/03/27 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 逓信委員会 第4号

#1
第123回国会 逓信委員会 第4号
平成四年三月二十七日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     三重野栄子君     堂本 暁子君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     堂本 暁子君     三重野栄子君
  出席者は左のとおり。
    委員長         粕谷 照美君
    理 事
                岡野  裕君
                守住 有信君
                大森  昭君
                中村 鋭一君
    委 員
                井上  孝君
                沢田 一精君
                陣内 孝雄君
                関根 則之君
                平野  清君
                及川 一夫君
                國弘 正雄君
                三重野栄子君
                山田 健一君
                矢原 秀男君
                吉岡 吉典君
                足立 良平君
                下村  泰君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  渡辺 秀央君
   政府委員
       郵政大臣官房長  木下 昌浩君
       郵政省郵務局長  早田 利雄君
       郵政省通信政策
       局長       白井  太君
       郵政省放送行政
       局長       小野沢知之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大野 敏行君
   説明員
       外務省北米局地
       位協定課長    原田 親仁君
   参考人
       日本放送協会会
       長        川口 幹夫君
       日本放送協会副
       会長・技師長事
       務取扱      中村 好郎君
       日本放送協会理
       事        堀井 良殷君
       日本放送協会理
       事        中野 正彦君
       日本放送協会理
       事        諏訪 恭也君
       日本放送協会理
       事        安藤 龍男君
       日本放送協会理
       事        中村 和夫君
       日本放送協会会
       長室〔経営計画〕
       局長       黒川 次郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○郵便法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正
 する法律案(内閣提出)
○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(粕谷照美君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 まず、郵便法の一部を改正する法律案及びお年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案に対する質疑は去る十二日に終局いたしておりますので、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。別に御発言もないようですから、これより順次両案の採決に入ります。
 まず、郵便法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#3
○委員長(粕谷照美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#4
○委員長(粕谷照美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(粕谷照美君) 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。渡辺郵政大臣。
#7
○国務大臣(渡辺秀央君) ただいま議題とされました日本放送協会の平成四年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして御説明申し上げます。この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣の意見を付して国会に提出するものであります。
 まず、収支予算につきましてその概略を申し上げます。
 一般勘定事業収支におきましては、事業収入は五千四百三億七千万円、事業支出は五千百三十一億八千万円となっており、事業収支差金二百七十一億九千万円は、二百三億二千万円を資本支出に充当し、六十八億七千万円を翌年度以降の財政安定のための繰越金とすることといたしております。
 一般勘定資本収支におきましては、資本収入、資本支出とも九百五十一億五千万円となっており、建設費六百七十八億円等を計上いたしております。
 次に、事業計画につきましては、その主なものは、衛星放送の継続的、安定的実施に万全を期するために補完衛星の製作・打ち上げに着手すること、視聴者の意向を積極的に受けとめ、豊かな放送番組の提供と公正な報道に努めること、国際放送について、番組の充実、刷新を行うとともに、受信の改善を図ること、受信料制度の周知徹底を図り、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めること等となっております。
 また、事業の運営に当たりましては、視聴者により一層信頼される公共放送を実現していくとともに、経営財源確保のため、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努め、あわせて経営全般にわたり効率的な運営と活性化を図ることといたしております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。
 郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等につきまして、おおむね適当であると認めた上で、収支予算等の実施に当たっては、受信料収入の確保及び経費の節減に努めることが必要であること、補完衛星の打ち上げが受信者の負担増とならないよう業務の効率化等に努めることが必要であることなどを指摘した意見を付することといたした次第であります。
 以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いを申し上げる次第でございます。
#8
○委員長(粕谷照美君) 次に、日本放送協会から説明を聴取します。川日本放送協会会長。
#9
○参考人(川口幹夫君) ただいま議題となっております日本放送協会の平成四年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。
 平成四年度の事業運営に当たりましては、激動する国際情勢など、放送の果たす役割が増している状況のもと、視聴者の期待と要望にこたえ、調和のとれた多様で豊かな放送を行って、より一層視聴者に信頼される公共放送を実現してまいる所存であります。
 業務の推進に当たりましては、経営財源確保のため、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努め、あわせて経営全般にわたり効率的な運営と活性化に努めてまいります。
 平成四年度の主な事業計画について御説明申し上げます。
 まず、建設計画につきましては、衛星放送の継続的、安定的実施に万全を期するため、補完衛星の製作・打ち上げに着手するとともに、放送番組充実のための設備の整備を行うほか、老朽の著しい放送設備の更新や放送会館の整備等を実施することとしております。
 次に、事業運営計画について申し上げます。
 国内放送におきましては、視聴者の意向を積極的に受けとめ、番組の充実刷新を図るとともに、公共放送の使命に徹し、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めてまいります。
 また、バルセロナ・オリンピックと参議院議員通常選挙の放送については、万全の体制で取り組むこととしております。
 国際放送におきましては、放送時間を拡充し、日本の実情を正しく諸外国に伝えて国際間の相互理解に貢献するとともに、海外在留の日本人に多様な情報を的確に伝えるため、番組の充実刷新を行います。
 また、海外中継を拡充して受信の改善に努めてまいります。
 契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度の周知徹底を図るとともに、効果的、積極的な営業活動を行い、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めてまいります。
 調査研究につきましては、新しい技術の開発研究を初め、放送番組、放送技術の向上に寄与する調査研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、広く一般にも公開することとしております。
 以上の事業計画の実施に当たりましては、経営全般にわたり業務の見直しを一層徹底し、要員については年度内三百三十人の純減を行い、総員一万三千九百九十人とし、給与につきましては適正な水準を維持することとしております。
 これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定において、事業収支で収入総額五千四百三億七千万円を計上し、このうち受信料については五千百六十五億三千万円を予定しております。これは契約総数において四十万件、衛星契約において百五十二万件の増加を見込んだものであります。
 これに対し支出は、国内放送費など総額五千百三十一億八千万円を計上しております。
 事業収支差金二百七十一億九千万円につきましては、このうち二百三億二千万円を資本支出に充当し、六十八億七千万円を翌年度以降の財政安定のために繰り越すこととしております。
 次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百七十八億円、放送債券の償還等に二百七十三億五千万円、総額九百五十一億五千万円を計上し、これらに必要な財源として、減価償却資金などの自己資金のほか、放送債券及び借入金などにより賄うこととしております。
 なお、受託業務等勘定においては、収入六億四千万円、支出五億六千万円を計上しております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて資金の需要及び調達を見込んだものでございます。
 以上、日本放送協会の平成四年度収支予算、事業計画等につきましてそのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、協会の事業が視聴者の負担する受信料により運営されていることを深く認識して、多様で豊かな放送を行うとともに、効率的な業務運営を行い、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。
 委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
#10
○委員長(粕谷照美君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#11
○三重野栄子君 ただいま議題となっております日本放送協会の平成四年度収支予算並びに事業計画及び資金計画につきまして、六点ほど質問をさせていただきたいと思います。
 まず、NHKの公共性についてでございます。
 既に衛星放送が有料化となり、ハイビジョンが試験放送に入った現在、多メディア・多チャンネル時代においてNHKの公共放送はどのように位置づけられているのでしょうか。放送は公共事業であり、高度の公共性を持つことはNHKでも民放でも当然追求される議題でありますが、特にNHKは、ただいまも申されましたけれども、放送法で公共の福祉を実現するさまざまな業務が義務づけられ、そのための財源保障として視聴者から受信料を徴収することが認められております。それも、ラジオからテレビヘ、テレビも白黒からカラーへ、そして現在は衛星放送、さらにはハイビジョンヘと、技術の進歩とともに映像の質や受信料の徴収までメディア環境の変化の中で変わっていくことと思いますが、NHKのありようがそこで問われているのではないかと存じます。
 多メディア時代の公共放送が行う放送サービスは何なのか、保有するメディアの数をどうしていくのか、その中で経営五カ年計画の検討は必要であるのかないのか、その点についてのお尋ねをさせていただきます。
#12
○参考人(堀井良殷君) 先生御指摘のように、多メディア・多チャンネルという状況が進行しておるということはよく私どもも認識しておるところでございますが、私どもは公共放送といたしまして、世界が大変な変革期のうねりの中にある、激動する内外の情勢の中で、国民の方々の情報選択のよりどころになるような信頼される情報をお送りしなければならないという役目があろうかと思います。
 また、その多チャンネルという状況の中でも、やはり少数者の意見、あるいは少数者向けのサービスといったようなものも含めまして、多様な放送を行う、公共放送にはそういう役目もあろうかと思うわけでございます。
 また、質の高い放送番組をお送りしなければならない。より豊かで質の高い放送、そして多様な放送、こういったものをお送りすることによりまして公共放送が民主主義社会の健全な意見形成と豊かな文化の発展に寄与したいと、こういうふうに思い、努力したいと思っているわけでございます。
 そういうことを行いますに当たって私ども公共放送といたしましては、あくまでも受信料をその経営の基本といたしまして経営してまいりたい。今後のNHKの保有するメディアと申しますかサービスのあり方につきましても、やはり一番大事なことは、多チャンネル化が進行する中で、も、多様なそして質の高いサービスが視聴者にどのような形で送れるか、そのために公共放送が多様なサービスをどのような範囲の中で行っていくべきかというような問題、さらには、先ほど申し上げましたように受信料をあくまでも基礎とする中で、視聴者の費用負担のあり方という中で、私ども公共放送が占めるべき適正規模について各方面の御意見もちょうだいしながら総合的に検討してまいりたいと、このように考えているわけでございます。
#13
○三重野栄子君 今お答えいただきました分で、少数の方の意見とか、質の高いもの、あるいは多様な、そういうさまざまた言葉をいただきましたが、そのことにつきましては三番目に質問させていただきますので、そこでお願いしたいと思います。
 今NHKの公共性についての御答弁をいただきましたが、今度は郵政省の方にちょっとお伺いしたいというふうに思います。
 今国会における渡辺郵政大臣の所信表明の第四に次のことがございます。「多メディア・多チャンネル時代に向けた放送基盤の整備」が述べでございます。そこで、「放送を取り巻く環境は多メディア・多チャンネル時代に向けて大きく変革しており放送基盤を整備充実するための放送行政の新展開が必要」であるし、「このたお、地域ケーブルテレビの普及促進、国際放送の充実、衛星放送・ハイビジョンの普及促進、放送ソフトの充実などの施策を推進します。」とございます。
 そこで、ハイビジョンの普及促進、放送ソフトの充実についてでございますけれども、昨年、郵政省の主導で社団法人ハイビジョン推進協会が設立をされまして、十一月二十五日からBS3予備チャンネルを使って一日八時間程度の試験放送が行われているところでございます。ハイビジョン推進協会は三年間の暫定的な組織でございますから、三年後にはハイビジョン放送の新たな展開も予想されてまいると思います。
 そこで、ハイビジョン放送が予定されているBS4のチャンネルプランが決まるのは二年後であろうとは思いますけれども、ハイビジョンチャンネルはどこが割り当てられるのか。NHKなのか、あるいは他のところであるのか、そういう問題についてこの方針の中には具体的に示されていないようでございます。申すまでもなく番組の編成やその人材養成等につきましては一朝一夕にできるものではないというふうに思いますのでございますから、二年というのはすぐたつわけでございますから、第四に述べられたそういう状況につきまして、放送行政をつかさどる郵政省がただ漠然と多チャンネル時代の方針を言われているのではないというふうに思うわけです。
 そういう意味で、これからの多メディア・多チャンネル時代の公共放送の役割、特にハイビジョンはどのようにされていくのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。
#14
○政府委員(小野沢知之君) お答え申し上げます。
 公共放送としてのNHKは、放送法上基本的な役割として四点求められていると思うんですが、第一点は放送の普及、第二点が豊かでよい放送番組の提供、第三点が放送技術の開発、それから国際放送の充実だというふうに考えておりますが、ただいま先生御指摘がございましたように、NHKがこれまで放送の普及に重点的に取り組みました結果、かなり成果を上げてまいりましたので、これからのNHKの基本的役割は、その力点の推移として、豊かでよい放送番組の提供、そういったことに移っていくというふうに考えています。
 また、御指摘ありましたように、NHKは受信料制度によりまして高度な自主性、中立性を財政面から保障されておりまして、視聴率やスポンサーとの関係を考慮せざるを得ない民放とはおのずから異なる性格を有しているわけでございます。
 そこで、NHKの方のあり方としては、国民や利用者のニーズや環境の変化をよく認識いたしまして、NHKの持つ公共放送としての特性を十分に発揮することによって、NHKならではのすぐれた放送番組を提供することを基本として、また経営の安定化を図り、国民の豊かな生活の実現に寄与することを期待している、こういうことでございます。
 それから、第二点のお尋ねのハイビジョン試験放送の関係でございますが、御指摘のようにハイビジョン推進協会が試験放送を三年程度実施する計画でございますが、番組の制作や送出のための技術とかノウハウの習得、蓄積、国民の視聴機会の拡大を進めまして、そういったことを通じて、試験放送による受像機の普及動向、ハイビジョン放送ソフトの供給状況等を十分踏まえながらハイビジョン放送の実用化を図っていく必要があるというふうに考えております。
 そして、その実用化のための具体的な方針でございますが、そういう今端緒にっいたところでございますけれども、今後、受像機の普及実績を基礎にした需要予測だとか国民のハイビジョン視聴動向だとかということについて詳細な調査を行いまして、かつ幅広く放送事業者等関係者や有識者の意見を聞きまして策定していきたいというふうに考えております。そういう意味で、近く新年度を迎えますが、腰を据えて取りかかりたい、このように考えております。
#15
○三重野栄子君 ハイビジョンチャンネルがどこにどういうふうにされるかということが、やはりそれを担当していらっしゃるNHKあるいは民放、いろいろなところでは一番心配なことだろうというふうに思いますので、その点については早く明示していただきたいと、私は大変素人でわかりませんけれども、そのように存じます。
 次に、NHKの番組制作の方針についてお伺いしたいと思います。
 去る三月二十二日の二十一時から、「NHKスペシャル テレビはどこぺゆくのか」というのが放送されました。香港のスタテレビの登場、あるいは百五十チャンネルも持つアメリカの現状、それから公共放送が民営化されたフランスの実態などがございまして、これからの日本の多メディア・多チャンネル時代の教訓として興味深く見せていただきました。そこで、NHKが番組編成に当たってどのような方針を持っているかということをお伺いしたいわけでございます。
 まず第一は、視聴者の意見や要望を聞くということは大変必要でございますけれども、視聴者重視になるということ、あるいは視聴者に迎合するということは質の低下を招くということも言われておりますので、そのあたりの調和というのはどのようにとられていくのかということをお伺いしたいと思います。
 また、経費の節約という問題やあるいは人員削減と大いに関連していると思いますけれども、今放映されております。「信長」は大河ドラマとして外注されておりますが、これからもそのように外注されていくのかどうか、そうするとNHKの特徴というのはどういうふうにあらわされていくのかということをお伺いしたいと思います。
 第三番目には、オリンピックの放送権料の問題ですけれども、年々高くなっておりまして、きょうこの提案もございましたけれども、今年度はさらに高額になっていっております。もちろんオリンピックは国民が大変期待をしているものではございますけれども、NHKと民放との負担割合とか、あるいはNHKは賛助金も支払っているという状況でございまして、受信料で賄われる問題についてこのオリンピックというものをどのようにやっていけばいいのか、そのことについてもお伺いしたいと思いますし、聞くところによりますと、ゴルフとかテニス等スポーツの問題につきましても民放と大変競合しているということも伺っておりますので、そこらあたり民放もどう育てていくか、あるいは一緒にやっていくかという問題から含めますと、このオリンピックやあるいはスポーツ競技の問題についての放映はどのようにしていけばいいのか。
 最後に、ハイビジョンの番組づくりの問題ですけれども、衛星放送でやっていって、ハイビジョンのカメラでこうやっていけばハイビジョンに出るわけですから、いつもそういうわけにはまいらないと思いますので、そういたしますとやはりこれからの人員、定数の問題についてもお考えがあろうかと思いますので、大変数が多うございますが、簡単にでも結構ですのでお答えいただきたいと思います。
#16
○参考人(中村和夫君) 三点についてごく簡単に答弁させていただきます。
 NHKには年間、視聴者からの御意見が四百七十万件寄せられます、毎日の放送について電話とか投書がです。電話が大体半分の四七%ぐらいでございますが、そういうものを通じて、今我々が放送している番組について視聴者の方々がどういう御感想をお持ちなのか、再放送希望が多いというようなことがあれば、その番組というのがどういうふうに受けとめられているか、そういうことを現場にフィードバックしているということが一つ。
 それと、中央と地方の番組審議会、これは委員の方の数が百二十一名ございますが、これを月一回開いていろいろ御意見を伺っているということ。それから視聴者会議、全国五十三カ所で八百九十三人の方々が年三回会議を開いて御意見を述べられます。そういうことも番組に反映させていく。
 このほか、視聴者懇談会、全国で随時開いておりますが、番組についての一般モニターの方が六百九十四人おりまして、年十二万件の報告をしてくださっております。それから、いろいろな世論調査をやっておりますし、それから企業の広報担当者など若い人たちの御意見もいただく場をつくっているということがございます。
 それから、大河ドラマの外部委託の問題でございますが、いいドラマをつくるためにはそれなりのお金がかかるんですが、やはりコストマインドというものをきちんと現場で持ってつくらなければいけないという亡とがございまして、現在「信長」はエンタープライズに委託しているわけでございますが、委託をして現在のような形で制作していってどういうメリット、成果、それからどういう点を考えなければいけないのかということをきちっと検証してこれから先のことを考えていきたい。ドラマというのは十分前々から準備しなくてはなりませんので、「信長」の後の平成五年の大河ドラマ「琉球の風」というもの、それからその次の「奥州藤原四代」というものも今そういう形でつくる準備を進めております。ただ、NHKの本体の方でも、来年の六月には昔の銀河ドラマに相当するような連続のドラマを衛星でオリジナルにつくるとか、そういう本体でのドラマ制作ということも片方では努力しているということがございます。
 それからスポーツの放送権料の問題ですが、これは頭の痛い問題で我々も本当に困っているわけですが、余り放送権料が高いと単独ではどうしてもできないということで、オリンピックの場合はジャパン・プールという形でやっておりますが、オリンピックに限らずやはり大きなソフトとして視聴者が関心を持つようなスポーツのイベントについては権料が年々高くなりまして、どうしても御指摘のようにジョイントでやらなければいけないということで、来年の岩手県の雫石で行われる世界アルペンスキー選手権は民放の一社とNHKがジョイントで放送するということをやります。民放と一緒に仕事をするわけですけれども、それぞれの放送枠の問題もございまして、どういうふうに制作費なりその権料の配分をしたらいいのかという交渉がなかなか難しい面がございます。
 それから、オリンピックの放送権料の民放との負担の割合についても、これは毎年両方で熱心に交渉しておりまして、それぞれがどういうスポーツのイベントを放送の中に入れていきたいのか、その放送会社によってどういう放送の枠をどこに設定したらいいのかということをNHK側の編成計画と突き合わせた上で、お話し合いを進めているというようなことでございます。
#17
○三重野栄子君 大変詳しくありがとうございました。
 ただ、視聴者の問題につきましては、これからもっと工夫していただきたい面も感じているところでございますけれども、御検討いただきたいというふうに思います。
 次に、雲仙・普賢岳の大災害はどのようにその後皆様方のお仕事に関して教訓を残しているだろうか、どういう対策がされただろうかということでお伺いしたいと思います。
 昨年六月の雲仙・普賢岳の大規模火砕流の大災害、特に取材中の方々の犠牲があったということにつきまして大変心痛むものでございますけれども、取材体制があのときに問われたというふうに思っています。NHKの方も犠牲になられたわけでございまして、心から御冥福を申しますけれども、そのことがどのように検証され、そして分析されて現在に至っているのか。
 私は福岡でございますけれども、帰りますと、普賢岳の放送はもう毎日毎日夜中も流れているわけですけれども、最近また活発な活動でございますので大変胸を痛めているところでございます。報道の安全対策、それからまた、こういう自然災害だけではなくて海外での戦争地域とか紛争地域にも派遣をされておられますが、そういう問題についてどのようになっているかということをお伺いしたいと思います。
#18
○参考人(中村和夫君) 私どもでも普賢岳で犠牲者を二人出したわけであります。その前の年にやはり沖縄でヘリコプターの事故がございまして職員が二人犠牲になるということがございました。かねがね取材における安全というものをどういうふうに確立したらいいのかということを沖縄のヘリコプターの事故以来放送総局では真剣に考えてまいりました。それで、火砕流の事故が起こってから、そういう安全対策をどうするか、放送総局の中に委員会をつくりましてきちっと検討を進めてまいりました。
 今御指摘がございましたように、取材をどうやって安全に行えばいいのか、それには何か手段はないのかということで、危険なところにはやはりできるだけハイテクの技術を使って安全な取材をした方がいいだろうということで予算も組んでいただきまして、例えばロボットカメラのシステムを使うとか、それからヘリコプターでも無人のヘリコプターというものを使って空中からリモートで例えば普賢岳を撮影できないかとか、それから危険だということがわかった場合に、現場の記者なりディレクター、カメラマンに一斉に引き揚げるように指令ができるようなそういう受令システムというものも配置できないかということで、この受令システムというのはもう三年度じゅうに、今年度じゅうに三十台使っておりますけれども、そういうものも配置するとか、火砕流に遭っても、例えば燃えない取材上着といいますか、そういう着衣を配置するとか、そういうロボットカメラシステムを駆動するための携帯用のソーラーの、太陽による発電システムとかそういうものを順次整備しようということで、来年度は七億円ぐらいの予算をつけていただいて整備に当たっているということでございます。
#19
○三重野栄子君 私どもは、放送を通じて文化的な水準を上げるとか豊かな暮らしを送りたいという状況と同時に、今申されましたけれども、そこで働いておられる方々もやっぱり豊かでなければならないというふうに思うわけです。そういう意味で、今危険にどのように対処していただいているかということがわかりましたが、NHK全体で働いていらっしゃる皆さんの労働条件といいましょうか、それは一体どうなっているかというのが大変心配です。
 昭和六十三年度の基準外、時間外労働の月平均というのは三十・五時間、それから平成元年で三十二時間、平成二年で三十二・八時間というふうに伺っておりますけれども、総労働時間というのはやはり全国的に二千時間を超しているわけでございますから、そういう状況でこれから時間短縮の問題、それから労働強度にならないようにしていただきたいという願いがございます。
 特に、一九五九年、六〇年ごろに教育テレビが導入されて、そのころに多数採用されて働いてこられた方があると伺っておりますけれども、その方の定年が間近になっているということを伺っております。ですから、その後はどういうふうになるかということや、あるいはそういうせっかく能力をお持ちの皆さんが、六十歳というのはまだ若いわけですから、後どのように御活動いただくか。例えば先ほど外注という問題もございましたけれども、そういう方々がグループをっくってそういうお仕事をしていただくとか、そういう方法なども考えられるのではないかというふうに思っておりますが、時間も参りましたので簡単に御答弁いただければ幸いでございます。
#20
○参考人(安藤龍男君) まず、職員の勤務状況でございますけれども、協会は今要員効率化を進めております。そういう中で放送番組の充実、先ほど来の緊急報道等も含めまして、番組の充実ということの中で職員には大変勤務面で負担をかけているという事実があることも承知しております。
 そういう中で少しでもやはり職員の勤務条件、労働条件を改善するためにいろいろな施策を行っているわけでありまして、例えば残業をしない日を設ける、労働組合とも相談をしてそういう日を一週間に一回設けるとか、あるいはまたフレックスタイム制を導入するとか、あるいはまた、この四月一日からでございますけれども、時短を伴う完全週休二日制というものを実施する等さまざまな施策を進めておりますけれども、こういうことを行いながら、平成二年度でございますけれども、NHKの総労働時間が二千百時間程度で、全産業平均をやや上回っているということでございますので、少しでも短縮に向けて努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
 それから、要員の確保という点、それから人材の育成というのはやっぱり協会の非常に大きな課題だというふうに考えております。そういう中で、中高年といいますかベテランの高い専門能力を持った職員がたくさんおりますので、そういう人たちが若い人たちと一緒になって、現場の日常の業務の沖でそういう高い能力を次の世代に受け継いでいくというようなこともやっておりますし、それから現実的には専門能力育成研修というようなものも今進めているところでございます。先生おっしゃるように、それだけではなくて、退職をした非常に能力の高い職員も、現在でもラジオの深夜便なんかでも契約職員というような形でもって活躍をしていただいておりますので、そういうような形だとか、あるいは外部のパートとか関連団体と協力をして番組の質が低下しないようにより一層質の高い放送を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
#21
○三重野栄子君 終わります。
#22
○山田健一君 それでは、私の方から引き続き御質問申し上げたいと思います。
 平成四年度の収支予算とそれから事業計画、資金計画を国会に今出されているわけでありますが、この審議をするに当たりまして、経営委員会の方にもぜひ委員長の御出席をいただきたい、こういうことで実は申し上げていたわけですが、都合があってきょうは出れない、こういうことのようでございまして大変残念に思っております。これは今まで国会でも随分衆参の逓信委員会を通じて、経営委員会そしてまた経営委員長、ぜひ国会の審議にも参加をするようにということが何度も実は繰り返されてきております。とりわけ昨年新しく川口会長体制ということになりまして、昨年の前会長辞任に伴って改めて経営委員会のあり方、その機能が十分発揮をされてきたのかということでいろいろとその問題がクローズアップを実はされてきておりまして、去年の九月の逓信委員会におきましてもこの経営委員会のあり方というものについていろいろと議論がなされてきたことも事実であります。
 こういう状況を受けて、とりわけこうした収支予算の決定をされるのはこれは経営委員会でありますから、その決定の権限と責任を有しておられる経営委員会からもことしはぜひ逓信委員会に出席をしていただきたい、こういう強い気持ちを私は述べていたわけであります。残念ながら、日程の都合がつかない、こういうことのようであります。
 今日まで経営委員会のあり方等について議論がいろいろされてまいっております。大まかに言って私は三点あると思います。一つは、逓信委員会へ経営委員長が出席をする、この問題が一つ。それからもう一つは経営委員会のあり方、人選について、いろんな角度からもっと幅広くやったらいいんではないか、年齢の問題だとかあるいは地域代表がどういうふうにその機能を果たしているのか。そして三つ目には、経営委員会での審議状況、これを公開してほしい、こういう議論がこれまでいろいろと繰り返されてきた。
 したがって、経営委員会としてもぜひ前向きにそういう状況を受けとめて国会の審議にも臨んでいただく、これが私たちの希望なんでありますけれども、幸い川口会長の体制が発足をいたしまして、去年の九月の逓信委員会での議論の中で会長も、これからは経営委員会との意思の疎通をしっかり図って十分議論をしていく、とりわけ来年庸予算、今出されておるこの予算等についてはしっかりと経営委員会とも議論をしたい、こういうことをおっしゃられていたわけであります。
 今回は、お話がありましたように、言ってみれば五カ年経営計画の中間年、極めて放送を取り巻く環境が刻々と変化をしておる、そういう状況の中でこれからどうしていくのかという意味では、大変大きな意義を持った私はことしの収支予算の審議だ、こういうふうに思っております。会長が去年おっしゃいましたけれども、もちろん会長氷しっかりとその見解を述べられていることだろうというふうに思いますが、一体この収支予算の編成、作成に当たって経営委員会との間でどのような議論がなされてきたのか。きょうお見えでありませんから会長の方からまずお尋ねをしたいと思います。
#23
○参考人(川口幹夫君) 去年私が会長に就任しましてから、執行部として経営委員会とのあり方を密にしよう、大小いろんな問題がありますけれども、経営委員会にきちんと御報告申し上げることは申し上げ、決めることは決めていただこうというふうな方針を貫いてまいりました。一番大事な新しい年度の予算編成、事業計画につきましては特に私は念を入れたつもりでございます。
 昨年の十一月から予算審議の経営委員会を何遍も持っていただきまして、合計五回会議を開いていただきまして、執行部の案、それから経営委員会の御議論というものを非常に懇切丁寧にやっていただきました。一月の末に御提出申し上げましたような予算が決まったというふうな次第でございまして、今後ともこういう形はぜひとっていきたいと思っております。
#24
○山田健一君 五回程度議論がされた、とりわけ経営計画、あるいはまた、出されております予算、こういう問題をめぐって特徴的などういう中身の話が行われたのか、主な特徴点でいいですから会長の方から明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
#25
○参考人(川口幹夫君) NHKが今置かれている立場、それから現状というものの分析、それから、先ほど三重野先生も言われましたけれども、新しい時代がこれからやってまいります、それに対して協会はどのような基本的な考え方を持って新しい時代に対応していくのか、そういう大変基本的な話からまず始まりました。そして現段階で、平成四年度という時代で何をすべきなのか、それにはどのような態度で臨むべきなのかということを克明に細かいデータを挙げながら分析、議論していただいたということでございます。
 特に、例えば補完衛星の問題とか、それから番組を実施していくに当たっての、例えば私が前から提案しておりましたアジア・センターの構想、世界の情報ネットワークをつくるためにはどうしてもアジア・センターのようなものから始めていかなければいけないという考えでありますけれども、そういうものについての方法論。それから予算というふうなもの。特に番組面では、教育テレビを強化しようというふうなことを考えておりましたので、この教育テレビの強化についての執行部側の考え方、それと予算の問題というふうなことですね。それから、やっぱり視聴者がNHKに対して望んでいるのは豊かで多様な放送ということでございますので、その豊かで多様な放送の中身は何なのか、それをどのような形で実施していくのか、それの経費はどうなのかというようなことについて特段の議論をいたしました。あとまた、例えば経営の効率化についてどのような対策をとれるのか、そういったことについても相当細かい議論をしたつもりでございます。
#26
○山田健一君 今会長の方から御説明をいただきまして、かなり基本的な部分で、これからの対応を含めていろいろ突っ込んだ議論がなされたということの御説明をいただきました。できれば経営委員会の意向なりあるいは委員長の意向、こういうものもあわせてお伺いをして、例えば今言われましたアジア・センター構想、あるいは補完衛星どうする、こういう議論も本当はやりたかったわけでありますけれども、今会長の方からお示しをいただきましたので、そういう議論が行われたのだなということで受けとめさせていただきたいと思うのであります。
 経営委員会の国会への出席の問題についてはいろいろ今までこの委員会でも言われてまいりました。郵政大臣にちょっとお伺いをいたしますけれども、実は昨年の九月のこの委員会で、関根委員の御質問に対しまして関谷郵政大臣がお答えをされまして、関根委員の方からNHKの経営委員会というのが一体どういうことをやっているのか国民に余りよく見えないという御指摘があったんですが、それに応じて大臣の方が、正直申し上げて今まで経営委員会というのは形骸化しておったのではないだろうか、あるいはまたその目的、職員を十分果たしていなかった、このように思うわけであります、今回川口さんの体制になって、いろいろ改善もやるというふうにおっしゃっていますので、私といたしましても、大臣としましても今後しっかりと指導監督をしてまいります、こういう御答弁を実はなさっておられるわけであります。
 経営委員長がこの逓信委員会に出席をされましていろいろ意見を述べられる、これはまたそれで大変結構なんではないか、これが大体郵政省としての今までのたしかスタンスだったというふうに、私もいろいろ過去を調べてみますとそういうふうに受けとめているわけで、この出席問題について大臣としての見解は、前大臣はそういうふうにおっしゃっておったわけでありますが、新しいあなたの見解をお示しいただきたいと思います。
#27
○国務大臣(渡辺秀央君) 基本的には、申すまでもなく参考人ということになりますれば国会の御決定ということであろうと思いますが、一般論として、NHKの予算というのは会長が執行権を持って経営委員会での審議を尽くして決定するものでありますから、その予算関係においては会長が先生方の御質問に十二分にお答えできるのではないかということだと思います。しかしどうしても経営委員会の委員長の出席が必要となるケースもあろうと思いますから、そういうときはまず私は国会の決定に従うべきだというふうに思います。これはもう国権の最高機関として当然のことだと思います。
 それから、まさに山田委員がおっしゃいましたように、経営委員会と理事会、いわゆる執行部との関係というのは言うなら車の両輪であるわけですから、どっちが余り機能を発揮し過ぎても、あるいはまた、職権の乱用とかそんなことじゃないんであって、お互いに相まって助け合って、そして信頼し合って公正中正な公共性の強い報道機関としての職員を全うしていくということではないのかと思うんです。そういう意味で、NHKの最高の意思決定機関として高度な自主性を確保しながら、郵政省が指導監督する立場というようなことではなくて、前大臣がどういうふうにおっしゃったかは別として、言うならば経営委員会と理事会とが十分に機能し合ってそして国民の期待にこたえていく、視聴者の期待にこたえていくということが一番大切なことではないかというふうに思います。
 形骸化しているというようなこともあったようでありますけれども、私は今の段階で、川口体制になられてそういう感じもいたしておりませんし、委員お聞きのとおり、今会長がこの予算についても、こんなことを言ってはあれですが、今までになく念を入れてここに提案しているということでありましょうし、その辺はひとつ御参酌いただくとありがたいことだと思います。今後は多メディア・多チャンネル化の進展などに伴ってNHKの役割もさらに増大いたしますので、経営委員会の機能、そして理事会の責任、こういうものがうまくかみ合わされるように私も期待をいたしているところでございますし、どうぞひとつ御指導をいただきたいと思っている次第でございます。
#28
○山田健一君 答弁は極めて優等生の答弁だったというふうに思っております。郵政省が指導監督を強めるというのも本当はおかしな話なのでありまして、この辺も今大臣がおっしゃられたとおりであろうかというふうに、本来のそういう意味での機能が十分発揮されていくように、これはもう我々もそう願っているわけであります。
 ただその前に、今大臣もおっしゃいました、これは別に言葉じりをとらえるわけじゃありませんけれども、一般論として最初におっしゃいましたけれども、予算等については会長の、いわゆる執行権の最高責任者が審議を尽くして決定されるという言い方に今あったわけですが、これはもう言うまでもないわけでありますけれども、少なくとも予算、それから今回出ております事業計画、資金計画、これの決定をする権限と責任は放送法の十三条二項によって経営委員会にあるわけです。執行権は確かに今の会長以下理事の皆さん、そういうことになるわけでありますが、この予算は協会が国会に大臣を経由して出される、意見書を付してということになっているわけであります。少なくともこの予算を決定する権限と責任というのはあくまでも経営委員会に存在をしておるわけです。
 したがって、決定したから後は協会の方でやりなさい、国会の審議もいろいろ質問があればお答えしなさい、これでは私は責任を果たしたことにならぬのじゃないか。この予算なり事業計画、そういうものを権限と責任を持って決定した、そういうものが今、国会に出されているわけでありますから、その止思味では、この国会でどういう形で審議をされていくのか、決定をしたその責任といいますか、そういう立場からいって少なくとも国会での審議に参考人として出席をして、いろいろ意見を求められるという立場よりか、むしろ積極的に国会に参加をしていろんな意見を受けとめ、そして意見もあれば発言をしていく、こういう私は立場が求められているんではないか。
 今回も、特に川口会長がスタートされる、そして念を入れてつくられた予算、その審議が今ここにかかっているわけであります。いろんな意味でじっくりと練り上げられたというふうに言われておりますから、それだけにこのつくられた予算の決定をした経営委員会が出席をする、これは何もおかしいことじゃないわけでありまして、むしろそれが私は当然ではないか、こういうふうに思っております。
 特にこの二十六、二十七日というのは日切れ法案をやる、NHK予算もやる、これはもうわかっているわけであります。しかも、しょっちゅう逓信委員会をやれば経営委員長出てこい、こういうことを言っておるわけじゃないんです。少なくとも一年に一回の予算を審議するそのときに、その予算を決定した経営委員長、経営委員会が出席をする、これはもう当然のことだというふうに私は思っているわけです。
 そういった意味で、いろいろと今までこの逓信委員会に出席をするように言っていろんな議論がなされてきた。そのたびに、会長とすれば別に経営委員長じゃないわけでありますから、私はその意向をしかと経営委員会にお伝えします、こう言って終わっておるわけです。言いっ放し、こっちはですよ。さっきの形骸化の話じゃないけれども、まさに国会の審議が形骸化しかかっている、こう思っているわけでありまして、会長が川口会長になって私はその意味では信頼をしていきたい、こう思っておるわけであります。今まで島会長も何度か国会で言われた、じゃ帰ってしかと伝えると。伝えた結果、今どういう経営委員会の判断がされているのか、協会の方でわかっておりますか。今まで国会でいろいろ言われたことをどういうふうに経営委員会として受けとめておられるのか、協会はどういうふうに判断をされておるのか、この辺についてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
#29
○参考人(川口幹夫君) 島前会長の時代の経営委員会のとき私は外部にずっとおりましたので、全くタッチしておりません。したがって、細かい成り行きあるいはその議論の状態等については全く知りません。
 ただ、聞くところによりますと、そこのところにやっぱり若干の空白といいますか、すき間といいますかがあったというようなこどは聞いておりまして、今度の私の就任に対しても経営委員長が、今後は経営委員会と執行部との間、特に会長との間の関係を密にして、相互に遺漏のないようにこの公共放送NHKというものをどうやってつつがなく運営していくのか、より成果を発揮するのかということについて一緒に仕事をしていこうということを私にわざわざおっしゃられましたから、私はそういう形であるのが本当であるというふうに思っております。
#30
○国務大臣(渡辺秀央君) ただいまの山田先生のお考え、全く同感でございます。改めて申し上げさせておいていただきます。
#31
○山田健一君 郵政大臣の方は全く同感ということで御答弁いただきました。会長の方もその意味ではしっかりと意思の疎通をということで御答弁いただきましたが、この出席問題については、今回も伝えていただくということに恐らくなるんだろうと思いますが、こういった状況を踏まえて、今後しっかりと具体的な形として示していただきたい、こういうふうに強く私は求めておきたい。
 そうしないと、現実にそのあり方、機能というものが問われているわけでありますから、法律ではしっかりと十三条二項に明示をされているけれども、その具体的な活動がどうなっているのか国民の目にまだしっかり見えてこない。こういう状況のままでは、現実にそうあっても、機能しなきゃこれはもう法律があったってなくたって一緒なんですから、これは当然法改正をやらなきゃいけない、こういうことになってくるわけであります。さらに先ほど大臣もおっしゃったように、国会の意思としてそういうことになれば、もちろん国会として皆さんにもお諮りをしなきゃならぬ、こういうこともあろうと思いますが、ぜひそういうものにしっかり前向きに対応していっていただくということをお願いを申し上げておきたいと、こういうふうに思います。
 それでは、次に移らせていただきたいと思います。経営計画の策定についてお尋ねをいたしたいと思います。
 四年度の予算案見せていただきました。全体的に経営計画と四年度の収支、これを見ますと、適切な事業運営というふうに言っていいのかな、かなり努力をされてこられている部分というのは私は率直に評価をしたいと思いますし、約六十九億円の安定化資金を次に回すということになっておりまして、累積も四百二十億ぐらいになってくる、こういうような状況でありまして、こういった時期にこそやはり将来を見通した経営計画というものを考えなきゃいけない。
 今までの経営計画は、例えば三年あるいは今回五年やる、そうすると収支過不足がその時点でゼロ、そして新しいまた経営計画を立てる、そのときに値上げが行われる、この繰り返しのパターンです。そういうことじゃなくして、ある意味ではこれだけメディアを取り巻く状況が変化しておる。そういう中でこれからの経営計画をどう立てていくのか。これはもう常に見直し、検証というものが行われなきゃいけない。
 とりわけ、お話がありましたように保有メディアの関係も、伝え聞くところによれば平成五年度まで若干見直しを延ばすというような話も聞いておるわけでありますけれども、保有メディアの見直しの問題。あるいは先ほどの補完衛星、これも平成六年の運用ということになってくるわけであります。あるいはまた、ハイビジョンの先ほど話がありましたが、これも三年やる。そうやってきますと恐らく五年、六年、この辺がやっぱり一つの大きなターニングポイントになってくる、こういう気がいたしております。
 したがって、今のところ計画が立てられておるのは、六年度で過不足ゼロ、その後どうされるのか、恐らくまた新しい経営計画と、こういうことになるんだろうけれども、今こういう財政状況のもとで、しかもそういう平成五年、六年、この辺が一つの大きな変わり目、こういう状況をにらんだいわゆる経営計画というものを準備をしていく時期ではないか。別に六年度まで立ててあるからそのとおりいかなきゃいけないという必要は全くないと私は思っておるのでありますが、この辺の経営計画の策定のあり方、当面する現状の中でどういうふうにお考えになっておるのかお尋ねいたしたい。と思います。
#32
○参考人(川口幹夫君) 山田先生御指摘のように、時代は今大きく変わろうとしておりまして、平成二年のときに立てました五カ年計画についても見直す必要は絶対あるというふうに私も考えております。
 ただ、私就任してからすぐ見直しをやろう、できるだけ早い機会に新しいNHKのあり方についての構想をまとめようというふうに思いましたけれども、やってみますと非常に大きな問題が幾つもあります。それはまず世界情勢の大きな変化、それから国内の経済状態を含む大きな変化というものがありまして、それに対してNHKがどのような形で今後対応していくのか、非常に難しい見通しの困難なものがいっぱいありました。それが一つ。
 それから、島前会長は、経営の先行きのところに非常に大きな不安がある、つまり受信料体制ではもたなくなるというふうな前提のもとにいろんな経営活動を試みた、そういうふうなものをもとにして五カ年計画もつくられているというふうなこともあります。それは現在のいろんな国内情勢等々から見ますと、やはりそのままではいけないんじゃないか、私はやはり受信料を基本にしたNHKのあり方こそ追求さるべきだというふうに思っておりますので、それをもとにして考えますと、この問題もこの問題ももう一つじっくりと先のことを考えながら立てなければいけないというふうに思いました。早期の構想あるいは計画というものの策定はかえって功を焦って悪い結果を招く心配があるんじゃないか、そう思いまして約一年かけてやろうというふうに方針を変更いたしました。
 したがって、この平成四年度の事業計画に当たっては、そういったものも若干含めた上で事業計画をっくりましたけれども、一年ぐらいのうちに細かい先のことを見込んだ新たな計画を立てて国会の御審議の場にもぜひ諮りたいというふうに思っております。
#33
○山田健一君 なるほどおっしゃることもそのとおりだと思います。したがいまして、次の経営計画というのは策定に向けて一年ぐらいじっくりやる、そうすると大体それは平成五年度、六年度からというふうに理解をしていいわけですか。平成六年度は現行のままいく、そして七年度以降はまた新たなそういう経営計画をにらんでの作業をしていくということですか。どういうふうに理解をすればいいですか。
#34
○参考人(川口幹夫君) 物によってはもう五年度、再来年度、来年の今ごろ審議していただきます計画の中で既に変更しなければいけないものが起こってくるかもしれません。例えば衛星放送の伸びぐあい、受信者の伸びぐあいとかあるいはハイビジョン放送の先行きの見通しとか、そういうものが決まってくればおのずとまた当初立てた五カ年計画そのものを基本的に変える必要もあるかもしれません。したがって、平成五年度の事業計画についても多少変更することはあるだろう、もちろんそのときは五年のみならず六年、あるいはその先の計画まで見込んだ構想を立てて、具体的な計画を策定して出していく必要があろうかと、こう思っております。
#35
○山田健一君 わかりました。
 それじゃもう一つお尋ねをしたいんですが、補完衛星の問題であります。これも実は私も去年からの経過でびっくりいたしております。非常に手回しかいいというか、異例のスピードで決定をされてきておるのであります。私も実は去年の九月二十四日にこの補完衛星問題、補完の体制についてこの委員会で御質問申し上げたんです。そのときは会長の方から当面は3aと3bの併用によりまして支障はない、ただいろいろこういう衛星ですから予測を許さない面が必ずある、したがって補完衛星はいずれの時期にか打ち上げなければいけないだろう、何分にも非常に大きな予算がかかります、そのことについても十分考慮した上で郵政省やそしてまた国会の皆さんとも相談をして補完衛星の打ち上げもまたしなければいけないかな、このような感じを持っておりますと。
 いずれの時期にかやらなきゃいけないだろう。ただ予算的にも随分かかるということで、このときはもうちょっと時間かかるんだろうと、結論出されるのに。この答弁を見る限りは私はそういうふうに、いろいろあって補完衛星問題考えられるんだろうな、予算の問題等々これありということで受けとめておったんですが、いろいろ後で聞きますと、そのもう一カ月後に実はNHKから補完衛星の打ち上げをしたいと、それを受けて郵政省の方も早速、衛星放送の継続的・安定的実施に関する検討会、これが設置をされまして、それが十月です。ここで十二月の十日には補完衛星を打ち上げてやるのが最もいい方法だ、こういう結論が出される。
 そして、御存じのように、NHKの今予算が出ておりますが、既にこの国会の承認の前にいわゆる調達に向けて企画が公表される。九月の末に私が質問をしたときはまるでもうちょっと先の話という感じだったのが、もう現実に半年もたたないうちに具体的に調達の手続にまで踏み込む。その間に報告書が出されておりますけれども、この異例のテンポといいますか、今までいろんなケースがありますけれども、質問を申し上げた時点ではそういう御答弁をいただいておったので、ははあと思っていたんですが、その後の進め方というのは非常に異例のテンポで進んできた、一体どうなっているんだろう。確かに補完衛星が必要、だからその必要性の問題については云々しませんけれども、具体的な手順の踏み方というものについて、こういうスピードで進められてきておる、この辺について一体どういう事情だったのか、郵政省とNHKと双方にお尋ねをしたいと思います。
#36
○政府委員(小野沢知之君) お答え申し上げます。
 関係者一同が真剣に意見交換をし、真剣に手順よくやった結果こういうふうになったということでございます。
 NHKの方から正式に文書でもって要望を徴しまして、それが十月二十一日だったんですが、それを受けまして、補完衛星の継続的、安定的な面を図ることが大事な放送行政の課題だということで、宮内一洋東京理科大学の教授を座長とします衛星放送の継続的・安定的実施に関する検討会を設けまして、真剣に毎日のように勉強していただきました。その結果、信頼度を中心に検討していただいたんですが、BS3aのふぐあいによってBS3段階において三チャンネルの放送を維持できる信頼度が低下している、これを防ぐためにはあらかじめ補完衛星を打ち上げることが最も有効な方法であるという結論を得ました。
 そういったものを踏まえまして、今度はNHKと打ち合わせをしまして、それを予算面からどうかということを検討したわけでございますが、そういったことを踏まえまして、その補完衛星の打ち上げを盛り込みました予算が本年一月二十九日に郵政省に提出された。それを私どもが審査いたしまして、放送衛星の信頼性を維持するためには、補完衛星を打ち上げることが有効であると考えられるが、協会は業務の効率化等に努めて、放送衛星の打ち上げが受信者の負担とならないようにすることが必要であるという郵政大臣の意見を付して国会に提出したということで、所要の検討をスピードを上げて行った結果でございます。
#37
○参考人(中村好郎君) 異例のペースで進んだんじゃないかという御質問でございますが、私どもとしては、一昨年に上がったBS3aが恒常的に二チャンネル運用しかできないという結果が一応その前の時点でわかっておりました。九月の二十四日の委員会では、昨年八月の末に上げたBS3bが一体どういう状況になるのかということがまだ確実にわかっていなかったわけであります。したがいまして、私ども運用を預かる者としては、3aがふぐあいだという時点からこの補完衛星がどうしても要るなということで、必要性についてはそういう方向で部内の検討はしていたわけでございます。いずれにしても、3bの状況を見て総合的に判断をし、いろいろ郵政省初め各方面にお願いをしていこうということで、九月二十四日前後の3bの状況を待っていたわけでございます。
 その結果、ともかくBS3bにつきましては完全にこれは三チャンネル運用できる、ふぐあいはないということが判明いたしました。それに前後して、3aはあるいは回復するかもしれないということも一部にはあったわけですが、一年たった後でどうしてもこれはやっぱり三チャンネルの運用は難しいということもはっきりしてまいりましたので、それまでいろいろ検討してきました部内検討をもとに、十月二十二日に郵政省に文書で、早期に補完衛星を打ち上げて、軌道上での完全二機体制という私どもが前からお願いをしておりました方向で安定的な放送サービスをしたいということでお願いをしてきたわけでございます。
 それ以後、一月に入って官報に公告するというようなこともやらしていただきましたのは、従来の2X、3Hにつきましては、異常な事態でもありましたので、きちんとした事業計画に載せて御審議をいただいて打ち上げるという手順を省略させていただいたわけでありますが、今回のこの補完衛星については、まず事業計画の中できちんと位置づけて御承認をいただき、その後発生してまいりました米国との関係から、政府調達に準じた形で調達をするようにという部分もございましたので、あれやこれやいろいろ総合して、ともかく早目に官報によって公告をして調査業務を開始しようということで、この一月にやらせていただいたわけでございます。
 そのような経緯でございますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
#38
○山田健一君 事情を今お聞かせをいただいたんですが、もう二十分できょういただいた私の時間がなくなりますので、また改めてその問題は議論をしたいと思いますが、最後に一つだけお尋ねをしたいと思います。
 さっきもお話が出ておりましたが、いわゆるポストBS3の問題、BS3の後継機問題です。
 問題点は私も何度か指摘をしておりますが、調達法人をどうするのか。八チャンネルをどうするのか。これはどうも平成五年度ぐらいになるというような報道もなされているわけでありますが、これは郵政省の方、調達法人、いつごろ何を想定をされているのか、それが一点。それからもう一つは、いわゆる八チャンネル、これの決定をしていくプロセス、これはどういうふうに踏んでいかれるのか。それからNHKの方に対しましては、ポストBS3に対してNHKとしてどう対処していくのか。この三点をお尋ねいたしたいと思います。簡単にお願いいたします、ポイントだけ。
#39
○政府委員(小野沢知之君) まず調達法人の関係でございますが、これから関係方面とよく連絡をとりまして、結論を得るためにピッチを上げまして、本年夏ごろを目途にしてやっていきたいというふうに考えております。
 それからBS3の後継機の問題でございますが、これもこれから検討ピッチを上げまして、今考えておりますのは、各界のいろんな御意見を踏まえたりする場をなるべく公正な手続によって行いたいということで、まだ検討の段階ですが、例えば電波監理審議会の諮問を検討してみるとか、そういったことを今検討しておりまして、それも新年度に入りましたら早急にスケジュールを詰めていきたいというふうに考えております。
#40
○参考人(堀井良殷君) ポストBS3の時代には、衛星放送の受信者も一千万程度、あるいはそれを超えるかということも考えられますので、私どもといたしましては、まず衛星放送を安定的に継続するということを第一に考えたい、何よりも重要な課題であると、こう考えております。そのために、衛星放送の安定確実なトランスポンダーの確保が何よりお願いしたいところでございます。
 なお、このチャンネルの利用のあり方につきましては、ハイビジョン放送等の新しい技術の開発が進んでまいりますので、私どもはこれに対して主体的に取り組んでまいりたいと、このように願っておるところでございます。
#41
○山田健一君 終わります。
#42
○及川一夫君 まず第一に、前回の逓信委員会でも各先生方からそれぞれ御質問なり、その真相を明らかにすることを前提にかなり郵政大臣に対する批判というものがあったと思っております。きょうはNHKの予算でございますから、特段それに時間を費やす気はございません。ただし、郵政大臣名で意見書が出ているということを考えますと、郵政大臣が今どんな立場におられるのかということを受けとめますと、大変残念なことだけれども、何でこんなに多くの疑惑を持たれる方が郵政大臣としておられるんだろうと。
 これまでの大臣の方でも疑惑を持たれた方がいるんですが、数の上で言うと、率直に申し上げまして今、渡辺郵政大臣は七つの疑惑が実は持たれているわけです。しかも現業を抱えていますから、本当にこれは私はどうにもこうにもならないなと思ってましたら、今週ですか、また週刊文春で、内容は同じような形のようですが、今度は後援会の責任者の方が郵政大臣の真相はこうだと、逆に言えば大臣はうそをついておられるということを指摘するような内容がある。郵政大臣は不徳のいたすところという一点張りですよね。決してそういうことはしていないという答えだけでずっとおいでになるんですが、こんなに出されてくる、しかも次から次へと何回もやられますと、どっちが本当か言うたら、やはり庶民の人たちは、国民の人たちは率直に言って出されているものが本物じゃないかというふうに考えるのは当然だと思うんですが、郵政大臣いかがでしょうか。この点、あるならば率直に認められてはっきりされた方がいいというふうに思うんですが、いかがですか。
#43
○国務大臣(渡辺秀央君) 及川先生におかれましては、今までの一連の報道あるいは国会の審議、それを私自身の一つの疑問点として、むしろやっぱり週刊誌の方が本当だと、こういうお立場でのお話とお見受けしましたけれども、実は私、委員会でも申し上げておりますが、まず一つは、私と秘書との感情的な行き違いが出発であるということをひとつぜひ御理解をいただきたいのでございます。
 それから、きょうはNHKの予算のことでございますから、先生も多分いろんな御質問もございましょうし、私ここで実はちょうちょう釈明をさせていただく用意もしてございますけれども、大変失礼でありますが、一昨日その問題については実は予算委員会でも答弁させていただきました。しかし、今度は後援会の何か責任者というお話でありましたが、実は全くそうではございませんで、まことに私も残念ですし、私もどういうことなのか実は本当にわからないんですが、本人自身が実は今行方不明なんです。会社は倒産をいたしまして、私の周辺に多大な実は負債を残しまして、私自身もそのあおりも若干受けるというような嫌いでございまして、つぶさに申しません、名前を出されて書かれたことは私の不徳ですから、これはもうつぶさに申しませんけれども、私が今行方を実は追っているような状態の人が、なぜ名前を出してああいう自分の何か錯覚みたいなことを私に全部荷物をしょわせるというようなことで出されたのかなという、その真相が実はわからないんです。正直申し上げまして、事前にこういう話があるがどうかなという話も実は私にも秘書にも一回もありませんでした。ですから私、弁明をするところが誌上においてはないのでございます。
 しかし、何はさておいても、やっぱりそういうことを言われるということは、確かに先生のおっしゃるとおり政治家として極めて責任を感じております。とにかく私の身の潔白をこれからの政治活動の中で図らしていただき、あるいはまたその補いを尽くさせていただきたい、そのことを申し上げてまいりましたし、また今まで御指摘いただきました各般の問題につきましても、間違いは間違い、あるいは一部そういうことはあったことはあったというふうに実は認めてもまいりました。誠心誠意私は答弁をいたし、かつまた私の気持ちを披瀝したりしてまいったところでございます。
 しかし、何といいまして沌、郵政省三十万の職員、そしてNTTを初めとしてNHKの皆さんやあるいはKDDの皆さん、郵政省に関係する六十万人の職員の皆さんのことを考えますと、私は自分自身でも本当に情けない気持ちでもございますし、責任を感じながら、しかしここは自重自戒しつつ、この職員を果たしながら、何といっても職員の皆さんの士気をこれ以上マイナスにすることなく、私も素っ裸になって最前線を走って、泥でも火の粉でもかぶりながらもお役所のためにも、あるいは職員の皆さんのためにも、関係する六十万人の皆さんと一緒に汗を流していきたいという気持ちでございます。ひとつ何とか御理解をいただいて、御指導を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
#44
○及川一夫君 御答弁の中に釈明する用意があるという、また用意もしてきたというふうに言われてますから、また別の機会に譲りたいと思います。
 お互い政治家ですから、郵政大臣がやられたから、そっちだけでこっちは関係ないと、法律論的には関係ないんでしょうけれども、しかし道義的には関係ないことはないんです。そういう立場であるということを明確に申し上げると同時に、郵政省の職員の場合はバッジがありませんが、しかしNTTさんとかKDDの場合には社員がみんなバッジっけてるんです。こんな状況になったらどうなるか郵政大臣お考えになったことがあるかなと私は思います。このバッジだって、私が山手線に乗ると、あっ、こいつ国会議員だということになって頭のてっぺんから下まで見る。できれば隠したいですよ。しかしそういう洗礼は受けなきゃいかぬという気持ちもありますから堂々としていますけれども、そういう現状をしっかり認識して、とにかく疑惑を晴らしてもらうということで別の機会に譲りたい、こう思います。
 そこで、この意見書の問題なんですが、郵政大臣の名前で出ておるから僕は郵政大臣にお答えいただきたいと思うんだけれども、この意見書というのは、変更を求めるという意思を含められてこの意見書が出されたのか、それとも妥当だがもっと努力をしてほしいという意味合いでこの意見書が出ているのか、お聞きしたい。
#45
○国務大臣(渡辺秀央君) これは申すまでもなく、最後に書いてございますけれども、おおむね適当であるということで私は意見書を出してあります。
#46
○及川一夫君 ということになりますと、これ全体見ますと、必要であるという言葉でくくられているのが十一項目あります。それから妥当、有効ということで言われているのが五項目に実はなっておりまして、意見書自体が何を言おうとしているんだろうかよくわからぬというのが率直に言ってあるんです。
 例えば第一項の事業収支というものを見ますと、事業収入が経営五カ年計画に対して三億円足りないと書いてある。それから受信料は八十四億円足りない。これは確保する必要があると書いてある。必要があるということは、意見書としては要するに、NHKが出している予算書のうち、その受信料は八十四億プラスをした経営五カ年計画でいう数字を確保しろ、こう言っていることと私は同じだととった。
 それから、支出の部分では百十五億下回っていると書いてある。ということは、その前に効率化とかなんとか書いてありますから、節約をした、こうなっているんです。百十五億節約をしたということについてはおおむね妥当、こう書いてある。上の方では受信料収入を確保しろと書いてある。しかし八十四億と百十五億というのをプラス・マイナスしたら三十数億節約したということに実はなるんです、算術の上で。ということになると、必要であるという意味が少しどういう意味なのか。
 それで、意見書を出す立場というのは法律に書いてあります用意見書を付さなければいけないことが書いてある。同時に、意見書で変更を求めた場合にはNHKの意見を委員会が聴取しなきゃいかぬ、こう書いてある。しかし実際には一番最初に配付されたのと何も変わっていない。しかし、意見書の方は盛んに必要である、必要であるとこう言う。一体これは何だというふうに私は感ずるんですが、その点はいかがですか。
#47
○政府委員(小野沢知之君) まず私の方から御答弁させていただきますが、この意見書の性格ですが、国会でNHKの予算について御審議をいただく場合の御参考のために付する行政としての意見でございますけれども、例年に比較しまして項目と記述量が増大しております。その理由でございますが、多メディア・多チャンネル化の進展等に伴いまして、公共放送たるNHKに対する視聴者や関係方面からの関心が最近非常に高まってきておりますし、また従来から報道発表して国民に公表しておりますので、内容の正確を期する必要があると判断したこと、それからNHK予算の各項目の要点を取りまとめてこれに対する評価を行って、その上で全体の評価を明らかにすることが適切だろうという判断をして行ったものでございます。
#48
○及川一夫君 そういうふうにお答えになるから質問取りというのは嫌だなと思うんです。紙に書いて持ってくるんだものね。それじゃいかぬわけです。
 大臣の名前だから、意地悪言っているんじゃないです、大臣ひとつ政治家の答弁をした方がいいんじゃないですかと。ある意味では私の気持ちは、大臣が最初変更という意味合いで出したんじゃなしに妥当ということで出したつもりです、こうおっしゃるわけだから、そうするとNHKの方が予算出したやつを変更しないでここで論議をしてくれというのは一応筋が通るわけです。ところがこのまま確認をしておったら、必要という意味は何かということになると、私は、変更しなければいけないということではないか、なぜ郵政大臣の意見書に対してNHKはこたえないのかここではっきり言ってほしい、こういうことに実はなるわけです。ですから、このことをひとつ私は申し上げておきたいということ。
 それから二つ目には、経営五カ年計画というやつは、大筋五カ年間のNHKを運営していく、特に料金の値上げが絡んだものですから、とりわけこうしていくんだということがなければ何のための値上げたということになるわけですから、そういった点では論議をされたし、同時におおむねという意味でお互い委員会は了解し合ったということだと思う。毎年毎年というやつは、これはいろんな世の中の移り変わりはあるだろうし、いろいろやってみたけれどもこれはまずかった、だからこうするというふうなこともあるだろうし、それが数字にどうあらわれてくるかということだと思うんです。
 ですから、経営五カ年計画どおりの数字が出てこなかったら間違いだ、だから経営計画どおりやれというふうに意見書で指摘をするというのはちょっとNHKの執行権というものとの関係、あるいは経営委員会の予算編成の権限等々考えますと私は無理があるように思えてならない。したがって、おおむね妥当とおっしゃるなら、わかった、これとこれとこれをひとつ努力されたらどうかというものであってほしいし、私はそれが意見書だと思うんです。そうすると六千字、八千字に近いような意見書は出てくるはずないんだ。そう私は理解をいたしますので、郵政大臣、文句あれば言っていただきますが、なかったらこれで終わりたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#49
○国務大臣(渡辺秀央君) 文句ありません。
#50
○及川一夫君 意見を申し上げましたが、これからもひとつそういう立場で意見書を提起してNHKを大いに叱蛇勉励をするということで理解したいと思います。
#51
○国務大臣(渡辺秀央君) 挙々服暦させていただきます。
#52
○及川一夫君 次に申し上げたいのでありますが、先ほど同僚の山田委員の方から経営委員会のことについてお触れになりました。御答弁いただいて前向きに対応されるようなお話をいただいたんですが、郵政大臣、ぜひ頭の中に入れておいてもらいたいのは、これは川口会長もそうなんですが、この経営委員会をどういうふうに位置づけるかという点では意見が二分されているんです。これはある意味では発足当時からそうかなと思ったりなんかする。経営委員会というのはずばり言って頭だけ、しゃっぽだけ決めればいい、それ以上のことはすることないと。なぜ必要がないかというと、放送事業のことをわからないやつにごちゃごちゃ言われたってかえって混乱するだけだという意見を持っている方が、これはNHK側にあるんです。いい悪いは別にしましょう、あるんです。
 しかし、法律では明確に予算とか事業計画とか、これを決定する権限があるわけです。権限があるだけに、本来ならば経営委員長もここに出てもらって、やっぱりお互い一年に一遍論議する必要があるという純粋な気持ちから出ているんです。不偏不党、中立ということを守るために経営委員会ができているんですからね。というふうに考えますので、これはだれが経営委員長に命令するということではないと思います。国会である我々の方から出てほしいということを決めれば、それは素直に出てくればいいんだと思う。
 ですから、そういった点で、ぜひ私は委員長とお会いになったときに郵政大臣の立場からも、こんな議論があったよ、国会で決めたときにはもう――ここから言うと、今回なんかそれだけじゃないんです。人事を決める決定権限を持っていながら、国会の承認が必要とすることは事実だけれども、しかし実際の権限は持っておられるわけでしょう。その責任者が辞職をするようなところに追い込まれた。そういう人間を選んだのは経営委員会ですから。衆議院ではどうもあったらしいけれども、参議院ではないんです、そんなのは、何か釈明みたいな話が。これは我々が言う言わないにかかわらず、能動的に、責任を感ずるなら経営委員長が出てきて一言私は言うべきだという気持ちもあるものですから、あえて触れておきます。
 それから会長に申し上げたいのでありますが、公共放送の将来的ポジションという問題、見直しをされるというふうに川口会長が一番先の逓信委員会でおっしゃられた。私も注意深く見ているんですけれども、一つはマスコミの記事があります。あるいは衆参両院での答弁があります。あるいは週刊誌ないしは雑誌に対談でいろいろとおっしゃられている。特に最近では、「新放送文化」で大森さんという方と対談された。ここにかなり要約して出ているなどいう感じで私は見ているんでありますけれども、とにかく、多チャンネル・多メディアという条件の中で公共放送というものはどういう位置を占めていくのか、どうあらねばならないのかということが一番これは問われているんだと思うんです。それは検討されているんでしょうが、いつまでにそれを出そうという意欲に燃えてやっておられるのかということなどが一つ。
 それから二つ目に、時間がありませんから基本的なところだけ申し上げますと、前会長の場合には、受信料という制度はもう限界に来ているという前提に立たれて、だからということで、衛星放送というものを基軸にして、そして国際的なものをもっと充実強化をしてそこにNHKの生きていく道を見出すんだということ、そしてそれに加えて、関連会社というものをつくって、そしてそこにできるだけ、副次収入という言葉になるんですが上げさせてNHKというものを守っていこう、発展させていこう、こういうふうになったと思っているんです。
 ところが、わずか経営五カ年計画の中間に来て川口会長にかわられた。川口会長は、受信料制度というものを維持していく、公共放送というものはそれがむしろ命だというふうにおつしゃられているし、限度だと言う前に、限度だと言われないような番組、NHKに対する期待、信頼度というものを運営や番組編成の中でどうから取っていくかということが大事なんだから、受信料制度に限界を感ずるなということで、いわば委託関連会社の問題であるとか、そういうものを含めてむしろ手づくりでいこうというぐらいの発想をされながら新たな道を選ぼうとされているというふうに私は受けとめるんですが、大体それでよろしいですか。
#53
○参考人(川口幹夫君) 島前会長の方針と私との間で違うところが三つあると思います。
 一つは、NHKの現在及び将来は受信料に頼るべきだというのが私のまず基本的な考え方です。受信料はもう先行き当てにならない、だからほかのことによって経営をしっかり守っていこうというのが前会長の立場であったと思います。私は逆に、多メディア・多チャンネル時代になればなるほどそこの中で、本当に信頼される、本当に楽しめる、本当にためになるような番組を出すこと自体が信頼される道である。それが結果的には受信料を確保する道につながっていくというふうに信じております。したがって、そちらの方向へ大きく考え方を変えていこうNHK自体をそのような方向に持っていこう、その方が正しいというふうに思っております。
 二番目は、そのためには番組というものをどうやって実施をしていくのかということですが、今の時代は確かに情報というものは非常に大きなウエートを占めます。しかし、テレビとかラジオが持っている機能は、単に物を知るということだけじゃなくて、例えば教育、教養の分野もあれば、楽しめるという娯楽の分野でもやっぱりそれ相応の受益感というものを受信者に与えなければいけない。そういうものをすることが放送の一つの大きな責任だ、放送法の中にも調和のある編成ということをうたってありますけれども、そういう調和のあるところがなければいけないんじゃないか、こう思っております。したがって、余り一方に偏しないで、できるだけ多くの方に満足をしていただける番組編成をすべきだ、これが二つ目です。
 三つ目は、これまでの形では、やはりNHK独走みたいな形が私はあったと思うんです。それが非難も受けました。したがって私が今考えるのは調和のある前進の仕方をしようということでございまして、例えば民放各社ともお互いに胸襟を開いて、そして、放送法が非常にすぐれていると思うのは、民放、NHKというその併存体制が日本で非常にうまくいっていることであると思うんです。その形をできるだけ維持していきたい。そういう意味では民放との協調関係とか、あるいは競争し合う協調関係というふうに言いかえてもいいですけれども、それを今後とも維持していきたいと思います。
 それから、NHKは、いろんな意味で多くの方々の御意見を参考にし、その議論を深めていくことによって、唯我独尊にならない、絶えず国民の中の放送という位置づけを確保できるという立場を保持しなければいけないと思っておりまして、その三つが非常に私自身が考えている前会長との体制の考え方の変化だというふうに思います。
#54
○及川一夫君 わかりました。私の受けとめ方とほとんど違いませんし、私もそういう意味合いでは少し頭を切りかえていこうという気持ちであることを申し上げておきたいと思います。
 したがいまして、具体的に出ておったGNNという問題、これは物によって多少違うんですけれども、ずばり言えばもう白紙に返すと。これはいろいろ描いてみたけれども、アメリカと話をしても何か実行不可能と、少し緩めてやっても時期尚早というような状態だということもある程度私も理解しているんですけれども、そういう点で、いわば白紙に返したというふうに確認してよろしいですか。
#55
○参考人(川口幹夫君) グローバル・ニュース・ネットワーク構想というのは、島さんの構想の中では非常に注目を浴びました。確かに、世界がこれだけ激しく動いている中で、世界を結ぶ二十四時間の情報ネットワークというのが必要なことはこれはもうだれも認めるところです。ところが、それをいわゆる企業という形でもって実施しよう、その企業でやったものを各放送局に売って、それで放送局もそのためには投資あるいは設備充実等をしなくていいわけですから助かるわけです。そういう形でいこうというのが基本的なGNN構想であったというふうに私は思っております。
 ただ現実には、それが私の去年からの実感では、現下の日本の経済状況あるいは世界のいろんな状況から考えて、そういう企業でグローバルなネットワークをつくるということはまず不可能だということを一つ考えたわけでございます。
 それからもう一つは、世界を結ぶといっても、実際上は世界に通用する情報というのは実はアメリカとそれからヨーロッパの情報が主でありまして、アジアの情報とか、あるいはアフリカの情報だとか、南米の情報とかいうふうなものについてはどうしても偏りができてしまう、そういうものを一方で強化しないと世界的な情報ネットワークというのは完成しないというふうに思いまして、したがってそれならばまずそのことをNHKはしっかりやるべきじゃないかということでアジア・センター構想というものを出したわけです。
 このアジア・センター構想は、今後一番大きな変動が予測されるアジア地域においてNHKがいろんな形でもって取材をし、調査をし、それからそれを番組としてつくり上げて、そして世界のネットワークにこれを提供するというふうな形にしたいということであります。
 この前、アメリカのABCという放送会社に行きましてその辺のことをいろいろ話をしてまいりました。ABCの方も大変このことについては興味を持ちまして、アジアからの発信、それを世界の特にアメリカとヨーロッパにどう流すかということについては非常に関心がある、NHKの方でやってくれれば我々もぜひそれを取り入れることにしたいというふうな意見も言ってくれましたし、五月には向こうから首脳も来日をしますので、十分こういうことを考えながら、新しい意味の国際情報ネットワークの構築に向かって私は私なりに確実に実施をしていきたい、こう思っております。
#56
○及川一夫君 もう一つ、MICOに対する対応の問題。これも前会長にとっては大きな構想の一つでしたよね。それに対しては、大体設立の趣旨はよい、民放と調整し、日本放送界に役立つよう組織運営をしていきたいと。具体的なことを何か言っておられるのかなと思って見ていたら、NHKから出向している人材の引き上げを含むMICOの経営縮小に協力する意向を表明と、こういうふうに私は会長のお話を受け取ったんですが、そう理解してよろしいですか。
#57
○参考人(川口幹夫君) MICOというのは、実はNHKのものではなくて、株式会社で完全に独立したものであります。四十七社という外部の会社が資金を出し合って、そしてNHKそのほかの協力を得て国際情報ソフト会社というものをつくろうということでスタートしたものだというふうに考えております。それについては、NHKの方から例えば出向者を送るとかというふうなことでいろんな協力をしている状況だというふうに思いますけれども、昨年実際的な仕事を始めましたら、やっぱり経営的には大変問題が生じているようであります。
 一つは、とにかく民放、NHKを含む日本のメディア界のためになるソフト会社をつくろうということが前提であったんですけれども、民放各社が全部これに対して拒否をいたしました。結局売れるところはNHKしかないというふうな状況でありますから、これは当然のように経営的には苦境に陥るわけですね。そういうことがあり、それからもう一つは、いろんな意味で共同制作をやったり、あるいは映画に投資をしたりというふうなことをおやりになったようですけれども、その事業が意図したようにはうまくいかないで、結局は赤字を出してしまうというふうな状況もあったようでございます。
 このまま放置しますと、肝心のソフト会社の目的そのものがどこかへ行ってしまう、あるいは、NHKから出向した者を含めてたくさんの社員がいるわけですけれども、その人たちの将来も非常に大きな暗雲に閉ざされるということになりますというと、それは私は、実際上の会社の株主でもなければ何でもないんですけれども、NHKが発意をしてつくったという経緯があるならば、やっぱり私の責任でもってそれを収束しなければいけないというふうに思いまして、それでMICOの社長あるいは株主各位と随分会議、懇談を重ねました。
 結果としては、まず事業の収縮をやろう、それから人員も削減しよう、そして新しい方向づけをしながら民放各社にも御協力いただいて、本来の目的である放送界のためのソフト会社の位置づけを何とか実現していこうというふうに今考えておりまして、既にこの四月一日付で何人かの出向者はNHKに帰ってもらいますし、それから民放各社とも御協力いただけるように私自体が社長さん方にもお願いをしました。まだ結果はわかりませんけれども、そういう形でもって何とかMICOは非常にユニークな使命を持った会社としてその責務を果たすように頑張らしたいというふうに思っております。
#58
○及川一夫君 つくったり減らしたり大変なんですけれども、言われていることはよくわかります。
 そこで問題になってくるのがNHKの体制なんですよね。今まではどちらかというとNHKにあるものをどんどん外に出しちゃって、そして本体の方はひとつスリム化しようという意味にとれる。したがって、一万六千人おった者を一万五千名体制にするとか、どこでどうなったのか知らぬけれども、一万四千を今切っている、こういう現状にあるわけですよね。しかも、何かNHKでは二千名ほど一年で大量に採用した人たちがおって、この方々が世の中で言ういわば定年退職といいますか、そういう時期にかかっている。要員対策としても大変な事態だというふうにも私は聞いているわけですよ。
 しかも、今川口会長から言われた方式でいくならば、これまでと比較をすると、内の中でとにかく国民の期待にこたえるようなものをどんどんとやっていこうじゃないかということになるわけですから、仕事の量という意味合いで言えばそれはどうしてもふえていきますよね。ですから、ある新聞にも書いてあったけれども、何か労使の協定を守らずに時間外労働がいっぱい出ちまったというようなところがあるとか、要するにさまざまの問題が出てきそうなんですね。
 そうすると、経営の中の大きな柱である社員というものに対して、あるいは労働者というものに対して、一体労使関係をどう維持するかというようなことを含めて当然考えなければならないものが幾つかあるというふうに思うんですが、一つには、そういう要員の体制をこれまでどおりどんどん減らしていくというだけでいいのかどうかという問題と、それからもう一つは、やはり大変な時代を迎えそうですから、ハイビジョンの問題などを含めて。やっぱり処遇の改善というものについて、ここでは決めることはできないんですから、労使間の中で十分話し合って期待にこたえていただきたい、こう思うんですが、いかがですか。
#59
○参考人(川口幹夫君) 私もこれからNHKが当面する大きな問題はそこだというふうに思っております。番組の中身を高い位置に保っていくということは本当に人間の問題でありますから、何とかそういう人材を採用し、育成し、そしてそれを保持するということはやっぱり努めていかなければいけないと思うんです。
 ただ、今の状況の中で自社制作のみが唯一の方法がというと、私はそういうふうには限らないと思っておるわけでございます。例えば、関連団体がつくっている番組もありますけれども、その関連団体独特のやり方、あるいは方針等によれば本体でつくるよりもはるかにいい形でできるというケースもこれまでに何本があります。したがって、この前関連団体の社長のメンバーを集めまして話しましたときに、各関連事業の企業が自分のところの持っているユニークさを十分に発揮してほしい、必ずNHKの番組をつくるんだという位置づけを自覚して、そしてきちんとしたものをつくってほしいということをまず頼みました。それが一つ。
 それから、いわゆる購入の番組というもの、世界の放送局あるいは映画会社等々がつくるものの中にも極めてすぐれたものが幾つかあります。そういう内容のものをいかに早く情報としてそれをつかみ、それで安いお金で購入するかということもまたNHKとしては非常に必要なことじゃないかと思っております。そういう購入とか委託とかを含めて、NHKの自分のところでつくるものの充実どこの三つをあわせて実施をしていきたいと思っております。
 したがって、人員のことにつきましては、これまでもそうでしたけれども、ベテランの人たちの力をもっとうまく使うことができないか。例えば今の時期ですと、六十歳になってもまだまだ第一線で働ける者がいっぱいおります。そういう人をいわゆる契約社員的な形で措置をするとか、それからキャリアとしてよその分野で活躍している人もまた採用するとか、いろんな方法を考えまして、何とかすぐれた人材をNHKで確保するということには今後とも一層努力をしたいというふうに思っております。
#60
○及川一夫君 処遇改善のことに触れませんでしたけれども、これは大体ノーとは言わないでしょう。ですからよろしゅうございます。
 それで一言なんですが、あるかないかだけでいいんですが、BS3b、これにワイドトラポンは積んであるのかないのか、積んであるなら何に使うのか、今使っているのかいないのか、これだけです。ちょっと教えてください。
#61
○参考人(中村好郎君) BS3には、いわゆるワイドトラポンという小電力で広帯域の中継器を搭載しております。これは現在衛星放送に関する技術開発のための各種実験に利用されております。
 以上でございます。
#62
○及川一夫君 終わります。
#63
○委員長(粕谷照美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時三十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時三十一分開会
#64
○委員長(粕谷照美君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#65
○関根則之君 我が国の放送は今多メディア化、多チャンネル化の進展が急速に進んでいるわけでございますし、また、国際情勢も大変激動をいたしております中で、放送の役割というのはますます大きなものになってきているわけでございます。特に公共放送でありますNHKには我が国の放送の発展のために大変大きな役割を果たしていただかなければならないわけでございます。そのNHKの事業運営の最高責任者であります川口会長の責任はまことに重大なものがあるわけでございまして、毎日大変な御尽力をいただいていることに対しましてまず敬意を表する次第でございます。
 既に御就任をいただきましてから満七カ月が過ぎたわけでございますけれども、昨年の九月、私この委員会におきまして質問をさせていただきまして、川口会長から、今後経営委員会との意思疎通を十分に図りながら、また協会内の職員との融和にも心がけて、一致協力してNHKの業務の進展のために努力をいたしますというお話を伺っておりますし、また、従来の経緯にこだわらずに新しいNHKとして国民の信頼を得ていきたいというお話を伺ったわけでございます。
 先ほども新しい川口会長の考え方、三点に集約したような形でお話を承りました。受信料に対する信頼、二番目が番組につきまして調和ある編成をしていくんだということ、三番目に民放を含めて外部の方々とも協調の姿勢でやってまいりたいというお話を伺いまして、大変結構な方針だなというふうに受けとめさせていただいたわけでございます。
 しかし、どんなに川口会長が立派な経営方針、事業方針をお持ちになりましても、部内はもとより、もちろん経営委員会の御理解、コンセンサスを必要とするでしょうし、外の方々ともやはり同じような意思疎通を十分図っていって、皆さんでそういう方針でいこうではないか、賛成だということで川口会長を守り立てる力をやっぱり強くしていかなければ、本当のところ一致団結した成果を上げることができないんじゃないかと心配をされるわけでございます。
 間違いはないと思いますけれども、新しい川口体制のこれからの事業運営方針についての基本的な考え方と、それから今申し上げましたコンセンサスをきちんと得ていけるのかどうか、その辺のところについてお考え方をまず承らせていただきたいと思います。
#66
○参考人(川口幹夫君) この前の三月二十二日の晩でございましたけれども、NHKで「テレビはどこへゆくのか」という現在の問題から今後の問題等を特集した番組の放送をやりました。これを見ていて私もつくづくこれからの放送界が非常に難しい、大変に重い時代を迎えることを痛感したわけですけれども、大きく分けてあの中には三つの大きな問題があったと思います。
 一つは、メディアが物すごく多様になって、視聴者の対応というのがまたそれに伴って変わってくるという現在及び将来への展望であります。
 もう一つは、国境を越えて、国境のない電波の世界というものがもう今でも実現しかかっていますけれども、将来ともそういうボーダーレスの放送界ということに当然なっていくであろう。そういう国際情勢の中での放送のあり方をどうするかという問題です。
 それから三つ目は、最後に、フランスのラ・サンクという公共放送がついに破産するの、やむなきに至っているという、公共放送と番組の質の問題、それから視聴者との関係というふうなことについての指摘があったと思います。その三つの問題が今後とも非常に大きく我々の前途に立ちはだかってくる問題じゃないかというふうに思います。
 いずれも大変難しい問題でありまして、例えば一回口が個人的にどう考えてもなかなか追いつくものじゃない。それはNHKの中のいろんな総力を挙げての検討ないしは努力ということが必要でありますけれども、当然外の方の、例えばこの国会でありますとかあるいは郵政省でありますとか、それから民放関係、それから数多くのジャーナリストの方々、そういう方々の英知を我々が吸収をして、そして判断の誤りなきを期すというふうなことをやらないととても乗り切れたものじゃないというふうに私は思っております。
 したがいまして、今の関根先生の御指摘のとおり、私は何とかいろんな力を大事にして、そしてその力をおかりして、あるいは局内の力を糾合して、そしてこれからの難関に立ち向かおう、その中で公共放送のあり方をぜひ国民の皆様に納得をしてもらう、やっぱりNHKがあることは非常にいいことだというふうに思ってもいただけるように努力をしたいというふうに思っております。
#67
○関根則之君 今新しい平成四年度のNHK予算の審議をさせていただいているわけでございますが、新年度予算は当然のことながら平成二年度から六年度にわたります経営計画に基づいて編成されたものというわけでございますけれども、現在三年目になりますか、平成四年の現時点におきましてこの五カ年計画というのは大体おおむね順調に進んでいるものというふうに見ておりますけれども、例えば平成四年度予算の中におきまして受信料収入が経営計画に比べて八十四億円下回っているというような数字も出ているわけでございまして、この下回った理由はどんなことで下回っているのか。
 受信料収入というのは、先ほどもお話がありましたようにNHKにとりましての基本的な財源であるわけでございますので、そういったものにつきましてどういう状況になっているのか。また、現在の経営計画とこれから大きく乖離していくようなことはないのかどうか。したがって、現在経営計画に基づいて料金設定がなされているわけでございますけれども、受信料は大体予定したとおりまで維持できるのかどうか、その辺のところにつきまして考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#68
○参考人(中野正彦君) お答えいたします。
 平成二年度からの五カ年計画、これの三年目に入るわけでございますけれども、まず平成二年度の収支状況から御説明をしていきたいと思います。平成二年度の決算でございますが、これは経営計画に比べまして一億円の収入の改善を果たしておりまして、二百十五億円の黒字。次に平成三年度予算は、経営計画に比べまして六十二億の収支改善でございまして、百三十六億の黒字を計上いたしております。したがいまして、二年度、三年度、両年度合わせますと六十三億の収支改善ということでございます。この六十三億円につきましては、収入の増が十五億円、支出面の圧縮四十八億円により実現したものでございます。
 次に、平成四年度でございますが、五カ年計画における平成四年度の収支、これは収入総額で五千四百七億円、支出五千二百四十七億円、資本支出充当が百九十三億ございますので、差し引きいたしますと三十三億円の赤字を見込んだものでございます。
 これに対して、平成四年度の予算でございますが、経営計画に対して事業収入が三億円の減収となっておりますけれども、一方において、事業支出は業務の見直しなどを徹底いたしまして百十五億の圧縮を図っております。そのほかに資本支出充当十億の増加がございますので、六十九億円の黒字となっております。したがいまして、経営計画に対して百二億の収支改善を果たしている、こういうことでございます。
 それから、八十四億の受信料収入の減収でございますけれども、平成四年度予算と計画との乖離でございますけれども、この八十四億の内容といたしましては、経営計画に対しまして契約件数が契約総数におきまして五万件、これは計画では三千三百五十万件、予算は三千三百四十五万ということで五万件の減でございます。さらに、衛星契約では六十二万件、計画では五百九十四万件、これに対しまして予算では五百三十二万件、それぞれ下回っているということでございまして、八十四億の城となったものでございます。
#69
○関根則之君 何か衛星放送の契約率が大変低いんじゃないかということでございますけれども、これの契約率の向上のための方策、どんなことをお考えいただいているのか、ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
#70
○参考人(諏訪恭也君) 先ほど中野参考人から申し上げました八十四億円下回ったことについて、営業活動上のことから若干補足しながら先生の御質問にお答えしたいと思いますけれども、経営五カ年計画を策定する際に、衛星の普及契約をどのように見込むかというのが大変大きなポイントでございました。衛星は全くの未経験の分野でございましたので、カラー受信料設定時の状況を参考にしながら計画を策定いたしましたけれども、計画実施の段階で当初の予測を超えるさまざもな困難性が出てまいりました。
 例えば、CATVや共同受信のマンションなど個別にパラボラアンテナが設置されていない有線系の共同受信の場合は、衛星を受信しているかどうかということを確認するのに大変難しい状況が生じたということでございます。それから、個別受信の場合でもアンテナを一軒一軒確認をして回るというのが予想以上に難しかった、人手と労力を要したということでございます。
 経営計画では、四年度をピークに普及契約が急速に進むものと予測しましたけれども、普及は昨年度湾岸戦争の報道で大変大きく伸びましたけれども、三年度に入ってからは、衛星の打ち上げ失敗とか、それから景気の低迷とかということがありまして普及が鈍化しております。したがって、年度ごとの目標設定に当たりましては、直近の状況をいろいろ分析しながら営業として責任を持って達成し得る目標を設定することにしたわけでございます。四年度は百五十二万としまして、これは経営計画百九十四万との差が四十二万、先ほど中野参考人から申し上げたとおりでございます。
 総数につきましても、衛星の受信料活動を定着させるということを最重点にした結果、四十三万の経営計画における数を、年度ごとの四年度の目標では四十万にせざるを得なかったということでございます。しかし我々としては、段階的に活動推進力を高めて、また協会挙げての普及推進策を展開するとして、経営計画最終年度の六年度末、衛星九百万を目指して活動を展開しでいっている次第でございます。具体的なことで申し上げますと、間接集金化を高めるというのが一つの大きなポイントでございます。それに収れんしてさまざまな業務を組み合わせているというのが実情でございます。
#71
○関根則之君 世の中のことというのは、やはり公平性を確保する、公正な社会をつくるということが大変重要だと思います。まじめに受信料を払っている人と負担を免れている人があるということになりますと、やはりそこに問題が生じてくるわけでございますので、できるだけ捕捉はしっかりとやっていただきますようにお願いを申し上げます。
 放送の多チャンネル化がどんどん進みますと、特にNHK、公共放送に要請をされますのは、教育番組といいますか、そういう面で国民からの期待が大きなものになっていると思います。大変最近は新しい放送番組が始まっているようでございまして、母と子のテレビタイムで、この間もちょっとのぞいて見ましたら、「英語であそぼ」とか「しぜんとあそぼ」というような番組が大変よくできているんじゃないかなという感じがいたしております。これからも新しい取り組みもなされているようでございまして、「六時だ!ETV」というようなもくろみもあるようでございますし、また、音やりました市民大学を人間大学というような形で新しくしていくという計画もおありのようでございますが、どうかひとつ教育番組には特に力を入れていただきたいと思います。それから、国際化の時代でございますので、東欧諸国の民主化があれほど急速に進んだのも国境を超えての電波のゆえである。湾岸戦争につきましての国際世論の形成や、日本のいろいろ物の考え方や国民的なコンセンサスが大分変わってくる、そういう効果を与えたのもやはり現地からの生々しい映像であったものと考えております。どうかひとつ、そういう意味におきましてNHKの国際放送、特に映像をもっての国際的な交流、こういう面につきまして引き続き力を入れていただきますようお願いを申し上げます。
 時間がございませんので、お願いだけにとどめておきますけれども、災害放送の問題につきまして二、三ちょっとお尋ねを申し上げたいと思います。
 二月の二日の未明にしばらくぶりで東京に震度五の大地震がありまして、東京消防庁の調査でも八五%の方々が大変びっくりした、怖かったというようなアンケートに答えているわけでございます。未明の時刻、四時四分の発生ということでございますので、テレビはもちろんNHKはやっていなかったわけでございますけれども、いち早く対応されまして大変あっちこっちから好評を博している。よくやってくれたというような感謝の電話なども入っているようでございます。あの時間で一五・八%の視聴率を得たということは、視聴者に対して大変重要な情報を与えていただいたものというふうに考えております。
 災害の際は大変なパニックと申しますか、情報が何よりも必要なわけでございまして、情報にはいろいろあるわけでございます。地震が起こりましたときに津波が来るのか来ないのか、地震があって火災が発生しているのかいないのか、その火災が自分の方へ向かってきているのかどうか、そういった情報がまず欲しい。と同時に、やはり火災が発生していないという、あるいは津波は心配ありませんよという、そういう安心できるような情報も実は必要なわけでございまして、その情報によりまして危険があれば避難するためにやっぱり行動しなければなりませんし、危険性がないならばそのまま安心していればいいわけでございますから、むだに動くことによってかえって危険が発生するということもあるわけでございます。そういった危険がないという情報を含めてぜひひとつ危険情報をしっかりと伝えていただきたいと思います。
 また避難路、どっちの方向へ逃げたらいいんだというような避難の情報でありますとか、火を消しましょうとかあるいは落下物に注意しましょうとか、自動車に乗っている人はできるだけ左の方へ寄ってとめてくださいよという、地震の際の原則的な呼びかけ情報というものがあるわけでございます。今回NHKは非常に敏速に対応していただいたわけでございますけれども、残念ながらこういった呼びかけ情報が必ずしも的確に伝わらなかったというようなことも言われているわけでございます。そういう点にも御注意をいただければありがたいと思います。
 ライフラインに関する情報でありますとか、あるいは家族の安否につきましての情報、交通機関についての復旧状況でありますとか、今回はガスの自動遮断器の復旧方法についてNHKが図解までわざわざして解説をしてくれたということを大変感謝をされているわけでございますが、そういったことにつきましてもひとつお力をいただきたいと思います。
 ただ一つ、今回NHKの地震計の震度が三であったということで、気象庁の方の五としばらく食い違った情報になっていたということがあるようでございますが、これは何か機械の問題があるんじゃないかというようなことを言われておりますが、その点はいかがなのかということをちょっとお尋ねをしておきます。
 それから、これからの災害放送の体制につきまして、何か新しい試みを平成四年度以降計画をなさっていらっしゃるのかどうか、その辺についてもお尋ねをしたいと思いますし、最後にひとつ大臣、こういった災害の問題につきまして、NHKと限らないわけでございますけれども、放送関係のぜひひとつ充実をお願いしたいと思いますけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#72
○参考人(中村和夫君) 震度が気象庁発表のと違っていたという件でございますが、NHKは全国五十四の局所に震度計を持っております。気象庁は百十五地点に持っておりますけれども。たまたまあの場合には、NHKの放送センターの震度計ではということを二回頭につけて三というのを御紹介したわけですが、基本的には気象庁からの震度をあの図表には入れるということが決まっておりまして、今後はその原則で通すということで意思を統一いたしました。それから、御指摘のように、NHKは災害対策基本法によって指定公共機関になっておりますので、先ほど御指摘ございましたライフラインについては、先ほど御指摘ありました都市ガスの遮断をどうやって回復させるかというようなことについては、この前も大分東京ガスのビデオテープなども再生して周知したわけですけれども、交通情報についても、どういう形で周知したらいいのか、新しい方法はないのか、さらに検討しているところでございます。
#73
○国務大臣(渡辺秀央君) 御指摘の災害に関する情報が放送によって迅速、的確に住民に提供されるということは防災上極めて重要である、これは全ぐ同感であります。災害情報というのは、近代国家の心安らかな国民生活を送る上での生活環境整備という意味では欠くことのできない重要な柱だと私は思っております。これまでも放送局の再免許や定期検査の際に放送事業者に対して、災害時において放送が果たす役割を十分に認識の上万全の措置を講ずるように指示いたし、お願いを申し上げているところであります。特にNHKにおかれては、公共放送としての使命と責任を十分認識されまして、これまで平素から訓練を行い、災害放送体制の整備に極めて努力をしておられるところでございます。今委員申されましたように、先般の二月二日の首都圏を中心に発生いたしました広域地震に対しても迅速、的確に対応した。今後とも私は災害放送体制の充実に万全を期すために一層の努力をいたしてまいりたいと思っております。
#74
○守住有信君 午前中から基本論がいろいろ出てまいりましたし、先ほどは同僚の委員から防災関係の情報という点も出てまいりましたが、私は少し具体論の方でちょっとお尋ねしたいと思います。
 まず、NHKでございますけれども、多チャンネル・多メディア化ということで、地上系の民放もローカル民放四チャンネル化でずっと進む。さらにCATVが大都会だけでなくてどんどん地方都市も進んでいる。あるいはまた、最近は通信衛星を使った放送、こういう放送と通信の境目がわからぬようになるというふうな御議論も既に社会党の方からも出ておるわけでございます。そういう多チャンネルの中での衛星放送、これを具体的にお聞きしますけれども、BS3aがふぐあいになりました。そして今回の予算の中でもそれの補完衛星ということの具体的な計画、意見書も出ておりますけれども、この補完衛星のスケジュールをもう少し具体的にお尋ねしたいわけです。
#75
○参考人(中村好郎君) 補完衛星につきましては、来年度の計画で打ち上げるべく今御提案申し上げているところでございますが、承認されましたら四月早々には仕様書をっくりまして、直ちに官報によってこれを公示いたします。内外を問わす各衛星メーカーがこれに多分応募してくると思います。今の予想では、担当するメーカーを絞り込むまでには半年くらいはどうしても必要だろうというように思っておりますので、ことしの秋ごろには担当するメーカーが決まるというように考えております。
 それで、一般的にこの規模の衛星でございますと製作してから打ち上げまでに二十カ月から二十数ガ月かかるというように言われておりますので、打ち上げの時期は現在の予想では平成六年の初めころになるだろうというように思っております。これが大まかなスケジュールでございます。
#76
○守住有信君 私、過去を見ておりまして、BS2X、BS3H、いろいろふぐあいがございます。ロケットのふぐあいもあれば衛星のふぐあいもございました。そのときの報道発表で科学技術庁は正確にどこの国のどのメーカーである、これをどんと出しているんですね。郵政省やNHKはそうじゃなかった、ただふぐあいというのだけが出ました。そうすると、国民から見ておりまして、日本の国産技術で一生懸命宇宙開発に取り組んでおりますが、宇宙開発事業団以下科学技術庁、何か日本の技術がだめだったのか、こういうふうな意味にとられる。
 そこで、この種の報道資料、科学技術庁のを持ってまいりましたけれども、どこの国のどのメーカーのロケットであった、あるいは衛星であった、これがきちんと出ておるわけですね。そこらも郵政省も含めて、やっぱり国民の認識というものが、フランスのアリアンがどうした、アメリカのあれがどうした、調達問題でやられるわけですから、余計アメリカと今度はECの方も大分不満が日本にぶつかってくる。こういうことでございますから、客観的な事実ということは、単にふぐあいの事実だけでなくて、それはどこのメーカーなりどこの国がそれを執行したかということも合わせて、こういうことがあっちゃもういけませんけれども、それを一言お話を申し上げておきます。
 それから、時間もございませんので、これの意見書にも、補完衛星の打ち上げが受信者の負担増にならないようにすることが必要だと。どのように影響を与えるのか、こういう点も、我々国会だけでなくて、媒体を持っておられるわけですから、NHKのいろんな地上系の方も使ってこういう点をどんどん国民にわかりやすく、そうすると科学技術の知識もレベルアップする。放送文化、映像文化、科学技術、日本の伝統文化、いろいろありますけれども、こういう世界が宇宙開発のいろんな事実というもの、取り組みというものがどんどん別の放送番組には出ておりますけれども、もう一つNHKの具体的なこれに即した、経理面のこととか、これも御発表になったら非常に国民的にも役に立っていくんじゃないか、こういう認識を持っております。
 それから、時間もございませんので、私どもは九州でございますけれども、東京一極集中を批判してまいりました。今会長のお話を聞いておったら、今度はアジア・センター、大いに我が意を得たわけでございます。そういう一極集中からローカルの文化、ローカル番組へと。いろいろ地域がございますね。それで、かってお聞きしましたのが、あれは静岡県と熊本県と秋田県をパイロット地区にして、番組編集も自由にやるし、それから、見ておりますと、九州ネットワークということで、私は熊本の大江ですけれども、鹿児島県のいい例とか福岡県とかいろんなのがそこへ出ている。そうすると熊本の県民や財界人、いろんなものにも行政にも刺激になる。
 こういうのが非常にいい番組で、なかなかこれ民放がやらぬわけでございます。民放も福岡には準キー局があります。同じ系列であるけれども、そういうのも実はNHKが模範になって今やっていただいておるやつが、まあ民放さんはここへ列席しておりませんけれども、民放系の放送記者の皆さんも、このキー局、準キー局の方にも、NHKがやっておるような、トライしておるようなことを、同じ資本系列ですから、番組系列だから、そういうローカル番組を広げていただきたい。
 それで、最初に戻りまして、三県のパイロット計画ですか、それが最近はどのように発展していかれておるのか、ローカルの立場から一遍御説明をいただきたいと思います。
#77
○参考人(中村和夫君) 今御指摘のパイロット局は、静岡、熊本、秋田という三局を平成元年度から試行いたしました。これは放送サービスを主として地域の自主性を重んじようということで実施したわけですが、平成二年の十月からは、このパイロット局の成果を踏まえて、十四局で、放送サービス以外にも、業務全般にわたって地域各局の自主性でいろんな試みを行うということをやってまいりました。予算の自主編成、要員の一体運用、新たな営業活動、地域情報の自主的を充実、こういったものを試みてきたわけですけれども、このパイオニア局というのを三年度いっぱいでやめまして、この成果を受けて、全地方局にこの形を取り入れるということで四年度からはスタートするということになっております。
#78
○守住有信君 それからちょっとだけ。
 我々、九州は一つと思っていろいろ取り組んで特徴を発揮してやっておりますけれども、ただ、東京一点集中がだんだん福岡一点集中になりよる、それから熊本県内も熊本市集中になりよる、過疎から眺めておりましてね。そこで見ておりますと、NTTさんもそうだけれども、NHKさんも何か福岡の方へ業務内容の合理化合理化という名目で、逓信省発足以来、松前重義先生以来の熊本だけれども、そういきっつあるんじゃないか。ここは私ちょっと御注文だけ申し上げておきます。もしそうなれば、県知事以下市会議員団一緒になってちょっと反対運動をやらざるを得ない、こういうことに相なりますので、一言だけ申し上げておきます。
 それから、時間もございませんので、メディアの時代、放送文化、番組制作、特徴のある、レベルの高い、ノウハウを発揮した、とういうのでやっと郵政省も腰を上げて、かってあれは基盤技術の法律でございましたか、通産省と労働省が組んでソフトウエアの、これはコンピューターの方でございますが、研修センターを全国六っばかりつくって、我々熊本にもつくりました。
 そして、今度は番組ソフト、映像文化時代、これの人材養成というものに取り組もう、ハード的な技術者の養成、レベルアップも必要です、特にローカルの方で。東京じゃございませんよ、東京は人が集まってきておるわけでありますから立派な人がたくさんおる。ローカルでそういうレベルアップということで法律をおつくりになって、通信の方も入っておりましたけれども、そういうのを構想されて立法化された。それの今の状態はどのようになっておるだろうか、御説明いただきたいと思います。これは郵政省でございます。
#79
○政府委員(白井太君) 昨年の百二十国会に電気通信基盤充実臨時措置法案を提出させていただきました。法律の内容となっております事業は二つの事業から成っておりましたが、そのうちの一つがただいまお話にございました、特に電気通信関係の仕事に携わる人の研修に関する事業でございます。
 こちらの方につきましては、昨年法律を成立させていただいた後、基本指針などもっくりまして私ども周知活動を行う等いろいろやってまいりましたが、結論から先に申し上げますと、やっとことしの二月になりまして研修センターの第一号というものについて認定をさせていただくことができました。これは北海道にできることになっておりますテレコムセンターというものでありますけれども、地元の方々のいろいろな御協議の結果やっとまとまったものでありまして、総資産約十四億円で施設の建設をこれから行うということになっております。四月に入りますと早々に株式会社として正式に発足をいたしまして、直ちに施設の建築にかかります。そして来年の四月には事業を開始するということを現地ではもくろんでおります。
 その研修センターにおきましては、一般の研修業務とあわせて、この法律にも書いてございますが、実践指導業務として、実際に実用に供するようなプログラムの作成をするとか、あるいは番組の制作をするとかというようなことについて直接指導を行うというようなものも研修内容として取り込んでおりまして、このような研修によりまして、軌道に乗りました段階では、一年間に延べで千二百人くらいの方々の研修を行いたいというのがざっとの計画の内容でございます。
#80
○守住有信君 また、そういう場合に、郵政行政をやってまいりましたけれども、放送文化という視点が欠けておりました。番組は何か不偏不党と思い込んでいた。個別番組はそうですけれども、番組作成のレベルアップとか、NHKさんもノウハウを持って人員までどうだという、そういうのもあるわけですから、そして民放さん、CATVも自主番組をつくろう、こういう動きがどんどん出ておる。そういうところでひとつこういう制作を大いにお互いに協力し合って、放送文化論と言っておりました。私が役人のときはさっぱり放送文化論がございませんで、許認可とハードばかりでございまして、余計思いがございますので、しっかりよろしく酌んでやっていただくことをお願い申し上げておきます。
 それからもう一つが例のNHKの難視の問題。山の奥の奥ということで地上波では見れない。共同受信施設があるけれども、それも十年、二十年たってしまったというふうな問題がございます。それでも見えないようなもっと奥の奥の開拓部落その他ございます。これに対して、あれは基金が三十億でございましたか、あの補正予算のときにやって、その運用益で四分の一助成ですかね、地元の村が四分の一ですか、これをお取り組みになった。NHKの普及義務があるけれども、そういう山奥の奥で三軒とか五軒とかやったらこれはやっぱり非常に受信料負担になる。そして今は衛星放送時代。それで、国がNHKだけに責任を負わせるんじゃなくて、政府として何らかの助成をと、こう思っておったんですけれども、それがやっとでき上がりました。
 これのその後の普及状況について、山の奥の奥ですからこれはまあ大変だと思う、NHKの人も山の奥へ行って調査せにゃいかぬですからね、どの程度の難視聴の度合いか。何かランクがあるように聞いております。今まで地方自治団体というのはそういう放送行政と全く無縁でございましたね。通信もそうだったんですよ。これはまあ歴史があるからもう申し上げませんけれども。そういうところでやっていく御苦労がありますけれども、やはりこういうのにも力を入れ、人をかけて、行政もNHKもという思いがありますものですから、最近の状況はどうなっておるだろうかということをお尋ねするわけでございます。
#81
○政府委員(小野沢知之君) 昨年秋、守住先生の御指導を受けまして、いろいろな施策を実効的にする場合に地方自治体との連携を密にすることが基本だということが身にしみました。
 そこで、NHKの難視聴のことについて申し上げますと、せっかくの基金ですが、平成二年度の助成実績が十九市町村で三百三十五世帯にすぎなかったんですが、昨年の秋から精力的に取り組みました結果、平成三年度ただいま現在で、申請中のものを含みますと五十五市町村で二千八百五十三世帯ということで、対前年度の八・五倍に達しております。これに勇を鼓しましてさらに努力したいというふうに考えております。
#82
○守住有信君 前のスタートのときはたしか三百何世帯ぐらいでございましたものね。なかなかこれを知っておられない、まず村の当局者、村長も課長クラスも知らぬと、こういうのがあったわけでございますが、今聞くと二千幾つぐらいですかね、御苦労さんでございます。よろしくしっかりお願い申し上げておきます。
 それからもう一つ、山の中から少し下がりまして、これは民放の方でございますけれども、熊本だって四チャンネルありますが、前の二チャンネルは県内に八十一本の中継塔、中継局をつくっておる。あとの二社は四十何本とか十何本でございまして、後発民放ほど、よその県もそうだろうと思います。そしていろいろ補助制度あるいは過疎債、これを両方組み合わせて活用して、過疎債なんか七割補助でございますからね。そういうものを普及しております。
 これをやっていくときに、テレビ塔はあちこち立っておるんですね、NHKもあれば先発民放もございます。中には電力の送電線の塔も立っておりますよ。あるいはまた、通信の方でございますね、自動車電話とか携帯電話、それもさっぱりだ。周波数は違うわけですが、無線通信の方と放送波、放送波も民放のAとBでは違う、NHKも違う、こういうことでございますが、鉄塔のテレビ塔を、資源の共有化とがよく言われます、言葉は言われますけれども、具体的にそういうものを共同利用する。
 会社ごとに受発信機は違う、それからまた放送波の周波数ももちろん違うけれども、通信用の携帯電話あるいは自動車電話の普及のためにも、放送行政局と通信の方と、今ちょうどお二人お並びですから、両方で郵政大臣のもとで、放送と通信、この手段としてのテレビ塔やあるいは電力塔、あるいは無線塔、NTTの塔、こういうものを共同利用する。条件はいろいろ調査せにゃいかぬけれども、場所がちょっと違うておるとか違和感があるかもしれませんが、そういうことに向かって省内に共通のプロジェクトをつくり、そこには民放連も入れる、あるいはNHKも入るという形で中央でおやりになって、今度は地方の電盤でそういう場をおつくりになって、技術調査とかこれにどんどん力を入られて、そうすると例えば民放なら一千五百万するのが五百万で済むんですよ。
 そういうことを考えますと、我が郵政の方で放送と通信、民放もNHKも、通信の方のNTTも、ポケットベルの新規参入の方もいろいろ一緒にさせていく行政指導力というものがこれからますます必要になってくるんじゃないか。それぞれの免許に対して、ただ周波数を免許するだけじゃなくて、そういうハード的な整備を組んでいく、組ませていく。こういうことにつきまして、郵政大臣も今初めてお聞きになったんだろうと思いますが、放送と通信、さらにNHKと民放、あるいは通信のNTT、そういうのもお入れになりまして、省内で取り組んでいかれるかどうか、もう時間もございませんから、そこを最後にお尋ねいたしまして、終わらせていただきます。
   〔委員長退席、理事大森昭君着席〕
#83
○国務大臣(渡辺秀央君) もうこれは守住先生は一番お詳しい方でありますから、ちょうちょういろんなこと申し上げる必要ないと思うんですが、全く今おっしゃられるようなことができれば非常に難視聴地域などというのは一気に解決できるわけです。あるいはまた移動式電話とかいろんな問題が解消していくと思いますね。私も素人でよくわかりませんけれども、技術的にはいろんなことがあろうと思います。おっしゃられる大先輩の御提言でありますから、早速ひとつ省内で検討させていただきたいと思っております。ありがとうございました。
#84
○中村鋭一君 ここに郵政行政六法がございますが、「第一章の二 放送番組の編集等に関する通則」の第三条、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」。第三条の二、「放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。一 公安及び善良な風俗を害しないこと。二 政治的に公平であること。三 報道は事実をまげないですること。」。この一、二、三号、今朗読をさせていただきましたが、これはNHKとそれから民放を通じて放送というものを規定しているものであると私は理解しておりますが、小野沢さん、いかがでございますか。
#85
○政府委員(小野沢知之君) 先生御指摘のとおり、放送事業者にとりましての放送番組の編集等に関する通則でございます。
#86
○中村鋭一君 第四十四条は、NHKは、「国内放送の放送番組の編集及び放送に当たっては、第三条の二第一項に定めるところによるほか次の各号の定めるところによらなければならない。一豊かで、かつ、良い放送番組を放送することによって公衆の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与するように、最大の努力を払うこと。」。この立法の趣旨をお伺いしたいんですが、三条の二であらゆる放送を規定するものとして今私が読み上げました法がございますが、特に日本放送協会を規定するものとして、四十四条の今申し上げた規定を設けられた根拠はどこにありますか。
#87
○政府委員(小野沢知之君) お答え申し上げます。
 日本放送協会が公共放送として民放と併存することによるすぐれた放送制度を日本は持っているわけですが、そういう意味で、特にNHKに対して、先ほどお話のありました通則のほかに、ここに掲げてある各号の編集等の基準が設けられていると、こういうことでございます。
#88
○中村鋭一君 小野沢さん、これは常識的に考えれば、協会に対して「豊かで、かつ、良い放送番組を放送することによって公衆の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与するように、最大の努力を払うこと。」と、こう規定されているわけでございます。この規定は単にNHKだけじゃなくて当然ながらあらゆる放送について準用さるべき規定であると思うんですが、特に分けられたのはどうしてですか。いや、その前に、これは民放にとっても豊かでいい番組を提供することは必要なんじゃないでしょうか。
#89
○政府委員(小野沢知之君) おっしゃるとおり全放送事業者に通じて言えることですが、特にNHKについて念のため理念規定として設けられたんだというふうに考えております。
#90
○中村鋭一君 どうも私はあなたの答弁はもう一つ明快さを欠いていると思いますよ。
 川口会長にお尋ねいたしますが、朝からの審議でもあなたはこの「豊かで、かつ、良い放送番組を放送することによって」と、この「豊かで」という概念について少し言及をされたと思うんですが、特に民放をも規制する第三条の二以外に四十四条で「豊かで」という規定があるわけでございます。あなたの豊かでというのはどういう理解でございますか。
#91
○参考人(川口幹夫君) 豊かな放送というは、一つは種類の問題でございます。いろんな種類のものがあるべきである。あるものに限って、例えば非常に狭い枠の中でしか番組ができないということは非常に豊かではございませんで、まず種類が多いということ、そしていろんな方がそのいろんな番組を自分のお好みに応じてごらんいただけるという形がまず一つの豊かさですね。
 それからもう一つは中身の豊かさでございます。番組というものはいろんな形でつくられていきますけれども、その番組が持っイメージというのは、見る人の中にどのように深く入っていくのか、あるいは浅く入っていくのか、拒否反応があるのか、全く共鳴してもらうのかというふうなことがあると思いますね。そういう意味で言うと、本当の豊かな番組というのは見る人の中にしみ渡っていくような広がりを持つ、あるいは深さを持つ、そういう番組であろうかと思うんです。
 それからもう一つは、豊かの中に、例えば情報でありますと、的確さとか公平さとか不偏不党とか、そういうイメージがやっぱりはっきり出なきゃいけないと思うんです。それから情報の中にも、例えば今起こっていることが何であるかということを知るだけじゃなくて、そのバックが何であるのか、将来この問題はどう展開していくのか、つまり歴史から将来へわたっていろんな知識を与えてくれる、そういうものが豊かさというものの象徴ではないかと、このように思っております。
#92
○中村鋭一君 郵政大臣、川口会長は豊かという言葉についてこのような考え方を持っているということを今お述べいただいたわけでございますが、とすれば、NHKに対してだけ豊かで文化的水準の高い放送を期待するんじゃなくて、当然ながらこの規定はいわゆる民間放送にも当てはまる概念ではないでしょうか。特になぜ四十四条で「豊か」という言葉がこの法律において使われているか、そのお考えですね、それは当然ながらあらゆる放送について考えらるべき一つの考え方であると、こう思うんですが、その点の区別をひとつお示しをお願いいたします。
#93
○国務大臣(渡辺秀央君) いや、どうもその区別ができるかどうかわかりませんが、私、今先生のお話承っておりまして、まさにこの第三条は放送、編集の自由ということを言っているわけですね。これはもうNHKも民放も同じですね。四十四条に殊さら「豊かで、かつ、良い放送番組」、よい放送番組はみんなひとしくということですが……
#94
○中村鋭一君 当たり前なことですね。
#95
○国務大臣(渡辺秀央君) しかし、その「豊かで」ということは、やっぱり一つの規範として、おっしゃられるとおり、放送事業者に対してひとしくこの放送法というものを規範として考えてほしいという願いやそういうものが当然哲学としてここに込められていると思うんです。私も全く先生の意見に同感でございます。
 NHKと民放とのよって立つ基盤が違うことはおわかりのとおりで、私、敷衍しませんが、しかし目的とするところは、やはり放送の自由あるいは言論の自由、表現の自由、そしてまた、いわゆる持っているNHKであるがゆえの公共性とか、民放であるがゆえの公共性がないということはないのでありまして、そういう意味では大体私も中村先生と同じ考えで今お聞きをいたしておりました。
#96
○中村鋭一君 私、揚げ足をとるつもりはないんですけれども、川口さんがおっしゃった豊かさの概念の中に、多種類の放送とおっしゃいました。四十四条にはよい番組ともありますね。そうしますと、特にNHKを規定するものとしての四十四条であるなら、皮肉に言えば、では民放は豊かでよい番組を提供しなくてもいいのか、三条の二のみを援用すればいいのかという皮肉も言いたくなるわけでございます。
 ということを私が申し上げますのは、小野沢さん、あなたは朝の三重野委員の質問に対してこう答えていらっしゃるんですね。公共放送としてのNHKは基本的な役割として四点求められている云々とございまして、そうして、視聴率やスポンサーとの関係を考慮せざるを得ない民放とは異なる性格を有しているNHKは公共性云々という答弁をあなたはなさっているわけでございますが、あなたがおっしゃったこの視聴率やスポンサーとの関係を考慮しなければいけない民放というのは、どういうつもりでおっしゃったんですか。
#97
○政府委員(小野沢知之君) 三重野先生に対する答弁で申し上げました私の発言の趣旨ですが、両者のよって立つ財政基盤の相違に言及したということでございます。NHKは受信料を財源の基礎としている、一方、民放は広告を基礎としている、こういった点で申し上げたわけでございます。
#98
○中村鋭一君 けれどもね、あなたが視聴率やスポンサーとの関係を考慮せざるを得ない民放と違ってNHKには公共性が求められるとおっしゃるのであれば、これまた小野沢さんね、揚げ足をとるわけじゃございませんが、今私三条の二を言いました。四十四条があると言いました。その規定の中に、しかもあなたのこういう発言の中に、NHKは別ですよ、民放は視聴率とかスポンサーの制約を受けるものですからNHKほどの番組の質の高さだとかそういうものは考慮しなくてもいい、民放は金もうけだから視聴率ばっかり言っているんですよ、NHKはそんなこと気にしないでいい番組を提供するようにしなさいと言うことは、相対的にそれはあなた民放に対して失礼じゃありませんか、そういう言い方は。その点とうなんですか。
#99
○政府委員(小野沢知之君) 放送行政の責に当たる者として、先生御指摘のような受けとめられ方をしたとすると反省しなきゃいけませんが、先ほど来NHKの公共放送としての役割について御答弁したときに、それを強調するという点で、よって立つ財源の点について触れたときにそういう発言になったわけでございますが、十分気をつけたいと思います。
#100
○中村鋭一君 どうも明快を欠く答弁ですけれども、しかし小野沢さん、やっぱりこういう委員会での発言ですから慎重にやってくださいよ。私はわざわざ今こうやって放送法の規定を読み上げて、三条の二と四十四条、これをきっちりと今規定を改めて知っていただいておるんだ。あなたは専門家でしょう。とすれば、この規定からあなたのそのような、民放は視聴率とかスポンサーとかそういうものがありますから、その関係を考慮せざるを得ませんというような軽率なことは言うべまでは絶対ないと思いますよ。これからはその点気をつけてくださるように私から厳重に注意を申し上げておきます。
 七月にはまた参議院の選挙がございます。私、三年前の選挙で実は滋賀県で立候補させていただいたんですが、県内の全体の開票率が七〇%でありました。それから郡部の票は一〇〇%全部開きました。その段階で私は対立の候補の方に七千票リードされておりました。郡部一〇〇%、全体開票率七〇%の段階で私は七千票負けていたんです。そのときにNHKは私の当選確実をお打ちになりました。私も敗戦を覚悟しておりましたので飛び上がって喜んだんですが、一方で、先日の宮城県の選挙では開票率が九九・六%までいっても勝敗が定かにならず、最後に一つの市の票があきまして萩野候補が二千九百票差で勝利をいたしました。わずか〇・三%を残すのみの勝利でございました。
   〔理事大森昭君退席、委員長着席〕
 NHKが今度もまた夏には選挙速報をおやりになる。私はNHKの選挙報道は実に正確である、こう思っているわけですが、何かこれ基準はあるんですか。例えば私が七千票リードされているのにNHKは当確をお打ちになったわけですから、その報道の基準ですね。これは放送法にも事実を正確にということが規定されておりますが、当選するか落選するかはまだ事実として確定していないんですね。極端に言えば予断と推測に基づいて当選確実をお打ちになるわけですから、それには当然それなりの基準、方針というものがあると思うんですが、その辺をひとつお聞かせをお願いいたします。
#101
○参考人(中村和夫君) NHKは長いこと選挙報道をやっておりますが、これまでの選挙は、事前の情報取材というのがまず欠かせないということで、各政党関係の取材はもちろんですが、東京を初め全国各地の放送局の選挙取材担当者というのがおりますから、担当者による情報取材それからNHKが行う世論調査、そういうものを総合的に勘案しながら事前の準備を進めているということが一つ。
 それから、開票当日は、投票所もそうですが開票所の徹底的な取材というものを行います。選管発表の開票率と実態とは、各開票所の方が進んでいるわけでございますから、そういうところも徹底的に取材をいたします。
 それから、過去の選挙の経験から得たコンピューターのシステム、これは改良を何回も進めてきているわけですが、そのコンピューターシステムも使うということで、情報収集とこれまでの経験を生かしたコンピューターのシステムを含めたノウハウを総合的に判断して行う。それで、開票率が余り進まないうちに、例えば開票率が〇%でも当確を打つというような場合は、どういう理由で当確というものの判定をしたかというコメントをきちんとつけて当確を打っているということが現状でございます。
#102
○中村鋭一君 中村さん、コンピューターもお使いになるわけですが、最終的には非常に練達した報道のデスクが、よし当確打てということは、コンピューターじゃなく、最終的には練達した人間の頭脳でそれを決定するわけですか。
#103
○参考人(中村和夫君) そういう判断に非常に困る場合も一人の人間がそれをえいやといって決めるわけではございませんで、きちんといろいろな情報を収集して、ちょっとでも疑問があるというようなときには、この前の宮城補選はそうですけれども、最後まで慎重に見きわめる。我々の選挙報道は正確で迅速というのが第一でございますが、正確さというものも本当に大事でございますから、そういう点を勘案しながらやっていくということであります。
#104
○中村鋭一君 会長、今、中村さんがはしなくも正確さそれから迅速さ、こうおっしゃいました。またこれは放送法を申し上げますが、放送法のどこを見ても迅速性ということは法律にはうたわれておりませんね。うたわれておりませんが、私も長年マスコミにおりまして報道にも在籍をしておりましたが、やっぱり現場のデスクというのはいつでも正確さと速さ、ニューズというのは新しいという意味ですから、それをいつでもはかりにかけているようなところがありまして、どちらかといえば他社に先に打たれたら困りますから、どうや、よそはまだ打つとらぬか、よしいけというようなところがはっきり言ってなきにしもあらずなんです。
 NHKとしては、報道における正確さはもちろんでありますけれども、迅速性、スピード、一秒でも速く報道するということについては常に意を用いていらっしゃいますか、またそのような指導を報道に対してされておりますか。
#105
○参考人(川口幹夫君) 会長就任の後、報道関係の部長以上の人たちに集まってもらって報道に関する基本的な考え方をいろいろ検討し合ったことがございます。その中で、今のその迅速性とそれから正確さ、この問題はやっぱり非常に大きな問題として提起をされ、それから現場の者もいろんな意見を述べました。私は、やっぱり正確さということがまず第一であって、迅速性はその後についてくる。もちろん迅速さということがなければこの厳しい報道の中では、それで信頼を失うということもありますから、それは十分大事にしなければいけませんけれども、やっぱり正確さが第一だということを現場の者には言ったところでございます。
#106
○中村鋭一君 それは大いに我が意を得た発言でございまして、正確さと迅速性は矛盾するような要素がありますけれども、どちらをとるかという場合は、正確性を優位に置いて迅速性は劣位に置くというのがやはり報道に当たる者の当然の姿勢であると思います。今の御発言を伺って安心をさせていただきました。
 放送衛星の安定性と継続性、これは大事なものだと思うんですが、補完衛星の準備状況とそれからその調達の仕組み、これをひとつ教えていただきたいと思います。
#107
○参考人(中野正彦君) 衛星放送の安定的、継続的実施に万全を期するために、私どもNHKとしては平成四年度に補完衛星の製作・打ち上げに着手することにいたしております。
 補完衛星の調達につきましては、これまで二回補完衛星の打ち上げをやりましたけれども、次の補完衛星からは国際調達で実施するということにしております。つまりオープン、透明かっ内外無差別な国際公開入札で実施しよう、こういうことでございます。
 その調達の準備状況でございますが、一月二十四日付の官報で市場調査をするための公告をいたしました。現在、この調査結果に基づきまして技術的な仕様書等の作成に取り組んでいるところでございます。本日御審議をいただいております平成四年度収支予算、国会で御承認をいただいた後速やかに入札手続の準備に入りたいと思っております。
 今後のスケジュールでございますけれども、この入札手続を官報で掲載した後でございますが、六月あたりに各業者から入札の提出をさせていただきまして、それから秋ごろに業者の決定、そして契約を結びたい。それから製作に入るわけでございまして、今のところ衛星の打ち上げは平成六年度初頭を一応予定いたしております。
#108
○中村鋭一君 二度あることは三度あるという言葉もありまして、随分心配なんですけれども、三度目のこの衛星は万全のフェールセーフを講じていらっしゃると思いますが、その辺の対策はどうなっておりますか。間違いありませんか。
#109
○参考人(中村好郎君) 今の中村先生の御質問にお答えする前に、私、午前中の山田先生の補完衛星に関する答弁の中で正確性を欠いたものですから、ちょっとその部分について訂正をさせていただきたいと、かように思います。
 2Xと3Hの予算にかかわる部分でございますけれども、BS2Xは元年度予算、事業計画に計上いたしまして、国会で御承認をいただき打ち上げたわけでございます。2X打ち上げ失敗後に保険で資金が回収されましたので、これを平成二年度に予算を繰り越して3Hの打ち上げを行ったものでございます。訂正させていただきます。先生どうも済みませんでした。
 今の先生の御質問でございますが、補完衛星の打ち上げにつきましては、2X、3Hがいずれもロケットのふぐあいにより不成功になったわけでございまして、大変このことを重く受けとめておりまして、今後信頼性を十分に確保するための体制を強化していきたいということでございます。
 具体的には、NHKの中に補完衛星に関する技術諮問委員会を設けまして、部外の専門家各位から多年にわたる経験を生かした御意見をいただきまして、特に衛星及びロケットの設計、製造に当たりましては、いかに信頼性を確保していくかについて御助言をいただきながら打ち上げのための万全の体制を確立していきたいと、このように考えております。
#110
○中村鋭一君 打ち上げの都度今あなたがおっしゃったようなことはいつも言っておられると思うので、とにかく結果が物を言いますから、今度はひとつ皆さん方を合わせて、三つ目はしっかりと上げていただくようにお願いしておきたいと思います。
 BS4の調達の仕組みとそれからスケジュールの進め方、今度は国の負担がなくなりますが、NHKはそういう点にどのように対処していくか、簡単で結構ですからお答えをお願いいたします。
#111
○参考人(中村好郎君) 次の放送衛星につきましては、郵政省の研究会で一つめ方向が一応示されておりますけれども、私どもといたしましては、いずれにしても安くて安定でという衛星を打ち上げていただくことをお願いしております。今いろいろと検討中でございますが、具体的なものについてはまだ作業がされてないというのが現状でございます。
#112
○中村鋭一君 先日、NHKの商業化に関するアンケート結果というのが私のところに送られてまいりまして、これは平成三年の九月から一カ月間、民放テレビ百十三社の営業担当者に対しましてNHKの商業活動についてのアンケートを出したものでありますが、それを見ますと、回収率八七%と大変高いんですね。民放のNHKに対する一つの考え方というものがこの回答に出ていると、こう思うんですね。
 例えば、NHKはニュースとか情報コーナーなどで関連会社のイベントを紹介したり、それから具体的な企業名を露出するケースが大変目につくと、こう答えた民放の業務関係者が七一%に達しているんですね。例えば、平成三年九月二十九日に「NHKスペシャル」で電子立国という番組を放映されたわけでございますが、これまで比較的NHKはそういった企業名を伏せてこられたのが、この電子立国という番組では堂々と企業名をオンェアしておられる。実名入りで紹介をしておられる。それからまた、自治体がいろいろなイベントをいたしますが、この自治体のイベントについて、民放とNHKがそのイベントのプロデュースなんかを取り合いをいたしまして、これは民放の営業担当のアンケートに対する答えでございますから、それはあるいは一部主観的な思い込みがあるのかもわかりませんが、NHKさんはそういう場合に、例えば地方自治体なんかに行かれて、このイベントはうちに任せなさい、NHKがやれば電波料はいただきませんよ、民放にお願いになれば、民放で放映なさいますとお金がかかりますよ、うちは電波料は一銭もいただきませんというようなセールス活動をなさっているという事例が報告をされていると、こういうことなんですね。
 例えば一九八九年の仙台市制百周年記念駅伝大会は、地元の民放がプロデュースすることが九分九厘決まっておったのを最後のところでNHKにさらわれた。それから、山形県寒河江市のサクランボ・キャンペーンの広報ビデオもNHKエンタープライズが受注をいたしまして、九一年七月二十日に総合テレビで全国放送されたと、こういうことなんですね。
 要するに、このアンケートによれば、少なくとも民放の側は、NHK本体、それから関連会社を含めて大変商業化に熱心です、一言で言えば営業利益を上げることに熱心で、それが結果として民放の商業活動を著しく侵害をされていると、少なくとも民放の関係者にはそのような理解がなされている、こういうことなんです。その点についてひとつNHKの方からできれば具体的にお教えを願いたいと、こう思います。
#113
○参考人(中村和夫君) 御承知のように、放送法四十六条では、NHKに対し他人の営業に関する広告の放送を禁止をしております。それから四十六条の二項で、番組編集上必要で営業広告を目的としたものでない場合は営業者の名称を放送することを妨げないとしております。我々は、番組編集上、番組の本質的要素であるかどうかという点と、演出上やむを得ない点かというこの二点を基準にして判断しておりまして、今御指摘のございました「電子立国日本の自叙伝」という場合は、半導体産業のそもそもの開発の歴史をきちんとした記録性を持って表現したい、描きたいということもございましてああいう形にしたということでございます。
 それから、今御指摘ございました仙台の件でございますが、私どもで把握している事実関係は、NHKだけに絞って要請があったというふうに把握しております。
 それから寒河江のビデオの件でございますが、結論から言いますと、NHKが放送したものは寒河江にエンタープライズが納入したものとは別物でございまして、構成、ナレーション、語り手というのが異なっておりまして、別物ということでございます。
#114
○中村鋭一君 地方都市で公開放送なさる場合に、これも民放連等の把握しているところでは、例えば「のど自慢」をおやりになると、そのときにその自治体から、それは最小限ではありましょうけれども、必要経費をちょうだいをされている、たしか新聞でもこういう報道がされたことがあるように思いますが、そういう事実はありますか。
#115
○参考人(中村和夫君) 自治体と共同でイベシトとして主催しているものは、市町村何周年記念とか、とことこ市民会館落成とかいう場合に地元からの公開番組の派遣要請というのがございまして、そういう場合には自治体と共同主催で実施しているというのが実際でございます。
 ただその場合、NHKは、公開番組でも、放送制作にかかる経費、具体的には出演料とか職員の旅費、宿泊費、編曲料、著作権料、構成料、番組を収録するための美術セットとか大道具、小道具、そういうものの操作費、出演者の自動車料、直接放送するのにかかわる部分はNHKがきちんと払う。ただ、地方で公開番組をやるわけで、NHKホール、NHKのスタジオでやる場合と条件が物すごく違いますから、そういう場合には、会場が不備な場合には、放送ができるような例えばステージの張り出したとか、照明とか音響の架設の一部だとか、それから会場借用料だとか、それから地元に対する広報、会場整理その他、そういうものは自治体にやっていただくということになっております。
#116
○中村鋭一君 そこのところはやっぱり視聴者の皆さんにもきちっと説明をされた方がいいと思うんですね。自治体がお金出したりしますと、市民の皆さんの中には、公共放送が自治体から金を取ると、それじゃ税金の二重取りじゃないか、受信料の二度払いになるじゃないかという声があるわけですから、そういう誤解をなくすためにもそこのところはきちっとされた方がいいと思います。
 それから、お仕事なさる場合に、企業からタイアップ料というんですか、協賛料というんですかね、そういうものをちょうだいされる、営業収入としてちょうだいされる、これはあみんですか。
#117
○参考人(中村和夫君) イベントとして、そのイベントに企業が協賛金を出すということはございますが、そのイベントの放送の部分は、NHKがどういう形で構成してどういう部分を放送したいかということはこれは別でございますから、放送そのものに協賛金をいただくということはございません。
#118
○中村鋭一君 そこのところもよくNHKとしてもPRをされて、例えば民放の最前線の営業関係者がそのような印象を持っているとすれば、それはNHKさんにとっても迷惑な話ですから、これからもそこのところはきちっとされるようにお願いをしておきたいと思います。
 それから、このごろマラソンなんか多いですね。マラソンランナーは今は皆企業のゼッケンつけて走りますわね。まあプロ野球の中継でもこのごろはセンターのバックスクリーンの下に多額のお金を出してスポンサ一が看板を出します。野球中継などはPCラインを撮ればあれは絶対に映るわけですよね。NHKもそういう点では苦労をされていると思うんですが、例えばマラソンの冠大会なんかの場合に、マラソンランナーのクローズアップをいたしますとどうしても胸のゼッケンが映って企業名がNHKで放映されるということになるわけですが、そういう点は注意はしていらっしゃいますか。それとも、放送というものをダイナミックに構成するためにはゼッケンが映るのはしょうがない。例えば、松野明美をクローズアップする、有森をクローズアップするときにゼッケンが映るのは放送効果の上から仕方がないと思っていらっしゃるんですか。
#119
○参考人(中村和夫君) 先ほど二つの編集上の場合ということを申しましたけれども、マラソンの場合は演出上やむを得ないという範曉に入ると思っております。ただ、今御指摘ございましたように、ある競技で設計の段階でそこにわざわざ看板を置くとか、明らかに映るような広告の対象物があるということがあらかじめわかっている場合には、主催者と話し合って場所を変えていただいたり、場合によっては画面から外すという努力はしております。
#120
○中村鋭一君 最後に、NHK職員が、前の教育放送開始のときでございますが、そのころに大量に採用された皆さんが私の手元の資料では毎年七百から八百人余おやめになっている。これからもおやめになっていく。ところが、年度ごとの採用はそう七百人やめたから七百人採用するというわけにもいかないでしょう。大体五百人ぐらいですかね。やめていく人が八百人で新規に来られる方が五百人ということになりますと、これは十年いたしますと三千人からの実職員数が減るということになりますが、NHKの職員の皆さんの労働がそのことによって過重になるのかならないのか。これからの新規の採用計画はどうなのか。ハイビジョンもやっていかなきゃいけませんし、その点、川口会長もいろいろ苦心があると思うんですが、今後の人事配置や人員の採用計画、純減、純増というものを考え合わせた点について、NHKの予測、それから御方針等をお伺いをしておきたい。
 ということをお尋ねするのは、NHKに働く仲間の皆さんが実数がどんどん減っていって、職場によっては、新しいメディアの職場なんかは随分労働が過重になっていって、それはまあNHKは経営側と組合側で協定は結んでいちっしゃるんでしょう、けれども、現実に最先端で仕事をしていちっしゃる皆さんがそのことによって不利益をこうむっちゃいけませんし、それから、もう会長もしく御存じだと思いますが、今はやっぱり連合ユニオンも千八百時間の時間短縮と豊かさ、ゆとりということを言っているわけですね。当然NHKの組合の皆さんもそれを求めていらっしゃる。ところが時短はできない、給料は上がらない、人はどんどん減っていく、体はえらい、これではつまりませんので、その辺についてのしっかりした見通しと御方針を最後にお伺いをいたしたいと思います。
#121
○参考人(安藤龍男君) お答えいたします。
 先生御指摘のように、教育テレビが開局をしたころを中心にいたしまして大量に職員を採用いたしました。その職員が定年期を迎えておりまして、これから数年にわたりまして例年を上回る退職数が出ることは事実でございます。一方、採用努力はしておるわけでございますけれども、そういう中で一定規模の要員減というのはこれはやむを得ないだろうと思います。そういう中で効率化も進めますし、同時に不急な業務はスクラップをしていくという中で、なおかつ、やはり良質な放送を確保するということで制作体制というのは確保してまいらなければいけないということで、優秀な人材確保に努めて迷いりたいということで、これからは年々大学卒でも四百名以上程度の採用は進めてまいります付れども、労働事情も大変厳しいものですからなかなか思うようにいくかどうか。
 そういう中で、経験のある人材を中途で採用するというようなキャリア採用という方法も今行っております。あるいはまた外部の非常にノウハウを持った方も協力をしてやっていただく、関連団体にも協力をしていただいて制作体制を維持していくというようなことも考えておりますけれども、なおかつ協会の中では、管理部門といいますか、非現業部門の職員を可能な限り制作部門の方にシフトをしていくとか、あるいはまた、非常に高い専門能力を持った職員が退職をしましたら、そういう人にも契約をするような形で制作に協力をしてもらうというような、さまざまな形でこれから制作体制あるいは労働条件を改善するということに努めてまいりたいというふうに思っております。
#122
○中村鋭一君 頑張ってください。
#123
○矢原秀男君 重複がございますので極力避けて質問したいと思いますが、よろしくお願いします。
 平成四年度NHK予算、川口新体制で編成をされたと思いますけれども、昨年と今年、こういうところが今度は変わった新しいものですと、こういうものがございましたら簡単で結構ですからお知らせいただきたいと思います。
#124
○参考人(川口幹夫君) 私が会長になりまして今度が初めての予算編成でございます。したがいまして、いろんな形で私の信ずるところを盛り込み、それからいろんな方々の御意見をお聞きしまして、これがNHKの今後について非常に重要なことだと思うものは予算として編成したつもりでございます。
 まず、視聴者の御期待にこたえるという意味で、先ほども私申し上げましたけれども、調和のある編成ということを心がけたい。したがって、情報報道番組についての重視。世界が非常に大きく変わってきつつあります。特にアジアの問題については、これはNHKが主としてやらなければいけない重大なことだと認識をしておりますので、こういうことを含めた的確な対応、体制をつくるということをまず第一に考えました。
 それから、放送番組というものは非常にたくさんの方に対して行うものでありますから、多くの方が納得をしていただく、あるいは満足をしていただくということが必要であります。したがって、特に夜間を中心にした時間帯に充足感のある、満足していただける番組を編成しようということで幾つかの番組を設けました。
 それから、教育テレビでございますが、教育テレビは今非常に重要な意味を持っているというふうに私は理解をしております。テレビがこれほどまで普及してきた中では、特に青少年の教育、あるいは広い意味の教養ということについて言えばテレビが非常に有効な手段になっているというふうに思いますので、そういう意味では教育テレビは今のままではとても満足ができない、もっと内容を充実させよう、内容の問題あるいは予算の問題、手間暇の問題等々について格段の力を入れさせることにしたわけでございます。
 それから、ことしのアルベールビル・オリンピックをごらんになってもおわかりかと思いますが、ああいう国家的に関心の高い大きな行事は、これはやっぱりNHKがその大きな責任として放送しなければいけないと思っていますので、バルセロナ・オリンピックについては格段の努力をしたいと思います。
 それと、夏に行われます参議院の選挙でございますけれども、こういうものについても万全を期したいというふうなことで、番組についてはいろんな面で新しい工夫をしながら、そういう大方の御期待にこたえるような編成をするということを第一の圧標にしております。
 そのようなことをしながら、一方では受信者から預かっている大事なお金を少しでも有効にむだのないように使うということも大事でございますから、そういう方向づけについても格段に努力をしたいというふうに思っております。
#125
○矢原秀男君 今会長のお話を伺いながら、やはり公正な言論報道にも努力をしていさたいという意欲、また創造的な教育や文化、世界に目を配ったそういう意気込みを非常に感じているわけでございますが、これは会長と大臣にお伺いしたいんでございますが、表現の自由を保障した憲法二十一条の趣旨に照らして、いろんなことを考えておりますと、今後はやはり非常に柔軟な、そうして緩和の方向ということがさらに日本的にも世界的にも非常に進んでいくんではないかなと私は考えているわけでございます。今まではどうしても社会的な影響力が大きいということで非常にきちっとした規制方向とかいう嚴粛さもございましたし、電波の有限、希少化というか、そういう中で非常にNHKとしても、報逼には自由であるけれども何か規制をして厳粛にという形に私はお見受けしたわけでございますけれども、世界の情勢も非常に変わってきた。ですから、視聴者もこれは本当に幅広く深みのあるものをいろいろと柔軟に要求をしている。そして憲法二十一条の表現の自由、これはまたさらに幅広く柔軟な、そういうふうなものを視聴者も期待をしている。そういうような点で、会長、郵政大臣、現在から今後に向かってどういうふうに対応をしていくべきかということも大きな課題だと思うんですけれども、その点はいかがでございますか。
#126
○国務大臣(渡辺秀央君) 非常に広範な問題の提起でございますけれども、確かに矢原先生おっしゃいますように、この世界の大変革の中で、少なくとも表現とかあるいは思想とかで拘束されたりあるいはまた対立したりという時代は確かに終わっているという一つの背景があると思います。そういう意味では人類が新しい哲学というか、そういうものを求めていかなきゃならないような時代なんだろうという感じはいたすわけでございますが、それだけにお互い思い切った、ある意味では奔放な、そういう表現、あるいは言動、まあ動というのはどうかと思いますけれども、しかし言論というのがあっていいだろうと。そういう中から凝結された一つのものができるのかなという、これは自分の個人的な見解であります。
 しかし、報道という意味におきましては、白か黒かで判別する時代でなくなっているだけに、この報道の持つ非常に大きな責任というのがある意味においてはあるんではないでしょうか。それがまさに公正にして不偏不党な、そしてまた正確な、そういう報道というのが先ほどから議論されていることではないのかと私も勉強しながら実は思った次第でございます。
 したがって、これからの報道は、先ほど会長が言われたように、まず正確性、そしてできるだけ早く、だれにもどこでも届けられる情報として提供できるような環境整備を我々政治の面でやっていくのがまずとりあえずの郵政省として今与えられている責任であるのかなという思いもいたしまして、勉強の材料の一つにさせていただきたいと思っているわけであります。
#127
○参考人(川口幹夫君) NHKとしてのお答えを申し上げます。
 公共放送というのは大きな面で二つの使命を持っているというふうに私は考えております。一つは公正な報道、的確な報道ということであり、もう一つは豊かな番組、あるいは文化の創造とでも言いましょうか、そういう面があるんだろうと思うんですね。そしてその二つのものを貫くものが、いわゆる表現の自由というものに支えられなければいけない。
 ただ、この自由というものは往々にして放らつということに、あるいは放縦という形にとられることもありますので、そこには必ずきちんとした自律が働かなければいけない。それはみずからを律することによって自由をはっきりと裏づけていくという態度が必要ではないかと、このように思っております。
#128
○矢原秀男君 これは常に今後ともいろいろ議題にはなると思いますけれども、今の会長、大臣のお話を伺いまして、一生懸命考えていらっしゃるそういうお姿を拝しまして、非常に安心をしているところでございます。
 次に、予算案の御説明の中の二十三ページでございますけれども、大型企画番組の積極的な編成という御説明をいただいておるわけです。ソビエト連邦の崩壊、二番目には統合に向かうヨーロッパ、三番目には新しい道を模索するアジアの国々、そしてまた四番目には、世界は歴史的な変革のさなかにある、こういう中で、国内放送の平成四年度の番組編集の基本的な計画は明確にキャッチをされていらっしゃる。本当にこれはすばらしいことだと思っております。
 この重点事項の二番目、私申し上げたいのは、地球規模の環境問題ですね。先般も少し取り上げましたけれども、これは大体どの程度の深みのあるものを今計画をされていらっしゃるのか、その点を伺ってみたいと思います。
#129
○参考人(中村和夫君) 地球環境サミットは六月一日から十二日までリオデジャネイロて行われますが、それに関連して特集番組を幾つか考えております。
 全体のテーマは、「救え!かけがえのない地球」というテーマで、六月六日、NHKスペシャルで「破局回避へのシナリオ」というのを二時間程度今企画しております。それから十三日に、これもまた特集で「地球サミットが突きつけたもの」というのを一時間。それから六月二日から四日までプライムー10で三本シリーズを今企画しております。現状はそういったところでございます。
#130
○矢原秀男君 私はこの点で二点だけお願いをしたいわけでございますが、一つは、今簡単な御報告を受けたわけでございますけれども、NHKが取り組んでいる地球環境に対する努力というのは、恐らく世界が評価していいと思うんですね。しかし、やはり国連というものに、NHKはこういうふうにやっていますよという、世界人類に対する警鐘、国連よしっかりしろと、こういうあれでやはりアタックをしていただかなくちゃいけない。
 と思うのは、地球環境保全については、国際機関の活動というのは、予算がありませんから国連も十分ではないけれども、国連の環境計画の中には、オゾン層の保護というものに対する問題、砂漠化の防止に対する問題、有害廃棄物の越境移動の問題、熱帯雨林の問題、国連の食糧農業機関の問題、地球温暖化の問題、そしてアジア関係の開発途上国への支援の問題。いろいろ国連にはあるけれども、僕ははっきり言って、NHKは台所は狭くても深みがある、行動もある。そういう意味からいくと、国連は地球環境のために威力を発揮していっぱいいっぱい努力はしているけれども、日本とかのてこ押しというのは非常に大変だなあといつも思っております。そういう意味で、今どういうふうなことを計画されていらっしゃるのかなと思って伺ったわけでございますが、ここで二点ほど問題があると思うんですね。
 これだけ地球環境に取り組むNHKに対して、受信料だけで貯えというのは、国と言えば郵政省になるのか、それとも大蔵省中心の国となるのか、やはり交付金の問題というものの枠が一つは出てくるんではないか。こういうふうなことに取り組んだ場合に、まともに受信料にはね返って、また赤字だから受信料上げなくちゃいけないという問題もあろうかと思うけれども、それでは世界のためにいい仕事ができない。これはNHKというよりも国が考えなくちゃいけない問題が一つあるなと、こう思うんですけれども、郵政大臣いかがでございましょうか。
#131
○国務大臣(渡辺秀央君) 確かに視聴者の料金でNHKの取材の面を、ある意味では、報道の面はみんなにこう分け与えるわけでありますが、取材の面ですべてがそれで賄えるかというと、おっしゃられる面はあろうと思うんです。例えば、国際放送などの場合には、おっしゃられる意味で果たしてNHKの視聴料だけでいいかといったら、やっぱりそこには国からの交付金というのは、あることは御案内のとおりです。
 今のような地球的な課題はどうかという問題におきまして、これは少なくとも地球的な課題というのは国家的な課題でもあるわけですから、そういう面では、これから私は研究をしていくに値する問題提示だと受けとめました。そういうことをこれからどの範囲までやれるか、あるいはまた先ほど来のお話の放送法との兼ね合いも考えながら、まさに公正中立を保ちながらやっていただく。そこら辺のことを勘案しながら研究をさせていただきたいと思っております。
#132
○矢原秀男君 これは確かに、今大臣に答弁していただきましたように、地球的な規模に日本のNHKがどう果たすかという問題ですね。これは民放も一生懸命努力されている面もありますけれども、当然NHKがやはりどうしても役割が大きくなりますので、これは今後の課題としてまた検討していただきたいと思います。
 それから、これに関係しまして、今も大臣からちょっとお話が出ましたが、国際放送の現状と課題でございますけれども、一つは国益の促進、そしてまた国家的な問題、三番目には海外同胞との接触の維持、国家間の理解の促進、五番目には正確、客観的なニュースの伝達、六番目には特定の信条または知識の普及、七番目には他国の国内問題に影響を与えようとすること、八番目には国語の教育をも含めた自国文化の育成、九番目には将来の需要に備え放送スペクトルの一部の確保である、こういうふうなことが先進諸国を中心にして各国で連携があるようでございますけれども、外国の場合にはラジオ日本という形になると思うんですが、受信不良が話題になっているといいますけれども、この点の解消はどうなっているのかが一つ。
 それから、財源の確保でございますけれども、国際放送交付金の問題でございます。交付金というものはやっぱり手当てをしなくちゃいけない。国際放送に力を入れれば入れるほどあると思うんですけれども、この二点ほどういうふうに対応をされつつあるのか伺いたいと思います。
#133
○参考人(中村和夫君) 私の方から国際放送の充実をどうやっていくかという部分をお伝えします。
 現在、二十二言語で一日四十八時間放送をやっておりますが、確かに聞きにくいというところ、特にロシアを中心としたヨーロッパが聞きにくいということがございまして、この七月に郵政省初め関係方面の協力を得てBBCからNHKの国際放送を中継するということを開始いたします。この場合にロシア語、ドイツ語の放送時間を三十分拡充いたしますが、このほか、八俣の三百キロワットの送信機を三台整備していただきますと、四年度の末には五十二時間三十分の放送が実現できるということでございます。
#134
○政府委員(小野沢知之君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のような認識に基づきまして、国際放送の充実強化ということを郵政省の最重要施策の一つとして掲げておりまして、これはこれからもずっと続けたいと思っておりますが、今NHKの方から説明がありました以外に、平成四年度の予算として獲得できているものといたしまして、北米向けの新たな海外中継局の使用可能性に関する調査費がついておりますので、予算がお認めいただければこれに着手できるということでございます。
 それから、御心配いただきました政府交付金の関係でございますが、御承知のように電気通信関係の一般会計予算は非常に窮屈なんですが、その中でも国際放送につきましては各界の御理解を得て努力しているわけです。ちなみに数字を申し上げますと、私どもが主管しております命令放送の充実強化を図るために必要な政府交付金の確保でございますが、郵政省の一般会計予算全体がこの十年間で約一七%の増額にすぎませんけれども、この国際放送の関係につきましては五二%増額しておりまして、苦しい中で懸命に努力しているということを御理解いただければありがたいと思います。
#135
○矢原秀男君 この件についても、今御答弁いただきましたように、御努力をお願いしたいと思います。諸外国の状況を見ておりますと、御承知のように、イギリス、フランス、アメリカ、西ドイツ等世界の各国が拡充の方向であり、国際放送に対する経費は年々増大をして予算をとっているようでございますが、一つは安全保障の手段として国際放送の役割が再認識されてきたこと、二番目には直接的でかつ安価な短波にかわる手段が開発されないこと、いろいろあるようでございますけれども、総理以下閣僚の方々も、今申し上げたように非常に各国も力を入れておりますので、これはやはり後押しをきちんとしていただかなくちゃいけないと思いますけれども、この点について大臣の所見を伺いたいと思います。
#136
○国務大臣(渡辺秀央君) 今局長が申したとおりでありまして、平成四年度の予算を成立させていただきましたら、まずヨーロッパの方で具体的にこの国際放送の充実を図るという予算措置等その手段を進めているわけでございまして、これはもう今日本として本当は一番やらなければならない面であります。まあNHKを横にして大変政治家として、あるいは政府としていささかの感がするわけでありますが、少しNHKに任せ過ぎたというか、おんぶ、だっこという感じが私はいたしました、このNHKの予算審議に当たりまして。
 これを一つの反省として、平成五年度の予算の概算要求から始まりますから、その辺からかなり思い切って要求青いたしまして、早急な国際放送の基盤整備とでも言いましょうか、あるいはまた放送網のネットワークとでも言いましょうか、これは私のときに概算要求までいくのかどうかわかりませんけれども、しかしお許しをいただいた範囲内においては最善の努力を平成五年に向けて、この件にだけは私は非常な責任を感じたことを申し上げさせていただきたいと思っております。
#137
○矢原秀男君 ぜひよろしくお願いいたします。
 最後の一点でございますが、今、守住先生も質問されまして、重複しますけれども、お許しをいただきたいと思いますが、テレビジョンの残存難視聴の問題でございます。これはいろいろあるんでございますが、まずNHKの方に伺いたいのは、難視聴の状況ですね、今どういうふうになっているか、これを伺いたいと思います。
#138
○参考人(中村好郎君) テレビの難視につきましては、正確にはちょっとあれですが、数年前に郵政省がお調べになった調査によりますと、NHKのテレビの難視は約十万世帯あるということになっております。
#139
○矢原秀男君 この解消義務は、NHKは放送法第七条、第九条第五項に規定されております。民放は四十万世帯ですね、そのぐらいあろうかと思いますけれども、民放の方は努力義務規定になっているのでそれは別に置きますけれども、NHKとしての解消義務、この点についてはどういう対策を持っていらっしゃいますか。
#140
○参考人(中村好郎君) 約十万の中身が実は問題でございまして、率直に言いますと、ほんのわずかずつ点在しているというようなところが非常に多いわけでございますので、ここを地上系でサービスするということは大変コスト面で制約がございますので、私どもといたしましては、何とか衛星を受信していただいて難視解消に役立てたいというように思っているところでございます。
#141
○矢原秀男君 先般、通信放送衛星機構の一部の改正法ができたわけですが、これは難視聴解消を目的として改正されたものであると解釈をしているんですけれども、この法改正ができて、どういうふうに順次手を打たれていっている効果というのか、そういう現況分析をちょっと御報告をお願いしたいと思います。
#142
○政府委員(小野沢知之君) 郵政省の放送行政の過去をたどってみますと、その主要テーマが難視聴の解消だったと思いますが、先ほど御説明ありましたように、NHKの見えないところが十万を切るぐらいになってきたということは世界に誇るべきことだというふうに実は考えておるわけです。
 ところで、今説明がありましたように、これから先の十万世帯ぐらいというのは、非常に山間僻地に点在しておりまして難しいので、その抜本的な解消を図るということで今御指摘にありましたような基金が設けられたわけですが、昨年秋、子細に検討したんですが、十分に生きていると言えないような状況にございましたので、放送行政としての最重要項目ということで三、四回徹底的にやりました。その結果、先ほども三重野先生に御説明いたしましたけれども、前年度に比べて八・五倍の解消ができたということで、関係職員も力を入れておりますので、地方公共団体とも力を合わせ、またNHKとも連絡をとりながらさらに実を上げたいというふうに考えております。
#143
○参考人(諏訪恭也君) NHKとして難視聴解消は義務でございますので、先ほど郵政省からもお話がありましたように、衛星放送受信対策基金りNHKの取り組み方について御説明申し上げます。
 NHKでは、助成の円滑な実施を図るために、助成制度の周知、地方自治体への働きかけなどに取り組みまして地上難視地域における衛星放送の受信普及に努めているところでございます。今後も通信・放送衛星機構、郵政省と連携し、さらに地方自治体の理解を得て、制度の活用が図られるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
#144
○矢原秀男君 これに関連する最後の一点でございますけれども、受信障害対策がやはり大きな問題になっているわけです。これはもちろん飛行機もあるけれども、新幹線もまたスピードアップする沿線の問題、一番のネックはやはり高層建築物、これに対する受信障害の解消をどうするかという問題ですね。この技術的な解消方策と効果、私も、いろんな現場で相談を受けていろいろ交渉したり見ておりましても、完璧にはちょっと大変だなと思っているんですけれども、技術的なそういう解消効果というのはどういうふうな今現状でございましょうか。今後とも高層化にどんどんなってくるけれども、どのくらい受信者の方が御不満を持っていらっしゃるのか。もうよろしいというわけにはいかぬと思いますね、技術的には。その点をお願いします。
#145
○政府委員(小野沢知之君) お答え申し上げます。
 辺地難視聴とともに、最近多く起こっております都市難視聴にも全力投球して郵政省もNHKも民放も努力してきたわけでございますが、数十万大体残っておると思いますが、ここまで努力してきてなおかつ残っているということは、技術的に非常に御指摘のように難しい点があると思いますが、なお一層努力してまいりたいというように考えております。
#146
○矢原秀男君 ちょっと技術的な面をNHKから。
#147
○参考人(諏訪恭也君) 確かに辺地共聴と並んで都市難視は大変今大きな問題でございます。殊に、どんどん高層建築が建っている中で、私どもとしては、これは原則的には原因者の責任主義ということでございますので、原因者との調整とかそういうふうなことで力を発揮しておるところでございまして、例えば東京都庁の対策につきましても、都庁の反射障害をなくするための技術的な打ち合わせだとか、それからそれを解消するための協議の仲介だとか、そういうふうなことをやっておりまして、ただ、まだまだ先生おっしゃるようにこれからふえるし、その対策が追いつかないという面もございます。そういう実情にございます。
#148
○吉岡吉典君 これまでいろいろ論議されてきましたNHKが公共放送だという点に関して、私も一、二最初にお伺いしておきたいと思います。
 NHKの川口会長にお伺いしますけれども、いろいろ論議がありましたように、民間放送ももちろん公共性を持つ、これは当然のことでございますが、その中で、NHKが公共放送だと言われる、その公共放送だということの中心的な意味はどういうところにあるとお考えになっているか。
#149
○参考人(川口幹夫君) 公共放送というのは、あらゆる政治権力から独立をして広く国民に公正、的確な報道と、豊かでかつよい放送番組を提供する、これを最大の使命とする放送事業体、これが公共放送だというふうに思っております。そういう公共放送を支える経営財源としては、視聴者が直接拠出をしていただく受信料というものが最も適切なものである、こう確信しております。
#150
○吉岡吉典君 今会長が述べられた立場をあらゆる面で貫くことが公共放送としてのNHKにとって一番重要なことだと私も思います。
 そこで、最初のところで幾つか具体的な問題でお伺いしておきたいんですけれども、今この委員会でNHK予算を承認するかどうかという論議を行っているわけです。これは大臣にむしろ時間を簡潔にする意味でお伺いしますけれども、NHKの予算が執行に至る過程、手続ですね。NHKから郵政大臣に提出される。その後執行までにどういう手続、作業が行われることになるのかお伺いします。
#151
○国務大臣(渡辺秀央君) 御案内のとおり、三十七条に基づきましてNHKから大臣あてに提出されまして、郵政省は予算の内容を検討しまして、郵政大臣の意見を付して、閣議を経て内閣から国会に出される、こういう経緯になるわけであります。国会で承認が得られるまでの間、郵政省は、国会での円滑な審議に資するよう与党、野党、あるいは逓信調査室、個別の国会議員の先生方などに資料配付などして事前に御説明を申し上げるという経緯ではないかと思います。
#152
○吉岡吉典君 その間に、これも大臣にお伺いしますが、与党として、今で言えば自民党になるわけですけれども、その間に与党のいろんな部会とか政審、政調でのいろいろな検討もあるというふうに聞いていますけれども、それはどの段階でどういう形でやられるのかお伺いしたいんです。
#153
○国務大臣(渡辺秀央君) ちょっとあるいは間違っておるかもわかりませんですよ、突然のことなので。与党の中では、部会で郵政省とNHKから多分勉強すると思いますね。例えばNHKの予算について申し上げますと、NHKの予算は政調審議会で話し合われて、そして総務会という、党では大会にかわる普通の時期においての最高議決機関がございまして、総務会で与党としての立場から国会に出される提出案件をまとめる、こういう手順になるのではないかと思います。ちょっとあるいは間違っていましたら……
#154
○吉岡吉典君 もし間違っていたら後から教えていただければ結構です。
 そういう経過を経て国会で審議して承認するということになるわけですが、その国会承認という制度をどういうふうに考えるかということは、私大変大事な問題だと思います。
 これはNHKの方にお伺いしますが、国会で承認を求めるということは、どういう考え方に基づくものだというふうにお考えになっているのかお答え願います。
#155
○参考人(堀井良殷君) 受信料をもとに経営されております公共放送としてのNHKという立場におきまして、この国会の承認をいただくという制度は、公共放送の経営の自主、自立を確保するという観点からの配慮も払われた上での制度であると、このように理解しております。
#156
○吉岡吉典君 自主、自立への配慮ということですけれども、もうちょっと内容的に言いますと、NHKの出版物で、国民の代表である国会での承認というところを中心に置いて書かれておりまして、私はこれは非常に結構な、そう考えなくちゃならないと思いました。
 NHKが国民に基盤を置く、受信料に財源を依拠している、あくまでそれを貫くという立場から国会承認制度というものを見るなら、今いろいろ政府の閣議を経て国会、その間に与党の審議もあるというような経過ですと、何か国会の承認制度というのが国家権力による介入だというふうな見地でNHKがこの制度を考える場合に、政府あるいは上の国家権力の方に目を向けるのではなくて、この制度もまた、由民を代表する国会の承認を受けるのであって、NHKが目を向けなければならない相手はあくまで国民、視聴者だということを貫いていただかなくちゃならないことだというふうに私は思っているわけですけれども、会長この点どうでしょうか。
#157
○参考人(川口幹夫君) NHK予算は国会の審議を経なければいけない、承認を得なければいけないという立場はまさに先生のおっしゃるとおりだと思います。国民の代表である国会の方々の審議を経て、御承認をいただいて初めて予算が承認されたということになる、それは当然だと思います。
#158
○吉岡吉典君 そういう制度が今とられているわけです。今までの論議でも経営委員会の構成、あるいは運営等をめぐっていろいろな議論もありました。私はそういう点についていろいろ研究しなくちゃならない、検討しなくちゃならない問題もあると思います。そのことを私はきょう問題にしようとは思いません。ただ、私ここで強調しておかなくちゃいかぬと思いますし、見解もお伺いしておきたい問題は、郵政大臣の意見がつく、政府・与党の審議も経る、閣議も経る、それでまた国会でもこういう承認ということになると、やはりよほど意識的な努力をしないと、目の向けどころが国民ではなくて時の政府あるいは政権党というところへ向きがちだと思いますし、それからまた郵政省あるいは政府としては、そういう制度がNHKへいかなる意味でも介入あるいは影響を与えるということがない意識的な努力が必要だと思います。そういう点で、大臣どのようにお考えになっていますか。
#159
○国務大臣(渡辺秀央君) 私は、吉岡委員の御懸念と言いましょうか、御発言ではありますが、NHKは本当に自主、自立、そして公共性というものにかかわる責任と使命、これはNHKの職員のお一人お一人が大変なプライドと、そしてまた責任、使命をお持ちになっておられまして、言うならば、私も短い十五年ぐらいの国会議員の経験ですけれども、自民党に言われたから、あるいはまた政府に特別の干渉をされたというようなことも聞いたこともありませんし、それからまた、今のNHKのいろんな報道あるいは番組ぶりを見聞きいたしておりましても、公共性の最も高い、不偏不党、しかもまだ、何と言いますか、国民全体の立場に立った報道ぶりをやっておられるのではないかと思うんです。だから、与党がこうする、あるいはまた政府がこうするというようなことは今までもないと思いますし、これからもあってはならないというふうに思います。
#160
○吉岡吉典君 今大臣そういう話でして、私あっなかなかったかをここで論議をしようと思って提起したわけでもありません。しかし、そういうふうにおっしゃいましたから念のために申し上げますと、最近出た日本の代表的な雑誌の一つで、郵政省は放送局の免許権を持つ監督官庁として君臨し、政府・自民党が経営委員の任命を通じてNHKに強い影響力を発揮した、こういうふうな指摘もあります。だから、そうならない努力が必要だということを私は提起したかったわけでありますし、特に日本の政治というのは政権交代が実質上ない。そういう状態が長く続きますとどうしても知らず知らずの間に、仮に意図的にやらなくてもそういう影響というのが出がちだと思います。そういう点で私は、先ほども会長おっしゃいましたけれども、公共放送として国家権力等あらゆる勢力から自立して、それで放送の自由を確保するために努力することが公共放送の一番重要な点だとおっしゃった。その点を今後とも貫いていくという決意をお伺いして、この問題は次に移りたいと思いますけれども、会長一言、こっちだけ言っても悪いでしょうかも。
#161
○参考人(川口幹夫君) 公共放送が信頼を得るためには、自主、自由、自立、そういうものを貫き通すことが絶対必要だと思っております。私どもが受信者に対して信頼を得る道、公共放送としてのはっきりした信頼感を得る道もそこにあるというふうに考えております。
#162
○吉岡吉典君 その点で私は努力をお願いしておきたいのですが、その立場というのは放送内容に最も力を注がれていなければならない問題だと思います。そういう点で、NHKの放送番組、数多くある番組の中には、私ここで一々具体的に申し上げませんけれども、NHKの放送番組基準で言っている不偏不党の立場というような点、あるいは政治上の諸問題は公正に取り扱うというふうな点、また意見が対立している公共の問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱うというふうな点から照らして疑問を生ずる、はっきり言えば相当ちょっとそれを踏み外しているんではないかな、逸脱しているんではないかなと思える番組も個々には感ずるものがございますのですけれども、ここでそれ一々論議しようと思いませんけれども、そういうことがないように今後とも一層努力していくという点だけは約束していただきたいと思いますので、その点も一つ確認しておきたいと思います。
#163
○参考人(川口幹夫君) 私どもは、NHKの責任において番組を編集し放送しておるわけでございますけれども、当然御批判はいろんな形でいただいております。その御批判を受けとめて、いかにして公正であり申立てあり公共放送らしさを貫いているかというところが実は大事でありまして、ですから今後ともいろんな形で御批判をお寄せいただきたいと思います。
#164
○吉岡吉典君 ここで具体的な問題で一つ提起しておきたいんですけれども、国会の中継放送の問題がしばしばこの委員会でも論議されてきたところでございます。アメリカでは国会中継放送を一日じゅうやっている番組もあるというようなことも聞きますし、選挙で選ばれた議員が国会でどういう活動をしているかということをできるだけ広く国民に届けるということは、これは非常に重要なことだと思います。どういう方法が最も望ましいかということ、これはお互いに研究をする必要がある問題だと思いますけれども、NHKとしても、そういう点で、どういう方法が最もふさわしい国会と国民をつなぐ放送のあり方か、NHKだけでできない問題もあるとも思いますけれども、そういう点について今後いろいろ研究あるいは検討いただけるかどうか、この点もひとつお伺いしておきます。
#165
○参考人(中村和夫君) NHKでは、NHKの判断で国会中継というものを現在やっております。もちろん国会の御承認を得て中継をやっているわけでございますが、平成三年度では百九十五時間五十九分という時間数をやっておりまして、六十三年度と比べますと七十時間近く国会中継の時間がふえているということでございますし、国民の知る権利と国民の関心のある問題については独自の判断で国会の中継を実施しているということでございます。
 アメリカの場合にはC−3PANという国会専門の中継がございますけれども、アメリカの委員会審議のやり方、国会運営のやり方、そういうものとC−SPANのやり方というのも相当リンクしている部分もございます。そういう点も含めて今検討が進められるということも伺っておりますが、どういう形でやったら一番いいのか、現在NHKでは、我々自身の判断で国会中継をやっていくという方針でございますが、そういう国会審議の状況を国民の関心にこたえて伝えるということに興味がないわけではございません。
#166
○吉岡吉典君 その点は今後実際的な検討を要請しておきまして、次の問題に入ります。
 受信料の問題ですが、説明の中でも「受信契約の増加と受信料の確実な収納に努める。」云々と、こう書かれているわけです。この受信料の問題で、日本共産党がこれまで国会で繰り返し取り上げてきました在日米軍の受信料というのは、今どうなっているのかということを最初にお伺いします。
#167
○参考人(諏訪恭也君) 協会としましては、受信料は放送法に基づきテレビ受信機設置者の皆様にひとしく御負担いただくものであり、米軍関係者も同様と考えております。しかし、米軍は昭和五十三年以来、受信料は租税に準ずるものであり、米軍関係者は日米地位協定によってその支払いを免れるとの見解を変えておりません。
 これまで、米軍側との直接折衝や、昭和五十四年六月から五十六年十二月にかけて、郵便及び電話による計七回にわたる個々の米軍人等に対する受信機設置視聴状況調査と受信契約締結の勧奨を重ねましたけれども、全対策を通じて契約に応じたものはわずか十二件でございまして、成果はほとんど上がっておりません。この人たちは帰国等のために現在の契約はなくなっております。その根底には日米地位協定の解釈の問題がございますが、現在、解決の見通しは困難な状況になっております。
 それから、米軍基地内の世帯数については、把握はしてはおりませんけれども、昭和五十三年三月二日の衆議院逓信委員会での防衛施設庁答弁では基地内の住宅数は約一万一千戸とされておりますので、これをもとに米軍との対応を開始した昭和五十三年度以降平成三年度までの受信料総額を積算すると、約十二億円と見込まれております。
#168
○吉岡吉典君 受信料をこれから確実にふやしていこうというときに、合計すれば推計十二億円余に上る受信料が米軍の場合払われていないというのは、やはり私は大変な問題だと思います。
 外務省、地位協定についての解釈が違うということだそうですけれども、どういうふうに違うのか、日本はどういうふうに主張しているんですか。
#169
○説明員(原田親仁君) お答えを申し上げます。
 先ほどNHKの方から御説明がありましたが、米軍人等のNHKの受信料問題につきましては、従来からアメリカ側は、NHK受信料は租税または類似の公課に当たるので地位協定上支払う義務はないという主張をとっておりますのに対しまして、日本側は、これは租税または類似の公課に当たらない旨主張し、解釈が対立したまま現在に至っております。
#170
○吉岡吉典君 以前の国会の論議で、米軍は、司令官が支払う必要はないという指示を米軍内部に出しているという答弁があるんですが、この指示は今も生きているんでしょうか。
#171
○説明員(原田親仁君) お答え申し上げます。
 ただいま先生が御指摘になった基地司令官の指示というのは、突然の御質問で、私実は今手元に持っておりませんが、少なくとも先ほど申し上げました米側の解釈が、現在までのところ変わっているということは承知しておりません。
#172
○吉岡吉典君 NHKの受信料が税金だというのは、どこからどう見たってそういう答えは出てこないと思いますし、外務省がそれが租税か租税でないかということをアメリカにわからせることはそんなに難しい問題だとは私は思わないんですけれども、どの程度アメリカ側とどういうレベルで協議してきたんですか。
#173
○説明員(原田親仁君) お答え申し上げます。
 本件につきましてぱ、先ほどもNHKの方から説明がございましたが、昭和五十三年来NHKと米軍当局との間の調整、さらには外務省と在京のアメリカ大使館との間で種々のレベルで話し合いを行ってきております。
 アメリカ側に対する説明としましては、我々はNHKの受信料はNHKの維持運営のための分担金的なものであるということをるる説明しておりますが、アメリカ側は、その主張の背景としましてうかがわれるのは、まずアメリカが公共放送のようなものがないということと、受信機を持つと自動的にこのような受信料を払わなきゃいけないということからこれを租税公課というふうに解している趣でございます。いずれにしましても、我々としてはこれは租税または類似の公課には当たらないということを従来から説明してきておりますが、先ほど申し上げましたように、この解釈の相違というのはいまだ残っておるという状第でございます。
#174
○吉岡吉典君 交渉をやっても全然だめだということですが、もうちょっと具体的にお伺いします。
 NHK側がこの受信料を請求することは自由だが、基地には立ち入らせないということをアメリカは言ってきているという答弁も国会で行われておりますが、それは今もそうなっていますか。これはNHK側からも、基地立ち入りを認めさせてもらえているかどうかということもお伺いしたいと思います。
#175
○説明員(原田親仁君) 先ほどの説明にもございましたけれども、NHKと米軍当局との間の調整、さらには外務省と在京アメリカ大使館との間の調整等の結果、アメリカ側は、この問題の解釈に関する米側の立場は変わらないとしつつも、NHKが米軍人等個人への契約勧奨を行うことについては依存ないという立場をとるようになりましたので、先ほどの説明にもありましたように、受信契約の促進を図るため、NHKは米軍人の世帯にあてて郵送または電話による勧奨を行ったものと承知しております。
 その後、NHKからさらなる契約勧奨のためNHK職員の施設、区域への立ち入りを求めましたのに対しまして、アメリカ側はNHKの職員の方の立ち入り申請に対し許可を与えていないと承知しております。それに対しまして、これまで外務省より米側に対し協力を要請しているところでありまして、外務省としては、今後とも郵政省等とも連携しつつ必要に応じ同職員の施設、区域立ち入りの実現に協力してまいりたいと考えております。
#176
○参考人(諏訪恭也君) 私ども協会としては、実際に基地内に立ち入って実態をより正確に把握しながら契約勧奨を行う必要があるとの考え方から、これまで米軍に対し八回にわたって文書で基地内立ち入りの申し入れを行ってまいりました。今年度についても三月六日に文書で申し入れを行いましたけれども、米軍からは基地内での契約勧奨行為は認める意思はないとの拒否回答があり、米軍側は現在まで依然として立ち入りを認めておりません。
#177
○吉岡吉典君 こうなりますと、外務省、これは日本政府が地位協定を結ぶときにきちっとしていなかったからこんなことが起こっていると思いま丁よ。そのしわ寄せがNHKに来るままになって、外務省は何回か米軍と交渉はやったと言うわけですが、それだけで済まされない問題だと思います。郵政大臣、外交には直接関係ないんですけれども、閣僚の一人として聞いていただきたいと思いますけれども、これは大蔵省に聞いても、NHKの受信料が税金の一種だなどという解釈はどこからも出る余地はないと言っていますよ。それをアメリカ側がそういう公租公課のたぐいだなどと言って払わないようなことが続いている。それは僕は外交交渉の不始末から出たと思うんですが、その反面、アメリカに対しては、安保条約の地位協定に基づいて米側が負担することが協定で取り決められている問題でも、思いやり予算で日本はどんどん、今度の予算では二千億近くですね。内容を見れば、これは国会でも論議になったことでありますけれども、ふろが三つついた住宅から、教会から、ゴルフ場から、そういうふうなものまで思いやり予算で、これは日本が義務のない、アメリカが負担することが協定で決まっているものを片方では提供している。片方ではだれが見ても米軍も払わなくちゃいかぬ受信料がこのままになっている。
 これは、僕はやっぱり政府に責任のある町題で、NHKが交渉する、基地には入れてもらえないなんというような状態が続いていることは、これは政府が責任を果たしていないと思いますね。大臣の説明の中でも受信料をぶやすということもありましたので、大臣の責任においてもこれは解決すべく努力する必要があると思いますが、いかがですか。
#178
○国務大臣(渡辺秀央君) 日米間で地位協定の解釈についての立場の違いがある上に、NHKは在日米軍基地の中に入ることができないと、こういうことであるわけですが、受信料徴収では、これは中に入れないのですから、極めて困難な状況だということはよくわかりました。外務省においては、日米地位協定の解釈に関する話し合いは難航している、在日米軍基地へのNHKの立ち入りについて米側と話し合ってきているけれども、今後とも話し合いの継続をしていく考えだということを今言っていると、こう思います。私は、本件につきましては、政府全体として解決に向けて努力していく必要があると考えておりますし、今後ともこれは外務省と連携を図りながら、正直に申し上げまして、これでいいということでないから外務省も努力しているわけですし、おるいはまたこれが当然だと思わないので米軍と話し合いをしているわけですから、解決に向けて努力をいたしてまいりたいと、こう思います。
#179
○吉岡吉典君 時間がだんだん迫ってきましたので、衛星放送の問題で一つお伺いしたいと思います。
 NHKが新しい戦略として非常に重視しておられる問題ですが、もちろん衛星放送、放送衛星そのものについては私どもも新しいメディアとしてこれを評価しております。その上で、これは大変な金がかかる問題であって、失敗なく成功させなければ受信者に対して責任が負えないという問題が出てくると思います。しかし、これは失敗、故障も出ているという問題でいろいろ論議も呼んでいるわけですね。今まで何回打ち上げて、何回失敗して、故障はどうなっているのか、現状はどうかということを時間がございませんから簡潔にお知らせください。
#180
○参考人(中野正彦君) NHKはこれまで放送衛星につきまして、BS2、BS3、そのほかに補完衛星といたしましてBS2X、3H、二号、三号につきましてはそれぞれa、bという二個ずつの打ち上げがございますので、都合六個の衛星を打ち上げてまいりました。さらに、今後の衛星放送の安定的、継続的運用のため補完衛星の打ち上げに着手するということにしてございまして、平成四年度予算に着手金五十億円を計上いたしております。
 これまでの衛星の製作・打ち上げの実績及び経費について具体的に申し上げますと、BS2aは昭和五十九年、2bは六十一年、いずれもこれは打ち上げに成功いたしております。経費につきましては、これは国の負担も含めまして総額五百八十四億、そのうちNHKの負担は三百五十一億円でございました。それからBS3aでございますが、これは平成二年、3bは平成三年、いずれも打ち上げに成功いたしております。経費につきましては、国の負担等も合わせまして総額七百十七億、そのうちNHKの負担分は二百七十八億円でございます。
 次に、補完衛星のBS2Xでございますが、これ旭平成二年、3Hは平成三年四月に打ち上げておりますが、残念ながら二個とも失敗をいたしております。ただし、この補完衛星の打ち上げ経費につきましては、2Xが百十八億、3Hが八十七億、経費をメーカーに払っておりますけれども、これは失敗によりまして保険金で全額を回収し、相殺をいたしております。したがいまして、NHKの負担総額としましてはBS2、BS3合わせまして六百二十九億円、こういうことでございます。
 なお、打ち上げ後のふぐあいでございますが、BS2aが中継器にふぐあいが生じております。それから2bは姿勢制御装置の一部ふぐあい、さらに3aでございますが、発生電力の一部低下が生じている、こういう状況でございます。
#181
○吉岡吉典君 六回上げて二つ失敗しているわけです。また故障も挙げられました。そうすると三分の一は失敗している。一回にかかる額というのは今お話がありましたように三けたの億という単位のものですね。失敗は保険が入ったからそれでいいというわけにはいかないものだと私は思うんです。中にはまだ技術的に未成熟で国際的にも失敗が続いているんだということおんです。こういう中で今後とも放送衛星をいろいろ打ち上げていく計画もあるわけですけれども、これは本当に私は今までの失敗の比重からいって大丈夫かなという疑問を持つんですけれども、これは大丈夫ですか。
#182
○参考人(中村好郎君) 今までいろんな失敗を重ねてきて大変申しわけなく思っているわけでありますが、一〇〇%大丈夫かと言われますと、一〇〇%大丈夫だとは言いにくいわけであります。しかし、打ち上げ前にできる限りの信頼度を上げる方策を講じていきたいというように考えております。
#183
○吉岡吉典君 受信料によるものだという点で、あくまで慎重にやっていただきたいということが私の趣旨です。
 今度は大臣にお伺いします。予算についての意見書の中で、「補完衛星の打上げが受信者の負担増とならないようにすることが必要である。」と書いてあるんですが、受信料の負担なしに補完衛星の打ち上げをやるというのはどういうことなのかよくわからないんですが。
#184
○国務大臣(渡辺秀央君) それは新たな受信料の負担、要するに受信料値上げにならないようにという意味でございます。
#185
○吉岡吉典君 そうですか、わかりました。
 最後に、国際放送について一点だけお伺いしたいんです。国際放送の問題では、これは郵政省の方ですが、放送法によると、郵政大臣は放送事項を指定して国際放送を命令することができる、こうなっているんです。命令放送と言われておる。NHKさん自身の自主的にやられている国際放送と大臣の命令放送があって、その放送事項まで指定するとなっているので、指定事項の中身というものはどういうものかということをお伺いしておかなくちゃならないと思います。
 それから、先ほどから論議があった問題ですが、政府が命令してやらせたもの、大臣が命令してやらせたものについての政府の負担というのは、むしろこれは交付金ではなくて当然政府が分担すべきもので、何かあたかも上からNHKに交付してやっているみたいな用語というのは、僕は実態に合わないなと思いますけれども、それも含めまして、放送の内容まで指定するのかどうなのかということをお伺いします。
#186
○政府委員(小野沢知之君) 放送事項の指定についてでございますが、現在どういう規定の仕方で指定しているかと申しますと、時事、国の重要な政策及び国際問題に関する政府の見解に関する報道及び解説、これだけでございまして、特定の放送内容を命ずるというような、そういう内容にはなってございません。
#187
○吉岡吉典君 そうすると、放送内容はNHKが自主的にやる、こうなっているわけですね。NHK側からもちょっとその点だけ確認しておきたいと思います。
#188
○参考人(川口幹夫君) そのとおりでございます。特段に放送そのものを、これは命令放送、これはNHKの自主放送というふうには区別しておりません。
#189
○吉岡吉典君 そうですか。それじゃ終わります。
#190
○足立良平君 今ちょっとお話がございましたが、国際放送の問題、きょうもずっと朝から議論を聞いておりまして、私の方の考え方も一点だけ申し上げておきたいと思います。
 私もこの逓信委員会で、二度目、三度目くらいでしょうか、国際放送の問題について郵政省の予算が少な過ぎるのではないかということを常に申し上げてきた立場であります。先ほど大臣の答弁を聞いておりまして、いろんな問題が先ほどから出ていましたけれども、きょうはなかなかいい答弁だなというふうに正直言って思いました。これは単に経済摩擦とかそういう問題だけにとどまらずに、日本のこれからの国際的な位置というものを考えてみましたときに、やはり何といいましても日本から世界に向かって情報を発信していかなきゃならない。日本の本当の姿というものを世界の人々に認識をしていただくということが今日の我が国の置かれている状況からするならば極めて重要なことなんではないか、このように実は認識をいたしております。
 そういう面では、先ほど大臣の答弁の中で、今までNHKに任せ過ぎたと思っている、したがって、これから次のときには十分それは努力をしていかなきゃならない、こういうふうに明確に大臣が答弁をされましたことは、私は大変に重く受けとめておりまして、大変期待をいたしております。単にこれは郵政省とかNHKとかという問題でなしに、我が国の置かれている状況からしても極めて重要なことだ、このように認識をいたしておりますから、これは私、別に答弁していただこうとは思いませんが、あえてそのことを申し上げておきたい、このように思います。
 質問事項に入るわけでございますが、公共放送の問題をめぐりまして朝から各委員の皆さん方から提起をされているわけでありまして、ダブらぬように視点を少し変えてみたいと思います。お話している内容と少し視点がずれるのかもしれません。その点はあらかじめ御容赦を願いたいと思います。
 放送法の第四十四条の中に、日本の過去のすぐれた文化の確保、あるいはまた新文化の育成を公共放送であるNHKというものは進めていかなきゃならないということがはっきりと明文化されている。これは大変私は重要なことだろうと思うんです。ただそこで、これは私も余り大きな口をきける立場じゃないんです。後ほど本当にしゃべることの一番専門家がおいでになりますから、私の表現の仕方というのは大変語彙も貧しいものでございますが、ただ、私は日本文化というものを考えてみましたときに、言葉といいますか、あるいはまた文字というもの、そういうものの中で、それに含まれている含蓄のある、あるいはまた言うに言われない、言葉だけでイエスというだけではなしに、いろんな人と人との関係のニュアンスというものは、この日本文化を支えている言葉というものがあるんではないか。
 ところが、今どんどんメディアがふえてくる。多チャンネル化してくる。そうして見ますと、かつての日本文化の一番中心になった文字であるとか言葉というものがだんだん衰退をしてきて、そして映像文化というものが今日の我が国の世相の中心になりかけているのではないか、私はこんな感じを実は受けています。きょうはたまたまNHKの予算をやっているわけですから、NHKというのは映像を送る一番の中心ですから、映像を送るのをやめろというようなことは言えっこないんですが、多チャンネル化あるいはメディアがどんどんふえてくるということは、一方において我が国における古来の本当にいい文化というものが、NHKを媒体としてこれを伸ばしていくというよりも、むしろ衰退をしていく傾向が出てくるのではないかな、一種の危機感と言ったら言葉が悪いのかもしれませんが、そういう感じを実は私持っているわけです。そういう点がまず一つございます。
 それから二つ目に、映像文化の時代といいますか、そういう時代に入ってまいりますと、いわゆる議論の中身というものではなしに、映像から受けるイメージというもので感覚的に物が判断をされる、受けとめられていく、こういう危険性と言ったらちょっと言葉が悪いかもしれませんが、そういう傾向があるんではないか、それはともすれば、民主主義というものに対して、本当に深く考えた議論というよりも、やっぱりイメージなり感覚でぱあっとあっちこっち動いていくという極めて即物的な傾向が出てくる危険性というものがこの映像文化の中にあるのではなかろうかな、こういう感じを私は実は持っているわけです。事実、総務庁が平成三年度の青少年白書でその種の調査をやっております。この内容を見ますと、マスメディアとの接触、小学生でありますと一日に二時間二十三分くらい、新聞とか雑誌とかあるいは漫画とか、いろんなこういうマスメディアがあります。これに接触している平日の平均時間が二時間二十三分ある。そのうちテレビは二時間一分持っているわけですね。これは単にNHKだけじゃありません。民放も含めましてです。
 それから、大学生で見ますと、日曜日でありますと四時間三十八分マスメディアと接触いたしておりまして、そして二時間四十五分テレビと接触しているわけですね。もう半分以上です。とりわけテレビをじっと見ているんです。何もせずじゃない、からからゃっているからちょっとは指が動いているんでしょうけれども、見ているわけですね。
 しかも、大変ここで注目をしなければなりませんのは、同じ調査を今から二十年前の昭和四十五年と平成二年度で比較をいたしてみますと、これは大学生の場合ですね。テレビ、ラジオの内容から自分の考え方というものが変わってきた、影響を受けたというのが二十年前でありますと一六・七%。それが平成二年度でありますと四〇・七%。そして友人とか同僚とかそういうふうな人から影響を受けたというのは、二十年前は二〇・二%。それが九・七%にがあんと半分以下に激減をしてきている。
 これは、先ほど私の仮説の中でちょっと申し上げたような今日の日本人の意識構造なり、日本人の物の考え方なり、そういうものにこのテレビというもの、マスメディアというものが大変な実ね影響を与えてきているし、そのマスメディアのいかんによってはこれから日本の国民の方向性、考え方というものが完全に変わってくるんではないかということを示唆しているのではなかろうか、私はこのように実は受けとめているわけであります。
 さて、その上に立って、これは大臣に感想をまず一点述べていただきたいと思うのでありますけれども、従来の放送行政というものを考えてみましたときに、メディアであるとか、あるいはチャンネルをどうするとか、いわゆるこれは規制とか許認可を中心にした放送行政であった、現実問題として。しかし、今言いましたような状況を考えてみましたときに、我が国の文化的なアイデンティティーの保持をするとか、あるいはよい文化を育成をしていくとか、あるいはまた民主主義というもの、日本の国民の意識というものを健全に伸ばしていく、そういうふうな観点から今後の放送行政というものは一体どういう役割をしていかなきゃいけないんだろうか。大変難しいことだと思うんですが、今までのハードを中心にした、あるいはまた許認可を中心にした放送行政から、これからの放送行政というものは一体郵政省としてどういうものを中心に置いていかなければいけないんだろうかというふうなこと、もし大臣の方であれば、まず感想をちょっと述べていただきたいと思います。
#191
○国務大臣(渡辺秀央君) 大変難しい御質問でありまして、むしろ足立先生のお考えをお聞きして参考にさせていただきたいぐらいでございますけれども、私は、一つには放送をやる側、事業者側とでも言いましょうか、協会ももちろん含めましてマスメディアの事業者、要するに情報提供者、こちらの側とそれを受ける方の側との両方の関係をやっぱり考えなきゃいかぬのではないかという気がします。
 それは、今おっしゃいましたように、マスメディアによって大学生ですら四〇%の影響力を与えられている。大学生というと、自分で主体的に自主的に、もう高校生活終わった後、物事の判断、善悪の判断ができるそういう教育の課程が終了していると思わなきゃいかぬわけですね、大学は専門的な知識であるわけですから。にもかかわらずマスメディアにそういう影響を与えられている。四〇%と今お聞きしまして、これは本当にゆゆしきことかなということを思いますし、それだけに今度は公共性というものがマスメディアに反批例とでもいいましょうか、相似形的にその責任というのが出てきているのではないかというふうに思うわけでございます。
 そういう点から考えていきますと、影響を受けるというのはやっぱり人間であり、人間は教育を受けているから人間だとよく言われまして、この教育というもの、いわゆるそういうものから通じない基礎的な基本的な教育がやっぱりこれから日本というのは大切なのではないか。そして、マスメディアを通じて得る正しい判断の材料というもので自分の自己形成なり、あるいはまた社会に対する責任感、価値観というようなものを助長していくということになっていくのではないかな。まことにどうも答弁になりませんけれども、いよいよもって我々郵政省の方は、許認可権を持っているとはいいましても、これは先生御案内のとおりでして、許認可権はあって許可はするけれども、五年に一回見直しとはいっても、事実上、言論の自由とそして営業の自由とかいろんなものがありまして、それはなかなかそうはいかないです。
 イギリスでサッチャーさんが、余分な話になって恐縮ですけれども、あるテレビ会社の経営がどうも、あるいは内容的にもどうかというので一気にこれを競売にかけた。少し経営者として能力がないとか、そんな事例もある。ああいう国でもそんなことをやっている。私それはいいと思いませんよ。しかし、それは経営者なり報道機関、要するにマスメディアとしての責任という問題がそういうところで一つ社会性としてとられている。国家権力じゃないと思うんです。私は、国家権力であったり許認可権の権力であってはならぬと思うんです。しかし、そういう一つの問題が先進国と言われ、しかも自由主義国家と言われている議会制が発達してきたイギリスでもあったということを私何かでちょっと読みました。
 日本はしかしそんなことがあってはいけない。それであるがためにみんなが努力しているということだろうと思うんですが、許認可権というものの中で、物事の判断というのはなかなか難しいのかなと。行政指導ということは、本当は抜かない伝家の宝刀であるべきであって、特に我が国のような憲法を持っている社会においては、マスメディアがそれだけの責任と使命を考えた、公共性に富んだ豊かな仕事をやっていただきたいという気持ちでございます。
#192
○足立良平君 今大臣の答弁の中で、行政としての例えば規制とかそういうものを否定される考え方、これはもう私は一番大事なことではないかというふうに思うんです。したがって、そういう面からいたしますと、映像を送るソフトの側にいわゆる行政の規制であるとか、あるいはまた政治とかいろんなところからの干渉というものを排除していかなければならない、そういう面が実はあるんではないか。したがってそういう面では、放送事業者、一般の放送事業者というのは公共性を持っているけれども、放送法の建前からすると、その中でさらに公共放送としての責任というものを明確にしているのはNHKであるわけでありますから、映像のソフトをどういうものを送っていくのかということは今度は逆にNHKの側は不断に自戒をし、そしてまたそれをずっとしていかなきゃならない。そういう面があるので、これは行政の面からそれをどうこうするなり、あるいはいろんな力でもってそれをいいか悪いかという判断をするのではちょっとまずい、こういうふうに実は私は思っているわけであります。
 そこで、NHKにちょっとお聞きをいたしたいわけであります。視聴率というのは、現実問題として、NHKの場合も一緒でありますけれども、民放さんの場合さらにこれは重要な関心事であろうと思います。視聴率というものによって放送の番組なり内容というものがずっと変化をしてくるということは余り実は望ましくないのではなかろうか、こういう感じを実は私は持ちます。私は事実を十分検証し切れていない面があるわけでありますけれども、例えば今の朝の連続テレビの問題であるとか、あるいはまた若者向けの時代劇の問題であるとか、いわゆるドラマ等を中心にいたしましても視聴率によって番組の内容なりあるいは方向性なりというものが変更されたやにちょっと別のマスコミでは報道されたりいたしているわけであります。
 これは事実かどうかは別といたしまして、私がここでNHKの考え方をお聞きいたしたいと思うのは、例えばヨーロッパの場合におきまして、あるいはまたその他の海外の状況を見ておりますと、公共放送といいますか、NHKのような放送がなくてすべてコマーシャルベースで全部番組が送られている場合には、これは悪貨が良貨を駆逐するということじゃないでしょうけれども、やはり視聴率が中心になって、そしてどんどんある面においては番組というものが受け手の側のニーズに迎合をしていく。低俗とは言いませんけれども、ともすればやっぱり視聴率を中心にそういう受け手の側におけるニーズに迎合していかざるを得ない傾向がある。残念ながら、コマーシャルベースというのはもともとはそういうものだ、こういうふうに私は実は考えているわけであります。
 そういう面からいたしますと、NHKのこれからの放送業界の中における役割というのは、会長が今までの議論の中で、例えば公平性であるとかいろんなことをずっとおっしゃってきておりましたけれども、それとプラスして、放送の質というものをより高めていく、あるいはソフトの内容というものを維持向上させていくという面においてもNHKの持つ役割、いわゆる受信料を中心にしたそういう役割というものが現実にあるのではなかろうかというふうに、実はきょうの朝からの議論を聞いていて私はそんな感じを受けたわけでありまして、そういう面で、NHKとしての公共放送の番組のソフトをつくる基本的な考え方があればひとつ述べていただきたいと思います。
#193
○参考人(川口幹夫君) 足立先生御指摘のとおりでありまして、番組というのは時代とともに移りますけれども、その中で肝心なものを滅ぼしていっては本当に困ると思います。日本の文化のいいところ、あるいは放送というものが持っているすばらしいところを単に視聴率のためにスポイルしてしまうとかというようなことはやっぱり非常によろしくない。まして公共放送であるNHKはそういうところに縛られないいい形をとらせていただいているわけですから、それこそがまさにNHKの一つの大きな使命であるというふうに思っております。ともすれば放送というのは、昔は聞き流しの文化であると言われ、ラジオの時代ですね。それからテレビになってからは映像によって左右される、いわゆる印象を強く受ける方に流れてしまう文化であるというふうなことまで言われておりますけれども、私はそれ以上に放送する者が持つべき使命は大きいし、深いと思います。例えばラジオですと、やはりラジオが持っている言葉の持つ力で十分訴えることができるし、それからテレビはまたテレビ自体が文化を創造する大きな力があるというふうに思っておりまして、そういう点ではNHK少し頑固になってやろうというふうに今思っていまして、みずからが信ずることは時流に流されないで頑張っていこうというふうに思います。
#194
○足立良平君 そういう会長の決意を聞いた上で、さらにもう一つちょっとお聞きしておきたいと思うんです。そういうふうに質の高い番組を制作していく、あるいはまた送っていく。これはもうNHKがすべて自前で全部ソフトをつくり切っていける状況ではないようでありますし、したがってそういう面では、最終的にはNHKの責任でいい番組を送っていくということになってくると思う。
 そこでちょっとお聞きをしておきたいと思いますのは、従来から議論としてもあったわけでありますが、NHKが一社で九チャンネルを保有しているわけであります。メディアの巨大化によりまして大変強大な影響力を持つということは従来から指摘をされているわけでございますが、それと同時に、受信料の財政的な制約というものもこれまたあるという前提に立つと、番組ソフトというものは最近ますます高騰化してきている。いわゆる財政上の問題が一つある。
 それから、既に今までに議論をされましたけれども、要員の問題を含めて、あるいはまた質的な問題も含めて、今までだったらNHKというものはプロデューサーとかいろんな方で一つの方向性が決まっていて、そして脚本家から演出家から本当になるほどなというふうなものがあったわけでありました。それが若干今はどうなのかなという感じもしないわけではありませんので、そういうふうな人材を本当にずっと長期にわたって養成をしていかないと、今一遍にころころとかえるわけにはいかない、現実問題として。というふうな問題もこれあり、そういうことを考えてみましたときに、将来のビジョンの構築をそういう点でやっぱりきちんとして、大変失礼だけれども、会長がかわられたことによってその路線がこっちからこっちへぽんと変わっちゃうよというのではやっぱり一つの永続性、継続性というものがないのではないか。
 したがって、仮にどういう人事があろうとも、NHKという公共放送のその柱というものはいささかも揺るぎはしません、そしてその中で人材の養成も含めて、あるいはまた番組というものもそういうものでつくっていく、こういうものが私は必要なのではないかなという気がいたすのですが、そういう面でちょっとNHKの考え方というものを再度お聞かせを願いたいと思います。
#195
○参考人(川口幹夫君) NHKの放送事業者としての態度といいますか、心構えといいますか、それは私はずっと変わっていないと思うんです。ただ、前会長が、経営の基盤というものを受信料に恐らく置けないのではないか、そういう意味ではNHKの経営自体を変えていかないとこれは存立そのものが危ういという考え方をとりましたもので、それで経営努力という形でもっていろんなことをしたわけです。そうしますと、そこにおいて手段が結局もとの形をゆがめるといいますか、ひずみができるといいますか、そういう形になってしまったところが大分あるのではないかというふうに私は思っているわけです。
 したがって、歴代の会長を通じて、NHKが持っている放送としての使命、あり方というものについてはそんなに変わっていない。ただ、今言ったような路線的な意味の考え方がある程度表面にひずんで出てきたところが、あるんじゃないか。それは率直に反省をしてむしろもとの形に戻すのが正当ではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
#196
○足立良平君 わかりました。それでは論点をもう少し前へ進めてみたいと思うんですが、私がきょうずっとお聞きをいたしておるその考え方は、NHKの公共性というものをどのように維持をしていくのかという観点からずっと質問させていただいているわけであります。
 次にお聞きいたしたいのは、NHKと事業活動との関係であります。これは冒頭に触れましたように、NHKだけじゃなくして民放も含めまして、電波の持つ影響力、威力というものは本当に我々が考えている以上に実は大きな影響を与えている。とりわけ、民放と違って、NHKというのは全国にそれが流れていくわけです。ですから、それは極端に言うなら、民放よりももっともっと大きな影響力というものを本来的には持っているものだというふうに私は見なければならないと思います。
 そういう点からいたしますと、NHKの番組制作に当たって地方自治体なりあるいはまた企業から、今度はNHKの電波を、ちょっと言葉は悪いかもしれませんが、利用しよう、うまくしていこう、乗せていこうという意図が働いてくるのは、これはそういうNHKの持っている力、それから影響からするとやむを得ないものがあると思うんです。既に中村委員からも提起がされておりましたけれども、例えばNHKが制作するイベント、いろんな番組制作に当たって企業との関係とか、あるいはまた地方自治体とNHKとの関係とかというふうな問題が提起をされてくるのではないか。そうするとこれは、極端に言いましたら、善意に解釈するなら、NHKの側から今売り込みに行かなくても先方からNHKにアプローチが来るんだろう、現実問題としては。というふうに私は実は思っているわけであります。
 そこで私は質問をいたしたいと思うんでありますが、そういう状況になってくると、番組制作の費用を例えば地方自治体に持ってもらうとか、放送法の四十六条でしたか、企業名は番組制作の必要上載せてもいいという、その放送法の問題もありますけれども、それは載せなくても結果として企業のPR的な番組になってこざるを得ないようなケースも出てくる。したがって、そういう面からすると、NHKの中立性なり公平性なりあるいはコマーシャルベースを排する放送法の考え方からすると、いささかちょっと首をかしげる状況というのは現実的に出てきているということもこれまた事実だ。NHKの方が注意していてもそういうふうになるわけでありますから、逆に言うなら、そういう場合にNHKとしてはどれだけの費用を例えば地方自治体に持っていかせますということをもっともっときちんと公表して、そしてそれが単なる担当者レベルのところで個人的な判断はしなくてもいいようなものをきちんとつくっていくことがシステム的に必要なのではないか、こんな感じを実は受けているわけであります。
 したがって、そういう点では、NHKの方は釈明をされておりますけれども、茨城県の土浦市で公開番組をつくりましたときの「愉快にオンステージ」という中では、楽器レンタル料であるとかオペレーター費など、NHKが経費を負担すべきものを市に請求をされていたというふうな事実、あるいはまた番組で使った海水魚の代金、スタッフの弁当代、これを市が負担をしておったとかというふうな問題が出て、それはちょっと向こうの間違いだねという話になっているんでしょうけれども、この種の間違いが起きないようにむしろはっきりと基準を明らかにして、そして国民的に信頼されるように、公平にこういう状態でNHKとしてはやっていきますよという、こういうものを私はつくる必要があるのではなかろうかと思いますが、その点につきましてお考え方を述べていただきたいと思います。
#197
○参考人(中村和夫君) 後段の御質問で何かそういう基準をつくるべきではないかというお話がございましたが、基準はございます。土浦のことを言及されましたが、土浦のときにもございました。ただ、そこで指摘されました賑給の部分が、向こうから提供された弁当をいただいたということが賑給の二重取りになるのではないかという指摘もございまして、そういう部分をきちっとする上で、直した上でそういう基準はございます。
 それから、企業からの協賛を受ける場合の原則でございますが、一つは、企業の側から協賛金等の形で負担する経費というのは、イベント全体にかかる経費ということで、放送番組の制作、収録には関係のない部分の経費に限られるということが一つ。それから二番目には、放送番組の内容はすべてNHKの編集上の判断によって決定する。三番目に、放送の中で関連するイベントの協賛企業名を引用する等のことは行わない。四番目に、NHKが協賛を受け入れる企業や団体というのは、NHKの公共的な性格、社会的な信用、そういうものとそごを来す可能性があるような協賛は受けないというようなこと。それから冠大会、スポーツなどで冠大会などもございますが、番組のタイトルにはその企業の名前を入れないということをやっております。
#198
○足立良平君 その基準があるやには私も把握はいたしておりますけれども、それはなかなか一般的に確認されてないんではないかと思うんです。
 それで、今そういうような答弁ありましたからあえてまた私申し上げておきたいと思いますけれども、これは昨年の十月の八日くらいでしょうか、NHKの歌謡ショーを松江市でやったとき、これは五大紙の中の一つですけれども、その中でこういうことを市の担当者は言っているわけです。「松江をPRし、市民も一流歌手に無料で接することができる。」。一千万円松江市がこれは負担しているんです。NHKのこの歌謡ショーで、総額約二千四、五百万円くらいの番組制作かどうかわかりませんが、そのうちの一千万円を松江市が負担している。そうすると、「松江をPRし、市民も二流歌手に無料で接することができる。一千万円は高くない」、こう市の担当者が言っているんです。
 それから、これはこのとおり言われたかどうかわかりません、新聞に書いてあるからそのとおり読みますよ。NHKの松江放送局の部長が、「受信料だけで番組を作るのには限界があり、自治体の誘致で番組を作るときは、会場の条件整備費などを負担してもらう必要がある。余った分は市に返す」と、こう言っている。
 そうすると、受信料だけで番組をつくるには限界があり云々という物の発想が、NHKの経営というものは効率化をしていかなきゃならないし、そしてまた、それは視聴者から受信料として預かっているわけですから、そういう点ではきちんとやっぱりいい番組をつくるために使っていかなきゃいけない、私はそう思います。けれども、その番組をつくるために、受信料だけで足りませんから、例えば誘致されたときには出してもらいますよというふうな発想であるなら、このとおり言われたかどうかは別として、若干寂しい感じが私は正直言っていたしますので、そのことだけちょっと申し上げておきます。ちょっと時間がございません。もし何かあれば後で簡単におっしゃっていただきたいと思います。
 最後に一点だけ、これは郵政省にお聞きをしておきたいと思うんですが、最近、香港のスタテレビ、衛星放送でどかんと流しているあれですが、これは五チャンネルを持っておりまして、大体日本から中東まで約四十カ国、三十億人近くが受信をしようと思えば受信ができる、こういう状況になっているようでございます。
 ここでちょっとお聞きをしておきたいんですが、香港側は、日本はサービスの対象地域外で電波のスビルオーバーにすぎないというふうに主張いたしているようでありますが、このスタテレビ用のアンテナは大体全国で二千ないし三千ぐらいもう既に売れているというふうに言われております。大阪なんかではこのテレビを使って語学の教材用に利用する大学が出てきたり、あるいは英会話の学校にそれを使ってみたり、どんどんそういう方向性が今出てきているわけでありまして、そういう面で現在の国際法あるいは国内法上何ら抵触することはないのかどうなのか、ちょっと具体的に郵政省の考え方をお聞きをしておきたいと思います。
 そして、こういうふうな越境電波、今まで日本では余り考えていなかったわけでありますが、この越境電波を放置をするということが我が国の放送なり通信業界の秩序を混乱させるという意見もあるわけでありまして、そういう面から郵政省として現在のところ一体どのようにお考えになっているのか、あるいは視聴者、国民の側にどういう問題をもたらすことになるんだろうか、この点につきまして最後にお聞きをいたしておきます。
#199
○政府委員(小野沢知之君) お答えを申し上げます。
 先生御指摘のような心配をいただきまして、ことしの一月に加藤審議官を香港に派遣いたしました。その結果、今先生のおっしゃるようなスビルオーバーだという主張があったわけですが、これを国内法あるいは国際法の適用関係で申し上げますと、国際法上は、国際電気通信条約によりまして、固定衛星業務、通信としての規律が適用され、国内法上は、その受信等について電波法の規定が適用されるわけでございます。
 具体的な適用関係でございますが、個人が受信機を設置してスタテレビジョンを受信することは、電波法第五十九条の「傍受」に該当しますけれども、単に無線通信を傍受することは電波法第五十九条違反とはならず、さらに、傍受してその存在もしくは内容を漏らした場合に、同条違反となって、同法の百九条に基づく処罰の対象となり得るということでございます。
 そこで、我が国の放送秩序はそういったことを予定しておりませんから、どういう影響を及ぼすかという非常に心配な点が多々ありますので、実はいろんなことを研究しまして、今お願いしています予算の中に、放送分野における国際化に関する調査研究費というのを実はお願いして、今御審議いただいているわけですが、これが認められましたらば、その調査研究の中に早速今御指摘の問題を大事な一項目として取り上げて至急研究いたしたい、このように考えております。
#200
○参考人(中村和夫君) 松江の件について一言だけ御答弁いたします。
 今御指摘ありました一千万円というのは、NHKと松江市と松江観光協会の三者で実行委員会というのをつくっておりまして、観光協会が市役所から一千万円をいただいて実行委員会に入れて、そういう実行委員会で処理をしているということが一つと、それから、中村先生の先ほどの御質問にお答えしたものと同じでございますが、放送にかかわる番組経費は、出演料、職員の旅費、宿泊費、文芸・音楽著作権料、放送にかかわる大道具、小道具操作費、それから出演者の自動車料などは全部NHKが持っているということでございまして、附帯的にイベントを可能にするような会場設備、照明だとか、音声の架設だとか、それから会場整理にかかわる部分だとか、広報ですとか、そういう部分はその実行委員会のお金でやっていただいている、そういうことでございます。
#201
○足立良平君 終わります。
#202
○下村泰君 先ほどからずっとお話をお伺いして私は私なりに感慨ひとしおでございます。まず第一に、NHKの会長どこんな形でお話をしようとは夢にも思いませんでした。私がNHKに出入りするようになったのはちょうど四十三年前ですから、そのとき会長はいらっしゃいましたか。
#203
○参考人(川口幹夫君) まだ入っておりません。
#204
○下村泰君 そうですか、まだ入局していませんでしたか。田村町でございました。
 今もテレビとかラジオの問題が出ておりますけれども、私なんかはしゃべる方の商売として怖いのはやはりテレビよりラジオの方が怖い。と申しますのは、ラジオは耳だけですから、聴覚だけですから、そうしますと好不調というのがよくわかる。それから、その人がどんな感情でその話をしているか、どんな気持ちでその話を語っているか、語感というのがあるんですね。ですからむしろラジオの方が怖い。そこへいけば、テレビというのは絵ですから、多少調子が悪くたってアクションでごまかせるわけです。ところが、アクションでごまかすテレビの映像が今や大変な危害を加えているわけです、一般大衆に。
 まず機械を見るんですけれども、私らのときにはリンゴ箱ぐらい大きかったんですね。リンゴ箱よりもう少し大きかったですかね。それで、カメラのレンズが四本ありました。ターレットといいましてね、ロング、遠いところと、それから、そば、それから中くらいの距離のが二本ある。それをカメラマンががくんがくんと回しながら絵を調整する。ですから、うっかりスイッチ間違えると家で見ているお茶の間のテレビの絵がくるっと回るんですね。そんなこともあったり、それから、間違えますと、こちらの方で一生懸命ドラマの中でたてをつけている人が全部映ったり、初期のころはそうでした。そしてカラーになりました。カラーになりましたときには、暑くてカメラの前に五分といられないんです。そのくらい照明をきつくしなければ絵が出なかったんですね。ですから洋服が全部だめになるんです、色が変わっちゃうんです、焼けて。
 そんな時代を経て今日になっておるわけなんですが、つくづく先ほどから皆さんのお話を伺いながら、カメラを見ながら、変わったなと思いながら、モントリオールのときのオリンピックの映像を今思い出しているんですけれども、ヨーロッパあたりではあの当時でちょうど霜降りみたいになって見れなかったところもあるそうですね、地域によっては。
 ところが、僕らはよくケチケチケーと言うんですが、NHKとは言わないんです。なぜケチケチケーかというと、出演料が安くて、田村町あたりに私が出ておりますときに、いただいたギャラで係の方とちょっとお茶でも飲みましょうかといったら、ケーキも食べられないくらいしかなかった。ですから、ケチケチケーといまだに私は言いますけれども。
 そういった当時に比べればもう格段の差があるんですけれども、まず第一には用語が随分緩やかになった。私が出ていたときには、ふんどしはだめ。ズロースはだめ。それが今や何を言っても平気なくらいになりました、NHKはね。そういう意味では随分おおらかになりました。
 ところが、時によって、これは会長に本当に考えてほしいんですが、せっかく歌舞伎の鑑賞というような時間があって、それで歌舞伎というのはこういうふうに見たらおもしろいんですよとか、こういう角度から見たらいいんですよと言っておきながら、肝心のカメラが絵をとらえる段になるとおもしろくなくなっちゃうんですよ、やたらにアップした。アップするのも結構ですけれども、場面とか話の中身によっては、受けている人もいるわけですね。この人がこういう所作をしているときにこの人はどう受けているのか。この受けている方がカットされちゃう。すると、せっかく一生懸命解説してくださっているのにもかかわらず、画面そのものはつまらなくなるわけです。お茶の間で見ている人にしてみれば、せっかくあんなふうに解説してくれているのに、なんじゃいこれは、おもしろくも何ともないじゃないか、こういうことになるんですね。
 ですから、テレビというのは本当に映像のとらえ方一つでよくもなれば悪くもなる。テレビで殺された芸能人も随分いますからね。画面で売り出されて画面で殺されたやつがたくさんいるわけです。ですから、そういうことのないように少しは、私はカメラをのぞいているわけでもないし、プロデューサーでもありませんから、余り専門的なことを言って、あのやろう何言ってんだと言われると困りますからこれ以上申し上げませんけれども、とにかくNHKの技術は私は最高だと思いますよ。霜降りになってヨーロッパで見られなかったときにモントリオールからきちんと絵が入ってきているんですから。NHKのそういった放送技術というものは僕は物すごく褒め上げたいぐらいですよ。すばらしい技術を持っていると思います。だけれども、そのすばらしい技術をなおよくするために聴視料を上げる、こういうのは一番困るんですけれどもね。
 さて、本日は障害を持った人々とNHKとの関係をひとつお伺いしてみたい。箇条書き的にお伺いしますからどうぞそのつもりでお答え願いたいと思います。
 今NHKの障害を持った人の雇用状況について御説明願いたいと思います。全職員数、障害を持った人の雇用数、その雇用率、障害の部位別の数、等級別の数、そして業務別の配属等について御説明ください。
#205
○参考人(安藤龍男君) お答えいたします。
 協会は、障害者の採用についてはできる限りの努力をしておりまして、現在障害者数で二百十六。常用雇用労働者数一万五千二百十九ということで、職員数とそれから関連団体等へ出向している職員も入れた数字でございますけれども、これとの比率で雇用率が一・四二%ということになっております。障害者数二百十六は、これは障害の程度によりましてカウントがダブルになるということもございますので、実数では百七十九名ということでございます。
 障害部位別でこの百七十九を御説明しますと、まず視覚障害の場合が十三人、聴覚障害四人、上肢四十二人、下肢八十四人、体幹十三、以下内臓疾患で、合計百七十九。障害者等級数でいきますと、一級、二級の重度の障害で三十七、以下三級、四級で六十人、五級、六級で八十となっております。
 従事業務別に申し上げますと、番組制作に当たっている職員が四十六名、それからアナウンス業務が八名、取材業務が三名、技術が二十七名、事務管理業務要員が九十五名、以上百七十九名でございます。
#206
○下村泰君 ほかの業種に比べれば、千人以上の規模のところのほかの会社に比べれば確かにNHKの場合は雇用率が高いんです。一・六%には及びませんけれども、一・四二、これはもう立派なものだと思います。ただ、下肢障害の方が非常に多いということですね。車いすを使用しているんじゃないかなとは想像つきますけれども。また五、六級の方々が四五%、それから業務別では事務が五三%以上ということです。
 これを二言で言いますと、本当に雇用や働く上でハンディを持っている方の雇用が余り見られていないなという感じもするんですね。今お目の不自由な方がアナウンサーでお一人というようにありましたけれども、もっとたくさんいてもいいんじゃないかなというような感じもするんですよね。目が不自由だからといっても点字でやればアナウンスは幾らでもできるはずなんですから。即座に間に合わないにしても、何とか考えられればそういうお仕事ももっとふやすことができるんじゃないかなというような感じもします。本当に障害を持った人の障害についてよく知って、その能力や意欲を知った上での雇用になっているかというと、ちょっと私はこれは疑問に思うんですけれども、果たして私の全言ったことに対して自信を持って反論できるでしょうか。
 それから、イギリスのBBCあたりでは車いすのプロデューサーなんかが活躍していらっしゃるそうですけれども、どうなんですか、NHKの方にはそういった障害を持った方々でプロデュースなんかしていらっしゃる古いるんでしょうか。
#207
○参考人(安藤龍男君) 採用につきましては、先生御指摘のように、従業員千人以上の企業の中ではかなり採用努力の結果が具体的に雇用率として上がってきていると思います。放送事業という大変特殊な事業でございますし、それから協会が要員効率化をしているという事情もございまして、そういう中で今精いっぱいの採用努力をしておるわけでございますけれども、仰せやっぱり放送事業ということで障害者の方に無理な職場ということもございますので、そういう中で十分に適性なりなんなりを生かして働いていただける方を私どもは学校あるいは職業安定所等にあっせんを依頼いたしまして採用努力をしております。
#208
○下村泰君 もちろん、ほかのマスコミ関係に比べればNHKは高いんですよね。本当は民放がこのぐらいのことをやらなきゃいけないんですがね。ほかはもううんと低いんですわ。ですから、これに関しては余りNHKさんにけ飛ばすような物の言い方はできないんです。むしろ感謝すれこそ、余り恨み事は言えるわけじゃないんですけれども、なお努力していただきたいというのが私の気持ちなんて、その一・六%という雇用率を達成するような努力を今後ともなさいますかどうか、それを聞かせてください。
#209
○参考人(川口幹夫君) 当然時代の要請ということもございます。それから、こういう障害者の方が今まで以上にいろんな能力を広げていくということに相なると思います。で、当然NHKとしては広げていく方向に参ります。
#210
○下村泰君 先ほど伺った中で、いわゆる知恵おくれの方とかあるいは心の病を持っておられる方々の数字が全然出ていなかったんですけれども、この方々についての雇用状況をお聞かせください。あるいはこれから失そういうことをお考えなのかどうか。
#211
○参考人(安藤龍男君) 精神障害、精神薄弱の方の雇用は現在行っておりません。
#212
○下村泰君 実はここに、十一月に出されたNHK厚生文化事業団の「精神薄弱の人たちの就労と社会参加に関する関係者の意識調査報告書」というのがあるんです。これは中身を見るとすごいんです。立派なものなんです。この調査に至る経緯と結果について御説明ください。
#213
○参考人(安藤龍男君) この調査につきましては、一昨年、平成二年の秋でございますけれども、NHKの関連団体の社会福祉法人でございますが、NHK厚生文化事業団というのがございます。この団体が事業団創立三十周年の記念事業といたしまして、それからまたちょうど国連障害者の十年というときでもありましたものですから、それにちなみましてこの調査を実施したものでございます。厚生文化事業団といたしましては、昭和五十七年に第一次の調査を行いまして、それを引き継いだ形で実施したものであります。
 調査はアンケート形式で行われましたけれども、その調査の結果を簡単に申し上げますと、働きながら地域社会で生活するための条件整備、あるいは社会参加促進のための就労の機会向上などの施策をさまざまな角度から総合的に進めていく必要があるという主として二点の声が非常に強く寄せられております。
 NHK厚生文化事業団といたしましては、この調査結果を関係方面を初め広く活用していただきまして、身体障害者の福祉の向上あるいは雇用の促進に寄与されることを願っているというふうに聞いております。
#214
○下村泰君 この内容すごいんですよ。一つ一つ本当にあなたに御説明願いたいぐらいです。これを見ますと、企業が一体どういうふうに考えているか、それから知恵おくれの人たちに対してどういう感覚を持っておられるか、これはすばらしい内容なんです。
 念のために私が気に入っているところをちょっと御紹介しますが、とにかくいろんな会社に数多くアンケートを出しまして、そのうち六百四の回答があったんだそうです。その六百四の回答の中に、精神薄弱の人たちの社会参加のために、企業も雇用等を通してその役割を果たすべきという課題に対しまして、「精神薄弱の人たちの社会参加を促すために、企業も雇用等を通してその役割を果たすべきだという意見がありますが、このことについてどう思いますか。」という問いに対して、アンケートに答えた総数が六百四なんですけれども、そのうち「そう思う」と答えているのが五百二十九もあるんです。「そう思わない」が八なんです。「どちらともいえない」が六十四で、「不明」が三なんです。その「そう思う」という五百二十九の人たちがどういう答えを出しているかというと、「捜し出し努力をすれば、できる仕事がある」。ですから、知恵おくれの方たちがいても、その方たちに合うような仕事を探し出せば幾らでもあるというような答えが出ているんですね。こういった意識調査というのはすばらしいと思うんですよ。
 だから、NHKの厚生文化事業団がこれだけのことをして、これだけの結果が出て、じゃ一体この調査結果をどういうふうに生かすのかと、ここが問題なんです。
#215
○参考人(安藤龍男君) 調査の結果及び関係方面へ調査の結果を利用していただくべく十分に周知をしているというのは先生御指摘のとおりでございます。肝心のおひざ元のNHKがそれではどういたしているのかという御指摘でございますけれども、十分その法の趣旨あるいはそのアンケートの結果ということは周知しておりますけれども、先ほど申し上げましたように、協会は今効率的な業務運営ということで要員を削減しておりますし、放送事業という特殊性というものもございまして、精神薄弱の方の雇用増を図っていくというのは容易でないと思いますけれども、今回の調査の趣旨は十分理解いたしております。今後とも研究をさせていただきたいと、こういうふうに思っております。
#216
○下村泰君 無理やりにどうしろとは申し上げておりません。そのアンケートのお答えの中でこういうふうに企業の方々も考えておられるということを非常に僕は高く評価しているんですね。高く評価なんていう言葉は使いなれない言葉だから嫌ですけれども、非常にこれは私は参考になると思うし、こういうお答えを出してくれた企業の方々がいるということは立派なことだと思うんですね。それだけに、これだけの結果が出ているんですから、やっぱりその結果にこたえるようにしていただきたいと思います。
 現在の障害を持った方の採用の手順ですけれども、それはどうなっていましょうか。その際、障害者手帳の保持、取得について何か条件がおありでしょうか。
#217
○参考人(安藤龍男君) 障害者の雇用の手順、方法でございますけれども、協会は幅広く人材を求めたいということでございまして、採用の募集のときには各大学の就職部へ学生の紹介を積極的に働きかけておりますし、先ほども申し上げましたように、公共職業安定所にも求人票を出しまして強くあっせんをお願いしているということでございます。
 それから、障害者手帳でございますけれども、障害者の雇用に当たりましてはあくまでも御本人の適性を重視しておりまして、特段に障害者手帳を持っていらっしゃらないからどうこうとか、持っているからどうこうということではございません。ですから、持たずに合格をされる方もいらっしゃるわけです。ただ、障害者手帳をお持ちになると税法上の優遇措置がございます。あるいは本人の行政上の援護措置ということもございますので、採用した後に、手帳を持っていらっしゃらない方には手帳を取得するように本人にもアドバイスをしているということでございます。
#218
○下村泰君 難病などによって雇用上ハンディが大きいのに、障害者手帳の対象外ということでなかなか働く場が見出せない人が非常に多いんです。
 例えば小人症というのがあるんです。小人症の一つの軟骨異栄養症というのは、背が低くて手足のバランスはよくないのに、手帳がないために働く場所が見出せない、こういう方たちがいるわけです。恐らく大臣の頭の中には、昔、空飛小助という方がいたんです。あの方はつまりバランスがとれているんです。中にはとれない方がいる、お顔だけ大きかったり手足が小さかったり。こういう人は手帳がないんですよ。ですから、障害者手帳がないために障害者としての仕事も与えられない、それから扱いがされない、こういう問題が起きてくるわけなんですね。労働省にもこれはさんざん言ってきていることなんですけれども、こういう方々を雇ってもらいたいなと思うんですけれども、なかなか国の助成が受けられない。雇用率にしかもカウントされないんです、こういう方たちは。だから余計雇用されないんですね。
 ひとつNHKのような公共性の高いところがそうした点で範を示していただければまことに幸いだと思うんですが、いずれこれNTTにもお願いするつもりなんですけれども、いかがでしょうかね、NHKさんの方ではそういうお考えありますか。
#219
○参考人(安藤龍男君) 難病の方について特段雇用を重視しているということはございません。先ほど申しましたように、協会の要員事情というのは大変厳しい状況でもございますし、放送事業という労働条件といいますか職場条件もございます。そうではございますけれども、先生の御指摘の趣旨というものをもう一度踏まえましてへ研究をさせていただくということにさせていただきたいと思います。
#220
○下村泰君 今私が申し上げたことを全部が全部やってくれとは申し上げません。ただ、NHKさんがこうやっているということは非常に周りに対する影響力が大きいので、できるだけ研究をしていただきたいと思います。
 会長、お約束していただけますか。
#221
○参考人(川口幹夫君) 今安藤が申し上げましたように、現場的な意味でいろんな検討を進めまして、御趣旨に沿うような方向にいきたいと思います。
#222
○下村泰君 どうもありがとうございました。
 次は字幕放送についてお願いしたいんですけれども、字幕放送の拡大を求めている声が非常に大きくなっているんですけれども、なぜこの字幕放送が必要だとお思いになりますか。
#223
○参考人(中村和夫君) 聴力障害の方から我々も健常者と同様にいろいろなものを楽しみたいという声がございまして、我々はそういう意味でできるだけのことを字幕放送でやっているということでございます。
#224
○下村泰君 ある聴覚障害者が四つ挙げているんですね。
  第一に、生存に不可欠です。それは、災害事
 故、病害、その他の不都合な情報などこれに欠
 けると直接的に生命の危険さえも脅かされるか
 らであり、今一つは、人間は、情報を受・発信
 する、コミュニケーションをするから人間であ
 るからです。
  第二に、文化、文明を享有することです。そ
 こに生活しているものにとって文化の同一性を
 求めるのは自然なことです。音声による情報が
 欠如すればその世界から隔絶された存在になる
 ことは、テレビによる膨大な情報を考えればお
 分かりのことと思います。
  第三に、人格の成長に不可欠なことです。人
 は誰でも自分の知識を深め、持っている能力を
 高め、社会に貢献したいという欲求を持ってい
 ます。障害者も人間性を回復し、そのために、
 人と社会の交わりの中で情報を得ることが保障
 される必要があります。特に、聴覚障害児に対
 する早期からの情報保障は重要な意味を持って
 います。
 第四に、基本的人権が保障されることです。
こういうふうに必要性を聞いているんです、これも私ももっともだと思いますけれども。
 さて、来年度の字幕放送の予定、それから番組、あるいは時間数を教えてください。
#225
○参考人(中村和夫君) お答えします。
 平成四年度は一週間に九番組、十時間二十七分実施いたします。平成三年度は一週間に八番組、八時間十分、再放送も含んでございますが、でございますから二時間十七分来年度は広がるということでございます。
#226
○下村泰君 私もこれ手元にあるんですが、これ何ですか、「おんなは度胸」というのはこの次始まるやつですね。朝の番組、連ドラですね。これが字幕放送。それからアニメ「おーい!竜馬」、それから「西田ひかるの痛快人間伝」、ドラマ「腕におぼえあり〜用心棒日月抄」、それから「六畳一間一家六人」、「愉快にオンステージ」、「日曜インタビュー」、「中学生日記」、大河ドラマ「信長」、こうなっています。
 これが民放の方へいくと、もちろん民放はだらしかない、がたがたっと減るわけです。日本テレビがTVムック「謎学の旅」というんですか、それから読売テレビが「長七郎江戸旅日記」、東京放送が「ドキュメント特集」、毎日放送が。「大岡越前」、中部日本放送が「水曜ロードショー」、これは二カ月に一回です。フジテレビが「サザエさん」、関西テレビが「ゴールデン洋画劇場」、これは月一本程度。テレビ朝日が「暴れん坊将軍W」、あとはテレビ東京が「極める〜日本の美と心」、こういうふうになっています。アメリカあたりに比べるとどうにもならないくらい時間が少ないです。
 聾学校へ行くんじゃなくて普通学級に学んでいる聴覚障害の子供さんたちがいるわけです。こういう子供さんたちにとっては、学校へ行きました、健聴者はいろんな話をしています、難聴なために聞こえなかった、絵だけ見ていても何だかわからなかった。そうしますと疎外されるわけです、話の輪っかの中に入れない。そのためにいじめに遭う。こういうくだらない結果が起きてくるんです。ですから何としても私は字幕放送というのは拡大していただきたいんです。郵政省からも答弁を願いたいと思いますけれども、NHKとして字幕放送が拡大できないということは、どういう点がネックになって、どうすれば解決できるんでしょうか。
#227
○参考人(中村和夫君) 幾つかのネックがございますけれども、テレビ番組が完成後一週間の作業時間が要るというのが一つ大きなネックになっております。総合テレビの番組では、このように情報性の高い番組がいろいろ入り組んできますと、放送一週間前に完成するという番組が限られてくるわけで、その範囲の中でできるだけのことをやっているということ。それとやっぱり字幕番組の制作には相当熟練した要約者という人が必要で、要約者の不足ということが続いているという点。それから、一週三十分から四十五分の番組で制作委託費がおよそ年間で二千万以上かかるというようなところがございます。
#228
○政府委員(小野沢知之君) 昨年秋、先生からいろいろな御指摘を受けましてからNHKそれから民放に対して努力方を要請してまいりましたが、NHKにつきましては先ほどの御答弁のとおりですが、民放につきましても四月一日以降定時番組以外の番組で字幕放送をふやすと聞いております。
 それから、今御指摘のネックをどうするかということでございましたが、来年度の予算要求の政府原案の中で視聴覚障害者向け放送番組等の制作・流通に関する調査研究というのを要求しまして、これは認められておりますので、そういった点も研究を深めたいというふうに考えています。
#229
○下村泰君 そうしますと、最大のネックというのはどういうことなんでしょうか。費用なんですか、それとも時間なんですか。
#230
○参考人(中村和夫君) どちらとも言えませんが、要約者の不足ということはもちろん費用にかかわってくるわけでございますから、やっぱり番組が完成してから時間がかかるということ、要約者がいない、コストがかかるという、どれが一番ということは言えないような状況でございます。
#231
○下村泰君 大臣にお伺いしますけれども、こういったことなんですけれども、これどうなんでしょうか、国の努力も必要だと思いますけれども。今NHK側のお答えになったようなことが例えばネックになっていて、それが克服できれば何とかなるんだろうけれども、克服できなければいつまでたってもこの状態が続いていくということになるわけです。そうしますと、例えばこういう方たちが行政の一端のおこぼれもちょうだいできない、こういうことになる。台風情報なんか一体どうしますか。この人たちの生命がかかっているわけでしょう。視覚障害、聴覚障害いるいろあるわけです、それぞれの障害の立場が。その人たちも全部普通の健常者と同じように情報を与えて同じように避難させなくちゃいけないわけです。そういうふうに考えていきますと、あれがネックだこれがネックだなんとは言っていられないと思うんですが、大臣はどういうふうにお考えですか。
#232
○国務大臣(渡辺秀央君) 心情的には本当に下村先生おっしゃるとおりでして、人間まさに生を受けた以上は平等でありますから、そういう意味においてはあれがネックこれがネックとは言えないと思うんです、基本的には。しかし、そこが現実の政治のひずみだろうと思いますので、いろんな意味でひとつ研究をさせていただき、検討をさせていただいて、人間生を受けた以上はひとしく平等、一日も早くこういう生活の味わいができるような豊かさのこもった社会をつくることが一番大事だと思ってお聞きいたしておりました。
#233
○下村泰君 御通告も申し上げてないのに済みませんでした。
 それで、NHKさんにお伺いしたいんですが、よく台風情報ありますね。台風情報ありますと、これから何時にまたお伝えしますと言いますね。その役とまっちゃうでしょう。しばらくお待ちくださいとかなんとかというテロップが出ます。あのときにそれまでの状況を文字にして聴覚障害者の方々にテロップにして見せるというような方法があるんですが、そんなことをお考えになったことがありますか、しばらくお待ちくださいませじゃなくて。例えば静止画面が出ます、何か絵を映してそこへ文字が出ます。あのときに耳の聞こえない方々に今までの状況はこんなんですよというようなことでやれませんか、そんなことをお考えできますか。
#234
○参考人(中村和夫君) 現在は、深夜の場合には台風の進路図を画面に入れてみたり、画面を四分割して「ひまわり」の雲の映像、それと台風の大きさの数字、それと進路図というものを刻々と、アメダスなんかも利用して、そのまま見ていれば音声がなくても見られるという形で深夜は映像を出しております。
 それから、NHKの関係の会社でテレモ日本というのがございますが、新年度に、四月六日からですが、「災害情報一一九」という番組を新設いたしまして、最新の台風や地震情報を文字情報でお伝えするサービスを始めるということになっております。
#235
○下村泰君 そう言われてみればありましたね、そういう画面、流れるような、次から次へと。私が見ていたのはその前のやつかな。いずれにしても、そういったことはそういったこととして、不自由な方々にとにかく視覚で追えるようなことをひとつお願いしたいと思います。
 それから、NHKとして十二月九日の障害者の日前後にスペシャル番組を組まれているようですけれども、その企画制作に当たって基本的な考えを伺わせてください。
#236
○参考人(中村和夫君) 十二月九日は障害者の日ということで、過去三年間「NHKスペシャル」でいろいろな問題を取り上げるほか、特別番組を一日やっております。ドキュメンタリー、災害のリポート、討論会というものをやっておりますが、本年はちょうど国連障害者の十年の最終年に当たりますので、節目の年ということで、障害者と健常者がともに生きる社会というのを目指してどう歩んできたか、日本のこの十年の歩みを検証するような番組をつくりたいというふうに企画しております。
#237
○下村泰君 昨年の十二月九日を前にした十二月七日でしたか、全国放映された「月のひかり」という聴覚障害者を主人公にしたドラマ、たしかこれは蟹江敬三さんと萩原健一さんでしたか、片方がすし屋の職人で、片方が耳の悪い役ですね。それで、病室が一緒になって二人の間に友情が生まれるというようなストーリーだったと思いますけれども、そのときにNHKさんと聴覚障害者の間で大変なやりとりがあったというふうに承っています。文字放送でやるつもりだったということですが、アダプターというんですか、あれがほとんどついていないんです。
 この間も私は申し上げたんですけれども、アメリカでは来年から全部テレビの方にアダプターをつけなければならない。義務づけられるわけですね。ですから、そのままにしておけば見られるわけです。ところが、日本の場合にはこのアダプターをつけなければならない。それを買うとなると九万から十万ぐらいのお金を取られるわけです。一個買ってしまえば後は見られるんだからいいじゃないかというんですけれども、そのアダプターを買って自分で取りつけるほど、つまり文字放送がないわけですよ。文字放送がたくさんあれば、アダプターを買って聴覚障害者の方が見るという、これは安いものですわな、ずっと後も使えば。ところが、放送時間が少ないのに、そのために金を出して買うというわけにもいかないし、またそういう方々はそれほど経済的に緩やかな方もいらっしゃらないということが条件なんですが、こういうふうなことを考えますと、これから先一体こういった方々に対するサービスといいますか、放送サービスというのはどういうふうにしたらいいというふうにお考えになりますか。
#238
○参考人(中村和夫君) 今御指摘の「月のひかり」の場合は、そういういろいろな切実な御意見があって、それでは障害者の日ということでどういうふうにやったらいいかいろいろ工夫いたしました。それで、御承知のようにスーパーの文字を普通より小さくして、できるだけ一般の視聴者の方が画面が見にくいということがないように試みをやったわけですけれども、聴覚障害者の方々の期待や切実度というのもございますので、あのやり方をもう一度検証して、どういうことができるかということを研究いたします。
#239
○下村泰君 時間でございますから、最後に一言だけ川口会長にお願いしておきます。
 例えば、今私が取り組んでおりますが、骨髄移植推進事業団というのが今度できました。いわゆる白血病ですね。ああいう方々に骨髄液を輸血いたしますと九九%治る、そういうのがあります。この間、骨髄のことについてもNHKさんでは一生懸命放送してくださいました。そのほかに胆道閉鎖でありますとかいろんな病があるんです。そういうことに対するキャンペーン、そういった難病であるとか、そういった小さい命があすをも知れず奪われていくという現状がたくさんございます。そういうことを世間にPRしていただいて、少しでもそういう方たちの方に目が向いて、その方たちを心から支えられるような形になることを番組でひとつどんどん取り上げていっていただきたい。これが私のお願いでございます。このお願いをいたしまして、おしまいにいたします。
#240
○参考人(川口幹夫君) 今おっしゃいました骨髄バンクの方は私も実は理事になっております。それから聴覚障害者のトット基金というところの理事もやっております。私が放送総局長在職中からこの問題は非常に大きな問題でございまして、今の字幕を入れるということのほかに、今度はテレビを聞かせるという、つまり目の見えない方がテレビ番組を世間の人と同じように楽しみたいと。それには、画面が見えないんですから、だから画面が見えると同じような二重音声を使ってやってほしいとか、そういういろんな御要望を本当に切実に受けとめてまいりました。
 私は六年ぶりに帰ってきまして、今責任者の立場にありますけれども、その当時から見ると大分いろんな面で進歩はしております。ただ、これは本当に牛の歩みのように幾つかのネックがありましてなかなかうまくいかないんですけれども、今後ともそういうものについて私なりにNHKの組織としてできるだけのことはしたい。まして、番組の方でそういうものに対するキャンペーンといいますか、認識を皆さんにお願いするような番組をやるということはぜひやりたいと思っております。
#241
○下村泰君 ありがとうございました。
#242
○委員長(粕谷照美君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#243
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。
 放送法第三十七条第二項の規定に奉づき、承認を求めるの件について採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#244
○委員長(粕谷照美君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 大森昭君から発言を求められておりますので、これを許します。大森昭君。
#245
○大森昭君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、連合参議院、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合及び参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    放送法第三十七条第二項の規定に基づ
    き、承認を求めるの件に対する附帯決議
    (案)
  政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施
 に努めるべきである。
 一、放送の不偏不党と表現の自由を確保し、公
  共放送に対する国民の信頼を一層高めるよう
  努力すること。
 一、協会は、その経営が受信料制度を基盤とす
  ることにかんがみ、経営内容を積極的に開示
  すること。また、効果的な営業体制を確保し
  つつ、衛星契約を含む受信契約の締結と受信
  料の収納に努め、負担の公平を期すこと。
 一、協会は、放送環境の変化に対応した経営方
  針を確立し、業務運営の一層の効率化を推進
  するとともに、職員の処遇改善についても配
  意すること。
 一、衛星放送については、難視聴解消のために
  必要な放送を確保しつつ、衛星放送の特質を
  生かした放送番組の充実・向上を図るととも
  に、補完衛星の打上げにより衛星放送の継続
  的・安定的な実施に万全を期し、衛星放送の
  普及を促進すること。
 一、激動する国際情勢において放送の果たす役
  割が増大していることにか入がみ、国際放送
  については海外中継局の充実による受信改
  善、交付金の確保等に努めるとともに、映像
  メディアによる諸外国との放送番組の交流を
  推進すること。
 一、協会は、地域文化の向上に資するよう、地
  域に密着した放送サービスの充実・強化に努
  めること。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#246
○委員長(粕谷照美君) ただいま大森昭君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#247
○委員長(粕谷照美君) 全会一致と認めますしって、大森昭君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、渡辺郵政大臣並びに川日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺郵政大臣。
#248
○国務大臣(渡辺秀央君) ただいま日本放送協会平成四年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上御承認をいただき、厚く御礼を申し上げます。
 本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり御趣旨を十二分に尊重してまいりたいと存じます。
 まことにありがとうございました。
#249
○委員長(粕谷照美君) 川日本放送協会会長。
#250
○参考人(川口幹夫君) 日本放送協会平成四年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして厚く御礼申し上げます。
 本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣の意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。
 また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを外しまして執行の万全を期したいと考えている次第でございます。
 まことにありがとうございました。
#251
○委員長(粕谷照美君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#252
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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