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1992/04/23 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 運輸委員会 第5号
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1992/04/23 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 運輸委員会 第5号

#1
第123回国会 運輸委員会 第5号
平成四年四月二十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     対馬 孝且君     堀  利和君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     三治 重信君     寺崎 昭久君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     堀  利和君     矢田部 理君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     鳩山威一郎君     沓掛 哲男君
     矢田部 理君     堀  利和君
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     伊江 朝雄君     井上 章平君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         峯山 昭範君
    理 事
                上杉 光弘君
                松浦 孝治君
                櫻井 規順君
                片上 公人君
    委 員
                井上 章平君
                鹿熊 安正君
                片山虎之助君
                野沢 太三君
                二木 秀夫君
                稲村 稔夫君
                佐藤 三吾君
                渕上 貞雄君
                堀  利和君
                小笠原貞子君
                吉田 之久君
                寺崎 昭久君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  奥田 敬和君
   政府委員
       運輸大臣官房長  豊田  実君
       運輸省運輸政策
       局長       大塚 秀夫君
       運輸省鉄道局長  井山 嗣夫君
       運輸省海上交通
       局長       大金 瑞穂君
       運輸省海上技術
       安全局長     戸田 邦司君
       運輸省海上技術
       安全局船員部長  金子 史生君
       運輸省港湾局長  上村 正明君
       海上保安庁次長  小和田 統君
       海上保安庁警備
       救難監      茅根 滋男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        長谷川光司君
   説明員
       環境庁水質保全
       局企画課海洋汚
       染・廃棄物対策
       室長       木下 正明君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部環
       境整備課産業廃
       棄物対策室長   三本木 徹君
       水産庁研究部漁
       場保全課長    吉崎  清君
       資源エネルギー
       庁石油部精製課
       長        田中 正躬君
       建設省建設経済
       局建設業課長   風岡 典之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○船員法の一部を改正する法律案(内閣送付、予
 備審査)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(峯山昭範君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、対馬孝且君が委員を辞任され、その補欠として堀利和君が選任されました。
 また、去る十七日、三治重信君が委員を辞任され、その補欠として寺崎昭久君が選任されました。
 また、昨二十二日、鳩山威一郎君が委員を辞任され、その補欠として沓掛哲男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(峯山昭範君) 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○櫻井規順君 今、海洋があれこれの事情で大変汚染をされてくるという事情のもとで、IMO、国際海事機関が非常に積極的にこれに対応しているということを聞いているところであります。本日の海防法の改正もまたIMOの決議に基づく国際条約の批准に基づいた国内法の改正だというふうに受けとめているところであります。とりわけ、船舶からの油の流出、その中でも船舶の事故による油の流出がもたらす海洋汚染を防止するための新たな措置を講ずる法律改正だというふうに理解するものであります。
 以下、質問をするわけでありますが、最初に海洋汚染の実情なりこの観測体制の問題、そしてまたIMOの一連の決議と国内法の整備、こういうものを最初に取り上げて改正法案の中身に逐次入ってまいりたいというふうに思います。
 最初に、海洋汚染の関係で観測並びにその対策について質問をいたしたいと思います。
 我が国の海洋汚染の観測については海上保安庁、環境庁、気象庁、水産庁とそれぞれなさっているわけでありますが、もの歴史と、そして行っている中身からして海上保安庁の海洋調査が一番進んでいるというふうに受けとめているものであります。
 最初に、運輸省に海上保安庁の関係で質問をさせていただきます。
 海上保安白書によりますと、海洋の汚染を分析しているわけでありますが、まず第一に、油による汚染、油以外による汚染と、こう区分けされているわけであります。油による汚染源は船舶からのものが八三%余と記録され、油以外による汚染につきましては船舶というよりも陸上からの発生源の方が多いわけであります。
 きょうは、船舶からの事故による問題を取り上げるわけでありますが、まず最初に、油以外による汚染で船舶以外の陸上からの海洋汚染、この現状あるいはこれに対する基本的な対応というのはどうなっているか、まず運輸省、所管以外にかか
わる問題かもしれませんが、御答弁いただけますか。
#5
○政府委員(小和田統君) 油以外のものによる海洋汚染につきまして御説明申し上げます。
 平成二年の数字でお答えいたしますが、油以外のものによる海洋汚染は全部で三百五十四件ございました。その中で、先生御指摘のとおり、陸上からのものが二百三十五件、六六%程度を占めております。この二百三十五件の中身でございますけれども、実はその八〇%以上、件数にいたしますと百八十八件が家庭で生ずる生活廃棄物あるいは建設廃材といった内容のものでございます。
 今、生活廃棄物と建設廃材あわせて申し上げましたけれども、実は内容的には、その百八十八件の中の恐らく九割前後のものは家庭等で生ずる生活廃棄物、具体的に申し上げますと、台所の生ごみあるいは家庭の古着、その他家庭から出るごみ、いろんなものが入っております。
 海上保安庁といたしましては、このような陸岸からの廃棄物の不法投棄によって海洋が汚染されるという可能性の高い海域を中心に巡視船あるいは航空機の重点配備警戒によって摘発に努めているわけでございますが、今後とも積極的な監視取り締まりを実施していきたいと考えております。
 それからまた、民間の方々五百七十人を汚染防止推進員、いわゆるモニターでございますけれども、そういう委嘱をしておりまして、汚染の発見とか通報についての協力をいただいているわけでございます。
 ただ、今申し上げましたように、陸上からの汚染の相当部分が実は家庭等の廃棄物ということでございまして、これは一般の民間の方が港の片隅にごみですとか古着等を投げ捨てるというようなケースが多いわけでございますので、単に海事関係者だけではなくて、やはり一般の方々を含めまして海をきれいにしていかなければいけない、海を大事にしていかなければいけない、そういうPR、汚染防止思想の普及徹底ということにも努力をしていかなければいけないと考えております。
 そういう意味で、全般的なことで対応していきたいというふうに考えている次第でございます。
#6
○櫻井規順君 同じIMOで国際会議を開いて決めたロンドン・ダンピング条約というのがあるわけであります一ちょっとこれは質問通告にないかもしれませんが、陸上からの廃棄物を船に積んで投棄する場合の取り締まりかと思うんです。陸上からの廃棄物処理との関連でこのロンドン・ダンピング条約の海防法なり国内法への取り込み方というのはどうなっていますでしょうか。
#7
○政府委員(大塚秀夫君) 海洋汚染防止法は昭和四十五年にできた法律でございますが、その後の国際条約等の批准に伴いまして数度改正しております。ただいま先生御指摘の条約については、法律の改正によってすべて内容としてございます。
#8
○櫻井規順君 次に、船舶からの油による汚染の原因分析ですけれども、今回は船舶のいわば海難事故による汚染防止が主題になっているわけであります。実は、船舶からの油による汚染の原因としては、取り扱い不注意が一番比率が高い。その次に海難事故による油の流出、それから三番目に故意による海洋汚染である、こうなっているわけであります。
 この取り扱い不注意による油の流出に、よる汚染の実情あるいはその防止策というのはどういうふうに講じられていますでしょうか。
#9
○政府委員(小和田統君) 船舶からの油による汚染の中で取り扱い不注意によるもの、確かにかなりございますが、内容は油の船積みあるいは陸揚げ、この中には積み荷である油、それから船の燃料油あるいは潤滑油、いろんなものがございますけれども、そういう際のバルブ操作の誤りあるいは油の量を監視するための計測が適当でなかったといったような原因で発生したものが三分の二程度ございます。したがいまして、船舶への立入検査あるいは汚染防止講習会といったようなことを常時やっているわけでございますけれども、そういう機会をとらえて作業の関係者に対して手順マニュアルを配付するあるいは汚染防止の指導をするというようなことをやっております。今後とも、そういう点についての一層の周知徹底を図っていきたいと考えております。
 また、外国船によるその種のケースにつきましては、外国語のパンフレットを配付し指導もしております。
#10
○櫻井規順君 どうでしょうか、この船舶による油の汚染の原因で今私三つ、取り扱い不注意、海難事故、故意、こういうふうに言っているわけですが、この構成比というのは変化しているでしょうか。お聞きしたいのは、取り扱い不注意なり故意による汚染というのは減少してきているでしょうか一向に減らないのか、いかがでしょうか。
#11
○政府委員(小和田統君) お手元にそれぞれの内訳の件数がございますけれども、過去五年について見ましたところ、全体としては低下傾向のようにも見えますが、年によってやはり多少の増減がございまして、大勢的には余り変わらないというお答えをさせていただきたいと思います。
#12
○櫻井規順君 MARPOL条約に基づく事故による汚染防止対策だけでなくて、こっちの面の汚染防止対策をやらないと片手落ちになると思いますので、そこの点に重点を置いて取り組まれることを要望しておきます。
 次に、海洋汚染の実態を見てみたときに、太平洋岸の汚染実態というのは油による汚染の比率が非常に高くて、九州沿岸、瀬戸内、日本海というのは概して油以外による汚染が多いわけですが、これは何が原因でしょうか。
#13
○政府委員(小和田統君) 確かに、瀬戸内海及び日本海側にそのようなデータが出ておりますけれども、瀬戸内海の場合は油以外の汚染が全体の汚染の約五三%でございます。それから、日本海側におきましては二十九件ございますが、全体の約三六%になっております。
 御指摘のとおり、油以外のものが占める比率が比較的高いわけでございますが、その原因につきましては大部分が家庭から排出されるごみあるいは魚のかすといったようなもので、陸上から排出されてきたものでございます。なぜそうであるかということについては必ずしも詳細はわかりませんけれども、少なくとも日本海側あるいは九州沿岸につきましては、油による汚染が他の地域に比べて相対的に少ない結果として油以外のもののウエートが高くなっているということが推定されます。
 いずれにいたしましても、御指摘の海域を含めまして監視取り締まりを強化し、あるいは今申し上げましたような家庭から排出されるごみ等が多いということにかんがみまして、海事関係者だけではなくて国民一般に対して汚染防止の思想の普及についても努力してまいりたいと考えております。
#14
○櫻井規順君 いろいろと海上保安庁は調査をなさっているわけであります。CODあるいは重金属の関係、PCB、浮遊物等々やっているわけですが、やはり調査によりますと、特にCOD、PCB、重金属に関しては湾の奥の部分、これは当然陸上から出る汚染がきついわけであります。全体的には低いが、湾の奥でレベルが高いというふうに分析をしているようでありますが、この実情はいかがでしょうか。
#15
○政府委員(小和田統君) 海上保安庁におきましては、昭和四十七年から東京湾、大阪湾、瀬戸内海その他全国十二の主要な湾等につきまして定期的にいろいろな汚染物質の濃度を分析、測定しております。油はもちろんでございますけれども、油分以外のもの、PCBでありますとか重金属等についての測定をしているわけでございますが、確かに湾の奥の方が湾口部に比べまして若干高いという感じはいたします。ただ、物質によっても一様ではございませんし、必ずしもどの程度高いかということはなかなか言いづらい、若干高目だという程度の感じでございます。
 なお、いずれにいたしましても、各湾各調査地点とも海水の汚染は低レベルでございまして、さらに昭和四十七年以来汚染が特に最近進んでいる
という進行状況ではございません。
#16
○櫻井規順君 ぜひそのデータを、また後で結構ですからお示しいただきたいというふうに思います。
 海上保安庁の海洋調査の観測点ですけれども、海洋のどの部分を調査なさっているのか。日本の領海といいましょうか沿岸だけに限られているようでありまして、まあ極端に言えば赤道直下とか太平洋の大きく割って幾つかのポイントとか大西洋、インド洋、紅海、日本海とか、そういう外洋の海洋汚染の実態観測というものが必要なときにきているというふうに思うわけでありますが、海上保安庁の観測エリアというのは今どういう範囲に押さえているのか、そしてそういう外洋の観測というものはどういうふうにお考えになっているのかあるいは国連のしかるべき機関がやっているのかどうなのか、その辺をお答えください。
#17
○政府委員(小和田統君) 海洋汚染の国際的な観測につきましては、ユネスコの中に政府間海洋学委員会という組織がございますが、そこのプロジェクトとして取り組まれているわけでございます。
 内容は、石油類につきまして各国が共同で調査を行っているというもので、成果は各国ともお互いに交換するあるいは公表するということにしておりますが、我が国もこれに参加いたしまして、周辺三百海里、キロメートルに直すと五百五十キロ程度でございますが、その範囲の海域についてこのプロジェクトの一員としての調査を実施しております。
 なお、それに加えまして、我が国の沿岸あるいは先ほど申し上げました湾等については、石油類だけではなくてPCBとか重金属等についても別途独自の調査を行っている次第でございます。
#18
○櫻井規順君 そのユネスコのプロジェクトの観測項目というのは、大きく言ってどういう中身でしょうか。
#19
○政府委員(小和田統君) 現在のところ石油類に限られております。
#20
○櫻井規順君 次に、環境庁にお伺いをいたします。
 環境白書に若干触れられているわけでありますが、港湾、日本近海の海洋汚染の観測について環境庁としての調査というのはどのように進められているでしょうか。
#21
○説明員(木下正明君) お答えいたします。
 環境庁の方でも、先生の御指摘のとおり、関係省庁四省庁の中で連絡をとりながら日本周辺海域における海洋汚染の実態を把握するための調査を昭和五十年度より毎年行っております。この調査は日本近海海洋汚染実態調査という名称でございます。参考までに平成四年度の予算を申し上げますと、約七千万円でございます。
 それから、調査の内容でございますが、この日本近海海洋汚染実態調査の調査項目は、海水の水温、塩分、水素イオン濃度、溶存酸素量といった基本的な事項にあわせまして、水質につきましては、水銀、カドミウム、砒素、鉛等の重金属、それからPCB、有機すず等の有害な化合物、それから窒素、燐といった栄養塩類、それから油分、こういったものを調査しているわけでございます。このほかプランクトンの調査や海底中の重金属の分析、最近になりましては参考的に、浮遊しているプラスチックの状況といったものも調査しております。
 私どもの方では、環境汚染の実態というものを把握したいということで調査をやっているところでございます。
#22
○櫻井規順君 厚生省は水質についての環境基準を持っているわけでありますが、海域についての環境基準もあるわけです。この海域というのはどの辺のところで線を引くのか。そして、海洋の汚染のかなりレベルの厳しい、一定の重金属にしても海へ入れて全部希釈するという考え方が長いこと強かったわけですから環境基準というのをどういうふうに設けていいのか私もあれはありませんが、環境庁で海洋の環境基準というものは検討されているんでしょうか、いかがでしょうか。
#23
○説明員(木下正明君) お答えいたします。
 環境基準は公共用水域というところへ設定するようになっております。これは現在の環境基準のことでございます。公共用水域につきましては河川あるいは湖沼、それと地先の海域ということでございまして、基本的には太平洋の真ん中の環境基準を私どもがつくっているというものではございません。
 そういう面からいたしますと、そこの部分につきましては海洋のそういった基準を明確にしていく必要が今後の課題ではあろうかと思いますが、まだその状況には至っていないということでございます。
#24
○櫻井規順君 我が国では、海上保安庁が海洋汚染調査というものは進んでおりまして、環境庁の方はまだ出発して間際という感じが強いわけであります。いずれにしましても、船の航行の安全を守るという海洋調査が進んでいるわけでありますが、文字どおり環境保全という立場からの海洋調査の時代に入っているというふうに思うわけであります。
 そういう意味において、外洋を含めた海洋調査に環境庁が大いに乗り出すべきときにきているというふうに思うわけでありますが、その辺の新たな施策といいましょうか方針というのはいかがでしょうか。
#25
○説明員(木下正明君) 私どもが五十年度以来やっております調査の主目的は、先ほど先生の方からもお話がありましたとおり、船舶からの海洋汚染と申しますよりも隆起源の海洋汚染が中心でございます。その問題意識は、陸で発生いたしましたごみを今海洋投入処分しております。そういう海洋投入処分の場所、具体的にはA海域、C海域あるいはB海域と、こういったところを中心に調査をやっているところでございます。
 そういう面からいたしますと、やはりその調査の主眼は若干沿岸ではございますが、そうした海岸から二百海里ないし三百海里のところが重点かと思いますが、今後さらにそういった広域的な調査についても関係省庁と連絡しながら検討をさせていただきたいというふうに思います。
#26
○櫻井規順君 どうぞ、海洋調査を環境庁が主役になって調査する時代が早く来ますように御要望申し上げておきます。
 環境庁さんは以上で質問終わらせていただきます。ありがとうございました。
 次に、エクソン・バルディーズ号事故について取り上げてみたいと思います。
 アラスカで一九八九年の三月二十四日に大型タンカーの事故があったわけでありますが、この事故の概要、油の流出量、周辺への被害の特徴を簡潔に御答弁いただけますか。
#27
○政府委員(大塚秀夫君) エクソン・バルディーズ号の事故日等は先生今御指摘のとおりでございまして、原油約四万キロリットルが海上に流出し、これに対する防除作業は初期対応がおくれ北ことに加えまして、気象、海象条件が厳しくて地理的条件も悪かったために難航いたしました。
 油の拡散を防止することが十分できませんでしたので、流出した油はアラスカ湾一帯に広がり、五月下旬には事故発生現場から五百海里の海域に達して、広範囲にわたって沿岸海域を汚染したわけでございます。アラスカ湾沿岸のラッコなど貴重な動植物の生息地やサケなど海洋生物に大きな影響を与え、米国における最大の油排出事故となったと理解しております。
#28
○櫻井規順君 このバルディーズ号の積載量は二十万キロリットルというふうに聞いておりますが、二十万キロリットルのうち四万キロリットル、大変な量が流出したわけです。四万キロリットルというのは正確な記録なんでしょうか、あとの十六万キロリットルというのは船にしっかり保存されていたということでしょうか。
#29
○政府委員(大塚秀夫君) 先生御案内のとおり、タンカーはそれぞれタンクが分離しておりまして、私どもが報告を受けていますところは、積載のうち四万キロリットル程度が流出したというように聞いております。
#30
○櫻井規順君 この被害海域の広がりについて今お話があったわけです。海岸線で言いますと大変な長さのようでして、正本の本州の太平洋岸全域くらいの広い範囲にわたって汚染したというふうにリポートを読んでいるわけでありますが、陸上の被害といいましょうか海岸の被害といいましょうか、それはアメリカだけにとどまったのでしょうか。そしてまた、この被害に対する清掃、復元という課題は、ほぼ三年たっているわけでありますが、その後の進展についてどういうふうに把握されていますでしょうか。
#31
○政府委員(大塚秀夫君) アラスカ海岸一帯が汚染されたと聞いておりますが、その後いろいろ地元、アメリカ本州からの協力等で原状回復の作業の努力がなされ、現在は相当程度回復している、原状に戻っていると聞いております。
#32
○櫻井規順君 相当程度回復という、何かこれは細かな権威のあるその後の経過についてのリポートというのはあるのでしょうか。
#33
○政府委員(大塚秀夫君) まだ正式な詳細なレポートというものは私ども手元にございませんが、また今後出てまいりましたら十分検討したいと思います。
#34
○櫻井規順君 ぜひ正確な経過を知りたいわけであります。
 このバルディーズ号事故によりましてアメリカの国内における油濁防止あるいは環境保全、そういう面でアメリカの国内法は州法、連邦法の両方の体制を含めまして非常に前進しているように聞くわけですけれども、その辺はいかがでしょうか。
#35
○政府委員(大塚秀夫君) アメリカは国内の規制をタンカーの二重船体の規制等強化いたしまして、かっこれは自国だけの問題ではないということで、サミット等でアメリカが中心になって提案して国際条約に至ったと理解しております。
#36
○櫻井規順君 アメリカがサミットあるいはIMOへ提起する前にアメリカ国内自身が油濁防除作業計画書というふうなものを国内法で整備して取り組んでおり、そしてアメリカにとって外国の船舶の特に油の船積みあるいは荷揚げ、こういうものの計画書について非常に厳しい注文が現在あるという話も聞くわけですが、いかがでしょうか。
#37
○政府委員(大塚秀夫君) 厳しい規制になって、そのような対応が行われていると聞いております。
#38
○櫻井規順君 このバルディーズ号の事故の原因は何でしょうか。
#39
○政府委員(大塚秀夫君) 事故の原因について詳細は理解しておりませんが、当時の気象、海象条件の中で操船ミスによって座礁して船に穴があいて油が流出したようでございます。
#40
○櫻井規順君 要するに、人為的なミスによる事故だというふうに思うわけであります。聞くところによると、船長さんが大分泥酔状態で乗っていて事故直前におりるとか操船上の人為的なミスが大きいというふうに思うわけであります。事故発生にとって人為的ミスというものも非常に大きいというふうに思うわけでありますが、この人為的ミスに対する対応です。
 今度の場合は、事故が起きた後で油の災害防止のためのMARPOL条約改正なんですけれども、人為的ミスの方についてのチェックというのはその後進んでいるでしょうかどうでしょうか。かつ、アメリカにおいてはいかがでしょうか。
#41
○政府委員(大塚秀夫君) アメリカにおいても当局から、船主といいますか海運会社に対して十分教育訓練を徹底するようにと指導したと聞いております。また、国内においても船員、特に船舶職員の管理体制、教育訓練について常日ごろから指導しているところであり、また油濁防止管理者等に対する指導徹底ということをその後もやっているところでございます。
#42
○櫻井規順君 次に、IMOの最近の条約なり諸決議、それと海防法との関係についてお伺いをいたします。
 今度のバルディーズ号の事故に関連をしてサミットに課題が持ち込まれ、サミットからIMOに課題が付託されて今日MARPOL条約が改正になり国内法の改正、こう至ってきた経過があります。このバルディーズ号の事故に関連してIMOがとった措置として、このMARPOL条約の議定書の附属書TUVのTの改正問題とOPRCという新たな対応がなされているというふうに聞くわけですが、基本的に言ってこのバルディーズ号の事故の後、IMOが国際的に対応したものは何でしょうか。
#43
○政府委員(大塚秀夫君) エクソン・バルディーズ号を契機としてサミット等の要請を受けまして、IMOでは事故発生時の防除体制の強化とタンカーの構造基準の強化についてそれぞれ検討を行うこととなりました。
 防除体制の強化につきましては、初動体制の強化としての船舶などに対します油濁防止緊急措置手引書の備えつけを初めとした油防除に関する国全体のシステムあるいは国際的な協力体制づくりなどに関しまして約一年ほどの検討を行い、平成二年十一月に国際的な協力関係のもとで全世界的に防除能力の向上を図ることを目的といたしましてOPRC条約を策定いたしました。
 また、このOPRC条約の中で、船舶に対する油濁防止緊急措置手引書の備えつけにつきましてはそれをできるだけ早期に実施するために、既に発効しておりますMARPOL条約で規定することとし、平成三年七月にMARPOL条約の改正が採択されたところでございます。
 また、これらの新条約の策定作業と並行しましてタンカーの構造基準を定めているMARPOL条約について見直しか行われて、ことしの三月、一定のタンカーについては二重ハル、二重船体構造を義務づけることとする条約の改正が採択されております。
#44
○櫻井規順君 逐次、MARPOL条約の改正に伴う国内法の整備に触れてまいりますが、その前にもう一つ、IMOで去年ごとしにかけて海洋汚染防止のための決議がなされているように報告を聞くわけでありますが、今おっしゃったタンカーのダブルハルの問題、それからバラスト水排水規制の問題、それからフロン、ハロン等の規制の問題が出されているように聞きますが、その辺はいかがでしょうか。
#45
○政府委員(大塚秀夫君) 今、先生御指摘のようなそれぞれの問題が決議され、あるいは条約の改正が行われておりますので、それぞれについて今回の法律改正あるいは二重船体の問題についてはこの法律に基づく省令の改正の検討、またフロン、ハロン問題につきましては業界への指導等、個別に私どもも対応しているところでございます。
#46
○櫻井規順君 今回の法改正は、油濁防止緊急措置手引書の一定の船への必置の問題が提案されているわけでありますが、今局長がおっしゃったタンカーのダブルハルの問題、フロン、ハロン等の規制あるいはバラスト水の排水規制の問題あるいはMEPCですかの批准等に関連をしてやはり海防法の改正問題というのは提起されるものでしょうか、いかがでしょうか。
#47
○政府委員(大塚秀夫君) 今この法律の改正の内容になるわけでございますが、油濁防止緊急措置手引書の備えづけについては法律改正ということで今御審議をお願いしておるわけでございます。
 それから、タンカーについての二重船体構造の義務づけにつきましては、これは附属書の改正が来年の七月に発効予定でございますのでそれに対応して、これは法律に基づきます省令の手当てで措置できますので現在検討中ということでございます。
 また、ハロン、フロンの問題につきましては消火装置の技術の開発等の問題もございまして、これを直ちに全面禁止ということも困難な状況でございますので、できるだけ他の消火装置の設置で済むようなところにはそれをやり、使用を自粛するように業界を既に指導しているところでございます。
#48
○櫻井規順君 以下、今度の法改正に直接関連した事項に入ってまいりたいと思います。
 最初に、現行法で油濁防止規程というのがあるわけであります。今度新たに手引書を設けるというこの関連ですけれども、今私は一連の質問をしたわけでありますが、油濁防止規程というのはいわば未然防止であって、新たな手引書というのは災害が発生した時点でどう対応するかというマニュアルであるという理解でよろしいでしょうか。
#49
○政府委員(大塚秀夫君) 先生御指摘のとおりでございます。
#50
○櫻井規順君 それでは、まず手引書からお伺いをしてまいります。
 この油濁防止緊急措置手引書の具体的な内容は、簡潔に言ってどういう項目になりますでしょうか。
#51
○政府委員(大塚秀夫君) これは条約上、手引書に規定することとされております四項目がございまして、まず第一に、油汚染事故の通報に関して遵守すべき事項、それから第二に、油汚染事故の際に連絡すべき当局、海上保安機関等のリスト、それから第三に、油汚染事故が発生しました際に乗組員が直ちにとるべき作業等の措置、四番目に、油の防除に際しまして国や地方当局と船内の措置についてそれぞれがどう分担するか等の調整のための手続、それから船舶の通報体制、これらが内容となるわけでございます。
#52
○櫻井規順君 問題は、この手引書というのは端的に言ってどのくらいの量になるものなのか。そして、この手引書は船内のどういうところに備えつけさせるのでしょうか。船員だれもがいつでも見られるようなところに掲示しておくことが肝心だというふうに考えるわけでありますが、これは省令等で具体的にその辺は定めるものなんでしょうか、いかがでしょうか。
#53
○政府委員(大塚秀夫君) まず第一に、内容につきましては今申し上げました四項目について船の航路等によって違います。幾つかの航路に行くときには、それぞれの航路に応じて油事故が生じたときの通報先というのがたくさん記入されるということになりますが、一般的に申しまして緊急時の参考書でございますから、なるべく簡単な何枚かのマニュアルというような形でひな形をつくるべく今検討しているところでございます。これは、実際にこういった参考書を参照します関係者の御意見も聞いて内容を定めるつもりでございます。
 それから、この手引書を備える場所でございますが、油事故が発生した際に直ちにこのマニュアルを見ることができるような場所、例えば船長が指揮をとりますブリッジあるいは防災機関への連絡をとります通信室、こういったわかりやすい場所に備えつけさせるようにするべく、これは省令として義務づけますかあるいは通達にしますかまだこれから検討しますが、いずれにしても明確にしておきたいと考えております。
#54
○櫻井規順君 この手引書は船員にどういうふうにして周知するのかと今は掲示場所をお伺いしたわけでありますが、例えば講習会を持つとか全員に手引書のコピーを渡して周知するとかいう問題、この辺はどうか。
 そしてまた、船には必ずしも日本人ばかり乗っているわけじゃありませんで、外国語による指導というものはどうなさるのか。特に、アジア系の外国人船員というのは当然乗っていることを前提にしなければならないと思いますが、これは英語のだけではなくて外国語はどの範囲でお考えになっているか、その辺いかがでしょうか。
#55
○政府委員(大塚秀夫君) まず、国から船員、海運会社への周知につきましては、私ども毎年全国で海洋汚染防止の講習会をやっておりますので、ことしは特にこのマニュアルについての講習を通じて周知徹底を図っていくつもりでございます。また、船会社におきましては船長や油濁防止管理者に対してこの内容について講習をし周知するように指導させていただくつもりでございます。
 また、当然船長、油濁防止管理者というのは船員にこういうものを周知させる、教えるという業務があるわけでございますが、それについても私ども指導していきたいと思っておりますし、船員の数が多くて周知が十分行われるかどうかというような船についてはコピーをして船員に渡るように、これも指導するつもりでございます。
 それから、このマニュアルにつきましては条約附属書で、船舶職員が通常使用している言語ということになっております。混乗船も船舶職員は、混乗でございますので日本人船員が当然船舶職員になっておりますし、また日本人船員が指導するということで、基本的に通常の場合には英語のわかる外国人船員が混乗しているわけでございますから、そういう場合には英語のマニュアルを備えつけるということがこれは条約上も必要になってまいります。
 これはちょっと例外的だと思いますが、英語がわからないような乗組員が主たる場合には、またそのような人たちのわかるような言語のマニュアルを用意するように指導したいとは思っております。
#56
○櫻井規順君 ぜひそういうふうに、話は具体的な話ですので、船員の母国語による記載ということを配慮いただきたいと思います。
 先ほど少々触れたんですが、油濁防止規程と今度の手引書の関係ですが、これは重複するというところはないでしょうか。
#57
○政府委員(大塚秀夫君) 今回の省令措置等によりまして、原則として未然防止と事後措置ということで重複するところがないようにするつもりでございます。
#58
○櫻井規順君 この油濁防止規程は船舶検査の対象とされていないわけであります。これは当然検査の対象にすべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
#59
○政府委員(大塚秀夫君) 先生御指摘のとおり、油濁防止規程は船舶検査の対象になっておりませんが、これは規程が日常的な油の取り扱い作業に関するもので、船内の冷静な対処、平常的な対処が期待できる場合のマニュアルでございますので、特に検査対象とする必要が乏しいということで今は検査対象になっておりません。
 ただ、海上保安庁ないし運輸省の担当官の立入検査の際には、マニュアルについてはこの油濁防止緊急措置手引書と同様に油濁防止規程についても不備がないかどうかということについて検査を行うように指導していくつもりでございます。
#60
○櫻井規順君 今度の手引書を備えつけるべき対象船舶として今の油濁防止規程よりもかなり厳しくして、タンカーについては百五十トン以上と、こうなっているわけであります。ノンタンカーについては四百トン以上となっているわけでありますが、やはり規制の対象外に置かれた船舶が非常に多いと思いますし、またそういうタンカーの事故も近年多いわけであります。これはいま少し全体に準用するという考え方で対象を広げるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#61
○政府委員(大塚秀夫君) 今回は条約に従ってこのような範囲にしたわけで、一つは、この程度の船舶以上になりますと油の排出量が事故の場合に多いということ、それからこの対象外の船というのは比較的小型船で沿岸海域の特定海域を航行するので、例えば通報先等についても十分知っていをケースが多いということから法律上義務づけておりません。
 しかし、小さな船、特に小さなタンカーについてもこのような油濁防止規程あるいは緊急措置手引書を備えつける方がより望ましいことはそのとおりでございますので、私ども、法律上の義務ではございませんが、必要に応じてこのようなマニュアルを備えつけるように今後指導していくつもりでございます。
#62
○櫻井規順君 今度の手引書で通報体制を整えるわけでありますが、この通報を受けとめる側の陸上の無線の聴守体制といいましょうかその整備はお考えになっていますでしょうか。従来どおり海上保安庁、海上災害防止センターがこれに当たるという理解でしょうか。
#63
○政府委員(茅根滋男君) 海上保安庁は、本庁、管区本部、海上保安部署等におきまして二十四時
間の当直体制をしいておりまして、無線あるいは船舶電話等によります情報を受けておりますけれども、これは単に油排出事故対応ということだけではございませんで、海難救助あるいは密漁取り締まり、もろもろの事件に対応してそういう事件に迅速に対応できるような即応体制を維持しております。今後ともますます強化をしていきたいというふうに考えております。
 災害防止センターにおきましては海上保安庁ほど密な当直はできませんけれども、昼間はもちろんオフィスにおきまして、夜間におきましても当直担当の者が自宅の電話番号等を登録しておきまして、船主あるいは海上保安庁との連絡を密にするというような方法で連絡体制は確保したいというふうに考えております。
#64
○櫻井規順君 この法律の施行日は来年の四月四日となっているわけであります。そして、現存船について手引書を整えるのは施行の二十四カ月後と、こうなっているわけであります。
 御案内のように、一年間に発生するタンカーあるいはノンタンカーの事故というのは非常に多いわけであります。マニュアルを備えつけるという作業にこんなに時間を要するものなのかどうなのか。この二十四カ月という期間は、むしろ行政指導としても短縮をさせるということが必要ではないかというふうに思うわけであります。その辺いかがでしょうか。そしてまた、来年の四月四日の施行というのは、これは間違いなく可能でしょうか。
#65
○政府委員(大塚秀夫君) 現存船に設けられております二年間の猶予期間は、大部分の内航船の定期検査が四年、中間検査がその間に一回ということで二年周期の検査で、その間隔でございます二年に対応して定められたものでございます。検査を受けなければ海洋汚染防止証書が発行されないものですから、法律上の義務は二年間猶予したということになっております。
 しかし、現存船につきましてもそれまでに準備が整い次第できるだけ早期に検査を受けるように指導していくつもりでございますし、また検査そのものによって技術基準に適合したマニュアルということでなくても、私どもひな形を発行しますので、マニュアルそのものはその前にでも備えつけるように指導していくように考えております。
 それから発効日については、今のところこの条約について受諾しないという意思表示をしている国はございませんので予定どおり効力が発効しますので、そのとおりになると考えております。
#66
○櫻井規順君 関連しまして、今度のMARPOL条約の議定書の附属書Tの改正に伴って出てきているわけですが、船舶で生ずる汚水による汚染の防止、この附属書Wの批准の見通しというのはどうなんでしょうか。アメリカが批准しないがために発効できないでいるというふうに伺っているわけでありますが、この見通しはどうでしょうか。
#67
○政府委員(大塚秀夫君) 附属書のWというのは、先生ただいま御指摘いただきましたように、汚水についての規制でございますが、この発効要件、「十五以上の国であってその商船船腹量の合計が総トン数で世界の商船船腹量の五十パーセントに相当する商船船腹量以上」、これが「締約国となった日の後十二箇月で、効力を生ずる。」こととなっているわけでございます。
 現時点では、締約国は三十九カ国に上っておりますのでこれはいいわけでございますが、商船船腹量の方がまだ四〇%にとどまっており、発効に至っておりません。
 我が国は、既に昭和五十八年に海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正して、Wを含めてすべての附属書に加入して内容的には対応することになっておりまして、あとはこの効力の発生を待っておりますが、そう遠くない将来において発効するものと我々考えております。
#68
○櫻井規順君 我が国の船舶からの油流出事故というのは非常にやはり多いわけであります。この流出事故というのを見たときに、非常に台風のもとでの事故というのが際立って特徴になっております。こうした条約改正に伴う法律改正があるわけでありますが、我が国のタンカーの事故防止という観点に立った場合に、台風に備えた抜本的な対策が講じられなければならないと思うわけであります。
 この点について、民間の対応を含めまして運輸省の方は研究されているのかどうなのか、いかがでしょうか。
#69
○政府委員(茅根滋男君) 海上保安庁といたしましては、台風による海難の未然防止あるいは被害の局限というようなことを図るために、主要港湾ごとに地元の海上保安部長がヘッドになりまして地方気象台だとかあるいは港湾管理者、ほかに船舶代理店と民間海運業者等を含めまして官民合同で台風対策委員会なるものを置いております。それで最新の台風情報とか進路予測に基づきまして港外への避難時期だとか避難方法等を検討、決定いたしまして関係船舶へ周知を図りまして、適切な避難、早期避難の実施を図っているところでございます。
 そういった場に資するために各地域の海難防止団体がございます。門司あるいは神戸、東京湾というようなところに海難防止団体がございますが、こういうところにおきまして避泊に適する泊地の用地の選定あるいはいかりがきかなくて流されるといういわゆる走錨防止のための台風対策、そういったもろもろのことに対しまして調査研究を行っております。それらの結果を先ほど申しました台風対策委員会等の場に反映するように努めているところでございます。
 そのほか、台風のみならず、平成二年の一月に丹後半島の沖で発生いたしましたマリタイム・ガーデニアという貨物船の油流出事故で荒天下における油の処理の難しさということが浮き彫りになりまして、こういったものを契機に、現在、海上災害防止センターでこのような荒天下における油防除のシステムにつきまして種々検討しているところでございます。
#70
○櫻井規順君 ぜひ、台風に対応する事故防止対策というものを御研究くださいますよう要望しておきます。
 次に、IMOの今検討されている課題で対応についてお伺いをいたします。
 さっきはハロン、フロンということで触れたわけでありますが、今IMOの総会なり海洋環境保護委員会において大気汚染との関係、特にNOxSOx、CO2、この関係でどんな検討がなされているか御答弁いただけますか。
#71
○政府委員(大塚秀夫君) 船舶から排出されます窒素酸化物NOxと硫黄酸化物SOxの抑制対策につきましては、今IMOでMARPOL条約の新しい附属書の策定作業が進められているところであり、一九九四年にこの新附属書を採択して一九九五年に発効させる予定になっております。また、二酸化炭素の抑制策についても同じIMOの場でどういうように取り扱うか検討されているところであります。
 運輸省におきましても、この問題に関しまして専門家を中心とした検討会を設置して新附属書の実施に合わせて国内体制の整備を積極的に進めるつもりでございます。
#72
○櫻井規順君 ことし六月のブラジルでの環境サミットが予定されているわけでありますが、地球温暖化防止のための条約について話し合われることになっております。ブラジル・サミットに向けてのCO2の規制という面で船舶の関係はどんな話が進められているでしょうか。今のIMOとは関係なくお話が進められているかどうなのか御答弁いただきたい。
#73
○政府委員(大塚秀夫君) 今、UNCEDでCO2の問題に関して、船舶からのCO2について特に特定して取り上げられるとは聞いておりませんが、CO2問題に関連して船舶からの排出の対策も取り上げられ、その対策が急がれるような場合になりましたら、運輸省としてもIMOの場における検討に積極的に貢献いたしますとともに国内体制の整備もそれに対応して進めていくつもりでございます。
#74
○櫻井規順君 IMOの第三十一回の海洋環境保護委員会におきまして、何回かの委員会で実は検討されてきて、三十一回の委員会、そして十七回総会というのが昨年末ですか開かれているわけです。ここで、二〇〇〇年までのフロン、ハロンの全廃、そして船舶による大気汚染について討論されて、SOxについては二〇〇〇年までに現行の五〇%、NOxについては現行の七〇%にするという削減目標で合意されたということですけれども、この合意には日本も参加をされていると思いますが、いかがでしょうか。
 そして、現行では船舶の排ガス規制についてはないわけでありますが、この辺はどういうふうにその目標に向かって行政指導を進められていくのか、いかがでしょうか。
#75
○政府委員(大塚秀夫君) 窒素酸化物、硫黄酸化物に対して、CO2の問題につきましてはまだいろいろと検討すべき問題が多いので、私どももこれから専門家の検討にまちたいと思っております。
 窒素酸化物、硫黄酸化物につきましては、先ほども申し上げましたように、今後鋭意その対策について検討するつもりでございます。
#76
○櫻井規順君 昨年の東京都の調査によりますと、都内の魚市場で入手した魚介類の約九〇%から人体に影響がある有機すず化合物が見つかったということであります。これは船底の塗料に含有するトリブチルすず、TBT系化合物がもとだということでございます。この提言について何らかの対応がその後なされているのでしょうか、いかがでしょうか。
#77
○政府委員(大塚秀夫君) 有機すず化合物の一種でございますトリフェニルすず化合物とトリブチルすず化合物は海草や貝類の付着を防止する効果を持っておりますので、主として船底塗料に含まれる防汚剤や魚網の防汚剤として今まで使用されてきましたが、最近環境庁の調査等におきましてこれらの物質が内湾等の魚介類に蓄積していることが指摘されておりまして、運輸省としましても有機すずによる海洋汚染は重要な問題と認識しております。
 このために、船舶所有者、造船事業者に対しまして平成元年度にトリフェニルすず化合物を含有する船底塗料はその使用を取りやめることを指導いたしましたし、平成二年度にはトリブチルすず化合物を含む船底塗料について内港船舶は使用取りやめ、その他の外港船舶にあっては、入渠期間一年程度の船舶はその使用を取りやめるととも、に、それ以外の船舶は船側部だけにトリブチルすず化合物の含有率の低いものを使用すること等を指導したところであります。
 こういう結果、既にトリフェニルすず化合物を含む船底塗料の製造及び使用は中止されておりまして、またトリブチルすず化合物を含む船底塗料の使用量も、この指導前に比べますと三割から四割程度減少しております。
 なお、既に造船事業者においては、新しく建造する契約分についてはトリブチルすず化合物を含む船底塗料の使用を自粛しておりますし、修繕船については既契約分も含めてことしの四月以降の着工分についてその使用を自粛するなど自主規制を講じておりますので、今後トリブチルすず化合物を含有する船底塗料の使用量は減少するものと考えており、その推移を見つつ、必要に応じて私ども指導を強化したいと考えております。
#78
○櫻井規順君 次に、バラストの関係ですけれども、汚れたバラスト水についてこれまたIMOで近年その処理対策について検討されているわけでありますが、どんなふうに検討されていますでしょうか。
#79
○政府委員(大塚秀夫君) これは、先生御案内のとおり、タンカーの貨物油を含む水バラストにつきましては、この法律の四条の規定に基づきまして池水分離を行って油分を取り除いた後に一定の排出基準に従って海洋に排出することになっておりますし、また残りましたスラッジと呼ばれる廃油につきましては、これは海洋に排出できないので船内に貯蔵して、港湾に戻ったときに港湾にあります廃油処理施設に引き渡すこととなっております。
   〔委員長退席、理事松浦孝治君着席〕
#80
○櫻井規順君 特に我が国の対応として、まだ受ける段階に至ってないのでしょうか、それを受けてタンカーの積み上げ港にあるいは中東にしても、汚れたバラスト水の処理施設をつくるような対応が必要だというふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。
 そしてまた、最近問題になっているのは、バラスト水に特定水域に生息する有毒微生物が混入して他の水域に排出されることによって海洋生態系が崩されるという問題も発生し、いろいろと指摘があるところであります。こういう問題にどう対処するおつもりか、いかがでしょうか。
#81
○政府委員(上村正明君) 現在、船舶から発生します水バラスト等につきましては、排出基準を超えるものにつきましては港湾などに設置されております廃油処理施設において処理されることとなっておりまして、我が国では全国八十一の港で百三十一カ所の廃油処理施設が整備されております。
 ただいま御指摘ございました有毒あるいは有害の微生物の問題につきましてはまだ十分私把握しておりませんので、これに対応してどのような措置をとっていいのか十分お答えすることができません。後ほどお答えさせていただきたいと思います。
#82
○櫻井規順君 次に、通産省にお伺いをいたします。
 平成二年度以来予算補助として大規模石油災害対応体制整備事業というのをお決めになっているわけであります。その第一号基地として昨年東京湾の千葉県市原市に一号基地が着手されたというふうに伺っております。この大規模石油災害対応体制整備事業の概要と、そして平成三年、平成四年についてどこに二号、三号とおつくりになっていくのか簡潔に御答弁いただけますか。
#83
○説明員(田中正躬君) 先ほど先生御指摘のエクソン・バルディーズ号の事故でありますとかペルシャ湾における原油流出といった大規模なオイルスビルの災害が起こっておりまして、そういうことに石油業界としていかに対応していくかということは非常に重要な課題でございまして、石油の安定供給を図るというような観点から、通産省といたしましても大規模な石油災害に対応すべき事業を行っているところでございます。
   〔理事松浦孝治君退席、委員長着席〕
 この計画は、五年計画で一万キロの石油の流出に対応できる資機材を備蓄しようということで平成二年度から進めているわけでございますけれども、先生御指摘の市原市の一号基地でございますが、これは昨年十一月末に市原にある製油所内に八キロメーターのオイルフェンスを備蓄いたしまして、なおかつ輸送が迅速に行えるように特定のコンテナに収納した格好で備蓄をしております。
 二号、三号の基地でございますけれども、今現在、二号の基地につきましてはことしの九月末を目途に瀬戸内海の製油所内に設置すべく検討中でございます。
 平成四年度以降、さらにどういうところに基地をつくるかということにつきましては、油流出事故の発生する可能性でありますとか今現在の資機材の整備状況、そういったことを検討しながら将来に向けて検討していきたいというように考えております。
#84
○櫻井規順君 平成五年までの五カ年計画で五つの基地という理解でよろしいかどうか。そして、一基地で一万キロリットルの処理能力と読んでよろしいのかどうか、まずそれを御答弁いただけますか。
#85
○説明員(田中正躬君) 基地の数につきましては、今後さらに調査を進めていきながら最終的には決めていきたいと思いますけれども、とりあえず二号の基地までは東京湾と瀬戸内海に設置するということでございます。
 それから、一万キロの対応能力でございますけれども、これは五カ年計画で資機材の整備が終
わった段階ですべての基地に備蓄する資機材を動員すれば一万キロということでございます。
#86
○櫻井規順君 通産省でお進めになっているこの基地の建設について、海防法に基づくところの海上災害防止センターとの配置というのが、今度の市原市の場合には千葉にそういう防止センターがあるわけでありますが、防止センターと今度のこの基地との地域的なバランスといいますか日本列島で災害の多発地帯という一つのあれは当然あるわけでありますが、バランスのとれた配置というものを配慮していただきたいというふうに思うわけです。その辺の配慮はなされていますでしょうか、いかがでしょうか。
#87
○説明員(田中正躬君) 先ほどの東京湾の市原にある製油所に設置をしているわけですが、その近くに海上災害防止センターがあるというのは我々存じ上げております。
 ただ、東京湾というのは最も製油所が集中しているところでございまして、そういう意味で、石油業界が民間ベースで進めている備蓄事業、これは海上災害防止センターと協力をすることによって東京湾の一号基地については非常に効果を発揮するのではないかというふうに考えております。
 それから、全体的な既存の海上災害防止センターの位置との関係でございますけれども、これは具体的に今現在の備蓄の状況でございますとか事故の可能性とか、そういったことを総合的に考えて三号以降を決めていきたいというふうに考えております。
#88
○櫻井規順君 どうもありがとうございました。
 運輸省の方に質問するわけでありますが、今度の緊急措置手引書の中の連絡すべき場所として、通産省がお進めになっている基地は対象として挙げることになりますでしょうか。そして、運輸省から見まして防止センターとの関係はどういうふうにとらえられているか御答弁いただけますか。
#89
○政府委員(大塚秀夫君) 後段の問題は海上保安庁からお答えさせていただきますが、前段につきましては、手引書にその連絡先を入れる方向で関係方面と調整していくこととします。
#90
○政府委員(小和田統君) ただいまのお尋ねが海上センターの基地も連絡先に入るかというお尋ねであれば、当然そうなるものと考えております。
#91
○櫻井規順君 時間がありませんので、なお関連をお聞きしたいわけですが、省略させていただきます。
 次に、IMOでMARPOL条約の改正と関連してOPRC条約というものが発効というんでしょうか日本も参加して総会でお決めになったわけですね。そして、これは昨年の十一月二十九日で十五カ国以上の批准国があれば発効という段取りになっていたわけでありますが、このOPRC条約の批准状況はいかがでしょうか、そして発効はされたんでしょうか。
#92
○政府委員(大塚秀夫君) 現在のところ批准国はまだ出ておりません。
 ただ、この条約の内容にかんがみ、そのうち批准国が出て、私ども運輸省でもその対応を今鋭意検討しておりますので、効力発生はそれほど遠くない将来だと考えております。
#93
○櫻井規順君 これは私のあれが間違いでしょうか、九〇年十一月のIMOの国際会議で向こう一年間にわたって批准作業を進めるということで作業を進めてきたというふうに思うわけでありますが、な、ぜ批准に至らなかったんでしょうか。
#94
○政府委員(大塚秀夫君) OPRC条約につきましては、現在私どもも海洋環境保護の観点から意義深いものと考えており、この条約の批准について検討しておりますが、この条約の内容としましては、陸上施設も含んでの油流出発生時の通報の問題あるいはマニュアルの備え置きの問題、それから国内、国際的なシステムの構築の問題等ございますので、こういう問題について今後どのように進めていくかということをもう少し内容を詰めて、かつ国内法で必要なものを整備した上で批准するというような手続になろうかと思っております。
#95
○櫻井規順君 国内的にOPRC条約の批准に向けての体制整備というお話ですけれども、このOPRC条約批准に向けて国内体制整備の上で海洋汚染の防除資機材の備蓄あるいは沿岸諸国への通報体制の確立という面で新たなハード、ソフトにわたる機関をおつくりになるという方針でしょうか、いかがでしょうか。
#96
○政府委員(大塚秀夫君) 新たな機関をつくる必要はないと考えておりますが、例えば国際的な地域システムという場合に、ASEAN諸国との地域油防除システムの構築の問題あるいは日本海というような地域システムをどうするかという問題、こういった問題について検討しなければならないと考えております。
#97
○櫻井規順君 このOPRC条約と関連して運輸省では平成二年度からOSPAR計画という計画をお進めになっております。御案内のように、「アセアン海域における大規模な油流出事故への準備及び対応に関する国際協力計画」、これをお進めになっているわけであります。これはOPRC条約に基づくといいましょうか並行した対応として全く内容を一にするものとして進められているというように思うわけでありますが、現状と対応はどうでしょうか。
#98
○政府委員(大塚秀夫君) OSPAR計画というのは、我が国が、そのタンカールートにもなりますASEAN諸国の油防除の施設の整備あるいはソフト面での専門家の養成等について協力していこうというもので、OPRC条約で言います「地域システム」等について側面からバックアップするものと私ども理解しております。
 OSPAR計画は運輸省が平成二年度から推進しておりまして、昨年の一月にOSPARフォーラムというのを横浜で設けて、各国の意見交換の場としてOSPAR協力会議を開催することが合意されたわけでございます。この合意に基づき、ことしの一月マニラにおいて第一回のOSPAR協力会議が開催されて、油防除資機材の備蓄基地の整備や油防除に関係します情報のコンピューター化等について今後さらに関係各国で検討を継続すること、それから第二回のOSPAR協力会議をことしの十一月ごろインドネシアで開催することが合意されたところであり、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、OPRC条約を側面からバックアップするものとしてこの計画を今後も推進していきたいと考えております。
#99
○櫻井規順君 最後に、大臣に二つお伺いいたします。
 一つは、今の日本のタンカーの航路をとってみましても非常に発展途上国が多いわけであります。ODA対象の国が多いかと思います。こういう状況下で今のOSPAR計画もそうなんですが、かなり日本の援助のもとでこうした海洋汚染防止のハード、ソフトの面での整備が必要になろうかと思います。その辺でどういうふうに貢献をしていこうとお考えになっていますか、これが一つ。
 いま一つは、船舶による大気汚染の関係が環境会議に向けて大変重大な問題になるというふうに考えます。これをどういうふうに防止されようとなさっているのか、その点をお伺いいたします。いかがでしょうか。
#100
○国務大臣(奥田敬和君) 前段で、OSPAR計画に関しての我が国のこれからの役割でございますけれども、御存じのとおり、大変なエネルギー消費というか油を使っている我が国、しかもそのタンカーの航路と申しますかオイルロードはASEANを中心にして大変重要な航路になっておるわけでありますし、先般のバルディーズ号の事故を踏まえまして、やはり初期初動、これが大切であるという形はもう先般の事故の経験によっても明らかであります。
 したがって、我が国としてはこのオイルロード、特にASEAN各城において初期初動体制にいかに対応していくか、汚染防止のためにどういう形のシステムを構築していくかということは、これは本当に大切な重要な課題であるという認識に立っております。
 したがって、これらの面に関して、先生の御指摘のように、ASEAN各国に対して防除体制、汚染防止体制のシステム、そして技術的な援助、さらにこれらに対応する資機材等々に関しては我が国として率先して協力していかなきゃならぬという形で、このOSPAR計画の体制整備というものに対してはもう十分先頭に立って各国の協議、協調を得たいと思っておるわけであります。
 さらに、地球サミットに絡む環境会議でございますけれども、今日の状態というのは恐るべき勢いで地球環境破壊が進んでおる。恐らく、この二十世紀はもうわずかでございますけれども、もう二十一世紀初頭にかけての最重要課題は何だということになると、海洋ももちろん含めてですけれども、環境問題に対していかに我々が早く防衛システムをつくっていくかが人類の共通課題であると同時に、これは先進国の大きな責任でもあろうかと私は思っております。
 そういった面について、特に国内的に見ても環境汚染源と申しますか、交通体系を担当している我が省といたしましてもできるだけそういったCO2排出の少ない交通輸送体系、交通機関の確立という形に全力を挙げていきたいと思っております。
#101
○櫻井規順君 終わります。
#102
○片上公人君 今回の法改正の主眼であります油濁防止緊急措置手引書の内容について若干お伺いいたしますが、百五十トン未満のタンカー及び四百トン未満のノンタンカーについても油濁防止緊急措置手引書を義務づけるべきではないか、こういう意見もあったと聞いておりますけれども、今後それについてどう考えていくのか、またそのような船舶の数はどれぐらいあるか伺いたいと思います。
#103
○政府委員(大塚秀夫君) この手引書を条約の規定に基づきまして総トン数百五十トン以上のタンカーと総トン数四百トン以上のノンタンカーに備え置きを義務づける。ことといたしましたのは、これらの船舶は貨物艙あるいは燃料タンクの容量が大体三百立方メートル以上であり大量油汚染事故を起こす可能性が高いということ、それから定期的な検査及び外国船舶に対する監督が既に行われ、規制の遵守が確保されること等を考慮したためであります。
 また、それ以下の船については、比較的小型で沿岸の決まった海域を航行しているので油事故が発生した場合に通報先などが比較的容易であり、また船の構造そのものも比較的簡単と申しますか単純であるので油排出のときの作業も相対的には容易であろう、こういう判断が条約上も行われたと理解しております。
 ただ、百五十トン未満のタンカー、それから四百トン未満のノンタンカーにつきましてもこのような手引書を備え置く方がより望ましいと私ども考えておりますので、法律上の義務ではございませんが、こういうサンプルができましたらなるべくそれに基づいて手引書を備え置くように指導していきたいと考えております。
 そういう指導対象となるといいますか備え置きの義務のない船は、これは統計が整備されております総トン数五トン以上ということでございますが、総トン数百五十トン未満のタンカーが約千百隻、総トン数四百トン未満のノンタンカーは約五万三千六百隻でございます。
#104
○片上公人君 次に、この油濁防止管理者を置く船舶の範囲を今後拡大していく考えがあるのかどうか伺いたいと思います。
#105
○政府委員(大塚秀夫君) 油濁防止管理者の選任を義務づけている趣旨と申しますのは、相当な数の船員が乗り組んで油の取り扱いに関する作業がいろいろ複雑になっている船舶については船長だけが油の取り扱いに関する作業を統括するというよりも、船長を補佐して油の取り扱いに関する作業の管理を行う者を選任することがもっと効率的であるという理由によるものでございます。
 現在のところ、総トン数二百トン以上のタンカーについては約八名以上の船員が乗り組み、油の取り扱いに関する作業が多岐にわたっていることから油濁防止管理者の選任を義務づけているところでございますが、それより小さな船については四名の船員が乗り組んでいるにすぎませんので、船長自体が油の取り扱いに関する作業のすべてを統括することができるため、選任を義務づける必要性は乏しいものと考えております。しかし、船長については油濁防止管理者に準じて、講習会等のチャンスを通じて油の取り扱い作業についての知識の向上を図っていくつもりでございます。
#106
○片上公人君 油の排出事故状況について伺いたいんですが、昭和六十三年から平成二年の船舶からの油の排出事故のうちで故意及び過失によるものについての送致件数、罰則の内容を具体的に、また実際の罰金はどのぐらいなのかお伺いいたします。
#107
○政府委員(小和田統君) 昭和六十三年から平成二年までの三年間につきまして、船舶からの油の排出に関しまして海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律違反の送致件数は年間約三百件でございます。このうち、故意によるものが約百三十件、過失によるものが約百七十件となっております。それから、このほかに港則法違反、港の区域の中であるいはその周辺で油を流したという違反事件が年間数件出ております。
 それから、罰則でございますが、最初の海防法関係の罰則、故意犯につきましては「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金」、過失につきましては「三月以下の禁錮又は三十万円以下の罰金」となっております。
 それから、実際に科されました罰金の金額でございますけれども、これは私ども統計的なデータは持っておりませんけれども、調べましたところ、最高額で今の三年間につきまして二十万円、それから最低額は一万円となっております。
 なお、平成三年になりますと法定最高額の五十万円を罰金刑として科されたケースもございます。
#108
○片上公人君 故意または取り扱い不注意による船舶からの油排出事故が多いわけでございますが、その対策について今後の取り組み、また海洋汚染の未然防止について日ごろどのような御指導を行っておるのか伺いたいと思います。
#109
○政府委員(小和田統君) 故意による油の排出の中身でございますけれども、約八割がビルジの排出でございます。ビルジと申しますのはエンジンルームその他船底にたまった油分、泊まじりの水でございます。
 したがいまして、これの監視につきましては特に航空機による監視が非常に効果的でございますので、航空機とそれから巡視船艇の連係プレーをとりまして監視を実施しているわけでございます。航空機で排出を確認いたしますと巡視艇がそれを直ちに捕捉、検挙するというようなやり方をしております。
 それから、監視の目が十分届かない海域も現実にございますけれども、そういうところで違法排出したものについては、船舶が入港した際に、油関係のいろいろな船内の記録がございます、そういう記録簿を詳しく調べましてその違法な排出を発見するということもやっております。
 それからまた、取り扱い不注意によるものは、その約三分の二がバルブの操作ないしは油の量の計測、メーターの監視等が不適切であったというために発生したものでございます。この場合は、タンカーよりはむしろ貨物船あるいは漁船が多くなっておりますが、このような不注意によるものにつきましては、検挙だけではなくてその原因に応じて船長その他乗組員等についての再発防止のための指導を行っているわけでございます。
 なお、外国船につきましてはポートステートコントロールと申しまして、お互いに外国船についてのこのような取り締まりを行い、それを相手国とも連携をとって処理するということが行われているわけでございますけれども、我が国もその沿岸国の立場として外国船に対しても同様な取り締まり監視を実施しております。
 なお、ちょっと沿岸から外れたような海域、領
海外で外国船等が油の不法排出をいたしました場合には、これは残念ながらその船が我が国に立ち寄らないで通り過ぎたということになりますと国内法を適用できません。この場合は、それぞれの旗国の政府、登録されている国の政府に対して違反事実の通報を行い適切な処置を求めるという処理をしております。
#110
○政府委員(大塚秀夫君) 後段の未然防止のための指導でございますが、毎年各地で海洋汚染防止講習会を開きまして、船舶乗組員、海運会社など関係者に対し周知、指導、また海で働く人としての意識の高揚等について実施しているところでございます。
 また、海上保安庁におきましても毎年六月に海洋汚染防止推進週間を定めまして、集中的な海洋汚染防止指導を実施しているところでございます。
#111
○片上公人君 事故発生時の実際の油防除におきまして、いわゆる原因者、そして海上災害防止センター及び海上保安庁は具体的にどのような措置をそれぞれ行うのか御説明願いたいと思います。
#112
○政府委員(小和田統君) まず一義的には原因者に処置義務があるわけでございますけれども、原因者は、油の排出が起きますと直ちに時間、場所あるいは排出の状況等につきまして海上保安部署等の関係先に連絡をするとともに、油の排出がそれ以上拡大しないように船の周りにオイルフェンスを張りめぐらせるとかあるいは船が損傷した、それに伴って油が出ているというような場合には、その応急修理をするとかあるいはほかのタンクに油を移しかえるというようなことをするというのが現場での対応でございます。これは原因者と申しましても、とりあえず船上で行う場合には船長がする対応になります。
 それから、排出された油を除去するためには油回収船によってこれを回収する、あるいは油処理剤で処理をするということになります。これは船舶所有者がみずから、あるいはそういう関係の防災事業者等に委託をして行うということになります。
 以上が原因者の行うべき内容でございます。
 それから、海上災害防止センターは、今申し上げました原因者たる船舶所有者から委託を受けて、御説明しましたような防除作業を行うということが一つ。それから、原因者がそのような防除作業を行わない場合に海上保安庁長官の指示のもとにそれをかわって行うという業務がございます。
 それから、海上保安庁の方は、事故あるいは排出の通報を受けますと直ちに巡視船あるいは航空機を出動させるわけでございますが、油の排出状況を把握しあるいは二次災害を発生させないために必要な周辺の航行制限等の処置を行います。それからまた、防除作業を行っている者に対して指導等もいたしますし、原因者が必要な処置を講じていない場合には防災センターに対して防除作業を行うよう指示をするということをいたします。それからまた、もちろん保安庁の巡視船艇等もみずから必要に応じて防除作業を行うことになります。
#113
○片上公人君 今回、MARPOL条約の改正関連の法律改正で海上災害防止センターに関する過料が同時に引き上げられるわけですが、これはなぜなのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
#114
○政府委員(小和田統君) ただいま先生御指摘の過料の引き上げでございますが、内容は海上災害防止センターの役員が特定の違反行為をいたしました場合に、それに対する過料、それから海上災害防止センターでないものがその名称の中に海上災害防止センターという文字を用いた場合の過料についてあわせて見直しを行い、引き上げをさせていただくこととしたものでございますけれども、これは同じような規定がある他の法律に基づく法人等についての規定の過料の額等に倣いまして引き上げをお願いしている次第でございます。
#115
○片上公人君 このセンターは、具体的に今どのような業務を行っておるのか。そして、センターの守備範囲といいますかどの辺まで出動するのか、この辺についてお伺いします。
#116
○政府委員(小和田統君) センターの業務内容は、大別して五つになろうかと思います。
 まず一番が、先ほど申し上げました海上保安庁長官の指示に基づいて、流れ出た油の防除措置を実施すること。二番目が、原因者である船舶所有者等との委託関係に基づきまして、油の防除作業ないしは消火活動等を実施すること。それから三番目が、ふだんから油防除用の資機材を用意しておきまして、船舶所有者その他の防除に当たる者に対してその利便を提供すること。それから四番目が、タンカー乗組員あるいは陸上の製油所あるいは貯油施設等の従業員に対します防災訓練を実施すること。それから五番目に、海上防災に関するいろいろな調査研究。大体その五つの業務に分かれるかと思います。
 設立以来、今日までの実績といたしましては、防除措置の実績が九十六件ございます。それから、船員等に対する防災訓練でございますけれども、受講者が今日まで三万二千名に上っております。それから、災害の防止等に関する調査研究は約九十件でございます。
 なお、現在手持ちの資機材は、オイルフェンスで約五十キロメートル分あるいはそのほかに油回収船十隻あるいは除去材等を全国二十八の基地に保有しているわけでございます。
 それから、出動範囲でございますけれども、これは特に法律上明確な規定はございません。必要があれば海域に関係なくということになろうかと思います。実際にも領海外で防除作業を実施したケースも過去に何件かございます。
#117
○片上公人君 このセンターに関して、過去三カ年のいわゆる一号業務と二号業務の実施状況について説明願いたいと思います。
#118
○政府委員(小和田統君) ただいま先生お尋ねの一号業務と申しますのは、船舶所有者その他原因者が必要な防除措置を講じていない場合に海上保安庁長官の指示に基づいて防除作業を実施するという業務でございますが、これはセンターが設立された当初、すなわち昭和五十一年から五十五年までの五年間に十二件ございました。しかし、その後は船舶所有者がみずからあるいは他に委託して必要な防除措置を実施しているということもございまして、この一号関係の業務はございません。
 それから二号業務、これはあらかじめ船舶所有者等との委託契約に基づいて実施する防除作業でございますけれども、これは最近三年間を例にとりますと二十五件でございます。
#119
○片上公人君 この二号業務の関連ですけれども、船主側が保険会社との連絡調整に時間を要して、船主側からセンターへの連絡がおくれてしまうという場合もあるようでございますけれども、そのような間にも油は流れ続けるわけでございますから事故が拡大するのではないか、こういう心配がありますが、この辺についてはどうですか。
#120
○政府委員(小和田統君) 先ほども御説明しましたように、油が流れ出ますととりあえず現場において、ということは具体的にはその船の船長ということになろうかと思いますが、油の排出をそれ以上拡大しないように防止する措置あるいは流れ出た油をとりあえず除去するための措置を直ちに講ずる義務がございます。船長等はそれに基づいて必要な措置をとることに、なっておりましてその辺、船員に対する日ごろの教育訓練も十分なされているものと承知しております。
 それから、海上保安庁といたしましては、通報を受けますと直ちに巡視船艇なり航空機が出動するわけでございますが、とりあえず船舶所有者がみずから防除措置を講じていないあるいは船舶自体が所要の措置を講ずる能力がないというような場合には、巡視船艇の擁しております資機材等を使って防除のための応急措置その他防除作業を保安庁自身で行います。
 したがいまして、仮に先生御指摘のような事情で船主側から海上災害防止センターへの連絡が遅くなるというようなことがありましても、事故の
現場では直ちに必要な防除作業には取りかかっているわけでございまして、その間も油が流れ出るということはないわけでございます。
#121
○片上公人君 流出事故の出動体制で、陸上での火事や何かの場合は消防車、救急車が到着するまでに何分かというようなこともよく言われておりますけれども、海上の場合は非常に範囲が広いし一概にどれぐらいかかるかは言えないけれども、我が国はぐるりがずっと海でございますから、領海だの周辺海域におきましてはどこでも海難救助、災害防止が迅速に行えるだけの体制を整備しておく必要があると思いますけれども、出動体制についてお伺いしたいと思います。
#122
○政府委員(茅根滋男君) ただいま次長がお答えいたしましたように、海上保安庁では事件が起こりますとすぐ巡視船艇、航空機を駆けつけさせるわけではございますけれども、海は余りにも広く、また船のスピードというのは消防車、救急車等ほど速くございませんので、それほどの迅速性をもって到達できませんけれども、まずは事故を起こした船の方で防除の緊急の措置をとりますし、海上保安庁のみならず、油の事故というのは多くの人が関与いたしましてみんなでそれを防除するというシステムをつくることが肝要であります。そういうことなので、今港ごとに官民あわせて流出油災害対策協議会ということで、団体でみんなで出動体制をとるシステムをつくっております。
 そういうものは急に事故が起こったときにだけ発動しても有効に機能いたしませんので、平素から合同の訓練をやっておりまして、できるだけみんなの持てる力を結集して油の被害の局限に当たるというシステムづくりに取り組んでいるところでございまして、そのようなシステムは現在全国で九十そのそういう連合の防災組織をつくっているところでございます。
 海上保安庁自体としてもできるだけ迅速な出動体制を確保するように、今後とも努力を続けてまいりたいと思います。
#123
○片上公人君 海洋の汚染というのは油だけではなくて、身近なところでもさまざまな問題が起こっておるわけでございますけれども、廃棄物の処理、特に不法投棄が大変社会問題になっておるわけでございます。
 海洋への不法投棄の実態について海上保安庁に伺いますが、廃棄物海洋投棄事犯で送致された件数はどれぐらいあるかお伺いしたいと思います。
#124
○政府委員(小和田統君) 海上保安庁が平成三年に検察庁に送致した違反投棄事件の件数でございますが、関係する法律が三つございます。
 まず、ただいま御審議いただいております海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律にかかわる違反事件、これは内容といたしましては、船舶からの廃棄物の排出、具体的な例としては漁船が船上で加工した魚類の残りかすといったようなものが含まれますけれども、それが九十四件。
 それから二番目に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の違反、これは内容的には廃棄物の投棄、特に建設廃材等がこれに含まれます。このような事件が二百二十四件。
 それから三番目が港則法違反、これは港あるいはその周辺海域でごみなどを捨てたというものでございますが、それが十六件、合計して三百三十四件でございます。
#125
○片上公人君 兵庫県の播磨灘でこの数年、コンクリート廃材等が大量に投棄されて大変良好な漁場が荒らされて地元では大変大きな問題になっているわけですが、海上保安庁はその報告を受けていらっしゃるか、またどのように対処していらっしゃるのか伺いたいと思います。
#126
○政府委員(小和田統君) ただいま先生御指摘のとおり、播磨灘あるいは大阪湾等も同じような事情があるようでございますけれども、そういう広い海域でコンクリート廃材等を違法に投棄するという事件が確かにございます。その結果として漁場が荒らされるあるいは操業に支障が出るというようなことがございまして、特に昨年秋以来そのような事案が目立っている。そのために、地元の漁業関係者としても大変苦労しているということは承知しております。
 海上保安庁におきましても、関係の県の水産当局あるいは地元の漁業関係者と連絡をとりながらこのような違反事件の情報収集に努めるとともに、関係の部署の巡視船艇あるいは航空機を播磨灘等の海域に重点的に配備するというようなことで取り締まりを強化しているところでございます。
#127
○片上公人君 今お話ありましたように、播磨灘の不法投棄につきましては地元も大変苦労して対応しておることを聞いておりますけれども、これまでの経過を見ましても、昨年の十二月二十一日に西浦水交会というのが漁船十一隻で現状を調査した。また、本年の一月二十七日には家島町坊勢漁協ほかが家島南部海域で掃海作業を行って、二百十隻で百トンを回収したとか、またこの二月の五日には県漁連が知事に陳情したと。また、二月六日には環境整備課とともに第五管区海上保安本部と神戸海上保安部を訪ねて経過説明と協力依頼をした。
 また、二月の七日から二月二十一日までには県内の市町、建設業関係者、廃棄物処理業関係者、製造事業者への説明をして注意を喚起した。また、二月二十六日には神戸海上保安部へ資料を提出した。それから、二十九日には一宮町、五色町漁協が一宮町、五色町沖の海域で掃海作業を行って、二十隻で十トンを回収した。また、三月四日には家島町長が第五管区海上保安本部、神戸海上保安部等へ陳情を行った等々、大変苦労しているわけでございます。保安庁としては捜査をしっかりやってほしいと思いますが、現状はどういうふうに進んでいるのかお聞きしたいと思います。
#128
○政府委員(小和田統君) ただいま先生おっしゃいましたように、地元の関係者においても大変苦労しておられるということは十分承知しております。
 保安庁も、先ほどお答えしましたように、情報収集等に努めて努力しておるわけでございますけれども、実はこの種の違法投棄は大変手口が巧妙と申しますか、夜間やみに紛れて投棄するとかあるいは中には船底が開くような特殊な船を使って走りながら捨てていくというようなものもあるようでございます。そういうわけで、なかなか違反者の検挙というものが難しいという事情もございますけれども、今後なお一層取り締まりに努力していきたいと思います。
#129
○片上公人君 今述べましたように、播磨灘では地元周辺の漁業協同組合が二百隻余りの漁船を出してみずから海底清掃を行っておりますし、半日だけで百トンからの廃材を引き上げたと、余りにもひどい状態でありますが、底びき業では建設廃材が多量にひっかかって船の転覆まで起きかねないと。組合では今後の犯人捜査のために一千万円の懸賞金つきで日夜情報を集めておると聞いておりますが、播磨灘における産業廃棄物による漁業被害に対して何らかの対策を水産庁はとれないのかどうかお伺いしたいと思います。
#130
○説明員(吉崎清君) 播磨灘の家島沖の漁場に産業廃棄物が不法に投棄され、漁網の損傷等の影響が生じております。
 水産庁といたしましては、産業廃棄物の不法投棄を防止することが基本と考えますが、今後とも地元兵庫県や関係省庁と密接に連携をとりつつ実態把握に努めるとともに、どのような対応が可能か検討してまいりたいと考えております。
#131
○片上公人君 実態は大変ですから、急いでやってほしいと思うのですけれども。
 次に、建設省にお伺いいたします。
 建設廃材の投棄が今回の件では大半なわけでございますが、一日の作業で大型ダンプカーで十台、中には大阪市のマークの入ったメーターボックスのふたまであったと。関係団体、企業に対する御指導、御監督はどのように実施していらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
#132
○説明員(風岡典之君) 御指摘のように、建設廃棄物の不法投棄の問題は、私どもにとりましても、これは大変な問題であるというふうに認識がしております。
 建設省におきましては、建設廃棄物の不法投棄を防止するために、従来から市街地土木工事公衆災害防止対策要綱、その他いろんなものがございますけれども、そういったものによりまして指導をしてまいりました。さらに、昨年三月には建設廃棄物対策に関する当面の推進方針というのも定めております。具体的にはこれらによりまして、まず建設業者に対しましては廃棄物の保管あるいは収集、運搬方法あるいは処分方法、そういったものにつきまして施工計画というのを作成するように指導しております。それからまた、廃棄物の収集、運搬、処分を行う場合には廃棄物処理業者へ適正な委託を行うようにというようなことについても指導しております。
 それからまた、建設省の場合ですと公共事業の発注者という立場もございますので、公共事業の発注者に対しましては廃棄物の処理方法とか処理場所などにつきまして工事の施工条件を設計図書で明らかにするように指導しております。また、必要な経費については積算でも十分計上するようにと、そういった指導もしているところであります。
 建設省といたしましては、この廃棄物対策は非常に重要な課題でありますので、そういった不法投棄の防止あるいはその前提として、まず発生量自体を抑制することとかあるいはどうしても出てきたものにつきましてはリサイクルの率を上げる、そういったような努力もしておりますので、今後とも以上申し上げましたような趣旨にのっとりまして十分努力をさせていただきたいというふうに思っております。
#133
○片上公人君 建設省ありがとうございました。
 次に、厚生省の方。
 この事件において見られますように、産業廃棄物の不法投棄が国民の生活に大変な不安を与える大きな問題となっておるわけでございますが、産業廃棄物の処理行政を所管するものとして不法投棄対策にどのように取り組んでいらっしゃるのか。
#134
○説明員(三本木徹君) 先生御指摘のとおり、産業廃棄物の不法投棄が大変大きな社会的問題になっているわけでございます。
 そこで、厚生省といたしましては、昨年の十月に廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正をいただいておりまして、この中で不法投棄防止対策といたしましては四点ほど強化をしてございます。
 一つは、産業廃棄物の中でも特別に問題といいましょうか管理を要します廃棄物についての規制を強化いたしまして、これにつきましては排出事業者から処分業者までの間、その廃棄物がどこをどのように経由をしていくかということ、いわば積み荷の目録を添付して廃棄物を運送するというようなことを制度化してございます。
 それからもう一つは、産業廃棄物の処理業者に対しまして資質の向上あるいは悪質不良な業者の排除というような考え方のもとで許可の要件を大幅に強化したところでございます。
 さらに、産業廃棄物の処理は排出事業者がみずから処理をするというような場合よりも民間の処理業者に委託をして処理するというようなケースが多いわけでございまして、そういう場合に排出事業者に対しまして正しく委託をする、いわば委託の基準というものも強化をする。さらには、この廃棄物処理法の中で、廃棄物は「みだりに」「捨ててはならない。」という規定がございます。この部分につきまして罰則を大幅に強化したというような措置を講じてきておりまして、これらに基づきまして適切に対応していくことが必要だというふうに考えております。
 ただ、この不法投棄防止の根本問題は、産業廃棄物の処理施設がやはり不十分である、確保が十分ではないというところも大きな問題としてあるわけでございます。このために、この国会に産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律案を提案いたしまして、現在御審議をいただいているところでございます。
 こういった規制面、受け皿の整備の両面から不法投棄対策について努力をしてまいりたいと考えております。
#135
○片上公人君 最後の質問ですが、この海域の漁業者を悩ますのは不法投棄だけではなくて、私が平成二年の六月にこの委員会でも取り上げました家島周辺の密漁問題などもありまして、当時はこの周辺海域において七十九件の密漁事件があって、底びき鋼業でかかわったものが七十三件と聞いたわけですが、海上保安庁はその後どのようにこの海域を取り締っていただいているのか。また、密漁実態等、わかれば御報告をお願いいたしまして、質問を終わります。
#136
○政府委員(小和田統君) 播磨灘、特に家島周辺海域におきましての密漁の取り締まりでございますけれども、この近辺は従来から小型機船底びき網漁業の区域外操業という形の密漁事件が発生しているところでございます。このうち家島周辺海域においては、特に他県の密漁グループが高速な船を利用して潜水器密漁、つまり海底に潜水器を使って潜る、それで魚介類をとる、こういう密漁でございます。
 そこで、保安庁は従来からこの手の密漁事犯の取り締まりを実施しているわけでございますけれども、特に悪質なものにつきまして隣接の保安部署に所属しております巡視船艇なども集中的に投入するというような方法によって取り締まりを強化しているわけでございます。
 なお、最近の取り締まり状況の数字を申し上げますと、平成元年が播磨灘全体で百件、うち家島周辺が二十五件、それから平成二年が播磨灘全体で八十六件、うち家島周辺が二十二件、平成三年が播磨灘全体で六十件、家島周辺では十五件ということで、この三年について見れば若干の低下傾向というふうな状況でございます。
    ―――――――――――――
#137
○委員長(峯山昭範君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、伊江朝雄君が委員を辞任され、その補欠として井上章平君が選任されました。
    ―――――――――――――
#138
○小笠原貞子君 環境保全は、地球的規模で推進していかなければならない緊急かつ重要な課題であり、その中で海洋における汚染防止対策というものを考えたときに、海洋汚染の半数が船舶の油の排出によるものと言われております。しかし、もう一つ海洋環境保全において重要な問題としては、さまざまな廃棄物の投棄という問題がございます。その投棄の状態は一体どうなっているのか伺いたいと思います。
#139
○政府委員(小和田統君) 廃棄物を海洋に投棄する場合には、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律に基づいて所定の船舶あるいは手続のもとに投棄するということがございますけれども、現在そのために登録を受けております廃棄物排出船、投棄のための船でございますが、これは千百二十六隻ございます。
 これらの船舶によって海洋投棄処分されました廃棄物の量は、平成二年で申しますと二千六十九万トンでございます。内訳は、産業廃棄物、汚泥あるいは鉱滓でございますが、これが四百三十八万トン、し尿等の一般廃棄物が三百五十八万トン、それから水底土砂、これが千二百七十三万トンとなっております。
#140
○小笠原貞子君 今、種類と数字を伺いましたけれども、非常にたくさんの廃棄物が海洋に排出されている。地球環境を保全する上からも、国際的には廃棄物海洋処分はやめよというような動きがあるやに聞いておりますが、こういう国際的趨勢の中で、大臣はどのようにこの問題を考えていらっしゃいますでしょうか。
#141
○国務大臣(奥田敬和君) 海は大変包容力があって、私たち特に日本の場合、食糧資源も含めて海のおかげで今日の日本がある。吉田先生の言葉じゃないですけれども、海こそ我が命というくらい本当に海洋の恩恵というもの、それによって今日の我が国がある。
 しかし、残念なことに、もう海の汚染というのが地球的規模でもはや限界点に達しつつあるという現況、こういったことを考えますと、私たちは本当にこの問題に関して積極的に貢献をしてまいらなきゃならぬ。国民自体も海に対する関心と同時に、海を大切にしていく、そういったモラルは当然です。にもかかわらず、先ほど来各委員の御質疑の中にもありますように、こういった海を汚す行為、これがもう多くなっていくという現状に対してはまことに残念でなりませんし、またこの問題を今のうちに国民意識を高揚させていくと同時に、我々は海の環境を取り戻さなきゃいかぬということに積極的に貢献していかなきゃならぬという思いで先ほどから御質疑を聞いておりました。
 そういう方向で努力いたします。
#142
○小笠原貞子君 海洋汚染の具体的な問題として、まず漁業廃棄物対策について伺いたいと思います。
 一つは、ホタテなどの養殖による貝殻、ウロなどの廃棄物対策です。北海道では生産量の増加に伴って急増するという傾向にあります。ところが、その処理施設などが皆無に等しく、海上に不法投棄されたり海岸に投げ捨てられているのが現状です。
 二つ目には、魚網の廃棄物、特に流し網の場合は一、二年で廃網となる。そして、大量に継続的に排出されております。時には海中に放置されて、船舶の航行、海洋生物に悪影響を与え、国際的な問題となっております。
 三つ目は、プラスチック船の放置です。
 漁船で三十二万隻あると言われ、これから毎年一万ないし二万隻が廃船になっていくと言われております。これらの処理対策、とりわけ処理施設に対する国の補助が強く求められているわけでございますけれども、国の補助としてどのように検討されておりますでしょうか。
#143
○説明員(吉崎清君) 漁業系廃棄物処理計画によりまして必要とされました廃棄物処理施設及びその用地の整備につきましては、沿岸漁業構造改善事業、それから漁港整備事業等により助成することを考えております。
#144
○小笠原貞子君 処理計画を全国で平成三年から三年間に作成することになっております。現在の対策のように、構造改善事業の一つのメニューとして廃棄物処理施設対策助成措置を講じていくのではとてもおぼつかないというのが問題です。現に平成三年度の場合、廃棄物処理施設対策費は構造改善事業のわずか一・四%にすぎません。しかも、全国でだった五カ所にすぎません。
 私の北海道を考えてみますと、漁業廃棄物対策として、例えばサロマ湖で有名なホタテがございますが、そのウロの焼却施設と羅臼の廃網焼却施設などの事業が行われているわけです。全道の計画も策定されております。そして今後も、例えば北海道の五つのブロックに分けて、稚内、宗谷、猿仏地域とか標津、それから別海などの名前が挙げられております。いろいろと施策が具体化されていこうというときなんです。
 北海道だけではなくて、今後全国的に廃棄物処理計画を策定させ計画を実効あらしめるためには、メニューの一つで一・何%なんていうのではなくて、廃棄物対策として独自の制度をつくることがなければ真の対策となり得ない。検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#145
○説明員(吉崎清君) 漁業系廃棄物処理計画は、各県におきまして平成五年度までに策定されることになっております。この計画の内容を吟味し、計画を実際に実施していく上でどのような対応が必要かを十分検討して対応してまいりたいと考えております。
#146
○小笠原貞子君 十分に対応するという中に、それじゃちょっと無理だということになってくると私は思いますけれども、ぜひ独自の対策を考えていただきたいということを含めてお願いしたいんです。よろしいですか。はいならばいでいいんです、一言、短かく。
#147
○説明員(吉崎清君) それぞれ策定されました計画を十分吟味して、十分対応してまいりたいと思います。
#148
○小笠原貞子君 次に、プラスチック船の問題なんですけれども、先ほど申し上げましたように、漁船で三十二万隻、モーターボート二十二万隻。この廃棄物対策における製造会社、メーカーの責任は私は重大だ、そう思うんです。横浜市で見ますと、自動車と船について製造会社が回収その他の適切な措置を講ずるということになっております。
 この点、国の対応、考え方も含めて、今後急増するプラスチック船の廃船対策についてお考えを伺いたいと思います。
#149
○政府委員(戸田邦司君) FRP船の廃船の問題でありますが、FRP船の中に漁船、それからプレジャーボート、両方が含まれております。
 漁船の問題については水産庁の問題ではありますが、一般的に漁船につきましては持ち主がはっきりしているという問題もありまして、持ち主の責任において廃棄するということになるかと思います。
 プレジャーボートにつきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律上は一般廃棄物に該当しまして、所有者並びに市町村がその処理を行うという建前になっております。プレジャーボートは相当近年普及してふえてきておりますが、現時点で考えますとそれほどの廃船が出ていないという現状であります。現在出ているものにつきましては、一部は破砕して埋め立てるあるいは焼却する、そういった方法によって処理されているものと聞いております。
 ただ、将来の問題として相当の廃船が出てくることが予想されますので、そのための処理を効率的に、かつ経済的に行うためのシステムの開発が必要であると考えておりまして、運輸省としましてもこれらのFRP船の生産を所管しているという立場から、従来からその処理方法などについて調査研究を実施してきておりますが、今後は材料のリサイクルなども考えながら関係者の協力を得てこれらのシステムの開発について積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
#150
○小笠原貞子君 水産庁ももう一言。
#151
○説明員(吉崎清君) FRP漁船の廃船につきましても漁業系廃棄物処理計画の中で検討していきたいと考えております。
#152
○小笠原貞子君 いろいろ海の汚れをなくすというためには、本当に油だけじゃなくてこういう問題があるということを大臣も認識していただいて、今御答弁になりましたようなことを具体的に進めるようにということをお願いしたいと思います。
 ちょっと次は問題が別になりますけれども、これは何回も私お願いしておりましたが、障害者が社会参加する上で移動手段が極めて重要だということはもう何回も言われております。
 最近、特に駅を見ますと、自動改札、そして自動券売機というものが進みまして、障害者の方々は切符を買う窓口を探すのに大変な苦労をしていらっしゃるわけなんです。私鉄の場合は、もう御承知のとおり、自動券売機で購入できるようになっておりますけれども、JRはまだということになっております。
   〔委員長退席、理事松浦孝治君着席〕
 何度も取り上げてまいりましたが、その後どのように検討されておりますかお答えいただきたいと思います。
#153
○政府委員(井山嗣夫君) 先生から再三御指摘をいただきまして、いろいろ我々も研究させていただきました。
 それで、モデル的にやれないかということで、実はこの四月一日からJR北海道の四駅におきまして具体的に自動券売機によって身体障害者の方で例の半分の運賃で乗っていただける方については子供の券を買っていただきまして、これで乗っていただく、こういうことをモデル的に始めております。JRにつきましては路線が複雑等々いろいろ問題がございますけれども、この成果を十分見きわめまして、結果がよければどんどん普及していきたいというふうに考えております。
 具体的に申し上げますと、札幌圏の四つの駅でございますが、小樽駅、岩見沢駅、千歳駅、石狩当別駅、以上の四駅につきましてやっております。
#154
○小笠原貞子君 ありがとうございました。
 それで、モデルとして実験的にというふうにおっしゃいましたけれども、この実験的というのはいつごろまで実験的におやりになるのかということが一つの問題と、そして同時に、北海道で始めていただきましたけれども、この実験の結果によっていろいろまた問題があったら考えていただいて、私鉄はもうやっていますから、これはJR各社が取り上げていただきたいことでございますが、JR各社が実施に踏み切っていただくためにはいつごろまでというふうに考えていたらよろしいでしょうか。
#155
○政府委員(井山嗣夫君) ただいま始めたばかりでございますので、いつまでということはあれでございますけれども、幸いにそう大きな問題はないというふうに聞いております。
 ただ、具体的にやってみまして、ある意味のトラブルとか逆に御迷惑になったりすることもあり得ますので、この成果を私ども十分見まして他のJRの会社に対しましても、いい点、悪い点、いろいろ出ましたところを全部披露いたしまして、順次そちらの方向にできれば持っていきたいなと今思っております。
 期間は、一応JR北海道は一年ぐらいをとりあえず試行してやってみたい、こういうことを言っております。
#156
○小笠原貞子君 それじゃ一年実験して、それで後は全国的にずっと広げていただくということで期待して待っていたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それで、さっきちょっと部屋に帰りましたら、労働省の方から佐川急便グループの一斉監督の結果資料というのが来ておりまして、けさからテレビでも言っておりました。それで、それにちょっと目を通しましただけで大臣に御感想を一言聞きたいわけなんです。
 ここで特徴的なことは、ここに書いてありますけれども、「監督指導を実施した五十一事業場のうち四十六事業場(九〇・二%)において、何らかの法違反が認められ、依然として高い違反率となっている。」、また「これを主管店についてみると、十二事業場のうち十事業場(八三・三%)において、何らかの法違反が認められた。」と、冒頭こういうふうに書かれているわけなんです。
 考えてみますと、佐川急便に対しては六十二年からのたしか五年間ずっと毎年のように監督していらして、そして監督を受けていながら違反率が九〇・二%だとか五十一事業場のうち四十六とか、これはまことに大変なことですね。五年間やられていまだに大問題になってまた出てきた実情なんだけれども、こういう会社なんですよね。もう本当に何というんですか人を食った態度だと私は思うんです。
 私は、北海道の問題をこの問うちいろいろ具体的に取り上げて、それが事実なら法違反ですとおっしゃいましたし、そして指導しますとおっしゃっていただきました。これは全国的なもので出ておりますので、部分的な私の北海道の問題とか質問した問題についてはないので、またそれは改めて伺いますけれども、全体的にこれだけの問題を起こしているということになると、大臣よっぽどしっかりしていただかないと、またこれは続くと思います。
 そういう意味で、大臣の厳しい御決意のほどを伺って終わりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
#157
○国務大臣(奥田敬和君) 佐川系列の労働実態調査、これは労働省も厳しい形の内容の御報告もいただきました。それに関しての改善命令も出されておるようでございます。運輸省も所管のところで抜き打ち的に、これも厳しく監督いたしました。
 その中で、正直言いまして違反件数も多いという実態もわかり、それに対応して運転手と自動車の数等々での中で今までにない減車、いわゆる運行停止の形も含めて、これは厳しくその実態実態で改善させてきております。
 全体的なレベルで今新聞の数字はそういうぐあいに出ておりますけれども、担当局長からまた詳細に御報告させますが、北海道関係においてもそういった形の御報告はさせようと思います。大体数字のパーセントはそうなっておりますけれども、大体運送業者の平均値、違反している分も含めての許容でき得る範囲内であったということは事実でございます。
 許容でき得ると言ったらおかしいんですけれども、例えば合弁六社の個々の形において特別行儀の悪いところは、これはもう減車、減員をぴしっとさせる対策はとりましたが、内容においては六社を中で比較しますと、北陸佐川が一番悪くて、あとは比較約何というか基準においてとてもこれは大変でもうだめだという、そういう悪質な形は減少してきておるということだけは事実でございます。
 厳しくやっていきます。
#158
○小笠原貞子君 頼みますよ。
#159
○寺崎昭久君 重複を避けながらお尋ねしたいと思います。
 まず最初に、MARPOL条約を締結していない国に船籍のある船舶は油濁防止緊急措置手引書を掲示していない可能性もあるわけですが、手引書がなければ日本への入港を認めないのかどうかお尋ねします。
#160
○政府委員(大塚秀夫君) この法律は、外国船舶でありましても本邦内にある場合には適用されますので、MARPOL条約の非締約国の船舶に対しましても油濁防止緊急措置手引書を義務づけることといたします。
 手引書を持たないMARPOL条約の非締約国の船舶に対しましては、その事実が判明した場合におきましては手引書の作成を命じ、その命令に従わない場合において、その航行を継続することが海洋環境の保全に障害を及ぼすおそれがあると認められるときは航行の停止あるいは航行の差しとめの処分も行うことといたします。
#161
○寺崎昭久君 手引書に基づく事前の訓練、教育等の義務は生じるのかどうか。あるとすれば、だれの責任でどの程度の教育を行うのか。ないとすれば、理由は何でしょうか。
   〔理事松浦孝治君退席、委員長着席〕
#162
○政府委員(大塚秀夫君) この手引書の中身について船員に対して訓練、周知というようなことにつきましては法律上直接その規定がございませんが、運輸省としましては、全国で開催されます海洋汚染防止講習会などあらゆる機会を利用して、海運会社、船長、船舶乗組員等に対して周知、指導を行っているところであり、特にことしはこの法律改正について周知徹底を図っていきたいと思っております。
 また、油濁防止管理者が乗っている船舶におきましては油濁防止管理者が乗組員に対してこのような内容について周知を行うということになると考えており、その旨を指導するつもりでございます。
#163
○寺崎昭久君 具体的な例でお尋ねします。
 平成二年一月にリベリア船籍の貨物船マリタイム・ガーデニア号が事故を起こし、乗組員は救助されたけれども油が大量に流れ出したという、そういう災害が発生しております。この際、油濁防止措置がどのように講じられたのか伺います。
#164
○政府委員(茅根滋男君) この平成二年一月のマリタイム・ガーデニア号の海難は、たまたま私自身第八管区海上保安本部長で、対策本部長として舞鶴で指揮をとりましたので大変思い出の深い事件でございますけれども、これは乗組員が全員救助された後、船体が荒天によって分断されて、搭載のC重油がほとんど全量、九百十六トンが海岸に漂着したという事件でございます。
 これにつきましては、船主の委託を受けまして海上災害防止センターがこの防除作業を、民間側のすべての船主サイドとしての防除作業を取りまとめました。そのほかに、官側といたしましては
海上保安庁は当然でございますが、陸海の自衛隊、それから京都府警本部の機動隊あるいは市町村の職員あるいは小中学校の学生、ボランティアグループまで総動員いたしまして、延べ人員で約二万一千名、それから関係機関全体の船艇、航空機等で約二千八百隻、航空機が百四十機、オイルフェンスが約七千七百メートル、油吸着材が約十三万枚、油処理剤約百五十キロリットルという大量の資機材を投入いたしまして、ほぼ流れ出した油の全量に近い量、実際には海水分を含みますので千トンを超える量を回収いたしました。
 しかも、船体につきましては、六月十一日に至りまして日本のサルベージ会社の手によって撤去も終わりまして、その年の海水浴には全く被害がなかったというような状況でございます。
#165
○寺崎昭久君 このマリタイム・ガーデニア号のケースを想定した場合に、今回の手引書があれば海洋汚染の範囲あるいは対策の講じ方が変わっていたと考えられるかどうか伺いたいと思います。
#166
○政府委員(茅根滋男君) この油汚染の防除作業におきまして最も肝要なことは、早期に多数の勢力を結集するということでございます。そのために多数の費用がかかるわけでございます。
 その費用負担を行いますのは船主ということになっておりますけれども、船主が入っております保険会社、これが実際にはバックアップしなければいけませんので、この手引書の中にはそういった加入の保険会社もきちんと明記されるというふうに聞いておりますので、必ずやいろんな汚染防除のための契約事務がスムーズにいくのではなかろうか。あるいは連絡先等も明記されますので、事故を起こした船の船長はたちどころに海上保安庁あるいは海上災害防止センターというような油防除を行う機関に速報されますので、防除作業には大変資するものと考えます。
#167
○寺崎昭久君 今のお話では、措置も早くなるし費用の負担請求、連絡、そういったことも円滑に行われるであろうと。そういう期待が持てると考えてよろしいように思います。 ところで、マリタイム・ガーデニア号の事故にかかわり、海洋汚染を復元するためにどの程度の費用がかかったと想定されますでしょうか。また、だれが負担されたのか、保険会社というお話もありましたが。
#168
○政府委員(小和田統君) この流出油の防除のためにかかりました費用、船主が負担したものあるいは海上保安庁が行った防除作業について船主から回収したもの等、いろんなものがございます。
 当方で把握しているものとして海上保安庁関係の分を申し上げますと、海上保安庁はこの防除作業のために約千五百万円の経費を費やしております。これは通常の人件費等は含まれておりませんで、例えば超過勤務等の人件費、それから資機材等に要した費用といったものでございます。その費用につきましては、船主に請求し、事故発生したその年のうちにすべて国庫に納入されております。
 なお、現場で使いましたオイルフェンス等につきましては、現物をやはり船主から納入を受けております。
 なお、全体としてこの事件でかかりました総経費、これは最終的には保険会社が負担したものでございますけれども、七億円を超す金額であったと聞いております。
#169
○寺崎昭久君 先ほどのお話では、この汚染対策のために自衛隊等も出動したと伺っております。きょうは防衛庁の関係は来ていただいておりませんけれども、そうした費用も考えますと、国の負担というのも相当な金額に上ったのであろうというように思われるわけです。
 今、海上保安庁の費用請求の関係では人件費等は除いて請求されたように伺いましたが、その理由、つまり費用の全額を請求しない理由、根拠を教えてください。
#170
○政府委員(小和田統君) 先ほど御説明しましたのは、人件費につきましてはふだんの給料分と申しますか日常勤務でいずれにしろ職員に支給している部分については船主に請求しなかったということでございまして、超過勤務手当あるいは夜間手当、休日に業務を行ったことについての休日給、それから潜水作業をしたことについての潜水手当といったような人件費は当然船主に請求し全額回収しております。
 先ほど千五百万円程度と申し上げましたけれども、その中に今申し上げた人件費関係の分が九百万ちょっとございます。
#171
○寺崎昭久君 あわせて私が伺っているのは、なぜ請求しないんでしょうかという理由を伺っているんです。
#172
○政府委員(小和田統君) 私どもがこの防除作業に要する経費を責任者、原因者から回収する場合の基本的な考え方は、その作業を行うについて特に要した費用を回収するということでございまして、したがって、何といいますか本来の本俸のようなものはこの防除作業があってもなくても保安庁としては、国としては職員に対して支給をしているものでございますので、それは原因者に対しては請求しないという建前になっているわけでございます。
#173
○寺崎昭久君 それでは、この事故の際に海上災害防止センターも出動されたと報告されましたが、具体的にどういう仕事をされたんでしょうか。
#174
○政府委員(小和田統君) 海上災害防止センターはこの事件の発生について保安庁から情報を直ちに入手したわけでございまして、すぐにセンターの契約している民間防災事業者にこの油の防除等の作業の準備を指示しております。
 この民間の防災事業者というのは全国各地のそれぞれの港等にあるわけでございますけれども、センターが自分の基地のないところあるいは自分の基地の勢力だけでは足らないというときに、それをカバーするためにふだんからこれらの民間防災事業者といざというときの出動についての契約を結んでいるわけでございまして、それらに対して出動の準備を直ちに指示したということでございます。
 それから、事故の情報を受けてから一日半ぐらいたちまして船主からセンターに対して防除作業をやってくれるようにという委託がございました。この委託を受けまして、すぐに地元の防災事業者に対して必要な人員あるいは資機材等の手配をしたわけでございます。
 それからなお、防災センターは現地に対策本部も設けまして、この防災の作業に携わるいろいろな関係の部署あるいは機関がございますけれども、そういうところとの連絡調整もしております。
 したがいまして、現場においてこの防除作業の中心的な役割を担って業務の実施を行ったということでございます。
#175
○寺崎昭久君 このセンターの運営について若干伺います。
 このセンターは基金が七億円となっておりまして、三億円は資本金、そして四億円は日本船舶振興会から出捐金として受け入れているようでございます。また、平成二年度決算書を見ますと、調査研究事業収入のうち補助金千八百万円、また業務勘定においても五千八百万円が船舶振興会等から補助金として拠出されているようでありますけれども、このセンターというのは特殊法人であること、あるいは役員、職員が公務員たる性質を持っていること、そういったことを勘案しますと、特定の団体との関係を深めるというのは特殊な関係があるのではないかという疑いの目で見られないこともないと思うんですが、実態はいかがでしょうか。
#176
○政府委員(小和田統君) 確かに、先生が御指摘のとおり、海上災害防止センターには七億円の基金がございます。これは、油が流出したりあるいは船舶火災等が起きた、そのような防災業務を実施するために設けているものでございますが、その中に船舶振興会から四億円の出捐をいただいております。それからまた、センターの調査研究等のためにも補助金の交付を受けているということは先生の御指摘のとおりでございます。
 ただ、センターは船舶振興会からの補助金だけに頼っているわけではもちろんございませんで、例えば七億円の基金につきましては、そのうち三億円は出資金として国あるいは海運事業者等からの拠出で賄っております。それからまた、調査研究その他の経費についても海上防災にかかわりのある海事関係団体から広く資金の提供を受けているわけでございまして、船舶振興会と特別な関係があるわけではございません。
 なお、このセンターは法律で定められた特殊法人であり、あるいは役員等は公務員扱いではないのかという点でございますけれども、法律上確かにそういうことになっておりますが、一方船舶振興会は海難防止等に助成をするということで設立された公益法人でございまして、両者の業務内容等についての目的は深いかかわりがありますので船舶振興会からの基金はいただいておりますけれども、それ以上の特別な関係があるわけではございません。
#177
○寺崎昭久君 時間がありませんので結論だけ申し上げますが、私も船舶振興会から出捐金を受けているのがおかしいと言っているわけではないんです。ただ、今後の海難防止を強化する観点から、この問題をもう少し掘り下げて考えていただきたいなと思っている次第なんです。
 そこで、運輸大臣に要望として申し上げますので、もし御所見がありましたら最後にお聞かせいただければありがたいんですが、今お話ありましたように、このセンターというのは設立も増資も業務方針書の作成も役員の人事も全部運輸大臣の許可事項になっております。それから、モーターボート競走法では、船舶振興会が海難防止事業等に補助する場合には運輸大臣の認可が必要になっております。ということは、極論すれば同センターの収支というのは運輸大臣の胸三寸でいかようにもできる、そういうことも言えるのではないか、そんな性格、位置づけにあるのではないかという疑問も出てくるわけです。
 ただ、私がここで問題にして考えていただきたいのは、こういうことではなくてもっと根本的な問題なんです。
 というのは、海上保安庁の資料によりますと、平成三年に船舶からの油流出事故というのが四百十九件発生しています。他方、我が国は地球環境保全のために積極的な役割を果たそうとしているわけです。そういったことを考えますと、今後海洋を汚染しないための対策強化、万一汚染した場合の被害を最小限に食いとめるその手段、手だてをさらに拡充していかなければいけないのが我が国の課題だろうと思うんです。
 そういう意味で、船舶に限って以下四点、検討していただきたいことを申し上げたいと思います。
 一つは、海洋汚染防止体制について民間の協力を前提としながら国が一元化することを考えていただきたい。二つ目は、船舶について例えば強制賠償責任保険のような制度を導入して船舶所有者に加入を義務づけてはどうか。それから三つ目は、海は公共の財産であるという観点からこれまでの海洋汚染の定義について見直す、つまり賠償責任の範囲だとか対象について広げる方向で検討する必要があるのではないか。四点目は、そうしたことを含めて海上災害防止センターのあり方を抜本的に見直す必要があるのではないか。
 ほかにも検討事項がいろいろあるのだと思いますが、今後の防災体制に万全を期す、拡充するという意味で、こうした点も御検討いただきたいと要望しておきます。もし、大臣の御見解がございましたらお願いします。
#178
○国務大臣(奥田敬和君) 御指摘の点は全く同感でございます。
 今ほどお話がございましたように、災害防止センターのこれから果たしていく役割、その重さを思うときに、やはり広く官民体制の一体性でやっていかなきゃならぬということも当然でございますけれども、今御指摘の一から四にかけての、賠償責任も含め保険制度も含め大変大事な御提言で、こういった形を集約して検討してまいりたいと思います。
#179
○委員長(峯山昭範君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#180
○委員長(峯山昭範君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#181
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#182
○委員長(峯山昭範君) 次に、船員法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。奥田運輸大臣。
#183
○国務大臣(奥田敬和君) ただいま議題となりました船員法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 従来、沿海区域または平水区域を航行区域とする総トン数七百トン未満の船舶で国内各港間のみを航海するいわゆる小型船については、その労働形態の特殊性等から船員法第六章の労働時間等の規定の適用が除外され、別途運輸省令によりその基準が規定されております。しかしながら、近年、船舶設備の向上に伴い、小型船の運航形態及びこれに乗り組む船員の労働形態が変化してきており、小型船についても船員法第六章の規定を適用する必要性が高まってきております。
 また、船員を取り巻く状況の変化に対応して、定員に関する規制の見直しを行う必要性が高まってきております。
 このような状況を踏まえ、平成元年十月以来船員中央労働委員会におきまして船員法の労働時間等の規定の適用範囲の拡大及び定員に関する規制の見直しについて検討をいただいておりましたが、昨年一月同委員会より答申をいただきましたので、この答申に沿いましてこの法律案を提案するものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、沿海区域または平水区域を航行区域とする総トン数七百トン未満の船舶で国内各港間のみを航海するいわゆる小型船についても船員法第六章の規定を適用することとしております。
 第二に、船舶所有者は、公衆の不便を避けるために一日の労働時間の制限を超えて海員を作業に従事させる必要があると認められる命令で定める船舶に乗り組む海員については、労使協定で定めるところにより、時間外の労働をさせることができることとしております。
 第三に、船舶所有者は、航海当直その他の船舶の航海の安全を確保するための作業を適切に実施するために必要な員数の海員を乗り組ませなければならないこととしております。
 第四に、常時十人以上の船員を使用する船舶所有者は、定員について就業規則を作成し、これを行政官庁に届け出なければならないこととしております。
 なお、この法律の施行期日は、周知に必要な期間等を考慮し、平成五年四月一日としております。
 以上がこの法律案を提案する理由であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いを申し上げます。
#184
○委員長(峯山昭範君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する自後の審査は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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