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1992/05/14 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 運輸委員会 第6号
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1992/05/14 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 運輸委員会 第6号

#1
第123回国会 運輸委員会 第6号
平成四年五月十四日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     鹿熊 安正君     平井 卓志君
     堀  利和君     対馬 孝且君
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     井上 章平君     伊江 朝雄君
     沓掛 哲男君     鳩山威一郎君
     平井 卓志君     鹿熊 安正君
     対馬 孝且君     堀  利和君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         峯山 昭範君
    理 事
                上杉 光弘君
                松浦 孝治君
                櫻井 規順君
                片上 公人君
    委 員
                鹿熊 安正君
                片山虎之助君
                野沢 太三君
                二木 秀夫君
                稲村 稔夫君
                佐藤 三吾君
                渕上 貞雄君
                堀  利和君
                小笠原貞子君
                吉田 之久君
                寺崎 昭久君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  奥田 敬和君
   政府委員
       運輸大臣官房長  豊田  実君
       運輸省運輸政策
       局長       大塚 秀夫君
       運輸省運輸政策
       局観光部長    後出  豊君
       運輸省自動車交
       通局長      水田 嘉憲君
       運輸省海上交通
       局長       大金 瑞穂君
       運輸省海上技術
       安全局長     戸田 邦司君
       運輸省海上技術
       安全局船員部長  金子 史生君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        長谷川光司君
   説明員
       経済企画庁総合
       計画局計画官   安原 宣和君
       水産庁漁政部企
       画課長      小峯  正君
       労働省労働基準
       局賃金時間部企
       画室長      朝原 幸久君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○船員法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(峯山昭範君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十四日、沓掛哲男君及び井上章平君が委員を辞任され、その補欠として鳩山威一郎君及び伊江朝雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(峯山昭範君) 船員法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○櫻井規順君 それでは、船員法改正案についての質問をさせていただきます。
 最初に、昨年出されました運輸政策審議会の二十一世紀に向けた答申との関係で冒頭お伺いをいたします。
 内航海運の関係の長期政策を昨年も勉強したところですが、翻ってみて、さて運政審答申のどこに内航海運についての長期政策が体系的に展開されているのかなと、こう思ったときに、十本ばかりの大綱があるわけですが、その一本にあったのか、はてさてどうも思い当たらない。結局、物流政策の中に陸上の物流とあわせてこの内航海運の政策が展開をされているわけであります。やや問題がある感じがするわけです。
 しかし、その物流対策の中心的な柱は、「物流業における労働力問題への対応方策について」と、こういう展開になっておりまして、今度の船員法の改正案を見まして、ああその一環として準備されたものだなという感じを強くしたわけでありますが、この二十一世紀に向けた物流政策との関係で今回の船員法の改正というのをどう位置づけられているのか、まず御答弁願いたいと思います。
#5
○政府委員(戸田邦司君) ただいま先生からお話がありました運輸政策審議会の物流部会答申でありますが、これは平成二年十二月四日に答申がなされております。内航船員を含む物流業における労働力不足の深刻化を指摘しておりまして、これに対応するために労働時間の短縮を初めとする魅力ある職場づくりの必要性がうたわれております。
 今般の改正でございますが、従来、船員法の労働時間等の規定の適用を除外されておりました小型船につきましても大型船並み、同法を適用することを内容としておりまして、小型船につきましても過労働時間が大型船並みに四十四時間になるなど労働条件の改善に資するものでありまして、最近の若年船員を中心とする内航船員不足の深刻化の中で魅力ある職場づくりに資するものとしてまさに同答申の趣旨に沿ったものと考えております。
#6
○櫻井規順君 大臣にお伺いをいたしますが、そんなわけで、これはこれからも質問してまいりますが、内航海運の領域というのは運輸行政の中で非常に広いというふうに思うわけでありまして、長期政策をお立てになる場合も内航海運政策として二十一世紀に向けた長期プランというものを立てるのが妥当だというふうに思うわけであります。運政審のありようを含めまして見直す必要があるのではないかというふうに思うわけですが、大臣いかがでしょうか。
#7
○国務大臣(奥田敬和君) 内航船員、最近は少し仕事の方もよくなってきていると聞いておったわけでありますけれども、最近やっぱり景気の障りとともに大変な船員不足が懸念されておるという状況でございます。
 私がやっぱり一番心配しているのは、ゆとりある生活大国を目指すという私たちの政策目標の中でこの内航船員の不足状況というものと労働時間の短縮という必須の課題をかみ合わせていくために、やっぱり将来においては内航船員に限って特別な対策、対応を決めるべきじゃなかろうかと。
 要するに、突き詰めて言えば、魅力のある職場づくりで若い人たちが海で働くことに誇りを持てるような環境づくり、勤務体制づくりというものをやっぱり特別に見直していかなきゃいかぬじゃないかと思います。
 特に、何か三Kの代表的なような職場というイメージを何とか払拭していくためにどうしたらいいだろうか。この点について、今先生が御指摘されたように、内航船員の充足をめぐって何とか若者にも魅力のある職場として持っていくために、ひとつ先生方どお知恵を合わせて何か新しい政策展開を図っていく必要があろうかなと、まさに同感でございます。
#8
○櫻井規順君 大臣に非常に前向きの御返事をいただきましてありがとうございます。そうした魅力ある職場づくりという観点に立ちまして、そして内航海運、モーダルシフトという我が国の政策もあって、これから非常に脚光を浴びてくる運輸行政でいつでも領域でありますし、産業的にもまた大きな領域になっていくわけですので、以下そんな観点で質問をさせていただきます。
 最初に、法案に入る前に内航海運の貨物輸送の状況をちょっと確認しておきたいというふうに思うわけであります。
 内航貨物輸送量の動きなんですが、今大臣はやや不況の陰りがあるいは出てきたのではないかというような指摘もあったわけです。その辺いかがでしょうか、一九八五年以降今日までの一番新しい数字を含めまして、我が国の内航貨物輸送量の動きが特徴的にどんなふうになっているか御答弁いただきたいんですが。
#9
○政府委員(大金瑞穂君) お答え申し上げます。
 ただいまの内航海運業の輸送量の実績の推移でございますが、一九八五年内航海運の輸送量は四億五千二百万トンでございました。その後、八六年には若干減少いたしましたけれども、八七年に五・〇%、その次の年が六・六%、次の年に九・一%、それから平成二年度でございますが、六・九%伸びまして五億七千五百万トンという実績を上げておるところでございます。
 ただ、今御指摘ございました昨年の秋以降、若干伸びの数字が下がってまいりました。あるいは前年同期に比べまして同程度、月によりましては若干下回るというような月も出てまいっております。
 ただ、申しわけございません、平成三年度の数字としてまだ私ども把握しておりませんけれども、傾向といたしましてはただいま御説明申し上げたような傾向になっているところでございます。
#10
○櫻井規順君 そうしますと、私の手元にある昭和四十五年以降の数字でいきますと、平成二年度が最高の輸送量を記録したというふうに理解してよろしいわけですか。
#11
○政府委員(大金瑞穂君) 今のにお答えします前に、最初に私が申し上げた年の数字をもう一度確認させていただきますが、私申し上げましたのは昭和六十年度、一九八五年度以降の数字を申し上げております。
 それで、平成二年度の五億七千五百万トンという数字、これはこれまでの最高の数字であるということは御指摘のとおりでございます。
#12
○櫻井規順君 私も一九八五年以降を求めたわけですが、これは言うならば、平成二年度が戦後最高の内航貨物輸送量を記録したというふうに理解してよろしいわけですね。
#13
○政府委員(大金瑞穂君) 御指摘のとおりでございます。
#14
○櫻井規順君 そんなわけで大臣、私は今初めてこの数字を知ったわけですが、平成二年度に五億七千五百万トンで戦後最高の貨物輸送量を記録しているわけであります。そういう意味で、非常に内航海運というのはもろもろの条件の中で成長してきているわけであります。
 それで、これはどんな見通しでしょうか。パンフレットをいただきまして、見通しもやや触れているわけであります。内航船の適正船腹量想定のために向こう五年間の輸送需要見通しというのをお立てになるわけでありますが、簡潔にその見通しを中心にいかがでしょうか。
#15
○政府委員(大金瑞穂君) 今後の見通しにつきましては今後の経済動向にもよるわけでございまして、なかなか難しい点がございます。ただ、これまでの輸送動向でございますとかあるいは今御指摘ございましたモーダルシフトの推進、こういった状況を踏まえますと、今後とも内航輸送量は増加傾向を示していくのではないかと考えております。
 ただ、今お話ございました適正船腹量を想定いたします場合の見通し、これは今ちょっと手元に詳細な資料を持ち合わせておりませんが、品目ごとにそれぞれ見通しを立ててまいります。それに応じた船種ごとの必要なあるいは適正な船腹量の推定をいたすわけでございますが、内航海運全体の輸送量という観点からいたしますと、若干推計時点が古くなりますが、先ほどもお話出ておりました運輸政策審議会の二〇〇〇年を踏まえました見通し、ここではトンキロベースで二〇〇〇年まで年平均約〇・二%ないし二・四%、幅がございますけれども、その程度の増加を想定しておるところでございます。
#16
○櫻井規順君 次に、輸送機関別の国内貨物輸送量のシェアですね。これは、今平成二年の数字も出ましたからその数字もわかればありがたいですが、鉄道と航空機は別にしまして、内航船と自動車のシェアですけれども、平成二年を含めましてどんな傾向になっていますか。そして、平成二年の数字を教えてくれますか。
#17
○政府委員(大金瑞穂君) まず、輸送トンキロについて、平成二年度内航海運のシェアが四四・八%でございます。これに対しまして自動車が五〇・二%。
 ただ、これまでの傾向を見てまいりますと、内航海運につきましては若干でこぼこはございますが、おおむねこの程度のレベルで推移しておりますのに対しまして、自動車は平成元年度までシェアをだんだん伸ばしてまいっておりましたが、二年度においてそのシェアが若干減少したという実績になっております。
#18
○櫻井規順君 ここは非常に大事なところで、ここ長い経過の中で自動車のシェアがかなり伸びてきている、そして内航のシェアが落ちてきている。それが平成元年といいますか一九八九年あたりから横ばいないしは上昇を内航が記録してきていると。どちらかというと自動車のシェアが横ばいないしは〇・九%ぐらい減少しているわけであります。ことしも同じように横ばいないしは減少の傾向がちょっと見られるような感じがするわけです。平成二年の数字を今知りまして、こんな分析ができるかとも思います。
 次に、内航船の船腹量と業者数の問題です。
 きょうの法案審議とも大いにかかわりがあるわけですが、七百トン、六九九と言ったらよろしいでしょうか、七百総トン未満と以上と分けまして現状どういう構成になっていますでしょうか、隻数とパーセントをお示しいただけますか。
#19
○政府委員(大金瑞穂君) 平成三年三月三十一日現在の数字でございますが、総トン数七百トン以上の船舶、これが七百五十五隻、総トン数が百六十八万総トンでございます。一方、総トン数七百トン未満のものにつきましては隻数が八千四百六十六隻、二百五万総トンでございます。
 ただいまちょっとそのパーセントを計算しておりませんので、これは至急計算をさせていただきたいと思います。
#20
○櫻井規順君 そうすると、七百総トン以上はふえて、七百総トン未満は減っているという傾向があるわけですか。
#21
○政府委員(大金瑞穂君) これまでの傾向を見ますと、七百総トン未満は隻数は減少しております。トン数も若干ではございますが減少しております。七百総トン以上につきましては、平成元年度以降は隻数は大体横ばい、トン数は若干増加という傾向でございます。
#22
○櫻井規順君 次に、内航海運事業者数ですけれども、資本金一億円以上の会社数は現在何社で、ここ十年という目盛りで見て傾向的に一億円以上の会社というのはふえているのか。ふえているとすると、どのくらいのふえ方になっているのか。それから、十人以上の船員の会社数というのはどういう傾向になっているか御答弁ください。
#23
○政府委員(大金瑞穂君) 資本金一億円以上の事業者の数でございますが、内航の運送業、これを経営しておりますものが百四十五事業者ございます。その構成比が一九・一%でございます。それから、内航の船舶貸し渡し業でございますが、こちらを経営しております一億円以上の事業者の数が百九十五、その構成比が四・八%でございます。
 恐縮でございますが、これの経年変化の数字を私今ちょっと手元に持っておりません。
#24
○櫻井規順君 結構です。傾向はわかりました。
 その次に船員数ですけれども、今内航海運の船員数というのは何人でしょうか。
#25
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 内航船員数は、平成二年現在で約四万五千人弱と推定いたしております。
#26
○櫻井規順君 それは何の統計でしょうか。
#27
○政府委員(金子史生君) 私ども毎年十月一日現在で全船舶の悉皆調査をやっておりますので船員統計と申しておりますが、これによるものでございます。
#28
○櫻井規順君 それは七万六千人という数字になっていませんか。
#29
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 従来私どもが公表しておりました数字は五万六千百という数字だったと思いますけれども、この数字から内航の旅客船に従事する船員数を引きまして、それから二千トン未満の外航船、近海船の船員数を引きまして、それに逆に今度は家族船員数を加えたもの、これが内航貨物の船員数ということで約四万五千人弱が今申し上げた数字でございます。
#30
○櫻井規順君 この船員統計の七万六千五百九十八という数から内航旅客海運を外し、もう一つ何か要素を外したということですが、それは、今おっしゃったのは運輸省の内航船員需給調査委員会がお出しになった数字だというふうに思うわけであります。それもアバウトに四万五千という数字が出るわけでありますが、なぜその正確な数が出ないのかということを私は知りたいわけです。
 その前に、内航船員数は幾つかの数字が出されておりますね。日本内航海運組合総連合会の海上労働科学研究所では五万三千人、それから今おっしゃったアバウトに四万五千という数字、それから今船員統計ではそんなわけで七万六千五百九十八人と下一けたまで出ておりますけれども、なぜ正確に下一けたまで出ないのか。運輸省として正確な数字を出すべきではないか。その辺いかがでしょうか。
#31
○政府委員(金子史生君) ただいまもちょっと御説明の中で申し上げましたように、どの範囲を内航というふうに特定するか、こういうことが一つには、例えば旅客船の船員数を内航船員数とカウントするのかどうか、あるいは従来近海船でも小型のものは伝統的に、例えば外航船とか近海船で小型のもの、二千トン未満のものは外航の分野に分類していないんです。
 そうしますと、外航の分野から漏れているものは内航その他というような形で分類するというふうなカテゴリーもありますし、そのどの範囲を特定するか、あるいは家族船員なんかを含めるか含めないかとか、そういったことによって違ってくるものでございまして、私どもその辺、先ほど先生おっしゃられました需給調査委員会の方でいろいろ検討させていただきました結果、昨今の問題になっている内航船員不足の問題はやはり内航のカーゴの部門でございますので、最もそこに問題の焦点を絞って厳密に船員統計あるいは船員需給総合調査とかあるいは過去の船員労働統計とか、そういった調査の数字をいろいろ勘案いたしまして私どもの方で算定した数字が先ほど申し上げましたように四万五千人という数字でございまして、これは私どもかなりの確度を持っているのではないかというふうに考えております。
#32
○櫻井規順君 四万五千人という数字でかなり正確というのはちょっと普通じゃいただけないというふうに思うわけであります。旅客輸送を含める貨物輸送と、そういうふうに条件をつけてよろしいわけですから、入れた場合はこう、入れない場合はこうという正確な数を出してもらわないと、いろいろと判断する上において的確さを欠くのではないかというふうに思うわけであります。
 しかし、船員統計が出ない事情というのはもっと現場の事情であるということじゃないでしょうか、どうでしょうか。
#33
○政府委員(金子史生君) 正確には四万四千六百二十という数字でございまして、十単位まで私ども確定するかどうかわかりませんけれども、少なくとも百単位までは正確ではないかというふうに考えております。
#34
○櫻井規順君 四万四千六百二十、これが内航船員需給調査委員会が確定した数字というふうに理解してよろしいですか。
#35
○政府委員(金子史生君) おっしゃるとおりでございます。
#36
○櫻井規順君 そうすると、以降、年々の船員数の動きというのは何をもって運輸省は権威のあるものとなさるわけでしょうか。
#37
○政府委員(金子史生君) 毎年十月一日に悉皆調査でやっております船員統計、これを基本に、先ほど申し上げましたように、旅客船の数を引いてあるいは家族船員数を足したりそういった操作をやりまして、操作といいますかカテゴリーをきちんと出しまして、そのもとに算出していきたいというふうに考えております。
#38
○櫻井規順君 それは、ぜひ確定をしていただきたいというふうに思います。
 それで、今もろもろの内航海運の主要な指標をたどってきたわけでありますけれども、傾向的には非常に内航海運が成長してきているということが言えるわけであります。これはモーダルシフトという運輸省の政策を照らして政策的な部分のあずかる面というのはどのくらいあるのか、内航海運が上昇してきた条件とあわせてモーダルシフト政策が及ぼした影響についてどんなふうにごらんになっているか分析を願いたいのですが。
#39
○政府委員(大金瑞穂君) お答え申し上げます。
 今御指摘のように、モーダルシフトの推進、特に私どもの所管で申し上げますならば陸上の幹線輸送から内航海運への荷物のシフト、これを推進するということでございますが、これは昨年度あたりから私ども特に力を入れて推進してまいっておるところでございます。
 それで、これが実際輸送実績の数字にどのくらい出ておるかという点、これはなかなか把握が難しゅうございまして、モーダルシフトに伴う輸送量の増加という数字、これは私ども把握しておりません。ただ、しかしながら、これまでの基礎産業資材の輸送に加えまして幹線輸送における海運へのモーダルシフトというもの、これを推進し、その担い手でありますところのコンテナ船であるとかローロー船あるいは自動車専用船、こういったものがここ数年八ないし九%の船腹量の増加を見せております。したがいまして、これに対応した輸送量の増加というのも含まれておるという認識を持っております。
#40
○櫻井規順君 まだモーダルシフト政策の結果というのは数字的にはあらわれないという状況でしょうか、あらわれているというふうに見てよろしいでしょうか。
#41
○政府委員(大金瑞穂君) ただいま御説明申し上げましたように、一部あらわれてきておるとは思っております。
 ただ、これは本年三月の海運造船合理化審議会の「今後の内航海運対策のあり方について」の御客中をいただいておりますけれども、ここでモーダルシフトを進めるための具体的な施策についてもいろいろ御答申をいただいておりまして、これを私ども今後実行に移してまいりたい。一部実行に移されている部分もございますけれども、なお一層これを進めてまいりたいと考えておりますので、モーダルシフトの効果と申しますか、これは今後さらに一層出てまいると、また出していかなければいけないと考えております。
#42
○櫻井規順君 船員の面でどうでしょうか。モーダルシフト政策の結果、内航船のローロー船化あるいは内航コンテナ化等々の促進のための優遇税制をいろいろ展開しまして、新しい輸送手段の開発ということで、船員面においてふえたという確認はできませんでしょうかどうでしょうか。ちょっと突然なあれで、わからなければいいです。
#43
○政府委員(金子史生君) お答えいたします。
 モーダルシフトのロール船化あるいはコンテナ船化によって船員数がどうなるかということでございますけれども、基本的には私ども、鋼材輸送船の分野等で進められておりますコンテナ化あるいはロール船化、そういったものについては船員の労働時間の短縮につながっていく荷役の軽減といいますか、そういう負担の軽減という面からとらえておりますので、そういうことを進めることによって直接船員数の削減につながっていくというふうには考えておりませんし、またそうであってはならないんじゃないかと思っております。
#44
○櫻井規順君 私は、そのふえる方を期待しているわけです。むしろ、削減を聞いた方がリアルかもしれませんけれども、それはまた後でやりましょう。
 次に、労働時間の問題に入ってまいりたいと思います。
 最初に、労働省に御出席いただいていると思いますが、現状を知りたいわけです。念のため、昭和五十五年とできるだけ新しい数字とを比べて比較願いたいと思うんですが、全産業、それから運輸・通信というふうなくくりになりますでしょうか、運輸を主体とした一つの産別のくくり、それと道路貨物運送業、内航海運業、その平均時間の実績はどうでしょうか。
#45
○説明員(朝原幸久君) 労働時間の関係を申し上げたいと思います。
 労働時間でございますが、企業種でございますと昭和五十五年で二千百四時間ということでございまして、これが平成三年でございますが二千六時間ということで百時間ほど減っております。
 それから、運輸・通信業でございます。昭和五十五年でございますが、総労働時間が二千百七十時間でございます。実は、平成二年が非常に長くて二千二百十時間というところまでいったんですが、平成三年は非常に下がりまして二千百六十四時間ということでございます。
 道路貨物業でございますけれども、これにつきましては、昭和五十五年では二千五百八時間でございました。これが平成二年はやはり非常に多くて二千五百三十八時間までいきましたが、平成三年には大幅に減りまして二千四百四十一時間というふうになっております。
 なお、内航海運業というような形では調査しておりませんので、そういう数字は持ち合わせてございません。
#46
○櫻井規順君 一番知りたいところがわからないのは残念なんですが、これは運輸省の方ではいかがでしょうか。
#47
○政府委員(金子史生君) 内航船員の年間総労働時間でございますが、船員労働統計、平成二年の九月に調査したものでございますが、これをもとに陸上休暇と有給休暇、こういったような実績を勘案して推計いたしますと年間二千三百四十三時間というふうになっております。
#48
○櫻井規順君 五十五年は。
#49
○政府委員(金子史生君) 昭和五十五年の年間総労働時間につきましては、私どもの統計の方法の都合上お示しすることが可能ではないのでございます、申しわけないのでございますが。
 仮に六十一年という数字なら出るわけでございますが、よろしゅうございますでしょうか。――昭和六十一年ということでございますと、内航は二千四百時間というふうに私ども推定いたしております。
#50
○櫻井規順君 これはちょっと意地が悪い質問で恐縮ですけれども、この「物流戦略」の中に資料として労働時間比較が載っていまして、内航海運業は昭和五十五年が、これは月の数字でして、所定内、所定外を含めまして二百三十一時間、それが昭和六十三年になると二百三十四時間というような数字が出されていて、これから機械的に十二カ月を掛けて年間二千八百八時間という数字がこういう権威のある「二十一世紀に向けての物流戦略」に載っているわけですが、この数字はどういうふうに理解したらよろしいでしょうか。
#51
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 その数字は私ども掌握しておりませんけれども、昭和五十五年九月の船員労働統計によりまして月間の所定内労働時間と時間外労働時間という数字は把握しておりますが、年間は把握しておりません、先ほど申し上げましたように。
 それでいきますと、所定内労働時間は百九十・九時間、時間外労働時間が三十・〇時間、合計二百二十・九時間ということになっております。
 それで、年間に換算する場合、単に十二を掛けるということは適当ではないのでございまして、有給休暇とか陸上休暇とかそういった休暇数は、内航の実態は先生よく御承知のように、例えば三カ月働いて三週間休むとかそういったようにまとめてとるようになっていますので、乗船中の人を調べただけでは実態がわからない、こういうことになりますので、十二を掛ける方法は陸上ではそのとおりでよろしいんだと思いますけれども、海上労働の場合にはそういう方法をとっておりませんので、その辺の時間的な計算の差が出てくるのかと思います。
#52
○櫻井規順君 その辺の実態はだんだんまた入っていきたいというふうに思います。
 次に、少し時間短縮の視点からとらえてみたいんですが、経済企画庁さん、経済企画庁の経済運営五カ年計画の中で五カ年目標として、これは平成五年になりますでしょうか、年間千八百時間実現の目標というものが掲げられているわけであります。そして、今なお新たな新経済計画が策定の作業中ではないかというふうに思います。
 この千八百時間というのはどういう根拠でお挙げになって、そしてその千八百時間の意義づけというのは、簡略でいいんですけれども、どんなふうになさっているのか。それから、新経済計画の中ではなお短い労働時間を掲げていただきたいというふうに思うわけでありますが、その辺の目標数字はどんなふうになっているか御答弁いただけますか。
#53
○説明員(安原宣和君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、昭和六十三年に閣議決定されました現行の経済計画、「世界とともに生きる日本」の中におきまして労働時間の短縮というのが大きく位置づけられているわけであります。
 まず、その位置づけの視点でありますが、三つぐらいの視点から最も重要な課題の一つであるというふうにされております。
 一つが、生活のゆとりを生み出し多様性に富んだ創造的な国民生活を実現する。二番目が、先進国としてよりふさわしい労働条件を確保していく。三番目に、内需拡大といった観点からも重要だろうということでございます。
 以上のような認識のもとに、目標といたしましては今年度が最終年度になっておりますが、この「計画期間中に、千八百時間程度に向けてきる限り短縮する」という目標を掲げておるところでございます。
 新計画は現在経済審議会で御審議をいただいているところでございますが、この審議の中でも労働時間の短縮といいますものは、先ほど大臣の御指摘にもありました豊かでゆとりのある生活大国というものを実現する上で最も重要な課題の一つであるということで御議論いただいているところでございます。
 具体的な数字といいますか目標でございますが、これにつきましては、まさしく今審議会の中で御議論をいろいろいただいているところでございますが、先ほど御指摘のございました現行計画の目標あるいは現在の労働時間の水準といったものを勘案いたしながら、やはり現行経済計画の目標あたりが一つの目安になるというような感じで議論を進めていただいておるというところでございます。
#54
○櫻井規順君 非常に時間短縮は興味のある問題ですけれども、本論に入らなきゃならぬものですから急ぎます。
 それで、労働時間の短縮の課題で労働省さんにお伺いします。
 平成五年に向けて四十時間の実現というプログラムをお立てになっているわけでありますが、暫定措置政令で運輸交通業は原則に対しておくれをとっているわけであります。平成三年度からは陸上交通業も四十六時間のラインに乗せ、平成五年度にはこれを四十四時間に引き上げていくというプログラムになっていますが、この平成三年度という時点でもって運輸交通業の引き上げと原則の方の全産業の引き上げはどんな状況で、順調に進んでいるのかどうなのか、いかがでしょうか。
#55
○説明員(朝原幸久君) 先生御指摘のように、平成三年度より原則四十四時間ということになったわけでございますけれども、やはり労働時間が非常に長い業種あるいは規模がございまして、そういうところを一緒にしますとどうしてもそれに足を引っ張られるということで、原則は四十四時間といたしましたが、一定の業種あるいは規模の産業につきましては、今おっしゃられましたように四十六時間という猶予措置を設けております。
 ただ、これにつきましても平成五年三月三十一日まででございまして、それ以降は四十四時間ということでございます。
 そういうことに向けまして、我々は今できる限りの諸施策をとりまして時間短縮に取り組んでいるところでございます。
#56
○櫻井規順君 それは政令もそういうふうに整い、そして実態もそういうふうになってきているというふうになっていますでしょうか。
#57
○説明員(朝原幸久君) 制度的にはそのようになっております。
 それから、あと実態といたしましても、そういうことでなければ労働基準法違反ということになりまして、最悪、刑罰ということになります。
 なお、我々といたしましては、さらにそれを四十時間に向けて、これは労働基準法の本則に書いてあることでございますが、なお一層懸命に取り組んでいるところでございます。
#58
○櫻井規順君 船員法の関係では大型船、小型船と区別されているわけでありますが、こちらの方の進行はいかがでしょうか。具体的には触れませんが、船員法で大型船については平成元年度に四十八時間、四年度にはこれを四十四時間に引き下げるということになり、小型船につきましては平成二年度に四十八時間と、こうなっているわけでありますが、この政令あるいは実態というものはいかがでしょうか。
#59
○政府委員(金子史生君) ただいま大型船、小型船につきまして法定労働時間の関係、先生からお話があったとおりでございまして、また実態につきましては、これは法定労働時間については私ども遵守状況を見ながら短縮を進めてまいりますので、時間外については多少の伸縮というのはございますけれども、法定労働時間そのものというのは遵守状況は確保されるということを見ながらステップ・バイ・ステップで進めていっておりますので、それはおおむね遵守されているものというふうに理解しております。
#60
○櫻井規順君 経済企画庁さん、労働省さんへの質問の最後に、経済企画庁さんの方にお伺いするわけでありますが、以下、質問をずっと聞かれてコメントいただければよろしいかと思うわけです。
 結論的に言いますと、大型船、小型船、その内航海運の関係の労働実態ですけれども、これは海運運送業者自身があるいは海運運送関係の労働組合が当事者として頑張らなきゃならぬ問題でありますが、荷主というものがありまして、賃金があるいは労働時間が文字どおり労働法なり経済企画庁さんがおっしゃるような豊かさあるいは労働基準法、先進国並みの労働実態、そういうふうな観点でなかなか決まらない。荷主と船賃のコストをいかに下げるかという観点がう実際には労働時間が決まってくるという状況がありまして、かなり経済企画庁あるいは通産省サイドから荷主サイドヘの働きかけというのは非常に重要になるというふうに思うわけです。
 その辺の交通運輸産業並びに内航海運の大型船、小型船の実情を聞いてどんな問題意識をお持ちなのか。その辺をしっかりと経済企画庁でも政策の中に生かしていただきたいというふうに思うわけでありますが、検討なさっているのかどうか、その辺を御答弁ください。
#61
○説明員(安原宣和君) 先生が御指摘の点は大変難しい点でございますけれども、現在、先ほど申し上げましたように、経済審議会の中で新しい経済計画の御審議をいただいておるところでございます。
 その中で、先ほど来申し上げておりますように、労働時間の短縮が非常に大きな課題になっておりまして、今いろいろ御議論がございますように、なかなか時間短縮が進まない一つの要因には、やはり企業あるいは消費者自身の意識もあるんですが、全体として時間短縮を進めていくという意識の変革というものが必要ではないかという視点をかなり重視して御議論をいただいておるところでございまして、先生御指摘の点をどこまで反映できるか必ずしも確たることは申し上げられませんが、そういう視点も踏まえながら今審議を進めさせていただいておるところでございます。
#62
○櫻井規順君 またそれは別の機会にやりたいと思います。どうも経済企画庁さん、ありがとうございました。
 労働省さんに一つ。
 さっき、統計数字の中にもこの内航海運の数字はないわけでありますが、船員法の分野は賃金実態あるいは労働時間の実態の調査も労働省はなさらないということですか。そして、非常にやはり労働時間は長いわけでありますが、労働行政全般からも適切な指導があってよろしいかというふうに思うわけであります。私はそれを期待するわけでありますが、いかがでしょうか。
#63
○説明員(朝原幸久君) 実は、内航海運業につきましても一部労働基準法の適用のあるところがございます。言ってみますると、船員法が適用単位といたします船舶につきましては、船員法一条二項によりまして「総トン数五トン未満の船舶」等につきましては除外しております。逆に言いますと、その除外された部分につきましては労基法の対象になるという形にはなってございます。
 なお、我々、そういう意味で言えば一部内航海運業についても理屈の上では調査の対象等にしているはずではございますが、実態として調査が行われているかどうかということにつきましてはちょっと不明でございます。かなりそうではないんじゃないかという感じがいたしております。
 ただ、先生おっしゃられましたように、労働時間短縮ということでございまして、我々といたしましても全体の労働時間短縮という観点から、先生が今おっしゃられましたような観点も含めましてさらに努力を続けてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#64
○櫻井規順君 どうも労働省さん、企画庁さん、ありがとうございました。
 それじゃ、船員法に関連をいたしまして、もうちょっと船員の労働時間の問題で伺います。
 平成元年に船員法の改正がなされた折に、附則に三年たったら労働時間の見直しをするというくだりがあるわけであります。これは検討が始まっているという新聞報道にも接しているわけでありますが、ちょうど三年がことしの四月一日になるわけでありますが、新たな労働時間短縮の検討というのはどういうふうになされているでしょうか。
#65
○政府委員(金子史生君) やっております。
 今、先生お話しのとおり、三年後の見直しというのが前回六十三年の船員法改正のときに衆参の御審議の中からそういうことが法律の中に書き込まれたわけでございます。この法律の附則の第六条におきまして、御参考までに御披露いたしますと、「政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、新法の規定の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは一新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」ということになっておりまして、本年四月が今お話しのとおり、この「三年を経過した場合」に該当いたしますので、先月、四月の十七日でございますけれども、船員中央労働委員会に対しまして同条に規定する措置に関する諮問を行ったところでございます。
 昭和六十三年改正の内容につきましては、基準労働期間のあり方とか補償休日労働日数の限度の問題を初め、労働側、使用者側のいずれもそれぞれ何らかの意見を持っておりますので、今後労使の御指摘、中央労働委員会での御検討を踏まえ、実態調査等も行いまして改正すべき方向についての案を取りまとめていきたいというふうに考えております。
#66
○櫻井規順君 具体的な数字を出してまた御検討いただきたいというふうに思うわけであります。
 それで、この小型船の方の労働時間の短縮の確認の仕方というのが、まあ失礼ですけれども通達で書けばいい話であって、問題はそれがどういうふうに業者に徹底したか、船員の全体に徹底したかという確認がどうなされているのか。
 小分則、小分則と言っているわけですが、小型船に乗り組む海員の労働時間及び休日に関する省令、この省令の改正は当然今度の法改正でなさるわけであります。労働時間短縮にあわせて過労働時間を省令で変えていくわけですね。問題は、それが小型船全体に徹底して、実際に適用されているかどうかという確認というのは何でなさるわけでしょうか。
#67
○政府委員(金子史生君) 今回の船員法改正案が仮に通過をいたしますと、七百総トン未満の小型船につきましても、これは週四十四時間制ということになるわけでございまして、私ども確認の方法といたしましては船員労務官が実際に事業所あるいは船舶等に立入検査等をいたしますので、そういった現場での一船一船の確認もいたしますし、また実施状況全般につきましては、毎年労働時間の関係につきましては九月に船員労働統計の調査をいたしておりますので、そういったことを通じまして確認いたしたいと思っております。
#68
○櫻井規順君 既に、今度の法改正を伴わなくても小労則で、さっき言ったように、平成二年度に四十八時間ライン、平成五年度からは四十四時間ラインへと、こういう長期展望を持っておやりになっている、それがどういうふうに実施されているかということに関心があるわけでありますが、船員法の場合には三六協定というものの適用もないわけで、確認のしようというのはないのではないかというふうに思うわけであります。
 ちょっと時間がないので、前へ進ませていただきます。
 それで、いよいよ船員法の改正で小型船に対しても船員法の第六章の適用を行うということになるわけであります。非常に歓迎すべきことだというふうに思うわけであります。
 そこで、幾つか経過的に見て心配になる点からまず触れておきたいというふうに思うわけでありますが、改正法の七十一条で、「海員が断続的作業に従事する船舶で」「行政官庁の認可を受けたもの」は労働時間等が適用除外されることになっているわけであります。この適用除外船の労働時間の指導というのは、新たな法律ができた後どういうふうになさるのでしょうか。
#69
○政府委員(金子史生君) 改正法の第七十一条の適用除外船ということでございますけれども、これは海員が断続的に労働に従事するということから、通常の船舶とは異なって、一律的な労働保護を図るというよりも個別に審査して図るということが望ましいことから適用除外にいたすわけでございますが、はしけとか給水船とかそういったものを想定しておるわけでございます。
 これらの適用除外船につきましては、運輸省の方で指定船ということでもって個別に審査した上、指定いたしたわけでございますが、そういった除外したものにつきましても私ども労働保護に遺漏がないように、労務官の監査等を通じて労働時間の把握その他に努めたいというふうに考えております。
#70
○櫻井規順君 次に、法七十二条の二で労働時間の特例規定があるわけでありますが、この特例規定を設ける対象船はどういうふうにお考えになっていますでしょうか。
#71
○政府委員(金子史生君) 法七十二条の二に基づく命令で新たに定められる対象船舶でございますが、総トン数七百トン未満の小型船につきまして船員法の七十二条の二によりまして海員の一日当たりの労働時間の特例、これを私ども変形労働時間制と言っておりますけれども、これが認められる船舶の類型といたしましては二つのカテゴリーを考えております。
 これは船員中央労働委員会の答申にもございますが、一つのカテゴリーは、「定期的に短距離の航路に就航するため入出港が頻繁である船舶」、それからもう一つのカテゴリーは、「海員の日ごとの業務に著しい繁閑の差が生ずることが多い船舶」、この二つのカテゴリーを考えております。
#72
○櫻井規順君 今の適用除外船と、それから特例規定対象船というのを区別いたしまして隻数として何隻、対象船員数としてどのぐらいの数になりますでしょうか。
#73
○政府委員(金子史生君) 今、適用除外船についてはしけとか給水船、給油船、そういったような典型的な例を申し上げましたけれども、あるいは七十二条の変形労働時間のものにつきまして二つのカテゴリーがあるということを申し上げましたけれども、これらにつきまして具体的にそれではより細かい種類を特定していくという作業は、この法律が仮に成立をお認めいただきますとこれから船員中央労働委員会で御審議いただきまして、省令レベル、通達レベルに盛り込む具体的な中身を特定いたしていきますので、そういった作業を今後経ないと種類も確定しません。したがって隻数も確定しない、こういうことになるわけでございます。
#74
○櫻井規順君 概略でもわからないでしょうかね、隻数と船員数、アバウトで。
 いずれにしましても、そういう作業をこれからなさる。それが、そういう適用除外船にしても特例規定対象船にしても法改正に伴って時間短縮にはっきりと結びついていくということが保証できるかどうか。
 時間がないものですから先に進みますが、その適用除外船あるいは特例対象船の範囲を決める場合に、海員組合の関係者が船中労委に入っているというそういうことではなくて、特に当該の海員組合関係者等の意見を十分聞いて配慮するという点はいかがでしょうか。
#75
○政府委員(金子史生君) 先生御指摘のように、海員組合の意見も十分踏まえてという点につきましては船員中央労働委員会で、先ほど申し上げましたように、今後審議して確定していく過程におきまして議論、労使の労を代表する者でございますので、当然全日海の意見というものは反映していくというふうに私ども考えております。
 それからなお、先ほど申し上げました法七十一条の関係の適用除外となる船舶の数でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、種類が特定しませんと数も出ないわけでございますが、現在の小分則でもってはしけ等が適用除外になっております。それにつきましての数は、平成四年の二月一日現在、全国で百十三隻の船がこの適用除外の許可を受けております。これは現在の小分則の関係でございますので、新しい規定では船の種類から決めていく作業にこれから入りますので、必ずしもこれと同数になるということではございませんけれども、御参考までに現在の小分則の適用除外の船は百十三隻でございます。
   〔資料配付〕
#76
○櫻井規順君 大臣初め皆さんのところに私の方から実際の船員の皆さんの職場実態というものを三つのケースで御紹介しました。大方の方がごらんになっているものだというふうに思いますが、これは全日本海員組合さんの方でおつくりになったパンフレットの中に載っているものです。
 実際にA丸という四百九十九トンの船、これの一等航海士さんの場合には四日間の全航程が書かれているわけであります。見ていただければわかりますように、六月二十四日は就労十三時間三十分、休憩が五時間、睡眠が五時間三十分というふうに右端の方にその中身が書いてあるわけであります。
 先ほどのお話の中で内航海運の年間の総労働時間が二千三百というオーダーで御紹介があったわけであります。そして、その数字は九月一日という一年間のある日をとらえて調査した結果に基づいた報告になっているわけであります。これを見ますと、こういう航程でもって、これは四日間で陸上におりるということではなくて、これが果てしなく四カ月、五カ月と続くサイクルになっているということであります。備考欄にも字が書いてございますので、またごらんいただきたいというふうに思うわけでありますが、こういう実態の上に立ちますと、小分則適用の小型船につきましては特にそうなんですが、年間三千時間という労働時間は実態としてかなり一般化をしている回
 こういう実態について、それからここにあるA丸、B丸、C丸というこの実態についてどうでしょうか、お認めになるでしょうか。事実として素直にお認めになるでしょうか、いかがでしょうか。
#77
○政府委員(金子史生君) まず、年間三千時間を超えているような船があるのではないかと、こういうお話でございますが、これにつきましては内航小型船の現行の法定労働時間である週四十八時間、これを年間通じて行った場合には所定内労働時間だけで約二千四百時間となります。これに時間外労働を加えれば、御指摘のように、三千時間程度になるということもあり得るというふうに考えております。
 今、先生お配りいただいた、これは全日海が調べた例であると私ども理解しておりますけれども、これにつきましてでございますが、御指摘の事例につきましては法令に定められた労働時間の基準に違反している疑いが私ども強いと思っておりまして、違法である可能性が高いものであるというふうに考えておりまして、こういったケースはまれな事例ではないかと認識しております。
 例えば、具体的に申し上げますと、A丸の一等航海士のところをごらんになっていただきますと、六月二十四日、一番右側の就労時間十三時間三十分、それから六月二十五日は就労時間十四時間、翌二十六日は十三時間三十分、翌二十七日は十時間と、こういったように毎日十時間の労働をはるかに超えている実態というふうに書いてございますけれども、これは変形労働時間制を採用していない限り小分則の違反でございます。
 また、この下にありますところのB丸の一等機関士、これの就労時間を見てみますと、七月四日が十五時間三十分の就労時間、五日が十一時間、六日が十七時間、七日が十時間、八日が十六時間三十分、こういうふうに明らかに一日八時間を超える労働をしておりまして、変形労働時間制を採用していない限り小分則違反でございますし、仮に変形労働時間制を採用していたとしても、五日間に七十時間このB丸の場合就労しておるわけでございますので、一週間に五十六時間という法定労働時間を超えており、これも小分則違反であるというふうに私ども思っておりまして、このような具体的な事例を私どもに通告いただければ、直ちに船員労務官を派遣して取り調べたいというふうに考えております。
#78
○櫻井規順君 そういうふうに言われると何とも質問のしょうがないんですが、じゃどのぐらいの監督体制があるのかということをお聞きしたい。監督体制というのはどのぐらいのスタッフがいるのでしょうか。
#79
○政府委員(金子史生君) 船員労務官は全国に百四十四名が平成四年度現在で配置されております。
#80
○櫻井規順君 それはまた同僚議員の渕上さんの方に譲りたいと思いますが、現状はそうであると。
 それから、船員法に基づく労働実態の中で休日というのは年間とのぐらいとっているかという数字、小型船の場合ですけれども、それも海員組合に組織されている船と組織されていない船と区別してどのぐらいとっているかおわかりになりますか。
#81
○政府委員(金子史生君) お答えいたします。
 年間の休日数につきましては、これは就業規則の調査によりますと平均六十四・二日ということになっております。私どもこれは大型船、小型船あるいは組織船、未組織船という区分をして調査いたしておりませんので、内容的には把握いたしておりません。
#82
○櫻井規順君 小型船の七百トン未満でどうでしょう、組織船と未組織とのシェアというかはわかりますでしょうか。
#83
○政府委員(金子史生君) 組織船、未組織船の割合につきましてはおおむね二割程度が組織船であるというふうに理解しております。
#84
○櫻井規順君 そうすると圧倒的に未組織船なんですけれども、六十何日というのは日曜日とプラス国民祝祭日、それと有給休暇の法定の最低のやつを足せばそのぐらいの数に軽くなっちゃうわけですが、それにもまだ満たない数字で、有給休暇は十を割っているのじゃないかというふうに思うわけであります。
 週休二日制ということが国家公務員もいよいよ実施されたわけですけれども、例えば週休二日制と国民の祝祭日とで百二十日くらいになるわけでありますが、そういう実績を上げている小型船の数字というのはありませんか。
#85
○政府委員(金子史生君) 先ほど御説明申し上げましたように、小型船ということで私ども調査してはいないわけでございますが、ちなみに組織船の労働協約を見ますと、年間の休日が百十という数字になっております。
#86
○櫻井規順君 ぜひ、そういう休日の実態、それから労働時間の実態というものは九月一日に一度調査するということではなくて、かなり定期的に年間何回か調べるような態勢をつくっていただきたいというふうに思うわけであります。それはまた、いろいろ調査の規定があるというふうに思うわけでありますが、それはぜひ変えていただいてそういう調査を進めていただきたいというふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。
#87
○政府委員(金子史生君) ただいまの先生の御指摘を踏まえて、私どもといたしましては調査をいろいろな方法、民間の団体の協力等を得まして実態把握に努めてまいりたいというふうに考えております。
#88
○櫻井規順君 次に、六十九条、七十条の定員の関係についてお伺いをします。
 この六十九条というのと七十条のなかなか区別がつかないわけであります。六十九条というのは六章の条項を酌んだ一般的規定であり、七十条については大型船が安全を確保すべき一定の数というふうな規定になっているわけでありますが、ちょっと簡潔に御説明願えますか。
#89
○政府委員(金子史生君) 六十九条と七十条の関係でございますが、六十九条につきましては労働時間を遵守するために必要な定員、つまり一日八時間労働を遵守するための定員ということが規定されておりまして、七十条は航海の安全を確保するために必要な定員、つまり大型船であれば航海当直基準によって三直ということ、複数当直ということが決まっておりますので、三直であれば三掛ける二で六人という定員が七十条の関係からは出てくるわけでございますが、六十九条の関係からは一日の労働時間だけですから、これは三直であれば三掛ける一ということで三人でもいいわけです。一方、七十条の関係からは六人というふうに、それぞれ異なった観点から物事を見ているわけでございます。
#90
○櫻井規順君 先ほどお配りいたしましたこういう航海日程を見ましても、一定の定員が確保されなければ技術を持った機関士さんあるいは航海士さんが機関当直なりをやれないわけですね。それは一定の必要な数があるわけであります。
 問題は、今までは定数が決まっていた。船員の職員法としては生きているわけでありますが、今度船員法を改正しますと、直感的に省力化や機械化が進んで手を抜いてもいいような感じがするのとは逆に、その運航に当たってはちゃんと航海士さんなり機関士さんが当直に当たらなきゃいけない。それが、例えば三人なんという数字じゃ出てくるはずがないわけですよね。
 それはそれとしまして、問題は、この定員の数を外すことによっていろいろと心配があるわけであります。これはたくさんの指摘があろうかと思いますけれども、この改正の趣旨を逸脱して航海の安全を無視した甲板部員の減員が行われないように配慮をするということは船中労の答申の文章の中にもあるわけでありますが、そういう点をどういうふうに注意をされ、船主に対して御指導されるのか御答弁ください。
#91
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 今般の第七十条第一項の甲板部員六人の一律的な乗り組み義務の廃止、これは実態に合わず不合理になっている規制を実態に合わせたものにするということを目的にいたしておりますので、この改正によって安全を無視した安易な人員削減とか労働強化が行われることがあってはならないということは申すまでもないというふうに私ども考えておりまして、法改正後も適正な定員確保につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、法第六十九条と新しい七十条の規定により担保されるということになるわけでございます。
 昨今の我が国海運業界の実態を見ますと、船員不足の深刻化とかあるいは船員の高齢化とかそういったことが顕著になっておりますので、船員確保のため船員の労働条件の改善ということが必要であるということは労使問わずそういう認識が浸透しているというふうに私ども考えておりまして、このような認識に立ちまして、今回の法改正も適正な労働条件を確保するためには、実態を踏まえつつ定員規制を充実するということが重要でありますことから、労使によりますところの適正な定員確保のための取り組みの強化とかあるいは行政官庁による審査の強化ということを図るというふうに今考えておるわけでございます。
#92
○櫻井規順君 六人という数が取り払われて、定員は就業規則の中の対象項目にする、こうなっているわけであります。しかし、就業規則というのは、船会社で十人以上の雇用のある会社というふうになっているわけであります。したがって、小分則適用の一杯船主といいましょうか、そういうところで十人を割り九人以下のところは、その指導も行き届かないという心配があるわけであります。
 仮に、十人以上で就業規則がこの定員の問題で申請がなされた場合、各地方の海運支局はそれを指導し得る、その船にとって安全か否かということをこの法の精神に基づいて審査する力とスタッフというものがあるんでしょうか。
#93
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 十人未満の従業員しか抱えていないという事業者につきましても、これは法律の規定ではございませんけれども、従来ともできる限り就業規則を作成するように指導しているところでございますが、私ども十人未満の所有者に対する監督といたしましては、これは船員法三十七条の規定に基づきまして雇い入れ契約の公認というものを行政官庁に申請するということになっておりますので、この雇い入れ契約の公認を行う際に、所要の定員が乗っているかどうか安全確保できるかどうかあるいは法定労働時間を守れるかどうかということをチェックしたいと思っておりますし、またこれは先ほどの船員労務官が現場でいろいろ立入検査等をして調べるわけでございますけれども、地方運輸局の船員部のスタッフが審査に当たるわけでございますので、その点は遺漏なきを期したいというふうに考えております。
#94
○櫻井規順君 非常に心配になるわけでありますが、全国の各支局でその審査をするに当たって、一定のやはり統一したマニュアルあるいは人の配置というものが考えられなきゃならないというふうに思うわけであります。
 そういうふうに仕事量もまたふえてくるだろうし、専門的な知識と、そして特にマニュアルというもの、定員マニュアルといったらよろしいでしょうか、そういうものが必要になってくるかというふうに思うわけであります。その辺はどういうふうにお考えになりますでしょうか。
#95
○政府委員(金子史生君) 定員をチェックするに当たってマニュアル的なものが必要ではなかろうか、こういう御指摘でございますが、私ども審査の観点といたしましては、先ほど申し上げましたように、航海当直基準等の航海の安全の確保ができるかどうかという観点から、あるいは法定労働時間が守られるような勤務体制になっているかどうか、そういうことの観点から審査するわけでございますが、例えば具体的に航海当直基準の遵守に関しましてはこういったふうに考えております。
 七百総トン以上の船舶の甲板部の当直、これにつきましては従来から行われておりますとおり、今後とも複数当直体制を組むということを指導してまいりたいというふうに考えておりまして、したがって、先ほどもちょっと触れましたように、甲板部の具体的な最低の人数は直数の二倍ということになるわけでございまして、三直であれば甲板部の三直掛ける複数当直ということで、二掛けまして六人、甲板部当直は六人、こういう具体的な基準でもって当たりたいと。
 それから、総トン数七百トン未満の船舶の甲板部当直につきましては航海当直基準上、単独当直をしてもよいというふうに解されておりますので、単独当直を組むことが認められるわけですけれども、人数的に申し上げますと、甲板部の具体的な最低人数は、したがって三直であれば三人、甲板部の人数は三人、こういうふうな基準でやっていきたい。ただし、航海の個々具体的な状況によりまして単独当直が認められないような場合も、例えば濃霧の発生のときとかそういった場合がございますので、そういったときは機動的に複数当直体制が組めるような人数であるということを指導してまいりたい。
 こういったような内容につきまして地方運輸局等を指導いたしまして、就業規則に記載されている定員の審査が適切に行われるようにいたしてまいりたいというふうに考えております。
#96
○櫻井規順君 マニュアルの問題ですけれども、なかなか支局の皆さんは専門家ばかりじゃないというふうに思うわけであります。そういう意味で、船員代表など関係者の意見を聞いてマニュアルあるいはそれに準ずるものをおつくりいただきたいというふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。
#97
○政府委員(金子史生君) 私ども航海当直基準の遵守ということを中心に、海上保安庁とも十分連携をとりながらそういった安全の確保というものができるようなマニュアルと申しますか、マニュアルというよりは通達を地方運輸局に流したいというふうに考えておるわけでございます。
#98
○櫻井規順君 時間がなくなってまいりましたが、冒頭言いましたように、この法改正が魅力ある職場づくり、そして船員不足という状態をどう解消するかという面でもって一つの役割を果たすことを期待しているわけであります。
 それで、この法の改正に関連いたしまして、今の船員不足というものの解消に関して最後に幾つか質問をさせていただきます。
 現在、船員不足という状況を迎えているのかどうか、その辺いかがでしょうか。簡潔にひとつお願いします。
#99
○政府委員(金子史生君) 私ども現在の認識といたしましては、内航につきましてはかなり船員不足の状況が深刻であるというふうに理解しております。
#100
○櫻井規順君 その船員不足の原因というのはどういうふうにお考えになっておりますでしょうか。
#101
○政府委員(金子史生君) 基本的にはよく三K職場と言われておりますように、労働条件に相対的に悪い、こういうことかと思います。
 中身的には、一つには労働時間の関係あるいは休日、休暇の関係、そういった問題が一つ。それから二点目は、賃金が労働の中身に比べではそれほど高いということは言えないといった賃金の問題。それから三点目は、船内の居住環境と申しますかあるいは作業環境といいますか、そういった点。こういった点が相対的に不利なために、要するに若い人が特に集まらない、こういうことかと思っております。
#102
○櫻井規順君 どうでしょうか、内航海運のシェアの高まり、そして輸送量というものが非常に高まってくる。これは旅客輸送もそうでしょうけれども、特に貨物輸送の面では世界にも余り例を見ないぐらい日本は内航海運というものが盛んな国であるわけでありますが、物流の二十一世紀計画もこの点では極めて不十分でありまして、将来の船員不足に対する解消策、船員の新たな確保策として今運輸省として考えていることは具体的にございますでしょうか。
#103
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 内航船員不足問題の解決に当たりましては、先ほど申し上げました陸上労働と比較して相対的に魅力に欠ける内航船員の労働条件、労働環境等を改善するということが何よりも急務であるというふうに考えておりまして、そのためには内航事業者とそれから内航事業者の団体というものがみずから努力するということが最も重要であると考えております。
 運輸省といたしましてもこの問題の解決に向けまして、ただいま御審議いただいております内航小型船の船員の労働時間の短縮に資する船員法の一部改正、この法律案を本国会に提出させていただきますとともに、漁業離職者の内航への円滑な転換を目的とする内航転換奨励金の新設が四年度予算で初めて認められましたので、そういったこととかあるいは内航近代化船の研究開発などの経費、これも平成四年度の予算で計上されましたので、こういった問題、あるいは海員学校、海技大学校を内航船員の養成の場にするための学制改革、これも私ども現在実施に移しておりますので、そういったことを鋭意行っておるところでございます。
 本問題の基本的な解決に当たりましては、内航事業者のみならず荷主とか海員組合等の関係者の理解と協力が必要であることから、荷主、海運事業者、海員組合等の関係者から成る内航船員不足問題を考える懇談会というものを本年の三月に運輸省に設置いたしたところでございまして、今後はこの懇談会における議論を受けまして有効な内航船員不足対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
#104
○櫻井規順君 船員不足という実情が、特に未組織船の場合に非常にそれが極端であるわけであります。これの解消のためには、組織船の方で実績を示されていますように、予備船員というものをどのくらい置くかということが問題になってくると思うんです。
 もうほとんど小型船の場合には予備船員はゼロ、これも同僚議員の方からまた触れるわけでありますが、予備船員はゼロと。この予備船員の枠をいろいろな工夫をして置くということが魅力ある職場づくりの場合の、何といいますか当面の中心になるんじゃないかというふうに思うわけですが、その辺のお考えをお持ちになっているでしょうか。
#105
○政府委員(金子史生君) 予備船員でございますが、現在の内航の予備員率は一九%程度でございます。
 それで、私どもこういった時間短縮を進めていくためには、これはいろいろな海運事業者みずから、あるいは荷主の協力を得まして、例えば船内の荷役作業を陸上に移管するとかあるいは機械化、省力化あるいは計測化、計器で測量するというような、タンカーなんかの荷役作業で監視作業というのがありますが、そういうものを機械化、計測化していくというようなこととかいろいろそういった省力化、人手を省いていくための、先ほど先生も御指摘のあったコンテナ化とかロール船化もその一つかと思いますけれども、そういった努力もする必要が基本的にはあろうかと思っております。
 それによって、どうしてもそういった努力あるいは運航のスケジュール化をしてもなおかつカバーできないものにつきましては、御指摘のように、やはり必要な予備員というものを持っていく、こういったことになろうかと思っております。
#106
○櫻井規順君 どうも実績がないとおしゃべりが多い感じですけれども、未組織船での予備員率というのはどのくらいありますか。一言でいいです。
#107
○政府委員(金子史生君) 私ども、組織船、未組織船の区別はいたしておりませんので、掌握しておりません。
#108
○櫻井規順君 今の一九%は恐らく一〇〇%組織船じゃないでしょうか。指摘をしておきます。
 それから、問題は、若手船員の確保というのが一番ポイントになってくるかというふうに思うわけであります。そういう意味では、海員学校の果たす役割というのは非常に大きいというふうに思うわけであります。
 それで、この海員学校はやはり今の内航船の船員の登竜門としても非常に大きいわけであります。どうぞこの海員学校をむしろもっとふやす方向で、そして内航海運とリンクさせるような配慮を運輸省としてお進め願いたいということを要望しておきます。若手船員の確保を配慮願いたい。
 それからいま一つ、水産高校の関係をぜひ文部省にも働きかけて、水産高校から内航海運の船員になれるようなルートを研究されたい、この点も御要望をしておきます。
 時間がないものですから、最後に大臣にお伺いをいたします。
 一、二あるわけでありますが、一つは、今の船員の置かれている、とりわけ内航海運の小型船の置かれている状況、そして定員、それから労働時間等々を見てみました場合に、運輸省としてなすべき課題多々あるかというふうに思うわけでありますが、大臣いかがでしょうか。
#109
○国務大臣(奥田敬和君) 今ほどの御質疑を通じて、特に小型船における労働時間の厳しさということを痛感いたしました。しかしながら、この日本の経済活動、国民生活を支えているのがこの内航海運従事者のおかげであるということは間違いないと思います。
 先生の御指摘のように、若い船員不足の対応策として、最近徐々にではありますけれども海員学校志望者もふえてきているという、こういった傾向も見られるわけでございますので、できるだけ海に生きる喜びと申しますか誇りと申しますか、こういったものを私たち国民全般がやっぱりそういった風潮も育てていかなきゃならぬのじゃなかろうかなと思っております。できるだけ早い時期に何としても今御指摘になったような就労時間を何とか、設備改善や各力化対策等々もやっぱり考えていかなきゃならぬなと。と同時に、船主さんばかりじゃなくて荷主さんにもこういった対応、PRに関しても指導してまいらなきゃならぬと。
 何としても、やっぱり若い人たちに魅力を持ってもらえる内航にしないと、これ自体我々の本当に生活基盤を支えていただいているわけですから、こういった形で労働条件改善等にも全力を挙げてお手伝いしてまいらなきゃならぬと思います。
#110
○櫻井規順君 もう一つ大臣にお伺いします。
 今お話しのように、船員の賃金一つとっても労働時間一つとっても、これは労使間で奮闘努力していただかなきゃならぬわけでありますが、今お話にありましたように、運賃を決める過程で広い荷主サイドの問題があるわけであります。そういう意味で通産サイドの関係もありますが、物流関係は陸上もこれまた労働時間も非常に長くて、内航海運の未組織船はどではないですが、非常にひどい。どうも労働時間等々から見ますと物流業界が一番悪名をとどろかしているわけであります。
 そういう意味で、関係省庁、文部省なども含めまして物流関係閣僚会議のようなものを設けて魅力ある物流関係の職場づくりというものを考えるときにきているのではないかというふうに思うわけであります。ぜひ強く要望し、運輸大臣の所見を伺いたいというふうに思います。
#111
○国務大臣(奥田敬和君) 今御指摘ございましたように、関係省庁とよく連絡をとり合って、これはやっぱり日本の生活と景気を支える大変な大事な物流でございますから、そういった面については今先生の御指摘のような方向で一遍検討を開始したいと思います。
#112
○櫻井規順君 どうもありがとうございました。
#113
○渕上貞雄君 本日は、船員法の審議中でありますけれども、くしくも信楽高原鉄道が事故を起こした。日でもあります。
 現地ではいろんな行事が行われておりますけれども、早くも一年が実は経過をしたわけでありまして、当時亡くなられた四十二名の方々に謹しんで哀悼の意を表するとともに、六百名以上にわたって負傷された方で今なお病床におられる方々の一日も早い回復を祈っているわけであります。
 この事故は最も恐ろしい鉄道事故でありましたし、絶対あってはならない正面衝突の事故でありました。やはり運輸産業、交通産業において一番大切なものは何よりも安全運行であろうというふうに思います。運輸における事故というのは、やはり人災事故というのが大変多いわけでありますが、同時に災害というのは忘れたころにやってくるわけであります。最近、JRその他、マスコミの報道によりましても重大事故につながるような幾つかの事故が発生をしております。やはりこれらの事故というのは未然に防いでいかなくてはならないと思うのであります。
 ところが、いまだに信楽高原鉄道の場合は事故の原因が明確になっていない。同時に、補償についても十分されていない、完全解決を見ていない。こういうことなどを考えますと、一体どういうふうになっているのか、運輸省としてどういう指導をしているのか、こういう疑問が国民の間に率直に私はわいてくると思うのであります。
 したがいまして、再びこのような事故が起こらないよう、一つは、早急に事故原因の解明をすべきではないか。もう一つは、やはり遺族の方々に対する補償の問題というのを早急に誠意を持って解決していくべきではないかというふうに思っているわけであります。 したがいまして、最近のいろんな事故など、改めて安全運行に対する運輸大臣としての所見をお伺いしたいと思います。
#114
○国務大臣(奥田敬和君) 昨年の五月十四日、本当に最近にない重大な信楽鉄道事故発生、それによりまして四十二名の死者、六百名を超す負傷者を出したという本当に悲しむべき事故でございました。本日がその一周忌に当たるということで、大変痛恨なことであり、胸に迫るものがあります。私もできることなら本日の一周忌に当たりまして現地に赴きたかったわけでありますけれども、本院委員会の関係もございますし、本日の御審議に影響があったかもしれませんけれども、鉄道局長を現地に派遣いたして御冥福をお祈りしておるわけでございます。
 今、先生から御指摘ございましたように、改めて公共輸送に携わる者一同、本当に安全の確保という形の命題がいかに大切であるかということをこの際厳しく反省すべきであろうと思っております。と同時に、補償案件につきましては、信楽鉄道はもとよりでございますけれども、滋賀県、JR西日本ともども手を携えまして、原因究明とは別にこの補償問題については最大の誠意を持って当たるということを私にも明言をいたしております。そういったことで、そういった補償措置の話し合いができても、つらいことではありますけれども、亡くなられた方々が帰ってこられるわけではありませんけれども、せめてもこの補償問題に関しては最大の努力を傾注して御遺族の方におこたえしなければならぬと思っております。
 一周忌をめどに原因の究明も急いでおられたわけでありますけれども、近々そういった形も明確になると思います。これらの原因究明と並行いたしまして補償問題についても誠心誠意当たるように、さらにきつく指導してまいりたいと思っております。
#115
○渕上貞雄君 その点については、大臣、ひとつよろしくお願いを申し上げておきます。 それでは、船員法関係について入ります。
 先ほど同僚委員の方からも御質問がございましたけれども、とりわけ内航海運にかかわる船員の労働行政問題についてお伺いをしていきたいと思います。
 一つには、船員労務官というのが百四十四名と先ほどお答えをいただきました。それの対象になる労働者の数というのが大体十四万から十五万人おられるというふうに言われております。百四十四名で十五万の人々の労働条件、労働環境、それらすべてにわたる問題が十分かどうかというのは疑問のあるところでありますが、主に労務官がやっている仕事というのは、一体どういう内容かお聞きしたいと思います。
#116
○政府委員(戸田邦司君) 船員労務官でございますが、職務の内容としましては、船員法、船員災害防止活動の促進に関する法律、最低賃金法、賃金の支払の確保等に関する法律など、船員の労働保護に関する法令の履行を確保するため、船舶及び事業場に実地に立ち入り、あるいは関係者に出頭を求めて監査を行い、船舶所有者または船員に対する監督指導を行っているところであります。
 なお、悪質な違反に対応するために、刑事訴訟法に規定する司法警察員としての職務権限も与えられております。
#117
○渕上貞雄君 今お伺いしますと、大体船員労働者全般にかかわる基本的な問題であろうというふうに思いますが、とりわけ船員法の今言われたような職務内容にかかわる違反の件数、それから年間大体どの程度あるのか。そして、違反の主な内容。それから、監査はどのように行われておるのか。
 とりわけ、法改正に伴って、今まで船員法から除外をされていた部分について七百トン未満の船に従事する方々は今後船員法によって縛られるわけでありますから、それらの実態についてどのように把握されておるのかお伺いします。
#118
○政府委員(戸田邦司君) ただいま御質問の中で、まず第一に具体的な違反でありますが、船員労務官が発見した具体的な違反の事案として検察官に送致するに至った例で申し上げますと、漁労作業中に命綱または作業用救命胴衣を使用させていなかった、給料その他の報酬の不払い、船内飲用水の水質検査の未実施などです。
 また、勧告等は将来違反となるおそれのあるものなどに対して行われるわけでありますが、具体的な事案としましては法定書類の記載の不備、安全標識が不鮮明であるものなどであります。
 それから、船員労務官の監査対象として七百トン未満の小型船が対象となるかどうかというような問題ですが、船員労務官の監査というのは船員法第一条に規定する船舶に乗り組む船員、これは船長、激員、予備船員ということでありますが、及びそれらを雇用する船舶所有者に対して行っております。七百トン未満の小型船につきましても、船員法の適用対象船舶である限り、それに乗り組む船員及びそれらを雇用する船舶所有者は監査の対象となっております。
 なお、違反の件数でございますが、これはちょっと船員部長の方から実態を御報告申し上げたいと思います。
#119
○政府委員(金子史生君) 数的な面でございますが、船員労務官による監査状況は、平成三年の件数は一万一千五百六十四件でございます。それから、そのうちの指導件数が千八百二十九件でございます。一万一千五百六十四のうち送致件数が十三件でございます。
#120
○渕上貞雄君 監査をされた対象件数はどれぐらいになりますか。
#121
○政府委員(金子史生君) 監査件数は一万一千五百六十四件でございます。
#122
○渕上貞雄君 それが監査件数。そのうち約二割にかかわるものが何らかの違反をしている、こういうことでございますね。
 したがって、これだけ多くのものが違反として挙がってくるというのは監査体制に問題があるのじゃないか。もう少しきっちり指導をしていかないと。結局今言われた監査対象になるようなことを通じて船員労働者の労働環境、職場環境というものを改善していかなくてはならないと思います。もう少し指導を強化することによってかなりの部分が私はよくなっていくのではないかというふうに思います。
 やはり基本的には、そこに働く労働者の労働条件が守られて航海の安全が守られることをやるということが一番大事でありますし、同時に今度は大きく労働時間を短縮していこうというようなことにもなります。一方では労働時間を短縮していけば労働強化等を伴ってくるのが実情でございますので、もう少しやはり監査対象を厳しくしていくべきだと考えますが、いかがでございますか。
#123
○政府委員(戸田邦司君) まず第一に、違反の率が相当高いということでありますが、船員労務官を使って監査を厳しくやっていく、これは必要不可欠ではございますが、そういった違反を減少させていくという観点から考えますと、やはり船主さんあるいは場合によっては荷主さんも含めて関係者に船員労務問題というのがこれから船員不足という面から考えましても非常に重要であるという認識をしていただいて、運輸省も強くそういうことを皆さんにアピールしていって法令を守るということに徹していただくように強力に指導をしていかなければならないというふうに考えております。
#124
○渕上貞雄君 今言われたように、やはり恐らく内航関係は中小零細企業が多いわけでありますから、なかなか法を守るといっても一匹オオカミ的船主というのが多いだろうし、船主と荷主との関係からいくとなかなか難しいことがあるんじゃないかと思いますが、私はやはり今日の船員問題の中にも今言われたような問題があろうと思いますので、船主だけではなしに荷主を含めて、どうかひとつ今後とも御指導を願いたいというふうに思っているところでございます。
 次に、労働時間短縮の問題についてお伺いをいたします。
 まず、労働時間を考えていく場合に問題になってまいりますのが労務費の問題、労働時間の問題、定員の問題、それから企業の状況、時の経済動向等が複雑に絡み合って労働時間というのは大変短縮するに当たって難しいというふうに思うわけでありますけれども、現在の時代の流れから考えますと労働時間短縮というのは必ずやはりやっていかなくてはならない問題でありますから、ぜひともその実現方をよろしくお願いしたいわけでありますが、今回の場合の労働時間、とりわけ就業規則に定員を明確にさせることについての定員の概念についてどういうふうに考えられておるのかお聞きします。
#125
○政府委員(金子史生君) 定員につきましては、就業規則に定員を書かせるということは今回今までの任意的な記載事項から強制的な記載事項にするわけでございます。
 先生、恐らく実態の乗り組み定員と就業規則の定員と違う、こういう点をどういうふうに考えているかということかと思いますけれども、私どもは就業規則上に記載されている定員を、例えば雇い入れ公認のときにさらにチェックするとかそういった方法によって就業規則上に書かれている定員が実際の定員と合致するようなふうに行政指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
#126
○渕上貞雄君 採用時における問題についてはわかりますし就業規則に書かれている定員もわかるわけでありますけれども、先ほど申されましたように、定員を考えていく場合に実数で考えていく場合と、プラスアルファで船を動かしていく、同時に一杯の船を動かしていくに当たっての乗組員、そこに休日を与えていくということになれば、これから先は労働時間もさることながら、こういう船上という特殊勤務を行っていく場合の労働者の労働時間の短縮のあり方はやはり休日増で賄っていかない限り私はだめだと思うんです。
 そのときに必ず問題になってくるのが定員でありますし、言うところの予備の人員でありますから、定員というのはプラスアルファ予備の人員まで含めて定員というふうにお考えになるのか。そうでなくて、就業規則には、この船を動かずに当たって必要な人だけというふうに考えられるのか、そこらあたりの考え方についてお聞きいたします。
#127
○政府委員(金子史生君) 先生が後段におっしゃられたように、その船を運航するに当たって必要な定員ということでございまして、予備員の数は定員には当然含まれておりません。
#128
○渕上貞雄君 それは企業間の格差によっても予備の定員のとり方についてはいろいろあると思いますが、また後ほどお伺いをしたいと思います。
 労働時間の問題は、とりわけ先ほど櫻井委員も言われたように、物流にかかわる仕事をしているトラック業界とこの内航業界というのが大変長時間労働になっているわけです。先ほどもある程度お話し願いましたけれども、なぜ他産業で労働時間の短縮が進んでいるにもかかわらず、この内航だけが長時間労働をやらなきゃならないのか。しかも、それも一年おくれて実施をしていく。こういうことの実態はどうなっているのか、なぜ他産業ができてここだけできないのか、そこら辺はどう理解されていますか。
#129
○政府委員(金子史生君) 先生御指摘のように、内航については確かに実態的に労働環境の改善がおくれておりまして、その中の代表的なものが長時間労働、こういうことでございます。
 これは従来の内航海運の構造改善対策がある程度の効果を上げていると思いますけれども、依然として基本的には中小企業が大部分である、零細な中小企業が大部分を占めておって企業体質が脆弱である、それから老朽不経済船が多数を占めるといったような問題、それに加えまして荷主と元請オペレーダー、それにぶら下がっている零細な内航海運業者、こういったような何か階層的な構造になっているといいますか、言ってみれば下請的な体質でございますのでしわ寄せを受けやすい、そういうところに基本的な問題があるのではないかというふうに思っております。
#130
○渕上貞雄君 その点はまた後ほど。
 七百トン未満の船舶の場合に内航では九〇%以上を占めているというふうに言われていますね。今までは労働時間に関しては適用除外、今回以降は船員法の労働時間が適用、こういうことになってまいりますけれども、現在ではどのような段階に労働時間の短縮はいっていましょうか。
#131
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 労働時間の短縮の現在の段階でございますけれども、七百総トン以上の大型船につきましては本年の四月一日から週四十四時間制、これは従来四十八時間であったものが四十四時間制に移行いたしました。それから、七百総トン未満の小型船につきましては、今回の船員法の改正案が仮にお認めいただければ、船員中央労働委員会の御了解を得た上で来年の四月一日から小型船につきましては四十八時間制から四十四時間制に一気に四時間の短縮が図られる、こういうことになります。
#132
○渕上貞雄君 ちょっと質問の仕方が悪かったかもしれませんけれども、具体的に労働時間を考えていく場合に、やはり七百トン未満についても現行の四十八時間をこれまでに四十四時間に段階的に短縮すべきであったというふうに考えるんですが、その点はいかがでございましょうか。
#133
○政府委員(金子史生君) 法定労働時間の短縮がおくれている理由という御趣旨かと思いますが、これにつきましては長い間伝統的に内航海運につきましては五十六時間制というのが一般的でございまして、これから週四十八時間制に移行いたしましたのが大型船は平成元年の四月、小型船は平成二年の四月でございます。
 平成四年の四月の段階では、小型船につきましてはまだ二年を経過するということにすぎないことから、大型船の場合は、これは三年がその時点で経過しておったわけでございますので、そういったことに比べまして事業者に過大な負担がかかるといったことから、小型船についてはまだその法定労働時間を週四十四時間に短縮する環境は整っていないというふうに判断されまして、船員中央労働委員会における議論を経た上で週四十八時間のままとされたわけでございます。
#134
○渕上貞雄君 次は、やはり労働時間を短縮し、同時に休日、休暇をふやしていくというのが目的になると思います。
 その場合、先ほども答弁があったように思うんですが、補償休日について買い上げの問題等を諮問しているというふうに言われました。しかし、船員労働者の賃金が低いだけに、休日買い上げでみずからの所得をふやしていくという現実が一つあるわけですよ。やはり基本的な休日の権利としては陸上で与えるということが原則だと私は思うのでありますが、補償休日の問題。
 それからもう一つは、乗船中休日というのは最も若者が嫌う休日のあり方でありますから、そこらあたりはやはり断固指導してやめさせていくということをやらないと若者はもう来ませんよ、絶対来ないと言っていいぐらいになってくるわけでありますから、乗船中休日みたいに準拘束みたいな形で休日を与えるというようなことはやめていくべきではないか。
 それから、補償休日についても、これは一遍には所得との関係がありますからできないと思うけれども、やはり目標を決めて段階的に廃止の方向へ向けていくべきだ、そして賃金に振りかえていくべきだというふうに考えますが、その点いかがでございますか。
#135
○政府委員(金子史生君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、原則は陸上で休暇を与えるということが原則でありまして、そういったことが望ましいというふうに私ども考えておりまして、船員法の体系でもそういった建前をとっておりまして、労使協定等がある場合に限ってそういった海上休暇とかそういった問題を与えることができるということで、例外的な海上における休暇というような扱いに法律上はいたしておるわけでございます。
 それと補償休日の買い上げの問題につきましては、現在買い上げ日数の限度を三分の一というふうに定めておりますけれども、それをもう少し改善していくという問題につきましては、三年後の、先ほど申し上げましたような見直しの関係で船員中央労働委員会でこれから議論されていく問題であろうというふうに考えております。
#136
○渕上貞雄君 定員の問題の中で、法の六十九条と七十条の関係であります。
 大まかには先ほどの質問でわかりましたが、どちらが原則でどちらが特別な規定になるわけですか。六十九条と七十条、労働条件の問題と安全条件の問題というのはどちらが定員問題を考えていく場合には、主従の関係はないと思いますけれども、どういうふうに理解をしたらよろしいでしょうか。
#137
○政府委員(金子史生君) 主従の関係は全くないわけでございまして、六十九条は一日の労働時間八時間を守るための必要な定員ということでございまして、七十条は航海当直基準等の航海の安全の確保を図るために必要な定員ということでございまして、お互いにそれぞれの観点から必要な定員を見ている、こういう関係でございます。
#138
○渕上貞雄君 それでは六十九条も七十条も双方満たしておかなければならないというふうに理解しておけばいいんですか。
#139
○政府委員(金子史生君) おっしゃるとおりでございます。
#140
○渕上貞雄君 時短の問題につきましては、先ほども言われましたように、十七日ですかに六十三年改正船員法の再検討を奥田運輸大臣は諮問されているようでありますが、陸上でも同じく労働基準法の改正に加えて業種ごとの共同時短の実施計画策定をすべきだというふうに言われていますし、海上でも同じようなことが私必要ではないかというふうに思うわけであります。
 例えば、内航船舶の場合に、船を一そうしか持たないような会社では大変やっぱり定員、それから労働時間の短縮等については条件的には船員を雇用していく場合なかなか難しいんではないかというふうに思うわけであります。週休二日だとか有給がふえていく場合に、やはりグループ化、共同化して私は推進義務規定というのを労働時間短縮についてはやっていかなくては中小零細の場合はなかなか難しいんではないか。
 それに対応する組織として海員組合というのがありますから、そことも協議をしながらやっぱり共同で休日、休暇がとりやすいように、しかも陸上でとりやすいようにするためには、そういったところを集めて共同で何かグループで考えていくようなそういう義務規定を法制化していくべきではないかというふうに考えますが、いかがでございましょうか。
#141
○政府委員(金子史生君) ただいま御指摘の配乗のグループ化ということ、予備員を共同して持つということでございますが、現在内航の労務団体内の会社同士相互間でもって派遣融通というものが一部で活用されておるわけでございまして、同様な形態による派遣融通が話し合いによりできるところから進められていく、こういうことが適切なことであろうかというふうに考えております。
#142
○渕上貞雄君 今回の改正船員法の再検討をする場合に、そういうことも含めて検討される事項に入りますか入りませんか。
#143
○政府委員(金子史生君) この派遣融通制度は船主団体と海員組合等との話し合いの中から生まれてきたものでございますので、基本的には労使の問題、まず労使の話し合いが成立する、こういうことが私は前提になるのではないかというふうに思っております。
#144
○渕上貞雄君 原則はそうであるかもしれませんが、やはりそういうものは行政で、運輸省としてやはり今の実態で内航海運は物流の基幹産業として位置づけて、それをどうしていくかというときには、それぐらい大胆にやっぱり発想していくべきではないかと思うんです。
 やはりマスコミ、新聞の報道によりますと、そういう労働時間、休日、それから補償休日等の時間外労働、有給休暇の問題を含めて書いてある。定員問題は先ほど言われたような状況。そうすると、やっぱり中小零細企業というのは予備を含めて抱えるというのは大変難しい。一人は抱え切らぬけれども〇・三ぐらいは抱える、三つあれば一になっていくというような、そういう発想でやはり船員の労働条件だとか休日、休暇を保障していくというようなシステムをつくっていくようにやはり諮問すべきだと思うんですが、その辺はいかがでございますか。
#145
○政府委員(金子史生君) おっしゃるとおりでございまして、基本的には船員の労働条件の改善、休日、休暇等を含むそういった労働条件の改善を含めて進めていくためには、定員の確保、予備員の確保を中心とする定員の確保が必要でございますので、そういった問題を含めまして、ことしの三月に発足させました。これは海員組合、それから海運事業者一荷主、そういった関係者から成るところの内航船員不足問題を考える懇談会、ここにおきまして必要に応じて御検討いただきたいというふうに考えております。
#146
○渕上貞雄君 御検討いただきたいということはそこに任せるということですか、それとも検討しろというふうに言っているんですか。
#147
○政府委員(金子史生君) 懇談会の進め方の実態といたしましては、私どもの方でこういった問題を取り上げたいということで事前に労働者側あるいは使用者側の関係委員の皆さんに根回しいたしまして御了解をいただきながら進めてまいる、そういう形をとっております。
#148
○渕上貞雄君 よろしくひとつお願いを申し上げます。
 続いて、内航運賃問題に入りたいと思いますが、やはり産業の基幹の物流、これを運んでいるということからすれば、石油、鉄鋼、セメントと荷主の力が圧倒的に強いところと運賃交渉をしていくわけでありますから、これは運ぶ側が弱いというのは明らかにあるわけですね。
 そういうような実態の中で、内航船は産業の基礎的物資を運ぶに非常に重要なものであるというふうに言われておりながら、それを運んでいく運送業者のもとで働いている船員の労働条件は、やはり大きく運賃に規制されるわけでありますから、運賃というものが大変重要な役割を実は果たすことはもう御案内のとおりでございます。
 そこで、内航海運業法の第十六条によりますと、「運輸大臣は」「標準運賃又は標準料金を設定し、これを告示する。」こととなっていますけれども、一体現状はどういうふうになっていましょうか。
#149
○政府委員(大金瑞穂君) 内航海運の運賃制度、これは基本は自由運賃制でございます。
 ただ、実際問題として、今御指摘ありましたような内航海運業の零細性であるとかあるいは特に不況の際におきましては荷主との運賃交渉において海運事業者が今おっしゃられたような不利な立場に立つという実態があること、これは私どもも否定はできません。まさにそのとおりだと思います。
 こういった点を考えまして、内航海運業法におきましては標準的ないわば運賃指標、原則は自由運賃制でございますけれども、そういった標準的な運賃指標を設定し、これを告示し、これによりまして内航海運事業者の健全な発展を確保していくということ、これを目的としてこの制度が設けられたものという認識を持っております。
#150
○渕上貞雄君 これはいつごろ毎年告示されているわけですか。
#151
○政府委員(大金瑞穂君) これまで内航海運業法に基づきます標準運賃が設定されましたのは昭和四十一年六月、四十六年五月、この二回でございます。その後、標準運賃を設定いたしましたが、現実の運賃が上昇してまいりまして標準運賃を超えてくるというような状況になりまして、これはその後廃止をされておるわけです。現在は標準運賃は設定しておりません。
 この点について若干説明を敷衍させていただきたいと思うのでございますけれども、まず一つ景気の状況を見た場合、これは先ほど来御説明申し上げましたけれども、昭和六十二年度以降内航輸送量は幸い増加の傾向を示しておりました。最近ちょっと景気に減速感がございますけれども、船の種類によりましては内航船腹量は逼迫状況を示しておる、したがいまして運賃水準も比較的順調に推移してまいっておるというのが現在の状況であると認識しております。
 それから、一方その荷主と海運業者の関係でございます。これは内航海運業の構造改善が進められてまいってはおりますけれども、それなりの成果は上げておると認識しておりますが、まだ十分とは言えない状態でございます。
 しかしながら、先ほど御説明申し上肝ました昭和四十年代の前半、そのころに比べますと、その後の内航海運組合総連合会を中心といたしました組織活動の充実であるとか、こういったものによりまして内航海運業界の体質の強化が図られてきているという認識を一方で持っております。と同時に、鉄鋼でございますとかあるいは石油、こういった関係の荷主業界との間の話し合いの場、これが確立されてまいっておりまして、そういった背景を考えますと、私ども今の時点で標準運賃を設定する必要があるとは考えておりません。
#152
○渕上貞雄君 その標準運賃に対する理解は、標準運賃を超えるような状況になってきたのでもうしないと。標準というんだから標準のとり方は上があってもいいし下があってもいいし、そこには多少の幅があってもいいと思うんですが、超えちゃいかぬという理屈はどこにあるんですか。
#153
○政府委員(大金瑞穂君) これは、今私御説明申し上げましたような業界の実態を考えてみました場合に、やはり荷主に対して運送業者の方が弱い立場に立つという状況が過去ずっと続いておったわけでございます。
 そういう観点からまいりますと、確かに標準運賃でございますから標準であり、その上下両方あり得るということではございますけれども、実態としてその荷主との交渉の場におきまして海運業者が不利な立場に立つことを多少なりとも防止しようという配慮が強かったものと考えます。
#154
○渕上貞雄君 やはり運送業者の立場が今認識されているように大変弱い。運送業者の方が弱いという立場に立たされるから、やはり運賃というものをある程度標準的に示して弱い立場を補強しながらその業界を守っていこうというか安定的に運航させていこうというのがねらいだろうと思うんですよ。それをやめてしまうということは、逆に荷主側の力が強ければ強いほど、言うならばこちらの力が弱ければ弱いほどダンピング競争が始まる。そのダンピング競争が始まれば始まるほどどこにしわ脅せがくるかといえば労務費に来るわけですよ、船員費にくるわけですよ。
 ですから、その船員は、今御認識のように非常に劣悪な労働条件、労働環境の中の不安定な職場で働がなければならないわけでありますが、その総連合会と荷主との間で定期的とは言いませんけれども、やっぱり年に一回か二回かはそういう協議をされているんでございましょうかね。
#155
○政府委員(大金瑞穂君) 御指摘のような協議は総連合会と荷主団体の間で定期的に行われております。
 さらに加えまして、本年三月に海運造船合理化審議会の答申をいただきまして、この答申におきまして荷主と海運業者、それが必要な船舶運航のコストについて適正な分担をすることが必要であるという指摘がなされておるところでございます。こういった点も踏まえまして、この答申の実施という観点から今内航総連合と関係業界との間でその定期的な話し合いとは別に話し合いの場を設けておるところでございます。
#156
○渕上貞雄君 それは、運賃問題についてそういう協議をされていっているわけですかね。その場合に、結局この内航海運業法の十六条の意味は、その場合でもやはり標準であるかどうかということについて監査まではいかないかもしれないけれども、ある程度適正な運賃をとりなさいとか指導できるということにこの第十六条はなるんじゃないですか、どうですか。
#157
○政府委員(大金瑞穂君) 内航海運業法の規定を若干御説明させていただきますと、運輸大臣が航路または貨物を指定して標準運賃を定めるということになってございます。
 ただ、これは全航路、全貨物についていつも定めなければいけないという規定だとは私ども考えておりませんで、まさにそういう必要が出てきた航路、出てきた貨物については標準運賃を定める。定めますと、この標準運賃がどういう意味を持つかという点でございますが、その標準運賃以外の運賃が現実に存在いたしましても、これは直ちに業法違反だということにはならないわけでございます。これが取引を混乱させるというような事態が生じたときに運輸大臣は勧告をするということになっておるわけでございまして、標準運賃はやはりそういう意味で一つのガイドラインだという認識を持っております。
#158
○渕上貞雄君 やはり一定の拘束力というか指導力を持つと思うんですが、現在まで運輸大臣は勧告したことがありますか、ありませんか。
#159
○政府委員(大金瑞穂君) これまで運輸大臣が勧告をしたケースはございません。
#160
○渕上貞雄君 どういう場合に運輸大臣は勧告をすることになりますか。
#161
○政府委員(大金瑞穂君) 内航海運業法第十八条の規定でございますが、標準運賃が設定されておりまして、「標準運賃と異なる運賃」で内航海運業者が取引をいたしまして、この「取引が内航海運業の健全な発達を阻害するおそれがあると認めるとき」、こういう場合に「当該取引の是正その他必要な措置をとるべきことを」運輸大臣は「勧告することができる」という規定になっております。
#162
○渕上貞雄君 そうすると、昭和四十六年の五月までは出したけれども、それ以降はそういう標準運賃を出していないということは、ある程度荷主と業界の間で話し合いがついている、こういうルールが確立し一定程度運輸省としても認められる、こういうことになると思うんですが、その標準運賃の中に船員労務費は大体どの程度考えられているのでしょうか。大体何%ぐらいですか。
#163
○政府委員(大金瑞穂君) 船舶運航のコスト、これは先生御案内と存じますが、非常にいろんな要素が入ってございます。
 船をおよそ運航できるような状態に維持するための経費、船費と称しておりますが、これも船の形あるいは船齢、船価あるいは燃料消費量、保険料等によってどんどん変わってまいりますし、一方運航に伴う経費、これもどういう貨物をどういう航路で運ぶのか、どういう荷役をするかというような点で変わってまいります。したがいまして、その船員費が総コストのどの程度の割合を占めるのかというのを一律に申し上げるのは困難でございます。
#164
○渕上貞雄君 今言われたことは理解しますけれども、標準運賃を決めていく場合、例えば四十一年と四十六年に決めていった標準運賃があるわけですね。その中で船員費の占める割合というのはわかりますか、わかりませんか。
#165
○政府委員(大金瑞穂君) 申しわけございません。今手元にその四十一年、四十六年当時の資料を持っておりませんので、後ほど御報告をさせていただきたいと存じます。
#166
○渕上貞雄君 現行、大体おおむねどの程度と理解されていますか。
#167
○政府委員(大金瑞穂君) ただいまも申し上げましたように、非常にばらつきの大きいものであるということ、それから運賃は、先ほども申し上げました届け出制もとっておりませんので私どもとして運賃を把握するのは難しゅうございます。ただ海上運送法という法律で協定運賃、これにつきましては海上運送法に基づきまして届け出をすることになってございます。
 内航関係では二つ実例がございまして、一つはタンカーの運賃協定というのがございます。それからもう一つは、北海道関係の定期航路の運賃同盟というのがございまして、一種の運賃カルテルでございますが、この届け出がございます。
 このケースについて申し上げさせていただきますと、タンカーの運賃協定については船員費の比率が約四〇%でございます。一方、北海道関係の定期航路の運賃同盟の運賃コストに占める船員コスト、これは約一一%でございます。このように非常にばらつきが多うございまして、一般的に何割程度というのをちょっと申し上げにくいわけでございます。
#168
○渕上貞雄君 それは難しいかもしれないけれども、内航海運がこれほど深刻な状況になっているときにはやはり運賃問題についてある程度労務費等を考慮しながらやらないと、結局運送業者が受けて、言葉は悪いけれども、その後何は何はピンはねして、あとの用船料を出していくわけでしょう。そのピンはねする率も大体普通の陸上の観光案内業であれば何%から何%程度の幅というのも決まっていますが、やはり運賃がピンはねされ、そしてなおかつ今度は一番下の下請のところでもう一回ピンはねするわけです。どこをピンはねするかというのは明らかなわけですから、もう少し運賃問題について運輸省としてきちっとやはり今後監視を強めていただきたいと思います。
 その次に移りますが、運賃問題をそういうふうに非常に不鮮明なものにしているのには、やはり内航海運業界の構造が問題ではないかと思うんです。荷主があって運送業者があって貸し渡し業者がある。その場合に、船員を一人も持たない運送業者がいるというのは大体どういうことなんですか。また、こういうのが生まれてきているのはどういう背景なんでしょうか。
#169
○政府委員(大金瑞穂君) 内航の運送事業者で船員をみずから雇用していないというケースは確かにございます。
 これはいろいろなケースがあり得ると思うのでございますが、一番単純な例を申し上げれば、はしけとか台船とかこういうものの運航事業者については、これは船員はもともと持っておりません。
 それから、あともう少し大きい船を持っておる運送事業者、これで船員を持っていないケースと申しますのは、結局、期間用船契約という形で船に船員を配乗して、その配乗した船を借りてくる、それを運航する、そういうケースで船員をみずから雇用しない運航事業者があり得るわけでございます。
#170
○渕上貞雄君 一人も船員を雇用していないという業者の数はわかりますか。
#171
○政府委員(大金瑞穂君) 私どもそのような事業者の数を正確に把握したいと考えまして、ただ実際そういうデータが地方の運輸局にあるものでございますから、現在各地方運輸局を通じて精査をしておるところでございます。まだ正確な数字を把握するに至っておりません。
 ただ、実際問題として許可制をとっております運送事業者のうち、おおむね二割程度ではないかと考えております。正確な数字は調査の結果を待って御報告をさせていただきたいと思います。
#172
○渕上貞雄君 一人の船員も持たない業者が運航しているということは、やはり目的は船員コストのダウンをねらっているんじゃないですか。その点いかがでございますか。
#173
○政府委員(大金瑞穂君) これは、船員コストはもちろん運航業者としてはできれば下げたいというのが本音であろうと存じます。
 ただ、実際問題としては、むしろ現在非常に船員不足の状況が現出しておるわけでございまして、このような状況におきましては船員を雇用するということ自体が現実に大変難しくなってきておると。言葉が不適当であったら訂正させていただきたいと思いますが、そういう意味での船員の融通と申しますか合理的な配乗と申しますか、こういう点を運航業者としても考えざるを得ないという側面もあろうかと存じます。
#174
○渕上貞雄君 私はそういう理解ではなしに、やっぱりこの業者はきっちり船員も持つ、そうした上で内航海運をきっちり立て直していく、近代化していかない限りいつまででも荷主から縛られて、そして運送業者から縛られる。その下で働いている労働者というのはいつまでたっても浮かばれないと思います。
 ですから、やはりこういうものは許可の条件の中にきっちり入れて今後廃止していくべきではないかというふうに思いますが、いかがでございますか。
#175
○政府委員(大金瑞穂君) まず初めに、現在の内航海運業法におきましてみずから船員を雇用しない運航業者があり得るという点、これは先ほどちょっと御説明を申し上げました定期的に船を用船して使用するケースでございますが、これは内航海運業法で予定しております安定した経営という観点から申しますと、自己所有船、それに自分の船員を乗せる場合に準じて考えて同等の安定性があるという観点からこういう措置をとっているわけでございます。したがって、このような事業の経営を認めること自体が内航海運業法の立法趣旨に反するものではないと私ども考えております。
 しかしながら、一方におきまして適正運賃の収受によって船員費コストを十分にカバーするということ、これは私どもも必要不可欠であると考えております。
 この点につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、近年の内航海運業界と荷主業界との間の関係、これが改善されておるということ、それから荷主の方にも次第に内航海運の実態に対する理解あるいは船員コストの負担に対する認識というものが進みつつあるということは、これは私は事実であろうと考えております。
 こういった点を考えますと、このような船員を所有しない運航業者の存在そのものが労働条件の改善を妨げているということは直ちには言えないのではないかと私ども考えておりますけれども、むしろそういう弊害が出てこないような指導をする必要があるという認識を強く持っておりますと同時に、今後内航海運業の構造改善を進めていくわけでございますが、そういった場合に、今御指摘のような実態をどのように位置づけていくのかという点は一つの検討課題であると考えております。
 したがいまして、このような問題認識に基づきまして、今後必要な実態調査をやるとかあるいは指導をやるとか、そういう行政を進めてまいりたいと考えております。
#176
○渕上貞雄君 みなし船の問題等もありますので、先ほどからずっと答弁聞いていますと、今から実態調査をします、船員の問題についても今からやりますと、大体何やっておったのかなというふうに思いますね。そういう印象を深くしますよ。ですから、ひとつ真剣にまじめにきっちりやって、明確に答えを出していただきたいと思います。
 そこで、海運造船合理化審議会が三月九日に答申を出されました。非常に数多くの課題と問題点を提起しています。
 なぜそこまでやったかというのは、私はやはり運輸行政がずっとこの内航問題についてサボっておったんじゃないかと思う。もう少し言わせてもらったら、外航が主で内航が従ではなかったのか、こういう印象を一読させてもらって思うわけであります。これほど多くの課題と問題点があるこの海造審答申の各項目を具体的にどう実施し実現していこうとしているのか。とりわけ、業界の近代化の問題だとか政策の問題、それから船員不足の問題、産業構造の問題、モーダルシフト、近代化への移行、そこにおける船員の労働条件等の問題、運賃問題も含めてでございます。根は、やはり私は船員の不足からくる問題であろうというふうに考えるわけですが、その船員の不足が深刻になっている原因というものをすべて改善するというふうに答申はなされておりますけれども、具体的にどうアクションプログラムというんでしょうか行動計画を考えられておるのか御説明願いたいと思います。
#177
○政府委員(大金瑞穂君) まず、端的に申し上げましてアクションプログラムと申しますか、この実施のための具体策あるいはその方法論、これは現在検討中でございます。
 ただ、今御指摘のように、確かに内航海運につきましては海運造船合理化審議会にその海運対策のあり方を諮問したのがまことに久しぶりのことでございました。ということは同時に、懸案の問題がたくさんたまっておったというのは御指摘のとおりでございます。
 私どもとしてはこれを一つ一つ片づけていきたいと考えておりますが、まず船腹調整制度の見直しの問題、これに最初に取り組みまして、これはある程度具体的な成果は上げたと考えております。
 今後、船員不足の問題という新たな視点も加えました構造改善対策の問題、これを中心に推進していくわけでございますけれども、特に船員問題につきましては先ほど船員部長からも御答弁申し上げたような、荷主、海運事業者、それから行政もこれに参加いたしました懇談会を設置して、ここで答申の趣旨を踏まえた具体的施策の方途について議論を深めていただいておりますので、これに私どもとしても御協力申し上げてまいりたい。
 同時に、行政サイドにおいて措置すべき問題、これについては、私どもの方でこれから具体的なプログラムと申しますか進め方を定めてまいりたいと考えております。
#178
○渕上貞雄君 どうかひとつ検討中のものは早急に検討して実施をしていただきたいと思いますし、やはり産業基礎物資の輸送という社会的な大きな使命を担っているわけでありますから、船員の方々が安心して働けるようなそういう業界になっていくよう指導していただきたいと思います。
 そこで、大臣、最後になりますけれども、やはり内航問題というのは非常に多くの課題を抱えているわけです。物流の動脈の一つの柱でもありますから、これをやはりきっちり整備していくことが一番私は大切なことだろうと思います。
 同時に、先ほど櫻井さんも示しておりましたように、全日本海員組合が内航船員の職業にふさわしい労働条件、それから労働環境、それらの問題についての指標をつくりまして、船員の不足問題に対して船員の労働条件、内航海運のあり方等についての提言を「国内海上輸送の確保と安定のために 内航船員問題への提言」として実は出しております。また、先ほどもお話ありましたように、海造審も内航の近代化、それから構造改善、安定輸送の確保、それからトラックから海運へのモーダルシフト、船員の問題など多くの課題を答申しておるわけでありまして、いずれの課題も重要で緊急に実行すべき課題であろうというふうに思います。
 内航海運の健全化に真剣に取り組み、改善をしていただいて、船員不足が内航船をつぶしていくかのようなことが言われていますけれども、そのようなことのないように、ひとつ大臣のこの答申を具体的に実施していく決意等について御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#179
○国務大臣(奥田敬和君) 海造審の答申もございますけれども、私は、先ほどお話ございましたように、荷主と海員組合、そして行政側のこの船員不足を考える懇談会、これからもたらされる提言を尊重してまいらなければならぬと思っております。
 仰せのとおり、物流の大宗で、強まることがあっても弱まることがない内航海運の大きな役割でございますから、この面に関しまして何とかして若者に魅力のある形で就職をお願いできるようなそういった体制には、これは荷主さんにとっても同じ共通の大変大事な問題でございますから、期するところは待遇優遇、時短の問題に帰結することであろうとは思いますけれども、それらの面に関しまして行政側として全力を挙げてまいりたいと思っております。
#180
○渕上貞雄君 終わります。
#181
○委員長(峯山昭範君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
#182
○委員長(峯山昭範君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#183
○片上公人君 私の地元の神戸に神戸商船大学というのがあるわけでございますが、そこの定員、志望状況、入学状況が現在どのようになっておるか、また近年のその推移について伺いたい。とともに、卒業生の最近の就職状況についてお伺いしたいと思います。
#184
○政府委員(金子史生君) 神戸商船大学の平成四年度におきますところの入学定員は百十名、志望者は三百三十三名、入学者は百二十五名となっております。
 近年の推移を見ますと、志望者は関係者の努力により三年度は前年度に比べ増加いたしまし次が、四年度は若干減少をしております。しかし、入学者数は二年度百十名、三年度百十一名に対しまして、四年度は百二十五名とかなり増加をいたしております。
 また、卒業生の就職状況でございますが、平成三年度の乗船実習科の卒業生の就職状況は、卒業生六十三名のうち就職者五十八名について見ますと、海上就職者四十六名、陸上就職者十二名となり、就職者の六〇%、これは三十五名に相当いたしますが、これが外航船社に就職いたしております。
#185
○片上公人君 海運大国と言われている我が国を支えていくために、商船大学をもっともっと拡充していくぐらいの積極的な取り組みが必要と考えられますが、運輸省の取り組みについて伺いたいと思います。
#186
○政府委員(金子史生君) 商船大学卒業生の就職状況を見ますと、若者の海離れ、若者の生活意識の変化等の関係から、かなりの者が陸上の方に就職していくという現状にございます。
 こうしたことから、これらの卒業生を極力海上産業へ就職させるための対策が重要と考えておりまして、船員教育のカリキュラムの見直しや関係者によりますところの日本人船員の確保育成推進会議、こういうものを設置いたしまして、船員教育内容の弘害、海運及び船員のイメージアップを図ることによりまして優秀な日本人船員の確保に努めておるところでございます。
 また、卒業生を海上へ志向させるためには、何よりも海運企業が継続的、安定的に卒業生を採用していただくということが重要でございますので、そのための働きかけを海運界へ行っているところでございます。
#187
○片上公人君 同じく兵庫県芦屋市に海技大学校というのがあるわけですが、この海技大学校では船員養成のためにどのようなことを行っておるのか伺いたいと思います。
#188
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 海技大学校は昭和二十年創設以来、我が国唯一の船員の再教育機関として、船員に対する上級海技資格の取得及び専門的な知識向上等のための教育を実施いたしておりまして、具体的には、部員に対しては船舶職員の資格、初級の船舶職員に対しましてはさらに上級の船舶職員の資格の取得に必要な教育を行っております。それと同時に、船員教育機関の卒業生以外の一般の学校を出られた方に対する初任技術研修といいますか技術講習をいたしております。それから、乗船中に最新の知識、技能を修得いたしますために通信教育も実施いたしております。
 それから、本年四月から、現在の海運界の動向、船員教育分野における国際協力の推進を踏まえまして、開発途上国の船員を対象にいたしましたところの技術研修、これを七十五名受け入れをやっております。それから、一般の教育機関卒業生、一般の高校等を卒業した方に対しまして初任技術講習課程、こういったような課程を設けまして教育体制の充実強化を図ったところでございます。
#189
○片上公人君 この大学校の全体の体系の中での船員養成の。位置づけについて伺いたいと思います。
#190
○政府委員(金子史生君) 海技大学校の位置づけということでございますが、船員を養成する教育機関は、まず第一に、船員として全く経験のない者に対して船員となるのに必要な知識、技能を教育する機関、いわゆる新人教育機関と、それから船員として一定の経験のある者に対して海技資格の取得あるいは上級海技資格の取得、こういったための教育をする機関、いわゆる船員再教育機関とに大別されるわけでございます。
 前者に該当する教育機関といたしましては商船大学とか商船高専あるいは海員学校、こういったようなものがございまして、二の再教育機関に該当する教育機関として海技大学校が基本的にはあるわけでございます。
 海技大学校は昭和二十年に創設以来、我が国唯一の船員の再教育機関として位置づけがなされておりまして、商船大学あるいは商船高専、海員学校等の卒業生が船員としての一定の経験を積んだ後に海技大学校に入学し、さらに上級の海技資格を取得し船舶職員等になるための必要な教育を実施いたしているところでございます。
#191
○片上公人君 今外国人船員への技術向上ということがいろいろ言われておるわけですが、将来的にはこの海技大学校に受け入れる、そういうような考えがあるかどうか伺いたいと思います。
#192
○政府委員(金子史生君) 先生御指摘のとおり、日本人船員の持つ海技力の優秀さは国際的にも広く認められているところでございまして、従来から商船大学あるいは商船高専あるいは海技大学校、海員学校等の船員の教育機関におきましてこういった優秀な船員の育成に努めているところでございますが、国際的にもそういったことが非常に評価されておりまして、船員教育に関する国際協力が最近進展しておりまして、昭和四十八年から専門家の招聘ということでマレーシアとかエジプト等の相手国の教育関係機関に派遣する、こういった技術協力を行っているところでございます。
 また、平成二年度からさらに開発途上国に対する技術協力に資するために、地元関係者等の協力を得つつ、フィリピン、インドネシア等の開発途上国の船員を研修生として我が国に受け入れまして、海技大学校等において船員として必要な専門教育を実施いたしているところでございます。
 今後とも、先生御指摘のように、国際化時代に対応いたしまして、船員教育に関する国際協力につきまして海技大学校を一層活用して充実強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
#193
○片上公人君 今お話ありましたように、我が国の船員というのは世界にも冠たる高い技術を有しておると聞いておりますけれども、このような優秀な技術を後世に伝えるとともに国際化時代に対応して国外にも、これは広める必要が重要だと思います。このために、海技大学校というのをもっともっと活用すべきだと思いますが、この点についていかがでしょうか。
#194
○政府委員(金子史生君) 海技大学校の充実強化につきましては今後国際化ということを念頭に入れまして、国際的な研修機関としての方向をますます伸ばしていくということが非常に重要だと考えておりまして、また発展途上国からも我が国の海技技術という、特に乗船実習、向こうの発展途上国にはなかなか船員を教育しても船に乗せて実習するという機会がございませんので、そういった面で海技大学校等に期待される面というのが非常にあると思いますので、民間の協力も含めまして海技大学校を中心に、そういった発展途上国の船員を受け入れていくということをますます強化いたしたいと思っております。
#195
○片上公人君 労働時間短縮の問題ですが、このことは今最も社会的な要請でもございます。政府も現在、経済運営五カ年計画で労働時間の短縮を目標として掲げてきたわけでございますが、それはどのような内容なのか、企画庁。
#196
○説明員(安原宣和君) お尋ねの点でございますが、政府は昭和六十三年五月に現行の経済計画「世界とともに生きる日本」というのを閣議決定いたしたわけでございます。
 その内容といたしましては、「生活のゆとりを生み出し、多様性に富んだ創造的な国民生活の実現こあるいは「先進国としてよりふさわしい労働条件の確保」、さらには「内需の拡大の観点から、最も重要な課題」として「労働時間の短縮」を位置づけておりまして、目標といたしましては、「年間総労働時間を計画期間中」、これは平成四年度、今年度になりますけれども、「に千八百時間程度に向けてきる限り短縮する。」という目標を掲げておるところでございます。
#197
○片上公人君 経済運営五カ年計画では、「おおむね計画期間中に週四十時間労働制の実現を期し、年間総労働時間を計画期間中に、千八百時間程度に向けてきる限り短縮する。」となっているわけでございますが、現在の法定労働時間及び年間総労働時間の状況について労働省お願いします。
#198
○説明員(朝原幸久君) まず、年間総労働時間でございますけれども、六十三年の法改正施行以降、着実に労働時間は短縮しておりまして、平成三年度の年間総労働時間は二千六時間、過去最低にはなっております。しかしながら、目標の「千八百時間程度」というには若干まだ十分ではないという数字になっております。
 また、法定労働時間でございますけれども、昭和六十二年に週四十時間制を本則に定めます労働基準法の改正がなされたわけでございますが、昨年四月から原則四十四時間、ただ一定の業種、規模につきましては来年の三月三十一日まで四十六時間というようなことになっておるところでございます。
#199
○片上公人君 既に旧西ドイツでは年間総労働時間が千五百時間を切っておると報告されておるわけですが、我が国では千八百時間達成までにまだ時間がかかりそうである。
 四月十五日に経済審議会から出された新経済五カ年計画の中間報告では、九六年度に千八百時間を達成するための目標を示すと、こう言われておりますが、どういう方向なのか企画庁にお尋ねします。
#200
○説明員(安原宣和君) 御指摘のように、四月十五日に経済審議会から「新しい経済計画の基本的考え方と検討の方向」といういわゆる中間報告が出されておりますが、その中におきまして、労働時間の短縮に関しましては「計画期間中に達成すべき具体的な目標」を示すというふうに書かれております。
 この「具体的な目標」の中身につきましては、現在審議会で御検討をいただいておるというところでございまして、その答申におきまして結論を得たいと考えておるわけでございます。
 なお、先ほど申し上げましたように、現行の経済計画では「千八百時間程度に向けてきる限り短縮する。」という目標を掲げておるわけでございまして、現在審議会で議論されております数字につきましても、この数字を目安とした議論をやっておるところであるということでございます。
#201
○片上公人君 千八百時間を達成する方法として法定労働時間を週四十時間制に短縮するほかに時間外労働の割り増し賃金率の引き上げ、有給休暇二十日の完全消化などが盛り込まれるものと聞いておりますが、この点についてはどうですか。
#202
○説明員(安原宣和君) 先ほども申し上げました四月十五日に公表されました「新しい経済計画の基本的考え方と検討の方向」におきまして、労働時間短縮のための方法といたしまして、「労働基準法の改正により早期に法定労働時間週四十時間制への移行」ということ、また「所定外労働の削減を図るため法定割増賃金率の引上げについて具体的に検討する。」といった先生御指摘の点が書かれてございます。
 このほかにいろいろ労働時間短縮を進めるための方策があるわけですが、それにつきましては現在経済審議会で活発な御議論をいただいているところでございまして、その答申の中で盛り込ませていただきたいというふうに考えております。
#203
○片上公人君 ところが最近の新聞報道を見ますと、日経連の永野会長から経済審議会に対しまして、「労働時間の短縮は労使の自主的な努力が基本であり、具体的な方向についての言及は避けるべきだ」とする見解が提出されて波紋を呼んでおるわけです。
 世界的に見まして長時間労働にある我が国にとりまして、時短というのは、これは政府を初め我が国全体で取り組まなければならない大事な命題であると思います。にもかかわらずこのような見解が出されたということと、この内容をどう受けとめていらっしゃるのか、企画庁。
#204
○説明員(安原宣和君) ただいま御指摘のように、五月六日に日経連の会長から、労働時間の短縮といいますものは基本的には労使の自主的な努力というものが基本であって、具体的な方向については言及すべきではないということで、そのほか労働基準法の改正については中央労働基準審議会で議論中であるとか、さらには法定割り増し率の引き上げについてもいろいろ効果について意見が分かれているというようなことについて御指摘がございまして、最終的に労働時間短縮の具体的目標の設定に当たっては経済成長の目標あるいは雇用確保の展望などといったものの整合性を図るとともに、産業、企業の実情に配慮した弾力的なものにすべきであるという御要望をいただいているところでございます。
 一方、先ほど来申し上げておりますように、経済審議会におきましては一月以来活発な議論をいただきまして、四月十五日のいわゆる中間報告におきまして、「労働時間短縮については、計画期間中に達成すべき具体的な目標」を示すという方向を打ち出しておるわけでございまして、現在この中間報告の方向に沿いまして経済審議会で議論をいただいておるという状況でございます。
#205
○片上公人君 この発言に対しまして近藤労働大臣は今月八日の記者会見で、策定中の新経済五カ年計画について、「目標があった方が時短を進めやすいはずだ」と日経連を牽制するような発言をされて、「この問題について近く、日経連側と話し合いたいとの意向を表明した。」と報道されておりますが、近藤労働大臣にはぜひ日経連側と話し合って基本的な認識不足を改めてもらう、そういう必要があると思いますが、労働省としてはどのように考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。
#206
○説明員(朝原幸久君) 新聞報道等で労働大臣が日経連側と話し合いたいというような意向を表明したというようなことが書かれておりますが、現実にはそういう事実は特にないというふうに我々理解しております。
 日経連を初めといたします使用者団体とは、常時審議会とかあるいは産業労働懇話会等の場でこういう問題について議論をしているところでございまして、今後とも事業主団体等とはこういう機会を通じまして、労働時間短縮の問題についてさらに意見交換を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
#207
○片上公人君 昨年四月から陸上の一般業種につきましては週四十四時間制であるけれども、運輸交通業が陸上一般業種に比べて大変おくれておるという、この理由について労働省。
#208
○説明員(朝原幸久君) いろいろ他の業種に比べまして運送関係がおくれておるというようなことがあるわけでございます。
 これについてはいろいろ労働実態の特殊性等、これは一般論でございますがありまして、手持ち時間等いろいろあるわけでございまして、そういう中でなかなか労働実態の特殊性ということから労働時間の短縮が進みにくいのではないかというふうに考えております。
 ただ、そうは申しましても、そういうふうな中でもさらに労働時間の短縮を進めるという方向が必要でございまして、そのために我々としても努力しているところでございます。
#209
○片上公人君 この週四十四時間制を実施するか否かの基準というのは何ですか。
#210
○説明員(朝原幸久君) 現在のところ、まだ原則の法定労働時間は週四十四時間ということでございます。ただ、一定の業種等につきましては来年の三月三十一日まで四十六時間ということになっておるところでございます。
 この違いにつきましては、やはり労働時間の現状を考慮いたしまして、なるべく四十時間に早急に近づけていくという観点から、労働時間が長いものについては若干猶予措置を設けているということでございます。
#211
○片上公人君 運輸交通業はすべての規模の事業所が猶予対象になって一おると。このことについて、達成できる範囲から週四十四時間制を実施したらどうかと思いますが、この点について。
#212
○説明員(朝原幸久君) 先ほど申しましたように、来年の三月三十一日までは四十四時間制の猶予対象としておるところでございますが、先生御指摘のように、なるべく早く四十四時間を達成するということは非常に重要なことだというふうには考えております。
 ただ、法的安定性等の観点から急に法制的にすぐ四十四時間ということはできませんが、その猶予期間を待たずにできるだけ早く四十四時間制を達成するということが望ましいわけでございまして、我々としても労働時間短縮援助事業等によりまして、なるべく来年の三月三十一日を待たずに四十四時間が達成できるようにいろんな援助、指導等を行っておるところでございます。
#213
○片上公人君 運輸省に伺いますが、運輸省所管の業種の中で道路貨物運送業と道路旅客運送業はほかの産業に比較しまして週四十四時間制の導入もおくれておりますし、総労働時間も長時間になっておりますが、その理由についてお伺いします。
#214
○政府委員(水田嘉憲君) お答えいたします。
 ただいま労働省の方からお話があったわけでございますが、一般産業の法定労働時間が平成三年の四月一日から週四十四時間になっておるわけでございますが、道路運送業を含みます運輸交通業につきましては、その労働の実態を踏まえて平成五年三月三十一日まで四十四時間制への移行が猶予されているわけでございます。
 このような状況、このようなことの理由でございますが、道路運送事業につきましては経営基盤の弱い中小企業が多いというふうなこと、あるいは極めて労働集約的な産業でありまして合理化が困難であるというふうなことなどが挙げられるわけでございます。
 私ども運輸省といたしましては、今後こういうことについても労働省との連携を強化しながら、機会あるごとに労働時間の短縮を関係業界に働きかけ、指導してまいりたいと考えております。
#215
○片上公人君 この労働時間の短縮が全産業の中で著しくおくれている道路運送業につきまして、千八百時間の達成は可能なのかどうなのか。また、その達成に向けてどのような施策を講ずることにしておるのか伺いたいと思います。
#216
○政府委員(水田嘉憲君) 道路運送業の中で貨物運送業と旅客運送業とあるわけでございますが、それぞれ時系列的に見ますと、総労働時間は六十三年あるいは六十二年あたりをピークにその後減少傾向にあるわけでございます。ただ、全産業の平均に比較しますと、依然として非常に長い状況でございます。
 運輸省といたしましては、この総労働時間を短縮するということに今後全力を挙げて取り組んでいきたいと思うわけでございます。「千八百時間程度に向けてきる限り短縮する。」という、先ほど経済企画庁の紹介によります昭和六十三年五月の閣議決定があるわけでございます。これの趣旨を踏まえて、できる限り短縮するということを私どもとしてやっていきたいと思います。
 また、長時間労働の是正というものは安全で良質な輸送サービスを提供すること、あるいは労働力の確保を図るという見地からも大変重要な問題だというふうに思っておるわけでございます。
 そこで、具体的な対策でございますが、まず時短を進めるための二・九告示の遵守につきまして、事業者監査の際に長時間労働につながる過労運転の防止というふうなものを重点的に取り上げて、その徹底を図るというふうなことをやっていきたいというふうに思っておるわけでございます。
 また、運賃改定に際しまして、例えばタクシーの場合には労働時間短縮に必要なコストというものを運賃改定の原価、コストに適正に織り込む、そして査定するということをいたしておるわけでございます。そして、その運賃改定後におきまして確実な労働時間短縮を行うよう関係業界、タクシー業界を指導しているところでございます。タクシーの運賃改定について今後ともこういうようなことは引き続き積極的に進めていきたいと思っております。
 トラックにつきましても、一昨年の運賃改定に際しまして同様の措置を講じているところでございます。
 それから、トラックにつきましては平成二年十二月の運輸政策審議会の答申におきまして、トラック運送業の労働力確保のための方策といたしまして、週休二日制の拡大等による時短を進めるために地域別一斉休日というものが提言されているわけでございます。なかなかばらばらに休むのでは十分に休暇がとれないということで、トラック事業のその地域全社について一斉に休日をやるという考え方でございますが、そういう提言がなされておりまして、この実施につきましても現在関係業界を指導しているところでございます。
 今後とも、あらゆる機会をとらえまして労働時間の短縮の指導を行ってまいりたいと考えております。
#217
○片上公人君 船員、特に小分則適用船員及び漁船員につきまして、現在の法定労働時間及び週四十時間制の達成状況、有給休暇の付与日数及び取得率の状況についてお伺いしたいと思います。
#218
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 小分則適用船員の法定労働時間につきましては、現在小分則におきまして一日八時間以内、週平均四十八時間以内となっておりまして、週四十時間制の達成率につきましては平成二年十月に招いて約二三%となっております。
 また、有給休暇につきましては、船員法第七十五条第二項におきまして十五日となっております。これは経過措置がついておりまして、平成五年の三月三十一日までは十三日間となってございます。この日数は必ず付与しなければならないこととなっております点が陸上の制度とちょっと違う点でございます。
 また、漁船船員の労働時間につきましては、法第七十一条第三号の規定によりまして、船員法の労働時間等に関する規定は適用除外となっておりますが、別途、指定漁船に乗り組む海員の労働時間及び休日に関する省令、我々漁労則と言っておりますが、この漁労則が定められております。同省令におきまして、操業中以外の労働時間は一日八時間以内、一週間五十六時間以内となっておりまして、また操業中は休息時間に関する規定がございまして、遠洋底びき網漁業に従事する千トン以上の大型漁船等に乗り組む海員は少なくとも一日十時間、小型漁船に乗り組む海員につきましては少なくとも一日八時間の休憩を与えるべき旨が規定されております。
 また、有給休暇につきましては、船員法第七十九条によりまして漁船船員につきましては適用除外となっております。
#219
○片上公人君 小分則のこの適用船員についてですけれども、週四十四時間制の達成率はどれくらいですか。
#220
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 総トン数七百トン未満の内航小型船の所定内労働時間に関する調査によりますと、平成二年におきまして全体の五七%が週四十四時間制を達成いたしております。
#221
○片上公人君 改正船員法施行予定の来年四月までに小分則適用船の週四十四時間制の達成率を労働基準法の猶予業種と並びまして、そういう基準まで引き上げることができるのかどうか。
#222
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 平成二年十月時点におきます内航小型船の所定内労働時間について調査した結果によりますと、先ほど申し上げましたように、五七%が週四十四時間制を達成いたしておりまして、週四十六時間制を達成いたしておりますものは八九%に上っております。改正法の施行時期でございますところの来年の四月までには達成率もさらに向上すると考えられます。これは四十四時間制の五七%と申しましても平成二年十月でございますので、五年四月までの間には約二年半ございます。
 そういった意味で、平成五年の四月までには達成率もさらに向上するというふうに考えておりますので、御質問の達成率引き上げにつきましては私ども可能であるというふうに考えております。
#223
○片上公人君 来年四月から小分則適用船が週四十四時間制となったとしましても、かわりに時間外労働、または補償休日労働は増加するのではないかという心配があるが、この辺について労働省。
#224
○説明員(朝原幸久君) 一般的に言いまして、所定内労働時間が短くなりますと、従来と同じだけ労働しようと思いますとどうしても残業がふえる状況にあるわけでございます。我々といたしましては、そういうことで残業がふえるということにつきましては、結局労働時間は減りませんので、そういうことは非常に問題だということでございまして、一般的には時間外労働の適正化指針等を改正するというような作業を今中央労働基準審議会等でやっているところでございます。
#225
○片上公人君 同じく、運輸省どうですか。
#226
○政府委員(金子史生君) 時間外労働につきましては、船員法の第六十四条の規定によりまして二つの場合が書かれております。一つは、「臨時の必要があるとき」及び「特別の必要がある場合」ということで、陸上の体系とは異なって非常に限定的な場合にのみ時間外労働というものが課せられるということができるというふうになっております。それと今般新たに規定されました法第六十四条の二によりますところの労使協定による時間外労働、これは「公衆の不便を避ける」ために限定された運用ということになりますが、こういった場合が新たに時間外労働を行うことができるということで、以上のように限定された運用がなされております。
 それとさらに、補償休日労働につきましては労使協定によることとなっている上に、命令におきましてその日数の限度が定められております。
 以上のようなことから、週四十四時間制になった場合におきましても、従来の運用を考えても、また法律の状況を考えても一御指摘のように時間外労働に大幅にしわ寄せがいくというようなおそれは私どもはないのではないかというふうに考えております。
#227
○片上公人君 今お話ありましたが、この改正案で、「公衆の不便を避けるために」必要な、「命令で定める船舶」については労使協定による時間外労働は認められることになっておるわけですが、この時間外労働が認められる場合がむしろ広がったのではないか、こう思いますが、この辺についてはどうですか。
#228
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 改正後の船員法第六十四条の二の規定は、従来私ども小分則と申しておりますが、この小分則の適用を受けておりましたところの小型旅客船につきまして船員法第六章の規定を新たに適用することとなることに伴いますところの関係規定の整備の一環として設けることにしたものでございますので、この趣旨から、総トン数七百トン以上の大型船につきましては労使協定による時間外労働を認めるということは考えておりません。
 また、従来小分則におきましては総トン数七百トン未満の小型旅客船についてはすべて労使協定による時間外労働が認められていたところでございますので、今般の改正によりまして七百トン未満の小型旅客船の中でも公益性のあるものにのみ限定して労使協定による時間外労働が認められるということになるわけでございますので、したがって、むしろ対象は従来よりも狭められることになるというふうに私ども考えております。
#229
○片上公人君 いろいろな心配の面からこの時間外労働の上限を労働基準法のように告示で定める必要があると思いますが、この辺はどうですか。
#230
○政府委員(金子史生君) 今般、労使協定による時間外労働を認める趣旨は、例えば離島航路に就航する旅客船につきまして考えますと、季節的な要因によりまして増便する、こういうような場合であっても臨時に海員を雇用するということが困難な場合には労使協定による時間外労働を認める必要があるということによるものでございまして、こういったような公益的な観点から必要な時間外労働の程度は個々具体的なケースに応じて異なるために、その上限を一律的に定めるということは困難だというふうに考えておりますので、上限を定めないということにしておるものでございます。
 このようにいたしましても、「公衆の不便を避けるため」という限定が付されており、無制限に認められるものではなく、また、労使協定で具体的遵守措置を伴った上限を設けることとする予定でございますので、労働保護に支障はないというふうに考えております。
 なお、定期的な航路に就航する旅客船のみに認めることを考えておりますので、時間外労働の時間数もおのずから常識的な線におさまるのではないかというふうに考えております。
#231
○片上公人君 船員法第七十二条の二では労働時間の特例を認めておるわけですが、その適用対象船舶はどういう船舶なのか、それをちょっと御説明ください。
#232
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 総トン数七百トン未満の小型船につきまして、船員法第七十二条の二によりまして海員の一日当たりの労働時間の特例が認められる船舶の類型といたしましては、まず第一に、「定期的に短距離の航路に就航するため入出港が頻繁である船舶」、それから第二番目のカテゴリーといたしまして、「海員の日ごとの業務に著しい繁閑の差が生ずることが多い船舶」を考えております。
 これらにつきましては、同条に基づく省令で規定することにより対処する予定でございます。
#233
○片上公人君 その労働時間の特例が認められる船舶につきまして、これは同時に労使協定による時間外労働は認められる場合があるわけですね。
#234
○政府委員(金子史生君) おっしゃるとおりでございます。
#235
○片上公人君 そうしますと、労働時間の特例と労使協定による時間外労働が同時に認められることは、船員の労働保護上、これは問題が出ないのかどうか。
#236
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 船員法第七十二条の二に基づきますところの労働時間の特例は、一日八時間労働、これの原則によった場合には、船主、それから船員双方にとって必ずしも好ましい結果とならない場合に対応するために設けられた制度でございまして、あくまでも所定内労働時間に関する特例でありますとともに、一日八時間労働制に比べて労働保護の点で問題が生じないよう一日当たりの労働時間の上限、一定期間内における週平均労働時間の上限等を設けているところでございます。
 したがいまして、一日八時間労働制を採用しつつ労使協定による時間外労働を行う場合に比べまして労働保護上問題があるというふうには考えておりません。
#237
○片上公人君 内航船員の有給休暇の法定付与日数は十五日となっているわけですが、経過措置がついております。現在は何日で、いつ十五日になるのか伺いたいと思います。
#238
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 内航船員の有給休暇の法定付与日数は、昭和六十三年の船員法の一部改正において従来の十二日から十五日に引き上げられましたが、同法第百四十七条におきまして経過措置が定めちれておりまして、平成四年三月三十一日までは十二日、その後一年に一日ずつ引き上げられ、現在は十三日でありまして、十五日に引き上げられますのは平成六年四月一日以降ということになります。
#239
○片上公人君 新経済運営五カ年計画では有給休暇二十日の完全消化を盛り込まれるとされております。内航船員についても有給休暇日数を二十日まで引き上げるべきだ、こう思いますが、どうですか。
#240
○政府委員(金子史生君) 内航船員の有給休暇日数につきましては、今申し上げましたように、昭和六十三年の船員法改正の際に従来の十二日から十五日と引き上げられたところでございます。
 この六十三年の船員法改正規定につきましては、六十三年改正の際の附則第六条におきまして、改正法施行後三年を経過した時点で見直しを行うべき旨が定められておりますが、本年四月がその時期に当たりますことから、四月十七日に船員中央労働委員会に対しましてその検討について諮問したところでございます。
 したがいまして、御指摘の有給休暇日数のさらなる引き上げにつきましても、必要に応じ船員中央労働委員会において労使等の御意見をお伺いしながら検討してまいることにいたしたいと思います。
#241
○片上公人君 これらの具体的な措置を通じて労働時間短縮に努めてもらいたい、こう思っていろいろ質問してきたわけでございますが、いま一つ気になるのが週四十時間制の達成時期につきまして労働基準法と船員法では時期が異なるようでありますが、その理由を伺いたい。
 また、労働基準法と船員法は同時期に達成すべきと考えますが、この点どうでしょうか。
#242
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 労働基準法並みに週四十時間制を早期に達成することにつきましては、昭和六十三年の船員法改正前は海上労働は実質五十六時間制となっておりましたために、その時点において週四十時間制に移行するために必要とされた短縮すべき労働時間は十六時間というふうに大幅であったこと等から、船員の法定労働時間短縮のスケジュールは陸上に比べ若干幅を持たせざるを得ないというふうに考えてきたところでございます。
 しかしながら、船員の労働時間の短縮が必要とされております現在の諸般の状況にかんがみますと、海上における法定労働時間短縮のスケジュールと陸上のそれとの間に著しい乖離が生ずるということは好ましいことではございませんので、今後とも可能な限り陸上のスケジュールに少しでも近づけるように努力してまいりたいと考えております。
#243
○片上公人君 陸上ではこの労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法を定めて労働時間短縮を促進しようとしておるわけですが、船員についてはこの時短法が適用除外となっておるのは、これはなぜなのか。
#244
○政府委員(金子史生君) 御指摘の法案は、業種ごとや地域における事業場ごとに時短を進めていく体制づくりなどを目指しているわけでございますが、海上労働の場合は陸上労働のように多種多様な業種に属する労働者が地域性を持って労働を行っているというのとは異なりまして、業種的に同一であるのみならず労働の場が全国的規模であり、しかも労働者の大半は海上にあります。
 また、個々の船員の労働実態についても、例えば週休二日制のように週単位の労働活動を前提としたものではなく、長期乗船、その後の休暇のまとめどりといった独得の形態をなしておりまして、これを反映して労働時間法制も基準労働期間、補償休日といった陸上には見られない制度や有給休暇の強制付与等の独得な制度を設けております。
 さらに、船員の労働時間、休日、休暇等につきましては、海上労働といういわば単一業種を専門に扱う船員中央労働委員会、船員地方労働委員会の場で公労使が協議しながら進めていく仕組みがあり、今回の船員法改正案に見られるごとくその仕組みが有効に機能しております。
 これらを総合的に勘案いたしますと、現在提案されております労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案は、制度的にあえて船員に適用する必要はないものと判断されましたために適用除外といたしたものでございます。
#245
○片上公人君 今回のこの法改正によりましても法第六章の規定が適用されない漁船の船員数はどれくらいなのか。また、今後の対応はどのようにされるのか伺いたいと思います。
#246
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 船員法第六章の規定が適用されない漁船の船員数は、平成二年十月現在で予備船員を除いて六万七千六百二人となっております。
 漁船に乗り組む船員につきましては、その労働形態の特殊性から労働時間等に関しましては指定漁船に乗り組む海員の労働時間及び休日に関する省令、いわゆる漁労則によりまして商船とは異なった規制を行っておりまして、また有給休暇につきましては法令の基準は定められていないところであります。
 このような漁船乗組員の労働条件の改善につきましては、昭和六十三年の船員法改正の際の衆議院及び参議院の両運輸委員会における附帯決議を踏まえ、当面漁船船員の労働実態を把握するための調査を進めているところでございますが、漁船労働そのものの特殊性に加え、近年の水産業界が直面している厳しい状況等から労働条件の改善を進めるには環境の面で極めて厳しいものがあるというふうに考えております。
 しかしながら、一方では漁船船員の高齢化等に対応して若年労働力を確保するため、現在の労働条件では不十分であるという認識も高まってきております。
 したがいまして、有給休暇、労働時間等の労働条件に関する規制の取り扱いについては、水産業界を取り巻く状況の推移と漁船乗組員の労働形態の特殊性等を勘案しながら、なお一層の十分な把握を行った上で労使双方の御意見もよく承りつつ検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
#247
○片上公人君 この漁船の船員につきましても船員の高齢化と後継者不足が大変顕著になってきておるわけでございますけれども、水産業界として早急に労働条件改善に取り組むべきだと、こう思いますが、農水省。
#248
○説明員(小峯正君) お答えを申し上げます。
 最近の我が国漁業をめぐります情勢でございますが、御案内かと思いますけれども、国際的な二百海里体制の定着に加えまして、最近とみに公海漁業につきましても規制が強化されつつあるという状況にございます。それから、我が国の周辺の漁場でございますが、総じて資源状況が悪くなってきている、こういう極めて厳しい状況にあるわけでございます。
 加えまして、我が国の労働力需給全体が引き締まり基調にある、こういうことでございまして、漁船船員につきましても、御指摘のとおり、船員の高齢化、それから後継者不足、こういったことが顕著になってきておるわけでございます。したがいまして、若い優秀な後継者、漁業労働者をいかに確保していくかということが現下の急務になっているわけでございます。
 漁業労働力の確保につきましては、御指摘のとおり、漁船乗組員の労働条件の改善、それから基本的には私ども所得等の面からも漁業を魅力ある産業にしていく、魅力ある職場にしていくということが基本的に重要であるというふうに考えておるわけでございます。
 したがいまして、私どもとしまして漁業生産基盤の整備でありますとかあるいはつくり育てる漁業の推進、それから漁業経営の改善、こういった各般の漁業振興策を講じますとともに、漁船乗組員の作業施設あるいは居住環境、こういったものの改善等にも積極的に取り組んでいるところでございます。
 なお、労働時間等の労働条件の改善につきましては、今運輸省の方から御答弁ございましたとおりでございますが、我が国漁業を取り巻きます厳しい環境条件、それから漁業労働、漁船労働、特に一般のもちろん陸上労働とも違いますし、一般の船舶労働とも違ったいろんな特殊な形態を備えておるわけでございます。
 したがいまして、漁業種類ごとにそういった労働の実態等も十分調査、把握の上、運輸省ともよく御相談をいたしながら適切に対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#249
○片上公人君 法第七十条第一項の改正によりまして、現在でも少ない内航船員の乗組員がさらに減員されるおそれがあると考えますが、運輸省はどのように対応するお考えか伺います。
#250
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 今般の第七十条第一項の甲板部員六人の一律曲乗り組み義務の廃止は、実態に合わず不合理となっておりますところの規制を実態に合わせたものにすることを目的としておりまして、この改正によって安全性を無視した安易な人員削減や労働強化が行われる二とがあってはならないということは言うまでもございません。また、法改正後も適正な定員確保につきましては法第六十九条と新しい七十条によりまして担保されることになるわけでございます。
 昨今の我が国の海運業界におぎますところの船員不足の深刻化とかあるいは高齢化、こういった状況を労使とも厳しくとらえておりますので、現在労使とも適正な定員確保のために努力しているところでございますので、安易な人員削減や労働強化が行われるといった状況にはないと思います。
 また、法第六十九条と新しい七十条、これは私どもは遵守が十分なされるものと考えておりますけれども、万一違反が懸念される場合には就業規則の審査や雇い入れ公認の際の審査、さらには必要に応じ船員労務官監査を活用することによりまして適切に対処してまいりたいと考えております。
#251
○片上公人君 今回の改正で就業規則に必ず定員を記載することが必要となるわけですが、十人未満の船員しか雇っていない事業者は就業規則の作成、届け出が義務づけられていない。このような船舶所有老に対しまして、運輸省としてはどのように定員に関する指導を行うのか伺いたいと思います。
#252
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 船舶所有者と船員との間に雇い入れ契約の成立があった場合には、十人未満の船員しか雇用していない船舶所有者も含めまして、船員法第三十七条に基づきまして行政官庁に雇い入れ契約の公認を申請することが必要であります。行政官庁は、雇い入れ契約の公認を行うに当たりまして提出される海員名簿によりその船舶に乗り組む船員の定員を把握するということが可能でございまして、その際、定員が法定労働時間の遵守及び航海の安全の確保の観点から適正か否かについて審査を行うということになります。
#253
○片上公人君 定員につきまして、第六十九条の労働時間を守るための定員規定と今回改正された航海の安全を確保するための定員規定があるわけですが、この両規定の関係ですね、この辺について。
#254
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 船舶に乗り組む定員につきましては海員の法定労働時間の遵守の面と航海の安全の確保の面、この二つの面から決定されるものと考えておるわけでございます。
 労働時間を遵守するための定員につきましては法第六十九条が規定しております。同条は、船舶所有者に対しまして一日の労働時間の基準を遵守できるような定員とすることを求めておりまして、その一日の労働時間は通常は八時間であります。
 船舶の個々具体的な状況等に応じて異なってくるものではございますが、これを一般的なケースに当てはめてみますと、二十四時間以上航海する船舶におきましては三直体制を組む必要があり、例えば甲板部につきましては三人以上の要員が必要ということが原則になります。
 一方、航海の安全を確保するための定員につきましては改正第七十条が規定することになります。航海の安全を確保するためには航海当直の実施、船内保守整備作業あるいは荷役作業等の作業を適切に遂行することができるような定員が乗り組んでいることが必要であります。航海当直の実施につきましては、基本的には航海当直基準というものが運輸省告示でございますので、その航海当直基準が遵守できることを指しているわけでございます。
 航海当直基準を遵守できるような定員につきまして具体例を申し上げますと、例えば船橋は無人の状態とすることができず、また総トン数七百トン以上の大型の船舶では複数当直をするのが基本であります。これを一般的なケースに当てはめれば、複数当直が必要な大型の船舶で二十四時間以上航海し三直体制を組む場合におきましては、甲板部につきましては三掛ける二の合計六人以上が乗り組むということが原則になります。
#255
○片上公人君 船員中央労働委員会の場で労使双方を中心に話し合いで決めていくということは、これは大変結構だと思うんですが、この労働時間短縮に限ってみますと、海上労働の特殊性に目がいってしまってどうしても労働時間短縮がおくれがちになってしまうようにも受け取れるわけです。
 やはり、少し無理でも目標値を設定して、それを推進していくよう運輸省がもっと積極的なリーダーシップを発揮すべきではないかと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
#256
○国務大臣(奥田敬和君) 労働時間の短縮に関しましては、特に若い船員確保の観点からも大変重要な課題だと思っております。
 従来からもリーダーシップを発揮してまいりたいと取り組んでおるところでありますけれども、今日ではまあ高い目標でございますけれども週四十時間の達成、これはもう国民的課題でもございますので、一九九〇年代、仕事の特殊性を考えながらも何とか一年でも早く達成できますように、今後、荷主さんの協力も得ながら、行政、海員組合、三者協力のもとで、ぜひこの方向で目標を達成したいと存じております。
#257
○片上公人君 私は、最初の質問で商船大学、海技大学校のことをちょっと触れたわけですが、この二つとも学校は神戸、私の家の近くでございまして、時代は違いますが、子供のころに随分その生徒さんを私らはあこがれながら見たものでございます。
 今話がありましたように、この時短の問題などで商船大学とかそういうものを船員さんの仕事をどんどん生き生きとしたものにするためにいろいろ変えにゃいかぬと言いつつも、特殊性に目がいってついついおくれてしまうという流れが続く限り、いつまでたってもこれはなかなか変わらぬと思うんですね。ここはやっぱり思い切って強くやらなかったらいかぬのじゃないか。
 そういう意味で、既に労働者側からも時短目標明記の意見書が経済審議会に提出されておると伺っておりますけれども、まだ年間総労働時間が二千時間を超える状況から、この時短を進めるためにはやはりはっきりした目標が必要だと。新経済五カ年計画では目標を明記して、これによって政府の責任、事業主の責任をはっきりさせる必要があると思うんです。
 きょうは経済企画庁長官も労働大臣もこの席にはいらっしゃいませんが、それにかわって、最も実力者の運輸大臣がいらっしゃっておるわけですから、国務大臣としてもう一度決意を伺って、質問を終わります。
#258
○国務大臣(奥田敬和君) 先生は神戸、神戸といえばすぐ港、そして若いころからあこがれの商船大学、私たちもやっぱりあこがれておりました。
 やはり海に生きる日本として、海に働きの場を持っている人たちというのは私たちのやっぱりあこがれの職業であったわけでありますけれども、最近は何かとこういった傾向が薄れて、どちらかというと厳しい面だけが強調されておるような残念な結果に立ち至っておるわけであります。何とかこれを取り戻したいし、最近、商船大学、海員学校がまた入学希望者も少しずつですけれどもふえつつありますから、この火をやっぱり消してはならないし、そして内航、外航と言わず、海運物流に従事されている皆さんを私たちは感謝と同時に職業としても非常に大切な形で尊敬し合っていくという風潮もとても大事だろうと思います。
 そういった意味で、関係省庁、もちろん御指摘になったふうな海運関係者等も含めまして何とか実の上がるように、そして私たちは海の恩恵によって生きている国ですから、そういった面に従事されている人の諸待遇も含めて少しでも改善されていくように努力してまいりたい、そういう形で関係省庁とも十分協議してまいります。
#259
○片上公人君 ありがとうございました。
#260
○小笠原貞子君 この法律改正の大きな柱として二つ挙げられると思います。
 その一つは、七百トン未満の内航小型船についても船員法の労働時間に関する規定の対象にするということでございます。これは六十三年の船員法の改正のとき、私はこの点を強く厳しく要求してまいりましたもので、ちょっと遅きに失したという面もございますけれども、やっぱりこれは一つの改善であり、結構なことだと思うわけでございます。あとはいかにこれを実行あらしめるかが今問われているときだと思います。
 いま一つの問題点は、船員法第七十条の七百トン以上の船についての法定定員を除いたことです。これは我々としてはどうしても納得ができない点でございます。なぜなら、部員定員の下支えをなくすことになるからだと言わざるを得ないんです。
 そこで、この七十条廃止の問題について具体的に伺っていきたいと思います。
 七十条廃止に伴って、第九十七条で乗組員の定員を就業規則で届け出することになります。しかし、問題は、その就業規則の届け出に条件がございまして、「常時十人以上の船員を使用する」場合ということになっていると思いますが、間違いございませんでしょうか。
#261
○政府委員(金子史生君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
#262
○小笠原貞子君 今まで、七百トン以上の船は甲板部員六名を含め最低十人以上が乗っております。ところが、この七十条を廃止すると十人未満でもよいことになってしまいます。すると、就業規則の届け出をしなくてもよいことになると思うんですが、これはちょっと大きな問題だと思うんですけれども、いかがお考えになっていらっしゃいますか。
#263
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、十人以上従業員を抱えているというところにつきまして就業規則の届け出義務があるわけでございます。就業規則の届け出義務がありますと、今回この法案が通りますと定員を強制的記載事項として書かなければいけないわけでございますけれども、先生御指摘の、そうしますと今回の六人という下支えがなくなってしまうと、十人を割って届け出なくてもよくなるのではないか、そういうことについてどう考えるかと、こういうことだと思います。
 私どもといたしましては、新しい七十条でもってその航海の安全を確保するための定員の確保と、それから六十九条によりまして一日の労働時間、これを遵守するための定員の確保、これは六十九条にございますが、その両者相まってやはりそれらをきちんと守らせるということは、従来、七十条は一律六人と申しましても外航船と、それから七百総トン以上の内航船だけにかぶっておったわけでございます。そうしますと全船舶の約九%程度だと思います、今までの七十条の規定がかぶっておったのは。今度は船員法適用の全船舶、これは漁船も含めまして新しい七十条がかぶりますので、私ども定員規制につきましては強化になったのではないかというふうに理解しておりますし、法制局の論議の過程でもそのように理解されておるわけでございまして、こういった面で基本的には定員規制の強化になっていくというふうに思っております。
 先生御心配のように、万一、そういったような十人未満になってしまうところが出てくるのではないか。そういう御心配に対しましては、私ども十人未満のところであっても従来から就業規則の作成というものをできるだけやってもらいたいということを強く指導いたしておりますのが一つと、それから仮に就業規則の届け出がなくても、私どもの方で雇い入れ公認のときにチェックするということが可能でございます。これは船員法の第三十七条の規定によりまして雇い入れ公認時に定員をチエックする、こういうことが可能でございますので、そういった面の指導を強化しまして、今回の法律改正によって不当なといいますかそういった定員減が行われないように目を光らせてまいりたいというふうに思っております。
#264
○小笠原貞子君 雇い入れ公認でチェックできるとおっしゃっていますけれども、具体的にどういうチェックをなさるんですか。
#265
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 雇い入れ公認を行うに当たりまして提出される海員名簿によりましてその船舶に乗り組む船員の定員を把握する、こういうことが可能でございまして、その際に定員が法定労働時間の遵守、六十九条に定められている一日当たりの法定労働時間が勤務割からして可能かどうかあるいは七十条に規定しておりますところの航海の安全を確保するための定員が十分かどうか。具体的には、航海当直基準が守られるかどうかあるいは船内の荷役作業とか船内の保守整備作業、そういったようなものが行われるに十分な人員が乗せられているかどうか、こういった観点から審査を行うということで、具体的には私ども地方の局に対しましてこの審査の基準となるようなものを通達で流す、こういうことを考えているわけでございます。
#266
○小笠原貞子君 雇い入れ公認で乗組員の定員は把握できると思うんですね、確かに。だけれども、仮に乗り組み定員どおりあったとしても、船の立場から見たら定員ちゃんと入っているとしても、私が言いたいのは、その中で働いている労働者の立場に立って考えてみたときに、Aという船員さん、Bという方の乗り組み状況または労働状況というように、そこに乗り組んで働いている人の労働条件というのをトータルにずっとつかむという点では、この雇い入れ公認という書類だけでは、その船に乗って、そしてその船が動いたりなんかしているときはわかるかもしれないけれども、それで全部の労働状態というものを把握するということはちょっとできないし無理じゃないか、そう思うんですけれども、どうなんでしょう。
#267
○政府委員(金子史生君) チェックする方法でございますが、例えば船員の休日に関しましては船員法第六十七条の第二項及び船員法の施行規則の規定に基づきまして、船舶所有者は船員の労務管理の事務を行う事務所に休日付与簿というのを備え置きまして所要の事項を記載するという義務がございます。この休日付与簿をチェックすることによりまして、適正な休日が与えられているか否かを判断することができる。
 御承知のように、先生、船員の労働時間といいますか労働形態は、例えば三カ月連続乗船しておりまして、そうしますと一週間あたり例えば平均四十四時間を確保すると、こういうことを守らせるためには一定の基準労働期間というのを設けまして、内航船の場合十カ月でございますけれども、その基準労働期間の中において全体として平均四十四時間になるように守らせるということでございますから、したがって休日を与えない限りそれは実現できないわけでございます。その意味で、この休日付与簿をチェックするということが労働時間がトータルとして基準労働期間内に平均週四十四時間が守られているかどうかというものをチェックする決め手になるわけでございます。
 そういった意味から、休日付簿というものは極めて重要でございまして、今申し上げたような方法でチェックするわけでございます。
#268
○小笠原貞子君 まだちょっと私はそれでできるというふうには考えられない不安が残るわけなんですね。
 さらに問題にしたいと思いますのは、七十条の廃止に伴って就業観測の届け出がされなくなってしまうことに対して、雇い入れ公認で乗り組み定員が把握できるから問題ないとおっしゃいました。そんなのだったら初めから就業規則の届け出なんかなくたっていいんじゃないかというふうに思うわけです。しかも、わざわさ定員を把握する項目を就業規則に入れた意味がちょっとなくなるんではないかと。これはなかなか大きな問題として残るなと、そう思うわけなんですね。
 そして、現在どうなんだとちょっと伺ってみたら、船舶所有者で十人以上で就業規則の届け出をしているのは三千三百六十四事業者、そして十人未満で届け出を除外されているのが八千五百六十一事業者と伺いました。七二%は届け出をしないで済んでいるわけですね、今。労働条件の改善が目的の法改正だというのならば、今まで出していた就業規則を出さなくてもよいということになるなど、ちょっと労働条件改善のための環境整備がむしろ後退していくのではないかと、そういう心配がございます。
 少なくとも内航船員の労働環境が現状より大幅に前進しなければならないと、るる今までおっしゃっておりました。そういうことから考えると、具体的対応をもう一度私は検討していただきたいなと、そう思うわけです。
 それは例えて申しますれば、七百トン以上の船を所有している者には今までどおり就業規則を出させるように強力に指導していただきたい。これは法ではなくて強力な指導ということにしかならないと思うんですが、その辺の指導を強力にやっていただきたい。十人を割ったんだから就業規則を出さなくてもいいんだよということに流れないようにしていただきたい。
 なぜなら、十人未満で就業規則を出さなくてもいいというのが現在でも七二%からございますよね。そうすると、今まで出していたあとの二八%も今度は逆に出さなくてもいい方に流れていってしまうと思うんですね。そうすると、やっぱりその辺はきちっと就業規則を今までどおり出すようにという御指導がないと、私はちょっとどこか抜けていっちゃうんじゃないかと心配なんでございますけれども、いかがでしょうか。
#269
○政府委員(金子史生君) 先生のおっしゃるように、十分指導してまいりたいと思っております。
 それと、前段に先生がおっしゃいました就業規則に定員を書かせることの意味合いでございますが、これは就業規則を作成する際には雇用船員と協議するといいますか船員の過半数を代表する組合があればその組合と協議するし、組合がない場合にはその過半数を代表する者と協議した上で届け出るということになっているので、労働者側のチェックが入るということが非常に重要な側面でございます、就業規則につきましては。
 それともう一つは、定員を強制的な記載事項にいたしますと、必ず就業規則を出せばその定員を書いてきますから役所のチェックはできる。ですから、雇い入れ公認のときだけではなくて就業規則の段階でもチェックできる。
 そういった意味合いがありますので、私どもは就業規則に定員を書かせるということは非常に重要な意味合いを持っているというふうに考えております。
#270
○小笠原貞子君 やっぱり働く人たちの労働条件を改善していく、実態をよくしていくということのためには実態をきちっと調査もし、そして問題があればチェックしていくというような点が非常に大事になってきますし、今度のこの法律の中でも事業場や現場でのチェックというのが大事だというふうに論議もされているわけです。
 その重要な役割を持つのが船員労務官とおっしゃいますね、そういうものになっております。現在一人配置の支局が幾つあって、その解消のためこの五年間どういうふうになっておりますでしょうか、具体的に数字で教えてください。
#271
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 船員労務官の配置は、現在百四十四名おります。そのうち一人配置局といいますか、複数配置が私ども原則というふうに考えておりまして鋭意そういう方向に持っていくように毎年努力しておるわけでございますが、現在なお一人配置になっております局は二十九カ所ございます。
#272
○小笠原貞子君 それじゃ、毎年どれくらいふやしていらっしゃいますか、そこまでくるのに。
#273
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 過去の実績を見てまいりますと、毎年一名ずつ一人支局に対して複数配置になりますように定員の増が認められておりまして、ことしも、平成四年度も宇和島に一名認められまして複数ということになったわけでございますので、先ほど申し上げましたように、一人局が支局の数でいきますと二十九ございますので、今のペースでいきますと、毎年仮に一人ずつであると計算はできるわけでございます、恐縮でございますが。
#274
○小笠原貞子君 今度の改正で、一つは時短、休日を進め、実効性を上げるためには監督業務の一段強いチェックが必要なこと。二つ目には、七百トン未満の船舶が船員法の対象になったことにより、監督業務が一層重要かつ困難性を増大させてきた。三つ目には、七十条廃止に伴って定員の厳格なチェック問題など、この法改正によって非常にこの船員労務官の果たす役割が今までより以上に大事なお役目になると思うんですが、それはそういうふうに思っていらっしゃるんでしょうね。
#275
○政府委員(金子史生君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
#276
○小笠原貞子君 私の申し上げましたとおりに御認識いただいていますとすれば、毎年一人ですよね、毎年一人ということになりますと、複数にしようと思ったらあと二十九年かかると、こういうことになるわけですね。私はやたらとあれもこれもふやせと言っているんじゃなくて、やっぱり必要なところに、そしてそれには一つのチャンスというものがございまして、何でもないときにふやせなんと言ってもなかなかこれは難しい。
 やっぱり、私今申し上げましたように、この法改正という中で今までの船員労務官の立場というものがもっとよく重視されなければならないということのために、この問題を今考えなきゃならないということで申し上げたわけです。
 運輸省として今年度あたり何名要求していらっしゃいますか、増員の要求。
#277
○政府委員(金子史生君) 平成四年度でございますと、二名要求いたしまして一名ついたわけでございます。
 二名とか一名という、先生の目からごらんになりますと少ないというふうにお考えになるかもしれませんけれども、この定則のときにここを認めていただくというのは大変なこれは努力が要るわけでございまして、そう自動的につくというものでもございませんでして、これはかなり船員部でも最重要事項の一つとして定員の中で最も力を入れて毎年やっていることでございます。
#278
○小笠原貞子君 船員労務官のアンケート調査というのを拝見いたしますと、一番要求、要望として強いのが複数配置ということになっておりました。
 その理由として、船員の災害防止、労働条件の改善を実効あるものとする上でどうしても必要であると。また、船舶監査で危険な経験をした人は約五〇%にも達しておりました。特に、一人での監査では五二%の方たちが危険な経験をしたことがあるとおっしゃっております。
 毎年一人ずつでは、先ほど言いましたように、複数化には二十九年もかかると。何にもしていないよと私言っているんじゃなくて、いろいろ御努力くだすっていたんだけれども、こういう現状であると。
 やっぱり、ここが大臣の出どころなんですよ。ここで大臣が出て頑張っていただかなければ、一人ずつで複数化に二十九年かかる。少なくとも、三名にしたって十年かかりますよね。やっぱりここで、新たな法改正の段階という今がチャンスでございますので、大臣としてもこの問題について積極的に頑張っていただきたいということをお願い申し上げたいんですけれども、大臣、やっていただけますか。
#279
○国務大臣(奥田敬和君) 大変厳しい情勢の中で、毎年一人という数字ではございますけれども、増員を認めてくれておるわけであります。
 しかし、今御指摘されるように、確かに複数配置は望ましいし、また危険度も多い仕事であるという認識に立ちまして、私としては本年度要望の中でできるだけそういう一名、二名と言わずもう少し、最低五名くらい要求してやってまいります。
#280
○小笠原貞子君 それじゃ、次に内航海運の運賃問題などについて伺いたいのでございます。
 内航海運の果たしている役割は、申し上げるまでもなく大変大きいと。しかし、その役割に比べて内航海運の現状は厳しいものがある。内航海運における大きな課題である船員労働者の高齢化、深刻な人手不足などを解決していく上でどうしても労働条件を改善しなくては根本解決にはならない。
 今度の改正で七百トン未満の内航船も船員法の規定が適用されることになり、船員法サイドからのアプローチとして重要な点であると思います。しかし、最大の問題は、荷主の支配の問題というのが、これはもう本当に大きな問題になってくると思います。以前にも具体的に問題にいたしましたけれども、用船料、運賃がやっぱりたたかれている。この点をよほどきちっとやらない限り内航海運問題は改善されないと言ってもいいのではないかと。特に、その荷主たるや鉄鋼、石炭、セメントなどという巨大な企業ということになってくるわけです。これら大きな企業の社会的責任は重大だと言わざるを得ない。
 運賃は、内航海運だけが先ほどからおっしゃっていましたように自由料金ということになっておりますよね。受注企業である内航海運側が劣勢の立場に置かれている。それだけに運輸省としての指導監督が強く求められていると思うんですけれども、この問題についてどういうふうな対処のされ方をしておるか、今後どうなさるおつもりか伺いたいと思います。
#281
○政府委員(大金瑞穂君) まず、私ども運輸省といたしましても適正運賃の収受ということ、これが船員確保の観点からも必要不可欠であるという認識は強く持っております。
 それから、荷主と内航海運事業者との関係、これはただいま先生御指摘ございましたように、もともと内航海運事業者は非常に零細事業者からスタートいたしましたこともございまして、確かにいわゆる大荷主の力が強いという実態はございます。
 しかしながら、最近内航海運業の構造改善を一方で推進しておりますということ、それから内航海運業と荷主関係業界との話し合いの場というもの、これは私どもも後ろから支援をしておるわけでございますけれども、こういった話し合いの場が次第に確立されつつあるという点は、これはお認めいただきたいと考えております。このような過程を通じまして、荷主さんの方でも物流コストについての認識あるいは内航海運の実態についての認識は深まってまいっておると私ども認識しております。
 実は、本年三月に海運造船合理化審議会で答申が行われたわけでございますが、ここでもこの問題が取り上げられております。ちょっと長くなりますが、その答申の文章で、「荷主においては、内航海運事業者の体質強化、安定的な船員確保は、中長期的に安定輸送を確保するための必要不可欠な前提条件となることを十分に認識する必要があり、特に輸送に係る適正コストの負担について深い理解が望まれる。」という指摘がなされております。
 この海運造船合理化審議会の審議の模様でございますけれども、実は内航部会というのがございますが、そのさらに下に小委員会を設けまして、ここで内航海運事業者の方、それから荷主業界の方あるいは海運組合の方あるいは学識経験者にもお入りいただきまして、船員問題あるいは運賃収受の問題について突っ込んだ議論をやっていただきまして、その結果がただいま私論み上げました答申に結実しておるわけでございまして、そういった意味で、私はこの答申の指摘が関係者の共通の認識の基盤になり得るもの、またなってもらわなければいけないものだという認識を持っております。
 今後でございますけれども、私どもこの答申の趣旨に沿いまして、荷主の参加をも得た上で内航船員不足問題を考える懇談会その他、内航海運業界と荷主業界との話し合いの場を活用することによりまして、荷主における内航海運の実態に対する理解を通じ、また今申し上げましたような共通の認識の上に立ちまして適正な運賃が確保されますように私どもとしても指導してまいりたい、このように考えております。
#282
○小笠原貞子君 いろいろ御努力いただきましてだんだんよくなってきたと。昔に比べればよくなるのは、これは当たり前でございまして、よくなってきて御努力もなさったことはわかるんだけれども、現状を見るとやっぱりまだまだこの業界にとって、また働く方々にとっては問題が多いということから、私は、よくなってきたよで甘んじることなく、ここのところでひとつ具体的に考えていただきたい。
 もう先ほどからも出ているように、運賃は内航海運だけ自由料金、それなりにいろいろ御説明がございましたけれども、やっぱり現実的にはこれは非常に問題のある点だと思います。トラックは認可から届け出になさいました。物流二法の改正で荷主への勧告条項を法文化しました。例えば、タクシー料金は労働条件が改善されなければ運輸省は値上げを認可しないというような例もございましたですよね。労働時間の短縮を図るなど労働条件の改善を実行しようと思えば、当然その分コストがかかってくるのはもう当たり前のことなんですね。そのコストがかかった分は運賃、用船料に直接吸収させなければならない、こうなってくるわけでございます。
 そういうことで、いろいろ海造審の答申も拝見いたしまして、これからも努力していきたいというも言葉でございましたけれども、それだけじゃやっぱり私だめだと思う。これから一生懸命やりますよとみんな言うんです。一生懸命にやるんだけれども、それは具体的にいつごろをめどにどういう形でどういうふうにやっていきたいという、その辺までちょっと突っ込んだ具体的な改善のお気持ちがあって具体化しようとされているかということを私は最後に伺いたいわけなんです。
 これは大臣の方がいいかしらね。いろいろ聞いていただいて、一生懸命やりますだけじゃどうも小笠原はうんと言わない、なかなか座らない、座らせるために大臣としてはどういうふうに具体的にお考えいただけるかというのを伺わせていただいたら座りますので、よろしくお願いいたします。
#283
○国務大臣(奥田敬和君) 海造審の答申のみならず、荷主を交えました三者懇でも船員不足という事態に何とかして適正運賃を荷主側も協力してやりたいという気持ちを前向きに表明しているわけでございますから、適正運賃確保という観点がもし確保できない場合にはやはり法定的な手段にも訴えなければいかぬ。
 そういったことにならないように、海員組合の皆さん方も荷主側もせっかく適正運賃で船員不足を解消しようと前向きな対応を見せている段階でございますから、これらを注意深く見守りながら、もし先生の御懸念されるような事態に立ち合ったときにはまたひとつ委員の先生方の御協力でそれに対応していかなければいかぬという決意でおります。
#284
○小笠原貞子君 よろしくお願いします。
#285
○吉田之久君 船員法の一部を改正する法律案の中身に入る前に、労働省お見えいただいておりますので、この労働時間の短縮そのもので私が最近つくづく感じております基本的な問題点といいますかあるいは疑問点といいますか、そういうことについてお伺いをいたしたいと思うわけです。
 年間総労働時間を一刻も早く千八百時間にしよう、これは今や日本国民の合い言葉にさえなっていると思うんです。そして、政府や労働組合やあるいは企業の責任者らも懸命に努力されていることはよくわかります。しかし、実質的には、笛吹げと踊らずという言葉がありますけれども、懸命に笛を吹いても、踊れる人はおるけれども、とても踊れそうにもない国民が随分取り残されておるというふうな気がしてならないのでございます。
 そこで、まず労働省にお聞きしたいのは、この労働時間の短縮というのはだれの労働時間を短縮することを指導、規制しようとするのか。国民全般であってほしいけれども、そうではないと思うんですね。サラリーマン労働者だけなのか、あるいは中小企業の経営者はどうなるのか、お医者さんはどうなるのか。いろいろ国民の中に、おれたちはそれの対象に入っているんだろうか、全然外されちゃっているんだろうかというようなやっぱり不安、疑問がだんだん広がってきているんじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。
#286
○説明員(朝原幸久君) 先生、今お話がありましたけれども、労働時間短縮といった場合には、我々としては豊かでゆとりある勤労者生活という観点から労働時間短縮というのを進めておるわけでございます。
 ただ、しかし、この問題は単に労働者といいますか、むしろ日本人全般の考え方等もそういうものにかかわる重要な問題でございまして、今後ゆとりある生活大国への前進を図るという上からも、単に、勤労者生活というのが中心ですが、それ以外の国民各層のいろいろなコンセンサスを得ながら進めていき、ぜひとも達成していかなければいけない国民的な課題であるというふうに我々としては認識しているところでございます。
#287
○吉田之久君 その国民的な課題であること、また全般的にゆとりのある生活を送らせよう、それはわかるんですけれども、単にそれだけじゃひとつの空念仏で終わってしまうと思うんですね。
 私は、しょせん労働時間の短縮というのは、事実確かに形式的には大企業を初めとして徐々に時間短縮の傾向に入っていることは事実ですけれども、形式的にはそうなっておったって実質的には仕事を家に持ち帰ってやっておる人もおれば、会社で働いてはおるけれども時間外手当の要求はしなかったとかいうような傾向も随所に見られますし、それから一部の比較的恵まれた会社組織あるいは団体でそれは実施できても、そのできない部分がむしろ弱い零細なところにますますしわ寄せされる、下請けや孫請けの会社の労働者だけがもう不眠不休で働いておるというような傾向もあります。
 こういう傾向が高まりますと、結局今の労働時間の短縮の国民運動は結果的に労働者を、言葉はいいのか悪いのか知りませんが、上級労働者と下級労働者層と二つに大別してしまうおそれが出はしないだろうか。そして、一方がだんだん人間らしく余裕を持つ職場になればなるほど取り残された一方の側の人たちはまずます三Kの代表的な職場としてくっきりと国民の中に位置づけられてしまう。
 そういうことで、三K職場を嫌う今日の国民の一般的な傾向の中でますます人手不足になっていく。船員法の問題でも、それは代表的にそういう傾向が出てくるんじゃないかと思って質問に後で入りますが、全般的に見てもそんな心配がしてならないんですが、労働省はいかがお考えになりますか。
#288
○説明員(朝原幸久君) 先生おっしゃられましたように、特に大企業等を中心に労働時間短縮ということがより早目に行われていっておるわけでございます。そういう中で、どうしても中小零細企業でございますとかあるいは一部の業種等につきましては長時間労働が恒常化しておるというような現状にあるのは、現実として認めざるを得ないというふうに考えております。
 ただ、そういう中で、行政の役割としてはまさしくそういう長時間労働である層の人たちが千八百時間を目指してよりゆとりある生活が送れるようにするというとがやはり行政の目的ではないかというふうに考えておるところでございます。
 そういう中で、労働基準法というのは労働者の最低限の労働基準を定めたものでございまして、これをより基準をアップすることによりまして、すべての労働者あるいは国民の方々がゆとりある生活大国あるいは労働時間短縮を図り、豊かな生活が行われるようにしていくということが労働省の大きな役割だというふうに考えておるところでございます。
 確かに、それを実際そういう短縮にどう結びつけていくかといいますと、いろんな業種、業態等にもよりますし非常に難しい面もございますけれども、今先生がおっしゃられましたようなことも含めまして、我々としては十分念頭に置きながら、そういうふうなすべての労働者、特に中小零細企業の方々も生活大国あるいはゆとりある勤労者生活に乗りおくれないようにできるだけ努力させていただきたいというふうに考えておるところでございます。
#289
○吉田之久君 運輸大臣も国務大臣のお一人として今後内閣のいろいろな政治の運営、展開の中でひとつ御指導をいただきたいと思うんですが、私は今も御答弁ありましたとおり、現実にはやれるところはやっている。しかし、一方全然手の及ばないところ、切り捨てる気はないけれども置き去りにされている、そういう職種、職場がどんどんふえてきておる。これでは結局、非常に日本の国民内部の将来の大問題といいますかひとつの断絶状況が起こってくるおそれがあると思うんですね。
 私の考えは、何も世界からどんなにいろいろ注文をつけちれても、何も日本の全トータルとしての労働時間が必ずしも減らなくてもいいと思うんです。問題は、みんなが働いて、みんなが少しずつ働くというか少しでも少なく働いて、国民が働けるものならみんな参加して、国民全般が、みんなが今までよりはもっとゆとりのある人間らしい生活を享受できる、そういう国をつくるということが一番根本だと思うのでございますね。
 ですから、そういう本当に長期的な総合的な観点というものを内閣自身ががっちりと踏まえて、そして全般的に国民の指導の任に当たっていただかなければならないとつくづく最近心配しているんですが、大臣、いかがでございましょうか。
#290
○国務大臣(奥田敬和君) 確かに、先生が最初に御指摘なさったように、労働時間の短縮、これが国民的な今合い言葉になってきておることも事実です。
 ここは、先生とか私たちの世代というのはまっしぐちに働くことに生きがいを感じて、そして働いた果実というもので何とか家族に少しでも豊かさを味わわせてやろうという気持ち一本やりでやってきたと思います。したがって、残業なんかむしろそれのために、むしろそこに生きがいを感じて価値観を見出して頑張ってきたというのが実態であろうと思うんです。
 ですけれども、今の若者を含めての風潮は確かに違ってきています。各種の世論調査を見ても、賃金、報酬の上がることも結構だけれども、それより休みをくれという形の風潮という形の中で、私はやっぱり生きがいを含めて、むしろ彼らは働いて得た果実をいかに休みに有効に使って、それでまたそこにひとつのゆとりなり生きがいを感じている世代が多くなりつつある国際的な傾向は否定するわけにいかないと思うんです。
 だから、私自身も果たしてそれでいいのかなと思う気持ちはありますけれども、そんなことを言ったら今度は逆に新経済五カ年計画で、今労働省からも言われましたように、もう一歩でも二歩でも国際化水準に近づいてゆとりと休暇を楽しんでもらおうと、そういったライフサイクルに変えようとしているわけですから、私もそれに賛成しておる立場の一人でございますから、これは否定するわけにまいりません。
 しかし、今先生の言われたような零細な受注産業に従事される人と大企業との間にやっぱりそういった格差ができていくという傾向は私は注意していかにゃいかぬし、またそこまで徹底する形には相当まだ時間と難しい課題が残されておるなと。率直にそういった難しい面も認めながら、さりとてたどり着くゴールというもの、目標というものはやはりこういった零細な中小企業に働く皆さんにも手を差し伸べていくような行政の姿勢が大事であろうかなと思っております。
 全く同感でございます。
#291
○吉田之久君 今、大臣もおっしゃいましたとおり、若い人たち、新しい人たち、要するに人間らしく生きようとする世代、その世代がこれから構成していく日本の社会がどうあるべきか、この辺をしっかりと腹に入れて労働時間の短縮を全国民的にどうから取っていくかということを、これはひとつ労働省が本当に本気でやっていただかないと、中途半端に終わってはかえって変なことになってしまうと思うんですね。建前や見せかけや、おざなりや外向けの形式的なデスクプランに終わってはなりませんので、ひとついよいよ本腰を入れて頑張っていただきたいということを労働省にお願いいたしておきます。
 それでは、船員法の改正の中身について若干御質問をいたします。
 内航海運の年間労働時間が二千八百時間ということで問題になりましたけれども、海員組合の「内航船員問題への提言」によると、組合組織船で二千四百時間、未組織船では三千六百時間程度と推定されております。三千六百時間といえば目標の千八百時間のほぼ二倍でございますね。これが実態であるとするならば、なかなかこれは容易なことではないと思うんです。運輸省関係の労働者では船員の労働時間が現在大変長時間でありまして、それが労働力不足の原因になっている。非常にきつい仕事だから嫌だというようなことで、だんだんと船員になることの意欲が薄れていくというようなことになってまいりますと、これは非常に心配でございます。
 四月二十一日の衆議院の運輸委員会でも大塚局長が答弁なさっておるようでございますけれども、労働力不足と長時間労働とがお互いに鶏と卵のような相互因果関係を持ってきておるのではないかと思うんですが、この辺につきましていかがでございますか。
 それじゃ、お答えになりにくいようですから、さらにちょっと具体的にお聞きしましょう。
 きょうまでの政府の回答によりますと、現在就業規則に定員が記載されて届けられているものの平均は、五百ないし七百トンで甲板部の職員が二・一、それから部員が一・八、それを合計いたしますと三・九、ほぼ四人でございますね。それから、機関部の方では職員が二人と部員が〇・八人で計二・八と。これを合算いたしますと六・七ということのようでございます。あるいは二百トンから五百トンまでの船の場合には、甲板部の方の職員と部員、職員が二人で部員が一・一、計三・一。機関部の方は職員が一・九、部員が〇・四、計二・三。合計いたしまして五・四というような数字のようでございます。
 しかし、私どもの常識では、その甲板の方を守っておる人が最低一直二人要るとするならば、三直だから六人、それから機関部の方は一人でいいとするならば三人、合計九人が最低の定員の常識だと。本当は交代要員を入れればもっとふえるはずでございますが、こういう現状ではとても本当の任務が果たし得ないのではないか、完全に安全な状況を確保しているとは言えないのではないかというような気がするんですが、いかがですか。
#292
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。まず初めに、先生の先ほど労働力不足と長時間労働が鶏と卵の関係になっているのではないかという点に関しましては、私もそのとおりだと思います。
 それから、先ほど先生の御指摘の五百トン程度の船ならば甲板部が六人、機関部が三人、合計九人が常識的な線ではないか、こういうお話でございますが、私どもで実態調査をしておりますのでその数字を御紹介申し上げますと、二百トンから五百トンの船舶、これは四百九十九総トンが主体、主力になるかと思いますけれども、その平均二百トンから五百トンの船の平均が、先ほど先生御指摘のように、甲板部が三・一人、機関部が二・三人、その他事務部等が〇・二人ということで、五・六人というのが実態的な平均になっております。
 そこで、これが船員法との関係でどういうことかということでございますが、船員法には定員の関係では二つの規定がございまして、一つは六十九条で、一日当たり八時間の労働時間が守られるかどうか。こういう観点から見てみますと、甲板部三・一人というのがどういう評価になるかということでございますが、これは甲板部でもって三直体制を組む、二十四時間以上航行している船舶であれば三直体制を組むというのが八時間労働を守るための条件でございますから、常識的には。そういたしますと、それは三掛ける一でもって三人で、その八時間労働を守るという観点からはよろしいわけでございます。最低限です、これは。
 それからもう一方、七十条の関係で航海の安全を確保するための定員という観点からどうか、こういうことでございますが、これにつきましては航海当直基準をまず守れるかどうかということがその判断の基準、基本となるわけでございますので、航海当直基準上は七百総トン未満の船につきましては単独当直というものが認められるという解釈を私どもとっておりますので、それでいきますと三直制であると三掛ける一ということで、七十条の関係からも七百総トン未満の船につきましては甲板部の当直体制が三人あれば少なくとも最低基準は満たすということでございますから、三・一人ということであっても六十九条、七十条の観点からは少なくとも違反というのは直ちには出てこないのではないか、違反ということにはならないのではないかというのが私どもの解釈でございます。
 それから、機関部の方につきましては、先ほど先生も御紹介がありましたように、二・三人というのが実態でございまして、これは先生は三人がやっぱり常識的な線ではなかろうかというふうにお話がございましたが、機関部につきましては、アラームが例えば装置されているという船につきましては、これは常時機関室に張りついているとかそういう必要はないわけでございますので、これは船舶職員法上定められている機関長と一等機関士が乗っておればいい、そういう船舶職員が二名乗っておればいいというのが最低の基準でございますので、そういう観点からしますと、この二・三名というのは違法状態が生ずるかというと、そうではないというふうに私ども考えておりますので、先生御指摘のような数字が望ましいということは事実でございますけれども、内航海運の経営問題とかいろいろな実態を総合的に勘案いたしますと、必ずしもこの船員法上の観点から照らしますと違法ではないということになりますので、そういう実態との兼ね合いからやむを得ない面もあるのではないかというふうに考えております。
#293
○吉田之久君 まず一つは、先ほどの私の申しました数字ですね。政府も回答の中でそういう届け出定員の数字をほぼ認めていらっしゃいますけれども、その根拠の中には未組織船もまじっていると思うんですね。そうすると、実際は未組織船というのは、まじっての平均がこうでありますから、かなりもっと乗っておる船員の数は少ないということは容易に予想できるわけでございます。
 それから、機関部の方は、おっしゃるとおり、アラームが鳴ればいいわけですから、言うならば陸上の監視断続勤務みたいなものでありますから、それはまたいろいろ実態に即して対応すればいいと思うんですが、甲板部ですね、いわゆる船を動かす人たちにとっては、若干の居眠りも許されないわけですね。
 そうすると、八時間で、二十四時間走ろうと思えば完全に三人掛けでしょう。それが数週間、数カ月港を出でずっと。そうしたら、この人たちは毎日勤務しておるわけでありまして、その間は一日の休暇もないということになりますね。これに休暇をとらせようとするならば、三直四交代勤務にしなきゃいけませんね。一人でいいところは三人プラス一ぐらいが要るはずですね。その辺がやっぱりあるべき姿だということじゃないんでしょうか。
#294
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 二つあるかと思いますが、一つは組織、未組織船の問題を先生が御提起されましたけれども、未組織船について常識的に考えられることは、組織船より定員が少ないのではないか、恐らくそのとおりであろうかと思います、私どもも綿密な調査をいたしておりませんので、その辺は十分把握してないのは申しわけないのでございますが。
 ただ、船の運航実態の中には必ずしも二十四時間運航しているというものばかりでございませんので、先生御承知のように、瀬戸内海を動き回っている船というのも随分あるわけでございます。例えば、博多と広島の間を運航している船とか、そういう昼間だけ動いている船とかいろんな形態があるわけでございますので、直ちにじゃ三・一人という甲板部の人数が、組織船、未組織船に分けていったら未組織船はこの三人を割っているから直ちに違反がというと、私どもその実態を個々に当たってみないと何とも言えないというのが正直なところであろうかというふうに考えておるわけでございます。
#295
○吉田之久君 おっしゃるとおり、船の場合は千差万別でありまして、なかなかにこれが適当な定員だと一般的、抽象的には決めにくいと思うんです。それだけに非常に厄介な問題だと思うんですね。
 だから、私はやっぱり幾つかの例をつくって、外航まで行く場合と内航の場合あるいは一日に何往復かで終わる船の場合、事実上夜は休む場合、休まない場合、そういう場合にはこのぐらいのトン数の船だったら甲板員は何名は要るよと、最低。最低さえ決めればいいと思うんですね。あるいは機関部は何名は最低絶対つくらなきゃならないというガイドラインといいますかひとつの指針らしきものを、これは運輸省だけでつくれというのも酷かもしれませんが、運輸省が主宰、指導して船主や労働組合やいろんなところと協議しながら、専門家、学者も集めてそういうひとつのモデルをつくって、そしてそれにできるだけ合わせてやりなさいということにしませんと、ただ就業規則をつくらせてそれを見るよというだけでは、どうも本質的に時間短縮が進まないんじゃないか。
 むしろ逆に、先ほど申しましたように、体裁上は形式上はうまく作文して、実際はそうでない非常に過酷な労働が続いていくというようなことになるおそれがあるんですが、そういうお気持ちはございませんか、指導的な立場で、積極的に。
#296
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 ガイドライン的なものというお話でございますが、これは船舶の種類とか船型の大きさとか走っている航路がどういう航路であるかとかあるいは二十四時間航行するのかあるいは昼間だけ航行するとか、そういった個々の状況に応じて千差万別と申しますか、そういった状況があろうかと思いますので、一律的になかなか船の定員というのは定めるということはかなり難しいのではないか。
 御承知のように、ILOの条約でも一九三六年の条約の方は七百総トン以上一律六人という規定が設けてあったわけでございますけれども、現在はその規定が廃止されておりまして、航海の安全を確保するために必要な定員と労働時間を守るために必要な定員を乗せなければならない、こういうふうな趣旨のことが書いてあるということでございまして、具体的な人数の定めとかそういったものは条約も定めていないわけでございます。それは非常に難しいからということで、個々具体的なケースに応じて一概に定められないからこそそういった問題が条約でもそうなっているのではないかというふうに私は思うわけでございます。
 ただ、そうはいっても、それじゃ定員のチェックのときにどうやって地方の運輸局等が窓口で審査するのかということもございますので、私どもといたしましては通達でもって一応の基準というような、審査の基準になるようなものを流してまいりたいというふうに考えております。
 それは、先ほどもほかの先生のときに触れさせていただきましたけれども、例えば七百総トン以上の船舶にあっては複数当直が原則でございますから、例えば二十四時間以上航行する船舶については甲板部の定員は六名以上、こういうようなことが一つの目安になろうかと思っております。
 それから、七百総トン未満の船にありましては単独当直も航海当直基準上可能でございますので、二十四時間以上航行する船については三直掛ける一ということで三人は最低限甲板部の職・部員が乗っていないといけない、こういうふうな一応基準を通達の中に盛り込みまして基準として流したいというふうに考えておる次第でございます。
#297
○寺崎昭久君 日本の内航海運業にとって目下船員の確保は緊急かつ重要な課題になっているというのは言うまでもありませんが、この問題に関してこれまで船主側が自主努力をしてきた実態あるいは魅力ある産業とか職場づくりあるいは高付加価値産業への脱皮への努力、そういったようなことをどのように行ってきたと運輸省は御認識されているのか聞かせていただきたいと思います。
#298
○政府委員(戸田邦司君) 先生の御質問の船主、船舶所有者が船員確保についてどういう努力をしてきたかということでありますが、これまでのところ船主の船員確保についての努力につきましては、船員不足に悩んでおります内航業界を中心に取り組みが進められてきておりまして、特に今年の春闘におきましては、やはりその労働条件、それから待遇という面が非常に重要視されておりまして、陸上を上回る賃上げ率、定昇込み六・六%を確保するなど、船員不足を真剣に受けとめ、船員の労働条件、労働環境の改善に取り組み始めているということを我々は認識しております。
   〔委員長退席、理事櫻井規順君着席〕
 また、内航総連などの事業者団体におきましても、若年者雇用奨励金、船員居住環境改善奨励金などの制度を設けるなど、諸対策が実施されております。
 運輸省としましても各地域ごとに内航船員確保対策協議会を設けておりまして、内航事業者と協力して内航船員新規就業者研修の実施や内航船員のイメージアップのためのテレビのスポット放送を行うなど、船員確保に向けまして支援を行っているところであります。
#299
○寺崎昭久君 船主側のそうした努力について疑うものではありませんけれども、これまで船員法本法の適用除外になるために、例えば六百九十九トン以下の船をつくるとかそういうようなことで一種の義務逃れに走った船主も皆無ではないと聞いているわけであります。
 そのことを考えてみますと、今回の労働時間の短縮についても反応はさまざまであったろうと思いますが、その辺について運輸省はどう把握されているのかあるいはその反応、要望等を今回の法案改正に当たってどのように取り入れられたのか伺いたいと思います。
#300
○政府委員(戸田邦司君) ただいま御指摘ありました点でありますが、昨今の船員不足の問題を考えますと、労働環境をよくするとかあるいは船を大きくして合理化するとかそういったことが非常に重要でありますので、例えば七百トン未満にしてというようなことは通用しない時代になってきていると私は認識しております。
   〔理事櫻井規順君退席、委員長着席〕
 海上労働につきましては、非常に特殊な労働環境であります。簡単に言いまして、いつも船が揺れているとかあるいはエンジンの音がうるさいとか振動があるとかそういった、陸上に比べまして労働条件、労働環境がよくないというようなことでありますので、やはり若い船員をこれから確保していくというようなことを考えますと、内航小型船の分野が中心になるかと思いますが、そういったことの改善のためにより一層積極的に取り組んでいかなければならないというような状況になってきていると認識しております。
#301
○寺崎昭久君 といいますと、この本法と小分則を一本化、一体化することについて船主側も理解を示していると受けとめているわけですね。
#302
○政府委員(戸田邦司君) 船主側も当然そういうような認識に立ってきていると考えております。
#303
○寺崎昭久君 労働時間の短縮については、労働基準法においては既に週四十時間労働に向けて具体的な作業に着手していると聞いているわけでありますが、船員法についても今のような御認識を前提にすれば、早急に週四十時間に向けた具体的な作業に取りかかるべきだと思うんですが、その辺の検討状況はどうなっているのか、あるいはいつから始めようとされているのか伺います。
#304
○政府委員(金子史生君) 船員の関係につきましての週平均四十時間制への移行につきましては、一九九〇年代のできるだけ早い時期に達成したいというふうに従来から大臣が国会でお答えになっておられるわけでございますが、私どもといたしましては陸上とのキャッチアップを、均衡をできるだけ保つように、一年でも早く四十時間制が達成できるように今後とも努力してまいりたいと思いますし、また新経済五カ年計画が閣議決定されるというようなことになりますと、私どもも政府の一員でございますのでそれに拘束されるということになると思いますので、そういうことも踏まえて今後努力していきたいと、こういうふうに考えております。
#305
○寺崎昭久君 私は、海上と陸上の労働態様の違いだとか歴史的な経過の違いがあるにしても、やはり海上だから陸上に比べておくれていいという理由は全くないわけですし、むしろ労働力不足確保をどうするかという、それが緊急的な課題になっていることを考えますと、労働基準法の実施におくれをとらないように御努力していただきたいと要望を申し上げておきます。
 ところで、労働時間を短縮しますと、普通の場合はこれがコストアップの要因になるわけであります。これは生産性が上がらないという前提においてコストアップになるわけでありますけれども、今回の法改正によって運賃だとか物価への影響があるのかないのか、この辺をどうごらんになっているのか伺います。
#306
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 労働時間の短縮は、本来コストアップを招くことがないように生産性の向上によりできる限り吸収していく、こういったことが原則であろうかと考えておりますが、海運業につきましては、製造業のように省力化を進めるといったような生産性の向上により労働時間の短縮を進めることについてはかなり困難な面もあろうかと思います。
 しかしながら、最近の状況を見てみますと、鋼材の関係の海運事業者を中心にコンテナ化が随分進められておりますし、また、ローロー船化あるいはユニットシステムの導入、こういったような作業の効率化によりまして荷役時間の短縮を初めとする労働時間の短縮を実施している例もございます。海運業におきましても、こういった工夫をすれば生産性の向上の余地もありますので、各事業者におきまして今後ともできる限りそういった努力をすべきものと思いますし、また、先ほど申し上げました荷主と海運事業者と組合、それから私どもも入りました懇談会におきまして、そういった面でどういうふうに省力化なりあるいは計測化とかそういったものを進めていく工夫があるのか具体的に検討してまいりたいと思っております。
 しかしながら、中小海運事業者は資金力が乏しいということもございますので、中小業者には十分な設備投資を行うということが困難であるという面もございますので、なかなかそういった省力化、機械化というのは容易ではないと考えられますけれども、運航をスケジュール化したりあるいは荷役作業を陸上移管していく、こういったような工夫の余地はあるのではないかというふうに考えられます。
 そういったような方策をとった上でもなおかつ限界があるというような場合に、労働時間の短縮を行うために船員数をふやすということが避けられず、経費の上昇を賄うために運賃のアップが必要になるという場合もあろうかと思います。荷主と船主が十分話し合うことによりまして、適正なコスト負担をどのように分担していくかということが話し合われるということが期待されると思います。
#307
○寺崎昭久君 運賃に占める労務費の割合というのはどれくらいと見てよろしいんでしょうか。今データがなければ、後で伺ってもよろしいんですが。
#308
○政府委員(大金瑞穂君) 運賃に占める労務費の比率は、これは大変ばらつきがございまして、御承知のように運賃の構成要素がたくさんあるものでございますから、どういう航路に就航するのか、どういう荷物を運ぶのかあるいは船型、船齢等によりまして非常にばらつきがございます。
 私どもが把握しております限りでは、海上運送法上、協定運賃を届け出をする義務づけがございまして、それを見ておる限りでは、例えばタンカーの協定運賃につきましては船員費コストが約四〇%でございますが、北海道関係の定期航路の運賃では一一%、そのようなばらつきがありますので、一概にはこの程度の数字というのを申し上げるわけにはまいらないかと存じます。
#309
○寺崎昭久君 私は、労働時間を含め船員の労働条件を改善することは現下の急務であろうと思いますし、それによって運賃を値上げしなければいけないということがあってもやむを得ないんだろうど思うんです。しかし一方では、だからといってそのままコストにはね返すというのは経営とは言えないわけでありまして、これも警戒しなければいけないと思うんです。
 先ほど金子部長からお話ございましたように、コストアップの要因というのはできる限り経営努力の中で吸収すべきものだと思いますし、その際、もちろんどういう経営努力をするのかが問題でありまして、コストが、労務費が上がったからそのまま運賃にはね返すというのも問題ですし、料金を抑えるために今度は賃金にしわ寄せするというのもまた問題だと思いますから、総合的な経営努力あるいは業務の改善というのを通じでできるだけコストとか物価にはね返らないような努力をしていくべきだと思うんです。
 その際、この法案とは直接かかわりがないかもしれませんけれども、この法案改正に当たってやっぱり経営基盤の強化だとかあるいはいいサービスをすればいい料金をもらえるんだという状況をつくっていくことこそ大事な視点ではなかろうかと思いますので、再度の質問になりますけれども、そうした経営の近代化やあるいは経営基盤の強化、高品質高料金と言っていいんでしょうか、そういった経営面の努力について今後どう御指導されるのか見解があれば承っておきたいと思います。
#310
○政府委員(大金瑞穂君) 私、先ほど来海運造船合理化審議会の答申の御説明を何回か申し上げておりまして、その際、荷主サイドにおいて輸送コストの適正な負担についての認識を高めていただきたいという点を再三申し上げたわけでございますが、実はこの答申では内航海運事業者に対する期待も述べられておるわけでございます。
 その内容は、ただいま先生から御指摘あった点と私は整合性がとれていることかと存じますけれども、例えば、モーダルシフトの推進といったような社会的な要請あるいは荷主のニーズに十分対応するような新しい事業分野を積極的に開拓していくべきであるというような点もこの答申に触れられておりまして、私どももこのような線に沿って事業者を指導してまいりたいと考えております。
#311
○寺崎昭久君 船員の定員問題について若干伺います。
 今回の船員法の改正によりまして甲板部員六名という従来の員数規定も廃止されることになるわけでありますけれども、先ほど来、労働時間と航海の安全を確保する、この二つの観点から定員問題を考えていくんだというお答えがあったように思います。具体的に言うと何人必要になるんでしょうか、最小限、最低限というのか。
#312
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 例えば、七百総トン以上の船舶にありましては甲板部、二十四時間以上航行する船舶については三直掛ける二ということで六名以上という具体的な基準で指導してまいりたいと思っております。
 また、七百総トン未満につきましては、二十四時間以上航行するような船にあっては三直掛ける一名ということ、単独当直が航海当直基準上認められておりますので、三掛ける一ということで三名以上と、こういうふうな具体的な数字でもってそれを通達に盛り込んで、窓口で審査が容易になるようにしていきたいというふうに考えております。
#313
○寺崎昭久君 運輸省告示の航海当直基準には、操舵位置で全局が見渡せる小型船を除いて、操舵する者と見張りする者とは別にしなければならないという規定になっているように聞いておりますが、七百トン未満は全部小型船であるとみなすのはちょっと乱暴なんじゃないか。
 経験者に聞きましたら、せいぜい操舵しながら全体が見えるというのは百トンぐらいまでの船ではないかという意見もあるわけですが、今三人以上というのと六人が最低だというのはちょっと矛盾しませんか、今の基準に照らした場合。
#314
○政府委員(金子史生君) 今、先生御指摘の操舵員と見張り員の区別と、こういう航海当直基準上の問題でございますが、実はこれはSTCW条約の基準に準拠しておるわけでございまして、船員法の第十四条の四の規定に基づきます航海当直基準、これにおきましては、先生ただいま御指摘のように、「見張りに関する原則」という項目におきまして、「見張りを行う者の任務と操舵員の任務とは区別されるもの」とされております。
 IMO、これは国際海事機関でございますが、IMOの訓練当直基準小委員会、我々STW小委員会と言っておりますが、ここにおきましてこの基準を定めた際に、オートパイロット、自動操舵装置、このオートパイロットが設備された船舶において自動操舵装置を使用しているときには船橋にいる者は操舵中の者としては取り扱わないという旨、議論、確認されているところでございます。
 そういった議論を踏まえまして我が国の航海当直基準も運用しているところでありまして、自動操舵装置を設備し使用している場合には見張り貝と操舵員を区別しなくても航海当直基準の違反ではないというふうに私ども考えております。
 また、自動操舵装置を使用している場合には舵輪を握る等操舵装置に付き添っている必要はなく、船橋内を異動し周囲の状況を見渡すことは可能であり、安全上問題はないというふうに考えております。
 なお、オートパイロットを設備していない船舶であって、操舵を握りながら百八十度見渡せる構造の小型船でない場合には操舵員と見張り貝が区別されなければならない、こういうふうに私ども解釈いたしております。
#315
○寺崎昭久君 そうしますと、定員を表示されるあるいは告示という格好をとられるんでしょうかされる場合には、今お話しのありました自動操舵装置を備えているかあるいは周囲が見渡せるかとかそういう細かい条件をつけて、それが自動操舵装置を例えばつけていない場合には六人は必要だという指導をされるんでしょうか。自動操舵装置をつけてない場合には六人は必要だということになるんでしょうか。
#316
○政府委員(金子史生君) お答え申し上げます。
 地方運輸局の窓口で審査する際にそういった事項につき、例えばオートパイロットが設備されている船であるとかどうかとか、そういう個別的な事項について事情を聴取する、聞く。それの実態に照らして、じゃ必要な定員は何人かということで指導していくということになります。
#317
○寺崎昭久君 安全にかかわる問題なので、その辺は厳格に御指導願いたいと思います。
 それから、今七百トン以上の場合には三掛ける二、二掛ける三というか六名ということでしたが、これは職員と甲板部員に分けますとどういう比率になるんでしょうか。
#318
○政府委員(金子史生君) 船舶職員法上七百総トン以上の船舶については、船長、それから一等航海士、これは少なくとも義務づけられておりますので、あとの残りの四人につきましては、これは甲板部員であるという組み合わせもあると思いますし、場合によっては二等航海士が一人で甲板部員が三人、こういうような組み合わせもあると思いますが、そういった最低限船舶職員法を満たしておればその六人の中の組み合わせは、船主側の都合とか船員構成上の問題とかどういう資格を持っている入が何人いるかとか、そういう会社会社によっていろいろな実情が違うと思いますので、その辺は実態に合った運用がされて差し支えないというふうに考えております。
#319
○寺崎昭久君 機関部員は六人の外数ですか内数ですか。普通、連続航海を考えますと八時間掛ける三人必要なんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#320
○政府委員(金子史生君) 機関の関係はただいま申し上げましたものとは別でございます。外数になります。
 機関の関係を御説明申し上げますと、警報装置、アラームがついているような船につきましては常時機関室に張りついているといったような必要はないわけでございますので、船舶職員法上定められております機関長と、それから一等機関士、これが最低限配備されていればよいというふうに私ども解釈しております。
#321
○寺崎昭久君 もう一度確認しますが、最低の人員というのはどういう格好で告示されるんでしょうか。
#322
○政府委員(金子史生君) 通達の形で地方運輸局等に流したいと思っております。
#323
○寺崎昭久君 時間がありませんので、最後に大臣に一点お伺いしたいと思います。
 この法律改正に際しまして労働時間の短縮というのがクローズアップされたわけでありますけれども、内航海運が抱えている問題というのは労働時間だとか労働条件の改善というだけにとどまらないであろうと思います。今日、言うまでもなく内航海運が日本の動脈であるということは間違いないわけでありますし、健全な発展を今後とも遂げていくためにやはりそのときどきの課題というのはあるんだろうと思いますが、当面内航海運についてはどういう課題が大きい問題なのか、運輸省としては何に力を要れていきたいのか御所見を承れればありがたいと思います。
#324
○国務大臣(奥田敬和君) 私は、内航海運が今日の日本経済に大きく貢献してきたという事実は紛れもないと思っております。それで、今後モーダルシフトの展開によってその重要さは増しこそすれ減ることはない。
 こういった流れの中で、私は船主側、そして荷主さんも含めて今日の内航海運の船員さん不足に対して大変な危機感を持ってこられたことは事実だと思うんです。しかも、今まで七百トン未満で比較的規制の緩かった船主さん方が進んで今回の法案に賛成をいただくという形は、まさに船員不足がもうぎりぎりの段階にきて、これ以上待遇改善なり施設改善をして乗り切らなければ将来に備えることができないという大きな関頭に立たれてのやっぱり業界サイドとしても賛成であったと私は思っております。これからこういった形で、時短も含め船の装備改善も含めまして、これらで対応しなければ今後の船員充足はできないという、そういった建前に立って意識改革がなされたものだと高く評価いたします。
 それで、幸いにして、少しではありますけれども若者の海員志望も、ここ二、三年の傾向でございますけれども、今までなかなか予定数が確保できなかった形が、大学、海員学校を含めまして志望数がふえてきた、私はこの明かりは消してはいけないだろうと。
 それで、先ほどから先生の御質疑を聞いて感じたことですけれども、私はようやく荷主、そして船主、そして海員組合の皆さん方の三者が何とかしてこの危機を打開して新しい時代、体制に備えようとした機運もとても大事なことですから、行政サイドとしてはこれを大事に見守って、いい方向に指導してまいりたいと思っております。
 先生が御指摘になったように、高品質高サービス、そして適正運賃という形の中でやっぱり国民から信頼される内航海運として大いに頑張っていただきたい、それのためには行政サイドとしてもせっかくできるだけお手伝いをしてまいらなきゃならぬ、そういうぐあいに考えております。
#325
○寺崎昭久君 終わります。
#326
○委員長(峯山昭範君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#327
○小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して、船員法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
 反対理由を述べる前に、本法改正の大きな柱の一つである七百トン未満の内航小型船も船員法の労働時間に関する規定の対象にすることは、内航海運船員労働者の長年の課題がようやく解決されることであり、我が党も再三にわたって強く要求してきたことであり、改善であります。今後は同法に基づき、いかに実効あらしめるかが問われることになります。
 こうした立場をまず明らかにして、次に反対理由を申し上げます。
 反対する最大の理由は、船員法第七十条を廃止することにより最低の法定定員数を削除したことであり、これは重大な問題であります。
 反対理由を具体的に述べます。
 第一は、船員法第七十条では法定定員六名の部員を最低乗船させることを決めています。この条項を削除することにより乗り組み定員を減らすことが自由になり、入減らし合理化に拍車がかかることになります。今こそ労働時間の短縮や休日増を進めなければなりません。にもかかわらず、時代の趨勢からも逆行するものと言わなければなりません。
 内航船員の年間の総労働時間数は三千時間を超え長時間過酷な労働を強いられているとき、労働条件を悪化させないための下支えとなっていた最低の定員数の削除であり、これにより一層の長時間労働に道を開き、労働条件の悪化につながることになりかねません。船員中央労働委員会でさえ船員法の改正の要望事項に、第七十条の規定の改正に伴い、「航海の安全を損なうような定員削減が行われないよう適正な指導を行うこと。」と述べ、定員削減の危惧を明らかにしています。
 反対理由の第二は、船員法七十条の廃止に伴い、その代替として、運輸省に届け出義務のある就業規則に新たに乗り組み定員を付加したことにより定員の把握が可能としている問題です。
 私が質疑で明らかにしたように、現在七百トン以上の船には甲板部員六人を含め最低十人以上乗っていますが、七十条の廃止により定員が十人未満でもよいことになってしまいます。ところが、就業規則の届け出の条件は常時十人以上の船員を使用する場合であり、今まで七百トン以上の船舶で届け出していた就業規則を届け出をしなくてもよいことになり、新たな問題と言わなければなりません。
 今まで提出していた就業規則を出さなくてもよいということは、船員労働者の労働時間、休日、給料など労働状況が把握できなくなることであり、労働条件改善のための環境整備が後退することになります。
 以上、簡潔に述べ、反対討論を終わります。
#328
○委員長(峯山昭範君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 船員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#329
○委員長(峯山昭範君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 櫻井君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。櫻井君。
#330
○櫻井規順君 私は、ただいま可決されました船員法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    船員法の一部を改正する法律案に対する
    附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の事項につい
 て万全の措置を講ずべきである。
 一、海上における労働力事情及び労働時間短縮
  の社会的要請を踏まえ、速やかに週平均四十
  時間労働制の実現を目指すこと。
 二、労働時間の短縮に向け、船員の年間総労働
  時間、休日及び有給休暇の付与・取得日数、
  配乗等の実態を十分把握し、公表に努めるこ
  と。
 三、漁船船員についても、今日的情勢を考慮
  し、その労働実態の把握に努めるとともに、
  労働条件の改善を図ること。
 四、船員法における労働時間短縮の実効を期す
  るため、基準労働期間の短縮に努めること。
 五、第六十四条の二の関係の「労使協定による
  時間外労働を認める場合」については、過重
  な時間外労働となることのないよう適切な指
  導を行うこと。
 六、新たな定員制度の実施に当たっては、労働
  時間の遵守及び航海の安全等を損なうような
  定員削減が行われないよう適切な指導を行う
  こと。
 七、定員制度の改正が船員制度近代化の推進に
  支障を生じせしめないよう、環境整備等に引
  き続き努力すること。
 八、就業規則の適切な整備を含め、船員法の履
  行を確保するため、船員労務官体制の充実を
  はじめとする船員労働行政の強化を図るこ
  と。
 九、内航船員の高齢化に伴う人員不足を解消す
  るため、抜本的な対策を講ずること及び若手
  船員養成機関としての海員学校の体制整備充
  実に努めること。
 十、内航海運における最近の深刻化する船員不
  足の現状を踏まえ、内航船員の労働条件及び
  労働環境の改善・向上を図るため、運賃・用
  船料の適正化に努めるよう指導すること。
 十一、内航海運業の一層の健全化を推進するた
  め、サービスの向上及び経営基盤の強化に努
  めるとともに、内航海運業法の許可基準をは
  じめとする関係法令の適切な運用及び遵守の
  徹底を図ること。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#331
○委員長(峯山昭範君) ただいま櫻井君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#332
○委員長(峯山昭範君) 全会一致と認めます。よって、櫻井君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、奥田運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。奥田運輸大臣。
#333
○国務大臣(奥田敬和君) ただいま船員法の一部を改正する法律案につきまして、御熱心な御審議の結果、御可決をいただき唐して、まことにありがとうございました。
 また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、運輸省として十分の努力をいたしてまいる所存であります。
 ありがとうございました。
#334
○委員長(峯山昭範君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#335
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#336
○委員長(峯山昭範君) 次に、国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。奥田運輸大臣。
#337
○国務大臣(奥田敬和君) ただいま議題となりました国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。
 現在の国際観光ホテル整備法に基づくホテル等の登録制度は昭和二十四年発足以来、外客接遇の充実を通じ国際観光の振興に大きな役割を果たしてま。いりました。
 しかしながら、この間の我が国を取り巻く国際環境は著しく変化してきており、これに伴い、我が国を訪れる外客もその数が増大するとともに、その中でアジア地域からの来訪の割合が急速に増加していること等から、宿泊ニーズにつきましても一定の快適性を満たされることを条件に相当程度多様化してきており、従来の登録ホテル及び登録旅館だけでは十分に対応し切れない状況となってきております。また、今後は宿泊施設のハード面のみならず、外客に対する快適なサービスの提供、適切な苦情処理等のソフト面についてさらに充実していくとともに、外客の宿泊に関する利便の増進を図る観点から適切な情報提供を行っていくことが強く求められております。
 このような状況の変化に的確に対応し、ホテル及び旅館に係る登録基準をハード、ソフト両面から見直すとともに、多種多様な外客の宿泊ニーズに的確に対応し得る宿泊施設、サービスの拡充等を図るため、この法律案を提案するものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、法律の目的を、ホテルその他の外客宿泊施設について登録制度を実施するとともに、これら施設の整備を図り、あわせて外客に対する登録ホテル等に関する情報の提供を促進する等の措置を講ずることにより、外客に対する接遇を充実し、もって国際観光の振興に寄与することとしております。
 第二に、ホテル及び旅館の登録基準を見直し、ホテルまたは旅館の施設及び宿泊に関するサービスに関する登録基準の詳細については運輸省令で定めることとし、また登録ホテル業または登録旅館業を営む者に対し一定の様式の標識の掲示を義務づけるとともに、外客に接する従業員の指導等外客の接遇に関する業務の管理に関する事務を行う外客接遇主任者の選任を義務づけることとしております。
 第三に、運輸大臣は、指定登録機関にホテル及び旅館の登録の実施に関する事務の全部または一部を行わせることができることとし、その指定の基準等所要の規定の整備を行うこととしております。
 第四に、運輸大臣は、指定登録機関が登録ホテルまたは登録旅館の施設、料金その他宿泊に関するサービスに関する情報を提供する等の事業を適正かつ確実に行うことができると認められるときは、情報提供事業実施機関として指定することができることとしております。
 第五に、運輸大臣は、登録ホテル業または登録旅館業を営む者を社員とする社団法人であって、その社員に対するこの法律の遵守に関する指導、外客に接する従業員の研修、外客からの苦情処理等の事業を適正かつ確実に行うことができると認められるものを指定することができることとしております。
 なお、この法律の施行期日は、周知に必要な期間等を考慮し、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。
 以上がこの法律案を提案する理由であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いを申し上げます。
#338
○委員長(峯山昭範君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する自後の審査は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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