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1992/06/18 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 運輸委員会 第9号
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1992/06/18 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 運輸委員会 第9号

#1
第123回国会 運輸委員会 第9号
平成四年六月十八日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     二木 秀夫君     関根 則之君
     堀  利和君     松本 英一君
     田渕 哲也君     寺崎 昭久君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     関根 則之君     二木 秀夫君
     松本 英一君     堀  利和君
 六月一日
    辞任         補欠選任
     岡野  裕君     伊江 朝雄君
     渕上 貞雄君     吉田 達男君
     片上 公人君     矢原 秀男君
 六月二日
    辞任         補欠選任
     堀  利和君     森  暢子君
 六月三日
    辞任         補欠選任
     森  暢子君     堀  利和君
     吉田 達男君     渕上 貞雄君
 六月十一日
    辞任         補欠選任
     矢原 秀男君     片上 公人君
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     佐藤 三吾君     森  暢子君
     渕上 貞雄君     吉田 達男君
     堀  利和君     赤桐  操君
     片上 公人君     矢原 秀男君
 六月十八日
    辞任         補欠選任
     赤桐  操君     堀  利和君
     森  暢子君     佐藤 三吾君
     吉田 達男君     渕上 貞雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         峯山 昭範君
    理 事
                上杉 光弘君
                松浦 孝治君
                櫻井 規順君
    委 員
                鹿熊 安正君
                片山虎之助君
                野沢 太三君
                二木 秀夫君
                稲村 稔夫君
                佐藤 三吾君
                渕上 貞雄君
                堀  利和君
                森  暢子君
                吉田 達男君
                矢原 秀男君
                小笠原貞子君
                吉田 之久君
                寺崎 昭久君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  奥田 敬和君
   政府委員
       文化庁次長    吉田  茂君
       農林水産省構造
       改善局長     海野 研一君
       農林水産省食品
       流通局長     武智 敏夫君
       通商産業大臣官
       房商務流通審議
       官        麻生  渡君
       中小企業庁次長  新関 勝郎君
       運輸大臣官房長  豊田  実君
       運輸省運輸政策
       局観光部長    大塚 秀夫君
       運輸省運輸政策
       局長       後出  豊君
       運輸省鉄道局長  井山 嗣夫君
       運輸省自動車交
       通局長      水田 嘉憲君
       運輸省航空局長  松尾 道彦君
       自治大臣官房総
       務審議官     滝   実君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        長谷川光司君
   説明員
       北海道開発庁企
       画室長      戸島 英之君
       文化庁文化部文
       化普及課長    根木  昭君
       文化庁文化財保
       護部伝統文化課
       長        渡邉  隆君
       厚生省社会局更
       生課長      松尾 武昌君
       建設省道路局有
       料道路課長    佐藤 信彦君
    ―――――――――――――
 本日の会議に付した案件
○地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観
 光及び特定地域商工業の振興に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○トラック運輸から過労運転、交通事故・災害を
 無くすことに関する請願(第一五七号外五件)
○東北地方における測候所の体制強化と気象庁予
 算の拡充に関する請願(第七一一号外一件)
○気象事業の整備・拡充に関する請願(第七一三
 号外四件)
○道路交通の安全と輸送円滑化に関する請願(第
 一〇六〇号外六件〉
○ハイヤー・タクシー、観光バス、自動車教習所
 労働者の労働条件改善に関する請願(第一〇六
 一号外八件)
○ハイヤー・タクシー、観光バス事業の規制緩和
 反対と諸施策の充実に関する請願(第一〇六二
 号外八件)
○東北本線(沼宮内〜八戸間)の存続に関する請
 願(第一四七八号外二二件)
○公共交通機関の鉄道・駅舎・バス等のアクセス
 に対するバリアフリーの完全実施に関する請願
 (第二二二六号外三二件)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(峯山昭範君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。委員の異動について御報告いたします。去る五月二十八日、田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として寺崎昭久君が選任されました。
 また、去る一日、岡野裕君が委員を辞任され、その補欠として伊江朝雄君が選任されました。また、昨十七日、堀利和君、片上公人君、佐藤三吾君及び渕上貞雄君が委員を辞任され、その補欠として赤桐操君、矢原秀男君、森暢子君及び吉田達男君が選任されました。
 また、本日、赤桐操君が委員を辞任され、その補欠として堀利和君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(峯山昭範君) 地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○吉田達男君 地域伝統芸能法、いわゆるお祭り法と言われておりますが、このお祭り法主言われる俗称を得るゆえん及びこのお祭り法を法として上程される理由、これについてその趣旨を御説明いただきたい。
#5
○政府委員(大塚秀夫君) 最近、我が国がゆとりと豊かさを実感できる生活大国への歩みを進めております中で、国民の価値観とかライフスタイルは大きく変化しておりまして、国民生活に占める観光の比重はこれまでになく大きくなってきております。また、地域の活性化、国際化を推進する観点からも観光の振興を図る必要性はさらにこれから高まっていくものと考えられます。一方、地域の商工業につきましても地域ににぎわいを創出するものでございまして、地域社会を活性化するためにも中核的な役割が期待されるものであることから、その振興を図る必要性はますます高まっております。
 地域の伝統的な芸能や風俗慣習、これらを総称すれば日本のお祭りということになると思いますが、これらは地域の固有の歴史や文化などを色濃く反映したものでございまして、これを活用したイベントを行うことは地域の特色を生かした観光あるいは地域商工業の振興を図る上で極めて効果的なものであると考えているわけでございます。このために、地域の伝統的な芸能や風俗慣習、風俗慣習はお祭りでないものもございますが、お祭りを中心としたこのような伝統的芸能等を活用したイベントなどに対しまして、その確実かつ効果的な実施を支援することにより観光あるいは地域商工業の振興を図ることを月内として本法案を立案したものでございます。
 なお、これらを法律にした理由でございますが、まず国際観光振興会との連携、通訳案内業の特例等、国としての総合的な施策として位置づけることが不可欠でございまして、これを実施するに当たりましては通訳案内業法の特例あるいは国際観光振興会との連携等を法律上規定する必要があるということ。また、地域商工業の振興という観点から中小企業信用保険法の特例など、既存法律の特例をこの法律で定める必要がある。また、このようなお祭りなどを支援するための支援実施機関、これの枠組みとその指定等を法律上明定することが望ましい。これらの理由に基づきまして、今回新しい法律としてこの法案を提案させていただいたわけでございます。
#6
○吉田達男君 実際に地域における風俗、お祭りもこの法律の対象となるという想定の中にある、またイベントというものの日本語版的な意味がいわゆる宗教的事業以外のお祭りという話意を連想させるような行事でもある、こういう感じで受け取ったのでございます。
 そこで、全国のイベント状況を見ても伝統行事、いわゆるお祭り等々も非常に多い。また、いわゆる歳時記として見ましてもお祭りが多い。これらがその法の対象となるならば、その淵源はひとつの宗教的なものがあってその地域に定着しながら今日に至った経緯から、宗教とかかわりを持っておるものも現実に多いのでございますね。憲法の二十条に信教の自由等々について「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」との趣旨がありますが、法律でもって規制したりあるいは助成したりあるいは支援をする、こういうことについて憲法二十条との関係をどのように位置づけておられますか。
#7
○政府委員(大塚秀夫君) 本来、祭りという言葉自体が祭るあるいは神へ奉るというところから出発しているというような意味からも、祭り等についてその淵源をさかのぼれば神事にかかわるものも多いと思われますし、実際、地域伝統芸能等の中には祭礼神事の際に地域住民の参加によって行われる行事で伝統的な風俗慣習となっているものがたくさんございますが、それらも本法の国等の支援措置の対象となり得ると考えております。
 すなわち、本法に基づく支援措置は、その目的が観光及び特定地域商工業の振興を図ることにあって、宗教的意義を持つものではございません。また、特定の宗教を援助、助長し、また他の宗教に圧迫干渉を与える効果を持つものでもなくしたがいまして、政教分離の原則を定めました先生御指摘の憲法二十条あるいは宗教団体に対する特別の財政援助等を禁じた憲法第八十九条に抵触するものではないからでございます。
 しかし、本法の運用に当たりましては政教分離の原則を侵すおそれが生じないように十分配慮することとしまして、このために地域伝統芸能等のうち、宗教行事と関係するものにつきましては原則として文化財の指定を受けたもの、またこれに準ずるものを活用行事の対象とすることとしたいと考えております。
#8
○吉田達男君 宗教行事そのものが目的ではなくて、それによって地域が活性化するために観光あるいはそれにかかわる商工業の振興を図っていく、こういう趣旨であるから、宗教あるいは宗教組織にかかわって発展、管理、支援、そういう目的ではない、こういう位置づけでおっしゃっておられました。
 しかし、現実に民俗、風俗として行事をなさっていられる事業主体を見ると、その中には宗教団体あるいは奉賛会、互助会あるいは寺社というようなものがそのお祭りの主催者の中に入っています。こういうものについてこの法律はどういう場合を想定していますか。ちょっと例を言うと、地方公共団体がやるとか実行委員会がやるとかあるいはそういうようなものがメンバーに入るとか入らぬとか、この辺についてもう少し具体的に見解を表明していただきたい。
#9
○政府委員(大塚秀夫君) ただいま申し上げましたように、運用に当たりましては政教分離の原則を侵すおそれが生じないように十分配慮したいと考えておりまして、具体的には、実施に当たりまして宗教団体が中心的な役割を果たすようなものはこれに当たらない、対象としないということを考えておりますし、まだそのイベントの内容としまして、神官、僧侶など宗教の内部にある者が中心的役割を果たしているような行事あるいは信仰が宗教上の行事にのっとって行われるような行事、また特定の宗派の信徒以外の者の参加が許されないような行事、こういったものは民衆の生活の中で受け継がれてきた地域伝統芸能等を活用しようという本法案の対象として必ずしも適切でないと考えておりますので、このようなものは対象としないように考えております。
#10
○吉田達男君 実際には主催をされるのが寺社である、お宮やお号とかこういうものははっきりしていますから、これはさっきの御答弁によってしない、こういうことだと思いますが、具体的に想定をされる、例えば実行委員会のメンバーの中にそのような組織が代表者、氏子総代とかああいうような形で入ってくる場合は限界的にどういうふうに理解しますか。
#11
○政府委員(大塚秀夫君) 今申し上げましたように、宗教団体、それに属する者が中心的な役割を果たすものは除きたいと考えておりますが、現在の日本の祭りというのは何らかの形では神事にかかわっているものもございますので、一般市民が参加してもそれを実施する主体の中に一員として名前を連ねるというところまでちょっと排除しますとほとんどの祭りが排除されるというような心配もございますので、そういうものについてまでこの対象としないというのはなかなか難しいと思います。
 ただ、ケース・バイ・ケースでそれぞれの伝統芸能等について慎重に判断していく必要があると考えております。
#12
○吉田達男君 さっき答弁の中にありました憲法八十九条の公の財産の支出、利用の制限でそのような宗教上の組織、団体、これに便益や維持のために財政支出してはならぬ、こういう趣旨になっておりますね。この点はやはり厳格に解釈を願いたいと思います。
 答弁は同じことになろうと思いますから、次の質問に移ります。
 祭りについて語源に触れておっしゃっておられましたが、この法を運用するに当たって、本来は祭りというものの意味合いを発生的にとらえて、その意義に沿ったものにしなければならぬと思うんです。支援をする、いろいろ手伝いをするということでどんちゃん騒ぎをして神様も踊らせる、こういうようなもったいないことを考えてはいかぬと思うのでありまして、祭りというものがどうしてできたかということでさっき語源でおっしゃっていましたけれども、本来日本的な柳田国男先生等々のああいう民俗学的なものなんかをあちこち見ますと、神の持っているエネルギーを民が求めて、いただきたいということで、それでもって豊作になったり災害が来たりするわけでありますね。だから、そういう神様がおりてきて、そのエネルギーを水をかけることによっていただく、あるいは獅子なら獅子がかんでそのエネルギーをいただくとかあるいはたたいたりさわ一つたりしていただく、時間を過ぎてもあそこの神様は暴れて町じゅうを騒いでいる、それはエネルギーをまき散らしているんだからありがたい神様だ、こういうことですね。そのエネルギーというものはやっぱり民にエネルギーを与えるという、盛り上がるものなんですね。それが祭りの本旨でありますね。
 お金でもって支援策をやる、法律でもってこれを規制する、こういうことでの祭り振興ということは事の本質からいうと反対の立場になる可能性が強い。本来ある伝統行事なり祭りの本旨を生かすということで法の運用をしなければ本末転倒になると思う。
 これは基本的なことなので、大塚局長が祭りの語源に触れておっしゃいましたが、見解を私なりに受け取りながら、この法の運用に当たって憲法の趣旨もさきに申し上げたとおりでありまして、もう一度その辺の見解を伺いたいと思うのであります。
#13
○政府委員(大塚秀夫君) 本法案の運用に当たりまして、地域の伝統芸能等についてその本質が変わっていく、あるいは観光のために俗化するということのないようにできるだけの配慮をすることは当然でございまして、この法律そのものの目的は、そのような地域伝統芸能等を核としてイベントそのものを盛り上げることによって観光の振興や地域商工業の振興に資そうということでございます。
 したがいまして、地域伝統芸能等の保存については、これは文化財保護法等の範疇でございますし、また、この法律によってもそういった保存に配慮する必要があるという観点から文部省も共管官庁として文部大臣が主務大臣の一人として入っていただいておりますので、その辺は文部省、その中の文化庁とも十分相談しながら本来の地域伝統芸能の保存、振興等にも十分目を向けながら、全体としての地域の活性化を図っていくつもりでございます。
#14
○吉田達男君 そこで、法律の第一条の、地域伝統芸能等を活用した行事の実施によって地域の活性化を図る、この趣旨からいえば伝統芸能でなくてもいいんじゃないか。伝統芸能の素材の中の、例えば民謡を中心に踊りがあるとかこういうことでも、民謡というと古いような印象だけれども、新民謡もあって結構伝統芸能的な事業としての定着はある地域もある。あえて伝統芸能と、こういうことだけれども、現代芸能というものではいかぬのか。あるいは現代芸能と伝統芸能とどこでどういうふうに区別した扱いにするのか。ここに定義がありますが、ちょっとそれでは不明確なので、具体的にいつからいつまで、いつから前だったら伝統芸能で、明治以降だったら現代芸能にするのか、その辺の尺度を示してもらいたい。
#15
○政府委員(大塚秀夫君) これからの地域の活性化、地域の振興を図る際に、それぞれの地域の特色を生かして地域に根差したソフトあるいはハードの資源を生かしていくということが一つ重要ではないか。特に、観光の振興等においてはそのような地域の特色、その地域の目玉というものを表に出して観光の振興をしていくということが必要だと考えられておりますので、この法律では地域に根差した伝統芸能等を取り上げたわけでございます。その際に、現代芸能というのは地域性が必ずしもありませんので、またそれぞれに一応採算等を考えて実施されておるという点もあってこの法律の対象とはしておりません。
 伝統芸能の伝統とは何か、どういう期間を指すかということは具体的には個別的に判断していかなければならないと考えておりますが、その地域に根差し、その地域の民衆の中で受け継がれていくということが前提となれば必ずしもそう長い期間でなくてもいいんじゃないか。新作芸能もやがて古典芸能化するという言葉がございますので、例えば戦前に出発したような民謡あるいは芸能でももう既にその地域に深く根差してこれからも受け継がれていくというものがあればこの対象にできるんではないか、あくまでもその地域地域でその芸能について個別に判断して。いき、弾力的に考えていく必要があると思っております。
#16
○吉田達男君 今の答弁を受けると、二条の一項の解釈は必ずしも何年という具体的な年次を区切っていうのではなくて、そのものが具体的に地域の中で定着をした文化、風俗を伝承しておる、こういう実態であれば対象とする、こういうことに理解していいですね。
 そうしますと、次に伝統芸能の保護、保存というようなことにつきましてお尋ねいたしますが、日本における風俗、無形文化財、このものの保護について文部省では制度を持って対応しておられますが、このイベントの、お祭りの対象になる類型、例えば民謡あるいは踊りあるいは神楽、こういうような類型にする、法律で文化財として位置づけられているものを対象にするという答弁がありましたが、類型別に全国で何件ぐらいということに相なりますか。調査はどのようになっていますか。
#17
○政府委員(大塚秀夫君) この法律の対象とします地域伝統芸能等が必ずしも文化財保護法にいう民俗文化財だけに限りませんので、ちょっと今の御質問に私の方から答えさせていただきたいと思います。
 「「地域伝統芸能等」とは、地域の民衆の生活の中で受け継がれ、当該地域の固有の歴史、文化等を色濃く反映した伝統的な芸能及び風俗慣習」というふうに法律上も定義しておりますので、その具体的類型としましては、地域の伝統的な芸能の場合には、神楽、これはみこの踊り等から出発して娯楽的要素が次第に入ってきたものでございますが、神楽。それから田楽、これも田植えの豊作祈願の踊りから出発して、それが市民の大衆娯楽となってきたものが多うございます。それから、太鼓踊りとか獅子踊り、いろいろ各地で踊りがございます、風流というような分類になりましょうか。それから、三河万歳等の話り物、また人形回しとか郷土歌舞伎、郷土狂言のような舞台芸、それから各地に伝わる民謡などの歌唱、それから太鼓、三味線などの楽器の演奏、こういう分類になろうかと思います。
 それから、伝統的な風俗慣習の方につきましては、七夕祭りあるいは大だこ揚げなどのその地域に伝統的に伝わりますような年中行事、それからホオズキ市とかだるま市のような市、こういうものが典型的なものかと考えております。
 ただ、その数につきましては、なかなかこれは各地に余り知られていないものも多うございまして、大変な数になると思われまして、正確には私ども把握しておりません。
#18
○吉田達男君 厳格に文部省の方で無形の民俗文化財として指定しているものと限定したわけではないと。類型についての説明がありましたが、それはわかりました。
 わかりましたが、文部省の方にお尋ねいたしたいのは、現在そういうものを文部省の方でも指定をされあるいは地方自治体の方でも指定されておるわけですね。このものを伝承し、後継者を育てながら日本民族の歴史の中でそれを受け継いでいく、こういう政策をやっていらっしゃるわけですね。ちょっとそこのところのポイントをお話しいただきたいと思います。
#19
○説明員(渡邉隆君) 先生の御指摘のように、この法案のいわゆる「地域伝統芸能等」の中身は、その大部分がいわゆる文化財保護法にいいます無形の民俗文化財に該当しようかと私ども考えております。
 無形の民俗文化財につきましては、私ども文化財保護法の規定によりまして重要無形民俗文化財という指定、これは現在百五十四件指定をいたしております。先生もお話しございましたが、この無形の民俗文化財につきまして地方公共団体も大変熱心に取り組んでいただいておりまして、都道府県が現在千三百五十件、それから市町村も四千百四十一件、私ども国と合わせまして、トータルで五千六百件余りの無形の民俗文化財を指定し、何らかの形で保存の対象にいたしているというわけでございます。
 私どもは、国の指定をいたしました無形の民俗文化財につきましては、先生のおっしゃるとおり、伝承者の養成、これが一番大事だというふうに考えておりまして、具体的には、住民が御参加をいただきます伝承教室を開催するとか、市町村等が行う事業でございますが、あるいは講習会の開催あるいは現地で公開をされる、民俗芸能大会を催される、そういったものにつきまして国庫補助を行ったり、あるいは自治体がいろいろパンフレットなどを作成されるとか住民へ周知される、そういう事業に対しても国庫補助事業を行っているわけでございます。
 そのほか、記録をとっておくということもまた大変大事なことでございます。残念ながら少しずつ変容を来す、これは無形の文化財全般に通じて言えることでございますが、それはある程度いたし方のないことでございますので、できるだけ原形に近いものを残していこうという努力を重ねると同時に、文書ですとか写真ですとか、最近ではビデオなども大変普及しておりますので、そういったもので記録を作成するというような事業に対して国庫補助を行っているということでございます。
 こういったいろんな施策を通じまして、無形民俗文化財の保存のために国、都道府県、市町村が力を合わせて現在少しずつ努力を重ねているというような状況でございます。
#20
○吉田達男君 この三条の二項の四号で「文化財である地域伝統芸能等の保存に関する事項、」云々とあって、これらは大臣が協議して方針を定めることになっていますね。そこでオリジナルな文化財として指定したものを保存するために文部省は仕事をされる。この法律の九条の方では、支援事業実施機関がこれはまた計画活用行事の情報を提供したりそれの紹介、普及あるいは援助、こういうようなことを法の目的として設定しておられます。
 さっきの大塚局長の話で、対象にされる文化財たる伝統芸能に違いがあることはわかりましたけれども、日本の文化史、民族史の中で保存すべきものと、それから活性化、活用していくものとの間に変化がお互い刺激し合って起こる。田楽にしたって神楽にしたって、出雲神楽もあれば伊勢神楽もあって、いろいろありますが、それぞれオリジナルなものがある。ところが、こういう九条のように、同様なことを、あそこではこういう綱引きやっています、ここではこういう綱引きやっていますと情報提供する。イベントとしてやる。イベントとしてやって指導するとイベントの成功のために、客寄せとして演出効果が高いようにいろいろ工夫がなされてくる。あそこでやっておる伝統芸能の技術をこちらの方のイベントのときに取り入れたりする。こういうことは必ず九条をやると起こってくる。
 そうすると、文部省の方で指定をしておる無形文化財の保存伝承ということと、この法の施行の中において、イベントの中で情報交流しながらやっていく中で起こり得る変化というものの想定をどういうふうに見て、本来あるべきものをどうし、この法律としての成功のためにどうする、ここのところをやはり厳格に協議し合って残すべきものを残す、この辺を区分けしなければならぬと思うんです。私の懸念するところはあり得ると思うんですが、大塚局長の方はどうなのか。あるいは文部省の方は、それはそれで間違いありません、もう右も左も東西南北ごっちゃになって、本来のものがわからなくなるというようなことはありませんということか。こういうようなことにどういう方策をはっきり立てられるのかお伺いいたします。
#21
○政府委員(大塚秀夫君) この第九条に支援実施機関の業務が書いてございますが、これは芸能そのもののやり方について、あちらではこんなうまいことをやっとるぞということではなしに、伝統芸能等を中核とした活用行事、これは、例えばそれを盛り上げるために屋台を出すとかあるいはこういう宣伝をするとかあるいは現代芸能と組み合わせるとか、そういうノウハウについてそれぞれ情報交換をするということを考えておりますので、今先生御指摘のように、芸能そのものが画一化される、あちらのまねをしてこちらも同じような芸能になる、そういうことは避けるように指導していきたいと思います。
#22
○説明員(渡邉隆君) この法律案は観光と地域商工業の振興を図るための法律でございます。文部省も主務大臣として参画をいたしておりますのは、まさに先生御指摘のとおり、文化財の保存という観点から参画をいたしているわけでございまして、この法律の中でもいろいろな場面で、例えば今先生の御指摘のあった三条の二項の四号で、「文化財である地域伝統芸能等の保存に関する事項」というのは基本方針に書くと。それから、都道府県の基本計画の中でも四条二項五号で、「活用行事において活用される地域伝統芸能等のうち文化財であるものの保存に関する事項」、これを。必ず書くというようなことで、所々方々で文化財であるものの保存ということに留意をしながら、この全体の構成を形づくっているわけでございます。
 確かに、いろんな情報があって無形の民俗文化財が変わっていくのではないかという御心配であり御指摘なわけですが、私どももそれはこの法律案をいろいろ練っている間でも大変心配をしていたものの一つでございまして、そのことにつきましては私どもはこういうふうに考えております。
 無形の文化財といいますのは、まず保存をするということは、例えば有形の文化財ですとどこかに、蔵の中にしまっておけばこれは一番いい保存になるわけですが、無形の文化財の場合は、それを実際に演ずるということでそれが保存につながっていくという、そういうやはり有形の文化財と違った側面もございます。そういう意味で、一度でも多い公開の機会、活用の機会が保存にもつながっていく、こういうふうにも考えているわけでございます。
 ただ、先生御指摘のとおり、実際多くの観客を前にいたしますと、今まで地域で素朴に行われてまいりましたこういった民俗芸能、伝統芸能というものが、ややもすると観客を意識したオーバーな演技になったりあるいは服装なども若干華美になったり、そんなこともやや私ども懸念はいたしております。
 そういう意味で、この基本方針を立てる際にもあるいは都道府県から協議をいただく際にも文部省として参画をさせていただきますし、それぞれ都道府県あるいは市町村の段階でも教育委員会が担当部局と御相談をしながら計画を練っていただくということで、その辺のところがないように。我々としては十分これからも計画をしていかなければなりませんし、また都道府県、市町村も指導をしていきたいというふうに考えております。
#23
○吉田達男君 実際には伝承する伝統芸能も変化が起こっておると思うんです。
 ちょっと私ごとで恐縮ですが、私も麒麟獅子というのを、その地域の者は年齢が来るとそういう行事に参加しますから、獅子を舞わすわけですね。今舞わしている人と私どもが舞わしていたときと比べると相当違っておる。一番違っているところはスピード感ですね。昔の人のチンチドンドンというスピード感と現在見る人のスピード感というのは全然合わないものですから、もうかぶりの振り方から大変クイックになったりしておるわけですね。
 それで、隣村と共演をするというような、実際にはお祭りもその屋台を担いだりする者がいないものですから、もう本当は八幡さんの日とかなんとか決まっているんだけれども、日曜日に祭りをするというようなことに地方ではもうほとんど全国的になったりしまして、人間の勝手で神様の行事の日にちを変えたりすると罰が当たるぞと言っておるんですが、実際にはそうしながら変わってきております。そういうことで一番変わったのは、麒麟獅子というのは本来吉兆、いいことを天からお告げに来るということで、すぐれて但馬、因幡の地区が多いんですが、たまたま砂丘があったものですから、そこでやっているのをキリンビールが見つけまして、これがビールの宣伝になると、この厳かな天のお告げの舞い方がテレビに出てくるところは大変に色っぽい演出になっているわけです。
 そういうようなことで、やっぱり時代が動いてくると影響を受けてくる。どういうふうにしてそれを保存するかについては意を用いていらっしゃると思いますが、全国的に似たようなことがあり。得るということになれば、徹底的に今その記録保存をまずしておくべきだと。記録保存をしても、やっぱり時代の中の行事として行っていれば、伝統芸能としてのイベントをやる場合もそうですが、やらない場合もやっぱり動いていく。それについては文部省の方であるいは直接地方公共団体等も制度をつくって指導されて、現在あるものを今の時点でもう徹底して記録保存すると。それはいろんなメカニズムもあるわけですから、これを集中的にやらなければ今もうそういうことが維持できない状態が全国各地に起こっております。
 こういう点について、積極的な制度を開いて進めてみようというお考えに文部省の方は立つのか成り行きに任せるのか、こういうことでありますが、その辺は責任者の考え方もあろうかと思いまして、重ねて質問をいたします。
#24
○説明員(渡邉隆君) 無形の民俗文化財の場合、先生の御指摘のとおり、やはり地域の住民が地域に根差して行っている伝統的な芸能でございますからどうしてもそのときどき、今の先生のお話ですと、最近の若者はアップテンポな曲に大変共感を覚えているということがありまして、少しずつ速いテンポになるとかあるいは所作が少しずつ変わってくる、昔は大きくやっていたものが少しそれをサボるとかいろんなことはあるようでございます。
 私どもそういったことで、先ほども少し申し上げましたが、記録をとるということもまた大事である。もう一方、しかし繰り返しになりますが、公開をしていくということは、少しは変わっていっても公開をしていくということが保存につながるので、それはそれで大いにやっていただく。
 一方、昔の形というものの記録をとるということも非常に大事であるということでございまして、私どもは、いわゆる無形の民俗文化財の「記録の作成」というのが文化財保護法に規定がございまして、文化庁長官は、そういった無形の民族文化財が今の形のままでややもすると残らない可能性があるというようなものについて現在四百二十件余り記録作成の措置を講ずべき無形の民俗文化財として、これは指定ということではありませんが選びまして、それで都道府県あるいは市町村を通じて記録をとっていくという最中でございまして、この措置については今後とも引き続き継続して努力をしてまいりたいと思っております。
#25
○吉田達男君 時間が少なくなりましたが、もう一つは伝承者、後継者の育成について、その地域における文化の伝承者としての誇りがその人の時間的な努めについても克服させておったんですけれども、慌ただしい経済環境の中ではそのもので食べていけない方がほとんどでありますから、そういうことになると後継者難で苦労している伝統芸能のところもあるわけです。また、そういうものを請負のようにして社中をつくって何とか太鼓社中というようなことで、紹介を受けていけば、本来はここで育った太鼓であってもよそに太鼓打ちに行ったりする社中もできておりますね。それは経済生活の中でそういうふうにやっているのでありましょうが、無形文化財の保存という意味では、後継者の育成という面でどう歯車をかみ合わせていくか。本来のものを伝承させるのが本旨であっても、時代に生きていかなければ意味がないわけですから、それはそれに対応しながらやるとしましても、いずれにしてもそういう後継者はどうなのか。
 記録保存あるいは伝承者の人材確保、こういうようなことはこの法律でいう「指針」の中でどういうふうに具体的指示があって都道府県知事が立てる基本計画の中に生かされるのか。あるいは基本計画として都道府県知事がそのような伝承者、記録保存とか後継者育成とかいうのを計画の中に入れればそれは支援対象になるのか、直接そのイベントというものとかかわったものでなければ一般的には対象にならないのか、その辺の扱いについてお尋ねをいたします。
#26
○政府委員(大塚秀夫君) この法律に基づきます支援実施機関が設立されました場合には、今先生御指摘のような伝統芸能等の伝承者の人材確保についてもお手伝いできることがあったらバックアップしていくということを考えておりますが、その辺具体的にどうするか。請負で安易にだれかが派遣されるというようなことですと、これまた伝統芸能の保存にマイナスになりますので、十分文化庁とも御相談しながら必要な措置を考えていきたいと思っております。
#27
○吉田達男君 文部省。
#28
○説明員(渡邉隆君) この法律案の中におきます人材養成あるいは後継者の確保の問題は、今運輸省の方からお話のあったとおりであるというふうに理解をしております。
 私どもとしては、やはり地域の無形の民俗文化財につきましては伝承者を養成することが一番大事であるというふうに考えておりまして、繰り返しになりますが、現在予算も少ない予算でございますが、七千五百万ほど伝承者養成事業のために国庫補助事業として地方公共団体に対する補助として行っております。
 その中では、中心は住民が参加される伝承教室あるいは講習会の開催あるいは保存会が方々にございますが、その現地公開をおやりになるとかあるいは伝承者の養成を講師を招いて行うとかそういった事業、さらには民俗芸能大会というものもいろいろ開催しておられますので、そういったことを通じまして伝承者の養成に努力をいたしておりますが、今後ともさらに努力を続けていきたいというふうに考えております。
#29
○吉田達男君 お考えはわかりますが、予算がない、不十分だということになれば我々もその都度元気出さぬといかぬと思いますけれども、せっかく伝統芸能ということについて文化財を保護、保存するということで指針の中に協議をして入るということならば、応用されてしかるべしだと思うんです。
 次に進みますが、こういうようなことを実際には五省が協議されるということになっています。法律の仕組みの中で、基本方針というものを省が出され、それを受けて都道府県の知事が基本計画を立てて出すんですが、普通でしたら基本計画の認定を国に求めるとか認可を求めるとか、こういうことになっているけれども、「協議」ということになっています。また市町村に対してもいろいろ協議する、変更しても協議する、こういうふうに四条五項等々にも明記してあるんですね。一般的に法の流れからいうと、進達にしてもいわば地方から上がっていくとかあるいは国の方から通達がおりてくるとかいうような流れだけれども、この法律についてはほとんどが協議という言葉を使っている。この協議というのは、どこかに責任があって起案して原案として出したものに対していい悪いをつけるのは普通であれば認定とかいう用語になるんだけれども、協議となっていますね。
 この辺、法の処理の仕方としてのいわば扱い方は、具体的には主体性がどこにあるか、事を運んで興していくのはどこになるのか、そこがちょっと不鮮明な印象も受けるので、これをきちっと的確に運用するためにはどうなのかということを流れとしてはっきり説明願いたい。
#30
○政府委員(大塚秀夫君) まず、この法律に基づきまして、第三条で国が基本方針をつくるということになっております。この基本方針によりまして、どういう観光及び商工業の振興を行うべきかというような基本的な事項、それからイベントの実施に関する事項、それからそれに関連しました施設の確保とか活用製品の開発等の特定事業等の実施に関する事項などの骨格といいますか、そういうものを定めて明らかにする。地方の都道府県はその基本方針を見まして、自分の都道府県の管轄内にこれから観光の振興あるいは地域商工業の振興を図っていく上において核とすべき地域伝統芸能等があればそれについての基本計画をつくる。ただ、地域的な伝統芸能あるいは風俗慣習につきましては市町村単位のようなものも多うございますので、市町村と協議して、その中から都道府県の中でのそういったものをピックアップして全体の基本計画をつくる。その基本計画について国の支援が必要だと判断しましたら、国すなわち主務大臣と協議するわけでございます。
 これを協議といたしましたのは、あくまでもこのような地域伝統芸能等の性格から地方の主体性を重んじょうということで、認可とか認定という、より強い行為を排除して協議という形にいたしました。協議を受けることによってその内容が明らかになりますので、協議を受けました主務大臣におきましてはその内容によって支援をしていく、国の支援、それから支援事業実施機関による支援、それに結びつけていく、こういうふうに考えているわけでございます。
#31
○吉田達男君 それでは、具体的にお尋ねいたしますが、自治省もこのお祭り法でイベントに対して支援をすると。どういう支援をするか、こういうことについてお尋ねいたします。
 本法には、自治体の起債に「特別の配慮をする」、こういうことがあります。この「特別の配慮」という意味は、起債についてどういう扱いをするということか。つまり、条件で言えばどういうレートでどういう枠で特別な配慮があるのか、あるいは起債をしたものの償還財源について例えば交付税でカウントして裏打ちをするのかしないのか、そういうようなところの中身が「特別の配慮」という表現になっているのか、この辺の準備はどうなっているのか。
 もう一つは、県が計画を策定してそれぞれ協議するという今の答弁でありますが、実際にイベントをこなすのはそこの市町村になると思うのでありますね。その市町村に対してはどのようにサポートをするのか。この点について自治省の方からお答えをいただきたい。
#32
○政府委員(滝実君) ただいま二点のお尋ねがございました。
 一つは、「特別の配慮」に関連いたしまして、どのような起債の枠を設定するのかあるいはレートはどうなのかと、こういうような点、もう一つは、償還財源について交付税上の措置があるのかどうかと、こういうような御質問が第一点かと存じます。
 これにつきましては、私ども、先生のおっしゃるとおり、「特別の配慮」というのは、具体的にこれからの地方団体のいろんな計画を見て配慮していかなきゃならぬこともあるだろうと思いますけれども、現在考えておりますのは、これにつきましては地域総合整備事業債という起債、地方債計画上の枠がございます。私どもは基本的にはこの地域総合整備事業債という特別な枠を、平成四年度で申しますと九千八百億円ばかり持っておりますので、実際の地方団体の計画を見ながらこういった起債の枠を優先的に充当していく、こういう方針を持っております。
 この起債の枠はどういうメリットがあるかと申しますと、先生の御指摘のように、実は償還財源につきまして交付税で、その団体の財政力によって多少の変動があるのでございますけれども、償還財源を交付税で面倒を見ていく、こういうようなものでございますから、これを優先的に充当することによってかなり地方団体としては財政的には有利になると、こういうふうに私どもは考えております。
 それから、市町村でございますけれども、この事業は基本的には市町村が実際にハードの施設をする場合が多いかと思うのでございますけれども、都道府県がやる場合も全く同じでございまして、都道府県がいろんな、例えば伝統芸能の実演の施設をつくるというときに都道府県がやる場合もございますし市町村がやる場合もございます。いずれにいたしましても、今のような地域総合整備事業債を優先的に充てていくということは都道府県、市町村問わず考えておりますので、特に都道府県とか市町村によって差をつけるということは考えておりませんので、いずれの団体がやる場合でもそういうような配慮をしていくつもりでございます。
#33
○吉田達男君 じゃ、通産省にお尋ねいたしますが、このお祭りのイベントというのはいわゆるそのときの一過性の事業であります。この一過性の事業に対して通産省の方ではそれぞれまた支援するという方策を立てておられますが、一過性のものに対してどのような形でそれに支援をすれば、それに携わる者、関係する者に有利に法律の趣旨の地域活性化が及んでいくか、この点について、通産省の方の支援の中身について御説明いただきたいと思います。
#34
○政府委員(麻生渡君) 近年、やはりゆとりと豊かさということが求められておりまして、御承知のとおり、非常に消費者のニーズというのが多様化をいたしております。これに対応いたしまして、やはり非常に個性のある地域の商工業振興ということが必要であると考えているわけでございます。
 その場合に、地域コミュニティーの核でございます地域伝統芸能をうまく活用した行事を行いまして、それによりましてその地域の小売業のにぎわいを活発にしていく、あるいは地域伝統芸能を活用した製品の開発をやっていくということによりまして、その地域の商工業の振興がうまくできるというふうに考えているわけでございます。
 具体的な支援の内容でございますが、これは通産省関係直接のものといたしましては、中小企業の信用保険の特例を設けております。具体的には、伝統芸能を実施します施設の整備、これをその地域の中小企業の皆さんが行うという場合があるわけでございますが、そのような整備に必要なお金あるいは伝統芸能に用いられます器具、衣服の開発あるいはこの特色を活用した製品の開発、こういうものの資金の円滑化、調達の円滑化を図っていこうということでございます。
 そのほか、地域の商工業の活性化基金というものがございますが、この活性化基金も新たにこのような商店街のにぎわいのための事業に一対象広げていくというような形で側面的な支援も行ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#35
○吉田達男君 若干疑念に思うのは、特定地域商工業区域という、そこで活動することを支援するという仕掛けになっておりますが、例えばお祭りの祭具などを修理するとかつくるというのはほとんど関西では京都でやるわけですね。それは特定地域商工業の地域以外になるわけです。こういう場合はどういうことになるのかという、せっかく制度をつくっても恩典が及ばない地域になるんじゃないかという疑念があるが、それはどうか。
 時間がなくなりましたから、主管大臣であります奥田運輸大臣にお尋ねいたします。
 この法律は、日本の民俗伝統芸能を、日本国民及び外国人に対して観光としての魅力を増進させるという目的を持ちながら、また日本民族そのものを理解させる、そのことをもってまた日本の一つの文化の主張を受け入れてもらいたい、こういうことが第一条の「目的」の中ににじんでおります。
 私どもも最近のいろんなマスメディア、テレビ等々であちこちのイベントを見ますときに、例は出せないんですけれども、いわば立派な歴史の中で民俗的にはあがめられた一つの発祥を持ってやっておるものであっても、今日において見ると何か奇習のような風習に映るものもなきにしもあらず。外国人の目で見て、日本であちこちで行われておる伝統芸能、民俗、風俗の主張が日本民族として立派な伝統を受け継ぎ文化継承を主張している、こういうふうに理解を十分してもらわなければ法律が生きないと思う。その上に立って、またこれに参加する国民や外国人も増加して前向きの展望が開かれてくると思うのであります。
 その点については、この法律の特定、指定、運用等に当たりまして格調の高い指針をつくっていただきたいし、また、そのような法の計らいを願いたいと思いますが、運輸大臣の法を提案された責任者としての御決意といいますか御見解をお伺いいたしたいと思います。
#36
○国務大臣(奥田敬和君) 今度の国会でいろいろな法案審議をお願いし、大変な御理解をいただいたわけでありますが、この法案に関しては本当に私は大きな夢を持っております。
 大体、経済の一極集中、そして人の集中、先生も御指摘になったように、文化の面においても東京あるいは京都を中心としたそういった形で、外人観光客自体を例にとってもこれが日本だという形でいわゆる集中していることは事実です。ですけれども、本来あるべき日本人の心、日本人の長い風土、生活慣習の中から生まれてきた文化遺産というものは全国各地に誇るべきものがたくさんある。そして、そのことを理解して知っていただくことによって本当の日本の心と申しますか、そういった形を理解してほしい。外客はどんどん増大の一途をたどっておりますけれども、こういった形での何とかひとつポイントをつくりたい、ポイントを多極化していきたい。
 また、事実、各地のすばらしいものがたくさんある形に我々がちょっと手を加えることによって、ソフトを誘導してあげることによってあるいは地域の活性化のために担当省庁がちょっと理解と支援を示すことによって、これは地域のイベントとしてのいい成績を上げることばかりではなくて、むしろそういった隠れた文化遺産を世の中に出すこともできるし、またそれによって地域の中小産業のプラスにもなるし、また地域商工会の潤いにも、にぎわい創出を含めてのそういう方向にもなるし、またある一面において伝統的な形で多少脚色やテンポをどうのこうのというそういったこともあるでしょうけれども、地方に長い間伝わってきている文化遺産の骨格を大事にしながらも、それをさらに日本じゅうの皆さんあるいは外国の皆さんの観光ポイントにしていただくこともできるであろう。
 従来の縦割りの行政じゃなくて、五省庁がそれぞれの特徴を持ち合って、それが地域のまた発展にもつながっていくということであれば、私はこの法案は本当にある意味においては夢のある、また育てていかなきゃならない大事な法案であるし、またこれを契機にどうかひとつ伝統的なものを尊重すると同時に、地域のにぎわいもつくり出しながら地方の人に自信を持っていただく、そういったことについて期待をしているところであります。
#37
○吉田達男君 さっきの二条の四項の解釈。
#38
○政府委員(麻生渡君) 確かに、この法律では振興の対象が小売業の場合には特定市町村でございます。また、製造業の場合には特定地域という、この中に限られておるということでございます。京都のような場合には、伝統芸能製品につきまして非常に高い水準の技術を持っておって、そこでいろんな修理をするというようなことがございます。そのようなところまでこの個別の対象事業という形で広げられないというのはそのとおりでございます。
 そのような点につきましては、活性化センターがございますが、これによりましていろんな形で情報提供するというような形でこの点の広域的な運用ということに留意をしてまいりたいと考えている次第でございます。
#39
○吉田達男君 終わります。
#40
○森暢子君 森でございます。私は文化と教育の面から、きょうはこの法案につきまして御質問したいと思います。
 先般行われました総理府の「国民生活に関する世論調査」という中には、やはり物の豊かさよりも心の豊かさを求めているという結果が出ております。つまり、物質的にはある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりある生活をすることに重きを置きたい、こういう国民の要望がまとまっているわけであります。また、西洋文化一辺倒でありました若者の間でも歌舞伎など日本の伝統文化が再評価されつつあります。そうした流れの中で、心豊かな生活を支える文化をいかに振興していくかということが今後一層大きな課題になるというふうに思っております。
 今回、地域文化の核である地域伝統芸能等に光を当てて地域の活性化とか文化の振興に寄与することが期待されるこの法案が出されたということにつきまして、まずは率直に評価したい、このように思っております。
 そこで、伝統的な地域文化を継承し、さらに振興していく視点から幾つか御質問したいんですけれども、さっきなさいました吉田委員とある程度重複する面があるかとも思いますが、その点はお許しいただきたいと思います。
 まず、文化と行政のかかわりでありますが、私は、文化の問題を考えるときには文化の振興に国や地方自治体がどのような役割を果たすべきかということが大変大きなポイントであろうかと思います。
 例えば、先般各党の一致した賛成で通りました芸術文化振興基金、こういうものが創設されたわけでありますが、これにつきましてある新聞の中で浅利慶太さんがちょっと批判をしていらっしゃるわけでありますね。つまり、基金が求めている。助成を受ける要望書の中には十五のセクションがありまして、公演の趣旨とか目的とか意義とか効果とか十五のセクションに答えていきます。それが通らないと芸術文化振興基金が受けられない、こういう状況にあるわけですね。そうしますと、助成を受けたい人はお上の御意向に沿わないと基金が受けられないということで、浅利慶太さんは大変厳しく、基金は芸術家を家畜化するもの、こういうふうに批判していらっしゃるわけであります。
 そういうふうなことで、今回の法案の提出に当たって文部省はこうした点をどのように整理したのかということでお聞きしたい、このように思います。
#41
○説明員(根木昭君) お答え申し上げます。
 芸術あるいは文化の創造ということにつきましては、申すまでもございませんけれども、その担い手である方々のみずからの主体性と創意によって自由な立場でそういった芸術なり文化なりの創造は進められていくべきものであるというふうに基本的に考えておるところでございます。
 したがいまして、文化行政とのかかわりはどういうことになるかということでございますが、そのような観点から申し上げますと、文化行政の役割と申しますものはそういった自由な自発的な活動を側面から刺激をしあるいは伸長させるということに帰着するのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
 そういったことで、同時にまた国民の方々すべてが文化を享受できる、そういった諸条件を整備しあるいは環境を醸成する、そういったことを基本にしながら文化の振興が図られるような各般の措置を講じていく、こういうことが文化行政の最も基本にあるべき事柄であろうというふうに考える次第でございます。
 私ども文化庁といたしましてもかねてからこういった立場に立ちまして、伝統文化の継承あるいは豊かな新しい文化の創造、発展、そういった事柄のためのいろんな施策を講じておるということでございます。
#42
○森暢子君 私も文化の振興における行政の役割というのは、やはり文化が伸び伸びと育っていくような環境整備、条件整備というのが一番ではないかというふうに思っております。
 次に、法案の内容と文部省の役割を確認しておきたいと思います。
 この法案の主務大臣として五大臣の名が挙げられておりますが、文部省の果たす役割は地域振興等を目指す他の官庁とはおのずから異なってくるものと思います。今のお答えの中にもあったかと思いますけれども、どういう観点からこの法案策定に関与なさったか、それをお聞きしたいと思います。
#43
○説明員(渡邉隆君) この法律案は、観光と特定地域商工業の振興を直接の目的とする法律案でございます。
 私ども文部省が参画をいたしましたところは、先ほどの御質問にございましたけれども、文化財であります地域伝統芸能の保存ということがこの法律を執行していく上において大変大事になってくるというような観点から、政府部内にお書まして意思統一を図るというような意味もございまして文部大臣が参画をしたわけでございます。
 具体的には、国が基本方針を策定いたしますが、その際に他の主務大臣とともに策定をする作業の中で文化財である地域伝統芸能等の保存に関する事項を定める、それから都道府県が市町村と協議して基本計画を策定されて国の方に協議をされますが、その際に活用される地域伝統芸能のうち文化財であるものの保存に関する事項について適切なものになるように指導をしていく、あるいは活用行事等支援事業実施機関というものを設けられますが、その際にも他の主務大臣と同様に適切な対応をしていく、このような観点から主務大臣に入ったということでございます。
#44
○森暢子君 そういう伝統芸能文化を保存していく立場から入られたということでございますね。しかし、今吉田委員からもいろいろと御質問がありましたけれども、じゃ、その持っている今までのすばらしい伝統芸能文化が本当にきちっと保存されていくかどうかということは、今も議論がありましたが、何か変質していくおそれがあるのではないかということを私も感じます。大変派手でショー的なものがどんどん進んでいって、伝統芸能で岡山にも備中神楽というのが入っておるんですけれども、ろうそくの光で暗い中で舞っていくものが赤や青のライトを浴びて、そしてきらきら光る衣装をつけてやるというふうに変質しかねないということもあるわけですね。
 私、余り週末は東京にいないんですけれども、先日国会の情勢の中で六月十二日の金曜日におりましたら、東京の三大祭りであります山王祭りの行列が通っているということで表通りに出てみました。新宿通りをずっと行列が通っていったんです。大変きらびやかで華やかで、そして美しいみこしが次から次から出てきまして、江戸情緒を思わせる衣装をつけた人たちがずっと通っていったわけです。すばらしいと思って眺めておりましたのですけれども、今吉田委員がおっしゃいましたように、やはり大変スピード感があるんですね。つまり、おみこしは全部車に乗っているわけです。それで、こまがついておりましてどんどん通り過ぎていって、神主さんは車に乗ってすっと行ってしまうと。こういうことで、はっと思う間に行列が通り過ぎていってしまうわけであります。ですから、例えば踊りながら下に下に生言いながもゆっくりと行くという風景でないので、ああ、お祭りも変わったなということを実感したわけなんですね。
 これは一例でありますけれども、やはり観光とか商工業の振興の方に力が入りますと、そういう本当に従来の伝統文化が損なわれるのではないかということを大変文部省も心配していると思うんですけれども、そういうことで、文部省はそれに対してどのような歯どめ策を講じていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
#45
○説明員(渡邉隆君) 先生御指摘のとおり、この法律ができましてその実施をされるに当たりましては地域伝統芸能を活用したイベント、行事が行われるわけでございますが、その実施の形とかあるいは方法、そういったものによりましては確かに今日まで伝承されてまいりました民俗文化財のあり方とか価値とか、そういうものに影響が出てくるということは十分考えられるわけでございます。
 例えば、今先生のおっしゃったような祭りのやり方とかあるいはその芸能の上演の順序を少し観客にわかりやすいようなものに変えていく、態様、身ぶり、手ぶりも少しずつ変えると。ただ、最近の若者はやはりスピード感というものがどうしてもありますので、その辺のところの変わりようというのは、これは無形の民俗文化財はこの法律案にかかわりなくどうしてもある程度は許容すべきところもあろうかとは思っております。
 しかし、この法律案の中に文部大臣が参画して文化財の保存ということについて十分気配りをする、目配りをするという立場にございますので、国があらかじめ定めます基本方針の中でその保存のあり方というものを示しますが、その中で十分こういった点にも配慮をしたような形で示してまいりたいと思っておりますし、都道府県が基本計画を定められることになっております。その際、都道府県の中でも教育委員会等と十分御協議いただくし、関係の市町村に協議をされることが法律上明記されておりますので、そこでも市町村の文化財保護を担当する教育委員会の方とも十分御協議をいただいて、文化財保存という観点から必要な措置を講ずるということに私ども努力をしてまいりたいと思っております。
 ただ一方、やはりその無形の文化財の保存ということは、一回でも多く上演の機会を持つということもまた大事なことでございますので、そういった観点からも私どもとしてこの法律案の実施に当たってはその推進に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#46
○森暢子君 私も同意見でございますが、やはり伝統文化というのが危険な方向に、商業化の方向に、もちろん地方、地域の活性化というのは大事でございます。しかし、その商業化の中で日本古来のすばらしい伝統芸能文化が変わっていかないように、その歯どめというのは大変重大だと思うんですね。そういうために文部省がこの法案に絡んでいらっしゃるということはよくわかります。
 それで、地方の自主性を重んじるという観点からこういう歯どめ役、今おっしゃいましたけれども、教育委員会の役割というのは大変大きいと思うんです。そういう意味で私は期待を寄せております。教育委員会というのは大変地味な仕事でございまして、いろんな文化財が出たらそれを発掘し、そしてそれを保存するというふうな目立たない仕事が多いのでございますけれども、そういう中で、やはり今おっしゃいました都道府県がつくる基本計画の中にぜひこの教育委員会をきちっと入れていただきたい。
 と申しますのは、教育委員会の役割、権限というのが法文上明確になっていないんですね、この法案の中に。それで、やはりその地域の伝統文化を守って継承し、そして発展させていく役割というのは教育委員会が持っているんですから、この基本計画を協議する中に必ず入れてもらいたいというふうに思います。
 それから、その協議の際には地元住民の意見、特に地元の保存会への配慮、その地元住民の意見をしっかり聞いて進めていっていただきたい、上のように思いますが、いかがでしょうか。
#47
○説明員(渡邉隆君) 都道府県が活用行事の実施に係ります基本計画をお立てになるに当たりましては、「活用行事において活用される地域伝統芸能等のうち文化財であるものの保存に関する事項」についても定めるということが法律上も明記されているわけでございます。
 この場合、都道府県内部の手続といたしまして、当然文化財保護行政を担当いたしております都道府県の教育委員会が参画をして文化財の保存の観点から基本計画の作成に当たるというふうに理解をいたしております。また、都道府県が基本計画を作成するに当たりましては関係の市町村に協議をすることに法律上なっておりますが、この場合におきましても、市町村内部の手続といたしまして市町村の文化財保護行政を担当いたしております教育委員会が協議に参画するというふうに理解をいたしております。
 また、地元の保存団体、保存会の扱いでございますが、この活用行事の対象になります地域伝統芸能等の保存に当たる団体というものの意見を十分聞いた上でこの事業が取り進められるべきということはある意味で当然のことであるというふうに私ども考えておりまして、文化庁といたしましても教育委員会を指導するに当たりまして保存団体等の意見を十分聞いて、その意見を反映するように積極的に指導してまいりたいというふうに思っております。
#48
○森暢子君 文化庁からはそういう御決意をお聞きしたんですが、主務大臣で唯一御出席の運輸大臣、文化庁や教育委員会、そういう人たちの意見をしっかりこの基本計画策定の際に入れて話を聞いていくということについてどのようにお考えでしょうか。入れていっていただきたいんです、希望として。
#49
○国務大臣(奥田敬和君) 当然、府県からのこういった、この法案通過と同時にいろいろな形で申し込みが殺到すると言ったら大げさに。なりますけれども、大変大きく要望されてくると思います。その過程の中で各県段階においても地方教育委員会の意向等は十分尊重された中でこのイベント化が図られるものであろうと思っております。
#50
○森暢子君 それでは、今後の文化行政について少し話を移していきたいと思います。
 物の豊かさよりも心の豊かさを求める時代に日本も入っております。そういう中で文化の国際貢献、これが今後大いに必要になるというふうに思います。
 例えば、明治期にたくさんの日本の文化が外国に流出しているわけです。もう御存じだと思いますけれども、たくさんの日本の文化財が多くの国で保存されているわけであります。ところが、外国において保存とか修復の方法、これが広く知られているとは限らないでいろいろと問題が起こっているということで、そういうものがある程度日本へ修復のために帰っているというふうなことも新聞にたくさん出ておりました。こういうことに協力するのも日本の国際貢献として必要なことだと思います。
 そこで、これまで文部省は海外流出文化財、これの保存・修復にどのように努力なさってきたか、それから今後どのような施策を持っていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
#51
○説明員(渡邉隆君) 明治期を中心といたしまして我が国の重要な美術品を中心にして海外に、私どもからいえば流出をしてしまったということが残念ながらございます。しかし、現在それが欧米諸国の美術館で非常に大切に保存されているということもまた一方あるわけでございます。
 その日本の古美術品はやはり日本の文化財なものですから、欧米など外国とは温度とか湿度とかも違います。そういう意味で、経年による劣化あるいは保存・修復に当たりまして大変御苦労されておられるということが事実問題としてございますし、また日本の文化財、特に絵ですとかそういう細かい美術品につきましては非常に特殊な技術もその修復のためには必要だというようなことで、その保存状況の悪化を非常に私どもも心配しておりますし、諸外国からもお話が多いわけでございます。
 それで、こうした日本の古美術品、これは日本の伝統文化を諸外国に御理解いただく上でも大変大事なものでもございますし、我が国にとってもまた非常に貴重なものであるということでございますので、何とか文化庁としても今先生のおっしゃった文化の国際貢献という立場からできないかなということで、昨年度でございますが、諸外国の博物館などが所蔵しておられます日本の古美術品の保存・修復に関して日本といいますか文化庁としてどういう協力ができるだろうかということで委員会を設けまして、その手始めの事業といたしまして、この間も新聞に出ていたのであるいは先生もごらんをいただいたのかなと思いますが、アメリカのフリーア美術館というところが所蔵しておられます大変貴重な絵画でございますが、につきまして文化庁の所属機関でございます東京国立文化財研究所を中心にいたしまして、東京芸術大学あるいは財団法人芸術文化振興財団、この三つの団体で協力をいたしまして実際の修復作業に当たっているところでございます。その第一弾といたしまして昨年行いまして、六件の日本の絵画を修復いたしまして無事先日アメリカ側に引き渡したというようなことがございます。
 なかなか予算的にもこれから充実をしていかなければならない分野でございますが、これからも海外におきます古美術品の修理に当たりましては、いろんな面で海外の修理技術者との交流というような面も含めて一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#52
○森暢子君 現在の日本の経済力とか技術力を今後大いに活用して世界の文化財の保護に日本が一層貢献するということはすばらしいことだというふうに思います。
 先日の読売新聞を見ておりますと、東京芸術大学の学長であります平山郁夫さん、それから上智大学のアジア文化研究所長の石澤良昭さんなどがアンコール遺跡群の救済について座談会を持っていらっしゃるわけであります。カンボジアの復興の中の一つに、世界的な文化遺産でありますアンコール遺跡群、アンコール・トムとかアンコール・ワット、これの救済が緊急な課題であるというふうなことで、日本がやらなければならない問題は何かということで話し合っておられました。
 その中で、遺跡の修復とか保存活動を積極的に進める必要がある、修復協力で貢献を、こういうことを平山郁夫先生がおっしゃっているわけであります。しかし、その技術の養成とか開発とかそういうことで吉田委員の方からありましたが、本当に後継者の育成は大変だと思うわけでありまして、私が提案したいのは、そういう技術の開発とか養成を大規模に行うための国際センターというふうなものを日本に設立してはどうか、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#53
○説明員(渡邉隆君) 読売新聞に今先生の御紹介にありましたのは私も拝見をいたしました。アンコール遺跡群につきましては大変すぐれた、特にアジアの仏教遺跡として我が国としても深いかかわりを持っておりますし、そこの中に出ておりました上智大学の石澤所長が十数年前からいろいろな形で調査作業に従事しておられまして、文化庁といたしましてもその中に加わりながらいろいろこれまでも調査を進めてまいったわけでございます。
 ただ、現地の情勢がこれまではああいう状況でございましたが、幸い最近少しずつ平和が回復してきているということで、アンコール遺跡群に国としてどういうふうに取り組んでいくかということも文化庁としては現在積極的に考えているところでございます。
 今、先生がおっしゃいます、我が国の持っております文化財の科学的な保存・修復技術というのは、これは大変ありがたいことに多くの分野で諸外国から高く評価をされております。こうした面において積極的に国際貢献を果たしていく努力というのが必要だろうというふうに考えております。
 これまでも諸外国の文化財の保存・修復事業に対しましては、先ほどの日本古美術品の問題も含めまして、あるいはアジアの太平洋地域の歴史的な建造物の保存・修復事業につきましても専門家を派遣するなどによりまして技術協力を行ってまいりました。また、中国の敦煌の遺跡でありますとか南アジアのインドのサヘート遺跡などの保存・修復事業、あるいはことしからでございますが、ロシアのバジリク文化古墳群の発掘調査事業などにつきまして、私どもの持っているあらゆる知識を動員して科学技術をもって共同研究、向こうからもおいでいただく、こちらからもお伺いするというような形でやっているわけでございます。
 そのほかいろいろな国際交流事業をやっているわけでございますが、先生今御提案のございました国際センターという、大変現在の財政事情は厳しいわけでございますが、現在文化庁におきましても、先ほど申し上げました東京国立文化財研究所の中にアジア文化財保存修復協力センター、これはまだ仮称でございますが、そういったものを設置して共同研究、研究協力あるいは研究者の養成を組織的にあるいは効率的に行うための組織としてつくっていこうということで、現在その設置のための調査研究費というのを予算計上いたしております。その推進に今の先生の御提案も含めて、これからさらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#54
○森暢子君 今後積極的に検討していただいて、ぜひ日本の文化の面での国際貢献で一緒に頑張っていきたいというふうに思います。
 国際的なことももちろん必要でございますが、国内の体制も万全でないといけないと思います。
 一例を挙げますと、日本を代表する伝統芸能の一つであります文楽、その文楽の人形の首の部分のばねにセミクジラのひげを使っているわけですね。ところが、商業捕鯨禁止のあおりを受けて入手困難になって、代用するもので何かいろいろとピアノ線とかプラスチック線などを試みてきたということで、朝日新聞四月の十八日に出ておりましたが、どうも思うようにいかなかった。ところが、元漁師がセミクジラのひげを持っていたということで寄附してようやく危機を脱したというふうな報道が出ておるわけですね。ですから、伝統文化をこれから後世に伝えるということは非常に大切ですけれども、現実に日本国内でも各地の後継者の育成とか修復・保存技術者の養成というふうなもの、それから材料の確保、それからセミクジラのひげがなくなったらどうするか、そういう材料の開発とか、それから文化施設、設備などをどうしていくかという、文化行政にとってこれから残された課題が多いと思うわけであります。
 そういうことで、地方の文化の環境も必要でありますし、今後の文化振興に対する文部省の御決意をお伺いして、質問を終わりたいというふうに思います。
#55
○説明員(根木昭君) 先生おっしゃいました点でございますけれども、今日各地域におきましては、もとより特色のある文化を生かした町づくりということが各地で推進をされているところでございます。それはもとより地域の振興と活性化ということが当然その背景にあるわけでございますが、いずれにいたしましても、地域においての積極的な文化を生かした町づくりということが現在あちこちで強力に進められておるところでございます。
 私ども文化庁といたしましても、地域文化の振興の観点からいろんな施策を講じておるところでございまして、詳細は省略をいたすところでございますけれども、例えば国民文化祭であるとかあるいは新文化拠点の推進事業であるとか、さらには地域文化振興の特別推進事業といった各地域の文化活動を推進し、あるいは地域の文化団体の育成を図るといったような観点からそういう事業を極力推進いたしておりますと同時に、各施設につきましてもハード、ソフト両面からのもろもろの施策を行っておるところでございます。
 ハードにつきましては文化施設の設立のための助成、それからさらには、最近よく言われることでございますけれども、施設はできたけれどもなかなか中身がそれに伴わないというふうなこともよく言われておりますので、そういったことに関しまして文化施設のマネジメントの担当者の養成ということに主眼を置きまして、文化施設の職員に対する研修の事業であるとかといったたぐいのものも毎年実施をいたしておるところでございます。それからまた、芸術文化振興基金におきましても地域の文化振興といった観点から、例えば地域の文化施設公演あるいは展示活動に対して助成を行うと同時に、またアマチュア等の文化団体の活動に対しても助成を行っておるという状況でございます。
 私ども文化庁におきましても、今後とも地域におけるいろんな文化活動の創造あるいは活性化のために各般の施策を推進してまいりたい、このように考えておるところでございます。
#56
○森暢子君 終わります。
#57
○稲村稔夫君 私は、本日審議をされます地域伝統芸能等のいわゆるお祭り法案の審議に当たりまして、まず最初に、これは五つの省の大臣が主務大臣になっているという形でありますので、当然のこととしてそれぞれの大臣の御出席をお願いしておりました。しかし、本日はまさに会期末というような状況で、各委員会一斉に開催をされておりますので大臣の御出席がなかなか難しい、これはそれなりに理解をいたします。
 ただ、特に各省に要望しておきたいと思いますのは、それぞれの省、つまり所管省が、例えば連合審査の場合だったならば政府委員が出るのは当たり前だけれどもというようなお口ぶりであるとか、言ってみれば運輸委員会は所管の委員会ではないからという感覚をお持ちになっていた省が幾つかございます。これは、法案を主務大臣として提出しておられるからには、当然、大臣がどうしても御都合が悪ければ政府委員が御出席になってしかるべきところというふうに思いますので、私はそのように御要望申し上げ、それぞれお差し繰りをいただきました。これは国会と行政府との関係ということでは大事な問題でありますから、今後のこともございますので、各省ともそういうことはきちっと今後踏まえて対応していただきたいということをまず御要望申し上げておきたいと思います。
 そこで、本来でございますと順を追って御質問申し上げるんですけれども、文部省はきょう午後から文教委員会が開会を予定されていて、そこで同じように文化問題で文化庁の方は御出席にならなければならないというお話でありましたので、午前中無理をいただきましたので文部省からお伺いをさせていただいて、その後また関連するいろいろなことで、ほかの省庁の場合は午後ということにさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、文部省では既に無形文化財あるいは無形民俗文化財等という規定を持ちながら、それぞれの存続、保護、育成というんでしょうか、そういうことに文部行政として力を入れてきておられるわけであります。そうした中で、今回こうした地域伝統芸能とのかかわりで本法律案の主務官庁になられたということなんでありますけれども、私はその辺ちょっと理解がまだ浅いわけで教えていただきたいのは、この「地域伝統芸能等」といった場合にいわゆる地域無形文化財、文化財保護法のかかわりの中でありましょうか、無形民俗文化財との関係というのをどういうふうに見たらいいのか。芸能と文化、いろいろ規定が難しいのかもしれませんけれども、一体芸能といった場合と文化といった場合との違いというのはあるんだろうか。
 そして、文部行政としての固有の行政の一つとして行われている無形民俗文化財に対する諸施策というもの、むしろ私はまだまだ不足しているものがいっぱいあると思うんですけれども、それを強化していただくという、そういう点でいろいろ不足をしているものがあれば、それを強化していただくというようなことをいろいろと考えていただくことの方が本来文化行政としては大事なんではないだろうかなどと素人なりに考えまして、こういう「地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する」、随分長い表題の法律でありますけれども、この法律の主務大臣に文部大臣がならなければならなかったその理由というのがどうも私はまだはっきりわかりませんので、その辺のところから御説明をいただきたいと思います。
#58
○政府委員(吉田茂君) 文部省では文化財保護法上の無形の民俗文化財という形でいろいろな施策を講じておるわけでございまして、これは御指摘のとおりでございます。
 これと「地域伝統芸能等」との関係がまずあるわけでございますが、概念的に申しまして「地域伝統芸能等」の大部分は、この文化財保護法で申しますような無形民俗文化財というものに該当するのではないかと、こう考えております。それ以外にもしはみ出す分があるとすれば、比較的成立の時期が新しい民俗的な芸能あるいは、これはさらに観念的になりますけれども、無形の民俗文化財に該当しないような民俗芸能あるいは風俗慣習、こういうものもあるのではないか、こういうことでございます。
 この無形の民俗文化財に関しましては、文部省ではそのうち重要な部分につきましては重要無形民俗文化財というような形で国が指定し、さらに都道府県、市町村も指定しておる、同時に若干違う種類のもので記録作成等の措置を講じて記録に残しておる、同時に無形民俗文化財のいろいろな伝承あるいは周知、こういった事業に対する補助等を行っておるわけでございます。
 この法案との関連になりますと、まず第一に、文部省といたしましてはこの地域伝統芸能等というものが、今申し上げましたように、多くの場合に無形の民俗文化財に該当するということになりますと、文化財として地域の人々に受け継がれてきたその価値と申しますかそういう型と申しますか、そういうものが失われないように、やはり文化財の観点からの配慮が必要ではないかというのが第一点。
 それから同時に、これは結果論になりますけれども、こういった地域伝統芸能等の活用ということが、結果的にはその地域伝統芸能がそこで公開され皆さんに見ていただくということになるわけでございまして、これは文化財保護あるいは活用の上からも意味のあることであるというような観点から主務大臣という形になっておるわけでございます。
 御指摘のように、無形の民俗文化財のいろいろな形での保護、活用の施策はさらに同時に充実を図ってまいりたい、かように考えております。
#59
○稲村稔夫君 これは後ほど、それこそ取りまとめの省になります運輸省に伺うということになるわけでありますけれども、文部省との関連でいけば、どうも私は今の御答弁を聞いて、無形民俗文化財ということでそれの保存であるとか記録であるとかいろいろな形で対策を立てておられ、それを強化していかれようと。ここの分野を強力に進めるということ、これが文部省の文化行政の中で一つの大事なポイントになるということで、言ってみればイベントを中心にしたようにも私は受け取れるんですが、こうした観光を中心にしたような行事というのになぜその主務大臣にならなければならないんだろうか。
 言ってみれば、そういうときは各省庁ともみんな協力し合うという体制をそれぞれつくられるというのは、それは当然なことなんですが、政策的にそれぞれの省庁が何というんですか独自の政策を推進しながら、それを統一してやっていくような、そういう大きな取り組みのときがやっぱり私はこういう共管のような形になっていくんじゃないだろうかというふうに思うので、すると、何かその共管というよりも、どこかを中心にしながらいろいろな省庁が御協力をいただくという体制の方がむしろすっきりするんじゃないだろうか。かえって複雑にしてしまうんじゃないだろうかというようにも思うものですから、文部省が積極的にこの主務大臣ということになられたことについて、どうも私の方はまだすっきりこないんですけれどもね。
 だって、今進めておられる無形民俗文化対策というもの、これを強化していかれるんでしょう。そのことをどんどんまさに固有の政策として推進していかれるということであれば、そのことを中心に考えていったら、ちょっと変な言い方で恐縮なんですけれども、何も主務省にならなくてもいいんではないだろうかと思うんですが、もう一度お聞かせいただきたい。
#60
○政府委員(吉田茂君) 確かに、御疑問の点でございますが、無形の民俗文化財について講じております施策につきましては概略今申し上げたとおりでございまして、国の指定あるいは地方公共団体の指定、国の指定に基づくいろいろなものに対する補助事業という形を現在とっておるわけでございます。
 一方、本法案に関しまして文化庁では、この法案に基づく基本方針の作成あるいは基本計画の国への協議、こういった段階があるわけでございます。その場合に、文化財保護の観点から地域伝統芸能等を活用した行事の演目であるとかあるいは芸態、芸能等の内容あるいは使用する衣装、用具、こういったもの、あるいはさらには実演施設等が適切であるかどうか、そういった点につきまして文化財保護の観点から対処をしてまいりたいというところが基本でございます。
 若干長くなって恐縮でございますが、例えばこういった地域伝統芸能等が観客を意識しまして、伝わっております基本的な所作と申しますか動きと申しますか、こういったものから離れて、例えば非常にオーバーな演技になったりするとか、あるいは本来非常に広い広場でやっていたものを非常に狭い舞台でやった場合にどうかとか、あるいはとかくこれは話題になるのでございますが、衣装や用具、こういったものが非常に華美になったり大型化するというようなケースが考えられるわけでございまして、こういった点につきましては、文部省といたしまして必要な留意をしていきながらこの法案の目的達成、同時に無形の民俗文化財の保護の充実を図ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#61
○稲村稔夫君 わかりましたが、しかし今言われたように、例えば所作とかあるいは衣装とか舞台の規模とかいろいろなことでそれぞれ問題があれば、何もこの法律であれされるんじゃなくたって、ほかの行事や何かで利用しようというようなときについては皆さんの立場に立ってやはり積極的な御意見も出されるし、そしてそのための対策をやっぱり要望されるわけでしょう。無形民俗文化財を保護していこうという立場に立たれれば、当然そういうことは地方自治体を通じてなりあるいは仲立ちでもってこれは対策を立てられるということになると思うんですね。
 ですから、私は何もこうした法案で、これは実は内容的に検討していくとかなり特定をされた範囲のものになっていくんではないだろうかという感覚がありますので、そういうものだけの範囲の中で特別に文部省が主務省庁の一つにならなくてもよかったんではないだろうかという感じがしてならないんです、やっぱり。むしろ、積極的に各省協議なりは何も法律がなくたって協議の体制というのはいろいろとつくられますし、私は、複雑化することの方をむしろいろいろと今後問題にしていかなきゃならないんじゃないかというふうに思いますので、行政が複雑化すること、それだけに法的に何かかえって複雑な体系をつくるような感じがしてならないんですよ。
 その辺のところ、私は文部省が文化行政としてこれに積極的に参画しなければどうしてもならないという何か明確な論拠がおありになるんだろうと思って、そのことをお聞きしておきたいんです。
#62
○政府委員(吉田茂君) 具体的、実質的な意味と申しますか、私どもの意図いたしましたところはただいま申し上げたような無形の民俗文化財と地域伝統芸能との非常な重なりと申しますか、そういったものがある以上、やはりここに新しい制度と申しますか、この法案によってシステムができるということでございますので、そういった制度的なもの、システムの中に入りましてそういった文化財保護の観点からのアプローチを行う、配慮を行うということが必要ではないかというふうに感じたわけでございます。
 実は、都道府県あるいは市町村がさらに地域に密接してくるわけでございますが、ここでいろいろな計画を立てたり配慮を行う場合には、やはり都道府県の教育委員会あるいは市町村の教育委員会、第一線でこういった文化財の保護に携わっている部局がこういった制度あるいはシステムの中に入りまして十分に意見を申し上げ、お互いに協力しながら実施に向かっていくということがどうしても必要ではないかというふうに私ども考えておるわけでございまして、そのあたりをあわせまして主務大臣とさせていただいておるということでございます。
#63
○稲村稔夫君 きょうはちょうど十二時で午前中を終わらなきゃなりませんので、時間がなくなりました。
 私は、いろんな行政を進めていくときに最末端ではいろいろな省庁にわたって重なり合うものというのはほかにもいっぱいあると思うんです。ほかの行政の中にもいっぱいあるんですよ。それはやはり一つの省庁が責任を持って進める、それに皆さんがいろいろと協力をし合う、こういう体制をみんなとっているんですから、私はこの場合にもそれでいいのではないだろうかというふうにまだ思えてならないので、今の御返事では、どうも文化庁としてはこれをやるから、だからこれがどうしても必要なんだという、そこのところがわかりません。
 しかし、それを議論をしているもう時間もなくなりましたので要望として申し上げますけれども、文化行政として主務省庁になられたからにはそれなりの積極的なお取り組みを特にお願いをしなければならない、協議の中でも積極的な役割を果たしていただかなければならない、そう思いますので、具体的なことは申しませんけれども総括的な御要望を申し上げまして、文部省に対する私の基本的な質問ということはこの程度にさせていただきたいと思います。
 あとは午後また担当者に残っていただいて、いろいろと議論を進めていきたいというふうに思います。次長、ありがとうございました。
 次に、運輸省に午前中の分として一つだけ聞いておきます。
 先日、六月二日に関東鉄道の常総線取手駅で起きた事故というのがございます。この事故の状況と原因についてどう把握しているかを簡単に御説明いただきたいと思います。
#64
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 六月二日の今御指摘の事故でございますが、一名の方がお亡くなりになりましたのと、二百名を超えるけがをなさった方が発生いたしましたこと、まことに申しわけないと存じております。
 事故の概要を御報告申し上げますと、同日の八時十分ごろに関東鉄道の常総線の取手駅の構内に入ってまいりました四両編成の列車が、本来とまるところに停止位置が決まっておりますが、そこを行き過ぎまして、一両目が車どめという装置がございますが、これをさらに乗り越えまして駅ビルの壁に激突をいたしまして大破いたしました。
 この事故によりまして一名の方が亡くなられて、今のところの調べでは二百四十三名の方がけがをなされたわけでございます。特に重傷の方は六名と聞いております。
#65
○稲村稔夫君 新聞に出ていることはいいです。
#66
○政府委員(井山嗣夫君) はい、わかりました。
 それでは、私どもの方の対応策と原因について申し上げます。
 対応策としては関東運輸局が直接担当でございますので、直ちに事故対策本部をつくりまして、と同時に職員を派遣しております。同時に関東鉄道に対しましても事故の発生した原因の究明、それから再発防止対策等につきまして至急やりなさいということと被害者の方々に対して誠意を持って対応する、この大きな二点を指示しております。
 さらに、六月の八、九でございますが、本格的に八名の職員を派遣いたしまして特別の保安監査というものを実施しております。これは事故原因調査よりもう少し広うございまして、その事故の起こった背景というようなものを含めて社内の管理体制はどうであったかとか、それから異常があったときの連絡体制がいいかどうか、さらに運転関係の従事員の教育訓練がきちんと行われているか、こういうことにつきまして相当調べをいたしました。
 その結果、やはり相当注意すべき点があるということで四点を指示いたしました。
 一つは、事故原因を究明しろ、これは確かでございます。
 それから、再発防止対策としてもう少し有効な方法がないかどうか至急社内で検討しなさいということでございます。
 それから、乗務員がこういう故障等があった異常時にきちんと対応できるかどうか。これは後ほど申します事故原因ともちょっと関連いたしますので、特に厳しく言っております。
 それから、車両の保守管理体制をきちんとつくり上げなさい、こういう指示でございます。
 事故原因でございますが、今実は運転士さんも車両も警察の方で押さえておられますので私ども十分な調査はできておりませんが、現時点までに私どもがつかみました調査結果によりますと、運転士さんが、その一つ前の駅でブレーキが緩まなくなった、そのときにある措置をしておりますが、その措置とその後の、何といいますか対応といいましょうか、これについてどうも完全ではなかったと、そのためにブレーキがきかないままどうも走り出したんではないかということが推定されております。
 詳細につきましては、今身柄も警察の方に行っておりまして、私どもつかめない状況でございますが、いずれにしましても、そういう緊急時のときに運転士さんがきちんと対応ができてなかったというふうに思われますので、この点は会社に対しましても相当厳しく指導しまして、会社も総点検を今始めております。これは広い範囲で、運転時だけじゃなくて社内の車両管理、運行管理、その体制を全部含めまして今総点検を始めたところでございます。
#67
○委員長(峯山昭範君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
#68
○委員長(峯山昭範君) ただいまから運輸委員会を再会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、森暢子君及び吉田達男君が委員を辞任され、その補欠として佐藤三吾君及び渕上貞雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#69
○委員長(峯山昭範君) 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#70
○稲村稔夫君 それでは、午前中の関東鉄道の取手駅で起きた事故についてのさらに続きをお聞きしたいと思います。
 この事故につきましてはいろいろな新聞がいろんなことを報じて大変重大な事故として関心を集めているわけでありますが、その中でも特に六月十日の朝日新聞朝刊の「ニュース三面鏡」などには、同鉄道の運行の安全管理のためのマニュアルが役立っていない様子だったというようなことが書かれております。この安全管理運行のマニュアルというのは運輸省では調査をされましたか。そしてさらに、その点を調査された結果、問題点があったかどうかという点について伺っておきたいと思います。
   〔委員長退席、理事松浦孝治君着席〕
#71
○政府委員(井山嗣夫君) 当然私どもも当該会社の安全のマニュアルにつきましては見ておりまして、表現自体といいましょうか中身自体、それは直接問題があるというよりもそれを実際にそのとおり実行していたかどうか、ここに問題があるんではないかと見ております。
 そういう意味では、会社に対しまして今のマニュァルまずそのものがいいかどうか、それからそれをきちんと実行できる体制をつくる、この二点につきまして今指導をしているところでございます。特に表現自体といいますか、それ自体で問題があったというふうには考えておりません。
#72
○稲村稔夫君 今、マニュアルのとおりに実行していたかどうかということを言われました。いずれにいたしましても、朝の通勤時の列車というのは、これはもうおくれてはいけないという乗客のやっぱり心理を乗務員もちゃんと理解している、そのことが逆に精神的圧迫になる。つまり、タイムストレスになるということ、これはもう容易に考えられるわけですね。そういう中で、今のマニュアルとの関係だとかなんとかということが一つ問題になりましょう。
 それから、連絡体制というものについても、これは非常に問題があるんではないだろうか。ということは、どこからどのようにいろいろと具体的な指示なり、運転士がわかったわからなかったとか、そういう措置でよかったかどうかとかというようなことを確かめたり、いろいろと言ってみれば総合的なそういうときの支援体制というのが必要なんだと思うんですね。
 これは、例えば運転士がすぐ直ちに電話か何かを自分の席からなり電車の中からかけられるような体制にはなっているんですか。
#73
○政府委員(井山嗣夫君) ただいままでに調査したところによりますと、先生おっしゃるとおり、緊急異常事態があったときに一応運転士はある操作をするということが決まっておりますが、本件の場合に運転士が、車両区というのがございますけれども、そこの方に知恵をかりるといいましょうかどうしたらいいかという相談をしているようでございます。それに対してあるコックを、ブレーキ関係のコックを操作したらどうだというサジェストはいただいております。
 ただ、おっしゃいますとおり直接当事者同士が話ができない。これは、例えば列車無線でございますかあるいはいろんな無線装置があればあるいはできたのかもしれませんけれども、当該会社は今まさに導入することを検討している最中たつたようでございまして、実際にはついておりません。そういう意味で、たしかあれは一つ前の駅の駅長を介してそういう連絡をしておりますので、おっしゃる意味では直接当事者同士が話ができなかったということも一つ何といいますか非常に運行管理のやり方として改善すべき点があるんじゃないかというふうに想像しております。
 その点につきましても、今具体的にどうしていくのかということの改善措置につきまして、いわば会社に宿題を出しておりますので、それを見ましてきちんと指導していきたいと思っております。
#74
○稲村稔夫君 じゃ、これでちょっと関連をして伺いますが、信楽鉄道では非常に大きな事故になりまして、本当に犠牲になられた方にはもう国民全体がお悔やみを申し上げながら、このようなことが二度と起こっちゃならぬと、そう思ったと思うんです。ところが、今度また関東鉄道の事故、それにはいろいろ共通した問題点というのがいっぱいあるんじゃないだろうか、事故が起こってくるときは。
 今の例えば運転士なら運転士あるいは車掌、そういう列車乗務員と、それから技術の担当者とかいろいろな管理部門とかいうところの通信体制、通信網という問題については信楽鉄道のときもいろいろと問題があったというように聞いておるんですが、それらの反省というものが運輸行政の中でこれから民鉄とかJRにしてみても、もうJRも民営化になったわけですから国鉄の時代とは違って運輸行政として民間にどういうことをきちっとさせなきゃならぬという体制がなきゃいけない、できていなきゃならない。
 そういう事故による反省というものを踏まえて、何か特別なこれからの体制というものをお考えになっておりますか。
#75
○政府委員(井山嗣夫君) 信楽鉄道の事故は、先生今御指摘のとおり、大変申しわけない事故を起こしております。
 ただ、今度の事故と信楽の事故とは若干様相を異にしますのは、信楽の場合は赤信号が出ていたにかかわらず出ていったというあたりは非常に一つ問題でございます。それからもう一つ、関東鉄道の場合はどうもブレーキ故障があったときに、それ自体は直したんですが、その後の点検といいましょうか、それをどうも行っていなかったんじゃないかと、これは推定でございますけれども、そういう気がいたします。
 ただ、いずれにしましても、もしそのときにお互いに何というか、無線設備といいましょうか、こういうものを持っていたらもっと適当な措置がとれたんじゃないかということは確かにおっしゃるとおりでございます。そういう意味では、信楽のあれに懲りまして、私どももそういう行き違いあるところとかそういうところについては列車無線をぜひ設備する、あるいはそれにかわる方法を考えろということで指導しておりまして、関東鉄道もその一環として今まさにやりかけておったところと聞いております。
 それから、一般的にこういう事故はどうしても機械的なもので相当万全を期しているようでございますが、やはり最後は人間の判断によるところが多いと思います。そういう意味では、常特注意を喚起したり、春、冬の安全総点検とかそういうときに注意を喚起いたしまして、必要な場合には私どもが監査に行ってさらに万全を期すというようなことをやっておりますが、いずれにしましても、このような事故がございましたので、全国のこういう鉄道事業者に対しましては特に一層の安全のための教育等をやるように指示いたしたいと思っております。
#76
○稲村稔夫君 私は、今の御答弁は、それなりに当面のこととしてやられていることは、それはそれで理解できます。しかし問題は、今おっしゃった中でも、それぞれ最終的には人間が扱う問題というふうに言われましたね。
 そこで、僕はさっきタイムストレスというような言葉も使ったりしましたけれども、まさになぜヒューマンエラーが起こるのか、この辺のところの科学的な解明というようなものも非常に大事なんだと思うんですよ。このごろそういう事故が起こってくる、その起こってくる事故それぞれみんなどこかでヒューマンエラーとつながる部分があるとするならば、それこそそれぞれの経営の中で努力をしてもらうことは当然なんですけれども、やはりもっと大きな観点からきちっとそうした研究を進めて今後に対応していく、対処していくということが大事なんだと思うんですね。それが僕は事故のときの教訓の一つだと思うんですよ。タイムストレスということが言一われるというのには、例えば通勤ラッシュ、特に首都圏なんかはもう通勤ラッシュということで、本当に乗務員はそういう意味では、一定の時間というのはいろんな形でおくれてはならぬ、おくれたら取り返さなきゃならぬ、そのほかのいろんなことがストレスとして重なってくると思うんです。
 その点、そういうものをどう解消するか。これは、合理化を片一方で今あなた方は進めている、それぞれ指導しているわけですから、合理化を指導していけば必ずこういう問題が起こってくる、あわせて。そうしたら、そういうものに対して安全という観点からどう対処すべきなのかということが運輸行政の中でも重要な柱になっていかなきゃならぬと思うんですけれども、その辺は何か特別な体制というものをつくっておられるんですか。
#77
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 今、先生御指摘のとおり、特にラッシュ時、時間が限られているときに運転士さんのストレスというのはかなりあるというのはそのとおりだと思います。
 私どもの考え方としましては、いわゆる合理化といいましょうか、そういう場合には必ず安全サイドに働くように機械を導入するとかそういう方法を考えて、例えばATSでございますとかいろいろな機械装置をつけておりますが、それでも本当の意味で、最後のところはやっぱり人間の問題だと思います。
 そこで、私どもが直接はやっておりませんが、例えば鉄道に関しましては総合技術研究所等に労働安全に関する部門もございます。そういうところでは国鉄の時代からずっとヒューマンエラーに関する勉強もしておられるようでございますので、その辺の成果を私どもは随時取り入れて行政に反映させているつもりでございます。しかし、こういうことが重なりましたので、もう一度私どもの方の部内でそういうヒューマンエラーに関してそういう研究所に特別な研究をお願いする必要があるかどうか、あるいは我々の手でやれることは何かないのかということを勉強してみたいと思います。今すぐここでこういう対策をとりますということを申し上げられないんですが、そういう意味で至急勉強させていただきたいと思います。
#78
○稲村稔夫君 こうした事故というのはいろんな前兆、予兆というようなものが大抵あるんだと思います。どういうことを予兆としてとらえられるかということも事故を未然に防いでいく大事なポイントになると思います。
 そういう観点からいうと、例えばJR東海の新幹線「のぞみ」のボルト脱落事故、これは私のところにもJR東海から説明に来られましたけれども、どうも私はそれだけでは納得ができないものがあります。
 例えば、あれはたしか僕たちのところへ来たのは、モーターの塗装が生乾きだった、だから締まりが十分でなくて緩んだんだというようなお話でありました。ところが、ほかのこうした出版物などを見ておりますと、例えば「アエラ」だとかその他には、これは川重だけではない、日立のものにも緩みが見つかったというようなことが報じられたりしておりますけれども、これは事実ですか。
#79
○政府委員(井山嗣夫君) 事故の直後に、おっしゃるとおり、メーカーでございます川重とJR東海との間である意味での実験を行って、先生おっしゃいましたように、塗装がやや厚かった、それから生乾きのまま取りつけられておった場合にどういう影響が出るかということを、実は振動試験といいまして、揺すりまして実際にやってみたようでございます。今その作業はもっと細かくいろいろな条件を与えながらさらに続けておりますけれども、その仮実験といいましょうかプレの実験をやっていましたときに、やはりある条件で揺すっておりますと緩んでくるということは事実のようでございます。
 そういう意味で、今回の場合、事故の原因としては私どもはそこら辺に大きな原因があるなということでございますが、これにつきましてはJR東海が納車のときにそういうメーカーの品質管理といいますか製造過程における品質管理がどうなっているか、それから自分たちが受けたときにどういうチェックをするかということにつきまして、JR東海にいわば宿題を出しているところでございます。それによりまして、JR東海といたしましてはやはり塗装の基準をつくるとか組み立て作業をするときの作業基準の見直しをするとか、それからメーカーの方に立ち入りまして、実際品質管理がきちんと行われているかどうか、これのチェックをするというようなことをやりたいということで、今その具体的なあれを詰めているところでございます。
 いずれにしましても、そういう「のぞみ」のような事故があることはお客様に大変御迷惑をかけることでございます。
 それから、先生おっしゃいましたもう一点の、緩みの程度は相当違うようでございますが、ほかのメーカー。についても幾つか緩みが出たことは確かなようでございますが、今ちょっと詳細に数字を持っておりません。ただ、この辺のねじの緩みというのは、車両につきましては御存じのとおり定期的な検査がございます。そのときにこういうねじ、それからほかにもたくさんチェックするところがございますが、緩みを締め直すといいましょうか、緩みがあった場合には締め直すということがその定期点検のときのまさに重要な作業の一つでございますので、従来はそれでやっております。
 ただ、おっしゃいますように、今度の車両につきましてはやはりいろいろな問題があるように思いますので、一斉に今まで入れて、台車検査と言っておりますが、まだチェックをしていない検歴の車両がございますので、それについては至急全数につきまして、新幹線に使っている車両全部につきましてもう一度全部見直しをしろ、こういう指示をして、今現にやっているところでございます。
#80
○稲村稔夫君 ちょっと今ほかの省庁の方を呼んでいて申しわけないんですけれども、これは法案とは直接関係ないように聞こえていても実は関係を持っていると私は思って聞いておりますので、もうちょっと待っていただきたいと思います。
 それで、ほかの会社の車両にもそういう緩みが出ているということは、塗装の問題もそれは確かに一つあったかもしれないけれども、高速化に伴って技術的にまだ影響の不明な点というのがいろいろあるかもしれないんです。これは今までに我々日本では体験をしていない高速を出すようにやってきているわけでしょう。そして、車体から何から根本的な設計を変えてやっているわけです。こうしたものは、今鉄道がまさに高速化とか大量旅客輸送の方向へ全体が動いている、そういうときに新しい技術というものが導入されることは結構なことですけれども、それが導入されるときはそれなりの十分な試験、いろいろな角度からの試験というものが行われてしかるべきなんで、わからない部分というのを「だろう」でやってはいけない。運輸省に時々僕は悪口を言う形になりますけれども、運輸省は、自動車なんかでも「だろう運転事故のもと」と警察からも厳しく言われるんですから、その辺はきちんとしているはずなんですけれども、私は、今回のあれはまさにまだ「だろう」の部分というのがあると思うんですよ、「のぞみ」のボルトの緩み等については。
 しかし、もし「のぞみ」で事故が起こったらもう大変なことになりますから、極めて重大な問題なんで、新しい技術等に基づいてこういうものが起こったときは、まさに運行を一時停止して、そして徹底的にすべてを調査し、心配なところは全部徹底的な試験をやってみるというくらいのことを指導するのが私は運輸省の立場であってほしい、そう思うんですよ。これから鉄道輸送も商業化の方向でみんな進めていけばいくほど、会社としてはやっぱりどうしたって利益というものを得なければ会社の経営が成り立たないんです。どうしてもそういう視点で対処するわけですから、JRになって、むしろこれは運輸省がその辺の理解を踏まえながら強化していかなきゃならない課題だというふうに私は思います。
 そこで、私は、こうした鉄道の高速化とか大量輸送の方向が出てきた中で大事故につながっては困るが、同時に、事故が起こった場合にはその事故の徹底的な解明ということが必要だと思うんですね。事故の徹底的な解明、これは今はどういうふうにしてやられていますか。
#81
○政府委員(井山嗣夫君) まず、最初の話についてちょっとだけ補足をさせていただきたいのでございますが、「のぞみ」の車両につきましては、実は。一年半ほどテスト車両を入れましてこれで試運転を相当、最高三百二十キロまで出しまして訓練をいたしまして、これは大丈夫だということで導入をしたというふうに聞いております。それからもう一つございますが、例のモーターを取りつけだその機構そのものは現在の新幹線もほぼ同じものを使っているように聞いております。
 そういう意味で、私どももかなり試運転の結果についてチェックをいたしまして大丈夫ということで認めたわけでございますが、いわゆる製造過程で当該部分が非常に見えないところでございますので、そういうところに手抜かりがあったように思います。そういう点に関しましては、高速化の場合に徹底的に安全性を追求するために試運転をしっかりやらせるということはもう当然でございまして、今後ともそれは守ってまいりたいと思っております。
 それから、一般論としては先生が御指摘のとおり、いわゆる商業化だけでなくてお客さんのニーズがあるとしてもやっぱり安全が第一だということで、これは指導を徹底いたしたいと思っております。それは今後とも、従来どおりきちっとやらせたいと思っております。
#82
○稲村稔夫君 いや、私が後の方で聞いているのは、今はどういう体制で徹底究明をしていますかと、こう聞いている。
#83
○政府委員(井山嗣夫君) 失礼いたしました。
 現在川崎重工と、それからJR東海がJR総合研究所という、これは鉄道関係のいろんな研究をするところでございますが、そこへ持ち込みまして、その三者で先ほど言いました振動試験、今どうも原因と考えられる塗装、それからねじの締めつけ力、これの関係の実験を繰り返しております。その結果も、途中経過でございますが聞いたところでは、やはり原因は今のようなことではないかと思っております。
 このようなことで、一たん事故がありましたときは私ども最終の段階までずっとフォローするということでやっておりますので、この件に関しましても間もなくそういう結果が出て、原因が確定すると思います。それを待っていてはいけないという部分もございますので、先ほど申し上げました他の車両についてもねじ関係の総点検をやれと、こういう指示をしてやっているところでございます。
#84
○稲村稔夫君 「のぞみ」の場合は、それじゃJRと川崎重工と、それから鉄道総研でやっているということであります。これは関東鉄道の場合はどうなりますか。
#85
○政府委員(井山嗣夫君) 関東鉄道におきましても、関東鉄道独自ではもちろん調査しておりますが、そのほかに車両関係のものにつきましては今のやはり鉄道総合技術研究所に委託をいたしまして、ここでもっと徹底的に原因調査をするように今お願いして、間もなく取りかかるところと聞いております。
#86
○稲村稔夫君 私は、これは航空機の事故だ。とか、それから船の場合は第三者機関とでもいうんですか、そういうところで専門家が究明に当たるんだという体制をつくっていますね。鉄道の場合も今後はそういうことが必要なんではないだろうか、そう思いますけれども、その辺はどう考えますか。
#87
○政府委員(井山嗣夫君) おっしゃいますとおり、重大事故があったときの原因究明のやり方が海、空の場合と陸上の場合はちょっと違っております。
 これは経緯がいろいろあるようでございますが、簡単に申し上げますと、航空機の事故あるいは海難事故というのは比較的結果が残っていないという場合が多いようでございます。そういう意味では、非常に専門的な見地から調査をしての原因究明はかなり難しいところがあるようでございます。それに対しまして自動車あるいは鉄道の場合は、比較的証拠書類、証拠資料といいましょうか、これが残っている場合が非常に多いようでございます。それから、もう一つ鉄道に関して独自性を申し上げますと、鉄道は、先生御承知のとおり、明治以来いわゆる国有鉄道がリードしてきたわけでございまして、その伝統の中で事故調査をやる。先ほど申し上げました技術研究所というところがございまして、そこで必要な場合には技術研究をやっております。それからもう一つ、私どもの方の体制で申し上げますと、交通安全公害研究所というのがございますが、これのほかに、例えば信楽の場合がそうでございましたが、信号システムなどで私どものよりももっとも専門的な知識が必要だという場合にはその都度学識経験者の方に集まっていただきまして、それでやっているというのが実情でございます。
 そういう意味で、常設の機関はございませんが、その事故の形態、それから原因究明の難易度といいますか、これに応じまして部外のそういう研究所を使うあるいはうちの中の研究所を使う。さらに学者、専門家の方に集まっていただいてそこでやっていただくということで、臨機応変にやっているつもりでございます。
#88
○稲村稔夫君 そこで、大臣に伺いたいんですが、当面の対策、対応として今局長からいろいろ御答弁になりましたけれども、鉄道の高速化と大量輸送化ということは、これはもう事故があってはならないんですけれども、事故があったときは徹底的に専門的な見地からの究明をして、今度は原因を取り除いた対策を立てなきゃならぬ、こういうことになってくる。そういう意味でいったら、今のちょっと大きな事故が起こったときには簡単にすぐ、鉄道であっても事故の原因が特定ができないという状況がこのごろ出てきているわけでしょう。例えば、信楽鉄道だってまだ特定できてないんでしょう。
 そういうふうにしていきますと、やはり鉄道事故についても第三者機関をきちんとしていくという、そういう行政的な検討が必要なんじゃないかと思いますけれども、その辺はどのようにお考えですか。
#89
○国務大臣(奥田敬和君) 先ほどから先生の御指摘のように、「だろう運転」と申しますか、特に安全面に関しては、これはもう憲法みたいなもので、絶対「だろう」では許されない問題点である。
 先般来、信楽鉄道の事故で大変な犠牲者を出したあげくまたまた今回の関東鉄道の事故、大変残念でございますのですけれども、この関東鉄道の場合、やや性格を異にしているんじゃないかと思うのが、先生がいみじくも指摘されたこの「だろう運転」の典型的な事故ではなかったろうか。そして、もう既にブレーキのぐあいの悪いのがある程度わかっていながら何とかなるだろうという形の中で、今言うラッシュ時のそういった緊張状態もあったんでしょうけれども、これは本当に安全絶対という形の基本認識に立っておれば当然防ぎ得た、あってはならなかった事故ではなかったろうかなと思います。
 いろいろ事故原因に関しての究明に正式な形の制度、委員会が必要じゃないか、実態を調査追求するのに必要じゃないかという御意見でございますから、もちろん検討させていただきます。
 ですけれども、これは海と空との違いというものは、先ほど鉄道局長からも話がございましたけれども、信楽の場合ももう近く正式な形で究明の結論が出ると思います。陸の場合の事故究明というのは、そういったシステムの問題、人の問題等々で比較的にみんなの前に明らかにされる資料、証拠がそろっておるという形の面において、今先生の御指摘の面も含めて、そういった制度化することが必要であるかどうかも含めて検討させていただきたいなと思います。
#90
○稲村稔夫君 大臣の御答弁で御検討いただけるということでありますから、それ以上のことを余り申し上げませんが、やはり私は証拠が残っているとかいろいろと違いがあることは認めながらも、今度は今までの国鉄と言われた時代のように国の責任ですべてあれするという体制じゃないわけですから、それだけに第三者機関できちんとしていくということの重要性というその側面からも必要だというふうに思いますので、その辺も腹に置きながら御検討をいただきたいというふうに思います。
 私がこんなことをずっとお尋ねをいたしましたのは、本法案とかかわりが出てまいりますのは、この間の信楽の場合は、あれは言ってみれば一種のイベント対策の臨時列車というのでしょうかね、そういう形のものになるわけでしょう。「世界陶芸祭号」というようなものなわけですね。これからまさに伝統芸能を生かして、そしてその地域で地域おこしで強力にやっていこう、そのときに鉄道を利用する、あるいは鉄道ばかりじゃないでしょうが、要するに運輸行政とのかかわりでやられていくという、一方でこういう行事が盛んになればなるほど安全面を中心にしたそういう対策というものが立てられていかなければならない、そんなふうに思うんですよ。
 私は、運輸省が特に中心の省庁になるということであれば、その辺のこともこの法律を提起してくる中では一つの大事な柱として、それを法案の中へ盛るかどうかは別にいたしましても、そういうものが我々の審議の中に提起をされてもよかったんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺はどのようにとらえておられますか。
#91
○政府委員(大塚秀夫君) 今回、地域伝統芸能等を核としましてイベントを通じて観光の振興を行います際に、先生御指摘のとおり、観光客の集中に伴う交通量の増大、それが事故につながらないように交通安全の確保、これは鉄道の安全の確保あるいは道路交通の安全の確保等ございますが、これが重要であることは言うまでもございません。
 そこで、私どもこの法律に基づく基本方針あるいは都道府県がつくります基本計画の中にもそのような周辺事項として交通の安全対策あるいはその他の環境対策ということにも触れるように指導していきたい、また基本方針をつくるときにはそういうものを盛り込みたいと考えております。
#92
○稲村稔夫君 そこで、今の問題はまた後で時間があればいろいろと伺いたいところがあるんですけれども、時間の配分の関係がありますので次へ進ませていただきます。
 それぞれ運輸省以外の四つの省に来ていただきました。その立場から少しお答えをいただきたいと思うのであります。
 文部省にきょう午前中に、どうして主務大臣に文部大臣がなっているんだろうということを伺いましたが、これは私はそれぞれやっぱり各省についても伺いたいわけであります。
 通産省の場合、これは資金的な援助という観点から援助をされるようでありますが、特に「地域伝統芸能等を活用した行事の実施による」という、ここのところで「商工業の振興に関する」ということで特別に通産省が主体になって進めなけりゃならないという考え方というのは、どんなところにポイントがあるんでしょうか。
#93
○政府委員(麻生渡君) 日本がずっと経済発展を達成してまいりまして所得水準も上がり、その結果、ゆとりと豊さということが非常に大きな消費者の要求になっております。このような非常に多様になっております消費者ニーズに産業側が的確に対応するということがなければ今後の産業の発展もありませんし、また使命も果たせないということになるわけでございます。
 このような個性のある地域産業、商工業ということになりました場合に、地域の伝統芸能というのは非常に重要な、いわば地域の発展の固有の資源でございます。これを活用いたしまして、まず一つは地域の工業、これがこの伝統芸能をいろんな形で生かした製品開発をやるということ、あるいはこの伝統芸能に使われます製品の開発をやっていくということが十分考えられるわけでございます。現に、そのような製品がいろいろあるわけでございます。また、地域の商業の方でございますが、これはやはりいろんな方に来ていただいて活気のある商店街であり町であるということが必要でございます。
 そのようなにぎわいをつくるという意味で、この伝統芸能というのは非常に重要な役割を果たすわけでございまして、私どもといたしましてはこのような基本的な消費者ニーズの変化に対応した。新しい地域産業づくりということ、それにこの伝統芸能というものを結びつけていくということで、この法律は非常に重要な役割を果たすというふうに認識いたしております。
#94
○稲村稔夫君 通産行政の中でいろいろな形で中小企業、零細企業を保護したり育成したりという施策があるわけですね。そういういろいろな制度というものを結構今もいろいろな形で活用して、その地域の中小企業の皆さんなんかが頑張っているわけです。
 特定な地域のこういう伝統芸能等との絡みということになると、これは後で運輸省に伺わなきゃならぬのですけれども、範囲が非常に限定されたところになってくるでしょうということになってまいりますと、何かその辺のところに割り切れないものが残ります。地域おこしというのはみんなどこでもいろいろなことで工夫をしておられる。その地域おこしの中に現行制度の中で最大限利用できるものは利用する、活用させていただくというような形でやっているわけですね。地域おこしということでいったら、そっちの方に重点があっていいんではないだろうか。さっき文部省に伺ったのもそういう観点が一つあったんです。
 例えば、これは運輸省がいいかどうかというのはまた議論があるところなんですけれども、こういうお祭りの援助、推進というようなことを仮にやるとしたら、それは通産省がやられるんであれば通産省一つのところに周りからいろいろと協力をし合う、運輸省がやるんであれば運輸省が一つで進めていく中に周りからいろいろ協力するというような形で、何も主務省を幾つも対等に並べてやっていく必要はないんではないか。むしろ固有の制度、それぞれの制度、例えば通産省は地域の中小企業を育成すべく地域おこしのためのいろん。な援助をしていくという行政の方を重点的に進めていただくということであってもいいのではないかというふうに思うんです。そこで、なぜこの地域伝統芸能等を活用した行一事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律案を五つの省が対等に、対等にと言ったらおかしいですけれども、それぞれの主務大臣となって並ばなきゃならぬのか、どうも私にはそこのところがまだ納得できないのですが、おたくの立場からはどう考えておられますか。
#95
○政府委員(麻生渡君) 産業を振興いたします場合に、資金的な支援あるいは技術的な技術開発のための支援あるいは人材確保のためのいろんな支援というような政策手法はいろいろあります。今回のこの法律は、そのような今までの政策手法あるいはかつての城下町法と言われるような特定地域の不況対策をやるというような法律を超えた形であります。
 これは、まさに先ほど申しましたように、消費者ニーズというものが非常に変わってきておるということがございますから、それに対応した形で産業が発展していかなければいけないということが基本にあるわけでございまして、今回のこの法律は地域の商工業の振興ということでありますが、それをこのような伝統芸能を生かすという形でやっていこうということでございます。通産大臣が主務大臣として入るということでございますが、これはこの法律が最終的には伝統芸能等を通じまして観光と商工業の発展を促そうということでございますものですから、通産大臣も主務大臣に入るということでございます。
#96
○稲村稔夫君 やっぱりわかったようなわからないような気がします。だって、今度の法律でいきましても、結局地域の中小企業にとって魅力というと、通産の関係でいけば信用保証協会のあれも取りつけられるとかなんとかというようなことでしょうけれども、この信用保証協会の問題にいたしましても、私はこんなことをこれで考えなくても今もう既に利用できるものは利用しているんだしという感じもないわけではありません。それからさらに、その枠を利用できない人を入れようとなると焦げつきの問題やなんかで地域の信用保証協会の能力の問題とか絡まってきたりいろいろ難しい問題がありますと、何か余り大きなメリットにもならぬのじゃないかなという気がしながら伺っております。
 しかし、そのことはもうそっちへおいておきましても、通産行政の中でそうすれば最大限地域伝統芸能を活用して対応していただくために、今のようなささやかな援助のような形ではなくて、力を入れるんなら主務省庁になっているんですから本格的に腰を入れてもらいたいということを要望して、もう時間の関係ありますから通産の方は終わります。
 次に、農水省でありますけれども、農水省がお祭りとどう関係があるんだろう、これはちょっと私の方もなかなか理解に苦しんでいるところがありますが、まずこの主務大臣になった理由、主務大臣になるということは主体的におたくの方がなったということなんですから、その理由をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#97
○政府委員(武智敏夫君) 農水大臣が本法案の主務大臣になった理由でございますけれども、先生御承知のとおり、地域の伝統芸能等の多くは田植え祭りですとかあるいは豊漁祭ですとか農業なり水産業の営みを通じまして形成されまして農山漁村に根づいているものが多いというようなことがございます。したがいまして、これらを活用した行事の実施なりあるいはこれに伴います地域の商工業の振興は、まさに農山漁村の活性化と非常に深いかかわりを持っておるというふうに考えておるところでございます。
 それからまた、地域伝統芸能等を活用した行事の実施によりまして特定地域商工業の振興を図ります場合に、一つは、日常多頻度に購入されます飲食料品等を取り扱いますよう。ないわゆる飲食料品の小売業ですとか小売業に対しまして商品を販売する卸売業ですとか、あるいはまた地域の農林水産物を素材といたしましたふるさと食品といったような農林水産関連の製造業の振興も図られるというふうに考えておるところでございます。
 したがいまして、こういったような観点から、農林水産省といたしましても地域伝統芸能等を活用いたしました行事の実施が一つは農山漁村の活性化にとって極めて重要であります。それからもう一つは、飲食料品等の小売なり卸なりあるいは製造業等の振興にも寄与するというような点がございまして、農林水産大臣といたしましても基本方針の策定なり行事の実施等に対します必要な助言なり指導なりあるいはその他の援助等を行うことを通じまして農山漁村の健全な活性化と、それからまた飲食料品等の小売なり卸なり製造業等の一層の振興を図っていきたいというような観点で入ったものでございます。
#98
○稲村稔夫君 抽象的にはわかりますが、具体的にそうすると、この法案ができることによって地域にはどういう経済的と言ったらあれですけれども、国としての農林水産省としては、例えば補助金とかいろいろとありますが、メリットを与えることができるということなんですか。
#99
○政府委員(武智敏夫君) ただいま申し上げましたとおり二つの観点があるわけでございまして、まず一つの農山漁村の活性化を図る観点からの支援策でございますけれども、従来の農林行政はいろいろな財政的援助をやっておりますけれども、具体的には農業農村活性化農業構造改善事業ですとか農村地域定住促進対策事業ですとかあるいはまた山村振興農林漁業等、そういったような事業を一つはやろうと思っております。
 それからもう一つは、食料品等の小売なり卸なり製造業等の振興の観点からの支援策でございますが、これは法律をつくっていただきまして、昨年十月からそれに基づいた指定法人でございます食品流通構造改善促進藤構というのがございます。これらを通じました食品小売業等の活性化を行ったり地域伝統芸能等の活用によりますふるさとメニューの開発をやったり、あるいはまた食品情報の消費地への提供をやったりといったような両方の観点からの支援を考えておるところでございます。
#100
○稲村稔夫君 今のお話を聞いていれば、結局農林水産省はふだんそういうことをやってないんですか。ふだんの農林水産省の政策として今言われたようなことというのはそれぞれやっているんじゃないですか。伝統芸能の方でもって特別それがどうやって推進されることになるのか、どういうメリットがあるんですか。
#101
○政府委員(武智敏夫君) 今申し上げました事業は農林水産行政としてやっておるわけでございますが、この法案によりますまさに地域伝統芸能等を活用した行事を行います際にそういった既存の補助事業等も活用いたしまして、そういったものをさらに積極的にやっていきたいということでございます。
#102
○稲村稔夫君 そうすると、そういうものを利用するための知恵をかしましょうということになるわけですよね。どうもそうすると、農林水産省がやはりこれも主務大臣にどうしてならなきゃならぬのか、これはきょう片っ端からそうやって聞いているんですけれども、わからぬです。
 もし、本格的に腰を入れて主務大臣としての役割を果たそうとするならば、それはむしろ能動的に農林水産省がこれをやったときにはこういうことをやれるんですよ、そのための援助をこれだけやるんですよというものが具体的に示されてこないと、私は余り意味がないんだなという感じがするんでありまして、もしこれから取り組まれるとしたらその点をきちっと踏まえていただかなきゃならぬと思います。
 これももう時間がありませんからその程度で農林水産省を終わらせていただきまして、次に自治省に伺いたいのであります。
 自治省は地域おこしということでいろいろと重視をしておられるんだろうと思いますけれども、今までずっと伺ってまいりましたように、自治省が主務大臣としてこの法案を推進する立場に立たれたのはどういう観点からやられているのでしょうか、具体的に地域に対して生まれてくるメリットは何なんでしょうか、その辺をお答えいただきたいと思います。
#103
○政府委員(滝実君) 私どものかかわり方につきましては、具体的な事業についての財政支援などもあるのでございますけれども、それ以上に私どもが重視しておりますことは地域づくりを進める際の地域の自主性と申しますか自立性と申しますか、そういうことを一番重視いたしておるわけでございます。
 この数年来ふるさと創生事業ということで、地域がみずから考えみずから実行する、こういうようなことで各地域が自主的な地域づくりに取り組んでいる、こういうようなことをやってまいりましたけれども、やはりこの中心は地域の自主性、自立性、こういうことで大きな成果を上げてまいりました。
 今回のこの事業も、基本的にはいかに地方の自主性、自立性というものを尊重しながらこういった事業を進めていくか、こういうことに基本があるように私ども考えまして、そういう立場から、非常に抽象的ではございますけれども、基本方針を定めるに当たりましても、地方団体が基本計画を定めるに当たりましてもあるいは実際の事業を進めるに当たりましても地方の自主性、」自立性、こういうものをいかに尊重しながら進めていくか、こういう角度から私どもも応援する、こういうことで自治大臣が主務大臣になっている、こういうふうに私どもは理解をいたしておるわけでございます。
#104
○稲村稔夫君 確かに言われたように、抽象的な観点からのことでは、それはそれなりの理解の仕方ができますけれども、やはり具体的なことになってくるとなかなかよくわからない。
 特に、この中で何か地方債の発行等が考えられているように思われるんですけれども、自治省の観点に立ては、例えば地方債というけれども、やたらに地方債を出すということには問題があるわけですね。かつては、地方債は公債比率が一〇%以上になったらもうだめだなんということ言われていたのが、いつの間にかだんだんと地方債の公債比率が上がっていってというところにも私は随分問題があると思うんですよ。そういう中で、ただ公債比率を上げていくだけのような形になってしまっても困るんじゃないかと思うんですよ。
 そうすると、今度の法案との関係でいけば、具体的な補助金であればそれは公債比率が上がるわけでもありませんしということになるんですけれども、その辺の兼ね合いなどというのはどのようにお考えになっていますか。
#105
○政府委員(滝実君) 基本的には、この起債事業の場合には先生御指摘のような制約と申しますか財政的な問題が常につきまとうわけでございます。
 したがって、私どもがこの際に「特別の配慮をする」ということで考えてまいっておりますのは、もともとふるさと創生事業というのは地域総合整備事業債という特別な枠を設定いたしまして、これにつきましては財政力の程度に応じまして三〇%ないし五五%につきまして償還財源を交付税で措置していく、こういうようなことを組み合わせながら地方の自主性を尊重しながら、なおかつ財政的にただいまのような公債比率を一般財源でカバーをすることによって抑えていく、こういうような措置をかみ合わせてこの際にやっていきたいと、こういうふうに思っているわけでございます。
 それから、これはいわばハードの関係でございますけれども、ソフト面につきましても、現在私どもはこれからいろんな事業が出てくることでございますから、ソフト面につきましても、ひとつできればこの交付税措置においてソフト面におけるこういうようなものすべて全般を含めました支援策も検討してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#106
○稲村稔夫君 文部省の方は残ってもらうと言っていましたけれども、もう時間の余裕がなくなりましたので、済みません。
 今自治省が言われたのでちょっと私気になったことがあるのは、交付税であと考えられる部分というのは、これはそうすると特別な財政需要として特交の対象として考えられるということになるんでしょうか。それで、交付税そのものは全体の大枠は決まっておるわけです、国の中で。そういうふうに考えていきますと、交付税で手当てをすると言われるということにはいろいろと私は問題があるように思いますが、その辺は特交で手当てするという意味ですか。
   〔理事松浦孝治君退席、委員長着席〕
#107
○政府委員(滝実君) 特交で手当てする部分もあるいは将来出てくることもあるかもしれませんけれども、私どもが現在考えておりますのは、普通交付税の中でこういったものを積極的に取り組んでいくと、こういうことでございます。
#108
○稲村稔夫君 そうすると問題があるんじゃないですか。だって、どんぶりの大きさは決まっているのに、どんぶりの中に具の数がふえたというだけの話になってくるんじゃないですか、極端な言い方で恐縮ですけれどもね。
 それで、これはもう時間もないので私は意見を申し上げるんですが、こういう地方債等の発行を考えていただくときにいわば交付税で考える、手当てをするなどということについても、「特別の配慮」というのは本来は特交等によって対応をするというふうにしていただかなければならぬ。そのことを考えながら、今後の地域おこしというふうに考えていただくならば、特定な財政需要と見てそういう対応をしていただかなきゃならぬというふうに私は思っておりますので、その辺は本法案の執行の中でいろいろとまた問題点も出てきましょうから、その辺を踏まえて今後の御検討をいただきたいという要望をしておきたいと思います。
 そこで、各省庁大変手短な形で時間が足りなくて申しわけありませんでしたが、これで各省については終わりまして、運輸省について最後にお伺いを少ししておきたいと思います。
 地域伝統芸能と言いますけれども、地域伝統芸能というのは一体その範囲はどこなんだという問題もありますし、先ほども文化庁と吉田委員とがやり合っておりました宗教的行事とのかかわりとかいろいろそういう問題が。あります。
 そういう地域伝統芸能の範囲というようなものについてもいろいろな問題があると思うんですけれども、しかしどうも私にはなぜ運輸省がこれの中心の旗振りになるのか、それがわからぬのですよ。そうすると、これはお祭り法という略称どおりにイベントだけ考えた法律というふうに理解をしていいんでしょうか。
#109
○政府委員(大塚秀夫君) 私ども運輸省が観光行政を進めております中で、九〇年代観光振興行動計画というのを策定いたしました。これに基づいて毎年複数の県で観光立県推進会議というのをやっています。それぞれの県が今後どのような形で観光を進めていくか、これにはもちろん地元の知事以下も参加しておられますし、JRあるいは日本航空等の幹部も参加しておりますが、そういった場で一番出ますのが地元の地域に根差した伝統文化というものを生かしてこれからやっていく必要がある。最近、若者を中心に伝統文化を見直そうというような動きがありますが、こういう伝統文化を見直すというのは、従来のように観光色のある、つまり俗化した伝統文化というのではなしに本物志向という方向になっております。
 そういった我々の経験から、観光振興の一つの核として郷土に根差した郷土伝統芸能あるいは風俗慣習、これを取り上げて関係省庁と一緒に知恵を出し合い、力を出し合って振興していこう、そういうふうなことがこの法案の提案の趣旨でございます。
#110
○稲村稔夫君 どうも、抽象的には言わんとしていることはわかるような気がいたしますが、そうするとまた新たな疑問が出てまいります。
 というのは、俗化しないで本物志向というようなことになっていけば、祭りというのは宗教行事なんですというのが大方なんですよね。そうすると、宗教とのかかわりというのが密接になってしまうんじゃないですか。それをなぜ、憲法できちんとされているように、行政はそれに関与しちゃならぬでしょう宗教行事には、ということになったときに一体どうするんですか、これ。俗化はだめだ、本物志向だ。本物志向だといったら、例えば神楽だって本物で、神楽といったらこれはまさに神事なんですよ、どうするんですか、これは。
#111
○政府委員(大塚秀夫君) 確かに、奈良時代とか過去にさかのぼってお祭り等を考えますと、もとは神事、田楽も神楽も神事でございますが、それが一般化して農民の娯楽あるいは市民の娯楽になったというのが歴史的な経緯だと考えております。
 したがいまして、先ほど本物と言いましたが、これは一般市民が参加するそのような祭りと理解をしておりますので、先ほども申し上げましたけれども、宗教団体が実施主体の中心的役割を果たすようなものあるいは神官等が直接参加して一般市民の参加できないようなもの、そういった政教分離の原則から考えて問題のあるものは今回対象としないというように十分配慮していきたいと思っております。
#112
○稲村稔夫君 そこにも随分私は疑問がいっぱいあるんですけれども、もう時間がありません。この点は、イベント法だったらイベント法らしくむしろもうきちんと割り切って、そんな本物志向だとか俗化だとかということは余り言わないで、観光としてこうするんだということを言えばもっとわかりやすいんですよ。
 ということで、もっとわかりやすいものにしなさいということを要望しながら、もう一つ問題点として伺っておきたい。
 時間がないので申しわけないが、通訳案内業の特例について設けられていますけれども、特にその中で地域伝統芸能等についての通訳案内業の認定の事務をなぜ新たな指定機関をつくって請け負わせなきゃならないのか。これは下手をすると新たに運輸省からまたその出先機関に行くなんというような天下りの場所にならぬとも限らぬ。今までのものを生かしながらいろいろと工夫する余地があるんじゃないですか。何でこんな新しいものをつくらなきゃならぬのだということが大変大きな疑問になりまして、それらの点をお答えをいただいて、全体として私は問題点を今後いろいろな観点からまだ手直しをしていくということができるのかどうか、その辺も運輸大臣の総合判断を伺って、質問を終わりたいと思います。
#113
○政府委員(大塚秀夫君) 最初の御質問にお答えさせていただきますが、この法律の第九条で支援事業実施機関を設けていろいろな業務を行うこと、になっております。この支援事業実施機関に認定業務を行わせるということで、これは伝統芸能あるいは語学について専門的な知識が要求されますので、このような団体で行いたい。しかも、ここで一元化することによって事務能率も円滑にいくと考えております。
 なお、通訳案内業試験につきましても、従来から国際観光振興会において実施事務を代行しているところでございます。どのような支援事業実施機関が天下り機関になることは、私ども、その専門的要素から考えても、ないと思っております。
#114
○国務大臣(奥田敬和君) 本法案の御審議の過程で出てくる先生の御意見でございますけれども、私も思うのは、余りかた苦しいことを言うな、イベント法案ならイベント法案とはっきり主張していったらどうかというような御意見提示でもございました。また、今、将来にわたってこれを見直し、手直しする気があるかどうか。まあ今、この法案をお願いしておる真っ最中にそういうことを言うわけにいきませんけれども、御指摘はまことによく理解できます。
 と申しますのは、これは正直に申しますけれども、実は私、自治大臣でふるさと創生事業で各自治体の活性化と申しますか個性化と申しますか、そういう形を各自治体に特に奨励してまいりました。その成果の一環としてこれをさらに伸ばしていくためには、もう何といいましても現在の縦割り――特に私が今運輸大臣になって観光を担当するようになりましてから、こういった地方の大事なイベントをもっと広範囲に、各省が商工会はおれのところだ、特産品はおれのところだ、観光はおれのところだという縄張りを行政でやらないで、一つの地方から盛り上がってきたイベントにお互いに持てる力をかしてやろうじゃないかと。宣伝を担当する省庁は徹底的に交通機関、輸送機関、運輸機関、旅館などあらゆる機関を通じて外国にまでPRして、そして日本の観光のポイントはこれですと、日本人の心を知ってもらおう、お祭り、イベントにぜひ参加してくれという形は我々はできる。
 しかし、今度はそれを持っていく地域になると、商工会の方はそんなたくさんのお客さんが来るときには駐車場の整備がどうだ、もう商店街も少しはきれいにせないかぬ、もういろいろな形で商工特産品もつくらなきゃいかぬ。これは農林省にも関係してくる。他方、お祭りというものを中心にして物を考えた場合、伝統芸能の分野はおれのところだという形で、それも余り侵しちゃいかぬ。自治省に至っては、これは私が今審議官のおる前で言ってはいけませんけれども、そういった地域づくりあるいは文化おこしに関してはいろいろな具体的ないい形が県市町村、自治体から出てくれば応援してやりたいと思っても、各省庁が一体になって推進していくような動きがあれば、これは確かにいろいろな面で応援してやれる。
 そういうことで、一つの柱をつくりながら一石三鳥、四鳥の地域おこしをやってあげようという願いを込めてお願いをしている法案でございまして、どうかひとつ、先生には一番先に賛成して推進していただけると思っておったわけでございますけれども、そういった意味で伝統芸能を柱にしながらそれぞれの地域おこし、特産品おこし、そしてそこに根づく伝統的なお祭り行事として国内外の人たちからも認められる形にまでお互い各省庁で力を合わせて持っていきたいなと思っておるので、ぜひ御賛同をお願い申し上げます。
#115
○稲村稔夫君 終わります。
#116
○矢原秀男君 重複すると思いますけれども、お許しをいただきたいと思います。
 まず、本法律案の提出されました中身は、地域の伝統的な芸能、二番目には風俗慣習を主題として活用行事を実施する。そういう中で地域の活性化、また大きくは国際相互理解の増進等、こういうことを図ろうとされる趣旨だと思いますけれども、改めまして提案の経緯、そして法案の要旨等を簡単にお伺いしたいと思います。
#117
○政府委員(大塚秀夫君) 最近、地域振興、地域活性化の必要性が高まっておりますが、その中で地域活性化のために観光を振興する、あるいは地域の商工業を振興するということも重要になっております用地域の特性に根差したソフトあるいはハードの資源をこのような振興に生かすことが重要でございますが、特に地域の文化や歴史を反映した、地域で継承されていくべき伝統芸能あるいは伝統的な風俗慣習、これを活用した行事を実施することによりまして、今申し上げましたような目的を達する。この必要性を考え、関係省庁が相集まりましてこのような法案をつくったわけでございます。
 内容としましては、今申し上げましたような地域伝統芸能、伝統的な風俗慣習を活用した行事、これを実施するための基本的な事項についてまず関係省庁が基本方針をつくり、この基本方針にのっとった基本計画を都道府県が関係市町村の意見を聞いてつくる、その基本計画につきまして関係省庁と協議し、協議の調ったものについては関係省庁におきましてそれぞれ、あるいは協力して支援していこう、それによって地域の観光の振興、地域商工業の振興に資することになる、これが法案の提出の背景と内容の概略そございます。
#118
○矢原秀男君 先ほども大臣の答弁ございましたように、確かに国際化の観点から、またイベントという率直な面からいきますと思い切った手を打たなければいけない、観光という面から。また反面では、文部省を中心とするように、地域の歴史や芸能、文化、こういうものをより精度深く歴史的に表明をしていきたい、その間のいろんなプラス・マイナスというふうな苦しみも御答弁されておりました。
 私、こうなってまいりますと、一つだけちょっと伺いたいのは、やはり大臣もおっしゃっておられます上うに、縦割りもそうだけれども横の面も完璧にしたいということで、運輸、通産、農林、文部、自治とこうなっているわけですが、郵政省やなんかは、やはり日本や世界に対して高度情報化社会という二十一世紀以降というものを見ますと、今のやはりプラス・マイナスの苦しみがあるけれども郵政省が入ってない、声がかけられていないのは、高度情報化の中で打つべき手というのは、やはりテレビ、放送文化というものも一面本当はここまでやるんであれば加えるべきではないか。しかし、それが加わってないのは何かまた理由があったのか、その点だけを伺っておきたいと思います。
#119
○政府委員(大塚秀夫君) 確かに、先生御指摘のように、この五省庁のほかにもいろいろ関係してくる省庁はあろうかと思います。今御指摘のような郵政省につきましても、通信その他の協力、友援が必要な場合も出てこようかと思いますが、法律の基本方針をつくるときにも第三条で、「主務大臣」は「基本方針を定め」、「これを変更しようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。」ということになっておりま、して、こういう関係省庁への協議の際に今の通信等の問題についてもいろいろ御意見を聞き、また御協力をお願いするというような形になろうかと思います。
#120
○矢原秀男君 「全国のイベント開催状況」という資料を拝見させていただいておりますと、「地域イメージ・観光宣伝」は四千六百七十六件で三一%、そして「伝統行事・祭事」については二千八百五十六件で一九%、「教育・文化振興」は千九百七十五件で二二%、「スポプッ」が二千百四十五件で一四%、「コミュニティ育成」が千百五十二件で八%、「科学技術・産業振興」が千百八十件で八%、「健康環境問題等意識向上・啓蒙」が七百六十一件で五%、こうなりまして、今回の法案の一つの根底にあるものとしてはやはり国際交流という一面、国際観光ということがございますから、そういう面から見ますと、「国際交流」というのが百三十九件でわずかに一%なんですね。
 これはイベントの問題ですから、観光とまたこのイベントのパーセンテージとは違うではないかというところもあるんですが、「訪印外国人数の推移」につきましても」一九九〇年では観光は百八十七万九千人、こういうあれでぐっと上昇の形になっているわけです。そういう中で、地域別にも北アメリカ州が六十三万三千とかヨーロッパ州が五十一万六千、アジア州は」番多くて百九十一万九千ですね。
 こういうふうな形で、まず国際観光という立場をにらみますと、国際交流は一%しかない、イベントの中で。そして、今申し上げた訪日外国人の人数の推移から見ますと、観光の形で百八十七万九千、業務等は百二十三万八千ですからここにも大きな含みがございますけれども、まず国際観光という視点から今回の法案をにらんだときにどういうふうな具体的な案というものをこの法案の後ろに考えていらっしゃるのか、その点を二、三点、にまとめて伺ってみたいと思います。
#121
○政府委員(大塚秀夫君) 先生がただいま御指摘いただきましたように、この法律というのは来日外人客だけを対象としているわけではございませんが、最近の国際観光の傾向から見ましても、次には日本の伝統文化、地域的な伝統芸能等を見たいという外人希望者が非常にふえているのが事実でございます。そこで、このような地域の伝統芸能あるいは伝統的な風俗慣習に基づいて観光を振興します際にも、国際観光ということを十分重視しなければならないと考えております。
 その一つがこの法律にございます通訳案内業法の特例でございまして、このような地域伝統芸能について通訳案内をする者については一定の条件のもとに、より簡素な認定で通訳案内業ができるように通訳案内業法の特例を法律上書いていることが一つでございます。
 それからもう一つ、この地域伝統芸能等を今後実施していきます際に支援事業実施機関を設け、地域伝統芸能を活用した行事等の情報を収集したり提供したりいたしますが、その際に国際観光振興会にも、法律の九条の四号にございますが、情報を提供して、そのようなノウハウの蓄積に基づいて国際観光振興会が地方の伝統芸能等について宣伝をしていく、それによって外人客の利便を図る、こういうことも考えておるわけでございます。
#122
○矢原秀男君 次に、これに関して運輸大臣に伺っておきたいんですが、やはり関西新空港が建設されて常時外国との交流ということになると、二十四時間開港ですから非常に日本の将来にとってもこれは大きないろんな形の分析というものがあろうかと思うんです。この二十四時間空港が開港されて、そして大体世界の方々がピークには関西空港にどのくらい、もう昼夜を問わずおりてこられるわけですけれども、そういうふうな数値をつかんでいらっしゃるのか、そしてこの法案との絡みの中でどういうふうにやっていこうとされているのか、この一点だけ。
#123
○国務大臣(奥田敬和君) 御指摘の関西新空港は二年後の開港という段階にまで参りました。現在、私の手元に来ているだけでも新規参入国の申し入れ、これはもう大変な熱意で乗り入れを希望している国が四十三カ国、航空会社の数はそれ以上でございますけれども、そういった意味合いにおいて期待が寄せられておるわけであります。
 しかし、この法案との直接的な結び合いということになると、あるいは将来の乗降客をどれぐらい推定しているのかという形はまた政府委員から答えさせますけれども、すごい数の外客来日ということが予想されるわけであります回したがって、これからやはり日本の文化理解、また日本人が特異的な体質を持っている、異質で国際社会になじまないというような風評の中で、これから来日されるお客さんにできるだけ日本人の精神形成の過程も文化も理解していただきたい、旅行される機会にぜひその一助にしたいということもこの法案のねらっているところでもあります。
 いずれにしても、そういった視点は希望というか多岐にわたっておるわけでありますが、関西新空港開設によって外客は恐らく我々の予想をはるかに上回る形で日本の国内に来られるであろう。そのときにそれぞれの地域においてポイントになる、そういった形の一つの象徴的な行事に持っていきたいなと。そして、それが単に京都や東京に集中するだけではなくて、ある程度、列島くまなくとも言いませんけれども、それぞれの拠点地域においてポイントになる一つの目玉になっていってほしいなと願っておるわけでございます。
 外から来るお客さんの数は航空局長から答えさせます。
#124
○政府委員(松尾道彦君) 今、大阪国際空港の利用客で国際線に限って言いますと、年間約五百三十万人御利用いただいております。成田空港では今約二千二百万人の国際線利用になっておりまして、そのうち日本人客が約一千百万程度、おおむね半分でございますので、これが関西新空港ができた場合には大阪の全国際線を関西新空港に乗りかえていただこうと、こう思っておりまして、そうすると今の処理能力が大幅にふえますので、今大阪が約五百万ですから、一千万ぐらいの大台には割合比較的近い将来達するんじゃないかというふうに思っております。
 現在、国際線全利用客は、平成三年の暦年でいきますと約三千四百万人御利用いただいておりますので、その辺の状況から勘案していただければ、確たる数字は今持っておりませんが、そんな利用状況に相なっております。
#125
○矢原秀男君 よくわかりました。
 次に、文化財の保護に関する件でございますけれども、この法律で問題と思われますのは、文化財保護という観点もあろうかと思います。地域伝統芸能や風俗慣習、ほとんど文化財保護法の無形民俗文化財に該当すると思いますけれども、この点についてはどうでございますか。
#126
○説明員(渡邉隆君) この法律案におきます対象でございます「地域伝統芸能等」というものは、「地域の民衆の生活の中で受け継がれ、当該地域の固有の歴史、文化等を色濃く反映した伝統的な芸能及び風俗慣習をいう。」というふうにされております。
 先生御指摘の文化財保護法に規定いたします無形の民俗文化財の定義といたしましては、「衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能」で、「我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの」、こんな定義になっております。したがいまして、地域伝統芸能等のほとんど多くは無形の民俗文化財であります民俗芸能あるいは風俗慣習に該当するというふうに考えております。
#127
○矢原秀男君 ここでは先ほどから質疑が交わされておりますけれども、今度は逆な形の面になるわけですが、文化庁としましてもこういう文化財を保護する責任とかいろんなことがあると思うんですが、国がつくる基本方針、また県がつくる基本計画、これは十分連携が保たれなくてはいけないと思います。そういうような点ほどうなんでしょうかね。
#128
○説明員(渡邉隆君) 私ども文化庁、文部大臣がこの法案の主務大臣として参画をいたしております一つの理由といたしまして、この法案の活用行事の対象でございます地域伝統芸能等が数多く文化財であるということで、その文化財の保存ということはこれまた文化財保護の立場から大変重要であるということ。で参画をいたしているわけでございます。
 したがいまして、今日まで伝承されてまいりましたこういった伝統芸能の特徴等がこのイベント化によって失われるというようなことのないように万全を期していく必要があるということで、今先生も御指摘の国で定めます基本方針あるいは都道府県の段階での基本計画の策定に当たりまして、こういった文化財保存の観点から適切に対応していくということで私どもも都道府県ないし市町村を指導してまいりたいというふうに考えております。
#129
○矢原秀男君 無形民俗文化財の場合の保存とか記録はいろいろあろうかと思いますけれども、こういうような面での財源的な点とか懸念される問題等については、もうこれは完璧と言ってもいいんでしょうかね、今後の保存の形についての財源論。
#130
○説明員(渡邉隆君) 今、先生から財源のお話がございましたが、私どもも従来から無形の民俗文化財の保護を図る観点から、とりあえず国はその中で重要なものを重要無形民俗文化財という形で指定をいたしておりますが、その調査あるいは記録の作成などを行いますとともに、地方公共団体がいわゆる保存のために伝承者養成の事業を活発に行っていただいておるところに対しまして補助をするというような施策を講じているわけでございます。その予算といたしましては、平成四年度で約一億五千万円という予算になっております。
 それからまた、芸術文化振興基金という制度がございまして、こちらの方でも無形の民俗文化財の保存活用事業に対しましても、平成三年度の実績でございますが、約四千万円を支出して助成をいたしております。
 こういった施策を通じまして、今後とも無形の民俗文化財の保存という面については努力をしてまいりたいと思っております。
#131
○矢原秀男君 文化財についてもいろんな分類をされているわけです。文化庁の資料等で「都道府県別重要無形民俗文化財指定一覧」というものを拝見させていただいておりますが、これをざっと見ておりますと、恐らくこの中からいろんなものがやはり各県から出てきて、そして多過ぎるということで整理というような格好になろうかと思います。
 もしそういうふうな形になりますと、私ちょっと懸念をしておりますのは、この各府県の代表的な一覧を今ずっと見ておりますと、地域活性化とかいろんな形になりますけれども、これがやはりどうしても財源面で足りないということで、その地方でいろんな方々に寄附を募っていく形というものがこの種類の中では出てくるのではないかなと思っているんです。もしそういうことになると、これまたいろんな面倒な面が起きてくるかなという、私は過去の状況でずっと見ておりまして、これは実際に体験しておることですけれども、この項目を見ておりますと、恐らくそういう問題が地域別には出てくるなと。出なければ一番いいと思っているんですけれども、そういう懸念についてはどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
#132
○説明員(渡邉隆君) この法案に基づきまして都道府県の段階で基本計画をお立てになるわけでございますが、私どもが指定をさせていただいております重要無形民俗文化財は全国で百五十四件ございます。これがすべてこの法律案の活用行事の対象となる地域伝統芸能等に該当するかどうか。ここは大変、個別具体的な問題についてはまだ今後の実際の運用等を考えてみなければならないわけでございますが、私どもはこういう無形の民俗文化財がやはり公開を一層推進することによりまして、副次的な効果として保存伝承活動を行います保存団体の活性化、組織の活性化というようなことが図られればなお文化財保護の立場からいって望ましいことである、あるいは民俗芸能そのものの。演技力の向上というようなものにつながっていけばさらにいいというふうにも考えているわけでございます。
 先生の御指摘の財源の問題につきましては、実施主体等におきましてどういった形で今後なされていくのかということを私どもも十分見守らせていただいて、都道府県、市町村と協議をしながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
#133
○矢原秀男君 その点はまた各府県ともよくお互いに注意をしていただいて、寄附をするやしないやいろんな問題点の起きないような、本当に気持ちよくこの法案が通って、その目的に沿った遂行ができるような形に努力をしていただきたいと思います。
 この法案についての最後の一点ですけれども、外国人の旅行者、観光ですね。こういう形の中で、先ほども質疑ございましたけれども、通訳の問題というものが出てくるわけですが、やはりこれは世界のいろんな形を見ていると英語だけの通訳というわけにはいかないわけです。また、免許取得ということになれば非常にこれはやはり厳しい状況になります。
 そういうような中で、善意通訳の登録者という。ものが全国的にも非常に多くいらっしゃるわけですが、そういうような方々の活用とかそういうことはどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
#134
○政府委員(大塚秀夫君) 通訳案内業あるいはこの法律に基づく地域伝統芸能等通訳案内業というのは、報酬を受けて業として行うものでございます。それに対して、報酬を受けない善意通訳というものも現在相当数登録されておりまして、その登録というのは、既にそういう活動をしておられない方も多うございますが、一応今全国で三万六千人ぐらいいます。これは英語が圧倒的に多いので、語学によっては数が少ない場合もありますが、このような地域伝統芸能等を活用した行事を行います際には、法律上は通訳案内業法の特例としての認定制度をやっておりますが、法律外として善意通訳等もできるだけ活躍していただきたいと思っているわけでございます。
#135
○矢原秀男君 じゃ、この件につきまして運輸大臣に御答弁をお願いしたいと思います。 確かに、二十一世紀を目指した場合、この観光の振興というものにも地域の活性化、国際化の進展という大きな二本の柱の中で結論的にはゆとりのある国民生活の実現、そして日本の人たちがまた世界の国際貢献という、こういう文化、芸術、伝統を通してやはりお互いがもう国境の垣根を乗り越えて平和のためにやっていかなくちゃいけない大きな使命感というものもあろうかと思うわけです。そういう点で、運輸大臣の決意、抱負を伺ってみたいと思います。
#136
○国務大臣(奥田敬和君) 先生の御指摘のとおり、年々外から入ってくる外客は増大の一途をたどると思います。それと同時に、日本に対する関心が現在のところ経済面に偏り過ぎておりますけれども、やっぱり本当の日本人の心なり風土、慣習から生まれてきた伝統的なものを理解していただく中で、少しでもそういった形が増進されていってほしいと願っております。
 今回こういったひとつのお祭り行事、そういうような伝統的な我々の生活の営みの中から生まれてきた結晶ではありますけれども、それらを中心にしながら観光を担当する我が省も、あるいは地域振興、商工業振興を図る通産、そしてまた自治体全域の活性化を目指す自治省、あるいは我々の長年の文化結晶であるそういったものを管掌される文部省ともども力を合わせて、そういった形で外客にもできるだけ日本人の精神形成の過程の中で結晶されたイベントの中から何とか日本人を理解してほしい、そういった意味合いでお互いの省庁が力を合わせまして、何とか国際交流にも役立つ形で法案の成果を上げてまいりたいと願っております。
 よろしくお願いします。
#137
○矢原秀男君 よろしくお願いいたします。
 ちょっと関連がございますので、数点ほど質問させていただきたいと思います。
 今度の地域伝統芸能法案に関連して、これが充実して非常なやはり人気と興味というものが国民の間に出てまいりますと、やはり旅行、移動と小うものが伴ってくると思うわけでございます。
 まず、身体障害者の方々が旅行される場合、イベント、そしてまた冠婚葬祭等もあろうかと思いますけれども、やはりたちまち、乗車の割引及び建設省の有料道路の利用割引について今後少しはさらに現実より前進するのかという問題が当然起きてくると思うわけでございます。この点、若干質問させていただきたいと思います。
 まず、厚生省にお尋ねいたしますけれども、私も六十二年度身体障害者実態調査結果をいただいておるのでございますが、身障者の方々の全国的な概況分析ですね、おわかりの範囲で結構でございますが、伺っておきたいと思います。
#138
○説明員(松尾武昌君) 身体障害者福祉法の対象となります身体障害者の数でございますが、ちょっと古いんですが、昭和六十二年度に実態調査をしております。平成三年度に調査しておりますが、今集計中でございますので、この六十二年度の数字で申し上げますと、身体障害者の数は全国で二百四十一万三千人でございます。
 このうち、就業している身体障害者の方々は七十万一千人でございます。それから、こういう障害者の方の所得の状況が一つあると思いますが、所得の状況という形ではとらまえておりませんで、課税の状況ということで調査を行っております。これでいきますと、市町村民税の非課税が二一・九%、所得税の非課税が三二・八%でございまして、一般の方々のこういう数字と比べますと若干高くなっていると思います。
 そういう状況でございます。
#139
○矢原秀男君 こういう中で運輸省にお願いをしたいわけでございますけれども、第一種、第二種、こういう形で運賃割引制度というものがあるわけでございますが、まず現況を簡単で結構ですが、お伺いいたしたいと思います。
#140
○政府委員(大塚秀夫君) 身体障害者の方々が社会生活を営む上でその円滑な移動可能性を確保することは重要な課題でございます。
 運輸省では、これらの方々が公共交通機関を利用して移動し、また旅行する際に安全でかつ身体的負担の少ない方法によって公共交通機関を利用できるように身体障害者用施設整備のガイドラインや車両構造に関するモデルデザイン等を作成してその導入を進めてきているところでございます。
 各種交通機関の運賃割引制度につきましては、身体障害者の方々の社会参加を促進する観点から、割引による減収分を一般の利用者の負担により賄うことにより実施されてきたところでございますが、昨年十二月からは新たに精神薄弱者の方々にもその割引制度が適用されているところでございます。
#141
○矢原秀男君 ここでちょっとお尋ねしたいんです。いつも議論にはなるんですけれども、百一キロ以上でないと五〇%の割引が認められておりませんね、現在。それ以内でイベントやいろんなことがあって、やはり近距離の動きというものは非常に大きいと思うんですけれども、これは第一種の場合も単独で百一キロ以上乗車する場合が五〇%引き、普通乗車券ですね。第二種もそうなっていますね。百キロ以内も本当はしてほしいんですが、その点はなぜ許されないんでしょうか、いつも懸案にはなるんですけれども。
#142
○政府委員(井山嗣夫君) 制度の歴史も含めまして、ちょっと御説明させていただきたいと思います。
 当初、身体障害者の方に対する割引制度は昭和二十五年からと聞いておりますが、非常に重症の方、最初は一種の方だけのようでございましたが、常に介護者が一緒にいなければいけない、そうすると常に二人分の運賃を払わなきゃいけない。お一人じゃ動けないので、どうしてもいや応なしにつけるのに二人分というのは気の毒じゃないかということでそれぞれ五割引きにしたということで、合わせて一人分といいましょうかの運賃で乗っていただけるようにした、これが最初のようでございます。
 その後、昭和二十七年と聞いておりますが、それとはちょっと別な観点から、今度は二種の方あるいは一種の方でもいろんな症状によってはひとりでお歩きになれる方がいらっしゃる。その方が例えば旅行するときにやはり少しは割引ができないかという議論が起こりまして、そのときは単独でございますが、そのときに百キロを超えますとかなり運賃負担が高くなる、相当な負担になるので、そこの辺を見て百一キロを超えたら割引を五〇%して差し上げようじゃないか、こういうことで制度ができたと聞いております。
 そのときに一従来から先生よく御存じの学生の割引というのがございますが、これもやはり百キロというところで刻みがあるわけでございます。その他現在では青少年割引というのがございますが、これでもやはり百キロと、そういう横の制度などをにらみまして百キロというのが決まったそうでございます。
 現在時点において、今御質問のその百キロの距離制限という点についてどう考えるかということでございますが、今運輸政策局長からもお話ございましたように、この身体障害者の方の割引というのは、やはり減収分は一般の利用者の方が結果として負担するということになるようでございます。そういたしますと、いわば身体障害者の方の一種の公共政策というんでしょうか、こういうものにつきまして無条件で一般の方の負担でどんどんやっていいんだろうかという疑問がどうしても出てくる、これは別の意味の政策が必要なんじゃないかと、こういう議論もあるわけでございます。
 そういう意味で、前からいろいろの場で議論がございますけれども、これは具体的には鉄道事業者の決意の問題ではございますけれども鉄道事業者の方では今JRの場合百キロ・というのが大体運賃にしますと千八百円ぐらいと聞いておりますが、そこら辺ぐらいまでの御負担は何とかしていただけるんじゃないかということで、今のところこれをすぐ緩めるということはなかなか難しいなと、それだけ事業者にとってはかなりの減収になるという要素でございますので、私どももかなり無理は言いにくいなという感じは持っておりますが、事業者の方も今のところはちょっともう少し待っていただきたいという感じでございます。
#143
○矢原秀男君 今交通機能が、鉄道の場合でも普通列車というのは非常に少なくなって、また新幹線であるとか特急とかいろんなものがどんどんふえているわけですね。そういうふうな場合、やはり障害者の方から見ると非常に新幹線とか特急ですね、そういうものの割引も欲しいなというささやかな願いもあるんですが、今御答弁を伺っておると、この減収額については結局健常者の方々が全部負担をしなくちゃいけないんだという、今の御答弁を私はそう解釈したんですが、そうなると僕も言いにくいわけですわ。
 利用されている皆さんに方に障害者の方のじゃ負担を全部しなさい、そういうふうなことになると、これはそういう一面もあるでしょうけれども、しかしこれは運輸大臣に御答弁お願いしたいと思うんですが、やはり社会的に恵まれない方々に対して政策的に一つでも二つでも前進をするというのは、今からの福祉社会の、先進諸国のこれは当然モデルケースにならなくちゃいけないし、そういう恵まれない方々に対して政策的に一歩前進する形をさらにやらなくちゃいけないと私は思うわけです。
 だから、現行でもう事足れりだというふうなことではなくして、やっぱり一歩でも政策的には前向きでいっておりますという、そういう真心の姿勢というものがさらに必要ではないかなと思うんです。将来方向をにらんで日本の長寿社会という観点の中で、また障害者の皆様にまずどうしたらいいのかという問題点も現行だけにやはりとどまらないと思うんですけれども、その点、運輸大臣、いかがでございますか。
#144
○国務大臣(奥田敬和君) 先生方の身障者に対する福祉施策、これは一歩ずつ前進していっておることは御了承いただけると思います。
 私も、常々各公共交通機関経営者を含めてよく言っていることでありますけれども、身障者に「やさしい」公共交通機関、こういったことで運賃割引も含めて施設の改善等に対しても厳しく命じておるところであります。負担軽減に関しましても徐々に広めていっております。先生の言われる、一挙にそういった形で新しい経営者の体質といいますか、こういった形の改善を目指すのは私の仕事であろうかと思いますけれども、今百一キロ未満という例を挙げられました。それらに関しましてもできるだけ早い時期に拡大されて、それが実現されるような方向で措置するように話してまいりたいと思っております。
#145
○矢原秀男君 よろしくお願いしたいと思います。
 最後の一点になりました。建設省から来ていただいておりますので、有料道路利用における身障者割引ですね、建設省の制度の概要等についての資料はもう私もいただいておりますのでわかっておりますが、今後、現行からどういうふうな形をにらみ、計画していらっしゃるのか伺って、質問を終わりたいと思います。
#146
○説明員(佐藤信彦君) 先生御指摘の有料道路の割引制度の拡充についていかがかという御質問がと思いますが、これにつきましては利用者の負担によりまして有料道路も現在行われているわけでございます。
 そういったことで、そういったものの割引の拡大につきましては、そういったものの範囲がどういうところまでが適切であるか、それから利用目的がどういうところまでかといったような問題がございます。そういった問題がございますので、関係方面からの御指摘とか御意見について、いろいろこれまでも十分に受けとめさせていただいているところでございます。
 本年一月に建設大臣から道路審議会に対しまして「今後の有料道路制度のあり方について」という諮問がございまして、その審議の一環としてこの問題について検討をお願いしてきております。それで、その答申を去る六月十五日にいただいております。今後この答申の方向でいろいろ検討していけというような方向でございますので、この答申の基本的な方向を踏まえまして、今後関係省庁、それから私どもの公団とか公社等、関係諸機関などとの調整を行いながら、いろいろな視点からなお一層検討していきたいというふうに考えているところでございます。
#147
○矢原秀男君 建設省から今御答弁伺いましたが、運輸大臣からもお話ございましたように、建設省としても障害者の方々の適用範囲と、そしてまた将来、現行だけということではなくして、やはり前向きに障害者の皆さんに対する幾つもの課題を常に検討していただきながら、少しでも割引制度というものが広く行き渡るようにお願いをしたいと思います。
 終わります。
#148
○吉田之久君 地域伝統芸能等を活用して観光及び地域商工業の振興を図ろうというこのたびの法案でございますけれども、私は、ようやく日本もここまで余裕を持つ国家になったのかと大変うれしい思いでこの法案を眺めている一人ではございます。しかし、それだけに我が国の国際観光事業振興の今日的目的は何であるかというあたりをよほどはっきり確認しませんと、せっかくの法案がその処方を間違っては大変だと思うわけでございます。
 私の考えでは、戦後まだ貧しかった時代の日本と、現在のように貿易黒字、経常黒字で世界からとやかく言われるようになった日本の立場とでは観光行政においてもかなり発想を変えるべきときに来ていると思うわけなんでございますが、この点について大臣初め皆さん方はいかがお考えでございましょうか。
#149
○政府委員(大塚秀夫君) 今日本には年間外国から三百五十万人を超える観光客が来日しておりますし、またその方々も最近の発展する日本経済、日本社会の中で観光目的も変わりつつございます。
 特に、従来と比べて、地方で本当の日本人の姿、日本人の生活あるいは日本人の文化を見たいというような需要もふえておりまして、私どももそういった地方の国際化時代にふさわしい観光行政を展開しなければならないと考えており、地方で行われます観光立県推進会議においてもそのような国際化時代における観光について地域ごとにいろいろ対策を検討しているところでございます。
#150
○吉田之久君 局長おっしゃるとおり、まさに日本のすべての地方で行われている日本人の独特の文化あるいはお祭りなど、そういうものを詳しく広く諸外国の人たちに知ってもらおう、そのことによって本当に国際的な連帯を保とうという時代に入ってきたと思うんです。
 そこで、私どもが考えますと、あの戦後まさに乏しかったころは何とかして少しの外貨でも稼ごうと、そんなことに憂き身をやつした戦後の観光時代もあったと思うのでございますが、これからは相互の理解増進のための観光、言うならばいわゆる庶民レベルでの観光客に日本をよく知ってもらうこと、それに重点が置かれなければならない時代に入ったと思うんですね。
 そういうことでは、さきに国際観光ホテル整備法が一部改正されましたが、さらに今ビジネスホテルクラス以下のいわゆるジャパニーズインと呼ばれる手軽なアドホームな宿泊施設を一層広げる必要に迫られていると思うんです。外国人向けの民宿とかあるいはボランタリーなホームステイを受け入れる家屋などを増加、充実させることは、このいわゆるお祭り法案の実効ある推進の一翼としても大変重要な部分だと思うんでございますが、この点はいかがお考えでございましょうか。
#151
○政府委員(大塚秀夫君) 国際観光ホテル整備法を御審議いただいた際にも御指摘いただきましたが、国際観光ホテル整備法で登録対象となっているようなホテル、旅館のほかにも、さらに低廉なジャパニーズイングループのホテル、旅館のような形態のもの、私ども、観光が多様化している中で、特に国際観光客が日本の物価が高い、できるだけ安く旅行したいというニーズも高まっておりますので、今後そのような低廉なホテル、旅館もできるだけ整備していく必要があると考えております。
 そのためには、国民金融公庫、中小公庫等の融資のあっせんのほかに、このような旅館やホテルがあることを来日客に知っていただくための情報提供も必要になると考えており、国際観光振興会の関係団体の国際観光サービスセンターでそのような旅館、ホテルについて外国の方に必要な情報を提供しておりますが、この内容についてさらに今後充実強化していきたいと考えております。
 特に、今回の法律によりまして地域の伝統芸能等を見るということで地方へ行かれる外人客の方々の宿泊についても、今後きめ細かく考えていく必要があると思っております。
#152
○吉田之久君 今も局長お答えのとおり、できるだけ地方に外国の人たちが極めてアトホームな思いで旅できるようなそういう万般の体制を整えてあげませんと、せっかくこの法律ができても実際にはなかなか外国の人たちのために計画どおり機能しない法律になるおそれがあると思いますので、その点を特に御留意をいただきたいと思います。
 それから、既に大都市や主要観光地では確かに観光バスあるいは観光タクシーなどの交通機関がかなり整備いたしております。それから、観光ホテル、ビジネスホテルなどの宿泊施設もほぼ十分に用意されていると思います。また、観光客相手のお店もかなり整っておるように思います。ガイ下や通訳もそれなりに配置されている現状にあると思います。商工会や観光協会あるいは地方自治体も積極的に協力している現状にあります。
 問題は、もっとローカルな地域で郷土の伝統的民俗芸能を受け継ぎ、継承させようと懸命に苦労している人たちをどう守り、励ましていくかということが一番大事なポイントになってきたと思うんです。そういう点につきましてただいま現在政府がお考えになっております対応策、そのアウトラインをお示しいただければありがたいと思います。
#153
○説明員(渡邉隆君) この法律案の活用行事の対象でございます地域伝統芸能等はかなりの部分が無形の民俗文化財に該当すると思っております。無形の民俗文化財の保存に当たりましては、ただいま先生御指摘のような観点から特に伝承者の養成事業というものに重点を置いて都道府県や市町村が行っております事業に対する補助というものを従来から行っているところでございます。
 具体的には、地域の住民が参加される伝承教室ですとか講習会の開催あるいは現地公開とか民俗芸能大会などの開催、そういったもの。あるいはパンフレットの作成でありますとか住民への周知事業でありますとかいろんな記録を作成するというようなことも含めまして、現在平成四年度予算では約一億五千万円の予算を計上して取り組んでいるところでございます。
 特に、御指摘のございました少人数で保存に当たっておられるという場合につきましても、例えば今の例で申しますと、地域の公民館などで土地の古老の方々を講師とされて伝承教室を開催したりあるいは小学校のグラウンドで発表会を開催される、大変きめ細かな伝承者養成事業というものが行われているものについて積極的に国庫補助を行っているわけでございます。また、これ以外にも芸術文化振興基金の方でも無形の民俗文化財の保存活動事業に対して助成をいたしておりまして、平成三年度は約四千万円を支出しているわけでございます。
 こういう非常に少人数で行っておられるものについては私どもも大変大事であるというふうに考えておりますし、この法律案によりまして民俗芸能の実演の機会というものがふえることによりまして、副次的な効果といたしまして保存伝承活動を行う保存会といいますか保存団体、そういったものの組織の活性化あるいはその民俗芸能の演技力の向上というようなものが図られて、民俗芸能が将来にわたって伝承されていくということに資するのではないかというふうに考えているわけでございます。また、国民の民俗芸能に対します関心も深められて、正しい知識も身につけていただくというようなことになるということも私ども期待をしているわけでございます。
#154
○吉田之久君 既に伝承されておる民俗芸能に対して文部省の方もかなり深い理解を示されているようでございまして、記録作成というとビデオをつくったり本をつくったりされることだと思うんですが、一億五千万円の予算をお組みになっておる。それはそれで結構ですが、肝心のその保存会への助成をどうするか。四千万円という金が多い少ないは別としまして、余りにもその対象となるべき保存会が、この法律ができていろいろとその対象を認定していけばかなりの数になると思うのでございますね。何千、何万になると思うんですね。そうすると、そういう保存会に対する助成額というのは一つ一つでは本当に少ない額になりはしないかという点がかなり心配なのでございます。
   〔資料配付〕
#155
○吉田之久君 そういう意味で、ちょっとお手元に配付いたしました横須賀市の場合の「民俗芸能保存協会加盟団体」という表をちょっとごらんいただければありがたいと思うのでございますが、これは私の友人が調べてくれた一つの例でございます。十グループが民俗芸能保存協会に参加して頑張っておるようでございます、横須賀市の場合ですね。
 例えば、戸数百戸程度の太田和上の里で古くから伝わる民俗芸能を保存するのはなかなか大変のようでございます。費用は毎月町内会費と一緒に一世帯五十円ずついただいている模様でございます。そのほか春の祭礼に合計約十万程度、秋祭りには合計約三十万ないし四十万程度の祝儀が届けられているそうではございます。しかし、ちょうちんが破損ずれば一個六千円かかる、幕を新調すると十万ないし十五万円かかる、太鼓の張りかえも大太鼓では一個十五万円、小太鼓で一個十万円、これは昭和五十八年の実績だそうでありますが。獅子頭の漆の塗りかえも七万ないし十五万円程度かかるようでございます。だから、町内の大工さんが奉仕で練習用の獅子頭をつくっているという涙ぐましい努力もしているようでございます。
 また、横須賀では浦賀虎踊りというのがあるそうですが、これは神奈川県の無形文化財に指定されております。それから、鴨居とっぴきぴーと申しますお祭りと長井町の飴屋踊りという、この二つは横須賀市の無形文化財に指定されているそうでございます。
 このように無形文化財に指定されますと、市外とかあるいは県外からもお呼びがかかるようでありまして、それはそれで非常に結構なことなんでございますけれども、この保存会に入っている人たち、その多くはサラリーマンでありまして、それぞれ仕事を持っています。そういう会社勤めの人たちはなかなか時間をとることも容易ではございません。だとするならば、他の市町村とお互いに共演するというような形をとって互いの町の活性化を図るということもこれからの一つの知恵ではないかというふうに思うんです。また、商店街の活性化に結びつくところは受益者負担等でイベントを組む方法は大いにあると思うのでございます。
 しかし、純粋に伝統的民俗芸能を守っているという保存会では、よほど文化庁あたりが積極的に協力してやらないと、こうした民俗芸能保存のバランスがだんだんとれなくなるんじゃないかというふうな気がするわけでございますが、こうした点につきましてお考えを承りたいと思います。
#156
○説明員(渡邉隆君) 無形の民俗文化財の中で特に重要なものを国の方で重要無形民俗文化財に指定いたしております。これが現在百五十四件ありまして、そのほか、今先生御指摘ございましたように、それぞれの都道府県、それぞれの市町村で独自に文化財保護条例をおつくりいただきまして、それぞれの観点から守っていこうとする無形民俗文化財を指定しております。現在、都道府県が指定しておりますのが千三百五十件であります。それから、市町村が指定しているのが四千百四十一件ございます。国のものと合わせまして五千六百件余りがいわゆる無形の民俗文化財として指定をされ、保存の対象になっているということでございます。
 先ほど御答弁させていただきましたように、国の施策として予算としては一億五千万円、それから芸術文化振興基金で約四千万円ということで、現在は二億円足らずでございますが、さらにこういった施策の充実ということにも努めていくと同時に、今御審議いただいております法律の中で実施主体の積極的な運用というものが図られて、保存会を中心にこういった民俗芸能の振興というようなものも図られれば、文化財保護の観点からいっても大変望ましいものであるというふうに我々は考えているわけでございまして、いろんな面で多角的にこれから我々も努力をしていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
#157
○吉田之久君 今お話しのとおり、全国で国や県、市町村が指定しております保存会は約五千件と承りましたが、今度の法律ができますと、さらに指定してほしいという要請が一挙にふえてくるんじゃないかと思うのでございます。そういたしますと、先ほども申しましたが、四千万程度の助成金では各保存会一万円か五千円程度になってしまうと、単純平均いたしましたら。これでは、先ほど言いましたような並み並みならぬ苦労をして民俗芸能を守っている人たちに対しては余りにも少額な援助になりますね。とてもとてもこれでは、国が新たな法律をつくって民俗芸能を守っていこうというようなかけ声は立派でありましても実質が伴わない、かえってそういう関係者ががっかりするんじゃないかというふうな心配をするわけでございます。
 もしこの法律ができまして、全国のそういう大小さまざまの保存会が、じゃ我々もその指定を受けたいといってみんな手を挙げた場合にどのようにセレクトしていくのか、最大の上限をどのくらいの数に置こうとするのか、何か計画はございますか。
#158
○説明員(渡邉隆君) 今御指摘のどれくらいの数になるかということでございますが、この法律案が施行されまして国が基本方針を定め、都道府県が基本計画を一つの指針として定め、そういったものを各市町村、それからそれぞれの民俗芸能の団体の方がごらんになってそれで進められていくものだと思っております。したがいまして、現在のところどれぐらいの数であるかというのは私どもも十分承知はいたしておりません。
 ただ、先ほどの、いわゆるこの法律案の中でも、例えば第七条で「国等の援助等」というようなところがございまして、この活用行事を実施する主体に対しましていろんな指導、助言を行うとかあるいは支援事業実施機関というものが今度設けられまして、その中で「活用行事等の実施に関し必要な助言、指導、資金の支給その他の援助」というようなものがございますので、私ども従来から進めております文化庁の施策とあわせまして、少しずつではありますが、各地で熱心にやっておられます民俗芸能の保存、振興というものに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#159
○吉田之久君 ちょっと場所を変えまして、私の地元奈良県で恐縮でございますが、ここにお配り申し上げました一覧表があります。奈良県は古いところでございまして、そういうお祭りや行事のメッカみたいなところでございますが、ずらっと主なものを見ただけでもこの程度ございます。
 さて、例えばこの一番上の大神神社の繞道祭でございますが、一月元旦の午前零時に神官が火打ち石で火をつけて、それをたいまつに移して、下に全部ともしびをともして、それから大きな薪に火をつけて、参拝者はその火をかぶって厄払いをする、その火をもらって家へ帰って雑煮を炊くというような行事。これは日本の古来から随所に見られる一つのお祭りだと思うのでございますが、そういうものがございます。あるいは、よくテレビ等でごらんの若草山焼きというようなものも一月十五日にはあります。なかなかの圧巻でございます。
 それから、二月には春日大社の万燈籠がございまして、実に華麗なものでございます。それから、これは全国各地でこの時期にあると思うのでございますが、例えば二月の六日、大神神社のおんだ祭というようなのがございまして、拝殿の中で木でつくった馬形で田んぼをすくというような古色蒼然たる行事をやるお祭りもございます。
 それから、四月ごろになりますと、西大寺の大茶盛という、大きなお茶わんで茶をいただく行事とか、あるいは五月には実に古典的な薪御能がございます。
 あるいは、八月に入りますと、剣豪の里大柳生で太鼓踊りというのがあります。こういう種類のものも全国に随分あると思うのでございますね。
 それから最後、十二月の中ごろには、古代絵巻を見るがごとき思いの春日若宮おんまつりというのがあるわけでございます。
 まあ、一つの県で代表的な行事をとらえましてもこの程度あります。だから、日本全体では大変な数になると思うのでございます。これらが全部今度の法律の適用を受けて何らかひとつ振興の機会を一層高めようというような動きが出てまいりましたら、一体どうセレクトするのか大変だと思うのでございます。ローカルな保存会で篤志家が懸命に犠牲的に守っている、そういう民俗芸能があります。それから、かなり大々的に時代とともに栄えてきた大きなお祭りもあります。大小さまざまのどれを適用とし、どれを対象としてこの法律に基づいていろんな行政を行おうとするのか、その辺が私どもには杳として不明なんです。
 かけ声はわかるんです。意図はわかるんですけれども、その辺やっぱり法律ができそうな段階で大体のめどやガイドラインをお持ちになっていないと、かえって法律ができたって地方は手を挙げるところ挙げないところ、ばらつきがいよいよひどくなってもいけませんし、余り一斉に全部手を挙げてきたら今度は国の方が対応に困るんじゃないかと思うのでございます。余計な心配かもしれませんが、大臣いかがでございましょうか。
#160
○国務大臣(奥田敬和君) ちょっとこの法律の名前に、自分がお願いしていてけちをつけるのはあれですけれども、余り伝統芸能という形ばかりに視点を置くと今の先生のようないろいろな問題点が出てくると思うんですけれども、外国の人たちも含めて日本の伝統文化、行事を理解することによって日本のルーツを理解してほしい、それが願いであります。
 まず、にぎわいを創出していく、そのイベントによって。そして、じゃその柱になるのは何だというと伝統芸能、日本の長年の生活と風俗、風土の中から生まれてきた伝統の何かが中心の柱にならなきゃならぬ。そして、その両翼には特産物の振興、商工会の整備、いろいろな付随的には町、ふるさとおこしのあれにもなるだろうし、他方、内外のお客さんに新しいイベントを理解してもらうという形にもなっていくだろう。いろいろなことからまずにぎわいを創出していって地域活性化に持っていくときの柱にこの行事を持っていこうということなんで、今先生の言われた、例えば奈良県の場合なんかは言われたとおり文化のメッカであり、やっていることの行事がもう全部伝統行事と言われる。だけれども、その中の一つをとって、それじゃこれをやるかというと、それでは奈良の場合なんかはもう年じゅう全国にPRされている行事がいっぱいある中でどれを選ぶかといったら、これは恐らく奈良の知事さんでも大変だと思うんです。
 だから、それはもう、例えば古代の奈良というような一つのイベントを設定する形の中で、それぞれ各個ばらばらに何日何日とやっている形を、それじゃ仮に秋口十日間なら十日間、奈良の里のイベントがあると。そして、外国にもPRし、外国人もその行事を理解するときにこういった通訳案内の人たちも役に立ち、国内からもその時期をねらって、いわゆる奈良の伝統行事も含めてそういった文化理解、文化交流というものが一遍で図れるというような方向に持っていきたいなとは思っておるんです。
 ですけれども、全国でも恐らく各県から出てくると思うんです。テストでやるのはやっぱり十カ所なら十カ所の指定をして、ことしの国体開催地じゃないけれども、ことしの日本のこの行事の箇所はここですと、何月はここ、何月はここというやっぱりそういった特色のある形で、それもそこに固定したものじゃなくて、毎年それを掘り起こしていって、そのためには各県からのそういった事業計画に基づいた形を五省庁のそういった人たちで知恵を合わせながら、自分の応援する分担はどうだという形の中でそういう方向に持っていきたいんです。
 だから、そんな細かいものを全部引き受けていたら、とてもそれは伝統無形文化としてもうとこしえに守っていかなきゃいかぬ形は、これは本来文化庁にお任せしなきゃいかぬことだけれども、今度のイベントは余り伝統と文化ばかりに集中していると、ちょっとこの法案は、じゃにぎわい創出が元ならそんな伝統なんという名前を頭にぼんとぶつけるのはおかしいじゃないかというような御意見も出てくるわけです。しかし、それはあくまでも骨格、柱にしながらやっていこうということなんですけれども、ちょっと御理解をしてもらえぬでしょうかね。
#161
○吉田之久君 今の大臣のお話で私はかなり理解が進みました。
 この法案は一つのジレンマを持っていると思うんです。今私が申しました、大臣がお答えになりましたように、もう既に完全にでき上がっている祭りやイベントがあるんですよね。それは、それだけでも既に過去何百年続いてきたんだから、今後続く能力を持っているわけなんです。本当は、見捨てられた滅び行く無形文化財、本当の伝統的な民俗芸能をどう守ってやるかという、むしろ本来文化庁の仕事があるんですね。
 しかし、そればかりやるなら、これは文化庁だけでいいわけなんですよ。五省共管で運輸大臣が中心になってやられようとするのは、それも守り育てながら、かつ既にでき上がっているお祭りもうまく活用しながら、かつ今日の日本がお祭りで外国人を呼んでもうけようと思うだけではなしに、むしろいかに世界の人たちが日本に親しみ、日本古来の文化、伝統を知り、日本人の心を知る、それがねらいなんでしょう。
 そうすると、でき上がっているイベントを利用しながら、まず諸外国から人を集めて、かつは本当にわかってくれる人たちにそういうまだ十分披露されてない本当の文化、芸能的なものも見せる努力をする、こういうなかなか難しい法律だと思うんです。しかし、そういう法律にそろそろ日本も真剣に取り組んでいかなきゃならぬ時代に入っているということだけは我々はわかるわけなんですね。
 だから一私が申し上げたいのは、まさに今大臣がおっしゃったとおり、何でもいいから希望者全部手を挙げろでは収拾がつかなくなります。だから、むしろ政府の方からまず試みに、一つの試行錯誤かもしれぬけれども、こういう固定的なものをこの県で一つ二つ出してくれたらどうか、あるいはもう少し多彩な行事的な、外人客も喜びそうなやつを一つ二つテストに挙げてみてはどうか。そういうものをいろいろ繰り広げながら、一たん決めたから五年も十年も必ずそれを指定し続けるというのじゃなしに、終わればまた一つのローテーションを持っていくとかそういう知恵を出さないと、せっかくこの法律ができたってそれこそ一時のお祭り騒ぎに終わると。みんな五省が一緒にみこしを担いだけれども、そのうちにくたびれたといってほうりつ放されたんじゃ、これはかえって国民や関係者が迷惑すると思うのでございますね。
 通訳の問題等も、この時代に来ていろいろとさらにすそ野を広げていこう、大変いい試みだと思います。幾ら英語ができたって、その辺の歴史や伝承を知らない人では困るわけでございまして、だから学校の先生なんかでそういうことに詳しい人で、そんなに上級の英語に堪能でなくとも観光客に対して一応の満足を与えるような通訳のすそ野を広く広げていく、そういうことは非常に立派なことだと思うわけでございます。
 時間も参ったようでございますが、自治大臣の経験もある運輸大臣でいらっしゃいますし、本当にかけ声倒れにならないようにみんながひとつやろうじゃないか、そんな思いで大いに大臣みずからリーダーシップをとっていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#162
○寺崎昭久君 この法案が活用行事の対象として予定している内容というのは、地域伝統文化や風俗慣習にかかわるものでありますが、言うまでもなく、宗教とかあるいは男女関係、地域の特殊性、歴史、そうしたものを反映した行事が少なくないであろうと思われます。それだけに、日本人の我々にとっても今日の目から見るとすべてが首肯できるようなものではないように思いますし、またそれを外国人に理解させようとすると大変理一解が困難だったり、場合によっては誤解を与えかねない、そうした伝統芸能もあるのではないか、そのように懸念しているわけでありますけれども、運輸省は何をもってこの活用行事にふさわしい伝統芸能等であると判断をされようとしているのか、この辺の見解をお伺いいたします。
#163
○政府委員(大塚秀夫君) 地域伝統芸能等につきましては法律に定義があるとおりでございますが、今先生御指摘のように、外人の目から見て奇異に映るもの、かえって国際理解の上でマイナスになるようなもの、具体的に取り上げていきますといろいろ問題が生ずると思います。
 こういう点については都道府県が第一義的に判断するわけで、またその際に教育委員会等にも協議する過程で取捨選択されていくと思いますが、私ども運輸省としましても国際観光行政を担う立場から、常識的に問題があるようなものは協議の段階で対象としないようにケース・バイ・ケースで慎重に取り扱っていきたいと思います。
#164
○寺崎昭久君 政府が活用行事として認定することは、結果として認定することはある種の格付にならないだろうか、またそのことが国民の倫理観だとか価値観を誘導することにならないだろうかというようなことも懸念されるわけです。歴史的な建造物だとかあるいは構築物、遺跡、そういったものを保護する場合とは違いまして、その目的が何であれ、精神文化の領域に国が踏み込むというのはかなり慎重でなければいけないんではないか、そのように私は思っているんですが、この問題に関して運輸省の御認識を伺いたいと思います。
#165
○政府委員(大塚秀夫君) 先ほど大臣のお話にもありましたように、法律の題名が「地域伝統芸能等」とまず出ておりますので、大変そういう問題からのアプローチもあろうかと思いますが、私どもの理解としましては、本来保存すべき地域伝統芸能、つまり無形民俗文化財、これは文化財保護法上の問題であると考えております。文化財保護法上で指定するかどうかという格付はあると思いますが、これは直接この法律と関係がございません。
 この法律上は、地域伝統芸能や風俗、慣習を活用したイベントそのもの、イベントとして観光振興や地域商工業の振興に役立つものという観点から選定いたしますので、イベントでにぎわいが生じましても、それによってそのイベントの中で公開されたり実施されたりします地域伝統芸能の格付が行われるとは私ども考えておりませんし、そのようなことのないように指導していきたいと思います。
   〔委員長退席、理事櫻井規順君着席〕
#166
○寺崎昭久君 今でも町を歩きますと、何とか省公認とかそういう看板を掲げているところが結構少なくないわけです。こういう活用行事が実施されますと、あるいはそういう文字が入ってくるんではないかというような懸念もあるものですからちょっと申し上げました。
 それから、法案全体は今お話ございましたように、伝統芸能のイベント化を確実効果的に行う、よってもって商工業、観光の振興を図るというのが目的だと思いますけれども、その場合に私は二つ疑問というか懸念があるわけです。
 先ほどもちょっと触れましたけれども、一つは地域の楽しみあるいは自然発生的にできた芸能というのをイベント化、ショー化することによって、本来持っていた意味合いとかあるいは形式だとかというものが破壊されるんではないだろうかということが一つ。それから、余り行き過ぎたイベント化、ショー化をしたものを例えば外国人に見せるとかえって誤解を与えるんではないか、日本文化というのはこういうものかというような間違ったイメージを植えつけることにならないかという懸念をしているわけであります。
 この伝統文化のショー化、それが伝統文化そのものを破壊しないだろうかという懸念あるいは外国人に誤解を与えないだろうかということについてもう一度お尋ねいたします。
#167
○政府委員(大塚秀夫君) 地域伝統芸能等を活用するに当たりまして、もともとの地域伝統芸能等の文化財としての価値が変質しないように十分配慮しなければならないことは申すまでもございません。
   〔理事櫻井規順君退席、委員長着席〕
 このため、地域伝統芸能等の文化財としての保存については基本方針において文化財保護のあり方を示すとともに、基本方針に則して都道府県が作成する基本計画の中で文化財の保存に関する事項を定め、かつ基本計画の協議に当たっては文部大臣が文化財の保存が適切に図られるか否かを判断するものとしており、文化財の保存に万全を期することとしているわけでございます。
 もちろん、伝統芸能と申しましても時代とともに変遷するものもございますが、それはあくまでも伝統芸能の実施者、実演者、それが内からほとばしる改革を具体化することによって変質する場合であって、このようなイベント化によって伝統芸能がショー化するというようなことは厳に慎む必要があると私どもも考えているわけでございます。
#168
○寺崎昭久君 今、重要無形民俗文化財指定制度に係る話がございましたが、この活用行事と無形文化財指定の対象とでは重なる部分も出てくるんでしょうか。こないのか。それから、無形文化財にもこの法律でいう支援措置等が適用されるケースが生じるのかどうか伺います。
#169
○政府委員(大塚秀夫君) 今回の伝統芸能あるいは伝統的な風俗慣習の相当部分は文化財保護法にいいます無形文化財として指定されたものになろうと思われますが、ただこれは法律上の定義も違いますし、私どもとしては民俗文化財に準ずるものも対象になるのではないかと考えています。
 一例を挙げますと、文化財の場合には最低三代九十年度程度の継承が必要だとされているようでございますが、私どもの法律の場合は、その目的、趣旨から見てもう少し短くても、今後地域の民衆の間で受け継がれるようなものであれば対象にできるのではないか。
 例えば、戦前にできましたような民謡でも既に現在では随分昔から受け継がれてきた伝統的な民謡だと理解されている地方もあるようでございますから、そういう点で違いがあろうと思いますし、また文化財保護法上の指定というのはそれ相応の必要な手続があり、十分な調査が前提となりますが、そういう調査がまだ行われていなくて指定されていないけれども価値のあるものもあるわけで、そういうものを私どもの法律では配慮する必要がある。それから、同一地域で同種の芸能が複数ある場合にその一つだけを民俗文化財として指定する場合がございますけれども、そういう場合に私どもの法律は、他の指定されていない同種のものを対象としないという必要はないので、取り上げてもいいんじゃないか。そういうように、必ずしも民俗文化財と一致しているとは考えていません。
 それから、重要無形文化財に指定されます場合に助成措置があるようでございますが、これはあくまでも文化財保護法上の保存のための助成措置でございます。私どもの支援措置というのは地域伝統芸能等を活用した行事を実施していくための支援措置で、観光や特定地域商工業の振興を図ることを目的としておりますので、それぞれ趣旨が違うと理解しています。
#170
○寺崎昭久君 法案の第四条第四項に、基本計画の設定、改廃を主務大臣との協議事項としております。この種の地域伝統芸能等の性格を考えますと、主務大臣が基本方針を示す程度で、あとそれを守ってやってもらえば、例えば都道府県に任せてもいいんではないかと思えるわけですが、なぜ基本計画の設定、改廃を主務大臣との協議事項にされたのか伺います。
#171
○政府委員(大塚秀夫君) 先生御指摘のように、地域に根差した伝統芸能等を活用した行事についてはできるだけ地域の自主性を重んずる必要があると考え、基本計画を策定するのは都道府県であり、国が認可するとか認定するのではなしに協議ということにとどめております。
 協議が必要なことは、協議を受けてその内容について、先ほども申し上げましたように、国際観光上適切かどうかというような判断もしなければなりませんし、またその中で都道府県レベルを超えたような観光宣伝その他が必要かどうか、そういうことを総合的に判断しまして、国としても直接的に援助のためのいろいろな措置を講ずる。あるいは、これからつくることを予定しております支援事業実施機関によっていろいろな支援措置をやっていく、そういう判断のもとになる協議だと考えております。
#172
○寺崎昭久君 余り協議を徹底的にやりますと画一性を招くのじゃないかという心配と、協議のために陳情回数がふえるんじゃないかと懸念してこんなことを申し上げたようなわけでございます。
 それから、通訳業に関してお尋ねいたします。
 地域伝統芸能等通訳案内業、この資格は運輸省が認定することになっております。この法律案ではそうなっております。一方、通訳案内業の免許証は都道府県知事が交付するということになっておりますが、なぜこれは、今度の地域伝統芸能等通訳案内業の資格は運輸省、運輸大臣の管轄になったんでしょうか。
#173
○政府委員(大塚秀夫君) 本来の通訳ガイドにつきましては、国、現在は代行機関として国際観光振興会がやっておりますが、その試験を受けた者の中からそれを業としてやっていく者が都道府県に免許を申請して免許を受けるわけでございます。
 現在、全体で免許を受けた者が四千三百人ぐらいいるわけでございますが、今回の地域伝統芸能等通訳案内業というのは通訳案内業法の特例として行います。これは本来の通訳案内業ほどの数になりませんし試験も簡単でございますので、試験業務と認定業務を一体化した方が行政簡素化になるんじゃないか、試験をやった上に改めて免許を都道府県にやればかえって行政手続が煩雑になる、そういう判断のもとに一体的に指定認定機関にやらせることにしたわけでございます。
#174
○寺崎昭久君 多分、通訳案内業の方が英語なら英語のレベルは高いのかなと思います。ということを考えますと、今回新しく設けるこの通訳業については今までの通訳案内業法に等級をつけるとか設けるとかいうことによってもできたんではないかと思いますが、改めてこの法案の中に盛り込んだのはどういう理由でしょうか。
#175
○政府委員(大塚秀夫君) 通訳案内業に比べまして、その業務の実施についての地域、期間、対象等が限定されておりますのでこの法律で特例を設けたわけでございまして、本来の通訳案内業法の中でのランクづけというよりは全く別な特例という方が一般の通訳案内業の免許を受けた方にもわかりやすいし、理解されるのではないかというような法制的な判断をしておるわけであります。
#176
○寺崎昭久君 先ほど免許についての一元化というようなお話もございましたが、通訳免許の場合には国際観光振興会が行うということになっておりますね。今回、認定の場合には指定認定機関が代行するというようになっておりますが、この国際観光振興会が認定をやってもいいんではないかと思いますが、やらない理由は何でしょうか。
#177
○政府委員(大塚秀夫君) 確かに、私どもも法律をつくる段階で国際観光振興会でやらせるかどうかというようなことも検討したのでございますが、特に今回の認定通訳案内業につきましては地域伝統芸能についての理解ということが大きな要素になりますので、こういった地域伝統芸能等のノウハウを持った団体がいいんじゃないか。この法律に基づいて支援事業実施機関というものが、これは新たにこれからつくることを予定しておりますが、九条に業務目的が書いてございますように、地方から地域伝統芸能についての情報を収集して、そういうノウハウを蓄積していく機関でございます。
 したがって、当然そういう機関には地域伝統芸能の学識を持ったような職員もおります。で、このような機関がさらにそれに適した学者等を委嘱して試験をやり、認定を行うのがより適当じゃないかという判断のもとにこのような制度にさせていただきました。
#178
○寺崎昭久君 そうしますと、この指定認定機関というのは一つなのか複数なのか、これが一つ。それから、具体的にどういう団体を言われているのか御説明いただきたいと思います。
#179
○政府委員(大塚秀夫君) この九条の支援事業実施機関というのは必ずしも一つじゃなしに、この業務を行うような団体があれば複数の場合も考えられますが、現在この業務すべてを行う団体というのはないと考えております。
 そこで、私ども通産省と協力して、この法律ができましたらできるだけ早く民間の資金の拠出を仰いで伝統芸能等活用センターというような名称の団体、九条の支援事業実施機関をつくる予定でございますが、この新たにつくります公益法人を同時に指定認定機関にして業務を行う。したがって、指定認定機関は一つと考えております。
#180
○寺崎昭久君 それでは、大臣に最後にお尋ねしますけれども、戦後の荒廃から復興、高度成長期を経て今日の繁栄というのを見るときにまさに隔世の感があるわけでありますけれども、その一方で繁栄に伴ういろんな問題も出てきているように思います。環境問題その他がその例でありますけれども、私は、そうした問題とともに心の問題も今大事に考えなければいけないことではないかと思うんです。
 とりわけ繁栄の裏側にあるひずみとして、例えば画一主義だとか物、金万能だとか拝金主義的な風潮というものはやはり憂うべきことではないかというように思うわけでありますが、そういうことを考えますと、この法律で伝統芸能や風俗慣習をコマーシャリズムに乗せるということになると、そうした拝金主義だとかあるいは物、金万能主義みたいなことを助長するんではないだろうかというようなことも懸念するわけであります。
 地域伝統芸能等の振興を図り、よってもって商工業なりその地域の振興を図るということを考えれば、母としてこの種のイベントに積極的に助成するというのはいいことだと思いますけれども、過ぎたるは及ばざるがごとしで、余りやり過ぎますと、そのことが全国にリトル東京をつくるように画一化を生んだり、あるいはショー化を進めることによって物、金万能の風潮をさらに助長するんではないかということを考えますと、やはり自制的であった方がいいのかなと私自身悩むわけでありますが、大臣はそのコマーシャリズムが精神文化に与える影響とか、この活用行事を設定するに当たってどういうことを気をつけられたいとお考えなのか。その辺、大変漠然とした質問でございますけれども、御認識を伺いまして、終わりにしたいと思います。
#181
○国務大臣(奥田敬和君) 今度の法案の一つの大きなねらいは、外国から来たお客さんを例に引きますと、余りにも我が国のことを果たして十分理解していただいただろうかということになると非常に疑問があります。やはり物、金万能、経済大国という形で、どうしてもこの東京に来られた人がそういった形で異質なものを感じて帰られる傾向が強い。
 しかし、我が国には長年の風土、慣習、歴史の上に立った本当に素朴な伝統行事の中でも日本人の自然に対する優しい気持ち、あるいはいろいろな地域の伝統行事の中には日本人が本来守り育ててきた、大切にしたものがたくさん含まれている。そして、むしろ大都市化され集中化されたところではなくて、ローカルにこそ本来的な日本の魅力がある。そういったことを何としてもこれからふえるであろう多くの外客にも理解してほしい。そして、日本人が長年形成してきた精神文化の結実というもの、それも余り難しい形のもので理解できない形のものではだめですけれども、これをある程度理解でき得るような行事を通じて、まあそれをぜいたくに言えば観光の一つのポイントといいますかそういった形に持っていき、地域の活性化にもつなげたい。
 そして、表向きはイベント化する形の中でショー化されて金もうけ主義に陥るということを厳に慎まなきゃなりませんけれども、逆にそういった行事を通じて地域の皆さんがいろいろな施設の整備も行うことができ、そしてそういったにぎわいの中から自分の町や県の文化的特性を内外に知ってもらう。それによって、また地域の活性化にもそれが通ずるというような形で何とかうまくこの法案の趣旨を生かしていけないものかな、そういった形で精いっぱい努力したいと思っておりますし、今先生が御指摘されたように、安易にショー化すること、そしてもうけ主義だけに走るような安易な形、特にこれからどういう形の申請が出てくるかはまだ未知数ですけれども、必ず各県から衆知を集めた形でいろいろな計画が出てくると思いますが、その点には特に配意をしてこの法の趣旨を貫きたいと思っております。
#182
○寺崎昭久君 どうもありがとうございました。
#183
○小笠原貞子君 ただいまかかっております法案の目的は、地域伝統芸能等を実演し、あわせて地域伝統芸能等を活用し展示や物産展などの行事を実施することにより、観光及び地域商工業の振興を図るものだということになっております。
 まず、「地域伝統芸能等」の具体的内容について御説明いただきたいと思います。
 また、北海道のように歴史の浅い地域では伝統と言えるのかどうか、ちょっとその点が心配でございます。江差追分やソーラン節などは範疇に入ると思われますけれども、本州などから北海道に入ってこられた方によって各地の伝統芸能を受け継ぎ、継承されてきているものも多うございます。地域に密着しているものについてはやっぱり広い範囲でとらえるべきであると、こう考えるのでございますが、その点いかがでございますか。
#184
○政府委員(大塚秀夫君) この法律で「地域伝統芸能等」とは、地域の民衆の中で受け継がれ、その地域固有の歴史、文化などを色濃く反映した芸能及び風俗慣習を指すものでございます。
 具体的には、地域の伝統的な芸能としましては、各地に伝わっております神楽、それから田楽、これも平安時代に各地の守護、大名等がそれぞれの地域の特色を生かして娯楽化したものが伝わっているもの、あるいは依然田植えの祭りがそのまま継続しているもの等いろいろあると思います。
 それから、風流と呼ばれる踊りの種類、これもいろいろ分化しておりまして、太鼓踊りのようなものもあれば、いろいろな動物の仮装をしてシカとか獅子の面をつけたような風流、踊りも各地に伝わっておりますが、こういった盆踊りも含めたような踊り、それから三河万歳、加賀万歳のような語り物、また舞台芸としては地方に伝わっておりますような猿回しあるいは人形芝居、郷土歌舞伎、こういうものがあろうかと思います。
 また、歌としましては各地の民謡、江差追分のようなものも含めての民謡、また楽器の演奏としては津軽三味線あるいは各地の太鼓のようなもの、こういうものも挙げられると思います。
 また一方、地域の伝統的な風俗慣習としましては、年中行事として大だこ揚げとか仙台にあるような七夕、また市としてはだるま市、えびす市、ホオズキ市等各地にやはりいろいろな種類で行われていると思います。
 この法律の定義から考えまするに、こういうものが挙げられると思い、またその多くは既に国ないし公共団体の指定による無形民俗文化財になっているものも多かろうかと考えています。
 ただ、この法律の場合には必ずしも民俗文化財に限らないで、もう少し受け継がれている年代の浅いものも対象になるんじゃないか。北海道の場合には、江差追分のように既に松前藩のころから伝わり、かつ今では全国の大会としてイベントが行われているようなものはもちろん対象として考えられますし、明治になりましても国鉄の白糠線が開通したのを記念して白糠踊りというのが、白糠線は廃止されましたがいまだ続いていると聞いておりますし、明治以降あるいは大正、昭和にかけて既に地元に根づいたいろいろな伝統芸能あるいは風俗慣習があると聞いておりますので、決して北海道だから対象がないというようなことにならないと思いますし、範囲を厳しく限定することのないように運用したいと考えております。
#185
○小笠原貞子君 ありがとうございました。
 この法律には私ども賛成という立場をとっているものでございますけれども、ちょっと二、三点お伺いしておきたいと思います。
 この法律の目的が、先ほど触れましたように、あくまでも地域の伝統芸能を活用することであり、そのための行事であると。そこで、活用行事の企画、計画及び実施段階で地域住民や地元中小業者の声が十分に反映されたものであることが極めて重要である、その点は十分御指導をいただきたい点でございます。
 それからまた、活用行事の実施主体が地元の商工会や地域伝統芸能関係団体など、それに市町村も加わる場合もございます。こうした関係者で実行委員会をつくりイベントを主催することになるわけでございますが、問題は、大手の観光関係業界も加わり行事の企画が余りにも大規模化、大手観光資本ベース化することがないのかという点が心配の一点です。また、イベントがいつでも成功するというわけではない、もしも失敗したというようなことになれば市町村に多大な負担がかかるのではないかということが心配されます。
 こうしたことをどのようにして防いでいくか、その手当てはどういうふうにすべきだとお考えになっていらっしゃるか伺いたいと思います。
#186
○政府委員(大塚秀夫君) このイベントの実施においてはあくまでも地元が主体的に行うということで、基本計画も都道府県が関係市町村に協議した上でつくる、国はその協議を受けるだけというように、できるだけ国が直接的な干渉をしないように考えているわけでございます。
 そのイベントの実施についての経費、これは基本的には実施主体が考えることでございます。そこに観光資本が絶対入ってこないということもないと思いますし、そういう観光資本を歓迎するような地域もあると思いますが、それによって伝統芸能が損なわれないように十分配慮する必要があるのではないか。そのために、基本計画の作成においても教育委員会等がその内容についてチェックして、伝統芸能の保存に遺憾のないように判断するというような運用にしたいと考えておるわけでございます。
 それから、イベントが失敗したときのツケを地元に回さないようにということでございますが、今申し上げましたように、第一義的には地元が実施についてその経費、運営等について判断するわけでございます。国が協議を受けたときに、経費に比べてイベントの規模が大き過ぎるとか運営の財源が明確でないというようなものについては十分指導し、チェックするつもりでございます。
#187
○小笠原貞子君 次に、支援事業実施機関というものについてお伺いしたいと思います。
 イベントの実施主体に対してこの機関は情報提供、助言、指導、資金の支給等の援助を行うことになっております。支援実施機関には観光業界、ホテル、JR、航空会社など大企業が参加することになります。こうした助言、指導、資金援助するという立場を利用し、この機関が実施主体に対し介入的と思われるようなことがあってはならないと思います。これも厳重なチェックと国のコントロールということが必要になってくると思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。
#188
○政府委員(大塚秀夫君) 確かに、先生御指摘のように、これから支援事業実施機関をつくります際に、大手の観光関係会社あるいは交通事業者にも協力を仰ごうと考えておりますが、これはあくまでも地方でこのようなイベントが実施されれば、観光が振興され交通の利用客あるいは旅行の利用客がふえていくという反射的な利益があるということで拠出を仰ぐわけでございますから、個々のイベント等に介入することがないように十分我々もこの実施機関を監督指導していくつもりでございます。
#189
○小笠原貞子君 次に、観光振興対策の問題で伺っていきたいと思います。
 真の観光対策を進めるに当たって、政府のやるべきことは公的観光レクリエーション施設の整備を推進することだと思います。
 運輸省所管で現在行われております事業として家族旅行村の整備、それから国際交流村、家族キャンプ村、合わせて予算では三億二千万円の事業にすぎません。しかも、家族旅行村と国際交流村は、今後これはやめてしまうということになっているように伺っております。家族旅行村は四十七地区、平均すると各県に一つでございます。しかし、その県によりましては全く一つもないというところが十六県ございます。リゾート法のように、山を削って公園を荒らし河川を濁すなど自然環境を破壊させるのではなくて、環境を保全し、そして低廉で安全、快適な観光施設整備こそ私はやっぱり今必要な仕事ではないだろうか。
 そうした意味からも、家族で楽しめるキャンプ場、遊歩道、サイクリング道路などの整備にもっと力を入れていただきたい。相当行われてきているようでございますけれども、まだまだ足りないというふうに思われますので、その点についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#190
○政府委員(大塚秀夫君) 先生御指摘の家族旅行村については三十二カ所が整備済みで十五カ所が整備中、合計四十七カ所になるわけでございま号す。今年度から家族キャンプ村というのをスタートさせましたが、これは家族旅行村について最近自動車を利用した家族の旅行が多いということも踏まえて、新たな形でこのような家族キャンプ村を今後整備していこうということでございます。今年度は四カ所でございますが、来年度以降も継続していきたいと思います。
 国際交流村については、やめたのではなしに今後も需要があったらやっていくということで、全体的にこれは第一義的に地方公共団体等が計画をするものでございますが、地方の要望がある限りできるだけ我々も予算の確保に努力していくつもりでございます。
#191
○小笠原貞子君 今おっしゃいましたように、最近車を利用するということが非常に多くなりまして、オートキャンプ場の整備が私は今大事になってきていると、そう思います。家族キャンプ村の整備が今年度から四地区で始まったというわけでございますけれども、もっと拡大整備していく必要があると思います。来年度を含めて、今後どのように進めるという計画になっておりますでしょうか。
#192
○政府委員(大塚秀夫君) 来年度予算についてはこれから検討していくことになりますが、その過程で地方からの要望を受け付けて、要望の数が多ければそれに応じた予算を要求しなければならないと思っています。余り一気にふえるというわけにはいきませんが、少なくとも今年度の箇所数ぐらいは来年度も要求できればと思っております。
#193
○小笠原貞子君 北海道のオートキャンプ場の整備は、今年度と来年度以降の計画というものはどのようになっておりますでしょうか。
#194
○政府委員(大塚秀夫君) 今年度は、特に地元から具体的な要望が出ておりませんので対象にならないと思いますが、来年度要求の過程で、北海道の道庁その他で何らか要望、計画等が具体的になりましたら、そのときに考えさせていただきたいと思います。
#195
○小笠原貞子君 自然を生かしたレクリエーション施設を利用する上で、健康の増進を兼ね、サイクリングが今活発になってきております。我が国の自転車の保有台数は六千九百万台を超えていると言われておりますが、自転車道路の整備を進めることが必要です。大規模自転車道路の整備状況と今年度の計画、そしてまた北海道の計画についてもお知らせをいただきたいと思います。
#196
○説明員(戸島英之君) ただいま北海道の関係のお尋ねがございましたので、お答えをさせていただきたいと思っております。
 サイクリングロードでございますが、非常に近年活発な動きを見せておるところでございまして、北海道におきましては広大な自然を有しておるということで、健康の増進でありますとかあるいは余暇利用のために最近では広く普及しておるところでございます。
 北海道開発庁といたしましては、第五期北海道総合開発計画に基づきましてサイクルスポーツの振興と、それからサイクリングの安全性あるいは利便性、快適性というものを確保することといたしまして、全道的規模で自転車、歩行者道の整備を進めているところでございます。
 現在整備を進めておりますところの大規模自転車道につきましては、北海道では三カ所が工事にかかっておるところでございます。既に五カ所が整備されておるところでございます。この大規模自転車道にあわせまして、一般国道の整備あるいは道道、市町村道の整備のときに自転車、歩行者道を併設するというような形の中で整備を進めておるところでございます。
 また、これがばらばらにその整備を進めてもいかがかということでございまして、サイクルネットワークということで各地域ごとに協議会をつくりまして、どういう整備のあり方がいいかというようなことを地元の皆さん方に御議論をしていただきまして、そういうような考え方に基づいて整備も進めているところでございます。
 私ども北海道開発庁といたしましても、今後ともこのサイクルスポーツあるいはオートリゾートネットワークというようなものについても整備を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
#197
○小笠原貞子君 どうぞよろしく頑張ってお願いします。
 実は私、今度勇退をいたします。きょうが最後の委員会と相なりまして、今まで一般をやってくれと言ったけれどもなかなか諸般の事情でやっていただけませんで、けさの理事会でその私の願いも聞いていただいて、一般も含めてあとの時間を質問させていただきたい。もう井山さん、顔を見ればまだ続くんですかと言われるけれども、きょうが最後でございますので、エレベーター、エスカレーターという問題にお答えをいただきたいと思います。
 エスカレーター、エレベーターの整備に当たって、地下鉄駅には必ず設置しなければ障害者は移動できないわけでございます。既設の地下鉄に設置する場合は補助の対象に今までなっておりません。既設の分にも補助の対象とすべきであるという点です。これは考えますと、この間予算委員会でも質問いたしましたけれども、同じ公共事業で建設省の場合には既設の公営住宅で身障者の、また高齢者などのために改造してエレベーターを設置するというときには補助の対象になっているわけでございます。
 大臣にも聞いていただきたいんだけれども、同じ公共事業である公営住宅は既存の場合補助の対象に広げてきている。既存の地下鉄のエレベーターにもぜひ補助対象の適用をしていただくということについて御検討をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#198
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 先生がかねてから御指摘のとおり、エスカレーター、エレベーターの設置につきましては私どももそれなりにまじめに取り組んできたつもりでございます。
 そこで、公営地下鉄の場合は、今御指摘のように、確かに新線をつくるときには今新線建設の補助がございますので、これでかなり整備しております。原則として新線につきましては全駅エスカレーター、場合によっては両方、エレベーターもつけているのが実情でございまして、平均しますと、地下鉄の場合は八十数%の駅にもう既についております。
 ただ、昔つくった駅でございますが、これが大変問題でございまして、一部大規模改良するときに地下鉄の補助を適用する線が一。部ございます。そういうときにはやはり同時に補助の対象となりますが、単独でエスカレーターあるいはエレベーターだけをつけるというときには、今のところ実は補助の対象にしておりません。これは、政策として何もない場合はどういうことになるかといいますと、先ほどちょっとほかの問題でもございましたが、ほかの利用者の負担によって、これは理論的にでございますが、それでやるということでございまして、これもまた先ほど言いました福祉政策との兼ね合いはどうかという議論がございます。
 ただ、幸いなことに、都市によりましてはエスカレーターやエレベーターをつけるときに現実に福祉対策の部局の方から補助をいただいている例がございます。これは現に、例えば札幌でございますとか横浜でございますとか幾つかの都市で既にそういうことが行われております。これは、公営地下鉄は必ずしも経営状況よくないものですから、そういうことで助けていただいているというのは大変ありがたいことでございます。また、ことしからでございますが、自治省さんの方でも特別に高齢者障害者にやさしいまちづくり事業というものをやるときには特別な地方債を認めてあげる、その裏負担もしてあげる、こんな制度も発足したように聞いておりますので、こういうことでかなりやりやすくなったことは確かでございます。
 そういう意味で、私どもこういう機会をとらえまして、今後とも地下鉄におけるそういう施設の整備に努めてまいりたいと思っております。
#199
○小笠原貞子君 大臣、前にできた駅だからつけないなんというんでは本当に困るので、やっぱり既設の地下鉄の駅にも何とか努力してエレベーターをつけていただくということを、私はもう最後に切に大臣にお願いします。そういうつもりでやりますというお答えいただけますでしょうか。
#200
○国務大臣(奥田敬和君) そのような方向でひとつ指導してまいりますけれども、幸いに自治省の方でこの面にかけて大変御理解を示していただいておりますので、進捗すると思います。
#201
○政府委員(滝実君) 公営地下鉄の既存駅のエスカレーター、エレベーターの問題でございます。
 これは、私ども公営企業を所管する立場から、従来からも懸案になっていたのでございますけれども、もともと公営事業でございますから独立採算ということで、当然エレベーターあるいはエスカレーターは地下鉄設置者の責務だと、こういうことでいたのでございますが、なかなかこの地下鉄事業は経営が厳しい、こういうことで、特に既存駅に新しいエレベーターとかあるいはエスカレーターをつけるというのは大変経費もかさみますし難しいということでまいったのでございます。
 実はことし、平成四年度からこういうような高齢者あるいは障害者のための施設改良をするんだと、こういうふうなことでございまして、特にその地下鉄事業の経営というのは全般的に厳しいのでございますけれども、特にみずから整備するということが困難な路線につきましては一般会計において整備する。要するに、公営企業じゃなくて一般会計でもって経費を出してやってもらう、こういうようなこと等をいたしまして、昨年からでございますけれども地域福祉推進特別対策事業というのをやっておりますので、この事業にことしからエスカレーター、エレベーターをのせると、こういうことで踏み切っているわけでございます。
 中身は、特別な起債の発行を認めまして、その事業費の一部を後ほど地方交付税で措置する、それから当該年度にも別途一五%に限りまして交付税措置する、こういうような仕組みを考えておりまして、特に長い間懸案でございました札幌市の地下鉄などもことしからそういう格好で順次駅の改良をやっていく、こういうようなことに踏み切っているわけでございます。
#202
○小笠原貞子君 本当に、つくれないものだから地方自治体がもう大変な持ち出しをして苦労している。そういう問題が大きくなりまして、自治省としても平成四年度からこういうふうな対策ということを考えていただけるようになったので、それはそれでありがたいことだと思うんです。
 でも、自治省の方でそうやっているからということではなくて、「やさしい」駅をつくって「やさしい」交通ということを考えれば、私が申し上げたいのは、ありがたい自治省の措置だけれども、やっぱり主体としては運輸省の立場に立ってこういうものを積極的に進めていくという立場に立っていただきたいというのが趣旨ででざいますので、よろしゅうございますね。
#203
○国務大臣(奥田敬和君) 運輸省が先生方の強い御希望というか、そういった「やさしい」施設づくりに対して強い御意見があるということを踏まえまして、自治省の方で対応を進めていてお金の出どころは自治省が交付税措置するけれども、まあ一緒じゃないですか。
#204
○小笠原貞子君 よろしくお願いします。
 次に、またエスカレーターの大改良の問題で、この前も質問いたしまして、エスカレーター及びエレベーターの設置についてくどいくらいにもう本当にこだわって申し上げてきたわけです。
 なぜなら、今の駅の構造が高架駅になったり橋上駅になったりしているのですから、障害者、高齢者など交通弱者にとってはエスカレーター、エレベーターの設置はもう本当に必要だという状態に置かれているわけでございます。これがなければ本当に使えないですね。それを私ずっといろいろ伺っていて、JRもそう、そして大手私鉄も何かこういうことをすることは障害者や弱者に特別サービスをしてやっているんだという意識が強くあるのではないかと、こういうふうに考えられるわけです。
 その問題の一つに、この間質問いたしましたが、エスカレーター設置のガイドラインの五メートル、五千人の基準に基づく駅でまだ設置されていない駅はJRで四百三十八駅ございます。しかし、五年間で六十九駅しか設置計画ができておりません。その最大の問題は何かというと、大改良を必要とする駅は大改良をするまで設置しなくてもよいということになっているわけなんです。じゃ、その駅はいつ大改良をするのかということになると、これはいつというめどは全く立っていないわけです。いつ大改良をするかもわからない駅が多い。これでは何のためのガイドラインかわからないとせんだっても私申し上げました。井山局長は、六十九駅設置は現時点であり、「毎年度具体的な計画をつくるときにどんどんふやしていってもらうという方向で厳しく指導」すると、この前そういうお答えをいただきまして、これは積極的な姿勢をお示しになったと思って、ありがたいと思います。
 しかし、そのときに大改良を必要とする駅ということが問題になりました。だから、大改良しなきゃならないからそれまではできないんだと、こういうことだったので、この間時間がございませんで質問できませんでしたが、大改良というのはどの程度の改良になるのか。これは見てこなくちゃいけないというので、この間私たちこれを実際見てまいりました。大改良しなければできないという北海道十一駅の中の千歳駅、それから恵み野駅、手稲駅、苦小牧駅、東室蘭などの調査をしてまいりました。一体どこを改良しなければならないのかというのが率直な感想でございました。今すぐにでも既設の階段に設置できる駅ばかりなんですね。やろうと思えばその既設の階段に設置できる訳なんです、みんな。
 そうしますと、よく言われますけれども、エスカレーターを設置すると階段が狭くなる、だからなかなかこれらは踏み切れないと、こう小うお各答えでございましたけれども、エスカレーターができて、そこを何にも使わないというのじゃなくて、エスカレーターそのものも乗降の道でございますから、エスカレーターをつければそれだけ狭くなるからできないんだというのは理由にならないということでございます。まして、東京周辺の駅のことを考えますと、北海道で大改良が必要と、そして待たされているけれども、これはもう本当にできるということを見てまいりました。千歳、恵み野、苦小牧、手稲など鉄筋づくりの立派なものです。
 だから、新しい立派な駅だから大改良するときといったらいつになるかわからない状態なんですね。JRは大きな段差をつけてそういう駅をつくられたわけですよね、もう高く上げてというふうに。そんな駅をつくられたんだから、そのためには必ずエスカレーター、エレベーターの代替手段をつけなければならないというのが当然の理論だと思うんです。それにどう取り組むかというのが運輸省の姿勢として私は今問われてきている、そう思うわけでございます。
 私は、全国のJRや大手私鉄から上がってきた報告を皆さんごらんになって、ああそうか、大改良が必要なのかということになったんだと思いますけれども、私はぜひ全国一斉の調査をしていただきたい、そう思うわけです。その中で、どうしても大改良を必要とする駅があるならば、それはこういう理由でちょっと今大変だけれども、その予定はどうなのかというふうに報告をしていただきたいと思います。
 私どもが具体的にこれを見た結果では、つけられないという駅ではございませんでしたので、一応ここでまたこだわって申し上げますので、一斉にその実態を調査していただきたい。そして、知恵を出していただいて何とかエスカレーターをつけていただくということについてお力をいただきたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
#205
○政府委員(井山嗣夫君) 先生が今具体的に御指摘になりました北海道の各駅について私細かい実情を調べておりませんので、特に一般論で申し上げるしかないのでございますが、確かに我々見まして、駅の構造といいましょうか、これが今高架化して高くなっていることは確かでございます。従来、はっきり申しまして、私どももあるいはJR、あるいは大手私鉄もそうでございますが、高架化したときに当然にエスカレーター、エレベーターをつけるという発想がなかったと思います。」これはもう確かだと思います。ただ、最近はおかげさまで、私どもも例えば大手私鉄と運賃改定のとき、JRあるいは地下鉄なんかもそうでございますが、運賃改定があるとき、JRにつきましてはいろんな投資計画のヒアリングなどをやるときにかなり具体的な指導をしているつもりでございます。
 北海道につきましては見ておりませんので具体的に申し上げられませんが、一般論としまして、やはりエスカレーターをつけた場合にエスカレーターの一段の高さといいましょうか、これがかなり高いのでございます。普通の階段よりも倍ぐらいの高さが一段ございますので、これを上がればいいということにはちょっとならない。そこで、大抵のところはある程度の階段、それからエスカレーターと両方つけるのが普通でございます。エスカレーターだけというのは、よっぽど深いところで構造上どうしてもとれないという地下鉄なんかの場合はエスカレーターだけというのがございますけれども、それでもなるべく歩く階段もつけさせております。そういうことがございまして、一律に何センチあればどうとか、それは交通量にもよりますので一律の基準はつくれませんが、そういう実態把握は相当やっているつもりでございます。
 そこで、全国一斉に点検をということでございますが、これはぴったりそれに合うかどうかわかりませんが、少なくとも毎年度の投資計画のヒアリングのときに、私どもとしては、なぜできないんだ、もう少しできないのかということをかなりしつこく問いただして、おりますし、場合によりましては図面を出してもらって、そこでチェックもしているつもりでございます。
 ですから、全国一斉、何千という駅がございますので、これはなかなか大変でございますので、少なくともそういう機会があります都度チェックをいたしまして、とにかくなるべく早くエスカレーター、エレベーターがつくように行政の実務におきまして具体的に指導してまいります。
#206
○小笠原貞子君 階段の横につければいいというのを私たち見てきたわけでございますので、具体的にそういうのを御調査いただきまして、専門の立場でいろいろ知恵も出していただきたいと思います。
 それじゃ、また今度はエレベーターなんでございます。
 エレベーターの設置で、現在までのJR、大手私鉄のエレベーター設置駅数はどうなっておりますか、そして今年度の設置計画はどうなっておりますか、数字でお示しください。
#207
○政府委員(井山嗣夫君) エレベーターの設置駅でございますが、現在、三年度末の数字がまだちょっと固まっておりませんので、二年度末の数字で申し上げますと、JRにつきましては、これは全国、ローカル線も含めましてでございますが、四千六百の駅がございます。そのうちで設置してある駅は百八でございます。それから、民鉄の方でございますが、全国で千七百ほどの駅がございますが、この中で二年度末にエレベーターが設置してありますのは五十八駅、こういう事情でございます。
 それから、四年度のエレベーター設置計画でございますが、大手民鉄につきましては十一駅具体的な計画がございます。それから、JRは一駅でございます。これにつきましては、先般も申し上げましたように、全国的に今はっきりしております、要するにJRが判断いたしまして比較的簡単にといいますか容易にできるというのが六十九駅、約七十駅と前に御報告申し上げたと思いますが、最近になりまして地元の公共団体等と相当協議を詰めております。はっきりとお約束できるのは、今一駅でございます。その他相当の駅について協議中と聞いておりますので、また年度が終わりましたときにはかなりふえているだろうと私は期待しております。
#208
○小笠原貞子君 エスカレーターの設置状況でも大変不十分だと、それ以上にエレベーターになりますと未設置駅が多いということが今数字で示されました。
 駅数に対してエレベーターの設置状況は、JRで二・三%、大手私鉄で三・三%にすぎません。ハンディキャップを抱える障害者、とりわけ車いすを使う障害者にとってはエスカレーターが使用できない、それで交通手段も利用できない場合が多いんです。移動、交通手段によって社会参加の道が完全に閉ざされてしまっております。経済大国日本と言われるのであれば、どうしてもエレベーターでなければならない高架駅、橋上駅、地下鉄駅には少なくとも一基は必要である。
 こうしたことを踏まえて、エレベーター設置のガイドラインをつくっていただきたいということと、いつまでにガイドラインをつくるのかという点についてお答えをいただきたいと思います。
#209
○政府委員(井山嗣夫君) 今、先生おっしゃいましたように、全国の駅との対比では二・三%と大変少のうございます、JRの場合でございますが。大都市圏だけを取り上げますともう少しふえま。して五%台にはなるわけでございますが、それにしても非常に少ないと思います。
 そういう意味で、エレベーターの設置基準あるいは設置指針というようなものを我々も今勉強しているところでございます。大変難しいのは、エスカレーターというのはそれほど大きな用地というのが要らないように思いますが、エレベーターになりますと、今までの駅に新しくつけるとなりますと、やっぱり用地の問題をどうしても避けて通ることができないわけでございます。それから、交通量の見通したとか具体的な駅の構造ということはいろいろ千差万別でございまして、一律にある基準をつくってぱしっと決めてしまうというのがなかなか難しゅうございます。しかし、そ。うは申しましても、やはり何らかの指針なりガイドラインみたいなのが必要かと思いますので、それはただいま勉強中でございます。ただ、それでいつまでにこれを出すかというのはちょっと現時点でお約束はできないんでございますが、できるだけ早いうちにやりたいと思っています。
 なお、運輸政策局のベースでも全国的ないわゆるこういう交通弱者と言われる方の施設の整備につきましてガイドラインの勉強、これは具体的に体の不自由な方の参加も得ていろいろ勉強を今しているところでございまして、そういうのもあわせまして検討させていただきたいと思います。
#210
○小笠原貞子君 だらだら勉強しないで、しっかりきちんとやってください。
 次に、JRの安全対策上重要な課題である踏切事故対策について伺いたいと思います。
 JR北海道の四種と三種の踏切は幾つですか。また、昨年度の格上げ箇所はどこか。
#211
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 JR北海道の三種、四種の踏切の数でございますが、平成三年度末で三種が百五十八カ所、これは警報機がついているやつでございます。それから四種、これは何もついていないで踏切標識だけ、これが二百七十八カ所ございます。それで、平成三年度におきましては三種の踏切を二カ所整備しております。具体的な名前を申し上げますと、深名線の北四号道路、それから東五号道路というところが二カ所だそうでございます。それから、四種の踏切は一カ所、これは根室線の木魚別というところだそうでございますが、これは一種の格上げを実施しております。
 なお、御参考までに六十二年度から平成三年度までの五年間をとってみますと、JR北海道では三種を一種にしましたのが七十一カ所、それから四種を一種にしましたのが五カ所、それから四種を三種にしたのが三カ所ということで、五カ年間でかなりの整備が進んでいるなど、こういう感じがいたします。
#212
○小笠原貞子君 五カ年間で四十カ所というふうに言われていますよね。本来、年間八カ所ずつ格上げをしないといけないと思うわけです。今年度は十数カ所の格上げをしないとだめになってくるわけですね。そういうことで、計画は着々と進められていくというふうに考えていいですか。
#213
○政府委員(井山嗣夫君) 昨年の三月、一年半ほど前の運輸委員会で確かに「四十カ所程度」という……
#214
○小笠原貞子君 そうお答えいただきました。
#215
○政府委員(井山嗣夫君) これは当時まだ法律の審議段階でございまして、私ども非常にマクロの観点からお答え申し上げたわけでございますが、実はその後、この法律が延長されるということで、具体的に今度は地元の市町村の方と設置についての御協議を申し上げております。
 ただ、実はこれは国から二分の一、それから地元の道路管理側の負担が三分の一という制度がございまして、JR北海道が六分の一、これがルールでございまして、これでやっていくわけでございますが、やはり地元の御負担の方のお話がなかなか難しい点もあるようでございます。ただ、これは五カ年計画にまだ入ったばかりでございますが、これからピッチを上げなきゃいけないと思いますので、JR北海道あるいは私どもの運輸局から地元にもよくお話をして、数百万かかりますけれども、ぜひ御負担をいただきたいということで調整させていただきたいと思っております。
#216
○小笠原貞子君 踏切内で自動車の脱輪や故障による事故というのがこのごろ目立ちます。そのときに列車に非常を知らせるという踏切支障報知装置があるかないかが事故を未然に防止するかどうかのかぎになると思います。JR北海道では、踏切数二千八十三あるうち手動の非常ボタンがついているのが五百二十カ所、千五百六十三カ所も未設置になっております。
 昨年度の実績と今年度の設置の計画を伺いたいと思います。
#217
○政府委員(井山嗣夫君) JR北海道の昨年平成三年度の踏切支障報知装置の設置件数でございますが、五十五カ所の踏切道につきまして支障報知装置を設置いたしました。それから、平成四年度でございますが、現時点の計画では一応二十六カ所につきましては計画が確定しております。
 こういうことでございますが、我々としましても、事故防止のために非常に効果があるわけでございますので、今後ともできるだけ早く整備をしていくように指導していく、こういうことでございます。
#218
○小笠原貞子君 二十六カ所では全く対策にならない。特に、北海道の場合は雪によるスリップ、脱輪がかなり問題となっております。一九八九年から九〇年、十二月、一月のこの二月だけで二十三件の事故、負傷者三十三、死亡が十一名というようなことになっております。警察サイドからも厳しい指導が出されております。わずか二十六カ所では、これは何の反省もないと言いたいところでございます。教訓化されていないと言わざるを得ない。せめて昨年度の五十五カ所を超える指導をしていただきたいというのが私の安全に対するお願いでございます。そういうような積極的な取り組みをお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#219
○政府委員(井山嗣夫君) 平成四年度は現時点で二十六カ所の計画を持っておりますが、さらに追加すべく努力をさせますし、さらに今年度だけじゃなくて翌年度以降もずっと引き続き、なるべくそういう問題箇所については順次設置するように指導いたします。
#220
○小笠原貞子君 次に、障害者タクシーの運賃割引制度、これが全国に広がりまして喜ばれているところでございます。
 ただ、利用に当たって手続が面倒で、障害者、運転手さん両方から余り評判がよくないんです。申込書に手帳番号、氏名、料金などを記載することが必要になってくるんですけれども、文字を書くことが不自由な障害者にとって、また忙しい運転手さんにとっては大変な苦労でございます。
 最近、東京などで障害手帳を提示するだけで利用できるということになっているということを伺いました。その状況と、そして全国で可能になるような手続の簡素化を図っていただきたいと思いますが、その実情をちょっと御報告と一緒にお願いをいたします。
#221
○政府委員(水田嘉憲君) 先生お話しのように、タクシー運賃の障害者の割引制度については平成二年の五月に導入して以来各地域で導入を進めておりまして、この夏までにすべての地域に導入される見通しとなってきております。
 この制度の導入に際しまして、各地域の事業者にとって初めてのことであるということもございまして、先生御指摘のとおり、利用者に申込書の提出を車内で書くことをお願いして利用状況の確認を行っておるということでございます。これに対して、先生御指摘のとおり、利用者の利便の向上のためにはやはりこの手続を一層簡素化していく必要があるというふうに私ども考えたわけでございます。こういうことで、東京と横浜地区におきましては、先般の運賃改定を機に、手帳の提示のみで何らの記載は必要ないという形で割引を行うこととしたところでございます。
 今後、他の地域につきましても手続の簡素化を図るよう積極的に指導してまいりたい、すなわち手帳の提示のみで割引を行えるようにいたしたいというふうに考えております。
#222
○小笠原貞子君 そういういい経験が出ておりましたら、それを全国的に広げるという御努力を、せひお願いしたいと思います。
 それから、これももう毎回言っていた、せっかく割引制度があっても百キロ以下だと適用できないという問題が先ほど出されまして、井山さんお答えになったわけですけれども、そのときの御答弁の趣旨というのは障害者の割引制度を入れるときからやられているわけですよね。障害者の割引をやるとその分は健常者の負担になりますと、こういうわけなんですよ。それが結局みんなの世論と。しかし、健常者は障害者のために負担させられたらだめだと怒っているわけではなくて、やっぱりそれが身体障害者から内部障害者に、そして精神薄弱児にまで適用されていったわけですね。
 それだから、私が言いたいのは、その理論を今まだ持っていてはだめだと思うんですね。負担させられるという健常者はだれも、障害者に割引したことでおれたちに負担がかっているなんて文句言いませんよね。だから、やっぱりそういう弱い者を大事にするという、そういう精神というのは私は大事にしてあげなければならないと、そう思うんですよ。そういうことでもうどんどん適用範囲を広げまして、そして割引が精神薄弱児までに及ぶということになったわけなんですね。だから、身体障害者の割引というのは、百キロ以内はだめ、百一キロ以上でなければだめだという、その考え方をやっぱり正していただきたい。
 さっき奥田大臣お答えになりましたね。そういう立場に立って将来的にそういうふうにやっていきたいと大臣おっしゃいましたでしょう、さっき。将来というと、あしたから永遠にいつまでも将来なんですよね。だから、将来というのは大体どの程度の将来なのか、やっぱりその辺のところを積極的に近い将来、何年間、何カ月というようになれば別なんだけれども、その点について遠い将来なんという抽象的なことではなくて、もうちょっと積極的なお気持ちで取り組んでいただきたいということで伺いたいと思います。
#223
○国務大臣(奥田敬和君) 先ほど矢原先生からの御質問にもお答えしたとおりでございますけれども、タクシーの件は先生方の強い御要望によって提示のみでやっていく。それは先般の東京と横浜の運賃改定のときに初めてそれが制度化されたわけですけれども、当然これから各地域でまたタクシー値上げが起こってくるということを予測するわけじゃありませんけれども、東京、横浜に次いで全国各地から要請が出てきておることは事実でございますから、率直にお答えしますけれども、全国的にそういった形で提示のみでやっていくことになろうと思っております。
 それで、今、百一キロ未満に関しての問題ですけれども、これは健常者の負担になるという考え方から一歩出て、ともかく国の福祉政策であると同時に、交通機関、経営者も含め従事者に、いわゆる身体障害者を含む弱者の皆さんに対してはこれは当然の義務的な形ということで説得をしてまいろうと、指導してまいろうと思っております。
 いつやるかということでございますけれども、日を明示しろという御意見かと思いますけれども、これはやっぱり呼んで、そしてきちっと説得、指導して、そういう形で行いたい。もう時期的に近いうちにということで御理解願います。
#224
○小笠原貞子君 ありがとうございます。
 これで質問は終わらせていただきます。本当に最後の質問になりまして、きょうも皆さんに御協力をいただきまして、最後にちょっと時間もゆっくりさせていただきました。
 考えてみますと、私二十四年のうち十二年この運輸委員会に籍を置かせていただきまして、その間者さんから本当に大きな御協力をいただいたからこそこれだけやってこられたと思います。大臣、そして委員長、そして同僚の議員の皆さん、そしてこう見ていますと委員部から調査室から記録から、そしていろいろこの委員会を支えていただいた顔を思い出しますと、本当にありがたい二十四年間だったと思いまして、心から最後にお礼を申し上げたいと思います。
 また、運輸省関係にも、私どもの秘書を含めて激しくやり合ったりということが何度もございましたけれども、そのことによって私たちもいろいろ勉強させていただきまして、大変御迷惑をおかけしたこともございますけれども、運輸省の方々にも御協力いただいたことを心からお礼を申し上げたいと思います。
 さて、もうこれで終わりでございます。どうぞ今後とも運輸委員会といたしましては、まず第一に安全問題、そして住民の足をしっかり守る問題、そして何よりも弱者に本当に温かい社会参加できるような、そういう立場に立って行政を進めていただきたいということをもう最後に重ねて心からお願いを申し上げたいと思います。
 本当にどうも、委員長初め、皆さんありがとうございました。(拍手)
#225
○委員長(峯山昭範君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#226
○委員長(峯山昭範君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 櫻井君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。櫻井君。
#227
○櫻井規順君 私は、ただいま可決されました地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    地域伝統芸能等を活用した行事の実施に
    よる観光及び特定地域商工業の振興に関
    する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の事項につい
 て配慮すべきである。
 一、本法の施行により、地域伝統芸能等の本質
  が損なわれることがないよう配慮すること。
 二、支援事業実施機関の指定に当たっては、そ
  の数を含め、慎重に対応すること。
 三、支援事業実施機関による援助、指導、資金
  の支給等については、その適正な運用も含
  め、地方公共団体等の自主性を損なわないよ
  う機関を指導すること。
 四、地域伝統芸能等通訳案内業を営もうとする
  者の認定に当たっては、適正な水準が確保さ
  れるように指定認定機関を指導すること。
 五、本法第七条の国等の援助等を行うに当たつ
  ては、特定宗教色の強い行事等を対象とする
  ことのないよう配慮するとともに、その趣旨
  を地方公共団体に徹底すること。
 六、基本計画の策定に当たっては、関係者の意
  見が十分反映されるようにするとともに、活
  用行事の実施主体が公共性を有するものとな
  るよう都道府県を指導すること。
 七、基本計画についての協議に当たっては、地
  方公共団体の自主性を損なわないよう十分に
  配慮すること。
 八、活用行事の実施による観光の振興を図るに
  当たっては、自然景観、伝統的建造物等値の
  観光資源との調和に配慮すること。
 九、活用行事の実施による特定地域商工業の振
  興を図るに当たっては、既存の商工業の振興
  施策との有機的な調整・総合に努めること。
 十、活用行事の実施に当たっては、交通渋滞、
  地域の環境悪化等をもたらさないよう配慮す
  ること。
 十一、関係省庁は、本法に基づく施策が円滑か
  つ効果的に実施されるよう相互の協力に万全
  を期すること。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#228
○委員長(峯山昭範君) ただいま櫻井君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#229
○委員長(峯山昭範君) 全会一致と認めます。よって、櫻井君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、奥田運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。奥田運輸大臣。
#230
○国務大臣(奥田敬和君) ただいま地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律案につきまして、御熱心な御審議の結果、御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。
 また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。
 ありがとうございました。
#231
○委員長(峯山昭範君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#232
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#233
○委員長(峯山昭範君) これより請願の審査を行います。
 第一五七号トラック運輸から過労運転、交通事故・災害を無くすことに関する請願外八十四件を議題といたします。
 本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、すべて保留とすることに決定いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#234
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
#235
○委員長(峯山昭範君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします一
 運輸事情等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#236
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#237
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#238
○委員長(峯山昭範君) これにて本通常国会における運輸委員会の議事を終わりますが、この際、委員長として一言ごあいさつを申し上げます。
 不肖私が委員長に就任いたしまして約一年、この間、委員の皆様方には委員会の運営に御協力を賜りまして、心から感謝いたしているところでございます。おかげをもちまして大過なく過ごすことができましたことを、この機会をかりまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 本当にありがとうございました。(拍手)
 また、通常選挙を控えまして、長い間本委員会の委員として御活躍を賜りました小笠原貞子君、本委員会の委員長を務められた長田裕二君には今国会をもって御勇退され、後進に道をお開きになると承っております。
 ともに四期二十四年間にわたりまして国政に尽くされました御功績に対し敬意を表するとともに、今後の御健勝と御活躍を心がちお祈り申し上げる次第でございます。
 また、今回の選挙に臨まれる皆様方には、何とぞ所期の目的を貫徹されることをお祈り申し上げ、本委員会のますますの発展を期待いたしまして、ごあいさつとする次第でございます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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