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1992/04/23 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 商工委員会 第8号
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1992/04/23 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 商工委員会 第8号

#1
第123回国会 商工委員会 第8号
平成四年四月二十三日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     肥田美代子君     吉田 達男君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     山田 健一君     梶原 敬義君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岩本 政光君
    理 事
                中曽根弘文君
                松尾 官平君
                福間 知之君
                井上  計君
    委 員
                秋山  肇君
                合馬  敬君
                倉田 寛之君
                斎藤 文夫君
                前田 勲男君
                山口 光一君
                穐山  篤君
                梶原 敬義君
                吉田 達男君
                三木 忠雄君
                市川 正一君
                古川太三郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   渡部 恒三君
   政府委員
       経済企画庁調整
       局審議官     柳沢  勝君
       通商産業大臣官
       房長       内藤 正久君
       通商産業大臣官
       房総務審議官   渡辺  修君
       通商産業大臣官
       房審議長     榎元 宏明君
       通商産業省通商
       政策局長     岡松壯三郎君
       通商産業省生活
       産業局長     堤  富男君
       中小企業庁長官  南学 政明君
       中小企業庁計画
       部長       桑原 茂樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 博行君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法
 案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岩本政光君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、肥田美代子君が、また、去る十七日、山田健一君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として吉田達男君及び梶原敬義君が選任されました。
#3
○委員長(岩本政光君) 伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案及び特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法案を便宜一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○吉田達男君 昭和四十九年に伝産法が私どもの先達議員によって立法されましてから、通産省はその趣旨を追求、施行して今日まで評価すべき実績を残しておられるようでございます。しかし、今日最も大きい問題は、一口に言えば後継者難でございます。これに対する抜本的な今日の施策をお伺いいたしたいと思います。
#5
○政府委員(堤富男君) お答えいたします。
 本件、伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部改正を提案した根源的な理由というのがやはり後継者難の問題でございました。数字を申し上げると、二十八万人おりました人が二十一万人になり、その中でも三十歳未満の人の割合というのは三〇%から平成二年では六%にまでなるということで、おっしゃるような意味での後継者難、特に若手に対する対策というのが必要な時期になってきたと思っております。そういう意味では、今回の改正案全体がこの産業を魅力ある産業にするという観点で若手にさらに参入をしていただくということが基本的でございますが、さらに後継者に対する直接的な施策といたしましては、従来から振興計画の中で後継者育成確保のための対策を講じたわけでございますが、今回新たに八条で支援計画というのを盛り込みまして、この計画によりまして常設的な機関をつくり、その中で若者に合ったカリキュラムを講じまして人材育成のための実を上げていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 特にこの際、メンション、言及したい点でございますが、さらに若手の従業者が修業期間中にいろいろと費用がかかるというようなこともございます。そういう方々に奨励金を交付するような事業をただいま伝統的工芸品産業振興協会の業務としてできるかどうかということを検討しておりますが、先生の御趣旨もございますので前向きに検討を行っていきたいと思っている次第であります。
#6
○吉田達男君 私のところに、通産省初め指導によって、これは和紙でありますが、「着実に育つ若い後継者」と新聞に珍しく出まして、「自由が大きな魅力」ということでありますが、「労働条件の改善が課題」というようなことでそれぞれ書いてあります。実情は調査しておりますが、要するに雇用形態が、また作業形態も近代化していないということが問題なんです。それが若者が来ないということでもあるんです。
 しかし、伝統産業の宿命として、二条の一項は、製造過程の主要部分が手工業的であること、また製造方法が伝統的な技術または技法によることということで、それでなければ指定されないということなんです。ということは、近代化に当たって、省力化とかあるいは機械化というものについて重大な制限があるわけであります。それで、近代化すると傘ともいうべき伝統産業の指定の根拠がなくなってしまう。これは克服しなければならぬ大きい矛盾であり課題でありますが、単なる技術以上に親方の職人かたぎというか、事業主が仕事師でありますが、そのものの持つ職人としてのキャラクターがまた近代化とちょっと違ったものを持って今日に生きている、またそのことも大事である、こういうことであります。これをどう克服するかについては大変難しい問題だけれども、知恵も要るが金も要る。その最大限の支援措置を願いたいと思うが、こういうような近代化との兼ね合い、またそこが指定にかなうものとしてなるならば、どういう支援措置がなされるか、その辺をお伺いしたい。
#7
○政府委員(堤富男君) 先生のおっしゃる点が、この法律のある意味で重要なポイントだったと思います。十八年前に先人の皆様方がこの法律をつくったときに、中小企業近代化促進法という法律があるわけでございますが、そういう近代化という手法にはなじまない、古い、手づくりでやることを伝統として残していくというところがポイントだったわけでございまして、この近代化をしない、しかしこの人たちに対する施策を講じる必要があるということであったと思います。
 最近、若い人たちの間でも俗にクラフトブームというようなことでございまして、機械、設備に面と向かうというのでは本当の生きがいはない、むしろ伝統に根差した手づくりというところに一つの生きがいを見出すというような生き方もございます。数字を見ますと、確かに毎年三千人から四千入減っているわけでございますが、もう少し細かく見ますと、六千人ぐらいがやめて三千人ぐらい新たに入ってきているというふうにも見えるわけでございまして、我々としては、そういう点をねらっていろいろ施策を講じたいと思っているわけでございます。
 その施策の具体的内容といたしまして、先ほど申し上げました支援計画、これは後継者育成のためのものを今回新たに新しい計画と起こしまして、公益法人という形で一種の常設的な機関をつくり後継者の育成をする、しかもカリキュラムは基本的には若者を中心としたものにしていきたいというふうに考えておる次第でございます。これに対する税制あるいは金融上の措置もあわせて講じてまいりたいと思っている次第でございます。
#8
○吉田達男君 伝統的工芸品産業審議会という通産省が設置された審議会があります。ここは権威を持って伝産法を維持しておられるわけでありますが、この中の二十人の委員はそれぞれの道の練達の方であります。ここがこの伝統産業の日本文化における位置づけ等々について権威を持っていらっしゃる。そこで、近代化についてこれじゃ指定ができない、こういうようないろいろ意見があり得る。当然、審議会ですから意見が出ないのではいけないので、あるんです。そこの兼ね合いが、今の難しい経済情勢の中で伝統産業といえども近代化しなければならぬということに対して、審査基準というか、その辺について指定の根拠になっておるもの、今言ったこの二条の一項の二とか三の号ですね。手工業とか手工芸とか伝統的な技法でなければならぬとか、こういうところはどういうふうに見直されるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#9
○政府委員(堤富男君) 今までの伝統工芸審議会は、当然のことながら現在の伝産法をベースに考えておるわけでございまして、この基準につきまして一つの基準を持っておったわけでございます。例えば、少なくない数という意味でいきますと、十企業以上または三十人以上というようなことを原則とするということで運用していたわけでございます。この考え方自身は私は大きく変える必要はないと思っておりますが、すべて原則としてという考え方がございます。そういう考え方のもとで、この主たる部分ですとかそういう部分についての伝統性について、この法律が伝統的手工業の伝統技法を維持するという観点がございますので、これについての本質を失わない範囲内でいろいろ工夫をしていくということは必要であったと思っております。
 ただ、先生のおっしゃるような意味の近代化ということで手工業的な部分を放棄して新しい機械をどんどん導入するということではなくて、そこの兼ね合いを十分つけていくということは、今度の新しい改正法の中ではそれなりに考えていく必要があろうと思っております。
 特に、今回新しく起こしました伝統的工芸品の技術、技法あるいは製品を活用する計画というのをつくりましたが、これは、従来伝統工芸品を純粋にそれだけを取り出して振興しようという考え方から、そういうものを使った新しい製品についてはこれを一つの施策の対象に加えていくといたしますと、産地自身が活性化をするのではないか。そういう実が上がるということがいろんなところの実例としても見られますので、そういうものもあわせて活用していくということで総合的な、複合的な産地形成の形も今回の一つの大きな改正点の重要なポイントだと思っております。
#10
○吉田達男君 それでは、そういうことで近代化していくわけですが、依然として伝統産業に後継者を雇用するに当たっては困難は続いておると思いますので、一つ私は提言を申し上げたいんです。
 それは、後継者を育てようといってもまず雇用しなければならないんですが、雇用してからの問題であります。この入った人は、職人という言葉は近代的でないかもわかりませんが、要するにだんだんと修業をして一人前になっていくのに、今の伝統工芸の修業ということになれば、三年、五年かからなければ製品としていわば世に問うものがレベルに達しない、親方の目でいくと達しない、こういうことに現状がなっておるんですが、その間、利益を十分に生み出せない若い後継職人を抱えて、さほど大きくない伝統工芸の事業主はこれを将来を目指して育てなければならぬ。これは経営的にも大変なリスクであります。
 また、働いていく若者にとりましても、昔のようなマニュファクチャーのでっち奉公ではありませんですから、適切な時間あるいは適切な労賃等々もなければ続かないわけであります。そこの矛盾をどう克服するかについて、今までこの事業の推進に当たっては事業協同組合等々がなすということでそれで指定を受けておりますから、その前提に立ってでありますが、個人が税金を補助してもらうということは相なりませんが、事業協同組合が認可を受けて、公共的なものとして一つの社会的な存在としての仕事をされながら日本の伝統産業の技術をつないでいく、こういう点に立つならば、ここにおける事業協同組合を通してその後継者に対して労賃等々に相当するものを助成、育成されたらいかがか。
 先ほど奨励金について前進的なお話がございましたが、一時的な奨励金というよりも、本質は、労賃にかわるもっと継続的な一定の同年代の若者と社会生活をしながら十分やっていけるというプライドを維持するに足りるものをしなければ後継者としては育たないので、そういう制度をひとつ十分検討されて創設願いたいと思うのでありますが、これについて御見解をお伺いいたしたいと思います。
#11
○政府委員(堤富男君) おっしゃるような意味で、若手の後継者を育てる期間が、大変この伝統工芸品の産業は懐妊期間というんでしょうか、修業期間が長いということがいろんな意味での問題の原点であろうかと思っております。
 そういう意味では、今回支援計画などをつくりまして、その修業期間を少しでも合理的に、徒弟制度でぞうきんがけからというような形でなく、現代的なカリキュラムをつくって少しでも短い期間でいわば実施ができるような形のものをつくっていきたい。統計によりますと、どうも伝統工芸士になる平均期間は大体十五年ぐらいかかるということでございまして、この期間を少しでも短くするということがまず大事だと思っております。
 それから第二番目に、従来からもその研修につきましては、産地の事業協同組合を通じまして後継者育成事業費補助金ということで、最近では七千万円ぐらいの予算が計上されておりますが、そういうものを使いながら、いわば研修、修業というものが公的側面もあるのではないかということで産地組合等がこれを実施するということでございました。ただ、これは従来時々開くセミナーのような格好でございましたが、今回の新しくつくりました支援計画というのは、それを常設機関としてもう少し長い期間集中的に育成をするということで、その修業期間を少しでも短くしたいと思っている次第でございます。
 先生のおっしゃるような意味で、先ほど申し上げました奨励金というのはまだ検討の緒についたばかりでございますが、今後考えていきたいと思っておりますのは、その若手の人がいわばそこ
の研修所を終えてから仕事を始めてなかなかすぐに仕事は自分ではできない、しかし賃金はもらいたい、こういう人たちのためにある程度の期間、三年とかそういうオーダーの期間だと思いますけれども、その間にわたって奨励金的なものを出すという案を今考えておるわけでございます。労賃そのものについての援助といいますのは、この法律自身が、伝統工芸品の産業という少なくとも市場経済に乗った産業としてベースができるということを一つの方針としておりますので、余り継続的な補助というのは我々としては避けたいと思っている点はございます。
#12
○吉田達男君 前進的に御検討をいただきたいと思います。このたびの改正案には、手づくりカレッジあるいは地域手づくりビレッジとか、こういう新しい芽がございます。これは大いに期待をするものでありますが、伝統産業の指定を受けているものを確認されるのだと思いますが、まだその指定を受けていないものが実は幾つもあって、格はあるんだけれども、さっきの指定基準に適合しないためにだんだんと衰微してしまう。ただ、地域としても日本の産業文化史としてぜひ保存したいという気持ちもあり、またそれにこたえる使命もある、こういう状況であろうと私は今日を見ておるのであります。この未指定の方々も積極的にこのビレッジやカレッジに参入、参画できるような施策をとられるような準備はどうなっているか。
 また、未指定の方々がそういうことを通してさらに適合を受けて指定をされた伝産法の恩典を受けられるようにするために、伝産法の方も歩み寄っていただきたい。基準において一部見直される業種等もございましたが、伺うところでは、例えば江戸以前とか、団地化の集積度の集密度といいますか、これもやっぱり問題になるとか、人数だけでなくていろいろ条件がございますが、こういう点についてもまた歩みと寄りが見られるような形でこれの運用を願い、新しい制度に進んでもらいたいと思いますが、これについては、どういうお考えでございましょうか。
#13
○政府委員(堤富男君) まず、手づくりカレッジ、ビレッジについての問題から申し上げたいと思います。
 手づくりカレッジ、今度の支援計画に基づいてつくられる研修所をこういうような言い方をしておるわけでございます。それからビレッジと申しますのは、伝統工芸品の販売、それから実際にそれをやっているところを見せる工房的なもの、さらに自分でそれをつくるという体験ができるもの、さらにそれ全体が観光施設としての意味もあるというようなものを手づくりビレッジという言葉で申し上げておるわけですが、これはいずれにいたしましてもかなり費用もかかる、割合プロジェクトとしてはそれ相当に大きいものでございますので、恐らくこれを実施する方々というのは、現在伝統工芸品としての指定を受けている産地がまずやるということになろうと思います。
 ビレッジの方も年に数件、カレッジはとりあえず年に一件ぐらいを今考えておりますが、大きな産地から始まるのではないかというふうに思っております。ただ、実例を見ましても、大きな産地がやるときにその周りにあります県の指定産品あるいは指定されていないけれども伝統工芸品的な味を持ったものを一緒に巻き込んでやるというような格好での計画を幾つか私たちも目にしておりまして、実際のやる過程では指定されていないものもビレッジ、カレッジの中に巻き込まれて実施をされるという可能性は十分あるというふうに考えております。
 それから、第二の御質問でございます指定要件の問題でございます。
 確かに、伝統のあるというところでおおむね百年を一つのめどとする、あるいは先ほど申し上げました三十人以上の従業員または十企業以上の産地、これは十八年前にこの法案を議員立法でおつくりになりましたときにそういう考え方でいこうということで、どれを我々踏襲させていただいておるわけでございますが、いずれにしても、運用上は原則としてという言葉が入っておるわけでございます。そういう原則としてというところを業種業態に応じましてこの指定の要件の弾力的運用ということは考えてまいりたいとは思っておるわけです。
 それから、現在、伝統工芸品産業振興法として指定されているものだけを振興するわけではございませんで、県段階では県としての施策が指定地以外のものについては行われておりますし、また伝統工芸品振興協会の事業の中では、我々の言葉で小規模産地という言葉を使っておりますが、指定以外のそういう産地につきましても、奨励金の交付ですとか、展示会への一緒の参加ですとか、そういうことは実際上やっておる次第でございます。
#14
○吉田達男君 今のカレッジの施設費あるいは伝統産業会館の以前からあります建設費等要項を見まして、山が四千万円あるいは五千万円、これに地元負担等々があるために全体の計画の国費は三分の一あるいは四分の一にとどまっておるわけでございますね。ということは、今の時期で伝統産業という一つの大きい工程の流れを展示して、建物だけじゃなくて、そこに道具も要るし、工程の説明も要るし、宣伝すれば印刷費も要るし、什器・備品も要りまして、私はこの金額は、よその省がやっておるいろいろな施設に比べれば、四千万、五千万というのはまことに小さい金額だと思わざるを得ないんです。ちょっとした箱物、まあ民家のちょっと大きいぐらいのものでしかない。これでは、意志を持って意欲的な普及を展開していくということの仕事が十分に果たされないんじゃないかと思うんです。
 これについては、また維持についても指定している伝産組合等の力をもってしなければ運営できないということをさっきおっしゃっていらっしゃいましたが、そのとおりであっても、それを維持している、指定を受けている組合でもさほど強いわけじゃないんでありまして、これのランニングする費用でも大変であります。せっかく仏つくれば、魂を入れて生かさなければならぬわけでありますから、この点について、建設費、運営費についてなお積極的な私は対応をされるべきだと思うのでありますが、現状に照らしてこの金額は低いと思いませんか。もっと積極的にやられるべきだと思いませんか。また、これを生かそうと思えば、もっと維持費が要るんじゃありませんか。その辺の御見解を聞かせていただきたいと思います。
#15
○政府委員(堤富男君) 例えば、支援計画でつくりますカレッジにつきましては、五千万円の予算を計上しておりまして、四分の一補助ということでございますから施設の金額としては二億円、それから運転資金といたしましては一千万円を、三分の一補助ということですから三千万円というイメージでございます。
 二億円の建物ということがどのくらいものか、今伝産会館等をつくっておりますが、あれが大体一億二千万ぐらいのものを想定しての予算規模になっておりますが、それなりに伝度会館としては機能しているのではないかというふうに思っております。今回は、消費者の交流ですとか、さらに常設機関としての研修施設ということを考えまして、二億円ぐらいのものを想定しておるわけでございます。
 それから、四分の一補助ということのほかに加えまして、これは当然のことながら中小企業事業団の高度化融資の対象となるわけでございまして、恐らく八億円ぐらいの範囲内で金利ゼロのお金が講じられるわけでございまして、そういうものもあわせて活用して実を上げていただくというようなことが我々の想定したところでございます。
 確かに、これ以上多ければ多いほどいいという考え方ももちろんおありになると思いますけれども、我々としては、限られた予算の中で有効に、かつこの施策の目的の実を上げてまいりたいと思っておる次第であります。
#16
○吉田達男君 省によりまして事業部というか、事業省というようなところは特に形にあらわれる
予算の使い方をされます。政策省でありますから箱物をつくるのが仕事というわけじゃありませんけれども、やっぱりそれは必要なものは必要としてされるべきだと思うのでございます。本当にこの国費の負担の三分の一にしても四分の一にしても、この比率はもっと改善されるべきだと私は思いますし、金額もふやすべきだと思います。中小企業の予算の比率が少ないということはいろんな機会に言われますし、通産省も大きい社会的な認知を受けておる主要省であり、あるいは主要閣僚であるわけでありますが、それにしては予算が少ない。
 その予算の中を見ると、例えば融資事業というのがかなりの予算が計上されていて、これは帳面づらは通って予算は膨れているけれども、後で借りた者が返すというものですから、事業部の方の予算の使い方にすれば中身としては本当に受け取ってやったという事業になりにくいと。それはそれなりに意義はあることでありますが、この会館を建ててあるいはカレッジを建ててやると、こういう方針を立てたからには、これはもっと積極的に箱物であっても趣旨を全うするぐらいのものはぜひ持っていただきたい。これは、御判断は大臣になると思いますけれども、意気込みとしては私は十分持っていただきたいと思うのであります。
 続いて、質問をちょっと変えますが、この伝統産業でつくったものを売っていくという作業についてであります。
 今は、お客さんのニーズというものがあればそれにこたえて生産して経済の歯車が回る、こういう仕掛けてありますが、えてして職人というものは腕の方は立つけれども、物を売るという方は、天は二物を与えずという片面がありまして、値切ったりされるとけちをつけられたと怒ってしまうぐらいなもんで、なかなかならないんです。この需要喚起についてどうなのか、需要をどう促進していくか。また、一こく者の職人のおやじは、おれのつくったものがいいんだ、先代の名人の親方がつくったものを受け継ぐのがいいんだということがかなり固定的になっております。
 ところが、ニーズは変わってまいります。例えば、このいすは、材質が五千円で手間代が五千円かかったと、だから一万円が原価だけれども、このデザインだから五万円でも売れる、このデザインだから千円でも売れないというようなものでありますね、物が。ということは、伝統産業といえども近代の経済生活にフィットするものをつくり出していかなきゃならぬ。こういう点について、デザインはどうか、需要拡大はどうか、こういう点にどういうふうな施策をもって取り組まれようとしておるか、その辺についてお伺いいたしたいと思います。
#17
○政府委員(堤富男君) 需要拡大につきましては、今後の伝統工芸品産業の将来を占う意味でも大変重要な施策だと思っております。もちろん、従来から振興計画の中で需要開拓等に対する補助事業というのをやっていたわけでございますが、従来の施策が、物をつくる人にだけ注目した製造業者の組合に対する施策という点がポイントだったわけでございます。それに対しまして今回は、共同振興計画というような形で、販売事業者との提携とか販売事業者組合との共同事業についてもう少し意を用いる必要があるのではないかということで、新たに一つの計画を起こしまして共同振興計画ということで、販売事業者の持っております販売上のノウハウですとか販路ですとか、そういうものの知恵をさらにこれに導入していく必要があるのではないかということで共同振興計画というのをつくらせていただいたのが第一点でございます。
 それから第二点の、従来の伝統工芸品にだけこだわっていたのでは産地全体としてうまくいかないのではないか、最近の新しいデザイン、そういうものについても産業として配慮をしていくべきではないかということで、伝統工芸品の活用計画とつくりましたのは、その伝統工芸品を使って現代にマッチした商品をつくってそれを販売すると。これはもちろん、例えば従来のつくっていたものと違った商品をつくっていただくという新商品というところにウエートを置いた施策でございます。これを通じての活性化というのも今回の施策の中心でございます。
 簡単に申し上げますと、従来が、メーカーに注目し、かつ伝統工芸品にだけ注目した純粋培養型というんでしょうか施策だったものを、さらにメーカーだけでなく販売事業者、そういう人たちとの提携、あるいは現代産業との提携、消費者との交流、そういうふうに横に広げていくべきではないか。さらに、伝統工芸品だけではなくて、伝統工芸品を活用した商品まで活用していくという、そういう面の商品での広がりも含めて、簡単に申し上げますと、純粋型からやや複合型、総合型の施策になったという点がポイントになっているわけでございます。
#18
○吉田達男君 それでは、伝産法について大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
 こうして努力して伝統産業の振興を通産省は図っており、また業者も我々もそれを成功させようとしておりますけれども、期待すべくしてこの生産高というものは近代産業の中にあって大変に伸びるというわけにはいかない、自動車や弱電のような経済の主流になるということはあり得ない産業でございます。しかし一方で、日本民族のこの産業文化とか技術、こういうものを現在につなぎ、生かしてきた、そして将来にまた展開させよう、こういう意味での伝統産業の意義というものはまた見直されて十分深いものがあろうと思うのでございます。今、伝統産業法の改正を上程された大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
#19
○国務大臣(渡部恒三君) 今いろいろ政府委員から御説明を申し上げましたが、一言で申し上げれば、私は、とわなる、美しき、どうとく、価値あるものを守り保ちながら、また未来に向かって、このとわなる、美しき、価値あるものを創造していく、これが伝産法の改正に当たっての私の基本的な哲学であります。
 今、先生からいろいろ御指摘がありましたように、消費者のニーズが常に変わってきておりますから、そういう中で古いものをなかなか経済的に活力を持って販売や製造を伸ばしていくことは容易でありません。しかし、だからといって、新しいものにかわってきて古いものがなくなってしまってよいのかといえば、決してそういうものではありません。正倉院で使っておる漆、今どのような近代科学が研究しておるよりも接着剤としてはるかに価値があるというような話も聞いておりますけれども、私ごとを申し上げて恐縮ですが、私のところは漆器の産地でありますが、かつては、戦後いわゆるベークライト漆器というもので安くて簡単に大量販売というものが風靡した時代がありましたが、今経済が落ちついてまいって本物志向と。やっぱり木地に本当の漆を時間をかけて塗ったものが価値あるものとして喜ばれるというふうな風潮も出てきております。
 しかし、なかなかこれは人というものを考えますと、今日の若者たちの風潮の中では、辛抱強くあの土蔵の中で漆を毎日塗る、あるいはまき絵を描くというようなことになかなか喜んで入ってくれる人がおりません。しかし、これも私は、最近希望を持ってきましたのは、二代目、三代目の若者たちが、やっぱり親から一生懸命引き継がれてきた産業を若者たちで守ろう、こういう意欲もそれぞれの地域を回ってみますと出てまいりますので、こういう機会をとらえてこそ伝統産業をそれぞれの地域社会の経済発展と相まって頑張っていこう。私はこの職につく前に自治大臣を務めておって、ふるさと創生事業というものを始めさせていただきましたが、これは伝統産業をこれから発展させる面でふるさとに新しい未来をつくっていこうというような考えも含まれております。
#20
○吉田達男君 大臣の決意のほどを伺いまして心強く思いまして、重ねてお尋ねをいたしたい。
 この際、国として日本の産業文化史を飾る伝統産業の一つの展示館というようなものをつくり、創設したらどうか。
 長い間日本民族が培ってきた技術は、何でもないようだけれども案外一つ一つ見ると、例えば糸巻きにしたってああいう大きいものと小さいリールで物すごい回転を与えるとか、てこの理屈や動滑車があったり、偏心ローラーなんかもそれぞれ機具なんかを見ますとあります。木の材質というものを使って、その最大静止摩擦というか抵抗によって止めるというようなデリケートな木の白太と赤身とを区別した使い方とか、なかなかノウハウも受け取るところの多いものもあり、こういうようなものを一つの工程として、あるいはそれを仕上げていく道具として、また名人上手がつくった立派な後世に残すことのできる作品、技術等々を展示しておく、それで一つの誇るものとして公開する、これは今の時期、私は日本の国民の中で大きい期待があると思います。
 今しなければ、もうなくなってしまうという技術もある。これをいかにすべきかということは、日本の産業文化史の上からも極めて重要な問題であろうかと思います。こういう点についても体系的に、それぞれの分野で残ったものは地方でやっておりますけれども、国に一つぐらいは通産省として設置して、これをまた見本としてつないでいく、こういうことを果たされたいと思うのでありますが、先ほどの大臣の決意を承って、これなら前進的なお考えが期待できるなと思いながら、重ねて質問させていただきますのでお答えいただきたいと思います。
#21
○国務大臣(渡部恒三君) さきに先生方の御努力によって伝産法ができたとき、それぞれの指定地域に伝度会館ができて、そこで価値ある伝統的産業によってできた製品を展示するというようなのはありますし、またそれぞれの市町村に、これは通産省の所管ではありませんが、歴史民俗資料館というようなものでいろいろその地域の歴史や伝統を、今失われつつあるものを何とか残していこうというような努力がそれぞれ行われております。
 今、先生御指摘の話は、国全体の中でのこの国の歴史に立っての文化そして伝統的工芸を世界の人たち、国の人たちに知ってもらい、また将来に残していこうという壮大なるお考えのようでありますから、今聞いてみましたら東京にも青山に伝統産業の展示館はあるそうですけれども、それよりもっと壮大な歴史的な大きな構想というふうに承って、これから前向きに検討してまいりたいと思います。
#22
○吉田達男君 それぞれ文部省なら文部省の分野にわたってその分野のものはありますが、産業文化史、こういう体系的なものとして通産省に期待をしておるわけです。通産省では、異業種融合ということを随分熱心になさいまして、大発明をしたわけじゃないけれども、こっちの技術どこっちの技術と足したら、一足す一は二プラスアルファの力を出してきておるんです。伝統産業の技術の中でも、これを一緒に違ったものを重ねながら見ていると、はっと気がついてまた技術の見直しで新しいものを生み出すだけのものが出てくる。そういう産業文化史としての体系的なものとして期待をいたしますので、御検討を願いたいと思います。
 時間がなくなりまして、次の特定中小企業集積法に質問を移したいと思いますが、精読しましてなかなかの法律だと思います。我が党が政権をとれば、このような法律を立てたいなと思っていたような内容でございます。
 そこで、具体的に質問をいたしますが、本法の集積の要件あるいは関連業者の範囲、これを決めて通産大臣は活性化指針を作成されて出されるわけであります。それを受けた都道府県がまた活性化計画をつくって、承認を求めて指定を受けるわけであります。これの要件等々と、いつごろそういうことになって、指定の第一号は早くやればどこの地域であろうかわからぬけれどもできると、こういうようなタイムスケジュールのようなものを目安としてお聞かせいただきたい。
#23
○政府委員(桑原茂樹君) ただいま活性化計画の承認というものが大体いつごろできるのかという御質問でございました。
 この法律は、御承知のとおり公布の日から六カ月以内に政令で定める日に施行する、こういうことになってございますけれども、我々、施行が行われましたら中小企業近代化審議会に諮問をいたしまして、できるだけ早く活性化指針というものを定めて告示をしたいと思っております。その指針に基づきまして、各県が速やかに活性化計画をつくって私どものところに持ってくる、こういうことになっているわけでございます。すべてが速やかに行われるということを前提にいたしますと、活性化指針の策定はおおむね秋口ごろになりますし、活性化計画の承認というものはその後できるだけ速やかに行われるというふうに考えるわけでございます。
 それから、その前提となりますところの集積の条件とかそれから関連事業者の範囲について御質問があったかと思っておりますけれども、集積の要件につきましては、産地とか企業城下町とか、一定の地域におきまして相当数の中小企業者が、しかも有機的な連携を保ちつつ事業活動を行っている、そういう集積でございまして、そのうち特に活性化が必要であるというものを対象とするわけでございます。関連事業者でございますけれども、そうした中小企業集積の中核となる製造業というものがございますけれども、その中核となる製造業と取引関係であるとか技術の共通性であるとか、あるいは資源利用の共通性等から見て関連性が非常に高くて、中小企業集積が全体として機能を発揮する上で重要な事業を行う、そういうものは関連事業として認められるというふうに考えておるわけでございます。
#24
○吉田達男君 もうちょっと、抽象的でなくて具体的に聞きたかったんですが、個々のケースが出て具体化になるのだろうと思いまして重ねて聞きますが、この集積法は町の経済を活性化させるということでありますから、つまり町づくりの一環としてなされるわけであります。だから、その成功を握るかぎはどこにあるかというと、その町の生産者というか、生産者の中小企業団体とか、そういうものと自治体と、こういうものの協力関係のうまくいくかいかないかということがかぎになると思うんです。
 そこで、それをどういうふうな指導方針で通産省は進められるか。あわせて、大臣が活性化の指針をされた後、活性化計画を知事がやり、あるいは進出計画を業者がやり、あるいは円滑化計画を協同組合がやると、こういうことでやるのでありますが、この計画をつくって出して認可を受けていく、その計画策定というものはどの程度のものか。ガイドブックにはありますけれども、とてもじゃないけれども、深刻に考えれば、コンサルタントにかけたりいろんな調査をしたりして費用も相当要るのですね。
 だから、通産省はそれを指導されると同時に、これだけの手続をして、知事が承認を受けた後にこの手続がなされるんだが、そういう後の調査費というか、商業集積法のときにああいう基本構想を打ち立てるに当たって、こういう裏づけをするということがあったような場合の財政措置はどのようになっているか、この辺をお伺いします。
#25
○政府委員(南学政明君) 中小企業集積の活性化は、新しい地域の顔となるような産業をつくり出していくことでありまして、御指摘のように、国なり都道府県なり市町村、中小企業者、これが一体となって協力しながら事業を展開していくということが極めて重要であります。
 この法律案では、都道府県がみずから幅広い関係者のコンセンサスのもとに市町村とも協議しながら活性化計画を策定することとしておりまして、広範な関係者の協力のもとに事業が遂行できるような体系となっております。そして都道府県なりがこの計画をつくる場合に、国としても情報提供なりをどんどんしていって適切な計画づくりに寄与していきたいと、このように思っております。
 関係地方公共団体とこれから大いに連絡をとって進めていきたいと考えておりますが、助成措置
があるのかという点でありますが、例えば今回の予算の中で、都道府県が計画を策定するために調査をする、そういう費用についても補助金を交付するというような手だてが用意されております。
#26
○吉田達男君 せっかくの成功を祈っておりますが、御当地ソングで申しわけないのですが、境港市というところがございまして、これは水産加工の中小企業群があります。最近、国際的な漁獲規制が強くなりまして、これによって品薄になる。回遊魚の方はどういうわけかよその方に回遊でもしておりまして、また原料薄になって、このために、例えばすり身が四百円だったのが去年のこのころから高くなって、今では七百円ぐらいになっているというようなことになりますから、大変な困難に陥っております。
 したがって、経営方針として付加価値の高いものに焦点を絞りながら経営を改善していく、こういうようなことに今努力をしておるところでありますが、その中で氷温技術を活用した加工をすることによって付加価値の高い製品をやろう、一つのポイントにしたい、こういうふうに考えて検討しておるところでありますが、このような場合に、境港市は特定集積の指定となり得るのか。氷温加工というのは相当普及されつつありますが、いまだ決定的な定着になっていない技術であります。期待はされております。このものはまた本法の対象となる特定分野になり得るのか。その場合に氷温技術によれば、例えば活魚を氷温で水なしで生きたまま輸送する、あるいはその魚を氷温技術で加工して氷温冷蔵庫に持っていき、市民の生活でおいしく食べられるわけでありますが、その一環として氷温輸送がなければできないんですが、このようなものはどの範囲まで氷温加工の関連事業として、例えば運輸業等々は対象になり得るのか、なり得ないのか、その辺について具体的にお尋ねいたします。
#27
○政府委員(桑原茂樹君) 境港市におきまして水産加工業の中小企業がたくさんあるということで一種の集積をなしておるということは、我々もそのとおりだと思っております。したがいまして、境港市の水産加工業が本法によりますところの活性化計画というものを県と相談をして県経由で我々の方へもってくれば、本法の対象となりえる地域であるということであろうかと思っております。具体的に、この氷温技術というものを活用して水産加工という観点からどんな高付加価値化なり、新しい製品なりというものができるかどうかというところはいろいろ我々としてもその段階で聞かせていただきたいと思っておりまして、いずれにしても、氷温技術というものを使いましてかなりそういう将来に期待できる新しい製品等々の可能性が強いんだというようなことであれば、それは活性化計画が承認になる可能性ももちろんあるわけでございます。
 先ほど、氷温技術を活用して魚等を、鮮魚等の輸送をするというのはどうだろうかということでございますけれども、輸送につきましては、その関連事業ということでそれも対象になり得るかというポイントであろうかと思っておりますが、輸送というものが本体の水産加工との関連性が非常に強いんだというようなことが認められれば、その氷温技術を利用した輸送というものも関連事業として認められるという余地があるのではないかというふうにも考えておるわけでございます。
#28
○吉田達男君 最後に、通産大臣にお尋ねいたしますが、自由経済には変動がありまして、その中にあっておおむねの企業は精いっぱい頑張っております。しかし中には、バブルを追い、その不労所得を得ようとしたものもございます。
 今、国際的に大きい波が来る、あるいは景気がこのように変動する中で、大きい波をかぶってしまう、部分的にまた資材等で陥没してしまう、こういうような事態が起きて中小企業者の懸命の努力にかかわらず、その努力の力をはるかに凌駕する大きい波によって影響を受けてしまう。この責任は一体だれにあるか、これは中小企業者の責任じゃないと思うんです。この波をどのように、大臣は通産行政として波に洗われるものを伸ばす対処をする法をお持ちか。また片面で、企業倫理を問われる今日、なお損失補てんがあり、また飛ばしかありして、依然として反社会的な行為を続ける企業もあります。このようなものに対してはいかに対処しながら通産行政の筋を通されるのか、この一面相矛盾するかもわかりませんが、一本筋の通った通産大臣としての行政を行う所見をお伺いいたしたいと思います。
#29
○国務大臣(渡部恒三君) 戦後の我が国の歴史を振り返って見ただけでも、やはり経済が発展するためには汗を流した者が報われるということでなければなりません。中小企業はまさに我が国の今日の経済発展の原動力であり、その経済が発展して今日福祉も教育も豊かな、働く人たちの生活も前進することができたのでありますから、私どもは、過去にも第一次、第二次のエネルギーショック、また円高、円安の為替の大きな変動、そういったびに中小企業あるいは下請企業、こういった人たちが大きな苦労をしてきたことを忘れてはなりません。また、中小企業の皆さん方がみずからの強いたくましい自主努力によってこれらの幾たびかの困難を乗り切ってきたことも、私はすばらしいことだと思います。今、私どもにとっては過去に経験したことのないような非常に難しい経済状態に当面をいたしております。この厳しい経済状態の中で、まじめに真剣にたくましく頑張ってきた中小企業の皆さんがこの困難を乗り切ってさらに努力をしていただきたい。
 具体的な問題で一つ申し上げれば、今人手不足の問題が大きな問題、また時代の趨勢の中で時短という問題は産業界にとって避けて通れない問題になっておりますけれども、これらにとっても中小企業の皆さんがこれに対応できるように、苦境を打破し、そして新しい時代のニーズに中小企業が生きていくという一石二鳥を図って、中小企業の省力化に対する思い切った支援措置を今通産省は考えておるところであります。そのほか、予算は大変厳しい状態にはありましたけれども、幸いに財政投融資等がなり思い切って確保することができましたので、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫、北東公庫、こういった制度資金を最大に活用して、中小企業の皆さんがこの難しい経済局面を乗り切っていくために、私どもとしてもできる限りの努力をしてまいりたいと思います。
 また別な方の、バブルで生きてきた方はどうなるかというような質問もありましたけれども、これは間違って報道されるとかつての池田通産大臣のようになっても困りますから、コメントを差し控えさせていただきます。
#30
○吉田達男君 終わります。
#31
○梶原敬義君 通産大臣、御多忙の中、中国に行かれたように報道で見かけましたが、通産大臣の目から見た中国の今日の政治経済の情勢といいますか動向について感想を最初にお尋ねしたいと思います。
#32
○国務大臣(渡部恒三君) 今回お許しを得まして土、日、月と中国を訪問し、江沢民総書記、李鵬首相、郷家華副首相を初め七人の要人の皆さんと会見し、また地下鉄工事とかあるいは我が国の進出企業あるいは中国の伝統ある企業、これらを見学させていただきましたが、二言で申し上げると、もはや中国の改革開放路線は不動のものになってきている、今後人事の意味でいろいろなことが起こるかもしれませんが、少なくとも中国が目指しておる改革開放路線というものは不動のものであるというふうな感じを持ちました。これが一つ。
 もう一つは、昨年と一年間だけでも大きな変化を感じられますのは、中国が国際化に向かっての努力を非常にしておる。環境問題一つを取り上げても、一年前の我々に対応する考え方とはまるで変わってきている。私は、今や環境問題というのは、一国の問題でなくて地球規模で考えなければならない。フロンの問題にしてもCO2の問題にしても、中国が石炭をこれから、八%程度合経済が成長しておりますから、どんどん燃やすようなことになれば、これは当然日本にも影響してくる。やはり脱硫装置をしっかりとつけるとか、環
境問題に努力をしてもらいたいというような話、あるいは知的所有権の問題とか、アンチダンピングの問題とか、こういうことにも非常に素直に我々の声に耳を傾けて、国際化社会に向かって中国は生きていかなければならないという自覚をお持ちになってくださった。
 言うならば、これからの友好二十年を今迎えた中国と日本は、お互い尊敬し合い、またお互い対等の立場で言うべきことを言いながら、これから友好を深めていかなければならないということを痛感してまいりました。
#33
○梶原敬義君 どうも御苦労さまでした。
 二つの法案の中身に入る前に、経済情勢の問題について、経企庁もお見えですから、お尋ねをいたしますが、今日の状況さらにはまた今後の対応等について簡単に要約をしてお答え願いたいと思います。
#34
○政府委員(柳沢勝君) お答えいたします。
 我が国の経済は、現在調整過程にございます。全般的に景気の減速感が広まっているわけでございますが、しかしながら労働力需給を見ますと、緩和の兆しか見られますけれども、依然として人手不足が続いておるということでございまして、いわば人手不足下の調整過程という今までに経験のない状況にあろうかと存じます。
 政府といたしましては、こうした調整過程が企業家等の心理、経営マインドを実態以上に冷え込ますことのないようにということで、ひいては国民経済に悪影響を及ぼさないよう、予防的な観点も含めまして適切に対応するということから、三月三十一日、緊急経済対策を取りまとめたところでございます。その実行に現在鋭意邁進しているところでございますが、さらに四月一日には、対策と軌を一にいたしまして公定歩合の第四次引き下げが行われたところでございます。
 実体経済の動向につきまして簡単に御説明申し上げますと、個人消費も物価の安定や雇用者所得の順調な伸びということで堅調な伸びが期待されますし、住宅投資につきましては、金利の引き下げが徐々に浸透してまいりまして、底を打ち、回復の兆しか見られるということでございます。こうした経済の自律的な動きそのものにつきましては底がたいものがございまして、今般の経済対策も、いわばこうした自律的な動きというものを下支えすることをねらったものでございます。
 我が国の経済は、今後、現在の調整過程を経まして、内需を中心としたインフレなき持続可能な成長過程に順次推移していくものと予想いたしております。
#35
○梶原敬義君 在庫調整がことしの四−六で見通しがつくんではないか、いやそれは年末までかかるんではないか、こういうような議論がよく聞かれますが、この在庫調整の問題について、一応どのように把握をされておるのかお尋ねします。
#36
○政府委員(柳沢勝君) 今、先生お尋ねの在庫調整につきまして御説明させていただきます。
 平成三年十月ごろから、在庫の過剰感というものが全般に出てまいりました。しかし、ことしに入りまして、特に生産財、鉄鋼などに代表されるところでございますが、生産財につきましては、そのための所要の減産、生産調整等が強化されましてかなり在庫調整が進展してきております。しかしながら、耐久消費財、資本財といった分野につきましては、かなりまだ調整がおくれておりまして在庫の過剰感が強まっているというのが現状でございますが、かなり在庫調整のための操業短縮等も進んでまいりまして、どうやら在庫そのものも減少の方向に向かっているということだろうと思います。
 業種別に見てまいりますと、まだかなりばらつきがございまして、一般機械、電気機械あるいは輸送機械といったような機械関係の業種につきましては、在庫減あるいは在庫増加のテンポ鈍化というようなことでございまして、なお在庫は高水準で推移しております。さらに、紙・パルブなどいわば構造的な過剰設備を抱えているといったところにつきましては、なお減産が行われておりますけれども、需要の回復が進んでいないということもございまして在庫はまだ高水準、横ばいの状態である、このように理解いたしております。
#37
○梶原敬義君 通産省にお尋ねしますが、今言われましたように在庫調整が非常に深刻な産業としては一般機械、精密機械、電気機械、それに自動車、紙パ産業、こういうところになっているようでありますし、私も昨日経企庁の方から資料をいただきましてそういう状況を今見ているところでございますが、通産省としてはどのようにとらえてどのように見通しを持って指導されているのか、お尋ねをいたします。
#38
○政府委員(榎元宏明君) 在庫の大きな流れにつきましては、経企庁の方から御説明があったとおりでございます。
 私どもさらに中に入っていきますと、これもくくって申しますと、特に在庫の動向の中で気になるところは資本財と耐久消費財でございます。その積み上がりが著しいというものが目立つわけでございます。資本財につきましては、例えばパワーショベルなどの建設機械、それから耐久消費財ではオーディオビジュアルなどの家電装品の一部に在庫の積み上がりが顕著に見られるわけでございます。
 これをいかに調整していくかということでございますが、私どもといたしましても緊急対策を決定いたしましたときに大臣から、マクロ政策あるいは景気対策の推進の観点から、関係企業に対して在庫調整の推進の努力を要請しているところでございますけれども、例えばこの二月に輸送機械、特に乗用車関係の在庫は大幅に減少してきているわけでございます。その点は非常に好ましい面がございますので、大いに私どもも期待しているところでございますけれども、その幅はある意味では大きいものがございますから関係業界に及ぼす影響はある意味で大きいということで、在庫調整に関しましては民間企業の努力は大変大きなものがある、このように理解をしているところでございます。
 そういった在庫のたまっている企業、あるいはそれから生産財その他に波及、そういったところを見きわめていかなければならないということで、私どもこの在庫の動向につきましては極めて慎重に注視をしている、こういうところでございます。
#39
○梶原敬義君 公取との関係もありますが、産業ごとにきめ細かい対応をしていただきたいと思います。
 次に、ちょうど経企庁もおられますし、通産大臣、景気対策に絡んで、払いつも言うんですが、景気の調節弁に住宅投資が、絶えず景気が悪くなると住宅を大いに刺激せい、こういうことになり、また銀行金利も動くわけですね。だから、住宅というのは国民が文化的な生活をするために、特にまた海外に比べても質が貧弱である、それをやっぱり豊かにしていく過程なんですから、住宅が景気対策の弁にならないようにそこだけは国の基本的な方針として、不況のときも好況のときも大体一定程度ずっと住宅投資は進む、そのためにネックのあるものをやっぱり取り除く、そういう総合的な観点からの検討を進めていただきたいと思うんですが、少し御答弁があればまた承っておきたいと思います。
#40
○国務大臣(渡部恒三君) 御指摘のとおりだと思います。
 我が国は戦後、貧しさからすばらしい今日の繁栄に向かって経済が進んでまいりました、食べるもの、着るもの。ところが、残念ながら世界の先進国と比較して住宅環境、大きく言えば生活環境と申しますか、この貧しさが目立っておることは変わりないわけでありますから、これ好況であれ不況であれ、我が国の国民の皆さん方のこれから豊かな生活環境をつくっていくために努力をしていかなければならない政策目標は一貫して進めていかなければならないと思います。しかし同時に、今景気の問題が非常に心配され、その中で内需拡大による景気の回復ということが私どもの基本的な考え方ということになりますと、住宅ほどあらゆる産業にかかわりの深い設備投資はないわ
けであって、私どもは今年、国際調和という面からも三・五%の成長は達成させなければならない。そういう中で、国全体のこれは施策でありますけれども、住宅、しかもこれは今までのような量ということでなくて質という面も十二分に考えた、国民の皆さん方には広々とした快適な住宅環境を持ってもらう、そしてそのことが今の経済、景気対策に大きな役割を果たす、こういうことだと思います。
#41
○梶原敬義君 それでは、特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法案に対する質疑を行いたいと思います。
 提案理由の説明をいただきました。その中には、「我が国中小企業は、事業所数の約九九%、従業員数の約八〇%」云々ということで位置づけをされております。そしてその後、「しかしながら、近年、消費者ニーズの多様化、技術革新の進展等中小企業は厳しい環境変化に直面しております。」、こう書かれております。
 確かに、消費者ニーズの多様化と技術革新の進展等、こういうことが大きな問題だということは私も理解しておりますが、同時に大企業が競争しながら発展をしていく過程では中小企業の分野にどんどん侵食していっているんです。よく我が党も、中小企業分野法とかそういうことで何とか大企業と中小企業のすみ分けというのか、そこはやっぱり一線を引くように何らかのものが必要じゃないか、こう言ってきたんです。その部分を抜きにすると、どうも全体を正確に把握したことにはならない、消費者ニーズの多様化、技術革新の進展等だけではやはり今日の中小企業の置かれている状況というのは語れないと思う。この点について、通産省のお考えをお聞きしたいと思います。
#42
○政府委員(桑原茂樹君) 先生の御指摘にありましたように、我が国の中小企業が我が国の経済に占める割合というのは非常に大きいわけでございます。我々としましては、日本の経済が健全な形で発展を遂げるというためには、大企業の発展というのももちろんあるわけでございますが、中小企業も一緒になって発展していく、それが我が国経済のバランスある発展に不可欠の要素であるというふうに考えているわけでございます。
 最近のいろいろな厳しい情勢ということでございまして、中小企業が力をつけて、その知恵と小回り性を発揮してますます発展するようにいろんな施策を講じておりますけれども、特に最近では技術開発であるとかソフトな経営資源であるとか、情報あるいは人材の確保というような面も非常に重要であろうかと思っております。我々としましては、特にこういうようなところにも力を入れまして、中小企業がむしろ大企業に伍してその力を発揮していただくように、最大の努力をしていきたいと思うわけでございます。今回御審議いただいておりますこの新しい法案につきましても、中小企業がその特性を生かして大企業に伍して発展していく一つの契機になるものであるというふうに我々は大いに期待をいたしております。
 なお、御承知のとおり、中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律、いわゆる分野調整法というのがあるわけでございまして、我々としては、必要な場合には同法の運用を考えていきたいというふうに考えているわけでございます。
#43
○梶原敬義君 くどいようですが、例えば大企業に納める納入会社とか、私のところにも鉄綱会社がいっぱいあります、造船に対する。そういうのもありますが、その親会社と小さい関連業種、事業所との間というのは、どうしても任すとかなんとかいってもやっぱり上部下部の関係にあるんですよ、社会的には。幾ら人が足らぬといっても、若干最近雰囲気は変わりましたが、やはりいざというとそうは簡単にはいかない。そこからにらまれたらやっぱり長いものには巻かれろというような状況、これはもう常識なんで言う必要ないと思いますが、やはり一律に物を考えないで、指導するときは絶えずそういう立場に立っていただきますように要望しておきたいと思います。
 さて、なぜこの特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法が今出てきたのかというので少し疑問を持つのですが、その点についてお答え願いたい。特に、私ずつと国会に来まして九年間商工委員会におりまして、その中で関連するような法律がいっぱい出ております。まとめていただいたのですが、読んでみますと、特定地域法、それから事業転換法、技術開発法、融合化法、これらをずっと審議をしてきまして、いろんなことで通産省の方も中小企業対策をそのときそのときにやってきたのですが、これらの効果というか反省といいますか、そういうものも私どもとしてはやっぱり一度テーブルにのせていただいて、そしてそういうものの上に立って今回のこの法律をやればこうなるんだというイメージがなかなかわかない。なぜ今この法案が提出されたのかということに関しまして、そこらもひっくるめてお答えしていただければ幸いです。
#44
○政府委員(南学政明君) 今我が国の中小企業は、大変大きな環境変化に直面しているわけであります。提案理由の中でも説明がありましたように、消費者ニーズの多様化、高度化、技術革新の進展、加えて労働力不足問題あるいは国際化の進展など、いろんな厳しい変化に直面しているわけであります。こうした変化の中にありまして、平成二年の中小企業白書においても指摘しておりますが、我が国の産地の中では順調に発展している産地と、こうした環境変化にうまく適応できずに活力が低下している産地に二つに分化している傾向が指摘されているわけであります。産地等の中小企業の集積はまさに中小企業の事業活動の基盤でありまして、このような機能が低下している各地域を中心にぜひ活性化施策を拡充強化してほしいという要望が強く出されるに至っているわけであります。
 中小企業庁といたしましては、このような各地の要望あるいは集積の経済の実態等を踏まえまして、今こそ積極的な施策を展開していくことが必要だと、このような認識に立ったわけであります。そして、通産大臣から昨年秋に中小企業近代化審議会に対しまして、地域中小企業に対する施策のあり方についで諮問を出しました。同審議会において精力的な審議の結果、昨年十二月に、集積を現状のまま放置すれば多くの集積の衰退をもたらすことが懸念されるために、集積対策を法律を柱として講ずべきとの答申をいただいたところであります。この法案はこのような背景のもとに今御審議をいただいているわけでありますが、御制定いただいた後には、この法律を軸に我々として地域中小企業集積の活性化に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 なお、先生御指摘のいろんな各種の法律がこれまでもあったじゃないかということでありますが、地域中小企業の集積という点に着目しまして、これを体系的に活性化させていこうという法律は初めてのことであります。なお、特定地域法は昨年十二月失効をいたしております。
#45
○梶原敬義君 活性化計画を立てて、いわば集積というのは産地と置きかえてもいいということですが、そういう産地の指定をやっていくということですから、この十年間の時限立法の中で、一体この法律ができましたらどのようなことで活性化計画を進めていって、そういう産地の指定というものは今大体頭の中でどのくらいのところを描いておられるのか、少しぼんやりとしたことでも結構ですが、いいですか。
#46
○政府委員(桑原茂樹君) この法律によりますところの具体的な地域の活性化計画というものは、通産大臣が活性化指針を定めますと、その要件に適合するかということで各県から承認を求めて上がってくるわけでございますので、我々として今の時点において幾つその承認するかということを今からはっきり申し上げるのはなかなか難しい点もございますけれども、今の我々のつもりでございますけれども、当面大体全国で百地域程度の活性化計画が承認されることになるんじゃないかなというように考えているわけでございます。
#47
○梶原敬義君 それは、十年で大丈夫でしょう
か。
#48
○政府委員(桑原茂樹君) この法律は、十年で一応時限法になっております。我々としては、この集積法の実施というものが行われまして、その成果であるとか経緯等々をよく見きわめた上で、十年たってもう一回見直すという趣旨であろうということで十年という期間を定めさせていただいておるわけでございます。
 一方、中小企業集積の活性化ということになりますと、かなりの期間を置きませんとなかなかその成果があらわれないということもあるわけでございますので、最低十年間くらいはむしろ必要ではないかという考えもあるわけでございまして、両方考え合わせまして十年の時限立法として提案させていただいたわけでございます。
#49
○梶原敬義君 わかりました。
 それから次に、手続ですね。この法律の手続の概要について最初に説明をしていただきたいと思いますが、よろしく。
#50
○政府委員(桑原茂樹君) この法案に基づく手続でございますけれども、まず国が活性化の指針というものをつくるわけでございます。その基本的な指針というものに基づきまして都道府県が具体的な地域の活性化計画というものを市町村なり地元の中小企業の方々と相談しておつくりいただき、それを国の方に承認を求めてくるわけでございます。
 承認されましたところのその活性化計画に基づきまして、その地域におきますところの個別の中小企業者、あるいは組合等が個別の中小企業者であればその進出計画、あるいは組合であれば円滑化計画ということで具体的に何をすべきかというような計画をつくってくるわけでございます。そういうような形で、おのおのの段階におきまして国もいろいろな形で補助なり支援を行っていくわけでございます。これが手続でございます。
#51
○梶原敬義君 指針をつくられる場合に、これは衆議院の方でも随分強い要望があったと思うんですが、こういう進出計画やあるいは活性化計画を立てる場合に、そこで働いている従業員、あるいは労働組合のあるところもあるかもわかりませんが、そういう働いている人たちの将来進む方向がやっぱり雇用とが労働条件に非常に関係をいたしますし、場合によっては危険も伴いますし、場合によりますと、皆さんが一緒に仕事をしていきながらこういう方向に行くんだという相談を受ければ、仕事をしている人たちも非常に参加意識ができて、それで非常に私は好ましい方向に進むと思う。したがって、そこで働いている人たち、従業員等にもよく意見を聞くように、この点についてはぜひそうしていただきたいのですが、指針あるいは計画の中にひとつそこはちゃんと書き込んでいただいて、そしてそういう方向に向かって指導していっていただきたいのですが、いかがでしょうか。
#52
○政府委員(南学政明君) この法律に基づきまして地域中小企業の活性化を図っていきますと、むしろ基本的にはやりがいのある仕事の提供、魅力ある職場の形成が行われて、そこで働いている人々の利益に資するのじゃないかと、基本的には私どもそう考えているわけであります。
 具体的に活性化計画を策定するに当たりまして地域のコンセンサスが重要だということは先生御指摘のとおりでありまして、活性化指針を国が定めるに当たりましては、幅広い関係者のコンセンサスの形成が必要である旨明記してまいりたいと思っております。この幅広い関係者のコンセンサスの形成に当たりましては、地方公共団体、中小企業者ばかりでなくて、そこで働いている者、地域住民等を含むコンセンサスを得ていくということが私どもも必要でかつ重要であると思っております。
 指針の具体的な書き方につきましては、この法案に従いまして今後中小企業近代化審議会においていろいろ御議論をいただくことになるわけでありますが、私ども中小企業庁といたしましては、このような趣旨が明らかになるよう努めてまいりたいと考えております。
#53
○梶原敬義君 当然のことだと思いますが、その指針ができ次第我々にもひとつ、今言われたことがそうなっているかどうか、それをいただきたいと思いますが、ぜひそういう方向でよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、そういう産地の場合、産地をさらにまたこういう法律等に沿って育成をしていく場合に、どうしても地方自治体、特に県それから市町村、こういうところの協力というのが、あるいは指導というのが非常にやっぱり重要になってくる。その中でも、特にどの人が担当であったかということでも随分違うわけです。県なら県で、その窓口が担当した課長や課長補佐や、そういう職員の人によっても随分状況が変わってくる。これは人のやることですから、そういう面は十分皆さんの方で今度打ち合わせをするときにはよく――これは後で議論しようと思っておりますが、伝統工芸品産業の場合、この場合はまた特にそういう面が強いと思うので、その点の指導をよくしていただきたいと思います。
 さらに、国としてはやはり国際的な情報やあるいは商品開発にしても、もうここでいいと思って進んでいってももっと先へ行っている。それは当初そこでやってもうまくいかない、そういうことだってよくあるんですね。したがって、国としてはそういう情報を絶えず知らせて下まで行くように生きたそういう指導をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#54
○政府委員(桑原茂樹君) まず県でございますけれども、この法律は県の仕事を非常に重要視しておりまして、県が中心となりまして活性化計画等をつくっていただくということでございます。県につきましては、従来から国とともに中小企業施策に全面的に当たっていただいておりまして、我々各県の能力につきまして信頼をしておりますけれども、特にこの法律を施行するに際しましては、県と国との間で密接な連携を保ちつつ努力をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
 情報提供に関しましては、まさにこの法律を施行するに当たりまして的確な情報提供を行うというものが非常に重要でございます。特に、内外の需要の動向であるとか技術革新の動向、あるいは消費者ニーズの動向、また他の中小企業集積の動向、その地域の技術であるとか人材等のポテンシャルの状況、こういうようなことに関する情報を十分的確に把握して中小企業者に提供するということが重要ではないかと思っております。このため、この法律では支援機関というものにかなりの重点を置いて規定してございますけれども、国といたしましても、中小企業事業団等々を通じまして内外の的確な情報を集め、これを皆さんに提供するというものに最大限の努力を払っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#55
○梶原敬義君 なかなか国の指導といっても、通産省というのは通常残業省とかいってとにかくかつては夜遅くまで仕事をされておって、行きますと、皆さんの机の上は資料がいっぱいたまって大変な状況です。そういう状況の中で、今言う中小企業事業団ですか、こういうところを使いながら情報を流すということですが、大変中小企業事業団の方もそういう能力の点はどうかという点もありますが、これは口で言うだけじゃなくて、言われる以上はやっぱりそういう人員配置もよくやって十分やれるように対応していただきたいと思います。
 そこで、各種の支援措置、私これ読んでみますと頭が痛くなるような細々したことがあるんですが、支援措置について四つに分けて書かれておりますが、概略説明してくださいませんか。
#56
○政府委員(桑原茂樹君) 広い意味での支援措置でございますけれども、財政、金融、税制上等々総合的な支援措置が講じられているわけでございます。
 財政上の支援措置につきましては、承認を受けた組合が行う新商品であるとか新技術の開発事業等に対して補助金を交付する等、総額で十億六千万円の新しい予算が計上されてございます。
 金融上の支援措置に関しましては、中小公庫なり国民公庫の低利の融資の制度、それから国と県のお金を利用しました体質強化資金助成制度、これの低利融資も用意をいたしております。
 また、税制上の支援措置といたしまして、計画の承認を受けたところに基づいていろんな事業を行う組合または中小企業者に対して中小企業等基盤強化税制、これで三〇%の特償であるとか七%の税額控除の制度がございますが、これ以外に試験研究税制等各種の課税の特例措置も認められることになっているわけでございます。
 また、このほかに、承認を受けた組合あるいは中小企業者が計画に基づきまして実施する集団化事業等各種の高度化事業に関しましては、中小企業事業団によりますところの無利子の資金の提供というようなものも考えられるわけでございます。
#57
○梶原敬義君 これらの措置も組合員や事業者の人がぱっと読んで、我々が読んでもなかなか今聞いてもわからぬのですが、よく説明をしないとおくれをとるようなこともあるんじゃないかと思います。
 それから、大体おぼろげに百ぐらい産地を指定するということになるんではないかということですが、これは各県の県知事あたりは、やっぱり自分のこともありまして、県民に対してはここを産地指定したと、こういうことが言いたいわけですよね。大変激烈なやっぱり通産省に陳情、要請行動が来ると思いますが、県と県がまたがった場合一体どうするのか。そして、その産地集積地域は、例えば自治体でいうと市が二つあった場合、その市をどういうブロックでいくのか、行政の単位、そういうものは一体どのようにお考えでございますか。
#58
○政府委員(桑原茂樹君) まず県と県がまたがった場合という御質問でございましたけれども、我々としては、一義的には各県ごとというふうに考えておりまして、ある県の中の地域を対象といたしまして集積の活性化が図られるというふうに考えておりますが、例外的に県境に地域がございまして二つの県をまたがって一つの集積地域があるというふうな場合も全く考えられないわけではないかと思います。そのような場合におきましては、我々は関係の両県を指導いたしまして、両県が共同して活性化計画をつくり承認を求めてくるというような形で事柄が解決されるのではないかというふうに考えております。
 それから、二つ以上の市町村にまたがった地域はどうかということでございますけれども、これはそもそも我々この地域というのは、一つの市町村だけではなくて二つ以上の市町村にまたがっておっても、それが中小企業の集積として一体として取り扱うべきときには、その二つ以上の市町村を対象にすべきであるというふうにそもそも考えておりますので、そういう場合は数多く出てこようかというふうに考えているわけでございます。
#59
○梶原敬義君 最後に、支援策の中で中小企業近代化促進法ですね、そういうものや、先ほど言いましたような各種の立法の中で似たような支援策がありますね。これと今きょうこの審議している法案の支援策と非常に似通ったのも幾つかあります。そういう場合のどっちをどうとっていったら有利になるかという選択の問題もやっぱりあると思うんですが、その辺のお考えはいかがでしょうか。
#60
○政府委員(桑原茂樹君) 御審議いただいております法案に基づくところの支援措置というものは一般的な中小企業の支援措置に比べて手厚く用意されておりますので、この法律案に基づきましていろんな計画ができた場合にはこの法律案の用意いたしておりますような支援措置を使うのが有利ではないかというふうに考えておるわけでございますが、一般的な近代化促進法なりそういうようなものに基づく支援措置を使いたいというようなときには、それを排除するつもりではございません。
 いずれにいたしましても、どんな支援措置があるか、全体として中小企業者がどんな制度を使えるかというものに関しましては、情報提供というものを的確にして、中小企業者が一番最適な制度を活用できるように我々としても今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。
#61
○梶原敬義君 時間がなくなりまして、非常に大ざっぱになりましたが、次に、伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部改正について質問をさせていただきますが、これも先ほどと同じように、なぜ一体今この法律の改正法が出てきたのか、そして、この法律のポイントは一体何か。最初にその二点。
#62
○政府委員(堤富男君) 昭和四十九年に五党共同提案から成ります議員立法でできまして、その間十八年間我々といたしましては一生懸命実施をしてまいったわけでございますが、最近になりますとやはり、幾つか産地の状況によって違いますが、従業員の減少ですとか、後継者の不足というところが大変目立ってきているわけでございます。そういう意味では、伝統の灯を消さないというためにも何らかの措置が必要ではないかということが基本的な認識で、この時期に改正法案を出させていただいたわけでございます。
 この法案の基本的な考え方といいますのは、先ほども申し上げましたが、従来が伝統工芸品の製造業者に対して注目しまして、伝統工芸品そのものをつくることを維持するという考え方でやってきたわけでございます。ただ、昨今の状況を見ますと、そういう純粋的な施策だけでは必ずしも産地として十分に伝統的技術を保持できないという考え方から、計画を、従来のメーカーだけの計画でございました振興計画にさらに三本の新しい形の計画を加えさせていただいたわけでございます。
 一つが、販売業者と提携をするような意味での共同振興計画。それから二番目が、現代産業との交流も含めた新商品の開発をやるというような考え方での活用計画。それから三番目に、後継者育成、さらに交流事業も兼ねました支援計画という、新しく三本の計画を加えさせていただいたということでございます。そういう意味では、メーカーだけでなく、関連企業あるいは消費者との交流も含めた複合的、総合的な施策を講じてまいりたいというのが基本的な考え方であります。
#63
○梶原敬義君 今、指定工芸品というのは数は幾らだったですか。そして、新しい指定の申し込みというか、傾向はあるのかどうなのか。
#64
○政府委員(堤富男君) 現在は、百七十四の品目が指定されております。最近のペースを見ますと、大体年に三件か四件というオーダーでございますし、現在、我々のところにも具体的な要望としては三、四件の要望がございます。ただ、このたび先ほど申し上げましたように新しい計画を三つ加えたわけでございまして、それに対する要望というのは、それぞれまた各産地の状況によって違いますが、例えば共同振興計画でございますと十件ぐらいの可能性があろうかと思っております。
#65
○梶原敬義君 それでは、次に移りますが、私、去年からことしにかけまして、京都の西陣織ですか、それから鹿児島の大島つむぎと、私の地元の別府の竹細工と、三ついろいろ調査して見てきまして、まあこれを見ますと、仏壇がまたいっぱいあるんですが、たくさん百七十四のうちいろんな工芸品がありますが、なかなかこれは指導は一律にまいらないと、なかなか難しさ、困難さをそれぞれ持っておって、一律に線を引くようにいかない。通産省の指針を書く場合に、どういうようにこれは書いていくのか。そういう面で指針の書き方、これをお伺いし、また先ほど言いましたように、そこの中で働いている人もいろいろ方針を変えていくわけですから、従業員、従業者、働く人の意見も十分に聞くように指針の中でも生かしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#66
○政府委員(堤富男君) おっしゃるような意味で、今度基本指針をこの法律の改正法に基づきましてつくらせていただくことになりました。その基本指針をあえて今回つけ加えました趣旨は、先
ほど申しましたように、新しい計画体系として、単なる振興計画に加えまして三つの計画ができたわけでございます。
 それから、特に、現代産業の交流ですとか、販売業者との交流というような形でいろいろ周りの方たちとの交流をする。そのときに忘れてはならないことは、この法律の基本的な考え方でございますやはり伝統工芸品を残すこと、技術、技法の伝統的なものを残すことという本務を忘れてはいけないということもございまして、基本指針を書かせていただくわけでございます。
 したがいまして、この基本指針といいますのは、今度それぞれの振興計画、共同振興計画、支援計画、活用計画の四つの計画のこれから認定の基礎となるべきものはこの事項の中に盛り込まれるわけでございまして、これの制定過程では審議会の意見を聞きますと同時に、先生のおっしゃるような意味での従業員等の意見を十分お聞きをしてまいりたいと思っておる次第であります。
#67
○梶原敬義君 さらにまた、これは具体的なことですが、具体的な施策の中で地域手づくりカレッジが挙げられておりますが、何か平成四年は一カ所ですか、先ほどの答弁ちょっと聞き漏らしたんですが。
#68
○政府委員(堤富男君) 平成四年度の予算上の計上は一つということになっております。
#69
○梶原敬義君 ビレッジは。
#70
○政府委員(堤富男君) ビレッジにつきましては、これは予算ということではございませんし、法律体系は直接この伝産法そのものの中には書き込まれていないわけでございますが、開発銀行、北東公庫の融資の枠の中にビレッジという形、総合的な施設をつくるということで書かれておりまして、数は特に特定しておりません。
#71
○梶原敬義君 よかったら、その平成四年一カ所、モデルになりそうなカレッジ、恐らくもう想定されているんでしょうが、大臣、発表できますか。
#72
○政府委員(堤富男君) これは、正直なことを申しますと、現段階ではまだ申し上げる段階でぼないと思っております。
#73
○梶原敬義君 次に、卸業者、流通業者と伝統工芸品をつくっている生産者と、これはうまくかみ合わせると、いうのはなかなか、私が竹細工を見ましてもなかなか難しいところがあるんですね。中国から安いやつを持ってきて、別府のブランド、名前を張って国内に卸の人が売る。生産者はそういうのを横目に見ながら、そういうこともあります。
 いずれにしても、先ほども言いましたが、こういう伝統産業を指導していくのはどうしても、通産省がやるといったってこれはなかなか直には無理ですから、機関委任事務をしております県や市町村、特に県ですね。県がしっかりすればまた自治体もしっかりしできますが、そういうところと、そこにどれだけいい人材が配置をされるか、やる気のある人が熱心に取り組むかということが、またこれは人のすることですから非常に大きな位置を占めると私は思うんですね。これは西陣織も見てきまして、大島つむぎも見て、このままでは言われますように本当に高齢化してしまう、これは最後へ行き着いてしまうぞと、そういう心配をしたんですが、そういう地方自治体にどれだけ真剣に応援してもらうか、この点についてはどのように考えておられますか。
#74
○政府委員(堤富男君) おっしゃるとおり、都道府県の皆様に御協力いただくことが不可欠であると考えております。伝統工芸品産業は、計算いたしますと六割ぐらいが自分一人でやっているか、あるいは家族とやっているかという企業でございまして、特に零細性は私は非常に高いと思っております。
 今回の改正に当たりましては、四十六都府県にお集まりいただきまして、実は協議会をつくっていただいておる次第であります。今後とも、この各都道府県の協議会とともに説明をいたすあるいはいろいろ助成の中身を御説明する、さらに御指導をお願いするというような形でやっていきたいと思っております。
 それからもう一つ、ぜひお忘れいただきたくないのは伝統的工芸品産業振興協会でございまして、そのためにつくった協会でございますので、通産省、都道府県それから振興協会三位一体になりましてやらせていただきたいと思っております。
#75
○梶原敬義君 あと二、三分ですから最後になるかと思いますが、昭和四十九年に伝産法が成立した際に、参議院の商工委員会で「後継者養成のため技能資格制度の創設につき検討する」という附帯決議がつき、昭和五十年度からこの伝統的工芸品産業振興協会による伝統工芸士の認定事業が開始をされておりますが、今日どのようになっておられるのか。そして、この工芸士の社会的な評価をどのように高めていくのか、このような施策についてお伺いをいたします。
#76
○政府委員(堤富男君) この伝統工芸士という制度が発足しましてから現在までで、約四千百人の伝統工芸士を指定しております。これは、従来は単なる伝統的工芸品振興協会の目的達成業務だったんですが、今回の法律改正では法定業務ということで、その格を一段と高めたいというふうに考えておる次第でございます。
 伝統工芸士を世の中の人に知っていただくために、我々といたしましては、毎年、伝統工芸士全国大会ですとか、あるいは伝統工芸士の製品を一堂に集めた全国伝統工芸士展の開催等をやっておりますとともに、各産地におきまして長年技術の向上あるいは後継者の育成に指導的役割を果たした方に対しましては、協会等を通じまして功労者表彰、若干の表彰金も出させていただいているというようなことでございます。伝統工芸士は今後の伝統工芸産業の振興の中核であると同時に後継者育成の中核でもございますので、ますますその社会的地位の向上には意を用いてまいりたいと思います。
#77
○梶原敬義君 最後に、大臣の決意を聞きたいと思いますが、私は別府の竹細工の場合を想定してみますと、ある民間の卸業者がそういうセンターをつくって、そしてそこに商品を並べ、修学旅行の子供たちが竹細工をつくっている場面とかあるいはそういう商品を見て帰るわけですね。大島つむぎも鹿児島へ行ったらそういうところがありましたが、ぜひこういうもっと大規模の第三セクターあるいは自治体と一緒になって伝度会館をつくって、その中で実演をするとか、そういうものを各県の修学旅行生や何かが来たときにそれぞれその地域を見る、そしてその中でまた興味のある人が後継者として仕事に入っていくようなそういうチャンス等をつくるように、ひとつ大きな観点から思い切った予算をもう少し入れてやっていただきたいと思う。
 別府の場合は、割合に竹細工の場合今人が育ちつつあるのは、非常に芸術性が高いんですね。同じ製品をつくりながら、暇を見て日展に出すとかあるいはそういう芸術品をやっぱりつくる、そういうのに引かれて人が集まっておるという傾向もあるわけです。要するに、社会的な評価をどのように高めるかということが非常に大事なことでございまして、大臣の決意を聞いて、終わりたいと思います。
#78
○国務大臣(渡部恒三君) 先生御指摘のとおりでございまして、これから伝統産業を発展させていくのには、その文化的価値、芸術的価値というものを推し進めていかなければなりませんし、同時に、これを国民の皆さん方に手づくり伝統産業というもののすばらしさを理解してもらう、また伝統産業に従事する働く人たちに、みずからの仕事についての誇りと可能性を持ってもらうということが何よりも大事なことでありますから、そのようなことが実現できるような、今お申しのような問題点についてこれから努めてまいりたいと思います。
#79
○委員長(岩本政光君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
#80
○委員長(岩本政光君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案及び特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#81
○倉田寛之君 伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案にかかわりまして、数点基本的なことをお尋ねいたしたいというふうに思います。
 私が申し上げるまでもなく、戦後の我が国の経済、その規模は極めて拡大をしただけではなく、産業構造自体も大きな変貌を遂げてきたことは言うまでもありません。我が国の経済が世界経済に大きなウエートを占めるに至りました今日、我が国を代表する産業といいますと一つは自動車、一つは電気、一つは精密機械等でございます。一言で言ってしまえば、それは正確無比ではありますが、大量生産に基づきます画一的かつ没個性的なものであって日本社会の効率重視と集団主義を象徴するものとなっていると言っても過言ではありません。
 激動する国際社会の中にありまして、日本の姿をどのように世界に示していくのか、今問われている問題でもございます。それは、単なる資金協力であるとか技術協力にとどまるものではなく、日本人そのものの考え方や生き方に触れるものでなくてはならないと存じます。この場合、日本の歴史や日本文化とも深いつながりを持つ伝統的工芸品が海外に向けての一つの日本の顔となり得るだろうか、また具体的にはどのような方法によって伝統的工芸品を海外に向けて発信していけばよいのだろうか、まずこの点について御所見を承りたいというふうに思います。
#82
○政府委員(堤富男君) 今回、伝統工芸品産業を新たにてこ入れをするという目的の中には四つぐらいございますが、その中の一つがやはり日本の顔と、時々日本の産業のことを称して顔がないというふうに言われるわけでございますが、そういう意味ではぜひ顔づくりという意味でこの伝統工芸品の産業が持っております日本の伝統に根差すものということを非常に大きなウエートに思っております。
 直接的な面と間接的な面があると思いますけれども、直接的にはこの伝統工芸品そのものを海外にPRしていくということが一つ必要だろうと思っております。毎年、海外で展示会等を開いたり、あるいは県の御助力もいただきまして各産地がアメリカ、ヨーロッパあるいはアジアにおいて展示会を開催しているというのはその一つの大きな例ではないかと思っております。それから間接的なものでございますが、我々が繊維等でファッションということをやりますと、必ずファッションの最後の行き着くところはやはり伝統でございまして、イタリアのデザイナーが行き詰まるとやはり美術館あるいは博物館に行ってルネサンス時代のものを見てまだ新たな発想を起こすというような形での、やはり伝統に根差した新しい商品というような形での発展の仕方というのが私は基本的にあると思います。
 そういう意味では、伝統工芸品というのは、やはり日本人の心のふるさとであると同時に世界に誇るシーズをたくさん持っているというふうに考えておる次第であります。
#83
○倉田寛之君 戦後の産業構造の変化と軌を一にいたしまして、我が国における消費生活あるいは日常生活も大きな変化を遂げてまいりました。物の豊富な豊かな時代と言われている中で、目まぐるしく商品のモデルチェンジが行われておりますし、使い捨ての傾向が助長をされてきております。
 近年、環境問題の深刻化や労働状況の改善等、ようやく真の豊かさあるいはゆとりある生活というものについての認識が深まりつつあります。新五カ年計画におきましても、その柱として生活大国が標榜をされております。木目込み人形づくりなど一部におきましては伝統産業の分野において静かなブームを呼んでいるものもございますが、多くの人々にとりましては、「本覚坊遺文」、これは千利休の弟子の茶道の達人の映画でございましたが、あるいはまた水戸黄門の葵の紋どころの映画であるとかテレビ番組を通じて我が国の伝統文化や地方の工芸品について認識を新たにする程度のものであろうというふうに思うわけであります。
 今後こうした、こう申し上げてはなんでありますが、虚構の世界から踏み出して伝統的工芸品を生活の中にどのように生かしていくことが一体できるのであろうか、またその普及の方法、特に若年層に対するPRの手段としてどのようなことが考えられているのか、この点についてお伺いをいたしたいと存じます。
#84
○政府委員(堤富男君) 大きな流れの中で量の追求から質の追求、その中にはこういう伝統に根差した文化に対する本格的なものの志向というのが総理府の広報室のアンケート調査等にも大変明確にあらわれているわけでございまして、ぜひ日本の消費者の方々が伝統工芸品のような本物かつ使い捨てでなく長く大切に使うというような考え方のもとに伝統工芸品をお使いいただくことは、大変重要だと思っております。
 若い人たちを含めましてどういうことをやるかということでございますが、現在やっていることを申し上げますと、一つは、文部省さんにお願いいたしまして社会科の五年生の教科書にこういうことを入れていただく、それから毎年十一月に伝統工芸品月間の推進事業というのをやっておりますが、その中でも中学生、小学生からの作文を募集するというような形で、下は小学校、中学校の生徒にまず関心を持っていただくというようなことから始まっております。
 現在、毎年十一月に行っております推進月間におきましては、単に大会を開くだけではなく、「伝統的工芸ふれあい広場」というような言葉を使いながら、実際の製作をしているところ、あるいは実演をしているところを見ていただいているようなこともございます。それから、最近の修学旅行におきましては、先ほどもどなたかから御指摘がありましたけれども、単に見る修学旅行から何か物をつくる修学旅行ということで、いろんなこういう伝統工芸品の産地でみずから物をつくってみるというような体験を重ねまして、鉛筆の削れない子供も物ができるようになってくるという状況に私はあると思います。
 今回の改正の中では、この点につきましては特に意を用いまして、第一が支援計画というのがございますが、これは消費者との交流ということに非常に大きなウエートを置いております。消費者との交流を図ることにより、消費者の方が物を見て将来の潜在的需要者になっていただくこともあるわけでございますが、一方で消費者の需要をまたとるということも非常にこの交流の中の重要な点ではないかと思っております。
 それから、第二の手づくりビレッジというのは、先ほど申し上げましたように、融資制度ではございますけれども、その中で単に即売店があるだけではなくて、つくっているところを実際に見る、そして自分でもつくるという複合的な施設をつくってまいりたいと思います。そういうところも若い者たちの動きに我々としてはついていきたいと思っております。幸い、若者たちもクラフトブームというようなことで大変こういう点について関心を持ち始めているということも、我々にとっては一つの追い風になる要素ではないかと思っている次第であります。
#85
○倉田寛之君 ただいま御答弁がございましたが、伝統的工芸品産業を単に伝統の保存という側面から後ろ向きにのみとらえることは私は誤りであろう、こういうふうに思うわけであります。伝統的工芸品産業の持つ技術、技法といったものが現代産業と思いがけない形で結びつき、新製品の開発に寄与することもあると思われます。例えば、桐たんすの扉の閉まりぐあいを応用したと言われる我が国の自動車の扉、焼き物の技術を活用
したコーヒー用フィルター、和紙の技術を活用したと言われているシステムキッチン等々、このように伝統的工芸品についての技術を現代産業技術と融合されてこそ、伝統的工芸品産業の産業としての展望が開けるのではないかと思います。
 今後、こうした伝統的技術、技法をより普遍的な生産技術へも応用していくということがどの程度可能であると考えておられますか。また、伝統的工芸品産業と現代産業との間の企業提携の実態はどのようになっておりますか。今後、それをどのように進められていくお考えですか。この点についてお伺いをいたしたいと存じます。
#86
○政府委員(堤富男君) 伝統工芸品の持つよさというのは、今先生御指摘のように、日本の物づくりの原点であると。桐たんすの閉まりぐあいのよさが日本の自動車のドアに反映し、日本の輪島塗のよさがあるいは漆器のよさが日本の自動車の塗装に反映しているというような、そういう意味では私は確かに物づくりの原点であると思います。
 さらに、先ほどから繰り返して申し上げていますように、伝統工芸品の中には将来の現代産業にも生かせるような発想の原点、シーズがたくさんあると思います。幾つかの提携の事例を申し上げますと、例えば会津塗の企業で、日本の自動車会社と提携いたしまして自動車の計器盤のところを漆で塗ってみるというようなこともございますし、漆塗りの室内ドアということで大きなサッシメーカーと提携をしているところもございます。朱塗りのライターで漆塗りのライターをつくっている会社も、大企業との提携でやっておるというようなこともございます。
 こういう動きを我々といたしましては、伝統を失わせないという範囲内ではございますけれども、支援をしてまいりたいと思っておるわけでございます。それの最大のポイントと申しますのが、今回新しく計画の中に導入させていただきました活用計画というのがそのポイントでございまして、この活用計画の中で、伝統の技術、技法あるいは伝統工芸品そのものを利用した新しい商品の開発ということを支援してまいりたいと思います。これが研究開発的要素も持つということから、研究開発上、税制上の恩典も受けられますし、いろんな意味での金融措置あるいは産業基盤整備基金の資金をいただけるとかというような形での総合的な施策を講じてまいりたいと思っている次第でございます。
#87
○倉田寛之君 伝統的工芸品産業の現状を見ておりますと、戦後の急激な生活様式の変化と現代産業との製品化競争に敗れた結果、今や生活用品産業としての地位は失ってしまったと言えると思います。従事者一人当たりの生産額は昭和六十一年度を境にして上昇に転じていることをもって、伝統的工芸品の需要と価格の上昇を示すものとの楽観的な指摘もありますが、これは危険であります。従事者数が少なくなれば、足し算、割り算の中でパイが大きくなるのは当たり前のことでありますから、これは言をまちません。
 企業数、従事者数は一貫して減少をしてきておりますし、とりわけ三十歳未満の若年層の減少は極めて著しいものがございまして、現在総体の従事者数の六%前後が若年労働者の就労の様子のようでございます。同時に、中小零細な企業が多いわけでございまして、職場環境なども必ずしも恵まれていない地味な色彩の強い伝統的な工芸品産業、余暇の充実、趣味の拡充に寄与するという観点からだけではなくて、一つの産業として新たな光を当てて、特に若年労働者を引きつける魅力を備えたものとするための方策というものは何かお考えでしょうか。
#88
○政府委員(堤富男君) 御指摘の点が今回の伝産法の改正の大きな理由、背景になっていたと思います。したがいまして、今回行う政策すべてがと私は申し上げたいのでございますが、基本的には伝統工芸品産業を若者にも魅力のある産業にするということが最大のポイントだと思っております。
 そういう意味では、需要の開拓のための共同振興計画というのもその一つ新しくつくりましたことでございますし、消費者との交流を深めつつその需要の拡大を図るという意味での支援計画、さらに伝統工芸品と現代産業の交流も可能な支援計画、そういうものをつくりましたのは、ひとえに産地全体として複合的な総合的な形で魅力のある産業になってほしいということでございます。事実、これまでいろいろな産地の実態を勉強させていただきましたが、青年部というところの活動を見ておりますと、我々がこれから施策をしようとする方向と大変類似をした活動をやっていただいているということもございまして、今後この方向が、方向として正しいばかりでなく、現実的にも施策として有効になるのではないかと思っている次第であります。
 特に若手の確保につきましては、これに加えまして個別対策といたしましては、支援計画の中で常設的な研修施設をつくりまして、若者の気質に合ったプログラムでの研修を常設的に行いたいというのもその一環でございます。それから、若者が入ってすぐなかなか稼げないというようなことを補完するために、就職をしてからある一定期間優秀な人には奨励金を出すというようなことも今検討をさせていただいている次第であります。
#89
○倉田寛之君 人材確保のため、一つのこれは考え方でありますけれども、ドイツのマイスター制度のようなそういった考え方というものを検討するお考え方はありますでしょうか。
#90
○政府委員(堤富男君) 今平均しますと十五年ぐらい経た人に対して、そのわざが優秀でかつ産地への功績が大きい場合には、伝統工芸士という称号を与えております。この伝統工芸士に至る前のもう少し若い人たちに称号を与えるべきではないかという議論はございまして、我々も真剣に検討したことがございます。その結果、産地の従業員の方たちにもアンケートを出したり、経営者の方にもアンケートを出しましたが、結論は賛否両論が割れております。一つは、そういうことをやった方が非常に資格があって早く成長するし、おのずと自覚もできていいんではないかという考え方でございますが、余り早く選別をし過ぎることによって若手がどんどん落ちていってしまう。むしろそういう資格制度よりは、資格ではなくて、若い人たちがつくった作品を褒めて表彰するとか、あるいはその表彰したところを例えば日本のあちこちで展示するとか、そういうような形で作品を褒めていくことによって、若いこれから伝統工芸士を目指す人を育成したらよろしいんではないかという意見がむしろ多いような状況でございまして、これはなお宿題としてはいただいておきますが、今までのところでは両論拮抗し、ややこの制度をつくることについてネガティブな反応が多いというのが現状でございます。
#91
○倉田寛之君 我が国企業のあり方について、最近議論が活発化をしております。
 例えば、経団連人間と文化フォーラムの中では、会社中心主義の改革は可能かとか、利益なき資本主義は可能かとか、日本型経営が危ないとか、それぞれ要路の方々がいろいろな角度で講演をいたしております。時間の関係でそれを一々申し上げませんが、特に我が国産業経済の顔となった大企業におきましてもその行動様式が問われております。競争原理のもとにおきましては自己の利益を追求することが経済の活性化をもたらすことであるということは事実であるといたしましても、新しい企業理念として、企業の市民社会への貢献ということが求められております。
 このような流れの中で盛んになってきた企業のメセナ、いわゆる芸術文化に対する援助活動につきましても、支援対象が広告効果のある有名一流芸術家に集中するといった批判があることなどを考えてまいりますと、それこそ国民の生活、文化に通じ芸術性もある伝統的工芸品に対しても企業の支援体制が整備される方策が講じられるべきではないであるまいか。景気の低迷でしりすぼみが懸念されている企業メセナに対して、聞くところによりますと、文化庁はPR活動を開始するとのことであります。しかし、文化庁のPR活動とい
うのは、予算規模からいってそれほど期待を持たれるものではありません。
 このような周囲の活動などとの連携も含めまして、通産省として考えられる具体的な、ただいま私が申し上げたことに関連する施策について、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
#92
○政府委員(堤富男君) 最近の企業行動論、その中で企業と文化ということが大変いろいろ論じられていることは私たちも知っております。私の局も生活、文化ということを一つのモットーとしておりまして、繊維から伝統工芸品まで含めまして、これ自身が単なる量的な追求ではなくて質的な向上を含めた生活、文化ということの向上につながり、それがひいては日本の企業の社会への貢献になるのではないかというふうに思っている次第でございます。
 特にこの伝統工芸品に対して大企業が興味を持っていただくことがもしあるとすれば、私は必ずあると思っておりますが、これは単に先ほど申し上げました企業として伝統工芸品とつながることがメリットがあるという大企業側の意見だけではなくて、それ自身が日本の伝統ないしは伝統の技術を残すということに貢献をするという意味で企業の文化活動の一つに位置づけていただくということも可能であると思っております。
 大変いいサジェスチョンでございますので、そのアイデアを活用させていただいて今後の施策を講じたいと思います。
#93
○倉田寛之君 時間はもう少々あるのですが、特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法案につきましては、数点お尋ねを申し上げる予定でございましたが、一点だけお尋ねをさせていただきます。
 地方の時代と言われて大変久しいものがございます。しかしながら、地方の衰退というのは今大きな政治課題になってもおります。通常、県庁所在地等あらかじめ都市機能が付与されている場合を除きますと、多くの都市及び地域産業というのは、みずからがその使命を創造しなければならない定めにあるようであります。
 本法律案におきましても、地域産業の活性化策の道筋を説いてはいるものの、その具体策はすべて現地任せであります。新産、工特を初めとする地域産業の振興法は幾多を数えてまいりました。今や目新しいものではありません。かつて、八〇年代通商政策ビジョンにおきましては、地域振興策として提示されたテクノポリス構想とともに話題を呼んだものに国際商業都市構想というのがありました。また、地域産業構想というのもありました。これらの成果は、もう私が申し上げるまでもない、周知のとおりであります。地方の衰退がさらに進んでいる今日、経営資源の限られた地場産業への具体的な支援策を国がみずから下す時期が到来しているのではないか、まさにそういう感を深くいたします。
 したがって、本法律案を通じて幾多の歴史を経てきた対応策に乗って今後どのように活性化していくでありましょうか、御所見を一点だけお伺いをいたしておきたいと思います。
#94
○政府委員(南学政明君) 今、倉田委員の方から、地方の衰退が進んだ今日、地場産業への具体的支援策を国がみずから下す時期が到来したという御指摘がございました。私どももそのような認識を持ちまして、今回この法案の御審議をいただいているところであります。経済社会環境の変化に対応しまして、新しい地域の顔となるような産業の芽をぜひこの法律をもとにしてつくっていきたいというのが我々の気持ちでございます。
 具体的には、国が施策の対象となる特定中小企業集積、特定分野の選定方法などを統一的に指針として明らかにします。この指針を踏まえて、都道府県が集積の経済状況、コンセンサスの形成状況等を勘案しながら施策の対象となる具体的な集積、その発展の方向等を活性化計画に取りまとめ、そしてこの活性化計画は国の承認にかからしめているわけでありまして、先ほど先生の御指摘で、すべて現地任せであるという御指摘がございましたが、この法案では施策を地方任せにしているわけではございませんで、国が方針を定め、その方針に沿うものについて施策を展開することにいたしているわけであります。
 なお、この法律の施行に当たりまして、国が都道府県等の地方公共団体と緊密な連携をとりながらその円滑な実施に努めていくことはもとよりであります。また、これまでも国におきましては、地場産業の振興対策に大いに力を入れてまいりました。例えば、地場産業振興センター、支援センター等の地場産業振興のための中核施設の整備の推進を図ったり、あるいは地域中小企業の技術力、デザイン力の向上等を図る施策など、国が主体となって積極的に展開してきているわけであります。
 今後とも、国としては、地方と緊密な協力関係を保ちながら適切な役割分担のもとに地域活性化のために全力を傾注してまいりたいと考えております。
#95
○倉田寛之君 終わります。
#96
○三木忠雄君 それでは、特定中小企業集積の活性化の問題から、ちょうど続きになりますのでその問題から始めていきたいと思っています。
 景気の減速傾向の中で、この集積法案というのは非常に各地域で期待をされていると思います。既に、通産大臣が自治大臣で入ったときに、ふるさと創生論をいろいろやられたこともあると思うんです。これは中小企業の集積法、これからいろいろ議論してみたいと思いますけれども、非常に期待をされている問題だろうと思うんです。
 そういう中で、従来、中小企業対策というのはいろんな形で法律をつくってきました。実施をされて非常に効果のあったものが大多数であろうと敬意を表しておきたいと思うんです。今回のこの集積法という概念ですね。今までの中小企業というと比較的個々の企業の融資だとか、あるいは成長を図るためにいろんな問題があった。今回は、地域に集積法というシステムに何か援助をするような感じ、あるいはそれを強化するような感じに受け取られるわけでありますけれども、この集積法と従来のこの法律等についての考え方、この点についてのまず大臣から意見を伺っておきたいと思います。
#97
○国務大臣(渡部恒三君) 今まで、先生御指摘のように事業転換法あるいは特定地域法等、中小企業施策をやってまいりました。それなりの効果をそれぞれの時期に上げ、先ほども申し上げたのでありますけれども、戦後の我が国の経済、為替相場の変動あるいは円高、円安、またエネルギーショック、こういう中で我が国の経済を支えておる中小企業を活性化するために役に立ってきたものと私ども自負しております。
 今、この国の最大の政治課題が一極集中、これをやはり排除して、北は北海道から南は九州、沖縄まで国土の均衡ある発展を図っていかなければならない。それには、それぞれの地域に産業というものを振興させていかなければならない。また、それは地場産業であり伝統産業であり、その地域の中小企業、この中小企業をこれから地域社会の経済の活力に役立たせていこう、こういうような基本的な方向の中でお願いをしておるわけでありますが、法案の内容等については長官より説明をさせていただきます。
#98
○三木忠雄君 あと個々の問題について長官にいろいろ伺いたいと思うんですけれども、今まで行った転換法あるいは特定地域の法律、技術法及び融合化法等のこういう法案と今回の集積法との関連性、あるいはどういうふうなつながりになってくるのか、ここの問題についてまず伺っていきたい。
#99
○政府委員(南学政明君) まず事業転換法でございますが、これは昭和六十一年、経済環境が非常に変化したということで、特定の業種を国が指定しまして、当該業種に属する中小企業者の事業転換の円滑化を目的とした法律でございます。この法律は業種対策でありますが、私どもが今御審議をお願いしておりますこの法律案は、業種対策ではなくて、特定中小企業集積の活性化を目的とし
て都道府県が対象の集積事業分野などを主体的に設定する体系になっておりまして、立法の趣旨、目的、手段等において異なっているわけであります。
 また、特定地域法でございますが、この法律も急速な円高に伴いまして疲弊した地域の経済安定を目的とする緊急経済対策であったわけでありますが、この法律案は、緊急対策という性格を持っている特定地域法に比べますと、より中長期的な視点に立った中小企業集積の自律的発展基盤の強化を目指す前向きの法律と考えておるわけであります。
 地域指定の関連におきましても、特定地域法では国が地域を指定する体系になっておりますが、この御審議をいただいている法律案では、都道府県に具体的な地域の選定をゆだねておりまして、どちらかというと地方公共団体に主体的な取り組みを期待しているという体系になっており、両法は趣旨、目的、手法、こういう面で異なっているわけであります。
 また、技術法との関連でありますが、技術法は中小企業の技術開発を促進することを目的とした法律でありまして、この法律案は技術開発そのものを目的としているわけではございません。しかし、技術開発をもとにして新しい商品を開拓したり、あるいは高付加価値化を図ったり、こういうことをねらってその事業化まで我々はこの法律でもって進めていきたい、このように考えておりまして、技術法と目的、手法等も異なっているのであります。
 融合化法との関係でございますが、この法律は異分野の中小企業者が知識を合わせまして、一体的に新製品の開発等を行うことによって新しい事業の分野を開拓することを促進するものでありまして、特定の中小企業集積の活性化という観点で法律ができているわけではございません。どこの地域の異業種の中小企業が結合して融合化し、新しいものを開拓してもそれは構わないわけでありますが、このようにいろいろな意味で目的、手法等が異なっているわけであります。
 それぞれの時代、経済情勢の変化に即応して新しい法律を制定していただいて、私どもは中小企業施策の充実に努力しているわけでありますが、今回も、経済環境の厳しい変化の中で、中小企業集積が活性化をしていくことが特に重要だという中小企業近代化審議会の意見も踏まえて、この法律の制定をお願いしている次第であります。
#100
○三木忠雄君 技術法とか融合化法、これからまだ七、八年あるんですね。これと集積法と考えてみると、何かオーバーラップするようなところがいろいろあって、特定地域法なんかは国が指定すると、今度の法律は都道府県にゆだねたわけです。
 だから、都道府県の方では、指針が出るでしょうから、その方針に基づいていろいろ作成する場合も各地域にいろんな状況があるところはなかなか絞りづらい問題が出てくるんじゃないか、県に預けているわけですから、あるいは都道府県に預けているわけですから。そうすると、都道府県が例えば数多く業種があってやりたいという場合に、やはり国の助成とそれから都道府県の予算の関係、特に過疎県といいますか赤字県というか、こういうところにはなかなかこの助成対応という問題で非常に私は難しい問題が出てくるんじゃないかと。数多くやりたいという都道府県の希望と、補助する補助金との間の問題というか、そういういろいろ難しい問題があるんじゃないかということを指摘しておきたいと思うんです。
 そこで、私も先般いろいろな各地域からも陳情を受けでいろいろな話も聞きましたけれども、例えばこの地域法、一応期限は去年の十二月にこれは終わったわけです。そうすると、今度は集積法で何カ月かかかって指針ができていろいろ集積法やるわけでありますけれども、今まで非常に地域法というのはありがたがられて非常に効果を発揮してきて、技術開発等も進め産業として大分やってきたわけです。これ五年間ですかね、六十一年からこの五年間である程度の研究開発やいろいろ技術開発等も進めてきて、事業を転換して新しい方向に進みかけたところで切られたところも、やめたところもあるわけです。これの延長をしてくれという要請は、たしか皆さん方の方にも届いていると思うんです。昨年の八月に、北海道の釧路とかあるいは網走とか、ああいう各市でいろいろな調整があって、これを延ばしてくれという陳情を私たちもいただきました。
 こういう問題について、この集積法と、あるいは個々の企業がさらに五年以降も融資を受けながらさらに販売促進等を図っていきたいという個々の企業のこの特定法との間の関係は、どういうふうな形で考えていけばいいのか。継続をしていくつもりなのかどうか。
#101
○政府委員(桑原茂樹君) 御指摘の特定地域法につきましては、昭和六十一年から五年間の時限法でございましたので、昨年十二月に失効いたしたわけでございます。この間にいろいろな努力が積み重ねられまして、かなりの成果も上がったということでございますけれども、なお相当の地域におきまして依然経済状況が十分に回復していないというところもあったわけでございます。私どももいろいろ心配をいたしまして、法律は失効をいたしましたけれども、なお金融面でそうした依然経済状況が十分に回復しないというところにつきまして低利の融資制度を残そうじゃないかということにいたしたわけでございまして、名前は特定地域中小企業特別融資制度と呼んでおりますけれども、要すれば体質強化資金の助成制度を活用いたしまして、そうした地域に対しまして体質強化資金制度の低利融資がなお続けられるようにしてございます。
 なお、今回の御審議いただいておりますところの集積法と、こうした地域との関係はどうかということでございます。集積法につきましては、いろいろ御説明申し上げましたような方針で地域を選ぶわけでございますので、旧来の特定地域の対象であった地域につきましても今回の集積法の対象になり得るというふうに見ております。あとは具体的には、その地域におきましてどんないい知恵が出るかとか、あるいは都道府県がどういう考えで臨むのかとか、あるいは新しい高付加価値化の商品等がどんなものがあるかというようなものを総合的に判断しまして最終的には決まるというふうに考えておるわけでございます。
#102
○三木忠雄君 それはわかるんですよ。特定地域に入った場合の、今までの集積法の特定地域に入った場合は、これはそれを適用して網をかぶせることができるんです。入らない地域、これである程度成果を上げてきた、さらに続けたいというのは、今金融措置も言われたわけですけれども、金融があれでしょう、金利も少し上がるわけでしょう。あるいは予算がどのくらいの規模になっているのか、集積地域が特定されない場合の継続特定地域がどうするのかということなんです。
#103
○政府委員(桑原茂樹君) 先ほどの体質強化資金を利用しましたところの低利の融資制度につきましては、これはかなり評判がいいというふうに我々は考えておりまして、いろいろな資金需要が来ております。我々としましては、そうした需要に対しまして資金がショートするということでお金を貸せないというような事態が起こらないようにいろいろな形で配慮しているつもりでございますし、今後ともそういう努力をしていきたいというふうに考えております。
#104
○三木忠雄君 それがきちっとできれば問題がないと思うんです。金利は恐らくもう少し〇・五%ぐらい上がるとか二%上がるとかいう話は聞いておりますけれども、今まで継続していた企業がさらに特定地域に入らない場合に、これで打ち切りだとなってしまうと、せっかく企業をその特定融資を受けながらやってきたのが、途中法律が失効してしまったために全然新しい回転ができなくなったということのないような措置をしっかりやっていただきたい、そのための予算はしっかり確保しておいていただきたい。あるいはそういう要望について、今までやったんだからだめなんだというようなことにならないように注意をしてい
ただきたいと思います。
 一例を挙げますと、やっぱり公害防止等の問題でいろいろ苦慮されながら企業を始めてきた。五年ぐらいでいろいろ体質改善ができて、さあこれから販売だ、営業だとこうなったときに、さらにそういうソフトの面あるいはさらに技術開発とか包装とかいろんな問題でやりたいけれども、恐らく特定地域には指定されないだろう、こうなるところがあるわけです、集積地域に。そうなったところのやはり企業というのは非常に問題になる、こういうところがいろいろ心配をされている。したがって、この法律が失効された後の対応がやはり問題ではなかろうかと、こういう点を老婆心ながら、私はそういう企業からのいろんな陳情もいただいておりますので、その点はよく目配りをして、今までやってしまったんだからだめだというようなことにならないように、せっかく努力してきたものがだめになったと、こういうことにならないようにしてもらいたいと思います。
 それから、転換は五年の二月に終わるんですね、恐らく。そうすると、今四年ですから、五年の二月に終わるとなると、早くやめるならやめるとか、一年ぐらい前にやっぱりある程度審議されなきゃいけないんじゃないかと、こういうふうな感じもするわけです。去年の十二月に終わって、集積法令審議しているわけです。指針策定して、やっぱり半年ぐらいかかるわけです。この間、ある意味じゃ途切れるんじゃないかという感じがするわけです。皆さん方は皆さん方の計画もあるでしょうけれども、実際事業を一生懸命進めようとする人から見れば、ちょっと何か途切れるような感じをするわけですけれども、この問題はどうですか。
#105
○政府委員(桑原茂樹君) 転換法につきましては、御指摘のとおりでございまして、昭和六十一年に制定されまして七年間の時限法でございますので、来年平成五年の二月に期限切れを迎えるということになるわけでございます。期限切れ後同法をどう取り扱うかということについては、現在のところはまだこうするという方針が固まっているわけではございませんが、一つは昭和六十一年と来年の二月という時期がかなり経済事情等が違っておるのではないかということも考えられますが、また先生の今御指摘のような点もあろうかと思いますので、これから内外のいろいろな経済動向等も考えながら慎重に検討をしたいというふうに考えております。
#106
○三木忠雄君 それは慎重に検討をするのは結構なんですが、やっぱり手当てをしっかり、中小企業のいろんな法律はつくられるけれども、全部が全部成功するというわけにはいかないでしょうけれども。
 この行政管理庁の監察結果を四法案についていろいろ勉強させてもらいましたよ、確かにいろいろ指摘をされていますよ。こういう問題について、通産としてはどういうふうに考えていますか。
#107
○政府委員(桑原茂樹君) 昨年八月に行政監察の結果、改善意見をいただきまして御指摘のとおりかなり網羅的にいろいろな点について御指摘をいただいております。内容的には、この特定中小企業対策であるとか事業転換対策等につきまして、法律が制定された後のいろいろな経済状況の変化等を踏まえた施策のあり方を見直せというようなこともございましたし、あるいは運用の問題として金融機関との連携をしっかりやれとか、あるいは補助事業の実施状況の的確な把握に努めろというような話もございまして、個々の項目につきまして我々としましていろいろな努力をいたしております。例えば、事務手続の簡素化であるとか、都道府県等への指導の徹底というようなことの措置を既に講じたところでございまして、行政監察の趣旨は十分に生かしてきていると我々は自負いたしておるわけでございます。
 なお、御審議いただいておりますこの集積法案でございますが、これも実は行政監察でいろいろ指摘を受けまして、要すれば特定地域法が失効した後の施策のあり方についてよく検討しなさいという指摘がございまして、それを受けまして我々としていろいろ検討いたしまして、こうした法律案をまとめさせていただいたということでございます。
#108
○三木忠雄君 この法案の細かなことを一々聞くつもりはないですけれども、いろいろ参考にされて努力はされていることは考えられるんですけれども、まあそれよりもちょっと今までと概念の変わったこの集積法の対象はどういうふうに考えているのか。また、全国でどれぐらい対象を考えているのか、この点についてまず伺いたいと思います。
#109
○政府委員(桑原茂樹君) 対象と申しますのは、都道府県が具体的に活性化計画をつくるその対象地域のことだろうと思いますけれども、これにつきましては、法律が施行されましてから活性化指針というものを国が定めまして、それに基づいて都道府県がぜひこの地域のこういう中小企業の集積についてこういう方向で活性化したいという具体的な活性化計画をまとめられて我々に持ってきていただけるものですから、今の時点で何カ所ということを一律に言うのは非常に難しいところでございますけれども、我々が今まで都道府県であるとかあるいは直接市町村の方々が来られまして、非常に熱心に要望されておる等のことを聞きますと、かなり活発にこういう計画をぜひやりたいというところが来るのではないかというふうに考えております。数は、最終的にどのぐらいになるかということについても必ずしも今の時点ではっきりしたことは言えないわけでございますけれども、我々としますと、当面、全国で大体百地域程度の活性化計画の承認をすることになるんじゃないかなというふうな感じでおるわけでございます。
#110
○三木忠雄君 この法律案は十年ですね、十年で終わると。そうすると、百地域、一挙に一年目から全国で百地域になるわけはないと思うんですね。これは各市町村と各都道府県でいろいろ話し合いをするわけですけれども、具体的にこの法律、これは審議して実際的な問題はきょうの委員会あるいはあしたの本会議等もありますが、実際の運用の面になってきますと、「この法律は、公布の日から」「六月を超えない」となっていますね、それで指針をつくる、そういう順序になってきますと、一年目の一番最初の計画申請はいつごろになると想定されるんですか。
#111
○政府委員(桑原茂樹君) ただいま御指摘されたようなタイムスケジュールでございますので、国のまず活性化指針が決まるのは秋口あたりになろうかと思っております。したがいまして、それに基づく各県の具体的な活性化計画の作成というのはそれ以降になるわけでございます。ただ、既にいろんな意味で前準備をしていただいておるだろうと思いますので、それから初めてスタートするというわけではないとは思いますけれども、しかし形式的にはその後になりますので、今年度じゅう幾つぐらいの活性化計画が承認に至るか今の時点では必ずしもはっきりしておるわけではございません。百地域の中の一部、五分の一とか、そのくらいの数が最大限なのかなという気もいたしておりますが、この辺につきましてはもう少し様子を見たいというふうに考えております。
#112
○三木忠雄君 そうしますと、具体的にこの法案の二条の二項では、「この法律において「特定中小企業集積」とは、自然的経済的社会的条件からみて一体である地域においてこ、それからまた、「工業に属する特定の事業又はこれと関連性が高い事業を相当数の中小企業者が」と、こういうふうに法律はうたっていますけれども、この「一体である地域」、これはどういうふうに限定をするのか。それともう一つは、「関連性が高い事業を相当数の中小企業者」という、この「相当数」とはどのくらいの考え方を基準にしているのか、この点について説明してください。
#113
○政府委員(桑原茂樹君) 「自然的経済的社会的条件からみて一体である地域」と申しますのは、「自然的」というのは、地理的に分断されておりませんで当然一つの連続した地域であるということ
でございます。「経済的」と申しますのは、一つの経済圏としてふさわしい、一つの経済圏として見られる地域という意味でございます。「社会的」と申しますのは、一つまたは複数の市町村というものを単位としているということでございまして、要すれば、この「自然的経済的社会的条件からみて一体である地域」というのは、以上のようなことを総合的に勘案して一体性があると見られる地域を我々は考えているわけでございます。
 それで、「相当数」というのはどのくらいかということでございますけれども、要すれば、中小企業が集積としてのメリットがある、集積として活性化すべき実態があるということでもございますので、まあ大体最低五十社程度の中小企業の集積があるということが条件ではないかというふうに見ているわけでございます。
#114
○三木忠雄君 そうすると、「自然的経済的社会的条件」ですね、一定の地域、一市二、三町と。これ百ぐらいの地域で補助金の地元の対応等にも関係あるんでしょうけれども、例えば北海道ですね、これは日本の国で言えば東北六県か七県ぐらいのこういう地域であるとした場合に、調査室のいろいろ読ませていただいた資料から見ますと、例えば北洋漁業で不況になって大変な地域が各市別にずっとあるわけですね。そういうものをまとめて集積化法を適用するのか、あるいはそのうち一市あるいはその周辺の市町村単位にまとめてやっていく方法なのか。
 個々にやっていきますと、同じ水産業でも北海道であれば、例えば函館がある、あるいは釧路がある、根室がある、紋別がある、あるいは網走があるとか稚内があるとこういうふうな感じになってきますと、特定集積化法でやりたいとした場合に、例えばそれどういう基準で都道府県は算定するのか。ここらのお考え方について。
#115
○政府委員(桑原茂樹君) 北海道でございますけれども、大変広い地域でございますし、水産加工の関係の都市が数多くあるというのはそのとおりだろうと思いますし、また我々のところにもそうしたところから数多くの御要望もいただいておりまして、大変熱心なところが多いというふうな認識を持っておるわけでございます。
 ただ、水産加工でございますので、そういうところを全部、複数のものを一つの地域として見たらどうかという今の御指摘でございますが、それはちょっとこの法律上は難しいわけでございまして、例えば釧路なら釧路、根室なら根室というのはございます。それは一つの経済地域でもございますし、一つの自然的経済的社会的条件から見てそれぞれ分かれた地域であるというふうに見られるわけでございますので、別々の活性化計画をつくっていただくということになるのではないかと思っております。
 なお、百地域というわけでございまして、都道府県ごとにここの県は幾つかとか、そういうのは特に決めているわけではございませんで、そこはおのずと都道府県等の熱意であるとか、都道府県における活性化すべき集積がどの程度あるかないかとか、その他いろんな条件を考えて指定がなされるというわけでございますので、我々としては、そうした全体の需要の中で優先度をつけていろいろ考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#116
○三木忠雄君 そこは、優先度をつけるという問題あるいは選択という問題になってきますと、例えば大きな都道府県と小さな都道府県あるいは中くらいのとかいろいろあろうと思うんですね。あるいは集積化が該当する県というのは、例えば大きな県であれば三つ、北海道なら五つとか七つとかいろいろ分かれてくると思うんですよ。そういう場合の優先順序というか、集積化法に該当すれば全部認めていくという方式なのか。そこらの問題はどうなんでしょうか。
#117
○政府委員(南学政明君) 本法律が制定された後に、指針を国がつくっていくわけであります。この指針が都道府県がつくる活性化計画の一つの承認基準みたいなものになっていくわけでありますが、我々としては、そうした指針の要件に合致するものであればできるだけ広く認めていきたい、こんなふうな気持ちでおります。
#118
○三木忠雄君 中小企業庁長官、力強い答弁しているから、これがどんどん集積法でいろいろ出てきた場合に積極的に認められると思うんですけれども、そうするとこの予算上の支援措置ですね、これ補助金はどういうふうなぐあいになってくるんですか。これは、やっぱり一年に幾らだとか、どういうぐあいになってくるというぐらいの規模はあるんでしょう、ある程度の計画はあるんでしょう。これはどうですか。
#119
○政府委員(桑原茂樹君) この法律案を裏打ちいたしますところのいろんな支援措置がありまして、予算上の点もございますし、金融上あるいは税制上の問題もあるわけでございますけれども、予算上の措置はどうかということでございまして、これは本年度、四年度におきましては総額十億六千万円の予算を組んでございます。
 これは中身的には、都道府県に対する補助であるとか支援機関に対する補助とか、それから組合に対する補助とかいろいろあるわけでございますけれども、今御関心のあります箇所数と予算との関係はどうかということになりますと、今年度におきましては、具体的に何カ所指定するかというのがはっきりしない点もございますし、また各都道府県が非常に熱心であるということもございますので、我々としては、四十七都道府県を対象にしまして一律に調査費を差し上げるということにいたしておるわけでございます。来年度以降の予算上の措置につきましては、そうした実態あるいは需要というものを見まして、過不足ないような形で予算を確保していきたいというふうに考えております。
#120
○三木忠雄君 だから、私は最初に、去年の十二月にこの特定地域法が失効すると、新しい法律に、集積に乗っかるといっても、結局一年間は空白期間ができちゃうわけです。事実上の具体的な次の集積法案を検討する場合、都道府県でいろいろ検討し実際に行われる場合に、大体一年間のブランクがあいちゃうという。だから、その分問題が多く、法律の失効と次の対応という問題についてやっぱりよく継続性がないと非常に困るんじゃないかということを私は最初から指摘をしておる。
 今回は、支援措置をいろいろ補助金で都道府県なんかに出す。都道府県はそれを受けて、恐らく本年度中は計画段階に終わっちゃうんじゃないか、具体的に言えば。実際に中小企業等が、あるいは集積化法に基づいて行おうとしている企業は、やはり来年から実際的には事業転換という形になってくるんじゃないかと、もう少し早くやりますと事務上は言うかもしれないけれども。ここらの問題が景気刺激をしようという中小企業のいろいろ対応を考えてみたときに、一年間やっぱりブランクがあくんじゃないかという、こういう感じを受けるんですけれども、この点はいかがですか。
#121
○政府委員(南学政明君) 先生御指摘の特定地域法、これは昨年十二月末に切れたわけでありますが、失効という格好になりましたのは、当該法律の目的がおおむね達成されたという判断のもとに失効ということに相なったわけでありまして、多くの地域が経済の活力をもとに戻したというような実態にございます。中に先生御指摘のように依然として不況の地域がございますが、これにつきましては、先ほど部長から御説明いたしましたように、体質強化資金制度を継続してそのバックアップをしていくというのが方針でありまして、私ども、この特定地域法が失効したからこの法律を新しく提案するという直接のリンクがあるものとして位置づけているわけではございません。新しい時代のニーズに応じて集積を活性化したいという、そういう背景でもってこの法律を提案したわけであります。
 先生御指摘のように、秋口ぐらいに指針をつくりましても、具体的な都道府県からの計画が申請され承認されるというのはややその後時間がかかろうかと思います。しかし、この法律案というも
のを各都道府県にも従来から詳しく説明しておりまして、できるだけ早い段階で物事が進むように我々としても準備を進めておりますので、先生の御期待に少しでも沿えるように努力をしてまいりたいと思っております。
#122
○三木忠雄君 これは、通産大臣に特に要望しておきます。
 数多くこういう要請が出てきたときに、手っ取り早く、都道府県に責任があるわけでありますけれども、やはり法律の公布から施行までの間に六カ月を待たずというこの問題がどの程度早められるのかという、事務的に詰めてきたのであれば公布の日からどの程度早く実施に移されるのかどうか、これらの問題と都道府県から申請されてきた問題についてはやはり早く実行する、これが景気刺激の問題に大きな役割をするだろう、こう思いますので、これは通産大臣から一言意見を聞いておきたい。
#123
○国務大臣(渡部恒三君) 今、三木先生のお話をお聞きいたしておりまして、それぞれごもっともなお話でございますが、御趣旨にできる限り沿うよう頑張ってみたいと思います。
#124
○三木忠雄君 円滑化計画の策定に当たっていろんな支援策が、今までにない特定な問題があるわけですね。この支援策も非常によくいろいろ考えられたと思うんですけれども、新しい進出、あるいは組合や商工会議所ですか、そういう指導をする場合に、具体的にはどういう支援措置というか、具体的なメリットはどういう問題があるのか、この点について伺っておきたいと思います。
#125
○政府委員(桑原茂樹君) この法律上、円滑化計画と申しますのは、地方の組合がつくる計画のことでございますけれども、組合に対する補助としまして、先ほど申し上げました十億六千万円の総予算の中で、一億四千二百万円ほどを計上いたしております。これは、個々の組合に対しまして一つ当たり千八百万円の予算ということで補助をするということになっているわけでございます。
#126
○三木忠雄君 二分の一の補助ですけれども、都道府県がまたこれに対応して補助するんですか、その組合等については、
#127
○政府委員(桑原茂樹君) 御指摘のとおりでございます。
#128
○三木忠雄君 そうすると、先ほどからいろいろ議論しているように、多そういう集積化法をやりたいという例えば北海道とかあるいは大きな県で、例えば東京で、東京は少ないとは思うんですけれども、そういう集積化法をやろうという地域がいっぱいあった場合に、やはり補助する対応ですね、一千八百万といえば大したことないという人もいるかもしれないけれども、数が多い県と一つしかやらない県とか、いろいろ対応は違ってくると思うんですよ。そうすると、国からこれだけの箇所数をやろうとしても、都道府県から上がってくるんですけれども、どういう予算の組み方をしていくのか、ここらの問題について。
#129
○政府委員(桑原茂樹君) こうした予算の配分の問題ということになろうかと思いますけれども、この辺につきましては、各県にそれぞれ例えば一つだとか二つだとか、そういう数字上の画一性ということでやるつもりはございませんで、その需要に応じまして必要なところに差し上げるということでやりたいと思っております。
#130
○三木忠雄君 これは、計画がどんどん進められるような体制で、少々予算が取ってなくてもそれぐらいは調整できるんだろうと私は思うんですけれども、今までと違って、やり方が国で箇所を決めてやるのと、今度は都道府県の実際的な申請でしょう。そこらの考え方がちょっと今までとは違った問題じゃないかと、こういう点を私は心配をしているわけなんです。今までは国が責任を持ってここをやりますよという感じだったのが、今度は地方から具体的に検討し、集積化法に基づいて地方が、都道府県がいろいろ自分のところの予算も考えながら申請をする、こういう問題になってきますので、そこがちょっと今までの法律との違いがあるんじゃないか、こんなことを私は老婆心ながら心配をしている点でございます。これは中小企業庁長官、いいですか。
#131
○政府委員(南学政明君) 確かに、今回の法律案では、従来の手法と違ったような手法を考えているわけであります。したがいまして、例えば来年度の予算要求、再来年度の予算要求をするような場合にも、地方自治体との連携を密にし、その進捗状況などを十分把握の上で所要の予算を要求し、その実現に努めてまいりたいと思っております。
#132
○三木忠雄君 それは、もうぜひとも概算要求のときからよく詰めてやっていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 余り時間がないので、次の伝統的工芸品の振興法案について一、二伺っておきたいと思います。
 この伝統産業の問題については、大変な苦労をされて通産省もいろいろ努力されていると思うし、あるいは現地の伝統産業に携わる人たちも非常に苦労されている。私も先般私の地元に帰ったときにも、阿波和紙とかしじら識とか、伝統産業が徳島には二つあるんです。これを見てみると、非常に苦労していろいろ経営をやっている、こういう問題点があるんです。
 もう時間がありません。端的に何点か聞いてみたいと思うんですけれども、具体的に和紙ですと、建築の方に今度将来使いたい、こういうふうな複合企業あるいは異業種の企業との交流をいろいろやろう、こう考えているわけですよ。
 ところが、例えば建物等は補助をいろいろしていただいたんですね、阿波和紙の工場は。いい建物を、ハードの面はがちっとできているわけです。ところが、今後異業種と交流したい、あるいは販売を促進したい、こういう場合のイベントをいろいろやらなきゃいけない、あるいはいろんな行事をやらなきゃいかぬ、展覧会をやらなきゃいけない、こういうところのソフトの面に対する予算が、伝統産業の小さな企業であるがゆえにいい技術があってもそういう展開がなかなかできないということで非常に苦慮されているんです。
 建物は、確かにいいものができているんです。これはもう国が助成し、あるいは市町村が助成し、組合が出していい建物が確かにできている組合もあるわけですね。ところが、そういうハードの面はできたけれども、ソフトの面のいろんな協力というか、あるいは助成というか補助とか前向きに進めていこうとしてもそれだけの体質を持っていない、あるいは異業種との交流をやろうとしてもなかなかない。こういう問題に対する対応は、この法案でどう考えられているのか。
#133
○政府委員(堤富男君) 従来、先ほどから申し上げておることの繰り返しになりますが、メーカーに注目し、伝統工芸品に注目して施策を講じておりました。この中には、もちろんハードの伝度会館をつくるとかという面もありましたけれども、当然それの販売促進あるいは後継者育成というような意味でのソフトの施策もあったわけでございます。
   〔委員長退席、理事松尾官平君着席〕
ただ、今委員御指摘のとおり、異業種との交流という考え方は従来の法体系の中にはございませんでした。これは要するに、伝統工芸品そのものに着目してこれを純粋に振興しようという考え方でございました。
 今回は、各産地の状況を見ますと、大変青年部を含めましてそういう異業種交流に対する希求というのが非常に強いものでございますから、今回の対策の中では、振興計画と加えまして活用計画というのを入れましたのは全くその御趣旨でございまして、伝統工芸品そのもの、あるいは技術、技法を活用して現代産業とのある意味の連係プレーができるようにならないだろうかということをねらった施策でございます。これは、ひいては産地自身が純粋培養のもとで少しずつ小さくなっていくというところを少しでもとどめ、さらに将来産地としての夢ができるためにこういう計画を盛り込んだわけでございます。
 この計画の中には、今後あわせまして、ハードに加えてソフトという面も当然施策の中には入っているわけでございます。
#134
○三木忠雄君 百七十四品目ですか、この伝統産業。これはさておいて、それ以外に未指定の伝統産業、この振興策というのはどういうふうに考えているんですか。
#135
○政府委員(堤富男君) 現在、産地の全部の数が約一千あると思います。その中で百七十四でございますから、二割ぐらいしかやっていないではないかということですが、従業員数とか売り上げにいたしますと恐らく七、八割をカバーするかなりの大きい部分がございます。ただ、産地の数でいきますと、この百七十四のほかに県で指定をして県としてやっているものが私たちの計算で大体六百弱ございますので、この施策体系というのが、国で百七十四、その下に六百の県で単独でやっているものがあるということでございます。
 我々といたしましては、そういう県レベルの施策というのも当然交流を深めながら、展示会をやるときには一緒にやるというような格好でやらせていただいております。それから、我々が年に一回やっております伝産月間の推進期間におきましては、一緒にこの活動をやり、一緒に展示会をやるというようなこともやってございますし、それから伝産協会でやっております功労者表彰というような場合には、大産地、中産地、小産地を問わず、小規模産地も含めまして功労者の表彰というような形でやっております。したがいまして、決して小規模産地を忘れているわけではございませんが、今後とも、この指定の拡大あるいは県単計画の拡大というようなことを図ってまいりたいと思っております。
#136
○三木忠雄君 あと人材の育成策とか後継策、いろいろ議論されておりましたから余り聞くつもりはないんですけれども、この間四国へ帰ったときに、外国人が和紙の、あるいはモザイクとか、そういう技術を持った人たちを呼んだりしているんですね。そういう技術者を招聘するといっても、伝統産業だから全然対象にはならないんですけれども、やっぱり日本の伝統産業を学びに来ている外人さんもいるわけですね。向こうへ帰ってやりたいと一生懸命努力をしているわけですよ。ところが、そういう外人さんの伝統産業、そういう場所には宿舎だとかあるいは援助してあげるといっても援助する体質がないわけですね。そういうところに対する後継者育成あるいは人材育成あるいは海外への普及、こういう問題についてやはり少し考慮された方がいいんじゃないかというふうな考えも持って帰ってきたんですけれども、どうですか。
#137
○政府委員(堤富男君) 海外の研修生につきましては、実は前回法律制定のときには、日本の伝統技術がいわば外国人の手で、言葉が的確でないかもしれませんけれども、とられて外国からまた同じものが入ってくるということが大変問題になったことがございます。そういうものとの関係では、証紙を張って日本でできたことを明確にしようとかというような意味の施策となって今残っておりますが、ただおっしゃるような意味で、伝統工芸品が日本の顔になり日本の産業の顔になるという施策は、我々としても非常に重要だと思っております。
 海外で伝統工芸品の産品の展示あるいはPRというものは伝産協会を通じたり、あるいはジェトロの事業としてやらせていただいております。さらに加えまして、今回支援計画という名前のもとでつくります手づくりカレッジの中では、当然内外を問わず研修の中に入っていただくことは可能でございますし、そういうまた支援計画の中で行われます交流というのは、消費者の交流、現代産業との交流というのももちろんございますが、外国との交流、外国の伝産工業との交流というようなことも非常に重要かと思っております。
#138
○三木忠雄君 先ほど功労者の表彰という話がありましたけれども、東京の墨田区で羽子板をつくって何十年も努力をしてきている人たちがいるわけですよ。ところが、従業員というのは一家でやっている。もう本当に努力をしている、しかし案外目立たないわけですね、海外に輸出とかお土産に持っていくとか、いろいろな形では利用されているわけですけれども。それだけじゃなしに、少人数でやっているところで非常に優秀な技術を持っていろいろ努力をされている伝統工芸を守っている人たちがいる。せめて、大臣がそういうところの大臣表彰でもしてあげるように努力をし、張り合いを持たせ、日本の伝統工芸を守っていく。規模はあるんでしょうけれども、小規模企業の人たちに対して目配りをしっかりやっていただきたいということを強く要望して、大臣から何か話があれば一言伺って、私の質問を終わりたいと思うんです。
#139
○国務大臣(渡部恒三君) 大変大事なことだと思いますので、検討してまいりたいと思います。
#140
○市川正一君 私は、最初に、通産省の伝統的工芸品産業の振興に関する基本的認識をお伺いしておきたいと思うのであります。
 渡部通産大臣は、本法案の提案理由の説明の中で、「現在、伝統的工芸品産業は、従事者の減少や高齢化、需要の停滞、伝統的な商品のみに依存してきたことによる産業活力の低下等の事態に直面しており、このままでは、近い将来に多くの伝統的工芸品産業が衰退、消滅するおそれがあります。」、こう述べていらっしゃる。
 私は、今回の法案審議の準備のために、改めて十八年前の本法制定当時の会議録、これでございますが、読み直してみました。時は一九七四年二月二十七日付、第七十二国会衆議院商工委員会の会議録であります。今は亡き田中六助衆議院議員が提案理由でこう言っておられます。「近年、社会経済情勢の変化によりこ「幾多の困難に直面し、後継者の確保難、原材料の入手離、さらには伝統的な技術または技法の消滅のおそれ等、その存立の基盤を喪失しかねない実情となっております。」、極めて問題をリアルに指摘しております。
 しかし、この伝統的工芸品産業審議会が行った答申がございます。この答申によりますと、伝産法制定後の推移は、遺憾ながら必ずしも振興の成果が上がっているとは言えない状況にあるというふうに述べておりますが、私もまさにそのとおりだと思うんです。
 では、問題はなぜこの答申が言うように成果が上がっていなかったのか、まずこの点について通産大臣の認識をお伺いいたしたいと思います。
#141
○国務大臣(渡部恒三君) 今お話を聞いておりましたが、その法律ができ上がって施行されるとき、たしか私は通産省の政務次官になっておったような記憶を今思い出しましたけれども、それぞれの地域の伝統産業を指定して、私の地域もそのとき漆器産業で指定を受けておりますが、伝統工芸品産業とかやはりあのとき非常に大きな期待を持ってそれなりに一生懸命努力して、私は法律の精神はきょうまで生かされてそれぞれの伝統産業を守っていくために役立ってきたと、こう思っております。
 ただ、時代の流れというものが、それよりも大きく新しい近代産業を中心としたこの国の経済のとうとうたる発展の中で、若者たちがどうしてもやはり地味な根気の要るこういう伝統産業を一生懸命やろうという人が少なくなってくるとか、いろいろ消費者のニーズも変わってくるとかいう中で、法律の精神も生かされ、またそれなりに指定された地域の人たちも努力をしてまいりましたけれども、残念ながら今日のような状態にありますので、ここでさらに今日の時代に合わせてこの法律案を改正させていただいて、時代に合った伝統産業を守って二十一世紀につないでいく役割を果たしたい、こういうことであります。
#142
○市川正一君 大臣は、時代のとうとうたる流れと、こうおっしゃったけれども、流れというのは人間社会の場合に、自然なものじゃなくて、やっぱり僕は政策だと思うんです。この点は後で触れますけれども、私は最初に申し述べますが、今回の法改正は、今もおっしゃったように改善の方向です。ですから、賛成するにやぶさかではございません。しかし、十八年もたっているのに見るべき成果も上げなかったという点で、通産省の責任をあいまいにすることは私はできぬと思うんです。
 私は、これまで伝統的工芸品産業、例えば西陣織などの絹織物あるいは大臣も今お触れになってそのゆかりも深い会津塗など、一つ一つは申しませんけれども、本委員会で取り上げてまいりました。とりわけ私は、本場の奄美大島つむぎ類似品の輸入規制の問題、産地振興対策については何度か本委員会で質問して追及してまいりましたが、率直に言って通産省は実効ある対策をとりませんでした。あまつさえ、伝統工芸品産地の振興について積極的な提案をいたしますと、これまでの対応は、伝産法は議員立法だから当省としてはそんなことまでするつもりはないというような底流さえうかがえたんです。
 今回の改正案の提案に当たって、私は、この十八年間を総括してどういう反省をなさり、どういう教訓を酌み取っておられるのか、明らかにしていただきたい。
#143
○政府委員(堤富男君) この法律が五党共同提案ということで四十九年に制定されて以来、十八年ぶりという長い期間がかかったことは事実でございます。確かに、法律を改正する提案権というのは議会にもございますし、行政府にもあるわけでございますが、これは気持ちの上で、確かに五党共同で出された議員提案の法律につきましては、それなりに我々としては大変尊重をしておったつもりでございます。
 その間、単にこれを見ていたわけではございませんで、一生懸命実施をしてきたわけでございます。五十年には伝統工芸士の制度をつくるですとか、あるいは五十一年には工芸士のための展示会を初めて開催するとか、五十七年には伝統工芸士を初めて叙勲の対象にするとか、五十八年には今毎年やっております十一月の月間推進会議を起こすというようなことをやっておりますし、五十九年、六十三年、それぞれ第二次振興計画、第三次振興計画というような形で、それぞれその時代に合った対策を一生懸命講じてきたことは事実でございます。
 ただ、最近になりまして我々が事態を見ますと、やはり伝統工芸品にだけ注目し、メーカーにだけ注目した施策では、現在の下降傾向、これは総じて下降しておるという傾向、産地ごとによりますと非常にその動きはまばらではございますけれども、そういう動きをとめるということができないのではないだろうかという観点から、今回伝統工芸品産業審議会にも諮問いたしましていろいろな施策を承ったわけでございます。これを実施するためにはやはり改正が要るということで、政府として法律の改正に踏み切った次第であります。
#144
○市川正一君 尊重するというのは、じっと手をこまねいて見ていることじゃありませんよ。
 それで、私さっきも引用した通産大臣の提案理由では、「伝統的な商品のみに依存してきたことによる産業活力の低下」、こう述べていらっしゃるんですね。そこのところをどう理解するかなんですが、あたかも伝統を守ってきたことを消極的ないしは否定的にとらえてはならぬと思うのです。
 しかし、十八年前を思い起こしてみますと、危機に直面した西陣織や奄美大島つむぎなどの伝統工芸品産地が必死の運動を起こしました。そして、それを反映してやむにやまれず議員立法に及んだのが事実です。これは、大臣も先ほど述懐なさっていたとおりであります。とすれば、私は、伝統を守ることすらも当時考えていなかった、そういう姿勢をとっていらっしゃった通産省こそが今やっぱり改めて反省さるべきだというふうに思うんです。しかし、今度改正なさろうということはこれは結構なことですから、別にけちをつけているつもりやおませんけれども、十八年というものについてはきっちりけじめをつけておかぬといかぬと、そういう意味で申しているのです。
 さっきの大臣のとうとうたる時代の流れ論でありますが、私は、伝統的工芸品産業と呼ばれる業種を事実上軽視してきたことは、戦後の通産省の産業政策を振り返ると明白だと思うんです。終戦直後の経済復興を意図した傾斜生産方式についてはこれはさておくとしても、戦後の産業政策を一言で言いますと、六〇年代の特定産業振興法が未成立に終わりました。それ以降、機械、自動車、電子、石油、石油化学、こういう重化学工業中心の産業政策が貫かれました。一方、中小企業政策もスケールメリットを追求した構造改善、近代化、高度化であって、結局は、高度成長を遂げる大企業を下から支えるための中小企業の育成という立場からのものにほかなりませんでした。
 したがって、こうした政策路線やこうした方法になじまない伝統的工芸品産業に類するものの振興は、これは放置するに等しい状態であったというのが、私は戦後の経過であったと思うんです。答申は、「諸外国に目を転ずれば、例えば欧州におけるファッション産業や陶磁器産業など、それぞれの国の特色ある伝統文化を具現しつつ、競争力も有し、国際的評価を得ている製品も少なくない。」とこう述べております。伝統を守りながら発展させるという考え方は、我が国とヨーロッパ諸国との間で大きな隔たりがあることは事実なんです。
 先ほど堤局長が倉田議員の質問にも答えられて、イタリアのあのミラノファッションなどのことをおっしゃいました。私は、そういう諸外国の経験からもやはり学ぶべきことを積極的に学ぶ、十八年の総括を申しましたが、反省も含めて再度所見を承りたいと思います。
#145
○政府委員(堤富男君) 戦後の歴史は、私よりも先生の方がお詳しいような気もいたしますが、私見を述べさせていただきますと、確かに焼け跡の中からここまではい上がってくる過程、それぞれいろんな産業のウエートは、やはり日本の経済発展のためにどれが最も有効であるかという、少有い資源の配分の中での効率的な政策というのは、私は一つの選択ではなかったかと思っております。一方、消費の方の状況も見ますと、我々が欲しい物というものの順番というものがどうもあったような気がいたします。
 その中で、最近になりましてだんだん生活のゆとり、そういうものができてくる中で伝統工芸品に対する見直し、本物志向、文化志向というものも出てきたということもまたこれは流れの事実でございまして、そういう中で伝統工芸品の振興につきまして四十九年から実施をしてまいりましたけれども、さらにその需要動向あるいは世界の動向等を引き入れながら、当然過去の施策について反省があった上で、我々はこの政策を考え出しておるわけでございますし、十八年間の行政経験があったがゆえにこういうことができたのではないかというふうに思っておる次第でございます。
 今後の伝統工芸品の重要な位置づけというのは、私らとしても、世界の顔になるための伝統あるいは地域振興になるための伝統、あるいは生活とゆとりのための国民生活の充実に役立つ伝統工芸品、そういうような大きな意義を持ったものであるという認識においては人後に落ちるものではございません。
#146
○市川正一君 しかと承っておきます。
 そこで、従来余り積極的とは言えなかった伝統的工芸品の問題について、にわかに法律改正を行って振興を図るということは結構なことでありますが、同時になぜなのかというその真意も私としてはたださざるを得ぬのであります。
 答申は、ファインセラミックス産業や自動車産業の例を挙げたり、さっき倉田議員も例証なさいました。現代産業の技術者、設計者が伝統的工芸品の工房を訪ねて、新たな発想を得ている例なども挙げております。この意味するところは、もちろん伝統的工芸品産業の担い手がそういう新しい発展の方向を目指すという主要な側面もあります。
 しかし同時に、従来の重化学工業が、先ほど私触れましたように、二十一世紀をにらんで産業としての新しい発展を遂げるために高度成長期に大企業を支える中小企業を育成したように、これまで放置してきた伝統的工芸品産業をも取り込んでいく、言うなれば大企業の新分野進出に利用していこう、そういう政策意図もうかがえるんではな
かろうか、こう懸念するのであります。この点は、先ほどの御答弁をしかと承って、歴史の二十一世紀へ目指すこれからの振興に私は決着をつけたいということにきょうはとどめておきたいと思います。
 そこで、以下具体的な問題に即して私伺いたいのでありますが、先日私の事務所のスタッフが奄美大島に参りました。そして伝統的工芸品産業である、また基幹産業でもある大島つむぎの現状を調査してまいりました。
 大島つむぎは、長引く不況の中で経営危機に直面し転廃業を余儀なくされ、生産数量はピーク時の三分の一、産業別のウエートも生産額のトップから最近では五番目のランクに落ち込んでおります。流通経路や価格決定は、消費地の商社やあるいは問屋から、この反物をこの価格でとこう指定しできます。ですから、産地問屋や親機を通じで賃機におりてくるわけでありますから、各段階でマージンを取るので末端の業者のところに来るころには地域最賃すら下回る状態になっていると聞いております。こうした仕組みや状況の中で、共同振興事業や活用事業をやっても産地の振興にはつながらずに利益は産地の外へ持っていかれるようなことにはならないだろうか。これを抑える具体的な対策を通産省はお持ちなんだろうか。たびたび今までもやりとりしてまいりましたが、現時点での対策をお聞かせ願いたい。
#147
○政府委員(堤富男君) 今回新しく、共同振興計画ということで販売業者の組合との提携、あるいは活用事業ということで消費者あるいは現代産業との交流を深めるというようなことをねらった計画ができているわけでございます。
 今おっしゃいましたように、この法律の原点はその目的に書いてあるわけでございますが、目的については我々は一切今回の改正の対象にはしておりません。そういう意味ては、目的は従来とも全く同じでございます。ただ、その手段として複数の計画を追加したということでございます。ただ、複数の計画を追加した過程で、今委員御指摘のような意味での本来の伝統を忘れるようなことがあってはならないということを踏まえまして、我々といたしましては、基本指針というのを新たに項を起こしまして、伝統産業振興法のその本務であります目的、さらにそれを具体的に展開した基本指針というのを考えまして、これはいろいろ現代産業との交流あるいは販売業者との交流をやりますが、やはり伝統工芸品を残し、その技法、技術を残すということが最終目的でございまして、それが具体的に実現できるというような意味での目的の実施のための基本指針でございます。
 この基本指針は、先ほど申し上げましたような複数の計画の認定に当たりましては当然のことながらそれの審査基準のベースになるわけでございまして、伝統工芸品あるいは伝統の技術が残される、あるいは伝統産業が振興するという、その本務を忘れないようにするためにこういう基本指針をつくった次第でございます。
#148
○市川正一君 その点、私も同感なんです。
 今回の法律改正による共同振興事業や活用事業、支援事業にしても、今の伝統的工芸品産業の産地が主体として継続発展しなければ新分野への展開も保証することはできぬわけですね。ですから、振興事業に対する助成措置は、従来よりも充実されてしかるべきだ。そうでなければ、肝心の産地の体質が弱ってしまう、へたってしまう、疲弊してしまうということにしてはならぬと思うんですが、再度その点を確認いたしたい。
#149
○政府委員(堤富男君) 従来から持っております産地のメーカーに対する、製造業者に対する振興計画、これにつきましては、そのまま存続をいたすとともに拡充をいたしておるわけでございます。それから、新しい計画を幾つかつくりましたが、その計画の実施主体は、基本的には従来の産地の企業を中心としたというふうに考えております。
 例えば、共同振興計画でございますと、産地にあるメーカーの組合と産地にある卸売業者の組合、それの共同で販路の拡大をするということでございます。それから支援計画でございますが、支援計画の実施主体というのは、基本的には産地の製造業者あるいは製造業者のつくる組合、そういうものが基本的に出資をしている会社、そういうような形で法人というようなものをベースにつくっていきたいと思っている次第であります。
#150
○市川正一君 この点についても、奄美の現地調査の中で出てきた実情に即して伺いたいんですが、今産地の厳しい事態を指摘しましたが、同時に産地の中で新しい発展を目指す動き、そういう芽が生まれてきているのも事実なんです。
 例えば、笠利町の須野というところでありますが、伝統工芸士の資格を持つ染色の専門家が従来の、これはシャリンバイという木でございますが、それを使った泥染だけでなしに、例えば奄美の島に自生じておりますシイの木や柿の木、これを使った新しい染色技術や色合いを追求している。また、糸についても手紡ぎの糸でも糸のような風味を出した素材を開発している、非常に意欲的にやっております。
 そこで出された要望は、島で細々と仕事をしている自分の開発した素材が消費地のニーズに合っているか、あるいはどういうニーズがあるのかつかめない、できれば消費者の求める製品を把握して、それにふさわしい素材を最初から開発したい。つまり、双方向けの情報交換のルートが欲しいということでありました。そして安定した販路が確立されれば、やむを得ず本土に出稼ぎに行っている三十年来の経験ある技術者を呼び戻したい、こうも言っておりました。今回の法改正は、こういう要望にこたえ得るものなんでしょうか、どうでしょうか。
#151
○政府委員(堤富男君) 今個別の例を出していただいたのでございますが、仏その個別の企業の方の状況がまだわからないのでお答えが少しぼけるかもしれませんが、それがある意味で振興計画等あるいは組合等で認知され、一つの振興計画となった場合にはいろいろの手段はあるはずでございます。現在の振興計画の中でも、需要開拓資金ですとか展示会をやるとか、それから今回の共同振興計画の中では、例えば東京にアンテナショップを出してその状況を知るというような手段も入っているわけでございます。
 こういう伝統工芸品の産業振興の法体系の中でもいろいろ施策ができますが、さらに奄美大島の場合には、現在通産省と鹿児島県で八億円の高度化融資を行いまして総額十億円の奄美群島地域産業振興基金というのをつくっておりますが、これで毎年七千万とか六千万のいわば収益が出る基金がございます。これは、奄美大島でできる産品、特に奄美大島つむぎのようなものをどういうふうに振興するかということで、販路開拓、あるいは東京あるいは消費地等の展示会等も含めまして、大変他の産地からうらやまれるぐらいの立派な振興策が行われておりまして、これが具体的には実施をされておる段階であると聞いております。
#152
○市川正一君 あわせて、また御紹介しつつお尋ねいたしますが、竜郷町赤尾木というところがございまして、そこでは大島つむぎの生産工程をガーデンパーク、庭園的なところでいろいろ配置している。これがそのイラストマップなんですが、(資料を示す)ずっとイベントの広場をつくっているんですね。そして郷土の伝統行事と結合して振興を図ろうという大島紬村というような構想が進んでおりますが、こういう事業も助成対象になるんでしょうか。
#153
○政府委員(堤富男君) これも、今後振興計画というようなものの中に入って共同でおやりになるのか、あるいは個人でおやりになるのかというような状況によっても違うかと思っておりますが、ただその発想の原点におきましては、今度我々が考えております手づくりビレッジというのはあるいはここから名前をいただいたのかもしれないと思うくらいルーツとしては同じだと思っております。単に大島つむぎなり伝統工芸品をそのまま一生懸命売ろうと思ってもなかなかうまくいかないケースに、工程を見せ、さらに観光施設と結びつけて販売の振興を図る、あるいはみずからそのも
のに手を、自分でつくってみるというような体験施設も兼ね備えたような施設というのがいわば将来の消費者、本物志向の消費者の動きにぴったり合っているのではないかということで、施策の方向といたしましては大変我々の発想と似ておるわけでございますが、具体的にどういうふうな対象になるかというのは、もう少し実態を調べてからにさせていただきたいと思っております。
#154
○市川正一君 大いに現地を励ますと思います。
 最後に、私提案でありますけれども、大島紬技術指導センターというのがございまして、これは鹿児島県の施設なんですが、研究開発でも相当な成果を上げております。ここの館長の言でありますが、この技術的開発の成果をなかなか産地の業者へ移転できない、転入できない。なぜかというと、毎日毎日の生活に業者の人たちが追われでなかなか新しい技術を取り入れることが大変だというんですね。何とかこれを実らすために、例えば農業の分野では営農指導のために積極的役割を果たしている農業改良普及員というのがあります。こういうような制度をつくって国や地方自治体、組合などが協力して、業者がやってくるのを待つのじやなしに、ちょうど改良普及員のようにこちらの方から出かけていって業者と一体になって新しい発展方向を目指す、そういうような制度をつくれぬもんやろうかというようなことを申しておられたんですが、これは伝統工芸品産業全般にもわたる問題でありますが、ひとつ御検討を賜りたいのでありますが、いかがでしょうか。
#155
○政府委員(堤富男君) 鹿児島県の大島つむぎの問題に対する対策の取り組みは、ここの技術指導センターをつくるというようなこと、あるいは先ほど申し上げましたような奄美大島振興資金をつくるというような対策、大変我々の参考になると思っております。ただ、これだけの手厚い施策を全国的に展開できるかどうか、特に今の技術センターの職員が十九人ぐらいでございますが、これか一千件の企業を相手に、巡回指導はやっておりますが、なかなか農業改良普及員のようにきめ細かくできているかどうか疑問があるところだろうと思っております。大変示唆に富んだ御提案ではございますが、宿題としていただいておきたいと思います。
#156
○市川正一君 大臣もお聞きいただきましたので、在任中にぜひ実りますように御検討賜りますことをお願いいたします。
 次に、中小企業集積法についてお伺いいたします。
 まず、今回の特定中小企業集積法と昨年十二月に失効した特定地域法との関係でありますが、特定地域法は国が地域を指定しておりました。今回は、活性化計画について都道府県が策定し、指定するという点など、より地域の実情に合った法律運用にしていく等々の前進面があるというふうに私は評価いたしております。
 ところで、先ほど来同僚議員とのやりとりなどもお聞きした上でお伺いいたしたいのは、確かに円高の緊急融資などの後ろ向き対策でなしに、前向きな対策を実施することが今回の法案の目的だと伺いました。とすれば、特定地域法で指定した五十一地域二百十六市町村がその目標を達成して経済状態が回復しており、これらの地域への対策はもはや必要ないと見ていらっしゃるのかどうか、その点をまずお伺いしたいんです。
#157
○政府委員(桑原茂樹君) 特定地域法と今度の新しい集積活性化法との違いについては御説明したとおりでございますけれども、従来の特定地域法に基づくところの不況地域というものが今度の新しい法案の対象地域としてどうだろうかということであろうかと思いますけれども、この点につきましては、この二つの法案はニュアンスが随分違うわけでございますが、実際問題としては従来の特定地域法の対象地域が新しい法律の対象地域にもなり得る可能性もあるのではないかと、その辺はその地域の実態に応じてやっていきたいというふうに考えております。
#158
○市川正一君 桑原部長は、さっきも対象になり得るとおっしゃった。今は、対象になり得る可能性もあると。ますます薄れてくるんですね。なり得るのは、可能性があるのはどこでもということになっちゃうわけですね。そうじゃなしに、私は、特定地域法の特定地域のうち、地域経済状態がはかばかしくない地域が少なくとも百十四市町村あるというふうになっているわけですから、そうするとこういうところに対しては、結局残るのは融資制度だけしか残らぬというのじゃなしに、地域経済が回復していない百十四市町村については、今回の中小企業集積法で優先的に中小企業集積に指定していくべきではないのか。一番影響を受けている地域でもあるし、地域振興の上からも必要性があるんじゃないか。そこを私は聞いているんであって、その対象になり得る可能性はありますというようなことを言われても、これはもう慰めにもなりませんが、どうですか。
#159
○政府委員(桑原茂樹君) ちょっと言葉遣いが違いましたとしても、同じ趣旨でお答えさせていただいたつもりでございます。恐縮でございました。
 集積活性化法の具体的な対象地域にどういうものを選ぶかというものにつきましては、今先生も御指摘されましたとおりに、その地域のイニシアチブというものを大変重視した法律案になっておりますので、私どもとして、今ここをこういう方針で承認するんだとか、そういうことを一律的に申し上げるのはどうかと思っております。
 例えば、従来の特定地域法に基づくところの不況地域が、非常に意欲を持って新しい製品なり新しい技術開発に取り組む、ぜひこういうものをやってみたい、しかもそれがかなり実現可能性もある、その都道府県としても大いにそれについて努力していきたいというようなことでございますれば、今先生の御指摘されたことも踏まえて、我々としては検討をさせていただきたいというふうに考えております。
#160
○市川正一君 かなり前向きになりましたので、これならばこの地域も今の答弁で積極的に対応すると思います。
 それで私は、そういう経済状態がまだ回復していない地域の一つとして、具体的に函館市の問題でお伺いします。去年の十一月に日本政府は公海流し網漁を停止することを決めて、そして国連でもこれが採択されました。その結果函館市では、アカイカなどの公海流し網漁に直接携わる漁船二十四隻、乗組員三百四十七人、アカイカの水産加工業者百三十八工場、四千四百九十九人で、出荷額二百三十七億などの直接的被害が出ました。
 問題なのは、本委員会とも関連いたしますが、関係業界への影響であります。漁網関係が十五億七千万円、二十二社、六百二十八人。燃料業種、いわゆる油屋さんでありますが、十五億八千万円、六社、三百四十五人。造船・機械業者十業種、十億円、二十三社、千九十五人などに影響が及ぶ深刻な事態になっております。これらの関連業者にどのような具体的支援策をとられようとしているのか、まずお伺いしたいと思います。
#161
○政府委員(桑原茂樹君) 函館地域につきましては、先ほどの説明をいたしておりますところの十二月に失効しました特定地域法の対象地域でございましたし、その後の経済状況が必ずしもはかばかしくないということで、体質強化資金制度によりなお助成を続けておる地域でもございます。
 漁網につきましては、その関係業種ということで、体質強化資金制度の低利融資の対象となる業種でもございますので、我々としては、設備資金あるいは運転資金というもので漁網関係者からの御要望があれば、この制度を利用いたしまして低利融資をさせていただきたいというふうに考えております。
#162
○市川正一君 確かに、この流し網漁業禁止をめぐる背景には、乱獲禁止や資源保護など複雑な経過があることは御承知のとおりです。しかし、本委員会ではそれが主題ではありませんので省略いたしますが、地元の流し網をつくっている下請企業三十五社、従業員五百七十名で構成する函館地方漁網団体連絡協議会は、五項目の要求をいたしておりますが、これらの要求に対応する対策とし
て使える制度は、地域中小企業特別融資制度だけなんでしょうか。もう少し積極的な広がりはございませんでしょうか。
#163
○政府委員(桑原茂樹君) 今申し上げたもの以外に、例えば中小企業設備近代化資金制度というのがございまして、これは御承知のとおり、主として従業員百人以下の中小企業者に対しまして、貸し付け限度額三千万円以下で、無利子の金を償還期間五年以内という条件でお貸しする制度でございます。こうした制度もこの漁網関係者の方はお使いになれるのではないかというふうに考えておりますし、このほか、言うまでもなく一般的な中小企業施策というものが、金融制度とかその他ございますけれども、こういうものも当然御利用いただけるのではないか。中小企業関係から言えば、そういうことでございます。
#164
○市川正一君 時間が迫ってまいりましたので、最後の締めくくり的に御質問申し上げますが、いずれにしても国の方針が急転換するというところから今度の事態が生まれておるわけでありまして、この漁網団体連絡協議会の関連業種に対する補償措置を含む救済対策の要求というのは道理があると、こう存じます。
 そういう状況のもとで、函館市は、四月一日に公海流し網漁網対策本部を設置して、漁業及び関連産業に関しての総合的な対策の推進を始めました。また、北海道庁も水産関係の今日の事態に対応して、特定地域中小企業融資規模七十億円のために、十二億二千万円の予算を確保しております。これもしかし国の資金が同額預託されなければ、七十億円の融資も難しい状況にあります。
 ですから、私は、中小企業庁、北海道庁、函館市、この三者で連携して十分に知恵を出していただく、力も尽くしていただく、そういうことが求められていると存じますので、積極的な対応を重ねて強くお願い申し上げて、私の質問を終わらさせていただきます。その点ではいかがでございましょうか。
#165
○政府委員(桑原茂樹君) 地域中小企業特別融資制度でございますが、北海道で七十億円の融資規模ということで御希望がございまして、国としても、それが実現可能になるようなお金を出すことにしたいというふうに考えておるわけでございます。
#166
○市川正一君 大臣、どうも失礼いたしました。最後にと思っていましたんですが、時間がなくなりました。
#167
○古川太三郎君 今も同僚議員が法律が重なる部分についてお聞きされたし、それについてはわかったんですが、いま一つだけ、この特定中小企業の集積化の法律と、伝統工芸の部分ですけれども、伝統工芸の法律の適用があって、なおかつ集積化の適用はあるのかどうか、このことをちょっと聞かせてください。
#168
○政府委員(南学政明君) 改正伝産法は、現行伝産法と同じく、伝統的工芸品産業の振興を目的といたしております。私どもの法律は、中小企業集積の活性化ということを目的といたしておりまして、目的が違うわけではありますが、伝統的産業を中心とした中小企業集積につきまして、伝統的工芸品を製造する中小企業者の計画が、私どもの法律の特定分野への進出計画と改正伝産法の活用計画の双方の対象になることは、理論的にあり得ると思います。
 この場合において、両計画ともその承認事務は都道府県が関与する建前になっておりますので、都道府県においてそれぞれの法律の趣旨、目的を勘案の上、所要の指導を行うことになると考えております。都道府県がいずれも承認事務に関与することになっておりますので、都道府県が指導を行っていくと思います。
#169
○古川太三郎君 その指導を行うというのは、重なることによって重複の適用はあるんですか、ないんですか。
 先ほどは、それは確かに目的とか政策が違うという部分はありますよ、あるけれども、これはまた重なって適用があるというお話でしょう。
#170
○政府委員(南学政明君) 理論的に両方の対象になり得るとお話しいたしましたが、具体的に都道府県においてどちらかのより適当なスキームに乗るということで調整を行っていくものと考えております。
#171
○古川太三郎君 この集積法というのは、確かに後ろ向きじゃなくて前向きの政策だと、対策だと。こういうことは、ある意味で非常に新しい感覚あるいは非常に前進した政策だと思うことは思うんですけれども、適用によっては非常にまた間違いが起きやすい。後ろ向きの対策ならば、それはやむを得ないだろうとか、先ほどの話にありましたアカイカの問題とか、こういったことで、あるいは不況の問題とかいうような法律が変わることあるいは世界情勢が変わることによって、本当に気の毒だという業種あるいは地域、そういったものがあろうかと思います。円高とか円安とかということによってもですね。不可抗力があればあるほどそれに充当することは、確かに公平の原則に私はかなうものだと思うんですが、前向きであるだけに、これはある意味では不公平をつくっていくことにもなりかねない、それにいろいろの特典を与えることによってですね。本来ならば自由競争の時代です。そういう意味から、その法律の適用についてどのような慎重な態度で考えておられるのか、そのことについてお聞きしたいと思います。
#172
○政府委員(桑原茂樹君) 御指摘のとおりに、御審議いただいております法案は、従来の中小企業施策と大分ニュアンスが違う、地域のイニシアチブをより重視するような法案になっております。したがって、やり方等々についてもいろいろ新しいところがあるわけでございます。むしろ我々としては、一番重要なのは、そこの地域の中小企業のやる気の問題で、非常に数字的には難しいわけでございますが、そういうことを重視しなければこれからの中小企業施策はうまくいかないということを考えまして、今回のような法律案を提出させていただいたわけでございます。
 先生御指摘の、そういう新しい法案であるがゆえに従来になかったいろいろ難しい点もあるのではないかとおっしゃるのは、まさにそのとおりかと思っておりますけれども、我々としては、活性化の指針において具体的に検討すべき事項であるとか配慮すべき事項等々を決めさせていただきまして、それに基づいて県がいろいろな事項を考えて活性化計画をつくる、それを国の方へ承認を求めてくるといういろいろな過程におきまして、その実態であるとか、やる気の問題であるとか、ポテンシャルであるとか、実現可能性であるとか、その他そういうことをいろいろ相談させていただきまして、御心配のような点がないように努力をしていくつもりでございます。
#173
○古川太三郎君 こういうのは、国が基本の指針をつくる、そして県がその計画書をつくるというようなことで、私が私がさせてほしいという部分があればそれでいいんですが、そう食指も動かない、余りしたくもないけれども、しかし特典を考えればやってみたいというような業種もあろうかと思います。こういったことで、それはやっぱり財政上の予算の枠がありますから、一応これだけだというような数字も枠もその限定があるだけに、不公平が生じないような措置をとっていただきたいと思います。
 いま一つ、国がそういう指導をされることは非常に結構ですけれども、上からの押しつけと言ってはなんですけれども、要するにお上も言うことだ、その指針に従っていれば間違いない、こういうような意識を助長するような傾向にならないとも限らない。本来ならば、通産省の考え方からすればこれは自己責任の原則、また自由主義であればなおさらその原則を守っていかなければならない。私は、一つ一つの企業が本当に血がにじみ出るような努力をして、どうしても助けてほしいというようなものがあるときに救うのはやっぱり理屈があると思うんですけれども、こういうようなことがありますよ、やりなさい、どうぞ手を挙げなさい、こういうような上からだけの指導をやっていく場合には過保護にならないか。
 いま一つは、そういった業種はだれが見てももうどうしようもないんだと、そのことによって少々息つぎができる、こういうことであれば、また護送船団方式みたいにみんなで行けば怖くないということで、その地域の人たちが嫌でもそこに入らざるを得なくなるような、そういう雰囲気をつくってしまうのではないか。そういったことを恐れるんですけれども、それについてどのようにお考えになっていますか。
#174
○政府委員(南学政明君) 市場経済の中で、企業の自由な発想を伸ばしていくということは基本的に極めて重要なことでございます。この法律は、集積の選定あるいは発展の方向につきまして、国が一律に定めるのではなくて、都道府県が集積の経済状況、地元のコンセンサスの形成状況等、地域の中小企業の現状等を踏まえまして活性化計画の中で設定していくということにしているわけでありまして、従来の法体系とは違うスキームをとっております。そして、この活性化計画は地域の中小企業者等のコンセンサスの上で設定されることが必要であると考えておりまして、この点を活性化指針に明記していくつもりでございます。
 このように、この法案は、上からの押しつけというものではなくて、むしろ地方自治体あるいは中小企業の自主性を尊重するような体系、地域の自由な発想、創意工夫を尊重する体系になっていると私どもは考えております。
 なお、法案第三条におきまして、「中小企業集積の活性化を図ることが特に必要であると認められること。」ということが要件になっておりまして、あらゆる集積をこの対象にするつもりはございませんで、やはり工業出荷額等が低迷しておって大変困難な事態に直面している、そういう集積に対してこの手を差し伸べていくということを考えているわけであります。
#175
○古川太三郎君 これは、私は調査したわけではございませんからわかりませんが、本来ならば、個別企業の戦略といいますかそういうことからすれば、余りにその地域が一緒になるということについて嫌う企業がたくさんあると思うんです。しかし、地域的にそのようなものが指定されたという場合、これは村八分になるのが嫌だというようなことで、それならば少々だけ手を挙げておこうと。そういう意味で、組合をつくるならつくるにしても、一〇〇%そこに努力するのではなくて自分の形式だけ出しておこうと川よくいけばよし、悪くいっても構わないよと。そういうことから、計画に参加するだけでこういう特典がもらえるとか、あるいは余り真剣にならなくても集積という形でその地域が指定されてしまう、あるいはその業者が指定されてしまう、こういうことが起こり得るんじゃないか。本来ならばもっともっと企業戦略上自分自身のことでやりたいんだという気持ちがありながら、ここに引きずられないかという危惧をするんですけれども、いかがですか。
#176
○政府委員(桑原茂樹君) 県が骨性化計画を作成する際には、先ほどからの話にございますように、その地域の中小企業者等の幅広いコンセンサスというものを重視して決めるわけでございます。当然のことながら、その集積を形づくるかなり多くの中小企業者がぜひこういう方向で努力しようということが確認される必要がありますので、これは本当に数多い中小企業者がそういう方向に向かって努力することが前提となって活性化計画ができる。したがって、個々の中小企業者の進出計画につきましても、おざなりに出したということではなくて、本気になってやろうという者が数多く出てくるということを私どもは前提としておるわけでございます。
 ただ、御心配のように、ごく一部、その進出計画はつくっても余り本気ではないという者が出てきたらどうするかというお話でございますけれども、進出計画につきましては都道府県知事が個別にチェックする、承認をする、こういう法体系になっておりまして、その中小企業者からいろいろ事情を聞いたりしますので、その過程で、今御指摘のあったようなことは十分チェックができるのではないかというふうに考えております。
 また、関連いたしまして、ある特定分野にその地域の集積がみんなで努力しようということになりましても、いや、自分はそういう方向ではなくて別の方向を実はねらっておるし、別の努力をしたいんだという人が出てくるかもしれないと思っております。本法案は、そういうものを排除するということでは全くございませんで、そういう違う方向で努力するということを考えている中小企業者に対しましては、この集積法の体系ではございませんけれども、そのほかの一般的な中小企業施策におきましてそういう方々も御支援申し上げる、こういうふうな考え方でいるわけでございます。
#177
○古川太三郎君 そうすれば、ある意味では一〇〇%そこに力を注ぐということになりまして、従来やっていた事業というのは閉鎖するというようなことになりますと、事業転換法ですか、それとまた重なってくるんですが、こういうような重複の適用はどうなるんでしょうか。
#178
○政府委員(桑原茂樹君) 事業転換法の方は、旧来の事業をやめまして新しい事業に転換するというのがまさに目的になっております。この集積法の考え方は、従来の事業を廃止するということではなくて、従来の事業は従来の事業としてそこにあります。そういう従来の事業で培ってきた伝統ある技術であるとか、あるいはポテンシャルというものを活用いたしまして、それと関連のある新しい高付加価値を持ったような商品を開発する、あるいは従来のそういう伝統ある技術をさらに伸ばして新しい技術を開発するというようなことが趣旨になってございまして、転換法のように、旧来の事業をやめてしまうんだということが前提となっているわけではございません。
   〔理事松尾官平君退席、委員長着席〕
#179
○古川太三郎君 そのあたりの人の心というのはなかなかわかりづらいものだと思うんですが、ましてや小さな地域に行きますとなおさらそういう葛藤があるのではないかと思うので、そういう適用について慎重にしていただきたい。
 いまもう一つは、せっかくそのような集積をおやりになっても、これはみんなは成功するんだと思いながらやるんでしょうけれども、それがもし全体が失敗するようなことになると、これは非常に大きなダメージを受けると思うんですが、そういったことの危険性を排除するには何か方法を考えていらっしゃるのかどうか、それを聞きたいと思います。
#180
○政府委員(桑原茂樹君) これは、最初に活性化計画をつくります際に、どういう方法でどういう手段でその実現を図ろうかという、そこの計画づくりの段階が一番重要ではないかというふうに思っているわけでございます。実現可能性のある計画というものがそこにできるということがポイントでございます。
 そのためにはどうしたらいいかということでございますが、もちろんその中小企業集積の個々の中小企業者の努力というものはあるわけでございますけれども、我々としましては、必要な情報、技術の情報であるとかあるいは需要の動向であるとか、そういうような必要な情報を極力提供をする、またいろいろな指導をする、また法律上規定されておりますけれども支援機関というのがございます。公設の試験研究機関であるとか、地場産業振興センターであるとかいろんな機関がございますから、そういう専門的な知識のあるところが中小企業者に協力をいたしましていろんな形で支援をする、それに対して国も補助をするというような形で、いろんな専門的な知識を有する者が中小企業集積の活性化に向けて実現可能な計画をつくることに努力するんだと、そういうような努力によりまして、我々としてはその計画が全く失敗してしまうというようなことの可能性がないようにあらゆる努力をしますので、また全く失敗するようなことには我々はならないのではないかというふうに期待をしておるわけでございます。
#181
○古川太三郎君 成功することを祈りますけれども、やはり全部が成功するとは限らないものですから、少し注意をしていただこうという趣旨から
申し上げたんです。
 今度は、私が出ています福井県のことで大変恐縮なんですけれども、繊維産業は大変盛んでございます。しかし、もうほとんどの企業が賃加工で、零細というよりもむしろもう本当に小さな小さな企業がたくさんあるということだけは確かなんです。そういった企業は組合に入ることすらできない。組合費が高いからということで、なかなか入りづらい部分もあるんです。そういう意味から、その地域というのが非常に大きな範囲でないと要件を満たしてこないとか、あるいはスケールメリットが出てこないとかというようなこともあろうかと思うんです。あるいはまた、非常に小さい形でまとまるかもしれない。といいますと、一つの県で同じ業種が三つも四つも手を挙げてくるというようなことになろうかと、全国的に見ても、何も繊維だけじゃなくてほかにもそういうことがたくさんあると思います。そういう場合に、四十七といえば各県に割り当てられたんじゃないかなと思ったりもするんですけれども、先ほどの話ではそういうことでもなさそうですから、しかし一県に一つも割り当てないというようなことも恐らくないだろうと思うので、一つが割り当てられますとそれを県で、じゃ三つほどに分割してこの制度を利用しようというような声もあろうかと思います。こういうときにはどのような対処をされるつもりですか。
#182
○政府委員(桑原茂樹君) まず、組合にも入れないような零細な中小企業はどうなのか、こういう御質問が最初にあったかと思いますけれども、御承知のとおり、この法律案は組合を対象としたものではなくて、あくまで一定の地域に存するところの一定の中小企業集積を対象にしたものでございます。したがって、組合に入れないか入れるかということは、それ自体は大きな問題ではない。ある一定の中小企業集積が指定されて活性化計画というのができますと、組合に入らない個々の中小企業者も自分で進出計画というものをつくっていろんな支援の対象になることができるということになろうかというふうに思っております。
 それから、そういう集積というのは小さいんだけれども数が多いから、数が多いときにうまく対象になり得るのかどうかというお尋ねでございますが、我々はいろんなケースが実は全国的にあろうかと思っております。これから具体的に、福井県なら福井県が県下のいろんな中小企業の集積を見渡しまして、どこの集積を活性化するのが一番必要なのか、あるいはどこの集積が一番熱心であってイニシアチブというのもあるのか、あるいはどこの集積が最も実現可能性のある新しい技術開発であるとか新商品の開発ができ得るのか、こういう点をいろいろ勘案されまして国に相談に来るというふうに思っております。
 そういう段階におきまして、今お尋ねのようなことも踏まえまして、できるだけ多くの中小企業者が、しかもやる気のある中小企業者が本法案の対象になり得るように、我々は運用上努力をしていきたいというふうに思っております。
#183
○古川太三郎君 その集積が、今の財政からの制約か知りませんが、法律では四十七というような形で始まろうかと思うんですが、それが五十になり六十というような数字になった場合でもことしじゅうにやれるものかどうか、それが一つです。
 いま一つは、先ほど申しました、一つの県で三つか四つできてきたと、それはもうどれもが順番を決められない、それならば県の枠として一つもらえと、それを分散して、例えば三つなら、財政的に国から援助されるのは二分の一だと、それを県で六分の一ずつ振り分けるというような形があるのかどうか、それをお聞きしたいと思います。
#184
○政府委員(桑原茂樹君) まず第一は、今年度の予算のこの活性化計画の策定費の補助というものは確かに四十七地域を対象にしてございますが、一つは、これは今年度ということでございまして、また来年度は来年度の新しい予算というものが当然あるわけでございまして、この法律が十年間という有効期間があるわけでございますから、ことしの四十七だけでいろいろ議論しなくてもいいのではないかという気もいたしておりますし、もう一つは、四十七というのはあくまで予算上の積算でございますので、いろんな工夫によりまして、現実にいろんな地域がぜひ自分のところもという話があればいろんな工夫をしていきたいと思います。
 要すれば、ぜひ自分のところはそういうふうな活性化計画をつくりたいというところが数多く出てくれば、我々としてはそれなりに、おまえのところはだめだということがなるべくないように、いろんな工夫をしていきたいというふうに思っております。
#185
○古川太三郎君 財政面ではその枠内で確かに工夫ができると思うんですが、その数が多くなればなるほど、上限の話をしますけれども、税制面で非常に減収になるんじゃないかな、こういう心配もあるわけなんで、得べかりし税が上がってこないとか、こういう心配とは関係なく今のは分割ができるんですか、それをお聞きしたいと思います。
#186
○政府委員(桑原茂樹君) この法律案に関連するところの税制上のいろいろな優遇措置というのが用意されているわけでございます。従来のいろいろな中小企業施策で大体講ずるところの税制上の措置もありますし、この法律案に特別な優遇措置もございます。我々としては、この新しい集積活性化法案の運用に際しまして、必要かつ十分な税制上の特典であり、これが行き過ぎているというような判断はいたしておりません。
 税制上の減額、要するに収入が減ってしまうんじゃないかということについては、集積が全体として活性化すれば、要するに個々の中小企業者も大変利益も上がるということが大いに期待されておりますので、長い目で見ていただければむしろ収入はふえる方にいくのではないかなどとも考えておるわけでございます。
#187
○古川太三郎君 しかし、今の論理でいきますと、従業員にたくさん給料を払えば税収は上がるんですよ。その論理はちょっといただけないけれども、まあそれはそれでいいとしましょう。
 地域外からの業者の参加というのは、これは可能なんですか。要するに、集積ということは企業の集積だとは思いますけれども、しかし九州とそれから東京の業者ということで九州で集積する、その適用があるのかどうか、そういったことをちょっとお伺いします。
#188
○政府委員(桑原茂樹君) 地域外からの参加でございますけれども、二つのケースが考えられます。一つは、全く外部にございましてその地域には全然何もないというような企業の場合ですと、この進出計画の対象にはならないと思います。ただ、例えば本店は東京にある、その中小企業の集積のところに一定の事業所なり工場なりがあって、それが継続的にそこの地域で営業しておるというようなケースでございますれば、それはそこの営業所なり工場として本法の対象となり得るというふうに考えております。
#189
○古川太三郎君 これは、過疎化対策として都市に集中している企業を若干過疎地に持っていく、それがそこでまた一つの集積ができるなら恐らくいいんでしょうけれども、それから新たな集積を呼びかけるというような場合にこの適用はあるのかどうか、ちょっとお伺いします。
#190
○政府委員(桑原茂樹君) 本法案は、既存の中小企業の集積を将来にわたって活性化するということが目的でございまして、過疎のところに新しい中小企業を集積するというのは目的となっておりませんので、御指摘のようなケースについては、この法律案で対処するのはなかなか難しいというふうに思っております。
#191
○古川太三郎君 話は変わりますが、投資育成会社に対する引き受けも非常に特典があります。中小企業というのは皆さん小さいものだと思ってはおりますけれども、三百人以下であれば何億でも構わないというような特典にもなろうかと思うんですが、そういったことは大企業への投資に道を開くということにならないでしょうか。そこら辺の心配もあろうかと思うんですが、ひとつお伺い
します。
#192
○政府委員(桑原茂樹君) この法律案の中で投資育成株式会社法の特例を設けておりまして、本来ならば投資育成株式会社は資本金一億以下の企業にしか投資できないということになっておりますけれども、これの制限を取りまして、一億円以上でも投資してもいいよと、こういうことになっております。
 これは、新しい中小企業集積で何か新しい商品を開発するとか新しい技術を開発するとかいうことになりますとかなりお金がかかるということも予想されますし、その地域の集積で核となっておりますような企業の中には資本金一億円を超えるような企業もあるのではないか。現に、いろいろアンケート調査をやりますと、資本金一億円以上の企業もかなりあるというふうに我々は見ておりますので、この一億円という制限を今回法律案の中で取っ払ったわけでございます。
 ただ、この取っ払ったことによって投資育成株式会社の投資が大企業に行くのではないかということは、我々は余り心配をいたしておりません。大企業のダミーとなっているような中小企業者に投資育成株式会社が投資をするということは、現実問題としてないような運用にしたいと思っておりますけれども、投資育成株式会社が実際に投資をいたします際には、いろいろな経営上の相談であるとか内容であるとか、いろいろお話を聞いた上で投資をするわけでございますので、その過程におきまして御心配のようなことがないようにさせていただきたいと思っております。
#193
○古川太三郎君 こういうせっかくの集積をしながら力をつけていくという意味では、大企業からむしろ離脱できる企業集積というものを私たちは夢を見るんですけれども、しかし現実を見ますと、今は非常に技術の高速化とかあるいは情報化が盛んでございます。そういう意味で、資本の集約化がもう非常に進んでいる。産地では、高度の技術が要求されているという形になっている。そのことになりますと、あるメーカーがその集積した産地と結びまして、メーカーにむしろ選ばれなければ活性化していけないという企業が多く出るのではないかと思うんです。そうなれば、大企業の経営下に入ってしまって、もう歯どめがかからないようになってしまう。結局は、集積したその地域は、大企業の下請化されてしまうというような方向にならないとも限らない。その辺の心配をするものですから、そのあたりの歯どめはどのように考えておられるか、お聞かせいただきたい。
#194
○政府委員(桑原茂樹君) 本法律案の目的とするところは、その地域における中小企業の集積を構成するところの中小企業がみずからのイニシアチブでやる気を出して、ぜひ自分たちはこういう方向で発展していきたいというところをまず見るわけでございまして、それは大企業に命令されてそういう方向に行くということでなくて、自分たちのイニシアチブでこうやりたいということを前提としているわけでございます。
 現実問題としては、県等が活性化計画をつくります際に、当然その辺のところはチェックするようにしたいと思います。御心配の趣旨は我々も肝に銘じまして、そういうことがないように気をつけていきたいというふうに考えております。
#195
○古川太三郎君 もう二点ほどで終わりたいと思いますが、財政とか税制とかあるいは金融、こういった面で非常に恩典を受けることになるわけなんですけれども、せっかくそのような恩典を与えながら企業を育成するんですから、そこに働く従業員の労働条件ぐらいは最低限守らせるような方法というのはないものでしょうか。これは、やはり全国からの貴重な税金をここにつき込むんですから、企業というのはその目的としてそこで働く従業員の福祉向上も一つの目的であろうかと思うんです。そういう趣旨から、そういう恩典があればあるほど、従業員の大切さをしっかりとわかった経営方針を貫かせるような最低条件というようなものをむしろこれから考えていかれた方がいいんではないかと思うんですけれども、そのあたりの考え方はいかがですか。
#196
○政府委員(南学政明君) この法律によりまして当該地域の集積が活性化していくということは、むしろ私どもは、そこにある仕事、魅力ある職場が形成されるということで、そこに働く人たちの福祉の向上にも寄与するんじゃないか、基本的にはこのように思っておるわけであります。沈滞する中小企業集積が活力ある集積に変わっていくということは、まさに従業員のためにもなるだろうと思っているわけであります。
 活性化計画をつくるに当たりまして、私ども幅広い関係者のコンセンサスが必要であるという認識を持っていまして、それを国がつくる指針の中に明記することを考えております。その幅広いコンセンサスの形成という中にはいろいろな関係者がいようかと思います。従業員もその一つでありましょうし、そうした意味で、企業が中小企業集積の新しい進出計画をつくり、それを推進していくに当たっては、関係者のコンセンサスを得ながら進めていくということになるよう我々としても指導をしてまいりたいと思っております。
#197
○古川太三郎君 最後に、大臣に一つだけお聞きして終わりたいと思います。
 今、日本の技術を移転してほしいというのが、韓国とか台湾、そういったところからも非常に大きな声で言われております。この技術移転の要求されている現状と、集積化というのはやっぱり一つの技術を磨いていかなきゃならぬ部分が多いと私は思うんですが、それとの衝突があろうかと、本当はこれはもうよその国にむしろ出していった方が貿易摩擦も起こらないし、世界とともに繁栄できる日本の産業ということになろうかと思うんですが、ここら辺で摩擦が起きないかどうか、そのことだけを心配していますので、この点についての御意見をお伺いして、終わりたいと思います。
#198
○国務大臣(渡部恒三君) 我が国できょうまで発展してきた技術あるいは中小企業のノウハウ、こういうものに対して、これを学び取って移転して、そして自分の国を発展させようという発展途上国の我が国に対する意欲は非常に大きいものがございます。したがって、これはむしろ摩擦解消に役立っていくものと、推進してまいりたいと思っております。
#199
○井上計君 大臣も政府委員ももう大分慎重な御審議でお疲れのようでありますから、簡単にひとつ、もう法案については同僚議員からも詳細に朝から質疑が行われておりますし、私、実は検査で病院におりまして、これだけに今来たわけでありますから、詳しいことは省略をして感じておりますことを意見として申し上げて、またお答えを若干いただきたい、かように思います。
 二本の法案については、法案の名称も違いますし、目的も違うようでありますが、私は、最終的な目的は実は一緒だと思うんですね。伝統産業についてもさらにきか細かく、いわば地域の長い伝統を持っている産業、これの活性化によってその産業をさらにこれからもずっと継続していこうという目的、それから中小企業の集積化については、地域の中小企業を一つの方向に新しい分野への転換を含めながら活性化していこうということですが、大体似たようなものだ、こう思います。
 そこで、率直に私の考え方を申し上げますと、我が国ぐらい中小企業に対する法律、それから制度等々が多く行き届いた国は先進国中ない、こう思います。これは、アメリカあるいはヨーロッパ、EC等に比べて、日本ぐらい中小企業政策、中小企業の法律がきめ細かく実施されている国はありません。私の長い経験からと言うと口幅ったいようですが、私の経験からしてもそう思います。ところが、きめ細か過ぎて、また大変きめ粗くなっておるということも事実であろう、こう思います。
 だから、通産省も中小企業庁もいろんな面で随分ときめ細かくやっていただいていますが、その実、新しい制度、新しい法律にはきめ細かくやってもらいますけれども、そのために、古い五年、十年前にできた法律についてはどうもその点が少し忘れ去られておる。これは、通産省・中小企業
庁がというよりも、一般の中小企業団体やあるいは地方の、県のそれぞれ所管の原課等々がそのようになっておるという嫌いがあるんではなかろうか、こんなふうなことを実は常に感じております。
 そこで、具体的にお伺いしますけれども、伝統的工芸品産業の振興法については、十八年前この法律ができました。京都の友禅だとかあるいは西陣だとか、こういうふうなその地域を代表する、またそれにかわるべきものがないというふうなものについては、この伝統産業の法律によってかなり成果が上がっておるという面もありますけれども、その他地域、地方によってはそういうふうな業種があったのかよくわからなかったというのがたくさんあるわけです。
 事実、百七十幾つの指定の中には、例えて言うと、和紙なんかはたしか全国で七地域ですか、そんな和紙があったのかなと一般の人が知らないようなものが指定されておる。あるいは友禅にしても、京都、金沢、東京、名古屋と四カ所指定があるわけですね。それじゃ何が違っておるのかと言われると、専門家でもわからぬような状態ですね。それから仏壇にしても、仏壇は全国で十カ所ぐらいですか、確かに仏壇は宗派によって長い伝統、歴史がありますから若干の違いはありますけれども、それでも地域で何とか仏壇、何とか仏壇と指定されておる。じゃどこが違うのか。そこで、指定された地域の業種は自分のところが指定されれば事足りるというふうなことで、いわば努力しなかったと言うと怒られます、語弊がありますけれども、指定されたことでもういいんだというふうな業者、団体が多いですよね。
 そういうふうな指定された業者が、いわばいい意味での地域間の連絡をとりながらライバル意識を持って、やはりお互いそこで伝統産業についての持っておる伝統技術、そういうふうなものを交流するような、そういう制度がこの法律に欠けておるんではないかなということが実は私の感じている一つです。これについて、原課としてはどんなふうなお考えをお持ちかどうか。そこで十八年ぶりにこの法律を改正するという通産省の当然何かおありだろうと思いますけれども、それについてどういうふうな、それがまず展開がそうであったと思いますが、それが一つ。
 それからいま一つは、昭和三十年代以降、中小企業政策の中心というか柱は、省力化であり合理化でありマスプロ化であり、要するに、できるだけ労働力を省いて、そして大量生産によるところのコスト吸収をやることによっての利益、こういうふうなのが一つ中小企業指導の、あるいは法律の中心、柱であったわけですね。その中で、伝統産業というのは、労働集約型の産業はもうやっていけません、あるいはそういうふうな時代の流れについていけない企業はつぶれてもやむを得ませんとは言いませんが、事実上一般の空気が自然淘汰やむなしということできたわけですね。
 それが、この際、さらに伝統産業を掘り起こしてどのような方向に持っていこうかということについてのこれからのはっきりとした方針を伝統産業に従事する人たちに明示して、それらの人たちにやっぱり伝統産業に従事している夢と誇りとそれから経済的な安定というものを明示してやらないと、どのような法律をつくっても私は将来的には余り期待ができないんではないかという危惧を持っておるわけです。これらについてひとつ局長なり大臣なりどうお答えいただけるか、思いつぎのような意見になりましたから特別にこうどかというふうな難しい答弁を願わなくて結構ですけれども、こんなふうな考え方を持っておるということで、あともう一つ伺いますが、そこでまず第一問、ちょっと大臣にお尋ねをするということにいたします。
#200
○国務大臣(渡部恒三君) 私は、戦後の中小企業政策あるいはもろもろの政策、これを反省してみますと、確かに今井上先生おっしゃったように、私どもかつて地方議会におりましたころ、新産業都市の指定で燃え上がったころがありますけれども、あの当時は何か新産業都市の指定を受ければもうそれだけで何か自分たちの地域に夢があるようなことだったんですが、農業政策とか建設省の政策であれば、これは公共事業をやってもらえればそれで役立つわけでありますけれども、産業政策の場合は、やはりその地域内に、あるいは産業組合とかあるいは地域の産業の皆さん方がまずみずからやる気を起こしていかなければこれは成功しない。
 さっき三木先生の御質問のとき、おまえが自治大臣のときふるさと創生をやったという御指摘がありましたけれども、まさに今回の中小企業集積法をお願いしておるものは、地域社会、自治体、それから地域の産業にやる気を起こしていただいて、みずから夢を描いていただいて、それを金融面あるいは財政面、税制面で私の方でお手伝いをさせていただく。
 伝産法の問題にしてもそうですが、やはり私反省してみますと、十八年前、議員立法でこれが行われて、私どもの地域が伝統ある漆器産業ということで指定を受けたときなんかも、何かこれで通産省から指定を受けたからそれでもうこの漆器業界は発展していくんだというような大変思い違いがあったことを重々反省されますので、今回はいずれの法律にしても、まず地域の人たちにやる気を起こしてもらってそれを我々がお手伝いする、こういう方向で進めていくことが成功する道だ、こんなふうに考えております。
 あとは局長から答弁させます。
#201
○政府委員(堤富男君) 大臣の御答弁を補足させていただきます。
 先生おっしゃるように、和紙だけで九の産地がございますし、仏壇は今数えてみましたら十六ございます、それから友禅と名がつくだけで確かに四つございまして、これらは原点でつながっているようなケースもございますが、まず協議会という形でそれぞれの分野で連絡網はできております。それから、わざを競うというような意味では、これは共通の展示会をやりましたり、その中で通産大臣賞ですとか局長賞を出す過程でそれぞれの分野でのわざの磨き合いというのは行われておると思っております。
 それからもう一つ、機械化と伝統工芸品の手づくりのコンフリクトというのでしょうか、問題がぶつかる点があるわけでございます。これは、確かにある時代に大量生産しかも大量消費ということで、安くいいものをたくさんつくるという考え方だったんですが、最近のどうも生産側の、供給側の考え方も、やはりそれだけでは十分な付加価値がつけられないのではないかということで供給側にも反省がございますし、需要側には最近のゆとりと豊かさをある程度反映したこともございまして、単なる皆さんと同じものを使うというよりはやはり本物を志向するとか、あるいは皆さんと違ったものを使う、そういう文化的なものに対する志向というのも出てきまして、そういう面からこういう手づくりのものが見直されるということもあるのではなかろうか。それも今回法律の改正の一つのきっかけではなかったかと思っております。
 それから、そういう産地の人たちに対する基本的な方向性を明示すべきであるということで、おっしゃるとおりでございまして、今回の法律改正の中で今までなかった基本指針というのをつくりましたのもそういう方向、特に産地の活性化ということが非常に重要であるということを明示していきたいと思っております。
#202
○井上計君 そのとおりであろうと思いますが、ぜひそのような方向に向かって御努力をいただきたいと思うんです。
 そこで提案でありますが、伝統産業だから専業でやっていけるというふうなことはなかなか難しいものがたくさんあるわけですね。これからのいろんな経済の変化等々があり、だから、兼業ならやっていけるが専業ではやっていけないというのがこれから出てくると思うんですね。ちょっと今思いつきですが例を引きますと、養蚕業なんかは、これは大臣の地元なんでしょうが、専業ではもう養蚕業というのは成り立たぬでしょう、しか
し兼業では成り立っていますよね。そのような業種はたくさんあるわけです。だから、現在伝統産業に指定されておるのは専業でやっていますけれども、しかし、これからは兼業ならやっていけるという伝統産業もあると思うんですね。そのようなものの指定を考えることも必要ではなかろうかなというのが一つ。
 それからもう一つは、例の文化財の場合には、国の指定だとか、それから県の指定だとか、市の指定だとか、ランクがありますよね。だから、この伝統産業も国一本の指定でなくて、そうですね、これはどういうふうな表現をすればいいでしょうか、ジュニアというと言い方が悪いんですけれども、というのは、産業としてこれからずっと保存していかなくてもいい、しかし地域のあるいは民芸品、工芸品としては残していきたいというものがあると思うんです。特に山陰になんかありますよね。だからそういうふうなものを、準指定というとおかしいけれども、文化財でも国があり県があり市の指定があるように、国の伝統産業でもAランク、Bランクというふうなそういうふうなものができると、もっと何か気安く指定が受けられるというふうなこともあるのではないかなということを、実は私、今まで二、三の伝統産業指定のことを相談に乗ってみてそんな感じがするんですが、局長、どうでしょうか。
#203
○政府委員(堤富男君) 大変示唆に富んだ御提案をいただきましてありがとうございました。
 現在の企業は確かに大変零細でございまして、先ほども申し上げましたが、自分だけで一人でやっている企業が二〇%、家族とだけでやっているのが四〇%、合わせましてそれで六〇%、大半がそういう企業でございます。したがいまして、現在でも兼業でやっているようなものがかなり多いのではないかと。一企業当たり二百五十万というのは、どうもそれだけで生活の糧を得ているとは思えないような低い金額でございます。
 今回特にその点を考えまして活用計画というのを入れさせていただきましたのは、従来はメーカーが伝統工芸品をつくるということだけに着目した施策をしていたのでございますが、むしろ伝統工芸品を使い、あるいは伝統のわざを使って何か現代風な新しい商品、例えばっむぎをガラスの中に挟んで非常にきれいなガラスとして売り出す、あるいは陶磁器をスピーカーとしてつくって、非常に音のいいスピーカーで、しかもきれいな絵つけができるというようなものをつくるということもあわせてやることが結局産地全体の伝統工芸品の活性化につながるのではないか。
 しかも、そういう動きが若い青年部というところから幾つかの産地で出てきておりますので、そういう動きもつかんで、農業との兼業というのももちろんございますが、同じ兼業でも自分のわざを生かした兼業というような形での活性化を図り、ただし、あくまでも伝統的なものは残していただくという大目的だけは変えずに、そういう伝統的なわざが今後も日本人の財産として残ることを期待したのが活用計画でございます。
 それから二番目、ジュニアという言葉をお使いになりましたが、現在一千ぐらいの産地がございまして、国が指定しているのが百七十四でございますが、そのほかに約六百弱の県が指定しているのがございます。これが今先生のおっしゃるような意味でのジュニアというようなものになっているのではないか。ただ、そのジュニアの下にもまた大事な小規模産地もございますので、そういうそれぞれの業態に応じた施策を講じてまいりたいと思っております。
#204
○井上計君 ありがとうございました。
 もう一つ、特定中小企業集積の活性化でありますが、もちろんこれは法案についての審議はもう尽くされておりますから、大いにひとつ進めていただきたい、こう思います。ただ、先ほど申し上げましたように、余りにもきめ細かい中小企業に対する法律、施策が我が国にはある。きめ細か過ぎて逆にきめ粗くなっておるというふうな、そういう傾向もありますので、今度のこの法律が制度上さらに屋上屋にならないよう、十分なるひとつ配慮とまた指導をお考えいただきたい、こう思います。
 私は、こういうふうな指定が行われて、このようなものを進めていく中で何といっても一番大事なのは、いわば集約事業、その中でやるリーダーの問題だと思うんですね。だから、戦後、中小企業に対するいろんな施策、近代化から構造改善からいろんな工場団地とか、ずっと見ていましても、うまくいったところは全部リーダーがよかったということです。どんないい施策であり、どんないい計画であっても、リーダーがいないところは全部だめになっておると、こういうことでありますから、法律はこれからいろんな意味でリーダーを養成するためにどうするか、これがやっぱり最大の私は課題ではないか、こんなふうに思います。
 しかし、中小企業者の中からみずからリーダーになって云々というふうな人はそうたくさんはいません。したがって、そういうふうな人を国がどのように発掘をするか、いろんな問題と関連しますけれども、これもぜひ法律を進め、いろんな計画を進め、指導していく中で、ぜひともお考えをいただきたいというふうにこれは要望して、私の質問を終わります。
#205
○政府委員(南学政明君) 先生の御指摘は全くごもっともでありまして、商業集積の活性化、いろんな町で、商店街で行われておりますが、これもリーダーが立派なところは立派な計画が進んでいるというような実態にございまして、製造業の方でも全く同様だと思います。したがいまして、今後中小企業事業団の大学校を活用したり、あるいは地域の支援センターにおいていろいろ人材の育成に努力をしてまいりたいと思っております。
#206
○委員長(岩本政光君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#207
○委員長(岩本政光君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#208
○委員長(岩本政光君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#209
○委員長(岩本政光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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