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1992/03/26 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 農林水産委員会 第3号
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1992/03/26 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 農林水産委員会 第3号

#1
第123回国会 農林水産委員会 第3号
平成四年三月二十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         永田 良雄君
    理 事
                鎌田 要人君
                北  修二君
                菅野 久光君
                三上 隆雄君
                井上 哲夫君
    委 員
                青木 幹雄君
                大塚清次郎君
                鈴木 省吾君
                鈴木 貞敏君
                高木 正明君
                初村滝一郎君
                星野 朋市君
                一井 淳治君
                大渕 絹子君
                谷本  巍君
                猪熊 重二君
                刈田 貞子君
                林  紀子君
                喜屋武眞榮君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        陣内 孝雄君
       農林水産大臣官
       房審議官     白井 英男君
       農林水産省経済
       局長       川合 淳二君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     上野 博史君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡  光君
   説明員
       厚生省生活衛生
       局乳肉衛生課長  伊藤蓮太郎君
       農林水産省経済
       局統計情報部長  須田  洵君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (畜産物等の価格安定等に関する件)
 (畜産物価格及び繭糸価格に関する決議の件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(永田良雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農林水産政策に関する調査のうち、畜産物等の価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○菅野久光君 いよいよ畜産価格の決定の最終盤に差しかかってまいりました。今日における畜産情勢というのは非常に厳しい。厳しいというよりも、今のような価格引き下げというような方向でいけば日本の畜産そのものが、昨年は私はいろんなところで言ってきたんですが、畜産の崩壊から畜産を守らなきゃいかぬということを言ってきたんですが、ことしは崩壊どころか壊滅してしまう、そういう危機感を抱いております。
 特に、酪農関係については、もうぬれ子の価格が暴落をする、牛肉の輸入自由化の影響が果たして農林水産省としてこれほどまでに影響があるというふうに予測したのかどうか。自由化までには十分関連対策をやる、こういうことを言っていたわけでありますが、その関連対策が本当に実効があったのかどうか。その辺含めて、これはもうこのままじゃ大変だ、酪農そのものが日本の国からなくなってしまうのではないかというような、非常に厳しいという、言葉で言いあらわせないような私は状況があると思います。
 それが顕著にあらわれているのが、酪農の離農が急激に進んできている。しかもそれが、従来は後継者がいない、高齢化が進んでもうこれ以上肉体的にもやることができないという方が離農していく。言えば自然的な形での離農といいますか、そういう状況であったわけですが、最近の離農の状況を見ていきますとそうではないんですね。いや、そういう部分も幾らかありますけれども、実に二十代から四十代にかけて、もうこれ以上酪農をやっていけない、将来展望が持てない、そうであれば今のうちに他の職にという、そういう傾向が非常に強まってきているというふうに思うわけですが、酪農をめぐる情勢の認識についてまず伺いたいと思います。
#4
○政府委員(陣内孝雄君) 酪農が、主要な食糧である牛乳や乳製品の供給源としてのみならず、また土地利用型農業の基軸として我が国農業の発展に重要な役割を果たしているということを踏まえまして、私どもこの政策に取り組んでおるところでございますが、先生御案内のように、我が国の酪農については、現在規模拡大の進展、一頭当たり乳量の増加等を通じて、経営内容の充実が着実に図られ、数年来負債が減少する等、順調に進展してきたところでございます。
 しかしながら、酪農経営の最近の動向を見ますと、今御指摘のございましたように、生乳生産が着実に増加する一方、ぬれ子や乳廃牛等の販売価格が大幅に低落するといったような収益性の低下を来しておりまして、その状況については私どもは真摯に受けとめておるところでございます。
 このため、生産事情等を反映した適正な保証価格の決定のほかに、まず一つは、乳肉複合化への取り組みの進展、また肉用子牛生産者補給金制度への加入の促進といったような酪農経営の安定を図るための施策を推進しているところでもあります。
 今後とも酪農は、冒頭申し上げましたような重要な食糧である牛乳、乳製品の供給源であり、また我が国の土地利用型農業にとってかけがえのない重要な位置づけを持つものでございますので、この振興のために努めてまいる所存でございます。
#5
○菅野久光君 酪農が我が国農業の基幹的なそういう役割も担っているという認識ですが、そういう認識であるにもかかわらず、その認識とは違う方向で進んでいるのではないかというふうに思わざるを得ません。けさの日本農業新聞それから今配られました資料でも、保証価格を初め全部据え置き、こういうことになっておりますね。
 そこで、お伺いいたしますが、乳価算定に当たって、上げの要因、下げの要因、それを示していただきたいと思います。
#6
○政府委員(白井英男君) 御答弁申し上げます。
 保証価格の算定に当たりましては、牛乳の生産費調査、この結果に基づきまして、これを価格算定に得られます最新の確定したデータによりまして物価修正をするということを原則としているところでございます。平成四年度につきましても、生乳の百キログラム当たりの平成三年度生産費調査結果、これをもとにいたしまして労賃等につきましての評価がえを行いました。それからそのほかの費目につきましては、所要の物価修正を行うということによりまして保証乳価試算をしたところでございます。
 この結果、三年度に比べまして保証価格の上昇要因といたしましては、ぬれ予価格の低下、これがあるわけでございます。それから保証価格の低下の要因といたしましては、飼養規模の拡大によります百キログラム当たりに直しましての労働時間の短縮、それから牧草地面積の減少、それから建物とか農機具費の負担の軽減、それと金利が最近低下しておりますので、金利の低下というようなことが挙げられるわけでございます。
#7
○菅野久光君 それじゃお伺いしますが、その規模が拡大されたということはどういう理由で規模が拡大されたのか、ただ単にコスト引き下げということだけで規模が拡大されたのか、そういう認識ですか。
#8
○政府委員(白井英男君) 規模の拡大でございますので、酪農家が飼養頭数をふやしてきまして乳量をふやす、それによりまして所得をふやしていくということをねらって拡大をしたものというふうに思っております。
#9
○菅野久光君 きのうもちょっと大臣にお会いしたら、まあ皆さん方が大臣にいろいろレクチャーするから大臣もそのとおり受け取っているんだろうというふうに思うんですが、規模拡大されたと、こう言うんですね。ところが実態は、やむなく頭数がふえてしまうといいますか、それが実態なんですよ。それは本州の府県の酪農家がもう見切りをつけてやめてしまう。北海道の場合で言えば、初妊牛というのはもうほとんど北海道の初妊牛を買ってそして酪農をやっているわけですね。それがそういう買う農家が少なくなってしまった。売ろうにも売れないんですよ。売れない牛を一体どうするんですか。野原に放しておくわけにはいかないんだ。だから、やむなく滞留する、そのまま自分のところに置いておく。そのためにふえてきているという要因が実は多いんですよ。
 というのは、畜舎そのものは自分のところのやっぱり営農に見合うような形での畜舎の大きさなんですね。例えば五十頭飼おうと思ったら、それに六十頭分も七十頭分も搾乳牛を置くような、そういう畜舎を建てるだけの投資をするという、何といいますか、気持ちに今の段階はなれないわけですね。だから、五十頭規模なら五十頭規模でやって、そして初妊牛が出る、それは本州の酪農家に買ってもらう。そういうことでずっと今まで来たわけですが、先ほど言いましたように、もう本州の府県の酪農がだめになってしまって、初妊牛の場合は思うようにいかない。そのためにやむなく牛を置いている。そのことをもって規模拡大されたと、そういうふうに認識されたら、それはもう認識が全く違うと言ってもいいと思うんですよ。
 初妊牛を売ったそのお金も酪農家の収入として実は計上されてきていたわけですね。それがなくなっちゃっているわけですよ。だから、ことしの三月期の青色申告の状況、酪農家の青色申告の状況を農林水産省としてはいろいろお聞きになっていると思いますが、どのように把握されておりますか。
#10
○政府委員(白井英男君) お話がございました初妊牛の北海道での滞留の問題でございますけれども、平成三年度の年度当初におきまして、平成二年度の夏が大変暑かったということもありまして、内地の牛乳生産、生乳生産の伸びが期待できなかったというようなことで、いわゆる都府県の方からの初妊牛の需要が冷えたということで、北海道に初妊牛が滞留したという事実につきましては、私ども認識しているところでございます。
 それが、平成三年の冬になりまして、野外で飼養するということがなかなか難しいというような問題もありまして、私どもそういう事態を認識いたしまして、奨励金といいますか、助成措置を講じましてそれらの解決策に当たったところでございまして、それらの措置の効果も出まして、最近では若干ではございますけれども初妊牛の価格も上昇してきているというふうに聞いております。
 それから、今お話のございました青色申告の話につきましては、ちょっと私ども今手元に資料がございませんので、申し上げかねる次第でございます。
#11
○菅野久光君 やっぱり畜産価格の算定に当たっては、もろもろの要素というものを取り入れながら、どう畜産農家が再生産のために営農していけるかということを十分配慮しなければ、ただ何が下がった、何が上がったというようなことだけではいかない部分があるんじゃないかというふうに思うんですよ。
 ことしの北海道で私が聞いた酪農家の青色申告の状況を見ますと、今までぬれ子の価格や何かが急激に下がる前は四百万とか五百万とかという利益が上がっていた、そういう農家でもことしの青色申告は軒並み三百万から四百万、これは規模によって違いますが、そういう赤字に転落をしてし象った。それが現実なんで文よ。しかも、ことしの生産費調査では平均して八・五%生産費が上がっている。百キログラム当たり全国では九%、北海道でも八・五%上昇した、こういうふうに出ております。
 今回の畜産価格決定に当たって、私のいる北海道では特に酪農でなければ営農できない地域がたくさんあります。そういうところから六十数名の人たちが上京して、何とかしてくれ、酪農を壊滅的な状況にさせないでほしい、そういう仲間の人たちの激励とカンパによって出てきて、いろいろな行動をしております。そういう状況の中で、私どもに報告されたある人はこのように言っております。
 酪農家の中で、酪農をやっていたんだけれども、その方だけは何か肉牛の飼育経営をするようになった。それで、自分の息子と二人で肉牛を四百頭から五百頭ぐらい飼っていたんだが、結局労働時間が厳しいために病気になったというんですね。その上に今度は肉の価格が下げられた。あのぬれ子の価格がよかったときには幾らかお金に余裕ができたわけですね。で、今度は逆にそのお金をつけて売らなければならないような状況になってしまった。その上にそのお父さんが病気で、二十四歳の息子さんと一緒にいたんだが、もう貯金もなくなってしまう、お父さんは病気だと。将来に見通しがないということで息子さんは町に出てしまった。どうしようもなくなって、そこの五十八歳になる御主人は自殺をしてしまったという話を聞かされました。どうしておれたちがこんなに苦しい目に遣わなきゃならぬのか、それがお葬式のときに集まった人たちの声だったということなんですよ。
 あの牛肉の自由化によって肉の価格がこんなに下がってしまった。いいときにはそれは副産物価格として乳価の引き下げのときに大きな役割を果たしたわけでしょう。今度はそのことには余り触れない。生産費が八・五%上がったんだから、ことしは上がるだろうという期待を持つのはこれは当然ですよ。ところが、きょうもらったこの資料によれば全部昨年と同じ、据え置きと。こんなばかな話はないんじゃないかと思うんですね。時間も短縮されたと言いますが、酪農家の労働時間というのはどの程度に押さえておりますか。一般労働者と比べてどうでしょうか。
#12
○政府委員(白井英男君) 酪農経営における労働時間でございますけれども、畜産の他の肉用牛飼育なり養豚飼育等に比較いたしましても、酪農経営の労働時間、これが多いということは認識をしております。
 私どもの手元にあります資料では、平成二年度では、これは農家経済調査によるものでございますけれども、二千五百時間、一人当たりですね、というふうな数字を把握しております。
#13
○菅野久光君 平均的なところで二千五百時間、一般労働者は二千八十八時間という調査結果が出ておりますよね。それだけ労働時間が長い。そうした中で一体収入の状況はどうかということになれば、これはもう比較にならないわけですね。物価は上がっていく、ほかの労働者の賃金は上がっていく、そうした中で農家の手取りというものはますます減っていく。減っていくどころか、先ほど言いましたように青色申告でももう赤字だと。しかし、生産費が八・五%上がった。ことしは何とか上げてもらえるだろう。北海道あたりは五円以上の値上げということで要求をしております。五円以上でも間に合わないんですね、本当は十円。十円でもまあとんとんかというような状況だけれども、十円上げるということは余りにも現実離れしているように一般に受け取られるんじゃないか、ささやかに五%以上と。これは八・五%生産費が上がったということにも見合う要求だというふうに私は思うんです。
 そんな意味から、上げ要因としては、生産費が上がっただとかあるいは労賃がどうだとかというようなことは言われておりますが、いつでもこのときに言われるのは物価修正という修正ですね。これは地方交付税なんかでもいろんな修正がありますが、そういう中で思うような方向にこの数字を動かしていくことができるわけであります。そこのところが私どもは本当に何というか、くせ者と言ったら悪いんですが、思うような数字をはじき出すための修正ということになっていくのではないかというふうに思うんです。
 労働時間は短縮されているどころか、先ほども言いましたように、初妊牛の牛が売れないために頭数がふえる。それで時間がふえてきているというのが私は実態だというふうに農家の方々からも訴えられております。その辺の認識はどうですか。
#14
○政府委員(白井英男君) 労働時間につきましてでございますが、私どもの把握しております統計では、先ほど平成二年度の数字を申し上げましたけれども、平成元年度におきましても、これは一人当たりの労働時間でございますが、二千四百九十一時間というようなことでもございますし、平成三年度の実態につきまして今手元に数字を持ち合わせておりませんので、その辺の変化はちょっと把握しにくいのでございますけれども、そんな実態になっております。
#15
○菅野久光君 平成二年度あたりまではそういう状況にあったと思いますが、平成二年から三年にかけて、そういう初妊牛が売れないで頭数がいやが応でもふやさなければならないという状況があったから、だから労働時間がふえているという実態があるということは、これは当然考えられることだというふうに思うんです。したがって、ここのところは下げ要因などと言うけれども、下げ要因には私はならないというふうに思うんです。
 今まで私もこれで農林水産委員会に九年間所属して、毎年畜産価格の問題について取り上げてまいりましたが、本当に飼養頭数をふやすだとかいろいろな工夫をしながら、何とか生産性向上をして生産費を引き下げなければならないということで努力をしてきた。その努力をしてきた分がそっくり何か価格引岩下げの要因にされてしまっていたというのが、私のこの九年間の畜産価格審議に当たって、その結果を見て感ずるところであります。
 こんな世界というのは私はどこの世界だってないと思うんですよ。やっぱり努力したら、それに対して報われるような結果が生まれる。そのことを期待して一生懸命努力するのではないかというふうに思うんです。生産性を向上したそのメリットが一つも農家に還元されていない。還元されていないところか逆に下げられてきているわけでしょう。そういうような状況であるということについて、もっと生産性向上のメリットは農家に還元すべきだという私の意見に対してどのように考えますか。
#16
○政府委員(白井英男君) 御承知のこととは存じますけれども、保証価格につきましては不足払い法の中に仕組まれておるわけでございまして、その制度の趣旨なり仕組みに即しまして私ども算定をするわけでございます。その趣旨と申しますのは、加工原料乳地域の生乳の再生産を確保するために必要な価格水準を示すということでございますので、そういうことでやっているわけでございます。
 なお、保証価格の算定をするに当たりまして、先ほども申し上げましたように、家族労働費の評価につきましては、製造業労賃によります評価がえ等を行うことによりまして、酪農経営の安定、これにも配慮しているというところでございます。
#17
○菅野久光君 何とか酪農経営の安定に資するためというようなことでいろんなことをやられているように言われているんですが、実態はやっぱり価格の上に反映されなければならないわけですよね。私も、前のときにも言いましたけれども、酪農というのは副産物というものを当てにするのではなくて、酪農は乳価が経営の基本にならなきゃいかぬわけですよね。ところが、ぬれ子の価格が上がっているときにはそれが下げの要因だということで盛んにやる。ところが、これだけ下がっても、いろいろな施策をやっているので、それでその分は政策的にやっているから何とかなるのではないかというふうな思いをされているとすれば、それはやっぱり実態を知らないやり方ではないかというふうに私は思わざるを得ません。
 今、家族労働の問題が出ましたから、家族労働、今までは飼育家族労働、企画管理労働については北海道の場合の製造業五人以上規模の労賃ということでやってきましたね。それから自給飼料生産労働については農村雇用労賃ということで、同じ人間が作業が違えばそれで労賃が違うというようなことについて不合理ではないかということを指摘してきました。ここのところをどういうふうに変えたか、先ほど何か言われたようですが、もう一度言ってください。
#18
○政府委員(白井英男君) お答えいたします。
 酪農経営のいわゆる生乳生産等を行います場合でも種々の労働があるわけでございます。大きく分けて飼育管理労働、それから飼料作物の労働、それから企画立案といいますか企画管理といいますか、そういう関係の労働というようなことになるかと思います。
 まず、一番主要な飼育管理労働でございますけれども、これは御承知のように一年間牛の面倒を絶え間なく見るということでございますので、非常に特殊な点を有しているわけでございます。それから、いわゆる簿記等の記帳とか、自分のところの経営を適正に把握するあるいは将来の発展を考えるというようなことにつきましても、これは飼育管理労働と一体となって行われているというものでございますので、そういった労働の特殊性を考慮いたしまして当該地域の五人以上の製造業労賃で評価がえを行うということでやっているわけでございます。
 また、飼料作物の労働につきましては、これは農村の雇用労賃を物価修正するという形で行っているわけでございますけれども、これは一つには飼育管理労働と労働の形が異なっているということとあわせまして、他の畑作物、愛とか大豆とかこういうものを算定いたしますときに用いております農村雇用労賃、これは御承知のように当該地域の製造業なり建設業なり、運輸・通信、農業、林業、漁業、この六業種の賃金を加味して当該地域における標準的な労賃を出しているものでございますが、これを採用しているということでございます。
 私ども、この方式というのは、畜産振興審議会の専門家の皆様方の御意見もいただきながら長年議論した結果確立されてきた一つの方式であるというふうに考えている次第でございます。
#19
○菅野久光君 農業基本法でも、都市の人たちと農村の人たちとの生活にそう差が起きないようにということが農業基本法の精神だというふうに思うんですが、この乳価算定の労賃としての主要加工原料乳地域の製造業五人以上規模、これは平成三年度で千五百二十七円二十七銭ですね。それから農村雇用賃金、これは自給飼料生産労働にかかわるものですが、これは千百十五円九十三銭ということで四百円ちょっと安いわけですね。ところが、全国の製造業五人以上規模労賃というのは千九百四十七円五十銭ということですね。そうすると、北海道地域の五人以上規模労賃から見たって、ここで四百円差があるわけですよ。そして、農村雇用賃金からいくと八百円から差がある。これが積み重なったら相当大きな金額になることはこれは論をまたないわけでありますね。
 先ほども言いましたが、飼育管理労働については言えば二十四時間続く、自給飼料の生産労働はそうでない。だから、ここで差をつけてもいいかのような話でありますが、しかし働くということについてはこれは同じなんですね。そこのところに差があるということについては、これはもう何としても農家の方々は納得ができないということなんですよ。このことももう毎回指摘をしているんですが、なかなか一向に直そうとしない、それが今日の実態だというふうに思います。そこで、この価格の据え置きということは、これはウルグアイ・ラウンドでこれから支持価格を二〇%下げるということを、まあこれは国際公約なのかどうかわかりませんが、それとのかかわり、それはありますか。
#20
○政府委員(白井英男君) 価格の算定に当たりましては、法律の条文の中にもございますように、生産事情とか需給事情とか、それからその他の経済事情というようなのがございまして、それが算定をするに当たりましての勘案事項でございますので、いろいろ国際的な動きなり、それから物価の動きなり経済情勢の動きなり、そういったものにつきましては算定するに当たりましていろいろ勘案をするということになると思います。
#21
○菅野久光君 いや、だから端的に言って、二〇%の支持価格削減、それが今回の乳価の決定に当たっても大きな要因になったか、そこのところですよ。
#22
○政府委員(白井英男君) 算定をするに当たりまして、いろいろ経済事情等を考慮するということは先ほど申し上げましたとおりでございます。二〇%削減という動きにつきましては、動きとしてはあるわけでございますので、それが全然視野の中に入らないかどうかというようなことにつきましては、これは否定しがたいわけでございますけれども、その他経済事情というようなことの中で直接どうこうするという、今そういう時点ではないように思います。
#23
○菅野久光君 去年は一円下げて、一円は高品質乳生産奨励金ということで一円を補てんするような形になりましたよね。ことしは据え置き。しかも、先ほども言いましたように、生産費が上昇しているというそういう状況の中で、国際的なそういう二〇%支持価格をこれから一九九九年まで下げるというようなことが仮にあったとしても、今日の農家の置かれている状況は、あのぬれ子の価格が急落をするということの中で非常に悪化をしているわけですね。ここのところで酪農経営というものを立て直さなければこれは日本の酪農というのはだめになってしまうわけですよ。だから、立て直すためには、今据え置きをするということで立て直されるというふうに考えておられますか。
#24
○政府委員(白井英男君) 保証乳価の決定と申しますのは、先ほどからも申し上げておりますように、不足払い法の趣旨、その中に掲げております生産事情なり需給事情なりその他の経済事情を勘案して再生産を確保するということを旨として決めるということでございますので、その趣旨にのっとりまして私ども適正に決定をしてまいりたいと思っております。
#25
○菅野久光君 再生産を旨としてといっても、今の状況だったら再生産できないんですよ。例えば子牛価格の急落等に対しての対策ですね、これは肉用子牛保証基準価格の問題ですが、四カ月何とかぬれ子を飼えばあとは何とか十六万五千円ということなんですが、その四カ月だけ飼ってもらえないかというのが畜産局の方の考え方ですよね。何とか四カ月ぐらいは飼えるでしょう、それだけ飼ってもらえば十六万五千円出せるんだということをよく言われました。それが飼えるんだったら農家の人はそんなに苦労しないでもいいのかもしれません。しかし、人手の問題から、それから設備の問題からいって、ぬれ子をそれだけの期間飼うことができないから結局安い値段で売らざるを得ないわけですよ。そこら辺のところはどういうふうに思いますか。
#26
○政府委員(白井英男君) 子牛の不足払い制度は、今、先生がおっしゃったように、子牛が四カ月以上十二カ月の間飼育されたものを対象にしているわけでございます。それで、保証基準価格というのは十六万五千円ということでございますから、それ以下に価格が下がりました場合には、その差額分は補てんされるという仕組みでございまして、これは牛肉が自由化されて、子牛生産も含めて肉用牛生産に大変影響があるだろうということで、子牛生産のそこのところを制度化することによって生産が安定的に行われるだろうということをねらったものでございます。
 それで、先ほど御質問の酪農家が四カ月ぬれ子を飼育するということでございますけれども、私どもも実際に乳を搾っておられる方々がさらにぬれ子を保育、育成するということはなかなか大変であろうというふうに思っておりまして、これにつきましては平成二年度から私どもとしてもお手伝いしたいということでいろいろ助成措置を講じているところでございまして、平成三年度に入りまして、その四カ月という今のお話もなかなか大変だろうということでさらに制度を拡充強化いたしまして、一カ月間でも保育されたという場合に、それに対しても助成措置を講じようというようなことでいろいろ手助けをしているところでございます。
#27
○菅野久光君 ぬれ子もそういう意味では一カ月あるいはもうちょっと短く不足払い制度の対象にというようなことは当然考えられてしかるべきだというふうに思いますが、今は一カ月、それでも大丈夫なんですね。もうちょっと短くならないかということです。
#28
○政府委員(白井英男君) 先ほどの私の答弁、あるいは言葉足らずで誤解をお持ちになったのかもしれませんけれども、私が申しましたのは、国として、酪農家がぬれ子を保育するなりあるいは育成するときにかかります費用、これがなかなかその施設もないところでもあるし、あるいはえさ代もさらにかさむというようなこともありましょうし、いろいろあるということで、それに対して助成をするということでございましてへ先ほどの子牛の不足払い制度の四カ月から十二カ月の間ということにつきましては現行の制度で対応していきたいというふうに考えております。
#29
○菅野久光君 その四カ月未満のことがなかなか大変なんですよ。だからここのところを見直す気はないか。いかがですか。
#30
○政府委員(白井英男君) 乳用種の初生牛を四カ月以上ということにいたしましたのにはいろいろ理由があるわけでございます。一つには四カ月までの間にいろいろ事故が起きるということもありますし、それからなかなか肉用牛資源として活用するかどうかという確定が難しいという問題もございます。特に雌の子牛につきまして、これを肉用牛資源とするかどうか、あるいは搾乳牛ということでしむけるかというようなこともございますので、なかなかしむけが難しいということ、それから初生牛につきましてはあくまでも酪農経営の副産物でありまして、肉用牛としてのまだ付加価値がついていないということ等の問題がございまして、したがいまして、四カ月以上ということにつきましては現行制度で対応してまいりたいと思っております。
#31
○菅野久光君 いや、全くおかしいんだよね。ぬれ子はまだ肉としても付加価値がついていな。いと。しかし今までは付加価値がついていないものを乳価算定に当たってかなり大きく考えていったわけでしょう。で、今度はそれが下がったからそこのところは何とかしてくれ。そうすると付加価値がまだはっきりしていないから、だから非常に難しいのではないかと。私は酪農家から見れば全く勝手も言い分だなと、そういうふうに思わざるを得ないんですよ。何とか四カ月飼ってくれと。飼うためにだってやっぱり畜舎が必要なんですよね。いろいろな経費がやっぱりかかるわけですよ。労働時間もそれだけ余計かかるんですよ。そんな簡単なものじゃないんです、犬の子を飼うのと違うんですから。だから、そこのところをもう少し何とか考えてもらえないかと、そう私は思うので、ここのところはさらに検討してくださいよ。
 そして、据え置きということで諮問しちゃったんですから、恐らく審議会でもそういう形になるのではないかというふうに思うんですね。農家の方々がきょうたくさんいらっしゃっているけれども、生産費が上がった、だから上がるだろうという期待を持って皆さん来ているわけよ。それじゃそれに一つもこたえてないんですよ。関連対策その他を含めて今考えられていることがあったら、この際、まだ全部は決まってない、審議会にもかけてないから言えない部分があるのかもしれませんが、そこのところを農林水産省としても再生産をするために必要なこととしていろいろ考えているんだなというようなことがわかるように、ひとつ後から、今言ってすぐできないかもしれませんが、私の質問時間の終わりの方でいいですから、ひとつ言ってもらいたいと思うんです。担当の人たちも来ていますから。
 それで、一昨年でしたか、ヘルパー制度の問題について国の方も七十億を出してやったんですが、ヘルパー制度について、現状、その運用の問題などをひっくるめ、あるいは問題点なども含めてどのように考えておられるか伺いたいと思います。
#32
○政府委員(白井英男君) ヘルパー制度についての御質問でございます。
 酪農ヘルパー事業、これは酪農の労働が終年拘束性の強いものであるということで、酪農家は休日等がとりにくいということがあります。それからまた、休日だけじゃなくて、酪農家が病気になるとか事故が起きるというようなこともございますし、そういった場合の対応というようなことも必要でございますし、それからそういう休日とかそういうことにつきまして、やっぱり後継者がそういう産業じゃないと魅力がないというようなことにもなりますので、後継者を確保するという面からも必要であるということで認識をしておりまして、平成二年度に、酪農ヘルパー。事業を実施します組織の育成、定着それから酪農ヘルパーの確保、これらを推進いたしますための酪農ヘルパー事業円滑化対策事業ということで七十億の予算で発足させたところでございます。
 これは平成二年度から現在のところ平成四年度までの三年間ということで事業を考えております。この事業におきましては、中央段階では酪農ヘルパー事業の普及なりヘルパーの研修、養成なりを行う、都道府県段階では広域的な活動の調整とか情報の提供とかそういうのを行う、それから利用組合の段階ではヘルパー要員の募集とか、それから活動いたしますに必要な機具、資材それから車等、これらの整備を行うというようなことで事業を実施しているところでございます。
 現在までのところ、平成三年八月現在でございますが、事業を実施しております組合は二百五十七組合、利用組合でございます。組合員の総数が一万七千戸でございます。それから酪農ヘルパーの専任のヘルパーでございますが、九百四十六人、臨時のヘルパーが四百九十四人ということでございます。利用の状況としては、定期的な利用が二戸当たり月平均二回弱ということでございまして、不定期的な利用としては二戸当たり年平均四回程度というような状況になっております。
#33
○菅野久光君 ヘルパー制度を私も何度か言った中で、一昨年からこれが実施されることになりました。このヘルパーの問題も、ヘルパーを頼まれる農家はただで頼めないわけですよね。お金がかかるわけなんですよ、頼むからには。それも、乳価とのかかわりをひっくるめてもっと使いたいんだけれども、お金がかかるからヘルパーを頼めないという農家の方もたくさんいらっしゃる。本当は月二回しゃなくて月四回ぐらい頼みたいんだが、そういうわけにもいかないという面があるんですね。
 ヘルパーを頼んだ場合に大体一キロ当たりどの程度かかるか、その辺はお調べになっているとは思いますが、ちょっとお尋ねしたいと思います。
#34
○政府委員(白井英男君) ヘルパーを酪農家が頼みまして労働してもらうということになりますと、当然労賃を支払うということになりますので、生産費の中の飼育労働費の中でのいわゆる雇用労賃ということになってまいりまして、そこの中に反映をされるということになるわけでございますが、平成三年度の生産費の中で申し上げますと、百キログラム当たり四円でございます。平成四年度の推定の生産費でいきますと、ヘルパーという特定の項目で出しておりませんで雇用労賃全体でございますが、平成四年度の推定生産費では八円ということでございます。
#35
○菅野久光君 農村雇用労賃、先ほど労賃の問題で言いましたが、実際に農家の方々は、これは酪農だけでおくて畑作も水稲も含めてとても農村雇用労賃では人が来てくれないんですよ。その辺は認識されていますか。
#36
○政府委員(白井英男君) 先ほどの数字の説明にさらにつけ加えさせていただきますと、二戸当たりでいわゆる雇用労賃として支払っております、まあヘルパーが当然ほとんどだと思いますけれども、二戸当たりでいきますと二万四千二百三十七円というのを一年で払っております。
 それで、当然ヘルパーを雇ってお願いする場合には労賃を支払うということでございますので、私どもの把握しております。では、一回につきまして大体二万円程度を支払っているというふうに考えております。
#37
○菅野久光君 一回当たり二万円程度ですか。
#38
○政府委員(白井英男君) 私どもの把握しております。では、二戸当たりの搾乳頭数が三十九頭のところでヘルパーを雇いまして一日にお支払いする額が大体二万円程度。ちょっときちんと把握しておりませんけれども、何か二人程度が一日に朝と夕というような形で来てもらうというようなことが一般的ではないかという話でございます。
#39
○菅野久光君 それぞれのヘルパー組合によっていろいろ違うんですが、あるところではキロ当たり七十銭から、高いところで一円五十銭というと二ろの話もあるわけですね。北見管内ではキロ当たり二十三銭だとか三十七銭だとかというような統計も出ていますが、これはそれぞれのヘルパー組合によって違うんだというふうに思うんです。しかし、とにかくただでは頼めないわけですから、それも全部乳価とのかかわりなんですよ。頼めばお金がかかる、だから頼めない。そういうことによる労働過重、労働過重から来る病気。悪循環になってしまうわけですよね。
 ですから、この辺のところも私は前から、ヘルパーの問題についてはきちっと制度化をして身分的にも安定をさせる、そして国もそのことのために相当の手助けをしていくという、ヘルパー制度の制度化ということを言っているんですが、全国的に見て、まだヘルパーを利用しているという農家はそんなにたくさんないんですね。酪農家全体の二六%というふうに私は聞いておるんですが、その辺はどうですか。
#40
○政府委員(白井英男君) 先ほど申し上げましたように、平成三年八月現在での利用組合へ加入しております酪農家の戸数が一万七千戸ということになりますと、六万戸が母数ということでありますと大体三割弱ということになろうかと思います。
#41
○菅野久光君 一昨年からとは言いながら、その前から既にこのことについて取り組んでいるところもあるわけですから、もう少しこれを早めるためには、やっぱり国がきちっと制度化をして、助成もしっかりやって、酪農家に余り負担をかけないというようなことをやっていかなきゃならぬというふうに思っておりますので、来年のこのときにはもっと利用者がふえるような手だてをひとつするべきだということをこの機会に申し上げておきたいと思います。
 次官もせっかくおいでですから、先ほどから言いましたように、ことしの乳価は少なくとも何円がは上がる、上がるだろう、上げてくれるだろうという期待を農家の方々は持っているわけですよ。ところが、現実的にはこの諮問が据え置きということになったんですが、そういう農家の期待に全くこたえられないのか、こたえるためにはどうしなければならないのか、その辺はどのようにお考えでしょうか。
#42
○政府委員(陣内孝雄君) 農政、特に酪農についての専門家の先生のお話をあるいは御意見を賜りながら考えておったわけでございますけれども、酪農が非常に重要な産業であるということ、そしてこれをこれからも育てていかなきゃならないというような観点から、とにかく加工原料乳につきましては再生産を確保するということが一番大事である、そういうことで、本日も畜産振興審議会の酪農部会に先ほど来おっしゃっておりますような形で諮問をしておるところでございます。したがいまして、農水省といたしましては、きょうの答申の結果を踏まえまして速やかに決定し、酪農が健全に発展していくように努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#43
○菅野久光君 いや、今の据え置きのままでは、もう酪農家の人たちが将来展望が持てないということになるんですよ。だから、ことしは何とかしてもらいたいということで、今までも何度かの要請行動をしているわけですよ。そして生産費も全国平均で八・五%上がった。だから、ことしは何とかそこのところを上げてもらって、酪農経営が安定的にやっていくことができるようなそういう道を開いてほしい、そういう希望を持っているんですが、据え置きということになったら今と何も変わらないわけですよ。
 そこで、さっき言いましたけれども、据え置きにはした、据え置きにしたけれども、こういうところで再生産ができるように、酪農家の皆さん方の要求にもこたえるように農林水産省としては今検討をしているとか考えているだとかとはっきり言い切れるならば結構でございますが、そういうことですね。それをやっぱりこれだけ農家の方々が来ているんですから、何とかやってくださいよ。いかがですか。
#44
○政府委員(白井英男君) 平成四年度の保証乳価等の決定との関連で、例年価格等を決定いたしますときに関連対策ということでいろいろ考えているわけでございますけれども、今年度につきましてもそれらをいろいろ考えているところでございます。
 具体的には、一つには例えば国産ナチュラルチーズ、これの振興を図る方策、それから先ほど申しましたように、酪農家がぬれ子を保育、育成するということに対します対策、それから初妊牛の導入についての対策等々いろいろ検討しているところでございますが、いずれにいたしましても、きょうの畜産振興審議会の中でまたいろいろ意見も出てくるかと思いますので、それらの意見も聞きながら今後検討をしてまいりたいと思っております。
#45
○菅野久光君 今までもいろんな関連対策、今、審議官が言われたような関連対策在やってきましたよね。少なくともそれらの関連対策についてはみんなやる。しかし、現行の価格じゃこれは何にもならないわけですから、全く据え置きになっちゃうわけですから、それだけじゃだめなんですね。この関連対策について、今までやってきたことはみんなやるし、関連対策についてももっと充実強化をしていく。そういう意味で酪農家の皆さん方の所得を保障する、そして再生産への意欲を持った酪農経営ができるようにしたい、あるいはする、そういうことをせっかくの機会ですからぜひやってくださいよ。
 そうなったら本当に酪農が壊滅的な状況になりますよ。また、さっきもお話ししましたように、このことを悲観して命を絶つ人が出るかもしれない。そんな状況に絶対やっちゃいけない、そう思います。その辺いかがでしょうか。
#46
○政府委員(陣内孝雄君) ただいま審議官の方から関連対策についてあらましお答え申し上げたわけでございますけれども、本日開かれております審議会の結論を待ちまして、そういう面で十分対応していきたいと思っております。
#47
○菅野久光君 牛乳需給計画の策定だとかあるいは加工原料乳の限度数量の問題なんかも、輸入前提でこれを立てられるなんというようなことがないように、あくまでもやっぱり国内自給の原則に立って策定するように、ぜひこれはそういう方向でやってもらいたいというふうに思いますし、今るるお話がありましたけれども、関連対策についてはいろんな知恵を絞って、今までの関連対策はもちろんでありますが、新たな関連対策についてもひとつ考えてもらいたいというふうに思います。
 いろんな話の中で、労働者には分娩手当というのがあるんですが、牛なんかについても何か分娩手当的なものが考えられないかというような声もあります。
   〔委員長退席、理事鎌田要人君着席〕
牛というのは難産の象徴的なものでございまして、私も牛の分娩には何度も立ち会っておりますが、なかなか自分だけではうまく分娩できないというのが非常に多いわけですよ。特に最近は何というんですか、自然な形で飼わないで、牛乳製造工場のようにいろんな濃厚飼料などを食わせてやっているものですから、体のできそのものもますます何といいますか、自然な形でなくなってきているようなふうに私は思います。したがって、分娩なんかのときにも家族の者だけでなくて隣近所の人たちにも手伝ってもらわなきゃならぬというようなこともありますし、分娩の前には分娩する牛について例えばいろいろ体温をはかったりいろんな気配りをしなきゃならぬというような問題などもあります。そういうような声も出ております。
 やはり今までの関連対策をさらに充実強化すると同時に、新たな関連対策もぜひひとつ知恵を絞って頑張ってもらいたい。そして、残念ながら恐らくこれを審議会で上げるということは無理じゃないかというふうに私は思います。審議会の皆さん方が、こんなことじゃだめだと言って上げてくれれば一番いいんですけれども、そうでない場合にはもう関連対策でやる以外にはない、残念ですけれども。そういうふうに思わざるを得ませんので、関連対策についてはさらに充実強化をして、ここまで政府が酪農のことについて考えてくれているのかと、そう思わせるようなことをぜひやってもらいたいという要望を強く申し上げまして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
#48
○三上隆雄君 それでは、私も畜産全般について、そしてまた主として酪農乳価を中心として質問をしてまいりたい、こう思います。
 今まで菅野先輩委員からるる質問なりもしくは政府からの御説明がありましたけれども、私なりに質問を展開してまいりたい、こう思います。
 そこで、まず政務次官にお伺いいたしますけれども、大臣はきょう審議会に出席されて政務次官でございますが、政務次官にお尋ねをしたいと思います。
 我が国の畜産は、食生活の高度化、多様化によって、畜産物需要の伸び等によって着実な発展を遂げ、我が国農業の基幹部門となっているわけであります。しかし、畜産物需要の伸びが総じて鈍化しており、しかも牛肉の自由化によって需給の不均衡、価格の低迷が著しく畜産農家を圧迫しております。いよいよ後継者問題が深刻化しております。
 そこで、政務次官に畜産振興に関する基本的な考え方をまずお答えいただきたいと思います。
#49
○政府委員(陣内孝雄君) 酪農につきましては、今、委員も御指摘ございましたように、大変重要な食糧である牛乳、乳製品の供給源としてのみならず、土地利用型農業の基軸として我が国の農業の発展に極めて重要な役割を担っておるということでございまして、その振興を図ることが大切でございます。このため、従来から乳量、乳質の向上等、生産性の向上を図るための対策、また経営の安定を図るための乳肉複合経営の育成、担い手の確保をねらいとした酪農ヘルパー組織の育成、さらに、経営不振のため借入金の償還が困難となった経営に対しまして長期低利の資金を融通する措置、こういったもの等を各般にわたって対策を講じてきているところでございます。
#50
○三上隆雄君 今までいろんな機会に政府の畜産振興に対する施策が申し上げられ、そしてまた、その措置を通して実施されているわけでありますけれども、いかんせん酪農、畜産に就農する後継者が極めて現在は厳しい状況で、むしろ離農しているという状況が続いているわけであります。私が考えるに、その産業のよしあしのバロメーターというのは、後継者があるいは就労者がいかにしてその産業に、職業につくかということが一番私は顕著なバロメーターだと思うんです。その意味でいろいろな施策を長年続けてきたにせよ、酪農が先ほど来言われておりますように深刻な状況になっているということは何だと思いますか。私は、産業というのはいろんな援助の方法がございますけれども、農業はやっぱり生産したものを有利に販売してもらわなきゃならない。その意味で酪農、畜産というものは、最低価格を保証して、そして畜産農家の、酪農農家の生活を保障しながら再生産を保障して、なおかつ一般国民が今求められる豊かな生活が展望できるような、そういう状況をつくらないと私は就農しないと思うんです。その意味で具体的な質問に入りたい、こう思います。
 けさちょうだいしたこの資料を見ますと、全部据え置きの一つの案ですけれども、これは何を意味するのか。例えば、きのうまでに来た審議会におけるその資料を見ますと、ほとんどのものが値下げをされているということに決定したと、この資料は何を意味するんですか。それから、この資料との関連はどういうことになるんですか。お答えをいただきたいと思います。
#51
○政府委員(白井英男君) 失礼でございますけれども、今の資料のはどこのところを指しておられるんでしょうか。
#52
○三上隆雄君 この資料です。表紙は平成四年三月十七日付の「最近における畜産の動向等について 畜産局長報告(要旨)」の「加工原料乳保証価格等については、本審議会の答申の趣旨に即し、次のように決定した。」という、「決定した」と断定したその記述がすべて値下げの、いわゆるこれは諮問案じゃないんですか。それからこれが出てきた。この諮問案とこれとの関連はどうなんですか。
#53
○政府委員(白井英男君) 先生お示しの資料は、三月十七日の畜産振興審議会の総会におきまして、畜産局長が最近におきます畜産をめぐります情勢につきまして報告したものございます。したがいまして、そこの記述は、昨年度、平成三年度の保証乳価等の決定の姿を描写したものであるというふうに理解しております。したがって、昨年度は、保証乳価は下がっておりますので、そういうことでそういう記述になっているというふうに理解をしております。
 それで、具体的には多分十九ページの(4)にございます加工原料乳保証価格等についての数字だと思いますけれども、昨年の三月末に畜産振興審議会の答申を得まして、加工原料乳の保証価格につきまして、平成三年度七十六円七十五銭ということになったわけでございまして、それは、前年度というのは平成二年度七十七円七十五銭ということになったという記述でございます。
#54
○三上隆雄君 したがって、けさ提示されたこれは諮問案ですか、きょうのは。
#55
○政府委員(白井英男君) それは平成四年度の保証乳価等の算定されました試算でございます。失礼しました。
#56
○三上隆雄君 私は、生産現場の状況を見まして、やはり農水省としてはいかにして生産農家を救うかという視点に立って、どうして若干の値上げをしてやれないかという立場に立ってすべてのことを考えていかなきゃ酪農農家を救えないと思うんです。その意味からお尋ねしていきたいと思います。
 生産団体は五円の値上げを要求している。極めてささやかな値上げたと思います。五円以上の値上げということは極めてささやかな値上げです。しかも全中は現行以上の価格という、これまた現場も全く知らないような遠慮した値上げ要求であります。例えば、これは生乳の乳価の実際販売価格を皆さん考えてみましょう、この機会に。これが日本の農業、食糧というものを根本的に考え直す機会だと思うんです。審議官、一リットルの牛乳は今パック一つ幾らで売っていると思いますか。
#57
○政府委員(白井英男君) スーパーなりそれぞれの場所によって異なると思いますけれども、私のところで買っておりますのは二百三十円だったと思います。
#58
○三上隆雄君 審議官は金があるから高いところから買っているようですけれども、少なくとも二百円以下ですよ。それ牛乳瓶二百ccだったら五本分入っているんですよ。一本四十円ですよ。この四十円の値段が高いと思いますか安いと思いますか。消費者はだれ一人高いと言っていませんよ。生産者も値段を十円上げて、牛乳瓶一本で二円上げたらどうですか。二円上げることが不可能ですか、今の価値観からいって。その辺の考え方をお尋ねしたいと思います。
#59
○政府委員(白井英男君) 先ほどの二百三十円というのは、私のところで宅配といいますか、そういう形で買っているのが多分私の記憶でそうだったと思いまして、家内はときどきスーパーに行って安い牛乳も特売で買ってきております。
 それから、牛乳の値段につきまして具体的な値段がどうこうというお話がございましたけれども、原則的なことを申し上げて恐縮でございますけれども、具体的な値段につきましては、生産者の指定団体とメーカーとの間で交渉が行われまして値段が決まっていく、あるいはさらには、量販店なりメーカーとの間で交渉が行われて値段が決まっていくということだろうと思っております。
#60
○三上隆雄君 まあ、これは審議官に聞くより政務次官に聞いた方がいいかな。
 やっぱり物の価値観というものは、これは自由流通の中ではそれなりの要素があって決められますけれども、政務次官、例えば牛乳一本百円で売ったら高いと思いますか。生活者として、また食糧政策のトップにいるあなたとしてどう考えますか。今四十円のものを百円としたら高いと思いますか。
#61
○政府委員(陣内孝雄君) 今私がここで飲んでいるのは一本六十円のを毎日飲んでいるわけでございますが、私は非常に牛乳が好きでございますので、牛乳はもう値段よりも健康に大事だということで薬を飲んでいるようなつもりで買っておりますので、私の感じはちょっとほかの人と同等がどうか知りませんけれども、私は六十円は高くないというふうに思って飲用しているところでございます。
#62
○三上隆雄君 さすが政務次官、庶民性がありますよ。だれでもそうだと思うんだよね。六十円というのは、やっぱり農水省の幹部の方々、一般のところで売っている安いものは飲んでいない。
 それだけ食品というものには重要な考え方を持って求めなきゃならぬですよ。ですから、私は牛乳というものを生産農家を救うという立場と日本の自給をこれ以上下げないという視点に立ては、今の消費者は高いと言っていないんだから、いかにして生産現場を救ってやるかという視点に立ては、今ことしささやかな要望をしている五円はやっぱり救ってやるべきだと思うんですよ。それがまた据え置きで決定しようとしている。その辺も私は実際生産現場と為政者との、あるいはオピニオンリーダーと言われる人力の感覚の相違があると思うんです。畜産関係に限らず、農業全般にそう言えると思うんですよ。
 例えば野菜の価格、果樹の価格、これを考えてみてください。野菜の価格は生産者価格に対して消費者価格は四倍になると言われる。果樹は三倍になると言われる。その生産者価格をもっと合理化せいと言うんだ。その理由は、外国と比較して対外的な格差を縮めるために生産者に努力せいと言うんだ。三倍、四倍、あるいは御飯にすれば七倍、八倍になる、その部分をもっと合理化できませんか。農水省が国民に安全な食糧を安定的に供給するという立場に立ったならば、農家を抑えないで、いじめないで、流通の部分に努力したらもっと簡単に消費者に安い、いいものを供給できるんじゃないですか。その辺の考え方を言ってください。
#63
○政府委員(白井英男君) 日本の食糧の摂取といいますか、につきましては、一人当たり大体二千四百から二千五百カロリーということで、言ってみれば、わかりやすい言葉で言うと腹いっぱいというか、飢餓の状態とかそういう状態ではなくて一応満たされている状態ということになるということを前提に考えてみますと、やはりこれからは皆さん方、それぞれおいしいものとかあるいは安全なものとか健康にいいものとか、それぞれの方々のいろんな嗜好なり要求なりいろんなもので多種多様な要請が出てくるものと思われます。そういうものに対して生産をする側としては的確に対応していくということが大事なことであろうというふうに考えております。
#64
○三上隆雄君 これは全農で出している資料ですけれども、この表を見ますと、酪農経営の収益性の推移というものを見ますと、統計的には酪農生産農家が五十八年から平成三年度までかかりますと倍も所得が、家族労働賃金が上がっているという結果になっている。それがなぜ酪農をやめていかなきゃならないという実態になっているんですか。この統計そのものに偽りがないんですか。どういう形でこれは統計が出てきていますか。
#65
○説明員(須田洵君) ただいまの三上先生の資料そのものにつきまして私は見ておりませんけれども、私どもで出しております定期統計ということに関して具体的におかしい点があれば、それらについてはきちっと説明すべき立場だというふうに理解しております。
 恐らくは私どもの生産費調査といいますか、牛乳その他を初めとしました生産費調査、さらには農家経済調査というものによって私どもの統計データとしては示しているわけでございますが、それらにつきましては、例えば酪農でございますれば酪農の飼養実態といいますか、農家の分布状況なりそういうものを極力反映するように標本設定をして、そういうものについて一定のルールで調査をして、厳正中立といいますか、そういうあくまでも中立的なデータとして取りまとめていく、さらにその内容について見直すべき面があれば生産費調査の見直し等も含めまして対応していく、かような姿勢でやっておるつもりでございます。
#66
○三上隆雄君 この調査結果から見ますと、全国の一日当たりの家族労働報酬は、五十八年には七千八百七十八円、それが平成三年度の結果では一万二千八百十六円、ただし平成二年は一万五千六百幾らですね。これは何を意味するかというと、平成二年までは大体五十八年から倍になってきている結果、それから平成三年度は一万五千六百円から一万二千円に落ちたということは、牛肉の自由化によってこういう現象になったと思うんですよ。
 そして、肉用牛経営の収益性を見てみましょう。これは肥育経営の場合、一日当たりの労働報酬が五十八年に一万二千四百七十一円が二年度には二万二千三百六十八円になっておる。そして、三年度には逆にまた半分になっている。半分というよりもいわゆる三角の千二円の赤字になっている。これもまた二年度までは一応相当な努力によって上昇してきたけれども、輸入自由化によってこれほど下がったという現実をあらわしている。
 それからもう一つは、先ほど菅野先生も申し上げましたけれども、北海道、日本では一番優秀な農家群のある北海道でこの青色申告の結果を見てみなさい。トータルで言いますけれども、元年度はその経営体が、このA農家というのは一千四百五十万、それが三年度には九百九十万よりないんです。これはこの間酪農家の代表たちが来たときは、このA農家というのは最高優秀な農家だそうです。B農家の場合、元年が八百五十六万、それが三年には百九十万よりないんです、所得が。C農家は一千三十二万に対して三百四十三万まで落ちている。そして、この家族労働というのは三人以上によって経営がなされているんですよ。この実態を見たときに、果たして農業後継者がこれにつくか、そしてまた自分の息子に酪農やれ、畜産やれと言えますか。なぜ五円上げ得ないんですか。その視点が狂っていますよ、今の農政。この辺に対する考え方を聞かせてください。
#67
○政府委員(白井英男君) 保証乳価につきましては、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法、この規定に基づきまして、主要加工原料乳地域における生産費を基礎として加工原料乳の再生産を確保するということで、この法律の趣旨に基づきまして、私ども、統計情報部の生産費調査のデータ、その後の物価修正等を加味しまして算定をして出しているところでございます。
 先ほど乳用牛の肥育経営のお話がございましたけれども、特に平成三年度におきまして起きました事態といたしましては、平成二年度と比較いたしまして原料高の製品安という事態が生じたということがあろうかと思います。
   〔理事鎌田要人君退席、委員長着席〕
したがって、前年度に比較すると大変低い収益といいますか、になっているということだろうと理解しております。
#68
○三上隆雄君 私はいつも申し上げますけれども、計数的なものをいじっておっては日本の農業は救えませんよ。現場の実態を見きわめて日本の食糧自給をこれ以上下げないという視点に立つならば、いかにして農家がそれに定着するかという、そういう立場で物事を考えてみてくださいよ。制度をいじくったってせいぜい一円か二円上げたり下げたり、そろばんのはじき方でしょう。基本的に考えを変えないとどうもだめだと思うんです。
 それで、ヘルパーの点については、先ほど菅野先生が質問いたしましたから、これもひとつ制度化してください、何とか。やっぱりゆとりある畜産経営をするとなれば、畜産、酪農というものは生き物を飼育するわけでありまして、三百六十五日休みがないわけでありますから、一般労働者が年間稼働労働時間を二千百六十時間から二千時間にし千八百時間にするという時代、それを毎日それに就農していなきゃならないという事業を緩和するにはやっぱり思い切ったヘルパー政策というものを私は制度化していくべきだと思うんです。このことを強くお願い申し上げておきたいと思います。
 後継者の問題は、先ほど来菅野先生も言いましたから言いません。
 どうぞひとつ畜産政策、これから米価、麦価の決定も来ますから、そういうものを含めて、政務次官、一言決意を申し上げてください。それで私は次の問題に入ります。
#69
○政府委員(陣内孝雄君) お話しのように、酪農の重要性、これは私ども十分踏まえておりまして、その上に立って価格政策あるいは関連対策等をこれまで進めて健全な発展をこいねがっておるわけでございます。
 今後におきましても牛乳が、生乳あるいは乳製品等を通じて、あるいはまた地域の水田利用の農業との関連において大事であるということでございますので、さらに一生懸命取り組んでまいりたいということでございます。
#70
○三上隆雄君 実は昨年の九月二十八日の十九号台風で果樹農家が大変な被害を受けました。これはきょうの委員会に必ずしも適した論題ではないけれども、その被災農家を経済的に救うのは、経済的にそのものを救うのは共済制度以外にないんです。これがこの間配分になった。その結果を受けて一番近々の委員会ですから、あえてきょう取り上げたわけであります。
 大体二戸平均十万円前後の不足払いが結果的に生じたわけであります。これは規定によって連合会単位共済組合が一〇%を負担しなきゃならない。その負担能力がないから支払い得ないという結果が出たわけであります。当然これは継続の共済制度ですから、何年かかかって、何十年かかかって、事あるときにその共済金を支払わなきゃならないから積み立てをしておかなきゃならない制度である。それはもちろんわかっていますけれども、今回の災害がいわゆる全地域壊滅的な被害に遭ったわけですから、例えば火災共済でも自然災害でも何でも、地震があったり大火があったり大災害があったときに払えないのと同じような状況になっている。それで、今現実に積んでいるその共済金を全部取り崩しても払えないというような現実が出てきている。そして減額支払いをしたという実態なんです。これを特例で国と連合会が負担してもいいというような、することができるというような規定もあるようですが、それについての御見解をいただきたいと思います。
 実は災害特別委員会でさきに公明党の及川さんも質問されたようですけれども、それを補完しながら若干の間質問していきたいと思います。その点についてよろしくお願い申し上げます。
#71
○政府委員(川合淳二君) 今お話しの果樹共済でございますが、先生よく御承知の点でございますが若干触れさせていただきますけれども、農業共済組合と連合会、それから国の分担という形になっております。今お話がございましたように、組合は全体の一割を保有いたしまして、残りの九割を連合会それから国が再保険するという仕組みをとっているわけでございますが、今回のような災害の場合、規模が大きくなりますと国の責任部分がふえるということは、制度として当然ではございますがそうなっているわけでございます。
 今回の青森県のリンゴの支払いにつきまして、当然のことながら国と連合会は全額支払うことが決定されておりますが、今お話しのように、組合におきましてはその一割の責任のうちの一部分を削減するということで共済金を支払ったということを聞いております。県の方は借入金などによりまして組合の責任部分を含めて全額支払うように指導をなお続けているわけでございますが、今お触れにもなりましたけれども、過去の災害などによります共済金の支払い、今後の支払い状況などを考えますと削減せざるを得ないというのが個々の組合の考え方でございまして、今お話がございましたように、全体で、平均の金額でございますが百十七万円支払われるべきところを百八万円、したがいまして約九万円削減された状態になっているということでございます。
 御承知のように、この共済は単年度で収支を均衡するということは災害の性格上困難でございますので、保険設計上は長年にわたって収支が均衡するという形をとっているわけでございます。したがいまして、今回のような状況が起こったときには、低利の金利によります貸し出しをする共済基金というものも設けられておりまして、それで貸し出しをするということをやっているわけでございますが、そうしたことをやることについて将来の見通しが立たないというのが現在の共済組合の考え方のようでございます。
 なお青森県は指導を続けているというふうに私どもは承知しております。
#72
○三上隆雄君 異常の災害の場合には九五%まで国と県が支払いしなければならないという、そういう規定はございませんか。
 それからもう一つ、過去に水稲災害の場合に、五十五年ですか五十六年ですか、特殊災害として全額国と連合会で負担したという実例もあるやに聞きますけれども、その辺の経過についてもお尋ねしたいと思います。
#73
○政府委員(川合淳二君) 果樹共済につきまして、今お話しのような措置をとったということはございませんし、制度的にもそういうふうにはなっておりません。
 この問題は結局三者、組合と連合会それから国と、その危険負担をどういうふうに持っていくかという問題になろうかと思います。長期的に考えますと、組合の一割分を少なくする、例えば今のお話のように五%にするということも考えられるわけでございますが、そのことは当然に組合の収入も減るということになり良すので、掛金を非常に上げるということであればまた別でございますが、そのこと自体が果たして適当であるかどうかという保険設計上、収支上の問題もあるわけでございます。
 それから、この問題につきまして私ども、果樹共済につきましては過去いろいろな指摘もございまして、五十五年、六十年、改正を続けてきております。一つは、今回たまたまと言うとちょっと言葉は適当でないかもわかりませんが、入っていてこの共済を支払うということになった方式として特定危険方式というのがございます。これは、例えば風害なら風害、あるいは別の共済ですと霜害なら霜害ということになると思いますが、そういうものを特定して入るというようなこと、これは当然のことながら危険の比率が低いわけでございますので、掛金が低いというようなことがございます。そうした改善を続けてきたわけでございますが、これは先生御承知の点でございますが、全体として加入率が低下してきている中での事故だったものですから、こういうような状況があらわれたというふうに私ども承知しております。
#74
○三上隆雄君 いろいろ組合の側にもあるいは生産者にも、あるいは指導する県あるいは農水省にも一端の責任があると思いますけれども、現実に二二・七、八%ですか、加入実態がそういう状況の中で今回それぞれ努力されまして、現状は三〇%台が加入したという。その加入した途端に共済金の支払いがあった。そうしたらまただまされたということになっているわけですよ。どうぞひとつ、さっきの説明では、県を指導して、利子補給をして全額支払えという指導をしているようでありますけれども、その県の負担が国からの財政援助ということになりますか、どういう形の資金になりますか。
#75
○政府委員(川合淳二君) 今の制度は、農業共済基金という基金が全国段階につくられておりまして、ここから低利の資金が貸し出されることになっております。これにつきまして、さらに青森県は借入金利子の一部を補てんするということの制度をつくりまして組合を指導しているというふうに聞いております。
 私どもも、できることであればこうした形で共済金が全額支払われるということを期待しているわけでございます。
#76
○三上隆雄君 どうかひとつ生産農家に、あすからまた再生産に努力し得るような、そういう意気込みを与える意味で、どうぞ契約された補償金は全額払うように、そしてまた、一〇%の負担をしなけりゃならない組合に、そしてまた、利子補給しなけりゃならない県に対して応分の御援助を賜りますことを心からお願いを申し上げる次第であります。
 それから、若干時間がございますから、生乳の買い入れ価格についてもう一度お尋ねしたいと思いますけれども、今の買い入れ価格が七十六円台ですね、それを五円上げることができないか。その上げた分を消費者価格を上げることができないですか。これは生乳については加工原料乳の加工会社も含みますけれども、それについて指導して販売価格を五円上げるということができないですか。その点についての見解と実現性をお尋ねしたいと思います。
#77
○政府委員(白井英男君) 先生御承知だと思いますけれども、今回加工原料乳のいわゆる不足払い法に基づきまして私どもが定めます保証乳価と申しますのは、生乳をメーカーが引き取りまして、これをいわゆる乳製品、脱脂粉乳なりバターなり、そちらの方に使う原料乳でございます。メーカーが生産者から引き取りますときの価格を基準取引価格ということで定めまして、保証乳価とその基準取引価格との差を不足払いということで支払いをするということで、それを最低私どもとしては保証するということでの制度でございますので、若干質問の趣旨と答えが違うのかもしれませんけれども、そういう仕組みになっておりますわけでございます。
#78
○三上隆雄君 いや、生乳の販売価格を業者と契約するときに五円高く買ってもらって、それを消費者価格に反映させるような、そういう指導が国でとれないかということなんです、飲用乳。
#79
○政府委員(白井英男君) 飲用乳の価格につきましては、先ほどもお話し申し上げましたように、指定生産者団体とメーカーとの間で契約を結びまして値段を決める。で、それを今度はメーカーが量販店等の小売段階の方々と話をして値段を決めていくということで、言ってみればそこは自由な取引で値段が決まる種類のものでございますので、私ども行政官庁がどうこうするというものではございませんが、時にはいろいろ相談等が持ちかけられることもございますので、そのときには、私どもとしてできます知恵といいますか、考えといいますか、そんなものも御披露したりするということはあるかと思います。
#80
○三上隆雄君 飲用乳についてもやっぱり五円から少なくとも十円以上上げるように、政務次官、努力されるように心からお願いを申し上げて終わるわけですけれども、政務次官の最後の決意をお聞かせいただければと思います。
#81
○政府委員(陣内孝雄君) 今、審議官が申し上げたような形で決まっていくわけでございます。その辺をどうぞ御理解いただきたいと思います。
#82
○三上隆雄君 やる気がないからだめなんだよ。
 終わります。
#83
○谷本巍君 牛肉の自由化後一年がたちました。現在、新ラウンドで包括合意案の中での例外なき関税化問題、これが提起されております。牛肉の自由化問題というのは、言うならば自由化の先鞭をなすものでありまして、現在それでどんな打撃を農家が受けつつあるのか。また、事前の自由化対策というのが果たして実効を伴っているのかどうかということを中心に御質問を申し上げたいと存じます。
 六十三年六月の牛肉自由化の合意がされて以来の状況を見てみますというと、品質の競合する度合いの高い枝肉価格から低落状況が生まれてきております。そしてそれが昨年の自由化移行後一段と下落をしてきた。これに伴いまして中間牛、初妊牛の価格が下落をしてきているというのが一般的状況であろうかと思います。
 そういう中で、乳用肥育去勢牛の枝肉価格を見てみますというと、平成四年一月平均ではB3がキログラム当たり一千九十九円、前年のそれと比較をしますというと八八%になっております。B2で見てみますというと七百二十九円でありまして、前年のそれと比較をしますと七七%、実に一年間で二三%下落をしたということになります。そして、その状態が今月に入りまして一段と下落状況になってきた。まさしく暴落状況であります。
 そのため、酪農家で言いますというと、これまでも指摘がありましたように、個体販売収入が激減し、生産費は異例の大幅のアップ、そして酪農家は大幅な所得の減ということになりました。さらには、乳用肥育農家で見てみますというと、一頭当たり平均コストが四十三万冊かかる農家が売却価格は三十二万円であって、十万円以上の赤字だという声も出ております。こうした状況は農協の経営にも打撃を与えつつあります。肉牛農家の所得がマイナスになっている。そんな状況の中で、立てかえ払いのえさ代、この未償金がこれからふえていくであろうということが言われております。
 そこで、まず初めに伺いたいと思いますのは、本来国際価格、国内価格差を関税で措置すれば国内相場にこれほどの影響が出ないはずでありましたが出た。この暴落の原因をどう見るか、今後の価格の見通しについてどう考えているか承りたい。
#84
○政府委員(白井英男君) お答えいたします。
 乳用牛のいわゆる去勢牛肉の卸売価格でございますけれども、平成三年に入りまして先生がおっしゃったように低落をいたしまして、八月にはやや回復をいたしましたけれども、四年に入りまして再びまた低下するというような事態になっております。
 この要因といたしましては、乳去勢の牛肉の生産量、これの約三分の一を占めておりますB2以下の規格以下のもの、これが昨年の四月、牛肉を自由化いたしまして、四月、五月と数量が前年に比較しましてふえたのでございますが、六月以降は数量的には前年から比較しますと減ってきたんですけれども、ただ、今申しましたような国内産の牛肉と直接競合いたしますいわゆるチルド牛肉、このチルド牛肉の輸入がふえてまいりまして……
#85
○谷本巍君 状況を聞いているんじゃない。原因を聞いているんですよ。
#86
○政府委員(白井英男君) はい。そのために価格が低落したということでございます。
 したがいまして、昨年の四月、自由化いたしまして、チルド牛肉がふえてきたということが大きな原因であろうというふうに思うわけでございます。
 それから、先生お尋ねの今後の乳用種の価格の見通してございますけれども、これにつきましては、今後消費の動向がどうなるか、あるいは牛肉のいわゆる原産地といいますか輸出元でございますオーストラリアとかアメリカ、これの価格がどうなるかとか、価格のレートがどうなるかとか、現時点で不確定要素が多くて見通すことがなかなか難しいわけでございます。
 一方では、御承知のように牛肉の輸入関税、これが平成三年度は七〇%でございますけれども、平成四年度からは六〇%、さらには平成五年度には五〇%ということで段階的に下がってまいりますので、したがって、それらによりまして輸入牛肉の価格は漸次低下をするということになろうかと思います。したがいまして、これと競合いたします乳用の去勢牛肉の卸売価格、これも総じて低水準で推移をするということになっていくものと見ているところでございます。
 いずれにいたしましても、今後の需給状況等を注視していかなくちゃいけない。で、もし必要があれば、その安定化が図られるように対応をしていかなくちゃいけないということだと思います。
#87
○谷本巍君 政府は、牛肉自由化の国内生産への影響を吸収するために、自由化の前に自由化対策をあらかじめ用意してこられました。その立案の際に価格下落の要因をどの程度想定していたのか。現在の状況というのを当初の予測どおりと見ているのか、予測を上回る状況と見ているのか、その辺いかがですか。
#88
○政府委員(白井英男君) 牛肉の自由化といいますか、もっと前から、平成元年、二年と枠の拡大を六万トンほどやっておりまして、私どもとしては、自由化を平成三年からやるとしましても、国内への影響をできるだけ緩和するということでいろいろ事前の措置等を講じながらやってきたわけでございますけれども、その際に国産の牛肉についてどういうことになるかということについてもいろいろ考えたわけでございますが、何せ為替のレートがどうなるかとか、それから品質格差、先ほども言いましたような、例えばフローズンからチルドに大幅に変わるとか、そういうような見通しとか、いろいろ要因がございましてなかなか的確に見通すことは難しいということであったろうと思います。
 さはさりながら、いずれにしても関税という形に国境措置が変わりますれば、その関税を乗り越えまして輸入数量が増加し輸入がふえてくるということは見通されたわけでございまして、総体的にはしたがって価格としては低水準で推移するというふうに見通したわけでございます。その中でも特に乳用種につきましては、これは輸入牛肉との競合が直接的でございますので、したがって影響する度合いは非常に高いであろうというふうに考えたわけでございます。
#89
○谷本巍君 対策というのは、不確定要素が多くとも一定の見通しをきちんと持って、それに合わせてつくるんですよ。ところが、その見通しについては確たる話がない。極めて残念なことであります。ということを申し上げながら、続いて価格下落への政府の対策問題について若干御質問申し上げたいと存じます。
 御存じのように、畜交法は牛肉価格安定のために安定価格帯を決めており、そして安定価格は生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮し、その再生産を確保することを旨として決めると、畜交法はそのように述べております。ところが、自由化後の価格安定の柱は専ら肉用子牛生産者補給金制度に移った感があります。
 そこで、二点ほど伺いたいのであります。
 まず第一点は、自由化のもとでの安定帯価格設定による価格安定の意義は一体何なのであるかということ。二つ目に伺いたいのは、現行安定基準価格九百六十円、きのう審議会で示したものは九百三十五円でマイナス二十五円というものが出ておりますが、乳用去勢牛で見てみますと、三月に入ってからB3級が八百円台、B2級が七百円台というふうになっております。調整保管に代表される価格安定という声が上がってこない、なぜなのか、その辺についてどのように考えておられますか。
#90
○政府委員(陣内孝雄君) 畜交法の価格安定、これにつきましては、先生御案内のように、国内の食肉価格が低落した際には供給の過剰分を一時的に市場から隔離する、こういったことなど、また食肉価格の回復安定を図るということのための措置であるわけでございます。これによって国内生産が維持あるいは振興され、ひいては国産食肉の安定的供給に資するということを大きな目的としているわけでございます。それで、牛肉の輸入自由化後におきましても、食肉の実勢価格を踏まえた適切な安定価格を設定するということによりまして、この制度のそういった運用によりまして、価格安定を図る上で十分機能を発揮しているというふうに私どもは考えておるところでございます。
 なお、後半の問題につきましては審議官の方から答えさせます。
#91
○政府委員(白井英男君) 牛肉の基準価格につきましては、昨日、畜産振興審議会の答申を得たわけでございまして、先生今お話しのように、平成四年度の牛肉の安定価格につきましては、安定上位価格で四十円、安定基準価格で二十五円という値下げといいますか、引き下げで答申をいただいたわけでございます。
 これは、一つには、来年度から関税が七〇%から六〇%に低下するということもございます。それからもう一つは、肥育農家の規模の拡大等に伴いまして合理化が図られているということもございます。それから、法律の中にもございますけれども、肉用子牛の合理化目標価格、これを算定上考慮して定めるということにもなっておりますので、それらを勘案いたしまして引き下げということになったわけでございます。この引き下げによりまして、心理的にも枝肉の価格が低下するというようなことも想定されるわけでございますけれども、これまでも枝肉の卸売価格につきましては自由に市場で取引されるという需給関係から決まってくるものでございますので、安定価格帯の上下動が牛肉の枝肉価格を直接的に左右するものではないというふうに考えているわけでございます。
 最近の動きといたしまして、一時安定帯の中心価格から若干下がるという事態が生じましたけれども、最近ではまたぶり返してまいりまして、安定帯の中心価格よりも若干上回るというような事態に推移しているところでございます。
#92
○谷本巍君 そうしますと、去勢牛の場合について言うと基準価格よりも値段が下がってないということで調整保管の声が出てこないという話ですね。
#93
○政府委員(白井英男君) 現在の牛肉の安定帯価格といいますのは、省令規格ということで決まっておりまして、これは和牛牛肉と乳用牛肉と両方を合わせまして定めるということになっております。したがって、その価格帯の中でこの合わせました価格が現実に推移をしているということから、先生お話しのような調整保管の話というか、そういうのは出てこないということだと思います。
#94
○谷本巍君 和牛を含めた安定基準価格であって、それを割ってないからというようなお話でありますけれども、そうしますとどういうことになるんでしょうか、乳用種の肉牛というのは合わされたことによって差別化されたというようなことになりませんか。今一番問題になっているのは乳用種の価格のことなんですよ。合わせたことというのは不合理だったんじゃないですか、どうなんですか。
#95
○政府委員(白井英男君) 現在の省令規格を定めましたのは昭和六十三年でございます。それ以前までは和牛牛肉と乳用牛肉とそれぞれ別個に定めていたわけでございますけれども、価格指標として非常に複雑であるし混乱しやすいということもありまして、これを一本化して、いわゆる指標としてどういうふうに見るかということで改正をしたわけでございます。これによりまして、生産者も関係者も含めましてこの指標価格を念頭に置きながら、いろんなそれぞれの値段が決まってきているというふうに考えております。
#96
○谷本巍君 それから、政務次官のお話を伺いますというと、乳用子牛生産者補給金制度ですか、これなんかにしても、言うなれば目的どおりの効果が得られているといったようなお話がありました。だが実態は、肥育農家にとっては素牛価格が下がっても一年以上肥育をして出荷するんですよ。出荷するときの枝肉価格はどうなっているか。先ほども審議官が語っておったように、とりわけ乳用牛が下がっていくというお話でしょう。そういうふうな状況が続いていけばさらに赤字が大幅になってくるわけですよ。でありますから、この制度の持つ肥育農家対策の役割というのは、経営安定ということから見てみますと事実上ほとんど役に立ってないということになりはしないですか。政務次官に聞いておるんだ、政務次官が答えたんだから。
#97
○政府委員(白井英男君) その前に私、事実関係といいますか、周辺のことをお話し申し上げておきます。
 先ほど、平成三年度の乳用種の肥育経営、これの収益性の悪化のお話を申し上げましたが、これは原料高製品安という形で申し上げましたけれども、平成二年度前半まで乳用種の子牛価格が非常に高かったということで、その高かった子牛を一年以上肥育いたしまして、その結果枝肉として売ろうとした段階では枝肉価格が自由化の影響もありまして低落していたということでそういう事態に陥ったわけでございまして、そういう乳用種肥育経営の収支の悪化に対処いたしまして、私どもといたしましては、所得が家族労働費を下回るというような事態に対しまして助成金を交付するとか、さらには、さらに経営が悪化するということで、例えば所得が赤字といいますか、マイナスになるというような事態に対しましてさらに重ねて助成を行うというようなことで助成措置を講じたわけでございます。
 後段で申し上げました所得が赤字になるという事態に対しましての交付金は、昨年の第一・四半期、第二・四半期講じたわけでございますけれども、第三・四半期に至りまして、原料であります素畜価格が二年度後半以降下がってまいりましたので、したがって、原料高という事態が若干緩和されてまいりまして、肥育経営の方も所得がマイナスという事態から回復をしてまいりました。したがって、平成三年度の第三・四半期以降は、助成金といいますか、補助をストップするとか見合わせているというような事態でございまして、私どもの認識といたしましては、肥育農家の経営も回復基調に現在来ているという認識でございます。
#98
○谷本巍君 補給金制度だけじゃなしに、経営安定の緊急対策事業もあわせてやっているからというようなお話でありましたが、この緊急安定事業にしましても、昨今の枝肉価格の下落状況による欠損幅の大きさということからしますと、助成額が余りにも少な過ぎますよ。ともかくも、経営安定の目的を達しているということはとても言えるような状況ではありません。
 そこで、申し上げたいと思いますのは、畜交法による調整保管、価格安定の調整措置、それも乳用と和牛が一緒になったから当面適用されることはないというような状況に乳用肉種農家の場合があり、さらには補給金制度でも経営の安定はとてもとても不可能だというような状況があり、そしてまた緊急安定対策事業でもそういうような状況であるというような状況であります。こういう状況の中で畜安法のねらいとする再生産の確保を旨とする価格安定の機能というのは一体どうなっていくのか、その点をまず伺いたいということと、これからもう一つの問題は緊急対策事業の問題でありますが、この機会にこの緊急対策事業を継続実施し拡充と強化を図るべきではないのか、これはもう最低の問題として申し上げたいのでありますが、いかがでありましょう。
#99
○政府委員(白井英男君) 牛肉の安定価格でございますけれども、これはある一定の価格水準で価格を支持するという、そういう性格のものではないわけでございまして、安定帯の価格の中で牛肉価格が変動するということで、牛肉の価格の急変ですか、これを抑制していって、牛肉生産の再生産が確保されるというような性格のものであるというふうに理解をしておりまして、この安定帯価格を決めますときには、牛肉の再生産を確保できるということで私どもは試算をしているところでございます。
 それから、二つ目に御質問のございました肉用牛の肥育経営安定緊急対策でございますけれども、これは平成三年度の事業として行ってきたわけでございますが、先ほども申し上げましたようなことで、肥育農家の経営悪化、それに対しまして発動をして対応してきたわけでございますが、最近に至りまして肥育農家の経営状態が若干回復の兆しか見えてきているというようなこともございますし、私どもとしてはそういう実態等をいろいろ勘案いたしまして、平成四年度以降どうするかというようなことにつきましては、これは慎重に検討してまいりたいと……
#100
○谷本巍君 ちょっと聞こえない。
#101
○政府委員(白井英男君) 平成四年度につきましてどういう対策を打ち出すかということにつきましては、慎重に検討してまいりたいと思っております。
#102
○谷本巍君 慎重に検討するというのはどういうことなんですか。私が言っているのは拡充強化すべきだと。それがだめだというならだめだとおっしゃいよ、どうなんですか。そういうものも含めてきちんと検討していきましょうということなんですか、どうなんですか。
#103
○政府委員(白井英男君) 来年度、平成四年度に至りまして乳用種の枝肉価格がどのように推移するかということにつきましては、なかなかこれは見通しが出しにくいということを先ほど申し上げたわけでございますが、そういう枝肉価格が乳用種の肥育経営にどのような影響を及ぼすかというようなこととか、それから最近の素畜としての子牛の価格、これは一年ほど前に既に購入して肥育をするということでございますが、そのいわゆる原材料である素畜費が最近低下してきているというようなこともございますので、そういった事情それぞれをよく分析いたしまして、我々としては今後どうするかということにつきまして慎重に検討いたしたいということでございます。
#104
○谷本巍君 事務当局だけに伺っておったんでもらちが明かないんでありまして、ここでまた政務次官、あなたは政治家なんですから、伺いたいと思うんです。
 牛肉自由化の本質というのは何だったんでしょうか。アメリカの要求をいかに処理するかという外交問題の次元の問題だったんじゃないですか。つまり、日本の畜産をどうするか。ということを基本にしてやったものではないということは、これは明白であります。つまり、国内の農業よりも米国の圧力というのを優先させて決めてきたものだった。したがいまして、自由化に伴う対応をどうするか、そして事後対策の問題についても十分なものを整えるということは時間的に難しいような状況の中で決められてきたものであります。ともかくも現行の自由化対策だけではこれはもうどうにもならないという状況であります。
 こういうふうな状況をそのままにしておきますとどんな状況が起こってくるか。例えば、米、乳製品、でん粉等々の問題が今ありますけれども、その種の問題が、仮に例外なき関税化に日本政府が踏み切ったと仮定した場合に、ないしは踏み切りそうだという状況になった場合に、これはもう農家は一斉に自由化の事後対策なんというのは信用しなくなりますよ。現にそういう状況が今出ているじゃないですか。それは、新規学卒者が農業に就労しなくなっただけじゃなくて、農業に現に就労している二十から四十代の若い人たちが出ていくような時代になってきたということなんです。
 ですから、自由化問題の事後対策というのはしっかりしていただかなきゃなりませんし、少なくとも今の乳用肉について見てみますというと、再検討を要するような状況になってきているんじゃないのか。そこで政務次官の考え方のほどを伺いたいということであります。
#105
○政府委員(陣内孝雄君) これからの特に乳用種の問題、これは枝肉価格がどうなるかとか、あるいは素畜の低下現象があるとかいうようなことがございますので、なかなかこれからどう対応すべきかということは慎重に考えていかなきゃならぬ問題だと思います。
 しかし、今おっしゃいましたように、牛肉の自由化を行った際に、これに伴う国内措置といたしましては、御承知のように、牛肉等の関税収入を特定財源として肉用子牛生産者補給金制度を柱とする肉用子牛等対策を実施し、我が国の肉用牛生産の安定的発展に万全を期すということで、その自由化対策といたしまして肉用子牛等対策費一千六億円、これを平成三年度は確保しているところでございます。こういう特別の財源を活用しながら自由化に伴う問題に対して対応していっているところでございますし、今後もそのようなことで努力してまいるつもりでございます。
#106
○谷本巍君 どうも抜本的再検討をやっていきましょうという決意を聞けないのが極めて残念でありますが、時間もなくなってきておりますので、最後に金融対策について若干伺っておきたいと思っております。
 乳用種の肥育経営で言いますというと、飼養頭数が非常に多いということと飼養期間が長いということ等もございまして、したがって多額の資金が必要であります。この点につきましては、御案内のように、県の信用基金協会の保証を得て金融機関が対応するというような状況になっております。ところが、最近、この関係金融機関の皆さん方の話も伺ってみますというと、金融機関も保証機関も警戒感を強め始めているという状況があります。
 といいますのは、例えばオイルショックなんかの場合は回復の機会があるんです。ところが、自由化の場合は生産がうまく回復していくという状況というのは見ることができない。したがって、金融が円滑に動いていかなくなるという可能性が強くなってきているのではないかということが指摘されております。先ほどの政務次官のお話の中にも言葉としてありましたけれども、政府はこれまで自由化対策について万全を期すということを言ってきたわけであります。この際、金融の円滑化のために手を打っていく必要があるのではないか。特に、政府は民間の金融機関それから保証機関等に向けて前向きの積極的姿勢をとることができるよう制度の改善等も含めた強力な指導を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#107
○政府委員(白井英男君) 肉用牛の経営に対します金融でございますけれども、農林漁業金融公庫資金とか農業近代化資金とかあるわけでございまして、これらによりまして農地とか施設、機械の購入とか肉用牛の購入とか、そういったものに対しまして必要な低利資金、これを融通するということをやっております。また、畜産の合理的な生産方式を導入するというようなことで無利子の畜産振興資金という、これは改良資金の中にある制度でございますけれども、そういうような貸し付けもしているわけでございます。さらには、肉用牛経営の融資の円滑化といいますか、を図るという観点から、その信用力を補完するということが必要でございますので、農業信用基金協会、この基金の造成ですね、これを行いまして、基金協会の財務基盤の強化を図る。それで、それによりまして債務保証がしやすくなるようにするというようなことをしているわけでございまして、こういうことで金融機関からの融資が円滑に肉用牛経営者に行われますように、私どもとしては指導をしてまいりたいと思っております。
#108
○谷本巍君 ですから、それは指導をしてまいりたいだけじゃなくて、私が言っているのは、警戒感を強めてきているんですから、万全を期していただきたいということを言っているんですから、そこのところはどうなんですか。
#109
○政府委員(川合淳二君) 今、審議官の方からもお答えいたしましたが、やはり信用保証と申しますか、その機能が十分に発揮されることが融資を円滑にするために非常に必要だと思っております。私ども、信用協会の基金造成に対します都道府県の出資に対する補助金、あるいはこれを受けて国の農林漁業信用基金が保証あるいは再保証をしているわけでございますが、こうしたところに対する出資金、これは一定の額を四年度予算案におきましても計上しておりますので、こうした形で基盤強化につながるように私どもも具体的に指導してまいりたいと思っております。
#110
○谷本巍君 そうすると、心配はない、御安心くださいということですね。
#111
○政府委員(川合淳二君) 金融でございますので、先生おっしゃるように、やはり金融機関とすればある種の警戒感というのはこれは当然出てくることも懸念されるわけでございますけれども、それを救うといいますか、それをバックアップするのはこの保証制度だろうと思いますので、そういう面での万全を期していきたいと思っております。
#112
○谷本巍君 終わります。
#113
○委員長(永田良雄君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十五分まで休憩いたします。
   午後零時二十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十六分開会
#114
○委員長(永田良雄君) ただいまから農林水産委員会を再開したします。
 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、畜産物等の価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#115
○刈田貞子君 午前中からただいま議題になっております畜産関係の問題について耳を傾けて聞いておりましたが、乳価の保証基準の問題でありますとか、あるいは食肉価格の保証の問題でありますとか、大変課題が多うございますと感じました。私も同じようなことの中でお尋ねしたいことは実はたくさんあるんですが、食肉部会、酪農部会の話が出ているやに思いますので、視点を変えて飼料部会のことで少し関係をしてお話を伺ってみたいというふうに思います。
 それに先立ってお伺いをしたいのは、ことしの二月二十六日にワシントンで開かれました日米構造協議、いわゆるフォローアップ会合で、新SIIと言われる会合で、自動車部品あるいはガラス業界の話とともに、五部門がいろいろ出てきたわけですけれども、その中に初めて飼料穀物の話が登場してまいりました。
 私も新聞で知るしか情報はないのでございますが、このことを見まして、なぜ今飼料なのかということを大変に感じたわけでございますが、まず政務次官にお伺いをするわけですが、今我が国がアメリカから飼料穀物の問題について指摘をされなければならない直接的、間接的事情があるのだろうかどうなのだろうか。そして、もしそういうものがあるとすれば、飼料問題について、農水省としては、ないしは我が国としてはどんな対応を今後していくことになるのか。私の私見でございますけれども、対応いかんによっては今後新SIIの課題の中で何かやり玉に上げ続けられるのではなかろうかというような思いもあって実はお尋ねをするところでございます。よろしくお願いいたします。
#116
○政府委員(白井英男君) 政務次官のお答えの前にちょっと若干経過的なことを申し上げますけれども、アメリカとの間で飼料穀物問題につきまして今までどんな話し合いがなされてきたかということでございますけれども、日米の事務レベルでの貿易委員会等が毎年定期的に行われておりますけれども、その場でアメリカの方から日本の飼料穀物に関する輸入制度、これが配合飼料価格を高くしたり、あるいは畜産物の国内価格、国内生産、これを停滞させるということで、その結果としてアメリカからの飼料穀物の輸入が滞っているんだ、伸びが伸び悩んでいるんだというような話がここ二、三年の間にございまして、私どもといたしましては、若干アメリカ側に誤解がいろいろあるんじゃないかということで、日米間でもう少し腹を割っていろいろ事情を意見交換してはどうかということでアメリカ側に話し合いを持ちかけまして、昨年の秋、十一月でございますか、官民の合同での飼料穀物に関する意見交換といいますか情報交換といいますか、会合を非公式ベースでございますけれどもやったわけでございまして、私どもとしては、アメリカ側の飼料穀物に関係する人たちは、日本の輸入穀物の制度なり事情なり、そういったことにつきまして理解を深めていただいているというふうに思っている次第でございます。
#117
○政府委員(陣内孝雄君) ただいま審議官から経緯についてお話し申し上げたところでございますが、これにつきましては、我が国の構造問題について議論を行うための材料としてアメリカ側から例示したものにすぎない、こういうふうに私どもは受けとめておりまして、これらを今後日米構造問題協議の場で個別問題として取り上げて交渉を行うといったそういう内容ではないというふうに理解しております。この点については日米間で理解は一致しているものでございます。
 なお、御案内のことと存じますが、我が国の飼料穀物の輸入制度につきましては、畜産農家に安価な飼料を提供するため、トウモロコシ等の配合飼料原料について他の用途に流用されないことを条件として関税免除の特典を与えているわけでございます。この特典を利用するものには特に制限は設けておりません。必要量は何らの量的制限もなく輸入されておるわけでございます。また国内においても、自由な競争のもとで流通、販売が行われており、我が国としては飼料穀物に関し構造問題として取り上げられるべき問題ではないというふうに考えておるので、さよう申し上げたわけでございます。
#118
○刈田貞子君 このフォローアップ会合では、研究事例として確かに五つの品目を挙げてやっているわけですよね。例えば、日本の市場開放をおくらせている共通の原因として、政府の規制、系列取引あるいはまた排他的な取引慣行の存在というようなものをテーマに取り上げておる。そのことの具体的なテーマにその飼料穀物の輸入の状況及び国内流通の問題が上がってきているということに関して言うならば、まあ単なる研究素材であるというだけで一笑していいのかどうなのかという課題があろうかというふうに思います。
 アメリカ側はその後三月に入って、米国飼料穀物協会のホビー理事長及びパーカー公使を同席のもとに、例の具体的な飼料穀物流通それから製造、生産関係について具体的に指摘をし始めました。パーカー公使の言葉をかりれば、今後これをいわゆるSIIの場でしっかりと検討していきたいと、こういうこともアメリカ側の意思としてはあるやに私は思っておりますが、この点はいかがなんでしょうか。
#119
○政府委員(白井英男君) 先ほど政務次官の方からお答えを申し上げましたように、日米間での理解といたしましては、二月二十六日に行われました構造協議で飼料穀物は一つの例示として出したということでございまして、今後これについてさらにSIIの場で個別具体的に検討するということにはお互いの間でなっておりませんので、私どもとしてはそういう理解で対応してまいりたいと思っております。
#120
○刈田貞子君 まあ、単なる研究素材だということであるのならば、私はそれでいいのかなと思いますけれども、先ほど来のお話から考えますと、今突然出てきたものではなくて、二、三年前からこのことについては指摘があったというふうにおっしゃったわけですよね。だから、ただ単なる研究素材というよりは例になり得るという問題だというふうに理解をすると、やっぱりかなり微妙な対応が今後必要なのではないかというのが私の考え方でございます。
 そこで、具体的にお伺いをいたしますが、アメリカ側で言っております。その飼料穀物の問題については、先ほどお話がありましたように、いわゆる飼料加工をするところの飼料承認工場制度、その問題とかあるいは配合ぐあいを示す点数制度であるとか、こうした問題について具体的に要求事項が出ているわけです。関税定率法十三条を撤廃したらどうかと、ここまで具体的に言っているんで、ただ単に私は研究材料として出したのではないというふうに思うんですけれども。
 このアメリカの飼料穀物協会の理事長の要求は、今言った関税定率法十三条の撤廃でしょう。それから大麦にかかわって言えば食管法がかかわっできますから、食管法の適用除外を言っているんですよ。そのほかトウモロコシの関税割り当て制の撤廃、それから農水省の行政指導、いわゆる価格指導の撤廃をしなさいというようなこともおっしゃっているんですよね。だから、これはただ単に研究材料となっているというふうに考えるのは私はまずいのではないかというふうに思うんです。
 そこで、制度のことをお伺いするのは時間がかかりますので、いわゆる承認工場制度、これが持つつまり功罪、効果もあろうと思うけれども罪もあるんじゃないか。これはどんなふうに考えたらよろしいでしょうか。アメリカ側の指摘している新規参入はならぬというようなことについてはどういうふうに弁明しますか。
#121
○政府委員(白井英男君) 配合飼料の承認工場制度でございますけれども、先生御承知のように、この制度は国内の畜産の振興を図るという目的で、トウモロコシとか本来ならば関税がかかるものにつきまして飼料穀物に使うということで無税にするという特典を与えるわけでございますが、その場合に無税で入ってきたものがでん粉等の食用に横流しされるというようなことになりますと困りますので、税関長の承認を受けました工場できちんと配合飼料の原料として使われるということが担保される必要があるわけでございます。したがって、そういうことが確保されるということでこの制度が設けられているわけでございます。
 この制度のメリットといたしましては、当然畜産物の生産のコスト、関税が減免になりますので、コストの軽減が図られるということでございますから、我が国の畜産にとっては大事な制度なわけでございます。
 ただ、今、先生御指摘におりましたように、税関長の承認を受けるということで全く自由ではないじゃないかというお話でございますけれども、従来は国内でのいわゆる過当競争といいますか、競争が激化して逆にいろんな弊害が出る、配合飼料工場等の営業とかにいろいろ弊害が出るということになるとまずいということで、農林水産省の推薦を要するというような仕組みにしていたわけでございますけれども、これにつきましては、アメリカ等からいろいろ指摘もございまして、私どもといたしましても、そういう形ではなくてむしろ自由競争の中で競争を通じて、配合飼料の製造なり流通コストの引き下げ、これを図っていくことが大事だということで、平成元年の九月からこの制度をやめまして、今のような自由にだれでもがやれるという仕組みにしたわけでございます。
 ある意味で言うと情報のおくれということはないと思いますけれども、若干昔そういうことで日米間にトラブルがあったというようなこともありまして、そういうことももしかしたら念頭にあるのではないかというような感じを持っております。
#122
○刈田貞子君 農水省の推薦がなくても、手を挙げれば、そして大蔵省が認定すれば、そうすれば承認できるということにはなっているんだけれども、関税定率法の十三条を見ますとかなり条件があるんですね。だから、やっぱり資格審査というのは大蔵省が指定するにはかなりのものがあろうかなというふうに私は思うんですよ。
 もう一つ、点数制度の方の問題ですけれども、これもやっぱりアメリカの側から指摘されていると同時に、これは国内でも問題になっているんじゃないかというふうに思うんです。これは配合配分のいわゆる規制があるということの問題ですね。私よくわかるんです。でん粉農家を守るためにこれをやらなきゃいけないのはよくわかっているんですけれども、こういう形てづまり飼料の製造、生産、流通を進めていくということは、そのままコストアップにかかりはしませんかという問題が一つ、まあ私、勉強不足だからそう思うのかもしれないんだけれども、あるんです。
 飼料の問題を取り上げた理由は、ことしの生産費も、やっぱり何といっても、先ほど労働費の話が出ていましたけれども、生乳百キログラムを生産するに当たっての一番の最大の大きな費用は四千百六円かけている飼料費なんですね。労働費の倍ぐらいかけているわけでしょう。だから、この飼料費がすごく安くなっていくということは生産農家にとっても物すごく大事な要素なんです。それから、あわせて昨年の飼料部会でも建議が出ました。それは結局、濃厚飼料の製造、流通の合理化と適正価格の形成ということが、これが実はことしの十九日の分にも出ているわけですよ、飼料部会で。私は、濃厚飼料の流通の合理化というのは一体何なのかというのがいつも疑問に思っていたものですから、我が国が、ないしは畜産局が取り組まなければいけないその飼料の流通、生産の合理化というのはどういうことをやることが合理化なのか、ここで建議として出されているものに対して対応も読ませていただきましたけれども、この手のことを意味しているのかどうなのか、あわせてお伺いします。
#123
○政府委員(白井英男君) 最初に、点数制度の件でございますけれども、先生のお話でもう御承知のとおりでございまして、まさしくえさ用として入れまして、配合飼料工場に入れましても、加工とか何かに条件がなければ食用に回るという可能性もあるわけでございますので、そうすると、やっぱり関税を免税しているというその特典の制度の趣旨、それが生かされますためには、何らかの規制が必要であろうということになろうかと思います。
 それで、この点数制度につきましても、いろいろやはり意見がございまして、不必要な原材料、これを入れろというようなことで強制されているんではないか、それが結局はえさの製造コストを引き上げているんではないかという意見も過去にいろいろあったことは承知しております。それで、そういった主張等も踏まえまして、私どもとしましては、いわゆる配合飼料として必要最小限の副原料といいますか、家畜の育成に必要な副原料ですね、これを義務づけるというようなことで、制度を改めるといいますか緩和するといいますか、というような方向で制度改正を行ってまいっておりまして、特に最近時点では平成元年の五月に制度の改正を実施いたしておりまして、私どもといたしましては、例えば副原料で申し上げますと、今混合の義務づけをしておりますのは、例えば従来は二十点以上それを入れるべしというようなことで義務づけておりましたけれども、それを最近時点では八点に直すとか、これはえさの種類によっても違ってまいりますけれども、三十点以上を義務づけていたのを十二点に直すとか、というようなことで大幅な緩和措置を講じておりまして、コストの削減に役立てようとやっているところでございます。
 それから、濃厚飼料、配合飼料の製造、流通の合理化ということでございますが、これにつきましては、畜産のいわゆる生産の態様なりあるいは立地なり、それがいろいろ時代の流れに沿いまして変わってまいります。したがいまして、配合飼料工場なり、あるいは配合飼料の原料でございますトウモロコシ等を海外から入れてくるわけでございますけれども、その港をどこにするかというようなことでも場所等が変わってまいります。したがいまして、配合飼料工場が、そういう畜産のいろんな情勢の変化に応じて移転あるいは集約化、合併とか、そういうことを要請されるわけでございまして、そういうことで私どもその促進を図っていく必要があるということでございます。したがいまして、農水省としては、そういう動きを促進するということで、配合飼料工場の合理化投資につきまして、日本開発銀行なり北海道東北開発公庫、これによります融資制度を設けております。
 それからまた、今後とも安い飼料の供給体制を整備していくというようなことでのいろいろ指導、助言等を行っているところではございますけれども、今後ともそういうことに努めてまいりたいというふうに思っております。
#124
○刈田貞子君 まあ、いろいろ言いたいんですけれども、アメリカの穀物協会がかなり強気で物を言っているそのベースになっている研究があるわけですよね。国民経済研究協会のベースになっているこのデータは農水省は一笑なさったわけですけれども、私は、実は半分は少し真剣に読んだんです。というのは、一笑に付していいかどうかという要素もなくはないと思うんです。今言われたような流通の合理化それから生産という、こういう問題にかかわって言えば、やっぱりなるほど外から見るとこういうところがそう見えるんだという部分が私はあると思います。
 今くしくも点数計算のことで配合の点数を少なくしていっている。これはコストダウンにつながった。こういう話をなさいましたけれども、全くそうなんで、そういうところを少しずつでも改善していく方向で物を考えていくと、この叶論文も決して私は一笑に付すものでもないんじゃないかというふうに思います。でも、農水省はけちょんけちょんにお書きになっているのを読みましたから、あえて意見は問いませんけれども、アメリカの穀物協会がかなり強力に物を言えるデータはここからやっぱり言っているわけですよね。
 あわせて、ことしの飼料部会でも出ている今後いわゆる飼料の自給率を向上させるというのが建議の二本のもう一本に出ているわけ。そうすると、私は自給率を我が国で高めていくという場合には、粗飼料生産なんかをどんどんやっていくことにつながるんだろうというふうに思うんですが、これがどんどん自給率が高まるということは、アメリカにとってもう一つしゃくの種になるのでしょうか、どうなんでしょうか。
#125
○政府委員(白井英男君) 先生が今御引用になられました叶論文のことについては、評価はよろしいということでございますので特に申し上げませんが、ちょっと私どもとしてもどうかなと思うようなのがありますので例示的に申し上げますと、CIF価格のとり方につきましても、非常に何といいますか恣意的なとり方をしておりまして、若干初歩的な点でむしろ何か意図して考えておられるんじゃないかなと思うような点がございます。
 といいますのは、CIF価格は御承知のように保険料なり運賃が入った本船の上積み価格でございますけれども、この報告書によりますと、どうも工場で受け取る価格はCIF価格そのものをダイレクトに受け取って入ってきて、それに基づいて計算をしてみると非常に安くなるとか、そういうような計算をしておりまして、何となく大変現実的じゃないと、そういうところからずっと論理を整理しておりまして、最後に日本の飼料穀物はもっと安くなるはずであるというようなことを言っておりまして、なかなか私どもとしては合意しにくいといいますか、納得しにくい点が多々ございます。
 それから、粗飼料の自給率の向上の点でございますけれども、アメリカから特に入れておりますのはトウモロコシとかコウリャンとか濃厚飼料に使われるものが主でございまして、私どもで飼料の自給率を上げたいと申しておりますのは、いわゆる粗飼料の自由率でございます。これにつきましては、一つには大家畜の生産をいたしますのに、経営体質の強化なり生産性の向上を図りますときにどうしてもやっぱり粗飼料というのが必要になってまいりますので、これの自給率を向上させるということが大事だということで、平成二年に農産物の長期見通しをつくりました。
 そこでも平成十二年までには私どもの粗飼料の自給率を三七%、面積で申し上げますと平成三年は百五万ヘクタールですが、平成十二年には百三十六万ヘクタールというようなことで伸ばしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#126
○刈田貞子君 ことしの生産費の飼料の部門で先ほど御紹介してみた数字で言えば、飼料費は前年に比べて一・七減少しているというふうにお書きになっていらっしゃるのね。それは、いわゆる濃厚飼料、これが昨年並みで、今言った粗飼料の方が少し下がっているから全体的に減少しているというふうに御説明なさっていらっしゃると思うんです。
 今後、生産費の中で飼料費を考える場合に、何といってもやっぱり飼料の自給率を上げ、そして生産コストを引き下げるという、このことが生産農家にとっても大事な課題じゃないかというふうに私は思っていて、なかなか飼料の問題というのは取り上げないんだけれども、あえて私自身も初めて取り上げて勉強してみたんですけれども、課題は非常に多いなということを思っております。
 本当は今後の低利用地あるいは未利用地あたりでこういう粗飼料のあれを使いながら育てていく畜産のあり方なんかもちょっと御討議したいんですけれども、時間がございませんので、それはカットいたします。いずれにしても、これから国内飼料の自給率というものを高めていくことは、今、長期見通しでもおっしやられたけれども、大きな目標にしていっていただかなければならないというふうに思います。
 ところが、いただいた数字で見ますとこれはずっと下がっていっているんですね。それで、粗飼料の輸入すらふえていっている、ソルガムあたりなんだかわかりませんけれども。だから、この横長の資料、これで見ますと、一ページ目に載っている数字で見ると、飼料の割合が全部出ているんですけれども、これはいい傾向ではやっぱりないわけで、長期見通してはこれから飼料の国内生産を高めていくという方向を持っていながら、実際はどうなんだろうかという疑問を持ちますので、こういう質問をしたわけであります。
 で、どうなんでしょうか。今私どもは、さっき叶論文のことをおっしゃいましたけれども、日本のいわゆる穀物、特に飼料について言えば寡占化が進んでいるんじゃないか、ガリバー型寡占化じゃないかというような言われ方をしますよね。これはやっぱり高値安定になる要素になっているわけです。私は現地を歩いて、自家配合工場なんかを何回かお訪ねしたことがありますけれども、やっぱりこういう自家配合のグループなんかではストレートに原料穀物が入ってこないことに大変怒りを持っているというところがあるわけですね。私は、先ほど建議として出されておりますところの飼料の流通の合理化とそれから適正価格というのは、これからさらに大きな研究の命題になるのではないかというふうに思いますので、このことについて政務次官に一言抱負を伺って、次の質問に入ります。
#127
○政府委員(陣内孝雄君) ただいま先生のおっしゃるような御指摘を踏まえまして努力していきたいと思います。
#128
○刈田貞子君 何となくえさの値段というのはこんなものなんだろうなというふうに思っている高値安定というものがあるんですよ。だけれども、構造のあり方によってはもっと安くできるということが論じられているので、研究してほしいという希望を持ってやった質問でございます。
 次は、これもやはりえさにかかわってくる問題なんだけれども、乳質の向上というテーマがここ数年来出てきておりまして、特にここ一、二年エスカレートしているというふうに私は思います。その乳質も、さっき言った濃厚飼料と欠きにかかわってくるわけで、濃厚飼料をたくさん使えば、まあそれだけではないと言われておりますけれども、濃い乳が生産できるというようなことが言われていて、これは非常にコストとの問題でも実はかかわりがあるわけですよね。
 局長報告に、食糧事務所の人が飼料の適正使用に関する巡回点検と指導を行っていると、こういうのが局長報告のところにあるわけ、飼料のところに。安全性の問題をやって、その次に適正使用の指導を食糧事務所がやっていますというのがあるんです、各戸農家についてと、こう書いてあるんですけれども。飼料の適正使用に関する指導というのは一体何を指導しているんでしょうか。
#129
○政府委員(白井英男君) 飼料につきましては、有害な畜産物の生産の防止というそういう観点から、飼料安全法に基づきまして飼料の規格なり基準を定めているわけでございます。これらが生産なり流通の段階におきましてきちんと守られているかどうかということを点検する必要がありまして、そのために国の肥飼料検査所、ここにおきまして飼料の検査を行っているわけでございますが、消費の段階につきましては都道府県職員による畜産農家の指導等を行うというようなことで対応しているわけでございます。
 その一環といたしまして、農家段階においてえさが適正に使われているかどうかということを確認する必要がありますので、そういうことで食糧事務所の職員が、使われているえさ、その流通飼料の飼料割合、それがどうなっているかということで、採卵鶏とかブロイラーとか豚の農家、これに行きまして、どんなえさを使っているか、あるいは自家配のものを使っているかとかのいわゆる飼料の与え方、形態ですね、これを調べます。
 それから、どのくらいの期間それを与えているかということで、例えば抗菌性の物質が含まれているえさにつきましては、これは畜産物として出荷する前の七日間までというようなことになっておりますけれども、そういうことになっているかどうかというようなことにつきまして調査なり点検を行っているところでございます。
 その状況を取りまとめて踏まえまして、農政局なりあるいは県にまとめまして、都道府県の職員が今度はそれを適正に使ってないという実態が明らかになりますれば指導をしていくというようなシステムでやっているところでございます。
#130
○刈田貞子君 だから、人間で言えば御飯をたくさん食べちゃだめよとかたくさん食べなさいよというのは食糧事務所でやってもいいのよ。だけれども、安全なものを与えているか与えていないかというような指導は食糧事務所はやれないでしょうということで私はさっきから聞いているわけ。そうでしょう。
 食糧事務所が与え方を一生懸命指導していると言うから、抗菌剤なんかを入れているんですか入れていないんですかというような指導については、強いて言えば獣医さんなんかが回って指導するのはいいけれども、食糧事務所の人がそんな指導をしているのですかという思いもあって実は聞いているんだけれども、濃厚飼料を余り食べさせ過ぎちゃだめですよという量の問題の指導なら食糧事務所もいいのかもね、もしかしたら。まあ、私はよくわかりませんけれども、その辺は。ですけれども、そう御報告にあえて特記事項で書いてありますのでお尋ねをしたわけであります。
 その濃厚飼料の大量に与える与え方の問題で実はお尋ねをしたいんですが、生乳取引で乳脂肪三・五を基準にして、六十二年から三・二を三・五に引き上げたという問題に私は非常に問題意識を持っていた者の一人で中ございます。この三・五は、今はどこの酪農家でもこのぐらいの乳は黙っていても、寝ていてもとれますよというような言われ方を農水省はなさるけれども、三・五の乳脂肪を持った乳の生産というのはやっぱり努力が要ると私は思います。これは入って聞いてきました。下手すると夏は換気扇をかけて涼しくし、それから夜は散歩をし、それから最後に雑粉を混ぜて食べさせるというふうな努力が要るんですよ。それで三・五が私はでき上がっているというふうに思う。どこでも三・五がとれますよ、今はもっとすごいのがいっぱいありますなんて農水省畜産局でこの間おっしゃったけれども、そんなことはないんで、現場では私は努力なさっているんじゃないかと思うんですね。
 そこで、この三・五を基準にしたのは、これも聞かないで私は言ってしまいますけれども、コクが出ておいしくて、六十二年以降大変飲用乳もよく売れるようになりましたと、こういうことをおっしゃるんですね。果たしてそうかなというふうに思うんだけれども、国民の健康志向が牛乳というものを改めて見直させたということもあるんで、三・二が三・五になったから牛乳がよく売れるようになったということでも私はないんじゃないかというふうに思っています。
 そこで、三・五が切れた場合、これは買わないかあるいはまたペナルティーで安くなるんでしょう。それじゃ、それよりも上回った高品質のは高く買うんですか。
#131
○政府委員(白井英男君) 先ほどの食糧事務所の件につきましては、先生おっしゃるとおりでございまして、私の答弁がもしかしたら言葉足らずだったかもしれませんけれども、食糧事務所の職員がやりますのはあくまでも実態の調査でございまして、その調査に基づいて具体的な指導をいたしますのは都道府県の職員がやるということでございますので、御指摘のとおりでございます。
 それから、乳脂肪分の点でございますが、三・五というのが昭和六十二年度から生産者と乳業者の合意ということによりましてなされているわけでございますが、三・五を上回った場合に、料金といいますか値段が高くなるのかという点でございますが、一般的には三・五を例えば〇・一上回ればそれに対して一円とか加算金が出るという形になっておると聞いております。
#132
○刈田貞子君 低くなると引き下げられるわけね。
 三・五ないと買わないんですよ。それで、さっきも牛乳一リットル幾らか知っているかという話がそこから出ていたけれども、私も知っているかと聞きたいんですけれども、これは一リットルで三百八十円なんです。あなたよりぜいたくなのを私は飲んでいるんですけれども、三百八十円なんです。これは無調製、四・〇なんですよ。だから三百八十円なのね。そうしたら、四・〇を現場ではそれだけの値段で本当に買ってあげたのかどうなのかというのを私は知りたくてあえて乳質の問題を取り上げたわけ。生産者が夜のお散歩までさせて、換気扇をかけて涼しくしてあげて、夏までもいい乳をとろうと頑張って、そうして四・〇。これは無調製ですから現場からストレートに来ているわけ。それが三百八十円。さっきあっちの方で言ったのは百八十八円ぐらいで買えるんです、あれは。三・六以上というのは百八十八円ぐらいで買えるんですよ。これを飲用乳市場では二百円も高く売るわけよ、四・〇で無調製だと。これは四・〇。ところがこれは加工乳なんです。これはしかし三百円です。乳脂肪四・〇だけれどもこれは三百円です。どこのメーカも皆同じ。一円ぐらい引いて二百九十九円ぐらいで売るけれども三百円が基準なんです。そうすると、これは調製してあるわけですね、加工だから。
 私は、あと六分しかないから言いますと、私の持論は、三・五を基準にこうした加工乳をつくるのならば加工で濃くすりゃいいじゃないのというのが私の持論なのよ。牛の個体にそんな迷惑をかけて、そして飼料コストをかけて三・五になぜなったのかという背景を私はたどらなきゃいけないなと思って聞いて歩いた。そうしたら、酪農政治連盟というところの人が随分聞いて歩いたらしいんだけれども、三・二が三・五になった昭和六十二年の四月のあたりのところが、だれも知らないうちにこれが三・五に引き上げられていたという情報を私はキャッチしたんです。
 これはやっぱり考えなければいけないなというふうに思うのは、三・五で、そして濃厚飼料をたくさん食べさせているということは牛の個体に大きな影響を及ぼすという現場の声が出てきたんです。しかもこれは、また今度、次の獣医師法のところでやりますけれども、獣医さんのグループから出てきたんです。それで、もう少しお話しいたしますと、それで乳房炎とかそれから脂肪肝とか肝炎とか、そういう乳牛の病気の発生、これが多くなってきている、こういうふうに言われているんですけれども、これはどうでしょうか。
#133
○政府委員(白井英男君) 三・五%の基準というのは、私どもの承知しております。では、三・二%でずっと戦前から来たわけでございますけれども、六十二年に三・五にする途中の段階で飲用乳に対する需要が減ってまいりまして、それと一方では消費者の方から牛乳が水っぽいというようなことで不評も出るというようなこともございましたし、それから一方ではまた乳質改善等生産者の方の努力もございまして、平均レベル三・五で生産が可能であるというような事態も生じてきたということで、先ほども申しましたように、生産者と乳業者とが話し合いをしまして三・五になったというふうに聞いているところでございます。
 それから、三・五というのを余りにも追求することで個体にいろいろ弊害が出ているんじゃないかということでございますが、最近の乳用牛の疾病の発生状況を見てみますと、病傷事故の発生につきましては、増加というような形ではございませんが、ただ最近やっぱり特徴的なのは、平成二年度に夏が非常に暑かったというようなこともありまして、死廃事故が平成元年に比べまして増加を見ているということがございます。
 それで、その内訳を見てみますと、乳房炎等の乳房疾患、それから第四胃の変位等がございまして、産前産後の疾病が上位を占めるというような事態になっております。私どもとしては、産前産後の疾病が増加したというのが、泌乳量に見合った適正な飼料給与が行われていないというようなことに原因があるのじゃないかと思うわけでございまして、特に先ほどちょっと先生のお話の中で……
#134
○刈田貞子君 済みません。時間がないんで、もう一問だけあるんで。
#135
○政府委員(白井英男君) はい。乳脂肪分を高くするというのを濃厚飼料をいっぱい食わせているんじゃないかというお話でございますが、一般的には濃厚飼料をいっぱい食わせるというのは、乳量を多くするには濃厚飼料をいっぱい食わせるということでございますけれども、乳脂肪分を高めるためには粗飼料を多給するということが必要であるというふうに言われておりまして、必ずしも濃厚飼料多給の無理をしているというふうには理解していないところでございます。
#136
○刈田貞子君 でも、その飼料の与え方というのはやっぱり家畜の疾病に物すごく影響があるわけで、これは農林水産省経済局保険業務課第三家畜班が事務連絡として昨年所管の課長さんにお出しになったのをいただきましたけれども、その中では、最近の生乳の需給逼迫に伴い増産意欲が高まっている中で、無理な飼料給与等により乳房炎等の事故が多発しているので、適正な飼料給与等の指導を徹底すること、という庁内の事務連絡があるわけですよね。だから、それは確かに飼料の与え方というのが牛の疾病に物すごくかかわりがあるというのは、ここに省内で合意ができているから、こういう紙が回っているわけです。
 私は最後に申し上げますけれども、やっぱり三・五にしてもらわなきゃ困るというふうに思っているのはメーカーじゃないんですか、これは。いい乳質を買えばメーカーはいいものができるという、こういうことになるんだろうと思うんだけれども、私はそこまで生産者にその乳質の、三・五がさらにエスカレートして、三・五なんていうのは今は牛乳というのを買いにいくと売ってないですよ、三・六以上です、全部。最低三・六。もっとエスカレートしていくんじゃないかなと思って、これがそのまますぐ牛の個体に私は響いていくというふうに思うものだから、乳等省令は三・二でできているのですから、乳等省令の原点に戻して物を一度考え直してはどうか。そして、そういうことが既に生産者の間に大きな一つの自戒の意識として出てきているということを私はお伝えしたいというふうに思います。それは即やはり飼料の問題とも密接にリンクしていく。飼料の生産コストもそれで下がっていくわけだから、どんなものなんだろうかという疑問を持ってこのことを討議させていただきました。
 以上でございます。
#137
○林紀子君 酪農経営は急激に悪化しているという事態につきましては、先ほど来いろいろお話がありました。ぬれ子や乳廃牛の大暴落、その最大の原因は昨年四月の牛肉自由化であったことは明らかだと思います。政府は、牛肉自由化を決定した際、畜産農家には迷惑をかけないと言って国内措置を決めました。しかし、現在、自殺者が出るほど非常に大きな影響を与えております。
 私は最近、北海道の酪農家の方にお話を伺いました。その中で、もし負債の償還を入れなければ、それが全くなければまあ何とかやっていけるような状況だ。しかし、負債の償還を入れるともう全くの大赤字でどうにもならない。しくじったらそのとき考えよう、見通しはないけれどもということで酪農経営を続けているというお話を聞きました。そしてまた、その中で、やめられる人はいい方なんだ、負債を抱えてやめるにもやめられない、そういう状況だというお話も聞いたわけです。そして、やめるにやめられない、ずっと続けていって、追い込まれてどうなるか。自殺をせざるを得ない、そういう状況になっているのではないかと思います。
 北海道の釧路市からバスで一時間余りの鶴居村というところがあるということで、そのルポルタージュを私は読んだわけです。ここは「酪農に夢がはばたくつるの町」という標語で、この町の標語、まさに酪農の村であるわけですけれども、ここでことしに入って二人の酪農青年が自殺をした。一月四日に三十八歳の青年が、そしてそのお葬式の翌日の九日には二十一歳の独身の青年が、どちらも首をつって若い命を絶ったと報じられております。そして、さらに驚くことには、この村の人が、若い者が二人死んでも余りびっくりしない、こういう恐ろしい時代になったんだということを言っているということです。
 このように、牛肉自由化を決定して多大な影響を酪農家に与えている。このことについて農水大臣からお答えをいただきたいわけですが、きょうはいらっしゃいませんので、政務次官、どのように認識をして、どうしようと考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
#138
○政府委員(陣内孝雄君) 我が国の酪農につきましては、最近の状況を見ますと規模の拡大が着実に進んでおります。一頭当たりの乳量の増加等もございまして、これらを通じまして経営内容の充実が図られてきている、数年来負債が減少するなど順調に推移してきている、こういうふうに私は見てきたわけでございます。しかしながら、酪農経営の最近の動向を見ると、生乳の生産が着実に増加する一方で御指摘のようにぬれ子や乳廃牛等の販売価格が大幅に低落すると、こういったことによる収益性も低下しており、その状況については真摯に受けとめておるところでございます。
 このため、生産事情等を反映した適正な保証価格の決定のほかに、乳肉複合化への取り組みの推進、また肉用子牛生産者補給金制度への加入の促進など、酪農経営の安定を図るための施策を推進しているところでございます。今後とも、酪農は重要な食糧である牛乳、乳製品の供給源であり、かつまた、我が国土地利用型農業の基軸として位置づけられておりますので、その振興に努めてまいる所存であります。
#139
○林紀子君 酪農経営の危機的状況ということにつきましては、北農中央会が実施しました緊急実態調査の内容が二月末に公表されました。その内訳を見ましても、生乳部門は規模拡大などで生産量、生産額ともふえているけれども、個体販売では二年前に比べ二百五十万円も減収し、さらに飼料代、機械代などの支出が二百万円もふえたために、二戸当たりの所得は二年前に比べて三百万円も減収している。また、北海道の農政部の試算でも二戸当たり三百七十万円の減収。北海道信連の農産物販売額を見ましても、個体販売額は八九年の千五百三十六億円から昨年は千二百五億円と実に三百三十一億円も減収しているの
 そして今、政務次官は規模拡大ということもおっしゃいましたけれども、こういう被害は規模拡大をしている大きな酪農家ほど大きな打撃を受けている。もう限界だという声が起こっているわけですが、そういうことを考えまして、どうしても今回の乳価というのは引き上げを諮問するべきではなかったかと思います。ところが、据え置きということで諮問なされたわけですね。こういう状況をどうして反映しないで据え置きというような諮問をなさったのか、そこをぜひお聞きしたいと思います。
#140
○政府委員(白井英男君) 本日、畜産振興審議会の酪農部会に平成四年度の加工原料乳の保証価格、この試算を提出したわけでございますけれども、これは先日発表になりました平成二年七月から平成三年六月までの牛乳の生産費調査、この結果を踏まえまして、ぬれ子の価格や乳廃牛の動向だけではなくて、配合飼料とかその他の生産資材の価格、それから労働時間や一頭当たりの乳量の動向、いろんなものを考慮いたしまして算定したものでございます。
 この際、ぬれ子の価格の動向ででございますが、これは当然副産物の収入ということで考慮されるわけでございますけれども、乳廃牛の価格の動向につきましては、これは乳牛の資本財としての性格があるわけでございますので、したがいまして、新規に導入されます乳牛の評価額の動向とあわせまして残存価額叱いうことで減価償却に反映されるということになるわけでございます。
 いずれにいたしましても、きょうの酪農部会の答申を踏まえまして、私どもとしては保証価格を適切に決定してまいりたいと思っております。
#141
○林紀子君 今度の諮問というのが、引き上げられるのか、据え置きなのか、下げられるのか、本当に全国の酪農家というのはかたずをのんで見守っていたし、これではもう生きられないとぎりぎりの声を上げていたわけです。本当に希望を持たせるためにも値上げの諮問をしてほしかった、そういう声がもう本当に渦巻いているわけです。
 それでは、こういう状況をせめて救うためにもということで、昨年は高品質生乳生産緊急確保事業ということで、一キロ当たり一円の上乗せといいますか、一円を加算いたしましたね。今年度は、名称は違えても内容が大体同じようなものでキロ当たり二円程度加算をされるのではないかという報道もありますけれども、せめてこういうところで救うということを考えていらっしゃるわけですか。
#142
○政府委員(白井英男君) 高品質の生乳生産対策につきまして、平成三年度におきまして特別事業を仕組みまして事業を行ってきたわけでございます。これは単年度事業ということで事業を仕組んでやってきたわけでございますので、この事業の成果なりにつきましては、今後検討したしまして、来年度以降どうするかにつきましては検討してまいりたいと思っております。
 それから、関連対策ということでございますけれども、これにつきましても、本日、畜産振興審議会の意見、建議等を踏まえまして、私どもとしては対応を考えてまいりたいと思っております。
#143
○林紀子君 今度のこの乳価によってますます酪農離れをしていく、これではもう酪農をやれない、自殺者まで含めてこういう状況というのがますます起こる可能性があるわけですから、本当にそのことを真剣に考えていただいて、関連という形では本当は不満なわけですけれども、そこでも何とか救っていくということをぜひ真剣に考えていただきたいと思うわけです。
 それから次に、限度数量の問題についてもお聞きしたいと思います。
 牛乳、乳製品の需要を八五年と九〇年を比べますと総消費量で一・二倍になっているわけですね。それに対して国内総生産量は一・一倍と総消費量に追いついていないわけです。その一方で酪農民には生産調整を押しつけて、乳製品の輸入は八五年の一・四倍と急増しています。ですから、牛乳、乳製品の自給率といいますのは、八五年の八五%に対して九〇年には七八%まで落ち込んでいるわけです。そしてこの輸入量は、調製品を入れて九一年には金額ベースで千九十一億円と九〇年を三十二億円も上回っているわけですね。こういうことでは日本の酪農民は納得できるわけがありません。国内で自給できる限り国内で自給すべきです。
 限度数量を昨年ふやしたわけですけれども、今年度は据え置きの二百四十万トンということでやはり諮問しているわけですね。これをふやすべきではないかと思いますが、いかがですか。
#144
○政府委員(白井英男君) 限度数量についての御質問でございますが、限度数量につきましても、いわゆる不足払い法、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法、これに基づきまして、ここの中の条件といたしましては生乳の生産事情なり飲用牛乳及び乳製品の需給事情その他の経済事情を考慮して算定するということになっておりますので、四年度につきまして算定しましたところ二百四十万トンということで審議会に提出をしているところでございます。限度数量についての考え方といたしましては、当然生産を予測いたしますときに国内で直近までの動向をもとにしまして、生産可能な数量は国内で当然に生産をし供給するということでございまして、足らないものにつきまして海外から入れるというようなことで試算をしているところでございます。
#145
○林紀子君 乳価も据え置き、限度数量も据え置き、そういう諮問ではやはり酪農家は納得できない、このことを強く申し上げたいと思います。
 それから、ただいま刈田委員から御質問がありまして、それの続きというような形になりますが、私も乳脂肪率三・五%というのは大変酪農家にもまた牛にも大きな負担をかけている、こういうふうに思うわけですね。この三・五%という乳脂肪率、三・二%でいいのではないかという今お話がありましたけれども、私もそのとおりだと思うわけです。ここに、北海道酪農協会専務理事の小林道彦さんという方が講演をなさった、それを速記したものがあるので、私も拝見をしたわけですけれども、「乳量は上げろ、脂肪は上げろ、無脂固形は上げろ、蛋白は増やせ、そして細菌数や体細胞は減らせというのですから、牛も人も大変です。だから、牛は大体五歳で廃牛」になってしまう、こういうことを書いているわけなんですね。「老廃牛とは言いたくないが、女性で言えば三十歳ぐらいの最も働きざかりの五歳ぐらいの牛は、廃牛になります」、若くして屠場に引っ張られて行く。「これから搾れるというときに、屠場に行く。乳牛資源として、本当に、これでいいのかと思うくらいまだまだ張り切った、つやつやした牛が安く売られて行く。」「六歳から八歳ぐらいになると乳量はどんどん出るころなんです。」、こういうことを言っていらっしゃるわけですね。そういうことを考えますと、本当に酪農家も精神的にも、先ほどいろいろ具体的なお話しありましたけれども、労働力としても大変な状況で、この乳質規制というのをアップするということで乳質規制ということでやっているわけですね。牛にとってもこういう状況なわけですから、この乳脂肪率三・五%、もう一度見直す必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#146
○政府委員(白井英男君) 乳脂肪率三・五%の件でございますけれども、先ほども刈田先生からも御質問がありましてお答えいたしましたけれども、最近の生乳の生産の状況から見ますと、全国的に見ますと乳脂肪率は大体三・七%というようなことになっております。これは地域的にとかそれから季節的によっても変動がございますけれども、三・五%以上ということにつきましては、私どもとしてはこれは技術も定着しているのではないかというふうに見ているわけでございます。
 それからまた、これもまあいろいろ見方もあるようでございますが、私どもとしては、昭和六十二年に三・二から三・五に変わったことによりまして、牛乳が非常においしい、コクがあるというようなことになりまして、この消費が伸びてきたということでございます。したがって、消費拡大といいますか、需要拡大の大きな要因になってきている。これはひいては酪農経営の安定に貢献をしているということでもございます。
 それから、昭和六十二年からということで、発足当初はそれぞれいろいろ混乱もあったかと思いますが、最近におきましてはこれは慣行された商慣習というようなことにもなっておりますので、私どもとしてはこれは十分に尊重しなくちゃいけないということでございますので、現時点におきましてこの三・五%を引き下げるというようなことにつきましては考えにくい状況でございます。
#147
○林紀子君 今お答えがありましたけれども、私が申し上げました、牛がまさに人間で言えば三十歳の働き盛りでもう使い捨てになってしまって屠場に引かれていくという、そのことについてはそういう御認識はあるわけでしょうか。
#148
○政府委員(白井英男君) 乳質改善とか、牛につきましての品種改良等にいろいろ努めておりまして、したがいまして、三・二から三・五%に上がりまして、それに対応するようなえさの給与の仕方、あるいは先ほど言いましたような乳質改善等に我々としては努めていきたいというふうに思っております。
#149
○林紀子君 私は全農が発行しております「酪農のなかま」というパンフレットを見せていただいたんですけれども、これにはワシントン州のシアトル市近郊にあるアメリカのカーネーション牧場、これは有名な牧場だそうですけれども、ここの情報が出ております。この牧場の産乳成績は全米DHIRのトップに五年続いて輝いたという、大変こういうすばらしい成績をおさめているところだということですが、この牧場の牛の乳脂肪率三・四五%だというふうに書いているわけなんですね。ですから、こういうことを考えましても、どうして三・五%を本当にこれほどこだわるの、か、やはり乳業メーカーの方の要望ではないかということを私も思わざるを得ないわけです。
 先ほど午前中のお答えの中に、政務次官、健康のために薬というようなつもりで牛乳を飲んでいるんだというようなお話がありましたけれども、今、日本人の中では脂肪のとり過ぎということも大変問題になっているわけですね。そういう意味では、人々が牛乳に求める願いというのは脂肪よりもカルシウムじゃないかという声もあるわけなんですね。ですから、そういうことでは本当に脂肪、脂肪という、ここばっかりを、脂肪率ということばっかりを追い求めるということは、牛も人間もまさに過労になってしまうということではないかと思います。このことをもう一度見直していただきたいということを要求しておきたいと思います。
 最後に、私は岡山市の場外馬券売り場の設置についてここで一点お聞きしたいと思うわけですけれども、岡山の市議会で最近場外馬券売り場を設置してほしいという推進請願が採択されたというニュースがあります。しかし、この岡山市の場外馬券売り場といいますのは、今までも多くの反対運動が続けられておりまして、平成二年の「五月二十二日付をもちまして、申請者である当該社に対しまして、断念したということを明らかにいたしております。」「このことは農林水産省畜産局長にも報告しておるところでございます。」ということで、平成三年四月十八日の衆議院の農水委員会で中央競馬会の渡邊参考人からお返事がありましたし、私も当委員会でこのことをお聞きいたしましたら同じようなお答えをいただいたわけです。
 ですから、またここで推進請願などということが改めて持ち出されてきましたが、地元の場外馬券売り場は設置してほしくないという願いは以前と変わらないわけですので、これはそのままこの平成三年のお答えどおりで、改めて設置をするということには動き出さないだろうというふうに思っているわけですが、それでよろしいのかどうか、そういうことで対処をしていただきたいということを含めてお聞きしたいと思います。
#150
○政府委員(白井英男君) 岡山の場外馬券売り場の件でございますけれども、この件につきましては、平成二年の五月二十二日付で中央競馬会から設置については断念をするということで通知を受けているわけでございます。これは私どもだけじゃなくて関係方面に通知をしたというふうに聞いております。
 岡山市の市議会の状況でございますけれども、これは私どもは新聞で知るだけでございまして、それ以上の情報はございません。しかも、今のところ中央競馬会にも何らその設置についてのさらにしたいとかどうのとかというような要請もないというふうに聞いているところでございます。
#151
○林紀子君 今申し上げましたとおり、地元の皆さんたちは、大変な運動をしてようやくこういう決着がついた、もう一件落着だと思っていたところにまたまたこうした事態が持ち上がったということで、また同じようなことを繰り返さなければいけないのかということで大変大きな心配をしておりますので、きちんとこうした形で、公文書という形で市の方にも通知がされているわけですので、そういう線でぜひ推進をしていただきたい、認めないという形で対処をしていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。
#152
○井上哲夫君 最後になりましたが、馬の質問が出ましたので、豚の質問をいたしたいと思います。
 まず、豚のオーエスキー病の清浄化といいますか防疫体制、これはどうなっているのか、その点についてお尋ねをいたします。
#153
○政府委員(白井英男君) 豚のオーエスキー病についてのお尋ねでございます。
 この病気は、昭和五十六年に山形県で初めて発生いたしまして、その後発生地域なり頭数が拡大なり増加していったところでございます。最近では関東地方が中心でございまして、元年に六都県で千五百七十五頭、二年には十一県で千五百十一頭でございましたが、これをピークといたしまして、三年には十一都府県で六百三十九頭、本年の二月までには四県で九十八頭ということで減少しているところでございます。
 本病の防疫対策でございますけれども、五十六年に発生したわけでございまして、それ以来、発生農場におきます発症豚、これの早期淘汰と、それから定期的な抗体検査によります防疫というようなことで進めてまいってきたわけでございますけれども、先ほど数字で申し上げましたように、六十三年以降発生頭数が非常に増大をしてきた、それから肥育豚で発生しましたものにつきましても発生の態様といいますか様相といいますか、これが変化をしてきたというようなことで、新たな防疫方式の検討を行いまして、平成三年の三月からはワクチンの製造、輸入を許可いたしまして、このワクチンの使用を含めた総合的か防疫対策を行ったところでございます。これによりまして、先ほども数字を申し上げましたけれども、平成三年には発生頭数の激減を見ているということでございます。
#154
○井上哲夫君 このオーエスキー病の件で私もちょっと小耳に挟んだんですが、発生をして、清浄化のためにということで養豚農家が廃業した。廃業については、仲間の養豚農家がお金をつくって出し合い、あるいは国や県の助成金で賄って、発生をしたところが廃業して清浄化が達成できたというようなことを小耳に挟んだのでございますが、それは事実なんでしょうか。
#155
○政府委員(白井英男君) オーエスキー病にかかっております豚、いわゆる陽性豚、これを淘汰いたしますのに費用がかかりますので、そのために清浄化促進費ということで、一頭当たり一万円でございますけれども、助成をしているということでございます。
#156
○井上哲夫君 審議官をいじめるつもりは全然ないんですが、このオーエスキー病というのは法定伝染病じゃなくて届け出伝染病で、激害性の病気でもない。そうしますと、淘汰の一番いい方法として発生した養豚場が経営をやめる、そしてそれによって蔓延を防ぐ。これはなかなかいいことであるということも言えるわけですが、むしろやめていく畜産の農家がおることにどう対応をするのかとか、あるいは非常に経営の見通しが暗いにもかかわらず乳価等の据え置きもしくは安くなる、そういう見通しが暗いというふうなことが実はずっと午前中から議論をされてきたと思うんですけれども、こういうときに、廃業によって淘汰されたことはやむを得ないというかもう仕方がないという受けとめ方に問題があるんじゃないか。そういうことが上がってきたら、むしろ逆に何としても廃業させない、困るんだと。一人の農家のそういう廃業がすべて後になればどんどん廃業していく、あるいは前途が暗いというふうなことがどんどん膨らんでいくわけですから、例えばオーエスキー病の発生で淘汰という側面から見ると、補償金あるいは仲間のお見舞い金等、そういうことでその養豚場をなくすることがいいのかもしれませんが、逆に一つ考えを変えるとこれは大変好ましいことではない。むしろ廃業をとめないといけない。説得に説得を重ねて、あるいは二、三年休業するにしてもとめなければいかぬという考え方も出てくるわけですね。そういう点でオーエスキー病の廃業ということが清浄化の中に、あるいは淘汰の中に入っておるとすれば、それは私は決して好ましいことではない、むしろそういうことは極力避けるべしという、そういうことを明確に出すべきではないかと思うのでございますが、いかがでしょうか。
#157
○政府委員(白井英男君) オーエスキー病にかかりました豚、これは放置しておきますと、伝染力が強いということで急激に蔓延をいたしまして、地域なり周辺に大変な被害を及ぼすことになりますので、これの淘汰は必要であろうという観点から、私どもとしてこの促進費というような形で助成をしているところでございますが、淘汰しました豚にかえまして、いわゆる健康豚といいますか、新しい豚を入れてさらに経営を継続するということにつきましては、それはそれなりにまた対応が可能であろうというふうに思っている次第であります。
#158
○井上哲夫君 別にそのことについて私は異を唱えているわけじゃないんですが、どうも淘汰という、あるいは対策がそのときうまくできたという、そういうところだけでともすれば評価しからではないか。実は、それは今一番問題になっている日本農業の再生という場合に、極力離農させない、極力廃業させないというならば、むしろそういう意味の淘汰あるいは清浄化ということの中に離農、廃農というものは含まないんだということを明確に出さない限りなかなか難しいんじゃないか。
 まあ、別に揚げ足をとるわけじゃないですけれども、それほどにオーエスキー病が大変な病気ならば、むしろ法定伝染病に指定をして、届け出伝染病じゃなくて、全面的な強権発動による対応をすべきであるわけでありまして、いや、そうじゃないんだ、オーエスキー病は届け出の伝染病のいろんな特性から見てそこの域内にとまっているんだ、届け出制に基づく防疫体制で十分対処できるんだと、そうであればなおさらそのように思うんですが、これは御通告しておりませんが、政務次官、いかがでしょうか。
#159
○政府委員(白井英男君) 法定伝染病ということになりますと、要件といたしましては、一つには公衆衛生上問題となります人畜共通の伝染病ということとか、一つには国際的な防疫推進上問題となる疾病であるとか、それから伝染力が強くて広範かつ急激に蔓延して、しかも発生時における被害が甚大である疾病というようなことになるのでございますが、オーエスキー病をこういう観点から検討してまいりますと、一つにはこれは人畜共通の伝染病ではないというようなことでもございますし、それから一つには口蹄疫のような国際家畜伝染病として各国が協調して撲滅を図るというような位置づけがされてないとか、豚コレラのような急性でかつ急激な病症を示すものではないというようなことになろうかと思います。
 法定伝染病に指定するということになりますと、これは言ってみればそれを所有しております者の所有権まで制限をするということになりますので、大変な権利制限というようなことになりますので、これについては慎重な対応が必要であろうというふうに考えております。
#160
○井上哲夫君 政務次官にお願いします。
#161
○政府委員(陣内孝雄君) ただいまのような事情でございます。ただ、先生から御指摘いただいておりますように、養豚業を育成するということは大事でございますので、オーエスキー病の清浄化対策とあわせてやはりそういった養豚業の育成のための施策というのは大事であろうと思っております。
#162
○井上哲夫君 次に、鳥のことについてお尋ねをいたします。
 今回、食用の鳥肉については検査システムが導入をされるということで、今その準備が行われているということでありますが、せっかく厚生省の方に来ていただきましたので、まず厚生省の方にお尋ねをいたしますが、日本で鳥肉のいわゆる検査システムの導入ということになって、輸入の鳥肉との均衡といいますかバランスといいますか、あるいは輸入肉についての検査体制との関連性はどうなるのでございますか。
#163
○説明員(伊藤蓮太郎君) お答え申し上げます。
 来る四月からは食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律、いわゆる食鳥検査法と言っておりますが、その法律に基づきまして国内においては食鳥検査が開始されるわけでございます。これに伴いまして輸入食鳥肉については、食品衛生法に基づきまして牛肉、豚肉などと同様に輸出国政府機関の発行する証明書が添付されていなければならないということが義務づけられることになっております。
 その輸出国政府機関の証明書には、例えば人畜共通伝染病の鳥の病気にかかっていないとか、あるいはその疑いがないとか、あるいはへい死した鳥の肉ではないとか、あるいは輸出国においてどこの検査機関がその鳥の肉を検査したかとか、そういうようなことが記載されておるわけでありまして、そういう輸出国政府機関が発行した衛生証明書のないものは輸入できないという仕組みになっております。
 さらに、輸入時におきましては、検疫所において抗菌性物質のモニタリング検査などを行うことにしておりまして、国内同様輸入食鳥肉につきましても安全確保が図られるものと考えております。
#164
○井上哲夫君 輸入の食鳥肉についての日本での検査体制あるいは防疫体制は今一応いいということですが、国内の食鳥肉の検査体制についてちょっと農水省にお尋ねをしたいと思うんです。
 検査料は、聞くところによると、一羽幾らということでばらつきがあるようなんですね。各県によってその検査料が、あるところは四円とか、まあ二円があるのかどうか知りませんが、二円、三円、四円、五円というふうな検査料のばらつきがある。その検査料は生産農家が負担をすることになるんだということなんですが、こういう県のばらつきが、例えば食鳥肉の流通に影響を及ぼすおそれはないかどうかということと、もう一つは、こういう検査制度を導入すれば、これまで新たなこういう制度なしで流通に回っていた食鳥肉について、当然歩どまりが、悪くなるという言葉は語弊があるが、むしろ適正な歩どまりになると。とすれば、そのコストがまた影響を及ぼしていくんではないか。こういう検査料の各県によるばらつきでどういうふうに影響が出るのか、あるいはコストの影響はどのように農水省としては考えているのか、その辺についてお尋ねをいたします。
#165
○政府委員(白井英男君) 食鳥検査の手数料についてのお尋ねでございますが、まだ現段階で検討しているという県も多いと聞いておりまして、私ども最終的な姿はまだ全部聞いてないのでございますけれども、関係業界から聞くところによりますと、おおむね一羽三円から五円ということで決まるというふうに聞いております。
 この額というのは、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律、関連の政省令、これによりまして都道府県知事が実費を勘案して定める額ということになっておりますので、各都道府県ごとのいわゆる処理場の規模の違いというようなこと等によりましてまあ若干差が出てくるのかな、やむを得ないことなのかなというふうに思っている次第でございます。
 さはさりながら、我が省といたしましては、余りその手数料の水準に差が出るということは好ましいことではないわけでございまして、業者間の公平な競争が阻害されるというようなことにもなりますので、できるだけ低額で、しかも、近県間といいますか近隣間といいますか、隣同士の県で余り差が出ないようにというような形で決まるのが望ましいというふうに思っているところでございます。
 ただ、この検査手数料を法律に基づきまして都道府県知事が定めるということで、都道府県知事の裁量に任されているものでございます。農林水産省としてそれについてどうこう言うという立場にはございませんので、ばらつきが出るというのはやむを得ないことかなというふうに考えているところでございます。
 この検査が実施されますと、言ってみれば検査を受けますための検査手数料の負担とか、それから処理場につきましても一定の要件を課されますので、そのために施設の整備が必要になります。それから、検査を受ける体制づくりといいますか、人員の配置というようなことで人的負担もかかるわけでございます。そういう新しい経費負担、これにつきましては、生産の各過程の中で吸収していくということが望ましいわけでございますけれども、さはさりなりがら、一定の負担増は避けられないということになりますので、私ども農林水産省といたしましては、平成元年度から食鳥検査に対応いたしました処理場の整備につきまして集中的な助成を行ってきているところでございます。
 さらには、食鳥検査というのは一定の目的でなされて、鶏肉の品質についての保証なり安全性の保証がなされるわけでございますので、消費者に対しまして、この食鳥検査が導入されることによって鶏肉の品質なり安全性が高まるというようなメリット、これを訴えていく、PRしていくということが大事だろうと思っております。それらにつきまして私どもとしても努めてまいりたいと考えている次第であります。
#166
○井上哲夫君 終わります。
#167
○委員長(永田良雄君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。
 菅野君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。菅野君。
#168
○菅野久光君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、参院クラブの各派共同提案に係る畜産物価格及び繭糸価格に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
 畜産物価格及び繭糸価格に関する決議(案)
 我が国の畜産業は、牛肉の輸入自由化、需給の不均衡、価格の低迷、後継者不足、さらには離農の増大等極めて困難な情勢に直面している。
 よって政府は、平成四年度畜産物価格、繭糸価格等の決定に当たっては、将来展望が開けるよう次の事項の実現に努め、畜産業及び蚕糸業の安定的発展に万遺憾なきを期すべきである。
一 加工原料乳保証価格については、最近における乳用初生牛等副産物価格の低落等に配慮し、また、長年にわたり生乳の生産調整を実施している実情を踏まえ、酪農経営の安定・向上に資することを基本とし、生乳の再生産を確保することを旨として決定すること。
 加工原料乳限度数量については、国産生乳供給の十分な確保を旨とした生乳需給計画の下、適正に決定すること。
二 豚肉・牛肉の安定価格については、再生産の確保を図ることを旨として、経営の安定に資するよう適正に決定すること。特に、牛肉の安定価格については、肉用子牛合理化目標価格を考慮することによって急激な変化が生ずることのないよう措置すること。
 また、最近における乳用種等の枝肉価格の低落に伴い、乳用種肥育経営等の収益性が悪化している現状にかんがみ、引き続き肉用牛肥育経営の安定対策を推進すること。
三 肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家の再生産の確保を旨として適正に決定するとともに、合理化目標価格については、我が国の肉用子牛生産の実態に十分配慮し適正に決定すること。
 また、肉用子牛生産者補給金制度の活用、乳肉複合経営の推進などにより、肉用子牛の生産安定を図るとともに、酪農経営の安定に資すること。
四 ウルグアイ・ラウンド最終合意文書案において、例外なき関税化が提案されていることに対処し、基礎的食料は国内産で自給するとの基本的方針を堅持することはもとより、我が国酪農の健全な発展及び地域経済の振興を図る観点から、基幹的乳製品の輸入制限措置を堅持するため、ガット第十一条二項。その見直し・明確化について、我が国の要求が実現するよう最善を尽くすこと。
五 消費者ニーズに即した安全で良質な国産乳製品を消費者に提供するとともに、酪農経営の安定を図るため、乳質の向上及びナチュラルチーズ等高付加価値乳製品の生産の推進に努めること。
六 都市化、混住化の進行に伴い、糞尿処理等の畜産環境問題が飼養規模の拡大等による生産性の向上と経営の安定を阻害する大きな要因となっていることにかんがみ、環境保全対策を推進すること。
 また、豚のオーエスキー病の清浄化を図るため、総合的な防疫対策の推進に努めること。
七 繭糸の安定帯価格については、繭生産及び生糸価格の動向等蚕糸業をめぐる厳しい情勢にかんがみ、蚕糸業の健全な発展に資するよう決定すること。
 また、国産の繭及び生糸の安定供給を図るため、繭糸価格安定制度の適切な運営を期するとともに、広食性蚕品種の開発等高能率養蚕経営を育成するための対策の推進に努めること。
右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#169
○委員長(永田良雄君) ただいまの菅野君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#170
○委員長(永田良雄君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、陣内農林水産政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。陣内農林水産政務次官。
#171
○政府委員(陣内孝雄君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の畜産及び蚕糸業をめぐる情勢を踏まえつつ十分検討してまいる所存でございます。
#172
○委員長(永田良雄君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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