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1992/04/16 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 農林水産委員会 第6号
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1992/04/16 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 農林水産委員会 第6号

#1
第123回国会 農林水産委員会 第6号
平成四年四月十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十日
    辞任         補欠選任
     及川 順郎君     中川 嘉美君
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     星野 朋市君     木暮 山人君
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     木暮 山人君     星野 朋市君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         永田 良雄君
    理 事
                鎌田 要人君
                北  修二君
                菅野 久光君
                三上 隆雄君
                井上 哲夫君
    委 員
                青木 幹雄君
                大塚清次郎君
                鈴木 省吾君
                鈴木 貞敏君
                高木 正明君
                初村滝一郎君
                星野 朋市君
                一井 淳治君
                大渕 絹子君
                谷本  巍君
                村沢  牧君
                刈田 貞子君
                林  紀子君
                喜屋武眞榮君
   国 務 大 臣
       農林水産大臣   田名部匡省君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        陣内 孝雄君
       農林水産大臣官
       房長       馬場久萬男君
       農林水産省経済
       局長       川合 淳二君
       農林水産省構造
       改善局長     海野 研一君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     上野 博史君
       農林水産省畜産
       局長       赤保谷明正君
       農林水産省食品
       流通局長     武智 敏夫君
       食糧庁長官    京谷 昭夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡  光君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局職業教育
       課長       水野  豊君
       文部省初等中等
       教育局教科書課
       長        矢野 重典君
       農林水産省経済
       局統計情報部長  須田  洵君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農業改良資金助成法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
○獣医師法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○獣医療法案(内閣提出、衆議院送付)
○家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(永田良雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農業改良資金助成法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○村沢牧君 我が国の農業は、担い手の不足、また耕作放棄地の増血、さらには農業所得が減少をする、あるいは食糧自給率が低下をする、農村集落の崩壊等、地域社会の維持が困難になっている。私は大変な危機を迎えていると思いますが、この農業を取り巻く危機について、まず大臣の認識を伺いたい。そして同時に、この危機を克服して日本農業の将来展望をどのように開いていくのか、その決意についても大臣にお聞きしたいと思います。
#4
○国務大臣(田名部匡省君) おっしゃるとおりの状況であります。
 農業基本法制定後、いろんな施策の実施をしてまいりましたが、酪農、養豚、採卵鶏などの畜産、施設園芸の分野を中心に確かに生産性の向上は進んでおりますし、農家総所得で見ますと勤労者の所得を上回っているということではありますが、本来農業で所得を得られるということは大事なことであって、所得が多いからいいということは言えないと思うのであります。
 また、経営規模の拡大がおくれております稲あるいは麦、大豆、こうした土地利用型の農業についても一生懸命令創意と工夫のもとに生産性の向上を図っておるところでありますが、この分野は非常に厳しい状況にある。
 一方、農業をめぐる環境でありますが、何といってもお話しのように専業農家等農業の担い手が減少しておりますし、高齢化が進展して、あるいは耕作放棄地がふえておる。加えて国際的な問題がございまして、大きな節目を迎えておることも事実であります。
 このような事態を踏まえて、今後の農業政策については、農業を営む方々が生産活動を活性化いたしまして、何といっても魅力がなきゃいかぬ、あるいは誇りを持って農業に従事できる、そういうことが大事であろうと思いまして、農村地域に定住できるような方法等も基本的な条件として整備をしていかなきゃいかぬ。こういうとらえ方で新政策の検討も今いたしておりますが、何といっても二十一世紀という次の世代の子供たち、この子供たちが本当に農業に誇りを持てる、そんな政策にしていかなければならないという考え方で今検討をいたしております。
#5
○村沢牧君 私は幾つかの例を挙げたんですが、総じて日本農業は危機に立たされている。この危機感がなくては、なぜこういうことになったかという反省がなくては新しい政策もできてこない。
 大臣、農業は危機に立っている、立たされている、そういう認識をお持ちですか。
#6
○国務大臣(田名部匡省君) 全体、全部が危機がというとそうでもないのでありますけれども、部分によっては相当の危機があるというふうにとらえております。
#7
○村沢牧君 部分によって危機ではなくて、農業全体が危機なんですよ。ですから、そのことをやっぱり踏まえなきゃこれから新しい政策も出てこない。
 そこで、きょうは、主として担い手問題について、どういう状況になっているのか、どうするのかということを質問してまいりたいというように思います。
 農家戸数は一九六〇年には六百六万戸ある。九〇年には三百八十三万五千戸になり、このうち中核農家は総農家数の一六%と六十二万戸になってしまったんです。この農家の中で後継ぎのいる農家はそれぞれ何割ぐらいですか。
#8
○説明員(須田洵君) まず、全国の総農家戸数でございますが、一番新しい数字で見まして、平成三年に三百七十八万九千戸でございます。そのうち同居後継ぎのいる農家は二百三万戸でございまして、総農家戸数に占めます割合は五四%でございます。また、六十歳未満男子農業専従者のいる農家、いわゆる中核農家でございますけれども、ただいま先生六十二万戸と申されましたが、最近の、平成三年の調査におきましては五十八万五千戸に減っているわけでございますが、五十八万五千戸のうち同居後継ぎのいる農家数が三十六万六千戸でございます。中核農家戸数全体に占めます割合は六三%でございます。
#9
○村沢牧君 そこで、基幹的農業従事者がどういうふうに変わってきたのか、あるいは農業就業人口に占める割合、それから六十歳以上の割合について説明してください。
#10
○説明員(須田洵君) お尋ねのございました基幹的農業従事者、これの定義は、農業に主として従事した世帯員のうち仕事が主の人でございます。その数につきまして、平成三年、新しい数字で、二百八十七万四千人でございます。これは、農業就業人口全体に占めます基幹的農業従事者の割合ということで、六二%でございます。また、基幹的農業従事者に占めます六十歳以上の割合というのが四六%でございます。
 それから動向といたしまして、従来からの変化でございますが、この基幹的農業従事者の数につきましては、五年前の昭和六十年のセンサスでございますが、年次で言いますと六年前になりましょうか、三百四十六万五千人でございます。それが、先ほど申しましたように、平成三年は二百八十七万四千人ということに相なっております。そのうち六十歳以上の人の割合でございますが、昭和六十年におきましては三四%であった、それが現在四六%に高まっておる、こういうような実態になっております。
#11
○村沢牧君 現在までの推移と現状についての説明があったところでありますが、それが二〇〇〇年にはどういうふうになるのか、その見通しについて述べてください。
#12
○政府委員(馬場久萬男君) 平成二年に閣議決定いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」の参考試算としまして西暦二〇〇〇年の農業構造を展望しておりますが、その中で、総農家数は三百六十万戸程度、そのうち中核農家数が五十万戸程度、基幹的農業従事者数が二百三十五万人程度、そのうちの六十歳未満は百五万人程度というふうに見込んでおります。
#13
○村沢牧君 数字は示してもらいましたけれども、農家数に占める中核農家の割合、あるいは就業人口に占める基幹的従業者の割合についてもう一回答弁してください。
#14
○政府委員(馬場久萬男君) 先ほど申しましたように、二〇〇〇年の構造展望の中では中核農家というのは五十万戸程度と見込んでおりまして、総農家に占める割合は一三・九%でございます。
 それから基幹的農業従事者におきます割合は、ちょっと細かくわかりませんが、四三%程度ですか、だと思います。
#15
○村沢牧君 よく聞き取れなかったんだけれども、六十歳以上の占める割合は何%でしたか。
#16
○政府委員(馬場久萬男君) 今申しましたように、基幹的従事者数二百三十五万人のうち六十歳以上は百二十万人でございますから、失礼しました、数字として逆でございますが、数字としては五〇%を超える数字になると思います。ちょっと数字を計算しておりませんで申しわけありません。
#17
○村沢牧君 大臣、今答弁がありましたように、二〇〇〇年には基幹的従業者の占める割合がうんと落ちるわけですね。また高齢化もさらに進んでくる。それで日本農業の存立が保たれて、食糧の安定供給あるいは自然環境の維持ができるのか。そうして、これだけの数字であるとするならば農業後継者あるいは新規農業就業者は毎年どのくらい確保しなきゃならないというふうに思いますか。
#18
○政府委員(馬場久萬男君) 数でどのくらいというふうなことを確保しなきゃならぬという計算は私どもはしておらぬわけであります。
 ただ、今後の趨勢を見ると、今後どういう経営が必要になるかというようなことを考えなくちゃいかぬということで、現在、将来の展望としてどのような経営をこういう農業従事者の減少していく傾向の中で展望するかということを作業しているところでございます。
#19
○村沢牧君 官房長、新しい政策をつくっていく、その中心課題は担い手対策である。平成十二年にはこれだけ農業従事者が減ってまいりますよ、高齢化になってまいりますと。それならばどのくらいの新規就農者を確保しなきゃいけないのか、その展望等、数字がなかったらば新しい政策はできないじゃありませんか。
#20
○政府委員(馬場久萬男君) 先生御案内のとおり、農業に従事する人を何人でなきゃならぬという形で展望するという仕方は私どもとっておらぬわけでございまして、むしろこういう趨勢でいったらどのくらいの経営規模の経営を成り立たせるような条件を整えなきゃいかぬかということを示すことが逆に農業をやる方々の意欲を巻き起こすんだというふうに考えておりますので、我々の作業の中身としまして、これだけの人間を必ず確保してこうするというような作業形態ではなくて、将来の見通しに立ってどういう経営を成り立たせるかという政策の検討をしているところでございます。
#21
○村沢牧君 どんな経営をするにしても人がいなくてはできないんですよね。例えば、さっきも私は申し上げたんですけれども、こういうふうに担い手が減少していって、日本農業がその使命とするところの食糧の安定的供給、特にこれは環境問題が重要になっていますね。それが保たれるのかどうか。そのためにはどのくらいの農業を担っていこうという人が必要なのか。高齢化になっていきます。農業から離れる人もあります。新規にどのくらいの人に就農してもらわなければならない。さっと決めるわけにはいきませんよ。計画を立てるについてはそのくらいな資料がなくちゃできないじゃありませんか。
#22
○政府委員(馬場久萬男君) 先生のおっしゃっていることは十分理解できるわけでありますが、実際の政策を展望する場合に、私どもの方から何人の人間が要るというような形の計画を立てるということはなかなかできかねるわけでありまして、むしろ現在の例えば趨勢が続いていった場合に二〇〇〇年にはどのくらいの人口になるだろう、そうすると、例えば方向について言えば、我が国で自給をするためにはどのくらいの規模の経営をどういうふうに育てなくちゃいかぬかというような形で考えていっているわけでございまして、人の面で何人を確保しなきゃいかぬ、こういう形の検討をしてはおらないわけでございます。
#23
○村沢牧君 やっぱりこれからは担い手が何といっても一番大事なんです。どんな経営をするとかどんなことをやるとか、自然に任せてやっているからこういう形になっちゃったんですよ。だから、担い手はこれだけ必要なんです、新規就農者は必要だと、そういうやっぱり方向を立ててそれにふさわしい政策を行っていかなければ、ますます日本の農業は担い手がいなくて崩壊してしまう。
 そこで、一口に担い手と言っても、あるいは後継者と言っても、作目によってその内容は異なってくるというように思うんです。そこで、稲作だとか畜産だとか果樹園芸、野菜その他の作目について担い手の現状はどうなのか、後継者はどうなのか、そのことについて説明してください。
#24
○説明員(須田洵君) 先生の申されました担い手の数、これをどのベースでとらえるかというのは非常に見方によって違うと思います。一定のこの数でいこうとか、なかなか決めがたい面があろうかと思いますけれども、端的に申しますと、最も範囲の広いベースで見ますと農業就業者数というのがございます。これは現に農業に従事している数、それは現に農業を担っているというような意味での最も幅の広い数だと思います。さらに、その中には仕事が主ということで、仕事が従という方もいますから、それを落とした仕事が主であるという人に的を絞った、先生も先ほど申されましたいわゆる基幹的農業従事者数というのも一つのベースとして考えられると思います。
 ただ、それではもう少し年齢的な観点なり基幹男子農業専従者という概念といいますか、一定の日数以上働くというようなことも考えますと、先ほど来お話のございます中核農家、十六歳以上六十歳未満の基幹男子農業専従者のいる農家というベースで今まで議論をしておりますので、そういうとらえ方が一応考えられる……
#25
○村沢牧君 質問に答えて。そんなもう解釈は要らないですよ。
#26
○説明員(須田洵君) はい。その中核農家のベースで見まして部門別にどうなっているかという現状を見ますと、まず単一経営農家というベースで見まして、稲作の単一経営全体で見まして百三十六万戸いるわけでございますが、このうち中核農家に該当するものが九万二千戸でございます。比率で申しますと七%、稲作単一経営の場合は全体の七%が中核農家ということでございます。これに対しまして施設園芸は六八%、野菜は三七%、果樹は三〇%、酪農は七九%というような実態になっておりまして、部門によってかなり差が見られるということが言えようかと思います。
 一般に、稲作を初めとしました土地利用型の部門につきましては厳しい実態にあるんではないかというふうに見ております。
#27
○村沢牧君 どの作目をとっても厳しいんだけれども、特に稲作は厳しい。稲作の担い手というのは七%しかない。稲作について新規就農者というのはあるんですか。こんな状態では日本の米づくり、水田農業は崩壊してしまうんです。なぜこんなに厳しいというふうに思うんですか。
#28
○説明員(須田洵君) 数字のベースにつきましてお答えいたしますが、新規学卒就農者千八百人という最近の結果でございますが、これにつきましては経営部門……
#29
○村沢牧君 そんなことは後から質問するんですよ。稲作について聞いているんだ。稲作について後継者が……
#30
○説明員(須田洵君) それにつきましては、経営部門別あるいは県別の形では五十分の一の標本調査という関係がございまして、部門別にはちょっと……
#31
○村沢牧君 ちょっと待ってください。そんなことを聞いているんじゃない。稲作についての後継者は幾人あるのかということを聞いているんですよ。
#32
○説明員(須田洵君) 後継者という数で厳密な数字は今ちょっと持っておりませんが、中核農家という次元で見ますと先ほど申し上げたような数字でございますが、さらに基幹的農業従事者という面で見ますと、単一経営農家、稲作で六十七万八千人という数字になっております。
#33
○村沢牧君 そんなことを聞いているんじゃない。稲作は担い手が七%だと、その中で、最近後継者も調べているんだけれども、一体どのくらいの後継者があるのか。
#34
○説明員(須田洵君) この七%の中核農家のうち、いわゆる後継者がどのぐらいというのは今ちょっと手元に持っておりません。
#35
○村沢牧君 後ほど聞いていくけれども、新規学卒千八百人だと言うけれども、じゃ稲作をやろうといった学卒はどのぐらいあるんですか。
#36
○説明員(須田洵君) そのことにつきましては、先ほど申し上げましたように、新規学卒就農者数という把握は農業就業動向調査の一環として調査しているわけでございますが、これは先ほども申しましたように、標本抽出という形で、全部を調べるという形をとっているわけではないわけでございます。これはほかの調査もそのような調査が多いわけですが、その五十分の一を引き出してやっているわけでございますので、経営部門別にこの千八百人をブレークダウンして部門別に幾らという形ではちょっとお示しすることが難しいという性格のものでございます。これは全体が示せて……
#37
○村沢牧君 もういいよ。答弁長過ぎるよ。いいですか。
 農蚕園芸局長、あなたは稲作なんかの方を専門にやっている。しかし、一体稲作を継ぐ人が何人くらいおるのか、そうしたことが把握できなくて土地利用型農業は何でできるというんだ。稲作はなぜ労働力が育たないのか、これは入り口と出口がふさがれておる。入り口の問題は生産調整であり、規模拡大をしようとしてもできない。出口の問題は米の生産者価格だとか流通問題いろいろあるんですね。ですから、若者は稲作をやろうということにならないんですよ。その辺についてどう思いますか。
#38
○政府委員(上野博史君) 委員の御質問の趣旨を私ちょっと誤解いたしまして、お答えを申し上げるべきだったと思うわけでございます。稲作単一経営の農家で農業に主として従事している後継ぎがいるという農家の割合でございますと、現在三%くらいしかないという、そういう数字が私どもの手元にございます。
 それから、今おっしゃいました後継ぎがどうしてそういうふうに少ないのかということにつきましては、ほかに、他産業に就業の機会が多いということもあろうと思いますけれども、現在の農業後継者の方々から見て農業に従事するということについての魅力が必ずしも十分でないということが原因だろうというふうに考えております。
#39
○村沢牧君 だから私は農業が危機だと言うんですね。
 そこで、先ほどから統計情報部長はいろいろ言っていますが、農業後継者について、農水省の資料によれば、新規学卒者は千八百人になってしまった、それからUターン青年は千九百人だと。それが九一年にはどういう傾向になるのか。また、千八百人だとか千九百人といっても、それは地方別に見たら、あるいは都道府県別に見たらどうなっているか、その内容について説明してください。いろいろとその理屈は要らぬです。
#40
○説明員(須田洵君) 最近の調査につきましては、平成三年一月一日における農業就業動向調査の結果でございまして、その数字がさっきも先生おっしゃった千八百であり千九百という数字でございますので、その後の数字については、平成四年一月一日現在ということで現在調査の取りまとめをしております。まだ数字はございません。
 それから、これにつきましての県別等についての細分するということが難しいということにつきまして、これはどうしても説明させていただきます。
 それは、全体で農家約四百万戸といたしますと、五十分の一の抽出でございますから八万戸でございます。八万戸ぐらいのものを全体を調べるわけでございます。ただ、その中で、ちょうど調べた農家のうち、いわゆる新規学卒の子弟がいたという農家が現実に出現する度合いというのは非常にまた低いわけです。そういう出現度数の非常に低いものにつきまして、県別あるいは先ほどもございました部門別に数字を出すということについては、数字はもちろん積み上げたものといいますかそういうものとしてはございますけれども、年次別の非常に振れもございますので、そういう数字につきまして全国トータルとしてこういうものであるということをお示しするのが限界だろうというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、こういう千八百人なり新規学卒就農の問題につきましては、非常に重要な問題でございますから、やはり何らか、標本調査ではなくて、センサスという全体を調べるという形でなければ把握できないんではないか。そういうことであれば初めて県別あるいは部門別のものが言えるということになるんではないか。だから、そういうことになりますと、次のセンサスの段階においてこういうことも含めて検討していく必要があるんじゃないかというふうに考えているところでございます。
#41
○村沢牧君 農水省の資料を見ても、学卒者が千八百人でUターン者が千九百人。しかし、その数字の根拠については、統計情報部のただ抽出調査となっている。統計情報部のすばらしい頭脳と統計資料を全部使って出したんだから間違いないと言っているんですね。しかし、各地方、北海道はどうか、東北地方はどうか、それはわからない。どの県にどれだけあるかわからない。そんな数字を信頼していいのかどうか。
 そこで、今回の法改正の原動力になった新規参入者七十四人ですね、これについては、例えば七十四人のうち北海道は十二人だとか、長野県は二人だとか、青森は一人だとか、それから秋田、山形はゼロだとか、新潟はゼロだとか、県別に出ていますね。これはどういう調査をして出したんですか。
#42
○政府委員(上野博史君) 今お話しございましたこの数字は、私どもの関係の都道府県の普及所を通じまして地域の実情を調査いたした結果上がってきた数字でございまして、統計情報部の数字ではございません。業務調査でございます。
#43
○村沢牧君 それでは、農蚕園芸局長に聞くけれども、千八百人の内訳は、あなたが調査したように都道府県の普及所なりあるいは各農政局を通じて調べればわかるじゃありませんか。大事なことですが、なぜ調べてない。
#44
○政府委員(上野博史君) その点についても、各都道府県はそれなりに普及所を通じて調査をやっているという事情にはあるようでございまして、統一的な国としての考え方を示して調査をやっているというわけではございませんが、それぞれ県の数字はあるということのようでございます。
 それを私どもといたしまして一応全国的に取りまとめたものはありますけれども、ただこれは、今言いましたように、各県がそれぞれの事情に応じてそれぞれのいわば定義で集めた数字でございまして、全国的にまとめて幾らというふうに表現しにくいという制約のある数字でございます。
#45
○村沢牧君 農蚕園芸局長のもとにはそういう資料がある。統計情報部長のもとにはない。しかし、せめてこの数くらいはつかんでなきゃ、例えば新規農業者がどこの県に、どの地方に幾らいるかわからなくて、ただ漠然として千八百人だとか千九百人と言っているだけで今後の地方別の政策誘導や財政の配分がそれでできるのかどうか。
 じゃ、局長の方で各県別に、地方別につかんでおるとすれば、その資料を出してください。
#46
○政府委員(上野博史君) 若干答弁の訂正をさせていただきたいのでございますが、全国すべての県についてという事情にはございません。おおよその県について得ておるということでございますが、資料はお出しをいたしたいと思います。
 ただ、委員おっしゃいました統計情報部との数字の関係につきましては、これはやはり数字の集め方の方法が違うわけでございまして、先ほど統計情報部長もお答えになられましたように、必ずしも両者の間で整合性のあるように説明のつけられるものではないという点については御了解をいただきたい、かように考えます。
#47
○村沢牧君 私の県、長野県では、全国で学卒者は千八百人おると農水省は言っています、これに該当する数字として長野県では幾人ですかと聞いたら、五十八人ですという回答がすぐ返ってくるんですね。各県はやっぱり、我が県にはこれだけしか後継者がいないんだから、新規就農者がいないんだからそこで手を打たなきゃならないとやっているんですよ。農水省がそのことを把握できなくて、これは発表することができないとかなんとかいうことであってこれからの後継者対策ができますか。
 それから、あるいは地域別のさっき言った政策誘導なり、後ほど申し上げますけれども、その改良資金を各県に配付する。数が少ないからうんとやろうという考え方もあるでしょう。一人もおらないところへやってどうなるのかということになりますよ。その数字がどうして農水省全体として把握できないのか。農蚕園芸局長のもとにある後継者対策室というのは一体何をやっているんですか。そのくらいの数字を把握するのがその室の仕事じゃないですか。どうですか。
#48
○政府委員(上野博史君) 数字の問題につきましては、今、委員言われましたことも、私は相当理屈のあるお話のように承るわけでございまして、私どもといたしましても、そこら辺の数字のとり方については検討させていただきたい、かように考えます。
#49
○村沢牧君 数字のとり方についての検討はいいけれども、先ほど言ったように、農蚕園芸局長のもとには地方別あるいは県別の数字があるようですから、重ねて要求しておきますから資料を出してください。
 それから、大臣、農水省の新規就農者の数についても余り正確な根拠のあるものじゃない。しかし、農水省の言う人数を参考にしても、学卒で農業に就農しようとする人は大手自動車メーカーの新規採用の半分にもならないんですね。一年間にお医者さんになる人は幾人だと思いますか。お医者さんになる人は七千人ですよ。歯医者さんになる人は二千五百人。農業を担当する公務員は、農林水産省も含めて各県あるいは各市町村、市町村は三千二百有余ありますから、含めても、各市町村が一人ずつ新規に農業担当の公務員を採用するとは限らぬですよ。それにしても、私は正確な数字を調べてないけれども、三千五百人や六百人はあると思うんですよ。農業をやろうとする公務員はそれだけある。
 しかし、農業をやろうとする、仕事をやろうとする若者はその半分にもならない。全国三千二百三十九市町村の中で、学校出たてのまぶしいような若者の就農は千八百人、単純に計算すれば二市町村に一人しか就農しないではありませんか。まさに砂の中のダイヤモンドのような存在になってしまった。大臣はこの現実をどう考えますか。
#50
○国務大臣(田名部匡省君) まあ、いろんな理由はあると思いますが、総じて申し上げますと、他産業並みの収入が得られないということがやっぱり大きな問題であろうと思うのであります。また、経済がこれだけ発展していろんな職場で雇用する、そういうことの方が農業よりも楽だし、あるいは収入多いしということで、そちらの方にどんどんどんどん就職をするという後継者というものが非常に多いと思うんです。
 現に、私の地元の高等学校を見ても、農業高校を出たから農業後継者になるという人は少ないんですね。まあ、中には何でも学校に入りたいという子供もおるようでありまして、高学歴社会、そういうものが影響もしているんだろうと思いますが、いずれにしても基本的な問題は、農業として一定の収入、むしろ他産業よりも多い収入があればあるいは農業に携わっていただけるということがあるかもしれません。
 そういうことで、それをやろうとするとやっぱり経営管理能力とか企業的経営のできる担い手というものが必要になってくるということで、中には一定の規模、今お話しのように人数をどれだけ確保するかということよりも、どれだけの規模をやっていくかということがこれからの農業経営には大事なことであります。人手不足は農業ばかりではなくて、もういろんな分野に実は出てきておるわけであります。特に、三Kと言われる分野というものはみんなに嫌われるということがありますので、そういう分野での所得というものは他産業よりもむしろ高いぐらいでないとそこに集まってこない。
 それから、やっぱり何といっても誇りが持てませんと、どうも親御さんを見ても、農業はだめだめとふだんから子供に言っていることが、本当に農業はだめだと思うようになってくる。しかし、一億二千万の国民の食糧を供給するんだという誇りというものを持ってくれなきゃいかぬ。これが両々相まって一つの産業として発展させていきたい。もちろんそこには、今まではどちらかというと都市に社会資本の投資が行われてきた。これも一つの原因であろうと思うんです。もっともっと農村に環境整備でありますとか、そういうものを整備してあげませんと、その面でも定着をしていかない。
 こういう面についてこれから努力をして、二十一世紀には本当に新しい時代にふさわしい、そういう農業、農村の方向というものを明らかにしていかなければならないというふうに考えております。
#51
○村沢牧君 大臣の答弁聞いておると、何か人ごとみたいなことを言っているんですね。あなたは日本の農業の責任者なんですよ。収入が他産業並みに得られない、だから農業に入らない。なぜ農産物価格なんかあんなに抑えてきたんですか。後から財政のことも申し上げましょう。誇りを持てるようになぜ今までやらなかった。それから、これから農業のあり方を変えていくと言いますけれども、農業就業者に合わせて、新規就農者の数が減ったから農業はだんだん減らしていくという、これじゃ日本の農業は一体どうなっちゃうの。農業に関係する公務員の皆さん方は農業従事者よりも多い。皆さんが政策つくったってだれが担うんだ。農蚕園芸局長、どう思いますか。
#52
○政府委員(上野博史君) 先ほど来大臣、官房長がお話を申し上げておりますように、将来の農業のあるべき姿、どうやったら我が国の農業を魅力あるものにできるかという観点で今鋭意省内で検討いたしているところでございます。
#53
○村沢牧君 省内で検討するなんて、そんなことは十年も前からやっておかなきゃならなかったことなんですよ。
 そこで、一体なぜこんなに農業の後継ぎがなくなってきたのか、このことについて私の意見を申し上げましょう。
 第一に、農業の将来展望がない。国際化が進む中でも我が国の農業者が勝ち抜いていくという長期的なビジョンがない。だから、農業者は、そして青年は農業の将来に不安を持っているんですよ。大臣、どうでしょう。
#54
○国務大臣(田名部匡省君) 展望、ビジョン、そうしたものを示していかなきゃならぬということで今その検討をしているわけであります。まあ、全くなかったわけでもないんでしょうけれども、しかし、時代の変遷とともにこういう影響が出てきた、あるいは国際化の時代に即応して適切に手を打つということは非常に難しかった、いろいろ原因はあろうと思うんです。ですから、やっぱり時代が変わることに合わせて適切に変えていくという必要があるだろうと思うんです。
 その一つにはまた高齢化社会、出生率の低下、そうしたこともこれからの農業ばかりではなくてどの産業にも当てはまることでありますけれども、一体日本全体としてどうあるべきかということが今問われているときであろう。それに即応した形を農林分野でもとっていかなきゃならぬ、そういうことだろうと思います。
#55
○村沢牧君 時代は変わってまいります。経済も政治も変わってまいります。しかし、その変遷に対応する政策をしなきゃいけないと思う。それから、新たな農政を目指す政策を今検討中だとおっしゃる。さっきも申し上げましたが、こんな検討はもう十年も前にやっておかなきゃならなかったことなんですよ。
 そこで、それはやむを得なかったとしても、今まで進めてきた農基法農政、自民党農政、これについて反省がなくちゃならない、見直しかなくてはならない、その反省の上に立たなきゃ新しい政策は出てこないんです。大臣、今まで進めてきた日本の農政、農基法ができてから三十一年、その間における農水省のやってきた政策あるいは自民党農政、どういうふうに思っていますか。
#56
○国務大臣(田名部匡省君) まあ、自民党農政と言えるかどうかわかりませんが、国として行政も政治もいろいろかかわりながらその都度努力をしてきたことは御案内のとおりであります。いずれにしても、農業の生産性の向上、あるいは従事者の生活の他産業従事者との、さっき申し上げましたように、均衡といいますかそういう、農業基本法の政策目標は別に誤っているとは思いませんが、今申し上げたような新たな時代にどう即応していくかということを的確にとらえて努力をしていかなきゃならぬ。
 また、農業基本法制定後の情勢というものは今申し上げたようなことでございますが、法律自体の改正を要するという点については、今回の論点整理等の方向づけに基づいて今後どのような政策を打ち出していくか、そういうこととのかかわりがありますので、それぞれ関係方面の御意見を伺いながら検討してまいりたい、こう思っております。
#57
○村沢牧君 農基法がいいのか悪いのか、それはいろいろ論議のあるところです。農基法の精神だとか規定、政策目標は間違っていなかったと、そう言う人もあります。いや、間違ったと言う人もあります。しかし、間違っていなかったとするならば、その農基法の精神や規定に沿った農業政策を今日まで進めてきたのかどうか。進めてこないからこういうことになったんですね。ですから、私は新しい政策をつくるには今までのやってきたことの反省に立たなきゃできない、そのことを申し上げておきたいというふうに思います。
 次に、なぜこんなに農政不信が起きたのか、私は先日の委員会でも指摘をいたしたんですが、自民党政府はいかに農林水産業を軽視したのか、予算面にはっきりあらわれているんですね。一般会計に占める農林水産予算は七五年には一〇・二%だった。しかし、八〇年代には八・四%になり、九二年度は四・六%、まさに過去最低になってしまったんです。一般会計の予算の伸び率を八〇年と九二年を比較してみると、六九%も伸びているんです。ところが、農林水産予算は逆に一〇%も減ってしまった。こんな省庁がどこにあるんですか。そして、九二年度の予算は三兆三千億、防衛費は四兆五千億にもなっているんですよ。
 そして、この間農産物の支持価格は、八〇年と比較してみて四二%になったんです。八〇年を一〇〇とすれば九二年は四二。この間、アメリカは三・八倍、ECは二・九倍の伸びになっている。先日皆さんから答弁があったところです。こんなことを続けてきたから農業に取り組むという若者がなくなってきたんだ。農政は後退したんですよ。どうですか。ですから、本当に農政不信を取り除いて、若者が農業に飛び込んでいくためにはこんなような予算ではいけない。これ以上農林水産予算を減らしてはならない。どうですか、大臣。
#58
○国務大臣(田名部匡省君) 政策的な経費を切っているとは認識をいたしてないわけでありますが、いずれにしてもそのときとぎに必要な経費、特に新しいものでこうしなきゃいかぬというときは、そういうものは厳しい財政、シーリングという中でありましたけれども、それは増額をしていく、あるいは食管会計、そうしたもので切り詰める分野は切り詰めていく、そういう手法でやってまいりました。
 ただ、どうしてもマイナスシーリングの中でも切れない分野の社会保障費でありますとかいろんなものがありました。そういうものは、どうしても予算をカットするというわけにはまいらぬというものは、あるいは国会での論議の中でこういうものはもっと取り上げてやるべきだというようなものについては伸びを示してきたと思うのでありますが、いずれにしても、私どもはそういう厳しい中であっても政策だけは見失うことのないように最大の努力をいたしてまいりました。
 あれもこれも全部を残した上で新しい政策というのは困難な場面がありましたので、そういうことではやや比重において大事な方と思われるものには今後もまたさらに努力をして、新しい政策も出ることでありますが、当面、早くやれるもので手をつけなければならぬもの、そうしたものは重要視して予算を増額してまいりたい、こう考えております。
#59
○村沢牧君 私もこういうことを毎年論議をしてきた。その都度、一年ごとには皆さんは努力してきたけれども、結果的に見れば十年前と比較してみてこういうことになっちゃったんですよ。こんなことで満足しているんですか。シーリングはどこの省だってあったんですよ。農水省ばかりがシーリングをかけられたわけじゃない。だから、あなたたちが新しい政策を立て、法律をつくり、それに基づいて予算を獲得していくということを怠っていたからこういうことになったんです。これでは若者が本当に農業に飛び込んでいくという気持ちになれない。将来が不安なんですよ。そのことを強く指摘しておきましょう。
 それから、新しい政策を今検討している、その中で一番大きな問題は担い手対策である、近くその新政策を出すと言いますけれども、新政策は恐らく担い手問題について資金対策にも関係してくるだろうというふうに思います。ところが、新政策が出される前に今回農業改良資金の一部改正の法律を出した。私はこんな法律でもって農業後継者やあるいは担い手対策に大きな期待をかけられるものじゃないと思う。なぜ新しい政策の出る前にこんな小出しなことをしたんですか。
#60
○国務大臣(田名部匡省君) 意欲や能力の高い青年農業者を育成するということは重要な問題だと考えておりまして、新規学卒就農者の減少なんかを見ておりますと、新政策を待ってこれから徐々にというわけにもまいりませんし、農業後継者問題を解決するためには何よりも将来に展望の持てる農業だということを考えて政策検討をいたしておりますが、今回の農業改良資金助成法の改正は、さしあたりできるものから早く手をつけていかなければならぬ、そういう観点から農業後継者対策として行われてきた農業改良資金制度を拡充しながら、農外からの新規参入青年に対しても、技術力の習得、経営を開始するのに必要な資金、そういう無利子の資金の貸し付けができるようにした、こういうことでございます。
#61
○村沢牧君 それでは、新しい政策が出される、その中で今回の改正で不足するものはまた改正して出す、そういうお気持ちがあるのかどうか。
 そこで、今答弁があったような形で期待をしているということになりますが、今回の改正で新規就農者の増加をどのように期待しているんですか。
#62
○政府委員(上野博史君) なかなかこの制度をやったから幾らの新規就農者がふえるということを的確にお示しをするのは難しい、そのことはおわかりいただけるかと思うわけでございますが、もう一つ、ふえていくためにこういう施策をやるんだということもございますけれども、少ないとはいえ七十名余りの方が新規参入をされるという事情もあるわけでございまして、その方々がやはり資金的な不足に問題を抱えておられるという事情もあるわけでございますので、現在の制度を改めてそういう方々に対する資金供給ができるようにしようということも大きな今度の法改正の趣旨になるわけでございます。
#63
○村沢牧君 私も、そして我が党、日本社会党も、この後継者対策はこれからの農業について一番重要な課題である、そのことは承知をして、八九年に新農業プランを発表した。その中には農林業の位置づけ等基本政策を明らかにする中で、やっぱり青年農業者対策を講じなければならないということをはっきりして、そして一年有余検討して、地域農業振興法と中山間地地域農業振興法、青年農業者就農援助法をセットにして法案化して、青年農業者就農援助法は既に本院にも提案をしているところであります。他の二法は近く衆議院に提案いたします。そしてこれらの法案の大綱を対外的にも明らかにし、農水省にも示した。我々が本院に提出した青年農業者就農援助法だけでもって後継者対策や担い手対策が十分だとは考えておりません。他の法案とあわせて担い手を確保しなければならないというものであります。
 今審議に供している法案は、「青年農業者」という表現はもとより、内容においても我々社会党が検討してきた項目の一部分を取り入れたにすぎない。皆さんは社会党、野党に先を越されてはならないんで、そういう判断から今回の法律を提出した、そう言わざるを得ないんですが、どうですか。
#64
○政府委員(上野博史君) 私どもとすれば、先ほど来大臣も申しておりましたように、基本的な政策の立案の作業はいたしておりますけれども、現在あります農業改良資金助成法でやっております後継者対策、これを拡充するということについては別段大幅な政策体系の検討の結果を踏まえなければできないというわけでもないだろう、一歩前進ということは、しないよりましなはずであるというようなことで考えたわけでございまして、社会党の方でいろいろお考えになっておられるということとの関係でとやかく考えてやったということでは必ずしもないということについては御理解をいただきたいと思います。
#65
○村沢牧君 そういう考え方がいけないんですね。社会党だろうとどの党であっても、いいことがあれば積極的にあなたたちが受け入れていくという姿勢がなくてはこれからの政治はやっていけませんよ。
 それから、農業改良資金助成法では従来「農業後継者」という名称を使っておった。今度わざわざ法律を改正して我が党と同じように「青年農業者」と呼ぶようになったんですね。法律改正までしてやるんだったら、局長の下にある「農業後継者対策室」を「青年農業者対策室」に改めたらどうか。農水省の今までの資料や法律を見てもみんな「後継者」になっていますね。それを今後は全部「青年農業者」にしましょう。どうでしょうか。
#66
○政府委員(上野博史君) 役所の組織の問題と法律上の用語の問題と直結して考えなきゃならないということでも必ずしもないのではないかと思いますけれども、もし必要があればそういうような改正をすることについても検討はいたしてみたいと思いますが、我々として、「青年農業者」と改めることにつきまして、別に何といいますか、社会党の法案との関係がどうこうということではございませんで、こういうような「青年農業者」というふうに今回若干の幅を広げることが適切ではないかというふうに考えて対応したということでございます。
#67
○村沢牧君 私は、我々が最初に対外的に明らかにした「青年農業者」という言葉、それを農水省も使ったから悪いなんて言っているんじゃないですよ。ありがとうございます、よく使ってくれたと。だから、いい言葉なんだから、「農業後継者対策室」なんというのではなくて、「青年農業者対策室」にしてください。あるいはいろいろな資料に農水省は全部「後継者」と書いてあるけれども、「青年農業者」ということにした方がいいと思うんですね、せっかく法律改正をするんだから。
 そこで、改良資金助成法では「農業後継者たる農村青少年」を「青年農業者等」と改正する。これに関連して、農業改良助長法によって交付金を交付される協同農業普及事業のうち、研修教育事業の対象は「農業後継者たる農村青少年」になっていますね。これもやっぱり法律改正して「青年農業者」とした方がいいんじゃないですか。こっちの法律は「青年農業者」にした、こっちの法律はまだ法律改正しないで「後継者」と言っている。これは矛盾しているじゃありませんか。
#68
○政府委員(上野博史君) この点につきますと、説明が非常に技術的な話になりましてちょっと御理解がしにくいという感じもあるかもしれませんが、「農業後継者たる農村青少年」という言葉につきましては、これは農業に就業しようとする意欲を持った就農前の青少年を言うというふうに理解をいたしているわけでございまして、必ずしも農家の子弟だけではなくて、農外からの出身者もその範囲に含まれるというふうな理解にまず立っているわけでございます。
 それから、じゃ、なぜそれを今回「青年農業者」と改めたかということになるわけでございますけれども、今回その資金の貸付対象の範囲を拡大しようとしておりまして、従来、技術または経営方法の実地の習得ということのための資金供与だったわけでございますけれども、これに加えまして経営の基礎の形成のための資金というところにまで拡大をするということにいたそうとしているわけでございまして、従来の貸付対象者でございますと、これは将来の経営のための技術等の実地の習得をしようとする、現在まだ就農していない青年であるという考え方に立っての規定だったわけでございますが、それに加えまして、今まさに職業として農業経営を開始しようとしている青年等、幅広い青年層に拡大するということを考えまして「青年農業者」という表現にしたということでございます。
#69
○村沢牧君 そんなことを聞いているんじゃない、助長法のことを聞いているんですよ。
#70
○政府委員(上野博史君) 助長法の方について言いますと、「農業後継者たる農村青少年」という、これを対象にいたします研修教育というのは、これは非農家の出身者も含めまして就農していない青少年を幅広く対象とするということでございまして、言うなれば先ほどの農業改良資金助成法の「農業後継者たる農村青少年」の考え方と差がないという考え方に立っているわけでございます。
#71
○村沢牧君 くだくだしい説明をしてもらったけれども、同じことじゃないですか。いろいろ理屈は皆さん役人ですからつけますけれども、改良資金助成法では「青年農業者」にした、助長法では同じ文句が「農業後継者」で残っておるんですよ。せっかく優秀な官僚の皆さんですから、法律改正するんならそっちもあわせて改正すべきなのが当然だと思うんですよ、私は。変なわかったようなわからないような理風を並べてみたって農家、農民にはわからないんですよ、そんなことは。そのことを要請しておきましょう。
 それから、大臣、現在及び将来の農業経営で青年農業者の確保が最も重要な問題です。その施策は、私は大胆な発想の転換をしなければならないと思う。従来の枠組みの中にこだわって、それはいわゆる仕組みはあることは知っていますよ。しかし、農水省の官僚の皆さん方が政策や法律をつくるときの頭はすぐいつも大蔵省へ行っているんですね。こういう法律を出したら、政策をとったら財政当局は何と言うのか、通るのか通らぬのか、そんなことはかり考えておったんでは新しい政策も新しい青年農業者も出てこない。大胆な発想の転換を求めているわけです用大臣、どうでしょうか。――大臣ですよ。局長がそんな全部のことを言えるか。
#72
○政府委員(上野博史君) 大きな政策立案をいたしてまいるということにつきましては、その要請の根っこになっております現状に即して物を考えていかなければならないということも一方ございますし、それからまた、それに財政資金を要するということでございますれば、財政との関係の兼ね合いを考えていくということもこれは避けられない話でございまして、調整について十分な努力をしなければならない、かように考える次第でございます。
#73
○国務大臣(田名部匡省君) 実際に事を進めようとすると、今お話しのような法律あるいは予算を伴うのは当然でありますが、私どもはどっちかというと政治家でありますから、抜本的に大胆にやるようにとこう言うんですが、なかなかそこのすり合わせがですね、ただ、考え方としては、従来のものをちょっと手直しした程度ではもういかぬということでは申し上げております。
 ただ、そこまで踏み込んでいきますと、これはまた国会でもいろんな議論がおありだろうと思うのでありますが、しかし、農家の皆さんも覚悟を新たにする分野というものは相当出てくるんです。そうすると、そこのところはどうするかという議論は、当然反対も出るでありましょうし、しかしそこを乗り切らないと将来に展望が持てないというところもまた事実なんですね。ですから、農家の方々の意識というものをいかに変えていくか。これがないと、また一方では非常に私が考えておる大胆なということも難しい面もあると思うのでありますが、今の人たちは今のを改革されることに相当抵抗感があると思うんです。
 しかし、それを続けておりますと将来もっと困るということはわかりつつも、どうしてもやっぱり先生方を初め今のことを何とか助けてやらぬとということで、従来からもいろんなことがありましたけれども、私どもも今までは攻める立場でありましたからそういうことはよくわかるのでありますが、どうしても行政側としては、変えたいという意識はあってもそこまで踏み込めなかったという点はあろうかと思います。今度お示しする案を本当によく皆さんで御論議いただいて、将来の二十一世紀の子供たちが本当にやっていけるかどうかという視点から考えていただければ相当踏み込んだ大胆なことができるのではないかなという気がいたしております。
#74
○村沢牧君 意識を変えていくのは、農家ではなくて農水省、あなた方なんですよ。あなたたちは農業基本法ができて三十一年にもなるがちっとも変わってないじゃありませんか。そんなことではやっぱり大胆な発想ではないと思うんですよ。
 農業については各国ともみんな苦しんでいるんですよ。そこで、例えばECの農業青年者に対する就農助成金だとか、あるいは農業近代化のためのいろんなところに投資をしておる。これを少し勉強したらどうですか。
 それから、私は一つのアンケート調査表を持っていますが、それによりますと、就農前では、農地取得の不安を持っているのが二四%、技術不足に対する不安が二四%、資金の不足が二〇%、新しい生活に対する不安が一六%。あるいは就農後では、技術経験不足が二九%、現金収入不足が二〇%、資金の不足が一四%、あるいは土地問題、労力問題等があります。恐らくこのアンケートはもう間違いないと思うんですよ。これがやっぱり新しい青年の声だと思うんですね。
 そこで、大臣、若者が農業に不安を持っている。農業に魅力を持つためにはやっぱり一定の奨励金システム、これに結びついた研修システムだとか、あるいは海外研修に積極的に参加ができる、あるいは就農後は近代的な家族農業を行う専業的な農業者による生産組織の法人化、あるいはそうしたことによる農業経営の確立、創意と工夫を生かした地域農業振興、こうしたことを基本的に考えなければ担い手だと言ったって対策は出てこない。どうでしょうか。それがやっぱり発想の転換だと思うんですよ。
#75
○国務大臣(田名部匡省君) 基本的には、私どもがお示しすることも大事でありますけれども、農業としてどうすることで経営が成り立つかということは、地域によってもそれぞれ事情はあると思うんです。ですから、それぞれ農家の若い人たちが自分ならばこういうものをこの程度にやって、これで他産業並みの収入が得られる農業ができるというものを農家自身がやっぱり持ってきてほしい。それに対して国はどれだけのことができるか。何か上で計算をして全国に流してというのは私は余りいいやり方ではないと思っているんです。
 ですから、みずからがそういうことがきちっとできるかどうかというのは、現段階では困難も伴うでしょうし、いろいろと相談をしながらそういう方向に誘導していかなきゃならぬ。そういうことがないと、何かやれと言われるからやったがうまくいかないという不満というものは後々出てきますし、やっぱりこうしてやりたいということに対する国の援助というものが必要ではないのかなという気がして、先般も、まあ全部を聞くというわけにいきませんが、各県のそうした方々の意向というものをとって、それに合わせた農政というものをしていく必要があるということをお話し申し上げておるわけであります。
#76
○村沢牧君 そうは言ったって、農家がひとつやってください、米価上げてください、畜産物価格上げてくださいと言ったって皆さん聞かないじゃありませんか。そんなことを農家にばかり押しつけたってだめですよ。
 そこで、この改良資金というのは、国と都道府県が財政資金を出し合って資金を造成して貸し付ける、それで償還金を繰り返していく、これを貸付財源にするわけですから、したがってこれは国が利子補給するものでもない、あるいは農業者に対する補助金でもない。農業者は無利子といえども元金を償還しなければならないわけですね。
 そうだとするならば、これは局長に聞くけれども、もっと農業後継者をつくるために、三分の二国が出すなんてことを言っているが、これは四分の三ぐらい出したらどうか。あるいはこの規則の中にも随分私はこれから変えていかなきゃならない、貸付条件を変える必要があるというふうに思いますけれども、そういうような前向きな姿勢を示しますかどうですか。
#77
○政府委員(上野博史君) この農業改良資金は例の普及事業と非常に密接な関連があって運用しているわけでございまして……
#78
○村沢牧君 質問だけに答えてくれませんか、時間がなくなるから。
#79
○政府委員(上野博史君) はい。それで、その普及事業というものは県と国との共同事業ということになっておりますことから、先ほど委員申されましたような負担区分になっているわけでございます。
 これをふやすということにつきましては、これはなかなか現在の国と地方公共団体の財源の状況等々、また財政の話で恐縮でございますが、そういう問題もあるわけでございまして、そう簡単な話ではないだろうというふうに思っております。
 それから、資金の貸付条件等内容につきましては、これは我々としても鋭意努力をして、貸付資金総額枠の拡大等についても平成三年度に引き続いて今回また大幅な増額を図ろうとしているというようなことでございまして、相当な努力を行っているつもりでございます。事情の変化に合わせて対応してまいりたい、かように考えている次第でございます。
#80
○村沢牧君 なるほど今回七百五十万から一千二百万円にした。一千二百万でいいのかどうか、今のいろいろ物価の高いときに。これだって問題がありますよ。
 それから、一律据え置き三年、償還を十年とやっておるけれども、貸付対象によっては十年では短過ぎる。他の法律と関連をして、固定資産の減価償却見てもこれは短過ぎる、そういうものもありますよ。私たちは一々例を持っていますけれども、時間がありませんから申し上げませんけれども、そういうのは要請によって変えていく、そういうやっぱり姿勢がなくてはならない。どうでしょうか。
#81
○政府委員(上野博史君) この据置期間ないし償還期間につきましても、今回の改正で延長を考えているわけでございまして、言うなれば状況の変化に合わせて我々としても対応をしてまいっているということの一つの姿であるというふうに考えているわけでございます。
#82
○村沢牧君 そこで、農業後継者を確保するためには、先ほど申しましたように、先進諸国もいろいろやっている、あるいはいろいろのアンケート調査もある。それにしては今回の改正は不十分である。農業の社会に入ろうとする人が就農前、就農後の資金対策に不安を持つことは当然のことだと思う。
 そこで、フランス並みの助成は当面できないとしても、改良資金で就農前の研修経費の一部を貸して、そして研修終了後一定の年限を就農した場合にはその償還を免除する。農業会議の農水大臣の諮問に対する答申でも三年程度の生活費を含む奨学金制度の検討を強調しているんです。せめてこのくらいのことはやっぱり今後やるべきだと思うが、どうですか。
#83
○政府委員(上野博史君) 青年農業者資金で就農前研修に貸与した資金を就農後免除するというお考えだというふうに理解をいたしましたんですがいこの問題につきましては現在個人補助というものがございません。そういうことをいたしておらないというような点で一つ問題がございますし、それから現在の農業改良資金制度につきましては、先ほど委員お話しございましたように、国が三分の二の原資を県に貸し付けてその回転で運用をしているというようなことから言いましても、免除をすることに伴いまして、そこら辺の運転何といいますか、資金のローテーションに問題が出てきはしないかというようなこと等技術的な問題もあるわけでございまして、慎重な検討が必要だというふうに考えている次第でございます。
#84
○村沢牧君 今まで申し上げたこと、これから申し上げることは今やってないですよね。ないことは知っている。ないからやっぱり少し発想の転換をしたらどうかと私は言うんですよね。
 さらに、この資金を運用するにしても、経営資金がやっぱりその子弟に必要だ、あるいは新規参入者にとっては生活資金も必要だ、これらについても何とか少し温かい方向を出すべきではないか。
 さらにまた、この資金では農用地の取得については全然だめだと言っているんですね。新規参入者やあるいは後継者が農用地を取得しようとしてもその資金の対象にならない。そういう人たちはどこかから土地を借りてやりなさいということでありましょうが、あるいは他の公庫資金を使えと。これは無利子ではないんですよ。三・五%なり五%の利息がつく。せめてこういう新規農業者に対して、土地を取得したいと、そのくらいのことはこの資金だって拡充してもいいんではないか。
 あるいはこれからの農業経営のあり方として、農家の担い手が不足するようになってくる。どうしてもその場合には、近代的な家族経営の存続を図りながら、農業をやろうという人たちが集まって農業生産法人など農業者が主体となって集団的な事業をやることが私は必要になってくると思うんですよ、これからは。新しい政策だってそういうことを出してくるでしょう。そうした場合に、若い青年が集まって集団的にやっていこう、そのときに一体この資金でどういう適用があるのか、何もないじゃありませんか。若い皆さん方が集まって集団的に農業経営していく。それから、農業経営開始資金を見たって何を見たってそういうものは対象にならない。「青年農業者等」と書いている。「等」というのは皆さん、あれでしょう、婦人だとかなんとか、その程度のものでしょう。
 ですから、こういう問題についてもやっぱり対策を講じなきゃいけない。なるほど新規参入者に門戸を開くこともいいけれども、一年間に七十人程度の新規参入者、程度と言っちゃ失礼ですけれども、それよりもこれから集団的に農業を若い者が集まってやっていこう、そのことに対して手厚い面倒を見ることが日本農業を発展させることではないのか、そういうことを私は思っています。
 ですから、そういうことについて私は指摘をしておきますから。今ちょっと法律改正して新規参入者に門戸を開いた、それだけでもって担い手対策になりますなんていう大それたことは言えない。改めるべきものは改めてやっぱり新しい農業者を確保していかなきゃなりませんが、一々各項目について答弁は要りませんけれども、基本的な考え方についてどうですか。今の法律にないことはわかっていますよ。ないから私は言っているんです。
#85
○政府委員(上野博史君) 新しいことをやっていくときに当たりまして、現在の制度の枠を超えなければならないことがあると言われることについては、それはそうだろうというふうに思います。ただ一方で、現在の制度でやってないことというのは、なかなかやっぱりそれ自身が非常に難しい問題であるということもあるわけでございまして、慎重に検討をさせていただきたいと思います。
 ただ、一点だけ法人の問題についてお答えをさせていただきたいと思うのでございますが、この法人の問題というのは、確かに現在個人だけが対象でございまして、青年農業者によって構成されます法人への貸し付けというものを考えておりません。ただ、今、委員御指摘のとおり、今後そういうようなケースもあるいは出てくるんじゃないかという感じはあるわけでございまして、その辺の実態の調査などもやってみた上で、あるいは今度の新政策検討の中での法人に関する扱いの問題等がはっきりしてくるというようなことも受けまして検討をいたしてみたい、かように考えている次第でございます。
#86
○村沢牧君 ぜひ検討してください。今まで農水省の新しい政策の中でも、これからの経営のあり方というのは当然出てきますから、そういう場合に、法人もさることながら法人に入ってやっていこうという青年の集団、これに対してはやっぱり面倒を見なきゃいけないというふうに思いますね。
 それから、青年農業者が近代的な農業経営を担当するにふさわしいものになるためには、国や地方公共団体の積極的な対応が必要であります。すなわち、必要な助言や指導、農用地のあるいは住宅の確保のためのあっせんだとか援助、必要な研修を受ける機会を提供するなど、国や地方公共団体の任務というのは大きいと思うんですね。これをどういうふうに考えますか。
#87
○政府委員(上野博史君) まさに委員御指摘のとおりだというふうに考えているわけでございまして、濃密な指導を青年農業者に対してこれまでも行ってまいりましたが、平成四年度から新たに短期の研修コースを都道府県の農業者大学校に設けるというようなことによりましてさらに充実をさせてまいりたい、かように考えている次第でございます。
#88
○村沢牧君 それならば、ただ国が財政支出で都道府県の必要とする金の三分の二出した、あとは県に任せるということじゃなくて、国も県も成果を上げるために、その責務を全うするために、これはその援助規定を、国や地方公共団体が援助するんだということを私は条文上もうたうべきだと思う。将来うたうべきだと思うんですね。そしてやっぱり責務を明らかにする、そのことを要請をしておきましょう。きょうはうたってないから当然うたってありませんという答弁が来るというふうに思いますから、それ以上のことは言いません。
 さて、私はいろいろ質問いたしましたが、もう時間が参りましたので終わりにいたしますけれども、以上私が項目を挙げて提案したことは、現行法、これが全然だめだというわけじゃありませんよ。これは小出しだ、小手先だということなんですよ。だから、現行法それから今回の改正に今私が言ったようなことをさらに加えてこの法律を充実させていく、そういうつもりで言ったんですよ。その中身は、私ども社会党が提案した法律に全部書いてあるんですよ。ですから、社会党の法律じゃだめだというようなことを皆さんもおっしゃらないでありましょうし、私どもも、財政もあることも知っている、大蔵省もあることも知っていますが、せめてこのくらいのことはできないのかという現実的な立場に立って法案も提出したんですよ。だから、これは発想の転換をしなきゃならない。そして、そのくらいにしても資金だけでは青年農業者を確保することはできない。そこで、社会党の提案に対しまして議員の各位に御支援と御賛同もいただきたいし、真剣に討論してもらいたいと思うんですよ。私どもの案と政府案とを比べてみて、やっぱり政治家はこのくらい踏み切らにゃいけないということで私どもは提案してありますから、政府も真剣に動いてみてもらいたい、そのことを要請して、私の質問を終わりたいと思う。
 以上です。
#89
○大渕絹子君 質問通告した順番と少し変わりますけれども、よろしくお願い申し上げます。
 今回の改正の中で、新規就農者にも無利子貸し付けの道を開いだということは評価できることだと思いますけれども、新規農業者といえばすぐに技術の習得であるとか経験の研修はどうするんだというようなことが必要になってくるわけでございます。そういう場所として、学校教育法に規定をされている農業高等学校であるとかあるいは農業短大、農業大学、それに農業改良助長法の中に規定されている農民研修教育施設、いわゆる県農業者大学校あるいは農業改良普及所、農業試験場などがあるわけですが、一番身近な研修の場として活用できる農民研修教育施設について以下質問をしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 皆さんのお手元にも配付をさせていただきましたけれども、農業改良助長法の中に規定をされております協同農業普及事業に対する交付金、これが昭和五十八年度の、昭和五十八年というのは県農業者大学校がスタートしたときなんですけれども、そのスタートした以後、予算額が一円も増額をされていないという実態になっておりますけれども、この表を見させていただく限り、後継者育成とかあるいは優秀な農業後継者を育てると言ってきた農水省の基本姿勢というものが全く疑われるんですけれども、この予算の推移を見て御答弁いただけますでしょうか、どういうことなのか。
#90
○政府委員(上野博史君) 私どものところにお配りをいただいた資料、数字のとおり協同農業普及事業の交付金についてはそういうことでございます。
 ただ、こういう経緯をたどっていることにつきましては、ただ単にその交付金の額を減少させるということにとどまっているわけではございませんで、やはり農業、農村を取り巻く諸情勢の変化に対応して、農業の発展方向や農業者のニーズというものにより的確に対応した高度な取り組みを強化するという努力を一方でいたしてまいっているというつもりでございます。その一つが、平成二年度から普及活動の高度化特別対策というものを実施いたしてまいっておりまして、その後連年充実をしてまいっているということでございます。
#91
○大渕絹子君 内容が充実をされているならば、当然そこにはその財源的な裏づけというのがあって当然だと思うのですけれども、この表を見る限り、五十八年度から平成元年度まで全く同額で推移をしていますね。そして、それ以後は減額をしている状況です。こういう状況の中で、今あなたがおっしゃったように、その充実を目指して拡充しているんだというのは、本当にかけ声ばかりだというふうに指摘せざるを得ないわけでございます。
 さて、その県農業者大学校の位置づけでございますけれども、もう一つ別の表を見ていただきたいと思います。その中で、この県農業者大学校の卒業生の就農状況、就農率は実に六六・八%とこれは非常に高いものがあるというふうに思っております。今後の農業後継者の重要な部分をこの県農業者大学校が担うことになるということは、この数字を見ていただいてもわかると思います。
 農業専従者の数は、卒業生の中で四百五十二人、これは先ほど村沢委員の質問の中にも、新規学卒者の就農者が千八百人であると言われている中で、ここの部分の四割をこの県農業者大学校の人たちが担っているという数字がここに出ているわけでございます。これを見ていただいても、この県農業者大学校がいかにこれからの農業後継者を育てていく基盤であるかということは御理解がいただけると思います。
 そういう中で、この大学校への交付金、先ほどの協同農業普及事業交付金の中から振り分けられるわけですけれども、大体どういう基準にして、この中の何割ぐらいが農業者大学校に交付をされているんでしょうか。
#92
○政府委員(上野博史君) この農業者大学校にどれだけの経費が回っていくかということについては、それぞれの農業者大学校の資金需要のいかんによって変わってまいるわけでございまして、私どもの方が一律的な基準で全体の都道府県に対する交付金のうちのこれだけを渡してくれというような話にはいたしておりませんで、いわば結果論として農業者大学校でこれだけのお金が使われたというような報告が参っているということでございます。
#93
○大渕絹子君 私の住んでおります新潟県、この新潟県の農業大学校のことについてちょっと調べさせていただきました。交付された金額、平成元年度で千八百三十七万一千円、二年度では千九百四十万六千円 三年度では千九百三十六万九千円とほぼ横ばい状況。この新潟県農業大学校に在学をしている学生が百二十名ですから、単純に一名当たりの計算をさせていただきますと、十六万一千円の交付金ということになります。これに県からの予算がつくわけですけれども、県からの予算の計上額は大体年平均二億二千八百万円程度で推移をしています。
 こういう予算の運営費が盛られている一方で、この新潟県の農業大学校では農産物をつくっているわけですね。その学生たちがつくる農産物収益金は、穀物で三千六百九十七万円、野菜では七百八十五万円、果実で八十八万円、花卉類が四百五万円、そして畜産・酪農では四千百十三万円と、合計で年間に九千万円もの収益を上げています。この九千万円の金額はそのまま県に納付をされるという形で、先ほどの運営費とは別建てに扱われているということでございました。そうしますと、県のさっきの二億二千八百万円というのは、この九千万円を実質的に差し引きさせていただきますと、実際には一億三千万円程度しか使われていないということになるわけでございます。
 この金額が多いか少ないかということは、学校当局者に聞いてみましたけれども、大変十年間横ばいの運営費でやられてきたことに対しては厳しい現状にあるというふうにお聞きをしています。それはそうだと思うんですね。家畜の飼料にしても、あるいは電気、ガス、水道のこういう公共料金にしても、その学校運営する資金のすべてがこの十年間に上がってこなかったということはだれも断言できないわけでございます。そういう中で、運営費が全く増額されないできたということは、学校経営が大変苦しい状況であるということは、これは私は正直なお言葉だったというふうに理解をしています。
 こういう中で、農業者大学校の関係者は、それでも自分たちの農業者大学校の位置づけ、今の農業後継者が育たないこの時期に至って、いかに重要であるかという認識をとらえる中で、これからの農業者大学校についてというような資料を提出する中で、二十一世紀に生きる若者に魅力ある教育内容、施設の整備をしたいということの中で、教育内容の見直し、検討をしていく、そして先端的農業技術者教育や施設の整備の強化をしていきたい。それには、パソコンの導入であるとか、ハイテクの関連教育施設を充実してほしいとか、あるいは養液栽培施設をつくってほしいとか、そんなようなことがあるわけですね。
 そしてまた、国際化が進められていく中でも、国際的に協調できる人たちをつくっていくためには、国際交流の場というようなものもこれからはどうしても必要になってくるんではないか、あるいは交換学生というような形もとらなきゃならない。そしてそういうことをしていくには、何よりも指導員の人たちの資質を向上していかなければならない、先生の教育あるいは研修をする時間を与えていきたい、こういうことを言っているわけですね。これらのことをすべてやるにはやっぱりその財源的な裏づけというのが当然必要になってきます。この改良資金助成法が改正をされるこの際、大幅にこの県の農業者大学校に対する予算づけをふやしていただく方向でも取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#94
○政府委員(上野博史君) 私どもとしても農業者大学校の重要性につきましては理解をいたしているわけでございまして、できるだけ先生がおっしゃったような方向で努力をしてまいるということを考えてやってまいっているつもりでございます。
 施設の整備などにつきましても、まあなかなか十分なものというのはしにくいわけでございますが、別途の形で資金の手当てをするというような形で対処をいたしてまいっておりますし、それから先生方の研修につきましても、別途の施策の中から弾力的な運用をして、極力研修に出てもらうとか、あるいはそれによる授業上の穴埋めを外からの人に講師というような形でやってきていただいて問題がないようにやってまいるとか、いろいろ工夫をしてやっているつもりでございます。
 ただ、いかんせん、これは必ずしもこの農業者大学校なり普及事業だけでございませんですけれども、予算的な状況がよくないということはございまして、行政庁も毎年毎年事務費の経費の節減をやるというようなことでございまして、非常に苦しい中でまあ何とかやってまいっているということでございますので、努力はいたしてまいりたいと思いますけれども、状況として非常に今厳しい状況にあるんだということについても御理解もいただきたい、かように考える次第でございます。
#95
○大渕絹子君 厳しい予算の中、厳しい状況であると言われますけれども、日本の農業の状況はもっと厳しい状況にあるんですよ。そこのところをきちんと認識していただきたいと思います。
 新潟県のこの農業大学校でも、パソコンの導入台数が二十一台なんですね。全校の学生が百二十人ですので、とても足りない。私は、今これからの農業者はもう自分のうちに一台パソコンを導入して、自分のデータは全部パソコンに入れて経営をする時代が来ていると思います。そういう中で、実践的な学校ですから、自分のやっている教科について自分専用のパソコン一台ぐらいあって当然だと思いますし、ハイテクの施設につきましても、これは平成二年度に小さなものを一つつくっていただきました。つくっていただきましたけれども、残念ながらそこに専用の職員、技術者を派遣させていただくことはできませんでした。そして、今までの実習教育に当たっていた職員の中から一人二カ月間だけ新潟大学に研修をさせるということの中でそのハイテク施設を使わせているという、そんなお粗末な状況が今実際に行われているわけですね。
 こういう状況の中で、先ほどの予算がつかないんだから、厳しい状況だから仕方がないんだとおっしゃった答弁そのまま当てはまるんですよ。だからこそ、私はもう本当に、さっき大臣も大胆に発想していく必要があるというふうにおっしゃっていたわけですけれども、このことについて予算づけをきちんとしていただけるように、大臣どうでしょうか、来年度このことについて取り組んでいただけませんでしょうか。
#96
○国務大臣(田名部匡省君) お話はよくわかりますし、一度実態をよく調べて検討してみたいと思います。
#97
○大渕絹子君 この県の農業者大学校では、いわゆる授業料といいますか、入学金、授業料というものは免除になっているんですけれども、そのほかにも農業改良資金助成法の中で、教材であるとかあるいは寮費に当たる部分についても無利子で貸し付けができるということになっているわけですけれども、そういうことがここに入学を予定されている人たち、高等学校や農業高校を卒業する人たちにそのPRが徹底されているのでしょうか。
#98
○政府委員(上野博史君) この新潟県の農業大学校のケースについて直接どうだということを確認はいたしておりませんですけれども、一般的にこの大学校に入っていただくようにPRを行うその一つとして、高校生に緑の学園の開催というようなことで大学校に来ていただいて、実情を見てPRをするというようなことが一般に行われているわけですけれども、そういうときにはその辺のお話も十分周知をして話をしているというふうに聞いておりますし、それからまた、ポスターや農業改良誌等を通じた広報活動におきましてもその辺はやっているというふうに聞いておりますけれども、もし新潟県の事例がそういうことでないならば私どもとしてできるだけのPRをしていただくように指導はしてみたい、かように考えます。
#99
○大渕絹子君 いえ、新潟県の農業大学校でもそのPRは学校では学生さんたちにやっているということでした。そして、既にこういう募集要項であるとかあるいはこういうパンフレットをつくる中でPRをしています。だけれども、父兄にまでその資金についての無利子貸し付けがあって、十年間ですか三年間ですか、償還すればいいというような方法があるとかそういうところの周知徹底というのがまだまだおくれていると思いますね。私は、そういうことが父兄に理解をされているならばもっともっと入学を希望する人がたくさん出てくるというふうに思っています。
 新潟県ではそれでもこの募集に対して、六十五名が定員なんですけれども、予算部分について五人の定員は今ちょっとやっていないということの中で六十名定員のところを、毎年それを十から二十名ほど上回る希望者があります。そして、希望する人たちが入れない状況というのが今新潟県では起こっています。お聞きをしますと、全国ではそういうところはまれなんだということで御説明をいただいて、私もああそうなのかなという思いはしているわけですけれども、新潟県では実際にはそういうことでございます。
 そういう経緯の中で、できれば希望する人が全員入れるような体制であったらいいなという思いをしていますけれども、全寮制をとっている中で、寮の施設等々が足りない中でそれは今ちょっと拡大するのは無理だという現状ではあるということを承ってきました。そして、先ほどPRのことを言ったわけですけれども、このPR紙の一番冒頭、開きますと、ここの一番頭の部分にこういうことがうたわれています。「二年制 高度な専門的知識・技術を習得し、短大卒の資格が与えられる。」、こういうふうにうたわれています。この「短大卒の資格が与えられる。」というのは、これは本当でしょうか。
#100
○政府委員(上野博史君) この農業者大学校は学校教育法に基づきます教育機関ではございませんものですから、そういう意味で農業者大学校を卒業して短大卒の資格が与えられるということにはなっておりません。ただ、国家公務員の資格を得ようとするような場合におきまして、短大卒と同じ扱いがしてもらえるというような措置は講じられておるところでございます。
#101
○大渕絹子君 公務員になる者に限り人事院規則で知事の申請により短大二卒として扱われるということが規定をされていることは私も承知をしています。しかし、公務員になる人に限ってはこの短大卒の資格が与えられる人事院規則というのは納得できないわけですね。人事院規則でそれがうたわれているんであれば、当然短大卒の資格をこの農業者大学校の卒業生にも与えてしかるべきだというふうに思うわけです。この際、これほど後継者を育てなければならないと言っているこの現在ですから、思い切って大胆に発想を転換し、この農業者大学校を卒業する方たちにも短大卒の資格を法的に明快に与えていただく道を切り開いていただきたいと思います。
#102
○政府委員(上野博史君) この短大卒扱いの問題につきましては、要するに農業者大学校の生い立ちの問題があるわけでございまして、学校教育法の定める短大卒の資格が得られる教育というものについてはやはり一定の要件があろうと考えるわけでございます。私どもの考えておりますこの農業者大学校の教育というものは、全寮制のもとで農業または農民生活に関する研修教育を行うと。で、専門的な学芸を教授研究することを目的とした短大に比べますと、近代的な経営なり技術の実践を付与する、あるいは座学に合わせまして、農場におきまして現実に即した実務研修であるとか、あるいは先進農家における体験学習というようなことに重点が置かれているということから、どうしてもやはり短大卒の学歴が得られる教育と非常に違うところがあるわけでございまして、その異なっているということ自身が実は農業者大学校の特色である、私どもとしてのねらいもそこにあるんだというふうに考えているところでございます。
 ちょっと先生の御趣旨と合致しないような話なんだろうというふうに思いますけれども、そういうことでございまして、卒業生が短期大学の卒業ということになっていないという実情について御理解を得たいというふうに考えるところでございます。
#103
○大渕絹子君 それでは、農業にとりまして、机の上で学習することの方が重要なのか実践を学び取ることの方が重要なのか。局長は今短大卒の学歴を与えることができない、それは学科の学習科目とかそういうものが足りないからだというふうにおっしゃるわけですけれども、私はそうは思わないんですね。この農業者大学校が実習をしている時間というのは、物すごく長い時間、それを全寮制でやっているわけですから、早朝において実習しなきゃならぬこともあります。家畜の飼育なんかしている場合は夜間見回りをしなきゃなりません。ハイテクの技術習得のためには、夜十一時、十二時まで頑張って研修をしている学生もいます。こういうことの中で学生たちが、短大卒の資格を法的に明記されれば、本当に先ほど大臣が言った希望や誇りを持って修学できる状況が出てくるというふうに思うわけですよ。もちろん、短大卒の資格というものと農業者大学校卒業の資格のどちらも優劣をつけがたいということ自体、私自身もよく理解をしています。しかし、先ほど大臣も村沢委員の質問に答えて、この学歴社会の中でとおっしゃいました。その学歴社会の中だからこそ、この二年間これほど専門的に農業の未来を垣指して学んでいる人たちに対して、何で短大卒の資格を与えることができないんですか。
#104
○国務大臣(田名部匡省君) 学校教育法に基づく学校でないということは御理解いただけると思うんですね。
#105
○大渕絹子君 ええ、わかります。
#106
○国務大臣(田名部匡省君) したがって、やっている内容も学校教育法に基づく学校教育とは違うものをやっているわけですね。
 例えば、普通の学校ですと、英語とか数学とかいろんなことがカリキュラムの中に組まれておりますが、この農業者大学校の場合は本当に現場に出て農業をやる場合に何が必要かということだけを、技術とか経営能力とか、そういうものをもう一日徹底して教えるわけでありますから、どうしてもそこのところが、一般的に教育子弟とか別の方に働きにいくという人でない人たちを育てるという目的がそこにあるわけであります。
 したがって、この農業者大学校の卒業者には短大卒の資格は与えられませんが、農業者の養成機関としての特色を生かしながら、これもまた先生お話しのように、コンピューター、パソコン、いろんなものがこれから必要とされる、またそういう専門の教育ということでの移り変わりはありますけれども、まあ余り農業と関係ないというか、習得しなくてもいい分野というものは極力省いて専門に教えているものですから、どうしても文部省の言うような短大卒という資格、まあ資格はなくてももう立派な学校、農業の専門家としての習得はあるということでありますから、そこのところはどうしても与えろということになると、文部省管轄の普通の学校と同じような制度に変えていかなきゃならぬという問題はあろうかと思います。
#107
○大渕絹子君 そういうふうに決めつけなくてもいいんではないでしょうか。この学校教育法の六十九条の二のところに短期大学についての規定があるわけですけれども、「大学は、第五十二条に掲げる目的に代えて、深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成することをおもな目的とすることができる。」と、この大学を二年あるいは三年を修学年限としたものを短期大学とするという項目があります。これには県の農業者大学校はぴたっと当てはまっています。そうでしょう。専門的で、実際の生活に即して学習を続ける、そして期間も二年である。この短期大学の項目には当てはまっています。
 ですから、ここのところの項目の一項の中に、私は農業改良助長法の中に定める農民の教育施設であるということに変わりない、そこのところを動かす必要はないと思うんですね。だから、この短期大学の規定がしてある項目の一項の中に農業改良助長法に定める農民研修教育施設は短期大学とするという一項を加えていただければ、それで資格になるんですよね。短期大学と同等と扱われるということになると思います、法的に。そういうことができないでしょうか。
#108
○政府委員(上野博史君) 学校教育法に基づきます学校というのはいろいろあるわけでございまして、一般の大学、短期大学、それから専修学校、いろいろな種類のものがあろうかと思います。二年間履修をします学校を見ましても専修学校というようなものがほかにもいろいろあるわけでございますが、この専修学校については短大という扱いはしていないという、学校教育法の中でも短大にならないものもあるわけでございます。私どもの方のものを入れるという、そのことだけから言えば一つの考え方としてあるのかなという気がしないでもないわけでございますが、全体としての問題として考えますと問題はもっと大きいのではないか、かように考える次第でございます。
#109
○大渕絹子君 農水省としてこれから後継者を育てていかなければならないとこれほど各方面から言われているじゃないですか。農業会議所でも農水大臣に対する答申を出しました。そして、農協、全中でも担い手の確保ということが最大課題であると。もちろん農業白書においても、これから農業後継者をどう育てていくかということが一番の課題であると皆さんうたっているじゃないですか。
 そういう状況の中で、農業後継者に希望と誇りと勇気を与えると大臣はさっき言いました。そのことが、この資格を与えることによってその後継者の人たちにその道を開くことになるんじゃないですか。そして、短大卒の資格が与えられれば、この県農業者大学校を卒業した者でも、四年制農業大学に編入をしたければ、試験を受けることによって編入することができる資格も与えられるんです。そして、農業短大を卒業するといただける農業者資格というものも当然同等にいただけるはずなんですね。ところが、今現在ではそういうことになっていないんです。そういう道を切り開くことこそ、後継者育成のこれからの方向づけであるというふうに私は強く思っています。
 この間新潟県の農業大学校を訪れまして、後継者が育たない育たないと言われているから、さぞやまあそんなに生き生きとした学園生活が送られているんじゃないだろうという予想の中で訪ねたわけですけれども、学んでいる学生たちは大変生き生きとしていました。大地に触れ、そして生きる生き物に触れて、そして自分たちが育てた果樹や野菜を収穫する喜び、本当にみんな生き生きしていました。私たちが回っていくのに、私たちがあいさつをする前に向こうから大きな声で、よく来てくださいましたと。私をだれだかも知らないわけです、名前も顔も。顔はわかっているかもしれませんけれども来るということは知らされてなかったわけですから、それでも、だからだれが行ってもああいう対応をしているんだと私は理解をしています。
 あれほど生き生きと学び取って、そして将来に向けて、農業に対して明るい展望を持っている人たち、私は一人一人、全部には聞きませんでしたけれども、実習をしている学生さんたちに声をかけました。そして、どうですかと言ったら、いや、ここを出ると短大の資格はもらえるんだという認識は学生たちは持っています。それはそうですよね、先ほどのPR紙もそうですし、この入校の案内書にもきちんとそのことはうたわれていますから。そういうことの中で、これはもう法的にきちんとやっていかなければ私はここに来たかいかないというふうに思っているわけです。ですので、ぜひそのことを、希望を持てるような方向に前向きに大臣取り組んでいただきたい。
 私は、答弁書で答えていただかないで、今私が訴えたことに対して率直に大臣の気持ちをお聞きしたいと思います。
#110
○国務大臣(田名部匡省君) 気持ちはわかります。水産大学校も同様でありますが、どうしても資格が欲しいということになると、既存の大学、文部省で言うところの大学に入らなきゃならぬわけでして、これは学校教育法という法律の中で縛られておるわけでありますから、勝手にこっちで大学をつくって卒業免状を与えてということはできない仕組みになっているわけですね。実際に本当に勉強しようという内容というものは、ほかの大学へ行ってはいろんなものをやらされるわけです。また、それも国語も社会もあれば英語もあれば何でもやる。それがないわけですから、そこが大きな違いとなって、しかし専門家として農業でやろうというそのカリキュラムというものは組まれて、十分それで農業としての権威者になれるということで、これはなかなか、何回かありました、私も水産大学校のことで文部省とかけ合いましたけれども、結局はそこのところにひっかかるものが出てくるということでなかなか前進しないんです、これも。ですから、同じようにこの大学は、大学の「資格」とこう書いてあるのは少し書き過ぎかなと。そういう資格はそういうときに与えられると書いてくればよかったんですが、何でもかんでも資格が取れるということはかえって誤解を与えたのかな、こう思っております。
#111
○大渕絹子君 文部省に大学審議会というものも設置をされているわけですよね。そういうところにぜひ大臣から話しかけていただいて、私は広く浅く全部の学科を教育された者の方が学術的にすぐれているとは思いません。専門的に一つのことに集中して学問を受けた者もそれなりに私はきちんと立派なものだというふうに思います。そういうことに対して資格を与えていくということは必要だろうというふうに思いますので、そんな既存の枠にとらわれないで、今のこの時期でございますから、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいことを心からお願い申し上げたいと思います。
 それからもう一つ、農業大学校を訪れまして、大変広い敷地で、新潟の場合は、特に優遇されているんでしょうか、広い敷地なんですけれども、六十町歩ぐらいの敷地があるんですね。六十町歩ぐらいの敷地の中に一つの小さな村が存在をしているというような形になっているわけですけれども、このところに近郷の小中学校の生徒さんにもたまには開放するような道が開けないだろうかなというふうに思ったわけでございます。この新潟の場合は興農館高校と新潟県農業大学校が併設をされているわけですので、高校生と大学生とそれから小中学生たちがたまに一緒に研修するような場所がつくれないかなという思いをして視察してきたわけです。
 小学校や中学校のころから農業になれ親しむということは、これから将来的に農業後継者を育てていく上からも決してむだにはならないんではないかなと思いますので、そういう方向でもぜひ御検討いただきたいということをお願いします。いかがでしょう。
#112
○政府委員(上野博史君) 農業者大学校につきましては、農業者の生涯教育に関するセンターだということでございますけれども、学生だけじゃございませんで、卒業生あるいは地域のリーダーあるいは婦人農業者という方々に対する研修も行えるように施設等の整備に努めてきたところでございまして、今おっしゃいましたように、さらに地域住民に開かれた大学校にするということも非常にいい考え方ではないかと思うわけでございまして、そういう方向に向かうように各般の施策を講じてまいりたい、かように考えます。
#113
○大渕絹子君 それでは、最後ですけれども、今回の農業改良資金助成法の第一条に、「農業者等に対する生産方式改善資金、経営規模拡大資金、農家生活改善資金又は農業後継者育成資金の貸付けを行う都道府県に対し、政府が必要な助成を行う制度を確立し、もって農業経営の安定と農業生産力の増強に資することを目的とする。」とあるわけです。ここのところは今回変わるところがあるわけですけれども、近年の貸付動向を見ますと、生産方式改善資金は大きく増加をしてその目的を達成しているのは理解できますけれども、ほかの三つの資金に対しては本当に減少方向を示していてその目的には沿っていないということが認識できるわけでございます。
 全国農業会議所の農林水産大臣諮問に対する本答申とかあるいは平成三年度の農業白書などにも、先ほどから申し上げていますけれども、担い手の確保ということが最重要課題ということでうたわれているわけです。農業後継者の育成が重要課題であるならば、今までの農業改良資金助成法を改正するだけではとてもその目的を達成することはできない。これは先ほど村沢委員も強く強調したところでございますけれども、私も全く同じ思いをしています。この法によって必ずしも農業後継者を育成することができないんであるならば、この際本当に思い切った農業後継者を育成するための立法が必要だというふうに思いますけれども、この件につきましてもう一度御答弁をお願いいたします。
#114
○政府委員(上野博史君) 今回の改正につきましては、先ほど村沢委員の御質問のときにもお話が出ましたように、やれることをとにかく一歩、二歩前に進めてやっていくという考え方でやっているわけでございまして、今後、新政策検討の過程を経ていろいろと詰めるべきものを詰め、その上で施策を充実するという段階に立ち至ってまいりますれば、それに応じた考え方で対応しなければならない、かように考えているところでございます。
#115
○大渕絹子君 終わります。
#116
○菅野久光君 ただいまの大渕委員とのやりとりを聞いていて、農業者大学校を卒業した者は、公務員の関係については短大卒ということでいくのに、じゃなぜほかの人がという疑問は率直に言ってこれはやっぱりあるんですね。公務員に就職する場合には短大卒と、こういうことになるわけですから、したがってもうちょっと知恵を働かせて、農業者大学校を卒業した者に対しては、こういう肩書といいますか、そういうものを持っている人は、これは農業者大学校を卒業しているんだとかした人だとかというような、そういうような何か知恵を働かせた方がいいのではないかというふうに私はやりとりを聞きながら思っておりました。その点についてはぜひひとつ、学校教育法云々の問題もありますけれども、農業者大学校を卒業したというそういう誇りを持って農業に従事できるような、そういうことをぜひこれは考えてあげることがいいのではないかというふうに私も思っておりますので、その点についてはぜひひとつ検討してもらいたいということを大渕委員の質問に引き続いて私の方からも要請をしておきたい、このように思います。
 私も今回の農業改良資金制度について、農業後継者対策、それが重要な課題で今回の法改正ということになってまいりましたので、この農業後継者対策における本法の位置づけの問題をまず最初に御質問申し上げたいと思います。
 間もなく発表される予定の新農業政策では農業後継者対策を中心にする担い手対策が大変大きな検討課題になっているということでありますし、また、先ごろ発表されました平成三年度の農業白書、これを見ましてもまさに担い手対策の特集と言ってもいいような大きなウエートをこの中で占めております。
 このように、現在、農業後継者対策を中心とする担い手対策の確立、これがもう農政のやっぱり最大の課題であるからこそそうなっているのでありまして、この問題について政府は今後どのように取り組んでいかれるのか、その基本方針というのをひとつ明らかにしてもらいたいというふうに思います。実情についてはいろいろと資料なども含めて出されておりますが、どのように一体取り組んでいこうとしているのか、そこのところをひとつお考えを承りたいというふうに思います。
 青年農業者等育成確保資金を創設いたしました。非常にこの創設が大きな目玉になっている法案でありますので、担い手対策の中でこれがどのような位置づけを占めていくのか、その辺もあわせて説明をしていただきたい、このように思います。
#117
○国務大臣(田名部匡省君) おっしゃるように担い手確保というのは何をおいても大事なことであります。したがって、意欲、能力の高い青年農業者を育成していかなければならないということで、もうかねがね何回かお答えしましたが、やっぱり近代的な経営ができるということが若い人たちにとっての一つの魅力だと思うんですね。他産業を見て、何か近代的にやっているが、自分のところは何か朝早く起きて、ただ泥にまみれて、一体どれだけの収益があったか、投資はどれだけあったのかというのは何にもわからないということでは、目標というものがないと、やっぱり目標を目指してその成果がどれだけあったかという評価をしていくと意欲というものはだんだん高まってくると思うんですね。もっとこういうふうにしよう、ああいうふうにしよう、こういうものをどう作付して収益を上げようとかという、こういう意欲が出てくることが大事だ、こういうことを考えております。
 また、農村をどう発展させていくかということは、今申し上げたことと一緒にやっぱり足腰が強くなきゃいかぬということがまた大事。そのためには展望をしっかり示してあげるということも一つ大事だということで、今新政策の中でいろいろと検討いたしております。
 したがって、今回のこの法の改正も、さっきも申し上げたようにできるものから、しかし待っているわけにはいかぬものもありましたので、とりあえずもうスタートをさせるものはできるだけさせたい。あるいは、その中で農外からも現実に参入している人はおるものですから、それを早く、これは今方向を示しますけれどもまだ時間が多少かかる、皆さんの意見というものも織り込んでいかなきゃならぬ、そういう問題がありますので、それを待っているわけにはいきませんので、そういうことで、新規参入の青年、そういう者にも何とかこれが使えるようにいたしたいということがありましてお願いをしておるということでございます。
 それから、要請でありましたから学校のことで。
 私は水産部会長のときに水産大学校を何とか同じようなことでならぬかということで文部省と随分やりました。四年大学ですので、学士号というか、そういう名前のものを取れるようにしたという経緯があります。
 いずれにしても、そうかといって物理や化学やいろんなものを織り込みますと生徒がまた集まってこないという面があるんですね。私はこういうものをやりたいと思っているのに、そんな英語やフランス語や物理や化学というものまでやるとなると、今度は入ってくる人はそんなのは嫌だという人もおりまして、いろいろ面倒ですが、またもう一遍文部大臣と、何かないのか、まあいい知恵もありませんが、ちょっと相談をしてみたい、こう思います。
#118
○菅野久光君 後の方のやつは、まあいい知恵もありませんがということで簡単にひとつ片づけないで何とかいい知恵を、たくさん知恵者がいるようでありますので、ひとつ何か、何というんですか、農業上とかあるいは農業専門何とか、まあ何でもいいんですよ、何かやっぱりこういう肩書きの人は農業者大学校を卒業した人だということがわかるような何とかひとつ知恵を出してもらいたいなということを、今難しいと大臣おっしゃっても、今もってそう思っておりますので、たくさん知恵者が後ろの方にも並んでおりますので、ひとつ知恵を出してもらいたいというふうに思います。
 新規就農者の対策の問題でございますけれども、新たに青年農業者等育成確保資金を設けて農外の新規参入者等を貸し付け対象に追加する、開業資金を融資することにしておるわけであります。また、貸付条件については、これまでの農家子弟の部門経営開始資金よりも限度額だとかあるいは償還期間、年齢制限等についてかなり改善することにしております。この点はいろいろ今までの論議を受けとめながら今回の法改正ということでありまして、その点については私どもも評価をいたしたいというふうに思います。
 そこで、農外の新規参入者等に対してこの時点でこのような措置をとることにした理由、それは何でしょうか。
#119
○政府委員(上野博史君) これは、この点につきましては何回かお答えを申しておるわけでございますけれども、やはり現在の新規就農者の状況というものが非常に少なくて減少が続いている。で、一方で非農家出身の参入者というものも少ないながらあるという事態がございまして、できるだけ多くの方々に少しでも条件を整えて入っていただく、あるいはその対策の幅を広げて農外からの方にも入りやすいようにするということを考えまして、そのために、今回、改良資金制度を見直しまして、農業者等育成確保資金として拡充をするということにした次第でございます。
#120
○菅野久光君 私、ちょっと資料を持ってないんですけれども、農外新規参入者というのは以前から見てどうなのか、以前とそう変わらない状況で推移しているのか、あるいは以前から見るとだんだん少なくなってきているのかあるいは多くなってきているのか、その辺の傾向ですね、これはどんなことになっておりますでしょうか。
#121
○政府委員(上野博史君) 昭和六十年ぐらいの段階では六十六人ぐらいというようなこともございましたが、年によってかなり振れがございます。しかし、このところ三年ぐらいは七十五、六人ぐらいの水準でございまして、安定的に推移をしておる、こういう状況でございます。
#122
○菅野久光君 大体、言えば多少のぶれはあるけれども、横ばいの状況ということですね。
#123
○政府委員(上野博史君) そうです。
#124
○菅野久光君 そういう意味からいけば、これは後からまたちょっと論議をしたいというふうに思いますが、そこのところも大事にしていかなきゃならぬということで今回こういうことにしたというふうに私も受けとめておきます。
 そこで、全国農業会議所などは、これは政府の助成を得て新規就農ガイド事業を行っていますね。そこに相談に訪れる農外新規参入希望者の動向、それから実際に就農した人たちの人数などについて説明をしていただきたいと思いましたが、実際に就農したのは、先ほど平成二年度で七十四人とか七十六人だとかというようなことですから、そこのところはいいんですが、動向を、およそどういうような規模だとか、何というんですか、どういう傾向があるのか、その辺のところについてお伺いをいたしたいと思います。
#125
○政府委員(海野研一君) この全国農業会議所と都道府県の農業会議がタイアップしましてやっております新規就農ガイド事業でございますが、これに現実に相談に訪れた回数で申しますと、これは平成二年度で千八百三十一件。ただ、これは延べでございまして、現実にあらわれた人の実数で申しますと七百五十四名ということになっております。
 この事業は六十二年からスタートしたわけでございまして、六十二年には六百人台で延べも約千回というようなことでございましたけれども、その後必ずしも徐々にふえているとも申せませんけれども、まあ上がったり下がったりしながらややふえているというような中で、この四年間にこの相談を受けてその結果就農したという人が百九人に上っております。これは四年間の合計でございます。
#126
○菅野久光君 北海道の農業会議で農業青年人材銀行、グリーンバンク、これがつくられているんですが、そこの利用が急増しているという報道がございました。
 九一年度の同バンクの利用者は資料請求などを
 含め七百四十二人と、九〇年度の五百十五人に
 比べて四四・一%増。同バンクでは、有機農業
 など農産物の安全性に対し関心を持つ人が増え
 たのが原因と見ている。
  同バンクは道農業会議の中に九〇年四月に設
 けられた。新規就農を希望する同バンクの利用
 者は九一年度二百五人一つち女性三人)と九〇
 年度の百四十九人より三七・六%も増えてい
 る。このうち実際の就農者は三人で、就農予定
 者を含めると四十三人に上る。
というようなことがありまして、かなり何というんですか、農業に対する希望といいますか、そういうものがあるんだなと。そして、そのバンクの相談員の人は、「都市住民の自然志向を反映した結果。安全な農産物の自給自足を希望する人たちも約五割いる」というふうにその傾向を話されているわけでございます。
 相談に来る農外の新規参入希望者は大変多いわけですね。しかし、実際に就農している者は、ここ三年間ほど大体先ほどのお話のように七十人台で推移していて、決して増加傾向にはない。希望者はあるんだけれども、増加傾向にはないということなんです。また、この人数は平成二年における農家子弟の新規学卒就農者千八百人、Uターン青年が千九百人、ここに比較すれば大きな人数ではないわけであります。にもかかわらず、このように農業改良資金制度を改正してその就農促進を図る意義といいますか、それをどのようにお考えですか。
#127
○政府委員(上野博史君) 先ほど委員自身お触れになられましたように、この入られる方々に対して必要な資金を供給しなければならぬという必要性の面もあるわけでございますけれども、こういうことをやることによりまして、農外からの新規参入者がふえるということは、やはりそれなりのメリットを伴うんではないか。
 まあ、数が少ないという問題はございますけれども、農外から、いわばまるっきり農業に縁がなかったと言うと言い過ぎかもしれませんが、中にはそういう方もおられるわけでございまして、農業に飛び込むということについては、それに見合った並々ならない意欲を持っておられる方々なわけでございまして、単純に農業後継者の確保という以上にその入られた地域への波及効果等もある場合があるんじゃないか。時々新聞やなんかにもそういう事例がにぎわうわけでございまして、そういう効果がやはりあるんだろうというふうに考えているところでございます。
#128
○菅野久光君 実際に就農した人たちのうち、元年以降の参入者百五十人について農業白書で見ますと、「参入時の年齢は四十歳以下が六一%を占めており、学歴別では大学卒等の高学歴の者が比較的多い。また、就農前の職業については、約七割が農業と関係のない職業についていた者であり、なかでも会社員が最も多くなっている。」「経営部門別にみると、野菜、花き、酪農等の部門に多く就農しているが、稲作等を中心とした土地利用型部門では、農業所得が低いことや大規模にまとまった農地の取得が困難なこと等から相対的に少ない。」と、その実態を分析しています。
 続いて白書は、「これらの若い農業者は職業として農業を選択した者であり、意欲的な農業者として自らの経営の発展のみならず地域農業に与える影響は大きく、地域の活性化を促す面が強い。」と、幾つかの具体的な事例をこの白書では紹介しております。
 ここで私が強調したいのは、単に若ければよいとか、高学歴だからよいというわけではなくて、まさに意欲ですね、俗宣言葉で言えばやる気があるところにこそ農外新規参入者の意義があるんだというふうに思うのであります。この人手不足の現在、三十代だとかあるいは四十代なら農業に比較すればはるかに年収などを含めて有利な職業が幾らもあるはずであります。しかし、数ある職業の中からわざわざ農業を選んだところに私はやっぱり大きな意義があるのではないかというふうに思います。
 しかし、この年齢の人たちはもう既に妻子を持っている者も多いというふうに思われます。そのような中で、農業に参入するにはこれはよほどの覚悟を必要としたというふうに思うんです。奥さんのいる人であれば、やっぱり奥さんと話し合って、そして決意をして、農業をやろうと、こういうことになる。ですから、住居を移すという面についても、資産の処分等も伴うということは当然でございますし、そうであればあるほど失敗したときは悲惨であるというふうにこれは思わざるを得ません。
 したがって、このような農外新規参入者が農業に定着できるように、これはもう農政としてもできるだけの助力を惜しむべきではないというふうに思います。先ほど村沢委員からも言いましたが、我が党が青年農業者就農援助法案を出した意義もまさにここにあるわけであります。
 そこで、農外新規参入者の意義とそれに対する援助のあり方について、今のような状況をいろいろ私も申し上げましたけれども、大臣のお考えを承りたい、このように思います。
#129
○国務大臣(田名部匡省君) おっしゃるとおり、最近テレビを朝見ておりまして、非常にこの種の番組が多くなったなと思っております。先般も若い女性の方々が、途中から見たんですが、どこかに宿泊をして農業をやったんですね。で、帰るときの印象を聞いたら、いや、これなら私たちも農業というものを見直しました、お嫁に来てもいい、こういう話をしておったんですが、イメージとして農業というのは何となく暗いという印象を持ち過ぎているんでないか、親もまたそういうふうに子供たちに言い過ぎているんじゃないだろうかなということ。
 それから、こういう方々はやっぱりただ漫然とやりたいというんでなくて、いろいろと準備をして、私ならこうやろうという意欲をはっきりと持っている。それから、今、都内に住みたくないという人が結構栃木県とか向こうから通って、環境のいいところに住んで、だんだん家族の将来も考えると、あの大都会のもうごみごみしたところよりはここでやろうという意欲を持ったとかという、これに参入する前にいろんな条件があるんですね。
 そういうことから見ますと、私は、会社経営を少しかじっておるし、地域のリーダーとして育つ要素もありますし、また御婦人方がこの間東京近郊の農家に借りて何かつくっていろいろ指導を受けておる。貸す方も、もう手間はかからないし同じ収入が上がるし、この方がいいと、こう言っていましたが、安全志向というものが高まって、何が使われているかわからぬものより、自分でつくって安全なものを家族に食べさせたいという御婦人の皆さんがふえたということで、多少さま変わりはしていると思います。
 したがって、何といっても新規の人たちも大いに、これはスタートであって、これが成功した事例が出てくると私も私もというふうになるのかなという期待も私どもしているわけでありまして、いずれにしても、資金の確保でありますとか就農後の経営安定、あるいは予算、融資、税制、いろんなことでお手伝いをしていかなきゃならぬ。
 ただ、取っかかりでありますから、何でもかんでももう一遍に規模を、大農地を持たせて、機械を持たせてということになると、これは危ないところもありますので、やっぱり着実に伸ばしていくという中で育っていただきたいものだと。これがパイオニアになっていただければ、もっともっと都会生活の今の若い人たちが農村というものを理解してくれたら、あのぐらい環境がよくて、子供のための教育のためにもいいということを見てくれるともっと伸びていくんでないのかな、そのためには私どもも全力を挙げて努力していきたい、こう思っております。
#130
○菅野久光君 農業の持つつくる喜び、育てる喜びというのは、これは希望している人たちは者やっぱりそういうことを考えながらやっていると思うんです。そして、ぼろいもうけを農業でやろうなどと考えている人は私はいないというふうに思うんですね。しかし、自分たちの食べるものを、安全な食べ物を自分でつくってという、そういうことだけではこれはまた経営が成り立っていかない。
 結局、そういう意味で私どももことしの畜産価格のときにもいろいろ言いましたけれども、とにかく何とか生活をしていける、営農していける、そういうようなやっぱり価格政策、所得政策というものをしっかり確立していくことがまたこういう新規参入者を農業に入れていくことになるのではないかというふうには思いますが、今のところはまだこの価格の問題についてはいろいろとガットの問題などを含めてありますので、これは今すぐということにはなり得ないわけですが、当面しているこの農外の新規参入者ですね、この方たちをもう失敗させない。そういうためには、まず最初がやっぱり肝心ではないかというふうに私は思うんです。
 就農を希望する人たちに対して新規就農のガイド事業、こういう中でその人の希望分野だとかあるいは資金規模だとか体力だとかあるいは家族構成などの条件を、これは一人一人についてよくお話を聞いて、そしてともに考えてあげる、時間をかけて十分受け入れ先を慎重に選択できるようにしていくことが大事ではないかというふうに思うんですが、その辺の何というんですか、農外の新規参入者の人たちの相談に当たるところ、そこのところについて、私は今ちょっと申し上げましたけれども、農林水産省としてはどのように考えているのか、お伺いいたしたいと思います。
#131
○政府委員(海野研一君) 新規就農ガイド事業は、そもそも全く今御指摘のございましたようなそういう方向で、農業会議所にも農業会議にも専門の相談員を置いておりまして、これが一人一人見える希望者に個別の相談に応じて、どういう地域でどんな作物を栽培したいかとか、今おっしゃった資金がどうであるとか、どの辺のことが得意であるとか、いろんなことを十分聞いた上で、内容に応じて、まず大部分の場合は新規就農のためにどこへ行ったら農地が買えるか、借りられるかというようなことが必要でございます。そのほか、農業の経験のない人に実習を受け入れてくれる農家であるとか機関であるとかを紹介したり、さらに技術や経営、資金の助成その他についてそこの相談員でわかることは説明いたしますし、さらに詳しく知りたい人にはそれぞれの専門機関や団体等を紹介するというようなことをやりまして、これらの活動によってそれぞれの人が希望ないし事情に応じて就農場所が見つかるように努めているところでございますけれども、何といってもこのような事業というのは特に就農できる場所についての情報の蓄積が必要でございます。今後さらに情報の拡充を図って、より幅広い相談に応じられるように努めてまいりたいと思います。
#132
○菅野久光君 それで、農外の新規参入者の方々にそのような各都道府県でこのガイド事業をやっている、農業を希望される方はそこへ行ってどうぞ相談してくださいというような、そういうPRといいますか、そういうものはなさっているんですか、なさっているとすればどこでなさっているのか、私もちょっと見たことがないものですから、お伺いいたしたいと思います。
#133
○政府委員(海野研一君) これは、答弁席からこういうものを広げるのは違反かもしれませんけれども、(資料を示す)いろいろパンフレットを会議所でも各県の農業会議でもつくっておりまして、時に農業関係の新聞でございますとかそのようなものの広告、さらには県によっては東京の地下鉄ないし山手線に車内づり広告をしたりとかいうようなことなどもやっておりますけれども、どうもおっしゃるとおりいまだに我が国内におきましては農業というのは新規参入は禁止されておるんだと思っている人が非常に多いというのをいろんな機会に絶えず痛感するわけでございます。
 私どもも、これから特にそういういろんなメディアを使いまして、新規参入がそもそもできるんだという話とか、こういうところへ行ったらば相談に乗ってくれるんだとかいうような話を、恐らく全国で潜在的に農業を実はやりたいんだかと思っている人がみんなそういうものに触れられるようにしていきたいと思っております。
#134
○菅野久光君 新聞などで政府広報をやっているわけですよね。まだ法案審議中のものまで、いかにも何かなったような、こんなことをやるべきでないというものも広報しちゃっているんですけれども、こういうものこそやっぱりああいうものを使って広報すべきじゃないかというふうに私は思うんですよ。これはぜひひとつ考えていただきたいというふうに思いますが、そういうようなものを使って広報したということは今まではありませんね。
#135
○政府委員(海野研一君) 説明会みたいなものをいろんなところでやったりはしておりますが、まだ政府広報という格好でやったことはございませんけれども、そういうことも含めましていろんな格好で幅広く広報活動をやってまいりたいと思います。
#136
○菅野久光君 新しく農業をやられる方はそれぞれの都道府県に農業会議所があるということさえわからない方たちが私はほとんどだと思うんですね。そういう意味ではひとつ積極的にぜひやっていただきたいということをこの機会に要望しておきたいと思います。
 それから、農外の新規参入者が就農するときに一番大きな問題はまず開業資金ですね。そのための無利子融資制度をつくることの意義は私は大変大きいというふうに思います。また、限度・額等の貸付条件をこれまでよりもかなり大幅に引き上げているのも評価できます。しかし、それでもなお今後ともより有利にすることについての努力を怠ってはならないというふうに思います。例えば限度額でありますが、先日の予算の委嘱審査の際にも質問が出ていましたように、現在予定されている千二百万円では北海道のような大規模な経営を最初から行う必要のある地域ではやはりこれは少老いと言わざるを得ません。このように地域地域、あるいは畜産だとか水田だとか畑作だとか、そういうことによってもまたこれいろいろ違うと思うんですね。そういう面については今後の検討課題ではないかというふうに思うんですが、法律だから一律にしなきゃならぬということでも私はないというふうに思うんです。
 そういうことについて今後の検討課題としてやってもらえるかどうか、その点についてお考えを承りたいと思います。
#137
○政府委員(上野博史君) この貸付限度額につきましては、七百五十万から千二百万に増加をするということで、今年度から大幅な増加を図るという改正をしようとしているわけでございまして、我々としても状況に合わせて努力はしなければならないと考えるわけでございますが、今おっしゃいましたように作目によって所要の資金が違うということもそれはあると思います。
 ただ、私どもがちょっと心がけておかなければならないと思いますことは、一つには無利子資金でございまして、非常に有利な資金であるということから、まあ多々ますます弁ずだというわけにはいかない面も一方であるんではないか。ほかの一般の農業者の方々への融資制度とのバランスみたいなものも考えなければならぬということが一つ。
 それからもう一つは、どうしても新規に入られようとする方々、この方々に対しては、できるだけの勉強をしていただいて、習熟をしていただいた上で入っていただくということにはするつもりでおるわけでございますが、やっぱり普通にもう継続してやっておられる方々に比べて未熟なところは残るわけだろうと思うわけでございまして、しょっぱなから自分の考えている満杯の計画で仕事に取りかかるというのはリスクが大きい面もあるんではないか。徐々に足元を固めながら大きくしていく、その第一歩の部分についてこの資金で面倒を見るというような考え方で対応していく必要があるんじゃないかというふうな考えも持っているわけでございます。
 ただ、先生御指摘のとおり、事情に合わせて考えなければならないということはあるわけでございまして、今後ともそういう気持ちでやってまいりたい、かように考えております。
#138
○菅野久光君 他の方とのいろいろなこういう資金をやる場合の均衡といいますか、例えば商業だとか工業とか、そういう均衡ということがよく言われるんですけれども、農業の場合には、自分の仕事によって収入を得る、そういうことだけじゃないわけですね、まさに地域の環境保全といいますか、そういう重要な役割も持っていますので。まあ、大蔵あたりはよくそういうことを言うんです。農業だけやるわけにはいかないと、こう言うんですよ。何言っているんだということになるわけですけれども、その辺のやっぱり考え方といいますか発想を変えていかないと、なかなかこの問題は大蔵とのやりとりが難しいんじゃないかなというふうに私は思っておりますし、私どもも大蔵に行ったときによくそんな話をするんですけれども、ぜひここのところはまた検討課題としてひとつやってもらいたいなというふうに思います。
 農業を行うには、まず農地が不可欠ですね。今回の政府案では農地取得のための資金の貸し行付はこれは対象から外しております。これは、農林漁業金融公庫の農地等取得資金などの既存の制度融資の活用について改良普及員等が相談に乗るなどして、これはどうしても協力をしていく必要があるというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。言えば新規参入者ですから、いろんな制度資金なんというものもよくわからない部分があるわけですから、やっぱり親切にそういう相談に乗ってやることが必要じゃないかというふうに思います。
 この公庫資金というのは既存の農家が規模拡大をするときなどを前提とした資金であるわけですね。農地を全く持たない農外新規参入者に対してはより有利な融資の条件というものが必要だというふうに思うんですが、これも今後も課題として検討していく必要があるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#139
○政府委員(上野博史君) この新規就農者に千二百万の資金の範囲内でお貸しするということにいたします場合に、土地取得資金までそれで賄うということについては、土地が非常に投資額もかさばるものでございまして、なかなかそういう余裕が起こりにくいだろうというふうに実態的にまず考えるわけでございますけれども、もう一つは資産の形成ということに直につながる面もございまして、この部分については公庫資金の活用ということで対応をすべきなんではないかと考えておるわけでございます。
 新規参入の方々につきましては、どこにあるかという問題、あるいはどういう資金があるかという問題、こういうことについて適切な情報を与えていくということは、今、委員のおっしゃったとおり、極めて大事なことだというふうに考えるわけでございます。そういうようなことについて普及事業の観点から大いに努力をしてまいりたい、かように考えます。
#140
○政府委員(海野研一君) 今、農蚕園芸局長から申し上げましたように、土地そのものにつきましては、これは借りても小作料を取られるわけでございますので、改良資金の無利子というわけにまいりませんけれども、ある意味では公庫資金の中で最も利率の低い農地等取得資金というものが準備されております。ただ、これは、新規参入者がいろいろ何といいますか、そもそもの段階で負っているハンディキャップからうまく利用できないというようなことがあるといけませんので、借り入れる場合の要件など、この平成四年度から特に見直しを行っていろいろ借りやすく制度を直しておりますが、それらにつきましても、今の普及関係、さらには就農ガイド事業その他含めまして、この資金の活用について十分普及に努めてまいりたいと思っております。
#141
○菅野久光君 ぜひこういったことについても先ほどの限度額の問題とあわせてひとつ検討してもらいたいというふうに思います。
 それから、農外の新規参入者が就農する際に農業技術をどう身につけるかがやっぱり大きな問題だというふうに思います。幸い今回の改正で研修教育資金も貸付対象になるようでありますが、研修には二、三年やっぱり欲しいんですね。そうなりますと、妻子のいる人などはというより妻子のいる人がほとんどだと思うんですが、その生活費の確保が問題になる場合が私は多いと思うんです。新規参入者の増加を期待するならこうした面で何らかのやっぱり援助も必要だというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
#142
○政府委員(上野博史君) この点について、私どもとすれば、新規参入される方々が営農計画をお立てになる、その際にはその営む農業の中からやはり自分の生活を支える程度の収入が上がるという、そういうものでなければ参入をしていただくということになりにくいというふうに考えるわけでございまして、若干経過的に資金がショートするというようなことはあるのかもしれませんが、一定の期間の中にはそういうようなことになるということで計画が今後も組まれるのでなければ、その方々の農業が十分に定着をして発展していくということになりにくいんではないかというふうにまず思うわけでございます。
 何か事があってどうしてもそうならないというような事態に対応する資金としては、公庫資金の中に自作農維持資金というようなものもあるわけでございまして、そういう面での対応ということも考えたらいいのではないかというふうに考えております。
 それから、無利子資金をこういうものに貸すということについては今申し上げたとおりでございますけれども、低利の資金だというような話になりますと、この改良資金というものが無利子の資金であるということとの関係もございまして、やや別建ての考え方にならざるを得ないのかな、かように考える次第でございます。
#143
○菅野久光君 どうも、さっきからいろいろ話を私もしておりますように、やっぱり発想を変えなきゃ、そういう個人の生活まで面倒見られないという、一般的に言えば確かにそうかもしれません。しかし農業の持つ意義というものは非常に大きいわけでしょう。まさに地球環境を守るだとか、そこの地域の景観を守るだとか、いろんなそういう公共的な役割もあるわけ。だからこそ私どもはこういう主張をしているんですよ。普通の、自分で好きで商売を始めてやるのとは違うわけですよ。だから何らかの援助が必要ではないのか、せっかく意欲を持って始めた人たちが途中から挫折することのないように。そこら辺はやっぱり考えてもらわにゃいかぬというふうに私は思いますよ。
 もうさっきから言っているように、とにかく金を出すことについてはもう大蔵がいろんなことを制約してくるというふうに思うんですけれども、そこはまさに大蔵自身も発想を変えてもらわなきゃならぬし、農水省自身も発想を変えた形で取り組んでもらわないとこういう問題の解決にはなっていかないんじゃないかというふうに私は思います。
 それから、先ほどからいろいろ話がありますように、農業改良普及員の持つ役割というのは、特に農外の新規参入者に対してはやはり大きいというふうに思います。農村に入った場合に、いろんな農村のしきたりだとか、そういうその農村特有のいろんなものもあるでしょうし、都市生活をずっとやってきて、そこの農村の生活に溶け込めないなんというようなことなどもあるいは出てくるかもしれない。そういった面では、この改良普及員によって生活面できめ細かな相談に乗る体制、こういうものをやっぱり整えていかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思うんですが、改良普及員も定員削減などを含めてだんだん少なくしていくような傾向にある。
 定員削減のことで言えば、私もいつもあちこちの役所の関係で言うんですけれども、もう減らすといったら出先ばかり減らすんですよね。本省は一つも減らしてないんです。だから、こういう面でやっぱり国民に対するサービスというものが低下していくんじゃないかと思いますが、それはまあここで論議する問題ではありませんが、改良普及員の任務というのは非常に重いと思うんですが、そういう体制をしっかり整えてもらいたいというふうに思いますが、いかがですか。
#144
○政府委員(上野博史君) まさに改良普及事業の今おっしゃったようなことをやることは非常に大事な仕事だというふうに考えているわけでございまして、平成三年の二月、昨年の二月に協同農業普及事業の運営に関する指針という、言うなればこの普及事業の基本方針を定めております方針というものを改定いたしたところでございます。その中に、新規参入者を含む農業後継者の育成確保対策を普及指導活動の基本課題として位置づけておるところでございまして、就農青年に対しまして、経営の発展段階に応じまして個別の濃密な指導をやれるような体制づくりをいたしたわけでございます。
 また、新規の参入者が地域に溶け込むために、地域の青年との交流あるいは仲間づくり等についての普及活動も進めているところでございまして、平成四年度からは新たに若い農業者の就農促進対策事業というようなことをやりまして、新しい産地づくり等のための就農環境条件の整備ということについても努力をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
#145
○菅野久光君 せっかく意欲を持って参入した人たちが離村、離農するなどという事態が起こらないように、ぜひきめ細かい指導をひとつしてもらいたいというふうに要望をしておきます。
 それから、農業後継者の減少などの情勢のもとで、家族経営だけではもう地域の農業生産は維持できなくなっているというようなことがあるわけで、そういった点では農業生産法人等の協業組織が注目されるようになってきております。政府も新政策の検討課題として、多様な担い手の重要な一つとして法人を挙げております。その中心となるのは、当然この農業生産法人であると思いますが、一方、昨年行われた後継者等に関する意向調査では、農業生産法人等を農業の担い手として肯定的にとらえる回答が多い。その理由としては、高齢化、後継者不足の状況にある現在、従来の家族経営だけに依存したやり方では農業の維持発展は困難だとする者が半数以上を占めております。
 農業生産法人には、メリット・デメリットいろいろあることは事実でありますけれども、規模拡大によるコスト低減、社会保障制度への加入、経理の明確化など、すぐれた点もまた多いわけであります。この意味で農業生産法人は危機にある農業の担い手として期待できるのではないかというふうに思われますが、この点はどうなのか、そこのところをまずお伺いいたしたい。
#146
○政府委員(上野博史君) 農業就業者が年々減少いたしてまいる、あるいは就業者の方々の平均年齢が毎年毎年上がってまいる、そういうような状況におきますと、なかなか個別農家で農業というものを支えていくということがしにくい状況になるわけでございまして、言うなれば数少ない若い青壮年の農家というものを中心にしまして農業の生産というものを続けていく工夫をしなければならない。その場合に、農業生産法人というのはやはり非常に有力な手段じゃないかというふうに私は考えるわけでございまして、その辺の議論も新しい政策の検討の中の非常に大きな部分を占める話になるんじゃないか、かように考えるわけでございます。
#147
○菅野久光君 先ほど村沢委員の質問の中でもその点についてはちょっとありましたけれども、今の青年農業者等の育成確保資金では、農業生産法人について、個人個人には貸すことができても法人そのものに貸すことはできないということになっておりますね。
 そこで、ここのところを、議決権の過半数を青年が占めるというようなものについては貸付対象にするということを考えてもいいのではないか、担い手対策ということでやるわけですから。この農業白書でも、農業生産法人等の事業体の代表者の意向を聞いたところ、ほとんどの者が規模拡大を図りたいとするなど積極的な経営姿勢を示しております。「また、後継者以外の者でも能力と意欲があれば構成員に加え経営を発展させていきたいとする事業体もありこということで、「手持資金の少ない非農家出身等の新規参入者の受入れ先としての面からも注目される。」というふうに言っているわけであります。
 そこで、農外新規参入者の受け入れ先について農業生産法人等をもっと活用することが必要ではないかというふうに思うんですが、いかがですか。
#148
○政府委員(上野博史君) この新規参入者の関係、これは要するに農外から入るというようなことであれば、それはそのとき、その方々それぞれの事情がおありになって、どちらかというと個別でお考えになっている面が今のところは多いんじゃないかというふうに思いますけれども、もちろん法人の形での新規参入というものもあろうかと思います。
 それから、この改良資金の関係で新規参入青年を常時従事者として抱えている法人を対象にすべきではないかという御質問がというふうにも受け取るわけでございますが、この点については、私ども先ほど言いましたような農業生産法人の位置づけ、これがどうなるかということが大きな観点で言えば一つの何といいますか、そこが示されるということが一つの手がかりになるわけでございます。それからまた、やや技術的になりますと、法人というものが新規参入というところでつかまえるのか、その中の構成員が新規参入であるということをもって何かそういうことを考えるのか、それも貸し付けの相手方を法人にするのか個人にするのか等々、いろいろやはり考えるとなると議論もあるわけでございまして、現在のところ必ずしも一般的な形ではないものですから、もう少し様子を見て、実態を見ながらそこについての検討はいたしてみたい、かように考えているところでございます。
#149
○菅野久光君 農外の新規参入者をやるために、先ほど言いましたように、生産法人に対する議決権が過半数を占めるというところについては何かこういうことを考えていくことが、より農業に対する新規参入者をふやしていく、そういう有効な手段の一つになるのではないかというふうに思うものですから、その辺のところはぜひひとつ検討して、できるだけ早く検討して、そして貸し付けの条件なりなんなり変えるのであれば変えるということで、いいことはできるだけ早くやるようにしてもらいたい。一度やったらしばらくそのままにしておくなんというようなことのないように、ぜひこれはやっぱり積極的にやってもらいたい。
 本当に私たちは、これはもう与党だとか野党だとかということでなくて、まさにこの農林水産委員会に所属している人たちは何とかしなきゃいかぬと、こういう気持ちでおるものですから、だから、政党だとか議員だとかなんとかということでなくて、全く私たちも、質問のやりとりでは対になっていますけれども、そんな気持ちでないということで、我々が提起するものについて考えられるものはぜひひとつ考えてもらいたい、このように思います。
 大臣、何か時間のようですから、結構です。
 それから、生産方式改善資金でありますけれども、ここで、何か今回の改正で生産方式改善資金で、「合理的な生産方式の導入と併せ合理的な加工方式の導入を」と、何か合理的、合理的と、何が合理的なんだかちょっとここのところがわからないんですね。それで、この表現がこういうふうになっておりますので、「合理的な生産方式」あるいは「合理的な加工方式」とは具体的にどのようなものを言っているのか、簡単にひとつ説明をしていただきたいと思います。
#150
○政府委員(上野博史君) 従来、加工についてのこの改良資金の融資というのは道がなかったわけでございますけれども、単に生産の部門だけ資金の面倒を見れば、それでその作物のその地域における生産が可能になるというふうに必ずしも言い切れないところがある。加工をして、あるいは場合によっては販路を確保するということが伴って初めてある作物が入り得るというようなところがあるわけでございまして、そういうものに対応しようということなんでございます。
 例示的に一つ申し上げますと、例えばブルーベリーの生産を改めて始めたいという御婦人方のグループがいたと、そういうときにブルーベリーの生産のためのお金を貸すというのは今のあれでできるわけでございますけれども、青果として出荷ができない、あるいはたくさん生産がされる時期に一部加工して販路を確保したい、それが全体としての経営を成り立たせる道であるというような場合に、ジャムをつくる施設を入れれば経営がうまくいくというようなケースがあるわけでございまして、言うなればそういうものを今回できるようにしよう、こういうことでございます。
#151
○菅野久光君 やがてこの法律が成立するわけでありますから、借りる人たちはちょっと例示的にやっぱりわかりやすくやらないと、この言葉だけじゃちょっと何が何だかわからぬような私は感じがいたします、私だけかもしれませんけれども。
 それから、このような制度を設けるのは、転作作物の定着や地域の新作物の地域特産物としての定着を図るためということなんですね。その運用に当たっては特に生産条件の不利な中山間地域農業の振興に役立つようにすべきではないかというふうに思うんですが、この点はいかがですか。
#152
○政府委員(上野博史君) まさに委員御指摘のように考えているわけでございまして、施設なり機械を取得するのに必要な資金を貸す場合に、やはり対象地域には中山間地域等の条件不利地域というものがあることを十分に念頭に置いて考えているところでございます。
#153
○菅野久光君 最後に、担保制度の導入なんですが、担保制度を導入するに当たっては借り受け側の農家が保証人あるいは担保のどちらでも選べるようにすべきだというふうに思うが、この点はいかがですか。
#154
○政府委員(上野博史君) これは、都道府県が例えば物的担保でやるということについては、担保でとったものが処分できるような体制がとれなければそういう話にならないというような準備の問題もございまして、一律に考え方を決めて我々から指導するというふうにやりにくいところもあるんですけれども、逐次できるだけ幅広い可能性が得られるように指導はしてまいりたい、かように考えているところでございます。
#155
○菅野久光君 いろいろな政府の融資あるいは貸し付けの制度がいろいろ配慮されてできるんですが、どうも現場の人たちに聞きますと、いろいろ条件が難しくて借りられないという人たちがかなりやっぱりいるんですよね。だから、せっかくつくるんですから、つくったものが生かされるようにしてもらいたいなというふうに思う人ですよ。公的な資金、国民の税金からやるわけですから、それはきちっとしたものをやらなきゃならぬという気持ちはわかるんですけれども、せっかくつくって、仏つくって魂入れずということがありますけれども、つくったものが生かされないんじゃ何のためにつくったかということになりますので、そういう意味ではひとつぜひ今のような現場の人たちが使いやすいような、借りられやすいような、しかし余り間違いがあっては困るんですけれども、そういうことをぜひ考えていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
#156
○委員長(永田良雄君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。
   午後零時五十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時開会
#157
○委員長(永田良雄君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#158
○刈田貞子君 質問させていただきます。
 昭和三十一年度から五十九年度までは補助金として交付する形をとり、それから六十年度以降、無利子貸し付けの制度として改編された当農業改良資金制度のこれまでの成果、それからこれまで農業あるいはその政策にもたらした成果、どんなふうにお考えになっていらっしゃるか、まずお尋ねをいたします。
#159
○政府委員(上野博史君) 農業改良資金制度は、三十一年に発足をいたしまして以来、制度の変遷はございますけれども、無利子の貸付制度という特色を生かしまして、農業者の自主性と創意工夫を生かす、そういう観点で運営がなされてまいっておりまして、農業経営の安定と農業生産力の増強に大きな役割を果たしてきたというふうに考えております。
 若干具体的に申し述べさせていただきますと、この制度の中に幾つかの資金があるわけでございますが、まず生産方式改善資金につきましては、新技術の導入、そのときどきの新しい技術を農業に取り入れていく、あるいは作目をそのときの需給事情等に応じて転換をしていく、あるいは品質を向上させる、あるいはコストを低減する、そういうようなコスト低減のための合理的な生産方式を導入していくというようなそれぞれの目的を持ちまして貸し付けが行われているわけでございまして、地域農業の再編成という意味で大きな役割を果たしてまいっているというふうに考えております。平成二年末まで貸付実績が四千億円近くなっておるという状況でございます。
 それから経営規模拡大資金でございますけれども、六十年にこの資金はできたわけでございますが、土地利用型農業についての農地流動化による経営規模拡大、これを図るためにやってまいっておるわけでございますけれども、これにつきましてはやや貸付金額が少ないといううらみはございますが、それでも七百ヘクタール余りの実績を上げているという状況でございます。
 それから農家生活改善資金につきましては、既に役割を果たした制度としまして、炊事場であるとか浴室というような農家の生活の上での必要な改善を環境改善という観点でやってまいっておる。あるいは最近におきましては、集落の共同部な生活環境施設の改善ということに使われておりまして、平成二年までに七百三十億余りの貸し付けがなされておる。それから御婦人であるとか高齢者の活動を促進するという意味でもこの資金の利用がなされるように平成三年度以来制度が改まっておるという状況でございます。
 それから後継者資金につきましては、昭和三十九年度の創設以来、平成二年度までに千八百五十三億円という貸し付けが行われておりまして、延べ十二万一千人の方々に対して資金供給がなされておるということでございます。
 農業の置かれております情勢を考えますと、地域の特徴に応じまして取り組みを漸次変えて事情に合ったものにしていく必要があるわけでございますし、その際に個別の農業者の経営の意向というようなものを尊重いたしまして、企業的マインドを持った経営に誘導していくというような観点からこの資金が大いに活用されれば非常に結構なことではないか、かように考えておる次第でございます。
#160
○刈田貞子君 そこで、今四種類の資金についての運用の成果というようなことのお話あったと思うんですけれども、私、質問の一番最後に通告してある部分のところで実はそれと連動させてお伺いをしてみたいというふうに思います。
 これは、実は六十三年度の会計検査院の当制度に対する指摘事項のことでございますけれども、六十三年度の指摘事項を今なぜ取り上げるのか、そういうふうにお思いで大変嫌な思いをなさるかというふうに思いますが、私はこれを見ながらいろいろ自分の所見があるわけで実は申し上げてみたいというふうに思います。
 そこで、当指摘事項、主なることが二点あるわけですけれども、まずどういうふうに受けとめられたか。
#161
○政府委員(上野博史君) この二点を申してみろという御質問かと思うわけでございます。
 第一点は、県の特別会計でこの資金を管理いたしているわけでございますが、この会計内に若干の余裕があるのはやむを得ないといいますか当然のことだというふうに思うわけでございますけれども、ややそういう範囲を超えまして資金が滞留をしているというところがあるわけでございまして、そういう点について資金の有効活用の点から問題があるんではないかという観点の御指摘が第一点でございます。
 それから第二点は、この改良資金をいろいろな形で余剰資金を運用しておられる向きがあるわけでございますけれども、その運用益を県の特別会計に必ずしも全部戻入していないというようなケースがあったという、この二点が御指摘のことだったというふうに理解をいたしておりまして、私どもといたしましては、指摘の趣旨に従いまして貸付事業の適切な運営が行われるように、それ以来十分指導に努めてまいってきているという状況でございます。
#162
○刈田貞子君 県レベルでの、各県における特定額以上のものをプールして持っていたというような問題について、繰り上げ償還をなぜしなかったのかという問題が一点あるわけですね。
 農水省がその後、この検査院の指摘に対して措置された事柄、つまり本制度の趣旨を周知徹底することということで通達を出されていますね。こういうことは、私は結局この資金の制度の、特に改正後の資金の制度の趣旨が徹底されていなかったのではないかということの思いを持つのと同時に、ながながしかし検査院が言うようなことになるには難しい部分もあるなと。県がだぶついたものを繰越金として抱えてしまうという部分が出てくるわけでしょう。そのことが言われているわけだから難しい部分があるなというのを思うわけであります。
 ただ、ここで思うのは、いわゆる資金需要を前もって県が、つまりいわゆる資金計画を立てるわけですよね。その資金計画を立てたものを農政局が受けて、そしてそれを認定した上で動き出すわけだから、一体そうした資金計画に対して各地方農政局は本当にこれを精査したのかどうなのかという問題があるのと同時に、県もこうしたものの資金計画を立てるについては、例えば前年度の例であるとか過去の実績であるとか、そういうことに照らし合わせでそうした資金計画を立てるんだろうと思うんだけれども、貸付事業計画というのが一番大事なかなめの作業になっていくというふうに思うんです。そこのところが実は今後も農業をめぐる情勢をいろいろかんがみるに、この点の計画を立てていくのはなかなか見通しを持ちつつ難しいかなということが思われて、今後再三こんなことを検査院から指摘されるのでは困るなというようなこともあって、この貸付事業計画策定にかかわって何か御見解をお持ちでしょうか。
#163
○政府委員(上野博史君) こういう事態が起こったことについてはまことに申しわけないわけでございまして、今、委員御指摘のとおり、回転資金の制度に変えてからの十分な指導があるいは徹底をしていなかった、指導の徹底がなかったというようなこともあろうかと思いますし、なかなか把握がしづらいということも確かに一つの問題としてはあるかなというふうに思うわけでございまして、資金の有効利用の観点から、我々とすれば、今おっしゃられたような事業計画の策定段階から始まりまして、十分に注意を払ってやってまいらなければならない、かように考えている次第でございます。
#164
○刈田貞子君 それからもう一つ、検査院の指摘事項の中で、つまり適正にかつ公正に運用していくんだということがあるわけですけれども、その問題で言えば、あるところは繰越金が非常に多くてだぶついている県があるかと思うと、一方で資金需要が旺盛で非常に足りない、それで一般会計から繰り入れているような県もある。一時ですけれども補てんしているというような県もある。そういうのに対してもっと均衡を持った使い方をしていきなさい、こういうのが一つ入っているわけですよね。
 ところが、これもさっきの見通しの問題も含めて、六十三年度時点のものですけれども、そういうことが点在している県の情勢も全部県レベルで私も見てみましたけれども、足りるところと足りないところの状況を精査していくことの難しさ、つまり県ごとによってそのときの農政の部分部分に対する力の入れ方が違っていてみたり、PRの仕方が違っていてみたりというような事柄もあるわけですよね。それで、この辺のところを偏りなく公正にこの資金が使われていくように農水省は努力していきなさい、こういうことが一つあるわけですね。こういうことについてどう考えればよろしいでしょうか。
#165
○政府委員(上野博史君) 限られた国の資金でございますから、これをできるだけ活用してまいらなければならない、そのために需要のあるところに的確に資金を配賦してまいらなければならないという御趣旨は全くそのとおりだろうというふうに思います。
 私どものこの資金は、農業改良普及事業と裏表で貸し付けが行われる、つまり、個々の農家に対する普及事業というものを通してこういうような資金を投資したらいいんじゃないかということで計画がまとまり貸し付けに至るということでございまして、通常のいわゆる金融よりも大分農家の段階まで立ち入った指導と一体となった貸し付けがなされるということになっているわけでございます。そういうことですから、ちゃんと目を光らせておれば、その需要の動向なりなんなり比較的的確に把握がしやすいはずのものでございまして、今おっしゃられたようなこと、あるいはこの会計検査院の御指摘というものについては、十分慎重に受けとめまして真剣に対応してまいらなければならない、かように考えている次第でございます。
#166
○刈田貞子君 私は、長年決算委員をいたしておりますものですから、会計検査院報告を趣味のように読みますので大変恐縮でございますけれども、会計検査院が当制度に対して指摘している事項というのはかなり厳しいんですね。その出てきた剰余金の利回りのあり方、大口預金に入れたのか、普通預金に入れたのか、それによって利回りが違うではないかというようなところまで指摘されているわけですね。こうした子細なところにまでやはり指導とそれから監視、監視という言い方はなにですけれども、目を配っていくということも大変大事なことだろうというふうに思うんです。
 元年の十二月の通達でしたか、それから二年の六月の通達でしたか、二度お出しになっていらっしゃると思いますけれども、この通達によってそうしたことに県レベルで大変気を配るというようなことが見えてきたのでしょうか、いかがでしょうか。
#167
○政府委員(上野博史君) 今、委員から御指摘いただきましたように、二回の通達を出しまして事態の改善について指示をいたしたところでございまして、滞留資金の吸い上げも大体平成三年度で正常な水準になるはずであるというふうに、これは年度末の段階をまだ我々チェックし切っておらないものですからそういうような言葉遣いで申し上げるわけでございますけれども、終わっているはずでございまして、その資金の運用についても十分な理解がいったんじゃないか、かように思っております。
 資金運用に余り熱申されても困る面もあるんですけれども、ちゃんと適正に資金を使って貸し付けをしていただきながら、一方で余剰資金については十分効率的にまた回転していただきたいというお願いを我々としてはしているところでございます。
#168
○刈田貞子君 適正にかつ公正にこの資金が運用されて初めて、私は有効に活用されているというふうに認識をしたいのでこの検査院報告を実は使わせていただいたわけでございますので、よろしくお願いします。
 それでは、次に改正案について一部お伺いいたしますが、この農業改良資金が今言われているような回転資金であることから、これは償還がどうなっていっているのかということは大事な問題だろうと思うんですが、これをむしろ逆に国民金融公庫とか中小企業金融公庫、これらと比べますと、国金の方が二・七六で中金は一・一八という延滞率から見ると、この改良資金の延滞率というのは〇・二九という低さで、むしろ非常に円滑な償還が行われている、こういうふうに読めるわけです。なぜそんなにいいのかという、逆にこういう聞き方があろうかと思いますが、その辺のところ、そうすると改良資金の性格が出てくるだろうというふうに思うのでお尋ねします。
#169
○政府委員(上野博史君) これはやはり先ほど私がお答えしましたように、資金の貸し付けあるいはその後の貸し付けられた農家の状況につきまして、農業改良普及事業の観点から十分に綿密な目配りをして指導がなされているということが今おっしゃったような話につながっているんではないかというふうに考える次第でございます。
#170
○刈田貞子君 もう一つは、今回の改正案で新規参入者への貸与ということが大きな一つの政策としてあるわけですけれども、この新規参入者が加わってきたときの、三年据え置き十年返還という形になるんですけれども、この延滞というような事態に対する考え方はどんなものでしょうか。
#171
○政府委員(上野博史君) これは現状から言いますと、農外からの新規参入の青年というのはまだ非常に限られた数でございまして、個々の方々を見ますと非常に意欲を持っておられる方が多いということでございます。それからまた、受け入れようとする地域も何とか優秀な農業者を受け入れたいという考えでいろいろな便宜を供与するなりあるいは指導をするなり、支援、協力を惜しまないという態勢が一般にはできているわけでございまして、そういう方々がその地域で農業を営んでいく上で、言うなれば十分な環境ができ上がっているのが現在のところではないかというふうに考えるわけでございます。
 したがいまして、改良資金や改良普及事業の面からも普及員の綿密な指導もいたすわけでございまして、特段この関係について延滞が高まるというようなことは心配しないでもいいんではないかな、かように思っております。
#172
○刈田貞子君 それから、新しい改正点では保証人制度の改正が出てきておりますけれども、保証人ではなくて担保物件でもいいということですけれども、午前中にもちょっと話があったかと思いますが、新規参入の人で物件もないわ保証人もいないわと、こういうふうなときには借りる資格がない、こういうことでしょうか。意欲だけではだめなんでしょうか。
#173
○政府委員(上野博史君) やはり、人の御協力も得られない、あるいは必要な資産もないということになりますと、なかなか貸し付けをすることが難しいというのはそのとおりだと思います。
 ただ、先ほど来言っておりますように、農外からの新規参入の方々の場合には地元の受け入れというものがあるわけでございまして、そういう地元が来ていただきたいという人については、いろんな形で便宜といいますか、そういう保証人に立つなりなんなりの工夫をするという、そういうことが普通行われるのではないか、そういうのにかなう人が新規参入者として入ってこられるんではないのか、かように見ております。
#174
○刈田貞子君 それから、本来この保証人制度をとるようになっている理由には、農業では零細規模の経営が多く、農業者に物的担保を設定するに足る資力を持つ者が少ないという事情と、高度の一政策的な資金であるという点を考慮して保証人制度をこれまでとってきたというふうになっているわけですね。
 今回、物的担保、これでよろしいということになるのですが、これは借り受ける者が、先ほど出ておりましたけれども、選択をしていずれかを選ぶことができるということに恐らくなるだろうというふうに思うんですけれども、この物的担保ということをここで考えた理由は何なんでしょうか。
#175
○政府委員(上野博史君) これまで人的担保でやってきたということについては、今、委員からお話があったようなことがあるわけでございますけれども、普及事業との兼ね合いで確かに貸し付けがなされるというようなこともございまして、人的担保の方が後々その経営がうまくいくんじゃないかというようなことも一方ではあったんじゃないかなという気もいたすわけでございます。
 ただ、先ほど来議論になっておりますように、今度の新しい資金の場合に千二百万というような金額になりますと、これは人が連帯保証人というような形で保証に立つというにしてはやや額が大きいんじゃないかという感じもあるわけでございます。そういうようなことも考慮いたしまして、別に人的保証をやめるということではなくて、借り受け人の都合でどちらかが選べるような選択の幅を広げるという趣旨で用意をした、こういうことでございます。
#176
○刈田貞子君 想定する物的担保とは、例えばどういうものでしょうか。
#177
○政府委員(上野博史君) もちろん、不動産もございますれば、その資金によって機械を借り入れるというような場合には、そういう機械を譲渡担保というような形で提供するということもあろうと思います。
#178
○刈田貞子君 それはだれがそういう担保力があるというふうに審査するんですか。
#179
○政府委員(上野博史君) 貸し付けに当たります都道府県が直接判断をいたします場合もございますれば、その事務を農協に委託いたしまして、もっと現場に近いところで実際上の判断をしていただくというケースもあるというふうに聞いております。
#180
○刈田貞子君 このいただいた資料の中に幾つかの図があって、どことどこがどう審査するというのが載っているからなになんですけれども、やっぱり人によってはさまざまな物的担保が出てくるんじゃないかなというふうに思うんですね。新規参入の人なんかで持っているワープロとかパソコンとか、こういう種類のものもみんな担保力があると認めるんですか、どうなんですか。
#181
○政府委員(上野博史君) 細かい個別具体的な話になりますとちょっと私も判断がしかねるわけでございまして、この点については、担保力があるかどうか原則として貸付人である都道府県に判断をしていただくということになろうと思います。
#182
○刈田貞子君 だけれども、やっぱり基準というかな、そういうもののガイドラインみたいなものはやがて国が示していかなければならかいのではないかというふうに私は思うんです。
 きのう、家畜はどうですかと言ったら、家畜はだめだというふうにおっしゃっていらしたんですけれども、家畜だって持っている人にとっては大変な資産なんで、この担保力はどうなのかという話をしたんですけれどもね。
 今回のこの改正の中に新規資金として有機農法のあれが出てくるでしょう。あれが私は大変いい場を仕組んでくださったなというふうに思っているんですけれども、あの有機農法の資金に対しては、どういうものを購入していっていいかというものの中に天敵、それから田んぼの中の除草の役を果たすアイガモもいいよと書いておられるわけ。アイガモもこれは有機農法においては投資の対象にしていいというふうになっているんですよね。
 こういうふうなことを考えると、動物が云々ということには、まあ担保力というのとまた別になるかもしれないけれども、私は家畜もいいのではないかというふうに思ったりするんだけれども、この物的担保というものの考え方ですね、これをひとつきちっと示されるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。重ねて伺います。
#183
○政府委員(上野博史君) この点については今回初めて道を開くわけでございますので、委員御指摘のとおり、やはり何かの指針を示す必要があるというふうに私どもも考えておりまして、改良資金協会にお願いをして検討していただいているところでございます。それができたところでまた指導に使ってまいりたい、かように考えております。
#184
○刈田貞子君 それから、先ほどからもお話が出ておりましたけれども、要するに三年据え置きの十年返還という、こういう形にはなるんだけれども、当面の生活費みたいなものについては、結局は自己資金を持っていない人はどうにもならないのではないかというようなことが現実には私考えられると思うんですよ。こういう問題について、つまりどこかにアルバイトに行きながら当面のお金を得て、そして農業の自分の基盤をつくるというようなことは許されるんでしょうか。
#185
○政府委員(上野博史君) まあ、生活資金の貸し付けということになりますとなかなか難しい面があるわけでございますけれども、私どもとすれば、新しく始められる経営で必要な生活資金の取得ができる、その程度のことができるということが、言うなれば新規参入といいますか、新しく農業経営をするということのメルクマールでもあるのではないかというふうに基本的には考えておるところでございます。
#186
○刈田貞子君 それから、先ほど経営開始資金が一千二百万では少ないのではないか、北海道のような大規模なところで経営をしていく場合には少ないのではないかというふうなお話が出ておりまして、この一千二百万に対する考え方でございますけれども、当面この一千二百万を設定した考え方の基本というか基準というか、おありになるというふうには思うんですけれども、恐らくこれだけではなかなか難しさがあるというようなことから、私も農業白書なんかを見てみますと、農業白書で一番すごいなと思ったのは、各県がみんな県レベルでこういういわゆる新規参入者、就農者、そういう者に対する各種メニューというものを物すごくそろえているんですね。これは国の比しゃないわけ、きめ細かい。
 私は、現場がそのぐらい深刻だということの裏返してはないか。こちらを永田町農政とは申しませんけれども、やはり私は、県レベル、もっといけば市町村まで持っています。こういう就農者あるいは後継者に対して大変な細かいメニューをたくさんそろえております。一々申し上げるには余りにもすぐれたものが多いというふうに私はむしろ評価をしたい。そういうものを使って何とか地元に農業者及び農業後継者、担い手、こういうものが根づいてほしいという現場のあらわれだというふうに思うんです。
 しかし、いずれにしても、この一千二百万円というものの考え方は低いのではないかというふうに思いますけれども、これについてはいかがでしょうか。
#187
○政府委員(上野博史君) 基本的に従来七百五十万円であったものを千二百万円まで引き上げるということでございまして、そういう方向での努力はいたしたというつもりが第一点でございます。
 それから、千二百万円が多いかどうかということで言いますと、一応千二百万円あれば、先ほどの御質問にも関連をいたすわけでございますが、新規就農青年の所得水準はまあ大体二百万円程度じゃないかと思っておるのでございますが、その程度のものを賄うだけの資金にはなるんではないかと。これは作目によりまして所要資金額が非常に違うというのはもちろん事情としてございますけれども、一般的に考えればかなり機械、施設の資本投下の多い経営であってもそれぐらいのことにはなるのではないかなというふうに考えているところでございます。
#188
○刈田貞子君 それから、この資金に対する年齢のことをお伺いしてみたいんですけれども、年齢制限があるということについてちょっと私は意見があるんですが、いわゆる新規学卒とそれからUターン組ですか、ここにいろいろ数字があるんだけれども、まずUターンの人からいきますと、農業後継者の離職就農者、これは三十四歳以下は千九百人、これは新規学卒千八百を上回っているわけですね。だけれども、その下に三十五歳から四十九歳までの離職就農者が千七百人いるんですね。
 こういう人たちの層を考えると、これは三十四歳ですか、何歳までこれをあれすることに、三十九歳まででしたかな、今度のあれは、そうですね。これはこの三十五歳から四十九歳までの層が一千七百人平成二年でいるということを考えると、この年齢に関する考え方ももっと柔軟に対応してもいいのではないかというふうに思うんですけれども、その辺はどうなのでしょうかということと、それから、新規参入者についても四十一歳から五十歳までが二八%いるんですね。これはどういうふうに考えればいいか、あわせて年齢制限のことをお伺いします。
#189
○政府委員(上野博史君) 一応私どものこの資金の貸し付けの対象として三十歳代ということを考えているということなんでございますけれども、これは「青年農業者」ということで表現をいたしておりますように、活力のある若い人に将来長く農業に携わっていただきたいというところから出ているわけでございまして、どこら辺で切るのかというなかなか難しいところもあるわけでございますが、一応三十歳代かなというふうに考えたということでございます。
 それからもう一つは、Uターンのお話もございましたが、四十歳ぐらいから上の方ということになると、それまでの間それぞれいろんな職業についておられて、ある程度の資産といいますか、そういうものもできているのが普通のケースではないだろうかという気もするわけでございまして、その辺を考慮して先ほどのような線を引いて考えているということでございます。
#190
○刈田貞子君 午前中にも話が出ておりましたけれども、各種の農業で本気で農業に今取り組んでいる人たちというのは何が一番課題になるかというと、やはり農業に対する先行きの展望、これがないことを一つの大きな問題にしているのと同時に、しかし、やってみようじゃないかという思いがあっても資金にかかわる問題というのが大きな課題になっているのは確かなんです。
 私も実は長野県の果樹を栽培しているグループそれから山口、福島、各所の若い人たちとの話し合いをやってきましたけれども、長野のリンゴからブドウに転換したこの人たち、リーダーが四十二歳で、そしてあとは皆四十歳のかつての中学校のグループみたいなものをつくっているんですね。この人たちは、やればまだまだ自分たちはできる、だけれども資金不足だという、いわゆる農事組合みたいなものをつくっておるんですが、これ大変に深刻に、しかし強烈に訴えているわけでございます。
 これは午前中の話とも通じるわけですけれども、組合をつくったことがよかったのか悪かったのか、スケールメリットがあると思ったけれども、この法律で言えばないのではないかというようなことも含めて非常に集団への貸し付けの問題が出ておりましたので、これは答弁要りません、先ほどから伺っておりますから要りませんけれども、こうした需要があることを私は考えなきゃいけないと。
 先ほど、その集落、村が、その地域が受け入れるか受け入れないかという話をしておられましたけれども、まさに一人ぽつんと入ったのでは今新規参入者なんか仕事ができないわけですよね。そのときにグループで仕事をするということはこれから非常にいい環境をつくっていくことにもなるので、これはぜひ今後配慮していっていただきたいということを希望いたしておきます。
 ところで、今回のこの制度の改正に当たって、子育てが終わった女性、婦人に対して、本格的に農業をやっていくんだというような、こうした女性に対する反応はどうなっていくのでしょうか。
#191
○政府委員(上野博史君) 農業後継者たる農村青少年ということでございますので、今回の本資金でも当然農家婦人等についても、まず新規参入の方々であれば何も男性でなければならないというそういうことはございませんし、それから研修関係の貸し付けが広がっているわけでございますけれども、それの貸し付けの対象として農家婦人等についても研修教育資金等の貸し付けが受けられるように考えているところでございます。
#192
○刈田貞子君 さあ、ここから大臣の出番でございます。
 農村における女性の役割について少しお伺いをしていきたいんですけれども、私は元気のいい女性がたくさんいるところ、村、非常に活性化しているという現場をたくさん見てきています。今、実は日本の農業というのは六割が女性で支えられている。労働力は六割以上、地域によってはもう七割以上が労働力としては女性の労働力で支えられている。これはもう間違いない事実でございます。先般委嘱のときに井上委員が婦人の問題をやっていただいて、大変男性から出る発言として価値があったと思いますけれども、私は女性の立場からいつも農村婦人の問題を必ず取り上げさせていただいているわけです。
 三月十日が「農山漁村婦人の日」と決められておりまして、そしていろいろなイベント等をやっていただきますけれども、私はまだまだ農村女性の地位というものは低いのじゃないかと思うんですけれども、大臣いかがでしょう。
#193
○国務大臣(田名部匡省君) 農村に限らず、国会を見ておっても先生方のように活発に議論している姿というものは大いに活性化につながっておると思っておりますが、何分にも今の農村婦人は学校教育を十分受けておるし、それから農耕農機具等の免許、車の免許、そういうものを取得するようになりまして活動範囲というものはもう本当に大きくなった。
 去年の刈り入れのときに地元に帰りまして、刈り入れをする機械をたくさん田んぼに置いてやっておるんですが、男の人は一人で婦人の方が四人ぐらいおって、自分で機械は動かす、もういろんなことをやっているのを私も拝見いたしまして、確かに夫にかわっての仕事というものはもう従来から比べると半分以上多くなっていると思っております。また、PTA活動なんかも婦人の方が多くて、そしていろんな企画を立てたり予算の案をつくったり、いろんなことを経験を積まれておるということで、私はさらにこの婦人の参画というものは重要だというふうに考えております。
 したがって、地域でも本当にリーダーとなって一生懸命やっておる御婦人というのはもう今は珍しくないほど多いんですね。むしろ男性の方がそういうところへ出てこないというぐらい活発でありますから、前にもお答え申し上げましたが、これからの農業経営というものも御婦人の方々にしっかりと財布を握ってもらうということからしても大事なことである、こう考えております。
 ただ、例えば農協活動でありますとかいろんな公的な場になると、もう少し多方面にわたる資質の向上というものが必要な方もありまして、もう十分それだけのものを持っておる方もおりますが、全般的に見るといま少し相当範囲の御婦人の皆さんがそういう研修や普及あるいは指導、そういうものでみずからを高めながら、本当に将来は農村のことは御婦人方で全部わかるというほどになってほしいというふうに考えておりまして、これからも私どもも研修でありますとか普及指導に鋭意努力をしてうんと高めていってほしいというふうに期待をいたしております。
#194
○刈田貞子君 だから、完全に農村を支えているのは今女性であるというのは、これは間違いないことであるし、今の大臣の御答弁でもそのように認識しておられるということがわかるんですけれども、基本的には社会的ステータスとでもいうんでしょうか、そういうものがないわけよ、農村の女性に。私はやっぱりそういうものをきちっと方策的に位置づけていかなければならないのではないか、そういう時期に来ているのではないかということで再三こういう問題を取り上げているんです。
 今言われた農協の役員、理事、これは私は〇・何%だと思ったら、方針決定への参画の割合というのは〇・〇何%、これは余りにも低いと思うんですね。一方で、都市部の働く婦人の管理職というのは、かつてはなかなか確かにできませんでしたけれども、これは決して私は多いとは申しておりませんが、今七・七%まで進んでいるんですよね。そういうことから見ると、労働はする、財布も持つ、だけれども地位は依然として低い、こういうことではだめなのではないか。やはり農業、農村、農家、そういうものを引っ張っていく方針決定の場に女性が入っていくことが大事であるということは既に国際婦人年の十何年前から出ているんですよ。だけれども、日本の農村はそういう形になかなか進んでいない。
 しかし、かつてから見れば私はその差が縮まってきていることは認めます。しかし、その数字はいかにも低いということで一つ御提案申し上げたいのは、婦人農業上、これは何ですかとこの間聞いたら、よく働くので勲章だみたいな話で、知事が認めるとそういう「士」をくれるというわけなんです。私はそういう「士」をもらっても余り意味はないと。じゃ、どういうメリットがあるのかといえば、より一層その地域への指導方に歩くんだと、こういうことで何ら資格が、さっき短大の資格の話が出ておりましたけれども、この婦人農業士の資格も知事が認定さえすればいい勲章であるとしか私は思えませんので、もっと行政的、公的にきちっとした女性の社会への位置づけというものをこれから真剣に考えていくべきであろうというふうに思います。
 そこで、さっき言った提案なんですが、農業委員にぜひ私は女性がたくさん進出できるような形のことを進めていただきたい。今、農業委員も〇・一二ですか、この〇・一二のごくわずか全国の農業委員の中に女性がいるという、この女性の農業委員の場合はほとんどが議員の枠を使って推薦されて出てきている農業委員が多いと私は認識しております。つまり、農業委員には一号委員、二号委員というふうな枠が決まっていて、団体役員であるとか、あるいはまた議員であるとかいうふうに枠があるわけですよね。こういう枠を使って何とか女性が農業委員になっていく道がないのかというところで、有識者の枠というものをこれから有効に使ってそこに非常に有能な女性を入れていったらどうかというふうに私は思うんだけれども、この農業委員に対する女性の登用というのはいかがでしょうか。
#195
○政府委員(川合淳二君) 今、農業委員の女性は確かに今のところ先生が御指摘のような比率でございます。
 それで、農業委員は、これも先生御承知のとおりなのでございますが、選手で選ばれる人とそれから市町村長が選任する委員がございます。選任する委員の方は二つに分かれておりまして、一つは農協それから農業共済組合の推薦した理事というのが一つのグループ、もう一つは市町村の議会が推薦した農業委員ということになっておりまして、先生がおっしゃられた女性が主として出てきているのはこの二番目の部分だろうと思っております。
 それで、私ども二十六年に、先生もこれは御承知の点でございますが、通達でこの点について触れているのがあるのでございますが、これは市町村議会の推薦という制度のできる前の通達でございまして、これは技術的な専門的な人を学識経験者として入れてほしいという、そういうある種の要望的な通達になっているわけでございまして、制度的に申しますと、議会が推薦するという仕組みになっているものですから、ここについて余り強い指導といいますか、は非常にしにくい形になっていると思っております。
 ただ、もちろん、今、先生るるお話がございましたように、現在の農村あるいは農業の実情からいって婦人の地位あるいは役割というのは非常に大きいわけでございますので、何とかここに入るということを、私どももそれが一番望ましいとは思うのでございますが、制度的にそれを担保するというようなことはなかなか難しいということだと思っております。しかしながら、実情が実情ですし、まあ少しずつではございますがふえているという実態もございます。
 先日、ここの委員会では農協についてもお話をいたしましたが、やはり具体的な活動を支援することによって社会的地位を高める。例えば農協の場合ですと専門部会みたいなのをつくる、これを積極的に、それから正組合員の率が今一二%ぐらいでございますが、これを高めるというようなことをまずやっていくということがこの農業委員会の問題にもつながるのではないか。制度的にこういうふうにしろという形のある種の指導あるいは規制というのはなかなか難しいんではないかというふうに考えているところでございます。
#196
○刈田貞子君 何かなかなか難しい話ばかりしか聞こえてこないんだけれども、ぜひやっていたださたいんですよ、大臣、何か工夫をして。私は、これからの農業は経営管理能力、こういうのが大事だ、企業マインドが大事だと、こんなふうな話が出ているでしょう。経営管理能力なんというのは家計を担当している女性の方がしっかりしているんですよ。私はもう絶対に女性の農業委員、農地にかかわるから女は余りかかわらない方がいいみたいなそんな古い認識はだめでありまして、これから町づくり等にも大いに農地なんというのはかかわっていくわけだから、やはり女性のセンスや感覚というものが大いに農地とかかわっていかなければいけないと思う。何とか工夫して、本当に恥ずかしい話なんです、この農村の農業委員が少ないというのが。ぜひこれを私はふやしていく工夫を大臣のいる間にしていただきたいと思う。いいお返事をしていただけませんか。
#197
○国務大臣(田名部匡省君) 私もそう思っております。
#198
○刈田貞子君 思っているだけじゃだめなのよ。
#199
○国務大臣(田名部匡省君) なかなか私の身近な農協を見ておりますと封建的でして、上に立つ人がやっぱり相当そういう発想で組合の運営をするとか、そういうことを考えるとこれ進むんだろうと思うんですが、何かいろいろよくもめているのも多くて、そういう中に女性が巻き込まれるのがどうとかこうとかいうことになると、なかなか別なことで参画できない面もあるのかなと思ってみたり、しかし、いずれにしても時代はもうそういうところに来ております。努めて私の方から、まあ選びなさいとかなんとかということは別として、女性の方々をそういうことに登用してはどうかということは申し上げてまいりたい、こう思っております。
#200
○刈田貞子君 堀内さんの地元の安曇農協の婦人部あるいはまた富山の婦中の竹部さんのところの婦人部の人たちと話し合いなんかしているときに、ああ農村に女性は必要だなとすごく思いますよ。そしてその力はやっぱりすごいものだなというふうに思う。担い手なんていったって本気の担い手がいなくなったときには女がやるよりしょうがないとみんな勢い込んでおりますから、やっぱり今や農村、農家、農業は女性は一〇〇%支えるような時代になってしまうかもしれないわけです。だから、そういうことも含めてこれはぜひ念頭に置いておいていただきたい。
 農業委員というものを何とかふやしていくための方策を、今の推薦制にせよ何割にせよあとは枠組みの中で工夫をして、これがあるからだめだではなくて、出すにはどうすればいいかという工夫をしてぜひその仕組みを考えるべきであると。これは私が指摘をしているのではなくて、政府の、総理府の婦人問題の、内閣総理大臣が長となりますところの婦人問題本部の有識者会議からそういう提言が出ておりますので、しっかりとお読みいただいて、女性のそうした農村での位置づけ、こうしたものをこれからしっかりと考えていかなきゃいけないというふうに思いますので、お願いいたします。
 最後に、大臣に重ねてお伺いするわけですが、後継者問題等午前中からたくさん出てまいりました。しかし、今なぜ農業に後継者がなかなか育たないのか、あるいはまた新規参入といってもなかなかその数が多くはふえていかないのか、こういうことを考えるとき、農業という労働の条件の問題、あるいはその周辺の環境問題、こうしたものはいろいろあろうかと思います。こうした問題についてやはり考えていかなきゃいけないんではないでしょうか。そういうことは既に農業白書にもしっかりとお書きになってはいらっしゃいますけれども、このことの御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
#201
○国務大臣(田名部匡省君) 今までの需要と生産の長期見通してありますとか各種農政審議会の報告の形で中長期的な展望を示してきたわけでありますけれども、何分にも世の中の変化が速くてそれに対応できなかったということがあります。
 一つは何といっても経済の高度成長、これがもうこんなに発展するとはだれも予想つかなかったということは、農家の若い人たちがそういう方に就職をしていったということが一つ大きな後継者不足に陥ったという問題あります。それから、土地の需要の増大が、またそういう工業化に進むに従って農地がどんどんどんどん工業用地になっていくということがありまして、また地価が高騰してまいりました。ということもあって農家の皆さんにとっては少ない、まあ高く売れることはいいことであったと思いますけれども、しかし農業生産という立場から見ると、なかなか土地利用型の農業、こういうものがうまく進まない問題が一方においては出てきたということが言えると思うんです。
 いずれにしても、そういうことを踏まえて今根本的に見直す作業をいたしておりますが、これもまた、時代が変わらないでいてくれれば対応できるように持っていきますが、しかし何年かたつとまたいろんな変化が出てくると思います。ですから、そのときどきにまた対応していかなきゃならぬことはあっても、しかし今のままでは国民の皆さんも農家の皆さんも日本の農業はいいと思っていらっしゃる人はいないんだろうと思うんです。ですから、そこのところはきちっと対応できるようにしてあげて、当面まずこれでスタートしていくということで、先が見えないとか展望が持てないとかということに対する少しでもお答えにしていきたいということを考えておりますので、一生懸命取り組ませていただきたい、こう思います。
#202
○林紀子君 私はまず緊急な問題ですので、グレート・アメリカン・フード・ショーの問題について伺いたいと思います。
 四月七日のこの委員会で私はこの問題を取り上げましたけれども、おとといから始まりましたこのグレート・アメリカン・フード・ショー、二日目のきのうの夜、新高輪プリンスホテルで食品関係の業者、輸入業者、ジェトロ、報道関係者、およそ千人を集めてレセプションを行ったということです。会場ではカリフォルニア米でつくられたたる酒の鏡開きから始まりまして、開会直前までは調理関係者は日本のモチ米だと言い張っていたそうですけれども、いざ本番になりましたら司会者がわざわざ大声で本日はアメリカ産のモチ米を使っておりますと宣伝をしたもちつき、またアメリカ米を使った料理やピラフなども出されたということですね。
 前回お聞きいたしましたときには、このグレート・アメリカン・フード・ショーというのは、ショーそのものは商業目的だけれども、米の輸入許可申請に対して条件つきで許可をした。たしか食糧庁長官はこの条件に反すれば撤去を命ずることもあるというふうにこの場でお返事なさったと思うわけですが、きのうの夜のこういった状況を見ましたら、まさしく商業目的、「サンプルの無料配付等を含む米の販売促進活動を行わないこと」というこの条件から全く外れているのではないかと思いますが、今からでも、もうあと何時間しかないのではないかと思いますけれども、撤去ということを求めるべきではないかと思いますが、いかがですか。
#203
○政府委員(京谷昭夫君) 今回のアメリカ大使館の主催によって行われておりますグレート・アメリカン・フード・ショーにおけるアメリカ産米の処理については、前回も御答弁申し上げたとおりでございます。
 ただいま御指摘のございましたレセプションの中で、御指摘のような催しかあったこと、私どもも概要の報告を聞いております。ただいま先生御指摘の中で、ショーの一環としてもちつきが行われたという事実、またそれにアメリカ産の米が使われたという点は事実のようでございますが、その他まさにレセプションの接待に使われました米のピラフでありますとかおすし等々供せられたようでありますが、それに使われている米は日本国内産米のものという報告を受けております。
 いろいろ御議論はあろうかと思いますが、私どもとしては、こういった状況について現在概要報告を聞いている限りでは、私どもが今回の輸入許可に付しました許可条件に対する重大な違反が生じておるという認識は持っておりませんので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
#204
○林紀子君 今この条件と大幅にかけ離れてはいないということですけれども、今申し上げました状況というのはやはり商業目的、販売促進ということに当たると思うわけです。ですから、ここのところはきちんと対処をしていただかなければ、もう去年、おととしあれだけ大きな問題になって、それを承知の上でアメリカもやっているわけですから、きちんとした対処をとるべきだということを重ねて申し上げて、時間の関係もありますので、農業改良資金の方に質問を移させていただきます。
 今回の農業改良資金助成法の改正で青年農業者等育成確保資金、これを創設したいということは、必要な措置であり、評価もできるわけですけれども、深刻な現在の農業後継者不足を解消するにはこれではまだほど遠いものだと言わざるを得ないと思います。農業と農村に青年が定着するためには農業で生活が成り立つようにすること、これが一番の基本だと思います。そして後継者問題に本格的に取り組み、Uターン青年、兼業農家も含めて青壮年層が農業と農村に定着てきる条件をつくる、このことがどうしても必要だと思うわけです。
 きょうは、私は農業後継者を育てまだ確保する上で重要な農業教育についてお聞きしてまいりたいと思います。
 私は、三月の初めに秋田県の大曲農業高校を視察してまいりました。この高校はことしで創立百年を迎えるという歴史と伝統のある高校、例年三百人ぐらいの卒業生のうち、今まで農業に従事する者は一人か二人だったということですけれども、ことしは先生方の熱意が伝わったのか、女性一人も含めて七人もいた、マスコミでわざわざ取材に来るような状況であったということもお聞きいたしました。
 そこで、まず文部省にお聞きしたいのですが、全国には農業高校、併設校も含めてですが、何枚あるのか。そして、そのうち卒業して農業に従事する生徒は何人いるのかということを教えていただきたいと思います。
#205
○説明員(水野豊君) まず、農業高校の学校数でございますが、いわゆる農業単独校が全国に二百一校ございます。また併設校、いわゆる農業科のほかに普通科等を置いている学校でございますが、それが二百二十七校、合わせて四百二十八校が平成三年五月現在の統計であるわけでございます。
 また、卒業者の関係でございますが、農業関係の学科を卒業する者は、平成三年度三月卒業者で見ますと合計四万八千三百六十六名いるわけでございますが、そのうち直ちに農業に従事する者につきましては千二百三十五名となっているわけでございます。
#206
○林紀子君 千二百三十五人といいますと、卒業生およそ五万人のうちの三%ぐらいということになるのではないかと思いますが、農業高校といいますのは、これは大変残念なことですけれども、今、輪切り、選別の中で仕方がないかう農業高校に入学すると、そういう生徒が大変多いということも聞いているわけです。こうした生徒たちにどのように農業を理解させるのか。そのポイントとなるのは生産する喜び、生産によって生み出された収穫する喜びにあると思うわけです。
 ところが、一九八九年に定めた学習指導要領では、高校の農業教育の目標の中で「生産」という文言が削除されてしまったわけですね。これはどうしてかということを聞かせてください。
#207
○説明員(水野豊君) 新しい指導要領の農業の教科の目標の記述につきましての御質問でございますけれども、農業教育におきましては、次代の農業を担う農業経営者、農業従事者を育成することは基本的に大事なことだと認識しておるわけでございまして、教育の中で先生が御指摘のようにやはり物を育てる喜びというものが十分培えるような教育を展開する必要があるわけでございます。
 ただ、一方、今後の社会の変化等を展望しました場合に、農業高校生の進路につきましては、やはりバイオテクノロジー等の生産技術の進展や生産形態の多様化、また食品産業の拡大等流通加工分野の発展などによりまして、いわゆる第一次産業である農業の範囲を超えて一層広がっていくということが考えられるわけでございます。また、産業社会そのものも食品の多様化が進みまして、職業活動についての固定的な区分というものも次第に困難になりつつあるという現状があるわけでございまして、このような農業を取り巻く社会の変化を踏まえまして、新しい指導要領におきましては農業教育の目標を幅広くとらえることにしたわけでございます。
 これまでの農業経営者、農業従事者の教育を改善充実しますとともに、今後さらに進展することが予想されます食品産業など新しい分野に対しても人材の育成が図ることができますよう改善を図ったところでございます。
#208
○林紀子君 今、幅広くというお答えがあったわけですけれども、今使われている学習指導要領、その解説書というのを見せていただきますと、「農業の各分野における生産や経営に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させる」、このこを中心的・具体的目標としてほかの目標も達成するようにしろというふうに解説してあるわけですね。あくまで「生産や経営に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させる」ということが一番の中心であるというふうにうたわれていたと思うわけです。ですから、幅は広くなってもその中心が抜けてしまった、ぼんやりとしてしまったということになるのではないかと思うわけです。
 私が訪ねました大曲農業高校でも、またほかの高校でもこういう子供の声があるわけですね。
 一年生で初めて田植えを終えた後での感想。
 「今日の田植えが終わったあとの喜びは一生忘れないだろう。これからも喜びと共に苦労があると思うが、この苦労をのり越えることが喜びにつながると思う」
 大曲農業高校では、
 「みんなで汗を流して、家畜の飼育の仕方や農産物を生産することと、そのつらさ、また収穫した後の楽しさは一番勉強になり良い想い出だと思います」
 これは卒業文集に載っている言葉なわけですね。
 ですから、本当に「生産」というところが抜けてしまったということは、農業から生産を抜かしたら何があるのかということまで言えるんじゃないかと思うので、大変な問題だと思うわけですね。
 そこで、農水大臣にお伺いしたいと思うわけですけれども、農業高校のあるべき姿というのはどういうものだと大臣は御見解をお持ちでしょうか。
#209
○国務大臣(田名部匡省君) 本来、農業後継者あるいは農業にかかわる仕事についてもらうということが一番理想像であると思います。
 これは、私たちも県会議員のころでありますが、県立高校である農業高校がどうも農業に従事をしないという問題が何回も議論されました。人口が急増期、いわゆる高校進学率が物すごく高いときには農業高校といえども農業に関係のない人たちが殺到するという傾向があります。成績でとるものですから、農業をやってない者はとらないようにとかなんとか議論はありますけれども、学校側としては、受けに来た場合はやっぱり成績のいい者から入学させるということになるものですから、ついそういうことになっていっているという嫌いは私はあると思います。しかしながら、何といってもやっぱり担い手の問題あるいは今申し上げたように関連産業、こういうものの人材を育成する上では農業高校の果たす役割というのは非常に大きいと思います。
 学校教育は文部省所管に属するものでありますが、最近では、農業ないし関連分野の技術の革新等に即応して文部省にお願いもし、教育内容の充実を図る、そういうこと等によって農業高校がその役割を十分果たすように働きかけてまいりたい、そう思っております。願わくは、農業に関連する音あるいは直接農業に従事する人たちにどんどん高校教育を受けさせていただきたい、こう思っております。
#210
○林紀子君 そこで、農業高校の一つの弊害ではないかと指摘されております農場実習費の還元制度、これについてお伺いしたいと思うわけです。
 全国高等学校農場協会、こういうところの調査によりますと、農場実習費が県から予算として配分された金額と農業高校が実習によって生産した生産物の販売額を県に同額またはそれ以上の金額を納付している県が二十三県もあります。そして、金額は県からおりてきたものが少しは多いけれどもほぼ同額という県もまた非常に多いわけです。
 文部省にお伺いいたしますが、この実習費というのは、こういう数字から見てまいりますと、教育経費の同額は納入しなければいけない、こういうノルマが課せられているのではないかというふうに思うわけですけれども、実態はどのように把握していらっしゃいますでしょうか、わかっているところで結構ですのでお答えいただきたいと思います。
#211
○説明員(水野豊君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、一般的に農業高校において収穫をいたしました農産物等の売り上げによって生じました収益につきましては、各県の会計上の規則に従いまして県の収入に繰り入れていることとなっております。
 各県において、農業高校の教育の実習のためには、教職員の給与でございますとか、また農場等施設設備の整備費でございますとか、その維持管理費また基礎的な実験・実習費等の経費につきましては一般的な財源で措置がされているわけでございます。これは県によって多少制度が異なるわけでございますが、かなりの多数の県におきまして、農場におきます生産実習に伴う肥料、農業費、また原材料費等、農場における生産活動に直接かかる経費にほぼ見合う形で農産物の売り払い収入が歳入に見積もられている現状でございます。
#212
○林紀子君 このように、県からおりてきた農場実習の費用をまたノルマとしてきちんと県に返さなければいけない、こういう還元制度があるということは大変学校現場に大きな負担をかけているわけですね。
 東京農業大学の赤木教授も、この事実は現場校長、教員のみならず、生徒に非常に大きな負担を与えているというふうに指摘しているわけですし、長崎県の高等学校職員組合、ここが中心になりまして十七県の農業高等学校にアンケート調査を行いました。農業高校の先生方がいろいろ声を寄せているわけですけれども、この還元制度に対して、こういうふうに言っているわけですね。
 「収入を伴わない実験・実習が多く取り入れられないために、魅力的な実験・実習ができない。(生産第一主義となり、生産のために多くの時間がかけられている。)
 「学校内の農場であるにもかかわらず、現在の形態では一個の経営体でしかなく、収入をあげるために力を入れ、農業の教育がなおざりになりがちである。
 「収入をあげる事のみに追われ、実験や座学をする時間がなくなる。また、失敗が許されないので生徒に任されない部分(作業)がある。」。
 こういうふうに、収入を上げるために本来の教育がゆがめられているというお答えが非常に多いわけですね。
 こういうやり方というのは改めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#213
○説明員(水野豊君) 先ほど御説明申し上げたとおり、農場における生産実習に直接要する経費に相当するような収益が想定されているわけでございますが、いわゆる純粋に農業経営において考慮されるような人件費や施設等の固定資本への投資やまたその維持費等の経費というものは別途一般財源で措置されているわけでございまして、各学校の農場の例年の実績を踏まえまして一定の収益目標を掲げることが直ちに過大な目標とは言えないと思うわけでございます。
 また、農業高校の農場はやはり実践的な農業経営を学ばせる場でありますので、すぐれた指導が展開されますとそこに立派な生産結果が得られるということが多くあるわけでございます。したがいまして、やはりある程度教育の実習生産活動というような観点で調和をとることは必要でございますが、一定の収益目標を掲げることは特段の問題はないと思っておるわけでございます。
 また、先ほど先生御指摘にありました生産に直接つながらない実験的な実習の充実ということにつきましては、やはりこれは基礎、基本の観点から極めて重要な実習でございまして、これは各教科の教育内容に応じまして別途予算措置されているわけでございますが、今後ともその面につきましては一層充実を図ることが望ましいと考えている次第でございます。
#214
○林紀子君 今、御説明がありましたように、教職員の給与等人件費とか施設設備の整備費等といったものは一般会計として県からちゃんと教育費という形でおりてくるわけですね。ですから、今農場に係る実習費というのも結局教育費の一部であると思うわけですね。私が見せていただきましたここの中にも、肥料、農業等の消耗品費とかシイタケの原木の費用だとかいうことを挙げてあるわけですけれども、こういうものも教育費の一つではないかと思うわけですね。ですから、それであれば、教育費として一般会計からきちんと県から予算がおりてくる、そして、確かに農場では生産物が上がるわけですから収入はあるでしょう。その収入は上がっただけ県に納める、そういう形にしていただくということが一番現場では負担がかからない方法だと思うわけですね。
 私が伺いましたら、昔は工業高校でもこういうことをやっていたと。ところが、工業高校は今や大企業のすばらしい製品に太刀打ちできないで、生徒の実習でつくったような製品というのはなかなか売れないから、その実習のためにかかった費用というのを工業高校では生徒たちの品物を販売したもので賄うというやり方はやめたんだということなんですね。こういう制度が残っているのが農業高校と水産高校だけだと言うんです。それはやはりおかしいと思うんですね。工業高校は、生徒の品物が売れないから、じゃ実習費というのは出しませんということにはなっていないと思うわけですね。そういう意味では、農業高校も水産高校も同じように職業高校の一つとしてきちんと県から予算を配分して、そして上がったものは別途県にきちんと上納するというか出すという形に制度を、文部省の方からきちんと県に対して指導するべきだと思いますが、もう一度お答えお願いいたします。
#215
○説明員(水野豊君) 農業教育の基本的目標といたしまして、将来、農業自営者を初めとし農業各分野に活躍できる職業人を育成する、そういう資質を養う実践的な教育の場がいわゆる農場におきます生産実習であるわけでございます。したがいまして、市場的な価値のある農産物の生産、またそういうことを生むことによって生産する喜びを理解し、また自立的な農業経営者として効率的な農業経営のあり方を学ぶということも一つ大事な教育の目標になっているわけでございます。したがいまして、農産物を育てる結果として一定の収益が上がるということが当然あるわけでございますし、またそういう農場が望まれておるわけでございます。
 会計制度の細かい点につきましては、各県によりましてちょっと違いがございまして、特別会計のような形で処理されている県もございますが、多くの県については歳入はあくまでも農産物が収穫を得たときの一定の収益の見積もりという形で計上されておるわけでございます。したがいまして、農業教育における農場実習が円滑に実施されるというような、そういう調和のとれたものであれば、一定の収益目標を設け、その収益というものをある一定の経費に充当するというようなことも理解ができるというふうに考えておるわけでございまして……
#216
○林紀子君 済みません、時間が余りありませんので……。
#217
○説明員(水野豊君) いずれにしましても、今後とも各県におきまして農場実習がより教育的な意義が上がりますように、いわゆる農場会計制度につきましても適切な運用が望まれるわけでございまして、私どもその点につきましては十分各都道府県等に必要があれば指導はしてまいりたいと思っております。
#218
○林紀子君 今、適切な農業教育をするために手かせ足かせにかっているというところをぜひ御理解いただきたいと思いまして、次の質問に移らせていただきます。
 この四月から改訂された小学校五年生の社会科の教科書、今大変問題となっております。小学校五年生の社会科の教科書で農業の問題を扱ったところを農水省お読みかど思うんですけれども、どんな感想を持ったかというのをまずちょっと伺いたいと思ったんですが、食糧庁長官の方からお答えいただければと思います。
#219
○政府委員(京谷昭夫君) 私、教育問題の専門家でもございませんので、御趣旨に応じた答弁になるかどうかわかりませんが、一般論として私ども、次代を担う児童生徒の皆さん方に、学校教育の場等を通じまして、自然を相手に営まれ、また我が国の経済社会で重要な役割を担っております農業について正しい理解を持たせるということは学校教育上も大変大きな課題であるという認識を持っております。
 そのために教科書を選択し、そしてまた現場の先生方のいろいろな活動を通じて、ただいま申し上げましたような認識を児童生徒の皆さんに持っていただくような活動があるというふうに考えております。その中で、いろいろ御議論もあろうかと思いますけれども、教育行政の分野において適切に対処されていくべきものというふうに私ども理解をいたしております。
#220
○林紀子君 新潟の農協中央会が文部省に抗議に来たという新聞報道もされているわけですけれども、この問題について文部省ではどういうような対処をなさったのかというのをお聞きしたいと思います。
#221
○説明員(矢野重典君) 先生御指摘の教科書の記述でございますが、その教科書の記述につきましては、新潟の米づくり農家の米づくりに対する意気込みを述べているものであって、言われるような一方的に米の自由化を容認するようなものではないというふうに私どもは認識しているところでございますが、新潟県農協から関係機関に対する適切な指導方の要請もございましたので、文部省といたしましては、新潟県教育委員会とも連絡をとって、実際の授業において適切な指導が行われるようにいたしたいと考えているところでございます。
#222
○林紀子君 今、問題になっておりますのは学校図書の小学校五年生の教科書ですけれども、それ以外にもいろいろ見てみますとあるわけですね。
 中教出版、「肉や牛乳は国内の消費量に追いつかず、不足分は外国から買っています。」。
 また光村図書、「日本人の食生活が変わってきたことによって、国内での生産だけでは間に合わなくなり、輸入にたよらざるを得なくなってきた食品も出てきました。」。生産調整やらされていると、そういうことは一切書いてないわけですね。
 それから東京書籍というのは、「日本は世界じゅうに工業製品を輸出していると聞きました。だから、世界じゅうからおいしくて安い食料を輸入すればいいと思います。」 「輸入がふえているのは、外国の食料が安いからだと思います。日本の食料が高すぎるのではないかしら。」。
 こういうふうに数え上げていきますと、農業の問題、最初に出会う小学校五年生で本当に真実のことが教えられていないというふうにどうしても考えてしまうわけなんですね。そういうことでは、正しい事実が教えられるということというのが非常に重要だと思うわけですし、農水大臣も今までおっしゃっておりました、本当に農業に対して誇りを持つ、そのことを、国民全部がそういう形になっていくということにはこの教科書、教育というのは大変重要だと思うわけですね。
 そういうことでは、今農水省内で新政策を検討されて、担い手対策を検討しているということですが、こうした教育の問題点、正しいことを事実に即して教える、農業の重要性を教える、こういうことも農水省の立場からもぜひ検討していかなければいけない問題だと思いますが、最後に農水大臣のこの問題に対する見解をお聞きして、終わりたいと思います。
#223
○国務大臣(田名部匡省君) 農業後継者の育成、あるいは農業関連産業の人材育成という観点ばかりではなくて、農業、農村に対する国民一般の考え方、認識、そういうものもやっぱり私たちが取り上げなきゃならぬ、そういう問題だ、こう思っておりますので、広く農業教育全般にわたっての検討をしておるところであります。
#224
○井上哲夫君 きょうは農業の担い手の問題で質問が集中しておりまして、私も担い手の問題でお尋ねをいたします。
   〔委員長退席、理事北修二君着席〕
 午前中から、一部途中中座をいたしましたが、結局、改良資金の資金的な助成とか、あるいは農業の改良助長といいますか、そういうことを一生懸命知恵を絞ってやる。これは確かに側面援助として内容を豊かにしなければならないという観点からすれば、今回の法案についてもだれも反対をするものではないとは思うんですが、肝心の展望、展望といいますかビジョンといいますか、明るい先行きが見えないためになかなか担い手の確保が難しい。そういう観点からの質問に大臣も、そういう展望なりビジョンの提示が今ほど必要なことはないことはそのとおりだ、しかしこれまで環境が次々にその努力を上回る、例えば高齢化なり最近の出生率の低下まで挙げられて、単に時代の変遷や国際化の流れということだけでなくて、新たな環境が厳しく覆いかぶさってくる、そういう中で本当にこの展望なりビジョンを農家に指し示すという努力は、やっているけれども本当に難しいことなんだというお答えもいただきました。
 これは、私もそのことは十分理解するところでありますが、このままいくと結局、展望、ビジョンが開けないまま担い手がどんどんなくなっていくということになるわけで、まあ急がば回れという格言もございますが、このところ、学校は土曜日を休みにしようと。ところが、私ども子供のときには、学校へ行くと必ず学校の管理する田んぼや畑があって農作業もやっていたわけです。これは、もちろん食糧が非常になかった時代にやっていたということもあるでしょうけれども、少なくとも義務教育の間は農作業に子供のときに親しんでおった。今の義務教育の子供たちにどうしても農作業に親しませることをして、急がば回れじゃないけれども、担い手を確保していくということも大事ではないか。
 今、林委員は小学校の教科書の中に農作業について十分な国民的教育を施すという観点からはいささか欠落あるいは問題だという指摘をされましたが、現実に小学校が土曜日を休もうというときに、むしろ農水大臣と文部大臣と教職員組合のトップが集まって、それじゃ土曜日は農水省の手で子供を預からしてくれと、極端に言いますとですね。学校の敷地の中に水田や畑を確保しようじゃないか、あるいは休耕田なり休耕の畑を借りて子供たちにそういう農作業に親しませる。これは学校給食で米を食べさせようということとはまた別の意味で大変意義が深いんではないか。そういうふうなこともやはり考えていただきたいと思いながら聞いてまいりました。
 そこで、最後に大臣にその観点からお尋ねをしたいと思いますが、とりあえずいわゆる改良普及員のことについてお尋ねをいたします。
 この前も私、改良普及員の人数だとか普及所の数の変遷、それからその実態というふうなことをはしょってお尋ねをしました。それは、改良普及所の人たちがいわば休眠状態にあるのではないかというような、そういう声もあったものですからお尋ねをいたしたわけですが、実際にこの数年間を見ますと、農業改良普及所の普及員の数はほぼ横ばいで、そして変わりがない。しかし、担い手確保の面でいくと、だんだんだんだん衰退化して効果があらわれないということを見ますと、この改良普及員について何か足らないところがあるんじゃないだろうか。
   〔理事北修二君退席、委員長着席〕
 例えば、個々的に聞きますとすばらしい普及員が見えるという話もないわけではないわけです。そうしますと、改良普及員の置かれている環境がどうなんだろうか。例えば、県の職員という形になろうかと思いますが、労働環境が悪いとか、あるいは一般の県職員の仕事もやり改良普及員の仕事もやるというか、そういう人事の採用のそういうところが配慮が足りないのか、その辺のことについて今農水省としてはどのように受けとめてみえるか、お尋ねをいたします。
#225
○政府委員(上野博史君) 改良普及員の数が安定的、余り増減なしにやってきているというようなことについてはそうでございます。できるだけその高度化を図りながら、農家に対して適切な指導をするようにいろいろな工夫をして対応しているのが実態でございます。
 ただ、新規就農者の確保だけがこの改良普及員の仕事というわけではございませんで、むしろ仕事の比重から言いますと、既存の農家、農業者に対する営農上の技術指導あるいは経営指導というようなものが中心になっているわけでございまして、一般的に言えば非常に勤勉に働いているんじゃないかというふうに考えております。
 限られた数の普及員にできるだけ能力を発揮していただきますように、私どもとしますればその資質の向上を図るための研修等に万全を尽くしてまいるというつもりでございます。
#226
○井上哲夫君 非常にうまくいっているということになれば効果があらわれるわけでありますが、私が見るところそんなに目につく効果は上がっていない。だとすれば、例えば知恵を出して民間から嘱託改良普及員を導入するとか、あるいはさらに、ちょっときょう問題になりましたように、改良普及員の中には生活関係普及員ですか、いわゆる婦人問題とも関連性があるわけですが、そういう普及員を増員して、さらにそこに新しい観点の大臣がよく言われる経営コンサルタント的な、農家への指導の足がかりをそういう新しい任務としてつけ加えていくというためにも、生活関係普及員について増員なり民間の血を入れるなり、そういうふうなことをやって、担い手確保だけではないわけですが、農業の今の状況を打破していく、こういうふうなことはいかがでしょうか。
#227
○政府委員(上野博史君) この改良普及員は、委員はもう当然御承知のことと思いますけれども、都道府県の職員という身分を持っているわけでございまして、そういう形での普及指導事業であるというところがまずあるわけでございます。
 さはさりながら、今おっしゃいましたように、民間の優秀な技術者のお力をかりるとかあるいは民間企業の力をかりるとか、そういう工夫をしなければならないというのは、これはおっしゃられるとおりでございまして、普及員にこういう企業なり研究者のおられるところに出向いて実地に勉強していただく、あるいは優秀な技術者においでいただいて現実に普及員等に対して必要な知識を授けていただくというような、いろんな形でそこのところについては要するに普及員の世界以外からの必要な知識なり技術の導入に努めているというのが実態、やっているところでございます。
#228
○井上哲夫君 今の改良普及員のことばかり聞いておりますと、肝心の法案のことを何も聞かないというのもいけませんので、一点だけ。
 今回の改良資金助成法の改正についてお尋ねをいたしますが、例えば特徴のある農業生産活動に対して弾力的な資金助成をしていこうという観点が含まれているということなんですが、具体的にいわゆる今はやりの有機農業ですか、何が有機農業で何がそうでないかという区別はいささかまた問題が出るでありましょうが、そういう有機農業をやって非常に頑張っている、そういうところへの資金の助成というのはどのような配慮をやろうとし、またできるのか、その辺のことについてお尋ねをいたします。
#229
○政府委員(上野博史君) この有機農業、今おっしゃいましたように、定義の問題からなかなか難しいところがあるわけでございますが、だんだん私どもの省内での検討の結果として有機農産物なるものについての考え方というのははっきりしてまいっているようでございます。これは要するに化学物質を用いないで生産された農産物という、一言で言えば、非常に簡単に申し上げればそういうものでございまして、そういう農産物を生産するための資金の供給というのも今回の実態的な改正の一つをなしているわけでございます。
 こういう農業をやります場合には、どうしても除草剤が使えないというようなことによりまして労力が余計かかる、あるいは除草剤や殺虫剤が使えないということになりますと収量が不安定になるというようなことがあるわけでございまして、なかなか難しい問題があるわけでございますが、この問題をできるだけ回避いたしますために、土づくりであるとかあるいは除草をするための要するに化学物質によらない作業のための資材の供給をするとか、先ほど刈田委員からのお話にもございましたが、場合によってはアイガモを水田に放すとかいうようなそういう、まあこれまで含めて資材というふうに考えてもいいかと思うのでございますけれども、そのための必要な購入資金を供給する。
 ただ、今お聞き取り願いましたように、有機農業ということでございますと、どっちかというと省資源、省資材型の農業になるわけでございまして、なかなかお金を投じれば解決をするという話にはなりにくいのもまた特色でございます。しかしながら、そういう農業をやろうとするために必要な資金については今回弾力的に対応ができるように考えてまいる、こういうことでございます。
#230
○井上哲夫君 こういう有機農業に光を当てるあるいは資金の助成をするといっても、実際にその判断をするのは改良普及員が審査の中に入ってくるわけですね。そういう意味では、ある意味では大胆に運営をされるように適切な指示をしていただきたいということをお願い申し上げます。
 さて、それで、きょうは私も出たり入ったりしまして、質問も時間前に終わりたいと思うんですが、大臣、御通告はしておりませんが、担い手についてということだけで具体的な内容についてあらかじめ通告をさせていただいておりませんが、学校の土曜日の問題ですね。
 実は私もこの前ある人から、学校の先生方にしてみたら一般の労働者、勤労者と同じで土曜日は休みたい。あなたはそういう人たちの代表でしょうから土曜日の学校休みは推進派でしょう。しかし、父兄なり周りの地域の住民から見ると、学校が五日制になるということについては、十分な受け皿といいますかあるいは国民の納得といいますか、そういうものがもはやでき上がっているというふうにはとても思えない。したがって、この問題を簡単にゆとりの確保なり時短の問題の中で、あるいは一般の勤労者の労働環境の推移とともに学校の五日制も持っていくということについては若干納得しがたいところがあるんだというようなお話を伺いました。
 じゃ、今の子供たちに、受験地獄なり塾に通って、そういうのがいいかということになると、学校の先生たちは、だから子供に余裕を持たせた方がいいということで土曜日も休ませた方がいいんだと。しかし、そうなると塾へ行くんじゃないかとかいうことを言われます。
 そういう意味では、土曜日をやはり子供に自然になれさせるというのに、単に遊びで自然の中に入らせるというよりも、農業というのは物をつくるというか、生き物を育て新しく植物をつくり出すということもあるわけですから、一度そういう観点から農水省が文部省と、まあすぐにどうこうということはないにしても検討をして、教科書における農業教育も大事ですが、むしろ現実に学校で農作業をして汗を流し、あるいはそこから学び取る、そういうためには、強制はできないかもしれませんが、ある程度国がよいしょをするというか持ち上げてやってみるということも、あながちむだなことというかあるいは困難なことではないんじゃないかと思われるわけですが、その点について御意見なり御感想を伺いたいと思います。
#231
○国務大臣(田名部匡省君) 私たちも食糧難時代、小学校五年生でありましたが、学校で農作業をしょっちゅうやりました。決して当時やったことは、当時はつらかったけれども今になるとむだではなかったなという思い出があります。
 したがって、これもテレビでありますが、時々小学校の子供たちが田植えをしたりあるいは畑に行ったりというのが取り上げられることもありますけれども、文部省とよく相談をして、どういうことにすればいいのかは別としてちょっと相談をしてみたいと思います。小さいときからそういうことに親しむということは大事なことだと思うし、特に今は土をはだしで踏むということがないものですから、そういう意味でもまたいいことだろう、こう思っております。
 いろいろと文部省にかかわることが多いので、先ほども短期大学のお話がありましたが、ちょっと失礼して初等中等教育局長と話をいたしました。昨年短期大学が初めて準何とかという資格を得たばかりでありまして、他の専修学校等も含めてこれから検討課題になっておりますから、そう長いことではなくて検討したい、こういうお返事でありました。車ほどさように文部省と農業とのかかわりというものは非常に大きいということを私も感じておりますので、何とか御指摘の方向で、まあ全部一糸乱れずとはいきませんけれども、近くにそういうものがある、あるいは都会の学校でそういう経験をさせたいというところについては積極的にやってもらうように、いずれにしても話し合いをさせていただきたい、こう思います。
#232
○井上哲夫君 ありがとうございました。
 終わります。
#233
○喜屋武眞榮君 私は先般のこの委員会で大臣にこういう質問をいたしました。
 それは、どこの国にもその民族の生活の中から生み出した基幹作目というのがあります。その基幹作目は国の責任において保護育成すべきでありますと、そうお尋ねしましたら、そうだとはっきりおっしゃいましたね。
 それで、私は次のことをお聞きしたいんですが、沖縄の基幹作目といえば、申し上げるまでもなくサトウキビとパイナップルということももうこれは常識である。ならば、きょうは時間の関係とこの法改正の趣旨に照らして文部省は呼んでありませんけれども、次の機会にその面に発展させていきたい、こう思っております。
 大臣、この沖縄の基幹作目の一つであるサトウキビが小学校四年の社会科の教科書にれっきとして載っておることは御存じでしょうか、いかがですか。
#234
○国務大臣(田名部匡省君) まことに不勉強で小学校四年生の本は拝見したことはございません。
#235
○喜屋武眞榮君 もうこれ以上責めるとお気の毒になりますのでこれでよしますが、実は私の孫が千葉の松戸の小学校におるんですが、その学校と連絡をとりまして、沖縄からサトウキビを送って、それをかじらせて、さらにサトウキビから黒糖にでき上がるまでの過程を実はスライドにつくって、それも差し上げて、松戸の学校ではそれを隣校同士回して、それなりに社会科の四年の教科書のサトウキビというテーマを教えてもらっておりますが、大変喜ばれております。
 毎年毎年四年の教科書は教えなければいけませんから続いておるわけでありますが、こういうふうに言うことも大臣にはそれぐらいにとどめまして、次は文部省を呼んで、文部省がどのようにその社会科の四年の教科書のサトウキビをテーマにして日本全国の学童に教えておるか、このことについて意見交換をいたしたいと思っておるわけでありますが、一応そのことをひとつ念頭に置いていただきたいと思います。
 私が繰り返すようでありますが、どの国にも基幹作目というのはある。それはあくまでも国の責任において保護育成すべき義務がある、こういうことをきょうも確認いたしまして、次へ移りたいと思うのであります。
 次に、私も小学校時代から、農は国のもとであるということを教えられまして、深刻にこびりついている。農は国のもとである。その農は国のもとであるという内容は大臣はどのように理解していらっしゃるでしょうか、お尋ねしたい。
#236
○国務大臣(田名部匡省君) どう御説明すればいいかわかりませんが、いずれにしても食糧というものは、どこの国の国民であってもこれは生命を維持する基本でありますから、そういうことでは農は国の基本だと。しみじみとソ連の食糧難を拝見するにつけても、どんなミサイルを持ってもそれは食べるわけにはまいりませんし、こつこつと自然を耕しながら、額に汗をしながらやっぱりやる、これが安定してこそ他の部門、産業部門も安定的に発展していくものだというふうに思います。したがって、農業はその国のもとだというのは、そこが確立されて初めて他の分野にも進出していけるし、あるいは他の分野の発展も望むことができるということで農は国のもとだと、こう言われておるのではないかと思います。
#237
○喜屋武眞榮君 いろいろと農は国のもとであるという内容には人それぞれに認識の相違がある、また共通の点もなければいかぬと、こう思っておりますが、はしょって申し上げますならば、本当に農民であってよかった、生産農家であってよかったと、この誇りを持つのでなければ、私は農は国のもととぴったり結びつくとは思いません。してみるならば、少なくとも今の日本に農は国のもとである、農民であってよかった、誇りを持って世界に胸を張って言えると、こういう現状ではないと私は理解いたしております。そうしてみると、日本の農業にいろいろと問題が介在しておるということは今さら申し上げるまでもありません。農水省は、農水大臣は、そこをまず大前提に認識していただいて、何をどのように改め、発展させることによって、農は国のもとであるという、農家の家族に、また生産農民に本当に心からそう言える日本にしていかなければいけないのではないかと私は思うんですが、大臣いかがですか。
#238
○国務大臣(田名部匡省君) 今にして思うと、物で栄えて心で滅びるという、確かに経済は発展いたしましたが、この経済の発展で本当に心からみんながよかったと思っているだろうかどうかということを最近しみじみと感じるときがあります。どこかでも講演をいたしましたが、日本の経済というのはどこまで発展すればみんなが満足できるのだろうか、資源有限であることを考えれば、おのずから限度というものがあるのではないだろうかということを申し上げたことがありますが、いずれにしても、小さいころに遊んだ山や川というものが河川改修されて、ある意味では変わったかもしれませんが、何となく昔の方がそういう面ではよかったなという感じを私も時々持ちます。
 したがって、何といいますか、教育というのは、さっきの話ではありませんが、大事だなと思うことは、子供たちに粗末にするなど言って幾ら注意しても、おっしゃるように、サトウキビというものは生産段階からどれだけの手を経てあれだけ成長しそして入るかということの過程というものを教育で教える。米づくりにしてももう何十人、何百人の手がかかっているんだということを教えることによって、米というものを一粒たりとも粗末にしない、むだにしない。この辺のところが今一番欠けておるのではないだろうか。
 金さえあれば何とでもなるという、このことが、冒頭申し上げたように、経済の発展の中で私たちが失ってきたもの、それは物で栄えて心で滅びると、このことが、教育の中で本当に子供たちに物の大切さ、そういうことをやっぱりしっかり教えてあげなければ、幾ら注意だけいたしましても直らぬだろうなということを、私は自分の子供を育ててみてそういう感じを持っております。
#239
○喜屋武眞榮君 今おっしゃいましたように、やっぱり日本の農業を発展させるためには、金も必要でしょう、予算の問題。しかし、金はあっても知恵と技術が伴わなければ発展しない、こう思っております。どうしても、この知恵と技術を大事にするためには、当然後継者というものが生まれてこなければいけない。そこに今大きな問題の一つが介在しておるということを今さら申し上げるまでもありませんが、そこで私は、法改正と結びつけて、沖縄という前提、沖縄に絞って二、三お尋ねいたしたいと思うのであります。
 沖縄においては、農業改良資金制度が農業政策の中でどのように生かされ、またどのような成果を上げてきたと政府は認識しておられるだろうか、このことをまず沖縄に絞ってお尋ねいたしたいと思っております。
#240
○国務大臣(田名部匡省君) 沖縄県における農業改良資金制度、これまでの成果でありますが、昭和四十七年の制度開始以来、平成二年度までに全資金合計九十億円が貸し付けられておりまして、施設園芸でありますとか畜産を中心に農業経営の安定と生産力の増強に大きな役割を果たしてきた、こう思っております。
 特に農業後継者育成資金につきましては、平成二年度末では貸付実績は五十二億円となっており、野菜及び花卉部門を中心とした部門経営開始資金の貸し付けによって、農業後継者の育成確保に大きな役割を果たしてき大と考えております。
#241
○喜屋武眞榮君 まだ大臣のお話には飽き足りぬ点がありますけれども、時間の都合で次に進めてまいりたいと思いますが、沖縄の農業後継者の問題について。
 これは全国的な問題でもありますけれども、特に亜熱帯地域における沖縄の農業、離島県沖縄の農業、離島の中でもさらに多島県沖縄の農業、こういった、底辺を広げて後継者というものを考えなければいけませんので、沖縄の農業後継者については政府はどのように認識していらっしゃるか、またそれをあるべき姿に持っていくためにはどうあるべきだと理解していらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
#242
○政府委員(上野博史君) 沖縄県は立地上の特色で唯一の亜熱帯性気候地帯にあるところでございまして、その特性を生かした農業をやるということにおいてよい展望を持っているんじゃないかと思うわけでございます。委員お話しございましたように、サトウキビが基幹作物ということになるわけでございますけれども、これに冬や春の時期の野菜であるとかあるいは花卉、果樹、こういうようなものを地域の特性を生かした農業経営という中で発展させていくということによりまして大いに展開の希望が持てるんじゃないか、かように考えます。
 ただ、まあいずこも同じ話なんでございますが、全国的に青年農業者の就業が減少いたしておりまして、沖縄県についても例外ではない。しかも、サトウキビあたりにつきましては、農業者が高齢化をいたしましてだんだんとリタイアするというような状況があるわけでございまして、厳しい面もあるということもまた一面で事実かと考えております。
 したがいまして、花卉であるとか果樹であるとか野菜であるとか、こういう分野を中心にして青年農業者の就業確保を図ってまいるということに今努力をしてまいらなければならないんじゃないかというふうに考えているところでございまして、沖縄県の農業者大学校におきます研修内容の充実というようなことにも努めながら、今回お諮りをいたしております青年農業者等育成確保資金というようなものを使ってできるだけ後継者の確保に努めなければならぬ。特に、先ほど大臣がお答えしましたように、沖縄県につきましてはこれまでも後継者資金の利用というものが非常にございますので、そういう意味で我々としてもさらなる努力をいたしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
#243
○喜屋武眞榮君 全国的な傾向かとも思いますが、特に沖縄の事情として、農業関係の高校並びに大学を卒業しても、農業に従事する前に他県に出て自分の希望を進んでいきたい、もう一つは、やっぱりホワイトカラーにあこがれて、その道を求めたい、こういう傾向が強うございまして、一応沖縄における高校並びに農業関係の学校を卒業してもすぐ本土に出ていきますので、何年かしたら、あるいは幾月かしたらまたUターンをする若者もおりますけれども、帰ってみたら今度は基地が介在しておるために思うように農業もできない。しかも本土に行って多様化した、さらに進歩した農業技術に希望を持って郷里に帰ったとしても、なかなかそれを実行する土台がない。こういった実情からまた狭められてくる。こういう状況も沖縄の特殊事情でございます。
 そこで、私がお尋ねしたいことは、農業後継者の補充率と耕作放棄地について、せっかく金網の外の、基地の外は熱を入れて耕せば何かそこから生産の土地にもなりかねませんが、それも放棄して、さらに農業をやっておった、先輩やおやじたちがやっておったその土地さえも放棄して雑草園に、こういう実情も実はございます。
 そういったことからも、平成二年度では必要とされている後継者数は三百三十人であると言われておりますが、新規就農者数の合計が五十八人であるので、後継者の補充率は一七・六%にしかなっておらぬというのがその実情でございます。こういった状況の中で、このような現状のもとでは後継者を確保することが重要であると思うのは当然でありますが、その点について政府の方針をお伺いしたい。
 その二として、後継者がいないために耕作放置がされてしまった農地については、農業規模の拡大のために有効に活用される必要があるが、この点についても政府の方針、こういう面に政府は一段と力を入れてもらわなければ、配慮してもらわなければいけないと思う次第ですが、この点についていかがでしょうか。
#244
○政府委員(上野博史君) まず最初に、後継者の確保の問題についてお答えを申し上げたいと思うわけでございます。
 今、委員御指摘のとおり、沖縄の新規就農者の数というのは五十八名程度ということで大変減少いたしておりまして、何とかこれを確保してまいらなければならないというふうに考えているわけでございますけれども、これは全国共通の課題でございますが、何にも増して農業に対する魅力を増さなければならない。先ほど来申し上げますように、沖縄は割にそういう意味では展望があるのではないかと我々としては思っているわけでございますけれども、しかしながら全般的な見地に立ちまして魅力に富んだ農業というものを考えてまいらなければならないだろうということでございまして、その面での努力をいたさなければならないということがあるわけでございます。
 それから、先々いろいろ考えてまいるということにはなるわけでございますが、今お諮りをいたしておりますこの新しい資金の活用等にもよりましてできるだけの努力をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
#245
○政府委員(海野研一君) 耕作放棄地につきましては、概して耕作放棄をされるというところは基盤整備が進んでいないということで、そもそも使いにくいところだという場合が多いということが一つございます。それからもう一つは、耕作放棄地が多く出るところと規模拡大をしたい農家の大勢いるところとが必ずしもうまく突合しないというような問題がございます。
 しかし、それにしましても、本来農地として利用すべき土地が遊休しているというようなものにつきましては、それぞれの立地条件に即しましてやはり担い手の規模拡大につなげていくということが、土地の有効利用の面からも、農業の健全な発展の上からも必要でございますので、地域の農業者の総意を踏まえながら、あるいは基盤整備を行っていく、あるいは利用増進事業とか農地保有合理化促進事業とか、そういうもの、農地流動化施策によって担い手にそのような土地を集めていくというような格好でこの有効利用を進めてまいりたいと考えております。
#246
○喜屋武眞榮君 最後の質問は研修制度について。最後の質問でございますので、大臣ひとつぴしゃっと答えてください。
 この研修制度について、現行の研修制度では海外研修制度があり、それは農蚕園芸局長が別に定める海外諸国について研修を受けるのであるが、その外国とは、アメリカ、ドイツ、オーストラリア等の先進十カ国のみである。特に沖縄の立場からは、むしろ開発途上国の亜熱帯地域における果樹園芸をつくる農家がふえてきております。
 そこで、もし熱帯果樹についての研修のために熱帯に位置する発展途上国での研修を希望する者があれば柔軟に対応する必要があると思うんです。そこで、この件に関して政府の方針を、いわゆる特別の配慮、このことを要望も含めて申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 よろしくお願いします。
#247
○国務大臣(田名部匡省君) 海外研修というのは、もう今さら申し上げるまでもないことでありますが、国際感覚を持った農業者を育成したいということで、国内では習得しにくい先進的な農業の技術あるいは経営方法を海外において習得させるというのが目的であります。
 お話しのように、開発途上国での研修でありますが、これは受け入れ機関とか受け入れ農家、効率的な研修方法に問題が多いということではありますが、しかし、こうした条件が整えば対象国とすることについて検討をいたしてまいりたい、こう思っております。
#248
○委員長(永田良雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 農業改良資金助成法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#249
○委員長(永田良雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、一井君から発言を求められておりますので、これを許します。一井君。
#250
○一井淳治君 私は、ただいま可決されました農業改良資金助成法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    農業改良資金助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  近年、我が国においては、農業就業者の高齢化が著しく進行する一方、将来の農業を担うべき農業後継者が激減し、農業の振興及び農村地域社会の維持に深刻な問題を投げかけており、優れた農業後継者の育成確保が農政上の極めて重要な課題となっている。
  よって、政府は、農業後継者対策の確立に万全を期するとともに、本法の施行に当たり次の事項の実現に遺憾なきを期すべきである。
 一 農外新規参入者、Uターン青年等の就農を促進するため、青年農業者等育成確保資金の適切な運用、農地等取得資金等の制度資金の活用、改良普及員等による営農や生活についての指導・助言、新規就農ガイド事業等の情報提供活動の拡充、農業者大学校等での研修についての援助等の諸施策を総合的に推進すること。
 二 研修教育資金の貸付対象範囲を、婦人、中核農家等に拡大するに当たっては、これらの人たちが農業経営や家庭生活の中心になっていることに配慮し、研修期間等について弾力的に対応すること。
 三 経営規模拡大資金については、貸付けの実績にかんがみ、その運用の改善に努めるとともに、生産方式改善資金との総合的活用によって土地利用型農業の経営基盤を一体的に整備できるよう農業改良普及所、農業委員会等の関係機関の連携・協力体制を強化すること。
 四 生産方式改善資金に追加される加工方式導入のための資金については、中山間地域農業の振興、転作作物の定着化等に資するようその適切な運用に努めること。
 五 担保制度の導入については、農業改良資金を借り受ける農業者の意向を十分尊重するよう指導すること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#251
○委員長(永田良雄君) ただいまの一井君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#252
○委員長(永田良雄君) 全会一致と認めます。よって、一井君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田名部農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田名部農林水産大臣。
#253
○国務大臣(田名部匡省君) ただいまの附対決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。
#254
○委員長(永田良雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#255
○委員長(永田良雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#256
○委員長(永田良雄君) 獣医師法の一部を改正する法律案、獣医療法案、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。田名部農林水産大臣。
#257
○国務大臣(田名部匡省君) 獣医師法の一部を改正する法律案、獣医療法案及び家畜改良増殖法の一部を改正する法律案の三法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 まず、獣医師法の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。
 最近の飼育動物に関する保健衛生及び畜産業をめぐる情勢を見ますと、畜産業が我が国農業の基幹的部門へと成長を遂げるとともに、一般家庭における小動物の飼育が広く普及しており、獣医師による的確な診療の提供はますます重要となってきております。また、獣医療技術につきましては、新たな診療機器の普及、動物用医薬品の開発等により、その高度化が進展してきております。他方、家畜飼養の多頭化に伴いその疾病が多様化、複雑化する等新たな動物に関する保健衛生上の問題が生じてきているほか、安全な畜産物の生産のための動物用医薬品の適正使用等が重要な問題となっております。
 このような最近における飼育動物に関する保健衛生及び畜産業をめぐる諸情勢の変化にかんがみ、動物に関する保健衛生の向上及び畜産業の発達を図り、あわせて公衆衛生の向上に資するため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、獣医師の活動範囲が拡大し、その果たすべき役割が多様化してきたことを踏まえ、獣医師の任務を明確化することとしております。
 第二に、獣医師の臨床技術の向上を図るため、診療を業務とする獣医師は、免許取得後も、獣医系大学の附属施設である診療施設または農林水産大臣の指定する診療施設において、臨床研修を行うよう努めるものとすることとしております。
 第三に、畜産物生産の多様化及び疾病に対する的確な防除の必要性の増大に対応するため、獣医師の診療対象飼育動物を追加することとしております。
 第四に、安全な畜産物の生産を図るため、獣医師がみずから診察しないで投与または処方することができない医薬品として、農林水産省令で定める医薬品を追加することとしております。
 第五に、複雑・多様化する疾病に的確に対応するため、獣医師は、診療をしたときは、その飼育者に対し、飼育動物に関する保健衛生の向上に必要な事項の指導をしなければならないこととしております。
 第六に、外国の獣医学校の卒業生等の獣医師国家試験の受験に適切に対処するため、獣医師国家試験予備試験制度を設けることとしております。
 第七に、獣医師国家試験に関する事務その他この法律及び獣医療法によりその権限に属させられた事項を処理させるため、農林水産省に獣医事審議会を置くこととしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 続きまして、獣医療法案につきまして御説明申し上げます。
 適切な獣医療の確保につきましては、これまで獣医師法に基づき、診療施設の開設の届け出を義務づけるとともに、獣医師の業務に関する広告についてその適正を確保するための措置を講じてきたところであります。
 しかしながら、近年、産業動物獣医師の高齢化が進む等獣医師の確保が困難な地域が発生し、畜産業への影響が懸念されるようになってきております。また、エックス線装置の普及、診療施設の整備の進展等に伴い、診療施設が一定の水準を満たし、かつ、それについて適切な管理が行われることが要請されるようになってきております。さらに、獣医師や診療施設の業務に関して適切な情報を飼育動物の飼育者に提供していくことが重要となっております。
 このような情勢の変化を踏まえ、適切な獣医療の確保を図るため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、診療施設を開設した者は、開設の日から十日以内に都道府県知事に届け出を行うこととしております。また、診療施設の構造設備は、その手術室やエックス線診療室について、農林水産省令で定める基準に適合したものでなければならないこととしておりますとともに、開設者は、みずから獣医師で診療施設を管理する場合のほかは、獣医師にその管理をさせなければならないこととしております。さらに、往診診療者等につきましても以上の事項を一部適用することとしております。
 第二に、農林水産大臣は獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針を獣医事審議会の意見を聞いて定めるとともに、都道府県はこれに即して都道府県計画を定めることができることとし、当該都道府県計画に基づいて診療施設の整備を図ろうとする者がその診療施設整備計画について都道府県知事の認定を受けた場合には、農林漁業金融公庫からの長期低利の資金の貸し付けを受けることができることとしております。
 第三に、獣医師または診療施設の業務に関する広告につきましては、何人も獣医師または診療施設の専門科名、獣医師の学位または称号を除き、その技能、療法または経歴に関する事項を広告してはならないものとしております。また、この場合でも、獣医事審議会の意見を聞いて農林水産省令で定めた事項については、これを広告することができることとしております。
 以上がこの法案の提案の理由及び主要な内容であります。
 最後に、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 家畜の改良増殖は、畜産経営の体質強化を図り、畜産物の安定供給を図る上での基本となるものであり、我が国における家畜の改良増殖を推進するため、種畜検査、家畜人工授精、家畜体内授精卵移植に関する規制等を行ってきているところであります。
 しかしながら、近年の家畜改良増殖の状況を見ますと、バイオテクノロジー等先端技術の開発が目覚ましく、家畜対外受精卵移植の技術は既に実用化の階段に達しております。
 また、これら畜産新技術の進展に伴い、家畜改良増殖における雌畜の重要性が増大してきております。
 このような情勢の変化に対応して、家畜改良増殖の一層の促進を図るため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、家畜体外受精卵移植に関する規定を整備することであります。
 家畜体外受精卵移植の健全な発展と円滑な普及を図る観点から、家畜卵巣の採取の用に供する家畜の雌は、伝染性疾患及び遺伝性疾患を有しないことについての獣医師の診断書の交付を受けたものでなければならないこと、家畜卵巣の採取、家畜未受精卵の採取・処理、家畜体外授精、家畜体外受精卵の処理・移植を行う者の資格を定めること等家畜体外受精卵移植に関する規定を整備することとしております。
 第二に、都道府県の家畜改良増殖計画の計画事項の追加であります。
 優良な雌畜を家畜改良増殖に有効に活用していくため、都道府県の家畜改良増殖計画に、従来の優良な雄畜の利用等に関する事項に加え、家畜受精卵移植の用に供する優良な雌畜の利用等に関する事項を追加することとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、これら三つの法律案につき、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#258
○委員長(永田良雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 三案に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#259
○委員長(永田良雄君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 獣医師法の一部を改正する法律案、獣医療法案及び家畜改良増殖法の一部を改正する法律案の審査のため、来る二十三日、参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#260
○委員長(永田良雄君) 御異議ないと認めます。
 なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#261
○委員長(永田良雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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