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1992/04/24 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 農林水産委員会 第8号
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1992/04/24 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 農林水産委員会 第8号

#1
第123回国会 農林水産委員会 第8号
平成四年四月二十四日(金曜日)
   午前十時四十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     青木 幹雄君     須藤良太郎君
     大塚清次郎君     合馬  敬君
     高木 正明君     関根 則之君
     國弘 正雄君     谷本  巍君
     山田耕三郎君     井上 哲夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         永田 良雄君
    理 事
                鎌田 要人君
                北  修二君
                菅野 久光君
                三上 隆雄君
                井上 哲夫君
    委 員
                合馬  敬君
                須藤良太郎君
                鈴木 貞敏君
                関根 則之君
                初村滝一郎君
                星野 朋市君
                一井 淳治君
                大渕 絹子君
                谷本  巍君
                村沢  牧君
                猪熊 重二君
                刈田 貞子君
                林  紀子君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   田名部匡省君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       馬場久萬男君
       農林水産大臣官
       房審議官     白井 英男君
       農林水産省経済
       局長       川合 淳二君
       農林水産省畜産
       局長       赤保谷明正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡  光君
   説明員
       文部省高等教育
       局専門教育課長  若林  元君
       文部省高等教育
       局学生課長    井上 明俊君
       厚生省生活衛生
       局食品保健課長  織田  肇君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○獣医師法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○獣医療法案(内閣提出、衆議院送付)
○家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(永田良雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十三日、山田耕三郎君、高木正明君、青木幹雄君、大塚清次郎君が委員を辞任され、その補欠として井上哲夫君、関根則之君、須藤良太郎君、合馬敬君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(永田良雄君) まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(永田良雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に井上哲夫君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(永田良雄君) 獣医師法の一部を改正する法律案、獣医療法案、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○三上隆雄君 それでは、きょうは畜産三法に対する質疑でございますけれども、緊急な動きと私は判断して、急遽ガットの状況についてお尋ね申し上げたいと思います。
 四月二十二日、米国、そしてまたECの首脳会議がありましたけれども、その結果はなかなか合意は困難である、そう宇川野ジュネーブ大使が言っているわけであります。しかも、大方の外交官もおおよそそのような見方をしている。したがって、七月のミュンヘン・サミットでは話題になるだろうが、問題が複雑化しているために首脳会議の正式な議題にはなり得ないであろうという、そういう見方さえしているわけでありますけれども、その辺の動きを日本政府としてどう見て、それにどう対処するのか、お尋ねをしたいと思います。
#7
○政府委員(川合淳二君) 今、お話がございましたように、一昨日、ブッシュ・ドロール会談がありました。この会談はウルグアイ・ラウンドの三月以降の動きの中で各国が注目していた会議ではあったわけでございますが、両方がそれぞれ会談後記者会見をいたしましたところからでございますけれども、必ずしも大きな進展があったというふうには受け取れないような状況ではないかと思っております。両サイドから新たなアイデアが出された、このアイデアについては言及しないことになっているということで、記者会見でもかなり執拗な御質問があったようでございますけれども、内容はつまびらかにされておりませんが、出し合ったと、これについてさらに技術レベルで検討して速やかな合意を追求するというような言い方をしているようでございます。
 今お話がございましたいつごろまでに合意を求めるかということに関して、ECは六月末までに、言うなればサミット前までにまとめたいというようなことを希望するという言い方で言っておりますし、米国の方は必ずしも終期を設定したわけではない、それは早ければ早いほど望ましいというような言い方をしているようでございまして、必ずしもその点についてはっきり終期を定めたということでもないようでございます。
 ただ、やはりウルグアイ・ラウンドにつきましてはまとめたいという気持ちは両首脳ともお持ちのようでございますし、やはり五月、六月とこれからまだ今のようなスケジュールの中でもあるわけでございますので、二国間の、二国間と申しますか、米・ECの話し合いが進む中で、進むと申しますか行われる中で、私どもとしても私どもの立場をやはり各国に正しく伝えるとともに、各国の動き、ECを中心とした世界の動きについて情報を十分つかんでいくということを緊張感を持ってやっていく必要があるのではないかというふうに現在考えているところでございます。
#8
○三上隆雄君 ただいま川合局長から今までの方針と変わりない、しかも輸入国の立場を今までどおり貫いていくと、そういうお答えがありましたけれども、やはり我が国の政府として輸入国の立場を、日本の食糧の輸入量、それから額というのは世界で最も多い国でありますし、それから各国の農業の保護事情を見ますと、それぞれの国でその国内の産業間の調整をする、そういう意味で保護しているということと、それから輸出国にあっては、輸出の拡大をいかにして図るかという、そういう立場での保護と二通りあるわけでありますから、その点を考えるときに、私は、農業を保護しなきゃならないということは、農業の生産品の価格がそれぞれの国において安いからそれぞれ保護しなきゃならない、そういうことだと思うわけでありますから、その意味で輸入国の立場を今まで以上に貫いていきたいということを申し上げたいと思います。
 そこで、大臣の最後に決意を伺って、別の問題に入りたいと思います。
#9
○国務大臣(田名部匡省君) 決意は全く変わっておりませんので、従来どおりであります。
 ただ、余り日本のそういう立場ばかりで交渉するというのは、率直に申し上げて相手の方には通じないんですね。自由貿易の恩恵を受けておる日本がという言い方をよく言われます。それもあるでしょうけれども、それ以上に輸出補助金というものが最大の問題だ。
 きょうもカナダの経済大臣と会いましたが、何といっても開発途上国は工業製品というものを持ってない、農産品しか売るわけにはいかぬわけですから。そこに私どもが多大な援助をしながら自給できる体制を、何とか開発途上国の皆さんも食糧難にあえぐことを防ごうということでやってきたんだが、確かにベトナムやタイあるいはインドネシア、だんだん輸出するまでに成長してきた。しかし、輸出補助金の問題が生じている。これらの国々は輸出補助金というものを使えない国だ。そういうアンバランスというものを一体どうするのか、これが最大のこの輸出補助金の私は問題だと思うという話をいたしましたが、広い意味でもう少しやっぱり理論展開というものをきちっとしていきませんと、主食ということ自体も我が国にあっても外国は主食というものはないものですから、そういう理解を得ることも何回かの交渉、話し合いをしてみて感じます。
 したがって、そういうことも織りまぜながら、従来の基本方針は一歩も変えておりませんので、これからもそうしたことで主張をしてまいりたい、こう思います。
#10
○三上隆雄君 大分長い答弁の中には弱い面も感じられますから、ひとつ強力な立場で主張を続けていただきたい、こう思うわけであります。
 次に、これもまた最近の情報でございますけれども、最近イタリー製のワインに農薬が含有されているという、その状況はどうなって、それに対する対応はどうなっているのか。これはどの関係、厚生省ですか。
#11
○説明員(織田肇君) この問題につきましては、先週四月十五日に米国食品医薬品局、FDAにおきまして、イタリア産ワインからメチルイソチオシアネートが検出されたとの情報を入手したところであります。
 その後直ちに可能な限りの情報の入手に努め、現在までに各国においてこの物質の検出が確認されました製造所、いわゆるワイナリーでございますが、これらのワインにつきまして各都道府県及び検疫所に対し検査を指示しているところでございます。その結果、我が国でも現在までに東京、名古屋、埼玉でメチルイソチオシアネートを含むワイン六検体が見つかっておりまして、食品衛生法第六条により必要な措置がとられているところであります。
 また、現在の対応状況といたしましては、情報の収集に関しましては、在日のイタリア大使館に情報提供を依頼、また外務省を通じて在外公館に情報収集を依頼中であります。各県に対しても必要な対応を指示するとともに、二十四日、本日でございますが、これまでの検査結果を報告するよう指示しているところであります。
#12
○三上隆雄君 じゃ、まだ正式というか確たる報告は受けていないという実情にあるわけですね。
#13
○説明員(織田肇君) 全国のデータはまだすべて集計しておるわけでございませんが、先ほど申しましたように、東京、名古屋、埼玉でこの物質を含むワインが六検体既に検出されたということであります。
#14
○三上隆雄君 そこで、とのメチルイソチオシアネートは日本の農産物にどういう段階で使う農薬なんですか、生産の段階ですか、それとも流通の段階ですか、加工の段階ですか。
#15
○説明員(織田肇君) この物質は、農薬としては殺虫を目的とした土壌薫蒸剤として日本でも使われているところでございますが、食品への使用は日本でも禁じられておりまして、そのほかイタリア、EC諸国、米国等でも食品への使用は禁じられているところでございます。
#16
○三上隆雄君 今のお答えで、土壌薫蒸のための農薬だ、処理しているということでございますけれども、それが果実を通してワインに含有量が検出されるというのはどういうことなんですか。我々の日本の生産段階では考えられない事態がどこかの過程にあるんじゃないですか。
#17
○説明員(織田肇君) これは、イタリアでの調査によりますと、そのワインの発酵調節の目的で使ったということでございますが、イタリアでももちろん違法ということで既に相当量のワインが押収されているところでございます。
#18
○三上隆雄君 日本の消費者に影響の出ないように万全の対処をしていただきたいと要望申し上げておきます。
 それでは、次に畜産三法に対する質問に入りたいと思います。
 長年にわたるいわば農業軽視政策によって、日本の基本法農政、米だけでなくいわゆる選択的拡大と言われた果樹、野菜も大変な状況になっているということは御承知のとおりであります。今回の法改正の畜産もまた牛肉の輸入自由化、肉牛農家の経済的危機が一般化されている状況であります。その余波として、酪農家も大変な打撃を受けているわけでありますけれども、それはやっぱり子牛、廃牛等の価格が低落し、乳脂肪率三・丘への引き上げの経済的打撃、乳牛の疾病の多発、それが家畜共済保険収支の悪化になっている状況であります。
 そこで、畜産産業も三K産業と言われ、後継者不足が言われておりますけれども、単なる後継者不足でなく、若年就労者、三十代、四十代も今離農しているという状況にあるわけであります。それと並行して、産業動物獣医師もまた不足を来しているという状況にあるわけでありますけれども、今回の獣医師法の一部改正、そしてまた獣医療法を制定するに至った経緯とその目的を大臣からお答えをいただきたいと思います。
#19
○国務大臣(田名部匡省君) 最近の獣医師をめぐる状況の変化を見ますと、昭和二十四年に制定されまして、畜産業というものは年々発展してまいりました。そして基幹的部門へと成長をいたしたわけでありますが、一方では、一般家庭における小動物、ペットでありますが、飼育がどんどんどんどん広がっておるという状況を見ますと、何といっても獣医療技術については新たな診療機器が普及しておる、動物用の医薬品というものがどんどん開発されておる、その高度化が大きな進展をしてきたと、こういう変化が実はあるわけであります。一方では、家畜の飼養の多頭化あるいは疾病がまた多様化しておる、さらに複雑化もいたしておりまして、保健衛生上の問題が実は生じてきております。
 そこで、産業動物獣医師の、一方では高齢化が進む、あるいは確保が困難な地域というものが出てきております。さらに最近では、安全な畜産物の生産のための動物用医薬品の適正使用、こういうものが重要になってきておる。こういう情勢の変化の中で、獣医事に関する研究会におけるこの制度のあり方についての検討結果を踏まえまして、所要の改善を図る必要がある、こういうことで国会に提出をいたした次第であります。
#20
○三上隆雄君 そこで、今回の改正で畜産振興の重要な担い手である獣医師が今どの程度現状が充足されているのか、その辺の実態を御報告いただきたいと思うわけであります。
 ただ、きのうの北海道の森田参考人ですか、北海道はそれは余り不足していないというような御報告もありましたけれども、全国的に見てどうなっているのか、そしてまた、それに対する確保策を政府はどう考えているのか、お尋ねしたいと思います。
#21
○政府委員(赤保谷明正君) 最近の新規学卒者の就職状況ですが、近年のいわゆるペットブーム、そういうものを反映いたしまして小動物診療分野への就職が多くなっております。他方、産業動物開業獣医師への就業、これは少なくなっておる。農業団体においても獣医師さんの採用に不足を来しておる。これは国もそうです。都道府県、市町村もそうですし、農業共済あるいは農業協同組合、そういうところで不足を来しております。
 今、先生、どのくらい不足を来しているかというお話でございますけれども、それぞれ今申し上げましたような団体で採用不足ですけれども、採用枠が本当に必要な粋なのか、少し余計採りたいという枠なのか、その辺がはっきりしないところがありまして、国で何人、県で何人というぐあいに申し上げるわけにはまいりませんけれども、今申し上げましたように、国、県、農業共済、農協、それぞれの団体で採用枠に満たないというような状況でございます。
 しからば、その産業動物獣医師の確保をどう進めていくのかということでございます。今、大臣からもお話がありましたように、産業動物開業獣医師さんは高齢化をしている、それから共済団体、農協等における獣医師系職員の確保も困難になってきている、そういうことで獣医師の確保が困難な地域が発生をしておりまして、畜産業の健全な発展に支障を来すのではないかといった懸念も出てきているわけです。
 そこで、今回、地域における高度で体系的な獣医療を提供する、そういう体制の整備を図るための計画制度、これも法律制度として審議をお願いしているわけですけれども、その計画制度におきましては、国の定める基本方針に則した都道府県計画、その都道府県の計画におきまして獣医師の確保に関する目標を定めて、この目標に向かって関係者一致して努力をしていこう、努力を促そう、こういう趣旨でございます。
 具体的な獣医師確保対策、まあ支援措置ですけれども、一つには産業動物開業獣医師、それから農業団体を対象とした診療施設の整備のための農林漁業金融公庫による長期低利資金の貸し付けというようなことを考えておりますし、それから産業動物獣医師を志向している学生さんに対する支援措置、修学資金の給付を、今までもやっておるわけですけれども、この修学資金の貸付期間あるいは金額、そういうものを拡充して貸し付けをしていこうということも考えております。
 それから、獣医師さんの免許を取得した後の臨床研修も充実していこう、学校だけでは臨床研修が不十分でございますので、免許取得後における臨床研修の実施というのも考えております。
 それから、勤務獣医師、県庁の家畜保健衛生所のOBの獣医師の方、それは検査業務を中心に今まで仕事をしてきた方ですので、診療、そっちの講習をして、そっちの方でOBの方々に活躍をしていただこう、そういう講習会の開催というよう。なことも考えておりますし、あるいは獣医師さんが不足している地域、そういう地域に開業の獣医師さんに巡回診療をしていただく、そういうようなことで、産業動物獣医師が不足しておりますが、それに対して何とか対応していこうということを考えているところでございます。
#22
○三上隆雄君 六十三年の七月に家畜衛生問題検討結果についてという報告書が出されておったようですけれども、その段階では改正の必要がないという報告書が出されておったようですけれども、それから三年余り、今回このような改正に踏み切ったというか、その辺の理由についてお尋ねしたいと思います。
 それから、六年制大学を卒業した、国家試験に合格した獣医師と家畜人工授精師、その資格の人たちとの待遇の格差というか、そして実態というか、その点を踏まえてお答えをいただきたいと思います。
#23
○政府委員(赤保谷明正君) 昭和六十三年に獣医師問題についての検討会はやったわけですけれども、それは検討しただけで結論が出ていなかったというふうにお聞きをいたしております。
 ただ、獣医師さんの団体の方からかねてからいろいろ獣医師法の改正について御要望がありまして、最終的に昨年出された要望をもとにして日本獣医師会の方とよく調整をしまして、それで法案をまとめて御審議をお願いしているということでございます。
 それから、六年制に獣医師さんがなりました。これは県によっても違うようですけれども、給与表の適用状況が違うようですけれども、おおむね三号俸程度一般の人よりも上になっている、そういうようなことであると理解をいたしております。
#24
○三上隆雄君 家畜人工授精師との格差というか法的な位置づけというか、その待遇ということについても御報告願います。
#25
○政府委員(赤保谷明正君) 獣医師さんも家畜人工授精師もそれぞれ自由業でございますので一概に申し上げるわけにいきませんが、獣医師さんは診療行為を行う、それで家畜人工授精師、これは家畜人工授精師の講習会を受けて免許を取って、それで従来は家畜人工授精、それと特別な資格を取った方は家畜体内受精卵移植という行為を行うことができるということになっておりまして、それぞれ職域というか持ち場が違うわけですが、現場においては両者協力をしていろいろ家畜衛生の向上につきまして御努力をいただいているというふうに考えております。
#26
○三上隆雄君 その待遇はどうなっていますか。
#27
○政府委員(赤保谷明正君) 獣医師さんの方は県、国に採用されておる、農協にも採用されておりますが。家畜人工授精師は農協に採用されたり個人で開業している方もおられる。個人で開業している方が多いんではないかと思うんですが、今申し上げましたように、両方とも自由業でございますので、ちょっと具体的に獣医師さんが人工授精師の何割増しぐらいの給料であるとかということは今ちょっと手元に持ち合わせてございませんが、もしわかりましたらこの委員会中にお答えをしたいと思います。
#28
○三上隆雄君 その三号俸というのは大体十五、六万ということですか、初任給で。今初任給で十五、六万というのは、それだけの学業を終えられて、そして国家試験を通って、それが正当な待遇なんですか。
#29
○政府委員(赤保谷明正君) 待遇というか給料というか、その数字を今持ち合わせておりませんけれども、農協に採用される家畜人工授精師はその資格に応じて、そのときどきでと言うとあれですけれども、処遇については決まっている。今ちょっと手元に資料がございません、申しわけございませんが。
#30
○三上隆雄君 これほどメンバーがそろって、それ常識的にお答えできないんですか。
#31
○政府委員(赤保谷明正君) 獣医師さんで県に勤めている方の初任給の調査ですが、県によって多少ばらつきがございますけれども、四十七都道府県あるうち一番多いのが医療職の(二)が適用されている二級の六号、初任給十八万二千五百円、これが四十七都道府県のうち二十県でございます。その次に多いのが医療職の(二)の二級の五号、十七万六千四百円、都道府県数でいきますと十六でございます。そのほかまちまちでございますが、おおむね十七万以上十八万余りというような状況でございます。初任給でございます。
#32
○三上隆雄君 それで、十五、六万というのは実態ではないということですか。
#33
○政府委員(赤保谷明正君) これは全国の家畜衛生職員会というところの調査でございまして、平成三年度の初任給調べでございます。家畜保健衛生所に勤務している獣医師の給与水準でございます、今申し上げましたのは。
#34
○三上隆雄君 その獣医師の不足をするという原因は、経済的な待遇がやっぱり一番の原因ではないかなという、そういう気もするわけであります。しかもその職業の性質からいって、いわゆる汚い、きついという部分に入る職業である。
 ただ、きのうの参考人の意見では、北海道の森田さんの意見では、それほど経済的にもあるいは時間的にも窮屈な状態ではないという報告がありましたけれども、一般ではそうないと思うんですが、その点、内地と北海道では特別大きな原因と格差があるのか、その辺の御見解をいただきたいと思います。
#35
○政府委員(赤保谷明正君) 勤務獣医師の収入、年間給与でございますけれども、これは北海道、内地全部込みでございますが、農業共済団体と家畜保健衛生所の職員の比較でございますが、本俸と諸手当、両方合わせまして、農業共済団体等につきましては六百四万八千円。それから、家畜保健衛生所につきましては五百四十三万七千円。それで、共済団体の方の平均年齢は三十八歳、家畜保健衛生所の方の平均年齢は三十七歳。この家畜保健衛生所は十二道県、二十九カ所でございます。
#36
○三上隆雄君 それでは、そんなに窮屈でない、しかも待遇は悪くないという判断に立たれるんですか。
#37
○政府委員(赤保谷明正君) 同じような仕事をしている獣医師さんについては、共済にしろ県にしろ、おおむね同じような水準であるようでございますが、ただ、小動物獣医師さん、開業医、そういう方と比較をすると、やはり県庁に勤めているとか共済に勤めておられる獣医師さんは低いようでございます。
#38
○三上隆雄君 だから、今回の法改正によってその辺が改善されてその不足が解消されるんですかということを聞いているんです。
#39
○政府委員(赤保谷明正君) ただいま申し上げましたように、処遇改善というのは非常に重要だとは思いますけれども、何か一つやれば産業獣医師さんが確保できるということでもないんじゃないかと。
 私どもの方としましても、雇い上げ獣医師の手当、これも人勧のベースアップに合わせて上げている、そういうものですけれども、そういうこともやっておりますし、先ほど来申し上げているように、開業するに当たっての公庫資金の貸し付けたとか、あるいは学生さんに対する修学資金の単価アップ、あるいは貸し付け期間の延長だとか、いろいろなことを総合的に実施して何とか産業獣医師さんの不足問題に対処していこう、そういう考え方でございます。
#40
○三上隆雄君 ひとつそういう問題を積極的に、しかも誠意を持って行政執行に当たって改善していただきたいということを要望して、次の問題に入りたいと思います。
 それでは、次に牛の飼育の関係についてお尋ねしたいと思いますけれども、今、濃厚飼料によって飼育の合理化、そしてまた多頭化飼育によってこれもまた畜産産業の合理化という傾向がより一層強められている状況でありますけれども、その濃厚飼料によって脂肪率を上げるという、この認識は欠けているようでありますけれども、その辺の実態をお聞かせいただきたいと思います。それによってまた質問を繰り返します。
#41
○政府委員(赤保谷明正君) 乳脂率を上げるため、きのうの参考人のお話にもありましたけれども、要するに粗飼料、濃厚飼料をバランスよく供給することが必要である、特に乳脂率を上げるためには、粗飼料、しかもかた目の粗飼料を濃厚飼料とバランスよく与える必要があるというお話もございましたし、そういうような認識を持っております。
#42
○三上隆雄君 その粗飼料と濃厚飼料を適当に組み合わせて飼育することがその最も適切有効な飼育方法だと、こう言われていますけれども、今消費者が求めている牛乳というのは、昔は確かに脂肪率の高い乳を求めておったわけでありますけれども、最近はそうでない、むしろ脂肪率が低い、カルシウム摂取に重点を置いたそういう嗜好というか、栄養という面からいってもそういう傾向に走っているということですけれども、そういう中で三・五%牛乳を強いられているというその原因についてどう思いますか。
#43
○政府委員(赤保谷明正君) 生乳取引における乳脂率の基準、これは近年における乳質の向上の実態、それから品質のよいものに対する消費者のニーズ、そういうものを踏まえまして、生産者と乳業者の合意によりまして昭和六十二年度から三・五%に引き上げられたわけでございます。
 との生乳の生産状況から見ますと、どこかで搾った牛乳というんじゃなくて、合乳、合わさった合乳となったその段階では全国的には年平均で三・七%の乳脂率、その程度の乳脂率になっている。それから、地域別、季節別で見ましても三・五%以上となっておりまして、乳脂率三・五%の生乳を生産する技術はまあでき上がっているので一はないかなというふうに考えられるわけでございます。
 それから、乳脂率の基準の変更による飲用牛乳の乳成分のグレードアップ、これが消費者の嗜好に合致をいたしまして、昭和六十二年度以降飲用等向けの需要増加の大きな要因となっていると思います。
 ただ、乳脂率が上がったというだけではなくて、今多様な飲料が出てきております。大きさも大きいのから、若い人が街で歩きながら飲む牛乳とか、非常に売れているんだそうです。ですから、多様な商品の開発というようなことと合わさって、乳脂率だけではなくて、それで飲用乳の需要がふえているんじゃないかと思っております。
#44
○三上隆雄君 何かその牛乳の嗜好が畜産農家、酪農農家の立場を無視された方向でニーズが求められて、市場加工もその方にしむけられている実態があるんではないかという気がしてならないわけでありますけれども、そういう飼育をすることによって牛そのものに生理的に与える悪影響というもの、それが結局は経営全体に悪影響を及ぼすという結果になるわけでありますから、その辺の実態をどう受けとめて、それをどう解消したらいいと思いますか。
#45
○政府委員(赤保谷明正君) 生産段階においては、乳脂率の維持向上を図るためにいろんな農家の方々の御努力が行われているわけでございます。例えば、良質な粗飼料の確保、それから泌乳ステージに応じた飼料給与による粗繊維量の増加だとか、いろいろ難しい問題がございますが、そういう話だとか、あるいは夏場における防署対策、それから夜間、早朝の飼料給与、そういうような御努力、あるいは衛生管理の徹底、それから乳成分の低い搾乳牛の淘汰、あるいは乳脂率の高い検定済種雄牛の利用によります半群の改良、いろいろそれぞれ難しい問題がございますが、生産段階で工夫をこらした飼養管理が行われているというふうに理解をいたしております。
#46
○三上隆雄君 まあいろいろ答弁では理論的にはいいことを言っていますけれども、しかし牛の生理的に合わない飼育方法が強いられている。そこで、結局は動物医薬品を過剰投与というか飲用させて牛そのものの寿命を短くしているという実態があるわけでありますけれども、その医薬品の過剰な投与をどう考えますか。
#47
○政府委員(赤保谷明正君) 多投をどう考えるかと言われると、必要な量を投与するのはいいんでしょうけれども、過ぎたるものはやはり適当ではないと言わざるを得ないんですが、安全な畜産物の生産を図るために、動物用医薬品に関しては御存じのとおり薬事法による規制がございます。
 一つは、副作用を起こしやすい医薬品あるいは耐性菌を発生しやすい医薬品につきましては、獣医師みずからによって、あるいはその獣医師さんの指示のもとに使用が行われるように販売の規制が薬事法で一つ行われております。
 それからもう一つは、使用者が遵守すべき基準、これも薬事法で規定をされておりまして、これは畜産物への残留を防止する、そういう観点からの医薬品の規制でございまして、これは使用者が用法、用量、あるいは休薬期間といいますか、薬を投与してはいけない、そういう基準を決められまして、その基準に従って使用するというような枠組みが薬事法にございます。
 それから、今回、獣医師法の改正案で御審議をお願いしておりますのは、抗生物質等の動物用医薬品、これは使い方いかんによりましては、耐性菌の増加による疾病の治療効果が低下をするという問題も起きますし、また伝染性疾病の蔓延の助長にもなりかねない。さらに、動物用医薬品の残留の助長、そういう問題を生じさせまして、日本の畜産の安定的な発展を阻害する、そういう懸念もありますので、こういった医薬品の投与または処方を行うに際しては、獣医師みずから診察をしなければ投与、処方をしてはいけないと、そういうみずから診察をすることを義務づけてこれらの医薬品の適正使用を図るということにいたしているところでございます。
 これまでの規制措置につきましては、各都道府県の家畜保健衛生所だとかあるいは関係団体を通じまして関係者に周知徹底しているところでございます。今後上も、今回お願いをしている獣医師に対する規制措置を含めまして、これらの規制措置の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
#48
○三上隆雄君 適正な指導をして、また、この動物用の医薬品の販売も薬事法で規制しているということですけれども、実態はどうなっているんですか。自由に買って自由に使えるという状態なんですか。そういう状況なんではないでしょうか。それはどう受けとめていますか。
#49
○政府委員(赤保谷明正君) 合申し上げましたように、薬事法に基づいて販売の規制あるいは使用者が遵守すべき基準を定めまして、都道府県あるいは団体を通じてそれが守られるような指導をいたしております。
 それから家畜保健衛生所に薬事監視員という方が大勢おられます。そういう方が立入検査をするというような形で医薬品使用の徹底を図っているところでございます。
#50
○三上隆雄君 それでは、これは細かい質問になりますけれども、家畜共済診療点数表というものがあって、それによって共済の出費状況を審査して共済金を付与するということですけれども、これは我々素人ですからその実態はわからないままの質問になるかもしれませんけれども、一定の量を一定の時間で点滴をしなきゃならないという、そういう事態が当然あるわけでありますけれども、その実態が適正な器具を使って適正な時間を消費して牛に有効にその点滴が効用しているかという、そういう実態はどうなっていると思いますか。
#51
○政府委員(川合淳二君) 今お話しの家畜共済におきます診療点数でございますが、診療点数の中には、いわゆる診療間接費と申しますか、今、先生がおっしゃられたような、獣医師さんが診療に当たるに際します費用を点数化したものもあるわけでございます。これは三年ごとに見直しているわけでございますけれども、そうした今言われています例えば仕事に要する、そこの往診と申しますか、往診に要する時間などもそれぞれ実態を勘案しましてやっているわけでございます。ただ、当然のことながら、連続性のある三年ごとに見直しておりますので、そうした過去の実態を踏まえまして三年ごとに見直すというような作業をしているところでございます。
#52
○三上隆雄君 実態は、我々は物理的に考えても、太い針を使って、点滴の容器を上に上げて点滴をやれば、三十分の所要時間が適正な時間であるけれども、十五分なり二十分で投与されるという事態もないんですか。なぜそうなるかというと、結局、時間がかかるということは、点数制からいってその診療の効率を低めるという、そういう結果になるからそういう実態が出てきて、それが牛の生体に悪い影響を及ぼしているという実態がありませんか。
 なお、その判定はだれがするんですか、さっき審査員がいるとか監視員がいると言っていましたけれども。
#53
○政府委員(川合淳二君) この点数の改定に当たりましては、私ども、専門家にお集まりいただきまして、三年ごと、その都度でございますが、御審議をいただいて審査の結果決めておりますので、そういう専門家の知見に基づいてやっておりますので、今、先生がおっしゃられるような、そういうような形でこれがゆがめられるということはないものと思っております。
#54
○三上隆雄君 それから関連して、私ちょっと病名を忘れたんですけれども、牛がその病気に感染して血液にその反応がある場合には食肉としては販売できない病気があるはずですけれども、その病気は何ですか。私もちょっと……
#55
○委員長(永田良雄君) それでは、わからないようでありますから、後で調査して報告を願います。
#56
○三上隆雄君 確かにその病気に感染していると食肉として販売に適さないということで、法律で規制されている病気なんだそうです。私もまたこの薬の名前もわかりません。その薬を人工透析するとその比率が下がって、一時的にはその一定のレベルまで下げ得るという事態があるらしいんです。それが実際の市場にないのかどうか。あったらこれは大変なことですよ。
#57
○政府委員(赤保谷明正君) 今病気の名前はちょっとはっきりしませんけれども、と畜場法、屠畜検査を受けまして検査に合格しないと、内臓にしろ枝肉にしろ出荷できませんので、そちらの方の話ではないかと思いますが、ちょっと詳細存じ上げておりません。
#58
○三上隆雄君 どっちの話でもいいですからお答えください。
#59
○政府委員(赤保谷明正君) 厚生省の所管のと畜場法関係でいろんな病気があります。牛疫、牛肺疾、口蹄疫、流行性感冒、たくさんありまして、そういうような病気にかかっているというような食肉については屠場から持ち出せないということでございますが、厚生省の方の所管でございまして、ちょっと詳細承知しておりませんで申しわけございません。
#60
○三上隆雄君 やっぱり、この獣医師法なり、それに関連した一連の法律というのは、余り厳しくやると、厳しくというか優遇してやらぬと、そういう無理なことまでして経済性、効率性を高めるという事態が出てきますから、その辺には十分留意されて、売ってはならないものまで販売しなきゃならないという経営実態が出てぐるからそういうものまで販売すると。そしてまた、自然の生理からいって合わないような飼育も強いられているという実態からそういう疾病も出てくると思うんですよ。ですから、乳にしても肉にしても適正な価格でやっぱり買い上げてくれぬと畜産農業は大変だと思うんです。その意味で、最後に大臣のお考えをいただきたいと思います。
#61
○国務大臣(田名部匡省君) 私も専門家でありませんが、いろいろ今のお話を伺っておって、使用してはならぬもの、あるいはもしそれを無視して使用する、そこには獣医師さんがおってそれを調べて、そして出荷できないということはあるわけです。ですから、制度的にはきちっと歯どめがかかっているわけです。それを無視してやるとそっちへひっかかるわけでありますから、やっぱり出荷できるような医薬品の投与、管理そういうものをやらなきゃいかぬし、あるいはお話しのように、それをやることによっていろんな障害が起きるということも、もしやっておればそういう障害が出るということは、これは畜産農家の大きな損失なんですね。ですから、行政あるいは制度的にゃるというよりも、飼育している農家の皆さんが自分の持っている財産を失うようなことを避けながら畜産の振興を図るということは、私は第一義的に大事だと思っております。
 それから待遇改善の面についても、まあ国としてはできるだけのことはしておるつもりであります。しかし、突出して何かやれるかとなると、やっぱり役所というのは周囲のバランスとかいろんなことを見るものですから問題がなかなか解決しないところはあります。ある中でも、可能な限りにおいては他の職員に比べるといろんなことでは優遇策といいますか、後継者を確保するための制度というものをやっております。これでももし獣医師が不足したらどうなるかといえば、またさらに別途何かを考えてやる、そういうことは考えられるかなと思いますが、当面これでやらせていただいて、何とか産業動物の方の獣医師さんを確保してまいりたいということであります。
#62
○三上隆雄君 終わります。
#63
○菅野久光君 初めに、我が国の畜産農家の将来展望のことについてお伺いをいたしたいと思います。
 日本は、国土の大半が東アジアモンスーン気候下の温帯に位置しておりまして、降雨量が世界平均の二倍という多雨条件と、非常に急峻な地形で森林が多く、耕地が国土の一四・二%にすぎないという土地条件であります。こうした条件のもとで、耕地の五四%を水田として開発をし、国土を保全しながら集約的で高い生産力の米を中心とする農業を発展させてまいりました。
 しかし、ヨーロッパと異なって畜産の展開の余地がなかった日本において、ようやく畜産が導入されるようになったのは明治維新以後のことであります。それは、飼料作物をつくらない、言えば耕地での有畜農業として畜産が導入されるというようなことになってまいりました。そして、第二次世界大戦後二次にわたる農地改革と畜産導入への政策的誘導、さらには農業基本法以後畜産が選択的拡大作目とされたこととあわせて、高度経済成長に伴う国民所得の向上によって畜産物の消費が急増したこと及びその安価な飼料穀物が輸入できたことなどを背景として畜産は急激に発展をしてまいりました。
 農業総産出額に占める割合は約二七%でありまして、米が二八%でありますからほぼ肩を並べるほどになって、今や我が国農業の重要な柱となっておるわけであります。また、去る平成二年の一月には西暦二〇〇〇年、平成十二年を目標年次に、これは基準年が昭和六十二年でありますが、農産物の需要と生産の長期見通しが閣議決定されました。
 そこで、今後の畜産の生産展開について、大家畜については牧草等粗飼料生産基盤の拡充、新技術の普及による経営の体質強化を促進しつつ、生産の拡大を見込む。また、中小家畜にあっては需要に即した生産の拡大を見込むとともに、牛乳の一人当たりの消費量は大幅に増加するというふうに見込んでおります。
 このように、畜産は国民生活の基盤を支えている日本農業の発展にとって重要な役割を果たす一方で、国民生活の豊かさ、食生活の豊かさ、それ自体を支えているわけであります。しかし、近年の農産物輸入自由化の結果、世界最大の農産物純輸入国である日本において畜産物の輸入が増大し、このため、自給率が下がるとともに、他方、生産調整を余儀なくされて畜産農家数が急減するなど深刻な影響が生じております。このことは将来が大いに危惧されるに至っておるわけであります。そこで、政府は今後の畜産の将来展望、さらには酪農の将来展望をどのように考えているのかお伺いをいたします。
#64
○国務大臣(田名部匡省君) おっしゃるように、いろいろな変遷がありました。米については需要が伸びない、消費が低下しておるという実態にあります。畜産の方は逆に成長をしておるんですね。ですから、ここが土地利用型の農業の基本である米と畜産の大きな違い。厳しい中でありますが伸びているという将来展望、片方は消費が減っておるというところに基本的には大きな違いがあると思います。しかし、片方は自由化という荒波を受けているわけでありますが、何としても私どもは、食生活が本当にこれからどう変わっていくのかということもありますが、いずれにしても所得が上がれば食品等の多様なニーズというものはさらに進んでいくだろうと思います。
 しかしながら、近年、牛肉の自由化によって牛乳でありますとか乳製品あるいは食肉等の良質なたんぱく食品の安定供給というもの、あるいは農村地域の活性化を図る上で畜産というものは依然として大きな役割を果たしていくし、国としてもその振興を図っていくということは非常に重要なことだ、こう私は思っております。そのためには畜産物の安定供給も大事でありますが、経営の健全な発展を図るということが何よりも増して重要なことであります。生産から流通まで全体でとにかく努力しなければ、一つだけよくなっても他の分野でどうしてもそれを支えてあげないといかぬという面はあると思います。
 具体的に、生産性の向上あるいは経営体質の強化、これを図ることは大事でありますし、受精卵移植技術等の新しい技術、他の国にないものを常に先取りして、それによって苦しい時代を乗り切るということも我が国の畜産業においては重要な柱だと思っております。また、合理的な流通体系、家畜市場とか産地の食肉センターの整備も図っていく、あるいは最後には消費の拡大をしていく、こういう中で畜産振興を図っていきたい、ごう思うのでありますが、自由化になったのでありまして、これからどういうことが起きるかということは私どもも定かではありません。ありませんが、当面いろんな手だてを講じてこれによって先般お決めいただいたことでやっていただく。その結果どうなるかというのもまた新たな問題点が出てくるかもしれません。そのときどき、とにかく常に対策をしながら、いずれにしても我が国にとっては、先ほど申し上げたように、もう米と並ぶ産業として発展しておりますので、これは国を挙げて努力をしてまいりたい、こういうことであります。
 ただ、一方においてはこれを御負担いただく多くの消費者、国民の皆さんもおりますので、そこのところはおのずから有効にこれに手当てをしていく努力というものも私どもが負わされておるわけでありますから、その辺のバランスをよく考えながら農家の皆さんも立ち上がって元気をつけていただく、そういうことを考えながら、一方では何といってもやっぱり農家自身の皆さんの努力、これがないことには幾らどんな施策をしてもこれが成功しないと思いますので、両々相まって発展を遂げていきたい、こう考えております。
#65
○菅野久光君 畜産価格の審議のときには大臣は審議会の方におられて審議官対応ということでやったんですが、私が最初にこのことをお聞きしたのは、今回の畜産三法で特に産業獣医師、これが不足をしているというようなことなどを含めて、その原因の一つは待遇改善ということもあるんでしょうし、また日本の畜産が将来どうなっていくのか、そういう明るい展望が持てるのかどうかということにも大きくかかわっていくのではないかというようなことがあるものですから、最初にそのことをお聞きいたしました。
 正直言って、大臣、農家も努力してもらわなきゃいかぬということをお話しされましたが、農家は相当努力をしてもう努力の限界というのが現状でありまして、そのことが昨年の畜産価格のときに私は畜産の危機だ、この危機を何とか乗り越えるためには原料乳の価格を上げなきゃだめだというようなことを申し上げ、ことしは酪農の危機じゃなくて酪農の崩壊をどうやって防ぐかということが今の日本における最大の課題だというようなことを申し上げたわけで、農家は本当にどうやって畜産を守るかということで大変な努力をしている、そのことだけは、大臣はしてもらわなければならないというお話でございますが、しているというふうに私どもはもう確信を持ってこれ言っておりますので、認識をひとつ誤らないようにしてもらいたいというふうに思います。
 そこで、次に酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針の策定の問題でございますが、農林水産大臣は、酪農及び肉用牛生産の近代化を計画的に推進するため、「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」、長いものですから略称酪肉近代化基本方針、これを定めなければならないこととされております。ところが、現在定められている酪肉近代化基本方針は、牛肉の自由化決定以前の昭和六十三年二月に決定されたものであります。牛肉の自由化の影響が必ずしも十分考慮されているとは言いがたいというふうに思うんです。そのため新たな酪肉近代化基本方針の早期策定が求められているわけであります。
 政府は、牛肉の自由化決定後の平成二年一月に出された「農産物の需要と生産の長期見通し」で、平成十二年度を目標にした新たな牛乳、乳製品及び牛肉の需要と生産の見通しを行いました。そして、この生産見通しを達成する前提となる酪農及び肉用牛の生産振興を図るため、平成二年三月、畜産振興審議会に対して新たな酪肉近代化基本方針の作成に関する諮問を行いましたが、二年以上たった現在においてもいまだに新しい方針は出されておりません。牛肉の自由化が酪農及び肉用牛経営に深刻な影響を及ぼしている現在、政府はできる限り早期に新たな酪肉近代化基本方針を示して酪農及び肉用牛の生産振興を図っていかなければならないと思うんですが、見解をお伺いいたしたいと思います。
#66
○国務大臣(田名部匡省君) お話しのことでありますが、酪農及び肉用牛生産は、自由化、国際化の進展で生産性の向上と体質の強化が強く迫られておると思います。先生お話しのことで、努力をされている、私も努力していないとは思っておりません。その中でもいかにして経営の成り立つような努力をするかということ、それもやっていると思うのでありますが、専門家の人たちで見た場合には、例えばこういう面をこういうふうにした方がもっと生産性が上がるとか、いろいろあると思います。一律でないものですから、規模が大きい人もあれば、中ぐらいの人もあれば、零細の人もありということで、なかなか農業というのは難しいんですね、工場生産でないものですから。どこを基準に見るかというと、これまたどうも国のやり方としては平均的にやるものですから、平均以下は苦しいし平均以上は何とか我慢できるということなのかもしれませんし、いずれにしても、そういう問題を取り上げてそれを改善していくその努力を申し上げているんで、一人一人はこれは全力を挙げてやっていると思うんです。そういうところの改善努力というものを私たちがお手伝いしながらもっと効率よくやれる方法という意味で申し上げたわけでありまして、そのための体質の強化ということが必要だろうと思いますし、このような中で、将来を見通した経営の取り組みが可能になりますように、中長期の展望を確立することが大事だ、こう思っております。
 自由化が始まったばかりでありますので、私たちもこういう方法ああいう方法がいいかということでいろいろと議論いたしておりますが、二〇〇〇年を目標年次とした先ほどのお話の「農産物の需要と生産の長期見通し」に則して、現在新たな「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」の作成に向けて、酪農及び肉用牛生産の振興を図るためのいろいろな方策が、あるいは生産を担うべき経営の指標というもの、生産コストの目標等について、畜産技術の動向や輸入自由化の影響、そういうものを分析しながら検討してお出しをしたい、こう考えております。
#67
○菅野久光君 二年たってもまだ出されていないわけでありますが、大体いつごろをめどに出すおつもりか、およそのめど、そこはどうでしょうか。
#68
○政府委員(赤保谷明正君) いわゆる酪肉近代化基本方針、おっしゃるように、これは長期的な酪農、肉用牛生産の長期的な誘導指標でありますし、またいろんな施策を講ずるに当たってのマスタープランとなるものでございますので、できるだけ早くつくらなければならないとは思っておるわけでございます。
 しかしながら、今、検討状況、審議会には諮問しているわけですけれども、まだいろいろ問題がありまして、例えば生産コストの目標だとかその背景となる経営の指標、生産振興の方向、あるいは飼料作物の生産指標等の自給飼料、飼料の自給度の向上、流通の合理化、こういうことについて検討しているわけですが、特に生産コストの目標の設定、それとあと飼料作物生産のための指標の作成、この辺のところが特に重要と考えておりまして、その辺のところの作業に重点を置いて今検討しているところでございます。
 しかしながら、なおいろいろと分析検討する必要がありまして、例えば生産コストの目標につきましては、将来その普及が見込まれる受精卵移植技術等の新しい技術、あるいは交雑種雌牛の繁殖利用だとか、肥育雌牛の一産取り肥育、そういった新方式の普及、定着の可能性、あるいは昨年自由化されましたが、輸入牛肉と国産牛肉との競合性の問題だとか、その他いろいろデータを収集し、検討しなければならない、これからいろいろ見きわめていかなければならないことがございます。それから、飼料作物の生産のための指標の作成についてもこれまた新たに盛り込もうとする項目でございまして、その設定の考え方だとか、設定方法等を基本的なところから検討しているところでございます。
 さらに、お話ございましたが、ガットのウルグアイ・ラウンドの交渉につきましては、現在最終合意に向けて協議が行われているところでありまして、我が国の立場が交渉の結果に反映されるよう最大限努力をしているところではありますけれども、さらにこれらの進展状況、そういうものも視野に入れる必要があると考えております。
 いずれにしましても、いつごろだというお尋ねでございますが、事務的な案の作成に鋭意努力をいたしております。できるだけ早く畜産振興審議会に具体的にお諮りをした上で取りまとめたいと考えております。
#69
○菅野久光君 なかなかめども示されない、今の段階で。しかし、できるだけめどが示せるような作業を進めてもらいたいというふうに思います。
 そこで、そういう日本の畜産全体がどういう展望を持てるんだ、そういうことなども、先ほど言いましたように、産業獣医師、大動物の獣医師を確保する上でやはり大事なことだというふうに思いますので、もろもろのそういう政策があって、そして待遇も改善されて、そこに希望者が出るというようなことになっていくんだろうというふうに思いますので、その点についてひとつ早く制定されて明るい展望が見出せるようにやってもらいたいということを要望しておきます。
 今回の獣医師法の改正の中で、第一条の家畜を飼育動物ということにして対象家畜を拡大いたしましたが、その理由はどういうことでしょうか。
#70
○政府委員(赤保谷明正君) 対象家畜といいますか、獣医師さんが業として診療できる家畜を飼育動物の中で法律で定めたりあるいは政令で決めたりすることにいたしておりまして、今回その意味での対象家畜をふやしますのは、ウズラと、それから人畜共通の伝染病でありますオウム病、その感染源になるようなもの、これは鳥の種類、種によって違いますので専門的、技術的に検討しなければなりませんので、法律にはウズラだけ書きまして、その他小鳥につきましては政令で規定をする、専門的、技術的な検討を経て政令で規定をしたいというふうに考えております。
#71
○菅野久光君 そこで、何といいますか、飼育動物ということで、あとの細かいやつは政令でというようなお話ですね。政省令にゆだねるという形になる。まあ人間の場合にははっきり人間を対象にした医師がいるわけですね。したがって、私どもとしては、人以外の動物の診療あるいは治療というような、そういうことにすれば今のような
 一々対象動物を書かなくても済むのではないかというふうに思うんですが、そこのところはいかがでしょうか、
#72
○政府委員(赤保谷明正君) 今私が申し上げましたのは法律の十七条でございまして、「飼育動物診療業務の制限」、つまり、獣医師さんでなければ飼育動物の診療を業務としてはならない、一般の方が業務として診療してはならないという、こういう業務独占をするわけでございまして、そういう意味で公衆衛生あるいは畜産、そういう面での重要性、それから伝染性疾病、人畜共通の問題だとか、そういうことを判断して、獣医師さんでなければ業として診察をしてはならないというふうに業務の独占をするわけです。
 したがいまして、法律ですべて書ければよろしいんですが、そのときどきの状況で急いで指定をしなければならないというような事態も考えられますので、ウズラについては法律で書きますけれども、その他の小鳥につきましては専門的、技術的に検討して政令で書きたい、こういうことでございます。
#73
○菅野久光君 業としての対象動物を指定するということなんですね。だから、それ以外の動物をやることは構わないが、業とするというのはなりわい、いわゆる報酬を受けてという、そういうことですか。
#74
○政府委員(赤保谷明正君) よくほかの法律にもございますけれども、営業、業として、業務として診察をする。したがって、それ以外の、十七条で書いてある動物以外の動物についてはもちろん診察していいわけですが、十七条で書いてある動物については、業務として診察するのは獣医師さんでなければならないということにしたわけでございます。
#75
○菅野久光君 何かこれからいろんなことが出てくるんではないかなというふうに思うんですが、人間と他の動物との間で共通した病気といいますか、オウム病なんかはそういう病気で、それは後から指定するということなんですね。
 例えば、猿などがエイズにかかったということで、それが人にかみついたり、あるいはかっちゃいたりしてそこから感染をしたというようなことがあったときには、一体どこがどういうふうにやられるのかな。猿と人、人は普通の医師、猿の方は獣医師も対象の動物には入っていないんですが、その辺はどういうことになりますか。
#76
○政府委員(赤保谷明正君) 飼育動物の定義は、「この法律において「飼育動物」とは、一般に人が飼育する動物をいう。」、広く一般的に人が飼育をしている動物。それは動物園で飼われている動物であっても、いろんな動物園で飼育をされている動物については飼育動物に当たるという理解でございまして、猿は飼育動物に当たると思います。
 猿を獣医師さんの専管部門にするかどうか。今のところそういう心配はございませんが、先ほど申し上げましたように、法律で指定してある動物、これはその考え方ですけれども、畜産業の発達または公衆衛生の向上、こういった観点からの重要性、それから疾病の発生状況、それから獣医師による技術的な対応能力、そういうものを総合して法律で飼育動物のうちの一部を指定しているわけでして、今度政令で指定をするときにも今お話のありましたような、そういうような公衆衛生の向上からの重要性だとか、病気の発生状況、あるいはそれに獣医師さんがうまく本当に対応できるのか、そういうところを総合的に判断して、急を要する場合には政令で指定ができるというふうにさせていただいたということでございます。
#77
○菅野久光君 これから何が起きてくるかわからないものですから、一々政令で指定する飼育動物といったって、動物園で飼育しているのはみんな飼育動物の中に入るということになれば、これもまたなかなか大変だから、いっそのこと人以外の動物というふうにした方がむしろすっきりしていいのではないかなというふうに私は思うものですから、これは今後の課題になるのかなというふうに私は思います。
 畜産業に貢献するのが任務だということでありますが、畜産業ということと、畜産という、業が入らない畜産ということとは意味が同じだというふうにお考えか、意味が違うというふうにお考えか、そこのところをお伺いいたしたいと思います。
#78
○政府委員(赤保谷明正君) 私の感じで申しわけございませんけれども、家畜を飼養管理する、そのときに営業として、業として行う業態としてとらえたときが畜産業でございまして、そうでなくとらえたときの言い方が畜産がなという気がいたします。
#79
○菅野久光君 畜産業というのは、畜産をなりわいとする業界ですわね。例えば生産農家も畜産業、それから畜産にかかわる関連資材を売る業界も、これもやっぱり畜産業の中に入るというふうに思うんですね。それから薬剤、動物用のそういう薬剤を売る、あるいは飼料あるいは流通業者、そういうふうに畜産にかかわる業界、そういうものをもってなりわいとする業界を畜産業と言うんじゃないかと思うんですよ。
 畜産というのは、生産される畜産物と消費する国民を含めた畜産物の連鎖といいますかね、そういうものを私は畜産と言うのではないかというふうに思うんですが、私の言い方は違いましょうか。
#80
○政府委員(赤保谷明正君) 家畜、畜産物を生産することを業としているのを畜産業と言うんではないかと思いまして、今、先生おっしゃいました加工、輸送とか保管とか、これは魚でもそうですが、水産業、それで水産関連施設、網とか倉庫業者とか運送業者とかありますが、それは水産関連産業。それと同じように、畜産につきましても畜産関連産業と言うのではないかと思いますが。
#81
○菅野久光君 狭い意味では前段に言われたことで、広い意味で言えば、そういう関連産業、それらもやっぱ私は入ってくるんでないかなというふうに思うんです。
 先ほど三上委員から人工透析の話がありましたけれども、私もちょっとお話を聞いていたのは尿毒症の人工透析、これは人間の場合やりますわね。何日置きかに透析をする。牛の場合も、何か尿毒症になった牛に透析をして一時的に数値を下げていくというようなことが、ことしの獣医学会ですかの研究発表が、そういうところであったんだそうですよ。それ一回やるのに十万とか二十万とかというお金がかかるんだそうですが、牛一頭死んでしまったら、七十万になるか八十万になるか百万になるか、その牛によって違うんでしょうが、そういう牛が、仮に尿毒症にかかったときに人工透析をして屠畜場に行って、そのとき基準に合う形になっていたら、これは屠畜して、そして市場に流通することができる、そういうことになりますね。
#82
○政府委員(赤保谷明正君) 先ほど三上先生の御質問にありましたが、厚生省で行っております屠畜検査の問題でして、私ちょっと、そのときさえ試験、試験というか検査に合格すれば食肉として流通できるのか、あるいはおっしゃるような透析のような形で一時的に病状を軽くしたというようなのが見破られるのか、その辺ちょっとつまびらかでございませんので、恐縮でございますが……
#83
○菅野久光君 いろんな研究はいいんですが、こういう研究がどんどん進んでいったときに、十万か二十万かければ、あと六十万もうけるのか八十万もうけるのか、もうけるというよりも潰しないのか、それはちょっとわかりませんが、一時的なそういう十万なり二十万なりで人工透析をして基準に合う数値以下にちゃんとして、そして屠畜に出す。そうすれば、極端に言ってみれば損をしないでも済むというようなことが、研究の成果でも余りそのことが一般化することがあるのかどうかちょっと私もわかりませんが、そういうことが。やっていかれるようなことになったらこれは大変なことになるなというちょっと思いがあるものですから、そういう研究の発表が獣医学会であったやに聞いているものですから、そういう点なんかについてもこれからどういうような対応を、仮にそういうことになった場合にどういう対応をするのかなということがちょっと心配だったものですから、今私の方から申し上げたわけであります。
 問題がたくさんあるんですが、今の畜肉の安全という面についても獣医師が非常に大きな役割を持っているわけでありますので、この畜肉の安全の問題を先にちょっとやらさせていただきたいと思います。
 現行法では、劇事業及び生物学的製剤については獣医師の診察なしては投与ができないことを法律の中で定めております。今回の法律案ではこれらの医薬品に加えて、農林水産省令で定める医薬品についても同様の制限を加えることにしておりますね。省令で定める予定の医薬品としては、抗生物質やホルモン剤等の要指示医薬品等を予定しているようでありますが、この要指示医薬品等を獣医師の診察を要する薬として省令で指定しようとするに至った経緯は何であったのでしょうか。また、法律ではなく省令で定める理由は何であるのか、お伺いをいたしたいというふうに思います。
 また、畜産の振興と安全な畜産物の供給等を図るために、動物用医薬品の使用についてどのように指導していくのか、その点もあわせてお伺いいたしたいと思います。
#84
○政府委員(赤保谷明正君) 今回、獣医師法の改正でお願いしておるわけですけれども、抗菌性物質等の動物用医薬品、それはその使い方いかんによっては耐性菌ができまして、疾病の治療効果を低下させるという問題が起こる。それから、伝染性疾病の蔓延の助長、もう治ったかと思ったら治っていなかったというようなことで伝染性疾病が蔓延をするというような問題も起こりかねない。それから、動物用医薬品の残留の問題、残留を助長させるというような問題を生じさせて、ひいては日本の畜産の安定的な発展を阻害する、そういうことが懸念されますので、これらの医薬品の投与、処方を行うには獣医師さんがみずからの診察をしなければならないというふうにしたわけでございます。
 その際省令で定める医薬品ということにいたしたわけですが、それは今申し上げましたような耐性菌の増加による疾病の治療効果の低下だとか、伝染性疾病の蔓延のおそれ、あるいは残留の問題、そういうようなことを考慮して専門的、技術的に検討した上で規定をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#85
○菅野久光君 私も農林水産省の大事な役目は安全な食品をいかに安定的に供給するかということにあるということをいつも言うんですが、食肉の安全性確保の問題についてはいろいろな話を聞きます。
 薬事法の四十九条に規定されております要指示医薬品が不正に流通しているというようなことが言われておりますし、これは総務庁の行政監察でも指摘されておるわけですけれども、その点についてどのように把握されておるでしょうか。
#86
○政府委員(赤保谷明正君) 要指示医薬品の取り扱いにつきましては、従来から動物用医薬品の販売業者に対しまして、薬事法に違反して獣医師さんの指示を受けていないものへの販売を行うこと、それは薬事法違反なんですけれども、そういうことがないよう指導の徹底を図るとともに、立入検査に際しての重点的な監視を実施する、そういうことによりまして販売の適正の確保に努めているところでございます。
 それからまた、獣医師に対しましても関係団体、都道府県を通じまして、指示の内容あるいは方法等の適正化を図るよう指導してきたところでございます。
 しかしながら、今お話がありましたいろいろ適正な流通の問題について、問題点が総務庁からも指摘をされたりしまして、ごく一部であったと思うんですが、不適切な事例が見られたわけでございます。その一層の適正化を図るために改めて関係者を強力に指導してきたところでございます。これらの結果、要指示医薬品は適正に流通しているものと考えておりますが、その適正流通につきましては今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
#87
○菅野久光君 適正な使用か否かのチェックというのは都道府県の薬事監視員、これがチェックをするわけでありますけれども、このチェックが定期的にやられているのか、あるいは不定期的に販売業者等に対してやられているのか、その辺はどうでしょうか。
#88
○政府委員(赤保谷明正君) その年度に事業計画を立てて定期的にやっているということでございます。
#89
○菅野久光君 それは各都道府県別に農林水産省の方できちっとやられているということを確認しておりますか。
#90
○政府委員(赤保谷明正君) 動物用医薬品の適正使用については、各県の関係者にお集まりをいただいて、毎年それぞれの部局で業務の打ち合せ等をやっておりますので、全国的に同じような考え方でやっているわけでございます。
#91
○菅野久光君 これは獣医師の指示書で売られるわけですけれども、この指示書が販売業者の手でつくられているというようなことはないでしょうか。
#92
○政府委員(赤保谷明正君) 要指示医薬品については指示書がないと売れない、そういう形で販売業者の規制をしているわけですが、先ほども申し上げましたように、そういう点に重点を置いて立入検査、指導をしているということでございます。
#93
○菅野久光君 それでは、動物用医薬品販売業者への立入検査の実態といいますか、それはどのようになっておりますでしょうか。違反事例、それから件数を示してください。
#94
○政府委員(赤保谷明正君) 平成二年度の薬事監視結果ということでございますが、立入検査実施箇所数を申し上げますと、医薬品販売業については七千九百二十三カ所、家畜診療施設につきましては八百七十八カ所、約九百カ所寸そういうようなことになっております。
#95
○菅野久光君 違反事例。
#96
○政府委員(赤保谷明正君) 失礼いたしました。問題点が発見された箇所ですけれども、医薬品の販売業者につきましては千七十七カ所、それから家畜診療施設につきましては三十三カ所でございます。
#97
○菅野久光君 その主な違反事例、それはどんなことですか。
#98
○政府委員(赤保谷明正君) 立入検査の結果ですけれども、販売業者の一四%、家畜診療施設の四%に何らかの問題が発見されているわけですけれども、その大半は軽微なものとなっております。
 問題とされた事例の内訳をちょっと申し上げますと、販売業者につきましては、許可書を提示していない、帳簿の記載に不備がある、そういった軽微なものが六割強を占めております。それから、冷蔵保存等特別な保存条件を有するもの等の取り扱いが不適切であるもの、それが約二割、それから無許可品目の販売、これが一割強ということになっております。それから家畜診療施設については診療簿の記載の不備、これが約九割でございます。それから保管の不適が約一割。これらにつきましては、既に必要な措置が都道府県によって講じられ、改善をされているところでございます。
#99
○菅野久光君 これは都道府県にいるわけですから各都道府県から上がってくると思うんですが、その各都道府県、やっぱり相当、何というんでしょう、畜産県とそうでないところだとかいろいろあろうと思うんですが、その辺は県ごとによって大分差があると思うんですが、後から県別で結構でございますから私の方に資料を出していただきたいと思いますが、よろしいですか。
#100
○政府委員(赤保谷明正君) 今持ち合わせておりませんので、後ほど提出をいたしたいと思います。
#101
○菅野久光君 こういう医薬品を使う場合に、人間の場合であると必ず医師が処方せんを出すんですが、この獣医師法では処方せんの関係はどうなっておりますか。
#102
○政府委員(赤保谷明正君) 獣医師法では出すことを義務づけてはおりません。要求があったときには正当な理由がなければ出すというふうに理解をいたしております。
#103
○菅野久光君 せっかく大学四年制を六年制にし、しかも国家試験を受けてやる、それだけ責任が重いといいますか、そういう仕事なわけですから、やはりきちっとした処方せんを出し、薬が必要であれば指示書を出すというようなことが私は必要ではないかというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
#104
○政府委員(赤保谷明正君) 処方せんを出しますと、それに基づいて調剤をする必要がある。人間の薬屋さん、薬局の場合にはそういう設備が整っているというか処方できるところが多いわけですけれども、動物用医薬品については、処方せんを出しますと製剤は買えますけれども、調合するれけですから、そういう設備が整ってないということでかえって畜産農家に不便を及ぼすということもございますので、私どもの方では特定の医薬品についてはみずから診断しないで投与、処方してはならないというふうに今度したわけでございます。
#105
○菅野久光君 何だかよくわからないんですが、診断してこういう薬を投与すれば治癒するというようなことであっても、そういう調合する施設といいますか、そういう場所がないから処方せんは出さないと。じゃ、どうするんですか。
#106
○政府委員(赤保谷明正君) 十八条にございますけれども、獣医師さんが診断しないで投与もしくは処方してはならない。御自分で投与をしていただく、獣医師さんが動物に薬を投与する。処方せんを書きますと、売っているところに行って調合するわけですから、そういう施設がまだ十分ではないということを申し上げたわけでございます。
#107
○菅野久光君 獣医師が自分で診断をして自分で投与をしなければならない、しなければならないというかそういう希望があれば投与をするということで、どこかへ行って薬を買ってきて自分でやることはできないということですね。
#108
○政府委員(赤保谷明正君) 十八条にありますのは、特定の医薬品についてはみずから診断しないで投与もしくは処方をしてはならないということがありますが、獣医師さんが指示書を出せば、それは売っているところへ行けば買える。先ほど申し上げましたのは調剤というのか、いろんなものをまぜ合わせる、まぜ合わせるそういう薬屋さんが全国的に十分でないということを申し上げたわけでございます。
#109
○菅野久光君 何だかどうもそこら辺がすっきりしないですね。このごろ動物愛護ということで動物も人間と同じように大事にしなくちゃいけないという思想がかなり入っているんですが、今のお話を聞きますとどうも余りその辺のところはよくないような感じがいたします。
 一般的なそういう診療をして、そして薬を投与するという医薬品の使用について、今いろいろお話を聞きましたが、近年では特に抗生物質だとか合成抗菌剤の開発が進んできたわけで、そのことが一層集約化が進展している畜産経営においてその使用はもう不可欠なものになっております。しかし、一方ではこれらの医薬品の畜産物への残留が社会問題として取り上げられているわけでありまして、畜産物の安全性確保については消費者からの要請が一層高まっております。生産サイドで残留防止を図ることがより重要となっておりまして、この点で獣医師の果たす役割は一層拡大してきているというふうに思います。例えば、生産者が動物用医薬品を適正に使用するようにするための保健衛生の指導だとか、動物用医薬品に関する情報の提供などにおける獣医師の関与が期待さ乱るようになってきているわけです。
 そこで、今回の法律案では、獣医師の診察なしには抗生物質等の投与ができないようにするとのことでありますが、それでは飼料中に含まれている抗生物質等の扱いについてはどのように考えているのか、お伺いいたしたいと思います。
#110
○政府委員(赤保谷明正君) えさに含まれている抗生物質、その安全性はどう確保されているのかということでございますが、いわゆる飼料安全法に基づきまして、有害な飼料等の使用が原因となって有害な畜産物が生産されることを防止するために、農業資材審議会の意見をお聞きしまして、飼料及び飼料添加物の基準、規格を定めまして、これに適合しない飼料等の製造、販売、使用及び輸入を禁止する、それでその安全性の確保に努めているところでございます。特にその抗菌性飼料添加物の畜産物への残留問題につきましては、飼料等の基準、規格の中で食用に供する目的で屠畜をする前に抗菌性飼料添加物を含む飼料の使用禁止期間を設ける、そういった措置を講じているところでございます。
 このような措置の遵守、守らなければならないわけですが、肥飼料検査所による飼料工場等に対する立入検査だとか、あるいはその飼料製造業者に対して飼料製造管理者の設置を義務づける、そのほかいろんな型の研修会だとか畜産農家等に対する講習会、巡回指導、そういうようなことで、飼料が原因になる畜産物の安全性が損なわれないように、そういう形で安全な畜産物の生産が図られるようにしているところでございます。
#111
○菅野久光君 お話だけ聞いていると本当にいかにもチェックがされているかのように見えるんですが、私は必ずしもそういう形になっていない部分があるのではないか、全部とは申しませんが、そういう部分があるのではないか。実際に屠畜する何週間か何カ月か前以降は投与してはいけないとか、投与というか、その医薬品の入っているえさを与えちゃいけないだとかというそういう決まりはちゃんとつくっていますが、これはチェックするのは飼っている人しかできないわけですね、いろんな講習だとか何とかいろんなことをやられますが。そういうものがやっぱり畜肉などに残留しているんではないか。それは抜き取り検査だとかいろんなことをやられて、そして入っているものについては営業停止だとかいろんなことがされるんでしょうけれども、その辺のところを、これをえさにまぜるということが果たしてどうなのかという、一番やりやすい方法であることは間違いがないんですが、そういうことも考えていかねばならぬのではないかというふう。に思います。
 いずれにしろ、畜産物の安全という問題について獣医師の方々がかなりのかかわりを持っていかざるを得ないし、また持っていっていただかねばならぬというふうに思っていますので、獣医師になられる方々の仕事の内容といいますか、そういうことなどについても十分ひとつ考えてもらいたいものだというふうに思います。
 今度は臨床研修制度の創設でありますが、今回の制度改正では獣医師の臨床技術の向上のために人間相手の医師の制度に倣って臨床研修制度を設けることになっております。
 そこで、まず臨床研修の期間をどうするのか確認をしたいと思います。
 次に、獣医師の臨床研修制度は、獣医系大学の附属家畜病院、農業共済の家畜診療所等での研修を考えているようでありますが、受け入れ側の体制は十分なのかどうか。その整備のためには国の援助が必要ではないのか。
 さらに、研修中の獣医師に対して受け入れ側から手当が出ることを想定しているのか。医師の場合は研修先から手当が出ている場合が多いようでありますが、これは受け入れ側の指導に当たる医師に対して厚生省から礼金が出されておりまして、このことが研修医に対して受け入れ側が手当を出すことを容易にしているからだと言われております。したがって、獣医師の臨床研修についても、国から受け入れ側の指導に当たる獣医師に対して礼金を出して、受け入れ側が研修獣医師に対して手当を出しやすくする必要があるというふうに思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
#112
○政府委員(赤保谷明正君) まず臨床研修の期間はどのくらい考えておるのかというお話でございます。それは目的によって違うと思いますけれども、私どもが今考えておりますのは六カ月程度、卒業後六カ月を考えております。
 それから、受け入れ体制は整っているのか。いろんな大学あるいは共済団体の研修施設で既に研修を実施いたしているところが相当ございます。そういうところと、もちろん同意をとってですが、そういうところにお願いをしたい。そのために必要な経費については助成をする。
 それから、研修を受けている間の何か手当というようなことでございまするが、共済団体等に勤務している獣医師さん、それは研修中は給料が支払われるわけですけれども、開業獣医師さんについてはその間収入が減るというか収入が得られない場合も予想されるわけです。そのために臨床研修中に収入が得られない者に対しましては無利子で長期返済の貸付金が貸与されるような措置が講じられることになっているところでございまして、これは貸し付けですから返していただくわけで、今、先生のお話がありましたその別な世界とちょっと違いますが、それ以外はほとんど個人の負担にならないようなことにしたいということで考えておるところでございます。
#113
○菅野久光君 まあ、貸し付けというのもちょっとあれですね、この辺も医師の場合と獣医師の場合とで余り差があるようなことのないようにひとつやってもらいたいというふうに思います。
 先ほど三上委員の方からも乳脂率の問題がちょっと出ましたが、ある県で酪農家に対して乳業側から、あなたのところで使っている濃厚飼料では乳脂率を上げるということができない、だから私の会社のを使えというような強い勧めがあって、そこの乳業で引き取ってもらうものですから、結局その乳業側の濃厚飼料を買ったというんですね。そして一週間ぐらいたって会ったら、やあ、あなたのところの牛乳の乳脂率が大変上がった、やっぱり私のところの飼料を使うと本当に上がるんです、こういう話だったというんですね。ところが、そこの酪農家はまだその乳業から買った濃厚飼料を使ってなかった、前に買った濃厚飼料をそのまま使っておったんだそうですよ。
 このように、そうしてみると乳脂率の検定というのも何かあやふやなような感じがいたしますし、こういったようなことがいわゆる関連業界の金もうけのために酪農家がえらい目に遭っているというようなことなどの一例ではないかというふうに思うんですけれども、余りこういうところを、これも政治家だけでなくて、業界の倫理というものも私どもはやっぱり追及していかなくちゃいけないんじゃないかという思いをこういうお話を聞いたときに私はいたしました。
 それにしても、獣医師法の改正は関係者の方々からのいろんな意見も聞きながら今回改正に踏み切ったということはそれなりにその努力は私も認めたいと思いますが、やはり畜産界全体の状況などを含めていけばまだまだ多くの問題があるというふうに思うんです。そういう問題の一つ一つを解決していくことが今回の産業獣医師を確保するということに大きくつながっていくのではないかというふうに思うんです。
 今ここで二年、三年たてば産業獣医師がもう目的のとおりに確保できるというようなことにはなかなかならないというふうに思うんですが、しかし幾らかでもよくしていくことがこの産業獣医師の確保につながっていくということを考えていきますと、ここはやっぱり何年かずっと推移を見て事態の好転がない場合には改めて有識者、関係者の意見を広く聞いて、どのようにしていくことが本当にいいのかということを再検討することが私は必要だ。
 予防衛生ということがありますけれども、対症療法ではなくやっぱり予防衛生のように、もうなってしまってからじゃなかなか回復はできないですね。ですから、そこを何というんですか重症になる前に、今もう重症に陥っているんですが、これで少しはよくなるかということなんですが、本当にもう回復不能にならないその先に再検討するということが必要だというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
#114
○政府委員(赤保谷明正君) 今回の法案をお出しした経緯としまして、獣医事に関する研究会、学識経験者の先生方にお集まりをいただいて議論をしていただいたわけです。
 現在の獣医さんの置かれている状況、とにかく獣医師法ができてから、あれは昭和二十四年ですから四十年以上たっている。よく今までもったなという感じもしないわけじゃないんですが、その問いろんな変化がある。それで、その中でそれぞれ、役所というか行政が処理すべき事項、団体が処理すべき事項、今すぐやるべき事項、さらに今後検討を深めて、その結果をまた法律なり予算なりに生かすべき事項、そういう形で整理をしてございますので、引き続き検討すべき事項についてはまさにそのとおり進めてまいりまして、制度の問題として改正する必要がある、そういう事項が出ますればまた御審議をお願いしたいというふうに考えております。
#115
○菅野久光君 もう時間ですから最後に、本当にまだまだやっぱりいろんな問題がありますので、ぜひ検討事項で残っているものを早急に、何年も投げておく、投げておくと言ったらあれですが、やらないで、今、局長のよくもったななんということが次のときには起きないようにやるべきだというふうに思いますので、大臣、最後に二言、私がぜひそういうふうにしてもらいたいということについての決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#116
○国務大臣(田名部匡省君) 政治をつかさどる我々としては、常に国民のために行う、これが原点でありますから、そのために改革すべきはどんどんしていくという姿勢で取り組んでいくべきであるというふうに考えておりますから、これで終わりというわけではありません。常に進んでは見直し、見直しては進んでいくというやり方で対処してまいりたい、こう考えております。
#117
○菅野久光君 終わります。
#118
○委員長(永田良雄君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時四十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十分開会
#119
○委員長(永田良雄君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、獣医師法の一部を改正する法律案、獣医療法案、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#120
○刈田貞子君 午前中に引き続き、私も畜産三法について質疑をさせていただきます。
 幾つか質問は用意してありますけれども、午前中かなり聞かせていただいた部分もございますので、少し精査をさせていただきたいと思います。
 まず、産業動物獣医師の確保が非常に困難であるということが午前中から盛んに論議をされておりまして、その事情等もいろいろ伺わせていただきましたが、産業動物獣医師の確保対策というようなことも、これも先ほど伺いました。実は、それを聞いていて少し伺ってみようかなというふうに思ったのは、局長が挙げられた五つの事業のことでございますけれども、いわゆる産業動物獣医師の確保対策というものについていろいろ御説明がありましたけれども、この予算措置はどうなっているのかをお伺いしたい。
#121
○政府委員(赤保谷明正君) 産業動物獣医師さんの確保対策で五つほど申し上げました。
 初めに申し上げましたのは、農林漁業金融公庫による長期低利資金の貸し付けでございまして、これは金額といいますか貸付条件を申し上げますと、平成四年の二月三日現在の財投金利を前提としたものでございますけれども、産業動物獣医師さんに対しては五・五%、償還期間十年以内、うち据え置きが二年、融資率が八〇%。それから、農協等の団体にもお貸しをいたしますが、そのとき、金利は同じ五・五%、償還期間は二十年以内、据置期間は三年以内、融資率は同じく八〇%でございます。それは政令で決めることにいたしております。
 それから、産業動物獣医師を志向する学生さんに対する支援措置としての修学資金の給付、拡充して給付をする期間並びに単価、今は六年制で三年、四年の学生さんに対しては月四万円、五年、六年が月六万円、これを一年生から六年生まで通して月十万円にしたいということでございます。
 それから、臨床研修の実施ということも予定をいたしておりまして、これも先ほど申し上げましたけれども、臨床研修を受ける方についてほとんど費用がかからないような形でやっていきたい。研修を受けている間収入がございませんので、その間は貸し付けということでやりますが、臨床研修に必要な施設の整備、講師の謝金、その他必要な予算措置は講じたいと考えております。
 それから、家畜保健衛生所に勤務しておられたようなOBの獣医師さん、その方に講習会を受けていただいて、家畜保健衛生所では検査業務のようなことを中心にやっておりますので、診療業務になれていただく、そのための講習会の開催、これは補助率は二分の一でございまして、事業の実施主体は都道府県、平成四年度の予算が二千万余りでございます。
 それから、獣医師の不足する地域における民間獣医師さんによる巡回診療の実施、パトロールをお願いするわけですが、これの事業実施主体、これも都道府県で、二分の一以内の補助率、予算額は四千三百七十一万円でございます。
#122
○刈田貞子君 さっき確保対策としてそうした事業の御説明をなさったんですけれども、今よく伺ってみると、それは主体は県単位の事業で、補助率二分の一で、国がそれを補助しているという形になっているわけですよね。物すごく国が一生懸命確保対策に励んでいるやに思えるけれども、実は事業主体というのは都道府県が多いわけでしょう。それで、私は先ほどからずっと聞いていたんですけれども、いわゆる確保対策というのは、やはり国の姿勢がこういう予算の中に見えるのではないかというふうに思いました。
 それから、いわゆる臨床研修、卒後の問題でございますけれども、これにしても、当面所得がないのだから貸し付けるというお話。これは先ほど菅野同僚委員の方にお話がありましたけれども、これでも結局国が丸抱えで頑張れというものでも決してないわけです。
 さらには、獣医師の雇い上げ手当、これを上げるか下げないかという話もあったりして、まあ人勧に即して適当な額を確保してありますといっても、これもやはり国の補助率は二分の一にしかなっていない。
 つまり、予算の関係から見ると、これから先大臣にお伺いいたしますが、決して国は真剣な確保対策をとっていないのではないかというふうに疑っても、あるいは疑われても仕方がないのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
#123
○国務大臣(田名部匡省君) どこで区切りをつけるかという非常に難しいところがあります。県も受益があるわけでありますから、国が半分、県が半分ずつ出して、そしてこの事業を進めようということでありまして、この種の事業はいろいろあるわけでありますが、私の方ばかりではありません。
 ただ、国の定める基本方針に則して県がこの計画を立てる、言ってみれば私の方と県が一体となってこの事業を進めよう、こういうことでやっておりますので、結果においては獣医師さんが確保されて、それぞれの県が行っておる畜産事業、国もやっているわけでありますけれども、そういうことでそれぞれの県がまた受益といいますか、そういうものがあるのでありますから、共同で仕事はしていくということで御了解いただきたいと思います。
#124
○政府委員(赤保谷明正君) ちょっと補足をして申し上げますが、県と国と二分の一ずつ持ち出して、地元も受益するわけですから、今、大臣がお答えしたとおりですが、その間に、事業の性格によりましては中央畜産会とか家畜畜産物衛生指導協会とか、そういう団体を通して委託をして事業を実施しているのもございます。県以外にもございます。
#125
○刈田貞子君 まあ、応能負担でという感じのことなんだろうと思うんですけれども、私は、先ほど同僚委員の方からもお話がございましたように、こうした法案を審議するに当たっては、その下敷きとなっている我が国の現在置かれている農業、畜産業の内外あわせての大きな課題を抱えての状況であることを判断するならば、やはり国はもっと予算を充当してもいいのではないかというふうに先ほどから思って聞いていたものですから、そういう質問をしてみました。
 獣医療法の関係で、農林漁業金融公庫資金を今度新しく獣医師さんも、都道府県の計画に沿っていて、しかも何ですか、条件がありましたね、畜産業の振興に値するということがかなえばこれを借りられるということなんですが、今伺いましたこの二つの条件は、五・九五が農協、農業共済にかかわる人で、五・五がいわゆる開業医さんの方の条件なんでしょうか。それから、五・五に償還期間十年、これが新たに窓口が開かれた方の開業区が借りる条件ですか。
#126
○政府委員(赤保谷明正君) 先ほど申し上げましたのは、産業動物開業獣医師、金利については農協等と同じで五・五%、両方同じでございます。償還期間が開業獣医師が十年以内、農協等が二十年以内、融資率は同じく二〇%でございます。
#127
○刈田貞子君 どうして新たに参入するような形のこういう人たちに十年という償還期限が設定されているんでしょうか、差がつく理由は何ですか。
#128
○政府委員(赤保谷明正君) 個人の産業動物開業獣医師さんと農協等の団体との差がつきますのは、農協等の診療施設は総じて大きい、金もかかるというようなことから差がつけられているということでございます。
#129
○刈田貞子君 まあ、金額の違いというような関係のことになるんだろうと思うんですけれども、いずれにしても、私はこういう条件で一体今まで確保対策としてどんな効果が上がってきたというふうに御認識をなさっているかということを実は疑いながらお伺いします。
#130
○政府委員(赤保谷明正君) 今までもいろいろ事業を実施してきたところでございます。先ほど来申し上げておりますように、昭和五十五年から獣医師さんが少ない、無医村地域の巡回診療、そういうようなこともやっておりますし、また家畜保健衛生所による衛生検査もいわゆる無獣医地域、そういうところでやっております。それから平成二年度からは今申し上げました家畜保健衛生所等のOBの獣医師さんに働いてもらうというような事業もやっております。それから修学資金の給付の事業も実施しております。
 そういうようなことで、獣医師の確保が問題になっているわけですけれども、こういうような事業によりまして一定の成果を上げてきたものとは考えているところでありますが、なお、先ほど申し上げましたように、修学資金については、給付期間、単価、それも拡充して実施していきたい。それなりの効果はあったんではないか。計数的に何人とか幾らとかとちょっと申し上げにくいんですけれども、それなりの効果はあったものと思っております。
#131
○刈田貞子君 総合的な対策の中から効果を得ているという御答弁なんだというふうに思いますけれども、それは後でまた詰めます。
 文部省にお伺いいたしますが、この間御案内いただいて麻布大学を視察させてもらってきましたけれども、百年の歴史を持った大変な獣医大学でございました。私は、こうした大学に多くの人が応募して、そして勉強していることを初めて知りまして、倍率十倍であるということも実は聞いたわけでございまして、大変びっくりいたしましたが、この獣医大学の関係者に対して奨学金助成を文部省としてはどういうふうに考えておられるのか。
 それからもう一つは、農業高校から獣医系の大学への推薦入学の枠があるんですが、この枠をもっと広げてみたらどうかというような御提言がたくさんあるわけですけれども、こうした問題についてどんな御見解をお持ちですか、お伺いします。
#132
○説明員(井上明俊君) 御説明申し上げます。
   〔委員長退席、理事北修二君着席〕
 日本育英会の奨学金につきましては、貸与人員の増員及び貸与月額の増額など、逐年その充実に努めているところであります。平成二年度の獣医学部・学科一年次奨学生の採用実績は二百九十八名であり、入学定員に対する採用率は大学学部生一般で約二一%であるのに対しまして獣医学部・学科については約三二%というふうになっております。
 今後とも、人材育成及び教育の機会均等に寄与するため、育英奨学事業の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
#133
○説明員(若林元君) もう一点、刈田先生御質問の農業高校からの推薦入学枠について御説明を申し上げたいと思います。
 高等学校の農業等に関します学科の卒業者を対象といたしました推薦入学を実施しております大学は、獣医関係で二大学ございます。
 大学入学者の選抜というのは、御案内のように、大学教育を受けるにふさわしい能力それから適性を多面的に判定いたしまして、公正かつ妥当な方法で実施する必要があるというふうに考えておりまして、職業高校卒業者を対象といたしまして一般の志願者と異なる方法により選抜することは、入学者選抜の多様化を推進するというふうな観点からも私どもとしても有意義であるというふうに考えております。
 文部省ではこのような観点から、高等学校の職業教育を主とする学科卒業の入学志願者につきましては、その職業教育が当該学部・学科の教育と関連するというふうに認められる場合には入学者選抜方法を工夫するなど、その受け入れを配慮することが望ましいというふうな指導を従来から行ってきておりまして、今後ともそのような指導を続けてまいりたい、このように考えております。
#134
○刈田貞子君 一つはその奨学金の方の話ですけれども、これを工夫して、産業動物獣医師の方向に進む、そういう学生を育てるための奨学助成金というような形の区分けはできないでしょうかということが一点。それからもう一つは、今の農業高校からの獣医系大学への推薦、今できるというふうにおっしゃっているんだけれども、今までの実績とか成果があるのでしょうか。この二点。
#135
○説明員(井上明俊君) 御説明申し上げます。
 日本育英会奨学金につきましては、基本的に各専門分野ごとということではなく、学生全体ということで充実を図ってきております。したがって、貸与額につきましても、例えば第一種奨学金の大学を例にとりますれば、国公立、私立の差はございますし、また自宅生、自宅外生という区別もございます。そのほかは一律に定めております。また、貸与人員につきましても、各専門分野ごとで積算を行うという方式はとっておりませんで、全体でということでございまして、全体的なその充実を図りながら獣医学部・学科生につきましても充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
#136
○説明員(若林元君) 農業高校からの推薦入学でございますが、先ほど二校というふうに申し上げましたけれども、具体に申し上げますと、山口大学の獣医学科及び宮崎大学の獣医学科でそれぞれ入学定員の一割を推薦入学で採ることにいたしておりまして、実態もそのように実施されているものと承知いたしております。
#137
○刈田貞子君 わかりました。
 そのほかに、これは質問ではなくて要望でございますけれども、しかし頼まれてきたわけじゃございません。
 あの大学を見て私が感じてきたことは、麻布は言ってみれば百年の歴史があるというふうに言われておりまして、私も昔の麻布獣医学校という時代のことを子供のころから知っておりますけれども、百年の歴史を持っている大学にしてはやはり施設がどうかなという思いを持ちました。附属病院の中で入院病棟がないんですね。結局、研修室の一部を囲って、そこに手術後の家畜がみんな寝かされておりましたけれども、入院病棟がないような附属病院であるということをまず考えなければいけないなというふうに一点思いました。
 それから二つ目は検体の不足ですね。特に大家畜に至ってはこれは全く非常に厳しい状況でございます。例えば、年なら牛の一番特色のある四つの胃袋を観察するというようなことに関しましても二体しかないわけです。腹の横に大きな穴があけてあってふたがしてあります。そのふたをあければ中の胃は見られるんだけれども、そういう検体は二体しかないというような状況は、私は非常に不足だなというふうに思いました。
 それから小動物にいたしましても、大手のこうした動物を使った研究所を何カ所も視察いたしておりますけれども、これに比べますと非常に少ない。これはやはり費用の関係があるということを言われておりました。例えば、血液検査をずっと研究している無菌病棟では、一匹二十万のフランスから輸入している無菌の猫を使って、そしてこの検査を今続けておるということですけれども、これが二十体しか手に入らないというか使えないというような現状がありまして、検体不足ということをしみじみと感じました。
 さらには、機器の問題にいたしましても、もっと企業の研究所というのは進んだものを持っているなというふうに思ったわけですね。
 そこで、ぜひこうしたところも今後念頭に入れていただき、調査をしていただいて、学生がそこに入っていろいろな考えを持ち、それぞれのコースに進めるような、そういう環境づくりをぜひしていただくためにも、この種の要望をさせていただきたい、こんなふうに思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
 そこで、この獣医大学を訪れましたときに大変さらにびっくりしたのは、応募者の五二%が女子学生であるということでございました。したがいまして、女性の獣医さんがたくさん誕生するということになるわけでございますけれども、今後の女性獣医師が増加するということになる中で、この女性獣医師が産業用動物の分野に入っていくためには、これからいろいろなことを政策としてあるいは施策として進めていかなければならないのではないかというふうに思うんですけれども、この辺の見解はいかがでしょうか。
#138
○政府委員(赤保谷明正君) ただいまおっしゃられましたように、獣医大学を卒業した獣医師のうち、平成二年度の卒業生の三〇%が、今、応募者の五〇%というお話ですが、平成二年度には三〇%が女性となっておりまして、今後も女性の獣医師さんが増加していくものと思います。
 それで、女性の獣医さんについては一般に小動物診療への就業比率が高くなっているところでございますけれども、近年八女性の獣医師の就業比率の比較的低い産業動物分野、この分野におきましても就業する者が増加する傾向にございます。
 それで、これらの女性の獣医師は診療現場で活躍をしておりまして、今後の産業獣医師を支えていく上での重要な担い手と考えております。したがって、この分野での活躍を期待しているところであります。そのためには、今後女性の獣医師にとっても働きやすい職場環境の整備を一層推進することによりまして、女性の獣医師さんがより活躍できるようにしていく必要があると思っております。
 獣医事問題研究会の報告書におきましても、これから、「各分野において、女性獣医師の働きやすい職場環境を整えつつ、女性獣医師がより積極的に活躍しうるようにしていくことが必要となるものと考えられる。」という報告書もいただいておりますし、具体的にどうするか、それはいろんな場面であると思いますが、ともかく入学者が五〇%、今のところ卒業者が三〇%、さらにふえていくと、そういう状況でございますので、女性の方が働きやすいようなそういう環境整備に努めていく必要があると思っております。
#139
○刈田貞子君 大臣、この間、そこの学校で教授がおっしゃるのに、産業動物用への医師として現地に赴きたいという女性は卒業者の中にいるそうです。実はあるそうです、たくさん。だけれども、なかなか現場が採用しないという現実はあるみたいですね。ことし百二十名の中で希望された女子学生の卒業生ですか、あったけれども、お願いして三名、千葉県の共済にやっと採っていただいたというようなことも内輪の話として聞いているわけでございます。
 ですから、働きやすい環境を整えるということは就職してからの話なんだけれども、具体的に女性獣医師に対して産業用分野でニーズがあるんだろうかどうなんだろうか、現場で。これはどういうふうに考えればいいと思いますか。大臣は女性の問題には厳しいみたいだからちょっとお伺いします。
#140
○国務大臣(田名部匡省君) 別に女性の獣医さんだからどうということは私はないと思います。まあどちらかというと優しいですから小動物の方が何となく合っているのかなという気がしますが、しかし産業動物の場合、特に研修をしっかりやって相当の技術というものを身につけることが大事だし、この研修が行われないというので嫌われている部分というのはあるんですね。
 ですから、その辺のところをきちっとやる体制をとって、そして採用する側の認識を変えていく、信頼も高めるということになれば、私は余り男性、女性というのにこだわっておりませんので、もし女性ということでそういうことだとすれば、私どもの方からそういうことのないようにしっかりと、技術によって採用してあげるということが必要だろう、こう思っております。
#141
○刈田貞子君 こうした現場へのいわゆる獣医師さんが不足している、一方では行きたいという女性獣医師もいるという中で、ミスマッチが起きないようなやはり行政指導というのが私は必要だというふうに思います。
 確かにお産のときなんか力仕事にはなりますけれども、大学では今いろいろ医療機器なんかも整ってぎているので決してそんなことはない、女性獣医師でも立派に対応できるということを学校でもお話ししておられましたし、それから昨日も参考人の東大の先生が、ぜひ現場へ女性の獣医師を使っていただきたいというようなことをおっしゃってみえていましたから、これはぜひ、そういうことがおありになれば、機会を得てそういうことを指導していただきたいなというふうに思います。
 実は、「男子のみ」といっただし書きがついていた分野の最たるところは、ここもそのうちの一つとして入っていたんです、昔は。ですけれども、今はもうそういう時代ではないということで、ぜひこの辺のところの御配慮をいただきたいと思います。
 それから、時間の関係がありますので先へ進めますが、今回の法改正の中で、獣医師法の改正の方ですが、努力義務ではあるものの保健衛生の指導を具体的に獣医事の中に取り込んだことは私は大変いいことだというふうに思っています。
 これは、ただ単に疾病への対応というだけではなく、こうした事前の保健衛生あるいは家畜の飼養指導、こうしたものもでき得る体制を整えていくことにつながりますので、大変私はベターだというふうに思うんですけれども、こうしたことが一つ業務の中に入ってくることによって、産業用動物の獣医師の方たちの負担が逆に重くなって、それでそういう現場に入っていく人たちがまたさらに確保できない条件に逆になりはしないかという思いもなくはないんですが、これはいかがで、しょうか。
#142
○政府委員(赤保谷明正君) 今回、獣医師法の二十条で、保健衛生の指導ということで獣医師さんに、「保健衛生の向上に必要な事項の指導をしなければならない。しということで、努力義務規定というような形で入れてお願いをしているわけですが、従来獣医師さんが自主的にこれを行っていたことをより積極的に行っていただこうというような趣旨であります。
 それからまた、仮に一時的にというか、獣医師さんの業務が増加をするというようなことがあっても、中長期的に見た場合には保健衛生指導の推進、これによりまして疾病の発生予防の効果が上がりますので、獣医師にとっても疾病の診療に関する業務の軽減が図られるというか、まあ一時的にはきっいこともあるかもしれないけれども、中長期的に見れば未然に防げるわけですから、そういうことが期待されるわけですから、民間獣医師の業務を過重なものにするおそれはないというのか、中長期的に見ればそういう方向で進めていくべきであろうと思っております。
#143
○刈田貞子君 それから、時間がないので進めますけれども、これは獣医療法の話になりますが、今回の法の中で、家畜体外受精卵移植について、いわゆる優良な受精卵へのニーズが高まってきている中でつくられてきた新しい法律であろうというふうに思うんですけれども、そこで具体的に伺わせていただきますが、昨日参考人の方に伺いましたらば、体外受精卵の移植についての受胎率は三九%だというふうなお話を聞きました。この受胎率の向上をさせていく課題が何かあるのかどうなのか、この点が一つですね。
 それから、いわゆる受精卵移植というのは、まだ技術としては緒についたばかりのものであるというようなことを聞いておりますけれども、これが一般的な増殖技術として普及していくというような見通しはどうなっているのか。
 それからもう一つは、いわゆる受精卵の価格とか技術料ですね。こうしたものについて、やはり私はある種の指導が必要だろうというふうに思うんですけれども、こういう問題についてはいかがでしょうか。
#144
○政府委員(赤保谷明正君) 体外受精卵移植における受胎率の向上対策といいますか、そういうことですが、体外受精卵の移植の技術、これは高度な複合技術でございまして、受胎率の向上に関係する要因は多々あると思います。多々あると思いますけれども、体内受精卵の移植と同様」に良質な受精卵の確保、それから受卵牛の確保、こういうことが重要であろう。さらに、技術の問題ですから、すぐれた技術者の養成ということが重要であろうと思います。
 このために、良質な受精卵の作出、それから受卵牛の選定技術の確立だとか、あるいは熟練技術者の養成のための実地に訓練をする体制の整備、それから、技術水準の向上あるいは技術開発の促進等を図るためのいろんな施策を講じているところでございます。
 現在、体内受精卵の移植につきましては、年間の受胎率が五〇%以上で、受精卵で生まれる子供、産子が五十頭以上、五〇%以上の受胎率で、五十頭以上年間に生まれている、そういう機関が、これは体内受精卵移植ですが、平成元年度は二十一機関ございましたが、二十一カ所、それが平成二年度には三十機関に増加をしている。これに準ずるようなかなり成績のいい機関もふえております。また、全国平均の受胎率も着実に向上をいたしております。それで、体外受精卵の移植の受胎率については、現在体内授精に比べてやや低いのは事実でございますけれども、今後着実に向上していくものと見込まれております。
 それから、体外授精の普及の見込み、実験段階を通り越して応用、実用化の段階に既に入っております。昭和六十年に第一号の子牛が生まれて、その後急速に技術開発が進展してきまして、平成二年度には六百二十一頭の子牛が生産されるようになっております。
 この家畜の体外受精卵の移植の普及の見込みでございますけれども、この技術は体内受精卵移植技術を基礎とした、いわば派生的な技術でありますので、その開発が家畜の体内受精卵移植の場合と比較しても、より短期間で急速に発展を遂げているということがあります。
 それから、主として、既に屠殺された雌畜の未受精卵を利用するということでありますので、屠殺されるまでの間の増俸等の成績がわかっております。枝肉評価の結果もわかっております。そういう結果を踏まえて実施できるために、より効率的な家畜の改良増殖を可能にするという、そういう特色も持っています。
 それからさらに、家畜体外受精卵は、主として従来は利用されなかった内蔵物、その途上の副生物の卵巣から生産されるものでありまして、そういうものですから、しかも和牛資源の拡大の促進に寄与するというような特徴がございますので、今後とも着実に普及していくものと見ております。
 それから、受精卵の手数料とか技術料、受精卵の価格にしろ、そういうことでございますが、体外受精卵の生産コスト、これは生産規模等によって異なりまして、一概には申し上げにくいんですが、現在の技術水準を前提としてあえて試算をしてみますと、一方から二万円程度になるんではないかと見込んでおります。
 それから、体外受精卵の販売価格は、体内受精卵と同様に、父牛、母牛、おやじさんとおふくろさんの評価水準によって相当の幅があるということが予想されるわけですが、受精卵全体の供給量の増加だとかあるいは体外授精技術の向上等によりまして、平均的には低下していくものと考えております。
 それから一方、今、獣医師と人工授精師の受精卵の移植の技術料、これは一万円ないし一万五千円程度でございます。これは人工授精技術料が七千円ないし八千円であるということと比較をしまして、受精卵の移植技術が人工授精技術よりもやや慎重を要するというか、衛生的な取り扱いを要するというようなことから、そういうことを考慮すればこの水準はまあ妥当であるというのか、両者の間には一定の開きがあるのは当然であろうと思います。いずれこの技術が確立普及をしてきて、それで腕のいい方とそうでない方、そういうようなことによっておのずと適正な価格が形成されてくるのではないかなという気がしますが、今のところ受精卵の移植技術につきましては一万ないし一万五千円、人工授精の技術料については七千円ないし八千円、そういう水準のようでございます。
#145
○刈田貞子君 不成功に終わったときもやっぱりそれは取るの。
#146
○政府委員(赤保谷明正君) 受精卵の移植技術料とは別に、雌牛が受胎した時点や子牛が生まれた時点で成功報酬を徴収するケースもあるようですが、その価格は地域や技術者によってまちまちである。成功報酬は一万ないし三万円を中心として五千円から十万円を超えるものまでかなりの幅があるようでございます。
#147
○刈田貞子君 大事なことですので。
 それから、最後の段階の質問です。あとみんな真ん中飛ばしました。
 平成三年、動物用医薬品等に関する行政監察、先ほども菅野同僚委員の方からお話が出ておりましたけれども、この動物用医薬品の適正使用の確保についてという問題についてお伺いをいたしますが、いわゆる畜産品という食品をつくるわけでございますから、何といっても安全性というものが一番大きな課題になってくるわけで、先ほど午前中の論議もしっかりと聞いておりました。今回は医薬品投与、処方の改善等いろいろ行われておりますけれども、その質疑は後にいたしまして、この行政監察の中で言われている事柄についてどんなふうに改善なさったかということをお聞きするわけですけれども、私はこれを見て大変にびっくりしたのは、二十都道府県・保健所設置市で食肉衛生検査所等が検査した食肉の抗菌性物質の残留検査というようなものに関して言えば、抗菌性物質検査で一万八千四百二十七件中九百三十八件からいわゆる抗菌性物質が検出されて廃棄処分になっているというような事実があるわけですね。これは、非常に私はこの数字はショックを受けた数字でございますが、その原因として農家が規制医薬品や規制飼料の適正使用がされていないというところに原因があるということが原因として指摘されております。
 したがいまして、使用の適正化というようなことは、やはり現場がこれをきちっと指導していかなければならない。その現場とは、先ほどの、これから大いに強調されていかなければならない保健衛生的な指導、あるいは飼養管理に関する指導、こうしたものが大きな獣医師さんの仕事としてその範疇に含まれてくるのかなというふうに思ったんですけれども、この辺を今後しっかりと担保していっていただきたいということが一つです。
 それから、これは先回畜産価格の審議をしたときにもちょっと触れたんですけれども、食糧事務所が実施している飼料の使用状況に関する巡回点検というのがありますね。これについても指摘がありまして、やっぱり与えるべきえさを与えるべき家畜に与えていない、その結果、検出されてはならないものが屠体から検出されているという、これも巡回の点検はするんだけれども指導がされていないというような事柄とつながっているのではないかなというふうに思うんです。これ、よろしゅうございます、平成三年一月の総務庁の指摘事項ですよ。
 さらに、この総務庁の指摘の中では、ただ単に食糧事務所はその件数とその状況の数字の計算だけをしていたのではいけない、その分析をしなければ今後のこうしたものに対する指導の活用になっていかないではないかというところまで指摘をしているわけですね。こうした問題についてもしっかりと今後御指導していっていただかなければならないというふうに思います。
 それから、検査する対象農家、行きやすくて調査しやすい農家にばかり行っている。だから、行く農家には毎年行って厳しい指導しているけれども、行きにくいところには行ってないから、非常に調査農家の偏りが見られるということが指摘されているんです。協力の得やすい一部の特定農家を毎年いわゆる残留検査の対象としている、しかし行かないところには全く行っていないというような形のことが現場から出ているようでございます。こうしたものも含めて、今後しっかりとこの総務庁行政監察局の指摘を受けて改善していっていただかなければ、先ほどからお話が出ておりますところの畜産物の安全性というものはなかなか担保しにくいのではないかというふうに思いますので、この辺をしかと御答弁いただきたいと思います。
#148
○政府委員(赤保谷明正君) 幾つか御質問がございまして、一つは適正使用についての問題でございますけれども、私ども畜産局としましては、この監察結果、勧告を踏まえまして、畜産局長通達によりまして動物用医薬品、飼料の適正使用に関する指導の徹底について都道府県を指導する、都道府県にやっていただいていますから都道府県を指導するとともに、会議の開催、それから運用通達の改正によりまして、今もお話ございました指導対象農家等の選定が適切に行われるように、これも都道府県を指導したところでございます。これらの措置とあわせまして、生産者団体等の関係団体に対する適正使用についての指導の徹底を図って、安全な畜産物の供給に一層努力しているところでございます。
 それから、残留の問題もございましたが、これも勧告を踏まえまして、畜産局としましては、全国の担当者の会議を開催しまして、家畜保健衛生所における残留検査を適切に実施するよう都道府県を指導しております。それからあわせて、残留検査は、検体採取先あるいは検査対象動物用医薬品等の適切な選定、これを行った上で実施することとして、そういう事業の運用通達の改正もしたところでございます。
 それから、食糧事務所によるえさの適正使用に関する巡回点検・指導の問題でございますけれども、えさにつきましては、有害な畜産物の生産の防止といった観点から、飼料安全法に基づきまして飼料の規格なり基準を定めて、これらの遵守のために飼料の生産、流通段階については国の肥飼料検査所による飼料検査、それから消費段階につきましては都道府県の職員による畜産農家の指導等によりまして、その安全性の確保に努めているところでございます。
 そういった一環として、農家段階におけるえさの適正使用を推進するために、従来から食糧事務所の職員が流通飼料の使用割合が高い採卵鶏、ブロイラー、豚、そういう農家を対象として飼料の給与形態だとか給与期間、そういうものについての調査点検を行っているところでございます。この点検状況につきましては、地方農政局が取りまとめをいたしまして、関係都道府県に連絡することによりまして、都道府県の職員による飼料の適正使用についての畜産農家の指導に有効に活用されている、そういうような段取りを講じているところでございます。
#149
○刈田貞子君 終わります。
#150
○林紀子君 私は、まず大臣にお伺いしたいと思います。
 それは、どうして四十三年ぶりに今この獣医師法が改正なのかということです。日本獣医師会は一九六〇年代の初めから長年にわたって現行の獣医師法の改正を要望してきたと伝えられております。例えば、昭和五十四年には独自に改正委員会を設置して検討され、獣医師法の改正案並びに獣医療法案というのを明らかにした。また、昭和五十七年には十項目に及ぶ改正要望をまとめ、平成元年の全国大会では改正要望の決議もされております。また、日本小動物獣医師会も昨年の十二月に獣医師法の改正案を明らかにしてまいりました。
 こうした経過の中で、農水省はどうして獣医師法の改正案、獣医療法案を今に至って国会に提出したのか。先ほど局長の方から四十年以上よくもったなという言葉がいみじくも漏れましたけれども、本当に私も一番関係の深い日本獣医師会がこれほど熱望してきたのに、どうして四十年以上も今まで改正されないでほうっておかれてきたのか、こういう疑問を持ちますので、まずお答えいただきたいと思います。
#151
○国務大臣(田名部匡省君) まあ、どうして何十年もたってからと、こう言われても私も答弁できないんですが、いずれにしても、そういう今お話しのようにしばしばこの話があって、そのあったことと現状を踏まえてみますと、思い切った手を打っていかなきゃならぬ、こういうことで今回になった、こう御理解いただきたいと思うのであります。
 その理由はもう私が今さら申し上げるまでもないんですが、ペットのブームというのが出てきまして、ここ数年爆発的に小動物を飼う人たちが多くなった。それに伴って獣医師さんも、従来は産業動物の方でしたが、そういうことをやる人が非常に多くなってきたという、そこに大きな変化が急に出てきたことと、それから獣医師さん方も、従来のようなことではなくて、レントゲンとかそういう診療機器が普及してきた。近代的になってきたのと、医療の技術というものが高度なものが求められる。それから、動物用の医薬品が、まあペットフードでもそうでありますが、医薬品もここのところ急速にいろんなものが出てきたということがやっぱりあったんだろう、こう思います。
 それから、今まではほうっておいた動物でもあるいは小動物なんかでも高価なものになってきましたから、病気になったら大変だということで薬あるいは注射をいろいろとするようになった。したがって、疾病が昔からも多かったんでしょうけれども、非常に多いということにだんだん気がついてきまして、そういうこともあったし、加えて、ペットの方は若い人たちがやるが産業動物の方は高齢化がどんどん進んでいった。しかも、全国バランスよくおるかというと、いないところにはまた全然そういう人だちがいない。
 そういうことが重なって、いろんな条件が出てきましたので、農林水産省としてもそういうことをここで体制をきちっとしなきゃいかぬ。要望はずっとありましたけれども、踏み切ることにしたというのが、それらの要望も踏まえて、変化もあったのでそういうことになった。それにまた、獣医事に関する研究会における獣医師制度のあり方についての検討なんかいろいろあったわけですから、そういうものも踏まえて今回提出させていただいた、こういうことでございます。
#152
○林紀子君 今いろいろ御説明いただきましたが、本当の理由はここにあるのかなというのを私は今拝見させていただいているんですが、日本獣医師会の会報、一九九〇年の五月号に獣医師問題議員連盟役員会の朝食会の記事というのが載っております。
   〔理事北修二君退席、委員長着席〕
 この獣医師問題議員連盟役員会、会長は三塚博さんだそうですけれども、一九九〇年、平成二年、総選挙が終わった四月の十三日にこの会が自民党の本部で開かれた。そしてこの席上、当時の農水省の政務次官が農水省としても今後獣医師法の改正問題に取り組んでいきたいと考えが示された。こういうふうに報じられているわけです。そして当時の岩崎畜産局長が、日本獣医師会の改正要望には国民の権利を制約する内容が含まれていること、また法改正には目玉が必要で、獣医師のエックス線の取り扱いの問題が目玉になるかどうか慎重に検討を進めていると述べられております。
 そこでお伺いしたいのですが、当時の日本獣医師会の改正要望の中で、この国民の権利を制約する内容が含まれている、これはどういう要望項目なのかというのをお聞かせいただきたいと思います。
#153
○政府委員(赤保谷明正君) 平成元年十一月の日本獣医師会からの要望につきまして、その一部に例えば獣医師以外の者による診療施設開設を制限することとしており、獣医療における営業の自由というか職業選択の自由というか、そういうものを制限するものであったというようなことだとか、さらに畜産農家に管理獣医師の設置を義務づけるということとしておりまして、畜産農家の自主的な経営を制約するものであったということ、そういうことが国民の権利を制約するものに含まれていたのであろうと思っております。
#154
○林紀子君 その点についてはまた後ほどお伺いいたしますが、目玉とされたエックス線の取り扱いについて、今回の法改正ではどのように位置づけられているのでしょうか。
#155
○政府委員(赤保谷明正君) 目玉かどうかあれですけれども、飼育動物の診療施設のうちエックス線装置の取り扱いに関する基準については、開業獣医師のうちの七六%の方が既にエックス線装置を使用するようになっているわけですが、それにもかかわらず医師等と異なりまして放射線被曝の防止等のための規定が設けられていないこと、そういう実情、実態を踏まえまして、診療施設の構造設備に関する基準の中でこれを定めることとしているわけです。エックス線装置の使用に伴う放射線被曝を防止することは、適切な獣医療の確保を図る観点から重要であろうと考えておるところでございます。
#156
○林紀子君 エックス線装置取扱基準検討会というものが昭和六十三年の十一月に畜産局長のもとに設置されたということですが、ここで検討されてきたことは、一つにはハードに関する基準、つまりエックス線取り扱いの施設に関する基準、それからソフトに関する基準、つまりエックス線の取り扱いに関する基準だと言われておりますけれども、このハードに関する基準、ソフトに関する基準、どのように定めたのかというのをお聞かせください。
#157
○政府委員(赤保谷明正君) まだ検討は続いているというか、そういう状況で正式な報告書はまだ出ておりませんけれども、おっしゃるように、ハード面の基準としては、エックス線診療室からの漏えい線量が一定値以下となるようにすることというようなことだとか、エックス線診療室である旨を示す標識を付すこと、そういうことが必要であるとされております。
 また、ソフト面の基準としてですが、獣医師を診療施設の管理者として設置することとする、それとあわせてエックス線装置を設置したときの届け佃を行うことだとか、従事者の被曝線量を一定以下にすること、あるいは定期的な健康診断を実施すること、そういうことが必要であるとされているところでございます。
#158
○林紀子君 獣医師などの開設者は省令で定められた基準に適合させなければならない。改正案によりますと、もし基準に適合しない場合には都道府県知事が開設者に対して使用制限命令をかけられる。獣医療の診療施設には衛生上、保安上から見てそれだけ社会的に要請される部分というのは確かにあると思い。ますけれども、大変この法案は厳しい規定となっていると思うわけですね。
 まず基準を示して、大部分の獣医師がその基準に対応できるようになった段階で法改正をする、それが自然ではないかと思いますけれども、いかがですか。
#159
○政府委員(赤保谷明正君) 開業獣医師のうち七六%の者がエックス線の装置を使用している現状を踏まえますと、獣医療に関与している者の安全性の確保あるいはその診療施設の周辺の住民に対する安全性の確保、そういうことを早急に図っていく必要があろうと思います。このため、その診療施設について基準を定めまして、エックス線診療室からの漏えい線量を一定値以下とすること、そういったことを予定しているところでございます。
 しかし、この場合、第一次エックス線を遮へいするための鉛の板を今後設置することが必要となる場合であっても、開設者が多額の経費を要することとはならないと考えております。それほど費用はかからないと考えております。
 また、診療施設基準については、省令の施行の日から一定期間その適用を猶予させよう、少し先へ延ばそうということを考えておりまして、開設者に対しましてその内容の周知を図ることを考えているところでございます。
 そういうことでございますので、今お話にございました通達によって遵守の指導をして、その後法律改正による規制を行うこととしたらどうかということでございますけれども、その施設の設置基準の適用の猶予というようなことも検討いたしておりますので、そういうおっしゃるようなことまでする必要はないのではないかというふうに考えております。
#160
○林紀子君 日本獣医師会の会報を見せていただきましたら、ここの部分でも検討会の検討経過というのを、エックス線取扱基準についてはハード・ソフトにわたって成案が得られた段階で通産局長通達を出すと、今おっしゃったようなそういうことも言われているわけですね。で、通達が出された後、獣医師はその基準に沿って対応する必要があり、一定期間を置いた後、おおむね獣医師がその基準に沿って対応できるようになった段階で法改正に持っていくこととされておりますと、これが当初の案であったと思うわけです。
 今お話にありましたけれども、経過を見てまいりますと、このエックス線装置取扱基準検討会、昭和六十三年の十一月二十八日に第一回の検討会を持ち、それから会を重ねて第九回、平成二年八月二十日に一応の案を得たということでこれは終わっているわけですね。
 そうしますと、一年半余り前にこれが一応終わっていて、先ほど御説明がございましたハード・ソフトの面での案というのも出されたと思うわけです。ですから、一年半前に終わったその時点で局長通達というのをこの初めの案どおり出されて、そして周知徹底するということになりましたらもっと獣医師さんの方はそれを理解する、そういうことになったのではないかと思うわけですね。
 これは日本獣医師会のエックス線使用に係る実態調査、昨年の七月に実施して十月にまとめたというものを、これも見せていただいたわけですが、エックス線室の床に鉛板などの防護材料を使用しているものは全体のわずか九・三%にしかすぎない。エックス線照射を行う方向は、主に垂直方向、垂直方向のみ、この両方を合わせますと九〇・二%にも上っているという結果を見せていただいております。ですから、九割の診療施設で垂直にエックス線を照射しているけれども、その床に防護施設を今講じている診療所というのは一割にも満たない、こういう状況なわけですね。
 ですから、そういう意味では、確かにエックス線というのは獣医師さんばかりではなく用ヶの社会的な近所の人たち、隣り合わせに住んでいる人たち、そういうところにも大きな影響あるわけですから、規制はきちんとしていかなければならないと思いますけれども、今こういう状況のときに非常に厳しい規定で法改正をする、その以前に周知徹底という意味を含めて、局長通達なりなんなりできちんと知らせていくべきではなかったかというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
#161
○政府委員(赤保谷明正君) 合お話のございましたエックス線装置取扱基準検討会でございますけれども、中間報告は一度出ておりますけれども、最終報告はまだ出ておりません。先ほど申し上げましたとおりでございます。
 それで、エックス線を上から照射する、下に犬、猫を置いておいて、横でなく上からというのが多い。下が地面の場合には必ずしも要らないんでしょうけれども、最近歯医者さんでも二階にあるとか、人間の場合は横から写したりなんかしますけれども、上から写すのが多い。そういう場合には下に鉛の板を敷いていただくとか、その鉛の板も一平米当たり二万円から三万五千円程度だというようなことでございます。
 その上に、先ほども申し上げましたように、施設の基準につきましては省令、公布をしますけれども、その適用は少し先に延ばすということも考えておりまして、その辺どのくらい延ばすか、まあ六カ月程度でいいのかなという気もしておりますが、そこはいろいろこれから検討して、適用を猶予する、先に延ばすということも考えておりますので、今のような法案にしているところでございます。
#162
○林紀子君 私が事前に伺いました小動物の獣医師さんは、今回のこの法改正で当てはまるのは、今開業している人間はもう除外されるんじゃないか、新たに開業する人間だけがこういうエックス線の場合でも厳しい措置が適用さるんじゃないかというふうなこともおっしゃっていた方もおいでになるわけですね。ですから、それだけ周知徹底されていないということだと思うわけですね。
 ですから、今省令で六カ月かそれ以上ということもおっしゃっておりますが、なるべくそこのところは周知徹底させて、それから、まあそんなに高いものではないと言いますけれども、資金の面でも何とかその辺を考えられるようなことというのもあわせて要望しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#163
○政府委員(赤保谷明正君) 金の面でございますけれども、中小家畜の方が多いんじゃないかと思いますが、そういうときには中小企業金融公庫から特別のそういう融資制度がございますので、その道を御利用いただけたらと思います。
#164
○林紀子君 それでは次に、先ほどおっしゃっておりました国民の権利を制約する内容が含まれていると言われる企業診療についてお尋ねしたいと思います。
 農水省は、企業による小動物診療所開設の実態、どのように把握していらっしゃいますでしょうか。
#165
○政府委員(赤保谷明正君) 診療施設の総数は平成二年度末現在で一万九百八十五カ所ございますが、このうち会社組織による診療施設は四百八十三カ所となっております。
#166
○林紀子君 私が聞きました例では、例えば東京都獣医師会で問題になったところですけれども、雪印乳業が品川区にヒューマン・マニアル・リレーション研究所、こういうものを設置しようとしましたが、地元の獣医師会が中心になって反対同盟を結成し、結局平成二年の四月には、雪印側は地元獣医師会との合意が得られないということを理由に計画を見直すという出来事がありました。反対同盟では、計画が完全に撤回されんまで反対運動を続ける決意だと言われております。
 これだけではなく、千葉県のペットランド社、千葉県市原市のジョイフルホンダ、九州の福岡市でも総合病院的な診療施設開設の動きがある。茨城県でもジョイフルホンダというところが診療所を開設する、こういう動きがあるということが伝えられているわけです。
 平成元年十一月の日本獣医師会の全国大会で決議された改正の要望では、「獣医師以外の者による家畜診療施設開設の制限を規定する」、こういうことを要望しているわけですね。この要望に関して農水省はその後二回にわたって日本獣医師会に照会を行った。そして、この照会に対して日本獣医師会は、なぜこの規定が必要なのかという理由を述べていらっしゃるわけですけれども、まず、動物の命を守るということだけではなく、間接的には人の健康保持などにも寄与するなど、獣医師というのは社会的な責務を果たすという使命感がある。また、動物が法解釈上は飼養者の財産というふうになっているけれども、今や財産と割り切るには大きな抵抗がある。それからまた、基本的には動物の命を大切にするという動物愛護精神を高揚させることが、ひいては人の今も大切にする。
 こういうような理由から、家畜診療所の開設については医療法と同じように営利目的であってはならないということを明確にする必要があるということを農水省に対して答えておりますね。そして、重ねて利潤の追求ということに走る余り、極端に安価な診療料金を設定し、あるいはその逆に高額医療費を飼い主に請求する、こういうゆがみを生じさせるのではないかということもうたっているわけですけれども、農水省はこの日本獣医師会の回答に対してはどのような見解をお持ちになっていらっしゃいますでしょうか。
#167
○政府委員(赤保谷明正君) 日本獣医師会は、おっしゃるように、「獣医師以外の者による家畜診療施設開設の制限を規定すること。」という要望を以前していたことがございますが、その後平成三年、昨年でございますが、十月に提出されました要望書におきましては、「診療施設を開設して家畜診療を行う場合は、獣医師にこれを管理させなければならない」、管理者の設置をさせなければならぬ、そういう「趣旨の規定を設けること。」という要望をいたしておりまして、昨年度の要望につきましては従前のような要望は行っていないところでございます。
 企業の診療のお話もございましたが、企業の診療分野への進出でございますけれども、現在既に、先ほど申し上げましたように、診療施設を企業が開設している例がございます。そのことによって、畜産業の発達あるいは公衆衛生の向上、そういう面に実害が生じたということはお聞きをしておりませんし、また万が一荷らかの理由で畜産業の発達、公衆衛生の向上、公衆衛生上実害が生じたとしても、獣医師である管理者の設置だとか、報告の徴収、立入検査、使用制限命令等の規定によりまして十分対応できるものと考えられるところでございます。
 そういったことから特段企業の診療分野への進出に対して歯どめをかけるというようなことは、そこまですることは必要ではないのではないかと考えております。
#168
○林紀子君 確かに、人の命と動物の命が全く同等かと言われますと、必ずしもそれは社会通念上そうだとは言い切れないと思いますけれども、やはり営利が目的ということが入ってくると非常に診療をゆがめるということは否めないのではないかと思うわけです。そして、企業の小動物診療所の開設については、例に挙げました雪印乳業ばかりでなく、アメリカ本社からの指示でペット販売に伴って開設を計画するものや、ある国際的な貿易会社が診療所の開設を計画していると言われています。
 ですから、以前から日本獣医師会はこの診療施設開設の制限を法改正の要望として挙げていたのではないかと思うわけです。しかし、今回の政府案ではこの点が削除されたわけですが、こうした企業による小動物診療所の開設に当たってはどのように既存の診療所を保護していくのか。開設を計画した企業は地元の獣医師会と十分話し合って、その意向を尊重して診療所の届け出を行うように、こういう指導を少なくとも農水省はするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#169
○政府委員(赤保谷明正君) 獣医療の提供につきましては、自由な競争にゆだねるべき性格のものであると思っておりまして、こういうことに対する行政の関与、これは必要最小限度にとどめるべきものであると考えております。
 なお、企業の診療分野への進出についてでございますが、先ほど申し上げましたように、既に企業が診療施設を開設している例がございまして、そのことによって畜産業の発達だとか公衆衛生上実害が生じだということも聞いておりませんし、また万が一何らかの理由で今言ったようなことについて実害が生じたとしても、獣医師である管理者の設置を義務づけて、報告の徴収とか、立入検査とか、あるいは使用制限命令等の規定によりまして、これで対応できるものと考えております。そういうことでございまして、特段企業の診療分野への進出に対して歯どめを行うというようなことは必要ではないのではないかと考えております。
 それから、話し合いをさせたらどうかという御趣旨の御質問でございますが、獣医療の提供につきましては、今も申し上げましたように、自由な競争にゆだねられるべき性格のものでありまして、関係者の間で診療施設の開設について自主的な自由な話し合いが行われる場合、この場合はともかくとしまして、行政が指導して話し合いを行わせるというような性格のものではないのではないかというふうに考えております。
#170
○林紀子君 私にとりましては納得のいかないお答えですが、最後に家畜改良増殖法案に関して一つだけお伺いしておきたいと思います。
 体外授精、屠体の卵を活用するという今回の技術は、酪農家を初め、畜産農家の期待というのは大変大きいと思われます。しかし、ホルスタインから黒毛和牛が生まれることによりまして肥育農家、繁殖農家の経営を圧迫する、このことも十分考えられるわけです。また、企業の中でも三菱商事と明治乳業、日本農産工業の三社は共同でイギリスの畜産バイオ企業から高度の人工授精技術を導入して、和牛の肥育事業に進出し、この中で明治乳業はグループ内の畜産会社から和牛の精子と卵巣を手当てして、年間二千四百個の凍結受精卵を製造販売する、また日本農産工業は松阪牛の卵巣を屠場から回収して、体外受精卵移植で数年後には成年肥育までしていこうと、こういうことも報道されているわけです。
 こういう中で、今牛肉輸入自由化の中で、何とか畜産農家が生き延びているのはこの和牛の繁殖肥育農家ではないかと言われているわけですが、ここもこういうことになりましたら非常に大きな影響を受ける。そういう意味では畜産業全体を見ていかなければいけないわけですけれども、これが再び牛肉輸入自由化の大きな波をかぶる酪農家に続いて大変な状況に陥るということになっては大変だと思うわけですが、こういうことに関してはどのような措置をとっていくのか、そのことを最後にお伺いしたいと思います。
#171
○政府委員(赤保谷明正君) ホルスタインのいわば借り腹のような形で黒毛が生まれる。肉の需要はおかげさまで堅調に伸びておりますので、肉資源の供給増を図る必要がある。それで、ホルスタインから生まれた和牛、これがまたさっき繁殖農家の方を圧迫するんじゃないかというお話もございましたが、それを繁殖農家、繁殖地域に返して、またその地域で繁殖の素牛として利用するとかいうメリットも考えられるわけでございます。
 それから、受精卵を大手というのか、いろんな企業のようなところが独占買い占めをしてしまうんじゃないか、そういう御心配でございますけれども、現在、家畜の体外受精卵の移植、これは国の家畜改良センターや都道府県の畜産試験場を中心としまして、幅広く農協だとか乳業会社、飼料会社等の民間機関等の機関で実施されておるわけです。それで、現状を見てみますと、平成二年度における実施機関ですが、全国で七十六カ所ございますが、このうち国、都道府県、そういった公的機関が実施をしているのが七十六のうち四十八カ所ございます。その他農協、民間機関が二十八カ所、こういうことになっているわけでございます。
 今後とも都道府県等の公的機関のほかに多数の民間事業体が体外受精卵の生産を行うようになると見込まれるわけです。それで、特定の企業が優秀な受精卵の生産を独占するというような方向にはいかないのではないかと考えておりますが、なお、国としても受精卵の安定供給を図るために、都道府県の畜産試験場、あるいは公益法人であります家畜改良事業団が行う受精卵の生産施設の整備に対しての助成をしていく、そういうような方向で進んでいきたいと考えております。
#172
○井上哲夫君 私は、まずきょうの畜産三法のうち、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案に関連してお尋ねをいたします。
 今回の改正法案で体外受精卵の移植が大きく取り上げられておるわけですが、卵巣から採取する時点というのは、屠場でもう処理が済んでいるところで採取をする。今までのこういう法改正の前の食品衛生上の検査といいますか、そういう従前の検査の上にさらに体外受精卵移植をこれから進めていく上で新たにその検査を加える、衛生検査というんですか、そういう検査をしなければならないという理由と、それからその場合には一体どの過程でどのような形で検査がなされるのか、その場合に問題、支障になるようなことはないのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#173
○政府委員(赤保谷明正君) 体外受精卵移植の用に供する卵巣の採取、その卵巣の採取に供する雌畜につきましては、伝染性疾患あるいは遺伝性疾患を有していないことについての獣医師の診断書の交付を受けたものでなければならないというふうに法案で規定をお願いしておりまして、この診断はその雌畜が屠殺される前に行うことが必要でありまして、農家に飼養されている時点あるいは屠畜場に係留されている時点において獣医師によって行われる、そういうことになるわけでございます。
#174
○井上哲夫君 そうすると、今の検査をして採取される受精卵、それは生産者といいますか、農家で実際に診療行為が行われるわけですか、それとも屠畜場といいますか、屠場で行われることになるわけですか。
#175
○政府委員(赤保谷明正君) 伝染性疾患、遺伝性疾患につきましては、屠畜場に行く前に農家に飼養されている時点あるいは屠畜場で屠殺をされる前の係留されている時点、そういう時点で獣医師によって行われることになるわけでございます。
 それで、また今回の家畜改良増殖法の改正におきまして、制度上も、家畜卵巣を採取する過程で獣医師または家畜人工授精師がその卵巣を採取する家畜についてただいま申し上げました診断書、伝染性疾患、遺伝性疾患がないという診断書を交付されたそういう家畜であるか否かの個体の確認を行いまして、衛生検査を行った雌畜のみから卵巣の採取が行われる、そういう仕組みとしているところでございます。
#176
○井上哲夫君 そうすると、随分細かい話ですが、その証明書はどなたのあて名になるんですか。つまり、採取される受精卵の所有の帰属といいますか、一体だれのものか。例えば、診断書に書かれたあて名の人のものから買う人に移るのか、あるいは実際に屠畜場ではいわゆる屠殺を行うと市場に出る肉以外のものはその中で、まあ慣習法上かどうか知りませんが、そういう権利者がある場合があるとか、そういう権利者もないとか、さらに獣医の方の指示で帰属が決まっていくわけではないでしょうけれども、そういうふうなことで万が一トラブルが起こるかもしれないし、採取された卵巣について恐らく全く無償で移るということもないとすれば、そういうことを考えますと、どこでだれのものが移転し、あるいは移転しないのか、そういうことについてお尋ねします。
#177
○政府委員(赤保谷明正君) 先ほど申し上げました遺伝性疾患あるいは伝染性疾患にかかっているかどうかの診断書を交付する、それは農家の庭先あるいは屠畜場で係留されている時点ですから、家畜の飼養者を相手に出すことになると思います。その後屠畜の検査もまたあるわけでございまして、その後内臓から卵巣が採取されるわけですが、その場合、通常の取引におきましては、副生物業者から取得をするということのようでございます。ただ、人によっては屠殺解体を委託するだけで、解体の委託料を払って枝肉から内臓から全部持ってきちゃうという、そういうものもございます。それは屠殺解体を委託したその人のもので、価格はどうなるかというお話もございましたが、これは今まで卵巣は余り利用されておりませんで、もつ屋にも余りないようでございますが、それもその枝肉を見て、その個体がいいか悪いかで卵巣の価格も決まってくるんじゃないかというふうに考えております。
#178
○井上哲夫君 そういう証明書を出すということになると、当然証明書手数料というのがあるわけですよね。だから、そういう意味では何といいますか、どういう形で証明書の委託が出て、だれに証明書が与えられるか、もちろん証明する獣医さんはそういうことがきちっと指導要領で出された方がいいんではないか、これは私の意見でございます。
 次に、ちょっと先ほど通告をさせていただいたんですが、獣医療法の関係のことについてお尋ねをします。
 獣医療法の今回の十七条には、獣医師または獣医師の診療施設の業務に関して広告の制限規定があります。この内容を見ますと、第一項では「獣医師又は診療施設の専門科名」は広告事項として出していい、あるいは「獣医師の学位又は称号」は出していいというふうになっておりますので、この専門科名を出していいという場合に、これは医師会や弁護士会、私は弁護士会に所属しているんですが、そういう弁護士会ではよく問題になるんですが、専門科名で非常に細かい、一般の人にわかりにくい専門科名を出して、そうするとそれで一般の人は、いかにもこの人はこういう難しい専門科の看板を上げているからかなり腕の達者な人であると、これはあるわけです、現実に。
 したがって、この専門科名についても実際には、まあ例外が全くないわけじゃないんですけれども、その点はここの十七条ではこの二つは出してよろしいと言っているわけですから、それについて私は異論を唱えるものではないです。
 ただ、問題は十七条の第二項で、この診療施設の専門科名や学位または称号のほかに、「獣医師又は診療施設の業務に関する技能、療法又は経歴」に関しては。広告をして差し支えないものといけないものを農水省の省令で分ける、こういう規定があるわけであります。この問題について農水省では、今現実にガイドラインの案といいますか、そういうものがあればお尋ねをいたしたい。
 一番よく問題になるのは、その経歴の場合に、みだりに客を誘引できるような種類の経歴を上げるというのはいけないとか、あるいはそうじなくてどこにそういう技術のすぐれた獣医師がいるのかを知りたいとか、そういう動物を飼っている人たちの側の需要と、それから現実にその広告というものの本来持っている何といいますか、まあ誇大広告という言葉は余り使いたくありませんが、著しく過度にわたる客の誘引になるようなこととの兼ね合いがいつも問題になるのではないかというふうな観点から考えますと、ガイドラインの案があればお聞きしたいし、もしないとすれば、今現時点で基本的に考えてみえるこの第二項に関する省令のまあ粗筋といいますか、そういうものをお尋ねしたいと思います。
#179
○政府委員(赤保谷明正君) 「技能、療法又は経歴に関する事項」でありましても「広告しても差し支えないものとして農林水産省令で定めるものは、広告することができる。」と、こうしているわけですが、この広告の規制緩和は、獣医師が行う広告によりまして飼育者等を惑わす、あるいは不測の被害をこうむらせる、そういうことを防止するという広告規制の本来の趣旨を踏まえながら、今おっしゃいましたように飼育者に対する適切な情報を提供する、そういう観点から対処していく必要があると考えておりまして、これは法律の十七条の三項にもありますが、そこのところは今いろいろ御心配ございます。
 それで、獣医事審議会の意見を聞いて省令を制定するということになっておりますが、今具体的に考えておりますのは、受精卵移植技術を有する旨、そういった国の施策として推進している事項に関する広告だとか、あるいは農業共済事業の指定獣医師である旨、これは共済制度、他の法令の施行を円滑にするために表示をする広告であるというような観点からそんなことを考えておりまして、獣医事審議会にお諮りをした上で具体的に決めていきたいと考えております。
#180
○井上哲夫君 例えば、小動物の飼育者から見るとそのほかに重大な関心事項があるわけですね。病気、すぐ往診に来てくれるのか、あるいは動物愛護のいろんな協会の仕事を一生懸命やっている人なのかどうかとか、そういう問題についてどういうふうに受けとめるか。
 それからもう一点は、広告の方法その他についても必要な制限ができる。恐らくこれは巨大な看板を上げたり、あるいは目につく方法として著しくお金のかかる広告をしたりということについて規制をしていこう。あるいは広告の方法としていろいろあるわけですね、新聞のチラシを入れたり看板を掲げたり、極端になればネオンサイン。さっき林委員が質問されましたが、法人のそういう組織の場合には、やはり心配すれば心配なことが出てくるというふうなこともあろうかと思うんですが、そういう観点の基本的なお考え方をお尋ねいたします。
#181
○政府委員(赤保谷明正君) 大変に難しい御質問でございますが、今申し上げましたように、いずれにしてもこれは省令で広告規制の緩和をするわけでございまして、その際広告の方法等につきましても獣医事審議会の意見を聞いて慎重にやっていく。
 先ほど二つほど具体的な例を申し上げて、今のところそんなことを考えておりますと申し上げましたが、例えば動物愛護の観点から公的団体が避妊手術、去勢手術をやっている、そういうような場合にはその広告の仕方も公共団体の広報によるのかなというような気がいたしておりますが、いずれにしても、獣医事審議会の御意見も伺って、それで具体的な省令を決めていきたいと考えております。
#182
○井上哲夫君 私の方の準備も不足だったものですから、細かく前もっての御通告をしてなかったので、広告の点はこの程度にしまして、もう一点お尋ねをいたします。
 産業動物の関係の獣医師さんが大変不足をしておる、あるいは高齢化でどうしたらいいかというふうなことで、今回も法律改正だけでなくて、助成のための施策をいろいろ盛り込まれておるというお話を聞きました。
 それで、この場合に、国と市町村なり農業協同組合あるいは農業共済組合、そういう関係団体とタイアップをして、特に憂慮されている大動物といいますか、産業動物にかかわる獣医さんの確保をこれからしていかなきゃいかぬわけですが、とかく連係プレーが十分に行われるかどうか心配であるというか、そういう気持ちを持っていたわけですが、四月の十九日の日経新聞には、愛知県の農業共済連合会が獣医さんになる人のためにいろいろお金を貸したり、研修の便宜を図ったり、あるいは助成、あらゆる手を尽くして産業動物の獣医さんの確保のためにやるというふうなことが記事に載っていました。
 それで、その中には、市町村の関係の診療所に勤めてみえる獣医さんの給与とか待遇がなかなか条例の制限とかいろんなことがあって大幅に上げることも難しい。そういう中でこういうふうに農業共済連合会がやっていくんだという記事なんですけれども、その記事の中にも、ただし恩恵を受ける生徒の制限を予算の関係で考えなきゃいかぬとかいろんな記事が載っていましたので、今回のそういう産業動物の獣医さんの確保のために、連係プレーという点でどのように考えてみえるのか、お尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
#183
○政府委員(赤保谷明正君) 産業獣医師さんの確保の問題で先ほど五点ほど申し上げましたけれども、一番多いのは県が事業実施主体になっていただきまして、地元の受益もありますので、国も半分、県も半分、二分の一ずっというのがございます。
 今お話のございました共済団体あるいは県が学生のときの奨学金を貸す、そのときに国と半分ずつ持つ。ある県におきましては、県が出しまして、卒業後産業動物でも小動物でもどちらでもいい、我が県で勤めてください、そういう条件つきでお金を出し、六年間学校へ行きますから、そうすると、その期間の一・五倍、九年間我が県で勤めてくださいと、そんなようなこともやっております。獣医師さんの確保のための卒業後の臨床研修、これも学生さんから見ますと、そういう産業動物については卒業後の臨床研修がないということに不満を感じている方もかなりおられます。そういうときに国としては、そういう臨床研修に対していろんな疾病に関するマニュアルの資料を提供するとか、あるいは家畜改良センターから研修用の動物を貸与するとか、あるいは畜産試験場から講師を派遣するとか、いろいろ相互に協力していく場面が考えられる。
 どこかがやればいいというわけではなくて、とかくその連係プレーがうまくいってないというお話でございまするが、その辺のところは十分心にとめて、法律の施行に当たって、これから説明会その他を成立しましたらやるわけでございますので、その辺のところを十分配慮して行っていきたいと考えております。
#184
○井上哲夫君 終わります。
#185
○喜屋武眞榮君 問題をお尋ねする前に、きのう実は御四名の参考人のお方から御意見を拝聴いたしました。こういうふうに強調しておられました。この三法が早く実現すれば、私たちの苦労も報いられる、そしてその苦労が報いられるだけじゃなくて夢と希望が開けてくる、こう強調しておられました。そこで、具体的には老齢化の問題やあるいはそれぞれの立場からの、技術の面が非常におくれておる、そして人員も足りない、こういうことがはっきりわかりました。
 そこで、いろいろとお尋ねしたいこともありますけれども、時間の関係もありますので、二、三にはしょってお尋ねしたいと思います。
 まず第一点は、体外受精卵移植の普及をどのように図る方針なのか。この体外受精卵移植の普及がこの衝に当たっておられる人々の非常に切実な要望でありました。そこで、この老齢化にこたえ、あるいは定員を埋めて、さらに技術的に立ちおくれておるこの方向を進めていくために、お聞きしたい第一点は、体外受精卵移植の普及をどのようにして図る方針であられるのか、現状及び今後に向けての御計画をお聞きしたいと思います。
#186
○政府委員(赤保谷明正君) この体外受精卵移植の技術というのは、家畜の改良増殖を図る上に非常に画期的な技術、まあ体内受精卵移植もそうですけれども、そういう技術であろうと思います。そういう意味でこの普及を図っていく必要があると思いますが、まず体外受精卵の生産率の向上を図る、あるいは体外受精卵の凍結技術の簡易化、そういうことのための技術開発の促進が必要であろう。それから、体外受精卵移植を行う技術者の養成、やはり技術が必要でございますので、技術者の養成に努めることが重要であると考えております。
 そこで、体外受精卵の移植技術の振興対策、どうするのかということでございますが、家畜改良センターにおきまして家畜体外受精卵移植の技術指導者の研修を実施するということとあわせて、家畜改良事業団が行う家畜体外受精卵の生産施設の整備に対する助成をする。それからさらに、事業団の行う家畜体外受精卵の配付及び技術者育成に対する助成を行っているところでございます。
 それで、平成四年度、今年度の予算でございますけれども、今年度から都道府県等において、家畜の体内受精卵の生産施設の整備、それから受精卵移植専用車、いろんな施設、器具を積んだ車ですけれども、ET車と言っていますが、そういう車の整備とあわせまして、家畜の体外受精卵移植の実用化・普及のための施設の整備等を実施することといたしておるわけでございます。
 今後ともこういった事業を活用いたしまして、家畜の体外受精卵移植の特徴を生かした家畜の改良増殖の促進に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#187
○喜屋武眞榮君 次にお尋ねしたいことは、非常に要望しておられることの中でも特に優秀な獣医師とそして家畜人工授精師の養成を非常に望んでおられると私は判断いたしました。この優秀な獣医師と家畜人工授精師の養成を図るために政府はどのようなことをする方針であられるのか、お聞きしたいと思います。
#188
○政府委員(赤保谷明正君) 体外受精卵の移植を行う家畜人工授精師につきましては、体内受精卵移植に関する知識、それから技術、それに加えまして、未受精卵の採取だとか処理あるいは家畜体外授精等に関する知識、技術を習得することが必要なわけです、今までやっておりませんでしたから。このため、体外受精卵移植を行うことができる家畜人工授精師を養成するための講習会の開催を予定しているわけですが、この講習会の開催は法律の施行一の日より早く開催をする。法律の施行は附則の一条で公布の日から六カ月以内に政令で定める日となっておりますが、この人工授精師の講習会の開催につきましては公布の日から開催ができる、そういうようなことで、少し早目にその講習会も開催をして、そういう体外受精卵移植の知識、技術を習得する機会を早目に設けようというようなことを考えております。
 一方、獣医師につきましては、家畜についての高い知識と技術を持っておりますので、体外受精卵移植の作業に必要な知識及び技術を兼ね備えておりますので、従前家畜人工授精と体内受精卵移植の場合と同様に、獣医師の資格を持っていれば体外受精卵移植の業務を行うことができるものとしておるわけでございます。
 また、いろんな優秀な技術者の養成を図ることが重要でありまして、そのためには、家畜改良センターにおいて、都道府県の指導的な技術者を養成するための研修会の開催だとか、あるいは都道府県段階における技術者の養成、それから受胎率向上のための技術の実習会、あるいはその技術の検討会の開催、そういった各種の施策を講じているところでございます。
#189
○喜屋武眞榮君 ぜひ実現していただくことを心から望んでおります。
 次に、いつでも農水の質問のときに私は必ず沖縄の問題を取り上げるわけですが、それだけ戦争の傷跡が深くて、いまだに日本にとって唯一の亜熱帯地域、亜熱帯農業、そして全国にも見られないいろんな基幹作目があります。ところが、もっともっと国が金と技術さえ施していけば、もっともっと一億二千万国民の食物生産のいわゆる生産の基地として提供することができるがなと、こういつも望んでおります。
 それで、その気持ちから、田園荒れにけり、帰りなんいざふるさとへ、いつも私を励ましてくれるのがこの言葉であります。帰りなんいざふるさとへ、田園荒れにけり。この荒れた宝の島、沖縄の亜熱帯地域に花を吹かせ、実を結ばせる生産の基地としてもっともっと、しかも排除したい米軍基地が七五%もまだのさばっておるという、こういう地域の中で、基地の中の沖縄という表現も言われておるとおり。でも、一ひらの土地でも大事にして、そこに他県ではできない、沖縄でなければできないいろんな知恵と努力によって生産しつつあることも事実であります。
 どうかこのこともさらに御理解を深めていただいて、沖縄のためにということは、まあ結果的にはそうなるであろうが、一億二千万国民のためにも沖縄をもっと大事にして、生産の基地として広げなければいけない。こういう理解ある御協力、御指導を賜りたい、こう心から願うその背景には、いつかも申し上げたんですが、惨たんたる戦後の沖縄の自然の状態を、時の世界的な畜産の指導者と言われておりますあの大内力先生が、沖縄にお見えになってすぐこういう質問をされました。喜屋武さん、あの沖縄独特の黒い牛と黒い豚はいまだに種が残っておるでしょうか、こういう質問でありました。
 ところが、沖縄戦の激しさから沖縄本島にはそんなものはほとんど食料として友軍が食いつぶしておったので、私も沖縄戦の生き残りでありますが、おるはずがないんです。ところが、非常に残念がっておられましたのは、かつてはあの神戸牛という名のもとに全国に広がった神戸牛は、実はもともとあれは沖縄の黒牛だったことをあんたは知っておるだろうがと。と申しますと、こういうことをたびたび聞かされました。沖縄であの黒牛を九五%まで成長させて、あと五%という時期で神戸に出して、神戸でその沖縄で成長させた黒牛を調整して、そして神戸牛というレッテルを張って全国に広げていったといったいきさつをよく聞かされました。いみじくも大内先画がそう話っておられました。
 ですから、これは結局黒牛、黒豚の量で争うことは小さい沖縄の島では無理だから、質で争う以外にない、そのためには、黒牛、黒豚の肉質で勝負できるんだよと、こう強調しておられたいきさつがございます。
 どうかそういうことも、お耳に入っているか知りませんが、参考にしていただいて、今からでも遅くはないと思っておりますから、ひとつ御検討をお願いいたしたいと思うのでありますが、沖縄における家畜の改良について承りたい。
#190
○政府委員(赤保谷明正君) 今、黒牛、黒豚のお話がございまして、遺伝資源というのは非常に貴重なものでございます、動物であろうと植物であろうと。稀少な遺伝資源ほどと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、いっ何とき改良のために役立つかわからない。そういう意味で国を挙げて遺伝資源の保存に取り組んでいるところでございます。
 沖縄県の家畜改良の現状なり方向性、そういうことをどういう考え方でおるのかというような御質問でございますが、沖縄県における家畜の改良増殖は、亜熱帯性気候による暑熱、暑さが非常に厳しい。その暑さの影響だとか、あるいは離島が多い、そういった地理的特殊性等から、肉用牛の体が太る増体重あるいは乳用牛の乳量の水準、これはほかの地域に比べてやや低い水準となっております。しかしながら、沖縄県は、サトウキビが日本で唯一というか、鹿児島にもございますけれども、サトウキビがある。あの穂の部分、穂の梢頭部、そういった未利用資源が多い。また、土地条件等畜産の立地条件は本土よりも恵まれている。そういうことから、生産コストは安くて、他の地域に比べて有利な条件にあると思います。
 このため、今後の家畜の改良に当たりましては、沖縄県の有するいろんな資源を生かしながら、乳用牛にあっては亜熱帯性気候への適応性を高めるということが必要でありましょうし、肉用牛につきましては放牧適性を高めるということが重要でありまして、その基礎となる自然交配用の肉用種雄牛あるいは優良種雌牛の導入等のいろんな施策を引き続き講じていく必要があると考えております。
#191
○喜屋武眞榮君 今の御答弁にさらにお尋ねしたいこともありますが、次の機会に譲りたいと思います。
 次には、家畜改良増殖目標の策定について、これまでの家畜改良増殖目標の策定経過についてお伺いをいたします。そして、この中に含めて、特に沖縄県における状況について、あわせてお伺いいたします。
#192
○政府委員(赤保谷明正君) 家畜改良増殖目標の改定作業につきましては、平成二年の三月に酪肉基本方針の諮問と同時に、畜産振興審議会に諮問をいたしまして御審議をお願いしているところでございますが、検討すべき具体的な内容については極めて専門的なものでありますので、平成二年の十月に畜種別の研究会を開催しまして、それぞれの畜種を御専門とする方々並びに各部会の中でもそれぞれに関係の深い委員の方々に参加をいただきまして、専門的立場からの技術的な検討を行っていただいたところでございます。
 現在、その改良増殖目標の改定作業は、畜種別研究会の指摘等を踏まえまして、低コスト生産のための能力向上を図ることだとかあるいは飼養規模の拡大等、経営構造の変化を踏まえて、群としての能力の向上、それから斉一性の向上、そういう点に重点を置くこと、それから消費者ニーズの多様化等、需要の動向に対応して、量的な生産性の向上とあわせて品質の向上につきましても留意すること、さらには受精卵移植等、畜産新技術の開発、普及を踏まえまして、この新技術の改良増殖への活用を一図ること、そういったことを基本として検討を行っているところでございます。
 また、現在、酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律に基づくいわゆる酪肉近代化基本方針につきましても同様に検討が行われているところでありますが、改良増殖目標はこれと密接な関係にございまして、この基本方針の技術指標としての面も持つものでありますので、これとの整合性をとりつつ一体的に改定作業を進めてまいりたいと考えております。
 沖縄県というか都道府県の家畜改良増殖計画の内容、策定状況でございますが、都道府県は国の定める家畜改良増殖目標に則しまして、その都道府県における家畜の改良増殖を促進していく上での指針としての家畜改良増殖計画を定めて、この計画に則し施策の推進を図っているところでございます。この計画は、家畜の改良増殖の目標だとか計画の期間、そういうことを定めることになっているわけでございます。それで、現在、現行の家畜改良増殖目標に則して計画を制定している都道府県は沖縄県を含めまして二十一県となっております。
#193
○喜屋武眞榮君 次に、これは簡単に答えてくださいよ、獣医事審議会の委員についてちょっとお尋ねします。
 この審議会の構成メンバーに学識経験者というくだりがありますね。その学識経験者ということはどういう内容の人なんですか。
#194
○政府委員(赤保谷明正君) 獣医事審議会の委員、学識経験者をもって充てる。いわゆる獣医事、獣医学的な知識を持って行う家畜衛生上の一般的な事項のことであろうと思いますが、そういうことに関する学識あるいは経験を持っている方と、そういうふうに理解をいたしております。
#195
○喜屋武眞榮君 最後に大臣にお尋ねします。
 終戦直後、沖縄の畜産で一番全国的に名の売れたのは牛、豚。自給ができておるのは今豚だけなんですね。三十一万七千三百三頭、これは一〇〇%自給しておるということなんですね、豚は。それだけに、沖縄の食生活に結びついているのが豚肉、豚料理がずっと多いわけなんです。そのことと、この食生活と長寿県沖縄との関係が非常に密接な関係があるということなんですね。沖縄県が日本の長寿県にもう二十年近くもランクされておる。
 その原因はどこにあるかということを世界の学者が一昨年沖縄に集まって検討した。結論は、結局、自然環境のよさもありますけれども、食生活が唯一の原因であるという結論を出しております。その食生活の中にも豚肉を主として肉類でとっておるということもはっきり答えが出ております。そうすると、豚肉と人間の健康、長寿、寿命との関係が非常に深い、こういう結論でございます。そういうわけで、飼養頭数も三十一万七千三百三頭で、ほとんど一〇〇%自給しておる。
 次は、酪農ですね。酪農については、まだ目標に達しておりませんが、昭和五十年の三千八十一頭から平成二年には九千二百三十二頭に、二戸当たり十六頭から現在四十九頭にまで伸びておる。全国に比べてみても規模拡大が進みつつあります。
 そこで、これを今後どう進めていこうと思っておられるのか、大臣にお尋ねをしまして、私の質問を終わります。よろしくお願いします。
#196
○国務大臣(田名部匡省君) 私も沖縄の豚の料理をごちそうになったことがありますが、非常においしい。この間、だれでしたか、健康に何がいいかという話になりまして、牛と豚と鳥とを比較した場合に、豚が一番いいという話を聞きました。まあどっちかというと豚肉というのは太るかなという感じを受けたんですが、ところが、よく煮て料理をするものですから、脂のあれがもう完全に体には悪い状態でなくて、むしろいいんだということを聞きまして、改めて私も見直したわけであります。御案内のようにサトウキビも産地として有名でありますが、これも三四%ぐらいで、こちらの方は大体三〇%ぐらいということを見ると、サトウキビに次ぐ生産性を上げておるということでありまして、先生お話しのように亜熱帯性の気候地帯でもありまして、特にお話しの豚、牛、こうした沖縄の農業における重要な分野だと私も理解しております。したがいまして、沖縄における畜産の振興、合理化を図るため、生産性の向上を図る、あるいは消費の拡大をしていく、並びに価格の安定等の各般の施策を総合的に展開して、畜産経営の健全な発展と畜産物の安定供給を図ってまいりたい、こう考えております。
 どうぞ、黒豚のお話もありましたが、沖縄でなければないというようなものをやっぱりつくり、育てていくということが、私は沖縄にたびたびお邪魔して、もうほかにはないものがいろいろあるんですね、そういうものをうまく活用して、あとはいかに上手に販売をしていくかということが大事なことであります。私も勉強させられて、豚肉が大変体にいいということがわかりましたので、一生懸命宣伝してみたい、こう思っております。
#197
○政府委員(赤保谷明正君) まことに申しわけございません。さっき獣医事審議会のところで学識経験のある者、獣医事についての学識経験を有する者とちょっと狭義に申し上げましたけれども、今までは獣医師の身分、免許の問題とか、そういうことだけだったんですが、今度はちょっと幅広く獣医事審議会をやることになりまして、そこで畜産団体の経験者とか共済組合、そういうところの代表者、そういうものも獣医事審議会のメンバーに入り得るということで、まことに申しわけございませんが、訂正させていただきます。
#198
○喜屋武眞榮君 いろいろとありがとうございました。大変理解を深めておられまして、大変喜んでおります。
 そこで、食べ物と対をなすのが飲み物でございます。だから、豚肉に添う飲み物というのは沖縄独得の泡盛でございます。そのこともお忘れにならぬようにひとつ申し上げておきたいと思います。
#199
○委員長(永田良雄君) 以上で三案に対する質疑は終局いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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