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1992/06/18 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 農林水産委員会 第12号
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1992/06/18 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 農林水産委員会 第12号

#1
第123回国会 農林水産委員会 第12号
平成四年六月十八日(木曜日)
   午前十一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     三石 久江君     一井 淳治君
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     青木幹雄君      土屋 義彦君
     三上 隆雄君     松本 英一君
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     松本英一君      三上 隆雄君
 五月二十七日          
    辞任         補欠選任
     星野 朋市君     下条進一郎君
     三上 隆雄君     渡辺 四郎君
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     下条進一郎君     星野 朋市君
     渡辺 四郎君     三上 隆雄君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     土屋 義彦君     吉川 芳男君
 六月一日
    辞任         補欠題任
     吉川 芳男君     青木 幹雄君
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     星野 朋市君     平井 卓志君
     谷本  巍君     村田 誠醇君
 六月十八日
    辞任         補欠選任
     平井 卓志君     星野 朋市君
     一井 淳治君     上野 雄文君
     大渕 絹子君     野別 隆俊君
     村沢  牧君     翫  正敏君
     村田 誠醇君     谷本  巍君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         永田 良雄君
    理 事
                鎌田 要人君
                北  修二君
                菅野 久光君
                三上 隆雄君
                井上 哲夫君
    委 員
                大塚清次郎君
                鈴木 省吾君
                高木 正明君
                初村滝一郎君
                星野 朋市君
                翫  正敏君
                上野 雄文君
                野別 隆俊君
                猪熊 重二君
                刈田 貞子君
                林  紀子君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   田名部匡省君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        陣内 孝雄君
       農林水産大臣官
       房長       馬場久萬男君
       農林水産省経済
       局長       川合 淳二君
       農林水産省構造
       改善局長     海野 研一君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     上野 博史君
       農林水産省畜産
       局長       赤保谷明正君
       食糧庁次長    森元 光保君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡  光君
   説明員
       農林水産省経済
       局統計情報部長  須田  洵君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○農林水産政策に関する調査
 (平成四年産米の生産者米価に関する件)
○米の市場開放阻止に関する請願(第三九号)
○米市場開放阻止に関する請願(第四八号外一件
 )
○米市場開放阻止等に関する請願(第一四三号)
○農林年金予算確保並びに制度改善に関する請願
 (第一八四号)  
○松枯れ対策農薬空中・地上散布即時完全中止、
 「松くい虫被害対策特別措置法」再々延長反対
 に関する請願(第六七四号外二〇件)
○米の市場開放反対に関する請願(第一〇四四号
 )
○輸入農産物の農薬残留基準に関する請願(第一
 〇四六号)
○農畜産物の関税化絶対阻止に関する請願(第一
 二一七号外二七件)
○米の輸入自由化阻止に関する請願(第一三二一
 号外一三件)
○林業労働力確保対策の推進に関する請願(第二
 〇六二号外二件)
○米の市場開放絶対阻止に関する請願(第二〇六
 三号外二件)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(永田良雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る五月二十二日、三石久江君が委員を辞任され、その補欠として一井淳治君が選任されました。
 また、去る五月二十七日、三上隆雄君が委員を辞任され、その補欠として渡辺四郎君が選任されました。
 また、昨十七日、谷本巍君が委員を辞任され、その補欠として村田誠醇君が選任されました。
 また、本日、村沢牧君、一井淳治君及び大渕絹子君が委員を辞任され、その補欠として翫正敏君、上野雄父君及び野別隆俊君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(永田良雄君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(永田良雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に三上隆雄君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(永田良雄君) 農林水産政策に関する調査のうち、平成四年産米の生産者米価に関する件を議題といたします。
 まず、政府から説明を聴取いたします。森元食糧庁次長。
#6
○政府委員(森元光保君) 平成四年産米穀の政府買い入れ価格の決定に関しまして、その算定方式及び留意すべき事項につきまして、本日、米価審議会に諮問させていただきましたので、以下、諮問及びその説明を朗読させていただきます。
 まず、諮問を朗読いたします。
    諮  問
  平成四年産米穀の政府買入価格の決定に関
 し、我が国稲作の健全な発展を図るとの観点に
 立ち、地域における生産性の高い稲作農家の生
 産費及び所得を考慮して算定すること及びその
 際留意すべき事項につき、米価審議会の意見を
 求める。
  平成四年六月十八日
        農林水産大臣 田名部匡省
 次に、諮問の説明を朗読いたします。
    諮問の説明
  米穀の政府買入価格は、食糧管理法第三条第
 二項の規定により、生産費及び物価その他の経
 済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図るこ
 とを旨として定めることになっており、その算
 定については、昭和三十五年以降生産費及び所
 得補償方式によりその時々の需給事情等に応じ
 て行ってきたところであります。
  このような中で、最近の米をめぐる諸情勢に
 かんがみ、生産性の高い稲作の担い手となる農
 家や生産組織・集団の育成を通じて稲作の一層
 の生産性の向上を図り、国民の納得の得られる
 価格での米の安定供給に努めることが重要な課
 題となっております。
  また、米の需給事情については、平成四年度
 の転作等目標面積の軽減措置を講じたところで
 ありますが、依然として潜在需給ギャップが存
 存しており、引き続き水田農業確立後期対策を
 実施しております。
  他方、一般経済情勢面では、引き続き労賃、
 物価等の上昇がみられております。
  以上の事情を総合勘案の上、本年産米穀の政
 府買入価格につきましては、引き続き、全国の
 各農業地域の平均的な水準以上の高い生産性を
 実現している稲作農家をその地域において稲作
 を実質的に担っている者であるとし、そのよう
 な生産者の生産費を基礎とし生産費及び所得補
 償方式により算定することとしてはどうかと考
 えております。つきましては、このような考え
 方により政府買入価格を算定すること及びその
 際留意すべき事項につきまして米価審議会の御
 審議を願い御意見を賜りたいと存じます。
 以上でございます。
#7
○委員長(永田良雄君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○三上隆雄君 ただいま平成四年産米価決定に対する諮問の説明があったわけでありますけれども、今説明を受けたばかりですから、政府の方針、見解を把握しないままの質問になるかと思いますけれども、質問を進めてまいりたいと思います。
 きょうはたまたま全国のJA全中の生産者米価要求に対する運動の集会が開かれておって、実は私も八時から、先ほど理事会の席でうちの方の大臣もという表現をしましたけれども、田名部大臣も出席して地元の農家の代表の意見を伺ってまいりましたわけです。
 近年の生産者米価は何年も据え置きあるいは引き下げられてきたわけでありまして、その結果、現行の米価は、昭和五十三年次のいわば十五年前の生産者米価に下げられておるわけであります。その間に、一方賃金なり物価の方はどうかといいますと、これは逆に一・五倍以上の高騰を見ているという状況になっております。その結果、私は相当なウエートを占めておると思いますけれども、農家の生産意欲をなくして、若年層ほど農業離れが進んでいる。全国では新規就農者が一千八百名。けさ聞きましたけれども、農業の主産地と言われる本県ですら新規の就農老が八十八名、幸いUターンも若干ありまして、三十名のUターンがあったと。五十九市町村の中で百十八名より就農者がないという実態。全国的に見ても一千八百名というのは、全国の市町村の数が三千二百余を超える中で一千八百名というのは、一市町村に〇・五人よりないという実態になっているわけであります。それに伴って農村社会はますます高齢化が進んでいる結果になります。農業は、その地域社会を人間が維持していくわけでありますから、農業者が喜んでその地域に定住してその地域社会を維持しながら、その条件としては農業に経済的な条件を与えていかなきゃならない、やっぱりそれは政治じゃなかろうか、こう思うわけであります。
 そこで、今回全中の要求米価が、今までは生産者から全中の要求運動を見ると極めて政府に近い、極端に言いますと政府と迎合した要求米価であるという、そういう非難があるわけでありますけれども、ことしはそういう方式じゃだめだ、そういう姿勢ではだめだということで、値上げ要求をするというのが大きな動きとなっておるわけでありまして、四十七都道府県の中の大部分、四十県以上が有額要求をすべきだという、そういう動きになっているわけであります。
 これまた全中の試算によりますと、ことしの要求米価は従来の生産費・所得補償方式に基づいて試算すると、いわゆる一俵当たり二万一千二百八十六円という数字がはじき出されたわけであります。本来実現すべき政府の買い入れ価格は二万一千二百八十六円、そうでなければならないものが現行の米価は、運賃込み、運賃が百五十円内外と言われておりますけれども、現行の米価は一等から三等平均で一万六千三百九十二円、そうなっているわけであります。ことしの全中が最低というよりもぎりきりの要求米価であると出した数字が一万七千六百二十四円。現行の価格そのものがそれを千二百三十二円も下回っているというのが実態であります。しかし、全中はことしもさっきの要求米価にもあったように正式に要求項目にその額を入れ得ない、それほど遠慮がちな要求をしているわけであります。そしてまた、従来の政府の算定方式を見直してほしいという、そういう要求もあるわけであります。
 そこで、政府がきょう諮問されます四年産の米価について基本的な政府の考え方をまず御報告いただきたいと思います。
#9
○国務大臣(田名部匡省君) 今、次長から諮問の説明がございましたが、それで御理解いただけると思うのでありますが、ただ、最近の米の諸情勢、こうしたものを見ますと、生産性の高い稲作農家や生産組織・集団の育成を通じて稲作の一層の生産性の向上を図って、国民の納得の得られる価格での米の安定供給に努めることが重要な課題となっていると思うのであります。
 本年産の生産者米価につきましては、こうした課題に加えて、最近の米の需給事情や一般経済の動向等を総合勘案し、また全国の各農業地域の平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家をその地域において稲作を実質的に担っている農家であるとして、このような農家の生産費を基礎として生産費及び所得補償方式によって算定することにしてはどうか、こう考えて諮問をいたしておるわけでありまして、審議会の方でどういう考え方をお持ちか、これはまた伺っていきたい、こう考えております。
 いずれにしても、この議論を踏まえながら、データの整備を待って来週予定いたしております米価審議会にお諮りし、適正に決定していきたい、こう考えております。
#10
○三上隆雄君 今、大臣から消費の動向あるいは地域のいろんな生産費の状況を見ながら所得補償方式に基づいて算定したいという御発言がありましたけれども、ことしの農協の算定方式を若干披瀝しながら、これに対する政府の御見解をいただきたいと思うわけであります。
 先ほど言ったように、二万一千二百八十六円というのは全中が今までの算定方式に基づいて試算した米価であります。一万七千六百二十四円というのは、先ほどの二万一千二百八十六円から家族労働費と自己資本利子、そしてまた自作地の地代を含めない経済原則からいくと極めてぎりぎりというか、これはコスト競争ではない、もう我慢競争といったような形で要求して一万七千六百二十四円、これは現行米価から千二百三十二円のアップの要求であります。この算定について政府はどうお考えでしょうか。
#11
○政府委員(森元光保君) 私ども、系統農協の米価要求を見ますと、率直な印象をあえて申し上げさせていただければ、今の米の需給事情なりあるいは米をめぐります環境を考えますと、我々の認識といいますか、そういうものとかなり差異があるのではないかというふうに思っておるわけでございまして、ただいま大臣からお答えいただきましたように、いずれにいたしましても政府の立場といたしましては、今後生産費等諸データが整いました段階において、米価審議会の御意見も聞きながら適切にこれを決めていきたい、かように考えているわけでございます。
#12
○三上隆雄君 いろいろ情報を聞きますと、政府のことしの算定方式を見直すという考え方もあるという情報も受けますけれども、それに対する政府の基本的な考え方はいかがでしょう。生産費・所得補償方式でやっていくといろいろな数値を持ってくる、条件の違った数値を持ってくるということで、これは操作は十分可能なわけでありますから、今までの算定方式を変えるという意図があるでしょうかどうでしょうか。
#13
○政府委員(森元光保君) 六十一年の十一月に農政審議会の報告もございますけれども、六十三年の六月の米価算定小委員会の報告におきまして、先生も御案内のように、価格政策につきましては、今後育成すべき担い手として生産性の高い個別農家及び生産組織・集団を位置づけ、これらに焦点を合わせて運用を行うべきであるという御報告をいただいておるわけでございます。
 したがいまして、平成二年産米及び平成三年産米について適用をしてまいりましたいわゆる地域方式につきましては、いろいろ御議論はあるわけでございますけれども、基本的には農政審議会の報告でありますとかあるいは米審の算定小委員会の報告の基本的な考え方に沿うというふうに考えておりまして、現状の米をめぐる内外の諸情勢に照らしましても、現段階ではいわゆる地域方式、これが合理的なものであるというふうに考えておりまして、したがいまして、先ほど諮問のところで御説明いたしましたように、今回は地域方式で算定をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#14
○三上隆雄君 今、次長から生産性の高い農家、そして地域方式を中心とした昨年度の算定方式を継承するというお答えがありましたけれども、そもそも生産性の高い農家というものが今の生産者米価に満足しているでしょうか、将来展望を開けるでしょうか。その辺の農家の実態というものを農水省が調査されていますか。兼業化が進んでいる農家が、規模の大きいそれというよりも、私は、その産業のバロメーターというのは、後継者がその産業に継続して就労するか、それが一つの大きなバロメーターだと思うわけでありますけれども、いわば生産性の高い農家が稲作に将来の展望を開いているとすれば、大農家ほど就農率が高いわけでありますけれども、その辺の動向調査はありますか。
#15
○政府委員(森元光保君) 毎年、米価の算定に当たりましては、今、先生のお話のございましたような点につきましても十分検討いたしまして適正な米価を算定してきているというつもりでございます。現在の米をめぐる諸情勢から考えますと、需給事情なりあるいは内外価格差というような点にも十分配慮して、稲作農家が生産性を上げながらコストを削減する、そしてこれを生産者価格に反映し、消費者の理解を求めていく、あるいは納得を得ていくということが価格政策の円滑な運営の点から考えましても大変重要なことだというふうに我々考えているわけでございます。確かに生産環境は厳しい状況にはありますけれども、そういった御努力を今後とも生産者にはしていただかなきゃいけない、かように考えてこれまでも米価決定に臨んできたわけでございますので、この点につきましては御理解をいただきたいと思っております。
#16
○三上隆雄君 だから、先ほど来言っていますけれども、全中があえて二万円台あるいは一万七千円台という要求を突きづけたことは、内外価格差を縮小しなきゃならぬという大義名分のもとに、今まではいろいろ全中自体の算定方式や数値を組みかえてやや政府に近いいわゆる据え置き要求をしてきているんです。しかし、ことしは我慢ならぬ、算定の方式がないということであえて二通りの数値を出して要求してきているわけであります。それに対して私は、当然これからの日本の農業はこれ以上自給率は下げてはならぬ、後継者もまた農村に残ってもらって日本の食料を確保してもらわなきゃならぬという立場に立ては、もう少し生産者の立場に立ったそういう回答をすべきだと思うんです。
 その意味で、大臣、少しでもことしは上げてやる気持ちはございませんか。最低の一万七千六百、これはぎりぎりなんです。ぎりぎりというよりもこれは生産性からいった単価じゃないんですよ。これぐらいは最低の要求してもいいというはじき出しをしている。経済論理からいったらこんな算定方式ないんですよ。それをあえて全中が示して要求している。それに対して大臣はどういう姿勢でおこたえになるのか、御決意をいただきたいと思います。
#17
○国務大臣(田名部匡省君) 諮問段階でありますので、決意を聞かれましても、まあここでどうするこうするというわけにいきません。お願いしてありますので、よく検討してほしいと思いますし、算定方式等についても、私も随分農振協の幹事長で五年もかかわってきましたので、いろんな議論はありました。また、全中の計算している方法と政府のやっている方法と同じ方法で価格が上がった下がったという見方が違うということになると、まあそんなに差はないんだろうと思うのでありますが、基礎において全然違っているわけでありますから、どうしても全中の方の計算方式でいくと高いものになっているんだろうと、私は計算方式を見たわけじゃありませんが、そんな感じがするわけであります。
 議論はいろいろあるどころでありまして、いずれにしても新農政を含めてこういう方向でいかないとなかなか若い人たちが意欲を持ってやらぬであろうというのをお示ししたわけでありますから、そういうことを踏まえて、これからの稲作農家、そうしたものをどうしていくかということで、これからちゃんとした方式でいけるんだろうと思うのでありますが、当面一・五ヘクタール以上という審議会で決定されたことに対して、全中から一・五ヘクタールではいかぬと。当時一ヘクタールから三ヘクタールというのも出たんです。ですから、いろいろ取りざたあって、じゃ新しい算定方式でやろうということになってこの地域方式というものがとられた。ですから、どれをとるかというのはもういろんな意見がありまして、どれであってもやっぱり不満は残るであろうし、どれであってもこれならば完全だというものもなかなか見出せないというのが現状でなかろうかと思うんですね。
 いずれにしても、それぞれ今いろいろと勉強をしていただいて、どういうふうになるか、データもまだ出ておりませんので、そろったところで適正に決めてやるというふうに考えております。
#18
○三上隆雄君 そこで、米価算定の基礎になる生産費調査の実態についてお尋ねをしたいわけでありますけれども、私は参議院のこの席に出していただいたその直後に生産費調査の実態を聞いた記憶がございます、それからもはや三年になるわけでありますけれども。今現在ことしの算定に対する生産費の調査ができていますか、そのことをお答えいただきたいと思います。
#19
○説明員(須田洵君) 平成三年産の米の生産費調査につきましては、政府買い入れ価格算定の基礎資料として供さなくちゃならぬということで、目下鋭意作業の取りまとめを急いでおるところでございます。まだ現段階ではできておりません。集計をしつつある、そういう状況でございます。
#20
○三上隆雄君 そこなんですね。本米審が二十五日、いわゆる前広米審と言われる前半の米審がきょうとあすある。現実にもう開いているのかな、大臣がいるから午後から開くのかな、きょうは。そういう時期にまだその一番基礎となるべき生産費調査ができてないというのは私は不思議でたまらぬですよ。
 じゃ、傾向からいって、もうあなた実際手がけているんでしょう、いつ出せるんですか。そして、その手がけている、昨年もあなたの責任でそれをやってきている。そして一定の数字を見るとことしは上げの要素が多いか下げの要素が多いかぐらいわかるでしょう。今の感覚としてどうですか。
#21
○説明員(須田洵君) 先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、今とにかく作業をやっておる最中でございまして、来週の二十五日、本米審ということを聞いておりますので、とにかくそれに間に合わせてできるだけ早くやらなくちゃならぬということで今やっております。
 それからさらに、生産費調査につきましては、この間、先般の麦からでございますけれども、見直しというようなことでことしの場合は新旧両面にわたって、旧ベースの調査もやらなくちゃということで、この間小麦は終わったばかりでございますけれども、引き続いての作業を今進めているということでございまして、大変申しわけございませんが、今の時点では具体的なことは申しかねると思います。
#22
○三上隆雄君 どうですか、あなたの実感として、感覚として、ことしは上げ要素が多いですか。少なくともプロの経営マンだとすれば、数字を見なくたってその年の動きを見るとわかるんですよ。あなたがその日本一の生産費調査に対するプロなんだよ。それで、現段階でそれわかりませんか、感覚的に。数字がはっきりつかめないから言えないのか、隠して言えないのか、その辺、もう言ってくださいよ。
#23
○説明員(須田洵君) 私個人の何か勘でどうこう申し上げるべきことではないと思いますので……
#24
○三上隆雄君 いや、聞こえません。
#25
○説明員(須田洵君) いずれもう少しで結果が出ることでございますので、その点についてのコメントについてはお許しいただきたいと思います。
#26
○三上隆雄君 恐らく、我々の生産現場の感じからいって、あらゆる物価の指数からいって、私は上げ要素が多いと思う。しかも、生産農家が、あの腰の重い農協がことしは上げ要求しているということを皆さん踏まえて、ことしは最低の一万七千六百二十四円以上の価格を御決定くださることをお願い申し上げて、次の問題に入っていきたいと思います。
 それから、もう少し聞きます。済みません。
 実際、生産費調査農家はどのくらいの農家を対象にして調査されているんですか。
#27
○説明員(須田洵君) 米につきましては約三千戸ということでございます。全国で三千戸でございます。
#28
○三上隆雄君 その三千戸というのは、大体ブロック別に何月という若干の割り振りをしてやっているんですか。
#29
○説明員(須田洵君) その標本調査の戸数を選ぶ考え方といたしましては、米なら米について一定の目標精度といいますか、精度を一定のところまでは保ちたいという目的からその精度を設定するわけですけれども、その目標精度に対応して全体の戸数が固まってきて約三千戸ということになるわけでございます。それを地域別にどう割り振るかということにつきましては、基本的に米の売り渡し農家の全体の戸数の分布、さらにそういうものに基づきましておおよその地域別の戸数を割り振りまして、さらにその中でさまざまな農家が生産実態に応じて、それをちょうど投影する形で選ばれるように、恣意的ではなくてまさに任意の抽出という形で選んでおります。
#30
○三上隆雄君 例えば青森県に何再来ていますか。自分のことを聞いたら一番いいかな。
#31
○説明員(須田洵君) 昨年の場合でございますとたしか八十八がそのぐらいだと思います。百戸足らずというような感じでございます。
#32
○三上隆雄君 それは大体継続的に調査されていますか。その年、年度年度で常に変わるんですか。
#33
○説明員(須田洵君) 継続されている農家もあろうかと思いますけれども、一応毎年標本設定いたしまして、それに応じて変化するということもございます。両面ございます。
#34
○三上隆雄君 これは生産費の動向を調査するわけだから、やっぱり継続的に調査しないと、それは基本主体の農家のこれが毎回同じとは言えないですね。青森県、例えば八十戸にしても、これはやめる農家もあるし、あるいは経営に変動を来す農家もあるから同一とはいかないにしても、基本的には継続の調査農家を指定してやらないと、そしてまたその農家の動向をしんしゃくしながら結果を調整、調整と言っちゃこれは調査の目的に影響を来すからだめですけれども、そういう方法をとらなきゃだめだと思うんです。どうぞひとつ今お答えください。
#35
○説明員(須田洵君) 先ほどちょっと言葉不足でございましたけれども、今、三上委員がおっしゃったように、やっぱりある程度の継続性は必要だろうということで、大体センサスが五年刻みでありますから、農業センサスというものが母集団の対象になりますので、それをもとにして五年ごとぐらいに標本がえをしていく、ですから大筋は継続はしていくわけでございます。しかし、調査農家によりまして、もう自分は農家はやめてほかのことをやるとか、そういうこともあり得ますから、いろんなそういう農家の意向なども聞きながら調査戸数をつなげていく、こういう形をとっております。
#36
○三上隆雄君 前にも聞いたことがありますけれども、実際そういう農家の実態を我々も知りたいわけですよ。実際に信憑性のある調査をしているとすれば、調査のこれはもちろん秘密性というのも保たなきゃならぬけれども、調査農家で発表してもいいという農家があれば、それはその人のための守秘義務でしょう、調査のための守秘義務じゃないでしょう。ですから、そういう農家があったら、ひとつ我々に教えてくださいよ。どういったって、生産費が下がっていくということは我々は実感として考えられないんですよ。
 それから、これは最後の方の問題も若干出てきますけれども、よく農水省が新農政の中で、法人化して、そして経営を合理化して、他産業に劣らないような時間と経済のゆとりを与えるという、そういう構想を打ち出していますけれども、私は、今の生産現場からいって、八時間労働で、週休二日で、そして他産業並みの生産性を期待するということ自体無理だと思うんですけれども、今のような米価でそれができると思いますか。これはどなたか。
#37
○政府委員(森元光保君) 先ほども申し上げましたように、米価政策におきましては、生産者、さらにまた消費者、お互いに理解をいただけるような価格を決めていくということは非常に大切なことでございますし、そのためには、先ほどから申し上げておりますように、規模の拡大を通じて生産性を上げながらコスト削減を図っていく、それによって消費者の理解を得ていくということも非常に大事なことであるわけでございまして、これからの稲作経営につきましても、そういつた生産の組織化でありますとかあるいは集団化、あるいは利用権を集積いたしました生産組織というものを通じまして、規模の拡大のメリットというものが出てくるような経営というものを志向していかなければならないのではないかというふうに考えておるわけでございまして、農業経営につきましては、先生も御案内のように、稲作単作である場合もございますけれども、複合経営で経営の規模を拡大しているという場合もあるわけでございますので、そういったいわゆる基本的な考え方の中で、農家といたしましても所得の向上を図っていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#38
○三上隆雄君 規模拡大のメリットが出るような、よくそういう言い芳しますけれども、規模拡大をして、そういう一般他産業と同じような仕事の条件で、給与も他産業並みに与えるとすれば私はもっと生産費が高くなると思うんだよ。私も、実際経営して、二十町歩の集団の組合長もやってきて、個別農家よりははるかに生産性が高いこともわかっていますよ。それは、今ですらまだ五千円、六千円、オペレーターでもせいぜい七千円か八千円の、朝の五時から夕方七時ぐらいまでやったオペレーターでも一万円足らずの賃金でやっているから、集団化することによって生産性が高まる、米の生産性からいけばですよ、そこの労働生産性からいったらだめだけれども。そういう実態がわかるから、他産業並みにかけていったら米価というのはもっと高くなきゃならないという、これは感覚的なものだけれども、それほど合理化できない。完全に、政府が今構想するような、そういう規模とそういう形態のものが単年度でできれば、今のままの米価の、あるいはいろんな農産物の価格レベルでいいと思うけれども、今現実に農家の減少が続いているわけでありますから、少なくとも今五年か十年ぐらいで農村から若者がいなくなる状況が出てしまったわけでありますから、今直ちに注射のように効果を出そうとすれば価格で補ってやらないと私はできないと思う。ですから、その意味で、今回、何としても農協の要求米価を、その最低の方の要求米価に若干のかさ上げをして決定されることをお願いしたいと思います。
 それから米価審議会の形骸化がいろいろ批判されますけれども、これはどう考えていますか。実は、きょうのこの委員会をお願いしたのも私の発言が相当なウエートを占めたかもわかりません。今までは本米審の前に衆議院と参議院とを両方一緒にやって、大臣が行ったり来たり、次長が向こうへ行ったりこっちへ来たりという、いわば諮問と答申とを一緒に出されて審議して、まあまあやむを得ぬということで決められてきた、次の年がそのときの審議の実態が何も行かされないで、その継続でだんだん米価が据え置かれて十五年前の米価に置き去られてきたという実態があるわけであります。
 そこで、米審のあり方、そして委員の構成についてどのような考えを持っているか、お答えをいただきたいと思います。
#39
○政府委員(森元光保君) 米価審議会につきましては、委員の構成につきまして、生産者側が五名、それから消費者側が五名、中立委員と言っておりますけれども、中立の方が十五名ということで二十五名をもって構成をされておるわけでございます。
 ただいま先生から米審の形骸化というお話があったわけでございますけれども、私どもといたしましては、生産者米麦価あるいは政府売り渡しの米麦価の決定に当たりましては、その都度諮問をいたしまして、大変米価審議会では御熱心に、また幅広く御議論をしていただいております。そしてまた政府といたしましても、米価審議会の答申をいただきまして、これを踏まえまして適正に米価を決定してきているわけでございまして、米価審議会が形骸化しているという御意見があるようでございますけれども、我々といたしましてはそういう意見は当たらないというふうに考えております。
 なお、米価審議会の運営につきましても、米価審議会からの申し入れの趣旨を踏まえまして改善をして対応してきているということでございますので、御理解をいただきたいというふうに思います。
#40
○三上隆雄君 米審の形骸化と言われた時期は、もはや裏で内容も価格も決定してしまって、そして形式的に米審に諮問したという一時期もありたから、その時期に米審の形骸化が特に言われたわけでありますけれども、今の状況が理想的に運営されて審議されているというのであれば私は審議会というものを継続してもいいと、そう思うわけでありますけれども、どうぞひとつ来年度から、ことしは終盤国会でいろいろ混乱していましたけれども、国会と審議会と並行してやれるような方向を我々議会人としても考えなきゃならぬし、政府としても審議会の理想的な運営をできるように希望しておきたいと思います。
 それから、米の政府持ち越しの量が大分逼迫しているという状況が聞かされておりますけれども、今現在自主流通米が七〇%を占めているわけであります。そして三年前ですか、平成元年から自主流通米の売場が形成されまして、それによってその七〇%の自主流通米価格というのがいわば政府の決定、政府米と若干の連動を見ながら決められてきているというのが実態だと思いますけれども、その売場の状況はどうなっていますか。
#41
○政府委員(森元光保君) 価格形成の場につきましては、昨年も本委員会でいろいろ御議論があったわけでございますけれども、平成二年の十月に取引を開始いたしまして以来、三年産米の入札取引につきましても、去る五月の二十日に大阪取引所で無事取引を終了したということになっております。
 これまでの入札取引の動向につきまして申し上げますと、平成二年産米につきましては作柄が、作況が一〇三という状況にございましたので、こういった作柄を反映いたしまして全体では一・六%値下がりをするという状況にございました。特徴といたしましてはやや過剰感の見られましたササニシキでありますとか、あるいは一部の県のコシヒカリが値下がりをいたしましたけれども、各産地の創意・工夫によりまして最近新しく開発されました品種、例えば青森のむつほまれでありますとか、あるいは北海道のきらら三九七、こういった新しい銘柄のものにつきましては値上がりをしたという状況になっております。
 また、平成三年産米につきましては新しく早期米の入札を実施するということで、初めて年間を通じまして自主流通米の値決めを入札によって決めるということにさせていただいたわけでございます。早期米につきましては、先生も御案内のように、早期米としての一つの特徴がございますので、これを受け渡し時期を二期に分けました。早いものは八月十日まで受け渡しをする、それから八月十一日から八月三十一日に受け渡しをするということで二つに分けて入札をしたわけでございますが、その結果、早いものにつきましては昨年よりも値上がりしておりますけれども、遅いものにつきましては値下がりをするということで、かなり鮮明に評価が分かれてきているというような状況になってございます。
 また通年玉、これは年間を通じまして取引をするお米でございますけれども、平成三年産米が十一年ぶりの不作、作柄が、作況が九五ということになっておりますが、そういったことを反映いたしまして一比較的割安で品薄感のある旧Bランク銘柄、これを中心にいたしましてことしは値上がりをいたしております。全体といたしますと四・五%値上がりをしたというような状況に相なっておるわけでございます。
#42
○三上隆雄君 ここでその若干の傾向の流れを見ると、今までは銘柄米は絶対的な価格を維持してきたわけですけれども、政府米と余り違わないという実態が出てきた。これは確かに需給が逼迫しているという、そういう関係もあると思いますけれども、現実には余り品質に格差がないということなんですよね。そして若干その炊き方や加工の仕方あるいは宣伝の仕方で米というものは流通に相当な波のあるということも考えられるわけであります。
 そういう意味で、私は政府米をこれ以上減らしてはならない、こう思うわけでありますけれども、需給の見通しはどうなっていますか。きょう出された資料には平成三年産の米穀年度の端境期では百何万トンでしたか、その辺の状況はどうなっていますか。
#43
○政府委員(森元光保君) 需給見通しにつきましては、実は三月末に策定をいたしました基本計画でお示しをしておるわけでございますが、平成四米穀年度につきまして申し上げますと、昨年の十月末に持ち越しいたしました政府米が九十四万トン、それから自主流通米等が十四万トンございまして、百八万トンの持ち越しをしたわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、三年産は九五という不作でございましたので、集荷量等がかなり減少するという状況になったわけでございますけれども、持ち越し米が百八万トンございましたので、特に量的な需給の面から申し上げますと支障はない。今年の十月末で持ち越します予定の米穀が大体政府米で二十五ないし三十五、それから自主流通米等で十万トン程度、このような見通しを持っておりまして、今のところ大体こういった推移で、もちろん今後の需給動向等も若干ありますけれども、推移をしていくのではないかということで量的な心配は全くない、こういうふうに思っております。
#44
○三上隆雄君 この資料からいきますと、平成五米穀年度の最終持ち越し量というのが百万トンから百十万トン。この基礎になっている耕作面積というか、いわゆる転作面積と関連した十三万ヘクタールの転作緩和によって、まだ十万ヘクタールぐらいしか復旧されていないという実態からいって、この持ち越し量というのが可能なんですか。
#45
○政府委員(森元光保君) 結局、ことし生産される米につきましては主として来米穀年度の需給操作の中で対応してまいるわけでございまして、先ほど私申し上げましたのは、今米穀年度、四年米穀年度の状況でございます。持ち越し在庫が、お話しいたしましたように三十ないし四十万トン程度ということが見通されましたので、四年産につきましては、先生から今お話がございましたように、十三万ヘクタールの転作緩和をさせていただきました。量的に申し上げますと、六十五万トン程度の生産の増を図る措置を講じていただいたわけでございまして、そういう状況の中で考えますと、もちろん今後のこの十三万ヘクタールの転作面積の緩和がどのように稲作の回復につながっていくかということもあろうかと思いますけれども、また作柄等もございますけれども、私どもといたしましては、ほぼこれに近い持ち越し在庫、これを期待しておるわけでございます。
#46
○三上隆雄君 もう一度確認しますけれども、平成四年産の供給量が千八十万トンから千九十万トンと見込んでいますけれども、これは十三万ヘクタールを全部耕作したという前提ですか、それとも現状の復旧率の試算ですか。
#47
○政府委員(森元光保君) 平成四年産生産量千五十万トンにつきましては、十三万ヘクタールの転作緩和が行われたという状況の中で生産量を推計しております。もちろん、これは作柄がどういうふうに動くかわかりませんので、一応平年作という前提で数字を置かせていただいておるわけでございます。
#48
○三上隆雄君 そうすれば、十三万ヘクタールが十万ヘクタール弱という転作率、そして、若干の作況指数が一〇〇以下になった場合は、この百万トン、百十万トンというのは見込めないという見方でいいわけですね。
#49
○政府委員(森元光保君) 先ほども申し上げましたように、水稲作付面積がどの程度いわゆみ緩和面積として稲作の生産に結びついているかという問題もございますけれども、私の方といたしましては、少なくとも六十五万トンの生産増の計画に対しまして、五十万トンは平年作であれば十分生産が回復されるというふうに見込んでおりますので、この百万トンないし百十万トン、これに近い在庫につきましては持ち越しかできるのではないか。もちろん、これは今後の、先生も御案内のように、七月、八月の気象条件というのが作柄に非常に大きな影響を及ぼすということもございますので、そういったことも十分見きわめた上でないと、ここではっきりとした確たる見通しを申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういうふうな考え方でこの数字を整理させていただいているということでございます。
#50
○三上隆雄君 それでは、時間も大分経過しましたから、次の問題に入りたいと思います。
 私は、いつも食管というものは、日本の生産者の立場に立っても、むしろ消費者の立場で食管というものは守っていかなきゃならぬ、こう思うわけであります。言うまでもなく、食管制度というものは生産者の所得を保障して、できれば再生産も保障する。そして、消費者には低廉で安定的に供給するという建前の食管法であります。そしてまた、いま一つ大きな機能をなしているのは、生産調整によって、いわば安定的に国民に供給するというその三つの大きな目的があると思うわけであります。
 そこで、その食管にかかわる食管予算というのは三千四百億円でございますけれども、今回の転作奨励金一千三百五十一億円を引きますと、米そのものに対するいわゆる財政負担というものは二千億という、大まかに言ってですよ。二千億といったら国民一人当たりどのぐらいの財政負担していると思いますか。その点についてお答えいただきたいと思います。
#51
○政府委員(森元光保君) 平成四年度の予算におきます一般会計からの繰入額は、今、先生お話がありましたように、約二千七十億円でございます。これを国民一人当たりの負担額ということで計算いたしますと、これは総務庁の統計局の推計人口を用いまして計算をいたしますと、人口が、三年の十月一日でございますが、一億二千四百万ということでございます。これを前提といたしまして計算をいたしますと千六百七十円程度ということになろうかというふうに思います。
#52
○三上隆雄君 食管会計に大変な負担を及ぼすという批判が確かに国民の側に、あるいは一部の側にありますけれども、国民一人当たり千六百七十円というのは何も高い負担ではない。しかも、もしこれが食管がなくなった場合は恐らく生産者は一万円で売らなきゃならぬと思うんです。逆に消費者は、一般の物価の流れからいって、自由流通の流れからいけば、少なくとも、三倍はいかないにしても、米だって二・五倍ぐらいに私はなると思う。あるいは二倍になったとすれば、今よりはるかに高い米を消費者が買わなきゃならないという実態が出てくるわけでありますから、このことを十分踏まえまして、食管を将来とも守っていただくようにお願いを申し上げたい、こう思います。
 それから、この食管に対する大きな問題が全国あちこちで起こっていますけれども、昨年の秋、コシヒカリ事件というものが起きていまして、不正規流通問題が多発しているというのが現状でございます。それに対する政府の対応はどうなっているのか。そしてまた、今回富山県の川崎商店という無許可の販売に対する告発問題が起きておりますけれども、それに対する政府の対応はいかになっていますか。
#53
○政府委員(森元光保君) 大変残念なことでございましたけれども、昨年にせコシヒカリ事件、今、先生御指摘がございましたいわゆる川崎商店事件、さらにひとめぼれ事件、一連の不正規流通事件が発生をいたしたわけでございまして、食糧管理制度の信頼という点から見ますと大変遺憾なことではなかったかというふうに思っております。
 私ども、不正規流通に関与いたしましたいわゆる指定業者、集荷業者あるいは許可業者、卸・小売業者でございますが、こういった指定許可業者に対しましては、関係都道府県と協力をいたしまして事実関係を確認いたしまして、食管法の規定に基づき、不正関与の程度に応じまして所要の行政措置を講じてきておるわけでございます。
 行政措置につきましては、この三事件のうち、ひとめぼれ事件あるいはいわゆる川崎商店事件につきましては一応行政措置は終了いたしておりました。ただ、にせコシヒカリ事件につきましては非常に広範囲に及んでいるということもございまして、まだ一部現在行政措置を実施しているものもございますし、またさらに調査を確認しているというのもあるわけでございまして、四十三都道府県に百八十五業者が関与しておった。これをそれぞれの不正規の関与の程度に応じまして、業務停止でございますとか業務改善措置命令等の措置を講じたわけでございます。
#54
○三上隆雄君 こういう悪徳業者については厳重に対処されるようにお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、食管について生産者の側に対して私は一言申し上げたいわけでありますけれども、昨年度、八郎潟で不正規流通をして食管法違反をしている実態もあるわけでありますけれども、私ども今まで何十年来自由品目をつくってきて、食管がなくなったときの販売の苦労ということを考えたときに、今、統制の中で一部の者が自由に売るというから、自由に売ることのメリットがそのまま全額みずからに返ってくるけれども、これが全部自由流通になったときに、果たして今の米価の状況が生産者あるいは消費者に還元できるかというと、私はできないと思うんです。その意味で、世界に冠たる食管制度だと私は思っているわけでありますから、どうぞそれに対して政府も毅然とした態度ですべてに対処していただきたいと思うんです。
 最後に、大臣、今回の私の質問を受けて、米価とそしてまた食管を守るための御決意をいただき、実は新農政に対する質問も準備したわけでありますけれども、それは後ほど大先輩の菅野先生が触れると思いますから、以上を申し上げて、大臣からの御決意をいただきたいと思います。
#55
○国務大臣(田名部匡省君) 先ほどお答えしたことに尽きるわけでありますが、いずれにしても再生産を確保できるようにしていかなきゃならぬ、こう思っております。
 きょう前広米審で、周辺の対策といいますか、そういうものを説明申し上げて、いろんな角度から、生産者、消費者、こうした方々の意見が出るわけでありまして、そういうものを十分御意見を伺いながら適正に決定していきたい、こう考えております。
#56
○猪熊重二君 私は、きょうは農水省が発表した「新しい食料・農業・農村政策の方向」、いわゆる新農政に関して若干お伺いしたいと思います。
 この新政策の方向については、各界の評価はおおむね内容的には妥当、相当なものであるというふうな評価がなされているだろうと思うんです。例えば、新政策は市場原理を基調とする農政への転換を目指すものであり、創意・工夫による新しい農業経営体の姿を示すものであると、こういうふうなことで内容的には大分各界から評価されていると思うんです。ただ、ほとんどのこれに対する今のような評価の後に続いているのが、内容はいいけれども、実現の方途は不明確であり不確実であって、果たしてこのような目的が実現できるんだろうかというところに不安を抱いている、こういうふうなことが大体一般的な評価だろうと思うんです。
 私は新しい農業経営体というものについてお伺いしたいと思うんです。
 この新政策によると、十年後には他産業並みの所得を上げ得るような組織にしていこうということで、組織を二つ考えている。一つは個別経営体、もう一つは組織経営体ということで、二つの農業経営の主体を考えているようです。個別経営体ないし呼び方によっては家族経営体とも言っているらしいんですが、これを十五万戸ぐらいつくろう、そしてこのような個別経営体の経営規模としては十ないし二十ヘクタールの規模にしていこうと。他方、組織経営体の方については二万組織にして、その経営規模は三十ないし五十ヘクタールの規模にしていこう、このようなことが書かれているわけです。
 そこでお伺いしたいのは、個別経営体ないし家族経営体十五万戸という数字はともかくとして、これの経営規模が十ないし二十ヘクタールというふうな規模面積にまで拡大するということがどういうふうにして十年後に実現できるんだろうか、十年後に実現できるための具体的な方策はどんなことを考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
#57
○政府委員(海野研一君) この十ないし二十ヘクタールの経営体をつくるといっても、あるところに急につくるというわけにはもちろんまいらないわけでございます。これまで構造改善は世代交代の機会をとらえてと、こう申してまいりましたけれども、今まさに高齢農家が引退をする、後継ぎはいないという事態があっちでもこっちでも起きているわけでございます。したがって、これをだれかがまとめてやっていかなければ、これは耕作放棄になってしまうわけでございます。そういう意味で、人の分まで拾ってやっていこうというからには、他産業並みの所得の上げられるそういう経営体でなければいけないであろうということでございます。あくまでもその手段というのは、これは特別な手段があるわけではございません。いわゆる集落の話し合いを中心とした農用地利用増進事業等で、今後大きくなっていく人に年をとって引退する人の土地を集めていくということ、集め方として、貸借の場合もありましょうし、作業の受委託というような形の場合もあろうかと思いますが、そういうことで集積をしていくわけでございます。
 ただ、十ないし二十ヘクタールの規模というのは、あくまでもこれは土地がある程度集団化をして使えるということが前提になっております。現在の分散錯圃の状態の中で、だれかがやめたもの、飛び地であった場合に直ちに後の人がやれないというようなケースもあるわけでございまして、そのような場合、農地保有合理化促進事業などでつないでおきまして、さらに今度はほかの人が引退をするときにうまく交換分合して集団化を図るとか、ちょうどその間に圃場整備事業が行われるとかいうような格好で、今後大きくなっていく人に連担した形で土地を集積していくというようなことの積み重ねを通じて実現を図りたいというふうに考えております。
#58
○猪熊重二君 私は、十年後にこういうふうにするというから、何かうまい方法をいろいろ考えて、具体的な方策があるかと思ったんですよ。
 というのは、結局、規模拡大というのは、先ほど三上先生がいろいろ米価のことをお話しになりましたけれども、生産性の問題、したがって価格の問題、あるいは後継者問題を含めて、要するに規模拡大というのが今までの二十年一三十年、四十年にわたる農政の根本でしょう。それで成果が上がっていないわけですよ。具体的な数字はこの資料にも書いてありますけれども、具体的にはほとんど規模拡大というりができていない。しかも、一年や三年でできないんじゃなくて、二十年、三十年かかってできていないわけです。
 例えば、今回いただいた関係資料にも、水稲、要するに水虫について言えば、二戸当たりの面積は昭和三十五年は五十八・七アール、平成三年で六十八・三アール、昭和三十五年から平成三年までの間、三十年近くかかってどのくらい規模が平均的に言ってふえたかというと、一・二%という数字が出ているじゃないですか。三十年近くかかって一・二%しか規模拡大ができていない。それが今度十年後になったら急にやれ十ヘクタールだ二十ヘクタールだなんてえらい大規模になるということのためには、今おっしゃったようなことだけじゃほとんど今までと変わりがないということになると、十年たったって〇・何%規模拡大されたという程度で、十ないし二十ヘクタールなんというところには到底いかないと思うんですけれども、それはうまい方法があるかどうか知らぬけれども、その辺もう少し何か考えて、せっかく新農政十年計画みたいなことをおっしゃるんですから、もう少し何かあるんじゃないですか、どうですか。
#59
○政府委員(海野研一君) 今の十ないし二十ヘクタールという話と平均の話となかなかこれうまく突合しないわけでございまして、私も決して十年後に平均が十ないし二十ヘクタールにいくなどとは到底思っておりません。やはりどうしても小さな形での兼業農家というものは存在するわけでございまして、数としてはその方が多いだろうと思いますが、平均すればはるかに小さなものになるだろうというふうに思います。
 ただ、今まで三十年かかって規模拡大が実現しなかった背景には、世代が交代をしても息子が後を継ぐというような形での世代交代がこれまで行われてきたわけでございます。それが今や親の後を継ぐというような気分が日本全体でなくなってまいりました。そういう意味で親が引退をしたときに後をだれも何といいますか、後継者がいないというような土地が非常に大きく出てきたというのがまさにこれからそういう大きな経営体をつくっていく土壌の一つだろうと思っております。もちろん手段としてまさに目覚ましい手段はございません。あくまでも中心は集落の話し合いでございます。
 ただ、幾つかの何といいますか、それを妨げているような要素があるとか、何かそれが円滑にいかないというようなことがあるとすれば、制度上の問題なりいろんな推進事業の仕組みの問題なりそういうものについてはいろいろな改善を加えてまいりたいというふうに思っております。しかし、あくまでも基本は高齢になって引退する農家の土地を集落の話し合いで大きくなっていく人にできるだけまとめて集めていくというようなことでございます。
#60
○猪熊重二君 何か今のお話を聞いていると、その次の組織経営体とはどういうもので、これを三十ないし五十ヘクタールにする方策はどうなのかというようなことを聞こうと思ったけれども、聞く意欲がなくなってしまった。何か今言うようなことじゃ個別経営体が十ないし二十ヘクタールなんというのはほとんど実現の可能性がない。いわんや組織経営体なんというのは、二万組織をつくって、それが三十ないし五十ヘクタールというふうなこともほとんど具体的な実現のための方策がない。
 ただ、私がこれを非常に重要なことだと思うのは、そういうことをすることが本当に日本の農家が、特に稲作農家ならば稲作農家あるいは農業が国際社会の中において生き残っていくための唯一の方策だと思うから申し上げているんです。ところが、これに対して具体的な方策がなくて、何か世代交代が云々なんという程度の話じゃほとんどうまくいかないんじゃないでしょうか。
 そうすると、時間がありませんので、もう今までずっと二十年、三十年やってきて規模拡大ができないということであるならば、法人による経営というふうなことについて検討してみる余地があるんではなかろうか。その法人というのは、農業生産法人というふうな意味でなくして、農地法なり関係諸法規を相当程度抜本的に変えなきゃならぬけれども、いわゆる営利法人的な法人経営による農業というふうなものについても考えないと、今、局長がおっしゃったようなことじゃ、三十年続いてきたことがあと十年また続くだけであって、ほとんど具体的な変化が見えないんじゃないか。そうすれば、新しい方策として今のようなことを考えてみる余地は十分にあるんじゃなかろうかと思いますが、この点についてはいかがですか。
#61
○国務大臣(田名部匡省君) この問題については検討ということになっておりますが、一番心配されておるのは、株式会社にしたときに土地が投機に使われたり、資産の保有目的で農地を取得するんではないかという意見が多いこともあります。団体等は株式会社は反対ということを表明しておるようでありますが、ただ私は、これは農家の皆さんの選択で行われるわけでありまして、選択肢を広げておいていいのではないか、こう思うんですね。そういう投機とか、土地がぴしゃっと農家の所有でありますから、担保として株式会社が変なぐあいになっても農地は農家のものとして残る方法というものはあるかないか。あるいは人と物と金ということを考える上、物は農家が持っているわけでありますから、問題は人と金をどうするかということが一つあります。
 どういうものが考えられるかというのは、私もはっきりしたものを自分で持って言っているわけではありませんが、例えばブランド物をつくって、そしてその販売をしたいという形態があるとすればコマーシャルをテレビ等で流していけるわけでありますから、そういう資力というものはやっぱり株式会社でなければならぬ。例えば、スーパーでありますとかそういうものが自分の店の何かをつくってやりたいという場合に、そうしたものが果たして可能であろうかどうであろうか。あるいは他産業並みの所得が得られて休みも十分とれる、労働時間も短縮ができるという形態の中でやれるんであればそっちの方がいいと思う人も農家の中にはおるかもしれない。それをあえて最初からだめと言ってしまうのがいいかどうか。あるいは経営管理といいますか、企業的感覚と私はいつも申し上げておりますのは、コスト計算でありますとか、かかる経費、一体どのぐらいでやるか。あるいは無農薬、そうした有機栽培、そうしたものをやって、そして国民に供給できて、それが高いものになるという見通し等が立ってやるという場合に一つの方法ではなかろうかというふうに考えておるわけでありまして、資本の充実、人材の確保、経営の効率化、リスクの分散、いい点もあります。そういう点を生かしながらこれから検討していく必要があるというふうに考えます。
 また、企業的経営を育てていくという観点からは、企業が農地を取得するという形をとらなくても契約栽培ではどうかというのもありまして、いずれにしても農家のニーズを踏まえながらその具体的な方法を検討していいのではないかというふうに考えております。
 最終的には農家の皆さんが嫌だと言えばこのことはできないわ付でありまして、企業の方の都合でやるとか、あるいは国の、私たちの力でどうこうするというものではなくて、自主的に農家の皆さんがその方法がベターだということであれば決して悪いことではないというふうに私は考えております。
#62
○猪熊重二君 今、大臣お話しになったのに関連するんですが、農地の所有と利用ということについて基本的に農水省としてはどう考えているのか。要するに、農地を所有する、それから農地を利用する、このそれぞれの権利関係について基本的にどう考えているか。と申しますのは、この参考資料にも書いてありますけれども、昭和六十年には九万三千ヘクタールが荒廃地なっている。平成二年には十五・一万ヘクタールが荒廃地としてある。要するに、昭和六十年から平成二年までの五年間で一・六倍に荒廃地がふえているんです。規模拡大の方は三十年かかって一・二%だけれども、荒廃地の方は五年間で一・六倍もふえている。おれの土地だからどうしようと勝手だというふうな意味で、土地の所有権がありさえすれば利用しないで放置しておいてもいいのかどうか、こういう問題についてどう考えるのか。
 宅地の場合も、確かに未利用のままある部分があります。しかし、宅地を未利用のままで置くということと、農地を未利用のままで置くということとはやっぱり質が違うと思うんです。宅地の方の未利用の場合は、税金だけうんとかけて税金で取れば、困ったなと思えば利用すりゃいい。農地の方は、税金かけたからといって、税金の問題じゃなくて、農地による農業生産による食料の自給ということが基本にあるわけです。
 そうすると、私は農地の方が宅地よりも社会的な、公共的な利益が多いから、社会的な制約、公共的な制約をより多く受付でもいいだろうと思うんです。要するに、未利用宅地は税金の問題で処理できるけれども、未利用の荒廃農地は銭の問題だけで処理できない。何らかの方策で処理しなきゃならぬ。その辺について大臣、要するに農地の所有と利用ということについて、まあ単なるお考えで結構ですけれども、お伺いして、時間ですから終わります。
#63
○国務大臣(田名部匡省君) なかなか難しい問題だと思います。一番の問題は、親が亡くなって子供たちが相続をする、その子供が都会におるともう農業はしないというのが相当多いわけであります。それからいま一つは、規模が小さくてもうやってもいいしやらなくてもいいしというところがあるわけですね。
 ですから、これからどういうふうにするかは少しこれを詰めていかなきゃなりませんが、いずれもそういうものをやりたいという人のところに集約できる何か方法があればと思っております。どうでもいいから困るんであって、規模が一定規模あるとまさか放置もしておけませんから今度は一生懸命になるといういい面もありますので、やっぱり問題は規模であり、そういうふうにまた誘導するための方策というものを考えなきゃいかぬというふうには考えております。
#64
○林紀子君 私も、農水省がさきにまとめました「新しい食料・農業・農村政策の方向」、いわゆる新政策の問題と米価との問題について大臣にお伺いしたいと思います。
 この新政策の中では大変な問題が示されているのではないかと思うわけですが、「望ましい稲作経営の展望」、いただきました文書で十三ページに書かれておりますが、経営規模は個別経営体では十ヘクタールから二十ヘクタール程度に拡大すること、こういうことを明らかにしているわけです。
 私は今広島県に住んでおりますが、例えば中・四国農政局管内、大変ここは平場が少なくて中山間地が圧倒的なところですけれども、この新政策で言われているような十ヘクタールから二十ヘクタールもの大規模な経営の農家というのが現在どのくらいあるのかお聞きいたしましたところ、農水省のお答えでは九十戸にすぎないということを教えていただきました。全国でも今一万一千戸、こういう数だということです。
 この米価の決定につきましても、先ほど諮問の説明をしていただきました。全国の各農業地域の平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家の生産費を基礎としてこれを算定するという御説明がありました。もう既に現在でも、米価決定に当たりましては、大きな農家、そこに標準を定めて決定をしているということですけれども、いよいよこの新政策では大規模な農家しか相手にしないのだということを宣言したのではないかと思うわけですね。
 この経営の効率的規模の基準に合致しない農家、この基準には稲作専業農家五万戸に複合経営を含めた農家十五万戸にするということですけれども、合わせましても二十万戸、今稲作農家二百五十七万戸というふうに聞いておりますけれども、そうしますと、二百五十七万マイナス二十万戸、その残された農家というのは最初から切り捨ての対象ということになっているんではないかと思います。その辺、ぜひ農水大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
#65
○国務大臣(田名部匡省君) 全体を見てとらえていただきたいと思うんですが、何かそこだけを見ると大きいものだけをやってあとは切り捨てるのかと。決してそういうことではないのでありまして、望ましい方向としてはこの程度の規模がなければ、あるいは農業を職業として選択しても魅力がないとか、いろいろ出てまいります。また、他産業並みの労働時間でありますとか、生涯の所得はこうだとかということを、これはいろんなうまくやっている人たちのこと等を調査して、こういうやり方ならばもう十分こうしていけるということを示したと。
 しかし、地域の実情に応じてということでありますから、必ずしも全国そうなるかというと、いかないところもあるわけですね。ですから、やれる、可能なところはこうい形態でいくとよくなりますよということをやったわけですね。ですから、小さいところは小さいところでのやり方というのは私はあると思う、どうしてもできないというところは。
 ただ、全体として土地持ち非農家、さっき言ったように、相続はしたが農業は全然関係ないという人たち、あるいは小規模な兼業農家、あるいはお年寄りで生きがいを感じて農業を行うという、そういう農家もあるだろうし、労働力の提供をするあるいは地域の資源の維持管理の面で役割を分担すると。
 ですから、多様に考えて結構だと思う。例えば、苗をつくるのは苗の会社をつくってどんどんつくって供給だけをする、あるいは耕作する人は耕作をやってあげるとか。ですから、いろんなまぜ合わせでやればいいんであって、小さいところは小さいなりにまた、田んぼの中にある小さいのは困るので、それはもう何としてもひとつ連担化して一緒に大きな規模にしてもらわぬとならぬわけですが、畑の中にある小さな田んぼ、そういうものはもっと収益の上がる何かに変わっていくとかいろいろ、これは私たちの考えではなくて、農家自身が一体どうあるべきかということを私どもはお手伝いをするという立場であります。
 また、農協と一緒になって進める、そういう意欲があればそういう努力もしてあげるということを考えておるわけでありまして、いずれにしても望ましい経営体を育てていく、そのために具体的な施策を実施していきたいというふうに考えております。
#66
○林紀子君 私は、新政策に関してもう一点本当はお伺いしたいと思いましたけれども、非常に限られた時間ですので、今回の米価の問題をぜひ申し上げておかなければいけませんので、これをお伺いしたいと思います。
 生産者米価、全中の試算によりましても、買い入れ価格は再生産に最低必要な金額、一万七千六百二十四円、これも下回っている。ぜひこれだけはということを言っておりますし、この試算では二万一千二百八十六円という、こういう数字も挙げまして引き上げも要求しているわけです。六十キロ当たり二万一千円以上に引き上げるということが今回どうしても必要ではないかと思います。ようやく今自主流通米のメリットを加えることによって補われているという状況だと思いますので、この二万一千円以上ということを強く要求したいと思います。
 それからもう一つ、予約概算金制度、これを維持してほしいということをぜひ申し上げたいと思います。財政当局の方からは、政府買い入れをしない自主流通米に対する概算金については支払いの根拠がないなどと言われているようですけれども、農家では、政府米、自主流通米、区別して申し込みをしているわけではないわけですね。また、予約達成率、今非常に低下をしている中で、もしこれが廃止されましたら、予約制の運営そのものが困難になるのではないかと思います。そして、不正規流通をますます助長する、こういうことになると思いますので、予約概算金制度はあくまでも維持してほしいということを申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
#67
○国務大臣(田名部匡省君) どこで線を引くかというのは非常に難しいところなんですね。一俵でも供出すると、それも計算に算定してやると大変なべらぼうなコストになっちゃう。そうかといって、そこの上の方で切ると切り捨てかと、こういうことになって、何せ規模が一定でない、工場でつくるものと違ってなかなか難しいところがあるんです。ですから、その線はどこかと。この間も米審で、前回の三年前ですか、やっていただいて、一・五ヘクタール以上と、これは生産者も入って十回も実は検討してそういうふうに決めたんですけれども、結局日の目を見ることなく今の地域方式ということになったんですね。ですから、それは難しいことでありますが、生産費あるいは物価、経済事情を参酌して米審にお願いしておりますので、いずれにしても現段階ではデータが出ておりませんのでお答え申し上げるわけにいきませんが、米審の御意見を伺って適正に決定してまいりたい、こう考えております。
 それから、もう一つの予約概算金のことでありますが、適正な集荷の誘導でありますとか夏場における農家の資金繰りの円滑化を図る上で重要な役割を果たしていると私は思っております。ただ、政府買い入れを行わない自主流通米について予約概算金を支払うことは会計制度上問題があるという指摘があるわけですね。ここのところはまだこれからどうするかという検討を進めておるところでありまして、結論を得るにはいま少し時間がかかると思いますが、いずれにしても、どういうことがみんなから納得される方法なのかということ等を踏まえて議論してまいりたい、こう思っております。
#68
○井上哲夫君 私はきょう、三上委員、それから先ほどの猪熊委員の質問に関連して、もう少し各論的なお話で大臣に御見解をいただきたいと思っております。
 つまり、法人化の問題が新政策の中で極めて大きく取り上げられ、それが新聞等で株式会社導入かということで、それはけしからぬとかけしかるとかいう議論になっておる。
 実は、「日本の農業」の百七十八号でも営農集団の法人問題ということで貴重な文献が出ました。まだ熟読玩味まではいっておりませんが、これも私は読ませていただいて、これから、米の農家に限らず今の担い手問題を踏まえるならば、ある程度家族労働を主体とする農家と組織的な力で経営をやっていく農業法人と、これは非常に分析をして両方に政府が力を出していかなきゃならない。これは異論はないと思うんですが、いわゆる農業の生産法人を見ますと、先ほどの林委員は十年間で十ヘクタールないし二十ヘクタールのそういう大規模の家族労働を基本にする農家は十五万戸を目標にしておっても実際には一万一千戸じゃないかと言われましたが、組織体の方でも二万の組織法人を目標にしているといいますが、現在は三千六百九しかないわけですね、資料を見ますと。
 この営農集団の法人化という問題はこのところ横ばいになっていると私は思います、資料を読む限り。どうして横ばいになっているのかということ、これはいろんな分析が専門家でなされていると思うんですが、一つには農事組合法人制度の利点と欠点がある、あるいは有限会社制度で農地法の許される範囲でやっていくというのもなかなか欠点があるというようなことがあります。
 ただ、私はここで一気に法人化を進めないといけないんではないか。それは、株式制度導入というと、この間も私あるところでお話ししたんですが、手形のぱくり業者だって株式会社なんですね。そうすると、世間の人は株の譲渡の自由があるとかいろんなことで株式会社に対する警戒的な気風といいますかそれはもうかなりある。しかしそうなると、有限会社でというと、有限会社という看板を上げることで農家の人も、何か小さな会社とか今にも倒れそうな会社だとか、あるいは何か農家なのに有限会社づくっておかしいんじゃないかとか、そういう心理的な障害になっていることがあるようですね。
 だから私は、例えば有限会社法を、これは法務委員会で質問しないといけないんでしょうけれども、改正して、有限会社でも農業の生産法人が営む有限会社は○農有限会社というふうに表題を使うことを許すとか、これは工夫をして、日本の農業の再興というか担い手確保のためにやらないといけないんじゃないか。もちろん法務委員会では、ばかなことを言うなという意見になろうかと思うんですが、実際には法人、株式会社にしても、有限会社あるいは合名・合資会社にしても、それを表示しなきゃならないというのは商法に書いてあるわけですが、特段の表示を法律で決めればそれはそれで私は可能だと思うんです。
 だから、例えば○農有限会社○○何とかと言えば、それで世間の人も有限会社に対する一つの悪いイメージといいますかマイナスイメージがなくなるかもしれない。あるいは農事組合法人の場合も税制等で非常にいいわけですが、農事組合法人の場合には労働力の確保の面での制約がかなりきついという声があるわけですね。そうしますと、農事組合法人についてももう少し大胆な発想なり考えができないのか。今一号法人、二号法人というふうに農地法でなっておりますが、労働力確保の面とかあるいは組織を維持するために、事業のできる範囲をもう少し拡大するとかいう大胆なことをやれば法人化の誘引策になるんではないか。
 それからもう一点は、先ほど構造改善局長のお話を聞いておりまして私もそう思ったんですが、圃場整備ができない非常に効率の悪い水田、あるいは畑もそうでしょうが、そういうものをかき集めて農事組合法人をつくるというのはなかなか現実には至難だし、無理につくってもやはりパンクしてしまう。そういう場合に、圃場整備と実は組合をつくるということをセットにしまして、そして集落でそういう将来復円できないような中山間地域では圃場整備をモデル的にやりましょう、そのかわりに法人化を一定の制限をつけてやりなさい、それによって農事組合法人の推進を図る、こういうふうな工夫ができないものだろうか。
 そういうことで、前置きが長くなりましたが、法人化の問題について、今、大臣のお話を聞いておりまして、農家に選択肢を広げる意味では株式会社というものもそんなに頭から排除しなくてもいいんじゃないかというお話を伺いまして、私はそれは異論はありませんが、もう少し細かいところでも何か知恵なり工夫をしていただきたいという観点からお願いをいたしたいと思います。
#69
○政府委員(海野研一君) 農業生産法人、これは昭和三十六年でしたか、制度ができましてから四十年代後半にかけて設立されまして、その後横ばい、最近はやや増加というようなことでございます。
 これは当初の考え方といたしましては、いわゆる基本法で言います自立経営の育成と協業の助長ということで、自立経営という方向を目指して家族経営でいくか協業経営をやっていくか、これはどちらにするかは全く地域の選択というようなことで、協業経営をやっていく場合のいわば法人形態として農業生産法人というものを用意したということでございまして、全くっくるかつくらないかは好きにしてくれというようなことであったわけでございます。
 ただ、御指摘のように、今のいろんな状況を見ますと、家族経営につきましても、何と申しますか、いわば経営自体の経営管理面をしっかりしていくというためには二戸一法人であっても法人にした方がいいというような面もございます。
 それから、いわゆる協業経営でない協業組織、例えば今おっしゃった圃場整備をやったのを機会に、多くは集落営農というような格好で呼ばれていると思いますが、圃場整備を機会にその集落総出で一つの形態のごとくに作業をやっていくというような格好が出てきたり、また、協業体のいわゆる生産組織と言っております作業を共同していくのが、単に機械を持ってみんなが労働力を出し合ってやるというよりは、むしろそこでオペレーターを雇っていわば請負の形でかわって作業をやるような、何といいますか、法人格を持った方が便利なような、そういうような形態もいろいろできてきておりますので、ある程度しっかりした組織になったものについては、そういうものについても法人化というのを考えていいんではないかというようなことから今度の……
#70
○井上哲夫君 済みません。大臣にも答えていただきたいもので、時間が。
#71
○政府委員(海野研一君) はい。そういう格好でいろいろ法人化というものを今回進めようということで、したがって法人の仕組み自体も弾力化をするとかいうようなこと、さらに金融・税制面等の支援措置等も準備をしているというところでございます。
#72
○国務大臣(田名部匡省君) お話を伺って、私も全くそのとおりだと思っております。
 現に、私の友人で、養鶏でありますとかホテルだとかいろんなことをやって、えさ等、畑でいろんなのをつくって、企業秘密ですから出さないんですね、どういうものをどういうふうにまぜ合わせて食わせているか。農地を持てないものですから今借りてやっています。そういうのを見て、卵というのはもう御案内のように何十年もむしろ下がっているぐらいで値上がりしていない。しかし、一向にこれつぶれたとかなんとかというのはない。中にはあります。それは経営の仕方だと思うんです。
 そういう人を見ていると、今申し上げたように、経理面とか管理面、あるいは分散したものを交渉するとかというものを全部農家の人にやっていただくとなると、なかなかなれておりませんし、これからの若い人たちは相当学校へ入って勉強していますから私はできていくんだろうと思うんですけれども、当面一体どういう方向でこれをやるか。何かひな形でもつくって、こういうふうにやればこうだというものを見せないと、これもまたやってみてもなかなか成功しないんであろうという私は気がするんです。ですから、あと資金でも何でも投入してやっていく、だめなときは損金で落とせる、もうかったときは配当する、何かそういうことでもう少し踏み込んでやれぬだろうかという気持ちは私もあります。
 ですから、いろいろ誘導策もあると思うんです。例えば適当規模に区画整理をやって、圃場整備をやってやるという場合には、負担金はこうしてあげるとか、あるいは減反はもうしないとか、いろんな方法というのはあると思う。しかし、それをやった場合にそうでない方が何だけしからぬというようになると、これもなかなか進めませんけれども、意欲を持ってやろうという人たちにはそれなりのことはあって、税制面とかいろんなことでやっていただくということの方がいいのではないか。経理面もしっかりしできますし、そうなると投資するものともっとむだを省くのはここだというのがわかっできますから、そういう努力をして、どうにもならぬというのがあればまた別途これは考えていかなきゃいかぬけれども、いずれにしてもそういうことを私たちは期待して、これからの本当に日本の農業が生き残っていくためにはこうあらねばならぬというものをお示ししたわけでありますから、今言われた先生の貴重な意見、私どもも十分これから検討するために参考にさせていただきたい、こう考えております。
#73
○喜屋武眞榮君 抽象的な質問になるかと思いますが、お許しを願いたいと思います。
 農水省は、農業政策の基本として、十年後を目標にして、
 個人の意欲を重視し、経営感覚に優れた効率的
 ・安定的な経営体を育成するため、自主性、創
 意・工夫の発揮と自己責任の確立に向けて、生
 産・流通段階において規制と保護のあり方を見
 直し、市場原理・競争条件の一層の導入を図る
 政策体系に転換していくことが必要である。
と述べておられますが、そこで、この中に食管制の見直しということも考慮に入れておられるのであるか。食管制の見直しですね、視野に入れたものであるかどうか、お尋ねしたい。もしそうであるとするならば、その食管制の見直しはいつまでに、どのような形で見直していくのであるか、この点もお聞きできたらと思っております。
#74
○政府委員(森元光保君) 食管制度につきましては、先生も御案内のように、国民の主食であります米を政府が責任を持って安定的に供給するということで生産から消費に至る流通ルートを特定しておるわけでございます。これまでも販売業者の新規参入の促進でありますとか、あるいは業務区域の拡大、さらには自主流通米の価格形成の場の設立、また特別栽培米制度の導入等、その改善に努めてきておるわけでございます。
 今回、方向が示されました「新しい食料・農業・農村政策の方向」につきましては、今の食糧管理制度について生産者の売り渡し義務を課しているというような点もございまして、いわゆる販売制限は生産者に対して創意・工夫の余地をなくし、そして担い手の育成を阻害しているんではないかといった問題とかあるいは不正規流通の問題が生じているというような話もございますし、また消費者ニーズに十分対応できないではないかというような問題意識もございますので、そういった問題意識のもとに、食糧管理制度の果たす政府の役割あるいは機能というものは、これは維持しながら、今、先生のお話がありましたように、市場原理あるいは競争条件の一層の導入を進めていくということで、いわゆる公的関与のあり方を見直し検討していくということにしておるわけでございます。
 このために、生産者の創意と工夫が発揮されるように、それによって生産の活性化が図られるということも必要でございますし、また消費者ニーズにより的確に対応していくということで、産直ルートの拡充等によりますところの経営体の販売方法の多様化、それから自主流通米の価格形成機構、これを拡充していきたいということで、地区別の上場等によりましてその役割なり機能というものを充実強化をしていく。さらに、許可制度など米流通に係る現行の基本的枠組みというのは、これは維持した上で、流通業者に係る規制の緩和でありますとか、あるいは販売業者の経営基盤の強化というものを逐次図ってまいりたい、かように考えているわけでございます。
#75
○喜屋武眞榮君 次は大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、この「新しい食料・農業・農村政策の方向」、これにばっと目を通しますと次のことが大変気になります。「地域における独自の価値観や伝統・文化の中で育まれてきた。」「個性ある多様な地域社会を発展させること」、それから「地域の自主性や創意・工夫を活かしていく必要がある。」と力説をされております。この項目に該当する最も個性ある地域の一つは、何と申しましても日本における亜熱帯地域といえば沖縄だけであるわけでありますの、で、独自の歴史と伝統と文化に培われた亜熱帯の島沖縄の農業を今後の日本農業の中でどのように位置づけていくかということが非常に重要な問題であると私は思っております。
 そこで、今後どのように日本農業の中に位置づけて振興を図っていこうとしておられるのか、これはぜひ大臣にお聞きいたしたいと思います。
#76
○国務大臣(田名部匡省君) 大事なことでありまして、私も今までずっと見ておりまして、オレンジの自由化のときに大変国内で農家の皆さん方は困ったし、それなりの対策も立てました。一方では、もうあらゆる品種が改良されて出たという、そういう面は私は地域の創意・工夫というものがやられた、こう認識しております。
 沖縄の場合は、今、先生お話しのように、亜熱帯性気候地帯でありまして、特性を生かした農業が現実に展開されておるし、またこれを進めていかなきゃいかぬと思います。特に問題は、農業用水をどうやって確保するか、あるいは基盤整備なんというのは大事なことでありますからそれは進めたい。あるいはサトウキビの収穫作業の機械化。この間も麦価のときに、大型の機械を導入すると七時間のものが一時間で作業が終わるんですね。ところが、規模は大きくなるが機械は昔のままだという効率の悪い農業をしておるということ等もありますので、サトウキビの例はどうであるかわかりませんが、いずれにしてもそれに見合った機械化をして生産性の向上を図るということは大事なことだ、こう思います。
 もっとも、余った時間はまた他に振り向けられるし、休養もとれるしということ等を考えていかなきゃならぬと思います。また、粗飼料の生産条件、これを生かした肉用牛の低コスト生産、あるいは野菜。花卉はもう前々から私は申し上げて、沖縄の花はきれいだ、あれをどんどん行った旅行者に普及できぬだろうかという話も実はいたしておったわけでありますが、そういうことを進めていきたい。そうしたことによって沖縄農業の振興と意欲的な農家の育成を図って、個性ある地域社会の形成を図ってまいりたいというふうに考えております。
#77
○委員長(永田良雄君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。
   午後零時五十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時開会
#78
○委員長(永田良雄君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、平成四年産米の生産者米価に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#79
○菅野久光君 それでは、午前に引き続いて質問を申し上げますが、最初に、米価決定に当たっての基本姿勢をまずお伺いいたしたいと思います。
 政府は、本日とあすの二日間、算定方式等を審議する事前米審を開いて、来週の二十五日、米価の諮問を審議する本米審を開いて米価を決定するという日程になっておりますね。これに対応して今月の十一日には、JA全中は米価を引き上げることを要求するというふうに決定をいたしました。引き上げ要求は七年ぶりでございますが、この背景には、昭和五十一年から平成三年までの約十五年間に消費者物価が約一・六倍、被用者賃金が約二倍になったのに三年産米価と五十一年産米価が同等の水準になっていること、これが引き上げ要求の大きなやっぱり根拠になっているというふうに思います。
 ところで、新聞の見通しては、今月四日に生産者麦価が七年ぶりの据え置きで決着したこと、さらに来月には参議院議員の選挙が実施されることが確実だということなどを理由として米価が据え置かれるだろうというような見通しを新聞は書いているわけです。しかし、本来米価というのはこんな選挙対策の一環などということで安易に考えてはならないことは言うまでもないわけでございます。
 今月の十日には特に政府は「新しい食料・農業・農村政策の方向」を公表した。そういうことを踏まえての米価、こういうことになるわけで、この新しい方向は内容が具体性に欠けでわかりにくい面がありますが、新しい方向の公表を機会にして、政府が我が国農業の再生を図る決意を新たにしたのかどうか、あるいは米価を引き上げるか据え置くか引き下げるかでどんな言葉よりも明確にわかると言ってもいいのではないかというふうに思うんです。
 そこで、米価決定に当たっての基本姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
#80
○政府委員(陣内孝雄君) 米価決定に当たっての基本姿勢いかんということでございますが、最近の米をめぐる諸情勢を考えてみますと、生産性の高い稲作農家や生産組織・集団の育成を通じて稲作の一層の生産性の向上を図り、国民の納得の得られる価格での米の安定供給に努めるということが重要な課題であると私ども考えておるわけでございます。
 本年産の生産者米価につきましては、こうした課題に加え、最近の米の需給事情や一般経済の動向等を総合的に勘案し、引き続き全国の各農業地域の平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家をその地域において稲作を実質的に担っている農家であるとし、このような農家の生産費を基礎として生産費及び所得補償方式により算定することとしてはどうか、つまり地域方式によってはどうか、こういうふうに考えているところであります。
 このような考え方により、生産者米価を算定すること及びその際留意すべき事項に関して本日及び明日の米価審議会で御論議していただくことにしておるのでございます。その御論議を踏まえつつ、一方ではデータの整備を待って来週予定いたしております米価審議会にお諮りし、適正に価格を決定してまいる考えでございます。
#81
○菅野久光君 先ほども申し上げましたように、新農政といいますか、そういうものが発表された後だけに、政府が今後どのように農業の再生を図るのかということが問われる米価の決定だということを踏まえてひとつ米価の決定に当たってもらいたいというふうに思います。
 そこで、毎年なんですが、米価の決定あるいは麦価あるいは畑作産品等すべて、畜産価格もそうですが、生産費の調査に基づいて決定をしていくというのがずっと従来からやられている手法ですね。それで、農林水産省は、今般生産費調査の見直しに基づく改正を行って、小麦の生産費調査からこれを適用したということですね。その結果、例えば農機具費が全国平均で四四・三%一挙に減少いたしました。他の幾つかの費目でプラスとなっておりますが、結果的に全算入生産費ベースで、十アール当たりでも六十キログラム当たりでも新旧のルールの差でマイナス五・七%となっております。いわばそれだけ農民の立場では損をしたような形になっております。米価のときもこのことが響いてくるのではないかというふうに農家の方たちは大変心配をしております。
 そこで、生産費見直しの問題について質問をしたいと思います。
 今回、生産費の調査について改正することになった動機だとかあるいは趣旨についてまず伺いたいと思います。
#82
○説明員(須田洵君) 現在の生産費調査につきましては、昭和二十四年に調査をスタートしたわけでございますけれども、もう約四十年以上たちますが、その間におきまして連続性を重視いたしまして基本的な修正は行わないで今日に至っているものでございます。
 その間、農業経営をめぐります実態から見ましていろんな矛盾する要素も膨らんでまいりますし、あるいは生産者の実感から見ますとこれはもう算入してもいいんではないかというふうに思われるものも算入しないままに経過をしてきておる。こういう実態を踏まえまして、基本的な姿勢といたしましては、農業経営の今日的な実感に極力接近させるという趣旨で見直しをすべきだろうということが直接の動機でございます。
 御案内のとおり、生産費調査というものにつきましては、価格政策なりあるいは構造政策を進めていく上での基礎資料でございますので、今日の実態に合わせてより理にかなったものにする、つまり生産費調査というものの信頼性を維持していく、その必要があるというふうに考えたからでございます。
#83
○菅野久光君 生産費調査についての信頼性を確保するということが非常に大きな改正の動機だというふうに、今の答弁の中でそのようにとらえておきたいと思いますが、けさの日本農業新聞でも、「今年は生産費の調査方式が見直されて初めての決定で、農水省によると「(新調査方式は旧方式より)生産費が低く出る要素が多い」見通し。」と、こういうようなことが出たりいたしまして、価格を下げるためにやったのではないかという懸念が農家の人たちにはいよいよ強くなってきているように思うんですが、その懸念に対してはどのようにお答えになりますか。
#84
○説明員(須田洵君) ただいま申し上げたような動機といいますか趣旨でございますので、直接価格をどうこうというような立場では、私どものもとより立場といたしまして、統計情報部という組織は生産費調査を初めとしたさまざまな調査を行政のみならず多くの方々に御利用いただくという、そういう意味での中立性といいますか、それは非常に大切だというふうに考えておる次第でございまして、そういうものを私どもがたまたまお預かりしておるといいますか、そういう立場であろう、かように認識しておる次第でございまして、価格を云々というようなことでは全くございません。
#85
○菅野久光君 あくまでも客観的な調査に基づく、しかも今まで、何というんでしょうか、生産費の調査で、やっぱりここは不合理な面がある、あるいはこういうものを入れないのはおかしいではないかと、そういったようなものを全部洗いざらい出して、そして生産費の調査を新たな方式でやるというようなことにしたということですね。
 そのようなことを決めるに当たっての手順、これをどのような形で進めたのか、その辺をひとつお知らせいただきたいと思います。
#86
○説明員(須田洵君) 今の点でございますが、私どもとしては、この事柄自身は行政的に判断をして進めることではございますけれども、今のようなこういう生産費調査という大変大切な、基礎的な調査でございますから、我々の行政部局で勝手に判断をしていくというふうにはいかないだろう。そういうふうなことで、あくまでも中立的な学識経験者といいますか、会計学あるいは経営学にお強い先生方の御意見をざっくばらんにいろいろお聞きをして、そこからスタートすべきであろうと。
 今、先生お話しになられましたまさにそういう趣旨で研究会を一昨年の十二月から開催いたしまして、その結果に基づきまして、洗いざらい検討した結果でございますが、それを踏まえまして私どもとしては一部改正ということで行ったものでございます。
 なお、一昨年の十二月からでございますから、相当長期にわたりまして研究会を進めたわけでございますが、進めながらも、昨年のたしか五月でございましたか、こういう見直し検討に着手したという旨、さらには九月でございましたか、大体研究会の方向も出たという段階で、こういうような結論でやりたいと思うということも公表いたしております。
#87
○菅野久光君 いろんな学者なりあるいは現場に深いかかわりを持っている人だとか、そういう方たちで研究会をつくって、その研究会の結果といいますか報告というか、それをもとにして今回の新しい調査方式といいますか、これを決めだということですが、先に決まった麦価の関係で、平成三年産麦類生産費、これを見ますと、新旧を比較いたしますと、農機具費が四四・三%、建物費が一八・五%と減少が著しく大きいんですね。これはなぜなのか、できるだけ具体的に説明をしていただきたいと思います。
#88
○説明員(須田洵君) 農機具あるいは建物費につきましての減価償却費の取り扱いでございます。
 これにつきましては、現行、通常私どもの場合、定額法によって計算をしておりますが、具体的にと申されましたので、具体的に数字でちょっと申し上げた方がわかりやすいかと思うんですが、例えば百万円の農機具といたします。それを法定耐用年数が仮に五年といたしますと、残存価額の問題はちょっとありますけれども、それはちょっとわかりにくくなりますからそれを省きますと、五年間で百万円を割りまして、一年間二十万円ずつということで償却をするというのが通常の姿でございます。それを私どものルールといいますかこれまでの計算におきましては、法定耐用年数を過ぎてしまっても、その農機具等を使っておる限りにおきましては二十万円の計上をし続けるというやり方をしてきたわけでございます。
 それはある程度、かつて三十年代、四十年代におきましては、今申しました耐用年数の五年よりも手前の、例えば二年とか三年とか、使って間もなく買いかえたり、あるいは廃棄したりという、そういう事態、つまりそういった事態におきましては償却が逆に不足になるわけでございますけれども、そういう事態がかなり多かった。そういうこともありまして、その見合いといいますか、そういうものとして耐用年数を過ぎてもそれは計上してもいいんじゃないかということでやってきたわけでございますが、今日の実態から見まして、圧倒的に耐用年数を超えた利用ということになっておりまして、もう二倍あるいはそれ以上現実に使われておるという実態でございまして、ある意味では百万円の農機具に対しまして二百万円とか百八十万円とか、全部足せばそれだけの償却額を計上するような計算になっておるわけでございます。これは通常そのような方式をとっているというのは通常の経営においてはあり得ないことでございまして、非常に学識的でないということで、この点についてはやはりみずから正すべきじゃないか、このように判断した次第でございます。
 ちょうどこれまでのそういうのがたまっておりますものですから、ことしルール改正をしますと、その削除といいますか金額的にはマイナスが一時的に非常に大きいという形になりますけれども、来年からはそのようなことはなくなると思います。
#89
○菅野久光君 今まではそうでなくて、ことしからだからことしの分が非常に大きくなる、こういう意味では算定のときに激変緩和ということなども十分――これは食糧庁の方になるのかな、こっち側は情報だけ出すんですから、食糧庁の方ではやっぱり激変緩和ということなども考えて算定に当たっていただかないとちょっと困るんじゃないか、農家の人たちは大変じゃないかなということを今の答弁を聞いて思いました。確かに、正確な生産費を出すということになれば、不合理なものは不合理なものとして今回直したということについては理屈はわかりましたが、何か非常に余りにもそこら辺が変わり過ぎるんじゃないかということを心配いたします。
 農機具等については、今のお話のように法定耐用年数によらず実際に利用されている年数によることができないかというのは農家の人たちの気持ちだというふうに思いますが、ここのところはなかなか実際に利用されるのが、例えば五年という法定の耐用年数なんだけれども、ある人は七年使う、ある人は十年使う、これは機械の扱いによって、あるいは手入れによっても随分違うわけですね。その辺のところを、何というか、平均的にというようなことができないものなのかどうか。これが激変緩和になるかどうかわかりませんが、その辺はいかがですか。
#90
○説明員(須田洵君) 菅野委員がおっしゃられた方式といいますか、そういうことも議論の過程としては当然あったわけでございます。しかしながら、今、先生もおっしゃいましたように、例えば自説型コンバインの平均的な利用年数をしゃ何年と見るか、相当個人的な髪もございますし、それをし机し一定の割り切りでやっていかなくちゃならぬということになりますと、その年数自体が、しかも年々変化したりしますから非常に不安定になるということで、これはちょっと米の話じゃございませんけれども、ことしの三月ですか、にございました乳価の際の搾乳牛の耐用年数の議論がいろいろございましたが、まさにああいう形で議論があるわけでございまして、そういうのをとるというのはいかがなものかということでございます。
 それともう一つは、税制上せっかく法定耐用年数というものが認められておるわけでございますから、減価償却というものは、やはりできるだけ早い償却をして、経営の資金繰りといいますか、そういうものをしっかりやっていく、経営の基盤を固めていくということが基本思想にあるんだろうと思います。そのような意味からも、法定耐用年数ということでひとつ割り切るべきではないかというふうに考えた次第でございます。
#91
○菅野久光君 そこで、ちょっと先ほど話に出しました激変緩和の関係ですけれども、旧調査方法と新しいものと、これは今回の場合は変わり目ということで両方出すんですね。
#92
○説明員(須田洵君) 先般の小麦につきましても新旧、新旧といいますか新というのがあくまでも本体でございますけれども、旧というのは参考までに従来のルールでやればどうなったかということをちょうど変わり目の年としては出すべきだろうということで出したわけでございますが、米も同様に考えております。
#93
○菅野久光君 そこで、森元次長、今のようなことで余りにも差があり過ぎるというようなことについては、米価を決定するに当たって何らかの考慮をしなければならないといううちに入るかどうかというその辺のお考えはいかがでしょうか。
#94
○政府委員(森元光保君) 今、統計情報部長からお話がありましたように、ことしから生産者米価に使います生産費が改正をされるということでございますので、この点についても、実はきょうあすの米価審議会でもいろいろ御論議があろうかというふうに思っておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、まだ生産費が出ておりませんし、そういったようなことで、我々といたしましては米価審議会の御意見等も踏まえて適切に米価を決定していかなければならない、かように考えております。
#95
○菅野久光君 適切にと言われたらそれ以上のことはちょっとなんですが、何か麦価の場合でもかなり差があるものですから、その辺はぜひ考慮の中に入れてもらいたいという要望を強く申し上げておきたいと思います。
 ところで、法定耐用年数が過ぎた農機具等についてこれは当然修繕をしなきゃならない、そういう修繕費の取り扱い、これはどうなりますか。
#96
○説明員(須田洵君) 修繕費につきましては、償却費と全く違っておりまして、耐用年数を過ぎましても何年使ってもその必要な実際に修繕に要した費用については全額計上し続けていくということを考えております。
#97
○菅野久光君 修繕費についてはもう全額計上だということですね。それは大変いいことだというふうに思います。
 それと逆に、法定耐用年数までいかないうちに買いかえたり処分するような場合の償却費の計算はどうなるんでしょうか。
#98
○説明員(須田洵君) これにつきましては、かつて三十年代、四十年代にあった事柄といいますか、そういうことから見ましても、そういう買いかえたりして処分した際に償却不足になるというような、そういう事態は全く生じないように処分差損益を計上するということにして、投下した資本は全額回収されるというふうにいたしたいと思っております。
#99
○菅野久光君 そこのところはわかりました。
 次に、家族労働の評価の基準ですね、これを改正した。ここのところはいつも米価のときに私も取り上げてやったんですが、その改正内容について説明を願いたいと思いますが、特に私は北海道でございますので、北海道の場合はどうなるのかということなどを含めて説明をしてもらいたいと思います。
#100
○説明員(須田洵君) 家族労働評価につきましては、これまで私どもは農村雇用賃金というやり方で私どもの組織みずからが調べてやってきたわけでございます。
 そのやり方としましては、対象地域は大体郡単位というかなり狭い地域でございます。それから生産労働者に限る、あるいは人口三十万人以上の都市といいますか、それは除くといったようなかなり限定的なものをつけまして製造業などの業種の労賃を調べたわけでございます。今回の改正によりまして、これを私どもとしては毎月勤労統計ベースに切りかえまして、対象地域につきましては県単位、北海道であれば北海道一本ということでいたしまして、製造業などの業種、これの人員規模としては五から二十九大規模というあたりをとるのが適当だろうということで、それを対象にいたしまして事務・管理関係の賃金も含めましたそういう体系に移行するということにした次第でございます。
#101
○菅野久光君 毎勤統計を使われるということは私どもも前々から言っておりましたんで、そうすると、県単位ということですから北海道の場合も札幌あたりのあれも全部入ってくるということですから、今までよりは家族労働の賃金についてはかなり上がるというふうに考えていいと思うんですが、いかがですか。
#102
○説明員(須田洵君) まさに地域によりまして違うと思います。例えばもともと農村雇用賃金が、関東の近辺の群馬とか埼玉とか、そういうところでは農村雇用賃金自体がかなり都市近郊的な何といいますか、そういう賃金の影響を受けてかなり高水準に既に達しておるところもあろうかと思いますが、そういうところでは今のような体系に変えてもそんなに上がり幅は大きくはないと思います。
 ただ、従来、例えば先生のおっしゃった北海道なんかの場合はかなりその格差といいますか、上昇する度合いがやや大きいんではないかというふうに見ております。
#103
○菅野久光君 ここのところが少し上がれば、今までずっと長い間毎勤統計を使え使えと言ってきたことが解消岩れる、これは新たな何というんですかね、下がる部分から見るとプラスの部分というふ。うに考えていいわけだと思います。
 次に、新しく算入された物件税だとか公課請負担について具体的にどのようなものがあるのか、説明を願いたいと思います。
#104
○説明員(須田洵君) 物件税、公課請負担につきましては、例えば建物とかトラクターなどに賦課されます固定資産税それから自動車税といった物件税でございます。それから、農業協同組合費あるいは集落協議会費といったいわゆる公課請負担ということで、これらにつきましては生産活動を維持継続する上で必要なものについてやっぱり計上すべきじゃないかという、学者の方々もそういうふうにおっしゃいましたので、そういうことで算入するようにいたしております。
#105
○菅野久光君 これも今までにないものをやっぱり必要なものだということで新たに算入をしたということですね。
 では、販売に要する諸経費なども見るべきではないかという意見があるわけですけれども、これらについてはどのように考えられましたか。
#106
○説明員(須田洵君) 今回、研究会の中でもこの点については論議があったことでございます。販売に要する諸経費まで見ていわゆる販売原価というふうにとらえられないかという議論もあったわけでございますが、しかし、販売と申しましても販売の形態というのはいろんな生産者やあるいは物によって非常に区々まちまちといいますか、差があるわけでございます。そういうものを全品目共通的にとらえていくということについては、非常にいろんな面から困難があるんではないか、あるいは無理があるんではないかということで、企業で申しますと製造原価に相当いたします圃場原価、イコール生産原価と言っておりますけれども、その枠内ということは継続すべきではないのかということで、そういう考え方をとったということでございます。
 しかし、そういう枠内で先ほど申しましたような新たに算入してもいいものは算入するということで、先ほどの物件税とかを算入することにしたわけでございますが、ただ、販売に要する諸経費につきましても、価格算定上必要なものにつきましては、そのニーズに応じましてデータ整備を行っていくべきだろうというふうに考えております。
#107
○菅野久光君 価格算定に当たって、ある程度計算のできるものは入れていくべきだと、それがより実態に近い形になるわけですね。したがって、今回入れられなくても、今後そういったようなものがデータ的にある程度明らかになるといいますか、そういうものが出たら今後この中に入れていくといいますか、そういうことも考えなければならないという段階といいますか、そういう状況だというふうにとらえていいですか。
#108
○説明員(須田洵君) 生産費調査でございますから、そう何遍も改正をしていくということはいかがなものかというふうに基本的に考えます。そう頻繁にそのルールといいますか、そういうものは変えられるべきものではないんだろうというふうに考えますけれども、例えば今度の改正によりまして生産管理費とかそういう新しい費目も入れたわけでございますけれども、そういう生産管理費の中でそういうものに該当すると見られるものについて、新たにいろんな技術進歩等によって出てきたものについて、それについては算入すべきかどうかということで、十分検討した上で必要があれば算入をしていくと、そういう姿勢で臨みたいと考えております。
#109
○菅野久光君 今回四十年ぶりに今までのやり方を変えたわけですね。言ってみれば四十年間全く変えないできたということになるわけで、これだけ社会情勢が大きく変化してくるというような状況を踏まえて、今回改正ということになったんだと思いますが、これからもいろんな変化があるわけですね。そういう意味では五年とかあるいは十年とかということを一つの区切りにしながら、見直すものは見直していくというようなことが私は必要ではないかというふうに思いますので、この点については私の意見ということで申し上げておきたいと思います。
 それから、小麦についても新たに土地改良及び水利用関係の費用計上を行ったわけですね。この点は農民からの要望もあったことで、私も評価をしたいというふうに思います。米については具体的にどうなりますか。
#110
○説明員(須田洵君) 稲作につきましては、既に土地改良関係の費用といたしましては維持負担金及び用排水といった水利に関連いたします事業の負担金については計上してきております。これは金目で見ますと全体の負担金の約八割そこそこまで入っております。
 しかし、今後の土地基盤整備の重要性等を考えまして、いろいろ論議をした末でございますけれども、米についても、今回の改正によりまして、土地造成あるいは整地あるいは表土扱いといいました明らかに個人資産の増といいますか、資産価値の増大につながるというものについては、そこまではちょっと算入は無理でございますけれども、それを除いたものにつきましてはすべて、例えば農道とか客土とかそういったものも入るわけでございますが、特に農道は金額的にも大きいかと思いますが、そういうものも生産費に計上することとしております。
#111
○菅野久光君 新たにそういったようなものも入れたということについては、先ほども言いましたように、私も評価をいたしたいというふうに思います。
 そこで、さっきも三上委員からも質問があったんですが、新しい生産費のルールによった場合に、小麦は五・七%下がったんだが、米の場合は一体どうなるんだろうかということが私も非常に関心を持っているんですが、ここのところは今の段階はまだ答えられないというのか何というのか、そんなようなことを先ほど言いましたので、それでも言えとは言えないんですが、今の段階ではもう資料的にはそれぞれの調査の関係が終わって、全部統計情報部の方に集まっている、あるいはコンピューターなんかで分析中だとか、あるいはもう分析は終わっただとか、その辺の作業の進捗状況といいますか、これはいかがですか。
#112
○説明員(須田洵君) 現在そういう小麦に引き続いての米についての作業ということで、新ベース、旧ベース、両ベースをやるということで大変立て込んでおりまして、先生も今申された分析とかそういう段階どころか、まずはとにかく調査結果をいかにきちんと集計をするかということでもう目いっぱいといいますか、そういう状況でございます。
#113
○菅野久光君 もう一週間後には本米審ということになるんですが、作業がなかなか進まないのかどうかわかりませんが、今は資料を収集するのに精いっぱいということで、ちゃんと本米審には間に合わせるということだろうと思うんですが、できればやっぱりできるだけ早くにやって、ある程度の数字を我々にも知らせてもらえると非常に審議をするのに都合がいいわけですね。こんなことなどもひとつこれから心がけてもらえればというふうに思います。
 そこで、三年産の生産者米価の算定に当たっては地域方式が採用された。地域方式は全国を九地域に分けて、平均的な水準よりも高い生産性を実現している農家をそれぞれの地域の稲作を実質的に担っている農家であるとして、これらの農家を算定対象とする、これが地域方式ですね。新聞報道によりますと、政府は四年産の米価についても地域方式で算定するということで、先ほどの次長の報告の中にもそのようなことがございました。
 しかし、地域方式にはさまざまな問題があると思います。例えば、経営規模別で稲作農家の戸数が最も多い〇・五ヘクタール以下の零細規模農家の約三割しか算定対象になっておらない。零細農家を軽視しているという意見もあります。また、生産性の高い農家のみが担い手とされるわけですが、担い手をこのように限定してよいのかというような指摘もある。非常に難しいところなんですね。このため、〇・五ヘクタール以下の零細規模の農家等もほかの農家と同様に重視して米価を算定するような方式を確立すべきだというような意見もあるわけですが、地域方式についての見解を伺いたいというふうに思います。
#114
○政府委員(森元光保君) 地域方式につきましては、先生のお話にもございましたように、確かに種々の観点から問題提起がございますのは事実でございまして、昨年の米価審議会の答申におきましても、「速やかに再検討すること。」という附帯意見があったわけでございます。
 我々といたしましても、いろいろ検討は進めてきたわけでございますけれども、地域方式にかわる適切な代替案を早急に得るということがなかなか困難な状況にあったということで、米価審議会にも御報告をいたしまして、ことしは地域方式でもって算定をさせていただきたいということで、本日、御諮問をさせていただいたわけでございます。
 先生も御案内のように、価格政策につきましては、今後育成すべき担い手というものに焦点を当てて、そして価格政策の運営を図っていくというのが非常に大事ではないかというふうに思っておるわけでございまして、決して地域方式によりまして零細農家を切り捨てると、そういうような考え方ではございませんで、それぞれの地域の特性というものが地域方式の中には加味されてくるわけでございますので、私どもといたしましては、現在の米をめぐる諸情勢に照らしましても、現段階ではこれが合理的な算定方式ではないかということで考えておるわけでございます。
#115
○菅野久光君 地域方式にしても、それぞれサンプルを抽出してということになっていくと思うんですね。それで、生産費の調査について今回改正をしたということで、その改正の趣旨は、先ほどお答えになりましたように、より実態に合うようにということで、お話を聞いて私もびっくりしたんですが、四十年間全く変えないでやってきた。実に辛抱強いと言おうか何と言おうか、私も言いようがないんですが、農林水産省では競馬法の改正も三十七年ぶりというのが去年の春にありました。それから獣医師法の改正は十五年ぶりということで、非常に長い期間、一度あれするとなかなかそのままにしておいて、実態に合わなくなってきても手をつけない。
 役人の方がいるのに大変失礼なことを申し上げますが、自分がその係なり担当でいるときにはできるだけ面倒なことには手をつけないで、そしてどこかほかの方に移るというようなことがあるいはあるのかなというような気もいたしますけれども、そういう中で、今回、より実態に合うようにということで手をつけた、その努力については、まあ当然といえば当然のこととはいえ、大変な苦労だったと思いますし、御苦労だったなというふうに私は思います。
 いずれにしたって、生産費調査については、これはもう農家個々の理解と協力なしには正確なデータというのは得られないわけですね。そこで、今度生産費調査の方法を変えたということですから、当然これについてのPR活動、これをしなければやっぱりいけないというふうに思うんですが、それはどうなっているのか。
 そのこととあわせまして、生産費調査を見直したことに伴って、結局仕組みを変えたわけでありますから、作業量も当然私はふえるんではないかというふうに思うんです。作業量がふえれば当然仕事がふえるわけですから、要員の確保ということが必要になってまいります。
 定員削減の問題では、どこの省庁もそうですけれども、本省の方はさっぱり減らさないで、みんな出先の方ばかり減らしてきているというのが実際の姿ですね。そういう意味では、統計情報にかかわる職員も随分減らされてきました。私はきょう、その数字をちょっと持ち合わせておりませんが、前にお聞きしたのでは相当減らされているわけであります。
 作業が円滑にできるように要員面でも配慮しなければならないんじゃないか。もう削減については限界に来ているんじゃないか。むしろ、若干これをふやさなければならないんじゃないかというふうに思いますが、その点についての所見、あるいはふやすんだという決意をお示しいただければ私は大変ありがたいと思いますが、その点についていかがでしょうか。
#116
○政府委員(陣内孝雄君) ただいままで新しい生産費調査につきましていろいろと御論議いただきまして、この生産費の方式が今日の農家等の経営の実感に照らして、あえて導入すべきでないものは削減する一方、今まで生産費に算入していないもので算入できるものがあれば極力算入するという、こういう基本的方針でできてきたわけでございますので、このことについては十分生産者にPRをする必要があると思います。
 既に、統計に携わっております職員を通じまして、現場の段階でも、また本省におきましても十分そのPRに意を尽くしておるところでございますが、先生の御指摘でもございますので、さらに徹底してまいりたいと思っております。
 なお、この調査を進めていく上では、確かに組織や人員の問題、これは非常に大きな問題だと思っております。これにつきましては、行政改革という中で私ども真剣に取り組んでおるわけでございますが、平成三年度行政改革大綱に基づきまして、三年度から七年度の間に地方統計組織の定員六百六十名の削減を行うことになっておりますが、この削減に当たりましては、現地で調査を行う出張所の作業量なども十分考慮しながら実施してまいる所存でございます。
 いずれにしましても、農林水産行政にとりまして、また農家にとりましても的確なデータの提供というのは極めて重要でありますので、これに対応できる組織体制が維持されますよう努めてまいる所存でございます。
#117
○菅野久光君 要員確保の問題については、どこの職場もみんなそうだと思うんですね。そうした中で、特に統計情報部という一番価格決定の基本にかかわるところで仕事をしている人たちなものですから、より正確な統計ですね、そういう情報が得られるような体制をとってもらいたいということを特に強く要望しておきたいと思います。
 次に、米価についての長期的方針についてお伺いいたしたいと思います。
 米価については、食糧管理法の三条二項、ここで「生産費反物価其ノ値ノ経済事情ヲ参酌シ」「再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」定めなければならないと、このようにされております。しかし、実際の米価はもう低く抑えられているということでございまして、三年産米価の水準では農家の約一五%しか第二次生産費をカバーできない。この結果、三年産米価の水準では米の販売数量の約二九%しか第二次生産費をカバーできないということになっているわけです。また、三年の水稲生産農家の平均経営規模は約〇・六八ヘクタールであるのに、三年産米価の水準では三ヘクタール以上の経営規模の農家しか第二次生産費をカバーできない、こういう状況になっております。
 ところで、今月の十日、政府が公表した「新しい食料・農業・農村政策の方向」によると、「価格低下と育成すべき経営体の規模拡大などによるコスト削減にタイム・ラグが生じないように努める」というふうに記載してあります。この文章は規模拡大した分だけ米価等を引き下げるというようにも解釈できるんですが、ここのところはどうでしょうか。米価が現行水準でも低いことを考えると、当分の間は規模拡大しても米価の引き下げを考えるべきではないというふうに言いたいわけです。
 もし仮に米価を引き下げざるを得ない事態になった場合には、規模拡大による生産性向上のかなりの部分を必ず農家に還元すること、農家に直接に所得補償を行うことなどによって、農家経営に悪影響を及ぼすことがないように十分な措置を講ずる必要があるというふうに考えますが、米価についての長期的方針をぜひ伺わせていただきたいと思います。そうでないと担い手の問題にも全部これはかかわってくる問題ですので、お考えを伺いたいと思います。
#118
○政府委員(森元光保君) 米価の長期的な方針ということでございますけれども、米価政策につきましては、これまでも農政審議会の報告でありますとか、あるいは先ほどから申し上げておりますように、米価審議会の算定小委員会の報告等を踏まえまして、できるだけいわゆる中核的な農家に焦点を当てた米価政策というものをやってきたわけでございます。
 今回、今、先生からお話がございましたように、新政策の方向づけというものが出たわけでございまして、我々といたしましても、こういった方向を踏まえまして、国民各層から理解の得られる米価を適正に決めていかなければならないというふうに思っておるわけでございます。この新政策の中にもございますように、効率的・安定的経営体が生産の大宗を占めるような農業構造を実現していくことによりまして、とにかくコストを削減していくということが非常に大切なことではなかろうか。そういった農業構造改革を推進する中で、より需給事情を反映した価格政策といいますか、価格水準というものを決めていくということが大切ではないかというふうに思っている次第でございます。
 ただ、この新政策にも掲げておりますように、「その際、価格低下と育成すべき経営体の規模拡大などによるコスト削減にタイム・ラグが生じないように」努めていかなきゃならない、これは当然のことではなかろうかということでございまして、いずれにいたしましても、米価につきましては、食糧管理法の規定に基づきまして、今後とも適正に決めてまいりたい、かように考えております。
#119
○菅野久光君 非常に難しい米価の長期的な方針を示せと言っている方も難しいことを聞いているというふうに思うんです。
   〔委員長退席、理事北修二君着席〕
 いろんなことがあっても将来一体稲作というのはどうなるんだ、そこのところが何とか見えるような、まあ下げるなら下げるというんでもいいんですが、しかし下げた分はちゃんとこうやって見るよというような、何かそういう政策が見えないと先行き不安と。先行ぎ不安なところに後継者が農業をやるなんというようなことになっていかないことはもう私が申し上げるまでもないし、農林水産省自身も示せるものだったらそうやって示していきたいという気持ちも持っておるのではないかというふうに私も推測はするんです。
 私どもの立場としては、できるだけ先行きどうなるんだというようなことを示すような、ある程度長期的な見通しというものを早急に立てられるような、そういう状況をつくり出すといったらなかなか難しいんですが、そういうふうにしてもらいたいという、これはもうだれもがそう思っていることだと思うので、ひとつ一層努力をしてもらいたいと思います。
 そこで、水田の転作の問題にちょっと移らせていただきますが、昨年不作だったために、本年の十月末の米の在庫ですね、これが政府は適正在庫であるというふうに言ってきた百万トンを大きく割り込んでまいりまして、三十万トンにまで激減する見通したというふうに言われておりますが、このような少ない量で米の需給操作を円滑に行うことができるのかどうか。この問題についてはこれまでも質問が出ていたわけですが、重要な問題ですので改めて政府の見解を確認しておきたいというふうに思います。
#120
○政府委員(森元光保君) ことしの十月末の持ち越し在庫というのが政府米、自主流通米合わせまして三十万トンないし四十万トンというのが見通されたわけでございまして、そのために、本年十月末の持ち越し在庫を回復したいということで御案内のような転作緩和措置を講じていただいたわけでございます。したがいまして、転作緩和どおり作付が行われ、また作柄が平年作であるということになりますと、ことしの十月末の持ち越し在庫につきましては百万トンないし百十万トンの持ち越し在庫が可能であるというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、持ち越し在庫が三十万トンないし四十万トンと申し上げましても特に需給操作に支障があるわけではございませんで、私どもといたしましては、当然この十月末までにはさらに四年産米が政府米、自主流通米合わせまして大体四百万トンくらい集荷がなされるという状況もございますから、そういう点を考えますと、特段三十万トン程度の持ち越し在庫でございましても問題はない、支障はない、このように考えておるわけでございます。
#121
○菅野久光君 三十万トンぐらいでも支障がないということになれば、百万トンというのも数字的にはちょっとおかしなことになるんじゃないかと思いますが、要は早場米などもあるから何とかつないでいけるんじゃないかと、端的に言っていけばそういうことなども考えておられるんじゃないかというふうに思いますが、いずれにしろ、安定的に供給するということからいくと非常に大変な事態になってきているなという思いがいたします。
 在庫の積み増しのために、本年度は転作目標面積を昨年度の八十三万ヘクタールから七十万ヘクタールと十三万ヘクタールほど緩和したわけですけれども、これは単年度措置ということに、何回もこの話が出ておりますが、そういう措置であるわけですね。しかし、実際はもう転作作物の定着が進んでいる、あるいは農業労働力の不足が進んでいるということなどで、転作田を水田に戻す作業が必ずしも順調にいっていない、だから十三万ヘクタールの目標達成が危ぶまれているというふうにも言われております。その辺をどのように把握されているのか。
 もしそうであるとすると、万一これに二年続きの不作が重なった場合は大変な事態になるおそれがあるというふうに思うわけです。特に北海道なんかでも、ことしは六月あたりはかなり気温が低い、日照不足、これから七月、八月の気候がどうなるかということにかかってくるわけですが、エルニーニョ現象などもあるというようなことなどを含めて非常に心配なわけです。こんなことでことし一体どうなるのかという今の段階でのおよその見通し、それから米の需給に支障を来さないというふうに断言できるのかどうか、そこのところをお伺いして、時間ですから私の質問は終わらせていただきます。
#122
○政府委員(上野博史君) 十三万ヘクタールの減反緩和の達成の見通し、見込み、この点について最初にお答えを申し上げたいと思います。
 まだ九州の麦の後作の作付がこれからのところもございまして、全体としての状況が固まっていないという事態でございまして、しっかりした数字として把握をし切っているという段階にはございません。
 ただ、一応各地域の見通しといいますか、ごく達観した数字みたいなものを、状況を把握しているところで申し上げますと、去年の作付面積に対比いたしまして九万から九万五千ヘクタール程度の増加ということで、総計で二百十二万から二百十三万ヘクタールぐらいの作付になるのではないかというふうに見込まれる状態でございます。
 これに先ほど天候のかげんの見通しが第二点として御質問があったわけでございますけれども、天候につきましては、西の方、南の方は比較的順調に推移をいたしておりますが、お話がございましたとおり、北の方、東日本の方におきまして低温なり日照の不足という事態が生じておって、若干生育のおくれがあるという状況でございます。稲作期間のまだほんの初期のステージでございますので、今の状況からすぐに不作云々という話に直結をするということでは必ずしもないというふうに考えておりますが、長期予報、三カ月予報で低温、日照不足のような天候の見通しも言われているところでございますので、私どもといたしましては、基本的な営農の作業につきまして十分な指導を徹底してまいりたいというふうに現在考えております。
 第三点の需給への影響の問題でございますが、これは本来食糧庁のお答えをするところだろうと思うわけでございますけれども、仮に三万五千なり四万ヘクタールぐらいの当初の目標に比べた達成不足があるということになりましても、これは数量にすれば十五ないし二十万トンぐらいの見込み違いということになるわけでございまして、全体としての需給という点から見れば問題はないのではないかというふうに考えております。
#123
○猪熊重二君 ちょっと質問の順番を変えて申しわけございませんが、ガット・ウルグアイ・ラウンドの状況についてお伺いしたいと思います。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドといっても、中核的な問題は米の輸入自由化是非の問題ということになりますが、米の輸入自由化問題に関してのガット・ウルグアイ・ラウンドの現状はどういうことになっておりましょうか回簡単で結構です。
#124
○政府委員(川合淳二君) 昨年末にダンケルの合意案が出されまして、それを踏まえて三月に各国が国別約束表を出したわけでございますが、それ以降、特に米・ECの間の農業問題に対する話し合いが難航しているということがございまして、交渉全体が停滞しているというふうになっておりまして、その先行きが不透明な状況になっております。ただ、米・EC間におきましてはかなりの回数で首脳も含めまして会談が行われておりますので、その間ではかなりな話し合いが持たれているということは私どもも情報として得ております。
 したがいまして、今後の動きにつきましては、不透明な点がありますけれども、かなり警戒心を持って対応していかなければいけないんではないかというような状況にあります。
#125
○猪熊重二君 米の輸入自由化問題に関して、公明党のいろんな対応について少しはっきり農水省にも申し上げておいた方がよろしいと思いますので、ちょっと申し上げますけれども、公明党は一昨年、ガット・ウルグアイ・ラウンドの米の関税化ということを予測した上で、完全な関税化を予防するという観点から、全生産量の五%、五十万トン程度の部分的輸入自由化を図ったらどうかと、こういうふうなことを提案したわけです。
 そのような政策的観点に立ちまして、米の輸入自由化は一切合財まかりならぬというふうな見解に対しては反対の立場をとってきたわけです。そのために、国会における請願審査等においても、米の輸入自由化絶対反対、市場開放絶対反対というふうな請願に直ちに賛成するわけにはいかないと、こういうふうな立場で来たわけです。しかし、今、局長おっしゃられたように、去年の暮れにドンケル・ペーパーが出て、完全自由化ということがこのペーパーで提案された。この時点において、我が党がさきに提唱していたような部分自由化、今申し上げました五%、五十万トンの部分自由化というふうな政策の選択の余地がもはやなくなってしまったんじゃなかろうかと、今党としてもそう考えているわけです。
 局長にお伺いしたいことは、我が党はそういうふうに部分自由化ということは一応は申し上げたんだけれども、既にドンケル・ペーパーが出た段階においてこういうふうな政策判断をして、これをウルグアイ・ラウンドにおいて主張するというふうな可能性の――それは主張するのは幾らでも主張するだけはできますけれども、ウルグアイ・ラウンド全体の交渉の中においてそういうふうな提案ということの実現性というか、その辺については局長はどのようにお考えでしょうか。
#126
○政府委員(川合淳二君) 私どもは、先生御承知のように、ウルグアイ・ラウンドに臨みます基本的方針としては従来から変えていないわけでございます。
 それは、一つには、アメリカは当初から包括的関税化、例外なき関税化ということを主張しておりますし、それに対して我が国は、これはもう到底受け入れられないということで、基礎的食料につきましては所要の国境措置を講ずることが必要であるという主張をしてきているわけでございまして、今、先生が設問されたような形での議論というのはある意味では行われていないという状況にあるわけでございます。
 したがいまして、私どもは、今、先生がおっしゃられたような設問についてお答えするような資料なり知見というのを持ち合わせていないということだと思っております。
#127
○猪熊重二君 結局、ドンケル・ペーパーが出てしまった段階においてはこのような部分自由化ということの実現の可能性はないという段階において、我が党としても、このまま米を含む農産物の一〇〇%の完全な関税化による自由化というふうなことには賛成するわけにはいかないという立場に立っておるわけです。結局、部分自由化ということで何とか一〇〇%関税化というものを予防できないか、しかしそれがもはや現時点においては不可能だという段階においては、我が党としてもドンケル・ペーパー提示のような完全関税化による輸入の自由化というふうなことには全く賛成するわけにはいかない。
 そういう観点から言うと、今回いろいろ請願が出てきた中で米の市場開放は認めないというのは、従前の我が党の部分自由化というものとは相反するけれども、部分自由化というものを政策的な放棄せざるを得ない状況のもとにおいては、我が党も他の各会派と同じようにこのまま一〇〇%自由化されてというわけにはいかないという立場ですから、米の市場開放は認めないというふうな立場に同調するというか賛成するというか、そういうふうな立場に至っているわけです。この請願の取り扱いについて他の会派に御迷惑をおかけした点もあって、おわびせにゃなりませんが、前の問題どこの問題との分析がよくできていなかったものですから、ちょっとお手数をかけて申しわけありませんが、我が党の立場はそういう立場です。
 結局、完全自由化ということが現時点においてはともかく賛成できない、しかしそうかといって、ただ絶対反対だということだけ言っているんでなくして、もう少し国内的に各種整備を推進していかなきゃならない。例えば、先ほども御質問申し上げたような規模拡大であるとか、米の生産費のコストの低減であるとか、あるいは流通機構の改善とか、そういうふうな問題。さらには、自由化問題に関連すれば、農薬あるいはポストハーベストの問題、あるいは消費者の需要動向の問題とか、各種の要因を考慮しつつ、ともかく日本の農業、特に稲作農業の足腰を強くする方策を検討することが欠かせない、こういうふうな観点に立ってガット・ウルグアイ・ラウンドの行方を見守っているわけです。ですから、そういう意味では現時点における完全自由化というものには全く反対であるけれども、そうかといってこのままただいつまでも反対と言っているだけで済む問題でもないというところにウルグアイ・ラウンドの交渉の難しいところがあるわけです。
 農水省としては、今、局長がおっしゃったように、交渉は難航し先行きはどうなるか不透明であるとおっしゃるけれども、ある程度の自由化というものをのまざるを得ないような状況をも考えた上での農業の足腰を強くするための方策というふうなことに取り組まなきゃならぬと思いますが、その辺、局長、どのようにお考えですか。
#128
○政府委員(川合淳二君) 国内政策につきましては官房長なりからまたお話があろうかと思いますが、私どもといたしましては、農業交渉につきましては各国とも難しい問題を抱えているわけでございまして、それはやはり現実的対応ということが必要であると思っております。
 そういう観点から、包括的関税化というようなダンケル最終案はあるわけでございますが、我々としては、日本の今までの主張、米については自給することを基本とするという、そういう考え方に基づいて交渉に臨んでいるわけでございまして、この点については従来から何ら変わっていないわけでございます。今後ともそうした現実的対応というのは日本のような主張を通すことであるという考え方に立ちまして交渉に臨んでいきたいというふうに考えているところでございます。
#129
○猪熊重二君 米の輸入の問題に関して、現在、アメリカにおいて再び日本の米の輸入禁止措置についてスーパー三〇一条の適用を考えるべきだというふうな議論が再燃しているという話ですが、その辺はどういうことになっておりますか。
#130
○政府委員(川合淳二君) 今お話しのように、米国の下院で九二年貿易拡大法案という、これはゲッパート民主党院内総務から提出された法案でございますが、これが一部修正の上可決されたというようなことがございます。
 これは今後上院でどういうふうな扱いを受けるかというようなことがありますので、今のところ、私ども、この見通しは極めて不透明かつ見通しにくいわけでございます。ただ、今ウルグアイ・ラウンドが行われているという最中であります。したがって、その中でこうした法案が出るということは、もちろん下院の選挙を直前にしているというようなこともある。そういう政治的な状況というものも当然あろうかと思いますが、極めて遺憾なことであるというふうに考えております。
 アメリカの法律の通過過程というのはかなり紆余曲折を経るものでございますので、今後どういうふうになるか、私どもも十分注意して見守っていかなければいけないというふうに考えております。
#131
○猪熊重二君 それでは、次の問題に移らせていただきます。
 先ほどから三上先生、食管法についていろいろ御意見をお述べになられたわけですが、この新政策で十九ページの「米管理」という項目に食管法というか食糧管理問題について書いてあるんです。これを読んでみるとどうもよくわからない。要するに、食管法を現行のまま維持するようなふうにも見えるし、いやそうじゃなくて、市場原理・競争条件の一層の導入を進める、そして公的関与のあり方も検討し直すというふうなことも書いてあるんです。これは、農水省としてはこの食管法に関する文章をどのようにお読みになっているんでしょうか。
#132
○政府委員(森元光保君) 食糧管理制度につきましては、やはり国民の主食である米を政府が責任を持って安定的に供給していくということが非常に大事なことだということで、これまで生産から消費に至る流通ルートを特定するという形で対応してきているわけでございます。しかし、これまでも販売業者の新規参入の促進とかあるいは業務区域の拡大、さらには価格形威の場の創設といったようなことの改善措置を講じておるわけでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、「新しい食料・農業・農村政策の方向」につきましては、現在の食糧管理制度の中で生産者がいわゆる売り渡し義務を課せられているというような点もございまして、創意・工夫の余地をなくしている、あるいは担い手の育成を阻害しているんではないかというような問題意識もございますし、また流通階段におきましても不正規問題とかあるいは消費者ニーズに十分対応できないといった問題意識も持っておるわけでございます。
 そういう中で、食糧管理制度の果たす役割あるいは機能というものは維持しながら、先ほど先生からお話がありましたように、市場原理なりあるいは競争条件というものを一層導入しこれを推進していきたいということで、公的関与のあり方を見直し検討していきたいということを言っておるわけでございまして、より具体的には、例えば特別栽培米制度というのが現在ございますけれども、生産者の顔が見えるように、特にそういった流通に対する要請も高まってきておりますので、産直ルートによりますところの販売方法の多様化でございますとか、あるいは価格形成の場の役割機能の充実強化のためにさらに地域区分別の上場を推進するとか、あるいは米の流通につきましては許可制度といった現行の基本的な枠組みは維持しながら流通業者に対する規制を緩和する、あるいは販売業者の経営基盤の強化ということを逐次やってまいりたいと考えておるわけでございまして、より長期的な方向といたしましての米管理のあり方につきましては、米需給の動向なりあるいは生産構造の展開方向というものを踏まえて今後研究していくものと、こういうふうな考え方で新政策につきましては整理をさせていただいているということでございます。
#133
○猪熊重二君 食管法は米の輸入自由化ということと直接的に連動はしていると思うんです。しかし、米の輸入自由化ということ、対外的な意味での米の問題ということとは別個に、国内的な意味だけにおいても食糧管理法というものはもう少し検討しなきゃならぬときに来ておるんじゃなかろうか。要するに、あの法律は戦時における米の不足の事態において統制法規としてできた法律なんです。確かに統制法規であるけれども非常に社会政策的な法規でもあるし、非常に奇妙な法律で難しい法律ですが、いずれにせよ、しかし自由主義経済原理のもとにおいては非常に奇妙きてれつな法律ということにならざるを得ないと思うんです。
 だから、この新政策もわかったようなわからないような形で難しいから逃げているんだろうと思うんですが、いずれにせよ米の輸入自由化という問題とも離れて、国内産米だけの流通ということの面においても根本的に検討さるべきだと思いますが、これは農水省に根本的な検討をぜひお願いするという要望事項だけで質問を終わります。
#134
○林紀子君 私は四年産米の生産・集荷見通しについてまずお伺いしたいと思います。
 三年産米の不作によりまして十三万ヘクタールの減反緩和という方策がとられましたが、先ほど上野局長からも御説明がありましたように、その達成は九万ヘクタールから九万五千ヘクタール、これだけでも収穫量といいますのは十五万トンから二十万トン見込み違いというのが生じているのではないかと思います。また、政府米と自主流通米の手取りの価格差が拡大していることや、端境期の需給逼迫というのを見越しまして、不正規流通米がますます増加しているのではないか。現に宮崎県などの早場米産地では自由米業者の青田買いが非常に活発に行われているという報道もございます。
 こういう中で、最近の集荷率、予約達成率は年々低下していると思いますけれども、それにさらに拍車がかかるのではないか。そうしますと、四年産米の生産、集荷の見通しというのが本当に大丈夫なのかどうなのか、そのことをまずお伺いしたいと思います。
 それからもう一つ、三年産米の不作で加工原料用の米も需給が非常に逼迫している、不足する場合は韓国へ貸し付けた米を返還させてでも供給責任を果たせと業界からは非常に強い声が出ているということも報道されておりますし、また米粉の調製品というのでしょうか、この輸入というのも前年の二倍にも達しているということも言われております。国内自給を基本にして、加工原料用の米に対しましても責任ある対策を講ずるべきだと思いますけれども、これについてはどのように対処していくのかということをお聞きしたいと思います。
#135
○政府委員(森元光保君) 四年産米の集荷でございますが、先ほどから答弁申し上げておりますように、まだ作柄状況が全く確定をしておりませんし、現在の段階でもって集荷数量を幾らというのはなかなか申し上げられないわけでございます。いずれにいたしましても、私ども十三万ヘクタールの転作緩和をし、六十五万トンの生産回復をするという考え方で生産者団体等取り組んでいただいておるわけでございますから、できるだけ今後全力を挙げて全量集荷なり、あるいは政府米と自主流通米の均衡のとれた集荷に努めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、ただいま加工原料米のお話がございましたけれども、加工用の米穀につきましては、御案内のように、自主流通米とそれから他用途利用米、それからもう一つ特定米穀というのがございまして、これによって需要が賄われているというのが実情でございます。
 本米穀年度におきまして、加工用の米穀につきましては、自主流通米と他用途利用米につきまして、これは大体需要量に見合って供給が行われているわけでございますけれども、特定米穀というのはその年にかなり流通量が変わるというような事情もございまして、したがって昨年の不作を背景といたしまして、特定米穀の流通量が例年よりもやや少ないのではないかという話も聞いておるわけでございまして、そういったことでやや総体的には供給がタイトになっているかなと、こんなふうに考えております。
 ただ、こういった状況を踏まえまして、いわゆる特定米穀が減少をしたということを踏まえまして、私ども他用途利用米に対します需要が若干シフトしておりますので、指定法人と実需者団体で構成しております他用途利用米協議会というのがあるわけでございますが、その協議会におきまして特例的に他用途利用米の追加供給を行うということを決定しております。
 いずれにいたしましても、今後とも状況を見ながら必要に応じて指定法人なり実需者団体等関係者と協議をいたしまして、また適切に対応していきたい、こういうふうに思っております。
#136
○林紀子君 私は午前中も大臣に新政策に関連してお聞きいたしましたけれども、米も規模拡大、また酪農や畜産でも規模拡大ということが盛んに言われまして、その方向が追求されているわけですけれども、きょうはちょっと米の問題から外れて申しわけありませんけれども、緊急の話ですので、畜産局長おいでいただいておりましたらお聞きしたいと思います。
 富山県の砺波市、ここで二百頭の乳牛を飼育している県内最大の規模となっていたAさんという酪農家の方が五月末に自殺をしたと、こういう報道が新聞にされておりました。そして、この自殺の理由というのは、大規模経営の中でたまる一方の乳牛のふん尿処理に行き詰まり、悩み抜いた末だと言われております。
 富山県と農水省はこの問題について調査に乗り出したということですけれども、まず第一点、どういうような調査を行い、今後どういうふうにしていくのかということを調査についてお聞きしたいと思います。
 それから二番目に、農水省と県が補助を行っている公社営畜産基地建設事業を進める中で、ふん尿処理に当たってはどのような指導を行ってきたのか、このようにしたら解決できるのだという解決策を酪農家に示していたのかどうか、そこをお聞きしたいと思います。
 それから、こうした例は富山県に限らずに今全国各地でふえているわけですけれども、今回のようなことを繰り返さないために、ふん尿処理という問題に対して今後どのように対応していくのか、この三つの点につきましてお聞きしたいと思います。
#137
○政府委員(赤保谷明正君) ただいまのお話の問題ですけれども、現在、富山県を通じて調査中でございます。途中経過というか、調査中でございますけれども、その報告によりますと、御本人は公社営の畜産基地建設事業の富山西部地区の事業の参加者でございまして、平成二年度から三年度にかけまして飼料畑の造成だとか畜舎あるいは堆肥舎、そういうものの整備を実施してきたわけでございます。
   〔理事北修二君退席、委員長着席〕
 この畜産農家に対しましては、これまで県の普及所が中心となりまして営農指導等に努めてきたところでございまして、また堆肥の処理、これにつきましては地元の普及所、農協を中心に相談をしていたところであったという報告を受けております。この計画の策定の段階というか、当初の計画におきましては地元でふん尿の処理をするという計画であったとお聞きをいたしておりますが、この方は愛知県の方にぶん尿、堆肥を販売するということに途中で御本人が計画変更というか、そういう方針にしたということをお伺いいたしております。
 今回の自殺をされた要因ですけれども、御本人が意図をした、今申し上げました堆肥の販売についてのつまずき、トラブルがあったようでございまして、それも一因と考えられるわけですけれども、従業員がやめてしまったとか、昨年末から御本人が体調を崩した、胃潰瘍であったようでございます。その他いろいろ要因が重なっての心労が原因であるという報告を受けております。
 それで、また本件につきましては、今後、県、市あるいは普及所、農協、そういう機関、団体が一体となりまして緊急的な措置とそれから長期的な措置をとっていく、そういう取り組みをいたしております。
 具体的に申し上げますと、普及所とか市の職員が今そこのうちへ行っておりますし、あるいは家畜の飼養管理、多頭飼養をしておりますので、搾乳とかふんの排除とか、そういう問題につきましては、近くの農家の方あるいは農機具メーカー、それから家畜保健衛生所、そういうところで支援をしている。それから、堆肥につきましては県の公社の肉用牛センターへ搬入をしておる、緊急的には。それからまた、今後の問題としてですけれども、お父さんと奥さん、それから長男の方が経営を継続していきたいという意向をお持ちのようでございまして、雇用者の問題、労働力確保の手当ての問題、これにつきましてもある程度目鼻がついている模様でございます。
 その他、普及所、市、農協等の調整によります堆肥の地域内での還元の問題、それからさらに畜産界の高度診断指導事業、そういう事業があるわけですが、そういう事業を活用して経営指導をしていく、そういうことに取り組んでいくという報告を受けております。
 一般的に家畜のふん尿の処理の問題でございますけれども、どの畜種にとりましても環境問題というのは非常に重要でございます。いろいろ細かく申し上げてもよろしゅうございますけれども、適切な処理をする。耕種農家との有機的な連携を図る。要するに、今多頭羽飼育専業になっておりますので、堆肥の出る地域と必要とする地域、拙域的にギャップがある。そういう調整をするとか、あるいはどうしても市街化が進んできてしまっているようなところでは集団的に併合移転をするとか、あるいは堆肥の処理技術についての県の巡回指導をするとか、いろいろそういうような形での環境問題について取り組んでおるところでございまして、今後とも本当に畜産経営にとって重要な問題でございますので、ふん尿の処理といいますか環境問題については適切な指導、対策を講じてまいりたい、かように考えているところでございます。
#138
○井上哲夫君 先ほど私が質問しようと思っていたことを菅野委員も関連で尋ねられましたから、ちょっと角度を変えてお尋ねをしたいと思います。
 それは、減反の単年度の緩和措置十三万ヘクタール、このことに関してでございますが、ただいまの局長の答弁をお聞きしますと、確定的な数字はまだ出ないが、ほぼ現段階で九万ないし九万五千ヘクタールですか、が充足する。したがって、十三万ヘクタールの単年度の緩和措置についていえば、四万ヘクタールないしそれの周辺の充足不足といいますか、それが出る。これはことしの作付がよければ結果オーライで、在庫についてもよいこともあり得るでしょうし、そうでないこともあり得ると思うんです。
 問題は、私の理解が間違っていなければ、当初十三万ヘクタールというのは、十万ヘクタールは適正在庫の確保の問題で、昨年の作柄不況といいますか、それをカバーする、三万ヘクタールは台風の災害によるそういう減収の補てん。問題は、九万ないし九万五千ヘクタールしか戻すことができなくなったということを前にして、例えば九州の方で塩水をかぶってことしは予定しておった田んぼがだめになったんで狂ったとか、あるいはそうじゃなくて、何といいますか、簡単に水田に戻ると予測していた田んぼがなかなか戻らなかったとか、あるいは農家のいわゆる減反、ずっと続いた減反政策で心理的に単年度だけの緩和ではもうどうにもならぬということで、いわば応じなかったと。
 いろんなこの原因について拾い出せば切りがないとは思うんですし、まだ確定的なものは把握してみえないと思うんですが、今現在で農水省の方でつかんでみえる原因を教えていただければと思います。そして、今後その原因についてどのような手を、単年度の減反緩和ですから、今後のということは直接的にはないわけですが、今後また類似の事例が出たときにそういう対策はどのように考えられるか、その点をお尋ねしたいと思います。
#139
○政府委員(上野博史君) 簡単にお答えをさせていただきたいと思います。
 我々、稲作への復帰のために必要な圃場条件の整備であるとか、あるいはいろいろな事情でこたえられない農家の方々と、一方で稲作を鋭意もっとふやしてでもやりたいという方々の間の交換、地域的な転作の調整みたいなことも予算をとったりしましてやりまして、大いに鋭意努力をした結果が先ほど申し上げましたようなことでございます。
 その要因として、今までそういう作業を進めてくる過程で現場の方から上がってまいっておりますいろいろな声を集約してお話をいたしますと、一つが後期三年の計画で八十三万ヘクタールという一本の面積で一応その営農計画を立てていた、それが最後の年になって変わったということであって、それに沿った作付計画も変更に困難があったんだということが第一点。
 それから第二点目は、単年度限りの措置として行われているということで農家の方々の理解が得にくかったという、これは第一点の変更が難しいということとダブっている面もあろうと思いますけれども、一応そういうことが第二点として言えるのではないかと思います。
 それから第三点目は、都市近郊等では野菜等の転作というものが定着をしておる、あるいは一方で、中山間地域では高齢化であるとか担い手不足というようなことによりまして、従来の転作の対応も保全管理というような形での転作対応であったというようなことがあるようでございまして、担い手がいないという事態に対応して復元も困難だったという、そういう理由が三番目として挙げられるのではないかというふうに思います。
 これはやや補足をしますと、転作の面積というのは、やはりそのときどきの天候等に応じました作柄に応じて弾力的に対応していかなければならないという面が一つございますのと、それから三年間の事業としてやっておりまして、平成五年度以降についてはいわば白紙の状態であるということで何年かにわたってというような対応がとりにくかった。以上のようなことが背景としてはあるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたようなことが現場からの声として上がってまいっております。
#140
○井上哲夫君 終わります。
#141
○喜屋武眞榮君 私も二間お尋ねいたしたいと思うんですが、米の問題です。六月十日、先日発表されました「新しい食料・農業・農村政策の方向」の中で、すなわちこれですね、これによりますと、農林水産省は「国内の食料供給力が低下傾向にある。」、ところが一方では、「国民への安定的食料供給の確保を図る」と、こう言っておるわけです。一方では低下傾向にある、一方ではまた供給を図ると。
 そこで、お伺いしたいことの一つは、今後政府は、安定的食料供給の確保を図るためにますます農産物の輸入自由化の方向へ進むのか、それとも国内の食料供給力の低下に歯どめをかけてこれを増大させる方向へ持っていこうとするのか、そのいずれだろうかということをまずお伺いいたしたいと思います。
#142
○政府委員(馬場久萬男君) 新しい政策の中でまず述べておりますが、一つは現状の認識といたしまして、現在の豊かな食生活を今後とも維持していくというためには、国土資源の制約があるということもありまして、国内生産と輸入及び備蓄を適切に組み合わせて食料の供給を図っていくことが必要だということを言ったわけであります。また、世界から輸入するといっても、世界の食料需給の見通しや国際関係の中に不安定なもの、不透明なものがあるものですから、そういうことも踏まえて、我が国の食料政策は可能な限り効率的な生産を国内で行いまして、内外価格差の縮小にも努めながら、国際的な食料需給の観点も踏まえて、みずからの国土資源を有効に利用することによって食料安定供給に努めると、こういうことを言っているわけであります。
 先生が低下傾向にあると言うのはいわゆる自給率の問題でありまして、これは確かに現状は低下傾向にあるということを踏まえた上で、今言った国内の資源を可能な限り活用して国内で供給するということを基本にするということでありますから、いずれかというお話であれば、それは国内の供給力の強化を図っていくという方向であるわけであります。
 また、御案内のとおり、輸入の自由化については既にできるものはどんどんしておりまして、我が国は世界で一番の農産物の純輸入国でありまして、現在の行われていることは前提にいたしますけれども、今後さらにそれを進めようというものではありません。
#143
○喜屋武眞榮君 もう時間も過ぎようとしておりますが、もう一問だけお尋ねしますから、簡単にお答え願いたいと思います。
 もう一つと申しますのは、減反政策の見直しかなされたわけですが、計画どおりには進捗していないと聞いております。さほどこの一事をもってしても、場当たり農政では所期の効果が上がらないということは今さら申し上げるまでもありません。したがいまして、低下傾向にある国内の食料供給力を回復させることは、言うことは大変やさしいことだが、実際問題として非常に至難のことであると言わざるを得ません。政府はどのような方策でこれを行おうとしておるのかお聞きして、私の質問を終わることにいたします。
#144
○政府委員(馬場久萬男君) 今お話しのように、食料自給率が低下傾向にあるということで、いわゆるカロリーベースで見た場合に平成二年度で四七%ということになっております。私ども前々から申し上げておりますように、これについてはむしろ低下傾向に歯どめをかけていくんだということを言っておりまして、具体的に特に土地利用型農業におきましてこの供給力を強化するということが必要でございます。
 今度の新政策におきましても、そのためには経営感覚にすぐれた効率的・安定的な経営体を育成していく、そして生産基盤の整備等を通じまして、優良農地の確保、あるいはバイオテクノロジー等の先端技術の開発普及というような諸施策を講じて国内の食料供給力の維持強化に努めていきたいと思っております。
#145
○委員長(永田良雄君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#146
○委員長(永田良雄君) 請願の審査を行います。
 第三九号米の市場開放阻止に関する請願外七十五件を議題といたします。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#147
○委員長(永田良雄君) 速記を起こしてください。
 これらの請願につきましては、理事会で協議いたしました結果、第三九号米の市場開放阻止に関する請願外十件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一八四号農林年金予算確保並びに制度改善に関する請願外六十四件は保留とすることに意見が一致しました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#148
○委員長(永田良雄君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#149
○委員長(永田良雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#150
○委員長(永田良雄君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産政策に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#151
○委員長(永田良雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#152
○委員長(永田良雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#153
○委員長(永田良雄君) 御起立願います。
   〔総員起立〕
#154
○委員長(永田良雄君) この際、委員会を代表して、このたび御勇退になります初村滝一郎君の長年にわたる御活躍と御苦労に対しまして、一言謝辞を申し述べたいと存じます。
 初村君は、本院議員といたしまして、昭和四十五年以来二十三年の長きにわたって在職され、その間、本院において農林水産委員長、予算委員長、さらに政治倫理審査会長として院の要職を、行政府においては労働大臣、農林水産政務次官の要職をそれぞれ歴任され、その職員を果たされました。特に、農林水産委員会には長く籍を置かれ、委員会の運営に寄与するところ多大であり、敬意を表するとともに、感謝する次第であります。
 このように、委員会をお支えくださった初村君がこのたび去られることは惜しみても余りあるものがございます。今後一層御健康に留意されますよう祈念いたしまして、感謝の言葉といたします。
 御着席願います。
#155
○初村滝一郎君 ただいまは委員長より御丁重なお言葉をいただきまして、まことにありがとうございました。
 顧みますと、この二十三年間の議員生活で、特に農林水産委員会においてはこんなにいい円満な委員会は参議院にはないというほどの見事な運営ぶりを皆さんがしてまいりまして、本当に感無量のものがございます。どうか、我が国の農林水産業が一層ますます発展いたしまするように委員各位のさらなる御活躍を心から期待申し上げるわけであります。
 本当に、言葉足らずでございますが、心から御礼を申し上げまして、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)
#156
○委員長(永田良雄君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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