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1992/03/27 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第3号
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1992/03/27 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第3号

#1
第123回国会 厚生委員会 第3号
平成四年三月二十七日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
   辞任          補欠選任
    堀  利和君      浜本 万三君
 三月二十七日
   辞任          補欠選任
    宮崎 秀樹君      石渡 清元君
   日下部禧代子君      角田 義一君
    木庭健太郎君      中西 珠子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田渕 勲二君
    理 事
                西田 吉宏君
                前島英三郎君
                竹村 泰子君
                高桑 栄松君
    委 員
                石渡 清元君
                小野 清子君
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                浜本 万三君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                粟森  喬君
                勝木 健司君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  山下 徳夫君
   政府委員
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       古市 圭治君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
       社会保険庁運営
       部長
       兼内閣審議官   奥村 明雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 昨日、堀利和君が委員を辞任され、その補欠として浜本万三君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(田渕勲二君) 健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○菅野壽君 まず、健康保険法改正に深くかかわっております診療報酬改定についてお伺いしたいと思います。
 診療報酬の引き上げについては、開業医の立場からかな力不満の声が流れております。例えば、医科点数表甲表におきまして、初診料点数を現行の二百十点から改正案では病院が百九十八点、診療所が二百八点と引き下げていますが、これはどのような意味からでございましょうか。技術料重視とどう整合性があるのか説明していただきたいと思います。
 さらに、再診料も甲表では病院七十一点から四十五点へ、診療所が八十一点から五十五点へと大きく引き下げられております。再診料の引き下げは乙表についても同様でございます。これらについても引き下げの理由をお聞かせ願いたいと思います。
#5
○政府委員(黒木武弘君) 今回の診療報酬の改定、私どもは久しぶりの大型改定だと思っております。
 もう御案内のように、診療報酬につきましては、中医協の御議論を踏まえながら、従来から私どもは技術料重視の考えに立ちまして、改正の都度点数の引き上げを行ってきたつもりでございます。今回の改定におきましても、技術料重視の観点から看護料あるいは診察料、手術料、処置料等の大幅引き上げを行うほか、リハビリテーション医療、在宅医療等の推進が図られるような点数設定を行うことにいたしております。
 具体的にお尋ねがありました甲表の初診料及び再診料の点数についてでございます。先生御指摘のように、今回甲表につきましては、初診料、再診料点数の引き下げが行われているわけでございます。今回の診療報酬の改定は、甲乙二表の差をできるだけ圧縮する、縮小するという観点から点数の配分を行ったつもりでございますけれども、その際、甲表につきましては、従来個別に請求できなかった初診や再診の際の軽微な処置等についても乙表と、もう先生よく御存じのように、乙表と同様に個別に請求ができることにしたためでございます。
 御案内のように、甲表では今まで算定できなかった創傷の処置とか、湿布の処置とかあるいは消炎鎮痛処置、皮下、筋肉内注射、静脈内注射、処方料等、今までは乙表では取れたんですけれども甲表では算定できなかった、こういうものを今回甲表でも個別別個に請求ができるようにしたわけでございます。
 したがいまして、初診料、再診料の点数自体は引き下げを行うことにしたわけでありますけれども、初診や再診の際の一連の技術評価につきましては、私どもは技術重視の観点に沿った適正な評価が行われているものと考えております。お尋ねの点は、点数配分上の調整が行われたためというふうに御理解いただければ幸いに存じます。
#6
○菅野壽君 医業経営の安定と医療費の適正化とどう両立させるのかお尋ねしたいと思います。つまり、適正化とは何を指しておられますのか。開業医は何も医療保険を食い物にしておるわけではありませんし、また開業医が理由もなくもうけているというふうなことが言われたり、悪者のような印象を受けていますが、国民の命を預かる最前線にいる者がなぜ消費者物価よりも低い診療報酬の引き上げに甘んじなければならないか、この点を承りたいと思います。
#7
○政府委員(黒木武弘君) 今回の診療報酬改定、前回もそうでございますけれども、良質な医療サービスを効率的にどう国民に提供していただくかという観点を非常に重視した改定にいたしておるわけでございます。私どものその考え方の発想は、これから一層高齢化を迎えていく中で、国民が質のよい医療を適正な負担のもとで受けられるような仕組みをつくっていくことが肝要であると考えているからでございまして、こうした意味におきましても、医療費の適正化と申しますか、効率的なサービスの提供というものは重要な課題であると認識をいたしておるわけであります。
 今回の診療報酬につきましては、中医協が実施します医業経営実態調査の結果をもとにいたしまして、これまでの賃金、物価の動向や医業収入の動向等を踏まえながら、医業経営の安定化が図れるよう所要の引き上げを行ってまいったつもりでございまして、今回の改定は特に、物価、賃金の動向を勘案するほか、夜勤改善分等看護関連には特段の配慮を払いまして改定率の設定を行ったわけでございまして、私どもとしては、全体としては健全な医業経営が確保されるような適正な措置が講じられたというふうに考えております。
#8
○菅野壽君 開業医の経営の将来に不安を覚えるから若い医師で開業医になる者が少なくなっております。今回のような診療報酬の改定を続けていれば、開業医は急激に減少するんではないかと思われます。国民の医療を考えるとき、恐ろしいことではないかというふうに思われてなりません。病院があるからよいという問題ではなく、高齢化社会となり年寄りが多くなるときに、身近に診てもらえる開業医の存在が非常に重要であると思われます。遠いところから病院まで足の弱ったお年寄りたちは通えというのでしょうか。
 在宅医療、訪問看護を重視していると言っておられますが、開業医の経営を圧迫し、開業の魅力をなくするような診療報酬の改定を行って、これで在宅医療を充実させるというのでは困ります。二年に一回診療報酬は改定されます。しかし、諸物価の上昇はその改定をはるかに上回っております。言うならば、医療費の是正は後追い是正と言わざるを得ません。
 そんな関係で、診療報酬のこの問題は二十万開業医が注目しているところでございまして、深い厚生行政の御経験ある、そして社労族でいらっしゃった大臣に、この点の御見解を承りたいと思います。
#9
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどから政府委員が申し上げましたとおり、今回の改定には物価、賃金の動向やあるいは看護関係について格段の配慮を払っでございますが、もう一つの問題は、今お話がございましたように、特に地域医療の第一線を担う開業医に関しましてはプライマリーケア機能の重視という点を評価して改正が行われております。すなわち、在宅医療や往診料に係る点数の引き上げ、地域における診療所間の連携の促進などのいわゆる診療情報の提供、これは新しい制度でございますが、こういうものも新設いたしておるわけであります。
 これらの措置を講じまして、在宅医療を含めた地域における開業医の医療を適切に評価することに配慮したということは、一つは、近所や身近なところにお医者さんがおられる、その方々とふだん接触をしながらお互いに顔見知りになり、親しくなって人間関係を結んでいく、そういうことがお医者さんの医療に非常にいい結果をあらわすということから、私は、そういう人間関係を結んでもらうような医療が行われることを大切にしなきゃならぬという趣旨のことが今回の改定にも十分入っておると思います。
#10
○菅野壽君 今回の改正におきまして、看護婦さん関係の診療報酬引き上げは、五%の改定枠のうち看護関連に二・六%が引き当てられ、これが医療費ベースでは二・八%から二・九%程度となり、その内訳は看護料一・九%、手術料など看護婦が関係する点数に一・〇%程度であるということであります。看護料全体の引き上げは二〇%であるとも説明されております。このことから、看護婦さんの人たちの中には、自分たちの給料が二〇%上がると思っておられる人が多いようでございます。
 私などもよくそう聞かれて困っておるわけでございますが、しかし現在の医業経営を考えれば、先ほども申し上げましたように、物価上昇率が二年前と比較して六・五%も上昇しており、今回の診療報酬の引き上げでは物価上昇分も貯えない実質の減少となっているのではございませんでしょうか。これで開業医の経営を真に考慮していると言えるものでございましょうか。御説明を願いたいと思います。
#11
○政府委員(黒木武弘君) 今回改定におきます点数配分等は、先生御指摘されたとおりでございます。
 私どもは、今回の改定におきましては、特に看護料等を含めました看護関連経費を重視して引き上げたわけでございます。その中で、夜勤体制等実際の勤務条件に応じた加算を新設などいたしておりまして、例えば二・八体制あるいは週四十時間制をとっているような病院につきましては、加算の点数をつけるといったような形で、勤務条件の改善のインセンティブが働くように配慮いたしておるわけでありまして、このようなものを通じて私どもの今回の趣旨でございます看護職員の方の勤務条件の改善、そいうものにぜひつなげてほしいし、私どもはつながっていくものと思っておるわけでございます。
 改定幅の設定からいろいろとお訪ねがあったわけでございます。
 私どもは、今回の改定幅につきましては、医療をめぐる状況を総合的に勘案いたしまして、消費者物価とか賃金の費用面の動向も当然織り込んでおるわけでございます。さらに、医業収入の動向と申しますか、増加傾向等もやはり配慮させていただいた上で所要の引き上げ幅を決定いたしたわけでございまして、結論的に申し上げますと、開業医さんの経営を含めまして医業経営の安定には十分配慮できているというふうに思うわけでございます。
#12
○菅野壽君 さらに、昨年清掃法改正が行われましたが、医療廃棄物の処理についても今までどおりというわけではなくなりました。もちろん、きちんと医療廃棄物を管理するということ自体は結構なことであると存じますが、この処理についてやはり費用がかかるのでございます。経営者といたしましては今まで以上の支出増となります。この点についても今回の診療報酬は何も手当てをしないというふうに思われてなりません。
 法律をつくったと申しましても、実際に処理するには費用がかかるのであります。国の予算と同じではないでしょうか。一般の会社では製品価格に上乗せするということも可能でございますが、保険医では診療報酬が収入額を規定しています。診療報酬改定の際にこれを考慮しないでどのように医業経営者に法律を守れというのでございましょうか。どうも片手落ちではないかというふうに思われます。御説明を願いたいと思います。
#13
○政府委員(黒木武弘君) これも先生百も承知の上での説明になろうかと思いますけれども、診療報酬上の個々の点数は、基本的には技術料の評価の性格を持っているわけでございまして、個々の廃棄物の処理の費用とかあれの費用とかいうものに着目した形ではなくて、医療サービスと申しますか、技術の評価体系になっているわけでございます。したがって、御指摘のような廃棄物処理コストに直接着目した点数はないわけでございまして、私どもとしては廃棄物の処理に深くかかわります、例えば手術料、これも五〇%近く引き上げをいたしておるわけでございますから、そういった手術料とか処置料等、関係の深い技術料に包括して適切に評価するという形をとっているわけでございます。
 結論的に申し上げまして、廃棄物の処理費用を含めまして通常の医業経営に必要とされる費用につきましては、全体的に適切に私どもは手当てされているものというふうに考えております。
#14
○菅野壽君 看護婦さん関係の話が出ましたので、ここでお聞きしたいのでありますが、国会で看護婦職員確保法案を審議する際にお聞きしようと思っておりましたけれども、准看護婦さんのいわゆる正看護婦さんへの道の問題でございます。
 最近、准看護婦養成学校へ入学しようとする学生の多くは高校卒業生であると聞いておりますが、それはそのとおりでございましょうか。何か数字を持っておいででございましたら、お示し願いたいと思います。
#15
○政府委員(古市圭治君) 平成三年で准看護婦養成所に入学されました人が二万三千四百九十九人でございますが、その中で中学校卒業から入った人が千六百六十名、全体の七%ということでございます。これは過去十年ごろからだんだんその率が減ってきているということでございます。
 なお、このほかに高等学校の衛生看護科というのがございまして、これは当然中卒から来るわけでございますが、この方が約七千六百七十三名ですから、これも含めて考えますと総入学者の七〇%ということになります。
 しかし、先生が御指摘されたのは前段の、准看護婦養成所への入学という中での中卒が七%、こ
 の数字がと思います。
#16
○菅野壽君 そこで考えますに、高校卒業者がほとんどであるとするならば、その人たちは教養科目は正看護婦さんと同じレベルであると考えられます。このような人たちの正看護婦さんと准看護婦さんとの差異は、専門課程の学習期間が二年か三年であるかの違いではないでしょうか。それならば、准看護婦さんに対して一年間程度の通信教育等の修了によって正看護婦さんへの受験資格を与えてもよいのではないでございましょうか。現在多くの准看護婦の悩みは、一たん勤めてから再び看護婦養成学校に入学する際に、英語、数学をもう一度勉強し直さなければならないということであります。それなら看護婦への道が大きく開かれることになると思うのですが、御所見を伺いたいと思います。
#17
○国務大臣(山下徳夫君) 准看護婦と看護婦は教育内容がおのずから異なっております。したがいまして、准看護婦が看護婦の資格を取得するために二年課程の養成所を設置しておるところでございます。しかし、実際には看護業務に従事している准看護婦さんというのは家庭を持つ、仕事をやらなきゃならぬという両面で大変に忙しい。したがって進学がなかなか難しい場合がある。そのために厚生省といたしましては、今後養成所への推薦入学の活用とか、あるいは通信制の導入、准看護婦からの看護婦への道を拡大していく、各方面の意見を聞きながらそのように便宜を図る方向で改正してまいりたいと思っております。
#18
○菅野壽君 さて、健康保険法の財政というのは大変歴史のあるものであります。健康保険法については、私たちの先輩が大変な努力を積み重ねて今日の健康保険制度をつくり上げてきたわけであります。その先輩の非常な努力がしみ込んでおります健康保険でありますから、厚生省が健康保険法を改正し、政府管掌健康保険におきましてその保険料率を引き下げておりますからといって、簡単にそうですかと賛成するわけにはまいりません。きちんとただすべきものはただしていかなければならないと思います。厚生省にきちんとしたその点についての御答弁を賜りたいと思います。
 特に、保険料率の引き下げですが、引き下げることができるようになったのはなぜか、また、最近の政府管掌健康保険財政の推移を拝見しておりますと、昭和五十六年度から黒字基調でありますが、この理由を説明していただきたいと思います。
#19
○政府委員(黒木武弘君) 今回の健保改正におきます保険料率を中心にしたお尋ねでございます。
 まず、政管健保の現状でございますけれども、昭和五十六年度以降黒字基調で推移をいたしておりまして、積立金の規模も平成三年度末には約一兆四千億に達する見込みとなっております。
 今回の改正は、このような状況等を踏まえまして、一層の財政運営の安定を期するということから、これまでの、現行の単年度ごとの収支バランスを前提としました財政運営を中期的財政運営に改めることにいたしまして、これに伴いまして、当然のことながら中期的財政運営の安定の確保される範囲内での保険料率あるいは国庫補助率もあわせまして調整することにいたしたわけでございまして、先ほど申しましたような積立金の規模あるいは黒字基調であるということから、今回保険料を引き下げることにいたしたわけでございます。
 昭和五十六年度以降の政管健保の黒字の要因といたしましては、医療費の伸びが安定していたことに対しまして、好景気等によりまして保険料収入等の伸びが好調であったことが主な要因であったと考えているわけでございます。
#20
○菅野壽君 保険料率が昭和五十六年度からどのように推移してきたのか、お示し願いたいと思います。
#21
○政府委員(奥村明雄君) 保険料率の推移のお尋ねでございます。
 昭和五十六年の三月一日から八四パーミルになりまして、同年の十一月一日から八五パーミル、五十九年の三月一日から八四パーミル、六十一年の三月一日から八三パーミルに下がりまして、平成二年の三月一日から現在の八四パーミルに戻りまして現在に至っていると、こういう状況でございます。
#22
○菅野壽君 保険料率を平成二年三月一日から引き上げておりますが、平成元年の収支差は二千百八十七億円もの黒字だったのではないでしょうか。巨額の黒字がありながら保険料率を引き上げたのはどのような理由があったのでしょうか、御説明願いたいと思います。
#23
○政府委員(奥村明雄君) 保険料率につきましては、六十一年度から元年度までの間、被保険者への還元という趣旨で社会保険審議会の御意見を受けまして、千分の一の引き下げを行ったものでございますが、先生御指摘のように平成二年度から千分の八十四に戻っておりますが、この間、平成二年度については老人保健拠出金の加入者按分率が九〇%から一〇〇%になることから老人保健拠出金の増加などが見込まれたために千分の八十四に戻ったものでございます。
#24
○菅野壽君 按分率に対応するということは一応わかりましたが、しかし平成二年度もやはり千四百一億円もの黒字を計上したことになります。平成三年に保険料率を引き下げるべきではなかったんでしょうか、その点を。
#25
○政府委員(奥村明雄君) 平成三年度についてのお尋ねでございますが、平成三年度は医療費の増加などの支出の要因等の見込みがございましたこと、また平成二年度の積立金が保険給付費等の二カ月分程度であったこともございまして、政管健保の財政安定を考慮いたしますと、保険料率の引き下げは適当でないと判断いたしたものでございます。
#26
○菅野壽君 さて、今回の引き下げでございますが、私は、今回の保険料率の引き下げは政府管掌健康保険の財政の上からは遅きに失したと言わざるを得ないと思います。本来は、昨年度において料率を引き下げておくべきではなかったでしょうか。
 ところで、今回の健康保険法の改正保険料率を千分の二だけ引き下げるということにしておりますが、昭和五十六年度から今までの保険料率の推移を見ますと、この改定幅は千分の一ずっとなっております。ところが、今回は千分の二であります。今までの財政運営のやり方を見ますと、今回の引き下げは思い切ったものと言えそうですが、どうでございますか。
#27
○政府委員(黒木武弘君) 御指摘のように、五十六年度以降の料率の引き下げは一ずつの引き下げでございまして、その点から千分の二の引き下げについての評価を述べると、こういうことでございましょうけれども、なかなか私どもとしては、専ら財政上あるいは実務的な検討の結果の下げ幅でございまして、私どもから評価を申し上げるのは差し控えたいと思うわけでございます。
 ただ、今回の保険料率の引き下げにつきましては、既に何度も御説明いたしておるわけで恐縮でございますけれども、政管健保につきまして中期的な財政運営に改めたい、黒字が出れば引き下げ、あるいは赤字が出ると保険料を上げるというようなそういう仕組みではなくて、中期的に五年程度は保険料率を据え置いた形での安定的な運営を図りたいということから設計をいたしたわけでございます。
 当然そういう設計、新しい制度をつくりますと、保険料率あるいは国庫補助率についての調整といいますか、検討は必要なわけでございますけれども、現時点におきます政管健保の黒字基調等からいいまして、今回の保険料率の引き下げに調整の結果相なったということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#28
○菅野壽君 千分の二というのは思い切って下げたように見えますが、実はそうではないと思います。何回も申し上げるようですが、本当は前の年に下げるべきではなかったかと思います。
 ところで、実はこのように黒字が続くのなら、千分の二といわずに千分の三でもよかったのではないでしょうか。なぜ千分の三でなかったかというようなこともちょっと御説明願いたいと思います。
#29
○政府委員(黒木武弘君) 今回の保険料率の引き下げの考え方でございますけれども、既に御説明いたしておりますとおり、中期的な財政運営の安定確保が図れる範囲内での調整でございまして、その際、私どもとしては健保組合とか共済組合の保険料率とのバランス等を考慮した調整にさせていただいたわけでございます。
 具体的に申し上げますと、付加給付分を除きました健保組合の平均保険料率は千分の八十一でございますし、共済組合が千分の八十四となっていることから、これらとのバランスを考慮しまして千分の八十二に定めさせていただいたわけでございます。
 これをもう少し下げたらどうかということでございますけれども、私どもとしては、国庫補助なしで懸命にみずからの経営努力の中でやっておられる健保組合よりも、政府が管掌しています保険料率の方が下だというようなことは、やはり制度のバランスからいっていかがであろうかというふうに考えておるわけでございまして、私どもとしては、制度全体を眺めますと、先ほど申しましたような健保組合あるいは共済組合との中で千分の八十二が最も適当な保険料率、これから五年間程度これでいきたいと思っていますが、適切な料率ではなかろうかということで判断をいたしたわけでございます。
#30
○菅野壽君 衆議院においての御説明では、千分の八十二としたのは組合健保等、他の健康保険の保険料率との見合いということですが、それならばボーナス時に支払う特別保険料について見直すべきではなかったんでしょうか、お伺いします。
#31
○政府委員(黒木武弘君) ボーナス保険料、いわゆる特別保険料でございますけれども、これも御案内のように健康保険制度全般の検討が行われるまでの間の措置として徴収されている保険料でございまして、私どもとしては特別保険料のあり方につきましては、やはり基本的には医療保険制度全体の中での給付と負担のあり方、そういう検討を経てこの問題は考えなけりゃならないんではないかというふうに考えております。したがって、特別保険料はそういうふうに今後検討課題を持っている保険料であるということから、御指摘でございますけれども、一般保険料についての引き下げという形をとらさせていただいたわけでございます。
#32
○菅野壽君 見直すべきところは幾らでもあったのではないかと思いますが、それが国庫補助率の引き下げが優先されたということは非常に問題があると思います。優先順位のつけ方が間違っているとこれは指摘せざるを得ません。
 また、衆議院の答弁では千分の一下げると約六百億円の収入減となるということでありましたが、すなわちもう千分の一引き下げると赤字になるということでありましたが、そのとおりでありますかどうですか、伺います。
#33
○政府委員(黒木武弘君) 平成四年度の予算案におきましては、三百二十億円の実質的な黒字が見込まれているわけでございます。保険料率千分の一で約六百億円に相当するというふうに考えておりまして、仮に保険料率をさらに引き下げますと赤字予算を計上することになりかねないわけでございまして、私どもはこれ以上の保険料の引き下げは困難であるということで衆議院段階においても答弁をさせていただいた次第でございます。
#34
○菅野壽君 今回の健康保険法改正では、中期財政見通しを示されましたが、ここでは保険給付費をどのように見込んでおられましたか。被保険者一人当たり医療給付費を二・七%、被保険者数の伸びは、平成四年度三・五%から毎年一%すっ逓減し、平成七年度以降には一・〇%の伸びと見込んでいるようですが、これでよろしいんでしょうか、お尋ねします。
#35
○政府委員(黒木武弘君) 今回の財政運営方式を改めるに当たりまして、私どもは中期的な財政見通しを審議会等を初めといたしましてお示しをいたしておるわけであります。その中での計数につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。
 重ねてお答えを申し上げますと、被保険者一人当たりの医療給付費の伸びを二・七と見込んでおります。なお、老人一人当たりの医療費の伸び率を四・七%、退職者二人当たりの医療費の伸び率を五・〇%と設定をいたしております。
 さらに、お尋ねの政管健保の被保険者数の伸び率につきましては、平成四年度三・五%から毎年一。%ずつ逓減しまして、平成七年度以降一%の伸びで推移するものと見込んで発表させていただいておる次第でございます。
#36
○菅野壽君 それでは、平成四年度予算の政府管掌保険財政収支を見てみますと、保険給付費が四兆千四百五十三億円、前年度伸び率が八・六%とかなり高いものになっておりますが、その理由をお聞かせ願いたいと思います。
#37
○政府委員(奥村明雄君) 平成四年度予算の保険給付費のお尋ねでございます。
 保険給付費のうち、まず医療給付費につきましては、過去の実績などを勘案した医療給付費の伸び率に今回の医療費改定などの分を加えまして計上をいたしたものでございます。
 また、現金給付費につきましては、分娩費の最低保障額の引き上げや出産手当金の支給期間の改善などを織り込みまして高い伸びを見込んだところでございます。
 さらに、被保険者数の伸びを見込みまして、その結果、保険給付費全体で先生御指摘の八・六%という伸びになったものでございます。
#38
○菅野壽君 四年度の保険給付費の伸びが高いのは診療報酬の改定を見込んだということですが、現金給付費が四年度予算で四千百十七億、一一・〇%増となっておりますね。ところが、医療給付費は八・三%増であります。現金給付費の伸びが大き過ぎるわけで、仮にこれが五%程度であるとすれば現金給付費は三千八百九十四億、四年度予算額との差は二百二十三億円となります。これに三百二十億円の安定資金繰り入れを行わなければ、合計五百四十億円となります。これに予備費を給付費等の一%を計上しておりますが、これは決算で見ますと剰余になります。
 このように考えれば、あと千分の一引き下げる余裕が十分あったのではないでしょうか。お伺いいたします。
#39
○政府委員(奥村明雄君) 現金給付費の伸びを仮に五%程度に抑えればということで御指摘でございますが、平成四年度における現金給付費の伸びは、先ほど御答弁申し上げましたように、分娩費の最低保障額を二十万円から二十四万円に引き上げたことや、出産手当金の支給期間の改善などの給付改善の影響や被保険者数の伸びによるものとして積算をしております。
 また、予備費につきましては、当初予想し得なかった事態の発生や事情の変更などに機動的に対応できるようにこれまで必ず予算上計上してきたものであることなどを勘案いたしますと、事業運営安定資金への繰り入れ三百二十億円を考慮いたしましても、平成四年度においては保険料率をさらに千分の一引き下げることは難しいというふうに考えておるところでございます。
#40
○菅野壽君 中期的に見ましても、毎年安定資金に繰り入れられる見通しを出されているのですから、千分の一さらに引き下げても収支バランスがとれるのではないでしょうか。衆議院での御説明の、もう千分の一引き下げたら赤字になるということはとても言えないと思いますが、どうでしょうか。
#41
○政府委員(奥村明雄君) 繰り返しになって恐縮でございますが、保険給付費、その中の医療給付費、現金給付費の伸びがそれぞれ給付改善や医療費改定などを見込んで高い伸びになっておるところでございまして、予備費についてはこれは予算上どうしても計上しなければいけない、またこれまでも計上してきたところでございますので、そういう数字を見込んでまいりますと、事業運営安定資金への繰り入れ三百二十億円を考慮いたしましても、千分の一相当、六百億程度の剰余という形にはなってまいりませんで、千分の一を引き下げますと赤字になるというような見込みになっておるところでございます。
#42
○政府委員(黒木武弘君) さらに千分の一引き下げのお話があったわけでございますけれども、財政上の理由は運営部長からお答えしたとおりでございますが、制度の設計としては、先ほどもお答えしたわけでございますけれども、各制度とのバランスから今回の料率を定めたということでございまして、それを基本に、さらにそれを引き下げた場合の財政運営をお答えしているわけでありまして、基本は私どもは各制度とのバランスを考えながら料率を設定させていただいたということでございます。
#43
○菅野壽君 政府管掌健康保険の財政は今まで単年度主義の考え方のもとに行われてきたと思います。今回の改正におきまして突如として中期的財政運営ということが言われましたが、今まで単年度主義のもとで健康保険財政を考えてきました。近年では黒字基調で推移してきました。保険料率も引き下げられるまでになっています。このような状況においてあえて中期的財政運営というものを導入した理由をお聞かせ願いたいと思います。
#44
○政府委員(黒木武弘君) 中期的な財政運営につきましては、財政におきまして、単年度単年度ということではなくてもっと長いレンジで考えてみたらどうかというような学者等の意見もいろいろとあったわけでございます。そういう中で今回制度設計をいたしたわけでございますけれども、やはり政管の運営につきましては、短期的な景気変動等に伴いまして保険料率の変更をできるだけ避ける方が望ましいだろうということで、安定的な保険料率を設定するために、現行の単年度ごとの収支バランスを前提とした財政運営を五年程度を見通した中期的な財政運営に改めまして、これに伴い、積立金を活用して事業運営安定資金を創設することにしているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、各年度において歳入の剰余が見込まれ、または剰余が生ずればこれを資金に繰り入れ、歳入の不足が見込まれ、または不足が生じれば資金から繰り入れるというようなことで、毎年度の事業運営を安定的に行おうとするものでございます。
 今回の改正で、そういう運営に改めることにしたのはなぜかというお尋ねでございますが、政管健保につきましては、先ほどから御説明いたしておるとおり、昭和五十六年度以降黒字基調で推移をいたしておりまして、積立金の規模も平成三年度末に約一兆四千億に達する見込みとなっておるわけでございまして、単年度における財政の調整資金的な機能を果たすものといたしまして、積立金を活用しまして事業運営安定資金の創設が可能になったと、こういうことが今回の改正で財政運営方式を改めることができた理由でございます。
#45
○菅野壽君 中期的財政運営を行うということで安定的な財政運営が可能ならばよろしいのですが、それはこれから厳しく見守っていくことといたしまして、しかしそれでもなお疑問が残ります。
 それは、健康保険法第七十一条ノ四の規定と、今回導入しようとしている中期的財政運営の考え方との関係のことであります。この条項の規定の趣旨はどのようなものでしょうか。
 また、私はこの規定はいわゆる弾力条項、すなわち健康保険財政を弾力的に運営するために国会が政府に授権している範囲内で機動的に各般の状況に対処できるようにしたものがこの条文の趣旨であると思います。この考え方と中期的財政運営の考え方とをどのように調整されるのか、伺いたいと思います。
#46
○政府委員(黒木武弘君) 健康保険法第七十一条ノ四の規定についてのお尋ねでございますが、この規定は保険料率についてのもちろん規定でございますけれども、現行法の場合には単年度の収支バランスを前提とした規定ぶりになっておるわけでございます。いわゆる弾力条項につきましても、単年度の収支バランスに着目した規定になっておるわけでございます。
 これに対しまして、改正後の七十一条ノ四の規定はおおむね五年を通じた中期的な財政の均衡を前提として保険料率を定めることにいたしておりまして、この弾力条項につきましても、単年度ごとではなくて中期的な財政の均衡が図られない場合に発動できることとされているものでございます。
 また、政管健保の中期的な財政運営は、五年程度を見通して短期的な景気変動等に影響されない安定的な保険料率を設定するものでございまして、現時点で予測し得る限りにおきましては、これが保険料率を変更しないで済むものと考えておる次第でございます。
#47
○菅野壽君 厚生省の説明では、保険料率は今後五年間は変更しないかのように聞こえますが、これと弾力的運営とどのように調整するつもりでございますか。もし中期的安定を強調するならば、この条文を削除すべきではないでしょうか、伺います。
#48
○政府委員(黒木武弘君) 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、現行の弾力条項というのは単年度の収支バランスを前提にした発動規定でございます。今回、私どもは中期的な、おおむね五年を通じた中期的な財政の均衡を前提として保険料を定めることに変えたわけでございますけれども、この中期的な財政の均衡が図られない場合には、この弾力条項が発動されるということでございますから、私どもは削除については疑問に思っておりますし、むしろ中期的な財政運営の場合におきましても必要な規定であるというふうに考えております。
#49
○菅野壽君 その中期的財政運営の安定を担保するために、新しく事業運営安定資金というものが導入されることになったということですが、今までの積立金との差異を含めて、この資金の意味、性格について御説明願いたいと思います。
#50
○政府委員(黒木武弘君) 今回、財政運営を中期的に行うためにはどうしても資金の創設が私どもは必要だと考えたわけでございます。いわば調整資金的な機能を果たすための制度ということで仕組んだわけでございます。
 どういうふうに従来の積立金と違うかということのお尋ねでございますけれども、今までの積立金は決算で剰余が出た場合に積み立てることができるものでございまして、あらかじめ予算段階で剰余が見込まれる場合につきましては、現在の積立金は想定をいたしてないわけでございます。今後、資金を創設いたしまして、予算及び決算上の剰余または不足を調整していく仕組みとしては、お願いしております資金の創設がぜひとも必要というふうに考えておるわけでございます。
#51
○菅野壽君 この事業運営安定資金ですが、この資金規模はどの程度を考えておられますか伺いたいと思いますし、厚生省の提出された資料によりますと、資金は毎年積み上げられて五年後には約二兆円という巨額なものになることが示されております。資金の規模の算出方法についてお示し願いたいと思います。
#52
○政府委員(黒木武弘君) 資金の規模が幾らかということについての、何と申しますか学問的な研究とかいうふうなものはないわけでございますけれども、私どもはやはり経験則から、過去政管健保でも単年度で最大赤字幅が給付費で二カ月分を超えたということ等を考慮しまして、給付費の三カ月分相当が現在の三年度末の積立金の約一兆四千億に当たるわけでありますけれども、この程度の資金を保有していくことが望ましいということで、これを資金の創設の原資と申しますか、これに充てることにいたしたわけでございます。
#53
○菅野壽君 資金規模は給付額のおよそ三カ月分とするならば、なぜ三カ月分としたのか。今までにこの資金規模三カ月分が必要になった事例が存在しておりましたか。あれば御説明願いたいと思います。
#54
○政府委員(黒木武弘君) 三カ月分というのも、私どものこれまでの財政運営の経験を踏まえまして、政管あるいは健保組合等々含めまして、この程度の規模がというような経験からくる形で積立金を保有している例が多いわけでありますけれども、過去単年度で最大の赤字幅が給付費の二カ月分を超えた事例が昭和四十年度でございますが、あるわけでございまして、そういうことからいいまして、三カ月分を保有して中期的な財政運営に当たっていけば、これから一層私どもは政管の財政運営の安定が期せられる、こういうことから今回の措置をお願いしているわけでございます。
#55
○菅野壽君 そのほか、事業運営安定資金の運用、それから運用益の使い方等々を承りたいと思いましたが、時間がまいりましたのでこの辺でやめますが、最後に大臣の御決意を伺いたいと思います。
 保険料率を引き下げる時期を失したということが実は今回の国庫補助率の引き下げにつながったと指摘しておきます。もっとうがった見方を言えば、国庫補助率の引き下げがあって今回の健保法改正になったのではないでしょうか。
 概算要求時にはこの問題は出ておりません。健保法改正は被保険者のために改正されたのではなく、国の、大蔵省の財政事情から出てきた話ではなかったでしょうか。診療報酬改定のための財源がなくて、財源探しをしているうちに政管健保の積立金に目をつけたというのが本当ではなかったのでしょうか。厚生省はもっと頑張って、診療報酬の財源は一般財源から求めるべきであったと思います。政管健保の被保険者が負担すべきものではありません。一度このような形がとられましたならば、もとに戻すことは大変な努力が必要だと思います。厚生省の方々が一番よくこのことは知っておられることであります。
 大臣、就任直後であったのでお気づきがなかったかもしれませんが、厚生行政に詳しい大臣ならば、今回の改正の意味がどのようなものであったかおわかりのはずでございます。私は、健保法の質問に入る前に、この保険制度については諸先輩の非常な努力がしみ込んでいると申し上げましたが、今回の健保法改正は保険料率の引き下げが含まれているとはいえ、改正の眼目は、診療報酬の財源手当てであったということは明白であると思います。大臣、これが我々諸先輩の努力にこたえると言えますでしょうか。今後機会あるごとに、国庫補助率回復のために、厚生行政のベテランでいらっしゃる山下厚生大臣が努力されることを望みます。
 大臣よく御存じのように、日本の社会保障制度はまだおくれております。税収見込みが少なくなったからといって診療報酬の財源を、たまたまここ数年黒字が続いたという政管健保から捻出しようとするのでは、生活大国への道は遠いものと言わざるを得ません。
 この間、三月十三日の朝日新聞に、「赤字病院が最悪の七五%」だという記事も出ております。諸物価が毎年上がるのに、診療報酬は一年置きでございます。どうか今後は諸物価と同様に医療費が是正されることを私は強くお願いするものであります。今現在、この新聞のように非常に医療界は経営上困惑しております。「自治体病院は八五%」とまで書いておるわけでございます。
 どうかひとつ、深い御経験の社労族であられた厚生大臣が我々医療界のために十分なる御努力をいただいて、毎年診療報酬の改定をされるようなあり方に持っていっていただいて、ここに山下厚生大臣あり、そしてまた今後言い伝えられるであろうあのときの山下厚生大臣はこうしてくださったということを、二十万医師会にかわってお願いして、質問を終わります。厚生大臣の御決意をお願いします。
#56
○国務大臣(山下徳夫君) ありがとうございます。
 たびたび申し上げておりますが、宮澤総理が生活大国ということをよく言っておられます。したがって、生活大国ということになりますと、厚生省はこの内閣のバックボーンだなという意識のもとに頑張らなきゃと自分自身にも言い聞かしてまいりましたけれども、いざ予算編成になってみますと、想像以上に非常に厳しい予算の環境であったということでございまして、財政措置につきましても精いっぱい私どもは知恵を出したつもりでございますが、いろいろとまた御指摘の点もあるかと思います。
 そこで、その御指摘の趣旨は私もよく理解をいたしております。したがいまして、今後私の仕事の指針として、先生のお言葉をよくかみしめてまいりたいと思います。問題は、医療保険制度というものは長期的に安定したものでなきゃならぬということでございますから、そこを間違えないようにしながら、今の御指摘の点等については十分配慮をして頑張ってまいりたいと思います。
#57
○菅野壽君 ありがとうございました。
#58
○日下部禧代子君 まず最初に、基本的なことについて確認をさせていただきたいというふうに思います。
 ただいま審議が行われておりますこの法案は、いわゆる日切れ法案並みの扱いであるというふうに私は承知しておりますが、この日切れ法案とは一体どのような定義か。これを厚生省にお聞きいたしましてもお答えはいただけないというふうに思いましたので、会議録を引用させていただきます。
 これは昭和五十九年の三月三十日の参議院の予算委員会における議事録でございます。そこで、和田静夫委員が「日切れ法案というのは一体何なのか」という質問をしております。それに対しまして当時の国務大臣竹下登さんは、「これは、私ども提案者から見れば、日切れ法案というのは、何月何日から施行したいということでお願いしておる限りにおいては、それが日切れだ、こういうことでございます。」というお答えでございます。
 それでは和田さんが御承知なさいませんで、法制局長官にお尋ねになっております。法制局長官のお答えを見ますと、「実務的にいって、その法律案の予定した施行日なりあるいは相当の準備期間を残した日までにはどうしても成立しなくちゃいかぬというような法案でございまして、これが通らないときには国政の運営面でいろんな意味で支障を生じたりあるいはまた国民の利害に影響を及ぼすといったような内容を含んだ法律案」というふうなお答えが議事録には記されているわけでございます。
 今回のこの法案に関しまして、厚生省は日切れ法案並みの取り扱いということを御要請なさっていらっしゃいました。これは単に事務処理上の問題なのでございましょうか。なぜ日切れ法案並みの取り扱いを御要請なさいましたのか、その理由をお伺いさせていただきたいと思います。
#59
○政府委員(黒木武弘君) 日切れ法案の概念を勉強させていただきまして、ありがとうございました。
 私どもが使っている用語では実はございませんで、私どもは今回の改正法案の実施時期につきまして、平成四年度から政管健保の財政運営を中期的財政運営に改めたいということで御提案申し上げておるわけでありますけれども、その中で本年四月から保険料率の引き下げ等をお願いしているという面がございまして、どうしても改正法案を本年度中の成立をお願いいたしたいということでお願いしている次第でございます。
#60
○日下部禧代子君 健康保険法の第七十一条ノ四の第五項にこのように記されております。「厚生大臣ハ第二項ノ申出を受ケタル場合二於テ必要アリト認ムルトキハ社会保険審議会ノ講ヲ経テ千分ノ六十六乃至千分ノ九十一ノ範囲内二於テ第一項ノ保険料率ヲ変更スルコト」ができる、この「第二項」というのは御承知と思いますが、「社会保険庁長官ハ保険料、第七十九条ノ九ノ規定二体ル拠出金及国庫補助ヲ以テ保険給付費、保健施設費、
老人保健拠出金及退職者給付拠出金二充ツル費用二木足若ハ剰余ヲ生ジ」「タルトキハ厚生大臣二対シ前項ノ保険料率ノ変更二付申出ヲ為スコト」ができるというふうになっております。
 今回、保険料率を引き下げるということでございましたらば、いわゆるこの弾力条項ということを適用できると思うのでございますが、この規定が適用できなかった、あるいはなさらなかった理由というのはどういうところにございましょうか。
#61
○政府委員(黒木武弘君) 先生御指摘のように、保険料の引き下げは弾力条項を使ってもできるわけでございます。しかし、どうしても御理解いただきたいのは、私ども今回の改定でお願いしていることにかかわるわけでありますけれども、政管の運営をより一層安定的なものにいたしたい。したがって、単年度ごとの余裕があれば下げる、不足が生ずればまた上げるという方式を、五年を通じて保険料を平準化すると申しますか、一定の形で推移させる方が、主として保険料をお払いいただく方は中小企業あるいは中小企業のサラリーマンの方ですから、上げ下げの運営よりも五年程度は安定的な形で運営する方が望ましいだろうという発想からでございます。
 そのためには、どうしても出したり入れたりする調整機能を持った運営安定資金みたいなものが要るわけでありますけれども、それが積立金の形で資金ができる状況になってきたということで、仕組みを今回変えさせていただくということで、弾力条項ではなくて、仕組みを変えて、そのときの新しい仕組みの中における保険料率ということを法律上私どもは明記をさせていただくという形で、千分の八十二でございますけれども、七十一条ノ四に保険料率を「千分ノ八十二」ということで書かせていただきまして、あとは従来どおり弾力条項を置かせていただくという制度の仕組みをとったわけでございまして、御理解いただきたいと思うわけでございます。
#62
○日下部禧代子君 きょうはこの問題について余り論議のための時間をとることは本意ではございませんが、私がこの審議案件というものを日切れ法案として取り扱うということに大変警戒をしておりますのは、次のような理由がございます。
 その第一には、日切れ法案というのは十分な審議が行われるための時間的余裕がございません。したがって、実質審議なしということが当たり前だというふうな扱いを受けてしまうというおそれがあるということ。それから、例えばこの法案のように実質審議の時間が確保されたといたしましても、日切れ法案として取り扱うということは、法案がもう成立してしまうということを前提とした合意が事前になされているということを意味しておりまして、したがって、せっかくの審議に緊張感が伴わないというふうなことがどうしても避けられないというふうに思います。
 このような理由から、日切れ法案というのは国会の審議権の放棄ということにもつながりかねないし、またもう少し大げさに言わせていただきますと、行政府主導、立法府追従というふうな、国会議員のあるいは自殺行為にも等しいということにもつながります。これだけを指摘させていただきまして、法案の内容についての質問に移りたいというふうに思います。
 今回の法改正によりまして医療保険審議会が創設されることになりますが、その目的につきまして御説明いただきたいと思います。
#63
○政府委員(黒木武弘君) 医療保険審議会創設の目的等についてのお尋ねでございます。
 医療保険審議会につきましては、現在、国民健康保険については専門審議会が設置されていないこと等から、私どもは社会保険審議会を発展的に改組いたしまして、健康保険、船員保険、国民健康保険を通じた医療保険制度全般について審議する場として創設するものでございまして、これから大きな課題になっています国民健康保険について他の被用者保険と一緒になって審議する場をぜひつくっていただきたい、こういう趣旨からお願いしているものでございます。
#64
○日下部禧代子君 いわゆる医療保険制度の一元化ということについてもこの場で審議されるというふうにとらえてよろしゅうございましょうか。
#65
○政府委員(黒木武弘君) 一元化ということがこれから大きな課題でございます。各制度を通じて給付と負担をどう公平なものにしていくかということが私どもの政策テーマの大きな分野でございます。私どもは給付と負担の公平化措置、いわゆる一元化の議論にとどまらず、これからの高齢化社会等を踏まえまして、医療保険制度の将来構想等、財源のあり方、給付の範囲、もちろん一元化という形での医療保険制度の枠組み等幅広い観点から御審議をいただくことにいたしておるわけでございます。
#66
○日下部禧代子君 今、給付と負担の公平化という意味での一元化というふうにおっしゃいましたけれども、一元化ということにはいろいろな意味が含まれているというふうに思います。現在分立しております諸制度を統合する、あるいは制度間の負担の公平化、今おっしゃいました。それと給付率の問題あるいは財源あるいは付加給付など各保険の格差というものをどのように是正するかという問題がございます。あるいはまた、いわゆる制度調整なのか財政調整なのか、そういうことも含めまして、厚生省の考えていらっしゃいます医療制度の一元化というのは一体どういうことなのか。
 これは審議会ができてから、そこで審議をするというふうなお答えはよく政府側の方からいただくお答えではございますけれども、もうちまたではいわゆる審議会というのは政府の隠れみのになっているんじゃないかというふうな声さえ聞かれるのでございますので、ぜひともここで厚生省としての政策、ビジョンといいましょうか、そういう観点から医療制度の一元化というものは、どういうものを意味しているのかということを大臣の口からお聞きしたいというふうに思います。
#67
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどから政府委員が答弁をいたしておりますように、本格的な高齢化社会をこれから迎えるわけでございまして、医療保険制度を長期的に安定させるということは一番大切な問題でございます。そうするためには給付と負担の公平化、これが大事でございまして、医療保険制度全般にわたって幅広い視点から検討していく必要があると考えております。このような観点に立って一元化の問題を考えていくことが大変必要であると思います。
 いずれにいたしましても、現在分立しております各制度をどう調整していくか、問題を含んでおりますいろんな問題、幅広い観点から関係の方々の御意見を伺って、この一元化に対して難しい点をどう調整していくかということにこれからも正面から取り組んでいかなきゃならぬ、こう思っております。
#68
○日下部禧代子君 もう少し突っ込んだお答えは、大臣いただけませんでしょうか。
#69
○政府委員(黒木武弘君) 一元化の考え方をもっと率直に述べよということでございますけれども、正直言いまして、医療保険制度、長い歴史の中でそれぞれの制度が今機能しているわけでございます。保険料にしても、あるいは給付にしても、さまざまな形で制度が動き、あるいは組合の形で動いているわけでございます。したがいまして、とうこれからのあるべき姿を描くかということにつきましては、さまざまな意見が既に出され、あるいは持っておられるわけでございまして、本当にざっくばらんに申し上げまして、私どもが今の段階で例えば給付率はこうするとか、負担をこうするとか申し上げるよりも、一度はそういう関係者が、初めて今度は地域保険と被用者保険の関係者、よく御存じの学識経験者が一堂に会すると申しますか、同じ審議会で医療保険の将来についての審議が始まるわけでございますから、一元化の具体的なビジョン等については、私どもそういう関係方面のあるいは学識経験者のまず意見を聞かせていただく。
 大変難しいテーマでございますけれども、大臣から申し上げましたように、将来の医療保険、二十一世紀を見詰めた医療保険のあり方というのは今から着手しておかなければいけないだろうということで、今回こういう審議会の改組をお願いし、そしてお認めいただければ、早速にも審議会と一緒になって将来構想なりビジョンを描きたいものと、こういうふうに思っておるわけでございまして、恐縮ではございますが、今の段階では個別具体的な考えというのは持っておりませんし、またお出しにくい状況でございます。
#70
○日下部禧代子君 そういうお答えを伺ってしまいますと、次の質問がちょっとできなくなるのでございますが、今余り明確なお答えをいただいておりませんけれども、いわゆる一元化によって厚生省はどのようなメリットというものが期待されるだろうというふうにお思いになっているんでしょうか。そのくらいはお答えいただけると思うんです。
 例えば、効率的な制度の運用ということによりましても、分立している諸制度の統合によって資金の流れが効率的に運用できるとか、あるいはまた、制度の分立による給付及び負担の不公平が是正できるとか、今、私一つか二つの例を挙げましたけれども、どのようなメリットが期待されるというふうにとらえていらっしゃるのでしょうか。
#71
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどから申し上げますように、保険は種類がいろいろございまして、それぞれのシステムになっておるわけでございます。ただ、基本的に申し上げることができるのは、保険料というものはその所得に応じて段階があるわけでございますが、その給付というものは大体同じであるということでございますから、ある意味においては、これは所得の再配分と言うことができると思うのでございます。そういう再配分効果を持つというこの制度は維持していかなければならぬ、これが一つの原則であると思うのでございます。
#72
○日下部禧代子君 それでは、いわゆる一元化ということを行う上での問題点というのをどのように今の段階でとらえていらっしゃるでしょうか。例えば、税負担における所得というものをどのようにとらえるか、あるいはまた所得控除の経費面での現在ございます不公平をどのように是正するのか、あるいはまた水準の低いところでのいわゆる公平というものにつながらないかどうかという、そういうようなことも含めまして、どのような点を問題点だというふうに今の段階でとらえていらっしゃいますでしょうか。
#73
○政府委員(黒木武弘君) 私どもはまだ一元化の具体的な姿を持ち合わせていないことから、メリット、デメリットについては答えにくいわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、国民全体にとってこれからの高齢化社会あるいは二十一世紀の段階でも医療保険が有効に機能し、国民の生活なり健康を支えていく制度に全体を持っていきたいという発想でございますから、将来の医療保険のありざまというのは国民ひとしくメリットを与えるような、そういう構想を描かなきゃならないんではなかろうかというふうに考えております。
 しかしながら、個別具体的には、例えば国保は給付も格差がございますし、あるいは負担も重いと言われているわけであります。これをどういうふうに調整をするかということになりますと、いろんな考え方があるわけでございましょうけれども、その中で考えなきゃいかぬのは、給付をよくしていくということはその墓として働く人々の負担ということにはね返ってくるわけでございますから、社会保険である以上給付と負担との両にらみの中で、あちこちに無理がいかないようないい制度をぜひ構築しなきゃならぬということで、非常に抽象的で大変申しわけないわけでございますけれども、御理解をぜひいただきたいと思うわけでございます。
#74
○日下部禧代子君 先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、いわゆる公的医療保険制度におきましては、所得再分配機能というのは大変重要なわけでございますが、その所得再分配機能とそれから相互扶助機能との関係をどのように厚生省はとらえていらっしゃいますか。
#75
○政府委員(黒木武弘君) 公的保険は相互扶助と言われているわけでございます。年金では世代間扶養と言っておりますように、若い世代がお年寄り、医療保険の場合には健康な人が病気になった人の費用を負担するというような相互的な関係があるわけだろうと思います。
 大臣からちょっと申し上げましたように、負担面が、所得に比例して負担をしていただくということから所得再配分機能、そういう効果を持っているわけでありますけれども、税みたいに累進性の構造をとっていないわけでありますから、所得再配分機能と申し上げましても、それ自体をねらっているというよりもやはり相互共済的な機能の中で負担を所得に比例させながら、負担能力に応じて負担していくという形で、私どもは相扶共済の理念と、それから所得再配分の効果というものを大事にしながらこれからは制度を構築していかなきゃいけないと思っている次第でございます。
#76
○日下部禧代子君 今までの議論を踏まえまして、いわゆる公的医療保険制度というものには何が求められているのか、大臣の御見解を承りたいと思うのでございますが。
#77
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどからいろいろ御意見がございましたが、問題は低所得者に対してこれ以上負担をかけてはいけない、これが大前提であろうと思います。しかしながら、一つのバランスというものがございますから、それを維持するためには公費の助成制度というものがさらにもっと上積みされなきゃならぬのかなと思うのでございますが、これはやり方がいろいろございますけれども、方向としてはそういうことが一つのセーフティーバルブと申しますか、そういうことになっていくのではなかろうかと私は思うのでございます。ですから、あくまでも国保制度の安定というのは(さっき申し上げました所得のアンバランスについて制度の中での地ならしをしながら、しかも長期安定ということを図るために国がある程度調整をすることも必要である、これが基本的な考え方であろうと思います。
#78
○日下部禧代子君 国の調整ということは、いわゆる国の補助ということでとらえてもよろしゅうございますか。
#79
○政府委員(黒木武弘君) 私どもは、医療保険の基本的な考えといたしまして、保険制度でございますから保険料が基本になるべきものだと考えております。ただ、御案内のように、保険料だけでこの制度を運用した場合に、負担が過大になるとかあるいは制度間の負担の均衡を図れないとか、いろんな局面に応じて国庫補助が発動すると申しますか、国庫のよろしきを得た調整というのがこれからも必要になってくるんではなかろうかというふうに考えておりますが、基本的には、保険である以上受益と負担の関係が明確である保険料負担が基本でございますけれども、必要に応じて国庫の制度というものを組み合わせながらこれからも制度を構築していく必要があると思っております。
#80
○日下部禧代子君 国庫補助につきましては、また後ほど質問をさせていただきます。
 一元化の問題をもう少し質問させていただきたいと思いますが、いわゆる一元化の前提といたしまして国保の財政基盤の強化という要請もございます。もし現行方式の、つまり五割国庫負担でございますね、すべての市町村に一律四割の定率の国庫負担で、財政力に応じて傾斜配分一割の財政調整交付金というこの現行方式を存続した場合に、国保の財政安定をどのように図るおつもりでいらっしゃるのでしょうか、その点についてお尋ねしたいと思います。
#81
○政府委員(黒木武弘君) 国保につきましては、これまでも老人保健制度とか退職者医療制度の導入などによりまして、一連の私どもは制度改革と言っていますけれども、その安定化を図ってきているわけでございます。今回、私どもは政管についての国庫補助につきまして調整をいたしておりますけれども、これが即国保の国庫補助に関連づ
けて考えているわけではないわけでございます。国保は、もう御案内のように、低所得者の多い、あるいは老人の割合の多い制度でございまして、財政力が非常に不安定と申しますか、財政基盤の弱い制度でございますから、これからも国庫補助の考え方についてはこの段階で私どもは変えるつもりはございません。
#82
○日下部禧代子君 そういたしますと、いわかるリスクの分散、財政力格差の是正というのは可能だというふうにお考えでいらっしゃいましょうか。
#83
○政府委員(黒木武弘君) これももう御案内のように、現行の制度におきまして五割の国庫負担の中で一割は財政調整交付金という形におきまして市町村間の財政力等の格差を調整しているわけであります。五割負担の中での一割は財政調整交付金という形で既に現在市町村間の財政力格差を調整いたしておるわけであります。
 しかし、各市町村間においてこれで財政力格差の是正が完全かと言われると、いろいろ私どももまだまだ問題があると思っておるわけでございまして、今後の国保をどのように考えていくかということは、まさしくこれからできます医療保険審議会においてほかの制度との、全体の中でもあるいは国保自体のあり方の中でもいろいろ検討するテーマが多いわけでございまして、御指摘の市町村間の財政力格差の是正というのも大きなこれからの検討テーマになっていくものと思っております。
#84
○日下部禧代子君 特に規模の小さな市町村の国保の場合には大変ないわゆる格差の問題というのは重要省問題になると思いますけれども、特にこの規模の小さな市町村国保については、どのような対応ができるというふうにとらえればよろしいのでございましょうか。
#85
○政府委員(黒木武弘君) 国保は市町村営をやっているものですから、もう御案内のように、非常に大きな東京と大阪みたいなところから、何百人規模の村までそれぞれ保険者としてやっていただいている状況にあるわけでございます。したがって、当然小規模市町村にとっての運用というものがこれからの大きな検討テーマにもなり得ると思います。
 そこで、やはり現在は、さはさりながらいろんな意味での工夫を凝らしているわけでありまして、小さな財政規模の国保におきまして一人高額な患者が出ると、もう財政が影響されるというようなことがこれまでもあったわけでございまして、現段階におきましては影響の大きな高額な医療費の発生につきましては、都道府県単位の再保険事業であります高額医療費共同事業を国、都道府県の助成のもとで実施をしておりまして、小規模市町村の財政運営の安定に資しているつもりでございます。
#86
○日下部禧代子君 今おっしゃいましたのは、いわゆる再保険システムでございますが、これは昭和五十八年に導入され、スタートしたというふうにとらえておりますが、よろしゅうございますね。
 そして、昭和六十三年から公費の一部補助が導入されたということでございますが、これは高額医療費共同事業という名称でもわかりますように、高額医療費に関するものに限定されております。いわゆる部分的というふうなものだというふうに思うわけでございますが、さらにそれを例えば人口の数百人というふうな非常に小さな村などにおいてはもう本当に国保の運営というのは無理だというふうに思います。
 したがいまして、今のいわゆる再保険システムというものを、もっと単なる高額医療費だけではなく、本格的、全面的な形で国が補助をするというふうな制度を創設するというふうなお考えはございませんでしょうか。
#87
○政府委員(黒木武弘君) まさにこれからの国保制度のあり方に及びます御指摘だと思うわけでありますけれども、そのあり方につきましてさまざまな意見が実はあり得ると思っているわけであります。
 保険事業というのは、本来保険者ごとに責任を持ってやってもらうのが至当ではないか。年金と違いまして、医療費のむだ遣い等々含めまして、むだ遣いというのはちょっと語弊がありますけれども、保険者が自分の被保険者の健康管理なり保健事業をどうやるか等々によって医療費というのも、あるいは負担というのも違ってくるわけでございますから、保険者ごとの責任主義というものが非常に大事な観点ではなかろうか、特に医療保険の世界においてはそのように思っているわけでございます。
 財政が安定するためには先生のお考えのような意見も当然あり得るわけですし、また、私が言っておりますように、すべてがらがらがらがらとしていきますと、これはなかなか、経営責任論と申しますか、事医療費に関するだけにいろいろな意見が出てくるテーマでございますので、私どもは、御提案でございますけれども、都道府県レベルにおいて高額以外の財政についてすべて調整していくというような方式については、今後の慎重な検討であらなければならない、かように思っているわけでございます。
#88
○日下部禧代子君 次に、老人保健制度あるいは退職者医療制度との一元化の関係についてお尋ねいたします。
 いわゆる退職者の任意継続被保険者制度というのは、今わずか二年間しか加入できないことになっておりますね。保険料もかなり高くつくということでございます。なぜ二年間だけ継続を認めたのでしょうか、その理由をお尋ねしたいと思います。
#89
○政府委員(黒木武弘君) まず、任意継続制度でございますけれども、これは私も詳しくは存じてないわけでございますけれども、古い健保の時代に、もちろん国保なんかない時代でございまして、健保組合を卒業すると直ちに何の保険にも入れないという歴史の中で、こういう任意継続、職場を離れても引き続き例外的に給付をしてやろうかという制度が誕生したものと承知をいたしているわけでございます。
 したがいまして、私どもの観点というのは、健康保険の任意継続被保険者制度というのは、極めて例外的な制度だと思っているわけでありまして、したがって加入の要件も限定されておりまして、被保険者となり得る期間も短期間になっているわけでありまして、この辺についての、延長するかどうかを含めまして、これはもう一回医療保険全体の仕組みの中で再検討すべきテーマかな、実はかように思っておるわけでございます。
#90
○日下部禧代子君 例えば、老人保健制度と連続するというふうな形で三年間をプラスアルファいたしまして、せめて五年間というふうな延長というのはできないでしょうか。年金の谷間というふうなこと、それから給付の額の問題も含めまして、もし五年間延長できればという、そういうお声もかなり高いように私は承っておりますが、その点いかがでございましょうか。
#91
○政府委員(黒木武弘君) 現行の二年を五年ということになりますと、先ほど申しましたように、制度の根幹にかかわるようなことになるわけでございまして、どうしても例外的な制度ということで、これが延長というのは私どもとしてはなかなか、制度全体の検討の中でどうするかということを考えないことには、これだけ取り出してお答えすることは非常に難しいわけでございます。
 なお、五年というのは、もう御案内のように、五十五歳以上の退職者につきましては、五年間でちょうどジャスト、退職者医療制度の退職者年齢でございます六十までつなげる道は開いているわけでありますけれども、若い人を含めまして二年を五年にするというのはなかなか難しい、私どもは、検討することがたくさんある御提案だというふうに考えておるわけでございます。
#92
○日下部禧代子君 現在この保険料というのは全額加入者負担でございますが、この点を事業者の側も続けて半分負担するという、そういう制度を改善する方向というのも、やはりこれもかなり消極的な立場をとっていらっしゃいますでしょう
か。そういう制度改善の方向というのはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
#93
○政府委員(黒木武弘君) 先生から先に言われたわけでありますけれども、御指摘のように消極的でございまして、任意継続被保険者につきましては、もう既に退職されておるわけでありまして、事業主との関係で申し上げますと全く関係がなくなっておられる方でございますので、この方々に対しまして保険料を事業主に半分持てというのは、なかなか私どもとしては制度的に無理のあることだと思っておりまして、したがいまして、任意継続被保険者につきましては労使折半というのはなじみにくいな、かように思っておる次第でございます。
#94
○日下部禧代子君 一元化の問題ということにつきましては、この程度で質問を終わらせていただきたいと思うんですけれども、この医療保険制度の一元化ということによって、また新たな不公平あるいは不平等ということが生じることのないように、そしてまた社会保障としての公的医療保険制度というものの役割とは何かという、そういう原点から逸脱しないような方向で御議論がされることを強く要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、今回の改正によりまして国庫補助が引き下げになったわけでございますが、この国庫補助の引き下げにつきまして、なぜ国庫補助率を引き下げたのかという御説明をまだいただいていないように思うわけでございますが、この点につきまして明確なお答えをいただきたいというふうに思います。
#95
○政府委員(黒木武弘君) 今回国庫補助率を下げた理由についてのお尋ねでございます。
 今回は、私どもは財政運営方式を中期的な財政運営に改めたいというのが原点でございまして、その改めるに当たりまして、当然保険料率をどうするか、それからそれとの見合いで国庫補助率をどうするかということにつながっていくわけでございますけれども、現在の政府管掌健康保険が毎年度三千億あるいは四千億の黒字を出しておりまして、積立金も一兆四千億になっているということから、当然国庫補助率、あるいは保険料率はもとよりでございまして、引き下げの形での調整ということになるわけでございます。
 その場合に、まず保険料率をどこまで下げ得るかということを検討したわけでございまして、その際やはり組合健保との料率バランスがとれるところまで今回引き下げまして、その料率で五年間はやってみたいというのが第一でございました。それで中期的な財政バランスシートを検討いたしたわけでありますけれども、それでもなおかつ財政に余裕があるということから、今回国庫補助率の引き下げということに踏み切らさせていただいたわけであります。
 私どもは、今回の措置が暫定措置であること、そして引き下げたことによりましても政管の中期的な財政運営に支障がない、引き下げても大丈夫であることと、さらに、非常に厳しい財政状況の中でこれが財源を診療報酬の改定等に資する形になり得る、こういうことから今回国庫補助の引き一下げに踏み切らさせていただいたわけでありまして、暫定措置であること、運営に支障がないこと、それから診療報酬の改定に資する、こういうことで御説明をいたしまして、関係審議会等にもやむを得ないかなというぎりぎりの判断をいただいたところでございますので、御理解いただきたいと思います。
#96
○日下部禧代子君 ところで、この国庫補助の引き下げ率の三・四%でございますが、この三・四%という数字の根拠というものについて御説明をいただきたいと思います。
#97
○政府委員(黒木武弘君) 先ほども申しましたように、政管健保の財政がおかげさまで黒字基調で続いているという中で保険料率をまず引き下げる、そしてさらに余裕があるということで国庫補助率の引き下げを検討したわけでありますけれども、その際老人拠出金に係る部分は据え置くことにいたしまして、そういう形での中期的な財政バランスシートを眺めた結果として今回三・四%引き下げが妥当であるというふうに私どもは判断をし、今回お願いをしているわけでございます。
#98
○日下部禧代子君 この三・四%という数字の根拠というのは、先ほどもお答えの中にございましたと思いますけれども、国庫補助率の引き下げによる千三百十二億円を、診療報酬改定による国庫負担の必要経費、これは千三百四十億円でございますが、それに充てるという大きな目的があった、そこから出てきた数字というふうにとらえてもよろしいのですか。
#99
○政府委員(黒木武弘君) 私どもは、今回の政管の財政運営方式をまず改めたい、改める場合に、非常に財政が好調でございますので料率を調整する、それでもなお余裕があるということで国庫補助率も調整するということに踏み切ったわけであります。
 その結果、結果として御理解いただきたいんですけれども、非常に厳しい財政事情の中で診療報酬改定をやっても国家予算が全体として組めたということから、私どもは改定に資するというような見方、考え方で御説明をさせていただいているわけでございます。
#100
○日下部禧代子君 衆議院での御答弁、そして先ほどの同僚委員に対する御答弁なども含めますと、保険料率及び国庫補助率の引き下げについては中期的財政運営の安定というものの確保が非常に重要だと、その範囲内で調整するということ、そして次に、この保険料率は健保組合の保険料率との矛盾を来さない、健保組合とのバランスを勘案して引き下げるということ、そしてその国庫補助率は財政運営に支障のない程度の安全を見てから検討したことによって三・四%でやっていけるだろうというふうな御判断をなさったというふうに受けとめております。
 そういうことになりますと、健保組合とのバランスを考えますと保険料率はこれ以上引き下げられないということになると思います。ところが、中期的財政の見通しを見ますと政管健保の財政というのは今後とも黒字基調で推移するというふうに見られるわけでございますが、そういたしますと、今後国保補助率のみが引き下げちれていく、これ以上保険料率は引き下げられない、これ以上黒字基調が続くと今度は国庫補助率のみが引き下げられるというふうな結論になってきそうでございますが、そうなりますと国庫補助というのは基本的にできるだけ減少させていくというふうなお考えが根底にあるような推測ができるわけでございますが、何らかのこの歯どめというようなものをお考えになっていらっしゃるのでございましょうか。この点につきまして大臣の御見解を承りたいと思います。
#101
○国務大臣(山下徳夫君) 政管健保の中期的な財政状況の見通しといたしましては、平成四年度は約三百二十億円の黒字の予算を計上いたしておりますが、年度末の資金一兆五千億円程度、年度末にはその程度となりまして保険給付費のおおむね三月分程度となると見込まれております。五年後の平成八年度には資金の規模が約二兆円程度に膨れ上がってまいります。この間、保険給付費も増高することとなりますから、保険給付費との関係においては約三月分程度で推移をいたしまして、中期的に財政状況は黒字基調を維持しながら安定的に推移する、このようになるかと思っております。
 また、今回の国庫補助率の引き下げは、当分の間暫定措置ということでありまして、政管健保に対する国庫補助のあり方については基本的に今後医療保険制度における費用負担のあり方全般の中で検討していくということにするのが適当であろうと考えております。
#102
○日下部禧代子君 私が今三段論法的に政府の御答弁を整理してみたわけでございますが、やはりその考え方を推し進めてまいりますと、基本的に医療費の適正化というものをうたいながら国庫負担の軽減を図っていく、そしてなおかつ医療保険においては保険制度内で財政を賄うというふうな考え方がうかがわれるわけでございますけれど
も、こういう考え方で参りますと、国民健康保険あるいはその他の健保組合への国庫補助というのも削減されていくのではないかというふうなおそれも出てくるわけでございます。
 先ほど、公的な助成というのは大変重要なことであるというふうに大臣お答えいただきましたけれども、他の保険制度へもこういう考え方というものを波及されるのであろうかどうかということにつきまして、御答弁をいただきたいというふうに思います。
#103
○政府委員(黒木武弘君) 今回の政管におきます国庫補助率の引き下げは、政管特有の状況の中における暫定措置としてお願いをしているつもりでございます。したがいまして、医療保険の世界から国庫補助がどんどん撤退、撤収、縮小していくというような路線を決めたわけでも、あるいはそういうことに相なろうと考えているわけでも毛頭ございません。
 医療保険の全体の中で財源のあり方あるいは国保のあり方等は、これからの医療保険の将来像、安心して国民の老後を支えるような、あるいは健康を支えるような医療保険制度のあり方の中で、その中での給付と負担、その中での国庫負担のあり方等を総合的に考えて、私どもはもう一回医療保険審議会等にお諮りしながら基本的に考えてみ。たい事項でございます。したがいまして、御懸念のございました国保における国庫補助のあり方等には今回の措置というのは直接関連するものでは。ないというふうに考えております。
#104
○日下部禧代子君 今のお答えにもございましたし、先ほどのお答えにもございましたが、いわゆる政管健保の財政というのは大体今後安定的に推移するだろうということでございますけれども、しかしながら、さまざまな経済状況の変化によりまして政管健保財政も赤字になることが想定されないことはないわけでございます。
 この場合、財政上の措置としてどのようなことが考えられるのか。私は次のような三点を考えました。まず一つは、財政運営安定資金を取り崩すということ、次には保険料率を引き上げるということ、それから国庫補助率を引き上げるということでございます。これ以外に何か方策がございましたら、まずおっしゃっていただきたいと思います。
#105
○政府委員(黒木武弘君) 政管健保の今後は私どもは安定的に推移するものと思っておりますけれども、万が一悪化した場合の財源のあり方ということで、資金の取り崩し、保険料の引き上げ、国庫補助率の引き上げといったような形での財源というものについてそれ以外にあるかというお尋ねでございますが、私もその三本柱がやはり基本がなと思っているわけでございます。
#106
○日下部禧代子君 それでは、その三本柱の順位というものが議論されなければならない、明確にされなければならないというふうに思うわけでございますが、この場合、優先順位からいくと、この三本柱のどこがまず最初に考えられるのでございましょうか。
#107
○政府委員(黒木武弘君) 現時点であらかじめ優先順位をつけるというのは先生難しい御質問でございまして、そのときの政管の財政状況とか、あるいはそのときの例えば健保組合の料率だとか、全体の中で何がどうできるかというのを検討していく、そのときのベストの措置というものを絶えず模索していく必要があるわけでありまして、お尋ねの資金の取り崩しとか保険料の引き上げ、国庫補助率の引き上げといったものについては、そのときどきの状況に応じてベストの選択をしていきたいと思っているわけであります。
 もちろん短期的な経済変動等、若干の財政悪化は資金の方から取り崩して出すわけでございますから、通常の場合には資金からの繰り出しというのが当然優先されまして、それで保険料を安定させていくわけでありますから、通常の場合にはそういう形で機能していくわけでありますけれども、それ以外に私どもはなかなか現時点では予想されないような事態が生じた場合の財源措置のあり方というのを、現段階で明確に優先順位をつけてお答えすることは難しいわけでありますが、衆議院でも国庫補助の暫定措置についての見直しも万が一の場合には修正で入ったわけでありますから、そういう全体をよく考えて適正な対応をしていきたいと、かように思っております。
#108
○日下部禧代子君 今のお答えだと、どうも国庫補助率音引き上げるということにはすぐにつながらないような気がいたしますけれども、何をおいても国庫補助率を引き上げるということを、今回その優先順位というものを明確に置いていただかないと、今回の国庫補助率が引き下げられたということから来る不安というもの、これ以上国庫補助率がどんどん下がっていくのではないかというふうなことの不安を払拭するということにはならないのではないかというふうに思うわけでございますが、もう少し明確な順位をお示しいただけませんでしょうか。
#109
○政府委員(黒木武弘君) 万が一財政が悪化した場合のその状況によりまして、非常に短期的に赤が出てその翌年には回復するだろうと、それが軽微な変動以外に仮にかなり大幅な落ち込みがあった場合には、やはり資金の方からとりあえず手当てをしておくと、そしてまた安定的な運営を図れるというケースもありましょうし、もう何か非常に経済、その他の要因の変動がありまして、恒久的に現在の中期的な財政運営方式を五年の途中で変えなきゃならないといったような事態が来ました場合には、当然私どもは現在の料率及び国庫補助率についての調整が要るわけでございます。
 恐らくそういう時点というのは景気が落ち込み、よく事態がわかりませんが、医療費の方はそう落ち込まないという状況がもわかりませんが、全般的にはそういう中で保険料というのは健保組合もかなり上がっている状況じゃないかと思いますけれども、ほかの制度との保険料のバランスも視野に置きながら、衆議院段階での修正をいただいたわけでありますから、国庫補助についても当然私どもは積極的な活用ということで今後検討させていただきたいと思っているわけでございます。
#110
○日下部禧代子君 今の御答弁だと、やはり国庫補助率を今回引き下げたということに対する不安というものはなかなか消えなくて、かえって今度こういう赤字になった場合には保険料がまた引き上げられてしまうのではないかな、そして国庫補助の引き上げというのはないのではないかというふうなおそれが出てくるというふうに思います。
 これは基本的な政策、ポリシーの問題だろうというふうに思うんですね。そういたしますと、大臣としてはこの問題に関してはどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
#111
○国務大臣(山下徳夫君) この制度というものは保険システムでございますから、給付と負担の安定、バランスという問題が一番大切であろうと思います。
 そこで、国庫補助だけで何かやるとか国庫補助を中心に考えるということ自体ちょっとどうかなという感じがいたすわけでございまして、もちろん今御議論がありましたように、国庫補助が一つの安全弁をなすことでございますから、これは大いに考えていかなきゃなりません。
 ただ、私どもといたしましては、安定資金で中期的な制度の安定がまず間違いなく確保できるのではなかろうか、委員のお話しのように、そうは言っても万が一ということがあるではないかとおっしゃる、まさにそういう点はあるかもしれませんが、私は現時点においてはまずそういうことはないんじゃなかろうかと思っております。したがいまして、今提案申し上げております枠組みの中で十分対応していけると、このように思っているわけでございます。
#112
○日下部禧代子君 では最後に、国庫補助は本当に基本的にできみだけ減少させていくという考え方が根底にはないのだというお答えをきちっとはいただけなかったのでございますが、そういう流れにならない、このことがその端緒にならないように、その流れをさらに推し進めるということにならないようにということを強く要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、この四月から実施されます新たな診療報酬体系というのは二つの点で画期的な改定だというふうに私も評価しております。
 一つは、看護職員を確保するための経営努力というものがより多く評価された。それからもう一つは、質の高いサービスを求める最近の国民のニーズに対応してサービスの質あるいはアメニティーという視点が取り入れられたというふうなことは、これは大変に評価されるべきものだというふうに思います。しかしながら、かなりの多くの疑問というものも私は持つわけでございまして、きょうは患者サービスの改善努力の評価ということに関する疑問についてだけ幾つかお尋ねをしてみたいというふうに思います。
 まず、今回の改正では、患者による選択権の拡大ということを目標にいたしまして、これは入院患者の給食でございますが、特別な材料で特別の調理を行った給食について特別管理給食加算が導入されました。「特別材料給食とは、通常の給食では提供が困難な高価な材料を用いて特別の調理を行った給食をいう。」というふうになされておりますけれども、一体具体的にどのようなものが該当するのでございましょうか。
#113
○政府委員(黒木武弘君) 現在、病院等におきましては、私どもの診療報酬の中での公的給付の中でおいしい食事が当然出ているわけでありますけれども、さらにそれを超えて好みという問題があるわけでありますから、全部定食みたいにして、それよりもやはりこういうものを食べたいという形でのメニュー志向的なニーズがあるんだと思います。
 これに対しまして我が方は、現在の我が方が点数上お支払いしているコストの中でそれが賄えるというんじゃ点数の上げ過ぎでございますから、やはりこれを超えるようないい質の材料を使った場合に限り患者の好みのメニューが生かせるようなそういう制度にしてみたいものということで、今回非常に思い切った形でありますけれども、知事の承認制とあわせながらこういう道を開いたということでございまして、私も具体的にどういうメニューが高価な材料でどういうものが出てくるかというのはちょっとまだ承知をいたしておりません。個々の病院が判断をして、患者さんが好まれるようなメニユーが取りそろえられるのではないかというふうに期待をいたしております。
#114
○日下部禧代子君 個人の嗜好、好みということが重視されたということは大変うれしいんですけれども、個人の嗜好、必ずしも高価なものとは限らないわけでありまして、安いものというのも自分の好みである場合があるわけです。そうしたら、安いものを注文するということはできないわけですか。安いものを注文してもこれは材料費、費用を新たに払わねばならないんでございましょうか。できないということになっているんでしょうか。安いものは注文できないということなんでしょうか、「高価な」というふうになっておりますから。
#115
○政府委員(黒木武弘君) 先旭どもちょっとお答えしたわけでありますけれども、私どものお支払いしております通常の経費でできる料理については、患者さんの負担ではなくて、できるだけ患者のニーズに合わせた形での給食をしてほしいというのが前提にあるわけであります。したがって、安くて患者の好みに合うものというのは、それぞれの今回の措置以外のところで当然工夫を凝らしてそういうメニューを開発して給食してほしいと思うわけであります。そういうものを超えて材料費がかかるようなものにつきましては、私どもは保険点数で払っておりませんので、したがって、そこに私どもは今回の選択の自由と申しますか、患者の好みによって、しかしながら、みずからの負担において、私どもの払っております材料を超える部分についてだけ負担していただく形で、今回の特別材料給食という制度を仕組んだわけでありまして、お尋ねの安い経費でできるようなメニューについては認めるつもりはございません。
#116
○日下部禧代子君 今、全体が個室ではございませんので、同室の中で隣のベッドの人は特別給食を指定した患者だ、自分はそのお金が払えないからということで、一つのお部屋の中で格差あるいは患者相互間のいわゆる不公平感というものがここで生じてくるというおそれはお考えになっていらっしゃいませんか。
#117
○政府委員(黒木武弘君) ほかの患者さんがこれを食べている患者さんをうらやましいということはもちろんあるかもわかりませんけれども、これからやはり私どもは一種の選択の時代というのに入っていくんだろうと思います。
 私どもは個室等についても少し規制緩和をさせていただいておるわけですけれども、患者さんが自分の費用で自主的に選択をされて、それをお食べになっているわけでありますから、両者の、それ以外の人とこのメニューを選択された方との間の格差とか不協和音というのはないと思いますけれども、これは病院の一つの患者さんを含めた管理上の問題になろうかと思います。できるだけそういう何と申しますか、不協和音が出ないようにスムーズにこの制度が導入できるように私どももいろいろと少し考えてみたいと思っております。
#118
○日下部禧代子君 入院ということには非常に経費がかかるわけでございます。ですから、食べ物、自分がこれは欲しいなというものがあったとしても、そこまで回らないという患者さんが現在たくさんいらっしゃることを絶対にお忘れなきように、ここでもう一度念を押させていただきたいというふうに思います。特に入院中の患者さんにおきましては、ほかに楽しみがなくて、治療上食事が制限される方を除きまして、食事というのは大変な楽しみでございます。その点で不公平感というりが出てくるというのはとっても悲しいことではないかというふうに思うわけでございます。
 次に、今回の特定療養費制度に基づきます予約診察というものが認められたわけでございますが、この予約ということは私などは非常に望ましいとは思いますけれども、予約診療者のために診療時間が確保されることによって、他の予約をしないで今までの形でいいという患者さんのいろいろな利便、そういった一般の診療を受ける方の利便というものを損なうということにはならないでしょうか。その辺の問題についてどのようにお考えでいらっしゃいますか。
#119
○政府委員(黒木武弘君) 御指摘の点は私ども最も心配をいたしたところでございます。そういうことを踏まえて今回の制度を仕組みたいと思っているわけであります。このねらいは、待たずに診察を受けたいという患者のニーズが非常に高まっておることから、どうやってそういう患者さんのニーズにこたえるかということでいろいろ工夫してみたいということの結果であるわけでございます。
 御指摘のように、一般診療の予約に基づかない患者さんが迷惑をこうむるということではいけないわけでございまして、したがってこれが取り扱いについては個別に厚生大臣が承認した病院に限って認めることにいたしておるわけでありまして、テストケース等にもなりましょうか、その中の大事な条件は、予約に基づかない患者さん、予約に基づかない診療に何ら影響しないというんですか、診療が予約以外でもきちっと受けられる体制があるということを大事な条件に考えておりますので、そういうことのないように制度の運営に適正を期してまいりたいと思っております。
#120
○日下部禧代子君 時間外診療に係る特定療養費制度というものが今回の改正で創設されたわけでございますが、大体これは「緊急やむをえない事情による時間外の受診については従前通り診療報酬点数表上の時間外加算の対象となり、患者からの費用徴収は認められない」と、「緊急やむをえない」ということになっておりますけれども、緊急やむを得ないかどうかということはどのような形で認定されるのか。それからまた、「社会通念上時間外とされない時間帯一例えば平日の午後四時)であっても、当該保険医療機関の標榜診療時間帯以外であれば」「時間外診察に係る費用徴収は認められる」というふうになっておりますけれ
ども、診療時間の規定というのはどうなっておりましょうか。その点につきましてお訪ねいたします。
#121
○政府委員(黒木武弘君) 今回時間外診療に係る特定療養費の制度の要件を御紹介いたしますと、承認等は不要である、緊急の受診の必要のない患者の自己都合により時間外診察を希望した場合に限ること、それから療養の給付の時間外加算の対象となる時間外診察でないこと、点数表の時間外加算の点数に相当する金額を標準とした金額であることというような要件を定めまして、しかも運用に当たりましては院内掲示等の一定の要件を示しまして、私どもは御指摘のような運用の不適切さがないように、適正な運用が図られるように、これが制度の運営に心していきたいというふうに考えております。
#122
○日下部禧代子君 「特別管理給食」というのは、これは「管理栄養士によって管理された給食が適時、(夕食については午後六時以降)、適温で給与されるものである」ということになっておりますけれども、現在病院で夕食が六時以降に給与される、配食されるという病院というのは、政府の調査を拝見いたしますと、全体のわずか一六・四%でしかないわけですね。そしてまたメニューを選択できるという病院は全体の四・三%でしかないということになっておりますと、この制度によりましてかなりこの六時以降配食の病院、あるいはメニューの選択できる幅というものが大分今回の改正によって変化するというふうにお考えでいらっしゃいますか。
#123
○政府委員(黒木武弘君) 今回の改定は、冒頭先生からも御指摘のように、看護関連経費の重視以外に、質の高いサービス、患者のニーズに応じたサービスが保険医療機関から提供されるようにということを大変大事なねらいにいたしておるわけであります。
 したがって、給食につきましては、患者に対して栄養のバランスのとれた給食が適切な温度で適切な時間に提供されることは病院給食の基本と考えておりまして、現行の基準給食におきましても適時適温の給食提供が行われていることを要件といたしております。
 しかしながら、特に午後六時以降の夕食の提供を実施するためには、御案内のように給食関連のスタッフ等いろんな人件費、特別のコストがかかるということでございますので、今回の改定におきましては、管理栄養士を配置した医療機関での適時適温給食につきまして、特別管理給食として加算制度を設けることにいたしまして、午後六時以降の夕食の提供のために物もかかるであろう、コスト面についての手当てをしたということでございますから、これからの病院給食というものは患者のニーズに合った形でのサービスの提供が行われていく方向に進んでいくんではなかろうかというふうに思っております。
#124
○委員長(田渕勲二君) 時間がかなりオーバーしていますから。
#125
○日下部禧代子君 最後の質問にさせていただきます。
 今、私が質問いたしましたことというのは、大体これは当たり前なことでありまして、夕食が六時以降であるとか、選択ができるとか、予約ができるとかということも、これは当たり前なんでございますが、やはりこれは保険診療で充実を図る性格のものではないかというふうに思うわけでございます。アメニティーの確保とか患者の選択権の拡大ということでもって有料化、個人負担がどんどん増加するということは、これは私は大変危惧をしなければならないことではないかというふうに思うわけでございます。
 その点につきまして、医療保険制度の本旨ということも含めまして、有料ではなく一般的な水準を上げるということが今一番求められていることでございますが、この点に関しましての大臣の御見解をいただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
#126
○国務大臣(山下徳夫君) 大体普通六時ぐらいまでに食事をするのが健康な姿だと思うのでございますけれども、ただ、ああいう病院におきましては、特にお年寄りとか病人は食事の時間も長いでしょうし、後片づけをする。片づけをした上で翌朝のある程度のことは準備をしていくとなりますと、時間外の勤務時間というのがかなり長くなるということで、一時は老人ホームなんかば四時半ぐらいに食べさせていた姿を私見たことがあります。余りひどいじゃないかと私も注意したのでございますが、ですから、それは適当な範囲内で経費ともにらみ合わせながらどこかで線を引くということは、私は必要ではないかと思うのでございます。
 先ほど来いろいろ給食のことについてお話がありましたが、やはり一律一斉主義というものはそろそろ反省して見直す時期が来ていることは事実でございますし、なるたけ患者の意向に期待できるような方向で、改善される点は改善していきたいと思っております。
#127
○委員長(田渕勲二君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十六分開会
#128
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、日下部禧代子君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#129
○委員長(田渕勲二君) 休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#130
○木庭健太郎君 午前中から質疑も出させていただきました。まず、今回の健康保険法改正の問題で聞いていてもなかなか納得できないのが、一つは保険料率が千分の八十二と設定された理由。また、国庫補助率に関して、暫定措置と言いながら中期的財政運営の初年度に当たる平成四年度において引き下げるという点について御説明を聞きましたけれども、完全に納得はいたしておりません。ぜひこの二点、なぜなのかわかりやすくかみ砕いた説明をいただきたいと思います。
#131
○政府委員(黒木武弘君) 今回の健保法改正の理由の中で、特に保険料率の引き下げと国庫補助率の引き下げの理由をかみ砕いて説明しろということでございますけれども、私どもは政管健保につきまして基本的に御理解いただきたいと思うのは、料率の引き下げとか国庫補助率の引き下げというのが先にありきではなくて、財政運営方式を中期的な形の中で安定的な運営ができるようにしたいというのが基本でございます。
 そうなりますと、何度も御説明していますように、一つは資金というものをつくる必要がある。そして、そこの資金に剰余が生ずればそこに預けますし、不足が出たらそこから繰り出すという形で、保険料率を経済変動等に伴って上げ下げしないでも安定的に推移するような平準的な保険料率というものを設定したい。そのことがまた中小企業あるいはそこのサラリーマンに保険料をお掛けしていただくわけでありますから、そういうものの安定にも資していくのではなかろうかということで、まず今回のポイントは、資金を創設し、その傘のもとと申しますか、その中で五年程度を見通した中期的な財政運営の方式に改めるというのがポイントでございます。
 そうしますと、この五年間の財政バランスを当然私どもとしては文字どおり縦横十文字に五年間はどうなろうかということで計算をしていくわけでございます。幸いにも政管健保は三千億、四千億の年度の黒字を出しておる状況の中で、当然のことながら、収支バランスをこれからの五年見ていきますと、やはり財源にかなりの余裕があるということは明らかでございます。
 そこで、保険料率の調整ということになるわけでありますけれども、じゃ保険料率をどの程度まで下げるかというのがその次の私どもの作業の手順でございます。もとより、これは被保険者に剰余があれば還元するというのが第一の基本でございますので保険料率を引き下げたいということでございますけれども、御説明いたしておりますように、健保組合、共済組合との保険料等のバランスを考慮しながら、じゃ幾ら下げるかということを検討いたし、その結果として料率の八二バーミルがこれからの五年間の保険料率として適当であるという判断、結論を下したわけであります。
 その中で、財政を見ますと、さらになお余裕があるということでございますので国庫補助率をどうするかということになるわけでありますけれども、これからの高齢化を踏まえますと、老人の拠出金のところの補助率というのは財政の不安定要因にもなりかねないということで、より一層財政の安定という趣旨を徹底するためには老人拠出金以外の部分の給付費の補助率を調整する、財政の黒字基調の中で引き下げることが適当であるという判断をいたしたわけでありまして、国庫補助率の引き下げ幅につきましては、これから五年間の財政運営に支障のない範囲内での引き下げということで今回の国庫補助率の引き下げを御提案し、御審議を煩わしているということでございます。
#132
○木庭健太郎君 懇切丁寧な説明をいただきました。財源にかなり余裕があるという認識も一致はいたしております。
 ただ、午前中も論議になりましたけれども、結局この四月一日からの診療報酬引き上げに伴う国庫影響額が千三百四十億円でしたね。今回の改正でやる国庫の削減分が千三百十億円。計算がうまいのか結果的にそうなったのかどうか知りませんけれども、数だけ見てしまうと、世間から見てしまうと、診療報酬の引き上げの捻出分をどこかから出そうとしたというのが第一にあったのじゃないかなというふうに見られてしまう、またそう見てもおかしくないような状況にも実際なってしまったわけです。一般的にもそういうことが言われている部分がございます。午前中に社会党の議員の方からもそういう指摘がございました。こういう見方について厚生省としてどういう見解をお持ちなのか、この場で潤いておきたいと思います。
#133
○政府委員(黒木武弘君) 私どもも医療費改定の財源の確保に資するものという説明をさせていただいておるわけでございます。しかし、今回の引き下げは改定の財源を捻出するために行ったわけではございませんで、先ほどからるる御説明申し上げておりますとおり、新しい財政運営方式に改めました結果として国庫補助率の引き下げという調整を行った、その結果の財源が捻出されたということで国家予算が組めたことから私どもはそのような言い方をしているわけでございます。
 もとより、診療報酬改定財源は、一般会計からちょうだいをするというのがこれまでの方向ですし、そういうあり方が正しいとは思います。しかし、大臣からも申し上げましたように、平成四年度の予算というのは五年ぶりの超緊縮予算でございまして、非常に厳しい財政折衝を終えたわけでございます。御案内のように、建設公債の増発とか臨時の増税とか地方交付税交付金の調整とかいろんな形で国家予算が組まれたわけでありまして、そういう私どもは想像を絶する厳しい予算の中で診療報酬改定が今回できだということは今回の改正がお役に立っているのではないか、こういうことでそういう説明をさせていただいているわけでございます。
#134
○木庭健太郎君 今言われたのは、資するものにはなったけれども診療報酬改定のための財源捻出法案ではないというふうに局長はおっしゃったわけですね。そうなると、何もあえて国庫補助率を下げるという必要があったのかというのは幾つかの点で疑問なところもございます。局長はさっき組合健保より低いのはいかがなものかという言い方もされました。
 そこで、例えば千分の八十二の問題ですけれども、組合健保との見合いというか、それより低くなっちゃいけないということをおっしゃいました。ただ組合健保も、この場合は本人と使用者の負担割合が異なりますから、例えば本人負担のみに着目した場合、この組合健保の場合は保険料率はざっと計算してしまいますと、事業者負担の方が五六・六、被用者本人負担四三・四ですから、これで計算していくと保険料率というのは大体千分の七十ぐらいになるんですよ、本人負担分というもののみに着目すれば。そういう視点もあってもいいと思うんです。そういう考え方でいけば、あとこれ二%以上下げたら今度は財政的なつり合いがとれなくなるという問題もありますけれども、そういう意味では八十二にするんじゃなくてもう少し下げることもできたのではないかというふうに思えてならないわけです。
 もう一つ、午前中から論議になりましたけれども、特別保険料、ボーナス時の保険料徴収の問題についても、これは当面の措置として五十三年に始まったという事実があるわけです。確かに局長はさっき、全般の検討が行われるまでの間、全体の給付と負担の問題を考えなければ、今後の検討課題であるというふうにこの特別保険料の問題についておっしゃいましたけれども、こういう中期の一つの新しい形を生み出すときに特別保険料の問題あたりは本当は取り組むべき問題だったんじゃないか。いわば特別保険料の使命というのは現段階ではもう終わっていると思われる。そういう問題にも何らか取り組む必要があったんじゃないか。そうすると、国庫補助率の引き下げよりもまだまだやるべき課題があったのではないかと思えてならないのですけれども、この点について聞いておきたいと思います。
#135
○政府委員(黒木武弘君) 健保組合の保険料率とのバランスから今回の政管の保険料率の引き下げ幅ないしはこれから五年間の保険料率を設定いたしましたという説明を申し上げているわけでありますけれども、先生の御指摘は、実質的なサラリーマンの負担というのは軽くなっているんではないかということから、実質的な比較で計算をしたら、あるいはバランスをとったらどうかという御指摘であろうかと思います。しかし、私どもは健保組合の実質的な被保険者割合に着目して、それでバランスをとるということは私どもの基本的なスタンスと申しますか、それにはそぐわない面があるわけでありまして、私どもは、労使の負担割合は基本的には折半が至当であるし、そしてその方向で指導はいたしておるわけでございます。
 したがいまして、私ども厚生省の考えといたしましては、健保組合における被保険者の負担割合につきましては、少なくとも付加給付部分を除いた残りの二分の一以上は被保険者が負担することが適当であると考えているわけでありまして、また共済組合にあっては付加給付部分を含む料率の二分の一を負担することになっているということからも、付加給付部分を除いた全体の保険料率、健保組合全体の保険料率を考慮して政策判断と申しますか、そういう形が適当であるということから、実質ベースではなくて私どもが適当と考えております数字と申しますか、そういうものから判断をさせていただいているということでございます。
 特別保険料については今後どうするかというお尋ねでございます。これも先ほどお答えをいたした繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、現行の特別保険料につきましては、健康保険制度全般の検討が行われるまでの間の措置として徴収されているボーナス保険料でございます。したがいまして、今後そのあり方については基本的には医療保険制度の給付と負担のあり方全体の議論の中で検討すべきテーマだと考えておるわけでありまして、今回それをなぜやらないのかということでございますが、私どもは一刻も早く新しい審議会をおつくりいただきまして、制度全体の中での保険料のあり方、もちろん国民健康保険も通じてでございますが、そういう中でこういった問題については検討をさせていただきまして、よりよき結論を得たいものというふうに考えております。
#136
○木庭健太郎君 例えば、今指摘した本人負担の問題なんというのは、ある意味では、今から厚生省はいろんな意味で生活大国ということを考えていかれると思うんですよ。生活大国というのを考えるときの基本というのは一体何なのか、だれに焦点を当ててやるのかというような問題も出てくると思うんです。いろんな問題を考えるときに、今までの制度はこうだからこのままでいいというんじゃなくて、そういった視点というのも、じゃ実際に現場で生きていらっしゃる一人一人、ある意味じゃ労働者の一人一人に対してどう目を向けるかという視点も私はこれから必要になってくると思うんですよ。硬直せず、そういう視点を持ちながら取り組むことも必要じゃないかと思っております。
 今回、この国庫補助率の引き下げについては、基本的には私たちは引き下げるべきでないという姿勢は持っております。ただ、これから確認しておきたいのは、二年後、四年後にはまた再び診療報酬の改定が予測されるわけです。また、現在こういうふうにバブルがはじけて税収増が見込めない中で、国家財政もだんだん縮減するような状況になったら、また何か政管健保の積立金がねらい撃ちされるんじゃないかというような懸念を持っていらっしゃる方もいらっしゃるわけです。
 その意味で、大臣にぜひお聞きしたいんですけれども、今回本当に厚生省が言うように、この改正というのは中期的財政運営を主眼としたものだとおっしゃるならば、そのあかしと言ったらおかしいんですが、その一つとして、少なくとも向こう五カ年間は政管健保の国庫補助率のさらなる引き下げは行わない、また過去に行ったような国庫負担の繰り延べというような措置は行わないということをはっきりさせていただきたいし、逆に言えば、今後政管健保の財政状況が赤字になったときは、国庫補助率という問題を第一にしながら引き上げるということも考えなくてはいけないということをはっきりしていただきたいと思うんですけれども、その見解を大臣から求めたいと思います。
#137
○国務大臣(山下徳夫君) とにかく予想できる限りのいろんな要素を十分検討した上でこういう制度にいたしたわけでございます。したがいまして、それはもう予想しがたいような特別なものができたときは別でございますけれども、私どもは中期的な財政の運営の状況から勘案して、これでいけるものという確信を持っております。もしも必要な場合には国庫の補助金についても検討を加えて、その結果に基づいて所要の措置をとることができるような歯どめだけはいたしておりますけれども、私どもはまずこれで大丈夫だという自信を持ってやっておるつもりでございます。
#138
○木庭健太郎君 どうですか、五年間は国庫補助率のさらなる引き下げはもう必要ないんじゃないか、そういう状況なら。そういうことはあり得ないということぐらいは言えませんか。
#139
○政府委員(黒木武弘君) 大臣からお答えいたしましたように、これから五年間というもの私どもは保険料もこのまま、そして暫定補助率の形になっておりますが、国庫補助率もこのままで政管は十分安定的に推移できるし、その形で運営の万全が期せられるということを考えておるわけでございます。したがいまして、これから保険料引き下げあるいは国庫補助の引き下げ等の余裕が出るような財政状況が来るか来ないかということに相なるわけでございますけれども、私どもの長期推計を出しておりますけれども、これは過去の医療費の変動、当然今回の大型な医療費の改定幅も織り込んだ形で推計をいたしておるわけでありますから、私どもはこれからの五年間は少なくとも今のままの形で政管の財政運営はやっていけるものというふうに考えておるわけでございます。
#140
○木庭健太郎君 もう少ししっかりした答えが欲しいんですけれども、もう一つ聞いておきたいのは、政管健保の国庫負担の一部繰り延べ措置の返済の問題でございます。
 これは六十年度から平成元年度にかけて、元金だけでたしか四千六百三十九億円ぐらいが繰り延べになっていると思います。実際、積立金今一兆四千億円と言っていますけれども、本当はこの繰り延べ分を含めれば二兆円ぐらいが本当はあるはずなんです。今回こういう形で中期的に運営ということを決めたわけですよね。そうすると、これまでのやり方と方向を変えた。一つの区切りであるとするならば、やはりそういった時期にこういう繰り延べ分というのはきちんと返していくのが当然の筋だと思うんです。その上で、一兆四千億円じゃなくて二兆円近い額で中期的財政見通しを立てるのが本当は筋だと私は思うのであります。
 厚生省が発表しました五カ年の中期的財政状況の見通しを見ましたけれども、この繰り延べについては全く触れられておりません。本当にこの借金を国は返すつもりがあるのか、あれだけ見るとわからないような状況になっております。この繰り延べ分の返済については、時期はいつにされるつもりなのか、これも明確な答弁をいただきたいと思います。
#141
○政府委員(奥村明雄君) 御指摘の政管健保の国庫補助の減額特例措置につきましては、一般会計の財政状況が極めて厳しいことなどのために講じられた特別の措置でございますので、国の財政状況等を勘案しつつ、できる限り速やかに繰り戻されるよう対処してまいりたいと考えておるところでございます。
#142
○木庭健太郎君 できるだけ速やかにといつも大抵お答えになるんですよね。この問題、努力はされているんだろうと思いますけれども、本当にやらないとおかしな話になるんですよね、いつも組み立てるときに。国の財政が厳しいこともわかりますけれども、こういった問題もぜひ前向きに取り組んだ上でやっていただきたいと思うんです。
 そして、午前中もこれは論議になりましたけれども、一元化の問題と今回の改正の問題の絡みでございます。
 昭和五十年代以降、何回もこういう医療保険の改革がございましたけれども、根底に一貫して流れているのは本格的高齢社会への対応とか、もしくは医療保険一元化へのワンステップというようなとらえ方でいろんな改革がなされてきたと私は理解しております。ところが、今回の改正というのは、あくまで暫定的な措置というふうにおっしゃるし、医療保険改革の一ステップとしての位置づけというのが一体どういう位置づけになるんだろうかというのがいま一つ明確じゃございませんし、今回の改正が一元化の流れの中でどういうふうに位置づけられるのかというのをお伺いしたいと思います。
#143
○政府委員(黒木武弘君) 今回の改正は、財政運営方式を中期的な財政運営方式に改めるという発想、考え方というのは、これからの医療保険制度の将来像を描くに当たりまして、そういう財政方式というのは一つの有力な方向を指し示すものというふうに理解をいたしておりますけれども、今回の改正が一元化の中におけるどういう位置づけかということにつきましては、これまでの老健法の改正あるいは国保法の改正等々は個別制度の改正でございまして、その改正が行われる。そしてさらに、それについての見直し、三年後の見直しとかいうような修正等が行われたことから、その見直しの改正を行ったということが今までの経緯でございます。
 私どもは、二十一世紀、高齢化社会を目指して一刻も早く将来像を描き、一元化というものを完成と申しますか、結論を出したいと思っているわけでございますけれども、今回の改正は、そういう意味で個別制度の地ならし的な、条件づくり的な改正は先国会でお認め願いました老健法の改正によって一応完成をしたという発想でございます。したがいまして、今回の改正案におきましては、医療保険審議会という形で一元化への検討の場、少なくとも国保も入れました検討の場をお認め願いたいということで提案をしているという意味ではいよいよ私どもも本腰を入れて一元化の検討に着手するという、そういう意味での改正というふうに御理解いただければ幸いに存じます。
#144
○木庭健太郎君 なかなか幸いにはなりませんけれども。
 ただ、この医療保険の一元化の問題、従来からの国会答弁を見ておりましたら、昭和六十年代の後半のなるべく早い時期に実現するというのがこれまでの厚生省の答弁だったと私は思います。その意味で、局長が現時点において一元化の問題はこれからの大きな課題だとおっしゃるには少しおくれ過ぎているんじゃないかなという気がしてならないわけです。これからの大きな課題じゃなくて、ある程度今方向性が少しは見えてくるというのが現段階の話じゃないだろうかなとも思うのでありますけれども、これまでの国会答弁のとおり、やはりこの一元化の時期というのは昭和六十年代後半のなるべく早い時期という政府の方針は変わっていないんでしょうか。それを一点、お尋ねしたい。
 また、先ほども御論議になっていましたけれども、一元化の方向についてこれから論議するんだというふうなことをおっしゃっています。ただ、これまでの厚生省の考え方を聞いていますと、制度の統合一本というような問題よりも、どうも現行制度を前提とした給付と負担の公平化というような方向ではないかということのようにも見えるんですけれども、ここで言う「給付と負担の公平化」というのは具体的にどういうことを言われようとしているのか、あわせて御答弁いただければありがたいと思います。
#145
○政府委員(黒木武弘君) 一元化につきまして厚生省が考え方を表明いたしましたのは五十九年改正の際だと承知をいたしております。「全制度を通じる給付と負担の公平化措置」ということで、健保法改正に際しまして私どもの方が出しましたペーパーに記載されている文言はそのような形でございます。その際、いっかということにつきましては六十年代後半のできるだけ早い時期に実施したいという答弁を行い、その後においてもかような見解を表明してきたわけでありますけれども、したがって私どもはその方向に沿って一つのお約束事項だから努力をしてきたわけでございます。
 しかしながら、先ほどもちょっと触れましたけれども、制度の一元化を図りますためにはそれぞれの制度がやはりしっかりした形で機能するような形になっていくことが大事でございます。そういう意味で老健法を提案し、国保法の改正を提案いたしたわけでありますけれども、国会でこの改正はまだ未熟であるから三年後にもう一回見直し、検討をしてこいというような形でその制度ごとの見直しかどうしても、申しわけございませんけれどもおくれてきたということで、先ほど申しましたように国保法の改正も二度にわたって見直し、改正もあり、そして老健法も検討条項でつけられました三年後の見直しもようやく先国会で終わったという段階でございますから、ここから私どもは実は用意ドンで考えております。
 したがいまして、六十年代後半のできるだけ早い実施時期というのは、私どもも念頭にはあるわけでございますけれども、正直申し上げまして各制度だけでもそれだけ御議論のある医療保険でございますから、これを横並びして将来像を描くということにつきましては、いつごろまでにというのは現段階では非常に困難でございまして、衆議院段階でも申し上げたのですけれども、むしろいつまでという制約をつけることなく、幅広い議論をいただいた上で判断をしていくのが正しいんではなかろうかと思っております。いずれにいたしましても、二十一世紀は間近でございますし、早く医療保険全体のモデルチェンジをしませんことには、このままの国保制度なり被用者保険との格差を抱えたままでの制度というのは国民の目から見ても矛盾等があるわけでございますので、一刻も早く一元化の結論を得たいものというふうに考えておるわけでございます。
 その際、一元化の内容についてもお尋ねでございますけれども、一元化は五十九年当時は、「全制度を通じる給付と負担の公平化措置」ということで、「給付の八割程度への統一及び財源の調整等による負担の公平化」というふうに書いてございます。この時点におきましては、国保の給付率が被用者保険と比べまして低い給付でございますのでこれを統一する、あるいは被用者保険の家族の給付率が七割等がございますのでこれを引き上げるというのが念頭にあったと思うわけでありますけれども、私は現時点においてはどういうところに給付を統一するかということだけ考え方を述べても余り意味がないんではないか。これからどういう形で負担をしていただくのだという、これからの高齢社会をにらみますと、若い世代の負担というものがどうしてもかかってくるわけでございますから、やはり負担をどう考えるかという裏腹の中で給付なり給付水準というものは設定していただくと、こういうことのためにまさしく関係者なり学識経験者の意見を賜りながら国民の合意なりコンセンサスという形で医療保険制度を再構築したいものと、かように考えているわけでございます。
#146
○木庭健太郎君 その中で、去年の九月三十日の日経新聞だったんですけれども、「厚生省 制度一元化着手へ」という表題でございまして、中身は何かというと、給付率を病気やけがの症状によって変動させるとともに、保険給付の守備範囲を抜本的に見直すことを検討し始めだというような記事が載っておりましたけれども、この報道に対する見解がありましたら、まずお願いしたいと思います。
#147
○政府委員(黒木武弘君) 御指摘になられました日経新聞の記事につきましては、私は承知をいたしておりません。もちろん、読みまして知ってはおりますけれども、私のレベルとは関係のない記事でございます。いろいろ省内でもあれやこれやと若い事務官が議論百出いたしておりますので、このような考え方も出たのかなと思っております。
 給付の考え方はこれから審議会等で御意見を聞きながら固めていきたいと思いますけれども、私自身、固定的に何割で統一して、すべてその給付率だということがいいかどうかはやや疑問に思っているわけでありまして、例えば入院と外来との給付率に差があって老いいんではないか。その辺は自由な発想で審議会で御審議を賜りまして、その上で私どもの判断はしてみたいものと、かように思っているわけでございます。
#148
○木庭健太郎君 局長はそうおっしゃるのですけれども、例えばこの記事の中に「給食、ベッド料金については患者が保険給付外の自己負担で選べる幅を拡大する」というのがあるんですよね。そうすると、今回の診療報酬改定を見ていると、何かそれがそのまま具現化されているような面が一面あるわけです。ですから、その辺を非常に私どもとしては心配するわけでございます。
 一元化の議論のときに一番注意しなくちゃいけないのは、どんな形であろうとそれが医療における公的責任の後退にばっとつながっちゃうということがあってはならないと思うんです。確かに自助努力の問題、民間活力の活用といった観点ももちろんあります。ただ、これをいたずらにどんどん持ち込もうということについては絶対避けねばならないと思うんです。
 さらに、医療保険改革が行われた昭和五十年代以降の国民医療費に占める国庫の割合というのは、残念ながらほとんど一貫して低下しておりまして、また今回の国庫補助率引き下げによればさらに低下をしていくわけなんです。ですから、これは大臣にぜひお聞きしておきたいのは、我が国は医療保険とか年金の水準というのは諸外国と比べても決して引けをとらないところまで頑張ってきたはずだと思います。ですから、逆に言えばこれから一元化、多様なニーズヘの対応ということはもちろんあるでしょうけれども、それを名目にして決して公的保険の後退とか国庫補助率の削減が安易に行われることはないというふうに私は確信したいんですけれども、大臣のお答えをいただきたいと思います。
#149
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどからもお答えしましたように、国庫補助等のあり方につきまして、今後医療保険制度における給付と負担のあり方の全体の議論の中でこれは検討すべき問題で、これは十分検討した結果このような今度の結論を出し
たわけでございまして、今後といえども、国民が安心して暮らせる高齢社会に向けて長期的に安定した医療保険制度をこの際確立していくということについて、これは私ども十分検討の上、自信を持って今回の案をっくったわけでございます。
#150
○木庭健太郎君 ぜひその決意がどう今後反映されるのかを見守らさせていただきたいと思います。
 ちょっと個別の問題でこれから何点かお伺いしたいと思います。
 一つは、今回改正される分娩費の問題でございます。私、昨年秋にも子供を産み育てる環境整備ということでこの問題を取り上げさせていただいて、分娩費最低保障額をぜひ引き上げてほしいと。当時、局長の答弁は余りはっきりしませんでしたけれども、実現をするということに関してはありがたいと本当に思っております。ただ、この分娩費の最低保障額というのが従来から国立病院の分娩費をもとにして算出されております。国立病院の分娩費というのは、病院の中ではむしろ低い水準にあるというのが一般的に言われていることでもありますし、せっかく最低保障額を引き上げてきても、普通の病院、多くの病院の実勢価格になお及ばないんじゃないかという指摘も実際にございます。
 ですから、これは今後厚生省として民間病院も対象とした分娩費に関する実態調査というのをぜひ行ってほしいし、また、今回のように七年間も額が据え置かれるということじゃなくて、こんなに長く据え置かれましたらまた途中で何回も議論しなくちゃいけませんから、分娩費の問題、今の出生率の低下の中で本当に大事な問題ですから、ぜひ弾力的に引き上げていただきたいと思うんですけれども、これについての見解を求めます。
#151
○政府委員(黒木武弘君) 分娩費の引き上げにつきましては、木庭委員からも再三御質疑を受けまして、私どもとしてもいろいろとこの引き上げについては検討してきたわけでありますけれども、その際私どもが使いますデータというのは国立病院の費用であるわけでございます。この費用に沿って今回の給付額の引さ上げをやったわけでありますけれども、この国立病院の分娩費用が一般の分娩費用の実勢を反映していないんではなかろうかという御懸念だと思うわけであります。
 国立病院の分娩費というのは、これは余り高くてもいけないし低くてもいけないということで、非常に各国立病院、ここのところは慎重に近隣の医療機関の分娩費用のちょうど真ん中ぐらいでというような形で設定をしてきている経緯があるわけでございますから、私どもとしては今回の分娩費用の設定を国立病院の費用に合わせたということにしておりますけれども、この金額というのは全国の分娩費用の実勢を反映しているというふうに考えておるわけでございます。
 今後、これが実態に合っていないかどうかというのは御議論のあるところかもわかりませんけれども、少なくとも国立病院がそういう形での費用設定をしております以上、これに沿った今回の改善ということで私どもは適切な分娩費用がお支払いできる形になったものと、かように思っておるわけでございます。
#152
○木庭健太郎君 確信されるのは結構です。それはそれでいいと思います。ただ、実際にそうなのかどうか。先ほども指摘したとおり、一回は例えば民間病院を対象にしてみて、本当にどうなのかという調査もぜひやっていただきたいと思うんですけれども、この調査をしようということに関してはどうでしょうか。
#153
○政府委員(黒木武弘君) 御案内のように、正常分娩なものですから、これは保険の現物給付の外にあるものですから、なかなか私どもがデータをとり得ない立場になっている全くの自由の料金の世界であるわけであります。どこまでこの費用の調査について協力が得られるかどうか、これから少し検討してみなきゃいけないと思っておりますけれども、御提案でございますから、全国調査はいかがかと思いますけれども、何らかの形で先生の御趣旨にこたえられるものを検討させていただこうと思います。
#154
○木庭健太郎君 もう一つそのとき質問しておりましたのが、正常分娩を医療保険へ適用することの問題でございました。このときの黒木局長の答弁は、勉強させていただくという答弁でございました。半年たちました。勉強の成果を聞かせてください。
#155
○政府委員(黒木武弘君) 勉強の成果ということで学生になったような感じでございまして、実は本当に先生に罰責を食うような感じでございますけれども、なかなか勉強はしてみましても、正常分娩につきましてはこれまでずっと現物給付の外で我が方は対応してきているという歴史の中で、なかなか難しい問題ばかりが勉強するほど入ってくるわけでございまして、重ねてのお尋ねでございますので引き続き勉強させていただきますということで、どうぞよろしくお願いをいたします。
#156
○木庭健太郎君 別に私たちも簡単にできる問題だと思って質問しているわけではないわけです。難しい問題をいろいろ抱えているだろうということも認識しながらやっているわけです。お互いにそういうところは本当に努力し合って、何ができるのかというのをきちんとやっていかなくちゃいけないと思うんです。難しい点はこうこうこうだ、いやこういう方法はないかということをやり合うことがよくしていく大事な視点だと思っております。
 もう一つこのとき最後に聞いたのは、育児手当金の問題でございました。この問題についても局長の答弁を拾ってまいりました。
 昨年秋の育児手当金に対する局長の答弁はこうでございました。「まことに一月二千円ぽっきりという形で定額の形での給付が残っておるということは申しわけなく思っております。」と、これは非常に丁重な御答弁でございました。この育児手当金の問題、今後の見通しをぜひ聞かせていただきたいと思います。
#157
○政府委員(黒木武弘君) 育児手当金につきましては、これまでもさまざまな議論がなされてきたところでございますけれども、どうしてもこの制度を簡単にやめることもあるいは充実することも、やはり基本に立ち返って我が方は検討し直さなければ、軽々に結論が出せないというふうに思っております。いろいろな制度との横並び等もありますし、育児手当金、いわばミルク代と言われたこの手当金の将来の給付の位置づけ等々を含めまして、全体のこれからの給付のあり方の中で検討をしていく事項だということでございますので、新しい医療保険審議会が創設されますと、当然この辺の給付をどうするかという問題も大切な議論のポイントになってくるかと思います。これから私どもももっとよく検討し、いろんな各制度に横並びで見た上での結論というものを早急に出させていただきたいと思っておるわけでございます。
#158
○木庭健太郎君 次は、高額療養費制度の問題で、これは先般の衆議院の附帯決議を見てみましても、この問題は、「レセプトの機械処理の進捗状況等も踏まえて、合算の対象となるレセプトの限度額の改善について検討を進めること。」という項目が盛り込まれておりました。この問題も検討を加える必要があると思うんです。
 月をまたがって入院した場合の問題もまたあると思うんです。例えばトータルで自己負担が六万円を超えている、でも月単位では六万円に満たない、これで高額療養費の支給を受けられないというふうなことも現実に起きているわけでございますし、また同じ疾病で同じ治療を受けても、入院した時期によって高額療養費の取り扱いに差が出るというのは何か不合理だと思わざるを得ませんし、こういった問題についてどうお考えになっているのか、見解を伺っておきたいと思います。
#159
○政府委員(黒木武弘君) 高額療養費の取り扱い、月を越えた場合の合算、その他いろいろ実務面の制約から、正しい姿と申しますか、それぞれの家計負担ということに着目した制度の趣旨からいって、少し御迷惑をかけている点があることは十分承知をいたしておるわけでありますけれども、何しろレセプト単位の処理を各保険者がやっているものですから、月をまたがって合わせて見る、あるいは家族の中でレセプト全部を名合わせするというのは非常に困難が伴うものですから、一定の割り切りの中で現実的な事務のできるぎりぎりのところでこれが運用をさせていただいているという状況でございます。私ども、これから保険者におきます事務の機械化等に伴いまして、どこまでその辺が改善をできるかという見通しをつけながらこの問題については対処させていただきたいと思っているわけでございます。
#160
○木庭健太郎君 最後の項目で、保健施設事業の問題についてお伺いをしておきたいと思います。
 この医療保険における保健事業に関しては前回、五十九年でしたかね、健康保険法の大改正の際に、ここに座っておりますうちの高桑委員がこの必要性を強調されたことを受けて、参議院修正においてその実施に関する規定を明確化して、保険の事業の柱として法的な根拠を付与したものでもございます。
 こうした経過から、今回事業運営安定資金の創設に伴う利差を保健施設費に重点的に配分するということをやりまして、平成四年度では千百九十億円ですか、これまでの一・五倍という保健施設費が確保されたということは私たちとしては評価をしております。
 そこで、今回一・五倍という予算を確保したわけですから、この平成四年度においてどのような保健施設事業を行おうとしているのか御説明を伺いたいと思います。
#161
○政府委員(奥村明雄君) 先生御指摘のように、平成四年度の保健福祉施設事業の予算額、大幅に予算案として枠を拡充させていただいているところでございます。
 その主な内容は、まず第一が成人病の予防健診、これをさらに拡充をしていくということで、その予算上の枠を大幅に拡充をした。それから、あわせてその内容も、四十歳以上ということで従来やってきておりますが、三十五歳以上の方についても一定の拡充、拡大をしたというようなことが一点。
 それから、成人病予防健診の結果、いろいろな保健指導を必要とするというような方がおられるわけでございますが、こういう方に対する指導を充実していくという観点から、指導に当たります保健婦さんの予算枠を拡大いたしまして適切に配置をするということで体制の強化を図ることといたしたことでございます。また、あわせてこうした保健指導のための指導施設というようなものも整備をしてまいりたいと思っております。
 このほか、大変施設整備が強く要請されております老人保健施設につきましても、社会保険病院に併設する形で整備を進める。また、看護婦の不足に対応するための看護婦養成所の整備をするというようなことを考えておりまして、こうした内容を盛り込んだ予算案という形にさせていただいておるところでございます。
#162
○木庭健太郎君 そこで、この政管健保の中期的財政状況の見通しを見たときに、保健施設費については五年度以降も四年度と同じ千百九十億円ということで固定して並んでいるわけです。これだけ見ると何か伸ばさないような感じを思わず受けてしまうんです。確かに(注)の中で「資金を活用することによって、平成五年度以降拡充することが可能」というふうには書いておるんですけれども、要するに活用することによって年々ふやしていこうというお考えが本当にあるのかどうかというのが見えてきにくい部分があるので、そこを具体的に説明していただきたいし、また私自身は、積極的にこの医療保険も予防給付に取り組むべきであるという観点から見るならば、従来のように保険給付費でなお余裕があるときにその残りの金額青保健施設費等に充てるという発想は改めるべきだと考えております。
 ただ、とにかくもう一点確認しておきたいのは、今後政管健保の財政状況が悪化するようなことがあっても、最低この千百九十億円というのは確保するというふうに考えていいのかどうか、この二点をお尋ねしたいと思います。
#163
○政府委員(奥村明雄君) 先生御指摘をいただきました中期的財政状況の見通してございますが、これは中期的財政運営に改める中で保険料率をどの程度に設定するかを見る上で行っておるものでございまして、変動要素の多い標準報酬でありますとか、医療費、それから老人保健の拠出金等の推移について推計いたしたものでございます。したがって、保健福祉施設については、今後の事業の進捗状況などを勘案して決定をしていくものということでございまして、財政見通しの上では同額ということで数字を置いてあるものでございますから、私どもといたしましては、保健福祉施設事業、大変重要な事業というふうに考えておりまして、事業運営安定資金を活用して事業の拡充を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 なお、先生御指摘の財政状況が悪くなった場合はどうかというお尋ねでございますが、私どもの中期財政見通しては、中期的にも財政は安定的に運営できるものと考えておりますが、仮に財政状況が悪くなった場合でも、事業運営安定資金を活用することにより保健福祉施設事業の着実な実施一が図れるよう対処していきたいというふうに考えておるところでございます。
#164
○木庭健太郎君 今後やっていく事業の一つの中で健診の問題を先ほども挙げられておりましたけれども、実際の受診率の方は非常に問題だと思っております。
 平成二年九月の総務庁行政監察局が行った成人病対策に対する実態調査というのを見ましたら、健診の受診率は「健保組合では七五・九%ある。政管健保を見ると一四・八%とえらく低い率にとどまっております。また、被扶養者については実施している保険者平均で九・二%だったと思います。
 行政監察結果でも厚生省に対して受診率向上を図るための受診勧奨を促すということを勧告をしておりましたけれども、これを受けて厚生省としてどのような措置を行われたのか。その結果、現在の受診率はどれくらいまで向上し、今後どの程度の受診率を目標にして、どういう措置をとっていこうとされているのかを伺っておきたいと思います。
#165
○政府委員(奥村明雄君) 先生御指摘のように、総務庁の監察で受診率が低いではないか、こういう指摘を受けているところでございます。私どもとしては成人病予防健診の事業を大変重要な課題ということで予算枠も拡充をしていきたいということで取り組んでまいったところでございまして、先ほど申し上げました平成四年度の予算におきましても、四十歳以上の方の大体三割程度の方が受診できるような予算を確保しているところでもございます。
 この比率は、先生御指摘の健保組合から見ますと低いようでありますが、老人保健の受診率の目標、予算上の対応は大体その程度の比率になっておりまして、健保組合も非常に高いところと低いところがあると思いますが、そういう意味ては現状において相当必要な方が受診できるような予算を確保していると思っておりますが、今後ともさらにその拡充を図っていきたいと思っております。
 また、健診を受けていただくためにいろいろな受けやすい対応ということも必要かと考えておりまして、事業主や被保険者に対して健診の重要性を訴える、あるいは事業主に健診に対する理解を求めるというような広報活動を強めてまいりますとともに、受診者の利便性を考慮いたしまして、一定の能力や機能を有する民間医療機関についても健診機関として御参画をいただくというようなことで健診機関をふやしていくというような対応をいたしますとともに、事業所などに検診車を巡回いたしまして受診しやすくするというようないろいろな対応を講じまして受診率の向上に努めておるところでありまして、今後ともそうした努力を続けてまいりたいと思っております。
#166
○木庭健太郎君 老人保健事業は国の保健事業の柱としてきちんとした目標値を定めて実施しております。ところが、医療保険の保健施設事業を見たときは、要するに次はどんなことしてくれるのだろうか、次は何をやろうとしているのかというのがその次の年の予算を見ないとわからない。何をどこまでやっていこうかという目標というのも見えないし、二体本当に予防についてどれだけ取り組もうとしているのかという姿が実際見えてこないんです。
 ですから、今回たまたまなんですけれども、法改正によって財政運営を五年程度を目標として中期的な財政運営に改めるということになるわけですよね。そうなると、これと呼応した形で額も千百九十億円以上のものでどうにかやりたいという目標をお立てになるならば、この保健施設事業というものについても、例えば五年程度の大体次の年はどうなるんですよという、こういう計画を立てた上でやることが必要だと思うんです。言うならば保健施設事業五カ年計画とかいうものをきちんと策定するとか、そういうものをやらなければ、次の年はどうなるのか、次の年はどうなるのかじゃ困ると思うんですけれども、こういうことをやることについてのお考えそお聞きしたいと思うんです。
#167
○政府委員(奥村明雄君) 先生の御指摘大変ごもっともな御指摘でございます。社会保険審議会においても中長期的なビジョンを踏まえた着実な保健福祉事業の推進が答申においてうたわれておるところでございまして、今後幅広く専門家の方々の御意見も伺いながら事業実施の方向づけを行ってまいりまして、計画的な事業の推進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
#168
○木庭健太郎君 最後に大臣にお伺いしたいと思います。
 いずれにしましても、出生率は低下する、その裏腹で高齢化時代を迎えていく、要するに赤ちゃんからお年寄りまで健康づくりということがますます重要な課題になってくると思います。そして医療保険が予防給付というものに積極的に取り組むことそのものが逆に言えば医療費の適正化という問題にもつながって、それが医療保険財政の健全化に資するということになると思います。
 一方、急速な高齢化で介護の問題というのがいよいよ大きくクローズアップされているという現実もございます。来年度はこの保健施設の一環として老人保健施設の新設も予定されているところなんですけれども、こうした介護問題への医療保険のかかわりも今後大いに期待されることになると思うんです。今、医療、保健、福祉というものの連携強化が叫ばれているときですし、今回の改正を契機として、医療保険が従来の病気になったときのよりどころとしてのみならず、もっと積極的に予防とかあるいは介護へと踏み出すことを期待したいと思っているんですけれども、こうした予防給付または介護への積極的取り組みを行う中で初めて局長がいつもおっしゃいます二十一世紀の本当の医療保険の展望というのは開けると思うんですけれども、最後に、こういった問題についての大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#169
○国務大臣(山下徳夫君) 国民の健康増進のためと申しましょうか、非常に医療というのは広範になってきております。今おっしゃるとおり、予防、例えば人間ドックとか健診とか、そういう問題もございますし、あるいは介護という問題もございます。したがって、これらの問題は事業運営安定資金の活用等を図りながら一層推進していかなければならないと思います。
 特に、今お話のございました介護に対する給付につきましては、これはだれがその費用を負担するのか、どのような形でそれを行っていくかという非常に多岐にわたっておりまして、まださまざまな状態があるということでございますから、そこらあたりの整理もある程度必要であるかなと思っておりますし、これは今後の検討課題としてさらにひとつ研究していかなきゃならぬと思っております。
#170
○木庭健太郎君 終わります。
#171
○沓脱タケ子君 それでは本法案の質疑に入る前に、私は、同僚委員からも午前中に御意見が出ておりましたが、本法案というのは国民医療にとりましても、また国民の医療保険にとりましても、もっと言いますならば国家財政のあり方につきましても、大変重要な課題を含む内容を持っていると思うわけでございます。したがって、本来慎重審議を要すべき法案であるという認識を持っておるわけでございます。ところが、年度内というか、日切れ法案という扱いになってきているのでありますが、日切れ法案ということになりますと、年度内成立を急ぐということが前提になりますと慎重審議ができないという立場になるわけでございまして、こういう扱いについては同意をしかねるという点を一貫して申し上げてまいりましたので、そういう点を申し上げておきたいと思うわけです。
 この法案を拝見いたしまして、実に巧妙な知恵を出された内容になっているなということで実は一面感心をさせられております。そこで、こんな上手なやり方を考えたのは、これは厚生省の方でしょうか、大蔵省の方でしょうか、一遍それを聞いておきたいなと。大概知恵者がおるものだと思って実は感心をいたしております。
#172
○政府委員(黒木武弘君) 今回の改正のポイントは政管健保の財政運営方式を新しい中期的な財政運営に改めるということでございます。
 考えて案をつくったのは厚生省でございまして、ただし、国家財政もそうですし、あらゆるこういったものについては学者の先生、財政学者の先生等々から、あるいは私どもの審議会の先生方の中にも、財政運営というのを年度年度でやっていくという方式をいつまでも続けていくのはいかがかというような御意見が内々あったことは事実でございますが、そういうものも参考にしながら、私どもが考えましたこれからの政管の運営にとってベストな方式であるということで御提案を申し上げておるわけでございますし、さらに被保険者に還元します保険料の引き下げはぜひ一刻も早くということで四月にお願いしているわけでございますから、できるだけ年度内の成立をお願いいたしたいと思うわけでございます。
#173
○沓脱タケ子君 いや、厚生省が考えだというのは大したものだと思って、お褒めの言葉だけではないので、ようここまで悪知恵も働かしたもんだなと、率直に言うたらそんなふうにも思うわけです。そんなことはともかくとして、実に巧妙に考えられたものだということを感心させられております。
 もう既に各委員から言われておりますように、本法案の本質というのは診療報酬改定の実質二・五%の国庫負担の必要額、つまり千三百四十億円をひねり出すためにうまいこと考えたんだなというふうに思うわけですけれども、これはそういうふうに見てよろしいか。だって国庫負担の補助率の引き下げの三%というのが千三百十二億円でしょう、御提案になっている。診療報酬引き上げの実質二・五%というのが国庫負担分必要額千三百四十億でしょう。違いはわずかに二十八億。お金に色がついてないからわからぬようなものだけれども、色をつけておいたらこっちのお金を向こうへ持っていったなというのがだれでもわかるというほどはっきりしておるんですが、そういう診療報酬改定の実質的な国庫負担の必要量というものをひねり出すやり方というんですか、対応の仕方というふうに理解をしてよろしいですか。
#174
○政府委員(黒木武弘君) 今回り改正が診療報酬改定財源をひねり出すためのものかというお尋ねでございますが、ひねり出すための、その目的のための法案あるいは補助率引き下げではございません。
 何度も御説明させていただいておりますけれども、今回の改正はこれからの時代に合った形での政管の、政府が責任を持って運用をしております政管の健保につきまして、新しい財政運営をいたしたいと、その場合のモデルチェンジをいたしたわけでありますけれども、幸いと申しますか、現時点で非常に積立金も大幅になり、かつ毎年度三千億、四千億の黒字が出ておるということで、保険料の引き下げという被保険者への還元も実現をできたということでございますし、一方、何度も御説明させていただいて恐縮でございますけれども、どうしても私どもがやりたいと思っておりました診療報酬の改定、看護婦さんの関連経費を中心にこれを引き上げたいと思っておったわけでありますけれども、国家財政、税収の伸びが一・二%という非常にきつい国家財政の編成に当たりまして、私どもは心配したことは事実でございます。
 オーソドックスな政策として立案をしてさた結果の財源が、金に色はないとおっしゃったらそのとおりですが、結果的には財源の余裕が生じ、それで厚生省の予算あるいは国家予算が診療報酬改定を組み込んでも組めたということは、私どもは今回の改正が医療費改定の財源にも資したものというふうに考えておるわけでございます。
#175
○沓脱タケ子君 そない丁寧に説明をしてもらわぬでもいいんですけれども、それは診療報酬の財源をひねり出すための手品みたいな妙手だとは言われへんですよ。しかしこれはだれが見てもそんなふうにしか見えない。
 なぜかと言いますと、今までのやり方があるわけですよ。だって、政府の財政不足という状況の中でマイナスシーリングというのがずっとやられてきた。そういう中で、健康保険、厚生年金への国庫負担の繰り延べをどんどんやって国家財政の確保をやってきたわけでしょう。だって、厚生年金だってやっていますよ。これは九〇年です。厚生年金特別会計も三年間一兆五千億の繰り延べをやった。健康保険も政管健保の方も同じくこれは昭和六十年から毎年毎年繰り延べをやって、元年までで四千六百三十九億です。四・五%の利息をつけたら三年度末で約六千億です。そういうことになっている。言うたら、厚生年金財政にしたって、健康保険財政にしたって掛金なんですよ。それに対して、政府が法定された国庫負担を山さにゃいかぬやつを繰り延べ繰り延べ言って出してないわけです。
 大体、借金するときは返済をちゃんと決めて借金をするものなんですが、私どもの社会での常識は。ところが、厚生年金の一兆五千億もきっちり返しておらぬですね、厚生年金会計へは返してない。さっきもお話があったけれども、政管健保の繰り延べの元利合計六千億、これはいつ返すという証文が入ってますか。それはどうですか。
#176
○政府委員(奥村明雄君) 政管健保の特例措置につきましては、国の財政状況等を勘案して、できるだけ速やかに繰り戻されるということになっておるところでございます。
#177
○沓脱タケ子君 いや、一般の社会では借金して、できるだけ速やかにと証文に書いて金借りられへん。借りられますか。ところが、厚生年金でもそうなんですよ、金借りて返さない。催促したら、一兆五千億は、これはまあ俗に言うたら別のお医者さんに渡した。お医者さんはどうしておるんや言うたら、株で運用していると、でな格好になっているんですよ。健保財政の方も、元利合計六千億、いまだに返してないわけですが、だからそんなにようけい政府がお金を好きに、国家財政が困難、困難言って法定されているやつをちょろちょろちょろちょろ勝手に証文入れて大蔵省の金庫からお金を取り出すようなやり方というのは、これはちょっとぐあいが悪いと思いますが、これはいいですかな。
 自分で証文書いて、それは財特法で一応通しているとは言いますよ、毎年。通している言うけど、いや幾ら欲しいんや言って証文書いて出しているんです。返済の期限はない。こういうやり方というのは、これはちょっとぐあいが悪いと思うんですよ。ぐあいが悪いと思ったから、恐らく今度の法案で、根っこになっている法律、ここを変えたらよいのでしょうということで、当分の間一六・四%を一三%に引き下げるということになったんではないかと思うんです。
 こんなことは、一般の国民の社会の中ではとてもじゃないけれども通用しないことですよ。国家財政が困難だからということで、こういう法律できちんと決められているものをちょろちょろちょろちょろ返済期限なしの証文みたいなものを入れて、それで必要な金をどんどん引き出すというやり方というのは、これはちょっとどうかと思うんです。
 一般の社会だったら、これは企業が経営が苦しいから、運転資金が困るからということで、例えば社会保険料の納入を後回しにして繰り延べにしていったらどないなります、流用したら。これは延滞利息はつくし、それだけではなしに、あげくの果てには差し押さえ食らうんと違うんですかね、実際。ですから、そういうやり方というのが当たり前だと思うんですよね。国民に対してはそういうことになっている、ちゃんと法律で決まったことは決まったようにやらぬと罰則がありますよと。政府部内だったら好きなことができるというやり方というのは、これはどうも理解がしにくいんです。
 こういうやり方というのは改めなければならないのではないかと思いますが、いかがですか。
#178
○政府委員(奥村明雄君) 先生御指摘の特例措置につきましては、毎年度それぞれ法律を定めて、その法律上返済が明確に明記をされておるという形で特例措置が講じられておるものでございます。
#179
○沓脱タケ子君 だから言っているんですよ。ちゃんと証文、財特法で毎年毎年決めて証文書いているようなもんです。いつ返しますという返済期限のない証文入れて毎年要るだけ金引っ張り出すという、しかも法律で決まっている国庫負担金、補助金、そんなやり方を次から次へ許すというようなやり方というのは、これはいかがなものかと、やめるべきではないかと思いますよ。道理がないでしょう、そうじゃないと。
#180
○政府委員(奥村明雄君) 特例措置につきましては、一般会計の財政が極めて厳しいという特別の状況にかんがみまして、毎年度政管健保でありますと、昭和六十年度、六十一年度ということで毎年度財確法という法律で定め、そして返済を義務づけている、こういうことでございます。
#181
○沓脱タケ子君 いや、国家財政が厳しいから毎年毎年財特で証文書いているんだ。いつ返しますという返済期限なしの証文書いている。そんなら国民が経営が苦しい、運転資金が苦しいからいって、そんなもの期限なし、返済期限なしの証文で金借りられるということはないし、あるいは健康保険の掛金ちょっと繰り延べしようかということになったら、延滞利息はつくし、あげくの果てには差し押さえ食いますよ。世の中の当たり前の姿と違うことを国家財政でやって当たり前だという考え方というのは道理が通らないということを申し上げているんです。
 時間がありませんから次へ進みますが、国庫負担の引き下げというのは、これは随分この十年余りやってきたわけですね。私ども日本共産党ではこういうやり方について臨調行革路線と言っていたんですが、この法案も全くその端的なあらわれ方なんですね。国庫負担と国民負担の関係はどうなっているかということなんですね。
 それをちょっと見てみますと、最近十年間の社会保障関係総費用の構成比なんですが、これは総理府の社会保障制度審議会事務局の資料です。これを見ますと、臨調というのが、臨調行革が始まったのが五十七年からです。そのときの国庫負担というのは、これは二七%、それが平成二年では二〇%ですね、七%減っている。保険料はどうなっているかというと、同じ年度ですが、五三・六%、それが五七・三%、約四%ふえているんですね。
 こういうふうに、国民負担をふやして国家負担を減らしていくという傾向というのはずっと続いてきているんですが、こういうことをやっていたら、きのうも論議になりましたが、いわゆる宮澤内閣の生活大国というのは一体何なんだと、本当に生活大国ということは、国の負担をどんどん減らして国民の負担をふやすということが生活大国への道なのかと。逆じゃないかというふうに思いますが、その点はいかがなもんでしょうか。
#182
○政府委員(黒木武弘君) これまでの医療保険あるいは社会保障における国庫負担の推移についての御指摘があったわけでございます。特に医療保険で申し上げますと、確かに御指摘のように医療保険におきます国庫負担のシェアというのは下がっていると思います。これは主として、いろんな要素がございますけれども、国保に対する援助と申しますか、被用者保険から国保の財政へ按分率一〇〇%を通じて公平化の措置を図ったということの影響が一番大きいわけでございまして、国保の財源が軽くなれば、国保に最も手厚く国庫補助を入れている関係から、国保の負担が被用者保険に肩がわりしますと、結果的に国庫補助の割合が減ってくるというようなこと等もありましてこういう推移になっているわけであります。
 今回の政管の国庫補助率の引き下げにつきましては、何度も御説明いたしておりますように、政管の財政状況の中でその余裕分の調整ということでお願いをしているということで、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#183
○沓脱タケ子君 いや、その余裕分の扱いについては後で改めてお聞きをしますが、それで、国庫負担だけどんと下げるというだけではいかぬということで、保険料を今回は千分の八十四から八十二に千分の二引き下げた、それが一つの改善策と、それから出産手当金の関係の改善ですね。これで軽くなったんかなという感じが率直に言ってするんですよ。
 先日も厚生省からいろいろと教えていただいておってわかったんですが、四月から月収二十八万円の労働者の保険料というのは、現行の保険料では一万一千七百六十円。現在です、四月じゃないです、今という意味です。それが千分の八十二になったら一万一千四百八十円になって、保険料は月に二百八十円減るんです、今度千分の八十二になりますとね。ところが一万円、今、春闘できょうは電車もとまったわけですが、二十八万円の労働者が一万円賃上げになるとランクが一つ上がります。十月からどないなるかというと、改正保険料は一万二千三百円で、現在よりも逆に八百二十円上がる。だから、なるほど少し下がったんやなということがわかるのは四月から六カ月、現行月二百八十円保険料が下がる。それで、一万円賃上げになったら十月からは八百二十国会度は保険料が上がる結果になるんですね。だから、保険料を下げてもろたという軽減感というのは余りないでしょうね、実際は。
 それで、千分の八十二にすることによって、その影響額というのは千百三十二億円ですか。それ間違いないんでしょうね。
#184
○政府委員(黒木武弘君) 満年度ベースで影響額は千二百三十億円でございます。
#185
○沓脱タケ子君 そうですね。それで、それだけそれでも下がるんかなと思っていたところが、標準報酬の上限下限の引き上げがありますよね、この影響は何ぼになりますか。
 これは下限が六万八千円から八万円になるんでしょう。上限が七十一万から九十八万になるわけですが、それによる標準報酬の上下限の引き上げの影響額、四年度と満年度は何ぼになりますか。
#186
○政府委員(黒木武弘君) 先ほどの答弁で千二百三十億と申し上げましたが、千二百四十億の誤りでございます。御訂正願います。申しわけございません。
 それから、標準報酬の上下限の改定の影響額についてのお尋ねでございます。
 平成四年は上限の改定で五百四億円、下限の改定で二億円というふうに影響額を推計いたしております。したがいまして、これは五カ月分でございまして、満年度ベースで御説明しますと千二百三十億円になります。
#187
○沓脱タケ子君 これがうまいことなっているんですわ。千分の二下げて、それで上限下限を引き上げるということの影響額との間というのはこれまた十億しか違わない。下げたけれども、標準報酬の改定でまた上がるから、まあ何にも、会計の中はプラマイゼロじゃないか、十億円、影響は極めて軽微であります。こういう状況で、だから私大変巧妙なやり方をやったなと、考えたなと言ったのはここなんですよね。
 それで、国庫負担の引き下げというのは健康保険制度が改定されてきたいきさつから見まして、どうも問題があると思うんです。厚生省は従来政府管掌健康保険に対する国庫負担の必要性についてはるる述べてきておられます。これはお聞きをしてもいいけれども私が申し上げる方が早いからね。五十五年改定のときに、これは本院の社会労働委員会で当時の政府委員の大和田潔さんという方が言っておりますが、政府管掌健康保険におきましては、被保険者に所得の低い階層が多い、あるいは高齢者が多いということ等のために財政基盤が弱い、それを考慮いたしまして、必要な国庫補助を行っておるということでございますということを明確にお述べになっておるわけでございます。
 そういうことになりますと、今回政府管掌の健康保険は依然として構成要員は中小企業労働者でありますので、そない財政基盤が急に強化されたということではないんじゃないかというふうに思いますが、これは従来の立場を変更された何か根拠がありますか。
#188
○政府委員(黒木武弘君) まず、保険料の点について一言だけ申し上げたいと思いますけれども、保険料の引き下げにあわせまして標準報酬等級の改定等を行うことにいたしております。
 これで相打ちではないかというお尋ねでございますけれども、こちらの標準報酬の改定は、これは法律上のルールでございまして、上限該当者が三%を超えますと一%程度に十月から実施せよと、こういうことに相なっていることを受けた結果の措置でございます。したがって、これは当然やるべきこととして処理をさせていただいている、もちろん審議会の意見を聞きながら処理させていただくわけでございますけれども、したがってこれとの比較で、今回の保険料の引き下げを関係づけてのお尋ねというのはいかがかなと思うわけでございます。今回やはり余裕があれば被保険者に還元すべきものはすべきであるという観点から、保険料の引き下げを御提案申し上げているということでございます。
 それから、政管健保に対します国庫補助でございますけれども、私どもは今回はまあ財政運営を基本的に変えるという中での調整という形で保険料率、国庫補助率を調整をいたしたわけでございます。しかしながら国庫補助率につきましては、これは基本的な検討が必要だということで、当分の間の暫定措置ということで御提案を申し上げている、こういうことでございます。
#189
○沓脱タケ子君 私何でそんなことを面倒くさいのに聞いているかといいますと、五十五年改正のときには、現行の一六・四%から二〇%の間に固定する、国庫補助金は前は連動制だったでしょう、保険料と国負担との連動制。これを固定するということになったのが五十五年改正ですよね。その当時厚生省は国庫負担について非常にはっきり態度を表明しておられるんですよ。
 当時の園田厚生大臣はこう言っていますよ。現在の国家財政の状況では当分これを固定してもらって、上限を抑えてそしてなるべく早く財政再建を終わって、終わったら再び連動制に検討していただきますと言っているんですよ。一六・四を下げるなんというようなことはどこでも言ってない。これは現に発言ですからね。そういう内容の文書等も配っていますよ、もう時間がありませんから詳しくは申し上げませんけれども。
 ですから、どうもわからないのは、大臣が法律を変えるとき、制度を変えるとき、国会で言明をされたということは国民に対する公約でしょう。それを無視するような強引な、いろいろあれこれ言葉をつけて理由はつけているけれども、それを強引にやるというのは、どうもこれはいただけないんじゃないかと思うんですね。だから、どんなふうに局長が上手に説明をされても、この国庫負担の削減というのは道理に合わないなというふうに思いますが、それはどうですか。
 こんなもの、もう時間がないから前へ進みたいんですけれども、これは私は道理に合わぬと思うんですよ。だって五十五年改正のときに、都合によったら一六・四%を下げますというようなことは言ってない。一六・四から二〇%の間で。そして五十五年には一六・四%を当面の間ということで決定をして、そこから下げるというようなことは一口も当時の園田厚生大臣はおっしゃってない。それは国民に対する公約ですよ。もちろん法律事項でもありますし。それがさっきも言うたように、あれこれ取り崩されておったり、今度は下げるという、それは国民を愚弄するもんだと思いますよ。だから道理に合わないと思うんですね。そのことを申し上げておきたいんです。
 こんなもん、今度の国庫負担減らさなかったら千三百十二億でしょう、千分の一下げたって、六百億やという話だから、千分の二はそれだけでも下がる、掛金は。だから国庫負担を下げるという論拠は、これは私はいただけないと思うんです。
 それで、もう一つは基金です。さっき出た話用基金、積立金という黒字ですわな。十年間の黒字が一兆四千億ある。これは金額間違いないですね、さっきから確認されていますから。そして繰り延べ分が総額、元利合計つけて三年度末で六千億、合わせて二兆円になりますね。そういうふうに見てよろしいんじゃないですか。積立金という名前の黒字は二兆円政管健保にはあるんだというふうに見てよろしいですね。
#190
○政府委員(奥村明雄君) 特例措置の部分の元利を加えまして五千七百五十八億円ですが、性格は違いますけれども、合わせますと先生おっしゃるようなことになります。
#191
○沓脱タケ子君 いや、性格は違わへんでしょう。繰り延べているんだから、当然返してくれるんでしょう。返してくれたら当然合算するんだから、今お金はないけれども、実際にはほぼ二兆円ですね。
#192
○政府委員(奥村明雄君) 先生おっしゃるとおりでございます。
#193
○沓脱タケ子君 政管健保に二兆円も黒字があるといったら、一体とないなっておんのやと。それは二兆円もたまって結構や。一兆四千億しか今積立金という形で厚生省はおっしゃってないから、一兆四千億でもよろしいわ。こんなもんは全部被保険者に還元するべき性格の内容じゃないですか。国民医療の充実、発展のために使うべきお金じゃないんですか。そんなものためておく必要のない金ですよ。それを、いや事業運営安定資金に使うんやいって、えらい言ってはるけど、本来の性格から言うたら、保険財政の中で出てきている黒字というのは当然被保険者に還元をするべき性格のものだと思いますが、いかがですか。
#194
○政府委員(黒木武弘君) 確かに御指摘のように政管は、積立金あるいは繰り延べを含めまして大きな財政余裕と申しますか、資金を持っているわけであります。これを被保険者に還元せよというお尋ねでございます。
 私どもは、こういう余裕財源をどう使うのが一番被保険者のためになるかというのは、もちろん真剣に検討をいたしたわけでございます。その結果として、一つは健保組合等のバランスを見て、バランスのとれる範囲で還元をするというのが一つ。それから資金の形で積みまして、それを中には長期運用の形で大いにまた財源をこさえ、それで検診事業その他の保健事業活動ということに活用しまして、それでもってさらに被保険者に還元をする道をつくるのが一つ。そしてさらに、最も大事な機能として、一兆四千億程度の資金ができているわけでございますから、その資金の中での調整という形で、これから五年間の保険料を据え置いた形で運用できるという、そういう仕掛けこそ、被保険者と申しますか政管の事業等を含めまして、いい形での活用方法ではないかと、そういうことで今回お願いをしているということでございます。
#195
○沓脱タケ子君 そんなもんは勝手ですよ。被保険者の立場から言うたら、そない一兆四千億も二兆円もたまるまでほっておくんやなしに、何でたまったんやね、健康保険本人十割給付が九割になったんでしょうが。診療報酬に対してどんどんどんどん圧迫をして、病院運営がとにかく七五%赤字になるほどのところまで来たんですよ。そういう中で出てきている黒字なんですよね。当然のこととして、被保険者に還元をするということは、もとの十割給付に戻すなり、あるいは看護婦さんの待遇、処遇のために大いに診療報酬等を含めて使うなり、国民医療の発展のためにこの金は使うんであって、何も基金、資金つくってもろうて株でちいともうけてもらいたいなんて被保険者言ってません。ちょっと話が違うと思うんです。私は、そういう点ではこのやり方というのは納得ができない。
 納得のできないもう一つは、社会保険審議会を医療保険審議会にまとめるという問題ですね。これは三者構成で労働者代表も出ていたのを、それを拒否してもう大臣任命の方だけにするというんでしょう。これはどうして労働者代表を参加させないんですか。一番直接の関係者です。
 そのことも聞こうと思ったけれども、時間がないから、最後に私まとめてちょっと聞いておきたい。
 そないしてうまいこと手品師みたいにひねり出した千三百十二億、それで診療報酬の改定財源に充てているわけですが、どない言ってもその裏表になっているわけです。そうしてやる診療報酬の改定というのは非常に問題が多いと思うんです。
 私の持ち時間がもうありませんから多くを申し上げることができませんが、既に午前中同僚委員から部分的にいろいろと御指摘がありました。何しろ、自己負担の拡大というものをどんどん助長していくというやり方でしょう。差額べッド五〇%。食事の内容もさっきの話は一つもわからへんな。患者の食事というのは、病院で支給する食事というのは、病人食なんです、治療食なんだ。だから管理栄養士がおって、カロリー計算して、糖尿の人にはそのための料理、減塩食にはそのための料理、肝臓の悪い人のためには肝臓食というふうにつくっているんですね。そうでしょう。それを何しろ、好みに応じてメニューをつくるとか、何か妙なことを言っていたけれども、お金を出したらつくってくれるといって。これはようわからんかったから、また次の機会にきっちり聞かせてください。そういうことを含めて、あるいは予約するのに金を私わにゃいかぬとかそんな、現在の社会保険診療の姿がいわゆる自己負担の拡大の方向へ今度の診療報酬改定の中身は非常に顕著に出してきているという点が一つ。
 それからもう一つは、これは朝も菅野先生が御指摘になった病院、診療所の機能分化になるような、お金の配分でそうなるような内容になっている、こういうやり方、あるいは老人医療の問題でもそうですよ。今までだったら病院で、七十歳以上のお年寄力が六〇%以上おると、いや、特例許可外老人病院やとか言って、病院のランク下げをされた。今度の診療報酬の改定では、六十五歳以上六〇%の患者となる。この高齢化社会に六〇%以上もですよ。六十五歳以上のお年寄りなんてのはざらですよ。それでまた、病院のランクを変えるというんでしょう。こんな合点のいかぬやり方というのがやられるわけです。
 私は、こういうやり方というのはいろいろ問題があるんだけれども、根本的に病院と診療所というものの機能分化をする、あるいはさっき言うたように自己負担分をどんどん拡大していく。従来と全然違うんですね。病院のランクづけ、格差というのは物すごく違う。看護婦さんだってそうですよ。これはもう時間がないから言いませんが、そういうことが診療報酬の配分によってすっかり医療の分野を分断するというか、変更していくというやり方をしようとしているわけですが、私はこれは大問題だと。何で大問題かというと、この診療報酬改定については国会で論議されてないんですね。国会は知らぬのです。御承知のように、中央医療協議会へ厚生大臣が御諮問になって……
#196
○委員長(田渕勲二君) 沓脱委員、まとめてください。
#197
○沓脱タケ子君 はい、これで終わります。
 それで、御諮問になって、二日の審議で答申された。そんな密室審議でこの重大な、日本の医療をお金の配分によってずかっと変えるというふうな重大なことがやられるというようなことは、許されないのではないか。だから、少なくとも診療報酬の改定等診療報酬に関する問題については、これは大臣、国会を通すなり、あるいはいきなり国会を通すというところができなければ、まず中医協を公開するなり、そういうことをやってこういう重大問題は国民の中で十分論議が展開されるということの保障が必要ではなかろうかと思うんです。私はひねり出し方も問題だし、使い方もこんな格好じゃとてもじゃないけれどもなかなか理解しにくいので、そのことを大臣からお伺いをいたしまして、終わります。
#198
○国務大臣(山下徳夫君) 私も長いこと、専門的にはございませんけれども、ある程度継続して厚生委員会の所管する問題に携わってまいりました。振り返ってみて十年前、二十年前と比べると、国民医療というものも厚生省の諸君が精を出してくれて、また財政的な裏打ちについても努力をして私は年々改善されてきていると、その改善された中に今いろいろな問題は、それはときどきには起こってまいります。したがって、先生の御指摘になるような面も、それは私は確かに、理屈というと失礼ですが、理由はあると思うのでございますけれども、長い目で見れば非常にいい方向に向かっていると、そのように思っているんです。一つ一つ検討すれば、今おっしゃるような御指摘のような点もございます。
 そこで、この国庫補助率の引き下げにつきましても、先生さっきちょっとおっしゃいましたけれども、これを有効に使うならば云々と、ですから、それは来年度の看護婦など医療従事者に対する勤務条件を改善するとかいう方面にこれはひとつぜひ使うというようなことで、非常に苦しい現在の国家財政の中でございますから、そういう目的を持ってこういう制度を改正しておる、このように御理解いただきたいと思います。
#199
○粟森喬君 同僚議員も同じ視点から幾つかのことをお尋ねしているわけでございますから、私の方からも幾つかのポイントを絞って申し上げたいと思います。
 今回の健保法の改正というのは、被保険者といいますか、の立場から見ますと、保険料率を千分の二でございますが下げたということなどは、その限りでは、出産手当もよくなったということでは言えると思うんです。
 ところが、今多くの同僚議員が問題にしているように、国庫補助率の引き下げというのは、確かにきのうも私論議のときに、社会保障費全体が今度の予算ベースで低くなったわけでございますから、どこかでそのしわ寄せが出るだろうと。それが結果的に、私どもの立場から見れば、政管健保の黒字というのはあくまでも健保の、支払っている人たちのお金でございまして、単に一時的な積立金というような性格だと思います。したがって、そういうことを考えたときに、この国庫補助の引き下げというのは大きな問題があるというふうに思います。
 そのことの論はいろいろ申し上げているわけですが、私の方からこういう視点でお尋ねをしたいわけでございますが、私は今までの日本の医療政策なり社会保障政策というのは、一つはいわゆる社会保険料という立場で、健康保険料なりあるいは年金という格好で支払われている、一方では税という立場で集めて、国庫補助で埋めながらそれをよくしていくと、こういう二つの側面があったと思うんです。トータルで見れば、このようなやり方を続けていけばいわゆる社会保障政策なり医療政策の一つの水準というものの、水準といいますかあるいはナショナルミニマムというんですか、というのは、できるだけあっちこっちで国庫補助が手抜きがされていくということは、そういうミニマムの水準低下につながるという懸念はないのだろうかどうか、こういうふうに考えていますが、その辺はいかがでございますか。
#200
○政府委員(黒木武弘君) 私どもは、社会保障の給付水準につきましては、これからも我が国の高齢化等の社会的な変動の中で、これが国民に頼れる制度として機能していくことを念願いたしておるわけでございます。
 その財源をどうするかで議論はいろいろあるんだろうと思いますけれども、やはり社会保険方式をとっていく以上、基本は受益と給付の負担との関係がよりクリアに出てくる保険料が中心だというのは、これはドイツを見習うまでもなく、そういう形の運営でございますけれども、その中で財政力あるいは財政状況に応じまして国庫補助等を有機的に組み合わせる中で、これから制度の運営というのをやっていく必要があるということでございまして、御指摘のように、国民が必要とする給付、これをナショナルミニマムとおっしゃったんだと思いますが、これについては私どももがっちりした制度を仕組みながら国民のこれからの医療なり生活を支えていくことが肝要だと、かように思っておるわけでございます。
#201
○粟森喬君 物皆上がるというときに、たとえ千分の二でも下がるというのは、現象面から見ればいいと思います。ただ、先ほども出たように、いわゆる標準報酬等を変えるわけでございますから、必ずしもそれが全部かなというふうに思いますけれども、私は国庫補助が傘として切られるだけではなく、これを切るということは今の医療なり社会保障の現状を見たときに、特に今の場合は政管健保の場合でございますが、これは使用者も払い、労働者も払い、そして国庫補助があった。結果として全部で集められた金の全体の中で、医療制度の改善なり、一万医師の側の、病院の側の取り分もそこで総合的に勘案されながらくるんですが、現状から見ると、私は医療の現場の問題は、この程度下げられるぐらいなら、むしろまだ解決をしなければならない問題はいっぱいあると思うんです。
 今までも、これは何遍もこの委員会でも取り上げられておるんですが、例えば三分間診療だと、今度は何かいわゆる診療の内容をちょっと変えたからよくなったというけれども、私はあれは四分になったのか、三分三十秒になったかという程度だと思います。根本的な解決につながっていないと思います、こんなこと。
 それから、例えば入院の実態を申し上げますと、一人当たり四・三平方メートルというのは、これはもう大分前から改定がされてないはずでございます。入院の患者のベッドの、いわゆる専有面積というんですか、これは四・三平方メートルです。きのうも生活大国とか豊かさとか言われたけれども、今果たして、私なんかでも患者の方を見舞いに行く、あるいは自分も現実に入院した、そんなときに、例えばあの広さで本当に医療の充実というふうに言えるのかどうかというふうに考えたときに、一人当たり四・三平方メートルのベッドに寝たことのない人の私は論理ではないかと。一方では差額ベッドがあるわけです。いや、そこが狭いというなら二人部屋にかわったらいかがですか、一人部屋もあいていますよ、それは当然保険外の負担でございます。
 そういう格好でいくと、いわゆる社会保障政策の根幹である医療保険制度が、今単に国庫負担をこの程度この水準で下げるということと、そういう水準を基本的に、例えば診療を受ける側の立場に立って問題を立てたのかどうかという問題、ここに私は大きな疑問と矛盾があるのではないか、こういう感じで受けとめておるわけでございますが、このことについての見解をお尋ねしたいと思います。
#202
○政府委員(黒木武弘君) 粟森先生御指摘のように、私どもはこれからますます消費者と申しますか、生活者重視の、本位の行政なり制度運営を心がけていくべきだと考えております。
 具体例で御指摘があったわけでありますけれども、例えば三分診療、大変現在の医療の窓口は混乱をいたしておるわけでありまして、私どももこれからの医療体制のあり方はそれぞれ役割、機能分担をしながら、患者の流れがスムーズにいって、ゆっくり、じっくり診療ができるような体制に持っていきたい。診療報酬でもできるだけそういう心がけをいたしておるわけでありますけれども、またぜひ医療法の御審議もお願いをせざるを得ないわけでございます。
 部屋につきましても、四・三平米ということで、確かに狭いわけでございます。今回の診療報酬改定におきましても、例えば八平米以上の広い一人当たりの病室の場合には、室料について割り増しと申しますか、加算を設けるといったような形で、私どもはこれからやはりゆっくりの診療と広い部屋での療養というような点についても、そういう質の高い医療サービスの展開というのを期待いたしまして、若干なりとも診療報酬で私どもはできるだけの配慮をしてきたつもりでございます。
 医療の世界には、まだまだこれから解決していかなきゃならない問題があるわけでございます。財源の問題ももとよりでございますけれども、全体のシステムをどうするかということで、患者本位の立場に立って、私どもはこれから制度の見直し等を含めまして、必要なことだと思っておるわけでございます。
#203
○粟森喬君 何となくどこまで改善されるか全くわからないし、私はいわゆる医療の一つのミニマムといったら、そういう基準の一つ一つが、ですから負担の問題も一つあります。しかし、一方ではその種の基本的な基準を変えない限り、例えば四・三を八平米のところまで一定の基準で対処をするという方法も一つの方法でございますが、だれであっても最低入院すればどの程度の環境といいますか、入院環境があり、そして看護の実態も、これは看護婦の人材確保法のときに一番論議をしなきゃならぬわけでございますが、診療の実態も三分間と言われたり、看護の方も私は実態としてケースワーカー的な仕事などというのは、もう看護婦の皆さんにお願いをする条件というのはないと思うんでございます。
 したがって、今国庫補助を引き下げたり、本人負担を下げて、それで問題を解決するというのは多くの問題を現実に残した中で、これはより中身を検討する場をつくらなきゃならぬと思うんですよ。そのポイントは、私は一つは診療報酬の改定などについて、実態としては国会の中では論議することは許されていますが、決まったものについて出た現象面を国会で論議をしなきゃならぬという、この場で論議をするというのは、もう少し基本を明確にしていただきたいというふうに思うんでございます。
 そのことは端的に申し上げますと、開業医レベルでは今回の健康保険法の改正と診療報酬の改定については大変反対意見も根強いものがございます。例えば今までの論議の経過の中でもその種の問題が診療報酬の改定の中でどの程度、いわゆる開業医といいますか診療所といいますか、ここに配慮をされたのか、その辺のところについてお尋ねをしたいと思います。
#204
○政府委員(黒木武弘君) 診療報酬のあり方が医療サービスに直結する非常に重要な事柄だというのは承知をいたしております。したがって、私どもも中医協の意見を尊重し、そしてそこでの審議を踏まえて改定いたしておるわけでありまして、その中で医療サービスの向上というものが議論され、今回の改定にも反映したものと思っております。
 そういうふうに、中医協は非常に重要な役割を持っている審議会だということで、特別の中医協法がございますし、その委員についても公益委員については国会の同意大事になっておる、大変やはり国民生活に影響を及ぼす審議会ということで位置づけられているんだと思うわけであります。
 そういう中での診療報酬につきまして、今回中医協の御意見、御審議を随分時間かけて検討してもらった結果の措置でございまして、その中で一つのポイントは看護関連経費をどうするかということがございましたが、二つ目のポイントは、医療機関の機能分担、役割の重視というのがございまして、開業医さんは外来機能、それから病院は入院機能の重視ということで点数の割り振りと申しますか、めり張りがつけられておるわけでございまして、開業医はいわゆる第一線におけるプライマリーケアの担い手ということで、これからもますます重要な役割を果たされる診療所、開業医でございますので、私どもは今回の配分に当たっても十分配意したつもりでございますけれども、今後ともその役割の重要性をにらみながら適切に対応させていただきたいと思うわけでございます。
#205
○粟森喬君 関連をして、少し診療報酬の改定の中身について幾つかちょっとお尋ねをしたいと思います。
 今回の改定の中身をお聞きいたしますと、診療報酬ベースは五%の引き上げたと、それで薬価ベースは八・一%の引き下げだと、これを医療費ベースに直すと二・四%だと、こういうふうに資料をいただいています。どうも私は、診療報酬改定なり薬価基準改正の基準が、過去の改定の数字を見る限りでは何を基準にしているかさっぱりわからない。
 例えば一つの例で申し上げますと、六十三年の改定のときには歯科を一%だけ上げて薬価基準も何も変えないと。薬というものが需要と供給の関係や新薬がたくさん出るとかいろんなことで私は薬価が変わることはわかります。しかし、この決め方に物価上昇も余り関係あるのかないのか。それから、あるときには、例えば診療報酬などは平成元年四月一日の場合は実質的には〇・一一%の引き上げですから、据え置きです。しかし一方では薬価が二・四%引き上げられました。このように調整していく、こういうようなやり方。いずれにしても中医協の中でそれぞれ論議をしていることで、私は中医協の人をある種の信頼はしていますが、このようなやり方では基本的ベースが全く見えない。
 このようないわゆる中医協のあり方といいますか、結果だけ私たちは見て、それが全体の診療なり診療の実態に、また保険料の問題にはね返りだとかいろんなことが出てくるわけでございますが、この辺のところの一貫した基本的な方針というのはどこにあるのか、そこをお尋ねしたいと思います。
#206
○政府委員(黒木武弘君) 中医協は、中医協に関します法律によって厳格な三者構成をとっておるわけであります。その基本とするところは、医療費の財源というのは、その大宗をなすものは保険料でございます。若干と申したら怒られるんでしょうけれども、国庫補助も入っておりますけれども、基本は保険料でございます。
 したがって、それを負担する人と、それをまたもらい側というんですか、支払い側と診療者側の一種の交渉事によって医療費の考え方が整理をされ、それを公益委員がどういうふうにまとめるかというのが中医協の基本となるところであるわけでございます。
 したがって、私どもは中医協の意向なり意見というものを最大限尊重して診療報酬の改定に当たっておるわけでありまして、改定幅等を含めまして、やはり裏腹であります財源ということが、あるいは負担する側の意向というものが強烈に影響してくるシステムであるということは御理解いただきたいと思うわけであります。
 診療報酬の基本的な考え方は、収入はどれぐらいあるだろうか、医療機関の収入というのは、先生御存じのように自然増というような形で毎年一兆円と言われておりますけれども、収入増も年々あるわけであります。それから、おっしゃったように物価だとか人件費だとか、もろもろの経費増があるわけであります。その辺の収支差というようなものを、我が方の経営実態調査というふうなデータを踏まえながら、中医協の委員の先生方がどう判断されるかというような形の中で物事が取り運ばれていくというふうに御理解をいただきたいわけでございます。
 そういう一種の交渉事の中で、公益委員の先生方がきちっとした意見を出して取りまとめられた結果の、我が方が諮問、答申を受けました今回の措置でございますので、国会等の審議におきましては御説明はさせていただきますけれども、こういう形で診療報酬が決められていることについてはぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#207
○粟森喬君 局長の答弁の範囲は何となく原則でわかりますが、私が多少その一覧表を見たときに感じることを申し上げます。
 ずっと薬価ベースが下がっているのに、平成元年四月のときには薬価ベースだけが上がって診療報酬は〇・一一%のみの引き上げでございます。この数字を見たときに、どこかでそういう政治的というか調整バランスみたいなものが診療報酬と薬価基準の中で行われている。中医協の中身をあえて私は余り言う必要がないのかもしれませんが、どうもこの辺のあり方というのは、何となく一つの流れがあって、そこに理解ができるようにしないと、とりわけ診療報酬やこの薬価ベースというのは、今もう全員本人負担でございます。本人負担というときにどういう中身なのかということをお互いが知り得る意味でももう少し改善できるところは改善をしていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。
 そこで、次の問題に移らせていただぎます。医療保険審議会の問題でございます。これも何人かの方が申し上げておるので重複になるところはお許しを願いたいと黒います。この審議会は、原則として今まであるものを一元化するわけでございますが、それぞれの審議会の委員の選出の仕方を基本的に踏襲してやるのかどうか。というのは、労働者側といいますか、診療を受ける側の代表というのがこれはきっちり過去の選出基準の中で明確になっておりましたが、これは政令で定めることになっておりますが、その基本についてはいささかも変わらないのかどうか、その辺についてまず質問を申し上げたいと思います。
#208
○政府委員(黒木武弘君) 今回の改正法をお認めいただきますと、私どもは政令の形で医療保険審議会の創設を新しくいたすわけでございます。そのときの構成の仕方あるいは委員の選任の仕方等についてはいろいろ関係審議会でも既に御議論があったところでございます。答申におきましても、関係者の意見が十分反映されるよう現状を踏まえて慎重な配慮をという形で答申をいただいているわけでございます。
 その意味するところは、一つは現在の三者構成の考え方というのを生かしてくれということでございまして、これについては国保の関係も入ります委員会の構成自体では現在の労使の入ったような三者構成というのは難しいわけでございますけれども、仮に政管の部会あるいは船員保険の部会というふうに部会をつくった場合にはその趣旨を生かして構成させていただこうと思って、実質的な三者構成をそこで配慮いたしたいというのが第一点でございます。
 それから、現在社会保険審議会に各界から委員を推薦していただいておるわけでございまして、その推薦いただいている母体等についてはこれからも推薦をいただこうと思っておりますけれども、委員の数が二十一名の中で新たに国保関係者が入っていくということでございますから、推薦は従来の形を現状を踏まえてお願いしますけれども、委員の数等についてはこれから私どもとしては慎重に考えて、適正な審議が行われ、関係者の意見が十分反映されるような委員の構成にさせていただきたいと思っているわけでございます。
#209
○粟森喬君 大事なところでございますので、念のためにもう一度お尋ねをします。
 確かに医療保険審議会の委員は、いわゆる今までのような労使といいますか、企業と診療を受ける労働者の側とそれから中立委員と三者構成のときに明確な区分があったのとはちょっと違います。しかし、基本的には今までのそれぞれあった委員構成を前提にして選出の基準を考えることについてこれは間違いないですね。私は労働者側というか、診療を受ける側の委員を積極的に入れてほしいという意味で言っているつもりだが、慎重にと言われると、それは余り入れられないという意味なのかどうか、そこはきちっと答弁しておいてください。
#210
○政府委員(黒木武弘君) 関係者の御意見が十分反映されるよう現状を踏まえて慎重な配慮をすべしという答申を受けて、これを現実にどういうふうに実現するかということでございまして、一つは、現状は三者構成をとっておるわけでございますから、これが実現というのは部会の構成において確保していきたいというのが一点でございます。それから、現状を踏まえての意味するところの推薦母体の取り扱いについては、従来どおり現在の推薦母体から推薦を受けたいと思っておりますけれども、その委員会、部会でない委員会自体は国保が入ってきます関係上三者構成にはできません。
 したがって、学識経験者による審議会という構成に形式的にはなるわけでございまして、そこから推薦いただいた委員の方々をそこにいわば張りつけていくわけでございますけれども、従来から推薦を受けております人数と申しますか、そこまでは私どもは、国保の委員が入ってこられる関係上、少し人数については既得権的な保障はできないで人数的には御遠慮をしていただかなければならないことは、これは避けられないことだというふうに考えております。
#211
○粟森喬君 全体が二十一という構成で、そういう意味合いについては全く理解しないわけではないけれども、基本的なベースをきちっと守ってほしいということを重ねて申し上げておきますし、これは大臣が任命をするものでございますから十分そこには配慮をお願いしたい、こういうふうに思います。
 なぜ私どもがこのことをしつこく言うかというと、今回の健康保険法の改正の中で、医療保険審議会の創設というのは大きな意味を持っている、こういうふうに思います。同僚議員のこれまでの質問にも明確なように、政府といいますか厚生省の考え方では、例えば本人負担、今まで一割だったのを二割にしたいという、これは既に法律が本法でそうなっていまして、今附則でございますからそういう部分でおっしゃるという意味は十分わかります。
 しかし、私どもの内部では一割を堅持、あのときは一割でさえ問題だというふうに言っていたんですから、それを一元化とか一体化という中で、そうしていくことについては大きな抵抗があります。そしてまた、現実に今共済組合健保とか健保組合、それに政府健保と国民健保七三つあります。これを一元化するというときにどの基準でやるかということがもう重大な問題でございます。特に、一番高い水準に日本の社会保障、医療政策を持っていくというのなら、これはもう大賛成だという話になるけれども、恐らく一元化といったときには、どこかの基準以下のところは、いわゆる診療を受ける側から見れば切り下げられるというのは火を見るより明らかでございます。
 したがって、この構成とやり方というのはかなり慎重にやらなきゃならぬし、先ほどから再々いろんなことが言われておるわけですが、それぞれ今ある現行の水準というのをどう維持していくかということを基本に考えていかないと、先ほどからの答弁で二割と言われたけれども、私は二割を本人負担にするというだけでも、これはそんな私は簡単に通るような性格ではないと、こういうふうにむしろ断じてここは申し上げておいたがいいぐらいの条件でございます。
 したがって、医療保険審議会というのは、一元化に向けて論議をするに当たって留意すべき諸点というか、それは何と何に置くのかということをこの際明確にしておいていただきたい、こういうふうに思います。
#212
○政府委員(黒木武弘君) 新しく創設されます医療保険審議会を舞台にこれから医療保険の将来像を御議論いただき、描いていただくわけでございますけれども、お触れになりましたように、私どもは現段階で八割にそろえるという考え方は持っておりません。非常に弾力的に白紙に考えておりまして、これからの負担というものをお考えいただきながら、望ましい給付水準なり給付のあり方というものを議論して、そこの中でのコンセンサスを得ながら国民の医療を確保する医療保険制度のあり方というものを見きわめていきたいと思っているわけでございます。
 したがいまして、何と何に留意するかというお尋ねでございますけれども、ポイントは、これから本格的な高齢社会を迎えるわけでございますから、そういう中においてもすべての国民が安心して医療を受けられるような医療保険制度を私どもは目指しておるわけでございます。そのために、医療保険制度の枠組み、今被用者保険から老人保健から地域保険からございますけれども、そういう枠組みをどうするのか、それから給付の範囲をどうするのかとか、それとの裏腹になります、じゃ財源をどう考えるのかといったような幅広い観点からの総合的な検討に入っていきたいと思っているわけでございまして、現段階で留意点と申されましたけれども、非常に幅広い角度からの御議論を賜るうというふうに思っているものですから、むしろ白紙で諸先生方に御議論を賜ることの方がベターではないかというふうに考えております。
#213
○粟森喬君 それでは、次の問題に移りたいと思います。
 今回の事業運営安定資金の創設の財源というのは、先ほどから論議をされていますように、もともと積み立てた人のお金でございます。それで、資金運用をしてやっていこうということでございますが、ちょっと確認したいんですが、返すときは元金に利息をつけて返すんだろうというふうに思いますが、借り入れて運営するわけでございますから、そのときの利息というのはどの程度、具体的にそういうことが明確になっているのか、そこはまず答弁願いたいと思います。
#214
○政府委員(奥村明雄君) 先生御指摘は国庫補助の減額特例措置のことでお尋ねではないかと思いますが、これは返済をされるに当たっては利子の相当額も含めて返済されるということになっております。具体的な利子の額についてはその政管健保の資金の運用状況も勘案しまして、その時点で財政当局と協議をするということになっておるところでございます。
#215
○粟森喬君 利息を幾らにするかもわからぬ、同僚議員からも、返済の時期もわからぬ、利息もつけて返すんだということだけはある程度わかっておるんだろうけれども、今の考え方では何がどう保証されているのか全然わからないんです。申し上げておきますが、運営を政府に任したんであって、基本的にこれは国のお金でも何でもないんです。そういうものに対してそういう態度というのは、これは大変けしからぬ話だと思うんですが、そのときに返済のときの利息を話し合うなんて、そんなことは世の中で通用しないので、もうちょっと明確にそこは答えていただきたいと思います。
#216
○政府委員(奥村明雄君) ちょっと説明が舌足らずで大変失礼をいたしました。利息もつけて返済をされる、これは法律上にその旨が明記されております。
 それから具体的な利息を計算した場合、何%でやるかということは政管健保の例えば資金のお金でありますと、資金運用部に貸し付けをして、そのときの利率によって利息がついてくるわけでございますが、それと同じような考え方に立ちまして利息を計算するわけですが、その時点での利率が、資金運用部の利率が変わってまいりますので、その政管健保のその時点での資金の運用状況を勘案しまして、具体的な利息相当の額を決めるということを申し上げたわけでございます。
#217
○粟森喬君 何となくあやふやに言われるとこっちも心配になってくるんで、もうちょっとはっきり言ってほしいんです。
 仮にそれを、今のように、安定資金といいますか、運営資金にそういう利息運用するのと別な意味で、その金がもしそのような運用をされない場合、大蔵省の資金運用部に預けますね、そのときの利息は保証されているんですかどうかということについて、はっきり答えてください。
#218
○政府委員(奥村明雄君) 資金運用部に預託をいたします場合の利息を、返済の際に合わせて繰り戻してもらうということになっておるわけでございます。
#219
○粟森喬君 保証しているのかどうかと聞いている。
#220
○政府委員(奥村明雄君) そのとおりでございます。
#221
○粟森喬君 その次に、この部分でもう一つお尋ねをしておきたいと思います。返し方の問題でございます。
 というのは、今回、一定の金額を繰り入れするわけですが、返す条件というのは、国の財政がよくなったときといいますが、国の財政がよくなったときに、それは、国庫補助率が今度一三・〇%に変わりましたから、その金の科目というんですか、項目というんですか、どこからどういう格好で返すというシステムがつくられるのか。今までのお金でいうと、この種のお金を返済する項目なり費目がなかったはずでございますから、どのようになるのか。この辺は、いつごろ返されるかわからぬでも、どういうシステムでお返しになるのか、これははっきりさせてもらいたいと思います。
#222
○政府委員(奥村明雄君) 特例措置が返済をされます場合には、健康勘定の中に国庫からの繰り入れという形で計上されることになるわけでございます。
#223
○粟森喬君 よくわからないところがございますが、ちょっと時間の関係もございますので、次にお尋ねをした。いと思います。
 いずれにせよ、今の健康保険の改正によって、先ほど、いわゆるミニマムと言われたところで、幾つかのことがまだ解決をされないままに来ているということを申し上げました。
 そこで、一番重要なのは、過去、この委員会でも何回も論議になっている保険外負担の問題、このことが改善をされないままに来ているという現状を考えたときに、特に付添看護婦のあり方の問題なんかについて、前回の国会の中でも、老人保健法の改正に当たって、このことについて前向きに処理をする、こういうことが言われたわけでございますが、現状どういうふうにこの保険外負担について、できるだけ診療を受ける側の負担を軽減する方法が検討されておるか、これについてお尋ねをしたいと思います。
#224
○政府委員(黒木武弘君) 保険外負担についてのお尋ねでございます。
 当委員会におきましても再三御指摘を受けている事項でございまして、これからも私どもは、病院における費用徴収につきましては一定のルールを定めまして、ルールに沿った適正な運用が行われ、間違いの、あるいは不当な保険外負担が強いられることのないよう、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
 本院においても一番御議論いただきました付添看護につきましては、今回の診療報酬改定におきましてかなり適正化を図ったつもりでございます。付添看護に係る保険医療機関の責任の明確化をきちっと法令上定めるとともに、現行付添看護の要件を見直す、あるいは基準看護病院等付添看護に依存しない病院の普及拡大のための措置を図るといったような、各般の措置を講ずることによりまして、保険外負担の適正化が図られていくものと、かように考えている次第でございます。
#225
○粟森喬君 何にも解決してないということだけわかりましたが、もう少し具体的に一つ一つの問題を解決していただきたいと思います。
 先ほど、開業医、診療所の方々から、今回の健保法の改正についてはかなり評判が悪いといいますか、意見がございました。私はその中でも申し上げておったわけでございますが、開業医の仕事の中で、これから訪問看護に対する指導的役割というのは非常に重要な意味を持つから、そういうところでカバーされるというような意味もあるのではないかというふうに思いましたが、老人保健法の改正後の診療報酬の改定について、この点がどういうふうに織り込まれたのか、この辺についてお尋ねして、私の質問を終わります。
#226
○政府委員(岡光序治君) かかりつけのお医者さんという位置づけをきちっとしたいということで、特に寝たきり状態になっている在宅で療養されているお年寄りに対しまして、特定のかかりつけのお医者さんを定めて、そのお医者さんに月二回以上訪問診察をしていただこうではないか。もちろん、その際には、在宅療養計画というものをつくってもらって、開業医の先生が月二回以上お年寄りの家庭を訪ねていこう、そういう場合には、指導料、管理科、それから投薬料、検査料、これを包括化いたしまして、二千二百点、ですから円にしますと二万二千円、これをお支払いじょう、こういうことにしております。
 もちろん、この人たちは緊急入院の必要性もありますので、有床診療所の場合にはベッドをあけて待っておるということがありますから、その空きベッドの確保のために特別の加算をつける。もちろんこれは家庭を訪問するわけでございますので、その際には訪問診察料、そのほかの経費をつけるということで、そういう二万二千円にプラスして、出来高で支払いますものをつけ加えますと、大体一人当たり五万円を超える額が保障されるということになると思いますが、それによりまして、特定のかかりつけのお医者さんと特定のお年寄りとを結びつけるということにいたしたいと思っております。
 それから、この人が主治医でございますので、その主治医の判断によりまして、老人訪問看護ステーションの方に指示をする。もちろん指示をしたときには指示粋を払います。したがって、その指示が来た場合には、老人訪問看護ステーションから看護婦さんによる老人訪問看護が行われる。そしてまた、福祉との連携を図る必要がございますので、市町村の方に必要な情報、ここのお年寄りについては、例えば保健婦さんによる訪問指導をしてくださいとか、あるいはホームヘルパーによる福祉的なサービス、介護サービスをしてあげてください、こういうふうな指示を出すことができるようになっております。これももちろん指示料を払います。それを受けて、市町村は必要な看護婦によるサービスとかホームヘルパーによるサービスも行えるようにする。
 あわせまして、病院、それから老人保健施設におきましてデイケアというものを大いに行おうじゃないか。デイケアの料金についてはおおむね二〇%以上の引き上げを今回図っておりますが、特にこの際に診療所でも少人数のお年寄りを受けてデイケアができるように、従来は大きな病院、大体二十五人を単位にしておりましたですが、そういうことで病院しかデイケアができない体制になっておりましたが、俗に街角デイケアと称しまして、診療所でも十人程度の人を相手にしてデイケアができるようにしようではないか。こういうことで、まずかかりつけのお医者さんをキーステーションにしまして関係方面にいろいろ連絡をして、その関係方面が専門のサービスを提供できるようにしよう、こういう体制を仕組んだところでございます。
#227
○委員長(田渕勲二君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、木庭健太郎君が委員を辞任され、その補欠として中西珠子君が選任されました。
#228
○勝木健司君 政管健保の財政でございますが、昭和五十六年以降連続して黒字に転じておるということで、平成二年度の決算でも過去最高の三千四百三十二億円の黒字を出す、また積立金も一兆四千億円に達している状況であります。
 そもそも、国鉄とかあるいは米と並んでいわゆる三Kの一つであった政管健保がなぜここまでの黒字基調に回復することができたのかということで、まずこの黒字基調の要因についてお伺いをしておきたいというふうに思います。
#229
○政府委員(黒木武弘君) 政管健保につきまして、三Kという懐かしいお言葉をいただいたわけでございますけれども、政管健保は、食管とか国鉄と同じように、御指摘のように大変赤字できつい時代があったわけでございます。財政は、昭和三十年代の後半から赤字に転じまして、この傾向は四十年代にいっても変わりませんで、一層深刻な状況を呈するに至りました。
 このような財政悪化の要因でございますけれども、医療技術の進歩に加えまして、再三にわたる医療費の引き上げや老人医療費の無料化等の給付改善等の結果、医療給付費の伸びが著しかったことが主な原因でございます。ちなみに、国民医療費は三十年代の後半から十数%から二〇%、四十九年度は三六%というようなかなりのピッチで医療費が伸びたわけでございます。これが苦しくした要因でございますが、その反面、保険料収入は、医療費に比べて伸び率が低かったということが赤字転落あるいは赤字が継続していった要因だというふうに考えております。
#230
○勝木健司君 黒字基調になった要因は何だったのかということをちょっとお伺いしたいと思います。
#231
○政府委員(奥村明雄君) 政管健保は、昭和五十六年度以降黒字基調で推移しておるわけでございますが、最近の黒字の要因といたしましては、医療費の伸びが大変安定的に推移してきたのに対しまして、保険料収入の伸びが好調であったことが主な要因であると考えておるところでございます。
#232
○勝木健司君 近年、社会経済の変化とかあるいは人口が高齢化をしておるということで、低所得者とかあるいは高齢者の加入割合が著しくなってきておるのではないか。そして、いろんな保険制度の構造的な問題によって運営上さまざまな問題を抱えるに至っておるのではないかということで、今後、幅の広い視点に立った一層の制度の安定充実化を図っていかなければいけないということであります。
 今回、そういうことで、政管健保について中期的な財政運営方式を採用するとのことであるけれども、これを採用した理由をお聞かせいただきたい、同僚議員によって何回かお聞きをしておりますけれども。そしてまた、この中期的な財政運営方式の具体的な運営方式は一体どういうものなのかということで、簡潔にお伺いをしたいというふうに思います。
#233
○政府委員(黒木武弘君) 今回、政管健保の運営方式を改めました理由は、より政管健保の安定的な運営を図っていこうという観点でございまして、そのためには、今まである積立金を積極的に活用いたしまして事業運営安定資金という形で創設をし、その傘のもとで安定運営を。図ろうというのがポイントでございます。
 具体的にどうなるかというお尋ねでございますけれども、各年度において、歳入の余剰が見込まれ、または余剰が生じればこれを資金に繰り入れます。それから歳入不足が見込まれ、または不足が生じれば資金から繰り入れるというようなことで、毎年度事業の運営を安定的に行おうというものでございます。私どもはこの資金に調整機能をそういうふうに持たせますとともに、この積立金を活用しまして積極的な保健事業の活用等にも資してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#234
○勝木健司君 今お聞きして、そういうことであれば、今後やはり五年間安定的な運営を行っていこう、そしてこの資金を流用していこうということでありますので、少なくともこの五年間については、保険料率の引き上げはないということで確認をしてよろしいわけですね。
#235
○政府委員(黒木武弘君) 今後五年の財政見通し等も資料で出させていただいておりますけれども、先生御指摘のように、私どもが現時点で予測し得る限りにおきましては、保険料率を変更しないで済むものと考えております。
#236
○勝木健司君 中期的な財政運営方式の採用によりまして、健康保険の性格は変わるのかどうかということもお尋ねをしたい。そして、この考え方が政管健保だけではなしに健保組合についても妥当じゃないかということで、健保組合についても中期的な財政運営に改めるべきじゃないかと思うわけでありますが、それについての見解をお願いしたいと思います。
#237
○政府委員(黒木武弘君) このたび財政運営方式を、基本的な考えとして五年程度を見込んだ運営方式に改めるわけであります。もちろん、毎年度毎年度政管の予算を計上しまして御承認をいただくというのは変わりはないわけでありますけれども、運営の基本的な考え方は従来からの発想を変えさせていただきたいということでございます。
 したがいまして、この考え方につきまして健保組合等についても当てはまるかどうかというお尋ねでございますが、私どもは財政の運営を安定化するということは、政管のみならず健保組合も大切なことでございますし、こういう方式というものが健保組合についても当然運営の考え方としては正しい方式だというふうに考えておりますけれども、健保組合については財政規模がさまざまでございまして、どの程度の資金を持てば政管のように安定運営が図れるかということは勉強を少しさせていただきたいと考えておるわけでありまして、三千万を超える政管と、それから何百人の健保組合というのは、例えば一人高額な患者が出た場合等々を考えましてもかなり様相は違うだろうということで、学者の知恵もかりながら、健保組合についての財政運営のあり方というのは少し勉強させていただきまして、その成果を踏まえて健保組合に対しまして具体的な指導の形に入っていきたいと思っておるわけでございます。
#238
○勝木健司君 健保組合には、確かに財政基盤が脆弱なところが実際少なくないわけでありますけれども、現在赤字の健保組合の数が一体どれぐらいあるのかということと、最近の傾向、また赤字の原因についてどのように認識をされておるのか。それから、今後人口の高齢化に伴って医療費が上がっていくだろう。そういう意味で、中長期的には赤字の健保組合はふえていくのではないかというふうに懸念をいたすわけでありますが、この赤字健保組合についての対策をどのように考えておられるのかお伺いしたい。
#239
○政府委員(黒木武弘君) 赤字健保組合は、平成元年度で千八百十八組合の中で六百五十四組合でございまして、平成二年度では千八百二十二組合中四百三十二組合となっております。最近の傾向といたしましては、赤字組合数は年々減少傾向にあるわけであります。
 この赤字組合の赤字の原因でございますけれども、構造的に収支状況が悪くなっている組合があるわけでありまして、例えば地方交通とか石炭とか、そういうところはなかなか財政構造上告しい状況にあるというのは承知をいたしておるところでございます。こういったいわゆる財窮組合に対しましては、我々は補助金を用意いたしまして、できるだけマイルドな保険料率でやっていけるように懸命に下支えをさせていただいているということでございます。
 老人拠出金など医療費の伸びが保険料などの収入を著しく伸び増すというようなことがもう一つの赤字の要因としてあるわけでありますけれども、老人医療につきましては、老健法を成立させていただきまして、これからますます老人医療の適正な形での展開というのが期待されるわけでございますから、拠出金についても私どもはそちらの方でできるだけ飲み込んでいただく形で対応していただこうというふうに考えているわけでございます。
#240
○勝木健司君 今回の改正案では、中期的な財政運営の安定が確保される範囲内でということで保険料率の調整を行うということでありまして、実際には〇・二%の引き下げを行っております。この根拠。として、健保組合とか共済組合の保険料率とのバランスを勘案したと説明しておられるわけでありますけれども、従来からこのやり方で保険料率を設定してきたかどうかということをお伺いした。いということと、もう一点は、最近の大幅な黒字決算の状況からすれば、国庫補助率の削減分をもっと少なくするなどして保険料率をより引き下げて、被保険者に還元するべきなどの考え方も成り立つわけでありますが、厚生省の考え方を伺っておきたいというふうに思います。
#241
○政府委員(黒木武弘君) 政管健保は、御案内のように極めて厳しい状況で推移いたしておりまして、保険料率につきましては、これまで健保組合等と比べましてかなり高い水準で推移してきたわけであります。したがいまして、健保組合との保険料率のバランスを頭に置いて制度を考えるというのは、私が承知している限りでは初めてでございまして、これまでは政管健保というのは非常に苦しい中で高目の保険料率で推移をしておったということでございまして、今回の新しい運営方式に変えるに当たりまして、健保組合等との保険料バランスを考慮させていただいたということで御理解をいただきたいと思います。
 今回の保険料の引き下げにつきましては、政管健保の財政運営を中期的な財政運営に改めることに伴いまして所要の調整を行うことにしたものでありますけれども、その際の考え方として、健保組合や共済組合の保険料率とのバランスを勘案して定めることにしたものであるということを重ねてお答えをして、答弁とさせていただきます。
#242
○勝木健司君 先ほど、五年間は保険料率を上げなくても大丈夫だというお答えをいただいたわけでありますけれども、今後人口が高齢化をしていく、医療内容も高度化していくということを考えますと、千分の八十二で平成九年度以降、五年たった後も本当に大丈夫なのか、見通しについてもお伺いをしておきたいというふうに思います。
#243
○政府委員(黒木武弘君) 五年の見通しはお示しをいたしておるわけでありますけれども、五年たった後の財政というのは現時点で予測し、判断することはなかなか難しいわけでありますけれども、私どもの専門家がいろいろと状況を眺めますと、幸いなことにと申しますか、老人人口の伸び率というものがピークを迎えて少し低下傾向になるということもございまして、そういうことから考えますと、五年たった後も私どもの設計をいたしました保険料率でやっていけるんではないかというふうに今のところは考えておりますけれども、五年後の状況でございますので、しかたることは申し上げにくいということで御理解をいただきたいと思います。
#244
○勝木健司君 五年間はある程度見通しがあるということでありますけれども、五年後は難しいということであれば、国庫補助率についても、一気にここで下げるということももうちょっと考えたらいいんじゃないかというふうに私は思うわけであります。
 この国庫補助率でありますけれども、改正案では当分の間一三%とするということであります。これについても、引き下げの要因について、診療報酬の実質二・五%の引き上げに伴う財源確保からという見方等々があるわけでありますけれども、一三%とした根拠についてもう一度お伺いをいたしておきたいというふうに思います。
#245
○政府委員(黒木武弘君) 今回、国庫補助率を一三%にいたした根拠についてのお尋ねでございます。
 今回、私どもは暫定措置という形をとりながら、しかも一三%で五年程度は保険料を引き上げなくても済むという見通しのもとにお願いをいたしておるわけでございます。計算の過程は、既に申し上げましたとおり、新しい財政運営方式に改めるに際しまして大きな資金をいただき、その傘のもとで運営する場合の保険料率あるいは国庫補助率のあり方について調整をさせていただいたわけでありまして、現在の政管の財政の状況から見て、保険料率をまず引き下げ幅を検討の上セットさせていただきまして、さらに余裕があるということで今回の引き下げを御提案し、御審議を煩わせているところでございます。
#246
○勝木健司君 保険料率を引き下げて、さらに余裕があるということでそういう形でやられたということでありますが、一体厚生省は医療保険制度に対する国庫負担のあり方についてはどのような考え方を持っておられるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
#247
○政府委員(黒木武弘君) 医療保険制度の財源のあり方でございますけれども、これも新しく創設をお願いしております審議会で議論を賜りたい事項だと思っておりますけれども、従来から私どもが申し上げておりますとおり、医療保険のシステムでございますから、やはり保険料をその中心的な財源として考えるのが至当であるというふうに思っております。
 この背景として、保険でございますから、給付の裏には負担があるということでございます。したがいまして、給付と負担の関係がよりシャープに反映するような保険料負担が基本になることが至当であるというふうに考えておるわけでございます。
 今回の引き下げは、当分の間の暫定措置としてお願いしているわけでございまして、これから医療保険制度全体を通じて国保の国庫補助のあり方なり、政管の国庫補助のあり方等々を含めまして、制度全体の中で、負担と給付の関係の中で国民がどういう財源負担をしていくのが望ましいかという観点から、一回十分御審議を賜り結論を得たいものと考えている次第でございます。
#248
○勝木健司君 今後、我が国が直面をいたしております高齢化社会を考えますと、国庫補助率を安易に圧縮することは慎重に行うべきだというふうに思いますが、答申の受けとめ方ということで、当分の間ということでありますし、暫定措置ということでもあります。そういうことで、この受けとめ方とあわせまして、山下厚生大臣の基本認識ということをお伺いしたいというふうに思います。
 また、今後財政状況が悪化した場合には、当然国庫補助の復元について確実に措置されるものと考えますけれども、あわせて見解をお伺いしておきたいというふうに思います。
#249
○国務大臣(山下徳夫君) そのような事態は想定しておりませんけれども、万一そのような懸念が起こった場合には、中期的な財政運営の状況等を勘案して、必要に応じて国庫補助についても検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずる、こういうことにいたしたいと思います。
#250
○勝木健司君 五年間は暫定措置で、当分の間ということでありますけれども、その間に万が一あった場合は当然考えていただかなければいけないことだというふうに思っておるわけであります。
 今回の国庫補助率の引き下げは、四月一日からの診療報酬改定、それの中でも看護職員等の勤務条件の改善のための財源確保にも資する旨説明をされておるわけでありまして、今回の診療報酬改定における看護職員等の勤務条件改善のための措置というのが出ておるわけでありますけれども、これを実効が図られるように特段な配慮とか工夫というのが行政の面からも当然必要だというふうに思いますが、大臣の具体的なお答えをいただきたいというふうに思います。
#251
○国務大臣(山下徳夫君) 今回の改定におきましては、看護料の約二〇%がアップするという、これは大変に大幅な引き上げでございます。
 なお、夜勤体制等実際の勤務条件等につきましても十分配慮いたしましたし、またそれらについては加算も新設する。点数上においても勤務条件の改善のインセンティブが働くように配慮されたところでございます。また、診療報酬の改定の実施に際しまして、私、医師会長さん等関係者をお呼びいたしまして改定の趣旨を十分御説明申し上げました。これにより、看護職員の勤務条件の改善につながると考えております。しかし、この診療報酬の改定だけではなくて、予算、税制あるいは融資の各面からこの問題には取り組んでまいらなきゃならぬと思っております。また、人材確保のための法案も御提案いたしておるところでございます。
#252
○勝木健司君 次に、保健福祉施設事業への事業運営安定資金の活用についてお伺いいたしたいというふうに思います。
 こうした保健福祉施設事業の充実は、確かに被保険者に還元するものとして私たちも評価をいたしております。社会保険審議会の答申においても、「今後における保健福祉施設事業の取組みについては、中長期的なビジョンを踏まえた着実な展開を図っていくべきである。」というふうに指摘をされておるわけであります。このような答申を踏まえてどのように本事業に取り組んでいかれるおつもりなのか、お伺いしたいというふうに思います。
#253
○政府委員(奥村明雄君) 先生が御指摘のように、政管の保健福祉事業、大変重要な課題だというふうに考えておりまして、社会保険審議会でも中期的なビジョンを踏まえた展開を図るべしという御答申をいただいておるところでございます。
 私どもといたしましては、専門家等の御意見を幅広く伺いながら、今後の保健福祉事業のあるべき方向について取りまとめを行いまして、着実なまた計画的な推進を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#254
○勝木健司君 今回は、政管健保で充実されるわけでありますけれども、今後は政管のみならず医療制度全体が人口の高齢化とかあるいは疾病構造の変化を踏まえまして、健康診断から治療あるいはリハビリテーションに至るまでの包括的な医療サービスを提供するシステムとなるようにぜひ推進していくべきだと考えますけれども、そのための具体的な方策とか、どのような施策を考えておられるのかお伺いしたいというふうに思います。
#255
○政府委員(古市圭治君) 我が国の保健医療体制の充実と申しますのは、公衆衛生活動とそれから社会保険医療という二つの柱で動いてきたわけでございます。
 社会保険医療の中で、保健活動の方は健康保険組合を中心とした保健活動、また国保の保健施設活動というのが非常に成果を上げてきたわけでございますが、政管の分野においてはそれまでがやや弱体であったということで、今回、充実強化が図られるということかと思います。それからまた、そういう今御指摘の保健、医療、リハビリの総合的な供給体制というのは老人保健法を成立いたしましたときに、保健事業として地域の中で総括的に推進する体制が一応できたわけでございます。
 御指摘の医療体制全体の中での整備をするようにということは、医療法の中で、第二次医療圏ごとにそういうシステムをつくるということで各都道府県に医療計画をつくらせているという段階でございます。また、これを法的にも明らかにするために、今回提出しております医療法の改正案の第一条の中におきましても、医療の理念というものを包括的なものにしようということを御提案しているということでございます。そういうことで、総合的な推進体制の強化を図ってまいりたいと思っております。
#256
○勝木健司君 次に、政令事項でありますけれども、分娩費の最低保障額及び配偶者分娩費の額については今回二十四万円に引き上げることになっております。
 今回の引き上げは、出産しやすい環境の整備に資するものと私どもも考えております。しかし、都市部での分娩費用は今や三十万円とも言われておるわけでありまして、この点をどのように厚生省は把握しておられるのか。実勢水準がもっと高いのであれば、それに見合うような政令を今後とも積極的に改定していくべきじゃないかというふうに思います。
 私ども民社党は、多年にわたり、出産については健康保険でということで、なかんずく現物給付化を主張いたしておるわけでありますが、今後この辺の問題についても、勉強するということを先ほど聞いておるわけでありますけれども、こうした方向で積極的に取り組むべきであるというふうに考えておりますが、見解を大臣にお願いしたいというふうに思います。
#257
○政府委員(黒木武弘君) まず私の方からお答えをいたしますけれども、分娩費につきましては、本院を初め、引き上げ方の要望が非常に強かったわけであります。
 そこで、どうするかを考えるわけでありますけれども、これまでの分娩費の費用は国立病院の実勢費用を勘案して定めておるわけでありまして、国立病院の実勢費用というのは、近隣の病院の実勢単価の平均で定められておるということでございますことから見まして、やはり全国一律の給付水準を設定します場合に、その基準によるのが妥当だということで、今回二十四万に引き上げることにいたしたわけでございます。
 なお、あわせてこれまで十三万円が基準でございました国民健康保険につきましても、これは被用者保険と差のないような形で、これも二十四万が実現するように財源措置等を配慮しているわけでございますので、今回の二十四万円の引き上げということは国民の方から十分評価をしていただけるのではなかろうかと思っておるわけでございますが、確かに都会とか一部の病院で高い費用があろうかと思いますけれども、やはり全国一律の平均的なところでの費用をお出しするということからやむを得ない、高いところもあるかもわかりませんけれども、制度としてはこういった形で決めざるを得ないということを御理解いただきたいと思います。
 なお、現物給付化については先ほどもお尋ねがあったわけでありますけれども、長年現物給付外の形で、自由な形で産院の経営をやってもらっておるわけでございまして、現物給付化といいましても、どういう形で費用をお支払いしていくのか等々含めまして、長年こういう形でやってきた、現物給付でない形でやってきたことから、一気に現物給付化というのはいろんな問題を含んでいるということで引き続き研究、勉強をさせていただきたいと思っておるわけでございます。
#258
○国務大臣(山下徳夫君) 私の記憶でも二十年前まで、私が国会へ出た当初随分これで議論したことがあるのです。正常分娩というのは、果たして医療費から出すべきかどうか、正常分娩というのは自然行為ではないかというような議論をやりまして、しかしだんだんだんだん定着いたしまして今日のような制度ができた。当時はたしか六万円だったと思うんです、打ち切りで。それがここまで成長してきた、成長と私あえて申し上げますが。
 したがいまして、今後この問題について、点数をどうするかとかいろいろ問題がたくさんあると思うのでございますが、さらに研究を進めてまいらなきゃならぬと思っております。
#259
○勝木健司君 私はこれは豊かさを実現していく、出生率を上げていくその一助として全体的な絡みの中で検討していただきたいというふうに思うわけでありますけれども、ぜひ現物給付化とか、そこら辺も含めて勉強をさらに重ねていただきたいというふうに思います。
 次に、医療保険の今後のあり方について大きな課題になっておるところでありますが、厚生省は昭和六十年代の後半の早い時期に医療保険の一元化を検討していくということでありますけれども、これまでの取り組みの経過についてお伺いをしたいということと、今後の一元化についてのスケジュールを具体的に示していただきたいなというふうに思いますが、よろしくお願いします。
#260
○政府委員(黒木武弘君) 一元化につきましては、五十九年の健保法改正のときに六十年代後半のできるだけ早い時期に一元化ということでお示しをしたわけでございます。その後の検討結果についてのお尋ねでございますけれども、一元化を図るためにはそれぞれの制度がきちっとした形での制度構築が必要ということで財政基盤の弱い国保についての改正を二度にわたってお願いをいたしましたし、老人保健制度につきましても二度にわたる改正を行いまして、ようやく先般各制度にわたります、私どもから言いますと、一元化のための条件整備の見直しというのがようやく終わった段階でございます。
 その機をとらえまして、今回の私どもの健保法の改正の中で一元化を議論する新しい審議会、国保の代表者も加えた形での審議会をお願いしているのもまさしくそういう意味からでございまして、本案をお認めいただき次第私どもは審議会を発足させ、一元化について早急に議論に着手をいたしたいと思っているわけでございます。
 今後のスケジュールなり見通しについては、現段階で白紙でございまして、新しい審議会の先生方と御相談をしながら、できるだけ早く二十一世紀には問に合いますように、少なくともこれからの高齢化社会において国民が医療保険において心配がないという形での制度構築と、それから制度間の格差をできるだけ是正するという観点を含めまして、早急に検討に着手してみたいものと思っておるわけでございます。
#261
○勝木健司君 今回、この政府管掌健保については中期的な財政運営が図られるということでありますけれども、我が国の医療保険制度には組合健保とか、あるいは船員保険、各種共済組合及び国民健保があるわけでありまして、確かにそれぞれの制度の財政状況がまちまちで、なかなか中期的財政運営をやるということは困難であるということを先ほども組合健保のところでお聞きをしたわけであります。
 この点について、各制度についてそれぞれ検討をこれから進められていくわけでありますけれども、一元化の中での方向を示す必要があるんじゃないか。一元化の中で各制度についてそれぞれどういう方向を示していくのかということで、特にこの組合健保については赤字組合への対応が大きな課題となるということでありますし、また最近加入率が悪いと指摘されております退職者医療制度の今後の方向性も一元化と深くかかわってくるんじゃないかと思われるわけでありますけれども、それについての見解をお伺いしたいというふうに思います。
#262
○政府委員(黒木武弘君) 一元化の検討に当たりましては、勝木先生御指摘のとおり、健保組合のこれからの財政運営等々を含めまして、私どもは長期的に安定的に各制度が運営できるような方策を模索し、そして真剣に検討して医療保険制度全体の新しい構築を目指したいというふうに考えておるわけでございまして、まさしく一元化に当たりましては、御指摘のような観点を踏まえましてこれから精力的に詰めさせていただく、あるいは検討させていただく事項だと考えております。
#263
○勝木健司君 ということは、それぞれの各制度の改善については一元化を踏まえた上での制度の改善ということでとらえていいと、私はそういうふうにとらえておりますけれども、そこで、この医療保険の一元化については基本的にそれは統合的な一本化にしていくのか、それとも制度間の負担の公平とか、あるいは給付率の一元化を図るためのいわゆる横並び一本化なのかということで議論が大きく二つに分かれていくんじゃないかというふうに思いますので、どちらの方向を念頭に厚生省は置いておられるのかお伺いをしておきたいというふうに思います。
#264
○政府委員(黒木武弘君) 一元化に当たりました場合の枠組みの御議論でございます。統合一本化ということで単一の制度に全部を統合するという考えももちろんございますけれども、大方の御意向は、やはりそれは一つの理想論であろう、今まで長年、何と申しますか、それぞれの制度が歴史あるいは経験を積み重ねてきている中で、この時点ですべてを統合し、一つの単一の制度にしていくのが理想論であっても、現実的な対応ということでは難しいんではなかろうかという方向が一応現時点での各方面のかなり出ておる合意の線ではなかろうかというふうに私は考えております。
 そういう意味では、私どもも現行の医療保険制度の基本的な枠組みというのは維持するのが適当ではなかろうかと思っておるわけでございます。そういう中で、給付と負担をじゃどういうふうに各制度をそろえていくかというものがこれからの大事な検討テーマになっていくんではなかろうかと思っているわけでございます。
#265
○勝木健司君 理想としては統合一本化にあるけれども、給付と負担の一元化とか公平化について考えていきたいのだろうというふうに思いますが、確かに医療保険の最大の欠陥は制度内でも、あるいは制度間でも、それぞれ保険給付に大きな格差があろうかというふうに思います。この格差も八割給付で統一しようとするような、そういう動きも私は聞いておったわけでありますけれども、そういうことは白紙だということを先ほど答弁をされておりますが、八割給付ということであ
れば、これは国民福祉の向上という観点からすれば、今と同じじゃないかということで、むしろぜひとも九割給付の実現を私は要望しておきたいというふうに思いますが、厚生大臣いかがですか。
#266
○国務大臣(山下徳夫君) 医療保険制度の中の給付率のあり方、これにつきましてはいろいろと御議論がありまして、そのためにこの財源をどのように求めるかということにつきましては、今後とも幅広い検討が私は必要であろうと思っております。
 今後、本格的な高齢化社会を迎える中におきまして、医療保険全体としてどのような給付が望ましいか、給付のあり方、またどういう負担が望ましいかという基本的な問題に立ち返った御議論をしていただく必要があると私は思っておりますし、給付率の問題については医療保険審議会における幅広い御議論を踏まえて検討してまいりたいと思っております。
#267
○勝木健司君 その医療保険審議会で幅広い御議論ということでありますが、この社会保険審議会が今回は政令で医療保険審議会ということであります。粟森先生も言われましたけれども、社会保険審議会はいわゆる三者構成だったということでありまして、この医療保険審議会は学識経験者だけで構成するというふうに伺っておるわけであります。分科会等々では関係者を配慮するということで答弁はなされておるわけでありますけれども、国民健康保険制度が含まれておるとはいえ、健保とかあるいは船員保険の運営についてのこれまでの実績は十分評価されてしかるべきだというふうに思います。
 そこで、大臣は現状を踏まえて関係者の意見が十分に反映されるよう慎重な配慮をしていくということで発言をされておりますけれども、この慎重な配慮についても具体的に何を意味するのかということで、もう一度確認をさせていただきたいというふうに思います。
#268
○政府委員(黒木武弘君) 新しくできます審議会は国保についても専門的な審議をお願いすることになるわけでございまして、その観点から申しますとかなり形式的な整理になろうかと思いますけれども、労働側あるいは使用者側、それに公益というような三者構成は国保の場合にはなじまないということから、この構成は学識経験者による構成と申しますか、委員による審議会というふうに、現在の年金審議会がそうなっておりますけれども、同じような発想というんですか、整理をさせていただいたわけでございます。
 しかしながら、これまでの経緯等を踏まえまして、社会保険審議会あるいは制度審議会からも答申で指摘をされているわけでありますけれども、構成等につきまして慎重な配慮が必要というふうに言われているわけでございます。
 その具体的な考え方でございますけれども、一つは三者構成という現状のこの構成の仕方というものを、現状を踏まえてどういうふうに配慮するかということでございまして、これは例えば政管部会あるいは船員保険部会等々ができますれば、その中で実質的に三者構成になるように配慮していきたいと思っておりますし、さらにもう一つは、その委員の推薦母体という意味で、現在推薦をいただいている推薦母体からは具体的に推薦をお願いするという形で対応してまいりたいということでございまして、こういうことで、私どもは実質的に医療保険審議会の構成と申しますか、そういうものがそう著しく変わるものではないと思っておるわけでございます。
 ただ、何度も申しますように、国保というものの審議をするために学識経験者による審議会ということにさせていただいたわけであります。その限りにおいて、委員の構成について今回新しく何と申しますか調整が必要になるわけでございます。専門委員というような形での委員をお願いすることもできるわけでございますから、いろいろな形で現状なりこれまでの御参画を願った立場の方に対しまして、できるだけ引き続きその団体等の御意見が反映できるようにいろいろと工夫をさせていただきたいと思っておるわけでございます。
#269
○勝木健司君 もう時間が参りましたので、この医療保険審議会の構成というのが大きなかぎを握っておるんじゃないかというふうに思いますので、この一元化論議が今後十分煮詰まっていくことを期待いたしたいというふうに思います。
 大臣の決意をお聞きして、質問を終わりたいというふうに思います。
#270
○国務大臣(山下徳夫君) おっしゃるとおりでございまして、私どもも委員、この構成については非常に慎重な態度で臨まなきゃならぬということで、今後とも十分配慮してまいりたいと思います。
#271
○委員長(田渕勲二君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#272
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認めます。
#273
○委員長(田渕勲二君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、宮崎秀樹君が委員を辞任され、その補欠として石渡清元君が選任されました。
#274
○委員長(田渕勲二君) それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#275
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 本改正案の本質は、診療報酬改定に必要な財源を、健康保険への国庫負担を削減して確保しようというこそくなものです。加えて国民に新たな犠牲を強いる医療保険一元化に向けての体制づくりにあります。
 私が反対する理由の第一は、政府管掌健康保険への国庫負担の大幅削減です。定率国庫負担は、健康保険法で定められているにもかかわらず、当分の間と称して大幅な引き下げを行うことは、政府管掌健康保険の歴史始まって以来のことであり、絶対に容認できません。政管健保が黒字となった原因は、健康保険の本人一割負担の導入や、長期入院の抑制尊厳しい医療費の抑制によるものであります。保険財政の黒字つまり積立金は、事業運営安定資金とするのではなくて、本人十割給付の復活、保険料の大幅引き下げ等給付改善と看護婦対策に充てるべきものであります。
 また、この法改正は、社会保険審議会を医療保険審議会に改組することとしています。従来、社会保険審議会は、三者構成とし、被保険者を代表する者として労働者代表が加わってきました。ところが、今回の医療保険審議会の委員は、学識経験のある者のうちから厚生大臣が任命するとしており、労働者代表は排除されることになりかねません。その中に国民健康保険も加えて、医療保険の一元化という名のもとに、この審議会が被用者保険本人の医療給付水準を八割に引き下げたり、被用者保険への新たな負担転嫁を行う場となることは明白であります。
 さらに、標準報酬の改定により、保険料の若干の引き下げは帳消しになってしまう、そういう仕組みであります。
 今回改正案の中心である診療報酬改定のための財源のつくり方についても、また診療報酬改定の内容については批判も強く、認めがたいところであります。
 今医療に求められておりますのは、国民だれでもが必要なときに安心してよりよい医療が受けられる体制をつくることであります。我が党はその実現のために努力を続けることを述べて、反対の討論を終わります。
#276
○委員長(田渕勲二君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 健康保険法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#277
○委員長(田渕勲二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと
決定いたしました。
 この際、竹村泰子君から発言を求められておりますので、これを許します。竹村君。
#278
○竹村泰子君 私は、ただいま可決されました健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
 健康保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、速やかに次の事項について実現に努力すべきである。
一、事業運営安定資金の適正な運営により政府管掌健康保険の財政の中期的安定を図り、おおむね五年間は保険料率の改定を行わないで済む。ようにし、また、同資金の運用収入を保健福祉施設事業等の充実に積極的に活用すること。
二、暫定措置としての特別保険料については速やかに見直すとともに、保険料の労使負担割合について検討すること。また、高額療養費制度については、レセプトの機械処理の進捗状況等も踏まえて、合算の対象となるレセプトの限度額の改善について検討を進めること。
三、高齢化社会の進展や保健医療需要の高度化・多様化の状況を踏まえ、医療保険制度の見直し、充実を図るとともに、給付と負担の公平化のための一元化に向けた取組みを進めること。
 また、医療保険審議会一仮称一の創設に当たっては、関係者の意見が十分反映されるよう、その構成等について現状を踏まえ慎重な配慮を払うこと。
四、分娩費の最低保障額及び配偶者分娩費については、今後とも実勢費用等を勘案し、その水準の適正化を図ること。
五、診療報酬については、技術料を重視するとともに、看護婦等の医療従事者の処遇改善に実効ある形で結びつくようその在り方について鋭意検討を加えること。また、薬価基準の適正化、医療機関に対する指導監査の徹底等により医療費適正化を推進すること。
六、国民の健康・福祉の向上を図るため、疾病の予防とリハビリテーションを一層拡充し、健康管理体制を確立すること。
 右決議する。
 以上でございます。
#279
○委員長(田渕勲二君) ただいま竹村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#280
○委員長(田渕勲二君) 多数と認めます。よって、竹村君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、山下厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山下厚生大臣。
#281
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#282
○委員長(田渕勲二君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#283
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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