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1992/04/07 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第4号
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1992/04/07 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第4号

#1
第123回国会 厚生委員会 第4号
平成四年四月七日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     石渡 清元君     宮崎 秀樹君
     角田 義一君    日下部禧代子君
     中西 珠子君     木庭健太郎君
 四月六日
    辞任         補欠選任
     浜本 万三君     一井 淳治君
     木庭健太郎君     片上 公人君
 四月七日
    辞任         補欠選任
     一井 淳治君     浜本 万三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田渕 勲二君
    理 事
                西田 吉宏君
                前島英三郎君
                竹村 泰子君
                高桑 栄松君
    委 員
                小野 清子君
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                宮崎 秀樹君
                一井 淳治君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                浜本 万三君
                沓脱タケ子君
                粟森  喬君
                勝木 健司君
      発  議  者   浜本 万三君
      発  議  者   竹村 泰子君
      発  議  者   菅野  壽君
      発  議  者  日下部禧代子君
   委員以外の議員
       発  議  者  対馬 孝且君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  山下 徳夫君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     大西 孝夫君
       厚生大臣官房会
       計課長      近藤純五郎君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       古市 圭治君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省生活衛生
       局長       玉木  武君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部長  小林 康彦君
       厚生省薬務局長  川崎 幸雄君
       厚生省社会局長  末次  彬君
       厚生省児童家庭
       局長       土井  豊君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
   説明員
       人事院給与局給
       与第一課長    松浦 知彦君
       文部省初等中等
       教育局特殊教育
       課長       霜鳥 秋則君
       文部省高等教育
       局医学教育課長  喜多 祥旁君
       農林水産省農蚕
       園芸局植物防疫
       課長       大川 義清君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部障害者雇
       用対策課長    坂本由紀子君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成四年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成四年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成四年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について(厚生省所管及び環境衛生金融公庫)
○寒冷地福祉手当支給事業促進法案(対馬孝且君外六名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 去る三月三十日、石渡清元君、角田義一君及び中西珠子君が委員を辞任され、その補欠として宮崎秀樹君、日下部禧代子君及び木庭健太郎君が選任されました。
 また、昨日、木庭健太郎君及び浜本万三君が委員を辞任され、その補欠として片上公人君及び一井淳治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(田渕勲二君) 去る三月二十五日、予算委員会から、四月七日の一日間、平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管及び環境衛生金融公庫について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 まず、委嘱されました予算につきまして、山下厚生大臣から説明を聴取いたします。山下厚生大臣。
#4
○国務大臣(山下徳夫君) 平成四年度厚生省所管一般会計、特別会計及び政府関係機関予算の概要について御説明申し上げます。
 平成四年度厚生省所管一般会計予算の総額は十二兆七千六百七十億円でありまして、これを平成三年度当初予算額十二兆一千八百十九億円と比較いたしますと、五千八百五十一億円、四。八%の増加となっており、国の一般会計予算総額に対し一七・七%、一般歳出に対し三三%の割合を占めております。
 平成四年度一般会計予算につきましては、公債発行額を可能な限り抑制するため、さらに歳出の徹底した見直し、合理化に取り組むという方針のもとに編成されております。
 厚生省予算につきましては、そのような厳しい財政事情のもとにあっても、国民が豊かさを実感できる生活基盤の確保や健康で安心して暮らせる長寿福祉社会づくりを進めるため、廃棄物処理対策等を積極的に推進するとともに、保健医療・福祉サービスを担う人材の確保対策の拡充を図ることといたしております。
 また、第三年次を迎える高齢者保健福祉推進十カ年戦略の着実な実施、障害者の一層の社会参加を推進するためのきめ細かな施策の充実、次代を担う子供が健やかに生まれ育つための環境づくりや医療保険制度の安定的運営など緊急を要する行政課題に対処する諸施策についても、必要な予算を確保したところであります。
 この機会に委員各位の御支援に対し衷心より感謝申し上げる次第でございます。
 以下、平成四年度厚生省予算における主要施策につき御説明を申し上げます。
 第一に、ごみ排出量の増大等廃棄物の処理問題に適切に対応するため、第七次廃棄物処理施設整備計画に基づき、所要の施設の計画的整備を推進するとともに、ごみの減量化・再生利用を積極的に実施するため、廃棄物再生利用等推進事業の創設等を行うことといたしております。
 また、産業廃棄物処理施設の整備を促進するため、NTT株式の売却収入を活用した融資制度及び施設整備資金の借り入れについての債務保証制度を導入し、産業廃棄物の適正処理の一層の推進を図ることといたしております。
 さらに、水道施設につきましても、安全でおいしい水を安定して供給するため、引き続き所要の施設の整備等を推進することといたしております。
 第二に、保健医療・福祉人材確保対策について申し上げます。
 二十一世紀の長寿福祉社会にふさわしい保健医療・福祉サービスの実現のため、看護職員やホームヘルパー、社会福祉施設職員について、就業の促進、養成力の強化、処遇の向上や勤務条件の改善等を図ることといたしております。
 具体的には、看護職員につきましては、就業の促進を図るための都道府県ナースセンターの創設、看護婦等養成所施設整備の大幅な増額等を図ることといたしております。
 また、ホームヘルパーにつきましては、勤務形態にふさわしい処遇という観点から、常勤ホームヘルパーの手当額の大幅な引き上げを図るほか、民間の常勤ホームヘルパーについて退職手当共済制度を導入することといたしております。
 さらに、社会福祉施設職員につきましては、業務省力化を推進することにより勤務時間を短縮し、本年十月から、週四十二時間勤務体制を実施することといたしております。
 第三に、高齢化社会をすべての国民が安心して老後を送ることができるように、高齢者保健福祉推進十カ年戦略に基づき、ホームヘルプサービス事業、老人デイサービス事業等のいわゆる在宅三本柱や特別養護老人ホーム、老人保健施設等の整備について大幅な拡充を図るほか、高齢者介護に対する幅広い取り組みを進めるため、身近なところで介護を体験し、介護の知識や技術を体得できる介護実習・普及センターを創設するなど高齢者の保健福祉施策の一層の推進を図ることといたしております。
 また、老人保健事業については、平成四年度を初年度とする第三次計画を推進することとし、大腸がん検診や基本健康診査とがん検診を同時に実施する総合健康診査方式等を新たに導入するとともに、健康教育や健康相談等の充実を図ることといたしております。
 さらに、高齢化の進展に伴って増大する痴呆等の予防や治療及び研究を総合的に推進するため、長寿科学医療体制確立のための国立病院施設の整備に着手することといたしております。
 このほか、痴呆性老人対策、長寿科学総合研究等の大幅な拡充を図ることといたしております。
 第四に、障害者及び児童福祉対策について申し上げます。
 障害者福祉対策につきましては、障害者が家庭や地域の中で自立し、社会参加ができるような条件を整備するため、障害者等の移動を容易にするためのリフトつき福祉バス運行事業を新たに実施するなど障害者の明るいくらし促進事業の拡充を図るほか、車いすを常用する障害者の二次的障害を予防するための健康診査事業及び精神薄弱者社会活動総合推進事業等を新たに実施することといたしております。
 児童福祉対策については、家庭や子育てに関する国民的論議を展開するため、新たに国、都道府県に児童環境づくり推進協議会を設置するなど県童環境づくりの総合的な推進を図るほか、地域における児童健全育成の拠点の整備や放課後児童対策の拡充を図るなど児童健全育成対策を推進するとともに、児童手当の充実を図ることといたしております。
 第五に、医療保険制度につきましては、政府管掌健康保険につきまして、中期的財政運営の安定を図るという観点から、事業運営安定資金の創設、保険料率及び国庫補助率の引き下げ、分娩費等保険給付の改善等を行うことといたしております。
 また、国民健康保険助成費につきましては、市町村職員の給与費等について一般財源化を図り、この際には、円滑かつ適正な国民健康保険事業の運営に万全を期するため、所要の持直を講ずることといたしております。
 さらに、診療報酬の改定につきましては、医業経営の安定や医療費適正化の見地のほか、看護婦等の処遇改善にも十分配慮し、本年四月から五%の引き上げを実施することといたしております。
 以上のほか、年金額等の引き上げを行うとともに、成人病予防・健康づくりと疾病対策、有効で安全な医薬品等の確保対策、食品等の安全対策、戦傷病者戦没者遺族等援護対策、原爆被爆者対策、WHO等を通じた国際協力などの諸施策の推進を図ることといたしております。
 以下、厚生省所管一般会計、特別会計及び政府関係機関予算の概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付いたしてございますので、お許しを得て説明を省略させていただきたいと存じます。
 何とぞ、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
#5
○委員長(田渕勲二君) 以上をもちまして、説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○一井淳治君 身体障害者を持つ親御さんからよく話を聞きますけれども、自分が死んだ後非常に心配で死に切れない、そういう言葉をよく聞くわけでございます。親の方では、子供たちのために例えばマンションを購入するなどの資産確保をしているわけですけれども、しかしその資産を活用することは、例えば精神薄弱者の子供にはできませんし、またその資産から上がる収益を医療や適切な介助等に支出するということもとてもできないわけでございます。
 そういったことで、最近非常に世知辛い世の中で親御さんが財産を確保している。この財産をうまく身体障害者の方々の将来のために活用しながら介護や適切な医療を図っていくという、そういう機関が残念ながら我が国にはまだないわけでございます。
 最近、東京都の方では権利擁護センターをつくられまして、それに対して相談業務とかいろんな業務を附帯されまして出発されておるわけでございますけれども、国の方でもこういった問題に何らかの対応が必要ではなかろうか、少なくとも研究等を始めることが必要ではなかろうかというふうに思うわけでございますけれども、そのあたりの御所見をまずお伺いしたいと思います。
#7
○政府委員(土井豊君) 精神薄弱者の方々などのための財産に関する相談業務についての機関の設置等のお尋ねでございますけれども、事柄の性格上法務省の仕事とも非常に関連が多いわけでございますが、厚生省といたしましては、精神薄弱者更生相談所あるいは福祉事務所などの福祉関係機関において相談を受けた場合に、そういった法務省の関連する機関との連携に十分留意しながら適切な助言ができるようにということで今後取り組んでまいりたいと考えております。
 これは即今の御質問ではございませんけれども、精神薄弱者社会活動総合推進事業というものを新しく新年度から実施する予定にしております。その中のメニュー事業として六つの事業を予定しておりますが、その中の一つに精神薄弱者専門相談事業ということで法律相談ということも取り上げることができる、これは地方団体がどういうメニューの事業を実施するかということが選択できるというような仕組みにしておりまして、そういったものも御活用いただければと考えているところでございます。
#8
○一井淳治君 私、前もって適切な御答弁をいただこうという趣旨で厚生省にメモを渡しました。そのメモには、相談業務に偏り過ぎておるような嫌いがあっていけないということをわざわざ注意書きしておいたんですけれども、確かに相談業務についてはいろんな御配慮をいただいてかなり充実しておるということが言えると思うんですが、私が一番心配して今要望しているのは、財産を管理する、その収益を得ながらその収益を本人に適した医療とか介護等に支払いをして、財産管理と医療、介護を一体とした障害者の人たちの保護をしていく、そういう機関がないということを申し上げておるわけでございます。
 この問題は、障害者の問題と同時に、高齢でかなり痴呆性と言ってもいいような、高齢のゆえに財産管理能力がない、法律的用語を使えば意思能力に欠けるといいましょうか、そういった方々の財産管理、そして介護を一体とした機関が必要だ。外国でもそういったことについてかなり進んでおるというわけでございますね。
 もう一遍質問いたしますが、今言ったような財産を管理したり、あるいはその財産をうまく活用しながら医療や介護等を進めていく、これは身体障害者に限らず高齢者についても同じ問題だと思います。その点についてもう一遍お答えをいただきたいと思います。
#9
○政府委員(土井豊君) 確かに、おっしゃる事情は私どももよく理解できます。東京都におきましても、先ほど御指摘がありましたような試みをスタートさせていると伺っております。今後、民事の関係でございますので法務省の御意見等もよく伺いながら、私どもといたしましても関係団体の意見をよく聞きまして、東京都の例も参考としながら、どのような取り組みが今後において可能なのがよく勉強させていただきたいと思います。
#10
○一井淳治君 この場ですぐに、こうしましょうというお答えを私どもも期待はしてないんですけれども、外国でもいろいろ制度もあることでございますし、日本ではこういう制度が非常に欠けておるということを指摘される声も最近はだんだんと高まってきているように思います。特に、最近精神病院までいろんな悪徳業者が入っていって、病院内の余り知能程度の高くない人たちに対して、将来値下がりするに決まっているような商品を売りつけるとか、いろんな問題も起こっておりますし、財産管理、そして要介護ということが非常に重要な課題になっていくというふうに思いますので、ひとつ十分な研究を始めていただきまして、できるだけ早くよい対応を見つけ出していただきたいというふうに要望しておきたいというふうに思います。
 次に、医薬分業について質問いたしますが、全国的に見ますと、医薬分業が進んでいる都道府県、そしておくれている都道府県というものの格差が物すごく開いてきているというふうに思います。そういったことで、前進している県がどういう理由があるからそのように医薬分業が前進しているのかという点からまずお伺いしたいと思います。
#11
○政府委員(川崎幸雄君) 今お話しございますように、医薬分業の進展状況は、外来処方せんの発行率で申し上げますと全国平均で一二%、ところが、最高と最低では五十倍以上の差があるというふうな状況でございます。
 こういった進展の違いの理由は、地域によっていろいろあろうかと思いますけれども、概して言えば、関係者の理解のいかんによるところが大きいのではないかというふうに考えております。今先生お話がございましたように、余り進展を見ていない地域というあたりでは、三師会などの関係者間で医薬分業を進めていくための話し合いというものが十分に行われていない、その地域におきます分業推進の問題点や解決方策に対します共通の認識といったものが十分できていないというところにあるのではないかと思います。
 一方、逆に比較的進んでいる地域におきましては、長年の話し合いの積み重ねの結果、全般的に医薬分業の理解が進みまして、関係者が協力して分業の基盤を整備してきたのではないかというふうに理解をいたしております。
#12
○一井淳治君 医薬分業というのはいろいろな課題を含んでおりまして、これを進めることは相当困難な問題であるということはよくわかりますけれども、お医者さん、薬剤師さん双方の大変な御努力がなければ前進しないというふうに思います。特に、医者の方の理解というものが不同欠であるというふうに思います。そういうことで、上から押しつけるというふうにもなかなかいかないと思いますけれども、地域の国立病院などはもっと積極的にやっていただくと同時に、先進的なところのいろいろな情報を後進的な県の方にも流していただく等、医薬分業がもっと前進するように図っていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
#13
○政府委員(川崎幸雄君) 今後、医薬分業を推進していくに当たりましては、ただいま御指摘いただきましたような情報交換ということが極めて重要であるということはごもっともでございます。
 こういった観点から、私どもが行っております施策の一部を紹介させていただきたいと思いますけれども、一つは各都道府県の指導者、これは県の担当者とか薬剤師会の幹部でございますけども、こういった方々に集まっていただきまして、医薬分業指導者協議会、こういったところや、日本薬剤師研修センターに委託して実施しております薬局・病院薬剤師指導者研修会、ここにおきまして先進地域の事例紹介とか、医薬分業推進方策の協議を行っていただいているところでございます。
 また、平成三年度から実施しております医薬分業定着促進事業、これは三師会とか地域住民等から成ります会議を保健所がいわば事務局として開催いたしまして、地域に適した定着の促進策を検討していただくという事業でございますけれども、この事業の中でも、先進地域の調査を行っていただきまして、自分たちの地域と先進地域との情報交換を行うといったようなことも行っておるところでございます。
 また、日本薬剤師会におきましても、全国医薬分業推進会議といったものを開催いたしまして、それぞれの地域の情報交換に努められているというところでございます。
 厚生省といたしましても、今御指摘ございましたように、そういった観点からも十分医薬分業の進展のために必要な施策を実施してまいりたいというふうに考えております。
#14
○一井淳治君 文部省の方がお見えだと思いますので、岡山大学医学部附属病院の医薬分業の問題について質問をさせていただきたいと思います。
 去年のたしか八月から、私もお願いに参りましたけれども、岡山大学医学部附属病院で医薬分業が始まったと思います。その後、様子を見ておりましたんですがなかなか前進が見られない。ほかの国立大学病院の平均的なパーセントを見ますと、平成元年度で一五%になっている。相当高率になっているんですけれども、残念ながら岡大の附属病院の方は非常におくれている状態にある。何が原因なのかということをまずお伺いしたいと思います。
#15
○説明員(喜多祥旁君) 岡山大学医学部附属病院におきましては、昨年の八月から医薬分業に関しますマニュアルを作成いたしまして各診療科に周知いたしますとともに、患者さんに対しましては薬剤部など十三カ所に院外処方についての掲示を行っておるところでございますが、先生御指摘のとおり、院外処方はほとんど発行されていないという実情にございます。
 原因でございますが、岡山県全体の医薬分業が余り進んでないということもございますし、またこの病院におきましてはオーダーリングシステムを導入しておりまして、薬の待ち時間が長くても五分から十五分という実態でございまして、院外処方を希望する人が少ないということなども原因の一つではないかというふうに考えております。
#16
○一井淳治君 私が聞いているところでは、待ち時間についてはかなり情報が違いますね。その点は私の方ももう一遍聞いてみたいと思いますけれども、しかしこの岡大病院の系列といいましょうか、岡大医学部の先生方がずっと多くおられる大学を見ますと、例えば愛媛大学が非常に少ない、それから高知、香川の医科大学、これも岡大の先生方が多く行っておられる大学ですが、ここはゼロですね。そういったことで、岡大という系列が非常に医薬分業について理解がないんじゃなかろうかというふうに思うわけです。
 例えば、PRをするにしても、PRのやり方が患者さんが自由に選択ができるようなPRなのか、あるいは患者さんが、これはもう薬剤師さんの方は選びたくないというふうなPRなのか、その辺も非常に大きな影響が出てくると思いますけれども、そのPRの方法とか、あるいはもう少し具体的に何かお調べでございましょうか。
#17
○説明員(喜多祥旁君) 掲示につきましては、院外処方を御希望の患者さんは主治医に御相談くださいという掲示をいたしておりますが、ただ患者さんにわかりやすくするという趣旨から、院外処方の場合には負担が重くなるということもあわせて掲示をしておるという実情にございます。
#18
○一井淳治君 今おっしゃいました負担が重くなるということは、確かに負担が重くなるんですね。こういう情報提供をすることが親切かどうかという問題なんですが、医薬分業にすればこういう利点がありますよと、厚生省がお金を払うわけですから、それはそれだけの利点があるんでしょうからね。利点もあわせてPRしてもらわないと、患者さんは、ああ金ばかり要って損だという気持ちになると思うんですね、第一点が。
 それからもう一つは、例えば岡大病院は甲表だと思いますけれども、ある程度患者さんがよくなって今度は乙表の開業医に患者さんを回す場合ですね。そのときに、例えばレントゲン一枚撮っても、岡大病院におったらレントゲンの負担は安いけれども開業医のところへ行ったら高うなりますよということを言っているかといえば、そのことは全然言ってないんですよ。お医者さんが、薬剤師さんに限ってお金がかかりますよというのは何か偏見といいますか、何かあるような感じがするわけです。
 ですから、PRのところも公正にやってもらわなくちゃいけないと思うんです。特に、医薬分業というのは、まずお医者さんから処方せんが出ないことには、薬剤師さんがどんなに一生懸命いろんな準備をして頑張っておってもどうにもならないわけですね。ですから、処方せんが出て初めてそこで事が始まるわけで、薬剤師さんの勉強もそこで始まるわけですから、まず処方せんを出してもらわなくちゃいけない。そして、医学部というところは将来の医療制度等についてもいろいろ医者の卵に勉強させておかなくちゃいけないと思うんですけれども、そういったことがなくて、薬剤師さんに対して一つの偏見を持ちながら、お互いに力を合わせてパートナーとして患者さんの医療の前進を図ろうというこれは国の方針なんだけれども、そういったことがないわけですね。どうも偏見を持ったまま学生さんが卒業していくというふうになっていったら非常に困ると思うんです。ですから、ちょっといろいろと御指導を賜りたいと思いますけれども、どうでしょうか。
#19
○説明員(喜多祥旁君) 医薬分業につきまして、各診療科に周知いたしますとともに、さらにPRに努めるよう指導してまいりたいと考えております。
 また、掲示につきまして、患者さんにわかりやすいという趣旨で書いておったわけでございますが、わざわざ掲示する必要があるかどうかということも含めて検討するよう指導してまいりたいというふうに思っております。
#20
○一井淳治君 ついでに言いますと、岡大の病院の予算がなくなって薬が買えないというふうになったら処方せんが出されるんですね。近所の薬局は、処方せんが回ってくるものですから薬を買う。ほんのわずか薬を出すためにどえらい量の薬を買わなくちゃいけない。ところが、四月になったら予算が出て、そして岡大の病院の薬局が薬を買う、そしたら処方せんが出なくなる、古くなるから近所の薬局は余った薬を廃棄しなくちゃいけない。これはどの程度真実味を帯びているのかどうかわかりませんけれども、そういうふうな愚痴を我々は聞くわけでございます。非常にそういった意味でも影響力が大きいわけでございますから、やはり薬剤師さんとの御相談もしていただきたいと思います。
 それからまた、厚生省の関係の国立病院では、入り口のところにファクスを備えつけまして、いち早くファクスで薬剤師さんの方に連絡をして、患者さんが薬剤師さんのところに行ったらもう薬ができているというふうなサービスもしておりますけれども、いろいろと御配慮を賜りたいというふうにこの場をかりて要望いたしておきたいというふうに思います。
 次に、カルテの問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。
 医師法を見ますと、お医者さんに対してカルテの作成義務と保存義務が規定されておりますけれども、それ以上に患者さんから要求があった場合に、カルテの閲覧、謄写をさせなさいというところまでの規定はないわけでございます。
 この問題については、医学の哲学を含む非常に大きな課題でございますけれども、しかし最近、脳死の問題、臓器移植の問題等が出てくる中で、記録の公開あるいは医療の公開という問題も避けて通れない問題となり、カルテの問題もそういった一つの流れの一部として考えていかなくちゃならないんじゃないかというふうに思います。
 全面的な公開というものについてはいろいろ問題があると思いますけ九ども、患者から要求があった場合に、そして一定の限度ではカルテの閲覧を認め、コピーを提供するというふうにそろそろ踏み切る検討も必要ではなかろうかというふうに思うわけでございますけれども、まず御所見をお伺いしたいと思います。
#21
○政府委員(古市圭治君) 医師は、診療に関します事実をカルテに記載するということが義務づけられておりまして、この診療録には患者の病名、また主要症状、それから治療方法のほかに治療を行うに際して考慮すべき事項等必要に応じて記載するということが行われているわけでございます。この中には、患者さんの病名といたしましては、がんを初めとして非常に重篤な病名が書かれることがございます。また、その病気の予後につきましても非常に不良なことが書かれるという場合もございます。それからまた、診療に際しましての患者の心理状態また家族的な背景等も必要に応じて書かれているということでございます。
 したがいまして、現在カルテというものは公表することを前提にしてはとても書けないわけでございまして、その中の部分的にでもということでございますが、どこからどこまでということも極めて難しいことでございます。したがいまして、診療に際しての症状や治療方針等につきまして、必要な範囲において患者等に必要な方法によって行っていくというのが現実的なことであろうと思っております。
#22
○一井淳治君 今局長さんから御説明いただきましたけれども、そういうふうに、何といいますか、文部省特選型といいますか、そんな立派にカルテを書いておられるお医者さんは多くはいらっしゃらないと思うんですね。
 私も最近体験いたしましたが、私は弁護士ですからある医療事故をやりまして、これは、言ってもいいと思いますから、仙台日赤という、これは立派な病院でしたね。私は当然カルテはきちんと書かれておるというふうに思ったんですが、現実にはそこのある医師のカルテというものは今局長さんが言われたような理想とは全く反しておりまして、お医者さんかどういう診断をし、どういう判定をし、どういう治療方向を持っておったのかということがカルテからは全然わからないようなことだったわけでございます。カルテの現実というものからすれば、余りカルテには記載がないんですよ。ですから、現実を前提とすれば、私はカルテをコピーをして患者さんに差し上げてもいいんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 もう一つ、私の弁護士としての体験から言いますと、医療事故が起きた場合に、お医者さんがカルテのコピーまで出して懇切丁寧に誠意を持って説明をすれば、大体医療事故というものは解決してしまうんです。別にお医者さんが殺そうと思ってしたわけじゃありませんから、誠意の有無ということが問題なわけでございます。今の仙台日赤の場合も、私は話をしてカルテを見せてください、カルテをコピーしてください、それで説明いただいたら恐らく納得するでしょうから、それでもうこの問題は解決すると思いますからというふうに言うたんですけれども、カルテをコピーもしてくれないし、見せてくれない。
 そこで、どうしたらいいんですか、裁判するほかありませんということで裁判になって、裁判になってから証拠になって出てきたカルテのコピーを見ると、本当にそれを見ただけではどういうふうな診断をし、患者に対する管理が行われておったかということが全くわからない。
 仙台日赤といえば非常に立派な病院で、地域の人から尊敬されているというふうに思いますけれども、そういう病院でもそういうことでございますから、私は現実のカルテを前提にすればもう少し公開に踏み切っていいということが言えるんじゃなかろうか。特に医療紛争が起こった場合にそういったことが主に問題になるんでありまして、医療紛争の解決のためにもカルテの閲覧、コピーをした方がいいというふうに思うわけでございますけれども、もう一遍局長さんのお考えをお伺いしたいと思います。
#23
○政府委員(古市圭治君) ただいま先生が引かれたような事例の場合には、結局裁判まで行ったということでございます。私どもは、そういう、お医者さんとそれからまたその家族あるいは遺族の間で話し合いの過程でカルテまで見せていただくということがあるというのは、それはそれで結構でございますが、今お話しのように、一律にカルテは閲覧さるべきものというのは問題があると申し上げたわけでございます。最終的にはそのときには、医療紛争になりました場合には、訴訟における所定の手続によりまして裁判所の方から文書提出命令がかけられて、それに基づいて提出されるということでないと、必要な、医師が判断した、これは出せないといったことは守られないということが起こりますので、それは状況によってそういうことになろうかと思います。
#24
○一井淳治君 このカルテの公開の問題と、もう一つは、医療紛争が起こった場合に患者側は弁護士を頼むことになるんですけれども、弁護士も素人でございまして大変苦労が多いわけで、医師会とかその他専門的な機関が紛争解決機能を果たしていただければ非常にありがたいということで、このカルテの公開の問題、そして医療事故紛争解決の何か機関を持ってほしいという要望を申し上げて、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。
 最近、義肢装具士法という法律ができました。義肢装具士という、これは免許制度になっております。ほかにも臨床工学技士というものが臨床工学技士法によって資格ができたというふうに聞いております。
 問題は、国立の病院やあるいは療養所等で今までそういったふうな仕事をなさっておった方々が、例えば義肢装具士法による免許を受けるということが起こります。これはもう恐らく、免許制度ができた以上は免許を取りなさいという指導があったと思いますけれども、そういたしますと、それまでのいただいておった給与が相当下がる。恐らくそれまでは行政職の(二)でいっておったと思うんですが、今度は医療職の初任給になるんじゃなかろうかというふうに思いますけれども、給与が下がると本人は非常に困りますから、そして、今マンパワーを確保する時代ですから、そういった、せっかく長年勤務してくださった方が民間に逃げていってしまっては困るというふうに思うわけでございます。
 まず第一に、そういったふうな問題が起こっているかどうかということをお尋ねしたいと思います。
#25
○政府委員(寺松尚君) 今先生の御質問でございますけれども、実際にそういう事実があるかどうかという御質問でございます。
 私ども、国立病院、療養所についてでございますけれども、義肢装具士、臨床工学技士はそれぞれ、これは先生御指摘のように、昭和六十三年に新しい資格制度として法制化されたものでありますが、現在までに行政職(二)の職員でありまして義肢装具士の資格を取得している者がらいの療養所に六人おります。それから臨床工学技士の資格を取得している者が国立病院等に八人それぞれ働いております。これらの方々は現在まだ行政職(二)でございます。
 これらの義肢の製作やME機器の制作を行う職員が法定資格を取得いたしました場合に、当該業務に携わっている者には医療職(二)の俸給表が適用される、これが普通のルールでございます。厚生省としては、先生が今御指摘のような、給料が下がるとかいうようなことがないように何とかうまく俸給表の異動を行うに当たっては考えたいというようなことで、関係方面とも今協議をいたしておるところでございます。
#26
○一井淳治君 人事院の方がお見えだと思いますので、質問をさせていただきますけれども、給与の問題、給与表の問題はこれは人事院が決めていくわけですから、人事院の御配慮をいただかないと前に進まないというふうに思います。
 まず第一に、今言ったように、永年国家公務員として勤務しておった方がたまたま資格を取ったために給料が下がるわけですけれども、そういったことが好ましいとお考えかどうか、その辺からお尋ねしたいと思います。
#27
○説明員(松浦知彦君) お答え申し上げます。
 ただいまの先生のお尋ねでございますが、結論から申し上げますと、そういった場合に大幅な給与ダウンするというようなことは、やはり何らかの配慮をする必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#28
○一井淳治君 それでしたら、これはもう現実化しているわけですから、せっかくマンパワー確保マンパワー確保と言ってもそれが空文に終わるわけですから、八月の人事院勧告までには早急に何らかのいい方法を考えていただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
#29
○説明員(松浦知彦君) 若干これまでの経緯等を御説明させていただきますと、義肢装具士及び臨床工学技士の免許制度につきましては、先ほど厚生省の方からも御答弁がございましたように、六十三年に法制化されたということでございまして、これを受けまして厚生省の方で組織的な整備がなされたということでございます。
 それで、現にそういう職務につきましては、国立病院及び療養所におきまして行政職の(二)の職員の方が仕事をやっていらっしゃるということでございますが、こういう免許制度が新たにできましたということでございますので、それらの業務のうちの義肢装具士及び臨床工学技士の行う職務として認められるものにつきましては、医療の(二)の適用をすることができるということになったわけでございます。
 ところで、今回新たにそういうことで医療(二)の適用がなされるといった場合につきましては、確かに今先生がおっしゃいましたように、行政職(二)を現に受けているという方が医療(二)に来た場合には、原則的な方法によりますと大幅な給与ダウンということが生ずるということが考えられます。そういう場合にどうしたらいいかということでございますが、今回、この制度が新たな免許制度としてできた、それから従前から同様の業務を行っていたというような事情を考慮してその処遇を図ることが必要ではないかということでございまして、そういった面で厚生省とも御相談をしながら対処をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#30
○一井淳治君 給与は一番大事ですから、とにかく結論的に給与が下がることがないように、いい方法をぜひとも早急に出していただきたいというふうに要望申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 最近、ハンセン病の療養所の患者さんから聞いたことでございますけれども、これまでお世話をしてくださっておった職員さん方はどうも年休も十分とれないような状況であった。そういった中で完全週休二日制に移行していくわけであるけれども、ハンセン病の療養所の患者さん方は盲目の方が多い。しかも、手先がゆがんでおったり、あるいは手先の神経が麻痺して使えない人が多うございまして、もしも介護する人たちが減っていくと、特に一人の職場でお仕事をなさっている方がお休みになられると完全に穴があくわけでございまして、そういった点で非常に不安を持っているというようなことを聞かせていただきました。
 ほかにも、国立病院やあるいは療養所など厚生省の職場では完全週休二日制に移行していくわけでございますけれども、必要な箇所についてはぜひとも定員増を確保していただきまして、不安が現実化しないように温かい御配慮をお願いしたいというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
#31
○政府委員(寺松尚君) 先生が今御指摘されました国立病院、療養所につきましての週休二日制の件でございますけれども、平成二年三月の閣議決定に基づきまして、現行の予算定員の範囲内で急激な行政サービスの低下を来さないような形で実施をしているところでございます。これは現在も試行と言っているわけでございます。
 国立らい療養所の試行の実施に当たりましては、特に私どもも注意を払っておりまして、介護職員等にポケットベルを携行させるなどの方策を講じまして、患者さんとも十分に入ります前も相談をし、かつまた実際に試行中もいろいろと御意見を伺っておるわけであります。そのような形でやっておりまして、職員の週四十時間勤務体制につきましては、御理解をいただいておるものと考えておるわけであります。
 本格実施に当たっても、引き続き週四十時間勤務体制の試行と同様に患者さんが不安感を持たないように、職員も同様にこれに対して理解を示すようにいろいろと話し合って実施してまいりたい、このように思っております。
#32
○一井淳治君 患者さんが不安を持たれないように、どうか十分な御配慮をお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、賃金職員の定員化についても要望させていただきたいと思います。
 同じライセンスを持って同じ国家公務員として同じ仕事をしておられるわけでございますけれども、一方では身分が不安定であるという賃金職員の方が大勢おられるわけでございます。マンパワーの確保というふうに言われておりますけれども、賃金職員の定員化ということも大切な課題ではなかろうかと思いますので、そういう方向でお進めをいただきたいというふうに要望したいわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
#33
○政府委員(寺松尚君) 先生御承知のように、国立のらい療養所と申しますのは全国で十三カ所ございます。そして四年の一月一日現在で、御指摘の介護員や産前産後等の休暇に伴う代替の要員を含めまして約八百三十人のいわゆる賃金職員が働いておるのでございます。
 賃金職員の処遇につきましては、定員内職員との均衡を踏まえまして、予算の範囲内で任命権者たる施設長が決定しているところでございますが、日々雇用という勤務形態に基づく勤務条件のほかはおおむね定員内職員並みの処遇を行っておるところでございます。現在の大変厳しい定員事情の中で賃金職員を即時定員化していくことはなかなか難しいのでございますけれども、らいの療養所の介護員につきましては毎年その増員を図っておりまして、平成四年度予算案においても十一人の増員を図ることといたしておるわけでございます。
#34
○一井淳治君 それから、ハンセン病の療養中の方からたびたび要望があるわけでございますが、またこれは厚生省の方でも御努力いただいているということを理解いたしておりますけれども、施設整備費、これが今年度の予算案では前年度と同じで、これを増加していただきたい、あるいは医療機械器具の購入費をふやしてもらいたい、それから目の悪い方からは、これは金額的には大変わずかな額ではありますけれども、盲人クラブの運営費、備品費、教養文化費、そういったものを増加してもらいたいというふうな要望がたびたびございます。
 大変同情さるべき方々の要望でございますから、特別の御配慮を賜りたいというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
#35
○政府委員(寺松尚君) 先ほどもお話しいたしましたように、全国のらいの療養所は十三カ所でございますが、現在患者さんは六千四百名ほどでございます。毎年入所者数が減っておるというのが実態でございますし、患者さんの高齢化が進んでおりまして、平均年齢は六十七・二歳ということでございます。したがいまして、成人病を併発しましたり、あるいは身体障害及び視力障害というふうな不自由度は増しておるというのが実情でございます。したがいまして、これらに対しまして、私どもは医療の充実とか患者の処遇改善あるいは施設の整備、こういうようなものを中心に必要な措置をやっておるわけでございますが、平成四年度予算におきましても、前年度に比べまして四・五%増ということで三百六十六億の計上をしておるわけでございます。
 今先生御指摘の各予算の項目でございますが、医療器械あるいは器具等の整備費というのは三億六千六百十四万円ということでございまして、前年度に対して九・七%増でございます。それから施設整備費でございますが、これは前年度と同額でございまして四十五億七千万円、それから盲人対策、これは非常に大事なんでございますが、一億三百九十万七千円でございまして、前年度に比べまして八・〇%というような形で、おおむね現状維持があるいは増額をいたしておるところでございます。
#36
○一井淳治君 次に、精神障害者の方、精神薄弱者の方の共同作業所に関して質問をさせていただきたいと思います。
 助成の方法は違いますけれども、精神薄弱者、精神障害者の方の援助を毎年いろいろとふやしていただいているということには感謝いたしておりますけれども、特に私ども共同作業所へ行ってみて痛感することは、これは問題はたくさんあるんですけれども、今一番感じることは賃金と申しましょうか、そこで社会復帰を目指して、あるいは社会に出るためにいろいろ仕事を覚えるということで簡単な作業をやっておりますけれども、この賃金が余りにも安過ぎるんじゃなかろうか。聞いてあきれるような額でございますけれども、治療効果といいましょうか、本当に社会復帰の意欲を起こさせるためにも、あんなに安いお手当では意欲が阻喪するんじゃなかろうか。
 特に、精神障害の方々は、本当に心の中から頑張ろうという気持ちがわき起こってくるようにならないとなかなか社会復帰も困難でございますけれども、非常に低い金額ではかえって自信を喪失するんじゃなかろうかというふうな思いもするわけでございます。最低賃金に比べると非常に安いわけで、私もここで最低賃金法を持ち出すなんということは全然考えませんけれども、余り安いことについて行政の方で何かいい分別を出していただく、これも非常に大事ではなかろうかというふうに思うわけでございます。何かお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
#37
○政府委員(寺松尚君) 御理解をいただかなきゃならぬのでございますが、この小規模作業所といいますか、共同作業所というものでございますが、精神障害者や精神薄弱者のためにつくられておるわけでございますが、一般雇用が困難な障害者が日常日中通いまして軽作業等を行う施設として、地域の家族会等が自主的に設立して運営を行っているという性格のものでございます。
 こうした作業所というのは、仲間づくりを目的とするものや、あるいは生きがい就労というのでございましょうか、そういうようなものが多くて、また作業内容も比較的簡易なものといいますか、単純なものが少なくないというようなことからも、作業から得られる工賃については、先生の御指摘のように十分とは言えない面もあるんじゃないかと思います。
 厚生省としまして、このような作業所は精神障害者等の社会適応訓練に対しまして大いに役立つものだと考えておりますから、一定の要件を満たす作業所に対しましては、その運営費の一部を奨励的に補助しておるというところでございまして、毎年補助の箇所数をふやしておるというわけでございます。平成三年度に、利用者の作業能力の向上等を図るために、授産施設において実地研修を行うために補助額を少しアップいたしまして、その推進を図っておるところでございます。
#38
○一井淳治君 障害者の方々のために仕事を回してくださるということは、これは御協力をいただかないとなかなかできないことでございまして、よく理解できるんですけれども、一生懸命頑張っても月に数千円、中には一万円札を二枚ぐらいもらえる人もおられるようですが、そんなのは極めて例外だと思います。自立ということを言いますけれども、本当に本人が自立をするというためには、共同作業所は決して職業訓練所ではないんですが、働きに対して相当の収入があるんだという、働けば自分も自立てきるんだという自信を持たせることも大切であると思いますので、どうか収益の確保ということにつきましても、これは決して補助金をたくさん出せということじゃなくて、自立できるようにいろいろと地域の方から仕事を回してもらうとか、そういったことについても細かい御配慮をお願いしたいというふうに重ねて要望しておきたいというふうに思います。
 それから、精神障害者の方あるいは精神薄弱者の方々の雇用が大変進まないわけでございます。精神薄弱者の方が学校を出ましてもなかなか就職の道がない、精神薄弱者の方も社会復帰が非常に困難であるという現実がございます。きょうは労働省の方がお見えだと思いますけれども、大いにこの点の施策を前進してもらいたいというふうに思うわけでございますけれども、労働省の方の御所見をお伺いしたいと思います。
#39
○説明員(坂本由紀子君) 先生御指摘のとおり、精神薄弱者、そして精神障害者の方の雇用は、特に重度の方につきましてはおくれている状況にございます。労働省といたしましては、国会に障害者の雇用の促進等に関する法律の一部改正を提出いたしておりまして、そこにおきまして精神薄弱者の方、重度の方につきましては雇用率制度上ダブルカウントをする、あるいは短時間勤務であれば可能な方につきまして雇用率制度にカウントするというようなことを盛り込んでおりますほか、精神障害者につきましては、昭和六十一年度から職場適応訓練制度の対象としておりましたが、この制度にのっとりまして雇用が可能になっておる方が大分ふえてきておりますので、そのような方たちにつきまして助成制度を適用することを今回の法律の改正案に盛り込んでおるところでございます。
 そのような措置を通じまして、今後とも精神薄弱者、それから精神障害者の方々の雇用が一層進むよう努力をしてまいりたいと考えております。
#40
○一井淳治君 私が言わなくても、精神薄弱者あるいは精神障害者の方々の雇用が非常におくれているということは十分に御認識と思いますけれども、どうか一層の施策の前進を要望しておきたいというふうに思います。
 次に、産業廃棄物の関係について質問をさせていただきますが、木造住宅を増改築しよう、あるいは取り壊しなどいたしますと、木材の廃材がセメントやガラスやその他のものと混在した形で産業廃棄物として出てまいります。日本の場合は、木造住宅を建築しておりますのは大体が小規模の建設業者でございまして、特に日本の場合では九九・何%が建設業者の中では小規模の業者でございまして、出てくる産業廃棄物の処理というものが仕事の上での非常に大きな課題というふうになっているわけでございます。
 住宅を取り壊した廃材等の処理という問題についてひとつ何か方法を考えていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
#41
○政府委員(小林康彦君) 木造建物の解体によって生じます庭木材の適正な処理を初め、建設工事等に伴います廃棄物処理の一層の推進を図りますために平成二年五月に建設廃棄物処理ガイドラインを取りまとめ、関係者を指導してきたところでございます。
 厚生省としては、こうした規制面の充実に加えまして、処理施設の促進と技術開発を進めることが必要と考えておりまして、今国会に産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律案を提案させていただいているところでございます。
 具体的には、NTTCタイプ融資や各種税制上の優遇措置を講ずること等によりまして、処理施設整備の促進を図るとともに産業廃棄物処理事業振興財団を整備いたしまして、産業廃棄物の処理施設整備のための借り入れに対します債務保証あるいは産業廃棄物に係ります高度技術開発を行う者及びその事業化を行う者に対します立ち上がりのための助成金の交付等を行う内容のものでございます。
 この法案に基づきます施策を初めといたしまして、庭木材の処理に関します施設整備及び技術開発をそれぞれの地域の工夫も加えながら促進をしていきたいと考えております。
#42
○一井淳治君 法案ができまして前進していくと思いますけれども、木造住宅の廃材の処理という問題についても忘れないように前進させていただくよう要望しておきたいと存じます。次に、飲用乳の製造日付の問題について質問をさせていただきます。
 日付の競争が激しくて、夜間や早朝の操業など異常な状態も出てくる。そういった中で、品質の確保が重要であるという観点から、六十年一月十四日付で、「牛乳処理体制の正常化について」という指導がなされまして、またその後も平成三年十二月二十六日付で自主管理の徹底についての御指導がなされておるわけでございます。
 私がお願いいたしますのは、全国的にこの問題についての指導を継続してやっていただかないと、例えば岡山県でも最近この問題について販売店を含めまして申し合わせをしたんですけれども、販売競争が激しいために岡山県で一生懸命守ろうとしても、よその県からいわゆるDゼロの牛乳が飛び込んでくるというようなことも起こりまして、そうするとたちまち申し合わせが崩れてしまう。私も詳しくは聞いておりませんけれども、そういったふうなことで一たんうまくいっておったものが崩れる、また申し合わせをするというふうな繰り返しもあったように聞いております。
 この際、全国的に継続的によく調査をいただいて、問題があるとすれば継続して御指導いただくということが必要ではなかろうかと思うわけでございますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
#43
○政府委員(玉木武君) 先生御案内のように、牛乳の安全性を確保することにおいて、その処理体制の適正化を図ることは大変重要だと我々は考えております。そのために、先ほど御指摘ございましたように、昭和六十年一月十四日付で、飲用牛乳の製造日付に係る課長通知を出したわけでございますが、この趣旨の徹底方につきまして今後とも図っていきたい、このように考えております。
 この内容は、当日日付の牛乳の出荷については、その処理が深夜、早朝に行われますことから、食品衛生上、時には問題を起こす例がございます。また、処理業者による製品検査がおろそかになるおそれもありますことから、都道府県及び関係団体を通じまして牛乳処理体制の正常化を指導するというものでございます。
 今後におきましても、先生御指摘のように都道府県及び牛乳処理体制の正常化について関係業者を含めて指導してまいりたい、このように考えております。
#44
○一井淳治君 次に、福祉の施設で、日本は夏暑いですから補助対象経費としてエアコンを加えてほしいということについて質問させていただきたいと思います。
 今年度から大変御配慮いただきまして、体温調節機能の低い者が入所する施設、これは相当広範囲でございますけれども、エアコンをつけていただくことができるようになりました。しかし、入所者のことも大切でございますけれども、そこで働いている人たちもやはり大事にしてもらわなくちゃならないというふうに思うわけでございます。保育園とか相当動きの激しい活動をしておる福祉関係の施設においてまだエアコンの設置ができない。もちろん、市町村が自費でやればできるんですけれども、いわゆる補助基準に入ってなければなかなかこれができないわけでございます。そういった意味で、どうか冷房設備についてさらに補助基準を拡大していただきたいというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
#45
○政府委員(末次彬君) 社会福祉施設の整備につきましては、入所者の処遇向上という観点から基準面積の拡大等、毎年内容改善に努めてきているところでございます。
 ただいま先生お話しございましたように、平成四年度におきまして、入所者処遇の向上を図るという意味で、重度の身体障害を有する者などが多数入所しております特別養護老人ホーム、身体障害者療護施設等の施設につきまして新たに冷房設備を補助対象にしたわけでございます。
 その他の社会福祉施設につきましても補助の対象にすべきであるといっただいまの御指摘につきましては、今後さらに検討をしていきたいというふうに考えております。
#46
○一井淳治君 あと時間がありませんので、一点だけ要望させていただきたいと思います。
 これは福祉の現場で働いていらっしゃる方々のマンパワーの確保という観点で申し上げるわけでございますけれども、市町村立の、すなわち公立の老人施設で働く職員の給与につきまして、市町村の役場で働く行政職の方々の給与に比べて相当低いように思うわけでございます。そういった点につきまして、どうか調査をしていただきまして、私は相当低いからこれは何らかの指導が必要ではなかろうかと思うわけでございますけれども、ガイドラインをつくるとか、御指導をいただくように要望しておきたいというふうに思います。
 時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#47
○竹村泰子君 私は、きょう安全な食べ物について質問をさせていただきたいと思っております。
 食べるということは命に直結した問題であります。例えば、石油や電気製品が幾ら豊富にあっても食糧がなければ命は維持できない。日本はかつて農業大国でありました。農業はその国の命を維持している最も基本的な産業であると思います。基本的には、農畜産物は最大限自給すべきなのではないでしょうか。とはいっても、世界最大の農産物輸入国に我が国はなってしまっております。日本は、まず第一に農業をこれ以上荒廃させてはいけないのではないでしょうか。それには輸入自由化問題もあり、価格問題、後継者問題など、我が国の命を維持している第一の産業を守るという視点で、政府はもちろん生産者、消費者、これまで以上に積極的な施策を皆で知恵を絞って編み出して早急に講ずるべきだと考えます。
 大臣にお伺いいたしますが、あなたは食べ物の安全についてどのように考えておられますでしょうか。
#48
○国務大臣(山下徳夫君) 最近、日本人の好む食料が非常に豊宮になりまして、輸入したものやその他とにかく非常に私ども恵まれた食生活を営んでおりますけれども、ただおいしいだけではなくて、やっぱり安全ということは先生のおっしゃるとおりで、したがって豊富になりますと添加物その他についても私ども十分配慮していかなきゃならぬことは当然であります。
 したがって、これらについて厚生省としては、科学的根拠ということが一番大切だろうと思いまして、国民の健康を守る上からも、科学的根拠に基づいた食生活の安全性については格別の配慮を図っていかなければならぬと思っておりますし、今後とも十分その点には配慮してまいりたいと思っております。
#49
○竹村泰子君 それで、お答えいただきましたように、食べ物の安全をじゃどうやって確保していくのかということになるんですけれども、厚生省は昨年の九月十二日、食品衛生調査会に対して、農産物中に残留する農薬の基準設定についての諮問をなさいました。そして昨年暮れ、新基準を発表されました。この数年、輸入農作物の多くから日本では使用されていない農薬が検出されて、特に農作物の収穫後にまぶされるポストハーベスト農薬と見られる農薬の存在がクローズアップされ、輸入農産物への安全性に対する不安が全国的に高まっております。また、現在食品衛生法に基づいて決められている残留農薬基準にはない多数の農薬が生産段階で使用され、検査も行われないまま野放しとなっている実態も明らかとなりました。
 このような消費者のポストハーベストヘの不安を背景に、厚生省は一九八九年度から新たな基準づくりを開始してこられました。そしてそれは、同時にガット・ウルグアイ・ラウンドの検疫・衛生措置分野交渉で求められている安全基準のいわゆるハーモナイゼーションという、つまり農薬や食品添加物基準を国際的に統一して平準化しようという、そういう動きとも対応したものでした。
 そこで、農水省にお伺いいたしますが、日本では収穫後の農薬使用について認められていないと思いますが、どう思いますか。
#50
○説明員(大川義清君) 国内でポストハーベスト農薬として認められている農薬もございます。
#51
○竹村泰子君 日本で収穫後に農薬をまぶすことを認められているんですか。そういうお答えですか、今のは。
#52
○説明員(大川義清君) 認められておる農薬もございます。
#53
○竹村泰子君 収穫後に保存用に使われる薬剤、これはどういう扱いになるんですか。例えばかんきつ類等に使われるOPP、TBZなどと同じなのでしょうか。これは厚生省ですが、食品衛生上それをどう考えていますか。三つお尋ねします。
#54
○政府委員(玉木武君) 今お尋ねのOPP、TBZ、いわゆる防カビ剤を収穫後レモンに使用する、こういうような物質でございますが、これは食品添加物として認めております。
#55
○竹村泰子君 OPP、TBZなどと同じ扱いになるわけですね。
#56
○政府委員(玉木武君) OPP、TBZのような防カビ剤、これは食品添加物として認めております。
#57
○竹村泰子君 食品添加物として扱っているわけですね。
 これは食品衛生上どう考えるんでしょうか。食品衛生法で規制されるんですか。
#58
○政府委員(玉木武君) これは、食品衛生法におきまして、食品添加物というものは、「食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物」というぐあいに規定いたしておりまして、これは食品衛生法の中で規制されるものでございます。
#59
○竹村泰子君 ですから、私の言っているのは、収穫後にまぶされるいわゆるポストハーベスト農薬は添加物として扱われ、食品衛生上食品衛生法できちんと規制されるものなのですねとお伺いしているんです。
#60
○政府委員(玉木武君) ポストハーベスト、どれをお指しになっておられるかわかりませんが、いわゆるOPP、TBZのようなものは食品添加物として認めておるわけでございますが、これは、今申し上げましたように、「食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で」添加するというものでありまして、その目的以外の使用方法においてポストハーベストとして、いわゆる収穫後農薬として使われるものは食品添加物には該当しないものもある、このように考えております。
#61
○竹村泰子君 よくわからないんですが、OPP、TBZなど以外のものは食品添加物として扱われないものもある、しかしポストハーベストとして認めるんですか。
#62
○政府委員(玉木武君) 我々としましては、ポストであろうとプレであろうと農薬は農薬である、このように考えております。したがって、添加物の定義も、先ほど申し上げましたように添加物の定義があるわけでございますから、その定義に合うものについては添加物として対応する、認めるか認めないかということも含めて対応するということになります。
 先生御指摘のように、ポストハーベストというのは、先ほど農水省の方からもお答えがございましたが、その中にはいわゆる農薬というものもあるように我々は聞いております。
#63
○竹村泰子君 そうですよね。ポストハーベストというのは、農産物の収穫後、その保存のために、殺虫や殺菌やカビ防止のために長期間にわたって効力を持続できるように農薬という名の薬剤をまぶしあるいは塗布するもので、農作物の生育過程で使用される農薬とは比較にならぬほど農産物にこれは残留します。残留というよりもむしろ、その目的からして、消費者の手に渡るまでその効力が残っていなければ意味をなさないということも言えるのではないですか。遠隔地に長時間かけて輸送される輸出用農産物の場合には特に念入りにまぶされるでしょう。
 諸外国ではこうした薬剤を農薬と言っているようですが、日本ではこれまでこうした薬剤を食品添加物として扱ってきましたね。そうですね。
#64
○政府委員(玉木武君) 先ほど申し上げましたように、ポストハーベスト、いわゆる収穫後に使用される薬剤の中には、食品添加物として認めたものもありますが、これは明らかに農薬である、ポストに使用されるものにおいても農薬であるというものもあるということを申し上げた次第でございます。
#65
○竹村泰子君 東京都が八九年に調査したポストハーベスト農薬の調査報告によりますと、さまざまな農薬が検出されています。レモンからカルバリルやイマザリル、小麦からはフェニトロチオンやマラチオン、ジャガイモからは発芽防止剤のクロルプロファムなどが検出されている。その目的はほとんど防腐、保存のためで、農業生産の段階で発育管理に使われる薬剤と同じ成分であっても、農薬取締法で言う農薬とは本質的に使い方が異なるはずです。ポストハーベスト農薬と言われてはいますが、基準を考えるとすれば、食品衛生法第六条で規制している食品添加物として位置づけ、慢性毒性、発がん性、催奇形性、遺伝毒性などの検査をした上で、安全が実証されない限り指定せずの原則を適用した審査を行うべきであると私たちは思いますが、ちなみに殺虫剤は添加物として認められていないと思います。
 これらのことをどうお考えになりますか。
#66
○政府委員(玉木武君) 御指摘のように、殺虫剤はポストに使われましても農薬として扱われております。例えば臭化メチルのようなものは、これは殺虫剤でありますが、これを添加物と考える方はおられないと考えております。
#67
○竹村泰子君 食品衛生法で規制され、食品添加物であるならば、第四条、有毒、有害物の混入した食品の販売は禁止、第七条、食品の規格、基準などということで、それぞれ違反をしているのではないかと思います。
 ところが、厚生省は、一般的に健康を損なうおそれがない場合に該当するから違反ではないと、こうずっと言い続けておられるんですね。厚生省の言う、おそれがないというの一体だれがどのような基準で判断するのでしょうか。何のための残留基準をつくっているのでしょうか。仮に、厚生省の考え方を認めたとしても、ポストハーベストという使用方法は明らかに添加物であり、こうした薬剤使用が第六条違反であることも疑う余地はないのではないかと思いますけれども、こうした違法状態に対して、法解釈を拡大し、何らの処置をとらない現状、これは消費者の健康と安全を無視したものであると私は思いますが、いかがでしょうか。
#68
○政府委員(玉木武君) この辺の残留農薬の問題を含めて、現在その安全対策を行っているところでございます。
 この問題、食品の残留農薬対策の必要性ということでまとめておるものでございますが、例えばちょっとここで御紹介いたしますと、現在世界各国で販売、使用が認められております農薬は約六百種類ございます。日本内で認められておりますものは約三百。また、我が国への農産物の最大輸出国であります。アメリカにおきましては四百品目が認められております。我が国におきます農薬の販売、使用は農薬取締法、これは農水省、環境庁が所管しておりますが、これで規制されております。農産物中の農薬の残留につきましては、食品衛生法に基づきまして、これは厚生省が所管でございますが、規制をされておりまして、現在のところ五十三農産物に残留する二十六農薬について残留農薬の基準が設定されております。
 農産物の輸入の増大等に伴いまして、国民から農産物の安全性の確保が強く求められております現状におきまして、厚生省としましては、農産物の安全性を確保することは大変重要であるという観点から、国会におきましても早急に残留農薬基準を設定する旨の答弁をいたしてきております。それを受けまして、平成三年九月、昨年の九月でございますが、四十一の農薬、それからことしの一月にさらに二十の農薬につきまして、農産物中に残留する農薬の残留基準の設定につきまして、食品衛生調査会に諮問してきております。
 この残留農薬の設定基準は幾つかございますが、また御質問がございましたときにお答え申し上げますけれども、このような形で食品中に残留する農薬の安全対策というものに対して取り組んできておるということを申し上げたいと思います。
#69
○竹村泰子君 大臣、どのようにお考えになりますか。厚生省は農薬に対して責任省庁なんですけれども、四百もの農薬が使われていて、しかも添加物として収穫後にまぶされる農薬まであるということについてどのようにお考えになりますか、御所見を。
#70
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま局長から専門的立場における答弁を行いました。実は私もその方の知識は余りないのでございまして、数から見ますと、私も先ほどから聞きまして随分多いなという実感はいたしましたけれども、それぞれ成分について特徴を持っている農薬だと思いますので、細分化されることによってより安全であるならば、私は数だけで諭すべきではないような気もいたしますし、私も専門家ではない、今申し上げましたとおりでございますから、専門家である厚生省の技術陣が全部で厳正な基準を決めて輸入しておるわけですから、私はそれでいいんじゃなかろうか、そういう答弁しか言いようがないのでございますが。
#71
○竹村泰子君 厳正かそうでないか、ちょっと議論をお聞きになっていただきたいと思うんですが、ガット・ウルグアイ・ラウンドに関して現時点で整備されている必要な資料のほとんどはFAO、WHOの最大残留基準を設定するための資料で、規制の甘い国際基準を受け入れ、基準が大幅に緩和されるおそれがあるということが指摘されております。
 つまり、さっき言ったように国際基準と平準化させようという動きですね。現在、ガット交渉の中で、食品の安全基準について国際的に整合化を図り基準を統一しようとする話し合いが行われています。国際経済を妨げる自由貿易の障壁をなくすために、その阻害要因となる余りにも厳しい基準をなくそうということなんですね。当然、各国の食習慣や風土といった条件よりも経済性が優先されることになります。
 私は、経済性が優先されるということにいつも非常に危険を抱いている者なんですけれども、現在の国際基準を左右しているFAOの補助機関コーデックス・アリメンタリウスという国際食品規格委員会というのがございます。これが健全な科学の名のもとに一律の規制基準を決め、各国の独自の規制を認めず貿易の自由を阻害しないようにしようとしていること、しかもこの委員会を構成し決定権を持っている集団がネッスル社を初めとする多国籍企業であるということなどから、非常に私は危倶を抱いている者なんですけれども、コーデックス、国際食品規格委員会、これは一体どういうものなんですか。厚生省はどう考えておられますか。
#72
○政府委員(玉木武君) 先ほど、国際基準に調和させることが原則であるという御紹介をいただきました。まさにガット・ウルグアイ・ラウンドの最終合意案にはそういう言葉がございます。しかしながら、科学的正当性がある場合には国際基準より厳しい検疫・衛生措置を採用し維持することができるという文言が最終合意案の中に入っていることも事実でございまして、その点についての御理解をいただきたい、このように考えております。
 コーデックスとは何か、厚生省はどう考えておるかという御質問でございます。先生御案内だと思いますが、FAO、WHOの合同食品規格委員会は、消費者の健康を保議し食品取引の公正を確保すること等を目的として、国連食糧農業機関、いわゆるFAOでございますが、それと世界保健機構、WHOが合同で国際的な食品規格を策定するため設立されたものでございます。
 厚生省としましては、各国から輸入される食品の安全性を確保することが重要である、このように認識いたしておりまして、合同食品規格委員会に参加してきたところでございます。
#73
○竹村泰子君 コーデックスの総会には日本から何人行っているんでしょうか。所属はどこで、そして、もしよければお名前も教えてください。
#74
○政府委員(玉木武君) 昨年の七月に開催されました十九回の総会でございますが、日本の政府代表としましては、政府の担当者四名が参加いたしました。さらに、技術アドバイザーとして四名が参加いたしておりますが、これらは厚生省認可の公益法人に所属する技術職員でございます。
#75
○竹村泰子君 お名前は言えませんか。
#76
○政府委員(玉木武君) 厚生省から出席しました者は森田邦雄、それから農水省からは安部庄吾、それにイタリア日本大使館公使の石寺隆義、それと一等書記官の成田喜一でございます。これが日本政府代表でございます。それからアドバイザーとしまして、日本食品衛生協会から二名、佐藤英二と小原祐一、それから日本食品添加物協会の理事でございます松永、それと全国輸入食品安全推進協議会の佐藤、このアドバイザー四名が参加いたしております。
#77
○竹村泰子君 ありがとうございました。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドにおいて各国の衛生基準をコーデックスの基準に整合させようという動き、さっきもお答えをいただいたわけですけれども、これについて厚生省としてはそれは仕方がないことだとお思いになるんでしょうか、それとも大変いいことだとお思いになるんでしょうか。
#78
○政府委員(玉木武君) 我々としましては、一応世界じゅうの各代表が集まりまして、調和させることを原則にしようという問題が一つ合意されております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、科学的正当性がある場合には国際基準より厳しい措置を採用するんだということもアメリカもヨーロッパも言っておるわけでございまして、もちろん日本も強く主張してまいりまして、その文言が入っておるということで、このガット・ウルグアイ・ラウンドの検疫・衛生作業部会の最終合意案は評価すべきものではなかろうか、このように考えております。
#79
○竹村泰子君 コーデックスの甘い基準を受け入れることによって、我が国の基準が大幅に緩和されるおそれがありますが、大臣、こういうことで我が国の消費者の健康が守られるとお思いでしょうか。
#80
○国務大臣(山下徳夫君) 甘くなるという御意見でございますけれども、今局長から申し上げまし。たように、国際基準より厳しい措置を採用し得るということで、日本で決めておる基準はかなり厳しい、特に厚生省が指示しておるものほかなり厳しいということを私は聞いておるのでございます。
 私が、過去において厚生政務次官のときからいろいろ体験しましたことでも、実際一つは水際作戦と申しますか、輸入するときの検査も厳しくしなければ、基準だけじゃないと思います。そこで、私の体験では、アメリカからのサンキストを船に半分積んできたやつを全部入国を拒否しまして太平洋に捨てて帰ったということもありますし、台湾からもいろんなものを運んできたときもそういう例があるとか、いろいろ過去においては体験をいたしておりますが、やはり基準と、それから水際においてきちっとそれは検疫するという二本立てでいけば、私は基準だけにとらわれずにいいと思うんですが、その基準自体も、今申し上げましたように国際基準より厳しくすることはいいということでございますから、そこらあたりでいいんじゃないか、私はそう思うんでございます。
#81
○竹村泰子君 大臣、衆議院の予算分科会の長谷議員の質問に対しても、もうこれ以上安全性を疑う余地はないという気持ちを私は持っております、これから先はまた議論になってしまうけれども、私の気持ちは信頼していいのじゃないかというふうにこの間お答えになっているんですけれども、そうだったんですね。これまではほかの国に比べれば比較的厳しい基準で規制してきたわけなんです。
 それを昨年十二月、厚生省の諮問機関である食品衛生調査会が百二十九の農産物について三十四種類の残留基準を提示しました。しかし、これは厚生大臣でいらっしゃるから、特に御関心を持ってこの間からの新聞記事を読んでおられると思うんですが、もう大きくマスコミが危険を唱えているんですよね。消費者団体なども非常にこれを厳しく見ています。このままだと、農薬に汚染された食品がどっと輸入される懸念があるんです。今大臣がおっしゃった規制が非常に緩和されちゃったんです。
 例えば、これまで米の場合は殺虫剤マラチオン、残留基準は〇・一PPMです。これは今回新たに、お米はそのままなんですが、小麦に設定された基準値はお米の八十倍の緩やかな八PPMなんです。スミチオンという農薬で見ますと、お米は〇・二PPMなんですけれども、今度規制された小麦は一OPPMなんです。
 これはちょっと例が悪いかもしれないですけれども、これまでは家畜の飼料でさえそれぞれ五PPMだったんですよね。それが小麦の残留基準は家畜の飼料よりも緩やかになっちゃったんです。小麦はほとんどアメリカから入ってきますよね。子供たちの給食の小麦もみんなそうです。八PPMはアメリカの基準と同じですから、子供たちの大好きな給食のパンやお菓子のほとんどがこの危険な八PPMもの残留農薬で、家畜のえさよりもまだ緩やかな基準で、農薬まぶしのものを子供たちは食べさせられることになってしまったんですね、今度の食品衛生調査会の基準案で。
 そこで、お伺いいたしますが、これらの基準値を算出した根拠となったデータは何なんでしょうか。
#82
○政府委員(玉木武君) 先ほどから、緩い基準がつくられて非常に不安であるという御指摘がございました。この残留農薬の設定を行います作業の中で一つ一番大事な問題は、その農薬につきまして科学的に定められました一日摂取許容量、ADIと言っておりますが、そのADIと、その農薬が使用される各農産物の摂取量等に基づきまして、先ほど百二十九とおっしゃいましたが、各農産物ごとに設定されるものでございます。したがいまして、仮に日本人が設定された基準値の上限までその農薬が残留した食品を食べたとしましても、農薬の摂取量は一日摂取許容量のいわゆるADI以下になるように設定されております。したがいまして、今回の基準案はいずれの面からも安全性の面で問題はない、我かはこのように考えております。
 それと、先ほどのフェニトロチオン、マラチオンの関係いろいろ御指摘がございました。まさにおっしゃるとおりの数値でございます。これは先ほど御指摘のように、マラチオンの場合でございますが、国際基準が八・〇ということで、米では日本ではそれ以前につくっておりますから〇・一でございます。御指摘のとおりでございます。小麦につきましては国際基準が八・〇ということで、小麦については八・〇という数字をとっております。フェニトロチオンにおきましても米は〇・二、国際基準は一〇・〇、小麦は国際基準と同じ一〇・〇ということでございます。
 これはどういうことかと言いますと、今申し上げましたように、小麦に関する基準案につきましても、日本人の小麦の摂取量等を勘案して設定したということが言えるわけでございます。それと、先ほど御指摘がございましたように、今度の三十四の農業については、基本的には百二十九の農産物の中から農薬を使うものをピックアップしまして数字を入れております。各農産物、それに入れた数字そのものがADI以下になるという形をとっておるわけでございまして、小麦だけをとる、米だけをとるというようなものじゃございません。
 御案内のように、日本人は米だけ食べるわけでもございませんし、小麦だけ食べるわけでもございません。そういう形で、全体の中でいわゆるADI以下になるような設定の仕方をいたしておりますので、例えば極端な話を申し上げますと、あるものが非常に高い数値が設定されるということになりました場合には、そのほかのものは非常に厳しい数値を設定しなければならない、こういうことになるわけでございます。全体の量でございます。
 それで、もう一つ例として申し上げますと、フェニトロチオン、マラチオン、特に御指摘ございましたので、一九八三年から一九九〇年まで、機関数としては大体十以上です。九のところもございますが、多いところでは十二、その機関におきまして、マーケットバスケット方式でこのフェニトロチオン、マラチオンの平均的な数字というものを出しております。
 どのくらい含まれておるかADIと比較いたしておりますが、ADIと比較してみました数字をフェニトロチオンで見てみますと、大体ADIの〇・五%でございます。特に、一九九〇年は一部ちょっと多いものがあったということで、これが一・六%であります。また、マラチオン関係はほとんど〇・五以下でございまして、中には一九九〇年ではADIの〇・〇三%、これが数字でございます。このマーケットバスケット方式というのは、一日ロ本人が平均して食べるものを全部買いまして、調理をした結果をまとめた残留農薬の量でございます。
 このように、我々としましては、先ほど大臣から御答弁ございましたように、まず心配ない。国民の皆様方に不安をかけるような中身のものを設定されておることはない、このようなことを申し上げたいと思います。
 それから、この基準値算出に使用されたADIの問題でございます。
 このADIは通常、長期の動物実験から、投与した農薬が何ら作用を及ぼさない量、いわゆる毎作用量というものを求めます。大体マウス、ラット系を使いますので、二年間生涯の反応というものを見るわけでございますが、その無作用量に対して安全係数百分の一を掛けてそれをADIといつぐあいに設定いたしております。
 この残留農薬の基準は、当該農薬のADI等の安全性に関する資料、それから各農産物の摂取量、これは国民栄養調査によっておるわけでございますが、農産物の摂取量、それからFAO、WHOの国際基準等を参考にしまして、食品衛生調査会の答申に基づいて設定されるということになっておりまして、現在のところ食品衛生調査会の中の合同部会の中で基準案が示されてきたということでございます。
#83
○竹村泰子君 大変御丁寧に説明をしていただきましたけれども、ADI、一日摂取許容量ですね。これは今ちょっと御説明がありましたが、何に何を掛けて算出するんですか。
 それから、各農薬のADI値、ADI値の算出根拠、さっきの基準値を算出したデータの根拠、三十四農薬の基準算出各種ファクター、これらをこの調査会の答申が出たら出していただけますか。
#84
○政府委員(玉木武君) 何を掛けるかという御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、長期の動物実験の無作用量というものを出します、相当の動物を使うわけでございますが。無作用量に対して百分の一ということを申し上げましたけれども、十分の一がこれは個体差ということを言っております。それから十分の一がいわゆる動物と人間との差がございますので、十分の一の安全率を掛けます。それと、人間におきましてはお年寄りとか子供さんとか成人とかというものがございますから、そういうものを考えまして十分の一の安全率を掛けます。十分の一掛け十分の一で百分の一の安全率という設定の仕方をいたしております。
 それから、今御指摘のADIの根拠ということになりますと今申し上げたようなことでございますが、ADIの中身につきましては、どういうような農薬にどういうADIを設定したかということは、この食品衛生調査会におきます審議内容の中立性を担保するためということで審議終了までほ審議に用いる資料の公開はいたさないことにいたしておりますけれども、審議終了後であれば会議資料は希望に応じて閲覧をしていただける、こういう形を従前よりとっております。
#85
○竹村泰子君 それでは、委員長にお願い申し上げたいんですが、審議が終わった段階で結構ですから、本当は今すぐ出してほしいんですけれども、それはお出しにならないと思いますから、今私が要求いたしましたこれらの基準値を算出した根拠、各農薬のADI値、ADI値の算出根拠、三十四農薬の基準算出各種ファクター、これだけのものを委員長、委員会に提出していただくようにお願いいたしたいと思います。
#86
○委員長(田渕勲二君) 厚生省、いいですか。
#87
○政府委員(玉木武君) これは大変膨大な資料でございまして、段ボールの箱で三十ぐらいかということでございまして、またこれは我々でも必要に応じて使用するというものでござい淳すので、厚生省の方にお見えになりましたらそれを全部お見せする、厚生省の中にもごらんいただくような会議室がございますので十二分にごらんいただける、このように考えております。
#88
○竹村泰子君 それは失礼でしょう。私たちはこの委員会の中で調査権を持っております。来たら見せてやるよとおっしゃるんですか。段ボールに幾つあったっていいじゃないですか。出してくださいよ。
#89
○政府委員(玉木武君) 委員長からどうかという御意見でございますので、私の意見を申し上げた次第でございます。
#90
○委員長(田渕勲二君) それでは、委員長の方でこの件は預かって善処していきます。竹村委員ともよく相談をして、厚生省と相談しますから、そういうふうに取り扱います。
#91
○竹村泰子君 その資料のことは要求をいたしておきますが、さっきから玉木さんお答えをいただいているんですけれども、なぜ百分の一を掛けるか。
 私の持っているある資料によりますと、ラットやマウスで研究者の目に何ら影響の見られない薬量、最大無作用量が決まったとしても、それをすぐ人間に適用していいのかという問題が残る。通常はそこに安全係数というものが介在する。農薬の場合、一般的には二百分の一が掛けられ、特に猿や人間などでデータが入手できた薬剤は百分の一が掛けられることもあるというふうになりますと、最大無作用量が仮に十五ミリグラム・キログラム・日の農薬があったとしますと、これに二百分の一を掛けて、〇・〇七五ミリグラム・キログラム・日の許容量というふうになる。この量以下だったら、人間がその農薬を生涯口から取り込んでも何ら健康上の影響はないのとするのが農薬会社の根拠なんですね。
 それで、衆議院の長谷議員の質問に対しても玉木さんはこんなふうに答えて、私、もうまるで禅問答だと思うんですけれども、「ADI以下のものであれば、これを幾つも摂取したとしても問題はない。問題がないもの掛ける問題がないものは問題がない、これはいわゆるゼロ掛けるゼロはゼロである、こういうような考え方でもって世界じゅうの専門家がADIを各農薬に決め、それに従って残留基準を決めておるというのが現状でございます。」と答えていらっしゃるんですね。
 こういう理屈なんですか。こういう人をばかにしたような答弁をあなたはしていらっしゃるんですか。
#92
○政府委員(玉木武君) ばかにしたかどうかはこれは主観の問題かもしれませんが、いわゆるFAO、特にWHO関係では世界じゅうの専門家集団を集めて農薬の基準のADIをつくっておるわけでございますが、そこでの考え方がそういうような考え方といいますか、手順を踏んでつくっておるということを御紹介申し上げたわけでありまして、そこでの考え方は、今申し上げたようにゼロ掛けるゼロはゼロなんだというような言い方で基準がつくられる、世界的な一つの現在のコンセンサスになっておるということを御紹介したわけでございます。
#93
○竹村泰子君 私は、浅学非才で知りませんでしたが、このゼロ掛けるゼロはゼロであるという理屈は世界の共通した認識なんですか。
#94
○政府委員(玉木武君) 世界共通というのをどこまで言うのかよくわからないわけでございますが、少なくともWHOの専門委員会ではそういうような考え方でもって基準がつくられておるということをコーデックスの委員会または専門部会に参加した学者方から報告を得ております。
#95
○竹村泰子君 そうですか、わかりました。それほどコーデックスの委員会というのが、ですから問題視されているわけですよね。
 これはっい最近の報道なんですけれども、四月二日の報道記事、今まで大臣、私がそんなに緩い基準にしてどうするんだと言ったら、緩くないというふうにおっしゃいましたけれども、その基準がまた緩くなっているんです、ひそかに。これは農水省おいでいただいておりますけれども、大きな記事です。「「輸入できぬ」農水省の横ヤリで」と、ごらんになったと思いますが、ちょっと言葉はきついかもしれないんだけれども、その「農水省の横ヤリで 安全より行政優先厚生省基準を三倍緩和」したという、そういう記事なんですね。
 「ソバ、トウモロコシを五OPPM、キウイを二OPPMその他の果実を二OPPMとする許容基準」を発表したと。これは厚生省が昨年暮れに臭化メチル、つまり臭素ですね、それについて出した記者会見。「ところが、発表したすぐ後に農水省が「この数値では輸入農産物の陸揚げができなくなる」とクレーム。」をつけて、それで「ソバを三・六倍の一八〇ppmに、トウモロコシを一・六倍の八OPPM、キウイを一・五倍の三OPPM、その他の果実を三倍の六OPPMに基準をゆるめ」てしまったというんです。
 これは一体どういうことなんですか、農水省。
#96
○説明員(大川義清君) 諸外国からの植物病害虫の侵入蔓延を防止いたしまして、もって農業生産の安全と助長を図る、さらには自然環境の保全を図るということは極めて重要なことと考えておりまして、農水省としましては植物検疫を実施しております。この植物検疫の際に、輸入植物の検査におきまして害虫が発見された場合、その消毒方法といたしまして臭化メチル薫蒸が一般に行われております。厚生省が提案しました基準値案では、臭化メチル薫蒸を実施した場合、これを超える残留例がありましたために、その事情を厚生省に説明したものでございます。
 国民の健康保護を第一に考えるべきことは当然のことでございますけれども、その許容範囲内におきまして植物検疫についてもできるだけの配慮が行われることが望ましいと考えまして厚生省と話し合ったものでございます。厚生省はこのような実態七、人の健康保護の観点から定められております農業の一日許容摂取量、ADIでございますが、との関係を考慮して基準値案を変更したものと承知しております。
#97
○竹村泰子君 また、ここでもそのADI以内なので人体への影響はないと考えられると、こういうお話なんですね。ソバは今八九年の調査で年間約十万トンを輸入している、これは国内消費量の約七九%、トウモロコシは千四百四十万トン輸入している。そういうことで、トウモロコシやそれからキウイを毎日毎日食べ続ける人はいないかもしれないけれども、おそばはこれは日本人の大変な好物であり、おそばは毎日食べる人が、好きな人だったら朝昼晩食べるかもしれない、そういう食品ですよね。
 それで、今いろいろ御説明があって、植物防疫法との絡みがあるということはよくわかりますけれども、有害な昆虫が入ってきたら困る、それはもう確かにそうだけれども、しかし、そこのところはもうちょっと工夫があったんじゃないか。いきなり言われて三倍に緩和をしてしまうというふうな、こういう数値では、そしてこういうことが大きく報道されているような状態では、国民が安心して食べ物を食べられないというのは当たり前のことではないでしょうかね。
 ちょっと時間がなくなってしまいましたけれども、私のちょっと調査をいたしましたところによりますと、三十四農薬のうち発がん性があるものが七つあるんですね。それから不妊、胎児への影響がおそれられるものが一つあるんですね、クロルプロファムというのですけれども。それから急性毒性が疑われるものが、アルジカルブというのですが、一つないし二つあります。
 それで、これは農水省の資料だと思うんですけれども、私たちが一日にどのくらいの食べ物を食べるのだろうかということを調べてみますと、一日のすべての、もちろんたくさん食べる人もあるしちょっぴりしが食べない人もあるけれども、平均するとおおよそれ百五十グラムぐらい食べるのではないか、総摂取量ですね。
 この総摂取量に従って、FAO、WHOのADI値、それから厚生省のADI値、ずっと計算した表を私ここにつくって持ってるんですけれども、この中で、今ちょっと私が触れましたクロルプロファム、不妊、胎児への影響という、この農薬について申しますと、大体低い量で今回も抑えられているんですが、ジャガイモが突出しているんですね。五OPPMなんですね。これはもう明らかにポストハーベスト農薬なんですよね。こういう例があります。
 それから、さっきから話に出ておりますフェニトロチオンなども、麦類では今度非常に緩和されてしまいました。それからマラチオンでいいますと、これも麦類では八PPMという数字が出ているんですけれども、これはまさにポストハーベスト基準ですよね。そして、小麦粉になると一・二PPMというふうになるわけですから。全粒で、このごろは全粒パンなんていうのが非常に健康食として売られていて、私も大好きなんですけれども、そういう、皮ごと全部を粉にしちゃうというときには八PPMの基準で許されちゃうんですね。小麦粉になると一・二PPM。
 こういうふうな非常に不思議な数値がいろいろ出ておりまして、これを詳しく一つ一つお聞きする時間がなくなってしまいました。ですから、さっきの米と麦の問題も、日本人はお米をたくさん食べて麦は余り食べないからというふうな食生活の違いがありますとおっしゃいましたけれども、あるデータによりますと、食品群別摂取量の年次推移というのを見ますと、平成二年のデータで米類が百九十七・九グラム、一日ですね、これ多分。そして小麦類が八十四・八グラム。米の四〇%ぐらいは小麦を食べてるんですね。そういうデータもあります。子供たちは、さっきも言いましたけれども、とても麦でつくったもの、パンとかスパゲッティとか、お菓子とかケーキとか、そういったものが大好きです。
 私は、そういうことを考えますと、これは余り国際基準に合わせよう合わせよう、平準化しようとして日本の基準を緩めちゃうということは大変な問題であるというふうに思うんです。幾つもの食品を私たちは食しますね。そのことで相乗的な影響を考えなければならないのではないかという、衆議院の分科会の質問も出ていて、それにも玉木さんは答えておられますけれども、食べ物の問題といいますと、何か天下国家とは余り関係がないような、そういうふうにこれまでの国会の論議では扱われてきたのではないかと私は思うんです。そんな食べ物の安全なんということを言っているよりも、いろんなもっと国際的に緊急の課題がたくさんあるというふうに、これまではそうだったんじゃないかと思いますが、時代は変わったんですね。宮澤総理も所信表明演説で、たしか生活者中心の政治ということをおっしゃっていると思います。これはどこの党もみんなそのことの重大さにもう気がついております。
 大臣、お金を出せば今はどこの国のものでもどんなものでも、スーパーへ行けば、デパートヘ行けば食べ物があふれております。そういった中で、大臣もお孫さんがおありになるかと思うんですけれども、かわいいお孫さんたちに未来世代への影響という、残留農薬ですね、そういったことを考えていて、何でも食べなさい、日本に売っているものは何でも安全だよ、私がちゃんと管理しているからというふうにおっしゃれますか。どうですか。
#98
○国務大臣(山下徳夫君) 率直に申し上げて、今おっしゃるとおり、私は、孫に対して売っているものは何でも食べさせているつもりでございます。それは先ほどからいろいろ議論がありましたように、やはり医者の診断に対して門外漢の私がいちゃもんをつけても始まらないことで、日本の技術の権威者が集まって決めた基準というものは私どもは信頼する以外にないということでございますから、さらに国民の健康を維持するためには食生活の安全性というのが非常に大事なことは承知いたしておりますから、より慎重に、かつ厳密に審査をすることは、これははっきりお約束申し上げておいてよいと思います。
#99
○竹村泰子君 国民の健康と幸せを預かる厚生省が、食べ物に関してこのような緩やかな基準をつくろうとし、また国民をごまかすというか、国民の目をかすめるというか、何か言葉はちょっときついですけれども、しかし知らないうちに、さっきの臭化メチルの場合は三倍緩和ということで、これは報道されたからわかりましたけれども、本当に何かこっそりとひそかに行政官同士で基準緩和しちゃうという、こういうこそくなやり方というのは許されないと私は思うんですね。
 国際基準に左右されることではなくて、日本独自の基準を毅然とした態度で決めていただきたい。今からでも遅くはないんです。だれ一人として食べないで生きることはできないんです。私たち国民全部、そしてとりわけ消費者団体や生活者、子供たち、そして何よりも今問題になっております農業生産者たち、この人たちがどれほど喜ぶかわからないと私は思います。
 最後に、大臣に改めて考え直していただきたい。基準を緩やかにしたり、あるいは行政官同士で都合のいいように変えたり、それから、私はちょっと時間がないので触れられませんでしたけれども、コーデックス・アリメンタリウスの中で重大なことが行われようとしているんです。例えば子牛の成長ホルモンを現在アメリカのある州ではモラトリアムにしておりますけれども、これも外されるかもしれない。それから、もっと厄介なことは、粉ミルクの販売方法を取り締まる国際基準をコーデックスが恐らく覆すだろうと言われているんです。この国際基準というのは、母乳にかわって粉ミルクを利用するよう第三世界の婦人を喫したある会社がありまして、このキャンペーンが乳幼児の疾病と死亡を非常に増大させた事件があって、そして一九八一年に世界保健機構が採択したものだったんですね。
 こういう非常に大事なことをこのコーデックス・アリメンタリウスが今企業の論理でひっくり返そうとしている。そのようなことを大臣改めてもう一度考え直していただきたい。これは国民を代表しての切なる願いでございます。御所見を聞いて終わりたいと思います。
#100
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどから申し上げておりますように、安全という面から見ますというと、より厳しいぐらいのそういう物差しでもってきちんと決めるべきであるということは私もよくわかるわけでございまして、日本においてはそのようにしておると思います。
 そこで、さっきの臭素の問題につきまして、あたかも新聞では、農水省の横やりに何か厚生省がそんなようになっているというような書き方の新聞もあったようでございますけれども、決してそうではなくて、農水省から、やはり国民の食生活に必要なものを輸入するについて実際にどこまでが限界なのか、そこらあたりについてよく話し合おうということでございます。非常に厳しい基準を決めておるから三分の一ぐらいに緩和していいのかどうかと、これはまだ決めたわけではなくて、これからお互いに農水省と厚生省が合意した上で、最終的に決める委員会に、食品衛生調査会常任委員会にこれから諮って最終結論を出すということで、こそこそやっているわけではございませんので、その点は御信頼いただきたいと思います。
#101
○委員長(田渕勲二君) 本件に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十四分開会
#102
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、一井淳治君が委員を辞任され、その補欠として浜本万三君が選任されました。
#103
○委員長(田渕勲二君) 午前に引き続きまして、平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管及び環境衛生金融公庫を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#104
○木暮山人君 自由民主党の木暮でございます。
 医療保険における国庫負担の財源確保につきまして質問したいと思います。
 平成四年度厚生省予算委嘱審査に当たりまして、私は、我が国の保健医療の中でも歯科保健医療の問題に絞って質問をさせていただきたいと思っております。
 本格的高齢社会の到来を前に、安定した医療保険制度を構築していくことは大変重要な課題と認識しておるわけでございます。そして、安定した医療保険制度の構築のためには、当然の前提として揺るぎない財政基盤が求められてくるわけでございます。先日の健康保険法の改正の審議に際しまして、厚生大臣は、公的保険について公費の助成制度というものがさらにもっと上積みされなければならない、そしてそれが方向としては一つのセーフティーバルブになっていくのではないかと御答弁されておられました。私は、この御答弁をお伺いして大変感銘を受けたわけでございます。
 本年の診療報酬改定に当たりまして何が一番ネックになったかと申しますと、それはもう皆さんよく御存じのように、診療報酬の引き上げに見合う国庫負担が捻出できないという点でありました。そして先般の健康保険法改正が診療報酬改定にも資するということで行われたわけであります。バブルがはじけ、国の財政が大変厳しい現況にあるということはよくわかるわけでございますが、国民の皆さんの健康を守る医療費が確保されないということは私は大変残念なことだと思います。先日の大臣の御答弁の趣旨に立ち戻りまして、最低限必要な医療費の増大に伴う国庫負担の増大分の財源は安定的に確保されるべきであると私は考えます。この点につきまして御所見をお伺いしたいと思います。
#105
○政府委員(黒木武弘君) 私どもも、これからの本格的な高齢化社会の到来を前にいたしまして、安定した医療保険制度を構築していくことは極めて重要だと認識を一にしておるものでございます。
 健保法改正にもお触れになりましたけれども、健康保険法改正につきまして、先般当委員会でも御審議をいただきまして、おかげさまで成立することができました。まず御礼を申し上げたいと思うわけでございます。
 お尋ねの診療報酬についてでございますけれども、私どもは、従来から物価や賃金の動向、医業経営の実態、保険財政の動向等、医療を取り巻く諸要素を総合的に勘案いたしまして、改定の要否や改定率を決定し、そのための所要の財源確保を図ってきているところでございます。
 今後とも、こうした諸要素を勘案しつつ適正に対処してまいりたい、かように考えております。
#106
○木暮山人君 次に、国民医療費の抑制策の見直しに関しまして質問したいと思います。
 国民医療費は二十兆円時代を迎え、平成三年度の国民医療費は二十二兆円に達することが見込まれております。こうした中で、厚生省は従来国民医療費の伸びを国民所得の範囲内に抑えることを政策目標にしてこられました。しかし、既に御存じのように一人当たりの国民医療費あるいは国民医療費の対GNP比は諸外国に比べてむしろ低い水準にあります。もとより医療費のむだは排除されなければなりません。不必要な診療は適正化される必要があります。
 しかし、問題は医療費抑制の中身であります。今日、医療費抑制が第一義となってしまったために、我が国の医療は一律に適正化の対象となり、その結果、必要な医療さえも抑制されている現状になっているのではないでしょうか。
 例えば、診療報酬改定はここ数年原則として二年に一回とされ、実質アップも一ないし二%と極めて低い水準に抑えられてきました。しかしその結果、医療経営が大変な困難を強いられているほか、看護婦も現在宣伝されている状況に立ち至っているのであります。そしてそのしわ寄せは、最終的には患者である国民の皆さんにとって十分な医療が受けられないという懸念にさえつながっているのではないでしょうか。
 長寿社会の基本は言うまでもなく国民の健康であります。その点からも、これまで厚生省が堅持してきた厚生省医療費の伸びを国民所得の伸びの範囲内におさめるという政策目標を見直すとともに、医療費増加の中身をよく吟味する必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
#107
○政府委員(黒木武弘君) 今後の本格的な高齢化社会におきましても、すべての国民が安心して医療を受けることができるようにするためには、必要な医療費は確保していかなければならないと考えております。一方、人口の高齢化や医療技術の高度化等に伴い、今後とも医療費の増加は避けられないものでありますけれども、医療費についての国民の負担が過大なものとならないようにする必要があり、厚生省としては国民医療費の伸びを国民所得の伸びの範囲内にとどめることを政策目標としてきたところでございます。
 今後とも、国民のニーズにふさわしい良質な医療を安定的かつ効率的に供給するとともに、医療費を社会経済の実勢に見合ったものとするよう努めてまいりたいと考えております。
 また、お尋ねの医療費の増加要因といたしましては、医療費改定による増、人口増による増、人口の高齢化による増、その他の増に分けられるわけでありますけれども、ちなみにこれを平成元年度の国民医療費の伸び五・二%の内訳として見ますと、医療費改定による増〇・七六%、人口増による増〇・四%、人口の高齢化による増一・三%、その他の増二・七%となっている次第でございます。
 今後とも、医療費の適正化対策を効果的に推進していくためにも、医療費の増加の中身につきましては、先生御指摘のように十分今後とも吟味してまいりたいと考えておる次第でございます。
#108
○木暮山人君 歯科の診療報酬引き上げについてでございますが、低く抑えられてきた診療報酬の中でも、とりわけ歯科のそれは昭和五十六年以降医科に比べて低い引き上げ幅に抑えられておりました。
 この四月からの改定におきましても、医科の五・四%に対し歯科の改定率は半分の二・七%にすぎず、医科との差はますます開く傾向にあります。しかし皆さんよく御承知のように、歯科の治療は始めてから最後まで歯科医によるマン・ツー・マンの手仕事であり、いわゆる三分診療も不可能であります。さらに薬価差益を当てにしたり、入院医療費や差額ベッドに頼ることもできない現況にあります。こうした点を考えれば、歯科の経営がどんなに大変か御理解いただけるのではないかと思います。
 これからの高齢化社会に向けて、歯科医療の果たす役割はますます重要性を持ってくることが期待されているにもかかわらず、こうした現況のままでは我が国の歯科医療の質の確保は大変困難になると言わざるを得ません。私はもう歯科の診療報酬を抜本的に引き上げる以外に解決の方法はないと考えるわけですが、この問題についての御見解をお伺いします。
#109
○政府委員(黒木武弘君) 今後の高齢化社会に向けての歯科医療の重要性については十分認識しているつもりでございますし、また先生御指摘のように、歯科の経営でいろいろと御苦労をおかけしているというのもわかっているつもりでございます。
 したがいまして、今回の歯科診療報酬につきましても、賃金や物価の動向なりあるいは歯科医業経営の実態等、歯科医療をめぐります状況を総合的に勘案しながら、健全な歯科医業経営が確保されますよう所要の引き上げを行ってきたつもりでございます。
 今後とも中医協の御議論を踏まえながら、国民に良質の歯科医療が提供されますよう努力してまいりたいと思います。
#110
○木暮山人君 診療報酬の毎年の改定に関して一つ質問してみたいと思います。
 現在の診療報酬改定は、先ほども申しましたように、基本的に二年に一度の改定になっております。諸物価や人件費が毎年改定されていくにもかかわらず、二年間診療報酬が据え置かれるという状況は、医療経営にとって大きな問題であります。特に、老人保健施設のように定額の施設療養費が支払われるところでは状況はさらに深刻であります。
 診療報酬改定が毎年行われない理由はなぜでしょうか。物価や人件費に見合った改定分だけは最低限毎年行う必要があると考えますが、これについての御見解をお伺いします。
#111
○政府委員(黒木武弘君) 先生も御承知のとおりでございますけれども、診療報酬改定は中医協が行います医療経済実態調査の結果をもとにしつつ、賃金、物価の動向や二年に一度行われます薬価基準の改正が医業経営に及ぼす影響等、医療を取り巻く状況を十分把握しながら、医療費の動向や保険財政の状況等を総合的に勘案いたしまして、中医協の御議論も踏まえて行っていくところでございます。
 このような現行の方式に基づく改定によりまして、私どもは全体として医療機関の経営は適切に確保されているものと考えております。今後ともそのときどきの医業経営を取り巻く諸要素を勘案し、健全な医業経営が確保されますよう、診療報酬の改定を行ってまいりたいと考えております。
#112
○木暮山人君 それに関連いたしまして、国民皆保険の時代から現在まで眺めてみますと、改定のルールがどうしても必要になってくるのではないかと思います。駆け引きとかいろんな問題で終始しまして、本当に必要な問題というものが解決されてないということがこの約三十年間幾度か繰り返されてきたわけであります。
 一番最初の昭和三十年代の当初の医療費の配分率等から勘案して今の実情というものを考えてみますと、それが本当にはっきり浮き彫りにされてきております。あるときは財源問題、あるときはいろいろな何といいますか、政治的な力学的な問題、そんな問題にこの医療全体の報酬が左右されてきたということは、これは大変な問題ではないかと考えております。最低このようなルールの上に立ってやっているんだというようなものを私は明示していただきたいと、かように考えている次第であります。
 いずれにしましても、中医協によっておっしゃるようにいろいろ審議されているということでございますけれども、中医協そのものも今の自由な世の中におきまして、密室の中でと御討議される点もございますし、言うならば行政からある程度の意向を示唆されて、そしてそれを協議会で協議する、それをまた行政の立場で点数の張りつけとかいろんなことをやるわけでございますが、私は非常にある点において不可解な点は、これだけ複雑多岐な医療のしゃばの中で、ある予算に基づいて中身がうまくその都度いろいろと分配されてしまう、こういうことは神ならぬ人のわざとしては私はできるものではないと思うんであります。
 早い話が、医療費の中身を見ますと、どの部分がどのような分野に属し、どの部分がどのような分野に属するかというある程度の最低限の決めがあるんではないかと思うんですね。それと申しますのが、例えば物価指数や賃金指数というものがあります。医療費が上がった、その中の、じゃ物価指数で上がったのはどんな点で、賃金指数で上がったのはどんな点でという、ある程度の裏打ちがなくて、総括こんなものだよ、それも二年に一度、大体困っているようだから少し上げようじゃないかというようなことでは私は将来いろんな問題で禍根を残していくんじゃないか。
 一たんどこかでバランスが崩れますと、その崩れたバランスというのは終生ある程度修正し切れずにずっと尾を引いていく。引かれる方は現場の医療担当者でありますから、経営の点にまで響いていくのではないか。そんな点から考えますと、最低限度これのルールというものを基本的に何かお考えになっていただきたい。
 三十年ぐらい前に、昭和三十六年に社会保障制度審議会で適正な診療報酬算定のルールの確立のための方途を答申しております。それから三十年たった今日なお診療報酬改定に当たって明確なルールが確立されていないのは、私はこの点について、これはそう深くまた御答弁なさらなくともよろしいと思いますけれども、ある程度の指針だけでもお伺いしたいと思います。
#113
○政府委員(黒木武弘君) 医療費の改定のルールを確立しろ、あるいは明確にしろというお尋ねでございます。
 御案内のように、医療費の決め方と申しますか、根っこになります診療報酬体系は出来高払いを基本にいたしておるわけでございまして、したがいまして、先ほども触れましたように、毎年自然増というような形で、現在ですと五、六%の伸びを見ているわけでございます。その中で一体どういう形で改定のルールをつくるかというのは非常に難しいテーマでございます。
 しかし、さはさりながら、中医協でもこの辺の議論がなされようという段階でございまして、中医協の中に診療報酬基本問題小委員会というものが設置されておりまして、改定ルールを含めまして将来の診療報酬体系なり診療報酬のあり方ということについて精力的に議論が進められているところでございます。しかし、現行の改定の仕方、御案内のように、中医協を舞台に賃金、物価等の諸要素を勘案しながら改定幅等を決めさせていただいておるわけでありますけれども、私どもは公平な審議で公正な結論を得て適切に行われているものと承知をいたしております。
#114
○木暮山人君 そのように適切に運営されて結論が出されているということにつきましては、御認識のほどで結構だとは思いますけれども、全体の流れといたしまして、なかなかそういう点は難しい問題があると思います。
 次に、そういう適切な流れの中で考えられますことが、例えば歯科において、この間NHKのスペシャルで放送された「かめない話せない笑えない・入れ歯のハナシ」という問題が提起されて、大反響をもたらしたことは皆さんもうお聞き及びのことと思います。この反響の大きさは国民の皆さんの入れ歯に対する関心の高さと、その反面、入れ歯に対する不満が深刻化しているというようなことも示しているんではないかと考えられます。まず第一に、この問題についていかがお考えか、ひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
#115
○政府委員(黒木武弘君) 先日の入れ歯に関しますNHKの特集番組にお触れになったお尋ねでございます。
 私どももその報道に接しまして、保険診療ではほとんど良質の入れ歯が提供できてないのかということを心配いたしまして、あれこれデータを探したわけでございますけれども、平成二年に財団法人日本口腔保健協会が行いました高齢者に対する歯の咀幅機能回復モデル事業調査というのがございます。その調査結果によりますと、上下に義歯を入れている人三千人からの回答で、上下ともぐあいが悪いと答えた人は八%、上下いずれかがぐあいが悪いとした人は九%という結果でございまして、私どもは保険診療におきましても、大多数の義歯というものは良質なものが入れられ十分機能しているものと考えておるわけでございます。
#116
○木暮山人君 既に機能して非常にいいという御判断、それはそれでいいんでございますけれども、しかし、そういうことであるならば、国民の入れ歯を使用している人が二つ目の入れ菌とか、三つめの入れ歯なんということが私はないんじゃないかと思うんですね。しかし、それは一部の人だといえばそれまでのことだと思います。
 私は、冒頭に国民医療費の抑制策についてお伺いしたんでありますけれども、医療費の適正化の真髄はその効率化、むだの排除にこそあります。必要な医療を排除するものであってはなりません。しかし、御自分の入れ歯に満足できないために、多くのお年寄りが次から次に入れ歯をつくりかえ、それでも満足した入れ歯にめぐり合わない現況にあります。これは大変な医療費のむだ遣い、そして国民の皆様にとっても、そして我々歯科医療に従事する者にとっても、そして厚生省の皆さんにとっても大変不幸なことではないかと思います。
 今後の高齢社会に向けて限りある医療資源をどのように有効に使うかという観点から申し上げても、診療報酬を三倍に引き上げても満足した義歯を一つつくる方がはるかによいと考えております。実際私が試算したところでも、国民皆保険になってからこの方約三十年間、いろんな経緯はありましたけれども、今補綴物と称しまして、歯科医が入れ菌として皆様の生体を確保している中で、金属鋳造冠または抜歯と歯冠修復の点数を二倍、三倍等に引き上げてもまだまだ余り不適合な歯を何回か入れかえているよりは私はましてはないか。そういう点、一度徹底的にそのような問題につきましての医療費を洗い直してみてはいかがなものかと、かように思います。これに対するところのひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
#117
○政府委員(黒木武弘君) 私どもは、歯科医師として最善の、ベストを尽くした形での入れ歯の提供は現場において行っていただいているものと考えておりますが、それは先ほどの調査結果によっても明らかなように、お年寄りとしては大部分の人が入れ歯を入れた結果として満足している、あるいは我慢できるような歯であるという形での回答を得ていることからもあらわれていると思うわけでございます。医師として当然ながら診療報酬云々より以前の問題として歯科医師としてのベストの診療に当たるべきだし、当たられているものと私どもは思っております。
 たくさんの歯をお年寄りがお持ちになってむだがあるんではなかろうかというお話でございますけれども、やはり年とともにと申しますか、口の中の状況が変わるわけでございますから、それに合わせた入れ歯というものの製作も必要があるということでお持ちになっているだろうと思いますけれども、仮に質の悪い入れ歯が提供されたために幾つも幾つもということが起こっておるとすれば私もこれは大きな問題であろうと考えておるわけでございます。
 これは診療報酬を大幅に上げれば解決するようなそんなに短絡したものではないんではないか。やはり歯科医師としての現場の臨床としてのトレーニングの問題や、あるいは入れた直後というのはかみ合わせがなかなかうまくいかないと聞いておりますけれども、念を入れてかみ合わせがうまくいくように教育してあげる、あるいは指導してあげるという、そういう患者さんと歯科医師との協力関係とか、いろんなことを総合的に考えながら対処すべきことではなかろうかと思っております。
 診療報酬の引き上げは、先ほどからも申し上げておりますように、歯科の経営がこれからも安定的に経営できますように、私どもとしては配慮し、心配りしていくことは当然のことというふうに考えておる次第でございます。
#118
○木暮山人君 今のお話はそれで結構なことでございます。しかし、私の申し上げますのは、賃金指数とかいろんな面から、ただ医は仁術なりというような抽象的なものじゃなくて、実際、現実にちゃんと効果のあらわれるような制度のものを給付するという責任に徹しなければいけないという状況でありますが、本当にそれに誠意を持って徹していこうとするには、その一つ一つの物の価値というものがなかなか評価されてないんではないかなということをひとつお考えの中に入れていただきたいということなんでございまして、これは一朝にして解決する問題ではないと思いますけれども、やはり二十一世紀に向かってはどうしてもそういうことも考え直していただきたい。これは要望でございます。お願いしたいと思います。
 歯科の中でもそれだけじゃなくて、まだたくさん洗い直さなければいけない問題があると思います。それはいいんだよと言ってしまえばそれでいいんでありますけれども、ここで一つ一つ取り上げて質問する問題でも私はないと思いますが、認識をもう少し深めていただかなければいけない点も多々あるのではないかと思いまして、ぜひそういう点にも新たな認識をお持ちになっていただきたいと、かように思う次第でございます。
 引き続きまして、老人保健事業における歯科衛生士の位置づけと確保につきまして、今一般的には看護婦さんのマンパワーの問題が非常に取りざたされておりますけれども、歯科の周辺にも、歯科衛生士、歯科技工士という方々の協力によってこれがなされているわけでありますが、なかなかそこら辺のすり合わせがうまくいってないというような現状は、これはもう少なくとも御存じのことと思います。
 しかし、老人保健事業における歯科衛生士の位置づけでございますが、今第三次老人保健事業におきましてマンパワー確保に歯科衛生士が新たに盛り込まれたことは私は評価しているんでございますが、その内容を見ますと、地域の関係機関等の協力を得て確保するということで、具体的な人数は明らかになっておりません。
 厚生省は、市町村及び保健所における歯科衛生士の確保についてどのような量的めどを持っておられるのでありましょうか。そこら辺の御見解をお聞きしたいと思います。
#119
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘の老人保健事業における歯科衛生士の口腔衛生指導の関係でございますが、これまではいわゆるヘルス事業において在宅の保健サービスといたしまして保健婦さんによる訪問指導をやってきたわけでございます。心身の機能の低下を防止するとか、健康の保持、増進を図るとか、こういったところにポイントを置いて保健指導を実施してきたわけでございますが、寝たきりのお年寄りの中には口腔衛生の状況が必ずしも良好ではないという方がいらっしゃいます。こうした方々の生活の質を向上させる、こういう観点から口腔衛生指導が重要だと、こう考えまして、御指摘のように平成四年度から始まります老人保健事業の第三次計画におきまして、歯科衛生士による訪問指導という事業を新たに位置づけたわけでございます。
 これは要するに、保健婦さんが訪問指導をして、その当該のお年寄りを見て、これはどうも専門家による口腔衛生指導が必要だと、こういったケースがある場合に、歯科衛生士の方に連絡をして、歯科衛生士が訪問をして口腔衛生指導を行う、こういう仕組みでございますが、これまでの個別事例の調査によりますと、在宅の寝たきりのお年寄りのうちの半分程度が口腔衛生指導が必要だと、こういうことで、相手の数を把握をいたしまして、歯科衛生士さんが大体一日二人くらい指導できるという計算の上で、それに見合う歯科衛生士さんの雇い上げをできるように、その経費を四年度予算において予算化した、こういうふうな積算にしておるわけでございます。
 これがうまく動きますように、私どもは日本歯科医師会の御協力も得まして、寝たきり老人の口腔衛生指導マニュアルというものをつくりまして、そのマニュアルを参考にしながら、歯科衛生士さんが効率的にかつお年寄りの生活の質が高まるような方向で活躍をしていただくように、こういったことを今ねらっておるわけでございます。
#120
○木暮山人君 今の問題に関連いたしまして、老人施設等で行う歯科医療サービスの保健福祉サービスのあり方等について、特に衛生士さんをまた指導できるような、これはお願いでありますけれども、口腔保健管理専門医というような仮称の創設等を考えていただけたらなと、こんなふうに思うわけでございます。
 この高齢者の口腔保健に対する専門医は、第一に、歯科医師の専門的知識を必要とする教育、相談等口腔にかかわる保健の管理を行う、第二に、歯科医療サービスの必要な患者を必要に応じ医療機関に紹介し、入院の必要等に応じて歯科診療所ないしは第二次医療機関に区分けする。そしてまた、現在六十五歳以上の方々が一二%で千四百八十八万人おります。その中で寝たきりの方々が六十万人で、痴呆症の型が六十万人いらっしゃいます。一万人に対して一人ぐらいの割合にこういうような専門の歯科医というものを配属しておけば、将来、約二〇〇〇年ないしは二〇二一年には二三%、三千万人が六十五歳以上となる時代が来るわけでございますから、そのときいろいろと今から準備をなさっていけば、ただいまの衛生士の確保等につけ加えまして、より的確な対応が行われるのではないかと思いますが、このような要望につきまして、いかがなものでございましょう。
#121
○政府委員(岡光序治君) そういう御意見はよく承って検討させていただきますが、今のシステムにおきましては、先ほど申し上げました歯科衛生士さんが出かけていって口腔衛生指導を行いまして、そしてどうしてもこれは歯科としての応急処置が必要だと、こういうふうに判断をいたしましたら、主治医である歯科医師の方に連絡をして、そして必要な治療をやってもらうと、こういうことを考えているわけでございます。
 これは、こういった要するに歯科医師さんに在宅のお年寄りを訪問をして診察してもらおう、診療してもらおうと、こういうことにつきましては、今回の診療報酬改定でも、寝たきり老人訪問診察料を大幅に引き上げましたり、あるいは心身障害者の場合にはそれに加算をつけるとか、あるいは歯牙を切削する場合に、その器具が非常に重いそうでございまして、そういったものを使用する場合の加算を新たに設けるとか、できるだけその訪問診察ができるように、点数上も配慮をしたつもりでございます。
 かつ、御質問の中に老人保健施設というお話もございましたが、老人保健施設の場合には、協力歯科医療機関というのを必ず定めておきなさいということにしておりまして、その歯科医療機関の方に通院をしたり、あるいはその歯科医療機関から歯科医師さんが往診をしてくれると、こういうような仕組みになっております。
 かつ、一般の医科の場合には、この老人保健施設療養費の中で、相当なものをその療養費で賄いなさいと、こう言っておりますんですが、歯科の場合には保険診療を行った場合には、それでもういわゆる点数請求してよろしいということにしておりまして、個々の場合には制限をつけてないわけでございまして、そういう意味では歯科医療に対するアクセスは相当確保できているんじゃないだろうか、また、そういうことができるように、診療報酬上も対応したというつもりでございます。
 今おっしゃいますような専門のお医者さんを、いわばコーディネーターのような格好で置くという発想はわからないではございませんが、今のような体制を私どもはもう少し進めさせていただきたい。そういった中で、だれがそのコーディネートをすればいいのかということにつきましては、またいろいろと研究をさせていただきたい、そういうふうに考えます。
#122
○木暮山人君 今提起いたしまして、御説明をちょうだいしたのでありますが、それにいたしましてもこれにいたしましても、歯科界というもの自体、歯科医師の法的地位の位置づけというものが非常に不明確なのが現状だと思うのであります。老人保健法または障害者福祉法においての歯科医の位置づけ、そして現行の法律の施行に支障が見られ、現実ではなかなかうまくないんではないか。だから、そういう意味では早急に位置づけがなされるよう、改正していただきたいというような要望もあります。
 また、看護婦さん、准看護婦さん等の医療関連従事者の中に歯科衛生士、これはやはり厚生省の歯科衛生士法というものがあるのでございますから、これ等は明記していただきたいと思うのでございますが、いかがなものでございましょうか。
#123
○政府委員(古市圭治君) 歯科保健医療につきましては、従来の臨床的な診療だけでなくて、ほかの保健医療活動と同じように地域全体の中での活躍というものが期待されている。その中で新しい分野を明確にすべきではないかと、こういうことが期待されているわけでございます。そういうことから、私どもは、保健所の中に歯科医師が勤務していただくということを従来からも推奨してきておりますし、歯科衛生士につきましても、現在三百四十八名の方が常勤職員として保健所の中で活躍をしていただいておる、こういうようなことをさらに強化するように都道府県についても指導を続けていきたいと思っております。
#124
○委員長(田渕勲二君) 時間が来ていますが。
#125
○木暮山人君 最後に、歯科保健事業の推進について大臣の御見解をお伺いして、終わりにさせていただきたいと思います。
 歯科事業の重要性について、大臣の御見解をいろいろと前々からお伺いしております。いずれ今の国民は四人に一人が高齢になるという超高齢社会の到来に向けまして、お年寄りができるだけ最後まで自分の歯で、そして仮に入れ歯になってもできるだけ自分の歯と同じように物をかみ、味わい、話し、笑うことができるということは、まさに現内閣が提唱しておられます「生活大国」の大前提ではないかと思います。そして、そのための条件整備は、今即刻始める必要があると思うのであります。
 従来、医療の現場においては、いかに命を長く保つかという延命が大きな課題となっておりました。その中で、ともすれば歯科医療は命に直接関係することが少ないという理由で、二の次になってきたのではないかという感じがいたします。しかし、お年寄りの生活にいたしましても、これからはクオリティー・オブ・ライフの向上こそ大きな課題となってまいります。そしてクオリティー・オブ・ライフの向上のためには、歯科保健医療の拡充は必須の条件であると考えます。歯科保健医療に対します基本的認識と、その抜本的な拡充について、最後に一言大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
#126
○国務大臣(山下徳夫君) 人生において食生活は極めて重要なことでありますが、自分の歯でおいしく楽しみながら食べる、それが食生活の一番私は大切なことだと、そのように思っております。
 したがいまして、八〇二〇運動、生涯自分の歯で物をかみながら食べるということは、一番大切なことで、この運動はさらに推進していかなきゃなりませんし、また、歯科技術、歯科保健対策につきましても、さらにより高度な技術によってそういうものがまた、例えば義歯にいたしましてもより高度なものが開発されることは非常に楽しみであり、要するに歯科というものがさらに国民の間で大変大切なことだなあという認識をもっと国民も深めながら、歯科技術の発展をこいねがい、そして今申し上げましたような保健医療対策がさらに進むことを私は念願いたしておるのであります。
#127
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
#128
○高桑栄松君 それでは質問させていただきますが、きょうはどういうわけか私も歯科の方をメーンにして質問させていただきます。多分木暮委員に後セコンドすることが幾つかあろうかと今思いながら伺いました。
 最初に、エイズの職場感染予防ということについて質問をしたいと思います。
 アメリカのニューズウイークの昨年の七月に出ておったのを見ますと、現在、医師、歯科医師からエイズをうつされた患者さんになるわけですが、五名いるということが載っておりました。私が職場感染と申し上げているのは、非常に大部分は患者から医師がうつされるということを言ったわけですが、これは逆に、医師から、医師、歯科医師からと書いてありましたね。感染した人が五人いたと。
 特に問題になったのは、最近所闇をにぎわしておりましたが、キンバリー事件というのがございました。フロリダ州の敬けんなカトリック教徒、二十三歳になる女性が、昨年の十二月八日にエイズで人生を終えたと。しかし、この人は二年前に、エイズに感染をしたことを隠していた医者、歯医者さんからうつされたということで、裁判に訴えたわけであります。
 これは大変な問題で、私はさっき申し上げましたように、職場感染というのは、そういう血液を、特に血液関係を扱う医療関係者がうつされる側であって、うつすということはどう考えても私はわからないので、これは不思議な話だと思っておりますが、これについて何かインフォメーションがありましたら教えていただきたいと思います。
#129
○政府委員(寺松尚君) 今、先生御指摘いただきましたのは、米国フロリダ州の女性が三年前に受けました歯科医の治療によりましてHIVに感染し、平成三年十二月にエイズにより死亡した事件、こういうことでございまして、当該歯科医から五人が感染したと言われております。この調査は米国のCDC、日本訳は防疫センターというんでございましょうか、そこで調べた結果でございます。
 それによりますと、その歯科医は平成二年にもう既にエイズで死亡しておるわけでありますけれども、その治療を受けたことのある患者の中から五名の患者が当該歯科医より感染したことが強く疑われると判断いたしております。それはこのエイズウイルスの遺伝子の塩基配列等をチェックいたしまして、この五例がほぼ類似だというんでございましょうか、それぞれの感染を疑わせるに十分だと、こういうふうに判断したようでございます。しかしながら、このときに感染のメカニズム、どういうぐあいにしてうつったのかということにつきましてはわからない、こういうことで不明であるというわけでございます。
 それから、そのときにこの歯科医師さんはたくさんの患者さんを持っていたわけでありますが、その患者さんや従業員も陰性であったということでございます。
 これは参考でございますけれども、米国には約百五十人のHIVの感染した歯科医師さんが報告されておりまして、これらの歯科医師からの患者の感染はしかしながらまだ発見されていない、こういうようなことでございます。
#130
○高桑栄松君 私もさっき申し上げましたが、患者さんから医者がうつるのはわかりますが、医師、歯科医師から患者さんにうつるということは何だろうかと思うんですね。そんなことがあったら大変な問題でありまして、もし確率が非常に低いものであっても相手がエイズであれば、これはもう悲惨な末路をとることははっきりしています、今の段階では。ですから、これは何とかはっきりしてもらいたい。でなかったら、医者にかかること自身、非常に心配であるということが言えると思うんです。
 それから、同じニューズウイークに患者から感染したという医療関係者が、今歯科医師で百五十とおっしゃっていましたが、数字が載っておりました。ところが、これを見ますと、CDC、アメリカの疾病管理センターが昨年の一月現在で、米国の医療関係者のエイズ患者がトータルで六千四百三十六と出ております。これは相当な数でないかと思いますね。うち外科医を除く医師で七百三、外科医が四十七、これを見ますと歯科医、歯科衛生士で百七十一、そのほか看護婦、ナースで千三百五十八、これは職場感染であるものと、もう一つは別なルートで、プライベートにというか、個人的にうつしたものもあるかと私は思いますけれども、しかし医療関係者の数の中からこれだけ出るというのは相当なものでないか、私は職場感染をやはり凝るもので、パーセントはわかりませんが、私はそれを心配しています。
 そして、これは私が昭和六十一年二月九日の社労委員会で職場感染を防げ、エイズを防ぐ方法はないんだから血液、輸血検査をしろというのと、職場感染を防げ、これはできることだ、こういうふうに主張しておきました。
 特に、歯医者さんは重要でございます。口の中で出血を伴う治療が非常に多い。そして、歯医者さんの手に傷でもあったら恐らく非常に高い確率でうつりますから。それは肝炎のうつり方を見れば明白でございます。これに私は強く警告をしておきました。
 私自身も、自分の議事録から抜粋をいたしまして、都道府県全部の歯科医師会長に私からもこういう質問をいたしましたからということを出しましたが、これについて厚生省はその後どのようにフォローしているのか、どのような対策が指示され、とられているか。例えば、ゴム手袋はどれぐらいの割合で使っているかといったようなことについて、調べておったら知らせていただきたい。
#131
○政府委員(寺松尚君) 今、先生御指摘のように詳しくは私ども承知しておりませんが、先生が御質問された前後ぐらいから以降につきましてどのような対応策をしたかということをちょっと御紹介したいと思います。
 私ども、平成元年の四月にエイズに関します最新の医学的知見に基づきましたHIV医療機関内感染予防対策指針というものを作成いたしまして、歯科医師関係者等に周知徹底を図ってきたわけでございます。これはもちろん、歯科医師の方々だけじゃなくて、医師の方々にも同様でございます。
 指針の中で歯科診療につきましては、抜歯とか切開等の外科的処置を初めとしまして、血液に接触する頻度が高いことというのは先生が御指摘のとおりでございますので、「常に適切な感染予防対策を行う必要がある。」、「感染予防のためにはすべての処置にグローブを着用することが望ましい。」と指摘してございます。
 実際グローブ等の着用の実態につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、詳しく私ども調査をいたしておりませんが、今後ともそのグローブ等の着用を含め感染予防対策につきましては、歯科医師会等とも十分連携をとりながら、さらに周知徹底を図ってまいりたい、このように思っております。
#132
○高桑栄松君 ちょっと今の言葉じりをとらえるようでございますけれども、ゴム手袋が「望ましい」ということはないと思います。「しなければならない、しなかったら罰則」、それくらいのことでなかったらまず歯医者さんが感染いたします。これは外科医よりももっと感染率が高い、これは肝炎で出ております。肝炎の感染率は、普通の人が一だとすると医者は二、大ざっぱですよ、それから血液関係、手術等々の扱い者の医者が三、歯医者さんはそれより高い、これは出ておりますから。これは血液に直接触れる確率が非常に高いということでございますから、これは「望ましい」んじゃだめだと思います。殊に、医師医師さんから患者さんにうつったルートがわからないというんであったら、これはもう患者であったら大変なわけですよ。ですから、これははっきりしてもらいたい。
 だから、それは通達ではなくて調査を行って、何%着用していたか、現在と、今後は着用しなければならないという、もしエイズにでもうつったことがあったら人の命をどれぐらい保証できるかということになります。ですから、これははっきりしなければいけない。これくらいのことできるんです、セックスの教育と違いますから。これは行政でできることですから、しっかり、もうぎっちりやってもらいたい。
 殊に、今の医者からうつるというルートというのがわからない、私はもうどう考えてもわからないですね。もし私をしてこじつけさせてもらえば、かかった歯医者さんがこの辺に傷があって、逆づめか何かで、リンパ液だけじゃなくて血液が出るとしますと、血液には大量のウイルスがありますから、その患者さんが傷をつけられるわけですよね、多いわけだ、歯医者さんの治療というのは。そうしたら傷からウイルスは入りますから、これは相当高い確率でうつると思います。
 私が無理にこじつければ、その歯医者さんはグローブをしていなかったと思う。そして、その出た血液がたまたま患者さんの傷がついたところにうつったんだと思う。しかしうつらなかった患者さんは、患者さん側で傷がなかったか、あるいは歯医者さんがそのときにグローブをしていたか、何か理由がなければならない。これは科学でわかるはずですから、これはもう理屈をつければちゃんとわかるはずです。私は、もうこうなりますと歯医者さんに行かれないと思うんです。
 ですから、これは問題でございますのではっきりしてもらいたい。まず、ゴム手袋、それからもう一つは、新聞投書にもありましたが、ハンドピース、穴をあけるやつですね。あのハンドピースは消毒、ディスポーザルじゃございませんので、私は北大の歯科で見せられたんですが、百三十というマークと百五十というマークがあったんです。教えられたのは、百二十は摂氏百三十度の熱に耐える材料でつくってある。西独製であります。百五十は百五十度です。それは肝炎を対象に考えたわけですね。肝炎は百二十度で死にます、百度では死なない。そうすると、百度の滅菌ではだめなんですね。エイズは百度でいい。しかし、百度でいいといっても、百度で耐える材質でなければ材質がだめになりますから、私はどうせ消毒をするのであれば、肝炎予防のことも考えて西独と同じように百三十度あるいは百五十度に耐える材質でハンドピースをつくらなければならない、そう思いますが、いかがでしょうか。
#133
○政府委員(古市圭治君) ハンドピースの件ですが、先生御指摘のように、既に先進的に西ドイツにおきまして高熱で滅菌可能なものが開発されたということでございますが、その後我が国の材質も進みまして、三年ぐらい前から日本でも高熱オートクレーブに耐えるハンドピースができているということでございます。しかし、それは全部行き渡っているわけではございません。
 そこで、先ほど話に出ましたように、いわゆるHIVの医療機関内感染予防対策指針の中で口腔の操作に関するところでは、先生御承知かと思いますが、その中のダイヤモンドポイントのヘッドの部分はオートクレーブでやれるように、一人ごと消毒しなさいということ、それはやれます。そこは耐熱でやれます。それから、現在できないところにつきましては、ビニール製のカバーをハンドピースにかぶせて、そこをディスポーザルにする、そういうことで一応マニュアルができているということでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、そういう高熱滅菌できるようなものにだんだんと切りかわるというような状況にあるということでございます。
#134
○高桑栄松君 事態は緊急を要すると思います。患者さんがエイズにかかっているかどうかはだれもわからないわけですから、本人も知らないかもしれないんです。ですから、これは緊急を要すると思います。
 それからもう一つ、ついでに申し上げますと、先ほど木暮委員も言っておられましたが、少なくともゴム手袋、ハンドピースの高いものをどんどん使うとなりますと、その医療費はどこから出るかということでありますが、保険点数ですよね。私は、後でも申し上げますが、少なくともこれを指導するからには保険点数をこれにつけ加える準備が要ると思います。いかがでしょうか。
#135
○政府委員(黒木武弘君) 私もハンドピースなるものを見たこともございませんし、よくまだ勉強いたしていないわけでございますけれども、御案内のように、診療報酬というのは医師の技術に対する評価でございまして、いろいろそこで使われます材料だとか、あるいは光熱費等の諸経費を含めてどう評価するかという問題に帰着するだろうと思いますけれども、その辺はこれから必要に応じ、専門家であります中医協等の御審議を煩わしながら考えていきたいと思っております。
#136
○高桑栄松君 ぜひそれはやったいただきたいと思います。ゴム手袋は歯医者さん側の自分の予防手段でありますが、ハンドピースは患者さんと患者さんになりますから、これはやっぱり急いでやらないといけない。私はこれも緊急を要すると思うんです。ですから、それはしっかりやっていただきたいんです。
 もう一つは、昨年十月の新聞で見たんですけれども、ニューヨーク州ではエイズ感染の医療関係者の治療従事は制限しない。ところが、アメリカのCDCは自分の方針と相反すると書いてありました。相反するというのは、CDCはアメリカの病気管理センターです、これは制限をしようとしているように書いてあるんですが、御存じだったら教えていただきたい。
#137
○政府委員(寺松尚君) 今先生のお話はCDCのガイドラインの件だと思うのでありますが、昨年の七月にHIV感染防止のためのガイドラインというのをCDCが示したわけでございます。その中で言っておりますのは、HIVに感染した医療従事者は、特別専門委員会に相談するかまたは治療を行う場合の条件のアドバイスを受けるかしない限り、感染のおそれのある治療行為を行うべきではないというふうにしております。非常にわかりにくいんでございますが、そのようなことが書いてございます。
 私どもの方は、現時点の患者の動向、感染者の動向、確かにふえてはおるんでございますが、アメリカ等々と比べますとまだまだ少ない状況にもございます。それから先ほどもちょっと御紹介しました、医療関係者から患者にうつすというようなケースも、もちろん我が国にもございませんが、アメリカでも非常にそういう例がないような話も聞いておりまして、いよいよニューヨークのような反応も出ておるわけでございます。
 私どもは、しかしながら今後HIVの感染者あるいは患者がふえることは目に見えておると思いますので、今後いろんなことも考えながら、先生り御指摘のことも含めまして、医療現場におけるHIV感染予防対策につきましては、専門家、特に歯科医さんのことも含めまして、専門家の御意見をいただいて対処してまいりたいと思っております。
#138
○高桑栄松君 それでは、同じ関連でございますが、血液を取り扱う医療関係者の問題を質問したいと思うんです。血液を取り扱う医療関係者というのは、外科、産婦人科等、手術が全部入ってきますね。それかり問題は救急看護の場合、事故なんかで出血をしたときどうするのかというのが入ってまいりますね。それから昔は呼吸がとまったらマウス・ツー・マウスでやったわけですが、今やマウス・ツー・マウスはちょっとできませんね。危ないわけだから、これはできないと思うんですね。そういうことがあります。それから死体を取り扱う仕事がございます。大学ですと病理解剖室であります。それから監察医務院ですと行政解剖がございます。それから法医学教室では司法解剖がございます。
 こういう方々のは、いずれも突発的に起こってくる取り扱いでございまして、事前にエイズをチェックすることは非常に難しいということが考えられますが、しかし、エイズを急いでチェックすれば数時間のうちにデータが出るということでありますから、実時間は厚生省から伺うと二時間半で一応テストができるそうでありますから、プラスだけでいつでも三、四時間、四、五時間でできるわけでありますが、そういうことだろうと思うんです。
 それで、今申し上げましたように、血液を取り扱う仕事をしている人たちの肝炎感染率が高いということは、エイズにも感染する確率が高いのと全く同じことでございますから、これは言えるわけであります。英国の外科医協会だったと思いますが、手術をする患者についてはすべて本人に断りなくエイズ検査をすべきだ、それがだめなら手術はやめたというぐらいの強硬な意見があってもめておったと、結論はわかりませんが、出ておりました。
 きょう申し上げたいのは、この人たちのことも既に昭和六十一年十二月には言ってありますが、私がさっき申し上げましたように、現時点で我々がとり得る予防手段というのは、献血血液のチェックと職場感染の予防だけはできる、これだけはしなければならぬのだと申し上げました。そこで、私のところに意見が上がってきておりますので、そのことを申し上げたいと思うんですが、大学なんですけれども、法医だとか病理だとかそういうところ、手術場も言えば同じことになるんだがなと思いますけれども、こういうところからバイオハザード対応システムを完備したい、生物学的な危険を防止する、そういうシステムをつくりたい、言葉はバイオハザード対応システムというふうに私は聞きました。金がかかることだと思います。
 例の遺伝子実験なんかでP1、P2、P3、P4とかというのがありますが、P3くらいのところに当たるかなと思いますけれども、こういった施設をぜひ、特に問題のエイズのリスクのことを考えると、取り扱う人たちが安心して仕事をするにはそういったシステムをつくりたい、こういうことを言ってきておりますが、さらに私たちが学生のころ、今もそうだと思うのですが、病理解剖なんかですと、すぐそばに段々がありまして、そこに我々学生が見おろしていたものです。あれもいろんな意味でよくないのではないかというので、遠隔で、例えばハイビジョンでちゃんときれいに見えるというようなシステムも整備したいということを言っておりますが、これについて厚生省並びに文部省に、教育のことでございますから御意見を承りたいと思います。
#139
○説明員(喜多祥旁君) 大学病院におきますエイズ、肝炎等の感染を予防いたしますために、特に血液を扱う場合等はゴム手袋等を着用しておりますし、機器の消毒であるとか、あるいは感染性廃棄物の適正な処理というものに努めておるところでございます。
 特にB型肝炎につきましては、新規採用の戻師、医療関係職員等に対しまして予防接種を実施し、院内感染の予防に努めておるところでございます。また、手術等によります血液の処分につきましては、感染性廃棄物といたしまして、厚生省の医療廃棄物処理ガイドラインに基づき適切に処理をいたしておるところでございます。
#140
○政府委員(寺松尚君) それでは、私どものエイズを担当している立場から申し上げたいと思います。
 これは、先ほども御紹介いたしました私どものHIVの医療機関内感染予防対策指針というものに基づきましていろいろと感染予防対策をお願いしておるわけでございます。これは一応その時点で最新の知識によりましてつくったものでございます。そこでその指針の中には、医療器具等については清潔を保つように、できるものはディスポーザルにする、それから感染者専用とすることというようなこと、またHIV感染者の診療や汚物処理、汚染器具を取り扱う際には必要に応じ予防衣、マスク、グローブ等を着用するように指導しておるところでございます。
 いずれにいたしましても、今後ともこの指針を一層徹底することは当然でありますが、感染防止のための研修会もまたやりまして、医療機関におきます院内感染防止対策の推進に一層努めてまいりたいと、このように思います。
#141
○高桑栄松君 今までのお話、文部、厚生両方とも今までのとおりでいいみたいに聞こえちゃったんですけれども、東大の医科学研究所では一九八九年に医科学研究所で感染防御解剖室というものをつくったそうです。これが一つのモデルとして私のところに、耳に上がってきたんだと思いますが、今まででいいというのは、現場の人たちは大変そうでは困ると言っているわけでありますので、ここで議論をすることではないと思いますから、それぞれの学会の方々とも文部省も十分に相談をしていただいてできるだけの施設はしてあげないと、安心して職場で仕事ができないんじゃないか。
 例えば、法医学なんかは余り志願者がいないですよ。ですから、そういうところがまさにもっと危険であるとなれば、ますますいなくなると思うんです。月給上がらないんですから、せめて施設だけはよくしてあげるということをお考えいただきたい、こういうふうに思います。
 この問題につきまして、職場感染の予防全般について大臣に御見解をお伺いしたいと思います。
#142
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどからいろいろお話がございました。ただ、エイズという病気自体が非常に新しい病気でございますし、したがってまだ医学的にも解明されていない面もある。しかし、先生のお話を先ほどから聞いておりましても、感染系統についてはもうはっきりしているようでございますし、ここまでまいりますと、やはり医師の倫理性というのが問われると私思います。したがいまして、病院において感染することはもうこの時点においては絶対あってはならない、そのように私はきょう先生のお話を聞いて深く感ずるのでございます。
 したがいまして、行政当局としても最大限にそういうことのないように今後は指導してまいりたいと思います。
#143
○高桑栄松君 ありがとうございました。それではよろしく大臣、お願いします。
 次は、歯科医師に関する歯科診療と歯科医師国家試験について伺いたいと思います。
 もちろん、インパクトを受けたのはNHKスペシャルでございまして、一月二十九日の放送でございますが、私も医師と歯科医師ですから、親類づき合いなわけでございますが、なるほどいろいろと問題があるということはよくわかりました。きょうは、その問題について少しばかり私の考えもありますし、質問をさせていただきます。
 まず、歯科医師国家試験の最近の漏えい問題が耳新しくまた残っている事件でございますが、この経過について簡単にひとつ教えてください。
#144
○政府委員(古市圭治君) この事件につきましては、歯科医師国家試験委員でありました鶴見大学の花村教授が、平成四年の二月六日付で歯科医師法違反によって起訴されたということが事実の発端でございました。
 私どもも、それまでは全く承知しないことでして、寝耳に水という状況でございました。そこで、早速鶴見大学の方に問い合わせまして、鶴見大学では学内に調査委員会を設けて、その中間的な調査報告書をいただきました。
 どうしてこういうことが起こったかということでございますが、その調査結果によりますと、この不祥事件は花村教授の受験生のためを思う余り、単独でなしたことであるけれども、まことに遺憾なことである、この時点ではこういう報告でございました。
 私どもは現在、いろいろ関係審議会の意見等を聞いて、大学からも話を聞いているわけでございますが、最終的には五月、来月に公判が始まるということなので、そこで起訴の事実というものが明らかにされる、このことによって最終的な判断をしたいと思っておる次第でございます。
#145
○高桑栄松君 大変困った問題だと思いますが、これは私も医師養成の大学で学生を教えた一人といたしましても、こういうことがあっては師弟関係の信頼どころか、国民への信頼を失うのではないか。私は厚生省とは別に、医師養成機関にいた人間として、非常に厳粛に大変なことをしてくれたなと、こういうふうなことを思った次第であります。
 ところで、これを一言にして表した人がおりまして、ペーパーテストだから起きたのであって、実技試験があれば漏えいはない、見せてしてもいいんだ、こういうことでございますが、これについての何というか、国家試験の変遷みたいなものを含めてちょっとコメントをいただきたい。
#146
○政府委員(古市圭治君) 先生のお尋ねの趣旨をもう一つちょっと理解しかねるところがあるわけでございますが、いわゆる医師国家試験、歯科医師国家試験等が、ペーパー試験がほとんどでございまして、実技試験が伴わないということで、それが一つのバランスに欠けるんじゃないか、このような御指摘かと思います。
 このことにつきましては、先生の時代もそうでございましたし、私の時代も口頭試問があって、ペーパーテストができなくてもそのときの態度がまことに医師、歯科医師にふさわしいという印象を与えれば合格したというような話が巷間言われておりましたが、それは事実どうだったか私はわかりませんが、実技試験につきましては、歯科医師国家試験につきましても従来はやられていたということでございました。これは患者さんを対象としたものと、それから模型を使ってという二つの分野が行われておりまして、ただ患者さんをこの試験に参画していただくというのは、実際それに協力していただく人が難しい、人が得られないということで三十九年から廃止になりまして、あと実技につきましては模型でやっていたという状況でございました。
 この模型による実技試験につきましても、何年かやるうちに試験問題が固定化してきて形骸化してきたという御指摘がございました。また、その結果、評価が試験委員の主観による判断が入りまして、客観的な評価が行われないんじゃないか、こういう御批判がございました。また試験期間が長期間にわたって、受験生が多くなってくると、それに長期間試験委員を拘束するというのは実態上無理である、こういうことがございまして、いろいろな審議の結果、五十七年の第七十二回の試験を最後に実地試験を廃止した。
 そのかわり、その審議の過程でそれにかわるものとして、五十八年の七十三回からは臨床実地問題が客観的な問題として六十問がやられた。先ほどお尋ねの鶴見大学の件は、この六十間の中から一部が生徒に伝わった、こういうことになったということでございます。
#147
○高桑栄松君 局長は私をそんなに若いと思ったのかな、同じころ口頭試問受けたと。僕のときにはないんです。全く一番難しい試験ではなかったかと。卒業試験受けるとすぐ医師免許証がいただけまして、非常に厳格な卒業試験を受けたということでございます。先生のころは実技、レントゲンなんかも見たんでしょう。見せられてやったんですね、時間を食ったと思いますけれども。それなりにみんな真剣にレントゲンを読むことを勉強したわけです。ですから、局長なんかは大変レントゲンも読める。
 臨床実地筆記試験という今のペーパーテストがこれにかわって出てきたんですが、これを補綴学会が六十三年十月に調査をしたのがございまして、これによりますと、実地にかわるものとしては不十分であって改善を要するということが七七・六%のアンケート結果でございます。ですから、ぺーパーテストというのはしょせんぺーパーテストであるということではないかと思うんですが、この問題はまた国家試験の問題のもうちょっと後で申し上げますが、年前の実地教育というのがどうなっているか、今まで変遷してきたのが文部省の調査で出ておりますけれども、さわりのところを紹介していただきたい。
#148
○説明員(喜多祥旁君) 臨床実習でございますが、昭和六十二年に調査いたしましたところによりますと、平均で千三百八十時間となっております。その後時間数については調査を行っておりませんが、臨床実習の時間そのものよりも、その内容が実技でなく見学中心になりがちな傾向にあるということを聞いておるところでございます。
#149
○高桑栄松君 それで、歯科の教育と医科の教育との大きな違い、私は大変歯が悪いんで八〇二〇なんかとんでもない、八〇まだなりませんけれども、八〇のときはゼロゼロでないかと今思っているぐらい情けない歯でございまして、もっとも、十人兄弟の私は八番目でございまして、カルシウムがおふくろにはなかったのではないかと。当時栄養指導が大変よくなかったのかなと思うのでございますけれども、歯がだめなんです。それで話にならないんですけれども。
 問題なのは、なるほどと思ったんですけれども、それだけ歯医者さんに親しくいろんなことを診てもらいながら聞いてわかったんですが、医者というのは診断をつけて指示すれば、仮に看護婦さんがやろうとだれがやろうと自力更生をやると、患者さんは。みずから修復をしてくる。確かにそうですね。免疫力があって治るんですから。ですから、自前で修復するのが医者の方の治療側だと。歯医者さんは、歯を取っちまったら自力で歯が出てこないわけですよ。これは本当に歯なしなわけですね。ですから、これは全く技術以外はないんだと。一〇〇%技術である。外科ですと、技術が少し、仮にちょっと曲がって切開しても治ってしまえばわからなくなる。歯医者さんはそうはいかないですね。ですから、もう一〇〇%違う部分は、自然治癒力というか自然回復力が歯の部分ではないところが非常に多い。
 したがいまして、実技の教育が要るのであって、見学ではだめだということであります。簡単に言いますと、見学で手が動くわけないんですから。だって、見学しているのか、本当はよそ向いているかもしらぬし、考えているかもしれませんものね、余計なことを。ですから、見学はだめなんですね。手が動かなければだめである。という意味で、自然修復の行われない部分はどうしても技術の良否が問題になってくる。したがいまして、基本的な技術を習得してもらわなければ歯医者さんは困るんではないか。
 それから、歯医者さんは我々見ておりますと、開業医さんは口腔外科専門ですとか保存専門ですとかといってやっていませんものね。全部お一人で始めから終わりまで、つまり小児科から老人科まで皆一人でおやりになりますから、その意味では、どうしても技術の部分が重要視される。したがいまして医学教育と歯科医学教育は違う。これは重要なポイントでないかと私は思います。そして、これは充実すべきであるというのが今の六十二年九月の文部省の調査資料に載っていますよ。充実すべきであるという提言を行っております。実地の教育を充実すべきであるということであります。
 これと車の両輪をなすのが卒後臨床研修だと思います。これは六十二年から実施をされておられる。医者の方でもやっておりますけれども、医者の方も、どうも私はあれは中途半端でうまくないんじゃないかと思っておりますが、歯医者さんもその意味では同じように私は思います。これは文部省の提供していただいたデータによりますと、卒業生の約三割が研修を受けている、七割は卒後研修を受けていない。この理由は何でしょうか、伺いたいと思います。
#150
○政府委員(古市圭治君) 卒後の臨床研修につきましては、御指摘のとおり昭和六十二年から行っておりまして、その間、スタートのときには実施率が一八・四%でございました。非常に重要なことであるということで、毎年その充実に努めてまいりまして、平成四年度では三五%を超すところまできたということでございます。
 これが医師のように上がらないという理由は二つございまして、一つは受け入れる機関と申しましょうか、研修機関でもってそういう人たちが実技の臨床研修をするという場所が少ないというのが一つと、それからもう一つは、国が補助金を出すことでございますから、その実態も少ないということから予算の伸びも少なかった、こういうことから現在この数字にとどまっているということかと思います。これは、さらに私どもはこの充実強化に引き続き努力をしていかなければならないと思っております。
#151
○高桑栄松君 NHKスペシャルが指摘しておりましたのは、ドイツでは歯医者さんは二年間の卒後研修でこれとこれとこれとこれというノルマがあってそれをしないと保険医の免状がもらえない。これは非常に重要なポイントでございまして、何かの資格とリンクしておりますと絶対しなければならなくなるわけでありまして、日本のはそれがないということであるし、承りますと米国ではナショナルレベルの国家試験があって、各州ではそれぞれ厳重な条件で臨床研修を条件づけてやっているというふうに私は聞きました。
 それで、私が提言というか、考えてもらいたいと思うのは、日本の歯科医学はドイツをモデルにして始まったというふうに聞いておりますが、この卒後研修につきましてもドイツの方式を取り入れるような方法はないか。今の局長の御答弁だと受け入れ体制がということでありますが、それはもちろん受け入れ体制を整備しなければいけないと思いますけれども、そういう条件でこれを必須にすることは、学生さんが試験となるとこれは一生懸命になるんですね。試験しないとなると何もしない。これは我が身に照らしてもそうだと思うんです。皆さんみんな同じじゃないかと思いますから、試験をするというのは一つの方法論なんですね。そういったことを考えられないかということであります。いかがでしょうか。
#152
○政府委員(古市圭治君) 先ほど申し上げましたような実態でございますので、そういうものが整わない状況でこれを一方的に必須にするというのは現実的には無理かと思います。
 そこで、こういう卒後の臨床研修のあり方も含めて検討していかなかったらいけないわけでございますが、しかしその前段階といたしまして、国家試験を行いますのは、いわゆる学問の知識と、それから歯科の場合には、殊に先生が御指摘のように実技というものがあって卒業するわけでございますから、大学の中でやるべき技術は十分に実をつけて卒業をしていただきたい。
 NHKの例がよく引用されておりましたが、あの中でもさる中京の大学では実に立派な研修を今の制度の中で大学在学中にやっている、ああいうことが行われるならば現在の医師国家試験でも十分ではないかという説も成り立つわけでございまして、年前と卒後全体を通じてどのように歯科医師の技術を高めていくかということにつきましては、また私どもだけでなくて文部省とも協議をしていきたい、こういう気持ちでおります。
#153
○高桑栄松君 私は賛成です。
 それでもう一つ承りたいのは、さっきの文部省の調査によりますと、歯科矯正と補綴と保存、この三つの分野で五六%が大学院レベルの留学生だそうです。そうすると、補綴と矯正と保存というのは、今のほとんど歯の方の直接のものですから非常に重要なので、留学に来た人たちが先進国日本は何だと、実技教育はほとんど実習がなくて見学に回ってきた、時間がどんどん減っているではないか、それから卒後研修、三割ですよと。こういう状況で、外国から来た、つまり留学をしてきた人たちに先進国日本の歯科教育をしかと見せてもらえないのではないか、こう思うわけです。ですから、国際化の中で先進国としてのレベルで実技教育を年前、卒後とも行うべきであると私は思いますが、お考えはいかがでしょうか。
#154
○説明員(喜多祥旁君) 昨年七月、それぞれの大学が積極的にカリキュラム改善というのが行えるよう、大学設置基準というのがございますが、これを大綱化、弾力化したところでございまして、各歯科大学におきましても現在カリキュラム改善というのに取り組んでおるところでございます。そのカリキュラム改善の一環といたしまして、実技機会の増加を含む臨床実習の充実ということについて、積極的に取り組みを各歯科大学に促してまいりたいというふうに考えております。
#155
○高桑栄松君 時間もだんだん減ってきましたので、入れ歯の方に入りたいと思います。
 先ほど同僚委員がクオリティー・オブ・ライフということをお話しされましたが、私はさっき言いましたように、もう八〇ゼロゼロではないかと思っているぐらいでございますので、歯は非常に重要であると思います。歯がちょっと痛くても物が食べられない、食べられないと物を考えることもできない。それじゃ歯がみをしようと思っても歯がないとか、これ大変なことでございますが、確かに大臣が言われましたように、三度の食事というのは人生の中で非常に行事としてはウエートが高いですもんね。これはすごいもんだと思いますよ。それから食事の楽しみというのは、日本人は早飯何とかと言いますけれども、ヨーロッパ人はゆっくり食べますし、これから生活のゆとりというと飯を食う時間もゆとりに入るんじゃないかと思いますね。そこで、先ほど黒木さんが答弁の中で言われましたが、日本口腔保健協会のデータで、だめなのは一〇%以内とおっしゃっていましたが、僕は読んでみたんですけれども、あれを見ますと上あごで入れ歯のぐあいがよいと言ったのが五八%で、よいと言わなかったのが四二%になるんですよね。だめだと言ったんじゃなくて、よいと言わなかったのが四二%。下あごで見ますと、ぐあいがよいと言ったのが五二%、よいと言わなかったのが四八%。ほぼ半分がぐあいがいいとは言っていないのです。いいと言わないのは何だと、ひょっとしたらあきらめているんじゃないですか。
 だって、抜いてもぐもぐと食っているのがNHKスペシャルで出ました。アメリカヘ留学をした、アメリカで何年もいたあるドクターが私にほんの二、三日前に言われたことで、僕もなるほどと思ったのですが、きんさん、ぎんさんのあのきんさんの方でしょう、歯がない方、もぐもぐするのはきんさん。あのきんさんをテレビでやってみんながもてはやしているのは、日本の歯科医療がどんなに哀れであるかということを世界に見せているのではないか。歯がないで百歳とは何だと。もっとも歯があったら百二十歳まで頑張られるかと思いますけれども。あれは日本の恥であると、日本歯科医療の恥である。もぐもぐしているのは何ですかという。
 それは確かにこんな顔ですからね。歯がないというのはこんなような顔になりますよね。これ、大体歯のない人の顔だと思えばいいんです。歯があるともうちょっとこうなるんですから。――何か話が少しそれちゃいましたが、だから、日本の恥でないようにしてもらいたいということであります。
 またNHKスペシャルですが、我が国の入れ歯の人口は一千万、半分は合わないと言っている。このデータは、私もう一度子細に見てみたんですが、一般歯科医千人、六十五歳以上の人千人に対するアンケートです。ですから、これがランダムサンプリングであれば相当なはっきりした世論になります。千名ずつです。そういうことでございまして、そのNHKは半分は合わないと言っている。この合わない歯を合ったと言い含めるわけにはいきませんので、これに対してどういうふうにこれを受けとめておられるのか。これでいいとおっしゃっているんだろうか、いかがでしょうかね。
#156
○政府委員(黒木武弘君) 先ほどの私の答弁を引用されたので、私からお答えをいたします。
 先ほど引用しました財団法人日本口腔保健協会のアンケート調査でございますけれども、三千人からの回答でございます。ぐあいがよいと言っているのは御指摘のように半数でございますけれども、悪いと言っているのが一〇%弱と、その間というのは我慢できるという回答でございます。これをどう評価するかでございましょう。
 したがいまして、私どもとしては歯科医師というのは最善の入れ歯を入れるべく努力をされているはずでございますし、またしておられるわけでございますから、私どもはぐあいの悪い歯はやはり一〇%以内ではないか。ただ、これは個人的な主観が入るものでございまして、御集村のように、入れ歯というのは人体から見ると異物でございますから、完全にもとの自分の歯と同じようにということから見ると、ぐあいがいいということには入らないけれども、この歯でもって十分生活ができる、我慢ができるという回答ではないかと私どもは評価しているわけでありまして、それとまた、保険診療なるがゆえに粗悪な歯が入っているというところは、少し短絡的な結びつけではないかと先ほどお答えをいたしたわけでございまして、御理解いただきたいと思うわけでございます。
#157
○高桑栄松君 では御意員申し上げます。あなた入れ歯はないんでしょう。
#158
○政府委員(黒木武弘君) はい、全部自分の歯でございます。
#159
○高桑栄松君 そうでしょう、だからそんなことを言っているんだよ。冗談じゃない。私に聞けばすぐわかるんですよ。
 ぴったり合っていると思ってもほんの少し、ゴマみたいにでっかいのじゃなくても、ゴマの何分の一がみたいな小さいのがひょっと入っても、もう人の前も構わず洗面所に行って歯を洗わないと食べられませんよ。あなたは自分の歯だからです。人の痛みなんかわからないです。今度、歯が入れ歯になってからこの答弁を聞きたいと今思っておるところであります。
 そこで、歯科診療について、NHKでありますが、保険だけで成り立つか、三四%、成り立たない六五%であります。合わせて九九ですけどね。それで、成り立つというのは上下で合わせて、例でありますが、五万八百二十円、五千八十二点ということですね。ところが、自費診療になりますと五十五万二千八百円、約十倍であります。ただし、私は値段は別としまして、どうも歯医者さんの方は保険ではいい歯が入れられないということのように思うんです。自費診療ならばいいのが入るというのは、日本の健康保険の基本方針に反するのではないか。医療の場で言いますと、国民皆保険というのは、いつでも、どこでも、だれでも平等に医療を受けられる、これが日本の世界に誇る皆保険であります。しかし歯だけは歯が立たない、これは保険ではやれない、こういうのが一般の話だと思いますよ。あなたもきっと歯がとれたときに、保険ではだめだというのがわかると思います。僕はそう思う、思うだけでございますから。
 ですから、保険の点数を上げなければいけない、なぜかと言うと、歯型ができて調整をして入れるけれども、ちょっとぐあいが悪いというと直す、二、三日してまたぐあいが悪いといって直す。またしばらくすると食べられないといって外すわけですからね、食べて食べられないんだから、また直す。何十回もかかると、これが点数にならないと書いてありますね。ほとんど点数としてはならない、調整料というのは非常に少ないということだと思いますよ。そう言っていましたよ、NHKの方ではね。三十何回かの調整料になっていました。
 そういうことでございまして、ですから、保険点数を上げなければいけない、保険でやらせようと思ったら上げるべきだ。どれくらいというのがアンケートがございまして、これは千人の歯医者さんのアンケートですから相当な信頼度があるかと思いますが、一・五倍一三%、二倍三三%、三倍二七%、四倍にしろ一八%。二倍と三倍が一番多いですね。二倍、三倍のあたりが非常に多いです。合わせて六〇%でありますが、京都大学の経済の西村教授が批評しておりまして、まあ二倍あたりがいいところかなと。これでいくと保険料としては六百億円アップになるだろう。そういたし岳すと、全医療費を二十兆円としますと歯科の部分が一〇%だと言っていましたが、全医療費の〇・三%でありますね、ということでございました。
 だから、保険点数を上げるべきである。健康保険の精神からいっても、保険で入れ歯がちゃんと快適に入れられるといっても、一〇%のだめな人は我慢しなさいというわけにはいかないと私は思うんだな。だから何としてでも、全部が我慢しなくてもいいというところまでいってもらいたい。そうすると、やっぱり二倍ぐらいのところがいいんじゃないか。御見解、承れますか。
#160
○政府委員(黒木武弘君) 診療報酬の世界のお話でございますけれども、これまでも良質な入れ歯が作成、提供されるように、改定の都度私どもは引き上げてきたつもりでございます。いい入れ歯が入り、そして老後の食生活が楽しめるというのは、まさしく私どももそう念願をいたしておるわけでございます。しかし、点数が低いからということと結びつけられると、私どもは心外でございまして、やはり国民の理解も必要なことでございます。
 歯科のお医者さんは、二千万ぐらいの所得を得られているという理解を私どもはいたしておりますけれども、その中で歯科医師が御苦労されているのも評価をいたしております。したがって、これをどう国民の理解を得ながら適正に引き上げていくかというのが私どもは重要と考えておりまして、今回はこれまでも一%前後の引き上げ幅であったものを今回二・七%の引き上げにいたしまして、特に初再診等を中心に私どもは診療報酬全体を考え、そして歯科医業経営全体ができるように配慮しているつもりでございまして、補綴のところだけ見て、そしてそれなるがゆえに、良質の入れ歯が自由診療じゃないから入れられないというのは、どうしても先生、私どもは納得ができない御議論の展開ではなかろうかと思っておりますので、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#161
○高桑栄松君 厚生省が納得できなくても、国民の側も納得できないということだろうと思うんです。納得じゃなくて我慢ですからね、これは歯が痛いんだから。私は義歯の問題というのは、たまたまNHKで取り上げたけれども、入れ南人口一千万人とか、高齢化を迎えては、これはまずポイントとして立ち向かうべきことではないかと思うんです。
 ただ、あと私、ちょっと問題が二問残っていますので、それをやらせていただきたいと思うんです。
 歯科技工士の問題が論じられておりまして、あれを見ますと、労働条件から労働時間から報酬から、すべて普通のサラリーマンに比べて二、三〇%劣っていると。これを何とかしないと、離職者がふえているということが出ております。ですから、これを考えますと、歯医者さんの医療の中で、歯科技工士の占めるウエートは調整の時間等々を考えますと、やはり重要であります。
 私は、その中で言われていたことと、それからいろんな白書みたいなのがありますね。歯科技工士教育白書が平成元年二月に出ておりますが、こういったのを勘案いたしますと、一つは、歯科技工士の身分を保障するために、現在各種学校である教育制度を高等教育、つまり短大または学部へ昇格をするということをお考えいただくのが、まず一つの歯科技工士の身分を保障するという意味で大事なことではないかと思います。これをひとつ急いで答弁していただいて、もう一題やらせていただきたいと思います。
#162
○説明員(喜多祥旁君) 歯科技工士教育を充実し、研究を推進し、そして歯科技工士学校の教員の養成を図るという観点から、大学、短期大学を設置すべきであるという御意見があることは承知をいたしております。
 歯科技工士養成に関する大学、短期大学の設置に関しましては、具体的に設置したいという相談がございました場合に、大学設置・学校法人審議会の意見を聞きまして、その可能性について検討させていただきたい、かように思っております。
#163
○高桑栄松君 それでは、最後の試験のあり方について質問をさせていただきますが、これは文部省と、国家試験は厚生省ですね。
 一つは入試でありますけれども、歯医者さんはどうしても実技が一番ウエートが高い、こういう歯科の教授方からのお話を承っておりますので、入試のときに既に素質を検査する適性試験というふうなことを参考資料として取り入れる考えはないか。これは入試の問題であります。素質の適性検査を一つの資料として導入する考えはないか。
 二番目は、国家試験であります。先進国は非常に厳しい実技試験を課している。日本もかつてそうであった。しかし、手間だとか暇だとか金だとかいうようなことで次第に実技試験がなくなってきたけれども、この復活を要望する声は、例えばNHKのスペシャル番組でも、復活すべき、千人の一般歯科医でありますが、開業医さんでしょうね、五二%が復活すべきだと言っております。必要ないというのは三八%になっております。五二%復活です。
 それからもう一つ、日本補綴学会のアンケートでは、実地試験にかわるものとしての臨床実地問題というぺーパーテストは不十分であるから、改善の要がある、七七・六%です。そして、改善方針はどうだ、適当な方法で実地試験を導入(復活)せよというのが五六・五%、それから、ほかの幾つかの条件はありましたが、それと今の復活を併用せよというのが九・七%、トータル六六。二%が復活側であります。
 これを見ますと、NHKもそれから日本補綴学会も過半数以上が復活を希望しております。復活の方法はいろいろありましょうが、私の聞いている歯科の教授方のお話では、方法論を検討すればやれないことはないのではないかと言っております。このことについて文部省と厚生省、御答弁いただきたいと思います。
#164
○説明員(喜多祥旁君) 入学試験におきまして、歯科医学を学ぶ資質、愚性を有する学生を選ぶということは極めて重要なことでございます。各歯科大学におきましてさまざまな入学選抜の方法につきまして工夫をいたしておるところでございまして、平成三年度入学試験におきまして、面接を導入している大学は二十九大学中二十五、小論文を課しております大学は十九、適性検査を行っております大学は三、デッサンや彫刻、ピンセットによる作業などの実技試験を行っております大学は三大学というふうになっております。
 文部省といたしましては、各歯科大学におきますこのような入学者選抜の改善の成果、その状況を踏まえまして、各歯科大学がさらに入学者選抜の改善に積極的に取り組むことを機会あるごとに促してまいりたい、かように思っておるところでございます。
#165
○政府委員(古市圭治君) 歯科医師国家試験の実技の復活につきましては、引き続き慎重に検討していく必要がございますが、具体的には現在歯科医師国家試験制度改善委員会というところで検討をしているわけでございます。先生の御期待のようなこととは少し薄いんじゃないかと思いますが、具体的な改善に向かってここで十分審議をしていただきたいと思っております。
#166
○国務大臣(山下徳夫君) 最後の御質問だそうで、私には御質問ございませんけれども、先生の御意見に非常に私は賛意を表するものでございます。
 先ほど来、技術のことについてはもう一貫しておっしゃっておりました。まあNHKのアンケートかなんかでもって、局長から我慢できるというのは四〇%あったと言いますが、それは我慢のしぐあいでございます。私は歯を入れています。それで、あなたの歯は必ずたくあんがかめるようにしますよと、これは厚生省の歯科診療室でございます。とうとう今もうバリバリたぐあんがかめるようになりました。たくあんがかめるようになって、これは本当に我慢ではない、すばらしい歯だというその実感を私は今味わっていて、したがって我慢することはない。本当によくなる歯というのはたくあんでも食べられなきゃならぬという気持ちを深くするのであります。これは技術であろうと思っております。
 私はさっきから思っておりましたけれども、自動車の運転免許もそうでございますね。これは筆記試験だけで幾ら法規やったってだめでございます。だんだん実地、しかも路上運転が大事になってきたし、それから試験を通って一年間は初心者マークをつけますね。これは技術がまだ不十分であるということで、これは法の適用が違います。仮にそうでない場合は一方の方が、要するに、初心者マークつけた場合は、相手にぶつかった場合に余計罪が課せられる、初心者マークをつけている場合には用心して通れということでございますから、これは技術が非常に未熟である。
 私は歯科もそうだと思いますから、先生のおっしゃるように、それ等にかんがみて、技術を評価するような方向へと向かうべきであると、このように思っております。
#167
○高桑栄松君 どうもありがとうございました。終わります。
#168
○沓脱タケ子君 医療問題が集中して問題になっておりますが、私も国民医療をよくする立場で、むしろ国民医療を左右する重要な要素であります診療報酬についてお伺いをしたいと思います。
 今、看護婦問題が重要な社会問題になり、また国民の側は、いつでも安心してよい医療が受けられる医療体制というものを切に求めているという状況でございます。
 今日、この十年間見てみますと、病院、診療所の経営を左右する診療報酬というのは実質的に平均二・六五%に抑え込まれているんです。この十年間に物価の値上がりは二二・五%、人件費は四二%。こうした状況で医療機関の経営というのは大変深刻になっておることは御承知のとおりです。自治体病院の八割が赤字、民間病院の六割以上が赤字ということが報道されています。
 そういう結果が従業員の処遇に響き、看護婦不足、待遇改書の要求という形で鋭くあらわれてきているというのが今日の状況ではなかろうかと思います。そういう結果、医療関係者、日本医師会、日本歯科医師会、病院団体等からは、せめて今日の状況の改善のためには七ないし一〇%の引き上げをしてほしいというのがかねがねからの御要望であったことも御承知のとおりでございます。
 政府は、さきに成立をいたしました健康保険法の改正によって、診療報酬の引き上げの要求にこたえるべく千三百十億円の原資を上手にひねり出したといって、払お褒めを申し上げましたけれども、それでやっと今回五%、実質二・五%の診療報酬の引き上げを行って、ことしの四月一日から実施をされているところであります。
 ところが、今回のこの改定につきましては、引き上げ幅においても大変不十分だと、またそれ以上に、その内容についてもこれは大変だということで極めて不評であります。日本病院会の大道常任理事の方はこう言っておられます。日本の病院の今後に勝負があったんじゃないか、都市型の中小病院が軒並み壊滅する、そこまで言っているわけでございます。
 さて、そういう不評と言われる内容でありますけれども、これは、まさに国会でまだ審議をしていない医療法の改正案の先取りが診療報酬の実施という形で、経済的な状況によって左右されて、そういう診療報酬の実施という形で医療法改正の先取りをしたんではないか。こういう意見というのが非常に強いわけですけれども、いかがでございましょうか。
#169
○政府委員(黒木武弘君) まず、医療費の引き上げでございますけれども、大変不十分で不満だという御指摘でございますけれども……
#170
○沓脱タケ子君 いや、聞いたことだけにしてください。そうでないと時間がないから。
#171
○政府委員(黒木武弘君) じゃ一言だけ。
 医療費が十年で二・六%しか上がってないという御指摘ですけれども、先ほども触れましたように、医療費は毎年一兆円ずつ数%の自然増、これは出来高払いで払っているためにそういうものがあるわけでありまして、そういう状況を踏まえながらの私どもは改定措置ということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 医療法との関係でお尋ねでございます。私どもは診療報酬も医療法も私どもの目指しております理念は共通でございまして、これからの高齢化社会を踏まえまして、良質な医療を効率的に提供していこうではないかという省内の厚生省としての基本スタンスに沿って今回の診療報酬の改定も行ったわけでございます。したがいまして、医療法改正の先取りというものでは決してございませんで、目指すべき医療のあり方と申しますか、良質で効率的な医療ということを目指した改定であるというふうに御理解いただきたいと思っているわけでございます。
#172
○沓脱タケ子君 それは医療法の先取りとは言えるはずがないので言わないでしょう。時間の都合がありますから進みますが、そういうふうに言われているという第一は、これは病院と診療所の機械的な機能分担というのが非常に鮮明に行われて、一律的に機械的な役割分担というのが経済的な手法で強制的に実施をされてきているという問題。それから二つ目には病院自身の機能分化が一層進められているという問題です。
 看護基準に基づく病院のランク及び格差というのがどんどん広がっているんですね。私も驚いたんだけれども、看護婦の配置基準によって病院のランクづけというのはこんなにたくさんになったんだなと思ったんですが、ずっと勘定してみますと、その他看護のところも一種、二種、三種と分けておりますから、それを含め、老人病院を含め、定額制の病院を含めたら十一種類に分けられている。これはひどいことになっているなと思いました。老人病院の基準はさらに悪くなっているんです。従来は七十歳以上、七〇%の患者さんの収容というのが今度は六十五歳以上、六〇%、これ大変なことですが、こういうことになっております。
 それからもう一つは、自由診療、自費料金の差額徴収が非常に拡大をされているという問題であります。これは後でちょっとお聞きをしたいと思いますが、差額ベッドを原則五割まで拡大するとか、あるいは特別の材料による給食の提供だとか、あるいは予約診療だとか、時間外診療で自費料金にするとか、そういった問題が出てまいっております。
 ですから、日本医師会の理事で中央医療協議会の委員の吉田さんはこう言っていますね。将来の医療の移り変わりにあわせるように点数の組みかえを行ってきた。考え方を変えたという点では従来の改定とは違う。病院は入院、在宅・プライマリーケアは診療所ということを明確にした。医療法でやるべきことをやったというところまで述べているわけでございますから、これはやはり関係者が医療法を先取りして改定するというやり方になっているという理解をするのはもっともだと思いますが、御意見いかがですか。
#173
○政府委員(黒木武弘君) 広範に及ぶお尋ねでございまして、どれからお答えをしていいかわかりませんが、最後のお尋ねでございますが、これからの目指すべき医療サービスの質を私どもも追いかけたつもりでございます。今までの医療は待たされる、三時間待って三分診療とか、狭いとか、暗いとか、まずいとか、いろんな単語で評価をいただいた面があるわけでありますけれども、これからの医療というのはきちっとした形で患者ニーズにこたえた形で私どもは対応する必要があるだろうということで、診療報酬改定全般、あちこちで質の高い医療サービス、国民のニーズに合った医療サービスヘ、医師会の理事の発言があったようでございますけれども、私どももそういう方向を目指した診療報酬の改定を志したつもりでございます。
#174
○沓脱タケ子君 そうすると、医療法の改定を目指して改定をやってきたということなんですか。
#175
○政府委員(黒木武弘君) 医療法は御案内のように、新しい施設類型の分化という形で法案の骨格ができておるわけでありますけれども、そうではなくて、当然あるべき医療の質を高めるということでございまして、医療施設類型の分化を前提にした改定は行っておりません。
#176
○沓脱タケ子君 それはまあ前提にしてやったと言ったら大問題ですからね。だって医療法はまだ国会で審議をしてないのに、診療報酬の金額の配分によって先取りをするというようなことをぬけぬけやったということになったら、これはもう国会軽視も甚だしいので大問題です。だから、それは先取りしてやりましたとは言えないはずですが、しかし中身はそうなっているということがこれは医療界の非常に広範な批判になっているということを申し上げておきます。
 時間の都合があるから少し中身のことをお聞きしていきたい。
 一つは、病院、診療所の機能分化のところでありますが、これもいろいろ申し上げたいのですが、特徴的なところを申し上げます。一つは、従来の慢性疾患指導料が廃止をされて特定疾患療養指導料というのが新設をされたんですね。今まで七十項目の慢性疾患の病名があったのが十八項目の疾患が算定できるという対象に変わったわけです。
 ですから、いろいろな問題が起こっているのですが、一つは病院の側、病院の外来に来ておるような例えばベーチェット症候群とか筋ジストロフィー、てんかんというのは慢性疾患指導料が廃止されたために非常に困っていますね。こういった患者さんというのは病状によってはいつ入院をしなきゃならないかもわからないという状況があるので、不安がっておりますが、こういうところを外したという理由は何でしょう。
#177
○政府委員(黒木武弘君) 従来設けられておりました慢性疾患指導料の対象疾患でございますが、非常に多岐にわたりまして、その中には慢性疾患患者の日常生活等に対する療養上の指導を評価するという慢性疾患指導料の本来の趣旨に合わない疾患も含まれているという各方面からの御指摘があったわけでございます。
 そういう意味で、今回慢性疾患指導料のあり方、その対象疾患等について全面的な見直しを行いました結果、従来の慢性疾患指導料を廃止しまして、特定疾患指導料を新設することにいたしたわけでございます。かなりそういうことで項目数において七十項目ぐらいあったものが十八項目ぐらいに絞られたわけでございます。私どもは、慢性疾患のうちで栄養、運動等の日常生活についての指導がその療養上特に重要な地位を占める疾患のうち、今後ますます患者の増加が予想され、我が国の疾病構造の中で大きな問題となりつつある成人病等をその対象疾患として選んだということの結果でございます。
 なお、項目数は減りましたけれども、対象患者と申しますかは、今回の七十を十八程度に絞りましたけれども、八割強はカバーできるというふうに思っているわけでございます。
#178
○沓脱タケ子君 時間がないから聞いたことだけ答えてもらいたいと思ったんですが、ベーチェット症候群とか筋ジストロフィーあるいはてんかんという方々、これは非常に指導が要るし、病状が変化すれば入院も要することもあるんですね。主としてこういう患者さんは病院の外来で指導を受けていたんですね。そのことの理由はお述べにならないんですが、時間の都合があるので、私もう少し具体的に言います。
 今度十八項目を決めておられるので、私もこの一覧表を見せてもらいましたけれども、これは難しいなと思った。何で難しいかというと、狭心症という病名だったらこれは特定疾患療養指導料が取れるんです。もらえるんですね。ところが心筋梗塞はもらえない。これはどないなことになってんのやろと、医療関係者頭抱えていますよ。あるいは脳動脈硬化症というのはこれは指導の対象になる、十八項目に入っている。ところが動脈硬化症というのは入ってない。ところが、人間の変化で動脈硬化症が起こったら頭だけ別に起こらないということはないんですよね。こんなこと当たり前のことなんです。脳動脈硬化症は認められる、ところが脳がのいて動脈硬化症はだめなんですね。
 それから、おもしろいなと思ったのは、どう考えるんだろうかと思ったのは、胃潰瘍というのはいいんですね。胃十二指腸潰瘍という病名だったらこれは対象にならないんです。それは考えようがない。それから胃炎はいけるんですね。ところが胃腸炎はだめなんです。そんなことになっているんですよ。
 私も余り臨床を今やってないですから、細かいことはちょっとわかりませんけれども、医学的に一体何を根拠にしてこんな分け方をしたんだろうかと。患者さんはもちろんですが、医療関係者が医学的に見てもっともだと思えるような論拠がなかったらこんな分け方は世の中通りにくいと思うんですよ。何を論拠にしてやられたか、ちょっとそのことだけ聞かせてください。
#179
○政府委員(黒木武弘君) 医学については、もう沓脱先生、ドクター沓脱には負けるわけでありますけれども、私が理解している点、例えば脳動脈硬化症が入っておって動脈硬化症が対象外というのは理解しにくいという御指摘でございますけれども、脳動脈硬化症は私どもなりに考えておりますことは、死亡とか合併症につながっていく可能性が非常に高い、つまりリスクの高い疾病である、したがってこういう患者さんにこそ運動とか栄養とかその他もろもろの指導を重点的にやってほしいというようなことで、絞り込みの中でこれを対象にいたしておるということでございまして、私どもなりに整理をいたしているということでございます。
#180
○沓脱タケ子君 それは医学界でなかなか通りませんわ。というのは、動脈硬化症という病名がつく状況になったら、脳だけが動脈硬化しないということはないんですよ。全身が動脈硬化を起こすわけですよ。それを脳動脈硬化症という判断をしたら対象疾患、それから動脈硬化症やったら対象外。私一つ一つは聞こうと思いません。
 だって、そうでしょうがな。狭心症やったら対象疾患で、心筋梗塞は対象外、これは患者の方にしたってびっくりするし、医療関係者にしたって理解ができないんです。これは医学的にも論理的にも根拠のあるような内容にするべきだと思います。大臣、聞いておかしいでしょう。おかしいようなことですわ、中身が。
 もっとおかしいことは、この特定疾患療養指導料というのが診療所には百七十点という診療報酬が決められている。それで二百床以上持つ病院はゼロです、同じことをやっても。それから百床未満の病院は同じことをやっても百点。それから二百床未満は五十点です。こんなことも、同じく特定疾患療養指導をやるというのに、診療所の百七十点は私は結構だと思いますよ。しかし百床未満の病床を持っていたら百点とする、同じことをやって。二百床未満やったら五十点にする、二百床以上の病院はゼロですと。
 これも根拠わからぬです。根拠のわからぬようなこんな決め方というのは、せっかくの診療報酬を改定するのに、医学界からも患者からも歓迎されるような状況になることが望ましい。一体伺が根拠でこんなことになるんやというような、こういう診療報酬の改定というのは大問題だと私は思います。
 もう時間がないので残念ですが、これは一部負担の問題もそうですよね。そんなもの、国民皆保険で社会保障的な医療の拡充というのは我が国の非常に大きな誇りでしょう。それが今度は差額ベッドを五割にする、あるいは予約診療するときは自分でまた千円ほど出すとか、あるいは時間外診療をやってもらうときには自分でまたお金を出すとか、こういうことというのは、私は公的医療を放棄していって差額徴収部分というのをどんどん広げていくということに道を開くと思うんですよ。非常に大きく道を開くと思うので、私論拠を聞かないけれども、論拠を答えられないでしょう。答えられますか、局長。さっき言うた百床未満、二百床未荷、二百床以上というのは、こんなあほなこと聞いてもしょうがないんですよ、時間がもったいない。
 私は、こういう筋の通らない診療報酬の改定というのがなぜまかり通るかというところが問題だと思う。それは診療報酬の改定のやり方というのはいつも、さっき同僚も言われましたけれども、中医協に諮問をして中医協の御答申をいただきましてということなんですよ。こんな複雑なものを、今回の場合だったら二月の十二日に厚生省は諮問をした。十四日に答申がそのとおり出てきた。こんなのまともな目で見ていたらこれはちょっとおかしいでと思いますわ。そんな高度な専門的な方でなくても思います。
 そういうことがまかり通っているというのは、これは非公開で密室で、厚生省の諮問案をもう本当にそのまま通しているということになっているからこんなことになるんじゃないか。私は前回も申し上げたけれども、これは公開をして、医学界も患者の国民ももっともだと思えるような内容に改善していくためには、どうしてもこれは中医協のこの非民主的なやり方というのを改める必要があると思いますが、これ大臣、どうですか。
#181
○国務大臣(山下徳夫君) 私は先生のさっきの分類ですが、医学的知識がございませんので、そろいう立場で先生のお話をまるで沓脱教室の生徒みたいな気持ちで聞いておりまして、なるほど先生のおっしゃることもそういうことになるのかなとも思うのでございますが、私は今の問題は勉強させていただきます。
#182
○沓脱タケ子君 医療費が二十兆を超しているでしょう。医療費が二十兆を超すという段階になって、何や知らぬけれども帳じり合わせみたいなこんな診療報酬の改定の中身というのは、これは改めなかったら厚生省の権威にかかわると私は思います。大臣、その点では御検討をぜひいただきたいと思うんです。
 あと時間もうちょっとあるんで、同僚議員から盛んに歯科医療が出た。私もちょっと一言言いたいと思っておるんですが、実は、歯科医療の問題を私も一言言いたいというのは、昨年の三月二十六日に本委員会で、歯科は医科と比べて差別されているやないかと言って、再診料、初診料の問題を取り上げましたが、若干今度は改善された。改善されたけれども医科がまた上がったから、この開きが大きくなったというようなこともあって、私は基本的にここら辺の問題というのは解決をせにゃいかぬなと思っているんです。しかし、それだけではなしに、その問題はその問題です。
 同僚委員からも出ております入れ歯の問題というのは、これはこの高齢化社会の中で大変な問題だというのは共通の認識だと思いますよ。私も一月二十九日のNHK特集番組ちょっと見ましたけれども、あれの視聴率高かったんだそうですね。あの番組が終了してから三日間といったかな、NHKに千七百本電話がかかった。いかに国民が入れ歯の問題で深刻な悩みを持っているかということを示していると思うんです。
 もう時間の都合もありますから多くを申し上げませんが、さっきも義歯については改善をいたしましたと局長お話しになっていましたね。どの程度今回の診療報酬の改定で改善されました。――数字やからちょっと調べてください。
#183
○政府委員(黒木武弘君) ちょっとすぐには正確な数字が出てきておりませんけれども、今回の診療報酬改定、特に初診料、再診料を中心にしますとともに、義歯関係についてもそれなりの改定をいたしたわけでございます。
 前提として、患者、老人でございますけれども、上下総義歯を七日間通院して義歯を入れた場合の想定でございますけれども、一般患者で申し上げますと五万一千四百八十円が五万三千七百円、四・三%引き上げております。老人では五万二百八十円が五万一千七百円ということで、二・八%の引き上げになっております。
#184
○沓脱タケ子君 えらい困らせましたけれども、初診料もちょっと上がった、何やらもちょっと上がった、再診料も上がった、それ全部含めて九十二点上がっております。五万一千七百円になったのは、前回よりも九十二点上がっております。九百二十円上がったんです。
 それで、もう少し詳しく見ますと、義歯の製作料というのは千四百点です。これは調べたから間違いないです。片方が千四百点やから両方で二千八百点、これ上がっていないんですよ。据え置きですわ。
 さっきから技工士の問題が出ているように、技工士がだんだんやめていく傾向にある、技工士の人がどない言っているかといったら、もうちょっとええところがあったらかわりたい言っているのが七、八割あるんですね。どこへかわっていんのや技工士は、と聞いたら、貴金属の細工できるでしょう、技工士さんというのは。貴金属商へ転職しているというんですよ、今。こんなことになったら、これは歯科大変なことになりますよ。
 何でそれじゃ技工士の人がそういうことになるかというと、義歯の金額が保険診療が安いから、製作料の七割を技工士に渡してもまともな収入にならない、そういうことになってきているわけでございますから、これはさっきもお話があったけれども、京都大学の西村先生も言っていた。せめて二倍以上に上げたらもうちょっと手間暇かけて文句の出ない歯をつくることはできるんですよ。そういうことが私は歯科の先生方が一番望んでいることではないかと思うんです。二倍以上に上げるべきですよ、こんなもんね。四の五の言って理屈だけでは国民納得しませんわ、実際は。
 だから、そういう点で手間暇省くんです、安いからね。ようけ患者を診なんたら経営も成り立たないから、そない一人の患者にたくさん時間がかけられない。何遍も何遍もといったらもう面倒くさいなということになってくるんです。そうではなくて、やはり手間暇をかけてやっていけるだけの診療報酬というものが保障されるということが極めて大事と私は思います。そのことが技工士の給与等の改善もやれるのではないかと思うんで、これは大臣、こういう非常に広範な国民的な要求のある問題ですし、国民的な問題化している点でもありますし、次回の改定と言わずに、ひとつ緊急にこういった分野だけは思い切って決意をして二倍以上に引き上げるというようなことがやれぬですかね。一遍、大臣の御決意を伺いたい。
#185
○国務大臣(山下徳夫君) 今お話しのように、保険の点数が低いために入れ歯に問題があるということは、これはこのこと自体が大変なことであると思います。しかし、私はそれが安いから高いからといって治療内容が上下するとは思いたくないんです。
#186
○沓脱タケ子君 手間暇や。
#187
○国務大臣(山下徳夫君) それは、先生はどうか知りませんが、私はもう長年にわたって入れ歯をやっていますから、同じ医師であってもでき、ふできというのがありますし、いろいろあるわけでございますから、必ずしも単価だけによって、安いから高いから悪いのいいのということではない。しかし、いずれにいたしましても十分真剣に検討すべき問題ではあります。
#188
○委員長(田渕勲二君) 時間来ていますよ。
#189
○沓脱タケ子君 もう時間ですので、私、残余の問題はまた次回の機会に譲りまして、以上で終わります。
#190
○粟森喬君 私は、まず特別養護老人ホーム等のモデル事業という、平成四年度予算におきまして老人保健健康増進等事業、この中で老人福祉施設機能強化モデル事業として出されているものについて幾つかお尋ねをしたいと思います。
 資料をいただきまして、多少見せていただいたわけですが、特別養護老人ホームのモデル事業は、いわゆる現行の特別養護老人ホームと在宅福祉サービスの適用の決定が一元的に行われていない。真の意味で連携がないという現状認識から出発をしています。現状でも老人福祉対策にはいろんな問題があるわけでございますが、今日的にそういう現状認識に至った理由の主要なところはどこにあるのか。そして、モデル事業といいましても、モデル事業がうまくいくかいかないかということで、将来それを全体に普遍化するかということが関係をするわけですが、ことしの予算の中で考えているのは何カ所ぐらいやって、どこに問題意識を集中してやられるのか。まず、この点をお尋ねしたいと思います。
#191
○政府委員(岡光序治君) ただいま委員御指摘がありましたように、現在の状況を見ますと、入所施設サービスと在宅福祉サービスの関係が非常に連携がとれておらないという状況があるわけでございます。特別養護老人ホームを一つ例にとりましても、これを地域における福祉サービスの拠点というふうな位置づけにしたいわけでございますが、どうしてもそこのところがうまくいっておらない。そういう認識でございまして、特別養護老人ホームやケアハウスの持つ施設機能を一層充実、活用するということを目標にいたしまして、そのためには在宅福祉と施設福祉とをどういうふうに連携をとらせていけぱいいのだろうか。特に、在宅福祉がこれから伸びてまいると思いますが、その中で在宅福祉を進めるに当たって、こういった老人福祉施設がどのようなことを発揮すればより進んでいくのであろうかということを問題意識と考えまして、そのために幾つかのモデル喜業をやってみようではないか。これはあくまでもモデルでございますので、そういう試行をやってみてそこから問題をいろいろ取り上げて、この在宅福祉なり施設福祉が連携をとられながら、地域におけるレベルアップを図っていくためにはどうすればいいのかということを引き出したいというのが基本的な問題認識でございます。
 そして、したがいましてどの程度の箇所数を予定をしておるかということでございますが、それぞれの事業ごとにモデルの効果が評価できるような数を設定しなきゃいけないと思っておりますのですが、まだ施設側の、受け入れ側の希望がどういうふうな数になってくるかということを今私ども調査をしておりまして、まだ幾つというふうには決めておらない状況でございます。
#192
○粟森喬君 数の問題は非常に大事なんでちょっと聞きたいんですが、例えば十とか百とか千という単位で言ったらどの程度のイメージですか。
#193
○政府委員(岡光序治君) 例えば各県一カ所とかそのような数でございますので、三けたにはならないのではないだろうかと思います。
#194
○粟森喬君 私もこの問題、資料をいただいて、非常に一つの問題意識を持っているわけです。老人福祉のあり方の一つとして、在宅福祉に非常に力を入れようではないかと。そのときの社会的背景というのは、一つにはホームをたくさんつくるとか施設をつくるといったって一定の限界もあるというのがまずあります。本来的には自分も含めて最後まで家族の一員として過ごすという原点を持つ。しかし在宅福祉というのは非常に大きな問題が現実にある。何とかこういう格好の中で今の問題点を整理をしたいという、ある意味では積極的な側面としては見られるんですが、私は皆さんが仮称として出した構成を見たときに、一つの問題点を申し上げます。
 例えばこの文書を見ますと、在宅福祉サービス利用者の中で特別養護老人ホーム優先入所を実施する上で、指定地域内での待機者の問題など、連携事業に際しては十分な配慮が本当にあるのかどうかというふうに考えますと、特別契約的にモデル事業のところにいれる、どの程度いれるか別にして、これはどんな基準でどういう人に入ってもらうのか。現実には措置権というものがあります。措置権というのも、今現実には特別養護老人ホームに入りたいという人が非常に多いわけでございますから、かなり公平、平等にこれは運用しないと問題があるという中で、市町村にもうこれから措置権が行くわけでございますが、今度の特別契約制度でいれるという問題はどんなイメージで何を考えでおられるのか、そこをはっきりしていただきたいと思います。
#195
○政府委員(岡光序治君) 御指摘がありましたように、現在、特別養護老人ホームに入ろうという場合には、福祉事務所の方に申請をいたしまして、そこで入所が必要だという判定をした上で、いわゆる福祉事務所の方で措置ということで措置権を発動して入れるわけでございます。
 そういうふうな状況下においてどんな問題が出ておるかといいますと、例えば夫婦がおいでのときに、片一方の方だけが要介護である、残りの片一方の配偶者の方が、いや実は一緒に暮らしたいんだ、こういったときには実は一緒にはいれない格好になっております。つまり、一方だけが要入所ということで、一方は要入所ではないということではいれない、こういう場合には夫婦一緒に暮らしたいという要望にこたえたらどうなんだろうかとか、あるいは症状が一たん軽くなって家へ帰ります。そうしたら、同じ施設に入りたいといったときに、やはり福祉事務所に申請をして、場合によっては別のところに措置されるということもあるわけでございまして、一たん入所しても同じところに入りたい、こういう要望もある。そういつ意味で、そういう希望が満たされないものですから、その施設に残っちゃって、結果として在宅へ帰れないという、そういう結果になっている。
 もっともっと在宅を促進するためには、いわば自分の家と自分が望んでいる老人ホームとの問を往復できるようにできないだろうか。これは今の措置という制度では恐らく応じられないだろう。そういうときにはいわば契約という、措置ではない、自由意思による施設入所というのを実験的にやってみたらどうだろうか、こういう意識でございます。
 ただしそのときには、おっしゃいますように、その地域で特別養護老人ホームに入りたいという人がたくさんいて、随分待機者がいるというような場合には、これはできないと思います。つまり余力のある、要するに特別養護老人ホームで受け入れの余力があるようなところに、その余力を利用いたしまして今のようなことをモデル的にやってみたらどうだろうかというのが発想の原点でございます。
#196
○粟森喬君 この問題はどんな問題を持っているかというと、結果的に社会保障政策というのは、その人の置かれた条件の中で一つ一つ決めていくという、いつでもだれでもというか、平等主義みたいなものがある。特別契約というのは、自由という言葉とある意味では特別権利的な要素を持っていくと社会保障政策の根幹にひょっとするとかかわるんじゃないか。
 その部分が自由にできるということで、今現状を部長が言われたように、これほどまだ入りたいという人がたくさんいるから、特定のかなり余裕のあるところでやる。しかしそれが拡大をするというのはかなりあるという認識でございますから、いずれにしても試行でございますから、それについて今の段階で現状に問題がありますから、これ以上言うということはいたしませんが、これからの問題として十分私たちも注意をしておりますし、皆さんもそういう意味では今の点に十分な配慮をお願いをしたいということを、モデルでありながらも申し上げておきたいと思います。
 次に、ホームヘルパー活用型ケアハウス、これがまた出てきております。どうもこれはホームヘルパーの方が面倒を見るのに集まってこいというのか、ショートステイ的にやるのか、デイサービス的にやるのかよくわかりませんが、こういう部分をつくろうとする意思とその内容は何を意味しているのか、ここは簡単で結構でございますから、ちょっと教えていただきたいと思います。
#197
○政府委員(岡光序治君) ケアハウスそもそもがケアつき住宅という位置づけでございますので、外部からの在宅サービスを導入して在宅処遇としての位置づけを行うことが適切であるというのが今まで関係の審議会などからいただいている御意見でございます。したがって、基本的にはケアハウスというのは外からの在宅サービスを受けられるというのが前提でございますが、そこがどうも今はっきりしていないというのが実情です。
 在宅福祉サービスそのものがまだ進行中でございますので、そういう過渡的なものがあるんだろうと思いますが、そこをより積極的に外部のサービスの一つであるホームヘルパーを活用して、若干日常生活に支障があるような人でもヘルパーの応援をいただいて、そこでケアハウスでの生活が続けられる、こういうタイプのものをよりやってみたらどうだろうということでございます。
#198
○粟森喬君 時間の関係もございますから、次に参ります。
 特別擁護老人ホームにおける機能回復訓練には、いわゆる理学療法士、作業療法士が不可欠でございます。過去にも指摘をしたことがございますが、配置基準と実際に配置されているものとの間に非常に差がございます。それで、新しいモデルもやることは必要でございますが、当面この部分に対する喫緊の課題としてどういうことを考えておられるのか、これについて明確な答弁を願いたいと思います。
#199
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のように、適切な機能回復訓練を行う体制を確保しなきゃならないと考えておりまして、措置費の上におきましても機能回復訓練指導員雇い上げ費を計上しているところでございます。ただし、理学療法士とか作業療法士の確保が非常に困難、絶対数が足らないということも背景にあるわけでございますが、非常に難しゅうございますので、私どもの扱いの上では理学療法士、作業療法士をもって充てることが望ましいが、そういう人が確保できない場合には看護婦とかあんまマッサージ指圧師の資格を有する者のうちで機能回復訓練等の業務に関する熱意、能力を持っている、そういうような人を機能回復訓練指導員として充てて、医師の指示のもとで業務してもよろしいということにしておりまして、いわば補完的な体制を組んでやろうとしているわけでございます。
 御指摘がありましたモデル的なものにつきましては、施設において機能回復訓練を一生懸命やった場合には相当効果が上がるんじゃないか、そこのところを如実に皆さんが示して、今のこの機能回復訓練の体制をより進めもべきだという認識を持ってもらおうというのがねらいのところでございます。
#200
○粟森喬君 この問題で、最後に厚生大臣にお尋ねをしたいと思います。
 私は、試行的にそういうものをやりながら、今日在宅福祉と特別擁護老人ホームの間にあるさまざまな問題を解消しようとする努力はそれなりに評価したいと思います。しかし、先ほどもちょっと申し上げたように、措置権のあり方や特別契約という格好が、結果として財政的にゆとりのある者がセレクトできるそういうシステムが公的な施設の中でかなり出てくるというのは問題になるんではないかと、こういうふうに思っています。したがって、この問題の扱いについて、厚生大臣として今後どう考えていかれるのか、その辺のところについてお尋ねをしたいと思います。
#201
○国務大臣(山下徳夫君) 新しい試みを通じて、さまざまな課題を克服しながら老人福祉の向上を図っていくことがモデル事業を実施する趣旨でございまして、御指摘の点も十分念頭に置きながらこの事業と取り組んでいきたいと思います。
#202
○粟森喬君 次に、障害者の介護実態や同居可能の施設の設置について幾つかの視点から質問をしたいと思います。
 まず、基本的な問題でございますが、お年寄り、年が行くことによっていろいろな機能障害を持つ場合と、生まれながらにしてとか、途中で事故によって障害が起きるとか、こういうケースといろいろあります。
 それで、私は今の法なりいろいろな対応で言うと、法の根拠がそれぞれ違います。そうすると結果として、それぞれの対応に差が出ているという、同じ障害を持っている者でも施策に差が出てきているのではないか、そういう疑問があるわけでございますが、その辺はいかがでしょうか。
#203
○政府委員(末次彬君) 私ども、障害者対策として在宅あるいは施設サービスを実施いたしておりますけれども、今御指摘の障害を持った時期あるいは種類によって差があるのではないかということでございますが、基本的な考え方としては、私どもその置かれた状態によって対応しておるつもりでございまして、差異はないというふうに考えております。ただ、障害に伴う固有のニーズがそれぞれ違ってまいります。視力障害者あるいは肢体不自由者、それぞれによりましてそこに必要とされる施策がおのずと変わってまいります。
 そういう点を別にいたしますと、ホームヘルプ事業あるいはデイサービス事業、ショートステイ事業等々の事業につきまして、それぞれ必要な在宅のサービスあるいは障害者の施設整備の促進をやってきておるつもりでございまして、そういう意味でいいますと、基本的には差はないのではないかというふうに考えております。
#204
○粟森喬君 この問題も基本的な認識として論議をしますと、法の根拠一つ一つ調べたって、それぞれニーズに応じてと言うけれども、よって立つ基盤でそれぞれの認識、本人の自覚、周りの認識、いろいろな差が出てきているから、あえてここで一つ一つ取り上げるというのは、時間的にも問題がありますからやめておきますが、基本的にどこかそこをちゃんとリンケージする法なり体制というのをいま一度考えてほしい。いろいろな問題をお聞きをするときに、厚生省の中のお答えになるそれぞれの担当部局を聞いても、これはどうも一貫性が欠けるのではないかというような気が時々私はしていますから、あえてこのことを申し上げました。
 そこで具体的な問題で、それをあえて一括をして請願が同僚議員の前島議員からも出されておりますし、私も出しました。重度の障害を持つ親あるいはお年寄りの障害のある人、そういう人たちが同居可能な社会福祉の設置についてぜひともやってほしい。これは過去ずっとそういう意見が地域社会の中にもございました。ことしの平成四年度予算をつくった段階で、どういうふうにその種の問題が出されていることに対して理解をしようとしているのか、その辺についてまずお尋ねをしたいと、こういうふうに思います。
#205
○政府委員(土井豊君) ただいま請願でも出ておりました障害者本人とその両親とか家族の方、介護する方々が一緒に住めるような、そういう同居可能な福祉施設の設置という新しい体系の問題の御質問でございます。
 私ども在宅の重度の心身障害者に対する支援対策といたしましては、ノーマライゼーションの理念に沿いまして、従来からホームヘルパーでありますとかショートステイなどの各種の在宅サービスの充実に努力をしてまいっておりますけれども、今後ともこういう形で在宅サービスの一層の充実を図ることによりまして、重度の心身障害者の方々が可能な限り家族の方々と一緒に住みなれた家庭や地域で生活が送れる、そういうふうにするのが一番基本であろうというふうに考えておりまして、今請願にありましたような新しい体系のものというのは考えていないというのが現状でございます。
#206
○粟森喬君 努力すると言われましたが、これは現実に家族を抱えた一員の中でもいろいろな選択肢がある。例えば、本当に重度やお年寄りで障害を持った人を自分の家でちゃんとしようとしたら、金もかかるは、家族にそういうことをちゃんと介護してくれる人がいるか、そしていわゆるゴールドプランでホームヘルパーとかたくさんつくると言っているけれども、本当にそんな体制があるのかというとまだまだ不十分です。だとすれば、そういう道筋も一つの選択肢としてあってしかるべきだと思うんです。この問題は、これからの検討事項としてぜひともやっていただきたいという立場で、厚生大臣、これはいかがですか。
#207
○国務大臣(山下徳夫君) 重度の障害を持たれておる方々が住みなれた地域社会において生活できるような条件を整備するということは、ホームヘルパー事業、ショートステイ等在宅福祉サービスの充実が重要な課題であるということは私も認識をいたしております。このため、平成四年度におきましてホームヘルパー数の増あるいは手当額の改善、介護型デイサービスも含めた身体障害者のデイサービスというようなことの充実を図ってまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、今後とも障害に伴うニーズに応じた在宅福祉サービスの充実を図っていくことが一番大事な問題だと理解しております。
#208
○粟森喬君 大臣、今の部分は検討に値するというふうに理解をしていいんですか。ちょっと抽象的でわからなかった。
#209
○国務大臣(山下徳夫君) そのように御理解されて結構でございます。
#210
○粟森喬君 もう一度、在宅福祉にかかわる老人の介護の実態とゴールドプランの現状についてちょっとお尋ねします。
 ちょっと調べてみようと思いまして、いわゆるゴールドプランで十万人になるときに六十五歳以上の人口がどのぐらいになって、六十五歳以上人口当たりのホームヘルパー数がどのぐらいになるか。この計画は平成二年度から実施されています。このときは予算上も含めて大体実績が二百十七人でございます。とにかく老人十万人当たりで見まして、二百十七人が実績でございます。予算上の措置でございますが、平成十一年度、これは十年の計画でございますから、このときにはお年寄り十万人に対してホームヘルパーの数は四百八十人になる、こういうことになっておりますが、これは実行可能でございますか。どうですか。
#211
○政府委員(岡光序治君) これはどうしてもやり遂げなければならないというふうに考えておりまして、マンパワー確保というために法律もお願いをいたしたいと思いますし、それから国民の広い理解を得るような努力もあわせて行った上でこの十万人の確保というのはぜひとも実現をしたいと思っております。
#212
○粟森喬君 在宅福祉、在宅介護を中心にしてこれからやろうということでございますが、現状についてそれぞれやっている方々の意見を聞いた感想を申し上げますと、確かにホームヘルパーがこういう格好で進められているけれども、在宅福祉、在宅介護の中心のヘルパーの人が頻度として、よく来てくれるというところで週に一回が大体限界ではないかという感じでございます。
 もちろん、全く介護する人がいないというところには相当集中的な体制もつくられているようですが、皆さんが受ける数をふやしていっているということとかなりまだ数や体制上問題があるということがよく指摘をされるわけでございますから、私は十万という数字ではまだ適当ではない、こういう理解と認識にあるわけでございます。この辺のところについて、これからの見通しについて、厚生大臣は十カ年計画をまず十万人で据え置きをしていくという考えなのか、これからはその数字について多少見直しをすることもあり得るのかどうか。大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
#213
○国務大臣(山下徳夫君) 十カ年戦略に基づきまして、ホームヘルパーの数を平成元年度の三万人から平成十一年度に十万人にするということになりますと、これによって大体週四回から六回ぐらい訪問できる。現在週一回か二回でございますから、したがいまして、そういうことになりますと、さらにショートステイとかデイサービスあるいは老人の訪問看護等の在宅サービスを組み合わせましてやってまいりますと相当の手厚い介護になるのではないかと思っておりますから、十万人体制が確立すれば、大体かゆいところにすべて手が届くとはいきませんが、おおよそこれで行き渡るんじゃないかと思っております。
#214
○粟森喬君 週に一回とか二回と言われましたが、そこの時間のかけ方もいろいろ実態論としてはあります。したがって、きょうはそのことについて余りこれ以上やってもあれでございますし、時間の関係もございますので、最後に一つだけ。
 ちょっとこれも検討していただきたいんですが、実は在宅で介護されている人たちのほとんどはいわゆる息子の嫁さんというんですか、これは子の配偶者というのが正確な表現であると思いますが、そういう方がほとんどでございます。当事者の意見は自分の配偶者にやっぱり見てもらいたいと。私なら妻に見てもらいたい、妻は自分が病気になったら夫に見てもらいたい、これは常識だろうと思います。ところが、現状を見ると、そういう態勢になっているときに、そこに対するさまざまな、例えば京都などでは、そういう介護をしている当事者に一定の見舞い金といいますか、そういう給付もやっています。
 しかし、現在非常にそういうことが少ないということと、もう一つは、民法の九百五十八条の三の規定で、自分の世話をしてくれた人に対して一定の民法上財産を相続する権利を与えていますが、これまた非常に難しくなっていて、子供やいわゆる法で定められた相続人とは別の扱いになっています。今、夫婦のあり方とかいろんなことが論議をされているときに、この種のことも含めて、在宅介護の中心となっている当事者に対する税制面、相続上の問題などなどについてもこれからは当然考えていかなきゃいかぬ一つの大きな問題ではないかと思います。
 以上のことについて、大臣としても努力をしていただくという意味を込めまして答弁をいただき、私の質問を終わります。
#215
○国務大臣(山下徳夫君) 寝たきり老人の御家族の方々に今日まで大変な御苦労をかけておった。それを少しでも軽減しようということで十カ年戦略というものを私どもは策定してやっておるわけでございます。
 なお、御指摘の相続につきましては、先生からもお話がございましたように、民法上の問題もございまして私どもだけではこれは処置できませんが、御意見は十分承って今後とも検討してまいりたいと思います。
#216
○勝木健司君 本年は、国連障害者の十年の最終年でありますけれども、四百万人にも上ると言われる心身障害者の方々はまだまだ社会経済的にも大きなハンディキャップを背負っておられます。私ども民社党は、このような障害者の方々を取り巻く困難な諸問題について、ノーマライゼーションの考え方に立って幾つかの施策を提言しておるわけであります。そういう考え方に基づきまして、幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。
 その一つでありますが、先天的な障害についてはできるだけ早期に発見をしていく、そして適切な療育体制のもとに障害を克服する努力をしていただくことが必要でありますけれども、そのためには、まず乳幼児健康診査の推進を図って障害の早期発見に努めることが必要ではないかと思います。政府におかれましても、昭和六十二年度には一歳六カ月の児童健康診査事業に精密健康診査を追加されておりますし、平成二年度にも三歳児の健康診査事業に視聴覚の検査を追加されておりますが、私はさらに母子保健における各種健康診査の充実に努める必要があるんじゃないかというふうに思いますが、今後の施策についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。
 また、あわせて、障害が早期発見されましても、早期治療、早期療育への連携というものが十分にとれていないと意味をなさないわけでありますので、この心身障害の早期発見、早期療育を目的とした心身障害児総合通園センターが今整備されつつあるようでありますが、その進捗状況についても御報告を願いたいと思います。このほか、母子保健と母子福祉の連携について政府の施策はどのようになっているのかもあわせてお伺いをいたしたいというふうに思います。
#217
○政府委員(土井豊君) 御指摘がございましたように、乳幼児期における各種の健康診査を充実いたしまして障害の早期発見に努める、これは非常に重要な課題であると考えておりまして、今お話がございましたような一歳六カ月に精密健診を追加したり、あるいは三歳児健診に視聴覚検査を加えるといったような努力を私どもこれまでやってきているつもりでありますけれども、今後とも医学的ないろんな知見をベースにしながら、健康診査を初めとする関連施策の推進に努力してまいりたいと考えております。
 さらに、お話がありました心身障害児総合通園センターについてでございますけれども、順次整備が進んでおりまして、現在では十一カ所と相なっております。
 さらにまた、母子保健と福祉との連携の問題でございますが、一つは保健所における三歳児健康診査におきまして、精神薄弱の疑いがあるとされた児童に対しまして児童相談所が精密検査を行うということ、あるいは在宅の心身障害児に対する訪問指導を保健所や児童相談所の職員が協力して実施する、そういったような具体的な取り組みを行っておりまして、今後とも両者の連携の強化に努力してまいりたいと考えております。
#218
○勝木健司君 次に、第二点でありますが、肢体不自由児の通園施設等の充実を図りまして、早期療青体制を確立する必要があると思います。各種の障害児関係施設を地域の心身障害児がその必要に応じて利用できますような施設の適正配置あるいは施設間の連携など、地域における療育体制の整備を進めていかなければいけないと思います。
 そこで、心身障害を持つ幼児のための心身障害児通園事業、いわゆる障害児デイサービスの整備状況がこういった観点からどうなっておるのかお尋ねをいたしたいというふうに思います。
   〔委員長退席、理事竹村泰子君着席〕
 また、重度の障害を有する在宅の児童につきましても、できる限り地域で通園、療育が受けられますように、そのための通園事業を推進することが必要であると思いますが、在宅の重症心身障害者のための通園、療育の場を確保する施策についての政府の方針をお尋ねいたしたいと思います。
#219
○政府委員(土井豊君) 心身障害児通園事業についてでございますけれども、昭和四十七年度に創設されておりますけれども、順次対象箇所数の増を図っておりまして、平成三年度の予算におきましては二百六十七カ所、さらに平成四年度予算案におきましては十五カ所ふやしまして二百八十二カ所という予定にいたしております。
 それから在宅の重症心身障害児、障害者のための通園療育の場の確保でございますけれども、重症心身障害児施設に通園をいたしまして日常生活動作などの訓練を行う、そういう重症心身障害児通園モデル事業、ちょっと長い名前で恐縮でございますが、平成元年度から開始をいたしております。モデル事業でございますので、現在のところ全国で五カ所という箇所数でございますけれども、このモデル事業の実施の成果や問題点をこれからよく整理をいたしまして、どのような施策を講じたらいいのか引き続き検討してまいりたいと考えております。
#220
○勝木健司君 次に、障害者の方々が家庭や地域で自立を果たしていくためには、その基礎的条件の一つであります住宅の問題が解決をされていなければならないというふうに思います。そのためにはやはりケアと結びついた住居である必要があると思います。
 そこで第一に、自立困難な重度の障害者にとっては家族による扶養同居が望ましいことは言うまでもありませんが、それがかなわぬ場合にはケアスタッフと同居できるようなそういう障害者専用住宅の設置を促進する必要があるというふうに私どもは考えます。私は、地域に密着した生活の場として、障害の程度に応じた障害者の生活に適した住宅のあり方を検討をしていく必要があると考えますが、この福祉ホームなどのケアつき住宅の整備状況は今現在どのようになっておりますのか、お尋ねをいたしたい。
 また、心身障害者に家庭を提供するグループホームについても力を入れていく必要があるというふうに思いますが、あわせてお尋ねをいたしたいというふうに思います。
#221
○政府委員(末次彬君) ただいま御質問のございました福祉ホームでございますが、重度身体障害者等の生活の場として福祉ホームを整備いたしておりますが、これは平成二年十月一日現在で全国で八十九カ所、定員にいたしまして千八名分が整備されておるところでございます。
#222
○政府委員(土井豊君) 精神薄弱者に対するグループホームの問題でございますが、平成元年度百カ所でスタートをいたしましたが、平成四年度の予算では四百カ所を予定いたしております。
#223
○勝木健司君 次に、在宅の障害者が円滑に日常生活を営めるようにするためには、ホームヘルパー制度あるいは短期保護事業の拡充を図る必要があると考えます。
 そこで、重度の在宅障害者に対する介護、家庭訪問サービス、移動サービスなどについてでありますが、ホームヘルパーの数あるいは在宅の重度身体障害者を訪問して診査する、その対象者の数はどのようにそれぞれ推移をしておりますか、お尋ねをいたしたいと思います。
 また、あわせてソーシャルワーカーや保健婦、看護婦、介護福祉士などを配置した在宅介護支援センターの整備が図られつつあるとのことでありますが、その進捗状況と平成三年度からのチーム連営推進事業費が創設されましたが、来年度の実施チーム数と事業費についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
#224
○政府委員(末次彬君) まずホームヘルパーでございますが、重度の在宅の障害者に対しまして派遣をいたしております。平成二年度からゴールドプランに位置づけまして、老人福祉施策と一体的に実施し、その充実に努めてきております。
 定員で申し上げ。ますと、平成二年度予算で三万五千九百五名、平成三年度で四万九百五名、平成四年度予算案で四万六千四百五名と、毎年増員を図ってきております。
 また、歩行の困難な重度身体障害者に対しまして、医師、看護婦等を派遣して診査あるいは更生相談を行う訪問診査でございますが、この対象者につきましても、平成二年度予算で一万六千六百。八十、平成三年度予算で一万七千二百六十五名、平成四年度予算案で一万七千八百五十名と、逐次対象の増を図ってきておるところでございます。
 また、ショートステイにつきましては、これは重度身体障害者につきまして身体障害者更生援護施設におきましてこの事業を実施いたしておりますが、平成二年度予算につきまして四千四百十一、平成三年度予算におきまして四千八百七十五、平成四年度予算案におきましては五千四百五十九名と、これも逐年対象者数の増に努めてきているところでございます。
#225
○政府委員(岡光序治君) 在宅介護支援センターでございますが、平成四年度予算におきましては、前年度対比五百カ所増の千二百カ所をお願いいたしたいと考えております。
 それから、ヘルパーのチーム方式のチーム数でございますが、平成四年度は対前年度五百チーム増の千チームをお願いしたい、あわせまして事業費につきましては、内容的にはこれは主任ヘルパーの業務加算と事務費等のチーム運営の経費でございますが、前年度百四十六万七千円を百九十二万一千円にいたしたいというふうにお願いしているところでございます。
#226
○勝木健司君 障害者の方々の自立した生活を促進するには、日常生活の訓練、コミュニケーションの訓練、健康の自己管理等が不可欠であります。そのためには、更生援護施設を自立生活の訓練の場として積極的に活用できるように、そしてまた、身体障害者福祉センター、在宅障害者デイサービスの施設等の地域利用施設の整備を推進して、これらの施設の地域オープン化を促進する必要があるというふうに私どもは考えますけれども、対応はどのようになっておりますか、お尋ねをいたしたいというふうに思います。
   〔理事竹村泰子君退席、委員長着席〕
#227
○政府委員(末次彬君) 在宅の障害者に対します対策の推進につきまして、これは国連障害者の十年で政府が策定いたしております障害者対策に関する長期計画の後期重点施策等を踏まえまして、歩行訓練などの日常生活に必要な訓練、あるいは社会参加を促進するための各種の施策、これを充実してきております。このために、身体障害者の更生援護施設におきましても、デイサービスあるいはショートステイ事業を実施する等をいたしまして、地域の身体障害者の方々への福祉サービスの提供をなるべく身近なところでできるように指導しているところでございます。このほか、地域の身体障害者に機能回復訓練あるいは日常生活訓練等のサービスを提供いたします身体障害者福祉センターの整備につきましても整備の促進に現在努めているところでございます。
#228
○勝木健司君 心身障害者用の施設につきましては、医療から職業訓練まで一貫した総合的なリハビリテーションを実現するための施設の広域的整備、そして適所施設や生活施設など地域利用施設の整備をさらに促進する必要があると思います。また、障害の重度化と障害者の高齢化に対応するためには、地域の実情に応じてそれぞれの施設が有機的、効率的に機能するような、それぞれの施設を利用したサービスのネットワークの整備を図って関係行政機関、地域住民との連携を強化する必要があると私どもは考えます。
 そこで、その中核的施設として都道府県単位に社会復帰のためのあらゆる訓練、サービスの提供、相談、就労指導等を行う総合リハビリテーションセンタiを設置すべきであると考えますが、この障害者の施設福祉についての政府の認識と今後の方針をお伺いしたいというふうに思います。
#229
○政府委員(末次彬君) 総合的なリハビリテーション体制を確立するという、そういう観点からいいますと、更生相談機能あるいは医療機能、職能訓練機能、こういった機能を総合的に持っております総合リハビリテーションセンター、この整備を促進する必要があると考えておりまして、更生施設の改築等とあわせまして、こういう機能を整備するように現在都道府県を指導しているところでございまして、これまでに相当数整備が図られつつあるところでございます。
 また、それぞれの地域の実情に応じまして、このリハビリテーションを実施する身体障害者福祉センター等につきましても、その適正配置等を考慮いたしまして現在整備を進めているところでございます。
#230
○勝木健司君 障害者が自信と誇りを持って社会に参加できるようにするために、社会の側にも障害者を温かく迎え入れるような土壌というものが必要になってきます。
 障害者の完全参加と平等の原則を徹底させるために、国連障害者の十年の最終年にふさわしいような啓発普及活動が望まれるところであります。また、ポスト国連障害者の十年に引き継いでいくためにも、この十年の施策のフォローアップを行う必要がありましょうし、小学校あるいは中学校、高等学校等においての障害者に対する理解を深める福祉教育を積極的に推進する必要があると思います。文部省に今後の方針を伺っておきたいと思います。
#231
○説明員(霜鳥秋則君) ただいまお話しの障害者に対する理解を深める教育や福祉教育の関係でございますが、一般の児童生徒を初め社会の障害者や福祉に対する正しい理解と認識を深めることは、障害者の社会参加と自立を進める上で極めて重要であると考えております。
 文部省においては、昭和五十四年度から心身障害児理解推進校を全国の小中学校の中から選んで指定し、心身障害児に対する正しい理解と認識を深めさせるための指導のあり方について研究を委嘱するとともに、心身障害児理解推進指導者講習会というものも開催しておるところでございます。
 また、まず教師が障害者に対する正しい理解と認識を持つことが重要でありますので、これも五十四年度からでございますが、小中学校の教員等を対象といたしまして、心身障害児理解推進指導資料というものを作成し、配付しておるところでございます。
 このほか、盲、聾、養護学校におきましては、学校行事やクラブ活動などの実施に当たりまして、可能な限り小中高等学校の児童生徒と交流を行うということにしておりまして、これは一般の児童生徒にとりましても、心身障害児に対する正しい理解、認識を深めるという点で意義深いものと考えております。
 福祉教育の関係でも、社会科や道徳等におきまして、国民の福祉の重要性や高齢者、障害者に対する思いやりの心、公共のために尽くす心を育てることなどにつきまして指導しておるところでございます。
 また、実践的な活動といたしましては、昭和六十三年度から奉仕等体験学習研究推進校というものを設けまして、ボランティア活動など奉仕にかかわる体験学習というものを通じまして、道徳的実践力を育成するための調査研究というものも行っておるところでございます。
 今後とも学校教育におきまして、こうしたことに関する教育が一層充実していくよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#232
○勝木健司君 次に、先日平成三年度版の厚生白書が公表されたわけでありますが、これについて若干お伺いしたいと思います。
 私は、近年の社会経済状況の中で、厚生行政があくまでも公的施策を一層推進するという前提の上で民間部門の活動にも目を向けることは、それ自身前向きの評価を与えることができると思うのでありますが、それぞれの制度の内容につきましては、理解はできますけれども、福祉の中で一体どのような役割を果たすのかということが、いまひとつ理解できにくいのじゃないかということであります。
 そこで、この白書のベースにある基本的な考え方や今後の具体的な方策についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。
 第一点でありますが、白書では、高齢者夫婦世帯の平均消費支出額から、シルバー層の消費総額を平成元年で約二十七兆円と推計をされておりまして、これが西暦二〇〇〇年に向かいますと、約六十兆円にも達するとしております。これをシルバーサービスの市場規模と考えますと、二十一世紀には巨大な産業の一つになると考えられるわけであります。
 高齢者層の生活水準の向上に伴いまして、保健医療・福祉サービスの選択肢をふやしていく、そしてまた個々人のニーズに迅速かつ的確に対応していくためには、確かにシルバーサービスの果たす役割はますます高まると思われます。反面、シルバーサービスの消費者、すなわち利用者は、高齢者など弱い立場の方々である場合が多いのも事実でありまして、質の悪いサービスの提供を受けて、利用者が被害を受けることがないように民間事業者の健全な育成も大事なことでありますけれども、利用者の十分な保護策を講ずることも不可欠であると思います。
 厚生省では、シルバーサービスの育成を進めるに当たりまして、利用者保護のために具体的にどのような取り組みを行っておるのか、まずお伺いいたしたいというふうに思います。
#233
○政府委員(岡光序治君) 利用者保護の観点からの対応でございますが、定着をしてきております有料老人ホーム、それから在宅介護・入浴サービスあるいは介護機器のレンタルサービス、こういったものが非常に今普及をしてきておるんですが、これにつきましては、国におきまして行政指導のガイドラインをつくりまして、都道府県を通じてこれら業者を指導する。それから業者におきましては、社団法人のシルバーサービス振興会というものをつくっていただきまして業者が守るべき倫理綱領を作成してその徹底を図る。それから優良なサービスを提供する業者に対しましては、シルバーマークといういわば認定制度でございますが、そういったものを普及いたしましてサービスする。こういうことを考えて対応しておるところでございます。特に有料老人ホームにつきましては、相当高額な入居料を払って利用するわけでございますので、老人福祉法の改正もお願いをして相当規制の強化を図ったところでございます。私どもは、あくまでも利用者保護ということを念頭に置いて、かつ事業者の健全育成も図っていこう、高齢者が安心して利用できる体制に持っていきたいというのが基本的な考え方でございます。
#234
○勝木健司君 この老人等の分野につきましては、特にこの保健医療・福祉の制度、施策の整合性とかあるいは実施面での連携というものが重要になってこようかというふうに思います。
 この白書では、今後の福祉社会の担い手としての民間のシルバーサービスあるいはボランティア活動などを取り上げてはおりますが、今後の社会保障におきます公と私というんですか、公と民の連携、役割分担について特に触れられていないと思うのであります。例えば、目標数が少ないのではないかと危惧されておりますホームヘルパー制度についても、民間在宅サービスとどのような連携をとっていくのか、この白書からは全く見えてこないと思うのでありますけれども、この公と民の連携あるいは役割分担についての考え方についてお伺いをいたしたいと思います。
#235
○政府委員(岡光序治君) 必要な基礎的なサービスにつきましては公的部門の施策で対応をする、それから多様化し、かつ高度化しているニーズに対しましては民間部門の創意工夫を生かしていこうということでございまして、基本的な考え方は公か主でございまして民は従ということで、シルバーサービスを育成するということは決して公的施策の後退をさせるのではないという認識でございます。
 しかし、御指摘ございましたように、民間サービスとの連携というのは一方では図らなきゃならない。特に今御指摘がありました市町村のホームヘルプサービスと民間在宅サービスとの関係というふうな例につきましては、私どもは従来から、優良な民間在宅サービスの業者につきましては、公的なヘルプサービスというものの委託ができるのではないか、つまりあるお年寄りの世帯に対しましてホームヘルプサービスが必要だということが認定された場合に、市町村みずからがそのホームヘルパーを派遣するということもありますが、こういった優良な事業者に対しましては、市町村から活用しまして事業を委託するという方式も考えられるのではないか、こういうことを指導してまいっているわけでございます。
 それからまた、サービスの事業者の方の対応につきましては、サービスを提供する際に、この人についてはこんな公的サービスがあるではないかということが認識されるところがあるわけでございまして、そういったケースにつきましては、公的施策との連携を図るようにということで、情報提供に努めてくださいという指導もしておるわけでございまして、そういう意味では、私ども民間の優良なシルバーサービス事業者につきましてはいろいろな面で活用していきたい、両者の連携を図りたいというふうに考えているわけでございます。
#236
○勝木健司君 次に、ボランティア活動についてお伺いをいたしたいと思います。
 週休二日制の導入に伴いまして余暇時間がふえてくる、そして家庭や地域における満足した生活を送ることへの関心の高まりが深まってくるということで、それと同時にボランティア活動への参加は増加しつつあろうかというふうに思います。
 このボランティア活動がより広がっていくためには、もちろん活動者の自主性を尊重していく、そしてこれを側面から支援するという行政の対応が必要じゃないかということであります。厚生省でもボラントピア事業とか、あるいはふれあいのまちづくり事業などを実施しているようでありますけれども、私はこの次代を担う青少年、中でも小中学校あるいは高校の学生、学童生徒に対して福祉教育を行うことやボランティア活動を経験してもらうことが特に重要になってくるんじゃないかというふうに思います。
 先ほどは文部省に、その教育のあり方についてお伺いいたしましたけれども、厚生省ではこの学童生徒のボランティア活動に対する経験と理解を深めてもらうためにはどのような施策を行っていくのか、お伺いしたいというふうに思います。
#237
○政府委員(末次彬君) 御指摘のとおりでございまして、厚生省としてはボランティア活動が円滑に行われるような基盤づくりという観点からもろもろの施策を行っております。その一環といたしまして、福祉に関する若年層の理解と関心を深めるという観点から、昭和五十二年度から学童・生徒のボランティア活動普及事業というものを実施してきております。
 これは小学校、中学校、高等学校を協力校といたしまして選定いたしまして、老人ホームあるいは障害者の施設等の社会福祉施設の訪問あるいは体験活動、あるいは地域におきます障害者等の社会福祉関係団体との交流活動など体験学習を中心といたしました活動の推進を図ってきております。平成四年度までの実施校は七千八百九十六校となる予定でございまして、全小中高校、これは平成三年五月一日現在で四万一千五百九十一校と聞いておりますが、これの約十九%に当たるわけでございまして、今後ともこの事業を計画的に推進していきたいというふうに考えております。
#238
○勝木健司君 最後に、厚生大臣にお伺いしたいというふうに思いますが、今回の厚生白書では、保健医療・福祉分野の民間サービスとか、あるいはボランティア活動の活発化に期待していることは私ども理解できるわけでありますけれども、やはり基本になるのは当然のことながら公的サービスじゃないかということで、引き続き公的サービスの充実を図ることが不可欠であるということは、先ほどの答弁にもありましたように言うまでもないことだというふうに思います。
 そこで、この公的サービスが一層充実をしていく、そして民間サービスがますます活発化するとともにボランティア活動への参加が進むとどのような社会が展望されるというふうに厚生大臣は考えておられるのかお伺いをしたい。
 それと同時に、今後の厚生行政のかじ取りをしていく上での御決意についてお伺いをして、質問を終わりたいというふうに思います。
#239
○国務大臣(山下徳夫君) ただいまのような前提に立ちますというと、まず国民が幅広くサービスを選択できるような社会、それが第一点でございます。
 それから、介護などについてごく普通のこととしてお互いに助け合い、支え合うようなそういう社会をつくるということでございます。これらの実現を期待しながら私どもは今後やっていかなきゃならぬ。
 このために、今後ともゴールドプランの推進あるいは保健医療・福祉マンパワーの確保、これらを初めとする公的施策の充実に全力を傾注していかなければならないと考えておりますが、同時にシルバーサービス等の振興やボランティア活動の普及発展を図るための各種の施策を推進し、それらと取り組んでまいらなければならないと考えております。
#240
○勝木健司君 終わります。
#241
○委員長(田渕勲二君) 以上をもちまして平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管及び環境衛生金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#242
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#243
○委員長(田渕勲二君) 次に、寒冷地福祉手当支給事業促進法案を議題といたします。
 まず、発議者対馬孝且君から趣旨説明を聴取いたします。対馬君。
#244
○委員以外の議員(対馬孝且君) ただいま議題となりました寒冷地福祉手当支給事業促進法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 北海道等寒冷地域の住民にとって暖房は生活を維持していく上で必要不可欠のものであり、そのため他の地域に比べ多量の燃料を消費しています。年々高くなった石油等の燃料費は、一昨年勃発をした湾岸危機の影響で高騰、ことしは昨年に比べれば幾分下落したものの、今なお寒冷地住民の生計を圧迫し続けています。さらには逆進性を有する消費税の導入もあり、昔のことわざに早起きは三文の得というのがありましたが、今や早寝朝寝坊が三文の得というのがい言葉になっているほど、年金受給者にとってはゆゆしい問題となっています。
 例えば北海道における灯油購入金額は、標準世帯で平成二年度が一冬で約五万五千円にも及び、年金への依存度が高い受給者に対し何らかの援助の手を差し伸ばさねば、冬の間の生活が困窮するという状況を生んでいます。
 そこで、市町村が行う寒冷地福祉手当の支給に関する事業を促進するため、道県が当該事業につき補助する場合における当該補助に要する費用について国が補助し、もって寒冷地における年金受給者の生活の安定及び福祉の向上に資する必要があります。
 これがこの法律案を提出する理由であります。
 以下、法案の内容を説明いたします。
 本案は、寒冷地福祉手当支給事業を行う市町村に対し、間接補助の形式で国庫が補助をしようとするものであります。
 寒冷地福祉手当支給事業とは、市町村が寒冷地の年金受給者に対し、その者の暖房費にかかる経済的負担の軽減を図るため、暖房費にかかる福祉手当を支給しようとするもので、現物給付によって実施される場合も含まれています。国庫補助の対象となるのは、寒冷度、その者の扶養家族の数に応じて通常必要と認められる暖房費の三分の一に相当するまでの額に限っております。
 第一に、対象受給者につきましては、国民年金法、被用者年金各法等による公的年金給付を受けている者のうち六十五歳以上である者、国民年金法の障害等級で一級、二級に該当する程度の障害の状態にある者、母子状態、準母子状態、遺児状態にある者としています。ただし、生計を同じくする者によって扶養されている者や、生活保護等地の法令の規定により寒冷にかかる給付を受けている者等を除き、また一定の所得制限を設けることとしています。
 第二に、対象地域となる寒冷地につきましては、寒冷の度が甚だしい地域を政令で定めることとしており、国家公務員の寒冷地手当支給地域のうち、五級地、四級地を想定しております。
 また、国庫補助の形式について説明をいたしますと、本事業の性格上、道県が市町村に対し補助を行っている場合に限り、その補助に要する費用の三分の二を国庫補助するものとしています。ただし、当該事業に要する費用の二分の一に相当する額を限度としています。
 なお、この法律案は、公布の日から施行することとしています。
 以上が法案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
#245
○委員長(田渕勲二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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