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1992/04/16 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第6号
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1992/04/16 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第6号

#1
第123回国会 厚生委員会 第6号
平成四年四月十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     関根 則之君     田代由紀男君
     星野 朋市君     木暮 山人君
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     高桑 栄松君     針生 雄吉君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田渕 勲二君
    理 事
                前島英三郎君
                竹村 泰子君
    委 員
                小野 清子君
                尾辻 秀久君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                浜本 万三君
                木庭健太郎君
                針生 雄吉君
                沓脱タケ子君
                粟森  喬君
                勝木 健司君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  山下 徳夫君
   政府委員
       人事院事務総局
       給与局長     森園 幸男君
       厚生大臣官房総
       務審議官     大西 孝夫君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       古市 圭治君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省社会局長  末次  彬君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
       労働省職業安定
       局次長      伊藤 欣士君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
   説明員
       文部省高等教育
       局大学課長    工藤 智規君
       文部省高等教育
       局医学教育課長  喜多 祥旁君
       文化庁文化部宗
       務課長      梶野 愼一君
       労働省婦人局庶
       務課長      佐田 通明君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○看護婦等の人材確保の促進に関する法律案(内
 閣提出)
○社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当
 共済法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十四日、関根則之君及び星野朋市君が委員を辞任され、その補欠として田代由紀男君及び木暮山人君が選任されました。
 また、昨日、高桑栄松君が委員を辞任され、その補欠として針生雄吉君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(田渕勲二君) 看護婦等の人材確保の促進に関する法律案並びに社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
 両案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○菅野壽君 私は、まず基本指針についてお伺いいたします。
 看護婦等の人材確保について特に中心に伺いたいと思いますが、看護婦等の人材確保については既にさまざまな論議が交わされておりますが、これから申し上げることで重複する部分もあるかと思いますが、確認の意味ももちましていろいろお伺いしたいと思っております。
 看護婦確保につきましては、本法律案の第一条にその目的が「高度な専門知識と技能を有する看護婦等を確保」するとありますが、看護婦等の確保につきましては、単に量的な確保ということだけではなく、質の高い看護労働力を求めていくことになります。量的確保について、特に新規に看護婦になる人をふやす、離職者を防止する、再就職を促進するという点で根本的に三つの側面があると思いますが、その方策につきまして看護婦養成校の増設、保育所等の福利厚生施設の充実、給与改善、夜勤の軽減等処遇の改善等の施策が問題となります。さらに、質の確保ということになりますと、看護婦高等教育の問題、現任研修と言われるような就業中の研修の場の確保という問題が検討されなければならないと思います。
 さて、今回の法律案では条文が大変抽象的であり、条文を見た限りでは今述べた側面での施策がはっきりしないところが多いので、これらを基本的に明らかにする観点から若干質問を行いたいと思います。
 まず、基本指針についてでありますが、基本指針とは何でありますか、どのような意味を持っておるのか。第三条第二項において、一号から六号にわたって基本指針に定める事項を掲げております。第二号、第三号、第五号は主として量的確保について、また第四号は主として質の確保の問題ということになるかと思われますが、それぞれの事項を基本指針とした理由を具体的に説明していただきたいと思います。
 また、この基本指針の中で離職防止に関する事項がございません。離職防止ということは、今述べたように看護婦さんの人材確保の中では非常に大事な点ではないかというふうに思われますが、基本指針の中に掲げてないのはどういうことでございましょうか。その点もお伺いしたいと思います。
#5
○政府委員(古市圭治君) 国民に適切な医療を提供できるように、御指摘のように資質の高い看護婦等の確保を進めますために、もろもろの施策全体にわたります基本的な項目を挙げまして、それぞれについて基本指針を策定するというように法律案は規定したわけでございます。この第一号から第六号までございます基本指針の第一号は「就業の動向に関する事項」となっております。これは、具体的内容といたしましては病院数、診療所数の現状、病床の動向、看護婦等の就業先別の就業動向、高齢化の進展、医療の高度化、それからゴールドプラン策定等による看護婦の需給、そういうものも含めましてここで就業の動向を明らかにするということにしております。
 また、二番目が「看護婦等の養成に関する事項」でございますが、今後の需要増に対して養成力の拡充を図っていく方針を明らかにすることを予定しております。
 三番目が、「病院等に勤務する看護婦等の処遇の改善」でございます。これはいろいろ御指摘を受けております週四十時間、完全週休二日制、夜勤負担の軽減等について触れる予定でございます。
 それから、四番目の「看護婦等の資質の向上に関する事項」でございます。これも御指摘ございましたように、訪問看護、救急、母子保健業務に関する研修等を活用しながら医療の高度化に対応できるような看護婦の資質の向上を図るということを規定しようかと思っております。
 それから五番目が、「看護婦等の就業の促進」でございます。これは本法案の中にも盛り込ませていただいております都道府県ナースセンター等の活動を拡充強化していくことでございますが、ただいま御指摘がございました離職の防止につきましては、この事項の中で対応を触れたいということに考えております。
 六番目の「その他看護婦等の確保の促進に関する」事項でございますが、これは看護の日、看護週間行事い 日看護婦体験等を通じて看護に対する国民の関心と理解を深めていく啓蒙活動等を含んでいる、こういうようなことを予定しているところでございます。
#6
○菅野壽君 また、基本指針において「看護婦等の就業の動向に関する事項」とは何を意味するものでありますか。就業の動向を調査把握するという意味でありますか。それとも看護婦需給見通しを毎年なり二年ごとに作成するということでありますか。
 また、看護婦さんの人材確保におきましては、どのくらい確保する必要があるかということは当然大前提の話でありますから、わざわざ基本指針に掲げるまでもないように思われます。将来看護婦さんがさらに不足する、あるいは余剰となるところまで想定して、そのときどきの状況の把握が必要であるということでありましょうか。
 昨年十二月に出されました「看護職員需給見通しについて」におきましては、「今回の需給見通しは、高齢者保健福祉推進十か年戦略の達成等を考慮した平成十二年までの長期に及ぶため、この間、看護職員の需要に影響する医療供給体制の変化等需要を取り巻く状況の変化が予測されるところから、適宜見直しを行う」とされていますが、基本事項とは関係があるということですか。「適宜見直し」というのはどういうことでしょうか。適宜行うということとも考えられますが、いかがでございましょうか。
#7
○政府委員(古市圭治君) 「就業の動向に関する事項」の中には御指摘の看護婦等の需給、就業の動向、昨年暮れに出しました平成十二年に向けての需給見通しというものの検討も含まれているわけでございます。
 適宜と申しますが、この条項に従いまして定期的に見直すということではございませんが、事情がいろいろ変化いたしましょうし、それらの事情の変化に対応いたしまして、必要に応じて見直すということになろうかと思います。
#8
○菅野壽君 看護婦さんの需給見通しについてでございますが、医師についてはその不足が叫ばれた折に、一県一大学構想が出されまして医学部の増設がなされましたが、その結果は現在のような医学部定員の削減問題であらわれているように、医師過剰が問題となっております。看護婦さんについても現在不足が叫ばれており、その増設を考えるべきであると思いますが、医師過剰のような問題が生じるおそれがないかどうかお伺いしたいと思います。
#9
○政府委員(古市圭治君) 非常に高齢化が進みまして、また看護、介護に対する需要が量的に多くなり、また多様化するということを踏まえまして、各都道府県を通じてその需要の実態を把握して、それに対する供給体制を検討したわけでございます。そういうことで、国の段階で一方的にやったということではございませんで、いろんな条件を設定して、各都道府県の意向も反映した結果が昨年末報告させていただいた見通しになりましたので、こういうような需要は十分ある、それに対する供給体制を充実していかなかったらいけない、このように思っている次第でございます。
#10
○菅野壽君 再就職を促進していくことについてちょっとお尋ねしますが、絶対数が減るにしろ、過剰問題を見越したにしろ、再就職問題は今後の看護婦さんの確保につきましては重要な柱であるということは間違いないと思いますが、この点について伺いたいと思います。
 保健医療・福祉マンパワー対策本部中間報告におきましても、「看護職の資格を有しながら看護業務に就業していない「潜在看護婦数」は、約四十三万人と推計されており、その活用の余地は大きい。」とされていますが、大臣は再就職促進に関してどのように御認識であるか、お伺いしたいと思います。
#11
○国務大臣(山下徳夫君) 二十一世紀までに百十五万九千人を達成するためには、これは新しい養成所を出た看護婦さんだけでは非常に困難な面があるんではないか。したがって、現在看護婦の資格を持って看護婦の業務についていらっしゃらない潜在看護婦さんに何とかひとつ再就職してもらうための努力を今後さらに進めていかなきゃならぬ。
 そういう意味からいたしまして、従来のナースバンクをナースセンターというふうに改組しまして、さらに内容を充実して、特に情報の提供とか研修の実施、あるいは看護婦さん個々の経験やニーズに合わせた相談とか紹介とか、細かに相談に応じて懇切に指導していきたい、そのように考えております。
#12
○菅野壽君 再就職促進のことについて、ナースバンクですが、今回の法律案ではナースセンターに改組するということでございますが、改組の意味は、また目的はどういうことでございましょうか、御説明いただきたいと思います。
 最近三年間のナースバンクの実績を見ますと、就業者数はほぼ一万二千人で横ばいでして、ナースバンクをナースセンターにしたからといって、平成四年度において前年度より看護婦需給見通していう毎年千七百人の増加とすることはかなり努力が必要ではないかと思いますが、その成算についてちょっとお伺いしたいと思います。
#13
○政府委員(古市圭治君) 現在、都道府県のナースバンクで看護婦さんの再就職事業というものをあっせん、支援しているわけでございますが、これに対しましても二年間引き続きまして予算の増額に励みまして、今年度は昨年の二倍の額を予算措置をして、専従の職員に対する補助制度も入れたわけでございます。
 さらに、今回の法案が成立しました暁には、このナースセンターが法律の中に位置づけられて、また地域の中でも信頼を得る活動ができる基盤ができると思っております。そのような事業を通じて、予算、体制の上からナースセンターを強化してこの再就職の数をふやしていきたい、このように思っております。
#14
○菅野壽君 離職防止についてでございますが、再就業の促進策につきましては厚生省でもいろいろお考えのようでございますが、私は、離職防止策が再就職促進にも効果があると思っております。現象として退職者が多いことは、需給見通しでも毎年五万人程度が退職されることを見込んでいることでわかりますように、潜在看護婦が四十三万人とも言われているところから、はっきりしていることであると思います。
 離職につきましては、厚生省としてどのような調査を行って、その原因についてどのように把握しておられますか、説明していただきたいと思います。
#15
○政府委員(古市圭治君) 看護婦等の離職の理由といたしましては、私どもの補助もいたしまして看護協会等でナースバンクにおける求人、求職条件調査というものを通じて一九八九年に調べた結果がございます。この結果によりますと、やはり第一位が結婚でやめられるということでございまして、重複回答でございますが三〇%、それから第二位が出産、育児で二五%、第三位が夜勤がきつい、夜勤ができない二三%、第四位が労働時間がきつい、こういうようなことで、ほかの調査等から見ましても結婚、育児、労働条件、こういうようなことになっているわけでございます。
#16
○菅野壽君 次に、看護婦の養成についてお伺いしたいと思いますが、第三条に、基本指針におきまして「看護婦等の養成に関する事項」を定めることとなりますが、この養成に関する事項の意味、内容を説明していただきたいと思います。
 看護婦養成校を幾つ創設するのか、看護大学を幾つ設立するのか、また一県一看護大学構想については現在のところどのようにお考えになっておるのか。基本指針は医療関係者審議会の意見を聞いて定めるとございますけれども、国会という最高の機関もございますので、審議会は審議会として、国の確固たる方針を持ってほしいと思いますが、御意見を賜りたいと思います。
#17
○政府委員(古市圭治君) 基本指針に触れております「看護婦等の養成に関する事項」におきましては、新規養成の推進、それから養成課程における教育内容の充実等を指針の中に盛り込んでいきたいというふうに考えております。
 なお、医療の高度化に対応し得る資質の高い看護婦等を確保するという観点から、看護大学の設置も望ましいこととは考えておりますが、直接には文部省の所管にわたることであろうと思っております。
 なお、現実的に、現在養成施設の補助等の増加に努めておりまして、各養成校の定員増、それから新設校というものが各自治体から出されてきております。また、私ども聞くところによりますと、各県におきましても各種の程度の高い保健大学校をつくるという構想も動いているということで、非常に期待をしておるところでございます。
#18
○菅野壽君 次に、看護婦さんの質の問題でございますが、第一条の「目的」に「高度な専門知識と技能を有する看護婦等」としていますが、高度とはどのような程度を想定しているのでございましょうか。このような文言を入れたということは、看護婦等の確保の対象の重点は准看護婦また准看護士よりも看護婦であると理解してよろしいのでしょうか、お伺いしたいと思います。
#19
○政府委員(古市圭治君) ここの「高度な専門知識と技能を有する看護婦等を確保しこと、こう書いておるところは、准看よりも正看護婦と、こういうことを想定したわけではございません。どちらの資格にしても、現在の医学、医療の進歩というものに十分対応できるような知識、技能を持った看護職種を養成していかなかったらいけないということで、これは両方にわたっていることだと御理解いただければと思います。
#20
○菅野壽君 また、看護婦さんの質の問題で御説明願いたいと思いますが、第三条第三項に、「高度化し、かつ、多様化する国民の保健医療サービスヘの需要に対応した均衡ある看護婦等の確保対策」と書かれております。高度化とは、多様化とはどのようなことを指すのでございましょうか。現在の看護婦さんの技量では間に合わないということでございましょうか。それでは、そのような事態に対応すべき看護婦養成校というのはどのようなものを想定しているのでございますか。
 現在職務についている看護婦さんに研修の機会はあるのでございましょうか、どのような対策をとるのですか。リフレッシュ研修ということを考えておられるようですが、御説明いただきたいと思います。
#21
○政府委員(古市圭治君) 高度化、多様化というのはいろんな面にわたろうかと思いますが、一例を挙げますと、昔の看護婦さんに期待されていましたことはいわゆる心優しい看護ということが中心であったかと思います。しかし、現代の看護と申しますのは、それが基本であることは変わりませんが、いろんな集中治療室それから各種の新薬の服薬を勧めるということで、医学、医療の進歩に対応して非常に分野が広く程度が高い知識が要求され、それに基づいて看護が行われるということでございます。それからまた、疾病構造が変化したということと同時に年齢構成が非常に高くなってきたということで、従来病院の中で行っていた看護がいわゆるホスピス、ターミナルケア等までに対応するような看護のあり方ということも求められているわけでございます。そういうようなことが高度化、多様化ということの一つの例ではなかろうかと思います。
 そういうことから私どもは、教育課程における教育の充実というために、平成三年度予算におきましては実習調整者の経費、またさらに平成四年度予算におきましては学生指導担当者経費というものも新しく補助対象といたしまして看護婦養成所の運営費の充実を図り、こういうような指導者によって教育実習が行われるように努めているというところでございます。
#22
○菅野壽君 次に、看護婦さんの業務のことでお伺いしたいと思いますが、第三条第三項において「あわせて当該看護婦等が適切な処遇の下で、自信と誇りを持って心の通う看護を提供することができるようにことされていますが、このための条件、要件はどういうことですか、説明していただきたいと思います。
 また、同条に、「看護業務の専門性に配慮した適切な看護業務の在り方を考慮しつつことありますが、看護業務のあり方についてはどのような計画で検討していく予定でありますか。看護業務のあり方について四年度に予算化されていますが、この検討結果はいつ手にすることができるのでございましょうか、お伺いします。
#23
○政府委員(古市圭治君) 看護婦さんが自信と誇りを持って心の通う看護を提供できるようにするための条件といたしましては、いわゆる看護にいろんな仕事が雑然と入ってくるというようなことではこれは不可能でございますので、看護を提供するために本来行うべき業務のあり方というものを明確にするということが一つ大事なことではなかろうかと認識をしております。
 このために、平成三年度から看護業務検討会を開催しておりまして、深夜交代を避ける勤務体制等の検討、それからまた病棟クラークと申しますか、病棟事務員、それからまた看護補助者等の活用、病院薬剤師等の業務関係の見直し、交代時の申し送りの改善等、看護業務全体についてのあり方について幅広く検討する検討会をスタートさせております。
 平成四年度予算におきましては、看護婦の業務を働きやすく魅力あるものにするためにこの検討会の結果を数カ所の医療機関において実際看護業務の改善モデル事業ということでしていただきまして、その結果を持ち寄って業務全体の見直しの報告書をつくっていただきたい、このような日程で現在検討が進んでいるということでございます。
#24
○菅野壽君 処遇の改善についてちょっとお伺いしたいと思います。
 処遇の改善については基本方針でも挙げられることとされておりますが、どのようなことが指針では掲げられることになるのでございましょうか。例えば給与、いわゆる二・八勤務体制とも言われるような問題にも触れられることになるのでございましょうか。
 それから給与につきましても、病院経営者側からは物価の上昇にも満たない診療報酬の改定では人件費までに回す余裕は少ないというふうに言われております。また、毎年賃金が引き上げられておりますが、診療報酬の改定は二年に一回であります。この問題は何回も取り上げておりますけれども、例えば物価ないし賃金上昇率に見合った引き上げを初診料、再診料、看護料等の点数で暫定的に行い、二年ごとの診療報酬で全体を調整するというような方式を採用するなど、ぜひ検討を加えるべき問題だと思います。
 国公立等の病院や診療所は公務員給与の改定で是正されておりますけれども、私的医療機関においてはこの診療報酬だけを頼りにして処遇改善、あらゆる病院経営等をやらなきゃならぬ状態を踏まえて、どうかひとつ毎年でも診療報酬で全体を調整するというふうなお考えをいただければ非常にありがたいと思いますが、その点をできれば大臣にお伺いしたいと思います。
#25
○政府委員(古市圭治君) 前段の御質問の方、私からお答えさせていただきます。
 処遇改善について基本指針では具体的に給与や二・八体制等にも触れていくのかという御趣旨がと思います。
 この基本指針の「処遇の改善に関する事項」におきましては、週四十時間、それから夜勤平均月八回を目指して努力をする、それからまた院内保育施設、宿舎の設置等による厚生福利の充実、それから処遇改善のための雇用管理体制の明確化等を具体的に書いていこうということが予定されているわけでございます。
 なお、給与水準につきましては、個々の医療機関において経営状況等を踏まえて労使間で決められるということから、基本指針に直接盛り込むべき事項ではない、このようなことを考えております。
 前段は以上でございます。
#26
○国務大臣(山下徳夫君) 診療報酬の改定のルールは診療報酬体系のあり方にかかわる問題でございます。したがいまして、診療報酬をめぐる基本的諸問題につきましては、現在中医協において御審議をいただいておりますけれども、その審議の経過を見守りながら必要に応じて検討し、善処してまいりたいと思っております。
#27
○菅野壽君 次に、国の責務でございますが、第四条では「国及び地方公共団体の責務」を定めております。「財政上及び金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。」としておりますが、財政上の措置において看護婦確保五カ年計画のようなものを定め財政支出を計画的に行うことは考えられないのでありましょうか、あるいはゴールドプランの中に組み込むことは考えておられませんか。ホームヘルパーについては十万人ということを目標にしてゴールドプランに入れておられますが、これを看護婦確保においても需給見通しにおける百十六万人体制を需給見通してはなく計画目標として定め、大蔵大臣、自治大臣を含めた合意の上に財政上の裏づけのある計画とするようゴールドプランと同様の措置をとるお考えはありませんでしょうか。
#28
○国務大臣(山下徳夫君) 昨年末に取りまとめました看護職員の需給見通しによりますと、平成十二年には百十五万九千人という一応の目標を策定いたしまして、それを目標に養成力の強化、待遇の改善あるいは資質の向上とか就職の促進、いろんな面で総合的な施策を推進しているところでございます。平成四年度におきましても、そのために予算の大幅な増額を見ておりますし、特に平成二年度の予算に比べますと八割増という他に例を見ないような極めて大きな予算上の前進になっているわけでございます。
 看護婦の確保対策につきましては、今後とも関係各省庁と話し合ってさらに力を注いでまいりたいと思います。
#29
○菅野壽君 次に、社会福祉施設職員の確保についてお伺いしたいと思いますが、基本的には看護婦等確保と同様のことが考えられます。確保策としては、給与、勤務時間、福利厚生施設等の処遇の改善を行うことが必要であると考えられます。
 しかしながら、社会福祉施設職員について看護婦確保における問題と大きく異なることは、特別養護老人ホームに代表されるように、施設の運営が措置費に規定されるところが大きいことであります。この措置費による施設経営の硬直化が寮母を初めとする福祉施設職員確保を難しくしているとも言われております。この際施設定員の三%程度の予算を経営改善費として給付する、定員の二ないし三%程度のベッドあるいは居室は緊急用として確保しておく等の余裕ある運営を認める施策を採用し、施設経営に創意工夫の余裕を付与することを考えてはおられませんか、お聞きしたいと思います。
#30
○政府委員(末次彬君) 御指摘のとおり、民間の社会福祉施設みずからが創意工夫を凝らしまして主体的に入所者の処遇あるいは職員の待遇の向上に努めていただくということは大変重要であるというふうに考えております。そういう観点から、従来から民間施設の措置費におきましては、施設職員の勤務実態あるいは処遇内容に応じまして、給与あるいは施設管理について改善するための経費を上乗せするなどの運用を行っているところでございます。
 また、平成二年度から各都道府県の社会福祉施設の経営者協議会、ここに経営指導員を配置いたしまして社会福祉施設みずからが健全な運営管理と入所者処遇の充実向上に努力することを援助するための福祉施設経営指導事業という事業を実施してきておるところでございます。
 今後とも、こういう民間社会福祉施設が必要な水準を確保しながら主体的な運営に努めるとともに、民間社会福祉施設の自主的な運営が推進されますように、十分その援助体制の充実に努力してまいりたいというふうに考えております。
#31
○菅野壽君 次に、ホームヘルパー等のことについてお伺いしたいんですが、社会福祉施設で働く職員には寮母、介護福祉士、社会福祉士、作業療法士、理学療法士等いろいろな方が考えられるわけでありますが、これらの職員の需給につきましても、保健医療・福祉マンパワー対策本部中間報告におきまして不足の懸念を表明しておりますが、この需給見通しを説明していただきたいと思います。
#32
○政府委員(末次彬君) 寮母あるいは介護職員、これにつきましては、ゴールドプランを実現するためには平成二年度から平成十一年度までの間に新たに約十一万人が必要であるというふうに私どもは見ております。今回提出いたしました法案や各般の措置を通じまして、その確保に努力をしていきたいというふうに考えております。
 介護福祉士あるいは社会福祉士につきましては、これはまだ制度発足後日が浅いわけでございますが、介護福祉士につきましては、当面年間一万人以上を目標にして養成をしたいというふうに考えております。社会福祉士につきましても、試験で現在実施いたしておりますが、一定水準の質の確保と、それからできるだけこういう方々が蓄積といいますか、ふえていくような措置を講じていきたいというふうに考えておりまして、こういう措置を通じまして人員の確保に努めていきたいというふうに考えております。
#33
○菅野壽君 最後になりますが、このほか、まだ私がお聞きしたいことは多々あるんでございますけれども、同僚の日下部委員からるるまた御質問があると思いますので、この辺でやめておきますが、議題となっている人材確保二法案につきましては、例えば質の問題での、先日私が提案いたしましたように、准看護婦から正看護婦への道の問題、適正な配置がなければ病院関係者だけが過料という罰を受ける、これはどういうことなのか、絶対数が少ないときにおいてこういう罰則を設けたということについて不可解な点が私としてはあるんでございます。
 最後に、どうしてもお聞きしておかなければならないことは、これらの法案によりましてどのような医療、福祉のサービスが実現されるかということがいまだにはっきりしていないということであります。本会議でも質問がなされましたが、平成十二年には基準看護がどの病院においても実現されていると考えてよいのですか。ホームヘルプサービスは希望の日数だけ利用できることになるのでありますか。法律は計画ではないと言われるかもしれませんが、法律を出すからにはもう少し具体的な姿をお示しいただき、提案者としての責務を明確にしていただきたいと思います。
 以上、るる御説明いただき、御質問申し上げましたが、最後に大臣の人材確保につきましての意欲、特に人材確保ということにつきましては予算的な財政上の裏づけが必要であると思います。長い政治生活をなさった山下厚生大臣、大物厚生大臣となられて、人材確保のためには事務方が財政当局に要求する額の一二〇%までも確保するだけの実績がおありなのでございますから、積極的な決意を表明していただきたいと思います。
 これで私は終わりますが、よろしくお願いします。
#34
○国務大臣(山下徳夫君) いろいろと御質問、御意見承りましたけれども、保健医療サービスの生きを期するためには、まず人材の確保が先決要件であります。そのために、平成四年度におきましても、労働時間の短縮であるとか、あるいは看護婦の確保対策、処遇の改善のための診療報酬の改定、いろんな措置をとってまいりました。
 今後とも人材確保を促進するためには総合的な精いっぱいの努力をしてまいらなければ所期の目標を、年次的にいろいろそれぞれ立てておりますから、達成することは困難だと思っておりますので、精いっぱいやってまいりたいと思います。
#35
○菅野壽君 ありがとうございました。終わります。
#36
○日下部禧代子君 まず最初に、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案について質問させていただきます。
 去る三月六日の熊本県の新聞でございますが、日刊人吉新聞というのに次のような読者の投書が掲載されておりました。
 私は昨年、約四カ月人吉総合病院に入院してい
 ましたが、ここの看護婦さんたちには本当に感
 心しました。
  いかに完全看護とは言え、まったく感心しま
 した。戦前、軍隊が厳しいと言われておりまし
 たが、その比ではない。昼の間には飛ぶ如くし
 て動きまわり、夜は夜で十二時には患者の所を
 まわり、さらに朝方三時ごろにまわり、五時ご
 ろはさらに重症患者の所をまわり、婦長自ら率
 失して患者の所をまわり、ただただ感心するの
 みである。
  日本には看護婦が大分不足すると言われてい
 るが、国の施策を考える時であることをつくづ
 く考えさせられる次第である。
という投書が載っておりました、
 この投書をなさった方は、松本功男さんとおっしゃいまして、七十九歳で末期がんで亡くなられました。亡くなられて後、死の直前にお書きになったこの手記を御遺族が投稿なさったものでございます。御自分が末期がんで死と直面して苦しんでいらっしゃる中で、看護婦さんの厳しい労働の実態を考えてほしいと国に対して訴えている、この気持ちに打たれましてあえて御紹介させていただいたわけでございます。今全国の病院に入院していらっしゃる患者さんたち、恐らく同じ思いではないかなというふうに思うわけでございます。
 そういう状況の中でこの法案が出されたことは大変に意義があることというふうに思いますが、看護婦さんの立場からすれば、今までの厳しい労働条件、さまざまな厳しさということは言われてから大変もう時間がたっております。一体そのような厳しい状況がどうなっていくのか、どう改善されていくのか。また患者の立場からすれば、一体どのような介護がしてもらえるのだろうかという、看護婦さん御自身の立場、そしてまた患者の立場、それぞれに大きな期待を持っているというふうに私は考えるわけでございます。
 入院患者の立場からいたしますと、よい病院、あの病院はよかったなというふうに思えるのは、よい看護をしてもらえたということが実感としてあるのではないかというふうに思うわけでございますが、この投書を含めまして、看護婦確保法案におきます大臣の所信、患者、看護婦さんのこのような訴えにどのようにこたえていこうとなさっているのか、まずそこをお聞きしたいと思います。
#37
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま先生がお示しになった熊本県の入院患者の方の書かれた例でございますが、私も昨年、一月半ほど入院をいたしましたし、過去において何回か入院の経験があって、その都度私も痛感をいたしております。
 やはり看護婦さんと患者というのは人と人との関係ですから、笑顔でもって患者に接する、そのことがいかに大切であるかということでありますが、笑顔でもって接するためにはその方に対しての一つの何と申しますか報酬、いろんな面において厚遇しなければそう笑いというものは出てくるものではない、私はそう思います。
 看護婦は、一つの何と申しますか、非常に大切な聖職であると私も思っておりますが、先般の新聞で日本航空のスチュワーデス、五年間やったスチュワーデスが、一念発起やめて新たに看護婦学校に行き直して、主人もそれを理解してくれて、今度卒業してそして松沢病院に就職したというのを新聞記事で見ました。そのままいた方が給与もずっといいけれども、飛行機の中で人が苦しんでいる姿を見て私は何もやれなかったという、やはり何かその人の倫理性と申しますか、そういうことを痛感してその人が看護婦になったというのを見て、私は感心するとともに、そういう考え方の人がますますふえてくることが日本のために大変大切だという感じをしたわけでございます。
 そこで、そういう立派な看護婦さんを今後ふやしていくためには、ただしっかりやれよ、患者には親切にやれ、笑顔で接しろというようなお謝してはとてもできないのであって、それ相当の処遇というものが前提でなきゃならないと思いますから、そういう意味におきまして、質の高い看護婦を確保するためにはいろいろと処遇をやっていかなきゃならぬ。毎度申し上げておりますが、養成力の強化あるいは離職の防止であるとか、さらに医療の高度化に対応した資質の向上、また潜在看護婦を、今足りないんですから、潜在看護婦さんというのは相当な数いらっしゃいますから、こういう方々にまたひとつお願いをして看護婦に戻っていただくとかいうようなこと。いろんな措置を講じながら、さらにまた財政、金融、税制とか、そういう面も考慮していかなきゃなりませんし、国の予算も十分つけなきゃならぬ。
 先ほども申し上げましたように、平成二年度に比べまして今年度は看護婦対策は約八割増でございますから、厚生省全般の予算の中では最も伸びておるわけでございますが、私どもそれで能事足れりとするのではなくて、今後ともだんだん若年労働者は減ってくるわけでございますから、照準をずっと先の方に合わせながら、中長期的に看護婦がどのようにやってどの程度今後充足すればいいのかというようなことを検討しながら、ひとつじっくりと長期にわたってこれから対策を練っていかなきゃならぬ、かように思っておる次第でございます。
#38
○日下部禧代子君 どうもありがとうございました。
 それでは、もう少し具体的に質問をさせていただきたいというふうに思います。
 先ほどの同僚議員の質問にもございましたが、今大臣の御決意をいただいて大変心強く思ったわけでございますが、どうもこの法案は抽象的なところが多うございまして、努めるべきである、あるいは努力すべきであるというふうな、努力と努めるは同じでございますが、そういう具体性に欠けている、わかりにくいということが率直な私、印象でございます。
 それで、少し明確にするために幾つかの条文につきまして具体的な内容をお尋ねしたいと思いますが、その前に、この法案が出される立法の背景、つまり看護婦、看護職員の需要の背景というものについて、具体的な数字を含めまして厚生省にお尋ねしておきたいと思います。
#39
○政府委員(古市圭治君) 国民の保健医療に対する需要が非常に高まってまいりまして、それに伴いまして看護婦等の不足が指摘されまして、私どもは看護職員確保対策の充実に努めてきたわけでございますが、今後さらに各種の施策を推進する上でその基盤となるものが必要であると考えまして、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案を提出することにしたわけでございます。
 本法案は、看護婦等の確保につきまして中長期的視点に立って取り組む上での基盤となる法制度を整備しようというものでございます。
 その具体的内容としましては、看護婦等の養成、処遇の改善、就業の促進に関する事項等に関する基本指針の策定を行う。また、それに基づきます国等の関係者の責務を規定いたしました。それから次に、病院等に対する指導規定及び雇用管理に関する知識の習得のための助成を行うこと、看護婦等が不足している病院における看護婦等確保推進者を設置すること、看護婦等の就業促進等に協力をする看護婦等就業協力員の委嘱を行うこと、潜在看護婦等の再就業等を進める上で都道府県ナースセンター及びそれらの連絡、調整を行うための中央ナースセンターの指定を行うこと、このような内容を盛り込んだ法案を提出させていただいたということでございます。
#40
○日下部禧代子君 それは法案に述べられていることでございますが、もう少し詳しく、具体的にイメージがわいてくるというのには少し今の御説明では私満足いたしませんけれども、私の質問させていただきましたのは立法の背景ということでございましたが、時間がございませんので先に進ませていただきたいと思います。
 まず、第四条に関しましてでございますが、「国は、看護婦等の処遇の改善に努める病院等の健全な経営が確保されるよう必要な配慮をしなければならない。」というふうに規定しておりますが、実態としては病院経営というのは厳しいものになっております。具体的にどのようなことをなさろうと考えられていらっしゃるのか、その点明確にしていただきたいと思います。
#41
○政府委員(古市圭治君) この条項において考えておりますのは、例えて申しますと、病院等の健全な経営が確保されるような必要な配慮といたしまして、診療報酬上の適切な措置というものがございます。それからまた、国立医療・病院管理研究所等におきます病院管理コースにおきまして種々の研修を行っております。こういうことも入ろうかと思います。
#42
○日下部禧代子君 次に、「地方公共団体は、看護に対する住民の関心と理解を深めるとともに、看護婦等の確保を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」というふうにしておりますが、これは具体的に国としてこの実現のためにどのようなことをなさろうとしているのでしょうか。また、地方公共団体が必要な措置をとるために国は予算的措置をするというふうにとってもよろしいのでございましょうか。
#43
○政府委員(古市圭治君) この中で期待されますことは、地方公共団体が行います看護婦等の養成所に対する助成、これは財政的な助成になります。それからまた院内保育施設への助成、また看護の日、看護週間等のいろいろな地域住民への広報活動、こういうものがございます。
 この中の養成施設、院内保育施設につきましては国の補助金があり、それに見合った額が自治体でも上乗せされてそれぞれの施設に流れるということで、予算的な裏づけもあることでございます。
#44
○日下部禧代子君 次に、第八条でございますが、「国及び都道府県はこ「病院等の開設者等に対し、基本指針に定める事項について必要な指導及び助言を行うものとする。」ことになっておりますが、助言と指導がどのような形で具体化されていくのか。また、そのフォローアップでございますね、検証方法ということについてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。ただ指導、助言を与えただけでそのままなのでございましょうか、その後どのような対応をなさるのでしょうか。
#45
○政府委員(古市圭治君) この看護婦等の人材確保の促進に関する法律だけによって医療機関の看護体制、看護婦さんの充実強化というものが図られると私ども思っておりませんで、今までのいろんな関連施策、それからまた法令も動員されるということでございます。
 したがいまして、この法律の条項によりまして医療機関に指導、助言を行うということでございますが、それによって改善されていけば結構でございますし、それが図られない場合にはさらに医療法の医療監視という条項もあるわけでございます。そういうことと相まって第一線の医療機関の改善を図っていきたいと思っております。
#46
○日下部禧代子君 次に、第十一条になりますが、「都道府県はこ「看護婦等就業協力員を委嘱することができる。」というふうに規定しておりますが、ナースセンターとこの看護婦等就業協力員というのはどのような関連性を持たせようとしていらっしゃるのか。あるいはまたこの看護婦等就業協力員の地位あるいはどこに所属するのか、どのような活動をするのか、全国で何人ぐらいの協力員を想定なさっているのか、それぞれについてお伺いしたいと思います。
#47
○政府委員(古市圭治君) この協力員は、都道府県から委嘱をしていただこうということでございまして、直接には都道府県のナースセンターと所属関係があるということではございません。逆に、イメージの方から申し上げますと、全国に現在八百五十の保健所がございます。このような協力員によって地域の看護婦さんたちにいろいろ協力をしてもらう、ボランティア活動をしていただくためには、県で数名というわけにもいきませんし、また市町村単位というわけにもいかないことを想定いたしますと、一番妥当なのが保健所単位に数名の方がおられるということがいいんではなかろうか。そういたしますと、全国で千名から二千名という数になろうかと思っております。
 また、このような方はどういう人かと申しますと、いわゆるそれぞれ病院の総婦長を経験してやめた方とか、それから看護協会に勤めておられた方とか、地元におきましてそういう関係に知識があり、また信頼がある人という方に委嘱をいたしまして、再就職への相談、紹介、さらには離職したいという人にもう少し勤務を続けるようにといろいろアドバイスをする、そういうことに御協力を願いたいと思っておりますから、仕事の上ではナースセンターと非常に密接に関係がございますが、いわゆるそこに属する人ということにはならないと思っております。
#48
○日下部禧代子君 その地位はどういうふうになるのか。ボランティアというふうに今おっしゃいましたけれども、いわゆるボランティア的活動でございますか。
#49
○政府委員(古市圭治君) 最終的にはまだ決まっておりませんけれども、民生委員というのが現在ございますけれども、民生委員法できちっとなっておりまして、委嘱をされてある程度の報酬実額というのが出ているという制度がございますし、それから都道府県の委嘱を受けた、ボランティアとはいえ各自治体の都道府県知事さんから委嘱を受けて仕事をやるという各種の制度がございます。それを参考にしてこの制度を定着させていきたいと思っております。
#50
○日下部禧代子君 その次に、「看護婦等確保推進者の設置」というのがございますが、これは具体的には「厚生省令で定める」ということになっております。その具体的な基準というものがございますでしょうか。
 また、看護婦等確保推進者を設置したといたしましても、看護婦等が確保できない状態が続きました場合にはどのような対応をなさろうとしていらっしゃるのでございましょうか。
#51
○政府委員(古市圭治君) 先ほど御説明した方が地域で活躍をするとしますと、今お尋ねの点は医療機関の中におきまして御活躍をしていただくということでございます。そして、これを想定いたしますのは、看護婦さんがその医療機関においてある一定期間にわたって著しく不足しているというときには、その中の看護職員を確保するということにもちろん開設者、管理者は努力するわけでございますが、それを補佐していただくということで、そういう者を、今回の法律で確保推進者の設置をお願いすることにしたわけでございます。
 それで、どういう医療機関がと申しますと、医療法の定員というのが現在ございまして、それによって各職種が規定されているわけでございますが、それを著しく下回る、例えて申しますと、やはり六割にも満たないというような状況があったらこういう人を置いていただこうということになろうかと思います。それで、その方にお願いをしまして、補充計画を立てていただく。県の方もいろいろ助言、指導するわけでございますが、その中には、ナースセンターがそういう求人求職の無料職業あっせんができるわけでございますから、その病院には特に地域からこういう要望があるからやってくれということは、県側もできますし、医療機関側からもナースセンターにお願いする、このようなことになろうかと思います。
 それから、最終的にその状況が改善されなかった場合にどうなるのかということでございますが、それは最終的には医療法の方にも及ぶことがあるかもしれません。いわゆる定数不足ということに対して医療法の指導が行われるということになろうかと思います。
#52
○日下部禧代子君 次に、国の開設する病院については特例事項が規定されておりますが、どの部門の「一部の適用を除外」して、「その他必要な特例」とは何なのか、その点について明確にお答えいただきたいと思います。
#53
○政府委員(古市圭治君) 医療法上では、国が開設する病院につきましては、管理者の届け出を都道府県知事ではなくて厚生大臣に直接出すということになって、特例が設けられているわけでございます。したがいまして、管理者を補佐する法的に位置づけられております看護婦等の確保推進者につきましても、同様な特例の扱いになるということでございます。
#54
○日下部禧代子君 次に、「国民の責務」というところで、「看護に従事する者への感謝の念を持つよう心がける」という条項がございますが、この感謝ということは、どなたがお考えになっても自然に感謝の念が芽生えてくるということであるかと思います。条文に規定されたから感謝しようということでもないと思うんです。
 その感謝の気持ちが自然にわき起こるためには、まず人員を確保して看護婦さんたちの労働条件をきちんとよくする。そして手厚い看護が供給された場合には、今も大変な労働の中で看護婦さんたちに対する感謝というのは患者さんたちみんなしているわけであります。お医者さんに対するよりも、むしろ看護婦さんに対する感謝の念が多いと思うんですけれども、わざわざこのように規定をされるということはどうも私は余り理解できないわけでございます。感謝というものをなぜこのように「国民の責務」として法律の中に規定されたのでございましょうか。その点お考えを明らかにしていただきたいと思います。
#55
○政府委員(古市圭治君) そのような立場から見ると、少しおかしいなというお考えもわからないではありませんけれども、これから二十一世紀に向かって非常に重要な分野を担っていくという看護職でございますから、それぞれ国、地方自治体、病院というものは責務がある。もちろん、この中に書いてありますように、看護婦さん自身もみずから研修に努めて資質を向上しなかったらいけない、そしてまた国民もそういう看護というものに対して理解を深めて、協力をして、そういう立場を十分配慮していただきたい。こういうことでございまして、国全体のそれぞれの分野にそれぞれの責務、またそういう要請がされているという構成になっていると御理解いただければありがたいと思うわけでございます。
 例えば社会的な評価の向上というのも処遇、給与、そういうものをよくしていけばおのずから上がってくるんだというお考えは当然あろうかと思いますが、また一方におきましては、看護職というものにつきまして、非常にとうとい仕事であるけれども現実には三Kと言われでなかなか厳しい、また給与も低いということで、病院の中においても感謝だけということじゃなくて、いろんな雑用までも命ぜられるということもあるわけでございます。そういうことで、ややこれは余分だと、こういう御指摘もわからないことはございませんが、そういう意味で各分野が協力して、この分野の社会的地位の向上を協力して上げていく、こういう趣旨で設けたわけでございます。
#56
○日下部禧代子君 余分というふうなことではなくて、感謝の気持ちは自然にわいてくるわけだし、その感謝の気持ちということの前に、国が国民に対して感謝の気持ちを持ちなさいなんということを「国民の責務」として定めるということの前に、国がすべきことはいっぱいあるというふうに思います。その点を一言申しまして、次の質問に移りたいというふうに思います。
 一応今、各条文に沿いまして幾つか質問をさせていただきましたが、今度は必ずしも条文に即さないもので質問を続けてさせていただきたいと思います。
 厚生省は、昨年の三月に保健医療・福祉マンパワー対策本部の中間報告を発表されました、そして十二月には看護職員需給見通しの見直しかなされたわけでございますが、まずお聞きしたいのは、厚生省は第二次看護婦需給計画が終了した段階で第三次需給計画をスタートなさっておりましたが、その策定を中止したという経過がございますが、なぜ中止をなさったのか、その点についてお伺いいたします。
#57
○政府委員(古市圭治君) 前回の見通しは昭和六十三年から平成六年に向けての需給見通しというものをやったわけでございますが、その後に、いわゆるゴールドプラン等で従来の看護婦さんが期待されていたところ以外に、地域の中でも在宅看護その他での要請が非常に高まってきたということもございました。それからまた勤務状況の改善というものも非常に急がれてきたということがございまして、その数だけでは足りないじゃないかという御指摘がございました。
 そういうことを含めまして、勤務状況の改善、それからさらには老人保健法の改正に対応できるように訪問看護ステーションにおける看護婦の要望、看護婦の需要増、そういうものを見込んで各自治体が再度見直しをして現在の計画数が得られたということでございます。
#58
○日下部禧代子君 なぜ需給計画から需給見通しになったのでしょうか、その点について御説明いただきたいと思います。厚生省は需給計画というのと見通しというのをどのように定義をしていらっしゃるのでしょうか。
#59
○政府委員(古市圭治君) 現在、看護職員の需給見通しと、こういうことで説明させていただいておるわけでございますが、先ほど申しましたように、前回までの計画というのはどちらかというと中央主導と申しましょうか、地方からのデータはいただきますが、厚生省の方で需要数をまとめ、それからまた供給をそれに年次計画で当てはめてっくったということでございました。
 その中で、やはり正確な数をつかむためには、日本全国の自治体の方でどのようなお考えをお持ちかということを踏まえてやらないと、それは机上の数になってしまうんじゃないかという指摘もございまして、今度の需給見通しの数字は四十七都道府県の方でそれぞれ積算をしていただきまして、それを積み上げたということでございます。
 背景としてはそういうことが違うわけで、そういうことが少し関連いたしまして、現在は需給計画と言わずに看護婦の需給見通しということで公表させていただいているというわけでございます。
#60
○日下部禧代子君 計画というのは中央が中心であって、見通しというのは自治体の意見を入れるということなんでしょうか。計画と見通しの違いというのをそのように解釈すればよろしいのですか、今のお答えだとそうなりますけれども。それ以外にはただ単なる言葉の、文言の違いだけなんでしょうか。
 この目的、目標の設定、そしてそれに到達するためのさまざまな具体的な実効あるものにするための努力というものの観点から見て、計画と見通しというのでは違いがあるのでしょうかないのでしょうか。
#61
○政府委員(古市圭治君) 結論から申しますと、言葉は違いますけれどもねらうところは全く一緒でございまして、これに基づいて達成をしていこうということは計画でも見通しでもこれは厚生省の態度は変わりません。
#62
○日下部禧代子君 それでは、国は看護婦等の需給について都道府県から毎年その進捗状況について報告を求めるというふうなことは考えていらっしゃるのでしょうか。どのような形で厚生省は都道府県の進捗状況について指示をなさるのか、その点を明らかにしてほしいと思います。
#63
○政府委員(古市圭治君) これは御承知のように、平成十二年までにわたりまして各就業者の年当初の就業者数、それから新卒業者数、再就職者数、退職者数、そういうことを出してやっているわけでございますから、これがどのように達成されていくのか。また非常に重要なことでございますから、毎年都道府県からその進捗状況を報告していただいてフォローしていく、そして何か問題が生ずるようならばその時点でその見直しをやらなかったらいけない、こういうつもりでおります。
#64
○日下部禧代子君 次に、需給見通しの問題から別の問題に移らせていただきますけれども、基本指針の策定に当たりまして、医療関係者審議会等の意見を聞くというふうになっておりますけれども、私といたしましては、この看護職員の問題に対して、その解決に対して非常に大きな視点が欠けているように思うわけでございます。
 確かに、医療関係者審議会の御意見を聞くということは重要なことかと思います。しかし、何よりもまず現場で今まで大変に御苦労なさっていらした現場の医療従事者、現場の声というものをいかにして反映するのか、そういうことがまずもって重要なことなのではないか。そして現場からのさまざまな要求を取り入れること、そこからより具体的な施策というものが生まれてくるのではないかというふうに私は思うわけでございます。
 いわゆる学者の意見、私も学者の端くれでございましたけれども、それは確かに大切でございます。しかしながら、実際に悪戦苦闘していらっしゃる現場の医療従事者の方々の御意見というものがまず第一に取り入れられる、そのことが施策に反映する、そこで本当の意味で患者にとっても、そしてもちろん看護婦さんにとってもよりよい施策ができ上がっていくという、そのことに関してどのように大臣はお考えでいらっしゃいましょうか。
#65
○国務大臣(山下徳夫君) おっしゃるとおりでございますが、そのためには一つの指針をつくらなければ、国の指針というものを定めていかなきゃならないと思うんです。それを定めるためには、今おっしゃるとおり現場の事情、その点をよく聞きながら、また看護婦さんが実際に自信と誇りを持ってその職に励むように、そういう意味からも指針というものをつくっていかなきゃなりません。看護婦等の確保対策というもの、これは必要な看護婦さんをまず確保するということが一つの理念でありまして、その理念に基づいて厚生大臣、労働大臣、文部大臣がお互いに協力し合って、その上で今申し上げた指針というものを策定していく、それがまず前提かと思います。
 そして、その基本指針の策定に当たって現場の状況を反映するということは、おっしゃるとおり大変必要なことでございますが、当面、医療関係者審議会というのがあります。これには医療の現場に詳しい委員がたくさん入っていらっしゃいますので、またそれらの専門的な方々は自分が所属している分野の職域のことについてはさらにいろいろと勉強されていくことと思いますので、まずこの方の意見を聞くということが最も大切である。そういう意味において審議会の意見を聞きながら今後推進していきたいと思っております。
#66
○日下部禧代子君 現場の声をまず最初にということをもう一度これからのさまざまな施策の基本姿勢にしていただきたいということを申し添えまして、次の質問に移りたいと思います。
 昨年十二月に発表されました看護職員需給見通しの見直しを拝見いたしますと、平成三年におきましては看護職員の充足率は九二・一%ということでございまして、平成十二年までに充足率を一〇〇%に持っていこうというふうになさっておりますけれども、なぜ現在看護職員が足りないのか、非常に基本的なことではございますが、なぜ足りないのかということの現状をどのように厚生省としては分析していらっしゃるのか、その点を承りたいと思います。
#67
○政府委員(古市圭治君) 実際には、看護婦さんの数というのは毎年二万人から三万人増加をしてきているわけでございまして、それが減ってきているということではございません。それ以上にいわゆる病院の病床数がここ数年ふえたということ、それからまた看護婦さんに期待される分野が非常に広がったということ、そういうことから相対的に不足が著しくなってきているということかと思います。
 分解して申しますと、医療が高度化されて非常に専門化されてきたということで、それぞれの部分部分で看護婦さんがフルタイムでいわゆる全力投球をしなかったらいけないということで、一つの病院の中においてベッド数当たりの看護婦数というものが非常に高い率が求められるような医療提供機関がふえてきたということかと思います。
 それからまた、需要側では高齢化が進展してきた。そういうことで非常に看護、介護に手がかかる長期療養の高齢者の人も多くなってきた。それが医療機関だけでなくて福祉施設の中にもおられる、地域にもおられる。そこまで看護婦さんが進出していくということが期待されるようになった。こういうようなことかと思います。殊に近年この不足率が高くなったと申しますのは、やはり病院の増床が看護婦さんの増員よりも大きかった、こういうことかと思います。
#68
○日下部禧代子君 どうも今のお答えは主客逆転しているような感じもするわけでございます。ニーズが多くなった、つまり需要、ディマンドとニーズとちょっと違いますけれども、平たく言わせていただきまして、需要が非常に多くなったということに対して看護婦さんが足りないというわけでございますから、そこにはやはり看護婦さんが余りにも多く離職していくということもあるのではないか。養成が足りないということだけではなく、先ほど同僚議員も質問いたしましたけれども、離職していく、その離職していく方々が余りにも多いというふうに思います。また潜在看護婦さんも余りにも多いと思うんです。
 離職者というのは平成元年で大体約四万五千人というふうに私承っております。新規の就業者が五万七千人、そして離職者が四万五千人、そして潜在看護婦さんというのは四十三万人。この数字を私外国の友人に話しましたところ、私の英語がおかしくなってけたを間違えたのではないかというふうに言われまして、私ちゃんと字で書きました。そうしたら、私が間違えたのではないということを知りまして、そしてなおさら驚いたわけでございます、一体これはどういうことなんだと。
 資格を持っている他の職業の方々、有資格者でいらして他の職業、看護婦職じゃない方でこれほど離職者が多く、そしてまた免許を持っていらっしゃりながらその職についていらっしゃらない方が多いという職場はそうないと思うんですけれども、この辺につきまして厚生省はどのように考えていらっしゃいますか。
#69
○国務大臣(山下徳夫君) 基本的には局長から答弁申し上げたとおりでございますが、さらに先生の御質問でございますけれども、やはり毎年毎年看護婦さんも年をとっていくわけですから、ある程度は高齢化によってやめられる方も当然あると思うのでございます。それ以上にだから補充をしていかなきゃならぬということでございます。
 そこで、潜在看護婦といいますか、それは三十万以上、三十五万ぐらい今いらっしゃいますかね、実際に看護婦の資格を持っていて看護婦の業務以外のことをやっているという方が。その中に今申し上げたように高齢化で看護婦をやめた方もたくさんいらっしゃるわけです。したがって、これの全部が看護婦に幾ら何でも復職するということは不可能でございますが、しかし、まだまだ看護婦としてお勤めいただける方は今後とも努力してまいらなきゃ、我々がそういう方々に対して十分ひとつお誘いしてまた復帰してもらうように努力してまいらなきゃならぬと思うのでございます。
 いろいろ原因はありますが、大体今看護婦さんの就業年数が平均六年間ということでございます。この方々が十年勤めていただくと、もう看護婦さんは十分足りると思うのでございます。ですから、平均の勤続年数が六年ということは、考えてみると三Kと言われたり、いろいろ勤務条件にあるのかなと。そこで、基本的には私どもはそういうことを反省しながら、今後看護婦対策をまず基本的な立場から進めていかなきゃならぬなと、私はそう思っております。
#70
○日下部禧代子君 今、いわゆる高年齢になってとおっしゃいましたけれども、看護婦さんが離職なさっていく年齢というのは、いわゆる定年退職ということではなくて中途退職なさる方が非常に多いんです。それからまた、若年の方も平均が六年というのは、他の職場に比べると長いというふうにおっしゃいますけれども、しかしながら、有資格者である。普通の資格を持たない職場で働く女性に比べますと、これは定着率というのはかなり低いと見なければならないんじゃないかと私は思うわけであります。
 定年になっての退職の前になぜやめていくのか、その辺のところを厚生省としてはきちっと把握なさらないとその対策もできないのではないか。定年になったからやめていくんだということでは、これはこの法案の意味というのも非常に薄れてしまうというふうに私は思うわけでございまして、厚生大臣、ぜひその辺のところをよく御認識くださいますようにお願いいたします。
 先ほど、厚生省は全国的に離職原因調査というのを一九八九年に行われたというふうにおっしゃっておりますが、今後これは定期的に実施なさるおつもりでございますか。
#71
○政府委員(古市圭治君) 定期的に全国調査をしなくても、この法案が通りましてナースバンク機能がナースセンターに強化されます。それからまた、中央ナースセンターでも統計処理能力が高まりますので、その中でいろんな活動から離職、それからまた再就職の詳しい統計というものは私はとれてくるんではなかろうか。また、そのように検討したい。必要があればその調査はいたしたいと思いますが、もう調査するまでもなく明らかであろう。いわゆる結婚、育児、それから作業環境がきっいということでございますからこれを改善していかなかったらいけない。そのためにどの程度、先ほど大臣が申しましたように、現在、第一回目の就職の平均年数が六・七年でございますが、これが七年、八年、九年、十年と伸びてくればいろんな施策が効を奏しているということになろうかと思います。その種の統計データはいろいろとってまいりたいと思っております。
#72
○日下部禧代子君 それでは、今回の法案が実施されることによりまして離職者があるいは潜在看護婦さんの掘り起こしというものがどのくらい効果的に具体化されるのか、その点につきましての厚生省のお考えを承りたいと思います。
#73
○政府委員(古市圭治君) これはあくまでも、先ほど申しましたように四十七都道府県からのいろんな条件の中で現在見通した数でございますが、再就職者というものが平成三年では一万四千五百名、年間でございますが、これが十二年に向かってナースセンター等を大いに強化することによって年間二万七千名の方に再就職していただこう。この母数になる数が、先ほど申しましたように免許を持って就業していない約四十万という数の潜在看護婦と称される人がいるわけですが、この方たちはある程度高齢な方も含まれておりますし、ほかの職にもうついておられる人もいますし、それから家庭の主婦としてほとんど就業が不可能という方もおられますが、数としては四十万おられる。ナースバンクに現在六万人の方が就業の意思を持って登録してくださっております。その中から現在一万二千名の方が就業できているわけでございますが、この数を二万七千名までふやしたいということでございます。ナースセンターへの登録数をふやし、その中から就業の機会をきちっとかなえていってあげたい、このように思っております。
#74
○日下部禧代子君 離職の原因というのは、先ほど厚生省がお答えになりましたように、結婚、出産、育児、そして労働条件というふうにおっしゃっておりました。その労働条件でございますが、今の労働条件というのは先ほど厚生省も三Kというふうにおっしゃいましたけれども、さらにそれにもっと六つぐらいKが加わるというふうにも言われております。休暇がとれない、給料が安い、規則が厳しい、これちょっと言っていいのかどうか、化粧がのらない、薬に頼って生きている、婚期が遅い。このKを加えると九Kだというふうな声も聞かれるのでございますが、この労働環境の改善はまさに急務であるということは改めて申し上げることでもございません。
 その労働条件の改善について少し質問をさせていただきます。
 一番労働条件のきついということの中に、夜勤体制というものがまず挙げられると思うのでございますが、一般病院、国立病院における看護婦一人当たりの平均夜勤回数は今どのくらいになっておりますか。
#75
○政府委員(古市圭治君) 六十三年六月、ちょっと古うございますが、このときの一般病院における看護職員の夜勤は平均して八・二回ということでございます。
#76
○日下部禧代子君 夜勤回数というものを今八・二というふうにおっしゃいましたけれども、八回以下を最低基準という形にして、そして段階的にその夜勤の回数を平均六回以下を目指すということはいかがでございましょうか。これは看護婦さんの配置基準ということも同時に見直していかなければならないことにつながるというふうに思うわけでございますが、これをはっきり原則月六日、当面は八日以内というふうな形で明確に法案の中に取り入れるというふうなことは厚生省としては考えていらっしゃいませんでしょうか。現在、もうそのようなある程度トラスチックなことをしなければならない、思い切ったことをやらなければならない状況に来ていると思うんですが、いかがでございましょうか。
#77
○政府委員(古市圭治君) 現在の月の夜勤平均回数というものは、これは人事院の方で勧告されております八日以内におさまるようにというのを平均値として突破しているわけでございまして、この状況を一日も早く改善しなかったらいけないということから、看護婦の養成計画を立て予算をふやし、さらには今回法律を提出して御審議をいただいているということでございます。
 そういうことから、看護婦の不足状況というのは、先ほど申しました私どもの需給見通しにおきましては平成十二年で需給が均衡するということでございますが、今の状況、それからまた来年あたりが一番きっいときでございまして、その後は努力を積み重ねることによってだんだん状況は改善してくる。
 ちなみに、現在の一般病院の病床当たりの病院看護婦さんの数というのは百床当たり約三十五ぐらいになろうかと思います。これが十二年の段階でこのとおり完成いたしましたら、百床当たり五十人の看護婦さんという状況になるわけでございます。そのようになりましたら、いろんな夜勤の問題にしろ業務の問題にしろかなり全体的な改善が結果的には図られていくということでございます。したがいまして、現段階では月平均八回以内というものを着実に実行できるような方向へ持っていくというところでございまして、その後は全体の量の拡大ということの努力を積み重ねていって、先生御指摘のような状況に早く到達したいとは思っているわけでございます。
 先ほど人事院の勧告と申しましたが、人事院の判定でそういうのが出ているということでございます。
#78
○日下部禧代子君 それでは、いわゆる法文化するということは考えていらっしゃいませんか。
#79
○政府委員(古市圭治君) 現在八回というのを達成するということだけで精いっぱいでございますから、それはその次の課題だと思っております。
#80
○日下部禧代子君 わかりました。
 次に、労働条件ではいわゆる週休の問題がございますけれども、国公立の病院での完全週休二日制、そして週四十時間労働については今年度の五月から実施されるというふうに聞き及んでおりますが、そのとおりでございましょうか。
#81
○政府委員(寺松尚君) 今、先生御質問の中で国公立というお話でございましたが、国家公務員の件につきまして私の方から御説明申し上げたいと思います。
 国家公務員の週四十時間勤務制につきましては、先生が今御指摘のとおり五月一日から実施することになっておるわけでございます。私どもの国立病院・療養所の職員につきましても他の官署と同様に実施いたしたい、このように考えております。
#82
○日下部禧代子君 完全週休二日制も同様でございますか。
#83
○政府委員(寺松尚君) 完全週休制というお話でございますが、私ども交代制でございまして、四十時間勤務体制と、こういうことでございます。
#84
○日下部禧代子君 それでは民間の病院の場合ですが、週四十時間体制への移行時期というものをいっというふうに考えたらよろしゅうございますか。
#85
○政府委員(古市圭治君) これは直接私どもがお答えできるような立場でございませんが、そういう状況で看護婦さんに働いていただくように持っていきたいということで、先ほど申しました昨年末発表した看護職員の需給見通しにおきましても、平成四年度末に週四十時間という状況にするためにどれだけの数が要るのかということで積算してくださいというように都道府県には言ってこの数を出したわけです。
 したがいまして、現在平成三年、この需給見通しによりますと需給率が九二・一%でございまして、それが年が進むほど改善されるかといいますとそうはいっておりませんで、平成四年には九〇・七%、五年には九〇・三%と落ちて、六年から九一・五と改善されてきて平成十二年に一〇〇になる、こういうようなことになっております。その間における週四十時間という要請が非常に強い。それはその年までにやるということで需要の方をカウントしましたので供給が追いついてないということです。だから実態は私どもはなるべく早く民間も行っていただきたい。そのために養成数をふやしたいと思っておりますが、いつできるということはちょっとここでは確答できない、そういう立場にございます。
#86
○日下部禧代子君 問題は民間の病院、特に小規模の医療施設だというふうに思うのでございますが、その点をもう少し早急にということを、国としての指導ということは考えられないのでございましょうか。
#87
○政府委員(古市圭治君) 時間短縮の問題は、これは看護職だけの問題でございませんで、日本の勤労者全体に一つ課せられているという状況でございまして、御承知のように、閣議決定におきましても平成四年度中に週四十時間の勤務体制に移行するという努力を図ろうということになっております。そういう中で各職種が努力していかなかったらいけない問題だと思いまして、この需給計画の中におきましても、四年度中に需要はそこまであるんだということで都道府県では積算してくださいと、こう出した結果一時的にギャップが広がった、こういうようなことでございまして、さらに努力を続けて解決しなかったらいけない問題だと思っております。
#88
○日下部禧代子君 次に、特に自治体立の病院でございますが、自治体立の病院というのは、民間医療機関とあわせまして非常に住民と密着した地域医療を担っているわけでございます。特に自治体立病院などにおきましては、救急医療体制の整備と拡充というものが週休二日制を完全に実施することができる体制を整えるという条件整備にもつながっていくのではないかというふうに考えるわけでございますが、この救急医療体制の整備拡充、そしてそれに対する予算措置というものを拡充するお考えが厚生省としては今ございますでしょうか。そしてどのような対策を考えていらっしゃいますでしょうか。
#89
○政府委員(古市圭治君) 一般の病院が週休二日制に入りますと、その間の救急医療体制というものを整えておく必要が出るのは御指摘のとおりでございます。救急医療につきましては、私どもは休日夜間急患センター、それからまた病院の輪番制、それから救急体制では初期、二次、三次ということで、この体制の強化を図ってきているわけでございます。
 今御指摘のような観点から、週休二日制の導入を推進する上で救急医療体制を充実させることが重要であるということから、平成四年度予算におきましては、それらの救急機関におきまして四週五休導入に伴う休日の増加というものに対応するために、休日夜間急患センター、それから休日等歯科診療所、病院群輪番制、共同利用型病院、そういうものを対象といたしましてその分の人件費について予算の手当てをしたということでございます。十分ではございませんが、そういう形で救急体制の裏打ちをしていかなかったらいけないという認識はしております。
#90
○日下部禧代子君 その費用、拡充費というのは年々増加されるというふうにとらえていてよろしゆうございますか。
#91
○政府委員(古市圭治君) 年々と申しますか、これは今回初めてやりましたので、平成四年に約一億五千万円やったわけで、まだ年々ふえるというところまでは、今度初めてこれを手当てしたということで、この必要性を認識してこういう予算を平成四年度からやったということでございます。
#92
○日下部禧代子君 一億五千万円というのは大体どの程度のことができるわけでございますか。
#93
○政府委員(古市圭治君) 先ほどちょっと申しましたが、四週五休制導入に伴う休日の増加ということで十日間の措置を、先ほど申しましたような休日夜間急患センター、それから休日等歯科診療所、それから病院群輪番制病院、共同利用型病院、こういうものに対して人件費の手当てを行ったということでございます。
#94
○日下部禧代子君 それが何カ所ぐらいどうなるかということでございます。歯科の診療とかそういうことはもう先ほど伺ったわけでございますが、どうも具体的なイメージがわかないのであります。
 それで、歯科についての救急とか何かなるといいますけれども、実際に住民の立場としてどういうふうにそれにかかわってくるのか、働いている方にとってどのようにそれがかかわってくるのかということをもう少し具体的にお願いいたします。
#95
○政府委員(古市圭治君) 今手元に資料を持ち合わせておりませんので、後刻調べまして御報告させていただきます。
#96
○日下部禧代子君 それでは提出をお願いいたします。
 次に、先ほど離職の原因といたしまして、結婚、出産、子育てということでの退職というのが退職の理由としてかなり上位にございますけれども、看護婦さんの多くが育児を理由にして離職をなさっていくという現状、これは確かにございます。したがいまして、定着率を高めるためには、いかにして子供を持つ看護婦さんが働きやすい職場をつくっていくかということが非常に重要な環境づくりの柱だというふうに思うわけでございますが、いわゆる院内保育、特に院内保育施設の充実について、その運営実態がどのようなものか。これは全国的な調査を行われたことがございますか。
#97
○政府委員(古市圭治君) 全国的調査ということではございませんが、現在、要請があったところに対しましては院内保育所に対しての補助金というものを出させております。その数字で申し上げますと、補助対象の院内保育施設について各都道府県からそういう報告が出てきているということでございまして、平成三年度予算におきましては、そのときの補助対象の箇所数は七百四十四ということでございました。さらに、最近私どもこれに力を入れておりまして、補助対象施設を平成四年度予算におきましては八百四ということでございます。
 ただ、これは基準が四人以上の児童がいるというところを対象にしておりますので、この中に、四人未満の施設については補助対象の方に申請が出てこないということがございますから、その実態についてはちょっと不明でございますが、四人以上の対象はこれをまず出して、補助がもらえるところは全部出してきているとしますとこういうような数になろうかと思います。
#98
○日下部禧代子君 子供の年齢からいきますと、一歳未満の子供についての育児というのは大変だと思うんですけれども、その一歳未満の子供を預かる施設というのはいかがでございましょうか。
#99
○政府委員(古市圭治君) 今申し上げました補助対象施設につきましては、一歳未満だったらだめだということを言っておりませんで、そういう人はもう当然含まれて院内保育で預かっておるという状況でございます。
#100
○日下部禧代子君 今のお答えですと、どうもこの問題に対しての詳しい調査を行っていらっしゃらないような気がするわけでございます。要請があれば補助をするということのように受け入れますが、厚生省としてはもう少し積極的に調査をきちんとするという御姿勢はございませんか。
#101
○政府委員(古市圭治君) いわゆる看護婦さんの定着率を高めていくためには、やはり育児でやめなくていいようにというのが一番大事な問題で、これはその中の離職防止の非常に大きな施策でございますから、またこのために私どもは平成三年から四年に向かっても予算の増額というものを非常に大きくやっておりまして、さらに保育の延長時間というものも四時間から八時間というぐあいに改善しできているわけでございます。そういうことから、この施策は十分地方自治体を通じて医療機関では知れわたっているはずでございますから、この制度に申請をしてくるという数はもうほとんどそれで実態はっかめていると思いますが、先生の御心配の向きにつきましては、都道府県に機会を見て聞いてみたいとは思います。
#102
○日下部禧代子君 ぜひそれを実施していただきたいというふうに思います。
 次に、本年の四月から育児休業法がスタートしたわけでございますが、医療機関の中には三十人未満の事業所、つまり三十人未満の事業所では育児休業法によりますと適用を猶予されているところでございますが、そういうところも非常に多いかというふうに思います。これらの三十人以下の医療機関に対しましても育児休業制度が導入されるように指導、援助するということは考えられておりますか。何かそれに対しての具体的な対策がおありでしょうか。これは労働省に伺うことでございましょうか、厚生省でございますか。
#103
○政府委員(伊藤欣士君) 本年四月から育児休業法が施行されたわけでございますけれども、この法律によりまして常時三十人以下の労働者を雇用する事業所につきましては三年間猶予されているわけでございますが、この制度が早期に導入されることがこれらの事業所に雇用される労働者の方の福祉の増進の観点から非常に重要であるというふうに考えておるわけでございます。
 このため、平成四年度より事業所規模が三十人以下の事業所の労務担当の責任者の方々を対象に、育児休業制度の導入についてのセミナーを開催するなどいたしまして制度の早期導入につきまして指導いたしますとともに、常時三十人以下の労働者を雇用する企業がこの三年間の猶予期間の間に育児休業制度を導入いたしまして実施する場合につきまして、その事業主に対しまして特定中小企業事業主育児休業奨励金というものを支給する、そういう形で中小企業の事業所におきましてもこの制度が導入されるように援助してまいりたいと考えておるところでございます。
#104
○日下部禧代子君 今のセミナーを開催する、そして奨励金を出すというふうなことで、具体的にどの程度の導入が図られるというふうにお考えでいらっしゃいますか。その目標をお聞きしたいと思います。
#105
○説明員(佐田通明君) 最近の育児休業の導入の状況でございますが、最も近いので平均で二一%ぐらいの企業が導入されております。大企業につきましては四月一日からすべて強制適用ということでございますので、中小企業、特に三十人以下につきましても、制度は先ほど次長から御説明いたしました給付金七十万円でございますので、これを活用してやっていきたいというふうに考えております。特に予算的には四千件ぐらいの企業を予定しております。
#106
○日下部禧代子君 実際には、特に医療機関ということに限定いたしますと、かなり育児休業を申し出る人は少ないのではないかというふうな懸念もするわけでございますが、これは厚生省の方に、この点はどのようにお考えになっていらっしゃるか承りたいと思います。
#107
○政府委員(古市圭治君) 直接お答えにはならないかと思いますが、先ほど申しました需給見通しの方では、育児休業法が施行されるということも踏まえて数を出してくださいということで、反映をしているつもりでございます。
#108
○日下部禧代子君 次に、今回の育児休業法では、本委員会におきましても、前の社労委員会におきましてもいわゆる休業中の所得保障の問題が措置されていないことが論議されたわけでございます。所得保障が措置されないままで法律は成立したわけでございますが、この所得保障があるかないかによって育児休業をとるかとらないかということは非常に大きな分かれ道になるような気がするわけでございます。
 特に、この医療従事者関係におきましては、社会保険料相当分だけでも所得保障ができるというふうな何らかの財源措置というものが講じられるべきではないかと私は思うのでございますが、そういうお考えはないのでございましょうか。全然このことはもう考える余地はなしというふうに受けとめていらっしゃるのでしょうか、労働省にお伺いしたいと思います。
#109
○政府委員(伊藤欣士君) 先生御案内のとおり、育児休業を取得されます労働者に対します経済的援助の問題につきましては、この制度の法的整備のあり方について御審議いただきました婦人少年問題審議会の建議におきまして、この問題につきましては、「様々な意見、見解の違いがみられるなかでは、一定の方向を定めることは困難な状況にあり、更に、広範、かつ、多角的な観点から論議が深められる必要がある。」とされたところでございます。
 法案の御審議に際しましてもいろいろ御意見老賜りました。労働省といたしましても、この問題は今後研究に値するものと考えておりますけれども、多角的に検討し、コンセンサスの形成が図られなければならない問題でもあり、今後の中期的な課題として、育児休業法の施行状況等も踏まえつつ、婦人少年問題審議会等で御議論をいただ美ながら検討を進めてまいりたいと考えております。
#110
○日下部禧代子君 もう一つ労働省にお伺いいたしますけれども、いわゆる育児休業中の所得保障につきまして、所得保障が図られますようにいわゆる三事業の活用等によって対策を講じるということはできないのでしょうか。そしてまた、従軍の特定の職種の育児休業利用助成金というものが平成四年から廃止されるというふうに承っておりますが、これを廃止するのではなくて、活用をするというふうなことによってその助成内容というものを充実すべきだというふうにも思うわけでございます。その点について労働省はどのように芸えていらっしゃいますか。
#111
○説明員(佐田通明君) 少し技術的な点を含みますので説明させていただきますが、特定職種育児休業利用助成金、これは私立の医療機関を対象に平成三年度までに制度の導入を早くやっていただきたい、こういう趣旨での制度導入のための奨励金でございました。四月一日からは、平成四年度からは育児休業法がもう全面的に適用になりますので、制度の導入のための奨励金というものはまず使命は終わったんではなかろうかということで廃止したわけでございますが、先ほどから御指摘ございますように、三十人以下の企業につきましては三年間の猶予がございます。したがいまして、ここにつきましてはこの特定職種の育児休業利用助成金にかわりまして、中小企業の方につきまして七十万円の奨励金でもって制度の導入をさせていただくというふうに考えております。
 それから、そのほかに既に制度が導入されている企業におきましても、実際に育児休業をとった方が職場に早く復帰されるということは重要でございます。そのために、育児休業の期間中に能力が低下しないようにいろんなことを事業主の方がやっているわけでございまして、そのことは育児休業をとった労働者の復帰のためにも非常にいいことではないか、こういう観点から育児休業者職場復帰プログラム実施奨励金、こういうものを新設いたしました。
 したがいまして、特定職種はなくなりますけれども、中小企業の制度の導入奨励金、それから育児休業者の職場復帰プログラム奨励金ということで一層充実をさせていただいているというふうに考えております。
#112
○日下部禧代子君 もう一つ労働省にお聞きしておきたいことがございますけれども、平成四年度から介護関係の施設についていわゆる業務体制等の改善助成金制度というものを設けたというふうに承っておりますけれども、これは医療施設については適用除外なんですね。医療施設に関しても適用すべきだというふうにはお考えにならなかったのでございましょうか。
#113
○政府委員(伊藤欣士君) 先生御指摘の業務体制等の改善助成金といいますのは、現在衆議院におきまして御審議をお願いしております介護労働者雇用管理改善法に基づきまして、いわゆる民間介護サービス業の事業主でありまして公的な補助、助成制度の対象となっていない事業主を対象に、介護労働者に係ります。務体制の改善に必要な福祉施設の設置、整備を行った場合に、その設置、整備に要した費用の一部を助成する制度でございます。
 いわゆる医療機関、病院等の看護婦さん等につきましては、既に厚生省さんの方で社会福祉・医療事業団による看護婦等養成施設及び保育施設の設置に係ります融資制度、また先ほど来御説明ございました病院内保育施設の運営に対する補助制度、看護婦等養成所に対する運営費の補助制度等、看護婦等に係ります福祉施設に対しましては公的な助成制度が設けられているということでございますので、介護労働者雇用管理改善法によります。務体制等の改善助成金と同様の助成措置を重ねて講ずることはできないと考えているわけでございます。
#114
○日下部禧代子君 厚生省に伺います。
 厚生省は看護業務検討会というものを設置なさいまして、いわゆる業務内容の見直しを進められているというふうに承っておりますけれども、今どのような内容が議論されておりますのでしょうか、そして今後どのようにこの会が運営されていくのか、今後の予定についてもお伺いしたいと思います。
#115
○政府委員(古市圭治君) 看護業務の検討会は、平成三年の十月から実施をいたしておりまして、その主な項目としましては看護助手、薬剤師等他の医療従事者との連携の方法、申し送り等看護業務自体の改善、それから機械の活用、深夜での交代を避ける勤務体制の採用、いわゆる二交代制または変則三交代制というようなことでございます。そういう項目を検討しております。
 来年度予算は二千七百万円で、実際の典型的な医療機関を、約七カ所ぐらいと思っておりますがモデルで選びまして、そこで行われております先ほど申したような事項についての事例を具体的に検討して、その結果を持ち寄ってまた検討会の先生方に、全国にいわゆる紹介できるような制度はどういうものか、問題点ほどうかという報告書をつくっていただいて業務改善に資していきたい、このように思っているわけでございます。
 そういうことで、先ほど先生が三K、五Kと、こう言われておりましたことも業務の見直しをしなかったらいけないということで、この検討会では三Kから三Aへということでお話が出ておりまして、いわゆる愛がある、あすがある、明るい職場ということで、業務改善をしようと今鋭意やっているわけでございます。
#116
○日下部禧代子君 その検討会におきましても、三Kから三Aという、スローガンとしては非常にほぼ笑ましいのでございますけれども、実際の勤務状況というのは、そういうふうにほほ笑ましいところまでなかなかまだいかないというふうに思うわけでございます。その中で特に夜勤専門看護婦制度の導入というふうなことについては、今項目の中に挙げられておりましたけれども、どの程度に検討が進められておりますか。
#117
○政府委員(古市圭治君) いわゆる三交代を配置された看護職員で平等にやっていくということではかなり無理があるということから、勤務状況がフレックスタイムなりそれからパートの人も含めまして夜勤専従の看護婦さんというのはあり得るんじゃないか。その人たちがある部分夜勤をやっていただきますと、そこにおる病棟単位の看護婦さんの勤務時間というのは非常に組みやすくなるということに着目しまして、例えば東京の済生会中央病院ではもう十年近く前から夜勤専門の外からの人たちに来ていただいて、参画していただいている。それのメリット、デメリットがいろいろ報告もされました。
 それからまた、中京地方の非常に熱心な病院では、いわゆる夜勤を週に二回だけやっていただいて一カ月分の賃金を払う。その方がほかの時間を学校に行ったりほかの仕事ができるということから希望者は非常に多かったというような事例も報告されました。それからまた、十二時で勤務交代をすると、そのときに申し送られて病室に見に行ってもみんな患者さんが寝ているということで、就寝前の十時ごろに逆に勤務交代ができて申し送りができた方がいいじゃないか。二時間前倒しですね、変則三交代。
 そういうぐあいにいろいろ工夫をされているところがございますので、そういう実情も調査して、いわゆる全国的に採用、いろいろ普及できるものがないかどうかというものも現在御検討いただいている。御指摘のように、勤務体制、夜勤専従というものも検討項目の中へ入っているということでございます。
#118
○日下部禧代子君 夜勤専従ということになりますと、これはまた違った面で労働条件の改善というよりもむしろ改悪になってしまうこともあるかもわからない可能性を秘めている部分が相当私あると思うので、その点は本当に十分にそれこそ現場の声を聞かれまして、慎重に検討を進めていただきたいというふうに思います。
 労働条件のことについてお伺いしてまいりましたが、今度は給与の観点につきましてお伺いしたいと思います。
 先ほどの三Kの中の一つでございますが、まず最初に、看護婦さん、いわゆる看護職員の人材確保のためには、労働条件のみならず賃金というのは社会的評価ということの確立のためにも非常に重要な問題だというふうに私は思います。いわゆる看護職の給与水準について、例えば他の教員、薬剤師などに比べて看護婦さんの給与水準は一体どのようなところにあるのか、女性の専門職として、女性というわけでございませんが、専門職としてどのような水準にあるのかというふうな御認識をまず最初に承っておきたいというふうに思います。
#119
○政府委員(古市圭治君) 勤続年数や業務内容等に相違がございますので他職種との比較というのは非常に難しゅうございます。単純に比較はできないと思いますが、ちなみに、労働省の賃金構造基本統計調査報告というところから平成二年六月現在、毎月決まって支給される給与額というものにつきまして、各種学校、専修学校の女子教員につきまして見ますと、平均年齢三十七・八歳で二十五万四千百円、それから女子薬剤師、これは三十三・八歳でございますが、二十四万一千五百円となっております。看護婦さんの方は三十五・二歳という平均年齢で二十五万九千六百円というのがこの統計調査報告によると出ておるわけでございます。
#120
○日下部禧代子君 今数字を挙げていただいただけでございますが、それについてコメントを加えていただきたいと思います。
#121
○政府委員(古市圭治君) 冒頭、年齢、それから給与だけでは職務の内容等が違いますから単純には比較できないと申し上げたわけでございますが、看護婦さんの職場といいますのは、先ほど来話になっていますように、勤務時間が非常に不規則であって、精神的、肉体的に過重な労働である、それからまた夜間勤務というほかの職種には見られない勤労条件があるということから考えますと、これがほかの専門職種と同じであるからそれでいいのだというような気持ちは全然ございませんで、それ相応厳しいというぐあいに認識はしております。
#122
○日下部禧代子君 今厚生省がお挙げになりました同じ労働省の平成二年賃金構造基本統計調査というのを見ますと、これは医師との比較で私は見たわけでございますが、平均勤続年数五・三年、医師、男性でございますが、月間所定内給与七十三万一千三百円です。看護婦さん、平均勤続年数が医師よりも長くて六・七年で見ておりますが、二十五万九千六百円です。准看護婦さん、平均勤続年数六・七年で十七万七千六百円、それから看護補助者、平均勤続年数五・六年ですが、十五万二千六百円でございます。
 これを見ますと、看護婦さんの賃金というのは、平均勤続年数は長いにもかかわらず医師の三分の一程度にすぎないわけでございますが、同じ医療従事者でございましてこの医師との差というものをどのようにお考えになりますか。
#123
○政府委員(古市圭治君) 給与の比較というのは非常に難しい問題だと思います。背景がいろいろ違う、それからまた教育期間が違う。先ほどの医師の場合には大体ほとんどが男子であるということでございましょう。
 今御指摘のように、同じ医療の中においてこの差をどうかということでございますが、これはそういう見方もございましょうが、いわゆる横に、先ほど申しましたように、女子の同じような年齢で他の職種、薬剤師、教員と看護婦さんと比べていく方法を用いますならば、医師の給与というのはそれは男子社会においてそれ相応の責任と業務を遂行している他職種との比較という見方もあるわけでございまして、これを縦に一つの職場の中で見て差が大きいじゃないかという御指摘はわからないことはございませんが、いろいろ難しい問題だと思います。
#124
○日下部禧代子君 難しいとまた言われてしまうかもわかりませんけれども、もう一つの例を挙げてみます。
 看護婦さんと医師の比較、これは比較にならないと言われてしまうとそれまででございますけれども、経験年数ゼロ年と十五年以上の者について今度は比較してみます。医師、男性の場合です。四十一万一千九百円が九十六万四千九百円、これは昇給の問題でございますが、二・三倍にふえています。
 それに対しまして、看護婦さんの場合は二十二万七千円が二十七万五千六百円、准看護婦さんは十九万三百円が二十二万九千五百円、わずか一・二倍にしかふえていないわけでございます。先ほどは額の問題を比較いたしましたけれども、昇給の割合でございますが、それを見ましてもやはりかなりこれは差があるわけでございます。この辺のところは、比較にならないという問題だけで片づけていいものでしょうか。
#125
○政府委員(古市圭治君) 先ほど申しました労働省の報告によりますと、看護婦さんの給与というのは全年齢を通じまして女子の平均給与よりは高いわけでございますが、女子労働者について年齢に応じた給与の上昇率というものが低い傾向にあるということから、男女を通じまして全産業平均と比較した場合には上昇率が低くなってくる、こういうような特徴がございます。
 それから、再三医師と看護職との比較を御指摘いただきましたが、私どもそれを直接コメントする立場にございませんが、あえて申し上げるならば、国家公務員の給与表という中には行政職、医療職というのがございまして、その中で医療職の(一)が医師、それから(二)がその他、(三)が看護職となっておるかと思いますが、これを全体の社会の動向等に比べて権威ある人事院が毎年勧告を出して、それに従って改善がされてくるということでございます。
 そのときに、人事院の勧告というものも結局反間の市場の給与状況というのを勘案してやられているということでございまして、したがいましてこの給与の比較というのは私どもの立場からちょっとコメントできる問題ではないと思いますので、御容赦いただきたいと思います。
#126
○日下部禧代子君 それでは人事院にお伺いいたします。
 昨年、九一年の八月に人事院勧告が出されまして、今出ました医療職俸給表(三)に一級から六級まででございましたものが、一つふやされまして七級が新設されたわけでございますが、一級から七級のそれぞれ該当する職務名と、そしてそれぞれの人数というものをまずお答えいただきたいと思います。
#127
○政府委員(森園幸男君) 数字はすべて昨年の四月一日現在で申し上げます。
 一級が准看護婦で六千七十一人、二級が一般の看護婦でございまして三万七百六十五人、三級、これは看護婦長でございますが、三千五百十八人、四級、これは看護婦長もありますし、副看護部長もございますが、千八百七十五人、五級、これはおおむね看護部長クラスでございますが、二百九十七人、六級、看護部長でございますが、百六十人、こういうことになっております。
#128
○日下部禧代子君 そして、新しく新設されました七級は。
#129
○政府委員(森園幸男君) これは昨年の四月一日現在の数字でございまして、七級は昨年の勧告に基づきまして十八という数を一応セットしておりますが、現在十五名ぐらい発令されていると承知しております。
#130
○日下部禧代子君 今お答えいただきましたように、一番多いのが二級でございます。二級のいわゆる看護婦さん、保健婦さん、助産婦さんでございますが、今承ったように、医療職俸給表、つまり看護婦さんの給与の体系というのは勤続年数に比例していくというものではないわけであります。
 そうしますと、働き続けるための動機づけということから考えますと、あるいはまたその定着率を高めるというふうなことを考えてまいりますと、やはり勤続年数が高くなればそれだけ給与も上がっていくという、他の行政職と同じような給与体系であればかなりこれは違ってくるのではないか。いわゆる一級から二級へということは、准看護婦さんから看護婦さんへということは、これは試験を受けなければならない。そしてまた、さまざまなお仕事をなさりながら勉強をなさらなきゃならない。その勉強というのは学校に通ったりしなければならないということであります。そして、さらに二級から三級へということ、看護婦長になる。そしてまた四級へ、五級、六級、七級へというのはさまざまなこれは資格試験というふうなものが必ず付随してまいるわけでございます。
 このような看護婦さんの定着化、それからまた育児終了後の再就職の確保という観点から、給与水準の改善ということはもとよりでございますけれども、給与体系というものを改めるということも考えるべきではないかというふうに思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#131
○政府委員(森園幸男君) この医療職(三)に限らず、国家公務員の給与は職務と責任に応じてこれをなすというのが基本でございます。したがいまして、勤続年数とのかかわりで言いますと、あらゆる職種につきまして願望としては今おっしゃったような声がないわけではございません。医療職(三)が、非常に底辺といいますか、一般看護婦の層が厚いというところでございますので、恐らくそういう気持ちはほかの職種よりはあろうというふうには考えておりますが、やはり病院、療養所等におきます看護業務の職制といいますか、各級というのは職務と責任に応じた区分けでございますので、そこで歴然とした一つの区切りがないと、これは同じ職員でありながらそうそう上までいくことにはならないわけでございます。
 したがいまして、私どもは、そもそも看護婦給与につきましては、専門技術職でございますので、初任給等若い段階では他の職種に比べて相対的には相当高くしてあるわけでございますが、同じ職員にある限りにおきましては上昇といいますか、それが比較的少ないという御指摘もかねがねございまして、昨年の勧告におきましては、二級の中堅層以上につきましては相当手厚い改善をいたしたつもりでございます。
 なお、参考までに民間病院等の看護婦について申し上げますと、むしろ国家公務員よりも中堅以上といいますか、中堅以上の層は国家公務員の方が優位な状況になっておりまして、公務部内のバランスという面からはおっしゃるようなことも考えなければいけないわけでございますけれども、同業の官民という関係から申しますと若干制約的な気持ちにもなる、こういう状況にございます。
#132
○日下部禧代子君 この法案は、いわゆる国家それから地方公務員職員の処遇改善については適用外というふうになっておりますけれども、この九一年の人事院勧告によりまして医療職(三)の改善がなされたわけでございますが、地方公務員の賃金改善も含めまして、九二年の人事院勧告、これから作業に入っていらっしゃると思いますが、人事院はどのような改善策を考えられているのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
#133
○政府委員(森園幸男君) 先ほど来御審議されておりますような看護婦の人材確保の必要性、将来にわたって大変問題であるという点は重々認識をいたしておりますので、適正に取り組んでまいるつもりでございます。本年の診療報酬の改定等が民間病院等の看護婦給与の改善に相当向けられるべきであるというような厚生大臣以下の御努力もあるやに承知しておりますが、そういう民間賃金への反映状況ということも把握し、頭に入れながら適正に対処していきたい、こういうふうに思っております。
#134
○日下部禧代子君 それでは、次に厚生省に伺います。
 本年の四月に診療報酬の改定がなされましたけれども、その改定の内容と看護婦等の人材確保にかかわる部分というのはどのようになっているのか、その点について御説明いただきたいと思います。
#135
○政府委員(黒木武弘君) 看護婦等の人材確保という面から見まして診療報酬が大変重要な意味を持つということで、人材確保はもとより診療報酬だけでできるとは思っておりませんけれども、各般の総合的な施策と相まちまして、それに診療報酬上の配慮が重要という認識のもとに今回の改定を行ったわけでございます。そういう意味で、看護関連に特段の配慮を行いまして、十年ぶりの大型改定ということで私どもはこの四月から改定を実施したところでございます。
 具体的には、もう先生御案内のように、改定率五・〇%でございますけれども、看護関連分を二・六というふうに枠を設定いたしたわけであります。その結果、具体的な点数の配分でございますけれども、看護料の引き上げということで二〇%という大幅な引き上げをやっておりますほか、適切な夜勤体制及び労働時間が実施されている場合の加算点数を設けるといったようなことで看護婦等の処遇改善につながっていく、そのことによって看護婦等の人材の確保が図られていくものというふうに私どもは考えているわけでございます。
#136
○日下部禧代子君 今まで診療報酬の改定が必ずしも看護婦さんの給与の引き上げにつながらないということがかなりずっと問題になってきたわけでございますが、今回の診療報酬の改定、これは仕組みを変えないままでございますが、看護婦さんの方に確実にちゃんとつながっていくというふうに思っていらっしゃるのでしょうか。
#137
○政府委員(黒木武弘君) これも先生御案内のように、診療報酬と申しますものは、本来医療機関におけるその診療報酬の使途を個別具体的に特定するものではないわけでございまして、したがいまして診療報酬上の措置が給与の改善にストレートに結びつくことを制度的に直接担保することは非常に困難でございます。
 そこで、私どもはいろいろ工夫、努力をいたしているところでございまして、先ほど申しましたように、看護関連経費というものに着目をして点数の引き上げを行う、あるいは勤務条件の改善がある場合には加算ができるというような形でできるだけ処遇改善につながっていくような診療報酬の内容の改定にいたしたつもりでございます。
 ただ、先生御指摘のように、給与ということだけをとらえますと、これは私どもやはり本来は労使の問題だというふうに考えておるわけでございます。給与を含めまして労働条件万般の、あるいは勤務条件万般の改善に資するように原資を差し上げたということでございまして、その中でできるだけ今回の改定の趣旨を医師会その他関係者に通知をいたしまして、できるだけの、私どもでできる配慮はいたしてきているつもりでございます。
 そういう中で、今回の改定が、今回の改定の措置あるいは関係者への改定の趣旨の周知徹底というようなことから、看護職員の勤務条件の改善、給与を含めましてつながっていくんではなかろうかというふうに考えております。
#138
○日下部禧代子君 個々の医療機関に関しては労使間でというふうなお言葉が先ほどの同僚議員の御質問に対する御答弁としてございましたけれども、小規模の医療機関におきましては必ずしも組合があるとは限らないわけでございます。こういった場合についてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
#139
○政府委員(古市圭治君) 個々の医療機関におきまして経営状況等を踏まえて、これは労使間と申しましたが、ない場合には個々の雇用契約によって決定されるということになっておるわけでございます。
#140
○日下部禧代子君 だから、この辺のところがやはりかなり多くの方々が心配する部分にもつながってくるのではないかなというふうに思うわけでございます。
 それでは次に、働きがいのある職場ということで、就職なさってからのいわゆる教育訓練の充実ということ、これは非常に重要なことだというふうに思うわけでございます。例えば労働省が行ったサービス産業就業実態調査、昭和六十一年のものによりますと、労働者自身の働きがいにプラスになると労働者が評価する、そういうもので会社が実施している施策について見ますと、看護婦さんの場合、「自己啓発の援助、技能・技術修得の機会の提供」というのが二九・八%で一位でございます。二位が「能力・業績を重視した処遇」、これは昇進・昇格でございます、それが二六・四%。三位が「上司と部下等コミュニケーションの円滑化」というのが二四・五%となっております。
 したがいまして、労働条件を改善するということ、そして同時に、働きがいのある職場の形成ということのためには技能・技術習得機会がきちんと提供されなければならないということはこの調査でも明瞭、明白なわけでございます。
 今の引用いたしました調査によりますと、看護婦さんの技能習得の方法というのは、仕事中先輩、上司の教育・指導によるというものが四六・六%に対しまして、社内といいますか、これは事業所内でございますが、で行われる集団訓練によるものはわずか三・四%にすぎないわけでございます。この結果を見ますと、就職後の看護婦さんのトレーニング、いわゆる教育訓練というものが、職場の中で直接的に訓練ということを目的とした機会が提供されるのではなくて、お仕事中に覚えていくみたいなそういう形になっている。つまり、オン・ザ・ジョブ・トレーニングでありまして、オフ・ザ・ジョブ・トレーニングの機会は非常に少ないということが判明しているわけでございますが、この点についてどのようにお考えですか。
 またあわせて、その同じ調査によりますと、看護婦さんの教育訓練に関する満足度を見ますと、四割近い方が不満を持っているというふうに答えられているわけでございます。つまり、病院内の教育訓練が看護婦さんのニーズにこたえ切れていないという、そういうことをこの調査の結果は示しているわけでございますが、そのこともあわせて看護婦さんに対する教育訓練の抜本的な改善、強化というものをしなければならないというふうに思いますが、厚生省はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
#141
○政府委員(古市圭治君) お話しのような方向で進むということを私どもも願っているわけでございます。
 しかし、現在の看護婦さんが働いている状況というのは、職場を離れて研修を受ける、それもかなりの期間というのは、残った人たちに対する負担というようなことからも実施がなかなか困難な状況にあろうかと思います。そういうことで、先般来問題になっておりますように、全体の数をふやしていくことによっていい循環の方に回る、そういう時期を早く到来させなかったらいけないと思うわけでございますが、少ないから仕事がきつい、きついから研修にも出られない、したがってやめていく。悪循環の方を回っているというのが現在の状況じゃなかろうかと思います。
 私どもの方も、そういうことから何らかの補助をしたいということで、平成三年度より卒業後三年日程度の若手の看護婦さんを対象としまして、特別難しい講義をするということじゃございませんで、一般教養も含めまして心身のリフレッシュと自己啓発、意欲の向上、それから友達づくりということを目指して二泊三日程度の研修会というものを各都道府県でやっていただくということにしまして、年二回それをやっていただくように、国の方でも補助事業としてリフレッシュ研修というのをやったわけでございます。これをさらに進めていきたいと思っております。
#142
○日下部禧代子君 離職の理由というのが、いわゆる労働条件のほかに、今申し上げたような教育訓練の機会が少ないというふうなこともございます。それにまた、お仕事内容への職場での充実感がない。つまり仕事内容への不満というものも離職の理由として非常に高い地位を看護婦さんなんかの調査を見ますと占めているわけでございますが、魅力ある職場にするために自己充実、生きがい感、自分がこの仕事をしていて本当に生きがいがあるというふうな自己充実感ということが働き続けることへの意欲につながってくると思うんですね。
 そういうことで、社会的地位を高めるというふうなことは厚生省はお考えになっているわけでございますが、さらに病院内、医療現場における看護婦さんの地位向上ということも社会的な地位向上と同時に、まずその方が考えられなければならないんじゃないかなというふうに私は思うわけでございます。
 高齢化社会を迎えまして、さまざまな分野で発想の転換というものが今求められておりますが、医療現場におきましてもそれは例外ではないというふうに私は思います。いわゆるキュア、治療ということを中心にした医療がこれまでの医療についての考え方だと思いますけれども、今、介護、看護、ケアということも人口の高齢化ということに伴いまして非常に重要なことになってまいりました。そうなりますと、キュア中心の医療ということから、キュアとケアというものを対等な立場にする。もっと具体的に言いますと、医師とそれから看護婦さん、薬剤師さんとか、いわゆるコメディカルの方々、スタッフの方々との立場が対等になるというふうな医療現場の新たな体系、医療関係者の体系というものもこれから再構築されていかなければならないんじゃないかというふうに思うわけでございますが、この点に関しまして大臣の御所見を承っておきたいと思います。
#143
○国務大臣(山下徳夫君) 地位の向上といいますか、パラメディの中にもいろいろ給与体系その他違ってあると思うのでございますけれども、一つは、今までの看護婦さんの修業年限といいますか、それがお医者さんあたりと比べて極めてまだ低かったというようなこともございましょう。しかし、今後短大から四年制とだんだん看護婦さんの教育の年限も伸びてまいりますし、そういったまず基礎的な実力がついてまいりますと、それに見合う報酬というのも当然考えなければなりません。だんだん准看から正君、さらには今申し上げました短大、四年制となってまいりますから、それにつれて看護婦の医療現場における一つの処遇の改善と同時に地位を高める。
 だから、看護婦さんというのはかなり高度の技術を持った人たちですから、技術者でございますから、そういう方々に対して配ぜんをやったりお掃除をさせることは本来間違いでございます。看護婦でなければならない仕事をしていくということも一つの地位の向上でございます。あらゆる面からそのように私どもも努力していかなければならないと思っております。
#144
○日下部禧代子君 それでは次に、いかにして離職を防止するかということを中心とした質問から、今度は看護スタッフの養成の問題に移らせていただきたいと思います。文部省さん来ていらっしゃいますか。
 看護職員の養成のためには、その看護職員が養成されるための教員の養成、教員の確保ということが非常に重要だというふうに思うわけでございますけれども、昨年の十二月十六日に文部省からいただきました資料によりますと、四年制の大学の看護学科におきまして、教授陣は医師出身者が多い。もう圧倒的にと言っていいと思うんですね。これは前の質問のときに私数字を挙げさせていただきました。例えば弘前大学教育学部の看護教員養成課程におきますと、教授は医師一〇〇%でございます。東京大学の医学部の保健学科ですと教授、医師が六七%、看護婦御出身が一一%というふうな形で、文部省からいただきました資料はすべて教授陣は医師が圧倒的でございます。
 こういうことですと、看護婦さんを養成する課程の中におきましても医師中心という考え方がどうしても浸透してしまうのではないかということも考えられますし、看護の現場におけるさまざまな問題点ということもここでは少し希薄になっていくのではないかというふうに思うわけでございまして、私といたしましては、医学部の定員、そして四年制大学における看護課程の定員なども含めまして、どうも文部省さんの管轄の場合におきましては医師中心というふうにとらえても仕方がないような数字がいっぱい出ているように思うわけでございます。
 例えば、これも昨年十二月十六日に文部省からいただいた資料によりますと、学生一人当たりの経費におきましても、医学部の場合ですと三百七十万円に対しまして、看護学部の場合には約百七十万円であるというふうに資料をいただいております。また、こういった観点からいわゆる医師の養成と看護教員では、看護職員の養成に対してどうもこれは医師中心というふうに偏っているのではないかという感じがしてならないのでございますが、その点についていかがでございましょうか。
#145
○説明員(喜多祥旁君) 看護婦養成のための看護婦免許を持った教員の養成というのが極めて重要でございまして、これは先生御指摘のとおりでございます。
 文部省といたしましては、看護教育の充実と看護婦免許を持った教員の養成を図りたいという観点から、大学レベルでの養成、それと大学院の充実というのを図っていく必要があるんじゃないかと考えておるところでございまして、その設置につきまして国公私立を通じて積極的に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 現在、公立大学につきましては、短期大学を含めてでございますが、約二十校の設置の相談が来ております。また私立大学につきましては、短大を含めてでございますが、約十校の設置相談を受けておるところでございまして、これらが実現するように積極的に協力、指導をしておるところでございます。
 また、国立大学につきましては、本年度広島大学医学部に保健学科の設置を行ったところでございますが、平成五年度以降におきましては、地域の看護婦の需給状況でございますとか大学の準備状況、それと国の行財政状況等を踏まえまして、医学部に看護系学科を設置するということで対処してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
 また、大学院の設置につきましては、条件の整ったところにつきましては積極的に対処する所存でございます。
#146
○日下部禧代子君 今おっしゃいました新設、充実ということでさえも、例えば定員数で見ましても、医師の養成とそれから看護課程の定員とはかなり定員の数は違いますか。
#147
○説明員(喜多祥旁君) 看護婦の養成につきまして入学定員で見てみますと、文部大臣が指定しておりますのがおよそ一万人弱でございます。厚生大臣が指定しておられますのがおよそ三万強でございまして、量的には厚生大臣指定の養成所に負うところが大きいというふうに思っておるところでございまして、文部省といたしましては、量の確保もさることながら、先ほど言いましたように、看護教育の充実と看護婦免許を持った教員の養成ということに重点を置いた整備を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#148
○日下部禧代子君 医師と対等の専門的な地位を看護婦さんが医療現場で確立するためにも、ぜひともこの点は文部省も医師養成と同じような熱意と実際の補助ということでもってこれから看護婦さん、看護職員の養成に当たっていただきたいということをお願いいたしまして、文部省関連の質問を終わります。ありがとうございました。
 次に、厚生省にお伺いいたしますけれども、これもたびたび私、お聞きしてまいりました。まず、厚生省担当の看護婦さん養成の機関、養成施設の設置主体というものは、前回平成三年の九月十日の厚生委員会で私の質問に対してお答えいただきましたのによりますと、国立が一四%、自治体立二六%に対しまして、民間が六割であるというふうに看護婦さん養成につきましては民間に頼るところが非常に大きいわけでございますが、この点に関しまして国の責任ということをどのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。つまり看護婦養成に対する国の責任でございます。
#149
○政府委員(古市圭治君) 看護婦の養成等におきましては、国は質、量、両面において程度の高い看護婦さんを養成して確保していくということは非常に重要なことだというぐあいに認識をしておりまして、したがいまして、みずから国立病院・療養所等に看護婦養成施設を持っておりますが、そのほか看護婦養成所の設備、運営につきましては、非常に厳しい状況の中でも重点的に補助を行ってきているところでございます。
 また、先ほど来説明いたしましたように、ここ二年間でも養成所の補助というものを増額いたしまして、国の養成に対する重要性というものを予算の方でも裏づけていると、このようなことでございます。
#150
○日下部禧代子君 看護婦さんの養成に関しては民間に頼るところが多いというふうなことは、准看護婦さん問題にもつながってくるというふうに思うわけでございます。今、准看護婦さんの養成機関におきましては、在学期間中病院や医院などで働くことが条件になっているわけでございます。したがいまして学業との両立というのは非常に大変だろうというふうに思うわけであります。
 また、職場の異動経験ということの調査を拝見いたしましても、看護婦さん、保健婦さんに比べますと、准看さんの異動経験というのは非常に高いわけであります。そして、しかも職場を変える年代というのは二十代ということでございます。このことは、いわゆる契約期間が切れるまでお礼奉公的な働き方をするという形がいまだに残っている。いわば言葉を変えますと、日本がこれだけ超高度の先端医療というものを誇っているにもかかわらず、こういった前近代性というものが残っているということがここに出てきているように思うわけでございます。
 したがいまして、この准看護婦の問題というのは、今申し上げた問題だけではなく、例えば看護職員、普通の看護婦さんの場合ですと国が免許、ところが准看護婦の場合には都道府県ということで、設置それからまた資格ということにおきましても国と都道府県の違いがございまして、そのことが身分保障の格差にもつながってきているわけであります。
 これまで必要とするところが独自に養成するというのが看護婦さん養成の基本的な考え方であったというふうに承っておりますけれども、今日におきましてはさまざまな条件が変わってきたわけでございます。そういう中でいわゆる准看護婦制度について、准看とそれから正君というふうな分け方ではなく一本化していくということも含めまして、その養成機関についての看護職員養成のシステムというものを抜本的に改善する時期が来ているというふうに思うわけでございますが、その点につきまして大臣のお考えを承りたいと思います。
#151
○国務大臣(山下徳夫君) 今おっしゃるとおり、私も先ほど申し上げましたように、より高度な技術を習得するために看護婦の養成の制度がレベルアップしておることは、もう先生も御承知のとおりでございます。今後ともそういう専門的な職種としての地位を向上するためには当然それが必要であり、先ほど先生も医者と同じレベルにというお話もございましたけれども、やはり医者の方が教育年数も長いし、したがってそういう一つの教育の過程においてだんだんさらに看護婦に力をつけていくということにおいては、先生のおっしゃることと私の考え、全く同じてございまして、今後ともそういう意味においては、より何と申しますか、従来から行ってきた養成所中心の教育制度から各学校における教育制度へと徐々に移行していくのではないかと私は思っておりますし、またそうしなきゃならぬと思っております。
 ただ、准看についていろいろお話ございましたけれども、今八十数万の看護婦の中で准看がまだ三十何万かたしかいると思うんです、正確な数字知らなくて申しわけございませんが。足りかい上に准看がいけないよというようなことでは、とてももうそれは実際の看護業務というのはできないわけでございますから、徐々に移行していくということで、より高度な方向へとその養成も進んでいかなきゃならぬ。今准看を直ちに否定するということじゃなくて、准看に補ってもらいながら徐々にそっちに移行していく、そういうことでなきゃならぬのかなという気がするんでございますが。
#152
○日下部禧代子君 もう一つの福祉施設の職員に関しましての法案につきまして、私、御質問する時間がなくなってしまいましたので、一つだけ質問させていただきますと、社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案、この法律案御提出の背景、それからもう一つは、福祉事業従事者の方々の労働条件の改善についてどのように対処なさろうとしていらっしゃるのか、その一点だけを聞かせていただくことにとどめます。
#153
○政府委員(末次彬君) 高齢化が急速に進展しておりまして、国民の福祉サービスに対する需要が非常に増大いたしております。他方、労働力需給の方は大変厳しい状況になっておりまして、こういう状況に対応してゴールドプラン等の円滑な実現を図っていくためには、従来にも増して社会福祉施設の職員あるいはホームヘルパーなどのいわゆる社会福祉事業に従事する方々の確保を促進していくということが大事だというふうに考えております。
 このため、厚生省では従来から、処遇改善あるいは資質の向上、就業の促進等を総合的に推進したいということで、予算あるいは融資等各般にわたる施策を進めてきたところでございますが、もとより人材の確保と申しますと中長期的な見地から息の長い取り組みが必要であるというふうに考えておりまして、このためその骨格となる所要の法改正をお願いいたしているところでございます。
 具体的には、今回の改正におきまして人材確保のための処遇改善、資質の向上を図るための具体的な目安といたしまして基本指針を策定する、これに則しまして経営者、国等がそれぞれの立場で努力する。また事業経営者を支援するために福祉人材センターあるいは福利厚生センターというものを法律上位置づけまして、これらの措置によりまして従事者の確保をより一層強力に推進いたしたいというふうに考えております。また同時に、従来各方面から要望が強かったホームヘルパーへの退職手当の支給も同時に行うことにいたしております。
 民間の社会福祉施設におきます勤務条件あるいは処遇につきまして若干申し上げますと、労働時間で申し上げますと、平成二年度の過所定労働時間四十三・四時間というふうになっておりまして、これは民間企業におきます同程度の従業員規模の場合の四十三・七時間と比較いたしましてはぼ同様というふうになっております。
 また、社会福祉施設の運営費でございます措置費の中の人件費の扱いにつきましては、各施設、種別の種類ごとに学歴、勤続年数等を勘案しまして国家公務員に準拠して算定いたしております。また寮母等の直接処遇職員につきましては、業務の困難性等を考慮いたしまして特殊業務手当等の加算を行うというような措置を講じております。
 今後の取り組みといたしましては、労働時間につきましては現在逐次短縮の措置をとっておりまして、平成四年度につきましては、十月以降週四十二時間の勤務体制を確保するという予算を計上いたしております。今後また国家公務員の完全週休二日制への移行あるいは労働基準法に定めます週四十時間勤務体制への移行等々の動きもございますので、こういう状況を見定めながら所要の改善を行っていきたいというふうに考えております。また給与につきましても、先ほど国家公務員準拠と申し上げたわけでございますが、社会福祉施設職員の確保を図るために給与の改善を含めました処遇の充実に努力をいたしたいというふうに考えております。
#154
○委員長(田渕勲二君) 両案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時四十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十分開会
#155
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案並びに社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#156
○委員長(田渕勲二君) まず、参考人の出席要求についてお諮りをいたします。
 両案の審査のため、来る二十一日に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#157
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#158
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#159
○委員長(田渕勲二君) これより両案に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#160
○清水嘉与子君 かねてから看護問題や福祉問題に深い御関心と御理解をお持ちの山下厚生大臣によりまして、今日看護婦あるいは福祉関係の人材確保法案を御提案いただいていますことを大変心強く思っている次第でございます。よろしくお願いをしたいと思います。
 昨日の宮澤内閣の経済政策のバックボーンとも言えます「新しい経済計画の基本的考え方と検討の方向」というのが経済審議会から示されました。この中で「国民一人一人が豊かさとゆとりを日々の生活の中で実感でき、多様な価値観を実現するための機会が等しく与えられる公正な社会としての「生活大国」」の実現を目指すということが強調されております。病になり、あるいは障害を持ち、あるいはお年を召したときに人にお世話にならなきゃならないことがどうしても出てくるわけでございますが、そういうときにお世話をする人々が足りない、あるいは働く人自身が豊かさやゆとりが持てないというような状況であるというのは、やはり生活大国とは言えないのではないかというふうに思います。こういう状況の中で幸いこの二法案が出されましたことを時宜を得ているものだというふうに思っております。
 主に私は、まず看護婦等の人材確保の問題につきまして御質問をさせていただきたいと存じます。
 初めに、昨年からことしにかけて、先ほど大臣からも御説明がございましたが、大変に看護政策が、予算の上でもそうでございますし、いろんな面で進んできたということを実感として受けとめております。いろいろございますけれども、まず初めに実感として受けとめましたのは、昨年の五月に行われました「看護の日」の制定ではないかというふうに思います。これも日本のオリジナリティーではなくて、アメリカのレーガン大統領がアメリカ看護協会の要請を受けまして、看護婦の日を布告いたしまして看護婦への感謝を呼びかけ、そしてイベントをしているというようなことを前の看護協会の会長でありました大森先生から私どもの党の看護問題の勉強会で御紹介いただきました。
 それが一つのきっかけになりまして、文化人の方々の応援もいただきまして厚生省の政策として実現されてきたわけでございます。恐らく大臣も全国さまざまに行われたイベントの様子を聞かれたことと存じますけれども、「看護の日」の制定の意義といいましょうか、どんなふうに評価しておられますでしょうか。さらにまた、ことしどんなふうなことを考えておられるのか、お聞かせいただきたいと存じます。
#161
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま清水先生からお話がございましたように、昨年の五月に「看護の日」が制定されまして、これは国会の議員各位の深い御理解等も賜りながら制定されたのでございまして、大変私はよかったなと思っております。それは一つには、国民が看護に対する理解と関心をもっと深めてもらいたい、さらに看護の心を普及啓発する。まだ国民は十分に看護の心というものを理解しておられない向きもあると思いますので、この点が非常に重要だという立場からこの制定は非常に私はよかったなと思っております。これを機会に「看護の日」をさらに有意義あらしめるために、今後年を追っていろんな行事が行われることを私は期待いたしております。
 そこで、この日の制定は国民が看護に対して理解と関心を深める、看護の重要性を認識する、あるいはまた「看護の日」を通じて看護職員の社会的評価というものをもっと高めていく、また看護について国民に明るいイメージを与える、そういうことで今後とも私は意義ある日としてさらにこれを推し進めていかなければならないと思います。今後広く国民の間に定着して継続して取り組んでいくべきものだと理解をいたしております。
#162
○政府委員(古市圭治君) お尋ねの中で、ことしの「看護の日」、どのような行事を予定しているのかというのを補足させていただきます。
 ことしは五月の十日、看護フォーラムを東京都内で実施いたしまして、各分野の理解ある方々、学識の方でシンポジウムを行いたいと思っております。また、全国的には二百五十カ所で触れ合い看護体験、一日看護体験というものを都道府県を通じてお願いいたしまして、五千名の方に実際一日医療機関の中で看護の体験をしていただこう、こういうことを考えております。そのほか、ポスター、チラシ等をやります。また、「看護の日」のテーマソングの普及も図りたい、このように思っているわけでございます。
#163
○清水嘉与子君 こういうイベントを通して本当に若い方々が看護あるいは福祉の道へ進んできてくださることを期待したいというふうに思います。
 次に、看護婦の需給の見通しの話でございますが、昨年の十二月に報告されました看護婦の需給見通しということでございます。実際に今度の法律案の中で、人材確保のために具体的な内容というのは全部基本指針に任されるということでございまして、今基本指針に何が盛り込まれるのかといっても、なかなかこれは先ほど午前中からの御質疑を伺っておりましても難しいというふうに思いますが、厚生省のこれまでの姿勢、例えば昨年の八月の保健医療・福祉マンパワー対策大綱の中でありますとか、あるいは昨年の十二月の新たな看護婦需給見通し策の中にその考え方がかなりうかがい知れるんじゃないかというふうに思っております。
 先ほどの局長のお話の中でも、平成十二年には百床当たりの看護婦が今三十五人のところが約五十人近くになるというようなことでございました。五十になったとき、一体看護婦の働く職場というのはどんな状況になっているのかということをもうちょっと具体的に、つまり需給見通しの中にどんなことを盛り込んだのかということになると思いますけれども、例えば週休二日制の問題、二・八の問題あるいは基準看護がどのぐらいとれるんだろうかというようなことを、ある程度おわかりでございましたら、お教えいただきたいと存じます。
#164
○政府委員(古市圭治君) これは清水委員がよく御承知のとおりでございまして、この需給見通しを出しまして、これに向かって向こう十年間努力をするということでございますが、御指摘のように、これが完成、実際実現を達成いたしましたら、一般病床病院の百床当たり看護婦さんの数は約五十人近くになる、現在が三十五・九という数がございますから、これから類推いたしますと、今問題になっております月平均の夜勤回数が平均八・二回ということでございますが、これはもちろん改善してクリアされている。また、週四十時間というのも、これを見直しましたときには、平成四年度内に達成できるようにするためにはどのような数がと都道府県に聞いておりますので、それも見込んでおります。
 それからまた、育児休業等による看護婦の勤務条件の改善というものも見込んでこの推計値を出していただきました。
 そういうことで、数の上からはそういう改善が図られることになっておりますが、現実の問題としてこの数を本当に達成していくという努力が要請されているということで、現在も格段の努力をする必要があるわけでございます。そのためにも今回提出させていただきました法案に基づきまして共通的、基盤的なことを法案に盛り込んでひとつ全力投球をしたい、こういう状況でございます。
#165
○清水嘉与子君 ぜひその需給の計画につきましては、達成するように努力をしていただきたいと存じます。
 先ほどから需給見通しの話の中で、養成はするけれども退職が多過ぎるのではないかという御指摘がございました。私も、この数から見ますと、確かに退職等による減少数というところに非常に大きな数が出ておりますけれども、ぜひ厚生省の方にもよく御説明いただいた方がいいんじゃないかと思うんですが、実はこの中には今まで准看護婦の資格を持っている方で今度看護婦の学校に行こうという方がいるわけですね、進学する方々が。その進学コースの数が一万八千とか九千あるわけですが、准看から一時学校に行っている、そして何年かたったらまた帰ってくるというようなことが相当ございますので、これをすぐやめてしまう、退職というふうに説明するのはちょっとおかしいのではないだろうかと実は思っていたところでございますので、ぜひその辺をうまく理解できるように御説明いただきたいなと思った次第でございます。
 次には、国家公務員の看護婦のことでございます。
 実は、国家公務員の看護婦につきましては、別の法律で手当てできるということで、基本指針の対象から外されているわけでございますが、しかし国立といえども一部には看護婦不足で困ってるところもあるわけでございまして、一昨年の夜間看護手当のアップでありますとか、あるいは昨年の人事院の看護婦に対する特別勧告の問題でありますとか、あるいは民間に先駆けての週休二日制の問題など、かなり国家公務員が民間に先んじて努力をしていらっしゃる跡はよく見られるわけでございまして、今後ともぜひこういうふうなことで公務員がお手本を示していただくという姿勢がどうしても必要ではないかというふうに思います。
 その辺につきまして、ぜひ御見解をちょうだいし、たいと思います。
#166
○政府委員(寺松尚君) 今、先生のお話の中に、国立病院・療養所等の看護職員の今後の対応ということで、具体的に話してみろというようなお話でございます。
 もう御指摘がございましたけれども、毎年人事院総裁に対しまして厚生大臣から給与の引き上げでございますとか、あるいは諸手当の改善等について要望を行ってきております。また、夜間の看護体制の強化を図りますために、平成三年度に引き続き平成四年度におきましても、特に看護婦に重点を置きましてその増員を確保したところでございます。今後ともこれにつきましては、引き続き処遇の改善等に向けて厚生省としても努力をいたしてまいりたい、このように思っております。
 それからまた、勤務条件の改善のお話が出ましたが、その一つといたしまして、国家公務員の週四十時間勤務制につきまして、御承知のとおり今年五月一日から実施するところになっております。国立病院・療養所の職員につきましても、現在行われております試行を引き続き行いまして五月一日からは実施できるようにしたい、このように考えております。
 さらに、国立病院・療養所に勤務いたします看護婦の勤務の形態とか、いろいろな問題がございます。その辺につきましても、平成三年度から設けられております看護婦の勤務改善の検討会のお話等をも参考にしながら検討してまいりたいと、このように思っております。
#167
○清水嘉与子君 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それから、四月から看護婦の労働条件や処遇改善に配慮いたしました診療報酬の改定が行われまして、看護婦も非常に働きやすくなるというふうに喜んでいるわけでございます。しかし、本当に恩恵を受けますのは、いわゆる基準看護をとっている病院といいましょうか、全体で病院の数からいけば約四割、そして病床でいくと六割にすぎないわけでありまして、今度は老人病院に至っては実人員方式ということで、かなり細かく看護料が算定されましたけれども、これを見ますと、この実態はどうなるんだろうかと、本当に医療機関としていいんだろうかというようなお寒い感じがするわけでございます。
 実際、今看護婦が不足というのは全国的に言われているわけでありますけれども、やはり足りないと言っているところは、大きな規模の基準看護病院がさらに高い基準看護をとりたいといって足りないといっているところ、さらにまたそうでなくて基準看護さえとれないような中小病院、もうこれは慢性的に看護婦は来ないんだというようなことで多少あきらめムードもあるかもしれませんが、そういうところと、何か二極分化しているような感じがいたします。
 これからの看護婦の充足対策というのは一体どちらにいくんだろうか。診療報酬の改定は大変ありがたいんですけれども、高い基準をとるためにまた看護婦がいないところから看護婦引き抜きをするなんということにならないだろうかと逆に心配をしたりするわけでございます。
 先ほどの需給見通しの中では、これは全体的なレベルアップということだと思いますが、特に民間のなかなか看護婦の集まりにくいところの看護婦の獲得といいましょうか、どういうふうにしたらいいのか、お考えがございましたら、お教えいただきたいと存じます。
#168
○政府委員(古市圭治君) 今回の法案を成立させていただきましたら、地域における再就職等のセンターとしてナースセンターの機能が格段に強化されていくということを期待しているわけでございます。中小病院、それから僻地、離島等非常に同じ条件の中では看護婦さんがとれないという実情があろうかと思います。私どもは、ナースセンターに登録された方というのは、自分の住んでいる近くの医療機関で、また、病院の勤務時間体制でなくて、いってみれば家庭の中で都合がつく時間を看護の方にひとつ割きたいという需要もあるわけでございます。
 そういうことから、中小病院というのは、逆にいってみたらその点ではある程度自由度がきく近くの病院ということになろうかと思いますし、一つの職を何人かの人でカバーするという組み合わせも考えれば、フレックスタイムで比較的潜在看護婦さんがやれるということに対応できるのが中小病院、療養所の特徴がとも思います。そういうことで、ナースセンターではきめの細かい配慮をしてそういう中小病院にも配慮した就業あっせんをしていただきたいと、こうお願いしていきたいと思っております。
 さらには、離島、僻地等につきましては、診療所の建物整備の補助対象の中に看護婦の宿舎を加えるという行政努力もしておりますし、また二百床未満の病院に三年間就業した看護婦に対しましては、修学資金の返済の責務を免除するということもやって、行政的にも支援をしたいと思っております。
#169
○清水嘉与子君 この人確法のほかに、看護婦の場合には身分法として保助看法、保健婦助産婦看護婦法というのを持っているわけでございますけれども、あわせてこの辺の手直しも必要なのではないかという問題がございます。
 例えばその一つは、男性の取り扱いの問題でございます。国連婦人の十年以来、女性の社会進出という面ではかなりの成果を上げてまいりました。しかし、男性に差別がある職種というのはこの看護職でございまして、非常に男性が少のうございます。実は看護大学が増設されてまいりました。そして、その中で男性がかなり学生として入ってきているわけなんですね。ところが、女性と同じカリキュラムを学びながら、卒業の時点ではこれは看護婦の国家試験しか受験できない。女性の方は保健婦と看護婦と両方受験できるけれども、保健婦には男性が認められない、あるいは助産婦にも認められないということで、受験資格がないという具体的な問題が出てきております。
 大学を卒業しても、なぜ国家試験の受験資格がないのかというようなことで、大変な問題になっております。また、男性は、これまでどちらかといいますと精神科の領域に働いていたわけでございますが、精神科に働いていらっしゃる看護士さんも保健士への道の拡大を希望しているわけでございまして、そういうことによりまして精神保健相談員の資格を取る、こういうことにもプラスになるということで、かなり前から要請をしております。また、厚生省のつくられました保健医療・福祉マンパワー対策本部の中間報告の中にも、男子労働力をもっと導入しようというような問題が出ているわけでございますが、この問題、どうしてもクリアしていただかなきゃいけないというふうに思います。
 たまたまけさの朝日新聞にも、金沢市のお医者さんが、保健士への道を開くべきときが来ているというような投書をしておられますけれども、この問題についていかがでございましょうか。
#170
○政府委員(古市圭治君) 今御指摘のように、看護婦さんにつきましては看護士というので同等の道が開かれまして、現在既に二万数千名の看護士の方がこの看護の方で頑張ってくださっているという状況でございます。これからの若年女子人口が少ない中からこの分野に来ていただくということは、女子だけに期待するのではなくて男子にも大いに門戸を開放して看護士として参加していただきたいと思っているわけでございます。そういう観点から、保健婦、助産婦につきましても、保健士、助産士と申しましょうか、同様にできるということは私は基本的にはそういう方向にあろうかと思っております。
 ただ、いろいろ検討いたします過程におきまして、殊に助産士を創設して助産婦について男性への門戸も開くということにつきましては、関係者の意見がまだ十分コンセンサスが得られていないということでございますので、この点につきましても、早く理解が深まってそういう検討ができるという時期を迎えるように私どもも期待しているわけでございます。
#171
○清水嘉与子君 その事情も私もよく存じておりますが、実際には助産士の試験を受けたいと言っている男性は今現実にはいないわけでございまして、保健士さんの方は既にそういう事態が出てきておりますので、ぜひ御検討を早くしていただきたい、そのためにはどうしても関係者との合意が必要だと思いますので、その辺もよろしくお願いをしたいと思います。
 文部省の古いらしていますね。昨年学位授与機構というのができまして、例えば看護の短大の卒業生が保健婦、助産婦の専攻科に行きましたときに、その単位を認めて、一部あるいは足りないところは大学等で単位をとって、そういう人が出てきた場合に学位を、学士の認定をしようというような方向が出されたというふうに承っております。具体的に、一年たちまして、その認定を受けております保健婦、助産婦の課程といいましょうか、その辺の実態を少し教えていただきたいと存じます。
#172
○説明員(工藤智規君) 先生お話しのように、昨年七月一日に施行されました法律改正によりまして、これまで大学卒の卒業者に与えられておりました称号として学士というのがあるわけでございますが、諸外国との整合性を図る観点からこれを学位と位置づけまして、学部レベル卒業者を学士、それから修士課程卒業レベルを修士、ドクターレベル卒業者を博士という形の三種類の学位を設けているところでございます。
 基本的には、国際的にもあるいは伝統的にも、こういう学位の授与につきましては大学が行うということになっているわけでございますが、近年におけるいろいろな高等教育レベルの教育体制の多様化に伴いまして、大学卒業者以外でも学位の取得の道を設けることにつきまして学位授与機構というのが設けられたわけでございます。学位授与機構では、大ざっぱに申しますと、一つは短大、高専卒業者で一定の学習を積み重ねた者に対する学士の授与、それから各省の大学校がございますが、各省の大学校の中で大学レベルのものあるいは大学院レベルのものがございますので、そういう学校を卒業した方への博士、修士、学士の授与ということを任務としているわけでございます。
 このうちお尋ねの短期大学卒業者で大学または短大の専攻科等を修了しながら学士の道を開いておりますが、その申請状況というお尋ねでございます。これまで総数で申しますと、短大、高専関係で六十校八十九専攻の御申請がございました。このうち医療短期大学等保健衛生関係の御申請は二十九専攻でございます。それで、学位授与機構で専門家の委員会を設けましてその教育内容等審査いたしまして、適当であるという認定をする作業があるわけでございますが、その認定を受けました学校、専攻が二十二校三十四専攻でございます。このうち保健衛生関係の医療短期大学等の関係では六短期大学八専攻でございます。
 今後の手順といたしましては、こういう専攻科の認定を経ておりますので、今後個別の修了生が学士の授与につきまして御申請いただくということになるわけでございますが、平成四年度は、この十月にその申請を受け付けまして、御審査の上学位を授与するという運びを予定しているわけでございます。
#173
○清水嘉与子君 持ち時間が少なくなりましたので、お願いだけしておきたいのですけれども、今まで短大卒業生であろうと養成所卒業生であろうと、厚生省、文部省の共管であります省令によってカリキュラム等を規定されておりまして、同じ教育を受けてきた。差がなかったわけですね、処遇においても全く差がなかった。
 しかし、短大の卒業生の方々にこれだけメリットが出てきたということで大変ありがたいことであると思いますが、逆に今度は養成所の方々についてはもう非常に差別感といいましょうかそういうものが出てきた。まだこれが始まったばかりでございますし、専門学校、専修学校にまで短大並みの扱いをするということにはなかなか難しい点があるかもしれませんけれども、こうやって文部省が非常に教育体制の多様化を積極的に図ってきてくだすった中で、将来の問題としてぜひ短大だけでなくて専門学校卒業生の単位もある程度、そのためにはある程度条件が必要になると思いますけれども、認めるような方向をぜひ検討していただきたいと存じます。
 また、厚生省もみずから医療関係者の教育を相当やっているわけでございますけれども、今の文部省のお話を聞いていただきましても、厚生省の所管している養成所というのは一体どうなるんだろうかと、ほかの所管のところはどんどん短大にも移行できるし大学にも移行できるけれども、厚生省の方については卒業生が非常に中途半端になってしまうのではないかという問題がございます。
 私は、個人的にはもう専門学校でしっかりした教育を受けた実務者について非常に高い評価をしておりますけれども、これは社会的な問題あるいは国際的に活躍するときにやはり学位があるかないか非常に大きな問題になるわけでございまして、ぜひ厚生省におきましても、この養成所をどういうふうな方向で拡大していくのか、そして大学の教育にどう結びつけていくのかということについて、厚生省だけではお話も進まないこととは思いますが、文部省ともぜひお話を進めていただきたいなと。これは私も今までにも何回かお願いをしているわけでございますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 それから、なおもう一点でございますけれども、先ほども日下部先生のところで御議論になりましたが、准看護婦の問題でございます。
 実は准看護婦の問題は、なかなかこれ、必要な職種なのかそうでないのかということについての結論が得られないということでございまして、六十二年の看護制度検討会の中でも結論が得られない、先延ばしになりました。しかし、今中卒で養成しなきゃならないというこの資格だけは、もう現実問題九三%が高卒、あるいは大学卒というのも相当来ているわけでございまして、実態に合わせて高卒にしたらどうかというような答申が出されていたわけでございますが、それが一向に進んでいかない。
 そのうちに介護福祉士といったような制度が福祉のサイドで出てまいりまして、これが全く准看と同じ千五百時間のカリキュラムで行われるというようなことでございまして、同じ厚生省で所管されております職種の中でどうも扱いがおかしいのではないか。しかもその方々が福祉の現場で、医療の現場で一緒に働くということもかなり想定されるわけでございまして、この問題につきましても、もう少し前向きに検討しなければならないというふうに思うわけでございます。
 准看護婦の果たしている役割は非常に大きいと思いますので、もしこれを続けなきゃいけない、しばらくは続くわけでございますから、そのときに中卒のままにしておくのかどうかといったことについて御検討をいただけたらいいんじゃないだろうかというふうに思います。この前の検討会のときにも五年から十年たったら見直ししようということが言われているわけでございまして、これから着手していただきましても恐らく結論が出るころには十年くらいたっちゃうんじゃないかと思いますので、ぜひこの辺につきましても御検討をちょうだいしたいなと思うわけでございます。
 今の厚生省の看護教育の問題あるいは准看護婦の問題といったようなことにつきまして、もしコメントいただけたら大変ありがたいと思います。
#174
○政府委員(古市圭治君) 長年の懸案でございますし、また非常に重要な基本的な問題であります。清水先生非常にお詳しいことでございますが、御承知のとおりのような経緯があって今日に至っているわけでございますが、現在の情勢を踏まえて関係者の意見も聞いて真剣に検討したいと思っております。
#175
○清水嘉与子君 社会局長さん、申しわけありませんでした。きょう通告しておきながら質問する時間がもうなくなってしまいました。看護のことばかり取り上げましたけれども、同じ女性でしかも夜勤もやっている大変な職種でございます。同じようなことで、ぜひ福祉の方々の処遇の改善あるいは働く環境の整備ということについて御尽力をちょうだいしたいというふうに思っております。
 最後でございますが、高齢化社会がどんどん進展していく中で、保健医療・福祉マンパワーの確保というのは極めて重要なことであります。随分いろんなことで看護の問題については前進を見ましたけれども、今申し上げましたように、教育の問題あるいは制度の問題あるいは男性の問題、まだまだ積み残された問題がございます。
 そこで最後に大臣に、こういうことも含めまして、この保健医療・福祉マンパワーの確保についてのお取り組みの決意などをお聞かせいただけたらと思います。
#176
○国務大臣(山下徳夫君) 二十一世紀の本格的な高齢社会を迎えるに当たって、どうしても私どもがあらかじめ準備し、果たさなきゃならぬのは、看護職員を初めいわゆる福祉マンパワーの確保の問題でございます。
 そこでこのために、平成四年度の予算におきましても、融資、税制等各般にわたっていろいろと政策を進めてまいりました。さらに今回、マンパワー対策の二法案を国会に提出いたしまして御審議をいただいているわけでございますけれども、いずれにしましても、これからだんだん若年の労働力が減ってくるということでございまして、そういう先を見越しますというと、短期ではなくてかなり長期的あるいはまた中期的な見通しに立って対策を講じていかなきゃならぬ、息の長い対策が必要だと思っておりますので、国会の先生方の御協力を賜りながらそういう決意を持って進んでまいりたいと思います。
#177
○清水嘉与子君 どうもありがとうございました。
#178
○針生雄吉君 私の質問について先に概要を述べさせていただきたいと思いますが、最初東洋医学の再評価という項目で、これは我が党の医療政策の柱の一つにそういったニュアンスの政策がございますので、そのことについて一項お聞きしたい。それからOT、PT、理学療法士、作業療法士についてお伺いしたい。さらに看護婦さんの問題について、あと時間が許されれば潜在看護婦さんの問題についてというふうに御質問をしたいと思います。
 私は非常にアバウトな人間なものですから、大体何分かかるか計算できないもので、もし足りなくなったらそこで終わり、もしオーバーしたら八十分はやっていいという同僚木庭委員の温かい御配慮がございますので、その点委員長よろしくお願いいたします。
 最初、厚生省の御見解をお尋ねしながら、我が党の医療政策の一つの柱にもなっているような格好になっております東洋医学の蘇生、東洋医学の再評価という問題に関連して、質問というよりもお話し合いをさせていただきたいと思います。
 まず初めに、厚生省の御見解をお尋ねいたしますが、非常にこれは何か机上の空論みたいなことで気が引ける質問なんですが、医療とは何か、医療の本質、医療の定義というものを簡潔にお示しいただきたいと思います。
#179
○政府委員(古市圭治君) いろいろあろうかと思いますが、身近な辞書で見ますと、広辞苑では医療とは「医術で病気をなおすこと。」と、こう端的に書いてあります。しかし、これでは余りにも文学的過ぎますので、私どもが専門的にいろいろ御議論いただいている先生方の素見を要約いたしますと、医療とは歴史的にもその内容は変遷、変化するものと考えるけれども、現段階では一般的には医学の臨床的応用としての疾病の予防から治療まで、さらにはリハビリテーションまで含む包括的概念としてとらえられている、こういうようなことが一般的な理解だと思います。
#180
○針生雄吉君 一応私の見解を述べさせていただきますと、私は、一面的な言い方になるかもわかりませんけれども、人の生命、人の命を救う営みといいますか、そういうふうに主張したいんでありますが、一人一人の生命に存在しているいわば内発的な力、生命力を発揮できるようにしてあげるという、そういう営みが医療ではないか。
 つまり、精神的にも肉体的にも生命力を増強させる営み。ですから、生命といいますと摩訶不思議なあいまいもことした概念になりますけれども、目に見えない心であるとか、あるいは数量や画像ではあらわしにくい、あるいはあらわし得ない精神的な側面と、それから目に見える、数量化したり画像化したり図式化、映像化可能な肉体的、物質的な側面と両者の特徴をあわせ持った人という生命体がある。その生命体の生命力を増強させる営みあるいは生命力の弱くなる減弱化を防ぐという、そういう人間の営みが医療の本質的な意味である、こういうふうにとらえたいわけでございます。
 我々は、医療という言葉を普通、先ほど局長のお言葉、定義の中にもございましたけれども、国民総医療費であるとか、医療制度の改革とか福祉、医療、保健推進計画などといういろいろな使い方をいたしますけれども、えてして目に見える側面、物質的な側面しか見ていないという場合が多いという現状だと思うんです。またいわゆる科学的、サイエンティフィック、生命なんというと非常に分子生物学的な面では目に見えるものですけれども、じゃ分子生物学的なものよりも目に見えない生命というものなんということを言い出しますと、それはサイエンティフィックでないというそしりを受けるわけでございますけれども、いわゆる科学的と称される理論構成あるいは科学的と称される方法論をベースにした見方をしからであるわけでありますが、これは生命の実体の半面、一面しか見ていないと言わざるを得ないというふうに私は主張したいわけであります。
 次に、医師、医師とは何か、医師の定義についてお教えをいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#181
○政府委員(古市圭治君) これは先ほどの医療のような形で定義というのはないんではなかろうかと思います。私ども行政庁でございますので、そちらから申しますと、我が国の医療関係法規その他の法令におきまして、医師とは医科大学または医学部を卒業後医師国家試験に合格し、厚生大臣の免許を受けた者重言う、ということでございます。しかし、この答えは先生が御期待されている答えとは違うと思いますが、一応こうなります。
#182
○針生雄吉君 お見通しのようでございますが、医師法の十一条とか九条にあるそういう医師、それはもちろん我が国は法治国家でございますのでそのとおりであると思いますけれども、まあ口幅ったい言い方でありますが、高いか低いかは別として、違った立場から、次元から見ますと、今の医療というのは人の生命を救う営みだというような言い方をすれば、その人の生命を救う医療という営みに携わる者であるというこういう拡大解釈をしたい。
 この私流の定義からいいますと、当然、今局長が御紹介された法による医師免許を持つ人のみが医師ではないということになります。この考え方は極めて、哲学的と言わせていただければ哲学的な考え方でありますので、法治国である我が国の現在にそのまま当てはまるものではありませんし、当てはめるつもりもないのでございますけれども、ここら辺に私は現在の医療状況の行き詰まりを打破する糸口があるように常々思っているもので、こういう設問、設定をさせていただいたわけでございます。
 せっかくでございますので、大臣、医療とか医師ということをどうとらえておられるか、お伺いをしたいと思います。
#183
○国務大臣(山下徳夫君) 医療法の改正案の中にも、医療というものは、生命の尊重と個人の尊厳の保持を基本とし、医師その他の医療の担い手と患者との信頼関係に基づき患者の心身の状況に応じて行われるものと、このように規定をしてあるんであって、私はそのとおりだと思っております。また医師につきましても、これは医学に関し十分な知識、技能を持って、さらに自分で一生懸命勉強し、自己研さんを重ね、また一つの倫理観の上に立って、そして生命を尊重するような業務に従事する者と、私の言うのは余り適切でないかもしれませんが、そのように理解いたしておる次第でございます。
#184
○針生雄吉君 もうそのとおりで、恐らく学校の試験でそうお書きになれば百二十点ぐらいいただけると思いますけれども、私流の主張を敷衍していきますと、そういうものだけではなくて、いわばもっと大きな立場で人間の生命を守っていくのが医療でありあるいは医師であるという考え方からしますと、医療というものは、確かにいろいろな法律で定められているけれども、我が国の法律で定められている医師の独占物であってはならないし、本来独占物ではないという主張をしたいわけでございます。医療というのは、医療行為をする人と受ける人との信頼関係に基づく共有物であるとも言えますし、また医療行為そのものも、本来医師の専権事項ではなくて、いろいろな人、特に我々の今の現状で言えばコメディカルと言われる人々も含めた多くの人々によるチームワークであり共同作業であると思う。
 そういう観点から、我が党が早くから医療基本法の制定を主張しているわけでございますが、その主張もこの観点からなのであります。医療の本質は何か、ひいては医師の定義、役割を再検討するプロジェクトチームをつくって論じてもいいぐらいの大きなテーマであろうかというふうに思うわけであります。
 次に、文部省にお伺いをいたします。
 文部省は学術、文化、宗教、国際関係をも所轄する役所ということになっておりますけれども、宗教とはそもそもいかなるものであると認識をしておられるのか、お示しを願いたいと思います。
#185
○説明員(梶野愼一君) 今の御指摘の宗教の定義でございますけれども、この問題は多くの学者が種々の角度から定義づけを試みてはおりますけれども、定説といったものはないようでございまして、そういう意味におきましても、ここで文部省文化庁といたしまして、一義的に宗教とはこういうものだというふうな定義づけをすることは非常に難しい、かように考えている次第でございます。
#186
○針生雄吉君 まさにそのとおりでありまして、宗教法人法にも宗教そのものの定義というのはないわけでございまして、私流に言わせていただければ、生命の本質を説くものであって生命の本質に迫る何かであると。非常に、生命といいますと、先ほども言いましたように、あいまいもことして何か定義できないような極めて難しい概念になる傾向もございますし、いわゆる宗教的悟達と言われるような範疇にも入るものでありますけれども、やはり生命の存在をどう認識するかというのが大きな宗教のテーマであろう、私は宗教というものは生命のあり方に関係したものであるというふうに定義づけたいと思うのでございます。
 続いて、文部省にお伺いいたしますけれども、医学教育とか医学的常識とかいうふうに使われますけれども、医学とは何ぞや、医学の定義と、それからいわゆる西洋医学、近代医学とも言われましょうか、それから東洋医学、伝統医学とも言うことができると思いますけれども、医学とは何か。そして西洋医学とは何か、東洋医学とは何か。文部省としての御見解をお示しいただければ幸いであります。
#187
○説明員(喜多祥旁君) 医学教育という場合の医学についてでございますが、いろんな定義がございまして、一般的には人間の健康の回復、疾病の予防、健康の増進を目的とする学問でございまして、それは理論、技術及び倫理を含むものである、そして一般的には基礎医学、臨床医学、社会医学などに分けられるものだと言われていると承知をいたしております。東洋医学につきましても、この範疇に含まれるものと理解をいたしております。
 西洋医学と東洋医学の違いにつきまして、文部省といたしまして有権的な解釈をする立場にはございませんが、一般的には西洋医学、東洋医学ともに古い歴史を持っているものでございますが、西洋医学はヨーロッパにおいて近代科学の発達を基礎として発達し世界じゅうに広まったのに対しまして、東洋医学は中国、日本などを中心といたしまして幾多の経験を経て発達してきたものであると言われておるところでございます。
 西洋医学におきましては、検査、診断に基づきまして病気の原因を除去するという方法論を一般的にとる傾向にあるのに対しまして、東洋医学におきましては、はり、きゅうあるいは漢方薬などの穏やかな方法によりまして、人間の自然治癒力の助けをかりつつ病気を治すという方法論を一般的にとっておるという違いがあると聞いておるところでございます。
#188
○針生雄吉君 ありがとうございました。
 既によく知られておりますように、多くの欧米キリスト教国における医学というものは、宗教的使命感に基づいて発生しました病院とか、宗教的使命感に基づいて発生した医療制度をサポートするために発達したという側面があるわけであります。我が国の場合はしからずでありまして、明治維新の時代に新政府が欧州列強諸国に追いつき追い越せという国是、国の方針に従って形のみをまねたという経緯があるわけでございます。そのような我が国における医学を取り入れた背景がありますので、日本の医療、医学あるいは医師というような分野においてもどうしてもその精神的な側面、先ほど倫理面も入るというふうにおっしゃいましたけれども、特に倫理的基礎が欠落してきたという傾向があるのではないか、こう思うのです。
 さて、我が国では学校教育に関するいろいろな法律で定められている大学の医学部で所定の医学教育のカリキュラムを履修して、国の定める医師国家試験に合格すれば医師免許を与えるという、そういう医師制度があるわけでございますけれども、それをいわゆる日本にはそういう言葉はございませんけれども、西医というふうに、西洋医学を修めた医者を西医と言うとすれば、そういった医師免許は西医のみに免許を与えるという制度になっておりますが、そのいきさつ、歴史的経過と、そうなった理由をお教えいただきたいと思います。
#189
○政府委員(古市圭治君) 西洋医術を導入して日本の近代的医療制度が創設されたということでございますが、そのときの経緯と申しますのはいろいろ記録によってお話をさせていただくしかございませんが、いわゆる明治の新政府というのがこの制度をつくっていったわけでございますが、既に慶応四年、これは一八六八年でございます、太政官布告百四十一号をもちまして従来禁止されておりました西洋医術というものを正式に採用するということが公布されまして、そこから日本の医術が従来の漢方医学から西洋医学に制度上切りかわってきたというような経緯がございます。
 この背景といたしましては、その間に入ってきた西洋医学がいかにすぐれているのかというのを当時の新政府の方々が実感して、その制度を日本の近代国家の中の医制として取り入れようという背景があった、このように記録をされているわけでございます。
 なお、ちなみに当時は旧来の漢方医というのが数の上でも多うございまして、明治七年の文部省の調査では医師総数が二万八千二百六十二人、このうち西洋医と称する人は五千二百四十七人、こういう状況であった。それ以後切りかわってきたということでございます。その後は御承知のとおり、第一代の医務局長の相良知安がドイツ流の医学の導入を進言し、第二代目の医務局長の長与専斎が欧米、オランダでヨーロッパの制度を学んできて、それを医制に取り入れた。それによりまして明治六年の十二月に文部省において公布された医制というもので日本の現在の衛生行政、それから医学教育、病院制度、それの基礎ができ上がった、こういうぐあいに記録されております。
#190
○針生雄吉君 その当時の東洋医学の方にも責任があったんだろうと思います。つまり十分に成熟をしていなかったという状況が恐らくあったんだと思いますけれども、いずれにいたしましても、日本に一八六八年明治維新のときに太政官令によって西洋医学を医制に取り入れたという、その考え方は今おっしゃったように政府高官の感じた実感ということであって、決して庶民、国民の、一般大衆の感じていた実感ではなかったのではないかという反論を申し上げておきたいと思います。
 今現在は、今まで述べてきましたように、西洋医学のカリキュラムを修めた者にしか医師免許が与えられない、医療行為もできないということでございます。一つの大きな仮定でございますけれども、これから東洋医学のみを勉強した人でも医師になることができるようにする条件というものがあるかどうか、あるとすれば東洋医学のみを修めた人が医師になることができるようになるかどうか、その辺について御見解をいただきたいと思います。
#191
○政府委員(古市圭治君) 現実的にはあり得ないというお答えになるわけでございます。
 それは、いわゆる東洋医学についてはいろんな説がございますが、長期にわたって経験のもとに一応成立して大成されてきたという背景がございまして、治療のメカニズムが科学的に十分実証、解明されているということではございません。また、そのようなものに向く性格の分野のことではないということもありましょうけれども、現在のところそういう科学的な十分な解明がない限りそういうものを取り入れるということはできないというのが基礎にございます。
 そういうことで、東洋医学に基づいて現在の医師に相当する資格を新たに設けるということは私は現実にはあり得ないことだと思います。
#192
○針生雄吉君 そういうお答えが返ってくると思いまして、その前に宗教的なもの、生命とはとかというようなことを申し上げた。つまり生命というものは科学的に解明しろ、証拠を見せると言われてもなかなか不可能な分野であるということがあるわけでございます。
 ですから、そういった東洋医学の基礎になっている東洋哲学というものに着目をする以外にない。西洋医学の基礎になっているものはもう御承知のように西洋哲学といいますか、ウィルヒョーの細胞病理学とか、あるいはいういろな物質的なものを中心にした唯物的な考え方が根底になってきたわけでございますので、そういう西洋医学に対してもっとより生命という時点でとらえた哲学、その一つは東洋哲学でございますけれども、それを基本にした考え方を導入しない限り、そういう世の中は出てこないというふうに思うわけでございます。
 もう時間も進んできましたんで、いわゆるはり、きゅう、マッサージという次元ではなくて、大臣、グローバル、インターナショナルな次元で東洋医学とはどういうもの、どう認識なさっているか、どうしても我々あんまさん、マッサージ師さん、はり、きゅうの先生方というようなイメージが起こるわけでございますけれども、ひとつ大臣の国際的なセンスからグローバルなインターナショナルな意味での東洋医学をどう評価なさるか。
#193
○国務大臣(山下徳夫君) 私は、東洋医学というのですかね、好きなんですよ。よく腰痛なんかではりをやるんです、はりを。またはりをやると気持ちいい。痛くて何が気持ちいいかと。それじゃおまえ、手のひらに痛快と書いてみると、痛くて快いと書くじゃないかなんて言いながらね、私はよくやるんでございますけれどもね。
 問題は、どの程度効果があるかということ、確かに私はあると思うんですが、現実に私が上海に行ったときに、上海医学院というのですか、あそこで甲状腺肥大とか、あるいは腎臓結石のはり麻酔による手術を見てまいりました。あれなんか見ると、本当に不思議なぐらいです。しかも、手術の間じゅう患者と医師と看護婦はしゃべりながら水を飲んでいるというのを見ると、何かそこに神秘的なものといいますか、西洋医学で割り切れないものがあるんだなということはわかるんでございますけれども、これ医学的にどう解明するかというと、これはまだわかりにくいんだろうなと思います。
 同じく薬にしたって、生薬は効くと言いながら、どの生薬とどの生薬をどれだけまぜれば効くか、なぜ効くかという、そういうメカニズムと申しますかね、それはわからない面があるだろうし、また生薬もつくっている畑によって効果が違うとか天候によって違うとか言われると、私もそうなのかなということでございますが、しかし総じてやっぱりばかにするようなことはいけないと。これは確かに効くんだという感じもしますし。また西洋医学でどうしても解明できないスモン病とかなんとか、特にこれは法の上でも一応認められておるわけでございますし、私は、これは今後ともさらに解明すべき点があれば解明するのは結構だろうと思うんでございます。
 ただ、現時点においてこれらの東洋医学というものが医療の範疇に入るかということになると、今申し上げましたメカニズムの問題いろいろあって、これは現在の法に定められた医療にはもう少し検討の要があるんじゃないか。はり、きゅうを愛する私でもそんな感じがするんですよ。きゅうもしょっちゅうやる。だから三里のきゅうなんていうのは予防ですからね。あれで健康保険適用と、それは無理な話ですけれども。いろいろ分類してみると中には、いいものはやっぱりあわせてもっと研究しなきゃならぬなという気はいたします。
#194
○針生雄吉君 ありがとうございました。
 今大臣のお話の中にも上海での見聞のお話が出ましたけれども、厚生省として御存じの範囲で結構でございますので、お隣の中国における医療制度、医師制度についてお教えをいただきたいと思います。
#195
○政府委員(古市圭治君) 正確ではないかもしれませんが、中国の医師がどういう形で医師となっているかというのは、高等中学校卒業後原則五年の大学医学教育を経て養成されたというクラスがありまして、この人は医師及び中医師。それからその次のランクには、初等中学校卒業後二年から四年の医学教育を経て養成される医士、中医士。それから、もう一つが初等中学校卒業後三カ月から六カ月間の訓練を経て養成される村のお医者さん、いわゆるベアフットドクターズ、こう言われていたグループ、そういうぐあいに三つの資格があって医療が行われているというぐあいに承知しております。
#196
○針生雄吉君 いろいろお聞きしたいこともありますけれども、医師法で定められている医師の場合でも指導監督する機関というものがあるわけでございます。厚生省がそのお役を担っておるんだと思いますけれども、いい医療をするように、悪い医療はしないように、国民大衆のために有害であるかあるいは有益であるかということを厚生省は判断しておられるんだと思いますけれども、現在の医師法とか医療法で定めた医師以外の職業、業種の人がいるわけですね。つまり、マッサージ師さんにしても、はりきゅう師さんにしても、柔道整復師さんにしても、あるいは整体師などという職業もございますし、あるいはカイロプラクターなどというそういう医療関係の人もおりますけれども、そういった、医師も含めてで結構でございますけれども、そういう広い意味での医療行為を監督、評価する公的な機関というものはあるんでしょうか。
 この医療はいい医療だからやってもいいよとか、これはちょっとまずいよ、やめた方がいいよという、いわゆるおっしゃるような科学的な物差しでもって評価して、これはやめた方がいいよ、これは積極的に悪い根拠はないから消極的な意味でいいよとか、そういうふうな、医療行為をいい医療であるとか悪い医療であるとか、医療行為に限らず、医療行為あるいは医療類似行為でも結構でございます。そういう医療ないしは医療類似行為を評価する機関、公的な機関というものはございますでしょうか。
#197
○政府委員(古市圭治君) 医師法はもとよりでございますが、今先生御指摘のような各種の医業類似行為を行う者につきましては、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師等につきましては、それぞれ法律に基づいて資格制度、やっていいことということが決められております。
 この適正な業務が行われるように、この法律に基づいて監視、指導するというのは厚生省でございますし、具体的には第一線では都道府県の衛生部局が担当することになっております。
#198
○針生雄吉君 厚生省が大もとの監督をして、具体的には出先の都道府県の部局が指導監督をするということでございますね。
 ここに一冊の研究報告の小冊子がございます。これは「障害児に対する中医学的治療に関する研究」という題のものでございます。研究報告者は一九八八年、これが出版されたのが一九八八年、当時秋田県の小児療育センター長であった九嶋勝司先生という方と、中国国籍で日本の医師法による医師免許は持っていないんですけれども、北京中医学院の医師の子開基という先生。そのお二人がこの報告書をまとめております。
 研究の内容は、秋田県立の小児療育センターで一九八三年から八七年までの四年間にわたってゼロ歳児から五歳児までの先天性の障害児、脳性麻痺であるとか脳炎の後遺症、てんかん、歩行障害、言語障害などが含まれておりますけれども、ダブルの障害を持っている方もいらっしゃいますので三十一例でございます。三十一人です。その方に中医学的治療、すなわち鐵灸の治療、それから中国式のあんま療法を行ってかなりの治療効果を得たという報告がこれにおさめられております。お読みいただけましたかどうか、厚生省としてこの報告書をどう評価なさいますか、お伺いをいたします。
#199
○政府委員(古市圭治君) ただいまのお話の治療法を初めといたしまして、広く世の中で普及してくる医療というのは、その最初におきましてはどうしてもある程度実験的なことからスタートをするわけでございます。そのような新しい医療というものが行われて、その関連学会の中でしかるべき評価を受けて広まるものもあれば、それはそれで終わってしまうというものもあるわけでございます。
 私どもは、今お話しの三十一例の例につきまして、そういう報告が出ているということは承知いたしておりますが、これの評価につきましては、そのほかの一般臨床実験と同様に関連の医学会において専門的な評価がなされて、その施術というものの評価が定まってくるものだと思っております。
#200
○針生雄吉君 この研究成果については、温泉物療学会で発表して反論がなかったということでございますが、いずれにいたしましても、この三十一人の先天的な障害の方は西洋医学的な、整形外科的なボイタ法であるとかボバース法と言われるような、そういうリハビリの治療を受けてもなかなかよくならなかった人たちが脳性麻癖においては二十二例中十二例に効果抜群、改善顕著というものが見られた。それから脳炎の後遺症、これは右の片麻痺でございますけれども、二例に改善が見られた。てんかんの症例、十二例のうち十例が発作が減少した。言語障害については、十九例ほとんど言語がしゃべれなかった約半数が発語がプラスになった。
 この評価はいろいろあるわけです。治ったのはもともと病気でなかったんだろうなんていうことを言う人は、これはこの例に限らずいっぱいお医者さんの腕前に関してはそういう評価はあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、残念ながらこの四年間しかできなくて、その後センター長がかわって、そのセンター長の先生が余り東洋医学を評価しなかったために、その先天性の障害児の治療は中断をされたそうでございます。そうして中国の手先生という方もそこにいられなくなって仙台の方に流れて、流れていったというのはおかしいですけれども、移籍をして治療をなさって、そして日本の法律に沿って鍼灸師学校に入学して、来年の春に卒業をするというふうに聞いております。
 次に、OT、PTの問題に移りたいと思いますが、高齢化社会を迎えてますますリハビリ医療を担当する医療従事者が必要となってまいりました。リハビリテーションは、整形外科的な疾患、中枢神経疾患、つまり脳性麻痺や脳卒中後遺症あるいは心臓等の手術の術前術後のリハビリテーションなどがあるわけでございますが、いわゆる寝たきり老人、ぼけ老人などに著明な退行性の変化を防止、改善する上でも非常に有力な手段であるわけでございます。
 作業療法士OT、理学療法士PT、この需給見通しについては今回のマンパワー対策法の中には触れられていないようでありますけれども、そのOT、PTの養成計画をお示し願いたいと思います。
#201
○政府委員(古市圭治君) OT、PTの需給の見通しにつきましては、昨年医療関係者審議会理学療法士作業療法士部会におきまして、需給計画の見直しをしていただきました。それによりますと、平成四年度から養成施設等の新設、定員増を図っていく必要があり、その線で今施策をしているわけでございます。
 ちなみに、このときに数字上議論されましたのは、現在理学療法士の学校は四十九校、入学定員千百二十五名でございますが、これは将来の需要に対して入学定員数を二倍程度に引き上げることが必要である。それからまた、作業療法士につきましては、現在養成施設数が三十三、入学定員七百名でございますが、これは三倍の養成数にすべきだ、このような答申をいただいたわけでございます。
#202
○針生雄吉君 いずれにいたしましても、病院内の施設あるいは中間施設、さらには訪問リハビリなどでOT、PTの需要というものは予測がつかないほどのスピードで今ふえているのが実態であるわけでございます。老健法によって新たにスタートする訪問看護ステーションに所属するOT、PTも当然必要となるわけでございますけれども、現在のところとてもとてもそこまでは手が回らない、その不足をどうするかという問題があるわけでございます。訪問看護ステーションに所属する看護婦さんや保健婦さんたちに訓練するということは短期間では非常に難しいということで、実効の上がるリハビリ技術を習得してもらうことは実際上無理なので、おざなりの形だけのリハビリしか行われないだろうというのが専門家の一致した見方であるわけでございます。
 そのOT、PTの養成数というのは計画にはありますけれども、いずれにしても一クラス二十人ぐらいが限度でマン・ツー・マンの非常に質の濃い、密度の濃い訓練をしないと一人前になれないという状況だそうでございまして、一朝一夕にふやせるものではないわけであります。また養成校の現在のスタッフでは定員のみをふやすというやり方では質の低下を来すのみであります。当面OT、PTの数の不足を補う対策が必要となる状況があるわけでございます。
 ここで、私の提案を申し上げたい。もちろん十分な研修、再教育を受けていただいた上でという前提のもとでありますけれども、あんま師、指圧師、マッサージ師、はり師、きゅう師、いわゆる三療師を訪問看護ステーションのスタッフとして参加を認めるようにしたらどうかということと、それから現在は医師の同意を得て行える保険診療範囲が五つありますけれども、その中に御老人に多い中枢神経系の神経麻痺にも医師の同意によってやれる疾患というものを拡大することを提案をしたいと思います。
 もちろん、現在マッサージに認められている神経麻痺の診療報酬上の治療費は一局所百五十五円、最高で三倍の四百六十五円というのが認められている地方もあるようでございますけれども、こういう浮世離れした低料金ではならぬということは当然であります。
 この三療師のリハビリ分野での保険診療への参加という提案と、それから医師の同意が得られればという疾患の中に中枢神経系の神経麻痺を入札るということを中医協へ諮っていただけないかどうかということを提案いたしますが、いかがでございましょうか。
#203
○政府委員(黒木武弘君) 現行の医療保険のシステムは、病院、診療所等を通じて医療の給付という形で行われていることは御案内のとおりであります。そのほか療養費払いという制度もございまして、どうしても病院等での治療が困難な場合に療養費払いという例外的な制度がございまして、その制度によって先生御指摘のような形での医師の同意のもとに一定の症状を限定した形で療養費払い制度を認めているわけでございます。
 それについて新しい適応症の拡大等の御提案でございますけれども、私ども、これは診療報酬全体あるいは医療のシステム全体にかかわることでございますので、あんま、マッサージあるいは鍼灸師さんにどの程度まで医療保険を適用するかということは慎重に検討すべきことだろうというふうに考えているわけでございます。
#204
○針生雄吉君 各地方自治体にその判断をゆだねるということでよろしいんでございますか。
#205
○政府委員(黒木武弘君) 原点は、療養費払いの制度でございますから、都道府県知事が主体的に判断をするという事柄でございますけれども、行政的な統一という面で、私どもがどういう適応症について、しかも手続は医師の同意その他云々ということで、手続あるいは要件を定めまして都道府県を指導しているわけでございますから、そういう御提案等についてはまず私どもが検討してからの措置というふうに御判断をいただきたいと思うわけでございます。
#206
○針生雄吉君 大切な問題でございますので、鋭意御検討をお願いしたいと思います。
 次に、看護婦さんの養成の問題について、先ほどもお話が出て大臣からも御答弁がありましたので、養成の責任がどこにあるかということをお聞きしたかったんですけれども、これはもう省略させていただきます。
 いずれにいたしましても、将来看護婦さんの養成というものは、今の各種学校とか専修学校という位置づけではなくて、学校教育法のいわゆる一条校としての位置づけが望ましいという点では一致していらっしゃるわけでありまして、医師会立の養成校も私立学校法による学校法人化を目指すという方向なんでございましょう。それで、四年制の看護大学あるいは医療短期大学というような将来に向けての方向性は定まっていると思いますが、しかし現実には、先ほどもいろいろお話が出ましたように、准看護婦さんの存在というものは非常に重要なウエートを占めているわけでございます。その現実というものを無視するわけにはいかないと思います。
 それで、レギュラーコースの問題は別といたしまして、いわゆる進学コースというものをもっと充実しなければならないと思います、そういう将来の方向は将来の方向として。しかし進学コースというものの運営というのが大変である、公的な補助の強化をお願いしたいということも一つでございます。それから有資格者の准看護婦さんが入るところが正君の養成コースなわけでございます、進学コースなわけでございますけれども、有資格者の進学といいましても、准看護婦学校を卒業してしばらくたった人、そういう方もいらっしゃるわけですね。そういう方が容易に進学できるような方策というものも必要であろうかと思うんです。
 ですから、准看護婦学校を卒業して数年以上たった人には入学試験科目を少しおまけをしてあげるというか選択できるような、英語と数学どっちでもいいよとか、何かそういうようなことができないものでしょうか。いかがでございましょうか。
#207
○政府委員(古市圭治君) 御指摘のとおりでございまして、准看護婦さんたちは実際仕事やそれからまた家庭との両立のために進学、養成所へ行くことが非常に困難だという状況にあるということは事実でございます。
 そういうことから、私どもとしまして今後養成所へいわゆる推薦入学というものである程度できないだろうかということも検討しなかったらいけないし、それからまた現在の二年課程は通信制を取り入れまして、働きながらそのコースを履修できるということも考えなかったらいけないということで、これらについて総合的に検討会を開いていこうと思っております。
#208
○針生雄吉君 大変な条件の中で准看護婦さんたちは頑張っていらっしゃるわけでございますので、そういう方々にマンパワーとしての力をつけていただくという意味でもそういった制度の普及というものをぜひ強力に進めていただきたいと思います。
 それから、准看護婦さんの実習に限らないことでございますけれども、実習病院の確保ということが非常に看護養成校でもあるいは看護大学でも要望されているわけでございますけれども、実習術院の資格を拡大して総合病院以外でも実習可能とするとか、小児科の入院がある病院が非常に少なくなって、いわゆる総合病院としての資格が得にくくなったというような事情もあるように聞いておりますが、総合病院以外でも現在実習可能なんでしょうか。
#209
○政府委員(古市圭治君) 現在総合病院以外でも実習が可能でございますが、多分先生の御指摘は、病床規模が二百床以上という形で、大型の病院を想定して実習をさせているということじゃなかろうかと思います。
 そういうことから、私ども平成二年から、病床が二百床未満であっても現実に実習指導体制がきちっととれている、具体的には、実習指導者が配置されている病院では実習病院として認めていこうということで枠の拡大をいたしました。さらには、母性看護実習のために分娩件数が二百五十件未満の病院というのはだめだと言っていましたが、これも何もその病院で分娩回数がなくても近くの医療機関でそういうものが体験できたらいいということで、それも緩めるということで実態に合った形で実習病院というものをふやしていきたいと考えております。
#210
○針生雄吉君 それから、非常に過激な意見なんでございますけれども、国公立病院には実習病院となることを義務づけたらいいという、そういう意見がありますが、いかがでございましょうか。国立、公立病院、公的病院には実習病院となることを義務づければ、実習病院が少なくて困るということはなくなるんじゃないかというふうに思いますが。
#211
○政府委員(古市圭治君) 正確な数字はございませんが、国公立病院というのは今申したような要件を兼ね備えている病院でございますし、周辺から実習としての希望も高いということで現実的にはもう既に実習病院となっているということだと思います。ただ、受け入れの数がそうたくさんはこられないということはあるかもしれませんが、実習病院とはもうなっている、このように思っております。
#212
○針生雄吉君 最後にもう一つだけ。
 やはり質の高い進学コースで勉強していただくためには准看の検定試験、そのレベルアップというものも必要ではないか。今各県ごとにばらばらである検定試験の基準というものを全国的な基準にしてはどうか、全国統一の基準をつくってはどうかという意見がございますけれども、その点についての御見解をお伺いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#213
○政府委員(古市圭治君) 現在准看の試験につきましては、都道府県で実際行われているわけでございますが、いわゆる担当部局に対しまして、大綱につきましては会議においてちゃんと指示をしております。先生の御意見も踏まえて対応していきたいと思っております。
#214
○針生雄吉君 よろしくお願いします。終わります。
#215
○木庭健太郎君 まず、人材確保二法案の質疑に先立ちまして、本年度で三年目を迎える高齢者保健福祉推進十カ年戦略、ゴールドプランの問題についてお尋ねをしておきたいと思います。
 これまでの実施状況をお尋ねしようと思いましたけれども、前回民社党の勝木委員が同じような御質問をいたしておりまして、それに対して、ホームヘルパーにしてもデイサービスにしてもショートステイにしても、ほぼ予算の目標どおりのことができているというような答弁があっておりました。それはそれで結構なんですけれども、私が第一に聞きたい点はショートステイの問題でございます。
 ショートステイについては、予算上はこれまで八千六百七十四床ですけれども、実績は九千六百七十六ということでもう既に上回っているんだというような御答弁があったわけでございますが、資料をいただきまして対象人員を見た場合、平成二年度予算では二十一万三千百人が対象だというようなことになっておりましたけれども、実績は十二万七千七百三十九人、ある意味では実績が非常に下回っているという問題もあるわけでございます。
 私たちが問いかけたいのはベッドをつくることじゃないわけです。それによってどれだけの人が利用できるような体制になったかというのが一番のゴールドプランの問題だと思っておりますけれども、これについての見解をお聞きしたいと思います。
#216
○政府委員(岡光序治君) まず数字の点について若干御説明をさせていただきたいと存じます。
 御指摘がありましたように、ショートステイの予算上の利用人員は平成二年度におきましては二十一万三千百人でございました。これに対しまして各県からの実績報告が来ておりますが、それの延べの利用人員数が実は年間を通じまして百四十万二百八十二人でございました。これを一回当たりの利用日数、これが実績でございますと一回当たり十一日利用しておりますので、この十一日でこの百四十万人分を割りますと、おっしゃいましたように利用人員としましては十二万七千七百人という数字が出るわけでございますが、私ども一応予算上は一回当たり七日、一週間利用するということで積算をしておりますので、仮に七日で割ってみますと二十万人ということになるわけでございます。
 こういう一回当たりの日数というのがちょっと実績と予算上で違っておりますので、実績の方が予算より長いものですからこういう数字になるわけでございますが、一方で全国社会福祉協議会がショートステイの実態調査を抽出でやっておりますが、こういったものから、抽出でございますので全体を推計するという、若干そこには仮定があるわけでございますが、それで計算をしますと二十数万人は利用しているというふうにも見込まれておりまして、こういう数字のつかまえ方で若干数字の異同はございますが、私どもはショートステイ事業は全体として順調に進んでいるんじゃないか。むしろショートステイについては希望の方が多い、需要に対して今後ベッドを大いに整備していかなきゃいけない、こんなふうに考えているわけでございます。
 いずれにしましても、ゴールドプランにつきましては、政府としてこれは何とか実現をしたいということでございますので、いろんな問題を克服しながら当初の目標をできるだけ目標どおり達成するように種々努力をいたしたいと考えている次第でございます。
#217
○木庭健太郎君 確かに数字でそうなるというおっしゃり方をされましたけれども、ショートステイがそれだけある意味では人気がある、皆さんが使いたいということがある。しかし、国の予算としては七日分ですかしか予算づけをしない、そこが逆に私たちは問題だと思うんです。それだけ十一日使う方が実績では出てきたということがあれば、じゃ一体基準とは何日にすりゃいいんだろうかということで見直す方が先だと思うんですよね。日数がどうのこうのと言うより、使った方々の問題、そこにまず一番の主眼点を置いてやらなくちゃいけない、それが厚生行政じゃないのか、そういう認識を持っていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
#218
○政府委員(岡光序治君) 先生が御指摘のとおりでございまして、私どもショートステイについてはその人の御都合でよろしいと、標準的には七日にしてくださいと、短くても結構ですし、場合によっては相当長くても結構ですと、実績ではもう八週間を超えて利用されているという方もございまして、一人の人が何回、どれだけの日数使ってもよろしいですよという、いわば需要に応じて御活用くださいということにしております。
 したがって、予算が足らないということになりますが、これは社会福祉予算の在宅福祉予算の全体の中で何とか流用をしたりして現在は対応しているところでございまして、先生御指摘ございますように、予算上の対応についてはそれぞれのまた実績を踏んまえながら予算要求の際に的確な要求をさせていただきたいと考えております。
#219
○木庭健太郎君 ホームヘルパーの問題も私は同じようなことを言いたいわけであります。
 一応、ホームヘルパーというのが十万人という目標があるわけですよね。目標があっても、肝心の派遣世帯、全体でこの十万人を整備したら何世帯ぐらいにするんだというような目標値というのは、全然これ定められてないわけです。まして単年度で予算とっていくわけですけれども、単年度についてじゃ何人派遣するんだというのが出てきているかというと、これも全く示されてない。よく来世紀のお年寄りの数だけ出てきます。在宅の寝たきりのお年寄りが三十三万から三十七万とか、痴呆性のお年寄りが在宅で百十万ぐらいになる、ひとり暮らしのお年寄りが二百三十七万人、これは人口問題研究所の資料でございますけれども、こういう見込みの数字は出る。
 この数字に対して、ヘルパーというのは大体どれくらいを目標としてやっているのかというようなことが出てこなければ、国としてこう考えている、全体、ホームヘルパー派遣してやるのはこれくらいの世帯を考えている。それで足りなければまた国としても考えなくちゃいけないし、逆に言えば、国としてここまでが限度ですよとおっしゃるならば、それはこれからそういう人たちが出てくるわけですから、その人たちには自分たちでどうしろということを言わなくちゃいけなくなるわけです。その辺を私ははっきりすべきだと思うんですけれども、その辺についての見解を求めておきたいと思います。
#220
○政府委員(岡光序治君) おっしゃるとおりでございまして、私ども平成十二年、目標達成時点においての利用者数についてどういうふうに見るかということでいろいろ見ているわけでございますが、御指摘がありましたように、在宅の寝たきり老人の数が一体どのぐらいになるだろう、それから在宅の痴呆性老人あるいはひとり暮らし老人、こういった人たちが大体どのぐらいになるだろうということで、対象者数を一応推計で押さえまして、それに対しまして、そのうちの要介護率、すべての人が介護を要する状態になるわけではございませんので要介護率、それからホームヘルパーを希望する希望率、そういったものの実績が既にございますから、そういったものに基づきましておおむねどのぐらいになるだろうかということを押さえているわけでございます。
 これは昨年の国会での御審議でこういうふうなお尋ねがありまして、私どもは平成十二年おおよそ五十万人程度になるんじゃないだろうかというふうに数字を押さえておりますので、それは御紹介したところでございます。これも、ただし要介護率なり希望率が今後変動すれば、また数字は変わると思いますが、そういったとりあえずは五十万人という人をおおむねの対象として把握をしておりまして、それでホームヘルパー十万人体制というものを考え出したわけでございます。
#221
○木庭健太郎君 そうすると、ちなみに平成四年度予算におけるめどだけ聞いておきます。
#222
○政府委員(岡光序治君) 平成四年度においては、予算上ホームヘルパーの数を四万六千四百五人というふうに見込んでおります。そして、現在のところの一ホームヘルパーの訪問世帯数が四世帯でございますので、それを掛け合わせますとおおよそ十八万世帯が対象として可能になるだろうというふうに考えております。
#223
○木庭健太郎君 同じことはデイサービスのことでも言えると思うんです。デイサービス事業の推移についても、箇所数は出てまいります。ただ、これについても、デイサービス最終的にどういう目標にするかということは、これもまた出てないですね。拾っていくと、一応デイサービス利用状況という都道府県から上げた現実の数字だけは出てくるという形ですよね。これについても、きちんと目標を定めてやるべきではないんでしょうか。目標があるとするなら、どういうものを目標としているか、はっきりさせておいていただきたいと思います。
#224
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘のように、数字で申し上げるのは非常に難しゅうございますが、平成二年度の実態調査で、デイサービスセンター一カ所当たりの利用登録者数というのがわかっております。平均では百二十五人でございます。十カ年戦略ではこれを一万カ所つくりたいと言っておりますので、現在の利用登録者数でそのまま推移するとするならば、一万カ所で百二十五人でございますから、百二十五万人の人々が利用できるというふうに考えておりまして、おおむねその程度であれば、痴呆性老人、それからいわゆるADL、日常生活動作能力から考えまして相当の介護が必要だと考えられる方がほぼカバーできるのではないだろうかな、大体百二十五万人押さえておけばデイサービスの利用者としてのカバー数としては何とかニーズに対応できるんじゃないだろうかというふうに推計しております。
 これもしかし、かなり実績に基づいた将来に対する乱暴な推計をしておりますので、その辺はまた今後の在宅福祉サービス全体の推移でデイサービスの利用も変わってくると思います。そういったことも念頭に置きながらでございますが、当面はそんなふうな発想をしております。
#225
○木庭健太郎君 今さまざま三つの問題をお聞きしましたけれども、やはりやっていく中で状況の変化が、大臣、あるわけですよね。そうなると、それに応じて計画なりそういうものも見直さなくちゃいけないし、利用人員の問題にしてもきちんとしなくちゃいけない点が出てくると思うんです。そういうのを適時やっていくことがある意味じゃ皆さん方の老後の不安というものにこたえる道だと私は思いますし、その辺は努力をいただきたいと思っているわけでございます。
 そして、特にホームヘルパー確保の問題については、これは大臣からぜひ御見解をお伺いしておきたいと思うんですけれども、平成四年度までの実績を見ますと、目標年次、あと七年で五万三千六百人をホームヘルパー確保せねばならないようになってきているわけです。物事を実行するときは最初に人数を多くしてだんだんカーブが緩やかになっていくのが普通なんですけれども、このホームヘルパーに関しては最後の何年間で急激に人数をふやしていかなくちゃいけないような状況になるわけです。これについてどのような展望を持っていらっしゃるか、実際にやる御決意をこれだけは聞いておきたいと思います。
#226
○国務大臣(山下徳夫君) この十万人体制への年次計画は、既に御承知のとおりでありまして、言うなればしり上がりのような数字的な体制になっております。一つは、これは苦心の作でございまして、現時点においては初めからそれ以上確保することは困難であるというような推定のもとにこういう数字が出ておるわけでございまして、そこで十万人体制をっくっていくわけでございますが、率直に申し上げて危惧の念がないでもございません。しかしながらこれだけは必要なんだというまずその大前提に立って、我々はこの十万の目標を是が非でも確保しなきゃならぬ、やらざるを得ない、率直に申し上げればそういう気持ちでひとつこれから一生懸命やってまいりたいと思います。
#227
○木庭健太郎君 ぜひ十万人に関しては、政府の約束ですし、何回も言っていることですから、毎年チェックをさせていただくつもりですけれども、きちんと実行させていただきたいと思っております。
 最後に、ゴールドプランの問題で、これは何回か言っておりますけれども、いつも十カ年戦略というのは年次計画がなかなか定かじゃないし、特に単年度予算で見る場合に、どの費目が十カ年戦略に該当するか、トータルがどれくらいになるかというのが一目瞭然になかなかならないわけでございます。十カ年戦略について、予算において例えば一枚の紙で、これを見れば十カ年戦略とはこういうものだ、これだけの予算をかけている、こうしているというのが明快になるような表記の仕方をぜひやっていくことが、国民に対してゴードルフランの状況を知らせる道になると思います。
 ちなみに、厚生省の資料でも十カ年戦略の推進というのがあって全部まとめてあるわけですよね。これを見ると、予算で示しているところがある、箇所数で示しているところがある、人数で示しているところがある。ばらばら。わからない、これだけじゃ。せめてここの横に、この問題については予算幾らですよ、総額で幾らですよという額だけはきちんと明示していただきたいと思いますが、これについて見解を求めておきます。
#228
○政府委員(岡光序治君) これはさきの予算委員会でも御指摘があったところでございまして、個別の事項につきまして執行してみないと確定しないという部分があるものですからなかなか難しいわけでございますが、御指摘もございましたので私ども何かの形で資料としてまとめてみたい、工夫をしてみたいというふうに考えております。
#229
○木庭健太郎君 それでは、午前中から論議になっておりますこの法案の実効性の問題について何点かお伺いしておきたいと思います。
 といいますのも、この法案、看護婦さんの悲鳴の中からようやく出てきた法案だと私たちも認識しております。ところが、実際法案を見たときに、マンパワーの確保のために一番大切なのは、何をおいても今の過重な労働条件の改善が一番なわけです。しかし、法案を見ると、一番大事なその労働条件の改善部分というのがどう読んでもすべて基本指針にゆだねられておりまして、一体実効性はどうなるのかというのは、これはだれが見ても不安にならざるを得ないと思います。したがって、基本指針のより具体的な内容をどこまで踏み込むおつもりなのか、またこの法案が成立すれば、一体看護のマンパワーというのはどうなっていくのか、そして処遇がどうなるのか、その点を具体的にぜひ示していただきたい。
#230
○政府委員(古市圭治君) 先ほどもほかの委員の先生方のときにお答えしたかと思いますが、基本指針を定めるということになっております。この基本指針の中が具体的に明示されていないということでございますが、これにつきましては、具体的に書けば書くほど時代の変化に対応してどんどん直さなかったらいけないことが法律に書かれてしまうということもございまして、そういうような項目については指針の中で対応していこう、こういう趣旨で、読まれただけでちょっと理解できないという御批判もそういうところからきたのかと思います。
 そこで、一例を挙げまして、「病院等に勤務する看護婦等の処遇の改善に関する事項」だけ書いてございますが、この中では、私どもは関係審議会の御意見も聞いた上で定められることではございますが、週四十時間、完全週休二日制、それから夜勤勤務負担の軽減、平均月八回以下等、処遇の改善に努力すること、こういうことも当然検討して書いていただこうかと思っておるわけでございます。
 それからまた、看護業務の見直しにつきましても、看護助手、薬剤師等、医療従事者等の業務分担の見直し、勤務体制の見直し、省力化機器の導入等による業務の改善を含めて処遇の改善に努力する、そういうことでなるべく具体的な形で指針をつくりたいと思っております。
#231
○木庭健太郎君 そうすると、今の御意見ですと、私たちはこの問題で最低限確保していただきたいのは、一つは看護婦さん、午前中から論議になっておりましたけれども、やはり離職の問題が多いということが問題になったわけです。そうなると、離職率をどこまでとどめるつもりでいるのか、年度で見ていったら何年度にどれくらいにするつもりなのかという、そういう指標を定めるべきである、最低限、離職率。続いて言われた所定労働時間の問題、これはどう四十時間に持っていかれるのかということを具体的に示す必要があるし、もう一つは夜勤回数、この三つだけは最低限きちんと指標を定め、それに向かってどうするかということを当然策定すべきだと思うんですが、いかがですか。
#232
○政府委員(古市圭治君) これは金をかけてどこかに建物を建てていくというのと違いまして、非常に人を、資格者をふやしてこの分野に参画していただくということでございますから、よく話が出ますように、養成校をふやしても現実に出てくるのが最短四年後ということになるわけでございます。それからまた、大勢の人の勤務条件を改善して離職率、定着を長くしていこうと思いましても、こちらがそう思ってもいろんな御事情があるでしょう。そういうことでトータル日本全国で、四十七都道府県の御意向も踏まえて十年にわたる需給見通しを出させていただきました。
 あの中で総数がふえることによって諸般の環境改善、労働条件の改善につながるということでございますから、そのトータルの数を確保していく努力をいろんな面で担保したい、その意味でもこの法案で基盤的な整備をさせていただいた、こういうことでございます。
#233
○木庭健太郎君 言葉ではいろいろおっしゃるんですけれども、そういう一つのものをきちんとしないと看護婦さんたち不安だと思うんですよね。まだこれから図ることだからというお気持ちなんでしょうけれども、その辺は少し具体的に踏み込んでいただきたいし、それがなければどうなのかという問題になってくると思うんです。
 いろいろ問題ありますけれども、看護婦さんだちは実態の中で本当に厳しい面があるんです。これは沓脱さんの関係ですが、医労連というところが調査をした中で、いやもう本当びっくりしたのは、例えば一つだけ例を挙げて、この辺はどうなのかと聞きます。それは何かというと、これは休憩時間の問題なんですよね。要するに勤務が終わって次の勤務に入るその時間の調査を読ませていただいたし、実際行っていろいろお聞きしました。調査と実際聞いた答え同じです。短い人は四時間ぐらいで、勤務を終わって夜勤明けてすぐ昼の勤務から入っている人がいてみたり、これは一体どうなっているんだろうかと思うものがいっぱいあります。
 そして、この調査まとめさせていただきますと、勤務が終わって次の勤務時間までに入る一番短い間隔十二時間未満とおっしゃっている方が七九・四%、八時間未満でも六四・五%です。一体どこでどうやって休むんだろうか、病院でちょこっと横になってまたやるのかなと思わざるを得ないような状況。私が言いたいのは、もう看護婦さんは疲れて嫌がるのは当たり前です、こんなになったら。ですから、基本指針において最低限この休憩時間のあり方についてはきちんと明記すべきじゃないかと思うんですけれども、個別事例で、これはいかがですか。
#234
○政府委員(伊藤欣士君) 看護婦さんたちの確保を促進するための措置に関する基本指針でございますけれども、その内容につきましては、今厚生省さんの方からお答えがございましたとおりでございまして、現在三省間で検討中であり、最終的には関係の審議会の御意見を踏まえて決定されるものでございます。
 今お話のございました基本指針の策定に当たりましては、労働省という立場からも病院等に看護婦さんたちを確保するために必要な雇用管理の改善を推進する、そういう観点に立ちまして本法案の実効性が上がるようにというような内容を検討してまいりたいと考えています。
#235
○木庭健太郎君 それは労働省、よくわかるんですよ、全体やっていただくのは。ただ、こういう問題、例えば今から聞こうと思っているんですけれども、最低連続十二時間の休憩時間の問題については既にILOの勧告でもなされているわけですよね。今からやっていかれるというのはよくわかります。
 ただ、その中で特に、少なくともこういう問題について認識を持っているということが口から出てこないと、きょうもいっぱいいらっしゃっていますけれども、一体どうなるのかなという形で聞いていらっしゃると思うんですよね。だから、個々具体的な問題でこれとこれとこれとこれとこれ規定するわけじゃないんです。例えば最低限こういう問題について検討の一項目には間違いなくなるのかどうか、そういう答えすらできないのかどうか、もう一回お願いします。
#236
○政府委員(伊藤欣士君) 先生も御理解いただいておりますように、具体的な項目につきましてただいまここでどうこう、現行の法制上どうこうというような問題はお答えできるわけでございますけれども、今後のこの法案の実効性が上がるために具体的にどういう基本指針の定め方をしたらいいかどうか、またこれは長期にわたる基本方針でございます。そういうものの兼ね合いを見ながら、いろいろ御意見を聞きながら、また三者構成の審議会でございます。労働省におきましては、中央職業安定審議会というのがございます。そういうところの御意見を十分に拝聴しながら関係省庁と基本指針を定めてまいりたいと考えておるわけでございます。
#237
○木庭健太郎君 まだ納得してませんけれども、ということは、今大きな枠でくくられたわけですから、大きな枠でくくられるということであれば、例えばILOの勧告の問題があります。そうすると、勧告の中は、この休憩時間の問題だけじゃなくていろんな問題が含まれております。当然その基本指針を検討するときはこのILO勧告というのは非常に大きな柱になる。最低限私たちの立場から言えば、この勧告に盛り込まれている事項というのは当然のごとく基本指針に含まれていると考えております。労働省のお考えを聞いておきます。
#238
○政府委員(伊藤欣士君) 基本指針は今後いろいろと御意見を聞きながら決定するわけでございますけれども、その作成過程におきましては、ILOの看護職員の条約あるいは勧告の内容につきましても、必要な看護婦さんを確保する観点から参考にできるものがあれば十分参考にさせていただきまして、その精神を基本指針の内容にできる限り盛り込むことが望ましいと考えておるわけでございます。
 以上のような観点に立ちまして、関係省庁とも十分に調整してこの法律の実効が上がるように努力してまいりたいと思います。
#239
○木庭健太郎君 もちろん、もう一歩進んで条約の批准の問題も本当は聞かなくちゃいけないんですけれども、この基本指針の中でどれくらいできるか、それに向かってどれだけやるかの中でこの問題が出てくるし、私どもとしてはこの批准の問題についてはもちろん早急に行うべきだという考え方を持っていることもぜひ頭の中に入れておいていただきたいと思います。
 そして、残された時間わずかですから、最後に、看護婦さんたちがこうやって本当に厳しい環境の中にあるその人たちが、ある意味では、少しでも何年か働いたときに休めるような制度ができないかということをお聞きしたいと思うんです。
 といいますのは、今大体、離職六年間とおっしゃいましたけれども、三年以内に大体約半数が離職するというようなことも言われているわけでもございますし、そういう職場環境をもちろん改善することも必要です。また看護職員の皆さんがまとまった間で心身の疲労を回復させて、次に働こうと意欲を燃やされるような、そういう意味からも、例えば三年、五年、十年という節目節目、こういうときにはきちんとリフレッシュ休暇というのを制度化していく。また、もちろん看護業務今高度化しているわけですから、その中で研修についても研修休暇という形で御自分たちがお休みになって、その中で勉強するという制度も私は必須の課題だと思っておりますけれども、これについての見解をお伺いしたいと思います。
#240
○政府委員(伊藤欣士君) 御指摘ございましたリフレッシュ休暇あるいは教育訓練休暇といいますのは、ただ単に看護婦さんのみに限りませんで、働いておられる方々それぞれがゆとりある豊かな勤労者生活の実現、勤労者の自己啓発による能力開発のために非常に必要だと考えております。
 このため、労働省といたしましても、リフレッシュ休暇モデル事業の実施等を行いまして、リフレッシュ休暇の導入マニュアルを作成するないしは中小企業を中心にこのリフレッシュ休暇の普及事業を実施いたしまして、今後とも促進してまいりたいと思っておるわけでございます。また、教育訓練休暇につきましても、現時点におきまして企業が有給の教育訓練休暇を実施したような場合あるいは自己啓発に要する受講料、入学料等につきまして企業が負担したような場合につきましては、その一部を助成させていただくというような助成措置を設けておりまして、その普及に努めているところでございます。
 そういうことで、今御指摘ございましたように、看護婦さんたちを含めましてこういうリフレッシュ休暇ないしは研修休暇というものの普及を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
#241
○木庭健太郎君 含めじゃないんですよ。看護婦さんたちを含めてと言っているんじゃないんですよ。看護婦さんたちにまず一番大事じゃないかと言っているんですよ。いろんなところ、それはリフレッシュ休暇を今の労働条件の中でいくととらなくちゃいけないところはある。でも、今のこの状態を見ていけば看護婦さんにまず真っ先にとらせなくちゃいけないんじゃないか、その促進のために労働省で努力すべきじゃないかと言っているんですよ。そこをお履き違えのないように、ぜひ御理解していただきたい。
 もう時間で最後になりますが、午前中も出ておりました院内保育所の問題でお尋ねいたします。
 これはぜひこれから進めていただきたい。もちろん増設しているとおっしゃるかもしれませんけれども、増設だけじゃなくて、ぜひ保育内容についての実態調査をきちんとやる必要が今出てきているんじゃないかと思います。また看護婦さんの場合三交代でございます。そういう三交代の看護婦さんたちが安心して認可保育所を利用できるように、例えば三交代を前提とした新たな二十四時間保育サービスというような問題についてもそろそろ検討しなくちゃいけない時期に来ていると思っております。
 特に、私がよく知っている看護婦さんは、御主人がお医者さんで、ちょっと両方夜勤なんか出た場合、一体どうなるというような問題。それはおじいちゃんが来て、おばあちゃんが来て面倒見ていらっしゃいましたけれども、そういった問題も看護婦職場では実際あるわけです。そういった問題も含め、検討の時期に来ていると思うんですけれども、それについての見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#242
○政府委員(古市圭治君) 看護職の方が離職をせざるを得ないという理由の一番大きなものに育児というのが挙げられております。そういうことから、子供ができてもその職業が続けられるというのが最大の私どもの離職防止対策だと思っております。
 そのために、国が補助しております病院内の保育施設というものの数を年々対象をふやしております。同時に、保育時間の延長加算につきまして、基本十時間から出発してプラス四時間、プラス八時間ということで補助の対象の時間数の延長を図っております。引き続き努力をしてまいりたいと思います。
#243
○沓脱タケ子君 それでは初めに、看護婦確保法からお伺いをしたいと思います。
 ナース・ウエーブ等の精力的な運動によって看護婦不足問題の深刻さが重大な社会問題になって、そして今回こういう法案が提出される運びになったわけであります。医療における看護の重要性、これはもう言うまでもありません。日本医労連が看護婦増員要求運動の中で、各界の著名人の方々から随分たくさんお言葉を集めておられます。私それを拝見してなるほどなと思ったのは、随分たくさんあるんですが、全部読みたいくらいの中身でございますが、一、二紹介をいたします。
 サトウサンペイさん。
 いつもご苦労さま。
 看護婦さんになるような人は心の優しい人だと思います。
 そんな看護婦さんをこんなに酷い目に合わせて…。
 いったい、医師会や政府は何を考えているんでしょう。見て見ぬふりで、今日まで来たんでしょうね。なんの役にも立ちませんけれど、応援します。頑張ってください。
と、非常に素直な御意見ですね。
 それから女優の紺野美沙子さん。
 私よりもずっと若い女の子が一人前の看護婦さんとして、何人もの患者さんをかかえ、短い睡眠時間にもめげず頑張っているのをテレビでみました。私の仕事など比べものにならないくらい重労働でびっくりしました。
 人間は病に倒れた時、一番気弱になります。そんな時、信頼できる看護婦さんについてほしい、と思います。素敵な看護婦さんがもっともっとふえることを切望します。
 これは有名人の方々がずらっと書いてある。みんな紹介したいくらいの中身ですが、こういうことで大変国民的な支持が広がっているという証拠だと思います。
 一方、看護婦さんの方は働き続けたい、この仕事を続けたいという意欲が非常に強いですね。内閣総理大臣官房広報室の資料によりますと、一般の女子の方は働き続けたいと言っているのは二〇・五%です。看護婦さんは八〇・四%、格段ですね。そういう働き続けたいと思っている看護婦さんというのは、仕事に誇りを持っていることを反映していると思うんですね。
 大臣、こういう著名人の声に代表される国民的な支援、看護婦さんの心意気、こういうものをまず御理解していただいていると思いますが、御見解を伺っておきたいと思います。
#244
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま数字でお示しのように、八〇%の方が今後継続して看護婦という仕事を続けていきたいと、こう回答しておられる。私は非常にすばらしい仕事であるということを御認識いただいてありがたいなと思っております。
 ただ反面、平均六年何カ月でおやめになるというのは、すばらしい仕事であるけれども、大変な仕事なんだということであろうと思いますから、私どもはこの働きたいという八割の方々のこの意思にこたえていくためにも長く働いていただけるような条件整備に努めてまいらなきゃならぬと思っております。
#245
○沓脱タケ子君 これは複数回答なんだそうですけれども、こういう調査が出ています。職業継続のために改善すべき項目というのが五つ出ているんですね。
 第一は、看護職員の増員、これが七〇・八%、給与の改善五五・六%、週休二日制、労働時間短縮の実施四六・七、夜勤回数の軽減三六・四、保育所の充実二三・一ということになっておるわけでございます。ですから、こういう状況ということになれば、これはここを本気に改善すれば、看護婦さんは定着をしてもらえるということのあらわれだと思うわけですね。
 そういう中で、これは午前中も言われていましたけれども、大体毎年、これは平成三年では五万六千人の新卒の看護婦さんがおるわけでしょう。それで離職者が四万六千人。離職の中身はいろいろ条件があると思いますけれども、五万六千人せっかく養成して四万六千人がおやめになるという状況というのはこれは話にならぬ。本気になって労働条件を改善すれば、定着して意欲を持って頑張ってもらえるというのが非常に鮮明に在ってきていると思うわけでございます。
 ですから、大臣、そういう立場から見たら、今度せっかくつくり上げる法案ですから、看護婦さん自身の声あるいは国民の支援の声、そういう声に沿ったものにしなきゃいかぬと思うんですよね。そういうことじゃありませんか。
 時間が余りありませんから、後でまとめて御意見を聞きたいと思いますが、そこで、そういう要点を実現していくというためのこの法案ですが、そこの法案の最大のポイントというのは、これ皆さんもおっしゃったように処遇の改善の方向、これをできるだけ具体的に指針に明らかにするということが一番大きいポイントだと思うんですよ。抽象的に書くんじゃなくて具体的に処遇の内容、改善の内容、方向というのが国民の皆さんや看護婦さんに見えるような指針を示す、これが私一番大事ではないかと思うんですが、いかがでしょう。
#246
○国務大臣(山下徳夫君) 私も同感でございます。
 そこで、今回は皆さん方に私自身またはみんなで説明し、また具体的にこれらの要件については明示していくつもりでございますが、それは基本指針において労働時間の短縮、夜勤回数の改善、看護業務の改善、院内保育施設、宿舎の改善あるいは処遇の改善、雇用管理体制の明確化、こういうものをできるだけわかりやすく皆さん方に具体的に明示していくことが必要であろうと思っております。
#247
○沓脱タケ子君 かなり明確に言っていただきました。
 私は本会議で御質問申し上げたときに、労働大臣も非常に大事だからそれはきちんと基本指針には書くという御見解でございましたが、御協議の上きちんと、国民から見ても看護婦さんが見ても、これならやっていけるなと思えるものをぜひ、本来なら法律に盛り込むべきでありますが、私はそれが一番だと思いますが、せめて基本指針にはそのことが明確にされることが必要だと思うんです。やっぱり本気になって看護婦さんを増員しようということになったらきちんとした目安というんですか、そういうものが要ると思います。
 先ほどもお話に出ましたけれども、ILOの看護条約というのは我が国は批准しておりません。しておりませんけれども、ここが基本的によりどころとするべき立場ではないかと思うんです。多くを言う時間もありませんから、その基本的立場で踏まえなきゃならぬと思う点を一つ言いたいんですが、それは第六条です。「看護職員は、次の分野において当該国の他の労働者の条件と同等の又はそれ以上の条件を享受する。」、だから、一般の労働者の水準それ以上の条件を享受するというふうにきちんと明記しているんですね。
 その中身が労働時間であり、週休であり、年次有給休暇であり、教育休暇であり、出産休暇、病気休暇その他とこうなっておるわけでございまして、こういう根本的な基本的立場というものをしっかりと踏まえて、先ほどから基本指針には書くとおっしゃられた。そういうことが本気で実現できる根拠というのは国際的にもあるんだという点で、その立場をしっかり踏まえたところでやっていただきたいものだと思うんですが、大臣、そういう立場での姿勢をひとつ伺っておきたいと思います。
#248
○国務大臣(山下徳夫君) ILOの看護職員条約、非常にこの趣旨は大切なものだと私も理解をいたしております。
 ただ、その内容について、労働時間の規制であるとか現行制度の調整あるいはまた我が国との労働慣習の違いとか、いろんな問題がまだあると思うんでございます。ここらあたりを踏まえると慎重な対応が私は必要であると思いますが、いずれにいたしましても医療関係者の意見等も十分酌んだ上で今後対応してまいりたいと思います。
#249
○沓脱タケ子君 心からそこの基本的立場を踏まえてやっていただくことを御期待申し上げます。
 指針にいう「処遇の改善」なんですが、これは本会議でもちょっと話を聞いたし、きょうの論議の中でも御意見が出ておりますが、処遇の改善というのは労使間の問題というふうに言われているようなんですね。特に処遇の改善の中の給与改善の問題なんですね。給与、賃金の改善の方向というのは、これも先ほど申し上げた一般の労働者を上回る水準ということをきちんと踏まえて賃金、給与の改善の方向、これをわかるように明示する必要があるのではないかなと思いますが、それについてはいかがですか。
#250
○政府委員(古市圭治君) 基本的には給与水準というものは個々の医療機関におきまして経営状況を踏まえて決めていくということで、基本指針におきましても給与の水準自体を決めるべきものだとは考えられません。しかし、今回の社会保険の診療報酬の改定に当たりましても看護に重点的に配意して改定がなされたということ、またさらにはその趣旨が十分理解されますように関係団体等にも御協力を要請したといういきさつがございます。そういうことで、この法律におきましても、看護婦等の処遇改善につきまして病院等の開設者等の責務を規定しているということでございます。
#251
○沓脱タケ子君 それで、これは本気でやってほしいなと思うんですが、非常に不思議だと思うのは、看護婦確保の法律がまだできてないんだけれども、さきに四月一日から診療報酬の改定というのがやられているんですね。これは看護婦確保のために診療報酬の改定を力点を置いてやったというふうに言われているわけで、そういうことになったら、これは国立病院だって同じですが、私立病院でいえば、看護婦を初め医療職員の全部、人件費の唯一の原資になるわけですよ。これはきちんと処遇改善ということが踏まえられたら、それに見合うべき人件費に相当する引き上げを毎年保障するということでなければ、これまた空文になってしまうんですね。
 けさもちょっと聞いていて心配したのは、診療報酬は中医協でやっていただいておりますからと、大臣がそんなことをおっしゃったら困るんですよね。片や看護婦確保法の法律をつくり、その処遇の改善をしていくための原資、これは保険局がもしらぬ、局は違うかもしらぬけれども、厚生大臣はその両方をにらんでそれが実現できるように改善をしていただく方途を講じていただかなかったら、これは国民たまらないですよ。その辺はっきりしてください、まず。
#252
○国務大臣(山下徳夫君) この点もおっしゃることはよくわかりますが、ただ診療報酬の仕組みというものは人件費だけではなくて、サービスの値段とか、あるいは物の値段、すべての要素が非常に絡み合っているといいますか、そういう複雑な要素があるものですから、人件費だけを抜いてということはなかなか難しい問題ではないかと思います。
#253
○沓脱タケ子君 いや、そのことがわかっていても、私は人件費に相当する部分という言い方を申し上げたんですがね。二年に一遍じゃぐあい悪いです。だって、人事院勧告だって毎年やっているんだし。それはそうですよ、看護婦さん優遇しますといって言うのはいいけれども、二年に一遍ちょろっとしかやらぬと、そこをちゃんとしてほしいんですわ。
 診療報酬の、この人件費かさ上げしたという問題の中でいろいろ問題があるんですけれども、時間がとられますからきょうはやめておきますが、これも先やるんやったら、国公立の看護婦さんの保障はできるけれども、民間の病院勤務の看護婦さんは保障ができないという状況の診療報酬の配分になっておりますよ。六割は基準看護をとってないでしょう。そこで働く人たちといったら、せっかく法律できても本当に恩恵受けられるのかなという心配が実はあるんです。そのことがあるので、本当は時間があればゆっくりお聞きをしたいところであったんですけれども、そういうことも含めましてひとつ大臣には、これは局が違っても仕事は、局は別々にやっておっても医療行政というのは大臣のお仕事でございますから、そういうお立場を踏まえてぜひ抜かりのないように対応をしていただきたい。そのことをお願いをいたしますが、一言だけ伺っておきます。
#254
○国務大臣(山下徳夫君) よくわかりました。
#255
○沓脱タケ子君 あと社会福祉事業法関係の改善について少しお聞きをしたいと思います。
 看護婦確保問題と並んで今後一層深刻化いたしますのは福祉分野での人員不足であり、福祉マンパワー問題が福祉政策の焦点の一つになってきていると思うわけでございます。端的に聞いていきますが、民間社会福祉施設職員の平均的勤続年数は何年ぐらいですかね。
   〔委員長退席、理事竹村泰子君着席〕
これはもう聞いていたら時間かかるか。私が申し上げましょうか。これはおたくで聞いたんで、五年九カ月のようですな。違いますか。
#256
○政府委員(末次彬君) 私どもの方では社会福祉施設職員の退職手当共済制度を実施しておりますが、ここで調べましたところ平成二年で六年九カ月という数字が出ております。
#257
○沓脱タケ子君 とにかく余り違わへん。六年前後や。
 労働白書によりますと、平成二年の全労働者の平均勤続年数は十・九年。だから、約二倍です。つまり民間福祉施設の職員の勤続年数が短い、転職する方が多い、定職性が低いということを示していると思うわけでございますが、これは処遇の悪さも大きな原因になっておると思うんです。いろいろ言われましたよね。給料が安い、あるいは仕事がきつい、労働時間が長い、こういうふうに言われておりますように、もう皆さんの御承知のとおりです。ゆうべの毎日新聞の夕刊にこんな記事が出てますよ。「都社会福祉協議会が昨年四月実施した調査では、職員の欠員を抱えている都内の福祉施設は三〇・二%で前年より四ポイント増。福祉現場では人手不足が深刻化している。」と、こういうふうに出ておるわけです。
 大臣、端的にお聞きをしておきたいと思いますが、この法律も最大のポイントは基本指針を定める、職員の処遇改善、これを保障する国の財政上、金融上の措置、十分に財政負担をしていく、ここが中心ではなかろうかと思うんですね。それで、福祉マンパワーの確保というのは、最大の課題は労働条件と処遇の改善ですよね。それは人の配置もあるんでしょう。これも非常に重大な問題ですが、とにかくさしあたりそこなんですね。
 何でそのことを特に言うかといいますと、社会福祉事業法第四条には、「社会福祉事業のうち、第一種社会福祉事業は、国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする。」というふうになってあるんですね。ここで第一種社会福祉事業は国、地方自治体、または社会福祉法人と、国と地方自治体の経営責務というものを明確にしているんですね。ところが、我が国の社会福祉施設というのはもうほとんど民間任せですよね、これは施設にもよりますが。
 余りたくさん時間がないからゆっくり言えないけれども、民間仕せはどのくらいになっているかといいますと、児童福祉施設とか、精神を除きました社会福祉施設全体の公私の別を見ますと、例えば全体では公立が二二・六、私立が七七・三ですわ。これはおたくからもろうた資料ですよ。特別養護老人ホームに至っては公立は一一・七、私立が八八・二と、いかに民間仕せかということが顕著ですね。これは臨調行革路線という中で一層きつうなったんですが、そういう中で私は基本的には社会福祉事業法第四条の趣旨がゆがめられたと思うんですよ。
 そこで、実態は民間施設が多いわけでありますから、考えなきゃならないのは、これは国と地方公共団体が本来やるべき責務を持っているんだから、それが現実には民間がどんとふえているという状況になっているんですから、その施設で働く職員の処遇も当然のこととして公務員並みとするというのがこの四条の精神に沿うものだと思うんですね。ここの原則をはっきりしなければマンパワー確保もあったものではないんじゃないかなと、ここを基本に据えるかどうかというところが基礎ではなかろうかと思いますが、いかがでしょう。
#258
○政府委員(末次彬君) 社会福祉事業の経営につきましては、国、地方公共団体が一定の責任を持っております。そういう意味で社会福祉事業法あるいは福祉関係各法でもそういう趣旨の規定がございまして、民間の社会福祉施設に対しましても必要な費用負担を行うことによりまして公立施設と同様な扱いに現在いたしております。
 これを踏まえまして、民間の社会福祉施設職員の処遇につきましても、社会福祉施設の運営費でございます措置費の中で、例えば人件費につきましては国家公務員に準拠した算定を行うということを従来からやってきておりまして、人事院勧告に基づきます国家公務員の給与改善がございましたら、それに準じて改善をするということを従来からやってきておりまして、今後ともこういう考え方で臨みたいというふうに考えております。
#259
○沓脱タケ子君 賃金が低いから東京都や大阪府や愛知県や大阪市、名古屋市では、格差是正の補助をしていますよ。民間賃金が低いから補助しているんですね。どのくらい格差があるかというのは、これはやっていますといったって現実には差があるんですわ。
 これは埼玉県の生活福祉部というところが調査をした内容なんですが、例えばこれは社会福祉施設職員給与実態調査結果というんですがね。その中で、指導員、寮母、保母、この三職種を見たら、国家公務員の給与とのラスパイレス方式での比較ですが、国家公務員一〇〇としてこの三職種は七七・九%です。事務員のところは七八・九%、これは保育所は何でこんなに低いのか知らぬが、保育所の方は六八・三%、そういう格差は現実にあるというのは地方自治体が現に調査をしているところであります。
 全社協の調査でもそのことは言われているんですよ。公務員の俸給表に準じて支給を何とかしているというところは全国で五四・八%、かなり高くなったなと私は思いますが。したがって約四五%は低いんです。ボーナスも年間で比べて国家公務員よりは大分低いですね、ほぼ一カ月分内外違いますね。
 以上見てまいりますと、総合的に見れば民間福祉施設職員の給与水準というのは残念ながら公務員と比べても低い。これは事実だからお認めになるでしょう。こないにやっています言うだけではあかぬ。
#260
○政府委員(末次彬君) これは全国まさにさまざまでございまして、大都市におきましては、その地域の地方公務員自身の給与が非常に高いということでございます。それとのバランスから一定の差額の補助をするというようなことも現に行われているということは聞いております。
 私どもが準拠しておりますのは国家公務員の水準でございまして、これはやはり地域差につきましても、調整手当ということで最高一〇%から六、三、〇という段階を追って、なるべくその実情に合うように私どもは措置費の算定上も配慮しているつもりでございます。
 なお、若干実効上低いところがあるではないかというお話でございますが、これは私ども国家公務員、地方公務員あるいは地場の産業の賃金、こういう水準も考慮しながら民間の社会福祉施設の賃金水準というのは決まっていくものだろうというふうに考えておりまして、私どもは積算としてそういう積算はいたします。ただ、具体的な給与水準そのものはそれぞれの社会福祉施設で、言ってみれば労使の間で決まっていくというような性格であろうというふうに考えております。
 これの具体的な執行の内容によりまして、具体的に施設の要援護者の処遇等に支障が出るというような事態になりましたら、私どももこれはかなり積極的に指導していかなきゃならぬ。もちろん労使の交渉事という基本的な線は踏まえながらそういう指導はやっていかなきゃならぬというふうに考えておりますが、現実の執行につきましては、社会福祉施設の判断ということに任される部分があるというふうに考えております。
#261
○沓脱タケ子君 余りちょっとよくわからぬのだけれども、ちゃんと金は出しているけれども低くなっているのは、私立の施設がよくないという意味ですか。何かそない聞こえるような言い方をするね。
#262
○政府委員(末次彬君) これは職員の格付につきましてはいろんな考え方があると思います。中途で入ってこられた方をどういうふうな格付をするか、あるいは学歴をどうするか、年齢をどうするか、そういう点をいろいろ勘案して、施設の中でバランスをとりながら公平な格付あるいは処遇が行われているというふうに私どもは聞いておりまして、一律の物差しでそれを高い低いと言うのは、私どもの方の立場からすると、一つ一つのケースについて見ればかなり難しい問題ではなかろうかというふうに考えております。
  〔理事竹村泰子君退席、委員長着席〕
#263
○沓脱タケ子君 いや、公務員の俸給表でちゃんと金を出していますと。ところが、全国的に調べてみたら、全社協の調査でも四五%は公務員の俸給表に準じた俸給より低いというデータが現に出ておるんです。そういうことになっているということを認めないと、国及び地方自治体がやらなければいかぬのを「又は」という私立福祉法人に仕事をみんな任せてあるんだから、客観的には。そこが低いということになっておることはきちんと認めないといかぬですよ。何かちゃんと出しています出していますと言ったって、客観的な数字は低うなっている。そのことを認めるか認めないかと言っているんですよ。
#264
○政府委員(末次彬君) どういう基準で支給されているかということを私どもの方で一応、これも全社協の調査でございますが、そこで把握いたしましたところでは、これは水準そのものはなかなか具体的に高いか低いかと言うことは難しいわけでございますが、何らかの格好で国家公務員の基準に準拠しながら、そこの地域の地方公務員あるいは地場産業の賃金、そういう水準を総合判断しながら一応基準をこしらえるというようなことでやっておりますので、必ず国家公務員並みにといいますか、国家公務員と同一の俸給で同一の格付をして同一の給与を出せるかというと、そこのところは経営者として判断の余地があるというふうに考えております。
#265
○沓脱タケ子君 お尋ねをしたことに端的にお答えをください。
 国家公務員の問題を私が引用いたしましたのは、社会福祉事業法四条の精神に基づいて申し上げているんですね。だから、当然給与、待遇は国家公務員なり地方公務員に準じて当たり前ではないかということを申し上げているんです。第一、東京都や大阪府や大阪市や名古屋市やというようなところで格差是正で補助をしているというのは一体何ですねん。低いから補助しているんじゃないんですかな。
#266
○政府委員(末次彬君) 四条で言っておりますのは、「国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする。」ということを言っておるわけでございます。つまり、こういう国、地方あるいは極めて規制の強い法人にこういう事業は経営をしていただくということを言っておるわけでございます。
 地方公共団体で格差是正という格好でやっているではないかというお話でございますが、これは地方公務員の給与水準と国家公務員の給与水準、これの差の議論になるのではないかというふうに考えております。私どもの方は国家公務員の基準に準拠して措置費を積算いたしておりますが、現実に国と地方で、あるいは地方公共団体間で給与に差があるということは事実でございまして、その点をどういうふうに考えるかということは、これはそれぞれ地方公共団体のお考えがあってやられていることではないかというふうに考えております。
#267
○沓脱タケ子君 いや、もう局長には答弁求めませんわ、時間たつばっかりや。
 それで大臣、聞いておられておわかりのように、客観的には低いんですよ。全社協でも言っているんだし、東京都や大阪府や大阪市、大阪市みたいなところでもちゃんと補てんしているんやからね。しているのは格差があるから是正をしているんです。福祉マンパワーを大量に確保しなきゃならないというときなんですから、この法律せっかくつくるんだから、きちんと職員が励みになるように、指針には見えるように処遇の改善というのを具体的に示すことが大事だと思うんですよ。それはどうですか、大臣。
#268
○国務大臣(山下徳夫君) 端的に申し上げて、マンパワーの確保は処遇の改善が第一であります。その処遇の改善には、財政的な裏打ちがなきゃならぬことは当然でありますから、そのために努力しますとともに、今後、中央社会福祉審議会等の意見も踏まえながら、今おっしゃいましたように、実効ある基本指針というものをきちっとしていかなきゃならぬと思っております。その方針でまいります。
#269
○沓脱タケ子君 私は、大臣がおっしゃったように財源が要るんですよね、処遇をやろうと思ったら。だから、財源、ここでは措置費ですよね。この措置費について幸い、幸か不幸か人事院の事務総長が大変的確に福祉職員の処遇改善について述べておられるくだりがあるんですね。「民間においては、原則として措置費の範囲内で給与を支給せざるを得ないから」「その措置費における人件費算定の基準が、人数の面においても単価の面においても、個々の福祉施設の実態に合っていないからである。」、「したがって、まず手をつけるべきことは、この措置費の算定基準の改善ではないかと考える。」という文言があるんです。
 こういうことまで意見として出ているわけでございますから、先ほどの大臣の御見解、ひとつきちんと対応をしていただいて、必要な措置費は確保する。金がないわけはないですよ、我が国は。だから、きちんと確保していただいて、一億五千万と朝言うた、あんなちゃちなことはなしに、ぱちっと必要な予算は確保していただいて、福祉マンパワーは間違いなく厚生省の今度の法案で安心してやれるなというところへぜひ持っていっていただきたい。御決意を伺って、ちょうど時間ですので、終わります。
#270
○国務大臣(山下徳夫君) 大変力強い御意見をちょうだいいたしまして、何か私ども励まされているつもりでございますし、できる限り一生懸命とにかくやってまいります。
#271
○粟森喬君 今回の看護婦等の人材確保に関する法律案にかかわる問題で、看護職員、看護にかかわる問題を幾つかお尋ねを申し上げたいと思います。
 まず最初に、お尋ねをしたいんですが、今回のこの法案と相前後いたしまして、看護職員の需給見通しが出されました。いろいろ今までの政府答弁の中でも明らかになってきていることがあるわけでございますが、現状、今看護職員の離職率が六%だと、これが十年たつと五・三%に改善される、こういうふうに言っております。私は今回法律をつくった趣旨からいったら、この程度の離職率の改善で本当に看護職員が、これはいわゆるライセンス職業といいますか専門職でございます。本来長く勤めていただかなければならない人たちにおける問題の基本的なことが未解決のままこの法律が出されているんではないか、こういう懸念を持っております。
 そういう立場で、例えば今看護職員が平均六年ぐらいでやめていくという問題や、そういうことがどのように改善をされるのか、まず基本的な理念としてお尋ねをしたいと思います。
#272
○政府委員(古市圭治君) 需給見通しにつきましては、もろもろの前提、それから将来への勤務条件の改善等を見込んで、都道府県単位に推計していただいたものを集計したと繰り返し申し上げたわけでございますが、その中には週四十時間、それから夜勤が八日以内、同時に育児休業制がだんだん発達してくるというようなことも含まれております。
 そういたしますと、かなりの数が先生御指摘のように、平成三年では一方では新卒者が五万六千百名加わる反面、四万六千四百名が離職する。この数の平成十二年までの改善率が低いじゃないかと、こういう御指摘でございますが、私はどうもそこを一回退職される方は、余り減らないんじゃないか。
 と申しますのは、その多くの理由が育児、結婚というのが大きな理由がございますので、ちょうど女子が七年前後にきたときに一回結婚、育児という状況で家に入られる。しかし、それは育児休業制で職が保障されるといういろんなことがありましても、その女性が家庭を持つという事実はそう大きく変わらないんじゃないか。そこで、一回戻った人が、戻らなくて保育所でやるのが一番いいんですけれども、戻った人がもう一度リターンしてもらう率を非常に高めて、そういう職場にしなかったらいけないということで、この数の構成が再就業の方を頑張って入れているということで、やめっ放しという数ではございません。そういうことで出入りして全体でこの分野に働いていただきたいと、こうなっているわけでございます。
#273
○粟森喬君 ちょっと確認しておきたいんですが、離職率の中には育児休業などで休職をされる方は率の中に入っているのか、入ってないのか。
#274
○政府委員(古市圭治君) 失礼いたしました。今度の新しい制度のもとで、職に残る人はその中に入っていないという形にはなっております。
#275
○粟森喬君 そうしますと、育児休業でこれから休む人などなどを入れると、実態の離職率はほとんどもう改善されていかないんではないか、こういう私は懸念を持っているわけです。
 具体的なことで申し上げます。さっき六年ぐらいでおやめになる方が結婚のためだと言われました。私はこの間男女雇用均等法だとか、いわゆる育児休業法をつくってきたというのは、結婚などを理由にして退職することを改善するためにこの種の法律がつくられたと思っている。
 それにもかかわらず、厚生省の見通しの中で、その種のことについてきっちりした展望がない。この需給見通しというのも、先ほど言われた、非常に何といいますかアバウトというか、一定の見通してございますから、十分じゃない幾つかの要素があることは十分承知していますが、この辺の基本的な考え方について、まだ問題があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#276
○政府委員(古市圭治君) 数が非常に大きゅうございますので、先ほど先生がおっしゃいました約六%から五・三という程度の改善だと、その〇・三というのが大体七、八千人かに当たろうかと思います。そういうことで、ここの全体の率を非常にいろんな施策をやってここが減りますというところまではなかなか、地方全体にも問い合わせますと、そこまで自信がないということでこの数字ができたということで、架空の数字じゃなくて、かなり現実的に検討していただいたので、このような状況だと御理解いただければありがたいと思います。
#277
○粟森喬君 私はその種の数字であるという前提があっても、ちょっと幾つかのことをお尋ねしたいと思います。
 まず、先ほどから何回も言っているのは、基本指針の中で処遇の問題を触れていないのは、そのときどきの情勢によって大分変わるというから書かないとおっしゃいましたが、具体的にお尋ねをします。例えば夜勤回数についてこの需給見通しの中で、「月平均八回以内とする」としてそれぞれの需給の見通しを立てましたと、こういうふうに書いてございますが、平成四年度なら四年度、五年度なら五年度、基本指針をつくるときに、ことしは月八回をまずクリアする。次は二年後なら二年後に七回を目指すと、そういうふうに書かれるんですか、書かれないんですか。
#278
○政府委員(古市圭治君) 年次的に云々ということではございませんで、繰り返し申し上げましたように、週四十時間制、夜勤は月八回を目指してと、こういうことになろうかと思います。
#279
○粟森喬君 いや、それは皆さんが今まで具外的に言ってきたことでしょう。基本指針をつくるときにそういう具体的な数字を入れる気があるのかないのかというふうにお尋ねしておるんです。
#280
○政府委員(古市圭治君) これは最終的には基本指針は厚生省だけでございませんで、文部、労働省とも協議をいたしますが、また関係審議会にもお諮りすることになりますが、私どもはその中に四十時間、それから夜勤の八回というのは書いて検討していただこうと思っているわけでございます。
#281
○粟森喬君 そこで、お尋ねをもう一遍するんだが、八回と七回ではまず看護婦の職員の数も需給見通しがかなり違うと思うんです。言う意味おわかりですね、局長。今需給見通しをここへ出されたときに、八回なのか七回なのか、将来六回にしていくのかということについて具体的なことがこれからの展望にないとこの法律をつくる意味が半減どころか、何のためにつくるのかという意味がわからなくなる。
 私は、ここに書いてある数字を具体的に読ませていただきました。夜勤体制のこと、週休二日制のこと、年休のこと、産前・産後休暇のこと、生理休暇のこと、育児休業のこと、具体的に書いてございます。「この結果、病床百床当たりの看護職員数は、平成二年三十五・九人から平成十二年には四十八・二人になると見込んだ。」と。だとすれば、逆に換算をしたら具体的にどのくらいの数字になるかということに皆さんは、厚生省としては根拠を持たないんですか、持たずにこの数字をただ当てはめただけなんでございますか。
#282
○政府委員(古市圭治君) 先生がおっしゃったように、現在の月夜勤が八回から七回に、こうなるということになればそれ相応にその病棟単位の人数は大体一人ふえることになるわけでございますけれども、この見通しを立てましたときには、繰り返して申しますように、平均が八・二回というのをなるべく早く改善したいということ、それからまた週四十時間は平成四年度内に達成するということでやっていただきたいという数字をやったわけでございまして、その条件で平成十二年までやっております。その結果が申しましたように約三十数%から五〇%近くになる。
 その結果、ただいまのお尋ねはどの程度まで改善されるかというお尋ねかと思いますが、それは全体の配置状況が平均値でどのぐらいになるかというのは現在は数値としてはつかんでおりませんが、かなりの分野で改善されるということは間違いないことでございます。
#283
○粟森喬君 私はどうもよくわからないんですが、この数字はこれまでと同じように月八回の、いわゆる常識的に言われる二・八体制と言われるものを維持するというか、これ以上、例えば看護職員の立場から見れば、月七回にするとか六回にするという見通しが全く出ていない見通したと私は思う。
 法律に書けないと言うけれども、別の資料を見たら看護職員の数はふえるんだけれども、そのことを具体的に織り込めないというのは、厚生省にとってはどんな問題があるんですか。具体的にどこに障害があるのかおっしゃってください。
#284
○政府委員(古市圭治君) ちょっとお尋ねの件、十分把握していないかもしれませんけれども、需給見通しのときに現在の状況と近く改善が期待されているという条件を入れましてこの数をつくりましたというお答えをしたわけでございます。その結果が、病床数は医療計画でほとんどストップいたしておりまして伸びが低いので、看護婦さんの増員が非常に早くなってきた結果そういうような形になる。その結果、各病棟におきまして月八回なり、それからまた一人夜勤、二人夜勤、三人夜勤といろいろございますけれども、諸般の看護環境も改善されてくるであろう、ここまでのことでございます。
#285
○粟森喬君 大臣にもここはきっちりお答えいただきたいと思うんですが、月八回という夜勤回数、これ一週間で二日ですよ。それを将来ともに動かす気がないというようなことでは、私は看護職員を確保するというのは非常に難しいと思うんです。それを改善するという方向をこれからこの指針の中で見せていくのか見せていかないのか、ここは厚生大臣としても一つの方向を明確にしていただきたいと思います。
#286
○国務大臣(山下徳夫君) この看護婦問題の論議でいつも私もお答えし、また皆さんも御理解いただいていると思いますが、二十一世紀の初頭までに百十五万九千人にしなきゃならぬ、何が何でもやらなきゃならぬという、我々はそういう気負いでもってやっておりますが、現時点における八十何万から果たしてそこまで持っていくにはどうしたらいいかという、非常に苦労があると思います。したがって、そういうことで将来に照準を合わせながら、今ここではっきりと七回とかそういうことを言うということはちょっと無理じゃないか。ということは、できないというんじゃありませんよ。できないというんじゃありませんが、今の時点では八回は八回として試算したことしか申し上げられないということであります。
#287
○粟森喬君 大臣、月八回の夜勤体制というのはよろしいと思っているんですかどうですか、ちょっとそこをもう一遍概念的に聞きます。
#288
○国務大臣(山下徳夫君) 八回ということが非常に理想であるとは決して思っておりません、それは今後とも努力していかなきゃなりませんから。現時点においては、それじゃ七回にしますとかどうしますということは私の責任においては言いにくいということを申し上げているのでありますが、決してそれはいいとは思っていません。
#289
○粟森喬君 今の話を聞いておったら、だれの責任で将来そういうことが決められていくのかということが全然わからない。そんなことではこの法案の意味がないと私は言っておるんです。
#290
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどから申し上げておりますように、充足計画というのはきちんと立てていかなきゃなりませんが、我々はこれは何が何としてもやらなきゃならぬということは思っておりますけれども、ただ初めからそれを目途として夜勤体制をつくるということは今の時点においては私はできないと。ただ、今の時点においては八回ということで御了解いただきたい。繰り返し申し上げるように、八回を理想とは私法して思っておりません。
#291
○粟森喬君 将来はどっちへ向いているんですか。
#292
○国務大臣(山下徳夫君) だから、将来はその方向に向かっていかなきゃなりません。だんだん少ない方向に向かっていくべきだと思っております。
#293
○粟森喬君 この問題で幾ら論議をしていっても、私ある種の限界があることを知っているんです。しかし、後でもまた申し上げますが、女性の二十四時間フルタイムというか、ブルサービスを実施しなきゃいかぬということで、いわゆる日本の女性の最も多い職場の中でここが一番問題なんですよ。
 私は、賃金とかほかにもかかわる問題ございますが、看護婦さんがやめていく大半の理由というのは、結婚のためにやめるというのは、週のうち二回も夜あけなきゃならぬというのも一つの問題。結婚すれば子供ができます。共稼ぎをしていて見てくれる人がいなかったら、そのことも解消できません。だから看護婦さんをやめるというんです。続けたいけれどもやめざるを得ない。私はその実態論にもうちょっと根差した法案の方向を示していただきたいということで申し上げましたので、この際これ以上申し上げても限度があると思いますから、この程度にしておきます。
 次に移ります。
 今回、医療費を改善するに当たって、看護関連で二・六%相当分、これはどのぐらいになるかと厚生省にお尋ねしたら、約二千五百億円だと。それで、今病院や診療所に勤務する看護職員は約七十五万三千人だと。私はこれを単純に割ったら、全部これが給与になるなんて、そんなことは思っていないけれども、これは看護婦さん一人にすると三十三万円になりますが、このうち賃金であるとか看護婦さんの労働条件の改善にかかわる分に実態としてどの程度使われるというふうに皆さんは判断をされていますか。
#294
○政府委員(黒木武弘君) 診療報酬につきましては、もう再三お答えいたしておりますけれども、端的に言えば経営原資だと御理解をいただきたいと思うわけでありますけれども、その経営原資に付与するに当たりまして、今回は特に看護関連経費ということで枠をとって配分をしたという形をとっているわけでございます。
 その枠は、御指摘がありましたけれども、五%のうちの二・六%が看護関連分だということで私どもは発表させていただいております。医療費が二十兆円だといたしますと、二・六%は約五千億になるわけでありますけれども、ただ薬代としてお支払いをする薬価基準を引き下げておりますので、その部分が保険医療機関の収入が減るということで、収入ベースで見ますと五%の改定が二・五%、半分ということになりますから、先ほどの仮定計算でございますけれども、今後の看護関連分がやはり半分になるということで計算しますと、先生が御指摘のように二千数百億というのが計算上は出てまいるわけであります。私どもは経営原資として、トータルとしては五%、あるいは実質ネットで二・五%の診療報酬改定をいたしたわけであります。
 これがどのように個々の医療機関で使われるかということにつきましては、診療報酬としては個々の医療機関の使途まで規定することができませんので、点数上の工夫をしたり、あるいは関係者に今回の改定の趣旨を、大臣も日本医師会長をお呼びになって趣旨を伝達していただいたわけでありますけれども、そういう形で私どもの意図する改定の趣旨をお伝えをするというような形で、これが処遇改善等につながっていくと思っておるわけであります。
 どのように使われるかにつきましては、個々の看護職員の賃金アップもありましょうし、あるいは夜勤改善のための人員増も病院によってはありましょうし、病院によっては院内保育所等の福利厚生施設の充実ということでバランスをとられることもありましょうし、それは経営者あるいは労使の間でどういうふうにお使いになるかということは個々の病院の方で決まっていくことだというふうに理解をいたしております。
#295
○粟森喬君 私は、今言われたことをなぜ確認をする意味で申し上げたかといいますと、看護職員が七十五万程度いる。そうすると一人三十三万になるなど。実際じゃ三十三万の賃上げをするのかといったら私は必ずしもそうじゃないと思う。確かに人をふやすとかいろんな方法に使われることは事実だけれども、せっかくことしはこのためにお金を具体的に割いたというんだから、看護職員の皆さんにそれが具体的にどういう格好で還元されたかということをきちっと見ていくという、そういう姿勢がなかったら、それは経営上や財政上の論理でいったら、病院がちょっと今赤字だからこっちも使おうあっちも使おうということで問題になると思う。
 今回看護関連で二・六とか五といわれますが、その相当分は基本的に看護職員のそういうものに充当されるというふうに理解してよろしゅうございますか。
#296
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど政府委員がもも御答弁申し上げましたように、今回の改定につきましては、私のところに医師会長に来ていただきましてこの二・六%は看護婦さんのために使ってもらうんですよということは念を押してちゃんと言ってございますので、それ以上私はもうそれを信頼する以外にないと思います。
#297
○粟森喬君 大臣からもそう言っていただいたので、私は全額一人当たりにぱっと充てるというのは、雇用関係とかいろいろな関係がありますから、ならないと思いますけれども、そういう数字が存在をしているということをちゃんと押さえながら、これから検証する機会がございましたら、その数字も検証させていただくという意味で申し上げました。
 そこで、次の問題について申し上げます。
 私がこの質問をするに当たって、さっきも申し上げたんですが、二十四時間サービスを提供しなければならない職場、これは例えばNTTとかKDDとか、あるいは飛行機に乗っているスチュワーデスさんとか、これは外国便がそうですが、そういうところとの労働条件の対比を調べようと思ったんですが、厚生省からないと言われたんです。厚生省はそんな比較もされたことはないんですか。ここをまずお尋ねをしたい、こういうふうに思います。
#298
○政府委員(古市圭治君) その種のことでデータをと思ったんですけれども、結果的にはいろんなことがございまして、御協力いただけないというんですか、入手できなかったということでございます。
#299
○粟森喬君 いろんなことと言われるけれども、私は厚生省に初めからあるものだと思っていた。ILOの看護婦に関する条約からみたって、同種の関連の職場の労働条件と同等以上のものにしろと、こういうことがあるわけです。今結べないというのは、この辺のところに一番問題があるというふうに思うんですがね。
 厚生省は厚生省として、そういう類似の職場における労働条件はどうなっているかということをちゃんと調べていくという責任が私は当然あるものだと思っていますが、いかがでしょうか。
#300
○政府委員(古市圭治君) 御指摘の件につきましては、十分反省してまたやっていきますが、ただ問題は、JALとかANAとかそういうところの勤務形態と看護婦の場合はやや異なっておりまして、現実には二交代、三交代が原則という形で八時間をシェアしながら二十四時間をカバーするということなんで、だから参考にならないというわけじゃございませんで、勉強はさせていただきたいと思っております。
#301
○粟森喬君 ぜひとも私はそういう調査は開始してほしいと思う。将来、ILO条約を結ばなかったら、看護婦さんにいい人材を確保して、そしていい医療を私たちは受けたいと思っているんですから、ぜひともそういうことをやっていただきたい。私も多少資料をいただきました。しかし、余り固有名詞を挙げて言ってくれるなと言われるほど、看護職員の労働条件実態とかなりこれは差があって、やっぱりこれは発表するべきではないなというふうに私は思いました。
 女性が長く勤め、そして交代制をやらなきゃならぬところではいろいろな意味で、勤務時間の上での配慮、休憩時間の取り方、それから輪番制の問題といいますか、月に何回夜勤をやるかということも相当シビアな基準をつくって、それでその職場の人たちが長く働き続けている条件をつくっているんだと思います。
 ですから、これは労働省任せと言わずに、厚生省がそういう情報をちゃんととって、その上で将来ILOならILOの批准をきちっとできるように、そういう体制をつくるためにぜひとも努力をしていただきたいと思いますが、お答えを願いたいと思います。
#302
○政府委員(古市圭治君) 本法案も労働省と一緒になってひとつ処遇の改善、環境の改善を図ろうという趣旨でございますから、これを機会にさらに一層連携を密にしていろいろ情報も勉強したいと思っております。
#303
○粟森喬君 次に、看護料のあり方でお尋ねしたいんですが、開業医、診療所、外来における看護料は看護料として区分されていませんね。確かに病床だと看護職員の人が回ってくる基準というのはつくられていますが、なぜこれを区分化をしていこうとしないのか。看護職員は専門職でございます。医師には一つの基準もあります。すべての看護職員に対して一定の概念をつくるときには、こういう看護料といいますか、診療報酬の決め方に将来その物差しを入れるべきだと思いますが、いかがでしょう。現状とこれからのことについてお尋ねをしたいと思います。
#304
○政府委員(黒木武弘君) 現行の診療報酬体系は技術料評価の体系と言っておりますけれども、初診とか手術とか検査とか処置とかという形でのそれぞれの技術を評価して点数を設定いたしておるわけでございます。
 したがいまして、現在は入院の場合の看護については独立的に評価はできるということで独立の看護料の評価をいたしているわけでありますけれども、初診における看護婦さんのサービスを区分けする、あるいは検査、手術における看護婦さんの看護料を抜き出して評価するというのは現時点ではなかなか困難な面があるわけでございます。ほかの職種も大勢がかわった医療行為を細分化していくのがいいかどうかという議論も片一方ではあるわけでございます。したがって、診療報酬をどのようにこれから再構築していくかということは基本問題としては議論をいたしておりますけれども、ますます診療行為がチーム医療みたいな形になっておりますので、それぞれのかかわっでこられる職種ごとに評価するのがいいかどうかというのは、これは慎重に検討を要するんではないかと思っております。
 今回、外来については、特に看護婦さんで行われております外来の在宅療養指導料という形で、看護婦さんの業務を単独に評価した点数も新たに設定をいたしまして、一定の評価をいただいておるわけでありますけれども、こういうような方向で私ども引き続き検討させていただきたいと思っています。
#305
○粟森喬君 私は、看護職員のこれからのあるべき姿や、そこにおける役割というのを明確にするためには、いわゆる看護職員と言われる人たちがかかわる業務に子細に看護料を医療費の区分の中で明確にしていく。これが結果的にどういう数字に具体的になっていくのかということについては多くの論議があると思います。こんなこと言ってなんですが、私らでもいろんな知り合いのお医者さんがいますね。そうすると、開業医なんかで医師と看護婦の職務区分が明確じゃないことが、何となくそこにおける看護婦の社会的地位をきちっとすることができない。私はそのことが論理的にすべて合っているとは思わない。部分的に見てもそういう部分がございますので、いろんな問題点があるかと思いますが、将来はすべての看護にかかわる人たちの問題について診療報酬上の区分を明確にしていただきたいと要望を申し上げまして、次に移ります。
 幾つかお尋ねを申し上げたいんですが、完全看護といいますか、基準看護をクリアしたという意味だと思います、付き添いの人がおられる。このことはいろんな支払い側からの問題としても出ているわけですが、今の看護の基準体制に問題があるからこういう付き添いという制度が結果的に残谷んではないですか。その辺のところについての見解をお尋ねしたいと思います。
#306
○政府委員(黒木武弘君) 付添看護の問題につきましては再三御議論をいただき、御意見をいただいているわけでありますけれども、私どもはこれからの病院のあり方として、付添看護はできるだけ縮小していく必要がある、院内看護化を目指しているわけでございます。
 そういう意味で、今回の私どもの診療報酬改定の一つの大きな方向として、できるだけ基準看護がとりやすい形で、実態に合わせて今回の基準看護の設計をいたしているつもりでございまして、御指摘に沿って院内看護化の方向に私どもは前向きの検討といいますか、そういう方向に施策を持っていきたいものと考えている次第でございます。
#307
○粟森喬君 先ほどの答弁にもあったわけでございますが、老人医療といいますか、今度新しく訪問看護の制度ができまして、訪問看護料が決められました。数字を見ましたら、一回につき看護料はたしか四千七百円ではなかったかと思います。基準となる看護料というのは、看護基本療養費というふうに書いてあるのは四千七百円です。
 四千七百円なんですが、これは基本的に、看護婦、看護職員の方々の費用に相当する部分が大部分だというふうに理解をしていますが、それはよろしゅうございますか。
#308
○政府委員(岡光序治君) 御指摘がございましたように、老人訪問看護療養費は老人訪問看護基本療養費ということで、看護婦さんなり准看護婦さんなりそれぞれに着目して算定をする。それから、もう一つ老人訪問看護管理療養費ということで、これはその月の訪問回数に応じてその療養費を払う。それから、情報提供の際のその情報提供の療養費ということで、この三つから成っているわけでございます。
 これらにつきましては、一つの訪問看護ステーションというのを設定していただいて、その訪問看護ステーションがうまく運営できるようにということでこの点数を設定しているわけでございまして、もちろん人件費がカバーされますが、そのほかに物件費やそのほかの運営費もカバーされて一つの看護ステーションが適切に運営できるという、そこのところをねらっているわけでございます。
#309
○粟森喬君 そうしますと、これは四千七百円というけれども、人件費相当分というのは約半分という理解をしているんですが、いかがですか。
#310
○政府委員(岡光序治君) これは、実は普通の医療機関が病院から看護婦さんが訪問看護をした場合に訪問看護料を払っておりますが、それと実はバランスをとったものでございます。ただいま申し上げましたように、訪問看護ステーションの場合には何回か患者のお宅に行くわけでありますので、そちらの方の経費を別途計上しているわけでございます。
 計算からしますと、非常に標準的なスタイルで申し上げますと、一カ所当たり例えば四十人の患者さんをとりあえずの対象にしておいて、そして患者さん一人について月四回訪問する。常勤換算で看護婦さん、その管理者、そのほかの体制で三・二人というのがこれまでのモデルでございますが、そういったもので換算をしましたら、トータルの経費が百万を超えるわけでございますが、そのうち約八割程度は人件費相当でございます。
#311
○粟森喬君 いずれにせよ、この制度がどういうふうに運営されるかということはこれからの私たちの重要な関心事でございます。ちょっと要望も申し上げておきますが、指定老人訪問看護の実施時間を、一回の訪問は三十分から一時間三十分、これは平均すると一時間という意味だろうと私は思いますが、三十分と一時間半ではえらい違います、三倍でございます。十分その辺のところについて配慮をしながら、これからの運営の中で十分私なりに見守りながら、御意見があれば申し上げていきたい、こういうふうに思います。
 最後になるかと思います。今、看護料のことで申し上げた。私は先ほどから何回も同じ繰り返しの主張をしているわけでございますが、例えば老人保健施設と老人病院と、それから一般病院との間で看護料に差を出すということが、これは看護の実態が違うんだからと言われると、今は需給でいうと選ぶ側にあるのかもしれませんが、将来にわたって果たしてこういう基準の決め方がいいのかどうかという問題、これは老人医療全体にかかわる問題でもございます。看護する職員の側の視点というのもこれから押さえていただきたいという意味であえてこのことを申し上げるわけでございますが、これからこういうことについてどうしていくのかということをお尋ねしたいと思います。
 それからもう一つ、看護婦の標準賃金というのはどの程度の水準にあるかということをこれから決めるときに、今、最低賃金制度というのがあるんですが、あれが多少変わりまして、むしろ基幹職種と言われる看護婦さんであるとか、あるいはタクシーの運転手さんであるとか、いわゆる専門職に対して標準的な賃金を示そうという動きが一方でございます。最低賃金というのは非常に低い賃金でございますが、これからのあり方として、そういうものを示しながら、さっき最初に申し上げました基本指針にそういうものを書いていく、こういうことも私は大切なことではないかと思います。
 この二点の問題について、ぜひともこれから改善なり検討をしていただくということについて答弁をいただき、私の質問を終わります。
#312
○政府委員(岡光序治君) まず、老人病院と一般病院の看護料の問題でございますが、先生から今御指摘もありましたように、通常の場合は、老人病院におきましては老人の慢性疾患患者が多く占めているという状況があるわけでございまして、私どもそういうことを考えた上で看護よりむしろ介護に重点を置いた人員配置をとっているわけでございまして、診療報酬点数はそういったものに対応する格好でセットしているつもりでございます。
 しかし、老人病院の場合でも一般病院と同じ看護婦の配置をとって急性疾患にも十分対応できるような、それだけの看護力を有したところもあるわけでございまして、そういったものにつきましては、一般病院と匹敵するような看護料を適用するように、今も大体そういうふうにしているつもりでございますが、一般病院の診療報酬との対比も十分考えながら対応していきたいと思っております。
#313
○政府委員(古市圭治君) 最低賃金制につきましては、労働省が所掌する事項でありますので、コメントを申し上げる立場にはございませんが、個々の医療機関におきましてその経営状況を踏まえて労使間で決められるということが基本になろうかと思います。看護婦等の確保の推進のためには、診療報酬上の対応も含めまして処遇の改善、養成力の強化、資質の向上、就業の促進等を総合的に推進していく必要があり、今後とも努力してまいりたいと思います。
#314
○勝木健司君 私は、先般の本会議で総理初め厚生大臣及び関係大臣に質問を行っておりますので、これを補足する形で幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 福祉ビジョンの策定の必要性について本会議で指摘をいたしたところでありますが、今回のマンパワー確保はトータルとしての社会保障政策の一部分でありまして、政府の高齢者保健福祉推進十カ年戦略というのは年次計画がないんじゃないか。そしてまた、雇用とか住宅とか教育対策などとの連携が見られない。公共部門、民間部門、個人の役割などのあり方が不明確であること。また、地域の実情の相違というのを考慮に入れていないということ。そして、社会保障費用と負担のあり方が不明確であることなど、まだまだ不十分な点があるわけであります。
 そういった意味で、財政的に裏打ちをされた総合的な福祉ビジョンをつくることがどうしても必要ではないかということで訴えをしておるわけでありますが、山下厚生大臣の御見解をまずお伺いしたいと思います。
#315
○国務大臣(山下徳夫君) 二十一世紀の長寿福祉社会のあるべき姿を示すことは、負担も含めた国民的コンセンサスのためにもこれはもう非常に必要なことであると思っております。このために、政府としましては既に昭和六十一年の六月に長寿社会対策大綱を閣議で決定をいたしました。雇用・所得保障、健康・福祉、学習・社会参加、住宅・生活環境など、各分野にわたって政府が進めていくべき今後の長寿社会の指針を定めた次第でございます。
 また、昭和六十三年にはいわゆる福祉ビジョンを国会に提出いたしまして、平成元年十二月には高齢者保健福祉推進十カ年戦略、すなわちゴールドプランを作成いたしております。当面、これらの実現に向けて努力してまいりたいと思います。
#316
○勝木健司君 私ども民社党は、かって消費税を国会で審議する前提といたしまして、行政改革のビジョンを示せと、それとあわせまして福祉ビジョンの提示が不可欠ではないかということで主張をしてきたわけでありまして、これを受けて大蔵省、厚生省が昭和六十三年三月、ただいまありましたように福祉ビジョン、二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望というものを国会に提出をされております。
 これはその当時かなり踏み込んで出してきた画期的とも言える具体的な展望であったかというふうに思います。しかし、こういう展望を国民に対して具体的な数字で明らかにしていくという努力が極めて必要じゃないかというふうに思うわけであります。この試算が行われましてからもう来年の三月には丸五年が経過をすることになりますので、社会経済情勢の変化を考えますと、本来ならば毎年毎年出していただきたいわけでありますけれども、せめて五年ごとでも改定していくということが望ましいのじゃないかというふうに思うわけであります。
 来年の三月には、改めてこの福祉ビジョンを試算し直して国会に提出をすべきじゃないかというふうに思うわけでありますが、見解をお伺いしたいというふうに思います。
#317
○政府委員(大西孝夫君) お答え申し上げます。
 社会保障の各制度の給付それから負担ということになりますと、仮に現行の制度がそのまま維持されるといたしましても、そのときどきの経済社会の動向に大きく影響を受ける性格ということがまずございます。それから社会保障制度の場合には、二十一世紀に向けて公平で安定的な制度の確立を図るために、引き続きまして制度改革を行っていく必要があるという点もございまして、そういう意味で長期にわたる推計を正確に行うということは非常に困難であると思います。
 今御指摘のように、昭和六十三年には国会の求めに応じまして、経済成長率等につきまして、一定の前提のもとに試算した二十一世紀初頭における給付と負担の展望というものを提出させていただいたわけでありますけれども、これも一応一定の前提のもとに大胆に試算したものということで、性格的に申しますと目安としての意味を持つにどうしてもとどまるのではないか。先生、今御指摘の点はまことにごもっともという点もございますが、長期にわたる推計の難しさということもございまして、きょうのところは、一定期間ごとに見直すということにつきまして一つの御提言ということで受けとめさせていただきたいと思います。
#318
○勝木健司君 これはぜひそれぞれの、十カ年戦略ということもあるわけでありますけれども、年度別に予算の消化状況も含めて見直しをしていくべきだろうということで、来年は五年になるわけでありますから、次のまた五年間、十年を展望して出していただきたいというふうに要望いたします。
 そこで次に、これまで人材を確保するためにつくられた法律としては、教職員の人確法と中小企業労働力確保法の二つの法律があるわけでございます。この教職員人確法は、教職員の給与を一般の公務員の給与水準に比べて優遇することによって優秀な教職員を集めよう、募集しようというもので、教職員の給与を三年間で二五%具体的に引き上げることによって一応の成果を上げたというふうに見られております。
 今回のこの二つの法律案は、直接給与を引き上げるものではない点で教職員人確法とは異なっておる、また医療機関経営者や社会福祉事業経営者に直接助成措置を講ずるものでもない点ということで、先般ありました中小企業労働力確保法とも異なっておるわけであります。今回のこの法律案は一体どのような性格の人材確保法案だと理解したらよろしいのか。実効性を危ぶむ声も大いにあるわけでありますので、この法律の特徴、特色についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
#319
○政府委員(古市圭治君) 今回の法案につきましては、全医療機関を対象にしまして、養成力の強化、処遇の改善、再就職の促進、社会的評価の向上等総合的に看護職員の確保の促進に取り組むという立場に立っておりまして、そのために関係省庁で基本指針をつくり、それに基づきまして各般の施策を行っていくということになっております。それで国、地方公共団体、病院開設者、官民すべての者のそれぞれ責務、努力規定を明らかにして、総合的な看護婦対策の基盤的な法案になろう、このような性格だと思っております。
#320
○勝木健司君 人口の高齢化の進展、また医療内容の高度化あるいは専門化等によりまして、保健医療・福祉マンパワーの数が増大をしておるわけであります。今後とも、仮に高齢者人口の伸びにほぼ比例して保健医療・福祉サービスのニーズが増大をしていくとすれば、それに比例してマンパワーの確保を図る必要があると仮定をいたしますと、二〇〇〇年には約三百四十六万人が必要であると見込まれておるわけであります。
 これを労働力人口に占める割合で見てみますと、昭和六十三年の三・六%から二〇〇〇年には推計で五・一%までに上昇すると言われておりまして、マンパワーの確保のためには相当の政策的な努力が必要であるというふうに指摘をされておるわけであります。また人材の供給面を見てみましても、さらに今後は近年の出生率の低下によりまして若年労働力の著しい減少が見込まれておるわけであります。こうした状況のもとで厚生省としても、この人材確保二法を成立させたからといって、特に若い人材を確保するのは大変難しい課題だろうというふうに思います。
 先ほども特徴について、基盤を整備して基本指針を示していくんだということでありますけれども、このような背景の中で、この人材確保二法で十分ではないという、これが基盤の整備の第一歩だということだろうというふうに思いますが、大臣の御認識をお伺いいたしたいというふうに思います。
#321
○国務大臣(山下徳夫君) 人口の高齢化と若年人口の減少が進む中で、保健医療・福祉従事者の確保は今後ますます大切な問題となるわけでございまして、二十一世紀の高齢化社会を担う若い人材の確保と取り組むことが一番大事であると認識をいたしております。
 そこで、このために保健医療・福祉従事者についてきょうもるる申し上げましたように、処遇の改善、資質の向上、就業の促進など、施策の総合的な推進に努めていかなければならないと思っているのでございますが、これらの施策の基盤となるものとしてこの二つの法案を提出した次第でございます。
 今後とも、人材確保のための両法案を基盤に予算、融資、税制等各般の施策を推進しつつ、人材の確保を図っていくつもりでございます。
#322
○勝木健司君 次に、この看護婦等の人材確保の促進に関する法律案につきまして幾つかお尋ねをいたします。
 高齢者のための福祉・医療を推進するための具体的施策を、これからどうやって二十一世紀に向けて展開をしていくのかということを国民に明確に示していく必要があるんじゃないかというふうに思います。今回政府は、高齢化社会の医療を担う看護婦確保対策を進めるための法案を示したのでありますけれども、そこでこれからの高齢社会の医療を支える看護婦というのが将来どのくらい必要となると見込んでおられるのか、この法案によりまして、またこの法案によって必要となる看護婦が本当に確保されると考えておられるのか、お聞きをしたいと思います。
#323
○政府委員(古市圭治君) 昨年の需給見通しては、平成十二年までの需要というのが百十五万九千人と見込んでおりまして、それにこたえる供給体制を整備していかなかったらいけない、かように思っております。この中には医療機関内における看護職員の層を厚くしていくということと同時に、老人保健事業を初めとして地域において期待される看護職員というものの養成も含んでこの数を確保していきたいと思うわけでございます。
 そのためには、毎年、割り算いたしますと三万人ずつの純増ということでこの分野に人材を得なかったらいけないわけでございまして、これまでも二年間続いて合計八割の対前年増の予算を組みました。今回また、これらの施策の基盤的な支援という性格も持ちまして、看護婦等の人材確保の促進に関する法案を提出させていただいたわけでございます。総合的な施策でこのような期待にこたえていきたいと思っております。
#324
○勝木健司君 ただいま看護職員の需給見通しが発表をされておりますが、都道府県の医療計画に基づく需給見通しによりますと、現在既に七万四千人が不足をしておるということでありまして、平成五年には九万八千人が不足をし、そこでピークを迎えて、確かに平成十二年には百十五万九千人ということで需給が均衡をとれるということでありますが、しかしこの看護職員需給見通しは、計画を各都道府県から集めたものであって、その実現の裏づけがないんじゃないかというふうに言われておるわけであります。
 今後の看護婦の需給見通しについて所見を今お伺いをしたわけでありますけれども、当面の不足分について何らかの緊急措置が必要ではないのか、また医療計画、ゴールドプランに支障を来しはしないかという点について、お答えをいただきたいというふうに思います。
#325
○政府委員(古市圭治君) 御指摘のような状況もございまして、厚生省の施策の中でも最重的課題として予算的な裏打ちにも努力をしたわけでございますし、また先ほどから話題に出ております診療報酬の改定の中でも特段に看護の充実強化というものに注目して改定が行われたということでございます。
 そういうことで、私どもの施策を総合的にやっていきたいということでございますが、さらに今回ぜひこの法案によりまして各般の施策の裏打ちをさせていただいて、このような非常に厳しい状況に対応させていただきたいと思っているわけでございます。
 また、都道府県からの積み上げでございますが、かなり前提条件、それからまた要求されておる職場環境の改善というものを見込んで数字を出していただきましたので、いわゆる不足分がここ二年間は非常に厳しくなっておりますが、それだけ従来よりは目標を高く置いたということもございますので、また努力をさせてもらいたいと思っておるわけでございます。
#326
○勝木健司君 次に、看護業務の見直しについてお伺いをいたしたいというふうに思います。
 看護職員は診療の補助、療養所での世話を行うことを業務としておるわけでありますが、実際には他部門に関連する業務あるいは専門性を要しない業務を行っておるのが現状じゃないか、そのことがベッドサイトケアに十分時間がとれない大きな原因となっておるんじゃないかというふうに思います。このことは病院等の管理者に看護の現場の声が十分反映されていないということや、あるいは業務の改善が十分でないことにも起因をしておるんじゃないかというふうに言われております。
 看護の各職場におきまして、看護業務の見直しをするための必要な研究あるいは効率化のための機器の整備等、業務改善に取り組めるようにするべきであるわけでありますが、提出されております法案ではこの点についてはどう対処しておられるのか、お伺いしたいというふうに思います。
#327
○政府委員(古市圭治君) 今回の法案の中でも、看護婦さんの業務の見直しというのは看護業務の改善ということで基本指針の中でも配慮をされて触れられていくということになっております。また、そのためにも実証的に研究実績を積むということで平成三年度から看護業務検討会を開催して具体的な改善のマニュアルというものの作成に取りかかっているわけでございます。
 またこのほかに、省力化につきましても電動ギャッチベッド、それから特殊入浴装置等看護業務の省力化機器につきましても平成四年度から税制上の特別融資をするということをやっております。これも今回の法案の中で、金融それから税制上の措置ということでいろんな措置がされる一環として法案の中にも書いておるわけでございます。
#328
○勝木健司君 次に、医療法の改正との関係でお伺いいたしたいと思いますが、現在衆議院で医療法の改正案が審議されておるところでありますが、この改正案では、医療施設機能の体系化を図るために特定機能病院及び療養型病床群の制度を設けることになっておりまして、それぞれに対して看護婦定員を定める案が出されているとも伺っておるわけであります。
 そこで、厚生省は一般病院病床の約四割をこの療養型病床群のカテゴリーに組みかえていこう、そしてまた看護婦定員を老人病院の六人に一人と同じ水準まで落としたい考えとも言われておるわけでありますが、医療法改正との関係で看護婦需要数はどう変わっていくのか、厚生省の考え方をお伺いしておきたいというふうに思います。
#329
○政府委員(古市圭治君) 今国会におきましては、この本看護職員の確保の促進に関する法律のほかに医療法の改正案というものの御審議をお願いしているわけでございます。
 今御指摘のお話は、その中におきせして病院機能を明確化するということで、長期病状安定者に向けて療養型病床群というものが一つ法律の中で規定されるわけでございまして、その中の職員配置、殊に看護婦の配置につきましてはまだ決まっているわけでございませんが、現在医療法におきまして、病院におきましては入院患者四対一という看護職員の配置になっておりますが、これを看護の有資格者の配置はそれよりもやや薄くしても、医療法で現在定めておりません看護補助者というものを入院患者対一定数配置するということによりまして、総合的な看護、介護の力というものを増強するということが考えられるわけでございます。
 そういうことになった場合に、ただいまの御指摘は、四対一から六対一に変わるということで、そこで省力化と申しましょうか看護力の移動が起こるのではないかということでございます。そのことは、先ほどから申しております需給計画の中には現在取り込まれておりません。これはまだ法案がどうなるのかということもございますし、法案が通った暁に医療機関が実際どの程度療養型病床群の方に動いていくかということもございます。そういうことがございますので、医療法改正案を通らせていただきましたら、その後医療供給体制の変化の推移を見ながら、またこの需給計画というものは必要に応じて見直すことがあろうと思います。
 ただ、そのときに減るだけでなくて、一方で医療法の中で特定機能病院というのがまたございます。それは現行よりもさらに厚い看護職員の配置というものが想定されておりますので、その中で傾斜配置が起こるということで、全体の数というのは余り大きな影響は受けないのではなかろうか、このように思っております。
#330
○勝木健司君 次に、私はこれは本会議でも指摘をいたしたわけでありますが、看護婦さんの確保のために欠落してならない重要な視点は、看護という仕事を本当に魅力のある職業分野にしていかなければならないということであります。
 そこで、ややもすると三K職種とも言われ、先ほどは五Kとも言われたわけでありますけれども、この暗いイメージでとらえられがちな看護婦さんという職業に対する国民の意識を改めていかなければいけないんじゃないか、そして自信と誇りを持って働くことができるように地位の向上を図っていかなければならないだろう、そういうことなしにはすぐれた人材を確保することは難しいというふうに私は思います。
 そこで、この看護という業務に対する国民の理解を深めていく、そして看護婦さんに対する社会的な評価を向上させていくこと、さらには看護の専門職としての地位を確立することが重要ではないかと考えるわけでありますが、この点についての厚生省の考え方をお聞きしたいというふうに思います。
#331
○政府委員(古市圭治君) 今回提案している法律の中にも、国民の方も看護に対する協力、理解度を深めていただきたいという条項がございます。また、具体的には昨年から五月十二日、ナイチンゲールの誕生日を「看護の日」と制定いたしまして、国民運動も繰り広げているということでございます。
 そういうことで、御指摘のように看護の専門職としての地位の確立というためには看護職みずから、また公的機関のいろんな努力が必要でございますが、国民の皆様方にも理解を深めていく努力を各種の事業を通じて行ってまいりたいと思っております。
#332
○勝木健司君 優秀な人材を確保していくためには、量も大切でありますけれども、質も高めていこうということであろうというふうに思います。
 これから看護婦さんの養成に積極的に取り組んでいかなければならないと思うわけでありますけれども、看護婦養成所の支援とか、あるいは修学資金の援助に対する積極的な国の取り組みについても具体的にお伺いしたい。
 さらにまた、女性の高学歴化が進んでおるわけでありまして、資質の高い看護婦を養成していくために、看護大学というのも積極的に設置をしていく必要があろうかというふうに思います。この点、文部省にもあわせてお伺いをしたいというふうに思います。
#333
○政府委員(古市圭治君) 看護婦の数だけでなくて、その質の向上ということが大事だ、おっしゃるとおりでございまして、質を高めなかったら応募してくれる方もおられないという、そういう関係にあろうかと思います。
 厚生省といたしましても、今回の法案の中にも、養成についての事項というものを条項で挙げておりますし、基本指針の中でも具体的に触れたいと思っておりますが、現実に平成三年度予算、さらに四年度予算におきまして、養成施設に対する補助というものを飛躍的に増額を図っているところでございます。また、この学生に対しましても、看護婦修学資金の貸与制度の拡充を図りました。
 そういうことで、今後とも質の向上に向かっては最大限の努力をしてまいらねばならぬと思っております。
#334
○説明員(喜多祥旁君) 現在、看護系大学でございますが、十四大学ございます。文部省といたしましては、看護教育の充実と看護教員の養成を図るため、看護系大学の拡充を図るということは重要な課題であるというふうに認識をいたしておるところでございまして、看護系大学の設置につきましては、積極的に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 現在、公立大学、私立大学につきまして、看護系大学をつくりたいという相談がかなり来ておりまして、それらにつきましては実現できるよう積極的に協力し、そして指導してまいりたいというふうに考えておるところでございますし、国立大学につきましては、本年度、広島大学医学部に保健学科を設置したところでございますが、五年度以降につきましては、地域の看護婦の需給状況でございますとか、大学の準備状況あるいは国の行財政状況等を踏まえまして、医学部に看護系学科を設置するということで対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#335
○勝木健司君 次に、労働条件の改善についてお聞きをしたいというふうに思います。
 先ほども申し上げましたが、現場の看護婦さんは三Kあるいは五Kとも言われるように、厳しい労働環境の中で、それでも患者さんに対する笑顔を絶やさないように頑張っておられるわけであります。この看護婦さんの苦労に報いるためにも、働きやすい職場をつくっていく必要があると思うわけであります。
 るる言われておりますように、夜勤回数を減らしていく、減少する。そして週休二日制、週四十時間勤務の実現に向けて具体的にどのように取り組みが行われるようになるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
#336
○政府委員(古市圭治君) 今回の法案の中でも、基本指針の中でそういう労働条件の改善についてなるべく具体的に書いて、全国的にそういう指導をしてまいりたい、これは大臣も申したとおりでございます。
 そのほかに、既に行っておりますのは、平成四年度の予算におきましても、たびたび申し上げましたように、院内保育施設への助成の強化、それから業務負担を軽減するための看護機器につきましては税制上の特別償却制度を創設する。さらには、社会福祉・医療事業団の融資の充実を図るというようなことも行っております。
 また、先般の診療報酬の改定におきましても、夜勤体制、労働時間を勘案して、そのできたところの看護婦さんに対しては加算点数をつける。そういうようなあらゆる方向で労働条件の改善を図っていこうと努力しているところでございます。
#337
○勝木健司君 いわゆる二・八の問題でありますが、人事院が国立病院の療養所に勤務する看護職員の夜勤について、複数で万八日以内の判定を下したのはもう二十七年も前の昭和四十年でありまして、国立病院においてすらまだ現在二・八体制は実現されておらない、平均夜勤回数は、現在月九回にも上っておるという現状であります。
 そこで、ぜひともこの二・八夜勤を確立する、最低確立をすべきじゃないかというふうに思います。そのためには看護基準の引き上げとか、あるいは医療法における配置基準の見直しなどを具体的に行っていただきたいわけであります。この最低二・八の確立を基本指針に具体的に明記する必要があると考えるわけでありますけれども、見解をお伺いしたいというふうに思います。
#338
○政府委員(古市圭治君) 最終的には関係審議会、関係省庁のところで協議されて決まることでございますが、たびたび申しておりますように、週四十時間、それから月平均八回以内ということは、当然この指針の中で検討していただいて、書いていただけるものと思っております。
#339
○勝木健司君 看護婦さんの処遇の改善を図る上で、診療報酬の改善も大きな意味を持っておるわけであります。今回の診療報酬の改定につきましても、看護について配慮をされたものとなっている点は私どもも評価をするものでありますけれども、肝心なのは、この改定が本当に看護婦さんの給与の引き上げに反映するのかということであります。診療報酬の改定の結果、具体的に看護婦さんの給与水準がどのように引き上げられるのか、お聞きをしたいと思います。
#340
○政府委員(黒木武弘君) 今回の診療報酬の改定は、一つには、従来実質で一%前後の引き上げ幅であったものを、現下の看護問題の重要性等にもかんがみ、もちろん医業経営の安定ということもございますけれども、相当思い切った引き上げ幅にいたしたというのが一つでございますし、さらに、その大幅な改定枠の中で看護関連経費、例えば看護料を大幅に二〇%引き上げる、あるいは二・八体制なり週休二日制への移行等が行われておる病院には加算点数を設けるなど、診療報酬上の具体的な中身で工夫をいたしたというのが二点でございます。
 さらに、今回のそのような改定の実施を大臣にも御努力願っているわけでありますけれども、関係者への周知徹底ということを行っておるわけでありまして、現下の厳しい看護問題の中で、労使の間で、あるいは経営者の良識としてそういう私どもの努力が、あるいは工夫が看護婦さんの処遇改善につながっていくものと、かように考えている次第でございます。
#341
○勝木健司君 今のお話では、具体的に給与水準が一体どんなふうになるのかというのが、先ほどからもありましたように目に見えてこない。労使の関係とかあるいは人員増とか、福利厚生とか、いろんな面で総合トータルでという話でありますけれども、その中で具体的な給与水準が一体どのようにアップをされるのかというのが見えてこないわけでありますので、ここは見えてくるように、具体的な指針なりあるいは行政指導の中できちっと出していただきたいというふうに思うわけでありますが、その点お伺いしたいというふうに思います。
#342
○政府委員(黒木武弘君) 診療報酬はいわば社会保険診療を担当していただく、その費用の償還と申しますか、費用をお支払いするという仕掛けでございます。したがって、個々の病院について、人件費が幾ら、物件費が幾ら等々についての内訳を定めて規定し、あるいは規制しているものではないわけでございます。したがいまして、私どもの経営原資あるいは経営改善原資ということで与えられました原資がどのように具体的に給与水準にはね返るかということは、非常にお答えしにくいわけでございます。
 個々の病院によりまして、それぞれ職場のニーズも違うだろうと思います。給与は相当いっているけれども、もう少し福利厚生への配慮が必要だというところもありましょうし、専ら給与というところもありましょうし、さまざまな職場における看護婦さんの処遇改善への道というものについてそれぞれ御判断をいただいて、私どもの念願しております看護婦の処遇改善にこれがつながり、優秀な看護婦さんの人材が確保される道がこの人材確保法案の成立と相まちまして、これからの大きな流れ、うねりとなってつながっていくものと私どもは期待をいたし、またそういうふうに考えておる次第でございます。
#343
○勝木健司君 大きな組合のあるところ、また大規模の医療機関については、そう心配はいたしておらないわけでありますけれども、医療機関におきましては、その規模によって看護婦さんの賃金格差が存在をしておる。例えば、中規模病院の看護婦は大規模病院の准看護婦さんよりやや下回っておる、また、小規模病院の看護婦さんも中規模病院の准看護婦さんをやや下回るなど、規模別に格差が大きいというふうに言われておるわけでありますので、こういったことが中小医療機関の看護婦さん不足を深刻化させておるんじゃないかというふうに思います。
 そこで、基本指針においてこうした中小医療機関の看護婦さんの処遇改善は一体どういうふうに取り組んでいくのか、お伺いをしたいというふうに思います。
#344
○政府委員(古市圭治君) 基本指針におきましては、病院の規模別に云々ということはございませんが、先ほども申しましたが、ナースセンターというものが潜在看護婦さんの再就業のお世話をする、そういうときに大病院というものがいろんなコネを持って看護職員が集めやすい、またいろんな勤務、福利厚生施設もいいということがございましょう。逆に中小病院は地域的な不利益、そういうような施設が少し劣っているということで集めにくいところがございましょう。
 そういうことも十分配慮して、地域の中で必要な看護婦さんが必要な医療機関に行くということのためには、ナースセンターが十分きめの細かいサービスをしていただかなかったらいけないということで、私どもは現在のナースバンクがナースセンターの中で強化されて、法的にも位置づけられたときにその活動を一段と強化して中小病院の要望にもこたえていけるように、そのように対応していきたいと思っている次第でございます。
#345
○勝木健司君 労働条件の改善には賃金も給与水準も上げていくということと時間短縮も必要だということ、そして一方では、福利厚生面でもということであります。
 福利厚生面についてお伺いしたいと思いますが、民間病院につきまして、国公立病院との間で格差が生じないように手厚い配慮を厚生省としても講じていく必要があるというふうに思います。民間の医療機関に勤務する看護婦さんの福利厚生の充実を、厚生省として一体どのように進めようとされておるのかお答えをいただきたいというふうに思います。
#346
○政府委員(古市圭治君) 厚生省といたしまして、平成四年度から看護婦宿舎の整備改善を促進しますために、社会福祉・医療事業団におきまして融資限度額の加算制度、六千万円でございますが、これを新しく創設することとしております。
 それからまた、平成四年度予算におきまして同じく社会福祉・医療事業団の院内保育施設に対する融資制度というものを創設いたします。病院内の保育施設の運営に対する補助金につきましては、補助対象施設箇所を七百四十四から八百四カ所に増加する。このほかにも、先ほども申しましたが、保育時間延長加算というものを四時間からさらに八時間に延長する、このようなこともやりたいと思っております。
 このような施策によりまして、民間の医療機関の看護婦の福利厚生施設へも支援をしていきたいと思っております。
#347
○勝木健司君 そこで、福利厚生施設の一つであります院内保育施設についてお伺いしたいと思いますが、子供を持ちながら働く看護婦さんのためには、院内保育施設の充実に努めることは大事なことだと思いますが、本年度予算におきましても運営補助の充実のために八時間分確保されて、結果として十六時間分の補助が認められたということであります。
 しかし、夜勤が日常的である看護婦さんにとりましては、もう二十四時間制の保育施設が不可欠ではないかということでありますので、今後も弾力的に延長加算が認められるように努力をしていただくことが必要じゃないかというふうに思いますが、見解をお伺いしたいというふうに思います。
#348
○政府委員(古市圭治君) 今のお話の中で、保育時間の延長に我々努力してきて、それなりの改善ができたわけでございますが、十六時間とたしかおっしゃったと思いますが、十八時間まで延びているということでございます。さらにその努力を続けていきたい、また保育所の補助対象箇所数も申請が出たものに対応できるように拡充してまいりたい、このように思っております。
#349
○勝木健司君 時間が来ましたので、社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案については次回に回したいというふうに思います。
 最後に、厚生大臣にお伺いをしておきたいというふうに思います。
 今回二つの人材確保法案が提出をされましたことは、これから経験したことのない高齢化社会を迎えて用意しておかなければならない施策の一つとして、私たちも一定の評価はできると思うわけでありますが、この二つの法案を本当に実効性を持ったものとすることができるかどうかは今後の取り組みにかかっておるんじゃないかというふうに思います。これからもこの高齢化社会における保健医療・福祉を担う人材を確保していくための施策の充実に、ただ厚生省だけじゃなしに他省庁と連携を密にしていただきながら、リーダーシップを発揮していただいて継続的に取り組んでいく必要があるというふうに思いますので、山下厚生大臣の見解をお聞きして質問を終わりたいというふうに思います。
#350
○国務大臣(山下徳夫君) 今おっしゃったとおりでございまして、二十一世紀の高齢化社会には何といってもマンパワー対策を十分にして、そして国民医療、福祉のサービスを生きものにしていかなければならないと思っております。
 そのために、具体的に先ほど来るる申し上げておりますことをこれから総合的に実施していくわけでございまして、特に、これも申し上げましたとおり、これから若年層がだんだん少なくなりますので、そこらあたりを考えると簡単には、早急にはいかないと思いますけれども、息の長い取り組みとして今後一十一世紀に向かって着実に進めてまいりたいと囲います。
#351
○勝木健司君 終わります。
#352
○委員長(田渕勲二君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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