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1992/04/21 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第7号
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1992/04/21 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第7号

#1
第123回国会 厚生委員会 第7号
平成四年四月二十一日(火曜日)
   午前九時三十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     針生 雄吉君     高桑 栄松君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     田代由紀男君     真島 一男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田渕 勲二君
    理 事
                西田 吉宏君
                前島英三郎君
                竹村 泰子君
                高桑 栄松君
    委 員
                小野 清子君
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                真島 一男君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                浜本 万三君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                粟森  喬君
                勝木 健司君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  山下 徳夫君
   政府委員
       外務大臣官房審
       議官       畠中  篤君
       文部省高等教育
       局長       前畑 安宏君
       厚生大臣官房総
       務審議官     大西 孝夫君
       厚生大臣官房審
       議官       田中 健次君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       古市 圭治君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省生活衛生
       局長       玉木  武君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部長  小林 康彦君
       厚生省社会局長  末次  彬君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
       厚生省援護局長  多田  宏君
       労働省職業安定
       局次長      伊藤 欣士君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
   説明員
       文部省高等教育
       局医学教育課長  喜多 祥旁君
       労働省労働基準
       局賃金時間部企
       画室長      朝原 幸久君
   参考人
       日本看護協会会
       長        有田 幸子君
       日本医師会副会
       長        坂上 正道君
       全国社会福祉協
       議会常務理事   板山 賢治君
       日本女子大学教
       授        小笠原祐次君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○看護婦等の人材確保の促進に関する法律案(内
 閣提出)
○社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当
 共済法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○原子爆弾被爆者等援護法案(第百十八回国会山
 本正和君外九名発議)(継続案件)
○産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進
 に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、針生雄吉君か委員を辞任され、その補欠として高桑栄松君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(田渕勲二君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に高桑栄松君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(田渕勲二君) 看護婦等の人材確保の促進に関する法律案並びに社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案審査のため、お手元に配付いたしております名簿の参考人の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多忙中のところ、御出席をいただきましてまことにありがとうございました。皆様方から忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、法案審査の参考にいたしたいと存じます。
 これより、参考人の皆様方に順次御意見をお述べいただくわけでございますが、議事の進行上、お一人十五分以内で御意見をお述べ願いたいと存じます。すべての方の御意見を拝聴いたしましたところで委員の質疑にお答えを願いたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、これより参考人の方々に順次御意見をお述べいただきます。
 まず、有田幸子参考人からお願いいたします。有田参考人。
#6
○参考人(有田幸子君) 本日、このような機会をお与えいただきましたことを厚くお礼を申し上げます。
 深刻な社会問題となっております看護婦不足で、看護職は非常に毎日忙しい思いと苦しい思いをしております。さらに医療機能の特性化や超高齢化社会における社会サービスの構築など、転換期にございます医療の中でますます看護サービスの領域は拡大の傾向にございますが、看護マンパワーの確保に重点を置いた平成四年度の国の看護関係予算並びに診療報酬の改定、法的に位置づけられました訪問看護制度の新設、さらにこのたびの看護婦などの人材確保の促進に関する法案が国会で審議されますことは、私ども、非常に政治決断、行政の英断に深く感謝を申し上げているところでございます。また、これらの制度が適切に運用され、実効あるものとして実現されますよう御期待申し上げております。
 看護婦の状況を報告させていただきます。
 看護婦不足の意味するものといたしまして、一つは求人難がございます。
 病院の病床がふえれば当然病床数に見合った看護婦数が必要でございます。これまで病床が急増した時期が三回ございました。終戦直後、昭和四十年代、そして六十年の第一次医療法の改正に伴う駆け込み増床は先生方の御案内のとおりでございます。地方は比較的に落ちついておりますが、東京、大阪などの大都市圏とその周辺は求人難が深刻でございます。また私的病院、中小診療施設などは非常に看護婦は得がだいじ、さらに精神病院、それから老人病院などは同様に看護婦の求人難にございます。
 いま一つは人手不足の問題がございます。
 看護婦の人数に比べて仕事量が非常に多くなっております。忙し過ぎる。どの病院でも医療内容はそれに反比例いたしましてますます高度になっております。医療もしたがって濃厚になっておりますし、看護婦の診療補助業務がますますふえております。看護の質もそれに従って変わっておりますし、人手不足とは仕事量に見合った看護婦が配置されていないということにございます。人手不足解消のための増員は常に現場の切実なる要求でもございます。
 しかし、私どもの調べておりますのでは、先生方のお手元の資料にございますように、これは今働いている看護婦がやめなくて済む対策という資料でございます。P五にございますように、就業者の八割は働き続けたいという就業継続意思を持っておりますし、またマンパワーの動向を左右する二十代の未婚者にいたしましても、一般女子労働者と比較いたしますと働き続けるという意欲が高うございます。また、一九九一年、協会が調査をいたしました離職ナースの就業意向調査でございますが、その回答を見ましても、未就業者の看護職のうちに五八・三%は再就職をしたいと考えているわけでございます。このことから考えますと、私どもは看護婦不足解消にも非常に希望を持っております。
 その第一のキーポイントとなりますのは、労働条件の改善ではないかと思います。就業者数はこの二十年間に二倍になっております。しかし、病床数も一・五倍にふえているわけでございまして、高度の医療が昼夜の別なく継続されているということは先ほども申し上げたとおりでございます。
 夜勤回数はほとんどそれに従いまして減少しておりませんで、月に九回、ある病院では十回以上もしているというのが全国的に見ますと一七%ございます。また就業者の六三%は既婚者でございまして、その九割は子供がおります。年間の産休取得者が全国の病院平均で六%、産前産後の夜勤免除などもございますことは未婚者の負担が増しているということでございます。さらに、育児休業制度にいたしましても、代替要員が確保されないために仲間へのしわ寄せがございます。そういうことから既婚者が退職を選ぶということに及んていると思います。その結果を私どもは何とかして解消しなくてはならないと考えるわけでございます。
 それから二つ目には給与の改善で、この給与につきましては、勤務場所あるいは病院の主体、職種によりまして格差がございますが、近年看護婦の給与改善が図られつつございます。業務内容もまだ改善の必要があるわけでございますが、各病院がそのことに意識を強めていることは大変うれしいことでございます。
 民間病院の看護婦の給与は、施設によって今も申しましたように開きがございますが、全国的に見ますと、三十三歳では税込み二十五万というごとでございます。月に九回も夜勤がございますし、非常に仕事も複雑ですし高度になっております職種にいたしましては、これは改善をしていただかなくてはならないのではないかなと思っております。
 それから次に、保育施設でございます。今全国的に出生率が低下しておりますが、看護職は一人平均二人子供を持っております。既婚率は六〇%、そして全体の看護婦から見ますと四〇%が子供を持っているということでございます。そういう有子看護婦が退職しないで安心して夜勤ができるようにするために二十四時間の保育、それから保母さんの増員などもしていただけたら大変幸せだと思います。
 それから次に、看護業務の見直しということでございます。
 これは看護業務が全体に確立していないということもございますし、少ない限られた要員で最小のエネルギーで最大の効果を上げるのにはどうしたらいいかということが大きな課題になっていると思います。魅力があり、また看護の専門性が発揮できる職場にしなくてはならないという看護職としては大きな課題を抱えております。そして人々のニードにかなう看護を保障することがすなわち人々、患者さんを守ることになるわけですし、看護の質を維持するということ、さらに優しさと安らぎを患者さんに持っていただく看護婦の態度ということなども考えますと、これは数が少ない、苦しい、足りないだけでなくて、看護業務の改善が必要だと考えているところでございます。
 それから、次に考えられますことは、養成力の強化でございます。
 看護婦が誇りと自信を持って仕事を続けられるようにいたしますのには、看護教育のレベルアップが必須条件と考えます。本年の看護系大学の受験率を見ますと、前年より大幅に高くなっております。これはレギュラーコースよりもはるかに上回る数でございます。十八歳女子人口が今後急速に低下していく傾向にございますので、その中から看護職を希望する人を確保するためには、高学歴傾向に対応した大学化の促進ということが必要でございます。また、看護婦不足は量的な解決だけでなく、変貌する医療ニーズや健康ニーズにかかわる看護の専門職としての革新的な向上を私どもはみずから考え、努力しているところでございます。時代の要請に対応していく能力、看護の基礎教育は技術中心だけでなく人間科学を中心とする高度の自立性や判断力を養うプロフェッショナルな教育が必要ではないかと思います。そしてただいま申し上げましたように、医療従事者としての自信と誇りを持つ心豊かな人間性、全人間的な看護婦在養成しなくてはならないと思っているところでございます。
 看護協会では看護教育のレベルアップヘ向けての活動を展開しておりますが、時間の都合上御質問の折にお答えしたいと存じております。
 それから最後に、潜在看護婦の活用でございますが、これは本年度ナースバンクがセンターに昇格をいたしまして、国家的な予算も確保できました。それによりまして私どもはより潜在看護婦の活用ができるのではないかと希望を持っております。
 現在、ナースバンクに登録をしている看護婦を見ましても、長期離職者の再就職はなかなか難しいといいながら、先ほど申しましたように、条件が整えば五八%は再就職をしたいという希望を持っております。そういう方々が再就職いたしましても現職の人に引けをとらないように、私どもはリフレッシュ教育をしながら再度の離職防止に努めたいと思うところでございます。
 このように、今までのことを考えてみますと、就業しているその意欲は高いけれども、労働条件の厳しさが現実に看護職員の就業継続を難しくしている。そしてまた退職をした理由を見ましても、仕事内容に不満があるということがございます。やはり私どもは看護職として誇りある職場ということが大切ではないかなと思うわけでございます。
 今回の人材確保法案の立法化ということが実現いたしますと、私どもは看護の今後の方向を決定する上で重要な指針となると思いますし、看護を実践する者への自信と能力を育てる基本的な構成要素にもなると存じます。さらに看護職の身分の保障、そして一般の人々の看護の役割への認知と評価にもつながるのではないかなと存じます。そして、そのことが看護を誇り高い職業として看護という職業をライフワークとする人々がふえてくるのではないかと私どもは期待しているところでございます。
 どうぞ、先生方、この法案を立法化していただきたいと存じます。お願いいたします。そして、立法化の上で適切にこの法律が運用され、実効あるものとなりますように期待し、お願い申し上げます。
 終わります。
#7
○委員長(田渕勲二君) どうもありがとうございました。
 次に、坂上正道参考人にお願いいたします。坂上参考人。
#8
○参考人(坂上正道君) 坂上でございます。こういう大事な厚生行政の委員会にお呼びいただきましてありがとうございました。
 私自身は、今有田会長が述べられましたことの裏づけになるような具体的なお話を申し上げたいと存じますので、私の経歴をまず紹介させていただきたいと思います。
 私は、二十六年に慶応の医学部を卒業いたしまして、約二十年間慶応病院におりまして、それから北里大学に移りました。小児科医として活動しておりましたけれども、北里大学に看護学部ができましたので、私は看護学部の教授になりました。そして看護学部の教授として大学病院長を兼ねていたと、こういうような経歴でございます。
 その中から教えられました現実のナースの姿でございますが、ある日、小児科医である私のところへ白血病で亡くなった方のお母さんが来られまして、私に話をいたしました。その話というのは、実は自分の娘が白血病で寝ておりますときに、なかなか眠れない、そこヘナースが来て本を読んでくれた。そして本を読んでくれるのを聞きながら子供は眠りに入った。しかし痛みに耐えかねてふとまた目が覚めてみると、まだそのナースがわきに座っていてくれた。そのナースは絵本を読むだめだけに座っていたのではないということがわかりまして、子供はそのナースに非常に感激をした。ナースには子供をみとるという心がありますから、ただ本を読んで寝かせるという営みではなかったということであったそうでありまして、最期まで子供がそのことを感激をしていたということを伝えてくれました。私は、そのナースの表に出ない心のこもったケアができる能力に大変感銘を受けたわけであります。
 そういう表に出ないナースの心のこもった行動というのは実際にたくさんあるわけでございまして、単なる制度の上だけの問題ではない、そういう心の養われたナースというものが実際に生まれておりますし、またそれが育てられることが大事な問題であろうと思います。
 ノートルダム大学の学長の渡邊和子さん、大変すぐれた方でいらっしゃいまして、二・二六事件のときに銃弾に倒れた渡邊さんのお嬢さんでありますけれども、その方が学長をしておられたときに、お母様が急に倒れたそうであります。そして教務のために上京できない。明くる日病院に参りますと、母がこんこんとして眠っていた。そのときに病棟の婦長が渡邊和子さんにこういった話をしたそうであります。
 自分の経験した話であるが、実は、ある男の人が重症になって危篤状態になった。そのときにまくら元で葬式の相談を家族がし始めた。それを聞いていた夫は、危篤ですから何も聞こえないように見えるんですが実は全部聞こえていたそうでありまして、回復した後でその婦長に言うには、もし自分の妻がその葬儀に加担していたら私は死んだだろうと。そのときに妻が、この夫は大事な夫です、葬式の相談は死んでからにしてくれと言った。そのことが聞こえたから自分は生き返ったんだということをその婦長に言った。
 その話を使いまして婦長が渡邉和子さんに、あなたのお母さんはこんこんと眠っているけれども一生懸命しゃべってごらんなさい、そうすれが必ずお母さんにはあなたの気持ちが伝わりますよと言った。渡邊学長はそのことを、ナースというものは大したものだ、自分の体験の中から学んで、教育を施している学長である者にそういう生きた話を教えてくれた。ナースが体験を積んでいくということは大変な行為であるということを教えてくれました。
 ナースというのはそういう職業でありまして、制度の上でいろいろ言われますけれども、先ほど申し上げましたように、心の問題というのは表に出ないデータとして積み上げられていくものであります。
 阪大に医学概論を興されました澤潟久敬教授が、「医学概論」という本を大変古いときにお書きになりましたけれども、その中で私の忘れられない言葉があります。というのは、医者とナースと患者は三つ葉のクローバーであるという言葉でありまして、医者はテクネー、キュアという立場に立ちます技術を主に使いますけれども、ナースは患者とその技術を施す医者の間に立ちまして両方をシェアしながら、カバーしながら患者の気持ちを医者に伝え、患者のデータを医者に伝え、そしてまた医者の気持ちを患者に伝えている、そういう大事な位置にあるということを既に二十数年前に言っておられます。
 医療の中で、医学はテクネー、技術を使いましてキュアの立場に立ちますけれども、ナースは主として自分の専門の力を使いましてケアの立場に立ちます。毎々言われますように、キュアとケアという両面がありませんと医療は健全にならないわけてあります。聞くところによりますと、ケアという言葉はギリシア語のカーラーから出たそうでありまして、ギリシア語のカーラーとは悲しみをともにするという話源だそうであります。看護学というものはそういう本質を持っております。それがゆえに看護の仕事に徹底した方のある一つの言葉が私の胸を打つわけであります。
 それは湯槇まささんとおっしゃいまして、聖路加をお出になりましてナイチンゲール賞をお受けになった方でありますが、その方が「グローイングペイン」という大変すばらしい本を書いておられます。そして、今のようなナースの仕事を貫徹したお立場でお述べになっておられる言葉でありますが、
 いま、こうしてこの歳月をふり返ってみる時、私の思考を捉えて離さないものは、そうした時代の変化のなかにあって変化しなかったもの、おそらくはこれから先も変わるべくもないもののことです。変わるべくもないもの、それは、看護とは人間が人間の苦しみを助けようとできる限りの働きかけをする、人間の、人間社会の、きわめて自然な仕事であり、良い仕事、祝福さるべき仕事、喜びのある仕事である、という真実です。
という言葉であります。
これは恐らく湯槇さんが実践の中で積み上げた御自分の集積の最後の言葉としてお残しになった言葉であろうと思います。
 さて、医療はニーズも変化いたしまして、また高度化いたしております。したがいましてチーム医療というものがどうしても必要である。医者だけでは医療ができません。ナースも含めましてはかのコメディカルとともに医療を行わなければならないわけであります。
 その医療の高度化と申しますのは、現在主要死因というものは脳血管障害、悪性新生物、循環器疾患ということになっておりますけれども、さらに入院、外来の状態から見ますと、入院の患者の中では精神障害が多い、脳血管疾患、それから損傷及び中毒、悪性新生物、こういう四つになります。そして、こういう疾患は老齢の方がそういう疾患を担っておりますので、単なるそういう一疾患にとどまらず、複合しながらいろんな疾患を持っております。したがいまして、高度医療というのは、単なる一つの疾患ではなくて多くの疾患が重複しながら存在しているものに対する医療でございますので、多くの職種の協力が要ります。後刻、福祉のお立場の方の御意見もあるようでございますが、ドクター、ナース、それから福祉の方々も含めたそういうチーム医療が必要であるということであります。
 そして、この医療の中にはすさまじい医療が展開するわけでありまして、未期医療における治療をどうするかということにつきましては、今の問題にかかわる問題でありまして、そのことにつきましても日本医師会は、末期医療のあり方ということにつきまして、患者の意思を尊重するという立場の意見書を出しました。
 そのほか新生児の世界におきましても、技術の進歩によりまして普通ならばこの世に生まれてこない生命があらわれてまいります。そういたしますと、その生命に対してそれを維持すべきか維持すべきでないかというような、そういう意思決定の必要な医療が展開をいたします。そういたしますと、医師及びナースその他の職種は同じような立場に立ちましてディスカッションをして、チームとしての意思決定をしなければならないということであります。今、有田会長が看護教育の高度化ということを言われましたのは、そういうナースが加わってくるようになりませんとチーム医療の意思決定ができないという事実が現在もあるということでございます。
 しかも、そういうナースになることを希望する女子が少ないのかと申しますと、決して少なくはございませんで、私どもの看護学部におきましても推薦入学、一般の入学におきましてまさに入学の定員数の二十倍に近い志願者があるわけでございまして、決してナースを志望する女子が少ないということはないのであります。そこに受け皿がちゃんとしておれば、高度のいい教育を受けたナースを生み出すことができるわけであります。
 ただし、このことは急ぐことができない。すなわち、先生の養成がおくれているという現状にありまして、看護学部における特に看護系の教授を集めるということは大変至難のわざでありましで、このことは私が看護学部をつくりましたときにも体験をしたところであります。したがいまして、時間のかかる問題ではありましても、明瞭な戦略を設定いたしまして、その行動計画を十年なら十年の間にきちんと立てていくということが必要であります。今回も予算において手厚く扱われております看護の問題でありますが、これがいっときに終わらず、どうぞ積年の努力で積み上げられるような御配慮をいただくようにお願い申し上げたいと思います。
 日本医師会では、社会構造をケアリングソサエティー、すなわち支え合っていく社会構造というものをつくる。そのことによって医療、看護が健全に育つということを提案もいたしました。したがいまして、今、社会構造全般が自分の老後を思い、お互いにケアし合うソサエティーになるという根本的な変化を社会にもたらすべきであるという提言をいたしたわけでありまして、単に看護問題だけを抽出いたしましてもそれは解決の道は遠いであろうというふうに思います。
 どうか議会におきましても十分な御論議を賜りまして、この今回の政策が一つの意味を持つわけでありますが、さらに永続的にこういうナースの養成その他につきまして御配慮をいただければありがたいと思います。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(田渕勲二君) どうもありがとうございました。
 次に、板山賢治参考人にお願いいたします。板山参考人。
#10
○参考人(板山賢治君) 参考の意見を申し述べます機会を与えていただきましたことを大変光栄に存じます。
 私は、今回の二つの法律の改正案につきまして、全面的にこれを支持し、そして早急に御審議の上成立を期待する立場から、所感の一端を申し上げてみたいと思います。
 私ども社会福祉に従事します全国の関係者約八十万人という立場に立ってその成立を御期待申し上げたいと思うのでありますが、この八十万人という人々は、全国七十七種類五万一千カ所余りの社会福祉施設で働いております約六十二万人の人たち、そして三千二百五十市町村で働いております四万人余りのホームヘルパー、さらには法人経営者など地域福祉の担い手としての三千三百六十六市町村社会福祉協議会などで働いております人々、合わせて八十万人という数であります。
 これらの人々は、今、坂上先生からもお話がありましたように、国民の暮らしとそして命と人権を守るために、よりよい幸せを守るために一生懸命働いておるわけでありますが、長い間なかなかにその働く条件あるいは養成、採用その他につきまして十分な状況に置かれておりませんでした。ただ、施設運営につきましては、公的な財政措置、措置費というお金でその運営が賄われるという基本的な条件がありましたので、国の行財政の状況等でその実態というのが左右されるという現実にあります。
 今お話がありましたように、人の命を大切にし、そして人の幸せを守るという社会福祉の活動は、新しい時代を迎えて、今、二十一世紀への対応も含めて極めて重要な段階に到達しております。社会福祉は人である、人の生活をめぐる諸問題に対しまして人の手を通して必要なサービスを提供する、これが社会福祉の本質であるということに着目されまして、今回の二法の改正が政策課題として登場したことを大変に私どもは喜んでおるのであります。
 この人の生活をめぐる諸問題への対応でありますが、その対象とされるサービスを必要とする人々は、寝たきりのお年寄りでありましたり、重度の障害者でありましたり、あるいは保護者を持たない子供たち、あるいは精神的、身体的、環境的な理由で通常の生活を営むことに大変困難な人々でありまして、その数は私の推計によりますと一千三百万人ぐらいになる。国民の一割を超える人々がそのような状況にあるというふうにとらえておるわけでありますが、高齢社会への進捗の中で、要介護高齢者や重度障害者はますます増大をし、そして対象者の意識も変化し、さらには高学歴社会、成熟社会を迎える中で、新しい自立生活を求める人々の動きや、よりよい生活を求めるそんな動きの中で、社会福祉の任務、取り組む人々の質と量とが問われるようになってきております。
 恐らく、厚生省が二十一世紀社会に対応するためにということでおつくりになりましたゴールドプラン、このゴールドプランの進行の中で新たに必要とされる人々も四十万人というふうに言われておるわけであります。施設対策なり在宅サービスを担うために新たに必要とする人々がこの十年間に四十万人ぐらい得られなければいけないというような数字も出ておるわけであります。先ほど八十万人と申しました人々は、いずれ十年後には百二十万という量的な拡大も見なければいけない、そんな状況の中で今回この法改正が計画されましたことはまさに時宜を得たものだ、このように思うのであります。
 最近におきます社会福祉の現場の人をめぐる問題をちょっと御紹介を申し上げておきたいと思います。
 これは全国的な調査あるいは一部の都道府県等の調査から得たものでありますが、全国に五万を超えます社会福祉施設がありますが、最近その三〇%余りが職員を得ることができない、欠員という状況の中で苦労をいたしておるわけであります。特に重度の介護施設であります特別養護老人ホーム、身体障害者の療護施設、一部都市におきます保育所などで人手不足が強く叫ばれております。職種の面では寮母、保母そして看護婦さん、さらにセラピストと言われる療法士などの人手が足りない、こんな状況が強く訴えられている状況にあります。また、社会福祉施設経営者の声を聞きますと、今後の職員採用につきまして見通しが暗い、大変厳しい状況であるという人々が七五%に達しておるわけであります。
 それでは、人材確保のために何が大切なのかということを問うてみますと、一つはやはり給与、労働条件の改善が大切である。宿直を必要とする、夜勤を必要とする状況、これは看護婦も同様でありますけれども、介護を要します老人ホーム等はまさにその状況が同一の状況に置かれているわけでありまして、そうした中で努力をいたしますためには、勤務時間あるいは職員の配置基準、そういったことを通して、休みもとれる、ほどほどに給与もと、こういうふうな希望が強いわけであります。勤務時間の軽減というものも大切であるということを言っておる人たちが四分の一ぐらいおるわけであります。
 さらに、社会福祉の職場のイメージアップとか、あるいは養成大学等との連携を通して就労体制をしっかりとつくらなければいけない、あるいは結婚をしてやめておる人々の再開発といいましょうか、研修体制などで新たに参加をしてもらう努力も必要であるという声も強いのであります。今回の法改正がこういった問題に対して手を打たれるというその方向を示されておりますことに強い期待を持っておるものであります。
 特に、最近におきまして社会福祉施設あるいは在宅福祉の現場におきまして、その中心になります施設長でありますとか主任の指導員でありますとか主任の寮母さん、主任ヘルパーなど、いわゆるキーパーソンと言われます人々に対します専門的な資格、理論、技術、そういったレベルアップが強く求められている状況にあります。これはまた増大する対象者の人たちのためにチームプレーでもって対応しようということが強く主張されますし、人手を確保するためには朝、昼、夜、そういった状況の中で、パートなども含めて多様な就業形態を必要とするという現場の実態もあります。しかし、絶えずその中心はお年寄りや障害者、子供たちの人格を尊重し、その問題に対応するために専門的な勉強をしたキーパーソンが必要であるということを忘れてはいけないのでありまして、これらの人々の確保もまた大切である、このように言われておるのであります。
 しかしながら、福祉系大学、現在七十三校ほどありますけれども、八千人の卒業生があるといいますけれども、その半数を超える人々が、せっかく激しい競争試験をパスして福祉の勉強をしてくれた人たちが福祉以外の職場に就職をしてしまうという現実があります。また、保母の養成短期大学が二百校近くあるのでありますが、その二万八千人の卒業生の中で四三%に及ぶ人々が保育以外の職場に流れていってしまうという現実を私たちは厳しく見直さなければいけないと思うのであります。
 小中学生などは将来何になりたいと聞くと、保母さん、幼稚園の先生と答えてくれるのであります。そしてまた親も子供たちが将来なってほしい仕事は何かといいますと、保母さんなどはいいなとおっしゃるのでありますが、だんだん成長して大学卒業するときには他の職場に移っていくという現実は、保育や社会福祉の現場への理解、認識の不十分さもありますが、受けとめる体制の不十分さをも物語っているように思えてなりません。
 また、民間福祉施設、全国で今二十三万人ほどおるのでありますが、一年で三万人を超える人々が離職をしているという事実、しかもその退職者の年齢は三十四、五歳、平均勤続年限が五年ぐらいでやめていくという事実を私たちもまた見直していきたいものだと思っておるわけであります。この若い人々が退職していくという事実はまことに残念でありますけれども、同時に福祉の現場が男子一生の職場、時に女子一生の職場でないという声すらも今聞くのであります。もちろん、一法人一施設というふうな零細事業とでもいうべき社会福祉法人の実態を考えますと、将来性、ポストの問題、人事異動、そんなことも含めて大変複雑な状況があります。これの解決が必要でありますけれども、こうしたものへの対応を急がなければいけないというふうに思っておるわけであります。
 私ども社会福祉関係者もこうした実態と課題というものをとらえまして、実はここ数年来一生懸命取り組んで努力をしてまいりました。お手元に小冊子をお配りをいたしております。「福祉従事者確保に関する緊急提言」、この一ページの一番下に載せてありますように、私たちはこの緊急提言の中で、社会福祉法人等施設を経営し社会福祉事業を経営する者が福祉従事者の勤務条件改善への熱意を持って取り組まなければいけない、そのために「勤務条件等改善目標・十か条」というのを定めました。これは後ほどごらんをいただきたいと思いますが、昨年の十二月、二年余りの検討を通して、社会福祉事業経営者自身が反省をし、そして近代化への努力をしなければいけないことを幾つかみずからの反省を込めて取り上げております。
 第二は、社会福祉法人等の関係者が共同して福利厚生事業や職員の募集、研修などに取り組まなければいけない、そんなことをみずからの提案として関係者にぶち当てたものであります。
 そして最後に、こうした従事老の勤務条件等を改善し、その確保を促進するためには、法律面での整備や、国や地方自治体の各種施策の御努力をいただきたい、こういうふうにつくり上げているものでございまして、今社会福祉の現場が直面しております実態の一端をごらんいただけるのではないかと、御参考に供したのであります。
 さて、今回の法改正でありますが、社会福祉事業法の改正の中で基本指針を国がつくられ、社会福祉事業経営者等にその実施を指導し指示していくという、こういうことがあります。これは私どもがつくりました緊急提言の十カ条に沿うものでありまして、私ども関係者も一生懸命その実現に向けて努力をしていきたいと思いますが、この基本指針の内容が法律上はまだ明確でありません。今後の検討に当たられましては、民間社会福祉関係者の実態をしっかりととらえていただきまして、関係者の意見も聞きながらお決めをいただきたいものだ、このように思うのであります。
 また、施設経営というのは、先ほど申しましたように公費に大きく依存しております。この措置費等を含む財政的な裏づけにつきまして十分な配慮が必要ではないかと思うのであります。
 また、福祉人材センターの規定がありまして、中央、地方に設置することはまことに適切でありまして、これを大いに歓迎をいたしますが一地方センターの場合、やはり人材を確保しますと同時に、そのレベルアップのための研修部門でありますとか情報あるいは経営指導といった部門の一体性を確保した形でこの人材センターの実現を図っていただきたいと思うのであります。都道府県等に対します指導を十分に含みながら考えていただきたいものだと思っております。
 福利厚生事業の充実につきましてもまことに適切でありまして、小規模の社会福祉法人等が共同事業としてこれを行う、そのきっかけをおつくりいただくことは大変大事なことでありますので、歓迎をいたしております。
 なお、社会福祉施設職員の退職手当共済の問題につきましても、範囲の拡大は今後さらに御検討の上、ヘルパー等介助従事者にとどまらないで幅広く地域福祉を支える人々をも対象に含めていただきたいものだと思っています。
 なお二つだけつけ加えます。
 一つは、社会福祉従事者の八五%、約六十万人は女性であります。今後、二十一世紀に向けても。ゴールドプランの進行等、女性の力に頼るところが大きゅうございます。育児休業問題でありますとか介護休暇の問題でありますとか、保育所の問題等関連施策が十分にこれにタイアップいたしませんと、この法改正をもってしてだけでは人材確保対策として不十分だと思うのであります。女性一生の職場に社会福祉の現場がなりますように、ぜひ内容充実をお考えいただきたいと思うのであります。
 第二に、社会福祉施設等の経営母体は一法人一施設というふうなことに象徴されますように、まことに財政的にも不備な、極めて脆弱な状況にあります。共同事業として取り組む福利厚生問題などを含めましてこの財政的な裏づけ、そういったものが相伴いませんと、仏をつくって魂入れずになるのではないかという危惧をいたしておるわけであります。
 法改正が一日も早く実現をし、二十一世紀福祉社会へ向けての人材確保のために基盤整備のスタートになっていただきますことを心からお願いをいたしまして終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#11
○委員長(田渕勲二君) どうもありがとうございました。
 次に、小笠原祐次参考人にお願いいたします。小笠原参考人。
#12
○参考人(小笠原祐次君) 小笠原でございます。このような場で福祉マンパワーの意見を述べる機会を与えていただきまして感謝申し上げます。
 私は、主に現在は日本女子大学の教員をしておりますが、精神薄弱児施設あるいは老人ホームに勤務をしていた経験があるということを含めて、現場の職員の問題をやや具体的に述べさせていただきたいというふうに思っております。
 昭和六十二年に社会福祉士・介護福祉士法の制定が行われまして、専門職化が進められ、初めていわゆるホームヘルパーあるいは老人ホームの寮母という職員がケアワーカーとして専門職化された意味は非常に大きいと私は思っております。さらに今回、人材確保についての法制化が進められますことは、社会福祉施設あるいは社会福祉の現場にとってのマンパワー問題を解決していく上で非常に大きなステップになると思い、大きな期待を抱いております。
 先ほど板山先生から、福祉は人だということをおっしゃいましたけれども、私も実際、知恵おくれの子供たちとともに暮らし、あるいは特別養護老人ホームで主に寝たままの状態のお年寄りと生活をしながら、お年寄りあるいは子供に対するケア、つまり仕事が直接に体や心に対しての働きかけだということです。直接に体や心に働きかけていくのは人でしかできないことです。私も実際に、ほとんど食べることができないお年寄りに食事の介助をいたしましたけれども、例えば初めにお茶を飲むのか、あるいはおみおつけを飲みたいのか、おかゆにしたいのか、この第一の出発点は、これはお年寄りの気持ちを聞かなければなりません。ですから、介助。ロボットではまずできないことです。しかも直接に体に触れ心に触れていく場合には、精神的あるいは情緒的な関係が非常に大きく作用いたします。これは家族が家庭で世話をしているときでも全く同じです。そういう意味で言えば、継続的に続けて世話をしていかなければ心を開くということができません。
 かつて、養護施設に勤めていた職員が子供たちからこんなことを言われたといってつらがっておりました。先生たちどうせやめるんだろう、どうせやめるんだから僕たちのことをきっとほっておくんだろうな、そういう気持ちを暗に含めております。つまり僕たちは施設から逃げることはできない、親もいないうちに帰っても親に世話してもらえない、だから施設を逃れることはできないけれども、先生たちは施設から逃げることができるんだろうと言っているわけですね。つまり先生たちが、職員たちが長くその施設に勤務し続けることができなければ子供たちの心をいやすこともできないということです。
 ところで、社会福祉施設に限って申し上げますと、昭和三十五年にわずか八万人ばかりであった職員が平成二年では約六十万人に達しておりまして、その伸び率は大変大きなものです。私も昭和四十年ころに精神薄弱児施設に勤めておりましたけれども、そのころから比べれば現在の社会福祉施設における職員の生活条件あるいは労働条件はそれなりに改善されております。当時、私は週に三回宿直をしておりました。現在は月に三回くらいですから、その開きは大変なものです。あるいは給料の面でもそれはそれなりに改善されております。それから子供たちやお年寄りの生活条件も大きく改善されております。そういう意味で言えば、社会福祉が年々拡充されていることも事実です。
 しかし、一般の職場と比べるならば、その格差は余りにも大きいということは歴然としております。つまり社会福祉の条件はよくなったけれども、あわせて一般の企業、一般のサラリーマンの条件、生活がよくなっておりますので、その格差はそれほど狭まってはいないということです。そのことが、今も板山先生が述べられましたけれども、社会福祉系の大学あるいは専門学校を出た生徒たちが二割、三割程度しか福祉の職場に行かないということになるわけです。
 実際、私が現在理事をしております民間のある老人ホームの場合でも、昨年一年間、一応東京都で定めた職員の配置人数に比べて一、二名が常時欠員状況でした。四月の段階で欠員だというのは約三割くらいの施設であるというのは板山先生の述べられたとおりですけれども、個々の施設に当たってみますと年じゅう人が足りないということがあります。いま一つの施設の場合には、調理員がしょっちゅう欠員だということが起こっております。つまり余りにも労働条件がほかの職場と比べて悪い、そのためにほかの職場との比較の中で職場を選んでいくわけです。
 私は、福祉の職場ももう今や普通の職場と同じになってきている。つまりある限られた奇特な人だけが働いている職場ではなくなっている。そのことに着目をしながら私たちは社会福祉の職員の確保の問題について考えていかなければならないだろうと思っております。
 さらに、もう一つ大きいのは、先ほどこれも板山先生がおっしゃいましたけれども、社会福祉の職場というのは零細企業です。そのために、職員の求人にしても欠員が生じなければ求人ができません。二月か三月になって初めて求人をすることができる。もうそのころには大学生たちは職場が決まってしまっております。そうした形での言ってみれば求人、求職のミスマッチが零細企業としての福祉の職場から起こっている。その点で今回の人材確保法案の中における福祉人材センターの役割は極めて大きいであろうというふうに考えられます。
 私もある大学の教員をしておりまして、その教員をやめて老人ホームの職員になりました。子供たちにとっても妻にとっても大変な決断であったし、その支えがなければそういう乱暴な選択はできなかったんですけれども、現に私の給料は大学の教員の約三分の一に減額いたしました。それが社会福祉職場の現実です。そういう選択をしなければ社会福祉の職場で働き続けることができないという現実をどのようにするのかということを抜きにして、私はマンパワーの確保が十分に行えるとは思っておりません。
 その次に、社会福祉の職場で非常に大きな問題は、タイトルがなくて申しわけございませんけれども、お手元にIVの@と書きました資料の右下にDという表がございます。この資料を後でお読みいただければおわかりいただけると思いますが、学生や退職した職員の職場についての希望は、「社会的に意義がある」、あるいは「人間性が学べる」、あるいは「ゆとりある仕事を」、つまりいい仕事をしたいというのが社会福祉の職場を目指す職員たちの第一の願いです。しかし現実にはいい仕事ができないという実情があります。
 それは、今見ていただきましたDの表の左にBという表があります。これは私が現に勤めておりました施設の実際の仕事の流れです。例えば朝八時から九時の間に食事の介助をいたしますが、夜勤あるいは日勤というような仕事のローテーションの関係でちょうど朝の食事の時間には職員が六人しかおりません。普通は夜勤明けの職員がオーバー労働で二人残ってくれまして八人で援助いたしますが、そこに書いておきましたように、食事を全面的に介助しなければならないお年寄りが十四人、ところがそれに対して職員は六人しかいないわけですから、その六人すべてが全部介助しなければならないお年寄りに全員つくわけにはまいりません。つまり残された九十六人のお年寄りがおられるわけですから、そのお年寄りに対する配ぜんや介助も必要なわけですから、職員が二人も三人もの全面的な介助を必要とするお年寄りに対する介助をしなければならないことになります。お一人の介助は優に三十分以上かかります。そのために、事務職員、私は副園長をしておりましたが、副園長も朝の食事の介助に当たるということをして私たちはそれをしのいでいくというのが現実でありました。
 その結果、実はもっとゆっくり食事の介助ができればお年寄りも落ちついて食事ができるんだけれども、しかし手が足りないために、言ってみれば口の中に食事をどんどん入れていくということしかできないという実情が現にあります。そういう中でいい仕事がしたいと思ってもいい仕事ができない実情があるわけです。
 さらに、日常的に言いますと、本当に片時も気を緩めることができない状態や、あるいはお年寄りが声をかけても、子供たちが声をかけても、その声にすぐに対応してあげることができない実情があります。ですから行き届いたケアができない。お年寄りとゆっくり話すことができない。例えばお年寄りが買い物に行きたい、外の空気を吸いたいと言っても、職員がいないためにせいぜい月一度くらいの買い物外出しかできない。人が生きていて、今の世の中で外に買い物に行くというのが月に一度くらいしかできない。しかもそれは百十人のお年寄り全員にできるわけではないのです。
 どうしてそのようなことがあるのか。それは、実を言いますと職員の配置の問題にあります。これは先ほど言いましたように、福祉は人である、人でしかできないわけです。人を通してしかできないお世話であるだけに、職員がどのように配置されているかということが決定的に重要であるわけですが、今見ていただきましたBの上のAという表にありますように、職員の配置基準、これは国が示す基準でありますが、例えば特別養護老人ホームの五十人の定員の施設では、一九七五年、昭和五十年以降、実は配置基準が変わっておりません。これは財源的な措置、つまり措置費が十分ではないということを含めてそのようになっているわけです。
 それはCの表を見ていただくと、これは私が訪問いたしました北欧の国との比較ですけれども、北欧の国と我が国との格差に愕然といたします。
 このようなことが現実に進むことによって、いい仕事ができないだけではありません。人数が少ない、そのために二十四時間の勤務のローテーションで言いますと夜勤が多くなる、あるいは準夜勤が多くなるということです。それから、もちろん休みがとれない。落ちついて休みがとれない。そのために健康を損ねていくという悪循環があります。
 さらに、いま一つの要素としては給料が安い。仕事に見合うだけの給料がそれほどは出ていない。これはお手元に配りました「埼玉県社会福祉施設職員給与実態調査結果」の概要のところにお示ししておりますけれども、この表を見ていただきますと、職員の給料の高くはない実態を読み取っていただけるだろうというふうに思っております。
 そうしたこと全体が実は社会福祉施設に対する、あるいは社会福祉の現場についての魅力をなくしておりまして、学生たちは社会福祉の現場に行くよりは一般企業に行くというようなことにはね返っているのではないのかというふうに思われなりません。
 最後に、私は福祉の職場が零細だというふうに申し上げましたけれども、福祉の職場の職員たちは、先ほどの看護の場合と同じようにそのまま仕事をし続けたいという気持ちをみんな持っております。しかし、さまざまな事情で仕事をやめるわけですが、零細であるためにそこをやめた職員がどこにいるのかという情報はほかの施設、現場ではわかりません。ですから、そのためにどのような職員がどこでやめてどこにいるのかということの情報をもしどこかでキャッチしてくれたら、恐らくその職員を潜在職員として確保することが可能になるだろうと思われます。その意味で、福祉人材センターが中央、都道府県に設けられることは非常に重要なことだと私は思っております。
 さらに、例えば非常勤の職員を確保しなければならない事情がありますが、非常勤の職員を個々の施設や現場で採用するのは非常に困難をきわめております。そのときにそういう人材センターがありましてそこで調整することが可能であれば、これは恐らく現場では大変助かることになるだろう。突発的な病気であるとかあるいは忌引であるとか、そういうときの突発的な人員確保のためにこの人材センターは大きな役割を持つのではないかというふうに思っておりまして、ぜひともこのあたりの内容も含めて充実させた人材確保法案をおつくりいただけることを願っております。
#13
○委員長(田渕勲二君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの御意見の聴取は終わりました。
 これより参考人の方々に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#14
○前島英三郎君 参考人の先生方、大変きょうはありがとうございます。
 私は自由民主党の前島英三郎でございます。私と清水嘉与子委員がきょう参考人の先生方に御質問をさせていただきます。
 まず、板山参考人にお伺いしたいんですけれども、厚生大臣が基本指針を定めることとなっておるわけでありまして、民間の立場から、この指針で定める中身といたしまして何が一番肝心であるとお考えでございましょうか、まず冒頭伺いたいと思います。
#15
○参考人(板山賢治君) この基本指針は、法案によりますと内容的にまだ明確でありませんが、就業の動向に関する事項とか、あるいは事業経営者に対しまして処遇の改善、資質の向上、あるいは新規の職員の確保に資する措置、そういったことをこの基本指針で示し、かつ、その適正かつ有効な実施を図るために必要な措置を決める、このように書いてあるわけです。
 私はこの際、先ほど来お話がありましたように、社会福祉施設経営者の実態あるいは在宅福祉サービスの事業主体というものの実情について行政当局がしっかりと実情をとらえていただきまして、指針の策定に当たりましては関係者の意見を聞きながらも、二十一世紀、将来における人材確保のために何が大切かをお考えをいただきたいと思うのであります。
 その際、私は特にゴールドプランに典型的に象徴されますように、あのゴールドプランというのは二十一世紀に向けて長寿社会対策を初めてと言ってよいほど年次計画で具体的な数字を示した計画が提示された。すばらしいことでありますが、残念ながらハード面での計画プログラムは出されましたけれども、人材確保という問題についてプログラムは示されていないのでありますのでありますから、ぜひ政府としては、この基本指針策定に当たって各施設あるいは各地方自治体等を含めて領域別、職種別に人材確保の目標を具体的に年次計画としてお示しをいただきたいと思うんです。それがあって初めて都道府県や現場はそれに向けての人材確保のための努力ができるのではないかと思うんです。
 その際、もう一つつけ加えますと、この人材確保のプログラムをつくりますと同時に、従来どうも行政、政府当局の努力は建物をつくるとか事業を実施する、そういうための補助金とか財政的な支出はかなり積極的にお取り組みになりますけれども、福祉は人であるという、人ということについて、人件費は後回し、人件費に対してはタブーというようなニュアンスの予算編成への取り組みが見られたのではないかという感じがするのであります。その意識をぜひ改革をしていただきまして、社会福祉は人だ、施設の整備、建物などの整備と同様に人に対する財政的な手当てをしなければいけないのだということを明確に一つの方向として打ち出していただきたい。そんなことをこの基本指針策定に関して感じております。
#16
○前島英三郎君 小笠原参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 これからの社会福祉にとって、看護婦さんの問題は清水委員が専門家でございますから後ほどお尋ねすると思うんですが、いろんな意味、各種の専門家の動向といいますか働きといいますか、いわばその意気、心というものが確保の一つのかぎではなかろうかというような思いをするんですけれども、その確保のための方策として今何が一番大切だというふうにお考えでありましょうか。もし時間がありましたら、板山参考人にも同じ質問をさせていただきたいと思います。
#17
○参考人(小笠原祐次君) お答えいたします。
 私は、先ほども述べましたように一番重要なのは二つ、一番重要なのは二つというのもおかしいんですけれども、二点あると思います。
 一つは、社会福祉を目指す人々は、そこでいいケアをしたい、いい子供たちに育ってくれるように頑張りたい、そういう気持ちを持っております。ですから、ゆとりのある仕事、そこの中でいいケアができるような条件を整えていく。そのことによって、福祉の職場に行けばいい仕事ができるよと、まず一つ、そういうことが私はみんなの中に定着すること。そのための条件として言いますと、職員の配置基準を改善すること、これがまず第一の要件です。
 第二点目は、夜勤もあります、あるいは早朝勤務あるいは夜間の勤務、いろいろな変則勤務を持っておりまして、そういう一般の人々とは違う勤務をせざるを得ないということはわかっております。わかっている人々ですけれども、そのことに対する手当て、これは給料であるとかあるいは労働時間であるとか休日であるとかというようなもので手当てをしていかなければなりませんが、そういう点での労働条件、つまり一つは給料です。給料を少なくとも一般企業並みの水準にしていく、このことが私は非常に重要なことだというふうに思っております。先ほど人をふやすということを言いましたけれども、人をふやすことによって労働時間や休日のとりやすさは逆にまた確保できるわけですので、人をふやす問題と給料の問題、これが二つの大きなポイントではないか、そのように思っております。
#18
○参考人(板山賢治君) 若干補足いたしますと、もう一つ、福祉の現場で特に先ほど申しましたキーパーソンという人々は専門的な理論と技術を持ったそうした人々でなければいけないと私は思うのでありますが、これらの人々が、先ほど言いました女性一生の職場になし得る、あるいは男子一生の職場になし得るというのには、今おっしゃられた二つの条件プラス将来への可能性というものが大切だと思うんです。夢のある職場にしなければいけないと思うのであります。私どもはいつも、俗な言葉ですが、十年たったら主任さん、二十年たったら副園長さん、三十年たったら園長さんぐらいのような道筋が開ける福祉の現場にしたいものだと。これは、人材センターというのがつくられますが、将来、社会福祉関係者もみずからの経営のありようを含めて抜本的に検討をし、そして人事の交流がなされ、広域的に道が開けるような福祉の職場をつくっていけたらと、このように考えております。
#19
○清水嘉与子君 四人の参考人の先生方のお話を伺いまして、大変感銘を受けた次第でございます。と同時に、看護の仕事も福祉の仕事もかなり共通の問題があるということを改めて認識したところでございます。
 私は、少し看護の点につきまして質問させていただきたいと存じます。
 まず、有田会長の方から、実際に働いている看護婦の八〇%は働き続けたいという気持ちを持っている、そしてまた潜在看護婦の方々も五八%はもう一回再就職したいんだ、非常に勤労意欲が高いんだと、しかしそれが続けられない状況を何とかしなきゃならないということで、処遇の問題とか労働条件の問題をおっしゃいました。それはもう当然のことでございますが、このアンケートなんかを拝見いたしますと、仕事へのやりがいでありますとか、仕事への満足感でありますとか、あるいは専門職としてのキャリアを評価されるとか、そういった問題についてかなり強い志向が見られると思います。
 そういう点で、一つに看護婦の卒後研修の問題があると思うんですね。今板山先生の方からもキーパーソンの専門資格の問題が出されましたけれども、まさに看護婦につきましても卒後研修の問題をどういうふうにして取り上げていったらいいのか。看護協会も相当盛りだくさんにこういう研修を行っておられますが、こういう研修の効果が一体実際の場でどういうふうに評価されているんだろうかという問題でございます。例えば、看護教員ですとか看護管理者というのはかなりコースができておりまして、一年のコースでありますとか、そういったコースを出てまいりますと現場でもかなり優遇措置がとられていると思いますが、あとは余りそういう制度がございません。現場ではプライマリーナースだとか、あるいは各分野の専門看護婦のような働き方も必要ではないかというような意見も出されておりますが、その辺についての可能性をまずお伺いしたいと思います。
#20
○参考人(有田幸子君) 看護協会の事業の大きな柱といたしておりますのは、看護職の資質の向上というものがございます。清瀬の研修センターでは、年間四千人弱の受講生を受け持ちまして三十八コースの研修をしておりますし、それからまた、ただいま清水先生のおっしゃいましたように教師の研修、看護管理者の研修もございます。しかし、三十六万の看護協会員の数からしますとそれだけではまだまだ足りないと思いますし、各研修部でも本部の研修方針に従って努力をしているところでございます。
 しかし、これを拡大するということで、現在、看護協会では、看護管理者の教育をする、働きながら特別に拘束されずに勉強できる、そしてライセンスが取れるような、いわゆる国からも認められ社会からも認められるような看護の管理者の教育が必要ではないか。先ほど申しましたように、専門的な知識、技術だけではなくて、全人間的なケアができるような判断能力、人格というものが必要でございます。
 そういうことで、婦長の補佐をするクラス、それから婦長クラス、副部長クラス、看護部長クラスのコースを今志向してございます。そしてこれを単位制として、その単位が終わった時点ではそれなりの試験、テストみたいなものをさせていただいて、国から認められる認定を看護協会で出したい。働きながら、そして自分の都合のいいときにお勉強できるということを考えているのが一つでございます。
 それからもう一つは、専門看護婦ということも考えてございます。これはただ一つの場所で長く勤務すれば専門看護婦でないことは言うまでもございません。例えば、小児科の病棟に十年勤めたから小児の専門看護婦ではないわけでございます。一定の教育、そしてそれに伴う期間というものが必要でございまして、これも昨年度から総会で会員さんと志向をしておりますが、カリキュラム、そして研修の期間、いろんなことを今計画を立てているところでございます。
 それからまた、厚生省の方から補助をいただきまして、現在の看護教員の資質を高めなくちゃならないということで四年間の計画をしておりまして、ことしは五百名の看護教員の養成をしております。その養成の中では医師会の看護学校の先生方が半数以上を占めているところでございます。私どもは、やはり看護の質を上げるのには充実した看護教育の強化ということが大切だと思っております。
 このように、看護協会として事業の大きな柱としているわけでございますが、この法案からも私どもが十分に資質を上げることができますように具現化されるような方策というもの、それには予算を伴うわけでございますが、国からも寛大なる御措置をいただきたい。そして私どもはより質の強化に努めたいと考えているところでございま
す。
#21
○清水嘉与子君 それでは、坂上先生にお伺いしたいと存じます。
 先生からは看護の心といいましょうか、看護の哲学を初めにお述べいただいたわけでございまして、そういうふうな看護を本当に実践したいとみんな望んでいると思いますが、実際問題として数が足りない、質が十分でないというような問題で大変苦しんでおるところでございます。
 先般、医療費の改定がございまして、看護婦にかなり今度は労働条件や何やかやを考慮した診療報酬の改定になったわけでございますが、この改定も含めまして、平成四年度の国民医療費が二十三兆を超えるというような発表もございました。そしてその医療費の改定の中で、当然のことでございますが、民間の特に中小の病院の看護婦の人たちにどれだけ処遇改善できるだろうかと大変期待をしているわけでございますが、その辺の問題があるわけでございます。
 先生がおっしゃいました看護婦の仕事というのは、大病院だけじゃございません。特に一般の住民の方々が直接接します開業医の先生方、あるいは中小病院のところでの看護婦さんの役割としても大きいわけでございますが、実はそこには非常に看護婦が足りないという問題がございます。この医療費の改定と、看護婦の、特に中小病院の看護婦の確保といいましょうか、その辺の問題につきまして、先生の御見解をちょっとお伺いしたいと思います。
 それともう一点は、今看護婦の問題というとどうしても養成の問題が、先ほどからも触れられましたけれども、今の養成の仕組みの中で、ある病院があるいはある一定の医師会が自分たちのところで働いてもらう看護婦をつくるというような色彩がまた強うございまして、その中に大変医療費を投入しているという実態がございます。こういう問題をやはり改善していかなきゃいけないというふうに思います。一つには大学の教育もありますが、一挙にはそこにまでいかないわけでございまして、その辺の問題につきまして、先生何か御見解がございましたら、お伺いしたいと思います。
#22
○参考人(坂上正道君) 先ほどの医療費の改定がどのくらい看護職員の給与の改善になるかというのは、なかなか難しい問題でございます。というのは、コメディカル、一般の人件費そのものへも配慮しなければならないということがございますので、看護だけに手厚くするということができにくい状況にあると思います。しかし、現状は看護の給与というのは中だるみでございまして、ちょうど三十、四十近くから寝てくるわけですね。その改善に関しましては各病院とも非常に努力をしていると思います。統制できませんので、結果のデータをとらなければ正確なお答えにはならないわけでありますが、諸所で聞きます各論としては、三十五、四十を超えたあたりのところの再就職、それからそこの離職を防ぐということはナースの人材確保上大事な問題ですので、そのようにいたしたろうと思います。
 しかし、医療費そのものが原価計算の立場に立っておりませんので、諸部門を計算いたしますと、薬剤部も放射線部も人件費によってマイナスを生じているというのが病院経営の実態でございますから、よしんば二十三兆になりましてもまだちょっと問題は残るのではないか。医療費の改定が三回ぐらい行えればあるいは本物の改善ができるかと思いますけれども、なかなか大蔵省は医療費をふやすという構えになってくれませんから、これはどうしても医療費の根本構造、パイの上げ方というものが行われませんとできない問題を含んでいると思います。
 医療費というものが大きくなる最も大きな原因は結局は人件費でありまして、これは欧米の病院に比べて日本の病院がコメディカルを含めまして人が少ないということのために経営が成り立っている実態がありますから、したがって人材を確保するということは医療費がやや大きくなるということの国民の理解が得られなければならない、根本的な問題があるというふうに思っております。それから、第二点の養成の問題でございますけれども、おっしゃいましたように、古来から病院が自分の後継者を養うという思想はあったんですが、特にナースの養成についてはそういう歴史的な歩みが深うございまして、いまだにそれを払拭し切れない。したがって、病院が自分の医療費の中から学校経営の経費を出しているということは。否めないところであります。したがって、看護婦の養成所につきまして何らかの補助が必要であろう。それから文部省系の大学その他であるならば、同じような大学の補助金というもので支えていただきませんと、ナースの養成のために医療費から。経費を出すということは、大げさな言い方をいたしますと不可能であります。その辺の学校経営の実態につきましてはぜひ御理解をいただきたいところであります。
 ありがとうございました。
#23
○竹村泰子君 四人の参考人の皆様、きょうは本当にありがとうございました。社会党・護憲共同の竹村泰子でございます。
 初めに、有田参考人にお伺いしたいのでございますけれども、看護婦さんの不足が叫ばれてかなりになります。先ほどのお話を伺いましても、この調査を拝見いたしましても、就業者の八割は働き続けたいと思っておられる、しかし四年ぐらいで半数がやめておしまいになるという現状があります。
 現場におられる皆様方がきょうもたくさん後ろにおられますけれども、私どもも今回この法案審議を通じまして、どうしたら皆様方の職場をもつと豊かな楽しいものにしていただけるだろうか、もっと楽に働いていただくことができるだろうかということを一生懸命考えつつ学ばせていただいているわけでございますけれども、先ほどお話を伺いまして、パートの看護婦さん、それから潜在の看護婦さんの方々の状況をどんなふうに考えておられるのか、もう少し詳しくお聞かせ願えますでしょうか。
#24
○参考人(有田幸子君) 差し上げました資料二にございますが、先生のおっしゃいましたように、年間に五万七千人の養成をいたしましてもやめていく方が四万人強かるということは、私どもは非常に問題にするところでございます。私どもは潜在看護婦の活用ということで、各県支部がナースバンク、ことしからはナースステーションということになりましたので、その中ではまた人材も確保できます。そういうことで、そういう方々が何が原因で再就職をできないのかということをより詳しく考えなくちゃなりませんし、また、なぜパートを選ぶのかということがあると思います。
 今までのデータを見ますと、六万人のナースバンクの登録がございましても、現実に現場に帰っていただけましたのはわずかに一万二千人、二〇%の成績しかございません。そういう中でパートの人が十分に安心してできますように時間帯ということと、それからもう一つはキャリアを生かすということも必要ではないか。例を申しますと、現場においては外科外来ばかりに入れる、そういうことをしましても、現にその方は違う科の方を専攻していたということがございまして、長くできないということもあります。
 それからもう一つは、パートということになりますと賃金の問題がございます。これは国の方も考えていただいておりますけれども、税ということがございます。この税のことでは御配慮いただきましたが、説よりも基本的な賃金を上げていただかないと、これはパートの看護婦さんが長続きしないのではないかなと私どもは考えております。パートの方々は非常にパートの賃金が安いために他の職業につく。例えばスーパーマーケットなどに勤めるということは看護職といたしましても大変悲しいことでございます。ですから正当な賃金ということを考える。そしてまた、パートで勤務をいたしましても、有子看護婦であるならば、その間その子供を預かる託児所の整備などが必要ではないかと考えているところでございます。
 よろしゅうございましょうか。
#25
○竹村泰子君 今ナースバンクのお話が出ました
が、いただきました資料を拝見しておりますと、ナースバンクヘの登録が、現在登録している方が一六・三%、過去に登録していたことがあるという方が七・三%、登録していないという方が六四・六%なんですね。ナースバンクを知らなかったという方が一〇・六%いらっしゃるんですけれども、この辺の宣伝と申しますか、ナースバンクの位置、存在というものをどのようにお知らせになっているんでしょうか。
#26
○参考人(有田幸子君) これは看護協会の方でもいたしておりますし、それから各県支部は広報として市の広報なども利用しております。しかし私どもはまだまだこれは十分に徹底していないということを反省させられます。
 それで、今度ナースセンターになりますので、人員も増加できますので、移動的なバンクの志向も考えているところでございます。ただじっといるのではなくて、こちらから出かけていって積極的に再就職をしていただくという方策も必要ではないかと考えております。確かに、まだそのようなことが周知徹底がおくれているということは反省しているところでございます。
#27
○竹村泰子君 潜在的な看護婦さんたちが職場に復帰なさるために、現存の養成学校や施設がこうした方々に門戸を開放して、そして再教育と申しますか、少し空白の部分を取り戻していただくための研修と申しますか、そのような。ことがもっとできるといいなと思いますけれども、そのことはどういうふうにお考えでございましょうか。
#28
○参考人(有田幸子君) 今回のナースセンターではそういう方々のリフレッシュ教育というものが考えられているということを先ほど申し上げました。確かに、せっかく再就職をいたしましても、医療が非常に高度になっていてついていけない、一緒に働いている看護婦さんは、もうこの人とだったら夜勤をしなくて一人でもいいとか、そういうようなこともあるわけでございます。ですから、せっかく再就職をしてくださった方々が安心して勤務ができますように、またお仲間に迷惑をかけないように、看護協会としてもこの教育というものを強めたいと認識しております。
#29
○竹村泰子君 ありがとうございました。
 坂上参考人にお伺いしたいと思いますが、私どもは素人でございますけれども、いろいろ見聞するところによりますと、お医者さん、看護婦さんという職業ですね、私たち外から見ておりますと、とってもあこがれのと申しますか、すばらしい職業に見えるんです。
 私もまた、母を三カ月末期的に入院、病院で最期までみとりましたときに、もう看護婦さんのお仕事の重要さというのを本当にしみじみとありがたいと思ったのですけれども、やはり職場の中におきましては厳然たる、何といいますか、職業の差と申しますか格差と申しますか、お医者さんと看護婦さん、それから正看と准看、あるいは付き添いをしてくださる助手的な補助的な仕事をしてくださる方たち。そういう中で、何か身分的な非常に格差が、かなり改善されてきていると思いますけれども、これまで医師はもう絶対の存在で、そしてその下に何かそういう格差があるような気がいたしますし、現場の方々にももうこれはどうにもならない意識というか、そういうものだというふうにお聞きすることもあるんですけれども、坂上先生はその辺をどういうふうに改善ができるとお思いでございましょうか。
#30
○参考人(坂上正道君) そのような印象を従来与えてきたことは事実でありましょうし、反省をすべき点が多いと思います。
 しかし、先ほど申し上げましたように、医療がチーム医療ということになりまして、患者さんの行く先の意思決定のために例えばクリニカルコンファレンスというようなチームをつくりますと、医師もナースもそれからソーシャルワーカーも一緒になりましてその患者さんの幸せのために合意を求めるべく意見を闘わせるわけでございますから、よしんば身分上の差がありましても、実質において差を感じていたようではこれからの医療はできないというふうに思います。
 現実に、アメリカが「ヘルス・ポリシー・アジェンダ」という有名な健康政策の提言をいたしましたときにも、決して医者、ナース、あるいはほかのコメディカルという職種を専門別に個々に言っておりませんで、全部ヘルスプロフェッショナルズという言葉で一括しております。すなわち健康に関与した専門職ということで一括しているぐらいでございまして、これからの医療が健康を目指す、あるいは健康を回復すも医療、それから福祉にも関与していく医療に構造を変える時代に入りましたならば、今御指摘のようなヒエラルキーを持った構造ではとても医療をやっていけないということでございます。
 現在はそういう現実にぶつかっておりますから、改善はいたしつつございますけれども、なお医学教育、看護教育を含めましてそういう認識ができるような、すなわち言うなればT字型の人間ということで、専門の深さと同時にほかの世界への関心を持ち得る人間にしていくという教育をいたす、その積み上げによって今の御指摘の欠点をこれからも直していくべきであるというふうに存じております。
#31
○竹村泰子君 少し失礼な質問になるかもしれないんですが、先日、十六日のこの委員会の大臣の答弁で、先ほど清水先生も診療報酬の中から看護婦さんその他医療従事者の方々の給与改善にどう結びつけるか。大変難しいという先生の御答弁でございましたけれども、過日、大臣が、医師会の会長さんと二・六%をそのために充てるということをお約束しましたというふうに答えておりますんですけれども、その点はいかがでございましょうか。そのとおりでございましょうか。
#32
○参考人(坂上正道君) 会長と大臣の約束は、私は何かニュースの上で拝見をいたしました。そして今回の医療費の改定がナースの人件費に反映するようにということで、医科四・五%のうちの二・九%をそれに充てるようにという数字の指摘があったことも伺っております。
 極力その努力はいたすべきでありますが、先ほど指摘いたしましたように、医療の報酬というものが、発足の当時は原価計算をされて発足したそうでありますが、その後、経済膨張によりまして非常に膨大化した。それ以後においては全く原価計算が当てはまらない状況になりました。これはナースの部門ではありませんが、薬剤の部門におきましても、人件費がほぼ八〇%を占めまして、原価計算上は経営が成り立たないという実態があります。ですから、極力ナースの給与表の上で欠点のありました中だるみというものの修正は各病院もいたしておるように聞いておりますが、ほかの職種への関連を考えれば、全部をナースの給与に充てるということはできないのは事実だというふうに言わざるを得ません。
 以上でございます。
#33
○竹村泰子君 ありがとうございました。
 それでは、板山参考人にお伺い申し上げたいと思いますが、さっきもお話がありましたように、保母養成施設や福祉系の大学の卒業生の七三%がほかの職種についてしまうのだという、そういう非常に厳しい現状があるわけでありますけれども、これの打開策としては給与改善、処遇改善、その他あると思うんですけれども、本当にもっと何と申しますか、ほかの職場のようにゆとりのある、遊ぶ時間も十分に与えられるようなそういうよい職場状況にするために、さっきいろいろ御提言がございましたけれども、これだというのは何でございましょうか。
#34
○参考人(板山賢治君) 大変難しい御質問ですが、今の若者たちも、福祉系大学あるいは保育系の養成施設の入学の競争率が十倍を超えているというふうな状況にありますように、あるいは社会福祉士や介護福祉士の資格を取りたいという人たちが大変数多く志願をしてくれているんですね。若者たちも社会福祉という仕事あるいは障害者やお年寄りのために、人のためにという、そういう仕事に取り組みたいという気持ちはかなり強く持ってくれているんです。
 先生今御指摘のように、それらの人たちがなぜ福祉の現場に入ってこれないかという、そこが実は問題でありまして、先ほど小笠原参考人も申し上げられたように、いろいろな条件整備が必要だと思うんです。単に給与の問題だけ、あるいは楽な仕事をしようという意味だけでは私はないと思うのでありまして、いろいろな総合的な対策が必要であります。同時に、福祉は人が支えていく職場だ、仕事だと。それは専門的な勉強をし、技術を持った人たちが大切にされる職場だという、そういう全体の雰囲気をつくっていかなければいけない。
 私たち民間サイドもそうでありますし、行政サイドでもそうでありますが、福祉の仕事のイメージアップというふうなもめも考えなけりゃいけないなと。ここ数年来、行政と民間とが一緒になりまして取り組みをし、望ましい社会福祉施設の現場、ホームヘルプ活動の実態というふうなものをビデオなどをつくって関係者にもPRをいたしているところでありますが、社会全体が社会福祉の現場は大事なことで、ただ篤志家、一握りの人たちがそれを支えているのではない、これからはだれでもがそういう状況になるし、そういうものを支えていく努力をみんなでしなければいけないのだというふうな市民意識といいましょうか、職業観とでもいいましょうか、そういうものをつくり上げていくことが大切だと私は思っております。
 同時に、今お話がありました楽しい職場にする、希望の持てる職場にしていくために、今回の人材確保対策、そういったものの一つの政策としての総合的な施策の展開が必要ではないか、こう思われます。
 もう一つは、先ほど来申しましたように、社会福祉事業の経営主体というのが大変小規模、零細な形で展開をされている現状をどのように打開していくかについて、行政も含めまして民間サイドとしても真剣に取り組むときが来ているのではないか、こんな問題意識も持っております。
#35
○竹村泰子君 大変よい緊急提言をちょうだいいたしまして、私たちもこの審議の中でも、まだこれからも十分に参考にさせていただきたいと思いますし、一生懸命国がやらなければならないことを頑張っていきたいと思っておりますけれども、先ほど男子一生の仕事はおろか女性一生の仕事にもならないのではないかというふうな善言葉がありました。給与の算定が措置費で見られているということが一番のネックではないかと私どもは考えているわけですけれども、もう少し余裕のある人材を欲しいと思っても、措置費で見る限り少ない方がいいわけですし、年とった人より若い人たちの方がいいわけですし、そういう矛盾を抱えておられることを十分承知しながら、この中にございます福祉職俸給表の提言というのを拝見いたしまして、本当に大事なことだというふうに思うわけです。
 そういったことを踏まえてなんですけれども、長野県のある施設で公務員級のお給料を出しますよといったら若い人たちが何倍も押しかけてきてくれたと。そういうことを見ましても、今おっしゃいましたように働きたい意欲は十分持っておられるし、これから伸びるお仕事として私たちも期待をしたいところなのですけれども、最後に何かつけ加えてくださることがおありでしたら、一言お聞きしたいと思います。
#36
○参考人(板山賢治君) 給与の問題につきましては、基本的には現在の社会福祉施設の措置費の算定は国家公務員の給与に準ずるということになっておるわけであります。その実態も半分以上が公務員の俸給表に準じて給与表等をつくっている、そういう法人が多うございます。また、法人の独自の基準を加味してそうした改善をしていきたいと努力もいたしておるわけでありますが、問題は二十年、三十年専門的な勉強をし、努力をしてきた人たちが、長期にわたって勤務してまいりますと、現在の措置費の配分の仕組み等から無理な、かなり窮屈な面が出てくるようであります。この辺につきましては、また行政当局の御努力も含めて民間独自での改善の努力もしなければいけない、こんなふうに思っておるところであります。
 以上です。
#37
○竹村泰子君 それでは、小笠原参考人にお伺いしたいと思います。
 貴重な御体験を通して今教鞭をとっておられるということで、本当に生きた教材が御自分の内にたくさんおありになるということで、学生さんたちは本当に幸せだなと思うわけですけれども、教育に携わっておられまして、現在の学生たちの意識といいますか、小笠原先生を通じて十分にそういう福祉的な職場に、あるいは嫌な言葉ですが、いわゆる三Kとか四Kとか五Kとかと言われます、そういった厳しい職場でもトライしようというふうな意欲を日常お感じになっておられますでしょうか、いかがでしょうか。
#38
○参考人(小笠原祐次君) 一昨日も新入生を連れて合宿のキャンプに参りました。約百各の新入生たちでしたけれども、全部で十のグループに分かれてディスカッションいたしましたが、圧倒的な学生たちが社会福祉を勉強したいという希望を持って入ってきておりました。もっとも私の学科は社会福祉学科ですので、それは当然といえば当然ですが、実は三年前の学生たちの場合には、偏差値のためにやむなく来た、あるいはどこへ行っていいかわからないんだけれども来たという学生たちが約半数であったことを考えますと、ともかくも、おじいちゃん、おばあちゃんがいた、あるいは周りに同じクラスに障害者がいた、あるいはボランティア活動をした、そういう子供のころからの体験教育がそれなりに普及してまいりまして、そのことが大きなきっかけになって福祉系の大学に進むという意図を持って入ってきている学生が約七、八割です。
 そういう点で今の御質問について言いますと、学生たちはそれなりにトライをしたいと思っております。それから、二年、三年次に上がる途中で、実は社会福祉士の資格課程をほとんどの学生たちがトライをしたいと考えております。その結果、四週間の施設実習あるいは福祉事務所等の実習がありますが、貴重な夏休みの時間を使ってそのトライを実際にやっております。そういう中で、学生たちは現実を踏まえて大きく変わります。
 その変わるときの問題があるわけですが、一つは、こんなにすばらしい仕事だ、条件は悪いんだけれども、こんなすばらしいからともかくやってみようという学生と、いや、こんなしんどいことなのか、話には聞いていたけれども、こんなしんどいのかということで脱落していく学生、この脱落していく学生が実習のプロセスでやや多いわけです。
 ですから、実習教育をどうするのかということが今社会福祉教育の中で一つの大きな柱になるだろう、そのように思っておりますが、そのあたりは現場に行きますので、先ほど触れました現場に触れざるを得ない。そこから学生たちがプラスの側面で受けとめるのかマイナスの側面で受けとめるのか、そのあたりから実は福祉の現場が学生たちの前に直接に降りかかってくる。そこを我々はどう乗り越えるのかが教育の一つの大きな課題だと思っております。
 しかし、ともかくも若い学生たちはやってみたい、ともかく福祉の仕事についてみたいという気持ちは旺盛だということだけは確かです。
#39
○竹村泰子君 今のお話を伺っていて思い出したんですが、アメリカの大学で、ヨーロッパにもあるかもしれないと思いますし、どの学科でもそうなのかどうかは私はよくわからないのですけれども、長い夏休みを利用したり、あるいは一年休学をしてそういった施設とかボランティアの仕事で働く、それが単位をきちんと取れることになっているというふうな非常によい制度があることを思いまして、日本にはそういうことがなかなか望めないのかなと思いますが、私どももこれから文部省やいろいろなところに働きかけをしていかなければならないと思いますけれども、そういったことで小笠原先生は教育の現場におられましてそういうことが必要だとお思いでしょうか。
 それとも、今お話で脱落していく学生がいるということですけれども、そういうふうなことになってしまって、一年間なりどこかのボランティアワークをしに行ったらそのまま戻ってこなかったりとか、そういうことになるとアブハチ取らずになってしまいますけれども、その辺はどんなふうに、日本の現状の中でどうお思いになられますでしょうか。
#40
○参考人(小笠原祐次君) 私は、とりわけ福祉の場合には、人と人とのかかわりを持つ仕事の場合には体験が極めて重要だと思います。そういう意味では、体験学習という意味で休学をしながらボランティアをするというようなことが一方では必要だと思いますし、それが学生たちの学習、教育にとっても非常に重要な意味を持っているわけで、それを単位認定していくというような方策は私は非常に重要だと思っております。
 わずか二週間や四週間の実習の場合には、実情を中途半端に理解してしまうために脱落する側面もあります。したがって、その仕事のおもしろさというものがわかるためには長期にわたるそのような体験は極めて重要だという意味で、私はむしろマイナスの側面の方が小さくなるのではないのか、私自身の経験から言いますとそのように思えてならないのです。ですから、もしそのような制度が可能ならばありがたい。実際に一年間休学をして外国にボランティアに行く学生たちも何名かずつおりますが、その学生たちは意欲に燃えて帰ってまいります。ですから決してマイナスにはならないだろうと思っております。
#41
○竹村泰子君 大変貴重な御意見ありがとうございました。
 終わらせていただきます。
#42
○木庭健太郎君 きょうは四人の方々から貴重な御意見をいただきまして本当にありがとうございます。
 私、公明党・国民会議の木庭健太郎でございます。
 まず、有田参考人にお尋ねをしたいと思います。
 私たちもこの法案が出てきたことに対して同じように喜びましたし、看護婦さんの現状、また福祉施設で働く方たちの現状を見てきて、何としても改善しなくちゃいけない。その根本の問題が人材の確保ということを考え、その中で出てきた法案であります。ただ、私どもがこの法案を見たときに少し心配になってまいりましたのは、確かに枠組みとしてはできてきた。しかし、先ほども板山参考人でしたか、実効性の面というお話がございました。私たちもこういう審議の中で、そういう実効性をどうするかという問題について明らかにしていきたいし、またこれからもそういう問題に取り組みたいとは思っております。
 そこで、有田参考人にお聞きをしたいんですけれども、この法案、確かにいい法案が出てきた。ただ、実効性の面でどうだろうかということに対して、どのようにお感じになっていらっしゃるのか。また寸基本指針をこれから定めていくわけでございますけれども、看護婦の立場として基本指針の中に最低限こういう問題というのは織り込んでいただかないとこれからやっていく上でいろんなことが出てくるかもしれない、少なくともこれぐらいは、基本指針を定めていく上の重要なポイントになるのはこういうところだというようなことで、御意見があればぜひ教えていただきたいと思います。
#43
○参考人(有田幸子君) 私も冒頭に申し上げましたように、この法案、非常にありがたいということと、それからもう一つは、これが本当に適切に運用できてそれが実効性のあるものでないとこれは大変だと思っているわけでございます。
 そういうことで、いろいろとるる申し上げましたけれども、人材確保ということになりまして私どもが一番これが原因だなあと思いますのは、やはり財源の確保だろうと思います。本当に看護婦を各施設がふやしたいと思いましても、先ほど求人難のことも申し上げましたけれども、根本的なものは、そこに地域差がございまして、看護婦が求められる施設でも財源という問題、いわゆる医療経済の面から求人難ということに隠れてなかなか確保できないという病院もなきにしもあらずだと思います。
 ですから、人材確保ができるのには医療施設の財源の確保ということと、それからもう一つは、その看護婦の確保には、量だけではない、質ということも申し上げました。この質ということで、時間的にはできませんけれども、教育ということが根本になります。看護職員以外にいろんな職種ができておりますけれども、そういう方々はみんな厚生大臣の認可になっております。看護関係ではまだ准看護婦制度というものが残っておりまして、これは三十年来の私どもの悲願でございますけれども、その准看護婦制度というのは都道府県の認可でございます。このようにコメディカルの職種の中で差別があっていいのかということでございます。
 私どもは准看護婦制度の廃止ということを打ち上げておりますが、このような時期でございますので、准看護婦制度を二十一世紀まで引きずったら困るということをここでお願いしたいと思います。そして、そのような制度を解決いたしますのには、現在の准看護婦学校をレギュラーコースに切りかえていただきたい。それには教師の確保がございます。その教師の質の向上ということ、質的なものは看護協会が今しておりますけれども、教材あるいは教室の整備あるいはいろんな面での教育に関する整備というものをもっと国が援助をしていただきたいと思います。
 それからまた、一県一大学と申しましても、先ほどからお話が出ておりますように、教官の数が足りません。そういうことで、これは移行期にございますので、大学を増設、新設いたしますときの教員の確保という面にももう少し目を向けていただきたい。そしてその教師が、日本にはまだ大学院が少のうございます。お隣の韓国では大学院が十二もございまして、ドクターコースも五つございますが、日本ではまだ大学院は五カ所しかございません。ドクターコースも二つでございます。
 そういうことになりますと、一県一大学ということで各県、いろんな方面で、文部省の関係も国立の関係もすべてが大学志向、大学にしなくちゃならないということでお考えいただいておりますが、その大学を実現するためには、今のように大学院が少のうございますから外国に行かなくちゃならないわけでございます。
 日本においても大学の増設ということが必要でございますけれども、まずそういう人々、本当に勉強しなくちゃならないという人の奨学金制度というものを考えていただきたいと思っております。そして、私ども協会も奨学資金というものは考えて、現に現在までに外国で学ぶ人四百名ほどに奨学金を出しました。ですけれども、もっと国全体が看護婦というものは、看護婦という職業は社会的に貴重なる資源であるということ、それから二十一世紀に向けて看護の領域というものがますます拡大する、非常にこれは大切な職業であると思いますので、この点もお考えになりまして、人材確保にはそれなりの人員増に見合うだけの財源の確保ということを抜本的に考えてほしい。ただ医療費の中でこちょこちょと変えるのではなくて抜本的に考えてほしいと思います。
 それからまた、質の向上のためにも特段の御配意をお願いしたいと思います。それにはこの人材確保法案が本当に実のあるものとして、財源の確保それからまた行政指導というものを厳しくしていただきたいと思います。
#44
○木庭健太郎君 もう一つお聞きしておきたいんですけれども、先ほど板山参考人の方からゴールドプランの評価の問題が出ました。年次計画でホームヘルパーさんを確保していく、年次計画で具体的に示したものが初めて日本の高齢化社会の中で出てきたと。福祉部門でそういうふ、つな同じように年次計画を立てた形で人間を確保していく、見えるものにした方がいいのではないかという板山参考人の御意見が福祉部門ではございました。
 看護婦さんの場合も将来の需給見通しというのは確かにございます。ただ、それに至るまでの間どうなるんだろうかというような危惧も私ども実際には抱いているわけでございます。これから看護婦さんを確保していく中で、私どもとして見ればそういう年次ごと、毎年できるのかどうかわかりませんが、そういう一つの方針を持ちながら政府にはやっていただきたいなというふうな考えを持っておりますけれども、そういう財源を、もちろん一番大事な問題ですけれども、確保するときの方策として何か看護協会の方でこういったことだけはやっていただきたいというのがあれば、つけ足すものがあれば教えていただきたい。
#45
○参考人(有田幸子君) 人材確保の中では、厚生省の方でも今おっしゃいましたように計画を立てておりますし、これは緊急の対策と中期、長期ということありますけれども、何と申しましても、先ほどから申し上げておりますように、やめないようにするということが一番の得策だと思います。それ以外にはない。いわゆる潜在看護婦を発掘するというよりも、まず現場の看護婦さんがやめないで済む、先ほどからお話ししましたように、年に四万人の看護婦さんがやめるというのはそれなりの理由があるわけですから、そのような労働条件の改善とかいろんな面を私どもは取り組んでまいりたいと思っております。そして現職がやめないで済む方法をまた国にも要請し、努力したいと思っております。
#46
○木庭健太郎君 坂上参考人にお尋ねをいたします。
 先ほどから同じような質問が出ているわけでございますが、私たちが医師会の皆さんにぜひ御要望もし、お聞きもしたい点というのは、今回診療報酬の改定があった、ぜひそれを看護婦さんのところに生かせないものかというもちろん希望があるわけでございます。
 医師会というのが非常に統率のとれた組織であり、医師会の上の方で決めていただければある程度、各県の医師会もありますし、機構としてはしっかりしております。そういった意味では、そういう大臣と医師会長のお話があったことがどれだけの意味を持つのか私はわかりませんけれども、そのことができれば、各県の医師会に伝わり市の医師会に伝わり、それぞれ病院の経営の御事情もあるでしょうけれども、そのことがきちんと頭に入るような方法というのが医師会というのでできるものなんだろうかどうか。私は素人でございますし、ここに医師会の先生方もいるのでこういうことを言うのも恐縮でございますが、何か医師会でもぜひ、そういった問題を具体的に取り組める方法があるのかなということを思います。
 また、先ほどからお話があっておりましたように、いろいろ原価の問題もあり、これまでの経過の問題もあるようでございます。現在、そういう中だるみの看護婦さんの状態、取り組んでいらっしゃることもお聞きをいたしました。その上で大変失礼かもしれませんけれども、あえてそのことを、看護婦さんの賃金にはね返る方法、何か参考人に要望するのも変な話ですが、その辺のお話をぜひお聞かせいただければと、繰り返しになって恐縮ですけれども、一言御意見をお伺いしたいと思います。
#47
○参考人(坂上正道君) 先ほど来同じ表現をとっておりますことはもう略しますけれども、今回の医療費改定で最も大きな問題に結果としてあらわれておりますのは手術料の改定でございまして、手術料が大きく改定されておりますが、これもやはり手術料を人件費その他から計算してまいりますと、外保連という外科の保険連合が立派な原価計算しているんですけれども、それとの乖離もまだございます。医療における技術料の算定ということは保険の点数上は非常に配慮されないできたと思うんですね。
 その矛盾解決のためにナースの処遇を抑えますということは決して申しませんけれども、まだ改善すべき根本構造にそういう問題がたくさんある。したがってナースのためにだけそれを割くということは、緊急の問題でありましたから極力それを各病院も配慮していると思いますけれども、まだほかの矛盾に対する手当てが残っておりまして、私どもの観察ではあと三回ぐらいの改定という間には方向の正しい改定に進めるのではないかと予測いたしますけれども、今回一回のときに非常に熱して看護婦の給与のためにだけということは事実上できないことであったということでございます。
 それから、医師会の組織は、私もまだでっち小僧でございまして、四月に入ったばかりですから、副会長とはいいながら日医の構造を正確にはまだ理解していないのでございますけれども、医師会というものは府県単位の独立した社団法人でござ いまして、かつ郡市医師会もまた社団法人であります。そういう意味では、言葉は悪うございますが、全体主義的に中央から統制していくというような方向は取りにくい団体であります。そのこともぜひ御理解いただきたいと思うんです。そのことが結局各地方別の特質を生かし、その地方の持っております医療資源を活用している、地域の特性を生かしているという結果にもなっているわけでありまして、統制して上からやっていくというような方法はとりにくいし、とらない方がいい場合もあると思います。
 統制のいい団体というふうにおとらえいただき。ましたのは、議会制度その他がきっちりしておりまして、代議員制度その他が、代議員会そのものがきれいに動くというところからおとらえだと思いますが、その場におきまして代議員は各地方の現状を全く正直に伝えてくれますので、代議員の意見に合わせながら各地方への適切な政策の提供、情報の提供ということは極力いたしておりまして、そういう意味では全国的にいい情報を流すように、いい方針がとられるようにという指導はいたしますけれども、完璧な統制がとれるというようなことではございません。また、あえて繰り返しになりますが、とれていないことに意味があるのではないかというふうに考えております。
 ありがとうございました。
#48
○木庭健太郎君 小笠原参考人にお尋ねをしたいと思います。
 現場からのお話というのは本当に説得力がございまして、お聞かせいただいた一言一言が本当に大事な問題だと思っております。
 先ほど海外との人員の配置の違いなども指摘をしていただきました。措置費のあり方の問題もあると思います。給与の格付のあり方も問わなくちゃいけないと思います。もちろん人員配置をどうするかというのは、今福祉に働く人たちにとっては一番大事な問題だろうと思っております。
 そこで、もし小笠原参考人からお聞きできるならば、スウェーデン、デンマークまでいけるのかどうかは別として、今の日本のあり方だったら少なくともこれぐらいの人員配置にしていけば、働く人たちも少しはゆとりを持ち取り組めるという体制になるのかどうか。それが即なれるのはなかなか難しい問題があるとは思っておりますけれども、小笠原参考人の率直な現場からの御意見を聞かせていただきたいと思います。
#49
○参考人(小笠原祐次君) お答えいたします。
 社会福祉施設は全部で六十数種類ありまして、それぞれの施設で配置基準がそれぞれに異なっております。ですから、すべてについて述べるいとまはございませんので、例えばということで老人ホームを代表させてお答えいたしたいと思います。
 例えば、特別養護老人ホームは現在、平均的にいいますと寮母職員がお年寄り四・五人に一人くらいです。これは規模によって違いますので、四・五人前後となっております。それが看護婦さんを含めて計算いたしますと、約四・一人のお年寄りを寮母さん、看護婦さんでお世話するという形になっております。私は、もしできるならば、可能ならば、これは週休二日制を含めて労働時間の短縮、週四十時間の改善の方向も含めて出てきておりますけれども、おおむねお年寄り二・五人から二人に寮母一人くらい。つまり二・五人から二人くらいといいますと、規模によってちょっと違いますので、スケールメリットが大きい方は二・五人でいいと思うんですけれども、ということで二・五人から二人くらいに一人の寮母さんの配置がもし実現できるならば、これは相当に大きなことができるのではないか。これは日本の社会福祉の職員たちが勤勉であり極めてまじめに仕事に取り組むというやや精神主義的な側面を含めておりますけれども、私はそれによって相当大きな改善が見込めると思っております。
#50
○木庭健太郎君 最後に板山参考人に、キーパーソンの話を先ほどされておりました。介護福祉士、社会福祉士という制度ができまして、ただその地位がどうなのかという問題も残っているわけであります。こういった形で本当にキーパーソンに高めるためには国としてどのようなことをやっていけばキーパーソンという位置づけが確立てきていくのかということで、御意見があれば最後に伺って終わりたいと思います。
#51
○参考人(板山賢治君) 社会福祉士、この職務は精神的、身体的、環境的な問題を持つ人々の相談に乗り、援助をするという仕事であります。これらの人々が将来どのようなポジションに地位を占め、そしてこれらの人々のために働くことができるのか、そういう養成と同時に、専門的な技術を持ち理論を持つ人たちがどこで働くことを期待するかという社会的あるいは政策的な位置づけを明らかにしていくことが大切だと思うんです。
 それから、介護福祉士の皆さんは精神的、身体的な理由で通常の生活を営めない人々の介助に当たりかつその介助に当たっておられる人々の指導や相談に乗る、まさにこれから期待されていますケアワー力ーとして大変大事な仕事をするわけですが、これらの人々が、養成をし資格を取った上で、どこで働く、そしてどこでどのような処遇を受けることができるか、これを明らかにすることが大切だと私は思っています。今のところ社会福祉士にしても介護福祉士にしても、その資格を取った人々がどこで働きどのような社会的な評価を受け処遇を得られるのか、将来どのような道が開けているかということについて明確な専門職制度への政策的位置づけがなされていない状況であります。これらについて、まだまだ生まれたばかりでありますけれども、やや中長期的な観点に立って位置づけを、制度的にも財政的な裏づけをも含めて御検討をいただくことが大切ではないか、このように思います。
#52
○木庭健太郎君 ありがとうございました。
#53
○沓脱タケ子君 四人の参考人の皆さん、御苦労さまでございます。私、日本共産党の沓脱タケ子と申します。わずかな時間でございますが、貴重な御意見を拝聴した後でございますので、各参考人にお伺いをしたいと思います。
 有田参考人にお伺いをいたしたいと思いますのは、私は医療人の一人として、職場で看護婦さんたちの奮闘ぶりを目の当たりによく存じております。特に、家庭を持ちお子さんを持っている看護婦さんたちが、二十四時間の時間を本当に緊張で張り詰めたような形で毎日を過ごしている姿を知っておりますが、こんなことが長続きするはずがないなと思うのは職場でもそう思うわけでございます。
 したがって、今回、この法律案がやっと提案をされるという運びになりまして、大変その意味では皆さんの御苦労のたまものであろうと思いますが、これがこのままで本当にやめないようになるだろうかなという心配をしているわけです。
 といいますのは、一つは財源問題ですね、御指摘がありました。財源問題という点が非常に大きく影響するなと思いますのは、国公立におきましてさえも二十七年前の二・八制度がいまだに実現をしないという事態があるわけでございますので、本当に看護婦さんが増員がなされて患者さんたちにも十分な看護ができて実の上がるという状況が今の状況の中で本当に上がるだろうかという心配を率直に感じておりますが、その点について政府に対する具体的な御要望があれば簡潔に伺いたいと思います。
#54
○参考人(有田幸子君) 今まで何度も申し上げたように、この法案というものは具体性がないといけないわけでございます。確かに二・八問題というものが四十年のときに激しく言われまし
 て、そして徐々に改善はしておりますけれども、私も看護の現場で働きました。外科系が長かったものですから、夕方になりますともう足がはれてナースシューズが入らないように働いたものでございますのですが、私はその中で財源の確保というのはいろんな面があると思うんですね。国民が本当に医療費というものをどうお考えになっているのかということもありましょうし、それから私は国の予算の中で厚生予算がもっとあっていいんじゃないか。人の命ということが一番大切なわけですから、私は厚生省の予算がもっと多く含まれてほしいなと思います。そしてそれがいわゆる看讃の中に行く。
 今度の診療報酬の中でも二・六%が看護といいましても、看護だけでは困るということでは困るので、私どもは国がお考えになってくださったようにそれが実現できるようにしないといけない。それには医療の経済ということもあるわけですから、そのような病院が立ち行くようなことを考えないと無理だと思います。もっと医療というものを国民全体が考えるということ。
 それからもう一つは、私も現場におりますときに、足がはれてつらい、でも私どもの手を待っているそこに患者さんがいるんだということ、三K、五Kもありますが、私はやりがいがあるということは常に思っておりました。私どもの一言の言葉が患者さんに安らぎを与えるということになります。ですから、本当に苦しくても患者さんの前では顔にあらわさないようにみんな努力していると思うんです。
 私は、その努力をしている看護職が本当にゆとりのある生活ができるように、週休二日制ということは、これはただ単に遊びたいわけじゃございません、人並みの生活のゆとりとともに、看護職としての自己研修の場でもあるわけでございます。そういうことになりますとなおさら人員増ということが膨らんでまいります。夜勤を八日以内にするというのは各施設が一二・五%ぐらい増員しませんとできないと思うんです。その財源の確保ということを国のサイドでもっとお考えいただきたいと思います。
#55
○沓脱タケ子君 政府に対する要望あるいは国会に対する御意見、そういうことで繰り返しになるんですけれども、私、特に心配をしているのはその点なもので、ありがとうございます。
 坂上参考人に簡潔にお伺いをしたいと思うんですが、もうたびたびおっしゃっておられるんで繰り返しませんが、あと三回ほど診療報酬の改定をやっていただければ二・六ぐらいのことはできるかなというふうにおっしゃられたのは率直な御意見だと私も思います。
 そこで、逆に言えば、看護婦さんたちの要求をまともに実現するというためには、国公立はともかくといたしまして、大部分の医療を担っている民間医療機関の経営の安定が保障されるということなしになかなかいかないんじゃないか、そういう点で私どもは現在の診療報酬の改定のありようなどを見ますと、大変具体的に心配をいたしております。その点について、繰り返しておられますから簡潔にひとつお伺いをしておきたい。政府に対する要望で結構です。
#56
○参考人(坂上正道君) 医療費構造の矛盾ということは、伺うところによりますと医療審議会というところで財政の調整、それから一本化というところべ進むやに聞いておりますので、その中の議論が場としては大事なんだろうと思います。
 しかし、内容としては、私は、本来日本の医療はどうあったらいいのかということを真剣に考え、また考え得る機会が今までなかったのではないかというふうに反省もし、また今後の仕事を見詰めているわけであります。かつての日本の病院の廊下の片隅で練炭を置いてサンマを焼いていたというような感じの引きずり方がまだ残っている。それは欧米に比べますと高度な医療を展開するだけの財源になっていないということが事実だと思います。
 さりながら、医療というものは限られた資源の中で行うべきでありますから、すなわち臨床経済
学の立場、コストベネフィットとかコストユーティリティーというようなものを見詰めていく視野も必要でございまして、医療が今や経済とか法律とか倫理とか、そういう問題も含めた上で経済も見ていくというような時代に入ったという寿つに認識しておりますので、その審議会の場が高度に展開することを期待いたしております。
#57
○沓脱タケ子君 それでは、板山参考人にお伺いをいたします。
 このことは繰り返し陳述の中でも出されておりますので、お伺いをしたい点は、福祉は人なりとお二人とも、小笠原参考人もおっしゃられた。まさにそうだと思うんです。
 私ども気になりますのは、御指摘になりましたゴールドプランが、ハード面での年次計画になっているけれども、いわゆるマンパワーの年次計画がきちんと確立をされないと見通しが立たないとおっしゃられましたね。これはそのとおりだと思いますし、人材確保について大学のその分野の大学生の卒業生が非常に少ない、少なくしか確保できないという御意見などを伺って私非常に気になりましたのは、せんだってもそういう分野の質問をしてみてわかったんですけれども、措置費という制度でやられていくという限りは、措置をされる人の数がほぼ明らかにならないと職員の採用というものがやれないという仕組みになっておるんですね。
 ところが、大学の求人というのは前年の秋にはほぼ確定をしていく。社会福祉施設の中ではそれは翌年、年が明けて一月、二月ごろにならないとそこの職場に何人を確保するかということは決まらない。だから当然のこととして人材確保が大変困難になるし、優秀な人材が確保されにくくなるということがわかったわけですけれども、そこを突破するためには措置費の扱いの問題、あるいは人員配置の問題、それから処遇改善をしていく上での問題、みんな絡んでいるんではないかなと思いますので、その点についての御意見を簡潔にお伺い申し上げたいと思います。
#58
○参考人(板山賢治君) 大変これも難しい御質問でありますが、確かに施設の整備というのは前年度から大体予定をされて、どこに何人の老人ホームがオープンするかということはわかるわけです。在宅サービスでもホームヘルプ事業を来年度は実施する、こういうふうになるわけです。そのときに問題は、認可がぎりぎりになりまして、あるいはオープンの時期がぎりぎりになって三月の終わり四月ぎりぎりになる、大学の卒業生は前の年の九月、十月に決まってしまうというようなことで、採用時期と仕事の始まる時期がずれる、このことを御指摘になったと思うんです。
 確かにそうでありまして、現在の社会福祉施設従事者は、毎年新規採用します者の四分の一以上が中途採用者なんです。新規採用できない。そういう状況にあることも事実でありますから、この打開のためには措置費に問題があるのか、措置費の運用の上で、そういう予定されている場合には事前に内定しておいていいよという仕組みがとれるのか、あるいは三カ月間ぐらいは事前の研修をする必要もありますから、そのようなゆとりを持った人件費の交付が可能かどうか、この辺についてもぜひ民間サイドでも検討いたしまして行政当局にも要望を申し上げ、御研究をいただきたい、こんなふうに思います。なかなか名案、お答えを申し上げることは難しいと思います。
#59
○沓脱タケ子君 いや、お答えをということじゃなくて、むしろ御要望として承りたいと思っておるわけでございます。
 最後に、小笠原参考人にお伺いをいたしますが、非常に今の福祉の現場の実態、そういう中でマンパワーの確保というのがいかに大事かということの御説明は胸に迫るものがございました。いるいろあるんだけれども、福祉マンパワーの確保には処遇の改善、それから人員配置というのは最大の課題だということを改めて痛感をいたしました。そのことはまた、当然のこととして財源問題にひっかかってくるわけでございます。そういった点での率直な御要望をお伺いさせていただきたいと思います。
#60
○参考人(小笠原祐次君) 今のお話にもありましたように、処遇の改善、それから人員配置を改善していくためには措置費を基本的に変えていかなければなりません。そういう点では、財政的な措置と書いてありますけれども、その財政的な措置が具体的にどのようになっていくのかということが明確になりませんと、この法案そのものも生きてこないという意味では、ぜひとも財源措置をお願いしたいというふうに思っております。
 あわせて、実を言いますと、先ほどから看護の分野では触れられておりますけれども、どのような形で定着を図っていくのかという点で言いますと、仕事に対する意欲や意識というものをどのように継続発展させるのかという意味では研修の制度が必要です。
 研修についても、安心して仲間に仕事を任せて研修に出られるようにするというためにも、人の問題もあわせて必要で、なおかつ継続的な研修ができるような手当てが必要。その点で、この確保法案にあります人材センターの役割もあわせて重要でありますので、人材センターが研修機能も十分に持てるような形での財源的な措置もお願いをしたいと思っております。
#61
○粟森喬君 四人の参考人の皆さん、ありがとうございます。
 話を聞いていて私もしみじみ感じたんですが、むしろ国や政治が問われていることばかりでございまして、その上で質問するのは心苦しいぐらいでございますが、幾つかのことについて御意見をお尋ねしたいと思います。
 まず、小笠原参考人にお尋ねをしたいんですが、福祉の現場と教育の現場と両方経験をされている人の立場から御意見をいただきたいんですが、今、社会的に、若い人を含めて福祉なりそういう分野に進みたいという人は非常に多い。ところが、理想と現実に余りにも格差があってやめていくというのが実態ではないか。それは処遇なりいろんなことで改善をしなきゃならぬけれども、という意味で幾つかの御意見をいただいたんですが、教育の立場から見ても、その理想と現実のところにどう、何といいますか結びつきを求めながらいくかという意味で、いろんな御苦労があるかと思いますが、そのことについて一つお尋ねをしたい。
 それからもう一つは、在宅福祉という制度が言われておるんですが、実態から見ると同居家族の負担にもなっている。それでボランティアの活動もどうも体系的ではない。こういう福祉の体系、今専門でやっておられる方以外のそういう立体的な体系をつくっていかないと、これからの福祉を本当の意味で確立することにならないんじゃないか。ノーマライゼーションというふうによく言いますが、言葉だけがひとり歩きしていて、世の中、本当にそういうふうに向いているのかどうかということについて疑義を持っている一人でございますので、そういう立場から若干御意見をいただきたいと思います。
#62
○参考人(小笠原祐次君) お答えいたします。
 実際に御質問のように学生たち、若い人たちにとってみますと、理想の追求というのは私は若い人たちの特権だと思っております。夢を求めて若者たちが学ぶ、これはもう絶対に必要なことだと思っております。しかし繰り返しますが、現実の中で、実習を含めて現実を知ることによって実際の幅の大きさに落胆をするということがありますが、その点で私たちはどのように教育をするのか悩みは大きいわけですけれども、私は、一番の大きな切り口は現場の持っている魅力、つまり人を育てることの魅力、このことを学生たちにどう教えていくのかということが非常に重要だと思います。
 その点で、先ほど御質問にありましたように、私は思い切って現場を理解できるような体験学習、この機会をどのようにふやしていくのか、これはカリキュラム全体の検討もしていかなければなりませんけれども、そのことが一つのかぎになる。これは、実は先ほど触れましたように、新入の学生たちが小中学生、高校生の段階でのボランティア活動あるいは同じクラスに障害を持った子供たちがともに暮らしている、このような体験学習の中から実は切り開かれているという点を見ても、私はそのような体験の学習をどう広げていくのか、このことが一つ。
 もう一つは、教師の側が、一方では条件が貧しい、その貧しさをどう乗り越えていくのかということについての教育もまたしなければなりませんので、これはむしろ御要望というよりも私たちの責任が逆に問われていると思いますけれども、私たちもそれをどうクリアするのかという形での乗り越え方を教育する役割があると思っております。
 それから、第二点目の在宅福祉の問題ですけれども、御指摘のように、現在まだ同居の家族を中心にして家族の介護負担が圧倒的に多いのは事実です。その点で私は、家族やボランティアが中心に展開される在宅福祉ではなくて、専門とする専任の職員がキーパーソンとなって在宅福祉も展開されなければならないだろう。つまりノーマリゼーションというのは介護しておられる主婦あるいは娘や嫁だち、圧倒的に娘や嫁や妻ですから、介護をしている人たちもノーマルな生活があってしかるべきです。
 ところが、介護しなければならない人々は、介護するという状況の中でノーマルな暮らしが得られていない。実際に介護している人が映画一つ見に行けない、観劇に行けない。観劇に行くと親をほっといていく、こういう認識がある限りは私は日本は近代化しないと思っております。そういう点では専任の方々を中心にしながら、その意味で私はゴールドプラン、それから人材確保法案を含めて実質のあるものになっていかないと、在宅福祉も本当に生きた在宅福祉にならないのではないかというふうに思っております。
#63
○粟森喬君 板山さんにお尋ねを申し上げたいと思います。
 一つは、いろいろ処遇の改善の問題で要望もいただいたんですが、人事の交流もしたらいいという意見も若干文書なんかでもいただいています。
 それで、福祉事業の実態ですね、最近、例えば経営危機とか倒産というケースも非常にあるやに思います。ある種の格差というのが同じような事業をやっていても出ている原因を、ある意味で分析したり除去していくという、そういう体制というのは今全体の中で多少論議されているか、その辺をお尋ねを申し上げたいと思います。
#64
○参考人(板山賢治君) 先ほど差し上げました従事者確保に関する緊急提言も、一枚めくっていただきますと二ページに、この検討に参加をいたしました老人福祉施設協議会を初め十余りの施設の協議会がございます。さらには、経営母体であります全国社会福祉施設経営者協議会でありますとか、在宅福祉を特に重点にやっております地域福祉特別委員会、あるいは全国ホームヘルパー協議会などが一緒になりまして、緊急問題としての人材確保について、みずからの経営的な責任を含め社会福祉の現場をどうするかという問題も含めて検討をした結果がこれであります。
 これは、むしろ要望、陳情などということを後にいたしまして、自分たち自身がどのように取り組んでいくか、そういう地域格差あるいは事業体の格差も含めて今後のありようについて検討した結果がこの十カ条の目標でもあるわけであります。
 その点はひとつ御理解をいただきたいと思いますが、同時に行政当局も、全国に五万を超えます社会福祉施設がありますので、この施設の運営について適正な運営をする、そういう観点で各都道府県に社会福祉施設経営指導事業というものを実施するように予算化をここ数年来されました。本年で恐らく全県設置になるわけであります。そうした形で経営努力も行政的な観点からも求められておりますし、私ども自身もそうした努力をすることを通して重要な責任にこたえていきたい。
 先生、今倒産とかなんとかというお話がありましたが、社会福祉施設では、例えば保育所などでは確かに子供の減少します地域での保育所の統廃合という問題が出てきておりますが、新しい時代のニーズにこたえて、福祉としては地域におります障害者やお年寄り、子供たちの問題を含めて幅広い対象者がおられるわけでありますから、新しいニーズにこたえるための活動を展開することによってそのような事態を避けていく、こういう努力もまた必要ではないか、こう思って取り組んでいるところであります。
#65
○粟森喬君 名前を申し上げるのを失念しました。私は連合参議院の粟森でございます。
 坂上先生に一つお尋ねをしたいんですが、今度の診療報酬の改定で二・六%を計算しますと約二千五百億円、看護婦さんが七十六万ぐらいでございますから、単純に計算すると三十一万から三十三万ぐらいの金額が看護婦一人当たりに改善の原資になると思うんです。
 もちろん、人をふやしたりいろいろな要素があると思いますが、さっきの三回ほどやってもらわなきゃならぬというと、一人当たりでいうとざっと百万ぐらいのことがないと看護婦さんは本当に、看護婦さんは心の問題だが同時にそういう処遇改善をやらなきゃならぬとすると、そういう気持ちとして私はお伺いしたいんですが、実態としてそれぞれのところでどうなっていくか、その辺のところについてもう一度お尋ねを申し上げたい、こういうふうに思います。
#66
○参考人(坂上正道君) 今のナースの数に割ってみるというような数字の論理でいけばまさにそういう数字でございますけれども、数字は一つの論理にすぎないわけでありまして、全体構造の中でどう見るかという医療の論理がまたあるべきであります。したがって、決してナースの給与改善をいたさないとは言っておりませんし、事実そういう努力もいたしております。病院の経営の努力をした上でそういうことをやっているところもありまずし、そのために病院の経営がまた苦しい数字になったと言っているところもあります。これはやがてことし一年の歩みを見れば明確なデータが出ることでありますので、その評価はいたしてみたいと思います。
 三回しなければ改善しないというのは、決してナースの人件費のみを注目して言ったわけではありませんで、医療の高度化あるいはそのキャピタルというものが病院に手当てされない限りは病院の近代化ができないということなどを含めた医療の構造全体の問題の意味で申し上げたわけであります。具体的には技術料の算定がされていないということも一つの例でありますけれども、根本的に医療費構造というものの基本を見詰め直すべきである、そのためには三回ぐらいのステップも要るかもしれないというふうに申し上げたわけでございます。御理解をいただきたいと思います。
#67
○粟森喬君 有田先生にお尋ねをしたいと思います。
 今度の基本指針は、これから医療関係者審議会で六つの柱を決めて、そして中央社会福祉審議会ですか、そこでやるということになっています。それで、たまたまでございますが、私のいただいた資料を見ますと、有田先生はそのうち保健婦助産婦看護婦部会の委員をされております。この審議会の持ち方の中で改善をしたらいいということだとか、この運営についてどうかということについて若干の感想をいただければ、私どももこの内容については皆さん方にお任せをしているのでございますが、そういう感想や改善の方法がございましたら率直に御意見をいただきたい、こういうふうに思います。
#68
○参考人(有田幸子君) 違った視点でお話し申し上げますと、一つには、私は男子の看護職をふやしたいなと思っています。今わずかに看護協会の会員では二万人しかおりません。十八歳人口が年々減ってまいりますので、その中での女性ばかりですととても看護職になってもらえる数が限られると思います。そういうことから、いろんな看護領域の拡大ということもございますので、男性は男性としてやっていただく領域もこれから多くなると思います。
 私、お願いしたいのは、カリキュラムの改正がございまして男性も平等のカリキュラムになりました。ですから、男性の方に看護職になっていただきたいということを申しますと、現在女性優位ではないか、看護職は男性にはただ看護士の資格しか取れないということがあります。私はカリキュラムも同じになったのですから、国家試験も平等にこれを受ける資格を与えること、性差別というのをなくしてほしいし、そのような平等ということも考えていただきたいと思います。そういうことによって、同じ教育を受けた者が同じ資格を得るということが大切じゃないかなと思います。
 それからもう一つは、私は大変ありがたいと思いますのは、昨年から「看護の日」というものを制定していただきました。これによって、より社会的にも看護というものの役割が理解されつつございます。各都道府県の支部でも、ことしもやりますけれども、看護体験をしてくれております。そうしますと、その中の感想では、看護婦は三K、五Kというけれども、やはり自分たちが体験をしてみると看護ってすばらしいんだなという感想を書いてくれている方があります。その心を私は広げていただきたい。ということは、私はその一日の看護体験だけじゃなくて、小学校から看護の日のテーマのように看護の心をみんなの心に、そして高齢化社会はみんなで支えるんだという、人に優しい心をもっと教育の中ではぐくんでいただきたい。そうなりますと、高校時代からより看護職を選びたいということがあると思います。
 最後に、先ほど申しましたように、この法案ということは看護職の身分の保障にもなるし、今のように生涯看護婦を続けたいというような意志を若い人が持ってもらうように、この法案が生かされるようにお願いしたいと思います。
#69
○委員長(田渕勲二君) 以上で参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言お札を申し上げます。
 本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見を賜りましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十八分開会
#70
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案並びに社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#71
○竹村泰子君 看護婦さんの不足が叫ばれて久しいわけですけれども、今回、政府によりまして出されました法案は、私も何度も読ませていただきましたけれども、私どもから見ますと全く具体性がなく、どういうふうに看護婦さんが確保できるのかさっぱりわからないんですね。ここまで深刻に看護婦さんの不足が叫ばれ、またきょうもたくさんの看護職員あるいは医療従事者の皆さん、福祉従事者の皆さんが傍聴してくださっておりますけれども、この方たちの現場をどうやったら楽に、もっと働きがいがある、生きがいのある職場にすることができるだろうかということが私にはこの法案を見る限りよく読めません。
 基本指針を拝見しておりますと、「国及び地方公共団体の責務」というふうなことが書かれておりまして、例えば第四条、「国は、看護婦等の養成、資質の向上及び就業の促進並びに」云々とございまして、「必要な財政上及び金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。」。国はどこまで責任をとられるのでしょうか。「努めなければならない。」というような言葉でよろしいのでしょうか。
#72
○政府委員(古市圭治君) 国の責務というのは、御指摘のように第四条のところに並んでおりまして、一項、二項、三項とございます。その中で今御指摘の「必要な財政上及び金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。」ということでございますが、これは義務規定ということではございませんで、努力規定ということで財政、金融さらにはその他の措置ということで、職安での職業紹介とか、さらには税制上の特別償却とか、そういうものを含めて国のやるべきことについての努力規定を書いているということでございます。
#73
○竹村泰子君 そんなんですが、非常に何といいますか、よそごとの。ようにとれるわけですね、「努めなければならない」と。その後、この四条、五条の中には「努めなければならない」というところが一、二、三、四、五つございます、それは「開設者等の責務」というところも含めてでありますけれども。何か、国が本気で構えているのかということが私どもには読み取れない。この法案を見ている限り、どうやったら看護婦さんをふやせるだろうかということを真剣に四つに組んで国が考えているというふうには読み取れない。
 それから、第八条に行きますと、「国及び都道府県は、看護婦等の確保を図るため必要があると認めるときは、病院等の開設者等に対し、」「指導及び助言を行うものとする。」、これは病院等の開設者に対してですから、上からがんとそうしなさいという命令ができないのはわかるんですけれども、ここなども「必要な指導及び助言を行うものとする。」、指導及び助言でいいのかなと私などは思うんですね。
 例えば、多くの系列会社で深刻な人手不足があって、それが何年も何年も続いていてその会社の存亡にかかわるというふうなときに、その経営者は努力と協力、指導と助言でこれで済ますのだろうか。私は素人でございますから大変素朴な疑問なんですけれども、いい経営者だったら、人手不足であること自体が会社の存亡にかかわるとすれば、乗り出していって社員獲得のために走り回るのではないだろうか。また、その努力をしない系列の会社に対しては厳しい罰則を与えるのではないか、私はこういうふうに思うんです。
 まして、人の命を預かるとうとい仕事とされる看護職。国のこうした及び腰の態度といいますか何の新鮮味も具体性もない法案提出。私は後ろにおられる現場の皆さん方にお聞きになると一番よくわかると思うんですけれども、全国の看護婦さんや社会福祉事業関係の方たちは、どんな法案が出されるだろうか、どうやってよくなるだろうか、どうやったら少しでも夜勤が少なくなるだろうか。二・八体制と言われているような、呼び声だけの現実味に乏しい、そういったものがどうやったら現実のものとなるだろうか。
 この方々が思っておられるのは、こんななまぬるい法案で現場の苦しみがなくなるとは思えない、しかし少しでも、たとえちよっぴりでも看護婦さんがふえてくれるのだったらという、半分あきらめのうちからでもわずかな一条の光を求めておられるのではないかと私は思うんです。なぜもっと思い切った施策が展開できなかったのか、非常に残念に思います。大臣、一言御所見をお伺いしたいと思います。
#74
○政府委員(古市圭治君) その前に、私からお尋ねの点、具体的な点にだけ御説明させていただきます。
 国の責務といたしましては、この法律で基本指針の作成というのが第三条で、厚生大臣、労働大臣及び文部大臣は基本指針を定めなければならないということになっておりまして、具体的には、基本指針の中に六項目にわたりまして、看護婦の人材確保、さらには離職の防止、就業の促進ということについて項目を挙げ、基本指針の中ではできるだけ具体的にそれを書いていこう、こう御説明をしているわけでございます。
 それからまた、八条の指導、助言だけでいいのかということでございますが、これはその後、看護婦数が著しく基準に対して足りないという施設に対しましては、看護婦等確保推進者の設置の義
務づけを定義しておりまして、この義務に違反した場合には罰則までかかるということでございますから、国の姿勢、また病院での熱意というものかそれを推進されるように法律の中でも配慮しているところでございます。
#75
○国務大臣(山下徳夫君) いろいろ御意見、御不満等も承りました。
 看護婦問題というのは、これは二十一世紀に向けて、高齢化社会を前にしてまず最初に充足しなければならぬ大変大事な問題であることは私も承知をいたしております。
 なぜもっとやらないか、いろいろ見方はあると思いますが、厚生省は厚生省なりに一生懸命やってきたつもりでございます。予算の面で見ましても、平成二年に比べて八割増しということは、他に例のない予算でございます。あるいは長く働いていただくために、処遇の改善はもとより、院内保育所をつくってみたり、あるいはまた二・八体制を改善する、いわゆる深夜勤務をなるたけ軽くするために訪問看護とか、いろんなその人の家庭的事情等を配慮しながらそういう方面も今後さらにひとつ考えていく。あるいは養成力もこれからもっと増していくし、あるいはまた再度働く方のためのナースセンター、これをナースバンクからナースセンターにする。また、社会的評価を高めるために「看護の日」というものを定めて国民一般に看護婦さんという仕事をもっと理解してもらうというようなことをさらにこれから考えていかなきゃならぬ。
 同時にまた、病院とかそういうところの事業主も深い理解でもってひとつ今後やっていただくように折に触れて私どもは、今までもやってまいりましたが、さらにそういう点も強化をしてまいりたいと思っております。
#76
○竹村泰子君 これまでにも存分やってまいりました、そして今回もこういうふうにいろいろ御提案申し上げておりますとお二人のお答えでありますけれども、この看護婦さんの不足というのは今始まったわけではないんですね。もういわゆる悪循環、よくおわかりのとおりですけれども、何とか勤務体制をよくしたい、処遇改善をしたい、そのためには人手が要る、でも四年たったら半分はやめていっておしまいになる、なぜやめていっておしまいになるかというと、勤めていられないそれぞれの大きな原因がある。そのもうまさに悪循環。この悪循環をどこで断ち切るのかということがない限りこれは絶対ふやしていけない。
 需給見通しも拝見しておりますけれども、この需給見通しにしても、ここのところ、平成五年ぐらいまでは率が下がっているのではないでしょうか。そのようなことがありますので、新規にしゃ、どうやって人材を確保していくのか。離職を防止するのと新規に人材を確保するのと、二つの大きなポイントであるというふうに思うんですけれども、先日来審議の中でもたびたび触れられておりますが、この需給見通しを拝見しても先ほど私が申し上げたとおりですが、この見通しの根拠となったのはどういうことなのでしょうか。需要をどう見込んでおられるのでしょうか、見通しは確かなのでしょうか。
#77
○政府委員(古市圭治君) 昨年末に報告させていただきました看護職員の需給見通しにつきまして、需給の方は高齢者保健福祉推進十カ年戦略に伴う需要増というものを見込んでおりますし、それからまた看護職員の勤務条件の改善というものの需要、週四十時間制、夜勤回数月平均八回以内等の改善、育児休業、それを見込んでおります。さらに、老人保健法が改正されましたので、老人保健看護を中心とした訪問看護職員の需要、こういうものを見込んで各都道府県で積み上げ、見直しをしていただいたということでございます。
 その結果が、平成十二年に向かって百十五万九千人ということで需給が見合うような形で養成をしよう、こういう報告になったわけでございます。
#78
○竹村泰子君 その数字は拝見しているんですけれども、これもまたちょっとよくわからないところがたくさんあるんです。地域差というのがありますよね。例えば、私は北海道選挙区ですけれども、北海道の場合などは割と自給自足といいますか、道内で賄っでいっている。現状はそうなのですけれども、その辺の何といいますか、バランスをとりながらの達成というふうなことも考えておられるんでしょうか。
#79
○政府委員(古市圭治君) 四十七都道府県ごとに国が一応の基準を示しまして、それに基づいて地域事情を加味して需給の数字を出していただいたわけでございます。
 したがいまして、今御指摘の北海道ですと、現在我々が報告を受けましたのでは、平成十二年には需要が六万五千二百名、それに対して供給が六万五千九百名。北海道の出された計画ではややオーバーになるということでございます。一方、神奈川県等におきましては、いろいろ努力しましても、平成十二年には需要が五万八千七百に対して供給が五万四千五百。これはそれぞれの地区によって現実の推計の仕方が少しずつ違うということもありましょうが、正直に出していただいた。
 ただそれは、看護婦さんはその都道府県内だけで異動するわけではございませんで、いろいろ全国的、広域的にも異動があるということで、全国プラス・マイナスのところが少しずつございますが、それをトータルいたしますと先ほど申しましたように百十五万九千名という数で、平成十二年に需給が見合うということに一応なっているわけでございます。
#80
○竹村泰子君 文部省にちょっとお伺いいたします。
 看護大学、看護学科の新増設についてお伺いしたいんですが、新設、増設の申請状況はいかがでしょうか。それと国立の場合ですが、自前の看護学部などの計画がありますでしょうか。
#81
○政府委員(前畑安宏君) 私立大学の設置認可の審査は二年間にわたって行うことにいたしておりまして、現在審査中のものといたしまして、北海道の東日本学園大学看護福祉学部というのが平成五年度開設予定で審査をいたしております。
 なお、この四月の末に新しい申請の受け付けを締め切るわけでございますが、現在具体に窓口等に相談に来ている状況を御紹介申し上げますと、札幌医科大学、北海道の道立てありますが、これは先日も知事さんがお見えになりまして、平成五年度開設ということで申請をしたいのでというお話がありました。保健医療学部看護学科、入学定員五十人というものであります。さらに、公立ては兵庫県、岡山県で看護関係の学部あるいは学科の開設についての動向が極めて顕著にございます。また、私立大学でも九州の方で二校ほど具体に申請の動きがございます。
 なお、お尋ねの国立大学についてでございますが、御案内のとおり、国立大学につきましては、従前からの医科大学あるいは医学部におきましては医学部附属の看護学校ということで看護婦の養成を行ってきておりましたが、近年における看護婦養成教育の充実という観点から、逐次これを看護短期大学にいわば昇格をさせてまいりました。しかしながら、現在はもう短期大学ということよりはさらに四年制の看護婦養成、あるいは看護学教育ということについての要請が非常に強うございますので、先年、東京医科歯科大学につきましては医学部附属の看護学校を四年制の看護婦養成学科にいたしたところであります。また、先日成立をさせていただきました平成四年度の予算におきましては、広島大学の医学部附属の看護学校、これも四年制の看護婦養成課程にいたしたところでございます。
 なお、先般来いわゆる無医大県解消計画ということで進めてまいりました新設の医科大学につきましては、これは単年度に三校あるいは多いときでは四校というような非常に速いテンポで急激に設置をしてまいりましたので、地元自治体とも十分相談をいたしまして、看護婦養成は地元の自治体でやっていただくということで対処をしてまいっておりますが、しかしながら、近年における看護婦の需給の問題、さらには看護学の確立、看護婦養成に係る教員の養成という観点もありまして、それについても今後積極的に対応する必要があろうかと考えております。
 具体には、平成五年度以降の課題として、現在看護婦養成施設を併置いたしておりません新設医科大学につきましても、私どもとしては当該地域の看護婦需要の動向あるいは教員確保の可能性、さらには国の行財政事情等も勘案しながら積極的に対応してまいりたい、このように考えておるととろでございます。
#82
○竹村泰子君 引き続き、養成の問題で少しお伺いしたいんですけれども、実はきょう外務省においでいただいております。同時に外務委員会が開かれておりまして時間の制約がございますので、ここでちょっと外務省関連の質問だけ挟ませていただこうと思います。
 ILO看護職員条約というのがあります。いわゆる看護婦不足ということが世界的に見られる、そのために政府は看護職員をその職業に定着させ、かつ住民のできる限り高い健康水準を達成するために必要な量及び質の看護の提供がなされるよう改善措置を直ちにとるべきであるというものでございますけれども、今三十の国が批准しております。日本がILOのこの条約を批准できないのはなぜなのでしょうか、外務省。
#83
○政府委員(畠中篤君) お答えいたします。
 ただいま先生御指摘のILOの第百四十九号条約でございますが、「看護業務及び看護職員に関する政策を、国内事情に適する方法によって採用し及び適用する。」ことということで、具体的には、例えば看護職員の雇用条件及び労働条件の決定は関係する労使団体間の交渉によって行うこととか、あるいは労働時間、週休等の一定の労働条件に関しては、看護職員は他の労働者と同等のまたはそれ以上の条件を享受することといったような具体的な内容が盛られた条約でございます。
 これにつきまして、現在我が国が批准しておりません理由は、我が国におきましては、看護職員につきましてはその職務の特殊性にかんがみまして、労働基準法におきまして他の労働者と異なった特例措置を講じております。例えば、「休憩時間は、一せいに与えなければならない。」といったような規定がございますけれども、これの適用除外が労働基準法に記されております。あるいは休憩時間につきましては、「休憩時間を自由に利用させなければならない。」といった規定もございますけれども、これにつきましても乳児院等で児童と起居をともにする看護職員については特例を認めるということになっております。
 そういう状況でございますので、現状におきましては本条約の批准は困難な状況にございます。
#84
○竹村泰子君 そうすると、見通しはどうなのでしょうか。批准する気はないのですか、それとも検討して国内法との整合性が保たれれば批准をしてもいいということなのでしょうか。
#85
○政府委員(畠中篤君) その点につきましては、国内のいろいろ体制がそろってまいりました場合に、関係の国内省庁といろいろ御相談して今後どうしていくかを決めることになるかと思いますが、現状におきましては、現在の我が国の体制とこの条約の内容とが一致しておりませんので、批准できない状況にございます。
#86
○竹村泰子君 余り納得できませんが、日本は国連関係の人権の条約も非常に批准が少ない、七つしか批准をしていないという、そういうことがありまして、余りにも慎重過ぎるのではないかと私どもも思いますけれども、またこの問題は後ほど折を見てお聞きしていってみたいと思います。
 それでは、もとの養成の質問に戻りたいと思いますけれども、看護婦養成学校の学生に対する奨学金など、先ほども午前中の参考人の皆様の御意見をお聞きした中にもぜひ奨学金制度をという強い御要望がありました。
 私は、ここにちょっと数字は少しおぼろげなところもあるのですけれども、この奨学金とは別のことなのですが、例えばお医者さんを養成する場合の国の補助、それから看護婦さんの養成に対する国の補助、これが医学部、医学生一人当たり年間大体三百七十万円、看護学部が一人当たり大体百七十万円、これは平成元年の数値ですが、看護婦養成校二年課程でがたっと落ちまして六万五千円、准看護婦養成校で五万二千円と非常に差があるんですね。それは、いろいろ研修課程の長さとか質とかいろいろあると思いますけれども、参議院の厚生委員会で昨年の十二月十七日にお答えになっている答弁の中にこういう数字が出てくるんです。
 私どもは、看護婦さんの養成というのは基本的には国が、あるいは公的にというふうに考えているところから見ましても、この三百七十万円と五万二千円というこの開き、差があり過ぎるのではないか、質的に向上を図る必要があるのではないかというふうに考えますが、どうお思いでしょうか。
#87
○政府委員(前畑安宏君) 今、先生御指摘の数字は、国立大学のそれぞれの学部の決算をいたしまして学生数で割りまして一人当たり幾らかかっていることになるか、こういう数字だというふうに承りますが、確かに医学部と看護学部、さらには看護婦養成の短期大学とはかなり大きな開きがあります。
 ただ、看護学部につきましては、平成二年度の数字で申し上げますと一人当たり百九十六万円、こうなっておりますが、これはほかの学部と比較いたしまして決して遜色がないと思っております。例えば、理学部につきましても百九十四万五千円、法学部の場合は百四十万、家政学部では九十九万、こういう数字になっておりまして、そういうことからいたしますと、看護学部につきましても私どもとしてはそれ相応な予算措置は講じておる、このように考えております。
#88
○竹村泰子君 質と量を兼ね備えた養成制度といいますか、これまで不足不足と叫ばれていたので量をふやすことに一生懸命になっておられたかもしれないと思うんですが、質と量を兼ね備えた養成制度ということです。
 そこで、お尋ねをしたいんですけれども、今、准看護婦から正看護婦への道というのは開かれてはいないというか、開かれていないと言っては語弊がありますが、ストレートではない。准看護婦制度というのは必要なのでしょうか。看護婦養成校への進学者の九割は高卒者です。そしてその養成課程の中で改めて看護婦養成所へ行かなければ看護婦さんにはなれない。働きながら学ばなければならないということがあるわけですけれども、一定の経験を持った准看護婦さんが学歴にかかわりなく看護婦国家試験を受験できるようにする、こういうことは考えることは不可能なのでしょうか、どうなのでしょうか。
#89
○政府委員(古市圭治君) 准看護婦制度につきましては、いろいろ従来から意見がございまして、厚生省の方といたしましても、昭和六十二年に一度、看護制度の検討会というので各界の人から御意見を伺いました。
 これは先生御承知のとおりかと思いますが、いろいろ意見がありまして、最終的なところでは、「以上のように、准看護婦制度の在り方については意見の一致を見なかったが、当面、看護職者の需給状況等を勘案しつつ、二十一世紀を目途に看護職者に占める看護婦(士)の比率を高めるための計画を策定し、順次、准看護婦学校・養成所の看護婦学校・養成所への移行を促進するための実習施設の確保、」云々ということで、さらに、「また、必要に応じ准看護婦(士)から看護婦(士)になるための二年課程の看護婦学校・養成所の増設を進めていくことも必要である。」、こういうことで来ているわけなんです。
 その後も状況は大きく変わりませんが、私どもといたしましては、いわゆる看護婦養成所と准看護婦学校の授業時間数というのは二倍から差がございます。そういうことで、これを一気に准看護婦免許保有者が国家試験を経て正看への道へというのは現在困難でございますが、進学課程の二年コースというものについて改善を加えまして、推薦入学制の拡大、さらには履修が通信教育でも可能なようにこれの検討をやっていこうということになっております。
#90
○竹村泰子君 私がさっきから及び腰だとか言っているのはそういうところなんですね。わかります、それは、これまでずっと続けてこられたシステムですから。しかし、何とか今ここを打破しないと、さっきから言っているように、どこかで悪循環の輪を切らないとというときに、そのくらいの決断はしていただかないとこれはなかなか大変なことじゃないかなと。
 私は、准看護婦の皆さんの御苦労、そして働いてもなかなか報われない、働きながら学ぶということの大変さ、そういったことも含めまして、今通信教育制度ということもおっしゃいましたけれども、そういうことも含めて何とかここを打破していただけないかなと思うんです。今すぐにお答えをしろと言っても無理でしょうけれども、ぜひお考えをいただきたいというふうに強く思います。
 それで、ナースセンターについて次にお伺いしたいと思うんですけれども、第三章に「ナースセンター」というところがあります。これを私ずっと見ていたんですけれども、よくわかりませんのはナースセンターの規模です。どのくらいの規模を考えておられるのか。小さくても大きくてもいいのか、その辺のところがよくわからない。
 それから、このナースセンターの中で、先ほども私、参考人の方に申し上げましたけれども、復職するときのもう一度改めての研修と申しますか、そういうコースを考えることはナースセンターの中でできるのでしょうかできないのでしょうか。
#91
○政府委員(古市圭治君) ナースセンターには、いわゆる再就職の職業あっせんというのが一つ大きなことになりますが、一度離職された方がもう一度復職するについていろんな技術的知識的不安をお持ちの場合には、そういう研修をするということも当然一つの機能として新しく持っております。それからまた、先ほどちょっと申しました新しい仕事として、医療施設で勤務することではなくていわゆるナースステーションから地域の寝たきり老人の家庭看護をするということが非常に勤務がしやすいという一つの職になるわけですが、その場合にも在宅看護の研修会というのを開いていくというようなことも想定しているわけでございます。
 それから、ナースセンターの規模と申しますのは、現在各都道府県に一カ所ナースバンクというのがございます。それがナースセンターとして今回機能強化をされていくわけでございまして、県下一カ所では少な過ぎるという御指摘もございましたので、なるべく支所等も開設して地域に行って就業あっせんをする、それから機能の拡大も図っていきたい、このように考えているわけでございます。
 なお、一つ一つの規模ということも、ちょっとイメージが浮かばないかと思いますが、私ども、予算上は現在三億円の補助金を出しておりますが、これを平成四年度では二倍の六億円以上にふやしたい、機能の強化を図りたいと思っているわけでございます。
#92
○竹村泰子君 そうしますと、十五条の二号ですけれども、「看護婦等に対して研修を行うこと。」及び次の「知識及び技能に関する情報の提供、相談その他の援助」というところは、これは一度リタイアされて再就職をしたいと願っておられる看護婦さんたちの研修の場にもなる可能性もあるということなんですね。そうしていただけるんですね。
#93
○政府委員(古市圭治君) 当然のように考えております。
#94
○竹村泰子君 わかりました。
 それじゃ、現実の問題としていろいろお伺いしてみたいんですが、その前に、ただいまの養成のための国庫補助を今後大幅に増額すべきであると私は思うんです。また、教員確保のための看護大学を全県に設置できないだろうか。厚生大臣の御所見と、それから文部省の御所見をお伺いしたいと思います。
#95
○政府委員(前畑安宏君) 御指摘のうち、いわゆる全県に看護大学を設置できないかということについてお答えをさせていただきます。
 平成三年度までは八県にございましたが、平成四年度に静岡県に私立の聖隷クリストファー看護大学というのが設置され、また四年度の予算で国立の広島大学に看護系の学科が設置されまして、現在の状況を申し上げますと、四年制の看護婦養成教育機関があるのは十都県でございます。今後の動向につきまして、私どもといたしましては、十八歳人口が急激に減少してまいりますので、基本的には大学の新増設ということについては抑制的に対処をすべきであると考えておりますが、看護婦養成、看護教育の分野につきましてはできるだけ積極的に対応いたしたい、こういう基本姿勢でございます。
 国立につきましては、先ほど申し上げましたが、無医大県解消にかかわるいわゆる新設医科大学について、看護系の学科の設置について積極的に対広いたしたい。また公立につきましては、これも御案内かと思いますが、自治省の方で地方財政計画上御配慮をいただいておりますので、先ほども御紹介いただきましたように、北海道、兵庫、岡山、現在看護系の四年制大学がないところに設置の動きが出ております。また、私立大学につきましても、九州の方で福岡、鹿児島にそのような動きがあると承知をいたしております。
 今後とも、看護系の四年制大学の設置につきましては、一県一大学ということもさることながら、全体として積極的に対応してまいりたい、このように考えております。
#96
○政府委員(古市圭治君) 事実関係なので私からお答えさせていただきます。
 看護婦等養成所に対します補助の強化につきましては、平成三年度予算で専任教員経費等の補助対象経費の単価の引き上げを行いましたし、さらに新しく実習調整者経費も新設を行いました。平成四年度につきましては、看護婦等養成所に対する補助におきまして、専任教員経費等の補助対象経費の単価を引き上げるとともに、さらに新しく学生指導担当者経費というものをつけました。これらの結果、平成二年度の予算四十四億円でございましたが、これと比べまして七十四億円、約七割の大幅増加を図ったわけでございます。
#97
○竹村泰子君 いろいろと知恵を出し合っていかなければならないと思いますけれども、知恵だけではなく勇気も出していただきたいというふうに私も思います。
 現実の問題を少し聞いていきたいと思いますけれども、看護協会の皆さんがいい調査をしてくださっております。今までは新規にどう人材を確保するかということだったんですが、これから私がお聞きいたしますのは、どうしたら離職をとめられるかということなんです。
 この調査を拝見しておりますと、就職して四、五年で退職されるのが一番多い。なぜ四、五年であるのかということなんですけれども、ちょっと皮肉な言い方になるかもしれないんですが、四、五年というのはもう一番仕事の内容がわかってきておもしろくなってきて、ほかの職種ですと、よし、これは一生続けるぞとか、男性でも女性でもそういうふうに思われる時期なのではないかなと思います。ここで非。常に多くの、半数以上の人がやめていかれるというのは大変な資源の、資源という言い方は大変失礼ですが、人材も一つの資源といたしますと物すごいむだ遣いだというふうに思うんですね。
 ただしそれは、後ほど結婚、出産、育児などの原因のことをお聞きいたしますけれども、もう一つの原因としては、何か女性の職業、職場でよく女の子なんという言い方がありますが、幾つになっても女性は女の子なんですね。私たちが男性に対して男の子と呼ぶのはせいぜい二十ぐらいまでですけれども、女性は幾つになっても、五十になっても女の子というそういう言い方をよくされる。女性というものはやっぱり若い方がいい、安上がりな労働力だ、使い捨ての労働力だと。これは別に厚生省だけを責めているんじゃなくて社会一般そうなんですけれども、何かそういう意識がおありになるんじゃないでしょうか。
 そして、看護婦さんにおいてはなお一層若いうちがいい、看護婦さんはきれいですてきな方がいい、白衣の天使という呼び方もありますけれども、そういう何か意識がおありになるのじゃないかと思いますが、厚生省いかがですか。大臣いかがでしょう。
#98
○政府委員(古市圭治君) 後ほと大臣の御所感があるかと思いますが、私ども担当している者としましては、ほかの女性の職場ならいざ知らず、事看護職の働く場においては、あらゆる医療機関で本当に看護婦さんに来ていただきたいと思っておるわけですから、他の職種のように年齢が若ければと、そんなぜいたくを言える状況ではございませんで、どんな方でも来ていただきたいと思っておるわけでございます。
#99
○竹村泰子君 今の御答弁ちょっと差別的ですね。若ければぜいたくだという、それは年配の人を否定することになります。もう一度言い直してください。
#100
○政府委員(古市圭治君) どうも失礼いたしました。
 私が言いたかったのは、いわゆる看護職というのはほかのものと違って本当に何年間かの専門教育を受けた人でございますし、また経歴を積めば積むほどそれだけいわゆる手厚い、知識の厚い看護ができるわけでございますから、ほかの職種と違ってそういうことが言われるような職業ではないという趣旨でございました。訂正いたします。
#101
○竹村泰子君 大臣どうですか。いかがですか。
#102
○国務大臣(山下徳夫君) 御質問の趣旨が実は私はっきり受け取れないんですが、要は、慣例の問題もありましょうし、またこのことについて私がいろいろ申し上げることは適当でないと思います。
 女性の場合、女の子というのはかなり高齢化しても言うんですね、これは一つの習慣ですから。だから料理屋に行って四十ぐらいの仲居さんにお嬢さんと言えば返事しますけれども、我々は坊ちゃんと言われて返事はいたしません。そのように、一つの慣例というのがございますから、それをとらえて何歳の子が幾らということはいかがなものかと思いますが、要するに、おっしゃるように、職場の天使、天使ということから女性的なイメージがあることは間違いありません。
#103
○竹村泰子君 今のお二人の答弁大変おろしろいですね。古市さんのような紳士が、まさに若い方が本当はいいのだということをちょっとほのめかされましたし、大臣は社会的な慣例をお認めになりました。私はその慣例が問題なのだと言っているんです。そういう慣例、古い伝統的な慣例に従って女性の職業を、女性の労働を使い捨ての若い労働力と見ているのではないかということを言いたいわけで、まんまとお二人はお乗りになりました。
 それはともかくといたしまして、そういうことではないという古市局長の御答弁で安心いたしましたけれども、結婚、出産、育児というこの三つのことが七九・九%、まさに離職の理由なんですね。八割まで結婚、出産、育児でやめなければならない。
 さっき午前中の参考人の御意見のときにちょうだいしました調査では、既婚者が六三・四%でしたかね、いらっしゃる。その既婚者のうち八七・何%の方が子供を抱えていらっしゃる、そういう現状であることを考えますとき、こんなに看護婦さんの不足が叫ばれているときに、結婚、出産、育児で八割の方がやめていかれる。これは経済大国と言われ、先進国と言われ、私は余り好きを言い方ではありませんけれども、そう言われる日本の国の中で何と貧しいことでしょう。その辺、大臣どんなふうにお考えになりますでしょうか。
#104
○国務大臣(山下徳夫君) おやめになる方の理由を調査してみますと、結婚、出産、育児、あるいは子供のため、夜勤回数、こういう順序になっておりますので、私どもは、おやめになる理由がこういうことにあるとするならば、結局そういうところに主眼を置いてこれを改善しなきゃならぬ。そうすることによって、現在六年半という看護婦さんの平均勤務年数をもっと高めて、長く働いていただくような、そういう方途を講ずるのが大切なことだと思っております。
#105
○竹村泰子君 十六日の御答弁で、院内保育を今七百四十四カ所、九三年度には八百四カ所にしたいというふうな御答弁がございました、それは大変結構なことですが、院内保育というのは、あのときもちょっと御答弁がありましたが、ゼロ歳児もお預かりになるのですねということが一つ。
 それから大きな病院でないと、四人以上とか、何かそんな基準がありますね。小さな、例えば今一人しか預かってないけれども将来的にはもっと預かれるようにとか、そういう配慮のもとに小さな病院でも院内保育があるということは、子供を育てながら働くお母さんにとっては非常に心強い。結婚をする前の若い女性も、うちは大丈夫よ、院内保育があるから結婚しても子供ができても働き続けられるわよという、そういう何というか心・頼みになると思うんですけれども、その辺がちょっとはっきりしてないんですが、いかがでしょうか。
#106
○政府委員(古市圭治君) 子供さんができて、それが理由で職から離れなかったらいけないというのは、非常にもったいないことでございますから、私どもは離職防止の大きな柱として院内保育施設の充実ということを挙げているわけでございます。
 そういう観点から、子供の数が六人以上の施設に対して補助をしていたわけでございますが、先般四人までこれを下げました。またさらに、それ以下の施設に対しては、一つ一つでは大変でございますから、共同保育施設という事業をやっていただきましたらそれは補助いたしますというような枠もつくっているわけでございます。
 先ほどお話に出ましたように、これにつきましても、私ども予算的には、箇所数、それからまた保育時間の延長等、予算の増額を図っているところでございまして、今後とも引き続きましてこの施策の強化に努めたいと思っております。
#107
○竹村泰子君 院内保育も確かにもっと充実していただきたいんですけれども、大都会では、院内保育だと朝のラッシュ時に電車や乗り物に乗って子供を連れていかなくちゃいけないんですよね。だから、院内保育と同時に、もう一つは地域の保育園あるいは託児園、そういうところの時間、これはもうずっと長く母親のあるいは働く女性たちの中で問題にされていることです。今大分遅くまで預かってくださるところがふえてまいりましたけれども、いまだに五時とか六時とかという門限に間に合わせようとしてお母さんたちがもう一生懸命保育園へ駆け込まれるという姿も珍しくありません。
 だから、あわせまして女性全体が社会の中で働きやすくしていただくためには、保育園のあり方ということも考えていただかなきゃいけないと思うんです。その辺はいかがでございましょうか。きょうは担当者がいらっしゃらないかなと思いますが、おわかりでしたら答えていただきたいと思います。
#108
○政府委員(大西孝夫君) 直接の担当ではございませんが、私からお答えを申し上げます。
 今御指摘のように、いろいろな勤務形態を考えますと、保育というサービスがいろんな多様な形をとってきめ細かなニードに対応できるようにしていく必要があるということは、厚生省としましても従来から十分認識をいたしまして、そのために逐次乳児保育、延長保育、一時的保育等の特別保育対策の推進に努めているところでございます。また、平成三年秋からは、長時間保育サービスでありますとか、企業委託型保育サービスというようなことも着手しているところでございます。
 今御指摘の看護婦さんの保育ニーズに対応できるということも含めまして、今後いろんな保育サービスの充実を図る必要があるわけでありますが、院内保育所につきましても、そういう意味のきめ細かさ、弾力性というようなことを一つの重要な指針として今後とも考えていかなきゃならぬというふうに考えております。
#109
○竹村泰子君 仕事内容あるいは人間関係、そういったことへの不満もこの調査を見ておりますと随分出てきますんですね。もちろん結婚、出産、育児などに比べるとずっと低いのですけれども、これは何といいますか、病院内の旧態依然たる物の考え方、あるいは医者が、この中にもお医者さんがいらっしゃるんで、申しわけないのですけれども、やっぱりお医者さんがすべてを判断して、もちろん医療のことに関してはお医者さんが判断なさるわけですが、看護婦の業務に関してまであるいは看護婦に任せた方がよくいく場合にも医者の指示を仰がなければいけない、そんなところがまだまだあるような気がするんです。
 その辺は、政府がどうとかこうとか、厚生省がどうとかこうとかということではないと思いますが、その辺も打開できるような、いい人間関係をつくれるようなそういう職場の指導と申しますか、指示と申しますか、そういったことは厚生省は考えておられるのでしょうか。
#110
○政府委員(古市圭治君) 非常に重要なことだと思っております。よく言われますが、よい理念を持った病院にはよい医師が集まる、よき医師のもとにはよき看護婦、医療関係者が集まるということでございます。いろいろな話を聞きましても、あの先生のもとならということで、勤務条件だけではない要素で看護業務というものがみんな一心に行われているということがございます。
 そういうことから、私どもは平成三年度から看護業務の検討会というのを行っておりまして、その中で医療関係者同士の業務分担、それからまたそれぞれの連携、医師から看護婦への指示、また協力要請というもののあり方につきましても、モデルを幾つか勉強させていただいて、それらを集大成したマニュアル、手引というものをつくって、そういうようなことについての配慮も全国の医療機関にお願いしていきたいと思っております。
#111
○竹村泰子君 ぜひよろしくお願いをいたします。
 それから、いろんな方策をその中でも考えておられるんだと思うんですが、今回出されておりますものの中にも、リフレッシュ研修というふうなことが出てくるんですね。これは現在考えておられるわけでしょうけれども、先日の御答弁では二泊三日、予算が三千万円ぐらいというふうにお聞きしました。二泊三日のリフレッシュ研修で予算が三千万円、ちょっと考えてしまうんですね。どのくらいの人にリフレッシュが、しかも二泊三日で、かえって疲れちゃうんじゃないかなというような気もするんですけれども、この辺はいかがでしょうか。
#112
○政府委員(古市圭治君) これは私どもは、一つは看護婦さんの職場というものが非常にきつい、その中で単に知識、技術の研修だけでなくてもっと一般的に仲間と一緒にいろいろ意見を交流さす、またリフレッシュできるという観点からの事業が必要だろうということで、新卒の三年目あたりの若手職員に対しましてこういうことをやって。はどうですかということで、これは実施者は都道府県の看護関係団体ということになりまして、私どもの方から二分の一の補助で出しているわけでございます。
 そういうことで、全額この事業ができるということでございませんが、こういう事業を紹介して、補助制度もつくり、各医療施設、また都道府県でそういう観点からのリフレッシュ研修というものが広がっていくということを期待しているということでございます。
#113
○竹村泰子君 おやりになるのでしたら、二泊三日とかそういうことではなくて、もう少しゆったりとした計画で、金額も三千万円などというそういった額ではなくて、もう少しどかんとリフレッシュできるような、あなたもリフレッシュしてきてくださいと言えるような計画をしていただきたいなと思いますけれども、今後御検討をぜひお願い申し上げます。
 それでは、次に労働条件のことを少し伺いたいと思います。
 二・八体制ということが言われて久しいわけですね、二十年。夜勤を何とか軽減させようということもいろいろなところで言われております。しかし、さっきも申しましたが、これはもう原因と結果の悪循環なんですね。人手が足りないから二・八体制がとれない、仕事がきついから人が来ない、やめていく。こういう悪循環の中なのですけれども、この辺の打開策を今回の法案で、ここでこういうふうに基本方針の中で組み込んでおりますとさっきからお答えがありますけれども、実際にはそういう数字的なこととかは出てこないんですね。そういう意味で、ここをこうい。うふうに力を入れておりますというところをお教えいただけますでしょうか。
#114
○政府委員(古市圭治君) 一つは、繰り返しになりますが、おっしゃるように数が少ないから少ない人に対して労働が過重になる、労働が過重になるから離職者が大きい。これが一番大きな原因だと思います。したがいまして、あらゆる手段によりましてこの陣営に参画していただきます看護職員の数をふやすということにまず尽きるわけでございます。
 そういうことで、需給計画を立てさせていただき、そのために養成数を増加し、また離職の数を減らし、ナースバンクの活躍によりまして再就職者をふやす。これは毎年三万人ずつ実増ということでないと平成十二年に百十五万九千人にならないわけでございます。そういう努力をしていこう もう一つは、処遇の改善の中では、厚生省の方で先ほどの診療報酬の改定におきましても看護職の改善というものを重視された改定がなされたということかと思います。
#115
○竹村泰子君 診療報酬のお話が出ましたが、診療報酬改定を看護婦給与改善に結びつけるということで、先日十六日に大臣、医師会の会長とお約束をされたというふうに伺いましたけれども、それはよろしゅうございますね。
#116
○国務大臣(山下徳夫君) 医師会長を厚生省にお招きいたしまして、今回の五%のうちの二・六%はあくまでこれは看護婦さんの処遇の改善のためですよということを念を押して申し上げ、医師会長もそれを納得してお帰りになりました。
#117
○竹村泰子君 それもいろいろお聞きしてみますと、診療報酬というのは非常に複雑な構造になっておりまして、看護婦さんだけを特に優遇するわけにはいかないのだというふうなお話もあちこちで伺いますし、厳しいことはたくさんあると思いますけれども、せめてそのくらいはこの際やっていただかないと、これは平均ですからね、やっていただかないとどうしてもこれは処遇の改善ができないと思います。
 厚生省は、病院の経営の中には踏み込めないといつもそういうふうにおっしゃるんです。まあ確かに踏み込んでいただいちゃ困ることも多々あるのですけれども、今回のこの法案の中で看護婦さんを確保されていない病院は推進者の設置を求めることとしておられますね。十二条、二十四条などに、確保、できていない、下回る病院というんですか、「省令の規定によって定められた員数を著しく下回る病院」、これは医療法二十一条第一項第一号の規定に基づくわけですけれども、この「下回る病院」というそういうところには「看護婦等確保推進者を置かなければならない。」というふうにしておられるんですけれども、これは病院の経営に踏み込んだことにはならないんですか。
#118
○政府委員(古市圭治君) 直接には経営に踏み込むということには当たらないかと思いますが、この看護婦確保推進者を置くという趣旨は、そういう看護職員の数が著しく足りないというようなよころでは提供される医療につきまして保健衛生上のいろんな不安が起こるということから、看護婦の確保について要請をするわけでございまして、これは医療サービスの向上を図るという観点からこの推進者を置きなさいということになるわけでございます。
#119
○竹村泰子君 そして、そのことなんですけれども、十六日の答弁では、例えばとして看護婦基準定員の六割以下の病院という答弁があったんですけれども、この看護婦基準定員というのは四対一の設置基準だと思いますが、基準以下はどの期間続けるというふうな基準は示されていないんですね。この基準を下回ることをどのように把握なさるのでしょうか、実務論として。
 患者四対看護婦か准看護婦一というこの基準は、これがそもそも低い基準であるということは既にもうあちこちから指摘されているところでありますし、精神病院及び結核病棟については六対一でありますけれども、これらの六割以下では良質な医療の確保、看護婦の労働条件確保に関してというふうなことはこれは問題にならないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#120
○政府委員(古市圭治君) 現在具体的な水準については検討中でございますが、一つの考え方として、医療保険の支払いの方でこの基準の八割に満たない場合には診療報酬の減額措置もあり得るということになっております。そういうことから勘案いたしまして、六割ということが一つ出てくるのではなかろうかということで申し上げたわけでございます。
 しかし、何はともあれ、一医療法の基準を下回る医療機関が現在まだ不幸にして二五%あるわけでございます。それを改善するということが一番早急な課題でございまして、先ほど申し上げました養成計画で数をふやすということでこの基準が守られないという事態の改善を一日も早く到達をしなくてはいけない。しかし、現実に著しく足りないというので、一応六割程度のところはこの看護婦確保推進者を置いてほかの医療機関以上の努力をしていただこう、こういう趣旨で法案に書いたわけでございます。
#121
○竹村泰子君 チェーン病院のような場合はどういうふうにお考えになりますでしょうか。病院ごとなのでしょうか、それとも統括されているところなんでしょうか。「病院の開設者はこと十二条にありますけれども、この「病院の開設者」というのは病院の経営者ではないわけですね。開設者ということは、例えば何代も前に開設をされて、創始者というふうな場合もあり得るわけですけれども、これはイコール経営者ということなのでしょうか、それともあくまでも開設者ということなのでしょうか。
#122
○政府委員(古市圭治君) 前段のお尋ねのいわゆる系列病院、チェーン病院と言われているものにつきましても、病院ごとの医療法の定数ということでございます。
 先ほどちょっと答弁漏れをいたしましたが、これの担保は、現実的には医療監視員が都道府県の職員として回っておりますので、そこでチェックをされるということになっております。
 それから、「病院の開設者」と申しますのは、文字どおり都道府県知事に開設届けを出したという人でございまして、その病院を現に管理する人ということでございます。
#123
○竹村泰子君 医療監視員というのはどのぐらいいらっしゃるんですか。大体で結構です。
#124
○政府委員(古市圭治君) 今ちょっと直接数字がございませんが、私が保健所にいましたときには、保健所ごとに都道府県知事から医療監視の事務を命ぜられてやる人間が二、三名いたはずでございますので、保健所の数が現在八百五十幾つでございます。本庁の衛生部にももちろんおります。そういうような数じゃなかろうか。今ちょっと調べて、後ほど報告させていただきます。
#125
○竹村泰子君 保健所に二、三人おられて、都道府県レベルで衛生部に何人がおられるということで、かなりの人数がおられるわけですね。しかし、それも狭いところと北海道のような広いところとあるわけですけれども、それはもう画一的に何人というふうに決まっているんですか、地域差はないんですか。
#126
○政府委員(古市圭治君) ちょっと調べさせていただきますので時間をいただきたいと思います。
#127
○竹村泰子君 同じく第十二条ですが、ここで看護婦等確保推進者となることができる人を制限しておられますね。例を挙げて「医師、歯科医師、保健婦、助産婦、看護婦、看護士その他看護婦等の確保に関し必要な知識経験を有する者として厚生省令で定めるもの」でなければなれないというふうに書いておられますけれども、この理由は何ですか。
#128
○政府委員(古市圭治君) これは文字どおり、看護婦確保、非常に重要なことでございます。また開設者から命を受けていわゆる改善計画を立て、それに従った事項、それからまた仕事をしていただくということでございますから、だれでもいいというわけにはいきません。そういうことで、当然そういう業務に精通して責任を持ってやれるということで、例示としてここに「医師、歯科医師、保健婦」云々、こう書いたわけでございますが、そのほかに、このことは極めて労務管理という面もございます。
 そういうことで、その有資格者だけでなくて、事務長さんでも結構ですし、それからまた非常に熱意のある事務の人でも結構であるということで、その他はまた省令で定めたい、こう思っておるわけでございます。
#129
○竹村泰子君 第二十四条で、私ちょっとこれ大変だと思うんですね、この確保推進者を置かなかった場合、急いでこういう資格のある人を基準を満たさない小さな病院で探さなければならないということですけれども、罰則を設けておられるんですけれども、これは罰則がなければ徹底をしないということなんでしょうか。
#130
○政府委員(古市圭治君) そこまで行くことはまず余りないと思いますが、法律の趣旨から、非常に重要な仕事でありますので、しかもこれを置くことを命ぜられますのは、現在決めております医療法の基準を著しく下回るというふうなことでございます。その中でこの確保推進者に仕事をお願いするということを決めてあるわけでございますから、これを置かなかった場合、また変更したとき変更の届けが出なかった場合、それぞれについていわゆる罰則規定に結びつくということになっておりますが、実際問題としては、もうどの病院でもそれは大変な問題でございますから、こういう方が置かれて努力をされるというぐあいに思っております。
#131
○竹村泰子君 人材確保推進者においてだけなぜ病院関係者だけが罰則の対象となるんでしょうか。国については努力義務だけで、一方では罰則を設けるというのは、ちょっと勝手というか、どうかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#132
○政府委員(古市圭治君) この法律は、御承知のとおり、あらゆる努力で看護婦さんの処遇を改善し、また養成数をふやし、医療陣営への参画をぶやしていこう、こういう趣旨になっておりまして、国、地方自治体、それから病院の開設者、それぞれの務めというものが書いているわけでございます。
 そういうことで、著しく不足している病院というものには罰則規定に結びつきますが、そのほかの一般の病院等におきましても看護婦の処遇改善その他の措置を講ずるように努めなければならぬとされているわけでございまして、全体の中でみんなで努力しましょう、その中で現在でも殊に著しく不足しているというところはその責務がより一層厳しいということで、罰則規定まで結びついているということでございます。
#133
○竹村泰子君 みんなで努力しましょうじゃないんですね。さっきから私、初めから申し上げているとおり、国にかかわるところはみんな努力義務、努力義務なんですね。そしてこういうところだけがばちっと罰則つきになってるんです。何か信頼に欠けるのかなという気もするし、国は肩透かしというか及び腰というか、私はさっきからよくわからないわからないと言っておりますけれども、そういった、何となくこの法案全体で、やるぞ、何が何でも看護婦さんをふやすぞ、そうじゃなきゃ、非常にたくさんの労働、若い女性が多い、しかもこの労働現場は少ないんだというふうな、そういう国の気構えが感じられないんですね。よく御考慮いただきたいと思います。
 そこで、大臣にお伺いいたしますが、国はその人材確保について財政上の裏づけとなる責任を明確にするべきではないか。ゴールドプランという高齢者十カ年計画というのをお立てになりまして、非常に大きな横の連帯をもってプランをおつくりになりましたが、これも厚生へ自治、大蔵三大臣の合意で例えば人材確保七カ年計画とか人材確保十カ年計画とか、そういった大きなプランがつくれないものでしょうか。
#134
○国務大臣(山下徳夫君) 昨年末にとりまとめました看護職員の需給見通しは、平成十二年までに百十五万九千人、私どもはこれだけは必要だということを見込んでいるわけでございます。そのために、先ほどから申し上げましたように、養成の推進であるとか処遇の改善であるとか、あるいは資質の向上、就業の促進といったあらゆる施策を総合的に推進するということでこの確保を図っていきたいと思っております。
 先ほども申し上げましたように、平成四年度の予算は平成二年度に比べて八割も増しているというような、そういう一つの、我々これから具体的にやっていこうというあらわれがこの予算措置となっているわけでございまして、今後とも今申し上げました看護婦の需給の見通しを確保するために私どもは努力をしてまいりたいと思っております。
#135
○竹村泰子君 ぜひ着実に努力を重ねていただきたいというふうに思います。
 ちょっと角度を変えまして、看護婦さんたちはよく交代をして深夜にお帰りになることがあると思うんです。そのときに手当といいますか、特別な交通費のようなものが支給されておりますでしょうか。
 それと、労働省にお聞きいたしますが、ほかの業種でそういうことが、オペレーターとかアナウンサーとか記者とか、そういう方々に対しての状況をつかでおられますでしょうか。
#136
○政府委員(古市圭治君) 夜間勤務時の手当としましては、労働基準法に定める割り増し賃金というものに加えまして、夜間看護手当が加えて支給されるというのが一般的でございますが、今お尋ねのそれ以外の手当につきましては、個々の医療機関において従業員との雇用契約によって定めているというのが実情でございます。
 ちなみに、平成三年現在の全国病院労務管理学会の調査によりますと、準夜勤務の方が帰られるというときに、三分の一が車で送る手当がついているという統計が出ております。
#137
○説明員(朝原幸久君) 労働省の深夜労働を含む交代制勤務に関する調査結果というのを昭和五十六年、ちょっと古うございますが行っております。
 それによりますと、夜勤者のうち通勤不便な者に対する便宜供与といたしましては、便宜供与を行っている事業所が全体で三六・五%、それから行っていない事業所が六三・五%となっております。便宜供与を行っておるものの内訳でございますが、三六・五%のうち、事業所所有のバス等を利用させる事業所が二九・八%、それからタクシーを利用させる事業所が三六・八%、交通機関が利用できる時間まで仮眠施設で仮眠させる事業所が三一・〇%というふうになっております。
#138
○竹村泰子君 そうですか。ありがとうございました。
 次に、男性の看護士さんについてお伺いしたいと思います。
 大臣にちょっとお尋ねをしたいんですれども、どうして看護婦さんや保健婦さんは女性の仕事とされてきたのでしょうか。
#139
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど先生のお言葉にもございましたように、やはり白衣の天使というような、従来から最もそういった看護に適したのは女性であるという、しかも女性の天職と申しますか、そんなようなイメージで私どもは看護婦さんに実際に接し、またそのように理解をい。たしてきた次第でございます。
 ただ、当今、いろいろ今論議されておりますように、女性のみをもって充足することもできないし、また診療科目によっては男性の方が向いたところもあると思いますし、そういう観点から最近は男性の看護職員もだんだんふえてまいっておりまして、現在三%ぐらいでございましょうか、全部で二万二千人。これは漸次ふえておりますけれども、統計的に見ますと微増ということで、極端にはふえておりません。しかし、これはもっと私どもはふやしていくべきではないか、このように思っております。
#140
○竹村泰子君 老人保健法の審議のときに、私は介護に適した性はあるのかというふうな質問をしたことを記憶しておりますけれども、介護や看護に適した性は女性だというふうに今大臣はお答えになったんですが、そうなのですか、やっぱり。
#141
○国務大臣(山下徳夫君) 今申し上げましたように、必ずしも最近で言うとそういう観念ではなくて、男性もこの職場に入っていって女性と同様にやるべきである、そういうふうに私どもは理解を改めていかなければならぬと思っております。
#142
○竹村泰子君 そういうことで、看護の仕事は女性の仕事ということを考え直すべきときが来ている。ただし、さっきも参考人の御陳述にもありましたけれども、男性が一生の仕事としてやっていけるような賃金体系にはなっていないわけです。子供も大きくなっていけば教育費もかさみます、家族もふえていきます、いろんな経費がかさんでいきます。しかし、看護士さんとして一生やっていって家族をそういった形で養えるというふうなことにはなっていない。だから女性を中心に、そして就職してから四、五年たったら結婚、出産で退職するということを前提としているのではないかと私がさっきから皮肉っぽく言っている。まさにこれは現状を追認した形での給与体系、賃金体系になっているのではないでしょうか。賃金問題を考えるときに、本当にこのことはこれからの大きな課題として大臣、考えていただかなきゃならないと思うんです。
 男子にも門戸を開きますよ、どうぞどうぞ男性の看護士さんも歓迎ですよと言うならば、やはり男女ともに平等に、きちんと社会人として人並みにというと大変言葉がきついかもしれませんが、家族を養い、子供たちを育てられ得るような給与体系にならないと無理でしょう、幾ら男性来てくださいと言っても。いかがですか。
#143
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどから申し上げておりますように、看護婦の処遇につきましても、この数年かなり急速に改善を図ってきていると思いますし、看護士ももとよりでありますが、男女賃金の差というのはないのが原則でございますから、看護士だからこの賃金で食っていけないとかいうことではなくて、両々相まって看護婦の置かれておる一つの社会的な立場からして私どもは今後とも努力していかなきゃならぬと思っております。
#144
○竹村泰子君 福祉の問題もきょうはお尋ねしなければなりませんので、余り時間がなくなってしまいましたけれども、少し福祉の方の問題を取り上げさせていただきたいと思います。
 福祉施設職員の福利厚生として福祉センターというのをおつくりになって来年度から運営をしたいというふうなことなんですけれども、この財源はどこからお出しになるんでしょうか。
 それと、来年度からではもう遅いのではないか。すぐにも始められる方法として、福利厚生の問題では現行の公務員共済施設あるいは簡保や労働省の施設、年金の保養基地など、そういったものを役立たせるという方法はお考えになれないでしょうか。
#145
○政府委員(末次彬君) ただいま御質問の福利厚生センターでございますが、私どもこれはマンパワー確保のために魅力ある職場づくりをしていきたい、その大きな要素として福利厚生の充実ということを考えたわけでございまして、共同で一事業所単位でできないような事業をやっていきたいというふうに考えております。このような趣旨からいいまして、福利厚生センター、基本的には各事業主がその費用を負担するというふうなことを基本にいたしたいというふうに考えておりますが、事業の具体的内容を含めまして、財源のあり方も含めまして今後検討を進めていきたいというふうに考えております。
 また、既存の施設を利用してはどうかということでございますが、御指摘のような方法も確かにあるかというふうに考えております。事業の具体的内容、実施方法につきまして、平成四年度におきまして検討のための経費も予算に計上いたしておりますので、その検討会を設置し検討を行うこととしております。その中でただいまのような問題を含めまして、事業運営の効率性あるいは安定性といった面から総合的に判断しながら検討をしていきたいというふうに考えております。
#146
○竹村泰子君 なかなかすぐにはさっとそうはいかないようですが、お考えのうちに置いていただきたいというふうに思います。
 先ほどから、午前中にも出ておりましたけれども、社会福祉施設職員の給与の算定ですけれども、措置費で見ることですね、この措置費で見ていること自体が非常に運営を硬直化させてしまっているのではないかと思うんですね。措置費で見る限り余分の人材は置けないし、そして緊急の事態に対応できるような余裕はなかなかつくれないし、それともう一つは施設職員の採用時期がその措置的な指示が来るまで採用できませんから、大学の卒業の時期と合わないということでいい人材が集まらないとか、こういったたくさんのことがあるんですけれども、その辺の打開策をどんなふうに考えておられるでしょうか。
#147
○政府委員(末次彬君) 私ども、措置費の積算の上で、人件費につきましては標準的に各施設種別の職種ごとに学歴、勤続年数等を勘案いたしまして、国家公務員に準拠して算定をいたしております。また直接処遇職員につきましては、職務の困難性という面を重視いたしまして、本俸の四%ないし一六%という特殊業務手当を加算するというようなこともやっております。
 施設の方ではこの積算に基づきまして算定された措置費、これを受けまして、当該施設での国家公務員あるいは地方公務員の給与、あるいは地場賃金等を勘案して決めました給与規則に基づき算定するという方法をとっておりまして、そういう意味では国家公務員に必ず同じ給与ベースで支給するというようなことを強制しておるわけではございませんで、そこは施設としての判断もあり得るというような実態になっております。したがいまして、その施設でどういうふうに職員を配置するかという点、これは私ども最低基準ということで最低の基準は決めておりますが、それを上回る予算、これも予算の積算上つけておりまして、そういった面を弾力的に施設の方で運用していただくということを現在やっておるわけでございます。
 また、採用時期の問題でございますが、これは確かに御指摘のとおりでございまして、全国社会福祉協議会が一昨年六月に行いました調査によりますと、社会福祉施設職員の募集時期が、半数が年度後半というふうになっておりまして、残念ながら一般企業の新卒者の定期採用が実質的に終了している時期に募集を行っているというのが実態でございまして、この募集時期のおくれが必然的に採用内定時期のおくれをもたらしているというようなことでございます。
 これは、施設にとりましては退職予定者数が年度後半にならないと確定しない等の事情がございまして、なかなか一朝一夕にこれを解決することは困難であるということでございますが、私どもといたしましては、なるべく幅広く人材を確保するという観点から、社会福祉事業についての理解を深めるための積極的なPRを行う。また、この法案に盛り込んでおります人材センターを活用いたしまして、学校就職部あるいは職安との連携強化、あるいは施設側におきましても計画的な採用計画の樹立、こういった面で人事管理の改善を行いまして、でさるだけ募集時期が早期化できるように、関係団体ともいろいろ相談をしていきたいというふうに考えております。
#148
○竹村泰子君 いろいろと質問してまいりました。まだまだお聞きしたいことがたくさんあるんですが、ちょっと時間の制約もありますので、私ばこごて確認的な御質問を少しさせていただきたいと思います。
 一番目は、看護婦さんたちの養成及びそのための教員の養成、確保の両面にわたって国は基本的な責任を果たすべきであると、この観点に立って、医療法人の経営する看護婦養成施設に対する国庫補助を今後も大幅に増額すべきであると思いますが、いかがですか。
#149
○国務大臣(山下徳夫君) 看護職員確保対策を進めていく上で、その養成は重要な柱の一つと認識をいたしております。このため、平成三年度予算、平成四年度予算と、看護婦等養成所運営費補助の大幅増額を図り、平成四年度予算については、平成二年度予算と比較すると、約七割の大幅増額となっているところでございます。
 また、医療施設等施設整備費補助金についても、平成四年度予算において生活関連重点化枠の獲得により、四十四億円から七十八億円に大幅増額を図ったところでございます。
 今後とも看護職員養成に必要な財政、金融上の措置を講ずるよう努めてまいりたいと考えております。
#150
○竹村泰子君 文部省にお尋ねしたいんですが、看護婦さんたちの養成と看護婦等を教育する教員の確保に一層努力すべきではないかと思います。また、看護大学を全県に設置すべきではないかと、私先ほども質問で申し上げましたけれども、いかがでしょうか。
#151
○政府委員(前畑安宏君) 私どもといたしましては、看護協会等の御要請もございまして、今後はできるだけ四年制の看護教育を充実してまいりたいと、このように考えております。したがって、国立大学で措置いたします場合、ただいま御指摘の新設医科大学について新たに看護婦養成の施設を考えますときには、四年制の看護婦養成機関、看護教育機関として考えていきたい、このように思っております。
 また、大学、公私立の大学につきましても、基本的には十八歳人口の動向に照らし、全体として抑制ということを考えておりますが、看護教育、看護婦養成の大学、短期大学につきましては、積極的に対応してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
#152
○竹村泰子君 潜在看護婦さんが職場に復帰することを容易にするために、現存の養成学校、施設がこうした人々に門戸を開放して研修する道を開くべきではないでしょうか。
#153
○国務大臣(山下徳夫君) 今後若年人口が減少していく中で、潜在看護婦の方の再就業を促進することは、極めて重要であると認識をいたしております。
 そこで、平成四年度予算については、従来のナースバンクをナースセンターに改組し、職員体制の強化等を図ったことに伴い、予算の倍増を図ったところでございます。
 潜在看護婦の復帰のための研修につきましては、従来からナースバンクにおいて実施しているところであり、今後ともそうした研修が潜在看護婦の方に利用されるよう、地域の養成所を活用するなどきめ細かい配慮を行い、その実施に努力してまいりたいと考えております。
#154
○竹村泰子君 看護婦さんたちの需給状況の変化、労働時間の短縮、診療報酬の改定などがあった場合には、速やかに基本指針を見直すべきであると思いますが、いかがですか。
#155
○国務大臣(山下徳夫君) 基本指針につきましては、看護婦等の需給状況、社会全体の労働時間の短縮状況、診療報酬の改定等、諸般の事情を総合的に勘案し、必要に応じて見直していきたいと考えております。
#156
○竹村泰子君 病院等の開設者への指導及び助言とは、具体的にどのように行うのでしょうか。また、指導や助言をしても改善されない病院にはどのような措置がとられるのでしょうか。
#157
○国務大臣(山下徳夫君) 本法第八条に基づき、国及び都道府県が病院等の開設者等に対して行う指導及び助言については、看護婦等が不足し、適切な看護サービスの提供が困難な病院等に対する行政指導的な性格のものだけではなく、むしろ看護婦等の確保が円滑に図られるようにするための奨励的な意味での指導助言も含むものと考えております。
 具体的には、医療監視の際等に、医療監視員が行う指導助言及び公共職業安定所において行う指導助言によって実施することといたしております。
 指導及び助言にもかかわらず、看護婦等が医療法上の配置基準に対して著しく不足している病院におきましては、本法に基づく指導及び助言とあわせて、医療法に基づき医療監視等を通じて具体的な改善計画を提出させ、改善状況を追跡調査する等、その指導の徹底を図ってまいりたいと思っております。
#158
○竹村泰子君 社会福祉施設職員の労働時間の短縮、夜勤、宿日直の軽減など、労働条件の向上のだめに措置費の改善が図られるべきであると思いま出す。週四十時間労働実現のプロセスを示していただきたいと思います。
#159
○国務大臣(山下徳夫君) 社会福祉施設職員を確保するため、勤務時間の短縮等その処遇の改善が重要であることは十分認識いたしており、従来か川ら施設運営費である措置費等においてその改善に努力をしてきたところであります。今後とも本法案や各般の措置を通じ、その改善に努めてまいりたいと考えております。
 特に、労働時間の短縮につきましては、平成三年度においては週三十分の時間短縮を行ったところであり、さらに平成四年度においては、福祉マンパワー確保対策の重点施策の一環として、週九十分の大幅な時間短縮を内容とする措置費の改善を行うこととしております。この結果、平成四年十月以降、週四十二時間の勤務体制が確保されることとなり、週休二日制への取り組みが一層促進されるものと孝えております。
 今後は国家公務員の完全週休二日制への移行という状況を踏まえ、また、労働基準法に定める本則週四十時間勤務体制への移行時期及び民間企業の週休二日制の実施状況なども十分見きわめながら、福祉施設における勤務時間短縮対策について所要の措置を講じてまいりたいと考えております。
#160
○竹村泰子君 ありがとうございました。
 ちょっと重複したところもありましたけれども、大事なところを確認的に質問をさせていただき、御答弁をいただきました。
 もう時間がなくなってしまいましたけれども、大臣、ごらんになりましたか、きのうの新聞ですが、「救急救命士試験女性が九割」という、そして「看護婦さんあくなき向上心」というふうに大きなタイトルがついているんですね。今回の、「救急救命士になるための初の国家試験が十九日、全国八カ所の会場で実施された。」「出願した約四千五百人のうち、九割近い約四千人が看護婦」さんであったというこの記事、大臣お読みになったと思いますが、どういうふうにお感じになりますか。
#161
○国務大臣(山下徳夫君) 私は記事も拝見しましたし、テレビにおけるインタビュー等も拝見をいたしました。中には救急救命士たるものがいかなる職業であるか、どういうことをやるのかという十分の御理解がないまま受験された方も一部にはあると思うのでございますけれども、あれを拝見しますと、看護婦さん方が人命救助に対して本当に真剣に取り組んでおられる、またその向学心、こういうことに対して尊敬の念を持った次第でございます。
#162
○竹村泰子君 私は、看護婦さんたちの心の迷いを見る思いがいたしました。看護婦さんになるためには大変な勉強も必要だし、そして許可も認可も必要なわけですけれども、これらが生かせない職業なんですね。全くの新しい職業、これに挑戦をされたということを私は、見出しに「厚生省驚く」と書いてありますけれども、多分驚かれたんだろうと思いますが、四千五百人中四千人が看護婦さんだった。今女性が元気がいいと言われていますけれども、まあ受けてみるか、そういう人も中にはあったでしょう。それから、新しいこと、救急救命士なんて格好いいじゃないという人もあったかもしれない。しかし、中には真剣に新しい職種を目指して挑戦をされた方もあったと思うんです。
 なぜ苦労して資格を取ったのに、そのキャリアが生かせない職業に新たに挑戦しなければならないのか。看護婦という職業に絶望している方たちも多いのではないか。四、五年で半数もやめていらっしやる。でも、少しでも医療ということで、キャリアを生かせる職業を求めておられるのではないかと思うんですね。そして同時に、さっきも私質問の中でも申し上げましたけれども、医療の現場で一人前の医療職員として扱われていない、そういう欲求不満も随分おありになるんだろうと思います。
 彼女たちの悩みを本当に本気で受けとめて、それにこたえようとしていただきたいと強く要望いたしまして、最後に大臣の御所見を伺って終わりたいと思います。
#163
○政府委員(古市圭治君) 先ほどの御質問で保留させていただきました医療監視員の数だけちょっと言わさせていただきます。
 平成三年の九月三十日現在で、全国で七千百六十九名。地域的には、必要なところには多くということでございまして、例えば北海道では二百九十一名、こうなっております。
#164
○国務大臣(山下徳夫君) 重ねての救急救命士に対する志願が多かったことに対しての御質問でございます。先ほど申し上げたとおりでございますが、看護婦さんがみずから培ってきた看護婦としての従来の知識、それをさらに生かし、より高度なもの、より広くまた自分の知識というものを生かしたいという、そういう非常に進んだお考え方であろうと思いますし、真剣なお考え方であろう。私は、先ほど申し上げたように、大変好ましくまた尊敬すべきことであると思います。
#165
○竹村泰子君 それでは、続けまして、野党を代表いたしまして、確認の質問をさせていただきたいと思います。
 日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、山下厚生大臣に対し、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案についての確認質疑を行います。
 基本指針に定める事項のうち、「処遇の改善」には勤務時間、夜勤体制及び給与などが含まれると理解してよろしいでしょうか。どのような事項が盛り込まれるのでしょうか。
#166
○国務大臣(山下徳夫君) 国民に適切な医療を提供できるよう、資質の高い看護婦等の確保を進めるために、本法においては基本指針を定めることといたしております。その基本指針の「処遇の改善に関する事項」につきましては、関係審議会の御意見を聞いて定めることになりますが、厚生省といたしましては、まず勤務時間の短縮、夜勤体制の改善、あるいは看護業務の改善、福利厚生の充実、雇用管理体制の明確化などに関する事項を盛り込んでいきたいと考えております。
#167
○竹村泰子君 勤務時間と夜勤に関して基本指針の中に、週四十労働時間、複数月八回以内の夜勤という具体的な改善の目標が明記されるべきであると私どもは思いますが、いかがでしょうか。
#168
○国務大臣(山下徳夫君) 基本指針に定める内容につきましては、関係審議会等の御意見を承って定めることといたしておりますが、厚生省といたしましては、「処遇の改善に関する事項」について、複数体制も念頭に置きつつ、週四十時間、夜勤月平均八回以内といった具体的目標を規定していきたいと考えております。
#169
○木庭健太郎君 本案の審議をさせていただく前に一問だけ大臣にお尋ねをいたします。
 実は、去る四月八日の予算委員会で我が同僚議員の高桑委員ガ質問の中で、国際貢献の立場からポリオとかエイズ対策に積極的に取り組むべきだということを提案をいたしたわけでございます。けさテレビのニュースを見ておりましたら、近々山下厚生大臣がWHOに行かれる、その際にWHOへの拠出金を二一%ふやすというようなニュースが流れておりました。これは、どのような目的に対して拠出をなさろうとされているのか。そのことについてまず冒頭お伺いしておきたいと思います。
#170
○国務大臣(山下徳夫君) 今回増額することにいたしましたのは、WHOへの任意拠出金、今おっしゃいましたとおり、対前年比二一%増でございまして、任意拠出金はWHOが特に力を入れていることに対し協賛して出すのでございます。なお、任意拠出の対象となっておりますのは、お話のございましたポリオ根絶、エイズ対策のほか、麻薬対策、子供ワクチン等でございます。
#171
○木庭健太郎君 それでは、本法案の審議に入らせていただきたいと思います。
 今、竹村委員の方から確認質問があっておりました。私どももこの法案の中の実効性の問題を取り上げ、やはりその点が一番大事な点だろうということでずっと前回も質疑をさせていただきましたし、大臣もきちんと御答弁いただきましたし、この問題については真摯にぜひ取り組んでいただいて、実効性あるものにこの法案がなるようにしていただきたいということをまず冒頭要望しておきます。
 そこで、法案の中でまだ私たちよくわからない点もございますので、そのことで何点かお伺いをしていきたいと思います。
 まず最初の問題は、私どもこの法案で非常に残念に思った点が一点ございます。それは何かというと、行政の縦割りの弊害が何か随所にあらわれているというような点を感じるのであります。昨年夏以降、私ども看護婦さんの問題、福祉関係の人材の問題で、マンパワーの法案については一本化調整を政府にずっとお願いしたところでございます。しかし、最終的には結局この法案、労働省が一本、厚生省が二本という三本となったわけでございます。
 私どもは本当ならばきょう議題になっているものと労働省所管の介護労働者の雇用管理改善法案は一緒に審議したかったという思いもございます。法案の中身を見てもそういう点を感じますし、介護関係についても本来同じ機能を持つ福祉人材センターと福祉重点ハローワークが並立しているとかさまざまな問題があるわけでございます。その点、再度厚生省の方からこの経過についてきちんとした御説明をいただいておきたいと思います。また、今後そごがないようにその点を確認の意味でお尋ねしておきます。
#172
○政府委員(末次彬君) ただいま御審議をいただいております厚生省提出の社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案につきましては、これはゴールドプラン等の円滑な実施を図っていくために、社会福祉事業を適正に実施する、こういう観点から社会福祉事業従事者の確保のための所要の措置を講じようとするものでございます。
 一方、労働省の介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案は、介護労働者につきましてその業務の特殊性にかんがみ、労働者の福祉の推進という観点から雇用管理の改善等に関する措置を講じようとするものでございます。
 このように、目的が異なりますところから、厚生省の法案では、指導職員や保母等の介護に従事していない者を含めまして、社会福祉事業に従事する者全般を対象にいたしておりますが、労働省の法案は家政婦等を含みます介護労働者を対象にしているものでございまして、まずそれぞれの対象範囲を異にしておるわけでございます。
 また、厚生省の法案は社会福祉事業従事者の処遇改善等に関する基本指針を定めまして、措置費等と相まって実効ある人材確保のための措置を推進しようというものでございますが、労働省の法案は労務管理の改善等のための労働関係施策の重点的な実施を図ろうとするものというふうに承知しておるところでございまして、両法案はその手法も異なっているわけでございます。
 以上申し上げましたように、両法案は目的、対象範囲を異にいたしておりますので、それぞれの趣旨に即応した法案を現在御提出申し上げておるわけでございまして、今後相互に整合性を図りながらそれぞれ人材確保の促進を図ることにいたしたいというふうに考えているわけでございます。
#173
○木庭健太郎君 同じような法案で差ができているという問題について、次は看護婦や社会福祉事業従事者の処遇の改善等について、ほかに国家公務員法や地方公務員法、人事院勧告や条例があるということで、今回の場合は国家公務員や地方公務員は対象となっていないわけでございますけれども、この点についても今国立病院においてさえいわゆる万八回以内の夜勤が達成されていないというのは皆さん御存じのとおりのことでございます。また、ヘルパーの問題を考えたにしても、特に非常勤のホームヘルパーの諸手当、福利厚生面、不十分であるという問題があるわけでございます。
 公務員であるかどうかということを問わずに、全体として一貫したマンパワー対策をとる必要があると思いますが、この法案についての御説明と、これも今後どう取り組むおつもりなのかをあわせて御答弁いただきたいと思います。
#174
○政府委員(古市圭治君) 看護婦等の人材確保の方についてお答えいたします。
 御指摘のように、国家公務員、地方公務員の処遇につきましては、人事院勧告等によりまして関係当局が責任を持って適切に対処するということにされているところでございます。関係当局とも御相談しました結果、公務員の処遇につきましては、この法律による基本指針の対象とはせずに、従来の体系による取り組みによってゆだねるということになったわけでございます。
 しかし、処遇の改善以外の資質の向上等につきましては、国家公務員、地方公務員である看護婦等につきましても基本指針の適用の範囲内になる、このように整理をさせていただいた次第でございます。
#175
○政府委員(末次彬君) 社会福祉施設職員につきましても、ただいま看護職員について述べられたところと同様でございまして、基本指針の中で処遇の改善に関する措置についてのみ適用除外をするということでございまして、その他の点につきましては同様に取り扱いをする予定でございます。
#176
○木庭健太郎君 納得しているわけではないんですけれども、ではもう一つお聞きいたします。
 この二つの法案は同じような趣旨で組み立てられているわけでございますけれども、これは局が違うためなのかどうなのかわかりませんが、規定ぶりも違っております。例えば、看護婦の促進法の場合は第四条で国及び自治体の責務として規定されているものが、福祉マンパワー確保法案に至りましては単にこれは国、自治体の措置と言っているにすぎないのでございます。どうして福祉マンパワーに関しては国、自治体の責務というふうに明確に言えないのか、この理由もお聞きしたいと思います。
#177
○政府委員(末次彬君) 御指摘のとおり、社会福祉事業法の改正案の第七十条の五におきまして、「国及び地方公共団体の措置」という見出しを規定いたしております。これは社会福祉事業法におきましては、その第一章の総則におきまして、既に基本理念等が規定をされておりまして、社会福祉事業全体を通ずる責務が定められているということから、今回の改正案では社会福祉事業従事者の確保を推進するためのより具体的な措置を規定するという意味で、立法技術上第七章の二の第七十条の五につきましては、その見出しとして「国及び地方公共団体の措置」という見出しをつけたわけでございます。
 なお、この規定は社会福祉事業従事者の確保等を促進するために国が必要な財政、金融上の措置等を講ずべきこと、及び地方公共団体が必要な措置を講ずべきことを規定しておるところでございまして、規定の内容は実質的に看護婦等の人材確保の促進のための法律案と同様の国の責務を定めたものであるというふうに御理解をいただきたいと思っております。これはまさに立法技術上こういう取り扱いになったということで、実質的には責務であると私どもも考えております。
#178
○木庭健太郎君 法律ですから難しいところもあるんでしょうけれども、国民の目から見た場合に、本当にそういう差異があるようなことを感じざるを得ない面もあるわけでございます。法律上の問題とおっしゃいましたけれども、そういうところもできれば配慮をしていただく部分、それならばもう少しきちんと国民に向かって説明していただく部分が私はあってしかるべきというふうに思うのであります。
 また、今回の法案でもう一つお聞きしておくのは、介護職員、同じ介護職員であっても医療施設における介護職員は対象となっていないわけでございまして、老人保健施設の介護職員さえ対象から抜け落ちているわけでございます。老人保健施設の介護従事者の確保というのは、これは緊急性が叫ばれていたと思いますけれども、一体この点についてどんな認識を持っていらっしゃるのか、これもお聞きしたいと思います。
#179
○政府委員(古市圭治君) まず、看護婦人材確保法についてでございますが、これは先生御承知のように、医療の中核を担う看護業務、その中のしかも有資格の看護婦さんと申しますのは、ある程度の法的な関与のもとに数年間の養成を経て職場に出てくるということでございます。そういうことから現在の不足状況を解消するためには総合的な施策を緊急に打っていかなかったらいけないということで、今回の法律では看護婦に限ってその対象としたわけでございますが、先生御指摘のように、医療機関で看護に携わるそのほかの看護補助者という方々の仕事の重要性というものを私どもは十分認識しているわけでございます。
#180
○政府委員(岡光序治君) 老人保健施設で介護に携わる方々の関係でございますが、老人保健施設は施設の概念といたしましては、医療を提供する施設ということになるわけでございまして、そういう意味ではただいま答弁がありましたように、医療機関において介護に携わる方々と同じような位置づけになるというふうに法律の上では整理をしているところでございます。
 現状は、老人保健施設の介護職員、例えば入所定員百人当たり二十人置くというのが標準でございますが、直近の調査では二十一・三人ということで、現在のところは充足をされている状況でございます。
 したがいまして、この方々の大切な位置づけというのは十分認識をしておるわけでございまして、老人保健施設療養費の中で必要な人件費を織り込むとか、福利厚生にかかる費用も確保するとか、あるいは完全週休二日制の推進に伴う必要な人件費増も織り込むとか、こういう条件を整えるということで当面は対応いたしたいというふうに考えている次第でございます。
#181
○木庭健太郎君 大臣、今まで幾つかの点を挙げさせていただきました。それぞれ御理由を挙げられておりましたけれども、私ども基本的にこういう問題というのは総合的な取り組みが必須だと思いましたし、党としても昨年五月医療・保健・福祉人材確保法案の要綱を発表させていただきました。その際も、この保健医療・福祉マンパワーの確保については一本化して考えるべきではないかということをお訴えしたわけでございます。従来の縦割りの発相ではなかなかこの問題を解決できないという観占からでございました。
 現時点でこう法案が出てきたわけでございまして、そうなれば、今とにかく必要なことは、第一歩として関係省庁を網羅したマンパワーの総合対策推進本部、名前は何でも結構でございますけれども、そういったものを設置する必要があるのではないかと考えますけれども、大臣から御答弁をいただきたいと思います。
#182
○国務大臣(山下徳夫君) 今回の法律案につきまして、厚生、労働両省から出たということについてはいろいろ御意見がございますけれども、私どもそれぞれ縄張り争いということではなくて、役所が違って、それぞれ所管の立場から見ますというと、観点が違ったところもございます。
 そこで、今回は両省でもって十分了解し、話し合った上でやったことでございますから、この点は御了解いただきたいと思いますが、しかし、先生のおっしゃるように、将来にわたって縄張り争いということにならないように、我々常に心がけていかなきゃなりません。したがって、関係省庁、常に緊密な連絡をとりながら物事を進めていく必要があると思っております。
 私としましても、閣議等の場において政府部内で十分連携をとっていくように常に心がけてまいりたいと思っております。
#183
○木庭健太郎君 それでは次に、看護職員の新需給見通しの点で何点がお尋ねをいたします。
 この需給見通し、平成十二年に均衡ということで見直しをなされたわけでございます。そこで第一にお尋ねしたいのは、見通しの上でも大変な不足が予想されるここ数年の問題でございますけれども、これをどのように乗り越えていくおつもりなのか。また、看護職員の圧倒的な不足の中で最優先課題である労働条件の改善、特に週四十時間労働の問題、夜勤の軽減などを具体的にどのようにお図りになっていくお考えなのかということ。
 あわせてお聞きしておきたいのは、地域的な問題も残っていると思います。十二年を見たとしても、宮城、神奈川、広島など、十四道府県でなお不足が見込まれているわけでございます。看護婦さんの場合は地域に急に飛んでいけと言っても、これはなかなか難しい問題もございます。この辺について具体的にどのような対策を持っていらっしゃるのか、お尋ねしておきたいと思います。
#184
○政府委員(古市圭治君) 勤務条件の改善ということで当面問題になっておりますのが週四十時間労働、それから夜勤の月平均八回、ここに到達するということで今回の需要の見込みの中にはそれを入れたわけでございますが、数を入れたからといって供給数が追いつくわけじゃございません。そういうことで御承知のように、ここ二年間にわたりましてこれらの対策、育児の事項を踏まえて院内保育所への助成、それからまた夜勤体制への助成ということで予算の大幅な確保をやってきたところでございます。これはやはり数をふやしていかなかったらいけないということであらゆる努力をしなかったらいけないと思っております。
 それからまた、地域的に都道府県で偏在があるという御指摘でございますが、そのとおりでございまして、また県の中でも僻地に行くほど得られないという地域偏在もございます。そういうことで県の計画はこのようになっておりますが、それが非常に不足が激しいというところでは私どももまた協議させていただきまして、ナースセンターの活躍、それからまた業務の改善、見直しというものにつきまして個々の県ともまた相談をさせていただきたいと、このように思っております。
#185
○木庭健太郎君 この見通しの中では今おっしゃいましたように、週四十時間制に伴う需要、月八回以内の夜勤等の勤務条件の改善によって、百床当たりの看護職員数は現在の三十五・九人から四十八・二人になるというふうに見込まれているわけでございます。しかし、百床当たりの看護職員数がそういう状況であれば、医療法における人員配置基準の見直しを行うことも可能ではないかというふうに思うわけでございます。
 ですから、私が言いたいのは、週四十時間労働、月八回以内の夜勤の実施を口にしながら、その実現が不可能な人員配置基準をそのままにしているのは何か矛盾があるのではないかと思うんですけれども、遅くともこの需給見直し期間中に医療法における人員配置基準の見直しを行うべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#186
○政府委員(古市圭治君) 現在、御指摘のように看護婦について言いますと、医療法の人員配置基準の遵守率というのは七六・四%ということでまだ改善が急がれているわけでございます。そういう中で今回看護職員等の人材確保法案を提案させていただいて、この改善に総合的な努力を行おうとしているところでございます。
 また、御指摘のように、これが改善された暁には医療法の配置基準の見直しというものはあるのではなかろうか、こういう御指摘でございますが、現在医療法の改正案も本国会に提案をさせていただいておりまして、看護婦の状況がふえてきたという暁にはそういう配置基準の見直しも可能になってくると、このように思っております。とにかく看護婦さんの絶対数の増加を急速に行っていきたい、こう思っている次第でございます。
#187
○木庭健太郎君 この需給見通しの中でお聞きしておきたかったのは、例えば現在看護職員の中で最も充足が求められているのはいわゆる正看護婦さんであると思うんです。この需給見通しの中においては看護婦の内訳というのが出ていないわけでございますけれども、厚生省として需給見通しにおける保健婦さん、助産婦さん、看護婦さん、准看護婦さんの内訳をどのように掌握されているのか、お尋ねをしたいと思います。
#188
○政府委員(古市圭治君) この需給見通しのときにはそれぞれの職種別に区分けして見通しをしてくれと、こっぱ言いませんでした。と申しますのは、看護婦の職を取ってその上に一年コースで保健婦、助産婦と行くわけでございまして、また助産婦さん、それから保健婦さんの需給の状態というのが看護婦さんの現在の緊急な問題の状況とはやや違いますので、まとめて看護婦さんの数で、この中で含ませていただきまして需給見通しを出したということでございます。
#189
○木庭健太郎君 看護婦さんと准看護婦さんだけの内訳というのはあるんですか。
#190
○政府委員(古市圭治君) それも、これをとりましたときには積算を区分けしてやっておりません。ただ、考え方といたしましては、現在私どもの方に看護婦養成学校の申請が出てきますのはほとんど正看護婦でございまして、准看護婦学校というのは現在数はございますが、これからふえていく要素ではないということで、私どもは養成課程の高度化を願っておりますので、大体申請の方もそのようになってきておりますので、そこはあえて分けずに看護婦の資格者ということで数字を計上させていただいているわけでございます。
#191
○木庭健太郎君 できれば、本当はわかりやすくするためにはそういう区分けも私は必要じゃなかったかなと思うんです。
 ただ、局長今おっしゃったみたいに、今出てきているのは准看護婦の養成よりも看護婦の養成の問題が来ているとおっしゃいました。それならば、今准看護婦養成所があるんですけれども、これの看護婦養成所への転換についても、これは厚生省としてある程度具体的な整備計画を逆にきちんとつくるべきじゃないかと思うんですが、この点についてどうでしょうか。
#192
○政府委員(古市圭治君) 今申しましたように、これが従来の傾向を示していくというようなこと、あるいは准看護婦数が従来どおりの比率で推移するということならば計画も必要かと思いますが、現在のところは地域におきましてもひとつ教育期間の長い学校の方をつくろう、さらには大学コースをつくろうということに向かっておりますので、あえて計画を立てるまでもなく、私どもへの申請が出たときにそのような御指導をさせていただくということで対応できるということで、計画を立てるまでもない、こう認識しているわけでございます。
#193
○木庭健太郎君 看護婦養成施設の問題ではさまざまお聞きしたいこともありますけれども、厚生省にいつものこの点を聞きますと、今年度においても国庫経費の大幅増を図ったというふうにおっしゃるわけでございますが、大幅増額したという平成四年度を見ますと、看護婦養成所における一人当たりの年間経費は残念ながら五万円台だったと思います。一人当たり年間の五万円の補助額、これが本当に適切なのかどうかというのは私は疑問だと思いますし、抜本的な増額というのをやるべきではないかと思います。
 またもう一つ、看護婦さんの地位とか質の向上を考えるならば、高校卒業者を前提としている看護婦養成施設の場合は、一番いいのは本当は学校教育法の第一条における学校として位置づけるべきだろうと思うんですけれども、私は少なくとも最低限この養成施設というのは専修学校以上とすべきだと考えますが、この点についての見解を伺います。
#194
○政府委員(古市圭治君) 御指摘のとおり、私どももそれが好ましいということでそういう御指導をしているわけでございまして、現実には平成二年で看護婦養成校につきましては、専修学校に七一・九%は既になっております。それからまた、専修学校以上に短期大学、それからまた大学というコースもございますので、その他というのが一三・八%残っているという状況でございますが、徐々にそういう教育課程の長い学校に移行していくということは先ほど申したとおりでございまして、これもそういう指導をしていきたいと思っております。
#195
○木庭健太郎君 あわせて、先ほども少し御論議になっておりましたけれども、大学、看護大学ももちろんなんですが、新設の医科大学の問題でちょっとお尋ねしたいんです。
 せめて新設の医科大学については看護婦養成施設を設置するというようなことを今進めなければいけないと思っておるんですが、たしか新設医科大学というのは十六校だと思います。この十六校ぐらいについては文部省としてきちんといつまでにどうしていくんだという具体的なめどをまず示すべきだと思います。これについての見解をまず伺いたい。
 あわせて、国立の准看護婦養成施設の問題でございます。これもやはり看護婦養成施設に切りかえるべきであると思うし、また看護学校についても大学病院の附属看護学校から順次短大に切りかえていくべきだろうと思います。特に最後の大学病院の附属看護学校から順次短大に切りかえる問題についてはもうほとんど済んできているわけですよ。あとちょっとしか残っていないわけです。今年度なのか来年度なのか、このくらいは文部省としてきちんとやるんだという考えを具体的に示していただきたいと思うんですけれども、御答弁をいただきたいと思います。
#196
○説明員(喜多祥旁君) 文部省といたしましては、看護教育の充実と看護教員の養成を図るという観点から、大学レベルでの養成が極めて重要であると考えておるところでございまして、その設置につきましては、国立、公立、私立等を通じ積極的に対応してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
 先生御指摘の新設医科大学でございますが、いわゆる新設医科大学は十六大学ございまして、そのうち十四大学につきましては自前の看護婦の養成機関はございません。大学設置の際に、看護婦の養成確保というのは地元でやっていただくということで進めてきたところでございます。
 過去の経緯はともかくといたしまして、来年度以降それぞれの地域におきます看護婦の需給状況でございますとか、あるいは大学の準備状況、国の行財政状況等を踏まえまして、それぞれの大学の医学部に看護系学科を設置するということで対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 もう一点、医学部附属の看護学校の件でございますが、国立大学医学部附属看護学校、かつて二十六校ございましたが、順次短期大学あるいは大学に切りかえてまいりまして、二十二校を短大に、そして二校を医学部の看護系学科に移行したところでございます。現在残っておりますのは東京大学と千葉大学の医学部附属看護学校二校のみでございます。
 ただ、この二大学につきましては、先生御案内のとおり、千葉大学におきましては昭和五十年に看護学部を既に設置をいたしております。また東京大学につきましては、従来から医学部に保健学科がございましたが、今年度から名称を健康科学・看護学科に改めまして、看護系講座の充実を図りますとともに、三年に編入学定員二十人の増を図ったところでございます。
 したがいまして、この東大と千葉大の医学部附属看護学校の改組につきましては、看護婦養成機関として重要な役割を果たしておるところでございますので、それらの状況等を踏まえまして慎重に考えさせていただきたいというふうに思っておるところでございます。
#197
○政府委員(寺松尚君) 国立病院・療養所の准看護婦養成施設につきまして御質問がございましたので、お答えいたします。
 附属の准看護婦養成施設につきましては、これまで年々看護婦養成施設に切りかえてきておるところでございますが、現在残っておりますのは十三施設でございます。看護婦の養成課程としての必要な実習施設や、あるいは講師の確保が非常に困難でございまして、なかなか難しい状況にはございます。しかしながら、厚生省としましては看護職員の質的向上を図る等の観点から、今後とも施設や地方自治体等関係者の意向を踏まえ、地域の他の医療機関の協力を得ながら、可能なところから順次看護婦養成施設へ切りかえを図ってまいりたい、このように思っております。
#198
○木庭健太郎君 以上、看護職員の需給見通しとその養成の問題を少しお尋ねしたわけですけれども、この需給見通しの問題で、最後の締めくくりとしてお聞きしたいのは、一つはこの見通しというのは各都道府県の積み上げの数字でおるという点でございます。私どもとしては、もちろんそういう積み上げの数字を一つの参考としつつも、国が責任を持って看護職員の確保計画を策定するという立場から需給計画というのをきちんと示すべきではないかと感じております。
 現時点でできていないわけですけれども、先ほど局長もおっしゃっておりましたように、医療法どうなるかわかりませんが、医療法改正後の話で状況を見てというお話がございました。そのときに、前回の勝木委員の質問のときに、たしか局長が、もし医療法が改正されてそういう動向がわかってくれば、見通しでなくて計画をきちんとしたいと答弁されたような頭の片隅に記憶があるんです。そうなると、これから厚生省としてきちんと見通しを踏まえた上での計画をお出しになるということかなと理解したんですけれども、そういうのをきちんとして風でやるべきだと思うんですが、その点についての御見解を伺っておきたいと思います。
#199
○政府委員(古市圭治君) 先ほど大臣からも御答弁がありましたが、この需給通しというのは昨年の十二月に出したわけでございまして、これをあらゆる努力によりましてこの数をふやしていきたいということですが、これがどういう状況になっていくのか、机上の数字だけではいけませんので、これを適宜必要な見直しを行いまして、それからまた医療法の改正案というものがどのような推移になるかということもございます。
 そういうことで、毎年三万人ずつの増員を図っていかなかったらいけないという容易ならない計画でございますので、その必要な時点にその努力の結果も見直して、また全国的だけでなくて都道府県ごとにも見直していただいて、また全国の積み上げというものをやってみる、そういうことでブランを現実性のあるものにしていきたいと思っておるわけでございます。そのときには医療法の配置基準というものをどういう状態になったら見直せるかというのも当然議論にはなってこようかと思っております。
#200
○木庭健太郎君 それともう一つ、これは政府の新経済五カ年計画に絡んで我が党の書記長が総理に、この新五カ年計画においてもこういった保健医療・福祉マンパワーの問題、きちんと入れていくべきだというような質問をした際に、総理はできるだけその方向で盛り込みたいというような答弁をいたしておりました。
 そういった答弁を総理がなさっているわけですけれども、それを受けた形でこの保健医療・福祉マンパワーの問題について、その確保策についてどんなふうにして一番の所轄大臣として働きかけていくおつもりなのか、厚生大臣の決意を伺っておきたいと思います。
#201
○国務大臣(山下徳夫君) 今までるる御説明申し上げたと思うんでございますが、とにかくこれはもう非常に大切な問題でございますので、私といたしましても、できるだけひとつ働きかけて、この問題については積極的に取り組んでまいりたいと思います。
#202
○木庭健太郎君 大臣の答弁は非常に簡潔ですけれども、何かもう一つどうなのかなというふうな思いもすぐいたすんですけれども、決意を本当に込められているならば、たまには声が大きくなっても結構でございますし、御自分の意見を交えながらおっしゃっても結構ですし、何かそういう姿勢をぜひ見せていただかないとわかりにくいところがあるんですよね。淡々としていらっしゃるから、どっちがどうなのかなと。もう一回ちょっと聞いてみましょうか。
#203
○国務大臣(山下徳夫君) 御質問のとおり、保健医療の福祉サービスは、その役割というのは、だれもが安心して日常生活を送れるということを主眼としておりまして、これは国民一人一人が豊かさとゆとりを実感できる生活大国を実現する極めて基礎的な条件であると私も理解をいたしております。
 それで、新経済計画におきまして保健医療・福祉マンパワー対策が政府として取り組むべき最重要課題としてこれは位置づけられておること、御承知のとおりであります。ヒアリング等において事務当局より積極的に働きかけを行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、保健医療・福祉マンパワー対策につきましては、これは中長期的な対応が必要だと思っておりますし、各般にわたって息の長い取り組みをやっていくことが一番大切だ、このように理解をいたしております。
#204
○木庭健太郎君 ありがとうございます。
 次に、少し今度は福祉部門のことでお尋ねをいたします。
 先般、平成三年度版の厚生白書で「広がりゆく福祉の担い手たち」と題して、民間サービスと個人、企業の社会貢献活動を中心に取り上げた一文がございました。読ませていただきました。その中に、私たちが少し危惧をいたしますのは、そういう文章をもっと読みますと、公的責任とともにもう一つ自立、民間サービスということを強調なさっているんですけれども、余りに強調されると若干の危惧を感ぜざるを得ないわけでございます。
 政府は、これまでこういった問題、基礎的ニーズについては公的施策で対応して、高度かつ多様なニーズについては民間活力を導入するというような説明をいつもなさっておられたはずなんですけれども、そうなると、一体この民間サービスとかボランティア活動というものとこの基礎的ニーズというのはどうなってくるのかというのがややあいまいのような気もいたしますし、特に総理は何か生活大国というのをおっしゃっているわけですから、この生活大国における基礎的ニーズとは一体何なのかということを少し御説明をいただいておさたいと思います。
#205
○政府委員(大西孝夫君) 基礎的ニーズという言葉の内容は、正直言いますと、国民の生活水準でありますとか価値観の変化など、時代によって具体的内容というのは変わり得るというふうに考えられるわけでありまして、そういう意味ではなかなかその具体的な内容の説明というのは難しいと思うんです。
 もう少し基礎的ニーズというものを敷衍した考え方を示したものとして、例えて申しますと、昭和六十二年十二月の福祉関係三審議会の合同企画分科会の意見具申では、シルバーサービスというものを一つ例にとりながら、公的部門の対応すべきニーズ一言うならば基礎的ニーズに当たるものとしまして、一つには「国民の切実なニードに対応するサービスであって、対象者が低所得者であるなどの理由により、基本的に民間によるサービスの提供が期待し難いもの」、もう一つは「国民の切実なニードに対応するサービスであって、広い意味における市場機構を通じての民間サービスの供給が十分でないもの」という二つに類型化しておるわけでございます。
 そういうことを踏まえて私ども基礎的ニーズということを言い、そういう国民の基礎的ニーズについては公的施策をもって対応するという考え方を昭和六十三年の福祉ビジョンでもお示しをさせ
ていただいたわけであります
 ただ、今後二十一世紀の高齢化社会を考えます場合に、当然公的施策の一層の拡充が求められてくることは言うまでもありませんし、それが当面私どもの最も省としての大きな課題の一つであると認識しておりますけれども、今後の二十一世紀を考えますと、それと同時にやはり国民の生活ニーズの多様化、高度化という要素は否定し切れないわけでありますし、それに対応するものとして、民間のサービスでありますとか、ボランティア活動でありますとか、あるいはさらには企業の社会貢献活動などのいろんな形をとって、国民がそれぞれの立場、いろんな形の社会参加をしながら高齢社会を全体で支えていくという環境ができてくることは非常に望ましいんではないかと考えております。
 そういう意味で今回の白書は、そういう民間の活動が、これは本当にまだ揺籃期といいましょうか幼児期といいましょうか、極めて芽が出たばかりの状態ではございますが、これが健全に成長してくれるならば、将来の高齢社会において非常に貴重な存在になってくれるのではないかという期待を込めて実は紹介をさせていただいたわけでありまして、決して公と私という観点から公の責任を押しつけるような発想があったりということではございません。
 私どもは、公的責任の充実というものはあくまで第一義的に私どもがやるべき責任でありまして、これは繰り返し繰り返し白書でも述べたつもりでございますが、若干新聞論調等でもそういう危惧が批判としてあらわれております点は、もう一度十分かみしめながら、今後施策の推進に当たりたいと思っております。
#206
○木庭健太郎君 今おっしゃったみたいに、確かに国民の社会参加を促進することは大事なんですけれども、その辺の区分けをきちんとしておかなくちゃ非常に誤解を与えると思うんです。
 そういう社会参加の促進の一つの方法として、よく地方自治体で取り組んでいるところもございますけれども、いわゆる介護切符というのがあるんです。また介護貯蓄制度というのも今考えて実行しているところもございます。せっかく今それこそ芽が吹き出したところですし、こういった問題に国としても何らかの、調整をどうしていくかとか、援助をどうしていくかということをそろそろ検討しなくちゃいけない時期に来ていると思うんですけれども、この点についてお伺いしたい。
 もう一つは、学校教育の現場でございますけれども、今学校教育によって実践的な社会参加活動を随分積極的に取り入れるところもありますし、より進めなくちゃいけないと思うんですけれども、もう一つ、こういう社会参加活動というのを、例えば大学なんかにおいて卒業単位に算入すると
 いうようなこともそろそろ検討し始めるべきだと思うんですけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
#207
○政府委員(岡光序治君) ボランティア活動に関します介護切符とか介護貯蓄というのは、御指摘のございましたように地方で相当採用されているわけでございます。そもそも、今後ますます要介護の御老人がふえるということが見込まれるわけでございまして、介護に広く国民の参加を求めていくということが必要であるというふうに考えております。
 今回の福祉関係の改正法案の中でも、基本指針におきまして、「国民の社会福祉事業に対する理解を深め、国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するために必要な措置」を基本指針の中で定めるというふうなことも考えておるわけでございまして、そういったシステムの問題であるとか、あるいは具体的な施策の中でも国民皆参加の促進ということを重要な柱にしているところでございます。
 御指摘のありました介護切符なり介護貯蓄のシステムは、いろんなやり方があるものですから、私どもこれを長期的に安定的なものとして考えていけるかどうか、それからそれぞれの団体で行われている仕組みが、当然住居が移っていくということが考えられますので、相互に流通が可能かどうかとか、いろいろ今後普及定着をしていくためには問題があろうかと思っておりますので、そういったことを踏まえた上で、国としてどうするか、どのように対応していったらいいかということで、今年度は調査研究をぜひともいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
 それから、学校教育の場での問題は、現在のところはボランティア協力校という格好でいろんなボランティア活動に御協力をしてもらう、そういうことを国としても応援をしておるわけでございます。御指摘のありましたように、欧米諸国では、特にアメリカあたりでは大学の入学審査資格の中にボランティア活動をどのぐらいやっていたかということなんかが一つの審査要件にも入っておるようでございますが、そんなふうなことも参考にしながら、大学の教育の中でのボランティア活動との絡みにつきましてもいろいろ研究をし、そして文部省にもいろいろお願いを申し上げたいと考えておる次第でございます。
#208
○説明員(喜多祥旁君) 大学の単位認定についてお答えいたします。
 大学教育におきましては、授業によります単位の修得、これは非常に大事なことでございますが、そのほかにクラブ活動等も含めた学内外での諸活動も大切な要素でございまして、これらを通じ総合的に人間形成が図られることが望まれるところでございます。
 このような観点から各大学におきましては、建学の精神でございますとかあるいは特色を考慮したさまざまの活動というのが奨励されていると承知いたしておるところでございまして、大学の判断によりボランティア活動が奨励されることは大変有意義なことであるというふうに考えております。
 ボランティア活動等の社会参加活動を大学の単位認定の一環に含めるかどうかにつきましては、基本的には各大学が自主的に決めることではございますが、各大学がその責任と判断におきまして実施するものであれば、単位として認めみことは特段差し支えないというふうに考えておるところでございます。
#209
○木庭健太郎君 賃金職員の皆さんの話をぜひ指摘したかったんですけれども、時間が余りないので、少し取りまとめた形で聞くようになるかもしれません。
 国立病院や療養所の賃金職員の皆さんの問題というのは、同じ仕事をしていながらあらゆることで格差が出てくるという問題、私もお聞きしていて納得できない部分が随分ございましたし、こういう問題も国としても真剣に取り組まなくちゃいけないと強く感じたんです。
 昨年の十一月、我が党の大野由利子代議士が、衆議院で賃金職員の看護婦さんのことを伺った際に、保健医療局長の答弁がございました。「給与の決定に当たりましては、定員内職員との均衡を踏まえまして、予算の範囲内で施設長が決定し、」、これはそのとおりです。その役なんですけれども、「おおむね定員内の職員並みに処遇していること答弁されているんですよね。私は、それは少し実態と違うのじゃないかと思います。格差があるところはあるということできちんと認めるべきだと私は思うんですけれども、これについて何かつけ加えることはないですか、答弁を。
#210
○政府委員(寺松尚君) 今、先生の御質問の件でございますが、大野先生から御質問いただいたときにお答えしたわけでございますが、少し補足させていただきたいと存じます。
 賃金職員につきましては、その勤務形態というのは日々雇用であるということから、一つは実勤務日数に応じまして日給により給与を支給している。それから勤務時間や報酬日額については、採用時に定めたものとする。それから三番目といたしまして、国家公務員共済組合ではなく社会保険に加入してもらう、こういうふうなことにつきまして追加をさせていただきたいと思いますが、この辺を除きまして定員内職員との均衡を踏まえ、予算の範囲内で任命権者たる施設長が処遇を決定しております。その給与はおおむね定員内職員並みということでございます。
 なお、このような勤務条件につきましては、採用時に本人に対しまして明確に説明し確認をとっているところであります。
#211
○木庭健太郎君 いっぱいやりたかったんですが、例えば人事院勧告の問題で、賃金職員の場合は人事院勧告というのが即座に反映されないような問題もあるし、昇給の問題でも、普通の人は一年に一号俸ずつ行くのに、賃金職員の場合は二年に一号俸とかいろんな問題があるし、育児休業をとる問題もあるし、さまざまな問題があります。
 きょうは私、もう時間がなくなりましたので、個々は言いません。ただ、今おっしゃったように、日々雇用の問題であるとおっしゃいます。それはそのとおりでしょう。しかし、国立病院が必要上そういう制度が今あり、しかもその中で一生懸命定員内の方と同じように働いている方たちがいらっしゃるわけでございます。こういった問題について、厚生省としてぜひ真剣に取り組んでいただいて、今後処遇の問題についてもできる限り努力をしていただきたいし、また本当なら定員の中にずっと組み込めば一番いいわけですけれども。そういう問題についても真摯に努力をしていただきたいし、そういう賃金職員の問題をきちんと考えて対応していただきたいと思うんです。
 その辺についての厚生省としての見解を最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#212
○政府委員(寺松尚君) 国立病院・療養所にありましては、総定員法の枠の中で定員管理を行わなければならないということがございます。
 それからまた、多様化、高度化する医療ニーズに国立医療機関として適切に対応するために、その看護体制を確保することが必要である、こういうふうに考えております。
 もう細かいことは申しませんが、私ども看護体制の強化につきましては努力をいたしていくつもりでございます。
#213
○沓脱タケ子君 看護婦等の人材確保法の主な目的というのは、看護婦の処遇の改善と人材確保が目的であります。
 前回も私質問の中で申し上げましたけれども、今日の緊急需要に対してどのようにこの法律では対処されるのかということが看護婦さんたちや見守っている国民の皆さんに見えるようにしてもら
 いたいということを強く御要望申し上げました。先ほど竹村議員から野党各党を代表しての確認の質問の中で申し上げたように、勤務時間、夜勤体制及び給与などが含まれると理解してよろしいかという質問に対しまして、大臣の御答弁では勤務時間の短縮、夜勤体制の改善、看護業務の改善等々は出ておるんですが、給与の改善についてはお答えがなかったんですね。
 これはたまたまお答えを持っておるのでわかったわけですが、処遇の中で給与というのが非常に大きなウエートを占めることはもう既に論議の中で明らかなのでございますが、その点はどうですか。
    〔委員長退席、理事竹村泰子君着席〕
#214
○政府委員(古市圭治君) 先ほどの御質問の中で言葉としては入っていないということでございますが、先生御承知のように、今回の法案におきましては、「国及び地方公共団体の責務」の第四条の事項の中で、例えば第二項で「国は、看護婦等の処遇の改善に努める病院等の健全な経営が確保されるよう必要な配慮をしなければならない。」、そういうようなことも書いてあるわけでございます。それからまた、診療報酬の改定というので、現に今回の改定では看護に対して重点的な配慮がされたというようなことも、そういうようなものに含まれているわけでございます。
#215
○沓脱タケ子君 私は、野党全体の意見をまとめての確認質問の中で具体的に提起した問題というのはきちんとお答えをいただきたいと思ったんです。そういう点では間違いなくこれは労働時間、勤務時間の問題、夜勤体制の改善の問題、賃金、そういうことを基本指針には盛り込んでいくということを確認させていただいてよろしゅうございますか。
#216
○国務大臣(山下徳夫君) 私の答弁に給与の問題がなかったというお話でございますが、具体的には私申さなかったかもしれませんが、おおよそ二〇%ぐらいは看護料としては給与のアップに入っているわけでございます。あるいは夜勤体制の問題もございます。いろいろございまして、私どもこのウエートも、診療報酬もそのために今度は改正したようなことでございますから、二・六%、先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、その二・六%が直ちにそれを全部給与という形で出しなさいということではないのでございまして、給与の問題につきましてはこれは労使間で本来は解決されるべき問題である、このように理解をいたしております。
#217
○沓脱タケ子君 いや、私は今回の診療報酬の改定でどうこうと言っているんじゃないんです。基本指針に勤務時間の短縮の問題、夜勤体制の改善の問題、一給与の改善というこの三つがきちんと位置づけられているかどうかと、それが看護婦さんたちや国民に目に見える形の改善がいよいよやられるなということが確認できるので、そういうことで確認質問がやられたわけですが、今の御答弁でそういうことを確認しておいてよろしいか、その三つということが基本指針の中に書き込まれるんだと、論議の対象になるんだということを確認してよろしゅうございますか。
#218
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどの確認質問にお答えしたとおりということで御了解いただきたいのでございますが。
#219
○沓脱タケ子君 また後退するのや、それは。やっぱり目に見える形ということでぜひそれはきちんとやってもらいたいと思うんです。大した時間がありませんので、私は今度の看護婦確保法ができたら、すべての看護婦さんたちにこの条件が適用されるようにということを心からこいねがっているわけです。
 そこで、ところが、この法律ができる前に、四月一日から診療報酬の改定が御承知のようにやられております。この機会に看護婦すべての皆さん方に処遇の改善、給与の改善、勤務時間等の改善がやられるということが一番望まれているわけですが、診療報酬を見ていてちょっと思ったんですが、あの二・六、二・穴とよく言われるお金の配分が、病棟勤務の看護婦さんたちにだけ配分されている。
 これは外来とか手術場勤務とか、その他病棟以外のところで働く看護婦さんも同じように処遇が必要であるのに、どうしてそれが診療報酬の中では出ていないのか、私は大変不思議だと思うんです。診療報酬の側は局が違うから、またいろいろあるのでしょうけれども、看護婦さんたちを本当に処遇を引き上げていこうというのであれば、この際にはきちんと位置づけるべきではないのかという点を一つ聞いておきたいんです。
#220
○政府委員(黒木武弘君) 今回の診療報酬改定におきましては、先ほど大臣からお答えいたしましたように、看護関連に特段の配慮をいたしまして、大幅な改定に結びついているわけでございます。
 そこで、私どもは説明として端的に看護料の引き上げを例示に出しておりますけれども、その他手術料についても相当看護婦さんがかかわる分野であるということで大幅な引き上げを行っておりますし、外来等については初診、再診料の引き上げというような形でそれぞれ看護関連経費にかかわる点数といいますか、分野についてはそれなりに相当の引き上げを行っているところであります。
 そういう形によって、大臣からお答えいたしましたように、今回の診療報酬改定がそういう配分等を通じまして、あるいは今回の改定の趣旨をそれぞれの病院で受けとめていただいて処遇改善につながっていくものと、かように考えている次第でございます。
#221
○沓脱タケ子君 だから、保険局はああいう言い方をするんです。私は大臣に御理解をしていただきたいのは、診療報酬ではいろいろ言うけれども、それなら何で病棟の看護婦の看護料だけはアップしたんだと。こっちは手術料をアップしたんやからさわってないんやと、そんなもの理屈にならぬのです。看護婦全体の処遇を改善するというんなら、どうして看護婦全体の処遇にプラスになるように対応しないのか。これはぜひやってもらいたいと思うんです。私はこれはたくさん言おうと思ってなかったんだけれども、保険局長があんなことを言い出すといろいろまた言わんならぬのですけど、時間がないからきょうはやめます。
 病院協会の会長だって言っているように、これは大変だと。今度の診療報酬の改定というのは、要求をしていたのは九・九七%なんだけれども、実質的には二・五%だと。だから、今回のアップ率は甚だ遺憾であるという声明まで出ている。午前中の参考人の方もおっしゃっていました。三回ぐらい診療報酬改定をやらぬと看護婦さんの処遇の改善はできないいってはっきり言ってる。これでは困るんです、せっかく法律つくっても。
 そこで、法律の四条一項では、財政上の措置を講ずるように努めなければならないというように法律に決めてあるんですから、診療報酬でああだこうだ、こういうふうに分けたというんじゃなくて、大臣にお願いをしたいのは、病院協会の会長だとか参考人でおいでになる医師会の幹部が三遍ぐらいやらぬとこれはできませんねというようなことを言うようではおぼつかない。
 本当にせっかく法律をつくるんですから、看護婦さんたちの処遇が改善できるように、これはそこを、つまり病院経営の安定というんですか、そういったところが極めて大事だと思うんですが、その辺のことを緊急におやりになる意思があるかどうか。そこがやられないと実効が上がらないんじゃないかという心配をいたしておりますが、大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
#222
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど申し上げましたように、今回二〇%のアップであったということで、看護婦さんが今日本足しているということは、他の職種と比較してだけで、これである程度のところではないかということは決して私は思っておりません、やはり足りないには足りないだけ、勤務条件にもどっかに考え直さなきゃならぬところがあるということは十分承知をいたしております。しかし給与もその中で一番重要な問題で。ございますから、今お話が二ざいましたように、二回、三回直さなきやならぬということは、私どもどんどん追いついて一回で一挙にということは無理でございますけれども、さらにこの次にはもっと他の給与よりもよくなるようにということで、三回ぐらいやったらもう決して恥ずかしくない賃金になるという趣旨のことをおっしゃったと私は思うんでございます。
#223
○沓脱タケ子君 これは大臣には責任をきちんと負っていただくということが大事だと思います。
 次にいきますが、国公立病院について聞いておきたいんですが、国公立は法律体系が別だからということでこの法律には除外されていますよね。しかし心配になっていますのは、例えば国立病院だって、二・八の人事院判定というのは二十七年前に出されているんだけれどもいまだに実現していないんです。一番範を垂れるべき国立がそういうことになっておるんですが、これは新たな法律ができたら二・八は国立病院ではいつ実現なさいますか。
#224
○政府委員(寺松尚君) 今先生の御質問は、国立病院・療養所についての御質問とあれしましてお答えしたいと思いますが、平成三年十月の調査によりますと、複数夜勤率は九八・一%、平均夜勤回数は八・八回、確かに先生がおっしゃっておるところでございますが、ちなみに十年前の昭和五十六年について見ますと、複数夜勤率は八〇・一%、平均夜勤回数九・四回でございました。したがいまして、かなりの改善を図ってきたと考えておるわけでございます。
 夜間看護体制につきましては、先生も御指摘のように、非常にこれは大事なわけでございますので、私ども努力をいたしておりますが、病棟運営に応じた夜勤人数の確保が求められること、あるいは適正な病棟運営という観点から集約を図る必要があることとか、あるいは現在、別途国立病院・療養所の再編成を進めておるというようなこともございまして、先生のいつごろ達成できるんだと、こういう御質問についてなかなか答えにくいわけでございます。
 いずれにいたしましても、厚生省としましては、国家公務員全体の厳しい定員の枠の中で努力をしてまいりたい、このように思っております。
#225
○沓脱タケ子君 せっかく法律決めるんですから、基本指針も決めてそれを実行しようというんだから、国の機関が率先して範を垂れるということが一番大事だと思う。
 厳しい定数の中でというお話もありました。そうなってくると、これはまた賃金職員の問題が先ほども出ましたけれども、当然問題になってくると思うわけです。今、国立病院・療養所で夜勤回数八・九回ぐらいですね。この夜勤体制には臨時雇いである賃金職員も含まれているんでしょう。どうです。
#226
○政府委員(寺松尚君) 私どもの方は、国立病院・療養所等に勤務する看護婦のうち、賃金職員といたしましては、平成三年十月一日の数字でございますけれども、産前産後等の休暇に伴う代替要員も含めまして約五千八百人が働いているというわけでございます。
#227
○沓脱タケ子君 とにかく、厚生省でいただいた資料でも全国平均一七%、私どもがあちこち調査をしたところで大体二〇%内外ですね。それが全部夜勤体制に、三交代に組み込まれておって、なおかつ八・九回の夜勤です。大体おかしいですよ。今局長おっしゃったように、産休の代替が賃金職員だといったら話はわかる。ところが、賃金職員の勤務体制をちゃんと三交代に組み込んで、同じように夜勤もやって、しかも二割近くもそういう賃金職員がおる。半年か一年だというならまだ話がわかりますよ。看護婦さんがなかなか集まらないのでというようなことでわかるかもしれません。
 しかし一体いつまでこんなことをやっているのか。三年や五年と違いますがな。これはどうなんですか。
#228
○政府委員(寺松尚君) 先ほどお答えいたしましたように、なかなかいろいろな要件がございまして、いつまでにやるということについては今お答えすることができないわけでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、非常に国家公務員の定員状況は厳しいわけでございまして、その中でもできるだけ確保するように努力しておるということで御理解をいただきたい、このように思います。
#229
○沓脱タケ子君 これは総定員法の矛盾の露呈でしょう。その辺はもうはっきりしているんだから正規看護職に組み込めばいいんですよ。
    〔理事竹村泰子君退席、委員長着席〕
早いことを言うたら、公的病院の百床当たりの職員数の中で、看護婦及び准看護婦の数を見ましたら、国立病院は、大学病院、自治体病院、日赤、済生会等の公的病院と比べましても看護婦の数が一番少ないですね。だってそうでしょう。自治体病院でも六十・八、日赤、済生会等でも五十六・四、国立病院は四十三・八人ですからね。
 これは努力をしているというよりも、賃金職員で賄うという不正常なやり方を続けておるというところに、こういう看護婦確保も当たり前にやつていけないという矛盾が出ていると思うので、この機会に、新法ができたら大臣、国が率先して賃金職員を正職員に採用するべきだと。そのことで総定員法の矛盾がいろいろあるんやろうけれども、その辺は関係省庁ときちんと話を決めて、せっかく法律をつくるんやから実の上がるようにしてもらいたいということをひとつ大臣、ぜひやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
#230
○国務大臣(山下徳夫君) 努力をいたしますけれども、先生おっしゃったように、総定員法というのは国家公務員全体の枠が決まっておるわけでございまして、各省でもってそれぞれ実情を聞いてみますと、外交官の数にしても、今これだけ日本が大きな国になったのに外交官の数はインド並みというようなことでございます。ですから、そういう中においても、私どもはさらに努力は重ねていきたいと思います。
#231
○沓脱タケ子君 いろいろと御苦労しておられることを私ども知らないわけでもないんですね。御承知のように、国立病院看護婦の夜間看護手当、あれは一昨年は五千円概算要求したんですね。削られて今ちょうど三千二百円になっているようでございますが、ことしは概算要求をまたもう一遍五千円やって、ぜひ確保してくださいよ。これはどうですか。
#232
○政府委員(寺松尚君) 今先生の御質問で、夜間看護手当の件でございますけれども、今後の取り扱いにつきましてちょっとお話をしてみたいと思いますが、看護婦を除く他の医療職の職種が受ける手当額あるいは民間病院等に勤務する看護婦の手当額等の実態をも勘案しながら、私ども対応してまいりたい、このように思います。
#233
○沓脱タケ子君 とにかく、一遍要求して大蔵にけっちん食ろうたらもうあきらめるというようなことをやっていたんじゃあかん。だから、ぜひやってください。
 次は、看護婦養成制度について、これはこもごも既に質問が出ております。私も、基本的には看護婦の養成というのは、養成費用は公費で行うべきものだと思うんですね。これはけさの参考人もおっしゃっていましたよ。医療費で看護婦の養成をしなきゃならぬという今の制度は矛盾があり過ぎるという御意見が出ておりましたから、看護婦の公共性から言ってもこれはきちんとやるべきだと思うんです。もちろん、厚生省がほっていると思ってないですよ。去年もことしも若干の御苦労をされているということ、これはもう重々存した上で申し上げているんです。
 しかし、実態はどうかと言えば、一番大きな公的医療機関の看護専門学校の経費負担の内容を見ますと、大体国の補助金というのは、大宮でも、前橋でも、大阪でも六%から七%ですよ。設置者負担というのが大体八〇%内外ですよ。これでは診療報酬で看護婦を養成していると言われても、何とかせよと言われても当たり前だと思うので、抜本的にこの点は、養成制度の拡充ということが本法でもうたわれておるわけですから、ぜひやっていただきたいものだと思いますが、いかがでしょうか。
#234
○政府委員(古市圭治君) 民間の養成施設に対しましては、国だけではなくて自治体と一緒になって公的な補助ということで努力をしているわけでございます。今御指摘のように平成二年から三年、四年と向けて総数では七割増とやったわけでございますが、その必要性につきましては私どもも重々感じておりますので、さらに今後引き続きまして助成の強化というものに努力をしてまいりたいと思います。
#235
○沓脱タケ子君 この際、抜本的に見直すべき重要な課題だと思います。
 時間の都合がありますので次の問題に行きます。
 社会福祉施設職員の退職金共済制度についてちょっと触れておきたいんです。というのは、福祉は人なりということで、本当に福祉マンパワーを確保するためには定数をふやすことと処遇の改善だというのはけさも参考人の方々からこもごもお述べになっておられるとおりです。そういう中で退職金制度というのは非常に大事な問題なんで、今度の改正案で、常勤ヘルパーも適用対象にするというのは大変結構だと思いますよ。しかし、この制度自体も改善の余地があるなということを御指摘申し上げたい。
 というのは、厚生省の説明資料では公務員に準じてとあるんですね。もう時間がありませんからゆっくり言えないけれども、計算式はなるほど公務員に準じているんです。ところが計算の基礎が違うから退職金そのものが違ってくる。何でこんなことになるのかなと思うんですけれども、計算基礎額の中の一番下位をとっているんですよ。例えば十九万円から二十万五千円という幅のある場合に、健康保険や厚生年金なら真ん中とるんですよ。ところが、この場合には十九万円、一番下のランクをとっているものだから、これは金額の違いが出てくるわけです。
 計算式は確かに一緒だけれども、どこにその計算の基礎額を置くかということによって、これは二十年の方の計算をしてみたら一公務員並みに計算をした人との金額の差が随分出るんですよ。国家公務員なら三百八十二万二千円、それから福祉職員の場合は三百六十七万五千円で十四万七千円違いが出てくる。計算基礎額の上限も抑えられておりますが、この上限の三十二万円を勤続三十年ということで計算をしたら、やっぱり四百二十二万円ぐらい出るんですね。
 というのは、福祉職員には定年退職の率がないんです。国家公務員の場合には普通退職の年とそれから定年退職の率と両方あるんですね。だから福祉職員の場合は定年退職をしても千三百二十万円、国家公務員の場合は定年退職をすれば同じ三十二万円であっても千七百四十二万円、その差額は四百二十二万円です。随分違ってくるんですよね。
 私は、せっかくこうして制度が拡充されていくというんなら思い切って考えていただかなければいけないんじゃないかなと思うんです。その一つは、標準報酬の刻みをもう少し小さくする、それから国家公務員と同じように最終俸給月額にするとか、あるいはせめて厚生年金のように真ん中をとるとか、計算基礎額を改善することが大事なんではないか。
 それからもう一つは、上限を緩和することです、三十二万円頭打ちですからね。それ以上の方々というのが五%内外おられるわけですから、この辺はせっかくの制度だからちゃんとなさっていただいたらどうだろうか。
 それから、いわゆる定年退職の退職金制度の率というのがないわけですから、この制度にも公務員並みということになるなら制度を設けること。
 これらの問題は、せっかくつくって拡充するわけですから、この際に検討して改善を要望したいと思いますが、いかがですか。
#236
○政府委員(末次彬君) まず計算基礎額の話でございますが、社会福祉施設職員の退職手当共済制度におきまして、退職手当金の額の計算の基礎となりますいわゆる計算基礎額、これは退職前六カ月の本俸月額の平均額を基準として段階別に設定されました基礎額が適用される仕組みにいたしております。
 これは、この制度の対象となります民間の社会福祉施設職員の給与が国家公務員のように一定のルールで確立されておりません。給与表あるいはその運用につきましても各施設ごとに個別に定められておりまして、大変多様であるということで一律に国家公務員の場合のように退職時の一時点の給与というわけにはなかなかいかないということで、退職時の本俸月額を計算基礎額として六カ月間の額を平均するという方式をとっておる次第でございます。
 また、ランクのお話でございますが、この制度自身が各社会福祉施設経営者の掛金、これは実質的にいえば措置費から支出されているわけでございますが、掛金それから国、都道府県の補助金により賄われておるということで、現実に支給されております給与の範囲内の額を基準として計算する、すなわち現実の給与以上の額色基準として退職金の算定を行うということはなかなか困難ではないかというふうに考えております。
 次に、上限の三十二万円の話でございますが、これはまさにいろんな賃金体系あるいは給与表で給与が支払われておるわけでございまして、中には例外的なケースもあり得るんではないかということで、標準的なところということで加入職員の九五%をカバーする俸給月額を上限にするという考え方で従来からやってきておりまして、平成四年度におきましては、この上限額を三十万円から三十二万円に引き上げたところでございまして、この給与月額の全体の推移を見ながら順次改善に努めることにいたしております。
 それから次に、支給率の割り増しの件でございますが、これも、社会福祉施設職員につきましては公務員のように採用、給与、身分等について制度的に確立されているものではございませんで、各施設におきまして個々に決定されるということになっておりまして、採用、給与、退職のあり方、また定年制につきましても各施設あるいは各職種によりまして区々となっているということでございまして、こういう多様な施設、職種を対象とするという退職手当共済制度でございますので、定年退職と普通退職の区別を設けなかったということでございます。
#237
○沓脱タケ子君 時間ですので、公務員並みというんなら私が御指摘を申し上げた点は研究をして改善の方途を講じてもらいたいということをお願いしているわけです。
 もう最後ですので一つ、二つ並べて申し上げますが、人材センターについても、これは非常によいとは思うんですよ。小さな施設では産休代替とか育児休業の人の代替職員というのはなかなか採用できないんだから、代替要員の確保のための共同雇用制度をひとつ採用してみたらどうなんだろうかと、人材センターでね。
 それからもう一つは、ヘルパーの処遇改善に引き続き大いに努力するべきだと。これちょっと言いたいけれども、もう時間ありませんから項目だけにします。
 それからもう一つは、福利厚生制度、この要望は大変強いわけで、つくるときもともと元金ないわけだから、国が一定の資金提供をやって、そうして福利厚生制度を発足させる。中身は、関係職員の御意見を聞いて十分期待にこたえるものを運営するというふうに要望したいんですが、以上について若干の御意見を伺って終わりたいと思います。
#238
○政府委員(末次彬君) まず第一点の、福祉人材センターで産休あるいは育児休業の代替要員を雇用して社会福祉施設等へ派遣することにしてはどうかという点でございますが、一般的に申し上げますと、社会福祉施設等のこれは本来業務でございまして、それぞれの施設等の人事権の及ばない者が従事することになるという労務管理上の問題が一点ございます。また、それぞれの社会福祉施設等によりまして給与に違いがあるということでございまして、同じ福祉人材センターに雇用される者との間でこういった給与の違いをどのように反映させるのかという問題がございます。
 特に、御指摘のような方式につきましては、労働者派遣事業法に規定する労働者派遣に該当するのではないかというふうに考えておりまして、この労働者派遣事業法は、コンピューターの操作、放送用機器の操作等の特定の適用対象業務以外の業務については労働者派遣を行うことを禁止しているといった問題がございまして、大変難しいというふうに考えております。
 私ども実質的に申し上げますと、この福祉人材センターにおきまして福祉の職場に就業を希望する者を登録いたしまして社会福祉施設等にあっせんを行うことにしておりまして、産休あるいは育児休業の際の代替要員につきましても、登録をされている者の中から社会福祉施設等の申し込みにあっせんを行うことによりまして、御指摘の趣旨がかなえられるよう努力いたしたいというふうに考えております。
 それから次に、福利厚生センターでございますが、これは趣旨はもう何度も申し上げたとおりでございますが、まさに共同で事業をやろうということでございまして、各事業主が共同で事業をするということで、基本的には各事業主がその費用を負担すべきものだというふうに考えておりますが、この事業の具体的内容を含めまして、またその財源負担のあり方、財源の持ち方等につきましても、今後私ども検討をしていきたいというふうに考えております。
 また、事業内容につきましても、これは福祉関係団体と十分調整しながら実施することが必要だというふうに考えておりまして、関係団体を含めました検討会を組織いたしまして検討することに
 いたしております。関係団体を通じましていろいろ意見を承りながら内容を確定していきたいというふうに考えております。
#239
○沓脱タケ子君 終わります。
#240
○粟森喬君 先ほどから看護婦の人材確保法案並びに社会福祉事業法案のそれぞれの中で特に意見が出ておるところでございますが、人材確保法案では三条の二の三、社会福祉事業法の七十条の二の二の二、いずれも看護婦なりそれぞれ関係職員の処遇改善のところに公務員の部分を除くという項目がございます。
 今までの政府の答弁を聞いておると、これは全く別の法体系で決めるんだから除きましたという極めて平面的な回答でございます。しかし私どもは今までも同僚議員が幾つかもう質問をしているわけですが、いわゆる公務員と民間のそれぞれ関係職員の処遇にかなり較差があるという認識で私はおります。そういうときに殊さらこれを切り離すというのは、ますます処遇についての較差が拡大をしていくということにならないのか。その辺のところについてまずお尋ねをしたいと思います。
#241
○政府委員(末次彬君) 社会福祉施設の場合に、地方公共団体が運営する社会福祉施設と民間の運営する社会福祉施設があるわけでございます。私どもの措置費の上では両者それぞれ同じ基準で経費は支出するということになっておりまして、ただ、当該地方公共団体に勤務する職員につきましては、地方公務員法あるいはそれぞれの地方公共団体の条例によって処遇が決められるということになっております。したがいまして、地方公共団体の職員そのものについての処遇、これは地方公務員としての体系の中で決められるということになるわけでございます。
 他方、社会福祉施設の職員の方は、各施設種別ごとの職種ごとに学歴、経験、勤続年数等を勘案いたしまして、また地域格差を考慮した手当でございます調整手当を算入して、国家公務員に準拠して算定をする。さらに業務の内容、その業務の困難性に応じまして本俸の四%から一六%の特殊業務手当の加算を行うというような仕組みをとっております。また、毎年人事院勧告に基づきます国家公務員の給与の改善に準拠して、その改善をさかのぼって実施をするということにいたしております。
 こういう経費を措置費として支出するわけでございますが、これを受けまして民間の社会福祉施設におきましては、国家公務員、地方公務員あるいは地場賃金等を勘案いたしますとともに、職員の職務の困難度を考慮いたしまして、当該法人として公正、一妥当な給与規程、格付基準等の整備を図り、それに基づいて職員に給与を支給しているということでございます。
 実態といたしましては、約九〇%の施設が公務員の俸給表またはこれに法人独自の基準を加味したものをつくりまして、これにより運営をしているということでございまして、私ども社会福祉施設の職員としては国家公務員に準拠した措置費の算定を行い、これに準じて処遇が行われているというふうに考えております。
#242
○粟森喬君 改めてお尋ねしますが、官民の較差というんですか、いわゆる公務員賃金と民間との間でかなり較差が現実にあるわけです。それで処遇の改善のときに、法律が別だから切り離したというだけでは問題は解決しないんじゃないですか。
 例えばこうなんでしょう。民間のそういう病院の職員の方もそう、看護職員もそう、福祉施設もそう、できるだけ人事院勧告に近づけたい。上回るという例はほとんどレアケースだ。それにもかかわらず、この処遇の改善のところで決めるところが違うから離したというだけでは基本的な問題というのは全然押さえられていないんではないか、こういう懸念を持ちます。
 一方、公務員の賃金体系でもそうでしょう。これは民間の賃金の水準を勘案して人事院勧告が出されるわけです。そうすると、なぜ一体化しなかったのか。処遇改善でございますから、特に看護婦の処遇の改善というのは、よくするという意味です。そのときに一定のガイドライン的な水準になるものを切り離すということがますます較差を拡大することに通じないか、こういう立場で聞いているわけでございますから、そういう点の懸念について、もし解明できるのでしたら解明をしていただきたいと思います。
#243
○政府委員(古市圭治君) これは法律を立てましたときに、先生御承知のことかと思いますが、基本指針の中に示す条項として、病院等に勤務する看護婦等の処遇の改善というところは、既に法律的には人事院勧告という制度がございますので、各省庁協議したわけですが、それはそれで任されているということでその職に当たる人事院が十分配慮してやっていくということなので、この法律の中で含むには及ばないということで、そのほかのところについては規定がない、現在診療報酬でやられているということから、この条項が分かれて書かれた。較差云々ということとは直接関係がないということと思います。
#244
○粟森喬君 較差が関係ないと言うけれども、較差を私は問題にしているんです。結果的に切り離すことによって較差が出ることを懸念をしていることについて、関係がないと言うのはどういうわけですか。処遇の改善だから、例えば公務員の看護婦さん、看護職員であるとか、あるいは関係者の俸給表は物すごく細かく出ています。処遇の改善で水準まで出せるのかどうかという問題は、これからの審議会なり基本指針の論議ですよ。全くそういうように違うんだけれども、ここに入れておかないということの結果として較差の拡大につながらないと、そう政府として、厚生省として、責任を持ってお答えできますか。
#245
○政府委員(古市圭治君) 公務員及び地方公務員の具体的な給与の改善というのは、今申したような形で制度的に担保されているわけでございますが、この法律以前のときには、民間の看護婦さんの職というのは特段の立法で担保されていたわけじゃございません。そこで、非常に数の増加、勤務条件の改善が要望されるこの法案をつくりましたときに、殊にこの基本指針の中にも「処遇の改善」、それからまたその後、国の責務の中にも「処遇の改善」ということを入れて、結果的には較差が現在あるわけでございますけれども、そういうことが改善されるように診療報酬その他でも配慮するということを含めて今回の法律ができたわけでございまして、私は較差の改善の足かせになる、そういうことではなかろうと、こう思ったわけでございます。
#246
○粟森喬君 特にここはお願いをしておきたいし、厚生大臣にもこの部分はお答え願いたいと思うのは、官民のといいますか、いわゆる処遇に較差が出ないようにするのが政府の仕事であり、そして行政の役割でないかと、こういうふうに私は考えるわけです。ですから、本来一体化すべきものをたまたま法律が別の規定であるから別々に考えているということであって、較差はこれ以上拡大をしないように、基本的にはこれからの基本指針の策定に当たって十分留意をされるのかどうか、その辺のところについて答弁をお願いしたいと思います。
#247
○国務大臣(山下徳夫君) おっしゃることよくわかるんでございまして、私どもはいわゆる官民較差については是正するという方向で今後進んでいかなきゃならぬと思っております。
#248
○粟森喬君 特にその上で、具体的な問題で幾つかお尋ねもしなけりゃならぬと思いますが、私は今官民較差といいますか、特に社会福祉施設の場合、もともと最初のころは、この種の社会福祉施設というのは公務員が原則として直接やっておりました。
   〔委員長退席、理事竹村泰子君着席〕
もちろんたくさんの人数になるし、先ほどからのお話でもあったように総定員法もありまして、なかなか人数をふやせない。今七十万とも八十万とも言われる人たちが公務員じゃなく勤務をしているわけでございます。ごく一部でございますが、公務員の方もおられます。
 この処遇改善のプロセスというのを、較差は具体的な数字の上では、例えば大学出の人が福祉施設へ入ったと、この場合の措置される措置費用というのは、いわゆる行政職にも公務員の場合ですといろんな職務表がございます。そこで、こんなこと言ってなんですが、余りよくないというか一番低い水準の俸給表から始まる、こういうのが現実でございます。だとすれば、この処遇改善の手直しというのはどこからどう手がけていくのか。これをしておかないと私は幾つかの問題が出てくるんではないかと、こういうふうに思いますが、具体的にこのことについてお考えですか。
#249
○政府委員(末次彬君) 措置費の積算の上で、つ例を挙げて申し上げますと、特養の寮母の場合には高卒十三年で行政職(一)、いわゆる行(一)の三の四というところに格付をいたします。これは、経験年数十三年といういわば平均的なところをとったわけでござへます。それで、具体的にこれを施設で給与として支給する場合には、当該施設で先ほど申し上げましたように、国家公務員の給与表あるいは地方公務員あるいは地場産業の賃金等を勘案して給与表を設けまして、そこに格付をして給与を支払いをしていくという仕組みをとっておりまして、平均的に申しますとこの水準でおおむね国家公務員ベースという処遇ができるというふうに考えております。
 なお、寮母について申し上げますと、このほかに特殊業務手当といたしまして、当該寮母の業務の特殊性を勘案いたしまして一六%の加算をするという仕組みをとっておりまして、こういったいろんな加算を含めまして寮母としての処遇がなされるというふうになっております。
 さらに、勤続年数がこれを上回るという施設ももちろんございます。そういう施設につきましてはこの積算では対応ができないというふうになってくるわけでございまして、こういう施設につきましては、民間施設の給与特別改善費という経費を立てまして、当該施設の平均勤統年数の長さによりましてこれも人件費にさらに加算をしていくという仕組みをとっておりまして、こういう仕組みを総合的に運用することによりまして国家公務員並みの処遇ができるというふうに私どもは考えております。
#250
○粟森喬君 実態を申し上げますと、かなりそこが違うんです。地域事情と言われましたが、これも余りにも一般論でございます。独自の給与表というのが問題です。
 私どもがいろんな実態を調べた上きに、例えば社会福祉施設の場合で中途退職される方の原因の一つは、いわゆる子供の教育費がかかるようになったとか、その地域の賃金水準にはなかなか到達しないと。もともと社会福祉施設の職場に勤めようという人は一つの理想を持って行っているんですが、現実にはとてもじゃないがこれではやれないと言うんですね。そういうことで離職するケースが、これまた看護婦さんの離職とは別の意味で非常に大きな問題になっています。
 したがって、そういう意味で今のようにこれでいけば較差は出ないということでは、私は基本的に問題は解決していない、こういうふうに思いますから、ぜひともそのことについてはこれからも改善をしていただく努力をしてほしい、こういうふうに思いますが、これはよろしゅうございますか。
#251
○政府委員(末次彬君) もとより私どももこれで十分と思っているわけではございません。また施設におきます給与体系につきましても、できるだけ公平かつ合理的な体系をつくるように指導していきたいというふうに考えております。
#252
○粟森喬君 そこで、いま一つこれからの問題で非常に重要なことだと思いますが、平成五年度からたしか措置権が市町村まで全部おりるわけです。
   〔理事竹村泰子君退席、委員長着席〕
今までは、措置費というのは具体的に一つ一つ金額が決まっておったから、多少のことはあってもそれで大体自分たちの社会福祉施設の賃金の一つのミニマムみたいなものが決まっていた。今度は
交付税方式でしょう。交付税になったということは、福祉施設に対する措置費がどれだけ出たかということを明示しないわけだ、丸ごとどんぶりで来るわけだから。そのとき皆さん、これどうするんですか。
#253
○政府委員(末次彬君) 平成五年度から老人あるいは障害者につきまして措置権を町村に移譲するということは既に法案が通っておりまして、現在その準備に入っておるわけでございます。
 平成五年度からの話でございますが、私どもは今の措置費という仕組みそのものを変える気持ちはございませんで、これは当然国、県それから市町村が分担をするということになります。その分担をする町村の分担分について当然に交付税で裏打ちをしなきゃならぬということで準備をいたしておりますが、今の措置費として一人当たりの措置金額と申しますか、これを施設に交付するというこの方式自身について変える気はございません。
#254
○粟森喬君 そこは念のためにもう一度聞いておきますが、地方交付税方式になるわけでしょう。地方交付税でないんですか。地方交付税方式じゃなく措置費というのは個別に全部出したままこれも措置権が移っても、具体的な数字として個別のケースについて措置費を明示したままこれは措置権は移譲されるんですか。地方交付税なんですか、どっちですか、そこをはっきりしてください。
#255
○政府委員(末次彬君) 私どもは今措置単価というのを決めておりますが、個々の施設にその単価に基づいて措置費を交付するという今のやり方を変える気はございません。交付税と申し上げましたのは、補助裏分についてこれは当然に裏打ちをしなきゃならぬという意味で、交付税の手当てもするというふうに申し上げたわけでございます。
#256
○粟森喬君 以上で大体わかりましたし、次の五年度のときにこの辺の措置の仕方をまた改めてお尋ねをすることにします。
 次に、今回の処遇の改善を審議する医療関係者審議会並びに中央社会福祉審議会の構成のあり方についてお尋ねをいたします。
 多少申し上げますと、例えば医療関係者審議会保健婦助産婦看護婦部会委員の名簿を厚生省からいただきました。これを見たときに、ここにおる構成のメンバーが悪いという意味で個別に言っているんじゃないんですよ。ちょっと私が見た限りでは肩書が全部わからないから、所属とか、そのぐらいでございますのであれでございますが、まず私が見て直観的に思ったのは、医療関係者審議会の場合は、専門的な学問的な立場を十分に持っている人、それから病院経営であるとか管理するという側に立つ人、これは専門家はちょっと横に置いてもあとは経営者概念でしょう、あるいは使用者概念とか管理者概念の人でしょう。処遇の改善を論議する場に、いわゆる働く現場、働く人たちの立場で参加する人が今まではいないんです。
 もちろん中身を私もお尋ねをしてきたんですが、例えばさっき言いました看護婦部会というんですか、どんなことを論議したんですか。所掌事務を見てもこれはあれだと思うんですが、重要事項を調査とかいろいろ書いてあるんですが、過去の例でいうと、看護婦の国家試験のあり方だとか准看の制度のあり方とか、そういうことについて論議をしたけれども処遇に関しては一度もやっていない。だとすれば、構成について変更するということは当然必要だと思うんですが、その辺のところについて厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
#257
○政府委員(古市圭治君) 先生のお手元に届いている資料からいいますと、現在十九名の委員でございますが、その中の過半数は保健婦、助産婦、看護婦等になっているわけでございます。
 ただ、その肩書が、明示されていないということでございますが、今までのこの部会の主な仕事がそういうことでございました。今度法案が通った後はさらに広く看護婦の養成、確保のための処遇の改善等についても御議論いただくことになりますので、必要な先生方が入っていただいた専門部会を必要に応じてつくってやっていきたいというようなことも検討していかなかったらいけないと思っております。ここで扱うことになりますが、必要な先生方にはまた入っていただこう、このように思っております。
#258
○政府委員(末次彬君) 現在中央社会福祉審議会におきまして、社会福祉事業に従事する者といたしまして社会福祉施設の業務に従事する方など社会福祉の現場に精通した方々が委員または臨時委員として任命されておりまして、こういった方々の御意見も十分反映いたしまして今後の取り運びを進めていきたいというふうに考えております。
#259
○粟森喬君 両方の方に私は念のためにもう一度お尋ねしたいんですが、専門的な知識を有している人は労使関係とか雇用関係に直接関係ないとして除外します。私がお聞きをしているのはいわゆる使用者概念、経営者概念、管理者概念、その方々が看護婦の現場のことを知らないという意味で言っているんじゃない。ただ、この方々の立場と、私は労働者概念という言葉をあえて使わせていただきますが、そういう現場の処遇がこうなっていることをこういうふうに改善してほしい、とりわけさっきからの答弁を聞いてい。ましたら労使でいろいろ決めてほしいと言うけれども、労使関係が成立しているところはまだいいと思うんです。問題なのは労使関係が成立しないところでさまざまな問題もあるしいろんなこともあるわけですから、今度のこの審議会に基本指針を論議をしていただくときに、この構成というのは極めて重大な意味を持つと思います。
 再度お尋ねしますが、使用者概念、管理者概念、経営者概念、それから専門家という概念以外の人たちも当然入る余地をつくるんですね。これは両方の局長さんお願いします。
#260
○政府委員(古市圭治君) これは私どもの厚生省の範囲内でお答えしたわけでございますが、労働省とも一緒になって提案している法律でございまして、労働省の方では中央職業安定審議会ということがございまして、これは全く労使で構成されているということで、こちらの方でも雇用関係の事項ということについてはいろいろ御意見をいただくということになっております。基本指針というものは厚生大臣、労働大臣、文部大臣で協議して定めることになりますから、必要な連絡はとらせていただきたいと思っております。
 それからなお、現在の部会のメンバーが妥当かどうかということは、さらに先ほど申しましたような線に沿って検討させていただきたいと思っているわけでございます。
#261
○粟森喬君 最後にちょろっと今言われたことで大事なことなんですが、文部省にも労働省にもつくる。そうすると、今度の審議会で厚生省の果たすのはどの程度のどんな役割なんですか。余り枠を広げられて関係があるからと言われると大変困るので、その辺の厚生省の基本指針に対する諮問をする機関というのはどういう性格でどういう意味を持っているのか、もうちょっとしっかりそこは答弁をしていただきたいと思います。
#262
○政府委員(古市圭治君) 私がお答えしましたのは、労働省の方の中央職業安定審議会というお話をしましたが、文部省の関係は特段それがあるわけじゃなくて、こちらに文部省の委員が入っておりますから一緒になろうかと思います。それでこの基本指針に定める事項の中、「病院等に勤務する看護婦等の処遇の改善」という事項は両方でやることになろうかと思いますし、それから殊。に「養成に関する事項」というのは文部省のいろんな御意見をいただくことになりましょうし、それから雇用関係のことになりましたらやはり審議の中心は中央職業安定審議会の方のいろんな御意見をいただく、こういうことになろうかと思います。
#263
○粟森喬君 職業安定審議会というのは私が知る限りで言うと雇用にかかわることが中心なんで、私は「処遇の改善」にかかわる問題は厚生省のもとに置かれるこの審議会が中心だというふうに理解をしているんですが、それでいいんですか。
#264
○政府委員(古市圭治君) この条項、この基本指針の中で「処遇の改善」と申しますのは、大きく分けますと給与その他ということだけじゃなくて、
やはり勤務条件の改善ということになりますと勤務時間、これがこの中に入っております。それから勤務条件の改善に関する事項、これはいわゆる時短等も含みますので、その辺になりますと労働省のいろんな御意見が重要かと思っているわけでございます。
#265
○粟森喬君 もう時間もございませんので、あえてその部分はこれ以上質問をしませんが、意見だけ申し上げます。中央職業安定審議会はちょっと私性格違うと思う。今回の医療関係者のこの審議会が当然中心になるべきだと思うし、そういうふうになってほしいということを申し上げておきます。
 そこで、そうだとすればこれは政令とかいろんなことがこれからあるわけですが、当然審議会令の所掌事務などを変えるとか改正をするというふうに理解してよろしゅうございますか。
#266
○政府委員(古市圭治君) 今回提案しておりますことで、関連で設置法をそれぞれ改正するということで法案提出した中にも一応条項を出させていただいているわけでございます。
#267
○粟森喬君 時間がなくなったので、今回のことと関係をして、社会福祉関係の人たちの処遇というのは必ずしも万全ではない、そしてこれからゴールドプランで十万人を確保しようということでございます。ちょっと時間がないので一つ一つ聞けないので申しわけないんですが、例えばホームヘルパー十万人になったときに、これは処遇としての問題もありますが、私が試算をしたさまざまな数字をちょっと申し上げます。
 寝たきり老人が平成十二年度では三十三万から三十七万人、痴呆性老人のうち要介護が三十五万人、それから介護が必要な障害者が三十二万、これはいずれも在宅が前提です。そうすると、これだけの人たちを果たしてこれだけの人数で介護するというのはどう考えても論理的に矛盾があるような気がする。これは改めてじっくりと時間をかけてやらなきゃいかぬけれども、とにかく今のホームヘルパー体制についてこのまま推移するというのはかなり問題があるのではないかと思いますが、その辺のところについていかがですか。
#268
○政府委員(岡光序治君) 積算につきましては、在宅の寝たきり老人、在宅の痴呆性老人、ひとり暮らし老人、それから重度の障害者という方々を対象に考えまして、その上でそれぞれ、お元気な方もいらっしゃいますから、介護を要するかどうかという要介護率、それからまたホームヘルパーを希望するかどうかという希望率、そういったものを実績の数値にかんがみまして掛け合わせましてホームヘルパーの対象数というのを考えているわけでございます。
 そして、どの程度のサービス量を提供するかということでございますが、寝たきりないしは痴呆性の御老人には週四回ないし六回、それからひとり暮らし老人等の場合には週一回から二回というサービス量を念頭に置いて十万人という積算をしているわけでございます。そういう意味では、私ども今のトータルの対象者数が今後もそう変わらないということで推移するならば、この十万人体制で相当のサービスが提供できると思っておりますし、かつまたホームヘルパーの仕事以外の在宅福祉サービスあるいは在宅保健サービスも今後あわせて用意をしようとしておりますので、必要な在宅の処遇ができるのではないだろうかというふうに考えております。
#269
○委員長(田渕勲二君) 時間が来ています。
#270
○粟森喬君 時間が来ているようですから、これ以上きょうは論議できませんが、その数字は単なる数字合わせではないかという懸念がします。具体的に介護に要する時間などをもう一遍検討していただきたいということを含めまして、改めてまた質問の機会にやらせていただきます。
 終わります。
#271
○委員長(田渕勲二君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#272
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#273
○委員長(田渕勲二君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、田代由紀男君が委員を辞任され、その補欠として真島一男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#274
○委員長(田渕勲二君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより両案の採決に入ります。
 まず、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#275
○委員長(田渕勲二君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
    〔賛成者挙手〕
#276
○委員長(田渕勲二君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、竹村泰子君から発言を求められておりますので、これを許します。竹村君。
#277
○竹村泰子君 私は、ただいま可決されました看護婦等の人材確保の促進に関する法律案並びに社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
    看護婦等の人材確保の促進に関する法律
    案及び社会福祉事業法及び社会福祉施設
    職員退職手当共済法の一部を改正する法
    律案に対する附帯決議(案)
  政府は速やかに次の事項について実現に努
  力すべきである。
  一、長寿・福祉社会の建設に向けて、国民の求
   める保健医療・福祉サービスを担う資質の高
   い人材を確保するため、関係省庁が連携を図
   りながら、政府全体で取り組んでいくこと。
  二、看護婦等の確保を促進するため、養成の充
   実を図り、週四十時間労働、複数を主として
   月八回以内夜勤体制など真に看護婦等が働き
   やすい職場づくり、離職防止、潜在看護婦の
   再就業の促進等に積極的に努力すること。
  三、看護に対する国民の理解の向上を図り、看
   護婦等の社会的地位の向上を図ること。
  四、診療報酬については、看護婦等の医療従事
   者の処遇改善に実効ある形で結びつくよう、
   その在り方について鋭意検討を加えること。
  五、ILO第百四十九号条約(看護職員の雇
   用、労働条件及び生活状態に関する条約)の
   趣旨を勘案して今後とも環境の改善に努力す
   ること。
  六、社会福祉施設職員について、労働時間短縮
   の促進、福利厚生面の充実等処遇の改善に努
   めるとともに、養成力の強化、潜在マンパ
   ワーの就業の促進を図ること。
  七、ホームヘルパーについて、今後ともその増
   員に一層努めるとともに、研修の充実、チー
   ム運営方式の推進等の措置を講じ、質の高い
   サービスを提供できる体制整備を図ること。
  八、幅広い国民の社会福祉に関する活動への参
   加を促進するため、ボランティア活動や福祉
   公社等の住民参加型福祉サービスが円滑に行
   われるような基盤整備づくりを推進するこ
   と。
   右決議する。
 以上でございます。
#278
○委員長(田渕勲二君) ただいま竹村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
    〔賛成者挙手〕
#279
○委員長(田渕勲二君) 全会一致と認めます。よって、竹村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、山下厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山下厚生大臣。
#280
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、引き続き努力いたす所存でございます。
#281
○委員長(田渕勲二君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#282
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#283
○委員長(田渕勲二君) 次に、原子爆弾被爆者等援護法案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしております。
 この際、前島英三郎君並びに浜本万三君から発言を求められておりますので、順次これを許します。前島君。
#284
○前島英三郎君 私は、自由民主党を代表して、原子爆弾被爆者等援護法案に対し意見陳述を行います。
 私は、初当選以来一貫して福祉行政に携わってまいりましたが、戦後四十七年間にわたり被爆者の方々が言葉に言いあらわせない御苦労をされ、また、今日においても健康障害に苦しんでおられる方々が数多くいらっしゃることは、私といたしましても胸の痛む思いであります。
 政府・自由民主党といたしましては、被爆者の方々の御要望を十分に伺いながら、いわゆる原爆二法を中心に、こうした被爆者の方々の実情に即して、保健、医療、福祉の全般にわたってこれまでもできる限りの施策を行ってまいりました。皆様御承知のように、平成二年六月には、私も含めましてこの参議院社会労働委員会の理事と被爆者の方々とが直接お会いし、お話を伺いましたことは記憶に新しいところであります。
 これらを踏まえ、自由民主党原爆被爆者対策小委員会、田中正巳委員長のもとで論議を尽くした上で、平成三年度におきまして被爆者の高齢化に適切に、かつきめ細かに対応するために、一、介護手当の大幅な引き上げ、二、健康管理手当の認定期間の延長、三、各種手当の所得制限の大幅な引き上げとその手続の簡素化など、諸手当の思い切った改善を行い、さらに今年度においても、一、各種手当の引き上げ、二、大腸がん検診の導入、三、原爆被爆者ホームヘルパー人件費補助金の倍増、四、原爆被爆者相談員の増員など、格段の改善を図ったところであります。
 こうした改善措置につきましては、被爆者の方々からも大変喜んでいただいていると聞いておりますが、私どもといたしましては、引き続き被爆者の方々の御要望に耳を傾け、そのお心に思いをいたし、これからも一層の充実を図っていかなければならないという立場に立つものであります。
 こうした立場から見ますと、本法案は多くの問題点があると考えており、これにつきましては、既に平成元年十二月の第百十六回国会において述べたところでありますが、改めて基本的な問題点を申し上げて反対の理由を明らかにしたいと思います。
 まず第一は、国家補償の考え方についてであります。
 本法案は、戦争責任に基づき、被爆者に対し国家補償を行うこととしております。原爆投下はまさに非人道的な行為であり、世界のいかなる地域においても、どのような理由があろうとも今後二度と繰り返してはならないものであり、我が国としても核兵器の究極的な廃絶に向けて国際的な努力を惜しむべきではありません。
 しかしながら、政府に、戦争の開始、遂行により原爆投下に至った責任やアメリカに対する請求権を放棄した責任があり、当然に補償を行う法的義務があるということにはならないのであります。被爆者対策というものは、いたずらに国の戦争責任に基づく国家補償という政治的な議論を操り返すのではなく、原爆放射能による特別の健康障害に苦しんでおられる方々の実情に即して政策的に必要な対策を講じていく姿勢こそが重要であると考えます。
 第二は、他の戦争犠牲者との均衡の問題であります。
 さきの大戦は我が国にとって未曾有の事態であり、当時の国民すべてが戦争による何らかの犠牲を受けております。かけがえのない肉親を原爆により奪われた遺族の方々の心情は察するに余りあるものがありますが、空襲や艦砲射撃、さらには外地で親族を失われた方々もたくさんいらっしゃるのであります。被爆者対策が、結局は何らかの戦争被害をこうむっている国民の租税負担によって賄われていることを考慮するならば、被爆者の遺族にのみ特別に個人的な給付を行うことは、国民的合意が到底得られないのではないかと考えるのであります。
 原爆で亡くなられた方々に対する国の弔意のあらわし方に関する私どもの考え方は次のとおりであります。
 この点につきましては、平成二年度において国が原爆死没者調査結果を発表したことを契機に私どもも原爆被爆者対策小委員会で真剣に検討いたしました。真摯な議論の結果、私どもとしては個人的な金銭給付を行うのではなく、国が原爆で亡くなられた方々を慰霊し、永遠の平和を祈念するために、国民全体あるいは世界にも通じる事業であるといった普遍性と、後世の我々の子孫にも継承していく事業であるといった永続性の両方を兼ね備えた事業を行うことこそが国民全体の理解と共感を得られるものと考えました。
 このため、平成三年度より、一、財団法人放射線影響研究所を活用して、被爆に関する調査研究啓。発事業、国際交流事業を行うとともに、二、都道府県を通じて地域や職域で行われる慰霊事業を助成するほか、三として、原爆で亡くなられた方々を慰霊し、永遠の平和を祈念するための施設を広島、長崎両市に設置するための検討を行っているところであります。
 第三は、すべての被爆者に画一的に年金を支給することとしている点についてであります。
 被爆者の方々といっても、受けた放射線の量、被爆による健康障害の程度はさまざまであり、施策の内容、必要性についても一人一人に大きな差があると考えられます。被爆者の方々であれば健康障害があってもなくても年金を支給するというような画一的な平等主義は、援護対策の必要度の高い方々に対する適切、妥当な対策を行うことを困難にするだけでなく、他の戦争犠牲者にはもとより、一般国民との間に著しい不均衡を来し、社会的公正が確保できなくなるおそれがあると考えるのであります。
 第四は、本法案の施行に要する経費についてであります。
 本法案の施行には、提案者の推計でも平年度で約二千四百五十七億円の経費が必要とされております。これは現行施策の予算の約二倍という大きなものであります。被爆者対策の財源は国民の租税負担であります。他の戦争犠牲者に比べて著しい不均衡が生じるような本法案の施行に必要な租税負担について国民の合意が得られるとは到底思えないのであります。
 以上申し上げましたように、本法案は幾つかの基本的な問題があり、自由民主党としては到底賛同できないものであります。私どもといたしましては、被爆者の方々の御要望に耳を傾けながら、現行の原爆二法を中心とする施策を着実に充実していくことが被爆者の方々の実情に最も適したものであり、また一般国民のコンセンサスを得られるものであると確信しているということを申し上げまして、私の意見陳述といたします。
#285
○委員長(田渕勲二君) 浜本万三君。
#286
○浜本万三君 意見を述べる前に、皆様に一言お礼を申し上げます。
 私は被爆地広島の出身議員でありますので、当
選以来、皆さんの御協力をいただきながら、国家補償に基づく被爆者援護法制定のために微力を尽くしてまいりました。今国会におきましても、野党六会派の共同提案となっております原子爆弾被爆者等援護法案は今後どうなるのであろうかと、その結果について大変心配をしていたところであります。しかし、幸いにも、田渕委員長並びに与野党の議員の皆様の御理解と御協力によりまして、本日、本委員会においてともかく決着をつけていただくことになり、大変喜んでおります。ここに皆さんに心からお礼を申し上げまして、以下意見を申し述べたいと思います。
 私は、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合を代表いたしまして、原子爆弾被爆者等援護法案につきまして、私の意見の一端を申し述べさせていただきます。
 広島、長崎が原子爆弾投下という人類史上未曾有の大惨禍をこうむってから、早くも四十七年が経過しようとしております。
 広島、長崎の原子爆弾は、一瞬にして三十万人のとうとい命を奪い、熱線と爆風、さらには放射能の複合的な効果により、長年にわたり、大量無差別に多くの生命を破壊、殺傷してきたのであります。そして、辛うじて一命を取りとめた人たちも、想像を絶する生き地獄を体験し、生涯消えることのない傷痕と原爆後遺症に苦しみながら、今日までようやく生きてきたという状況にあります。
 殊に、被爆者の高齢化が進む中で、寝たきりやひとり暮らし等要介護者も年々増加しており、昭和六十二年六月に発表された原爆被爆者実態調査等によっても、被爆者が貧困、病苦、孤独という三重苦にさいなまれている現状が浮き彫りにされております。さらに、実態調査では、九割に上る被爆者が、被爆者であることから自分の健康や子供や孫の健康、老後の生活等について苦労したり心配したりしていると答えております。このことからも、被爆後半世紀近くを経た今日なお、被爆者であるがゆえに、被爆者やその遺族が、原子爆弾の特殊性による医学的、社会的、精神的後遺症に苦しんでおり、さらに、今後も終生悩み続けなければならない状況にあることは明らかであります。
 政府は、これまで、いわゆる原爆二法をもって被爆者の救済に当たってまいりました。しかし、現行の原爆二法による援護措置は、国の責任をあいまいにしたまま、被爆の状況、疾病の状況等により生存被爆者の一部を救済するにとどまり、原爆で亡くなられた方やその遺族に対しては特段の生活援助も行っておりません。政府は、本法案提出後に行った諸手当の所得制限の緩和、介護手当の増額等の改善措置によって被爆者対策は万全であるかのような説明をしておりますが、今申し上げた現行二法の最大の欠陥については何らの是正もされていないことを指摘せざるを得ません。
 原子爆弾の被爆は、その非人道性や放射線による後遺症など、人間として到底受忍できる被害でないことは明らかであり、こうした特別の犠牲は、国家補償の精神に基づき国が償うべきものであります。そして、被爆者援護法の制定こそが、被爆者がその被害を超えて人間らしく生きる可能性が開ける唯一の道であると私は確信しております。
 そもそも、この史上未曾有の惨禍をもたらした太平洋戦争を開始し、また、終結することの権限と責任が日本政府にあったことは明白であります。
 さらに、アメリカの原爆投下が、国際法で禁止された毒ガス、生物化学兵器以上の非人道的兵器による無差別爆撃であって、国際法違反の犯罪行為であることを考えれば、サンフランシスコ講和条約で日本が対米請求権を放棄した以上、その請求権を放棄した日本国政府に対し国家補償を要求する権利が存在するのは極めて当然のことであります。また、広島、長崎に対する原爆投下が、結果的に戦争終結への直接の契機となったことも忘れてはならない事実であります。
 援護法の制定は、再び戦争を起こさないことを宣言した憲法前文の趣旨にも合致するものであり、非核平和国家のあかしでもあります。
 その意味からも、被爆者援護法の制定なしに戦後が終わることはないのであります。被爆後既に四十七周年を迎えようとしている今日、老齢化する被爆者やその遺族に残された時間はもうわずかしかありません。被爆者団体の調査によれば、援護法賛同署名は参議院議員で百七十名、衆議院でも三百三十六名に達しております。また本年四月七日現在、被爆者援護法制定促進の決議、意見書を採択した自治体数は二千団体を大きく超えております。これは、再び原爆による犠牲者を出すなという原水爆禁止の全国民の熱き願いのあらわれであるとも言えるのであります。
 被爆者対策の推進と非核平和の願いは、党派を超えて、ここにおられる委員の皆様方の一致した願いであると思います。委員の皆様方の援護法に対する勇断を期待し、全会一致による本法律案の成立を強く期待いたしまして、私の意見とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#287
○委員長(田渕勲二君) 以上で両君の発言は終わりました。
 本案の修正について浜本万三君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。浜本君。
#288
○浜本万三君 私は、本案に対し、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これより、修正の要旨を申し上げます。
 第一に、戦傷病者戦没者遺族等援護法による障害年金の額の改正等に応じて、被爆者年金の額を平成四年度ベースの額に引き上げること。
 第二に、法律の施行期日を、平成四年十一月一日とすること。
 第三に、老人保健法の改正に伴い、一般疾病医療費の支給の対象となる負傷または疾病に関する医療等のうち老人保健施設療養費等に要する費用についての国の負担割合を十二分の穴とすること。
 このほか法律番号の変更等所要の修正を行うこと。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#289
○委員長(田渕勲二君) 本案並びにただいまの浜本君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から両案に対する意見を聴取いたします。山下厚生大臣。
#290
○国務大臣(山下徳夫君) 原子爆弾被爆者等援護法案及び同法案に対する修正案については、政府としては反対であります。
#291
○委員長(田渕勲二君) 討論の申し出はございませんので、これより原子爆弾被爆者等援護法案について採決に入ります。
 まず、浜本君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#292
○委員長(田渕勲二君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において本修正案に対する可否を決します。
 本修正案については、委員長はこれを可決すべきものと決定いたします。(拍手)
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#293
○委員長(田渕勲二君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において修正部分を除いた原案に対する可否を決します。
 修正部分を除いた原案については、委員長はこれを可決すべきものと決定いたします。(拍手)
 以上の結果、本案は修正議決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これ
を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#294
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#295
○委員長(田渕勲二君) 次に、産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律案及び戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。山下厚生大臣。
#296
○国務大臣(山下徳夫君) ただ。いま議題となりました二法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律案について申し上げます。
 我が国においては、経済規模の拡大とともに産業構造の変化、技術革新が進んでおり、このような状況を背景として、産業廃棄物の排出量が増加し、その種類も多様化しております。
 一方、産業廃棄物の減量化・再生処理は必ずしも円滑には進んでおらず、また、増加する産業廃棄物を適正に処理するために必要な最終処分場等の産業廃棄物処理施設は、産業廃棄物処理に対する地域住民の不安、産業廃棄物処理業者の資本力の不足などからその設置が困難となってきており、このまま放置すれば、産業廃棄物の不法投棄等の不適正な処理の増大により生活環境が悪化し、また処理費用の高騰により円滑な産業活動に支障が生じるおそれがあります。
 こうした状況を踏まえ、産業廃棄物の処理施設の安定的な供給及び産業廃棄物の適正処理の推進を図るため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 まず第一に、この法律案において特定施設として整備の対象としておりますのは、産業廃棄物の処理を効率的かつ適正に行うために設置される一部の施設であって、一体的に設置される二以上の種類の産業廃棄物処理施設と、産業廃棄物処理技術に関する研究開発施設または産業廃棄物の適正な処理に関する研修施設等の共同利用施設などから構成されるものであります。
 第二に、厚生大臣、建設大臣、自治大臣、農林水産大臣、運輸大臣及び通商産業大臣は、環境庁長官その他関係行政機関の長に協議して特定施設の整備に関する基本的な事項等を定めた基本指針を策定することとしております。
 第三に、主務大臣は、特定施設の整備事業を行おうとする者が作成した特定施設の整備計画について、関係都道府県等の意見を聴取して基本指針に照らし認定を行うこととし、国及び地方公共団体は、認定を受けた整備計画に従った特定施設の整備事業に必要な資金の確保等の支援措置を講ずることといたしております。
 第四に、都道府県は、特定施設の整備による生活環境等の著しい変化による影響を緩和するため特に当該特定施設の整備に関連して公共施設の整備を図ることが適当と認められる地区を、関係市町村等の意見を聴取して特定周辺整備地区として指定し、当該地区における施設整備に関して必要な事項を定めた施設整備方針を定めることができ
 ることとするとともに、国及び地方公共団体は、施設整備方針の達成に資するため必要な公共施設の整備の促進に配慮するものとしております。
 第五に、厚生大臣は、特定施設の整備に必要な資金の融通の円滑化その他の産業廃棄物の処理に係る事業の振興措置等を推進することにより産業廃棄物の適正な処理の確保に資することを目的とした民法法人を、全国を通じて一個に限り産業廃棄物処理事業振興財団として指定することができることとしております。この財団は、事業者等の出捐による基金を設けて、認定を受けた整備計画に係る特定施設の整備事業に必要な資金の借り入れ等に対する債務保証、産業廃棄物処分業者等に対する新たな技術の開発または起業化のための助成金の交付、産業廃棄物の処理に関する情報等の収集及び提供などを業務として行うこととしております。
 なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内で政令で定める日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、平成四年度においても、年金の支給額を引き上げることにより戦傷病者、戦没者遺族等に対する援護の一層の充実を図ろうとするものであります。
 改正の内容は、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正し、障害年金、遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じて引き上げるものであります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、この法律案につきましては、平成四年四月一日から施行することといたしておりましたものを、衆議院において、公布の日から施行し、平成四年四月一日にさかのぼって適用することとする修正がなされております。
 以上、二法案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明を申し上げました。
 何とぞ、慎重に御審議をいただきまして、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#297
○委員長(田渕勲二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
  本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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