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1992/05/26 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第11号
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1992/05/26 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第11号

#1
第123回国会 厚生委員会 第11号
平成四年五月二十六日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     田代由紀男君     石井 道子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田渕 勲二君
    理 事
                西田 吉宏君
                前島英三郎君
                竹村 泰子君
                高桑 栄松君
    委 員
                石井 道子君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                浜本 万三君
                沓脱タケ子君
                粟森  喬君
                勝木 健司君
   国務大臣
       厚生大臣     山下 徳夫君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     大西 孝夫君
       厚生大臣官房審
       議官       山口 剛彦君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       古市 圭治君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省薬務局長  川崎 幸雄君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
   説明員
       文部省高等教育
       局医学教育課長  喜多 祥旁君
       文部省高等教育
       局私学部私学助
       成課長      早田 憲治君
       通商産業省機械
       情報産業局情報
       処理システム開
       発課長      石田  徹君
       自治大臣官房情
       報管理官     牧野 清文君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○医療法の一部を改正する法律案(第百十八回国
 会内閣提出、第百二十三回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、田代由紀男君が委員を辞任され、その補欠として石井道子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(田渕勲二君) 医療法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○菅野壽君 医療法改正案につきまして、若干これから御質問を申し上げたいと思います。
 今回の医療法の改正で、厚生省の御説明では量的には医療供給は確保されたと申されておりますが、医療計画によりますと、これは平成三年三月末現在で、必要病床数が百十五万八千二百三十、既存の病床数が百二十六万三千三百四十七床です。としますと、差し引き過剰病床数が十四万二千八百五十八床となりますので、量的に確保されたとするわけであります。しかし、日本全体を一つにして見ますと、この数字は地域的に偏在していることは厚生省も十分に御承知のことと思います。
 この地域的偏在についての状況を御説明願いたいと思います。病床非過剰医療圏の存在があっても量的には確保されたとおっしゃるのでしょうかどうか、御説明をいただきたいと思います。
#5
○政府委員(古市圭治君) 現在、先生が御指摘されましたように、私どもは地域医療計画に基づきまして、全国三百四十五の医療圏の中でいわゆる医療の供給体制というものの水準が均等に上がっていくように努力をしているわけでございますが、各地域の実情によりましてその進行度合いがまた千差万別という状況でございます。
 しかし、一つ事例で申し上げますと、平成元年度末と平成二年度末とを比較いたしますと、非過剰医療圏の数というものが百六十六圏域から百五十一圏域に減少をしてきているということがございます図それからまた、非過剰医療圏におきまして病床の供給体制の整備を進めておりますが、その数が五千五百八十一ということで約二%増加するというようなことがございまして、着実に病床不足地域の解消が図られつつある、このように理解しております。
#6
○菅野壽君 病床の地域的遍在についてさらにお伺いしたいと思いますが、厚生省の「都道府県別医療計画における必要病床数及び既存病床数等の状況」という資料の中で、一般病床を二次医療圏で見ますと、北海道、山梨、滋賀、広島を初め十四道県で非過剰医療圏が過剰医療圏を上回っております。
 今述べたうち山梨、滋賀の病床数の状況を過剰及び非過剰医療圏数で御説明を願いたいと思います。
#7
○政府委員(古市圭治君) 平成三年の三月末現在の数値でございますが、山梨県では八医療圏に分かれておりますが、病床過剰医療圏というのが一つ、それから病床非過剰医療圏、足りないというところが七医療圏でございます。
 それからまた、滋賀県におきましては七医療圏に分かれておりますが、病床過剰医療圏が一、非過剰が六という状況でございます。
#8
○菅野壽君 ただいま御説明いただきましたのでも、非過剰病床圏を見ますと一般的には過疎県が非過剰病床圏が多いのではないかと思われます。
 大都市圏でも非過剰病床圏は多いのでございますが、東京、京都、兵庫県の二次医療圏単位での過剰、非過剰病床の状況を御説明いただきたいと思います。
#9
○政府委員(古市圭治君) 同じく平成三年三月末現在でございますが、東京都におきましては十三の医療圏に分かれております。過剰の医療圏というのは七でございまして、非過剰、足りないところが六医療圏でございます。それからまた、京都は六つの医療圏に分かれておりますが、過剰医療圏それから非過剰医療圏、それぞれ三つずっということでございます。なお、大都市圏域を含みます兵庫県におきましては十医療圏がございまして、病床過剰、非過剰それぞれ半分ずつ五医療圏、こういうような状況でございます。
#10
○菅野壽君 今までお聞きいたしましたのは一般病床でございまして、この資料では精神病床、結核病床につきましても統計があります。
 精神病床につきましては、非過剰病床のある都道府県はどこでございましょうか。そして幾つぐらいございますか。また、結核病床につきましても同様にお伺いしたいと思いますが、御説明を賜りたいと思います。
#11
○政府委員(古市圭治君) 精神病床につきまして、足りない、非過剰医療圏となっていますのは、北の方から申しますと、宮城県、山形県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、福井県、静岡県、滋賀県、兵庫県、奈良県、鳥取県、島根県、岡山県、香川県、愛媛県、福岡県、大分県でございます。
 それからまた、結核病床につきましては、これはいろいろいきさつがございますが、非過剰医療圏となっていますのは次の五県を除きましてそのほかの四十二都道府県でございます。北海道、青森、福井、徳島、高知でございます。
 なお、この件につきましては、昨年の六月に、一般それから精神、結核のそれぞれにつきまして必要病床数の算定の標準というのを見直したわけでございまして、特に結核病床につきましては、患者数の実態をより正確に反映するようにしました結果、非過剰医療圏というものが今後大幅に減少するというふうに見込まれております。
#12
○菅野壽君 ただいまお聞きしましたが、まだ結核及び特に精神病床につきましては非過剰圏があるようでございます。
 厚生省の御説明によりますと、我が国の医療施設は全国ベースではおおむね量的整備は達成したというお話を承っておりますが、非過剰の地域がこのように多いのでございまして、これを量的整備が達成されたと言ってよろしいのでございましょうか。大臣は恐らく、昭和六十年の第一次医療法改正で、この医療圏計画の作成は、残念ながら厚生省が目指していることとは異なった結果を生んでしまったようです。駆け込み増床ということであります。この後遺症が看護婦不足に拍車をかけたことなど、さまざまな面に波及しております。この点についてどのようにお考えでございますか。昭和六十年の改正から七年もたっておりますが、まだ非過剰の地域が多いのではございませんでしょうか。その点を承りたいと思います。
#13
○国務大臣(山下徳夫君) 今お話ございましたように、各都道府県を幾つかの医療圏に分けまして、そして今日まで医療圏ごとの計画をつくってきたわけでございますが、その結果、同じ圏内であっても既に計画よりもベッドが上回っているところもあるし、足りないところもある。上回っているところは、もし実施されるというと絶対に増床が認められないということで、そういうところが駆け込み増床の申請をしたわけでございますが、これも一時的な現象でございまして、抑制効果というものが働きまして現在は鎮静化いたしておると思います。
#14
○菅野壽君 今回の医療法改正の現状認識といたしまして量的整備は達成されたとする根拠はどういうところにございましょうか。全国ベースでは病床数が必要数を上回ったからといって、このように非過剰病床の医療圏が多いのでは量的整備が達成されたとはちょっと言い切れないんじゃないかと思います。私は単に病床数だけをもって量的に整備されたとは思っておりません。現実に救急医療では患者がいわゆるたらい回しになったり僻地に医者がいないなど必ずしも整備が達成されたと言える状態ではないと思いますが。
#15
○国務大臣(山下徳夫君) 御指摘のとおりでございまして、第七次の僻地医療計画等におきましても無医地区に準ずる地域として医療の確保を図ることなど、これからもまたやらなければならないこともあるのでございますが、特に全身やけどとか切断するというような高度の救命救急医療に対しましては、そのセンター等を整備して、高度の救急体制といいますか、例えばヘリで運ぶとかそういったいろんなことをまた整備していかなきゃならぬ、こういう点についてはまだ不十分な点がありますので、これからさらにこれらの充実のために努力をしてまいります。
#16
○菅野壽君 ただいまの御説明で、量的には整備されたのでありますがまだまだ解決すべき問題があるという大臣の御答弁をいただきまして、力強く思う次第でございます。
 「国及び地方公共団体は、前条に規定する理念に基づき、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならない。」という規定を設けましたが、僻地医療の充実整備、救急医療体制の整備につきましてはどういうふうに今後お考えでございましょうか。
#17
○政府委員(古市圭治君) 今回の医療法の改正案の中の第一条の三に、御指摘のように「国及び地方公共団体は、前条に規定する理念に基づき、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならない。」と、こう規定させていただきましたが、この「体制」の中には、先生の御指摘の僻地の問題また救命救急の問題というのはまさに公的な機関が整備すべき代表的な事項ではなかろうか、このように認識しているわけでございます。
 そこで、私どもはただいま大臣からの御答弁もございましたが、平成二年度まで第六次にわたる僻地医療の充実強化をやってきましたが、平成三年度からは第七次の僻地保健医療計画というもので、従来無医地区を中心にその対策をやってきておりましたが、無医地区に準ずる地域も対象に含めましてこの医療供給体制の整備を図っていきたいと思っているわけでございます。
 また、救急救命につきましては、もう先生御承知のように、今回新しく救急救命士法によりまして、搬送途上ということにおきまして、デス・オン・アライバルと言われております病院に到着したときには既に亡くなっていた、こういう事態を改善するために幅広い支援体制というものも整備を進めている状況でございます。
#18
○菅野壽君 それから、これからできるであろう特定機能病院について患者の受診抑制のおそれがあるのではないかというふうに思いますので、確認しておきたいのですが、衆議院でも既に論議がたくさんなされておりまして、特定機能病院に紹介制を導入するということでございますが、この紹介制につきましては、現行の紹介外来型病院制度では一〇〇%紹介制をとっております。その病院に紹介なしで受診しようとすれば初診料は自己負担となるというふうな制度でございます。
 この特定機能病院における紹介制度と紹介外来型病院制度とは異なるものであると考えるのですが、それでよろしいんでしょうか。確認しておきたいと思います。
#19
○政府委員(古市圭治君) 御指摘のとおりでございまして、現行の紹介外来型病院というものは診療報酬におきます制度でございまして、病院の申請に基づきまして厚生大臣が指定を行う、その病院におきましては紹介外来という機能に着目した評価を行うということになっておりますので、そこがまさに特徴なので、原則一〇〇%紹介というもとにこの点数が設定されているということでございます。
 それと違いまして、今回私どもが提案しております医療法の中におきまして、特定機能病院、その外来は紹介制ということを申しておりますのは、この保険とは直ちに関係しているわけじゃございませんで、従来の医療法におきまして病院というのが一律に規定をされておりましたが、その中で殊に高度な医療を行うことがいわゆる国民の上からも期待される、また医療資源の効率的な使用からも望ましい。具体的には全国の大学病院の附属病院、それからまた各地区の基幹的な大きな病院というものがこの対象になろうかと思いますが、そういう病院にありましては、その持てる人材、資源、検査機能というものをその目的に合わせて効率的に使っていただく。そのためには、そういうところでは高度な先進的な医療を総合的に行っていただくということにその力を結集していただいた方がいいんじゃないかということで、この特定機能病院というものをひとつ規定させていただいているわけでございます。
 そういたしますと、そういう病院の外来機能はどのようにあるべきかという議論になります。そうすると、一般の開業医さんや中小病院と同じように患者さんを扱うというのは、いかにもこれは非効率な面もございますので、そこでは紹介制を基本として行っていけばいいのではなかろうかということになっております。したがいまして、冒頭申し上げました紹介外来型病院とは違いまして、当然その比率というものが一定割合ということになろうかと思いますが、これまた全国的に一律に決めるということも問題なので、そういう趣旨にのっとった外来機能を運営していただくということになります。そこで、これは一〇〇%紹介ということは毛頭考えておりませんで、一定の部分がこの紹介制で運営される、このようになろうかと思います。
#20
○菅野壽君 例えばのことで初診料のことをちょっとお伺いしたいんですが、この特定機能病院の場合は初診料が今までの初診料より高くなるのでしょうか、どうでしょうか。
#21
○政府委員(黒木武弘君) 特定機能病院の初診料の取り扱いについてのお尋ねでございます。
 特定機能病院、ただいま健康政策局長から御答弁いたしましたように、高度な医療を必要とする患者を優先的に取り扱うことが望ましいことにかんがみまして紹介制を取り入れることとされておるわけでございます。したがいまして、紹介制の導入に関連いたしまして特定機能病院の初診料をどういうふうに取り扱うかということにつきましては、これから医療法上の紹介制の具体的内容が決まっていくわけでございますが、そういうものを踏まえつつ、まずは中医協の御審議をいただきながら検討することになるわけでございます。
 先生も御承知のように、現行の診療報酬におきましては紹介外来型病院制度を設けておるわけでございまして、これに該当する病院につきましては、紹介患者の場合、初診料を高く評価いたしますとともに、紹介患者以外の場合、つまり紹介状を持ってこない患者さんの場合には、急患の場合を除きまして初診料相当額は患者に全額自己負担をしていただくということにしているわけでございます。
 この紹介外来型病院と特定機能病院につきましては、先ほど健康政策局長が答えましたように、その趣旨から見て、あるいは要件から見て相当相違があるというふうに私どもも承知をいたしております。したがいまして、新たに創設されます特定機能病院につきまして直ちに紹介外来型病院と同一の取り扱い、診療報酬上そういう取り扱いにはならないんではないかと考えている次第でございます。
 いずれにいたしましても、紹介なしの患者の初診料の負担のあり方、その具体的な取り扱いについては、今後中医協で御審議いただくことになるわけでございますが、厚生省といたしましては、これも先ほど健政局長がお答えになりましたように、一定の外来機能は有するということでありますので、特定機能病院が引き続き地域医療を担う役割をあわせ持たれるということを私どもは十分配慮しながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
#22
○菅野壽君 それに対して特定機能病院の指定を受けるであろう病院からちょっと私に話があったことは、特定機能病院に指定されると病院の経営が成り立たないんではないのか。例えば、今御説明いただきました初診料の問題は中医協でこれから決めるとおっしゃいますけれども、外来が急激に少なくなってくる、外来のいわゆる抑制につながるんじゃないだろうか、そして病院の存立が危うくなるんじゃないかというふうなおそれがあるというふうに聞いておりますが、そういう点ほどういうふうに推測されますか、お答え願いたいと思います。
#23
○政府委員(古市圭治君) 今回提案させていただいております改正案の中で、特定機能病院と、それからさらに、後段御審議いただけるかと思いますが、療養型病床群、ともに医療機関からの申請に基づきまして特定機能病院は厚生大臣が認可するということになっておりますから、強制的に制度が変わった途端に適用されるというものではない。非常に端的に申しますと、そのどちらでいくのかというのは医療機関に任されているというところが一つございます。しかし、先生のお尋ねは、そうは言ってもいろいろ今後の制度運用上不利になるんではないかという御不安があるんじゃないかと、こういうことかと思います。
 そこで私どもは、従来からいろんな話がございますが、現在大病院の外来が非常に患者さんが多い、その結果診察時間が短くなって、目的とする高度な医療を時間をかけてやるということが結果的にはできないという苦情もございますし、また現在の点数表が入院重視よりも外来で、ちょっと言葉は思うございますが、稼がないと成り立たないからやむを得ずこういう対応をしているんだと、こういう御意見もございます。そこで、しからばその病院にふさわしいような機能というものを今回特定機能病院というので枠をつくりまして、そういう病院にありましては、外来よりも入院治療、高度な医療というものを中心的にやっていっても成り立つような報酬があるかどうかというようなことが今後検討されることかと思うわけでございます。
 したがいまして、いろいろ御不安があろうかと思いますが、私どもは関係の機関とも十分話し合いをしながら進めていきたいと思っておる次第でございます。
#24
○菅野壽君 よくわかりました。ただいまのお話はもう少し後にお聞きする用意があったんですが、ありがとうございました。
 特定機能病院と紹介外来型病院とは異なるということでありましたら、紹介なしの患者が特定機能病院で受診した場合には通常の保険で初診料負担が行われると考えてよいのでしょうか。これを確認しておきたいと思います。
#25
○政府委員(黒木武弘君) 特定機能病院に紹介制を導入するわけでありますけれども、紹介なしで来た患者の取り扱いについてのお尋ねでございますが、先ほどもちょっと触れましたように、現行の紹介外来型病院とかなり今回創設されます特定機能病院は違うんではないかということで、現行入れております紹介外来型病院のように初診料を全額患者さんに持たせるということは、私どもはそういうことに性格あるいは要件、趣旨等が違うことからならないんではないかというふうに考えておるわけでございます。したがって、そういう意味からいいまして今後とも特定機能病院が一定の地域医療を担当されるという趣旨が十分発揮できるように私どもは適切に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
#26
○菅野壽君 実は衆議院の御答弁では保険局長さんは、
 直ちに初診料相当額は患者に全額自己負担をい
 ただくというような取り扱いにはならないんで
 はないかというふうに考えておりますが、と御答弁なさって、その後すぐ、
 確定的なことは申し上げられないのは、いずれ
 本当に診療側とこれを負担される支払い側の御
 意見をちょうだいした上での最終的な結論とな
 りますので、私の感じはそういうことで考えて
 いるということで御理解をいただきたいと思う
 わけでございます。と答弁されておられる。
 この答弁の議事録からではどうもはっきりと私はわからなかったものですから今御説明いただいたのでございますが、自己負担を取るということにはならないということに力点があるのでしょうか、それとも、局長さんの個人的な御意見で自己負担を取るということにはならないと考えているが、診療側と支払い側が合意したらそれは自己負担を取られる場合もあり得るという意味なのでしょうか、お聞きしたいと思います。
#27
○政府委員(黒木武弘君) もう御案内のように、診療報酬は、中医協の議を経まして、それを最大限尊重する形で厚生省が決める形になっておるわけでございます。したがって、衆議院段階でもこれが取り扱いについてのお尋ねをいただいたわけでありますけれども、そういう手続からいって確定的にこう決めたということは申し上げられない、手続を踏む必要があるものですから、そういうことにならないんではないかという答弁にとどめさせていただいているわけでございます。
 私どもの意図するところは、先ほど申し上げましたように、趣旨、性格、要件等が相当違う、そして特定機能病院は引き続き大事な地域医寮の役割を担っておられるということから見て紹介なしの患者さんについてペナルティー的な初診料全額負担というものは、私どもはそういうことにはならないと考えておりますけれども、中医協の手続、議を経る必要がございますので、ならないんではないかという答弁で、恐縮でございますが、確定的にはお答えできないという苦しい答弁でございますが、そういう意味で衆議院の御答弁を御理解いただけたら幸せに存じます。
#28
○菅野壽君 ただいま私がお聞きしたことは、初診料がもし高くなるようなことがございますると、特定機能病院に行く人が少なくなるというようなことで、患者抑制、受診抑制につながるんじゃないかということをおもんぱかって私はお聞きしたことでございます。そういうふうにならないように、国民一般にひとしく恩恵を与えるような結果が、高度な医療機関でも受けられるような御配慮を願いたいと思います。
 それから、何回もこれは御説明をいただいて、くどいようでございますが、私もお聞きしたいと思いますが、特定機能病院制度を創設した理由とその趣旨をお聞かせ願いたいと思います。
#29
○政府委員(古市圭治君) 現在の医療法と申しますのは、昭和二十三年にできましてから何度か改正はあったわけでございますが、大きな改正としては、冒頭御質問がございました数の問題で、医療圏を決めてその中で病床を的確に整備を進めていくという昭和六十年の地域医療計画という改正が非常に大きかったわけでございます。その後、これからは量だけでなくて質を高めていかなかったらいけないという議論がずっと続いてまいりまして、そういう趣旨でとりあえず二十床以上が病院となっていますこの医療施設についてそれぞれの機能を明確にしてその役割を果たしていこうという議論がございました。
 そういうことで、関係者等といろいろ議論をした結果、今回提案させていただいておりますように、特定機能病院というグループとそれから病院の中にあって療養型病床群というものをまず一つ医療法の中で位置をつけて、そのほかの機能については、さらに今後検討を進めて早急に合意の形成を図って機能明確化を図ろう、こういうことから提案をさせていただいたわけでございます。
 それと同時に、今回病院機能の明確化が外では少し注目を浴び過ぎているという嫌いがございますが、医療法につきましては理念規定というものがなかったということで、医療提供の理念というものも書かせていただきましたし、それからまた、昭和二十三年時代でございますから、国民の医療、保健に対する知識というものも今日と比べますと大きな差がございました。今日ではもっと、広告によってだまされるということじゃなくて、医療提供側が情報も提供しなかったらいけないということで、院内表示、広告についても議論をいたしました。
 それからさらには、病院の委託業務というものも適正なものは外に出してもいいんじゃないか、そういう幾つかの点でまとまったものを今回の改正で出させていただいた、こういうようなことが今回医療法改正の提案の趣旨でございます。
#30
○菅野壽君 よくわかりました。
 特定機能病院のねらいは、長い時間待って短い診療、簡単に言いますと三時間待ちの三分診療ということを是正するということであるならば、単に特定機能病院をつくるだけでは効果が上がらないのではないかと思います。そこで紹介制ということになったと思いますが、この紹介制も厚生省の説明では、必ずしも長時間待って短い診療解消の実効が上がる仕組みにはなっていないのではないかと思います。実効が上がるようにするためには、特定機能病院の敷居を高くしなければなりません。敷居を高くするということは、特定病院に直接来る場合には費用が余計かかるようにしなければならない。一般的にはこのように考えると思うのですが、いかがでしょうか。
 そして、このことは受診抑制を結果的にもたらし、受診における差別を導入するということになると思いますが、衆議院の修正で、病院体系化における受診抑制をもたらさないようにということになっておりますが、これを守るということがお約束できるんでしょうか、お聞きしたいと思います。
#31
○政府委員(古市圭治君) 今回の特定機能病院につきましては、殊に審議の過程で、その外来に紹介制というものを導入するということから、御指摘のような不安というものが議論されたわけでございます。その結果、修正附則といたしまして「国民の必要かつ適切な受診が抑制されることのないよう配慮するものとする。という条項が付せられたということでございます。
 私どもも当初から必要かつ適切な受診が抑制されることのないようにこの制度創設については考えておりましたし、今後もそのように配慮をしていきたいと思うわけでございます。
 先生が具体的におっしゃいましたように、この制度を導入することによって果たして待ち時間が短くなるのかということでございますが、これが導入されますと、周辺の医療機関からその患者さんについて従来よりも詳しい紹介状をきちっとつけて、しかもその医療機関とは電話等で何月の何日の何時に行くという予約制というところに結びつけていただきたい。そういたしますと、その紹介状を持った患者さんというものは、特定機能病院の特別の窓口というものが設定されるということになろうかと思いますので、それは従来のように直接窓口に並ぶということじゃなくて、待ち時間はもう完全にそのグループについては私は著明に改善される、このように思います。
 しからば、その残りの人たちと申しましょうか、それはどうなるのかと、そういうことをやるために排除されるんじゃないかということかと思います。
 私は、例えばその病院の紹介というものが三割がそういうことでありますると、あとの七割というところは従来どおりフリーアクセスというわけでございますから、場合によっては同じ数が押しかけますと少し行列が長くなるということがあるかもしれません。そういうようなことでございますが、特段に受診が抑制される、不利になるということではなくて、その病院が外来患者についてどのような方針で整理をしていくかということにだんだんと落ちついてくる、このように思っております。
#32
○菅野壽君 健康政策局長さんは衆議院での御答弁の中で、
 医療法の改正ということとは関係なく、大都市
 を中心として大病院の外来の混雑というのは非
 常に大きな問題になっておりまして、各病院で
 もそれぞれの工夫をして、外来の待ち時間の短
 縮という努力を重ねていっているわけです。そ
 の中には幾つかのいろいろな方法によって、著
 しく短縮したということも講ぜられていること
 は御承知のとおりでございます。したがいまし
 て、医療法によりましてこういう機能になって
 も、一般の紹介なしの窓口の方の待ち時間の短
 縮という努力は続けていかれることだと私ども
 は思っております。と答えられております。
 このような御答弁であれば、それぞれの病院の工夫で待ち時間の短縮ができるのでございましたら、特定機能病院制度をつくらなくてもできるのではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
#33
○政府委員(古市圭治君) 私がそう御説明をさせていただきましたのは、先生御承知かと思いますが、いろいろな専門誌それからまた医学関係雑誌等で病院の業務改善事例というのが報告されております。それは非常な苦労をしてやっておられることでございますし、しかしまた、やったことが経営的にはややマイナスになるという場合も多いわけでございます。そういう中にあって、地域医療の中で自分の病院がどのような形で医療提供をすれば一番効率のいい、質のいい医療が提供できるかという観点から非常に御努力をされているということでございます。
 そういうことで、何も制度を直さなくてもやれる部分というのは当然あるわけでございまして、そういうことをやっていただいている医療機関には本当に敬意を表するわけでございますが、このような制度を預っている厚生省といたしましても、制度の側からこういうことを支援していく、そういう体制に持っていくということが大事ではなかろうか。そういうことで、個々の医療機関、地域の医療機関の工夫と、それからまた制度としてり改善というものが一体的にいくならば、もっと効率のいい医療制度というものが早く迎えられるのではないかということで、私どもは今回の制度もそういう現場の先生方の試みを支援していく、こういう立場ではなかろうかと思っているわけでございます。
#34
○菅野壽君 詳しく御説明いただきました。
 特定機能病院に紹介制を導入しようというわけでございますが、この紹介制導入におきまして紹介率というものはどの程度の基準になるというふうなお考えでございましょうか。現在、大学病院等での紹介率といいますのはおよそ一五%程度であるとも言われております。紹介制導入ということであればこの紹介率以上を目指すということになると思われますが、いががでございましょうか。
#35
○政府委員(古市圭治君) この紹介制度の割合をどの程度にするのかということは、今日までいろいろ議論がなされてまいりました。結論的には、いわゆる特定機能病院の紹介率を一つの数値で全国一律的に決めるというのは実態に合わないということでございまして、それぞれの病院の置かれている地域医療の状況というものに非常に大きな差がある。端的に申しますと、先生が今おっしゃいました大学病院の平均の紹介率というのは、現在、抽出調査でございますが一四・六%ということで、これには幅がございまして、ほとんどゼロに近いパーセントから五十数%というところまでいっております。ちなみに、国立機関ではがんセンター、循環器病センターというのはもう七割以上の紹介ということで外来が占められている状況でございます。
 こういうような背景の中でこの制度を導入していくといった場合には、私どもが特定機能病院に期待する目指すべき機能というものが一度にはいかないとしても、例えば年次計画でこの紹介率を上げていく、また地域によってはその紹介率に差があるということは当然あってもしかるべきだと思っております。
 要は一律に決めないということでございますが、その過去の承認に当たりまして紹介患者の受け入れの実績というものを見るということになろうかと思いますし、そこからスタートいたしまして、将来に向けて紹介患者の割合を引き上げていくというような工夫がどのようにされていくかということで、本来の特定機能病院を設ける趣旨に合致するということで承認がされていく、このような扱いになるんではなかろうかと思っております。この辺は、法案が通った暁には関係審議会でいろいろ御議論をいただいて決まっていくということでございますが、私どもとしてはそのような観点から御審議をいただきたいと思っている次第でございます。
#36
○菅野壽君 厚生省の御説明では、一般の病院、診療所の紹介による受診が基本というふうにございますが、一般の病院、診療所の医師は必要に応じ患者を紹介し、特定機能病院は紹介を受けた患者に対し医療を提供する、ただし救急患者は直接特定機能病院を受診することを想定するということでございます。
 この説明を見ますと、特定機能病院はその大部分は紹介患者で、例外が救急患者であるかのように考えられておりまして、紹介率はかなり高くなるものというようにも考えられますが、衆議院の御答弁ではこの点がはっきりされていないようにも私は思ったので、全国一律ではない、地域の特性も考慮する、また一〇〇%を目指すものではないという答弁がなされていましたが、具体的な数字は挙げておられません。特に紹介率を設定しないということでもないようですが、どのようなものでございましょうか。さらに、全国一律でもないということであれば、紹介率というのは特定機能病院にとってどのような意味を持つものか。
 また、健康政策局長さんは、逆紹介ということも考えられると御答弁なさいました。逆紹介がなされても、初めは大病院にやってくるわけですから、三時間待って三分診療の解消には有効ではないように思われます。この点もあわせて、紹介率の意味を先ほど来御説明はいただいておりますが、逆紹介をするためのインセンティブといいますか、誘導策はどのように考えられるのですか。紹介率が特定機能病院の承認要件にはならないようですが、存続要件にするお考えですか。存続要件が誘導の手段でございましょうか。その点をお伺いしたいと思います。
#37
○政府委員(古市圭治君) 紹介率につきましては、全国一律の一つの数字ということはないと申し上げました。しかし、今回の特定機能病院に期待されているところというものが、外来においても地域の中で高度医療を提供する機関としてふさわしい外来のあり方と考えたときには、一定割合の紹介制というものにこたえていくという機能が期待されるわけでございまして、そこで、地域の状況というものによりましょうが、現在過去の成績で何%の紹介であったかというのは、当然申請していただくときに書いていただくことになるんではなかろうか。
 その紹介率がその地域から見てどの程度あるのが望ましいのかというのは、病院自身も考えられましょうし、地域全体からも期待されるところがあろうかと思います。それがまた都会の真ん中にある病院と、それからまた地方の単科の医科大学のように離れたところにある大学では紹介も全然違います。
 もっと具体的にイメージとして申し上げますと、同じ東京の私立医科大学にいたしましても、慈恵医科大学と慶応の医学部とでは全然違う。慈恵医大の場合には、住民がほとんど昼間人口は多いけれども夜はいないということから、あそこはもう開業医さんもいなくなった。そうすると、あそこでは地域医療を担わざるを得ないという慈恵医大の役割がございます。一方、慶応医大の方は、いわゆる中央線、総武線の沿線にあるというところで、かなり広範囲の医療というものを請け負っていくということになろうかと思います。
 そういうことがいろいろございますので一律に決めませんが、審議会の中で、この病院はこの程度である、将来に向かってはこの程度ふやしていきたい、こういうようなことで御審議をいただくということから、一つの、これは具体的にはわかりませんが、グループ分けをして、ここはこの程度までいくんじゃないか、こんな御審議になるんではなかろうかとも思うわけでございます。
 それからそこで、紹介率に関しましては、非常に外来患者が少なくなるとか不利になるとか、いろんな私どもから申しますと誤解と申しましょうか、我々の説明する時間が短かったということもございますが、大学病院側それからまた特定機能病院に該当すると思われる病院側の不安、それからまた疑念がございました。
 そこで、その紹介率というのは、初診の外来患者さんを分母といたしまして、その分子に紹介した患者さん、また救急の患者さん、こう入るというのが一般でございますが、それだけでなくて、大学病院の外来にずっと再診で通っておられる方で、もう大学病院でなくてもいいという人を地域医療機関に戻したと、これを先生御指摘の逆紹介と申しますが、その数を分子に入れます。そうすると、かなり大学病院の中でも紹介率というものを高めることが可能なわけでございます。
 大学側の説明は、外来に通った患者さんが、風邪だ、腹痛だと結果的にはなるとしても、最初は非常に大きな悪い病気じゃないかと思って見える人を、紹介状を持ってこないとだめだというのは大体酷であるよと、こういう話もございますが、逆紹介というのは大学側で幾らでも外来患者をもう一遍整理することが可能である、そういう意味から逆紹介を入れたということでございます。
 さらに、このような制度を誘導していくためにはどのような方策があるかということでございますが、これは私どもは、この特定医療機関というのはこういう病院であるということで、そのことをとることによって病院機能が本来こうありたいと思っておったところに近づけるということが一つございましょうし、それからまた名称というものは独占的な名称になりますから、地域に向かっては病院の機能が明らかになってくる。
 さらには、これは保険局長の分野でございますが、診療報酬によってそういう病院の採算がさらに悪くなるということを避けて、それに集中すれば、それなりの機能に適合した報酬ができてくる、そういうような制度とそれから報酬とが結びつく一つの端緒にもなるんではなかろうか、このように思っておる次第でございます。
#38
○菅野壽君 特定機能病院が真に良質な高度の医療を国民に広く提供するということでございますれば結構なことでございまして、その意味は大きなものと考えられます。
 ところで、高度の医療を提供することが承認要件となっていますが、この高度ということはどのようなことを指していらっしゃるのでしょうか。衆議院におきまする議論を会議録で見ますと、ファジーという言葉が使われておりますが、どうもよくわからないんで、高度の意味を御説明願いたいと思います。
 また、特定機能病院は医療審議会が承認するわけでありますが、法律で特定機能病院を規定するわけですから、この審査基準が公表されるべきであるとも私は思いますが、この審査基準を公表されることを確認いたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#39
○政府委員(古市圭治君) これはちょっと抽象的で恐縮でございますが、特定機能病院の要件でございます高度医療というものはこのように考えております。
 一つは、広く一般医療機関において実施されることが医療水準の維持の観点からは難しい。また、所要のスタッフそれから機器を常にすべての医療機関において用意をするということも非効率的なことなので、そういうことで非常に高度な医療機器というものがそこには備わっている。それからまた無菌室とか、それから一つの骨髄移植等ができる施設とか、そういうものがあるということになろうかと思います。
 それからまた、我が国においてこれから開発されていくべき高度先進医療というものがその中では開発されている。これは学会の発表雑誌等でチェックしていくということになろうかと思います。
 それからまた、そのような高度な医療の研究開発というものが、ほかのお医者さんが来てそこで技術を習得して、また技術移転が行われると、こういうような体制も必要だというようなことでございます。
 そういうことで高度の概念というものは時代とともに推移するわけでございますが、これをわかりやすい形で示す努力をしたいと思っております。具体的には特定機能病院につきまして医療審議会にお諮りした上で承認するということになりますが、この承認要件を満たすというようなことで医療機関側からもわかるようにしなかったらいけませんので、この評価に当たっての一つの明確な審査基準というものをお示しするようにお願いをしたい、このように思っております。
#40
○菅野壽君 「特定機能病院の実施すべき事項」に、「高度の医療を提供」し、「高度の医療技術の開発及び評価を実施」し、「高度の医療に関する研修を実施」することが挙げられております。このことに関係いたしまして、衆議院に提出された医療法改正に関するメモの中で特定機能病院における診療科名が挙げられております。それによりますと、内科、外科、産科または婦人科、耳鼻咽喉科、眼科、小児科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、精神科、放射線科、麻酔科の十二診療科名のうち十以上の診療科を有するとされております。私はこの診療科名にぜひとも病理診断科を入れていただきたいと思いますし、入れるべきではないかというふうに思います。
 現在の医学におきまして、正確な病名を診断するには病理学の知識がなくては判断ができないということは御存じのとおりでございます。特定機能病院が高度の医療技術の開発及び評価をし、高度の医療に関する研修を実施するということであれば、病理診断科は私は必要不可欠なものではないかと思うのでございます。御承知おきのとおり、昭和天皇の御病気の確定診断は東京大学の病理学の故浦野教授によってなされました。また、十数年前に問題となりました某産婦人科病院事件、あるいは最近でございますが国立大学病院で起こった頸部リンパ節疾患の誤診における放射線治療の後遺症問題など、適切な医療を提供する上で病理診断が欠かせないものであることを如実に示しております。病理診断をしておるのならばこういうことはなかったというふうに思うのでございます。
 そういう点からいたしましても、現在、標榜科名の中には入っておりませんが、病理科の重要性がますます高まっていることを考えますと、病理科を標榜科目に入れるべきではないかと思います。標傍料名につきましては、同じメモによりますと、当面、現行の診療科名はすべてを規定し、追加については、医学医術に関する団体、医道審議会の意見を聞いて対応するということでありますが、ただいまのことにつきまして御質問申し上げる次第であります。
#41
○政府委員(古市圭治君) 近代的な医療におきます病理というものはもう不可欠な要素でございまして、特定機能病院のような医療が期待されるところではこれはもう必置だと思います。現にまたそういうところでは病理専門の医師というのがいるわけでございますし、病理検査室もあることだと思います。
 ただ、先生御指摘のように、現在の三十三の標榜科名の中に入っていないということから、私どもの改正案におきましては、現行の体制のもとに一応枠を決めているものですから、このような標榜科名の診療科のうち十以上と、こうやったわけでございます。
 なお、この標榜科名につきましては、同じく今回の医療法改正が通りました暁には、関係学会等の意見を聞いて再度見直しをして必要なものはいれるということになっておりますので、今後の検討課題かと思います。
 また、先生が御指摘のような病理が必要であるということは、医療審議会等で議論になったときに、特定医療機関を指定する要件の中に一応入れる、診療科名がなくてもこういうものは当然であると、書くことは可能だと思いますし、それはまた関係の先生方の御意見も伺って検討を進めたいと思っております。
#42
○菅野壽君 わかりました。
 特定機能病院は申請主義であるということでございますが、申請主義ということは病院からの自発的意思を待つということでございましょうか。それと、病院が特定機能病院として承認申請するようなメリットというのはどこにあるのでございましょうか。今までの議論をお聞きいたしておりますと、診療報酬につきましては、特段一般病院よりも点数を増額するということは考えられないというようなことですし、また、点数そのものの基準単価、現行の一点十円を変更することも考えておられないんではないかというふうに思いますが、このことをまず確認しておきます。
 そしてまた、特定機能病院になるというメリットというものは何であるかということも考えていただきたいと思います。
 また、特に特定機能病院では紹介制度を導入するということですから、外来の患者数は全体として減少すると思います。そういうことでありますならば、病院としての収入が減少する可能性が大きいと思いますが、再度お聞きするわけでございます。それともこれを中医協の論議にゆだねてしまうということでございましょうか。このように法律案が提出されているのでございますから、提出者としてこの点についてのお考えを伺いたいと思います。
#43
○政府委員(古市圭治君) 特定機能病院は、再三御説明しておりますように、高度の医療を提供するために必要な人員、それから施設整備を備えた医療機関ということになります。
 そこで、診療報酬につきましては、その機能、それから人員配置基準等の具体的な内容が決まった上で、それを踏まえて中医協で御審議をしていただくということは保険局長からの答弁にあったとおりでございますが、この際に、点数単価の変更とか同一の医療行為自体に異なる点数がつけられるというようなことではなくて、施設全体の機能というものをどのように評価するのかというような御議論がなされるものだと思っております。
 そういうことで、御指摘のように特定機能病院になるメリットというものとしては、本来的な施設機能として高度な医療の提供を目指している病院にとりましては、いわゆる入院機能を重視した人員配置というものに対しまして特定機能病院の高度医療提供のための人員、施設構造による機能がフルに発揮される、このような体制がとれるわけでございます。従来から入院機能に中心を置きたいといいましても、いろんな制度、また診療報酬の上から外来にもかなりの精力を注ぐといった病院にとっては本来の趣旨に合った体制がしけると、このようになるんではなかろうかと思います。
 それからまた、外来患者の数が減って収入減になるということにつきましては、外来だけにつきますとそういう数の出入りというのは起こり得るかと思いますが、先生御承知のように、現在の診療報酬点数におきましても、紹介制というものは紹介の事実に対してそれなりの報酬がなされているということから、そういう面ではまたプラスというものも検討していただけるんではなかろうか、このように思うわけでございます。
#44
○菅野壽君 非常に詳しく御説明いただきました。
 特定機能病院として申請してくると思われる、また申請を受けて承認されるであろうという病院はどのような病院でございますか。今までのお答えでは、国立がんセンター、循環器病センター、大学病院本院を想定されておるようでございますが、いかがでございましょうか。
#45
○政府委員(古市圭治君) 大学病院がすべてそうなるかどうかというのはちょっと問題でございますが、イメージとしては、全国の大学病院の本院の附属病院というのが数の上から対象になるということで説明をさせていただいておりました。
 そのほかにも、私どもの病院で言いますと、国立がんセンター、それから大阪の循環器病センター、さらには新宿の国立病院医療センター、それから名古屋、大阪、京都、大きな病院というものが対象になろうかと思いますし、また医療法人病院につきましても、そのクラスの病院というのは医師数それから看護婦数、病床数、診療科の数等から対象になるわけでございます。
 ただ、問題はその中で規定されますような高度医療というものが行われているかどうかというところがまた審査の対象になろうかと思うわけでございます。
#46
○菅野壽君 これは文部省になるかと思います。ここにさきの北大の医学部長をされた高桑先生がおいでのことでございますが、これは国立大学でもどこでもよろしゅうございますが、大学附属の教育研究施設ということであります。そしてそこで患者の診療が行われているということでございますが、診療ということでございますれば、当然診療報酬という形で収入があると思います。
 そこで、問題といいますのは、教育研究と診療行為との区分であります。もちろん患者を治療することでありますから、どこまでが診療でどこからが教育研究という毅然とした区別ができないことは十分に承知しているつもりでございますが、どうも教育研究ということでいろいろな検査が行われ、また、研究ということで先進的な技術を開発されるについて、その費用が診療報酬から支払われているように見受けられます。
 診療をしているのですから、当然その対価として診療報酬を受けるのであるという説明でありますが、私は、研究、教育につきまして、当然国の予算で行うべきものであると考えます。
 実は、私も日本医師会の常任理事をしておりまして、厚生省にお供して、ある地方のある県の公立大学でしょうか、国立大学に保険診療の監査にお立ち会いしたことがございますが、大学病院による費用の使い方は単なる診療とは認めがたいものがかなりございまして、高額になっております。
 文部省の方は、収入の四割はきちんと予算で補てんしていると説明されているわけですが、どうも私は逆ではないかというふうにすら思うのであります。文部省では正当な対価を受けているだけであるという認識のようですが、それでよろしいのか。教育研究についてはきちんと国費を出すのが基本ではないかと思いますが、お答え願いたいと思います。
#47
○説明員(喜多祥旁君) お答えいたします。
 大学設置基準におきまして、医学または歯学に関する学部には、教育研究に必要な施設として附属病院を設置するというふうに定めておるところでございまして、大学附属病院は教育研究施設でございます。
 一方、大学病院も病院でございまして、ほかの病院と同じように患者の診療を行っておるところでございます。大学病院におきましては、診療の過程でございますとか、あるいは患者診療の結果というものを教育研究に役立てているところでございまして、大学病院の教育研究機能と診療機能を区分することは、先生御指摘のとおり、極めて困難なことでございます。
 大学病院が保険診療を行いました場合には、他の病院と同じように医療保険制度に基づきまして適正に診療報酬を請求させていただいております。そして、所定の審査機関の審査を受けまして、適正な報酬をいただいておるというところでございます。教育のために保険で請求すべきでないもの、あるいは技術の研究開発のため保険で請求できないもの、これらは含まれておらないところでございます。
 国立大学病院を例にとって説明させていただきますと、国立大学の附属病院、現在六十六病院ございますが、今年度予算におきましては、附属病院収入は四千百二十四億円でございます。これが診療報酬としていただく分でございます。
 一方、病院関係歳出予算でございますが、六千五百八十八億円を見込んでおりまして、この歳出に占めます診療報酬の割合は六割でございます。残り四割につきましては、一般会計からの繰り入れ、学生の授業料あるいは借入金等で補てんをいたしておるところでございまして、大学病院におきます教育研究に要する経費は、この残りの四割、これでもって賄っているというふうに私ども理解をいたしておるところでございます。
#48
○菅野壽君 この大学病院におきます診療と研究、教育の費用負担のあり方の議論につきましては、保険局長さんもよく事情を御承知のようです。また、この点につきまして検討するという御答弁もなすっておられるようです。
 私は、本会議で臓器移植、延命医療等について質問をいたしました。高度な医療の研究、技術開発につきましては、その必要性は十分に認めるものでありますが、その費用を保険診療で負担するということは疑問を持っております。特定機能病院という新しい制度を創設なさるのならば、特定機能病院に医療体系の中でいかなる責務を受け持ってもらうか、その費用負担をどうするかということについて議論を深める必要があるんではないかと思います。
 これは医学の進歩にかかわる問題であると同時に、医療費問題の重要なポイントにもつながりますから、早急に結論を出すべきではないかというふうに思いますが、局長さん、結論を出すとなさるならばいつごろでございましょうか、お聞きしたいと思います。
#49
○政府委員(黒木武弘君) これまでも医学教育あるいは研究にかかわる経費そのものについて、診療報酬で見ているんではないかというような議論を再三いただいておったわけでございます。その中で、私どももこれが問題については再三これまでも検討もし、あるいは医学関係者とも議論を重ねてきたところでございます。
 しかしながら、先生からも御指摘ありましたように、大学病院等で行われる医療につきまして、これが直接治療部分だ、これが医学教育あるいは医学研究のための部分だというのがなかなか明確に区別できない実態でございます。したがいまして、私どもとしては、診療と研究、教育の費用負担のあり方、これをどうするのかというのは診療の実際の中で検討を加えなきゃいかぬテーマではございますが、非常に難しい議論になるということでございまして、引き続き私どもは、医学教育研究と公的医療保険制度の関係をどう考えるかという観点、それからさらには、御指摘ありましたように、医学医術の進歩が大学病院等を中心にどんどん急激に進んでおりますので、さらに幅広い観点から十分私どもの医療保険とそれから研究、教育の費用負担、これをどうするかということにつきましては、さらに関係者も含めまして議論を深めていきたいというふうに思っております。
#50
○菅野壽君 医療施設の体系化といたしまして療養型病床群が設けられることになると思いますが、この施設の性格について若干質問したいと思うのでございますが、類似の施設に老人病院、老人保健施設がございますので、それとの対比をわかりやすいように御説明をいただきたいと思います。
 まず、療養型病床群の機能でございますが、老人病院では治療機能、そして老人保健施設では家庭復帰、療養機能ということになっておりますが、療養型病床群ではどのような機能が求められるのでございましょうか、御説明いただきたいと思います。
#51
○政府委員(古市圭治君) 三つについてそれぞれ御説明させていただきます。
 老人特例許可病院は、主として六十五歳以上の老人慢性疾患の患者を対象とする施設でありまして、特例的に人員配置基準の適用を医療法から除外されている、これは入院治療を行う施設でございます。
 老人保健施設は、入院治療を行う場ということではなくて、家庭復帰を目指して医療サービスと日常生活上の世話をあわせて提供する、いわば医療機関から家庭への途中の通過型施設、このように言えるかと思います。
 今回の療養型病床群は、入院医療の提供を主といたしまして、疾病の入院治療を目的とする病院という治療機能、それと長期療養患者の医療にふさわしい人員配置、構造設備の基準を定め、これは年齢にかかわらず長期にわたり療養を要する患者をすべて対象とするという療養機能をあわせ持つ医療施設、このように言えるかと思います。
#52
○菅野壽君 次に、療養型病床群の対象者でございますが、療養型病床群では老人のみを対象としないという御説明を受けておりますが、年齢については要件ではないということでありますが、そのほかの点ではどうでございましょうか。老人病院では、ただいま御説明がございましたが、病状の急性期または慢性期の治療を要する人、老人保健施設では病状安定期にありまして、入院治療をする必要はないが、リハビリ、看護・介護を必要とする寝たきり老人が対象とされております。年齢以外の対象者の姿はどのようなものでございますか。そしてまた、もちろん療養型病床群にもお年寄りの方が入院されることがあるわけですから、お年寄りと考えた場合、その対象者の姿がどのようになるのでございましょうか。お年寄りの場合は老人病院の患者とどう違うのでございましょうか。御説明願いたいと思います。
#53
○政府委員(古市圭治君) 一言で申しますと、療養型病床群の方で入院治療をされるという患者さんは、結果的には入院期間が長くなるということがありましょうが、それによって一律に入院期間で決めるということでございませんで、主治医の先生が、病状が安定していて、入院医療と同時に療養という環境を整えて、そういう施設でやった方がふさわしいという患者さんが年齢を問わずにここに収容されるということになろうかと思います。
 と申しましても、具体的イメージが浮かばないということでございましょうから、一つ例を挙げますと、例えば脳血管疾患、心疾患等循環器系疾患の中でも症状が安定して急変が余りないという方がもうしばらく入院加療をするという場合がございます。それから、年齢を問わない例といたしましては、例えば下腿骨、大腿骨の骨折をした若い人たち、これは手術が終わりまして固定が終わったら特段感染にさえ注意すればあと日に日によくなるわけでございますが、かなり期間がかかる。こういう方はいわゆる急性治療用の病棟よりもずっと今度できます療養型病床群の方がふさわしいということが考えられます。それからまた、慢性関節リューマチとか変形性関節症という筋骨格系の患者さん等も、場合によってはこちらの方がふさわしいという状況があろうかと思います。
 そういうことで、いわゆる病気の種類、それから年齢ということじゃなくて、病状から見てこういう施設で療養するのが望ましい、症状が安定しているということが主治医の判断によって患者さんの了解のもとにこちらで治療を受ける、こういうことになろうかと思います。
#54
○菅野壽君 次は、費用の支払いのことでございますが、老人病院は医療費ということで老人診療報酬による出来高払いと特定許可病院の入院医療管理料の二本立てとなっております。老人保健施設は、入所者基本施設療養費が老人保健から支払われております。療養型病床群では医療保険から支払われることになりますが、その支払い方法は出来高払いか定額方式いわゆるマルメか、あるいは併用方式か、お聞きしたいと思います。
#55
○政府委員(黒木武弘君) 療養型病床群の診療報酬上の取り扱いと申しますか、支払い方式にはいろいろの考え方があり得ると思っております。したがって、今後定めます人員配置基準等の具体的内容、その機能を十分見きわめながら、中医協で慎重に御審議をいただきながら結論を見出したいと思っているわけでございます。
 現時点における基本的な考え方は、衆議院でも申し上げたわけでございますけれども、対象者が主として病状安定期にあって長期の療養を必要とするということから見ますれば、基本的には定額払い方式がなじみやすいんではないかと考えております。しかし、個々の対象者につきまして、健政局長から答弁ありますように、年齢がさまざまな人が来られる、あるいは病状についてもいろいろ変動があり得る対象者が入所されるというようなこと等を考えますと、出来高払い一本の方式というのは少し無理があるかなというふうに考えておりまして、現時点では定額払い方式に出来高的な要素を組み合わせると申しますか、加味したような形というのがふさわしいんではなかろうかと思っております。
 しかし、再三申し上げておりますように、この問題いろいろの意見があり得るということを承知しておるわけでございまして、まずは中医協で十分な御議論をいただきながら、その御議論を踏まえながら適切に対処したいと思っておるわけでございます。
#56
○菅野壽君 次に、財源についてでございますが、老人保健施設は御承知のとおり公費負担が前回の改正によりまして五割となっております。老人病院につきましては、介護力強化老人病院でもやはり五割公費負担となっております。
 そこで、ただいま御説明がございましたが、療養型病床群では老人保健法の適用というのはどのようになるのでございましょうか。療養型病床群に入院の患者は老人ばかりではないことから、公費負担について、療養型病床群に入院しているお年寄りについては三割負担ということなのでありますか。この療養型病床群における公費負担についてはどのようにされようとお考えでございましょうか。
#57
○政府委員(岡光序治君) 療養型病床群は、先ほどからの御説明のように、年齢にかかわらず長期にわたり療養を要する患者を対象とするということでございますので、老人保健法による公費負担につきましては原則に基づきまして三割ということで整理をされるべきものと考えております。
#58
○菅野壽君 利用者負担についてであります。
 それは一般の入院と同様に考えてよろしいのでしょうか。すなわち、それぞれの患者の加入医療保険制度における自己負担ということでよろしいのでしょうか。利用者の負担はこれだけと考えてよろしいんでしょうか。
#59
○政府委員(黒木武弘君) 御指摘のように、この療養型病床群を利用される患者さんは、それぞれ加入されている保険の自己負担割合といいますか、自己負担の制度に沿って自己負担をしていただくことに相なると思っております。
 自己負担はこれだけかというさらにお尋ねでございます。恐らくは保険外負担のことが念頭にあられるんではないかと思うわけでございますが、差額ベッド等保険外負担につきましては、これまでも私どもはその適正化に努力をしてきているところでございます。この病床群のベッドのみならず、一般ベッドその他のベッドを含めまして、今後とも不適切な保険外負担の是正に努めてまいりたいと思っているわけでございます。
#60
○菅野壽君 次に施設でございますが、医療法改正に関する考え方メモによりますと、療養型病床群の構造設備に関しましては、病室面積及び廊下面積につきまして現行の基準のおおむね一・五倍程度、現行の病室は患者一人当たり四・三平米でございますので、病室はおよそ六・五平米程度でございますが、病室定員は原則として四人、そのほかに食堂、談話室、浴室等ということでございます。
 療養型病床群は、病院ですから当然病院としての施設ではあるわけですが、そうしますと、療養型病床群は病院としての設備と老人保健施設における設備をあわせ持つ必要があるということになりますが、どのように理解したらよろしいのでございましょうか、御説明願いたいと思います。
#61
○政府委員(古市圭治君) 療養型病床群で治療を受ける患者さんのためには、それに向いた施設ということで、病室、廊下等を広くつくるということのほかに、機能訓練室、それから食堂、談話室等を求めることになっておりますが、老人保健施設のようにさらに細かい施設までを要求するということにはなっておりません。老人保健施設ではそのほかに、レクリエーションルームとかデイルームとか、そういう老人保健施設に特有な必要な施設がございますが、そこまでは要求していないということでございます。
#62
○菅野壽君 スタッフにつきましては、老人病院、老人保健施設と異なるのが看護補助者というものでございます。老人病院、老人保健施設におきましては、看護婦のほかには介護職員という人員か配置されております。この介護職員と看護補助者とは異なるものでございましょうか。業務が異なるということでしたら御説明を願いたいじ、同様の業務を行うということでしたら名称を変えた理由を御説明願いたいと思います。
#63
○政府委員(古市圭治君) それぞれの業務についてはもうほとんど似ていると、このように思います。
 ただ、私どもが医療法の中で、医師が診断、治療を行い、また看護婦さんが看護をし、それだけで足りないので、法律の中では「看護の補助その他の業務の従業者」ということで、これを略称看護補助者と、こう言っているわけでございますが、医療機関の中にあってそういう人たちは看護補助ということになるんではなかろうかということから、仕事は同じでございますが、福祉的な色彩の強いところでは介護という言葉でございますが、医療施設の中で働くという立場から看護補助者と命名しているわけでございます。仕事につきましては、実態上同じことかと思います。
#64
○菅野壽君 さらにスタッフにつきまして御質問を申し上げたいと思いますが、療養型病床群につきましては、医療法改正案におきまして機能訓練室を置くこととされております。機能訓練室を設置するということでございますれば、当然機能訓練のための専門家、すなわちOT、PTがスタッフとして置かれるものと理解するのですが、厚生省の御答弁では現在のところそう考えていないということでございます。
 また一万の御答弁では、療養型病床群導入の趣旨につきまして、入院の場が療養だけではなく同時に生活の場にもなっているという観点から、入院中の生活に配慮した医療が提供できるように、病室を広くして居住性を増し、またリハビリテーション機能を重視して機能訓練室を設置する、そういう配慮をして病棟を一般病院の中に導入しよう、これが趣旨でございますと答弁されておられます。リハビリテーション機能を重視して機能訓練室を設けるのに、そこに機能訓練の専門家であるOT、PTを配置することを考えていないということはどうもよくわからないのでございますが、その点を御説明をお願いいたします。
#65
○政府委員(古市圭治君) 療養型病床群に医療法が改正された後移行するという例はいろんな場合が想定されます。かなり大きな、例えば百床、二百床という病院がその一部を療養型病床群という制度に利用されるという場合には、そういう病院には既に機能訓練室があったり、またPT、OTの人がおられたりということがありましょう。しかし、小さな規模の病院でそういうOT、PTという職種がいないというところでもこの療養型病床群というのは設置した方がいいという場合がございます。
 そこにまだ一律に、それは望ましいことでありますが、現在め段階でOT、PTというものの必置義務というところまではちょっとまだ行けないんじゃなかろうかということで、先生の御指摘は、先ほどの特定機能病院の中の病理診断科というのと同じように、それは望ましいことでございますが、必置にはしていない、今後の検討課題とさせていただきたいと思うわけでございます。
#66
○菅野壽君 わかりました。
 療養型病床群についていろいろ細かく伺ってまいりましたが、まだまだ老人病院、老人保健施設と今回導入される療養型病床群等の差異がはっきりしないところがございます。先ほど来御説明いただいたので大体わかったつもりではおりますが、平成二年の入院患者の実態は、六カ月以上の長期入院者の中で六十五歳以上の人が四九。三%、七十歳以上の人でも四二・二%を占めておる。このようにお年寄りの長期入院者の割合が多いことを考えますれば、療養型病床群といっても老人病院、老人保健施設と比較して考えてもおかしくはないのではないでしょうか、お伺いしたいと思います。
#67
○政府委員(古市圭治君) 先生御承知のように、老人保健法ができましていろんな制度ができたわけでございますが、それに伴いまして老人保健施設なり老人病院というものが我が国に一つ規定をされてきたわけでございます。
 そういう背景のもとに、現在医療法の改正ということで考えてみますと、本来病人の収容施設というものは、端的に申しますと急性疾患用の病棟あるいは慢性疾患用の病棟という考えがあっていいんじゃないか。我が国では現在、一般病床、精神病床、結核病床、伝染病病床と、こういう区分けしかございませんが、そういう観点から今回療養型病床群というものを規定させていただいたわけでございます。
 したがいまして、既に先発しております老人病院等につきましてもこの中に将来は包含されていくということが当然考えられるわけでございまして、そういう意味からも、年齢というものはもう枠を取っ払って、症状に注目したこういう枠を一つつくったということでございます。
#68
○菅野壽君 そこで、患者の一部負担について伺いたいのでございますが、老人病院では一カ月一万八千円くらい、それから老人保健施設ではおよそ五万円と言われておりますし、また特別養護老人ホームでは平均二万七千円程度となっておるわけでございます。ここに、一部負担は老人病院と同じようなところに療養型病床群が入っていくのでしょうか、お伺いしたいと思います。
#69
○政府委員(古市圭治君) 今回の医療法の改正によりまして療養型病床群というものが規定されるということは、先生がおっしゃるように、どのような支払い方式になるのかということがもう一つ決まっておりませんが、今のところ三つに分解しておっしゃったならばそれに一番近い分野になろうかと思います。
#70
○菅野壽君 療養型病床群へ移行する基準というものはどのようなものでございましょうか。衆議院における御説明ですと、特に入院期間ということではなくて、安定期に入った場合に移るという説明がなされ、骨折の場合を例に出されたわけでございますが、骨折のような外傷性のものは比較的よくわかるのですが、脳血管疾患の場合など、安定期に入ったという診断が簡単につけにくい病気の場合は患者はやはり不安ではないかと思います。この不安をどのように解消するか。また、一たん療養型病床群に入った後、病気が急変した場合の適切な対応等についてはどういうふうなお考えを持っておられるのでしょうか。個々の病院、療養型病床群で考えなさいということでございますか。新たに療養型病床群制度を導入するについて厚生省はどのようなことを考えていらっしゃるのか。
 療養型病床群に移行しても入院期間は判断の基準ではないということですが、入院における診療報酬点数が三カ月以後極端に低くなるということから、やはり三カ月ということが何か節目になるような不安がありますが、この点について不安を解消する御答弁をいただければありがたいと思いますが。
#71
○政府委員(古市圭治君) 先生の後段の御質問の三カ月なりどこか月日でもって節目になるというようなことは私どもは全く想定しておりませんで、あくまでもその患者さんの病状が安定しておって、そこの療養型病床群の方が医療それからまた療養上都合がいいと主治医が判断し、患者さんが納得した方が入られるということを想定しているわけでございます。
 それから、入院いたしますと、また入院しなくても病気になると患者というものは絶えず不安なものでございまして、この医療法の改正にかかわらず、現在入院している人が、もう家に帰ってもいいですよとお医者さんから言われても、不安でもう少し置いてくださいと言う場合もありましょう。それはある程度ついて回ることでございますが、患者さんとそれから主治医の間の話し合いによってそれは適切に判断し、これを利用していただけるものだと、このように思っているわけでございます。
#72
○菅野壽君 再度のお尋ねになると思いますが、療養型病床群という名称でございますが、病院全体が療養型病床群ということもあり得るわけでございますか。今までの御説明で確認をしておきたいと思いますが、一般病床と療養型病床群が同じ病院に併存するということもあり得るというふうに解釈してよろしいんでしょうか、教えてください。
#73
○政府委員(古市圭治君) あくまでも医療機関からの申請に基づきまして、それが妥当かどうかということを都道府県知事が判断してやることになるわけでございますが、私といたしましては、全体の病院病床の中の一部が療養型病床群という制度を利用していただく、こうなることが大半ではなかろうか、このように考えております。
#74
○菅野壽君 次に、広告のことについてお伺いしたいのでございますが、今回の改正におきまして医業等に関する広告規制の見直しか一つの柱となっておるようでございますが、院外広告ができる事項、方法につきまして規制が緩和されているように思いますが、この規制緩和の趣旨につきまして御説明いただきたいと思います。「医療を受ける国民に対して必要な情報が提供されるようことありますが、規制緩和はその趣旨にのっとって行われるものと解釈してよろしいのでございましょうか、教えてください。
#75
○政府委員(古市圭治君) 広告という言葉がちょっとまずいのかなという気もいたしますが、適当な言葉がございませんので、広報というところがいいんじゃないかという御意見もございますが、もう現在の国民の医療に対する知識、関心の高まりというものに対しては現在の法律での広告規制というものはきつ過ぎるということから、この情報をもっと提供しようという趣旨で、先生のおっしゃるとおりの趣旨で今回の改正をさせていただきたいと思うわけでございます。
#76
○菅野壽君 こちらがお聞きする前に御説明いただきましたが、一般には広告と申しますと商業宣伝、新聞広告、テレビのコマーシャルというふうに思われますので、この医療法で言う広告というものは、医療が非営利的であることから、商業宣伝ではなく、情報を提供するという意味と理解してよいか、お答えいただきたいと思います。
 この広告ですが、院内表示義務づけ事項と院外広告可能事項とは事項の範囲が異なっておりますが、それぞれの考えられる事項を教えていただきたいと思います。
#77
○政府委員(古市圭治君) 最終的には関係者の御意見を伺って決まることになりますが、現在考えておりますのは、病院の院内に表示をしていただくということには、現在の項目のほかに、例えばそれぞれの部屋の利用料金というものも明らかになった方がいいんではなかろうか、それから、休日・夜間の体制がどのようになっているのか、こういうことも必要ではなかろうかと思っております。
 それからまた、外に向かって広告できるということでは、例えば、現在許されておりませんが、予約制の有無、またその病院においては、診療所においては往診をやっていただけるのかどうか、また今回老人保健法でできまして訪問看護というものが実際できるのかどうか、さらには処方せん発行の有無、それから特定機能病院で問題になりました紹介制をとっているかどうかというようなこと、さらに病室の規模、人工透析をやっているかどうか。それから保険診療で言いますと、基準寝具、基準看護、基準給食、こういうもの、さらには支払い方法。こういうもので大方の関係者、専門家の御意見が一致すれば、その範囲内で適正な広告をしていただきたい、このように思っているわけでございます。
#78
○菅野壽君 ただいまの御説明によりますと、院内表示事項でございますが、私はこの事項は、病院や診療所においでになる患者さんにとっては院外広告可能事項も表示義務事項に含めるべきではないかというふうに思うわけでございます。患者さんにとっては予約制の有無等々ただいま局長さんが述べられたことがおわかりにくい。この広告、院内表示義務の規定に関しては患者の立場を忘れている。これは院内だけの広告じゃなく、患者の立場を考えていただいて、院外広告もそういうふうなことお表示していただきたいと思うわけでございます。
 インフォームド・コンセントも患者の権利から見て非常に大切なことでございますが、患者の知る権利というふうなことも考えあわせますと、この広告ということも大事な一つの要件ではないかと思います。改正案第十四条の二第四号の規定では、「前三号に掲げるもののほか、厚生省令で定める事項」とありますが、少なくとも今述べました事項を厚生省令で規定していただきたいと思いますが、大臣はどういうお考えでございましょうか、お聞かせ願いたいと思います。
#79
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど政府委員からもお答えいたしましたように、従来から広告という観念がややもすれば誤って伝えられておりますが、私は、患者に対する親切と申しますか、知らしめる意味においては広告は非常に必要なことであると思っております。したがいまして、院内の掲示につきましても義務づけまして、今、政府委員が申し上げましたように、例えば差額ベッドがどうであるかとか基準看護がどうであるとか、これは当然私はやるべきであると思います。
 院外におきましても私はこれは広告のできる範囲というものをあらかじめ明示しておくべきかと思います。
 ただ、余り細かな点まで規制するのはどうかと思うのでありまして、今や広告は例えばいろんな新聞やテレビその他ありますし、あるいはネオンサイン等もありますが、別にパチンコ屋みたいにそんなに病院が派手にやるという、知識産業としてそんなことはあり得ないと思いますから、これはある程度そういう知識産業の良識に任せて、細かなことまでは規定しなくても、大切なことだけは私は義務づけるように規定するべきだ、おおよそそういう感覚でやったらいいんじゃないかと思いますが。
#80
○菅野壽君 院外広告の基準設定に関しましてですが、この点に関して、改正案第六十九条第二項ないし第四項によりますと、厚生大臣が学識経験者の団体、医療審議会の意見を聞いて広告の内容、方法等について基準を定めるということでございますが、この学識経験者の団体というのはどのような団体を示しておられるのでしょうか、お聞きしたいと思います。
#81
○政府委員(古市圭治君) 私どもは、関係団体といたしましては一番身近ないわゆる医療団体である医師会、歯科医師会等がございますし、国の制度といたしましては医療審議会ということになろうかと思いますが、この医療審議会の構成メンバーと申しますのは、いわゆる医師、歯科医師、薬剤師等の医療の直接の担当者という方々と、それから医療を受ける立場にある方と、それからその他の学識経験者と、分類いたしますとちょうど大体同数の三者構成になっておりますので、この審議会の中で各種の政省令の基準、ただいまの広告、それから表示の問題も御検討いただければ、国民の意見も反映した一つの基準というものは決めていただけると思っております。
#82
○菅野壽君 ただいまの御説明で、三者構成ということでございますので、わかったわけでございますが、基準設定に、消費者と言うのはちょっとおかしいんでしょうが、何と言いましょうか、患者代表と申しますか、そのような人々の意見も聞くということはしないのでございますか。医療審議会の意見を聞くことが消費者の意見を聞くことになるわけでございますか。利用される側、利用する側、両方の意見を聞いて、どうかひとつこの法律が立派なものにでき上がるように希望するものでございます。大臣の前向きの御答弁をいただければと思っております。
#83
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま政府委員がお答え申し上げましたとおり、医療審議会にはあらゆるメンバーが入っておりまして一これを利用する、病院を利用する、医療機関を利用する人たちの意見もそれぞれ代表して入っておりますから、今、先生の御指摘のとおり三者構成と申しますか、それぞれ代表する分野でもって大体審議を尽くされるという点においては御心配ないかと思っておりますが。
#84
○菅野壽君 次に、医療法人の業務範囲をお伺いしたいと思いますが、第四十二条の改正におきまして、医療法人が行うことができる業務に有酸素運動を行わせる施設及び温泉を利用させる施設の設置が追加されております。この改正の趣旨を御説明いただきたいと思います。
 健康増進の観点からしますと、健康増進施設認定規定により運動型健康増進施設が平成三年三月現在で八十五施設、温泉利用型健康増進施設が十施設認定されておるわけでございますが、これらの健康増進施設と今回の医療法人が行う新たな業務施設との関係はどのようなものでございましょうか。今回の改正では、医療法におきましては基本理念に入れられました疾病の予防及び医療と保健との連係という意味で大変重要であると思われますが、御説明を賜りたいと思います。
#85
○政府委員(古市圭治君) 御指摘のように、今回の医療法の改正案におきましては、第一条の二で「医療」というものは、「医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、」「医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。」と、こう規定したわけでございますが、それを受けることにも当たりますが、従来の医療法人の業務というものは医療法で限られておりましたが、その疾病予防というところを担当するということから考えますと、この疾病予防のための有酸素運動を行う施設というものは当然医療法人が行ってもいいという分野に入るのではなかろうか。従来からもこれは完全に禁止されていたわけでございませんが、これを明文化してそういうものをやっていただこうということにしたわけでございます。
 それから、御指摘の健康増進施設認定規定による施設との関係いかんということでございますが、これは健康増進施設認定規定によって認定されたものの中には医療法人が設置するものというものも含まれるということでございますし、既に、一カ所でございますが、これは含まれてやっているという事例もございます。
#86
○菅野壽君 改正案の第四十二条の第六号の温泉利用施設ですが、この規定では診療所の設置の規定はございません。これは第五号におきまして有酸素運動施設では診療所設置の規定があります。第六号では有酸素運動場を置くことを規定しているので、当然に診療所も設置されていると読むのですか、それとも温泉利用施設においては診療所は必置ではないというお考えでございましょうか、お伺いいたします。
#87
○政府委員(古市圭治君) それぞれの施設の特徴から考えました結果、先生がおっしゃった後段のいわゆる有酸素療法の方には必置ということになっておりますが、温泉利用施設というものの方では必置ではございません。ただ、その場合も近くの医療機関との連係がとれておるようにと、その他のことは注意した規定を設けていこうというぐあいに考えておりますが、法律上の必置ということにはなっていないということでございます。
#88
○菅野壽君 有酸素運動施設、温泉利用施設の利用料金、費用負担についてどのようなお考えを持っておられますか。
 料金は自由設定でしょうか、医療保険から利用についての補助は考えられますでしょうか、それとも全額自己負担になるのでございましょうか。御説明を賜りたいと思います。
#89
○政府委員(古市圭治君) これらの施設の利用料金につきましては、特段の定めをするということは現在考えておりません。ただ、疾病予防を目的とする施設というものを広く国民が利用することができるように社会通念上適切な料金設定がなされることが望ましい、このように考えております。
 また、これらの施設の利用につきましては、疾病や負傷の治療というものではないことから保険給付の対象とはならない、自由料金の分野であると、このように考えております。
#90
○菅野壽君 最後に、時間が参りましたので、二十一世紀を目指して医療の基本法をつくるというのが提案の趣旨説明でございました。ところが、この法律案は患者の権利という視点が入っていないんではないかというふうにも考えられます。衆議院において一部修正されましたが、私はまだ不十分であると言わざるを得ません。
 過去もう四十年も医療法は改正も何もされておりませんが、今度の医療法改正が最善のものとは思われません。今後また四十年も医療法に対して関与せずにほっといて、そして医療の進歩、患者のニーズ、そういうものにどういうふうに処していかれるのか。
 そしてまた、特定機能病院、療養型病床群制度の創設による医療施設の体系化、広告規制の緩和、医療法人の業務範囲の拡大、これらの改正のどれをとっても今後重要な問題でございます。
 さらに、施設をつくっても、体系化いたしましても、どういうふうに運営していくかということが大切な問題であると思います。そこがすべて政令になっているというのでは医療基本法とは言えないのではないでしょうか。
 今回の改正の真のねらいというものは、国民医療費の抑制であってはならないのであります。無制限の医療費増大を認めるものでもありませんが、ただ何でも医療費を抑制すればよいということでは国民は納得してはいかないと思います。大臣は、長い御経験の大臣でございますので、医療法の改正は、今回限りではなくして、一般病院、開業医の位置づけをどうするか等、基本的なところがまだ多く残っている改正ではないかというふうにすら思われます。基本法という名でございますので、そのふさわしい内容を、どうか今後とも年々歳々改正するような度量をお持ちの上で今後この法律を進めていただきたいと思いますが、大臣の御見解を最後に承りたいと思います。
#91
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま御意見でお述べになったとおり、今回の医療法の改正は国民の医療費を抑制するというような気持ちは全くございません。私は、このことによって国民医療費が少なくて済むとは決して思っておりません。
 ただ、良質の医療を合理的に提供するという意味における改正でございまして、従来の改正は期間が長うございましたが、これからは日進月歩の医療でございますから、私は、そういう意味におきましては、関係者の合意が調ったものから適宜改正していくべきであると思っております。
#92
○菅野壽君 ありがとうございました。
 終わります。
#93
○委員長(田渕勲二君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五分開会
#94
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、医療法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#95
○木暮山人君 自由民主党の木暮でございます。
 医療法の一部を改正する法律案についてお伺いさせていただきたいと思います。
 我が国の医療制度は、昭和二十三年に制定された医療法の枠組みのもとで、地域的偏在の問題はあるものの、量的にはほぼ充足されるに至っております。しかしながら、この半世紀近くの間に急性疾患中心から慢性疾患中心時代へと、国民の疾病構造も大きく変化し、医療を取り巻く状況は大変な変貌を遂げております。本法律案は、こうした中で、従来どちらかというと医療施設法であった医療法を医療基本法的なものに一歩近づけるという、患者の病状に応じた良質な医療を適切に提供できるよう、病院の機能分化と体系化を進め、かつ患者に対する医療の情報をオープンなものにしていこうというもので、その趣旨については大いに評価しているところでございます。
 しかしながら、病院の機能分化についても、今回の法案で十分であるとは言えません。また、診療所のあり方や医療関係者と患者との信頼関係の確立等、医療をめぐってはなお多くの問題が残されております。厚生省もこの点については、今回の改正ですべてというわけではない、今後も手をつけられるものから第二、第三の改革を実施すると説明しておられますが、今後改革しなければならない問題はどのようなことなのか、そしてそれをどういうスケジュールで改革していくのかを具体的に明らかにしていただきたいと思います。
 他方、医療保険をめぐっては一元化、一本化の動きが活発化しようとしております。医療供給体制の改革と医療保険制度の一元化とは、これは車の両輪のごとく相携えて行われるべきであると考えますが、今回の改正、さらに将来に向けてこの二つの改革をどのように関連づけてお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
#96
○政府委員(古市圭治君) 今回御提案させていただいております医療法の改正というものは、その趣旨から、既に量的にほぼ完成いたしました日本の医療供給体制というものを、今後さらに患者の病状に応じて良質な医療の提供できる体制を確保しようという観点から提案させていただいているものでございます。この観点からは、さらに病院と診療所のあり方等残された課題がたくさんございますが、これは順次関係者の合意を調えて改革に進みたいと思っているわけでございます。
 一方、医療保険制度、インシュアランスの方におきましては、今後の高齢社会を迎える中で、すべての国民が安心して医療を受けられるようにするために、医療保険制度、これの長期的な安定を図ることが大切であるということから、この保険制度の給付と負担の公平化の具体的なあり方、さらには医療保険制度の将来構想について関係者の間にさまざまな意見があるということから、医療保険審議会を設けまして検討を進めようということでございます。
 そういうことで、この二つの制度、また検討というものは直接には関係はございませんが、我が国の将来の医療供給体制、それの保険での給付ということについては、両方基本的に国の将来の医療制度を支える大きな問題であるということにつきましては先生の御指摘のとおりかと思います。
#97
○木暮山人君 今の問題に関連いたしまして、医療保険の一元化につきましては、先般の健康保険法の改正において、社会保険審議会が医療保険審議会に改組されることになりました。現在この創設に向けていろいろ急ピッチに準備が進められていると考えますが、この審議会への諮問内容はどのようなものをお考えになっているのでしょうか。またこの構成につきましては、衆参両院におきまして、関係者の意見を十分反映されるよう会の構成等について現状を踏まえ慎重な配慮を行うこととの附帯決議がなされたところであります。
 私は、この医療保険審議会の重要性から医療の担い手として一翼を担う歯科医師をぜひ医療保険審議会に参加させるべきであると考えますが、御意見をお伺いしたいと思います。
#98
○政府委員(黒木武弘君) 医療保険審議会につきましては、さきの健康保険法の改正に際しまして本委員会でも御審議を賜ったところでございますが、改めて医療保険審議会について御説明申し上げますと、現在医療保険審議会は、国民健康保険につきましては専門の審議会がないということから、社会保険審議会を発展的に改組しまして、健康保険、船員保険、国民健康保険を通じた医療保険制度全般について審議する場として創設することとしたものでございます。審議会の施行期日は法律の公布の後三カ月を超えない範囲内とされておりまして、審議会の委員の具体的な構成等につきまして現在鋭意検討しているところでございます。
 なお、医療の関係者も含めまして医療保険についての関係者の御意見が十分反映されるよう、現状を踏まえて慎重な配慮をしてまいりたいと考えております。
#99
○木暮山人君 ひとつその件につきましてはよろしくお願いしたいと思います。
 次に、改正案の内容についてお伺いいたします。
 まず、今回の改正案では医療提供の理念というものが初めて規定され、医療は医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づいて行われるものとされております。さらに、この医師や歯科医師と患者の信頼関係を支える一つのキーポイントとして、いわゆるインフォームド・コンセントの普及、定着が重要な課題となってまいります。これについて衆議院修正により、「政府は」、「検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」との規定を盛り込まれたところでございますが、厚生省として今後どのようにこの問題に取り組まれるおつもりか、お伺いいたしたいと思います。
 特に、このインフォームド・コンセントを医療の現場に定着させていくためには、医師、歯科医師の国家試験や卒後の臨床研修においての問題に取り組むことが必要であると考えます。ここでの取り組みについての御意見等をお伺いしたいと思います。
#100
○政府委員(古市圭治君) 既に御指摘のように、今回医療法の中では医療提供の理念というものを規定させていただいたわけでございますが、このインフォームド・コンセント、医療担当者から患者への十分な説明と、それに基づく患者さんの納得、理解ということが必要なことは論をまたないわけでございます。そのことにつきましては、衆議院におきましてもさらに検討するようにという決議がなされ、附則についたわけでございます。私どもは必要な検討会というものも設けて、今後の進め方についても意見を伺い、対策を講じてまいりたいと思うわけでございます。
 既に新しく医師となって国民の医療を担うという人たちの学校教育、さらには卒後の臨床研修というもののあり方が重要だということは論をまたないわけでございまして、「医師国家試験出題基準」というのも私どもでつくっておりますが、この中にもこの観点から項目として挙げております。また、卒後の臨床研修の目標につきましても、全人的な医療を担うということを卒後研修の項目として掲げているところでございます。
#101
○木暮山人君 次に、先ほど菅野先生からも質問がありましたことでございますが、今回の改正により制度化される特定機能病院についてお伺いさせていただきます。
 特定機能病院については一定率の紹介を前提とすると説明されておりますが、実はこの紹介率の中身があいまいであるということでさまざまな議論を呼んでおります。これまで紹介率に逆紹介や救急もカウントする等のお考えも示されておりますが、現在、大学病院の平均紹介率が一五%という状況で、特定機能病院の紹介率を当面どのように設定されるおつもりなのか、そして将来的にはどのような展望をお持ちであるか、お伺いいたしたいと思います。
 あわせまして、一口に紹介制と申しましても、どのような形態の紹介方法をするのか、また地域においてさまざまな事情もあると考えますとき、きめ細かい設定が必要となってくると考えます。この点を踏まえまして、紹介率の設定、適切な運用についての御見解等を伺わせていただきます。
#102
○政府委員(古市圭治君) いろいろ御議論がございましたが、私どもは全国一律に厳格な紹介割合を強制するということは考えていないと申し上げているわけでございまして、地域の状況によりまして現在の紹介率というのは区々まちまちでございます。しかし、今回の特定機能病院が期待される役割というものを果たしていくためには、一定の割合の紹介率というものからスタートをいたしまして、だんだんとその割合が高まっていくということが望ましいことだと思っております。それをどの程度の割合からスタートをさせ、どこまで持っていくかということにつきましても、ひとつ御審議を関係審議会でいただきたいと思っているわけでございます。
 また、具体的なイメージとしてどのような形態の紹介かと、こう御指摘でございますが、これは従来紹介と申しました場合には電話一本、また名刺一枚というのもございました。それで紹介の機能を果たす場合もあるでしょう。しかし、今回の紹介制というものにつきましては、いわゆる患者の姓名、性それから病状、過去の既往歴、どのような検査であったか、どういうものを疑っているか、さらにはどのような薬が処方されているか、そういう上で特定機能病院でこの種の検査をしてもらいたい、さらにこの種の治療をしていただきたいと、ここまで一定の書式を示しまして紹介したものを紹介というぐあいにカウントしていくべきだというぐあいに考えております。
 それからまた、数の問題でございますが、初診患者を分母といたしまして、その分子に来るべき項目といたしましては、典型的な地域医療機関からの紹介のほかに、大学病院からの逆紹介、さらには救急で受け付けた患者さん、そういうものが入っていけばいいのではなかろうか。さらに細かいことになりますが、場合によりましたら大学の専門外来というところの数をどのように扱っていくのかということも審議会の中では議論になるんではなかろうか。
 それからその目的とする紹介率を担保していく方式でございますが、一つは、特定機能病院になった場合には、その中に紹介患者を受け入れていく地域医療連係推進室、名前は別といたしまして、そのような機能を持っていただいて、その中には特定機能病院だけでなくて、地域医療機関、地域医師会の中からもその組織に参画していただいて地域医療の推進を図っていくということがあろうかと思います。そういうことにつきましても御議論をいただきまして、当初の目的にふさわしい特定機能病院というものがスタートをしていただきたいと思っているわけでございます。
#103
○木暮山人君 引き続きまして、特定機能病院、療養型病床群における歯科科目、歯科医師の配置についてお伺いいたしたいと思います。
 厚生省がこの四月二十二日、衆議院の厚生委員会に提出された。「医療法改正に関する考え方メモ」によりますと、特定機能病院に歯科を置くことは必須の条件とはなっておりません。しかし、既にインプラント義歯や顎関節症の外科的治療、顎顔面補綴等が高度先進医療の承認を受けている状況を考えますれば、高度先進医療における歯科の役割は明らかであり、さらに特定機能病院の総合性あるいは研修機能等を考え合わせると、歯科関係の診療科目がある方が望ましいと考えますが、どうでしょうか。
 また、長期療養患者を対象とする療養型病床群に関して申し上げれば、かなりの数の高齢者の入院が考えられますし、生活の場としての側面も勘案すれば歯科医師の配置されることが望ましいと考えます。これにつきましての御意見をひとつお伺いさせていただきます。
#104
○国務大臣(山下徳夫君) 特定機能病院は高度の診療を目的といたしておりますので、したがって先進性とか総合性というものは当然要求されるわけでございます。そういう観点から、十以上の診療科ということを一応規定づけておりますが、今おっしゃいましたように、歯科につきましては、その独立性が高いということから承認要件には入れていないわけでございますけれども、これはひとつ考えるべき問題だと思います。
 また、療養型病床群につきましても、今後ますます高齢者の方が多くなるということでございますから、この二つの問題につきましては、いずれその診療科名とか人員配置につきましては、これは医療審議会に諮ることになっておりますので、そういう機会に御意見等も承りながら、将来に向かっていろいろとまた考えてまいりたいと思います。
#105
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
 次に、私個人といたしましては、療養型病床群に歯科医はむしろ必須の条件であると考えております。というのも、長期の療養を前提とした病院、病床において歯科が設置されないということは、患者さんから歯科の治療を受ける機会をほとんど奪うことになりかねません。そして、その対象が歯周疾患等の多いお年寄りであればなおさらのことであります。
 しかしながら、現在、病院、なかんずく老人病院において歯科施設を持ち合わせているところは少ない状況であります。これは、歯科の採算性が悪いことに起因していると思いますが、この問題について厚生省として今後どのように対応していくおつもりか、お伺いさせていただきたいと思います。
#106
○政府委員(岡光序治君) 今回の診療報酬改定に当たりまして、老人の特性を踏まえた歯科医療の充実を図るという観点から、老人の診療報酬におきまして有床義歯指導料とか総義歯装着料あるいは総義歯の場合の有床義歯咬合採得料など、老人に特有な歯科医療の面につきまして一般の診療報酬よりも高い評価を行ったところでございまして、できるだけ老人歯科医療の面での採算面について配慮をしたつもりでございます。
 今後とも、中医協の審議を踏まえまして、老人の特性を踏まえた適切な老人歯科診療報酬ができ上がりますように引き続き努めてまいりたいと思っております。
#107
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
 高齢化社会になってきますと歯科がますます必要欠くべからざるものになっていくと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次に、僻地医療の問題であります。
 私は、冒頭、我が国の医療制度は全国ベースでは量的にはほぼ充足されるに至ったと申し上げましたが、地域的に見れば依然として千カ所を超える無医地区が存在し、医療機関の地域的偏在の問題も残されております。僻地医療の確保について国としてどのように取り組んでいくのか、現在の第七次僻地保健医療計画の進捗状況をも含めましてお伺いいたしたいと思っております。
 また、今後の医療の課題が質的な充足に移っていくとすれば、僻地医療対策も、単に医師のみではなく、歯科医師や他のコメディカルスタッフの充実についても目配りをしていく必要があると考えますが、これらについての御意見等をお伺いしたいと思います。
#108
○政府委員(古市圭治君) 僻地医療対策につきましては、現在まで六次にわたる僻地保健医療計画を作成して、その充実を図ってきたわけでございます。
 ちなみに、昭和四十一年に無医地区が全国で約三千ございましたが、平成元年では三分の一の千カ所に一応減ってきたという状況でございます。この平成三年度から平成七年度にかけましての第七次計画におきましては、無医地区のほかに無医地区に準ずる地域につきましても医療の確保と充実を図るということにしておる次第でございます。
 また、僻地医療対策を進める上で医療従事者の安定的な確保を図ることは重要なことでございます。そいう観点から、僻地診療所の整備に当たりましては、医師のほかに歯科医師の住宅の整備を補助対象としてまいりましたが、平成三年度からは、この補助制度の充実を図るとともに、看護婦の住宅の整備についても補助対象に加えているわけでございます。今後とも僻地における医療の確保に努力してまいる所存でございます。
#109
○木暮山人君 どうもありがどうございます。
 次に、今日の医療は医師、歯科医師そして看護婦や薬剤師、そしてまた歯科衛生士、歯科技工士、OT、PT等を初めとする医療に携わる人々の間でのチーム医療という性格を強めております。衆議院において医療の担い手として看護婦、薬剤師が明記されたのもその一つのあらわれであり、コメディカルスタッフの役割は今後ますます大きくなると期待されております。
 さて、医療関係職種の資格制度としては、昭和六十二年に義肢装具士、臨床工学技士が法制化されたところでありますが、当時からその制度化が渇望されていながらいまだ実現されない職種に言語聴覚療法士の問題があります。言語聴覚療法士の法制化については今日まで厚生省の方でも相当の御努力をいただいているところでありますが、この法制化の状況についてまずお伺いさせていただきたいと思います。
#110
○政府委員(古市圭治君) お話の言語聴覚療法士につきましては、その経緯というものを先生篤と御承知のとおりでございます。これは、昭和六十二年の三月に新たな医療関係職種の資格制度の在り方に関する検討会というものをしていただきまして、そこから中間報告もいただいたわけでございます。しかし、この中におきましては、この資格の速やかな法制化というものにつきましては、「法制化すべきである。」という報告でございますが、その職務の領域をめぐりまして、一部ではあるが、これが教育か医療か等の議論が残り、いま少し検討調整が必要であるというようなことになったわけでございます。
 厚生省としましては、このような点を踏まえまして、関係者の合意を得ながら言語聴覚療法士資格の法制化について今後とも取り組んでまいりたいと思っております。
#111
○木暮山人君 その言語聴覚療法士の法律を作成するに当たりまして一つお願いがあります。言語聴覚療法士の法制化については今後とも御努力をお願いしたいと思いますが、そこで法制化を前提に一つ質問させていただきたいと思います。
 従来、コメディカルスタッフの業務は医師の指示のもとに行うものと規定されておりますが、言語聴覚療法士の場合は、口唇口蓋裂患者や顎補綴患者の治療等、歯科医師の指示のもとで行われるのがふさわしい業務が相当あります。現実問題として、歯科医師の指示がなければ不都合が生ずることは避けられないと思います。法制化に当たっては、歯科医師の指示についても明記される必要があると考えますが、それにつきまして御意見をお伺いしたいと思います。
#112
○政府委員(古市圭治君) 先ほど申し上げましたように、資格の制度化につきましては、現時点におきましては詳しく論ずる段階ではございませんが、この法制化に際しましては、先生御指摘のように、口唇口蓋裂患者等、歯科疾患、歯科医療に関するところが非常に大きいということは私ども承知をいたしておりますので、歯科医師等関係者の意見も踏まえて検討することは当然めことだと考えております。
#113
○木暮山人君 ひとつそのように取り計らっていただきたいと要望する次第でございます。
 最後でございますけれども、冒頭に申し上げましたが、今回の医療法改正は、患者の病状に応じた良質な医療を適切に提供するための改革が第一歩であり、引き続き患者の側に立って医療供給体制の改革を進める必要があると思います。
 最後ではございますが、今後の医療供給体制への取り組みについて大臣の御決意等がお伺いできればと思いますが、よろしくお願いします。
#114
○国務大臣(山下徳夫君) 今回の医療法の改正は、私どもから見ましても正直に申し上げてこれは満点というようなものではないと思っております。したがって、今後残された課題と真剣に取り組んでいかなきゃならぬ。有床診療所の問題であるとかあるいは病院と診療所の区分の問題とかいろいろあるのでございますから、これらの課題については今後とも検討を進めてまいらなきゃならぬと思っております。
 なお、衆議院において修正をちょうだいしたのでございますが、その中で直ちに検討すべき問題もいろいろとございますし、我々も検討会等を設置いたしまして次期改正に向かって早速準備を進めていかなきゃならぬかなと、そのような気持ちでおる次第でございます。
#115
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#116
○高桑栄松君 それでは、質問をさせていただきますが、最初に大臣に承りたいと思っております。
 今回の医療法改正の考え方についてお伺いしたいと思いますけれども、そのとき一緒に老人保健法についてのことを伺いたいんです。実は老人保健施設につきましては、昭和六十一年の第百七国会で私が質問いたしまして、私の質問で修正をしていただいた部分がございます。それが今日まで、医療法改正の機会まで積み残し的に持ち越されてきておったわけですが、今回の改正で新たに医療提供施設として法的に位置づけられることになりました。このことも含めまして、大臣に医療法改正の今回の考え方についてお考えを承りたいと思います。
#117
○国務大臣(山下徳夫君) 今回の改正の基本的な考え方は、老人保健施設等につきましては、例えば医療の面と福祉の面と両方あると思いますが、今回の改正につきましてはまず医療の面で取り上げて、医療施設としてこれを充実していくと、こういうふうな改正であると申し上げていいかと思います。
#118
○高桑栄松君 医療法改正の件の理念というか。
#119
○国務大臣(山下徳夫君) これは私が申し上げるよりも、もう全部がそれに関連してくるわけで、きょう午前中にも申し上げましたように、より高度の医療を、より適切に、より合理的に推進していくということが眼目であろうと思っております。
#120
○高桑栄松君 それでは、また老人保健施設について厚生省に伺いますが、老健施設における法定治療の範囲というのはどの程度のことになっているのか、また患者が急変した場合のいわゆる突発的な医療に対して、これをどのような形で保障することになっているか、伺いたいと思います。
#121
○政府委員(岡光序治君) 先生よく御承知のとおり、老人保健施設の利用対象者は、病状安定期にありまして入院治療をする必要がない寝たきり老人等でございますから、定額的に設定をしております施設療養費で基本的には対応してもらうということになっているわけでございます。
 ただし、御指摘がありましたように、入所者の病状が著しく変化をした、こういう緊急その他やむを得ない事情がある場合には、この施設療養費のほかに緊急時治療管理料というものが算定できるということと、それから特定治療として特別のものの範囲を決めておりますが、そういう特定治療として認められている措置につきましては、老人診療報酬の例によりまして、いわゆる出来高払いの方式で療養費として算定ができるということになっております。
 なお、入院が必要だというふうな状態になりましたら、適切にそこで対応してもらうということで、あらかじめ協力病院も決めていただく。この協力病院というのは、当該の老人保健施設から自動車などで移送する場合の、おおむね時間が二十分以内の範囲でその協力病院を決めておきなさい、それからその病院が標榜している診療科名につきましても、病状急変等の事態に適切に対応できるようなそういう診療科を備えているところを協力病院として指定しておきなさい、それからまた、休日・夜間等においても適切に対応してもらえるような協力が得られるようにあらかじめ取り決めをしておきなさいと、こういうふうな指導をしておきまして、入院が必要になった段階では直ちに協力病院に移送できるような、こういう連係関係をとっておるところでございます。
 なお、特定治療として認められているというのは、相当通常じゃなくて、例えばカウンターショックなどの特定の措置が要るとか、あるいは急性の心筋梗塞に対するリハビリテーションであるとか、あるいは脊椎麻酔であるとか全身麻酔等の特定の麻酔とか、あるいは広範な皮膚切開術等の特定の手術であるとか、こういうふうな相当難しいもの、こういった何というんでしょうか、通常対応できないようなものを特定治療として認めておりまして、この部分は、繰り返しになりますが、出来高払いの方式で請求できる、こういう仕組みになっております。
#122
○高桑栄松君 わかりました。
 ところで、この四月六日の新聞に載っておったんですが、厚生省調査によりますと、老健施設が経営難に陥っている、九〇年度で平均五百万円赤字であるというのが出ておりましたが、せっかく厚生省が育てていきたいと目指された老健施設が軒並み赤字というのは、理由はどうなんだということと、これに対して何か対策、対応を考えておられるかどうか、伺いたい。
#123
○政府委員(岡光序治君) ちょっと調査の内容につきまして御報告をいたしますと、平成三年三月末現在で、開設してから六カ月以上経過をしているような老人保健施設すべてのものを対象にいたしまして、三百七十三カ所ございましたが、その三百七十三カ所の平成二年度における経営状況を調べたわけでございます。
 一施設当たりの平均入所定員数は八十・三人で、平均利用率は九〇・八%でございましたが、収支状況は、一施設当たりの施設療養費及び、これは納入所者から取る利用料でございますが、それを合算した平均施設事業収益は二億一千七百六十四万円でございます。これに対しまして、職員の人件費あるいは給食の原材料とか医薬品等のこういった経費を合算した施設事業費用は、二億二百三十六万円でございまして、差っ引きの収支差額は千五百二十九万円の黒字でございます。これに施設建設費の借入金の支払い利息等、いわゆる施設事業外の費用を合算いたしますと、収支差で四百九十六万円の赤字になっております。つまり、最近とみに建築費が上がるとかあるいは用地取得費がかなりのものを要しておりまして、こういったものがどうもそういう収支差にあらわれておるのではないだろうか。
 それから、新しい施設でありますので、開設後間もない施設につきましては、過渡的な状況でやや経営不安定であるというものがあるのではないだろうか、こう思っております。特に建築費の問題がかなり大きなウエートを占めていると思いますので一この施設整備を行う場合の建築費の助成につきまして配慮をするということのほかに、用地取得費につきましても社会福祉・医療事業団からの融資借り入れについて限度額を上げるとか、こういうふうな対応をしておるわけでございます。
 あわせまして、施設療養費の改定、ことしの四月一日に行ったわけでございますが、これにつきまして基本施設療養費を二十二万六千七百七十円から二十五万二千二百四十円というふうに一一・二%増額をいたしましたし、そのほかの加算額も改善をしました。このようなことを総合的に行うことによりまして、老人保健施設の適正な施設経営が確保できるようにという配慮をしておるつもりでございます。
#124
○高桑栄松君 それでは、話題であります病院の機能分化に関連した質問をいたします。
 機能分化につきましてドクターからいろいろ聞きますと、今回の機能分化というのは、一般病院というのはもなかの中のあんこである。そのあんこのかぶっている皮の上の皮が特定機能病院で、下側の皮が療養型病床群である。だから大部分があんこなんだということで、あんこというのが一体機能としては何を分担することになるのか、それともこれからだんだんさらに機能分化をする部分を取り出していくのかということをひとつ承りたいと思います。
#125
○政府委員(古市圭治君) ただいま先生が分類された方では後段に当たるということで、病院の機能分化を今後進めていきたいということでございます。
 これは私も、先生はもなかと申されましたが、歌舞伎の舞台の書き割りだと、ごうよく言っておりまして、上手それから下手、左近の桜と右近の橘だと私言っているんですが、その間に残された一般病院というものが今後どういうように分類していけば、医療供給として国民にわかりやすい効率的な医療を提供するかということで、第三弾、第四弾の医療法の改正でそこはやっていきたいと考えているわけでございます。
#126
○高桑栄松君 そうすると、その書き割りをかいて、今拍子木が鳴って幕があきかかったというところですね。花道を――いやいや、まあよろしいでしょう。花道をだれが六万を踏んで出ていくかというのが一つあるわけですが、一つ承りたいのは、外国でこのような病院に対して法的に機能分化を規制しているような国があるかどうか、ちょっと承りたい。
#127
○政府委員(古市圭治君) おおむね医療の先進国の例になろうかと思いますが、これは病院だけ取り出しましても、先生御承知のように、定義が国際的にまちまちでございまして、また医療制度の背景というものが異なっております。
 イギリスを例に引きますと、すべてが国営医療ということになっておりまして、おおむね全員が、イギリス国民が近くのかかりつけのお医者さん、GPに登録をする。病院の入院というのは、すべてそこから許可を受けて紹介されて全員が行くということになりますれば、すべてが紹介制度になっているということになろうかと思います。この病院の分類は、私詳しくはわかりませんが、おおむね病院、産院、リハビリ施設、それから特別病院、これは精神のようでございますが、そういうような区分けになっているようでございます。
 一方、これとの対極がアメリカでございまして、ほとんどすべてが民間の自由供給ということになりまして、その中では病院というものはしかしこれまたオープンシステムをとっていて、近くの開業医さんから自分の病室を持っていて、その中で治療をするという制度になっております。そういうことで、これまた一概に比較はしにくいわけでございますが、日本とよく比較されますのは、アメリカの病院は病院の数と同数ぐらいのナーシングホームというものがある。しかし、これはアメリカでは病院外の施設だというような分類になっているようでございまして、病院そのものはいわゆる病院基準で州ごとにいろんな性格に分かれているというように言われております。
 一方、私どもが一時はこれがいいんじゃないかといって一つ研究いたしましたのが北欧のシステムでございまして、スウェーデンにおきましては地域医療計画というものが昔からできておりまして、その地域ごとに病院が位置づけられておりま。して、地域中核病院、その県の中央病院、それから県の地域病院という、リージョナリゼーションですか、これがきちらとできて、その順番に患者さんがかかり、紹介されていくということでございます。
 そういうことで、背景が違いますので、直接我々が見習うということはできませんが、我が国の医療制度、医療慣行から照らして、今回はひとつこの提案した医療法の改正案から病院の機能分化というものを回らせていただきたいと思っているわけでございます。
#128
○高桑栄松君 私も資料を見て初めてわかったんですが、人口十万人対のベッド数というのは、今おっしゃったスウェーデンが一番多くて千四百八十一べッドがある。日本が二番目で千三百五十七。アメリカが驚くなかれ、先進七カ国を挙げてあって七番目で、四百九十四というんだから、アメリカは非常にベッド数が少ないということがわかりました。これはこれでよろしいんですが。
 今度は特定機能病院についてあと質問をさせてもらいますが、これは高度医療ということを標榜しているわけですが、診療報酬にはその体系は特別なことを考えているのかどうか、いかがでしょうか。
#129
○政府委員(黒木武弘君) 特定機能病院の診療報酬のあり方でございますけれども、これは今後特定機能病院の具体的内容に即しまして中医協で御審議をいただいた上で決めることになるわけでございます。現時点では、特定機能病院が一般の医療機関では提供することが困難な高度な医療を提供する施設であり、そのためにそれにふさわしい医師等の人員配置基準等が定められますとともに、高度医療の提供実績等の報告義務が課されることになっておる、こういうことから、私どもの考え方といたしまして、このような特定機能病院の機能、特質にかんがみ、そういう機能が発揮できるような診療報酬ということを考えているわけでございます。
 お尋ねになりました別の診療報酬体系といった大がかりな大組みかえというのはとても考えている頭にはないわけでございまして、今回の改正、その機能、役割が果たせるような診療報酬ということを考えていきたいと思っているわけでございます。
#130
○高桑栄松君 一つ承りたいのは、普通の一般病院で高度医療と言われるカテゴリーにあるものがやれないのか。今のお話だと、大学みたいなところでなければというふうに若干聞こえたんですがね、全部じゃないと思いますけれども。でも、北海道の例を見ますと、大学なんかで人工透析のことをほとんどやれなかった時代に開業医の人がやりまして、もう大変な成績を上げて、今でもそれは続いていますけれどもね。
 こういう高度医療を、大学に先駆けてというわけじゃないけれども、開業医がなさったというような例があるんですよ。ですから、高度医療といえども一般病院でもやれるだろうと思うし、やったときの点数は変わりないかということなんですが、いかがですか。
#131
○政府委員(黒木武弘君) お尋ねの趣旨いろいろあると思いますけれども、例えば心臓手術をやった、その手術の料金はどうなのか、こういうお尋ねですと、その手術の料金自体、同一の診療行為をほかの病院と比べました点数というのは、私どもは別途の体系とか別の点数をつけることにはならないだろうと思っております。
 今回の特定機能病院を総合的に評価いたしまして、個々の診療行為ではない、いわば例えば管理機能みたいなところに人員配置基準等をにらんだような点数設定というものが第一番に検討されるんじゃなかろうかというふうに考えております。
#132
○高桑栄松君 一般のドクターが、今度の法改正というのは余り全体像が見えないものだから、ああでもないこうでもないと憶測が入るんですね。それで、高度医療というのは点数を上げていくんじゃないか。そうすると点数というものが質をあらわすことになるのか。高いものがいいんだ、いいものは高いんだ、これだけのことなんだろうか。だから、質というものは点数ではなくて、質のいい医療とは何かということのまた考え方もしっかり入れておいてもらいたい、こういう希望があるようであります。しかし、答弁していただくと時間がありませんので、私の意見ということで聞いておいてください。
 それで、この続きなわけですが、紹介制のことを二、三承りたいと思うんですが、特定機能病院では紹介率というのは手を挙げてどうとかというお話を私も聞いておりますが、これは例えば承認の条件になるのか。極端に紹介率を低く手を挙げたら、これはもう認めないということかどうか承りたいんですが。
#133
○政府委員(古市圭治君) 端的に申しまして、紹介率は特定機能病院の申請時点で承認の要件にはなりません。しかし、これは特定機能病院が期待されている外来機能というのがあるわけでございますから、当該病院の地域の実情も踏まえまして、紹介割合につきましては審査いたしますときの対象にはなる、このように考えております。
#134
○高桑栄松君 なかなか局長の答弁は一々ごもっともで反論のしようもないくらいですが、一応対象にはなるんですね、それは一%でいいなんというわけにいかぬでしょうから。だからそこは何%なのかなと思ったんですが、医療審議会か何かで語るわけだ。そうですね。
#135
○政府委員(古市圭治君) 私どもも、この法案を御審議いただくためにこういう回りくどい答弁をすることはやめようということで、もっと端的に数値も言えないものかという気持ちが当初ございました。しかし、いろいろ関係者等の話を伺いますと、お話しさせていただきましたように、全国の大学病院の紹介率の平均が一五%にちょっと満たない。そのまた分布が一けた台から五十数%まで散らばっているというようなことがありまして、地域の実情を踏まえてそれぞれ区々に審査、検討するという必要性があるんだなと、こういうところで一律の数値をつくらずにと申したわけでございますが、例えば討議の過程では、少なくとも三人に一人ぐらいは紹介というのが大学病院のあり方じゃないかとか、そんないろんな意見は出たわけでございます。そういう経緯を踏まえて審議会の各界の先生方に適切な御判断をしていただけると思っております。
#136
○高桑栄松君 紹介率の最初のその数字は、手を挙げるわけですね。
#137
○政府委員(古市圭治君) これは紹介率だけじゃございませんで、この法案が通りまして、政省令でその規格が決まりまして、しかも多分そのときには診療報酬点数表の姿も明らかになっているということで、それをごらんになると自分の医療機関がやりたいというのは、これこそ従来から望んでいた姿だと思っているところがここに申請して参画していただける、このようになろうかと思います。
#138
○高桑栄松君 そうしますと、紹介になりますと紹介のときの診療情報というものを提供しなきゃだめだと思うんですが、その診療情報提供のレベルはどの辺までいくのか。例えばカルテを全部コピーをとってやるのか、エックス線写真はどうなるのか、CTを撮ったのはどうなるのかみたいないろんな細かいことがあると思いますが、いかがですか。
#139
○政府委員(古市圭治君) 現在考えて審議会で御審議していただこうと思っておりますのは、紹介しようとする患者の氏名、年齢、性別、傷病名、紹介の目的、既往歴、病状経過、検査結果、治療経過、現在の処方などの情報、これで大体紹介された目的が十分わかって、特定機能病院で治療をやっていただく、こういうことで、従来の電話一本、名刺一枚という姿からはかなり違ってくる、こういうように御理解いただきたいと思います。
#140
○高桑栄松君 ちょっと異議を申し立てるわけじゃありませんが、今おっしゃったのは普通どこへ行っても聞かれて書く項目なんですよね。例えばレントゲン写真は持っていけるのかいけないのか、例えばどうですか。
#141
○政府委員(古市圭治君) 当然その中にレントゲン写真なり検査の写しなり、それは必要な場合は添えて持っていっていただくということになろうかと思います。
#142
○高桑栄松君 この場合、国民健康カードというのがこのところあちらこちらで使われているわけですが、私なんか予防医学の立場では国民健康カードというのは健康診断のワンセットの項目が大体みんながそろっているようなものを毎年やっていくと、それを経年見ていくことに非常に有意義な点があるわけですが、これに診療のデータも入るようであれば、キャパシティーは幾らでもあるわけですからね、カードの容量によりますけれども。幾らでも入るので、そういうものが入って、例えばそれがみんなが読み取れるんですと、そのカードを持っていけば紹介の今の診療情報は特別な手続なしでやれるというふうに思われるんですが、もう既にあちらこちらの自治体等で行っておりますけれども、この国民健康カードの研究開発について厚生省と通産省に現状どういうことになっているか、伺いたいと思います。
 また、自治体で既に幾つかやっておられますので、その自治体のこういう体制について自治省はどのような支援体制を考えておられるか、承りたいと思います。
#143
○政府委員(古市圭治君) 国民健康カードを健康管理システムに利用するという点につきまして、厚生省では昭和六十二年度から平成元年度まで兵庫県津名郡五色町、これは淡路島の中でございますが、におきまして約五百枚のカードを配布して保健医療カードシステムについての実験を開発してきました。平成三年度からはこのようなカードシステムの全国的な普及の可能性を探るために保健医療所カードシステムの研究開発を開始しておりまして、平成四年度におきましては開発したシステムのフィールド実験を兵庫県の姫路市において行うこととしております。
#144
○説明員(石田徹君) ただいま先生御質問の点でございますが、通産省といたしましては従来からニューメディアコミュニティー構想等地域の情報化のための施策を推進してきているわけでございます。その一環といたしまして、例えば神奈川県の伊勢原市でございますとか兵庫県の加古川地域あるいは岩手県の沢内村等におきまして、ICカードあるいは光カードを利用いたしました地域住民の健康管理、緊急時の基礎的健康データ管理あるいは慢性疾患の指導管理等に関します地域医療情報システムのモデルの構築を支援してきておるところでございます。
 あるいは、カードではございませんけれども、情報処理システムの活用によりまして高齢者の積極的な社会参加を支援するメロウ・ソサエティー構想というものを別に推進しております。その中で、平成四年度より三年計画で個人の健康医療情報のファイリングシステムの開発に厚生省と共同で着手をしております。具体的には医療用に規格化されました光磁気ディスクを用いましてエックス線写真でございますとかCT画像等の医療画像を含めた個人の健康に関する諸データを一元的に管理することのできるシステムの開発、構築に取り組みつつあるわけでございます。当面は風立のがんセンターにおいて導入のための実験を行うこととしております。
 引き続き、先生の御指摘も踏まえながらICカード等の電子媒体を活用いたしました医療情報システムの開発に当省としても積極的に取り組んでいきたいと考えております。
#145
○説明員(牧野清文君) 御説明申し上げます。
 自治省におきましては、平成三年度から自治体におきます先導的狂地域情報通信システムの開発の検討に入っておりまして、そのプロジェクトの一つといたしましてICカードを用いた地域カードシステムを取り上げているところでございます。平成三年度は山形県米沢市など五団体をモデルの事業実施団体として指定をいたしまして、各市におけるシステム開発を支援いたしますとともに、学識経験者などにより構成されます検討委員会を設けまして、全国共通といいますか、全国的に共通する部分につきましての標準的なシステムの開発に取り組んでいるところでございます。
 なお、地域カードシステムのモデル事業実施団体におけるシステムの設計費につきましては、特別交付税により措置することといたしておりまして、平成三年度はシステムの概要設計費について一団体当たり一千五百万円を措置しているところでございます。
 以上でございます。
#146
○高桑栄松君 それでは、今度は文部省の出番をお願いしたいと思いますが、大学病院が特定機能病院の一番の目標になっているようでありますが、高度医療の研究開発というのは医学の進歩にとって非常に大切なことでありますし、大学に期待し、また大学もそれを大事な目標の一つにしているわけでありますが、しかし研究開発プラス学生の教育というのがあるわけで、特定機能病院になったおかげで一般患者が余り来ないとなりますと学生の臨床教育に差し支えが出てこないかということで、どのようにお考えになっているか。
 もう一つは、かつて各県一医科大学ができましたときに、大学病院の病床数を普通は八百ぐらいだったのを六百にいたしましたよね。それで、その残り二百足りない分を関連教育病院をもってやるようにという指導が当時あったわけです。それは今も機能しているのかどうか、これをひとつ文部省に伺いたいと思います。
#147
○説明員(喜多祥旁君) お答えいたします。
 教育実習病院でございます大学病院におきましては、学生がさまざまの症例に接することが医学教育上極めて重要でございます。特定機能病院におきます紹介患者の受け入れのあり方につきましては厚生省令で定められるということになっておりまして、大学病院が特定機能病院になりました場合に一般患者が減るかどうかということにつきましては、現時点で予測することは困難でございます。
 ただ、仮に外来患者に占めます紹介患者の割合、これを高くいたしまして、その結果一般患者が減るということになりますと、症例が減る、あるいは疾病の種類が偏るということも予想されるところでございまして、医学教育を行う上で何らかの支障が生ずるおそれがあるということが大学関係者から指摘されておるところでございます。
 それから、いわゆる新設医科大学についてでございますが、現在も六百床でやっておりまして、残りにつきましては関連教育病院にお願いをいたしておるところでございます。
#148
○高桑栄松君 何か影響が出るかもしらぬということのようでありますが、教育はしっかりやっていただかなければいけないと思います。
 次に、大学病院の教育研究機能が診療報酬でカバーされているのではないかと先ほど菅野委員から御質問があって、これに対するお答えを聞いていると、どうも文部省のお話ですとこれは国立病院のことのようでありましたが、六割が診療報酬であって、実際の総経費の四割が要するに予算上出ていると、こういうふうに承ったんですが、国立病院は一番問題になる人件費が国の予算で出ているわけです。私が問題だと思っているのは私立大学の大学病院であります。ここの教育研究機能が診療報酬でカバーされているのではないか、文部省はどれぐらいの助成をしているのかということがあるわけで、教育研究は医療目的ではないわけですから、医療目的に外れるものだろうと思うんです。
 ですから、私は結論的に言えば、私立大学については診療報酬でもうけるようにというよりは、医療の目的にかなった治療をしながら、教育研究は大学がバックアップしていくというのが本当の筋であろうと思いますが、これについて文部省のお考えを承りたいと思います。
#149
○説明員(喜多祥旁君) 医療費についてお答えいたします。
 大学附属病院は教育研究機関でございます。ただ、病院でございますので診療を行っております。大学病院におきましては、診療を行います過程でございますとかあるいは診療の結果というのを教育研究に役立てているところでございます。大学病院が保険診療を行いました場合には、ほかの病院と同じように医療保険制度に基づいて適正に診療報酬を請求させていただいております。これは国公私立すべてを通じて同じことでございます。そして、請求いたしますと所定の審査機関の審査を受けまして適正な報酬をいただいておるというところでございまして、これには教育研究にかかる経費というのは含まれていないというふうに理解をいたしております。
#150
○高桑栄松君 ちょっとわからなかったんですが、研究教育についての助成は、文部省は私立大学の医科大学でやっているんですか、どれぐらいやっていますか。
#151
○説明員(早田憲治君) 私立大学におきましては、学生納付金や手数料収入、それから国庫補助金などを主たる収入源として学校運営を行っているわけでございますが、医学部につきましては、学部の教育研究に必要な施設として附属病院が置かれておりまして、附属病院の診療報酬も収入のかなりな部分を占めているところでございます。
 こういう実情にかんがみまして、文部省といたしましては、私立大学等経常費補助金の配分に当たりまして、補助金の対象とする専任教員等の認定基準を他学部に比べて弾力釣に扱うというようなこと等をいたしまして、医学部に対する補助金が他学部に比較し大きくなるように配慮しているところでございます。専任教員等の認定基準を弾力的に扱うということの結果、病院で実習を担当する教員等につきましても専任教員として補助の対象にできるというようなシステムになっているところでございます。
#152
○高桑栄松君 何となく具体的によくわからなかったんですけれども、私は某私立大学の客員教授も現在しておりまして、陳情も受けたものですから、この件もちょっと伺いたいんですが、今医科大学学生定員を減らしますね。減らす年次計画をやっていますね。百二十名ぐらいのを十名ずつ減らして百名にするとか、国立はもう始めたはずでありますけれども。それで、国立は人件費が国から出ているからまあまあ――まあまあと言ったって文句はないわけですけれども、私立大学は学生の定員をふやしたときに教授をふやしたということは普通ないと思いますが、教育のためにこれだけをそろえてやったということだと私は思っています。
 だからといって、学生を減らしたら減らせるかというとそうはいかないわけですね。今、私立大学の入学料が公定値段というか協定されていて一千万かなんかだったですね。そうしますと、十人らすと最初の入学料金だけで一億違うわけです。そのほか授業料が別にありますので、百人が百十人になっても、講堂に十人多く入っても少なくても余り授業には変わりないわけで、これはちゃんとやっていけるわけです。確かに定員を減らしていくことは医科大学の教育研究に非常に差しさわりが出てきたなというふうに私は感じたわけですよ。事実そうだと思うんです。定員を減らすという方針でいっているときに、私立医科大学の人員をカバーするだけの助成をきっちり考えてやらなければ大学の教育がとてもおろそかになっていくんじゃないかという私は心配をしているんですが、その点についてどうお考えでしょうか。
#153
○説明員(早田憲治君) 私立大学におきまして教育研究をしっかりやっていただく、そういう趣旨で私ども私立大学に対しまして私学助成をしておるわけでございますけれども、ここ数年非常に厳しい国の財政事情を反映いたしまして文部省予算全体につきまして厳しい対応を迫られてきておるわけでございますが、その中で平成四年度予算におきましては対前年度四十八億円増の二千七百九億五千万円を計上いたしまして、前年度の伸びでございます四十三億円を上回る予算額を確保したところでございます。
 今後とも、私立大学の役割の重要性にかんがみまして、私学助成予算全体の拡大、そのために努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#154
○高桑栄松君 文部省さん、私が申し上げているのは、私学全体のことを言っているんじゃないんです。医学教育の中で学生を減らせという命令なわけですから。医学教育というのは金かかりますよね。確かに金かかります。学生の座る場所だけをふやしてやればそれで済むものじゃありませんから、本来マン・ツー・マン教育なんですよね。人の命を」預かるんですから、それだけきっちり教育をさせなければいけない。そういうときに定員を減らせばいいというわけにいかないんで、予算を組むならば、私学全体のことも必要だと思いますけれども、私が質問をしているのは、医科大学の定員削減に対応してそれに見合ったというか、見合ったというのがどれほどの比率かは別としまして、何らかの形でこれをカバーしてやらないと困るのではないかということでございますが、いかがですかね。
#155
○説明員(早田憲治君) 私立大学の経常費の補助金は、学生一人当たり経費あるいは教員一人当たり経費というものに着目をしまして、かなり客観的な指標に基づきまして配分をいたしております。その中で医学部に対する補助金につきましては、先ほども若干申し上げましたけれども、他の学部と比較いたしまして、専任教員の数をカウントする場合にかなり弾力的に見ておるというようなこと、あるいは選任教員の研究経費を他の学部よりも多目に積算をしておるというような点で配慮しているところでございます。
 そういうようなことの結果、ちなみに学生一人当たりの国庫補助金額で申し上げますと、平成二年度の実績が最新のデータでございますが、医学部の学生一人当たりにつきましては二百二十六万七千円の補助金が出ております。例えば理工系の学部でございますとこれが二十一万二千円というようなことでございまして、いろいろな面で補助金の配分が非常に客観的な形で配分するようになっておりますけれども、その中でも医学等の教育の重要性にかんがみまして、そのあたり配慮させていただいておるというふうに考えております。
#156
○高桑栄松君 これは文教委員会じゃないから、余り文部省さん相手に一生懸命やっていると、厚生省さんの方が眠くなってくると困るからこれでやめますけれども、私が申し上げたのは、学生一人当たりの経費とおっしゃったから、二百何十万円だとしますと、十人減らしたら二千何百万減るんですよね、ふえるんじゃないんだから。それを今逆に申し上げたんです。大学側とすると入学金が十人減ったら大変な額だと、医科大学の場合。あれは協定した値段のようですから、公定値段に近いものなんですね。それがまたぐっと減るから、これを考慮して、今までの厚生省さんの答弁ではそれに着目をいたしまして、それに手厚いというかカバーすることを考えてもらいたい。これはもう私の意向として注文させていただくことで、この点は終わりにいたします。
 それで、特定機能病院の場合の人員配置基準というのが厳しくなるように思うんですが、もし厳しくなった場合に標欠病院になったら取り消しになるのかというのを聞きたかったんですが、いかがでしょうかね。
#157
○政府委員(古市圭治君) 法律上は承認を取り消すということが可能ではございますが、病院の入院患者それからまたその職員というのは絶えずある程度の動揺しながらいくわけでございますから、一つ瞬間風速的に足りなくなったということで、その基準を見てその規制を発動するということは考えられないわけでございまして、ある一定期間の中でもう常態的に足りないということになれば問題になろうかと思うわけでございます。
 そのような場合も私どもは、医療機関の指導、監視というものは現在医療監視員によって行っているわけでございますので、そういう場合にも一応改善計画というものを出していただいて、ものとおり改善が進んでいるということならば一概に取り消しということには当たらないと思います。
#158
○高桑栄松君 それでは、時間を見ながら私の質問を若干はしょらせてもらうことになりそうでございますが、療養型病床群について質問をさせていただきたいと思います。
 療養型病床群のところで私がいろんなドクター方の意見を聞いて、この医療法改正についての意見が私は私なりに耳に入ってきております。これは何も日本じゅうの平均値ということじゃございませんが、ローカルの問題かもしれませんが、あるんですね。
 それで、健康保険点数がことしの四月一日に変えられた。一ドクターが訴えているところを申し上げますと、今までのですと基準の七〇%以上であれば一応は認めていた。それが今度、十月一日から八〇%に引き上げられる。つまり、看護婦が十人という規定であれば七人でよかったのが今度は八人でなければならない。それに合わなければ標欠ということでいろんなペナルティーがつくと言っておりますね、ペナルティーがつけられる。つまり等級が落ちていくということで報酬の一部カットになったり基準寝具、基準給食が返上を命ぜられたりして、経営がだんだんその予定でないわけですから困ると言っておりましたね。
 問題は、ついこの間人材確保法案で看護婦さんが足りませんということであれだけ大論議をしたわけで、田舎のドクター方に言わせますと、ないということがはっきりしているのに、しかも三月に終わった看護婦さんの養成したのをみんな持ってくるというわけにはいかない。それで、十月一日に絞られてしまうともうどうしようもない。北海道で言いますと、札幌ならば看護婦さんたちも若い人たちは札幌で暮らすということで病院にはちゃんと行く。しかし一方、札幌から二時間も離れたところへ行きますと、もうとてもじゃないが来ない。同じようにどこの病院も看護婦等々の看護職員が足りないのではないか。田舎はどうしようもないんです。これはペナルティーであって、私たちの病院を一般病院から全部転落させようとしているのではないか。つまり療養型に誘導しようとしているのではないか。どうして医療法が通らないのに点数だけを先に改定したのか、これを承りたい。
#159
○政府委員(黒木武弘君) 看護問題につきましては、本委員会においても再三御議論をいただいたところでありまして、私どもの今回の診療報酬改定におきましても最も重視した点でございます。
 やはり看護婦さんの勤務条件を改善することが何よりも大切ということでございまして、看護婦さんが気楽に、医療法の基準さえ守っていないような病院で勤務条件を整え、二・八問題を解決し、さらには週休二日制ということに進む場合には無理であるわけでございます。私たちも何も厳しいペナルティーをつけているわけじゃございませんで、医療法の基準すら守っていないところについてはそれなりの人員配置に応じた点数を評価する、こういうことでございまして、私どもはこの時点でございますから歯を食いしばって医療法の基準というのはぜひクリアしていただきたい。さらには、基準看護をとっていただいて、週休二日制なり二・八の問題へ向かっていただきたいという、そういう政策的意図も込めて今回の改定を行ったわけであります。
 今回のペナルティー、私どもは人員配置の濃淡に応じて、確保されているところも、あるいは全然いないところも同じ診療報酬はいかがかなということで、そこはお医者さんもそうでございますけれども、医師、看護婦について今回の診療報酬改定ではめり張りをつけさせていただいた、きちっとさせていただいたということですから、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#160
○高桑栄松君 今おっしゃった「基準すら守っていない」というのは私よくわ。からないんですけれどもね。私に言われているのは基準の七割以上は一応許可されている。だから、「すら守っていない」んじゃなくて守っていたと言っているんですよ。そして、今度八割以上になったから今度は守れなくなるということを言っているんです。今守らなかったような僕は印象を受けているんですが、七〇%以上今まで認めていったんでしょう、病院としてはいかがですか。
#161
○政府委員(黒木武弘君) 確かに医療法の基準は標準でございますけれども、それをこれまでは七割というのをめどにしまして、標準の七割に達していないところについてはペナルティー的な診療報酬をつくっておったわけでございますけれども、現下の状況にかんがみまして、病院においては、看護婦さん、人手がそろわないと看護問題の解決がいかないということで、一歩そのハードルを高くするということで、七割を八割に引き上げさせていただいたということでございます。
#162
○高桑栄松君 そこを申し上げたんで、言葉は使い方を気をつけていただきませんと。「基準すら守っていない」という、そんなことない。守っているのに、今度八割に上げられたら守れないと言っているんですよ。じゃ八割にしたら守れ、歯を食いしばれとおっしゃって、食いしばったら厚生省が看護婦さんを世話してくださるのかと聞いているわけですよ。我々、連れてこれないと言っているわけだ。札幌へ行って連れてくるなんてできませんよと言っているんですよ。五%医療費が上がったからといって、それで看護婦さん一人連れてくるなんてできないと言っていますよ。一人スカウトするのにウン十万円かかると言っていますからね。そういう言い方なんです、現場は。
 ですから、歯を食いしばったっていないんですよね。だから人確法ができているわけだ。看護婦さん余っていろんならそんなことないと思うんですよ。田舎は大変なんだわ。僕の行った某市ですけれども、市立病院長が、私が行ったときにはもう始めから終わりまで、この点数改正によって赤字転落しました。私は院長としてとても経営ができない。それは患者もあって、パイが同じなんですから、医療法を改正されて、基準が守れなかったら転落の詩集を奏でるわけだ。そうすると、今度は医療の点数が下がったり、何とかを返上したりするので困るんですね。だからストレス潰瘍ができているんですなんて言っていた。
 私は少なくとも十月一日というのはおかしいんじゃないかと思ったんです。というのは、学校が終わるところまでは待たなきゃいけない、一年は。来年看護婦養成学校を出た人が来てくれるように努力をする。それならもう一年待つということはあると思うんです。四月に点数を変えて、十月一日から施行する。それは官僚が末端を知らないのではないか。医療分布を考えてみますと、北海道なんか非常に広いもめですから、札幌はいいんです、札幌は。百七十万も人口があって、五百七十万の北海道のうおの三分の一近いんですからね。これはもう大変な都会ですよ。そこはいいんですね、そこは、高くてもいい。いや高くてもって、生活費が高くても。田舎はそうはいかないですよ。東京の近辺と違いまして、どこかへ行くとなると一泊でなきゃ行ってこれないところがいっぱいあるんですから。そういうところで看護婦さんを確保するというのは難しいんだね。
 まだいろいろ意見がありますけれども、時間がありませんので、私が口説いたとでも思っていてもらえば。もうこれはしょうがないものね。
 もうちょっと質問をさせていただきますが、時間がありませんので、もし余ったらまたもとへ戻ることにいたしまして、これは大臣に伺いたいと思います。今度の法律は施設のことをいろいろ決めておられる施設法である。医療提供の理念からいえば医療基本法が必要なのではないか。これについてなお施行令というものは、省令、政令で定められるように先ほどからの答弁も大体出ておるようでありますが、そういう場合には、関係団体とよく協議してもらわないと、中央官庁の厚生省レベルでお考えになると、地方の末端の声が上がってこないかもしれないなという心配を私はしているわけです。これについて大臣のお考えをひとつ承りたいと思います。
#163
○国務大臣(山下徳夫君) 今回の改正は医療施設法から医療基本法へ一歩踏み出したと、こんな受けとめ方を私どもはいたしておりますし、そういう方向に向かって脱皮をしてきたと私は考えております。この脱皮は必ずしもまだ完全なものではございません、先ほどもお答え申し上げたのでございますが。したがって、基本法の方向を目指して第一歩を踏み出したという、そういう観点に立って今後とも不備の点はまた改正していかなければならないと思います。
 それから政省令の問題。政省令を定めるに当たりましては、医療審議会やあるいは医道審議会、こういうところにお諮りをして意見をお聞きすることにいたしておるわけでございます。それら審議会のメンバーには、医師などの医療関係者の代表はもとよりでございますが、医療を受ける立場の方々もこれにはお入りをいただいておる。したがいまして、この審議会においては、各関係の代表が全部お入りになって、そして公正な立場から御審議いただく、こういうふうな構成であると私は理解いたしております。
#164
○高桑栄松君 ちゃんとした方々が出ておられるのを私も承知しておりますが、うっかりするとメンバーが同じだとマンネリになってしまうおそれがありますから、その辺をお考えいただいて、任期制度を決めてチェンジしていくとか、あなたやめなさいというのは言いにくいでしょうから、これは任期制度がなんかで半舷上陸するとか、何かお考えいただいた方が新鮮なアイデアが出てくるんじゃないかという気がいたします。
 次に、インフォームド・コンセントというのが大変やかましくなっておりますし、我々もインフォームドされているいろなことをコンセントを得ないといかぬようでありますから、このことで一つ伺いたいんですが、インフォームド・コンセントの概念というのは、私が聞いている範囲では、アメリカでは医療事故が起きたときに医者側がこれを防衛するためにこれをやっておかないと責任を問われる、そういうことからインフォームド・コンセントが発達していった。
 確かに、なるほどアメリカは医療事故で大変大きな賠償をとられますから、これは大変だからやってある、手続はとっていますと。我が国は幸か不幸か、そういうことではなくて、医師、患者の信頼関係を重要視してインフォームド・コンセントという概念が今上がってきた。特に脳死、臓器移植に関連して、非常に何というか、我が身につまされるような話にだんだんなってきたということがあろうかと思います。
 私はインフォームド・コンセントは当然やるべきことだと思っております。ただ、私のような古い医学部卒業生は、今も余りやっていないと思いますけれども、大学教育の中で、インフォームド・コンセントなんというのはなかった、このごろもないんじゃないかと思いますけれども。これは必要だし、当然医師と患者の間で信頼関係というのは、説明を求められたらするというのが当たり前のことであると私は思っております。そこで、文部省に伺いたいのは、大学教育の中でインフォームド・コンセントをカリキュラムに入れるかどうかということ、それから国家試験あるいは臨床研修で厚生省は取り組もうとしているかどうか、この辺を聞きたいと思います。
#165
○説明員(喜多祥旁君) 患者に対します説明と同意を含みます医師としての倫理観の醸成につきましては、医学部の全教育活動を通じて配慮しなければならない重要なことであるというふうに認識をいたしております。
 現在これらに関する教育につきましては、各大学とも重要性を十分認識いたしておりまして、学部教育におきまして、例えば医学概論という講義の中で、患者、医師関係、インフォームド・コンセントというようなテーマを設けまして、授業、講義を行っておるというところもございますし、あるいは臨床実習の場あるいは卒後研修の場においてインフォームド・コンセントを含みます医の倫理観の醸成に関する教育というの在行っておるというふうに承知をいたしております。
#166
○政府委員(古市圭治君) 厚生省の所管の範囲でございます医師国家試験の出題基準につきましても、これは既にこの項目は入れさせていただきました。それからまた、卒後研修につきましても、全人的な医師の養成ということで研修目的の中にも書かせていただきました。
 時間の関係で詳細申し上げませんが、既にそういう項目も挙げて出題基準、卒後研修の目標にさせていただいております。さらに力を入れていきたいと思っております。
#167
○高桑栄松君 今のを伺っておりますと、既にそういう教育的レベルと申しますか、開始されていると。私はこれが普通のあるべき姿だと思うんです。医者と患者の信頼と申しましても、医者の世界も患者さんは神様という商売とだんだん似てきて、患者を大事にしないと食っていかれないというようなことになっておりますから、医者の方はむしろちゃんと丁寧にやっているんじゃないか。下手をすると、買い物に行くと声がけても返事しない人がいますものね。だから、そういうマーケットかなんかの担当者もインフォームド・コンセントをひとつ教育してもらった方がいいのではないかと思うような場合もありますが。私は、医者と患者の信頼関係というのは法律で規定すべきようなものではなくて、むしろ教育的な課題ではないだろうかと、こんなふうに思っているんです。医者が何にもやらないということはありませんよ。やっている、ただし時々やらない人がいる。昔の人は偉くて、患者さんには知らぬ瀕したという場合があったかと思いますが、私が見ている範囲ではちゃんとやっておりますので、法的に義務づけるということには医者の立場としては賛成はできないのでございます。
 衆議院の修正ではこれが検討課題になっているというふうに承っておりますが、この問題について大臣が今後どのように取り組みをなさるかを伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
#168
○国務大臣(山下徳夫君) インフォームド・コンセントの問題は極めて重要な問題であるということは私も十分認識をいたしておりまして、今日までたびたび答弁を申し上げたところでございます。ただ、日本には日本としての医道の倫理というものがありますから、そこらあたりが外国と違った面もあるかと思いますけれども、この問題が大切であるということには変わりありません。したがって、日本流というのは言葉は悪うございますが、日本は日本なりにこの制度というものはきちんとしていかなきゃならぬ。そのためには、私はそのための検討会でもつくってはどうかなと思っておりますし、そういう方向で進んでまいりたいと思っております。
#169
○高桑栄松君 ありがとうございました。
#170
○沓脱タケ子君 それでは、医療法の一部を改正する法律案についての質問を行います。本改正案の審議に当たりまして、今回の改正案の本質、また、日本の医療をどうするのか、そういった点を踏まえまして、総論的にまず最初にお伺いをしていきたいと思うのでございます。
 実は、私はこの七月で任期満了で退任をする予定になっておりますので、私にとりましてはこの医療法の質問というのは最後になろうかと思うわけでございます。本来、私も医師の一人として医療の現場に携わっておったわけでございますが、こうして今日政界に出てまいりまして、最後の質問が医療法の一部改正だということは、何だか大変感慨の深いもりを感じるわけでございます。
 そこで、お伺いをしていきたいのですが、今回の改正案というのは、端的に申し上げまして臨調答申の広い意味で言いますと一環と言えないか、いかがでしょうか。
#171
○国務大臣(山下徳夫君) 長年大変な日本の医療について御功績のあられる先生が引退されると今伺いまして、大変惜しい、残念な気がいたします。今日までお互いに医療保険のために仲よく勉強させていただいたのに、まことに残念でございます。
 今お話がございました医療保険の第一次答申、これは「医療資源の効率的利用」という形で述べられておるわけでございまして、いずれにいたしましても、限られた医療資源を有効かつ効果的に活用していくということが一番大切なことであろうと私は思います。今回の改正は臨調第一次答申を直接受けたものではございません。
#172
○沓脱タケ子君 直接ではないであろうと思いますが、臨調の第一次答申によりますと、「医療費の適正化」というところで、「年々急増する医療費については、総額を抑制し、医療資源の効率的利用を図るため、以下の措置をとる。」ということで、明確に総医療費を抑制するという問題を提起しているわけでございます。
 しからば臨調とは一体何なのかということになるわけでございますが、これはもうちょうちょうするまでもなく、周知のとおり、臨時行政調査会の会長でありました土光敏夫さんが当時の総理大臣鈴木善幸氏に昭和五十六年七月十日に答申をされたものでございます。それを受けまして、その後発足をいたしました中曽根内閣が、いわゆる戦後政治の総決算ということを掲げて、この答申を全面的に実施するという構えになったのは御案内のとおりでございます。
 そして、そういう立場から、厚生省の分野におきましては、その後主なものを挙げてまいりましても、最近も六十五歳支給の具体化等が問題になっておりますように、具体的には年金の給付の大幅引き下げ。それから児童手当では学齢前の支給に改悪、十八歳未満を学齢前にし、さらにせんだっては三歳未満に改悪をする。それから三つ目の大きな問題は、諸制度に対する国庫負担金、それから国庫補助金の率を全部一律に引き下げるということをやりましたね。こういうことをやってきたというのは事実でございます。
 医療について言えばどうなのかといいますと、これは臨調答申が指摘をいたしました老人保健法をまず実施した。それから健保本人の一割負担の導入、これは二割負担を法制化して当面一割ということになったわけです。三つ目は、国保の補助金の引き下げをやる。そして、その他例えば数次にわたる診療報酬の改定あるいは薬価の引き下げ等もありましたが、六十年には医療法の第二次改定をやっていわゆるベッド規制をやった。そういった制度をずっと積み重ねてまいりまして、その上に今回の法案があるのではないかと思うわけですが、その点はどうでしょうか。
#173
○国務大臣(山下徳夫君) 実は、私もかつて総務庁長官として臨調の人選その他大分苦労した者の一人でございますけれども、本来、臨調のあるべき姿というものは、これからの行政はいかにあるべきか、財政はどうすればいいのかという今後の行財政のあるべき姿をきちんとしようということで権威者の方々にいろいろと問うてきたわけでございまして、何もそれらのものをたたき切るというのが目的ではございません。したがって、ある面においてはさらに厚くしたものもございますし、今申し上げました専門家の御意見を聞いてあるべき姿を世に示す、こういうことであったと思います。
#174
○沓脱タケ子君 さらりと言っていただくとそういうことになろうかと思いますが、具体的に見てまいりますと、これは一貫して国の支出を削減するということが中心であったというのが現実の姿でございますね。
 厚生省の保険局の昨年の四月十日に出ている国民医療費推計、それらの数字を見てみますと、国庫負担は最高の伸びを示しているときは一九八三年の三〇・六%であった。それが九二年、ことしの推計では二四%なんですね。マイナス六%に国庫の負担金というのが減っている。さらりとおっしゃったらそうなんだけれども、中身はそうだというところに問題があると思うんですね。さらに、臨調答申の医療に対する考え方というのは随分いろんな問題があるんですが、理念の上でも今までにない理念を持ち込んだと思うんですね。
 時間の都合がありますから、私ちょっと申し上げていきたいと思いますけれども、臨調答申は医療福祉分野に新しい理念を持ち込んだのはどういうことかというと、自立自助、それから自己責任論というのが持ち込まれたんですね。これは明確に書かれておりますが、その典型というのは老人保健法にあらわれたと思うわけです。従来の老人福祉法と理念が全く異なるという形になってあらわれてまいりました。これは比べてみたら鮮明なんですね。
 老人福祉法の「基本的理念」というのは、第二条で「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。」というものでございます。ところが、老人保健法では「基本的理念」に、同じく第二条ですが、「国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、老人の医療に要する費用を公平に負担するものとする。」、がらっと変わったわけでございますが、その点はどんなふうにお感じになっておられますか。
#175
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど私の答弁がさらっとした答弁だというお言葉でございましたけれども、要点だけ申し上げたつもりでございまして、決してさらっとしたということではございません。
 いずれにいたしましても、国家財政の合理的配分、合理的運用と申しましょうか、そういう意味においてはその大きな目的はむだを省くということもそうでございましょう。そして、各省において切り詰めるべきは切り詰める、不足のものはまたつけるべきはつけるということでございます。さらに、シーリングその他がございましてなかなか運用は厳しいということで、厚生省みたいに非常に細々した予算の多いところはどうしても大きいところに着目しやすい。例えば医療費とか、年金は別に手をつけたわけじゃございませんが、そういう面があると思います。
 あるいは医療の面ではいろいろと行財政調査会あるいはまた、行財政調査会は党の機関でございますが、行革審においてもいろいろと御検討いただいたのでございますが、だからといって大きいやつを一つばっさり切ればそれでいいというようなものじゃなくて、小さいものまでよく検討してその点は結論を出されたということで、また私どももしょっちゅう行財政調査会の皆さん方に、行革審の皆さん方に意見を申し上げる機会はございましたし、十分述べながら、決して大きいものからばっさりやっていけと、そういうことでやられたんではないと私は理解をいたしております。
#176
○沓脱タケ子君 私、これは老人保健法成立のときにも御指摘を申し上げた、老人福祉法の基本的理念とはこてんと変わったじゃないかということは指摘を申し上げたとおりでございますが、今回の医療法でもこれは気になるわけでございます。
 第一条の二の二項、第一条の王ともにこういうふうに書いているんですね。第二項では、最後のところですが、「医療提供施設の機能に応じ効率的に提供されなければならない。」、第一条の三には「国及び地方公共団体は、」というところで「国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならない。」、こういうことが書かれておるわけでございます。この法律に明記されました効率的活用とは何か、これを伺っておきたいわけでございます。
#177
○国務大臣(山下徳夫君) ここで言う「効率的」ということは、限りある医療資源を効率的に使用すると申しましょうか、そういう趣旨であると理解いたしております。
#178
○沓脱タケ子君 私は、この「効率的」というのは再三出てくるものですから、実は頭へいつもきていたんですがね、今回は法律に明記をされたという新たな事態になったので、「効率」とは一体何なのかなと思って辞書を引いてみた。辞書を引いてみたら、三省堂の新国語辞典では、効率とは「機械の仕事の量と、それに供給される全エネルギーとの比。」と書いてある。それから岩波の国語辞典ではこう書いてあるんですね。「機械が有効に働いてなした仕事の量と、それに供給した総エネルギーとの比率。仕事の能率。」と書いてある。
 私、ちょっと驚きましてね、これは一体何だ、医療というのはそんな工業生産物をつくるのとはわけが違う。医療というのは人間を相手にするわけですから、一人一人顔が違うように、全部一人一人の体も違います、病気も違います。これがベルトコンベヤーに乗せて電気製品や自動車をつくるような効率ということと同じ文字が医療の中に持ち込まれるということは非常に心配だなと思うんですが、端的に言うたら一番効率をよくしよう、効率ということで医療費を減らすということがエネルギーを減らすという意味であるとするならば、極論をすれば、もう全然、極度に診療制限をすることが最も効率的になるんじゃないかということになるんで、極めて重大な概念だと思うんですが、これはいかがでしょうか。
#179
○国務大臣(山下徳夫君) 岩波の辞典ですから、私の常識よりもはるかに合理的な答えであろうと思います。ただ、先生がおっしゃるように、ベルトコンベヤーで出るものと違いまして、言うなればどこかに故障がある。人間を修繕屋と言ったら悪いですけれども、ただ新しく生産するんじゃなくて、どこか故障のあるものも直すという意味でございますから、その故障の箇所によっては、一つ一つ違わなきゃならぬし、そういう意味において十把一からげの効率的というものと意味が違うことは当然のことだと思います。
#180
○沓脱タケ子君 その辺は私は非常に気になるところです。というのは、一つ一つの工業生産物とわけが違うんですからね、人間相手の医療というものは。そこに工業生産物と変わらないような表現というのが、これは政策的課題としてお使いになるのは時々耳にしてもいいわけですけれども、そうではなくて、法律に明記をするということになるとこれは極めて重要だなと私は思っています。本来「効率的利用」という言葉も臨調の一次答申にはちゃんと出ているんですね。ちゃんと書いてあるんだな。「医療費の適正化」というところに、「医療資源の効率的利用を図るためこ云々と、「効率的」という言葉がちゃんと明記されているわけです。
 大体臨調というのは財界の意向を反映したものだと言われてきているわけですね。財界の立場から見て、戦後政治の総決算だということは国民の中に周知されるほど言われてきたわけでございますから、私は医療の分野にこういうものを持ち込むということは耐えがたいなというふうに思うので、少なくともこれは法律の文言から削除するべきではないかと思うんですよ。いかがですか。
#181
○国務大臣(山下徳夫君) この「効率」というのは効き目という意味でございますから、高い傘とまた字が違いますし、そういう意味においては病気を治すために最も効果的など、こういうふうに私どもは理解をいたしております。
#182
○沓脱タケ子君 いや、大臣は大変善意で御答弁をいただいておるんですけれども、これまでやってきた効率的活用というのがいろいろありますね。その典型というのは老人医療ですよ。老人の心身の特性に応じた医療という大変美しい表現を用いてやってきたわけですが、その典型が先ほども問題になっておりました老人病院ですね。医療法の改正もせぬでぴょんとやったわけでしょう、老人病院を。その老人病院をぴょんとやってみて、中身を見たら医師も看護婦も定数は一般の病院よりどかんと低いと。最近では点滴は一日に五百ccしか認めない、幾ら必要でも認めない。あるいは腎透析をやった患者の請求をしたら、こんな年齢でやらないかぬかと言って診療報酬の請求書を突っ返されるとか、あるいは人工呼吸器を一カ月つけたのを請求したら半分に値切ってきたとか、これなんかも「効率的」の名前でやられているわけで、「効率的利用」というのはもう客観的には残念ながら医療制限をやってきた姿としか見られないんです。そこに問題があるわけなんですね。
 したがって、この法案が効率的活用という名前のもとに医療制限をもっと強化するんではないのかということは国民の中の一番大きな心配なんですよ。その辺は、御意見伺いましょうか。
#183
○政府委員(古市圭治君) 大臣のように端的な答えはできないかもしれませんが、ここの「効率的」、具体的なことで申しますと、現在の医療制度についてのいろいろな御意見がございますが、その一つの効率、非効率という面から申しますと、例えばCTなり高度な医療機器があると、これは非常に患者のために結構なことでございますが、これが地域ごとに偏在して投資をされていたということになりますと、その一台一台の効率というものが非常に悪いということでございます。そういうことから、医療機関の連係というもので、もち屋はもち屋と申しましょうか、機能を明確にして、その機能を中心とした医療というものに診療報酬も適応するという方が地域全体ではいい医療が提供できる、そういう意味から私どもはこの「効率的」という言葉がここに書かれている、このように理解しております。
#184
○沓脱タケ子君 それは、CTをどの病院も皆持っているよりも、どこかがいいのをちゃんと持っていてみんなが共通に利用するという、そうやれば確かに効率的ですし、そんな「効率的利用」なら私だって大賛成です。そんな都合のいいところだけ言うたらあかんですね。
 それじゃ、もう少し申し上げますが、国民の一番大きい不安というのはここなんですね。というのは、片や自立自助、自己責任論でしょう。その臨調の理念の上にさらに効率的活用などということが一緒にダブってきたら、これは医療制限の方向がいよいよ法文上に明記したことになるという点で非常に不安になっていくんですね。国民の医療に対する要求というのは、いつでも、どこでも、安心してよい医療が受けられるようにというのが国民の願いですから、それとは相対立するという形になるので大問題だと思うわけです。だから、これはひとつ削除をされるべきではないかと思いますが、いかがですか。
#185
○政府委員(古市圭治君) 先生お話しのように、いつでも、どこでも、公平な質の高い医療を受けるというのは私どもも全く同感でございまして、そのような線で医療供給体制を整備していきたいと思うわけでございます。そのためにも、医療供給施設の機能に応じた効率的な提供というのを図らなければなりませんし、また国民みずからも自分の健康には保持努力をしていただくというものが基礎になかったらいけないという趣旨でございまして、いろいろ総合的にやっていかないと日本の医療供給体制はよくならない。先生のお立場から非常に疑念を持たれるというのも私どももわからないわけではございませんが、そういうところが疑われる部分もあるということも肝に銘じまして、そういうことのないようにこの法律の実行、施行に当たっていきたいと思います。
#186
○沓脱タケ子君 それじゃ、この法案は医療供給体制の体系化などを中心とするんですが、医療費抑制策の一環としてではないんですか。
#187
○政府委員(古市圭治君) 私どもは、今申し上げましたように、医療供給体制というものをなるべく効果的と申しましょうか、そういうぐあいにやりたいということでございまして、医療費の云々ということが直接念頭にあるわけではございません。
#188
○沓脱タケ子君 しかし、厚生省が六十二年六月二十六日にお出しになっている中間報告を見ますと、「今後の方向」というところに「医療サービスの量から質への転換」という、時間がないから全部読むのはやめますが、最後にこう書いてある。「医療制度全体にわたる改革を行っていくことが、結果的に医療費の適正化にも資するものと考えられる。」。「医療費の適正化」と、厚生省の言葉で言われるときはいつでも抑制なんですね、具体的には。こういうことで言われておりますように、非常に明確なんですね。そんなことずばっと厚生省は言わぬですわな。いや、これをやって医療費減らしますなんて言ったら、国民総立ちになって反対するんだが、そんなことを生で言うとは思いません。
 政府の医療政策のあれこれを見てみますと、一つずつ見ると、大体臨調答申の言う総医療費の抑制にかかっているんですね。時間がありませんからちょっと見てみますと、国民の中で問題になりますのは、政府のやってきたこと、これからやろうとすることが果たして国民の立場から見て本当に適正な医療費の抑制策なのかどうかということが一番問題なんですね。
 これまでのやり方を見てみますと、一つは、医療保険制度上の問題では老人保健法をやって本人負担を何回も引き上げる、健保の本人一割負担、二割負担を決めて、当面一割、間もなく二割も問題になる。それから医療供給体制では、医療費抑制の方策として医療の供給を制限するために六十年には医療法の第二次改定をやってベッド規制、いわゆる地域医療計画をつくった。それで三つ目は、医療制限そのものをやってきた。年齢による医療制限を行うという老人医療ですね、それが典型だと思います。診療報酬の体系自身も医療費抑制対策をやった。だから、私どもも問題にしております入院時医学管理料の逓減策などを導入して、とにかく早期退院のシステムを確立する、あるいは審査・監査の強化、あるいは薬価の引き下げ、いろいろあの手この手やってこられたわけですが、こういう厚生省がかんかんになって進めてこられた対策が国民から見て妥当なやり方だなと納得をしておられると思いますか。
#189
○政府委員(黒木武弘君) 医療費の問題を中心に御議論いただいているわけでございますけれども、医療費は御案内のように二十兆円を超えておりまして、保険料あるいは税の形でいずれも国民の負担をお願いしている原資でございます。
 確かに、患者さんの立場にとってみれば、必要にして十分な医療がいつでも、どこでも受けられるという体制が望ましいわけでございまして、私どももそれを否定するつもりはございません。しかし、負担する側からいいますと、むだな医療は御遠慮願いたいという声が一方に高くあることも現実でございまして、ますますこれから高齢化を迎えまして医療費の負担が国民に重くのしかかっていくという、高齢化を見据えながら私どもは政策を展開しているわけでございます。
 したがいまして、必要な医療を医療費の財源から充当していくことについて私どもも拒否するものではございませんし、必要なものは医療費からどしどしお使い願いたいと思っているわけでございますけれども、むだだと思われる医療にまでこれから医療費を見ていくということについては、国民の、負担する側の立場というものも考えながらその辺の適正化というのはあわせて進めていくことが、これからの高齢化社会あるいは国民の信頼にこたえた医療保険制度を我が方が運営する礎になるものと、かように考えている次第でございます。
#190
○沓脱タケ子君 私の立場も、そんなに医療費は幾らでもふえてよろしい、そんな立場じゃないんです。客観的にむだだと思うところはきちんとすればいいと思うんです。ただ、政府が今までこの十年ずっとやっておいでになった効率的医療という対策を本当に国民がどう思っているか、歓迎されているか、私は歓迎されるはずがないなということを改めて思うんです。
 といいますのは、さっきもちょっと申し上げましたが、これは厚生省の保険局の統計をもとにして調べたんですが、国庫負担がとにかく十年前と比べて六%下がっている。それで、具体的には患者負担は一体この十年の間にどうなっているか。二倍、一兆四千七百億ですね。国庫負担は丁三倍なんです。しかも、この患者負担の中には正常分娩の分娩費あるいは健康診断、老健施設の利用料、差額ベッド、付添看護料あるいは歯科の差額分とかマッサージ、そんなものは含まれてないんですね。全く公式の患者負担で二倍になっている。実質的には患者負担は保険外負担を入れますと数倍になるんではないかと思うんですね。
 そうなりますと、ああだこうだと政府はPRをしているけれども、患者の側にとったら身につまされた痛さを感じるわけですから歓迎してないんです。そこをしっかりと押さえていただかなければならない。国民は、これでは我慢をし納得のできるものではないな、いよいよ大変なところへ来たなというふうに感じているのは事実なんです。いかがですか。
#191
○政府委員(黒木武弘君) 現行の医療制度あるいは医療保険制度について国民の批判が厳しいという御指摘でございますけれども、私どもは客観的に見まして、あるいは外国の関係者ともよく議論をしているんですけれども、日本の医療ないし医療保険制度というのは国民の立場から見てもかなりすばらしく機能しているという評価をいただいているものと思っているわけでございます。
 国費についていろいろ国費減らしをやってきたではないかという御指摘でございます。確かに、老人医療費について国民健康保険の負担が非常に重いということから、共同事業を健保組合等からの負担を求めるというようなことから、結果的に国庫負担が減ったということもございますし、私どもとしては国費減らしを目的にした制度改正をやったことはございません、結果的に制度の改廃の中で国費が動いているということは認めますけれども。
 いずれにいたしましても、国民にとってよりよき医療あるいはよりよき医療保険制度に向かって私どもは改正あるいは改革をやっているつもりでございますので、国民からもアクセスのいい医療、それから負担について心配なくかかれるというすばらしい医療保険制度あるいは医療として、先生のお言葉を返すようでございますけれども、評価をいただいているものと思っております。
#192
○沓脱タケ子君 それは国民が納得してないですよと言うたって、そうですかと言うわけにはいかぬ。それは確信を持ってお進めになってきておられるんだから、そういうふうにおっしゃるのはわかりますが、客観的にはそうだ。
 私は、もう余り時間がないので申し上げたいと思いますのは、きょうはずっと患者の立場に立っての御指摘を申し上げた。今も効率的な医療資源の活用等々言われましたけれども、今度の医療法の改正についての具体問題は次回にひとつお伺いをしたいと思っているんです。
 医療費の問題は、表に出てきている医療費をどう減らすか、どこを抑えて、あっちが出たらこっちを抑える、さっきの話じゃないけれども、もなかの中のあんこはどうなるんやというような話じゃなくて、国民が健康で、病気が少なくて、医療を必要としないという健康な生活が保障されて、そして医療費が減っていく、このことが最も望ましいんじゃないかと私は思うんですよ。
 そういう立場から見ますと、これはもう時間がないので具体的には言えませんけれども、例えば人間が生きていくという上でなくてはならないのは、一つは空気、水、食べ物、それで社会生活をしていく上では労働条件ですね。それらの問題を見てみますと、果たして国民が、まさに自立自助の立場でも自己責任論でもいいですよ、安んじて健康を保持できる状態が確保されているであろうか。だって、長期間労働、過密労働、これはもう皆さんが百も御承知のように、ヨーロッパ諸国と比べたら五百時間以上も長時間労働をやって、外圧まで加わり、国内では過労死問題というのが起こっているわけですよね。こういうことで労働者が健康破壊をし、医療費の高騰の要因になると思うんですね。
 もう一つは、なくては生きていけない空気ですよ。大気汚染ですね。これは、ちょっと具体的に言おうと思ったんですが、もう時間がありませんからごく簡単に言いますが、例えば厚生省のことしの三月二十一日に発表した一九九〇年の「都道府県別年齢調整死亡率の概況」を見たら、この十五年の間に、人口十万人当たりの肺がんの死亡率というのは、昭和五十年では二十八・一人、男性は。それで平成二年、一九九〇年には四十五人です。驚くべき増加率ですよ。こういうことが出ております。
 これは先日も私環境委員会でも問題にいたしましたが、例えば大気汚染の影響で肺がんがふえている、ふえる可能性が十分あるということを動物実験でやられて、これは学会報告も出ておる。ディーゼルのあの粉じんが肺がんをつくるということを、四匹のラットのうち一匹が起こるというようなことまで指摘をされているんですね。私は、そういう状況というものが国民の健康を非常に害していると思うんです。
 これも私は大事だなと思ったのは、がんは今申し上げたとおりですが、ちょっと空気のことかてまともに政府が考えぬといかぬでと思ったのは、一九九一年の「国民衛生の動向」の。受療率というところを見てみた。そうしますと、ぜんそくというのが何と驚くべきふえ方をしているんです、三・七二倍なんですね。それ以上にふえているのは何かといったら、これは脳血管疾患、それから糖尿ですよ。脳血管疾患なんというのは、この十年の間にふえるのは当たり前ですわ、検査技術が格段にすぐれているんですからね。当然発見率も上がりますし、ふえて当たり前なんですが、ぜんそくといったら、これは私どもが診療をやっているときと今と診断は変わらへんですよ。それが三・七二倍というところまでふえているということなんですね。
 私はこのことを見て思うんですが、国民が健康で、自分が健康を保持し健康に生活ができていくという生活環境、これを守っていくという政策を、医療費を抑えるだけではなしに、そこに厚生省としてもうんと力を注ぐべきではないかと思うんですが、これは大臣いかがでございましょうか。
#193
○国務大臣(山下徳夫君) がんのお話がございまして、私ども佐賀県が一番多いのでございまして、これは本当に私自身も大変なことだなと思っておりますが、いずれにいたしましても先生のおっしゃることは、先ほど来いろいろ議論がございましたけれども、私は医療法の改正は大変立派な改正だと思っております。が、また一方において、今、沓脱先生のおっしゃる御意見、これまたごもっともだと、本当に私はそう思います。
 ただ、これは厚生省だけではできない問題もございます。大気汚染については環境庁あるいは通産省、あるいは過労死については労働省でもございますし、先生のお気持ちを外しながら関係省庁とよく話し合ってまいりたいと思います。
#194
○沓脱タケ子君 時間が終わりですから、次回は医療法改正の具体問題についてお伺いをしていきたいと思います。
 私が大臣に申し上げたのは、国務大臣として、国政としてそういう立場を貫くという決意で臨んでいただきたい、そのことを申し上げたくて御指摘したわけでございます。御理解をしていただいて、ぜひ御奮闘賜りたいと思います。
 それじゃ、きょうはこれで終わります。
#195
○国務大臣(山下徳夫君) ありがとうございました。
#196
○粟森喬君 まず、厚生大臣にお尋ねをしたいと思います。
 一つは、今回の医療法の一部を改正する法律案でございますが、出されたのが平成二年の第百十八回国会でございます。私はこの法案を見る前から、現行の医療法も見まして、医療を提供する側といいますか、医師を初めとするそういう施設といいますか、それと国民といいますか患者の関係はどうなっているのかということをまず一番に見たいと思ったわけです。といいますのは、戦前から戦後を通じて医師の数が絶対的に足りない、そして医療技術にもいろんな問題があった、しかし同時にその中で、こういう表現は適当なのかどうかということもございますが、医師という人たちがある意味では特権的な意識を持って、とにかく診てやるというか、そういう時代から、医師の数もふえて、お互いにそこにおける権利というか関係をきっちりしなければならない時代に入ったという認識がこの法律になければならない。
 ある意味では私はそういう関係というのは、第一条の二を追加したというのはそのことの象徴だと思います。しかし、これだけでは非常に不十分だということで、私どもだけではなく野党が全部、いわゆるインフォームド・コンセントと言われる考え方をもうちょっときっちり入れるべきだと、こういうように私どもは今も主張しているし、言わなきゃならない。ところが、残念ながら衆議院の今度の修正の中を見ても、附則でこの部分に対して今後の検討努力というか具体化をするというふうになっているんですが、なぜ今日的な状況の中でここがはっきり検討して明文化できなかったのか。
 私なりに思うのは、閣法で出すときにはもちろん政権党として自民党との関係もあるんでしょうが、これほど認識の差が違っているようなことでは大きな問題ではないかと思っているんですが、この辺のところについてまず厚生大臣にお尋ねをしたいと思います。
#197
○国務大臣(山下徳夫君) インフォームド・コンセントにつきましては、先ほど沓脱先生の御質問にもございましたし、私もたびたび答弁してまいりました。これは本当に私は大切な問題だと思っております。確かに医師と患者の信頼関係に基づいてきたことはそのとおりでありますが、それだけじゃなくて、何かお任せ、適当に見繕って治療してくださいというような、何かそんな患者が今まで、もう何でもお任せするということは必ずしも信頼関係だけではないということでございますから、患者も主張すべきは主張し、お尋ねすることはするということは大切だと思います。
 ただ、例えばがんの患者等の問題もございましていろいろ踏み切れなかった点もございますが、だからといってこのまま放置していいということではございません。したがって、先ほども御答弁申し上げましたように、これは検討会等を設置してもはや現段階において何らかのひとつ前進すべき方途を講じるべきだと思っております。
#198
○粟森喬君 今後患者が主張をする時代というのはますます強まるわけでございますから、この基本的な理念は整理しないと、効率的という意味だけですべてが終わらないと思いますので、具体的にこれから検討するときにここは喫緊の課題だという認識を大臣としてもぜひとも押さえておいていただきたいと思います。
 そこで、その上でさらにお尋ねをしたい、こういうふうに思います。
 一つは、患者の知る権利みたいなもので、私なら私が患者という立場で考えますと、病名が何であって、どんな薬をもらって、どんな治療をして、日常生活でどうしなけりゃならぬというのは、当然専門職としての医師から言われて、それをすれば健康を回復できる、こういうことがまず日常生活のリズムや薬をちゃんと飲むとか定期的に医者に通うとか入院するとか、そういう納得ずくでなかったら健康を回復できないと思うんです。
 例えばがんなどを告知することについて是非論が世論の中で分かれていることも事実でございます。しかし、私はこれは余り決定的な意味がないと思うんです。といいますのは、戦前で申し上げたらなんですが、結核だと言われたら、結核を隠すわけにいかぬ、伝染病だから。これはもう死ぬかもしれないというある種の確率を持ちながらも、それを告知して、それで病院へ入って治す。ですから、今の時代に何となくがんなどについて告知することを、世論が二つに分かれているからしない方がいいという時代は終わったんではないか、こういうふうに思うわけです。何か今進めるに当たっての問題点について、厚生省としてどこが問題点というふうに考えているのか、その辺を一度整理をして答弁をお願いしたい、こういうように思います。
#199
○国務大臣(山下徳夫君) 後で政府委員からまた答弁すると思いますが、例えば知る権利の中に病名もとおっしゃいました。そこで、アメリカその他の先進国におきましては既にがんはがんということを告知するだけの定着したそういう一つの歴史を経てきているわけですが、日本におきましては、今日なお知る権利があるからと、じゃ患者にあなたはがんですよと素直に言っているかというと、現状においては私はごく一部しか言ってないんじゃないかと思います。したがって、若干の日にちを置かなければ今急にというわけにはいかないと思いますし、そこらあたりはしかしいつまでもこういう状態ではいけないということは私にもわかりますが、そこはやはりインフォームド・コンセントの一番難しいところであると思います。
#200
○政府委員(古市圭治君) 大臣がお答えしたように私どもも考えておりますが、これはかなり議論になりまして、国会の先生方も地方公聴会でもその点についていろんな立場の人のお話を聞かれた結果、現在重要性はわかるが、今の日本の段階でこの医療法の改正の文言の中に説明と同意と、こう書いてスタートをするというのは若干早いかなという御議論もあったようでございまして、その結果がこういうことになったのかと私どもは理解しております。
#201
○粟森喬君 私は社会的常識と世論というのはもう少し先に進んでいるんじゃないかと思う。確かに今病気の中でがんの占める部分をどう言うかということと、がんのときは言わないけれどもほかのときは言うという切り分け方も、今や情報化社会ですから、法律ができたらこの告知の是非を含めていろいろ意見があるところだけれども、もう少しこの辺のところの論議を取りまとめる努力が足らなかったということと、それから逆にこれが医師なら医師のある種の、こんなこと言ってはなんですが、甘えの構造を結果的につくってしまっているんではないか。ここは大胆に踏み込まないと、医療のあり方の基本的な理念が変わらない、こういうふうに思いますので、ここはこれからの中でひとつ検討いただきたいと思います。
 それから二つ目の問題、投薬などの問題もあるわけでございますが、私は今の診療のシステムというのは、いずれにせよ例えば行きます、それで患者に納得してもらう、そしてどういう病気か説明して、どういうふうに日常生活をしたらいいかということをちゃんと説明する時間を医師が保障されているような診療報酬制度ではないと思っておるんです。その辺はこれまた多少ここに私は厚生省の責任もあると思っているんですが、そんなものは薬だとかいろんな技術料のときに、別のこともあるからその部分で何となく配慮をしろみたいな感じになっていることが、結果的に技術とか医師の技能を高めるということの阻害要件になっているんじゃないか。
 具体的に、これは保険局長にもお尋ねをしたいんですが、診察時間の長さというものが今の診療技術の中で配慮された体系というのは、これから将来的に考えることや、現状でその辺のところの配慮はどの程度されているのか、そこについてお尋ねをしておきたい、こういうふうに思います。
#202
○政府委員(黒木武弘君) 現在の診療報酬は、もう御案内のように、かなり外形的なものに着目して支払いをしているわけでございます。いわば出来高払いが典型でございまして、注射一本すれば幾らか、こういう行為をすれば幾らかという点数になっておるわけでございまして、診療報酬の概念の中に時間的要素を入れている例というのは非常にわずかございまして、お尋ねの初診とか診察にそういう概念は入っておりません。
 ただ、これを出来高払いの弊害と言っておるわけでありますけれども、たくさん量をこなしたほど診療報酬は高くなるということでございまして、それは包括化しますと、まとめて平均的な費用をお支払いしますと、十分時間をかけて診られるという余地が出るわけでございますけれども、そういった点についてはまだまだ関係者の合意を見ていない点が多々あるわけでございます。しかし、今後診療報酬のあり方としてどういう形が一番望ましいかというのを二十一世紀の診療報酬のあり方と言っておりますけれども、中医協でも基本問題という形でいろいろ検討が始まっているところでございまして、御指摘のように時間的要素を入れた診療報酬というのが一体できるのかできないのか、これはひとつ検討をさせていただきたいと思っているわけでございます。
#203
○粟森喬君 次に、修正の中で、薬剤師であるとか看護婦の任務が、担い手としての位置づけが明文化されたわけですが、私はこの明文化した意味をどういうふうにとらえられているのかということについてお尋ねをしたいと思います。
 といいますのは、患者と医師の関係というのはある意味で確立していました。例えば入院をしたときに、入院をしている段階で医師が診察をきちんとやってくれる時間というのは、症状が定着しているとほとんどない。そうすると、看護婦さんなら看護婦さんを、看護士をそういう意味で任務分担されたというのは、例えば今までの看護婦の立場からいうと、症状が痛くなったと言ったらどういうふうに痛いのかということについては主治医に連絡をするという、そういう情報の連絡とかそういう対応に終わっていたんだけれども、ここで明文化したということは、どんな役割と任務分担をこれからやっていこうとするのか。そういうことについてもなければ、ただ単にこの部分を加えたというだけでは問題の解決にならないんではないかと思いますが、これまでの考え方と今度の修正によって、その部分はどういうふうにこれから具体的に政省令などでしていくのか、このことについてお尋ねをしたいというふうに思います。
#204
○政府委員(古市圭治君) 今御指摘の部分につきましては、政省令でさらに細かくという対象にはなっていないわけでございますが、これは先生御承知のように、従来、医療の担い手の代表として医療行為を直接行い、その最終責任が帰属する医師、歯科医師というものを書いたわけでございますが、皆それぞれの職種に責任なり役割があったわけでございます。そこで、現在はだんだんとチーム医療と、こう言われているように、みんなの力でやるということから、医師、歯科医師だけでなくて、薬剤師、看護婦という方の重要性にも着目して、また従来から非常に多くの方が働いておられるということから、この名称をこの際条文に加えたということでございます。
 看護婦と医師の業務の役割分担等につきましては、従来どおり、保助看法の中におきましても、看護婦というのは療養上の世話と診療の補助をなすというところは変わっておりませんで、殊に療養上の世話というのが従来にも増してこれからの看護には期待される分野でございますし、ここは医者の診療権云々というところとやや独立して独自の考えでやれる分野が非常に多くなってきていると、こう思います。
 ただし、診療の補助の方は、これはあくまでも最終責任が医師に属しますので、危険な業務、さらには特定の医療機器の使用等は医師の監督指示のもとに行うということになっておりまして、この関係は従来とは変わらないことかと思います。
#205
○粟森喬君 法文に加えたという意味は、そんなに簡単に考えて、従来どおりの考えなら入れるべきではないです。患者の立場から見たって、ここに看護婦の担い手としての役割を明文化したのが全然わからないですよ、今の答弁だったらね。ただ単に技術的にというか何とはなしに入れたというだけでは私は済まされない問題だと思う。
 現実に患者なりに、今度の法の中でそこに加えられたら、今答弁の中でも具体的に診療の補助と言われましたが、診療の補助というのはどこまで、どういうふうにやっていただけるのか、どのぐらいのそのことについての見解を持てるのかということも、それは明文化されない中でも慣習化されていますが、もうちょっとここは突っ込んで具体的に考えるということがなかったら、単にそれは文章を入れただけだということになるんじゃないですか。このことについて大臣と政府委員のもう一度答弁をお願いしたいと思います。
#206
○国務大臣(山下徳夫君) これは医療の全く素人の私に大変難しい御質問でございますが、ただ、最近は精神何とか学という大学にも、簡単に言えば病は気からというような講座が既に医学部にも取り入れられているということは事実でございます。
 そこで、私も昨年入院しまして、医者はすいすいと廊下を通り過ぎていくが、看護婦さんがちょっと立ち寄って脈をはかってもらうだけでも非常に精神的な落ちつきがあるという、そういう総合的な意味から、西洋医学だけが医療ではないよという意味において、補助何といいますか、今、先生が言われた補助医療といいますか、そういう意味において看護婦の持つ役割は、医療という意味において非常に重要な役割であるということをここで再認識すると、私はそのように理解したいと思います。
#207
○政府委員(古市圭治君) 先ほどの私の御説明、言葉が足らなかったと思いますが、現在の保助看法に規定されていますように、「療養上の世話又は診療の補助をなす」と、こういうところは変わらないわけでございますが、現在の状況から看護に対する期待、その役割というのは非常に大きくなってきておりまして、従来は医者の診療の手助けというようなのが看護婦のイメージでございましたが、今、大臣が申しましたように、看護そのものの重要性というものが治療上も非常に大事であったと、こういう背景から薬剤師、看護婦さんというのが入ったということは、私はそのとおりだと思います。
#208
○粟森喬君 きょうはこの程度にしておきますが、改めてまた聞きます。というのは、この法案が上がるまでにちゃんとしておいてほしいと思う。従来と変わらないというのは、適当ではないというか、ちょっとおかしいんではないか、けしからぬというか。というのは、法文で入れたら担い手としての役割についてさらに政省令で何らかの改定を加えるべきというのは、これは当たり前のことじゃないかと思う。にもかかわらず、従来と違わないというのなら、これは私は重要な問題だと思いますから、また改めて機会がございますから、きょうはそれだけで時間をとっておるわけにまいりませんので、再検討して、次の段階ではこういうふうに次の展望として出すということを明確にしていただきたい、こういうふうに思います。
 次に、薬局といいますか、薬業と医業といいますか、このことについて少しお尋ねをしたい、こういうふうに思います。
 さっき保険局長の答弁もあったわけでございますが、日本の医療制度の中では医薬分業がきちんと確立しないことによっての弊害、これは私はプラスとマイナスがあったと思いますが、むしろあえてこの際弊害の部分を申し上げます。
 幾つかのところで医薬分業ができ得なかったために、医師の持つ持ち分、エリアみたいなものが何となく拡大してしまった。それからまた、所得なども含めてやたらに大きくなって見えるように結果的になってしまった。また、そこに一定の利益も生まれたのかもしれません。しかし、今の時代、私どもも関係者や医師の皆さんとも話をすると、どこかでここは踏ん切りをつけていかないと、医療をよくするというときにあるべき姿が本当の意味で見えてこないんではないか。
 例えば一つの例で申し上げますが、私どもが意見として申し上げたいのは、病院で薬局といいますか、薬剤部門の問題を経理としてもはっきり別にして、その辺のところからまずきちんとやることも含めて考えていかないと、何とはなしに医薬分業が混在化することによっていろんな問題が出てきているような気がするんです。このことに対しても今後の問題としてどう進める考えなのか。何となく現状の財政的な裏づけであるとか進め方というのはわかるんですが、もっと切り込もうという視点が本当の意味であるのかどうか、この辺のところについてお尋ねをしたい、こういうふうに思います。
#209
○政府委員(古市圭治君) 現在、病院の規模が大きくなるに従いましてそれぞれの経営内容というものを非常に分析する必要がございます。そういう観点から、診療部門と薬剤部門とを別会計というのは私どもちょっと承知しておりませんが、それぞれの部門別収支というものを明らかにして、その問題点をみんなで検討するということは行われているわけでございます。
 そういうことで、今後の病院の経営または病院の医療のレベルを上げていくためには、それぞれの分野の機能を明らかにするとともに、その緊密な連係体制をつくっていくということが重要かと思うわけでございます。
#210
○粟森喬君 業務行政としてこれはどういうふうにこれからしていくつもりなのですか。
#211
○政府委員(川崎幸雄君) 医薬分業につきましては、現在、院外処方せんの発行枚数が進捗状況をあらわしているというふうに考えますけれども、毎年六、七%の伸びを示しておりまして、これは外来投薬全体の一二%というふうに推定されまして、最近動きがやや顕著になってきているというふうに私ども受け取っております。
 厚生省といたしましては、医薬分業というものを推進するために、何といっても大事な医師会、歯科医師会、薬剤師会とか、あるいは地域住民等によります地域に合った医薬分業の方策といったものを協議していただきますような関係者間の医薬分業定着促進事業といったものを実施しております。そのほか、医薬分業を実施いたします場合の処方せんの受け入れ体制を整備していくために、医薬品の備蓄とか情報提供を行います医薬分業推進支援センターの設置を推進いたす。あるいは薬局薬剤師を確保いたしますために、未就業薬剤師の就業促進の事業を行う。さらには、薬局におきます患者サービスの向上を図るために、薬歴管理とか服薬指導の徹底を図るようなことを進めたいというふうに考えております。また、薬剤師の生涯教育の充実といったようなことで資質の向上も図ってまいるといったようなことを進めてまいっているところでございます。
 医薬分業を推進いたしますためには、国民の理解はもちろんのこと、関係者との信頼関係が極めて大切でございますので、今後ともこういった方々の御協力を得まして分業の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
#212
○粟森喬君 説明を聞いていて、本当にこれで進むのかどうか心配になりました。といいますのは、私は患者や国民の側にも一つの、これはさっきプラスとマイナスと言ったのは、私を含めて医者へ行ったら薬をくれるものだと思っているわけです。それは医薬分業ですよという社会のシステムにまだなってないから、どこかほかへ行ってカルテ書いたからもらってこいと言ったら二カ所も行かなきゃならぬから、そんな面倒くさいのは嫌だよと、こういうふうになる。
 しかし、本当に進めるとすれば、過去、関係者と言いましたが医師会と厚生省が大げんかして、それでそれこそ国民不在のストライキみたいな格好で休診ということまでやられたという、そういう歴史があって、何となくそれがもう前へ進めない何か一つの大きな問題点だなというのは私どもも漠然とわかるんですが、どこかで、効率的といいますか、という言葉がさっきも出てきたわけですね。ここは何とかしていかなければならない一つの大きなポイントだという認識があるとするならば、もうちょっとその辺のところについて、現状の中での行政の施策を含めまして、あるいは医療法改正に当たってのその辺の対応、まだ十分じゃないんじゃないか、こういうふうに思いますので、ここは厚生大臣、これからのあり方としてもどういうふうにプロセスを立てていかれるのか。これは今の局長の答弁ですと現状だけでございますから、それ以上のところは大臣に答弁をお願いいたします。
#213
○国務大臣(山下徳夫君) これまた私は素人でございますから後でまた政府委員が答えると思いますが、佐賀県はいい方で医薬分業は第一位でございまして、その点は私の県の誇るべきことでございますけれども。さっきお話があった、いろいろ二カ所行かなきゃならぬという不便性もありますが、それよりも患者と医者の信頼性、お医者さんがくれる薬が効くというような、そんな今までの習慣性もあったかもしれません。しかしながら、お話がございますように、医薬分業はもう既に進行中でありまして、いかにこれを高めるかということは大事な問題でございますから、私どもも十分心しながらこの推進に努めてまいらなきゃならぬと思っております。
#214
○粟森喬君 同僚議員からも何遍も御意見が出ているんですが、総合病院に精神内科をといいますか、こういう部門をちゃんとつくるべきだと。現代の医学の状況の中で、身体的な問題だけではなく、精神的な疾患というのは非常にふえている。これについて科目を政令でやるということとの関係もあるわけでございますが、今の状況の中でこの部分が必ずしも確立していかないというのは、私は今の診療報酬体系とも非常に関係すると思うんです。といいますのは、私の知った関係者の中でも何となくここは投薬で済ます世界じゃないと。アメリカの医学などを見ますと、ちゃんとそういうことを、ごく普通の人でも医師、アメリカの医学のシステムは多少違うんですが、日本の場合はこの部分は立ちおくれているというか問題があるというふうに私は思っているんですが、その辺の現状を含めまして、例えば設けるべきだということと、このことがやれる見通し、これについてお尋ねをしたいと思います。
#215
○政府委員(古市圭治君) 私ども、先生のお話の精神内科というのがちょっと理解が足りないかもしれませんが、いわゆる心療内科と、こう言われている分野とかなり似ているんではなかろうか。
 そういたしますと、外国で最近ストレス関係から非常に心療内科というものが脚光を浴びております。日本でも池見先生初め、長年御努力されてその分野が広がっている。これが現在の医療法におきましては診療科名に入っていないという御指摘もございます。その種のものがほかに、先ほど沓脱先生がおっしゃったアレルギー、リューマチ、糖尿病ございますが、そういうような問題につきましてはいわゆる専門の団体なり先生方に御意見を伺いまして、この医療法が通りました暁に、診療科名というものが現在の三十三をどのように広げていくか、統合すべきかという中で御意見をいただいて、それにこたえていきたいと思っております。
#216
○粟森喬君 次に、看護婦の配置基準等の問題で、今、いわゆる病院を見ても、需給関係で大変込んでいるところと、申し込んでもなかなか入院できないところと、一方ではいつでも入れるといいますか、過剰な病床になっているところと二つがございます。この中で、特に看護婦さんの確保が大変問題になって前回あの法律を通したわけでございますが、問題なのは、今病院について、厚生省なり診療報酬という側から相当いろんな意味で制約を加えている。これの是非論いろいろありますが、私はむしろ別の意味で、病床があっても看護婦の配置が本当に適切なのかどうかというと、確保率が現状でも一〇〇%じゃなく、病院によって大分違いますが、トータルすると七〇%の平均ではないかと思います。そうしますと、ここについて使用制限に何らかの罰則もつくってやるぐらいの決意でやらないと、足らないということが、何となくその部分を見逃してしまうというのは適切ではない、こういうふうに思いますが、このことについて今後どうするのか、答弁をいただきたいと思います。
#217
○政府委員(古市圭治君) 基本的には、医療法の要求しています施設基準等から見まして、先生の御意見のように運ぶべきものだと考えるわけでございます。しかし、この点につきましては、先ほど高桑先生からもお話がございましたように、とにかく努力をしても北海道等のやや離れたところでは得られないんじゃないかというような御事情もございました。したがいまして、現在の医療法の基準を欠いているという病院の中でも、努力しながら欠いているところもありましょうし、言ってみれば手を抜いていると申しましょうか、そういうところもあるわけでございます。
 そこで、一律にはなかなかまいらないと思いますが、私どもは現在の医療監視の中でそこは厳しく一応指摘をしておりまして、医療従事者が著しく不足している病院に対しましては具体的な改善計画を提出させまして、改善状況をさらに追跡調査するというところまでは一応やっております。しかし、その後医療従事者に見合った範囲でどうしてもできない場合には、入院患者の数を減らしなさいというところまでやっております。
 そういうことで、それがどこまで実効担保が上がったかというところまではちょっと手元に数字がございませんが、指導方針としてはそのようにやっている次第でございます。
#218
○粟森喬君 これまた論議をすれば、前回の法律とも関係をするわけでございますが、いわゆる経営の問題と、ここをあいまいにするというのが患者にとって非常によくないというふうに私は思います。
 今一部の厳しさの部分、私どもも関係者から余り厳し過ぎて困る。なぜかというふうに聞くと、そんなことしたら経営がやっていけないという話が出ちゃう。ですから、そういう問題点や矛盾を一方で厚生省が解決する努力なしで、単に陣容をつくってこれで制限するというだけでは、本当は問題は解決しないと私どもも思っています。ですから、そういう意味で、これからの問題としてぜひともこのあり方についてももうちょっと再整理をして、具体的にその救済策を政府全体としても考えるべき段階と確保というのを明確にしていただきたい、こういうふうに思います。
 次に、広告問題。
 これも何人の方も言われました。広告という言葉の出し方そのものが適切ではないし、それから、これまた論議をしますと、経営の問題とか事業としての医療ということに広告という言葉はある意味では結びついてしまっている。
 確かに、今情報化社会と言われている時代でございますから、それぞれの病院にどんな機能があって、どういう部分をちゃんと情報提供しなきゃならぬということは、当然必要なことだと思います。しかし、私がきょうまで調べた中で言うと、大体普通の患者といいますか、診療を受けたいという人は、大半がもう地域の自分の周りにある、自分が選択する病院を選ぶ。その情報もかなり断片的にはみんな持っているわけです。
 ここで言う情報というのはどういう格好でどう出すのか、それも公的にどうやるのか、こういうことがまず優先されるべきであって、広告という言葉については内部で検討されたということも、先ほどの答弁で聞いたわけですが、情報提供の仕方の問題をもうちょっときちんとしておかないと、法律論の中で広告の制限緩和という言葉だけでとらえられることに、この問題の発想の一つの問題点があるのではないか、こういうふうに私は思うわけでございますが、この辺についてどうか。
 それから、例えば広告ということになると、今広告というのは企業にとっては一つのシステムになっておるので、広告でうまくやれば収益も上がる。さらにそこがまた広告を繰り返す。
 一方、情報提供の仕方がうまくいかないとか、資金的にもそこに不安があるという場合は余りしない。こうなるとますます、事業経営の能力といいますか、その差異というのがかなり出てくるという結果にこれは結びつく。ですから、医療の水準なり技術というものと全く無関係にそういう部分がひとり歩きするという懸念をどう消していくのか、そういう懸念を私としても持つわけでございますが、その辺のところについてさらに見解をお尋ねしたい、こういうように思います。
#219
○政府委員(古市圭治君) ただいま御指摘のところは、私どもも今回の法律では、院内に表示する項目、それを義務化づけるということと、それから院外に広告できる事項と、二つに分かれていて、両方のお話かと思います。
 院内表示につきましては、病院の患者さんが入ってきたときに、受付付近、非常にわかりやすいところに次のようなことを掲げなさいというところで項目が列挙されてくるというようなことを想定しているわけでございます。
 それから、より問題が多いであろうという御指摘がございました院外の広告でございますが、これは広告できる事項というのは、ちょっと例示をいたしますと、その病院が予約制を持っている、往診をやる、訪問看護ができる、先ほど御指摘の院外の処方せんを発行する、さらには紹介制を持っている、透析の機器を持っている、さらにはいわゆる保険医療の三基準がどのようになっているか、さらに医療費の支払い方法としてはどういうものが可能か、こういうことが挙げられるわけでございますが、これがまた手段によっていわゆる患者を故意に誘うというようなことにならないように、この辺は項目とともに広告のあり方について、学識経験者団体、それからまた医療審議会の中で御指摘のような危惧がないようにひとつ御審議をいただきたいと思っております。
#220
○粟森喬君 回数なども含めまして、あるべき姿はかなりきっちりやっていかないと、医療に対して、さっき大臣の答弁でも知的産業という言葉を使われていましたが、ある種の事業化することに対して、国民とか患者というのは情報としては聞きたいけれども、余りその部分で事業化していくという企業としてのイメージが強くなることについての懸念が非常に強いところでございますから、ぜひともこの部分については配慮をお願いしたいと思います。
 あと残された質問もございますが、改めてまたやらせていただくことにして、これで終わります。
#221
○勝木健司君 我が国の医療の現状は、供給面について見てみますと、看護婦さん不足という大きな課題とか、あるいは医療施設の地域的偏在といった問題はあるわけでありますけれども、ベッド数とか病院の数とか医師とか歯科医師の数など、全国的に見ればそう諸外国と比較してみても遜色のない数字に達しておるんじゃないか。また、こういうことによって国民皆保険制度がより効果的なものとして国民にとって開かれておるというふうにも思います。
 しかしながら、今後は量的なサービスばかりではなく、質的な面についても充実を図っていくことが重要じゃないかということで、いつでも、どこでも、だれでも、最良の保健医療サービスが最小限の費用で受けられるようにするという医療体制の確立を目指していく必要があるというふうに思うわけであります。
 そこで、今回の改正案は、医療施設機能の体系化と有機的な連係を図っていこう、そして患者の病状に応じた医療供給体制の確保を図るという、その方向性については理解できるわけでありますけれども、全体的な医療供給体制のビジョンとか、あるいは特定機能病院とか、療養型病床群の役割と具体的な機能とか、あるいは広告規制の具体的な内容等について明らかにしていく必要があるんじゃないかというふうに思います。
 こういう考え方に立ちまして、幾つかお尋ねをしたいというふうに思います。
 まず、第一点でありますが、高齢社会を目前に控えて、医療制度各般にわたり見直しか今求められておるわけでありますけれども、これまでも医療制度については医療経済面ではさまざまな改革が進められてきたわけでありますが、医療供給面での改革については置き去りにされてきたという感がぬぐえません。
 そこで、ようやくここに医療法の改正案の審議が始まることについては率直に評価をいたすわけであります。しかし、昭和六十年の改正以来の大幅改正にもかかわらず、政府の言う制度改革の全体像がまだはっきりしておらないんじゃないかということで、今回の医療法改正案が衆議院においても二年間も継続審査ということになっていたのも、このあいまいさというのがあったんじゃないかというふうに承知をいたしておるわけであります。次第に明らかにされつつはあるわけでありますけれども、国民のレベルで医療は具体的にどうなるかが明らかでないために、国民は戸惑い、不安が募ってきておるんじゃないかというふうに思われます。
 そこで、今回の改正が厚生省、政府の言われておりますように、制度改革の第一弾であるということであれば、まず医療改革の全体像を明らかにして、本法案をどう位置づけをしていくのかということをまず明確にしておく必要があるんじゃないかというふうに思うわけでありますので、政府の目指しておる医療供給体制の改革とは、その全体像とは一体どういうものなのか、お伺いをしたいというふうに思います。
 また、厚生省が平成二年の一月に発表しております「二十一世紀をめざした今後の医療供給体制の在り方」と今回の改正案はどのような関係になっておるのかということもあわせてお伺いをしたいというふうに思います。
#222
○政府委員(古市圭治君) 厚生省では、国民医療に対する要望とその御期待に沿うためにいろいろ検討しました結果、六十二年に国民医療総合対策本部というところから中間報告を出させていただきました。その時点で国民医療の向かうべき方向というのを示したわけでございますが、その中からさらに医療法を中心とした分野に焦点を絞りまして、平成二年一月に「二十一世紀をめざした今後の医療供給体制の在り方」という項目を示させていただきました。
 今回提案させていただきました医療法は五月に提案したわけでございまして、もう二年ほど経過しておりますが、その線に沿いまして、そのときに関係団体の合意がほぼ得られまして、これで一応やれるという第一段階の項目を取りまとめて今回提案させていただいているわけでございます。
 そういう点から申しますと、「二十一世紀をめざした今後の医療供給体制の在り方」の中でお示しした、例えば家庭医機能及び通院医療の評価、それからまた病状に応じた入院サービスの提供、それから医業経営基盤の強化、サービスの質の向上、適切な医療情報の提供、在宅医療の推進、また健康・医療に対する国民の理解と自覚の高揚、こういうものがすべて入れられているわけじゃございませんで、一応その中の幾つかの項目が今回の法案の中に示された。また、そのほかの項目についてはさらに第三、第四の改正をしていきたい、こういうような立場になっているわけでございます。
#223
○勝木健司君 国民の不安は、今回の医療法改正の本当のねらいは何なのかということじゃないかというふうに思います。医療費の削減につながるのではないかとか、あるいはベッド数が削減されて老人の追い出しにつながるのではないかとか、さらには医療機関のそれぞれランクづけにつながっていくという、そういう懸念の声すら上がっておるわけであります。
 そもそも医療というのは、国民が病気になったときに、また弱い立場になったときに、必要となる、生活していく上での基本的なサービスの一つであると思うわけでありますので、したがって、その制度というものは国民に当然十分に理解されるものでなければならないわけでありまして、そういった意味では国民やあるいは患者の側に立って物事を考えていかなければいけないというふうに思うわけであります。今回の改正の真のねらいをはっきりと国民に示すべきじゃないかというふうに思うわけでありますので、ここでこの改正案によって、国民にとっては、患者にとってはどこがどのように具体的に第一弾として改善されていくのか、お伺いをしたいというふうに思います。
#224
○政府委員(古市圭治君) 今回の改正に、よりまして、患者が病状に応じた適切な医療機関で受診できますように、病院の機能分担を明確にしてその体系化を図るといったことが一つのポイントでございます。
 その改革の第一歩といたしまして、高度な医療を提供する特定機能病院というものと長期入院を要する患者にふさわしい医療を提供する療養型病床群というものを今回の改正で制度化したいと思っているわけでございます。
 具体的に、特定機能病院につきましては、紹介制を外来に導入することによりまして、地域の医療機関において真に高度の医療を必要と判断される患者がその病態にふさわしい高度の医療を提供する病院において優先的に受診できるような仕組みにしたい、また高度な医療が必要でなくなれば、特定機能病院との連係によりまして、紹介元の医療機関に通院して地域に密着したきめ細かい医療が受けられることができるようにと考えている次第でございます。
 また、療養型病床群につきましては、広い病室、リハビリテーションのための機能訓練室、院内での居住性を高めるための食堂、談話室等の構造設備、さらに身の回りの世話を行う看護補助者の配置を予定しているわけでございまして、長期間の療養を要する患者さんにふさわしい、いわゆるクオリティー・オブ・ライフに配慮した療養生活を送ることができるように考えているわけでございます。
 そのほか、広告事項の緩和によりまして、予約制や往診の有無など、これまでよりもより多くの医療情報を入手することができるよう、医療機関の選択の便がさらに高まるようにその規制緩和を図りたいと思っているわけでございます。
#225
○勝木健司君 今回の改正は、人口の高齢化とか、あるいは疾病構造の変化とか、国民の保健医療に対するニーズの多様化あるいは高度化、そういう医療を取り巻く環境の変化に対応するものであるとの説明を受けておるわけでありますけれども、まだその内容については不十分じゃないかということで、これについては衆議院においても引き続き医療供給体制改革について検討すべきとの修正がなされておるわけであります。
 医療制度については、国民生活にとっては非常に重要な意味を持つものでありますので、この第一弾、第二弾、第三弾の今後の医療供給体制の改革の方向とか見通しについても、この際、厚生大臣に明らかにしておいていただきたいというふうに思います。
#226
○政府委員(古市圭治君) 今回の改正が通りました後にも多くの問題が残されているというのは、先ほどちょっと「二十一世紀をめざした今後の医療供給体制の在り方」の中で項目も挙げさせていただいたわけでございます。
 また、この法案は衆議院におきましてもいろいろ御検討の結果、今、先生の御指摘のような修正もされましたし、また、参議院におきましてもいろいろ御議論をいただき、これからもいただくところでございます。そういうような項目につきましても、この改正案が通りました後さらに関係団体とも協議をいたしまして、早急にさらなる改正というものに向かって体制を整えてまいりたいと思っております。
#227
○勝木健司君 インフォームド・コンセントについて、非常に医療を提供される場で重要な意味を持っておりますので、お伺いをしたいというふうに思います。
 医療法の改正は、国民本位の医療の確立を目指すものでなくてはいけないというふうに思います。そのために、国民が納得できるような医療が提供されなければならないわけでありますが、しかし、現実には国民の医療に対する不信は年々高まってきておるんじゃないかというふうに思います。
 施設法的な性格の現在の医療法の中に医療提供理念の規定を盛り込むことは、国民本位の医療確立への方向に沿うものであるということで、歓迎できるものであります。またインフォームド・コンセントについても衆議院で修正が加えられており、基本的には評価をいたします。しかしながら、インフォームド・コンセントヘの政府の態度が極めて消極的ではないかというふうに心配をいたしておるわけであります。インフォームド・コンセントこそ今後患者が納得できる医療を受けていくことを保障する重要なポイントであるというふうに思います。
 そこで、今日国民の間に医師に対する不信があると思われるわけでありますけれども、厚生省はどのようにこの問題について認識をされておるのか、お伺いしたいというふうに思います。
#228
○政府委員(古市圭治君) 大部分の医療従事者、殊に医師につきましては、患者さんとその家族の間でよりよい人間関係、また信頼関係を築きながら診療行為が行われておる、またそのように努めているものだと思います。ただ、一部には必ずしもそのような良好関係ができずに、結果として医師と患者の間に不信関係が生じて、極端な場合には医療不信、医療過誤という事件も起こっている。こういうことはまことに残念なことでございます。
 厚生省といたしましては、患者やその家族との信頼関係に基づきまして、患者の持つ問題を全人的に正確に把握して、適切、親切な診療ができる医師を養成するというために、医師国家試験、また卒後研修等の中でも努力をしているところでございますが、今回の法律の提案に際しましてもその理念を書かせていただきまして、信頼関係に基づいて医療が行われるべきものであると、どのようにさせていただいた次第でございます。
#229
○勝木健司君 インフォームド・コンセントを医療の場で普及させることは非常に重要なことですので、今からでもできる範囲からやっていただきたいということで、医師の国家試験とかいうことが今ありましたので、具体的に医師の国家試験の問題において、また医師の臨床研修のカリキュラムの中でインフォームド・コンセントを普及することについてはどのように具体的に取り組んでいかれるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
#230
○政府委員(古市圭治君) 例示として、「医師国家試験出題基準」というものを年々改正してきているわけでございますが、その昭和六十四年版におきましては、項目の中項目の中で「医師と患者および家族との関係」、それからまた小項目では「対話と理解」、それから「医師患者関係の破綻」で何が起こるか、「ヘルシンキ宣言、ジュネーブ宣言」、そのようなものを出題基準の中にも挙げさせてもらっておりますし、また「説明義務と告知、承諾」という項目もつくっております。さらに、「卒後臨床研修目標」というものを平成元年の六月につくりまして各大学にも送っておりますが、その中で、「期待される医師像」、それから「臨床研修の意義」、それも書いております。この中にも項目として「インフォームド・コンセント」、「適切なコミュニケーション(患者への接し方)」、こういうものにつきましても具体的に触れて、そのような医師が育つように配慮をしていきたいと思っている次第でございます。
#231
○勝木健司君 このインフォームド・コンセントの普及に当たっては、国民への啓蒙も一方では図っていかなければいけないというふうに思うわけであります。そういった意味ではまだまだ国民の多くは従来の医療におけるパターナリズムにならされてしまっておるんじゃないかということで、医師と患者の信頼関係をより強く確立していくためには、患者側の権利意識も高めていくべきじゃないかというふうに思います。そういった意味で、今後厚生省としてインフォームド・コンセントの考え方をいかにして患者側、国民にも浸透させていくつもりなのか、お伺いをしたいというふうに思います。
#232
○政府委員(古市圭治君) 先ほど大臣からも御答弁がありましたように、私ども非常にこれは重要だと思っております。そういうことで、国会での御意見も踏まえまして、この医療法の改正が通りましたら早速に必要な検討会というものを置きまして、その中で御指摘の項目につきましても検討していただいて、どのような形で普及していくべきかということも御意見をいただきたいと思います。
 さらにつけ加えますならば、この問題は例の脳死及び臓器移植の分野でも厳しく要求されておりまして、この点につきましても法制的にも、この医療法では信頼関係というところにとまっておりますが、臓器移植法というときにはもっと厳しい正確な説明と同意というものが要求されてくることだと思います。
#233
○勝木健司君 今回の改正で、新たに今後の医療の提供はどうあるべきかという理念規定が設けられるわけでありますけれども、あくまでもこの理念規定は努力規定であって、守られない場合の罰則規定がないわけでありますので、今後医療の質を一層向上させていくためには、医療関係者に対しても理念の徹底を図っていかなければいけないというふうに思うわけであります。医療関係者に対する理念の徹底に対する厚生省の今後の決意についてお伺いをしたいというふうに思います。
#234
○政府委員(古市圭治君) 先ほど申しましたように、新たに医師に加わってくる若いドクターというものに対しては、先ほどの国家試験それから臨床研修があるわけでございますが、既に現実に診療に当たっておられる第一線の先生方というのは、私どもが法律に書いたとか、それからまた要求するという以前に、日々の診療の中でその必要性は十分理解されているはずでございます。
 また、日本医師会等とも連絡をして一緒にやっていくことになろうかと思いますが、会の方でも、説明と同意についてこの間医師会自身での報告書も取りまとめられて、全医療機関に配付をされたということでございます。このようなことで、今度法律に規定いたしました理念に基づいていい医療が適切に行われるように行政としても努めてまいりたいと思います。
#235
○勝木健司君 次に、特定機能病院についてお伺いをいたしたいと思います。
 特定機能病院とは一体どういう病院を言うのかということ、そしてまた、特定機能病院の承認基準についてもどうなっておるのかということで、法律の条文だけを見てみてもいま一つよくわかりませんので、特定機能病院の性格とか、あるいは承認を得るための基準について簡単に説明をいただきたいというふうに思います。
#236
○政府委員(古市圭治君) 特定機能病院の承認基準といたしまして法律に列挙されておりますのは、御承知のとおり、高度の医療を行う能力、それから高度の医療技術の開発及び評価を行う能力、それから高度の医療に関する研修を行う能力、さらには厚生省令で定める診療科名を有する、また厚生省令で定める病床数以上の収容施設を有する、また一定の人員及び施設を有する、こういうようなことが具体的な要件になっておりますが、さらに高度の医療及び医療技術というものはどういうものであるのかということにつきましては、具体的内容について審議会で御意見を聞いていきたいと思いますが、全国的な医療機関のレベルよりははるかに先進性を持っている、また総合性を持っている、実学性を持っている、こういう立場からいろいろ検討していただきたいと思っている次第でございます。
#237
○勝木健司君 特定機能病院は、高度の医療を必要とする患者に対して優先的に高度の医療を提供する病院として位置づけるということでありますけれども、よく言われております患者の大病院志向という現状の中で、どういった方式で高度の医療というのを必要な患者に優先させていこうと考えておられるのか、お伺いしたいというふうに思います。
#238
○政府委員(古市圭治君) 現在の日本の医療利用というものは全くのフリーアクセスでございますから、患者さんが自分の病状に合わせてどこに行こうかということで、程度によって選ばれているということでございます。しかし、結果的には、どんな人でも最悪の事態を想定しますので、大きな医療機関、専門医がたくさんいる医療機関の方に向かうという結果になるわけでございます。
 そういうことで、そこはフリーアクセスでございますが、そういうことの流れをもう少しきちっとしたいということで、まず第一義的には、近くのかかりつけのお医者さんのところで診ていただいて、その中から必要な方がそういう高度機能を持った医療機関に行くという制度にするならば、先ほどお話がありましたように、医療提供のシステム化と申しますか、効率化というものも図られてくるんではなかろうかと思うわけでございます。
 そういうことで、私どもは今回の法律が通りましたら、特定機能病院では、その中の外来というものは紹介機能がだんだん高まってくるという方向でひとつ医療の担当をしていただきたいというように期待しているわけでございます。
#239
○勝木健司君 この制度を目的どおりうまく機能させていくためには、病院の経営面を支えている診療報酬についても、その機能にふさわしい診療報酬を設定する必要があるんじゃないかというふうにも思われます。
 この場合、先ほどの紹介制度というものを定着させていく、そして病院の機能の体系化を進めていくためには、もちろん患者の負担とならない、また無理のない範囲で、紹介された患者の方と紹介を受けていない患者の方の初診料についても何か区別する必要があるのではないかとも思われますけれども、その辺についての考え方を聞いておきたいと思います。
#240
○政府委員(黒木武弘君) 今回創設されます特定機能病院にふさわしい診療報酬を検討の上つくりたいと思っておるわけでありますけれども、お尋ねの紹介患者と紹介のない患者の初診料の取り扱いについては、確かにいろんな意見があり得ると思っておりますけれども、同じ紹介制を導入するからといって、現行の紹介外来型病院のように、初診料について紹介がない場合には全額自己負担という形にすることにつきましては、再三御答弁いたしておりますように、特定機能病院が引き続き地域医療の役割機能を担当していただくという大切な機能を果たされるという点から見てかなり無理があるんではないかというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、中医協に御審議をいただきながら、特定機能病院の機能、特質を踏まえた適切な診療報酬への対応ということで取り組んでまいりたいと思うわけでございます。
#241
○勝木健司君 特定機能病院の制度の趣旨から考えますと、個々の地域の特性というものを踏まえて当然検討すべきことであるというふうに思いますが、一定率以上の紹介患者を受け入れることが必要になってくるんじゃないか。また、その承認に当たっても、運営上最低限必要とされる紹介患者の割合というものを定めていく必要があるんじゃないかというふうに思うわけでありますが、それについての考え方をお聞きしたいと思います。
#242
○政府委員(古市圭治君) これは非常に議論になったところでございますが、紹介率を一定の数字で決めるということはちょっと現実に合わないんじゃないかというところから、それぞれの医療機関の地域における役割、また現在行われておる紹介率の実績等から考えまして、しかし、特定機能病院になる以上は、そこの外来は特定機能病院らしい外来機能という方向に進んでいただくということがわかる程度の担保と申しましょうか、そういうものをひとつ御審議いただきたいと思うわけでございます。
 だから、これは単に数値と申しましょうか、一つのランク、幅になる場合もありましょうし、また、それが明らかに一年、二年たったら高まっていくと担保できる組織ができる一端的に申しますと、地域医療推進協議会という組織の中で審議されていくということもありましょう。そういうことがございますが、先生の御指摘のように、ある一定の紹介機能というものがその中で果たされるという、このような期待されたような役割を担うということが担保できるような方向で検討していただきたいと思っております。
#243
○勝木健司君 特定機能病院については、要件に該当すると思われる病院の多くが大学病院だというふうに言われておりますけれども、特定機能病院の実態を考えていく上で、大学病院についても文部省に対してお伺いをしたいというふうに思います。
 まず第一点は、大学病院では診療機能と研究教育機能というのがあるわけでありますが、診療機能については、その運営の財源として診療報酬が使用されますが、研究教育機能についても診療報酬が財源として使用されている部分があるのではないかと言われておるわけでありますが、診療機能と研究教育機能とを明確に分離して、そして研究教育機能に診療報酬が使用されることのないような大学病院の運営費を充実すべきであると私は思います。
 そこで、このような財源の今の現状についてと、そして今後どう取り組んでいかれるのか、文部省にお伺いしたいというふうに思います。
#244
○説明員(喜多祥旁君) 大学病院は、先生御指摘のとおり教育、研究施設でございます。ただ、病院でございますので、患者診療はほかの病院と同じように行っておるところでございます。
 大学病院におきましては、患者の診療の過程でございますとか、あるいはその結果を教育、研究に役立てておるというところでございまして、大学病院の教育、研究機能と診療機能を区分するということは極めて困難であるというふうに思っております。
 大学病院がほかの病院と同じように保険診療を行いました場合には、ほかの病院と同じように医療保険制度に基づきまして適正に診療報酬を請求し、所定の審査機関の審査を受けまして適正な報酬をいただいておるところでございまして、これには教育、研究にかかる経費というのは含まれていないというふうに理解をいたしておるところでございます。
#245
○勝木健司君 大学病院は経営の安定のために一般の外来患者を集めているのではないかとよく言われておるわけでありますが、そこで、大学病院で診療する患者のうち、実際に医学教育に必要とされる患者の割合はおよそどれくらいであると考えておられるのか、お伺いしたいというふうに思います。
#246
○説明員(喜多祥旁君) 医学生の臨床実習につきましては、その形態は、問診でございますとか、診察、検査から、あるいは手術、治療の介助、見学などさまざまでございまして、医学生一人当たりの患者数というのを算定することは困難でございます。
 ただ、医学教育に必要な患者の数につきましては、医学部を設置する場合に大学設置審議会が決めました審査基準要綱というのがございまして、それによりますと、附属病院における最低病床数、例えば入学定員百人の場合でございますが、百人であれば八百床というふうに決めておりまして、外来患者につきましても、再来患者を含めて病床数と同数以上という基準を決めておる。その基準に従って、それを目安として大学病院は患者を集めておるというふうに考えておるところでございます。
#247
○勝木健司君 大学病院はプライマリーケアを推進するためにも、医学教育を行っていく上で一般の外来患者の診療に携わることも当然必要だというふうに思います。
 そこで、医学教育上学生一人当たり最低どれくらいの一般外来の患者が必要であるというふうに考えられておるのか、お聞きをしたいというふうに思います。
#248
○説明員(喜多祥旁君) 先ほどお答えいたしましたように、学生一人当たり必要な患者数というのを算定することは困難でございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、医学部設置の場合の審査基準要綱、これによりますと、入学定員に応じたベッド数、そしてそれに応じた必要な患者数というのを決めておりまして、それを目安としてやっておるということでございます。
#249
○勝木健司君 医学教育の現場では、既に診断が行われて病名や病気の経過などがわかっている患者についても、その病名や経過などを知らせずに学生に診断させていることもあるやに聞いておるわけであります。このようなことを行っているということを考慮いたしますと、紹介患者が多くなったとしても医学教育にそれほど支障を生じさせることはないというふうに思うわけでありますが、文部省の見解を求めます。
#250
○説明員(喜多祥旁君) 大学病院におきまして学生の臨床実習を行う場合でございますけれども、患者の病名あるいは病気の経過等を教えるのが医学教育の基本であるというふうに考えておるところでございまして、先生御指摘のようなことはないというふうに信じておるところでございます。
 患者につきましては、大学病院は教育実習病院でございますので、学生がいろんな症例に接することが医学教育上極めて重要であるというふうに考えておるところでございまして、症例が減ったりあるいは症例が偏るということになれば医学教育上支障が生ずるおそれがあるということが大学関係者から指摘されておるところでございます。
#251
○勝木健司君 特定機能病院の制度の趣旨から考えますと、医学教育という面も配慮する必要はあるというふうに思うわけでありますが、大学病院においてもあるいは一定の紹介率を定めることが必要になってくるんじゃないかというふうに思います。
 そこで、大学病院の機能に応じた医療を提供していくためには、大学病院においても最低限必要な紹介率というものを設定することも可能じゃないかというふうに思われるわけでありますが、文部省にお聞きをしたいというふうに思います。
#252
○説明員(喜多祥旁君) 大学病院紹介外来につきましては現在も受け入れております。そして今後ともその受け入れにつきましては努力しなければならないというふうに思っておるところでございますが、受け入れております実態につきましては、地域により、大学により大きくその役割というのは異なっておるところでございまして、これを一律に定めるということはどうも実態に沿わないんじゃないかというふうに思っておるところでございます。
 また、実態よりも紹介患者の割合を多く定めるということをいたしますと、これによって症例が減少するあるいは偏るということになりますと、先ほど申し上げましたように、医学教育上支障が生ずるんじゃないかということが大学関係者から指摘をされておるところでございまして、紹介患者の受け入れのあり方につきましては厚生省令で定められることとなっておりますが、省令を定められるに当たりましては大学病院関係者の意見を十分踏まえられまして、地域の実情を考慮し、大学病院の教育、研究、診療に支障を来すことのないよう適切に定められることを期待し、かつ要望してまいりたいというふうに思っております。
#253
○勝木健司君 大学病院が地域医療に果たすべき役割の一つに救急医療の確保というのもあるんじゃないかというふうに考えます。そこで、大学病院における救急医療への取り組みの状況につきまして、一般患者に占める救急患者の割合も含めて、今後どう取り組んでいかれるのか、お伺いしたいというふうに思います。
#254
○説明員(喜多祥旁君) 近年、大学病院に対しましても、その高度な医療水準を生かして地域の救急医療に積極的に協力すべきであるという要請が高まっておるところでございます。また、大学病院にとりましても、救急医療体制の整備を図りますことは、医師養成に不可欠なプライマリーケアの臨床実習を行う上からも極めて重要なことであるというふうに考えておるところでございます。
 国立大学病院について申し上げますと、従来から院内体制の整備が進み、かつ地域の救急医療体制とネットワークを組むことができる大学病院に救急部を設置してまいったところでございまして、救急病院としての告示を受け、主に第三次救急を中心とした救急医療を担当しておりますとともに、プライマリーケアにかかわる教育研究の充実を図っているところでございます。
 平成二年度、国立大学病院で申し上げますと、救急患者数はおよそ十五万人でございまして、一割程度ではないかというふうに考えておるところでございます。
#255
○勝木健司君 医療施設機能の体系化を進めていくためには、地域医療の中で占める大学病院の役割も大きいんじゃないかというふうに思います。
 そこで、今後この特定機能病院制度というものを根づかせていくためには、どういうことに取り組んでいくつもりなのか、今現在の大学病院において地域医療における連係体制を整備している大学病院はどれくらいあるのかもあわせてお聞きをしたいというふうに思います。
#256
○説明員(喜多祥旁君) 現在、私ども承知しておりますところでは、弘前大学病院が定期的に医師会との連絡懇談会を開催しております。鳥取大学病院が定期的に懇談会、連絡協議会を開催いたしております。また、九州大学病院におきましては、医師会が主催するセミナーに教官が講師として参加しておるというふうな状況でございます。
 地域医療におきまして、大学病院とその他の医療施設との連係を図ることは極めて重要なことであるというふうに認識をいたしておるところでございまして、大学病院が地域の医師会との懇談会、連絡会に参加するなど、相互の連係を強化するための取り組みというのは極めて重要なことであり、今後とも推進すべきことであるというふうに思っておるところでございます。
#257
○勝木健司君 大学病院の設置状況を見てみますと、東京など大都市圏に過度に集中しておるんじゃないかというふうに思います。かつての目標でありました一県一医大制により各都道府県に最低一病院はあるわけでありますが、余りにも都市部に集中をしておるのじゃないかというふうに思います。
 そこで、文部省は、大学病院の地域のバランスを考えて、その適正配置はどう考えておられるのか、今後の考え方についてもお聞かせをいただきたいというふうに思います。
#258
○説明員(喜多祥旁君) 一県一医科大学ということで、すべてもう設置を終わっておりまして、今あるままでいって地域医療に貢献できる方策というのを考えてまいりたいというふうに思っております。
#259
○勝木健司君 もう時間になりましたので、最後に、医療法の第一条の第三項には、「国及び地方公共団体は、前条に規定する理念に基づき、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供すも体制が確保されるよう努めなければならない。」というふうに規定をされておるわけであります。
 そこで、ここで言う「適切な医療」を提供するという規定に基づきますと、無医地区の解消とかあるいは医療機関の地域偏在などの是正というのをぜひ実現していかなければいけないと思うわけでありますけれども、この問題の実態というのは現在どうなっておるのか、そしてこの問題に対してどういう取り組みに今後厚生省は力を入れていくのかお伺いをして、質問を終わりたいというふうに思います。
#260
○政府委員(古市圭治君) 地域医療の中での一番大きな問題というのが、一つは僻地医療の確保ということではないかと思っております。昭和四十一年に日本全国で二千九百二十カ所ありました無医地区が逐次減少しまして、平成元年には千八十八カ所と昭和四十一年の四割余りにはなってきたということでございます。
 医療機関のまた地域的偏在の是正につきましては、前回の医療法の改正によりまして制度化されました都道府県医療計画を策定して、さらに現在各都道府県で策定を進めております地域保健医療計画の中に僻地保健医療の確保を含めたきめ細かな各地域の保健医療供給体制め整備を盛り込み、その推進を図ることとしているわけでございます。今後とも僻地医療の確保、医療機関の地域的偏在の是正に努力してまいりたいと思います。
#261
○委員長(田渕勲二君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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