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1992/05/28 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第12号
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1992/05/28 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第12号

#1
第123回国会 厚生委員会 第12号
平成四年五月二十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     谷川 寛三君     藤井 孝男君
     木庭健太郎君     針生 雄吉君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田渕 勲二君
    理 事
                西田 吉宏君
                前島英三郎君
                竹村 泰子君
                高桑 栄松君
    委 員
                石井 道子君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                浜本 万三君
                針生 雄吉君
                沓脱タケ子君
                粟森  喬君
                勝木 健司君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  山下 徳夫君
   政府委員
       厚生大臣官房審
       議官       山口 剛彦君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       古市 圭治君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省薬務局長  川崎 幸雄君
       厚生省児童家庭
       局長       土井  豊君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
   説明員
       文部省高等教育
       局医学教育課長  喜多 祥旁君
       農林水産省農蚕
       園芸局畑作振興
       課長       鈴木 信毅君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○医療法の一部を改正する法律案(第百十八回国
 会内閣提出、第百二十三回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 昨日、木庭健太郎君及び谷川寛三君が委員を辞任され、その補欠として針生雄吉君及び藤井孝男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(田渕勲二君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 医療法の一部を改正する法律案の審査のため、来る六月二日に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認めます。
 その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(田渕勲二君) 医療法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○日下部禧代子君 現在、日本は経済的には世界的に最も豊かな国だというふうに言われております。また、平均寿今も世界のトップクラスに属しております。しかしながら、国民の大多数は、自分が、あるいは家族の一人が病気になったらどうしようというふうに、現在の医療サービスに対して大きな不安と不満を持っていることも事実ではないかというふうに思います。
 例えば、よく言われておりますが、三時間待って三分医療ということにも現状の医療サービスの問題点というものが象徴的にあらわされているのではないかというふうに思います。したがって、病院に行くときに備えて体づくりに励むなんというふうな笑い話さえ私どもの間では、一般の人々の間では言われているぐらいでございます。
 また、病気ということもいわゆる臓器別、器官別というふうなミクロな医療行為ということに非常に集中して、人間というものが見られていない。人間の一人一人の個別性というものが認められていない。あるいは人間一人をトータルに見る、つまり人間的な連続性でとらえていないというふうな問題点もございます。例えば、検査検査ということでございまして、お医者さんが検査票を見ながら、つまり数字を見ながら、患者の顔は見ないでいろいろな診断をするというふうな、そういうことも我々が患者になった場合には経験することでございます。
 また、入院といった場合にも、体だけではなく心もやっぱり病人というのは病むわけでございます。そういう中で必要とされるプライバシー、そういった問題も、例えば個室というものを望めば差額ということでお金が取られる。また、完全看護と言われておりますけれども、実際には付き添いが必要であるというふうに、これでもお金がかかる。つまり、患者としてのクオリティー・オブ・ライフということを望めば望むほどお金がかかるということがございます。
 そして、さらにまた看護する方々、看護婦さんのクオリティー・オブ・ライフということも保障されているとは言いがたいというふうに思います。
 こういうことは、医療サービスを提供する立場にいらっしゃるお医者さんあるいは医学者といった方々も、一たん患者になられますと、今まで御自分が見なれていた風景というものががらっと変わってしまうという、そういう御経験をよくなさっているということを手記や御本などで私たちは拝見するわけでございます。
 まさに医療というのは、その社会の、その国の文化あるいはその国の豊かさというものを示すものではないか、指標ではないかというふうに私は考えるわけでございますが、厚生大臣、日本の医療制度の根本問題というものは一体何だというふうにとらえていらっしゃいますでしょうか。そして、今回の医療法改正におきまして、それがどのように解決されるのでございましょうか。まず、その点を大臣にお尋ねしたいと思います。
#8
○国務大臣(山下徳夫君) 御案内のとおり、医療制度は今日までしばしばあらゆる面で改革されてきたのであります。それは医療が日進月歩するからでありまして、時々に医療というものは変わってまいります。したがって、それに適応して医療のあり方も変わっていかなきゃならぬことは私ども当然であろうと思っております。
 今日までのこういった医療の行われ方を見まするというと、日本の医療は、理想的なことを言いますと切りがございませんけれども、大体今日までの医療の改革、進展に伴って、医療の治すという体制もそれに準じて適宜、まさに順調に、あるいは合理的に行われてきたと私は思っております。
 さはさりながら、まだ未解決の病気はたくさんございます。さらに、エイズを初めとして特にがん、そんなものがいろいろ残っておりますので、これらに対しましては、これは一挙に百八十度の転換ということはできませんが、病状というものを見ながら、あるいはまたこれに対する医学界の対応の進捗等を見ながら、あるいはこれに対して適宜改革が今後ともなされるのは当然だと思います。また、おとといも話が出ておりました精神内科といいましたか、病は気からという話が出ておりました池見さんという九大の教授は、私はあの人は旧制高等学校の時代から知っておりますが、その当時から私の家に毎日みたいに来て、私も病気しておったんですが、非常に精神的に私にいろいろと訓話を、まるで医者じゃなくて宗教家みたいに話してくれておりましたが、今日、九大の名誉教授としてなお医療の分野において精神で治すということは大切なんだということを言っておられる。特にがんとかエイズとか不治の病がだんだん出てまいりますと、不治の病と言ったら語弊がありますが、出てまいりますと、その辺精神的にその人たちに親切に指導をしてやるというような、そういう医療のあり方も、医療の進展に伴ってもっと厚く総合的に広くやっていかなきゃならぬ、そんな気がいたします。
#9
○日下部禧代子君 次に、医療供給体制の長期ビジョンについてお伺いいたします。
 今回の医療法改正というのは、政令とか省令にゆだねた部分が多いというので、改正の全体的なビジョンが見えないというふうによく言われております。これからの高齢化社会に私たちはまさに直面しておりますが、高齢化社会を控えた二十一世紀の医療供給体制整備に向けた政府の方針、そして理念というものがどういうものなのか、そして今回の医療法改正というものは、その理念における位置づけというものはどうなるのかという点についてお尋ねいたします。
#10
○政府委員(古市圭治君) ただいま大臣からも御説明がございましたように、我が国の医療につきましては、ほぼ量的な問題というのは先進国と比肩するレベルまで来たと言われておりますが、ただ、御指摘がございましたように、その内容の質についてはまだまだ改善すべき点が多いと言われております。
 それからまた、量だけでなくて、全国的な配置の問題から、いわゆる都会と僻地というところでかなりの大きな格差があるということも事実でございます。こういうことを是正していかなかったらいけないということでございますが、先生御指摘の理念につきましては、今回提出させていただきました医療法の改正の中でも初めて理念規定というものを書かせていただきました。そういう医療法改正を一つの契機といたしまして、さらに医療施設機能の体系化、質の向上を図ってまいりたいと思うわけでございます。
 残された課題もたくさんございますが、今回の改正だけにとどまらず、関係者の合意が調ったところから早急に第三弾、四弾の改正をしてまいりたいと思っているわけでございます。
#11
○日下部禧代子君 医療供給体制の整備というのは、医療法だけではなくて、医療保険制度というものも大きな役割を担っているというふうに思います。
 先日行われました診療報酬の改定におきましてさまざまな改定がなされましたけれども、今回の医療法の改正とどのような関係があるのか、同一の方向性を持っているのか。では、同一の方向で行われるとするのであれば、医療法改正の趣旨というのは診療報酬改定にどのように反映されるのでございましょうか。
#12
○政府委員(黒木武弘君) 診療報酬についてのお尋ねでございます。
 私どもも医療供給体制と相まって、診療報酬の面でも質と申しますか、良質な医療が効率的に提供されるような共通の理念を追い求めたつもりでございます。
 先ほど先生いろいろお挙げになりましたように、三時間待つとか、検査検査だとか、あるいは患者のプライバシーの面からの個室化とかいろんな問題をたくさん抱えているというのは承知いたしておるわけでありますけれども、医療供給体制の整備と相まちまして、私ども診療報酬でもこういった面を促進していく必要があるだろうと認識をいたしておるわけでございます。
 今回の改正は、いろんな施設の類型、分化が行われますが、そういうものを先取りして改正するというわけにはまいりません。これは成立後に所要の診療報酬の改正を行う必要があると思っておりますけれども、そういう共通の理念を実現したいということで今回の改正をいたしたつもりでございます。したがいまして、いろいろ機能、役割を重視した改正とか、あるいは医療機関相互の連係の強化とか、医療サービスの質に応じた評価というようなことで、お医者さんの配置に応じて、あるいは看護婦さんの配置に応じて診療報酬にめり張りをつけるとかいったような総合的な形の中で医療の質を上げる、あるいは先生のお言葉からいえば患者さんのクオリティー・オブ・ライフの質をできるだけ上げたいということで改正を志したつもりでございます。
#13
○日下部禧代子君 今回の改正におきましては、いわゆる機能の分担ということでございまして、二つの、慢性の特定機能病院とそれから療養型病床群というふうに分けられたわけでございますが、医療の将来というものを展望していきますと、このまま機能分担が進みますと医療機関の縦割りというものがどんどん進んでいく、それはとりもなおさず患者、つまり利用者側にとりましては、一体自分がどれを選択すればいいのかというふうな不安というものを感じる原因にもなりかねないというふうに思うわけでございます。特に高齢者の場合におきますと、老人保健施設、特別養護老人ホームなどという非常に医療機関と類似した福祉施設がございます。また特例許可老人病院という医療機関もございます。こういった場合に自分は一体どこに入院、あるいはどこに入所するのが一番いいのかというふうなことも非常にわかりにくいわけでございます。
 これまでもさまざまな福祉サービスというものが日本にはございますが、その福祉サービスが、メニューはあるけれども利用されている割合というのは結構少ないものがかなりあるということの現実も皆様方御承知のとおりだと思います。これは利用する側にとって、どこに何があるのか、一体自分はどれが一番適しているのかという、そういうことの判断が非常に難しいということも余り利用されていないということの理由になるのではないかなというふうに思うわけでございます。
 したがいまして、そういうことを排除するためにも、福祉事務所などが入所措置を行う際などに、例えば振り分けと申しましょうか、どこがどういうふうにあなたには適しているかというふうなことを、これは医療と福祉ということを別々ではなく総合的に判断し情報を提供する仕組みというものがこれからますます必要になってくるのではないかと思うわけでございますが、その点につきましてどのような具体的な御計画がおありなのか、その点をお尋ねしたいと思います。
#14
○政府委員(岡光序治君) 福祉事務所におきまして特別養護老人ホームなどへの入所の判定をするわけでございますが、その際には高齢者の心身の状況を把握して、それでどの程度の介護が必要なのかとかどういう施設を利用した方がいいのかとか、そういうことを総合的に判断するわけでございます。その判断の過程の中では、その心身の状況に応じまして入院加療を必要とすると、こういうケースもあるわけでございまして、そのようなケースにつきましてはその旨を判定した結果を本人に伝達するというやり方をしております。老人保健施設への入所判定に際しましても、同じように医師、看護婦、相談指導員などが協議をして判定するわけでございますが、病状が重い場合には適当な病院とか診療所を紹介する、こういう仕組みにしておるわけでございます。
 いずれにしましても、住民にとって一番身近な市町村にいろいろと相談をするわけでございまして、市町村におきましては保健、医療、福祉各分野の関係者から成るサービス調整チームがあるわけでございまして、そこにおきましてどのような処遇を行ったらいいのかということを総合判断するわけでございまして、このサービス調整チームにおいて御指摘がございましたような振り分け機能というものを果たしておるというふうに私どもは考えているわけでございます。
 また、どのようなサービスメニューがあるのかということにつきましては、住民サイドに広報などを通じましていろいろと情報の提供をいたしていきたいというふうに考えておりますが、各都道府県に設置をしております高齢者総合相談センター、いわゆるシルバー一一〇番、こういったところにおきましても高齢者の相談に応じてその心身の状況にふさわしい施設の紹介ということをしようではないかということで、ここへ情報を集めて、そして適切な情報を提供する、このような体制を整えているところでございますし、また各関係機関との連係をより深くしていきたいということで現在その内容を厚くするように努めているところでございます。
#15
○日下部禧代子君 これはこれからも非常に重要なことになっていくのではないかというふうに思うわけでございます。サービスを利用する側にとりまして、本当に自分がどこの病院あるいはどこの施設に行けばいいのかということ、それによってその方の運命も変わってしまうかもわからない。
 私の友人なんかでも、外国に長かった方なものですから、日本に帰ってきてよくそれがわからずに自分のお父様を、完全看護であって大変に手厚い介護と治療ができるというふうなったい文句があって、そしてまた入院する場合にはお迎えに行きますというふうなことまで書いてあるということで、ある病院にお父様を入院させたところ、そこでは入院してもまずお医者様の診断もなくて、そこで非常に素人ながらこれはおかしいということで、お父様の病状がどんどん進んでしまって、そして病院に連れていきましたところ、肺炎の手おくれだということでお父様を亡くしたという方の実例なども私知っております。
 そうなりますと、どこに行くかということによって本当に自分の命まで失われてしまう結果にもなりかねない。そういうことを考えますと、もっともっと患者の側に立つ、あるいは国民、住民の一人一人の立場に立った形でさまざまなサービス、情報を提供する、そういうふうな仕組みをきちっとしていただきたいということを要望しておきます。
 次に、今入院する場合を申し上げましたけれども、今度は退院する場合、これも非常に大きな問題があると思うわけでございます。例えば病院でございますが、退院した後一体どのような形で患者あるいはその方の生活というものがきちんと青写真がつくられるのかということも非常にこれは大きなことだというふうに思います。つまり、ただ単に病院側が病院側の都合で退院結構でございますよということではなくて、退院後の受け入れ体制というものが地域できちっと整えられる、その一人一人に合った青写真ができて初めてその方の病気も本当に治るということになると思うんですが、その点についてまだ日本ではきちんとしたシステム化がなされていないというふうに思うわけでございます。
 つまり、退院後の継続的な観察あるいはまた保健医療サービスが必要な方は、退院直前に病院が市町村なりに通報して、市町村は例えば専門家を病院に派遣して退院後の必要なサービスは何かということをそこで総合的に判断する、そして各機関と連係をとって一人一人についての青写真をつくっていくというふうな、そういうシステムをモデル事業という形で実施するということはできないわけでございましょうか。これはまた来年度から老人保健福祉計画というものが、市町村にこの策定というものが必要とされているわけでございますが、その生きた実例にもなるのではないかというふうに思うわけですが、この点についてお考えをお聞きしたいと思います。
#16
○政府委員(古市圭治君) 我が国におきましても、患者が入院する場合に、地域の病院あるいは診療所にかかってきた人が入院されるときには一応紹介状というものがあって入院されるのが普通でございますし、退院するときにその医療機関から家に帰りなさいよとぽっと帰す例はないわけでございまして、その後継続医療が必要な場合には、いわゆる外来に通院しなさい、近くのお医者さんにかかりなさい、あるいは特別養護老人ホームあるいは老健施設なり適切な通過型の施設に紹介して、そこから家に帰る、こういうことが実態であろうかと思います。
 しかし、御指摘のように、その間の医療機関の連係が、患者並びにその家族を中心として十分不安にこたえるだけの説明がなされ、医療が確保できる体制ができているかどうかということで、そこをもっと手厚くする必要があるんじゃなかろうか、こういう御指摘かと思います。そのために、私どもはその間の連絡協調が十分できますように、一つは、現在行われていることでございますが、地域医療計画の中で二次医療圏の機能の一環としまして地域保健医療協議会というものが地域にございます。その中で、殊に継続的な医療をするということから、地域医療連係室というものを設置して、その患者さんの継続的医療が確保できる体制をひとつ検討してくださいということでモデル事業を実施してきているわけでございます。先生御指摘のように、これは平成二年に二十万所から始めまして平成四年は三十カ所でやっておりますが、この事業の成果等を全国の医療機関に通知するなり行政体に通知するなり、そういう努力をしてまいりたいと思います。
#17
○日下部禧代子君 今お答えになりましたようなことがきちんとスムーズに確実に行われていればいわゆる社会的入院ということもなくなるというふうに思うわけですが、依然として日本には社会的入院あるいは老人病院のたらい回しということが現実に私どもの身近で起きているわけであります。今おっしゃいましたようなことがきちんとシステム化されていない、情報も足りない、そういうようなところから今私が申し上げましたようなことが起きてくるわけでございます。
 したがいまして、そういうことが理想的であるということはわかりますけれども、もう少しこれを具体的に一つ一つシステム化していく努力というものをこれからやっていただきたい。そのためには医療法の改正ということもまた必要かもわかりません。あるいは老人保健法の改正ということも必要かもわかりません。そういうことを恐れずに、入院のときの不安それから退院後の不安、つまり退院してその受け皿がなければこれはもう本人、家族のさまざまな問題というものも重なっていくわけでございますし、また再入院、再入所ということにもなる。そのことはいわゆる社会的経費をどんどんふやしていくということにもつながるわけでございます。ですから、アフターケア、フォローアップシステムというものをきちんと確立することこそこれは社会的経費を軽減するということにつながるという、そういった観点からもぜひとも積極的に進めていただきたいというふうに要望しておきます。
 次に、インフォームド・コンセントについてお伺いしたいと思います。
 医療法の基本的な性格というものを大臣は「医療は人と施設、そしてそれにふさわしい理念といった要素の上に成り立っている」というふうに四月十七日の衆議院の厚生委員会におきましてお答えになっていらっしゃいます。つまり、医師と患者の信頼関係に基づくものが医療の根本であるといたしますと、その医師と患者の信頼関係を形成するものというのはインフォームド・コンセント、つまり説明と同意と言われている原則ではないかというふうに思うわけでございますが、それを検討課題ではなく医療提供の理念として明確に位置づけることこそ私は必要なことだと思うわけでございますが、その明確に位置づけることに対してどのような不都合とか差しさわりがあるのでございましょうか。これは大臣にお尋ねいたします。
#18
○国務大臣(山下徳夫君) このインフォームド・コンセントの意図するところは、方向としては今おっしゃるとおりだと思います。ただ、このことをどのような形で法律の言葉にするかという点はまた別問題でございまして、今十分議論が煮詰まっていない段階だと私は認識をいたしております。
 衆議院で検討せよという修正もございましたし、私としても早急に検討会を設けるなど、これは真剣に取り組んでいかなければならないことでございますが、今申し上げましたように、まだ内部において十分議論が煮詰まっていないという段階であろうかと思います。
#19
○日下部禧代子君 そのなかなか煮詰まらない原因がどのようなところにございますか。
#20
○政府委員(古市圭治君) これは御承知のように衆議院の方でもいろいろ御議論がございまして、さらに地方公聴会が名古屋と秋田で行われまして、そこでもいろいろ御議論がありました。その結果を踏まえて、衆議院における修正と申しますか、その言葉の中に、法文の中に入れるというのは、まだ関係者の意見と申しますか、それからまた、これを法文に入れたときにその理念規定を入れたという趣旨にのっとって我が国における医療の現場で説明と同意ということが正しく進んでいくかどうかということを考えた場合に、まだもう少し法律事項という前に議論して合意形成を図るという必要があるんではなかろうかということになったと私ども思いまして、その結果がこの「検討」ということで、「政府は、医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係をより促進するため、医療の担い手が、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう配慮することに関し検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と、こういうようなことになったと理解しておりまして、そういうような幾つかの懸念というものにつきまして、専門団体、関係者の御意見を聞いて、必要ならば検討会も設けて早急に詰めていきたい、このように考えているわけでございます。
#21
○日下部禧代子君 公聴会というふうにおっしゃいましたが、例えば衆議院の公聴会などでも、医師会を代表する方々はインフォームド・コンセントの原則は当然のことであるというふうに、支持されているというふうに私は承っております。これは医師の倫理として必要なのであって、法にこれを盛り込むということについてはまだまだ医療の現場になじまないというふうに表現されてはおります。しかし、日本医師会の生命倫理懇談会では一九九〇年の一月に「「説明と同意」についての報告」を取りまとめていらっしゃいます。そこでは、「「説明と同意」は、医師と患者の信頼関係を再構築するひとつの契機」というふうにまでおっしゃっております。
 もしこのインフォームド・コンセントが法律に定められますと、例えば医療事故が発生した場合にはその規定を根拠にペナルティーを受けるということ、そういうことを恐れていらっしゃるのでございましょうか。その点、厚生省はどのように受けとめていらっしゃいますか。
#22
○政府委員(古市圭治君) その議論がなされましたのは理念規定でございますから、この中に言葉が入ったからといって直ちに法律違反になるということではないということは関係者及び皆様承知の上で議論をされたわけでございますが、まだ法律の中に言葉を入れるにしてはこれに対する考え方というのは非常に大きな幅がある、もう少し日本の中でどういう手順で進めていくべきかということについて議論を詰めて、その結果をまた必要ならば法的にも反映させるべきだと、このようなことでございました。
 先生御指摘でございまして、具体例でお答えするのがいいかどうかわかりませんが、端的に言いますと、説明と同意という言葉が法律の中に入ったといたしますと、それに対してどこまでの説明ということが必要なのか。これはもっと具体的に申しますと、がんの場合に日本ではその説明をどうすればいいんだという話が起こりますし、また、同意という言葉になった場合に、納得したということと同意したということとどう違うのだという議論も起こります。そういうようなことがございまして、さらにはアメリカ等で行われていますように、治療方法が三つ、四つ、五つあった場合に、それを全部言ってどれにいたしますかというような方法でいくのか、それとも、いや、もうこれがいいとお医者さんが思ったらその範囲内の説明にとどめておくのかと、いろいろ議論すべき点があるということで、もう少し専門的に議論をして、それからまた法律の中の言葉というのは検討しよう、このような審議経過であったと思います。
#23
○日下部禧代子君 そのあたりの判断というのは、医学的な問題、医療上の問題というのはお医者様の方に任せるというふうなことも考えられるのではないか。例えばペナルティーにならないとすれば、厚生省としてはもう少しこのインフォームド・コンセントの法定化のために関係の団体というものを説得する、あるいは医療提供の理念に加えるように再修正というものをすべきではないかというふうに重ねてお尋ねいたします。
#24
○政府委員(古市圭治君) 先ほど申しました地方公聴会におきましても、たしか八人だったですか十人だったですからょっと忘れましたが、その多くの方の意見の中に、もうぜひこの機会にそれを入れるべきだという御意見をおっしゃった方もおられました。しかし、そういう御意見を総合的に聞きまして、衆議院の修正の中ではこのような状況になっているということでございます。
 そこで、先生は、しかしこの際にこの中へ書くべきだということでございますが、私どもはそういうような議論の経緯を見まして、これはもうしばらくの間慎重な合意形成を図って、それを反映して法律の方にも持ってくるということが我が国の医療を進める上では妥当な方策ではなかろうかと、このように思っているわけでございますので、この改正法案が通りましたら早速にでも必要な検討会というものを開かせていただいて、この議論を詰めてまいりたいと思っているわけでございます。
#25
○日下部禧代子君 厚生省としては、インフォームド・コンセントというものを法定化していきた一いという方向でいらっしゃるということに承ってよろしゅうございますか。
#26
○政府委員(古市圭治君) 法定化するのが妥当かどうかということも含めて、またその時期がいつであるかということも含めて、その検討会の中ではいろいろ御議論をいただくことになろうかと思います。
 もっと端的に申しますと、どういう手順で、これは私のちょっと今の段階の個人的な考えで恐縮でございますが、もうインフォームド・コンセントと言われる中には、医療の範囲非常に広うございまして、例えば風邪っ引きとか腹痛とかいうときの医療もある程度の説明と同意が必要でございましょうし、また一方、非常に極端な場合には、臓器移植のときにどこまで説明し、どこまで同意を得るかといった徹底した説明と、それから同意は書面で本人及び直接の二親等以内の家族からとると、こういう議論になるわけです。
 そうしますと、医療行為全体の中でも、この説明と同意というのは一律に全部を含めて入れるというんじゃなくて、状況に応じてやっていく手順というのはあるんじゃなかろうか。そういうことも御議論いただいて、例えば法律と、こうなりますと、臓器移植法というのが議論されるときには、もう法律の中で説明と合意というものが今の時期でもやらにゃいけないことだと、こう議論されると思います。しかし、全体の医療法という大きな法律の中でどう書くのかということになると、これはやはり慎重な御議論をいただいた上でと、こういうことになろうかと思います。
#27
○日下部禧代子君 今我々が問題にしているのはその基本的な理念ということでございますから、今おっしゃいました具体的なことというのは、そこまでここの中に法定化するということではなくて、理念としてということですから、今お答えになりましたのとちょっと私どもが申し上げているのと違うような気がするんですけれども、いかがでございましょうか。
#28
○政府委員(古市圭治君) 理念の中での御議論ということでございますが、これは先ほど申しましたように、書いた場合に、法律に書きます以上はその説明というので、どこまでの説明というものをその法律では考えているのだ、それから同意というのはどこまでの範囲内の同意というものが期待されているんだということで、必ずしも現在定義が関係者の間でも決まっていないという状況の中で、法律の中にこの言葉を使っていくというのはちょっとまだ無理があるというようなことでございます。
 それからまた一方、そういう状況の中で、この言葉が書かれましたときに、アメリカ等でも言われておりますように、それを避けるためにあらゆることを説明し、また想定されるあらゆる疾患を想定して検査をしていく、俗に防衛医療と、こう言われておりますけれども、そういうことが起こってしまうという危険もあるわけでございます。
 それからまた、我が国の医療慣行、医療の伝統から見まして、欧米のように何でも告知して説明をし切って、さああなたどうしますかと、こういうようなことにはなじまない。従来からお医者さん任せという中で、お医者さんがまた患者及び家族の身にのっとって、この人にはどういうような説明がいいのかというところでやってきたということもあるわけでございます。その辺をどのように整理していけばいいかという御議論が必要なのではなかろうかと思っているわけでございます。
#29
○日下部禧代子君 この問題をやっておりますと全部私の持ち時間になってしまいそうでございますので、あとの追及は同僚議員にバトンタッチしていただくということにいたしまして、医療提供の理念にぜひともこのインフォームド・コンセントというものを参議院で再修正して加えるということを私としては希望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、保険局にお伺いいたします。
 医療の現場にこのインフォームド・コンセントを取り入れた場合に、診療報酬上の評価というものは現状ではどうなっているのでしょうか。また、将来どのようになるのでございましょうか。
#30
○政府委員(黒木武弘君) インフォームド・コンセントに関する診療報酬上のお尋ねでございますが、インフォームド・コンセントの制度化自体まだまだ議論を要するということでございまして、非常にお答えが難しい点でございます。しかし、現実問題として、私どもは、医療と、いうのは本来医師と患者の信頼関係の上に成り立つものでありまして、そういう意味においては、日々患者に対する説明あるいは十分な説明が通常の診療活動の中で行われる、そういうものに私どもの診療報酬の中でも留意していく必要があるというのは認識をいたしておるわけでございます。
 現行診療報酬上どうなっているかということでございますけれども、通常の医療の中で当然個々の医療あるいは行為に付随して説明は行われているだろうということから見ますと、私どもとしては、初診料とか再診料などの所定の点数の中にそういう説明料と申しますか、説明に要する部分も包括的に評価されているというふうに考えているわけでございます。
 しかしながら、個々のを今後どうするかということでございますが、個々の医療行為に付随します説明を説明料といったような形で評価あるいは点数化できるかというのは非常に技術的には難しいわけでございまして、あらゆる行為に説明が伴うと、それを一々取り出して説明料という形で点数をつけることが技術的に可能かどうか、難しい問題を持っていると思っております。今後、インフォームド・コンセントにつきまして、その具体的な取り扱いなり、あるいは定義なり、あるいは幅広い意味での合意形成の状況を見ながら、インフォームド・コンセントに関します評価をどういうふうに診察料等の中で取り上げていくかということは、真剣に今後の状況を見ながら検討させていただきたいと思うわけでございます。
#31
○日下部禧代子君 次に、業務局にお尋ねしたいと思います。
 新薬、いわゆる医薬品の承認に際しましての臨床試験、GCPにおきましては既にインフォームド・コンセントというものは導入されているというふうに思いますけれども、思いますけれどもと私申し上げましたが、導入されておりますでしょうか、確認します。
#32
○政府委員(川崎幸雄君) 今お話ございましたように、平成二年に医薬品の臨床試験の実施に関する基準、いわゆるGCPというものを実施いたしまして、これに基づきまして臨床試験の適切な実施について指導をしておりますが、このGCPにおきましては、被験者、治験の対象になる方から治験への参加につきまして自由意思による同意を得るということにいたしております。
#33
○日下部禧代子君 日本における新薬の開発段階などにおきまして患者に対する説明と同意というものはどのように行われているわけでございましょうか。今までの、今おっしゃいましたようなGCPを実行なさる上におきまして何か問題は生じたことがございますでしょうか。
#34
○政府委員(川崎幸雄君) ただいま御説明申し上げましたように、GCPにも定めておりますように、治験への参加につきまして自由意思による同意を得るということにいたしております。これにつきまして特段の問題があるというふうには聞いておりません。
#35
○日下部禧代子君 例えば、何か行政指導というふうなことをしていらっしゃるということはございませんか。どういうふうな形での行政指導というものが製薬会社などに対して行われているのでございましょうか。
#36
○政府委員(川崎幸雄君) ただいま申し上げました指導と申しますのは、こういった医薬品の臨床試験を行うに当たりまして、これが適切に行われるようにGCPという基準を設けまして、これにのっとって治験が行われるように指導しているところでございます。
 先生具体的にお聞きになっていることがどういうことかちょっとわかりませんけれども、例えば新薬の承認に際しましては、同意を得たということにつきまして医療機関より企業に提出されました症例記録を提出させまして、確認を行っているというようなことでございます。
#37
○日下部禧代子君 例えば、新薬の製造承認に当たりましての添付書類というふうなものには、協力した患者を後でフォローしていくというふうなことができるような記載項目というのはございますでしょうか。
#38
○政府委員(川崎幸雄君) 被験者のプライバシーの問題もございますけれども、これは必要に応じて個々の被験者まで追跡が可能になるような記載になっております。
#39
○日下部禧代子君 そういたしますと、これは厚生省としてはチェックができるというふうにとらえてよろしゅうございますか。
#40
○政府委員(川崎幸雄君) そのとおりでございまして、ちょっと具体的に申し上げさせていただきますと、姓名とか住所といいますものはプライバシーの問題もございますので、姓名につきましてはイニシアルで症例記録に記載されております。そのほか、カルテ番号とか性別、年齢、そういったものを記載しておりますので、必要に応じてこれを追跡できるというような状況になっております。
#41
○日下部禧代子君 その点も患者が全く知らされないで新しい薬品の開発のための人体実験的なことに使われてしまっているというふうなことが起きるということは、これは非常に恐ろしいことでございます。その点につきまして、ぜひともこれからもひとつフォローアップできるような、そういう行政指導だけではなく、きちっとした明文化するような法律といいますでしょうか、そういうものできちんと押さえていっていただきたいということを希望しておきます。
 次に、インフォームド・コンセントにつきまして、文部省では医学教育の中でどのように取り扱っていらっしゃいますでしょうか。
#42
○説明員(喜多祥旁君) お答えいたします。
 インフォームド・コンセントを含みます医の倫理に関する教育につきましては、医学部の全教育活動を通じて配慮しなければならないものと認識をいたしておるところでございます。現在、医の倫理に関する教育につきましては、各大学ともその重要性を十分認識いたしておるところでございまして、学部教育におきましては、医学概論などの講義におきまして、患者、医師関係、インフォームド・コンセントというようなテーマを設けました講義を行ったり、あるいは臨床実習の場を中心といたしました教育を行っているものと承知をいたしております。また、卒後研修におきましても、インフォームド・コンセントに関する教育は十分行われておるというふうに承知をいたしておるところでございまして、今後ともインフォームド・コンセントを含む医の倫理に関する教育の充実など、医学教育の改善につきましては、各大学が創意と工夫を凝らしつつ積極的に取り組むことを引き続き促してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#43
○日下部禧代子君 それでは、次に特定機能病院についてお伺いしたいというふうに思います。
 特定機能病院というのは、高度医療を行う病院として位置づけられておりますけれども、制度としての運用がまだ明確になっておりません。紹介制度とか地域との連係というものがうまくいって初めてこの制度というものは生きてくるものだというふうに思います。この特定機能病院制度がうまく運用されるためには、患者の立場に立った制度の位置づけというものをすべきではないかというふうに思うわけでございます。
 まず、特定機能病院の質問の第一といたしまして、特定機能病院の要件に該当するものの一つとして診療科名というものが挙げられております。これは、いわゆる衆議院で示されましたメモというものにもございますが、さきに示されました省令事項におきまして、「次に掲げる診療科名のうち十以上の診療科名を有する」ことというふうにされまして、内科など十二の診療科名が挙げられておりますが、その中に歯科が入っておりませんが、それはなぜでございますか。
#44
○政府委員(古市圭治君) いろいろ御議論されました過程で、歯科につきましてはほかの診療科との関係が、独立性が高いために少し違うのではなかろうかということで、この承認要件の中に掲げる科目に挙がってこなかったという経緯がございます。しかし、特定機能病院が歯科関係の診療科を有することということは望ましいことであるということで、御意見を伺って、関係審議会でもまたお諮りしたいと思っております。
#45
○日下部禧代子君 厚生省というのは八〇二〇運動というふうな形で歯科保健の重要性というものを国民に訴えていらっしゃいますね。そういう厚生省として歯科診療の重要性というものはもう非常によく御存じのはずでございます。それが十二も診療科名が挙げられていて、その中に歯科が入っていないということは、これはだれが見てもおかしいなというふうに思いますし、特に、歯科医の関係の方々にとりましては、どうも何か軽んぜられているのではないかというふうな御懸念があるわけでございます。ぜひとも、その辺のところを考えますと、修正ということでここに歯科ということを入れるということは考えられないわけでございましょうか。
#46
○政府委員(古市圭治君) これは省令レベルで検討されていくということになろうかと思いますので、修正ということじゃなくて、そのような御意見があったということを受けとめましてお諮りしたいと思っております。厚生省としても、そういう観点からこの中に並んで、それが持っているかどうかは別といたしまして、その中から十以上という考え方の根っこのところにその科名を入れて、そういう目で見ていただくというのは、それは望ましいことかなということで、そういう立場から検討してもらいたいと思っております。
#47
○日下部禧代子君 ぜひともそれをお願いしておきます。
 次に、特定機能病院では紹介制度が導入されておりますけれども、紹介がなければ全く受診できないというふうな受けとめ方をする方もなきにしもあらずというふうに思うわけでございますが、紹介外の患者も受診できるということを明確にするとともに、その周知徹底ということも必要なのではないかというふうに思いますが、その点いかがでございますか。
#48
○政府委員(古市圭治君) 御指摘のとおりでございまして、そのように特定機能病院という制度が発足いたしましても、従来どおりから外来に行くという分野が少しは割合が減ることがありましても、門戸が閉ざされるということは全くございませんので、審議の過程でもそういうような誤解があるという御指摘も受けましたので、さらに私どもその周知徹底には注意してまいりたいと思っております。
#49
○日下部禧代子君 次に、特定機能病院と地域医療との連係についてお尋ねいたしますが、特定機能病院というのは、機能的に第三次医療機関に相当するというふうに思います。地域保健医療計画にどのように位置づけられるのでございましょうか。また、周辺の医療機関との連係を図ることも必要であると思いますが、その点どのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
 今までの医療機関というものは、どうも相互連係というよりも、いわゆる競合状態にあるという状況ではないかというふうに私は思うわけでございます。この際、いかにしてその連係のシステムというものをつくり上げていくかということがこれからの大きな課題の一つでもあると思いますが、その点も含めまして御答弁いただきたいと思います。
#50
○政府委員(古市圭治君) 全く御指摘のような観点から見直していくという必要性が重要だと考えておりまして、今回の医療法改正の中におきます特定機能病院も、そういうように、従来あった大型の病院が一病院完結主義ではなくて、地域医療の中でどういう役割を発揮していくか、その役割を発揮したときに、その波及効果として、相乗効果と申しましょうか、周りの医療機関の機能も非常に高まっていく、そういうことをねらっているわけでございます。
 そういうことから、国で今回の制度が実現するということになりましたら、それぞれの中のあり方というのは、第二次医療圏さらには第三次医療圏、これは都道府県にありますが、その中で、地域医療計画の中で見た特定機能病院のあり方というものもぜひ御審議していただきたい。
 そういうことで、先ほど御指摘の紹介制にいたしましても、その紹介制がどのように機能していけばいいのかということも十分御議論していただきたいし、私どもは具体的には地域医療連係推進室というものを必置にして、そういうものを考えていただきたいと思っておるわけでございます。そういうことから、この法律が通りましたら、国の医療審議会におきましても、地域医療の中の一端を担う特定機能病院であるという観点からも御審議いただきまして、必要な規定というものをつくっていきたいと考えております。
#51
○日下部禧代子君 次に、文部省にお尋ねいたしますが、特定機能病院というのは大学病院が中心になるというふうに考えられます。大学病院の場合というのは機能が教室単位で縦割りになっております。各診療科を総合した病院全体としての機能というものがどのように調整されているのでございましょうか。
#52
○説明員(喜多祥旁君) 大学病院におきましては、内科、外科等の診療科、あるいは救急部、集中治療部等の特殊診療施設などを設置いたしまして診療活動を行っているところでございます。特に、各診療科につきましてはおおむね医学部の各講座に対応しておりまして、医学部の講座の教官が兼ねるということになっております。医学部の講座につきましては壁が非常に厚く連絡が十分にとれていないということは従来から指摘されておるところでございまして、講座制と同様、各診療科の横の連絡が十分でないということは先生御指摘のとおりでございます。
 このため、例えば筑波大学におきましては、ほかではおおむね第一から第三に分かれております内科関係の診療科を統合いたしまして大診療科を設置するなど、関係診療科間の区分というのを取り払っているところもございます。そのほかの病院におきましても、病院長のリーダーシップのもとに、各診療科の科長会議でございますとかあるいは病院運営委員会というのを開催いたしまして、病院全体の連絡調整を図っているところでございまして、今後とも病院長のリーダーシップをさらに発揮し、連絡体制が十分にとれるような体制の整備というものを進めるよう病院長会議などにおいて促しておるところでございますし、今後とも促してまいりたいというふうに考えております。
 また、病院の再開発等に際しまして、従来の診療科の区分を変更し、例えば臓器別の診療科とするなどの構想も多くの大学から出されているところでございまして、文部省といたしましてはこの動きを支援してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#53
○日下部禧代子君 今、大学病院での専門化が進んでいる。そして、大学病院の中での幾つもの診療科目を受診する場合というのが、これから特に高齢者が増加してまいりますと、そういう場合がふえてくると思うんですね。そうすると、一日病院の中をあちらこちら渡り鳥のように歩き回らなきゃならないということもございます。患者が歩き回るのではなくて治療する側の方が患者を中心に歩み寄ってくるというのが、これは他の先進国では実際に行われていることでございますが、日本の場合、病院長のリーダーシップということを今おっしゃいましたけれども、それ以外にもう少し積極的に、私が申し上げたような形になるような指導というふうなことを文部省としてはお考えになっていらっしゃいませんでしょうか。
#54
○説明員(喜多祥旁君) 大学病院におきましては、ほかの病院では治療が困難な重症、難症の患者というのを多く扱っておりまして、一人の患者が一つの診療科だけでなくいろんな診療科を回るということがございます。そして、先ほどお答えいたしましたように、診療科間の連絡が必ずしも十分でないということもございまして、先生御指摘のような声も十分聞いておるところでございます。
 このため、各大学病院におきましては、総合外来窓口を設けましたりあるいは外来の受付に総合案内所を設置するなどの試みを行っておるところでございます。またコンピューターを利用いたしまして、一人の患者がほかの診療科を受診した際には、既に受診した診療科から必要な情報を提供するシステムの導入を行っているところでございまして、国立大学病院では二十六病院に既に導入したところでございます。
 文部省といたしましては、病院のコンピューター利用をさらに促進いたしますとともに、複数の診療科にまたがる患者の診療を適切に行うため、昭和六十一年度から総合診療部の設置というのも進めているところでございまして、引き続き改善策を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#55
○日下部禧代子君 今、私が申し上げましたことがきちんとされない限り、病院に行ってかえって病気になってしまう、疲労こんぱいして帰っていくというふうなことになってしまいかねないと思うんですね。ですから、根本的な姿勢は、患者がぐるぐる回るという姿勢ではなくて、基本的に患者を中心にして仕組みというものを再編成するという、そういう質的な発想の転換というものが必要なんじゃないか、そういう時期に来ているというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
#56
○説明員(喜多祥旁君) 先生御指摘のとおりでございまして、病院におきます診療体制の改善ということにつきましては、私どもできるだけ努力をし、そして機会あるごとに医学部長、病院長などに指導し、促してまいりたいというふうに思っております。
#57
○日下部禧代子君 今申し上げましたいわゆる患者中心に医療の仕組みをつくり直すということにつきましては、特に各診療科をうろうろしないで済むような、お医者様の方からやってきてくださるという、例えば外科で入院したとしても、歯科あるいは眼科、耳鼻科、さまざまな診療を必要とする方の場合には、お医者様の方から患者のところに、外科へ入院したら外科病棟にやってきてくださるというふうな転換というものは不可能でしょうか。これは厚生省にお聞きいたします。
#58
○国務大臣(山下徳夫君) これは私は専門家ではございません。ただ、昨年も入院しまして、いろいろ体じゅう診てもらいました。
 とにかく今新しい病院は割に合理的に個々の配置ができておりますが、だからといって全部病室に持ってくるというわけにはいかない。ただいまおっしゃいました歯科にしましても、病室に歯医者さんがあの歯科の診療台を一々ごろごろ持ってくるわけにはいきませんし、手術はもとよりでありますけれども。ですから、それはもち屋はもち屋でございますから、重症といいますかある程度歩きにくい人は搬送車で行くとか、適当な方法によってより的確な診断を受けるということにおいては一つの施設の中のそれぞれの部分をうまく利用していくことの方が合理的ではないかと思いますが、持ってくるということはなかなか難しいんじゃないでしょうか。
#59
○日下部禧代子君 私が申し上げましたのは、そういうことではなくて、よその国に行って入院なさるとおわかりになると思うんです。例えば、私の友人のお話でございますが、出産の場合もいろいろな科のお医者様の方が産婦人科に来てくださった、そういうことによってすごく自分が安心して出産ができた。ところが、日本だと自分があっちこっちに出向かなきゃならないというふうなことを体験者が随分語っていらっしゃいます。
 だから、私が申し上げたのは、何も歯科のすごい器械を持ってこいということではなくて、お医者様がいらっしゃって、これは大丈夫ですよとか、そういうふうなことをおっしゃってくださるだけでも患者というのはすごく安心するわけですね。ですから、物の考え方というものを変えるべきだというふうに私は申し上げているわけでございますので、その点誤解なさらないでくださいませ。
 次に移ります。
 今度は特定機能病院といわゆる車の両輪というふうな関係にある開業医の方、かかりつけのお医者様ということについてお伺いしたいと思うんです。
 これは私のいました国々におきましては、ホームドクターというものがシステム化されて自分で選ぶことができるようになっておりますけれども、自分に本当に合った、自分の気持ちからそれからあらゆることをきちんと理解してもらえるような、そういうかかりつけのお医者様を持つということは非常に重要なことだというふうに思うわけでございます。特に、これから高齢者が多くなってくる我が国におきましてもこれは必要なことだと思うんですね。
 しかしながら、日本ではまだかかりつけのお医者様になる方の確保というものが十分ではないような現状だというふうに思います。むしろ少なくなっているという現状ではないかというふうに思うわけでございますが、ここで地域におきましてプライマリーケアというものを担う、本当に大切な役割を担うかかりつけの医師をいかにして育てていくのか、そしてこの特定機能病院との連係というものをどのように深めていくのか。これは重要なことだと思いますので、大臣に御見解をお尋ねいたします。
#60
○国務大臣(山下徳夫君) 私の子供のころの記憶では、かかりつけのお医者さんのところにはたしか盆、正月しか医療費は払っていなかったと思うんですよ。何か大根持っていったり、まあ大根で全部済んだかどうか知りませんが、そういうふうな時代があったと思うんです。
 つまり一貫して一つのファミリーの延長みたいな形における、何でも相談するようなお医者さんであった。ですから、体も一番知っていて、例えばあの人が下痢した場合には、普通のあれよりもこういうのがいいよとか、全部知っているような、これは私は今日においてもこの制度はいいと思うのであります。
 しかしながら、専門がありますから、今御指摘のような特定機能病院に行くときには、そういうことを詳しく書いて添書をつけて、そしてお送りするという、そういう関係は今後とも持ち続けていかなきゃならぬと思います。ですから、紹介状は大変いい制度だと思いますが、ただ、レントゲン等も持っていく、いろいろやる。いよいよレントゲンの大学病院等の専門家のところに行くのに、そのかかりつけの医者が、自分で余り症状を書いて笑われてはいかぬというような、そういう何か遠慮ぎみでいろいろ書かないとかいうようなことがあれば、これはどうしたものかなと、私はこれを勉強しながら――いろいろカルテを持っていますよね、ずっとカルテを持っていて、その写しをそのままやると向こうの医師が笑いはしないかとか。そこらあたりが若干私は心配ですけれども、正直にお互い、だからかねがねその特定病院の先生とコネをつけておくと、そこが非常にうまくいくんじゃないか。
 いずれにしても、基本となるものは、自分のかかりつけの医者というものを従来どおり相談相手にする、病気したときにはその相談相手がまた水先案内として特定病院に教える、そういう制度が一番いいんじゃないかと思うんですがね。
#61
○日下部禧代子君 そういう方々が非常に少ないものですから、これからいかにしてそういう方々を育てていくのか、その辺についてお伺いいたします。今お伺いしたつもりでございましたけれども、お答えの中に入っておりませんでしたので、重ねてお聞きいたします。
#62
○政府委員(古市圭治君) やはり医学教育からこれはスタートされるべきだと思いますし、それから一つは、その資格を問う医師国家試験という問題の出題基準というものの改善がございます。それからまた、それが医師資格を取った後の卒後臨床研修というときに、いわゆるストレート研修ということじゃなくてローテート研修でそういう知識を身につけるということも必要となります。
 そういうことで、私どもは、今先生御指摘の件は非常に重要な問題として、医学界の中でも言われておりますので、そういう機会にその幅を広げるように努力をしているわけでございます。
#63
○日下部禧代子君 重要性は御理解いただいているというふうに思います。本当に特定機能病院だけがどんどんどんどんきちんと充実していって、そしてかかりつけの医者のこちらの方で手抜きがされていく、そういったお医者様がだんだん少なくなっていくということでは、これは医療法を改正したとしても、全く絵にかいたもちになってしまいかねないわけでございます。
 したがいまして、その重要性というものはわかっていらっしゃるはずなのですけれども、現状ではその地域の開業医の平均年齢というのはどんどん高くなっていく、そしてまた、その開業医の方が少なくなっているわけでございますが、この開業医対策というものをどのようになさっているんでしょうか。
#64
○政府委員(古市圭治君) 開業医の年齢がだんだん高齢化してきているということ、それからまた、大都市等を中心として土地が高いということもあって医業が継承されないという事態にあるわけでございます。
 そういうことから、私どもは一つの施策といたしまして、社会福祉・医療事業団におきまして、開業中の医師でもう事業を譲ってもいいという御希望者と事業を譲ってもらいたいという人の間の仲介の労をとろうという事業をやっておりまして、事業譲渡希望医とこの間で開業医承継支援事業というのをやっております。これはまだなかなか成果が上がるのは少のうございますけれども、この事業も伸ばしていきたいと思うわけでございます。
 それからもう一つは、将来開業医がいなくなるんじゃないかという一つ懸念がありますが、逆に考えますと、医療法で病床規制というのをやっておりまして、日本全体の病院病床というのはもう従来のようにどんどんふえていくという余地はないわけでございます。その中で、お医者さんがふえてきて、勤務医がふえてくるということになったら、いつまでもそれだけ支えられないということで、いずれはその病院で言うならば院長、副院長以外はやめていかざるを得ないということになります。そうすると、その人たちが近くの医療機関または自分の出身の郷里で医業をやっていくという時期を迎えるわけでございます。
 そういう人たちがそれぞれの地域でどういう形で医業をやれば従来の専門性というものを生かして地域医療ができるかということも検討しなかったらいけない。これはもう各団体、医師会等でも真剣に検討されているところでございますので、行政もそのための支援というものを十分早急にかつ真剣に検討したいと思っております。
#65
○日下部禧代子君 例えば私が住んでおりましたイギリスなどでは、開業医つまりGPが何人かが一緒になりまして一つのヘルスセンターというものをつくっていらっしゃいます。そうしますと、高価な器械にいたしましてもお一人で購入なさる必要がなくなるということもございます。そして地域のことが非常に情報も入りやすいということがございますが、そういうふうなお考えというのは日本にはございませんでしょうか。
#66
○政府委員(古市圭治君) だんだんそういう試みを先進的に実施されておられるお医者さんたちがおられるということは承知しております。先ほど申しましたように、これからの医療というのは、一病院が一病院の理念で完結するということはあり得ない、いわゆる連係が大事だと。それと同じように、一診療所も一診療所で業が成り立たないと思います。そういうことから、いわゆるソロプラクティスからグループプラクティスへというのが時代の流れでございますから、そういうものをグループプラクティスができるような診療所をどういうぐあいに確保、提供するか。一カ所に集まらなくても、近くの医療地域の中でネットワークでグループプラクティスができて、その情報が患者さんに伝わるとなれば非常に便利なはずなんです。
 だから、患者さんも、一人のお医者さん、一つの医療機関で全部自分をお願いしますということじゃなくて、そのきちっとした連係の中で、自分及び家族の医療が見られている、こういう安心感を得ていただこうと、これがこれからやるべきことだと思っております。その第一弾の端緒として、いわゆる特定機能病院というものの中で紹介制を持っていただく。そのことが特定機能病院だけでなくて、地域の開業医さんの能力も高めていく、そういうことにつながるんではなかろうか。そういう方向にこの制度が動いていくようにということをいろいろ工夫したいと思っているわけでございます。
#67
○日下部禧代子君 今具体的なことにまで踏み込んでお答えいただきましたけれども、それをさらに具体化するためには、厚生省が積極的な形でさまざまな支援対策というものを打ち立てていただきたいというふうに思うわけでございます。
 次に、文部省にお尋ねいたしますけれども、医学教育におけるプライマリーケアということの重要性というものは非常に大きいと思いますが、そこで、だんだんと専門分化が進んでいく医学教育の中でどのようにプライマリーケアというものに対して取り組まれていらっしゃいますでしょうか。
#68
○説明員(喜多祥旁君) プライマリーケアに関します教育は極めて重要でございまして、各科目の関連性を十分考慮しつつ、日常的疾患に関する学習を充実させ、プライマリーケアに配慮した教育を行うことの重要性につきましては、各大学とも十分認識しているところでございます。
 特に、地域に根差した第一線の医療の実態に触れることは極めて重要でございまして、大学によりましては家庭医実習というふうな実習を行うなど、さまざまな工夫をしているところでございます。また、国立大学につきましては、医学部の学生が保健所、福祉施設、診療所等において臨床実習を実施するための経費を予算措置しているところでございまして、プライマリーケアに対する財政措置もしているというところでございます。
#69
○日下部禧代子君 次に、療養型病床群についてお尋ねいたします。
 療養型病床群の制度というものは、年齢の制限というものを離れて、いわゆる慢性疾患患者に対する医療供給という意味では一応の評価というものはできるというふうに思います。しかし、一方では、医療内容の切り捨てではないかというふうな声も聞かれるところでございますが、この点につきまして、政府の御見解はいかがでございましょうか、大臣にお伺いいたします。
#70
○国務大臣(山下徳夫君) ただいまの御質問でございますが、治療に加えて療養生活面での配慮が非常に重要であるとも認識すべきであると思いますが、入院期間が長期になりますと、病院での生活の要素というものを重視していかなければならないと思います。今回の療養型は、こうした長期入院をさせざるを得ない患者に配慮して制度化したものであります。
#71
○日下部禧代子君 それでは、次に、療養型病床群というのは看護単位を基本として運用するというふうに言われておりますけれども、看護単位当たりの病床数というものをどのように考えていらっしゃるのでございましょうか。療養型病床群が症状の安定した慢性疾患患者を対象としているとは申せ、看護単位当たりのベッド数というのにも限度があるはずでございますが、この点いかがでございましょうか。
#72
○政府委員(古市圭治君) 従来から我が国で一つの看護単位と申しますと、大体実態として四十床から六十床というあたりで運営されているということでございます。そういうことから、五十人前後というのが一つの目安にはなろうかと思いますが、この療養型病床群というのは病状が安定して比較的長期間入院されるということを想定されるわけでございまして、そのときに何も四十、五十、六十とまとまらなかったらそういうのが経営できないということでも余りにも硬直的だということで、もう少しフレキシブルにやろうということで、この言葉で療養型病床群となったわけでございます。
 しかし、そうは言いましても、一つの単位を、治療、医療、療養を得ていくためには看護単位というものを対応させなければいけないわけですから、その看護単位が構成できる範囲といいますと実態として四十、五十というところで運営されていくことになるんではなかろうかと思います。
#73
○日下部禧代子君 療養型病床群の職員配置基準というものが、厚生省メモを拝見いたしますと医師については特例許可老人病院程度、看護職員及び看護補助者にはそれぞれ入院患者六人に一人というふうにされておりますが、六対一とされた理由はどういうところにございますか。
#74
○政府委員(古市圭治君) 私どもは、現在の医療法では、あらゆる入院患者に対して結核、精神の特例以外は四人に一人と、こうなっているわけでございますが、今申し上げました療養型病床群に入って治療を受けられる方に対しましては、看護婦だけを四人に一人と、こうやっていくよりは、看護婦は六人に一人とするかわりに、さらに同数の率で看護補助者というものを対応させるということで、合計いたしまして結局三対一になるという看護・介護力を提供するという方がこの施設にはふさわしいということで、六、一、六、一という数を一応想定しているわけでございます。
#75
○日下部禧代子君 結核、精神の病院と同じ基準になるわけでございますけれども、その点につきましてはこれまで多くの問題点が既に指摘されてきているわけでございますが、問題点があるということがおわかりでありながら、それを再確認するような形になっておりますが、その点いかがでございましょうか。
#76
○政府委員(古市圭治君) ちょっと先生の御指摘を十分理解できていないんじゃないかと思いますが、結核、精神というのは現在特例でそうなっておりますが、今回はそれと比べてどうこうということではございませんで、かなりその後のいろんな議論として老人の病棟ができて、いろんな御議論があった。それからまた、看護と介護というものの相互乗り入れというような御要望もあった。そういういろんな背景から今回の療養型病床群にあってはこのような職員配置基準ということでいかせていただきたいとしたわけでございます。
#77
○日下部禧代子君 看護補助者というものについては、これまでの入院医療管理のTとUでは、四対一あるいは五対一という、そういうのがあると思うんですけれども、療養型病床群が看護の職員配置を手厚くするということであれば、せめてそれくらいにすべきだというふうに思いますが、その点はいかがでございましょうか。
#78
○政府委員(古市圭治君) 今回の療養型病床群には、特例許可老人病棟等と違いまして、いわゆる年齢の仕切りというものは全くございませんで、年齢を問わずに病状が安定したという方、そして多くの人たちはしばらくの間でまた退院できるということを想定されるわけでございますので、そこではこういうことでいいんじゃなかろうかというぐあいに考えたわけです。
 さらに言いますならば、医療法のこの数というのは、一応の標準と申しますか最低基準のようなことでございますから、実態としてその医療機関でもっと手厚い方が必要だと思われるところはこれ以上置いてはいけないというわけではございませんので、そこは実態はいろんな形でカバーされると思いますが、一つの最低基準としてはこの数でいきましょうと、こういうことでございます。
#79
○日下部禧代子君 これ以上置いてはいけないということはないとおっしゃいましたけれども、今までの現状ではこれ以上置くどころかそれ以下であるということが現状だということで、これ以上置くなどということはあり得ないというふうに思うわけでございますね。
 そして、療養型病床群にお入りになる患者さんというのは、長期療養の患者さんというのが対象になるわけでございます。そうしますと、生活面におきましても非常に介助を必要とする方々がふえるのではないか。例えば食堂というものが、生活的な要素ということで食堂がございますが、その食堂にまず行くまで、ベッドから起こしてさしあげる、車いすに乗せてさしあげる、そして食堂までお連れする、それで終わるわけじゃないと思うんですね、多くの方が。そこでいかにしてお食事をしていただくか、つまり、口の中にどうやって食事を運ぶか、それを御自分でできない方も多くいらっしゃると思います。そういたしますと、療養型病床群というのは非常に手がかかる方々がむしろお入りになってくるのではないか、そういうふうに思いますと、職員の配置基準というのはもう少し手厚くすべきではないかというふうに思いますが、その点いかがでございましょうか。
#80
○政府委員(古市圭治君) これは医療機関の施設とそれからその中に収容される患者さんの相対的な問題になろうかと思いますが、現在、具体的には特例許可老人病院の中で老人の入院治療が行われているという一つ実態がございます。それに比べまして、これから発足いたします療養型病床群では、先ほど申しましたように、年齢階級がもっと取っ払われまして、年齢を問わずに症状が安定した人を中心としてそういう病棟というものの規格をつくったわけでございます。
 したがって、それでは無理だという医療機関では、ちょっと申し上げますと、そういうところに制度が発足しても移行せずに、従来のとおりやっていこうという病院があるわけでございますから、これは先ほどの特定機能病院と同じように医療法が改正されたからといって強制ではございませんで、新しいオプションというんですか、そういう枠をつくって、これを利用するのがふさわしいところは利用してくださいと言っているんですから、その間において無理な利用というものはないものだと思います。
#81
○日下部禧代子君 先ほど私が申し上げましたように、幾ら病状が安定なさったとしても手はかかるという方々が当然多くなるということを考えますと、特例の看護基準、低い方の看護基準というものを容認するのではなくて、その辺のところをもう少し手厚い介護という点で、看護基準というのはより手厚くするというふうに変えていくべきではないかというふうなことを私は申し添えまして、次の質問に移らせていただきます。
 職員配置基準の関連で申し上げておきたいのでございますが、精神病院の職員配置基準、先ほど少しお触れになりましたけれども、この問題につきましては、精神衛生法改正の際に当時の竹中局長が、六十二年九月十八日の委員会におきまして、予定している第二次医療法改正で、「医療機関全体の職員配置基準の見直しの一環として検討してまいりたい」というふうに御答弁なさっております。議事録に載っております。
 しかしながら、この点について見直しかなされておりません。いつまでにこの配置基準の見直しか行われるのか。また、精神病院における二・八体制というものの問題につきましても、どのように解決なさっていこうとなさっているのか、お伺いしておきたいと思います。
#82
○政府委員(古市圭治君) 今回の医療法の改正では、御指摘のように病院の機能を分化していくということを一つの眼目としているわけでございますが、その中に精神病院、精神病床は含まれていないということでございます。したがいまして、その検討事項というのは今後さらに引き続いて検討しなかったらいけない課題だと思いますが、これは単に看護婦、看護士の数だけでなくて、その他のコメディカルと申しますか、そういう人たちも含めて考えていくことが必要ではなかろうかなと、このように現在考えているわけでございます。
 端的にはMSWという方の資格法も問題になっておりますが、精神病院等にありましてはそういう人たちの数を含めてどのような体制でいくのが望ましいかということを検討しなかったらいけない、単純に看護婦さんの六、一だけを問題にするということじゃなくてもっと広い観点から検討する必要があるんじゃなかろうか、それも急いでやらなかったらいけない課題だと思っております。
#83
○日下部禧代子君 それでは、当時の竹中局長のお言葉をどのように解釈すればよろしいですか。
#84
○政府委員(古市圭治君) 課題として引き継いで我々は重要な課題として現在も検討する立場にある、このように思っております。
#85
○日下部禧代子君 それに伴いましての関連した質問でございますが、衆議院の修正で、精神病院の職員配置基準と総合病院における精神科外来の問題につきまして将来の検討規定が追加されております。検討の時期についてはいつごろになるのか、いつごろ結論が出るのでございましょうか。来年には精神保健法の改正が予定されておりますが、それまでに間に合わせるということでございましょうか。
#86
○政府委員(古市圭治君) まことに申しわけございませんが、現在の段階では具体的な見直し時期について明示できるという段階ではございませんので、ひとつさらに検討を続けさせていただきたいと思っております。
#87
○日下部禧代子君 それでは、次の質問に移ります。
 療養型病床群に対する老人医療の公費負担割合につきまして、先日二十六日の本委員会におきまして岡光部長が三割というふうに御答弁なさっております。しかしながら、療養型病床群はまさに介護力強化病院と同様に介護的な要素が強い医療施設でございます。昨年の老人保健法改正の趣旨からも公費負担はやはり五割にすべきではないかというふうに思います。それで、二十六日の本委員会におきまして古市局長から、将来的には特例許可老人病院が療養型病床群に吸収されていくであろうという御答弁がございました。そうなりますとそれはなおさらではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
#88
○政府委員(岡光序治君) この点につきましては、昨年の老人保健法の改正の際に公費負担の拡大対象をどうするかといろいろ御議論をいただいたわけでございまして、その考え方としましては、実質的にも制度的にも主として老人を対象とするそういう拠点というんでしょうか、施設を対象にした上で看護・介護職員によるサービス提供体制が整っているものというふうに対象を整理したわけでございます。そういう考え方からいたしますと、療養型病床群というのは、これまでも御説明がありましたとおり、年齢にかかわらず長期にわたり療養を要する患者を対象にするということでございまして、主として老人を対象にしているわけではございませんので、原則にのっとりまして老人保健法の公費負担につきましては三割という考え方を申し上げたわけでございます。
#89
○日下部禧代子君 今の御答弁ではなかなか納得できませんが、老人保健法改正の趣旨ということを考えますとやはり五割という形にすべきではないかというふうに私は重ねて御要望を申し上げておきます。
 次に、療養型病床群におきましては、利用者は今も年齢制限はないというふうにおっしゃいましたけれども、当然のことながら長期入院患者とか高齢者が多くなるというふうに思います。このような方々というのはなかなかベッドを離れることがおできにならない方も多いと思うんですね、幾ら症状が固定なさっているといたしましてもでございます。このようなことを考えますと、療養型病床群には、これは先日の委員会でも御指摘が同僚議員からございましたけれども、歯科医療機能をあわせ持つ必要性というのは非常に大きいのではないかというふうに思います。
 先ほど歯科の器械を持ち運ぶのは大変だというふうに言われましたが、在宅で歯科医療をというふうな勧めを厚生省健康政策局の歯科衛生課が、「今後の在宅寝たきり老人歯科保健医療対策のすすめ方について」という報告書を出していらっしゃいます。これは平成二年の四月二十四日でございますが、それを拝見いたしましても大変に歯科診療というものが重要であるということが述べられているわけでございますが、在宅ではなかなかこれは無理でございます。おうちにまでその器械を持っていくわけにいかないわけでございます。そういたしますと、療養型病床群にあっても歯科診療機能というものをきちんと位置づけておくということは必要なんじゃないかなというふうにどなたも思うと思うんですが、いかがでございましょうか。
#90
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど政府委員が答弁しましたのと同じでございますが、これも近いうち改正があるとするならば、その時点において十分検討すべき問題だと思います。
#91
○日下部禧代子君 十分に御検討くださいますというのは、具体的にはどういうことになりますか。
#92
○政府委員(古市圭治君) これはまだ発足しておりませんので、今度の制度、これでやらさせていただきまして、いろんなまた語なり改善なりが出てまいります。私どもは医療法の改正というのはこれが終わった後しばらくやらないということじゃございませんで、引き続きその三弾、四弾と考えておりますので、特定機能病院なり療養型病床群の改善についても必要ならばその中で改正させていただきたい、こういう趣旨でございます。
#93
○日下部禧代子君 これはどなたもお感じのとおり、健康を保つということはきちんとした栄養バランスをとることであります。栄養バランスをとるということは歯がちゃんとしていなければならないということで、厚生省もそういう対策を次々に打ち出されているわけでございますから、療養型病床群におきましてはなおさらのこと、歯の悪い方々が入っている可能性が多いわけでございます。そういった方々が生きていく勇気というものを持つためには、御自分たちが欲しいものが食べられるということ、それが前提だというふうに思います。その点を御考慮なさいましてぜひとも対策を進めていただきたいというふうに思います。
 次に、療養型病床群の整備が進みますと、老人保健施設ということとの関連におきまして、どのように老人保健施設というものがその影響を受けるのかということについて御質問をしてみたいと思うんですけれども、ゴールドプランによりますと平成十一年度には二十八万ベッドを整備するということになっております。これが療養型病床群の整備が進むとこの数というものは見直されるのでございましょうか。
#94
○政府委員(岡光序治君) 結論を申し上げますと、老人保健施設につきましては平成十一年度の二十八万床の整備目標というのは見直しは必要ないと思っております。つまり、療養型病床群というのは、何度も御説明を申し上げておりますように、年齢にかかわらず長期にわたり療養するすべての患者を対象としているわけでございまして、老人保健施設は入院、治療を行う場所ではなくて、家庭復帰を目指して医療サービスと日常生活上の世話をあわせ高齢者に提供するいわば通過型の施設でございますので、性格が異なっているという考え方をとっておりますからでございます。
#95
○日下部禧代子君 わかりました。
 次に、医療の現場におけるいわゆるマンパワー、ヒューマンパワーの確保についてお伺いいたします。
 今回の改正というのは医療施設機能の体系化というものを目指しています。その方向性というものは理解できるのでございますけれども、医療供給体制というのは医療施設とともにその運営に当たる医療の担い手の確保が必要であることは言うまでもございません。医療の担い手として原案では医師と歯科医師のみが例示されておりますが、衆議院における修正によりまして薬剤師と看護婦というものも例示されることになりました。特に看護婦さんにつきましては、その確保を図るためにさまざまな対策がなされておりまして、いわゆる人材確保法というものの審議を通じても議論されておりますけれども、この医療法の改正というものを機会に看護婦さんの確保対策にさらに取り組んでいただきたいと思いますけれども、その点につきましての大臣の御決意を改めてお伺いしておきたいと思います。
#96
○国務大臣(山下徳夫君) 看護婦対策につきましては、今般国会に御提案いたしております人材確保法にもいろいろとその要点は述べておりますけれども、看護婦さんが自分の身分についていろいろな疑問があられる、話してみますと。これが一番大きな問題ですから、まずいろいろ施設をたくさんつくりますよ、何をどうしますよという前に、一体看護婦とは何かということからもっと私どもは考えていかなきゃならぬ。言うなれば従来は看護婦さんは、特に個人の病院等においては完全に医師に隷属したものという感覚で今日まで来たのでございますが、これからは一個の独立した事業というプライドを持たせることが必要でございます。
 そこで、例えばこれをあえて医療の従事者としたところは、従来は看護婦というのは検温か脈拍ぐらいしかはかっていなかった、私どもの小さいときは。今は血圧の測定から注射や採血、点滴、患者の簡単なガーゼのつけかえとか、あるいは調剤も今は丸薬でございますから、もちろんこれは医師の指示によりましょうけれども、ある程度のことまでできますし、そういう本来治療の分野にかなり今看護婦は入ってきている。それを従来どおりにトイレの掃除をしたり配ぜんをやったり、あるいはおむつの取りかえをやったり、あるいは清拭、体をふく、そういうことをやったりと、これは他の看護婦さん以外の方でもできるわけでございますから、そういう看護婦の養成施設をふやすとかいろんな措置をとる前に、看護婦とは一体何ぞやと、看護婦さんに対してはこれからこういうふうに看護婦の地位というものを向上させながら、そしてプライドを持ってやってもらうという、これをまずやらなきゃならぬ。
 そして、今申し上げましたように、その前提として養成もやらなきゃなりませんが、離職の防止であるとか、今は六年半ぐらいですか、看護婦さんの平均勤務期間が。ですから、これは八年、十年とやってもらえば十分足りるようになりますから、そういうこともやっていかなきゃなりませんし、あるいは医療従事者として一つの誇りを持って、先ほど申し上げたとおりでありまして、そのためにはいろいろとまた施設等についてももっと立派にして、従来着宿というのはまことに粗末でございましたけれども、何もお医者さんと同じような宿舎じゃなきゃならぬとは言いませんけれども、国立病院等も大分よくなりました。そういうことで、もうすべての点においてレベルアップをしていかなければ、ただ数だけ養成所をつくってふやしていけばいいというものではなくて、それならば相変わらず五年とか六年でやめちゃうわけでございますから、今申し上げたような総合的な立場からこれに対して、しかも早急にこれらの対策を打っていかなきゃならぬと思います。
#97
○日下部禧代子君 療養型病床群の職員として看護補助者というものが明記されております。看護婦、介護職員及び看護補助者という名称が出てまいるわけでございますが、介護職員及び看護補助者の身分はどのようになっているのでしょうか。
 これは法律に基づくものでございましょうか。こういう介護職員あるいは看護補助者というふうな名称が出てまいりますと、また病院の中に、いわゆる准看、看護婦、さらにこういう介護職員、看護補助者というふうな新たな上下関係というものができてくるような懸念もするわけでございますが、その点につきましてどのようにお考えでございましょうか。そしてまた、介護職員の資質の向上のために厚生省はどのような対策というものをとっていらっしゃるのでしょうか。あわせてお尋ねいたします。
#98
○政府委員(古市圭治君) それぞれの医療関係の職種には、国あるいは都道府県知事の試験を通った身分というものに基づく、また法律に基づく職種があると同時に、それに基づかない職種としても大勢の人が参画しているわけでございまして、今回の医療法の改正におきましては、新たに看護婦だけではこれからの入院医療、介護、看護というものを支えられないということから「看護の補助その他の業務の従事者」というのを入れさせていただいたということで、これがいわゆる看護補助者と私ども言っている分野でございます。この人たちの身分の上下関係ということではなくて、それぞれの持ち分の仕事をそれぞれやっていただく、その間に連携も十分とっていただくということで、質の高い医療を医療機関の中では提供していただきたいと思うわけでございます。
 さらに、看護補助者の職員の研修ということでございますが、この人たちの行います。務というものは一般的な患者の生活面での世話でありますので、専門的な知識、技術に基づく作業というものではございませんので、規定の研修というものは現在想定しておりませんが、多くの病院におきましてこういう人たちに対しても院内研修なりいろいろ院内教育というのをされていることがございますので、そういうことは望ましいことだと思っております。
#99
○日下部禧代子君 看護と介護、あるいは社会福祉と医療ソーシャルワーカーというふうに医療と福祉というものはもっと連携すべきだと言われているにもかかわらず、マンパワー確保の観点から見ますとその養成についてのアンバランスというものが非常に見られるわけであります。その養成課程というのも、一方では三年、一方では四年というふうな形で、医療と福祉のマンパワーの養成課程におきますいろんなアンバランスというものがあるわけでございますが、その点につきましてどのように考えていらっしゃいましょうか。
#100
○国務大臣(山下徳夫君) 今、三つか幾つかおっしゃいましたが、それぞれその職務は異なると思うのでございます。したがって、それぞれ異なった職務の知識を受けるためにはそれぞれの学校に行く、そこでまた修得する内容によって年限が違うこともあり得ると思うのでありますし、また中にはボランティアを中心としたような仕事もありますから、それはそれなりにまた研修も受けていくということで、それを全部一つのものに、施設を一つつくってそれぞれのものを養成することは可能ですけれども、みんな同じカリキュラムでもってやるということは困難ではなかろうかと思います。
#101
○日下部禧代子君 次に、昭和六十三年にスタートしたばかりの新しい制度でございます臨床工学技士の受験資格についてお伺いいたします。
 法の附則第三条で、平成五年三月までの受験特例が認められておりますけれども、この対象者はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。また現に職務に従事していらっしゃる方々のためにこの特例を延長するということはお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
#102
○政府委員(古市圭治君) 昭和六十三年度から平成三年度までの間に既に五回の講習が行われておりまして、受講者数は延べ九千百六十四名でございます。今年度に受講する者が千百名でございますから、およそ一万人が受講いたしまして、臨床工学技士の国家試験を受けることとなったものと予測されるわけでございます。
 この経過措置の対象者のすべてに対しまして受講の機会が与えられているわけでございますが、経過措置をさらに延長することはどうかというお尋ねでございますが、法制定の際にこの期間が妥当なものだと思って設けられたものでございますから、これをさらに延長するということは現段階では考えていないということでございます。
#103
○日下部禧代子君 そうしますと、現在職務に従事していらっしゃる方々はどうなるんでしょうか。特例を延長するという方向で考えるべきではないかというふうに思いますが、いかがでございますか。
#104
○政府委員(古市圭治君) この法制定をいたしましたときに、そういう方々のために五年間そういう機会を設けて今日まで来たわけでございますから、希望者はもうそれを利用していただいたものだと、こういう解釈でございまして、万一この機会が切れた後どうされるかということになりますと、そのほかに関係職種の資格法の基本に従って一定の養成所を卒業してまた国家試験を受けるということは可能なわけでございます。
#105
○日下部禧代子君 次に、小児慢性特定疾患における自己負担の導入についてお伺いいたします。
 五月二十二日に、厚生省のこれからの母子医療に関する検討会は、白血病などの小児慢性特定疾患に対する医療制度を見直して入院費に自己負担を導入するというふうな御報告をまとめられました。難病の子供を持つ親にとりまして長期間にわたる医療費の自己負担というのは経済的に大変であるというふうに思います。特に、若くて経済力のない両親、ほかにも手のかかる子供を持つ親にとりまして、この問題は他の公費負担医療と同等に考えられてもいいと思いますが、この点につきましてどのようにお考えであるか、お尋ねしてみたいと思います。
 その前に、私考えますに、このような問題が発生するというのも、難病対策が小児から成人まで一貫していないということ、それからまた、公費負担対象の難病を毎年一つずつ指定していくというふうな方式、あるいはまた調査研究方式とか治療研究方式といった現状とかけ離れた公費負担方法の存在など、簡単には解決できない問題が大変たくさんあるというふうに思います。
 この点を含めて、今私が申し上げました小児慢性特定疾患における自己負担の問題についてお答えをいただきたいというふうに思います。
#106
○政府委員(土井豊君) 慢性疾患を持つ子供たちへの対応についてでございますが、今お話がありましたこれからの母子医療に関する検討会の最終報告におきまして御提言をいただいております。
 その内容は、在宅サービスや福祉的サービスなどを含めた包括的な地域ケアを提供する総合的、体系的な対策の確立に向けた検討を開始すべきである、そして、検討に当たりましては、心身障害児対策などとの整合性に留意しつつ、各種対策の法制的位置づけや対象者の範囲、医療費の適正な費用負担のあり方などについても十分な議論を行う必要があると、このような内容の援言をいただいております。
 私どもといたしましては、この報告を踏まえまして、自己負担の導入の問題も含めて、小児の慢性疾患対策のあり方全体につきまして、これから関係団体の意見も聞きながら検討をしてまいりたい、そのように考えているところでございます。
#107
○日下部禧代子君 この際、これら難病に関する私が幾つか申し述べましたような問題を解決するということを考えまして、その対策というものを総合的に抜本的に見直すべきではないかというふうに私は思います。そして、地域保健医療計画に難病対策というものを明示いたしまして、退院後の患者の地域の受け入れシステムというものもつくっていくべきではないかというふうに思います。
 それと同時に、今度の難病対策でお願いしたいのですけれども、高度、専門的な入院医療が長期間にわたって必要な一部の難病の方々は特定機能病院に安心して入院し続けられるような、その中に療養型病床群を設けるというふうなことは考えられないのでございましょうか。
#108
○政府委員(古市圭治君) それぞれの医療機関からの申請主義になっておりますから、その医療機関がそういうことが必要だと思ったらそのような形で申請され、私どもの方で検討して認可するということで、論理的にはそれはあり得ることだと思っております。
#109
○日下部禧代子君 わかりました。
 それでは、次に、例えばがんのような人類共通の、我々の敵と言ってもいいような問題に対しまして、研究情報というものを社会化、共有化するということのために、例えばがん・難病データバンクというふうなものを設立して、これは日本だけではなくて世界各地の主要研究機関とネットワークを結ぶ、そのような国際貢献というものもあっていいのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。もちろんこれは企業秘密というふうなこともあると思うんですけれども、この点、日本として積極的に考えるということはいかがでございましょうか。
#110
○政府委員(寺松尚君) 今、先生の御指摘のがんとか難病、非常に重要な病気でございますし、先ほどおっしゃいましたように、人類共通の敵と申すのでしょうか、世界的に非常に重要なというか問題になっている疾患でございます。
 そこで、ちょっと現在どうなっているかということを御説明申し上げたいのでございますが、がんと難病等の医学情報につきましては、これも先生御承知かと思いますが、日本科学技術情報センターが開発しましたオンラインシステムを通じまして、研究者は五つの医学関係データベースを世界じゅうから、国内も含めまして入手することができることになっておると聞いております。
 私どもの所管しております対がん十カ年総合戦略の事業におきましても、この研究支援体制の一環といたしまして、情報交換というのは重要な事業だと考えております。約六十一万件を超えるというふうな国内のがん文献のデータベース化を今行っておりまして、広く研究者に活用されておるところでございます。そのほか国際的にも、例えば日米あるいは日仏あるいは日独というようなところもいろんな研究情報を交換いたしておりまして、その辺につきましては世界の研究分野の先進諸国からも期待されておるところでございます。したがいまして、こういうふうな体制整備というのは、これは重要でございますので、私どもも今後努力してまいりたい、このように思っております。
#111
○日下部禧代子君 何かそういうネットワークを新たにつくるというふうなお考えはございませんか。現存しているものを充実させていくという方向でございますか。
#112
○政府委員(寺松尚君) 私ども、現段階ではそのように、現在の研究者の方々にお聞きいたしましても、非常に今のシステムが高く評価されているところもございます。したがいまして、これの充実ももちろん大事でございます。実はこの対がん総合戦略自身が来年をもちまして十年間の期限が一応参ります。そこで、私ども専門家会議の御意見に従いまして、この二月でございましたか、開催されました専門家会議におきまして、ポスト対がん戦略をどうするか、こういうふうなお話で、研究者の方々がワーキンググループをつくって今御検討なさっております。
 そこで、その中で、先生御指摘のいろいろな情報のネットワークというのは、これは大事なことというのはもちろん研究者の方々も私どもも承知しておりますので、今申し上げた現行の施設を充実するのももちろんでございますけれども、何か新しいことが必要なら、そのようなこともまた含めて考えてまいりたい、このように思っております。
#113
○日下部禧代子君 PKOも確かに国際貢献の一つでございますが、今申し上げたことも非常に重要な国際貢献ではないかというふうに思いますので、ぜひともその点御考慮いただきたいというふうに思います。
 それでは、だんだん時間も終わりになってまいりましたが、この四月二十八日に厚生省の元水道環境部の計画課長でいらっしゃいました荻島國男さんがお亡くなりになりました。私もお目にかかったことがございます。がんでいらっしゃいました。本当に残念でございます。心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 そこで、荻島さんが亡くなる直前まで雑誌に寄稿なさっていらっしゃいました。それを私は拝見しておりました。その中に、さまざまに我々がこれから参考にしていかなければならないというふうな、非常に貴重な御指摘がございました。
 その幾つかございました中から御紹介申し上げてみたいと思いますけれども、例えば「これまでわが国のガン対策はハードな診断や治療技術の開発が中心であった。患者や家族の生活や心理にまで踏み込んだガンの治癒という面でのスタッフの育成や組織づくり、システム開発といったソフト面の戦略は、これからの課題である。」というふうにお書きになっていらっしゃいます。私も本当にそう思います。今までこの委員会で議論してきたということも、集約すればこういうことに帰着するのかもわからないというふうに思うわけでございます。
 厚生省といたしまして、今後このソフト面を重視した観点から医療の改革を進めていくべきだというふうに思いますが、この点いかがでございましょうか。
#114
○政府委員(古市圭治君) 今回の医療法改正も、先生御指摘のように、従来から医療施設法だと言われた医療法の中に理念規定を入れ、また病院機能を明確化、分化し、その連係を図っていこうということでございまして、そういう意味からソフト面べこの医療法の改正を進めようということにも通ずるかと思います。さらにそういうことを努力してまいりたいと思います。
#115
○日下部禧代子君 それからまた、荻島さんがおっしゃっておりますけれども、「病衣も含め患者の衣装やファッション、美容といった問題も今後の患者のケアのあり方を考えるうえで重要なポイント」になるのではないかというふうに御指摘もございます。病院のいわゆるアメニティーといったことにつきましてももっともっと重要視すべきだというふうに思うんですね。
 先ほど病は気からというふうなお言葉が出てまいりましたけれども、その辺のところにつきましてもいかがでございましょうか。アメニティーというのが、私、前々回でございましたか、質問させていただきましたけれども、お金を出せばああアメニティーが買えるというふうなことは問題ではないか、診療報酬の上できちんとアメニティーというものが確保されるべきではないかというふうなことも私申し上げた記憶がございますが、その点も含めましていかがでございましょうか。
#116
○国務大臣(山下徳夫君) これは後で御質問があるんでしょうか、関連していますからこの際御答弁申し上げておきます。
 患者に対してはなるだけ不安を与えないとい、つことがそもそも一番大事なことであろうと私は思います。がんセンターに来る患者が、がんでしょうかとがんセンターですから聞きます。医者は、いやうちに来る患者の三分の一しかがんがいない、三分の二はがんじゃないんですよと言えば、それだけでほっとするという、そんな必要以上に病人に対して不安を与えないということ、これがいわゆる精神内科の一つの目的かもしれません。
 そういう意味におきましては、今後入院患者に対しても格別のいろんな、一つの地域社会としてあそこの中で、今アメニティーのお話がございましたが、それも結構、何もお金を出さなくても月に一回ぐらい誕生会もやって、みんなに小豆の御飯でも食べさせてあげなさいとか、工夫をしてやればいろんなこともあると思いますし、今ファッションというお話がありました、理髪もそのとおりですし、あるいはその他の生活の変化のためにはいろんなことができると思います。
 ですから、そんなことを工夫しながら、なるだけ社会との隔絶といいますか、余り閉鎖社会じゃないような、そんなようなことに努力をしながら、そして必要以上の不安を与えないような医師の患者に対する応対の仕方とか、そんなことも非常に大切だと思います。
 そういうことで、一切合財含めて、ただ治療だけではなくて、精神的な面もあわせてこれから医療に向かうことの方が私はより効果的ではないかと思います。
#117
○日下部禧代子君 今、大臣がおっしゃいましたことを具体化するためにどのような対策が立てられておりますか。
#118
○政府委員(寺松尚君) 今、先生がお話しになりました中で国立がんセンターのお話も出ましたものでございますから、私ども所管しております立場から一つつけ加えさせていただきたいと思い吉す。
 御承知のように、築地に国立がんセンターがございますが、さらにこの七月から国立がんセンターの一部の組織といたしまして東病院というのを新設いたします。これは柏市につくるわけでございます。今建設が進んでおりまして七月にオープンする、こういうところまで参ったわけでございますが、その東病院の中に看護ケア病棟というのをつくりまして、ターミナルの方々のいわゆるクオリティー・オブ・ライフを目指しましたがんの患者さんへの対応というようなことで、国内的にはかなりモデル的なことをやらせていただきたいと考えておりまして、その中身を今いろいろと詰めておるところでございます。
 それからまた、国立がんセンターにおきましても新株の建設にこれから入りますが、新しく六百何十床ぐらいのものをつくる予定で今準備を進めておるわけでございますが、この中におきましても、できるだけ個室をふやすような、そして患者のアメニティーを十分配慮した病院のデザインをしたい、それでその中に、患者さんのサービスにつきまして、いろんな検討会が健康政策局の方で持たれましていろいろ御指摘なさっておることもございますので、そういう患者サービスのアイデアというようなものも盛り込んで、患者さんが安心して、がんの治療に不安を持たないで、大臣が今お話しなさいましたが、そういうふうな形の対応をしてまいりたい、このように考えております。
#119
○日下部禧代子君 では、最後に、医療行政というものは何を一体目指さなければならないのかということについて少し考えてみたいと思うんですね。
 私は、医療行政の根本というのは、病気あるいは治療行為に対する国民や患者の不安を解消すること、突き詰めて言えばそうなんじゃないか。これは大臣も御指摘になりました。その第一歩というのは、患者さんが納得できる医療を受けるということにあるのではないかというふうに思います。
 幾ら平均寿命が長くなりましても、人の命には限りがございます。どんなに医学医術が進歩いたしましても、我々は死から逃れることはできないわけでございます。国民は不可能を可能にするということまでは望んでいないと思います。どうせ死ぬんだったら納得して死にたいというふうに思うのではないかと思います。どんな患者でも、自分の医療の内容を納得して初めて不安が解消するというふうに思うわけでございます。インフォームド・コンセント、それから情報提供、医療計画、そういったことも根本にはこのことが私はあるべきだというふうに思います。
 つまり、医療のシステムの改革というのもこの点を中心にとらえてなされるべきだというふうに思いますが、最後に大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#120
○国務大臣(山下徳夫君) もう私から答弁することはございません。今、先生のおっしゃったとおりにやればよろしいのでございます。そういうことによって少しでも笑いの多い日で、病人といえども家族と一緒に親しみながら、そして男は七十六、女は八十二歳という、なるだけ天寿を全うするような、それに貢献する医療であるべきである、それが私は究極の目的であろうというふうに思います。
#121
○日下部禧代子君 ありがとうございました。
#122
○委員長(田渕勲二君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#123
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、医療法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#124
○石井道子君 自民党の石井道子でございます。
 医療法の審議につきましては、大変長い間継続されておりましたけれども、いよいよその審議が進められておりまして、大変喜ばしいことと存じております。
 医療法が制定されました昭和二十三年ごろと比べまして、現在の社会経済情勢、まことに大きな変化がございますし、世界一の長寿国となって、豊かで生きがいのある生活を確保するために、国民の健康に対する、また医療に対するニーズが大変多様化しておりますし、医療を取り巻く環境も大変変わっているわけでございます。医学、薬学の進歩、大変目覚ましいものがあります。また、疾病構造も変わっておりますので、高齢化社会を迎えて医療供給体制を改革する第一歩として今回の医療法改正の目指している方向は大いに評価できるものと感じております。
 国民医療費が二十兆円にもなろうというような時代でございまして、ますます増大をする傾向にあります。今後も世界的な医療水準を維持しながら、給付と負担の適正化を図りながら、今までの量的な面の整備から医療の質を高める医療制度の改革を進めることは今後も重要な課題であると思っております。
 このたびの改正におきましては、医療提供の基本理念に初めて触れております。国民に適切で良質な医療を提供する上で、それぞれ専門的な資格を持つ医療関係従事者が連係を密にしてチーム医療を進める必要がありますし、既に看護婦等の人材確保法が審議され、また医療の担い手として薬剤師と看護婦が衆議院において修正によって特に明記されたことは、医療人として責任ある専門性、また独立性を確保する上で非常に意義の深いことであると考えられます。
 特に、病院薬剤師の業務につきましては、外来、入院の調剤による投薬のみならず注射などの製剤業務あるいは医薬品試験や血中濃度測定、医薬品の情報による薬歴管理などを行っておりますが、チーム医療を推進し、薬物療法を充実させるために病院薬剤師の病棟業務を大いに推進すべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
#125
○政府委員(古市圭治君) 先生の御指摘のとおりだと思います。私どもも今回の医療法の改正を提案させていただくに際しまして、病院の中の病棟薬剤師の業務の見学にも行ってまいりました。
 それを拝見いたしますと、私どもが医学部の学生あるいは病院におったころと違いまして、それぞれの病棟の中で責任を持って薬剤を管理して、いわゆる静注、混注のものも薬剤師さんが一応やっている、それを的確に看護婦さんに伝えるという作業がされておりまして、それなりのスペースもとっておった。これからの病棟薬剤師というのはこのような仕事をするのかと認識してきた次第でございます。
 そういうことから、私どもは平成元年五月に患者サービスの在り方に関する懇談会、私どもの局で報告書をつくっていただきました。その中におきましても、入退院時及び在院中における患者サービスについて、薬剤師や栄養士による服薬指導や栄養指導は、治療効果を高める上でも有効であり、今後の積極的な取り組みが望まれる、このように記述されておりまして、このような観点も関係者に周知徹底をしているところでございますが、今後この法改正を契機といたしまして、さらに病院におきまして、薬剤業務が病院の中の医療の一環として体系的に組み込まれて、充実してい、くように努力してまいりたいと思います。
#126
○石井道子君 既に昭和六十三年四月の診療報酬改定より新設されました入院調剤技術基本料がございます。この施設基準とその診療報酬点数についてお伺いしたいと思います。
#127
○政府委員(黒木武弘君) 私どもの立場からも、病院におきまして、入院患者に対する適切な服薬指導等を行っていく上で、病院薬剤師の果たす役割は重要だと認識をいたしておるわけでございます。
 お尋ねの昭和六十三年の改正以降の推移でございますけれども、六十三年の改正におきまして投薬の施設基準を設けました。当該基準に適合しているということで都道府県知事の承認を受けました医療機関における、入院患者に対する調剤技術基本料を特に重点的に評価することとしたところでございますけれども、これをさらに本年四月の改定におきましては、投薬の施設基準の要件を緩和いたしますとともに、対象施設を二百床以上の医療機関から百床以上の医療機関に拡大いたしますとともに、入院中の患者に対します調剤技術基本料につきましては、承認施設におきまして、従来の二百点から四百点ということで大幅に引き上げたところでございます。
#128
○石井道子君 現在この施設基準を持っている病院で採用している、実施している医療施設はどれくらいあるでしょうか。また、国立病院・療養所においてはその状況はいかがでございましょうか。
#129
○政府委員(黒木武弘君) いわゆる四百点業務を実施している施設の数についてのお尋ねでございます。
 平成三年度に二百四十七施設となっております。ちなみに推移を申し上げますと、当初の昭和六十三年においては十七施設であったわけでございますけれども、これが平成元年度には七十六、平成二年には百四十六とふえまして、平成三年度には、ただいまお答えいたしましたように二百四十七施設と順調に増加をしているわけでございまして、今後ともこの施設の増加を期待しているところでございます。
#130
○政府委員(寺松尚君) 先生の御質問の中に、国立病院・養療所はどうなっているかという御質問でございますので、お答えを申し上げます。
 先生の御指摘のとおりでございますが、近年、入院患者に対します良質な医療を提供するという観点から、薬歴管理、服薬指導等のいわゆる四百点業務というものが非常に重要なものであると私ども認識をいたしておりまして、六十三年、この制度が導入されて以来、平成四年の四月末現在、三十その国立病院・療養所におきまして、医療保険の施設承認を得まして、いわゆる四百点業務に取り組んでいるところでございます。
#131
○石井道子君 だんだんとふえているという数字をお示しになりましたが、この仕事を推進する上で必要な条件がいろいろとあります。また、これを阻害するような要因はどのようなことが考えられますでしょうか。
#132
○政府委員(寺松尚君) 私ども、国立病院・療養所の関係で申し上げますと、やはり患者さんの理解を得ましていろいろやる必要があると思いますし、それから薬剤師さんの、何と言いましょうか、人員配置の問題につきましても留意しなきゃならぬだろうと思います。
 と申しますのは、病院本来の目的でございます入院というものにつきましてそのサービスの向上を図ることは当然でございまして、そのためには外来の業務をできたら入院の方へ重点を移して、仕事等もそちらに重点を置いて人を配分しなきゃならぬのじゃないかと、このように思っております。その辺の調整がうまくいけたところから私ども実施いたしておるわけでございます。
#133
○石井道子君 このたびの改正で病院の体系化、機能分化ということが行われまして、特定機能病院というものがあるわけでございますが、この特定機能病院の病院薬剤師は特に入院患者のために多くの医薬品の有効性、安全性等の高度な医薬品情報を生かさなければなりませんし、大変注射薬などの薬学的な管理を行う必要があると思います。
 綿密で高度な薬物情報に対応した薬剤師業務を責任を持って行うことが求められていると思います。そういう意味で、専属の薬剤師を病棟に配置するという必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
#134
○政府委員(古市圭治君) 今回の特定機能病院の性格づけにつきまして、いろいろ御審議の結果その中における薬剤業務の重要性というのは随分指摘を受けました。そのことはいわゆる外来患者、入院患者共通して薬剤というものの情報が適切に提供され、また使用される薬剤が的確に管理されているということを期待されていることだと思いました。
 そういうことから、私どもは特定病院の承認基準というものは今後省令のレベルで議論されることになろうかと思いますが、その中には医薬品情報室なり医薬品情報管理室なり、そういうものの必置を要請していこうかと、これは関係審議会で御議論していただくことになろうかと思います。
 また、その中における病棟業務というものも医療機関によりましてその現状にはかなり差がございましょうが、要するに患者さんに的確な医薬品の情報が流れ、的確な服薬指導がされるというものが保持される体制を築くための薬剤師のあり方という面からひとつ御審議をいただきたいと思っております。
#135
○石井道子君 今回の法改正で制度化される特定機能病院は、高度医療が必要な患者を紹介制にいたしまして優先的に取り扱うということで、患者の流れを変えて外来の時間をなるべく緩和しようというふうに理解をするわけでございます。
 三時間待ちの三分診療というようなことが言われるわけでございますが、各医療機関が待ち時間の短縮のために取り組むことも大切だと思いますが、このことについて病院関係団体などに対して協力を要請したことがございますでしょうか。
#136
○政府委員(古市圭治君) 今回の改正の一つの問題点といたしましても、ただいま先生御指摘のように待ち時間が長く診療時間が短いということがございました。そういうことから、特定機能病院におきまして紹介制を導入してひとつ患者の流れを形成する端緒にしたいということでございますが、これと同時にやはり処方が出ても薬が出てくるまでさらに待たされるというようなこともございます。
 そういうことから、現在各病院でいろいろ工夫をされているところでございますが、厚生省といたしましても、先ほど申しましたように患者サービスの在り方に関する懇談会の中でこのように書かれておりますしばしば問題とされる窓口での待ち時間については、予約システムを導入する等によりできる限り短縮を図るとともに、一方では診療に当たっての心得についてのビデオによる情報提供を行う等、患者が待ち時間を有効に使えるよう工夫することも大切である、このような報告書を各関係機関にも流しまして、ひとつこの待ち時間の改善というものに努めていただきたいとしているところでございますが、今後ともさらに努力してまいりたいと思います。
#137
○石井道子君 特定機能病院では、なるべく診察に十分時間をかけるべきであるというふうな方向があると思います。そうしますと、一日に診る患者数が大変制限をされるおそれがあると思います。
 そうしますと、今大病院で大変赤字経営が多いと聞いておりますし、そういう面で病院経営に影響があると思いますので、それを担保するための診療報酬をどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
#138
○政府委員(黒木武弘君) 特定機能病院に係ります診療報酬上の取り扱いについてのお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、本改正法が成立後、具体的な政省令がどのように定まるか等を踏まえながら、具体的に言いますと、この機能なり人員配置基準等の具体的な内容、それが固まった段階で中医協にお諮りをしながら今後検討していくことになると思っておるわけでございますけれども、お尋ねのようにこの病院の患者の増減、どのようになるのか等々、病院の経営の影響を現時点で想定いたしまして、お尋ねではございますけれども、現時点でその具体的な内容をお答えすることは非常に困難でございます。
 いずれにいたしましても、施設、機能に応じた適正な評価ができるように配慮してまいりたいものと、かように考えている次第でございます。
#139
○石井道子君 先ほど出ました待ち時間を短縮するという一つの方法として、院外処方せんを積極的に行う、発行するということも考えられますけれども、そういう面から、ほかの面からもそうでございますが、病院団体に対しまして働きかけをなさったことがございますでしょうか。
#140
○政府委員(川崎幸雄君) 待ち時間の問題もございますけれども、私ども医薬分業推進という観点から、これは病院側の御協力を得て処方せんの発行を進めていただかなければならないわけでございますが、そういう観点から関係部局とも協力いたしまして、院外処方せんの発行の促進につきましてお願いをいたしてきたところでございます。
 具体的には、平成元年度来、関係部局を通じまして、国立病院あるいは社会保険病院等に対しまして院外処方せんの発行について指導をしてきたところでございますが、さらに県立病院等の自治体病院につきましては、都道府県の衛生部局長会議等におきまして処方せんの発行を促進するよう指示をしてきたところでございます。
 今後とも、こういったように関係部局と連携をとりながら、処方せんの発行の促進について関係者の理解と御協力を得て進めてまいりたいと、このように考えております。
#141
○石井道子君 最近、お年寄りの患者さんがふえてまいりました。それで複数の医療機関にかかる方も多いわけでございますし、多科にかかる方がふえるわけでございますが、そういう面で医薬品の重複服用とか、あるいは相互作用とか副作用の面が大変心配をされているわけでございます。飲む薬の種類が多過ぎるとせんだってもマスコミの方で取り上げられましたけれども、患者さんが薬についてなるべく情報を得たい、知りたいという、そういう希望が多いわけでございまして、その場合には三分診療の医療機関、ドクターに対しましてはなかなか聞かれない、ゆっくりと説明を受けられないということがありまして、開局の薬局などで薬剤師に尋ねられるケースが随分ふえているようでございます。
 最近、医薬分業を推進されているわけでございますが、そのような面からかかりつけの薬局で薬についての薬歴管理をきっちりと行うと、これは大衆薬も含めてでございますが、そういうことによって適正な薬の服用を行うということが大変大切だろうと思っております。このことは患者サービスの面からも言えますし、また医療の質を高めるという観点からも重要なことではないかと考えるわけでございます。
 そういう面では医療機関と薬局とが常に連係をして医療に取り組まなければなりませんし、そういう面で既に国立病院が大変前向きに取り組んでいらっしゃるということを聞いております。現在、院外処方せん発行の状況はいかがでございましょうか。
#142
○政府委員(寺松尚君) 国立病院・療養所につきまして御質問でございますので、お答えいたしますが、従来から私ども院外処方せんの発行に努めておるところでございますが、平成元年度からは大都市周辺にあります外来患者の多い三十その国立病院を院外処方せん発行モデル施設に選定いたしまして、地元医師会、薬剤師会等との連係の上に組織的に院外処方せんの発行に取り組んでおるところでございます。
 これまで施設の院外処方せんの発行率、ちょっと御紹介してみたいと思いますが、昭和六十三年度では八・〇%でございましたが、平成三年度は二一・六%と年々順調に増加をいたしておりまして、私どもその点では評価をいたしておるわけでございます。
 国立病院・療養所においては、先生も御指摘なさいましたけれども、外来患者の待ち時間の短縮、いわゆる外来患者に対しますサービスということと、それから入院患者に対しまして質の高い医療を提供するということからも薬歴管理、服薬指導等を充実することが重要だと、こういうふうに考えておりまして、そのような観点から院外処方せんの発行に取り組んでいるところでございます。
 先ほども申し上げました患者の理解あるいは薬剤師会等の御理解もいただいて、面としての処方せんの発行の調剤薬局が数多くありまして、患者にとって便利な場合には非常に伸びていくんではないか、このように考えておりますので、その辺もいろいろと御相談しながらやってまいっておるところでございます。
#143
○石井道子君 大変御努力をいただいて院外処方せんを実行されているわけでございますが、なかなかそれが伸びないということも聞いているわけでございます。
 院外処方せん発行の障害となる要件というのは、原因というのは、いろいろ考えられると思いますが、一つには、国立病院・療養所の場合には、歳出歳入予算の決められた枠の中で、外来の薬剤費が院外処方せんによって減少するということは大変次年度の予算を確保するために不都合である、そのような観点から年度末になると院外処方せんが減少するというような傾向もなきにしもあらずということを伺っております。そういう面でどのようにお考えになりますでしょうか。
#144
○政府委員(寺松尚君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、処方せんを発行いたします場合に、患者さんの御希望もございます。それから今、これは目的ではないわけでございますけれども、結果として医薬品購入費等の影響もないことはないわけでございます。
 しかしながら、先ほども申し上げましたように、私どもできるだけ院内におきます入院患者の薬歴管理、服薬指導というものに重点を置いて、定員等はできるだけそちらの方に重点を置くような配置をし、かつまた外来等につきましては、いわゆる非常勤の方々をもお願いしてやっておるようなところでございます。医薬品費の、何といいましょうか、支出等に関連しましてこれが伸びる伸びぬということでは私どもないと思いますし、結果の場合そういうことがあるかと存じますが、そのように理解いたしております。
#145
○石井道子君 医薬分業を進める上において病院、診療所、薬局の連係強化を図るということが大変重要でございます。二次医療圏ごとの保健医療計画の策定の状況についてお伺いしたいのでございますが、その中で医薬分業の推進が盛り込まれているかどうかについてもお伺いをしたいと思います。
#146
○政府委員(古市圭治君) 二次医療圏ごとの保健医療計画の作成でございますが、平成二年の十一月にいわゆる任意的記載事項というところを充実強化するように通知を出しまして、現在その指導を推進しているわけでございます。その保健医療計画におきまして平成四年の四月一日現在、現在各都道府県で進行中でございますが、十二県で策定されておりまして、今年度中には大部分の都道府県で策定されることになっております。
 したがいまして、この十二県につきまして見ますと、地域における医薬分業の進展の状況によって多少の差はございますが、医薬分業や薬剤師に関する記述はほとんどの地域で記載されているということでございます。
#147
○石井道子君 今回、法改正におきまして院外の広告事項を大幅に緩和するということが予定をされております。現在、大変厳格な規制のもとでいろいろ広告表示が行われておりますが、かなり過剰広告が行われているケースもあるわけでございまして、問題点も指摘をされております。
 患者が医療機関を選択する上で情報が得やすくなるというよい面もありますけれども、ますます競争的な広告が行われるのではないかという不安もあるわけでございまして、この不安を招かないようにするためにどのような対策を考えられていらっしゃいますでしょうか。
#148
○政府委員(古市圭治君) 具体的には、厚生大臣が学識経験者の団体、それからまた医療審議会の御意見を聞いて、広告の内容、方法等について時代に合った基準を定めていただくことにしております。
 その際に、医療施設としての品位を損なうような広告の方法の制限、それからまた医療内容の優劣を競うような広告あるいは過剰にわたる広告というものの規制等につきましても、一つの基準を定めていただきたいと考えているわけでございます。内容や方法につきまして適切なものになるように、審議会でも御配慮して基準を決めていただきたいと考えております。
#149
○石井道子君 このたびの医療法改正によって良質な医療を適切に受けられるように、そういう医療体制が推進されることを期待するところでございます。
 医療の質の基準をどこに置くかということについては、さまざまな考え方、また方策があると思いますが、今後も患者の立場に立った医療を進める上において、医療従事者がインフォームド・コンセントを含めまして信頼関係を築きながら、患者がよい医療を受けることができたという理解と評価が得られますようにさらに努力を続ける必要があると考えられます。
 厚生大臣にお伺いいたしますが、患者の立場に立った適切な医療供給体制の改革に向けての御決意をお伺いしたいと思います。
#150
○国務大臣(山下徳夫君) 適切な医療体制というものはやはり患者の立場に立ったものでなければならないと思います。しかも、それは良質な医療でなければなりません。そういう考え方から今後とも医療対策を進めていかなければなりません。
 今回の改正では、今申し上げた患者の立場から患者の病状に応じ医療機関が選べる特定機能病院、療養型病床群、これらを新たに設ける、これが一番大きな特徴であります。これをさらに今後推進してまいります。それから、患者さんが必要な情報を得られるように広告の制度も見直すことにいたしました。院内表示については義務づけ、院外については適切な範囲を定める。
 今後も順次患者の立場に立った改革を、このように逐次、この前申し上げたように今回の改正が生きものではございませんから、今度は何年後とかということではなくて、逐次改正すべきものは改正してよりよい医療を提供したいと思っております。
#151
○石井道子君 終わります。
#152
○針生雄吉君 本日は、我が党の厚生委員の高桑大先輩も所用で御欠席でありますし、我が党の新進気鋭の木庭委員もおりませんので、鬼のいぬ間の何とやらではありませんけれども、質問をさせていただきます。
 公明党の国会議員の一人としての使命感から東洋医学の治療、漢方医学治療に関連した質問をさせていただきたいと思います。前半は今回の医療法改正案の条文、内容と関連した質問でございまして、後半の二、三の質問は、今回の改正案とは直接的には関係のない漢方医学関連の質問でございます。
 私、先日北陸の富山市の富山医科薬科大学にお伺いして、和漢診療部の寺澤教授とお会いしていろいろお教えをいただきました。きょう少し過激なことを申し上げるかもわかりませんけれども、寺澤教授のお考えはこのような未熟なものではございません。最も中庸を踏まえたモデレートなお考えでございます。
 富山医科薬科大学の病院やあるいは和漢薬研究所なども見学をしてまいりました。帰りには「川柳」という料亭に御招待をいただきまして和食薬膳というのをごちそうになってまいりました。大臣も富山に行ったときには富山医科薬科大学をぜひ御見学をなさって、総理大臣になってからでも遅くはないと思いますけれども、任期中にぜひいらしていただきたい。帰りには和食薬膳という、中国の薬膳とはまた違った、日本料理をもっと洗練させたような大変すばらしいおいしいお料理をごちそうになってまいりました。文部省で出してくださったのか教授が出したのか、まさか製薬メーカーが出してくれたのではないと思いますけれども。
 私は医学部を一九六三年に卒業して三十年近くたったわけでありますけれども、私ももう四十歳若ければあのような大学に入学したいという感じを抱きました。ハード面でもすばらしいものですし、また、建学の精神などを含めましてソフトの面でも非常にすばらしい大学であるという感想を得てまいりました。
 さて、まず初めに、厚生省は国民医療費の推計に当たりまして、国民医療費の範囲を傷病の治療費に限って、あるいは傷病の治療費を中心としているわけでございますけれども、特に医療費の中でなぜ疾病の予防にかかわる費用というものを国民医療費の中に加えていないのか、その理由をお示し願いたいと思います。
#153
○政府委員(黒木武弘君) 国民医療費の範囲と申しますか、とらえ方はいろいろ考え方としてはあり得ると思うわけでございますけれども、私どもは、御指摘になりましたように、傷病の治療に要する費用を中心に推計をいたしております。したがいまして、現在の国民医療費の中には予防的な医療費は含まれていないわけでございます。これはなぜかというお尋ねでございます。
 主としては、予防的な医療費につきましては、もう御案内のようにさまざまな形態がございますし、それから業務統計も存在してないわけでございまして、私どもとしてはこれの正確な把握は非常に困難であると思っておるわけでございまして、そういうことから、国民医療費の中に予防的な費用まで含めることは無理がある、非常に難しいというふうに考えておる次第でございます。
#154
○針生雄吉君 しかし、このたびの改正案においては、第一条の二に、医療の「内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。」、「疾病の予防」という言葉が入っておるわけであります。つまり、医療の理念、医療の概念の一つとして「疾病の予防」というものを明記している、こういうことがあるわけです。私はこれを評価するものでございます。
 さらに政府は、さまざまな形態があるし、正確を期せないというような理由ではございましょうけれども、国民医療費の推計に当たっては、依然として疾病の治療に要する費用を中心とするというふうに、今御答弁にありましたように、疾病の予防にかかわる費用を健康保険の適用外だという理由から国民医療費の中に入れようとはしていない実態であるわけであります。
 特に、この傾向は東洋医学、漢方医学の医療への応用分野であります東洋医学的な治療、漢方医学的な治療の分野において顕著であると思います。そもそも東洋医学、漢方医学というものは未病を治す、いまだ病にならないものを治すという考え方に立って、疾病の予防の分野にも極めて大きな威力を発揮する医学であるわけでありますのであるにもかかわらず、政府が東洋医学療法、漢方医学療法の大部分を健康保険の適用外として国民大衆にその大きな恩恵を受けさせまいとしているように思われる。そんなことはないとはおっしゃるんでしょうけれども、そういう態度は極めて遺憾であり、納得できないものであります。
 こういった従来からの政府の姿勢は、このたびの医療法改正の中で示している医療の「内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。」という条項に自己矛盾、反しているのみならず、既に健康保険法の第二十三条、これは我が党内では高桑法と言っている条文でございますけれども、第二十三条にも反する矛盾点であります。すなわち、健康保険法の第二十三条では「健康教育、健康相談、健康診査、被保険者及其ノ被扶養者ノ療養ノ為必要ナル費用二係ル資金ノ貸付其ノ他ノ被保険者等ノ健康ノ保持増進若ハ被保険者等ノ疾病苦ハ負傷ノ療養ノ為必要ナル施設ヲ為シ又ハ比等二必要ナル費用ノ支出ヲ為スコトヲ得」と規定しているわけであります。要するに健康保険であっても健康の保持、増進のために健康教育、健康診査等の分野でも健康保険からの費用の支出を認めているというふうに規定をしているわけでありまして、この条項にも反しているように私は思われるのであります。
 この点については特にコメントはお求めしないつもりでございます。
 また、しばしば指摘されておりますように、現在も漢方生薬製剤は健康保険の適用になっているわけでありますけれども、現在よりもさらに多くの漢方生薬製剤に健康保険を適用すべきであるという声は非常に大きいわけであります。
 大臣にもお考えいただきたいんでありますけれども、さらに敷衍して言えば、このような東洋医学、漢方医学に対する、無認識とは言いませんけれども、あるいは意識的かどうかもはっきりしませんけれども、いずれにしても東洋医学、漢方医学に対するこのような差別というものは、大上段に構えれば、憲法で保障されている基本的人権を追求する権利の侵害であると言えるのではないか。すなわち生命、自由及び幸福追求の権利、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、学問の自由を追求する権利の侵害にもなりかねないと思うのであります。WHOを初め、全世界の医学関係者がこの東洋の英知のエッセンスの一つである東洋医学、漢方医学に注目しているという世界的な流れも無視することはできないと思います。
 昨年もお示ししたのでありますけれども、WHOの中嶋事務局長が一九九〇年に行った講演の一節を御紹介します。中嶋事務局長は、
  複合製剤あるいは鍼灸の総合的治療方法につ
 いては、数千年来の伝統的なシステムが既に成
 立しているのであるから、このシステムを有効
 かつ安全に用いるということが至上の問題であ
 り、政府の責任でもある。という見解を述べておられます。
 あるいは今喫緊の話題になっておりますエイズ治療薬の開発にしても、一つの研究所に百億、二百億の研究費を出すよりは、みんなで集まって一千、二千億の開発費用をかけようじゃないかという、そういう構想もあるやに聞いておりますけれども、そういう行き方は当然必要でありますし、推進されなければならないと思います。現在我々が既に人類の英知の結晶として持っている東洋医学あるいは漢方医学の中にそういうエイズ治療のかぎというものがあるのだということを、詳細は省きますけれども、主張しておきたい、そういう眼もぜひ向けていただきたいということを強調しておきたいと思います。
 せっかくでありますので、厚生大臣の御見解もお伺いしておきたいと思いますので、いかがでございましょうか。
#155
○国務大臣(山下徳夫君) さあ、これはちょっと私に御質問なさいましても答弁やりにくいのですが、私も東洋医学はよくわかります。しかも、例えばはり、きゅうにいたしましても世界では日本が一番地位が低い。韓国においては洋医師に対して韓医師という立場ではり、きゅうをやっておるし、アメリカはいわゆる西洋医学をきわめた人がこれらの治療をやっている。あるいはまた中国においてもはり麻酔というのは医者がやっているのでありまして、日本がそういう意味においては一番低いかもしれません。
 したがって、東洋医学はまだまだ日本ももっと勉強しなければなりませんが、私もいっか御答弁申し上げたように、例えば生薬というのは確かにいいということはわかっているけれども、A、B、Cの生薬を何%ずつまぜ合わせた場合にできたその薬は確かに効くが、なぜ効くかということは西洋医学式にまだ解明されていない部分がかなりあるということを聞いております。それから、生薬自体ができたところの地域、気候とか畑によって生薬の成分自体がかなり開きがあるということも聞いておりますし、やはり西洋医学に比べるとまだ未解明の部分が多いのではないかと、そんな気がいたしております。
 しかし、さはさりながら、今日医療用医薬品の中にも東洋の医薬がかなり取り入れられていることもこれまた事実でございますし、私どもはこれらはもっともっと研究していかなきゃならぬと思います。ただ、我々が香港とかあの辺に行きますというと、いかがわしいものを東洋医薬といって効きもしないものを売っている、特殊な薬を。ああいうものがあるからかえって誤解をされるのでございますが、真剣に東洋医学を調べていくと、おっしゃるような点も出てくる。私どもも、これをおろそかにしてはいけないと思います。
 今後とも研究は大いにやって――私はもうエイズでも言うのでございますけれども、なりふり構わず何でもとにかくやってみる、そして効けばいい、そしてなぜ効いたかという理屈は後でつけてもいいからとにかくやろうというふうに払いつも言っているんですが、そういうつもりでやるべきだろうと思います。
#156
○針生雄吉君 まさに効けばいいということでありまして、科学的な物差しで見て明らかにおかしいとかイカサマであるというようなものは治療法として取り入れるべきではございませんけれども、ただ単に西洋科学的な、あるいは科学的な物差しで証明できないから医療の対象にはならないという、それはやはり無認識なお考えと言わざるを得ない。医療の目的と申しますのは、国民大衆の幸福の増進にあるという、そういう大目的を再確認する立場からも、ぜひ東洋医学、漢方医学を日本の医療の現場の中に、あるいは今我々が日本の英知を結集していけば世界の医療の中での地位というものも確保することができる、貢献することができると確信をするわけでございますので、その点もさらなる御努力をお願いしたいと思います。
 次に、診療科の標榜に関した質問をいたします。
 今回の改正案では、第七十条でいわゆる標榜診療科名を政令によって改廃できるとしておりますけれども、この改正の理由、改正の意図をお示しいただきたいと思います。
#157
○政府委員(古市圭治君) 現在は医療法におきまして、法律によって診療科目が三十三規定されておりまして、この範囲内で標榜するということになっております。しかし、最近の目覚ましい医学医術の進歩、それからまた医療内容の高度・専門化等に柔軟に対応していくために、法律改正ということによらずに、それぞれの専門学会、また医道審議会の議を経て適切なものが標榜できる、その中に標榜科目として追加できる、こういうことをねらって今回の改正にさせていただいたわけでございます。
#158
○針生雄吉君 医学医術の進歩に柔軟に対応するためという、国民の側から、患者さんの側からいえば、国民の選択の自由を十分に保障するための判断の材料となる、そういう情報を提供していただくという意味もあるかと思います。
 また、医療の提供側から標榜科名に関しまして、いわゆる専門医、認定医であることを表示できるような専門医制度、認定医制度というような、そういう、私は専門医でございます、認定医であるということを表示できるよう求める声が高まっているようでありますけれども、厚生省としてはこういった動きをどのように受けとめて、どのようにしたい、どのようにすべきであるというふうにお考えであるか、御見解をお伺いできればと思います。
#159
○政府委員(古市圭治君) これまでにもそれぞれの専門学会等から標榜科名に関する要望というのは出されております。ところが、その専門医制度というものの認定の要件、それから認定の方法というものが各学会でレベルがまちまちでございます。このような点も、診療科名を入れていくときにはひとつ総合的に関係審議会で御検討をしていただかなかったらならないと思っております。
#160
○針生雄吉君 関係審議会あるいは学会認定医制協議会などというものもあると聞いておりますけれども、具体的にどのような科目名を標榜できるようにしてもらいたいという要望が現在出ておりますでしょうか、いっぱいあるんでしょうけれども。
#161
○政府委員(古市圭治君) いろいろたくさんございますが、約二十四の診療科目について関係学会等から要望が出ているということでございます。
#162
○針生雄吉君 その中に漢方科という要望はございますでしょうか。
#163
○政府委員(古市圭治君) ございます。
#164
○針生雄吉君 漢方科における専門医、認定医の条件、資格内容、どういうふうにするとか、そういった内容について御存じであれば、御存じでなければ結構でございますけれども、そういうことについては情報はございませんでしょうか。
#165
○政府委員(古市圭治君) もう先生の方が寺澤教授から篇とお伺いされて詳しいことと思いますが、私どもの承知していることでちょっと申しますと、東洋医学会の認定医制度というものの認定要件、これは平成四年度でございますが、会員歴が三年以上、東洋医学的治療が有効だという症例報告を十例以上行っている、それから学会等への参加、本学会誌への投稿というものを点数化して、これを一点以上持っている、そういうことで認定をされる。さらに資格試験につきましては、平成七年度から資格試験を考えていこう、このようなことが東洋医学会の中の認定医制度では御議論され、また決まっているというぐあいに承知しております。
#166
○針生雄吉君 そういう議論の中に私が今から申し上げるようなことがあったかどうかわかりませんけれども、そういう内容、質という問題になるわけでございますが、東洋医学、漢方医学という中には歴史的な経過からしていろいろな流派といいますか、スクールがあるわけですね。どの流派に属するかとか、どういう内容の学習をした人に認定するかとか、こういうこともこれから問題になると思いますし、特に、医療過誤をめぐるトラブルなんかが起こりますと、裁判などに際しましてはしばしば学問的水準に達していたかどうかということが問題になるわけであります。東洋医学の場合にはどの流派の流れが学問的水準の中心であるか、平均的な学問的水準であるかというふうなことも、そういう東洋医学に関する専門医、認定医の資格審査の場合にはいろいろと話題になるのではないかと私は思っております。
 次に、いわゆるインフォームド・コンセントの問題についてお伺いをいたします。
 衆議院の修正で、政府は患者さんと医療側との間にインフォームド・コンセントが、インフォームド・コンセントという言葉は使っておりませんけれども、インフォームド・コンセントが存在し得るよう「配慮することに関し検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」という、そういう意味の附則がつけ加えられたわけでございます。ここで言う「検討」とか「措置」の内容に関して、政府は現在、現在は考えていないかもわかりませんけれども、将来にわたって東洋医学を加味したインフォームド・コンセントのあり方を考えておいでになるのかどうか。考えておいでにならなければ、インフォームド・コンセントの説明と同意という説明の中に、東洋医学の存在というものも説明するように政府は検討し、措置をするかという、そういう意味でございます。
#167
○政府委員(古市圭治君) 先生お尋ねの東洋医学的な手法を加味してというところを十分私理解していないかもしれませんが、要するに、インフォームド・コンセントというものが出てきまして、強く要請されている背景には、患者さんを全人的にとらえて、その人間、命を尊重して、十分治療についてお医者さんが説明し、納得を得た上で診断、治療が行われていくということが期待されているわけでございますから、西洋医学、東洋医学の手法にかかわらず、あらゆる一番適切な方法というものを医療担当者が考えて、それを御説明していくということから考えますと、先生のおっしゃった東洋医学的アプローチというものも当然この中に入ってくるものだと認識しているわけでございます。
#168
○針生雄吉君 東洋医学の応援団の一人としては大変心強い局長の御答弁であったと思います。医療の担い手と医療を受ける者、すなわち患者さんでありますけれども、との関係はあくまでも、もう既に何回も強調されておりますように、信頼関係というものが基本にならなければならないわけでありますが、しかし残念ながら現実にはしばしばその信頼関係が崩れることがあるわけであります。争いとなることも珍しくないわけであります。
 将来の問題であるとは思いますけれども、漢方の専門医がその説明の中で、私の方は漢方の専門ですからという立場で西洋医学的なアプローチではこういうのがありますよというような説明をしなかったとか、あるいは不正確であったとか、あるいは逆に西洋医学を修めてきた人が、漢方的な治療をすればこうですよというようなことを言わなかったというような、そういう問題も起こってくるはずでございますね。
 例えば、東洋医学的手法によれば手術をしないで、切らなくとも薬物療法でも治すことができるというようなことを説明するようになるかどうか、あるいはこういう漢方薬を使えばいいんだけれども残念ながら健康保険の適用外でございますとか、東洋医学的に治療すれば手術をしなくとも、あるいは西洋医学的なアプローチよりは多少延命効果があるというふうに聞いているけれども、残念ながら私の病院には漢方専門医の人材がいないと、そういう説明も必要になるかもわからない。これは決して質問ではございません。あるいは西洋医学的なアプローチでは治らないけれども東洋医学的アプローチでは治療可能な病態というものもあるわけであります。そういった場合に、もし説明するお医者さんが東洋医学的説明をしなければ、医者のインフォームド・コンセントの内容においてその医師の責任が問われるということもあり得ると思います。
 東洋医学、漢方医学に対する政府の取り組み方が不十分であると、こういうことがたびたび重なると今回の医療法の附則で言うところの政府の「検討」、政府の「必要な措置」が不十分であったとして、裁判においても政府の責任が問われるというそういう事態にもなりかねない。だから政府としてもしっかり医学教育の面においても、いろいろな医療政策の面においても、東洋医学、漢方医学に対する取り組み方をしっかりやっていただきたいということを警告申し上げておきたいと思います。
 次に、我が国における東洋医学治療、漢方医学治療の現在の状況と、それに対する国民の要望、国民のニーズに関する実態調査を行うべきであるということを前にも要請いたしましたけれども、再び要請をいたします。
 政府筋が行ったこの種の調査は一九七四年、昭和四十九年、今から十八年前でございますけれども、総理府が行った「「あんま」、「マッサージ」、「指圧」等に関する世論調査」のみのようであります。私の昨年四月の予算委員会での提案に対して厚生省は、大要次のようにおっしゃっております。いろいろな調査や関係者の意見を踏まえて、国民のニーズの把握等に努めたいという趣旨の御答弁をしておられます。この答弁で言うところの国民のニーズを把握するためにも、またこのたびの改正案にも明記されているような「生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨と」する医療を提供せよという国民的要望、国民的ニーズを的確にキャッチするためにも、我が国における東洋医学治療、漢方医学治療の現況と、国民の要望に関する実態調査を行う必要があると私は確信するものであります。このことを再び要求、要請いたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#169
○政府委員(古市圭治君) 今先生御指摘の件につきましては、前の国会で、平成三年四月五日の参議院の中で論議をされたというところの引用がと思います。この際に紹介されましたのは、東洋医学に関する都民意識の分析調査という立派な調査がございまして、私どもの政府委員の方から、このような調査も参考にして、さらに国民のニーズというものの把握に努めたい、このような答弁をしたわけでございます。私どもも、この調査でかなりのことがわかります。三千名以上の人にいろいろヒアリングアンケートをしております。
 さらに、先生の御趣旨にものっとりまして、東洋医学の関係者の先生方の御意見も聞いて、我々も勉強していきたいと思っております。
#170
○針生雄吉君 誤解のないように申し上げますけれども、私は何もいいことだけを調査して、いいことだけを発表しろなんということは申し上げておりませんので、調査した結果、悪いところも参ると。例えば、恐らく東洋医学的なアプローチ、東洋医学の治療を受けたけれども、かえって悪くなったとか、早期発見のタイミングを失ってしまったとか、そういう声もあるはずでございますので、そういったものも吸い上げて、それじゃ業界に対して、あるいは東洋医学会に対して、改善するようにアドバイスをするというような道も当然開かれると思います。
 また、別の角度から申し上げますと、東洋医学治療、漢方医学治療を我が国の医療体制に本格的に導入すれば、私は国民医療費を抑制する効果があると思う。そういう視点からも努力を怠ってはいけないと思います。このような国民医療費を抑制する効果があったかどうかという、その基礎的な資料とするためにも、各分野における医療費の動態、医療費の現況の把握に積極的に取り組んでいかれるようにお願いをしたいと思います。
 その点については、もう先ほどの局長さんの御答弁で十分だと思いますけれども、特に追加のお考えがあれば、ありませんですか。
#171
○政府委員(古市圭治君) 日本の場合、いろいろ考えてみますと、やはり明治の医制以来、西洋医学を国の医療の主流としてやってきたわけでございます。しかし、今になって東洋医学的な発想なり手段、治療というものをもう少し加味する必要があるんじゃなかろうか、このような声も聞かれるわけでございます。
 実際いろいろ現場の医療というものも思い返してみますと、西洋流の医学をやって、どうもこれはここまでですと、それではひとつ漢方でもやってみますかというような中で、漢方医さんに紹介されるという場合も多いんではなかろうかと思うわけです。漢方のお医者さんの方に行きましたら、そこでまた診て、それじゃ西洋流の医学と一緒にやりましょうという形で、的確な紹介、お医者さん同士の知識の交流、情報の交換というものがあって、西洋それから漢方、両方が一体的になってやるという医療はまだなかなか定着していない。
 そういうところを、先生御指摘の富山医科薬科大学、それからまた北里大学等でいろいろ試みられておるわけで、これからそういうようなシステムというものがだんだん構築されてくることになるんではなかううか。
 そうでないと、西洋医療、漢方医療、医療費がトータルで漢方の方が安くなる、それでいいと、こういう問題ではないんで、やはり科学的なシステムができて、適正な医療費の中で効率的な治療体制が築かれていくという面から、西洋それから漢方一緒に連携を深めていかなかったらいけないものかと、このようにも思っております。
#172
○針生雄吉君 局長さんのお考えは非常にもう模範的なお考えでありまして、私の考えはちょっと偏った考えではないかと言われる部類に属するんでございますけれども。
 明治維新のときの太政官令で医制をしいて、そして日本国憲法で西洋医学のみを日本の医療体制の中に取り入れるというふうになったそのプロセスにおいて、漢方医と西洋医とのコンペティションがあったんです、競争が。かっけか何かをテーマにして、漢方で治るか西洋医で治るかという競争をやったんだそうであります。そのとき、漢方医、東洋医学の方が治療効果がすぐれているという結果が出たんだそうでございます。ところが、その漢方医の内部事情がございまして、そういう治療方法、処方というものは父子相伝である、血のつながりがなければとか、姻戚関係がなければ教えないというような、そういう内部状況があって、そんな医学は用いることができないというような、一つの例でございますけれども、そういったこともあったんだそうでございます。
 それは歴史的なことでございますけれども、一つの行き方として、例えば虫垂炎なら虫垂炎で、手術のために七日間入院すると、西洋医学的なアプローチだったら、今の現価で言えば二十三万九千六百二十円かかる、手術をして抜糸して退院するまで、標準的には。東洋医学だったら、これはよく私はわかりませんけれども、五万円以下だったとか、そういった比較というものもあっても悪くはないんじゃないかという気がする。
 また、一例として御紹介しておきますけれども、新潟県の南魚沼郡大和町における総医療費の動きなんかをお調べになりますと、非常におもしろい結果をごらんになることができると思いますので、お調べになっていただきたいと思います。
 次に、今回の医療法改正案とは直接には関係のない東洋医学治療、漢方医学治療に関する二、三の質問を追加させていただきたいと思います。
 一つは、漢方生薬用の植物、漢方生薬用の作物の供給、生産と需要の現況の掌握等についてお尋ねをいたしたいと思います。農林省にお願いをいたします。
 漢方医療に対するニーズが増してくれば、当然漢方生薬用の薬用作物の需要も飛躍的に増大してまいりますけれども、我が国における薬用作物栽培の現況あるいは生産指導の体制はどうなっておりますか、お教えをいただきたいと思います。
#173
○説明員(鈴木信毅君) 漢方生薬の薬用作物の生産なり需給あるいは振興方策等について御説明申し上げます。
 御案内のように薬用作物、国内需要の大半が中国等々からの輸入になっておるということでございますが、近年健康への関心の高まり、こういったことも背景といたしまして、実需者の方々から国産の薬用作物についてのニーズも高い、そのように承知しております。
 そこで、生産の実態でございますが、年により振れまして、必ずしも正確じゃございませんが、平成二年で面積で約三千七百ヘクタール、数量にいたしまして、三千から四千トンぐらい、そういったふうな生産の現況でございます。
 農林水産省といたしまして、こういった薬用作物でございますが、農山村あるいは山村、こういった地域での重要な地域特産物ということもございます。それからまた、水田で転作を実施しておりますが、その転作物ということにもなってございます。それから、先ほど申し上げました国産の薬用植物へのニーズもある、その安定供給が求められる、こんなふうな事情もあるというふうに承知しておりまして、国内生産につきまして安定した拡大ということが重要ではないかと、こういうふうに思っております。
 そこで、具体的には薬用作物についての契約栽培を進めるとか、あるいはその条件でございます都市基盤をきちっと整備するとか、あるいは製品の乾燥のための施設、こういったものについての整備につきまして助成制度を設けているところでございます。
 今後とも、厚生省さんとよく連携をとって国内産の安定生産へ向けて生産の振興に努めてまいりたい、そのように考えております。
#174
○針生雄吉君 ありがとうございました。
 作物が畑にあるときは特殊農産物という、薬用作物と称して農水省の管轄で、畑や山から離れると薬事法の対象になるというわけで、厚生省の管轄になるというお話を聞きましたけれども、そういうものでございますか。
#175
○説明員(鈴木信毅君) 先生の御説明のとおりでございまして、私ども農林水産省は農業経営の立場から、厚生省さんと連携をとりながら生産面について指導をしておるという立場でございます。
#176
○針生雄吉君 どうもありがとうございました。
 再び厚生省にお伺いをいたしますけれども、漢方生薬用の薬用植物の栽培の状況については農水省の方からお話があったわけでございますけれども、需給の見通しなどに関しまして何か考えていることがあるのかどうか、つまり国内生産体制と外国からの輸入との将来計画の青写真というもの、国内生産体制と外国からの輸入とのバランスといいますか、そういった視点で考えておられるかどうか。国内栽培のみで需要増をフォローすることは可能なのかどうかという、そういったことに関連して厚生省の立場からお話を。
#177
○政府委員(川崎幸雄君) ただいま農林省からの話もございましたけれども、漢方薬等に使用されます生薬の多くは輸入に頼らざるを得ないのが現状でございまして、国内での生産の可能なものにつきましては国内生産も重要な課題というふうに考えております。したがいまして、輸入に頼らざるを得ないのは多いとは思います。しかし、今後国内生産に当たりましては、品質のよいものが供給されることはこれは大事なことでございます。
 厚生省といたしましても、国内で生産の可能な生薬につきましては、栽培方法とそれから採取されました生薬の品質の評価方法、これにつきまして検討を行っておるところでございまして、栽培や品質評価のためのマニュアルを作成することといたしております。
 以上でございます。
#178
○針生雄吉君 薬の命は薬効・力価といった質の面でございますので、そういうことは当然でございますけれども、量の管理に関しましても意を用いていただきたいと思うわけでございます。それは厚生省の守備範囲ではないのでございましょうけれども、他省庁とも御協力をしていただいてぜひとも品質管理とともに需給に関する情報の収集あるいは情報の伝達というものを、ハード面においてもソフト面でも将来のために整備をしていただきたいと、こういうふうに思います。
 我が国は自由主義経済システム上難しい点もあるわけでございましょうけれども、漢方製薬メーカーの方がもう豊富な資金をもとに情報が非常に豊富だと言われておるわけです。大阪の道修町とか東京の日本橋とか、そういうところにいらかを並べている漢方製薬メーカーなんかはもう政府の情報システムよりもすごいものを各社が持っていて、国内生産がどれだけことしはできるか、それに対して外国の生薬、漢方生薬用の植物の生産高がどれだけであるか、そういう情報をもとにして外国貿易との取引をしているという、企業秘密に属するわけでございましょうけれども。さらにはよほど特殊なもの以外にはほとんどの薬用植物は国内生産が可能であるという意見を言う人もいるんですね。資源的にもカバーできるという人もいます。そういう将来価格の安定のためにも、製薬メーカーに指導するということはできないのかもわかりませんけれども、そういう製薬メーカーに負けない情報のネットというものを備えるような体制で、そして将来のために備えていただきたいということを漢方愛好者の一人としてお願いをしておきたいと思います。
 次に、漢方薬の投与形態、漢方薬の服用の形態について、大きく分けて一つあるわけであります。せんじて用いるキザミと言われるもの、それからエキス剤とか錠剤として用いる漢方製剤、こういうふうにキザミと漢方製剤と一応私なりに分けましたけれども、臨床上キザミの方が漢方製剤に比べますと薬効・力価というものが高い。効き方が鋭いというふうに言われておりますし、私もそう感じでおります。キザミで使うと非常にシャープに効く。ところが、それを加熱して製剤化、エキス剤にしても錠剤にしても、製剤化しますと薬効・力価というものが低下すると、こういう問題があると私は認識しておりますけれども、厚生省はどう認識されているかということと、そういったもし薬効が低下するのであるならば、薬効・力価が低下しないような製法の研究とか開発ということを急ぐべきであると思いますけれども、そういう現状、見通しについて御見解をお伺いしたいと思います。
#179
○政府委員(川崎幸雄君) ただいま先生がおっしゃいましたような御意見、かつてエキス剤の効力が低いのではないかといったような意見が確かにございました。それで、その対応について検討いたしました結果、昭和六十年に試験方法を定めまして、その品質の確保を図ることといたしたわけでございますが、具体的には申請されますエキス剤につきまして、いわゆるキザミ生薬、それに水を加えまして加熱しまして抽出いたしました標準的な湯剤と比較いたしまして指標となる成分が一定以上のものを承認すると、こういうことにいたしているわけでございます。こういうことで、湯剤とエキス剤の効力は現在では同等ではないかというふうに考えております。
#180
○針生雄吉君 とお考えになっている。そういうふうに認識しているということはわかりますけれども、現実にキザミ生薬と漢方製剤の効き目とい一つものは明らかに違うのであります。抽出できる楽効成分については同じかもわかりませんけれども、いわゆる化学的な手法では検出し得ないキザミ生薬に含まれているもの、それがあるらしいと、しかし臨床面でははっきりと違いがあらわれるわけであります。
 つまり、高温で加熱してしまうと吹っ飛んでしまうような揮発性のものであるとか、香りのもとであるとか、そういうものはなかなか化学的な方法論では検出できないものですね。ですから、当然漢方製剤を認可する場合にも有効成分として数量化できる、計測できるものを中心にして認定、許可しますからそういった現象が起こるわけであります。キザミ生薬の方、いわゆる丸ごとの方が効くということは、これは明らかな事実であると私は思います。いわゆるそこに東洋医学で言うところの気というような概念がくるんだと思います。聞くところによると、キザミ生薬と全くイコールにはできないけれども、凍結、乾燥という手法を用いれば製造費は五、六倍になるそうでありますけれども、かなりカバーすることができる。
 問題は、こういうキザミ生薬というものが健康保険では手に入れられないというところに問題があるわけであります。漢方専門の先生方で偉い先生方は健康保険なんかは扱っておられませんので、もうそういう先生方はキザミ生薬を専ら使っていても患者さん、来る人は自由診療でございますので、それを使って三日分で一万円とか、そういった薬だって投与することができるような自由診療のもとで使われている漢方薬はキザミ生薬が多いわけです。そして健康保険上、薬価表に登載されるものはエキス剤であるとか錠剤であるというような漢方製剤が多いわけであります。そういったことがあるわけでございますので、ひとつ良質な漢方生薬製剤を供給するという意味からも、そういう製剤製法に関する研究というものも強力に進めていただきたいと思います。
 最後になりますけれども、漢方医学あるいは東洋医学、漢方薬に対するニーズの増大につれまして、一般の薬局などの店頭、あるいは場合によっては通信販売、そういったところで漢方薬を求める人が多くなってきておりますが、それに伴いましていろいろな問題もふえてきているわけでございます。そういう医家向けといいますか、必ずしも漢方医学的に言えば病院にいる人が医家ではないんでありますけれども、薬局にいる人だってきちっとした学習をした理論体系を身につけた方であれば立派な医者であると言いたいぐらいなわけでございますが、そういう医家以外の、医者以外の方に対する漢方薬を販売している方に対する指導体制というものはどうなっているのか、十分なのかどうかということについてお伺いをしたいと思います。
#181
○政府委員(川崎幸雄君) 先生の御指摘の点、ごもっともなことでございますけれども、日本薬剤師会におきましては、漢方生薬製剤を含めまして一般用の医薬品の販売に当たりましては、医師の診察とか検査が必要と判断しましたときには速やかに受診するように、こういったようなことで適正な販売を行うよう薬局を指導されているというふうにお聞きいたしております。厚生省といたしましても、必要に応じまして関係団体とか都道府県を通じまして薬局等の指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
#182
○針生雄吉君 特に厚生省としては、何か問題が起こったというような報告は受けておりませんでしょうか。店頭販売のことに関連してトラブルがあった、がんの早期発見のタイミングがおくれてしまったとか、幾ら財産をつぎ込んで買っても治らなかったとか、そういうようなトラブル。
#183
○政府委員(川崎幸雄君) ただいまの御質問で直ちにちょっと思い当たるような事例はございません。
#184
○針生雄吉君 本日のテーマは、本来は医療法の改正ということにテーマを絞って御質問をしなければならないところでございますけれども、せっかくのチャンスでもございましたので、東洋医学あるいは漢方医学治療に関連したいろいろな質問もさせていただきました。
 いずれにいたしましても大臣、ひとつ東洋医学、漢方医学に対する御認識をぜひさらに強めていただいて、富山市にもおいでになって和食薬膳などもお試しいただいて、ぜひ漢方医療というものに対する支援体制にも意を用いていただきたい。その点で大臣の御所感をもう一回お願いしたいと思います。
#185
○国務大臣(山下徳夫君) 富山だけじゃなくて、佐賀は大体そういう種類の薬といいますか、配置家庭薬であるとかその他、全国第三位でございますから、富山まで行かずとも佐賀で十分私ども見ることができますが、今後検討したいと思います。
#186
○針生雄吉君 ありがとうございました。
 これで終わります。
#187
○沓脱タケ子君 それでは、前回の第一回の審議で私は、本改正案は総医療費の抑制を絶対的な目標とする臨調行革方針の一環であり、しかも医療資源の効率的活用あるいは医療の効率化など、およそ医療の分野になじまない臨調用語を法文化している点などを批判してまいりました。また、医療費の抑制を言うならば、水、大気、食べ物など人間が生きていくために必要である環境条件の確立や長時間労働の規制など、国民の健康対策の解決が先決であるということも御指摘を申し上げ、この点については大臣も賛意を表されました。そういった点に立ちまして質疑を続けていきたいと思います。
 まず、この十年、政府の医療費抑制政策の結果、国民医療の中にはいろいろなひずみが出てきていると思うんです。時間の都合がありますから簡潔にいきたいと思うんですが、自治体病院の現状がどうかといいますと、これは平成四年、ことしの五月十三日に自治体病院から要請を受けたものでありますが、自治体立の病院六百五十九の病院の中で、一九九〇年の赤字病院は三百五十九病院、五四・五%。それが九一年度、昨年になりますと四百五十八病院、六九・五%、約七割が赤字になっている。当然累積赤字もふえているということで、大変切実な要求をお持ちになられまして、そして何といっても「社会保険診療報酬については、技術料を中心とする体系を確立するとともに、原価割れにならないよう適正化し、自治体病院の健全な経営が確保できるようにすること。」等を加えた六項目の要請を私も直接伺いました。
 もう一つは、全国公私病院連盟であります。これは病院の団体でありますが、昨年の九月二十日にやはり現状の診療報酬では原価割れだということを指摘いたしまして、緊急の診療報酬の引き上げの要望をしてきております。中身を見てみますと、入院部門は原価に対して二二・九%の赤、マイナス、それから外来部門では原価に対して二六・六%のマイナス、手術部門は三・一%、リハビリ部門は三三・八%の原価割れであると。
 そういう中で、公私病院連盟はこう言っていますね、「病院部門別原価計算調査の結果明らかになった関係各部門の原価割れを放置したまま、診療報酬面において新規施策を講じられるようなことがあれば、折角の厚生省の意図は実現しないのみか病院の経営は一層悪化し、それこそ国民医療は崩壊することとなるであろう。」、こういう要請を受けております。
 次に、民間病院はどうかということなのでありますが、全日本民主医療機関連合会が四月一日、今回の診療報酬改定につきまして、国公立、公的病院、大学病院を除くすべての民間病院、八千二百四十二の民間病院からアンケート調査を行っております。まだ集計の途中のようですが、千八十六病院の回答を得ているようです。
 これによりますと、今回の診療報酬の改定について「満足」と答えているのは。わずかに〇・七%、「まあまあ」というのを含めますと八・四%、圧倒的多数は「納得できないが仕方がない」というのが二三・七%、「不満」であるというのが二五・一%、「非常に不満」が何と四二・四%に達しておりまして、それを合計いたしますと九割以上の民間病院が不満であるということを表明しているわけでございます。
 四月一日の改定以前、昨年あたり既に言われておりましたが、民間病院の七割は赤字になっているということで問題になっておったわけでございますが、それに加えて今度の診療報酬の改定が医療機関の経営を非常に深刻化しているということを示していると思うんです。
 そういう具体的な各医療団体の方々の御意見ですが、深刻化しているという事態をどういうふうに御理解になりますか。知っておったか知らなかったか。
#188
○政府委員(古市圭治君) ただいまのお話の最後の民医連の調査は、まだ発表じゃないようでございますが、私初めて伺いました。その前段階に申されました全国自治体病院開設者協議会等は要望書を受けておりますので承知いたしております。その中で、先生おっしゃった病院の経営収支調査というものが非常に厳しい状況であるという数値も一応伺っております。
#189
○沓脱タケ子君 それで、今日本の医療の七割を民間医療機関が担っているわけですね。このアンケートの中にいろいろと御意見が書かれているんですが、全部言うわけにいかぬので特徴的なところを申し上げますと、今度の診療報酬について全くこれではお手上げた、これでは廃院、病院をやめるというんですね、廃院を考えるしかしょうがない、他の施設への転換を検討しなきゃならないなどがあります。それから、大病院優先の改正で中小病院つぶし、無責任な老人病院化を図ろうとする意識が見え見えだ、まともな中小病院はなくなってしまう、こういう意見が書かれております。
 国民医療の七割を担っている民間病院がこうした状況にあるということは、本当に日本の医療は反り立たない。とりわけ中小病院というのは極めて深刻だということを示していると思いますが、こうした要望にまともにこたえて、医療経営の安一疋化に努力するべきではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。
#190
○国務大臣(山下徳夫君) 私は、今回の五・〇%のアップは私とし一ではかなりいい成績だったなと思って、私自身は自慢のつもりでおったんでございますが、郷里に帰りましたら、おっしゃるとおり大分開業医からおしかりも受けました。
 要は、地域的に病院の開業医の実態が非常にふぞろいである。だから、こういうこともいわゆる病院と診療所の関係もやがてこの次の第二次改正でやらなきゃならぬとこの前も御答弁申し上げたんですが、東京はクリニックと称して、いわゆる有床診療所というのはほとんどないんですね。例えば我々九州のところは、診療所というのは十九床以下の有床診療所が多いわけなんです。それによってもかなり差がありまして、ですからクリニックはさほどありませんけれども、有床診療所においては、今回の若干の医療費の改定によってちゃんと設置基準というものがありますから、看護婦がどうの薬剤師がどうのとか、これをそのとおりにやらなきゃならぬということを強く進めてまいりますと、そうしていなかったところはこの程度ではどうにもなりませんよという向きも私はあると思うんです。ですから、むしろ今まできちんとしておられたところは決して悪い結果はもたらさないと思うんでございますが、そういうふうにいいとか悪いとかの問題じゃなくて、全国、地域によって非常にふぞろいであるということでこういう問題が起きていると思うんでございますが、我々はこれは十分検討していかなきゃいかぬと思っています。
#191
○沓脱タケ子君 ぜひ鋭意検討されて、医療経営の安定化にまず努めていただくということだと思います。
 これはもう皆さんよく御承知の日本医事新報にも、五月の九日号に「今回の診療報酬改定をどうみる」ということでの記事が載っておりました。これはもうほとんど不満の声ばっかりなんです。内科医にとって一番の打撃は慢性疾患指導料の廃止、マイナス改定だ、それから、見かけは増点、実質減点、事務量増大の改悪だ、点数操作で患者の流れを変えることができるかどうか極めて疑問、今回の改定は国民福祉を願う人々に失望を感じさせる、中小病院を老人病院に移行させようとの意図が明白などがまじめな医療担当者の声です。こういう状況ですから、随分反響が起こってきているんですね。
 これはことしの四月の十九日ですが、石川県の医師会は急遽代議員会で決議をしている。これは大臣が言われたように、大幅な診療報酬を引き上げたと言われたすぐ後ですよね、四月十九日ですから。どういうことを書いてあるかといいますと、「政府、官僚は経済効率のみを重視するあまり、医療行政の停滞を無視し続け、旧態依然として医療費抑制策に固執し、無床診療所の経営を悪化に導き、有床診療所・中小病院つぶしを図っている。これは正に国民医療の崩壊を招くものである。」、直ちに再改定作業をやってほしいという御意見なんですがね。
 日本病院会の諸橋会長も、随分厳しいことを言っておられます。たくさん申し上げられないんですけれども、どう言っているかというと、総合病院、中小病院いじめの改定と。病院会の会長ですから、中身は随分具体的に指摘をしているんです。酷評されているんですね。
 それからもう一つは、全国開業医の七割を組織しております全国保険医団体連合会も、診療報酬の緊急是正を求めるはがき運動を開始するという事態になっています。
 私は、医療法を改定して、体系を医療機関の機能分化をするという法案になっているんだけれども、現状がどうかというところから出発しないといけないと思うので、とりわけこれを申し上げているんですが、こういう状況というのは認識しておられるのかどうか。それから、本当に病院や診療所の窮状を救済するつもりなのかという点は、これははっきりしておきませんと、制度上、病院の機能分化だけやりますねんやりますねん言うたって話にならぬと思うんですね。その辺で、少なくともこれは日本医療の中核的な立場を担っている中小病院の経営安定、それからプライマリーケアを担っている開業医、そういう人たちの経営の安定、医療経営の安定にどう努力をするのか、はっきりしておいていただきたい。それを保Yと事お伺いしておきたいと思います。
#192
○政府委員(黒木武弘君) 今回の改定に伴いまして批判、不満が非常に多いという御指摘でございます。今回の改定、私どもとしては大臣にもお骨折りいただきまして、従来は三%程度のグロスの引き上げを五%台の引き上げに、私どもとしては久しぶりの大型改定をやったつもりでございます。今回の改正は、もう御案内のように、質の高い医療を目指しながら、特に看護対策等を重視したという形になっておるわけでございます。
 いろいろ不満の原因等も分析をしておりますけれども、五%の改定の中で、薬価引き下げが二・五%あるわけであります。二・五を振りかえているわけでございます。したがいまして、薬剤の使用量が非常に高いところは影響が多目に出ているかなというふうに第一には考えております。
 第二番目に、今回の改定、御案内のように質の向上あるいは看護対策を重視したわけでございまして、医師がたくさんいるところ、看護婦さんがたくさんいるところ、そういうところに着目した配置をいたしたわけでございまして、医師も余り置いていない、看護婦さんも余り置いていないところの経営というのは、今回の改定では目が届いていないんだろうと思うわけでございますが、私どもは、これから医療の質を高めるということからいいまして、そういう意味での質の、一般的に質を重視されていないような医療が行われているとすれば、それはこれから経営努力をして、我が方の診療報酬の目指している方向に沿った運営に改めていただく必要があるんだろうと思うわけでございます。
 さらに、今回は在宅機能等も重視をいたしておりまして、そういう機能もあわせ持たれること等によって、私どもは新しい時代に即した医療ということを経営の主眼に置いて病院のあり方を検討していただいて、そういう方向、将来の方向に沿ってやっていかれる病院については、私どもの診療報酬の改定は行き届いているというふうに思っておりますが、なおいろいろ御不満も御指摘を受けたわけでございます。これからそういう点は検討いたしますけれども、全般的に言いまして今回はかなり大型の改定を行ったつもりでございます。そういう意味からいいまして、全般的に申し上げまして、医療の経営の安定という意味から今回の改定で十分であったんではないかと、かように思っているわけでございます。
#193
○沓脱タケ子君 長いこと御答弁をいただきましたけれども、厚生省の保険局長は、少なくとも医療関係者の声に耳を傾けない姿勢だということだけ申し上げておきます。
 時間の都合がありますからね、次へ行きますが、言うまでもなくよい医療と看護というのは、これは医療経営の安定には不可分な問題なんですね。保険局長は安定しておるはずだと、経営努力のだめなやつはつぶしてもいいんだと言わんばかりの言い方ですね。それがどういうことになるかというのは後でちょっとまた聞きますわ。
 それで、経営の安定というのは、病院の場合はまさに統制経済なんですよ、医療というのは。これは資本主義社会の中で、保険診療の報酬として診療報酬で医療経営というのが成り立ち、国民医療が賄われている、まさに公的料金なんです。統制経済なんです。恐らく今の日本の社会でそんな種類の業種はないはずですよ。政府が決めなかったらただの十円も上げられないというような、そんな業種ないんです。
 それで、さっきもおっしゃったように、確かに五%の診療報酬の引き上げをおやりになりました。そのうちの二・五%は薬価を引き下げるということでありましたが、これもたくさん申し上げたいんだけれども、時間がありませんから、端的に言っておきますが、今回の薬価とか材料価格の医療費算定で二・五%の引き下げですね。そのやり方が加重平均による薬価基準ということでこれをやられた。もう一つは、買い入れ価格の方は建て値制というのを導入した。だから、従来だと薬価基準下げるいったら二十五円やったのが二十三円になったいうことで、買い値は余り変わらなかったから打撃は小さかった。ところが、今度はその両方を、薬価基準の上も下げる、二十五円のを二十三円にする、買い値を十五円やったのを今度は二十一円にする、こうなったらそれは上下のパンチというのはすごいもんで、その影響は病院では何億と億を超える影響を受けている。小さな診療所でもこれは年間所得にしたら四、五百万の減収になるという状況が出てきております。
 私、薬価の問題は詳しくやりたいんだけれども、時間がありませんから。私はもともと医療経営というものが薬価差益で病院の経営を賄わざるを得ないような仕組みを長い間医療行政がつくってきた、このひずみは大問題だと思うんですよ。それを漸次変えていくんだということでこれも問題を残されていますが、医療の診療担当者側から言えば、薬価の差益でお金もうけをしようなんというような、収入を得ようなんというようなけちな考えないんですよ。しかし、今までの医療行政の中ではそういうことが問題であるにもかかわらず、ずっと長い間見過ごされてきた。
 私はぜひこの機会に基本的に申し上げておかなきゃならぬと思いますのは、診療報酬のあり方だと思うんです。厚生省は中医協で診療報酬のあり方を検討されているようですけれども、診療報酬というのは本来、枠がこれだけだからそのパイの中に持ち込むために医療費の抑制を優先していく、そればかり考えていくというんではこれは話にならぬと思うんです。よい医療を保障するという立場、その立場から言いましたならば、基本的なところだけ申し上げておきますが、一つは、進歩する医学、医療の水準に見合ったものでなければなりません。二つは、医療経営の安定と改善の図れるものでなければなりません。三つは、医療従事者の賃金を保障できるものでなければなりません。四つは、患者の負担なしに必要な医療のすべてが賄えるものでなければならない、これは公的医療でございますからね。これを原則とするあり方で検討するべきだと考えます。
 そういう方向で御努力を進めておられるのかどうか、これを簡潔に伺っておきたい。
#194
○政府委員(黒木武弘君) 診療報酬のあり方あるいは診療報酬体系のあり方、これは私どもも今の体系でいいというふうに思っているわけではございません。関係者も同じ認識でございまして、昭和三十三年にできた診療報酬体系が現在もおおむね骨格をその形で残しながらその手直し手直しできているわけでございまして、したがいまして、診療報酬体系をどのように構築するかというのを今中医協の中で基本問題小委員会をつくって御検討を願っているところでございます。
 考え方、先生おおむね一致をいたしておりまして、技術料重視の診療報酬体系というのが大事だと思っております。検討は幅広いわけでございまして、今後の改定のルールをどうするかとか、あるいは機能、役割に応じた診療報酬のあり方をどうするかとか、場合によってはホスピタルフィーとドクターフィーを分けることはいかがかとか、広範な議論をいただいておるところでございます。
 これまでも先生からいろいろ御意見をいただいておるわけでございまして、その点、御意向を受けまして、技術料重視の診療報酬体系について私どもとしても鋭意検討していきたい、かように考えております。
#195
○沓脱タケ子君 それでは、本法案の一番最重点課題であります療養型病床群に関連してお聞きをしたいと思います。
 療養型病床群というのは、これは衆議院の審議でも言われておりますように、ほぼ現在の老人病院と同レベルのものであるということが明らかにされていますよね。
 まず、療養型病床群というのは定額制を考えておられるんですか。
#196
○政府委員(黒木武弘君) 病状安定期の患者さんということでございまして、長期療養の患者さんに対する診療報酬のあり方の中でその支払い方式をどうするかというのは、今後私どもは検討すべき事項だと思っておりますが、現時点ではやはり定額払い方式をベースにするのがいいんではなかろうか。もちろん、年齢を問わすとか病状に変化があり得るということでございますから、定額を基本にしながら出来高的な要素をどう加味していくのが一番患者にとって望ましい診療報酬の支払い方式になるかなということで、これから中医協と御相談しながら適切な支払い方式を考えてみたいと思っております。
#197
○沓脱タケ子君 療養型病床群に定額制を持ち込むというのは大問題だと思うんですね。定額制をとっている老人病院の報告ではこう言っていますよ。重症患者が出た場合には、定額制ではどこか転院とか、あるいは病棟をかわる、転棟しなければどうにもしょうがない。結果として重症が発症した患者さんあるいは重症化した患者さんの比率はどんどん減少すると言われています。厚生省の調査でも、転棟や転院で重症者が減っていっているという病院は二割にも及んでいるということが言われています。
 こういう意味からいうと、この経験が出ているんですから、重症患者に対応できない定額制の療養型病床群というようなことになりますと、この療養型病床群が一般病院にも拡大された場合には、これは老人の重症患者、長期患者の行く先がどうなるのかなと思いますが、一番この点が本法案の重要なところだと思います。定額制の療養型病床群で老人が重症化したりあるいは長くなったりすると行き先保証できますか。
#198
○政府委員(黒木武弘君) 私からお答えするのがいいかどうか、やや健政局長の御答弁かと思いますけれども。少なくとも、定額制をしくから重症患者が追い出されるというようなことは私どもはあってはならないことと思っておるわけでございます。私どもの定額制は、もう御案内のように、いろんな経費の平均値で払うわけでございまして、いろんな診療がどうあるかということを想定いたしまして、もちろん重い人も軽い人もおられましょう、その平均として一括してお支払いする方式でございますから、楽な人だけとって重い人を出すということは、本来私どもは診療報酬上もあってはならないし、もう先生お医者さんですから百も御承知のように、医学的判断の中で療養が必要かどうかというのが判断されるわけでございます。
 そういう意味からいって、支払い方式と患者さんの追い出しというのをストレートに結びつけて御議論されるというのは、先生もお医者さんでしょうから、お医者さんとしてはそういうことはあるまい、私どもはかように思っているわけでございます。
#199
○沓脱タケ子君 論拠があるから言っているんで、余計なことを言う必要はないんです。
 だって、療養型病床群の人員配置を見ると、百床に対して医師三人、看護婦十七人、介護人十七人というんでしょう。老人病院と一緒やないですか。ほとんど一緒でしょう。岡光さんおりますか。――おらへんな。同じはずですがな。
 そんなところで、患者が重症化したからいって、できないからわざわざ病院を転院させるとか、あるいは一般病院へ転棟させるとかいうことをやるわけ。これはほかの方々皆おっしゃったように、デンマークでも長期療養病棟というのがあるんですわ。そこの人員配置見たら、医師十四名、看護婦は八十です、正看、准看合わせて。OT、PT十七人。我が方の療養型病床群は医師三人、看護婦と介助者を含めて三十四人、OT、PTゼロです。これは、まあ経済大国ですけれども、医療は極めてお粗末きわまりない。こんな状態で入院患者が重症化して、責任持てますか。安心して療養ができるという体制になりますか。そのことを申し上げているんです。
 そうなんですよ。そんなヒューマニティーの問題じゃないんですよ。さっき局長おっしゃったのはヒューマニティーの話なんです。私は非常にヒューマニズムに富んだ医師でございましたから、どんなに苦労でも、お金がもらえない患者さんでも一生懸命やってきました。そんなことと違うんです、制度を決めるというのは。そこをけじめをつけて物重言ってもらわぬと困ります。こういうことで果たして安心して患者さんが治療ができるのかどうかということが最大の問題点だと私は思うんですよ、療養型病床群というものをつくるという点で。これはうかうかすると全部老人病院の二の舞になるというおそれを感じます。
 ほんまに時間がないので、実例がどんなにひどいかということを言おうと。思ったんです。ちょっと一つ簡単に言いますと、東京都内にある特二類基準をとった病院の例を言いますと、二百七十床なんです。そこの看護体制がどうなっているかというと、看護婦と准看で七十二人、助手が十八人が定数だけれども、それではやれないから八名プラスして二十六人にしている。患者さんはちょうど御答弁に出ているような療養型病床群の対象になるような患者さんなんですね。脳血管障害で片麻痺になって回復期に入っているとか、がんの末期とか、骨折して、これは歩行が可能にならないままに入院をしているとか、そういうまさに療養型病床群を対象とした患者さんなんですね。
 ところが、半分は食事の介助をしなきゃならないし、中には徘回をするという患者もおるし、夜間のおむつの交換するのに三人で一時間ぐらいかかる、一人の患者さんにおむつをかえるのに三分ぐらいしかかけられないから、疾風のごとく駆けずり回っている。これはもうちょっとゆっくりしてあげたいと思うけれども、後々仕事が、それこそ効率的に、いろいろ資源の効率的利用をやられているものだから、ちっとも話もゆっくりしてあげられない、こういう状態になっているわけですね。
 だから、特一類をとっていてもこうなんです。これがさらに老人病院並みに切り下げたらどんな事態になるか。私は医師の一人として、どんな事態になるかというおそれを感じます。せんだって朝日新聞が指摘したように、人間捨て場になりかねない。こんな経済大国日本では余りにも恥ずかしいというぐらいの姿ではないかと思うんですが、大臣、こんなことになるんですよ。なっているんですよ。だから、ここら辺ははっきり事態をつかんで改善をきちんとやるということにしないと、えらいことになりますよ。二言、大臣。
#200
○国務大臣(山下徳夫君) デンマークでは、私も何回も行きまして、いろんな福祉施設も見てまいりました。おっしゃるとおり、本当にすばらしい、目を見張るものがたくさんございます。ただ、デンマークは御案内のとおり世界で最もすぐれた社会保障、社会福祉の国でございまして、また、今おっしゃった施設等、その中でもまた優秀なものだと思います。日本も相当いいと思うんですが、その中で一番悪い例をおとりになったんで、世界で一番いいのとというんじゃちょっと何とも答えようがございませんが、いずれにいたしましても、改良すべき点があることは私も承知いたしておりますので、今後努力をいたします。
#201
○沓脱タケ子君 さっきの保険局長の言葉にどうしても反論しておきたいんですが、時間の都合でできないんですが、またこの次にでも一遍やりますが、結局老人病院の二の舞になるんじゃないか。多くの老人病院の傾向がそうでありますように、結局この療養型病床群に入った患者さんが、疾病が増悪した、あるいは新しく重篤な症状が起こったというような患者さんは転院していかなきゃならない。ところが、一般病院がそう簡単に受け入れるか。こんなもの、重症患者で長くかかりそうやったら、そんな患者受け取ったら、おたくの方の診療報酬で一カ月したらもうえらいがたっと下がるんやから、やっぱりできるだけそんな、まあ言うたら効率のよい患者さんを選ぶという結果にならざるを得ない。あなたのところ効率効率言うから、何でも皆妙なところに効率があらわれる。そうすると、重症の患者さんが行きどころがなくなるんです、結局は。そして、在宅へ在宅へと追いやられるということにならざるを得ない。
 今回、在宅を医療法に新たに位置づけたねらいもここにあると思いますけれども、こんなやり方をなさいますと、国民の側が在宅医療に対するニーズを持っているということを逆手にとって、重症患者が逆に在宅へ追い出されて、そこで放置されるという結果にならないだろうか。今も私は非常に心配しています。私ども見ておっても、昔の病院ならこの患者さんは入院させておきたいなと思う患者がいっぱい管つけて、一人で三本も四本も管つけて、マカロニ症候群と言われているような患者さんが退院させられてきていますよ。そういうことになってしまわないかという心配をいたしますが、いかがですか。
#202
○政府委員(古市圭治君) いろいろ御説明したいことが多いんですけれども、先生の貴重な時間を費やしてはと思って先ほどからちょっと考えていましたが、重要な点なのでちょっと申させていただきます。
 今回の改正でいわゆる居宅において医療を受けられるというのを医療の一つ理念に入れましたけれども、在宅に重症な患者さんを追い出そうなんというねらいがあるということはもう全然考えておりません。これからは在宅が大事だということで書かせていただいたわけでございます。
 それから、療養型病床群のところでは、そういうことがだめだというお医者さんならば、療養型病床群が改正してできても御自分の病棟はそう転換なさらなかったらいいわけなんです。もっともっとよくされたらいいわけなんです。これは、いろんな医療法の施設機能というものを分化してオプションをふやしましょうと、こうやっているわけでございますから、これにふさわしい患者さん、これは選択してやった方が患者にいいと思った方が利用してくださったらいいわけで、御自分のところはもっとよくしようと思ったところは、そこにやってくださったらいい。ここのところは選択制でございますから、私はぜひ、誤解が多いので御説明だけさせておいていただきたいと思うわけでございます。
 それから、その中で重症になった場合には、一つの病院の中で一般病棟と療養型病床群があるわけでございますから、そちらの病床に戻っていただいて、厚い看護の人員でやっていただいたらいい。ここは随分誤解を受けているところなんで、恐縮でございますが説明をさせていただいたわけです。
#203
○沓脱タケ子君 いや、誤解してないんです。非常に正確に理解をしているんですよ。
 というのは、時間がもういよいよないからしょうがないんですけれども、それじゃどれぐらい療養型病床群をつくるのかという問題があるんですね。私よく理解をしているということで少し申し上げておきたいんですが、病院のうち、今、保険局がこの四月一日から決めた看護料のランクづけ、十一か十二あるんですよ。老人病院まで含めたら十二か十三が、もう一つ十四もあるのかな。何しろそのぐらいあるんですよ、看護婦さんの配置基準によってランクづけがね。そんなの今とないになっているかと言うたら、全国でいわゆるその他看護という基準以下の病院の数が約六割ある。それなら申請主義やから嫌やったらいい、せなんだらよろしいとおっしゃる。何とかして基準内病院にしようかと思って努力をしても看護婦なかなか雇えないようになったんですよ、今度の診療報酬の体系を見たら。
 看護料を二〇%上げた上げたとおっしゃるけれども、特玉類やったら一人で一年間にこれは五百万以上ですね、六百万以上になる。その他看護のところでは何ぼも言うたら二百五十万内外です。五百万を超している看護料を取れる病院、これは看護婦さんの手当てもできます。給料も上げることができる、きちんと処遇ができます。だからどんどん看護婦さんは集まりますよ。ところが、看護料が年間二百五十万の病院では、その特玉類と同じような水準の同じ看護婦の処遇をしようと思ったら、他の医療費を削って看護婦さんに出さなきゃならない。勢い看護婦さんにしわ寄せがいくんです。そうしたら看護婦さんはやっぱりやめて大病院へ行くということになるわけで、今日約六割もあるようなその他看護の基準以下の病院、これは何とか申請主義やからやめて頑張ろうと言うたって、看護婦さんを集めてちゃんと医療体制を整えられるという診療報酬体系になっていない。
#204
○委員長(田渕勲二君) 沓脱委員、時間が過ぎておりますから締めくくってください。
#205
○沓脱タケ子君 はい、もう終わります。
 そういうことがあるので、この問題につきましては、私は療養型病床群の問題を非常に重視しなきゃならないし、このままで突っ走ってもらったんでは各医療団体が言っているように、国民医療の崩壊を招く。こういう医療制限を公然とやるというようなやり方は、何としてもこの改正案というのは国民医療の将来、医師、医療機関あるいは医療機関における従事者の熱意を砕きますよ。そしてまた、医療水準の低下を招く。極めて残念だと私は思っております。
 その他いろいろ問題がたくさんありますので、この点については実情をきっちりと握っていただいて、国民医療の崩壊を招かないように対応をぜひお願い申し上げたい。大臣に一言御見解を伺って、終わります。
#206
○国務大臣(山下徳夫君) 先生のお話は決して私は間違いだと思っておりません。非常に詳細にわたって調査の上でのきょうの御質問だと思っておりますから、それはまさにそれらの数字は尊敬に値するものだと思っておりますけれども、ただ、今回の医療費改定で、私も九州におりまして、随分私の後援会長でありながら医師会長からやられました。何だい、実際は五%上がったと言って、おれたちは手取りが少なくなったぞと。いろいろケース・バイ・ケースでございますが、特に有床診療所が九州が多いそういうところと、いわゆるクリニック、東京みたいなところではまたそれは違うんでございまして、まあ振り返ってみて、なるほどいろいろ意見があるな、もっと密にして、何と申しますか区分なんかをもっともう一遍考え直す時期があるなということは私も承知いたしております。
 したがって決して、先ほど政府委員も申し上げましたように、これがもうパーフェクト、もう満点だということはだれも思っておりません。漸次ひとついい方へと改正のたびにまた御意見等も取り入れながらやっていかなきゃならぬと思っております。
#207
○粟森喬君 療養型病床群にかかわる問題を幾つかお尋ねし、見解を明らかにしていただきたいと思います。
 まず一つは、現在病院に入院をしている患者が百十万人というふうに大佳言われています。そのうち四十万人は三カ月以上入院をしている方だと一般的に言われています。そのうち十万人は老人病院に入っている、こういうふうに言われています。お尋ねをしたいんですが、療養型病床群というのはそれぞれ病院の側から申請をする制度になっていますが、この三カ月以上を超えている四十万人の率で言うならどのぐらいの部分を療養型に将来入ってもらうような見通しを立てているのか、これについてお尋ねをしたいと思います。
#208
○政府委員(古市圭治君) 実のところ、これは明確に数字的にどのくらいという形ではつかんでおりません。先生おっしゃいましたように、感じで、こういうバランスだということでちょっと御容赦願いたいんですが、御指摘のように、一般病院の病床に約百十三万人入院しておりまして、その全年齢階級で三カ月以上というのがおっしゃったように四〇・九%でございます。
 ところで、老人病院という方はほとんどが老人ということで入っておられますが、十六万人で、その中、三カ月以上というものが七七%、高齢者がすごく多くなっている。今度の療養型病床群というのは年齢を問わずにと、こうなりますから、その中に例えば極端な場合、子供も、青壮年も、長くて症状が安定したら入ってくる。この量でございますが、例えば一般病院で三十五歳から六十四歳という入院患者が三十八万人おられますが、その中で約三分の一の方がもう三カ月以上になっている。だから長期入院というのはお年寄りだけでなくて、これだけの青壮年のところで約三十八万人の方が病院の中で療養を長期にしている。こういう人たちのためにこういう療養環境の整った施設を提供していくことも必要じゃないかと、こういう背景がございます。
#209
○粟森喬君 数字をお聞きしただけじゃないんです。見通しを聞いたんです。
 といいますのは、これはもちろん医師が判断をすることになっていますが、原則として三カ月以上の長期入院は今の診療体系やいろんなシステムからいってなかなか認めがたい現状になっていることは同僚議員からも言われています。そうしますと、いずれにせよ、療養型に何らかの格好をつくらないといけないという必然性みたいなのが私は生まれてくると思う。そのことについて、全くわからないというだけではなくて、どういう展望を持ってこの部分をやるのか。
 と申しますのは、私が率直に今までの質疑を聞いておって感じるのは、一般病院にいて療養型病床群というのは、確かに部屋も広くなる、看護婦さんじゃないけれども、介護者を入れると結構の数になる、こういう外側の施設とか体裁はよくなるわけでございますが、診療内容や医師の配置基準などから見て、仮に私の知人がおったら、療養型へ入ることについてやっぱりお勧めできない、このような感じをするぐらい療養型のイメージというのは依然として不透明だし、問題点が多いんではないか。今、わからない、わからないというふうに言われましたが、少なくともこういう形式を今回新しく入れようとするときに、厚生省としてもきちんとした展望を持ちながらやっていくべさではないかと思いますが、その点について改めてお尋ねを申し上げたいと思います。
#210
○政府委員(古市圭治君) 我が国の高齢者、それからまた長期療養者向けの施設がいかにあるべきかということで、殊に高齢者につきましてはゴールドプランでそれぞれの整備目標というものは示させていただいているわけでございます。
 それはそれで整備が平成十一年に向かって進んでいくということでございますが、既存の二十床以上全部病院というと、その病院の姿がどうなるのかということでございますから、新しくということじゃなくて、病院の一般病棟の中からかなりの部分がこれを利用して転換してくださっていいんじゃなかろうか。そのときに、今までの老人病院だけでなくて、このような特定、療養型病床群という枠の中でひとつお移りくださいというオプションをお示ししたということで、これがどのくらい移っていただくかというのは現在のところちょっと数字はつかめていないという状況でございます。
#211
○粟森喬君 そこをわからなくしているというところが私は一番問題だと思うんです。選択だと言いながら、現実には療養型病床群に、医療費全体の枠の問題があるわけでございますから、移行をさせる、統制的なというか、行政指導が行われるということは私なりに懸念をします。例えば、確かに施設が一人当たりの広さが広くなるとか、いろんなアメニティーをよくするための部分が付加をされるということだけではなく、行政指導のあるべき姿を、この制度を法律に入れたという、法律の中で組み込んだというだけではなく、きち人と見せないところに厚生省のやり方の問題があると思います。その上で幾つかのことをお尋ねをしたいと思います。
 まず、療養型病床群が制度化された場合には、特例許可老人病院はこのこととの関連性でどうしていくのか、これについてお尋ねをしたいと思います。
#212
○政府委員(古市圭治君) 特例許可老人病院につきましては、既に老人保健法施行に伴いまして発足している制度でございまして、現在、この数も十四万床というところまで達して、それなりに一応機能が定着しつつある。そこに今度の改正案が出てくるわけでございますから、当分の間は療養型病床群と並行した状態で運営されるものだと思います。
#213
○粟森喬君 並行したまま存続をするのか、将来のこどはわからないと言われればそれまでなんだけれども、本来的にこれはどこかで合体をしていくという考え方があるんじゃないか。その辺のところについて現状の見解を明確にしていただきたいと思います。
#214
○政府委員(古市圭治君) 療養型病床群というのは、法律が施行されて現実に運用されていきましたら、最初は一般病棟の中から転換というのが起こりましょうし、それからこの目指すところはほとんど特例許可病院と実態的に合っておりますので、その中からこちらに吸収していって、年齢階級で老人病院というのを分ける必要もなくなってくるという時期が来たら、これはこの中に吸収されていくと、このように考えております。
#215
○粟森喬君 かなりはっきりしたと思います。結局、特例許可老人病院のシステムに療養型病床群というのが結果的に組み込まれるようなことになることを私は懸念しているわけでございます。したがって、この部分はこれからの大きな課題だと思いますが、この際お尋ねをしておきたいんですが、療養型病床群が制度化された場合、今の特例許可老人病院の診療報酬体系はいわゆる定額制というふうに一般的に言われます。このことの相互開運性についてどうされていくのか、このことについて当面の問題をお尋ねしておきたいと思います。
   〔委員長退席、理事竹村泰子君着席〕
#216
○政府委員(岡光序治君) ただいま局長から御説明申し上げましたように、療養型病床群が制度化された後も特例許可老人病院は並行的に存続をするというのが当面の姿だろうと思っております。そういう意味では特例許可老人病院のシステムを動かしていかなければならないわけでございまして、特例許可老人病院の中で、今御指摘がありましたように、いわゆる入院医療管理料を採用しているようなものもあるわけでございますし、あるいは基準看護を採用しているようなもの、あるいはその他看護を採用しているものもあるわけでございまして、そういう意味では現在の老人診療報酬の体系は変更することはないのではないだろうかと思っております。
#217
○粟森喬君 いずれにせよ、今の状況から見ますと、療養型病床群というのは私は診療体系上も問題があると思います。それから、患者の立場から見ても必ずしもこれは三カ月たったからあなたは療養型へ入りなさいと言われても、なかなか同意する患者ばっかりではないと思うんです。
 この際お尋ねをしておきますが、あなたは療養型病床群に入りなさいというふうに医師が例えば指示をする、そのときに患者が、私はやっぱりそっちよりこっちで、一般病院のところで診療を受けたい、こういうふうに主張をしたときに、そういう患者の主張をする権利といいますか、移りなさいと言われたときの同意権というのはちゃんと保障されるんでしょうか、どうでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
#218
○政府委員(古市圭治君) それは当然のことだと思っております。今度この制度ができて云々ということじゃなくて、現実に入院している患者が退院をしたい、また退院しなさいと、こう医療機関に言われる立場がございまして、これも話し合いの中で行われているわけでございますから、移行するということも当然十分話し合って納得の上そういう形が行われるんだということだと思います。
#219
○粟森喬君 入院退院にかかわる問題は話し合いだというふうに言われているけれども、実質的には病院側の意思といいますか、考え方が優先され過ぎる嫌いがある。とりわけこの種の移動に当たっては患者の同意権を何らかの格好できっちりと整理をしていただきたいと、こういう意味で申し上げたつもりですが、よろしゅうございますか。
#220
○政府委員(古市圭治君) この改正案が通りました後政省令を審議会で議論いたしますから、その御意見、御審議も踏まえまして、通知なりそういうレベルでそういうことが行われないように注意するように配慮したいと思います。
#221
○粟森喬君 今の質問をさらに深めるという意味で、保険診療の立場から幾つかお尋ねをしたいと思います。
 療養型病床群に入るということは三カ月以上の長期入院でございます。この人たちの扱いが、先ほどの答弁の中でも診療報酬制度の中でどうなるかということがまだきちんと言われていません。私どもが一番心配するのは、療養型になったときに、例えば医師の配置基準も先ほど一定の見解が既にもう明らかになっています。それから看護職員数、看護補助者数も一定の展望が明らかになっています。そういうことを考えますと、療養型の病床群というのは診療報酬上私どもは差別というか、悪い状態になっていくと、こういう懸念をしているわけでございますが、この辺のところについて厚生省の見解をお尋ねしたいと思います。
#222
○政府委員(黒木武弘君) まず、診療報酬についてまだきちっとしていないというお尋ねでございます。
 何度もお答えいたしておりますように、診療報酬、これから中医協の議を経てその議に沿って制度化していくわけでございますので、当面の考え方ということでお答えをさせていただいているわけでございます。
 一般病院におられる方と、今回の療養型病床群に入っておられる方との差別化になるのではないかというお尋ねでございます。私どもは、療養型病床群は包括払いと申しますか、定額を基本に考えたらどうかという考え方を申し述べているわけでございます。この定額化の基本的な考え方は、もう御案内のように、いろいろ想定されます診療行為、それの標準的と申しますか、平均的なところの費用でまとめてお支払いをするということでございますから、片一方は出来高で積み上げられる、片一方は平均で診療報酬が支払われるということでございまして、そこに差別化というのは私どもは毛頭念頭にないわけでございます。
 定額化することによって、出来高と包括払いは一長一短ございますけれども、長期入院されている方について注射一本すれば幾らになるか、あるいは検査すればどうだ、あるいはリハビリを何回やったらどうだという、そういう出来高の診療よりもまとめてお支払いすることによって、それぞれ患者さんにふさわしい診療報酬が安定的に入ってくる形の方が望ましい、ゆったりとした診療がここでできるんではないかということで定額を基本にして、症状が変化した場合にはそこのところを着目して出来高的な要素も組み合わせることによって診療報酬体系を組み上げることが療養型病床群にとってふさわしい支払いの方向ではないかと言っているわけでございまして、差別化というような考え方は毛頭ございません。
#223
○粟森喬君 今の話聞いておってしみじみ思ったわけでございますが、私はまず定額払いというのは、一人一人の患者の症状が必ずしも一致、固定化を仮に一人の人がしていても、にもかかわらず定額化をこれから固定化をしていくというのは結果的に、例えば診療報酬を支払う側にしたら、これは安定的な状況になります。総枠としてどうなのかということもこれは議論もしなきゃいかぬ。しかし、基本的にはそれぞれの患者の症状に応じて診療する、そしてそれによって出来高が診療報酬になるということが原則でなかったら、どうもお話を聞いていると長期療養型は定額が原則で出来高はプラスアルファ的な要素だというけれども、ここは基本的に差別化という言葉が適当なのかどうかということもあろうが、今度の診療報酬決めるときにどちらを優先するかということについては見解は明確にしておくべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
#224
○政府委員(黒木武弘君) 急性期とか、その他の患者さんについては症状がさまざまでございますので、出来高という方向をとっているわけでございますが、病状安定期になりますと、私どもは一応こういう治療、医療が行われるということが想定できる、そうすればまとめてお支払いする方向が可能ではないかと申し上げているわけでございます。
 その際、どういうメリットがあるかということになるわけでございますが、やはりどうしても薬を幾ら出したら幾らという形よりもまとめてお支払いすることによって、個々の行為を積み重ねることではなくて患者さんにふさわしいいろんな形での医療が費用と密接な関係を持たないことによって、むしろ自由に行われるんではないか。どうしても今までの出来高払いというのは、御案内のように検査づけ、薬づけという悪い言葉がありますけれども、ややそちらの方に走りがちでございます。
 お医者さんの選択でございますから、どちらの選択を求められるかというのはあるわけでございましょうけれども、現下のお医者さんの中でまとめて支払っていただいた方がそれぞれ患者さんにとってふさわしい治療がやりやすいという意見のお医者さんもおられるわけでございますから、選択肢を広げるという意味で私どもは定額制を基本にすべきじゃないか。どちらがウエートが高いかということでございますが、やはり定額的な要素が高くなる方がいいんではないかと思っておりますが、これは療養型病床群の具体的な基準とか、入退院の取り扱いとかを見ながら患者さんの病状をよく承知して、そして中医協で御議論をいただいて、望ましい診療報酬というものに私どもは懸命に取り組んでいきたいと思っているわけでございます。
#225
○粟森喬君 局長は一面を語っているわけです。定額払いで、そうすれば結構やれるという話があるけれども、経営の論理で考えたら、できるだけそうなったらもう薬は出さない、それから手抜きの診療と言ったら適当じゃないかもしれぬ、それは逆の一面に必ず出てきますよ。私どもが恐れるのはそのことについて今の回答の中では全然答えられていない、このことが問題だというふうに考えているわけでございます。
   〔理事竹村泰子君退席、委員長着席〕
したがって、これからのこの診療報酬制度を入れるときに基本的にはそういう出来高払いを加味するというか、両方をミックスせざるを得ないというのが現状だろうと思いますが、ここは強く要望し、その上で幾つかのことをさらにお尋ねしたいと思います。
 一つは、そういう状況になると、なかなかここへ入るということが一般の患者にとってはためらいも出る。一方で、こういう問題も私は出てくると思うんです。食堂ができる、部屋も広くとれる、食堂というのはどういうやり方がされるのかなというのもこれからの問題ですが、結構自費で負担できる患者、それから余り自分としては負担できない患者、この二通りの類型が現実に存在をすると思うんです。お金のある人はかなり快適な、アメニティーという言葉で表現されることがある意味では充足できる。しかしそうじゃない人は、逆にここは厳しいところだなという感じでとらえると思うんです。
 社会保障制度の中で医療の現場をもう少し改善しろといったときに、ある意味では今の医療のシステムの中でいうと、その全体の部分を保険制度で賄っているわけですから、それが一定程度抑えられる、そのかわり最低のものは保障される、こういう日本の医療制度のよさというのがあったと思うんです。ところが、これによって、リッチな人は快適ないい入院生活ができるけれども、そうでない人にはうらい思いをさせる、そんなことが現状として生まれるんではないか。こういうことについて、今度の改定の中で厚生省側としてどういう検討を加えて、そういうことが起きない、最低の歯どめはこうだと、この辺のところについてお尋ねをしたいと思います。
#226
○政府委員(黒木武弘君) 私どもは医療の質を高めたいと思っているわけでございまして、そういう意味で、今回の療養型病床群も、部屋を広くすること等によってゆったりとした、アメニティーと申しますか、環境が整うわけでございます。
 私どもの診療報酬改定で、今回アメニティー的なものをかなり取り入れました。例えば給食について、あるいは予約診療について、あるいは差額ベッドの上限について等々緩和をいたしたわけでございます。しかし、いずれも厳格な歯どめと申しますか要件をつけておりまして、一般的な患者が金がなければ受けられないということは絶対にないようにしているわけでございます。私どもの考え方は、患者の選択によってそれを望まれる場合には自己負担でという形にいたしておるわけでございます。例えて申しますと、給食については、今回も適時適温ということで、一般的な夕食の時間に温かい給食ができるようにというのは、これは私どもは差額なしで保険の点数の中でそういうものを設けたわけでございます。しかし、自分の好みの食事がしたいというそういう特別給食、特別な材料を使って本当に自分の好み、選択によって何が食べたいという方には、差額と申しますか、自己負担によってそういう道もあり得るぞというのを広げたわけであります。
 国民のニーズというのはいろんな形で多様化し、高度化しているわけでございまして、そういう人の要求にも医療がこたえながら、かつ医療がそういう負担なしで一般的、原則的にはできるという立て方というのは保険診療上当然でございまして、そういう原則を私どもも今後とも堅持してまいりたいと思っているわけでございます。
#227
○粟森喬君 答弁として一面的に聞いていると何となく納得するような形でございますが、実態はそうじゃないと思います。日本の医療のいいところは、所得の多寡ではなく、あるいは自分の貯蓄の多寡ではなく、病院の中ではほぼ同じような待遇を受けているということが一つの日本の生活の豊かさを示すという、トータルの中でも非常に大切な側面ではなかったか。それが部分的に、例えば今言われたように自分が好むときには別たという、そこが拡大することは日本の社会保障制度の甲で果たしていいのかどうかという問題を含んでいますから、このことについて十分お言葉で言われたことの逆のことが起きないように、どういう指導をするかということはこれからの課題でございますので、その都度そういう問題意識を持ちながら私としても質問をしていきたい、こういうふうに思っています。次に、特定機能病院について幾つかの考え方をお尋ねしたいと思います。
 特定機能病院のイメージについては大学病院などを想定している、それから国立のがんセンターとか、幾つかの具体的なところを言われております。しかし、私が非常に懸念するのは、この間も文部省からもおいでいただいて質疑を聞いていても十分わかるわけでございますが、大学病院というのは研究、教育機能と両方持っているがゆえに、入院患者のところには主治医はちゃんとした人がおられる、しかし主治医が来るのは週に一回である、あとは資格を取った研修医がその問を回ると、こういうのが私はかなり実態にあると思うんです。そうしますと、大学病院を特定機能病院の対象として考えるというのはわかります。確かに地域医療の中で最もすぐれた部分をここは担っていると思います。しかし病院の実態は果たして本当に特定機能病院に行こうとする人たちにとって選択肢としてそれだけでいいのかどうかという問題。それぞれの地域によって違うと思いますが、県立病院であるとか国立病院と言われるところにも類似のところがあるわけでございますが、ここで殊さらに大学病院を特定機能病院に集中させようとする考え方が実態とかなり違うんではないか、こういうふうに思いますが、この辺のところについての見解をお聞かせいただきたいと思います。
#228
○政府委員(古市圭治君) ただいまの御指摘は私どもも非常に重要な点だと思っております。
 大学病院の機能というものを見た場合、それから現在医療法の改正をしようとする特定機能病院、それの期待するところと一致するのかどうかという点がございます。特定機能病院は再々申し上げましたように、研究機能、教育機能というものに着目したわけじゃございませんで、国民の医療を担う中で非常に高度、先進的な医療の部分を総合的、実学的にやっていく能力のあるところと、こうやったわけでございます。結果的に大学病院というのが非常にイメージに近かったということでございますが、この基準ができました暁に、全国の八十の大学病院の附属病院が全部入れるとは限らないと私は思っておりました、どういう基準になるかわかりませんが。例えば、外来の紹介制ということもそれなりの機能をお願いしたいと言っているわけですが、そこが全然全うできないというところも出てくるかもしれません。それよりは県立の中央病院やいろんな公的病院の中心機関も大事かもしれません。そういう目でこれは見ていかなかったらいけないものだと、先生の御指摘は十分関係審議会でも御議論いただけることだと思っております。
#229
○粟森喬君 今回の医療法の改正に当たって、特に私はこういう改定のプロセスの展開が果たしていいのかどうかというふうに思っております。
 といいますのは、私は普通の国民が病気にかかったというか、体のぐあいが悪くなったときに、まず最初に行くべきは地域における開業医といいますか、診療所といいますか、そこへ行くということがだんだん少なくなったという、このことについて厚生省というか、行政の側が何が問題かということをおわかりいただいているのかどうか大変懸念しています。
 それはなぜかといいますと、医学の進歩に伴いましてさまざまな医療器械が新しいものが出ています。ちょっと大きな病院に行きたいというのは、そこの医師のよさというのもあるわけでございますが、つまりそういう設備を買ってコストとしてペイするということが、実は一般病院や診療所と言われるところでは非常に難しくなっているという経営上の実態があるわけです。そうすると、ますます開業医というのが、先ほどからの質問にもあったように、廃業する方がふえたりするというのは問題だと思います。
 私は、基本的にまず地域医療、地域の一般の開業医といいますか診療所というんですか、そういうところに行かなくなった現状についてどんな視点を持っているのか、そしてなぜこの部分に手を入れるということを先にせずに、特定といいますか高度医療のところと療養型に入ったのか、どうもここは納得のできない、過去の医療法の改正なり医療に関する審議会の審議経過から見てもここは問題のある一つではないかと思いますが、このことについてお尋ねをしたいと思います。
#230
○政府委員(古市圭治君) これまた我が国の医療制度の大きな問題点でございまして、フリーアクセスということで自由にかかれるということと、その結果秩序ある受診の体系化ができないということとの相互矛盾でございまして、どこから直していこうかということでいろいろな試みがあるわけでございますが、結果的には鶏と卵のような関係になっている。そういうことで私どもは今回の提案によりまして、今ここを直すためには一病院、一診療所の完結した医療供給体制というのはもうあり得ない、これからは地域運係を築かないとお互いの機能というものが適切に提供できないということから、やはり病院は同じような中小病院、開業医と外来患者を競うんじゃなくて、紹介制という特色を持っておる。開業医さんや中小病院に患者さんが行かない理由は、自分の病気はもう最大に悪い病気じゃないか、最高の専門的な検査機器で検査してもらいたい、こういうことがあるわけでございます。そういうことで、もう全部そちらへ行ってしまうという、大病院に寄っていくということがあるわけです。
 そこで、近くの医療機関でもその背景に、必要な場合にはちゃんとした診断、また治療というものが紹介できるということがわかれば安心して近くの医療機関にかかる、そのような連係システムをどこから日本に広げていこうかということで、今回の改正案もそういうような仕組みを導入する一つの端緒にしたいということで、特定機能病院も一つ入れさせていただいているわけでございます。
#231
○粟森喬君 今言われましたが、どうも納得できないのは、今でさえ開業医やめようという人がたくさんおる。せっかくある開業医がなくなってしまうとますます、だから私は今東京なんかで問題になっておるように、いわゆるかかりつけの医者といいますか開業医というのを探そうと思ったって東京なんかでは逆にとてもじゃないが無理だ。総合病院みたいなところに行かなかったら、風邪ぐらいじゃないかなと思ってもなかなかかかる医者がないという、その矛盾を全然押さえずに、つぶれるだけつぶれてからやるということなら話は別でございますが、現状緊急的にやらなきゃならぬのはむしろここではなかったかと、こういうふうに私は思っておるわけでございます。
 例えば私どもの一つの考え方としてあるのは、地域でまず医者に、病院に行くというときは開業医から行くと、そういうシステムをつくる。強制をするというのは確かにフリーアクセスになっていますからあれでございますが、そのことに今回の医療法の改正の中で何らかの措置をできなかったというのはかなりの私は手抜かりではないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
#232
○政府委員(古市圭治君) 今回の改正医療法の関係で、ただいまの御指摘の事項を考えてみますと、一つ理念規定の中に医療機関の連係を強化するようにということを入れさせていただきました。その一つの例として、特定機能病院の中で紹介制をと言ったわけでございます。いわゆるイギリスの登録医、GPのような形ができないか、先生も御承知でございますが、そういうことが長所が入るように日本流に入れていくのは、ここからスタートかなということでやらせていただいているわけでございます。
#233
○粟森喬君 なぜやれないのかということについて、ちゃんとした回答をまだいただいていません。いずれにせよ、ここを何とかしなきゃならぬというならば、早急に体系的にこの問題について出さなかったらいけないと思いますので、あえてそういう意見をさらにこれからも申し上げたいと思います。
 時間の関係もございますので、別の問題で、皆さん健康、いわゆる医療のことについて、特に予防ということをよく言われます。我々が予防でいろんな健診を受けることになっておるわけでございますが、ところで、厚生省から見たら、一つの例でございますが、人間ドックというのはもう保険診療は何にもございませんが、これはどういうふうな認識を持っておられるのですか。人間ドックというのはいわゆる予防という立場から見たときに大切なシステムだと思われておるのかどうか、この辺についてお尋ねをしたいと思います。
#234
○政府委員(古市圭治君) もちろん予防の中の一つの重要な手段として有効に働いている。いわゆる各種の厚生省は健診等もやっております。老人保健法による保健事業もやっておりますが、人間ドックは個人的にもう少し詳しい検査を受けるという制度をやっておられる。これはこれで結構なことだと思っております。
#235
○粟森喬君 人間ドックを褒められるだけではやる方はかなわぬのですわ。なぜかというと、人間ドックというのは、まず金が自由診療ですから個人負担でございます。すべての国民の方がちゃんと受けるというのは、まず時間の問題もありますね。一日というのもありますし、三日というのもありますし、五日もあります。それぞれの条件の中でなかなか大変なんです。大事なものだと言うけれども、なぜ保険給付の対象だとか、こういうことを一切考えないんですか。大事ならちゃんとやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#236
○政府委員(黒木武弘君) 人間ドックにつきましては、現在保険の世界では保健施設事業という形に取り組んでいるわけでございます。政管については日帰り人間ドックということで、それぞれの被保険者に対して実施をいたしておりますし、健保組合あるいは国民健康保険組合でも健康診査、人間ドックを含む形でほとんどの市町村で実施をしているところでございます。
 政管について申し上げますと、大体費用が三万六千五十円ぐらいかかっているようですが、利用者の自己負担は九千二百七十円ということでございまして、そういう形で保険料を財源といいますか、保健施設活動の中で人間ドックの重要性にかんがみまして、人間ドック事業を被保険者サービスということで実施をいたしておるということでございます。
#237
○粟森喬君 政管健保の実態で申し上げますと、どうも実感から見ると、もうちょっと個人負担の分が多いような感じがいたします。これは実感でございますから、数字をきょうは持ち合わせませんので、改めてお尋ねをする機会もあると思います。
 いずれにしても、人間ドックというのがみんなの、いわゆる国民が何らかの格好で、例えばがんの検診とかいろいろございます。これは別の制度で入れているとか、ここは問題のあるところだというふうに私は思います。したがって、これから保険給付の対象としてこの部分をちゃんと体系に入れていただきたい、こういう立場で申し上げたんで、そのことについて局長の答弁をお願いします。
#238
○政府委員(黒木武弘君) 現在の健保法の体系は、何と申しますか、疾病、負傷に対する治療存保険給付として構成をいたしておるわけでございます。しかし、疾病の予防とか早期発見、健康づくり、健康教育というのは非常に重要でございます。もちろん、健保法上にもその点が書かれておるわけでございます。
 そういうのを踏まえまして、給付の形でやるのかあるいは施設活動として被保険者にそういうものを利用させるのかと、こういう二つの道行きがあるわけでございますけれども、給付化ということになりますとなかなか難しい点がございまして、私どもの方としては施設事業としてやる方が順調にこの事業が進むのではなかろうかと思っておるわけでございます。
 給付にいたしますと、実施回数をどうするかとか、自己負担をどうするかとか、実施機関をどうするかということで、それぞれ特定制度化していく必要があるわけでございますけれども、結局外国の例を見ましても、実施回数は年一回とかあるいは実施機関はこことここと決めますと、保健施設活動とそう変わらないような形になってくるのではないかと思いますが、ずっと私どもは国保を初めとしてこういう予防活動というのは取り組んでいるところでございまして、現行の仕掛け、仕組みというのはかなり保険の世界では定着化していると思っているわけでございます。そういう意味で、この形での充実ということで御理解をいただければ幸いでございます。
#239
○粟森喬君 厚生大臣、最後ですからここはお聞きしたいと思います。
 今局長は現状そのままということで言っているんですが、私は人間ドックというのは施設での援助だけではだめだと。全部を入れるというのは、医療費全体の問題もございますから、これからの検討には十分皆さんの側も財源を考えにゃいかぬから大変だと思いますが、もう少し人間ドックという制度が広くいろんな人が利用できるようにすることが、結果として今たくさんの病院へ入っている人というのは予防をちゃんとやっていれば済んだ、むしろ着目するんならそこもちゃんとやるべきだ、こういうふうに私は思っているんです。現状の改革をするということについて検討されるかどうか、大臣の答弁聞いて私の質問を終わります。
#240
○国務大臣(山下徳夫君) おっしゃるとおり、病気を治すという医療費よりも予防の方が早く言うと安上がりなんですね。私は保険財政からいったらそっちの方がいいと思うのであります。ただ、現在の日本の健康保険等のシステムというものは病気を治すためのものだと、こういうことになっております。したがいまして、分娩料にしても、正常分娩の場合は厳格に言えばこれは健保のらち外でございます。
 ちょうどそれと同じように人間ドックも、何もなければだめでございますが、今の分娩だって取り上げてみたら病気だったというときには直ちにそれは保険適用できますが、人間ドックにしても、やってみて体内に欠陥が何カ所かある場合はもちろんそれは全部保険で見るということでございますが、ただ、病気を治すという大前提に立った場合には現状しかやむを得ないのかな。したがって、今申し上げた正常分娩であるとか、こういう問題については、何ら、もしもこれを全部見なきゃならぬとするならば別途何か考えなければ、現在のシステムでは病気を治すというカテゴリーの中ではちょっと無理じゃないかという気がいたしますが。
#241
○委員長(田渕勲二君) 粟森君、最後ですから。
#242
○粟森喬君 ちょっと納得できませんので、次回またやらせていただきます。
#243
○勝木健司君 療養型病床群制度についてまずお聞きをいたしたいと思います。
 療養型病床群は医療の切り捨てとか、または低医療政策につながるのではないかというような懸念もされておるわけでありますけれども、その辺も含めて、療養型病床群制度の趣旨、そしてまたその必要性について、簡単に要点のみお聞きをしたいというふうに思います。
#244
○政府委員(古市圭治君) 今回御提案しております療養型病床群の制度につきましては、脳血管疾患など病状が比較的安定しているけれども、さらに入院治療が必要だという方がかなりの数になっている、しかも年齢階級を問わないでそういう必要性はあるというところから、新たに今度病院の中にこのような制度を導入してはいかがかと提案しているわけでございます。したがいまして、いわゆる医療の切り捨てとか低医療費とかを目指したものではございません。
 具体的には、療養型病床群を有する病院におきましては、一人当たりの病室面積、廊下の幅の拡大、リハビリテーションのための機能訓練室等、院内での居住性を高めていわゆる療養と同時に生活的な面を配慮した構造に持っていきたい、このように提案しているわけでございます。
 しかも、この制度は強制ではございませんで、医療機関からの申告に基づいて認可されるということにしたいと思っているわけでございます。
#245
○勝木健司君 療養型病床群という名称もややわかりにくいものでありますけれども、なぜこのような名称になったのか、お伺いをしたいというふうに思います。
 それと、この病床群の単位はどのように設定されるのかということで、患者の療養生活とかあるいは看護の問題からすれば少なくとも一つの看護単位を基準にするべきじゃないかというふうに思いますが、お伺いをいたしたいというふうに思います。
#246
○政府委員(古市圭治君) 当初いろいろ議論がありまして、例えば慢性疾患病棟というようなことではどうであろうかというような話もございました。ところが、急性疾患と慢性疾患を何で区別するのだというような議論もございまして、やはり病状が安定して療養をするというところからこういう名前がいいだろう。それからまた、病棟と申しますと既存の五十とか六十とか固定的なイメージが出る。もっと少ない単位でも可能にしよう、しかし最低は看護単位が形成されるというところがいいだろうということから、余りふさわしくないという御意見もございますが、病床群という言葉になって、療養型病床群、こう法律には記入させていただきました。御指摘のように、許可に当たりましては看護単位を基本として運用したいと考えております。
#247
○勝木健司君 療養型病床群の診療報酬をどのように設定するつもりなのかということで、この制度を定着させていくためには診療報酬の機能に応じて設定をしていく必要があるのではないかというふうに思います。この場合に、現行の老人病院の診療報酬との比較においてどう設定をしていくのかということで、より積極的に評価すべき点もあるんじゃないかというふうにも思うわけでありますけれども、これも含めてお尋ねをしたいというふうに思います。
#248
○政府委員(黒木武弘君) 療養型病床群にかかわります診療報酬につきましては、これからの検討であるわけでございますけれども、特に看護要員等の配置基準がどのように決まるのか、あるいは施設設備面、特に談話室とか機能訓練室等をかなりゆったりとられるような構想でございますが、そういう具体的な内容が固まった段階で、今先生御指摘のような点も含めてまだ私どもは検討する必要がある、特に老人診療報酬とのバランスと申しますか違い等、具体的な中身に即してこれから検討していきまして、いずれにいたしましても機能、特質にふさわしい評価が行われるよう十分検討してまいりたいと思っているわけでございます。
#249
○勝木健司君 療養型病床群に関して、病状に応じた人員配置とかあるいは設備について、生活面での配慮もするということでありますけれども、患者にとって不便にならないのかどうかということが懸念されるわけであります。患者の病状の変化に対応した医療が提供できないようではかえって改悪になる可能性も出てくるわけでありますので、このような懸念を払拭するために人員配置あるいは設備について生活面での配慮ということでももっと具体的にどういうことなのかもお伺いをしたいというふうに思います。
#250
○政府委員(古市圭治君) 具体的な御説明としては、現在医療法で許可を受けている六人部屋から二つベッドを抜きまして四人病床で使用していただくというイメージがわかりやすいんではなかろうか。それから廊下その他も、いわゆる車いすとかいろんなことを考えまして、幅を約五割増しにする。それからまた、食堂で食事をされるという状況も考えられますから、談話室、食堂をつけていただく。それからまた、機能訓練室も小さくてもいいからそれはもうつけていただく。そういう施設構造のイメージということでございます。
 それから、人員配置につきましては、現在医療法では、病院では一律に入院患者四人に一人の看護婦ということになっておりますが、これを六人に一人の看護婦さん、しかし、介護の力も必要であるということから、六人に一人の介護補助者ということから六人に二人ということの配置基準にいたしたい、こういうようなイメージになるんではなかろうか。そういうことで、通りましたときに医療審議会にもお諮りをしたいと思っているわけでございます。
#251
○勝木健司君 療養型病床群の対象患者は病状が安定をしておる、そしてまた長期療養を必要とする患者とされておるわけでありますけれども、実際は老人慢性疾患の患者が多く占めてくるんじゃないかというふうに思われるわけであります。そこで、療養型病床群をこれから整備していこうというのであれば、老人保健施設との関係を明確にしておく必要があるんじゃないかというふうに思います。老人保健施設については既にゴールドプランに沿ってその整備が今進められているわけでありますけれども、この療養型病床群制度と老人保健施設、またゴールドプランとの関係について御説明をいただきたいというふうに思います。
#252
○政府委員(古市圭治君) 老人保健施設につきましては、既にゴールドプランに沿って平成十一年度に二十八万床を確保するということで厚生省ではその整備を進めているところでございまして、今回の医療法改正によって療養型病床群ができるできないにかかわらずこれの必要性は変わりませんで、これは整備をしていくということになります。
 一方、この療養型病床群というものは、既存の一般病院の方から転換が起こってくるといったときに、こういうような機能の医療法上の枠をつくっておいて、その中に来ることが望ましい医療機関にはここに来ていただく、こういうようなことになろうかと思います。
#253
○勝木健司君 今回の改正で老人保健施設の医療提携面に着目をして医療提携の理念等の規定においてこういう老人保健施設が位置づけられておるわけでありますが、現実には老人保健法の中にも老人保健施設があるわけであります。この改正によって医療法の中でも新たに位置づけられるということであるわけでありますが、この二つの法律にまたがった形での老人保健施設が位置づけられておるわけでありますけれども、この性格は一体どうしていくのかということで、医療関係者の中には行く行くは何らかの形で医療法の中で一本にまとめられていくんじゃないかという声もあるわけでありますので、老人保健施設の将来の性格をどう描いておられるのか、御説明をいただきたいというふうに思います。
#254
○政府委員(岡光序治君) 老人保健施設の性格につきましては、今後とも変わるものではないというふうに考えております。したがいまして、整備の関係につきましてただいま健康政策局長から申し上げましたが、老人保健施設については従来の目標どおり平成十一年の二十八万床ということを維持していこうとしているわけでございます。
 すなわち老人保健施設は、病状安定期にある寝たきり老人等に対しまして、その心身の特性にふさわしい看護・介護やリハビリテーションを中心とする医療ケアとか日常生活サービスを提供する、こういうことによりましてお年寄りの自立を支援して家庭復帰を目指そう、こういうわけでございまして、いわゆる療養型病床群とは性格が異なっておるわけでございまして、老人保健施設の今与えられておる性格については今後とも維持をしていく、変わらないというふうに理解をしております。
#255
○勝木健司君 今後とも療養型病床群の整備だけじゃなく引き続き老人保健施設を整備していくことも、当然二十八万床の目的に向かって重要なことであろうかどいうふうに思います。
 しかし、老人保健施設の整備については当初の計画どおり進んでいないんじゃないかということも言われておるわけでありますが、特に都市部における整備が大変おくれておるというふうに聞いておるわけでありますけれども、この老人保健施設の整備の進捗状況、そしてまた今後の取り組み方針、特に都市部の整備がおくれていることに対して今後どう取り組んでいくのか等についてお尋ねをしたいというふうに思います。
#256
○政府委員(岡光序治君) まず、整備状況でございますが、平成三年度末の状況について申し上げます。平成三年度末の目標数が六万九千八百十一床でございましたが、現実の整備数は五万六千二百三十八床、目標に対しましての実績は約八一%ということでございました。
 御指摘がございましたように、この中身をいわゆる大都市部とそれからそれ以外の地域ということで、大都市部を東京区部とそれからいわゆる政令指定都市ということで把握をしてみますと、非常に大都市部の整備がおくれております。
 これの理由は端的に申し上げまして、大都市部以外の地域と比べまして建築コストが高い、それから用地の確保が難しいということに尽きるわけでございまして、私どもはこれに対しまして、まず施設整備費の国庫補助におきまして大都市地域の整備費の加算をする、あるいは平成三年度から用地の高度利用を図るという観点から、施設の高層化であるとか他の施設と複合的に使う複合化、こういうことをやろうということにしまして、こういった場合にも補助金の加算を行う。それから、平成四年度からは特に人口密集地域における整備につきましても加算を行うということで、定額の整備費補助でございますが、そのような加算システムを導入いたしまして、少しでも建設負担が軽くなるようにという配慮をしておるところでございます。
 また、融資の点につきましても、社会福祉・医源事業団の融資で大都市に設置をするケースにつきましては融資限度額を大幅に引き上げたところでございます。
 こういう補助金であるとか融資ということで誘導しているわけでございますが、土地の問題につきしては公有地の有効活用を図るとか、繰り返しになりますが、施設の高層化とか複合化、こういったことを進めることによりまして、特に大都市部における整備促進を図りたいということで進めております。
#257
○勝木健司君 現在高齢者のための施設としては老人保健施設、老人病院、特別養護老人ホームなど施設が多様化しておるわけでありますが、療養型病床群が制度化することによってさらにまた多様化することになるわけであります。高齢者のための施設が多様化することによってそれぞれ高齢者の状態に応じたきめ細かな対応がなされるということで、それぞれの制度がその目的どおり運営されれば非常に効果的であるんじゃないかというふうに思うわけであります。しかし、高齢者の方あるいは家族の方がそれぞれの施設のサービスの内容とかあるいは費用などの違いを判断することはまずます難しくなってくるんじゃなかろうかということで、このような状況に対応できるような相談体制をより充実することが大切になってくるんじゃなかろうかと思います。
 現在、シルバー一一〇審とか在宅介護支援センターなどがこれに当たっておるわけでありますけれども、この高齢者の相談体制について今後どう充実させていくのかということについてもお聞きをしておきたいというふうに思います。
#258
○政府委員(岡光序治君) まず御指摘がございましたシルバー一一〇番、これは全都道府県に整備ができました。よりこれを高齢者あるいはその家族の方からの御照会に的確にこたえられるようにということで、その体制を整備する。それから各種の御指摘がありました施設、病院群がありますので、そういったところとの連係を深めまして的確にその相談に対応できるような連係システムを今後より手厚いものにしたいと考えております。
 それから、在宅介護支援センターにつきましては、十カ年戦略に基づきましておおむね中学校区に一カ所ということを目標に現在整備を進めているところでございまして、この点につきましてもいろんな情報をここに集中させまして、高齢者サイドからの御相談に対応できるようにということにしたいと思っております。
 それから、市町村もやはり重要な窓口でございますので、ここにもサービス調整チームがございますように、いろんな情報を集めるということによって一番身近な行政主体でございますから、そこからも必要な情報が取り出せるように、またどこかの施設にちゃんとコネクトできるように、こういうことをねらいたいと思っております。
#259
○勝木健司君 現在、特別養護老人ホームまた老人病院、そして老人保健施設の費用の負担面で大きな格差が生じておるんじゃなかろうかと思います。
 そこで、この格差の実態について御説明を願いたいわけでありますけれども、これらの施設、それぞれ介護を中心としたサービスを提供するという面では共通の性格があるわけでありますが、費用負担の面では大きな格差が生じておるということについては適切な施設でサービスを受けることを経済面から阻害していくんじゃないか、そういった意味では適当ではないというふうに思うわけでありますので、今後費用負担の均衡をいかに図っていかれるのか、お伺いしたい。特に老人保健施設と特別養護老人ホームの費用負担、またサービスのレベルについて整合性をいかにとっていくのかということでお伺いをいたしたいというふうに思います。
#260
○政府委員(岡光序治君) まず、費用負担の現状でございますが、病院に入院をする場合一部負担をするわけでございますが、三十日、一カ月で一万八千円、老人保健施設の場合には食費等が利用料ということで徴収されるわけですが、これが一カ月約五万円、これは平成二年の実績でございますが、約五万円、それから特別養護老人ホームの場合、これも平成二年の実績では、これは負担能力に応じて費用徴収するわけでございますが、平均では二万七千円ということになっております。
 御指摘がございましたように、介護を中心としたサービスを提供するという共通の性格を見た場合に、まずこれらのサービスの質の確保それから向上ということが必要だというふうに考えておりますし、また機能なり役割の連携を図るということが必要だと思っております。
 それから、費用の観点につきましては、こういった介護面に着目をした場合に費用負担に著しい格差が生じるというのは適当ではないと思っております。いろいろこれから施設の違いとかが問題になってくると思いますが、特に介護面についての費用負担ということを考えた場合には、整合性を図るという方向で今後考えていかなければならないというふうに認識をしております。
#261
○勝木健司君 次に、広告規制の見直しについてお尋ねをいたしたいと思います。
 今回の改正では、医療に関する正確で適切な情報を患者が容易に入手できるように条件整備を進めることとなっておるわけでありますが、このことは納得できる医療を国民が選択する前提となる事柄でありますので、若干質問をいたしますが、その中の一つに院外広告の基準の設定があるわけでありますけれども、どのような内容が新たに広告できるようになるのか、簡単にお答えをいただきたいというふうに思います。
#262
○政府委員(古市圭治君) 今回の改正案では、広告できる事項の範囲を広げていくということと同時に、その反面、違反広告を取り締まるということも規制していきたいと思っております。
 お尋ねのどのような項目がふえるかということに関しましては、現在考えておりますのは、例えば予約制の有無、それから往診の有無、さらには紹介制、それから院外処方せんを発行する等は当然院外広告をやっても差し支えない事項ではなかろうかということで、これらを中心として審議会の御意見も聞いてまいりたいと思っております。
#263
○勝木健司君 広告規制の緩和は、国民医療サービスの向上にとって見逃すことのできない一つのテーマでありますが、現在は医療法に基づいて患者サービスに関する情報は外部に広告することは禁じられておるということで、患者は人づてに、口づてに医療機関の情報を得て選択の際の参考にしているのが実情であるわけであります。そういうことで今回の、先ほどの規制緩和で本当にこうした現状が果たして改善できるのかどうかということでお尋ねをしたい。
 また、広告制限の見直しは医療機関の広報活動を進めるという観点から行われるべきじゃないかとも考えられるわけでありますけれども、お答えをいただきたいというふうに思います。
#264
○政府委員(古市圭治君) 今お話しのように、広告となっておりますが、言葉としては広報と言った方がその感じが正しく伝わるんではなかろうかというのは御意見のとおりかと思います。これは、医療が一医療機関完結型で提供する時代はもう去りつつあるというのと同じように、自分の病院の機能というものを広告していくということだけでなくて、ほかの医療機関との連係のあり方等を同時に広報、広告してもいいんではなかろうか、さらには、病院がやるだけではなくて地方自治体と協議して、自治体との間で、こういうようなシステムがありますよ、福祉機関とこうですよということまで広めてもいいんではなかろうか、そういうことで医療機関の広報活動、また地方自治体の保健医療に対する広報活動と並行して進めるということも審議会の中で御検討していただいたらと、このように思っております。
#265
○勝木健司君 院外広告規制の緩和については、患者サービスの在り方に関する懇談会の報告書においても指摘されておるわけでありますけれども、そこでは、「患者の生命・身体にかかわる医療の特殊性に配慮しつつ、広告規制の在り方について見直しを行うとともに、行政機関、医師会等各種関係団体を通じた情報提供についても検討していく必要があろう。」というふうに指摘をされておるわけであります。今回の法改正に当たって、行政機関あるいは医師会等の各種関係団体を通じた情報提供についてはどのように検討をされてきたのか、そしてどのように今後されていくのかということについてもお伺いをしておきたいと思います。
#266
○政府委員(古市圭治君) ただいまお話に出ました患者サービスの在り方に関する懇談会報告というのは、既に平成元年の五月に出されておりまして、この報告書の結果も関係者に一応周知徹底をしているわけでございます。その中には「積極的な情報提供」ということが書いてありますし、また情報提供の「地域との関わり」という項目の中では、いわゆるボランティアを受け入れるということも、地域の人々との関係を密接にするとともに、保健所それから福祉事務所等と連携をとり、総合的なサービスの提供に努めることも重要であるということで、いわゆる情報提供という範囲を地方自治体やそれから福祉の分野まで含めて総合的にやっていくという役割も期待しているところでございます。
 そういうものを背景といたしまして、今回の改正案が通りました暁には、地域における地域医師会、それからまた保健所等との各種の情報の総合的な提供というものを検討してまいりたい。現在も、来年度予算でそういうような事業もさらに拡充すべくちょっと検討しようということを局内でも話している段階でございます。
#267
○勝木健司君 院外広告の規制の緩和に当たりまして、現行の広告でできる事項に加えて、予約制の有無とかあるいは病室、機器等の規模、併設施設等々ということも広告できることになるわけでありますけれども、こういった規制緩和に当たっての問題点として新たに大病院と開業医との利害の調整も残っておるんじゃないかというふうに指摘をされておるわけでありますが、たくさん広告することのある大病院と、広告することといえば現行の医療法の列挙事項ぐらいという開業医との間での大きなギャップが存在することになってくるわけであります。この問題に対しては厚生省はどういう考え方を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
#268
○政府委員(古市圭治君) それぞれの医療機関の地域におきます役割分担、それから専門性というところから、おのずから自分のところが外に向かって知らせるという情報の量というのは相違があるかと思います。しかし、大きな病院でたくさん広告したからといって患者さんはその全部を利用するわけではなくて、その中のどれかに対応していくわけでございますから、決して広告情報提供量の多い少ないによって医療機関の価値が決まるものではないと私は思います。
 また、これは先生御承知かと思いますが、姫路市におきましては、いわゆる大きな病院と地域の開業医さん、それからそこと結びついて紹介制というものを一応周知するようにやっております。これは非常によく機能しつつあるということでございますから、それは地域の医療機関のそれぞれの特徴また受け持ち分野というものを明らかにすることによって、患者さんが医療を受けやすくなるということの大きな助けになるんではなかろうかと思っております。
#269
○勝木健司君 今回の改正で表示できる診療科目は、医学医術に関する学術団体及び審議会の意見を聞いて政令で定めることとなっておるわけでありますけれども、法律事項から政令事項になぜしたのかということであります。
 現在、診療科目の標榜を希望している数が四十数件もあるということでありますが、今後この診療科名の追加も医療専門団体の意見を聞いて行われることとなるわけでありますけれども、現在の四十数件もたまっている問題が法律事項から政令事項にしてきちんと解決することができるのか、あわせてお伺いをいたしたいというふうに思います。
#270
○政府委員(古市圭治君) 現在三十三ということで、この改正案が通りましたときには、一応三十三というのは、それでスタートのときはそうかもしれませんが、今回既にかなりの関係学会からの要望というのが出ている状況でございますから、それを関係審議会にも御意見を聞きまして、整理がついたところから追加していくということになろうかと思います。
 ただ、これはそう簡単な話では私ないと思っております。先生も、認定医制度、また専門学会の現在のそれぞれの認定が区々まちまちである、また、その加盟の人間の数も非常に差があるということ、御承知のとおりだと思います。また、それを標榜することが後ろの認定制とどのように結びつけて表示していくかという御議論もあろうかと思いますので、ちょっと時間のかかることではなかろうかと思っておりますが、これはこの改正案が通りましたら早速にでも検討を始めたいと思っております。
#271
○勝木健司君 昭和六十年の第一次医療法の改正の中で医療計画が法定化をされた、そして医療を提供する体制を整備すべき単位としての医療圏の整備が行われておるわけであります。しかしこの医療圏については、全国で整備されているにもかかわらず国民の理解が余り高まっていないんじゃないかとも思われます。医療資源の地域的偏在をなくしていって、そして医療施設相互の機能の連係を図るためには、医療圏の具体的内容をもっと国民へ周知徹底すべきであるというふうに思うわけでありますけれども、厚生省の考え方を聞いておきたいというふうに思います。
#272
○政府委員(古市圭治君) 確かにそのとおりだと思いまして、私自身も現在住んでいるところがどこの第二次医療圏かというのを聞かれたら答えられないような状況でございます。国民は医療圏のどこにいるかという情報は直接知る必要はないとは思いますが、医療関係者がそういうことできちっと決めて、そして患者さんに、要するに近くのお医者さんとどういう関連で中核病院まで結びついた供給体制があるのかということは十分知らせていかなかったらいけないということで、現在都道府県、それから衛生部局、保健所を通じてやっておりますけれども、先生の御指摘のように地域保健医療計画についてその内容を地域住民の人たちにも知っていただくように努力してまいりたいと思います。
#273
○勝木健司君 医療計画については各都道府県が少なくとも五年ごとに再検討を加えていく、そして必要があれば変更することとされておるわけでありますが、現在二回目の地域医療計画の見直しの時期に入っておるということであります。今回の見直しにおいて任意的な記載事項とされている各種の保健医療との連係、あるいは保健サービスとか福祉施設との結びつき等を重点的に見直しをしているということでありますが、この見直しの内容とか進捗状況について簡単にお伺いをしておきたいというふうに思います。
#274
○政府委員(古市圭治君) 現在地域医療計画の見直しというものが進んでおりまして、この地域医療計画の中には必要的記載事項と任意的記載事項というのがございます。必要的記載事項は、機械的にと申しましてはなにでございますが、その地域内の病床数というものの見直しをやっているわけでございます。
 しかし、この任意的記載事項というものの検討がややおくれておるわけでございます。そこで、平成三年十二月末までに全都道府県において一応作成されたところでございます。しかし、その任意的記載事項の記載内容につきましては都道府県ごとに具体性において差がございます。そこで、平成四年四月一日現在におきまして十二県八十三圏域で一応策定ができておりますが、今年度中には大部分の都道府県において策定がされるという状況でございます。
#275
○勝木健司君 各診療所や病院が個々の患者等の状態に応じて他の医療機関あるいは福祉サイドとも連携をしながら適切なサービスを速やかに提供することによって、地域の中で必要なサービスが提供できるような体制を目指すということが求められておるわけでありまして、これも二十一世紀を目指した今後の医療供給体制のあり方においでもそういうことで指摘をされておるところでありますけれども、地域保健医療計画の位置づけは一体どうなっておるのか、そして各二次医療圏ごとの保健医療計画の作成状況についてもお伺いをしておきたいというふうに思います
#276
○政府委員(古市圭治君) ただいまちょっと先走って御説明したのかと思いますけれども、地域保健医療計画というのは従来からスタートいたしましたときに二次医療圏、現在三百四十五でございますが、その中の必要病床数の設定というところにかなりの精力を注ぎ込んだということでございまして、本当に大事な、保健と医療との連携とか、病院と診療所の連係、さらには中核病院までどのようなルートで至るかというところの議論が少し少なかったということから、その任意的記載事項でございますが、その保健計画にふさわしいものをつくろうということで現在見直しか進んでいるわけでございます。先ほど申し上げましたように、平成四年四月一日現在で十二県八十三圏域でございますが、今年度中には大部分の都道府県で策定をするということで急がせているところでございます。
#277
○勝木健司君 地域医療を考える上で、今後高齢人口の増加等が予測されることから在宅医療とかあるいは訪問医療への対応の強化が必要になってくるということで、治療中心の医療から疾病の予防、再発防止を重視する医療へと移行をしていくことが望まれておるわけでありますので、そのために身近に遭遇する疾病とか、あるいは健康問題に初期的あるいは一次的に対応する総合的な保健医療、すなわちプライマリーケアというのが地域に密着した形で提供される体制の確立が優先して取り組まれるべき課題であると考えられるわけでありますが、このプライマリーケアの問題、そういう課題を本法律案ではどう配慮されておるのか、お伺いしたいというふうに思います。
#278
○政府委員(古市圭治君) 法律の理念規定の中でそれぞれの医療機関、それから医療職種の人が患者さんに連係をとってサービスをしようということと、それからまた、初めて医療の場として医療施設だけでなくて居宅ということで在宅医療というものがこれから重要な項目であるということを書かせていただいたわけでございます。
 具体的な方策といたしましては、再々申し上げておりますように、従来の二十床以上が病院であるということだけでなくて、大病院、高度医療機関の外来というものは、地域医療の中核的な一つの機関としてひとつ紹介制というものを基本にやっていただいたらいかがであろうか、そういうものを核としまして、今おっしゃいましたかかりつけの医師と、プライマリーケアと、そこへかかる、必要な場合には大病院まで紹介されるというルートができてくると、こういうような患者の流れをつくる端緒になればということで今回の改正案を出させていただいたわけでございます。
 それ以外に、プライマリーケアを地域に広めるためには、医学教育から始まりまして医師の国家試験、研修、医師の生涯研修にわたりまして各種の一応啓発をやっていかなかったらいけないと思っております。
#279
○勝木健司君 最後にお伺いいたしますが、プライマリーケアの確立とともに、地域の医療施設にあっては医療水準の一層の向上と、病院、診療所のそれぞれの機能を有効に発揮できるような医療施設間の連係システムの整備、確立が必要かというふうに思われるわけでありますが、今後いかにして医療施設問の連係システムの整備、確立を図っていくのかということ、特に地域においてはそれぞれの医療機関が地域の実情に合わせて相互に役割分担を考えていくことが重要になってくるわけであります。
 そこで中小病院とか、あるいは有床診療所が地域医療の中で果たしている機能について厚生省はどう考えておられるのか、そして、今後の医療供給体制のあり方の中でどのように位置づけしていくのかということをお尋ねしたいというふうに思います。
#280
○政府委員(古市圭治君) 非常に重要な問題を先生列挙されました。
 今回の改正におきまして、医療提供の理念規定の中に、「医療提供施設において診療に従事する医師及び歯科医師は、医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連係に資するため、」「必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」、初めてこの法律の中に書かせていただきました。これが理念でございますが、それを具体的に実施していきますためには、先ほど御指摘の地域保健医療計画というものを都道府県の中で関係者が協議して、この協議体の中で住民の意向もくみ上げてそれをつくっていただく。その地域保健医療計画の中には、単に病院数、病床の規制ということだけではなくて保健と医療の有効な連携システムというものも検討されるべきだということで、先ほど申し上げましたようにその作成が進んでいるということでございます。
 そういう中で、いわゆる特定機能病院なり療養型病床群ということだけでなくて、その間に残されております一般病院、殊に中小病院、さらには診療所、無床診療所、有床診療所、これの機能づけはどのようになるのかというのがこの次の医療法改正に残された大きな課題であるわけでございます。私どもは、これらが日本の医療を背負っていくという部分が非常に欠きゅうございますので、これに対しては今後関係者の、また専門家の御意見も聞きながら早急に方向づけを決めてまた医療法の改正に持っていきたいと思っておりますが、殊に診療所におきましては、第一線のプライマリーケアを担うということのかかりつけ医という面を背負っていただきたい。それからまた、有床診療所におきましては、在宅医療といいながら住宅事情が非常に亜由いわけでございますから、これこそ都会、田舎を通じて身近にある医療施設ということでございますから、これを在宅医療を支える一つの支援的な医療施設という方向にいくことも可能なのではなかろうか、このように思っております。
 いず札にしましても、第一線の医療を担っていただいております一般病院、有床診療所の将来というものにつきましては、鋭意検討を進めてまたさらなる改正というものに持っていきたいと思っております。
#281
○勝木健司君 終わります。
#282
○委員長(田渕勲二君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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