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1992/06/18 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第14号
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1992/06/18 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第14号

#1
第123回国会 厚生委員会 第14号
平成四年六月十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月三日
    辞任         補欠選任
     針生 雄吉君     高桑 栄松君
 六月四日
    辞任         補欠選任
     石井 道子君     田代由紀男君
 六月十日
    辞任         補欠選任
     勝木 健司君     井上  計君
 六月十一日
    辞任         補欠選任
     井上  計君     勝木 健司君
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     木暮 山人君     大島 慶久君
     谷川 寛三君     石井 道子君
 六月十八日
    辞任         補欠選任
     大島 慶久君     木暮 山人君
     竹村 泰子君     篠崎 年子君
     栗森  喬君     山田耕三郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田渕 勲二君
    理 事
                西田 吉宏君
                前島英三郎君
                竹村 泰子君
                高桑 栄松君
    委 員
                石井 道子君
                小野 清子君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                篠崎 年子君
                浜本 万三君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                粟森  喬君
                山田耕三郎君
                勝木 健司君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  山下 徳夫君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     大西 孝夫君
       厚生大臣官房審
       議官       山口 剛彦君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       古市 圭治君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
   説明員
       文部省高等教育
       局医学教育課長  喜多 祥旁君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○医療法の一部を改正する法律案(第百十八回国
 会内閣提出、第百二十三回国会衆議院送付)
○保育所制度の充実に関する請願(第二三号外七
 件)
○輸入食品に対する検査・監視体制の充実強化に
 関する請願(第二五号)
○ホームヘルパーの処遇向上に関する請願(第二
 八号)
○看護・介護職員の人材確保を図るための法律制
 定に関する請願(第四七号外一件)
○重度心身障害者とその両親又はその介護者及び
 寝たきり老人とその介護者の家族が同居可能な
 社会福祉施設の設置に関する請願(第六一号外
 九四件)
○老人福祉に関する請願(第八一号)
○看護婦確保法の制定に関する請願(第二二九号
 外一二八件)
○中小自営業者婦人の健康と母性保護、社会的・
 経済的地位向上に関する請願(第三二八号外一
 四件)
○高齢化社会に対応する柔道整復師制度の強化充
 実に関する請願(第四二三号外四件)
○保育の充実に関する請願(第四五二号外二四件
 )
○原爆被害者援護法の制定に関する請願(第四八
 四号外二三件)
○あん摩マッサージ指圧師の業務と異名同質のカ
 イロ及び整体術等、無免許療術行為取締りに関
 する請願(第五五九号)
○より安全な水道水の水質基準見直しに関する請
願(第五七二号外三〇件)
○希少難病患者の医療・福祉の充実に関する請願
 (第六五二号外七件)
○カイロプラクティックなど医療類似行為の取扱
 いに関する請願(第一(五七号外一九件)
○鍼灸(しんきゅう)健保方針の抜本的改正に関
 する請願(第六六九号外二件)
○福祉制度、最低基準の抜本的な改善と実効性の
 ある福祉人材確保対策の確立に関する請願(第
 七〇三号外三四件)
○国立腎(じん)センター設立に関する請願(第
 七二八号外八件)
○保健医療・福祉マンパワー確保のための立法と
 確保対策の具体化に関する請願(第七四五号外
 九七件)
○公的年金制度改善に関する請願(第八四〇号外
 一三六件)
○腎(じん)疾患総合対策の早期確立に関する請
 願(第八四四号外六三件)
○国立医療機関の賃金職員の定員化に関する請願
 (第八五六号外八二件)
○療術の制度化促進に関する請願(第一〇〇八号
 外二三件)
○国立東名古屋病院呼吸器科医長の継続在勤等に
 関する請願(第一〇九三号)
○看護職員の確保と労働条件・処遇の改善に関す
 る請願(第一二六四号外一六件)
○輸入食品に検査・監視体制の抜本的強化
 に関する請願(第二二〇七号外一三件)
○国民健康カードシステムの開発・普及事業に関
 する請願(第一四〇五号)
○保健・医療・福祉マンパワーの確保に関する請
 願(第一四〇九号外一件)
○国民医療の改善に関する請願(第一五三七号外
 七八件)
○重度戦傷病者と妻の援護に関する請願(第一六
 七〇号外一三件)
○肝炎患者の救済と予防・治療対策の拡充に関す
 る請願(第一九二九号外二〇件)
○年金・手当制度を充実させて障害者の人間らし
 い生活を保障することに関する請願(第二〇五
 九号外三件)
○重度心身障害者・寝たきり老人とその介護者が
 同居可能な社会福祉施設の設置に関する請願
 (第二〇六一号外二件)
○医療の改善に関する請願(第二一七二号)
○医療制度の対策と改善に関する請願(第二二二
 四号外三二件)
○介助用ボイスト水平トランスファの支給基準
 緩和に関する請願(第二二二五号外三二件)
○身体障害者への移動電話等の貸与に関する請願
 (第二二二八号外三二件)
○重度障害者の高齢化対策としての養護保養施設
 の設置に関する請願(第二二三〇号外三二件)
○脊(せき)髄神経治療の研究開発促進に関する
 請願(第二二三一号外三二件)
○重度障害者の所得保障の充実のための障害基礎
 年金の増額に関する請願(第二二三三号外三二
 件)
○在宅障害者の介護体制確立に関する請願(第二
 二三四号外三二件)
○電動車いすの支給基準緩和に関する請願(第二
 二三五号外三二件)
○無年金障害者の救済制度の早期実現に関する請
 願(第二二三六号外三一件)
○在日外国人障害者の年金保障に関する請願(第
 二二六五号外一二件)
○戦時災害援護法の制定に関する請願(第二四三
 五号外三〇件)
○老人医療・福祉施設の充実、介護要員確保など
 の関連予算の増額に関する請願(第二八七三号
 外一件)
○小規模作業所等成人期障害者対策に関する請願
 (第三〇二四号外四二件)
○無年金障害者の救済措置の早期実現に関する請
 願(第三一四二号)
○精神病院の要員確保に関する請願(第三七五四
 号)
○難病患者などの医療と生活の保障に関する請願
 (第三八〇六号外二八件)
○在日外国人障害者の年金・国籍要件完全撤廃と
 保障に関する請願(第三八七二号)
○保育行政の充実に関する請願(第三八九〇号)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三日、針生雄吉君が委員を辞任され、その補欠として高桑栄松君が選任されました。
 また、去る四日、石井道子君が委員を辞任され、その補欠として田代由紀男君が選任されました。
 さらに、昨日、谷川寛三君が委員を辞任され、その補欠として石井道子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(田渕勲二君) 理事の補欠選任についてお諮りをいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に高桑栄松君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(田渕勲二君) 医療法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○竹村泰子君 初めに大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、今回の医療法改正によりまして、医療法が施設法から基本法へとその性格を変えつつあるということでありますけれども、今後の医療政策の目標についてお伺いいたします。
 「二十一世紀をめざした今後の医療供給体制の在り方」というのを厚生省はお出しになっているんですけれども、私も拝見いたしましたが、今までと変わった、これはすばらしいと、これは大きく変わりつつあるというふうには余り思えないんですね。それで、例えば第一条の二にございます良質な医療の提供ができる供給体制というのは一体どのようなことを意味しておられるのか。良質な医療というのは一体何なのか、どういうのが良質な医療なのか。それから良質な医療の提供ができる供給体制というのはどのような供給体制なのか。それに向けてどんな計画をお立てになるのか。救急医療、難病医療、地域医療、僻地医療、それぞれについて供給体制をお考えになるのか、あるいはこれを包括的、総合的に供給体制をおつくりになるのか、その辺を伺わせていただきたいと思います。
#7
○国務大臣(山下徳夫君) おっしゃるとおり医療政策につきましては、いろいろと具体的な問題がたくさんあるかと思いますが、一貫して申し上げることができるのは、その目標というのは、いつの時代にあっても患者の病状に応じて良質な医療を適切に提供するということが私は一つのバックボーンでなければならないと思っております。二十一世紀に向けての目標といたしまして、人口の高齢化に適切に対応するということが第一でございましょう。それから医療の高度化、進歩にこたえる、さらに国民のニーズの変化をとらえる、ここらあたりがこれからの一つの大きな柱になっていかなければならないと思います。
 なお、今回の改正は、すべてがこれでパーフェクトということには私ども考えておりません。極端も言い方でございますけれども、その第一歩だというふうに理解をしながら、今後さらに例えば病院と診療所のあり方についてもまだ残された課題がございますし、関係者の合意が整ったものからさらに逐次改正していくということが一番いいやり方であろうと思っております。
#8
○竹村泰子君 二十一世紀まであと八年ですか、その期間にどういうことをなさるのかということが余り具体的に見えてこないですね。医療供給体制についても、あるいは医療全体についてもよくわからない。今度の医療法改正も私どもも衆議院から参議院へと本当に多くの議論を重ねてまいりましたけれども、私どもが問題点としているところについての確かなお答えを余りちょうだいしていない、そういう気がいたします。
 そのようなことで、それでは少し具体的にお伺いしてみようかと思いますけれども、病院の体系化と診療報酬というふうなことで、良質かつ適切な医療提供を図るために特定機能病院、療養型病床群制度を創設なさる、この制度の普及定着を図る方策についてどのようなことを考えておられるのでしょうか。診療報酬の改定を考えておられるのでしょうか。考えておられるとすれば、改定の時期はいつか。衆議院では一年以内、つまり施行に合わせてというふうにお答えになっておりますが、その点はいかがですか。
#9
○政府委員(古市圭治君) 先ほど大臣へのお尋ねの中で個別的な事例も出ましたので、私から補足説明をさせていただきます。
 まず、良質な医療と法案の中で書いておりますが、これは何かということがございました。私どもは、要約いたしますと、患者の病状にふさわしい医療が適切に提供されるということになろうかと思いますが、細かく申しますと、医療行為について見ますと、まず何よりも重要なことは正確な検査による正しい診断でございます。その結果、最適の治療方法が選択され提供される、それも迅速に適用されるということかと思います。またその過程におきましては、十分の医療陣からの説明、患者さんの納得というものが必要だ。また、こういうものが実行されますためには、医療体制、マンパワーというものの整備、資質の向上を図っていかなかったらいけない。さらには今回の療養型病床群に見られますように、患者の生活状態にも配慮した医療のサービス、快適性の向上ということも必要かと思います。こういうことを私どもは良質な医療と思って、それの実現に一歩ずつ近づいていきたいと思うわけでございます。
 それからまた、救急、難病等個別的な事例はどうなるのだと、個々に行われるのか総合的に行われるのかというお尋ねでございました。これは御承知のとおり、既に第一次の医療法改正によりまして、医療圏ごとに地域医療計画を作成するということになっております。その中で地域保健医療計画というものを都道府県ごとにつくってくださいということで、救急も僻地も難病も、それぞれ議論して計画を立てていただくように指導しているわけでございます。都道府県によりましては精粗の差はございますが、かなり熱心にやってくださっているという状況でございます。こういう中で個別的に検討し、それが地域の中の総合的な計画の中に入っていく、このようになろうかと思います。
 それからまた、ただいまお尋ねの療養型病床群の普及でございますが、これにつきましては、まずこの法案が通りました暁には診療報酬上の検討というものがなされまして、適切な配慮が行われると私ども思いますが、そのほかにも医療機関が新しい制度に参入していただきますために、施設整備に対しましては支援方策について幅広い検討をしていきたいと思っているわけでございます。
 なお、診療報酬等の時期につきましては保険局長の方から答弁をされることになっております。
#10
○政府委員(黒木武弘君) 診療報酬の面で補足させていただきます。
 今回の改正法が成立をいたしました暁には、当然のことながら制度化されます特定機能病院及び療養型病床群についての診療報酬をどうするかということは中医協で御審議を賜った上結論を見出さなきゃならないと思っております。私どもの考えといたしましては、医療法施行に間に合わせるべく中医協で御審議をいただき、そしてそれぞれ療養型病床群、特定機能病院にふさわしい診療報酬を設定すべく努力をいたしたいというふうに考えております。
#11
○竹村泰子君 今回病院を体系化して特定機能病院、それから療養型病床群制度を設けるわけですね。この特定機能病院は高度医療を行う病院として位置づけられるわけですけれども、特定機能病院で開発研究された高度の医療技術を普及させる方策はどうなるんでしょうか。今後高齢化に対応して、いわゆる老人病についてもその研究開発が重視されなければならないと思いますけれども、この方面の研究も当然特定機能病院で行われると理解してよろしいのでしょうか。
#12
○政府委員(古市圭治君) 特定機能病院といいますものは、いわゆる日本の医療につきまして、これから開発していくべき医療技術、診断技術等について一番先進的にやっていただくということを期待しているわけでございます。一言で申しますと、医学、医療の先進性、それからまたいろんな学問を総合的に適用するということから、集学性また総合性、こういうもので医療のレベルが上がっていくということをやっていただく機関だと、このように思っております。
 したがって、その中では多くの医療従事者、殊に医師が医療に従事するわけでございますが、実際の治療と研究とが一体的に行われる、またそういうことを通じまして多くの先進的な医療技術がその医師たちの身につくわけでございます。そういう人たちが各地域の病院にまた出ていく。現在の大学病院またセンター病院というものの医療というのはそのように行われているわけでございますが、それを今回さらに明確にいたしたい。
 それは内部職員でございますが、さらには外部からのそういう技術を研修するという人たちも受け入れられるような制度に持っていきたい。そのためには、今回の特定機能病院ができましたときには、医療審議会の中におきましても研修のプログラムというものを明らかにしていただこう、研究の指導責任体制がどうなっているのかということも明らかにしていただこう。こういうことにつきましても医療審議会の中で、いわゆる政省令になりますか通知になりますか、そういうレベルで御議論していただいて、その研修の成果が広く普及するようなことを担保できるようにしていきたい、このように思っておるわけでございます。
 なお、その中に老人の疾患、老人病等も当然入るということに御理解いただきたいと思います。
#13
○竹村泰子君 特定機能病院におきましては一般病院、診療所との連係が不可欠であるとの認識が示されておりますけれども、連係体制が確立されなければ特定機能病院は申請があっても承認されないのでしょうか。そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
 現在それぞれの医師が大変な努力をして個人的にネットワークをつくって患者紹介をしたり、いろいろな連係をしているわけですけれども、特定機能病院制度ができた場合、これらの既存の個人的な大変な御努力によるお医者さんたちのネットワーク、これと新たに創設すると思われる連係との関係はどういうふうになりますでしょうか。
#14
○政府委員(古市圭治君) 現在国民の皆がそういう制度の中で医療を受けているわけでございますが、多くの場合にはお医者さん同士の個人的なつながりでもって患者さんの紹介が行われているということでございます。
 それではいけないということで、少なくとも機関同士の連係というところにもっていけないかという努力がまず行われます、一つの大学病院とA病院というんですか。しかしそれでもだめでございまして、私どもは今回の医療法の改正を機会に、地域全体の中での連係というところまで持っていきたい。言ってみますと、個人から機関、さらには地域全体というところに連係システムを広めたい。そういうようなことで今回特定機能病院というものを制定したいと思うわけでございますが、したがって外来というものは従来のようにほかの医療機関と競合して患者が来るということじゃなくて、その中で紹介制を中心として連係が深まるということが担保されることが必要でございます。
 そのために何らかの組織、機構というものが必要ではないか。よく紹介率の問題が議論されましたが、単なる紹介率の数字じゃなくて、そういう連係が深まるような機能がビルトインされているということを担保すべきじゃないかということで、具体的に申しますと、地域医療連係室なり、連係機能なりそういうものが備わっておって特定機能病院の紹介制というような機能が強化されていくということを申請していただくときに出していただいて、それをひとつ審査するときに検討していただこう。こういうことからお尋ねのような連係の仕組みというものは何らかの形で担保したいと思っております。
#15
○竹村泰子君 病院体系の類型化を進めるに当たって、国が行う財政上の支出はあるのでしょうか。今回の制度では、各病院に申請を待ってそれを認可するということですけれども、国から積極的に誘導することは考えておられないのでしょうか。例えば施設整備に補助金を出すような、そういうことは考えていな。いんですか。
#16
○政府委員(古市圭治君) 今回の法改正に伴います特定機能病院なり、それから療養型病床群というものに直接何らかの援助をするということは現在の段階では考えていないわけでございますが、これはそれぞれの機能に適した診療報酬というものがまずセットされるということが第一ではなかろうかと思うわけでございます。
 そういうことではなしに、先ほどお尋ねのような、僻地の医療機関がどうなるのか、救急医療施設がどうなるのか、あるいは夜間の診療体制がどうなるのか、そういうことにつきまして私どもは従来からも各種の施策をやっているわけでございますが、そういう地域全体医療計画を整備していくということに対しましては、従来どおり引き続き各般の補助なり融資なり、そういうものを考えていきたい。そういう中にこの特定機能病院や療養型病床群というものも位置づけられていくということでございます。
#17
○竹村泰子君 そうしますと、従来僻地とか地域医療に対する国の援助といいますか支援、それは十分であるとお考えなんでしょうか。そしてそれを従来どおりやっていくということと理解してよろしいですか。
#18
○政府委員(古市圭治君) 僻地医療等について申しますと、もう連綿といろいろな施策をやってまいりまして、それなりの効果が上がってきているわけでございますが、現在第七次の医療計画というので、僻地診療所、診療体制の整備をやっている、これはさらに引き続き必要な施策は強化してやっていかなかったらいけない。そのほかにも、新しい問題として、一つ一つの施設ということじゃなくて、その地域の中の医療機関全体の連係を進めていくということが求められているわけでございます。
 それにつきましても、私どもは地域医療連係に対するモデル事業の補助金、そういうものも持っております。そういうものも箇所数を増加するという努力もやっていきたい。したがって、従来からやっているもの以外に必要となった施策については予算等も大いに増額していきたいと思っているわけでございます。
#19
○竹村泰子君 私は北海道ですけれども、離島とか僻地非常にたくさん抱えておりますが、そういうところの医療体制は決して十分だとは思いませんし、みんな札幌のような大きな町へ出てきて入院しなければならないというふうな状態があるわけですね。ですから、これまでにも増して、十分にというふうな、古市さん今おっしゃったようなニュアンスでしたけれども、まだまだ足りない部分が多いということで、ぜひ今計画を強化していきたいとおっしゃった、そのお言葉をしっかり受けとめたいと思います。
 また、病院の類型化を単に推進するだけでは施設面が強調されることになりますけれども、それだけではなくて、その裏側に適正な人員の配置が不可欠であると思うんですね。この人員配置の担保についてどのような施策を考えておられますか。
 さんざん看護婦人材確保法で私どもこの委員会の中で論議いたしましたけれども、看護婦の重要性を考えるとき、その養成の多くは民間に任せるということだったですね。国が積極的に人材養成に関与すべきではないでしょうか。例えば施設補助であるとか運営費補助の拡大であるとか、あるいは養成機関の創設など。看護婦確保については今回、四月の診療報酬改定に際しても、人員配置水準の高い病院には高い点数を認めるなど、そういった誘導策をお示しになりましたけれども、このことが実は、現在不足している看護婦の病院間の取り合いの激化となるおそれがある。なぜならば、絶対数が不足しているから。
 絶対数が不足している現状でこのような政策をとることの私は妥当性を問いたい、そう思うんですね。人材養成という意味では看護婦以外の人材についても同様でありますけれども、その点どうお考えになりますか。
#20
○政府委員(古市圭治君) 冒頭で、良質な医療というものを担保し、さらに充実させていくためには、いわゆるそれを支える医療従事者の量と資質を高めなかったらいけない、こう申したわけでございます。そういうことから、医療を支える人としては、医師を初め看護婦のほかにもOT、PT、検査技師、いろんな方がおられるわけでございます。殊に看護婦さんの問題につきましては非常にその需給というものが厳しいものがございます。
 そこで、御承知のとおり、昨年の暮れには新しく看護職員需給見通しというものをつくりまして、国会にも御報告いたしましたように、十年後を目指して毎年三万人ずつの増員を図ろう、こうしておるわけでございますし、それからまた、処遇につきましても、前回の診療報酬の改定等でもそこに重点を置いた改定がなされたということでございます。また予算でも、御指摘のように、看護婦養成力の強化ということで、養成施設の新設、定員増というものにつきましても重点的に予算をつけたということでございます。またこういう施策は今後とも引き続きやっていきたい、このように考えているわけでございます。また、OT、PTにつきましても、既に医療関係者審議会の理学療法士作業療法士部会におきまして需給計画の見直しを行いまして一つの目標を立てたということでございます。
 こういうことから、医療従事者の充実強化というものにつきましては、この法律を実効あらしめる非常に基本的な重要事項でございますので、さらにそのような各般の施策の強化充実に努めてまいりたいと思っております。
#21
○竹村泰子君 私がお伺いいたしましたのは、そういったこともありましたけれども、高い点数を診療報酬でおつけになったことが現在不足している看護婦の病院間のとり合いを激化させるおそれがあるのではないか。絶対数を充足しないとこの矛盾は吹っ切れない。このことをどう考えておられますかとお尋ねしているんです。
#22
○政府委員(古市圭治君) 現在の状況が、病院の看護婦さんについて見ますと、大体全国平均して百床当たりに約三十五名という数でございますが、この需給見通しを計画どおり達成いたしましたら、百床当たり五十人というレベルに来るわけでございます。
 そういうことから、現在、点数改定に伴いまして、きちっとした配置をしているところにはそれに相応した診療報酬が裏打ちされたということから、各地で看護婦さんを奪い合うというようなことが起こっているという話は聞くところでございます。これは一時的な問題でございまして、これを解決するためには、基本的には絶対数というものの増加を図らなかったらいけないということでございますから、絶対数の増加を図りながら、しかし、やはりきちっとした配置をしたところにはそれなりの処遇をやる。各地域でとり合いと申してもなんでございますが、その病院を魅力ある病院として看護婦さんに来ていただくという努力をみんなやっていかなかったらいけない。一時苦しいことでございますが、この苦しさを乗り越えていかないと新しい高いレベルには到達しない、このように思っておるわけでございます。
#23
○竹村泰子君 絶対数の不足を充足することについて、看護婦人材確保法で大分私たちもいろいろ議論いたしましたけれども、あの法案で絶対数の不足が充足されるというふうに大変局長は自信を持ってお答えになっているんですが、そのことは後でも一度取り上げたいと思いますが、私どもはなかなか難しいのではないかと思っているわけです。
 今お聞きいたしましたこれらのことは、医療に対する国民の負担の問題に結びつくと思うんですけれども、臨調による国民負担率は最大五割を超えないことというのがひとり歩きをしているのではないかと思います。
 先日、参考人聴取でおいでいただきました大熊参考人も、国民は医療サービスがどの程度になるかということを示されれば、負担についての理解も得られるのではないかという御意見もありました。
 今後、高齢化が進んで国民負担率の増大は目に見えておりますけれども、サービスの水準と負担との関係について国民の前で論議がされていないのではないでしょうか。単純に医療費増大の圧縮だけを目指すことはないのではないかと私は思うんですね。厚生省の現在の医療政策はこの点だけに目を向けている感がありませんでしょうか。もっと率直に国民の前に問題、課題、例えば負担だとかサービス水準だとか保健、福祉、延命治療だとか終末医療だとか、そういったことを示して議論すべきではないでしょうか。大臣、どうお考えになられますか。
#24
○国務大臣(山下徳夫君) 私は、基本的には社会保障制度というものは今後ますます充実して、その方向に向かって推進していかなきゃならぬと思います。
 ただ、これもやはり国力と国民のコンセンサス、それに見合ったものでなければならないと思っておりますが、お話しのように国民の理解は非常に大切な要素でございますが、あわせて医療費と我が国の社会経済の一つの体力、この関係もまた大切な問題であろうと思っております。
 いずれにいたしましても、二十一世紀に向けて必要な医療の確保にはさらに一層努めていかなきゃならぬという決意は持っております。
#25
○竹村泰子君 どうもよくわからないお答えなんですけれども、大臣、やっぱり国民の前にこういう材料を提供して、こうなれば医療はもっとよくなるんですと、今いろいろ医療に対する批判がたくさん出ておりますけれども、そういうことを払拭するためにもぜひ私はこうしたいんですというふうな大臣の意欲的なビジョンというのはないのでしょうか。
#26
○国務大臣(山下徳夫君) 今申し上げましたように、社会保障制度というものはますます充実していかなきゃならぬというのが基本的な私どもの願望であり、またそうしなきゃならぬと思っておりますが、それには国民の負担と負担能力というものを当然考えていかなければならぬということ、あわせてまた、今申し上げましたように社会保障体制をさらに充実していかなければなりませんが、今のような負担の問題もあわせて考えるときに、これをどういうふうな形で持っていくか。一応五〇%ということが一つの目安でございまして、さらに私が今申し上げましたように、二十一世紀に向かってさらに医療の確保が最も必要なことでございますから、繰り返し申し上げますように、国民の負担でできるだけこの方には力を注いでいかなきゃならぬということは私どもは決意として持っておるわけでございます。
#27
○竹村泰子君 お答えに満足したわけでは決してありませんが、少し具体的な問題についてお聞きしていきたいと思います。
 機能別類型化の必要性、これが受診抑制にならないためにどうすればいいか。国民は類型化ということがよくわからないのではないかと思うんですね、どの病院に行ったらいいのか。病院の振り分けは、これは新しい仕事ですけれども、だれが行うんですか。メディカル・ソーシャル・ワーカーと言われるようなそういった方たちが最初なんでしょうか。それとも、かかりつけの町医者なんでしょうか。あるいは市役所とか区役所とかそういったところなんでしょうか。相談窓口は一体どこになるんですか。
#28
○政府委員(古市圭治君) これはやはり今の実態から申しましても近くのお医者さんということになろうかと思います。よく言われますように、かかりつけのお医者さんあるいは家庭医と、こう言われております。またさらに、制度が進みますとMSWという方もそれなりの医療施設の中で活躍される場があろうかと思います。また、一般の開業医、中小病院ということではなくて、例えば大きな病院におきましても、外来に来たときに本当に迷うわけです、どこにどうかかればいいかと。
 そういうことから、私の見たある大学では、そこの学長が入口のところに座っている。そして、まず学長が来た外来患者さんの初診の人に全部、あなたは何科だと、こういうぐあいに手配をしているというのを見ましたが、大したものだと思いながら、それは決してうまくいっていない。横にまた婦長さんがついていて、学長は何を言うかわからぬから私がついていないとだめなんですよと。こうなると、お医者さんがいいのか看護婦さんがいいのかという気にもなりますが、いずれにいたしましても、そういうぐあいにして患者さんがどこに行けばいいのかということをきちっとしてあげようという気持ちがまず必要でございます。
 それをやるのは第一線のかかりつけの開業医さんというのが一番ではなかろうか。また、病院におきましても、MSWでも看護婦さんでも、例えば学長さんでも、総合診療科なりそこのところへ案内するところがあって、そこから振り分けられていくということになれば、非常に整然とした患者の治療の流れができるのではなかろうか。
 そういうようなことを今回の法律の中でも特定機能病院の中での紹介制というものを通して地域に広めていきたいと考えているわけでございます。
#29
○竹村泰子君 そのことなんですけれども、厚生省による情報提供がどのようになるのかということなんですが、厚生省の説明によれば、特定機能病院も地域医療を担っていることは無視しない、しかし特定機能病院ということで紹介制を一部導入する。ただし、紹介率については地域特性などを考慮して一律にすることはしないとしておられますね。
 この説明では、特定機能病院の近くの人は一応紹介でなくても外来で診てもらえる可能性があるんですけれども、遠くの人は紹介がないとアクセスが難しいことになります。紹介状がない場合は一般の外来で診てもらうことになりますけれども、その場合、今まで以上の混雑が予想されるのではないでしょうか。紹介制が入る分だけ、紹介なしの外来診療時間はもっと少なくなってしまう。このことは、遠来の患者にとっては事実上受診抑制につながる。先ほど私は北海道の例を申しましたけれども、地域の病院ではなかなか診ていただけないというか、みんなが好んで行かない、医大とか大きな病院とかへどんどんおいでになるということを考えますと、これは事実上心理的な受診抑制につながるのではないだろうか。ふだんから近いところに優良な病院がないから遠距離にもかかわらず訪れる。真に特定機能病院診療が必要と思われる患者の受診を抑制することにつながるおそれがあると思いますが、この点はどうお考えになりますか。
#30
○政府委員(古市圭治君) この法律が通りまして特定機能病院というのが始まりますと、その外来というものは紹介制というものを基本的に機能を強化してくださいということになりますから、これは病院からその患者さんの家までの距離のいかんにかかわらず全部平等でございます。
 遠いから不便になる、近いから便利であるということではございませんで、近くでも遠くでも紹介状を持ってきた人たちは優先的にいわゆる予約時間制で診てもらえるということになるわけでございますから、現在のようにどうであれ早くから行かないと、行列しないと診てもらえないということではなくて、紹介のルートに乗っていけばきちっとできるという分野ができるわけでございます。殊に遠くの人だったらそういうルートに乗ると朝早い電車に乗っていかなかったらいけないというようなことは解消される、どちらかというと遠方の人にとってはかえって特定機能病院の外来というのは利用しやすい方式になるんではなかろうか、このように思うわけでございます。
 そういうことで、外来患者さんがこの制度ができることによって受診が抑制されるということは私はないと思っております。
#31
○竹村泰子君 予約制をとっているといたしましても、予約制を全部とるかどうかわかりませんけれども、例えば予約をとっている病院だとしても、一般の人たちのところへまた紹介された患者が来るわけですよね。だから混雑は当然起こるわけですよ。そのことを言っているんですけれども、おわかりでしょうか。
#32
○政府委員(古市圭治君) これが発足いたしますと、最終的には政省令で決まって、通知によって申請がされ承認がされる。そこの外来は、例えば二千名の外来が毎日いたとしますと、この紹介というのは初診患者のところから始まるわけでございますから、大体二千人いますとその中の初診患者というのはせいぜい四百人以下、二割以下、あとは再来の人たちでございます。その初診の人たちに対して全くフリーに来た人と紹介状を持ってきた人というのが出るわけでございますから、その病院の外来には一般受付のほかに紹介状による受付というのをつくって、そこでは予約時間制で進んでいくという分野ですから、そこに行きましたらどれだけ一般外来が混雑していても紹介状を持った人はそのルートの方できちっと患者さんが流れていく。
 こちらの一般に来た人たちは、前よりは少し混雑の場合がひどくなったり、受診の時間が少し長くなる、従来どおりの二千人の外来患者数をその病院がとってやっていくならばそういう形はあるかもしれません。しかし、それは将来に向かって紹介制という機能をだんだん高めていただくということで解消されてくることでございまして、従来と同じようなことをやっていたら、一時的にはややフリーに来た人たちの方が待ち時間が長くなるというのは論理的にはあり得ることかと思います。
#33
○竹村泰子君 その辺がよくわからないんですね。つまり紹介率をだんだん高めていくということなんでしょうかね。そうしますと、一般の人たちがその分締め出されるということも起こってくるわけですね。その辺がどうも衆議院からの議論を聞いていても全然すっきりしていない。
 じゃ、これはどういうふうに考えていらっしゃるんですか。病院の類型化ということで特定な機能というのは、例えば最先端の医療、普通の医療いわゆる慢性期の医療というふうに分けたら、具体的にどんな疾病がどこにどう当てはまるんですか。ちょっと例を挙げてみていただけますか。例えば盲腸炎はどこになるとか、脳外科や心臓外科などは高度な医療になるとか、そういうふうに少し思いつかれるままに言ってみていただけますか。その辺がわからないんですよ、何をもって分けるのか。
#34
○政府委員(古市圭治君) 病気が非常にたくさんございまして、どれが高度でどれが中等度でということはなかなか申し上げられませんが、今御指摘の俗称盲腸炎、中様突起炎というものは、普通であれば何も大学病院で手術する必要なんか全くないという疾患の中に入るんではなかろうか。最近、同じ胃がんといいましても、胃がんの手術も早期だったら、もう日本の医療水準からいったらそんな特定機能病院で手術する必要はさらさらない。そのぐらいやはり外科のレベルは高いということでございます。
 そういうことから、私どもが大学病院に期待いたしますのは、現在でも症例数が少なくて治療成績がないというようなのが各地で治療をされるよりもある程度集まってやった方がいいんじゃないかということで、これから新しく開発していく医療技術というものはそういう特定機能病院でやられるべきだし、現在まだ手術の例数も少ないというものもこういう能力の高いところでやっていかれるのがいいのではなかろうか。
 そういうことで、病名を挙げろということでございますので、一つ一つがどうかということを別にいたしまして例えば挙げさせていただきますと、内科系では重症な、またまれな血液疾患、これは骨髄移植を含むようなもの、それから複雑なウイルス性内分泌疾患。それから外科にいきますと食道の悪性腫瘍の切除術、それから肝臓の切除術、それから膵頭十二指腸切除術、膵全摘術。脳神経外科で言いますと頭蓋内の腫瘍摘出術、こういうもの。それからまた、心臓血管外科で申しますと大動脈のバイパスの移植術、それから複雑な心臓手術、そういうものになろうかと思います。
 個々の病名ということじゃなくて、そういうような医学的に考えて非常に程度が高くてちゃんとした設備でやりたい、また新しい開発技術というものが行われるべき病院、こういうように思っております。
#35
○竹村泰子君 新しい技術、複雑な技術、難解な技術を要するものとか重症、まれな骨髄疾患とかそういったものというふうな御説明だったんですけれども、それをだれが判断するかということになりますと、もうこれは医師の裁量で判断をされて紹介をされてくるということになるわけですね。そう考えてよろしいんですね。
#36
○政府委員(古市圭治君) 今申し上げましたのは、特定機能病院の中で入院医療を受ける、特定機能病院のイメージとして高度医療を行う、こういった高度医療とは何であるかということで例示を挙げたわけでございまして、こういうものはもう当然紹介に伴って入院されてくる方が多いんでしょう。
 そうじゃなくて、今問題になっております紹介というのは外来紹介のところでございますから、これはこんな大きな病気とは限らずに、第一線それからまた第二次の医療機関で診断がつきかねるとか、ある程度治療をしているけれどもどうも効果が上がらない、もっとほかの検査で診断する必要があるんじゃなかろうか、こういうぐあいに第一線のお医者さんが考えられたものはどんどん紹介してくださったらいい。その結果が普通、単純な病気であったらそれはおめでたいことで、それはまたもとの病院に帰ればいい。そういうことでございます。
 したがって、外来紹介の方は、こんなやや難解な病気というようなことを想定しているわけでは全くございません。
#37
○竹村泰子君 そうですか。
 今のお答えにもかかわるんですけれども、どうもはっきりしない部分が多過ぎる。我々は一体どこへどういうふうに行ったらいいのかわからない。この病気ならどこへ行けばいい、この病気ならどこへ行けばいいというのがよくわからないという国民が、そういうまま機能別に病院を類型化するというのは私はちょっと、もっともっと説明をよくしていただかないと、はっきり理解が得られてからじゃないとまずいと思うんですね。ですから、こういう根本的なことがわからないままに進もうとしているから今回の医療法の改正、私どもも賛成ですけれども、しかし問題点が多過ぎる、もっと審議を十分にするべきではないかと思っているわけなんですよね。
 例えば、機能別類型化に見合った診療報酬体系ということでお伺いしますと、設備投資、人員配置が違うのに同じ診療報酬でいいのでしょうか。同じ盲腸でも、特定機能病院と一般病院とで、行った場合診療報酬が異なることの理由はどういうふうにおつけになるんでしょうか。設備や人員の配置の差で足りるのでしょうか。みんなが特定機能病院へ行った場合どうなるんでしょうか。
 それから、地域差をどうするのでしょうか。例えば設備とか人件費の差を診療報酬に反映されるのであれば、資本費としての地代も当然考慮に入れられるべきである、そういう議論が十分出てくると思われるんですね。自己負担を全国一律とするならば、これらの地域差を埋めるための助成や補助が必要となってくるのではないだろうか。
 診療報酬をそれぞれに設定することになれば、金持ちだけが高度な技術を享受できることになる、差別につながるということが、長い闘病生活をしておられる方たちの間から広く出てきているし、心ある国民からも出ていると思います。特定機能病院の点数を上げた場合、現在の一部負担は定率制ですから、負担額は大きくなりますよね。また、高額療養費制度があるから受診抑制にならないといっても、実際には一たんは患者が費用を支払うんですから、それはやはり一つの差別というか、障害というか、そういうことにつながるのではないんでしょうか。
 その辺を、幾つかお尋ねいたしましたけれども、どう考えておられますか。
#38
○政府委員(黒木武弘君) 診療報酬についてのお尋ねでございますが、まず、診療報酬というのは、もう御案内のように、私ども行います療養の給付、医療サービスの費用を診療報酬の形で医療機関に支払うという性格でございます。
 いろいろお尋ねがあったわけでございますけれども、私どもはこれからの診療報酬のあり方として、やはり機能に見合った診療報酬のあり方をより進めていく必要があるだろうということを考えておりまして、当然今回の特定機能病院あるいは療養型病床群、それにふさわしい診療報酬の設定ということに努力をするわけでございます。
 根本的にはこれからの診療報酬の体系の問題として、今まさに中医協で診療報酬基本問題小委員会というのがつくられておりまして、そこでお尋ねの、役割、機能に応じた診療報酬体系というのは今後どうあるべきか、あるいは地域差というものはどういうふうに考えるのか、あるいは国公立みたいに、何と申しますか、資本コストというんですか、そういうものを要しない医療機関と民間の医療機関とはどういうふうに診療報酬上考えていくべきか等々の問題について、今、中医協の中におきまして診療報酬基本問題小委員会において議論をしているところでございます。
 今回の診療報酬改定は、特定機能病院が制度化されますと、そこでの費用がどういうふうになるんであろうかというのがまず議論になるわけでございます。そうしますと、ほかで診られないような難しい病気の治療ができるような機能を発揮される、そのためには人員配置基準だとか、もろもろの基準がどうなるかという形で諸基準が決まるわけでございます。それが診療報酬上費用の面で一体どういうふうに判断するかという議論になってくるわけでございます。
 お尋ねがありました、例えば盲腸の手術にいたしますと、これはほかの病院でもできますし、高度機能病院でそのために別に費用がプラスになると私どもも考えません。したがって、盲腸の手術代というものは、一般病院であろうと特定機能病院であろうと、そこのところについては点数上差異は生じないんではなかろうかというふうに現段階では考えております。
 しかしながら、高度の医療を担当されるということで医師の数等が相当大幅に配置されるということでありますれば、当然そこの病院の費用というものは増加いたすわけでございます。その費用について患者さんがしかるべき割合で負担をされるということでございますから、ほかの病院に比べて費用が若干高くなるということはもう避けられないことかなというふうに思います。
 しかし、この点は高度の医療を実施されるに当りまして病院のコストがそれだけかかるということでございますから、その点で診療報酬上そこにプラスの費用がかかることに着目した診療報酬が上がる、それに伴って患者負担が高くなるということはやむを得ないことではなかろうかと思っております。
 しかし、御懸念のようにめちゃくちゃ高くなるなんて到底考えていないわけでございまして、特定機能病院に受診が抑制になるほど高い診療報酬というのは今のところはあり得ない。そういう御懸念は必要がないし、また御引用ありましたように、高額療養費ということで費用には上限が定められておりますので、そういう保険のシステムの中で今回の特定機能病院が機能し、そのことによって、例えば金持ちしか特定機能病院を利用できないということにつながるという御懸念というのは私どもはないのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#39
○竹村泰子君 私たちは医療は公平に与えられるべきものであるという、そういう原則からいって、病院を類型化していく、分けていくということについては非常に大きな問題を感じております。ですから今のような質問をしたわけですけれども、黒木局長、上限が定められているし、そんなに莫大な費用ではないから、そんなに差がつくわけではないから、ある程度はお金を持っている人が機能の高い病院に入るのはやむを得ないのではないかというふうなお答えだったと思うんですけれどもね。その辺のところを国民がどう判断するか、非常にこれは大きな問題提起であるというふうに指摘をしておきたいと思います。
 先ほど私は二十一世紀に向けた日本の医療についてというのを大臣にお聞きいたしましたけれども、今後の医療の問題点として、今の問題もそうなんですが、高齢化、それから医療技術の大幅な進歩、変化、それから増大する医療費、この三つの大きな課題があると思うんですね。
 そこで、少し老人病院の問題についてお聞きしてみたいと思いますが、高齢化対策として例えば自立てきるお年寄り、これをいかに多くつくり出すかも医療技術の大きな目標ではないかと思います。これはゴールドプランの目標でもありますね。四年度予算では長寿科学総合研究費として十六億五千四百万円計上しておられますが、この予算はどのように使われる予定なんでしょうか。長寿科学総合研究費はゴールドプランの一項目に入っております。高齢化、特に医療面のお年寄り対策、そういったことを伺いたいと思います。
 それから、寝たきり老人ゼロ作戦というゴールドプランをお立てになりました。大変華々しく宣伝をなさったわけですけれども、これはどのように進行しておりますか。
#40
○政府委員(大西孝夫君) 私の方から長寿科学研究費の分についてお答えを申し上げます。
 先生御指摘のとおり、高齢者保健福祉推進十カ年戦略の一環といたしまして長寿科学総合研究費によるプロジェクト研究を実施してまいっております。平成四年度予算、御指摘のとおり十六億五千万円を計上しておりますが、この具体的な内容につきまして申し上げますと、大きく言いまして六つの分野で研究いたしております。
 一つは基礎分野でございまして、この分野では老化のメカニズムの解明でありますとか、老化、疾病に関連する遺伝子の研究等を行うことといたしております。それから二番目が老年病の分野でございまして、いわゆる骨粗鬆症、それから老人性痴呆等に関する研究などを行うことといたしております。それから三番目がリハビリテーション、看護・介護の分野でございまして、高齢老に適したリハビリテーション方法の研究でありますとか、高齢者に適した看護・介護技術の研究といったことを研究いたすこととしております。それから四番目が支援機器の開発の分野ということでございまして、使いやすい介護機器の研究開発といったことを行うことといたしております。五番目が社会科学の分野でございまして、ここでは例えば高齢者の財産に関する法律行為の研究でありますとか、老人介護サービスにおけるケースマネジメントの研究などを考えております。最後に東洋医学、漢方分野というものがございまして、ここでは高齢者に適した漢方薬とかはり治療の研究などを行うことといたしております。
 以上でございます。
#41
○政府委員(岡光序治君) いわゆる寝たきり老人ゼロ作戦の進行状況でございますが、まず数量的な面でお話を申し上げますと、寝たきりの原因は一つは脳卒中、それからもう一つは骨折というのが大きなものでございますが、脳卒中を例にとって申し上げますと、脳血管疾患で死亡している死亡率でございますが、昭和五十七年と平成元年、この時点で七年間のスパンがございますが、七年間で脳血管疾患の死亡率は約四〇%減をしております。その中の脳出血については四五%減をしておりますが、そういうふうに寝たきり原因をできるだけ予防していくなり、あるいは軽減をしていくということについて、具体的に今申し上げたように死亡率で申し上げますと数字が進捗しているわけでございます。
 それから、どういう施策を講じておるかということを若干申し上げますと、もちろん十カ年戦略の中にこの寝たきりゼロへの取り組みが入っておるわけでございますが、各都道府県におきましても寝たきりゼロ推進本部を設置してくださいということで、これは全県設置をできたところでございまして、各地域の実情に即した施策の実施ができる、そういう体制を整えたところでございます。また、老人保健事業の中で寝たきりの原因となる病気とかけがの発生予防を図るということを進めておりますし、また在宅での保健医療、福祉サービスを総合的に提供しようというわけで、機能訓練施設の拡充であるとかそのための送迎体制を整備する、あるいは寝たきり老人への訪問指導なりデイサービスあるいはホームヘルプサービス事業、こういったことを総合的に推進しているところでございます。
#42
○竹村泰子君 寝たきりゼロ作戦とは随分思い切った言葉をお出しになったと、私どもあのときびっくりいたしましたけれども、一体どうやって、どのような方針をおとりになるのかと注目をしていたわけです。
 この間参考人でお呼びいたしました大熊一夫さんも、「ルポ老人病棟」という御本も出しておられる方ですけれども、今回光部長のおっしゃったお答えでは私は全然わからないんですが、どのぐらいそういった老人病院やあるいは老人ホーム、まあホームではそんなことはないと思いますが、いわゆる老人病院の拘束というんですか、縛りつけられ、おむつをされ、そして徘回をしないためにベッドにくくりつけられるというふうな状態。とにかく寝たきりをゼロにするためには起こさなくちゃいけないわけですよね。昼間起こす、とにかく起こす。理由をつけては起こす。食事のたびに起こす。そういうふうなことがどのぐらい老人病院などで進んできたと見ておられるんでしょうか。何か実感をしておられますか。
#43
○政府委員(岡光序治君) おっしゃいますように、普通の日常生活と同じような形で、朝起きて、着がえをして、ベッドから離れてと、そういうことが病院の中でも展開されなければならないと思っております。それからまた、在宅でもいわゆる生活リハビリテーションというものの勧めをしておるわけでございますが、病院で申し上げますと、今お話がありましたような体制を整えるということが最大の眼目でございます。
 それにつきましては、老人病院が現在のところ十四万床程度ございますけれども、その中で、いわゆる入院医療管理科、介護力を強化した病院というのがだんだんと定着をしているわけでございまして、そういったものの定着がより進んでいって、体制を整えることによって、いわゆる老人病院の中でも起こすということがどんどんと病院の体制として行われるというふうに理解をしておるわけでございます。
#44
○竹村泰子君 少し例を挙げてみたいと思うんです。これは恐らく厚生省の方は読んでおられると思うんですが、「日本の医療」という保坂正康さんという方の本があります。これは八九年十月に出された本ですから、そんなに前のことではない。この本などを読んでおりますと、本当に悲惨な例がたくさんございます。
 少しお耳ざわりかもしれないけれども、ちょっと取り出してみますと、「医療機関もまた取りっぱぐれがないために、ひとりの患者に検査をくり返し、くすりを次つぎにわたし、何日も入院させてカネもうけを考えるところ」もある。「健保制度では、熟達な医師と新米の医師とに技術料の差がついていないために、技術の劣る医師ほどなんども治療行為をくり返して、収入をあげることが可能になっている。」と。
 「いかせる三カ月メニュー」というのがあるんだそうですね。私もこれを読んでもう本当にびっくりしたんですけれども、「「いかせる」というのは、老人患者をあの世にいかせることだ。」と。老人はつまり「カネの成る木」であり、「老人患者は等身大の金貨」である。
 三カ月というのは、その期間がもっとも経済上
 の効率がよくかせげるからである。まず疾病を
 いくつもかかえている老人患者を入院させて、
 検査づけにする一方で、くすりを何種類も与え
 る。むろんこのときのくすりは、薬価が高く、
 しかも大量に安く仕入れがきいて、差益の大き
 いぐすりという意味である。疾病にきくという
 くすりなのではない。
  老人患者を「いかせる」ことに決めると、末
 期治療が行われる。保険請求の高い医療機器が
 つかわれ、高価なくすりが連日にわたって投与
 される。保険請求点数は二百万円から三百万
 円、四百万円とはねあがっていく。一般病院が
 二十万円から三十万円の治療をつづけていると
 きに、この種の病院のレセプトだけは真夏の水
 銀柱のように昇っていく。と、こういうふうな記述があるんですね。もちろん全部とは言いません。良質な病院も、良心的な医師もたくさんいらっしゃることはよく知っております。しかし、このような例がそんなに珍しくはない。これをどういうふうに認識しておられ寺すか。
#45
○政府委員(岡光序治君) 今例として挙げられましたようなケースについては、私ども非常に悩ましいことだと思っております。
 そして、特にお年寄りに対する医療というのは、お年寄りの心身の状況にふさわしい医療を提供してください、いわゆるどこかの疾病に着目をして集中的にそれを治すというのではなくて、日常生活動作能力をより高める、それを維持、回復するということを年頭に置くということをぜひともお願いしたいということで、むしろ、投薬とか検査とかに頼るのではなくて、日常生活を支援する、介護するということを重点に置いた老人病院の体制を整えてくださいということをお願いしておるわけでありますし、医療の教育の世界においても老年医学ということをそんなふうに定めて、ぜひともその教育をお願いしたいというふうに望んでいるわけでございます。
 そして、診療報酬の上では老人診療報酬におきまして検査とか投薬に頼らない、むしろ介護力を強化するということを高く評価したいというふうに進めているわけでございまして、その例が入院医療管理科でございます。入院医療管理料をとったところの実例を見ますと、検査、投薬は断然減ってきておりまして、むしろ介護に重点を置いてお年寄りは元気になっておる、こういう状況が見られておるわけでございまして、私どもはそういう方向を目指すべきものだというふうに考えている次第でございます。
#46
○竹村泰子君 今の現実を悩んでいるというふうにお答えになったわけですけれども、こういった事実をどうやったら打開できるだろうか、どうやったらなくすことができるだろうかということについて余り意欲的なお答えが聞けなかったような気がいたしますけれども、大臣いかがですか。
#47
○政府委員(岡光序治君) 行われる医療サービスの質をどう評価をするかという、質の問題だろうと思っております。
 この質の評価につきましては、評価基準は非常に難しゅうございますが、私どもはやはり行われたサービスの結果、アウトカムについて評価をするスタンダードを考えなきゃいかぬのじゃないだろうか、もちろんいろんな病院におきまして内部チェックのシステムができ上がっておりますが、もう少し第三者による公平なチェックというのもあっていいんじゃないだろうか、そんなふうなことを実は私ども内部で検討しておりますし、また関係の医師の方々ともお話をしておるわけでございます。そういう質の評価というものがまずみずから行われ、かつ外からもそういうことを支えるということによって、御指摘がありましたような余り望ましくないケースは、まずお医者さんのスタンス、姿勢の問題からして解決をしていかなければ根本解決にはつながらないんじゃないか、そんなふうに考えておる次第でございます。
#48
○竹村泰子君 ぜひそのチェックを厳しくしていただきたいと心からお願いをしておきます。
 長期に入院を要するお年寄りにとっては、今回の改正によって一般病院、老人病院、療養型病床群、老人保健施設、特別養護老人ホームという五種類の施設が存在することになるんですね。そのうちどの施設が適切な機関なのか、施設なのかということがよくわからないのではないかと思うんです。またこれらの施設には医療提供施設、通過型施設、中間施設ですね、福祉施設などがあるわけですけれども、どの施設が適切なサービスを提供できるかということについては、福祉と医療の緊密な連携が必要ではないかと思うんですね。その辺についてどのようにお考えでしょうか。
#49
○政府委員(岡光序治君) 御指摘ありましたように保健、医療、福祉の各施策が連携をとって対象者のニーズに適切にこたえていく、こういう仕組みをとることが必要だと考えております。
 具体的には、先生よく御存じのとおり、市町村に高齢者サービス調整チームというものをつくっておりまして、ここである人に対してどのようなサービスがどのように提供されれば最もふさわしいサービスを提供したことになるのかということを検討した上で、その検討結果に基づいてサービスが継続されるようにということを考えておるわけでございます。
 それから窓口の問題につきましては、私ども中学校区に一カ所という目標で在宅介護支援センターというのをつくりたいと考えておるわけでございまして、地域の方々はとりあえずはこの支援センターに相談に来ていただく。支援センターは保健と医療と福祉全体にわたる相談ができるような体制を整えて、そしてその中から必要なサービスはこんなことですよということについて相談に応ぜられるような、そんなふうに支援センターの体制を整えたいと考えておるわけでございます。
 また、医療側から市町村に必要な情報が提供される必要があるというふうに考えておりまして、ことしの四月の診療報酬改定におきましては、医療機関が寝たき力老人等の情報をつかまえた場合に、市町村に情報提供してもらう、それをやれば情報提供料というものをお支払いするということを考えておりますが、いずれにしましても、医療のサイドから保健、福祉へ必要な情報を提供してもらって、保健、福祉もそこから必要なサービスを提供しよう、こういうことを考えているわけでございます。
 それから、来年の四月からでございますが、全国の市町村であるいは都道府県で老人の保健福祉計画というのをつくっていただくことにしておりまして、この計画では先生御指摘がありましたように医療と福祉の連携というのを大きなテーマとして考えておりまして、計画の中でそのようなことが実践できるような、そういうことを盛り込むことにしております。
#50
○竹村泰子君 中学校区に一つ在宅福祉の支援センターと、老人保健法を審議いたしましたときに私どももこの議論を大分しましたけれども、これはいつごろ目的を達成するといいますか、実現しますでしまうか。
#51
○政府委員(岡光序治君) 中学校区に一カ所の実現はやはり十カ年計画の最終時点までかかるのではないだろうかと思っておりますが、市町村あるいは県の御理解、それから関係の病院とか関係の施設の御理解を得た上で、できるだけ早く体制を整えたいと考えております。
#52
○竹村泰子君 これまで療養型病床群と特例許可老人病院、特に介護力強化病院との相違についてはたびたび議論がされてきました。
 療養型病床群は年齢を制限しないということなんですけれども、特例許可老人病院とそれが異なるところであると説明されております。それならば実際問題として、療養型病床群において高齢者の占める割合はどのぐらいになるんでしょうか。また高齢者の立場に立ってみた場合、療養型病床群と介護力強化病院とで具体的に受ける医療、看護・介護サービスにどんな差が生ずると考えておられますか。
#53
○政府委員(古市圭治君) 療養型病床群というのは、御指摘のように年齢に関係なく主治医が病状が安定してこちらの施設で治療、療養するのがふさわしいという方が収容されるということになるわけでございます。これから始まる制度でございますから、現段階でこの中での年齢構成というものを予測することは不可能なのでございます。
 しかし、一つの参考の数字として申し上げますと、平成二年の厚生省が実施いたしました患者調査によりますと、三カ月以上一般病院に入院している患者さんというのは四十六万五千人でございます。この中で老人の患者、六十五歳以上という方が約三十万人ということでございますから、日本全国平均の現状と申しますのは、三カ月以上長期入院患者に占める六十五歳以上の割合は六四%となっているわけでございます。この人たちが老人病院に入り、それからまたこれから療養型病床群になりますと、一部高齢者もお見えになりましょうし、年齢階級を問わないということでございますから、病状が安定した六十五歳以下の人も入ってくるということで、動き出しましてから数値というものはだんだんと明らかになってくるのではなかろうかと思うわけでございます。
 次に、療養型病床群と特例許可老人病院あるいは介護力強化病院ということで、看護・介護などのサービスについてどのような違いがあるのかということでございます。収容されます人が一応年齢構成が違うわけでございますが、個々の人について申しますと、それは必要な医療、介護というものについては差がないという場合も多いのではなかろうか。ただ、施設基準から申しますと、療養型病床群の方は従来の病院よりもいわゆる新しい機能訓練室、食事談話室等を設ける。さらには病室の面積を広くするということで、長期療養にふさわしい施設というぐあいに位置づけているわけでございます。
#54
○竹村泰子君 療養型病床群においても実際の問題としては大半が高齢者になること、これは避けられないと思うんですけれども、この秋から老人病院における老人の収容比率も六〇%になるということを考えれば、老人の比率は両者において何ら変わりはないし、利用者の立場に立った場合介護の質、量においても療養型病床群と介護力強化病院に違いがあるとは思えない。それにもかかわらず、高齢者が入院した場合公費負担が片方は五割、片方は三割というのはどう考えても納得がいかないですね。療養型病床群の公費負担についても同じく五割とすべきであると強く思いますが、どう考えますか。
#55
○政府委員(岡光序治君) 今御説明がありましたように、療養型病床群は年齢にかかわらず長期療養を要する患者をすべて対象としておるわけでございます。
 昨年の老人保健法改正において、原則三割の公費負担を五割に拡大するというのを導入いたしたわけでございますが、その五割の対象のものは、考え方を整理しておりまして、実質的にも制度的にも主として老人を対象とするサービスである、それから看護・介護職員によるサービス提供体制が整っているという考え方に基づきまして、介護体制の整った特例許可老人病院とか老人保健施設とか、こういったものを対象にしたわけでございます。そういうことからいたしますと、療養型病床群というのは少し幅が広くて、老人保健法による公費負担の問題につきましては、原則に従って三割で整理をするということになるというふうに考えておるわけでございます。
#56
○竹村泰子君 今のところは全然わかりませんね。なぜそういう差が、五割と三割というのは非常に大きいわけでして、そういうことが起きてくるのか。これは本当は大臣に御答弁を求めたいところですけれども、この不公平というか、どちらの病院を選ぶかによって、まあ運命とも言うようなもので、片方は五割公費負担、片方は三割公費負担、これはちょっと解せないと思いますので、このことについて厚生省に再度私は答弁を求めたいと思うんですけれども、これはこのまま定着してずっとしの形でいきますか、それとも非常に不公平が起きるということも考えて考慮していきたいと思いますというふうな前向きの御答弁が出せますか、どうですか。
#57
○政府委員(岡光序治君) 先生もよく御存じのとおり、公費が三割か五割かということは入院をしている患者の一部負担には直接かかわりはございません。むしろ老人医療費を賄っておるいわゆる被保険者からの保険料と公費負担との関係が問題になるわけでございまして、そういう意味では私は被保険者全体がどういうふうにお考えになるかということともかかわりがあるのではないだろうかと思っております。
 いずれにしましても、いろいろこの点につきましては御指摘があるところでございまして、これから療養型病床群の基準に関する議論とか、あるいはどの程度療養型病床群として病院側から申請がなされるのか、その実施状況を見きわめた上でもう一度よく考えてみなきゃならないというふうには思っておりますが、私ども直接患者にはかかわりのない話でございますので、現場の患者との関係ではこれはそういう整理ができるんじゃないだろうか。
 いずれにしましても、先生、まるっきり将来何にもしないというわけではこざいませんで、やはり老人医療費をめぐる負担関係はどうあったらいいのか、こういう議論は常になされなきゃならぬわけでございますから、そういった中でこの療養型病床群が定着をしていってどういうふうな運営状況になっていくか、そういうことは十分にらんだ上で広い観点から検討すべきものと思っております。
#58
○竹村泰子君 新しいことをお始めになるわけですから試行錯誤もあるかもしれない。けれども、決して硬化することなく柔軟に、これはちょっとまずかったかな、それじゃこういうふうに考え直そうというふうな柔軟な態度をここで強く希望しておきます。
 次に、療養型病床群の人員の配置基準の問題、これも随分議論されてきたわけですけれども、今回の療養型病床群は老人病院における低い看護基準と同じ低いレベルの看護要員を正面から容認するものであり、運用によっては医療の切り捨てにつながりかねない危険性を持っていると思います。今日、少なくない数の良心的な老人病院か頑張っているにもかかわらず、これまで老人病院は老人医療を専門に扱う専門病院というよりはどちらかといえば一般病院の二流とか、そういうイメージを払拭できなかったのではないかと思います。そしてその要因としては、特例という形で一般病院よりも低い人員基準か定められてきたことを挙げることができるのではないでしょうか。
 先日の局長の答弁の中でも、もっとよい医療を、配置基準をと望むなら手を挙げればよいというくだりがありました。これは局長自身かごの配置基準が必ずしもよいものとは認めていらっしゃらない証拠ではないでしょうか。幾ら局長か手を挙げればいいのだからと、無理な利用はないと答弁されても、むしろ診療報酬の誘導によって無理な利用をせざるを得ない、そういう状況に医療機関の方か追い込まれているのか現実ではないかと思いますか、もう一度御答弁いただけますか。
#59
○政府委員(古市圭治君) 今回提案させていたたいております医療法の改正の中で、いわゆる入院施設については療養型病床群というものを新しく提案しているわけでございますが、これは従来から二十床以上は病院である、その中で医師、看護婦等の人員配置の標準というものは一律に決まっている、そういうことではいわゆる年齢構成それから疾病構造、また患者さんの要求の多様性というものにこたえていくにしては余りにも硬直化した法律制度ではないかということで、新しい枠をつくったわけでございます。しかも、それは強制することでございませんて、実情に合わせてそれにふさわしい医療機関は全病院あるいは一部病棟てこれを御利用してください、そのための診療報酬点数はそれにふさわしくこうつけますよ、こういう提案をさせていただくことになるわけでございます。
 したがいまして、これか医療全体の水準、質を低くするということでは全くございませんで、現在の一律的なものに、こういうような新しい基準の中で適応できる患者さんというものはそこに行かれる方が長期療養にはふさわしいんじゃないかということでございます。
 そのためには、部屋の広さというものもそうでございますし、配置基準というものも新しく看護補助者というものを入れまして、従来の看護婦さんたけの基準しゃなくて看護 介護というものの一定の基準で長期療養にこたえるという制度をつくった、こういうようなことでございます。
#60
○竹村泰子君 療養型病床群を、私もさっきちょっとよくない例を挙げましたけれども、過去の老人病院の二の舞にしてはならないと思うんですね。そのためには、新しいことをお始めになるわけですから、スタートが肝心。介護要員についてもそれなりの手厚い体制を、従来の介護力強化病院並みの四対一、せめて五対一とすべきではないでしょうか。
 また、診療報酬上も療養型病床群の看護、介護の要員が標準よりも手厚いところには加算措置を講ずるべきてあると考えますけれども、この点はいかがですか。
#61
○政府委員(古市圭治君) これは実際動いてみてまた制度の足りないところ、気づかなかったところというふうな手直しをされていくべきものだと思いますが、現段階で一般的に考えますと、老人病院等は年齢で一つの仕切りがございますから、その中での多くの老人病を持った患者さんか収容される。それに比べますと、療養型病床群の方に医療上から判定されてそちらの方でどうですかと言われる人たちは年齢のあれはないわけですから、一般的にはより若い人たちで構成される比率も高くなる。そういう人たちは病状、治療上は長期にわたるけれども、一般生活上は歩いて食堂で飯が食べられる、自分で排せつとか寝起きとかできる、そういう分量も大きい。
 そういうことを考えますと、提案させていただいておりますように、標準は看護婦さんは六人に一人、看護補助者は六人に一人、こういうことでいいんではなかろうか、こう思っておるわけでございますが、これは何もそれ以上の職員を配置することを禁じたり妨げていることでは全くございませんで、現在の医療法の基準というものか入院患者四人に一人の看護婦といっておりますが、実態上は二人に一人あるいは三人に一人というところかあり、それに見合って診療報酬の基準看護の制度かある。そういうようなことを考えていただきますと、先生が御指摘のようなことも今後の問題として十分検討されていくことになろうかと思います。
#62
○竹村泰子君 今局長もお答えになりましたけれども、療養型病床群の看護婦の夜勤体制について、この問題については、衆議院の厚生委員会において外口玉子委員の質疑の際に、看護婦と介護職員のダブルで夜勤体制を組むので二・八体制は実現できると答えておられるんですけれども、しかし良心的な老人病院では経験から、夜勤に看護婦と看護補助者を組ませるよりもむしろ看護婦のみで夜勤を行う方を選択しているんですね。
 なぜならば、重症の患者が入ってきた場合などに、看護婦か二人いれば診療録への記載や注射、点滴などそういった適宜分担をすることか可能だけれども、看護補助者との組み合わせではこれができない。そのためにたとえ夜勤回数がふえても看護婦同士で夜勤をした方か楽だと当の看護婦さんか選択したからであると言っているわけてす。
 厚生省はこうした現場の声をどのように認識しておられますか。有資格者の看護婦のみて二・八体制を組めるような配置基準をまずとるべきではないかと思いますか、いかがですか。
#63
○政府委員(古市圭治君) 先生の御指摘のこともよくわかるつもりでございます。しかし先ほどお話がございましたように、現在の日本が有しております有資格の看護婦さんの数というものをできるだけ公平、最適な形で日本全部の医療供給体制の中で適用していくということが望ましい。にもかかわらず点数改定という影響もあって大病院の方に看護婦さんかシフトして中小病院、一般診療所て有資格の看護婦さんがいなくなってくる、こういうようなお話もこございました。そういうことからレベルを上げていくということが大事でございますが、それと同時に現実可能な体制という中でレベルを上げていく必要があろうかと思います。
 したがいまして、将来看護婦需給見通し等が実現いたしまして相当数の看護婦さんが病院に入るということになりましたら、まだそれはいろいろ検討の余地もあろうかと思いますが、現在の段階で長期療養施設についても全部夜間の二人は有資格の看護婦さんたということが果たして可能なのか、またそれがやれるだけの余裕があるのかということを考えますと、全体のバランスの中からは、長期療養の病棟におきましてはいわゆる有事に対応できるという体制がとれておるならば、一つ一つの看護単位の中でもう二人でないといけないということはややちょっと現実的には無理ではなかろうか。そこは現場の医療機関でできるところはそうやりましょうし、しかしそれて大丈夫だというところは一人の有資格者と補助者て組み合わすということもそれはそれで妥当なのではなかろうか、このように思っているわけでございます。
#64
○竹村泰子君 現実の問題としては厳しいということなんだけれども、今回の医療法改正で医療の担い手としての看護婦を法律に明記したことを踏まえ、医療を担うヒューマンパワーの確保という観点から、看護婦さんなどコメディカルスタッフの位置づけと人員め配置基準の問題を中心にお伺いしてみたいと思います。
 さきの人材確保法案の審議においても、私どもは二・八体制、週四十時間労働を初めとする労働条件の改善と増員が現在の看護婦不足を解消するために急務の課題であるということを申し上げてきました。しかし、四十床から五十床の看護単位を前提とした場合、現行の四対一あるいは六対一という標準では二・八体制の実現が不可能なことはもう今おっしゃったとおり既に明らかであり、すべての看護婦に対して二・八体制を実現するためには、現行の医療法の標準を改定する必要があると思うんです。厚生省はこの問題についてこれまで、今なおこの標準さえ満たしていない医療機関が四分の一ある中で、配置基準の改正には直ちに踏み切れないという姿勢をとってこられました。
 しかし、それならば医療法上も、職員が慢性的に著しく不足している医療機関において病床の利用制限を行うこととを可能とするような規定を設けるべきであり、一刻も早くすべての医療機関において四対一が確保できる措置をとるべきではないかと思いますが、これは重要な問題なので、大臣、どんなふうにお思いになりますか。
#65
○政府委員(古市圭治君) 非常に技術的な問題もございますので、最初に私答えさせていただきたいと思います。
 先生がおっしゃいまして、私もここで御審議いただきました看護婦人材確保法のときにお答えをさせていただきまして、そういう状況に早く持っていきたい、また配置の標準数というものを見直せる時期に、そうなったときには来るんではなかろうかとお答えしたわけでございます。
 その間をどうするのだというお尋ねでございますが、御指摘のように、私どもは医療法が守られているかどうかということを現実には医療監視というのをやっております。その中で定数に足りないというところがかなりあるわけでございますが、著しく足りない、さらには常態的に改善されないということになるといけませんので、絶えず改善命令を出してきているわけでございますが、それでもできないというところは、今後看護婦確保法案が通りましたときには、ナースセンターで集中的にそういうところにもまた紹介していく、援助もしよう、しかしそれでもだめだ、しかも熱意がないというような医療機関というものがあった場合には、その許可病床というものをその範囲内に、医療法の定数に合う範囲内に遠慮していただくということも現実問題としてやっていかなかったらいけないというぐあいに思っております。
 これは今後の検討課題でございますが、先生の御指摘のような趣旨も踏まえて、適正な医療が提供されるような仕掛けというものを、看護婦数の増員だけでなくて、ほかの方法があるかどうかということもさらに検討させていただきたいと思います。
#66
○竹村泰子君 厚生省はこれまで、看護婦がふえてきた暁にぼ医療法の配置基準の見直しもあり得ると答弁しておられますけれども、具体的には何を指標としてその配置基準の見直しの時期とお考えになるつもりですか。
 例えば厚生省の需給見通しによっても、一九九四年には充足率が反転して、以後その不足が解消されていくとされています。厚生省の計算によりますと、一九九七年には充足率は九五%を超えます。これらを一つの目安と考えてよろしいですか、どうですか。
#67
○政府委員(古市圭治君) 私どもこの需給見通しで全力投球していくわけでございますが、先生のただいまの理詰めの質問で非常に困りますのは、確かに一九九七年では九五%近くまで行く、そうありたいと努力いたします。その過程におきまして絶えず見直しというものはやっていきたいと思っているわけでございますが、早い話が医療法の改正というのも、六十年の第一次の地域医療計画を入れました医療法の改正に引き続きまして、今回のは私ども通称第二次の改正と申しておりまして、この後いわゆる中小病院、総合病院の問題、それからまた有床診療所の問題等を含めまして第三次の改正、さらには第四次の改正というものをやる必要性は感じているわけでございます。
 だから、そういうような改正のときにはまたこの配置基準につきましても十分検討して、合意が得られたところからひとつ提案をさせていただきたいと思っているわけでございます。
#68
○竹村泰子君 それでは次に、難病に対する質問を少しさせていただきたいと思います。
 厚生省は、一九七二年に難病対策要綱、七二年ですからもう二十年前ですけれども、出しておられますね。この難病対策要綱には、調査研究、医療費自己負担の解消と並んで医療施設の整備が三本柱として挙げられております。しかし特段の方針や計画が定められていないんですね。これはなぜなのでしょうか。先日、実は私ども厚生省の皆さんにおいでいただきまして「難病対策の確立を」という課題で市民と政府の土曜協議会をいたしました。その中で保健医療局疾病対策課で答えておられるんですが、その問題は「保健医療局国立病院課及び国立療養所課の任務であると考えている。」しかし一方、国立病院課及び国立療養所課は、我々は国立医療機関の難病機能に限って責任を持つ部局であり、難病医療施設について全体的、計画的に整備して地域的な偏在のないようにする施策については「保健医療局疾病対策課を中心に」医療法の主管課である「健康政策局計画課も関係する」と思う。つまり非常に厄介な問題だからみんなよけている、縦割りの弊害なんですけれども、そういうふうに思える答弁をしておられるんですね。
 これは、医療施設の整備ということについては、あるいは難病対策については、一体どこが責任を持ち、どういう方針をお立てになるんですか。
#69
○政府委員(寺松尚君) 今先生の御質問のように、一つは難病対策自身は疾病対策課の方でやってまいりますけれども、国立病院・療養所の整備の方は確かに先生がおっしゃるように国立病院課とか療養所課とか、いわゆる特別会計の中でやっておるわけでございます。しかし、私の立場は両方を総括しておりますので私からお答えするのがいいかなと思いますが、決してセクショナリズムがあるわけではございません。持ち場持ち場で仕事をやっていくということでございます。
 今先生から御指摘いただきました難病対策をやっております基本は、四十七年につくられました難病対策要綱、確かにこれはおっしゃるとおりでございます。先生は三つとおっしゃいましたが、私ども四つを考えておるわけでございます。それは、一つは調査研究の推進、これは先生御指摘になりました。それから二番目が医療施設の整備、これも御指摘になられた。三番目が自己負担の解消でございます。確かにこの辺が重要でございますが、もう一つ大事なことは、四番目といたしまして地域保健医療の推進、こういうようなことを考えております。
 と申しますのは、難病患者の方々というのは必ずしも入院しておられるだけの患者さんではございません。在宅でいらっしゃる方もございますし、やはりQOLを考えてまいりますと、在宅でできる方は在宅でやった方がいいという患者さんの御希望が非常に強い、そういうものに対応していかなければならない、こういうふうに考えております。施設だけが全能ではございません。そこは御理解をお願いしたいと思います。
 したがいまして、私どもは確かに一九七二年の要綱でございますけれども、中身をそれぞれリフレッシュしてまいっておるわけでございまして、難病患者に対します医療を確保するために専門家を初めとする関係方面の御意見を幅広く伺いながら適切な対策を講じてまいりたいと考えております。
 また、施設についてあえて申し上げますと、国立病院・療養所も、御承知のように今再編成計画というの菅先生方のいろいろな御支援をいただきながらやっておるわけでございますが、その中で難病というものに対します施設整備というのは重要な柱の一つでございます。私どもはその再編計画の中で各ブロックに難病の中心的な機関を配置か施しまして基幹施設とするということにいたしておりまして、今その統合等をやりながら難病の基幹施設の整備を図っておるところでございます。
#70
○竹村泰子君 医療法に基づく都道府県医療計画においては難病医療の確保についても必ず目標を明らかにするよう値指導すべきではないでしょうか。もう一つは、難病対策の担当である保健医療局疾病対策課を中心として難病対策要綱にある医療施設の整備について政府方針を協議する方向で努力を約束していただきたい、こういうふうに思います。
 先ほど出しました土曜協の準備段階での回答では、健康政策局計画課が、難病といっても多様であり、各県ごとに確保することが無理な場合もあるというふうに漏らしておられるんですけれども、この辺について少し前向きの回答を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#71
○政府委員(古市圭治君) 現在、地域医療計画の中で憾必須事項以外に任意的記載事項ということで項目を示して、都道府県の方にその計画の樹立というものをしていただいているわけでございます。平成二年十一月に出しました通知、「地域保健医療計画作成の手引き」という中でこの項目は特に挙げておりまして、「保健医療供給体制整備に関する事項」の中、「特定疾患(いわゆる難病)の状況」につきまして、「特定疾患患者の状況、相談、訪問指導等特定疾患対策の実施状況等(各地域独自の調査)」というものも含めてこの状況をとらえて計画を立てるように指導しているわけでございます。
 また、その指導と直接関係ありなしは別にいたしまして自治体の中でも、ここに大阪府の保健医療計画というのがございますが、その中の任意的記載事項の中で、難病につきましては十ページにわたって難病対策、またどこの医療機関でどういう体制をとるのかということについてもその記載がされているということで、こういう例を参考にして各都道府県にもさらにその趣旨を徹底していきたいと思っております。
#72
○竹村泰子君 今、そういうふうに都道府県で前向きにきちんと計画を豊富に入れているという都道府県がどのくらいあるか、大体で結構ですが、おわかりになりますか。
#73
○政府委員(古市圭治君) 正確な数字、今ございませんが、担当の方の今まで接した感触ではほとんどの県で難病というものは取り上げている。ただ、そこに濃淡の差がございまして、この大阪府のような例は非常に模範的な例であろうかと思います。さらにまた調べまして、十分でなければ徹底していきたいと思っております。
#74
○竹村泰子君 一行入れたって難病に対する計画があるということになるわけですから、その辺のところはきちんとお調べいただいて指導をしていただきたいというふうに思います。
 難病患者が必要に応じて長期入院しても診療報酬が逓減することのないような配慮が必要ではないでしょうか。例えば、現行の診療報酬では三カ月、六カ月の節目で収入が減るというふうに言われているんですね。そして同じく、先ほどの土曜協準備段階での回答では、御指摘のように「医療費の適正化、長期入院の是正という観点から診療報酬の是正を進めているところだが、とりわけ特定機能病院に長期入院する特定の疾患の患者については、今後の問題として検討しなければならないという感じもする。」というふうに答えておられるんですけれども、この点についてどうお考えでしょうか。
#75
○政府委員(黒木武弘君) 御指摘のように、診療報酬の中で入院時医学管理料とか看護料につきまして逓減制をとっておるわけでございます。もう御案内のように、一般的に申しまして入院時には患者の容体が安定していないことや病名の診断が確定していないこと等によりまして、診察回数が多いとか濃厚な看護が必要だというようなことから、費用面でだんだん逓減するということに関連いたしましてこういった費用の逓減制をとっているところでございます。
 また、御指摘のように、我が国における平均在院日数というのは諸外国に比べまして非常に長いと指摘されているわけでございまして、私どもとしては漫然とした長期にわたる入院を是正するという観点からも、こういった一定の逓減制は必要だというふうに考えております。
 難病患者に限りませず長期入院される方が必要な療養を受けられるということは当然のことでございますけれども、療養の給付という形で費用をお支払いします診療報酬のあり方として、費用が逓減する、それに着目して、私どもはそういった費用の逓減制度を導入していることについては御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#76
○竹村泰子君 難病の方たちが一番今回の医療法改正で問題としておられるのは、長期の療養を必要とする難病のほとんどがそういうケースだけれども、そのときに、これまで入っていた病院から新しく違う病院へ行けと追い出されるようなことが起きるのではないかということを非常に危惧しておられるんです。
 これをちょっと確認させていただきたいと思いますが、患者が選んで自分の病院というふうに決めておられる、つまりもう入院をしておられる人が、療養中の方がその病院を理由もなく追い出されるようなことは起こり得るということはありませんね。いかがでしょうか。
#77
○政府委員(古市圭治君) 全くそれは起こり得ません。現在でも入院患者さんが病院側から退院をしてくれと、こういう話があったりするというのは事実かと思います。それはいろいろな状況で、もう医療の必要性は大体ないということで、お医者さんがそう言っても患者さんの方はかえって不安であるとか、さらにはいわゆる家庭なりそのほかの医療機関に行く予定がまだたっていない、そういうようなのが現実にいろんなお医者さんと患者さん、家族の間でお話があると思います。
 そういうようなことは、今度の医療法改正にかかわらず今もある問題でございますが、今度の療養型病床群というのが新しくできましたときに、その中で治療を受けるのがふさわしいかどうかというのは、お医者さんがまず病状から判断をされて、入院されている患者さんにそういうお話をして、それから納得の上で移るというのが実態でございますから、有無を言わさず三カ月来たらそちらに移るということでは全くございませんので、そういう危惧は。ないと思います。にもかかわらず、確かに先生がおっしゃったように、長期療養者、難病団体、透析患者の団体等からそういうことに対する不安というものに対していわゆる要請、陳情の手紙がたくさん来ているということも伺いましたので、さらにそういう誤解がないように注意しながらこの実施に当たっていきたいと思っております。
#78
○竹村泰子君 難病患者の医療相談なんですけれども、相談班というのをつくっておられますが、患者やその家族会のリーダーなど経験者、当事者に参加をしていただくべきではないか。都道府県によっては相談班を丸ごと患者団体などに委託しているケースもあると聞きますけれども、そのような事例があったら報告をしていただきたいのと、患者や家族会のリーダーなど、疾病のことがよくわかる方たちが相談班に入っていただくということについてどのようにお考えか、聞かせていただきたいと思います。
#79
○政府委員(寺松尚君) 先ほど私が、難病対策を進めていき。ます場合に、四番目といたしまして、地域の保健事業といいますか、保健医療事業の推進と申しましてお話しいたしましたが、それに関連するわけでございます。正式には平成四年度から都道府県が主体となりましてやっておるわけでございますが、難病患者地域保健医療推進事業というふうなものでございます。その中に、特に医療相談事業という事業がございまして、そのお話を竹村先生おっしゃっているんだと思います。
 この相談事業というのは、都道府県またはその委託を受けました適当な団体が事業を効果的に実施するという観点から、地域の実情、患者のプライバシー、事業の利用しやすさというふうなことを配慮しながら適切に相談班を構成して推進していただくものだ、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、実際、県によりましてはそのような取り組みもされておるところもございますし、都道府県だけでやっているところもあると聞いております。
 いずれにいたしましても、入院のみならず在宅の患者さん方の医療の問題あるいはいろいろな相談の問題、これは適切に対応していかなきゃならぬ、そして不安を解消してあげなければならぬと考えておりまして、私ども都道府県の事業を応援してまいりたい、このように考えております。
 ただ、患者団体等いろんな方に入っていただきます場合に、これは訪問とか相談とかを受ける患者さん自身のいわゆるプライバシーの問題に私どもも神経を使っておるところでございまして、その辺の非常に御理解がある団体がもちろんあるわけでございますので、そういう団体なら進めていけるのではないか、このように考えております。
#80
○竹村泰子君 難病対策についてはまだまだお聞きしたいことがあるのですけれども、時間が迫ってきましたので、それでは次に、今大変新聞紙上でもにぎわっております患者の権利という問題について質問させていただきたいと思います。
 インフォームド・コンセントという言葉がかなりポピュラーになりましたけれども、この言葉を厚生省はどう考えておられますか。
#81
○政府委員(古市圭治君) アメリカからこの概念が広まってきたということでございますが、日本で言いますと、患者さんに対して医療担当者、殊にこの場合医師が中心でございますが、その相談にあずかったことに対して、診察、治療をするについて十分説明をして患者さんの同意を得た上で診療、治療行為が行われていく、これを要請されているということかと思います。
#82
○竹村泰子君 今後の医療政策を考えるにつきまして、患者の権利、医療サービスの需要者の立場を考慮した政策を考えるべきであると思います。特に衆議院からずっとインフォームド・コンセントについてはかなりの議論が闘わされてきたと思いますけれども、インフォームド・コンセントについては早急にその問題点を洗い出して、国民の前に広く議論の経過を含めて情報を公開すべきであるというふうに思います。
 そもそも、インフォームド・コンセントという問題は、もう言うまでもありませんが、もちろん良心的なお医者さんたちは、そんなものはもうとっくにやっているよと、今さらそんなインフォームド・コンセントなんて問題にすること自体がおかしいよと、私もかなりお医者さんにいろいろお聞きしてみましたけれども、そういうお答えも随分ございました。この委員会の中にもお医者さんがかなりおられますのでお耳ざわりかもし札ませんけれども、しかし一〇〇%そういうお医者さんばかりではないのでございまして、このインフォームド・コンセントというようなことが近来問題になってきましたのは、第二次大戦後にニュルンベルク裁判でナチスが人道に反する実験を被験者に加えていたということが明らかになったことから、医学的な実験には被験者の同意が必要だというニュルンベルク綱領というものがつくられ、それ以来西欧社会ではかなり患者の権利という問題が出てきていると思います。
 これは日本医師会生命倫理懇談会が出しておられます「「説明と同意」についての報告」という報告書もございますけれども、この中では「説明と同意」というふうに訳しておられるんです。インフォームド・コンセントというのはどう訳せば一番的確なのかということは種々議論のあるところだと思いますけれども、患者と医師の立場で、要するに説明をされて患者がそれに対して同意をするというだけのことではないのではないかと、私はそう思うんです。
 これは「医療の倫理」という、星野一正さんという方のお書きになった本なんですけれども、「インフォームド・コンセントの前提条件」としてこんなことが挙げられているんですね。例えば「患者の医師への質問の自由」、こんなの当たり前のことだと思いますけれども、なかなかこれがやりにくい。余計なこと質問するなというふうな顔をされることがしばしば。「患者が同意した医療を実施した時の医療上の責任」、それから「患者の同意拒否権」、医師が患者に説明をして診療行為の選択肢を与えて同意を求めた場合、患者はいずれの選択肢にも同意をしなくてもよいという拒否権です。それから「患者の同意撤回権」、患者が医師に同意を与えた後でも、考えが変わったら同意を撤回したり変更を求める権利がある。それから「医師を選ぶ患者の権利」、患者は医師を選ぶ権利があり医師を変える権利もある。「患者の診療拒否権」、「患者の医療の選択権の制限」というふうな、こんなことが幾つか書かれておりまして、もちろん患者には「真実を知る権利」も、知りたくなければ「知らされないでいる権利」も、あるいは「そっとしておいてほしい権利」もあることを忘れてはならないというふうにあるんですね。
 このインフォームド・コンセントということについて、説明をされてそれにただ同意をするということだけではなくて、患者の自己決定権といいますか、患者があくまでも自由な意思に基づき診療、検査、投薬、手術その他の医療行為について、それを選択しあるいは拒否することができる。それから医療行為の目的、方法、危険性、予後など、治療などについて説明や報告を受ける権利がある、あるいは患者は同一医療機関の別の医療従事者あるいはほかの医療機関の従事者からの意見を求めることができるとか、個人情報を保護される権利があるとか、今いろいろなことが、御存じのとおり患者の権利法というものを考えている方たちがおられまして、昨年の十月に「患者の権利法をつくる会」というのが設立されております。
 患者の権利法などをつくると医師と患者の間がぎくしゃくするのではないか、そういう心配をする人もいるわけですけれども、そしてまた日本の医療の世界でそういった問題はそぐわない、今までの関係で十分じゃないかというふうなことも言われております。ただ、その中で、現在の日本における医療が十分である、もう私たちはこれで満足をしている、満ち足りているということが一〇〇%言えるわけではない。
 快適な環境において最善の医療を受け、病気であっても可能な限り通常の私生活や社会生活を営む権利を持っている。老人病院の問題をさっき申し上げましたけれども、そういった患者の権利を奪うことのないようにしなければならない。患者の納得を得ながら医療を行うことによってこそ医師も医療も進歩するというふうな、こういう考え方に立ては、インフォームド・コンセントということについてはいろいろな考え方があると思いますけれども、大変大切な私たちの命にかかわる権利ではないかというふうに思うわけですね。
 さらに、日本では、私も素人なのに生意気なことを言うようですけれども、いわゆるムンテラと呼ばれる、ムンドテラピーというんですか、難しい言葉で、医師がわかりやすく説明をして、病状、診断、治療、予後などを患者に理解させ納得してもらう。そのことのみにインフォームド・コンセントということが使われるとするならば、これは非常に貧弱な発想になってしまうのではないか、そういうふうに思うわけです。
 このインフォームド・コンセントの前に親切な説明、病名、今後の進行状況、治療、注意事項、副作用の有無、投薬の内容、そういったことについて必要なことを十分厚生省が検討するべきではないかと思いますけれども、インフォームド・コンセントということについて厚生省、大臣もお伺いしたいと思いますが、どのように考えておられて、今後どうしたいとお思いか教えていただきたいと思います。
#83
○国務大臣(山下徳夫君) これはもうあくまで前提となるものは医師と患者の信頼関係であろうと思いますが、今先生は幾つかの例をおとりになってお話しになりましたけれども、これは患者の権利、患者の立場からの権利が主であったと思います。
 しかし、これに対して医者もやはり権利があると私は思うんでございます。例えば非常に気の弱い、がんに対してもう物すごい恐怖心を持っている人に対して言った方がいいかどうかというような場合に、これはやっぱり言ってはいけないと、これは一つの医師の権利でなかろうかと思うんでございますし、また先生のお話しになりました中には、知らされない権利というものが患者にあるとするならば、知らせない権利というものも医師にもあるんではなかろうかと私は思います。まともに答えることがいいか悪いかという医師の判断に基づくということもございましょう。
 したがって、方向としては今後医師と患者の信頼関係がますます厚くなって、インワォームド・コンセントというものはこれは大切な問題で、そっちの方向に進んでいくべきでありますが、ただ一方的に患者の権利だけを認めるのがインフォームド・コンセントじゃない、そのような感じを私は持っております。
#84
○政府委員(古市圭治君) 今大臣から御説明があったのに尽きるわけでございますし、先生がインフォームド・コンセントについて多面的な、多角的な価値観があるという形でいろいろおっしゃいました。もうそのとおりの中で、これをどのように我が国の中に定着させていくのかという立場ではなかろうか。
 そういうことで、この委員会が開かれました参考人の御意見の中でもいろんな御意見がございまして、全体の方向としては非常に重要なことであり、今回法律の中でその基本となる、医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づいて医療が提供されるべきだと、理念規定が入ったことは評価していただいたと思っておりますし、さらに進んで、インフォームド・コンセントを国民の理解を得て医療関係者の方にも普及定着していくために、何らかの検討会を設けるべきだというようなことも御要請があったんではなかろうかと思います。そういう要請を受けまして、私どももこの国会が終了いたしまして、政省令をつくる中でこの問題をどう検討するのかというのを、大臣の御指示も受けまして検討会を設置いたしたい、このように思っておるわけでございます。
 端的に言いますと、何でも権利権利、こう言って、言ってしまえばいいというんだったら医者はこんな楽なことはないということもあるわけです。全部言ってしまう、あななどの方法を選択しますか、悪く言えば、アメリカ的な防衛医療ということにいきましょうし、ある意味じゃ無責任医療という形にもなりましょう。そういう中で、あらゆる患者さん、家族の全部、医療、医者に対する信頼を受けて、その中で言う言わないの判断をしながらやる、これが医者の大変苦しいところであるし、それゆえに尊敬されるべきところじゃなかろうか。
 こういう点から、日本医師会が説明と同意について先般報告書を出され、全医師に普及をされたということは非常に大きな業績であったと思うわけでございますし、行政もそういう線に沿ってできることを検討していきたいと思っております。
#85
○竹村泰子君 もう時間が参りましたので終わりますが、大臣のお答えも局長のお答えも私は大変残念に思いますね。医師と患者の信頼関係がどうすればできるか、もちろん十分にできている例もあるのはよくわかっていて言っているんですけれども、それがない例が余りにも多いから、どうしたらそういう信頼関係ができるかということについて言えば、開かれた医療しかないわけですよね。
 そして大臣は、医師にも権利があるとおっしゃいました。もちろんそのと泊りだと思います、専門家ですから。ですけれども、私たちはあくまでも強者と弱者という立場に置かれるわけですよ。私たちは身柄を、命を預けちゃうという立場に置かれるわけです。ですから、弱者の立場というのはあくまでも守られるべきだと思いますし、例えばアメリカのことを古市局長今ちょっとおっしゃいましたが、これは極端な例かもしれないけれども、アメリカの病院に行きますと、あなたの権利は守られていますかといって、絶えずどこにでも患者の目に触れるところに投書をするような用紙がぶら下がっていたり、それからベッドサイドで、あなたは権利を侵されていませんかという問いかけが毎日のようにある。
 ここまでやれとは言いませんけれども、別に私たちは権利権利ということを主張しているのではなくて、弱い立場の人たちの命にかかわる重大な問題でのある程度の権利意識というのは守られるべきではないか。これは今後の問題として厚生省の大きな御指導を、またビジョンをっくっていただきたいものだと最後に要望して、終わります。
#86
○粟森喬君 きょうが委員会で本法案の最後の質問になるかと思いますので、幾つかの前提条件についてお尋ねをしたいと思います。
 この間の医療法の改正審議を通じてどうしてもまだ見えてこないところが幾つかございます。といいますのは、質疑を通じて出てきているのは、今回の改正がまず特定機能病院と療養型病床群を入れるということに中心があるんだろうと思いますが、全体像をどうするかということを示すことなく、この部分だけに改正を限ってきたということがある。一方では、診療報酬は診療報酬で、羊れに先駆けるようなやり方をしている。これは法律を論ずる我々の立場としてもどうも釈然としない一番の問題点だと思います。
 この辺のところについて、厚生省はどういう巨解で今回はこの部分を中心に改正を絞ってきたのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
#87
○政府委員(古市圭治君) 御承知のとおり、現行医療法の基本というものは昭和二十三年につくられたままきておりまして、病院病床の制限というものと、また提供について地域という観念を入れて二次医療圏を設定したということが第一次改定で六十年にできたわけでございますが、その後医療関係者、行政、また国民の側からも医療機能の明確化とそれから質の向上というものに対する期待があった。その中で何回かの議論を経てきまして、厚生省の中から研究班の案も提出させていった結果、関係者の合意ができたところが今日の法律改正の中身になってきたということでございます。
 そういうことで、大きな流れとしては全貌を検討したわけでございますが、現段階で合意ができたのは病院機能の明確化が大事である、しかし、その両方の端の特定機能病院と療養型から一応やりましょうと、その後御指摘のようによくわからないということは第二弾、三弾とやらせていただきたい、こうなったものですから、全体像が出ていないという御批判を受けているのかと思います。
 ただ、医療に対する理念というものも今回書かせていただきましたし、また、国民側に対して情報をもっと提供しろということにつきましては、情報提供、診療科の標榜、広告規制の緩和というものも出したわけでございます。そういうことで、たくさんある中、現段階で合意ができたというところから部分的な改正になったと御理解いただきたいと思います。
#88
○粟森喬君 今の関係者の合意というのがどうも利害関係者に限られているというのが私どもが問題にしているところでございます。今回は今回として審議をしているわけでございますが、基本的には国民といいますか医療を受ける患者の意見をベースにして今後の改正作業、第二次、第三次は十分そういう意味でやっていただきたいということを申し上げておきます。
 この際、ついでといいますか、はっきりしておきたいんですが、医療法人の収支報告書を今回損益計算書に変えだというのが法律条項に入っています。これは私どもが今懸念をしているのは、大きな病院であればいろんな意味で効率的に運用できる。結局、大病院の事業化というのがますます進む。その中で収支報告書より損益計算書の方がその収支内容がはっきりするという意味では一つの意味があるんだと思いますが、結果としてこれが医療法人の営利化促進にならないのかどうか、そういうところについて見解をお尋ねしたいと思います。
#89
○政府委員(古市圭治君) 御指摘のとおり、医療法人は現在、他の公益法人と同様に収支計算書によりまして会計の処理をしているわけでございますが、いろいろ検討いたしました結果、医療法人が行う事業の会計処理というものは、一般の企業と同様に収益が発生をした時点において会計処理をさせるという方が適切に財政状況を把握できる、またこれも非常に重要なことであるということから、この際この切りかえをさせていただいたわけでございます。
 発生主義による損益計算書によって明らかにするということが目的でございますので、これが医療法人の営利化を促進するということでは全くございませんが、ただ、そのおそれがあるというのはこのことに関係なくそういう批判があるわけですから、それはそれとして医療監視、指導の面で注意をしていきたいと思っております。
#90
○粟森喬君 今回の医療法改正の中で、一般中小病院や開業医の位置づけがほとんど触れられなかったというところに一番の問題があるかと思います。
 とりわけ、この間の診療報酬の改定の中で、言ってみれば総合病院であるとか大病院は事業としては成り立つ基盤がそれなりにあるわけですが、いわゆる有床診療所であるとか開業医はだんだん先細りしていく。結果として、経営として成り立たないからお医者さんがやめるのはそれは自由かもしれません。しかし、私はそのことによって地域の医療体系が今崩壊をしつつあるんではないか、こういう懸念も持っているわけでございます。
 そこで、この種の一般中小病院や開業医の役割をどういうふうにこれから位置づけていくのか、そして政府は現状をどういうふうに理解をしているのか、その辺についてお尋ねをしたいと思います。
#91
○政府委員(古市圭治君) 先ほど御説明いたしましたように、今回、全体の医療機関の機能分化を明確化してやるという形までは手が及ばなかったわけでございますが、例えば特定機能病院というものをつくりまして、その外来のあり方というものが特定機能病院らしい外来をやってくださいということで紹介制度を持ち込むということになるわけでございます。
 これが直接あるいは間接的に、周辺の中小医療機関というものの第一次医療機関機能というものを強化するということに私はつながることになろうかと思います。ぶっつけ大学病院に行くんじゃなくて、大学病院に行く前にその周辺の医療機関でやっていただく、あるいは大学病院でもう診なくていい人は逆紹介で戻ってくる、こういうことから間接的に今回の改正は一般の開業医、中小病院にも影響が大きいことだと思っております。ただ、直接的な施策というのは先ほど申しました上うに、第三次の改正ということで合意を得ていきたいと思っているわけでございます。
#92
○粟森喬君 診療報酬の立場から幾つかお尋ねをしたいと思います。
 一つには、今回のことでも中小病院や開業医から、特に今度は広告の制限がいわゆる情報公開的にやられるということになったわけですが、中小の病院では高い医療施設などを購入するというのは、患者なら患者の数が限られているわけですから、なかなかできない。そうすると、ますます大病院、総合病院と一般中小病院や開業医というのは格差が出る。こういう設備があればうちももう少し地域医療として役に立てるんだと、こういう立場があっても、今の診療報酬上の体系ではそれは不可能でございます。
 このことについて、これからの診療報酬を組み立てるに当たって早急に改定をするというふうに言われていますが、これまでの答弁では、一つ一つの診療の単価に応じてやるということの原則をそのまま貫いているとすれば、大病院と中小病院、そして開業医の格差を拡大することになりますが、診療報酬についてどうこれから変えていくつもりなのか、この辺のところについて見解をお尋ねしたいと思います。
#93
○政府委員(黒木武弘君) 現行の診療報酬、先生御案内のように甲表、乙表という体系になっておりまして、その中で大病院も中小も診療所も、全部その体系の中で押し込んだ形で評価をしているのが現行の体系でございます。したがって、これについての問題意識を私どもも持っており、関係者も持っておるわけでございます。この点、診療報酬体系をどういうふうに病院、診療所の機能、役割に応じた体系化を進めるかというのが今まさしく中医協の中におきます基本問題小委員会で取り上げられているところでございます。
 そういう意味で、私どもはこれからの将来の診療報酬のあり方として、御指摘のように病院の機能、役割なり、あるいは大病院、あるいは一般地域病院、慢性病院、診療所といったそれぞれの役割にふさわしいような診療報酬体系というものはやはり検討の上、私どもとしてはそういう構築を目指す必要があるのではないか、かように考えているわけでございます。
#94
○粟森喬君 ぜひとも診療報酬の立場からもそういう考え方で検討をお願いしたい。そうしませんと、先ほどから再々申し上げているように、地域におけるプライマリーケアを中心とする第一次診療のところが非常に問題ではないか、こういうふうに思いますので、お願いをしたいと思います。
 そこで、これからの課題で、有床診療所の果たすべき役割、これも地域保健医療計画の中ではまだはっきりしていないし、これからの考え方がどうなのかということは非常に大事だと思います。さらに、開業医の役割もこれまた一番大事にしなきゃならぬ。かかりつけの医者をちゃんとつくっておくということがそれぞれの国民の医療にとっても非常に大事だし、そういう体系が崩れようとしている中で今後この問題についてどういうふうに考えていくのか、答弁をお願いしたいと思います。
#95
○政府委員(古市圭治君) 私どもも先生と同じような認識をしておりまして、早急にこの問題について成案を得て、またお諮りいたしたいと思っておるわけでございます。
 認識を具体的に申し上げますと、現在有床診療所と申しますのは、医療法では患者の一時的な収容、四十八時間以内ということから特段人員配置、施設基準という細かい規制はないわけでございます。そういうことから、性格が非常に厳しく決められている病院と違いますので、千差万別と申しましょうか、しかし実態として我が国に二十七万床が稼動している。多くの人たちがここで医療を受けているということから見ますと、これは我が国の医療の貴重な財産であるということ。また生活圏に一番近いところでこういうものがあるという形は、高齢化社会に向かっての在宅医療だけではしかねる地域医療全体の中での一つの資源になるということもあります。
 そういうことで、現在有床診療所の先生方は非常に苦しい苦しいという声がありますけれども、その持っておられる特徴を生かしてどういう方向に行くべきか、それに対してどのような診療報酬また制度、体制をつくるかということを一緒に協議させていただきたいと思っているわけでございます。
 それからまた、同時に第一線の無床の診療所、クリニックの先生方は文字どおりかかりつけ区として最初の医療相談に当たる先生方でございます。そういうことで、我が国の医師の分布が勤務医に流れているというのはこれは非常に危惧すべき点でございまして、第一線の開業医のネットワークを、高齢化がだんだん進んでおりますが、今後に向かって確固たるものにするような各種の施策をやっていきたい。そのためには医学教育、卒後臨床研修も重要でございますので、その中に項を起こしまして全人的な医療に努めるということにつきましても、教育、国家試験にも反映する、そういう努力もやっております。
 今後も引き続きいろいろ検討させていただきたいと思っております。
#96
○粟森喬君 数点について確認をする意味で質問したいと思いますので、大臣の方から答弁をお願いしたいと思います。
 まず最初に、今回の改正が我が国の医療水準の低下につながる懸念については幾つか申し上げてまいりました。私どもはそういうことがないという、低下しないという歯どめについての答弁をまずお願いしたいと思います。
#97
○国務大臣(山下徳夫君) 今回の改正につきましては、患者が病状に応じた適切な医療施設で受診できるよう、病院の役割分担を明確にするとともに、その体系化を図ることとし、その改革の第一歩として、特定機能病院と療養型病床群を制度化することとしたものであります。
 これは、医療施設機能の体系化を図ることによって、適時適切に国民に良質な医療を提供する体制を確保するとともに、限られた医療資源のもとで医療水準の向上を図ることを目的としたものであります。
 今後、改正医療法の施行に当たりましては、いやしくも医療水準の低下を招くことのないよう運用に配慮してまいりたいと考えております。
#98
○粟森喬君 今回の医療法改正によって、さきの診療報酬改定との間で経営が圧迫されているという懸念が一般病院、診療所に広まっている。このことに対してどう対処するのか、これからの見解をお尋ねしたいと思います。
#99
○国務大臣(山下徳夫君) 今回の医療法改正につきましては、本格的な高齢社会に備えて、患者が良質な医療を受けられる医療供給体制を確立することが大切であるという認識のもとに、医療施設機能の体系化を図ることとしたものであります。
 なお、本年四月の診療報酬改定は、医業経営の実態や賃金、物価の動向を勘案するほか、最近における看護問題の動向にかんがみ、全体として五・〇%の引き上げを行ったものであり、これによって医療機関の安定的経営は確保されるものと考えておりますが、今後とも、中央社会保険医療協議会の御審議を踏まえつつ、各医療機関が地域医療においておのおのの役割を適切に果たせるとともに、医業経営の安定が確保されるよう適切に対処してまいります。
 また、今後、改正医療法による医療施設機能の体系化を進めるに当たりましては、中央社会保険医療協議会の御議論を踏まえつつ、それぞれの施設に応じた適切な診療報酬上の評価が行われるよう配慮してまいりたいと考えております。
#100
○粟森喬君 無床診療所の位置づけを今後どうするのか。国民がかかりつけの医師を持つ方向を明確にすべきではないかと思いますが、答弁をお願いします。
#101
○国務大臣(山下徳夫君) 地域医療の確保を図るためには、病院、診療所の連係を進めることにより、患者の病状に応じた良質な医療を提供する体制の確保を図ることが必要であります。
 このため、日常の健康管理、疾病の予防、診断、治療など幅広く対応のできる身近なかかりつけの医師が担う家庭医機能は重要なものと考えており、その普及及び定着を推進するための研修事業の実施に努めておりますが、今後とも、地域の開業医の活性化を図り、家庭医機能の普及を推進してまいります。
 また、診療所のあり方を含む医療供給体制の将来のあり方につきましては、診療所が地域医療の中で果たしている役割に十分配慮しつつ、今後とも患者の病状に応じた良質な医療を適切に提供する体制を確保するという観点に立って検討を行い、関係者の合意が整ったものから順次改革を行ってまいりたいと考えております。
#102
○粟森喬君 予防医療についてお伺いをします。
 例えば人間ドックについて、医療保険の保健施設事業の拡充により、費用負担の軽減を図るべきではないかと考えますが、大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
#103
○国務大臣(山下徳夫君) 人間ドック等の問題につきましては、被保険者の健康の保持増進を図る上で、成人病を中心とする疾病の予防、早期発見が重要でありますので、保健施設事業として、人間ドックや成人健診をさらに推進してまいりたいと考えております。
#104
○粟森喬君 看護婦が医療の担い手として医療法に今回位置づけられました。したがって、その業務を改善し、職業としてのグレードアップ、格付を図るべきではないかと思いますが、見解をお尋ねしたいと思います。
#105
○国務大臣(山下徳夫君) 看護婦につきましては、国民に適切な医療を提供する上で果たす役割は非常に大きく、高齢化の進展に伴い、その役割はますます大きなものとなっていくと認識をいたしております。この法案においても、看護婦が医療の担い手として位置づけられたところであり、その趣旨を十分踏まえ、看護婦の業務のあり方を改善し、高度な専門的知識と技能を有する看護婦が自信と誇りを持って業務を行えるよう取り組んでいきたいと考えております。
 このため、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案を国会に提出しているところでありますが、そのほかにも「看護の日」を中心に看護に対する国民の理解を高めるとともに、卒後臨床研修の充実により、看護婦と適切な連携のもとに行われるチーム医療に取り組む医師の養成に努め、さらに看護業務検討会を開催して看護業務の見直しに取り組むなど、さまざまな努力を通じて看護婦の職業としての魅力を高めていきたいと考えております。
#106
○粟森喬君 インフォームド・コンセントをもう少し明文化し、医療の中での患者の権利を確立すべきではないかと考えますが、見解をお尋ねしたいと思います。
#107
○国務大臣(山下徳夫君) いわゆるインフォームド・コンセントの考え方につきましては、医師と患者の信頼関係を支える一つの方法として今後の医療の提供の理念において重要な事項と認識しており、この問題については現場の医療に混乱を来すことのないよう慎重に検討してまいりたいと考えております。
 なお、医師と患者の信頼関係に基づく医療の場において、患者の権利をどのように取り扱い、どのように法的に規定していくことが望ましい医療のあり方に結びつくかについては、さらに今後の課題として検討してまいります。
#108
○粟森喬君 終わります。
#109
○委員長(田渕勲二君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。
   午後零時二十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時開会
#110
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、粟森喬君が委員を辞任され、その補欠として山田耕三郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#111
○委員長(田渕勲二君) 休憩前に引き続き、医療法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#112
○高桑栄松君 それでは質問をさせていただきますが、最初に医療法の総論みたいなお話をちょっと承りたいと思います。
 今度の法律改正案の審議に当たりまして、何かしら隔靴掻痒と申しますか余り全体が見えない形で審議が進められたように感じたわけであります。その理由の一つは、皆さんがそれぞれ申しておられますけれども、将来ビジョンというか全体像が明らかにされていないということがよく言われているわけです。それで、厚生省が九〇年の一月発表した「二十一世紀をめざした今後の医療供給体制の在り方」という中で、例えば「保健・医療・福祉の連携」であるとか「家庭医機能の積極的な評価」、「在宅医療の推進」、こういったようなことが盛られてあったわけですけれども、これがほとんど今回は欠落していたというかはっきりしていない。どこまで明確なビジョンを持っておられるのか。
 今回の改正で積み残しとでもいうか、第三弾、第四弾の改革を考えておられるというふうな御答弁がございましたが、将来今後の改正のスケジュールにつきまして大臣にひとつお伺いしたいと思います。
#113
○国務大臣(山下徳夫君) 医療法につきましては戦後制定されたのでございますけれども、それから基本的な事項についての改正が何ら行われてこずに今日に至っておるわけでございます。
 今回の改正を行うに当たりましては、お話にございました「二十一世紀をめざした今後の医療供給体制の在り方」でございまして、これを厚生省が発表いたしまして、このあり方について発表した中で具体的に改正スケジュールに乗るものについて今回の改革が行われた、こういうことであろうと思います。
 そこで、残された課題もいろいろございます。これらの課題につきましては、厚生省としても全力を挙げて関係方面の合意を求めながら、第三弾、第四弾というふうな改正を今後やらなきゃならぬと思っております。しかも、それはなるだけ早く第三弾、第四弾をやるべきであると、私はそのように理解し、そのようにいたしたいと思っております。
#114
○高桑栄松君 それではその次でございますが、地域医療計画との関連を伺いたいと思うんですが、特定機能病院及び療養型病床群という二つの新しい類型化というかそういうものが出てきたわけでありますが、これが地域医療計画に占める位置づけというのを伺いたいと思います。
#115
○政府委員(古市圭治君) 地域医療計画は、先般、第一次医療法の改正によって医療圏ごとに作成するということができたわけでございます。その後に今回の医療法の改正ということで提案させていただいておりまして、その中で特定機能病院と療養型病床群というのが出るわけでございますから、前後関係が地域医療計画を策定するといった後にこれが制度として入ってくるということになります。
 そういうことで現在、地域医療計画の中には必須的事項と任意的事項がございますが、この任意的事項の中でこれらが地域医療の中でどのような役割を担うか、さらには連携をどうするのかということにつきましても御検討をしていっていただきたいと思っております。
#116
○高桑栄松君 そこで、特定機能病院につきまして伺いたいんですけれども、文部省に伺いたいと思います。
 この特定機能病院というのは、今までのいろんな御説明を承っておりますと、医療圏で言えば第二次及び第三次に対応するものかと。大学そのものはもっと高度かもしれませんが、大学病院というのが特定機能病院の対象として一番数が多く考えられているわけです。これにつきまして、大学病院が特定機能病院へのメーンの主役を演ずるといたしますと、問題は教育との絡みもあり、紹介率ということが問題になってくるわけですが、大学病院が紹介率ということでどういう考え方を持っているのか、文部省に伺いたいと思います。
#117
○説明員(喜多祥旁君) お答えいたします。
 大学病院でございますが、医科大学または医学部附属の教育研究施設として大学病院は設置されているものでございまして、すぐれた医師の養成及び医学の研究を行うことをその使命といたしておるところでございます。また、病院としまして実際に患者の診療を行っておるところでございまして、地域医療の一翼を担いますとともに、研究活動の成果を生かした高度な医療を提供しておるところでございまして、それぞれの地域の中核的な医療機関としての機能も果たしておるところでございます。
 したがいまして、大学病院が高度医療の提供を分担するということは極めて意義のあることであるというふうに考えておるところでございますが、ただ、特定機能病院となりました場合の責務といたしまして、紹介患者を受け入れなければならないとされているところでございます。
 大学病院は、現在も紹介患者を受け入れておりますし、今後とも受け入れていくところでございますが、教育実習病院としての大学病院におきましては、学生がさまざまの症例に接するということが医学教育上極めて重要でございまして、実態とかけ離れた紹介患者の受け入れということをいたしますと、一般患者の減少を来し、あるいは症例が偏るということが生じまして、医学教育を行う上で支障が生ずるおそれがあるということが大学関係者から指摘されておるところでございます。
#118
○高桑栄松君 特定機能病院については、厚生省の説明によると、一応紹介率というのが問題になってくるわけで、大学病院側の意向というのはどれくらいまでの紹介率を受け入れようとしているのかということを承りたいんですが、どうですか。
#119
○説明員(喜多祥旁君) 国立大学附属病院について申し上げますと、国立大学附属病院長会議が十九の国立大学附属病院につきまして、初診外来患者に占める紹介患者の割合を調査いたしております。それによりますと、紹介患者の初診外来患者に占める割合は、最低で一〇・九%、最高で四五・五%という結果が出ております。ただ、この調査では、紹介状等文書により依頼があった者だけでなく、電話等による紹介あるいは医師または歯科医師の名刺を持参してきた老、それらも含まれておりまして、このような高い比率になったものと推測をいたしております、
 今申し上げましたように、紹介患者の数につきましても、大学によりましてさまざまでございまして、一律に望ましい数字ということを申し上げるのは極めて困難でございます。
#120
○高桑栄松君 今の一〇・九または四五・五というと、足して二で割ると、五六%ぐらいになるから二七、八%ぐらいが平均値でしょうかね。そういうぐあいで、教育に必要な一般患者の数というのはどれくらいを想定しておられるんですか。
#121
○説明員(喜多祥旁君) ただいま申し上げました十九の平均をとりますと二五・五という結果が出ております。ただ、今申し上げましたように非常に差があるものでございまして、患者数につきましても病院によって大変な差がございます。また、紹介患者の数につきましても大変な差がございます。
 その差といいますのは、その病院の置かれました地域の実情でございますとか、あるいはその病院の沿革等により生じた差であろうというふうに思っておるところでございまして、それぞれの病院、それぞれの大学は、現在の患者数、そしてその実態というものに基づいて教育研究を行っておるというふうに理解をいたしております。
#122
○高桑栄松君 私も大学にいた人間なんで若干の知識があるんですけれども、紹介率を上げていった場合に一般患者が減る、減ると教育に差し支えないかということが一つと、もう一つは、文部省は病院の収入を上げないと何かうまくないというような指導をしているんでしょうかね、どうでしょう、その二つの点を伺います。
#123
○説明員(喜多祥旁君) 病院収入につきましては、国立、公立、私立によってかなり様子が違うと思います。私立大学の場合には経営に影響してくる問題でございます。国立につきましても病院収入を上げるようにお願いはいたしております。ただ、大学の教育研究上必要なことがいろいろございますので、その辺は大学が判断することだというふうに理解をいたしております。
#124
○高桑栄松君 何となく伺っているところですと、旧医科大学は国立の場合は附属病院のベッド数八百ですね、新設が六百でございますけれども、独自の教育システムでいくと八百。それで定員一学年百名ということなわけで、外来患者はベッド数に匹敵するぐらいで大体賄うという予定であったかと聞いておるんですが、現実に外来患者というのは、国立の場合はどのくらい来ておりますか。
#125
○説明員(喜多祥旁君) これは病院によりまして大きな差がございます。六百人台のところから二千五百人台のところまで大きな差があるという実情にございます。
#126
○高桑栄松君 六百というのはいかにも少ないですね。それは国立てすか。
#127
○説明員(喜多祥旁君) そうです。
#128
○高桑栄松君 それはしかし、ちょっと聞いただけでもそれだけでは教育もなかなかうまくいかないんじゃないかというふうに思います。
 一つは、新しい医療法改正によって特定機能病院というものがデピューしてきたからには、これに果たす大学病院の役割というものは、教育のための部分と、もう一つは特定機能病院としての役割を地域の医療の中で果たしていくリーダーであるという意味での役割と二つあると思うんですね。
 その意味で大学病院の紹介率は、私が聞いている範囲だと、まあ二五%から三〇%ぐらいかなと言っている病院長さんが何人かおられるんですが、私は特定機能病院というものを機能させるからには、大学病院もある意味で積極的に協力体制をしく必要があるのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
#129
○説明員(喜多祥旁君) 紹介患者の受け入れにつきましては、大学によってさまざまであることは再三説明をいたしているところでございます。
 大学病院が高度医療を提供する、それを分担するということでもって協力することは大変意義のあることだというふうに考えておるところでございますが、先ほど言いましたように、現在の患者数あるいは紹介患者数というものの実態に基づいた教育研究というのが行われておるところでございまして、実態とかけ離れた紹介患者の受け入れということになりますとやはり支障が生ずるんではないかというふうに考えておるところでございます。
#130
○高桑栄松君 新しい試みですから大学側も戸惑っているのではないかと私は思いますから、どうぞひとつ大学病院の集まりのときによく説明をしていただいた方がいいんじゃないか、こう思っております。これは質問じゃございませんので結構です。
 次に保健医療・福祉の連携ということで質問をしたいと思います。保健医療・福祉連携は公明党が積極的に取り組んできた問題でございますが、なかなか論議が不十分であったのではないかと思います。
 それで、今回の四月の診療報酬改定に際しまして、市町村への在宅療養情報提供料というものが二百点新設をされました。これは今の保健医療・福祉サービスの連携という意味での一つの評価をするポイントかとも思って見ておるわけでございますが、ここで入院中から退院をする、退院をした場合に在宅医療に移っていく、あるいはリハビリが必要である、さらに福祉サービスが必要である、こういったことが一つのシステムの中で動いていくのが一番好ましいんじゃないかと思うんですが、この計画、相談及び援助等を一貫して行うシステムを厚生省は積極的につくっていく必要があるのではないか、こんなふうに思いますが、これは大臣に御意見を承りたいと思います。
#131
○国務大臣(山下徳夫君) 御指摘の御趣旨、私もそのとおりだと思います。これは従来はややもすれば医療、福祉、保健というものがそれぞれ縦割り的発想の中で行われたという弊害が私はあったと思います。したがって、それではいけないということでこれからは厚生省の本省といたしましても、組織についても徐々に縦割りをなくす方向で動いておりますし、市町村も本省に倣ってそういう傾向がだんだん出てきておると理解をいたしております。
 そういうことで、この三つはそれぞれ十分連携をとりながらやっていくという意味におきましても今御指摘のとおりでございまして、提携のできる具体的な施策を私ども講じながら先生の御趣旨のとおりにやっていきたいと思っております。
#132
○高桑栄松君 同じ連携問題に関連いたしますが、プライマリーケアについて承りたいと思います。
 今の入退院の問題、退院患者の問題で、大分前から病診連係ということが言われておりました。病院と診療所赤連係をとっていく、これは病院から退院したのをホームドクターが引き受けていくという、医療それから保健、福祉の連携を強化するのに果たすホームドクターの役割を病診連係という言葉でうたっているわけですが、このように今の保健医療・福祉の連携においてホームドクターの果たす役割は非常に大きい。
 そこで厚生省は、ホームドクター制度、家庭医制度あるいはかかりつけ医師の制度ということを進めていこうとしているだろうと思いますけれども、その方式はどのように考えているのか承りたいと思います。
#133
○政府委員(古市圭治君) やはり我が国におきます第一線の医療機関、いわゆる開業医さんというのが家庭医機能を果たしていくというのがあらゆる医療制度の専門分化の前提として必須の条件だと思います。そういうことで、家庭医機能の強化、ネットワークを整備していくということは厚生省の最大重要課題の一つだと考えております。
 このためには、私どもは地域の開業医さんがだんだん高齢化していなくなるというような現実の問題もございますので、開業医の承継支援事業というものも事業団を通じてやっておりますし、それからまたモデル事業ではございますが、家庭医機能普及定着事業というものを全国の地域医療圏ごとにモデルで推進してそれを拡充していくというようなこともやっております。
 さらには、将来に向かって一番基本的なことは、そのような気持ちを持って、技術を持ったお医者さんが第一線で育つということでございますから、医師国家試験の出題基準の中にもこのようなプライマリーケアという項目を設けて、その学校での教育も期待いたしますし、また私どもが所管しております卒後臨床研修の到達目標の中でも、全人的に患者さんを診るという項目もつくってそのような医者が育つことを育成していきたいと思っておるわけでございます。
 今回の医療法改正に関して申しますと、特定機能病院というものがいわゆる紹介制を中心にやっていただくという方向を出していただきますと、地域の医療機関というのがその紹介をするという機能を発揮することになりますし、また逆紹介を通して病院で診る必要がない人はまた地域で診ると、そういうこともねらって今回の改正をさせていただいているというわけでございます。
#134
○高桑栄松君 家庭医を制度化する考えがあるかということですが、アメリカですとGP、ゼネラルプラクティショナーという専門医制度があって普通の開業医よりははるかに医師になってから訓練期間が長い。そして、幾つかの専門医の試験をパスしてGPになる、こういうのがあるわけですが、厚生省は将来そういった形の家庭医制度を考えておられるんでしょうか。どうでしょうか。
#135
○政府委員(古市圭治君) 先生御承知のように、家庭医制度というものの検討というのがされた時期もあったかと思いますが、現在の段階ではアメリカ、イギリス流のそういうことではなくて、日本には連綿と開業医制度というのがあって、それがもう既に家庭医、かかりつけ医の機能も果たしていたという事実がございます。しかし、アメリカなどは非常にそれを専門に学校でも教育し、それが一つの専門資格にもなっているという動きもございます。
 そういうことから、我が国におきましても、医師会の先生方がプライマリーケアについての学会をつくって、どのような方向に進むべきかというのを今検討もされているわけでございます。さらに、今回の医療法の改正の中では標榜科名という問題がまた検討されていくことになりますが、そのときにはそれぞれの非常に専門分化した専門医という標榜だけでなくて、いわゆる家庭医、プライマリーケア医というもの自身も一つの専門領域ではないか、そういうことも議論をされていく一つの土台ができてくるのではなかろうかと思っております。
#136
○高桑栄松君 文部省に伺いたいのですが、ホームドクターの役割が非常に大きくなってきた、今後ますます在宅介護等を通じて、あるいは老人医療を通じてホームドクターの役割が非常に大きくなると思いますが、このプライマリーケアないしホームドクターというもののあり方について文部省は医学教育の中でカリキュラム上どう取り扱おうとしているか、あるいは今日までどう扱ってきたか、こういったことを承りたいと思います。
#137
○説明員(喜多祥旁君) プライマリーケアに関します教育は極めて重要でございまして、各大学とも日常的疾患に関する学習を充実させ、プライマリーケアに配慮した教育を行うことの重要性については十分認識しているものと承知をいたしております。
 特に、地域に根差した第一線の医療の実態に触れることが重要でございまして、各大学におきまして学外実習や家庭医実習を行うなどさまざまな工夫をいたしておるところでございます。
 例えば千葉大学の場合でございますと、夏休みなどを利用いたしまして保健所であるとか小学校、企業、生活環境衛生施設、福祉施設、診療所、消防署等において実習を行っております。また、東京慈恵会医科大学におきましては、これも春休み、夏休みを利用してでございますが、学生が開業医のところに行きまして診察を見学したり、往診に同行したりして家庭医実習というのを行っているというふうな例がございます。
 国立大学につきましては、医学部の学生が保健所、福祉施設、診療所等において臨床実習を実施するための経費を平成元年度から予算措置をいたしておるところでございます。
 また、昨年七月、大学設置基準の改正を行いまして、各大学が積極的にカリキュラム改革を行えるよう大学設置基準を大綱化、弾力化いたしたところでございまして、各大学がカリキュラム改革の一環としてプライマリーケアに配慮した教育の充実に向けて創意と工夫を生かしつつ、積極的に取り組むよう促しておるところでございますし、今後とも促してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#138
○高桑栄松君 厚生省に承りたいのですけれども、インターン制度がなくなって、私はインターン必要論者であったんですけれども、とにかくなくなってしまった。率後研修という制度が打ち出されているわけで、これはインターンを卒後に行うというのが本来のあり方であったかと思っておりますけれども、実情は各科をローテーションはしないで、どうも最初から専門的な研修に入っているのが多いのではないかと聞いておりますが、厚生省はどのように受けとめているか、どのように指導しているか承りたいと思います。
#139
○政府委員(古市圭治君) いわゆるプライマリーケアという観点から、そのような基本的な知識と技術、さらに態度を身につけて、その先に専門医になっていただきたいということから、率直後の二年間の研修というものは総合的な知識を身につける総合臨床研修方式と申しますが、それを目指してやったんでございますが、何しろ日本の伝統的な病院、殊に大学は医局の縦割りというのが一つ厳然とございまして、最初から二年間ストレート研修をした方が専門的な要素が身につく、またその方が学位とか専門医とかというのに近道である、いろんなこともございまして、殊に大学病院等ではストレート研修でやる率が非常に高い。
 私どもは制度をストレートだけでないようにローテート方式、さらにはスーパーローテート方式というのを提案して、予算もそういう方向にも厚く流したり、いろいろしたんですが、なかなか現実には改善が見られないということから、先般この卒後研修の臨床研修の医療関係者審議会の部会の先生に御検討していただきまして、もうローテート、ストレートというそういうコース別でなくて、二年間で到達すべき目標、研修目標というのを定めまして、どんな方式にしろ、この項目はマスターしてくださいということに切りかえて、それを適用していこうということになったわけです。この方が大学関係者にも現実的であるということなので、この制度でひとつ推進していきたいと思うわけです。
 そういうことから先生先ほどお話になりました、現在文部省の答弁では国立大学で初診患者の一〇・九%から四五・五%が紹介であるといったことでございますが、学生の教育の面からいいましても、ストレートで大学に来た患者さんだけを診るというものがそういう観点からの医学教育じゃなくて、大学病院の外来のところの一定の規模は紹介制で来ている、それを学生も診る、そういうことで地域医療の連係がどのようになされているのか。これを体験するということも非常に重要だということから、その紹介制をもとにした特定機能病院に行っていただきたい、厚生省としては希望しておるわけでございます。
#140
○高桑栄松君 ところで、インフォームド・コンセントについて承りたいと思いますが、この六月十一日のある新聞の投書に載ったのを御紹介いたしますと、「インフォームドコンセントのもとに診察、治療をするという本来最も時間をかけなくてはならない診療行為の報酬が、先進国では考えられないほど安い」、これはアメリカに留学をした経験のある医者の投書でございます。比較的若手の医者でした。それで、初診料は二千五十円である、再診料は五百三十円である。
 これを私の経験で申し上げますと、私は一九五四年に留学をアメリカに行きましたが、そのとき私の友人が夜中に子供がぐあいが悪いので小児科のドクターに電話をかけた。僕にかけてもアメリカの医師免許証を持ってないし、大学院でしたので、翌日いつも朝早く授業があって行くから気の毒だと思って電話がけなかったと。医者にかけたら、聞いた結果は、うん、ほうっておいても大丈夫、あすの朝になったら熱下がってますよ、ぐあいが悪かったらもう一遍電話くれと。一九五四年でございます。
 そう言って、なるほど朝になったら熱が下がったので大丈夫だったと思ったら、電話相談料が何と十ドル来たそうですよ。十ドルというのはどれくらいの額が、当時一ドル三百六十円、十ドルで三千六百円、一九五四年の話です。私の月給が三万円、ドルに直して八十ドル。アメリカの医者が僕に日本の助教授、ドクターは収入幾らだと聞かれて、そうだな八十ドルかなと言ったらびっくりして、日給にしちゃ高いなと。三、八、二千四百ドルの月給だと高いと言う。週給なら安い。四、八、三百二十ドルならドクターの給料ではない。お前はどれくらいだと言うから、一カ月だと言ったら、びっくり仰天をしまして、そんな日本にいないでアメリカヘ来たらどうだと。
 今隔世の感どころじゃありませんね。天地がひっくり返るくらい日本が高額、何というか、貿易黒字で経済大国になったわけですが、それにしても一九五四年の電話診察料が十ドル骨これに対して厚生省、初診料安過ぎると思いませんかというのが、インフォームド・コンセントには時間がかかる、時間料が入っていませんということを投書に書いてあります。どうお考えになりますか。
#141
○政府委員(黒木武弘君) 私どもも、インフォームド・コンセントがそれぞれの病院、診療所等で定着していくためには診療報酬上の工夫も大切なことと心得ております。私もその新聞の投書を読んでおりますけれども、御案内のとおりでございますが、まず、私どもの診療報酬の考え方は、全体として病院なり診療所の経営ができるように報酬上そういう体系で差し上げているということでございまして、個々の行為だけとりますと、そしてそれだけ比較しますといろいろ御議論、御異論は出てくるかと思いますが、全体として経営を支える仕組みになっておるということでございます。
 そこで、初診料等の引き上げがインフォームド・コンセントにとって必要ではないかというお尋ねでございます。診療報酬、御案内のように技術評価の体系でありますとともに一種の配分表でございまして、それぞれの病院、診療所等が経営できるように、限られた原資をどう公平に配分するかという機能を持っているわけでございます。したがいまして、仮に御指摘のように初診料を大幅に引き上げますとすると、現在の患者の状況、流れからいいまして患者が立て込む、一日何千人来るようなところから、非常に少ない、ますます減っているところもあるわけでございまして、そういう意味では配分的に問題が生ずるかなと思っておるわけでございます。
 しかし、私どもは、これからの診療報酬のあり方として、診察料等に時間的要素をどう入れるか、あるいは何と申しますか懇切丁寧と申しますか、そういう丁寧さとかあるいは最終的には医者の経験と申しますか、腕の差とかいろんな要素、本当は無形的なものにも着目した評価というのが大事だと思っておりますが、現在は残念ながら非常に外形的なものに着目いたしておりまして、専ら頭数、患者の数だとかあるいはお医者さん、看護婦さん等の数とか、そういう外形的な標準で診療報酬が組み立てられておることは事実でございます。
 私どももこれでいいのかと反省しておりますとともに、お医者さん方、病院団体にももちろんそういう問題意識があるわけでございまして、これから一緒になって、私どもの診療報酬が将来においてどうあることが望ましいかということをこれからいろいろ研究し、お尋ねのインフォームド・ロンセントがますます定着していくように、時間をかけた診療がどこの医療機関でも行われますようにいろいろ工夫、検討させていただきたいと思っておるわけでございます。
#142
○高桑栄松君 インフォームド・コンセント、私はきょう余りテーマにして質問しようと思っていたわけじゃございませんので、この前質問のときに申し上げましたように、もう一度繰り返しますと、インフォームド・コンセントは大学の教育及び率後の医師活動の中で教育的課題として極めて重要な課題として取り上げるべきだ、こういうふうに私は思っておりますので、この辺でとどめます。
 今まで言われているのに多分の誇張がございますが、三時間待って三分診療というのが言われますね。やや誇張だろうとは思いますけれども、なぜ予約制度がとれないか。歯科はほとんど予約制度が普及していますね。ですけれども医療の方はどうも予約制度がなかなかできない。特定機能病院は予約とおっしゃっていましたが、一般にも予約診療ができないものなんだろうか。ちょっと承りたいんだが、いかが。でしょうかね。
#143
○政府委員(古市圭治君) 今回提案させていただいております特定機能病院の外来の紹介制というのは、まさに先生おっしゃった予約制になってくるわけでございます。
 したがいまして、先進的なところでやっておられますのは、電話で予約の専門の人がいて全部調整して大体時間を入れていく。少々ずれがございますけれども、大きな待ち時間の超過というのは出ないようにしてやっている。これは紹介制をとるとらないにかかわらず、待ち時間をいかに短くするのかということでいろんな医療機関で苦心をされている例がございまして、これは予約によって解決する部分が非常に大きい。今回の制度も、そういう方向にいっていただきたいということで提案させていただいておるわけでございます。
#144
○高桑栄松君 私は開業医ではありませんのでわかりませんけれども、例えば時間帯を予約するぐらいのことはできるんじゃないかなと思うんですね。しかし、病気ですから突発的、緊急を要するのが来るでしょうから、これは予約というわけにいかない。だから時間帯予約ぐらいのことは何かうまくやれないかなと思いながら質問したわけです。
 ところで、午前中には同僚委員から極めて医者の私なんかには耳が痛い質問をいたしますよというお断りがございましたが、話を聞いたら目がぱっちり覚めてしまいまして、これについて私からは、その委員の質問を踏まえて厚生省に聞きたいと思います。
 一つは過剰診療の問題だったと思うんですね。例えば医療費が月二十万円ぐらいで済むのに二百万円ぐらい、それもめったにじゃなくてしょっちゅうあるようなお話でございましたが、私が知っている範囲では、保険診療の請求書はチェックされていますよね。私の知っている範囲では、大学の教授クラスが、非常に経験の深い人たちが請求書を見て、これが過剰であるといったらぽんとはねる、架空であったら場合によるとチェックする、架空というのはわかりませんけどね。それは民生部か何かで県単位でやっておるかと思いますけれども、かなり厳重なチェックがあって、うっかり十倍ぐらいの請求書を出すということは、この病気にこれだけの診療が要らないかどうかというのをチェックされている段階で、私は過剰診療というのは、昔はいざ知らず、ここ何年間はもう減っできたはずだ。もしこういうことが何遍か発覚いたしますと医道審議会にかけられるわけですから、そういったことがあると思いますし、したがって架空診療や過剰診療は昔の物語である、私は今そう思っております。
 というのは、私は医者を教育した、医科大学の教授をしたわけでございますので、私は性善説に立っているんです。医者にたまに悪い人がいるからという、質問にも入っていましたけれども、悪い人がいるからといって全体が悪いのではない。私は性善説に立って善意の人を教育してきた、そしてそれはいい医者になっているはずだ、こう私は思っているわけです。
 例えば一例を挙げますと、大学紛争のときでございましたけれども、内容は詳しく申し上げませんが、私が医学部長をしておりました。教育方針に従わない者は学士試験を受けさせないという規則がありますから、もう全員一クラス落第という羽目になったんです。そのときにいわゆる団交をいたしました。私は団交を断固受けたわけでございまして、警察を入れて圧倒するようなことは一回もしない。そんなことをしたら教育の、師弟の信頼関係が崩れますから、警察力は背景にはしない、論理展開をするということで話し合いをいたしましたが、結局ほとんど一クラス、百名が留年をいたしました。これはストライキなしに整々粛々といたしました。全国紙にも報じられて、本当に一クラス全部留年させられるのか、あの大紛争の折でございましたから、どんな事態が起きるかと。例えば私は監禁されて帰されないのではないかということだったと思いますが、そうではなくて粛々とストなしに百名近くが留年をいたしました。
 でも、それが学生の性善説に私が立つ理由の一つなんです。理由がわかればちゃんとそれは通っていくわけです。したがって、医者に悪い人がいるから全部が悪いというのは、医者を教育した私としては甚だ不満でございますのでこの話を申し上げたのでありまして、過剰診療が日常茶飯事行われているかどうか、厚生省に承りたい。
#145
○政府委員(黒木武弘君) 医療保険のサイドから申しますと、もう御指摘のとおり、支払基金あるいは国保連合会で審査が行われていまして、そしてまた、その中で点数の非常に高いものは中央で大学の先生等を含めまして高度な審査をやっておるわけでございます。その限りにおいては、レセプト等見させていただいて、必要があれば指導をして、私どもとしては適正な医療が一般的には行われていると思っております。
 ただ、残念ながら、一、二架空、つけ増し請求等で処分を受けるお医者さん、また医療機関がおられることも事実でございますけれども、一般的には先生がおっしゃいましたように、それぞれの医療機関で患者さんにそれぞれにふさわしい診療が行われているものと、こういうふうに認識をいたしております。
#146
○高桑栄松君 人間集団ですから、やっぱり大きな集団の中には外れている人が若干含まれているのはどんな集団でもあろうかと思うので、それを厚生省はしっかりチェックしてもらえば過剰診療はないと、そしてないような制度であると私は思っております。
 次に、健康カードの実用化ということ、私、この前の質問ではぜひ取り組むべきである。これは医療情報を提供するという医療情報へのアクセスに健康カードを使えば、もうすべてのことが特別に紹介状をもらわなくても次のお医者さんがすぐわかるというのが健康カードでありますから、これ非常に私は役に立つだろうと思うのです。しかし、特に告知に深くかかわるような病気、例えばがんだとか、あるいはエイズだとか精神病などについては、プライバシーの保護が非常に重要であって、これには二重三重のチェックが要ると思いますが、健康カードに対する取り組みについてのプライバシーの保護に関して、お考えを承りたいと思います。
#147
○政府委員(古市圭治君) 私どもはいわゆる保健医療カードシステムにつきまして、兵庫県の淡路島の五色町で既に数年前からモデル実験を始めまして、その町内での使用というのは非常に実用性が高いということが明らかになりました。さらに現在、姫路市で、地方中都市において活用がどのように可能かとやっている最中でございます。
 その中のプライバシーの保護につきましては、現在二重にチェックできるようにしておりまして、これは患者さん個人の暗証番号がないと、もちろんその情報は出ないということと同時に、それが医療機関に使われました場合も、お医者さんが医療機関側でセキュリテイーカートを入れて、そして患者カードを入れる、二つの仕組みによって情報が出てくるということになっております。医療機関側も医師と事務の方、それからさらには検査技師一看護婦さんによってその情報が出る範囲を限っておりまして、医者の場合には全部出てくる。段階的に必要な情報が出てくるそういうことを現在試行段階ではやっているわけでございます。
#148
○高桑栄松君 わかりました。
 それではその次に、医療ソーシャルワーカーについて質問をさせていただきます。八七年の三月、厚生省の検討会で、「新たな医療関係職種の資格制度の在り方に関する検討会」の中間報告が出ておりますが、その中で医療ソーシャルワーカーも速やかに法制化すべきであるという提言が出ておるわけですが、この医療ソーシャルワーカーというのはいろんな補助制度だとか制度がありますので、非常に重要なソーシャルワーカーの仕事かと思うのですが、その中で特に今の保健それから医療、福祉の連携が強く要求されている時代にあっては、メディカル・ソーシャル・ワーカーが制度化され、そしてその位置づけが明確になる必要があるかと思うのですが、今まで見送られてきた理由は何でしょうか。
#149
○政府委員(古市圭治君) 御指摘のとおり私どもも考えておりまして、今お話しございました昭和六十二年三月の報告書も、この制度化を促進すべしということでございました。
 そこで、私どもは平成元年の二月には医療ソーシャルワーカー業務指針検討会報告書というのをさらにつくりまして、現実に一つの講習会をやったり、いろいろやっているわけでございますが、法律による制度化ということになりますと、このMSW関係の団体が幾つもございまして、その関係団体の中で意見がもうひとつ全体として合意が得られないことがございますので、そこでぜひ合意を図っていただきたいということで現在お願いをしているわけでございます。それができましたら、法制化への道が開けてくると思っております。
#150
○高桑栄松君 それでは、療養型病抜群に関連した質問をさせていただきます。老人医療がウエートをだんだん高めてきているこの医療の世界におきまして、老人医療というのは福祉的な要素が非常に強くなってきている。したがって、この中では介護がウエートを高めてきているわけで、これはもう御承知のとおりでありますが、介護職員というのが診療報酬上にナースと並んで認知されている。
 しかし、療養型病床群における介護職員に対応する名称というか、職員が看護補助者というのが出てきているわけですが、これは無資格なわけですね。しかし、これは縦割りの体系であるから介護職員と看護補助職員というのが出てきているんじゃないかということでございまして、この際、介護と看護を役割分担というか、そういった形で両方ちゃんと認知をする必要がないかということで質問をしたいと思います。
#151
○政府委員(古市圭治君) 今回の改正医療法案の中におきましては、看護婦以外に、医療を行う場でございますので、医療の一環として看護サービスに関連した業務を手伝うということから、看護補助者という名前が素直に出てくるわけでございますが、一方福祉施設の面から見ますと、日常生活上の介護というところから介護補助者という言葉が出てこようかと思います。
 実際の業務につきましては、ほとんど一緒でございまして、ただ医療性が強いというところから、この看護補助者という名前を使わせていただいているわけでございます。
#152
○高桑栄松君 どうも同じようなのに名前が違うというところが、やっぱり縦割りではないかということで申し上げたわけです。
 それから、療養型病床群と特例許可老人病院、特に介護力強化病院というのが分類されているわけですが、療養型病床群と介護力強化病院は、機能とか人員配置ともに非常に似通っている。似通っているのに二つの名称があるわけで、これはどのように関連を考えるのか。そしてその将来展望はどうなのか、承りたいと思います。
#153
○政府委員(古市圭治君) 今回の改正医療法の中におきます療養型病床群と申しますのは、既に先発しております老人病院とは違いまして、これは年齢階級を問わず、いわゆる病状の安定した方が、また期間も三カ月以上ということじゃなくて、医師の判断によって、こういう療養環境がいいといったときに使っていただくために、一つの施設の基準を日常性を高めたものを設ける。しかもそれは病棟単位と申しますか、看護単位でも結構ですよ、こういうことで一つの医療機関の幅を広げたという提案でございます。
 そういうことで、病気の種類も老人病院だけでございませんで、若い人でも糖尿病とか、それから骨折の後の人とか、それからどんな病気であれ退院前の病状が安定した方はそちらを利用する。また、一般の急性病棟の方は、もっと高度な医療、高度集中的医療が必要な人に利用していただける、こういうことでこれは意味のあることであろうと思っているわけでございます。
#154
○高桑栄松君 ただ、いろいろ意見を聞いておりますと、将来的には老人病院側が療養型病床群にだんだん吸収されていくように見えるんですけれども、昨年の老人保健法の改正で、衆議院の修正要求があって、これに対して政府側からは、公費負担五割の対象となる病院施設を計画的に拡充していく。将来にわたって公費負担の拡大を図る。つまり、そういうことが言われているわけですが、老人病院が療養型病床群に吸収されていくと、公費負担増大の対象が減ってくるのではないかと思うんですが、いかがですか。
#155
○政府委員(岡光序治君) 当面、特例許可老人病院と療養型病床群は、いわば並行した状態で運用をされていくというふうにまず理解をしているわけでございます。
 それから、特例許可老人病院について申し上げますと、ことしの十月からの実施でございますが、従来の特例許可老人病院制度の見直しを行いまして、許可の要件の中で、六十五歳以上の老人慢性疾患患者の比率を従来七割というふうに考えておりましたが、これを六割というふうに改めるようにしております。これは、特例許可の条件と合わせたわけでございますが、そういうことで、特例許可老人病院は相当ふえていくんじゃないだろうか。かつまたその中で、入院医療管理病院につきましては点数を引き上げましたり、また、新たなタイプとして(V)型を創設をしましたので、なお拡大が図られていくんじゃないだろうか、こういうふうにまず思っているわけでございます。
 五割対象は、そのほかに老人保健施設であるとか、あるいは老人訪問看護ステーションであるとか、あるいは精神疾患を扱う、そういう療養病棟につきましてもそういうものを対象にしておりますので、これもふやすことにしておりますから、私どもはそういう意味で、全体としては五割対象の施設はふえていくんじゃないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
#156
○高桑栄松君 老人収容比を六割に今引き下げるというか、そういう老人病院の定義ですね。そうなりますと、療養型病床群は長期療養者を対象としていますから、老人の比率がふえてくることもこれは明らかだと思うんです。そういう場合に、療養型病床群が六割以上の老人を収容させていると、公費負担拡大の対象になるわけですか。
#157
○政府委員(岡光序治君) 療養型病床群というのは、先ほど健康政策局長がお答え申し上げましたように、年齢にかかわらず、長期にわたり療養を要するすべての患者を対象にしておるわけでございまして、昨年の老人保健法の改正の際に、公費負担割合の拡大の対象にしたものとはずれておるわけでございます。これは午前中お答えを申し上げたとおりでございます。
 そういうことで、療養型病床群とこの老人保健法の公費負担の五割対象とは私は違っておるというふうに整理をしているわけでございますが、今度、推移といたしまして、療養型病床群の基準がどうあるべきか、こういう議論とか、あるいは申請主義でございますけれども、どういったところが療養型病床群になっていくのか、そういったことを見きわめた上で、一方では老人医療費をどのように国民全体で負担していくかということが課題になっておりますから、そういった議論の中で新たな観点からの検討はもう私ども十分しなきゃいけないと思っておりますが、今の整理としましては、療養型病床群イコール五割対象というふうに考えるわけにはいかないのではないだろうか、こう整理をしております。
#158
○高桑栄松君 だんだん時間がなくなってきましたので、予定をちょっと飛ばしまして、難病についてお話を承りたいと思います。
 この六月十二日の新聞に、大きくスペースをとっての報道がございました。難病ALSという、アマイオトローフィック・ラテラル・スクレローシス、筋萎縮性側索硬化症というのが出ておりました。これはもう大変な病気であることは、新聞の解説にも載っておりました。ただ、その中で私がこれはと思いましたのは、手間のかかるALS患者は入院を拒否されたり、退院を強要されることがある、在宅看護に移れば、看護者への出費が数十万円に上る、家族は過労に陥って、家庭が崩壊に瀕する、しかし患者は「生きている生きねばならぬ生きられる」、こういう句を書いてありました。
 そこで、私は難病というのは、特定機能病院ともう一つは療養型病床群との特色をあわせ持った、そういう施設が必要ではないか、こう思うわけでありまして、そういう難病の受け入れ機関、受け入れ施設を整備する必要があるのではないかと思うんですが、いかがですか。
#159
○政府委員(寺松尚君) 今先生の御質問でございますけれども、いわゆるALSという病気の問題でございます。もちろん難病に指定されているわけでございます。
 これにつきましては、私どもいろいろと施策を考えておるわけでございますが、まず、一般医療機関においても対応を図ることができるようにできるだけするということが一つと、もう一つは重くなってまいられた場合に、やはり専門的な治療が必要だというようなことで、国立精神・神経センターを初めといたしまして、私どもの国立病院・療養所におきましてその施設を用意し、患者を受け入れることといたしておるわけでございます。
 今まで特定疾患治療研究事業というふうなものの研究成果を踏まえまして、私どもALSを含みます難病につきましては、その診療、診断と治療でございますけれども、その診療につきまして手引書を作成するなど、できるだけ一般の医療機関で対応できるようなことも考えておるわけでございます。
 しかし、先ほど申し上げましたように、非常に重篤になってまいられますと、専門的な医療がいろいろ必要である、こういうこともございまして、先ほど申し上げましたような難病の基幹施設として国立病院・療養所に位置づけて、いろいろとベッド等を用意しておるところでございます。
#160
○高桑栄松君 難病対策のことで、難病だけではないんですが、難治性の病気ということを一括して申し上げようかと思うんですけれども、高額医療費の特例措置というのがありますね。
 本人の支払い限度額一万円というのがあるんですが、現在は人工透析と、それから血友病の二疾患に限られている。二疾患に限られて特例措置ということなんですが、ほかの難治性の疾患、私もちょっと思い浮かばないんですが、例えば心臓病であるとか、難治性の肝炎であるとか、手段がない、なかなか治療方法がない、こういったものも常時病気の治療を受けるわけでありますから、特例措置をもっと拡大して、適用拡大をする必要がないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
#161
○政府委員(黒木武弘君) 御指摘のように、慢性腎不全と血友病につきましては、高額な治療をいわば一生にわたって受けなきゃならないという、非常に特別な事情があるということにかんがみまして、昭和五十九年の健保法改正の際に、高額療養費の自己負担限度額を一万円に軽減する措置をとったものでございまして、私どもは非常に特例的な措置だと考えておりまして、この措置を当面拡大する考えは持っておりません。
#162
○高桑栄松君 時間がございませんので、最後に大臣に確認の意味で以下質問を四点ばかりでございますが、させていただきたいと思います。
 医療法改正に伴う政省令の作成に当たっては、関係団体の意見を十分に聞くべきであると考えますが、いかがでしょうか。
#163
○国務大臣(山下徳夫君) 今回の改正に伴う政省令の制定についてのお尋ねでありますが、政省令を定めるに当たりましては、医療審議会や医道審議会に諮り、御意見をお聞きすることといたしております。これらの審議会には、医師などの医療関係者の代表に加え、医療を受ける立場にある人の代表や学識経験者の方々に委員としてお入りいただいておりますので、これにより関係者の意見を十分に反映できるものと考えております。
#164
○高桑栄松君 次に、特定機能病院に高度な医療が限定されることのないようにするとともに、医療機関のランクづけにつながることのないようにすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
#165
○国務大臣(山下徳夫君) 特定機能病院につきましては、医療技術の研究開発機能といった先進性と医療施設としての総合性、集学性を兼ね備えた我が国の医療についての指導的立場に立つべき医療機関として医療法上位置づけるものであり、特定の医療機関のみに高度医療の提供を限定するようなことや医療機関のランクづけを行うといったことは考えておりません。
#166
○高桑栄松君 療養型病床群への入院につきましては、入院日数により機械的に取り扱うのではなくて、医師の医学的判断に基づいて取り扱われるようにすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
#167
○国務大臣(山下徳夫君) 療養型病床群への入院につきましては、基本的にはその患者が病状安定期にあるかどうかという医師の判断によることとしており、患者の入院期間によって一律に取り扱うようなことは考えておりません。
#168
○高桑栄松君 それでは最後の質問でございますが、カードによる健康管理システムの導入に積極的に取り組むべきであると考えますが、いかがでございましょうか。
#169
○国務大臣(山下徳夫君) カードを利用した健康管理システムにつきましては、国民一人一人の健康管理を進めていくための有効な方法の一つと考えておりますが、患者のプライバシーの保護を初め検討課題も多いことから、その導入につきましては、現在行っております研究開発の進捗状況を見守ってまいりたいと考えております。
#170
○高桑栄松君 ありがとうございました。
#171
○前島英三郎君 この法案は、二十一世紀の本格的な高齢社会の到来に向けまして国民の医療を確保するための法案でありますし、その基本的な内容や目指している方向は十分に評価できるものではないかと思います。
 これまでの長時間にわたる審議によりまして、この法案の意味、内容などにつきましては十分に議論されてまいりました。その中で、この法案を円滑に施策に移すための努力や、さらに今後の医療供給体制の改革に向けての政府への課題が新たに問題として提起されたように思います。そこで私は、これまでの審議を通じまして明らかとなった幾つかの点につきましてお尋ねいたしますが、重複する内容もあろうかと思います。
 医療は、国民が病気やけがになったとき必要とする基本的サービスの一つでありますし、国民生活に密着したサービスでもございます。したがって、医療制度の改革に当たりましては、国民の側に立ってどこがどのように改善されるのか、また患者の側に立ってどのような点がよくなるのか、わかりやすく説明していくことが常に大切ではないかと思います。
 この点につきまして、私のところに人工透析を受けている患者さんから医療法改正についての不安の手紙が多数寄せられております。きょうも議論がありましたけれども、現在大学病院や総合病院などの大きな病院にかかっているけれども、今度の改正によってこのような病院にこれからはかかれなくなるのではないか、また長期入院患者はこのような病院から追い出されるのではないかとか、人工透析を長年受けており長期に病院にお世話になっているんだけれども、今度の改正により今の病院から医師や看護婦の少ない病院に移されるんじゃないだろうかという不安の声を耳にするわけであります。このような患者さんの心配に対しまして、心配は要らないよと、わかりやすくまず説明していただきたいと思います。
#172
○政府委員(古市圭治君) お話のようなことは国会審議を通じまして、衆議院でも御指摘を受けました。さらにただいまお尋ねでございます。
 私どもは、そういうことがございましたので、去る六月十日に全国腎臓病患者連絡協議会の代表の方に私のところに来ていただきまして、今回の法改正の趣旨を個々の患者さんの病状に応じて適切な医療を提供できる体制を整備するということであるということで十分に説明をさせていただきました。そういうことから、人工透析患者につきましても、高度な医療を必要とする病状であれば特定機能病院で、また長期の療養を要する病状で安定しているということになれば療養型病床群が利用できるということでございますが、一律的に人工透析患者の医療を悪化させるようなことでこれが運営される心配は全くない、このようにお話をさせていただきました。
 いずれにいたしましても、国民から誤解がないように、また不安を抱かれないように今後とも制度の趣旨について十分周知を図りたいと思っております。
#173
○前島英三郎君 次に、今回の審議を通じまして重要な論点の一つとされましたインフォームド・コンセントについてお伺いをいたします。
 この国会はPKOとインフォームド・コンセントという言葉が大変中身が議論されましたが、今回の改正案では医療提供の理念というものが初めて法律に規定されまして、医療は医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づいて行われるものとされております。これまでは医療を受ける者、すなわち患者の立場というものが法の中には示されておりませんでしたが、初めて法律に位置づけられることとなっているわけであります。また、医師と患者の信頼関係を支える方法の一つとして、いわゆるインフォームド・コンセントの考え方がありますけれども、今後の医療を考える上で非常に重要な考え方でもありましょうし、衆議院における修正によりまして、政府はこれを普及するための方策等について検討することとされております。
 このインフォームド・コンセントにつきまして、今後、鋭意検討が進められるものと期待いたしておりますけれども、取り組み方針につきましてもう一度お伺いをしておきたいと思います。
#174
○政府委員(古市圭治君) 今回の法案の審議に伴いまして、非常に多くの御質問を受けました。また、地方公聴会でもいろんな御意見をいただきました。それを踏まえまして厚生省は、この法案が通りました後、できるだけ早い機会に検討のための専門の委員会をつくらせていただきたいと思うわけでございます。
 既に、一番関係の深い日本医師会では「説明と同意」という報告書を出されたことでございますし、またこれは医者だけでなくて関係する団体が非常に多うございますから、広く御意見を聞いて、国会で御指摘を受けた点について鋭意検討を進めたいと思っております。
#175
○前島英三郎君 次に、地域の医療を支えているかかりつけ医である開業医についてお伺いしたいと思うんですが、今回の改正では高度な医療を必要とする患者さんにふさわしい医療を提供する病院として特定機能病院というものを制度化することとしておりますが、この特定機能病院を本当に機能させるためには地域における医療の連係体制というものを深めていく必要があると思います。さらには、地域においてプライマリーケアを担当するかかりつけの医師の機能というものの充実を図っていかなければならないと思います。
 しかし、この役割を果たすべく開業医につきましては高齢化が進んでいるのが現状でありますし、開業医の活性化が求められているのが現状ではないかと思うんです。私も、実は長い間、近所に主治医をお願いして御厄介になっておりますが、そのお医者さんは七十八歳でございまして、往診を時々していただくんですが、送迎は車で私の方で用意してやらなきゃならないというような状況もあったりするわけであります。
 そこで、地域における医療の連係体制を整備するために開業医の高齢化についてどのように対処され、またかかりつけの医師を育て、いわゆる家庭医機能の充実を図ることについて厚生省はどのように考えておるんでしょうか、お伺いします。
#176
○政府委員(古市圭治君) 我が国の国民医療を支える上で特殊な専門病院があるということだけではなくて、広く各地域に身近に開業医さん、かかりつけの医者がいるということが国民の安心の基本でございますから、これがだんだん高齢化していくというのは非常に問題でございます。
 そこで、私どもは、社会福祉・医療事業団の事業といたしまして、開業のお医者さんが事業を譲るということについて仲人的な役割を果たすというような仕事もさせていただいております。それからまた、先ほども御指摘を受けましたが、これからの医師に対してそういう第一線のプライマリーケアの重要性というものを身につけていただくために国家試験の出題基準を直したり、卒後臨床研修の到達目標にもその項目を入れるという努力もしております。さらに、直接的には病診連係のモデル事業というものを各地で普及させているところでございまして、さらにこの徹底を図っていきたいと思っておるわけでございます。
 そういうことで、各種の施策を通じて現在対策を進めているわけでございますが、ただちょっと明るい見通しは、従来開業医の年齢がどんどん高くなりまして、現在六十歳近くなっておりますが、四十歳代の年齢層において勤務医から開業医にいくという一つの山が出てきております。そういうことで、跡継ぎができるような施策をいろいろ今後とも工夫してやっていきたいと思っております。
#177
○前島英三郎君 ゴールドプランの一つの政策の中に、全国一万カ所の支援センターというようなものも用意されているわけでありますが、そういう意味ではそういう支援センターと地域のかかりつけのお医者さんとの連携みたいなものも今後考えていくことが大変重要だというふうに思います。
 次に、僻地医療の確保についてお伺いしたいんですが、今回の改正に当たりまして、日本の医療を提供する体制の現状について厚生省の説明によりますと、全国的に見ればベッド数とがあるいはお医者さんの数などは量的にはほぼ充足しており、今後は質的な充実を目指していくものとされておりますが、今後の方向としてはそのとおりと思うんですけれども、その一方でいまだに無医地区の解消とか医療機関の地域的偏在の是正とかの問題が残っておりますし、これはなお重要な課題ではないかと思うんですね。
 この問題につきましては、厚生省では現在第七次僻地保健医療計画に基づきましてその整備を進めているものと思うんですが、この推進状況も含めまして僻地医療の確保についてどのように今後取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
#178
○政府委員(古市圭治君) 第一点の僻地医療対策と推進状況でございますが、これを始めました昭和四十一年にいわゆる無医地区というのが全国で二千九百二土地区ございました。現在、第六次までの対策を行いまして、平成元年現在では千八十八でございますから、四十四年を一〇〇といたしまして三七までに地区数が減ってきているわけでございます。
 それからまた、ここでカバーされている無医地区に住んでいる人たちは、いわゆるスタートを切ったときに比べまして四分の一ということになっておりますから、それはそれなりに対策は進んだと思っておりますが、今後は第七次僻地対策で平成三年から行いますが、無医地区だけではなくて無医地区に準ずる地域ということにも対象を広めて、医師のローテーション、それからまた大学病院からの診療、それからまた僻地勤務の医師、それから看護婦に対する宿舎の整備等を進めて僻地の解消というものに努めてまいりたいと思っております。
#179
○前島英三郎君 今回の法案では、国民が適切な医療情報を受けることができるようにするために広告規制の緩和を図ることとしております。これまで医療について広告することができる事項については、法律により非常に限定されておりまして、国民の健康に対する関心の高まりなどを考えますと、この規制を見直していこうとすることは国民にとっても望まれることではないかと思うんです。
 しかし、一方では広告規制の緩和によりまして、医療の公共性や非営利性が損なわれるような広告がなされまして、国民の医療に対する信頼性というものが損なわれることになるのではないかと懸念する声もございます。今回の広告規制の見直しに当たっては、このような商業宣伝的な観点からの規制の緩和ではなくて、患者に対して適切な医療情報を提供するという観点から広告規制の見直しを行うべきではないかと考えますが、この点についてはどう考えておられるでしょうか。
 また、広告基準の設定に当たっては、広く関係者の意見や医療を受ける側である国民の声を反映させていく必要があろうと思うんです。これらの点についてどう対処されるつもりか、お伺いしたいと思います。
#180
○政府委員(古市圭治君) 今回の広告規制の見直しにつきましては、患者に適切な医療情報を提供するという観点から、患者が医療機関を選択する上で情報を入手しやすいようにしようというのが一つでございます。
 また、広告できる事項の範囲を広げていこうということになっておりますが、一方違反広告をきちっと取り締まるということも必要かと思っております。広告できます事項や広告の基準というものを定めるに当たりましては、あらかじめ診療に関する学識経験者団体の御意見や医療審議会の御意見を聞くということにしておりますが、この医療審議会のメンバーには医療を受ける立場にある方々が含まれていることから、こうした手続を通じまして関係者の意見や医療を受ける側である国民の声も反映されることになるものと考えております。
 いずれにいたしましても、患者に適切な医療情報を提供するという考えに立ちまして対策を講じてまいりたいと思っております。
#181
○前島英三郎君 また、この点と関連した問題として、カイロプラクティックなどのいわゆる医業類似行為の広告についてちょっとお尋ねしておきたいんですが、最近カイロプラクティックなどを無届け、無免許で行っているいわゆる医業類似行為につきまして、目に余る誇大広告が多いのではないかと思うんです。このような広告をそのまま放置しておきますと、国民の適切な医療を受ける機会がおくれることとなるだけでなくて、国民の健康に対しても結果として悪影響を及ぼすことになるとも考えられます。
 この医療広告の開放みたいなことが逆手にとられて宣伝されるようなことになっても、これもまた大変でございますけれども、国民の健康に対するニーズの多様化に伴い、国民に適切な医療情報というものを提供していくことは必要なことと思うんですが、こういう誇大広告に対してはこれから適切な措置が必要ではないかというような思いがいたします。この点に関してどう考えておられるか、お伺いしたいと思います。
#182
○政府委員(古市圭治君) ただいまお話の、いわゆるカイロプラクティック療法につきましては、非常に現場で問題視されている点は事実でございます。
 こういうことで、人の健康に害を及ぼす可能性のない行為につきましては取り締まりの対象とすることは困難でありまして、それに伴います広告につきましても、憲法上保障されております表現の自由に関係する問題があることから、法律上一律にカイロプラクティックを全面的に広告を禁止するということにはならないかと思います。
 これは先生御承知かと思いますが、昭和三十五年に最高裁の方でこれをめぐる判例が出ておりまして、いわゆる人体の健康に害を及ぼさないという範囲内では、それは職業選択の自由、広告の自由ということに入るんではないかということでございました。
 しかしながら、人の健康に害を及ぼす可能性のある行為、例えば椎間板ヘルニアとか変形性脊椎症、それから骨粗鬆症、こういうような禁忌対象疾患に対してこういう行為を行うということになりましたら、その行為自体はもう取り締まりの対象になるということでございますし、その広告も指導取り締まりの対象になる、このように思っております。
 そのようにまた指導しておりますが、今後ともこのような広告につきましては、都道府県を通じまして関係法規を適切に運用するということでその指導取り締まりに努めてまいりたいと思っております。
#183
○前島英三郎君 視覚障害者の一つの自立の道として、はり、きゅう、マッサージ、いわゆる三療というものがあるわけでありますけれども、このカイロプラクティックの類似行為が、いわばそうした障害者の自立の中へ侵食をしていきまして、かえって余り無理なことはやらなくても、つまりはり、きゅう、マッサージのようなことをやりつつカイロプラクティックの看板を掲げているというようなことで非常に障害者の一つの職業を守るという意味からも、適切なこれから指導が必要ではないかという思いがいたしますので、なおよろしくお願いしたいと思います。
 次に、診療科名についてお伺いしたいのですが、改正案では診療科名につきまして、国民の健康に対するニーズの高度化、多様化、医学医術の進歩などに適切に対応することができるよう関係者団体や関係審議会の意見を聞いて、弾力的に定めることができるようにされております。
 これによりまして、例えば現在リューマチにかかっている患者さんにつきまして、どこへ行けばよいのかよくわからないと思っている人がいるとも聞いておりますが、仮に今後リューマチ科が定められれば、このような患者さんにとっては非常に役に立つのではないかというふうに思うんです。
 私は、脊椎損傷という一つの障害ですけれども、これは別に脊椎損傷という立場でなくても尿が溺れば泌尿器科、あるいは床ずれが出れば皮膚科、外科、あるいは内臓が悪くなれば内科、いろんな多岐にわたる一つの診療科目の中で自分の障害を治すといいますか、医療行為を受けるわけですけれども、こういうリューマチのような人たちにとっては、なかなかその辺がどこへ行ったらいいのかという、何か非常に悩みを私たちの方にも寄せられております。
 そのような意味で、患者が自分の病気に合った医療機関を選択しやすくするために診療科名をぶやすことも必要ではないかと思うんですが、これはリューマチ科だけではなくて難病もそうでおりましょうし、歯科なんかもそうですね。そういうようなことも含めまして、今後どのようにこういう診療科名をふやすことについてお考えをお持ちなのか、伺っておきたいと思います。
#184
○政府委員(古市圭治君) 現在、医療法によりまして列挙されて標榜が許可されておりますのは、三十三の診療科名とそれから厚生大臣の許可による麻酔科ということに限られております。今回の改正によりまして、医学医術の進歩、それからまた国民の要望に柔軟に対応できるように、標榜できる診療科名を政令で定めていくということになったわけでございます。
 具体的な診療科名につきましては、この法案を成立させていただきましたならば、医学医術に関する学術団体、それから医道審議会の意見を聞きまして定めていくということになるわけでございますが、当面は現行の標榜可能な標榜科名をすべて認めてこれで発足はする。また、今御指摘の問題は、リューマチ科も含めましてよく言われておりますのがアレルギー科というのも国民にいいんではないかとか、またペインクリニック、さらには糖尿病科とかいろいろございます。
 しかし、そういうものを挙げた以上は、その後ろにそれを保証するだけの技術と専門性を持ったお医者さんが対応するという仕掛けがないと、これは自由標榜と、こうなると何のためにもならないということがございますから、その専門性を標榜するということと、それによって国民がどのような医療システムに乗るのかということを含めた検討が必要である、こういうことを含めまして審議会の中で御意見をいただきたいと思っております。
#185
○前島英三郎君 次に、国民一人一人の健康の管理を推進するための保健医療情報のカード化についてお伺いしたいと思うんです。
 今やカードの時代と、こう言われておるんですが、最近の情報技術の進歩に伴いまして、個人データを小さいカードに集約しまして、個人の保健医療情報の体系的な管理を進めることが可能となるような技術が開発されていると伺います。その実用化に当たってはプライバシーの問題等もありますので慎重を期すと思うんですけれども、国民一人一人の健康の管理を推進するために保健医療情報のカード化について積極的に取り組む必要があるのではないかと思います。保健医療情報のカード化について今後どう取り組んでいくのかお伺いいたします。
#186
○政府委員(古市圭治君) 厚生省の方では六十二年度からそれぞれ年次計画でもって保健医療所カードシステムというものの検討を進めまして、それからフィールドにおきましても淡路島、さらには姫路市等で広い地域での実用性を現在検証中でございます。
 問題は、いわゆる患者の医療情報でございますからプライバシーの保護の問題、それから入力をするというのがこのお忙しい中で医療機関のだれが正確な入力をしてくれるのか。それからまた、いろんな機種がございますから、その中の互換性の問題がどうなのか、またICカードなのか光カードなのか、そういういろんな問題がございますので、一つの地域で成功したといいましても、先生が御期待される、皆さんが御期待されるようにそれを全国で使うというのとは非常に大きな問題がそこにありまして、その辺の検討も必要かと思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、私どもは姫路市という中都市で実験した成果を踏まえてひとつ方向性を考えていきたいと思っております。
#187
○前島英三郎君 今回の医療法改正は、患者の病状に応じた良質な医療を適切に提供するための改革の第一歩と位置づけられるものでありまして、今後とも引き続き患者の側に立って医療供給体制の改革をさらに進める必要があろうかと思います。
 まだ時間もありますが、最後に今後の医療供給体制の改革への取り組みにつきまして大臣の御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
#188
○国務大臣(山下徳夫君) 何度も申し上げましたように、今回の改革は第一歩と私どもは受けとめているわけでございまして、患者の病状に合った良質な医療を適切に提供するということを一つの基本といたしておるわけでございます。
 このためには、残された課題について厚生省としても全力を挙げて取り組んでいかなきゃならぬと思っております。そして、その過程の中で関係者の合意を得ながら、合意が調ったものから順次改正を行っていく、こういうふうにすることが私どもは一番適切である、かように理解をいたしておるところでございます。
#189
○前島英三郎君 どうもありがとうございました。
#190
○沓脱タケ子君 それではお伺いをいたします。
 今回の医療法の改正というのは医療機関の機能分化を進めるということで、特定機能病院、そして療養型病床群という新しい名称が出てまいりまして、そういう新しい制度、施設が出てまいったわけでございます。限られた時間でありますので、特にこの制度の中で療養型病床群についてお伺いをしていきたいと思うんです。
 といいますのは、この制度化によって地域医療の中心を担ってきた中小病院の四割から五割くらいがその枠内に入ってしまうのではないかということが言われておりますし、そういうことになると、患者に上りましても、また中小病院の将来にとりましても、さらに言えば医学水準の向上の立場からいいましても、大変大きな影響を及ぼすのではないかということを危惧するわけでございます。
 現に、我が国の中小病院のうち二百九十九床以下の病院というのは八六%を占めておりますし、病床数では六三%、その中小病院で担っている外来は五八%、そして救急医療が五六%ということで、つまり地域医療を担っているウエートというのは極めて大きいわけでございます。したがって、この分野にどういう影響が出てくるのかというのがなかなかわかりにくいわけでございますので、具体的に療養型病床群についてお聞きをしていきたいと思います。
 まず第一に、衆議院からの議論を通じまして御答弁になっておられますのは、療養型病床群というのは診療報酬を定額制とするというふうにお答えになっておられますね。そして、部分的には出来高払いにするという御答弁をしておられるわけでございますが、部分的出来高払いというのはどういう範囲をお考えになっているかということが一つです。
 それからもう一つは、定額制ということでやるという場合には、物価スライドをきちんと義務づけをしていくのかどうか、その点をまずお伺いしておきたいと思います。
#191
○政府委員(黒木武弘君) 療養型病床群の診療報酬についてのお尋ねでございます。
 何度もお答えいたしておりますように、基本的な考え方として定額制、その中に出来高を加味したものでいかがかなというふうに考えておるわけでございます。その出来高払いと申しますか、個別支払いのところはどういう範囲になるのかというお尋ねだと思います。私ども、非常に難しい課題だと思っておるわけでございます。と申しますのは、ここに入られる患者さんは年齢もさまざま、病状もさまざまでございましょう。そして、御意見がありましたように、例えば三月以上で整理するというならば、いろいろデータ等がございまして、そのデータを分析して平均的なものをこれだけと、それから個別にこういうものを払う必要があるというのは解説できるわけでございますけれども、主治区の判断によるというふうにこの辺が整理されておるわけでございます。
 そうすると、主治医の判断がどの辺に落ちつくのかなということを見きわめながら、私どもは一般的に想定される病状に対する経費は平均的な費用でお支払いいたすわけでありますけれども、病状の変動が出た場合に、どういう場合に転床されるのか、あるいはどういう場合の変動について療養型病床群の中で治療が行われるのか、そういう程度だとかケースだとかいうものを慎重に分析しながら、個別支払いの、あるいは出来高払いの支払いというものを最適に組み合わせて、ここでの患者さんの療養がベストに行われるように配慮なり努力をしてみたい、かように思っております。
#192
○沓脱タケ子君 物価スライドは。
#193
○政府委員(黒木武弘君) 失礼いたしました。
 この定額部分についての物価スライドのお尋ねでございます。もう御案内のように、定額にまとめます費用の中身は人件費であったり物件費であったり、あるいは医師の技術料部分も入るというようなことで、この中身をどういうふうに仕分けするかというのは現在の診療報酬の中では非常に難しい。要するに最初につくったものがはっきり分かれていたのならいいわけでありますけれども、昔の診療報酬を改定、改定してきているわけでございますから、要素別に分解するのは非常に難しいという点がございます。
 したがって、直ちに定額部分を物価スライドという形で構築するのは非常に困難があると思っておりますけれども、そもそも診療報酬につきましては、御案内のように物価とか賃金の動向を見ながら全体的に引き上げ等の改定を実施しているわけでございますから、そういう延長の中でこの療養型病床群の定額部分が実態に合わない形で推移するということは私どもも是とするところではございません。これから中医協に相談をしながら適切に対応してまいりたいと考えております。
#194
○沓脱タケ子君 そうすると、どうも物価スライドももう一つ確かじゃないですね。物価スライドとして、定額制にするけれどもそれはせめて物価スライドぐらいではきちんと対応していくと受けとめてよろしいか。
#195
○政府委員(黒木武弘君) これまでも定額部分をかなり診療報酬の中で老人とか中間施設とかいう老人保健施設に導入いたしておるわけでございますが、それは改定の都度、物価、賃金の状況というものが十分反映された形で引き上げているつもりでございますから、その実績を御勘案いただいて評価いただきたいと思うわけでございます。
#196
○沓脱タケ子君 次にお伺いしたいのは、これはたびたび御説明を伺っておりますように、療養型病床群では職員配置を百床当たり医師三人、看護婦十七人、看護助手十七人とするというわけですね。そのことだけをお聞きしているんですけれども、私、非常に全貌がつかみにくいのでどういうふうに理解をしたらよいのかということでお聞きをしたいんです。
 例えば、二百床の病院で五十床を療養型病床群に転化するということになったら、面積が一・五倍になりますから実際には三十床にしかならないんですね。そういう三十床のところに、年齢は問わない、それから男女別はもちろんですね、それから各科混合型になるのではないかというふうに思いますが、これは当然のこととして、病気の重い人、軽い人、一緒に入るということになるんだろうと思うんですが、そういうふうに入れるんですか。
#197
○政府委員(古市圭治君) 最後の病気が重い、軽いというところを除きますとそのとおりでございます。
#198
○沓脱タケ子君 これはえらいことですね。まさか同じ部屋に男女は入れないやろな。こんなことを心配せないかぬというような構想、わからないというのはそこなんですね。
 それでもう一つは、例えば内科も外科も整形も産婦人科もときによったらありますよ、小児科だってないとは言えない。そういう患者さんがごちゃごちゃ三十床なり五十床のところに入れられるというふうなことになるんでしょう。
#199
○政府委員(古市圭治君) 先ほどちょっと言葉足らずでございましたが、例えば三十床のところに男も女もと、部屋は当然違うわけですが、四人部屋以上はないということでございますから、三十床のところで幾つかの部屋は女性、幾つかの部屋は男性、こういうことだと思います。
 病気の種類を問わないというのは、端的明快に申し上げましたが、病状安定期にあってこれがふさわしいと思うとお医者さんか判断されて、患者さんがそれじゃそちらがいいですねといった方が行かれるということから、いわゆる何科の病気い何科の病気ということでなくてもこの病棟は利用していただける、このように思っているわけでございます。
#200
○沓脱タケ子君 それでわからないんです。内科の患者さんも外科の患者さんも男女別に分けたら、部屋がたくさんないですからね、一緒に入ることになるでしょう。それから整形の人も一緒に入る、ときによれば婦人科の患者さんも入る、小児科の子供さんもおるというようなことになりますと、これは病棟を管理していく上で非常に困難ですね。手間暇かかりますね。
 特に心配なのは、医師の配置は百床当たり三人でしょう。三人はどういう専門の医師を配置するのか知らぬけれども、内科ばっかり三人やったら、外科やら婦人科やら整形やらの患者さんはどうなるんかなという心配も起こるんですが、その辺はどういうふうにお考えになりますか。
#201
○政府委員(古市圭治君) 先生専門の分野でございますけれども、内科、外科と申しましても、例えば骨折して入った人は典型的な外科なんでしょう、入ったときには。それは骨折を外科で治療する。その人が退院する一週間、二週間前というのは、それが外科と言えるかということでもあるわけですね、理屈を言っているようで恐縮でございますけれども。そういうことで、一応療養型病床群というのは病状が安定した方が利用していただけるということならば、従前の内科、外科と各科別のことを考えなくてもいいんではなかろうか。
 そういうことならば、現在の老人病院にいたしましても、いろんな病気をお年寄りの方は持っておられるわけでございますから、非常に専門性の高い医療となったら各科別のお医者さんがいるということかもしれません。そういうことから、病状が安定したということならば老人病院と同じ基準でもいいんじゃなかろうか。それからまた、全病院がこうなるというときもございますし、私どもが想定しますのは、一部分の看護単位病棟が利用させていただくということでございますから、その本体のベースキャンプというところにはいろんなお医者さんがいる、必要に応じてそういう先生方も診療には対応してくださるということは可能ではなかろうかと思うわけです。
#202
○沓脱タケ子君 いや、わかりにくいのは、そうすると療養型病床群ということで、定額制の病棟をつくって、それでとにかく百床当たり医師三人で看護婦十七人、必要やったら本体の病院から医者が来るから別に不自由はないと。そういうのはむちゃくちゃですがな、それやったら。
 患者にしたら、今の一般病院に入院しておれば、外科なら外科、産婦人科なら産婦人科に入院することができる、内科なら内科で入院をすることができるけれども、骨折の人はどうか知りませんけれども、産婦人科の患者さんで安定期でそこへ入ったという人に外科や内科の医師が対応するんですか。私は非常に患者は不安だと思いますよ。そんなことをお考えにならないですか。私ちょっと現場のことを考えてみても、こんなことをどうしてまともに考えるのかな、まともだと思っているのかなと。
 確かに、ビジョンとしてお考えになるのは非常によろしいと思いますよ、効率的という御意見から言えば。しかし、患者にしたら今までの一般病院なら一般病院で入院していたよりは大変なことになりそうだなと思うんですね。だから、この辺はそういった療養型病床群をつくるにいたしましても、医師や看護婦の配置基準というのはせめて現行医療法の水準ぐらいはきちんと確保するという形でそれを対応するべきではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
#203
○政府委員(古市圭治君) 先生はそういうことはございませんが、これはよく私ども説明したとき誤解を受けますのは、この法律が通りますと、現在の医療機関の中が強制的にそういう仕組みになるんじゃないかという誤解を受けているわけでございます。そういうことでたびたび御説明しますように、百床、三百床、四百床、そういう病院がこの制度ができたときに、その中の一部分の病棟をこういうことで利用した方が全体に病院の立場からいいと御判断された人が申請されたらいいということになっておりますので、強制ではないわけです。だから、患者さんは医療上の不都合があるならばその病院に現行のままいてくださったらいいわけで、その担保はできているわけでございます。
 そういうことで、今まで言われておりましたのは、日本の医療法では二十床以上を一律に病院と言って四人に一人、また病室面積は四・三と言っておりましたけれども、そういうことではいけない、急性期病院と慢性病棟と分けるべきじゃないかという意見もございました。
 そういう中で、ひとつこういうところからスタートしようといって選択の幅を広げたということでございますから、これを最終的に利用していただくのは、その病院を管理してどのようにこれを利用できるかと判断したお医者さんによるということになっているわけでございます。そこで、婦人科の人を入れたらおかしいとか小児科がおかしいとか、それはお医者さんが判断されるわけで、それにふさわしい方を利用できるということならば利用してください、こういうような提案でございます。
#204
○沓脱タケ子君 これは、その病院が手を挙げればよいということなんですが、婦人科の患者がおるのはおかしいとか、小児科がおったらおかしいということを私言っているんじゃないんですよ。
 年齢も各科も混在して一緒に入れるんやとおっしゃるから、そんなことになりはしないかと、そういうことになるなら随分不都合だなということを申し上げているんで、全国の病院の方々がそれが嫌なら手を挙げなかったらよろしい。手を挙げなかったらよろしいと言うたって、今の医療制度の中では、冒頭に申し上げたように四割から半分はその範囲に押し込まれざるを得ないという状況になっておるんでしょう。私、中小病院が病院自身の将来の発展あるいは質の向上、そして中で診療を受ける患者さんの利益がどうなるかという両面からちょっとお聞きをしているわけなんですね。
 それで、これだけ言っておると時間がたくさんありませんから、例えば療養型病床群で重症化したときには転棟、転院等によって対応するということの御説明を受けておりますが、そういうことができますか。これは私、ちょっと時間の都合があるから具体的に申し上げますが、例えば療養型病床群に入っている患者さんが急性悪化した、それで一般病院の病棟へ引き取るということになったら、特三類の病棟へ入れますとこれはもう話にならぬのです。大臣、これはちょっとややこしいけれども、あんじょう聞いておいてください。
 というのは、特三類というのは救急の対応ができる病棟の単位になっておるわけです。ところが、それは看護婦は二対一の配置になっているから、そのかわり入院の日数は二十五日なんです。療養型病床群に半年入っている人は、半年言うたらややこしいから五カ月、百五十日入っている人が例えば二人重症になって特三類というところへ来たとしますね。そうしたら三百日という入院日数を背負ったままで特三類へ来ることになる。その特三類のところでは入院日数二十五日ということをオーバーすると特三類が失格するんですね。そういう制度に診療報酬はなっている。だから健康政策局では、いや、転棟したら簡単に片がつくとおっしゃる。そう思いますよ、何というかな、ビジョンとして考えたら。ところが、実際にはそういうかんぬきがある。
 だから、二十五日入院の制限がありますから、例えば百五十日療養型病床群におる患者さん二人が重症になって特三類へ来るとしますね。三百日という入院日数を担いでくるわけ。担いできますと、特三類の入院患者の日数というのは平均二十一日か二日ですよ。それを三百日持ってきてくれたら一遍に六日間、五十ベッドといたしましても六日間加算せないかぬわけ。そうしたら一遍に二十八日、平均二十二日の病棟であれば二十八日になって一遍に失格になるんです。失格になるという心配が起こったら受け入れてあげたくてもあげられない。これは大変なんですね。
 何でそういうことが起こるか。これは看護の配置基準によって看護料をいろいろと決めているわけですね。どんなふうになるかというと、特三類では三百三十七点です。失格して特二類に落とされたら二百点なんです。その差は一日に千三百七十円下がる仕組みになりますね、重症になった人を引き受けただけで。そうなったら五十ベッド一カ月でしたら、そこの病棟は一カ月に二百九万六千百円収入ダウンになるんですよ。今日のこの厳しい医療情勢の中で、重症化した患者を引き受けてあげたいと思っても年間二千万からの影響を受、けるということになったら、医師のヒューマニズムはどないもでけへんというところになってきているわけですよ。
 結局、引き受けられないから、そうしたらもうしょうがないから療養型病床群で何とか不十分でも、何しろ医者が三人で看護婦十七人しかいないんだから不十分です。不十分でも何とかするか、あるいはどこかの病院へ頼んでも引き受けてくれなかったらしょうがないから家庭へ送り返す以外に道はない、こういうことになる心配がある。そういうことは案外知られていないんですが、ビジョンとして確かに、いや、憩うなったらもとの病院へ、もとの病院の病棟へ返せばいいがなとだれでも思う。返せない、受け取れないという仕組みが、診療報酬にちゃんとかんぬきがかかっている。
 こう状況になっておるわけでございますから、ここを新しい制度発足で政省令をお決めになり、あるいは診療報酬も対応されるというお話でございますが、これを防いでいくために、せっかく制度をつくるんだったらそれを生かす制度にしなきゃいかぬと思うんですが、これは何が要るか。やっぱり看護婦の配置基準だけで病院のランクをつけたり、診療報酬の逓減制をどかどかと十数項目もつけたりというやり方を、この前にも申し上げましたけれども、もう一遍見直していただく必要があるのではないかということが一つ。
 もう一つは、少なくとも療養型病床群に入院をした患者さんが病気が悪化して一般病院へ引き取るときには、それまでの入院日数を担いでくるのをやめさせる、せめてそのぐらいのことをしなかったら引き受けて何とかしてあげたいと思ってもできないんじゃないですか。その辺どうでしょう。
#205
○政府委員(黒木武弘君) 療養型病床群が制度化されるわけでございます。私どもはもとより、先生鋭い御指摘でございますが、そういう問題点が当然あり得るというふうに考えておりまして、これから中医協を中心にして検討しなきゃならないと思っているわけでございます。二十五日以前の問題として、特三類というのは特二類以上を病院全体が持っているということでございますから、現在の特三類の考え方自体私どもは一回再検討する必要があるだろうと思っております。
 特二類をとっておられる病院のように非常に高度な病院が療養型病床群にどのように転換してくるかというのは、なかなか今のところはどういう病院がというのはイメージがわかないわけでありますけれども、仮にそういう病院が出てきた場合には、確かに今の基準看護制度とは矛盾、そこを来すわけでございますので、私どもとしても中医協に相談をしながら適切な形になるように考えてみたいと思っているわけでございます。
#206
○沓脱タケ子君 大臣、私申し上げておきたいのは、とにかく今も特二類以上特三と言うたでしょう。特二類と特玉類で看護料が一日千三百七十円違うんだから、それは病院が経営を考えていく場合には当然特三類をできるだけ確保しようとしますよ。そうしないと病院な経営が成り立たないというふうに、いもいろ数字を拝見していると私も思いますね。
 だから、ええことを考えてみたけれども、局の違うところで診療報酬のやり口で抜き差しならぬというふうなことになって患者さんが行きどころなし、あるいはたった三人や十七人の看護婦さんの不自由な中で前よりは大分悪うなったやないかというようなことにならないように対応をしていただきたいと思いますが、その点、検討はなさるというお話でございますので、特に大事な点だから大臣からお伺いしておきたいと思います。
#207
○国務大臣(山下徳夫君) 大きな制度の改革の場合には、あるいはまたこういった、これは矛盾であるかどうかちょっと私も判断に苦しむんでございますが、出てくると思います。したがって、私は何回も申し上げましたように、第二弾、第三弾、次々にまた改めていかなきゃならぬ面もございますから、そういうときに今の問題も含めて十分検討させていただきたいと思います。
#208
○沓脱タケ子君 これは実施と同時に検討、改善をしていただいて、私は全体の看護婦による病院のランクづけという問題がすぐにできなくても、少なくとも療養型病床群で長期入院している人が病気が悪くなったときに病院へ引き取れるように、今までの入院日数を担いでくるというようなことをやめるようにしなかったらだめだと思うんですよ。
 古市局長、そうでしょう。この制度を進めていくのにそれがなかったら保証されないでしょう。いかがですか。
#209
○政府委員(古市圭治君) おっしゃることは非常によくわかりますが、ただ、保険局長もお答えいたしましたように、いわゆる特三類の看護が一挙に間を飛ばして療養型病床群というものを設定するという形が起こったときの話でございまして、それを医療機関が選択するかどうかというのは、そういうことも含めて検討されるんでしょうが、それが可能になるようなことにはどのように点数なり数字なりを直すべきかということは、厚生省一体でございますから保険局と一緒に検討させていただきたいと思っております。
 私はその前提となる病院の選択制、特三類が療養型を持つかということ自体、ちょっと余りないことじゃないかと思いますが、論理的にはあり得ることですから、そこは保険局長ともよく相談をさせていただきたいと思います。
#210
○沓脱タケ子君 それは余りないんじゃなくてあり得ることです。
 それからもう一つは、引き受けてもらうところがなくて、療養型病床群で重症化したけれども、治療をやむなくしなきゃならないという患者さんは間々起こると思うんです。その場合に、これは老人病院並みの職員配置ではだめだと思うので、医師、看護婦は少なくとも現行の医療法の枠、百床当たり医師六人、看護婦さんは四対一をせめて確保しないとヨーロッパ諸国に笑われますよ。
 だって、デンマークの市立総合病院の長期療養病棟では医師が十四人ですよ、看護婦それから准看護婦合わせて八十人ですよ。我が国は医師三人で、看護婦、助手を合わせて三十四人ですよ。世界第二の経済大国だと言ってるところで、これは余りにもひど過ぎると思うので、職員配置についてもひとつ考えていただかなければならないと思いますが、大臣いかがでしょう。
#211
○国務大臣(山下徳夫君) 確かにGNPにおいては世界第二位になりましたけれども、それぞれの部門において世界第一位と一つ一つ全部比較すると、これが全部そこまでいけるかどうか、これまた問題ではございます。おっしゃる趣旨はよくわかりますけれども、今後またよく勉強させていただきたいと思います。
#212
○沓脱タケ子君 勉強ばかりしていたら間に合わぬのですけれどもね。
 それで、時間も終わりですので、私はこれはうかうかすると、現在の総合病院で治療を受けている患者さんたちが療養型病床群というところへ追い込まれると、非常に水準の下がる医療になってしまうなというふうに思うんですよ、今のままでいくと。その上でさらに、アメニティーなどといいまして、片や一方では予約診療だとか、時間外診療だとか、差額ベッドを二割を五割にするとか、給食を特別材料給食にするとかということで、患者負担の拡大というのがどんどん広がってきているんですね。
 そういう広げる制度をつくってきているというのは非常に残念だと思いますよ。医療の水準が上がって、そしてさらに本人の好みでというんなら、これはアメニティーですよ。医療は療養型病床群へ追い込んで、定額制で安上がりのことにやってしもうて、そして片やアメニティーだといって患者負担をふやしていくということは、これは許されないと思うんです。
 我が国は国民皆保険の国でございますから、少なくとも公的医療で今日の医療を享受できるというところまで実際には来たわけですから、それをどんどん崩していかれたのでは困ると思うんですよ。その辺は、このままで進められるとそういう危険な道へ行きそうだ。日本の医療は国民がいつでも、どこでも、だれでも安心してかかれる医療ということを求めていますが、それとはほど遠くなっていくのではなかろうか。金のあるのは、同じように入院していてもおいしい食事をする、大きい部屋へ入る。金がなかったら、しゃあないからお仕着せの食事をするというのは、そんな同じ病人で差別が持ち込まれるというようなことは、これは断じて許せないという思いがするんです。
 そういう点で私は、大臣、国民皆保険時代に公的医療で本当に国民医療が賄えるという道筋、これをぜひ進めていただきたいと思いますが、時間が参りましたので、最後に御見解を伺って、終わります。
#213
○国務大臣(山下徳夫君) 先生は今回で国会を御引退なさるという話を私も聞いておりますが、長年にわたって我が国の福祉行政あるいはまた国民の福祉の向上に御尽瘁いただきましたその先生の御努力には心から感謝申し上げる次第でございます。
 なお、ただいまのお話でございますが、基本的には良質な医療を国民のニーズにこたえて提供するというのがこれはもう一つの方針でなきゃなりませんが、ただ、国民の所得との比較、例えばスカンジナビア三国等におきましては、既に月給袋をあけてみたら租税とか福祉その他でもって三分の二は引かれて三分の一しか入っていないということが、これからの日本の将来でそういった一つの物差しが合うかどうかということも問題があります。
 ですから、国民の所得、これから働く人口が減ってくる、お年寄りがふえる、いろんな問題から考慮した場合に、世界で一番いい国と一つ一つを対照して、これはどこの国が一番いいという、先ほど申し上げましたように、そういう物差しどおりにはなかなかいかないものがありますけれども、繰り返し申し上げるように、少なくとも前進をする、国民のニーズにこたえて良質の医療を提供するということが前進していくということには間違いないのでございますから、その前進の過程において矛盾があれば直していかなきゃならぬと思います。そのように御理解いただきたいと思います。(発言する者あり)
#214
○沓脱タケ子君 終わります。
#215
○委員長(田渕勲二君) 傍聴者は発言を控えてください。
#216
○勝木健司君 それでは、質問させていただきます。
 二十一世紀の本格的な高齢化社会の到来を受けまして、国民が病状に応じて良質の医療を受けられる、そういう医療供給体制を確立することが大変重要となっておるわけであります。そういった意味では、今回の医療法改正はそのための第一歩ということでありますが、今後医療のあり方に対してはどのようなビジョンを持っておられるのか御説明をいただきたい。
 そして、今後の高齢化社会、高齢社会に備えまして各種のそれぞれ福祉施策あるいは医療施策等があるわけでありますけれども、どう連携を図っていくのかについてもお伺いをいたしたいというふうに思います。
#217
○政府委員(古市圭治君) 厚生省は、今回改正医療法案を提案させていただきます前に、昭和六十二年に内部で検討いたしました国民医療総合対策本部からの報告書を出させていただきました。それに基づきまして、健康政策局を中心として「二十一世紀をめざした今後の医療供給体制の在り方」というものを示させていただきました。その中の合意を得たところを今回医療法の改正の中に提案させていただいたわけでございますので、よく御指摘受けますように全体の中の一部であるということでございますが、既にその目指す方向は二十一世紀の医療供給体制のあり方の中で一応報告させていただいたわけでございます。
 殊に、残る問題といたしましては、特定機能病院、療養型病床群の間にある一般病院、また有床診療所それから無床診療所の今後の方向づけ、さらには第一線のかかりつけ医というものをいかに育成、支援していくかという問題、さらには福祉、保健、医療との連携システムと大きな課題として残されているわけでございますが、これは今回の後、引き続いてまた検討して、まとまったところから提案をさせていただきたいという立場でございます。
#218
○勝木健司君 私は、今後の医療のあり方につきましては、与えられる医療から参加する医療へという観点に立ちますと、いわゆるインフォームド・コンセント、これを推進していく必要があるんじゃないかというふうに思うわけであります。
 今後、予防医療も含めまして医者と患者が連携をとり合ってみずからの健康管理をみずからが行っていくような、そのために患者が自己の生命あるいは身体あるいは健康等にかかわる医療情報に接近をしていく、そしてこれを知ることのできる体制を整備していくべきだというふうに思うわけでありますけれども、今後インフォームド・コンセントに関してどのような措置を厚生省としてとっていかれるのか御説明いただきたいというふうに思います。
#219
○政府委員(古市圭治君) 今回の医療法改正では、そうしてこれが通過いたしました暁には、その中に規定いたしました理念の中で医療の担い手と受ける者との間における信頼関係に基づく医療というものを普及していきたいということでございますが、この法案の御審議の過程で、殊にインフォームド・コンセントというものをできれば法律の中に記入できないかということまで御議論になりました。また地方公聴会、それから国会審議を通じましてもいろんな意見が出まして、これは非常に重要な問題であり、検討会をつくって検討しろと、こういうようなことでもございました。
 その趣旨を受けまして、私どもはこの法案が通りました後、医療審議会等にもお諮りすることになろうかと思いますが、専門の検討委員会をつくり、御指摘いただいた事項について鋭意検討を進めていきたいと思っております。
#220
○勝木健司君 多くの先進国は、患者の権利ということで法律で定めておる、そして病状や治療法につきまして納得のいくまで説明を受ける権利、あるいは自分自身のカルテを見たりコピーしたりする権利、あるいは治療法を選ぶ権利を保障をいたしております。
 こうした権利を、確かに我が国でも今すぐ取り入れることができるかというと、まだ十分に合意は形成されてない部分もあるわけでありますが、少なくとも方向としてはこの方向を目指していくことが重要ではないかと思います。そのために今一番必要なことは、医師と患者の信頼関係を確立していくことだと思うわけでありますけれども、この信頼関係を確立していくことにつきまして、厚生省としてどのような施策を講じていこうとしておられるのかお伺いいたしたい。
#221
○政府委員(古市圭治君) まず、医師養成の過程におきましても、医学教育の中におきましてそういうことが十分教育され、身につくということが大事でございましょう。
 そういうことで、私どもの所管といたしましては、医師国家試験、卒後臨床研修というところから始まるわけでございますが、その両者におきまして全人的な医療に努める、また十分な説明をするということも国家試験なり卒後臨床研修の項目にも挙げまして、具体的研修内容として今実施をしていただこうということで、その中のプログラムも直したわけでございます。
 それからまた、現在地域医療を行っていただいております先生方の間におきましても、そういう第一線医療における説明と同意というものについても御議論いただくわけでございますが、殊にこれは日本医師会から、先ほど出されました「説明と同意」につきましても全会員に周知を図るということをやっております。そういうことで専門団体、行政と力を合わせてその普及には努めてまいりたいと思っております。
 それからまた、先ほど申し上げましたように、厚生省内にも専門の検討機関を設けて各種の問題を検討していただきたいと思っております口
#222
○勝木健司君 今回の医療法の第一条の三によりますと、適切な医療を提供するという規定が設けられておりまして、無医地区の解消あるいは医療機関の地域的偏在の是正等の施策を推進していくという趣旨を含んでおると理解しておるわけであります。
 先ほどの前島先生の質問でも、第七次僻地対策ということで取り組んでおるということでありますけれども、かつて僻地と言われていたところでも、交通とか通信とかあるいは情報手段の発達などによりましてアクセスが容易になってきておるということでありまして、ヘリコプターの活用とか、あるいは巡回診療所などのサポートシステムも整備することによって無医地区の解消を図っていくことも重要になってくるんじゃないかというふうに思います。また無医地区の解消のためには、当祭言われておりますマンパワーの確保も重要となってくるわけであります。そういった意味で、これらの整備体制についての考え方をお伺いをいたしたいと思います。
#223
○政府委員(古市圭治君) 先ほども御説明させていただきましたように、平成三年度から平成七年度に向けて、現在第七回目の第七次僻地保健医療計画に沿ってその整備に努めておるところでございます。これは従来から無医地区というものに対する施策でございましたが、今回は無医地区に準ずる地域ということで、さらにもう少し過疎の程度が少なくてもひとつ対象にしようというので努力をしております。
 それからまた、御指摘のヘリコプターの活用につきましては、殊に離島等においてはその役割は非常に大きなものがございます。これを患者輸送用だけに使うというのはその使用頻度から見て無理がございますので、地方自治体のヘリコプター等を多目的に使うということで、自治省等も通して自治体がヘリコプターを持つということにお願いもしております。その際に、それが着けるように、医療機関側ではヘリコプターがおりられる場所の整備というものに対する補助金というのを用意しているわけでございますが、そういうものでヘリコプターの活用というものをさらに広げていきたいと考えております。
#224
○勝木健司君 今回の改正案におきましては、画一的な規制を行っている病院について機能を分化していこう、そして体系化を進めていこうということであるわけでありますが、今回の改正も含めまして、今後の方針というのは、順次医療機関の機能の体系化を図っていくという方向にあるように思うわけでありますが、そういう認識に立っていると理解していいのかどうか、まずお伺いしたいというふうに思います。
#225
○政府委員(古市圭治君) 御指摘のとおりでございまして、今回の通称第二次の医療法の改正の一つの大きな柱は、一律であった病院というものにつきまして病院機能の役割分担を明確にして、それにふさわしい体制また診療報酬というものを要打ちしていこうということでございます。
 ただ問題は、今回合意を得て出させていただきましたのは特定機能病院であり療養型病床群でございますが、その間にある大多数の病院というものがどうなるのか。殊に、現在医療法に規定されております総合病院が当初目的としたような総合病院機能を十分果たして意味ある存在であるかどうか。さらには、学生を卒後研修する研修病院というものに何らかの手当てをしてあげる必要があるのではなかろうか。それからまた、問題が大きいと、だんだんこういう声が出ております有床診療所というのは将来どういう機能を担っていただくのか、そういう両端の間の大きな部分についての機能の明確化、分化というものについて早急に検討を加えていかなかったらいけない。
 いずれにいたしましても、先生御指摘のように、医療施設の機能を明確にして、その進む方向を明らかにする。その機能が発揮できるような診療報酬に持っていくということでないといけないという、大きな流れはそのように理解しておる次第でございます。
#226
○勝木健司君 そこで、今回いわゆる中間施設であります老人保健施設を医療法の中に医療施設として位置づけることになるわけでありますが、このことによりまして老人保健施設の本来の趣旨であります医療ケアと、また日常生活サービスを提供する目的から逸脱することのないように、またむだな医療が当然行われたりすることがないように配慮すべきであります。
 そのためにも、通過型施設としての老人保健施設の性格を鮮明にして、他の医療施設との機能分担を図っていかなければならないと思うわけでありますけれども、御見解をお伺いしたいというふうに思います。
#227
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘ありましたように、老人保健施設は病状安定期にある寝たきり老人等に対しまして、その心身の特性にふさわしい看護・介護やリハビリテーションを中心とする医療ケア、それから日常生活サービスを提供することにより老人の自立を支援して、その家庭復帰を目指すことを目的とするいわば通過型の施設でございます。今回、老人保健施設につきまして、医療提供という側面に着目して医療法に位置づけが図られるということでございますが、そもそもの性格であります通過型の施設としての考え方は変わるものではございません。
 そういう本来の趣旨を踏んまえまして、御指摘がありましたように他の医療施設との機能分担、連係、こういったことを図りながら適切に運営してまいらなければならないというふうに考えております。
#228
○勝木健司君 午前中の質疑の中でも、公費負担の三割負担、五割負担というあり方につきまして質疑があったわけでありますけれども、利用者負担についての不公平について質問をさせていただきたいというふうに思います。
 老人保健施設と特別養護老人ホームの費用負担、またサービスのレベルについてはまだまだ不合理な点が存在をしておるんじゃないかというふうに思います。この点に関しましては、先日の本委員会でも質問をいたしたところでありますけれども、利用者負担について見てみますと、老人病院の一部負担は月一万八千円、そしてこれにはいわゆる保険外負担が別途かかるわけでありまして、加えれば約四万五百円、また特別養護老人ホームは平均二万七千円、老健施設は約五万円となっておるということで、それぞれの負担に差が存在をいたしておるわけであります。
 こうした点を改善して、費用負担のバランス、均衡というのをぜひとるように努めていただきたいというふうに思いますが、厚生省の見解をお伺いしたいと思います。
#229
○政府委員(岡光序治君) 老人病院、それから特別養護老人ホーム、老人保健施設につきましては、御指摘ありましたように、介護を中心としたサービスを提供するという意味では共通の性格があるわけでございます。そういう意味では、これらの施設のサービスの質の向上、確保に努めるとともに、その機能なり役割の連携を図ることが必要だと考えておりますが、それぞれのサービスに共通する介護面に着目した場合に、費用負担に著しい格差が生ずることは適当でないと考えております。各施設の機能の違いを踏んまえながら、費用負担やサービスの内容につきましては、整合性を図る方向で適切に対応してまいりたいと考えております。
#230
○勝木健司君 次に、今回の改正によりまして、医療施設の機能の体系化の第一歩が講じられることになるわけであります。今後この機能別類型化に合った診療報酬体系の構築にも努めていっていただかなければいけないわけでありますが、医療機関の分化とかあるいは多様化に対応して診療報酬上どのように対処していくか、今後の予定につきましてお伺いをしたい。当然、今後医療法改正の第二弾、第三弾というのが出てくると思われるわけでありますけれども、お伺いをしたいというふうに思います。
#231
○政府委員(黒木武弘君) これからますます医療施設の機能の分化あるいは体系化が図っていかれるわけでありますけれども、医療法の目指すべき理念でありますとともに、診療報酬上も同じ方向で進めるべきであると私どもは認識をいたしておるわけであります。今回の医療法改正におきまして、新たに制度化される特定機能病院及び療養型病床群につきましては、これからその機能、人員配置基準等の具体的内容を踏まえまして、中医協において十分御審議をいただきながら、それぞれの施設に応じた適切な診療報酬上の評価が図れるよう努めてまいりたいと考えております。
 なお、お尋ねの将来の診療報酬体系のあり方につきましては、昨年七月中医協に設置されました診療報酬基本問題小委員会におきまして、中長期的な観点から幅広い検討をいただいているところでございます。こうした議論を踏まえながら、また第二、第三の医療法改正がございますれば、それを踏まえながら今後の医療供給体制のあり方にふさわしい診療報酬体系の確立に努めてまいりたいと考えております。
#232
○勝木健司君 今回の診療報酬はこの四月に改定されたばかりでありますけれども、次の改定まで待っておりますと二年後になってしまうわけであります。年度途中でもありますけれども、今回の医療法改正に合わせて診療報酬を改定すべきではないかとも思うわけでありますが、見解をお伺いしたいというふうに思います。
#233
○政府委員(黒木武弘君) これから定まってまいります人員配置基準等の具体的な内容を踏まえながら、中医協において十分御議論をいただき、御指摘のように医療法改正の施行までの間には結論を得まして、適切な対応を講ずるよう努力してまいりたいと考えております。
#234
○勝木健司君 次に、特定機能病院についてお伺いをいたしたいと思います。
 今回の改正の重要な点の一つに、特定機能病院を制度化することによります紹介外来制を制度として位置づけることがあると理解をいたしておるわけでありますけれども、しかしその紹介率がどうなるかが法案を見る限り全く明らかになっておりません。これを有効に機能させていくためには、それぞれの病院の主体性、自主性、多様性を踏まえつつも、少なくとも地域ごとに最低基準を設定していく、そしてそれ以上は特定機能病院の裁量にゆだねるべきじゃないかと思いますが、それについての見解を求めたいというふうに思います。
#235
○政府委員(古市圭治君) この法律が通りましたときに、特定機能病院の外来のあり方というのは、一つ先生がおっしゃった紹介制度がどのように日本に定着していくかどうかということでございます。これにつきましては、いろいろな御意見がございましたが、先生がおっしゃるような趣旨を踏まえまして、私どもは本来の趣旨が生きるように医療審議会でも御検討をしていっていただきたいと思っております。
#236
○勝木健司君 次に、療養型病床群の制度化は、老人等長期間にわたる入院患者にふさわしい病床として、患者の生活面に配慮した人員、設備基準を定めるものであり、患者の病状にふさわしい医療を提供するものと規定されておるわけでありますが、この療養型病床群の制度化によって、言われております医療の切り捨てとか低医療施策に陥ることはないと認識しておるわけでありますけれども、この点を再度大臣に確認をいたしておきたいと思います。
#237
○国務大臣(山下徳夫君) 療養型病床群の制度化につきましては、病状が比較的安定しながらも長期間にわたり療養を必要とする入院患者にふさわしい病床として、患者の生活にも配慮した人員、設備基準を定めるものであり、医療の切り捨てや低医療政策を目指して行うものではありません。
 具体的には、療養型病床群を有する病院では一人当たり病室面積、廊下幅の拡大のほか、リハビリテーションのための機能訓練室、院内での居住性を高めるための食堂等の構造設備や、身の回りの世話を行う看護補助者を配置することを考えております。
#238
○勝木健司君 療養型病床群への入院につきましては、機械的に期間によるのではなくて、基本的にはその患者の病状に応じて、安定しておるかどうかという医師の判断によることとなっておるわけでありますが、法文でも「主として長期にわたり療養を必要とする患者を収容」となっておるわけでありますが、この政府の見解を周知徹底させないと現場で勝手な解釈が行われる可能性があるのではないかと懸念をいたします。こうしたことを防ぐためにも何らかの歯どめが必要であると考えますが、厚生省の見解をお伺いしたいというふうに思います。
#239
○政府委員(古市圭治君) 国会での御指摘、それからまた患者さん方の不安というものがあったということも医療審議会で十分報告いたしまして、誤解がないように指導なり通知なり、あるいは規定の中で対処をしていきたいと思っております。
#240
○勝木健司君 次に、また確認をさせていただきたいと思いますが、療養型病床群の制度化に当たりまして、地域によっては小さい病院に慢性患者が入院している場合も多々あると思います。何十床という大きな単位で足切りをしてしまうと、この療養型病床群が普及していかないわけでありますし、また逆に五床や六床では介護体制あるいは実務面でも対応できないと思われます。
 こう考えますと、少なくともナースステーション単位、いわゆる看護単位を基準として設定することが一番現実的ではないかと考えるわけでありますけれども、この点を再度大臣より確認をいただきたいと思います。
#241
○国務大臣(山下徳夫君) 療養型病床群の規模についてのお尋ねでありますが、療養型病床群は、病状が比較的安定しながらも長期間にわたり療養を必要とする患者にふさわしい医療を提供するものであり、そのために一般病床とは異なる設備、人員配置が求められます。
 人員配置などの面からは一般に病棟が最小単位となると考えられますが、病状に応じた医療の提供を進める必要があること等を踏まえ、許可に当たっては看護単位を基本として運用してまいりたいと考えております。
#242
○勝木健司君 現在、既に医療法の中で医療圏が設定されておるわけでありますが、この医療圏については、国民の中には認識といいますか、意識が全くないと思います。この医療圏の考え方を有効に機能させるためには、政府はもっとPRをして国民への周知徹底をこの際図るべきであると思います。改めて厚生省の姿勢を確認いたしたいと思います。
#243
○国務大臣(山下徳夫君) 医療圏についてのお尋ねでございますが、病診連係等が円満に機能するためには、地域住民の理解を得ることが重要な課題であると考えております。医療施設の機能連係の推進や病院の機能を考慮した整備目標等については医療計画の任意的記載事項とされておりますが、地域の関係機関、団体の協力のもとに具体的施策を定め、計画的に推進するため二次医療圏ごとに地域保健医療計画の策定を推進しているところであります。
 これらの内容につきましては、都道府県の公報等により公示されておりますが、地域保健医療計画の策定後においてさらに地域住民への周知を図るよう指導してまいりたいと考えております。
#244
○勝木健司君 最後にもう一点確認をいたしたいと思います。
 広告規制の緩和についてでありますが、国民医療サービスの向上にとっては私も欠くことができないものだと思います。しかし、医療の非営利性というものを考慮いたしますと、今回の規制緩和に当たりましては、広報活動を進めるという観点から行うべきじゃないかと考えるものでありますが、厚生大臣の見解を確認いたしておきたいと思います。
#245
○国務大臣(山下徳夫君) 今回の広告規制の見直しにつきましては、患者に適切な医療情報を提供するという観点から、患者が医療機関を選択する上で情報を入手しやすいよう、広告できる事項の範囲を広げる一方、その違反広告をきちんと取り締まるという方向で行うこととしております。
 具体的にどのような事項が広告できるようになるかにつきましては、こうした考え方に基づき、診療に関する学識経験者団体の御意見や医療審議会の御意見を伺った上で定めることとしておりますが、いずれにせよ、患者に適切な医療情報を提供するという考え方に立って、適切に対処してまいります。
#246
○勝木健司君 終わります。
#247
○委員長(田渕勲二君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
    ―――――――――――――
#248
○委員長(田渕勲二君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、竹村泰子君が委員を辞任され、その補欠として篠崎年子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#249
○委員長(田渕勲二君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#250
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、医療法の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。
 今、医療で求められているのは、いつでも必要なときに安心して医療を受けられる体制をつくることであり、医療と福祉の連携を確立することです。さらに、患者本位で医療機関が力を発揮しやすい体制をつくるために、病院における看護婦を初めとする職員の配置基準あるいは施設基準を改善することが求められています。ところが、本改正案はこれに逆行し、診療報酬改定とあわせて、医療機関へのかかりにくさや金のあるなしで医療差別を助長するものとなっています。
 反対理由の第一は、医療機関の機能分化により民間の一般病院が成り立たなくなり、日本の医療体制の特質であるかかりやすさや地域医療が大きく後退することになることです。
 第二は、高度、先進医療の提供が特定機能病院に限定をされ、しかも紹介が必要な上に室料差額等の特定療養費による患者負担の増加があるため、患者の受診機会と医療機関の選択の自由が著しく狭められます。
 第三は、療養型病床群の医師、看護婦等の医療スタッフは一般病院に比べて著しく少なく、看護の補助者としての無資格者がふえるため医療の質の低下を招くばかりでなく、医療関係者の治療の熱意を損なうことになります。
 第四に、病院の医療活動の一部として直営原則が貫かれなければならない給食等の民間企業への業務委託の推進は、医療の営利化への道を開くとともに、結果として患者負担を持ち込み、拡大をし、負担能力による差別を医療にもたらすことになります。
 さらに、国等の責務として「良質かつ適切な医療を効率的に提供する」ことが法定されています。「効率」の名のもとに老大切り捨て、差別医療を行ってきたことを考えますと見過ごすことができません。
 衆議院修正の医療の担い手に薬剤師、看護婦を加えること、インフォームド・コンセントについての検討については賛成でありますが、附則の見直し規定は医療法第三次改悪に道を開くものとして反対であります。
 日本共産党は、政府案は一たん廃案にして、十分な討論によって国民及び医療関係者の合意を得た方向で日本の医療を国民本位に発展させるべきだと考えております。
 私は、この方向を目指して努力する決意を申し述べまして、反対の討論といたします。
#251
○委員長(田渕勲二君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#252
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 医療法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#253
○委員長(田渕勲二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、前島英三郎君から発言を求められておりますので、これを許します。前島君。
#254
○前島英三郎君 私は、ただいま可決されました医療法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
    医療法の一部を改正する法律案に対する
    附帯決議(案)
  政府は、速やかに次の事項について実現に努
 方すべきである。
 一、医療を取り巻く環境の変化に対応し、診療
  所と病院の機能分担、家庭医機能の充実等医
  療施設の機能の体系化を引き続き推進し、医
  療水準の引上げを図るとともに、今後の医療
  施設機能の体系化の検討に当たっては、医療
  を受ける立場にある者の幅広い意見が反映で
  きるよう留意すること。
 二、特定機能病院及び療養型病床群について、
  歯科医師、OT・PT等その施設機能に則し
  た医療関係職種が配置されるよう配慮すると
  ともに、それぞれの施設の機能にふさわしい
  診療報酬を設定するよう努めること。なお、
  特定機能病院の診療科名に歯科を加えるよう
  努めること。
 三、地域医療における特定機能病院の重要性に
  鑑み、特定機能病院が今後とも地域に開かれ
  たものとなるよう十分留意するとともに、紹
  分率の設定に当たっては地域の医療事情を踏
  まえること。
 四、院内表示の義務付け及び医療機関の広告規
  制の緩和を行うに当たっては、患者に適切な
  医療情報を提供するという観点から、適切な
  基準を設定すること。その際、医療機関に関
  する広報という見地を踏まえ、医療が営利に
  流れることのないよう留意すること。
 五、薬剤師及び看護婦が医療の担い手として医
  療法に位置付けられたことに伴い、その地位
  の向上及び業務範囲の見直し等を図るととも
  に、必要な医療従事者の確保に努めること。
  また、介護職員の位置付けの明確化及び医療
  ソーシャルワーカー等の資格制度の創設につ
  いて検討を進めること。
 六、医療従事者の病院におけお人員配置等に関
  する検討に当たっては、複数を主とした月八
  日以内夜勤など真に看護婦等が働きやすい職
  場づくりに配慮すること。
 七、地域における包括的な保健医療体制を確立
  するため、地域保健医療計画を充実し、これ
  に基づき、救急医療、へき地医療等を推進す
  るとともに一各種難病に係る医療の確保に努
  めること。
 八、国民の生涯にわたる健康管理を図るため、
  カードを利用した保健医療情報システムの構
  築につき鋭意検討すること。
 九、医療の信頼性の向上を図り、患者の立場を
  尊重した医療を実現するため、医療における
  患者の説明を受ける権利、知る権利及び自己
  決定権の在り方を含め検討すること。
   なかんずく、インフォームド・コンセント
  の在り方については、附則第二条の趣旨を踏
  まえ、その手法、手続き等について問題の所
  在を明らかにしつつ、多面的な検討を加える
  こと。
  右決議する。
 以上であります。
#255
○委員長(田渕勲二君) ただいま前島君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#256
○委員長(田渕勲二君) 多数と認めます。よって、前島君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、山下厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山下厚生大臣。
#257
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま御決議になりました附対決議につきましては、その趣旨を踏まえ、引き続き努力いたす所存でございます。
#258
○委員長(田渕勲二君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#259
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#260
○委員長(田渕勲二君) 次に、請願の審査を行います回
 第二三号保育所制度の充実に関する請願外千三百九十三件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第二三号保育所制度の充実に関する請願外三百三十五件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第二八号ホームヘルパーの処遇向上に関する請願外千五十七件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#261
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#262
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#263
○委員長(田渕勲二君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障制度等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#264
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#265
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#266
○委員長(田渕勲二君) この際、委員会を代表いたしまして、このたび御勇退になります田中正巳君、田代由紀男君、沓脱タケ子君の長年にわたる御活躍及び御労苦に対しまして、二言謝辞を申し述べたいと存じます。
 お三方とも、本委員会には、社会労働委員会、厚生委員会を通じて長く籍を置かれ、委員会審議に寄与するところ多大でありまして、その御功績に対し深甚なる敬意を表する次第であります。
 田中君におかれましては、昭和三十年に衆議院議員に当選以来、両院にわたり、三十六年の長きに及び憲政のため尽くされました。その間、衆議院社会労働委員長、衆議院予算委員長、衆議院大蔵委員長、参議院行政改革に関する特別委員長等の国会の要職を歴任され、また、行政府においては、昭和四十九年に厚生大臣に就任され、その手腕を遺憾なく発揮されました。
 田代君におかれましては、昭和五十二年に当選以来、本院議員として十五年にわたり幅広く御活躍されました。その間、エネルギー対策特別委員長、沖縄及び北方問題に関する特別委員長、農林水産政務次官等、立法、行政両府にわたり、数々の要職につかれて、国政に尽力されたのであります。
 また、沓脱君におかれましては、本院議員として、昭和四十八年に議席を得られてから、十六年にわたり国政の審議に参画されました。その間、本委員会を初め各種の委員会で広くその識見を発揮されるとともに、議院運営委員会では理事として、よくその職員を果たされたところであります。
 本委員会を取り巻く状況は極めて重要となっており、このような時期に豊かな経験を備えられたお三方が御勇退されることは、惜しみても余りあるものがございます。お三方とも御健康に十分留意せられ、さらなる御活躍を祈念いたしまして、感謝の言葉といたします。(拍手)。
#267
○田中正巳君 委員長、委員の皆さん、そして委員部、調査室の皆さん、大変お世話になりました。私どもは国会を辞めるに当たりまして、一言お礼を申し述べてお別れの言葉といたします。
 終わります。(拍手)
#268
○田代由紀男君 私は、昭和五十二年、厚生省の福祉の神様であった高田浩運先生の死亡によって、補欠選挙で出てきたわけでございまして、終始高田浩運先生の遺志を継いで頑張ってまいりました。
 そして今度も自民党の公認候補として毎日三百キロから四百キロ車で走ったものですから、とうとう三月六日に身体を痛めました。そこで自民党もそして農政連も早く後任を決めるようにということで、後任の依頼をしましたが、しかし、とうとう農政連は後任を決めることができなかったものですから、もう一回私に出るように今薦めがありまして、きょうも世話役会でそのことを申し上げ、場合によってはもう一度出馬しますので、よろしくお願いします。(拍手)
#269
○沓脱タケ子君 委員長、委員の皆さん、本当に長い間ありがとうございました。党派を超えていろいろとお世話になりましたことを、まず心からお礼を申し上げたいと思います。
 委員部の皆さん、調査室の皆さん方には格段のお力添え、お世話になりましたこと、改めてお礼を申し上げる次第でございます。
 私、ちょうど補欠選挙で出てきたものですから、一九七三年でありました。当時は田中角榮内閣で、そして厚生大臣は田中正巳先生だったんじゃなかったかと思います。
 当時は福祉元年と言われた老人医療の無料化がちょうど発足をするというときでございました。そのとき以来今日まで足かけ二十年になりますが、その間、国の政治の流れというのがあの福祉元年から逆戻りをしてきたというか、大なたが振るわれた経過というものをともに歩んでまいった一人でございますが、今後とも国民の医療、福祉あるいは国民の健康を守っていく上で私も全力を挙げていきたいなとまだ思っております。
 委員の諸先生方もどうぞお元気で、ひとつますますの御活躍くださいますことを心から念じまして、お礼のごあいさつにいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
#270
○委員長(田渕勲二君) なお、私ごとになりますが、任期満了と同時に委員長を退任いたしますとともに、私自身も議員を辞すことになると思います。この場をおかりいたしまして、一言ごあいさつを申し述べさせていただきます。
 昨年八月、委員長に選任されて以来、理事の方々を初め委員各位の御協力を得まして、無事委員長の職員を全うすることができました。ここに改めまして厚く御礼申し上げる次第でございます。本委員会は非常に重要課題が山積しておりまして、今後とも皆様方の御奮闘を心からお祈りいたしまして、大変簡単ではございますが、お礼の言葉といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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