くにさくロゴ
1992/02/25 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 大蔵委員会 第2号
姉妹サイト
 
1992/02/25 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 大蔵委員会 第2号

#1
第123回国会 大蔵委員会 第2号
平成四年二月二十五日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十三日
    辞任         補欠選任
     寺崎 昭久君     三治 重信君
 二月十七日
    辞任         補欠選任
     林  紀子君     近藤 忠孝君
 二月二十五日
    辞任         補欠選任
     中村 太郎君     星野 朋市君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
   委員長          竹山  裕君
   理 事
               大河原太一郎君
                野末 陳平君
                前畑 幸子君
                本岡 昭次君
                白浜 一良君
   委 員
                石川  弘君
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                藤井 孝男君
                藤田 雄山君
                星野 朋市君
                赤桐  操君
                久保  亘君
                鈴木 和美君
                村田 誠醇君
                安恒 良一君
                和田 教美君
                近藤 忠孝君
                池田  治君
                三治 重信君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  羽田  孜君
   政府委員
       大蔵政務次官   青木 幹雄君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     日高 壮平君
       大蔵大臣官房審
       議官       小川  是君
       大蔵省主計局次
       長        小村  武君
       大蔵省主税局長  濱本 英輔君
       大蔵省理財局長  寺村 信行君
       大蔵省証券局長  松野 允彦君
       大蔵省銀行局長  土田 正顕君
       大蔵省銀行局保
       険部長      鏡味 徳房君
       大蔵省国際金融
       局長       江沢 雄一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        下村 純典君
   説明員
       経済企画庁調査
       局景気統計調査
       課長       白川 一郎君
       郵政省電気通信
       局電気通信事業
       部事業政策課長  團  宏明君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査
 (財政及び金融等の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(竹山裕君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、中村太郎君が委員を辞任され、その補欠として星野朋市君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(竹山裕君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 去る十三日の委員会におきまして、財政及び金融等の基本施策について羽田大蔵大臣から所信を聴取いたしておりますので、これより大臣の所信に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○本岡昭次君 過日の大蔵大臣の所信表明に関連しまして二、三の質問をさせていただきます。
 今、平成四年度の予算案の審議が衆議院で行われております。その中で、私が大蔵委員会のメンバーとして心配しています一つは、歳入の税収にかかわる問題であります。一般会計予算の規模は七十二兆二千百八十億円となっています。その歳入の大部分を占める税収予算は、法人特別税、普通自動車に係る消費税等の増税五千三百七十億円を含めて、六十二兆五千四十億円となっているのであります。しかし、現在の経済動向から見て、この六十二兆五千四十億円の税収を果たして確保できるのだろうかと心配をしております。
 そこで、まず経済の動向についてお伺いをしておきます。
 所信表明では、現在の経済動向を調整過程であるとし、個人消費や設備投資の底がたさが述べられました。しかし、最近の消費意欲の衰え、百貨店あるいは大型のスーパー等々の状況を見ても必ずしもそうした状況でありませんし、十五年ぶりの設備投資計画の減少が発表されるというふうなことを考えると、税収見積もりをした時点での景気の読みの甘さというものが感じられないでもないわけですが、この点について大臣の所見を伺っておきたいと思います。
#5
○国務大臣(羽田孜君) お答えを申し上げます。
 今御指摘のございました点につきましては、最近の我が国の経済につきまして、住宅の着工戸数あるいは乗用車販売台数、こういうものが減少しておるということでございまして、また製造業設備投資の伸びが鈍化するなど最終需要の一部に伸び悩みが見られるということであろうと思っております。こうした中で、在庫調整のために鉱工業生産、これも弱含みで一進一退で推移しております。また、設備投資が三年連続二一%とか二一%という二けたの伸びを示したこともあったわけでありますけれども、減価償却費が増大しているというようなことがございまして、企業収益が減益となっており、製造業中心に企業の業況の判断には減速感が広まっておるということでございます。きょうも実は経済の月例報告というのがあったわけでありますけれども、ここでもそのように表現されておるところでございます。
 ただ、労働力の需給というのは引き続き引き締まり基調にございまして、こうしたことを背景にいたしまして個人消費というものは総じて堅調に推移しております。ただ、ぜいたく品から、日用雑貨ですとかあるいは食料品ですとかそういったものでありますけれども、全体の伸びはある程度のものは確保しておるということが言えると思っております。
 今後の見通しにつきましては、乗用車等耐久消費財の伸び悩みが見られ、また設備投資については過去数年間の非常に高い伸びを示した後のストック調整的な動きから慎重さが見られるということであろうと思っておりますし、個人消費は物価の安定、雇用者所得の着実な伸びを背景といたしまして引き続き堅調に推移すると見込まれるほか、住宅の投資は持ち家ですとかあるいは貸し家、マンションの方はまだでありますけれども、ちょうど持ち家、貸し家については下げどまりの兆しか見られるということ、それから金利低下の効果が住宅投資及び設備投資に徐々に浸透されるであろうということが見込まれております。また、在庫調整も徐々に進展するということが見込まれまして、これらの状況を総合的に判断いたしますと、我が国経済は、製造業を中心に減速感が広まるというものの、労働需給は依然逼迫しておるということでございまして、まだ経済活動の水準については底がたさを維持しつつ、インフレなき持続可能な成長路線へのまさに今日は調整過程であろうというふうに理解をいたしておるということであります。
#6
○本岡昭次君 大臣はそういうふうにおっしゃるわけですが、私どもは今、大企業あるいは中小企業、零細企業、個人の事業者等さまざまなところへ出向いていくことがあるわけでありますが、そういうところで今日の景気の状況等をつぶさに聞くことに努力をいたしておりますが、しかし、いずれも、景気がいいなどと余りおっしゃらないのが通常だとは思いますが、それにしましても厳しい状況を皆さんがお訴えになるわけで、どうもそこの食い違いが気になるんですね。
 経済企画庁が今日の景気の動向、経済の動向を主導して、引っ張って、そして状況の判断もしておられる、それに基づいて大蔵大臣がおっしゃっている、こう思うわけですが、経済企画庁は、二月の十九日に、これまでの景気拡大は昨年一月から三月にかけて頂点に達した後、下降局面に入ったとの判断を明らかにされたようですし、衆議院の予算委員会で野田経済企画庁長官がちょっと最近の調子は悪いというふうなことを初めて述べられたとか、全体のそうした実態の動きと、経済企画庁が景気動向を確定されるのにずれがあり過ぎるんではないかという心配を私はしておるんです。
 民間の方の研究機関とかいうふうなところでは、もうずっと以前から、去年の八月ぐらいの時点から下降局面にあるんではないか、こういうふうに指摘をしていたことを思い出すんです。そのときにはまだ政府は景気は拡大局面にある、こうおっしゃっていたわけでして、どうも予算編成等々いろいろ考えているときに余り弱気な点を出すわけにもいかぬというふうなこともあって、少し予算編成などを考え過ぎて意図的に今日まで強気の見方で引っ張り過ぎてきたんではないかという懸念もしているんですが、こうした心配はございませんか。
#7
○国務大臣(羽田孜君) 確かに、実際にお目にかかる人たちですとか、あるいは民間の経済評論家の方ですとか、そういった方々の中に、割合と早いときから経済が下降曲線をたどるんじゃなかろうかということが言われておるわけであります。しかし一方では、いわゆる自動車にいたしましても住宅にいたしましても、やっぱり相当過熱ぎみなものであったわけです。そういうものがいつまでも続くものではないわけでありまして、一応頭打ちというのは必ずあるわけです。そういうところから、バブルが一緒にはじけるというようなことで、やっぱりやや過熱ぎみであった成長というものがとどまるとなると、何か途端に悪くなったなという実は印象というものがあるということであろうと思っておりますので、経済企画庁を中心にしながら、政府としては、冷静にそういったものを分析しながらいかなければいけない立場であろうというふうに思っております。
 ただ、そうは言いながら、今度の予算そのものも、景気を刺激するというものじゃありませんでしたけれども、しかし、私どもとしても、景気に対して今のお話があったようなことも念頭に置きながら配慮した予算というものをつくっておるというところで、確かに過度なものはなくなったかもしれないけれども、それが一遍に、いわゆる企業ですとかあるいは消費者のマインドというものは冷やしちゃいけないんだということで注意深く予算編成等も行ったところでございますし、また私どもこの予算というものを一日も早く通過させていただきながら、執行面においてきちんとした対応をして、本当に下降するようなことのないように対応していきたいなというふうに思っております。
#8
○本岡昭次君 おっしゃるように、ことしの予算が今の景気の動向をにらみながら組まれていて、一日も早く予算の執行をと。だから、四月一日の年度ずれ込むことのないようにという声は民間の皆さん、事業者の皆さんも非常に強い。それはよく私たちも感じております。
 そこで、この六十二兆五千四十億円という税収の見積もりが、従来は過小見積もりで実際の決算をやってみたら非常にたくさんの税収があったというふうな議論を多くやってきたんですが、今回は最終的にそろばん帳じり合わせをしてみたら歳入欠陥が生じるということになりはしないかという心配が出てくるわけで、一説によると五兆円近くもという、ちょっとこれは随分大げさな話だと思うんですが、歳入欠陥が生じるのではないかというふうな話も聞かされるわけです。これはやってみなければわからぬということかもしれませんが、少なくとも六十二兆五千四十億円の税収の達成、こうしたものに確信を持っておられるというふうに思うわけですが、そこらのところを一遍、大蔵省あるいは大臣の、ことしはこの予算を執行することによって歳入欠陥、欠損というふうなものは生じないという確信のところをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#9
○政府委員(濱本英輔君) 御心配をいただいておりますことはよくわかります。
 先ほどの先生のお話にもございましたが、六十二兆五千四十億円という平成四年度税収見積もりのうち、増収見込み額五千三百七十億円を除きました現行法によります収入見込み額と申しますものが六十一兆九千六百七十億円でございます。この六十一兆九千六百七十億円という数字でございますけれども、平成三年度の当初予算、これが六十一兆七千七百二十億でございます。ほぼ平成三年度の当初予算のレベルと平成四年度の現行法の実力とが同じぐらいの水準に見込まれている予算であるということがわかっていただけようかと存じます。
 今、本岡先生のお話を伺っておりますと、景気との関係で税収が大丈夫かという御心配のように拝聴いたしましたけれども、最も関連の深い法人税収、法人税収というものを平成四年度どの程度見込んでおるのかという感じを持っていただきますために申し上げますと、平成四年度の予算額が十八兆一千二百二十億円でございます。この十八兆一千二百二十億円の法人税額というものは、例えば平成三年度の当初予算額、これが十九兆二千六百七十億円でございました。それから平成二年度の決算額を見ますと十八兆三千八百三十六億円、もう少しさかのぼりまして平成元年度の決算額を見ましても十八兆九千九百三十三億円、もう一年さかのぼりまして昭和六十三年度の決算額が十八兆四千三百八十一億円でございますので、このころは経済が活況を呈していたころではございますけれども、そういった年次の数字と比較していただきましてもかなり抑え目のものになっているということは御推察いただけようかと存じます。
 ちなみに、よく引き合いに出されます税収の弾性値でございますけれども、通常、過去の平均的な推移としまして一・一という数字を申し上げてまいっておりますけれども、平成四年度の税収につきましての税収弾性値は、一を下回っておりまして〇・九八という数字で計上されておるということも申し上げておきたいと存じます。
#10
○本岡昭次君 大蔵省としても初めから歳入欠陥を見込まれるような税収は組まれるはずはないわけでありますが、そこで、新しい、特に景気を刺激するというふうなことでなくとも、予算を組まれた後に何かこのままずっと景気が下降していったことに対する対応、そうしたものを予算上の問題として検討されているというふうなことはあるんですかないんですか。
#11
○政府委員(日高壮平君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、私どもとしては景気に配慮いたしました今回の予算案及び同じように景気に配慮して最大限見込みました財政投融資の計画につきまして、できるだけ早く動かすことができるようにぜひお願いをいたしたいと考えておるわけでございます。
 今御指摘がございました点は、恐らく公共事業の執行の問題を念頭に置かれて御質問なされたのかと思いますが、この点につきましては、私どもとしては予算成立の段階で予算が円滑に執行できるように検討いたしたいというふうに考えているところでございます。
#12
○本岡昭次君 今の段階での議論はこの程度にとどめておきまして、今後の税収の達成状況を注視してまいりたいと思っております。
 それでは次に、個別の問題で恐縮ですが、最近、株式や証券の運用に絡む含み損の処理で証券会社と企業の間のトラブルが相次いで表面化して新聞紙上をにぎわすというふうなことになっております。しかも、それが証券会社の経営問題にまで波及をしそうな状況なんです。大蔵省はそうした状況をどの程度把握しておられるのか、現状を報告していただけませんか。
#13
○政府委員(松野允彦君) 御指摘のように、最近新聞で証券会社と取引先企業との間のトラブルが明らかになっております。これは証券会社の役職員が無断で企業間の取引の仲介をしたというようなケースでございまして、その仲介をいたしました有価証券が含み損を持って非常に大量の損失が出るということで、その取引をめぐってトラブルが生じているわけでございます。これに対しましては、私ども不明朗な処理をすることなく、法令に則して適正に対処するようにという指導をしてまいっております。その結果、訴訟になったりあるいは調停手続に入ったりというようなケースが多いわけでございます。
 報道されております証券会社三社でございますが、これらについても私どもは前から報告を受けているわけでございますが、ただこういう問題、顧客間の直取引を役職員が証券会社に無断で行っているということもございまして、はっきり申し上げましてなかなか実態の把握ができないというようなものでございます。証券会社も、無断で行っておりました役職員がそれが行き詰まってきて初めて事実を知るというようなことになっておりまして、その結果、非常に膨大な損が存在し、それをめぐって訴訟なり調停が行われているということでございます。
 したがいまして、率直に申し上げまして、余り、実態把握ということは証券会社が把握した限りでしか私どもも把握できないわけでございます。こういう問題につきましては、もともとそういう営業マンが無断で取引の仲介行為をするというようなことがなかなか把握困難であるとはいえ、内部管理体制上十分それをチェックできなかったのかどうかということ。さらに、その営業マンが個人で行った行為とはいえ、証券取引法に触れるようなことがないのかどうかというような点を中心にいたしまして、証券会社の実態を把握し、かっ指導をしているところでございます。
 一部経営問題という御指摘もございましたが、現在まで私どもが把握いたしておりますこのようなケースでは、証券会社の財務状況もかなり手厚くなっておりまして、直ちに経営問題に波及するというようなことはないというふうに承知をしております。ただ、先ほど申し上げましたように、管理体制の問題、管理責任、ひいては経営責任というような問題については、私どももその事案の内容を詳細に分析をいたしまして、再発防止とあわせて責任の所在を明らかにしてまいりたいというふうに思っております。
#14
○本岡昭次君 おっしゃるように再発防止は当然ですが、今おっしゃったこと、三社、あえて言いませんけれども、それ以外にそうしたものが広がっていくというふうな可能性はあると見ておられるんですか。大体その三社ぐらいでそうしたことはとどまると見ておられるんですか。
#15
○政府委員(松野允彦君) 今申し上げましたように、これは会社も把握していないケースが多いわけでございまして、私この場でこれ以上ないということを申し上げる自信はございません。トラブルというものは、証券会社、お客との間で率直に申し上げまして、この市況低迷下でかなりたくさん起こっております。この中で、こういう企業の直取引を無断で仲介したような行為というものがさらに出てくるおそれというのはかなりあろうかと思うわけでございまして、そういう点につきましては証券会社に対し、特に法人担当の営業マンのチェックというようなものをさらに強化するとともに、取引先であります企業に対してもそういった問題の有無について照会をするというようなことで、できるだけ実態の把握、早期に実態を把握するという努力をしてもらいたいということを言っているわけでございます。
 この三社以外にないかという御質問でございますが、三社以外にも幾つかのケースがあり得るということを私どもも十分認識しておりまして、その点については会社との、会社の方では損失補てんということになるという問題もございまして、やはり訴訟になるとかあるいは民事調停手続に移行するというようなことになろうかと思いますが、率直に申し上げまして、ここに出ておるだけで実態が全部明らかになっておるというふうに私どもは楽観的には考えていないわけでございます。
#16
○本岡昭次君 それで、私が思いますのは、こうした大きな会社というんですか、大企業でなくてもちゃんとした法人格を持った企業等が、証券会社の間で事前に証券取引をする場合に、実損を与えない、元金を保証するとか、さまざまな、本来事前に約束事をしてはならないということがあっても、一応口約束的なもの等々をやって、それで結果損が出たら、こういうふうに裁判に訴えて、そして何百億あるいは何十億という損害を取り戻していくということをやっていくわけですよ。
 しかし、そのほかに小口の株式取引の人が多く泣き寝入りをしている事実がずっと底辺にはたくさんあるんですよね。こういうことがまた大きな不信感をもたらしていくんです、こういうものを見るたびに。大きいところは結局最後は訴訟にして何百億というお金を、損失を取り戻している。我々は本当にこつこつこつこつとためた資産を、株式投資したらもうかるよといってだまされたまされ、そして結局元も子もなくされてしまったと。しかし、それはどこへ言っていくんだ。我々が訴訟の、裁判の費用を持てるわけでもなく、という不満が下に逆にうっせきしてくる。私は、こういうことは非常に、将来の証券という問題のあり方にかかって重要な問題を投げかけていく、こう思うんです。訴訟で取れる人と取れない人がいるでしょう。訴訟にもできない人もいる。そうした問題を見たときに、その不信はどこへ行くかというと、やっぱり大蔵省の証券行政とかいうもののあり方のところへぶつかっていくということをしっかりと認識して私は対応していただきたい、こう思うんです。
 この陰で泣いているし、泣き寝入りをさせられた人の恨みつらみというものを一体どういうふうにするのかという問題を、具体的に大蔵省がやれることでなくとも、やはりそこに思いをいたした僕は指導をしていただきたいということをひとつ要請しておきたいと思うんですが、大臣いかがですか、こうした問題。
#17
○国務大臣(羽田孜君) 今御心配のございましたとおりでございまして、個人投資家が市場から離れてしまっておるとか、あるいは機関投資家の方たちもなかなか安全というものを考えなければならないというようなことがございまして、こういったものに参入できないということ、これまさに証券取引の不透明感といいますか、そういったものがあったんであろうということ、これ私たちもよく自覚しながらこういった問題について、再びこういったものを起こさないように、また特にそういった個人の投資家、個人の皆様方が参加するそういったものが本当に安心してできるような、信頼して投資できるようなそういう環境をつくっていかなきゃならぬこと、これはもう私たちも十分念頭に置きながら指導していく必要があろうというふうに思っております。
#18
○本岡昭次君 それともう一点、これも新聞報道であったんですが、大蔵省が来年度を目指して預貯金の利子あるいはキャピタルゲインの利益に対して利子課税を引き上げることを検討しているというのが出ておりました。
 それで、金融資産に対する利子課税が不公平税制の一つにも挙げられ、また金持ち優遇の税制であるとも言われているんですが、私はその視点だけじゃなくて、小口預金者という問題を見たとき、現在の二〇%一律に源泉徴収されるあの利子課税そのものは、所得税を一〇%しか払っていない人がわずかな、それこそこつこつと自分の将来のため、子供の教育のため、また病気になったときのためといって小口の預貯金をしていく、そういう人たちの利子に対して二〇%の課税がされるという、それが逆の意味でのこれは弱い者いじめの税の仕組みという見方が一方ではできる。しかし五〇%も所得税を納めている人も一律分離の源泉のそれで二〇%は優遇である、両面からこの問題が私は見られる、こう思うんです。
 だから、こうした問題を是正していく、いわゆる不公平な税制を公平な税制にしていくというときに、現在のこの一律の源泉分離課税という仕組みを残したまま、例えば二〇%を三〇%に上げるとかいうふうなやり方は、小口の預貯金者を、弱い者いじめを余計やってそこの不公平を増大させることになると思うんです。だから、これをやるためには、大蔵省も将来の延長線上として総合課税という問題を見通してと、将来と言っておりますが、私はやっぱり総合課税の中で同時にちゃんと解決せなんだら、それをやる前に税率を上げるということは結果として弱い者いじめになる、こう思うんです。もしそれを上げるとすれば、その税率の差は確定申告の中で還付を認めるとかいうふうなことも一方で小口預金者のところで認めていくというふうなこともやっていかなければ、必ずしも金持ち優遇税制を是正するというふうな観点だけではいかない問題がある、こういうふうに私はこの問題は見ているんですが、いかがでございますか。
#19
○政府委員(濱本英輔君) 御指摘がございました新聞報道でございますけれども、取材を受けましてこのような応答をいたしたということはございません。こういう事実はございません。
 ただいまお話ございました利子課税の問題でございますけれども、六十二年でございましたか、広範な論議がございました後、六十二年九月の税制改正によりまして、利子所得というものの特殊性と申しますか、当時言われました言葉では、発生の大量性ということが言われておりましたけれども、預貯金の口座数だけで、今十億口ございましょうかと思いますが、そういった特殊な発生形態を持つ所得であること、それからその元本でございます金融商品が非常に多様で浮動性があるといったことに配意いたしまして一律分離課税が採用されたわけでございます。その際、今本岡先生がおっしゃいましたように、弱い立場にあられる方々に対してそれでいいのかという論議がございまして、結局老人とか母子家庭でございますとか身体障害者の方々の所得の稼得能力の点に着目をいたしまして、利子の非課税制度をそういった方々につきまして存置するということになったわけでございます。
 そういった利子課税のあり方そのものは、六十二年九月の改正時点におきまして、あらかじめ法律の附則で、「総合課税への移行問題を含め、必要に応じ、この法律の施行後五年を経過した場合において見直しを行うものとする。」。施行が六十二年の十月でございましたので、五年を経過した時点といいますものが間もなく近づいてまいります。ここで見直しを行うということに既になっておりまして、このときの附則の趣旨にのっとりまして見直しをしてまいりたい、検討してまいりたいというふうに考えております。
#20
○本岡昭次君 これで質問包終わりますが、そうすると、この間のある新聞に出ていた大蔵省の方針だというふうに確定的に書いてあったあの中身は、これはそうではないということですね。
#21
○政府委員(濱本英輔君) 記事にございましたような事実はございません。
 ただちょっと、本岡先生が今おっしゃいました二〇%という税率でございますね、源泉分離課税。あれは所得税は一五%、住民税は五%でございます。所得税分は一五%でございます。
#22
○本岡昭次君 それはわかっています。
#23
○前畑幸子君 先日の大蔵大臣の所信表明について私も少しお聞きしたいと思います。
 今本岡議員の方から確認がされましたけれども、大臣の所信表明における経済動向について、その見方について、どのような判断のもとに平成四年度の実質経済成長率が三・五%達成可能であるという資料があるのかなと私も懸念をいたしております。経済の実態は、政府で判断されているよりも私ども中小企業を見ている限り、もっともっとはるかに厳しい感じを持っております。
 先ほども繰り返しておっしゃいましたように、「我が国経済は、いわば完全雇用を維持しながらインフレなき持続可能な成長に移行する調整過程にあるものと考えられます。」ということでございますけれども、少し例を出させていただきますと、二月五日の報道にも、経済企画庁の二月四日の発表でございますけれども、資本金一億円以上の企業約四千五百社近くを対象に実施された法人企業動向調査によりますと、大変景況感が悪化している。そのもとになるものは、在庫が大変ふえている、そして設備投資も冷え切っているというような情勢が発表されております。
 そして、また同時に、消費動向調査によりましても、大型の耐久消費財の購入が大変下火になっている、慎重になっているというようなことで、現実にデパートでも聞きますと、生活関連品に関しましてはかなり伸びているようですけれども、いわゆるバブルのときに売れました宝石、貴金属、大型の電気機器とか絵画とか、そういう高級品が売れないということを言っておられます。
 また、日本債券信用銀行の二月十九日の発表にょりましても、九二年度の設備投資計画調査によりますと、全産業で前年度比一・三%減ということで、一九七七年度以来十五年ぶりのマイナスになっているということが報じられております。それもやはり在庫の積み上がりや経営者の心理状態などの悪化が原因になっているということのようでございます。また同じように、電気事業連合会が同じく二月十九日に発表しております電力九社の一月の産業用の大口電力需要も大変落ち込んでいる、一・二%落ち込んでいるということで、二月においても落ち込むのは確かではないかという発表がされているようです。それから同じように、これは日銀が発表したものですが、二月二十日の発表によりますと、通貨供給量の伸びが大変落ち込んでいる。マネーサプライは前年同月比の一・八%増と二カ月連続で過去最低の伸び率を記録しているということでございます。
 土地取引に関しましても、昨年来いろいろと規制緩和をされましたけれども、ほとんどことしに入って、年末以来動きがないというのが実態のようだと私は思います。私は名古屋でございますけれども、現実に十件以上の物件が十月以来全然動かないということ、そして、国土法の出されている金額よりもなお二割も三割も下げても売れないという状況が続いておりますので、私はそんなに甘いものではないんじゃないかと思います。私ども中小企業を対象に見ておりますので、その辺に多少の食い違いが出てくるかもしれませんけれども。
 今度は、中小企業金融公庫が二月の四日に発表しております調査によりましても、中小企業の業況は悪化している。売り上げの増勢が大幅に鈍化したほか、利益も大きく減少しているという報告がなされております。これは約四年半ぶりにマイナスに転じたということでございますけれども、私は今大臣がおっしゃった、大変強気の見方をされているように思われますけれども、そんなにいい状況ばっかりではないんではないかと考えるわけですが、その辺に関してどうお考えでしょうか。
#24
○国務大臣(羽田孜君) ただいまそれぞれの機関の今日の景気あるいは経済動向、見通しといいますか現状認識、こういったものに基づいてお話があったわけでございますけれども、私どももそういったものに対しては注意深く見守っておりましたり、今お話がございましたことについての心配というものはやっぱり私たちも持っておるということは率直に申し上げでございます。
 ただ、先ほど来申し上げておりますように、確かにもう一つ、この日銀の特に通貨供給量の伸びというのは確かに一・八ということで落ち込んでおるということもございます。ただ、こういったものが相当いろんなものに影響しているんじゃないかという見通しもあるわけでありますけれども、割合とストックがあるということなんかが一面では言えるんじゃなかろうかというふうに思いますし、また郵貯の方に相当これが伸びておるというような状況なんかもございまして、そのあたりを見たときに、私どもはこれだけで相当ひどいものであるという認識には立たないということであろうと思っております。
 ただし、今まで私ども、そんなに大きくないけれども拡大の状況にあるということを申し上げておりましたけれども、現在、減速感が広がっておるという物の見方をしながらこれから経済運営に当たっていかなければいけないんだなということを改めて私たちも思っておるということを率直に申し上げたいと思っております。
 ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、非常に加熱ぎみの経済の中にあっては、まさに設備投資なんかも盛んであったということもありますし、また住宅ですとかあるいは自動車の販売台数なんというものも、ともかくその以前のあれに比べましても物すごい勢いで伸びていたわけですね。ということになりますと、どうしてもこれはとまるということになります。とまるということになると、やっぱり在庫の調整をしなければいけないということになる。鉱工業生産ですとかそういったものも、どうしても素材なんかについての生産というものが落ち込んでいくということはある程度やむを得ないことであろうというふうに思っております。
 ただ問題は、それじゃ全然見通しがないかといいますと、先ほど申し上げましたように、住宅なんかでも、持ち家の場合ですとかあるいは貸し家なんかの場合には、これは少しずつ伸びてきているということがございますし、また超過勤務ですか、こういったものなんかは確かに少し落ち込んできていることも事実です。それから有効求人倍率なんかも〇・〇一ぐらいでしたか、一・三一が三〇ぐらいになってきておるということで、多少の落ち込みはありますけれども、まだ労働状況というのは逼迫といいますか、かたいところにあり、引き締まり傾向にあるということなんかを考えましたときに、あるいは所得なんかについても少し伸びておるという中で、全体の消費というものはぜいたくな物は落ち込んでおりますけれども、しかし今御指摘がございましたように、日常生活物資を中心にしてこれはまだ少しずつ伸びておるというようなものを見たときに、私どもは、確かに減速感というものが広がりつつあるということはあり得るものの、景気が落ち込んでいくという状況にはまだないんじゃないのかということを考えております。
 いずれにいたしましても、私たちも、インフレというものが再燃しないように注意しながらも、注意深くこの動向を見守りながら対応を的確にしていかなければいけないであろうということを改めて思っておることを率直に申し上げておきたいと思います。
#25
○前畑幸子君 これはほとんど昨年、九一年の十二月を基準に発表されているデータだと思うんですけれども、十二月から一月、二月にかけまして、私どもの地元のトヨタ自動車も六〇%の減益だということですし、それからタクシーの運転手さんなんかに聞いておりますと、一月よりも一月の後半から二月にかけて企業で使われるタクシーの伸びが全くとまってしまっていると。それから、こうなりますと、いつものことですけれども、下請企業が決算書を山さされる、そうすると、収益を上げているところに関しては値下げの交渉をさせられるということで、中小企業にもろにこれから響いてくるんではないか。三月の決算を乗り越えたところでどれぐらい税収が落ち込むか、そしてそれに関連して中小企業にその波が来るのはその後だと思うんですけれども、その辺を私は心配するんですけれども、大臣はどうお考えでしょうか。
#26
○国務大臣(羽田孜君) 御指摘の点について私も理解できるところが多いわけでありまして、そういった面を十分よく注視しながらこれからも対応してまいりたいというふうに考えております。
#27
○前畑幸子君 それからもう一つ。先日の大臣の所信の中で、国際経済情勢に関連してお聞きしたいわけですけれども、一月三十一日なんですが、大蔵省発表の九一年の国際収支は、経常収支の黒字が貿易黒字の拡大によって前年比二倍の七百二十六億ドルということに急増してしまいました。それに関連しまして、貿易収支の面に対する大臣の見方にも大変甘い点があるのではないかと考えるわけです。
 昭和六十二年以降すっと減少してきておりました貿易黒字が再び拡大してしまいまして、史上最高の一千三十三億ドルと、ついに一千億ドルを突破してしまったわけですけれども、貿易黒字というのはここ数年来、日本のイザナギ景気によって内需拡大に努めていたかげんから減少しつつあったわけです。この伸びた原因としましては、景気後退感から輸入が減少して、そして一方では外需への依存が増加したことによると考えられますけれども、大臣の所信表明の中で、「今後の世界的な資金需要の高まりへの対処は引き続き重要な課題であり、このためには世界的な貯蓄増大が重要である」と指摘されておりますけれども、これで解決されるものなのでしょうか。貿易収支に対する大臣の見解をもう一度お聞きしたいと思います。
#28
○国務大臣(羽田孜君) 今御指摘がありましたように、確かに黒字になっておるという原因は、やっぱり原油の価格の急騰ですとか高級品の輸入の急増等、九〇年度に見られた特殊要因というものが剥落したということ、あるいは前年同期に比べましても、円高がもたらすJカーブ効果、こういったものがあろうというふうに思っております。
 そういうことで、私どもはそういう中にありましても、やはり輸入というものをふやしながら、いわゆる外需に依存しない経済体質をつくっていかなければならないということで、例えば平成四年度の予算等につきましても内需拡大というものをもくろみながら公共投資等も行っておるということでございまして、私はこれからの傾向としてはそんなに大きく黒字が伸びていくものではないだろうという実は理解をいたしておるところであります。
 それから、国際的にも資金需要というものが大きく伸びてくる、これに対してというお話もあったわけでありますけれども、これはG7の中でも話がありましたけれども、各国ともそれぞれ経済のパフォーマンスというのはやっぱり違いますけれども、その経済のパフォーマンスの違う中でそれぞれのとり得る対応によっていわゆるインフレのない持続可能な成長路線をとるべきである、そういう中からそういった資金需要にこたえていかなければいけないということで、私どもはそういった面につきましては、まさに予算の中でもそういった配慮をしながら、我が国としてのパフォーマンスを基本にして、その中で内需を拡大しながら三・五%という一つの方向を目指しながらこれから経済運営を進めていかなければいけないであろうというふうに思っておりまして、我々としても、今御指摘になったことも念頭に置きながらそれぞれの動向を見きわめた上で適切な対応をさらにしていきたいというふうに思っております。
#29
○前畑幸子君 バブル経済がはじけて、輸入製品に対する私どもの購買が冷えたことも原因だと思いますけれども、今回の国際収支について、もう一つの違う面での特徴が出てきていると思います。九〇年までは大幅赤字だった長期資本収支も今回大幅黒字に転向し、たということだと思います。今までの貿易黒字を資本収支の赤字が相殺するという形が崩れてしまって、貿易と資本取引のダブル的な黒字になったということだと思います。原因としては、外国機関投資家による日本株への証券投資がふえたことにより資金流入が大変増加したことにあるという気がいたしますけれども、今後長期資本収支黒字が定着をするようなことになりますと、資金還流に大きな影響を与えることになるのではないかと思われます。世界的に資金不足が問題になっている現状の中で、資金還流面からの新たな摩擦が生じてくるのではないかと心配しますが、お考えを聞きたいと思います。
#30
○政府委員(江沢雄一君) 委員御指摘のとおり、昨年の長期資本収支の収支じりは三百六十六億ドルの流入超過ということになっておりますが、中身を見てまいりますと、日本からの資本の流出、これは千二百十九億ドル、前年とほば同じ水準でございます。これに対しまして、外国資本の流入が千五百八十五億ドル、前年の七百七十二億ドルに対しまして大幅にふえておる。これは外国の投資家が日本の株式等を値ごろ感からかなり大量に買っだということが原因でございます。国際収支は経常収支の黒字が全体として見れば資本流出で相殺されるような形になっておりまして、長期資本は確かに流入になっておりますけれども、短期資本の方はこれを補って余りある流出になっておりまして、全体としては資金は海外に流れていっておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、委員御指摘のとおり、世界におきましては資金不足が指摘されておりまして、特に真剣な構造調整努力を重ねております開発途上国等へ資金をいかに還流していくかということは非常に重要な問題でございます。このような観点から、正本といたしましては、さまざまなチャンネルを通じまして黒字が赤字国に適切に還流するように努力してきているところでございます。例えば一九八七年から一九九二年の五カ年間にわたりまして六百五十億ドルの資金還流措置というのを計画いたしまして、公的資金、民間資金がさまざまなチャンネルを通じまして途上国に流れるように努力をしてきておりまして、この計画も着実に進捗をしておるわけでございます。今後とも、この資金還流措置の着実な実施に努めまして、途上国支援について我が国に期待されている国際的な役割を果たしていくように努めてまいりたいと考えております。
#31
○前畑幸子君 既に米の問題とか自動車をめぐって日米摩擦が起こって、個別の通商問題というのは大変大きくなりつつあるわけですので、資金還流策も求めてくると考えるのは当然だと思います。それらに対する動向の把握にこの中で厳しさがうたわれていないような気がいたしますので、きちっとした視点で対処していただかないと、貿易摩擦、そしてまたアメリカの経済摩擦に対する経済戦争というのは今後ますます厳しく激化してくるのではないかと思われます。海外からめ市場開放とか内需拡大を求める声が一段と大きくなっている中で、このことをきちっと対処されていかなければいけないのではないかと思います。
 もう一度大臣のお考えを聞きたいと思います。
#32
○国務大臣(羽田孜君) 御指摘の点につきまして、私ども本当に腹に据えながら対応していきたいと思っております。
#33
○前畑幸子君 先ほど先輩の本岡議員の方からも株式に対することの質問がありましたけれども、株式市場の混迷が今、日本経済に与えている打撃というのは大変大きいと思います。巨額の不良債権を抱えた銀行とか損失補てん事件で信用を失ってしまっている証券業界とか、そういう現実を見るときに、その危険性を無視することはできないわけですけれども、二月に入って綿貫幹事長が発言されたところによりますと、株価てこ入れ策の必要性、それからまた宮澤首相が証券市場の活性化策の指示を大蔵省に出されたということでございますけれども、重要なことは、要するに国民に信頼される証券市場再建のための具体策とその実行でなければならないと思います。
 先ほども指摘のありましたように、その後もいろいろなトラブルが続いている中で、私ども昨年、証券取引法等の改正とか、それからより公正で透明な証券市場の実現に向けて監視体制の措置を講ずるということを大臣も表明されているわけですけれども、その中でもう一つ問題になってくるのが、現物市場に比べて先物取引が大変今華やかだということであります。
 先物市場の出来高は大変目まぐるしく、大半が証券会社、そして外人とか機関投資家、銀行などで、個人というのはわずか一%足らず、今や株式市場は玄人さんだけの市場と化したような気配さえするわけですけれども、それに関連いたしまして、大蔵省の先物取引についての見解を少しお聞きしたいと思います。先物取引によって株式市場が投資ではなくて完全な投機と言われるくらいの感がするわけですけれども、それを黙認していられるような気がいたしますが、その辺はいかがでしょうか。
#34
○政府委員(松野允彦君) 現在の株式市場の低迷につきましては、御指摘のありましたように、昨年の一連の問題を通じまして証券市場に対する投資家の信頼が損われ、それがまた回復を見ていないという非常に大きな問題がございます。その点につきましては、私どもも監視機構あるいは透明性の向上等について所要の法改正を含めた措置を検討し、またお願いをしたいと思っているわけでございますが、御指摘の先物市場の問題でございます。
 これにつきましても、確かに御指摘のように、先物市場が現物市場に比べまして非常に市場規模のバランスが崩れているわけでございます。これの最大の原因は、現物の株式市場の取引高が非常に小さくなってきているということが挙げられるわけでございますが、他方、先物市場がかなり売買高も多くて堅調に推移しているということもあるわけでございます。そういう先物市場というものについてどうかということでございますが、これは確かに投機というようなものが行われることも否定できないわけでございますけれども、他方ではやはりヘッジ機能というものもあるわけでございまして、諸外国の市場を見ましても、先物市場というものがやはりそれなりの機能を果たしているわけでございます。
 そういったことにかんがみまして我が国にも先物市場を導入したわけでございますが、現在の状況は、今申し上げましたように現物の株式市場が非常に低調に推移しているという中で、先物市場の規模が非常にアンバランス、バランスが崩れて大きいというような状況になっておりまして、それが、先物市場におけるいろいろな投機的な動きなどが現物の株式市場に影響を与えるのではないかというような心理的な影響、あるいは個人投資家が先物市場に十分参加できないというような点での個人投資家のいわゆる疎外感といいますか、さらには現物、先物両市場を利用して行われますいわゆる裁定取引というようなものも行われておりまして、そういったいろいろなものが現物市場に影響を与えているということは私ども十分認識をしているわけでございます。
 一番望ましいのは、やはりむしろ現物の株式市場が投資家の信頼を回復して活性化され、取引高がふえて先物市場とのバランスが回復するというのが一番望ましい姿でございますが、当面はなかなかそういうことを短期的に達成するわけにはいかないわけでございまして、したがいまして、現在私どもがとっておりますのは、先物市場につきましてその規模をやや抑制するということによって現物市場とのバランスを回復しようということを行っているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、一つは先物市場において先物取引をする場合に必要になります証拠金を引き上げる、あるいは先物市場において行われております取引についてできるだけその内容を公表いたしまして、先物市場におけるいろいろな行為が公表されることによって牽制効果をねらうというディスクロージャーの充実というような措置をとってまいっております。そういったこともございまして、最近は先物市場の規模そのものもやや抑制されてきているわけでございますけれども、繰り返しになりますが、現物市場の出来高が余りにも少ないものですから、なかなかそのバランスを回復しないような状況が続いております。
 なお、先物市場につきましては、さらに加えまして先物市場そのものの市場のあり方の問題、あるいはさらにそこで取引をされております商品、具体的には日経二二五平均の指数でございますけれども、この問題についても指摘がなされておりまして、そういった問題につきまして、現在先物市場は主として大阪証券取引所で行われておりますので、大阪証券取引所とそれから現物市場の中心市場であります東京証券取引所、それに私どもを含めて、先物市場のあり方について議論をしているわけでございまして、その中でいろいろな改善策を講じてまいりたいというふうに思っております。
#35
○前畑幸子君 戦前の歴史を見ますと、株式市場にも現在のような先物取引と同様の差金決済による清算取引が行われていたとのことです。しかし、昭和十八年に廃止されているんです。それから、戦後もそういう要望が出たけれども、GHQの指導によってそういうものは許可されなかったという経過があるようです。そしてまた数年前にも出たけれども、それも廃止になったという経過があるんです。
 今おっしゃったように、現物市場が冷え切っているのでこちらに頼らざるを得ないという御説明ですけれども、この先私は先物市場にメスを入れない限り、まともな投資家が現物市場の方に戻ってくるということは難しいんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#36
○政府委員(松野允彦君) 私どもも御指摘のような点については十分問題を認識しているわけでございます。ただ、先物市場につきましては、先ほど申し上げましたように、海外の市場においてもそういう取引が行われておりまして、国際的にこの市場が相互依存あるいは一体化してまいっております現状を考えますと、先物市場をやめてしまうということを仮にやりましても、海外で同じような市場が既にでき上がってしまっているというような現実を考慮せざるを得ないわけでございます。
 しかし、御指摘のように、個人投資家にとっては先物市場からの影響というものが現物市場に及んでいるということで、現物市場に対して参加しにくいというような状況になっていることは御指摘のとおりでございます。私どももその辺の問題意識は非常に強く持っておりまして、そういう先物市場が現物市場に対して不必要な影響を与え、それが投資家一の現物市場に対する信頼感を損ねる、あるいは回復を妨げるというようなことになってはこれは問題でございまして、そういった点も含めまして現在先物市場のあり方について検討を進めているところでございます。
#37
○前畑幸子君 聞くところによりますと、先物取引の七、八割が投機的な性質であって、企業の業績とかこれからの計画とか金利の水準など、いろいろなファクターというものを見る正常な投資姿勢というものが通用しないような状況のものであるように考えられるわけです。
 その上、もう一つ問題なのは、現物株を売買するのと比べて先物の取引コストが非常に安いということです。委託手数料は十分の一以下であるということと、取引所税も現物の有価証券取引税に比較して非常に安くなっているということ、その結果現物に対する先物市場が売買高で五倍あるいは日によっては十倍にもなるというようなことのようです。今おっしゃいましたけれども、外国では、アメリカでは大体一対一というのが基準のようですけれども、その辺をどうお考えになっていますか。
#38
○政府委員(松野允彦君) 確かに、先物市場におきます取引コストは、特に御指摘になりました手数料は非常に安い、現物取引に比べて安いわけでございまして、そういうことで先物取引というのが非常に堅調に推移をしているわけでございます。
 先物市場と現物市場との関係につきましては、先ほど申し上げましたように、市場規模のバランスが崩れますと、現物市場に対して大きな影響を与えるわけでございます。五倍、十倍というお話がございましたが、一時は十倍に近いような規模になっていたわけでございますが、最近は、私ども、先ほど申しましたように、先物市場の取引を証拠金を引き上げる等、あるいはディスクロージャーを強化するというようなことでかなり抑えてまいっておりまして、現在では五倍を割って四倍から三倍ぐらいの規模になっております、
 外国では確かに、一つはアメリカの場合、現物市場が非常に活況を呈しているというようなこともございまして、先物市場と現物市場の市場規模のバランスはかなり維持されているわけでございます。そういったことから申しますと、現物市場の活性化による規模の拡大が見られればそれが一番望ましいわけでございますが、そういうものが見られない段階においては、やはり先物市場の規模をある程度抑えることによって現物市場とのバランスを回復していくというような方策をとらざるを得ないし、またそういう方策をとってまいっているわけでございます。
 御指摘のような取引コストの問題あるいは商品性の問題等々について現在取引所と私どもとで検討を進めておりまして、先物市場と現物市場とのバランスをできるだけ回復し、先物市場が現物市場に影響を与えないように持っていくというような観点で検討を鋭意進めているところでございます。
#39
○前畑幸子君 じゃ、先物取引の手数料を信用取引の手数料と同じくらいに引き上げるという方針をお考えですか。
#40
○政府委員(松野允彦君) 現在、私どもがまずやっておりましたのは、先物取引と現物の信用取引との証拠金、これを合わせようということで、これは合わせたわけでございます。現在でも三〇%の証拠金を積まないと先物取引が行えないということになっておりまして、その点では先物取引をする場合に積むべき証拠金は信用取引と同じ水準にしております。
 問題は手数料でございますが、手数料につきましては、確かに現物取引と先物取引とで相当の差がございます。これについてどう考えるのか。具体的には、大阪証券取引所において先物取引が行われているわけでございまして、そこにおける手数料の決め方の問題、これにつきましてもそれを含めて現在検討を進めているところでございます。
#41
○前畑幸子君 ここに大証の山内理事長の説明が載っているんです。何か余りはっきりしない説明がされているんですけれども、やはり私ども、昨年あれだけ苦労して証券業界のいろいろな問題に対して検査と監視体制の措置を講ずるということで努力されたわけですので、こうした抜本的な対策を先物取引に対しても講じなければ現物市場の立て直しというものが難しいのではないかという気がします。ですから、株価の不振というのは日本経済への一つの警鐘ですから、政府の政策が適切に行われるようにお願いをしたいと思います。
 二十三日の新聞によりますと、都銀などの大手金融機関と中小金融機関との間に貸出金利の格差が広がってきているということが書かれております。九一年十二月までに金利差が年〇・六%強となってきたということでございますけれども、私ども中小企業を対象に見ていますわけですから、中小金融機関の貸出金利の引き下げがおくれているのはいろいろな要素があると思いますけれども、その辺に対して御意見を聞きたいと思います。
#42
○政府委員(土田正顕君) 貸出金利の変化について大体の傾向を申しますと、最近金融機関一般に貸出金利の低下が続いておるわけでございますが、そのことは大きな銀行から小さな協同組織金融機関まで方向としては同一でございます。
 ただ、例えば金利が上昇に転ずるとか低下に転ずるというような局面変化が起こりました場合に、貸出約定金利の変化の影響はどうかと申しますと、これはやや構造的な問題でございますが、大手の銀行の方が変化の幅が大きい、それから小さな金融機関は変化の幅が相対的に小さいという一つの特性が見受けられるようでございます。したがいまして、今回、これは例えば平成三年一月から三年十一月までの約一年ぐらいをとってみましても、都市銀行の新規貸出約定金利の引き下げ幅の方が例えば第二地銀などの小型の金融機関よりも変化の幅が大きいということは認められるわけでございますが、逆に申せば、かって金利の引き上げがございましたときの貸出金利への変化、影響も、都市銀行の方が大きく引き上げ、それから中小金融機関の方の引き上げが小幅であったというようなこともございます。
 いずれにいたしましても、このような変化幅の大小の差はございますけれども、当面必要とされておりますのはいろいろな意味での貸出金利の低下が金融機関の現場に反映することでございまして、私どもいろいろな統計資料などを十分注意深く見てまいりますし、また今後必要な指導をしてまいるつもりでございます。
#43
○前畑幸子君 自由金利預金になってくるわけですから、大手はたくさんのお金を集められるわけですし、中小信用金庫は要するに預金高が少なくなるわけですから、貸し出すときにもそのしわ寄せが銀行によっても差が出てくるのではないかと思います。そうなりますと、結局大手の銀行と中小金融機関との差がこれから出てくるということはないでしょうか。
#44
○政府委員(土田正顕君) 金融機関の規模の差がある程度御指摘のように利ざやの大小に影響するということはあるわけでございます。すなわち、規模の大きな金融機関は利ざやの薄い経営が可能である、これに対して規模の小さい金融機関は利ざやをある程度厚目にとらなければいけない、こういう傾向はございますし、それが貸出金利にはね返るということも確かにある程度は認められるわけでございます。しかしながら、このほかに地域による立地条件の差とか、殊に顧客の層の差、質のいい悪い、そのようないわゆる地盤というようなものもございますし、それから協同組織の相互扶助の理念に支えられた強みと申しますか、そのようなものもございますので、それが全体として総合的な競争力を形づくるわけでございます。
 そこで、御指摘のような金利自由化の進展によりましていろいろな意味での金融機関の経営戦略の選択の幅がむしろ拡大する。その結果、それぞれの金融機関の創意工夫の余地が大きくなるわけでございますから、ただいま申しましたような規模とか業態の差のほかに地域密着性というようなものも加味して、それぞれの優位性とか特色を十分に生かした独自の経営を行うことが可能になると思うわけでございます。したがいまして、このような経営戦略ないしは経営努力、それの優劣が金融サービスや収益の水準に影響を及ぼすということも従来以上に大きくなる。したがいまして、経営規模の差がそのまま直ちにこういう点での格差に結びつくことはないものと考えられます。
 ただ、確かに御指摘のように、金利自由化によりまして今後金融機関の間の競争は一層強まることになるわけでございますから、それぞれの金融機関においてはこれまで以上に経営の効率化とかリスク管理体制の整備のための取り組みを進めていくことが必要であると考えられます。私どもといたしましても、そのような取り組みを可能とするために、金融機関の自主的な努力が基本でございますが、やはりこれを促すということでいろいろな環境整備を図ってまいりたいと思いますし、また金融機関の自由化への対応に必要最小限の時間的な余裕を与えるということも考慮いたしまして自由化のスケジュールを定め、それに沿って着実に自由化を進めてまいりたい、そのように考えております。
#45
○前畑幸子君 調達面が自由化されて、金利が自由化されてくるわけですので、大きいところにお金がたくさん寄るのは原理だと思うんです。
 そうしますと、要するに信用金庫が体質改善と言われても、やはり競争していこうと思うと、高い金利を払って安い金利で貸すということは不可能になるわけですので、大変苦しい対応を迫られるのではないか。中小企業の借りる方にしましては、政府機関、ここのところずっと国民金融公庫とか市とか県の貸出機関に対する借り入れが銀行よりも少し落ちていたと思うんですね、銀行が随分貸してくださるので。ところが逆に、信用金庫からの借り入れが減って、要するに政府機関に頼る借り入れが中小企業は多くなるのではないかなという気がするんです。そうしますと、銀行の努力、企業努力だけでそれを乗り切ることができるのか、大変苦しい対応を迫られるのではないかなという気がいたしますけれども、その辺に関してはいかがなものでしょうか。
#46
○政府委員(土田正顕君) 確かに、自由化の推捗に伴いまして、御指摘のような点に十分今後気をつけていかなければならないということはあると思うのでございます。
 ただ、多少テクニカルな説明になりますけれども、調達面の金利が自由化されるということでありましても、例えば協同組織金融機関は定期積金というような独特の商品を持っております。これはいわば足で稼ぐ預金というような感じでございまして、このようなものが信用金庫や信用組合の経営を支える底がたい預金の原資となっておるという一面もございます。
 それからさらに、先ほど申しましたような経営戦略あるいは経営努力ということでございますけれども、これにつきましては、例えば協同組織バンク系の業界の空気としては、もちろんコスト低下の努力、それからリスク管理の徹底、そのようなことも重要であると言われておりますほかに、職員の能力の向上というようなことにもいろいろ今後重点を置かなければならないというようなことが唱えられているようでございます。そのほか、協同組織金融機関はそれぞれに中央団体、中央機関を持っておりますので、この中央機関が果たす相互扶助の観点からの役割というものも重要になってまいります。
 それからさらに、借り手の中小企業の側から見ますと、これは現在どちらかというと金利が低下傾向にございますが、このようなときに現象的には必ずしも都市銀行は中小企業への貸し増しというものを従来のように積極的には進めておらない、そのようなこともございまして、いよいよ中小企業向けの金融機関の活動の重要性というものが高まってまいるのであろうかと思います。
 それからなお、政府機関の融資について資金量に十分な配慮をするようにと。これは本年度の補正予算以後、財政面においても十分配慮をしておるところでございます。
#47
○前畑幸子君 大手との格差が一段と拡大してきていると書かれておりますので、今おっしゃいましたように、やはり金利の下げ渋りということは中小企業にとっては大変厳しいものですから、前向きに対処していただきたいと思います。
 ありがとうございました。終わります。
#48
○和田教美君 まず、経済企画庁にお尋ねいたします。
 先ほどもちょっと話が出ておりましたけれども、二十日付の朝日新聞によりますと、経済企画庁は、一九八六年十二月から始まった景気拡大、つまり大型景気は去年の一−三月期で山に達した、その後下降局面に入った、そういう判断を明らかにしたというふうに報道されております。もっとも、ほかの報道によりますと、まだ経企庁はこの判断についていろんな意見があって、公式判断はもう少し後になってことしの夏ごろになるんじゃないかというふうな見方もございます。仮に大型景気の山が去年の一−三月期だということになりますと、昨年の八月に戦後最高のイザナギ景気に並んだという経企庁のこれまでの判断は幻であったということになるわけであります。
 私はこの問題で特に感じますことは、いずれにいたしましても景気判断、景気の転換点の判断というものが余りにも遅過ぎるんではないかということであります。仮に去年の一−三月期ということから見ればもう一年になるわけですし、ひどい場合には二年くらいがかった例もあるようでございます。これでは全く実戦に役立たない。経済白書を書くためにいろいろと苦労されているわけでもないでしょうし、学者論文を書くわけではなくて、やはり政策に適切に反映していくということが絶対に必要だというふうに思うのであって、そういう点においてもう少しとにかく早く迅速に景気の転換点というものをつかむ方法がないのかどうか。その辺について経企庁は何か一工夫、二工夫すべきだと思うんですけれども、その点についてまず御見解をお聞きしたいと思います。
#49
○説明員(白川一郎君) 御説明申し上げます。
 まず、政府の正式の景気判断の問題でございますけれども、政府としての正式の景気の現状判断につきましては、月例経済報告におきまして月々の報告時点で入手可能な最新の情報に基づきまして総合的に行っているということをまず申し上げたいと思います。
 それから、先生御質問になりました景気の山、谷の判定、いわゆる景気の基準日付の問題でございますけれども、これにつきましては、今後景気動向指数、いわゆるDIと呼んでおりますけれども、景気動向指数でありますとか、あるいは主要な統計の一つでありますGNP統計、こういった統計を含みますものが十分な長さのデータが入手可能になった時点、この時点におきまして専門的あるいは技術的な判断基準をもとにいたしまして、景気の専門家から構成されますところの委員会の見解等を参考といたしまして経済企画庁が総合的に判断をしていく、こういうことでございます。したがいまして、景気の山、谷を正確に設定するということにつきましてはある程度の時間がかかるということについては御理解をいただきたいと思います。
#50
○和田教美君 そうすると、去年の一−三月期に要するに景気の山が来たという判断はまだ経企庁としては決めていないんですか。
#51
○説明員(白川一郎君) 経済企画庁としてはまだ正式に判断をしておりません。
#52
○和田教美君 いつごろまでかかるんですか。
#53
○説明員(白川一郎君) これは、もう少しややテクニカルなことを申し上げますと、GNP統計がまだ入手するのにやや時間がかかると思いますし、それから景気動向指数の中の特にピストリカルDIというものを計測しないと正確にはいつが山であったかということが認定できないわけでございます。
 このピストリカルDIの計算に当たりましては、実は先行指数、一致指数、遅行指数と三つの指数がございまして、一致指数、十一の系列があるわけでございますけれども、この十一の系列の多くが季節調整済み指数ということで、三月の指数が出た段階で季節調整がえが行われるものが多く、これが六月ごろ出そろうということでございます。この季節調整がえになりますと、相当景気動向指数の数字も変わってまいるというふうに考えております。したがいまして、技術的に申し上げましてもこのころにならないとピストリカルDIの計測は正確にはできない、こういうことでございます。
#54
○和田教美君 あなたがそういうふうにおっしゃると少し言いたいんですけれども、これ今までの例でも実害があるんですよ。というのは、今度の場合には景気の山から下降期に落ちるという場合ですね。逆の場合、つまり谷から景気回復期に入るという景気転換点の判定、この問題について、例えば円高不況から景気拡大に転じた、これは八六年の十一月が谷だというふうに経企庁で決められたのは実に十三カ月後なんです。そうすると、その間に、要するに公定歩合の過剰な引き下げだとか行き過ぎた金融緩和がどんどん進んでいって、それが結局バブル経済を生む原因になったというふうな指摘があるわけなんです。そういう問題もあるので、正確にとにかく判定するのはそれはそれで一つ置いておいて、もっと簡便な方法はないのかということを聞いておるわけで、大蔵大臣の見解もついでに聞かせてください。
#55
○説明員(白川一郎君) 先ほどから申し上げておりますように、政府の景気対策をとりますときの景気の現状判断というものは、これは最新の経済情報に基づきまして月例経済報告の中で行っている、こういうことでございます。景気基準日付というものはあくまでも、やや時間はかかりますけれども、これは先ほどからピストリカルDIということを申し上げておりますが、やや歴史的につけるということでございまして、基本的に景気の基準日付をつけるということと、それから景気の判断ということは違うということを区別しなければいけないということを御理解いただきたいと思います。
#56
○国務大臣(羽田孜君) 確かに、今御指摘がございましたように、景気の政府としての対応というもの、あるいは現状認識というもの、こういうものを私どもは見詰めながら政策運営をしていくということでございますから、できるだけ直近のものというものは、正確であるということと同時に、やっぱり直近の動向というものを把握する必要があろうというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、今私どもがあれしておりますのは、経済企画庁の方から御報告がありましたように、現状判断というのは、きょうも実は朝八時からあったわけでありますけれども、月例経済報告、こういったものを私どもは見詰めながら判断して対応しておるということを申し上げることができると思います。しかし、今御指摘になったことは私どもは十分考えながら、できるだけ直近のものを何とかつかむような努力はこれからもしていきたいというふうに思います。
#57
○和田教美君 それでは次に、これも既に議論がありましたけれども、実質経済成長率平成四年度は三・五%ということになっております。果たしてこれが実現できるのかどうかということが、単に民間のエコノミストの間でいろいろ議論があるということだけでなくて、政府部内でもいろんな発言が出てきております。
 例えば、渡辺外務大臣は、政府の九二年度経済成長率目標三・五%の達成はこのままでは無理だというのが世界の常識になっている、欧米では二%台との見方もあるというふうに言っておられる。それから、渡部通産大臣は、現在の景気の実態は経企庁や大蔵省の言うほど生易しいものではない、もっと深刻になる心配があるというふうに言っておられる。綿貫幹事長も、とにかく補正予算なんかでもやらなければ三・五%の経済成長はとてもできないというふうに言っておられる。もう政府・自民党の中で見解の不一致が出てきているという状況なんです。
 さっきからの大蔵大臣のお話を聞いていると、かなり楽観的な見通しを述べておられますけれども、企業収益の大幅なダウン、悪化の発表が続々出てきておるというふうなこと、先ほどから出ておりましたように、設備投資計画が数年あるいは十数年ぶりにとにかくマイナスになるというふうな状況、それから産業界が、とにかく半導体、家電、それから自動車など軒並みに減産体制を強化し出した、そういうふうないろんなデータから見て、この三・五%というのは非常に難しいんではないかと私は思うんだけれども、大蔵大臣の見解をお聞きしたいと思います。
#58
○国務大臣(羽田孜君) 確かに景気の判断、あるいは景気の感じ方というのは、それぞれのお立場お立場ですとか、あるいは接触する方々、そういった方々によって違ってくるということは私はあり得るものであろうと思っております。ただ、経企庁ですとか私ども財政金融当局といたしましては、やっぱりこういったものをできるだけ冷静に判断していかなければならないものであろうというふうに思っております。
 そういうことで先ほど来申し上げておるわけでありますけれども、確かに製造業を中心にしまして減速感が広まっているということでありますけれども、しかし、実際に労働需給というのは引き続き引き締まり基調にあるということなどを見ましたときに、活動水準というものには底がたさがあるということを見ておかなければいけないということであろうというふうに思っております。
 いずれにしましても、景気の後退といいますか、いわゆる過熱のものからむしろインフレのない、しかも安定したといいますか、少しずつでもやっぱり成長していくという方向に転換していかなければいけないということでありますので、私どもとしましても、こういった状況というものを十分考慮に入れていかなければいけないであろうというふうに考えておるところであります。
 そういう中で、平成四年度の予算というものも、先ほども申し上げましたけれども、余り刺激的なものになるとインフレというものなんかも恐れなければいけないということがございまして、景気にやっぱり十分配慮した予算ということでありまして、その中で、財政投融資ですとか、あるいは地方が単独で行う事業等についても、これが活発に行われるような体制をつくりましたり、あるいは三次にわたる公定歩合の引き下げ等、施策というものを進めてきたということであって、まあ私どもといたしましては現下の要請に対して十分おこたえするものであろうというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、今度の予算というものがいろんなふうに景気に配慮したということを申し上げましたけれども、割合と細部にわたって細かく配慮をいたしておるものですから、何とかこれを執行するということ、これがやっぱり一番私たちがやらなければいけないことじゃなかろうか。そして、そういうものを進める中にあって、そのときそのときの状況というものを見詰めながら対応していくということで、何とかこれ三・五%というのは、これはやっぱり民間の経済があるわけでございますから、ただ国がどうこうするというだけではどうにもなりませんけれども、しかし、民間の経済なんかにも、何と言うんですか、国の施策というものが動くことによってやっぱり興ってくるということもありますから、そういったものを十分見きわめながら適切な対応をすることが必要であろう、三・五%を達成するためにはそういう姿勢が必要であろうということを申し上げたいと存じます。
#59
○和田教美君 時間も進みましたので、証券市場の不況、証券不況という問題について若干御質問したいと思います。
 景気下降ということについては各業界によってばらつきがあるということは先ほどから大蔵大臣もおっしゃっていることですけれども、証券市場を見ますと、これはまさに証券不況という状況になっておると思います。株価、それから売買高ともに記録的な低迷が続いておるということで、東証の先週末の平均株価で見てみますと、一番高かった八九年十二月に比べると四五%下落しております。それから売買高ですけれども、大体一日二億株というふうな非常に低い水準に低迷をしているということです。
 これはいろいろな原因があると思いますけれども、一言で言えば、バブル経済の崩壊による株価の暴落というものに、証券不祥事のダブルパンチが今見舞っておるということじゃないか。それだけに株価の回復はそう簡単ではないというふうに私は思うんですけれども、大蔵省は証券不況の元凶というものをどう見ておられるか。さらに下げて平均株価が二万円を割れるというふうなことがあり得るのか、あるいはこの辺が底で、金利低下も進んできたんだから今後は徐々に上昇に向かうというふうに判断をしておるのか、その基本的な点をひとつ証券局長にお尋ねをしたいと思います。
#60
○政府委員(松野允彦君) 御指摘のように、現在株式市場非常に低迷に低迷のうちに推移をしているわけでございます。これは御存じのように、平成元年の末にピークをつけましてから、一昨年、昨年と二年以上にわたって株式市場、非常に低迷を続けております。
 もちろん、その間の低迷の原因につきましてはいろいろなものがございます。例えば、最初の、元年末にピークをつけて二年に入って大幅に下落が始まりましたのは、金利が上昇してきた、あるいはバブルの崩壊というようなこともございます。そういったような中でさらにイラクの問題もございましたし、あるいは昨年は証券不祥事というような問題、いろいろな原因が次から次へと生じまして株式市場の低迷が続いているわけでございます。それ以外にも、平成元年まで続きました大量のエクイティーファイナンスというものが基本的に株式の需給を崩しているというようなことも言われております。
 ことしになりましても依然として軟調に推移しているわけでございますが、これにつきましては、私どもはやはり最大の問題は、昨年生じましたいろいろな証券問題の影響が依然として見られて、証券市場に対する信頼、特に個人投資家の信頼がまだ回復していないというようなことが考えられるわけでございます。また、最近発表されております企業業績が次々と悪い数字が出て、企業業績の悪化というようなものが顕在化しております。さらに、やや特殊な要因かもしれませんが、三月末の決算期を控えまして特金、ファントラなどの売り圧力、あるいは投資信託の解約というようなものに伴う売り圧力というようなものも低迷の原因として指摘をされているわけでございます。
 いろいろな要因によって現在のような株式市場の低迷な状態が続いているわけでございますが、ただ御質問にありましたように、今後はどうなるのかということにつきましては、私どもの立場として今後株式市場がどういうふうな動きをするのか、先行きについて申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思うわけでございますけれども、私どもの今把握いたしましたようないろいろな低迷の原因について、一つ一つ手を打っていく、対策を講じていくということが必要ではないか。即効的な効果を期待するということは難しいわけでございますけれども、やはり抜本的な今申し上げたような原因に対する対策を打っていくということで証券市場の信頼を回復し、それを通じて証券市場の機能が十分発揮されるようにもっていくということが大切だというふうに考えているわけでございます。
#61
○和田教美君 証券市場の活性化対策ということが近ごろあちこちで言われております。自由民主党でも活性化対策というのを何かまとめられて発表されたようですし、業界でもいろいろと要望しているという状況でございます。
 先ほど証券局長も言われたように、この活性化というのはポイントは、証券界そのものが、証券市場そのものがやはり投資家の信頼を取り戻すということがポイントではないかと思うので、余り小手先の対策ということを急いでもこれはかえって逆効果になるということもあり得ると思うんです。しかし、やるべきこと、やれることはやった方がいいというふうにも言えるわけでございますが、そういう今言ったような要望の中で一つ出てきている問題は配当性向の向上です。こういう問題が一つ出てきております。
 配当性向、日本は大体三〇%ぐらいです。ところがアメリカなどは大体五〇%だ。少し株主が冷遇されておる、もっとよくしたらどうだという議論がありますけれども、これは確かにそういう議論も成り立つと思うんですけれども、大蔵省としてはどういうお考えですか。
#62
○政府委員(松野允彦君) 御指摘の企業の配当政策、配当性向の問題でございます。
 今申し上げましたように、現在の証券市場の低迷に対する対策といたしましては、基本的にはやはり信頼の回復ということ、あるいは証券会社の適切な営業体制の確立というような問題があるわけでございまして、こういう問題は業界がみずから努力をしていかなければならないという点でございますが、それに加えまして、やはり魅力ある株式市場をつくり上げていくということも必要でございます。いわゆる株式の保有魅力を高めるということがやはり個人投資家が株式市場に参加してくる一つの大きな方策と考えられるわけでございます。こういった点につきましては、従来からも企業に対しましては、やはり株式市場が企業の資金調達の場であるということを考えれば魅力ある株式市場をつくり上げていくのは証券会社のみならず発行会社の責任でもあるというふうな問題意識を私どもも持ち、そういうことを要請してまいっておるわけでございます。
 もちろん配当政策そのものは各企業の経営判断、自主的な判断の問題でございますけれども、やはりそういう市場で資金調達をし、あるいは資金運用者として参加するというようなことを考え、かつ御指摘にありましたように諸外国、特にアメリカなどと比べますと非常に配当性向が低いという現実があるわけでございまして、そういったようなことを考え、企業に対しまして配当政策の決定に当たってより株式投資魅力を向上させるように、具体的には配当性向をできるだけ引き上げていただきたいということを我々も要請をしておりますし、また業界も、そういう点について証券業協会などでも発行会社に対して魅力的な株式市場づくりということの観点から協力をお願いしているという状態でございます。
#63
○和田教美君 政府保有のNTT株の公開、売り出しという問題ですけれども、ことしも見送りということで、どうも三年連続ということになるようです。
 ところで、この問題について大変多くの一株株主が嘆き続けておるわけなんですけれども、少し人気を出すために、例えば渡辺外務大臣などはNTT株の分割をやったらどうか、額面五万円、それを五分割するんですか、一万円株にしたらどうかとか、そして無償増資をやりやすくするようにしたらどうかというふうなこととか、それから外国人のNTT株の保有、今禁止しているわけですが、それを解禁したらどうだというふうな議論も出ております。
 この辺の点については一体大蔵省としてはどういうお考えなのか、それと外国人の問題についてはこれは郵政省の管轄だと思いますから、郵政省の見解もお聞かせ願いたいと思います。
#64
○政府委員(寺村信行君) 株式分割につきましてお答えをさせていただきます。
 商法上は株式分割実施後の一株当たりの純資産価額が五万円以上であれば任意に株式分割を実施することが可能でございます。これはNTTに当てはめますと、直近の決算期末、平成三年三月末でございますが、その一株当たりの純資産価額が約二十六万円でございますので、商法上最大限五分割まで株式分割が可能でございます。今の五万円額面が、一万円までの分割が商法上可能ということでございます。
 この株式分割の効果といたしましては、株式分割の結果取引単位が引き下げられますことから、株式の流通性が高まるとの見方もございます。この株式分割によりまして当該銘柄の投資魅力がそれでは向上するかどうかということなんでございますが、これはもうひとえに市場の評価いかんということでございまして、一概には申し上げられない。
 いずれにいたしましても、株式分割を実施するかどうかというのはNTTが経営状況を勘案し、自主的に判断すべき事柄であると考えております。
 以上でございます。
#65
○説明員(團宏明君) お答えいたします。
 NTT株の外国人保有の問題でございますが、これは御承知のとおり、昭和六十年に電電公社の民営化ということでNTTが発足しまして、その際には外国人の株式の保有は一切認めないということになっておるわけでございますが、その後の国際化の進展ということ、それから他国における動向ということもかんがみまして、昨年九月に電気通信審議会の答申を受けたところでございます。それによりますと二〇%未満ということではございますが、外国人保有を認めてもいいのではないかというふうな答申を得ましたので、これに従いまして二〇%未満の保有を認めるというふうなことにつきまして、NTT法の改正が必要でございます。その改正法案について現在準備中でございまして、近々御提出したいというふうに考えております。
#66
○和田教美君 もう一問だけやらせてください。
 証券税制の改正ということ、これについての要望もかなりあるわけですけれども、特に有価証券取引税、これを撤廃してくれというふうな議論が大分あるんですね。この点について二、三日前の衆議院の大蔵委員会の答弁で証券局長は、できればそれをやった方がいいというふうなことをおっしゃったという報道がございました。その点はどういうお考えなのか、有取税。
 それと、この問題についてはこれは主税局にもちろん関係があるだろうから、主税局長はどういうお考えなのか、その点お聞かせ願いたいと思います。
#67
○政府委員(松野允彦君) 私が衆議院の大蔵委員会でお答え申し上げましたのは、有取税につきましてはいろいろな観点からのいろいろな議論があるということでございまして、ただ、証券市場という観点から考えますと、例えばアメリカにはございませんし、ECはどうなるかわかりませんが、ECの市場統合後は有取税がなくなるというような話もあるわけでございます。そういった世界的な動き、あるいは証券市場といいますのは非常に自由にお金が国境を越えて流れるわけでございまして、そういったような市場の相互依存関係あるいは資金の流れ等々、証券市場という観点から考えますと、有価証券取引税というような税がない方が望ましいということははっきり言えるわけでございます。
 ただ、それはあくまでも証券市場という立場からの考え方でございまして、それは税のいろいろな理論あるいは税負担の問題というのもあるわけでございまして、その辺のバランスというものを一切無視するということはできないということをお答え申し上げたわけでございます。
#68
○政府委員(濱本英輔君) ただいまの証券局長の答弁でもそうでございますし、先日、二月十九日の、和田先生御指摘の際の答弁にもそういうことがございましたけれども、証券市場の立場からの見方を踏まえながら、税の立場の考え方もあるはずで、総合的に見て調整していく必要があるということを証券局長は言っておりまして、総合的に見て調整していくというその限りにおきましては私ども特に異存はございません。
 ただ、証券税制に係る問題というのは、今の証券局長の話にもございました国際市場の状況も踏まえて検討すべき問題ではございますけれども、国際市場の状況というものは実にさまざまでございます。例えばECにおきましては、一九七六年に証券取引税の廃止に関する指令案というのが確かに提案されたんでございますけれども、これも八七年に修正提案が出され、現在に至るまで未採択になっておりますし、和田先生も先刻御承知のとおり、諸国におきましては日本よりも重い税を課している例ももちろんございます。そういったものをいろいろ踏まえながら、課税の適正公平の確保、それから税制全体のあり方、財政事情等々を総合的に勘案して、基本的には中期的といいますか長期的に考えていくべき問題だというふうに私は思っております。
#69
○近藤忠孝君 平成四年度予算の重大な特徴の一つは、七兆二千八百億円という過去最高の建設国債の大幅増発が行われましで、赤字国債は発行しなかったとはいえ、財政の健全性が再び大きく失われようとしている点があると思います。
 この点、一昨年の財政審の中期展望で九五年度までに公債依存度を五%以下に引き下げる、そのために毎年四千五百億円ずつ減額することを求めておるんですが、実際は減額どころか二兆円に上る大幅増発であります。
 その原因がどこにあり、またこれは責任問題もあるんじゃないか。と同時に、九五年度までに依存度五%にする見通しはあるのか、どのように実現するのか、まずお答えいただきたいと思うんです。
#70
○国務大臣(羽田孜君) 今御指摘のとおり、私どもといたしましても歳出というものを何とか削減しようということでいろんな手だてをいたしたというのが率直なところでございますけれども、今御指摘がございましたとおり、七兆二千八百億円というものを発行せざるを得ないということ、そしてそれが公債依存度というものを一〇・一%まで押し上げてしまったという現実、これはもう率直に認めなければいけないというふうに思っております。
 ただ、責任論ということがお話がありましたけれども、今度の経済というものが本当に相当高いものであったものがここのところずっと落ち込んだということ、それから今お話しの、議論がありました有取税ですとかあるいは印紙税ですとかそういったものが相当落ち込んだというようなことでございまして、本当にやむを得ない措置としてこういったものをやったということであります。
 しかし、私どもといたしましては、もう高齢化社会というのをすぐ迎えるということで、これから相当高い行政需要というものが出てくるであろうということを考えたときに、やっぱり建設国債といえどもできるだけ抑えていかなければならないということ、当然赤字公債、特例公債についてはもうこれは発行しちゃいけないんだというぐらいのつもりで臨んでいかなければいけないであろうというふうに思っております。
 これが達成できるのかというお話でありますけれども、私どもは何とか達成できるように、厳しい中にあってもこれからそういったことにそれを目標にしながら努めていかなければいけないというふうにみずからにそれこそ言い聞かせながら対応しておるところであります。
#71
○近藤忠孝君 やむを得ないと言うんですが、直接の原因は、NTT株売却益活用公共事業について、本来この事業はNTT株売却益によって賄うべき事業として設けられたものですね。それが株価の低迷で売却ができずに財源が不足したので、これを建設国債発行対象事業に組み入れてそれで国債増発で賄おうとしているんだと思うんです。
 私は、このNTT株公共事業の問題について当時議論してまいりまして、当時は宮澤大蔵大臣でした。この法案の趣旨説明でこう言っています。
 「国債整理基金の円滑な運営に支障の生じない範囲内で同基金に蓄積された資金の一部を活用する無利子の貸付制度を設け」る、これは八七年八月二十五日の当委員会の説明です。また、その日の答弁で主計局次長の斎藤さんはこう言っています。「NTTの株式売却の余裕金がなくなった時点では中止せざるを得ないわけでございますが、やめるということになる」、だから売却できなきゃやめるという、これが国会の答弁。要するに法案をつくったときの答弁なんですよ。したがって責任問題も言っているんです。
 明らかにこれは政府答弁と食い違う措置です。そうすると政府の方針の転換じゃないのか、転換なら転換らしくもっと明確に言わないと、何となく、景気対策だ、それじゃ私は国会の答弁の一貫性、国会の答弁の責任性が保たれないと思うんですが、どうですか。
#72
○政府委員(小村武君) 今年度、四年度におきまして建設公債の増発をせざるを得なかった事情。は、ただいま大臣からお答え申し上げましたように、三年度税収が二兆八千億円もの減収になるという見込みのもとで四年度の税収を算出いたしますと、多くを期待できないということでございまして、歳出面におきまして一般歳出の伸び額を前年度以下に抑える等の努力をした結果においてもなおかつ建設公債の増発をせざるを得なかったということが第一の理由でございます。
 第二の理由は、御指摘のようにNTT事業につきまして、同株式が売却できたとしてもその財源をどう工面するか、あるいは今後安定的にこの財源が確保できるような状況には必ずしもないというようなことがございまして、たまたまNTT事業の中で、補助金型のBタイプというものがございます。補助事業として公共事業に極めて類似をしているということでございまして、このBタイプ事業につきまして、四年度におきましてはいわば緊急避難的な措置として一般財源を充当せざるを得ないということでございまして、この分につきまして御指摘の建設公債の増発の要因になったことも事実でございます。
 なお、この事業につきましては、今後財源問題についてどうするか、NTT株式の売却の状況とかあるいは今後の財政状況を見ながらこの事業をめぐる財源問題につきまして適切にこれからまた検討を加え、対処していかなければならない問題と考えております。
#73
○近藤忠孝君 それは私の質問に対する答弁になっていないんです。景気対策だ、やむを得ないと。しょっちゅうそんなことは起きているんだから。そうでしょう。しょっちゅう、そんなものですよ。問題は、私が聞いているのは、NTTの株売却に余裕金がなくなった時点では中止せざるを得ない、やめるということだと、こうはっきり言っているんです。これをどうしてくれるんだと言っているんですよ、ここで答えたことを。全然答弁になっていないじゃないですか。
#74
○政府委員(小村武君) NTTの株式の売却につきましては、まだ残りのものにつきまして、二百五十万株について毎年五十万株ずつ売却をしていこうという計画もございます。こうした財源事情あるいは株式の売却状況を見ながら今後また検討を加えていくということでございまして、今年度はとりあえず緊急避難として一般財源を充当させていただいたということでございます。
#75
○近藤忠孝君 それも答弁にならない。私、これをやっていると時間がないんで、しょうがない、次の質問に移ります。これからもっと時間をいただきたいですね。
 この問題について私は当時こういう指摘をしました。NTT株売却益による公共事業の追加が公共事業のシーリング枠の緩和とともに公共事業を二〇%増と突出させるものであって、このような積極財政への転換は財政破綻とインフレ、地価の高騰につながるという指摘をしたんです。これに対して宮澤大蔵大臣は、それを一定程度認めながら、「間違いますと」、私の言うとおり、「大都市の地価の上昇だけにつながるよということは、十分執行の上で注意しなければならない」と答弁をしました。しかし全然注意しなかった。だからその後の経過は、金融超緩和とあわせてこの時点での積極財政への転換が地価高騰と日本経済のバブルを生んだことはもう明らかです。そういう反省がおありか。
 この反省を今の時点でどう生かすのか。どう生かすかということは、私は公共事業にこういうことをふやすことが本当に景気対策に十分なのか、むしろやっぱり設備投資、それから消費支出、こっちの方が大きいんだからね。この対策を十分にやらなければ、景気への影響は余りなくて財政危機だけが進んでしまう、そんなことにならないのか。
 私の指摘に対して、今まで何度も議論してまいりました。例えば有価証券の簿価分離の通達について、私これを批判したんです、大蔵委員会で。これは必ずバブルをつくると。そうしたら、大丈夫だと言うのが当時の竹下大蔵大臣。その後総理になりました。しかし、私の言ったとおりになっちゃったよね、あの株のバブルの問題は。それから、宮澤さんにつきましても、まさにこのNTT株、公共事業への指摘は同じようになったんです。それで羽田大蔵大臣です。あなたもそのうち総理になるかもしれないけれども、何年かたつた後に、今の私の指摘、反省についてどういう答弁するかで総理、大蔵大臣の真価が問われると思うんですが、この反省どう生かすのか、ひとつ答弁してほしいと思います。
#76
○国務大臣(羽田孜君) 今のバブルと言われる過度な成長というもの、これはただNTTの売却益の活用、これによってだけではなく、金融政策だとかいろんなものが相まったということと、また当時設備投資ですとかそういったものに対する意欲が高かったということが私はあるんだろうというふうに思っております。ですから、それだけが原因じゃなかろうと思っておりますけれども、しかし、先ほどから皆様からも景気についての御指摘がありました。それに対して、私としてはどちらかというと割合と慎重な発言をしておるわけでありますけれども、一番の慎重な発言というのは、ごういつ力ものを経験しながらインフレだけはどうしても呼んではいけないんだということ、しかしそうかといってこれを後退さしちゃいけないんだという、その辺の難しいかじ取りがあろうと思っておりますけれども、いずれにしましても、今ございましたいろんな御意見というものを私たちは念頭に置きながらこれから経済運営を進めていきたいというふうに思っております。
#77
○近藤忠孝君 今の答弁、合格点になるかどうかは歴史が証明すると思います。
 巨額の国債発行によって国債費が十六兆四千四百七十三億円となって、歳入の二二・八%を占めて他の経費を圧迫してますね。この国債費のうちいわゆる引受手数料が約三百億円。去年の予算編成の俊階でこれを撤廃して三百億円を節減しようという方針を実は大蔵省立てたんですよね。しかし結局あきらめたという。どうして、せっかくこんな方針立てて、これ払いいですよ、この方針ね。しかしあきらめちゃった。これは税金ですから、そう簡単にあきらめちゃ困るんです。
#78
○政府委員(寺村信行君) シ団十年債の引受手数料の問題でございます。
 この引受手数料は、シ団の各メンバーに対しまして広く国民に販売をお願いし、販売できなかった分につきましてはそれぞれのメンバーに引き受けていただくという仕組みになっておりますので、販売事務と残額引き受けの責任の対価として支払っているものでございます。
 ところが、御案内のとおり、シ団十年債は平成元年に部分競争入札制度を導入いたしまして、平成二年に競争入札の割合を四割から六割に引き上げたという経緯がございまして、しかも現状競争入札の最近の実態を見ますと、各入札者の自由な意思によって積極的な入札が行われている、こういった実態を踏まえまして、競争入札部分につきましては固定シェア部分と同じように手数料を支払う必要はないのではないか、こういう考えがございまして、それで実はシ団関係者と検討を進めました。そうしましたところ、まだ固定シェア部分が残っておりますので、そこの固定シェアの大小によってシ団メンバーに有利、不利が発生する。それから、今は非常に好調だとはいえ、やはり入札部分には未達があれば固定シェアと同じように残額引受責任があるんだというような議論がございまして、シ団の関係者の意見がまとまらなかった。そういう事情がございまして、今後の検討課題としたところでございます。
#79
○近藤忠孝君 時間来ちゃったので終わります。
#80
○池田治君 金融制度の改革の問題について若干触れてみたいと思います。
 今国会におきましては、銀行と証券会社の相互参入を初めとした大規模な金融制度改革が行われようとしています。アメリカにおきましても、金融制度改革の試みの中では、銀行等の金融機関が保険業務を取り扱うべきかどうかかなり深く議論されたようでございますが、我が国においても生保、損保会社は最大の機関投資家であり、かつ、会社四季報などを見ますと、上場会社の大株主は大抵銀行か保険会社がなっておる。こういう現実もございまして、金融制度改革におきましては重大な役割をしょっておるのが保険会社ではなかろうかと思っております。
 大臣の所信表明の中では、金融制度改革につきまして、金利の自由化とか証券市場の適正化とか、そういうものには触れておられますが、保険会社については殊さら触れておりません。保険審議会においては、保険業法の根本的な改正案も審議されておると伺っておりますが、この点大臣の御所見はいかがか、まずお尋ねをいたします。
#81
○国務大臣(羽田孜君) 今御指摘がございましたように、保険審議会におかれましても指摘がなされているところでございます。いずれにいたしましても、金融制度改革におきましては保険会社もその視野に入れて検討することといたしておりますけれども、保険会社によるいわゆる他業態の業務への具体的な参入のあり方及び他業態による保険業務への具体的な参入のあり方については、さらに保険審議会においての審議というものを私ども見詰めながら対応してまいりたいというふうに考えております。
#82
○池田治君 昨夜の日経を読みますと、「生保配当を手厚ぐ」という形で大蔵省も検討をしているということでございますが、これによりますれば、従来の配当というのは債券の利息収入や株式の配当収入に限定していたが、債券や株式の売却益を含めた総合運用益を還元する方式に改めたい、こういうことのようでございますが、これは本当でございましょうか。もし本当とするならば、生保、損保等がいかに上場会社の大株主になったかということは、結局集めた保険金を蓄積したのに加えて、利益があったからこそそういう株主にもなり得たという点も私は疑って見ているわけですが、その点が本当ならば一日も早くその改正をしていただきたい、かように思っておりますが、いかがですか。
#83
○政府委員(鏡味徳房君) 御指摘のように、保険会社の資産につきましては、多数の契約者から拠出された保険料収入を源泉として行っておりますものですから、その資産運用につきましては安全かつ有利に運用するというようなことを基本としながら、金融機関としての公共性に留意しつつ合理的な運用に努めているところでございます。
 その中で、御指摘のように、債券あるいは貸し付けのほかに株式投資というようなものもございまして、現在株式投資に係ります株式の含み益について、その額が相当大きなものになってきておりますので、こういった債券、貸し付けから得られます利息収入のほかに、このような株式の含み益も含めて総合的な配当を行って契約者に還元していくというような方式を今保険審議会において検討していただいておりまして、私どもとしましてはその結論をいただきながも適切に対応していきたいと考えております。
#84
○池田治君 ぜひ一日も早く行っていただくようお願いしておきます。
 それから、相互参入ということになりますと、銀行と証券会社が今行おうとしているような、子会社をつくってお互いがその業務を行わせる、こういう形になるんでしょうか。
#85
○政府委員(鏡味徳房君) 先ほど大臣から答弁がございましたように、現在その相互参入の具体的な方式等につきましては、保険審議会において御検討いただいているところでございますが、御指摘のような子会社方式というようなことも大変有力な方式と考えておりますが、なおその審議会での議論の深まりを見ながら対応していきたいと思っております。
#86
○池田治君 それでは次に移ります。
 公的債務の問題でございますが、これは去る十二月十三日の当委員会でも取り上げられましたが、釈然としない点もございますし、また、その後ドイツとポーランド政府との間で公的債務の九十一億マルクについて、五〇%は元金を免除した、そして残りの五〇%については、実勢金利を加えて十八年間で支払うという期限つきの基本合意に達したという報道もございました。
 我が国におきましてはその後そのような具体的な合意ということは報ぜられていないのでございますが、現在どういう形でこの基本合意へ向かっての交渉が続けられておるのでしょうか。大臣もこの所信の中では、累積債務問題については引き続き解決に向けての努力を必要とするということを述べておられますが、努力して全額返ってくればこれは一番いいわけですけれども、なかなか世界の経済情勢を見ますと一挙に償還ができるとも考えられませんし、国際協力もまた必要なわけでございますので、どの程度詰めておられるのかお伺いをいたしたいと思います。
#87
○政府委員(江沢雄一君) 御指摘のとおり、ポーランドにつきましては九一年の四月、それからエジプトにつきましては九一年の五月に、債権国の集まりでございますパリ・クラブという会合におきまして実質五〇%の公的債務の削減が合意されたところでございます。この実質五〇%の公的削減のやり方としては三つのやり方がオプションとして提案されておりまして、元本の削減、金利の削減、あるいは金利元加という三つのオプションがメニューとして提示されているわけでございます。
 このパリ・クラブにおける国際的な合意を踏まえまして、ポーランドにつきましては、ポーランド政府と我が国政府との間で交渉が行われまして、九二年の二月に両国政府間で削減の実施方法について合意が結ばれたところでございます。エジプトにつきましては今両国政府間で交渉中でございます。この二国間交渉によりまして、対象債務を確定するとか、あるいは削減後の金利等が決定され、削減が実施に移されるわけでございます。先ほど申しました三つのオプションのうち、我が国といたしましては金利元加のオプションをとるということになってきております。
 以上でございます。
#88
○池田治君 三つのオプションはわかっておりますが、ドイツはどんどん進めておるのに、日本はなかなか進まないというのが現状ではないでしょうか。どうですか。
#89
○政府委員(江沢雄一君) この五〇%の削減といいますのは、公的債務についての合意でございまして、これについては各国共通の基準で実施をするということになっております。――先生の御指摘は民間債務のお話でございましょうか。
#90
○池田治君 そうではございません。公的債務と言われておるのは、まず輸出入銀行や海外経済協力基金の借款、そして貿易保険の立てかえ債務、この三つが言われておるんですが、それ以外にもあるんですか。
#91
○政府委員(江沢雄一君) 債務国の公的債務と申します場合には、債権国の公的な機関が供与した融資または信用保証ということでございまして、我が国の場合は、先生御指摘のとおり、大部分は日本輸出入銀行の融資それから海外経済協力基金の円借款、それから貿易保険でございます。
#92
○池田治君 三つだけですね。
#93
○政府委員(江沢雄一君) これは、場合によっては国際協力事業団が若干の融資をしている例がございます。
#94
○池田治君 そこで、昨年も村田議員が質問をされまして、金利でもって債務を免除するということをとった場合にしろ、期間延長にしろ、そのリスクはどこが負うのか、どういうことで大蔵は補償するのかと。いう質問に対して、あなたたちは、これは一挙に決められるものではなくて、「各機関の収支の状況にもよるわけでございましてこ「各機関の運営が円滑に行われるようそれぞれの機関の全体の収支の問題として処理」するんだ、こういうお答えをされておりますが、結局これは遠回しに言っておられるだけで、実際は各機関が損失を分担するんだと、こういうことでございますか。
#95
○政府委員(江沢雄一君) 公的債務の削減につきましては、その国際的合意に基づきまして金利を引き下げ、またその一部を元加し、それ全体を返済繰り延べするという形で救済を行うわけでございます。したがいまして、五〇%の削減と申しましても、これはこの措置による影響は返済期間の長期にわたりまして生じてくるものでございまして、一挙に生じてくるものではございません。したがって、各機関の収支に影響が及ぶ都度適切に対処をしていくという考え方でございます。
#96
○池田治君 そうしますと、公的債権は今我が国は全体としては幾らあるんですか、何カ国がそれを負っていますか。
 そしてまた次に、旧ソ連については、独立国家連合となりましてばらばらになったんですが、この債権債務の割り当てというのは我が国が勝手にやることはできないと思いますが、この交渉もされておるかどうか、この二点についてお尋ねします。まだそこまでいってないんですか。
#97
○政府委員(江沢雄一君) ちょっと手元に必ずしも資料が準備してございませんが、例えば海外経済協力基金の貸付残高、これは平成二年度末で六兆円ぐらいございます。これはほぼすべて途上国に対する公的債権と言ってよろしいと思います。それから、輸出入銀行の貸付残高が二年度末でやはり六兆六千億円ぐらいでございます。これは先進国向けのものと途上国向けのものとがございまして、半分ないし三分の二ぐらいが途上国向けではないかというふうに考えております。
 ロシアとの問題は、これはG7を中心といたしまして、当面のソ連の窮状に対処するためにどうしたらいいかということを議論してまいりましたが、旧ソ連が各共和国ごとに分かれてしまったものですから、過去の債務がどうなるかということが大変問題でございます。そこで、G7諸国とそれから各共和国の首脳が集まりまして、過去の債務について連帯責任を負ってもらうということで合意ができたわけでございます。ただ、この合意には一部参加していない共和国もございます。こういう合意を踏まえまして、一定の債務につきまして元本の返済を猶予する、ことしの年末まで猶予するというふうな措置をとってきております。
#98
○三治重信君 きょう私が用意していた質問は大体みんな出たわけですが、その中で補充的にちょっと質問させていただきます。
 政府もそうですが、大蔵省の言う「インフレなき持続可能な成長に移行する調整過程」、これは政府全体としての意向だろうと思うんです。ただ、やはり我々がいろいろの状況を見ていると、底は、これ以上は悪くなることはないだろうけれども、調整過程といってもマイナスの方の、プラスのやつじゃなくて、マイナスの方に、ひどく下降するということはないだろうけれども上がることが非常におくれるんじゃないかというふうな気でみんな質問されているだろうと思うんです。
 それで、その対策とすると、一つは、新聞なんかに出るのは、公共事業の前倒しとか次の補正予算とか、あるいは最も端的には金利をもっと下げろというふうなことなんですけれども、私はそういう補正予算とか金利を下げるというような従来の対策であると、これはまた三度目のバブルを形成するもとになるのではないか。これは相当慎重にやらぬと、もう二回もバブルをやっているわけですから、産業構造や経済の実態が相当変わってきているから、新しい調整過程の対策というものが私は必要だろうと思うんです。その認識が、大臣は主にインフレ、いわゆるバブル的なことは避けたいというのが強いような印象を受けているんですがそれはそれでいいんですけれども、やはりあつものに懲りてなますを吹くようなことは避けてほしい。そこが非常に微妙なところだろうと思うんです。
 それで、いわゆる予算と金利ということ以外の調整過程でマイナスにならぬ対策というものを少し探求してもらいたい、こういうふうに思うわけなんです。それにはやはり、今産経で「風と炎と」という堺屋太一さんが出しておられるものの中に、日本は官僚主導型の国家指導体制であって、先進国の中でずっと残っている唯一のいわゆる官僚主導型の経済を運営しているところだ、これについての反省がないといけないというふうなことを書いているわけなんです。私も官僚でやってきたんだけれども、官僚主導型というのは、考えてみれば非常に言い得て妙を得ているけれども、それは相当この点は考えて、一般的な民主的な景気回復ばかりでなくて、構造的な問題が日本に残っているんじゃないか、それをこの調整過程で本当にゆっくり反省してみたらどうかと思うんです。そういう官僚主導型の指導体制というものは、結局許認可あるいは行政指導というものなんですかね。そういうものをもう少し整理する体制をひとつぜひ考えてもらいたいと思うんですが、いかがですか。
#99
○国務大臣(羽田孜君) 今御指摘のありましたのは、私どもも同感するところが大きいわけであります。金融ですとかあるいは財政で過度に、過度というよりは不注意にこういったものをやりますと、あるいは世の中のちょっと空気でやってしまうということになりますと、まさに三度目のバブルを呼ぶとか、あるいはインフレというものを呼んでしまうであろうということでありまして、そういった点について私たちはやっぱり相当慎重に扱っていかなければならない。しかし、よく十二分冷静に見ながらも機動的にしなきゃならぬということも私たちは置かなければならない、非常に難しいところであろうと思っております。
 それから、今御指摘のございましたように、まさに、何というんですか、官僚が主導していくということについては、積み上げで物事をやっていくということがいいわけでありますけれども、一面縛られてしまって動けないということがある。そういう意味では民間にできるだけシフトしていくということ、これはやっぱり大事なことであろうと思っておりまして、特に今、第三次行革審におきましてもこの問題について御指摘をいただいておるところでございまして、私どもはそういうものを取り入れることを、これ別に指摘されるまでもなく常に注意しなければいけない、そしてできるだけ民間に移行していく、そんなことを考えなきゃいかぬと思っております。
#100
○三治重信君 そこで、きょうも大分議論になったいわゆる株価の活性化の問題なんですが、これなんかもやはりこの低迷のときに制度的な改正というんですか、各一般の企業はただ資金獲得の手段としてだけしか市場を考えない、下手にやってバブルになったから手を引いてしまえと。こういうようなことではいかぬだろうと思うんです。やはり基本的な株価対策の配当性向、前にも質問あったんですが、利益は減っておってもまだ相当な利益の中で、配当に回すものが非常に少ない、こういうものをやはり相当きちんと制度的に改正するとか。
 それから市場の中の取引手数料の自由化という問題、これも今ちょっと手をつけがたい、つけないような指導があって、むしろ日本の方は小さな取引の関係では世界的に見れば取引手数料は安いんだというふうなことを言われて、自由化に対してやるまいとしているようなことが報道されている。これは本当かうそかわからぬですが、そういうふうな感じなんですね。そういうふうにやはり自由化という、統制から一つずつでも外すということ、これをやるとこうなる、中小零細企業なんかかえって不利になるとかいうふうな、小手先じゃなくてやはり制度的な、どっちかというとプラス・マイナスどこでもあるんで、やはり証券市場をやっていくためにはどうして自由化していくか。
 それから、一般の企業には、もっとそちらの方で株価対策というものを企業自身が、具体的に配当なり、それからNTTだったら、私はNTTはやはり無償増資をやる。めちゃくちゃに高く売り過ぎだから、株に対する無償配付をやって補充すべきだ、こういうふうな感じ。そういう制度的な問題をもう少し株価対策で検討してもらいたい、こういうふうに思うんです。
#101
○政府委員(松野允彦君) 御指摘のように、現在の株式市場に対する対策というものを考える場合に、決して目先の問題ではなくて、やはりいろいろな問題が生じました証券市場、株式市場の構造的な問題というものに取り組まなきゃいけないというふうに思っているわけでございます。
 私ども現在取り組んでおります一つは、やはり一連の問題で起こりました証券市場に対する失われた信頼を回復するということでございまして、このためには、まず一つは、何といいましても証券市場をできるだけ透明にする。その上で、不正な行為が行われた場合の監視体制というものを樹立する。しかし一方では、業界の自主的な努力というものを尊重するというような形で、信頼の回復を図っていく必要があるんじゃないか。そういうことを中心にいたしまして、証券取引法の改正が必要な部分については改正をお願いするということを考えているわけでございます。それから、あわせましてやはり業界の自主的な努力という場合に、一部見られました営業体制というものについて、やはり適正な投資勧誘方法というものを確立していく必要がある。これは業界が考えるべきことではございますけれども、やはりそういう適正な投資勧誘方法というものの原点に返って営業体制を再確立するといいますか、つくり上げていくということが必要だろうというふうに思って、業界にはそういうことをお願いしているわけでございます。
 あわせまして、今御指摘のございました配当政策の問題でございます。これは先ほど申し上げましたように、やはり魅力ある株式市場というものをつくり上げていくためにはどうしても企業の株主に対する利益還元といいますか、あるいは配当の増加というようなことが必要になるわけでございまして、この点についても企業あるいは市場関係者に対して私どもも配当政策の見直しを要請しているわけでございます。ただ、この問題は基本的に企業の自主的な判断を尊重するべき問題でございまして、やはり画一的な制度化というものにはなかなかなじまない問題だろうと思うわけでございます。
 それからあと、自由化に絡みまして、例えば今御指摘のありました株式の売買委託手数料の自由化の問題、これも証券取引審議会などで議論をいただきまして、方向としては自由化をしていく。ただ、小口の取引に対して与える影響というものが非常に諸説いろいろな議論がございまして、なかなか割り切れないということもございます。そういった意味では、大口の取引、主として法人を相手にいたします大口の取引から自由化を段階的に進めていくというような方向で具体的な自由化のための作業にこれから入ろうとしているわけでございます。
 いずれにいたしましても、いろいろな点で、証券市場を活性化しようといたしますと、今御指摘のありましたいろんな自由化あるいは自主性の尊重にあわせて、競争を促進するという観点から新規参入というような問題も必要であろうというふうに考えて、いろいろそういったかなり構造的な問題について取り組むことによって証券市場を一刻も早く投資家の信頼できるような市場に持っていきたいというふうに思っているわけでございます。
#102
○委員長(竹山裕君) 以上で大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト