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1992/03/26 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 大蔵委員会 第3号
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1992/03/26 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 大蔵委員会 第3号

#1
第123回国会 大蔵委員会 第3号
平成四年三月二十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十六日
    辞任         補欠選任
     星野 朋市君     中村 太郎君
     池田  治君     中村 鋭一君
 二月二十七日
    辞任         補欠選任
     藤田 雄山君     土屋 義彦君
     中村 鋭一君     池田  治君
 二月二十八日
    辞任         補欠選任
     土屋 義彦君     藤田 雄山君
 三月四日
    辞任         補欠選任
     石川  弘君     川原新次郎君
 三月六日
    辞任         補欠選任
     川原新次郎君     石川  弘君
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     安恒 良一君     梶原 敬義君
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     梶原 敬義君     角田 義一君
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     角田義一君      西野 康雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹山  裕君
    理 事
               大河原太一郎君
                野末 陳平君
                前畑 幸子君
                本岡 昭次君
                白浜 一良君
    委 員
                石川  弘君
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                斎藤栄三郎君
                藤井 孝男君
                藤田 雄山君
                赤桐  操君
                久保  亘君
                鈴木 和美君
                西野 康雄君
                村田 誠醇君
                和田 教美君
                近藤 忠孝君
                池田  治君
                三治 重信君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  羽田  孜君
   政府委員
       大蔵政務次官   青木 幹雄君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     日高 壮平君
       大蔵省主計局次
       長        小村  武君
       大蔵省主計局次
       長        涌井 洋治君
       大蔵省主税局長  濱本 英輔君
       大蔵省関税局長  吉田 道弘君
       大蔵省理財局長  寺村 信行君
       大蔵省理財局次
       長        吉本 修二君
       大蔵省証券局長  松野 允彦君
       大蔵省銀行局長  土田 正顕君
       大蔵省国際金融
       局長       江沢 雄一君
       国税庁課税部長  坂本 導聰君
       国税庁徴収部長  中川 浩扶君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        下村 純典君
   説明員
       国土庁土地局地
       価調査課長    木村 誠之君
       厚生省児童家庭
       局母子福祉課長  冨岡  悟君
       厚生省保険局保
       険課長      紺矢 寛朗君
       労働省労働基準
       局賃金時間部賃
       金課長      内田  豊君
       労働省婦人局婦
       人政策課長    尾上 史江君
       建設省建設経済
       局宅地開発課長  橋本 万里君
       建設省住宅局住
       宅政策課長    川村 良典君
   参考人
       日本銀行理事   福井 俊彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○法人特別税法案(内閣提出、衆議院送付)
○相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律
 及び米州開発銀行くの加盟に伴う措置に関する
 法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(竹山裕君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十五日、角田義一君が委員を辞任され、その補欠として西野康雄君が選任されました。
#3
○委員長(竹山裕君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本日の議案審査のため、参考人として日本銀行理事福井俊彦君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#5
○委員長(竹山裕君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします己羽田大蔵大臣。
#6
○国務大臣(羽田孜君) ただいま議題となりました三法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、最近における社会経済情勢等にかんがみ、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例を拡充するとともに、住宅対策等早急
に実施すべき措置を講ずるほか、租税特別措置の整理合理化等を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、土地の相続税評価の適正化に伴う相続税の負担調整に際して、居住用及び事業用の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例を拡充することといたしております。
 第二に、住宅取得促進税制の運用期限を二年延長するとともに、三大都市圏における優良貸し家共同住宅に係る新築貸し家住宅の割り増し償却率を引き上げるほか、産業廃棄物の処理に著しく資する公害防止用設備の特別償却率を引き上げる等の措置を講ずることといたしております。
 第三に、課税の適正公平の確保を推進する等の観点から、企業関係の租税特別措置等につきまして特別償却制度等の一層の整理合理化を行うこととしているほか、みなし法人課税制度の廃止、欠損金の繰り戻し還付制度の適用の停止、海外関係会社からの過大借り入れに対処するための過少資本税制の導入、青色申告特別控除制度の創設等の措置を講ずることといたしております。
 第四に、我が国の財政の現状にかんがみ、二年間の臨時の措置として、普通乗用自動車に係る消費税の税率を四・五%とする特例措置を講ずることといたしております。
 そのほか、国際金融取引におけるいわゆるオフショア勘定において経理された預貯金等の利子の非課税措置等適用期限の到来する特別措置につきまして、実情に応じその適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。
 次に、法人特別税法案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、我が国の財政の現状にかんがみ、臨時の措置として法人特別税を創設することとし、本法律案を提出した次第であります。
 具体的には、法人の各課税事業年度の基準法人税額から四百万円を控除した残額を課税標準とし、税率は二・五%とすることといたしております。また、課税事業年度は、平成四年四月一日から平成六年三月三十一日までの期間内に終了する事業年度とすることといたしております。
 次に、相続税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、土地の相続税評価の評価割合を地価公示価格水準の八割程度に引き上げる等の適正化に伴い、相続税等について負担調整等を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、相続税の遺産に係る基礎控除について、定額控除を現行の四千万円から四千八百万円に、法定相続人比例控除を八百万円から九百五十万円に、それぞれ引き上げることといたしております。
 また、相続税の税率について、その税率区分の幅を拡大するとともに、相続税の補完税である贈与税の税率につきましても、所要の調整を図ることといたしております。
 そのほか、相続税の申告書の提出期限について、現行の六カ月から段階的に延長するほか、相続税の延納・物納制度の改善合理化を図る等の措置を講ずることといたしております。
 以上が、三法案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
 以上であります。
#7
○委員長(竹山裕君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○村田誠醇君 私は、今議題となりました租税関係三法について質問をさせていただきます。
 まず、本題に入る前に、昨今の景気の情勢についてどのようなお考えを大臣がお持ちなのかお聞きをしたいと思うんですが、私ども、中小企業の関係者、いろいろなところを歩いて聞いておりますと、政府の見解よりももうちょっとシビアに出てくるものですから、ほとんどの方が大体口をそろえて言っているのは、一昨年の秋ぐらいから景気については少し下降をたどり始めて、昨年の夏以降その下げ足が一段と早まったんだという見方をする方がかなり多いわけでございます。それは信用保証協会の融資の申し込みだとか信用保証協会の事故の発生率だとか、要するに倒産件数の推移なんかを見ても大体同じようなことを言われる方が多いわけでございます。
 そこでお伺いをしたいのでございますが、景気を回復させるために今公定歩合を引き下げるべきだという意見がかなり強いわけでございますが、いろんな論議がございまして、私どもはただ公定歩合を下げただけではなかなかこの景気が回復しないだろうと見ているわけでございまして、政府の方でいろいろな総合的な景気対策とてこ入れ策を考えておられるようでございますが、よければ概略どういうことを考えておられるのか、ちょっと御説明をいただければと思うんです。
#9
○国務大臣(羽田孜君) 景気がいつから低下しつつあったのかということ、あるいは景気の減退感というものについての認識ということがまずお話があったわけでありますけれども、確かに、バブルという非常に大きく膨れ上がった経済、これがだんだん縮小といいますか、そういったものがはげていった。こういう経過について見たときに、いろんな見方があると思うんですけれども、確かに、総量規制というようなことを平成二年の四月から始めたというようなことによりまして、不動産関係、この業界についてはやっぱりだんだんだんだん苦しくなってきたという現状があろうかと思っております。また、それと同時に、株等につきましてもそのあたりからいろんな動きが出てきておるということもあり得ようと思っておりますけれども、しかし、全体的に製造ですとかあるいはサービス部門ですとか、そういったところは割合と堅調に進んでおったというふうに思っております。
 ただ、問題は、ある一つの時期から、特に昨年の夏あたりから全体的にやっぱり景気の減速感というのが感じられるようになってきたというふうに思っております。それは、確かにバブルのときには二けたの台で例えば住宅ですとかあるいは設備投資ですとか、こういったものが非常に大きな勢いで伸びたという現状がありますね。それと同時に、バブルという中で思ったより大きな所得が入ってくるという中で、絵画の取引なんかが盛んであったというようなことがありますでしょうし、あるいはいろんな耐久消費財についても相当高価格のものをみんな企業にしてもあるいは個人にしても求めるという傾向があったという、そういったものがやっぱりバブルの崩壊と同時にそういう諸要因というものが剥落したということが言えるんじゃなかろうかと思っております。
 しかし、総じて言いますと、御案内のとおり、国民の総資産といいますか、金融資産等につきましては、まだ一千兆を超えるようなものがあるというようなことが言われております。そして、確かに企業なんかは減益というものが今表面化してきておるということで、減速感というのは非常に大きく広まっておるということが言えるんじゃなかろうかと思っておりますけれども、基本的には雇用が安定しておるということ、まだタイトぎみであるというような状況、あるいは物価等が安定しておるというような状況の中で、私はいろんな国と比較いたしましてもまだ底がたいものがあるんじゃなかろうかというふうに考えております。
 そして、今公定歩合というものを引き下げたとしてもというお話でございますけれども、しかし三次にわたって、昨年の十二月三十日を最後としたわけでありますけれども、三次にわたって公定歩合が引き下げられた。こういったものが徐々に貸出金利に影響してきておるということでございまして、例えば住宅建設等が、いわゆる貸し家ですとかあるいは持ち家、こういったものにあってはある程度そういうものをみずからが取得するあるいはつくるということに対して、借りやすい、
使いやすい金利になってきたというようなことで、下げどまり感というのが多少見えてきておるというようなこともございますし、企業の方の場合には二けたの設備投資なんかをしましたから、確かに設備投資を今すぐに。またさっと金利が下がったから戻ってくるというものじゃないんですけれども、割合と使いやすい水準に来たねということをいろんな企業の聞き取りの中でも私たちは承知をするわけでございまして、三次にわたる公定歩合の引き下げというものはいろんな意味でやっぱりプラスに転じておるのであろうというふうに思っております。
 ただしかし、金融だけでは経済というのは動かすことはできない。これは現実であろうということでございまして、私どもも昨年の暮れ、いわゆる税収の収納状況というのは非常に厳しくなってきたというものをやっぱり正確にとらまえながら、例の補正予算の中でゼロ国債というものを六千億円、あるいは財投につきましても目いっぱいのものを、史上最高というあれですかね、というものを追加でこれを認めたというようなことでございまして、そういった対策、いわゆる財政関係の出動、こういうものをあわせてやってくる中で一つの方向が見えてきておることと、現在御審議をちょうだいいたしておりますこの予算そのものに、景気を刺激するという言葉を私どもは使いませんでしたけれども、しかし当初から景気に配慮してということを申し上げておりまして、特に地方単独事業は一一%を超えるものであったり、あるいは生活関連も公共事業等も相当ふやしておる。また、財投も政府関係金融機関等を通じながら割合と潤沢なものが回されるというような方向を実はたどらせていただいたということでございまして、金融と財政というものが一緒に相まって今日の状況に対応しょうといたしておるわけであります。
 私どもといたしましては、この問も土曜日まで実は御審議をいただくというようなことで参議院の方でも今精力的に予算を審議していただいておりますけれども、これを何とか一日も早く通過させていただきたい。そして、通過させていただきましたところで、今最後に御指摘のございましたいわゆる今日の状況に対応するための対策というものについてこれから考えていこうということでございまして、私どもといたしましても、この間総理のもとに集められまして現下の経済状況に対応するための対策、これについて三月五日の日にもやりましたけれども、そういったものを踏まえながら、また予算が通過したそういった時点にあってどう対応していくのか、各省それぞれで検討してもらいたいということで、関係閣僚集められまして討議をしたところであります。
 いずれにしましても、これは今三月末をめどにということでございまして、今精力的に経済企画庁長官のもとで各省と連絡をとりながらこれをまとめておるということでございまして、その中にはいわゆる私どもこの予算が通ったときに予算の執行の仕方について一体どうしたらいいのか、どんなふうに速やかに対応するのかというようなこと、あるいは民間等についても、民間のいわゆる設備投資等の事業等についてこれをできるだけ早く執行してもらいたいとか、細かい問題がありまして今またこれは明確になっておりませんけれども、そんな問題について検討がなされておるということで、今月末をめどとしてこのものが皆様の、要するに世間に発表されることになろう、そして私たちは今の景気の状況に対して適切に機軸的に対処していきたいという考え方でおることを申し上げておきたいと思います。
 長くなりました。
#10
○村田誠醇君 大臣の見解はわかりました。
 それでもう一つ、景気にいろいろな影響を与えている問題についてお聞きしたいんですが、確かに、公定歩合だけ下げても設備投資等の実際の需要が非常に弱いんだということはあちらこちらで聞くわけでございますが、それと同じように中小企業者から出てくるのが、どうも都市銀行を中心として、従来と違って、従来が非常に緩やかだったというせいもあるんでしょうけれども、前に比較して大変厳しい貸し出しの態度をとっている、窓口から締め出されている。これ俗な言葉で言う貸し渋りを都市銀行かしているということがよく指摘されるわけでございます。
 その要因として挙げられているのが、BIS規制の問題であるとか、あるいは株価が下落したことによる含み益の減少だとか、あるいは個人の住宅ローンの利払いが停止している件数がかなり多くなってきているとか、ノンバンクの経営が行き詰まっていろんな不良資産を抱えている。あるいは海外債権の部分で投資したやつが相当ある等々で、要するに銀行自身も後ろ向きの融資をせざるを得ない。前向きに本当は貸したいんだけれども、こういう後始末の部分にお金が要るということで相当貸し渋り現象が出てきているということが言われているわけでございますが、この現象に対してまず大臣の御見解、あるいはどう直していただけるのかお聞きしたい。
 もう一点は、この結果、従来でしたら中小企業が借りたくなくても借りてくれやという形で無理に押しつけていた部分があるんですが、逆に今度は借してくださいと言っても借してくれない。むしろ、あなた方は政府系金融機関の方に行って公的融資を借りてください、こういう形で窓口でシャットアウトされる。その結果としてこの年度末の一月から三月にかけて政府系の金融機関に融資を申し込むというケースがずっとふえてきている。物によってはもう枠を使い切っちゃって新年度予算が成立するまでは融資の枠がありませんということも出てきているということも聞いております。
 ですから、二つ目の質問として、こういった中小企業向けの資金の貸し出しの枠については、従来の実績を踏まえて割り当てるのじゃなく、少し景気刺激策も含めて枠を広げて四月、五月の早目に枠を多く設定いただけるような措置を講じてもらえないかどうか。その二点についてできれば大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#11
○国務大臣(羽田孜君) ちょっと子細につきましては事務当局の方から申し上げたいと思いますけれども、銀行の貸し出し行動というものにつきまして今いろいろと御指摘があったわけでありますけれども、基本的には今御指摘がありましたように、確かに設備投資をするといっても、実際には余り、何というんですか、需要というものが出てこないという一面も確かにあることも私は事実だろうというふうに思っております。
 ただ、銀行の貸し出し行動につきましては、そのときどきの金融政策ですとか、あるいは企業側の資金需要にも影響されますけれども、各行とも国内貸出業務、これは収益の一つの柱として位置づけておるということでございまして、確かに、過去は割合と審査が甘かったという言い方を私がしていいのかどうかわかりませんけれども、俗にそういうことを言われますし、そんなことを私自身も感じたこともありますけれども、そういったものは審査なんかがやっぱりある程度厳しくなっておるということは事実あろうと思っておりますけれども、しかし、従来指摘されたことを繰り返しちゃいけないということがそういうことなんであって、いわゆる貸し渋りというものではないであろう、その意味では優良な貸し出しに対する意欲というものは引き続き旺盛であろうと承知しております。ただ、私どもといたしましては、各銀行等につきましてもそういった本当に優良な方々に対しての貸し出し等についてはできるだけ配慮するようにというようなことをいろんな形で御指導申し上げたりしておるということがございます。
 そして、今の点の最後のところにつきましては事務当局の方から申し上げたいと思いますけれども、いわゆる政府関係金融機関、特に中小企業金融公庫ですとか国民金融公庫ですとか環境衛生の関係、そういったところにつきましては事務当局の方からもう一度御答弁申し上げたいと思います。
#12
○政府委員(日高壮平君) 今大臣が御答弁申し上げましたように、金融機関による貸し渋りがある
と私ども思ってはおりませんけれども、ただ、中小企業からの政府関係金融機関に対する貸出需要に対しましては的確に応じていかなければいけないだろうということで、昨年十二月にも国民公庫、中小公庫あるいは環衛公庫に対する財投の追加を決定して実行しているところでございます。そうした状況によりまして、実際直近四カ月間の国民公庫あるいは中小公庫の中小企業向けの貸出額というものは前年の同期に比べまして二割前後、あるいは中小公庫で一割前後伸びているという状況にございます。これからもこうした政府関係金融機関に対する中小企業からの貸出需要に関しましては、需要に応じて的確に対応できるように万全の措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
#13
○村田誠醇君 そこでお聞きしたいんですけれども、バブルがはじけて、そのツケがどの業種にもかなり強く出てきているわけでございますが、銀行の俗に言う不良債権と呼ばれるものが相当多額に上っていると言われているわけでございます。先ほど言いましたように、ローンの利払いの停止だとか、あるいは担保価値が下がったために融資額に対して担保不足を生じている等の不良資産が相当多数国内でも上っている。さらに、旧ソ連向けの部分がこれからも出てくるだろうとか、いろいう言われておりまして、この額が五兆円とも十兆円とも言われ、数字だけが言われているわけでございますが、問題は、公表するに際してどの部分までを不良債権と言うのかということについていろいろな論議があるようでございますが、この定義を含めまして、一体銀行の持っている不良債権、先ほど言いましたように個人向けの住宅ローンのやっとか、不動産業態向けというんでしょうか、ノンバンク向けというんでしょうか、そういう業態別にもしおわかりになりましたら、一体どのくらいのものが、銀行全体、あるいは都市銀行、第二地銀、地方銀行等を含めてどの程度のものが現在あるというふうに実態把握なさっているのか、ちょっと御報告いただけますでしょうか。
#14
○政府委員(土田正顕君) 不良債権についていろいろと議論され、ないしは報道されることが多くなっておるという状況でございますが、これはやはり一般的な状況といたしまして、バブル経済崩壊の過程におきまして一部の業種の業績が悪化しているということを背景にいたしまして、今後金融機関のいわゆる不良債権が増加し、貸し倒れ負担も増加していくということが懸念されるわけでございます。
 ただ、この不良債権というものの定義について、一義的に確立したものはございません。種々その都度の状況に応じていろいろな方が不良債権という言葉をお使いになっておられますが、強いて申せば、一般的には回収不能見込みもしくは回収困難になった債権をいうものというふうに考えておるわけでございます。ただ、その額につきましては、種々報道もございますけれども、私どもの方から申し上げるに足るほどの数字なり実態を把握しているということではございませんで、今その実態把握に努めておるところでございます。今後とも決算ヒアリングなどを通じてさらにその状況把握に努めてまいりたいと存じております。
 それからまた、海外の問題についても御関心がございましたが、これにつきましても海外関係では一つの引当勘定というものを設けておりまして、特定海外債権引当勘定という科目を設けまして万一の場合の貸し倒れの損失に備えておるということを従来から各銀行の経理にやってもらっでおるわけでございます。したがいまして、この引当勘定の備えもございますので、当面直ちに大きなショックがあらわれるということは考えられないというふうに思っております。
#15
○村田誠醇君 わかりました。
 それでは、銀行の貸倒引当金のことについてお聞きしたいんですけれども、いろいろ論議があったと思うんですが、引当金のうち無税で繰り入れる率、現行の〇・三を〇・一ほど引き下げようという意見もあるように聞いております。あるいは、反対に実態に合わせて弾力的に計上するのが本来の筋であるという意見があるわけでございますが、それぞれについて、この両極端の意見をとった場合、一体銀行の経営にどのような影響が出てくるのか。つまり、〇・一下げた場合と実情に応じて弾力的に計上させた場合とではどの程度違うものなのか。実際にシミュレーションするわけじゃありませんけれども、ある程度の考え方としてこのような影響が出てくるという大ざっばなやつで結構でございますが、ちょっと御説明いただけますでしょうか。
#16
○政府委員(土田正顕君) まず、貸倒引当金の科目について御説明申し上げますと、これは御高承のように税法上の関係では、原則としてでございますが、無税で引当金を積むことができるという部分が決まっておりまして、それはただいま御指摘のような現在の比率は〇・三%になっておるわけでございます。千分の三でございます。無税で貸倒引当金を積むことができるというのが現在の制度でございますが、これにつきまして、いろいろこれまでも一つにはその率の妥当性をめぐっての議論もございましたし、それからさらにもう一つ申しますと、これは委員の別の御質問とも関連するわけでございますが、そのような一般的な枠取りではなくて、海外の諸国でとっておりますような原則として銀行の判断によって引当金を計上するとへうようなやり方もございます。そのいずれがいいかというような議論もおいおいこれから行われるようになると思うわけでございます。
 ただ、これはやや銀行監督当局としての観点から申し上げる発言でございますが、現在の無税で一定部分を貸倒引当金に積むことができるという税法上のルールがあり、かつ金融行政上のルールとしてその部分は必ず積めというふうに強制しておるというこのやり方は、いわば広い意味での内部留保に通ずるものでありまして、銀行の体力を維持するという効果を持っておるということは率直に申し上げることができると思うわけでございます。したがいまして、これを仮に率を引き下げますと、銀行経営の観点からいえば、いわゆる広い意味での内部留保の減少を通じまして銀行の体力を低下させる方向に働くということにはなるのではないかと思うわけでございます。
 昨今、ただいま委員いろいろ御指摘のような不良資産の増加傾向とか、今後いろいろ金融自由化が進みまして経営環境が厳しいというような状況にかんがみますと、私ども銀行行政の観点からすれば銀行経営の健全性を確保するということは非常に大きな課題になってくると思うわけでございますが、ただ、その場合の税との関係ないしは一つの銀行経営でのやり方といたしまして、海外で例がございますような、各銀行の判断によってこの引当金を積む、まずその銀行の判断を主体とし、その後にその実際の貸倒引当金の対象となりました債権が本当にロスになればそれを崩していくというような、そういうやり方をとるというような方法もございますので、今後なお技術論としてはいろいろと研究してまいる必要があるのではないかと考えております。
#17
○村田誠醇君 論争していくと相当時間のかかることでございますので概略だけ聞いて、もう一つ、景気に影響を与える要するに個人の消費動向についてお聞きしたいんです。
 本来ですと、個人消費を高めれば景気はよくなっていくわけでございますが、いろいろ皆さんから要求が出ているように、名目賃金の上昇と実質購買力の上昇とはどうも正比例していないということで、減税の要求があちらこちらから出ているわけでございます。お金がないから減税できないということもあるのかもしれませんし、減税をして景気を刺激し税収を上げるという考え方をとるのか、いろいろな論議はあると思うんです。
 一つお聞きをしたいのは、そういった中で、所得税の基準と社会保険料の被扶養者の認定の所得基準の違いがネックになりましてトラブルが起こる、トラブルというわけじゃありませんけれども。社会保険の方はことしの一月から被扶養者の認定の所得基準が百二十万円未満まで上がったわけでございます。これはその前に比べて十万円引き上
げているんですけれども、課税の最低所得の水準からすると、これがリンクされていませんものですから、百二十万円まで働いちゃいますと扶養控除だとかあるいは扶養特別控除が段階的に下げられていって総体としての手取りが減ってしまう、こういう問題が出てくるわけでございます。この辺の認定の基準についてリンクさせる必要があるんじゃないか、課税最低限の水準と社会保険の被扶養者の認定の所得基準の最高限度とリンクさせないと、片方が天井になってうまく作動しないということが起こってくると思うんですが、このリンクについてはどういうふうにお考えになっておられるのか、ちょっとお聞きしたいと思うんです。
#18
○政府委員(濱本英輔君) お尋ねの点につきましては、半分は主税局自身の問題であり、また半分は保険の問題であるかとは存じますけれども、ただいまの問題の御提起は、両者相リンクすればそれが食い違うことによっていろいろ生じておる問題が解決できるのではないかという御指摘かと存じます。
 それに対しまして思いますことは、所得税というものをどのような基準でどのような層に対して課するかという所得税の世界での考えと、一方、社会保険の世界でどの程度の給付をどういった形の保険料負担においで賄うかという保険制度の世界での考え方というものが常に整合するかといえば、必ずしもその保証はないというふうにまず思われます。それを整合させるべきであろうかという問題があろうと思いますけれども、結局、その場合に所得税制における体系あるいは社会保険制度における体系というものがそのために自身の体系の中においてのバランスを失するということになっても困るということになろうかと思います。基本的には両者は別のものでありまして、別の体系の中でのバランスというものの上に存在すべきものだというふうに考えておりまして、昨今、パート減税の問題が論じられましたときにもそういった点に論議が参りましたけれども、それぞれそれらは別の考え方の上に成り立った制度であって、それらを理解した上でどのように御納得をいただいていくかということがまず問題ではないかというふうな論議がございました。
 今のお話に加えまして、余計なことを申し上げるようでございますけれども、パート問題のときにはもう一つ家族手当の支給基準につきましても同じような問題があるということが取り上げられたのでございますが、これにつきましても、たまたま所得税の課税の限界というものと合致していた年もございますけれども、そういった事情と切り離された形で家族手当を支給すべきだという考え方が出てまいりまして、今、例えば公務員の場合でございますと百二十万円という所得制限になっておりますが、それはそれでやむを得ないのではないか。ただ、その百二十万円という限度をそれじゃ今後どう考えていくかという問題は別途あろうかと存じますけれども、両者を一致させるために所得税制を歩み寄らせるということには無理があるという感じの論議であったかと、今国会におけるこれまでの論議を思い起こしまして思う次第でございます。
#19
○村田誠醇君 それは、答弁はわかるんですよ。一つ一つは確かに整合性がとれた中であるんですけれども、制度を全体として見たときに、果たして全体が整合性がとれているのかなということはあると思うんです。それは、前に私が質問したように、交通費の取り扱いをめぐっても実は違うわけですよね。
 今、持ち家政策を推進するために遠距離の通勤をする、そしてその新幹線通勤の費用を会社が負担する、そして良質な住宅を従業員に提供しようとするんですが、所得税法上は何の問題もありませんけれども、交通費を新幹線分上げられれば、実質賃金が何も上がらないのに社会保険料だけはぼんとはね上がる。これは現物給付という考え方でその部分が収入に加算されるからだということになるわけですね。ところが、片方は持ち家住宅で遠距離通勤をどんどんと促進するというのが政府の政策でありながら、それを実施すれば実質所得が減るという、こういう制度上の問題もある。あるいは、大蔵省にお願いして調べていただいた課税最低基準、単身者の場合では百七万五千円、ところが、夫婦で片方が完全に配偶者で入っている場合は百九十二万八千円、これが課税の最低基準です。こちらを見れば、今度は社会保険の方の百二十万というのがはるかに低くて、ここまで同じに上げたっていいじゃないかという議論も成り立つと思うんですよね。
 だから、それぞれの省はそれぞれの立場で、いや、自分のところが正しいんですと、こういうことにはなると思うんですけれども、全体として見ればやはりある程度の数字の整合性というのでしょうか、をしていただきませんと、結果としてアンバランスな問題が出てくるというふうに思うわけでございます。そういう意味で、これは縄張りの問題も絡むのかもしれませんし、自分のところの方の主張が正しいというふうにとるのかどうか別としまして、事務をする音あるいは国民の方からすれば大変重要な問題でございますので、ぜひ整合性、整合性というのでしょうか、制度間のすり合わせをぜひしていただきたいと思うわけです。というのは、社会保険の台帳をつくるのと所得税の台帳をつくるのに、交通費が入ったか入らないかで別々の台帳をつくらなければいけないという要素が片一方にあるわけでございますので、その点についてもひとつお願いをしたいということでございます。
 これもまた大論議をすれば、多分予算委員会の方でやるんだろうと思いますのでこの辺にとめまして、別の問題に入らせていただきます。ぜひ先ほどの問題をよろしくお願いします。
 それから、租特についてお聞きをしたいのでございますが、この租特の法律の論議をするときに常に問題になるのは、一体こういう政策をとったら効果がどの程度出てくるんだ、政策達成をどういうふうに判断するかということになりますと、こういった政策をとったからこういう点ができたんだ、しかもこれは税でございますので、ある意味においては数字が出てこないと客観的に論議できない。そういう意味で今回非常に大蔵省の方で御苦労なさったと思うんですが、資料が出てきまして、各年度にわたって租税特別措置の数字がどう変わってきたのか、積算根拠までかなり詳しく、私も初めてこれ見るのでございますが、出てきたわけでございます。そういう意味で御苦労なさったということに感謝したいのですけれども。
 問題は、そういったこういうものの数字を出すのであれば、国税庁等が出しておりますこういう各種の統計の中にこの数字が、全部を出す必要はないと思うんですが、必要に応じて入れてもらえればいいと思うんです。ここには確かに我々見たいものが載っておりますけれども、配付されたこういう資料に載っていれば、別段この委員会でこういう資料を出せなんて言わなくても、お手元に配ってありますと言えばそれで済むことだと思うんです。そういう意味で、ただこの配られた資料を見ておりますと、やっぱり委員会で必要とするような資料がどうも編集されていないんじゃないか、それが不満の一点。
 もう一つは、所得税の方の統計、申告所得の実態の方は三月三十一日を期限として締めて統計してあるわけでございますが、法人企業の実態のこちらの方は一月三十一日までの締めになっているんですね。これはどういうわけでこういう変則的な締めになっているのかちょっとわからないんです。これは、三月三十一日までの締めでこちらの法人企業の実態の方の統計をとれば一年分の数字がわかると思うんですけれども、その点についてこれは統一をして出すことは難しいことなんでしょうか、その点についてちょっとお聞きしたいのでございますが。
#20
○政府委員(坂本導聰君) 私ども国税庁で毎年発表しております。ただいま御指摘の法人企業の実態という統計でございますが、これは我が国の法人企業の実態を明らかにして、あわせて私どもの税務行政の運営あるいは税制改正等の基礎資料とすることを目的としているわけでございます。
 その集計に当たりましては、税務署に提出された法人税の確定申告書の計数について、さらに実地調査等の結果も織り込んだ数字でやっているわけでございます。ところが、法人につきましては、個々の法人によって課税期間の事業年度が違っておりますので、先ほど申し上げましたような目的を勘案しまして、各年の二月から一月末までを対象期間として取り上げているということでございます。
 一方、所得税の方でございますが、これは暦年課税でございます、所得税でございますので。したがって、一月から十二月ということで統計をとっているということでございます。
 したがいまして、各税目の目的が違うということからこのような違いが生じているわけでございますが、ただ、全般的に国税庁の公表資料についてできるだけわかりやすいものにしていきたいということは常に心がけてまいりたいと思っております。
 それから、この国税庁の統計資料に委員御指摘の租税特別措置の減収額もということでございますが、私どもの統計はあくまでも結果、実際の数字、結果の数字を統計で載せている。その場合に、私どもの今の人員から租税特別措置の減収額分だけを分析して集計するということについては相当の負担がかかるということで、実際上困難でございますので一生税局にお任せしているところでございます。
#21
○村田誠醇君 それぞれ資料というのは使い方によって、あれも載せろこれも載せろと言えば辞書みたいに大きくなっちゃうことはわかりますけれども、セレクトしてぜひ載せるようにしていただきたいということだけお願いしておきます。
 それから、次に一つお聞きしたいんですが、「平成四年度の税制改正に関する答申」ということで政府税調の方で出されたもののうち、「中小企業者の事業の円滑な承継の観点から」云々というところがございまして。結論として、中小企業者の事業承継については検討していくけれどもいろいろ問題点があるんだということがイロハにわたって書いてあるのでございますが、このうちのロについてこのように書いてあるんです。「節税目的に濫用されているようなケースも見受けられ」、だからこの制度をつくるのは反対だという意味だと思うんですが、これはちょっと大臣、私おかしいと思うんです。
 多分、これを言っているのは、前回キャピタルゲイン課税をかけたときに、一流上場企業のオーナーと俗に呼ばれている人たちが所有株を節税対策のために小さな会社をつくってそこに引き取らせる行為をしたことを指して言っているんだろうと思うんですね。そうしなけりゃ、節税目的のために中小企業の流通しない株をわざわざそうやって節税に使ったなんという、こんな書き方は僕はしないのだろうと思うんです。これそういう意味ではどうも、まあ私の解釈が違っていれば別ですけれども、こんな行為を行ったのは、むしろ大手企業もしくは一流上場企業のオーナーと呼ばれる人たちが中小企業の非譲渡というんでしょうか非公開の株式会社、有限会社を使ってやっているから、こ、ういう目的に使われるから反対なんだみたいな書き方だと思うので、ちょっとこの記載については私は不満があると思うんですが、その点についてどういうふうな御見解なんでございましょうか。
#22
○政府委員(濱本英輔君) 御指摘の部分は、「中小企業者の事業の円滑な承継の観点から税制上の特別の措置、とりわけ取引相場のない株式の評価を緩和すべきではないかとの意見があったがことしまして、これについての議論が整理してございますが、その中に「現行評価方法は中小企業者の実情に十分配慮がなされたものである」点と並べまして、「節約目的に濫用されているようなケースも見受けられることこという指摘は確かにございます。
 これ、どういう議論からこういう記載が行われたのかというその議論の詳細今ちょっとここで私記憶をたどることができないのでございますけれども、従来からございました議論としましては、確かに今先生がおっしゃいましたような比較的大きな企業において行われていたことも、この取引相場のない株式評価をめぐる問題として取り上げられてまいったことは事実でございますし、今回この議論が行われましたときにもそういったものを念頭に置いてあわせ議論が行われていたような気がいたします。
 しかし、ここにございます「節税目的に濫用されているようなケース」というのはいろいろあり得ると考えられまして、そういった今御指摘のようなケースも含め全体としてこういった点がやはり問題であるという指摘にごらんいただいていいんじゃないかと存じます。
#23
○村田誠醇君 中小企業者というと節税、脱税ばかりやっているような、そういうイメージではないわけでございますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 それと、今回提案された租特の改廃についてお聞きしたいんですが、これはたしか予算委員会だと思うんですが、配られた資料には、平成四年度で廃止が六項目、創設が三項目という資料があるんです。これ六十三年度から一覧で載せているんですが、六十三年度と比較すると一番よくわかるんですが、廃止が十件、創設が十三件という形でだんだんだんだん廃止の件数が減ってまいりまして、逆に言うと創設が、平成三年度は、低いんですが、少しずつふえて数が多い。つまり全体として租特の項目がふえているんじゃないか、歴年で見てみると。これは従来数を一律に減らすのだとかあるいは償却率を一定率に圧縮するとか、そういう行為をやった年もあるようやに聞いておりますけれども、そういう意味でこの租特の特別措置は、本来特定の政策目的を達成するためにある程度時限的な考え方からすればもっと廃止の項目が多くなってこなきゃいけないと思うんですが、その点についてはどういうふうに検討なさっているのでございましょうか。
#24
○政府委員(濱本英輔君) 御指摘をいただきました点、非常に大事な点でございまして、私ども常にみずからに言い聞かせておる点でございますけれども、確かに、租税特別措置と申しますものは税制の基本原則を破っているといいますか基本原則を犠牲にして行われている面がございますものですから、今のような、御指摘がございましたような形でこれが管理されていくということでなければ、こういった租税特別措置というものを我々が活用していくことができなくなってしまうという気持ちでやっておるつもりでございます。
 昭和五十一年以降でございますけれども、特にそういった心がけをしっかり持ちまして見直してまいったところでございまして、私どもの考え方は、世の中が動いていきます過程で税がお役に立たなきゃいけないという側面、そういう側面からは、租税特別措置は新しくつくる、あるいは今までございます租税特別措置を拡充するということに憶病であってはいけないという気はいたしますけれども、そういうことを踏み出しましたことの裏では、既に古くなったものを見直すということが同時になければならないというスクラップ・アンド・ビルドの原則を貫いてまいっているつもりでございます。
 その整理合理化の実が上がっているのかをわかりやすく説明しろということかと存じますけれども、今おっしゃいました租税特別措置の項目の数でございますが、これは数え古いろいろ難しいのでございますけれども、従来から我々が数えております数え方で見てみますと、昭和五十一年、引き締めてやっていこうと考えましたころ、例えばその前年の五十年のころには項目数というのは九十八項目ございましたものが、今、平成四年度の時点では八十項目ぐらいになってきております。こうして租税特別措置を毎年御審議いただいておるわけでございますけれども、御審議いただきます場合に、いろいろな措置に期限をつけてございます。その期限が参りましたものについては毎年きちっと見直すということをやっておりますし、期限が到来し、期限のないものにつきましても必
要に応じて見直しを行っております結果、そのように図られてまいったということが一つございます。
 それから、平成四年度自体がどうであったかということでございますが、今御指摘がございました数字、あるいは、これ数え方の問題もあろうかと存じますけれども、私どもといたしましては、廃止項目は六つ、それから新しい創設項目は一応四つというふうに計算をさせていただいております。
 その結果、お金の額といたしましては、全体といたしまして租税特別措置によりまして減収を生じておりますけれども、その減収額自体の規模が約二百億円縮減しておる、つまりそれだけ金額的に縮減合理化が図られた形になっておるということはお読み取りいただきたいと存じます。
#25
○村田誠醇君 努力なさっているというのはわかるんですが、今度の廃止のやつについてそれじゃ具体的にお聞きしたいんですが、まず、みなし法人課税の部分についてはこれは後にちょっと別にやりますけれども、二番目のエネルギー環境変化云々というやつでございますね。これ先ほどの局長さんのお話ですと、できる限りスクラップ・アンド・ビルドをしていくんだ、こういうことでございますが、これは確かに廃止をしたんですけれども、同じものが、同じものというか同じような名前のくっついたエネルギー需給構造改革推進云々かんぬんというものが創設されている。
 これらのこと、どういうことですかとお聞きをしましたら、昭和五十六年度から二年置きにエネルギーとくっついた促進税制がころころころころ二年ごとに廃止して二年ごとに新設している。これスクラップ・アンド・ビルドではないと思うんです。中身について何ですかとお聞きしたら、全部ほとんど似たようなものですと。確かにそうなんですね。石油代替エネルギーの利用だとか電気供給利用安定設備だとか中小企業者用のエネルギー有効利用設備とか、中身についてはほとんど変わらないようなやつがただ名前だけ変えて存続している。だから、わからないのは、じゃ名前さえ変えりゃいいんだろうと私らは思うんですけれども、廃止をして新設する以上、政策目的がこれは終わったというふうに判断せざるを得ないんですよね。
 この中身が、エネルギーの環境変化の、廃エネルギーの利用だとか地域熱供給設備だとか、こういったような設備が、あるいは施設がたった二年間で政策効果を達成したと判断した、あるいはこういうものと今度新設されるものとどこが違うのか、長々言われたんじゃ我々わかりませんので、端的にこういうところが違うんですと、だから二年ごとに変えてきましたという説明をしていただきたいわけでございます。
#26
○政府委員(濱本英輔君) 御指摘いただきました点、非常にょくわかるような気がいたします。つまり、私どもそのような詳細な点まで聞いていただく機会というものが日ごろございませんものですから、このような機会にそういった点を聞いていただけるというのは大変ありがたいと存じます。ちょっと時間がかかるかもしれませんが、一体何がどうなっておるのかということを私なりに御説明を申し上げてみたいと存じます。
 確かに、今、村田先生御指摘ございましたように、五十六年からこのエネルギー対策というものが非常に大きなテーマになってまいりまして、五十六年にエネルギー対策促進税制なるものが導入された。このときの切り口は省エネルギー、省エネルギーということを主眼といたしまして、それに資する設備等につきまして取り出しまして措置を講じたわけでございます。これが出発点でございました。
 三年たちまして、五十九年でございましたけれども、そういって走っておりましたその切り口自体をもう少し角度をきつくするといいますか、利用の効率化という角度でさらに集中的に対策を講ずるべきだという、考え方の軸が多少改まりまして、その段階から例えば石油なら石油につきまして使い残しかありますものをもっと使う、なるべく効率的に使う、そういう角度でいろんな施設を点検していって必要な設備について特別な配慮をしていくというならわかるということで五十九年に新しい一歩を次に踏み出したつもりでございます。
 二年たちましたところで、確かにそういった事態は進んでおったわけでございますけれども、その事態を否定するわけでございませんが、さらに高度なものというものに優先的に配慮すべきだということから、そういった設備を全体を見直しまして、もちろんその見直された設備が再び新しい対策の中に取り上げられるということは多々あるわけでございますけれども、さらにエネルギー基盤の高度化という観点から必要なものというものを追加するということを次に行いました。
 さらに、最近になってまいりますと、経済社会エネルギー基盤強化投資促進税制という名目のもとにもう一度制度を衣がえしたわけでございますが、この段階で今ちょっとお話に出ましたように、それまではなかった、例えば地域に対して熱供給をする、冷気とか暖気を配ります場合に、あるところで集中して冷気なり暖気をこしらえましてそれを配分するということの方がより効率的ではないかといった新しい手法、設備というものが考えられるようになってまいりまして、もう少し今までよりも目を広げてそういったものを取り込めるような制度にさらに衣がえをする。
 平成二年になりまして、次に再び切り口を改めまして、エネルギー環境変化対応投資促進税制という、わかりにくい名称でございますけれども、そういう制度に切りかえましたのは、環境対策ということをさらに次の切り口として用いてはどうかという議論になりまして、姿を改めさせていただいたということでございます。この段階、例えば太陽光などを利用する設備というものが入ってきたということでございます。
 そして、このたび平成四年度にこれを再度改めますにつきましては、環境対策ということでもやったし、利用の効率化ということでもやったし、いろいろ試みてきて今日に至ったわけであるけれども、もう一度ここで需要供給両面からエネルギーというものの需給構造というものが今のままでいいのか、それを改革していくとすればどちらの方向にいくべきか、新しい動きというものはどういう動きなのかということを点検いたしまして整理し直したいというのが今回の平成四年度改正である、そのように受けとめていただきたいのでございます。
 例えば、その中でいろいろな新しい設備も出ておりますけれども、先ほどの地域熱供給設備というようなものがころっと出て二年ぐらいで消えてしまうのはおかしいじゃないかというような御指摘、確かにそのようにちょいちょいあらわれては消えあらわれては消えという、十分な効果も達成しないうちに次の制度をわざわざっくり直すというのはおかしいという御指摘はそのとおりだと思いますけれども、エネルギー熱供給設備のようなものはこれから新しい需給構造改革の中でも取り上げられていくべき問題として位置づけられますし、今回の平成四年度の改正の中にも加えられていると記憶いたします。
 そのように、中の入れ物は、切り口は変わりましても継続していくものは多いわけでございますけれども、やはり常にこういう特別措置というのは、先ほど最初に御提起がございましたように、税の公平とかそういったものを犠牲にした上でなすことでございますから、そのときよくよく必要なものというものをつかまえて、それに対してインセンティブを与えるということでないと、こういう手段というか道具というものが本当にその機能を発揮しないというふうに感ずるものでございますから、二年なら二年という期限を切って実行し、観察し、そこでまた考えて一番大事なものにまたインセンティブを付与していくということを試みておるんだと、そのように見ていただきたいと存じます。
#27
○村田誠醇君 ほかの機械とか設備等でしたらそんなに長い期間必要ないと思うんですけれども、
エネルギーのような、例えば地熱を利用するとかあるいは太陽光発電の効率化をするとか、こういうのはだれがどう考えても五年とか十年とかという非常に長い期間かかるし、ようやく最近は太陽光の発電で起こした電気を電力会社が購入するという形がとられてきているわけですよね。これから普及してくる設備でございます。そういうものがすぼんと抜けちゃっている。あるいは二年間しか認めないというのも、これはもう実験の域を出ませんので、そういう意味ではもっとエネルギーをどういうふうに対応していくかというのは長い時間をかけて対応しなければしょうがないものだろうと思うので、そんな二年の短期間でころころ変えるようなやり方はひとつやめていただきたいということでございます。
 それともう一つ、細かい点でございますがお聞きしたいのは、今回、特定中小企業者事業転換対策等の臨時措置法に規定する中小企業者が取得する機械及び装置を基盤強化税制から外すというのが出ております。これも考え方によっては制度の一部見直しであると同時に、中小企業の方から見れば廃止というふうに受け取れるわけでございますが、これがなぜ適用除外になったのか、その理由と、それから繊維工業構造改善臨時措置法による登録免許税の軽減税率の適用も廃止になっておりますが、この二つについて、その理由についてお聞かせ願いたいと思います。
#28
○政府委員(濱本英輔君) ただいま御指摘がございました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法に規定する特定中小企業者が取得する機械及び装置を除外いたしましたにつきましては、近々この法律の期限が到来をするという局面を迎えたということでございまして、先ほどの説明とも多少重複いたすかと存じますけれども、そもそもこのケースにつきましては、これが始まりましたのが昭和六十二年であったかと思います。例の円高不況対策として特定中小企業者を指定してこれに配慮するということであったわけでございますが、あのときのショックヘの対応というものは一つの節目を迎える、そして今の時点で新しい対応を組み立て直すという時が来たという認識でこの法律が廃止になるということでございましたので、税としましてはそれを受けたという形になるわけでございます。
 租税特別措置の考え方としましては、他のものについてもそういうことを及ぼしてお考えいただけばと存じますけれども、それぞれの所管省が、例えば通産省なら通産省がこういった問題に取り組みますのに新しい立法をお願いしてスタートする、その場合に、税制措置を伴った、税制という手段も含めましてその新しい措置法に並びます幾つかの手段の一つとして組み込まれるということになりますが、そういう場合に、いわばそれを受けまして租税特別措置の体系を乱さない形で位置づけるというのが我々の仕事と考えておりまして、観法といいますか、当該所管省におきまして取り組んできましたテーマが一つの目的を達成するといいますか、次の目的に座を譲りますときに、それを受けまして私どもの方の租税特別措置法も形を変えるということにいたしておるわけでございます。
 ほかに、先ほどお話がございました繊維工業の構造改善臨時措置法に関します手当てにつきましても、この場合にはどういうことかと申しますと、たまたま臨時措置法で措置をしておりました対象事業が既になくなった、そういう事態になりましたときにも私どもとしては措置は一応打ち切る。そしてまた新しい必要、これもまたメジロ押してございますので、そういったものを租税特別措置法の中に取り込む。先ほどのスクラップ・アンド・ビルドというのをそのような形で進めている、このようにお考えいただいたらよろしいかと存じます。
#29
○村田誠醇君 特定中小企業者の臨時措置法でございますが、期限が来るというように御説明なさったんですが、これは臨時措置法ですから期限のある法律と、期限切れたから廃止になる、こういうふうに理解してよろしいんですか。
#30
○政府委員(濱本英輔君) 正確に申し上げますと、私が記憶しておりますのは、平成五年二月に法律の期限が到来するというふうに聞いております。しかし、現在この臨時措置法でいろいろな手当てがなされ、その対策が実を上げてまいりましたところで、一通り租税特別措置による対応というのは、この間、この期限が参りますまでを考えまして別に不都合のないように図られるという見通しがつきましたものでございますから、今回除外をするということにしたものでございます。厳密にこの期限到来の時点と今回の措置を除外する時点というものは必ずしも一致しているというわけではございませんけれども、私どもはそのように判断させていただきました。
#31
○村田誠醇君 この臨時措置法に基づく租税特別措置の優遇というのは、この部分だけじゃなくてまだ何カ所か出てくるわけでございますよね。例えば試験研究機関の研究費用の増額というんですか、あの辺だとか、そういうところにこの法律をもとにしたやつが書かれておるわけですね。ここのところだけが廃止になって、廃止といいましょうか中止になって、それ以外のところが何らの措置がなされてないというのは、これは何か特別な理由があるんでしょうか。
#32
○政府委員(濱本英輔君) 非常に詳細な部分に関連する問題でございますけれども、私ども論議いたしましたのは、今回、特定中小企業の集積の活性化というものにつきまして臨時措置法を起こし、それを進めたいという新しい提案がございまして、つまり、今まで特定中小企業者の事業転換のための措置を講じてまいったわけでございますけれども、そういった社会的ニーズに比べますと新しい集積の活性化のニーズの方がまさるということから、先ほどのスクラップ・アンド・ビルドの原則を受けまして取りかえようという議論をしまして、今回、ただいまも申し上げました中小企業基盤強化税制の世界で従来の事業転換対策臨時措置法関連は除外をされるということになったわけでございます。
 その限りにおきまして、この基盤強化税制の適用の限りにおきまして新しいものに座を譲ったということでございまして、その他のいろいろな関連で特定中小企業者が受けておりますいろいろなメリット、税制上のメリットというものの中には、それぞれのその局面局面で判断をして整理をしているものがございますから、非常に詳細な話になりますけれども、必ずしも全部を一体的に動かしていない場合があるということはお許しいただきたいと存じます。
#33
○村田誠醇君 余り細かいことをやっていますと眠くなってくるといけませんので。
 もう一点、ちょっと細かいことを最後にお聞きしたいんですが、特定船舶製造業経営安定臨時措置法、これもあるわけでございますが、これを平成四年の三月三十一日で廃止するという提案が今国会にかかっておるわけでございます。これに基づいて租特で特別措置を講じているわけでございますが、今回どこ探しても、これのもとにとった施策を廃止するとは書いてないんですが、残しておいた何か理由というんでしょうかリンクさせてない理由はどういうところにあるのか、そこだけ聞いて別の質問項目に移りたいと思うんです。よろしく御説明の方、お願いいたします。
#34
○政府委員(濱本英輔君) 今、村田先生が御指摘の点は法人税の話でございますか、大変恐縮でございますが。
#35
○村田誠醇君 恐らく登録免許税の……
#36
○政府委員(濱本英輔君) 登録免許税のお話でございますか。特定外交船舶等の所有権の保存登記の登録免許税の税率の軽減の話かと思いますけれども、これにつきましては、今回登録免許税の世界としましては二年間の延長でお願いしたと記憶いたしております。
 これは、いろいろな措置の中に、ちょっと私も詳細を今ここで心得ませんけれども、現在の状況からしまして二年の延長が必要であるという事情があったに違いないのでございますが、ちょっと今調べまして後刻御返事を申し上げさせていただ
きたいと存じます。
#37
○村田誠醇君 登録免許税とそれから四十四条の四かな、特別償却の方も多分入っているんだろうと思います。もとの法律がなくなれば、あとの暫定の期間、後始末のために有効ということはわかるんですが、根拠法というんでしょうかもとになったやつが廃止になったら基本的に全部が廃止になるんだろうと思うんですが、そのことについては余り触れていませんので、後で御説明をいただきたいと思います。
 それから、大分時間がたってきましたのでちょっと大臣にお聞きをしたいのでございますが、この一、二年の間に、日本経済に対応したような形でもっと国際的にも日本が貢献すべきであるということがいろいろ論議されております。人的にやるのか経済的にやるのか、いろんな形があると思うんですが、郵政省が行っております郵便貯金のボランティア貯金、これがあるわけでございますが、郵政省からいただいた資料によりますと、約九億一千万円余りが平成二年度海外の援助に使われた。これは、仕組みは、お金を貯金いたしまして、その貯金の税金を引いた残りの利子の二〇%を海外のいろんな意味での援助に使う。こういう制度をつくって募集したら、大変多くの人が協力をしてくれた。申込件数が平成三年一月の累計で六百五十四万件と非常に多数のものが寄せられた。
 ところが、これに対して税法上の特典というんでしょうか措置がなされてないのは、私はこれはちょっとおかしいんじゃないかと思うんです。だから、もっと国民にこういう面で協力をしてくれというんであれば、寄附金を控除にするなりあるいはその部分について非課税の扱いにするなりしてもっと政策的に誘導して、こういう制度を広めて国民の皆さんに協力してもらって、その一部は海外援助に使うんですよということにすべきだと思うんです。これも国際貢献にとって非常に重要なことだと思うんですが、税制上のそういう、どういう形にするかということは考えていただくとして、今の形ではこれは何の税制上のメリットもありません。ただ善意の形でやっているだけでございますので、その点についてどういうふうなことができるのか、あるいは考え方として難しいのか、その辺についてちょっとお聞きをしたいと思います。
#38
○政府委員(濱本英輔君) やや技術的な点もございますので私から申させていただきたいと存じますが、今、村田先生がおっしゃいましたような問題提起というのは、数年前にも政府部内の議論としてもございました。
 いろいろ私どもも考えてみたわけでございますけれども、当時、やはり利子課税制度というものが、それ以前ございましたマル優制度、広い意味でのマル優制度が改まりまして老人等に限定した非課税制度に改まったわけでございますが、そのときの議論というものがみんなの記憶にございまして、結局利子という非常に特殊な所得、その大量性と申しますか浮動性と申しますか、そういったものを相手に適正な課税を行いますためには、政策的な特例措置というものは非常に限定的でなければならない。結局、長い間我々が学習してきたもの、得たものをまた失うことになってしまうという議論に落ちつきまして、それ以上に、つまり今の利子課税につきまして現行以上に例外措置を設けるということは避けたいということになったわけでございます。
 現行の制度というのは御存じのように源泉分離課税制度でございますので、源泉分離課税制度と申しますのは、所得が支払われます時点におきまして源泉で税が徴収されました後は一切税との関係というのは切断されるといいますか、そういう形で課税関係が完結するという仕組みでございまして、そういう仕組みというものを崩せない以上、なかなかボランティア預金に対して特別に配慮するということは難しいということになったわけでございます。
 ただ、その当時ございました意見としまして、庶民のわずかな寄附に一々税金をかけるのかという議論も覚えております。ただ、そのことにつきましては、今の赤い羽根募金でございますとか、あるいは寄附金つきの年賀はがきでございますとか、ああいったものも結局みんな、我々細々した寄附ではございますけれども課税後の所得から寄附をしているということでございまして、細かいいろいろな寄附というものは今までそのような世界で処理をされてきているという事実もございます。
 結局、政府が中に入りまして寄附金という形でお金を集めまして一定の政策目的に資するということを考えますときに、どういうことが大事だろうかということをその当時も議論したのでございますけれども、やはり寄附というもの自体が、非常に政府自身の歳入として受けます場合には必ずしも安定的な、つまり毎年幾らということを強制しづらい、強制すべきものではございませんので、安定的な資金ではないであろう、あるいはその規模とてもそれほどのものではないだろうというような議論もございました。歳入歳出予算を基礎とします財政制度のあり方とかかわる問題もあるなどいう気がいたしたわけでございます。
 ただ、今の村田先生のお尋ねに対するお答えになるかどうかは別でございますが、政府は一方で一般的な歳出の配分の中で、そういったボランティアの貯金からそのお金が支給されております相手、対象に対しまして、政府の予算としても全体のバランスの中で一定のものが配分されているという事実もございまして、そういうものが両々相まって、結果的にはでございますが、ボランティア預金の実を上げているということは言えようかと存じます。
#39
○村田誠醇君 庶民の零細な寄附を結局積み重ねることでこういう金額が出てくるわけでございますから、これをやっぱり政府としては育てていくということが必要だと思いますので、いろいろな論議、制度上の困難な点はあるかと思いますけれども、ひとつこういう点も積極的に解釈して育てるようにぜひしていただきたいと思います。
 それで、最後に残しておきましたみなし法人の件についてお聞きしたいんですが、今回、特別控除制度をつくるということで提案されておるわけでございますが、この概要について、大変私は危惧しておるわけでございます。
 一つは、不公平税制の観点からいけば一番象徴的な部分を直したんだからいいじゃないかという論議が確かにあることはあるんですが、問題はこの新しく出てきている特別控除制度が、政府の持ってきております文書の説明にも書いてあるんですが、「正規の簿記の原則に従い記帳している事業所得又は不動産所得」ということになっているわけでございます。「青色申告書に損益計算書に加えて貸借対照表を添付している者」、こういうことが前提条件になっているわけでございますが、すべての申告をするときに、普通どこもみんなそうですが、簿記の原則に従った記帳をしているというのは大体原則なんですよね。
 国税庁の方の調査でいろいろ脱税が出るとか問題が出るというようなことがあっても、帳面の記載については全部簿記学の原則に基づいてつくられているものが圧倒的に多いはずなんです。ワーストワンでよく出てくるパチンコ業者にしても、要するに問題なのは、帳票類に、原票を帳面の形に、コンピューターなりなんなりに打つときに一定のものを外したり一定のものを多く加えたりしてつくっている数字だからおかしいということになるわけで、帳面そのものは簿記の原則に従ってきちんと書かれているというのが一般的なんです。しかも、調査にやってこられる方に聞いても、帳面をどうぞ見てくださいと言って出しても、帳面なんか見ないんですね。つまり、それは正しくついているということが当たり前の話でございまして、それを無視して原票からおかしいものを拾い出してくるというのがこれは原則です。そうすると、正規の帳簿の原則に従った記帳をしているというのは一体どういう意味を持つのかわからないんですよ。これはどういうふうに理解したらいいのか、ちょっとこの辺について御説明を簡単に
お願いしたいと思います。
#40
○政府委員(坂本導聰君) 今正規の帳簿という御指摘がございましたが、私どもの実際の調査等を行ってみますと、正規の帳簿と申しますのは貸借対照表と損益計算書を作成することができるような正規な簿記に基づく帳簿、こういうことでございますが、実際には簡易帳簿というようなもの、これは具体的には現金出納帳、売り掛け帳、買い掛け帳等でございますが、でやっている者、さらには現金主義で現金だけの経理をやっている者というものがございまして、全体的に見てすべてが正規の帳簿にのっとって青色申告をやっているということには必ずしもなっていないのが実情でございます。
#41
○村田誠醇君 今までの制度は確かに現金主義のやつもありますし簡易帳面もあるんです。だけれども、今回、「正規の簿記」と、こういうふうに言ったって、極端な言い方をすれば、コンピューターに入力すればちゃんと正規の帳面というのは出てくるんですよわ。これは確かに正確に簿記の原則に従って記帳はしているけれども国税庁の見解からすればこれが間違いなく真正をあらわしているかどうかということとは別だということなんですよね、調査なさる人は。形式は全部整っているんですよ。ただ、中身がおかしいとか、あるいはそこに記載されていない部分をどうやって見つけるかということなんです。見つかってくればこれは正規の簿記の原則に反するという形になると思うんです。
 そういう意味で、正規の簿記の原則に従って記帳というのは一体何を、普通の人は大体そういうふうにやってあるはずなんですけれども、そういうのをわざわざつくらなければいけない。あるいは従来のやつは、裏返していけば、正規の簿記の原則に従っていない帳面で多少粗っぽいけれどもメモ的なものさえついていればいいのというふうに、三段階、白は本当は記帳してもらうのが原則かもしれませんけれどもなくてもいい、そのかわり推計課税しますよということになっているはずですから。この意味が、これは末端で調査していくときも含めて僕はかなり混乱を起こすんじゃないかと思うんです。
 つまり、今言ったように、原票から正確に打ち込んでないとすればこの資格を取り消されるということだってあり得るわけですよね。それだったら最初から今の十万円の控除の青色の方にしておいた方が、いや、これはうちの帳面少し記載漏れが一部あるかもしれませんと言っておけば、何か見つかったって問題が起こらない、こういう形になってくるんじゃないかと思って、制度としては分けるのは意味はわかる要素はあるんですけれども、現実に執行なさる国税庁の方あるいは一般の税務署の方ではこれは相当のトラブルが起こるんじゃないかと思うんですよね。今の説明ではちょっと末端の方は大混乱起こすんじゃないかと思うんです。
#42
○政府委員(坂本導聰君) 先ほど申し上げましたように、現在、青色申告をしている方々で正規の帳簿でやっている方々、それから簡易帳簿でやっている方々、あるいはさらに現金主義に基づく簡単な経理をやっておられる方々というように分かれるわけでございますが、今回の制度改正では、その記帳の実態を勘案しまして正規の帳簿の原則にのっとった記帳に即座に移行することは困難であるということでございまして、五年間の暫定措置がとられておりまして、その暫定措置というのは、確定申告書に損益計算書と貸借対照表の添付があればこの三十五万円の特別控除が得られる、つまり損益計算書に貸借対照表がついていればいいという形式判断で判断ができるということでございますので、執行面では混乱が生じないと考えております。
#43
○村田誠醇君 普通、簿記の原則に従って記帳がされていれば、損益計算書と貸借対照表というのはできてくるんですよね。だから添付しろと言われればすぐそれは添付はできますけれども、問題は、今言ったように正規の帳簿の原則に従っているかどうかというこの判断なんです。そういう意味で、つまり記載漏れがあったときに意識的なのか不注意で漏らしちゃったのかということの差がここに非常に差が出てくるんじゃないかということなんですよね。そのことではっとかけられたときに、これは形式的に貸借対照表がついていればいいといったって、それは数字はつくれば、つくればというのは帳面ができていれば並べかえればいいだけの話ですから、あるいは最近は機械でボタンを押せば最後まで出てきちゃいますから。そういう意味でこれは非常に混乱を起こすもとになるんではないかと思います。そういう点で非常に実施に際して混乱を起こさないようにしておいていただきたい。
 一つだけこれわからないんですが、事業所得と不動産所得を生じた場合ということになって、山林所得が落ちているんですよね。これは何か意味があるんでしょうか。そのことだけちょっと御説明いただけますでしょうか。
#44
○政府委員(濱本英輔君) 山林所得をこの三十五万円の特別控除の適用から除外しております理由でございますけれども、事業所得と山林所得というのは、村田先生の御指摘のお気持ちは、非常に似ているものであって差別する理由はないというふうにお感じになっているというふうに思いますけれども、確かにそういう面はございます一方で、山林所得の金額の計算というのは、所得税法にも規定されておりますようにかなり厳密に個別対応で計算しておる。それで、実際山林の実態というものを考えまして経費率も概算経費率四〇%という概算経費率でその所得計算を行うことができますし、行っておられるものがほとんどであるということを聞いております。
 そういうものからいたしまして、今までの実態が急変するということも考えられず、事業所得とこれを全く対等に扱うということはいきなりは難しい。今までいろいろな場面で事業所得、不動産所得と山林所得というものを取り扱いを異にしておりましたのは今のような事情によるものとお考えいただきたいと存じます。
#45
○村田誠醇君 わかりました。
 時間が来ましたので、用意しておいたやつあるいは御連絡しておいたやつを少し飛ばさせていただきまして、準備した方にはまことに申しわけないんですが、ちょっと証券の方についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 その前に、きょうの新聞にもでかでかと載っておったんですが、山種証券の件で、契約書が証券会社と事業会社との間に交わされて、その中に株の取引によるものということが明記されているし、年率二一%という利回りの保証も数字も入ったものが契約書があるということが当事者間の中で出てきているわけでございますが、この報道について事実関係をどこまで掌握なさっているのか、まず概略御説明をいただきたいと思います。
#46
○政府委員(松野允彦君) 御指摘のきょうの新聞記事でございますが、これは山種証券につきましては、御承知のとおり、先日いわゆる飛ばしということで証券会社が使用者責任を問われて負担をするというようなことが公表されたわけでございますが、それ以降私どももこの中身につきまして事実関係を現在調査しているわけでございます。もちろん、ここにきょう出ました記事につきましても、私どももこの契約書の存在について至急事実関係を確認したいというふうに思っておりますし、またこういう契約書を、これはまだ中芽は確認できていないわけでございますけれども、こういうものも含めて事実関係の中で証券取引法違反行為がなかったかどうかという点について事実関係をさらに調査しながら、その中で違法行為の有無について確認をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#47
○村田誠醇君 それじゃ、証券局としては、年率二一%の利回りを保証するとかあるいはこれが株式売買取引であるという、こういう書いてある契約書の存在そのものはまだ確認していない、こういうことでよろしいんですか。
#48
○政府委員(松野允彦君) 今至急確認をしようと
して会社から事情聴取しているわけでございまして、契約書そのものについてまだ内容を確認するに至っておりません。
#49
○村田誠醇君 これはもう早急にしていただいて、これはもう完全に利回りの保証をしたという確証なんですよね、この契約書が正規のものであるとすれば。新聞にも明らかに契約書の写しなるものが一部写っているわけでございますから、これについて早急にまず調査をしていただきたい、そして御報告をいただきたいということであります。
 ただ、大蔵大臣にお願いをしたいのは、こういった問題が起こるたびに、常に私ども後からわかることなんですけれども、大蔵省の証券局にはかなり事前の段階から情報といいましょうか相談といいましょうか報告が入っているんですね。そして、その時点で内々にある程度処分しておいて、ところがその情報が半年かそこらして新聞その他で報道されて大きくなってくると、慌てて対応策をとり出すということなんです。今回の飛ばしも、昨年の金融・証券業の不祥事の審議をしたときにも一部指摘されておりますし、あるいは証券局長もそういった行為が行われていた、あるいは市場外で媒介という行為を無料サービス的に行っていたやつもあるとか、いろいろ言われているわけでございます。しかも、今回の報道は八九年度から一番古いやつはやっておったらしいというところまで出てきているし、関係者の証言でもかなり年代をはっきり言っていっているやつがあるわけでございます。
 そうすると、大蔵省はその間に証券の不祥事で何回も調査に入っているし、関係者から聞いているはずなのに、こういう問題が出てくると、わかりません、初めてですと、こういう説明をなさるのはどう考えてもおかしいんじゃないかと思うんです。しかも、昨年の十二月の十七日に本院の決算委員会で私がやはり山一の飛ばしについて聞いたときにも、御存じなんですよね、今回会社の名前が出てきたようなやつは御存じなんです。どうしてこういうことを放置しておくのか。放置しているわけじゃないんでしょうけれども、監督しているのか保護をしているのかよくわからない。
 そういう意味で、大蔵省は一体今回のこういう飛ばしのいろんなケースが会社名が具体的に出てきているわけでございますが、大蔵省の証券局にこういう事例が相談なり報告が来たのはいつなのか。それが大臣のところまで来て、こういう問題がまた起こりましたということの報告はいつ来たのか。ちょっと年月日、年月日という詳しいことは要りませんが、いつごろにこの事件といいましょうかこういった事例を大蔵省の証券局は把握しておったのか、ちょっとその辺の事実関係を御説明いただきたい。
#50
○国務大臣(羽田孜君) 私どもが承知しておりますのは、当然、私十一月に就任したわけでありますけれども、こういった事例につきましてそういったトラブルが生じておるということにつきましては、昨年の九月から十二月ごろということに報告を受けているようであります。これに対しまして大蔵省の方といたしましては、顧客とのトラブルの処理につきましては、不明朗な形で処理することがないようにということで、法令に基づいて適切に対処すべきであるという指導というものを行ってきておるということでございます。
#51
○村田誠醇君 それならば、大臣、昨年の十二月の十七日に決算委員会で私が質問したときにこの問題についてはもうわかっていたと思うんですよね。例えば山一の件について聞いたんですから、東武百貨店とのケースの件は当然わかっているはずだと思うんですけれども、このときには何も言われてないんです。もうこれ以上出ないというような形です。しかし、それ以降もこうやってどんどんどんどんと出てくるということになると、大蔵省が果たして全部入ってきた情報を公表しているのかというのは非常に不信感を持つわけです。それが現在の株式市場に対する一般の投資家の不信を招いていることだと僕は思うんですね。
 しかも、関係者はもう八九年時代から飛ばしをやっていましたということを記者会見ではっきり答えているところもあるわけですよね。監査してもわからない、こういった行為あるいはそういった問題が出ている。しかも株式を使った先物取引、こういったものについてもっと毅然たる態度で事実関係をきちんと公表すべきだと思うわけです。この飛ばしの実態について、どれだけ現在訴訟になっているのか、どういう会社がこれに絡んでいるのか、きちんと全貌を公表する資料を出していただけますか。
#52
○政府委員(松野允彦君) 私どもは、いわゆる飛ばしと言われている行為、これにつきましては、御指摘のようにそういう行為があるんではないかという疑いを持っていたことは事実でございます。また、今大臣からお答え申し上げましたように、昨年の九月からお客との間でトラブルが生じているというトラブルの報告があったことは事実でございます。
 ただ、個々の取引に伴うトラブルでございまして、それについては、一般的には、大臣からお答え申し上げましたように、いわゆる損失補てんが問題になったようなああいう不明朗な処理は絶対にしないように、法令に則して適正に対応するようにという指導をしてまいっていたわけでございます。その結果、訴訟になりあるいは民事調停に移行するというようなことで、こういう問題が証券会社の使用者責任ということで証券会社の負担という問題が出てまいったわけでございますが、私どもは一方では、もちろんトラブルが起こりますと今申し上げたように適正に対応じるということを指導するわけでございますけれども、そのトラブルの中で証券取引法違反行為があるかどうかという点については、全体のトラブルについてどういう解決がなされたか、あるいはそのトラブルの中にどういう事実関係が含まれているかというのを完全に把握しないと違法行為の有無についての判断ができないわけでございます。
 個々のトラブルについてすべてをそういう証取法違反、あるいは証券会社の監督責任あるいは経営責任というようなものを問うということについては私ども行政としては当然やらなければならないことだと思うわけでございますが、個々のトラブルの中身を、ただ事実関係だけを公表するということについては私どもの立場としてはおのずから限界があるということは御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
 また、訴訟につきまして今言及がございましたが、訴訟につきましては、現在私どもは証券会社が訴訟の当事者となった場合には報告をするようにということを要求しております。したがいまして、現在訴訟が行われているもの、あるいは報告が何件あったかという点については把握をしているわけでございますが、ただその中身がいわゆる飛ばし的なものなのか、そうではなくて個人の投資家の取引に伴うトラブルがもとで訴訟になっているというものも相当たくさんあるわけでございまして、その中身について分類するということは、すべての報告を整理して中身をチェックしているわけではございませんので、少し時間がかかるわけでございます。
 いずれにいたしましても、訴訟がされているものについてはそういう格好で把握をするということが件数としてはできますし、中身も時間をかければ分析できるわけでございますが、それ以外のもの、例えば民事調停手続が現に進められているものとかというようなものについてまで完全に把握をするというのは、やはりそういうものが一応解決がついた段階で証券会社がみずからできるだけ公表をするということで指導しているというふうに御理解をいただきたいと思います。
#53
○村田誠醇君 証券局長、今証券の取引は非常に低調でありますね。不活発の理由に、関係者の中で三つのMということを言われているわけですね。多分御存じだと思うんです。一つは宮澤総理のM、三重野日銀総裁のMですよ、私も村田だからMがそこへくっつくかと言ったらそうじゃない
んで、それは局長さん、あなたの名前をとって三つのMということなんですよね。つまり、本来病根があったらきちっと切除して取り除かなきゃいけないのに、取り除いてないからだというふうに僕は一方的に理解してますけれども、どういう意味で局長が入っているのかはわかりませんよ、でもみんながそういうふうに言っている。
 しかも、私どもで非常に危惧、危惧というかおかしな扱いをしているのは、前回論議したときに、九一年の三月時点で補てんをしたその中の会社に、山一証券がやった部分で協進トレーディングという三井物産系統の子会社があるわけですよね。ここの会社の関係者が説明したのは、期日に約束どおり元本プラス利息で返済を受けた分なんですと言っているんです。つまり、今回やっている、説明している金銭消費貸借みたいな形の契約書を入れてそのとおり履行してもらっただけですと言うんですよ。これがあの去年の段階では損失補てんですと言ってリス牛が出てきたんです。ところが、今回出てきたやつもまるきり同じなんですよ。株を使っているかストリップス債を使っているか、それは別ですよ。形態としては全く同じことなんです。去年の段階でこれが損失補てんだったんですよ。何でことしになったらこれは和解による一種のトラブルでありますと言うのか。取り扱いが明らかに違うんじゃないかと思う。
 しかもこのトラブルが起こったのは、既に去年のもう遅いものでも七月から十一月ぐらいなんです。七月時点ということは、論議をしている最中の話なんで、この部分が監査をやってもなおかつわからないという、報告もない、あるいはわからない。これは損失補てんでも何でもないというふうに言うのはちょっと無理があるんじゃないかと、いうことが質問の一点目です。
 それから二点目は、こういう飛ばしという行為が、すかいらーくの例を出して申しわけないんですが、四十八億の時価のアメリカ国債を四百八億ですかいらーくが購入して、それを四百二十八億円で買い戻すという約束になっていたんですね。十倍以上の価値がついているわけですよ。東武百貨店の場合も、自分のところに来るまでの間に十から二十の企業をこの飛ばしという行為でもってやってきただろうと言われている。
 だから、これ最後にばばをつかんだ人とそれを渡したところだけがわかっているんで、その間に逃げちゃった企業がたくさんあるということなんですね。この点についてはどこまで把握しているんですか。ばれなかったからいいやということなのか、調べる必要がないのか。最後にばばをつかんだ人だけを公表しているという、こういうやり方はどうもおかしいんじゃないか。このどこの間を飛ばしてきたのかということを解明できなければ実態がわからない。実態をあやふやにしておくから三協エンジニアリングでやったような行為をまた繰り返したというわけですね。
 ですから、この二点についてどこまで考えているのか、実態把握しているのか、調査しているのか調べて教えていただけますか。
#54
○政府委員(松野允彦君) 第一点目のお尋ねでございますが、補てんとどう違うのかということでございます。
 これは例に出されました協進トレーディングの場合、これは補てんということで公表リストに入っているわけでございますが、このケースは証券会社が取引の相手方となって行っている行為でございます。ところが、今回出てまいっておりますものは、取引当事者には証券会社は一切入っていないわけでして、A企業とB企業という全く民間の別の企業同士の直取引、これを売買と見るかあるいは金融取引と見るかという問題はあるわけでございますが、いずれにしても契約当事者はあくまでも証券会社以外の企業同士の取引、証券会社は契約書上には何ら名前が出てきていないわけでございます。
 ただ、それがどうして証券会社がそれに対して使用者責任を問われるかと申しますと、その契約をA企業とB企業が結ぶ際に、証券会社の営業員が伸介行為をしたと。仲介行為をめぐって、あるいは新聞に出ておりますような契約書のようなものがあるというようなケースもあるという疑いがあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、証券会社自身も営業マンのそういう事実上の伸介行為といいますか、これ手数料も取っていないものですから、証券会社の帳簿上には全くあらわれてこない取引でございます。そういったことで、証券会社として把握することができなかったという事情があるわけでございます。これは私どもも特別検査に入ったりして、前の機会にお答え申し上げましたように、こういう飛ばしというようなことが言われておりましたので、そういう問題意識を持って検査はしたわけでございますけれども、何分、今申し上げましたように証券会社自身も全く把握ができないというようなケースにつきましては、残念ながら私どもも検査で把握するということができなかったわけでございます。
 したがいまして、この補てんということにつきましては、私どもが問題にいたしましたのは、証券会社が補てんをするという行為でございまして、A企業とB企業の間で取引が行われ、それが非常に余り正常でない取引だというようなことは確かに言えるわけでございますけれども、民間企業同士の取引について私どもが直接それを評価するという立場にはないわけでございます。それが証取法に触れる、つまり証券会社の営業マンないし、あるいは証券会社自身がどこまで関与して、それが証取法に触れるかどうかということになってまいりますと、それは私どもの領域に入ってくるわけでございます。
 それから、二番目の御指摘でございます中間にいろいろと取引行為があって、結果的に出たのはその最後のものではないかという御指摘でございます。これは私どももそういう疑いを持っているわけでございますが、何分、今申し上げましたように営業マンが個人で、会社が全く把握できない形でそういう直取引の仲介を繰り返しているわけでございまして、なかなかその実情を把握するということは難しいという問題がございます。
 さらに、私どもとしては、今申し上げましたようにあくまでも証取法上の問題点がないかどうか、あるいは証券会社の内部管理、経営管理等に問題がないかという観点で問題を解明するわけでございまして、途中の取引行為というものについても、仲介している営業マンがどういう行為をしていたかということは把握する必要があるわけでございますが、個人行為であるということでなかなか会社も把握していない、その個人に聞いても記憶がないとかいうようなこともあるようでございまして、なかなか全体の姿を把握するということは非常に難しいということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
#55
○村田誠醇君 今説明された中で、協進トレーディングの場合は証券会社とこの会社との間に契約があったということで理解してよろしいんですか。これはあったとすれば何を使ったのですか、株なんですか、それとも債券なんですか、ワラント債なんですか。
#56
○政府委員(松野允彦君) 協進トレーディングの具体的取引内容については現在ちょっと私も記憶が定かではございませんが、いずれにいたしましても、証券会社が損失補てんをしたということでリストに載っかっているわけでございまして、契約書があるかどうかということは別にいたしまして、少なくとも証券会社と協進トレーディングとの間に取引が行われて、その取引が正常な取引ではなくて、その取引の対価の一部は損失補てんであったという認定がされたわけでございまして、そういった意味では、証券会社が何らかの形で損失補てんという形で利益供与をしているわけでございますから、その間に取引があったということであろうかと思います。
 詳しい中身については、もしあれでしたら後ほど調査して御報告したいと思います。
#57
○村田誠醇君 山一のケースは、八九年にも、先ほど触れたように三協エンジニアリングの会社を使って飛ばしの損失で出たやつを飛ばして全部集
めてきてこれで一回やられているわけですよね。大蔵省の監査も受けたし、指導も受けているわけですよ。それなのにまだ出てくるということ自体は、しかも、これは会社も把握できないからわかりませんという説明では、新しくつくる監視機構も調査に入ったってわからないということですよね、これでは。それじゃどうやったら防止策打てるのかといったら、何にもないということですよね。破綻するまでわかりませんというこんな説明では、あるいはこういう行為が堂々と行われていますというから、株価に決していい影響は出てこないし、もっと毅然たる態度できちんと調べなければいけないんだろうと思いますね。繰り返し繰り返しやる。
 今回のこの幾つか最近一、二カ月の間に報道されたケースの中で、大半は債券を使っているというやつもありますけれども、株を使ってやった、大和証券の自身の株を使ってやったというケースもわかっているわけですが、株券を使ってこの行為を行ったのはどのくらいあるのか。これは証券取引法で言うところの利回り保証、一定の期間後に二足の値上がりを保証して引き取ったということであれば明らかに証取法違反の行為を繰り返していると思うんですが、今幾つか公表されている会社のうち、株券を使ったものはどのくらいあるのか教えていただけますか。
#58
○政府委員(松野允彦君) ちょっと今株券だけということでは手元に数字がございません。後ほど調査して御報告したいと思いますが、ただ、一つ申し上げておきたいと思いますのは、株券を使って取引をした場合に、即それが取引法違反になるかどうかという問題でございます。これは先ほど申し上げましたように、取引の形態はあくまでも民間企業同士の間の取引でございまして、民間企業同士が株券を売買するという形態の取引になるわけでございます。もちろんその値段が、先ほど御指摘がありましたように、例えば時価が数十億しかないものを数百億で取引をするとかいうような、常識的にはややおかしな取引ではございますから、それは売買取引と見るのかあるいは金融取引と見るのかという問題はあるわけでございますが、取引形態自体はあくまでも民間企業同士の株の売買、あるいは株を担保にした金融取引ということでございまして、その行為そのものは証取法上は何ら評価することはできないわけでございます。
 問題は、その取引を伸介した営業マンの行為でございまして、その営業マンの行為が、仮にその営業マンが一定の利回りを保証するようなことを約束するとかいうようなことになってまいりますと、これは証取法違反の問題が出てまいるわけでございまして、取引行為そのものについて証取法違反の問題があるかどうかというのは、証券会社が相手方となって取引をした場合にはそういう問題が出てまいりますが、民間企業同士でやる場合には、しかも直取引でございますし、市場を通さない取引でございますから、相対でやる取引について証取法でその取引についての適否を判断するということはできないということを御理解いただきたいと思います。
#59
○村田誠醇君 証券局長は一貫してこの行為は直取引をしているんだから金銭消費貸借である、こういう考え方なんです。ただ、おせっかいなセールスマンが一人いて善意に伸介したために使用者責任を問われているんです、被害者は証券会社ですと、こういう説明に聞こえるんです。そうじゃないと思うんですよね。
 私の質問に対しても、あるいは証券・金融不祥事の特別委員会においても、こういう手数料は取らないけれども、善意か悪意かは別として、市場外での取引に関与している事例がありますということを、調査の結果でもそういう事例が幾つかわかっておりますということを説明しているわけですよ。その見つかった事例が今回の事例と違うんですかということも出てくるわけですよ。
 善意で行った仲介に対して証券会社がこんなにでかい責任を負わされるものなんですかということなんですね、そうなると。使用者責任だけで律するのであれば、これはおかしな話になりますよ。そんな、善意でやった行為に対してということでしょう、今の局長の説明でいくと。――まあいいですよ。
 しかも、山一護券は、先ほど言ったようにもう何回も同じようなケースを繰り返しやっているわけですよね。当然従業員に対してこういうことをやっちゃいかぬぐらいのことは指導しているはずなんです。そういう意味で、どうも局長がかばおうとすればかばおうとするだけ疑問が出てくるし、だから三つのMと言われるようになるのかは別ですけれども、そういう意味で、まずこれが金銭消費貸借であるという前提条件といいましょうか、そういうことで対応するんじゃなくて、株を使った現先取引であると。そうしないと取り締まれないし、おかしな話になってくるんですよ。その行為をセールスマンがやったんだということにならない限り説明つかないんです。
 しかも今度の山種のケースは、これはうそかどうか知りませんよ、報道によれば、一介のセールスマンがやった行為を会社が契約をし、認め、会社が払えないときは社長、山崎会長ですか、個人が払うという念書まで書いてあるというふうな報道になっているんです。善意でやったセールスマンの行為で会長が自分の資産をなげうってまで保証するなんという、そういう書類が出てくるということ自体が、局長さんの説明ではどう考えたって理解できないんです。それが株の世界だというのであれば、これはもうそんな世界に手を入れるなということしか言えなくなっちゃうんです。
 ですから、繰り返し繰り返し出てくるこういう証券の不正常な状態に一刻も早くメスを入れて正常に戻さない限り、これは株価のてこ入れ政策を何をやろうが効果がないということなんですね。ですから、山種のケースも含めてきちんと調査して、証取法違反がはっきりするもの、利回り保証が明確なもの、あるいは今回裁判その他で物証としていろんなメモが出てきているとかということが報道されているわけでございますので、きちんと対応して、そして調査して、この際うみを全部出し切ることが株価の向上の対策にとって一番必要であると私は思うわけでございますので、そのことをきちんと調査して次の委員会、あるいはまたこういう問題が起これは特別委員会をやるのかどうか知りませんが、そのときまでに報告できるように大蔵省の方で調査をしてもらうことを強くお願いして、時間が来ましたので私の質問は終わらせていただきます。
#60
○委員長(竹山裕君) 濱本主税局長から、先ほど御返事の残りの分の発言があります。
#61
○政府委員(濱本英輔君) お尋ねいただきました点にお答え申し上げ、あわせまして本日脚提起いただきました問題を私どもなりに整理して聞いていただきたいと存じます。
 一般的に、村田先生がおっしゃいましたように、法律の期限が到来いたしました場合には、それを受けた租税措置はその時点で停止する、原則としてそのとおりと考えます。特に経過措置を要するようなもの、それは別でございますけれども、原則はそのとおりだと考えております。ただし、場合によりましては、その親となります法律が残っておりますのに、税制措置は目的を達成したと考えられます場合には、法律の期限到来を待たずして廃止をするということがあり得るということは御理解をいただきたいと存じます。
 ところで、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法でございますけれども、これを受けました税制上の措置は、A、B、Cと例えば幾つかあったといたしまして、その中の中小企業基盤強化税制に係ります分につきましては、今回親の法律はまだ生きておりますけれども目的を達成したと見て期限前に廃止をさせていただきたいというのが一つ。ただし、残りました他の税制措置につきましては、引き続きこの法律の期限が参りますまで恐らく全うさせていただくということになろうかと存じます。
 それから、後で御指摘がございました特定船舶製造業経営安定臨時措置法の関係。これが廃止に
なるのに保存登記の税率の軽減とか特別償却は生きているというのは説明のつじつまが合わないではないかという御指摘でございますが、そのとき思い起こせませんでしたけれども、調べてみましたところ二つございまして、一つはその保存登記の関係。これは特定の外航船舶の所有権の保存登記の問題なんでございますが、実はこの措置を裏づけております法律としまして外航船舶建造融資利子補給臨時措置法という法律と漁業再建整備特別措置法という二つの法律から今の保存登記の規定が定まっておるようでございまして、その根っこになっております法律は現在なお走り続けておりまして、これを受けて今回二年の延長をお願いするということのようでございました。
 それから、もう一つの産業構造転換用設備の特別償却、こちらの方も確かに先生のおっしゃった法律を受けて従来存在しておったようでございますが、昨年目的を達成して、これは親の法律の期限到来を待たずして対象から排除された、打ち切られたということのようでございます。
 以上、御報告を申し上げます。
#62
○委員長(竹山裕君) 午前の質疑はこの程度として、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#63
○委員長(竹山裕君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#64
○赤桐操君 いろいろ地価税問題や土地、住宅関係の問題との関連で、本論に入りまする前に、きょうの新聞に「「生活大国」実現へ目標」、「新経済五カ年計画 中間報告概要まとまる」、こういうふうに出ております。これは、経済閣僚の大黒柱ですから大蔵大臣が中心でおつくりになったんだと思いますけれども、この概要について、あらましで結構でございますが御説明を願いたいと思います。
#65
○国務大臣(羽田孜君) 実はこの問題につきましては、経済企画庁長官が中心になりまして、今、経済審議会の方で審議がされておるというふうに私ども承っておりまして、実は私どもまだ中間報告というのは聞いておらないというのがもう率直なところでございますので、申しわけございません。
#66
○赤桐操君 これはまたいずれ内容的に御質問申し上げる時期が来ると思いますが、それではひとつ本論に入りたいと思います。
 まず、地価税関係でお伺いをいたしたいと思います。地価税の純増収分の使途についてお伺い申し上げます。
 地価税収入の使途については、税制調査会が「土地税制のあり方についての基本答申」において、「土地税制の見直しはこ「増収を目的とするものではない。」、「土地保有税」、地価税「を創設する際には、所得課税の減税を合わせて検討することが適当である。なお、新税の税収について、その一部は所得課税の減税と合わせ、土地対策等に資するという観点から、歳出を通じ国民生活に還元することが適当ではないかとの意見もあった。」、このように述べられております。また、国会の論議の中でも、土地対策に充当すべきであるとか、減税に回すべきであるとか、同様の附帯決議がなされていることについては先刻御承知のとおりであります。
 しかし、今回の状況を見ますると、この税収分については一般財源にこれは充てられてきている。こういうことになっております。これでは資産格差の是正に用いるという地価税導入の大義名分ということから見ましても、制定の趣旨から考えても反することで、あるいはまた減税を見送ったというこの事実からいたしましても、増収を目的とする結果に終わっているわけであります。
 地価税収入については、税収不足の穴埋めに使うのではなくて、制度創設の本旨に立ち返って、所得減税なりあるいはまた土地対策とか住宅政策とか、いわゆる国民生活に還元するという形がここに限定されてとられるべきものではないか、このように考えますが、大蔵大臣、御所見を承りたいと思います。
#67
○国務大臣(羽田孜君) 地価税創設に伴います純増収分についてでございますけれども、確かに今赤桐委員の方から御指摘がございましたように、衆議院そして参議院の委員会の審議、あるいはその決議というものを私どもも承知をいたしております。
 また、一昨年の税制調査会におきますところの答申というものもちょうだいしておったわけでありますけれども、今度の予算を編成するに当たりまして、昨年末の税調答申で、「極めて深刻な状況に陥っている財政事情等を考慮すれば、土地対策等に資するという観点から歳出を通じ国民生活に還元することが現実的には適当である」と。今、委員の方から御指摘のあったこの点を私どもは重視しながら予算編成に当たったところでございます。私どもの方といたしましても、この答申の基本的な趣旨でございます土地対策、こういったところに資するということでございまして、歳出面におきましてこれらの経費といいますか、こういったものに適切に配慮をしてきたというふうに考えております。
 今幾つかもう御指摘がありましたけれども、具体的に申し上げますと、いわゆる公共用地の先行取得ということで対応したこと、あるいは住宅宅地の供給促進ですとか、また土地の有効高度利用の促進をする面、あるいは土地情報の総合的整備の充実というようなことでございまして、厳しい財政事情の中で一応ともかく全体の土地関係あるいは住宅関係というようなところで、純増分が一応二千億円と言われておりますけれども、いろんな各予算というものを削らしていただきましたり、そういう中におきまして相当のものを私ども確保していただいたということでございまして、今後におきましても、これまでの国会の御論議やあるいは附帯決議の趣旨、税調答申の趣旨、その他の諸事情というものを踏まえながら対応していきたいというふうに考えております。
#68
○赤桐操君 いずれにいたしましても、基本答申の中に出ているのは、国民生活に還元しようということが言われているわけですね。これはいろいろの方法があると思うんですが、三月の十八日、二十日、二日間にわたりまして日本経済新聞社が世論調査をやっております。この世論調査の宮澤さんに対する評価とかそんなのは別にいたしまして、この中でやはり景気対策として一番強く挙げられている声は減税の実施がトップ。これは大臣御承知だろうと思うんです。そのほかのは、公定歩合の引き下げであるとか補正の編成であるとか、いろんなのが出ておりますが、それは別にいたしまして、やはり一番トップに挙げられているものは減税の実施なんです。それほど国民にとっては重税感がある。
 私は、お伺いするのでありますが、政府が税制改革と称して所得税の減税を実施したのが昭和六十三年であります。この昭和六十三年度から見ると、もう今日三年の経過を経ています。それで所得税については、物価が継続的に上昇しているその現実の中で、名目所得が上がっても物価上昇に応じた減税が継続的に行われていかない限り、実質増税が着々と進行するという性質のものですね。それは各種の控除額が固定されていることと、税率がフラット化されているとは言いながら累進税率が適用されているからでしょう、これは。
 したがって、税制改革以来三年の間、実質増税はかなり進行しておるわけでありまするから、四年度の税制改正においては当然所得税の減税が実施さるべきだったと思います。所得税減税はないとの状況の中において、いわゆる個人消費と設備投資が二つの大きな柱であります。これが景気を支えている柱だと思います。少なくとも、個人消
費が低迷している今日の状況の中で、需要を大きく増大させるということは必須の政策ではないかと私は考える。
 そういう点からするならば、そしてまた国民は重税感に大きく包まれているがゆえに、日本経済新聞社の世論調査の中ではトップで減税という声が上がっていると思うんです。ですから、こういう角度に少なくともこの金が使われるのが当然だったんじゃないかと私は思うんですが、この点どうですか。
#69
○国務大臣(羽田孜君) そういう御指摘があったことは私も承知いたしております。ただ、今所得減税についてもお触れいただいたわけでありますけれども、ちょうどこれ六十二年、六十三年どこの二年間で五兆五千億円というものをなし遂げたわけでありますけれども、この中で最低税率、これは一〇%の適用の範囲の大幅な拡大をやったこと、あるいは累進緩和及びその簡素化をなしたこと、また基礎控除ですと、配偶者控除、扶養控除の引き上げをやりましたり、また配偶者の特別控除の創設ですとか、十六歳から二十二歳までの扶養親族を対象とした割り増し扶養控除の創設などをやったということであります。それによって所得税、住民税合わせて、先ほど申し上げた五兆五千億円になるわけでありますけれども、この結果、いわゆる中低所得者層、この人たちの重税感というものあるいは負担累増感というもの、これは大幅に緩和されたというふうに考えております。
 我が国の所得税は、主要諸外国と比較いたしましても、課税最低限、これはもう御案内のとおり日本が三百二十万、アメリカ二百五万、イギリス百十五万、ドイツ百八十六万ということでありますし、あるいは最低税率も日本が一〇%、アメリカ一五%、イギリス二五%、ドイツ一九%、負担額も五百万円のあれといたしますと、日本が二十一万円に対してアメリカが六十一万、イギリスが九十六万、そしてドイツが六十一万ということで、大分低い水準にあるということが申し上げられると思いますし、今いわゆる可処分所得というものが大分この数年間の間に厳しくなったんじゃないかという御指摘があったんですが、私どももいろいろと勉強いたしてみますと、いわゆる税引き後の所得でございます可処分所得は、実質の上昇率で見ても堅実な伸びということでございまして、平成元年が実質の前年対比でいきますとおよそ一・五%、また平成三年も一・九%ということでございまして、この間にやっぱり物価が安定しておったということもありましょうし、もう一つは賃金のベースアップというものもあったということで、私ども可処分所得の面で見ましても今割合と安定しておるんじゃなかろうかなというふうに思っております。
 そして、今御指摘の、最大のあれはここでやっぱり減税することが一番景気にも影響を与えるのじゃないかという御指摘であるわけでありますけれども、確かに減税というものは消費を伸ばすという大きな面があることも事実でありまして、これがやり得ればこれはだれも喜ぶことであるのかもしれませんけれども、しかし、もう御案内のとおり、今日の税収状況というのは非常に厳しいということで財源が大変厳しいという事情でございまして、今度の予算を編成するに当たりましても、例の自動車税につきましても六%だったものを、これ一応失効させましたけれども、やはり三%ということじゃなくて四・五%お願いするとか、あるいは法人特別税をお願いするというような実は措置をとっているところでございまして、非常に財政的にも厳しいという中で、今減税というのはとり得る状況にないんだということ、これはぜひとも御理解をいただきたいとお願いを申し上げるところであります。
#70
○赤桐操君 物の考え方はいろいろあると思うんですよ。要するに、景気が上昇気流に乗っているとき、あるいは過熱しているときに増税ということはわかるんです。しかし、景気が後退して大変重大な事態が将来予測される、あるいはまたかなり厳しい状況がもっと来るんじゃないか、こういう懸念があるような場合においては、これはやはり増税ということは普通とるべきじゃないんじゃないですか。むしろそういうときこそ苦しくても思い切った国民の世論に従った減税措置をとるということが結果的に景気を上昇させて、その果実を総体的に大きく還元していく形がとれるんじゃないですか。我々はそういうように認識してきているんですが、ちょっと大臣の見解と違いますが、いかがですか、これは。
#71
○国務大臣(羽田孜君) それは御指摘のとおりでございまして、そういう中で私どもも必要最小限ということで、やむにやまれない事情の中でお願いをしたということであります。
 ただし、増税と今御指摘があったわけでありますけれども、一応失効させたということでありますけれども、法人特別税については、いわゆる中小企業ですとか零細企業等に配慮いたしまして今まで三百万だったものを四百万円にするというような対応をするとか、あるいは車につきましても六%だったものを四・五%にしたということでございますから、それぞれの負担というものはむしろ少しでも小さくなっておるであろうということでありまして、私、増税をやるということがいいということじゃないのであって、やはりどうしても必要な、もういろんなものを節約したりなんかしたんですけれども、どうにもならない中でこの分だけひとつお願いをしたいということでこの税というものをお願いするということで、今ここでそういう中にあって減税をする環境にないということを実は私は一番申し上げたかったわけでございまして、その点はぜひ理解をいただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。
#72
○赤桐操君 この問題はこれで終わりにいたしますが、サラリーマンの諸君から、勤労者の諸君からかねてから出ているのは、少なくとも物価調整減税というものについて制度化すべきじゃないかということです。これは今、労働界からも出ているし、そのほかのいろいろの団体からも出ております、この点については。それは累進課税からきている。大きな原因なんですよ。だから、そういう意味からするならば、例えば一般の場合だったならばいろいろと申告をして調整することができるけれども、サラリーマンの場合にはそうじゃないわけです。そういう意味で、この種のものを考えるべきではないかということは切なる声なんです、減税問題とあわせて。これに対してひとつ御答弁願いたいと思います。
#73
○政府委員(濱本英輔君) 減税問題につきましてはただいま大臣から御答弁があったとおりでございますが、重ねて赤桐先生のお尋ねはインデクセーションを導入すべきではないかということかと存じますが、この問題につきましても政府税制調査会等で過去いろいろな機会に議論がございました。
 結局、インデクセーションというものを考えてみました場合に、税体系全体と物価との関係をどうするかということになるわけでございますけれども、部分的に物価スライド制を導入しました場合にはやっぱり税体系全体としてどこかにゆがみを生ずる。ここに物価スライド制を導入するならばあそこにも物価スライド的な考え方が入ってこなければおかしいのではないか。いろいろな局面があり得ると存じますけれども、例えば従量税のような形で定められております間接税などは、物価が上昇しできます場合にはその分が目減りをしていくというようなことにならないかという議論もございました。
 そうこう考えてみますとさほど容易なことではないという技術的な問題。あわせまして、やはり歳出面、歳入面にそういった装置が導入されました場合の財政全体の姿というものがどういうことになるか、財政安定化のかぎが外れてしまうおそれがあるのではないか、そういった財政全体の形というものからも問題が大きいということになりまして、ただ、必要なときに所得税減税なり各種の減税というものは必ず行われなければならない、そういうことにつきまして、そういった議論はそれを排除しているわけでは毛頭ございませんで、必要なときに必要な減税が行われる、それは
インデクセーションの方式によるのではなくて、減税をする時期というものはいろいろな要素というものを総合勘案して選ばれていくものであって、自動的な形でそれを行うよりも、そうした時期を煮詰めた上で行った方が、先ほど来申し上げましたような問題との関連でも適当であろうというのが今日までの私どもの考え方でございます。
#74
○赤桐操君 それでは次に、もう一つ、予算の増収分等に対するいろいろ使途の問題で続いて伺いたいと思うのでありますが、建設省、来ておりますか。
 最近の住宅着工状況が大変低迷をしている。そして平成三年度はこの一月までの十カ月間で百十三万戸と前年同期比百四十五万戸に比べると二二%も減少している、こういうように報告を聞いております。このまま推移すると百三十万戸にも届かないのではないか、こう私たちも懸念いたしておりますが、建設省ではどのようにこれを把握しておられますか。公共、民間の別、住宅種類別、説明を願えればお願いしたいと思います。
#75
○説明員(川村良典君) 今年度の住宅着工戸数につきましては、ただいま先生から御指摘のございましたように、平成二年十一月から十五カ月間連続して減少を続けております。平成四年一月の着工戸数は八万七千戸となっておりまして、昨年の一月に比べて一六・四%減少し、この結果平成三年四月から平成四年一月までの十カ月間の着工戸数は百十三万四千戸と、前年の同期に比べまして二一・六%の減少となっているところでございます。
 これを資金別に見ますと、公的資金により建築されました住宅は三十九万四千戸でございます。前年同期と比べまして七・九%の減少であります。これに対しまして民間資金のみで建築されました住宅は七十四万戸、前年同期と比べまして二七・四%の減となっております。
 これを利用関係別に見ますと、持ち家につきましては三十七万四千戸、前年同期比で八・五%の減、貸し家につきましては四十九万戸、同じく二七・六%の減、給与住宅につきましては三万五千戸、一四・一%の増でございます。分譲住宅につきましては二十三万四千戸、二八・九%の減少となっております。
 今年度の見通しについてのお尋ねでございます。平成三年五月から十月までは前年同月比で二一%から二六%と減少が続いたわけでございますが、十一月以降は前年同月比の減少割合が二〇%を切ってきております。また、年率換算値で見ましても、平成三年九月、十月につきましては百二十万戸台だったわけでございますが、平成四年一月は約百三十八万戸台というふうになってきておりまして、これらを勘案いたしますと、平成三年度の新設住宅着工戸数といたしましては、百三十万戸台には届くものというふうに見ているところでございます。
#76
○赤桐操君 どうやら百三十万戸には届くようでありますが、大分一時から見るとダウンをしておるようであります。
 今日、我が国の全住宅戸数に占める公共賃貸住宅、この割合は今年度で見ると大体三%くらい、ストックを含めて六%くらい。純然たるものですよ、あなた方が言っている例の金融公庫だとかそういうところから出ている政府施策住宅ではないんですよ、純然たる公共住宅。これは六%程度しかいっておらない、こういう状況だと思います。大体ヨーロッパ各国、欧米各国を見るというと、平均して二〇%ぐらい、多いところでは三〇%近い、こういうようになっておるわけでありますが、日本の場合においてはそれと比較した場合においては六%、こういう状況です。そんな状況ですから借り家の居住水準が改善をされない、こういうことになってきていると思います。
 大都市地域でこの数年来地価高騰で勤労者がマイホームを取得することがほとんど絶望的になっておる、こういう状況でありますが、公共賃貸住宅の供給拡大ということを今こそこれをやらなければ意味がないのではないかと思うんです。二戸建て住宅を次々と建てられるような状況ならばこれは話がわかります。しかし、なかなか二戸建て住宅を手に入れることができないという現状、そうしたものから考える場合においては、やはり公共住宅を大きく伸ばしていくということを考えなければならぬ、このように考えるわけであります。
 言うなれば、地価税収入等については、大臣も言っておられるように、公共住宅の関係の方に供給拡大に重点的に回していくとか、あるいは全住宅の居住水準の引き上げに回していくとか、そういうような形のものに使われていってしかるべきだと思うんですけれども、この点は大蔵大臣、どうお考えになりますか。
#77
○国務大臣(羽田孜君) 今、日本のいわゆる公共住宅数というものの低さについてまず御指摘があったわけでございますけれども、今、公社、公団、公営住宅合わせて二百八十万戸でありまして、ちょうど三千七百四十万戸、これが全体のストックでありますけれども、これの今一応七・五%というふうになっておるということであります。
 確かに、今お話がございましたように、欧米各国と比べて相当低いという実情があろうと思っております。特にヨーロッパと比較いたしますと、ヨーロッパの場合に勤労世帯の皆様方の志向といいますか、それが割合と貸し家といいますか賃貸住宅、こういったものを志向しておったということがあると思います。そういったものに割合と早くから対応されてきた。そのかわり英国なんかも、御案内のとおり、いわゆるコンクリートなんですか石なんですか、れんがづくりのきれいな長屋がずっと続きますけれども、そういうものが割合とつくられてきてあったということが事実であろうと思っております。
 しかし、私たちも今こういう新しい時代を迎え、個人が実際に職住接近で住宅を持つというようなことになりますと、これ私が個人で持つということはなかなかできないという現状であろうというふうに思っておりまして、公的住宅というものについてやはり私たちはいわゆる持ち家と借家の対策というものをバランスよく考えていく必要があるのであろうというふうに考えておるところでございます。
 そういったことで、四年度の予算におきましては住宅対策費ということで九千三百十一億円をまた住宅公庫補給金あるいは公営住宅等に適切に配分をしてきたところでございまして、こういった考え方というものは、今先生からも御指摘がございましたけれども、私どもとしてもやっぱり考えていかなければいけないのかなということを率直に思うことを申し上げておきたいと存じます。
#78
○赤桐操君 公共住宅、いろいろ公共住宅といってもありますが、特に公共賃貸住宅の状況を見まするというと、公営住宅は別といたしまして、公団住宅、公社住宅、これの家賃はいずれももう十万円をはるかに超えているんですね。そして家賃負担率も公団住宅で家計の一九・六%、公社住宅で一八・九%ということが大体明らかにされてきております。私ども社会党では、これは高いと、少なくとも一五%以内に抑えるようにしなくては庶民の生活は成り立たぬということを主張してきておるわけであります。しかし、二〇%近い状況になってさているわけでありますが、この点について大臣は、この家賃の占めている割合というものについては適正であるとお考えか、それとも改善する必要があるとお考えか、この点ひとつちょっと伺いたいと思います。
#79
○国務大臣(羽田孜君) 公団公社の賃貸住宅の家賃につきましては、土地の取得費ですとかあるいは建設費等のコストを反映しまして原価家賃、これを基準として適正な負担で入居できるように国の助成によりまして家賃の軽減を図っておるところでございますけれども、しかしそういう中にありまして、公団住宅につきましては家賃軽減のため公団の資金運用部資金への支払い利息に対して利子補給を行ってまいりましたり、あるいは公社住宅につきましては家賃の軽減のためその建設資金を住宅金融公庫の融資対象とするというようなことをいたしておりまして、単に原価家賃の基準というそれだけではなくて、少しでも安いものを
提供するということで考え方の中でこういう措置がとられてきたというふうに思っております。
 公団住宅等の家賃水準というものをさらに低めるかどうかにつきましては、施策の対象層、こういったものに応じて適正な家賃水準が確保されますように、住宅政策全体の中で公営、公社、公団、こういったもののバランスを勘案しつつ私どもとしても検討していくべきことであろうというふうに考えておるところであります。
#80
○赤桐操君 大体そういう御答弁を今までずっと聞いてきているんですよ、実は。大蔵大臣に今私が伺っていることは、もう一歩突っ込んだものが提起されなければおかしい、答弁されなければおかしいじゃないか、こう思って今伺っているわけなんです。
 ということは、少なくとも、大体十五万円から二十万円近い家賃が払わされているというと語弊がありますが、支払わなければ入っていられない。あるいは今までは五万か六万ぐらいの程度のものが、傾斜家賃と称して、もう大分前から大変しり上がりに上がっていくような家賃の方式もとられてきている。これは私は、ただ公団にあるいはまた公社にどんなに家賃を低くしろと言っても、できないことはできないことだ、公団も公社も独立採算でやっているんですから。したがって、国の政策としてそこに政策的なものが導入されていかなければ、私はこの家賃の引き下げはできないだろうと思うんです。今大臣の御答弁では、少しでも安いものをということを言われておるけれども、少しも安くならないと思うんですよ、今のままでいくんでは。
 そこで、私は伺いたいと思うんですが、やはり宅地の原価それから建設原価、こうしたものが総体的に下げられていくという努力がなされなければ、これは下がることにならないでしょう。公団の場合においても公社においても、家賃の引き下げにはならないと思うんです。これを引き下げていくのには、言うなれば公共施設等のいろいろ関係の施設それから公共用地、あるいはまた関連公共関係の負担、それから金利、こういったものが総合的に解決されていくことが必要ではないかというように私は思うんですが、この点はどのようにお考えになりますか。
#81
○国務大臣(羽田孜君) 赤桐委員の言われんとするお気持ちというのは私どもよく理解できるところであります。そういうことで、確かに非常に土地の高いものを確保してそれにつくるということになりますと、どうしても原価主義ということが中心になったとすればなかなか下げられないというようなことでございますから、先ほど申し上げたような公社あるいは公営住宅等につきまして二つの対策をとってきておるところでございますけれども、それと同時に、これからも優良な比較的安い家賃の住宅を提供するようにというようなことで、本年度の予算の中でもそういったものに対しても実は予算措置をしてきておるということでありまして、これなかなか一挙にあれするということはできないわけでありますけれども、そういった対応というものを一つずつやっぱり踏んでいく必要があろうというふうに考えております。
 加えまして、最近では、安い住宅ということもありますけれども、やはり生活の質が向上してくるという中にありまして、現在のものでは少し狭過ぎる、もう少しやっぱり広い住宅、面積を必要とする、床面積の拡大なんということについてもいろんな皆様方から御指摘のあるところでございまして、そういったことも踏まえながら私ども、建設省あるいは関係の省ともよくお話し合いをしながら、一歩一歩そういったものを実現するためにこれからも適切に対処していきたいということを申し上げたいと存じます。
#82
○赤桐操君 建設省の方に伺いたいと思うんですが、今団地をつくるときに、関連公共あるいは公共用地というのは、有効宅地面積との比較でどのくらいになっていますか、平均にして。
#83
○説明員(橋本万里君) 平成元年度の調査でございますが、団地の規模によっていろいろ違いますが、平均で関連公共公益施設用地が大体四五%ぐらい。逆にいいますと、有効宅地というんですか、これが五五%ぐらいを占めております。
#84
○赤桐操君 そうしますと、有効宅地面積が五五%で、四五%が公共的な関連施設用地、こうしたものになるということでありますが、結局、造成ができ上がって一つの団地が完成するというと、その場合における譲渡価格の場合になりますが、これはこの有効宅地面積の中に有効宅地の価額と合わせて関連公共費が全部加算される、それが要するに売価になる、こういうように理解してよろしいですね。
#85
○説明員(橋本万里君) これも平成元年の調査でございますが、宅地の原価の中でやはり関連公共施設のコストが大体四割ぐらいを占めている。最終的に国や公共団体もいろいろ公共施設を整備しますが、いわゆる宅地開発という中での総コストでございますが、その中でやはり三分の二ぐらいを公共公益施設の整備の費用が含んでいるということでございます。
 関連公共公益施設の整備でございますが、根幹的というか基幹的な施設につきましては、これは国、公共団体が本来の事業としてやるわけでございますが、いわゆる宅地の利用自体の、何というんですか、品位を上げるというか、そういうものにかかわる例えば細かい街路のようなもの、こういうものにつきましては、やはり開発者が原則として負担するということで現在行われております。
 ただ、その開発者負担の中にもいろいろ公共団体によりまして、やはり多少行き過ぎのところもあるというようなことも見られますので、これも長いことでございますが、そういう行き過ぎの是正というのも同時にやっているところでございます。
#86
○赤桐操君 わかりました。最近の状況はわかりましたが、大臣、今までのやつを調べますと、大型のものになるほど大きくなりますが、大体半分ぐらいがいわゆる関連公共施設あるいはまた用地です。そして、本当の純然たる宅地の割合というものは大体約半分、五〇%ないし五二、三%ぐらい、こういうことになっております。これは今までの私の手元で調べておる内容です。しかし最近の、元年の状況は報告されたとおりでありますから、そのとおりだとすればかなり改善はされていると思いますが、事実は今までの経過はそういう経過になっておる。
 これは我が国だけの特有の言葉なんですね、受益者負担という言葉があるのです。これは外国へ行って話してもわからない。この受益者負担という言葉の中で全部宅地原価にこれが編入されて販売されている。こういう形になっておる。これが今、公共あるいはまた一戸建て民間自力建設を含めて共通して言えることだと思うんです。こういう状況だと思うんです。
 そこで問題は、この原価計算はもちろん用地費が入っておるし造成費が入っておるし、さらにまた全体の金利も全部入っておるわけでしょう。だから半分は大体公共負担分なんです。国あるいは自治体が本来は私は負担すべきものだと思うんですね。ということは、造成が全部完了してしばらくたつと、一切の道路とか公園とかそうした公共用地に属するもの、公共施設は大体市町村に採納されますね。言ってみれば、入居者が全部それらをつくって寄贈することになるんです。それが今のシステムでしょう。そういう状況で自治体に採納されていく。これは本来私はあり方としておかしいのではないかと思うんです。自治体が管理をし、自治体がこれを維持していくという、そういう性質のものです。すなわち公共的なものなんです。そのために、ここに入っている人たち、あるいはこれから将来ここで生活する人たちは税を払っているわけです。
 これは大変私は矛盾していると思って、実は外国の状況を一遍調べてみたことがある。私、二回同じ国へ行って、しかも一カ国だけではどうもうまくないので二、三カ国歩きました。そこで、ヨーロッパで共通して言えることを一つ申し上げてみたいと思うんです。
 これ、私、お会いした相手方がやっぱり問題でしょうから、西独の場合には建設次官及び住宅局長、関連関係局長と言っておりましたね、五人ぐらいで私に約二時間おつき合いしてくれました。それからフランスにおきましては、これは皆さん夏休みのときでありましたので休んでおりましたが、出てきてくれたのがフランスの住宅局長。これも大体三時間ぐらい私につき合って現場まで行ってくれました。実はこういう例がございます。その前に行ったときも私は同じところを見ております。
 それで、西独の場合とフランスの場合とを見たわけでありますが、言えることは、関連公共のこうしたものについてあなたの国ではどういうふうにやっているか、私がこういう質問をした。日本では受益者負担という部分でこれは全部入居者が負担することになっておるが、おたくではどういうふうになっていますかと、こう質問したら、受益者負担とは何だと、こういうことになるんですね。この説明をするのに何と三十分くらいがかった。わからないんです、相手方は、私が幾ら説明しても。通訳は大使館から行った専門の通訳ですからいいかげんな通訳をしたわけじゃないと私は思う。それが首をひねってなかなか通じないんです。受益者とは何だと、それは向こうの人の頭ではわからないと言うんですね。
 これが最終的にわかった結論は、それは税を二重に払うことになりはしないか、それはおかしいということで、これはドイツにおいてもフランスにおいても即座に一蹴されていますね、この話は。そういう実は考え方でこの問題は外国では処理されているんです。これはおわかりになると思うんです。要するに、道路とか公園とかそういうものはもともとこれは社会的に国なり州政府なり自治体が負担をしていくべきものなんだ、公共的なものなんだ、そのために国民から税を取っているんだ、その税で賄われるべきものなんじゃないのかということが私は一貫していると思うんです。これはドイツだけではなくてフランスもそうです。
 それから、私はさらにいろいろ金利の問題についても調べてみたんですが、金利は大体ヨーロッパは一ないし三%です。これは変わっておりません。日本の場合においては六ないし八%ぐらいいっているじゃないですか。六%というのは公団が使っている金利でしょう。公団も用地部が使う場合においては七%前後のものを使っておるように思いますがね。それで、それが住宅の建設舞台に移されるときに初めて財投の金が使われるというように聞いております。これは建設省の方がよくわかっていると思いますけれども、そういうことで私は認識しておる。
 時間がありませんから続けますが、ということで、金利は一ないし三%。日本の場合は六ないし八%となると、これは倍ですよ、日本は。一時は三倍ぐらいの金利を使っておった。そういう実は日本におけるところの場合とヨーロッパにおける場合との差があるんです。
 それから、先ほど大臣は一戸建て住宅の方に日本の場合は志向している、余り長屋住まいとかそういうのは好きじゃないと。それはそうかもしれないと思いますけれども、話は余談になりますが、私はやっぱりこういったヨーロッパの場合における住宅というのは社会的に保障するんだという考え方があると思うんです。
 日本の場合には、政府は、いつの間にか一戸建て住宅は夢のマイホームだと、こう言って大変宣伝もされるし、ディベロッパーもいろいろとそれに乗ってやっている。一戸建て住宅に志向した。ところが、公共住宅や貸し家の家賃が高いんですよ。高いから、もう少し足せば一戸建て住宅が買えると思うから、二時間かかっても二時間半かかっても通いますと、それを代償にして。だから、私は問題は、やっぱり低廉な家賃をつくり出して、二〇%くらいのところへまで六ないし七%の現在の公共住宅を持ってくる、そして十分に低所得層の者、普通の中所得層の者、あるいは若い人たちが争って家を建てるなんということを考えないで、もう安心して職場の仕事に全力を注げるという体制をつくらなくては本来のあり方では私はないと思うんですよ、住宅政策として。
 同時にまた、社宅というのが一時盛んに大分言われた。これもむだな話じゃないですか。それだけの金があるならば本来の設備投資に使ったらいかがですか。資本の回転に使うべきじゃないですか、企業は。むしろ、住宅とかそういうものは社会的に保障されるという考え方に立つならば、国や自治体がそれは面倒を見るべきものじゃないんですかね。私は、これは日本の場合においては商品として扱われている、金もうけの材料なんだ。ヨーロッパの場合においては、これは社会的に保障されるべきものだと考えられている。こういうふうに基本的に理念の差があると思うんですよ。
 この点は、私もかつて、大分前の話になりますが、村山さんが大蔵大臣のときに予算委員会で大分村山さんとやり合ったことがある。それで、おかしいじゃないかということで、私のところの千葉県の村上団地という公団がつくっていた団地ができ上がってきておりまして、そこの団地の原価計算まで大体、私がいろいろもらいまして、余り内部的に明らかにできないものもあったようでありますから、そこまでは私も問いませんでしたが、大体のはわかりますよ、そういうことは。それで原価計算から話し合っていろいろやったんです。その結果、わかったということになりまして、五十三年以降関連公共費と称するものがついたと思います。あれは最初三百億だった。私は、たった三百億かと言ったら、いや、最初の項目でございますからこの程度から始まりまして年々三百億ずつ積み重ねていくことになりますと、こういう答えを私は建設省からもらって、ああそうかということで引っ込んだ覚えがあるのでありますが、ようやくその辺からこうしたものに対しての考え方が具体的に予算化されるようになったんです。今千二百億あるんでしょう。もう少しいっているかもしれない。中曽根さんが総理のときに、あの人頭打ちに全部切っちゃった。それは、今そのまま来ていれば恐らく三千億ぐらいに来ているんじゃないですかね。私はそう思うんです。
 そういうようなことで、話は横道にそれましたが、要するに金利だって、これは全然もうけた違いなんですよ。こういう考え方が出るというのは、私は社会的に保障しなきゃならないという考えがあるから出ると思うんです。西ドイツの建設次官は私にこう言った。あなたのところでは金利は何%で出していますか、こう聞いたら、いや私のところでは政府から出す金はノイエハイマートに対しては金は出しておりません、金利はつけておりません、こう言っておりました。それで、あとは銀行から借りた金とプールにすれば平均して一・三%ぐらいのところにいくでしょう、こういう言い方でありました。現場へ行って聞いてみたら、やっぱり同じだった。間違いないです。そういう実は大変な差があるんです、一つここに。
 日本の場合においても、生活大国にするんだということで新五カ年計画をお立てになるというんならば、この辺のところから住宅政策の基本を起こしてはいかがかと思うんです、私はいかがでしょうかね、大臣。そこまでで一遍大臣のお考えを伺っておきたいと思います。あとまたちょっと続けますが、ひとつお考えを伺っておきたいと思います。
#87
○国務大臣(羽田孜君) お答えというよりは私としての考え方を申し上げたいと存じますけれども、確かに今お話がありましたように、やっぱり勤労者の住宅というものを社会的保障という中でとらえるというこの認識というもの、このあたりを私たちはもう一度勉強してみなければいけないのかなというふうに思います。
 それからもう一つ、今お話の中でございました特に住宅を建てる場合、日本の場合にはどうしても土地の価格というものが非常に大きなウエートを占めてしまう。このあたりも、これはほかの国の場合にはあれですけれども、英国なんかに行きますと土地は女王様のものである。ということは、要するに土地のただ値上がりによって不動産の関係の人も余りもうけちゃいけないよなんという考
え方が、認識がもともと日本とは多少違うところがあるというふうに考えておりまして、そういったところの認識というものをどうしていくのかということ。
 それから、同じ勤労者の方でも、今、日本の一つの家庭、家と庭とつけてわざわざ家庭と言うぐらいでありまして、持ち家というものを志向するあれというのが相当強かったということになりますと、そういった人たちが自分が求めた土地に住宅をつくっていくということを考えたときに、こういった公的な住宅の場合にはこういう機関がつくるという中で社会的な一つのパブリックスペースといいますか、そういったものなんかもそこで実は負担されるということになるわけでありまして、その点は、ですから持ち家の人たちから見るとずっと有利である。そういう中で受益者負担というような発想というものが生まれてきたのかなと今お話をお聞きしながら改めて実は感じておるところでございます。
 しかし、今お話のありましたことは、私も実は住宅問題というのは一番いろんな面で今一つの考えるときなのかな。よく若い記者さんたちと話しておりましても、持ち家の場合には大変遠くなってしまうということ、また、職住を接近させながら住もうとすると非常に値段が高いということと、もう一つはスペースが非常に狭いというようなこと、やっぱり住宅問題というのが今の勤労者の中の本当は一番大きな問題なのかなというようなことを実は議論しておったわけでございまして、今先生からいただいたお話は大変示唆に富んだものであるということでございまして、新五カ年計画の中にこれすぐ今入れることができるかどうかわかりませんけれども、しかし相当幅広く時間をかけながら議論していく話でございますから、今お話があったこと等につきましても私の方からまたこれは経済企画庁長官にも報告を申し上げておきたいというふうに考えております。
 しかし、大変示唆に富んだ御意見ありがとうございます。
#88
○赤桐操君 それから、私は、あと時間がないので二つだけ申し上げておきたいと思いますが、一つは、今お話があったとおり、約十万坪の土地が団地になる場合においては五万坪は公共的なものになってしまう、本当の有効宅地面積は五万坪、大ざっぱに言えばそういうことになると思うんです。そうすると、いわゆる公共的なものに属するものも一緒に含めた原価計算ができ上がりますから、そこの土地のでき上がったものの評価というのは大変高いものになるわけです。土地鑑定士がこれを評価する場合においても相当の高価なものになるんです。素地でもって倍になるわけです。そこへ金利がつくわ、造成費が入るわ、民間の業者であればもうけも入ることになりますから、それらが全部原価計算に入るでしょう。それが販売価格になる。それは高いものになる。
 その隣の土地はどういうことになるのかということになると、これは今までは開発されない前における状態というのは、それが素地の場合における状態というのと比較することはできないかもしれぬけれども、でき上がっても隣は畑であるかあるいは雑地なんですよ、あくまでも。ところが、ここが高くなりますと、近傍類似価格として土地鑑定士の評価はぐんと上がるんです。これは土地鑑定士の評価の仕方がもう全部そうなっておるんですね。だから、隣の土地はAという団地ができ上がったときよりもはるかに大きな価格を示すようになる。これを今度次のディベロッパーが買収して団地造成をやると、また同じように倍になりますから、そうするとまた大変な価格に上がっていく、こういうことになるのじゃないでしょうか。これが実は今も都市部から私は徐々に、一番最初はそんなに土地が高くなったんじゃないと思うんだけれども、だんだんと団地ができ上がっていく、その中から土地の上昇が構造的に始まってきた、私はそういうふうに見ておるんですがね。日本の土地の上昇は、そういう構造的なものですよ。これは大臣、ひとつ根本的な立場で御検討願いたいと思うんです。
 それを、公的分についてはこれは国ないしは地方自治体が持つということであれば、そういうことにならなかった。これをかぶせるから価格が上がってきたんです。倍になってきた。そうでしょう。だから、これを繰り返しているうちに大変な額になるわけです。だから、総量規制で抑えてみたところで、課税で抑えてみたところで、いわゆるそういう周りからどんなにやってみても、本体の構造上の中にメスを入れなければ私は土地問題の解決はできないと思うんです。それから、今サラリーマンが絶望的な状態になっているけれども、これを解決する、住宅政策を解決することにはならないと思うんです。これは国土庁の皆様を集めて建設委員会で論争をする段階はもう過ぎたと思いますね。少なくとも経済閣僚の中で本気になってこれは取り組んでもらわなきゃならないと思うんです。これが根本的にメスを入れられなければ日本の住宅問題、土地問題の解決はできないと私は考える。どんなに抑えてみたところで、原価が上がるんだからしょうがないでしょう、この方式でいけば。それならば、若干金はかかるかもしれぬけれども、公共負担分については全部国が持ちます、地方自治体があわせて持ちますと、こういうことにするならば、日本の土地は半分になるでしょう、価格が大ざっぱに言って。
 かつて、私は昭和五十年前後に江戸英雄さんに来ていただきまして、参議院社会党でこの問題を論議したことがある。そのときに江戸さんははっきり言っておりました。私の方で公共負担分については地方自治体に十年間はお貸しいたしましょうか、そして地方自治体を通じてディベロッパーにこれをやってもらう、出してもらう、そういうことにすれば十年後には町ができ上がります、税が上がってきます、その税で私どもにお払いいただくことができませんかと、こういう話も勉強会で出たことを今思い起こしておりますがね。その後日本には大蔵省に資金運用部資金も今日二百兆を超える大変なものがある。財投の金も四十兆円という大きな金が動いている。しかも日米構造協議の中で四百二十兆というものを十年間でやるんだと、こう言っているわけですね。そういう点から見るならば、こうしたところに本当の生きた金を使うことができないのか。それによって日本の地価というのは半分になるだろうと、極端な話が。そのくらいまで私は考えられる価値のあるものではないかと思うんですが、大臣いかがですか、これは。
 それから、もう一つ私は申し上げておきたいと思うんですが、私は、この公共負担分はあくまでも国あるいは自治体が持つべきものだと思うんですよ、国際通念からいくならば、各国のやり方を見ていても。そうすると、今彼に団地ができ上がって、その団地の土地を、そして建物を入居者が買い取りますね。このときに払わせられるというと語弊があるけれども、払わなければならない税は一つに不動産取得税があります。これは税率四%です。それから登録免許税が五%、これは所有権移転に伴うもの。それから固定資産税が建物と土地にございます。それで、土地は三年ごとに評価がえしますから、だんだん上がっていってしまう、こういうことになる。それから都市計画税が〇・二%ついています。これだけ払っているんです。この払っている内容、この割合は現実には公共負担分にまでかかっているんです。本来国や自治体が賄わなきゃならぬものを入居者に賄わせておいて、それにさらにまた税をかけるという結果を招来しているのではないかと私は思うんですが、この二点について大臣、どのようにお考えになりますか。
#89
○国務大臣(羽田孜君) 二番目の点については専門家の方からひとつあれしてもらいたいと思いますけれども、江戸さんのお話も加えた現在のこういった住宅等に提供する土地の問題等につきまして、やっぱり構造的な問題があるんじゃないのかというお話でございますけれども、この問題につきまして、構造的な問題、今私がお聞きしてすぐお答えできるというものではない、私自身、これからまたいろいろと勉強させていただかなきゃい
けないかなというふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましても、これから新しい願望の中に、先ほども申し上げましたように、床面積等もっと広いものをというような希望なんかも出てきているということで、いろんな面からやっぱり基本的に考えてみなければならない問題であろうと思っておりますので、今後さらに勉強させていただくことを申し上げたいと存じます。
#90
○政府委員(濱本英輔君) ただいま具体的に税を掲名されて御指摘がございましたものは、多くは地方税の世界でとられている措置でございますけれども、地方税の世界の中でも住宅あるいは住宅関連のいろいろなそういう施設に対しましてはそれなりの配慮、特別措置等がとられているということは我々も承っておるところでございまして、結局、今赤桐先生が御指摘になりましたような問題も、今後脚提起になった問題を地方税体系なら地方税体系として全体としてどういうふうにとらえていくかということであろうと存じます。年々国税の論議をいたしますときに、並行して地方税の論議もいたしておりますけれども、私どもも、これは自治省の所管ではございますけれども、今御提起がございましたような問題を意にとめまして自治省の人たちとも議論をしてみたい、かように思います。
#91
○赤桐操君 時間を超えておりますので一つだけお願いしておきますが、地価税の税収はもとよりだけれども、ぜひひとつ減税に回すとか、あるいはまたこういった住宅政策に回す、これは十分にひとつ検討していただきまして、しかとこれは次回にまた御答弁いただきたいと思います。
#92
○前畑幸子君 私は、今論議がありました土地問題とそれに関連します相続税につきまして御質問をしたいと思います。
 平成四年度から国土庁の公示価格が一月一日で算定され、そしてそれをもとに相続税の路線価が計算されるということで、公示価格とそれから路線価が関連してきたわけですけれども、前に地価税の問題を論議しておりましたときに、土地の評価の一元化という問題を私どもも随分論じたことがあるわけです。この地価税導入の際にいろいろな問題が出てきておりましたけれども、今赤桐先生の方からも御説明のありましたようないわゆる一物四価というんですか、国土庁の出す公示価格、それから国税庁の出す相続税路線価、そして自治省が出される固定資産税評価額、そしてまた売買による取引の時価という、土地には四つの数字がついたわけです。こうした違った評価機関がそれぞれ異なる土地評価を使用しているわけですけれども、こうした価格体系が大変一般にはわかりにくく、そしてそのことが土地問題を複雑にしているのではないかと考えられるわけです。
 そこで大蔵大臣に、一般的な考えとして、土地の評価を今後一元化してそしてそれを税率によって調整していくということはどうお考えになりますでしょうか。
#93
○国務大臣(羽田孜君) 今も御指摘あったわけでございますけれども、相続税におきます土地の評価に当たりましては、従来から地価公示との均衡を保つように努めているところでございますけれども、地価公示価格は一般の土地取引についていわゆる取引価格の指標を与えるということ、それから公共用地の取得の補償基準とすることを目的としてございまして、その公示地は都市計画区域内に限定され、その地点数も約一万七千地点にすぎないものでございますから、相続税評価の活用に当たっても一つのおのずから限界があろうというふうに思っております。また、固定資産税評価額、これは保有にかかわるものでありますけれども、相続税とはその課税の目的が異なっておるということ、その評価は三年に一度の評価であるために、毎年改定される相続税評価額との開きが出ておるというのが現状でございます。
 以上のように、相続税評価と地価公示及び固定資産税評価額との間にはそれぞれ目的あるいは性格が異なっておるということ、その評価方法にも相当な隔たりがあるものでございますから、公的評価の一元化の観点から両者を直ちに統一することは容易じゃないというふうに考えております。
 しかし、相続税評価と他の公的土地評価相互間の関連につきましては、以上申し上げましたような諸点というものを考えながら、今後とも相互の均衡と適正化、これを図るように私どもも努めてまいりたいというふうに考えております。
#94
○前畑幸子君 この土地評価一元化という問題につきましては、政府税調の前の土地税制小委員長であられます石弘光さんという方が、土地の評価機関をまず一元化する必要ありとおっしゃっています。すべての土地評価を一つの物差しではかることは非現実的である、それより評価機関を一元化し、全国的に統一した手法で評価を行い、得られた結果を必要と目的に応じて調整するのが望ましいのではないかとおっしゃっています。
 この一元化というのにはいろいろなメリットがあると思います。英国と一かドイツとかイタリアなどでもそれを制度化されて現実に使われているようですけれども、土地評価機関の一元化についての御見解はいかがでしょうか。
#95
○政府委員(坂本導聰君) ただいま大臣からお答えしたとおり、直ちに相続税評価額を固定資産税あるいは地価公示価格と同一にする、あるいは統一機関をつくるということは困難でございますが、委員御指摘のように相互の均衡化を図るという観点からは、私どもも地価公示価格を基準として評定するという考え方に立ちまして、従来相続税の評価額は地価公示価格の七割程度でございましたが、これを八割程度に引き上げるとか、あるいは評価時点が前年の七月一日であったものを地価公示価格の一月一日に合わせるというようなことによって相互の均衡化をできるだけ図るように努めているところでございます。
#96
○前畑幸子君 それはことしの平成四年度から早速に変わってくるわけでして、徐々に要するに効率的な評価が出されると思いますけれども、国土庁のお考えはいかがでしょうか、この問題について。
#97
○説明員(木村誠之君) お答え申し上げます。
 ただいま大蔵省から御説明ありましたとおりでございますが、平成元年に制定していただきました土地基本法におきましても「公的土地評価について相互の均衡と適正化が図られるように努めるものとする。」とうたわれておりまして、先生おっしゃるとおり、国民の信頼を確保する観点からも、今お話のありましたとおり地価公示価格を基本といたしまして相続税路線価を八割にされるというふうに承っておりますし、あるいは自治省で扱っておられる固定資産税評価も、平成六年の評価がえにおいては七割を目途にこれから作業を進められると聞いておりますので、私どもも関係省庁とよく連携をいたしまして十分間違いのないようにしてまいりたいと思っております。
#98
○前畑幸子君 今おっしゃいました関係省庁と連携をとりながらというお言葉がいつも出るんです。そこで地価公示制度というものについてちょっとお聞きしてみたいんですけれども、要するに土地に関連する基礎データというものがなかなか整理されていないような気がするんです。
 まず、相続税の路線価は大蔵省であるとか、固定資産税は地方公共団体だとか、そして実際の実勢価格、取引の状況は国土庁で把握されるとか、各機関がおのおののデータで情報をおのおの持ち合っているという、一貫性がないような気がするんです。土地の所有とか取引による移動とか利用状況に関するようなデータが、情報がきちっと把握できないということが土地政策を論議する上で大変大きな支障を来すのではないかと思うわけです。
 こうした状況から、地価公示についても理論的に評価する上でのデータがあったらいいんじゃないかなと思いますけれども、こうした現況から見まして、土地取引の目標としまして客観性、合理性に問題があることはないでしょうか。国土庁の御意見はどうでしょうか。
#99
○説明員(木村誠之君) お答え申し上げます。
 地価公示におきましては、ただいまお話がございましたとおり、土地取引の指標であるとともに
公共用地の買収の際の基準ともなるものでございます。また、今後は課税評価の指標としても大変重要になってまいりますので、その適正な評価についてはっとに留意してまいりたいと思っておりますが、具体的な評価方法につきましては不動産鑑定評価法という法律がございまして、それに基づきまして具体的な鑑定評価基準が定められております。取引の実例をもとにして取引事例に比準して算定する方法、それから収益還元法、あるいは原価法と申しておりましてこの土地を造成してつくり上げると幾らになるか、このような三手法をあわせまして適正な価格を算定するわけでございますが、きちんとした取引事例を的確にまたおくれなく把握することが特に重要だと思っておりますので、その点につきましては今後とも留意してまいりたいと思っております、
 また、先生お話のございました土地情報、一般的な話、特にこの整備がおくれていることは、確かに土地対策を機動的に進めていく上で、あるいは的確に進めていく上で大変ネックになっておると私どもも承知しております。そういう観点から、土地の所有あるいは取引、利用、地価等に関する情報を総合的に整備する必要があると考えておりまして、この問題につきましては専門的な検討委員会を設けまして御審議いただきまして、昨年中間報告をいただいているところでございます。来年度予算におきまして土地の所有、利用構造に関する調査費も認めていただいているところでございますので、今後とも十分こういった情報の整備について検討してまいりたいと思っております。
#100
○前畑幸子君 その情報のデータを全国で一万七千地点を押さえていらっしゃるということですが、固定資産税におきましては四十万地点ぐらいを押さえているわけですけれども、ここ十年ぐらい前とそれから十年後の現在と、要するに繁華街のあり方も違ってきていると思うんですね。
 車社会になることによりまして、今まで交差点の近くがいい立地状況であった、そして収益性のいい土地であったということで路線価も固定資産税も高くなっていると思うんですけれども、よくその辺を足で見ていただきたいと思うんですけれども、要するに信号の手前というのはガソリンスタンドとか喫茶店とか、車の出入りをする業種においてはもう最悪の地点であるとか、昔バス通りで繁華街であったところはもうだめになって、むしろ一本裏道がいい商店街になったとか、いろいろ状況が変わってきているのが公示価格にもそれから路線価にも全然反映されていないような気がしてならないんですね。
 そういう点をもう少し、これから地価税というものも入る、そして固定資産税の負担が大変重くなってさた時点で、きちっと見直していただきたいと思うんですが、そういう点に対する作用というものはどんなふうに見ていらっしゃるでしょうか。
#101
○説明員(木村誠之君) ただいまお話ございましたとおり、地価公示の地点は一万七千百十五ポイントございまして、私ども、まずやはり課税評価の指標あるいは取引の指標という観点からこのポイントをもう少しふやしていく必要があるなと思っておりまして、来年度予算におきましては二割増、具体的に申しますと三千四百四十ポイントの増加をお願いしておるところでございます。合わせまして二万五百五十五ポイントの地点にしたいというふうに考えております。
 こういったポイントにつきましては、さらに今お話しのとおり、それぞれの地域の土地利用も変わってまいります、あるいは具体的な使われ方も変わってまいりますので、そういった状況を踏まえまして適切な配置ということで、私ども標準地の見直しと言っておりますが、この見直しを適切に行ってまいりたいと思っております。
 ただ一方で、これをむやみに変えますと、地価がどのように動いているか、あるいは課税の指標という観点で大変わかりにくくなる点もございますので、必要なところについてはきちんと見直しを行ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#102
○前畑幸子君 調査地点をふやすということは最も大事なんですけれども、土地の持ついろいろな情報データを加味していただいて、公示価格をもとに路線価が八割ぐらい、そして固定資産税が七割ぐらいに今度一割ずつ上がるわけですから、地点をふやしていただくということ、そしてきめ細かい観察を、いわゆる情報データを集めた上での御検討をお願いしたいと思います。
 それから、国土庁の発表で、三年の一月二十二日に、「登記簿など情報統合」ということで国土庁の方針としまして全国規模の土地台帳をつくるという新聞報道がされていますけれども、これには調査費もついているということでございます。一昨日お聞きしたら、そういうものはまだできてい、ませんとおっしゃいましたが、調査費もついているようでございますのでその動きがあると思います。課税とかそれから保有状況など各機関が独自に保有する情報を統合整理して土地政策立案のための共通資料とするものであるということでございますけれども、この全国土地基本台帳の一番目的とされていることと作成の目標、いつごろできるかということをお聞かせいただきたいと思います。
#103
○説明員(木村誠之君) ただいまお話ございましたとおりですが、一昨年来、例えば土地税制の議論をしてまいる中でも一体どれだけの人が土地を持っているのか、全国にどれだけの筆数があるのかということも必ずしも明確にわからない状況でございまして、そういうことで私ども、先ほどもお答えしたところでございますが、土地政策を的確に実施してまいりますためには、土地の所有、取引あるいは利用、地価の状況、そういった情報を総合的に整備することが肝要だと考えておるわけでございます。
 そこで、来年度予算におきまして、当面、土地の所有、利用構造を明らかにする新たな調査を実施したいということで考えておりますが、先生おっしゃるような情報の総合的な整備につきましては、やや中長期的な課題もあろうかと思いますが、この辺につきましては法務省あるいは自治省等、それぞれのところにいろいろなデータがございます関係省庁とこれも十分連携をとりながら体系的な整備を図ってまいらなければならないと思っておりますので、よろしく御理解賜りたいと思います。
#104
○前畑幸子君 「土地情報が整備されていないことが有効な土地対策のネックになっているためで、税、保有状況など各省庁、地方自治体が独自に保有している情報を統合・整理し、土地政策立案の共通の資料にする。」ということですけれども、国土庁からの要請がありました場合には、大蔵省も情報をきちっと出していただかなきゃいけないと思いますけれども、大蔵省の御見解はいかがでしょうか。
#105
○政府委員(坂本導聰君) 私どもは相続税の評価につきまして路線価図等を各税務署に配備いたしましていつでも閲覧できるようにしておりますし、今後ともそういう地点をふやしてまいりたいと思っております。
#106
○前畑幸子君 今後一日も早くそうした一貫性のある基本台帳がつくられることをお願い申し上げたいと思います。
 次に、相続税についてお聞きしたいと思います。
 相続税と申しますのは、私の座っているところとそちらに座られた方と、立場が違いますと全然判断も考えも違ってくるものでありまして、持つ者と持たない者とでは本当に意見は相反すると思います。しかし、できる限り人生の出発点において平等に出発したい、富の再配分機能をどの程度果たすようにすべきかという大変難しい税金であると思います。課税の対象となる人とそれからならない人では考え方が申し上げたように全く違うということを基本にしながらも、課税対象となる人は、例えば親の残した居住用の家屋敷まで手放すということは忍びない。それから事業継承が大変苦しいとか。しかし、相続税の心配のない人の立場になれば、資産格差是正のために重課すべきであるのではないかと御意見は出ると思います。
 こうした状況のもとで、すべての合意のできる税のあり方を確立することは大変難しいし不可能だとは思いますけれども、大蔵省は相続財産の税負担の公平を確保し、土地の資産としての有利性をなくすことを目的として土地税制改革を今回大変断行されたようにお見受けいたしますけれども、相続税の持つ役割について基本的な姿勢をお聞かせいただきたいと思います。
#107
○国務大臣(羽田孜君) 相続税の基本的なあり方につきましては、もう既に前畑委員の方からお話があったとおりでございまして、健全な個人資産の形成と国民生活の安定にこれは配慮しながら、相続税の有する富の分配の不公平を是正するという役割を担うのがそのあるべき姿であろうというふうに考えております。
 今回の相続税課税におきましても、このような相続税が担う資産再配分機能には十分配慮しているところでございまして、例えば相続税の負担調整のために税率適用区分の幅の拡大を図りつつも、最高税率というものを七〇%に維持するなど、相続税の有する資産再配分機能というものを損なわないように考えておりまして、いずれにしましても、相続税というのは資産の再配分の機能ということがやっぱり一番の基本であろうというふうに考えております。
#108
○前畑幸子君 日本の相続税というのは最高税率が諸外国に比べて高いと言われることもあるんですけれども、日本の相続税の税率の水準についてどんなお考えでしょうか。
#109
○政府委員(濱本英輔君) 七〇%という今の最高税率は、よその国に比べましても確かにそれ自体は高い税率のように思います。ただ、それぞれの国の相続税負担がどこが重くてどこが軽いかという比較というのはなかなか難しゅうございまして、それぞれ相続しました財産に相続税を課します場合に、一定のものにつきましては課税の対象から外すという措置を講じたり、その相続財産を相続します者の間の分配の仕方に伴いましてどのようにそれを課税の世界で受けとめるかというやり方も多少違いますし、それぞれのケースケースによって比較をいたしませんと一概に言いにくい面がございますということをつけ加えさせていただきたいと存じます。
#110
○前畑幸子君 ことしの相続税の評価は、平成四年分から公示価格の八割まで引き上げるということでございますけれども、この評価水準が全国的に見ますと地域格差というか開きがあるような気がするんです。全国平均でいきますと公示価格に対して六五・三%ということで、札幌国税局ですと六四・六、熊本ですと六三・四、大阪で五四・九、東京ですと五六・二%というこの地域間のばらつきといいますか差があるんですね。
 そしてまた、大都市とそれから札幌、熊本等の差もありますけれども、例えば私は愛知県名古屋市ですけれども、名古屋市とそれから市に隣接した市町村との間でも格差が大変広がっているような気がするんですけれども、この地域別に異なる理由について国税庁の御見解を聞きたいと思います。
#111
○政府委員(坂本導聰君) 従来のいきさつがございまして、かつてでこぼこがあったところを直ちに是正するというわけになかなかいかなかったということで、徐々に均一化を図ってきたのが実情でございまして、ただ、平成三年では地価公示価格の七割程度にまで大体均一化されてきた、さらに今年度からは八割に統一的に行うということで、今御指摘のようなアンバランスが過去においてございましたが、これからはそれを是正していきたいと考えております。
#112
○前畑幸子君 そうすると、四年度からはかなり今までばらつきがあったところが、大変大きく地域間格差のその対応によって変わってくるということでしょうか。
#113
○政府委員(坂本導聰君) もう平成三年におきましてはぼ均一化されたと考えておりますが、今回さらに公示価格の七割を八割に引き上げることになりますので、それに伴いましてなお一層の均一化を図る。また同時に、地価税が導入されておりますので、全国的な税でございますから、その観点からもぜひ均一化が必要であるというふうに考えております。
#114
○前畑幸子君 それから、実勢価格との格差のことでちょっとお聞きしてみたいんですけれども、昨年来バブルがはじけまして地価が大分下がりました。特に三大都市圏では、もう土地取引価格がひどいところでは相続税の路線価を下回るような逆転状況が生じているわけです。この逆転現象について国税庁は事例としてつかんでみえるものがありますでしょうか。おわかりになっていますでしょうか。
#115
○政府委員(坂本導聰君) まず一般論として申し上げますと、路線価等の土地の評価は、今御指摘の地価公示価格、それから売買実例価額あるいは不動産鑑定士などの地価事情精通者の意見価格をもとにして算定し、地価の実勢に即して算定しているわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、従来地価公示価格の七割程度を八割程度に上げるということにいたしましたが、これによっても、八割に上げるという決定をした時点において実際の取引価格がこの地価公示価格の八割を上回る例はなかったというふうに私どもは承知しております。
 しかし、今後地価が下落等があればそれは適切に反映させていくということでございまして、さらに評価時点も、先ほども申し上げましたように、前年の七月一日から当年の一月一日にできるだけ近い時期に合わせるということでございますから、実勢価格をその面で適正に反映させていきたいというふうに考えております。
#116
○前畑幸子君 昨年の八月、九月の下半期からこの三月において土地の取引というものはほとんどないと言ってもいいんではないかと思うんですけれども、その辺はことしの一月一日の評価というものはどのように算定されるんでしょうか。
#117
○政府委員(坂本導聰君) まず、お尋ねの土地の取引が少なくなったのではないかという点でございますが、まだ私ども確たる計数を全国的にとらえているわけではございませんが、去る三月十五日までの確定申告の状況では、譲渡の件数はそれほど前年を下回るものではないというふうに考えております。したがって、取引は結構あると考えているわけでございます。
 それからその評価につきましては、本年一月一日における国土庁の地価公示価格を踏まえて私どもの評価もやっていきたいと思いますので、当然地価の変動があればそれはそれに反映されるということになると思います。
#118
○前畑幸子君 三井不動産販売というところの平成三年十月未の調査のデータによりますと、東京港区内十二地点のうち四地点で逆転、しかも路線価を二五・七%下回るケースもあるという報告がされているわけです。このように路線価より実勢価格の方が低いという状況がデータとして、これ三井不動産販売という大きいところで出ているわけですけれども、その辺いかがでしょうか。
#119
○政府委員(坂本導聰君) 仮に路線価よりも実際の取引価格あるいは鑑定士の評価額あるいは公示価格等が低い、路線価の方が高いという場合には、個々の実例に応じて適正な価格で算定をする、路線価には必ずしもとらわれないということでございますので、取引価格を上回るということはないようにしたいと思っております。
#120
○前畑幸子君 相続税法上にも時価となっているわけですから、ですから申告は認められるということなんですね、時価というものの。
#121
○政府委員(坂本導聰君) 個々のケースにおいて客観的な価格が評定され、それが路線価を下回っている場合にはそれが採用されるということになると思います。
#122
○前畑幸子君 土地というものはここ数年来というか、私の覚えがあるようになりましてからずっと値上がりするものというのが常識であったわけですから、そういう値上がりするという発想を基準にきょうまで制度化されたものですから、大変難しいとは思いますけれども。相続税法上も本来は時価ということですから、その時価がきちっと
計算できないわけですから一応その路線価というものを決められているということですから、時価で申告をしてもいいということだと思います。
 そこで、私が昨年大変困りました問題があるんですけれども、名古屋市の名東区というところで、路線価平米百四十万、百二十万、百六十五万、坪に換算しまして四百六十二万、三百九十六万、五百四十四万五千ということですけれども、これを売りますわ。売って、そして相続税相当額を引きましても、今年度から三九%の所得税、都道府県民税を払わなきゃいけないわけですから、約三五%というものは譲渡所得で取られて、手取り、残った六五%で相続税を納めなきゃならないわけです。
 そうしますと、逆に、この路線価でいきますと売り値が逆算できるわけです。それで、売ってきりきり六五%が相続税として納められるという数字が出るわけなんですけれども、例えば平米百四十万、坪田百六十二万としますと、七百七十万で売らなきゃ採算が合わないわけなんです。ところが、どんなことをしても、六百五十万まで下げても全然買い手がつかないという状況でもう半年以上過ぎているわけなんです。そういうような状況が出てきております。
 そして、一つ困りましたことに、延納申請をしてしまったわけなんですね。二十年で、担保を入れまして延納申請をしましたら、こういう状況になってきましたので、七百七十万で売らないことには譲渡所得をお払いして相続税相当額にならないという思わぬ厳しい状況になってしまったわけなんですけれども、現実は六百五十万でも売れない、下手すると六百万でもなかなか売れないという状況になってきましたので、物納をしたいということを税務署に申し上げたところ、延納から物納への切りかえはできないというお返事なんですね。
 この物納と延納の関係をちょっと教えていただきたいと思います。
#123
○政府委員(濱本英輔君) 物納と延納との関係というお尋ねでございますが、まず、税の納付といいますのは国税通則法で金銭納付を原則にしていただくということが定められておりまして、金銭納付の原則に対していわば物納は例外的な位置にあるということが一つございます。
 それから、もう一つの軸といたしまして、税は決められた期限までに納付をいただくという原則がございまして、どうしてもそれがやむない場合に、事情がございます場合に延納を認める。即納と延納と申しますか、そういう対比にあります。
 そこで、物納というのはあくまでも金銭納付という原則に対する例外ということで設けられておるものでございますから、一たん延納を選ばれていずれ先々金銭で納付するということであります場合にはもちろんそれで結構でございますけれども、今前畑先生のお尋ねは、延納を選んだ方が途中で物納を選ぶということ、選び直すといいますか、そういうことはできないのであろうかというお尋ねかなと思うわけでございます。
 一応延納を選ばれたときに、金銭納付の原則に立ち返って納付をしていただくことにお約束をしたということでスタートするわけでございますから、収納していただく我々の側といたしましては金銭で納付をしていただくことを期待するわけでございますが、その際、延納の手続をとっていただきますときには通常担保を提供していただくことになります。その担保は延納とともにずっと先々まで担保としてひっついていくわけでございますけれども、ついに金銭納付が困難になるという場合には、担保に提供されております物件を処分いたしましてそれでお払いをいただくということになるんだろうと思います。そういう意味では物納とはちょっと異なりますけれども、金銭納付によらないで、担保というものを処分するという形での金銭納付によって納めていただくというのがその場合の一つの形になろうかと思います。
 それからもう一つは、物納を申請されました後、延納に戻るといいますか物納財産を税務署にこれで物納したいとお持ちいただきまして、それが適当でないという場合がございます。そういう場合にはどうしようかということになるわけでございますけれども、御本人は今すぐに納められないから延納に切りかえたいとおっしゃる場合もあり得ると思います。その場合は、延納というのは金銭納付、つまり原則的な場合に立ち返るわけでございますので、物納から、物納の手続を始めたところが延納に切りかわるという例はあり得るだろうと思います。
 先生のお尋ねが物納と延納の関係について述べよということでございましたので、両方の場合があり得るかと思って申し上げた次第でございます。
#124
○前畑幸子君 私の聞き方がちょっとまずかったんですけれども、要するに私の言いたいのは、延納申請をして、自分の努力によって売却をして納税をしたかったんですけれども、よく考えますと、要するに路線価より売価が下がってきてしまった場合に、これは悪い判断になるかもしれませんけれども、譲渡所得を納めたそのあとの残りの六割で納税をしなければならないぐらいならば、路線価評価額で納税充当していただいた方が苦労がないわけですね、一〇〇%路線価額で取っていただけるわけですから。ですから、こういう土地が動かない時点では、お国が考えられた路線価評価額でその物件をとっていただきたいという意向なんです。
 ところが、国税局の方の言い分は、物納というのは弱い人の立場の救済方法であると。ですから、物納を自分で申請した場合に、それを延納を申請したのに物納に切りかえることは認められないというふうになっているということなんだそうです。
 私がこれでお願いしたいのは、要するに物納、延納申請、そのときの状況、経済状況、そしてその御本人の、高齢になってなかなか不動産屋さんへ行って売ることも難しいとか、いろんな状況があると思うんですね。それを、延納をしたら物納は認めないということではなくて、どちらにしても、一年しても二年しても、変わった場合にも受け取っていただきたい、認めていただきたいということをお願いしたいんです。
 これから、こうした地価が下落するその影響によりまして、物納申請というものが増加してくると思うんです。ところが、なかなか物納が今度は難しいんですね。借地権のついたものとか、それからこちらも売りにくい土地は、なかなか厳しい状況ですし、国税局は財務局が大変厳しいことを言うのでというふうにいつもおっしゃるわけなんです。その財務局へ行きますと、貸し家建てつけ地につきましては入居者の同意書をとってこいとか、更地はきちんと実測した実測表を持ってこいという、大変厳しいんですわ。
 貸し家建てつけ地につきましては、十年も十五年も借家を貸しておりますと、一般的に今新規に貸す人よりも多少お家賃が安くなっているわけですね。本来ですと、新規に入居された方ですと八万とか九万かかるものが、例えば五万、六万であった場合に、今度物納をされますと、その財務局が、そのときには新規入居者ということで時の時価相場、そして土地の評価額、そういう実勢価格に基づいてお家賃を算定をし直しますと、二割、三割と高くなってしまうのが現状なんです。そうしますと、入居者と貸している者との間にいわゆる同意が得られないんです。そうしますとそれが物納できないということで、大変借地権のついたもの、借家権のついたものに対する物納は不可能に近いというのが今の現状なんですけれども、これからそういう問題についてどういうふうにお考えいただけるか。今即答はあれかもしれませんが、方向づけとしてはどんなお考えをお持ちでしょうか。
#125
○政府委員(中川浩扶君) 国税庁の方でまず物納申請を受けるわけでございますが、御承知のとおり、国税の納付というのは金銭ということが原則になっておりますので、まず、物納申請が出てまいりますと、金銭納付を困難とする理由がある場合におきまして管理処分することが適当と認めら
れる財産であるときには、その納付を困難とする金額を限度として極めて例外的に物納を認めるという制度になっております。
 したがいまして、そういった制度のもとで執行していくわけでございますので、まず、申請がございますと金銭納付を困難とする理由があるか否かを審査させていただきまして、その上で、二段目の段階としまして物納申請財産が、例えばいろいろ今先生のおっしゃったことも含めまして、担保権の目的となっているなど、これは非常に明らかなんですが、国税庁におきましては管理または処分することが適当でない、不適当であるということが非常にはっきりしている場合、これは一定の基準がございまして、そういったものにつきましてはその時点で変更をしていただくとかあるいは却下処分をするというふうなことになろうかと思います。
 ただ、それ以外の場合、つまり管理処分が適当、不適当が明らかでない、これは個々に、ケース・バイ・ケース、納税者の方と御相談しながら進めなくちゃいけないというものにつきましては、国税及び財産の管理官庁であります財務局と、調査依頼しまして、そろって協議をした上で、その財務局の回答を受けて許可でありますとかあるいは却下処分をする、あるいは他の財産に変更していただくというふうなことを手続上行っているというところでござます。
#126
○前畑幸子君 物納をする財産の選択を弾力化することも大きな相続税見直しの課題ではないかと思いますので、大蔵大臣、今後どういう方向に向かわれるかということを聞きたいのと、相続財産の中に、大臣なんかも大変お持ちだろうと思いますけれども、ゴルフの会員権とか借地権というものがあるんですけれども、これが物納に該当しないんですね。相続税の計算をするときには課税にはしっかりと計上させられるわけでございますけれども、さあ物納しようと思うと、その会員権ではだめだと、こういうことなんですけれども、ちょっとその辺のいきさつを聞きたい思います。
#127
○国務大臣(羽田孜君) 相続税についての物納の問題につきましては、先ほど部長の方からお答え申し上げましたように、私どもといたしましてもこういったものがスムーズに行われるように適正にしていきたいと思います。
 なお、今お話がございましたゴルフ会員券等につきましては、これは市場がないということでこれが対象になっておらないということでございまして、今ゴルフ会員券についての市場等がいろいろと言われておりますけれども、今現在そういうものがないというようなことで扱われておらないということでありますけれども、今後我々としてもどういうふうに対応していくのか考えなきゃいけないと思っております。
#128
○前畑幸子君 市場売買というか、ゴルフ会員権売買所というのもありまして、取引所税というのも払っている――市場じゃない。じゃ、私の勘違いです。持ってないのでわかりませんので済みません。
 それから、相続税というのは現金、預金という方は少ないと思うんですね。相続が現金、預金でほとんどという方は数字からいっても余りない。不動産というか、そういういろいろなもろもろの財産を含めて課税の対象になっていると思いますので、今後、今お答えいただいたように物納の枠を拡大して弾力的な対応をとっていただきたい。そして、ぜひ物納と延納の申請の交互の対応もお認めいただきたいなと思います。
 それから、今回の改正の中に、取引相場のない株式による物納を認めるということが入っておりますけれども、ちょっとこの辺のいきさつを御説明いただけたらと思います。
#129
○政府委員(濱本英輔君) 取引相場のない株式につきましては、従来からその取り扱いをどうするかということはいろいろ御議論のあったところでございますけれども、今回、ほかに納付すべき財産がない場合これを納付していただくということで、これは従来から認められていたことではございますけれども、明確にさせていただいたということでございます。
#130
○前畑幸子君 取引相場のない株式について、不動産がある場合であってもその不動産が他の債務の担保となっておりほかに適当な財産がない場合には延納の担保として認めることを明らかにするということでございますけれども、私はこれはありがたいというふうにも申し上げたい面もあるんです。
 といいますのは、今ちょうど戦後企業を起こされた方たちが相続の時期を迎えている時期に来まして、要するに取引のない株というものに対する評価が、随分含み資産を含めまして株価が高くなってきているわけです。ところが、いわゆる同族会社的な会社の株を、兄弟ですら買ってくれない、ましてや私どもに買ってくれと言われてもよう買わないような株というのはたくさんあるわけでございますけれども、それでもそれが大変なウエートを持っ企業もあるわけなんですね。それに対する苦労というものが非常にあったわけなんです。
 ですけれども、これが本当にそれで物納を認められるということになりますと、この物納された株というものは国税庁でお預かりをいただくんですか。どういうふうにして保管されるんですか。これ第三者に売買されたんでは大変なことになるわけですし、その辺をちょっと説明いただきたいと思います。
#131
○政府委員(吉本修二君) 土地の場合と同じでございまして、物納された財産はその管理官庁である財務局の方に引き継がれると、こういうことになります。国有財産として管理することになります。
 今お話のございました取引相場のないそういう株式というのは、従来からいろいろと問題があるわけでございますが、どちらにしろ税金にかえて納められた、物納されたものですから、それを引き継ぎを受けました財務局は、売却をしてそして財政収入を確保するというのが使命になっておるわけであります。したがって、必ず売却するのが前提でございます。ただ単に預かっていただくというような意味で物納していただくというのではもともとこの物納制度というのは成り立たないわけでございます。したがいまして、できるだけ売却に努める。
 従来、取り扱いでやや問題がございましたのは、必ずしも売却できるめどが立たない。おっしゃるとおり立たないわけでございます。したがって、できるだけ避けていただくということでお願いをしておりました。しかしながら、世の中いろいろ、こういう時代にもなってまいりましたし、それから関係の会社の方、親族の方、そういう特別の縁故のある方で引き取っていただけるような場合も発生してまいりました。そういう実態も踏まえまして、売却のめどが立つということでやむを得ない場合には物納をお認めしょう、こういうような取り扱いにこれからしていこうと、こういうことでございます。
#132
○前畑幸子君 そうしますと、財務局が一度担保として受け取っていただいた、それを要するに親族とか身内とかに売却をあっせんするということになるわけでしょうか。
#133
○政府委員(吉本修二君) 失礼いたしましたが、私は今物納を受ける場合の話を申し上げました。担保として提供される場合には処分するわけではございません。これは国税庁の方の御担当でございます。延納の話だと思います。
#134
○政府委員(中川浩扶君) ちょっと補足して申し上げますと、要するに、担保は延納の場合にございます。今先生のおっしゃいます物納の場合ですと、もうそれは国税の方から財務局の方に引き継ぎまして、財務局はそれを今理財の方で申しましたように処分をしてということになるんですが、例えばそれを結果的に見ますと、その処分いたしましたものはこれは国有財産収入として一般会計に入るというふうに全く別建てになってございます。物納はそういうような取り扱い。担保の場合は、それぞれ国税の方でお預かりしまして、その間保有をして、完納になればお返ししますし、延納が
途中になりますと、その分につきましては担保分を売却等お勧めして処分するというふうな立て方になっております。
#135
○前畑幸子君 ちょっと私、身勝手な言い方かもしれませんけれども、同族会社の要するに株を財務局に物納いたしますね。そうしますと、物納したものだから第三者に売却するのは当然ですね。売られて困るという場合にはそれは物納できないということですね、逆に。――わかりました。それで納得できましたけれども、結局は厳しい、できないということです。私の知っている範囲の株ではできないということだと思います。わかりました。
 次に、生産緑地についてお聞きしたいと思います。
 この四年から農地税制改正と生産緑地法の改正に伴いまして、三大都市圏の市街化区域農地というものが宅地並み課税になるということで、これは大変いい方向に向かうと思いますけれども、保有する農地を、いわゆる宅地化しようとする土地とあくまで農地として頑張っていきたいと保全する農地に分かれると思いますけれども、今回の改正によりまして、三大都市圏の宅地化される地域とか対象面積、どの程度、まだ三月いっぱい自治省に対する申請期限がありますので、きちっとした数字は出ないかもしれませんけれども、どの程度進んでおりますか、お聞きしたいと思います。
#136
○政府委員(濱本英輔君) 生産緑地の実務のことにつきましては、必ずしもつまびらかにしてない点がございますけれども、申請はことしの三月までに出されまして、実際にはことしいっぱいに決定されるというふうに聞いておりますものですから、ただいまの段階でその実態がどのようになるかということにつきましては必ずしも明らかでない、今のところまだ明らかにはなっておらぬということだと思います。
#137
○前畑幸子君 ちょっと私が自治省にお願いするのをうっかりしましたので、申しわけありません。
 地価が高騰している折ですので、そうしたものの是正と、サラリーマンの住宅取得の緩和につながってサラリーマンの夢が実現されるように生産緑地法というものが生かされることを祈りたいと思います。
 路線価方式と倍率についてちょっとお聞きしたいと思います。
 地価税の創設に伴いまして、路線価の対象にするところがふえると思います。現在、十七万地点と言われているわけですけれども、今後評価地点ほどのぐらいふえる予定でしょうか。
#138
○政府委員(坂本導聰君) 委員からたびたび御指摘のございましたように、評価の適正化を図るためには路線価地域の拡大がぜひとも必要であると考えております。したがいまして、私どもは、今まで、現在平成三年分までは約十七万地点が標準地でございましたが、まずこの標準地を約二倍程度にぶやすということを一ついたします。それから、路線価地域につきましても五割増し程度に広げるということを考えております。そういうことによってよりきめ細かい適正な評価を実施したいと考えております。
#139
○前畑幸子君 最初のときにも申し上げましたように、この路線価というものも、用途の区分とか状況の類似地区の区分など細かい区分を評価に反映して算出されるわけですけれども、倍率方式というものは、商工業地域なのか住宅地域なのかというそういう区分が余りなく、ただ国道沿いかそれ以外かとかという簡単な区分けで評価されているわけでして、固定資産税評価額自体が格差があるわけですので、それにその倍率を掛けるということになるわけですから一層格差が大きくなるような気がしてなりません。
 最初にも申し上げましたけれども、倍率方式のきめ細かい評価方法の見直しと、それから路線価方式へ少しでも移行していただくというようなことが必要ではないかと思いますが、もう一度お答えいただきたいと思います。
#140
○政府委員(坂本導聰君) 大ざっぱに申し上げますと、路線価地域というのは大体都市部でございまして、倍率方式はそれ以外の地域と、こういうことになりますが、ただいま申し上げましたように、路線価地域を五割増し程度に拡大するということをいたします。それから、倍率方式は固定資産税、各市町村ごとの固定資産税の評価の格差をそのまま反映するというようなお考えかもわかりませんが、そうではございませんで、各市町村ごとにこれの固定資産税評価額と取引価格とを比較いたしまして、どのくらいの倍率になっているかということで倍率を決定いたしますので、すべての市町村が同一倍率ではございませんから、実際の取引価格は時価と、それから固定資産税評価額の開きを倍率で調整していくという形になっておりますので、直ちに固定資産税評価額の評価の違い、市町村ごとの違いがそのまま倍率方式に反映されるというわけではございません。
#141
○前畑幸子君 国税庁の方ではおわかりにならないと思うんですけれども、固定資産の評価額そのものに通り一本違ってもかなりの差が出てきているという、格差があるということは現実なんですね。それをもとに要するに五十五倍とか七十何倍とかという大きい数字を掛けるわけですから、格差になお大きな隔たりが出るということを私は申し上げたかったわけなんです。今後、五割もふえるということですから、かなりふえるということだと思いますけれども、今後の課題としてお願いしたいと思います。
 それから、株の評価の計算をするときに類似業種比準方式というのがございますね。これは資本金一億円以上そして取引相場のない株式の評価に適用されている方式ですけれども、これも業種の相違に対応してウエートに差を設けなければいけないわけで、配当とか利益とか資産などそういうものを勘案して考えるわけですけれども、配当について過去の配当実績をもとにしているわけですけれども、同族会社の場合は、こういうことは余ツよくないことですけれども、配当支払いがオーナーの意思にかかわっているわけですので、信頼性が低くなるような気がいたします。こうしたことから、過去の配当実績ではなくて会社の配当支払い能力に求めることが適当ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#142
○政府委員(坂本導聰君) 御指摘は取引相場のない株式の評価の問題だろうと思いますが、これは三つに分けてございまして、まず上場会社に匹敵するような大きい会社につきましては類似業種比準方式、それから個人企業とそれほど変わらない小さい会社、この場合には純資産価額評価方式によっておりまして、大会社と小会社の中間の会社については両者の併用方式ということをやっております。
 その場合、まず御指摘は、類似業種比準方式の大会社の場合の配当の問題だろうと思いますが、確かに配当を低めて評価を下げるということがなきにしもあらずだろうと思っておりまして、これは将来の検討課題だろうと考えております。
#143
○前畑幸子君 ぜひ、節税行為という名のもとに株の評価を意図的に左右できるという、こういうことは相続が近くなるとどうしてもやはり考えられることですので、この類似業種比準方式というものをもう少し抜本的に見直す時期が来てもいいんではないかなという気がいたします。よろしくお願いします。
 それから次に、余り私自身もそんなにこの問題は大事にとらえるべきなのかなという気もいたしますけれども、贈与税のことをちょっとお聞きしたいと思います。
 五十年に税制改正によりまして今まで四十万、二十万、二十万ということで三年間で八十万しかできなかったのが、毎年六十万というふうになったんですけれども、去年、おととしあたりから贈与税に対する贈与税という厳しい税務署の監視が始まったようです。十歳の子供が納める贈与税は親が払っても、納税能力がないことはわかっているわけで、今までは認められていたようでございますけれども、昨年あたりから、その贈与税に贈与がかかるという大変厳しい状況になってきたことは、これは当然だと思いますけれども、物価水
準とか国民の生活水準とか所得とか、そういうものが向上したことを考慮しますと、そろそろある程度の基礎控除の引き上げというものはお考えになっていませんでしょうか。
#144
○政府委員(濱本英輔君) 今回、今回と申しますか、抜本改革の一環として相続税の見直しか行われ、その間におきましては、相続税の補完税でございます贈与税のあり方につきましても議論が行われたところでございまして、その議論を踏まえるような形で今回の相続税改正の時点でも贈与税の問題について吟味はいたしました。
 贈与税の基礎控除が六十万円でございますけれども、この六十万円というものを設定しております意味というのは、少額不追求ということで設定されたというふうに理解しております。相続と贈与というのは、相続というのはある日突然に起こることでございますけれども、贈与という行為は計画的に行うことができるわけでございまして、例えば六十万円なら六十万円というものを計画的に贈与していくということができる方というものを思い浮かべでみますと、これはだれでもそういうことがいつでもできるというものではないという気もいたしますし、少額不追求のレベルとしまして六十万円というのはさほど不適当なものではないというのが議論の結論でございまして、今回引き上げをすることは見送られたということでございます。
 先生の御指摘のように、贈与税あるいは相続税が見直されます機会には、それぞれの税体系あるいは課税最低限というものについて、それでいいのかという吟味はいつも行われるわけでございまして、そういう意味での問題意識は常に我々も持っているつもりでございますけれども、今申し上げましたような事情から見送られたことについて、私は適正なことであったというふうに思っております。
#145
○前畑幸子君 配偶者の特別控除というのが二千万あるわけです。相続路線価が上がり、基礎控除、そして相続税の税率が緩和されたわけですけれども、相続財産を守るということは、やはり配偶者に残すということが一番の第一目的であればいいんではないかなと思います。ですから、そうした意味でいきますと、相続財産を息子とか娘に残すよりもやはり配偶者に残すことを第一目的にしていただきたいわけで、そうしますと、相続税の控除よりも、こうした配偶者に対するある時期での贈与というものにもう少しウエートを置いていただく。それが二千万がどこが妥当かということは一概に言えないと思いますけれども、夫が死んで五十坪の家がたまたま一等地にあったために妻ですら相続できないという、そういう言葉を聞きますと、そういう妻に対してだけはこういう生前においてでも贈与税の枠を広げていただく、上げていただくことによって緩和されるんではないかと思いますけれども、この配偶者の二千万もまだお考えの余地はないでしょうか。
#146
○政府委員(濱本英輔君) 配偶者の二千万控除につきましても従来からいろいろ御議論がございましたけれども、六十三年でございましたが、婚姻期間二十年以上の夫婦間における居住用不動産あるいは金銭の贈与につきまして、従来の一千万円控除を二千万円に引き上げていただいたところでございます。これを今さらにという議論にはならなかったわけでございますが、ただ、前畑先生今おっしゃいましたように、たまたまそこそこ、いい値段の高い土地に夫婦で住んでおられて、突然お相手を亡くされたというようなケースについて、果たして今の税制は過酷ではないかというのは、ただいまおっしゃった贈与の議論とは多少角度は違うかもしれませんけれども、今回の相続税の見直しにおきましてもしばしば議論されたところでございました。
 今御指摘がございました居住用不動産の二千万円の控除というものは、生前に行われるわけでございますけれども、生前に二千万円の控除を行いました上で、さらにもしその相続が起こりましたときには、従来は六十三年の改正以前におきましては遺産の二分の一または四千万円のいずれか大きい金額まで配偶者のために控除することができるということになっておりましたものを、法定相続分または八千万円のいずれか大きい金額に対応する税額まで控除できるということに直していただいたわけでございます。
 この法定相続分というのは、先生に申し上げるまでもないことでございますけれども、配偶者と子供の場合には二分の一でございますが、配偶者と直系の尊属が残りました場合には配偶者の取り分が三分の二、配偶者と兄弟姉妹、亡くなった御主人の兄弟姉妹とで分けます場合には四分の三が配偶者に帰属するということになるわけでございまして、相当大きな取り分になりますし、八千万円も相当効いていると思います。六十三年に改正がございまして以降、配偶者控除の額が大きく膨らんでいる、実際の実績を見ましても膨らんでいるという感じがいたしまして、それなりの効果を上げているという気がいたしますし、加えまして今回の相続税論議で小規模宅地につきましての五〇%、今までの非課税のレベルを上げたということもそういったケースには効くはずでございます。
 さらには、さっきちょっとお話がございました、夫婦で居住しておられまして突然御主人を亡くされた場合にその家から出ていかなければいけないというケースというのはいかにも生活の安定を脅かす感じがいたしますけれども、そういったぎりぎりのケースのために物納という制度が開かれたということもございまして、私は今の御指摘の問題、非常に大事な問題でございますけれども、居住用不動産の生前の贈与から始まりまして何重かにわたって措置が講ぜられているように思うのでございます。
#147
○前畑幸子君 わかりました。
 それでは、消費税の導入されたのが平成元年だったと思います。三年たちましたわけで、いよいよ消費税の調査というものもこれから始まると思いますけれども、それに関連しまして、昨年税務行政の機構が変わったと思います。人員をふやさなければ消費税の調査に対応できないということで、間税部門がなくなり、かなりの人員増を図られていると思いますけれども、この三年でどのぐらい税務職員の人数はふえているわけでしょう。
#148
○政府委員(坂本導聰君) お尋ねの数字を申し上げる前に、まず機構改革の御指摘がございましたが、これは間税部を廃止したということではなくて、従来の直税部と間税部を一緒にしたということでございます。その趣旨は委員まさしく御指摘の消費税でございまして、従来個人なり法人につきまして、例えば個人につきまして所得税の調査に行く、次いで間税の職員が消費税の調査に行く、あるいは法人につきましては法人説調査をやる、法人課税部門がやりまして、直税部がやりまして、その次に間税部が消費税をやる。二重手間になるということから、一体的に一度で消費税と所得税、あるいは消費税と法人税を調査した方が効率的ではないかということから、間税部を廃止ということではなくて、直税部と間税部を合体した部にしたということ。でございます。
 それからなお、御指摘の国税職員でございますが、お尋ねは消費税導入による国税の職員の増加分であろうと思いますが、これは平成元年度国税職員全体では純増で八百五十七人でございますが、そのうち消費税分は七百人、それから平成二年度は国税全体では六百五十三人の純増でございますが、そのうち消費税分の増員は五百人、それから平成三年度は純増数が国税全体では六百五十人でございますが、消費税の増員分は三百人ということでございまして、結局、この間全体の純増数は二千百六十人でございますが、そのうち消費税分は一千五百人ということでございます。
 なお、機構改革にょりましては消費税ということでの増員はございませんでした。
#149
○前畑幸子君 これは三年までをお聞きしましたが、今後年々増員の計画はあるわけでしょうか。
#150
○政府委員(坂本導聰君) 率直に申し上げますと、私ども税の非違があると認められるものにつ
いては可能な限り調査を行いたいという意図がございますので、したがって、現状からいたしますとその調査の実態が多少ずつ低下しているという実情にございますので、本来ならば大幅な増員をお願いしたいわけでございますが、全体の定員事情が厳しい中でどれだけできるだけの配慮をしていただけるか、関係方面にお願いしていきたいということでございまして、計画的な数字を持っているわけではございません。
#151
○前畑幸子君 今税務職員が、個人、法人違うと思いますけれども、一カ月に一人で何社ぐらいの調査に出るんでしょうかね。
#152
○政府委員(坂本導聰君) ちょっと手元に数字がございませんが、調査といっても一律的な調査ではございませんで、特に悪質な非違が認められるというような納税者の方については重点的な調査人員あるいは日数をかけ、あるいは余り問題がないあるいは小さいというところについては人数も一人でやり日数もかけないということでございますので、一概に一人の職員が月に何件ということにはなかなかまいらないと思います。
#153
○前畑幸子君 今、経済範囲が大変外国に支店を持つとか広くなったわけですし、取引も複雑化したり煩雑化しているわけでして、そうしてまた企業数もどんどんふえているということですし、そうした中で、消費税も入りましたし、その消費税におきましても別枠の人もあれば内税の人もあればということで、大変調査に時間がかかると思うんです。職員数がこれは少ないのか多いのかはわかりませんけれども、職員をふやせばいいというものでもないとは思いますけれども、大変厳しい中で、今時短時短と、それから休日をという段階で、私ども税務職員の働く姿を見ておりますと厳しいものがあるわけですね。調査の時間というのは五時までですけれども、実態は、うちへかばんの中に書類を入れて帰って、そして公務員宿舎で一生懸命そろばんをはじくというのが実態のようです。
 そうした姿を見ますと、税務職員をふやしてすごくたくさんにして楽にすればいいというものでは私はないと思いますけれども、もう少し経済のあり方というか、そういうものの実態も調査しやすい状況にするのも必要であろうし、それから申告のあり方も簡素化すべきではないかと考えるわけです。
 私も三月十五日を見ておりまして、大変個人の納税申告者の数字がふえてきていると思うんです。私ども、市町村では区役所とか税務署で税理士を初めとして無料税務相談というのを行っておりますけれども、それこそおばあちゃんの貸家一軒の申告から、お医者様が、お医者様と指定をすると大変失礼に当たるんですけれども、十枚も十五枚も大変大きな数字の源泉徴収票を持っていられる方を見たりしますと何かせつない気がいたします。そうした申告のあり方にもこれから考えなきゃいけない問題があるのではないかと思いますけれども、どういうふうにお考えになってみえますでしょうか。
#154
○政府委員(坂本導聰君) まず、御指摘の調査というお話でございますが、その前に、申告納税制度でございますので申告が適正に行われていればまず問題がないわけでございます。したがって、私ども国税職員といたしましては、適正な申告をしていただくということに最大の力を置きまして、したがって今回の機構改革でも広報体制を整備したところでございます。
 それから、増員をしていただければこれは非常にありがたいわけでございまして、非常に御理解いただく御意見をちょうだいしたわけでございますが、一方で、私ども自体も合理化あるいは事務の機械化等を行い、できるだけ内部から人力を捻出するということをやらなきゃならないというふうに考えております。
 それからまた、持ち帰りの話が出ましたが、これはもう持ち帰りは厳禁でございまして、納税者のプライバシーにかかわる問題でございますから、これは徹底しているところでございますが、ただ超勤というような問題は別途ございます。しかし、これについてもできるだけ超勤はしないようにという指導をして、事務計画上無理のない計画にするように、これも国税局署を通じて指導をしているところでございます。
 それからさらに、委員御指摘の税理士会等関係団体の御協力を得て足りない分を助けていただくということもやってございます。
 それから、全体的に考えますと、限られた人員の中でいかに効率的に行うか、しかも職員に無理をかけないかということに常日ごろ心がけ、これからも考えてまいりたいと考えております。
#155
○前畑幸子君 私はいつも申告のときに思うんですけれども、医療費控除というのがいつも気になって仕方がないんです。先日、御説明を予算委員会でもお受けしました。要するに、突然病気になって経済的負担を強いられた人たちにとってそれは大変必要なことであるということはわかっておりますけれども、今高額医療費に関しましては市町村で補助、助成をしていただけるわけですね。看護婦さんの費用とかそういう付き添いさんの費用というものはこれかなりかかると思いますが、ところが、医療費控除を受ける人の過半数は、要するに五万から十万、十二、三万という、家族四人の医療費を全額合わせても十万足らずという方が多いんですね、そういう納税申告場所で見ておりますと。そうしますと、せっかく一年間かかって寄せ集めた医療費の領収書が、例えば最悪の場合は九万五千円で、苦労して私どもそろばん入れた合計が九万円とか九万五千円であって、泣くに泣けない顔をして帰られるお母さんを見るわけです。これ十万円に上がりましてからそういう卒が多くなったわけですけれども。
 もうこの医療費の問題というものも、要するに入院された方、そしてまた大変高額な歯を入れられた方とか、そういう方だけが対象として、二百万まで控除できるわけですけれども、これを通して税というものに対する一般国民の関心が強まったということは私は認めますけれども、ちょっと今、事務煩雑の一つの大きな原因になってきているのではないかなという気がするんです。
 例えばたまたま薬局の領収書があったためにそれを入れておいたら、これは下に薬の名前が書いてないので洗剤を買ったのからり紙を買ったのかわからないからということで、千五百円か二千円の領収書でも税務職員から否認をされて通知が来る。ということは彼たちがそれを一つずつチェックしているということなんですね。三十枚も四十枚もある領収書をチェックしてそれを指摘してくるということは、私どももいけませんけれども、やはり税務職員のオーバーワークにつながるという気がするんです。ですから、やはり職員をふやすばかりではなくて、税というものはだれがやっても簡単にできるように、そして簡素化していく、個人に関しましては特にそういうことを私は望みたいと思うんです。
 それから、生命保険も長い間五万円、今度年金性のものが五万円加わりましてやっと十万円。きょうびもう九〇%の家族が生命保険を掛けている。そして、その金額も一カ月に一万円以上というのはもうほとんどの家族だと思うんですね。そして、火災保険につきましても、もう私が覚えがあるようになってから、短期では三千円、長期では一万五千円というのがずっとでございますけれども、きょうび建物の金額も昔の二千万、三千万の家屋から一億近い家屋にもなって、大変保険料もふえてきているわけです。そういう据え置かれたもの、それを上げろとかどうかではありませんけれども、私がふと考えますのは、やはり事務の簡素化につなげるためには、多少のまた不公平も出るかもしれませんけれども、生命保険、火災保険、医療費控除等を網羅して、基礎控除なりそういうものに反映していただいて、すっきりしたものにしていただいたらどうかなという気がいたします。それによってやはり税務職員の事務煩雑も簡素化されるわけです。
 納税者の数もふえてきたわけですし、今還付制度というものが大変発展しまして、還付請求者というのが申告者のうちのかなりのウエートを占め
ていると思いますけれども、そんな数字がわかったら教えていただきたいことと、それから、今まで一千五百万以上の人は源泉徴収をできなくて、要するに確定申告をしなさいということでございました。それが今度二千万円になりましたね。それもやはりもうそろそろ源泉徴収される金額を、枠を上げていただくということも必要ではないかなと思うんです。
 それから、配当控除というのがございますね。一千万超える人は五%、一千万以下の人は一割の配当控除があるわけです。こういうものに対する、大変高額な配当をもらった人が配当控除をまた還付で受けるという、そういういろんな事務的な煩雑さというものをもうそろそろ考えることによって、もっともっとどこかほかのところできちっとした対応ができるのではないかなという気がいたしますけれども、その点について御見解はいかがでしょうか。
#156
○政府委員(坂本導聰君) 御指摘のうち、還付の件数だけ申し上げますと、平成二年度でございますが、還付件数が六百六十三万三千人ございました。
 なお、薬局の領収書等のお話がございましたが、実は還付は一度納めていただいた税金をお返しするわけですけれども、この制度を利用して結構悪質な手口の還付事例がございますので、私どもは執行に当たりまして一線職員に対し、還付にも十分目を配るように、こう申しておりますので、そういった執行になっていると思っております。
#157
○前畑幸子君 ですから、私もそれはわかっております。事例を挙げてはいけませんけれども、例えば親族に歯医者さんがあれば五十万の歯を入れたことにするとか、そういうことは現実に私どもも指摘したことがございますので。やはり本当に幼児、子供の風邪薬など、そういう医者代にかかったものが反映されなくて、そういうことで還付を受けるという、三〇%の還付、納税者におきましては大変ウエートが大きいわけですので、私はいつも申告書を見るたびにその辺の不公平をしみじみ味わっているわけです。それよりも、もう少し違うところで税の体系というものを考えていただいて、何回もお願いするわけですけれども、先回も大蔵大臣にまだ減税の時期ではないというお言葉をいただきましたけれども、やはりそういうものを整理淘汰する中で、事務的な煩雑さも救う中で、そして一番下に厚くなるのは基礎控除ではないかなと。
 そしてもう一つ、私は配偶者特別控除というものに対する不満を大変持っております。といいますのは、御主人の年末調整をされる時点では妻のパート金額というものは確定しないわけなんですね。例えば、大会社におきますと十二月の初めぐらいに妻の支払い給与金額を問い合わせるわけです。今現在八十五万だとして言います。ところが、十二月いっぱい働くことによって九十五万になる場合もあるでしょうし、百一万になる場合もあります。そうしますと、それは御主人の源泉徴収票を計算する時点ではその配特の控除というものはもう間違った数字で出されるわけです。それをチェックするのは区役所で初めてわかる。区役所から税務署に通知が行って、税務署が所轄の企業におたくの御主人の配偶者特別控除金額は違っておりますよという、こういう事務の煩雑さというものは大企業においては非常に大きいのではないか。そしてまた中小企業においても、ほとんど妻は子供のためにそして家計のために一生懸命パートに走っておるわけでございますので、十一月の時点で御主人が会社に申請する給与金額というものには必ず違いがあるのが当然でございます。
 こういう事務的な煩雑さと、そして朝から晩まで子供を育てながらもフルタイムで働いている主婦と、一日じゅう、まあ遊んでいるとは申しませんけれども、私どもから眺めたら御主人の保護のもとに生活ができる女性とをこういう金額で区別していただくというのは私は余りよくないんではないかなと。いろいろな意味で女を差別する、そんなことでおんぶさせていただかなくてもいいような気がいたしますので、その辺に関しまして大蔵大臣、お願いをいたします。
#158
○政府委員(濱本英輔君) いろいろな盛りだくさんのお話がございましたけれども、まことに税制を考える者にとりまして、税制の本道と申しますか本道をついた御指摘を賜ったような気がいたします。
 と申しますのは、先生は先日の予算委員会のときにもその御指摘がございまして、医療費控除の御指摘がございました。私帰りましてシャウプ勧告の医療費控除に関連いたします部分をもう一度読み返してみたんでございますけれども、当時、シャウプも「医療診察にかかる普通の費用を控除として認めることは、基礎控除で償われていると見るべき生計費の控除を別に設けることになり、これは税務行政に不当の負担を負わしめることとなる。」ということを明確に書いておるわけでございます。先ほど来税務職員の状況について御心配を賜ったわけでございますけれども、この医療費控除の問題に関連しましてシャウプ勧告にまず書かれております点はその点であるわけでございます。
 いろいろシャウプ勧告の当時も議論がなされたんだろうと思いますが、「長期の入院」とか「小児麻ひ」あるいは「肺結核」というような具体的な病名まで書いてございまして、そういった「慢性的疾患の場合、支払能力に相当な支障をきたすわけであって、このような費用には適当な控除が与えられるべき」ではないかというふうに書いてございますけれども、ただ、損失が所得の一〇%を超える、そういう場合に、その場合に限ってその控除を認めるという損失控除の一般的な制限をそこにかませれば、適用すれば今のような問題は解消されるのではないだろうかということで、この足切りの制度というものを工夫されたというふうに読むわけでございます。
 また、前畑先生がおっしゃっておられますのは、税務当局の負担ということだけでなくで、納税者の負担ということも先日からいろいろ伺っておりましてついておられるわけでございまして、合計してみると十万超えるんじゃないかということでたくさんの伝票を一つ一つ合計していくと九万五千円で尽きだと。まことに、それだけのコストがかかってなお伝票を数えた人は何ら報いられないということになるわけでございまして、そういう制度というものは一体どういうものであろうかという御疑問だと思うんでございます。
 結局、その話もぐるぐると回ってもう一度戻ってまいりますのは、やっぱりそういう特別な控除とか、先ほど申し上げました配偶者特別控除につきましても、問題はちょっと違いますけれどもよく似たような問題があると思いますけれども、特別なケース、ケースに対応していこうとしますと、それに対する手続を伴うということになりまして、その手続の大きさというものを無視して、きめ細かさに負けまして制度を複雑にしていくということがあってはいかぬという御指摘というふうに私は伺ったわけでございまして、税制をつくりますときに簡素化という要請を肝に銘じておけということだろうと思います。
 先生はこの間もそうおっしゃいましたけれども、生命保険料控除等の問題も含めて基礎控除をもっと太くするということで吸収して解決したらどうかという御指摘でございます。私は、今直ちに所得税の大減税、基礎控除をこれらを飲み込んでしまうような太いものにできるかということになりますと、先般来大蔵大臣あるいは総理からも御答弁がございましたようなことで非常に今難しい状況にあるというふうに思いますけれども、物の考え方として、きめ細かいいろんな控除というものを基礎控除に統合していくということも考えてみるという御指摘と伺いまして、今後の税制調査会での論議とかあるいは私どもみずから税制の問題を考えます場合に、そういった目でこういった控除を吟味してみたい。それらを基礎控除に飲み込んでしまうということは一気にできることとは思えませんけれども、控除のあり方というものを考える場合に常にそういう問題意識で考える、あるいは今後控除の議論が出てきたときにそうい
う問題意識で考えさせていただくというふうに心がけてまいりたい、さように存じます。
#159
○前畑幸子君 ありがとうございました。
#160
○和田教美君 経済企画庁が十九日に発表した国民所得統計速報によりますと、去年の十二月のGNPは実質で前期比マイナス〇・〇四六%、年率換算でマイナス〇・二%となりました。先日の大蔵委員会で、私、今回の景気が去年のいつごろピークに達してその後下降局面に転じたという問題について、政府の判断が余りにも遅過ぎるということを指摘したわけですけれども、いずれにしましても、このデータで見ますと去年の秋から景気は急速にダウンしていることはもう明らかであります。在庫調整の問題についても、日銀の三重野総裁自身が在庫調整は長引いてことし後半まで続くというふうな答弁をされております。
 したがって、今度の景気も底入れしていつ回復に向かうかということについても、最近はもうとにかくことしの年末あるいは来年になるんじゃないかというふうな見方が大勢になってきておるような状況でございます。確かにこれまでの景気後退、不況期と違いまして雇用が堅調であるというふうなことから、こういう特殊性がかえって政府の景気判断をおくらせた面もあるんではないかというふうに思います。
 政府は不況という言葉を使いたがらない、しかし、実際はこれは円高不況以来の本格的な景気後退であって、失業なき新型不況と言うべきではないかと思うのですが、午前中大蔵大臣の景気見通しについてのお話は詳しく聞きましたから、ここではひとつ日銀の判断を早速聞かせていただきたいと思います。
#161
○参考人(福井俊彦君) お答えを申し上げます。
 現在、景気の動きにつきましては、ただいま委員御指摘のとおり、在庫調整の面、それから資本ストックの調整の面、両面の動きを中心にいたしまして厳しい調整局面を経過中であるということは確かでございますし、私どもも現在の景気の動きにつきましてはそういう厳しい受けとめ方をしているというところでございます。
 ただ、こうした動きは、この先設備投資あるいはそれ以外の最終需要の動きいかん、それから企業の生産抑制を中心といたします動きいかん、いろいろな状況の組み合わせの中でいずれ在庫調整が一巡する時期を迎えるに違いないと、そうした経過の動きをこれから冷静に見守っていくべき段階ではないかというふうに見ております。
#162
○和田教美君 大蔵大臣が先ほど申しましたように、午前中もお話詳しくございましたけれども、何か特に今の私の質問についてさきの答弁につけ加えることがあったらひとつ簡潔にお願いしたいと思います。
#163
○国務大臣(羽田孜君) 今、和田委員の方から最後に、この不況というのが失業なき新型不況と呼ぶべきものというふうな話があるということが御指摘があったわけでありますけれども、確かに今日のように有効求人倍卒は依然諸国に比べても大変高いところにあるという状況であるということ、あるいは物価も安定しておるということで、いわゆる、何というんですか、底へずうっと落ち込んでいく不況というものではないということ、それからもう一つは、やはり個人の皆様方の金融資産というものが一千兆円を超えておるという現状、これはやっぱりほかにもないものであろうと思っております。それともう一つは、企業も確かに減益というものを続けておる、あるいは、もちろん赤字のところもございますし、倒産というものも起こっているのも現実でありますけれども、しかし、まだそれぞれのところが含み益というものもある程度持っておるというところ。私たちがいろんな人たちの聞き取りなんかをいたしておりましても、銀行く行ってお金を借りる、そういったことより我々の中で、内部でいろんなことがまだできますからというような実は話もございます。そのあたりが過去の不況のときと違うのかなというふうに思っております。
 そうかといって、今お話がありましたように、これはストック調整の点でお話があったわけでありますけれども、これをただいつまでも大丈夫だ大丈夫だと言って見過ごしているととんでもないことになってしまうということがございますので、やっぱり常々注意深くこの流れというものを見守っていかなければいけないであろうというふうにみずからに言い聞かせながら経済の運営をしていかなければいけないというふうに思っております。
#164
○和田教美君 もう一つ大蔵大臣にお尋ねしたいんですけれども、政府は三十一日に緊急経済対策を決めるというふうに報道されております。この緊急対策というのは、先ほども御答弁ございましたけれども、要するに政府・自民党が三月の初めにまとめた総合景気対策五項目に、それを肉づけして多少新味をつけ加えるということのようでございます。
 さっきのお話では経済企画庁を中心にまとめておられるということですけれども、大蔵大臣にお聞きしたいのは、どういう新しいのが五項目に内容がつけ加えられるのかというふうな問題とか、それから公定歩合の引き下げ問題に絡む金融政策の問題についてもこの中に触れられるのかどうか、あるいはまた公共事業の前倒し率、これ七五%というようなことが専ら言われておりますが、そういうことになるのか、あるいは全体としてこの対策のつまり経済波及効果といいますか、そういうものが大体何兆円ぐらいのものというふうに見ておるのか、その辺のところをできれば今までの論議の過程の中でひとつお話を願いたいと思います。
#165
○国務大臣(羽田孜君) 具体的には日高総務審議官の方から申し上げさせていただきたいと思っておりますけれども、これは先ほども申し上げましたように、今経企庁を中心にいたしまして、私ども三月五日に話し合ったこと、あるいはその後また総理のところに私ども集まりまして話し合ったこと、これらをもとにしながら今議論をしておるということでございまして、一つずつのことについてまだつまびらかにするというものではないということでございます。
 なお、公定歩合等についてそこで触れるのかというようなお話があったんですけれども、私どもといたしましては、金融政策の一つといたしまして三次にわたるところの公定歩合引き下げをやった、こういったものが本当に貸出金利にどんなふうに影響しているのかということを実は今見守っておるということでございまして、そういったものをきちんと対応していくということであろうと思っておりますし、そういった問題なんかで、いわゆる公定歩合についてはごれはもういつも私どもから申し上げておりますけれども、これは日銀の専管の問題であろうというふうに、中央銀行の立場というものを私たちは守っていくということが冷静な判断によってその都度機動的に対応ができるということであろうと思いますから、この中で私は触れられるということはないであろうというふうに思っておるものであります。
 審議官の方から。
#166
○政府委員(日高壮平君) 総括的には大臣が御答弁申し上げましたので、具体的な問題について若干触れさせていただきますが、公共事業の予算成立後の執行を円滑にするためにどういう形で上半期の執行を進めていくかという点については現在関係省庁と協議中でございますのできればどの程度のものを上半期の執行割合とするかという点について大まかな目安みたいなものを対策の中に盛り込む方向で現在詰めておるという状況にございます。
 それから、金融政策につきましては今大臣が御答弁いたしましたので、省略させていただきます。
 したがいまして、まだ現在関係省庁と詰めている最中でございますので、委員御質問がございました経済規模、あるいは経済効果について現段階ではちょっと申し上げるような状況ではないという点を御了解いただきたいと思います。
#167
○和田教美君 日銀が、この政府の緊急経済対策、これの決定とあわせて三十一日の近い時期に公定歩合の第四次引き下げに踏み切るという見通しが
今ではもう公然の秘密のように盛んに言われておるわけでございます。最近は〇・五%下げということでどうも調整中だというようなことも報道されておりますが、しかし日経平均株価が二万円を割れたというふうなショック、そういうものも加わって自民党の幹部あたりからは盛んに牽制球も出ておって、〇・五では少な過ぎると、〇・七五ぐらいでなきゃだめだというような声も出ておるわけでございます。これぐらい、今度の公定歩合ほど外部的な圧力というか外部的な雑音というか、そういうものが多いのも珍しいと私は思うんですけれども、しかし公定歩合の問題を考える場合に、ただ下げればいいというだけではないと思うし、下げるについては例えば年金生活者なんというのは非常に苦しい状況に追い込まれるんですから、これはやっぱりいろんな状況を考えてやらなきゃいかぬという日銀の判断が正しいと思うんです。しかし、とにかく〇・五では余り効果がないという心理的な要因というのも確かに現実としてはあるいはあるかもしれぬと思います。
 そういう複雑な状況の中で、日銀として一体基本的なスタンスはどういうスタンスで今度の問題に対応されておるのかお聞かせ願いたいと思います。
#168
○参考人(福井俊彦君) 金融政策を初めその他の経済政策につきましても、現在、ただいま委員御指摘のとおり、各方面からいろいろな御意見、あるいは御批判、御要請というものが相次いで出ている事実については私どもも承知いたしております。そして、かつまた、こうした動きがあるということ自体、現在の経済の変化そのものが非常に著しいという背景があってのことであろうというふうにも理解をいたしております。
 それなるがゆえに、私どもといたしましても、先ほど申し上げましたとおり、経済全体の動きにつきましては非常に注意深く注視しているところでございますし、それと同時に、昨年七月以来とってまいりました金融緩和措置、公定歩合は三回の引き下げを実施いたしましたけれども、市場金利を活用しながらの金利の引き下げでございましたので、全般的に銀行の貸出金利のベースまでごらんいただきますと非常に急速に金利が低下中でございます。年が明けまして現在ただいまに至りますまで銀行の貸出金利はかなり急速に低下中である。そうした金融緩和措置の浸透状況、それが実体経済に及ぼす影響についても引き続き慎重にその状況を見守っている段階でございます。
 で、先ほどからも申し上げましたとおり、今後とも経済の変化につきましては予断を持って臨まない、正確にこれを把握しながら適切な政策運営に努めなければならない、ただし、現在におきましては引き続きこれまでの政策の効果、浸透状況を慎重に見守っている段階だということでございます。
#169
○和田教美君 次に、きょうは税金の問題ですから、税の問題に入りたいと思います。
 まず、税収見通しの問題ですけれども、平成三年度つまり本年度の税収見通しについてお聞きしたいと思います。
 平成三年度予算の税収見積もりは、去年の秋の補正予算で約二兆八千億円の減額になりまして、一般会計税収は五十八兆九千九百億円と見込まれております。税収実績についてはことし一月分まで発表されているわけですけれども、そのときのコメントによると、大蔵省はこの補正予算の税収見込みはまあまあ達成できるんではないかと楽観的な見方をとっておられたように報道されております。本当にそうなのか、そのように楽観的でいいのか、まずとにかく税収は確保されると見ていいのか、平成三年度でこれ以上の歳入欠陥が生じるおそれはないのかというふうなことについてやや疑問も持つわけですけれも、その辺についてひとつ大蔵省の見解をお尋ねしたいと思います。
#170
○政府委員(濱本英輔君) 平成三年度の税収動向につきましては、ただいま和田先生お話しくださいましたように、一月分の税収まで判明しておりまして、前年比で八%の増、補正後予算では前年度決算に対しまして一・九%のマイナスまでを許容する、つまりそこまで税が入れば目標達成という形にはなっております。それが四月からこの一月までの累計では前年比一・二%という伸びに一応なっておりますので、ただいままでの数字の面は、あるいは今先生がおっしゃったような受けとめ方をした方が報道関係の方などにあられたかもしれませんけれども、私どもは楽観的な見方をしておるということは一切口にいたしておりませんし、そんなはずがございません。
 大体、税務の担当者というのは楽観するということはございません。多過ぎてもしかられますし、少な過ぎても大変なことになります。常々もう朝から夜まで心配をしておるというのが正直なところでございますけれども、ただいまの局面はなおさら一段と気をもませる状況でございまして、決して事態を楽観しているということではない。
 ただ、何と申しましても、申告所得税につきましては、今まで申告所得税についてあらわれております数字は、単に前年度の確定申告に基づく予定納税分だけでございまして、本当に年度とうなっておるかというのは三月分の確定申告の集計が終わりませんことには何ともつかめませんし、それから法人税や消費税につきましても全体の三八%、四割近い固まりがこの三月期決算法人の申告にゆだねられておりますので、この結果を見ませんことには何とも申し上げにくい状況であるということは御理解を賜りたいと存じます。
#171
○和田教美君 次に、先ほどから議論が出ております減税問題についてひとつお尋ねしたいと思います。
 我々公明党は、さきに平成四年度予算案に対する修正要求としてパート減税、家賃控除制度の創設など所得税の政策減税を初め、消費税の飲食料品の非課税化など合わせて約七千億円の生活関連の減税ということを提示いたしました。この要求の多くは、衆議院における四野党の共同修正案にも反映をされております。ところが、景気の悪化とともに、この所得減税の要求というのは、我々だけではなくて財界にも出てまいりまして、石川日商会頭が景気てこ入れのために来年度赤字国債を発行してでも大型の所得減税に踏み切るべきだというふうなことを言い出しておるという状況でございます。
 宮澤総理を初め、さっきも大蔵大臣は、今、経済情勢がよほど好転しない限りは所得税の減税は無理だというようなことをおっしゃっておるわけですけれども、経済情勢がよくないときに、これをてこ入れするために所得減税によって消費を刺激するという方法は、レーガンだとかブッシュだとが、しばしばアメリカではとられておることですね。これも一つの選択だというふうに私は思うんです。
 仮に、税収が落ち込んでいるときに、政府もおっしゃるように本格的な所得税減税ができないということであっても、せめて野党が要求するぐらいの政策減税は当然真剣に検討すべきではないかというふうに思うんですけれども、その辺についての御見解をお聞きしたいと思います。
#172
○国務大臣(羽田孜君) これは繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、先ほどから御議論がありましたり、またこの国会でも議論がなされてまいったわけでありますけれども、私どもといたしましても、この厳しい財政事情の中で減税する余地というのはもうないんだというのがもう率直なところであります。
 確かに、いろんな議論の中には、例えば赤字公債、これを発行してでも減税をしてそれによって景気を刺激する、それによって後年度さらに税収が上がればちゃんとそれが返還できるじゃないかと、減税による効果というものを見越しながらそういうお話があるわけでありますけれども、しかし、赤字公債というものをもしこれをまた発行していくということになりますと、これはもう一つの、何というんですか、何かあると赤字公債数で埋めればいいだろうというような話になって、現在でも赤字公債部分だけで累積残高というのは六十数兆円もあるという現状でありまして、全部合計すれば百七十四兆円ということに今度なるだろ
うということでございますから、そうなってきますとこれは本当に、公債の議論をいたしますときには各先生方からも、おい今の計画どおりおまえたちできるのかという実はおしかりも受けているような状況でございまして、私はこの赤字公債を発行してやるということは非常に危険であろうと思っております。
 今アメリカのお話を例にとらえながらの御指摘でございましたけれども、しかしその結果は、残念ですけれども大きな財政赤字をつくってしまっておる、それのもとになっておるということが言われて、むしろ増税というものを考えるべきじゃないのかということが議会の中でも実は議論されておるというような話も私ども聞いておりまして、この減税というのを今やることは私はかえって悔いを残すことになるんじゃなかろうかなと。お気持ちはよく私もわかるんですけれども、そんなふうに考えておることを率直に申し上げさせていただきたいと思います。
#173
○和田教美君 私は、赤字公債を発行してまで減税をしろということを何も一言も言っていませんよ。石川さんがそう言っている。私は、要するに政府自身が行政改革だとか行政整理だとかいろんなことをやって財源はまだまだ出てくるだろう。その範囲の中で平成四年度中にせめて数千億程度の政策減税は可能ではないか。さらに来年度ぐらいに景気が少しよくなってくるというような状況を見てしばらくやっていない本格的所得減税をやったらどうかと、こう言っておるわけですね。ちょっと誤解があるんじゃないかと思います。
#174
○国務大臣(羽田孜君) いや、特別に誤解したわけではなくて、こういう方もこんなふうにおっしゃっているというお話があったものですから、その裏づけとしては、赤字国債というようなことが報道等がされておったものですから、今そのことを申し上げたところでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、私どもこの法人特別税ですとかあるいは自動車の四・五%の消費税というものをまた新たにお願いをしたというような、これも本当にぎりぎり万やむを得ないものであるということで実はお願いしたような経過がありまして、どうも今減税できる環境にないということを申し上げざるを得ないということでお許しをいただきたいと思うわけであります。
#175
○和田教美君 宮澤総理は、経済情勢がよほど好転しない限り所得減税は難しい、こういう言い方をされている。この言い方に僕はちょっと非常に不満があるんです。
 というのは、それじゃバブル経済でとにかく税収がばがばか入ったときに減税をやったかというとやってないですよね。それで、結局その自然増収は何に回されたかというのは、後でデータを説、明しますけれども、半分ぐらいはとにかく国債の減額に回っている、こういうことなんですね。ですから、それは、余り総理の話はどうも当てにならないというふうに僕は思う。
 私らの計算によりますと、バブル経済で異常とも言える大幅な税収増が出たときに、これは昭和六十二年度からですが、六十二年度は当初予算に対して決算で五兆六千億円の自然増収、六十三年度は同じく五兆七千億円の自然増収、平成元年度は三兆九千億円の自然増収、二年度は二兆一千億円の自然増収、合計十七兆円の自然増収が出ているわけです。これに対してこの四年間の間の減税、所得税は増減税分というのがありますから増税分を引いた減税額は私の計算では二兆五千億円、これは国税だけですけれども、その程度だと思うんです。増税というものを計算に入れなくても、減税分だけでもせいぜい四兆円台ではないかというふうに思います。先ほどの答弁で五兆五千億というお話がございましたけれども、これは地方税が入っているんじゃないかというふうに思います。
 それじゃ、この四年の間に十七兆円というこの膨大な自然増収が何に使われたかというと、さっきも言いましたように、その自然増収分の半分近くの七兆八千億円は国債の減額に使われている。つまり、ひたすら増収分を国債の、つまり特例公債、赤字公債の減債に充てた結果、平成二年度に赤字国債ゼロと財政再建目標の第一目標を早目に達成できたということだと思うんです。実態は、さっきからも説明のあるように、実質増税による財政再建だというふうに言う人もあるわけです。
 もちろん、この大幅な税の自然増収自体がバブルのおかげだということですから、それを減税に回さずに赤字国債の減額に回したという政策の選択自体は必ずしも間違っていないというふうに私も思います。私はそれが間違いだと断定はいたしません。しかし、十七兆円というのと比較してこの減税額というのは余りにもやっぱり少な過ぎるのではないか、そういうふうに思うんです。
 しかも今は、第一、状況が変わって景気後退のもとで消費が落ち込んでおるというふうな状況、消費をもっと上向かせなきゃいかぬという状況であるというふうなことから見れば、さっきも言いましたように、石川さんの言うようにすぐ赤字国債の発行ということに直結するんではなくて、第一段階では政策減税をやる、そして五年度には本格的な兆単位のとにかく所得税減税をやる、こういうふうな手順を私は提案したいと思うんですが、大蔵大臣、もう一度お答え願いたいと思います。
#176
○国務大臣(羽田孜君) お話、わかる面があるわけなんですけれども、それで今先生の方からもバブルと言われたときの増収分、これが国債、特に特例公債、これを減額するために使われてきたこと、これも評価するというお話があったことで、私ども本当にありがたく思うわけでありますけれども、これをやっておいたということがやっぱりよかった。しかし、残念ですけれども、国債に依存するものは七・数%から今度一〇%を超えてしまわなきゃならぬという現実がまだあるということであります。
 それと、確かに減税による経済に対する効果というものもある程度のものがあるわけでありますけれども、やはり相当の部分というものがまたこれ貯金に回ってしまうということになりますと、さあ景気浮揚効果にどこまで大きく、いわゆる弾性値としてどこまで伸びていくかということについても、私はちょっと手法を今とることがいいのか、とることがいいのかというより、むしろとることができないというのが現状であろうということを重ねて申し上げざるを得ないということをお許しをいただきたいと思います。
#177
○和田教美君 次に、パート減税の問題についてお聞きしたいと思います。
 我々はパート減税、もっと非課税限度額を引き上げるということを主張しております。具体的には、現在百万円の非課税限度額、これを百五十万までの引き上げを目標としつつ、当面は給与所得控除の最低保障額を十万円引き上げて百十万円にしようという主張です。これは野党の共同修正案という形にもなっておって、結局与野党の折衝では、今後、減税を含めたパート問題について検討していくということで与野党が合意した問題なんですね。
 このパート減税という問題について、よくこれは大蔵省のデータだとかというようなものが出て、一つのネックとして逆転現象の問題をいろいろと報道されるわけなんです。つまり、例えば最近出た新聞報道によると、大蔵省が国家公務員で夫婦と子供二人、夫の収入七百万円で試算をしてみると、妻のパート収入が百二十万円のときは夫の扶養手当だとかそういうものが全額支給されなくなるとか、あるいはまた妻が夫の健康保険や厚生年金の対象から外されるとこういう逆転現象が起こるというふうなデータが出ておるわけです。だから余りパートのあれをやり過ぎてもだめだよといういかにも宣伝をしているように見えるわけなんですね。
 しかし、私は、これは基本的には先ほどから主税局長の答弁にもあったように別の問題だというふうに思う。税の問題とこういう家族手当だとかなんかの問題は別の問題だということだと思うんです。そうすれば、別の問題は別の問題で例えば労使交渉とかあるいは政府に対する制度要求というような形で我々としては要求していく。しかし、
税の問題は税の問題で筋を適して考えていただくということでなきゃならぬと思うんです。これから政府部内でも検討されるということですから、どういう基本的なスタンスで臨まれるか、お答えを願いたい。
#178
○政府委員(濱本英輔君) ただいま和田先生が御引用なさいました数字でございますが、新聞にどのように載りましたか、私ちょっと記憶が定かでございませんが、衆議院の大蔵委員会におきます論議のさなかに、公明党の日笠先生が配付されました資料に、ちょうど今御指摘のように夫が七百万円、妻が九十万、百万、百二十万、百四十万を超える収入をそれぞれ得た場合の夫婦合計の世帯収入がどのように推移するであろうかということをお示しをくださいまして、それをもとに論議がございました。
 その際の論議におきましても、結局途中で妻の収入が上がります。ある段階で世帯全体の収入が逆転しますのは、その理由はどうもいろいろ調べてみても税金のせいではない。今お話がございましたように、家族手当といいますか、扶養手当の支給のルールが、あるところまで妻の収入がふえますとそこで打ち切られる。したがって、夫婦トータルとしてはそこで一たん収入が減ってしまう。あるいは社会保険料負担というものが、妻がある程度の収入を上げました場合には妻みずからが保険料を払うことになるわけです。したがって、また夫婦全体の収入としてはそれだけ減る。こういうことが明らかになりまして、結局論議は税金だけの問題ではない、大蔵大臣あるいは主税局長を相手にして議論していてもらちが明かないということにだんだんなってまいりました。
 結局、与野党のいろんなお話の結果、先ほど御指摘がございましたように、パート問題というのはもう少し広いフィールドで議論が行われなきゃならないし、政府部局においてもそのように受けとめるべきであるということに今なっておりまして、これをどのように政府部内の勉強が進んでまいりますかは、それぞれの部局部局もございまして、今まさにこれからの取り組みを考えている最中でございますけれども、税の問題については私どものところで所管しておりますことでございますから、今後どうするつもりかということにつきましてお答え申し上げなければならないように思うわけでございますが、このパート問題の論議を通じまして今ちょっと和田先生のお話の最後のところで気になりましたのは、税についてもまだ問題が残っておるというふうに私は伺ったんでございますけれども、この逆転という観点からいきますと税については問題は残っていないということをほぼ御確認をいただいた、皆さん方に御理解をいただけたというふうに私は思っておりましたんですけれども、そうではなくて、どうも税の問題についてそのようなことがもはや生じなくなっているということを皆さんまだ御存じない、それに対して十分なPRができていない、それは税務当局の責任ではないかというような御議論がございました。私どもとしましても、そのPRをどのような方法で進めていったらいいか、まずその問題を考えなきゃいけないというふうに今思っております。
 したがいまして、パート問題、今までいろいろ言われておりましたパート問題が税の体系の問題について残されているというふうには私どもは理解をさせていただいておりません。申し上げておきたいと存じます。
#179
○和田教美君 そこで、労働省と厚生省の方が来ていらっしゃると思いますから、途中休憩の時間が迫ってきましたから簡単にお答え願いたいんですけれども、百二十万円の線で家族手当がなくなったりあるいは社会保険の対象から外されるというふうな問題が例示として出ておるわけですけれども、一つの考え方として、配偶者控除、これは税金の場合ですね、配偶者控除の場合は控除額が所得の増加に従って減少する、一挙にゼロになるということにならずに所得の増加額に従って減少するという消失控除制度ということをとっておるわけですね。所得が一定限度を超えても控除額が一挙に消滅しないようになっておるわけです。
 そこで、扶養手当だとかあるいは健康保険料だとか、そういうものについても所得制限を超えた場合に同様な激変緩和措置というか、徐々になだらかに減らしていくというふうなそういう措置を導入してみたらどうかというふうな意見も出ておるわけなんですけれども、それぞれ労働省と厚生省、関係があると思いますから、お答えを願いたいと思います。
#180
○説明員(内田豊君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の扶養手当に関連いたします状況でございますが、私どもの調査によりますと、およそ七九%ぐらいの会社でいわゆる扶養手当あるいは家族手当制度というものを取り入れているわけでございます。その中で、家族手当の支給につきまして御指摘の制限を設けているという企業は約四一%ございます。制度はあるけれども、その中で制限制度を設けている、先生のおっしゃるゼロになるとかあるいは逓減制度も含めまして四一%ぐらいでございます。
 これらにつきまして、扶養手当等も含めた手当をどうするか、あるいは賃金制度をどうするかということにつきましては、基本的には労使の間で決定されるべき問題であると、こんなふうに私どもは考えておるところでございます。したがいまして、先生御指摘の段階的に減額していく方式という御提案がございましたけれども、このことにつきましても労使で十分お話し合いをちょうだいいたしたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
#181
○説明員(紺矢寛朗君) お答えいたします。
 健康保険制度におきましても税制のように徐々に控除額が調整されるという方式がとれないがというお尋ねでございますが、御案内のとおり、我が国の医療保険制度は健康保険制度と国保と大きく二つに分かれておるわけでございまして、健康保険の被扶養者につきましては、主として被保険者の収入で生活する方につきましてその医療費を被保険者の負担で持つという仕組みになっているわけでございます。したがいまして、その範囲につきましては、他の収入が同程度の被保険老の方との均衡というものを考えていかなければならないと考えております。パートタイマーの方につきましては、例えばほかの未婚のOLの方との均衡ということも考えなければならないのではないかと考えております。
 一方、健康保険料の算定におきましては、税制のような控除制度がございませんので、御指摘のような形は直ちにとることができないわけでございます。したがいまして、御趣旨に沿うことはかなり難しい問題だと考えておりますが、御指摘がございましたパート労働者対策につきましての与野党の御議論、社会保障負担の求め方についてもいろいろ検討する必要があるという御指摘を踏まえまして、今後厚生省として問題点の整理、検討を行っていきたいと考えております。
#182
○和田教美君 野党共同要求では、家賃控除だとかパート減税も含めて中堅所得者に配慮した政策減税を我々は要求しております。
 中堅所得者についてみた場合に、やはり教育費関連の支出はかなりの額に上っているわけです。昭和六十三年十二月の抜本改革では、教育控除も検討されたわけですけれども、結局、財源面などの理由から十六歳から二十二歳の子供についての扶養控除を十万円上乗せした特定扶養控除、これを平成元年から導入するということになった。したがって、現在は十六歳から二十二歳までの子供については、学生であるかないかにかかわらず扶養している子供であれば一人当たり四十五万円の特定扶養控除が適用されておるわけです。しかし、もともとこれは中堅所得者の教育費負担を軽減するということから始まったことですから、その趣旨から考えると、現在のこの状況は学校教育関連に非常に金がかかるというふうな状況から見ると、非常に不十分であるというふうに僕は思うんです。
 それで、我々は勤労学生控除の対象範囲をこの際もっと広げて主婦や一般社会人にまで広げる、
それとともに控除額の引き上げを図るということ、また学校納付金に対する所得控除額の引き上げを図る、こういうことも主張しているわけなんですけれども、これらを含め税制面から思い切った減税が必要ではないかと思うんですが、いかがでございますか。
#183
○政府委員(濱本英輔君) 今の御指摘は、当時、六十三年のつまり教育費控除を認めてはどうかという論議とあわせていろいろ論議されましたことの中で出てまいったことでございましたけれども、結局個別の事情に着目しまして個々に控除制度を設けていきました場合に、どれを優先するのか、例えば、今日生きておりますいろいろな議論を見ましても、先生のただいまの御指摘のほかにも、例えば家賃を控除したらどうかとか、いろいろな議論がございます。
 一体優先的にどれを選択すればいいかという判断が非常につきませんのは、いずれも生計費の一部でございまして、そういうものを取り扱う扱い方としまして、先ほど前畑先生の御指摘にございましたように、結局複雑な制度にしました場合には税務に伴いますさまざまなコストというものが出てくる。そういうものをあわせて考えたときに、やはり基礎控除のレベルというものをどこに定めるかということが非常に重要なことであるということが従来からの基本的な論議としてあったと思います。私ども今日までのところ、和田先生の御指摘、多方面からもそのような御指摘をいただいておりますので、一つ一つについては耳を傾けさせていただかなければいけないと思っておりますけれども、やはり今までの議論の方向をここで大きく変えるという状況にはないように思う次第でございます。
#184
○委員長(竹山裕君) 質疑の途中でありますが、ここで午後四時四十五分まで休憩いたします。
   午後四時二十分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時四十五分開会
#185
○委員長(竹山裕君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題とし、休憩前に引き続き、和田教美君の質疑を行います。和田君。
#186
○和田教美君 もう一つ減税問題についての質問をしてから、今提案されております平成四年度税制改正の問題に移りたいと思います。
 それは子育て減税の問題なんです。労働省とそれから厚生省にお尋ねしたいんです。
 平成二年の八月の新聞報道によりますと、厚生省は子供がいる共稼ぎ世帯を対象に所得控除制度を新設する案を出している。そして、共稼ぎ減税として夫婦の合計所得金額が一千万円以下で十八歳未満の子供がいる家庭を対象に、これまでの扶養控除に加えて新たに有子世帯特別控除として別に三十五万円の枠を新設して課税所得額の引き下げを図ろうという案だというふうに承知しております。全国で子供がいる家庭というのは千六百万ぐらいあるということで、その二割に相当する約三百万世帯が対象になるということで、なかなか有意義な案だというふうに思ったんですけれども、今なお実現しておりません。なぜ実現しないのか、厚生省としてどういうふうに考えておるのか、もうあきらめてしまったのか。それが一つ。
 それから、同じような構想で労働省も、こっちの方は育児減税というんですね。十六歳から二十二歳までの子供に適用されている特定扶養控除の対象範囲を拡大して、ゼロ歳から六歳までの子供も適用するということなどを柱とする育児減税の新規創設というのを提唱しております。ところが、これまた現段階まで実現されていませんが、実現の可能性があるのかどうか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
#187
○説明員(冨岡悟君) 御説明申し上げます。
 ただいまお話がございました税制改正でございますが、厚生省が平成三年度税制改正におきましてお願いいたしました共働きの子供のある世帯に対する所得控除制度の創設につきましては、既存の扶養控除や配偶者特別控除との関係といった税制上の問題などから御当局の理解が得られなかったものと承知いたしております。
 関連しまして、後段のお尋ねでございますが、近年女性の社会進出に伴いまして結婚、育児に対しますさまざまな負担感が重くなってきたことが指摘されているところでございます。厚生省といたしましては、このようなことから、経済的な負担の軽減も含めまして各般の手段を通じて出産や子育てに伴う負担を軽減し、子供を健やかに産み育てる環境づくりを進めることが重要な課題であると認識しているところでございます。このため、税制につきましても検討すべき課題であると考えているところでございます。しかしながら、実現に当たりましてはさまざまな検討する点がございます。いずれにいたしましても、今後とも慎重に検討してまいる所存でございます。
 以上でございます。
#188
○和田教美君 労働省。
#189
○説明員(尾上史江君) お答えいたします。
 労働省が要求いたしました育児減税の概要につきましては、先生御指摘のとおり、特定扶養親族の対象に小学校入学以前の児童を加えるということを要求させていただきました。
 この要求の目的としましては、出生卒が低下するといった中で、理想とする子供の数とそれから現実の子供の教とのギャップが生じるという理由の第一には、経済的な負担の問題が挙げられている。したがいまして、子供を産み育てやすい経済的基盤を確立する必要があるということで、こういった税制改正要望を行ったわけでございますが、御当局の理解が得られませんで……
#190
○和田教美君 あきらめたんですか。
#191
○説明員(尾上史江君) 労働省としましては、今後とも育児期の家庭の経済的な負担を軽減するための措置につきまして慎重に検討してまいりたいと考えているところでございます。
#192
○和田教美君 まあ、大蔵省に聞いても前向きの答えが出ないでしょうからやめます。――前向きのお答えが出るんだったら答えてください。ありませんか。
 それじゃ、平成四年度税制改正の問題について、大分時間もたってまいりましたので簡単に御質問いたします。
 まず、新規立法の法人特別税とそれから消費税の特例税率の設定など財源確保に関連する問題について伺いたい。実質増税の問題ですね。
 湾岸支援で設けた法人臨時特別税と、自動車に係る消費税の上乗せ税率を六%から四・五%にするというもの。この延長は、ともに平成三年度で一たんなくなるということになっていたものを、どうもいろいろと事情が変わったからということで財源対策上延長するということになったものです。法人としては当然湾岸支援の臨時措置はなくなるものと思っていたところ継続されるということになった。また、自動車に係る消費税も企業としては三%を前提に販売計画を立てていたというふうに思うんです。このようにそれぞれにおいて約束したものを簡単にほごにして実質増税になるというふうなことだと、今後税制改革というものあるいは改正について国民の信頼を得ることができるのかどうかということがちょっと気がかりなんですね。そのような点ほどういうふうにお考えですか。
#193
○政府委員(濱本英輔君) 約束をたがえたというふうにたびたび御指摘を受けておりますが、いずれの場合もこれらの湾岸支援のための措置というものは一たん失効させられたもの、つまりそれ自体としては終結しているものであるということは御理解を賜りたいと存じておりますし、それにかわる措置として考えさせていただいたものが、前の措置をいわば引き継ぐような形で再び提案されているということがお目ざわりというふうに存じますけれども、その場合お考えいただきたいことは、この厳しい財政事情のもとで我々の知恵で考えられますすべてのケースを考えてみた結果、結局お願いをするといたしました場合にはこの方法
やむを得ない、この方法がまだしもだというふうに判断をいたしましてお願いしているものであるということをおわかりいただきたいと存ずるのでございます。
 その場合も、もう御説明を申し上げるまでもないことでございますけれども、法人の臨時特別税と今の新しくお願いしております法人特別税は、違った法律により、中身も多少は違えたものになっておりますし、乗用自動車に対する消費税の税率もいろいろ御論議の結果新しい税率としてお願いをしているということも御理解を賜りたいと存じます。
#194
○和田教美君 新たに法人特別税が創設されるということになるわけですけれども、大蔵省からいただいた説明資料によると、控除額が三百万円から四百万円に引き上げられることになるので負担は緩和されるというふうに言っております。三百万円を四百万円に引き上げることによってどの程度の企業が非課税になるのか、また、結果的に中小企業はほとんど課税されないというふうに了解していいのか、その点をお伺いしたい。
#195
○政府委員(濱本英輔君) 大ざっぱに申しまして中小法人の数というのは平成二年度で約二百万社ございます。そのうちで利益を計上しております法人が約半分の百万ちょっとでございます。その百万ちょっとの中小法人のうちで今回法人特別税の課税対象の外に外れますものが八十万ちょっとだと思います。したがいまして、利益計上法人で課税対象となりますものは全体の約一割強ではないかと推察いたします。
#196
○和田教美君 その点は努力した跡は認めるにやぶさかではありません。
 そこで次に、地価税収の一般財源化の問題、先ほどからちょっと質問に出ておりましたけれども、地価税が平成四年度から実施されるわけですけれども、平成二年夏以来の土地税制論議の中で、政府は地価税の税収分は所得税、法人税の減税もしくは純増収分は土地対策に充てるという事実上の公約をしたものだというふうに我々は了解しております。
 ところが、財源不足ということで、去年からいろいろな状況が変わりましてねということで大蔵省は地価税を一般財源に繰り入れたわけです。先ほども答弁がありましたように、表面上は地価調査などの土地対策に充てたということになっておりますが、こういった手法がまかり通れば、増税をやる審議の過程で言っていたことと別のことが自由にやれる、一般会計の財源にすりかえることが簡単にできるということになるわけで、これは非常に問題じゃないかというふうに思うんです。
 それと、地価税の平成四年度の収入見込み額は四千二百億円、純増収分は二千億円となっておりますけれども、平成四年度の土地対策関係費というもの、こういう項目があるかどうかわかりませんけれども、それはふえたのかどうか、どの程度ふえているのかどうか、その点も明らかにしていただきたい。
#197
○政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。
 土地対策等の経費というものでございますけれども、これは土地対策というのは御承知のとおり大変広範にわたるものでございまして、これを一義的に特定するのはなかなか難しい点もあるわけでございますけれども、例えば土地の需要の調整に充てる経費であるとか、あるいは各方面からよく言われておりますいわゆる土地情報の整備、これは大変不十分じゃないかというようなことでそういう関連の経費、それから住宅宅地の供給に充てるような経費、そういうものを集計してみますと、今度の予算におきましては約六千五百億円に上がっておるわけであります。
#198
○和田教美君 ないですか、答弁は。これ約束をほごにしたんじゃないかということはないですか。約束どおりやっていますか。
#199
○政府委員(濱本英輔君) 先般来予算委員会でも、当委員会でも何回かお取り上げいただいている点でございますけれども、税制調査会の答申におきまして、「極めて深刻な状況に陥っている財政事情等を考慮すれば、土地対策等に資するという観点から歳出を通じ国民生活に還元することが現実的には適当である」という御答申を一応いただきまして、これを踏まえて予算編成に臨んだわけでございます。
 予算編成の過程におきまして、土地関連経費というものがいかなる定義のもとにいかに把握できるかというのは非常に難しい問題であったかと存じますけれども、とにかく新しい施策、今まで講じられなかった新規の施策、しかも非常にべーシックな施策というものに手がついておりますし、加えて、既存の施策の中にもいろいろ新しい財源のもとで条件を変更しているというようなものもございます。その固まり全体としまして、さっき御説明をいたしましたように、六千五百億円の対策がなされたということを聞きまして、この中に財源が溶け込んだというふうに我々は考えておりますが、去年の数字と対比してみました場合に、今和田先生が御指摘になられたような点、先般来たびたび御指摘がございます。その都度私は思うんでございますけれども、非常にわかりにくい、我々の御説明の仕方というのがなかなか難しゅうございましてこの問題がわかっていただきにくい問題だということを感じるわけでございますけれども、去年の予算どことしの予算というものは数字面で対比していただきますと今のようなことになろうかと思いますけれども、その中身の一つ一つの中にやはり新しいこういった地価税というものを背景として初めて措置されたものがございますことを認めていただきたいというのが私の気持ちでございます。
#200
○和田教美君 法人臨時特別税、自動車に係る消費税、さらに地価税の一般財源化と、我々の見解からすればこれいずれも大なり小なり約束ほごだというふうに思うわけで、そういうことを何回も何回も簡単にやられちゃ大変だというふうに思います。
 そこで、法人特別税と乗用車の消費税の特別税率は二年間の臨時立法ということになっておりますね。だからそれ以上は絶対に延ばすということはないのか、ここで大蔵大臣として確約できるかどうか聞きたいと思います。
#201
○国務大臣(羽田孜君) 今御論議がありましたように、この税を採用したということは、まさに私どもといたしましてはやむにやむを得ないという立場の中で、二つのものを一応失効させまして、そして新たに三百万円を四百万円にする税額控除したりあるいは自動車も六%から四・五%ということをやりました。そのあれは、二年間ということをやりましたことは、今までもこういった税をやりましたときにおおよそ二年間という措置をやってきたということと、基本的に税収の動向というものが平成三年をもとにしながら四年度編成した。そして五年度ぐらいまではやっぱり尾を引いていくであろうということで二年間というものをお願いしたところでございまして、私たちはこの二年間というものの中で消化していきたいというふうに考えておるところであります。
#202
○和田教美君 次に、相続税の問題で、負担調整の問題、これについてお伺いしたいと思います。
 相続税は個人が相続によって取得するあらゆる財産に対して負担を求める税であって、相続財産間の税負担のバランスを確保することが重要だと思います。その意味から今回の土地の評価額を公示価格の八割に引き上げたということは評価できる、妥当な措置だったというふうに思います。また、これに伴う相続税の負担増加を調整することも必要だというふうに思います。
 しかし、一方では新たな資産格差ができるとか、あるいは階級社会ができるんじゃないかというような論評もいろいろ出ておるというふうな状況なんですね。要するに相続によって得た資産と、それから普通のサラリーマンでいく人たちとの間に出発点において余りに格差があるというふうなことでは、私は健全な姿ではないんじゃないかというふうに思う。生命保険文化センターの委託研究というのを見てみますと、この格差が大体九千九百十五万円ぐらい、一億円ぐらい近くあるというふうなデータも出ております。ここに詳しいのが
ございますけれども、そういうのは一つ問題ではないかと思うので、その辺の調整をどうするかということがこれの問題だと思うんですけれども、大蔵大臣のひとつ御見解をお聞きしたいと思います。
#203
○国務大臣(羽田孜君) 平成二年度の経済白書の推計によりますと、土地資産格差は、昭和六十一年以降の地価高騰を背景にいたしまして六十一年から六十三年にかけて拡大してまいりました。しかしながら、昨年十二月、国土庁発表の最近の地価動向におきましても、東京圏、大阪圏等の大都市圏における地価の下落傾向が強まっているほか、あるいは地方圏におきましても鈍化または下落している地域が拡大しておることが確認されております。こうしたことから三年以降につきましては、推計が存在しないものの土地資産格差はある程度縮小化してきたものというふうに考えておるところであります。
 なお、金融資産格差につきましては、同白書の推計におきまして、株価が上昇した昭和六十年以降におきましても格差の拡大傾向は明瞭には見られなかったとしておりますけれども、現在、株価が低下しているところでもございまして、資産格差が拡大しているというふうには考えられないところであります。
 なお、地価高騰に対しましては、政府は先般の総合土地政策推進要綱を含めまして総合的な土地政策の推進を図っているところでございまして、つい二十四日の日でございますか、このときにも土地関係閣僚会議ということで、これ閣僚全員出ておりますけれども、土地というものが今後かつてのように高騰することのないように、それぞれの役所の機関におきましてこういったことが再び起こらないようにやっていこうということをもう一度確認をいたしたところでございます。
#204
○和田教美君 次に、小規模宅地等についての相続税の課税の特例についてお伺いしたいと思います。
 この特例措置は、減額割合を事業用宅地七〇%、居住用宅地六〇%に引き上げるというもので、この措置によって初年度百九十億円、平年度三百九十億円の減税になるというふうに大蔵省言っておりますけれども、そのとおりですか。
 それから、我々は、居住用住宅に係る相続税については大幅な減免措置が必要だという立場ですから、この特例措置には賛成であります。
 そこでお聞きしたいのは、相続税評価の引き上げによる増収の調整は、相続税法改正案の中で全体としての相続税負担が増加することのないような負担調整の措置が行われていると思うんですね。これにさらに加えて租税特別措置でこの特例措置によってさらに減額割合の引き上げという御措置をとったという理由は、大蔵省はどういう理由で説明をされていますか。
#205
○政府委員(濱本英輔君) 今回の相続税の手直しは相続税体系全体をいじるということではなくて、六十三年に見直しました直後の相続税体系は体系として尊重しながら、一方で土地の総合対策の一環として土地の評価を見直す、評価の見直しの副次的効果としまして相続税の世界にその影響が及んでまいりまして、相続財産として土地を保有している人たちが評価額の引き上げによって相続税額が増大するという事態が予想されるに至ったわけでございまして、その分を負担調整しようということに集中したわけでございます。
 その結果、土地の評価が引き上がりますことに伴いまして生ずると見込まれる増収額が約三千億、この三千億円を負担調整し切るということで課税最低限あるいは税率の価格帯を見直したということでございまして、その限りの作業におきまして三千億円を減税するという案ができ上がりました。
 しかし、その案をつくります過程で、やはり東京都心あるいは全国、一部の地域ではございますけれども非常に地価の高騰が激しかったところにつきましては、評価割合が七割から八割に上がります過程におきまして、なかなかそれによっては相続税の増嵩を抑え切れないというところがあらわれることがわかりました。したがって、それに対しましては、何かさらに配慮を加えなければ負担額の大きな変化が生じ、やはり健全な個人資産の形成といいますかあるいは国民生活の安定という側面に問題を残すと考えられたわけでございます。
 したがいまして、その上は政策税制としてそういった問題をどうやってぬぐうかということを考えるべきであるというふうに論議が進みまして、結論といたしまして、租税特別措置として先ほど先生がお述べになったような額の減額を追加する、追加することによってこの小規模の宅地に対する対策が可能になると考えましてそのような措置をお願いした次第でございます。本体の負担調整とちょっと違った角度から付加的に、政策的に講じさせていただいた措置だというふうに受け取っていただきたいと存じます。
#206
○和田教美君 次に、租税特別措置法の一部改正案について二、三お伺いしたいと思います。
 まず、住宅関連税制等社会経済情勢に応じた改正という言葉でくくられている特別措置についてお伺いします。
 住宅関連では、三大都市圏におけるファミリー向け優良賃貸し住宅について割り増し償却が創設されることになっております。我々はかねてから行政に家賃を補助させるという公約を掲げてきたところで、その点からいえば今回の割り増し償却の創設は評価いたします。
 ところが、もう一つの改正点である住宅取得促進税制の二年延長、これについては幾つかの疑問がございます。我々はこれについて、税額控除額を住宅ローン残高の二%相当額に引き上げて控除期間も十年間に延長すべきだと主張してまいりました。今回の改正案では適用期限を二年延長するものの、控除額や控除期間については従来どおりローン残高の一%、六年に据え置かれております。これをもう少し我々の主張するような方向に変えられないものか。残高二%、十年というふうに拡充することができないものかどうか、ひとつお答えを願いたいと思います。
#207
○政府委員(濱本英輔君) 住宅税制につきましては、三年度の税制改正におきまして拡充措置がとられ、この四年度税制改正において二年間の延長をお願いすることにしたわけでございますけれども、和田先生のただいまのお言葉でございますが、私どもは住宅税制としてはただいまこうして御論議いただいております仕組みというのは相当なものであって、十分な機能を果たし得るものだというふうに思います。
 そのゆえんでございますけれども、この促進税制によりましてもたらされる減収額というものは五千六百億円に達すると計算されます。仮に、対象者がすべて限度いっぱいの貸し出しを受けるということになりました場合には恐らく減収額は一兆円を超えるという計算が可能になるだろうと思います。今多々ございます租税特別措置、けさの村田先生の御議論から始まりましていろいろな租税特別措置というものが議論の俎上に上りましたけれども、その中では最大級のものの一つというふうに考えておりまして、今後これをどのように考えていったらいいかという問題を突きつけられているように思います。
 しかも、今の税額控除の率を借入金の元本の一%と定めてございます分を二%にしてはどうかという御提案と伺いましたけれども、これは、元本の一%を税額控除しますと申しますことは、所得税の今の税率区分でいきまして、最低税率のところは一〇%でございますから、一%の税額控除を所得控除に直しますとこれを十倍したもの、つまり一〇%分の所得控除をするということになります。
 普通、利子を控除しろ、利子をそっくり所得から控除しろという御議論も伺いますけれども、住宅ローンの利子というのは今一〇%もしていないと思います。したがって、利子を丸々控除しましたよりもかなりおつりのくる、そういう控除が現実に行われておるということでございますし、税額控除二十五万円と申しますものは、通常の場合、例えば五百万円のサラリーマン世帯の年間の所得税の額をはるかに上回る額でございまして、これはやはり住宅を取得し得ない層、住宅を持ちたくてもまだ持てない層、そういう層に対して刺激としてこれを考えることではありますけれども、それでもなかなか住宅を持てない層、そういう層の方々との負担のバランスというものを考えさしていただきたいという気がいたしまして、一つの限界的な措置が講じられているように思うわけでございます。
#208
○和田教美君 我々は、すべての国民の住宅権を保障するということを目標にして、持ち家に偏重する今までの政府の政策を転換をして賃貸し住宅についても家賃控除制度など税制面の措置が必要だということをかねがね主張をしてまいりました。
 家賃補助元年と言われた去年ですけれども、国もようやく民間の木造賃貸し住宅の建てかえに際して、以前からの居住者に家賃の値上がり分を補助する建てかえ家賃補助だとかあるいはまた借り上げ公共賃貸し住宅などの家賃補助に踏み切ったわけでございます。さらに、今審議中の法案が成立すれば大都市圏でファミリー向けの良質な賃貸し住宅に低家賃で入居できるような税制上の措置もとられるということでございます。
 これらの一連の施策は確かに一歩前進だというふうに思います。しかし、これらの制度は一般の国民が広く恩恵に浴するものではなくて、限定された一部の人々がその対象になるというものであります。政府も従来の持ち家重視から賃貸し重視に政策を改めそうな気配も見せておりますけれども、この際、我々が主張するようにもっと対象を広くして、家賃の一定部分を所得から控除する家賃控除制度というものをぜひ導入していただきたいと思うのですけれども、その御見解をお伺いしたいと思います。
#209
○政府委員(濱本英輔君) 家賃控除制度を設けるという御議論もたびたび伺っておりますが、これにつきまして私どもの考え方は変わりません。家賃というのはやはり生計費の中の代表選手でありまして、生計費の中の家賃だけを特別に取り出して対応を考えるということがなかなか難しいと存じますとともに、そういうことが理由ではございますけれども、諸外国でもこのような措置を講じている例は見当たりません。それから、確かに家賃の支払いを余儀なくされていられる方々の中に、こういった恩典があればと思われるようなケースというのはあるとは存じますけれども、納税額のない低所得者層の場合には手が及ばないわけでございます。
 それからまた、通常の場合でございますと、家賃に対してこういう措置が講ぜられるということになりました場合には、まず需要サイドからインセンティブが働くというような感じがいたしまして、それは家賃の高騰といいますか、そういうことにつながっていくおそれはないであろうか。逆に申しますと、今の住宅対策について一番大切なのはやはり供給の増加ではないだろうか。そういうことからいきますと、政策の配分としてやはり優先的に講ぜられる措置がほかにあるのではないかというような論議を繰り返し繰り返ししておるわけでございまして、問題をこうしてぶつけていただくことは私どもにとってありがたいことでございますけれども、依然として私どもそれ以上に踏み出せない状態でおります。
#210
○和田教美君 まだ幾つか質問の準備をしておりまして、建設省の方々にもお願いをしていたんですけれども、私の持ち時間が大体来たようでございますから、これで質問を終わらせていただきたいと思います。
#211
○委員長(竹山裕君) 三案に対する本日の質疑はこの程度といたします。
#212
○委員長(竹山裕君) 関税定率法の一部を改正する法律案、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び米州開発銀行くの加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題とし、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。羽田大蔵大臣。
#213
○国務大臣(羽田孜君) ただいま議題となりました三法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、我が国の市場の一層の開放を図る等の見地から、関税率、保税地域制度等について所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、石油関係の関税率等の改正であります。
 新たな石炭政策を踏まえ、原油及び石油製品の関税率を引き下げるとともに、平成四年三月末に適用期限の到来する石油関係の免税還付制度について、その適用期限を延長する等所要の改正を行うことといたしております。
 第二は、保税地域制度の改正であります。
 輸入関連施設が集積した地域を対象として、外国貨物の蔵置、加工、展示等の行為を総合的に行うことができる総合保税地域制度を新設するとともに、保税工場における利子税制度の廃止、保税運送の手続の簡素化等所要の改正を行うことといたしております。
 以上のほか、平成四年三月末に適用期限の到来する暫定関税率についてその適用期限を延長するとともに、所要の規定の整備を図ることといたしております。
 次に国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び米州開発銀行くの加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 まず、国際金融公社は、開発途上国の経済開発促進のため、これらの国の民間企業に対し投融資等を行っている国際機関でありますが、業務の一層の拡大を図るため第三次の増資を行うことが合意されたことに伴い、我が国としては、同公社に対する追加出資を行いたいと考えております。
 次に、米州開発銀行は、中南米諸国における経済的、社会的開発促進のために融資等を行っている国際機関でありますが、これらの国における民間投資の拡大を支援するため、同銀行の中に多数国間投資基金を設けることが合意されたことに伴い、我が国としては、同基金に対して五億ドルの拠出を行いたいと考えております。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、政府は、国際金融公社に対し、六千百三十八万ドルの範囲内において、アメリカ合衆国ドルまたは本邦通貨により追加出資することができることといたしております。
 第二に、今回の同公社への出資は、国債の交付により行いたいと考えておりますので、国債の発行権限を政府に付与するとともに、その発行条件、償還等に関して必要な事項を定めることといたしております。
 第三に、中南米諸国における民間投資の拡大を支援するため米州開発銀行に設けられる多数国間の基金に充てるため、政府は、同銀行に対し、予算で定める金額の範囲内において、本邦通貨により、拠出することができることといたしております。
 最後に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 世界経済の安定的な発展のために、我が国がその地位にふさわしい貢献をしていくことが緊急の課題となっておりますが、日本輸出入銀行におきましても、我が国の輸入の拡大及び開発途上国等の経済発展の促進に資することにより、こうした要請にこたえ得るようその機能を拡充するため、本法律案を提出した次第であります。
 以下、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の内容について御説明申し上げます。
 第一に、我が国の輸入拡大に資する観点から、輸入金融の機能を拡充し、技術の受け入れを輸入金融の対象に追加することといたしております。
 第二に、開発途上国等への民間直接投資を促進
する観点から、外国政府等を通じた日系合弁企業等への海外投資金融の機能を拡充することといたしております。
 第三に、開発途上国等の対外取引の円滑化に資する観点から、外国政府、政府機関等に対し、国際協調の枠組みのもとで国際機関等の行う融資等を返済原資とする短期資金の融資を行い得ることといたしております。
 第四に、日本輸出入銀行の債券による資金の調達をより機動的かつ確実なものとする観点から、従来の外貨建て債券に加え、外国において円建ての債券を発行し得ることといたしております。
 以上のほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が、三法案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#214
○委員長(竹山裕君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 三案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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