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1992/03/27 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 大蔵委員会 第4号
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1992/03/27 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 大蔵委員会 第4号

#1
第123回国会 大蔵委員会 第4号
平成四年三月二十七日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     藤井 孝男君     真島 一男君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     真島 一男君     藤井 孝男君
     久保  亘君     瀬谷 英行君
     西野 康雄君    日下部禧代子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹山  裕君
    理 事
               大河原太一郎君
                野末 陳平君
                前畑 幸子君
                本岡 昭次君
                白浜 一良君
    委 員
                石川  弘君
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                斎藤栄三郎君
                中村 太郎君
                藤井 孝男君
                藤田 雄山君
                真島 一男君
                赤桐  操君
                久保  亘君
               日下部禧代子君
                鈴木 和美君
                瀬谷 英行君
                西野 康雄君
                村田 誠醇君
                和田 教美君
                近藤 忠孝君
                池田  治君
                三治 重信君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  羽田  孜君
   政府委員
       大蔵政務次官   青木 幹雄君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     日高 壮平君
       大蔵省主計局次
       長        田波 耕治君
       大蔵省主計局次
       長        涌井 洋治君
       大蔵省主税局長  濱本 英輔君
       大蔵省関税局長  吉田 道弘君
       大蔵省銀行局長  土田 正顕君
       大蔵省国際金融
       局長       江沢 雄一君
       国税庁課税部長  坂本 導聰君
       国税庁調査査察
       部長       根本 貞夫君
       資源エネルギー
       庁次長      黒田 直樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        下村 純典君
   説明員
       総務庁行政管理
       局企画調整課調
       査官       関  有一君
       農林水産省畜産
       局食肉鶏卵課長  齋藤 章一君
       通商産業省貿易
       局貿易保険課長  岡本  巖君
       通商産業省生活
       産業局文化用品
       課長       島田 豊彦君
       自治省税務局企
       画課長      香山 充弘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○法人特別税法案(内閣提出、衆議院送付)
○相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律
 及び米州開発銀行くの加盟に伴う措置に関する
 法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○公認会計士法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(竹山裕君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十六日、藤井孝男君が委員を辞任され、その補欠として真島一男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(竹山裕君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○近藤忠孝君 きょうは一番最初に質問させていただきます。なかなか気分のいいものですね。
 まず、法人特別税法でありますが、この増税が大企業だけじゃなくて一部中小企業にも及ぶので反対であります。問題は、形の上では湾岸増税の継続とは切り離されてはおりますが、その創設の経過から見ましても国際貢献税構想と深いかかわりがあるし、将来ともこの構想に組み込まれかねない、そういう危険性を持っておりますので、その関係で質問いたします。
 国際貢献税構想というのは、今回の予算編成の段階で急浮上いたしました。そして姿を消しました。しかし、与党の自民党の中で議論されておりますし、また政府税調の答申の中でも今後の検討課題とされております。
 そこで質問は、政府税調はどういう検討をしておるのか、今後の検討の見通しはどうかお答えいただきたいと思います。
#5
○国務大臣(羽田孜君) この問題につきましては、確かに昨年暮れの税調におきまして、国際言献というものについて引き続き財源も含め今後検討していこうということでございまして、今のところまだ動きはないということでございます。
#6
○近藤忠孝君 衆議院での主税局長の答弁、これ議論になったときに、厳格な意味の目的税論議というところまで至っていない、こういう答弁をしております。元来、大蔵省は目的税をつくることには消極的なはずなんですが、この問題はどうです。
#7
○政府委員(濱本英輔君) 近藤先生おっしゃいますような意味におきまして、大蔵省といいますか我々の立場としましては、目的税の論議というのは慎重に行われなきゃならない、いろいろ問題があるということを申し上げてもまいりましたし、また政府税制調査会等の論議もさようなことであろうと存じております。
 今回のこの国際貢献税の構想に関しましては、ただいま先生からもお話しくださいましたように、私どもとしまして厳密な意味での目的税に踏み込んだ論議というふうにあの議論を受けとめているわけじゃございませんで、そういった形とはちょっと違った次元での議論であったというふうに思います。
#8
○近藤忠孝君 外国の例をお聞きしますけれども、こういう国際貢献税に類する税制というのはあるんでしょうか。
#9
○政府委員(濱本英輔君) 何をもって国際貢献税というべきかということはあろうかと思いますけれども、必ずしもそこは明確でない部分もあるかと思いますけれども、主要諸外国におきましてそれと明確にされている例は私ども承知しておりません。
#10
○近藤忠孝君 そうでしょうね。せいぜいあったとしても韓国の防衛税ぐらいだろうと思うんです。
 そこで、国際貢献は私たちも平和目的であれば必要だと思うし、大いにやるべきだと思うんです。また、そのために資金について日本が応分の負担をしていくことにも賛成です。ところが、それがすぐ人的貢献とかPKOということになるとややこしくなるんですね。
 そういう平和目的の資金であれば、私はODA予算やあるいは国連などへの分担金などの形で対応するのが自然じゃないかと思うし、これが今も局長答弁のように世界各国の常識じゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
#11
○政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。
 これまでの国際貢献策としては、お話のようにODAだとかあるいは国連分担金等が中心となってきたわけでございますが、近年国際情勢の流動化等を背景にしまして、例えば旧ソ連邦に対する人道的支援や技術支援等、ODAにも国連分担金にも属さない形での貢献分野が増大してきているところでございます。
 我が国といたしましても、国際社会の平和と安定、発展に寄与するために真に必要な貢献であれば、御指摘のようなODAや国連分担金以外の分野であっても日本の地位にふさわしい貢献を適切に果たしていくことが重要ではないかと考えているところでございます。
#12
○近藤忠孝君 特別の税制は私は必要ないんじゃないかと思うんですね。
 それから、話題変わりますが、現在、地球環境会議を控えて、環境税などが問題になっております。大体それはどんなものなのか、また我が国でどんな議論がされているのかお答えいただきたいと思います。
#13
○国務大臣(羽田孜君) UNCEDの開催に向けまして、地球環境問題に対します関心が高まっている中にありまして、OECDの租税委員会や環境委員会におきまして、環境対策として税制を活用していかないかというような議論が行われました。また、昨年七月に開催されましたロンドン・サミットにおきましても、税を含めて環境保護のための経済的手段を開発する作業を奨励することとされたところでございます。また、近年北欧諸国等でCO2発生源に対しまして課税を強化するなど税制上の措置が導入、検討され始めておるということでございます。
 そこで、私どもといたしましても、いわゆる環境対策に関連する税制につきましては、これまでも適宜調査を行っているところでございますけれども、今後とも地球環境問題の重要性にかんがみまして、国際的な動向も注視しつつ必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
#14
○近藤忠孝君 私は、平和目的とかこういう環境保全のために我が国が積極的にやるべきだと思うんですね。
 そこで、財政当局としての決意を聞きたいんですが、単に様子を見守るんじゃなくて、この際、我が国はある意味じゃ公害輸出国、公害先進国ですからね、そういう点では日本がそのイニシアチブをとるべきだと思うんですが、その点どうですか。
#15
○国務大臣(羽田孜君) 特に開発途上国等に対する環境分野の技術的、資金的支援の問題、こういったものが相当大きな問題になってくるだろうと思っております。いずれにしましても、六月に予定されております地球環境サミットに向けまして検討課題の一つでございまして、我が国といたしましても同会議の準備作業の進捗状況等を見ながら、他の先進国とも協調しつつ適切な対応をしていくべきであろうというふうに考えております。
#16
○近藤忠孝君 問題は財源です。この点について加藤政府税調会長はこう言っていますね。「国際貢献といえば、国民全部の問題なのだから、それを一部のものに負担させるわけにはいかない。本当なら消費税にいくべきだ」という発言があるんですが、この点について大蔵省はどう思いますか。
#17
○国務大臣(羽田孜君) 先ほど涌井さんの方からもお話がありましたけれども、変動する国際情勢のもとにおきまして、国際社会の平和と安定、発展に寄与するため我が国がその地位にふさわしい国際貢献を推進していくことは国民の一人一人が真剣に考えるべき問題であろうと思っております。
 私たちといたしましては、財源町題も含めまして、国民各階層の皆様方の御論議を期待しているところでございますけれども、加藤税調会長が御発言なさったということについて、私ども新聞で承知しておりますけれども、ただ国際貢献にかかわる財源問題につきましては、税調や大蔵省として何らかのまだ具体的な考え方というものを現在持っておらないということをこの段階では申し上げざるを得ないと思います。
#18
○近藤忠孝君 しかし、税調会長ですから、影響は大きいと思うんですね。
 そこで、加藤さんはまたこう言っているんです。「消費税はまず、いかにして税率を高めていくかということを考えなければならない」「いかに国民の働く意欲と公平感を持続しながら消費税に比重を移していくか」、まさに我々がこの消費税を論議したときに心配したこと、懸念したことが政府税調会長は先取りして言っているんですよ。これは恐らく答申などになってきたら大蔵省に影響を与えるんじゃないかと思うんだけれども、この税率アップ、しばしば問題になっているけれども、税調会長がこう言っているということについて大臣はどう思いますか。
#19
○国務大臣(羽田孜君) 消費税率の変更というものは、基本的には今後の財政需要の動向や税制全体としての負担のあり方等を踏まえまして、そのときどきの経済社会の条件のもとで国民が選択する事柄であろうと思っております。国民の御理解なしに安易な税率の変更を行うということは考えられないところでございまして、私どもは昨年十月から実施されております法改正の円滑な実施が最も重要でございまして、今三%の税率についてどうこうするといったことについては念頭にないことを申し上げておきたいと思います。
#20
○近藤忠孝君 そう言わぬとまた騒ぎになるから、その程度かもしれませんけれども。
 次に、相続税に入ります。
 相続税そのものは今回の法案は賛成ですから特に触れませんが、ただ評価が、大体相続税の中心問題はやっぱり財産評価の問題だと思うんです。そこで評価の問題で聞きます。
 相続税に入る前に、税制全体の評価を聞きますけれども、税法においてはいろんな評価の方法が目的によってあると思うんです。評価の目的によってその評価方法に違いが出てくる、これは当然だと思うんですが、まずどうですか。
#21
○政府委員(濱本英輔君) 仰せのとおりだと存じます。
#22
○近藤忠孝君 そういう中で、相続税の場合というのは特に財産の評価を画一的、統一的になすべき、そういう性格が強いと思うんですね。特に、これは衆議院の大蔵委員会でも、取得した財産の価値そのものに対して負担を求めるので、すべての財産を平等に扱うことが課税の根本原則だと、こういう答弁もあるからこれはそうだと思うんです。これは間違いないでしょう。
#23
○政府委員(坂本導聰君) 御指摘のとおりでございます。
#24
○近藤忠孝君 いつも仰せのとおりと答えてもらえれば大変いいんですが、ところがだんだんそうならないんですね。
 上場株式についての評価方法、四つあるんです。一つは相続人死亡日の最終価格、それからその月の毎日の終わり値の平均価格、もう一つはその前月の毎日の終わり値の平均価格、四番目はその前々月の毎日の終わり値の平均価格。画一的、統一的にされるべき評価が四つあるわけですが、どうしてこういうことになるんだろうか。ということは、一面から見れば株式市場における最終価格が絶対じゃないという考えに立っているのかなと思うんですが、どうです。
#25
○政府委員(坂本導聰君) 御指摘のように、上場株式の評価はその上場された証券取引所における課税時期の最終価格、あるいは課税時期の属する月以前三カ月間の各月の毎日の最終価格の月平均額のうち最も低い価額によって評価することができるとなっております。これは御指摘のとおりでございます。
 上場株式は証券取引所における取引価格が御指摘のようにそのまま時価を反映しているという見方もできますが、証券取引所の取引価格はそのときどきの需給関係により値動きがある、このため上場株式の評価に当たっては一時点だけにおける需給関係による偶発性を排除し、ある程度の期間における取引価格の実勢をも評価の判断要素として考慮する方がより適切ではないかということから、ただいま申し上げたような評価方法になっているわけでございます。
#26
○近藤忠孝君 そこまでも同じ意見であります。
 今度は、相続税について公示価格の七〇%であるのを今回八〇%に引き上げるというんですが、これは、評価水準を引き上げることは、土地の税負担が相対的に少ないことに着眼して租税回避が可能であることを防止しようということだと思うんですね。私は、そうであるならば、上昇が始まった時点、もしくはそれが進行している時点でいち早く手を打つべきだった、これは通達の変更でできるんだから。だからもっと機敏に行うべきだったんじゃないのか。しかし、後手後手でしたよね。上がっちゃったんです。多くの課税逃れを許した今、この評価水準を引き上げるというんですよ。後手後手に回ってきて、きのうも議論になったとおり今下がっているわけです。また後手に回るだけじゃなくて、新たな矛盾を引き起こすんじゃないのかというぐあいに思うんです。
 そこで、まず根本的な問題をお聞きします。
 相続税では、これは法律としては減税効果をもたらしますね。ところが、通達でその減税効果が帳消しになっちゃう、だけじゃなくて場合によっては増税になる可能性もある。というのは、法律で決まる――要するにここで決めることをそちらの方で、行政の方で、順序はちょっと逆かもしれぬけれども、しかし行政段階、通達段階で減税効果を逆に増税にして帳消しにするという、これはやっぱり租税法律主義の趣旨から見てその趣旨にもとるんじゃないかと思うんです。根本問題としてどうです。
#27
○政府委員(坂本導聰君) ただいまの御指摘は、財産評価基本通達は相続税法第二十二条のまさしく時価の解釈として国税庁長官が定めるということになっているわけでございます。これも御指摘のように、相続税が課税される財産は多種多様でございまして、個々の具体的な財産がございますが、その価額算定の諸要素は、社会事情の変化に伴いまして価値の見方が変わってくるということもまた当然でございまして、それに合わせて通達改正をするということは決して租税法律主義に反するものではないと考えているわけでございます。
 今回の土地の相続税評価の適正化は、平成二年十月の税制調査会の土地税制のあり方についての基本答申並びに平成三年一月の平成三年度税制改正の要綱及び総合土地政策推進要綱の閣議決定等の趣旨に沿いまして、土地が金融資産等値の資産に比べ有利となるという現在の相続課税上のひずみを是正するということを目的としているものでありまして、その水準も地価公示価格の八〇%としております。この評価の適正化は、法が予定しております先ほどの時価をどう評価するかということでございまして、これに逸脱するものではないと考えております。
#28
○近藤忠孝君 それは七〇%を八〇%に引き上げるという理由であって、私が提起した根本的な問題――私は引き上げちゃいかぬとは言いませんよ。増税効果をあらわすのならば、片方で減税効果は法律でやっているんだから、同じやっぱり法律段階で、全部が全部いかぬにしても、その基準とかそういったものは私は同じ法律でやるのがこれは租税法律主義の趣旨じゃないかなという趣旨で申し上げました。これは根本議論だからまあいいでしょう。
 じゃ、時価との関係です。昨日も前畑議員の質問の中で、取引の時価と路線価が異なった場合、どちらに基づいて課税するのか。それに対して、路線価にこだわらないという話がありました。それは、路線価より取引の時価が低い場合には、私は納税者の利益を考え時価によって課税する、こういう趣旨と理解しました。ここまできのうの段階です。
 問題は、時価の方が路線価より高い場合、取引価格が。この場合、時価によってやられたら大変ですよね。そうでしょう。それはやっぱり国民の法的安全、安定性という意味で、路線価を公表した以上は、時価が高い場合には私はやっぱり路線価でいくべきだと思うんです。そうでしょう。ここをはっきりしないと、時価が優先しちゃったらこれは大変ですよね。どうですか。
#29
○政府委員(坂本導聰君) 相続税は、あくまでも申告納税制度でございますが、多種多様な財産、特に、なかんずく土地について個々の評価を個々の納税者が行うということは非常に難しい面がございますので、税務当局が路線価というものを設定していく。したがいまして、路線価で申告される限りは時価を下回っていてもそれは適正な申告ということで処理させていただくことになると思います。
#30
○近藤忠孝君 やっと安心しました。
 問題は、今は下がっている時期で、路線価より取引価格が低い場合が大分出ていますからね。私はこいつをぜひ税務署の現場に徹底してほしいと思うんです。税務職員というのは本当にみんなもうまじめ過ぎるからね。本当ですよ。
 通達ではこう書いてありますよ。財産評価基本通達、総則の一に「その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。」と書いてあるんですね。そうすると文字どおりとっちゃうんです、現場では。通達の定めによって評価した価額イコール路線価、だから路線価が時価だと頑張っちゃってね。現場では大変ですよ。路線価より低いやつを持っていったら、まずなかなか受け付けませんよね。認めません。実勢の時価がどうあろうと、まず路線価を押しつける。きのうのあなたの答弁がなかなかそのまま現場じゃいかないんですよ。私は、もう全国の税務署を回っているからよく税務署わかるし、税務職員の気持ちもわかります。きのうときょうの答弁、これはぜひ速やかに現場の税務署へ私は徹底してほしい。この答弁のとおり、解説つけないで。どうですか。
#31
○政府委員(坂本導聰君) その御指摘の前に、まず路線価が適正であるべきであるというのが第一だと思います。したがいまして、例えば地価が下がっているという場合にはそれを適正に路線価に反映させる、まずこれを徹底させたいと考えております。
 その上で、なおかつ個別の事例でその路線価に比べ実際の取引価格、民間精通者評価額、公示価格等から勘案してそういった価格の方が路線価よりも低いという場合には、その低い価格が時価ということになるわけでございます。徹底させたいと思います。
#32
○近藤忠孝君 ありがとうございます。私も税理士登録したものだから、そういう事例があると思うのでよろしく。
 ただ、やっぱり税務職員というのは、いままで上がるばかりだから、路線価より時価が低いなんということはまず余り頭になかったですよね。そういう意味で私はこれは徹底が必要だと思うんです。
 もう一つ大事なことは、じゃ、路線価より低いんだといって時価を持っていったって、なかなかその時価が決まらないんですよ。そこで、何をもって時価とするのか。これは基本通達等によれば、時価とは一定のときにおける価額で、その財産を一般の公開市場で公開しようとした場合に想定されるものを言うということですね。そうすると、不動産取引における公開市場とは何か。だから、要するに不動産業者を通じて売りに出されたときには、それが公開市場に出たと言えるのかどうか。
 となりますと、よく新聞広告にも出てくるこういうやつがありますよね。これは一つの時価、実際の取引はこれより少し下がるところで決まるかと思うんだけれども、これなどは市場に出た、このように理解していいんでしょうか。
#33
○政府委員(坂本導聰君) 時価とはやはり取引価格、その広告が出たということではなくて、実際に取引された価格ということになると思いますが、ただその場合でも、例えば売り急ぎで安く売ってしまったとか買い急ぎで高く買ってしまったとか、そういう異常値は排除して、いわゆる中値を評定して算定することになると思います。
#34
○近藤忠孝君 しかし、その相続の対象となる土地そのものが売買になるという事例は、相続税払うための場合たまにありますけれども、しかしほとんどないですよ。その土地そのものの時価というのの算定は極めて不正確だし、なかなかこれ決まり切らないじゃないのか。
 実際、何によってこれ決まるんでしょうか。そこをはっきりしないと、路線価と時価と違う、違う時価を持っていってもなかなか税務署は認めてくれませんよね。そこをどのように的確にやっていくのか、そのことに時間がかかり、金がかかったんじゃ、せっかくあなたの先ほどのいい答弁も現場じゃ違っちゃうんですよ。
#35
○政府委員(坂本導聰君) 時価を決定するための要素としてのいわゆる路線価でございますが、この路線価につきまして、売買実例も一つの要素でございますが、委員御指摘のように売買実例のない地点もございます。そういう場合には地価公示価格あるいは不動産鑑定士等の民間の精通者の意見等を求めまして、それによって路線価を算定するということになると思います。
#36
○近藤忠孝君 ここに一つの実例があります。相続税を払うために売りに出したんです。私のすぐ近くの土地ですが、相続開始時にほぼ路線価と同じ百四十五万で売りに出したけれども売れなかった。やはり相続税を払う時期が六カ月で迫っていますから、それでずっと売りに出している。ちゃんと広告があります。その土地が坪八十万一路線価百四十五万。私は、百四十五万で出したとき売れなかったということは、もう路線価は既に時価でなかった証拠だと思うんです、売れなかったんだから。そうでしょう。今八十万。安いと思って買おうと思ったが金がなかったから買えなかったんですけれども。その場合には、この売りに出したその土地そのものが、もし八十万で売買できた場合、それは今の時価になるんだろうと思うんです。ただ、この場合に言えることは、相続税を払うために売り急いだから違うんだと。しかし、片や路線価に近いもので評価され、その税金を払うために売りに出したのが全然時価じゃないなんと言われたら、払う方はこれはもう全くそれは二重、三重の意味で踏んだりけったりですよね。
 こういう場合に、売りに出された時価、これ現にあるんだから。そういう場合には、この売りに出された、実際売買になった、それは八十万でも売れない、もっと下がるかもしれませんが、それは私はさかのぼった去年の段階の開始時の時価に相当考慮されるべきだと思うんです、そのときそうなんだから。どうですか。
#37
○政府委員(坂本導聰君) 相続税の課税標準はあくまでも相続開始時の時価によるわけでございます。したがって、その相続開始時点から実際に相続財産を売って相続税を納めるというまでの間に値下がりがあっても、それは評価の要素には入らない。しかし、その相続時点における路線価が実際の民間精通者あるいは取引実例等、公示価格等から見て高いという場合には、個々にしんしゃくするということになると思います。
#38
○近藤忠孝君 私も、今売買が成立した場合、そいつを時価とは言わない、さかのぼるのはいけませんけれども。しかし、少なくとも売りに出たときに路線価より低かった。で、下がっているんだから、少なくとも路線価では課税できない。それ以下で、その間どの程度見るかは別としますけれども、そのように評価されるべきだと思うんです。
 そこで、今度は別に、質問変わりますが、じゃ相続税の申告を急ぐということで路線価で申告しちゃった例というのは随分あるものです。しかし、後で時価が大変低かったということがわかった場合には、この場合には納税者の方から税務署に対して更正を求めることができると思うんですね。そういう場合には私は気持ちよく、もう路線価で払っちゃったからそんな更正はだめだとか、職権ではとか言わずに、今大変下がっているのが多いわけだから、その場合には気持ちよく――大体税務署というのは入っちゃった税金なかなか外へまた戻さぬ、還付なかなかやらぬからね。しかし、こういう場合には気持ちよくそういう更正を職権で行う、そう答弁してほしいんです。そのこともぜひ徹底してほしいんですよ。どうですか。
#39
○政府委員(坂本導聰君) 相続税における財産の価額は、先ほど申しましたように、相続税法第二十二条によりまして相続財産取得のときのいわゆる課税時期の時価によって評価するということ写なっております。
 そこで、相続税は先ほども申し上げましたように申告納税制度を採用しているところから、納税者の。便宜とかあるいは課税の公平の観点から、なるべく簡易な、あるいは的確に土地の相続税評価を算定することができるようあらかじめ路線価等を設定しているということでございます。
 したがって、仮にその評定以降地価が暴落するなどの理由によって路線価に基づいて申告した土地の価格が課税時期における相続税法の時価の解釈として適当でなかったということが客観的に明らかとなった場合には、納税申告書に記載した課税標準もしくは税額等の計算が国税に関する法律の規定礎従っていなかったこと、またはその計算に誤りがあったということになりまして、納税申告書の提出により、納付すべき税額が過大であるというふうに該当するときには更正の請求はすることができますし、税務署はこれが適正である限り、これを認めるということになると思います。
#40
○近藤忠孝君 それもぜひ速やかに徹底してほしいと思います。
 そこで、次に小規模宅地二百平米以下の相続税の課税価額の計算の特例についてです。居住用を今までの五〇%を六〇%、それから営業用、それを六〇から七〇に引き上げますね、減額率を。この特例の趣旨と目的は何でしょうか。
#41
○政府委員(濱本英輔君) 小規模宅地の相続税の課税の特例制度そのものは、居住の安定あるいは事業の継続というものに配慮します観点から、昭和五十八年度の税制改正において設けられたわけでございます。結局、生活の基盤あるいは事業の基盤というものは他の財産とやはりその意味において異なる性格を有している。したがって、この扱いもそういった特別の配慮を加えてしかるべきだというのがこの制度を設けられた趣旨と理解しております。
#42
○近藤忠孝君 特に都心部の場合に、評価が高いから、相続した場合にそいつを売らずに済むように、私はそういったことも大分考慮されていると思うんです。
 そういう法の趣旨から見て、ひとつクイズを出します。ここに三つの例があるんです。(図表掲示)
 今言ったように、二百平米の宅地に居住用だけの家屋があった場合、それから、年寄りだから小遣いを稼ごうというので全くそれを総二階にして。上を貸し家にした場合、それから今度は別の例で、同じ二百平米でちょっと大きくして十室以上の貸し家にした場合、こういう三つの場合があるんです。この三つの場合に、一、二、三とありますけれども、この特例をとれが一番恩恵を受けるんだろうか。要するに、一番減額が多いのはどれでしょうか。
 大臣――いや、あなたは一番最後に答えて。現状はどうなっているか、実務はどうなっているか、主税局長は後でね。それで最後に一番正しい課税方法、評価方法を私が言いますけれども、その前に大臣、この順番、一番得する順番を数字で言ってください。大臣の良識で、普通人の感覚で、どれが一番得しますか。
#43
○国務大臣(羽田孜君) 三つの中でどれが一番有利かということですか。
#44
○近藤忠孝君 順番を言ってください。
#45
○国務大臣(羽田孜君) そうですね、三、一、二かな。
#46
○近藤忠孝君 ああそうですか。
 委員長、どうです、これ、立法府の方の関係として。あるいはどれが一番優遇されてしかるべきか。委員長いかがでしょうか。――いや、そうおっしゃらずに。
 じゃ、主税局長とうですか。
#47
○政府委員(濱本英輔君) 大臣の御答弁と同じようにお答えいたします。
#48
○近藤忠孝君 恐らく大臣事前に教わっておったんでしょうな。
 本当であれば私は一と二とが同じ額でいいと思う。だってそれは居住そのものですよ。ところが実際は違うんです。一番得するのは、これは営業用だということで六〇が七〇になりますからね。要するに三〇%減っちゃうんですよ。ここも一〇〇%に対して六〇%、丸々これが減る対象になるんです。ところが、たまたま貸し家をつくったために、しかも、この貸し家が営業でないから、営業なら七〇%評価されるのにここはゼロになっちゃう。そうすると、この土地の、二百平米のうちの半分しか評価されない、減額が。となりますと、五〇掛ける六〇だから七〇にしかならないんです。本来もうけているはずのここで三〇になり、居住用だけであれば四〇なのにこういう結果になっているということは、私は大臣がよく言う普通の感覚からいうとこれはおかしいんです。どうしてこんなことになるんですか。
#49
○政府委員(濱本英輔君) 今の近藤先生の私どもに対しますお尋ねには二つの要素があろうかと存じます。一つは事業用と居住用とでなぜ差がついているんであろうかということと、もう一つは貸し家と称しますもの、二つのタイプでお示しになりまして、一方の場合には認められ、一方の場合に認められないのはなぜであろうかというお尋ねかと存じます。
 まず、居住用と事業用で減額割合が異なっているのはなぜかということでございますけれども、これは導入当初からいろいろ議論がございまして、要するにさっき申し上げました制度の趣旨と申しますものが、生活の基盤あるいは事業の基盤という特殊事情に着目しようということなんでありますが、その場合に、それは生活の基盤も事業の基盤も同じような重みを持った問題ではありますけれども、どちらかと申しますと、商売というのはどこの場所でも営むことができない、つまり事業用の宅地の場合には事業が雇用の場でございますとともに、例えば取引先等と密接な関連を有しておられる。あそこの角のあそこの場所のあの店だという位置づけというものが大きな意味を持つ。したがって、その事業主その人以外の多くの人との社会的、経済的なかかわり合いというようなものも生じておりますし、そういった意味におきまして処分に際しては制約を受ける面が大きいという議論がございまして、居住用に対しまして差がついたということでございます。
 それでは次に、貸し家と称されるものが二つのタイプのうち一方に認められて、一方に認められないのはなぜであろうかという点でございますが、実は昭和六十三年の改正までは、土地を貸しましたりあるいは家を貸したりして、その敷地につきまして事業に準ずるようなケース、つまり居住用と事業用がございますが、事業に準ずるようなケースについてはある程度大きなくくりで認められておったわけでございますけれども、例えば今の絵にも多少関係いたしますが、地方の資産家の方々などが地価の高い地域の貸し地や貸し家を取得するというような事例がふえてまいりまして、つまりこういう特例を利用しまして相続税の節税を図る事例が顕著になり、そういうものがいろいろなところで語られ、書かれてまいりました。
 昭和六十三年の抜本改正の際に検討の俎上に上りまして、事業に準ずるものというのを吟味すべきだということになりました。つまり純粋の事業であればこれは問題ないわけですけれども、事業であるのか事業でないのか、その境目をどこで線を引くかということになるわけでございます。一種の社会通念で判断しなきゃならない世界でございます。その場合に、今までいろいろ国税庁の執行といったような事績の積み重ねの中から、まず事業に類似すべきものとしてこのあたりが適当であろうと判断する一線、これは所得税の他の課税の側面においても我々が経験することでございますけれども、そういったものから本格的な事業に類似する、つまり貸し付けの規模が相当大きなものにつきましては、これを事業用に並べて取り扱ったらどうかということにいたしておりまして、今の先生の絵では必ずしもそこのところは明確にあらわれているとは思えませんけれども、先生のお気持ちはきっと本格的な貸し家だという意味でお示しになったものと判断いたしまして、私は先ほどあのようにお答えをさせていただいた次第でございます。
#50
○近藤忠孝君 今局長答弁のように、六十三年まではちゃんとこれ、二の場合一〇〇%全部減額になっておったんですよ。それを、通達ですよ、法律でやるならまだしも、通達でこれまで当然全部一〇〇%減額対象になっておったやつを今のようにそれだけ対象でなくしちゃった。しかも、部屋数が少ない方を保護すべきですよ。その理由として、そういうのがあるんだからほかにも財産あるはずだと。それは逆でしてね。私は、常識に反すること。聞いてみたら皆さん私の意見に賛成です、このあたりは。常識に反することを、しかも通達でやってしまった。
 大体、相続税関係はほとんどが通達行政ですよ、評価が中心だからね。この点は加藤税調会長も野口一橋大教授も通達行政は少し変えるべきだと。たまには私も加藤さんと意見一致することがあるんだけれども、言っていますよ、ちゃんと。だから、私はこれはこの通達をやっぱりもとへ戻して、ということは実際大変ひどい例があるんです。
 この二の例が減額評価になった場合とならない場合を東京のある中心部で評価をしてみましたら、実際あった例です。税額が適用になれば三千三百万、ところがそいつは六千七百万というんです。この人は普通のサラリーマンで年収七百万ぐらいですから、二十年で分割支払いしても年間三百二十万払わなきゃいけない。とてもこれは売らずには相続できない。こういう例が現に出ています。私はこれは通達でできるんだから、こんな実例、もうちょっと実態に則してこれは見直すべきだと思うんですが、どうですか。
#51
○政府委員(坂本導聰君) 委員ただいま御指摘は、通達で措置をしているというお話でございましたが、これは法律によりまして事業に準ずるものは特例の対象から外すということでございまして、私どもの通達でやっているわけじゃございませんて、法律でございます。
#52
○近藤忠孝君 だったらその法律を改正すべきことをひとつ検討すべきだと思います。
 まだたくさん、赤字法人の問題、青色の問題、納税者番号、国際課税、たくさん準備していましたけれども、時間が来てしまいましたので残念ながら終わります。
#53
○池田治君 我が国の経済は、完全な景気後退の局面にありまして、三月十九日に発表されました昨年十−十二月のGNP成長率は前年比〇・〇四六%の・マイナス成長となっております。景気後退局面としては円高不況期の一九八六年の一−三月期以来のことであります。そのような状況から、実質経済成長率につきましては平成三年度の政府見通し三・七%、あるいは四年度の見通し三・五%は達成・困難と言われておりますが、これまでの強気姿勢を変えなかった政府ないし大蔵としては現在どのように考えているのか、大蔵大臣の答弁を求めるという質問通告をしておりましたが、昨年来何回もこの問題は答弁なさいましたので答弁は結構でございます。
 そこで、引き続きまして、平成三年度の補正予算では景気低迷を反映して税収が落ち込み、法人税は一番大きく一兆八千億、これを基準とした法人臨時特別税でも四百億、有価証券取引税では五千二百億、そして印紙収入では四千五百億とそれぞれ減額修正を行われまして、合計二兆八千億の税収入となっております。しかし、現在の景気状況ではこれでもまだ税収不足が生じるのではないかと懸念されます。法人税の税収見込みは平成四年度では十八兆一千二百二十億、平成二年度の実績の十八兆三千八百三十六億円より少なく見積もられておりますが、平成三年度の補正後の予算額の十七兆四千五百八十億円よりは多く見込まれております。現在法人は、新聞紙上で見ますところによりますと大体軒並み減益、減益、減益と出ておりますが、こういう状況の経済状態のもとではやはり見込み額といいますか見積額が高過ぎるのではないかということを心配しております。
 今回提出されました法人特別税も、企業に与える影響は大きくて法人税同様政府が予想するほどの税収は見込まれないんじゃないか、こう思っておりますが、この点は大蔵省はどうお考えになっておりますか。
#54
○政府委員(濱本英輔君) 平成四年度の法人税収がどうであろうかというお尋ねでございますが、確かに状況が状況でございますので、私どもも昨日来御答弁をさせていただいておりますように、非常に慎重に状況を見守っておるということでございます。
 平成四年度を占います場合に、まず私どもとしまして目先、平成三年度がどうなるかということが大事でございますけれども、平成三年度予算補正後の予算のレベルと申しますのは平成二年度の決算のレベルの九五%ぐらいのところに引いてあるわけでございますが、今のところ何とかそのライン、あるいはそのラインを多少上回るところで税収は推移している感じがいたしますけれども、何と申しましても税収の進捗率は一月末でまだ半分程度ということでございますので、三月期の決算法人の申告状況を見定めませんことにはわからないというのが正直なところでございます。
 それを踏まえました上での平成四年度の話でございますけれども、平成四年度につきまして我々が今見積もりの際に持ち得る手がかりといたしまして、政府経済見通しにおきます生産とか物価とか消費とかそういったファクターの動向、これを手がかりに見積もっておるわけでございまして、こういった生産、物価、消費の動向が平成四年度どのようになるであろうかということにかかるところ極めて大だというふうに思います。これらの動向、つまり経済実態の動向も三年度から四年度にかけまして推移していく過程を我々としても慎重に見守っていきたい、今私どもが申し上げられますのはそこまででございます。
#55
○池田治君 ということは、四年度の見積もりは全くできないということでございますか。きのう来の日銀並びに大蔵大臣のお話を聞いていると、景気は減速になってきた、しかし雇用状態はスムーズに流れておる、しかも消費もだんだん拡大しているということで、景気はそれほど落ち込んではない、今年度の末ごろからは景気は回復するんじゃないか、こういうような楽観的な見通しでお話をなされておりましたが、それを基準としますと全然見積もれないということはないんじゃございませんか。どうですか。
#56
○政府委員(濱本英輔君) 景気動向の見通しにつきましては、私どもの立場といたしまして、今池田先生からお話がございましたような、政府部内あるいは日本銀行当局等いろいろな形でこれまで国会におきましても見通しについてのお考えを開陳しておられましたけれども、そういった考え方と大きく異なることではございません。そういったものを踏まえて先々の見通しを持たせていただいているということでございます。ただ、それらの見通しというものがいかに困難な問題をたくさん含んでいるかということも同時に語られておることではございますが、我々としても税収という側面からさらにそういう問題を慎重に観察しているというのが今の実情でございます。
 ただ、ちょっと話が戻って恐縮でございますけれども、今注意を受けたのでありますが、先ほど私は法人税収の今の状況を御説明いたしますときに、二年度の決算に対します三年度の補正後予算額の伸びを九五%に見積もっておる、したがって九五%入ればそれで目標は達成である、そこはよろしいわけでございますが、後の御説明が少し不十分であったように思いますのは、法人税の一月分の税収の対前年同月比は一〇〇・一%でございますから、それなりの数字だということかとは思いますけれども、前年同月比を四月から一月まで累計いたしましたところでは九一・五%、つまり目標が九五に対しまして九一・五のレベルに今あるというふうに申し上げなければならないと存じます。
#57
○池田治君 大蔵大臣はこの点どうお考えですか。いつも大蔵大臣はちょっと楽観的な物の見方をおっしゃるようなんですが、これは経済界に与える影響というものが大臣のお言葉は大きいのでなかなかはっきりしたことは言えないのかもしれませんし、また経済界の活況を取り戻すために勇ましい進軍ラッパを吹かれるのかもしれませんが、正直なところどういうお気持ちで経済の見通しを立てておられますか。
#58
○国務大臣(羽田孜君) 今平成三年度の収納について局長の方から御答弁申し上げたわけでありますけれども、そういうものが土台になりながら平成四年度を見積もり、そして税収がどのぐらいになるであろうということをあれしながらこの予算というものを私ども編成いたしております。ただ、景気全体は、先日来申し上げてまいりましたように景気の調整局面というのは多少おくれるであろうということを私たちも見込んでおります。
 ただ、それじゃそのままどんどん落ち込んでいってしまうのかということでありますけれども、これに対しましては私ども平成三年度の補正でも景気に対してある程度配慮しながら対応してまいったわけでありますけれども、今度の平成四年度の予算というものがまさに景気に配慮しながら、地方単独事業でも一一・五%というような伸びを示すとか、あるいは公共事業全体につきましても相当大きく伸ばしておるということがございますし、また財投等も相当高い伸びを示しながらこれを認めておるという状況でございまして、私どもは、この三次にわたる公定歩合の引き下げ、これも相当貸出金利等については低いレベルに決るということでございます。ですから、ある程度調整、いわゆるストック調整といいますか、こういったものが循環をしてくればいわゆる設備投資にも拍車がかかってくるということの可能性とうのは私ども見詰めておるわけでありますし、また住宅等につきましても、ここのところずうっと下がりぎみだったものが年間百三十八万戸ぐらい大丈夫であろうというところまで実は回復してきておるというようなものを見詰めたときに、私どもは今申し上げたような対応というものが機能しできますれば、何というんですか、当初見込んだものを何とか達成することができるんではなかろうかというふうに考えておるところであります。
#59
○池田治君 ぜひそのように実現することを私も願っております。
 次に移ります。
 所得税減税と直間比率の問題でございますが、景気対策としての所得税減税というお話がきのう和田議員の方からいろいろ質問ございましたし、政府の答弁もございましたのでこれは省略いたしまして、直間比率の問題に移ります。
 直間比率は、三年前の税制改革後も改善するどころかかえって直接税比率が高まっているというように見ております。直間比率は平成元年と四年とでは大体同じで、政府が一連の税制改革として行った利子課税改正の前である昭和六十一年と比較すると一%直接税が高まっているのが現在だと認識しております。これに対して政府は、税制改革があったからまだこの程度にとどまっているので、税制改革を行わなければもっと差が広がったと思うということも言っておられるようでございますが、税制改革を行ったにもかかわらず改善しないというのはこれもう事実でありますし、政府の予想に反する結果となっていることも事実だと思っております。
 このような政府の公約違反のような状態になっているわけでございますが、これを解消するためには直接税を減税するか、間接税の増税を図るか、また直接税と間接税の組み合わせで増減税をするか、この三つの方法しかないと思っております。そのうち間接税の増税については、消費税の値上げは絶対行わないと宮澤総理もおっしゃっておりますし、大蔵大臣もおっしゃっております。これはちょっとできない。そうすると、たばこ税や酒税の増税がありますが、これとて税収面からいったら大した改善の余地にはつながらない。三の一と二の組み合わせということになりますと、その中には間接税の増税というのが含まれておりますのでこれもなかなかできない。
 残るのはやっぱり直接税の減税、それのうちでも一般大衆の消費喚起効果の大きく期待できる所得税減税しかないと考えております。一般大衆の所得税を減税していきますれば、懐ぐあいはサラリーマンもよくなっていろいろ消費にも弾みがつくということで経済も活性化する。これしか内需喚起の方法はないように思っておりますが、直間比率の問題と内需喚起の問題と、この二つの点についてどうお考えになっているのかお知らせ願います。
#60
○国務大臣(羽田孜君) 今、委員の方から御指摘ございましたように、確かに数字の上におきましては直接税のウエートが高くなっておるというのはこれ事実であろうと思っております。これは先般の税制改革におきまして、利子課税の見直しですとかあるいは有価証券譲渡益の見直し等によりまして資産所得税収の高い伸びが直接税のウエートを高めておるということであります。
 実際、資産所得に係る所得税の国税収入に占める割合は昭和六十一年の八・九%が一四・六%まで大幅に上昇してしまっておるということです。それから、平成四年度の直接税には四年度から収納が始まります地価税収というものが含まれておるということであります。また、四年度改正におきましては、直接税につきまして法人特別税が創設される一方では、間接税については石油臨時特別税が廃止されるということがありましたし、普通乗用自動車に係る消費税の特例税率、これ四・五%でございますけれども、現行の経過措置六%より低くなっておるということがございます。こういった措置によって低くなっておるというようなことによるものでありまして、またこの間の個人、法人所得の増加等を勘案いたしますと、もし仮に大幅な所得課税の減税を含む先般の税制改革が行われなかった場合には、もう今お話がありましたようにさらに大幅に高まっておったろうということが言えるんじゃないかと思っております。
 なお、所得税につきましては、先般の抜本改革によりまして中低所得者層を中心とした重税感というものは私はなくなっておると思いますし、負担累増感が大幅に緩和されたこと、あるいは法人税につきましては、先般の抜本改革におきまして基本税率を四二%から三七・五%に引き下げたことなどに加えまして、臨時の措置として法人特別税の負担をお願いしているという現下の厳しい税収事情というものを考えましたときに、所得税の減税あるいは法人税の減税等を実施するのは困難であろうというふうに考えております。
 しかし、今後とも、租税はやっぱり国民が社会共通の費用を広く公平に分かち合う。ものであるという基本的な認識のもとに、税負担の公平を確保いたしまして、税制の経済に対する中立性というものを保持しながら税制の簡素化を図ることを基本として考えていく必要があろうというふうに思っております。
 今、先生からお示しをいただいたことも一つのいろんな考え方の示唆であろうというふうに承りました。
#61
○池田治君 よくお考えをお願いします。
 きょうは私鉄がストをやっておりまして、私らも来るときに大変不便をいたしましたが、なぜ組合がことしは元気を出すかといいますと、やっぱり内需拡大のためには組合員一人一人の懐も暖かくならなくちゃいけないというそれぞれの認識があるようでありまして、昨年度は連合傘下の組合は平均して五・六%の春闘の値上げをから取っております。しかし、物価上昇とか、賃金が上昇すればするほど所得税も高くなるわけでございまして、この税率の負担からいきますと実質アップ率は一・二%、こういっております。だから、ストライキをやって賃上げしても結局物価高と税金払うためにストライキをやっている、こういう形になってしまうと私は思っております。
 ですから、大蔵大臣も頭が痛いことだと思いますが、この大衆の給与所得に対する減税ということは厳重に考えていただきたい、こう思っておりますが、これについて何か言えますか、大臣。
#62
○国務大臣(羽田孜君) 給与所得についての減税、これも昨日から御議論のあったところでございますけれども、御案内のとおり、税収がなかなか厳しいという状況にありまして、私どもといたしましても、自動車に対します消費税の問題あるいは法人の特別税の問題等、これもう必要最小限であるということで、どうしても必要なものであるということでこれをお願いをいたしておるという現状でございます。確かに所得減税というものが景気に対してもプラスになるであろうということでありましょうけれども、しかし現実の状況の中ではこれは難しい。そのかわり私たちは、先ほど申し上げましたもろもろの措置をとりながら景気に対して配慮をしていこうという対応をいたしておるということをぜひとも御理解をいただきたいと思っております。
#63
○池田治君 それでは、次に移ります。――税務行政手続における法整備の必要性ということにつきまして総務庁にお願いしたいんですが、おいでになっておりますか。
 臨時行政改革推進審議会の公正・透明な行政手続き部会においては、昨年七月二十六日、行政手続法要綱案で租税の賦課徴収に関する手続を適用除外事項とされました。
 この行政手続の意味は、行政庁が行政処分その他の公権力を行使するに当たって、正当な国民の権利や利益を侵害しないために事前に守らねばならない手続であります一税務行政についても当然、公権力の行使ということが裏づけられているわけでございますので、行政手続法を有している諸国においては、税務行政についても手続法を適用するか、または税務行政にふさわしい行政手続規定を置くことによって整備が図られていると理解しております。
 行政手続法における税務行政への適用の可否について、総務庁はどういう御見解がお示し願いたい。
#64
○説明員(関有一君) お答え申し上げます。
 今、先生から御指摘ありましたように、行革審の行政手続き部会報告及び行革審答申に盛られました手続法要綱案の中では、租税の賦課徴収に関する処分の手続が適用除外ということになっておるわけでございます。部会での御議論では、租税の賦課徴収につきましては、処分の大量性というようなことも勘案いたしまして、異議申し立て等の事後救済手続等が整備されているという認識でございました。そういうこともございまして、租税行政の分野における一般法であります国税通則法、そちらの方で一通りの手続の体系というものが形成されているのではないかという御理解でございました。
 したがいまして、この分野につきましては行政手続法を直接適用するということはせずに、必要があれば国税通則法の方で適宜措置してもらうことが必要である、適当であると判断されたわけでございます。
 政府といたしましては、昨年末、行政改革の閣議決定の中で、この行政手続法につきまして、答申の行政手続法要綱案に沿って手続法及び関連する規定の整備の立案作業を進め、早期に法律案の提出を図るということになっておるわけでございまして、私どもといたしましては、答申の線に沿いまして今鋭意作業を進めておるということでございます。
#65
○池田治君 答申の線に沿って鋭意進めておるということは、行政手続法の中に税務行政の問題は除外すると言われたわけでしょう。そうしたら、鋭意進めるも何もないじゃないですか。税務行政については我々は関知しませんということじゃございませんか。
#66
○説明員(関有一君) 税務行政、賦課徴収の手続につきまして、中にはさまざまな処分がございまして、その中で一般的には適用除外とすることが適当ではないかというふうに考えられたわけでございますが、やや細かくなりますけれども、例えば酒税法の中に酒税の製造販売免許に関する処分というふうなものがございますが、それは通常の事業免許、事業許可と変わらないので、それらについては行政手続法を適用すべきではないかというふうな議論もございまして、そのあたりにつきましてはさらに検討が必要だというふうに思っておるところでございます。
#67
○池田治君 税務行政手続法の必要性が叫ばれて久しくなっておりますが、統一的な行政手続法がないことと相まって、行政サイドに偏った税務行政が行われてきたと今まで言われております。税務行政庁と納税者とが信頼関係を維持して、納税者の権利や利益を擁護しようとするならば、税務行政についても適正手続を確立しなければならないと思っております。そのためには、税務行政手続法を制定するか、国税通則法に税務行政手続に関する具体的な規定を置くか、どちらかにすべきだと私は思っております。
 ただいま総務庁は行政手続法は無理だから国税通則法でやってもらえというような御回答のようでございますが、大蔵当局はこの点いかがお考えでしょうか。
#68
○政府委員(濱本英輔君) 国の行政手続万般にわたります。そのあり方を規制しますための行政手続法の議論というのは大事な議論であると思っておりますし、税務行政も国の行政の一端を担うものでございますから、広い意味におきましてはこの行政手続の傘の下で税務行政いかにあるべきかということが考えられるべき、そういう位置づけを与えられるものだとは思っております。
 ただ、これは税務行政に限らないわけでございますけれども、そういう一般的な規制になじみにくいものについては、そういった議論を通過しました上ででございますけれども、特別な規定にゆだねるということが許されてよい、それがただいま総務庁の方からの御説明にもあったとおりでございますけれども、今回の論議の到達点であったと理解いたします。
 そこででございますが、例えば行政手続の中で今もお話に出ました処分あるいは行政指導、その他の対応、こう分けてみますのに、それぞれにつきまして税務行政として他の行政手続と併記して論ぜられることが適当でないものは一応除外するということになるわけでございますが、それらはそれでは放置されるのかということになりますと、そうではございませんで、既に税法の中におきましてそういった手続に関しましてはかなり細かい規定が設けられているわけでございます。
 一、二の例を申し上げてみますと、納税者から例えば当局に対して申請をするという場合の申請に係りますいろいろな問題で納税者の権利がどのように守られておるかということで申し上げてみますと、申請の処理期間というのがございますが、申請の処理期間に関しまして、納税者が例えば更生の請求をしました場合に、三カ月を経過しましてなお税務当局から納税者に対しまして何らの処分がなされていない。そういうような場合におきまして、後日還付金が生じますときには、三カ月経過後はそこから還付加算金がつく。非常に細かい規定のようにごらんになるかとは存じますけれども、一つ一つそういった形で吟味されておりますし、また逆に今度当局から納税者側に対して働きかけていきます場合、例えば督促をしますとかあるいは通知に関しまして、納税者にとりましていろいろな不利益を及ぼすような通知もあり得るわけでございますけれども、そういった場合の理由付記という問題がございまして、青色申告者に対する更生につきましては理由をきちんと付記しなければならないということが法律上も明記されております。
 そういうふうな既に受け皿がございますわけですが、結局今の池田先生のお話を伺っておりまして、それを体系的に税務の世界でどのように整理されるのか、することが適当と考えているのかということについて申し上げならなきゃならないかと存じますが、そういったいろいろな税務全体を通じます手続のルールとして、共通的な側面を持っているルールと、個々の税法ごとに固有のといいますか、手続とがあろうと思います。その共通しておりますようなものにつきましては、従来通則法の中に明定をするという取り込み方をしておりまして、個々の税法にゆだねられますものは所得税法なり何々法なり、個々の税法にゆだねるという整理がされております。
 そういう整理の仕方自体につきましても、今回の行政手続に関します行政、先ほど総務庁からございましたような論議でいろいろな議論があったようでございますけれども、こうした今のような体系的な受けとめ方につきましては一応お認めをいただけたものと私どもは受けとめております。
#69
○池田治君 それは私も行政手続法の中にどうしても含めなきゃいけないという意味ではないわけでございまして、通則法というのは御答弁ありましたように税務手続における通則、いわゆる共通の規則を定めたものでございまして、これも皆実体法ではございません、全部手続法です。手続法である以上は、これがあるということは認識しているわけです。なぜ問題になるかといいますと、通達であなたたちが税務行政をやったり、通達のない口頭の通達でやったりされるから問題が起きるんだろうと思っております。
 そこで、東京税理士会では次のような具体的な規定を設けることを提案しております。すなわち、「調査の事前通知。調査の日時・場所及びその制限。調査の対象及び調査理由の開示。第三者に対する調査の制限。調査に関する教示。不必要な調査に対する制限。調査官に対する忌避の申立て。特定職業人の守秘義務の尊重。帳簿書類その他の物件の領置。調査における納税者及び第三者のプライバシーの保護。更生又は決定案の提示。調査結果に関する告知及び処分に関する聴聞。記録の閲覧及び謄写。」などが規定されるべきであるということで税理士会は言っております。税理士会は大体税金を納付する側の要求ばかり考えているところでございますので、国税庁とは全く利害の対立するところと思いますので、このとおり受けるかどうかは私もまだわかりませんけれども、この一つ一つについてまずお尋ねしますが、「調査の事前通知」というのはこれはできるんでしょうか。
#70
○政府委員(坂本導聰君) 一般的には、事前通知をすることが原則となっております、執行上。ただ、事前通知をするとかえって問題がある、例えば調査忌避があるとかあるいは妨害があるとか、あるいは実際の現況を調査しないと帳簿ではなかなか判断できないというときに、あらかじめ事前通知をしてしまうとその現況が乱されてしまうというような場合には、事前通知をしないという扱いになっております。
#71
○池田治君 「調査の日時・場所及びその制限」、これも事前に調査すると、納税回避行為といいますか捜査妨害といいますか、そういうこともあり得ることでございますか、それで明記できないんですか。
#72
○政府委員(濱本英輔君) 個々の具体的なお話につきましては国税庁の当局の方からお聞きいただいた方がいいかと存じますけれども、今の先生のお尋ねをいただきまして私どもの方からも申し上げておきたいと存じますのは、今、東京税理士会等が指摘になっておりますようなお話は、私どもも承知をいたしておりますけれども、結局、納税者の方々の業種業態あるいは取引の形態、それから帳簿等がどのように整備されているかどうか、納税者に関する資料もいろいろな種類のものがございますけれども、その多寡など質問検査の対象とすべき納税者の態様というのは実にさまざまであるということは御推察いただくにかたくないと存じます。
 そういったものをお考えいただきました場合に、法律上一律に例えば調査の事前通知を必ずすべく規定をする、あるいは実施細目を細々と法律で規定するということがいいかどうか。いいかどうかといいますのは、法律の目的を達成いたします上でそれが望ましいことかどうかということをお考えいただかなきゃならないと存じます。税務職員の合理的な判断にゆだねた方が適当であるという場合もいろいろあり得るということは御推察いただけると存じますけれども、現在の実態にかんがみまして、私どもといたしましては後者の考え方で臨んでおるということでございます。
 結局、税務と申しますものも国民に対する広い意味でのサービスでございまして、それが最も的確に行われるためにいかにあるべきかということを考えるわけでございますけれども、我が国の今の実情からいたしまして今のような判断に到達しているということでございます。
#73
○池田治君 それから、次は「調査の対象及び調査理由の開示」、「第三者に対する調査の制限」、この項目はいかがでしょうか。
#74
○政府委員(坂本導聰君) 法律上制定するかどうかは、これは主税局の問題でございますが、現在の取り扱いでございますけれども、例えば第三者、これは恐らく反面調査を御指摘だと思うのでございますが、例えば取引を行う場合に、一方にとって有利なことは一方にとって不利になる、つまり売り上げを過大にすればそれを仕入れた方は逆の結果になるというようなことから、実際に正確なところを知るためにはどうしても取引先を調べなきゃならない。あるいは金融機関等に架空の預金をしたりしている実例がある。したがって、税務の適正な執行を図るという面からは、例えばこの反面調査等も実施せざるを得ないというふうに考えております。
#75
○池田治君 反面調査という意味ではないですよ、調査理由の開示とか調査の対象の明示ということで聞いているんですよ。
#76
○政府委員(坂本導聰君) 調査理由でございますが、これは例えば長い間調査をしていないというようなことは申し上げますけれども、実際にどういう中身が出てくるかは調査をしてみなければわかりませんので、あらかじめこれこれの非違があるから調査をするということを事前に御説明するということは困難であろうかと思っております。
#77
○池田治君 ただ、裁判官が発行する令状には調査の対象、日時、場所というのを明記しなければ令状を発行してはいけないと、こうなっておるんですが、税務当局ではそういうことは全然考慮しないという意味ですか。
#78
○政府委員(坂本導聰君) 私が申し上げましたのは、一般の任意調査でございますので、納税者の任意の同意に基づいて行う調査ということでございます。
#79
○池田治君 そういうことを通則法に書くわけにはいかないんでしょうか。
#80
○政府委員(濱本英輔君) 今のお尋ねにつきましては、先ほど私が若干先走って申し上げてしまったこととお答えが重複してしまいますのでその重複は避けたいと存じますけれども、例えば諸外国の例をとりましていろいろ調べてみますと、中にはそういった実施細目の一部について、これを法律そのものあるいは法律に準ずるような形で明定できないか、そういう議論をしておる事績があるようでございますけれども、その人たちと話をしてみまして思いますことは、課税方式、税務調査の方法、あるいは立証責任の所在、あるいは不服申し立て制度の違いといったようなもの、そういったもの全体としてこれは考えなきゃならない。つまり調査手続の一部のみを取り上げて単純にいろいろ論ずることができない問題だなという気がするわけでございます。
 例えばアメリカで申し上げますと、今の先生のお話にもちょっと関係するのでございますが、アメリカの質問検査というのはどういう背景で行われているかといいますと、一つは犯則調査のために行うことができるものであること、つまり調査目的が犯則調査に及ぶということでございますし、それから、帳簿書類の提出とかまたは証言を求めます場合に、サモンズと向こうで言っておりますけれども、行政召還状というものを発しまして、それに応じない場合には罰則を適用するというような厳しい制度がございます。それから、そもそも挙証責任といいますか立証責任が基本的に納税者側にあるという場合が各国の場合名うございます。
 そういったベーシックな要素というものがどういうことになっているかによるところ大だと思うわけでございまして、日本の現状からいたしますと、先ほど申し上げましたように、一々この細目を法律で明定するということはなじまないという感じがいたします。
#81
○池田治君 全部が全部はなじまない点があると思いますけれども、なじむものもあると思いますので、今後検討していただいて、できれば行政手続法の一分野として、もしくは通則法の内部に、通則法はもともと手続法ですから手続のことを規定するのはこれはやぶさかではないと思うんです。だから、できるものだけでも通則法に少し入れないと、日本の法律は若干成文化がおくれて行政庁の裁量の範囲が多くなっている、こういうことはいろいろな学者も言われておるわけですから、この点も国税庁も十分お考えになっていただきたい、こう思っております。
 この問題ばっかりやると時間ありませんので、次に移ります。
 今回、相続税法で八〇%とされた路線価の土地の評価方法は、国税庁の内部のこれまた通達において定められているということが現状であります。通達では、負担付贈与を利用した節税策に対する対応策なども講じられており、この点では評価できる点もあるわけでございますけれども、いずれにしても相続税の国の評価が国税庁の通達で決まってしまうというのでは租税法律主義に反するのではないかと思いますが、これは御意見、いかがでございますか。
#82
○政府委員(濱本英輔君) 先ほどの近藤先生のお話にもあった点でございますが、相続税法の二十二条に、相続によって取得した財産の価額はその取得のときの時価によるということが法定されておりまして、ただその時価の算定方法をどのような形で我々が持つかということになりました場合に、相続財産というのはあれだけいろいろな種類のものがございますし、その財産が置かれている状況によって値打ちが違ってくるという複雑な事情がございまして、これを法律で断じ切れないということからこれを通達にゆだねているわけでございます。
 そこで申し上げておきたいのは、通達というのはあくまでも上級の行政庁が例えば今の法令の解釈などにつきまして下級の行政庁に対して行います命令あるいは指令でございまして、それは直接国民を拘束するものではないということでございます。したがって、裁判に当たりましても裁判所は通達に拘束されるわけではないということでございます。したがいまして、私どもとしては通達が適正なものとしてお示しをするわけでございますから、それを期待するということではもちろんないのでございますけれども、納税者側から見てこの通達はおかしいということになれば、つまり通達が適正を欠くと認められますときには不服の申し立てなり訴訟によってその是正を求めていただく、その道は開かれておるわけでございます。
 つまり、時価という概念をどのようにして適用していくかというときに、それを法律で細々規定するとかえって不公平が起こったり不合理が起こったりする、それを避けたい。それじゃ何もなくていいかと。そういうわけにもいかない。そこで通達という手段を利用するということが納税者にとっても納税当局にとっても好都合ではないかという、大まかに申しましてそういう判断でやっていることでございましょうから、その通達が適当でないということであれば、今申し上げましたようなことでこれを是正していただくということでよろしいと存じます。
 そういう意味におきまして、これは租税法定主義に反するものであるとかいうことではなくて、むしろ租税法定主義のもとでその法律を適正に執行していくためにそれを助けているものというふうに受け取っていただけないかと存じます。
#83
○委員長(竹山裕君) 時間でございます。
#84
○池田治君 租税法律主義を補完するものであるという意味ではわかりますが、やはりこれもできれば通達という行政はやめて法律にできるものはしていただきたい。その方が、裁判をやるにも不服申し立てという前段階が省略されますので簡単でございます。国民の権利を擁護するためにはそういう形をとるべきだと私は思っておりますので、御検討をお願いします。
 その他、いろいろ質問事項まだ残っておりましたが、時間が参りましたのでこれで終わります。
#85
○三治重信君 私は、課税の、殊に所得、資産、消費という大枠でのやつがだんだん精緻になってきているので、非常に公平さ、公正さが保たれるようになってきていることは認めますけれども、しかし、社会の実態が大きく変わってくると、そこに、いわゆるそれに適応したただ大きな原則だけで公正はされないと思っておるわけなんです。
 そのうちの一つの大きな問題が、五十八年から政府税調から政府に対して問題視されておりますいわゆる赤字法人の課税。これは租税の原則からいけば、赤字法人の課税なんというのは自己矛盾のことになるんじゃないかと思うんですが、しかし実際、法人の中で五〇%ある。これは単に中小企業ばかりではなくて大企業まで、財閥的な大企業までたくさん赤字法人で悠々としているということになると、これは租税理論だけでなくて、社会的な公正さからいくというとメスを加えにゃいかぬじゃないか、それだから政府税調がそういうことを言っているんだろうと思うんです。
 それで、今度、租税特別措置法でいわゆる欠損金の還付停止ということが一つ入ってきたわけなんですが、私は、これは法人の欠損金の還付制度そのものもちょっと再検討してもらわぬと、なぜ法人だけ赤字の欠損するとそれが明くる年税金を返さにゃならぬかという問題もある。やはり税金というのはもうかっているところから出すんで、損したときに返すなんというのはそれは本当かなと思うわけなんです。
 そういうことからいって、やはり赤字法人もこれと同じような性格ではないかと思うんですが、この研究五十八年からやっていて、その研究の結果、一つはこれは国税もあれば地方税もある。そういう意味において、国税、国のやっと地方税と本当に連携されて研究されているのか、それぞれの立場からひとつ五十八年以来の税調に対する態度というんですか研究成果というものをごくかいつまんでお話し願いたい。
#86
○政府委員(濱本英輔君) 五十八年以降の税制調査会においてどのような議論があったのかかいつまんで述べよということでございますけれども、三治先生が今既にお触れいただいたようなところも多々ございますが、幾つか整理できるように思います。
 一つは、赤字法人課税を何か法人税の世界で処理できないかという議論でございますけれども、これにつきましては、やはり所得のないところに所得課税はなしという所得課税の基本的な枠組みからしまして、どうしても超えにくいというのがこれまでの結論でございます。
 それから、二番目にございますのは、公共サービスを受けるわけでございますから、応益的な省担があって当然であると。その場合には、赤字法人に何らかの外形的な標準を見出して、その外形的標準による負担を求めてはどうかという考え方でございます。この議論につきましても、今お話しございましたように、地方税の中に住民税均等割とかあるいは固定資産税というものがございまして、赤字法人もこれを払っておりますので、これとの関連をどう考えるのかということでございます。
 地方税の議論、自治省の所管でございますけれども、これを国税の議論と一緒にちゃんとやっておるのかというお尋ねがございましたけれども、税制調査会の場は自治省、大蔵省ともに参加させていただきまして議論をさせていただいておりまして、その結果このような論議になっておるわけでございます。
 それからもう一つは、赤字法人の中には実際は黒字であるにかかわらず意図的に赤字申告をしているというものがあるのではないかということ布ございますけれども、これはいわば税務調査の充実によりまして執行面で解決していく問題じゃないかという気がいたしまして、そのように整理されております。
 さらに、最近になりまして、そういったなかなかいい解決策がそれらの中から見出せないということもございまして、赤字法人の諸般の経費支出の状況を見ていく。いろんな種類の経費支出がございますけれども、そういったものの扱い、つまりそれを丸々損金算入にしているけれども、その点について見直しを行って所得課税の枠内で解決することができないだろうか、もう一度この所得課税の論議に戻って考えてみることはできないかという問題提起、意見も一部ございました。
 これまで税制調査会で出てまいりました議論を整理してみますと、以上のようなことになろうかと存じます。
#87
○三治重信君 そういうことで今研究途中、こういうことですね。
 それで、一つ意見を述べるんですが、僕は、消費税を褒めるわけじゃないんですが、消費税をやる場合に主婦関係から見て非常に大衆課税で困るということだったけれども、僕なんか、赤字法人なんか多くなったから、やはりこういうふうな重要な社会的機能を果たしている法人で、赤字というと一銭も払わぬでもいいというのがある。しかしそれは社会活動ずっとやっているんだから、そういうものが購買するものに、やはり間接税しか手はないんじゃないかということが、一つ僕は消費税なんかについて非常に積極的な賛成というんですか、民社党については、直接税を減らして消費税をやるということについて、そのバランスをとってくれればある程度消費税についてはやはりやらざるを得ないじゃないかということで妥協し、直接税、個人所得税の大幅減税ということでそれをやるなら消費税もやむを得ぬではないかということをやったものだから、えらい選挙で大敗をしたんですけれども。
 やはり社会的な公正を期す意味において、理論を言うと所得、資産、消費になって、均衡ある課税をせいと、こう言うけれども、実際に見てみるというと、現行税制は所得ばかりに課税の重点が合っちゃっていて、原理を言うときの公正さということから見るとやはりこの消費、資産に対する課税が所得に対して不足しているんじゃないかという一般原則、これは当然認めて、この赤字法人課税についても議論をしていく。
 赤字法人課税で、一つはやはり消費税をやったことによって、赤字法人でもそれから宗教法人でもいわゆる非課税の人たちが社会的に機能していく上において消費の面で相当な負担をすべきだと思うんです。それが公正じゃないかということで、僕は消費税の積極的な価値というものはそこにあると思っているんです。しかし、消費税だけでこの赤字法人の公正さが解消されたとは、また五〇%もあるということを聞くとそういうふうにいかぬ。さらに何か一つやる。それじゃ、消費税上げればいいじゃないかという問題になってくる。その三つの課税の方法からいくと、やはり原理原則からいけば消費税を上げた方が一番いい。
 ところが、消費税を上げる問題になってくると、今度は消費税の中で特に社会的ないわゆる犠牲が少ないもの、例えばぜいたく品とかそれから衛生上余りよくないような酒とかたばこにもかけるとか、若干社会的な消費の価値から課税も考えるというようなことになるかと思うんですが、そういう一般原則ばかりやっていると結論が出ないから言いますが、やはり私は法人の欠損金の還付の停止だけでは赤字法人の課税の具体的なやっとしてはいかぬ。むしろ、欠損金の還付停止というのは、一般の法人課税の原則からいってなぜ欠損に対して課税をするかという議論、おかしいんじゃないかということについて、赤字法人だから還付をするということがどういうふうな関係で出てくるのか。そういうぐあいにすれば、一般の法人全体でこういうふうな還付の廃止というものが検討されるのが当然じゃないかと思うんですが、その点御意見いかがでしょうか。
#88
○政府委員(濱本英輔君) 法人企業はランニングコンサーンで、法人の収益というのは時間の長さの中でつくられていくものではございますから、年々の収益の状況というもの、それからそれに対する課税上の対応というものをどう考えていくかというのは、いろんな議論はあり得ると思います。諸外国におきましても、ある年に大変な収益が上がりたくさん税を納めてもらった場合に、次の年にその企業が赤字になりました場合に前払った税金を戻す、そして次につなげていくという制度はかなり広くとられておるわけでございます。
 ちょっと余談になって恐縮でございますけれども、今回のような状況のもとでもそういうことが行われておったわけでございますけれども、しかし、その場合に考え方が二つございまして、過去に法人税をたくさん納めておる企業が、あるとき赤字になって過去納めたものを戻してもらうという手と、もう一つは、今は赤字でございますけれども、将来に向けて、黒字が出たときにその黒字で払う法人税をそれだけ少なくしていくという方法と二つございまして、繰り越しの制度というのがございます。この二つが今まで日本にもございました。今回、その戻しの方は停止する、しかし繰り越しの方はそのまま続けていくという形にさせていただいているということをちょっと申し上げておきたいと存じます。
 それからもう一つは、赤字法人についてのみそういうものを適用するのはおかしいではないかというお話に伺ったんでございますけれども、たまたま、この今の制度の仕組みというのは、一たん払った法人税をどうするか、あるいはこれから払う法人税をどうするかということを考える仕組みになっておりますものですから、今赤字であるということが制度の前提になるわけでございますけれども、それはすべての企業について均等な機会として提供されているわけでございますので、赤字になったり黒字になったりする企業が同じようにそれを利用するということに当然なるわけでございます。
#89
○三治重信君 それだから、結局赤字法人について暫定的にこういう対応をとるということではどうも赤字法人課税としては、ちょっと余り悪いからこれぐらいかと、こういうことかと思うんですが、これだけではどうも解決をしない問題だと思うんです。
 自治省の方はこういうような赤字法人課税の問題はどういうふうになっていますか。
#90
○説明員(香山充弘君) 赤字法人課税に関連する問題といたしまして、地方税法上の課題といたしましては、法人事業税に外形標準を導入するという問題がございます。これは法人事業税というのが、行政からの応益に対応する負担を求めるという性格を持つ税であるということが第一点と、もう一つは地方税収入を安定的に確保する、こういう二つの要請を満たす。そういった意味で必ずしも赤字法人対策だけということでございませんけれども、こういった観点から外形標準課税を導入すべきかどうかという問題がございます。これは地方団体にとりましても大きな悲願でございます。現在、既に地方税法上では、電気、ガス、生命保険、損害保険につきましては収入金という形で外形標準を用いて課税をいたしておりますが、大半は所得を課税標準にいたしております。
 自治省でも、これは税制調査会を煩わしつつ、あるいは自治省の中でも学識経験者によります研究会を設置いたしましてこの問題に今取り組んでおるところでございまして、私どもとしても望ましい姿としては外形標準課税への移行を行いたいというふうに考えておる次第でございます。そういう形で解決いたしますと、欠損法人に対してもある程度の課税がなされるということになってくるわけであります。
 ただし、この問題につきましては、どのような基準を用いればうまくいくのか、あるいは業種ごとにどのように税負担が変動していくのか、一方で納税される法人の方の事務負担がどうなっていくのか、そういった幅広い問題を検討していく必要がありますので、今後とも慎重に検討を進めていきたいと考えておるところでございます。
#91
○三治重信君 自治省の方が迫った課税として、いわゆる法人事業税でそれが進んでいると。この事業税が前から叫ばれて、地方の自治体からも要望されている。自治省でも、おたくの方でどうしても踏み切れない一番の問題というのはどこなんですか。要望は非常にされているわけでしょう、現実に。
#92
○説明員(香山充弘君) 率直に申し上げまして、欠損法人に対してストレートに課税をするということに対しましては強い抵抗があるということを御理解いただけると思いますが、そのほかに国税、地方税を通じまして他の税目との関係、それから場合によっては、外形課税を導入することによりまして納税をされる法人に大変大きな事務負担が生ずる。これがいろんな方面に御納得をいただけるような形の外形標準として具体的にどんなものがいいかということに全部収れんしてくるわけでありますが、そういった問題を幅広く検討する必要があるということで、税制調査会等でもたびたび話題になっておりますけれども、なかなか具体化に一挙に踏み切るようにはまいっておらない、そういう状況にございますので、御理解賜りたいと存じます。
#93
○三治重信君 大臣 赤字法人課税で、とりあえず国税よりか先に地方税の方で、前から問題になっている法人外形課税、これは黒字法人も一緒なんですよね。だから、そういうことになってくると、税の公平課税からいってもいいし、それからやはり実際の外形課税なり所得以外で課税をしていくとなると、ここはやはり地方税の主義主張である応益負担というのと、それから地方自治体が基礎的な行政をやる上において税源が安定的な収益が得られる。景気の変動によってえらい収入が変わると財政運営が非常に難しい。これは、地方の個々の小さい主体になってくると、当然そういう配慮が課税上問題になろうと思うんです。
 そういう意味において、赤字法人課税の第一の突破口はやはり法人の外形課税だと思うんですが、大蔵大臣としては自治省との関係で税金全般として非常に賛成されるのか。ぜひ、まず自治省の方からこういう赤字法人対策をやってほしいというふうなことが表明できるのかどうか。
#94
○国務大臣(羽田孜君) まさに今度とった措置というのは、二年間というこれは臨時の措置であるということでございまして、私ども、今先生から御議論をいただきましたこと、あるいは自治省からお答えありましたこと等も踏まえながらこれは税調の方でもうしばらく議論をしていただきたいというふうに思っております。
#95
○三治重信君 さらに研究するとおっしゃるからしょうがないんですが、次に、租税特別措置の減収額が、これ予算委員会に提出された大蔵省の資料だと二兆一千八百三十億円。膨大な金額になっておるわけなんですが、こういうのをおいて税金が足らぬから特別法人税を取るとか、やめるといった自動車の消費税を温存するとかいうことについて、大蔵省の態度がなまぬるいということで、我々はそういうことでそういう増税は反対、こういうことであるわけなんです。
 したがって、これくらいの特別法人税や自動車の課税ぐらいの金額だったらば、それは特別措置をなくすれば、それはその業界なりいわゆる経済政策なりというものに非常に支障を来すけれども、それは税金を増税するとの比較均衡の問題にもなると思うんです。租税特別措置というのは、租税の一般的な負担原理からいくというとやはり特別措置が一般の増税よりか先に検討されて、租税特別措置をもっと減らす。これは、租税特別措置に載っているやつは個々の具体的な計画やら、もっともな理屈、もっともなことばっかしですよね、全部理由は。
 しかし、その中で増税がいいのか、こちらの方を認めないのかという価値判断が、やはりこれは政治家がやることなんですけれども、これは税務当局としてもその価値判断の資料を十分整えておく必要があると思うんです。だから、これについて、増税をしなくちゃならぬという前に、租税特別措置というものを計画的にもっと、渋くやっている、やっているというけれども、具体的に増税をしなくちゃならぬというぐらい考えるんだったら、特別措置をもっと削るべきじゃないかと思うんですが、御意見いかがでしょうか。
#96
○国務大臣(羽田孜君) 租税特別措置につきましては、特定の政策目的に資するための、まさに公平、中立、簡素といった税制の基本原則、これを犠牲にしているという面があるということは、もう御指摘のとおりだろうと思っております。したがって、個々の政策目的と税負担の公平性等の調和を図る見地から、常にそのあり方というものを吟味いたしておるところでございます。
 このような考え方に基づきまして、企業関係租税特別措置につきまして、特に昭和五十一年度以降、連年にわたりまして見直しを行ってきておりまして、平成四年度の税制改正におきましても、税収が非常に厳しいというようなことが我々にあったわけでございますから、各般の整理合理化、これを行ってきたところでございます。
 ただ、結果としてはそんなに大きな額でということにはならないのかもしれませんけれども、初年度約二百億円の増収というものを見込んだところでございまして、社会経済情勢の変化に即応しまして特定の政策目的に資するため講じられているという租税特別措置の性格上、あらかじめ機械的な計画をつくって削減するということにはなじみにくいんじゃないのかなと思っております。しかし、我々としても今御指摘のあった点等も踏まえまして、今後とも税負担の公平の確保の観点から、やっぱりきちんと適宜見直していく必要があろうというふうに考えております。
#97
○三治重信君 原理原則はそういうことだろうと思うんですが、そこで一つ具体的に、マル優制度というので全部非課税になっていたやつを、現在、老人課税だけに残された非課税制度というものがどういうふうな運用になっているか。
 私は、どうもそれほどでなかったと思うやつがどんどん非常にこの非課税金額がふえているような気がするんですが、これどういうふうに課税当局は見ておられるか。このマル優のやつ、老人課税といっていたやつがどんどんどんどんふえている。それはどこに原因、それだけ老人が、いわゆるそんなに貯蓄する能力がある人がどんどんふえているのかどうか。
#98
○政府委員(濱本英輔君) 老人等の非課税貯蓄の残高でございますけれども、平成元年の三月末五十二兆円、平成二年の三月末が五十四兆円、平成三年の三月末が五十六兆円、仰せのとおり年々増大をしております。結局、これは老人そのほか、老人だけでなくて障害者の方等その範囲は限られたものではございますけれども、その方々の貯蓄残高がふえてきているということをあらわに物語っていることだと思っております。
#99
○三治重信君 これだけどうもふえているというようなこと、この事実をおっしゃったわけですが、その判断とすれば、やはり老人の所得がそういうふうに非常にふえているというのか。まさか不正は余りないだろうと思うんですが、そういうことを言っていると、やはりこの中で僕は非課税にしないでもいい老人階層、いわゆる富裕階層が相当出てきているんじゃないかと思うんですが、こういうふうないわゆる老人の非課税というのは非常に、何というんですか、社会保障なりを受けている人が、自分の持っていた貯蓄についてその所得を十分に使えるようにする、課税するなということで非課税というのはいいことなんだけれども、六十五歳の老人でも、それを非課税にしなくてもいい所得階層が相当ふえてきているんじゃないかということについて検討をされているか。そういう人に対して、老人の非課税制度はいいんだけれども、そういう非課税をしなくてもいい階層がどんどんふえているについて、非課税をどうして外すかということを研究してもらいたいと思うわけなんですよね。
 そういう意味で言うと、私はこの非課税について今の手続、年齢だけの住民票とかなんとか、いろいろの証拠書類だけで銀行が全部非課税にするということじゃなくて、税務署がタッチしてそれ以外に非課税にする所得金額なんというものもある程度示して、それに適合するかしないかという方を先にやれば、税務署が証明書を出せば、一般的にそう窓口の手続は各金融機関の窓口がやるということになる。税務署の方でもそんなに大きな負担にならぬと思うんですが、どうですか。
#100
○政府委員(濱本英輔君) 今の御指摘いただきました問題、特に高齢化時代に老齢の方々に対して社会的にどのように処するかというときに、お年寄りの中にも相当の所得をお持ちの方とそうでない御老人がおられる。それを一つのものとして扱うことがいいのか、もう少しそこをよく考えてみる必要があるのではないかというのは非常に大事な問題として伺わせていただきました。これは大変難しい問題であるような気がいたしますけれども、よく念頭に置いて、今後いろいろな問題を考えますときに思い起こしてみたいと思います。
 さて、さしあたりまして老人マル優制度自体の運用について、そういった一定以上の所得レベルの御老人につきましてはこの制度の利用から外れていただくということができないであろうかという問題提起であろうと思いますけれども、所得のレベルというものが、これは年々変わるわけでございますけれども、その年々その御老人がいかなる所得レベルにあられるかということの証明をどのようにするか。今税務署とおっしゃいましたけれども、それではすべての老人に対して毎年きちんとした所得の通知といいますか確認といいますかがどのようにしてできるか、そしてそれをした上で金融機関の窓口はそれをどのように処理できるんだろうかという実際の実務上の問題というのは一つあろうと思います。
 それはそう簡単なことではないという気がいたしますのは、何と申しましても金融資産の受け払いされます窓口というのは物すごい数に上りますし、御老人の数もこれからふえてまいります。きのう米お話いろいろございましたけれども、税務実務の負担、納税者側の負担の問題、コストの問題もございます。
 そういう実務上の問題以外に、私どもが今すぐ思いつきますのは、貯蓄商品というものの中には預入期間が一年を超えるものがたくさんございます。もちろん一年未満のものもございますが、一年を超えるものもございます。二年、三年、もっとにまたがるものもございますが、その場合に、ある年においてその御老人の所得が非常に高いレベルのものであるとしましても、次の年にそうでない場合があり得るわけでございます。そういった問題をどう考えたらいいのかなという気がいたしまして、なかなか技術的にも今の御提案はすぐにイメージに結びつきがたいところがあるような気がいたします。
#101
○三治重信君 課税カードを出せばいいというような感じを持っているんだけれども、その出し方について、ぜひ簡便な方法というのを研究してもらいたい。
 それから、今までのは増収の関係なんですが、一つ僕は常々思っているんですが、法人の交際費課税、それから使途不明金の課税という問題で、これが余り税務当局の調査が厳しいと、もう非常にこれは税務署がうるさいからということで各簿記上二重帳簿や何かをつくる可能性も強いし、余り交際費課税というものは、法律で枠が決めてあるそうですが、枠が少し強過ぎやせぬかということ。
 それから、使途不明金なんかについて、ということは、結局帳簿に載らない、載せない金額だと思うんです。それを税務当局が見つけるというのはこれは大変なことだろうと思うんだが、そういうことについてイタチごっこになっておりはせぬかということについて、反省とかそういうことはないんだというふうに思われるか。やはり使途不明金というものを会社がつくるというのは、それ相当な理由があるんだろうと思うんですよね。しかも、それがあるということは、きちんと決められた商法上の帳簿がみんな二重帳簿にされているからそういうふうな使途不明金というものが出てくるのではないかと思うんですけれども、そういうことについて、そう言ってはなんだが、私は少し税務当局は厳し過ぎはせぬか、重箱の隅を掘るようなことはかり余りやらぬ方がいいんじゃないかと思うんですが、その点についてどうですか。
#102
○政府委員(根本貞夫君) ただいま御指摘のような懸念が考えられないわけではないわけでございますけれども、私ども国税当局といたしましては、常に真実の所得者に課税するということを目的としておりまして、使途不明金は課税上非常に問題があると考えているところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、従来から調査に当たりましては、使途不明金の使途の解明、すなわち真実の所得者の把握に特段の努力を払っているところでございます。
 しかしながら、今委員御指摘のような使途不明金が発生する要因というのは、そもそも税務以前の企業経営モラルの問題ではないかという点もございますし、我々も税務調査の中で、企業を説得いたしまして、あらゆる資料情報を収集するなど解明のために最大限の努力をしているところでございますけれども、なお企業がどうしてもその使途を明らかにしない場合には、税務調査がいわゆる任意調査を基本としていることなどから、限界があるのも事実でございまして、解明に至らなかった使途不明金につきましては、その経費性が確認できませんので、損金算入を認めず支出法人に対して法人税を課するという措置を行っているわけでございます。
#103
○三治重信君 交際費課税の枠が少し狭過ぎはせぬか。
#104
○政府委員(濱本英輔君) 交際費課税の枠が厳し過ぎないかという御指摘でございますけれども、もともと交際費というのは企業会計上の経費でございますから、これを法人が支出しました場合に通常であれば損金に算入するというのが企業課税の原則的な考え方であって、それを税務上どうとらえるかという税務固有の問題になるわけでございます。
 何でこのような交際費課税の制度ができたのかといいますと、結局、これは交際費のいわば乱費という状態が社会的な問題として批判を浴びることに。なりまして、昭和二十九年以降、その損金算入に制限を設けることになったわけでございまして、それ以後、この二十九年以降、何度にもわたりまして、この限度枠、この取り扱いにつきましては見直しか行われてまいりました。
 最終的に、現時点の直近の改正としましては、昭和五十七年でございましたか、資本金一千万円超五千万円以下の法人は年三百万円、資本金一千万円以下、より小さな法人でございます資本金一千万円以下の法人が年四百万円と、より大きな枠を与えられまして、資本金のもっと大きな企業の場合には一〇〇%損金不算入ということに今なっているわけでございます。
 この議論を思い起こしてみますと、一般の大きな企業の場合にはもう交際費の損金算入余裕というのはゼロでございますから枠も何もないわけでございますが、小さな企業の場合に三百万ないし四百万の枠が設定されている、その枠が厳し過ぎるのではないかという御指摘かと存じます。
 しかし、一方で、そのように交際費がふえますことに対する社会的批判というものを受けてでき上がった措置でございまして、そういった批判というものが現時点におきましてこれができました当時と変わってきたかと、あるいは五十七年以降、批判論議が変わってきたかということになりますと、私どもはそのように思えません。昨年あるいはその前の税制改正におきまして私どもいろいろこの問題を考えてみたことがございましたけれども、やはり今までの枠が社会的に容認をされている枠ではないかというふうな受けとめ方をいたしております。
 ただ、今後交際費のあり方というものがどうであるかということは、社会的な批判というものを背景にしてつくられている制度でございますから、そういったものの動き、受けとめ方というものをよく我々は見定めながら考えさせていただかなきゃならない問題だというふうには思っております。
#105
○三治重信君 今のそういう御説明なんですが、今の法人の交際費の枠は赤字法人にも同じように与えられているわけでしょう。それから、大法人は一〇〇%損金不算入というのは、これは商法上帳簿や何かにそういう費目が計上され、当然とされているにかかわらず、全然税務上は認めないというのは、法律上も考え方が、ある程度枠を締められるのはいいんだけれども、ゼロというのはどういう理屈になるんですか。
#106
○政府委員(濱本英輔君) 理屈といたしまして、交際費の支出というのは社会的に見まして課税に付すということが適当だという全体的な判断によるものでございまして、これは論理的に理屈を申し上げるというところを超えている措置のように思います。
#107
○委員長(竹山裕君) 三治君、時間でございます。
#108
○三治重信君 じゃ最後です。
 話は変わるんだが、僕は、名古屋の町の中で見ているんだけれども、青色申告会というのがあって、これの役職員になり手も余りないし、それから、いろいろ言われるけれども、税務当局として青色申告会というのが何のメリットも――会ですよ、青色申告制度じゃなくて、青色申告会というものが何のメリットもないじゃないか。しかも、いわゆる役員というのはその土地の顔役でいて何の指導力もないじゃないか、こんな感じを持つんです。僕はちょっと考えてみて、やはり税理士という制度がこれだけしっかりしてきているんだから、税理士会にこの青色申告会なんかを協力を頼んだらどうかと思うんですが、そういうことについて制度的にどういうふうに考えられるか。
#109
○政府委員(坂本導聰君) 私ども青色申告会から聞いておりますところでは、現在会員数が約百十万人おられるようでございます。青色申告会は、委員御指摘のように、青色申告者の記帳水準の向上を図ること等を目的として青色申告者である会員に対して記帳指導を行っていると承知しているわけでございます。
 御指摘の青色申告会が記帳指導能力を高めるため税理士会との協調を図っていくということは、私どもとしても大いに結構なことだと思っておりますし、そういう話があればいつでも応援させていただきたいと考えております。
#110
○委員長(竹山裕君) 以上で三案に対する質疑は終局いたしました。
 これより三案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#111
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表し、租税特別措置法一部改正案及び法人特別税法案について反対、相続税法一部改正案について賛成の討論を行います。
 まず、租税特別措置法一部改正案についてであります。
 反対理由の第一は、大企業向け優遇税制では、若干の改善はあるものの、廃止はわずか四件にとどまり、各種準備金、特別償却、税額控除、登録免許税等のほとんどがそのままか若干の見直しの上延長となっている上、輸入促進・外資導入円滑化税制の新設など、大企業優遇税制が新設され、不公平税制の拡大すら行われていることであります。
 第二に、その一方で、財源不足対策として、主として中小企業に負担を強制する赤字法人の繰り戻し還付制度の二年間適用停止措置をとっていること、また、我が党が最悪の大衆課税として廃止を強く主張している消費税で、普通乗用自動車に係る同税の割り増し税率により財源確保を図ろうとしていることは問題であります。
 法案の中の中小企業対策、小規模宅地等への相続税の減免措置、土地・住宅税制、福祉、農林水産業対策等の税制改正は、不十分さや問題点もありますが、一応賛成であります。
 なお、中小企業税制においては、青色、白色を問わずすべての業者に自家労賃を認めるよう、改めて政府に検討を要求します。
 以上、賛成できるものもあるものの、全体止しては大企業優遇税制の温存、拡大、新設が中心であり、租税特別措置法一部改正案には反対であります。
 次に、法人特別税法案についてであります。
 反対理由の第一は、政府の責任で生じた歳入不足対策として、大企業のみならず中小企業の一部にも及ぶ増税によって負担を国民に転嫁しようとするものであること。
 第二に、今回は一般財源の歳入対策になりましたが、創設の経緯から見ると、国際貢献資金構想と深いかかわりを持っており、将来ともにこの構想に組み込まれない保証は何らないのであります。よって、本法案には反対であります。
 最後に、相続税法案の一部改正についてであります。
 我が党は、庶民の生存権的土地所有まで時価方式を徹底させ、相続税評価水準を実勢価格に近づけることに反対であり、相続税の仕組みを抜本的に収益還元方式へ転換するよう主張していますが、これは本法律事項ではありません。本改正案は、その相続税評価水準引き上げを前提にはしていますが、負担増が生じないよう負担調整を行うことそれ自体は当然の措置であり、賛成いたします。
 以上、討論を終わります。
#112
○委員長(竹山裕君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次三案の採決に入ります。
 まず、租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#113
○委員長(竹山裕君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、法人特別税法案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#114
○委員長(竹山裕君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、相続税法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#115
○委員長(竹山裕君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 前畑君から発言を求められておりますので、これを許します。前畑君。
#116
○前畑幸子君 私は、ただいま可決されました租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ。国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    租税特別措置法の一部を改正する法律
    案、法人特別税法案及び相続税法の一部
    を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について十分配慮すべきで
 ある。
 一 国民の理解と信頼に基づく税制を確立する
  ため、今後とも、公平・公正の見地から税制
  全般にわたり不断の見直しを行い、特に不公
  平税制の是正、資産課税の一層の適正化に格
  段の努力を行うこと。
 一 各種準備金・特別償却等の企業関係の租税
  特別措置については、政策目的及び政策効果
  の観点から、従来にまして徹底した整理合理
  化を進めるとともに、各種引当金のあり方等
  について引き続き検討すること。併せて、赤
  字法人、公益法人課税について、社会的責任
  及び応益負担の側面等を踏まえ、その課税の
  あり方を引き続き検討すること。
 一 相続税については、健全な個人資産の形成
  と国民生活の安定に配意しつつ、今後とも相
  続税の基本的役割である富の再配分機能を重
  視し、適正・公平な課税を実現するよう努め
  ること。
 一 土地基本法の基本理念を踏まえ、土地に対
  する適正かつ公平な税負担を確保しつつ土地
  政策に資する観点から、地価税をはじめとす
  る土地税制改革の円滑な実施を図るととも
  に、地価税の創設に伴う税収分の使途につい
  て、地価税創設時の論議、その他の諸事情を踏
  まえ、引き続きその具体的検討を進めること。
 一 複雑、困難であり、高度の専門知識を要す
  る職務に従事する国税職員について、変動す
  る納税環境、職務の一層の複雑化・国際化及
  び税務執行面における負担の公平確保の見地
  から、職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯
  等に配慮し、今後とも処遇の改善、職場環境
  の充実及び定員の一層の確保等につき特段の
  努力を行うこと。
  右決議する。
 以上でございます。
#117
○委員長(竹山裕君) ただいま前畑君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#118
○委員長(竹山裕君) 多数と認めます。よって、前畑君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、羽田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。羽田大蔵大臣。
#119
○国務大臣(羽田孜君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと考えております。
#120
○委員長(竹山裕君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#121
○委員長(竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後一時まで休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#122
○委員長(竹山裕君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、真島一男君及び西野康雄君が委員を辞任され、その補欠として藤井孝男君及び日下部禧代子君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#123
○委員長(竹山裕君) 関税定率法等の一部を改正する法律案、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び米州開発銀行くの加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題といたします。
 三案の趣旨説明は前回聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#124
○鈴木和美君 私は、関税法案を中心に質問させていただきたいと思います。
 そこで、この関税に関連する経済情勢について先に二一三質問をさせていただきます。
 その第一は、最近の国際収支の状況でございます。一月末に発表された九一年の国際収支状況によれば、貿易収支は約千三十億ドルの黒字、今まで千億ドルを超えたということはないのでございますが、千億ドルを超えるような状況が報告されております。また、九〇年まで大幅赤字であった長期資本収支、これも約三百六十六億ドルの黒字に転じたと報じられています。まさに十一年ぶりだとも言われているようでございます。これは、貿易黒字を資本収支の赤字が相殺するというような従来のバターンから、貿易と資本取引のいわば二重の黒字、こういう傾向になることを示していると思うのであります。
 そこでお尋ねいたしますが、まず、このような状況になった要因について大蔵省はどのように把握しているか聞かせてください。
#125
○政府委員(江沢雄一君) 先生御指摘のように、昨年は経常収支、貿易黒字が黒字をふやしましたと同時に、長期の資本収支も流入となっております。
 この長期の資本収支が流入、黒字となりました主な原因は、外人投資家の日本の株式あるいは債券への投資が大幅に増加したということでございます。このように証券投資、つまり株式とか債券への投資のように短期間で大きく流出入が変動する性格の取引がかなりふえてきておるということが言えるわけでございます。しかしながら、比較的安定的な資金流出を示す直接投資あるいは我が国からの対外借款、または外国企業等によります国内での円建て債の発行等は、ピーク時に比べれば減速はしておりますけれども依然として相当な額の流出を記録しているわけでございます。
 この我が国の資金の流れを全体像でとらえますためには、長期資本収支と短期の資本収支をあわせて見る必要があるわけでございまして、確かに長期の資本収支は流入になっておりますけれども、短期の資本収支は昨年大幅な流出超になっておりまして、この長期、短期の資本収支を合わせたところでは、我が国の経常収支の黒字に見合う資金の流出といいますか、世界への還流が行われているということでございます。
#126
○鈴木和美君 よくわかりません。なぜこういう黒字がたまったのかという原因とか要因、こういうわけだから、こういうわけだから、こういうわけだからということを聞かせてください。
#127
○政府委員(江沢雄一君) 資本収支についてもう一度申し上げますと、昨年中長期の資本収支の流入が三百六十六億ドルございました。これは先生のおっしゃるとおりでございます。この長期の資本収支というのは、本邦からの資本の流出とそれから海外からの資本の流入、その差し引きとして出てくるものでございます。日本からの資本の流出は、昨年中千二百十九億ドルでございまして、一昨年の千二百八億ドルと比べましてはぼ同じ水準でございます。これに対しまして外国からの資本の流入が、昨年は千五百八十五億ドルでございまして、前年の七百七十二億ドルに比べまして八百十三億ドルの流入の増加でございます。
 この原因がどこにあるかということを見てみますと、主として証券投資でございます。海外からの日本への証券投資が昨年中千百五十三億ドル、前年に比べまして八百六億ドルの増加になっております。ちょうどこの外国資本の流入の増加が証券投資の増加とほぼ同額でございまして、これをさらにブレークダウンしてまいりますと、外国人の日本の株式に対する投資が昨年中約六百億ドルふえておるということがわかります。これは、昨年中日本の株価の低落等もございまして、外人投資家が値ごろ感で日本の株を買ってきたということが言われております。その結果、外国人の日本の株式の購入が急速にふえたわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、こういう証券投資は市場の動向に非常に左右されるものでございまして、年によって振れが非常に大きいということでございます。
 それと同時に、日本から海外への資本の流出というのは、ひところに比べれば減ってきてはおりますけれども、直接投資あるいは対外借款、日本での起債等を通じまして着実に出ているということを申し上げたわけでございます。
#128
○鈴木和美君 私が聞きたいとしているところとお答えがどうもすれ違うんですが、貿易黒字とか長期資本収支がこれだけ非常に黒字の様相を呈しているということを、こういうふうに理解することは間違っているんですか。
 今のお話のように、もちろん海外投資の問題もありますし、証券の売買もあります。けれども、俗称言われているのに、これは日経新聞ですが、自動車とか電子製品など国際競争力の強い商品の輸出が非常に堅調だ。二つ目がバブルの崩壊によって高級自動車だとか絵画だとか、ああいうものの輸入が減少になっちゃった。そこに加えて百四十四円ぐらいであった円相場が百三十円台になってきた。日本企業が高規格そして高価格の商品などをまだ輸出されていった。石油が安くなっちゃった。こういうようなものが、別に期待したわけではないんだけれども、まとめてみると、結果として見てみればこういう数字になったんだというように理解してはおかしいんですか。今の資本が行ったり来たりというのは私、よくわかりませんけれども、そういうふうに理解してよろしいですか、お聞かせください。
#129
○政府委員(江沢雄一君) 失礼いたしました。先生のおっしゃっておられる部分は、いわゆる経常収支の黒字でございまして、これは貿易収支あるいはサービスの輸出入という結果として出てくるものでございます。
 先生御指摘のとおり、昨年は貿易収支の黒字が拡大をいたしましたことを中心として経常収支の黒字が非常に大きくなったことは事実でございます。これは一昨年、いわゆるバブル経済のもとで……
#130
○鈴木和美君 いや、私の理解でいいかどうかだけでいいです。時間がございませんから。
#131
○政府委員(江沢雄一君) はい、先生のおっしゃったとおりで大体正しいと思います。
#132
○鈴木和美君 大臣にちょっとお尋ねしますが、そういう現象というのは日本にとって好ましいんですか、それともまずいんですか、仕方ないんですか。私の三分類からいうとどういうふうに理解しますか。
#133
○国務大臣(羽田孜君) 今御指摘のあったように、まさに国際収支といいますか経常収支、この点では今御指摘があったとおりでございまして、その点につきまして私どもといたしましては、判断としては、これは実際に全体の数量そのもの、輸入の数量ですとかあるいは製品輸入というのはむしろ逆に高くなっているということで、いい傾向ではあると思うんですね。しかし、結果的に、円高になったということでそういうことになったということ、それから、今お話がございましたバブルのときのような高級品、耐久消費財のようなもの、あるいは絵画のようなものが入ってこなくなったということ、あるいは投資用の金なんというものが少なくなったということ、こういったことによって結果としてこういうふうになったというふうに私ども思っておるところでございます。
#134
○鈴木和美君 その現象について各社とも報じておるし、経済界でも大変問題になっているのは、大臣省は二つの黒字を抱えたために二つの悩み事ができた。つまり貿易の黒字の方も対応せねばならぬ、国際収支の方も。つまりここに両方の黒字を対応しなきゃならぬ、そういう対応に迫られるであろうというふうに見ているわけです。
 ところが大蔵省は、これは日経新聞です、私じゃないですよ、国際的にすぐ問題になる水準ではないからそう心配することはないんじゃないかという態度をとっておる。けれども結果としては、何といったって邦銀の金融勘定にたまっていることなんですから、これは、国際社会の中で日本のこの金がどういうふうに還流されていくかということは大変関心を持っていることは事実ですね。そこにまた陳情、請願、各国からいろんなことがあるでしょう。
 したがって、こういう貿易の黒字の問題と長期収支の黒字の問題に一体基本的にどういうふうに対応していこうとされているのか、お聞かせいただきたい。
#135
○国務大臣(羽田孜君) 特に経常収支の方につきましては、先ほど申し上げましたように、数量ベースでは安定した推移となっておるということでございますし、また、現地生産がここのところずっと各国の方に進展をいたしておるということでございまして、その点では構造的な変化というものはもう起こってきておるというふうに言えるんじゃなかろうかと思っております。その意味で、今後基調的に黒字幅が拡大するということは、これは可能性というものは非常に小さいものであろうというふうに考えております。
 そこへ持ってきまして、我が国の方で製造業を中心にして減速感が広まっていますけれども、労働力需給というのは依然引き締まり基調にあることなど底がたさを維持しているということからすれば、経常収支の黒字の削減を目的として何か特別なことをするということじゃなかろうというふうに思っております。
 ただし、私どもといたしましても、輸入する場合の市場アクセスの改善など構造的な調整を行っていくということですとか、あるいは通産省なんかも今いろいろと考えながら輸入促進のための一つの地域をつくろうというようなことで今度の中でもいろいろと御議論をいただくことになっておるところであります。そういう努力をいたしております。
#136
○鈴木和美君 私が思うのには、これだけ黒字を抱えできますと、各国から日本の輸出に対する大変ないろんな抵抗なり介入なりというのが行われてくると思うんです。それはもう自動車で明らかでしょう。G7であれだけ円高の問題をやってみても、自動車の問題一つ見ても、二国間でそれこそ管理貿易みたいなことをやらざるを得ないような状況にまで追い込まれるわけですね。この現象というのは、そういう追い込まれる事態というのは非常に強くなってくると見にゃいかぬと思うんですよ。
 そうすると、その現象というものは日本の経済にどういうふうに影響を与えてくるのかということを私はとっても心配するんですよ。つまり、それはだんだん輸出形態が枠が狭まっできますから景気が後退する、そういうふうに一つの要因として見ざるを得ないんじゃないかと私は思うんです。
 そのときに、羽田大臣の先ほどからの答弁をずっと聞いてまいりますと、現在の日本の景気の動向というものは、確かに、大蔵省物の言い方非常に上手なんですわな、今度の予算に対しては、景気の刺激とは言わないんです、景気の配慮と言っているわけでしょう。あなた方、刺激と配慮では非常に違うんですよ、対応の仕方が。だから総合対応もなかなかすぱっと出てこないんですな。けれども、雇用とか配当とか物価安定はしているからそんなにこの前のような不況ではないんだ、心配することないんじゃないかと思っているところに私はちょっと問題を感じるんです、今の問題のずっと延長線上で。
 そこで出てくる答えというのは、やっぱり国内の内需拡大を基礎としたもので、内需拡大で支えていく方法と一緒にアクセルをとっていかないと、これはどうもうまくいかないんじゃないのかなと思うんです。ところが、相変わらず内需拡大の方は、それは景気対策として三月三十一日までお決めになるというんですからそれはお待ちしますよ。お待ちしますけれども、もっと積極的に、日本経済の展望、国際収支の状況から見ても、そうは楽観は許せないぞという認識に立ってやっていただきたいと思うんです。いかがですか。
#137
○国務大臣(羽田孜君) 確かに、私たちの言い方は景気刺激という言い方をしてこなかったことは事実であり、また今日でもそう申し上げております。
 もうずっといろいろと申し上げてきましたからほかのことについては一応省きますけれども、ただ問題は、確かに企業等についても減益というものが出てきておるというのは現状でありますけれども、しかし、ほかの国のように企業そのものが大変なもうあれを抱え込んでしまっているという状況ではまだないということと、もう一つは、例えばアメリカなんかの場合には各家庭なんかも大変な借金、借金づけなんという言葉もよくいろんなところで報道されますけれども、しかし日本の場合には個人の方の金融資産というものも、例えば郵便貯金一つとりましても百五十兆なんということが言われたり、あるいは金融資産全体で一千兆以上持っておるということですね。
 ですから、消費なんかについても、確かにぜいたく品というのは買わなくなったけれども、しかし割合と堅調に進んできておる。ただ、多少今ちょっと引っ込んでおりますけれども堅調に進んでおる。しかし、不況だ不況だという言葉が今盛んにいろんなところに出ますよね。そうしますと、この間もある方が言うのに、いやちゃんと貯金の方はうちの町の中でも減ってないですよ、ところが不況だ不況だということになると、みんなやっぱり買い控え現象というのは起こるんですよねということをある地方の町の方が言っていらっしゃいましたけれども、そういうものが全体にある。
 また、企業家の中にもやっぱりマインドというものが、そういうものが今浸透しちゃっている、あるいはそれが拡大しておるということ。確かに景気そのものは減速している。これがまた広がっているということは事実でありますけれども、しかし、いわゆる刺激するという状態にないんじゃないか。ただし、私どもといたしましてももう昨年のうちからそういう状況というものは、多少流れは変わってきているぞという中で、例のゼロ国債なんというものも六千億というものを考えましたり、また財投なんかについても特別な史上最高なんというものをつくりましたし、また今度の場合にも公共事業、いわゆる生活関連というものを中心にしながら公共事業というものを大きくふやしているわけです。
 そして、しかもこれの中で私たち考えておりますのは、外需に依存するんじゃなくて内需に依存するような形の経済に変えていかなければいけないということも基本にしながら考えておるということで、もう今委員の方から御指摘のありました考え方、私はその点では全く一致しながら、やっぱり日本が余りもう黒字を出しちゃいけないんだよということを考えて内需拡大、それと同時に、景気なんてそんなにもうどんどんよくなるあれじゃないよということに配慮しながらやっておるということで、大体考え方としては同じじゃなかろうかというふうに思っておるところです。
#138
○鈴木和美君 せっかく同じだとおっしゃっていただいたので、どうぞ羽田大臣の親分にも言っておいてほしいんですが、やっぱり為替というのが、一関税を語るときにこの為替の問題を語らずして通るわけにはいかぬのですわね。
 それは、今羽田大臣一生懸命弁明というか釈明というかされているわけですが、あなたの親分から言わせると、景気がよくないから公定歩合を早く下げろということをおっしゃっているわけでしょう。ところが、それは外国から見れば、自民党の副総裁金丸がああいうことを言っておるということは、日本の経済の先行きはもうそれこそ真っ暗やみだ、そうとったことが為替レートにも歴然とあらわれてきているわけでしょう。だから、そこは政府・与党の中でしっかりした統一した対応をしてもらわないと、いたずらな私は混乱が起きることだと思うんです。そういう意味で慎重に私は取り扱っていただきたいと思っているところでございます。
 さて、この公定歩合の問題というのは、今直ちに議論しても出てくるものではないと思うんですが、三月三十一日に行われる景気対策、その中でそういう問題は総合的に議論されるものであるというように理解してだけおけばよろしゅうございましょうか。
#139
○政府委員(日高壮平君) たびたび大臣から御答弁申し上げておりますように、公定歩合の問題につきましては、日本銀行の専管事項でございますので、政府で決めます経済対策の中で具体的に公定歩合の操作に関連いたしまして言及することは考えておりません。
 ただ、先般、衆議院の段階だったと思いますが、日銀総裁がお出になられたときに、国会におきまして、日本銀行として当然いろいろな事情を考慮しながら自分としては決断をすると、その中に政府がこれから決めようとしている経済対策も一つの要素であるという御答弁をされたというふうに記憶いたしております。
#140
○鈴木和美君 持ち時間がございますから、一般的、基本的なところはこのぐらいにしておきまして、法案の中身にちょっと入らせていただきたいと思います。
 今回の法案の中で特に私が気になっているのが原油等の関税率の問題でございますが、これは通産省おいでであれば聞かせていただきたいんですが、平成二年十月に、政府は地球温暖化防止計画を達成するために必要なエネルギー供給見通しを閣議決定したとありますね。この閣議決定の内容と目的、非常に簡単で結構ですが、数字だけお答えいただけませんか。
#141
○政府委員(黒田直樹君) 御指摘のとおり、一昨年の十月に石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律というものに基づきまして、閣議決定を経まして総合的なエネルギーの供給の確保の見地から石油代替エネルギーの供給目標というものを定め、十一月に公表をいたしているところでございます。
 この内容は、平成二十二年度までということで、二〇一〇年度ということになりますけれども、に開発及び導入を行うべき石油代替エネルギーの種類、それからその供給数量の目標というものを定めているわけでございまして、具体的には原子力、石炭、天然ガス、水力、地熱その他の石油代替エネルギーといったものの二〇一〇年度、平成二十二年度における具体的な数値を定めているものでございます。
#142
○鈴木和美君 もう一つお聞かせいただきたいんですが、最初は一割、その次は三割だったですか、三百十五円からだんだん値段を下げていく、そういうように下げていこうというわけですな。そして、十年後に無税になるんですか。
 無税になった時点を想定した場合に、現在の石油の輸入量と、その時点で無税になったときの輸入量は今よりもふえると思いますか下がると思いますか。
#143
○政府委員(黒田直樹君) 石油の輸入がどうなっていくかというのは、もちろんまたエネルギー全体の需要がどうなっていくかというものにかかっているわけでございまして、なかなか難しい御質問でございます。今の関税率の差だけの分の効果というものを計量的に把握するのは大変難しいわけでございますが、ただ現在、今おっしゃった第一段階でキロリッター当たり三十五円下がる、あるいは十年先にキロリッター当たり三百五十円下がるとか、例えば現在の原油の価格、あるいはそれが実際に石油製品となって価格に反映されるウエートから申しますと極めて小さなウエートでございますので、これ自体が石油の需要とかそういうものに及ぼす効果というのは軽微なものだろうというふうに考えております。
#144
○鈴木和美君 別な角度から質問しますと、エネルギーの総合供給体制ということを考えるときに、石油もあり石炭もあり、石炭はこれから別な議論でしょうが、風もあり太陽もあり地熱もありと、そういうものを総合的に組み込んだ中で、この場合の石油依存度合いをなるべく下げながら総合エネルギー対策として二〇一〇年まで展望して大体の枠組みというか見通しというものを決めたんですわな。
 だから、今お聞きしているのは、無税になったことにおいて石油が今よりも多く入ってくるというのであれば、ほかの方のエネルギーの調査、研究なり対策というものはおくれちゃって、結局は石油だけに頼るという体質が抜け切らないまま進んでいくんじゃないかと私は思うんですが、その点は展望としていかがですか。
#145
○政府委員(黒田直樹君) 結局、先生今の御質問、価格効果ということだと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、この関税率の差分の石油製品の価格に占めるウエートというのは極めて微々たるものになるわけでございますので、それがそう大きな影響を及ぼすものではないだろうというふうに考えております。
 先生御承知のように、この原油等の関税は石炭対策の財産として実施してきたものでございまして、したがって、石炭対策の財政需要の動向に応じて、今回こういう御提案を申し上げているわけでございますが、今先生がおっしゃいましたようなほかの石油代替エネルギーの開発の促進であるとかあるいは総合的なエネルギー政策の推進という観点、もちろん我々重要だというふうに考えておりまして、それは別途の観点から、例えば石油税であるとかあるいは電源開発促進税であるといったようなものを財源といたしますエネルギー関係の特別会計等から、別途石油代替エネルギーの促進対策であるとかあるいは総合エネルギー政策の推進の対策であるとかというものを着実に実施しておるところでございまして、その方面につきましては今後とも状況を見ながら適切に対応してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
#146
○鈴木和美君 ちょっと混同しないで答弁してもらいたいんですが、石炭の方は後からやりますから。
 私が今言わんとすることは、無税になる部分の額が少ないから、その少ない部分だけのものが輸入が多くなる、計算すればそんなに現状よりも変わりないんじゃないかという御答弁でしょう、今の答弁は。私はそう思わないんですよ。私は、無税になったということにおいて、そこのところに、石炭の方は後からしゃべるんだけれども、石炭の方は別にして、今度はそのものだけで進んでいくんですから、そうすると、今よりも石油の輸入量というものはふえてくるという可能性が非常に強い、私はそう見るんですよ。
 そこで、そうだとすると、社会党はこの法案に賛成なんです、賛成なんだけれど私はちょっとこの点については釈然としないんですわ。むしろ私は関税をおいておけという主張なんですよ、私の主張はね。ということは、輸入量が多くなるということは、地球温暖化の問題がこれだけ議論されている中で、それでなくとも今日、日本の石油に対しても大きな問題を残しているわけでしょう。それがもう少し輸入が強くなってくるとか多くなってくるというような展望に立つとすると、この政策は地球温暖化の傾向に対して逆行するものじゃないのかというように言わざるを得ないんですが、大臣、こういう見解に対してどういうお気持ちをとられますか。
#147
○政府委員(吉田道弘君) 大臣から御答弁いただく前に、ちょっと今の原油関税の仕組み、考え方を申し述べさせていただきますが、そもそも関税は、かつては日本の重要な国家財源でございましたが、最近におきましては、今では財源のための関税というのはこの原油関税以外は正確なものとしてはございません。関税そのものは産業保護のための保護関税という形で今作用しておりまして、この原油関税につきましても、関税の制度を御審議いただいております、これは大蔵大臣の諮問機関でございますが、関税率審議会でもう二十数年来、そもそも財源対策として関税を使うというのは関税の性格としておかしいんじゃないか、特に国内に原油採掘というふうなものが相当あるなら別だけれども、もうほとんど一〇〇%輸入している、しかもこれは基本的なエネルギーである、それにわざわざ関税をかけて、保護でもないし、どうしてやるんだ、やはり関税政策としてはこれは無税とするのが適当であるという御答申を何回もいただいている件でございまして、関税政策の面からは、やはりこれは方向としては無税にしていくべきだろう。ただ、先生がおっしゃるように、どういう影響を持つかという点につきましてはいろいろお考えあると思います。
 ただ、私どもも見込みについては、十年先の話でございますからはっきり申し上げられませんが、通産省から今御答弁申し上げたように、私どもも、これは、一キロリットル当たり三百五十円でございまして、金額で言うと非常に多いように見えますが、実は従価税に直しますと一・七%でございます。したがって、全般的な価格効果もそれほどないんじゃないかということで、見通しとしては通産省から御答弁申し上げたようなそういう考え方でおります。
#148
○鈴木和美君 うちの村田さんだったと思うんだけれども、昨年の関税のときだったですか、ちょっと質問があったんですけれども、石炭政策という問題が新しく樹立されるから、石油の関税というものは石炭対策のための目的税みたいな関係でおいたわけですな。だから、こっちのところをきちっとするのであれば、こっちは税金がなくてもいいじゃないかというのが十二月の審議会がで決まったわけですよ。その前までは、一般会計。に直接入れたらいいんじゃないかとか、石炭特別会計に直入させたらいいんじゃないか、どっちにするんだという大議論があって、去年の段階では審議会でせっかく審議中だからちょっと待ってもらいたいということだったんだが、今回は全部廃止されるわけなんでしょう。全部廃止されちゃって、そうすると、石炭対策の方の問題でお金がかかるというような状況が出たときには今度はどういう手当てを省はされるわけですか。これは全部廃止されて、なおかつ石炭対策として石炭の問題にお金がかかる。対策のためには金がかかるというときにはどういう資金手当てがされるわけですか。
#149
○政府委員(黒田直樹君) 国内の石炭対策ということで累次対策を講じてきたわけでございますが、御承知のように、今年度末をもって八次対策というのが終了するわけでございます。その後どうするかということで、私ども、通産大臣の諮問機関でございます石炭鉱業審議会というところで御審議をいただきまして、昨年の六月に答申をいただきました。
 その内容は、九〇年代、これから十年間というのを国内の石炭鉱業の構造調整の最終段階とするという基本的な考え方をいただきまして、それを踏まえまして別途、現在石炭関係の法律の御審議を国会でお願いすると同時に、本件財源の関係の問題を御審議いただいているところでございます。したがいまして、私ども今後十年間でもって石炭の構造調整対策は完了するという考え方で全力を挙げたい、こういうことでございます。
 ただ、今申し上げました石炭鉱業の構造調整だけでない石炭関係の対策というのはもちろんあるわけでございまして、これにつきましては現在までも、例えば海外炭の開発の確保の問題であるとか、あるいは石炭関係の技術開発の問題であるとか、いろんな対策を講じているわけでございます。したがいまして、構造調整対策につきましては十年間で完了する。その他の石炭対策という問題につきましては総合エネルギー政策全般の中でそれぞれの問題として対応を考えてまいりたい、こういうことでございます。
#150
○鈴木和美君 参議院には石炭対策特別委員会というのはありませんが、衆議院にはありますけれどもね。そうすると、石炭関係の構造調整の問題は、十年後にはもう完全になくす、そこまでに完了する。そのほかの関係する部分については総合エネルギーの問題として対応するということは、それはそれなりにお金がかかるのであればその段階でお金の問題は措置しますということを意味しているわけですね。
#151
○政府委員(黒田直樹君) 今申し上げましたように、構造調整以外の対策につきましては、現在でも既に、例えば石油税とか電源開発促進税等を原資といたしますエネルギー関係の特別会計の中から、先ほど申し上げたような対策を講じてきているところでございます。
 十年先にどういう対策が必要になるかというのは、今の段階では必ずしもはっきりしない面もあるわけでございまして、もちろんその段階でエネルギー事情の動向等々を勘案しながら検討していくべき課題であると思っておるわけでございます。
#152
○鈴木和美君 ちょっと大蔵大臣、大変恐縮なんですが、今の議論を通じまして、それからもう一つは国際貢献の問題であるとか地球環境保全の問題であるとか、いろんな国際的な問題が出ているんですが、日本に求められている地球環境のいわゆる保全、保存というんですか、そういうものに対する財源というものも、今こんな状況ですからそれほど豊かであるわけじゃないわけですな。
 だから、私などは、新しい提案ですけれども、こういう石油の問題について、国民の大多数がこの石油に依存している生活になっているわけですね。だから、そういうものに例えば関税なら関税をかけておって、その関税をつまり地球の環境のそういう財源に充てるというような発想というのはおかしいですかな。私はそういうふうにすべきだと思っておったんですが、無税にしちゃったら、今度新しくまた環境保全の財源をつくらにゃならぬというようなことで、そうかなと思うんですが、いかがですか。
#153
○国務大臣(羽田孜君) 今御議論をお聞きしながら、地球温暖化、こういったことに対して、あるいは環境問題全般にわたって今考えなければならないのに、むしろ輸入を促進するように関税下げちゃこれは何にもならぬじゃないかというお話だろうというふうに思うわけでありますけれども、ただ、輸入品ですとかあるいは国産品を区分けすることなくエネルギー全般を政策の対象とすべきでありまして、一般的に言いますと、こうした政策のために関税のように輸入品だけを課税対象とする手段を用いるということはやっぱり適当じゃないんじゃないのかなというふうに思っております。
 今度、ブラジルでUNCEDの会議がありまして、そういった中で資金等についても一体どうするのかということがこれから議論になってくるんだろうというふうに思っておりますけれども、現時点では地球温暖化防止等の政策というものは、各種の施策、こういったもので達成すべき問題であろうというふうに思っております。
 ただ、今申し上げましたように、相当な資金というものが必要になったときには、輸入のものというだけではなくて、そういうものを発生させるものについてどうするのかというような角度からも、いろんな角度からやっぱり考えてみる必要があるのかなというのが率直な思いであります。
#154
○鈴木和美君 この問題の最後ですが、どうぞいろんな意味で、安く入ってくることはある面では好ましいことであることは間違いないんですが、そのことによって、地球温暖化問題がこれだけ国際的に議論されているときに、日本が名指しでいろんなことを言われないような、そういう対策も、配慮も十分考えておいてほしいと思います。どうも通産省、ありがとうございました。
 農水省、おいでになっていますか。
 それでは、その次に、牛肉の関税率の今後のあり方について若干御質問申し上げます。
 畜産振興事業団が行った平成三年七月から十月までの牛肉の小売価格の調査によりますと、スーパーなどによる大幅な値引きをした特売が最近相当頻繁に行われているというようなことが述べられていますね。特に、輸入牛肉にとどまらず、和牛などの国産牛についても行われ、一週間のうちに三日か四日ぐらい特売が行われている。通常価格の二割か三割ぐらい安く売られている。それが全体の販売数量の六割から七割を占めているんだと、こういう報道がされておるんですが、今後、平成五年度までに関税率は一〇%ずつ下げていくことになりますね。
 こういう実態を見ますと、関税率のこの段階的引き下げ以上に速いスピードで自由化がその後進んでいるように思うんです。農水省として、この実態をまずどんなふうにつかんでいるのかお聞かせいただきたい。
#155
○説明員(齋藤章一君) お答え申し上げます。
 ただいま先生から御指摘ありましたように、牛肉の輸入につきましては、昭和六十三年の日米、日豪の牛肉交渉におきまして、平成三年度から自由化いたしまして、関税率につきましては平成三年度が七〇%、平成四年度が六〇%、平成五年度が五〇%、漸次引き下げられる。六年度以降の関税率につきましては五〇%を上限としてウルグアイ・ラウンドで交渉を行うこととしているということでございます。
 昭和六十三年に日米、日豪の合意で自由化が決定されたわけでございますが、六十三年度以降毎年六万トンずつ輸入量の割り当て量をふやすということが約束されておりまして、六十三年度、それから平成元年、二年度と六万トンずつ毎年輸入量がふえてまいりまして、その結果、昨年四月に自由化になったわけでございますが、そのときに在庫数量が十万三千トンあったわけでございます。
 自由化後の動きでございますが、平成三年の四月、五月と輸入量は前年を上回る水準で輸入がなされました。その後、在庫の取り崩しという局面に入りまして、その後は輸入量は前年を下回って推移してきております。この間、在庫量はだんだん減ってきておりまして、最近時点では六万トン台に減ってきております。輸入量の中身がこのところ変わってきておりまして、冷凍とチルドの比率からいいますと、最近、消費者の鮮度志向とか高品質志向を反映いたしまして、冷凍の割合より冷蔵の割合がふえる、そういうような状況になってきております。
 この自由化に伴いまして、先ほど先生から御指摘ございましたように、そういうスーパーなどにおきまして特別セールで消費者還元が行われてきている、そんなような状況になってきております。
#156
○鈴木和美君 平成三年度から自由化が始まったわけですな。ところが、七〇%になったんでしょうけれども、えらい輸入量が多くなっちゃって、余り多過ぎちゃって大変だというんで、おたくの方で大手商社か何かにちょっと買い控えてくれやというようなお話をされたというような新聞報道があるんですが、そういう御指導か耳打ちかされたことはあるんですか。
#157
○説明員(齋藤章一君) 一部の新聞に、農林水産省が牛肉の輸入抑制を行政指導したとの報道があったことは承知しております。しかしながら、農林水産省としては、報道にあったような事実はないというふうに考えておりますし、また、そのような牛肉の輸入抑制を指導するというような考え方は持っておりません。
#158
○鈴木和美君 報道されたような事実はないと。報道されたような事実だよ。だから報道されてないような事実もあるんでしょう。
#159
○説明員(齋藤章一君) 私どもといたしましては、自由化されたわけでございますので、需要に見合った秩序ある輸入というのは民間における自助努力によって達成されるということが基本であろうというふうに考えております。そのためには、やはり国内外におきます牛肉等の情報が的確に民間に伝えられまして、それによって、民間における自助努力によって秩序ある輸入がなされる、そういうふうなことが必要だろうということで、そういう情報提供に努めているということでございます。
#160
○鈴木和美君 私も、この新聞情報を見てある関係者にも尋ねたことがあるんですが、いわゆる厳密な意味で農水省が指導したとかそれから通達を出したとかこうしたとかというのには該当はしないけれども、それらしいお話があったことはどうも事実のようですよ。その結果、輸入量も前よりも一一%落ちちゃったんですからね。そんなに急激に落ちるというのも、これもおもしろい現象で、そう考えられないんですよ。だから、その事実を見ても多少はそういうことがあったなと思うんですわ。
 しかし、それもある程度私は仕方ないことだと思うんだけれども、問題は、自由化をすると言いながら一方ではそういう行政指導、管理指導が行われるとか、そういうことになったらおかしいですわね。おかしいということをもう少し突き進めて言うと、つまり七〇%という関税率を決めたときの七〇%の算出根拠、これが正しかったのか正しくなかったのか、七〇%、六〇%、五〇%と一〇%ずつ下げていくその税率の下げ方は本当にいいのかという問題が一つ。もう一つは、仮にそれがいいと言った場合でも、適用年度をいつからにするのかという年度の問題があると思うんです。
 だから、そういうものを総合勘案してみると、この牛肉に関してはちょっとそういう分析、指導、それから展望が弱かったんじゃないのかなと私は思うんですが、その辺に関しての見解を聞かせてください。
#161
○説明員(齋藤章一君) この牛肉の自由化につきましては、昭和六十三年、米国及びオーストラリアとの牛肉交渉におきまして、我が国の農業の基本的な部分をなしております牛肉の生産の存立を守るという基本的な立場に立ちまして現実的な解決を図るべく努力を積み重ねてまいりました。
 そういう中で、最終的には数量制限をめぐる厳しい国際世論あるいは我が国の置かれている国際的立場にかんがみまして、新たな国境措置、それから国内措置により代替し得る可能性を探求したということで、先ほど申し上げましたような内容の自由化が決定になったわけでございます。
 自由化後において、国内牛肉生産の存立を守るということは農政の基本的課題でございます。自由化に伴う国内措置といたしまして、子牛価格の安定及び肉用牛生産の向上等を図るという観点から、肉用子牛生産者補給金制度の創設を初めとしまして所要の対策を講じてきているところでございます。今後ともこれらの国内対策を強力に推進していくことによりまして、国内乳用牛生産の存立が守られるよう努力してまいりたいというふうに考えております。
#162
○鈴木和美君 もう一つ尋ねておきますが、関税暫定措置法の七条の四、これは緊急措置の発動のことだと思うんですが、これはどういう場合に発動されるんですか。
#163
○政府委員(吉田道弘君) この緊急措置は、簡単に申し上げますと、非常に輸入が急増した場合でございまして、その一応の基準としましては、前年の二割増しになったという状況で、その二割増しになるという基準量がありまして、それを超えそうな場合、こういう場合に関係国と協議をいたします。協議をして整えば、相手方と話し合いがついて少しセーブしてくれというふうな話が整えばそれでよろしいわけですが、そうでない場合がございます。これは協議期間に三十日、協議を要請してから三十日以内に関係国と協議をして、それで合意が成立しない場合、その場合には指定日というのがありまして、それからその年度末までの間に一国でも先ほど申しました協議が整わないということがあったこと、それから実際にその基準量を超えちゃったということ、この二つの要件があったときには今ある税率、ことしてございますと今月末まで七〇%でございますから、これに二五%を上積みする、そういう仕組みでございます。
#164
○鈴木和美君 それはそれでわかりましたが、その発動の時期というか発動されるとき一この暫定措置法が持っているいわゆる基準というのは数量なんですよね。あくまでも数量なんで、価格というのがないんです。だから、どっと入ってきて、きゅっと閉めてもまたどっと入ってくる。数量でやっているために、必ずしも適正な緊急措置の発動となり得るかいうと若干しり抜けみたいな感じが私はするんですよ。これをいずれは価格問題までそこに入れ込むというようなことの交渉というのはできないものなんですか。
#165
○政府委員(吉田道弘君) 先ほどから農水省の方から御説明申し上げておりますように、この制度はガットパネルが設置されましてかなりぎりぎりの交渉をアメリカとオーストラリアとの間でやったものでございまして、このときも相当、いわゆる輸入制限を外して自由化をしろ、かなり低い税率でやれというふうなことを随今言われたわけでございます。
 その中で、七〇から始めてステージングで五〇まで落としていく、それで今申し上げました緊急制度も組み込むということを、言ってみますとその交渉の中でから取ったわけでございまして、逆に申し上げますと、ぎりぎりの交渉で出た話でございまして、これを今先生がおっしゃったように価格でコントロールする仕組みができないかという点でございますけれども、これを新たに設けるためにはまたアメリカ、オーストラリアとやらなければいけない。これは譲許しているわけではございませんが、実際上、そういう外交交渉の上で決まった話でございますので、変更するためには米、豪と再交渉する必要があろうということになるわけでございまして、今の状況からしますと、それは非常に厳しい状況だというふうに思います。
#166
○鈴木和美君 私、今から十五年ぐらい前の予算委員会のときにこの酪農の問題について質問をしたことがあるんです。そのときに、酪農の状態を政府はどういうふうに考えていますかと言ったときに、いろんな答弁があったんですが、私は笑い話みたいなことを言ったことがあるんですが、今も酪農の状態は昔言ったのと同じなんです。つまり、牛を飼ってもモーからない、豚を飼ったらトントンで、鶏を飼ったらもともケーランというんです。これ酪農、昔の状態と全く今回じなんですな。それだけに、苦しんでいる状態であるがゆえにこの牛肉の問題、まあかんきつもそうだったんでしょうが、非常に関心が深いんです。
 したがって、それは消費者サイドから物を言うのと生産者から言うのとは多少意見の違いもあるかもしれませんけれども、この関税の問題というものが自由貿易下の中心であることは間違いないんだけれども、その率の設定の問題であるとかその適用の時期の問題であるとか、それを十分国内の状況を見定めてから決断しないと大変なことになるなと思いますので、どうぞその点も留意しながら今後の対応に携わっていただきたいことをお願い申し上げておきたいと思います。
 それでは最後に、税関の仕事をしている人たちの問題を含めてこれからどうなさるかを聞かせていただきたいと思います。いずれ大蔵省全体の人の問題というものは私、一回質疑させていただきますが、羽田大臣にぜひ記憶にとどめておいてもらいたいと思うんです。
 羽田大臣の後ろに座っている方の顔を見てくださいよ、大臣。みんな眠い顔をしていますわ。これは国会が開かれているということで、国会議員も、私も言われたことなんですが、質問があったらなるべく早く出してくれませんか、ぎりぎりになって出されたんでは我々参りますわと言われたことも十分聞いております。
 それから、そういうことはそういうことなりにわかるんですが、今大臣、大蔵省というのは、本省を含めて月平均何時間超勤をやっているか御存じですか。後ろにいる人たちの合い言葉は、きょうのうちに帰りましょうというのがい言葉なんです、本省では。主計は特にそうだと思うんですが、昨年の十月ぐらいのときにはみんな百四十時間ですよ、一カ月超勤が百四十時間。まあ証券の問題もありましたからね。その証券の問題がないにしても、平常ですら平均百時間ですよ。まだ主計はちいっと金がついているからいいわ、働いても超勤手当が出るから。見てくださいよ、国際金融にしたって銀行にしたって、ただ働きばかりさせられていますわ。課長とか課長補佐がしっかりしているところは早く帰れるんだよ。これはおもしろいんですわ。
 私はなぜそういうことを言うかというと、いよいよ第八次の削減問題が出てくるわけですよね。それで、大蔵省は大蔵省なりに対応が非常にほかの省と違った意味での難しさを持っていることは百も承知していますよ。けれども、私はこの第八次の削減に対して、やっぱり一律何でもパーで切ってしまうというやり方はよくないと思うんです。必要なところは必要なんですよ。そういう考え方が一つと、もう一つは、大蔵省というのはすぐ隗より始めよという言葉の中に包含されちゃって、自分たちが査定官庁だから先に物言えないというような気風がありまして、そのために本当の仕事をしていることを認めてもらえないような状態。これよくないことだと思うんですよ。
 羽田大臣になって一番やってもらいたいことは、大蔵省から離婚の件数が多くならないようにしてもらいたい。今一番多いんですよ大蔵省は、離婚。それから、地方から来た人たちはみんな早く帰りたいと言っている。人を採ることできないものですからね。
 これと同じ現象が、今度は税務署の方にいく。それは多くしてもらったのは当たり前ですよ。消費税が入ってくるんでしょう、地価税が入ってくるんですからこれは当たり前のことですよ。ところが一番問題なのは、法人税を担当している職員がどれだけふえたんですか。幾らここで立派な政策議論やってみても、税の不公平というのには政策的な不公平と執行上の不公平があるんですから、この執行上の不公平を是正しないで幾らここで議論してみたって意味ないですよ、私に言わせれば。
 今法人は十年に一遍でしょう、一軒にお邪魔するのは。そのぐらいしか人いないんですよ。それはだれかちょっとおかしいぞという情報が来れば別かもしれませんけれども、そこに記帳義務を訳せとか何をどうとかこうとかと言ってみたって、行って見るやつが十年に一遍ですもの。だから、言っていることとやっていることが私は違うと思う。これも人の問題です。
 さて今度は関税の問題ですけれども、一番びっくりするのは、これもあなたの親分の話で申しわけないんだけれども、最初は爆竹だと思ったというんでしょう。そうしたら、何だかドンパチだったというんでしょう。びっくりしちゃって、最近テレビに出てくるのはガードマンはどうあるべきかなんという話が出てくる。これだってけん銃の問題だと思うんですよ。
 だから、そういうふうに考えてみると、財務局もそうですけれども、大蔵省というものは、羽田大臣、ぜひ口を大きくして、やっぱり仕事しているところはしているんだから、それに報われるような制度をとってもらわないとみんな困っちゃうと思うんです。それはぜひ頭の中に入れておいてほしいと思うんですわ。
 それで具体的な質問に入りますが、細かい実質の業務のふえている現象と職員の配置の現状は、私かう言うまでもないと思うんですが、税関の予算定員、それから出入国者の数、輸出申告件数、輸入申告件数一それに航空貨物輸出申告件数、航空貨物輸入申告件数、外国貿易入港隻数、外国郵便物、覚せい剤押収量、ヘロイン押収量、コカイン押収量、大麻、けん銃押収量などなどの今各年次ごとの数字を持っておりますが、まとめてお尋ねいたしますが、この業務量と職員の定数のふえ方の問題というものはどういうふうにかかわり合っていますか、お知らせいただきたいと思います。
#167
○政府委員(吉田道弘君) 大臣から御答弁いただく前に、最近の状況を申し上げますと、定員の関係は、昭和五十四年まで税関の職員の定員数は増加を続けてまいりましたが、五十五年から減員が非常に上回りまして、削減の結果純減になりました。
 五十五年からずっと純減が続いておりまして、ただ平成元年度には消費税の関係で、税関は輸入品に対しても消費税を徴収するということがございまして、内国税、国税庁と一緒にその間の増員はございました。それを除きますとずっと減員でございましたが、昨年にプラス一。今御審議をいただいております四年度の予算におきましては、一応今の中身としましては純増の二十という、そういう状況が今の状況でございます。
#168
○鈴木和美君 大臣、どうぞ頭に入れておいてほしいと思いますが、まあ達観して言えば、昭和五十六年から今日までを見ますともう業務量というのは三倍になっているんですよ。三倍になっているけれども人はふえない。六十年くらいから見ると約二倍になっている。それでもふえない。これが達観した税務職員の現状なんです。ですから、一名今ふやしてもらったというだけでも、いやよく見てくれたと純粋に喜んでいるような純朴な職員の集まりなんですよ。だから私は、そういう純朴に支えられているというだけではいかぬと思うんです。ぜひその点も頭に置いていてほしいと思うんです。
 その次お尋ねしますけれども、つまり社会悪物品、麻薬とかコカインとかけん銃とか覚せい剤など、これは個人的な健康問題だけでなく、さまざまな、暴力団であるとか、犯罪だとかを起こすかぎの部分ですね。もうだれしもが思うとおり、こういうものはやっぱりせきでとめなきゃならぬだろう、水際でとめなきゃならぬということで、一九九〇年二月の国連の特別総会で麻薬撲滅の政治宣言と世界行動計画というのが全会一致で採択されているんですよ。そして、一九九一年から二〇〇〇年を国連麻薬乱用撲滅の十年、こういうふうに定めて、各国とも地球的規模で取り組もうと。去年のロンドン・サミットでもこの麻薬問題が取り上げられたわけです。
 こういう状況にかんがみて、日本はその後どのような対応策を考えて対応されているかお聞かせいただきたいと思います。
#169
○政府委員(吉田道弘君) 私どもも麻薬の問題は今日本がこれから直面する非常に大きな問題だと考えております。
 先生御存じのように、アメリカはコカインの汚染が非常に厳しく、そのためにブッシュ大統領は国内政策の第一の目標に掲げたぐらいでございまして、その結果、むしろアメリカの取り締まりが厳しくなったためにそれがヨーロッパにあふれ出しまして、今ヨーロッパの麻薬の密輸というのが非常にふえているというのを各国の税関の取り締まり実態等からも承知しております。
 最近におきましては、日本におきましても、まだ量はアメリカあるいはヨーロッパと比べますと微々たるものではございますが、ただその入り方、伸び率というものは大変なものでございまして、私どもも税関の最大の重要項目の一つとして麻薬の取り締まりというものに重点を置いてやっております。
 そのためにどうしても重要なことは、やはり人の問題も大事でございます。と同時に、海岸線にすべて人間を張りつけてもなかなか取り締まれないというのが実情でございまして、やはり情報が必要でございますので、国際的な情報網、これは各国の税関等との関係の情報をお互いに交換する情報網をつくるというふうな努力もしておりますし、取り締まりの機器、これは非常に巧妙にカバンの中とかあるいは荷物の中に隠してまいります。そのためにエックス線でございますとかあるいは麻薬犬を配備するとか、そういう整備をやっております。
 と同時に、水際は私ども税関で見ておりますが、同時に国内とのタイアップが絶対必要でございますので、警察あるいは他の、海岸線を守っていただいております海上保安部あるいは国内の厚生省の麻薬取締官事務所、こういうところとの連携に努めるということで最大の努力を払っておりますし、今後も続けたいと考えております。
#170
○鈴木和美君 ただいまのお話は、今税関で俗称言われている「白い粉」対策という一面でございますか。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#171
○政府委員(吉田道弘君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
#172
○鈴木和美君 それでは、この麻薬とかけん銃とかこういう問題に絡んで最近聞くのには、税関職員の少ないところがねらわれているという話があるんですな。成田空港だってこれはまず同じですね。そういううわさというものは事実であるのか。仮に事実だとするならば、そういう職員の少ないところがねらわれているというようなことに対する対応というものはどういうふうに考えているのか、お聞かせください。
#173
○政府委員(吉田道弘君) 確かに税関の職員の人数全部張りつけるというのはなかなか難しいものでございますから、十分に職員の配置というものができているかとおっしゃいますと、その点は十分とは申し上げられませんが、特に最近地方の空港におきまして国際化が進みまして、地方の定期便あるいはチャーター便が地方空港から飛び立つようになっております。その関係から、地方の空港の旅客の出入りというのがかなり、毎日毎日ではございませんが、一週間に二便だとか三便だとか、そういう間遠な発着のある空港というのは随分ふえております。
 定員をすべてつけていただくというのはなかなか難しいものでございますから、そういう空港が開港した場合には、そこにぎりぎり最低限の人間を配置するとともに、近隣に、周りの支署とか出張所というのがございます。そこから応援をかけて、飛行機の発着の場合にそこに応援をかけて必要な人間を確保するという形で旅客の出入りに対してその通関業務をするということで私どもは最善の努力をしているところでございます。
#174
○鈴木和美君 近年、国際化とか地域活性化に伴って成田、伊丹などの空港がずっと広がるわけでございますが、そういう大型空港と同時に、これから地方の空港というのも大変重要な役割を担ってくると思うんです。
 そこで、具体的に平成三年度岡山、広島、平成四年度高松、大分がいわゆる税関空港というか国際空港というか、そういうことになるわけですね。この空港というのはほかの空港と同じようにそういう対応策、職員というか、そういうふうな万全な対策がとられておりますか。いかがですか。
#175
○政府委員(吉田道弘君) 今、先生がおっしゃいました岡山、広島はもう既に税関空港として開港しておりまして、広島空港は週七便、岡山空港は週四便の国際定期便が入っております。これに対しまして、私どもとしては常設の人間としまして広島には三人、岡山には二人を配置すると同時に、広島については広島の市内に広島支署というのがございます。ここからの応援をかけるという体制をとっておりますし、岡山につきましては宇野という支署がございまして、この宇野の支署から職員を発着のたびに応援をかけるという形で今申し上げましたような体制をとっております。
 それから、あと、来年度でございますが、平成四年度に開港予定が大分空港、それから高松空港がございまして、これにつきましても、今御審議をお願いしております平成四年度の予算におきましてその出張所を設置するということをお願いしているところでございます。
#176
○鈴木和美君 具体的な問題として最後ですが、海上貨物の通関システムについて御質問しておきます。
 オンライン通関システムに加えて、海上運送貨物についても税関手続の敏速かつ的確な処理を図るために、昨年十月だと思うんですが、東京、横浜・川崎港に電算通関処理システムが導入されたんですね。本年十二月には神戸、大阪・堺、名古屋港にも拡大される予定のようです。東京、横浜・川崎港での実施状況の総括を聞かせてほしいし、神戸、大阪・堺、名古屋への拡大に問題はないのか。今後の拡大予定についてはどういうふうに考えているのか。職員の訓練は一体どういうふうにされているのか。その点を含めて御答弁いただきたいと思います。
#177
○政府委員(吉田道弘君) 今、先生おっしゃいましたように、海上、海の貨物につきましてもコンピューターで処理するということで、先ほどから御質問いただきましたように、人をできるだけ有効に活用するためには機械でできるものは機械にやらせようという考え方から、今コンピューター化をどんどん進めているところでございまして、航空貨物はもう昭和五十三年から始まっておりますが、海上貨物はいろいろ海と空の違いがございましてようやく昨年の十月から今おっしゃいましたように関東地区で始まったわけでございます。今年の十月は関西、中京地区で始めようということで予算の要求も来年の平成四年度の予算でお願いしておりますし、それからまたその前提でその対応をも考えているところでございますが、昨年の十二月に東京、横浜に海上貨物のコンピューター化を開始するに当たりましては、このための法律改正を昨年のやはり今ごろ御審議をいただきまして、三月末にそのための改正の法律を通していただきました。
 その法律改正の成立後直ちに四月から研修を始めまして、十月の開始までの間、非常に集中的に職員の研修をやらせていただきました。と同時に、この問題は実際にそのデータをインプットしていただくのは通関業等の民間業者でございまして、それを税関がチェックするという形でございますので、民間業者の方の研修も同時に並行してやりませんとミスが非常に多くなってかえって職員の負担が多くなるという点もございますので、民間の関係者の方々の研修も並行してやらせていただきました。その結果、いろいろ当初は初歩的なミスがございましたけれども、おかげさまで今はかなり順調に動いていると思います。したがって、そのときの経験も踏まえまして、今度の関西、あるいは中京地区に導入する場合にはさらに研修の実を上げて円滑な導入ができるようにしてまいりたいと存じております。
#178
○鈴木和美君 最後に大臣にお尋ねして終わりますが、るる述べてまいりましたが、私がきょう申し上げたいことは、関税という問題は、単に関税にとどまらず日本の経済問題にも重要な影響力を持つ税でございますので、どうぞこれから、お米の問題から始まって大変な税の問題というのが議論されると思うんですが、関税問題について誤りのない対応をしていただきたいということが一つでございます。
 それから二つ目は、今まで職員の問題も含めていろいろ申し述べてまいりましたが、とにかく、税金が納まらないというのは国内問題だけでいいんですが、この麻薬の問題、けん銃の問題というのは人の生命にかかわる問題です。お読みになったかどうか知りませんけれども、二、三週前の「フォーカス」の雑誌じゃないですけれども、チューリヒにおいて、あの公園の中で若い男女が麻薬打っているやつがもう堂々と写真に写っているわけでしょう。そういうような状況です。アメリカはアメリカのような状況です。したがって、日本がそういう汚染に汚れないためにもやっぱりせきでしっかりとめなきゃならぬと思うんです。そういう意味でこの税関職員のことについても十分配慮をいただきたいことをお願い申し上げまして、大臣の答弁を聞いて終わりたいと思います。
#179
○国務大臣(羽田孜君) 先ほど関税のお話すっとお聞きしながら感じましたことは、まさに関税、先ほど私からもお答えしたんですけれども、これによって政策をどうこうという時代というのはもう変わっただろうと。しかし、やはり国内産業の保護ですとか、そういった意味というものがあるということ、これを私たちも念頭に置きながら、今後のいろんな関税交渉に当たるときに国益というものも考えていく一面があろうと。要するに、輸入等を促進するということも重要でありますけれども、それと同時に、今申し上げたことについても私たちは念頭に置かなければいけないんじゃないかということを改めて思います。
 それから、先ほど来、税関の職員だけでなく全体の職員についてもいろいろと御配慮いただいておりますことに対して、心からお礼を申し上げたいと思います。
 特に税関の場合には、国際化したということで、かつては日本で国際会議に出ましたときにも、麻薬の問題なんというのは、あるいは銃刀剣類等についての議論があったときには、少し我が国の実情とは違うなという感じで受けとめておりましたけれども、しかし、実際に最近こうやって見ておりますと、この間のブラジルからのピストルというのが金丸さんに向かって発射されたなんという事実を見ましても一こういったいわゆる社会悪とかあるいは健康を害していくというような問題、いわゆる社会問題、こういったものを引き起こすようなものが今どんどん入ってきている。あるいは知的所有権にかかわる問題なんかも実はひそかに入ってくるというような状態にあるというのが現状であるわけであり、また非常に巧妙になってきておるということでありますから、いろんな手だてをしておりますけれども、どうしても人が必要であるという面があろうと思っております。そういった点について私どももよく念頭に置きながら、こういう時代の新しい時代に対応できるような体制というものを組んでいかなければいけないと思っております。そして、そういう中で、職員の皆さん方の健康ですとか、あるいは家庭問題ですとか変なことにならないようにしなければいけない。
 実は、私は、ことしの新年のあれ、役所におけるあいさつ、あるいは税関の関長さんたち皆さん方、あるいは地方の財務局の皆さん方とこうやってお話をしたときにも申し上げたんですけれども、確かに大蔵省という役所、よくみんな働くと。それは私も前からよく知っておった。しかし、そういったことによって健康を害していくとかあるいは今の家庭の不和の問題ですとか、そういう問題を起こしたとしたらこれは何のことかわからぬよと。時代はまさに生活というものについてみんなが考えなきゃならないときなんだから、働くこともいいけれども、しかし健康について考えると同時に生活をエンジョイする、家庭を顧みるということも大事である。こういった点について特に皆さんにも考えていただきたいし、またそれぞれの現場を持っている方は、そういったことについてよく注意しながらひとつ仕事を進めてもらいたいということを年頭のあいさつの中で申し上げたところでございまして、今せっかくのお話がありましたことを私どもは十分年頭に置きながら対応していきたいというふうに考えております。ありがとうございます。
#180
○村田誠醇君 私は、関税を除く三法について質問をさせていただきます。法律案としては三法がかっているわけでございますが、国際的な資金をどうやって還流していくかという点においては全部共通するものというふうに理解しておりますので、どの法律にということではございませんので、役所の方でそれぞれの担当に応じてひとつお答えをいただきたいと思います。
 まず最初に、先ほど鈴木先輩の方からも質問の冒頭に出ておりました日本の国際収支がかなり大きく黒字化してきた。これは、二国間あるいは世界の貿易の中において、特定の国が赤字化する、こういうことはしょっちゅう起こってくるわけでございます。ですから、そのこと自体について、黒字が起ころうが赤字が起ころうが国際貿易という点においては別に問題はないんですけれども、特定の国にたまった黒字のお金が国際経済から見るともう一度バックしていかないと世界経済が順調に回っていかない。そういう意味で、日本の黒字をどういう形で世界経済の発展のために還流していくかということが一つ重要な問題として出てくるわけでございます。
 この三つの法律を論議するときに、このことが頭にありませんとよくわからない部分というのがありますので、政府が八七年から進めております資金還流の措置、九二年までの六百五十億ドル国際還流をするというこの措置について、概略で結構でございます、そんなに長々説明されては困るんですが、大体どういう計画を立て、どのような実績が現在出ているのかということをかいつまんでひとつ御説明をいただきたいと思います。
#181
○政府委員(江沢雄一君) 先生御指摘のとおり、一九八七年から一九九二年の五年間に六百五十億ドルの資金還流措置をとるということを決めまして、実施をしてきております。
 これは我が国の黒字を開発途上国等に還流をさせて、その開発途上国の経済開発に役立てようということでございます。その中身は、日本輸出入銀行あるいは海外経済協力基金あるいは世銀等の国際開発金融機関を通じまして、公的な資金あるいは一部民間資金をこれらの機関を通じまして開発途上国等に還流をさせていこうというものでございます。この公的資金の還流によりまして、民間資金の還流も促せることを私どもは期待しているわけでございますが、この六百五十億ドルの資金還流計画の実施状況は本年の二月末で五百四十四億ドル、コミットメントベースでございますが、八四%の実績を上げております。
#182
○村田誠醇君 そこで、日本の資金の還流計画、先ほど言われたように三つある。輸出入銀行を通じるやっと、ODAの予算を通じるやっと、それから世界の国際開発金融機関を通して行うやっと、三つということを言われたわけでございますが、予算委員会で配られた資料の中に、国際機関への出資の一覧が出されておるわけでございます。この中で見てみますと、地域の経済開発をするための機関というのがあるんですね。もちろん世界を対象にしたやっと、アジアとかアフリカとか地域を特定した国際機関があるわけでございます。もちろん、中南米にも米州開発銀行、それから米州投資公社というものがあるわけでございます。
 これだけ中南米の地域を対象にした国際の開発機関が存在しているのに、その中の米州開発銀行に今回提案されている投資機関をつくる。つまり、現にあるやつのほかに、もう一つその中に新設をするという意味はどういうところにあるのか。MIFと略称で呼んでおりますが、この機関を設立する目的と役割についてちょっと簡単に御説明いただけますでしょうか。
#183
○政府委員(江沢雄一君) 先生御指摘のとおり、国際開発金融機関といたしましては、世界的な視点から開発途上国の援助を行っております世界銀行、それから各地域ごとの経済開発を担当しております地域開発金融機関というのがございます。中南米向けには米州開発銀行がそれに当たるわけでございます。
 米州開発銀行は、中南米の開発途上国に対しまして経済開発のための融資を行っておるわけでございます。インフラストラクチャーでございますとかその他いろいろ各国政府が行っております開発計画に対して融資を行っております。
 それから、米州開銀のグループといたしましてIICというのがございます。これは中南米の民間企業の開発のために民間企業向けの融資を行っている機関でございます。
 それから、今度新たに設けることになりましたMIF、これは中南米諸国に対する民間投資を促進するために民間投資の環境整備のための技術協力、それから民間企業を担ってまいります人材の育成、それから零細あるいは小企業の育成を図るための支援というふうな無償の資金協力を行う機関でございます。
 こういう米州開銀、それからIIC、MIFという三つの機関を通じまして、相互に補完し合いながら中南米の経済開発をやっていこうという趣旨でございます。
#184
○村田誠醇君 趣旨はわかったんですけれども、もう一つわからないのは、それならば同じようにアフリカの開発銀行にも同じようなものをつくっていいんではないかと思うんですが、何ゆえに中南米だけが出てきたのかという、そこのところが私は問題だと思うんです。これはまさに経済の問題じゃなくて政治の問題です。アフリカを選ばないで中南米を選んだというところにこれは政治的な意思がここに働いているんではないか。そこのところが実は問題なんじゃないか。
 これは法案には何も出てきていませんのでひとつ確認をしたいのでございますが、この一番最初の構想になったと言われています一九九〇年六月のブッシュ・アメリカ大統領の中南米支援構想、これをもとにして各国が集まってきて中南米につくろうと。その背景になったのは、湾岸戦争でアメリカがとにかく軍事的にはイラクをつぶした、軍事的な問題がある程度けりがついたために、今度はアメリカが抱えて一番困っているところの中南米の経済状態を回復するための措置として、そしてアメリカの世界新秩序再構成にとって必要であるという意味を持ってやったというふうに一部のところでは言われているわけです。この辺のこのブッシュの構想と現在でき上がってきたものとの関係、これが一点目です。
 それからもう一点は、やはり湾岸戦争絡みで、先般、いろいろ論争が起こりました九十億ドルを拠出した。ところが、この場合の約束の仕方がよかったのか悪かったのか、経済状態が変わったために、九十億ドルで支出する約束をしていたのか日本円で約束したのかということの論争で、アメリカが受け取ったときには目減りをしていた。だからこの補てんをしてくれとアメリカから言われて、しかし補てんをするわけにはいかないので、アメリカが言っているこの中南米の支援の構想に政府として参加することに決定したんだという報道もあるわけでございますが、この二点についてどういうふうな御見解なのかお聞きしたいと思います。
#185
○政府委員(江沢雄一君) まず、中南米支援をなぜやるのかというところでございますが、確かにアメリカのイニシアチブによりましてこのMIFの資金が創設されることになったわけでございますが、日本といたしましても、この中南米向けのMIFの資金に協力をしていくということは非常に重要な意味があるのではないかと考えているわけでございます。
 まず第一に、世界経済が安定的に発展していくためには、現在中南米諸国が累積債務問題に悩んでおりますが、それを早期に解決することが重要でございます。日本の民間金融機関もアメリカに次ぐ巨額の債権残高を抱えているわけでございまして、このMIFによりまして中南米諸国における民間投資が拡大をし、輸出が増加し、あるいは海外から資金が戻ってくるということになりますれば累積債務問題の解決が図られるわけでございまして、世界経済あるいは日本の立場から見ても重要ではないかと思うわけでございます。
 第二番目は、MIFによりまして中南米諸国に対する域外からの投資が拡大をする。日本を初めといたしまして、ほかの国からも投資が拡大をするということになれば、これらの経済が開かれた市場として成長していくわけでございまして、世界経済のブロック化という動きに対しまして多角的な自由貿易体制を促進していく上で非常に重要な意味があるのではないかと考えているわけでございます。
 それから三番目に、中南米諸国は、ブラジルを中心といたしまして多数の日本人の移民を受け入れているわけでございます。中南米には大規模な日系人社会があるわけでございまして、我が国と非常に強いきずなを持っております。また、最近ではペルーで日系人が初めて大統領に選出されるというふうなこともございまして、日系人の現地社会における活躍が目立ってきております。こういう中南米の諸国を日本としても支援していくことは非常に重要なことではないかと考えているわけでございます。そのような観点から、アメリカのイニシアチブに日本としても協力することを決めたということでございます。
 それから、湾岸平和基金との関係についての御質問でございますが、この湾岸基金につきましては、拠出は円建てで行われておりまして、円安による目減り分を補てんするということは必要がないというのが日本の立場でございます。したがいまして、この湾岸平和基金への拠出の問題どこのMIFの問題とは、時期的には非常に近い時点で決められたことではございますけれども、直接の関係はないというふうに考えております。
#186
○村田誠醇君 時期的に近かったからげすの勘ぐりを受けたと、こういうふうな御説明のように聞こえましたけれども。
 それでは、もう一点お聞きしたいんですが、この構想に対して、当初ヨーロッパを中心にして反対が起こり、調整をした結果、出資割合が決まったんですが、イギリスだけこれは入っていないんですね。入っていないというより参加しない、出資の割合が決まっていないと思うんです。決まっていないのか参加しないのか、イギリスだけが抜けている理由についてちょっと御説明いただけますか。
#187
○政府委員(江沢雄一君) このMIFに対しましては、現在、日本、アメリカ、ヨーロッパ、中南米二十一カ国が拠出を行うこととしておりますけれども、先生御指摘のとおり、イギリスについては現時点ではまだ拠出表明がございません。このMIFへの拠出は米州開銀の全加盟国に開放されているわけでございまして、我が国といたしましては、まだ拠出を行っていない国に対しまして、中南米諸国の経済開発を促進する観点からMIFへの拠出をさらに積極的に呼びかけていきたいというふうに考えておるところでございます。
#188
○村田誠醇君 わかったようなわからないような説明ですが、先ほど日本にとって中南米は大変重要なところだと御説明があった。ところが、ODAの予算を見ましても、それから輸銀の今までの実績、ODAも実績ですけれども、見ていきますと、日本は特定の地域に偏るということではなくて比較的まんべんなくやっておるわけですね。どちらかといえばアジアがやはり中心になっている。その意味では、中南米というのは今まで余り日本の分野として、こういう輸銀やODAの実績からすれば余り出していない地域なんです。
 日本人の移民がたくさんいるとか、日系の大統領が出たとか、こう言われておりますけれども、メキシコだけを見ても、八九年までの円借款は累計でわずか三百億ちょっとしかしてないんですよね。ところが、九〇年、九一年にはそれと同額ぐらいの金をぼんぼんぼんと出しているわけです。急に中南米だけを大切にするというのはちょっとわからない。だから、日本の援助のスタンスが変わったんでしょうかということなんです。中南米を重視するという方向にきているのかどうか。これはいろんなデータを見ても、中南米向けと中近東、アフリカ向けとほぼ同じぐらいな比率をしている数字なんですね、私どもまだ八九年から九〇年ぐらいの数字しか持っていませんけれども。だから、ここへきて急に中南米向けを重要視する、これはちょっとよくわからないんですけれども、日本の援助のスタンスが変わったのか変えたのか、どっちなのかちょっとお聞きしたいと思います。
#189
○政府委員(江沢雄一君) 従来、中南米への援助が相対的に少なかったことは事実でございます。例えば、一番最新のODAの数字でございますが、中南米向けのシェアは八%ぐらいにとどまっております。先生御指摘のとおり、アジアが六割を超えるシェアになっておるということでございます。日本の経済力が高まり、国際的な期待が高まりますと、従来のアジアのみならずほかの世界の国々から経済開発のための援助要請が強くなってくるわけでございまして、これらの要請にいかにこたえていくかということは全体のバランスをよく考えながら対応していかなければならない問題であると思います。
 ちなみに、この国際開発金融機関への協力について申し上げますと、アジア開発銀行に対しましてはこれまで我が国は出資、拠出で七十五億ドルの協力をしております。それからアフリカ開発銀行に対しましては約二十六億ドルの協力でございます。これに対しまして、米州開発銀行に対しましては今回の五億ドルを加えましても全体で十三億ドル強の出資、拠出ということになるわけでございまして、今回のMIFへの協力というのは決してラ米偏重ということではございませんし、全体としてバランスを失する協力というふうにも考えられないと思っております。
#190
○村田誠醇君 それじゃ、事前に中南米諸国に対する円借款の供与と債務の繰り延べの実績を表でいただいたんですが、これお手数なんですが、国別がわかりましたら、金額までは無理でしたら、どの国が対象になっているのかだけでも教えていただけますか。
#191
○政府委員(江沢雄一君) 一九九〇年以降の中南米に対する円借款それからリスケについて御報告いたします。
 一九九〇年以降現在までに我が国は中南米に対しまして千八百六十二億円の円借款を供与しております。そのうち主要国について申し上げますと、メキシコが七百五十五億円、ペルーが五百四十六億円、パナマが百三十億円、ジャマイカが百二十二億円等でございます。
 それから、この同じ時期に輸銀、基金を合わせまして中南米諸国に対する債権のリスケを総額千八百七十二億円実施しております。国別の内訳を主要国について申し上げますと、メキシコについて千百二億円、ブラジルにつきまして四百六十八億円、アルゼンチン二百一億円等、七カ国に対しましてリスケを行っておるわけでございます。
#192
○村田誠醇君 国別のものを言っていただいたらよくわかると思うんですが、先ほども言いましたように、メキシコには九〇年から三カ年で七百五十五億円出しておる。ところが、その前は累計で三百億ちょっとしか出していない。そういうことで、特に中南米にこのところへきて大量の公的融資を行うというのはどうもよくわからないんですよね。本来でしたら、米州開発銀行に出資を増額して拠出金を多くするというのならわかるんですが、このIDBの通常資本のシェアというのはわずか日本は一・〇八%で十一位なんです。ところが、今度のMIFの拠出額はアメリカと並んで五億ドル出すというわけですね。日本よりも多くの資本負担割合をしている国よりもそれを飛び越して日本だけが多いというのは、これはどういう交渉の結果として出てきたものなんでしょうか。
#193
○政府委員(江沢雄一君) 先生御指摘のとおり、米州開銀本体に対します日本の出資シェアは一%ちょっとでございます。私どもは、中南米への今後の協力を深めていく上で、米州開銀に対する出資をふやして資金的な面あるいは人的な面で引き続き協力をふやしていきたいというふうに考えているわけでございますが、実はこの米州開銀の協定によりまして域内国と域外国が区別をされております。域外国に対しましてはシェアが八%以下に制限をされておるわけでございまして、この域外国の中では日本は第一位のシェアを占めております。したがいまして、日本がこのシェアを高めていくためには協定改正が必要になるわけでございまして、日本といたしましては、この協定を改正して日本の協力がさらにふやせるように働きかけをしておるところでございます。米州開銀の事務当局も日本の立場を理解しておるというふうに考えております。
 それはそれといたしまして、先ほど来申し上げておりますように、中南米への日本の協力、しかも民間投資の促進という中南米諸国の経済の水準あるいは今後の経済開発の重点事項としての民間部門の開発という観点から、非常に適切なプロジェクトでありますMIFに日本として積極的に協力をすることにしたということでございます。
#194
○村田誠醇君 同じく米州投資公社、こちらの方の出資シェアは改定するたびに少しずつ上がって現在二位まで来ていますよね。だから、これは国際条約に基づく約束であるといえばそれきりだと思うんですが、こちらの方の米州投資公社にはそういう域外国とか域内国とかという区別、これはない。そのためにシェアが日本の経済力が高まるに従って上がってきた、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
#195
○政府委員(江沢雄一君) 先生御指摘のとおり、IICにつきましては域外国のシェアの上限というのは決められておりません。したがいまして、日本の協力に応じてこのシェアが上がってきておるわけでございまして、このIICにつきましても、いわゆる域外国の中では日本が第一位のシェアになっております。
#196
○村田誠醇君 それじゃ政府が実施を国際公約をしました六百五十億ドルの資金還流計画の中で、地域別、先ほど説明なさったのは全体を指して言っておると思うんですが、そのうちの実績で結構でございますので、中南米向けの部分はどのような数字が出ているのか、ちょっと教えていただけますか。
#197
○政府委員(江沢雄一君) 資金還流の地域別の配分でございますが、中南米に対しましては二月までの実績で約二七%のシェアになっております。ちなみに、アジアが約五〇%、それから中近東・アフリカが二一%でございます。
#198
○村田誠醇君 先ほど六百五十億ドルの還流計画の実績が八三%ぐらい。これは輸出入銀行とODA、それから国際機関の分だと思うんですが、これの数字の、先ほど言いました全体の二七%ということでいいですか。この三つの柱のトータルが中南米の部分が二七%という理解でよろしいんですか。
#199
○政府委員(江沢雄一君) 実は、国際機関を通ずる資金還流につきましては、ちょっとほかの資金と一緒になりますので地域別の分類がございません。したがいまして、輸銀、基金を通じます二国間のベースの資金還流について申し上げたわけでございます。
#200
○村田誠醇君 そうすると、三百五十億ドル部分の二国間ベースの数字ということですね、ベースが。
 もう一つもしわかったら教えていただきたいんですが、輸出入銀行の資金を使う場合、輸出入銀行が直接借款をする場合とそれから国際機関との協調で融資をする場合と二つに柱が分かれておると思うんですが、今御発表のありました二七%というのは、そのうちのどれがどの部分に当たるのか、大ざっぱで結構ですが教えていただけますでしょうか。
#201
○政府委員(江沢雄一君) 申しわけございません。ちょっと手元に資料がございませんが、輸銀、基金いずれもその単独の融資それから協調融資、合わせた数字でございます。
#202
○村田誠醇君 それじゃ少し角度を変えまして、中南米の対象となります国々の経済状態についてちょっとお聞きをします。経済状態といいましょうか経済の状況についてお伺いをしたいんですが、先ほどの御説明がありましたように、公的債務、公的債務というか民間銀行の債務がかなり多額に累積をしておって、経済の状態が悪いというのが七〇年代からずっと言われてきているわけでございますが、現在の状態は一体どのように、中南米地域全体として言えるのか。あるいは、俗に呼ばれております、中南米地域の経済、停滞の八〇年代どこう言われているわけでございますが、この中南米の地域が八〇年代、なぜこんなに経済が悪化したのか、その構造的な原因というんでしょうか理由というんでしょうか、その辺についてはどういうような御見解をお持ちなのか。
 これは要するにこの地域をどうやって経済を発展させていったらいいかということとつながってくるわけでございますから、一体八〇年代がどんな状態だったのか、その原因がどこにあったのか。それから、現在といいましょうか、九〇年に入ってから顕著になってきた、あるいは中南米の置かれている現在の経済的な状況についてちょっと御説明をいただきたい。
#203
○国務大臣(羽田孜君) 第二次オイルショック、この後に八〇年代初頭は世界的な景気後退が続きました。一次産品市況が低迷したということが一つ。それまで過大な経済拡大策を行っており財政赤字を蓄積しておりました中南米諸国では、外的な要因というものもございまして巨額の累積債務とインフレの爆発が生じたというふうに心得ております。その後、国内で引き締め政策を行った結果、八〇年代を通じまして一人当たりの国内総生産成長率がマイナスになるような深刻な経済状況に見舞われたというふうに理解しております。
 最近におきましては、このような困難な問題に直面しつつも、いわゆるインフレの抑制ですとか財政赤字の削減など、IMF等の国際協調、こういったものに沿った経済努力というものの効果というものがあらわれておりまして、これからは市場経済に基づく経済改革というものが進展していくんじゃないのか、そういう明るい兆しというものが見えてきておるというふうに理解をいたしております。
#204
○村田誠醇君 状況の推移は私も同じように大体理解しているんですが、要するになぜ八〇年代にそれだけの巨額の累積債務を抱えるようになったのか。ただこれは石油ショック以来というだけでは、経済の状態の分析としてはちょっと困るといいましょうか、極めて表面的な結果だけでございまして、なぜ――じゃこういうふうに表現したいと思うんですね。アジアの地域、NIESの国々は同じ八〇年代では極めて経済成長率が伸びている、ぐんぐんぐんぐん伸びているわけです。もちろんアジアの中でも韓国のように巨額の累積債務を抱えている国もあるんだけれども、一回もこういうリスケなんかを起こさずに何とか切り抜けているし、奇跡の発展と呼ばれるほどアジアのNIESの国々は伸びているわけですね。
 これと対比した場合に、ちょうど地球の裏側みたいな感じで、中南米だけが同じ八〇年代に後ろ向きの成長、つまりマイナス成長を記録している国が圧倒的に多いわけです。何でこういう状態が出てきたのか。経済構造に一体何か問題があるのかなというふうにも思うんですよね。だから、そういう意味で一体中南米の地域の経済が何か問題を持っているのかということでございますので、もうちょっとできれば御説明をいただきたい。
#205
○政府委員(江沢雄一君) 今大臣から御説明ありましたことに尽きるわけでございますが、中南米諸国、国によってそれぞれ事情は違うと思いますが、一般的に八〇年代経済の拡大策を積極的にとった国が多かった、しかもそれを海外からの借り入れで賄った。政府が国営企業等を活用いたしましてみずから経済の運営をしておった。そのための資金を海外から大量に借り入れだということが一つあろうと思います。それからまた、経済運営のあり方としまして言われておりますのは、アジアの諸国が輸出産業の育成に力を注いだのに対しまして、中南米諸国は輸入代替産業の育成に努めた。この開発戦略の違いが、やはり輸出産業育成をとりましたアジアの方にむしろプラスに作用したというふうなことも言われておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、こういう中南米の経済政策がオイルショック後世界経済の停滞に直面いたしまして行き詰まった。また、金利が上昇いたしまして元利払いに支障を来したということが背景ではないかと思っております。
#206
○村田誠醇君 ありがとうございます。
 この中南米の地域は、歴史的に見ても経済的に見ても俗に言うアメリカの裏庭と、こう呼ばれているわけでございまして、本来的にいけば、本来的という表現は悪いんですが、アメリカが中心になってこれは支えていくといいましょうか主導権を発揮するべき地域だと思うんです。とこうが、今の局長さんの御説明があったように、アメリカが自分のところの双子の赤字を解消するために高金利政策をどんどんとっていったことによって、逆にアメリカにこの中南米の民間資金がどんどんどんどんと流入していったということが一番の大きな影響だと私は見ているわけでございます。
 そのアメリカが今度は景気刺激策という意味で少し金利を下げてきた。この結果、最近メキシコだとか一部中南米の方、中南米というかカリブ海の周辺の国々の経済状態が好転した、よくなってきて、流出していた民間資金が国内に還流し始めたという報道がなされているわけでございますが、最近のこういう動きについて、どのような資料というんでしょうか認識をお持ちなのか、高金利から低金利に変えたことによって中南米諸国にどういうような経済的な影響が出ているのか、ちょっと概略御説明いただけますでしょうか。
#207
○政府委員(江沢雄一君) これも先ほど大臣からお触れになった点でございますが、この中南米諸国がIMF等の国際機関と協力をいたしまして経済再建に取り組んできた、インフレの抑制、それから財政赤字の削減によりまして市場経済に基づく経済改革を進めてきたということが基本にあるわけでございます。それと、御指摘のように金利の低下が金利払いの負担を軽減したという面もあろうかと思います。
 ちなみに、メキシコの例で申し上げますと、いわゆるデット・サービス・レシオ、元利返済と輸出額の比率でございますが、これが一九八七年末には四〇%、つまり輸出の四割を債務の返済に充てなければいけないという状況でございましたが、それが九〇年末には二八%ぐらいまで減ってきた。これは債務の返済負担としては非常に大きな変化であるわけでございます。また、債務残高のGNPに対する比率も八七年末の八二%から九〇年末には四二%まで落ちてきておるということでございました。同時にマクロ経済について見ますと、メキシコは同じ一九八七年に成長率が一・七%でございましたが、昨年、九一年の見込みは回ないし四・五%というところでございます。また、インフレ率も八七年の一六〇%に対しまして昨年は一六%ぐらいまで落ちてきておる。
 メキシコの例をとって御説明いたしましたけれども、そのほかのベネズエラでございますとかアルゼンチンですとかチリですとか、それらの国もいずれも実質成長率がプラスに転じるということで、かなり経済情勢の好転が見られるわけでございます。
#208
○村田誠醇君 学者の中では、極端に表現しますと、日本ぐらいの構造的な黒字、国際収支の黒字を記録しても中南米全体で現在持っている債務を返済していくのほかなりきついんだ。この地域がそのくらい表現を悪くすれば借金をしてしまったんだ。今の経済状態の発達の段階でいくとこれはなかなか返し切れないだろう。さらに、表現が悪いと言っては申しわけないんですが、第一次大戦で負けたドイツが賠償で国内の資金を払った金額よりも多くを今現在、元利払いで払っている、それを超える額を払っているという試算をしている人もいるくらいでございますから、相当、多少経済がよくなっても国際資金といいましょうか外貨繰りという点ではきついんだろうと思うんですね。
 そうすると、どうしてもちょっと経済が停滞すると、要するに社会構造を含めた経済構造の改革をするということを片っ方で国際的に約束していますから、どんどんどんどんとそれは実施をしなきゃいけない。要求されている。ところが、極端な表現をすれば、これを十年間もやってきたわけでございますから、そして成長が伸びない、この結果として、国内において政情不安を各国みんな抱え込んじゃっているわけです。多少インフレは鎮静化してくる様相は呈してきていますけれども、政情不安であるという点においてはなかなか変わらないんだろうと思うんです。
 そうすると、我が国として、単にこれ経済的な支援をするということだけじゃなくて、世銀等が言っておりますそれぞれの国の構造改革、経済の構造的な改革を余力強く言い過ぎるとこれは逆効果になるんではないかと思うんですが、その点についてはいかがでございましょうか。
#209
○政府委員(江沢雄一君) 先生御指摘のとおり、IMF、世銀等の経済改革プログラムにつきまして、政治的にかなり厳しい状況にあった時期もあるわけでございますが、最近ではこれら経済政策の健全化に対しまして一般の国民から大変な支持を受けておる国も出てきております。先日日本に来られましたペルーの場合もそうでございますし、アルゼンチンにつきましても非常に厳しい政策をとっておりますが、現政権が再選をされるというふうなこともあるわけでございまして、経済の基本的な状況を改善し、成長を軌道に乗せるということが次第に中南米の各国の人々に理解されるようになってきたのではないか、それがまた実体経済の好転とパラレルに動いてきているんじゃないかというふうに見ております。
#210
○村田誠醇君 それじゃ、ひとつ輸出入銀行の方についてお聞きしたいんですが、当初こういう国際的な資金の還流計画というのは、八六年のIMF・世銀の年次総会で当時の宮澤大蔵大臣が輸銀のアンタイドローンを活用して世銀との協調融資で日本の黒字資金を海外へ還流させていくんだと、こういう構想を述べたのがきっかけ、きっかけといいましょうか、これを具体化してきたのが今回の六百五十億ドルの還元だったんですね。
 そうしますと、ここで当時の宮澤大蔵大臣が述べているように、輸銀のアンタイドローンを利用していくんだと。これがデータで見てみましても相当、どんどんふえている。本来、輸出入銀行というのは、その発足の経過から見てみますと、日本の輸出市場を確保する、あるいは日本の企業の輸入するものを、重要な物資を安定的に供給できるように整備をしていくということで、日本と直接関係をした相手国という感じで運営してきたわけでございますが、この輸銀のアンタイドローンというのは、日本の輸出に直接結びつけるということじゃなくて、世界経済の中で日本が安定的に伸びていくために他の国々の経済援助をする。これが直接日本の輸出入につながらないという意味で世界的に歓迎されている措置でございますよね。
 そうすると、当初の発足の目的である輸出入銀行は、日本の貿易、輸出入をどう安定させるかとんどんどんとふやしていくんだということになると、全然違う性質のものが一緒に同居しているといいましょうか、そういう現象が出てくるし、むしろ国際還流のアンタイドの部分が多くなれば日本の輸出入とは直接関係ない部分が性格が強くなってくるということになるわでございまして、この辺で機能分離をするのか、もしくは輸出入銀行という名称も含めて性格をもう一度変えないと矛盾してくるんではないかなというふうに思うんですが、その点についてはいかがでございましょうか。
#211
○政府委員(江沢雄一君) 先生御指摘のとおり、輸銀のアンタイドローンが最近非常に増加していることは事実でございます。しかし、輸銀の資金が世界に貸し付けられることによりまして世界経済が一層発展をし、日本との経済交流が深まっていくということは、輸銀法の目的にもかなっておると思うわけでございますし、またアンタイドのローンが調達面で日本からの調達を認めないということではなく、世界各国の企業が同じ条件で参加をできるという意味でございますので、その意味では日本の企業にもチャンスがあるわけでございます。そういう意味で、日本輸出入銀行の全体の目的というものに十分がなっておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#212
○村田誠醇君 日本がこういう措置を打ち出したというのは、日本の貿易黒字がかなり多額になってきたから還流するという側面と、今言われたように、日本の輸出に直接関係してない、リンクしてない、まあ表現を変えればひもつきでない援助だったから各国が非常に喜んで使わせてくれと、こういうことなんですよね。それは、確かに日本もそのうちの選択肢の一つですから、場合によったら海外から発注したこの資金を受けて行う事業の結果として日本の貿易がふえるかもしれないけれども、それを直接目的としているわけではないわけです。
 つまり、もっと極端な表現をすれば、日本における国際的な公的な援助機関、ODAとはまた別の意味でですよ、そういう性格の方がだんだん強くなってくる。輸出入とは直接的に関係ない部分が輸出入銀行の業務の比率としてふえてくるということが将来僕は見込めるんじゃないかと思うんです。
 これはその次に聞こうと思っているんですけれども、この六百五十億ドル、まだ完全に実績を一〇〇%超えているわけじゃないです、ODAの予算は一〇〇%目標額を突破しているみたいでございますけれども。要するに、次の還流計画を立てるとすれば、輸銀の資金のアンタイドローンももっとふえてくるわけでございますよね。そうすると、さっき言ったように、性格上、輸出入銀行という、日本の輸出入に直接絡むという部分というのはだんだん少なくなってくるんじゃないかと思うので、私はこの際、輸出入銀行の性格、位置づけを含めた抜本的な検討をなさる時期に来ているんではないかということだけ意見として述べさせていただきます。
 いずれも、三百億ドルの資金還流計画、続いて三百五十億ドル追加したこの還流計画は、サミット前に大体まとめてサミットで報告を、日本がこういうことをやりますよということを大体表明しているんですね。期日、期限というのかな、大体のかなりの達成率になったので、この次どうするのかということをそろそろ検討もしなきゃいけないでしょうし、論議もなさっていると思うんですが、第三次と言っていいのかわかりませんが、この次の計画等、考え方等がある程度表明できるのであれば、この場でこんなような計画をとか構想を今考えているというふうに、ありましたら言っていただけますでしょうか。
#213
○政府委員(江沢雄一君) 世界的な資金需給を見ますと、途上国の開発資金需要は引き続き強いわけですし、また東欧とか、将来におきましては旧ソ連の経済改革のための資金需要も強くなるわけでございまして、世界的に不足がちな資金をいかに供給していくかというのは非常に重要な課題であろうと思います。
 そういう観点で、従来からこの資金還流計画を実施してきたわけでございますが、こういう資金還流という考え方は、これまでの計画を実施していく過程で我が国のいろいろな対外施策の中にかなりの程度いろいろな形で定着をしてきておるというふうに考えられます。
 したがいまして、今後ともそういう実績を踏まえまして、さまざまなチャンネルで資金還流に努めていくことといたしたいと考えております。現時点において具体的な計画、新たな計画というものは立てておりませんが、引き続き資金還流に努力をしていきたいということでございます。
#214
○村田誠醇君 最後になりますが、本来、公的な金を幾ら突っ込んでも、最後、最後といいましょうか、民間の資金がその後に続いてこないと経済の復興というのは、経済の発展というんでしょうか、なかなかないわけですね。限られた資金だけではどうしょうもない。注ぎ水が公的なものでありまして、本来的には民間の資金がどんどんとその後に流れてこなければいけない。そういう意味で、日本の国内の資金をいかに還流させるかということも当然論議をしなきゃいけないわけですね。
 ところが、その場合に一つ問題が出てきますのは、BIS規制との関係で、カントリーリスクをどう見るかということ、今ゼロか一〇〇という比率で見ているそうでございますが、これは国によって一〇〇%危険なところもあるでしょうし、一〇〇%安全だと言われる国もあるでしょうし、白か黒かと、こういうような分け方では確かにいろいろ問題があると思うので、何か大蔵省の方では段階を追って、段階というんですか、国、ランク別をしてカントリーリスクを評価しようと外為等の審議会で論議をなさっていると。この論議を受けて海外で働きかけをして認めてもらおう、こういうような構想があるというふうに聞いておりますが、その辺の考え方、進みぐあい、あるいは直るのかといったらちょっと語弊がありますが、要求が通るような状況なのかどうかも含めて御説明をいただいて私の質問を終わらせていただきます。
#215
○委員長(竹山裕君) 時間が来ておりますので、江沢国金局長、簡潔に。
#216
○政府委員(江沢雄一君) 先生御指摘のとおり、外為審におきまして、民間資金の途上国へのフローを円滑化するための方策について議論をしていただきまして、昨年の五月に報告書をいただいております。その中で、BIS規制におきます国別のリスクウエート等のあり方も将来の検討課題であるという意見が多かったということが述べられておるわけでございます。
 内容的に申し上げますと、このBIS基準では、OECD諸国と及びサウジアラビアなど、いわゆる先進国につきましてはBIS基準のリスクウエートをゼロといたしまして、その他の国は一律一〇〇%という基準にしておるわけでございますけれども、これは、この基準が必ずしも適正ではないという意見があることは事実でございます。
 しかし、これを変更する場合に、だれがそのリスクの度合いを判断するのか、あるいはほかのBISのルールとの関係はどうすべきなのかというふうなことを検討する必要があるわけでございまして、私どもとしては、当面慎重な対応が必要ではないかというふうに考えております。
#217
○白浜一良君 私、法案の内容に入る前に、最近の国際金融の動向に関しまして、三点ばかりまず初めに大蔵大臣にお伺いをしたいと思うわけでございます。
 まず第一点目は、これはアメリカにいらっしゃるイスラエルの外交筋の話ということで、アメリカが百億ドルの信用供与を非常に渋っておるということでございます、これは中東和平の絡みがございまして。そういう状況のもとで、日本の民間銀行にイスラエルがいわゆる融資を打診しているという、こういう情報がアメリカから伝えられておりますが、この件は大蔵省は御存じでございましょうか。
#218
○政府委員(江沢雄一君) そのような報道があったようでございますけれども、私ども主要邦銀に事実関係を確認いたしましたが、邦銀からはこれまでそのような話があったというふうには聞いておりません。
 いずれにいたしましても、民間銀行が個別の融資案件に応じて貸し付けを行うかどうかはそれぞれの銀行の経営判断の問題でございまして、私どもがどうこう言うことではないのではないかというふうに考えております。
#219
○白浜一良君 大臣、よく聞いてくださいよ、要するに、一つは、それは知らないとおっしゃいますけれども、日本の銀行がこの動きに対してコメントしているんですよ、具体的に。だから、そんな情報あるらしいですけれどもと、そんな簡単なものじゃないですよ。これが一つです。
 もう一つは、あくまでも民間銀行ですから当然民間銀行が判断されればいいんですが、このイスラエルの問題というのは、御存じのように対アメリカとの問題もございます。対アラブとの問題もございます。非常に政治的に判断をしなければならないから私これ質問しているわけです。単に民間銀行の判断でよ付ればこういうところで私こんな問題にしないわけですよ。大臣、どうですか。
#220
○国務大臣(羽田孜君) これは湾岸というだけでなくて、あるいはその以前あたりからも日本からの進出というのや、イスラエルの方々から日本に進出したいというような話が実はあったわけでありますけれども、ただ、今局長の方からも申し上げましたように、これはまさに銀行が進出するというだけでなくて、日本の銀行に協力してくれ、いわゆる融資してほしいというような話につきましても、これは政治的にというより、やはり民間の銀行でございますから、民間の銀行みずからが判断してもらうことであろうと思っております。
 しかし、私どもといたしましても、最近の特にそういう動きがあるということでございますので、その辺は注意していきたいというふうに思います。
#221
○白浜一良君 非常にセンシブルな問題がございますので、これは単に民間の判断だけではなしに慎重に賢明に判断をしていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
 二点目にお伺いしたいことは、先ほど非常に詳しくアルシュ・サミットで合意されました六百五十億ドルの資金還流の問題、いろいろ審議されました。先ほどの答弁によりますと、二月末で約八四%達成と、こういうことでございますが、これは本年末で当初の五年計画どおりほぼ一〇〇%いくということでございますか。
#222
○政府委員(江沢雄一君) まだしばらく時間がございますので、私どもといたしましては、これまで順調に実施されてきたということもございますし、予定どおりの計画達成の可能性は高いと考えております。特に今御審議をいただいております国際金融公社への出資あるいは米州開発銀行の多国間投資基金等への拠出、あるいはアジア開銀の特別基金への増資、あるいはアフリカ開銀の特別基金への増資等国際開発金融機関に対する出資がこれから控えております。そういうことも踏まえて、また輸銀あるいは基金等の今後の融資もございますので…
#223
○白浜一良君 簡単にしてください。もうほぼいけるということでいいです。
#224
○政府委員(江沢雄一君) 実現の可能性は高いというふうに考えております。
#225
○白浜一良君 時間が限られておりますので、できるだけ答弁は手短にお願いしたいと思います。
 それで、この問題に関しまして先ほども問題出たんですが、いわゆるこれ国際公約ですから、本年末で大体達成されるということで、新たな還流計画という面で、先ほど局長はさまざまなチャンネルでと、こういう答弁されました。確かにそうかもわかりません。しかし、私思いますのは、確かに量的な問題、いろんな機関を使ってという、そういう問題もございますが、大事なことは、こういう多額な資金還流でございますので、これからの新しい資金還流というのは、やはり一つの理念を持って、例えば環境ODAに非常に力点を置くとか、いろんなチャンネルありますから、それは難しい問題もございます。しかし、一つの理念としてこういう方向に力点を置いてやるんだと、こういうことがやっぱり財政当局としてもあってもいいではないかと私は思うわけでございますが、これ大蔵大臣どうでございましょうか。
#226
○政府委員(江沢雄一君) 援助につきましては、従来から我が国と世界との相互依存、あるいは人道的見地ということで援助の基本的な考え方としてきたわけでございます。これに加えまして、この資金還流、我が国の黒字をいかに世界に還流していくかという観点で、今先生御指摘のありました環境問題も含めましていろいろな新しいニーズにもしっかりとこたえていく必要があるというふうに考えております。
#227
○白浜一良君 もう一点。
 民間部門の還流が非常に減少しているということで、これを活性化せにゃいかぬということで先ほどお話がございました。BIS規制の問題が一つ出ましたが、民間資金を還流するときに非常に大事な部門でございますので、今後これをふやすためにどのような対策を当局として考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
#228
○政府委員(江沢雄一君) 実は、先ほどもちょっと出ました外為審におきまして、国際的な民間資金フローの円滑化を促進するためにどういう方策があるかということをいろいろ議論していただきまして、昨年の五月に報告書が出ております。
 民間資金の途上国へのフローを円滑にするためには、途上国の受け入れ環境を整備することも重要でございます。例えば、健全な経済政策をとるとかあるいは政治的な安定が図られておるとかいうことも必要でございますけれども、同時に、二国間の資金あるいは国際機関からの流れを促進することも必要なわけでございまして、非常にいろいろ細かい措置をとることによりましてこの民間資金のフローを円滑化していきたい。
 例えば、これまでに実施しました例といたしましては、途上国の投資のためのカントリーファンドというのがございますが、これを日本で上場するとか、あるいは途上国政府が発行いたします日本での円建て外債の適債基準を弾力化いたしましてできるだけたくさんの国が日本で起債をするようにするとか、あるいは民間金融機関と国際金融機関とが協調融資をするとか、そういうふうないろいろな形をとりまして民間資金の途上国へのフローを促進するような方策を、一つ一つは細かいことでございますけれども、それを積み重ねて全体のフローを拡大していくように努力をしていきたいというふうに考えております。
#229
○白浜一良君 しっかりお願いをしたいと思います。
 三点目にお伺いしたいことは、先日IMFの報告書というのが提出されまして、いわゆる円の国際通貨化はまだである、こういう報告でありました。これは御存じだと思いますが、どのような感想をお持ちになっておりますか。
#230
○政府委員(江沢雄一君) 我が国は円の国際化をもう少し進めるべきであるという基本的な立場に立っておりまして、日本の金融市場、特に短期金融市場の自由化などを進めまして諸外国が円を使いやすいようにしていくという、その環境づくりに努めているところでございます。
 この円の国際化というのは、当局が推進して実現するものではなく、当局としましてはその環境をつくることによりまして内外の関係者が円に対するなじみを持ち、また円を持つことに魅力を感じるような、そういう状況をつくっていくことが必要ではないかと考えております。
#231
○白浜一良君 大臣、このIMFの報告の中に、具体的な問題として、例えばユーロ円分野を初め金融市場に一部規制が残っているのに、要するにまだまだ開放されていないということですね、これが一つ。それから、米国を中心とする先進国に偏った輸出がある、それからドル建て主流の輸出である、こういう問題がいろいろ指摘されておりまして、世界最大の債権国に日本は実際になっているわけでございますが、しかしその割に円というのが国際的な通貨としてなっていないという、こういう現状があるわけでございますが、この辺具体的に当局としてはどのようにされていくのかにつきまして大臣のちょっと所見を賜りたいと思います。
#232
○国務大臣(羽田孜君) 基本的には今、江沢局長の方からお答えをしたとおりでございまして、これは我々の方が、国がどういうふうに誘導していくというものではないでしょうけれども、実際に円建てのものが大分ふえてきておるという現状でございます。そういう中で、円に対する信頼といいますか、そういった中でこういうものは定着していくものであろうというふうに考えております。
#233
○白浜一良君 それでは、もう時間が余りありませんが、ポイントだけ何点か伺いたいと思います。
 まず、関税定率法の改正でございますが、これもるるもう審議がございました。一点だけ伺います。
 今、特別会計の石炭勘定、このうち九五%が石油等の関税で賄われているという実態であると伺っております。こういうふうに考えましたら、十一年目にはもうこれほとんど石油関税がなくなるわけですから、この石炭勘定、これが十一年目以降はなくなるのかどうか、これは具体的にお願いします。もしかあるとしたら、別の財源を含めて考えていらっしゃるのかどうか、この点だけを答えてください。
#234
○政府委員(黒田直樹君) 石炭鉱業の構造調整対策につきましては、十年間で完了するということで別途関係の法案も御審議をお願いしておるところでございまして、十年間で完了する、こういうことでございます。
#235
○白浜一良君 いや、石炭勘定はなくなるんですか。
#236
○政府委員(黒田直樹君) その辺の問題につきましては、先ほども御答弁申し上げたところでございますけれども、広い意味での石炭対策、現在これは石油税あるいは電源開発促進税等を財源といたしますエネルギー関係の特別会計の中で、例えば海外炭の確保の問題であるとか石炭の技術開発の問題であるとかいろいろな対策がございます。そういうものの今後の動向につきましては、今後のエネルギー事情の状況等を踏まえながらその段階で検討していくべき状況になろうかと思います。
#237
○白浜一良君 その答弁は先ほどの質疑で聞きましたからいいんで、私は勘定がなくなるかどうかということだけを聞いているわけでございます。
 それでは次に行きます。
 いわゆる皮革、革靴の関税制度の問題でございまして、これも一点だけ伺いたいんですが、保護貿易はできないということで、関税割り当て制度というか、そういうのが創設されたわけでございます。
 しかしながら、ずっと統計を見ましたら、この割り当て数というのは、輸入はどんどんふえていっているんですが、割方当ての枠数もどんどんふえていっていて、この二段階税率にされた意味が全く生きていない、そういうデータになっているわけです。そういった面でいわゆる自由貿易のルールを守るということ、これが一つ。もう一つは、国内のそういう業者を保護するという、この大事な二つの観点が非常に内実がない、こういう実態であるわけですが、これはどう考えたらいいんですか。
#238
○説明員(島田豊彦君) 御説明申し上げます。
 皮革、革靴の関税割り当ての枠の消化状況は、過去三年、八八年から九〇年、九一年度の三カ年を見ましても、大体八〇%から九〇%の消化率になっておりまして、これはほかの関税割り当て品目に比較しても遜色がない消化率になっております。
 これは、皮革、革靴の割り当てを受ける業者が数百から、物によりましては千数百に及ぶということで、商売、取引上の都合によりまして途中で割り当てを受けたものがすべて消化できないというような状況があるという、その結果であると考えられます。
 いずれにしましても、一次枠の設定につきましては関税率審議会の御審議及び今国会の御審議を経た上で決められるものでありますので、その際、国内産業の置かれた現状、それから諸外国からのアクセス改善の要求、双方を勘案して決定していきたいと思っております。
#239
○白浜一良君 時間がないのでもうこれ以上論議やめますが、国内保護という大きな柱も含めた制度でございますので、その辺しっかり考えていただきたい、そのことを要望しておきたいと思います。
 次に、これも既に出たテーマでございますが、いわゆる税関職員の仕事の問題でございますが、先ほども話ございました。私も資料もらったんですが、例えば空港を見ましても、平成三年以降の新たな路線は十九路線ございます。また、先ほどお話ございましたように、広島、岡山、新しい国際空港になったわけでございます。
 先ほども例えば岡山空港の話伺いまして、二名いらっしゃる、宇野から応援に行く、週四便である。これ、話は簡単なんですが、実際宇野もやっぱりそういうお仕事されているわけで、そこから週四便メンバーを出して、移動時間もかかるわけです。そういった面で私は余り無理な、人員を一方的にふやすということはなかなか難しいかもわかりませんが、やはり生身の人間でございますのでそういう勤務の状態をよく考えていただきたいということと、これも先ほどから話ございましたが、やはり水際で麻薬とか武器、刀類、そういうものを阻止するというのは非常に大事な職種でもございますし、どうか適正な職員の増員、それから処遇の問題、この辺十分に考えていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。言もらえますか。
#240
○政府委員(吉田道弘君) 先生おっしゃいますように、応援態勢というのは常駐の職員と比べますと確かに無理があるという点はあると思いますが、一方ではやはり地域の開発といいますか国際化の要請も非常に強うございます。そこで、各署所としてもできる範囲でということで今その応援態勢をとらせていただくわけでございまして、そこが署所の本来の業務に支障を来すような場合には、またそこの定員配置はどう考えるかという点も考えております。
 ただし、現実問題としまして、岡山の場合は月曜日、水曜日、金曜日、土曜日でございまして、火曜日と木曜日は飛行機がございません。したがって、そこにべったりと人間を張りつけるというのは、今の定員の非常に厳しい状況におきましてはなかなかそこは御理解はいただけないというのが実情でございますので、そこはやはり応援でつながざるを得ない。
 今後につきましても、最大の努力をして増員につきましては私どもも努力をしていくつもりでございますし、また処遇につきましても現在紋別定数の改定等にも最大の努力を傾けて努めているところでございまして、今後もその努力を引き続き行ってまいりたいと思っております。
#241
○白浜一良君 移動せざるを得ないというのはよくわかるんですが、私が言うたのは、必要以上の無理のないような体制にしてくださいねということを私言っているだけでございます。
 次に、本年一月にブッシュ大統領が来られまして、そのアクションプランによりますと、要するに日本の商社ががんでアメリカ企業が実際そういうお仕事をする、その貿易保険に、それに掛けるということで、五年間で五十億ドルという話でございました。
 それで、これ非常にいいこと、その考えもよくわかるんですが、実際仕事をしているのは米企業だと、日本の商社がかんでいる、それに対して貿易保険がかかっている。もし悪くしてトラブルが起こりましたら、全部貿易保険にはね返ってくるわけでございます。非常に悪くそういった面で考えましたら、これが一種の公的債務化していくのではないかというこういう危惧も考えられるわけでございますが、この点に関しまして御見解を伺いたいと思います。
#242
○説明員(岡本巖君) 御説明申し上げます。
 ただいま御質問の、私ども、それとアメリカの輸出入銀行との間の協調融資を中心とした協力でございますが、それぞれの、米輸銀あるいは私ども独自に引き受けの適否について判断をいたしますし、それから特に、その国の、相手国のカントリー情報などにつきましてアメリカ輸銀から非常に適切な情報をもらえるというところもございますものですから、そういうことを踏まえまして実際の引き受けに当たっては、返済の確実性というのを十分押さえた運用をこれまでもやっておりますし、今後もやってまいりたいと思いますので、先生御懸念のようなことが起きないように最大限の努力をしながら本件協力を進めていきたいと考えておるところでございます。
#243
○白浜一良君 そういう、危惧に終わることを望んでおきます。
 それから、これも先ほど審議されておりましたが、MIFに対する拠出の問題でございまして、なぜ中南米なのか、それへ力点を置かれるのかということを先ほど審議されたわけでございますが、同じような意味でございますが、なぜアメリカと同額なのか。これ局長とう思われますか、このMIFに対する拠出額が。
#244
○政府委員(江沢雄一君) 基本的に中南米への支援を深めていくことが必要であるということ、それから先ほどもちょっと申し上げましたが、今までの米州開銀に対する日本の協力の規模がほかの地域開発金融機関に比べまして少なかったというふうなこと、その辺を総合的に勘案した結果でございます。
#245
○白浜一良君 私、もう一点よくわかりませんのは、先ほども話ございましたが、IDBに対しては拠出は一・〇八%でございますね。域外国ですから当然それだけのいわゆる投票権も発言権もない、そういうことでございますが、しかし、ずっとこの経過を見ましたら、私もちょっと書物で見た話でございますが、例えば一つは、「本年一月に承認されたIDBの新財務戦略においては、円の借入残高を常時全体の三分の一程度にすることとなった。因みに一九九一年上半期における借入実績をみると、日本円は五一%ものシェアを占めている。」。
 実際的にいいますと、このIDBの中でも日本のいわゆる借り入れが非常に多い。これは事実ですね。それから二点目申し上げましたら、日本から開発途上国への民間資金の還流促進に資することをねらいとした日本特別基金、これは一九八八年に設けられております。それから三点目に申し上げましたら、人材育戒を図るために奨学金制度が日本の拠出により昨年度IDB内に設置された。それから四点目に挙げましたら、日本輸出入銀行及び海外経済協力基金、これがIDBと協調融資という形でIDBの融資活動を支援している。この二つの日本の機関がIDBにとって唯一の協調融資相手である。こういう事実。
 こういう事実から見れば、いかに域外国であったとしても、IDBに対する我が国のいわゆる発言力、これは国を代表しでこれだけの支援内容をつくっているわけですから、もっと持つべきではないか、これは当然論議として出てくるわけでございますが、こういったことに関して見解はどうですか。
#246
○政府委員(江沢雄一君) 先生御指摘のとおりでございまして、私どもも、これから中南米に対する協力を米州開銀を通じてやっていく以上は、日本のシェアを高め、発言力をふやしていくことが不可欠であると考えておりまして、米州開銀当局あるいは域内国の加盟国に対しまして繰り返し日本のシェアアップについて訴えているところでございます。
#247
○白浜一良君 大臣、私今四点申し上げました。IDBだけでもいわゆる拠出の一・〇八%でございますが、内容的にいうと物すごく日本はいわゆる応援しているんですね、御存じのように。その上に、そこのIDBという機構の中に今回新たにMIFという基金をまたつくるんですね。私が申し上げた以外にですよ。そこにアメリカと同額の五億ドルを拠出するという、こういう問題から考えましたら、貴重な日本のお金を使っているわけですから、もっとそれが日本の国を代表して、生きるように頑張ってもらうのが大臣の立場じゃないか。いろいろなそういう国際会議の席があると思いますが、私は大臣にしっかり頑張っていただきたい、そういう願いも込めまして、一言見解を求めたいと思います。
#248
○国務大臣(羽田孜君) その点につきましては、まさに、先日イグレシアス総裁が実は私のところにお見えになりました。いろいろとお話し申し上げましたときに、私どもとしても、ここまで日本がきたということ、そしてそういうことで御協力していくということ、これは積極的にやっていこうとしておると。ついては、やはり人的な貢献というものもしていきたい、そういう意味で日本の人たち、こういった人たちをさらにひとつちゃんとしたポジションにつけていただくと同時に、多くの人を採用していただくことも必要であろうということを実は私から申し上げ、また総裁も、そういったことを私は念頭に置きながらこれから対応していきたいというお話があったところであります。
#249
○白浜一良君 人の採用の面とかいろいろあるんですが、もっとそういう、日本のお金が実際世界の金融を動かしていると言っても過言ではないところまできているわけですね。それに見合ったいわゆる政治力というんですか、政治的なそういろ役割を果たしてほしいということを私は願望しているわけでございます。
 それから、世界的な資金不足問題に関しまして二点ほどお伺いしたいんですが、実は前の橋本十蔵大臣が、昨年五月一日のIMFの暫定委員会でSDRの活用を具体的に提唱されました。その後、このSDRの提案に関しましてどのような状況になっておりますか。
#250
○国務大臣(羽田孜君) ただいまお話がありましたように、我が国の方からこういった問題について提案をしたということでありまして、その後、昨年の十月の世銀・IMF総会におきまして、SDRに関する日本提案を理事会におきましてフォローアップすることを要請したところでございます。また、同総会におきましては、幾つかの国から我が国の提案を支持する旨の発言がございまして、またIMFのカムドシュ専務理事からも積極的に検討する旨の発言があったところでございます。
 本提案に関しましては、IMFにおいて今後検討が行われることになっておりまして、我が国としても主要国と意見の交換を行いつつ、引き続き検討を進めていきたいというふうに考えております。
#251
○白浜一良君 もう一点、今お名前が出ましたIMFのカムドシュ専務理事ですね、この方が、いわゆる先進国が軍事費を二〇%削減すれば毎年九百億ドルが他に転用できる、いわゆる軍縮をして、それで資金を浮かしてそれを流用しようという、そういう提案を。されておりました。ところが、一部途上国からはこれに対する批判の声も出ております。懸念の声も出ておりますが、日本の大蔵省としてはこの提案に対しましてどのような見解をとっていらっしゃるんでしょうか。
#252
○国務大臣(羽田孜君) 実は、その総会におきまして、三重野総務代理が御出席されたわけでございますけれども、三重野さんの方からも世界的な資金不足問題に関連をいたしまして、資金が将来の実体経済を支えるような実物投資に向かっていくことの重要性を強調いたしまして、過度の軍事支出など非生産的な公共支出を抑制する努力が各国に求められているところであるという発言を行ったところでございます。
 我が国といたしましては、今後一層の拡大が見込まれます世界的な資金需要というもの、これにこたえていくためには、世界的な貯蓄の増強、中でも財政赤字の削減が必要と考えておりまして、各国がその状況に応じまして過度な軍事支出等の非生産的な公共支出の抑制を図っていくことは世界的に望ましいというふうに考えておるところでございます。
 御案内のとおり、この四年度の予算におきましても、防衛費関係につきまては極力抑制を図ったところでございますけれども、今後とも財政事情ですとかあるいは国際情勢の変化等を踏まえつつ、極力そういった経費の抑制に努め、効率的で節度ある防衛力の整備を図っていきたいというふうに考えておりまして、先ごろ総理の方からも、こういった変化に備えまして、変化を見詰めながらいわゆる中期防につきましても前広に所要の検討をするようにということで、現在着手しておるということでございます。
#253
○白浜一良君 今の件に関しましては、望ましいとおっしゃるんでしたち、私、きょうは答弁求めませんが、やはり日本が伸びが減ったというだけではだめなんですよね。思い切った防衛費を削減して、それで初めてそういう有効な望ましいという、今大臣おっしゃった望ましいという、世界がそうなっていかなきゃいかぬという、そういう方向性を示せるんじゃないかということを訴えておきたいと思います。
 次に、CISの債務の問題でございます。
 いろいろ今議論されておりますが、公的債務がどのぐらいあるのか、また民間の債務がどのぐらいあるのか、これおわかりでしたら教えてください。
#254
○政府委員(江沢雄一君) 旧ソ連全体といたしまして債務残高約六百億ドル、うち公的債務、それから民間債務、半々ぐらいだろうと言われております。
#255
○白浜一良君 それ、日本はわかりますか。
#256
○政府委員(江沢雄一君) 実は、先生のせっかくのお尋ねでございますけれども、個別国の旧ソ連の対外債務に関するデータにつきましては、その国のいろいろな立場もございまして、その国がみずから発表する場合を除きまして債権者の立場にある我が国政府等から公表を行わないというのが国際的な了解事項となっておりまして、この点は申し上げられない点を御理解いただきたいと思います。
#257
○白浜一良君 まあ、言えないということらしいんですけれども、こういう今非常に、CISに対する実質的な支援ということもございますし、これは国際協調でやっていかなきゃならない問題もございますし、やはり何といいましても、支援する以上は国庫と申しますか、それぞれの国民の支持というものがなければならないわけで、そういった面でのやはりある程度事実を明らかにして、その上で支援をしていくという、そういう態度をやっぱり私はしっかり示していただきたい、このように思うわけでございます。これ、押し問答してもしょうがないですから。
 ただ、今月の三十、三十一日にCISの債権国会議がフランスで行われるというふうに書いてありますが、これに臨む日本の大蔵省としてのお立場とか考えとか、まとまったものがございましたらお教えください。
#258
○政府委員(江沢雄一君) 旧ソ連の債務につきましては、債務の返済延期を一時的に行うことで主要債権国間の合意ができておりまして、本年の末まで一定の債務について元本の返済を猶予することになっております。ただし、これにつきまして、三月末の時点で旧ソ連の実情をレビューしてこの債務返済延期を継続すべきかどうかを検討することになっておりまして、このための債権国会議を三月末に開催することになっております。
 今、旧ソ連の国内情勢、非常に困難をきわめておりまして、実は利払いが一部遅延をしておる部分がございます。これを債権国側としてどういうふうに考えるか、そういう状況にもかかわらず従来の措置を継続すべきかどうかということがテーマになろうと思いますが、日本といたしましては、ほかの主要国と協調しながら適切に対応していきたいと思っております。
#259
○白浜一良君 本当はもっとやりたいんですが、もう時間がないので、最後に大蔵大臣、過日の予算委員会で私、外務大臣に今ロシアで考えられている通貨安定基金、これはIMFとロシアがずっと打ち合わせしているわけです。
 これも報道なんですけれども、外務省のあるトップの方が、ロシアがIMFに加盟した段階でG7、日本もその一員ですから、当然その通貨基金に協力しようというニュアンスの話をされていたんですが、あの予算委員会では外務大臣は非常に厳しい態度、返事をされました。しかしながら、今アメリカは、別にニクソン元大統領が言ったわけではございませんが、やはりロシアを支援せないかぬという、そういう大きな流れでロシアの通貨安定基金に対しても非常に前向きな報道が今されております。
 これは大蔵大臣の立場で、いわゆるロシアの通貨安定基金に対する協力問題、どのようにお考えになっているか伺いまして質問を終わりたいと思います。
#260
○国務大臣(羽田孜君) ロシア側の要請というのは実はこの問題につきましてまだ内容が必ずしも明確でないという事実がございます。また、その効果というものについても、まだ私たちも本当にこれが効果をあらわすものだろうか、むしろいわゆるCISの信認といいますか、全体の信頼ですね、そういったものがあるということで慎重な検討が必要であろうと思っております。
 いずれにしましても、ロシアの経済改革の包括的なプログラム、これはIMFの方と今いろいろと検討しておるところでございまして、いずれにしましても、当面ロシアにおける経済改革のプログラムの策定ですとかあるいは実施状況、こういうものを見守っていきたいというふうに思っております。そして、いずれにしましてもあれだけ大きく市場経済に向かって動いたわけでございますから、私どももこれが後戻りということはもうできないだろうと思いますけれども、これがもうがたがたになってしまったんじゃこれはどうにもなるものじゃありません。そういった意味で各G7のグループなんかともよく話し合いながら我々としても積極的な協力はしていきたいというふうに思っております。
    ―――――――――――――
#261
○委員長(竹山裕君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま久保亘君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷更行君が選任されました。
    ―――――――――――――
#262
○近藤忠孝君 関税関係は皮靴のTQ制度に絞って質問をいたします。
 先ほど質疑もありましたけれども、輸入が急増いたしまして、皮靴は自由化前の約十倍という輸入ラッシュ、地場産業であり零細な企業が支える産業が重大な危機に直面をしておりますので、こういった観点から御質問いたします。
 第一次税率の枠については、国内産業保護の観点からこれを厳しく管理していく必要があると思うんですが、実際には無制限に拡大の一途をたどってまいりました。その拡大の率も、最初は毎年一〇%であったのが、一五%、二〇%とだんだんと大きくなっている。八六年にTQ制度ができたときには、一次枠として二百四十五万足が設定されましたが、そのときの通産省の説明では、当時の国内生産七千万足に対して三・五%程度という、こういう説明をしています。この考え方でいくならば、現在国内生産は約九千万足であるのに対して、九十二年度「次枠は五百七十九万六千足。ですからその比率は六・四%とほぼ倍になっています。
 通産省に質問いたしますが、国内生産の一定割合という考え方、これもう捨てたんですか。それともこの考え方は今でも生きているのか、重要と考えているのか、どうですか。
#263
○説明員(島田豊彦君) 御説明申し上げます。
 六十一年の本委員会におきます当時の生活産業局浜岡局長の御答弁で御説明申し上げておりますとおり、関税割り当て枠につきましては、皮革、革靴産業が同和地域の基幹産業であるという位置づけ、他方、国際的な市場アクセス改善要求があるという、その両者のバランスを図りつつ決定するということを御説明申し上げておりまして、これは現在でも基本的に変わっておりません。当時の比率が三%台であったということは我々も承知しておりますが、基本的にはそういう両方の要素を勘案して決定しているということでございます。
#264
○近藤忠孝君 今でも重要と考えているということですね。
 大蔵省、関税局長が書いている「関税の知識」によりますと、「一次税率が適用される数量は原則としてその物品の国内の需要量から国内の生産量を差し引いた数量です。」、これはっきり書いてあるわけです。ですから、我が国のTQ制度の一次税率枠の考え方としてはこの考え方は重要だと思うんですよね。局長の見解はいかがですか。
#265
○政府委員(吉田道弘君) TQの一次枠をどういう形で決めるのかという点につきましては、まず、ガット規約上も特別なルールはございませんし、TQ制度を国内法的に設定しております関税定率法上も特別にその点については触れてないわけでございます。
 ただ、現実的には今先生がおっしゃいましたように、国内の需要見込み数量から生産見込み数量を差し引いたいわゆる需給差、これを一次枠とする、いわゆる需給差方式のものが今十三関税割り当て制度をとっている品目がございますが、これの大部分はそれでやっているということは事実でございますので、一般に外向けに御説明する場合には、実情が多いものですから原則としてとか、そういう言い方で需給差方式のことを申し上げております。
 ただ、現実問題として、私どもがやっている関税割り当て制度の中では、必ずしも需給差だけではなくて、この靴の問題別にしましても、今までの中で輸入量の比率で出すとか、あるいは最低限をつくるとか、また外国の例でございますと固定枠方式と申しましてもう一定数をぴしっと決めちゃう、むしろ外国はその場合が多いんでございまして、そういう形で必ずしも需給差方式が一般的な関税割り当て制度の基本的なルールであるということではないという点は御理解いただきたいと思います。
#266
○近藤忠孝君 実際、これ現在の方式で仮に今後二〇%ずつ一次税率枠を引き上げていきますと、四年後の一九九六年には千二百万足を上回ることになります。TQ制度が発足した八六年の約五倍の輸入ということになりますね。
 そうしますと、このような国内産業保護という観点を考慮してないんじゃないか、一律に枠を引き上げていくというやり方はTQ制度の本来の趣旨から見て好ましくない結果をもたらすこと、これは明らかではないかと思うんですが、いかがですか。
#267
○説明員(島田豊彦君) 御説明申し上げます。
 一次税率枠の枠、数量そのものにつきましては、先ほども御説明申し上げましたとおり、毎年度関税率審議会の審議を経た、それから本委員会の御審議等を経た上で、かつ国内産業の事情、それから他方で国際的な市場アクセス改善要求というものを勘案して定めるということで進めさせていただいておりますが、特に最近のEC、アメリカからの我が国に対する市場アクセス改善要求を見ますと、特に靴につきましては市場の三〇%、足数にしますと二千五百万足程度の開放を行えというような大変に厳しい要求をしているということでございます。
 このような状況を勘案いたしますと、本年度五百七十九万足程度の数字は国内産業の実情に配慮しつつ、バランスをとる上でやむを得ないものと我々御理解をお願いしているところでございます、今後とも、基本的には靴、皮革産業がいわゆる同和地域の主要な産業でありまして、中小企業性も強く、また国際競争力も弱いということを十分認識して対処してまいりたいと思っております。
#268
○近藤忠孝君 それによって実際影響を受ける方々もきょうも来ていますけれども、やむを得ないなんということでは困ると言っているんですね。
 これ、八六年にTQ制度が導入されたとき、我が国は代償措置として百九十九品目、関税収入減約二百億円という関税の引き下げをのみました。高い代償を払いました。当時、アメリカは要求をさらに追加して、アルミ関税の引き下げを求めてきましたが、結局我が国はこれに応じているわけです。
 そうしますと、合わせて結局代償措置としての関税収入減は四百から五百億円という巨額に上ったと思うんですが、これは大蔵、お答えいただきたい。
 そして、これは通算だと思いますが、こういう巨額の代償措置をとったにもかかわらず、アメリカは我が国からの革靴の輸入に関して、事実上我が国からの輸入を禁止する四〇%という高い報復関税を課してきました。その後、我が国の革靴輸入は一次枠の拡大などによって急増していますが、アメリカは報復関税をやめるつもりはないのか。我が国はアメリカにこういう不当な報復関税はやめるようこれは強く要求すべきだと思うんですが、その意思はおありか、それぞれお答えいただきたい。
#269
○政府委員(吉田道弘君) まず、減収額についてでございますが、今おっしゃいましたように、六十一年度の予算におきまして百九十九品目のいわゆる代償の関税引き下げをやったわけでございまして、これは御存じのようにガットパネルでクロの裁定が出たということで、ガット上は違法だという形になったわけでございます。その代償ということで、まず六十一年度に百九十九品目の関税の引き下げ、撤廃をしました分が約二百億円になると思います。
 その後、この皮革、革靴とは別途、その前からアルミの仕組みがおかしいという米国からの話がございまして、そのアルミの関税の引き下げの問題がずっとございました。それで、六十一年度のその百九十九品目の後に、このアルミの関税も引き下げるという話になりまして、何となく皮革、革靴の代償というか、一緒に合体したという形になりまして、六十二年度になりまして、アルミの関税を九%から六十二年の四月から暦年の間は五%に下げる。それで、翌年の一月から一%下げるという二段階方式で下げたわけでございます。
 それを合わせますとかなりの額になるわけでございますが、ただ年度がずれているとかいう話がございますので、それを考えましたら四、五百億というそれほど大きな額ではございませんが、いずれにしましても、その両方が結果的にはアルミの代償的な要素があったということはおっしゃるとおりでございます。
#270
○説明員(島田豊彦君) アメリカの報復関税に対する通産省の基本的考え方を御説明申し上げます。
 三月二日にウルグアイ・ラウンドにおきます国別オファーで我が国も皮革、革靴についてはある程度の引き下げを提案しておりますが、このような提案の内容、それから米側のとった措置の経緯、さらにガット規定上とり問題を踏まえまして、我が国としてはアメリカに対して今後の交渉において報復関税の撤廃等を求めてまいりたいと思っております。
#271
○近藤忠孝君 今局長が言われたような高い代償を払って設けられたTQ制度ですが、これはガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の中で、ECなどがTQ制度撤廃、当面二次税率の引き下げを要求してきておりますね。我が国は既に二次税率を四〇%に引き下げることに合意したという報道があるんですが、これどうですか。
#272
○説明員(島田豊彦君) 御説明申し上げます。
 ただいま先生がおっしゃった四〇%というのは、必ずしも合意されたものではございません。経緯を申し上げますと、三月二日に我が国の国別譲許表というものを提出しておりますが、この中で、二次税率については皮革六〇%を四〇%へ引き下げる。それから革靴につきましては現在六〇%、または四千八百円いずれか高い方となっておりますものを、四〇%、または四千三百円のいずれか高い方へと引き下げるという提案を行っているところでありますが、これにつきましては、今後ウルグアイ・ラウンドの最終局面に向けまして、各国からの評価が行われて議論の対象になるというものでございます。諸外国からはさらなる関税率の引き下げ等の要求がございまして必ずしも予断を許さないという状況でございます。
#273
○近藤忠孝君 自由化で、一次税率枠だけじゃなくて二次税率による輸入も現在急増しておるわけです。関税六〇%でも急増しているんですから、これ四〇%に引き下げますと、一次税率との差が一三%となるためにこれに拍車をかけることはもう明らかであります。一次税率、二次税率ともこれ以上下げることのないように、国内産業を守る立場から関係各国に働きかけるべきだと思うんですが、その意思はありますか。
#274
○説明員(島田豊彦君) 確かに関税割り当て枠を超える二次税率で入ってきている靴の数量もふえてきておりますが、これはEC等の割と高級品がありまして、それがブランド志向等によりまして急増したという傾向があることは事実でございます。ただ、そういう数量が今後とも続くかどうかということは、必ずしも今後予見を許さないわけでございますので、その数量については十分注視してまいりたいと思っております。
 ただ、ウルグアイ・ラウンド交渉におきましては、TQ制度の廃止あるいはタリフピーク、いわゆる高関税率の解消をすべきであるという各国からの強い要求が出ているという状況を勘案しますと、今般の二次税率の引き下げは最小限必要な提案であったと御理解いただきたいと思います。
#275
○近藤忠孝君 次に、スポーツ靴が問題になっておるようですね。スポーツ靴が随分ふえていますが、この中にはスポーツ用じゃなくて、いわゆるカジュアルシューズとして日常履いて歩く靴がかなり含まれているようです。これはやっぱりTQ制度しり抜けじゃないかと思うんです。ですから、ここにもやはりTQ制度の枠をかぶせることが必要なんじゃないか。だから、別の角度だと思いますけれども、スポーツ靴には国内ではJIS規格だとか、これがある程度徹底しているようですが、輸入物にはこれが徹底してないというんですね。この辺徹底し、しり抜けを防ぐ必要があるんじゃないかと思います。
 それから部品、パーツの輸入が非常にふえているわけです。これがTQ枠に入ってない。これはどうしてもしり抜けになると思うんですが、それぞれお答えいただきたい。
#276
○政府委員(吉田道弘君) 今、しり抜けとおっしゃいましたが、私ども税関の現場においてはこれは非常にきつく管理をしておりまして、まず、スポーツ靴というものはHSという条約で決まっております。これは非常に限られたものでございます。さらに、いわゆるスポーツ用の履物という形で、体操用、競技用のものというものがありまして、これは法律で決まって、その細目につきましては、先ほど申しました自由化をされた際、六十一年度からその細目について、やはりこれはもうとっくに自由化しておりましたから、それまで通産省がやっておりました基準をそのまま引き継いで税関でやっておりまして、これを非常にきつくやっているものですから、輸入者はもし持ってきて、税関でとまるといけないということで、私ども事前教示制度といいまして、相談を受ければ入れていいかどうかをチェックしておるわけでございます。その事前教示制度が最近では、平成二年では六百三十件にもなっているというぐらいに、むしろ税関と相談しながらでなければ入りにくいというふうな形のものになっておりまして、そういう意味では税関の現場では非常にきつく厳格にやっているという点は御理解いただきたいと思います。
#277
○説明員(島田豊彦君) それからスポーツシューズについて、例えばJIS規格のようなもので厳格な運用をすべきではないかという御指摘でございますけれども、JIS基準というのは基本的に任意基準でございまして、これがついているいないによって、消費者が買う買わないというのは全く消費者の選択に任せられているということでございまして、これをさらに国際的な関税分類にリンクさせるというのは、技術的には現在国際的な理解が得られないと思われますので、大変に難しい問題でございますので、その点御理解いただきたいと思います。
 それから部品の輸入でございますけれども、御指摘のとおり、最近部品輸入が急増しておりまして、これが業界内において問題になっているというのも我々十分認識しているところでございます。
 ただ、最近の部品の輸入急増につきましては、国内の産業の人手不足等一時的な要因があったという要因もございますので、今後その動向に十分注意してまいりたいと思っております。
#278
○近藤忠孝君 JIS規制など強制できないにしても、徹底するという、そういう工夫があってしかるべきだと思います。
 あと、時間がわずかになってしまったので、輸銀法を質問通告したので簡単に質問をいたします。
 私は政府系金融機関の中でも、輸銀ほど設立当時と比べてその活動分野が変貌を遂げた機関はないと、こう思っております。輸出が中心だったのが、これが輸入中心。輸入金融、海外投資金融、それからアンタイドローンなど、次々に制度が創立されております。問題は、これらの分野や対象が政策金融機関の融資対象として適切かどうかという問題であります。こういう制度が海外では日本ほどこんなに広く適用されていない、かなり限定的なんじゃないのか。そういう意味では、輸銀の本来の機能を十分に果たしておるんだろうかというのが第一点であります。
 それから第二点、これは昭和五十一年五月でありますが、大蔵委員会でこういう附帯決議ができております。「日本輸出入銀行の中小企業向け貸付を拡大することについて一層配意するとともに、同銀行の貸付金が下請け中小企業に均てんするよう制度の改善を検討すること。」、これ附帯決議ですから、決まったら大臣、そのとおりにやりますとちゃんと誓っておったわけだから、実際どのようになっているのか、これについてそれぞれお答えを簡潔にお願いしたいと思います。
#279
○政府委員(土田正顕君) 輸銀の業務はそのときどきの国際経済における我が国の地位、状況に応じて変化をしておりますが、確かに御指摘のとおり、当初の輸出入金融に加えまして、投資金融やアンタイドローンの比重が高まっております。ただ、これも御高承のとおり、世界経済の相互依存関係がさらに深まっております中でございまして、政策金融を通じた対外経済交流の促進という存在意義は引き続き重要性を有しているものと考えます。
 政策金融機関の外国の例を見ましても、例えば輸入金融やアンタイドローンにつきましては、ドイツの復興金融金庫、それから投資金融につきましては同じくドイツの復興金融金庫、投資開発会社、さらには米国の海外民間投資公社、英国の英連邦開発公社、フランスの経済協力中央金庫などにその制度がございます。
 次に、昭和五十一年、この委員会から附帯決議をちょうだいいたしましたが、その附帯決議の趣旨はただいま委員から御指摘のありましたとおりでございます。輸出入銀行におきましては、御指摘の附帯決議を受けまして、昭和五十一年以降、中小企業の輸銀資金利用の便宜を図りますために、協調融資機関に商工中金、信用金庫、農林中金等を順次追加いたしますとともに、中小企業金融公庫及び国民金融公庫との間の業務協力体制の整備、強化にも努めておるところでございます。
#280
○委員長(竹山裕君) 時間です。
#281
○近藤忠孝君 では、もう終わります。
 国会決議が無視されておるんですね。対象企業はほとんど大企業で、中小企業は全体のわずか二・五%となりますと、私は、国民の貴重な財産であるこの財政資金を投じなきゃならない理由が輸銀の場合に相当薄れているんじゃないか。だから、そういうふうに、先ほども話もありましたけれども、根本的に見直しの必要があると思うんですが、最後に大臣、二言お答えをいただいて質問を終わります。
#282
○国務大臣(羽田孜君) 附帯決議いただきました当時と最近の状況というものを少し比較いたしますと、輸銀の融資先のうち、資本金一億円以下の企業が全体を占める割合が、主十年当時は、九月ごろでございますけれども、貸付残高で一%、貸付件数で四%でございましたけれども、平成三年十二月現在では、貸付残高で二%、貸付件数が九%というふうになっておりまして、徐々にでございますけれども増加しておるということが言えるんじゃなかろうかと思っておりますし、特に近年、対外不均衡の是正のための製品輸入ですとか、あるいは海外投資の促進が政策上の重要性を増すとともに、これらの分野での中小企業の活動が積極化しているという事情もあるんじゃなかろうかと思っておりまして、私どもはさらにこういった問題について注意していきたいと思っております。
#283
○池田治君 日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案につきまして、新たな資金還流措置の必要性とか、長期資本収支の問題とか、質問通告をしておりましたけれども、既に審議がありましたので、これは省略させていただきます。
 次に、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部改正に関連をいたしまして、ODAの問題を取り上げたいと思います。
 外国におきましては、国際的な援助行政の場合には専門的に取り扱う単一の機関が窓口となっておるというのが一般であります。例えば、カナダではカナダ国際開発庁、アメリカではアメリカ国際開発庁、イギリスでも海外開発庁、ドイツでもたしか外務省の中に経済開発庁があったと思っております。女性の大臣でしたけれども、いろいろ説明を聞いたことがございます。
 我が国では、無償の資金や技術協力の場合は外務省の所管する国際協力事業団によって取り扱われる。有償資金協力借款の場合等は外務省、大蔵省、通産省、経企庁の協議体制の上で運営されるということを聞かされております。さらにODA全体の予算は十六省にまたがっていて、これはなかなか責任の所在がつかめず、極めて不明確で、援助実施体制も複雑になっておるんじゃないかと思っておりますが、これはどうして日本では統一した援助機関ができないのかお聞かせ願いたい。
#284
○国務大臣(羽田孜君) こういう体制をとっておりますのは、関係省庁が多岐にわたりますということは、援助の形態ですとか内容、対象、数多くの専門分野に及びまして、それぞれの省庁の役割ですとか蓄積されたノウハウなどを効果的に活用していくという必要性に基づいているというものでございまして、今後とも我が国の経済協力が一層効果的あるいは効率的に実施されるよう私どもは対外経済協力関係閣僚会議、こういったものを活用していこうということでございまして、これからもさらに関係省庁との緊密な連絡調整を図っていきたいというふうに考えまして、私たちの目的といいますか、こういったものを達成するためにさらに努力をしていきたいということで、ほかの国のような一つの役所というものにまとめた組織は設ける必要ないんじゃなかろうかなという感じを持っております。
#285
○池田治君 確かに我が国のODAも年々予算が増加していきますし、その使用目的も多岐にわたっておるとは思うんですが、アメリカでも、日本より多くとも少なからずという国でございますが、それでもアメリカ国際開発庁という単一の専門機関に任しておるわけですから、日本も閣僚会議で統一されるのはいいけれども、閣僚の下におられる役所の方々がそれぞれの縄張りを主張するようなことがないように、ひとつ今後気をつけてやっていただきたいと思っております。
 次に、環境ODAの問題に移ります。空気中におけるCO2の増加で地球は温暖化するとか、フロンガスの増加でオゾン層が破壊される、地球環境問題が深刻化しております。資金面で途上国の環境対策を支援する環境ODAの拡充が現在ますます求められる必要性が出てくると思うんでありますが、政府は八九年から九一年度の三年間で三千億程度を目途として環境ODAの拡充強化に努めると公約されましたが、八九年度実績では千二百九十四億円ですね。九〇年度実績でも千六百五十四億円となっておりますから、二年間でほぼこの目標は達成されたことになっております。ことしは特別に地球環境サミットがブラジルで開催されることから、我が国では途上国を含めた諸外国からさらなる支援強化を要請される可能性が多いと私は思っております。
 そこで、政府部内では、九二年度から五年間で約百億ドル、一兆三千億円を途上国に供与する案も出ていると言われていますが、これは本当なのかどうかお教え願います。
#286
○政府委員(江沢雄一君) 先生御指摘のとおり、地球環境問題は全人類の非常に重要な問題でございまして、六月の地球サミットに向けていろいろ検討をしておるわけでございまして、我が国としても各国と協調しつつどのようなことができるか鋭意努力してまいりたいと考えております。
 この地球環境保全のために必要な資金の問題につきましては、非常に重要な検討課題でございますけれども、まだ国際的なコンセンサスが得られていないという状況にあり、財源問題について具体的なことを現在申し上げられる状況にございませんけれども、我が国の厳しい財政事情を踏まえながらも適切な対応を検討していく必要があるというふうに考えております。
#287
○池田治君 そうしますと、五年間で百億ドル供与するというような具体的な数字はまだ出ていないんですか。
#288
○政府委員(江沢雄一君) 現在、そのような具体的な数字について私どもは承知しておりません。
#289
○池田治君 具体的な数字は出ていないとしても、かなりの増額が見込まれると理解できるのでありますが、そうした場合、財源の確保が大変な問題になろうと思います。財源の確保に関連して環境税の創設はどうかというような意見もあるようですが、こういったこともお考えといいますか、御検討されておりますかどうかお答え願います。
#290
○政府委員(濱本英輔君) 環境税という言葉が新聞紙上にしばしば登場するように。なってまいっておりまして、現にOECDの租税委員会でございますとか環境委員会といった委員会において、環境対策として税制を活用できないかという議論が行われております。それから、去年の七月に開催されましたロンドン・サミットでも、税を含めまして環境保護のための経済的手段を開発する作業を奨励するということになりました。それから、さらに一歩進めて、北欧諸国では炭酸ガス発生源に対しまして課税を強化するといったような具体的な税制措置の導入が検討され始めておる状況にございます。
 そういった動きに対しましては、私どもといたしましても次第に関心を深めながら、必要な調査をこれまでも行ってまいりましたし今後も取り進めてまいりたいと思っております。現在、私どもとして具体的な構想を持っていると、そういった段階ではもちろんございませんけれども、問題の重要性にかんがみまして、国際的な動向に注意を払いながら必要な検討を怠らないように重ねてまいりたいと考えておるところでございます。
#291
○池田治君 地球サミットが行われれば、必ず諸外国からの要請が出てくると思いますので、泥棒を捕まえてから縄をなうんでなくて、事前に縄をなっておかれるよう要望しておきます。
 次に、自然保護と債務のスワップの推進方法についてお尋ねします。
 世界の途上国が抱える海外債務の総計というのは一兆二千八百五億ドルということでございますが、このことが途上国の経済発展の足かせとなっていることは間違いございません。そこで、途上国の多くは外貨を獲得し債務を返済するために、自然の資源を過剰に利用したり開発を過剰にしたり、そうして物をつくって債務を返済しているということでございまして、途上国の自然保護というのはなかなか手が回らなくて自然の荒廃がだんだん進んでいくという悪循環に陥っているように考えられます。
 そうした中で、途上国の累積債務の返済を軽減する見返りとして自然保護事業の実施を求める自然保護・債務スワップ、環境スワップが国際的に注目されてきております。これは、途上国の債務と自然保護とを交換するもので、債務削減と環境保全の一石二鳥の効果をねらったものであり、一日も早く実効性のあるものにすべきだと考えております。
 我が国でも東京銀行が昨年、自然保護基金に百万ドルをスワップしたり、経団連もこれに参加する姿勢を示しております。そこで、自然保護一債務スワップヘの関心が高まった中で、民間主導によるものだけでなくて、累積債務削減と環境保全の取り組みについて政府も積極的に取り組む必要があるんじゃなかろうかと思いますが、大蔵省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#292
○国務大臣(羽田孜君) 経団連ですとか一部の民間銀行でこの債務・自然保護スワップにつきまして前向きに取り組んでおるということを承知しております用地球環境問題への対応と債務問題両方に対応できるということで、これは評価すべき点はあろうというふうに思っております。
 ただ、債務・自然保護スワップには債務国のマネーサプライですとか、あるいは経済政策への影響ですとか、また、債務返済意欲の減退などを起こしてしまうという問題もあろうかと考えておりますので、もろもろの観点から私どもとしても幅広くやっぱり検討をしていきたいというふうに考えております。
#293
○池田治君 確かに債務返済の意欲をなくするというようなことは、自然保護と債務のスワップの考え方だけでなしに、先ほど村田議員も質問しておりましたが、南米の累積債務がたまっている、経済発展しないということだけでなくて、アフリカ諸国も大体そうじゃないかと、こう私らは認識しております。昨年もアフリカに行って、隣の三治先生たちといろいろ話し合いましたが、どうも働く意欲が日本人や欧米人に比べて南の人たちはちょっとないんじゃないかと、経営しようとして新たな経済開発をしようとするところまでまだ行ってないんじゃなかろうかというような話も聞かされまして、なかなか南北問題の解決というのは困難性が伴っているんだなという気持ちでおります。しかし、そうかといって放置しておるわけにもまいりませんので、我が国は経済の発展した国としてできるだけ彼らの援助をすべきだと考えておりますので、大蔵省も新たな検討をしていただくようお願いをしておきます。
 それから、CIS債務と核のスワップについてお尋ねします。
 CISは独立国家として債務の引き受けをそれぞれ話し合っておるようですが、まだ解決をしていない。こういう中で、先ほどのあれでは六百億ドルの債務があるということでございましたが、これらの債務と引きかえにロシアの核とか核兵器を廃棄させるスワップをやったらどうか、こういうことは欧州復興開発銀行のアタリ総裁が日本にも提案したと言われております。特に、資金を持っているのは日本しかないんで、日本も大々的に核と債務のスワップに加入してくれという要求をしたということでございますが、大蔵大臣は何かその点について提案内容がわかりますればお教えいただきたいと思います。
#294
○国務大臣(羽田孜君) この問題はEBRDのアタリ総裁が提唱しているということを私ども承知しております。CIS諸国と債権国との間で対外債務と核兵器を交換して、もってCIS諸国の対外債務の軽減及び核兵器の廃棄を支持しようとするものであるということでございます。
 そして、この問題につきましては、昨年十二月十一日にアタリ総裁がG7の首脳あてに個人の資格で手紙を出されたということを承知いたしております。我が国といたしましては、本提案はEBRDの公式の提案ではなくて、あくまでもアタリ氏の個人的な提案であるというふうに承知をいたしております。本提案につきましてまだ不明な点も非常に多いということもございまして、いずれにいたしましても、公的な債務の削減をその内容として含んでいる等々の問題点があるんじゃなかろうかというふうに理解をいたしておるところであります。
#295
○池田治君 これは自然保護・債務と違いまして、債務返済の意欲をなくするということはちょっと言えないという、それほど差し迫った問題であろうと理解しております。原発事故のニュースも伝わりましたし、ソ連における核とか原子力、核兵器等の問題は世界の平和を維持する上でも、また、人間の生命や財産を守るだけでなく、地球環境全体を守るためにもこれは絶対に守らねばならない重大な問題でございますので、我が国も積極的に取り組んでいただきたい、かように思っております。
 そこで、大蔵大臣、今簡単な御答弁をいただいたのでございますが、こういった世界の平和という問題と絡めてもう一回御答弁を願います。
#296
○国務大臣(羽田孜君) 世界の平和ということは、まさに今CSCEですか、全欧州安保協力会議というんですか、こちらの方でも通常兵器等についてのいろんな話し合いというのはなされており、またそういったものをだんだん削減していこうということについても、たしかことしの七月あたりからこれは発効しようというようなことであろうと。思っておりますけれども、いずれにしましても一つの平和というものの流れというものがあるということは私どもも承知しておるところであります。
 ただ問題は、ヨーロッパの状況あるいはアジアに向けての状況あるいはアジアの現在の状況というもの、いろんなものを私ども考えていかなきゃならぬと思いますけれども、しかしこの潮流だけはやっぱり私たちはしっかりつかむと同時に、そういったことについて日本としても積極的に行動していくべきであろうというふうに考えております。
#297
○池田治君 終わります。
#298
○三治重信君 国際金融機関に出資をする案なんですが、こういうふうなのに日本が出資してやるのはいいんだが、それと、日本の輸出入銀行が単に日本のためだけでなくて世界各国の金融にも相当積極的に入っていこう、こういう姿勢に対して、日本が貿易黒字で債権国ということを世界的に果たしていくためには、輸出入銀行の活動を拡大するということはやはり非常にいいことだと思っております。
 それにしても、今度出ております国際金融公社とか米州開発銀行も、輸出入銀行と同じように世界的に資金を提供する、こういう同じような任務があるわけなんですね。だから、それとのいわゆる協調融資、開発銀行は殊に協調融資を主としておられる、それで今までの審議だと米州開発銀行と日本輸出入銀行との協調融資は現在相当行われている、こういうことなんですが、国際金融公社と協調融資が行われない理由はどうなのか。また、ほかのところでも、こういうアジア開銀とかほかの国際金融機関と輸出入銀行との協調融資が、ここは行っているけれどもここは行っていないというようなことがはっきりしているのかどうかお知らせ願いたい。
#299
○政府委員(江沢雄一君) 先生御指摘のとおり、日本輸出入銀行は国際金融機関と協調融資を積極的に行っておりまして、二月末現在、その協調融資の実績は百十六億ドルに達しております。このうち米州開銀との協調融資が約七億ドルでございます。また、御指摘のとおり、国際金融公社、IFCとの協調融資は実績がございませんけれども、同じプロジェクトに対しまして国際金融公社が融資や出資を行い、輸出入銀行が輸出金融や投資金融の形で融資を行うということで協力して一つのプロジェクトを実施しているというケースはあるわけでございます。
 具体的に申し上げれば、ハンガリーの自動車製造プロジェクトあるいはチリの銅鉱山開発プロジェクトなどにつきまして、国際金融公社とそれから輸出入銀行が協力をしておるという例がございます。
#300
○三治重信君 一つの融資について、一緒になっての協調融資もあるし、それから今の金融公社のお話のようにそれぞれの一つのプロジェクトについてそれぞれが融資をするという二つの型があるということ、それはよくわかりました。結構です。
 それで、こういうふうに活躍している日本輸出入銀行が、どうも国庫納付金が前は非常に多かったけれども最近非常に少なくなったというのは、いわゆる利子を返さぬというのか払わないところが多くなったからこういうふうに非常に国庫納付金が少なくなったのか、ある程度やむを得ないというのか、そのほかいわゆる債権、利子の回収が思うようにいかぬのか、その点、営業成績の点で納付金の問題があるのではないかと思うんですが、その見通しはどうなんですか。
#301
○政府委員(土田正顕君) 国庫納付金の仕組みのお尋ねでございますが、国庫納付金は輸銀の毎事業年度の損益計算上生じました利益金から準備金として積み立てた額を控除した残額、これを国庫に納付しなければならないことになっております。
 それで、御指摘のとおり、納付金額は若干の振れを生ずるものでございますが、これにはいろいろな変動要因、理由が考えられまして、まず利益金そのものの額につきましては、これはやはりそのときどきの金融における貸付金利息と借入金利息とのいわば収支差の変動、それからさらには毎年度の貸付額や貸付残高その他特殊な要因もあるかもしれませんが、そのような影響を受けて利益金そのものが変わるということはございます。
 それからさらに、利益金と国庫納付金との間にいろいろな要素も介在いたしますので、例えば昭和五十九年度以降の場合に、貸付残高の減少に伴う引当金の繰り戻しかございまして、これによって納付金が増加するとか、逆にその後は、昭和六十三年度以降、貸付残高が増加に転じたことに伴いまして引当金の積み上げがあり、これに伴って納付金が減少するとか、そういう要因もございます。
 その他、元年度に見られますように、債務繰り延べを認めたことに伴って、延滞によって従来利益として計上されていなかった利息を一括して利益金に計上する経理処理を行うということによって納付金が増加するというような要因がございます。
 このようにいろいろな要因がございますので、今後なかなか長期的な見通しを立てることは難しいのでございますが、いずれにせよ、私ども、輸銀の経営基盤の安定は重要な課題であると受けとめまして、適切に指導、監督をしてまいりたいと存じます。
#302
○三治重信君 日本は今世界一の債権国になっているんですが、そこで、貸し付けがドルで貸している、ドル計算になっているのと日本円勘定になっているのと二つあるんですが、それの推移。
 それから、為替が非常に円高に推移していくと、円借款をしている国はえらい損をすることになるわけですね。そういうことに対して対応がうまくいかぬと、結局、円債、円圏ですか、円の国際性というものがうまくいかない。貸したわ、円が高くなると、返すのにドルで借りている方のがえらい得だったやつが、円で借りてえらい損をしたというようなこと、そういうものも見て、やはり円の国際的な価値が増加するのはいいんだけれども、増加することによって、円貨で取引したところがえらい損をするということになると、やはり円の国際性というものがうまくいかぬじゃないか。また、日本が損をして相手側を利益さす、そして、しかもそういうことから円高を期するということは何か自己矛盾なような感じがする。しかし、日本が貿易黒字をどんどん積んでいけばやはり当然円高になっていかざるを得ない。そうすると、そこに円圏、円の通用する圏を本当につくる、つくりたいというようなことを先ほど答弁されたんですが、そういうことについての総合的な配慮というんですか、の構図をごく簡単に御説明できたらお願いします。
#303
○政府委員(江沢雄一君) 我が国の民間金融機関の中長期の対外貸付残高でございますが、平成三年末で全世界向けに三千八百億ドル程度ございます。そのうち外貨建てが二千七百億ドル、それから円貨建てが十四兆円程度でございます。
 先生御指摘のとおり、円高に推移いたしますと、円で借りていた人が為替差損をこうむるという問題がございますが、これは全体として円の取引が拡大し、日本との貿易が拡大していく中で必要に応じて円を借りるということ、そういう借り手側の態度も必要でございますが、同時に、最近は為替の手法がいろいろ進歩してきておりまして、スワップなど為替リスクをヘッジする手段もできてきております。そういう意味で、円を借りても円の為替リスクをカバーする手段もいろいろあるわけでございまして、いろいろな方法を通じまして円取引の拡大、同時にそれが貸し手、借り千両方に障害にならないような工夫をしていく必要があるのだろうと思っております。
#304
○三治重信君 その点、国際会計で円の債権をふやしていくということについて、また、日米関係でドルでたくさん貸しつけるとアメリカはもうかって日本はえらい損をしていく。そうすると、結局、日本が円を貸したところは日本に対して恨むし、ドルでやったところは日本の国内の債権者はえらい損をするということが当然二律背反的に考えられるから、この点をひとつ、制度的にカバーすることができてきているとこうおっしゃったけれども、それはどういうふうな認識の問題があるかそれは議論しませんが、そういうものを随分、いわゆるそのカバーの手段というのは、保険とかヘッジとかいっても、相場の売り買いとかいうような、円の相場の売り買い、操作のことだろうと思うんだけれども、そういうことについてひとつしっかりした指導体制というものをぜひとっていただかないと、円圏を拡大するといっても基礎があやふやになって、もうかったときにはドルと円の交換があって、ちょっと損をすると円はやめた、ドルだ、こういうようなことになる。変動を余りさせちゃいかぬと思うんです。円を使う人に対しては、一応使い出したらずっと円で使っていくような習慣をつくっていかないと、金ですから信用の問題だと思うんです。それをひとつぜひお願いしたいと思います。
 最後に、私が非常に憂慮するのは、国際貿易の黒字額がずっと高く続いている中で、日本は大体自由貿易であるし、アンフェアなんというのはそんなにないだろうと思うのが、貿易黒字が多くなるとすぐアンフェアという問題が出てくる。
 そういうアンフェアの問題というものはやはり客観的にどこの国だって、日本もそれはないとは言わない、アメリカだってあるんじゃないか、ヨーロッパでもあるんじゃないかという感じがするわけですよ。そうすると、アンフェアの問題は相対的な問題じゃないかという感じを持つんですが、それに対して政府、大蔵省じゃなくて通産だそうですが、あるいは大臣がお答え願っても結構ですが、アンフェアということを言われると、日本人は何かえらい悪いことでもしているみたいな感じを持ってどうも気分が悪い。それはどこの国だってとことんつつけばそれはお互いに、そこの国の国民性や制度的な、文化や物には差があって当然なんだから、それを一万の基準から見ればアンフェアだし、片方から見れば、なに、日本の生活慣習、経済効率からいけばそれは非常に正しい問題だ、こういうふうなことになろうかと思うんです。
 その点をひとつどういうふうに、現在、日本のアンフェアと言われているのは大したことはないんだと。その背景には私はやはり貿易黒字を少なくする自信がないとそういうことは言えぬじゃないかと思うんですが、その点について一言。
#305
○国務大臣(羽田孜君) 今お話がありました円の問題についてですけれども、確かに円で借りたら円が安くなってしまうと大変なことになるというお話、これも私事実だろうと思っております。そういうことのないように安定を図ることとか、あるいはその仕組みというもの等についても大事であろうと思います。
 ちょうど今ここで二人で話しておったんですけれども、ただ、日本がそういったことによって協力をする、そして日本の産業も円で輸出産業が進出していく場合にはこれは大変よろしい。そういったことによりましてアジアの国なんかが、もう私がちょうど国会議員になって初めてのころ行ったことですから二十数年前ですけれども、そのころに比較しますと大変にこのところ成長しているわけですね。そういった一面があって、そういう成長によってまた税金等も上がってくるわけでございますから、その両方を支援をされる国というものが考えていただきたいなということも改めてこの機会に申し上げておきたいと思います。
 それから、今のまさにアンフェアだという指摘が世界の中からあり、またそれが単にアンフェアというだけじゃなくて、嫌日なんという言葉まで使われるようになってくるということになるとこれはもう穏やかじゃないということでありますし、日本のように資源を世界から求めると同時に、エネルギーまで世界から求め、そして世界に製品にしてそれを売って今日の日本を築いてきたという国にとっては、やっぱりそういう批判というものが余り大きくなるということは好ましくない。
 そのためには、今御指摘がありましたように、一方的な黒字というものを、またしかも大幅な経常黒字というものをつくるということについて私たちも考えなければいけないということで、いわゆる貿易というものを盛んにするためにということで通産省なんかでもフリーゾーンといいますか、そういったものなんかを今つくられておるということ、そういったことのために財政的にも協力したりあるいは税制の面でも御協力申し上げておるということでございまして、こういう仕組みというものをつくっていく必要があろうと思っております。
 ただ、これはもう何回も申し上げたことですからくどくは申し上げませんけれども、投資用の金ですとかそういったものが減ったということ、あるいは数量ベースというものはわずかでありますけれども少し日本の方もふえてきておるということ、それから、製品輸入というものが少ない、低いということ。私たちはいや、日本はエネルギーもございませんから、あるいは鉱物資源等もないものですから、どうしてもそういうものを輸入してそれによって今日の日本があるんですから、その立場はわかってくださいなんということを、たしかウルグアイ・ラウンドの始まったころその会議で私も主張したことがあったわけでございますけれども、しかし、その後やっぱり努力をしてきたということによりまして、また日本でも質の高い生活を求めるために、あるいは安いもので質のいいものがあればということで、そういうものも買う習慣というものが国民の中に生まれてきたということで、私は方向としてはこれからただ黒字になっていくというものではなかろうというふうに思っております。そしてまた、現地生産化というのは大変進展してきておるということでございまして、基調的には黒字幅というものがもう拡大していくものじゃなかろうというふうに考えております。
 しかし、そういうことについての貿易の面で私たちは努力すると同時に、先ほどもちょっとお答え申し上げた中であれしたんですけれども、やはり日本はまだインフラがおくれておるというようなこともございますし、住宅なんかも数では満たしたけれども、しかし床面積ですとかそういった面ではまだ不足しておるという状況もございます。そういったことで私たちは内需拡大というものを中心にした公共事業等をやっぱり進めることによりましてこういったものもなくなっていくんじゃないのかな。
 そして、もう一言つけ加えるならば、私たちといたしましては国際的な還流あるいは環境問題についてやっぱり積極的に努力していくということで、世界に日本が信頼されるということと同時に、頼られる国になる。そういう中で私は日本という国はアンフェアだなんということを言われないで済むようになっていくんだろうというふうに考えております。
#306
○委員長(竹山裕君) 以上で三案に対する質疑は終局いたしました。
 これより三案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#307
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、日本輸出入銀行法の一部改正案、国際金融公社等への加盟措置法の一部改正案及び関税定率法等の一部改正案の三法に反対の討論を行います。
 第一に、日本輸出入銀行法改正案についてであります。輸銀は当初輸出振興を目的に設立されたものでありますが、その目的達成後も輸入金融、投資金融、アンタイドローンなど次々と業務を拡大し、専ら大企業に低利資金を供給してまいりました。本改正案もそうした方向での一層の業務拡大であります。しかし、貴重な財政資金を大企業の営利活動である海外投資などに充てることは極めて問題であり、諸外国でもそのような制度は中小企業に限って認められているにすぎません。輸銀の融資のあり方は根本的な再検討が望まれています。
 次に、国際金融公社等への加盟措置法についてであります。国際金融公社は世界銀行グループの一機関であり、途上国の民間企業に対する投融資を行うことにより、先進国資本がこれらの国に進出する触媒の役割を果たすものであります。その運営は最大の出資国アメリカの戦略的な国際援助政策に左右され、真に途上国の経済発展に役立つものとはなっておりません。米州開発銀行に設立される多数国間投資基金は、日米が共同で資金の大半を受け持つという特殊な基金であり、アメリカの中南米政策に我が国が資金面で支援させられるという性格を極めて強く持つものであります。こうした基金の創設は国際機関のあり方としても大きな問題をはらむものであります。
 最後に、関税定率法等改正案についてであります。原重油関税の段階的廃止は、石炭産業の復興と産炭地の振興など、我が国石炭対策の財源をなくそうとするものであり、我が国の将来のエネルギー対策上大きな問題を持つものであります。総合保税地域制度の創設は、専ら輸入促進の観点から税関機能を弱めることになり、問題であります。皮革、革靴の関税割当制度の一時税率枠の拡大は、関税割当制度の本旨から逸脱し、また輸入自由化以来毎年の輸入枠拡大で危機に瀕している国内の零細な皮革、革靴産業を一層困難に追い込むものであり、反対であります。
 以上の理由により、三案に反対を表明して反対討論を終わります。
#308
○委員長(竹山裕君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次三案の採決に入ります。
 まず、関税定率法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#309
○委員長(竹山裕君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 白浜君から発言を求められておりますので、これを許します。白浜君。
#310
○白浜一良君 私は、ただいま可決されました関税定率法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。
 関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、次の事項について十分配慮すべきである。
一 世界経済における我が国の立場を踏まえ、多角的自由貿易体制の維持・強化及び世界経済の安定的成長に引き続き貢献するとの観点から、ウルグアイ・ラウンドが成功裡に終結するよう努めること。
一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易動向等をめぐる諸情勢に対処するとともに、国民経済的な視点から、国内産業、特に農林大産業及び中小企業への影響に十分配慮しつつ、国民生活の安定・向上に寄与するよう努めること。
一 著しい国際化の進展等による貿易量及び出入国者数の伸長等に伴い税関業務量が増大するなかで、その迅速かつ的確な処理に加え、麻薬・覚せい剤、銃砲、不正商品、ワシントン条約物品等の水際における取締りの強化が、国際的・社会的要請として一層強まっていることにかんがみ、新たな業務処理体制による税関業務の一層効率的、重点的な運用に努めるとともに、税関業務の特殊性を考慮して、今後とも、中長期的展望に基づく税関職員の定員の確保はもとより、その処遇改善、職場環境の充実等に特段の努力を行うこと。
 右決議する。
 以上でございます。
#311
○委員長(竹山裕君) ただいま白浜君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#312
○委員長(竹山裕君) 多数と認めます。よって、自浜君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、羽田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。羽田大蔵大臣。
#313
○国務大臣(羽田孜君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
#314
○委員長(竹山裕君) 次に、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び米州開発銀行くの加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#315
○委員長(竹山裕君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#316
○委員長(竹山裕君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#317
○委員長(竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#318
○委員長(竹山裕君) 公認会計士法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。羽田大蔵大臣。
#319
○国務大臣(羽田孜君) ただいま議題となりました公認会計士法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、最近における公認会計士業務の国際化、多様化等の状況等に対応し、公認会計士業務に引き続き多くの優秀な人材を確保するため、公認会計士試験制度等について、所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、公認会計士試験制度につきまして、第二次試験に短答式試験を導入するとともに、第二次試験の論文式試験に科目選択制を採用するほか、試験委員定数の法定制を改め、公認会計士審査会で決定し得ることとする等の改正を行うことといたしております。
 第二に、罰金額等の上限につきまして、所要の改正を行うことといたしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
#320
○委員長(竹山裕君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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