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1992/05/28 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 大蔵委員会 第8号
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1992/05/28 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 大蔵委員会 第8号

#1
第123回国会 大蔵委員会 第8号
平成四年五月二十八日(木曜日)
   午前九時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     藤井 孝男君     谷川 寛三君
     角田 義一君     三石 久江君
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     谷川 寛三君     鎌田 要人君
    ―――――――――――――
   出席者は左のとおり。
    委員長         竹山  裕君
    理 事
               大河原太一郎君
                野末 陳平君
                前畑 幸子君
                本岡 昭次君
                白浜 一良君
    委 員
                石川  弘君
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                鎌田 要人君
                斎藤栄三郎君
                中村 太郎君
                藤田 雄山君
                赤桐  操君
                久保  亘君
                鈴木 和美君
                三石 久江君
                村田 誠醇君
                和田 教美君
                近藤 忠孝君
                池田  治君
                三治 重信君
   国務大臣
       内閣総理大臣   宮澤 喜一君
       大 蔵 大 臣  羽田  孜君
   政府委員
       内閣法制局第三
       部長       津野  修君
       経済企画庁調整
       局長       吉冨  勝君
       経済企画庁総合
       計画局長     長瀬 要石君
       環境庁企画調整
       局長       八木橋惇夫君
       外務大臣官房審
       議官       川島  裕君
       外務省欧亜局長  兵藤 長雄君
       外務省経済局次
       長        林   暘君
       大蔵政務次官   青木 幹雄君
       大蔵大臣官房長  篠沢 恭助君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     日高 壮平君
       大蔵大臣官房審
       議官       小川  是君
       大蔵省主計局次
       長        涌井 洋治君
       大蔵省主税局長  濱本 英輔君
       大蔵省証券局長  松野 允彦君
       大蔵省銀行局長  土田 正顕君
       自治大臣官房審
       議官兼内閣審議
       官        谷口 恒夫君
       自治省行政局選
       挙部長      吉田 弘正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        下村 純典君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○証券取引等の公正を確保するための証券取引法
 等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(竹山裕君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、角田義一君及び藤井孝男君が委員を辞任され、その補欠として三石久江君及び谷川寛三君が、また本日、谷川寛三君が委員を辞任され、その補欠として鎌田要人君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(竹山裕君) 証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○久保亘君 せっかく首相に御出席をいただいておりますので、法案にかかわる質問に先立ってごく簡単にお尋ねしたいことがございます。
 「「真珠湾」から五十年後のいま、日米両国はお互いにとって最も大切な関係だといわれながら、多くのアメリカ人が日本はソ連よりも恐しいと思っている。」、これは首相が昨年、「戦後政治の証言」の前書きにお書きになっていることでございます。この意味を少し教えていただきたいと思います。
#5
○国務大臣(宮澤喜一君) ということを私はそのとおりと思うと申しているのではなくて、アメリカのマスメディアにそういういわば常識を外れたことを言う人がおりますから、ある意味でそういう言い方が一部に受けるのかもしれませんけれども。
 米ソの対立が長く続きました。これは軍事的な対立を含む、それが大きな部分でございますけれども、それがなくなったということは、いわば民主主義陣営にとっては勝利である、こう考えるとともに、アメリカ人は長い間のいわば仮想敵がなくなったという感じを持つ。それは気持ちの上では喜ばしいことでありましょうけれども、目標がなくなったというような意味で、それなら今度は経済面でやはり日本との競争があるというふうに考えるならば、かわるものは日本であると。こういう一種のマスメディアの一部の極端な表現であろうと思います。軍事的な脅威と経済的な脅威とは質的に違いますので、それが取りかわるという考え方は、ちょっと考えればもう常識に外れたことであるとは思いますけれども、そのような表現が一部に見られたことは記憶しております。
#6
○久保亘君 文面どおりに見ますと、今首相がおっしゃったような意味にはなかなかとれないのでございまして、「多くのアメリカ人が日本はソ連よりも恐しいと思っている。」、こうお書きになっております。
 私は、これを読みながら思い起こしたことがございます。それはアメリカ在郷軍人会の総会の席で、元将軍のアイケルバーガー氏が、日本の青年ぐらい好戦的なものはいない、アジア人にはアジア人で戦わしめよという演説をやったことがございまして、そのことをふと思い起こしながら、首相もそういうことが念頭にあってお書きになったことかなということで一つ気になったことでございます。
 きょうは、本題ではございませんのでこの問題はそれだけにしておきますが、引き続いて、「そんな中で湾岸戦争があった。米ソの冷戦解消を背景にして、国連が戦争処理の正面に出て来たことは
画期的なことである。」、こうお書きになっております。
 「国連が戦争処理の正面に出て来た」というのは、どういうことを指すのでしょうか。
#7
○国務大臣(宮澤喜一君) 湾岸戦争に当たりまして、米国を中心とする幾つかの国が、この処理をしますために国連の安保理事会の招集を求めて、そして、侵略がありましたのはあの年の八月の初めでございますけれども、翌年の二月の末までの間、安保理事会を通して十幾つの決議の成立を求め、その決議に基づいて行動をした。これは私は非常に賢明なことであったと思いますが、したがって、多国籍軍というものではありましたけれども、多国籍軍の行動は常に安保理事会の決定の履行として行われた。そういう経緯がございましたことは久保委員のよく御承知のとおりでございます。その間に、国連の事務総長あるいは安保理事会の議長、常任理事国等々がこの紛争の処理に奔走をした、こういうことについて申し述べたものであります。
#8
○久保亘君 この文面からいたしますと、多国籍軍がアメリカ主導のもとにサウジアラビアに展開をして、そして湾岸戦争を実際に遂行していった。そのことが国連が戦争処理の正面に出たことという理解に立つとすれば、私はこれに全面的に同意ができないことでございますが、これに続いて、「わが国も傍観していることは許されない、という世論の高まりの中でこここから先が大事なんです、「憲法の下で日本は何が出来るのかを国民は戦後はじめていま真剣に模索している。」、私は大変正しい記述だとこの部分に関しては思っております。
 憲法のもとで日本は何ができるのかを真剣に模索する、そしてこの国民的模索は、「二十一世紀に向かって続けられるであろう」というのが首相のお書きになっていることでございますね。この点について、私は同感できる部分だと思っております。特に、憲法のもとでということになりますと、その前段に書かれました、国連が戦争処理の正面に出てきたことは画期的なことであるが、我が国民は、憲法のもとで日本は何ができるのかを二十一世紀に向かって真剣に模索を続けていくであろう、こういうことなのでありますから、この点は、今日私ども国会で論議をしております問題については、首相も、昨年総理におなりになる前にお書きになったこの考え方に徹しておやりになることが私は正しいことではないだろうか、こう考えるのであります。
 首相の立場というのが、政府や与党のスピーカーの立場ではなくて、ぜひあなたのこういった政治理念の上に立ってリーダーとして貫かれることを期待いたしております。一言お聞かせいただければありがたいと思います。
#9
○国務大臣(宮澤喜一君) 憲法のもとで云々と申しましたのは、湾岸戦争が起こりましたときに国内でいろいろな議論があったわけでございます。
 多国籍軍というものは、先ほども申し上げましたように、国連の安保理事会の決議在履行する形で十幾つの決議を重ねまして、それに基づいて行動をしたということは私は極めて賢明なことであったと思いますけれども、しかし、この多国籍軍はそれにもかかわらずやはり多国籍軍であって、しばしば議論せられる国連軍というようなものではないわけでございますから、そうでない限りは多国籍軍の行動に我が国が直接参画をするということは憲法上やはり非常に問題があるであろう。当時いろいろ議論がございましたけれども、私はそういうふうに考えましたし、今も考えておるわけでございます。
 他方で、しかしこの湾岸戦争に際して、その処理に当たって我が国が財政的負担をすべきかどうかということにつきましては、サダム・フセインの起こした行動が明らかに侵略であるということばかりでなく、そのような判定とそれに対する対応が、国連という世界各国のいわば世論を形成すると考えてもいいような場を通じて行われているということにかんがみますならば、この処理について財政的な支援をすることは、これは憲法の精神に照らして間違いではない、こういうふうに私自身考えました。したがいまして、我が国が多額の財政的な支出をしたことは正しかったと考えるものであります。
 今後に向かいまして、二十一世紀云々と申しましたのは、多国籍軍という形であれば我が国がなかなかこれに参画をするということは難しいであろうが、まだだれも具体的に定義をしたことはございませんけれども、もしもし将来国連憲章の中で国連軍というものができて、それが国際公務員であるというようなことの場合には問題はどうなるであろうかといったような問題とか、あの事件を契機にいたしまして国民的に起こった、我々は金ばかり出したのでは務めはすべて果たしたとは言えない、やはり汗を流す、そういう人的な貢献も必要ではないかというそういう議論には聞くべきものがある。
 そういう中で、掃海艇の派遣というのは戦争が終わってからでございましたし、自衛隊法にも明快な規定があることでございますからこれはもとより問題がないとして、国連が行う平和維持活動等々について、我が国は今まで参画したことはございませんでしたけれども、あのときのやはり経験にかんがみると、こういうことについては我々は参画をすべきではないのか、それはむしろ憲法の期待するところではないかといったようなことにつきましていろいろな議論が起こってきた。ただいまも国会でこの点について御審議をお願いしているわけでございますけれども、そのようなつまり米ソの対立が、冷戦という事態がなくなった結果、国連が世界の平和の維持増進のために、あるいは戦争防止のために機能をする可能性は非常に大きくなった。そのことは喜ばしいことでございますから、それについて我々はどのような寄与と貢献をなすべきかということ、これは長くやはり国民の間で真剣に討議せられるべきことではないかと、こういう趣旨で申したわけでございます。
#10
○久保亘君 大変重要な日本の進路にかかわる問題なのでございますから、首相自身がお述べになっているように、この問題について国民的な合意をどう得ていくかということについては真剣で慎重な模索が続けられなければならぬ問題であろう、こう思っております。
 ところが、私どもが非常に気になりますのは、こういう問題を議論しているさなかに、防衛庁首脳ということで報道されますと、参議院で可決したら自衛隊の調査団をカンボジアヘ送りたい、こういう発言が出てくる。こういうものは、大変私どもとしては、今首相が言われたようなこととは違うことでいろいろなことが進められているのではないかという疑問を深くするわけです。
 きょうはこれが主題ではございませんで、私は目下の最重要な問題について、きょうは総理が御出席になりましたのでお尋ねをしたわけです。
 もう一つ伺っておきたいことがありますが、六月の初めにリオで開かれます正式には環境サミットというんでしょうか地球サミットというんでしょうか、このサミットに首相は御出席の御予定だと承っておりますが、御出席になられますでしょうか。
#11
○国務大臣(宮澤喜一君) この会議の持っております重要性につきましては、久保委員よく御承知のとおりでございますので、私としては出席をしたいということを希望いたしております。ただ、国会の開会中でございますので、そのときの国会の状況がそれを許すかどうか、お許しか得られるかどうかということにつきましては、その時点で判断をするしかどうも仕方がない、自分としてはひとつお許しを得て出席をいたしたいというふうに強い願望を持っておりますけれども、そのような状況でございますので確定的に申し上げることができないということでございます。
#12
○久保亘君 私も首相が都合がおつきになる限り御出席になられることを望んでおりますが、もし御出席になります場合に、このサミットにおいて環境と経済、これまで矛盾する命題と考えられて
きたこの問題について、これからどういう進め方をするべきかということが議論になるのだろうと思っておりますが、首相がこのサミットに御出席になります場合に、どんなことを目標にしていらっしゃるんでしょうか。
 それから、特に地球環境基金の問題、そしてこれとの関連等も含めて今環境税をめぐる議論が国内でも多くございます。この地球環境基金や環境税の問題等について首相のお考えをお聞かせいただけることがございましたらお話しいただけませんでしょうか。
#13
○国務大臣(宮澤喜一君) そのような事情でございますので、この会議でどのようなことを申し述べるべきかにつきましては、もう少し出席の問題が固まりましてから考えなければならないと思っておりますけれども、一般的に申しまして地球環境問題というのは申すまでもなくこのような意味で重要なものになってきたということ、また、この長期的にわたる解決のためには国際的な取り組みが必要であるということ、その国際的なもろもろの取り組みの中で我が国がどのような対応をすべきかということについての我が国としての考え方、それらを申し述べるということであろうかと考えております。
 そこで、今環境基金あるいは環境税等についてお尋ねがございましたが、この問題の認識が世の中で高まり、我が国でもそうでございますが、そういう意味ではこれに積極的に貢献をするということが非常に望ましい、そういう国民的な受け取り方の中で環境基金というようなものに積極的に協力をしようという動きが民間からあちこちで起こり始めておる。そういうことから基金というものが可能になってくる可能性は私は非常に高いと思います。これは喜ばしいことでありますし、そのためにどのような政府としての対応ができるかということも考えておく必要があるであろうと思います。
 他方で、環境税という問題につきましては、まだ問題が十分に議論をされ、展開しているとは思いませんけれども、大まかに申して環境税と言われるものには二つの恐らく目的が考えられていると思います。それは、ある種のエネルギー源をなるべく使用を節約するという目的から、その使用に多少のお荷物をかける、どう申したらよろしいんでしょうか、使用を多少それだけコストリーにするために税金を取るというような考え方はあると思うんでございますね。高くなれば使いにくいという意味でのそういう税金の機能というのは一つあると思いますが、別にもとより税金でございますから、これを財源に環境問題についての有効な対応をする財源としての税金。これはもう普通に考えられることでございます。そういう二つの目的を私は持って環境税というものが言われておるのであろうと思います。
 しかし、おのおのについていろいろ問題がある。それは前者については、確かにより安いエネールギー源を探すという意味で有意義だと思いますけれども、それが十分探し切れないうちに負担だけがあるということは、国民経済そのものの負担がふえるということでございますから、また、あるいはOPECのような立場から言えば、それは自分たちが世界に供給しているエネルギー源に重課をするという、こういう受けとり方になるであろうと思います。
 それから、財源としての環境税ということであれば、その金は何に使うのかということがまず解明されませんと、税金というものについての話はそれから先へなかなか進めないといったようなことがございまして、そういう幾つかの要素がございますので、環境税というもののこれからについてはもう少しいろいろな検討、あるいは世論の成熟というようなものを待つ必要があるであろうと私としては考えております。
#14
○久保亘君 今回開かれます地球環境サミットは、二十世紀におけるグローバルな人類の課題として最大のものと言ってもいい大きな問題との取り組みだと、こう思っております。首相がぜひ出席をされて、そしてまた、お帰りになりましてから、私どもと十分この地球環境問題、そしてこれに対する日本の取り組み方等について論議を尽くしてくださることを期待いたしております。
 もう一つだけ伺っておきたいことがございます。それは衆議院の定数是正について、首相は与党に対して取りまとめを指示されたということを私どもは承るのでございますが、第一段階として九増十減ということで言われているようでありますが、私どもがこの内容を見させていただきますと、九増十減ではないのではないかという気がいたすわけであります。減の方には奄美群島区が入っておりますので、選挙区単位に見ますと十一減ということになっておるのではないか、こう思うんですが、あれを御指示なさいました首相の方ではどういう御理解でございますか。
#15
○国務大臣(宮澤喜一君) 定数是正の問題につきまして、私どもの党内に政治改革本部がございまして、二月以来検討を続けてきてもらいました。基本的にはこの格差というものはやはり二対一、なるべくそれに近づけるべきであるという基本の思想を政治改革本部は抜本改革を絡めまして見通しまして、表明をしておるわけでございますが、今私どもが党内で議論しておりますのは、当面、緊急にいかにすべきかということでございまして、その緊急の当面の是正として十減九増というような案を、私として、党内の意見取りまとめの一つの指針と申しますか、私の考えとして、取りまとめを党内にいたしますように党内でただいま努力が行われているところでございます。
 できますれば、これはもとより各党の協議会で御討議をいただかなければならない問題でございますけれども、その前段としての党内の意見調整がただいま行われております。
 奄美群島の問題は、議員一人当たりの人口の少ない順番からいけば、選挙区が百三十ございますが、六番目になっていると思います。この奄美群島の問題をどう取り扱うかということは、私も問題の所在は存じておりまして、ただいま私どもの党内で調整をいたしておるところでございます。難しい問題でございますけれども、調整をいたしました上で各党間の御協議をお願いしたいと思っておりますけれども、ただいままだ党内の調整中でございます。
#16
○久保亘君 この問題は、それじゃまた改めて議論をする機会があるかと思いますので。
 それでは次に、日本経済の見通しが大変不透明だということが言われているのでありますが、その中で、三月の末に緊急経済対策を政府としておとりになりました。その後、予算が成立して、その経済対策を推進していく中で、今また新しい状況というものが生まれてきていると思うのでありますけれども、現在の日本経済の状況といいますか、景気の現況というものをどういうふうに政府としては把握をしていらっしゃるのでしょうか。
#17
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的に我が国の経済が調整過程にある、そして以前に比べますれば景気が減速をしているという感じが広く持たれておるという、そういう認識を持っておりますので、実はこのことは予想せられなかったわけではございませんので、昨年の暮れに予算編成をいたしますときに大蔵大臣と御相談をいたしまして、あのような予算の編成をいたしました。
 中央、地方を通じまして、景気の減速に対応しようと、財投も含めまして考えたわけでございましたが、予算をお認めいただけましたので、三月の末に決定いたしました前倒しを初め、諸般の緊急施策を発動をいたしておるところでございます。ただいまとしましては、この施策の浸透を見守っておるところでございまして、中央銀行においてもこの間、公定歩合の第四次引き下げを行ったという、今そういう段階でございます。
 このたびの景気の減速は、在庫調整が早いものにつきましては昨年の夏ごろに始まっておりますけれども、かなり多くの経済の分野で昨年の暮れごろになりまして初めて在庫調整が始まったということが今振り返りますと統計で明らかになっておりますので、その分の在庫調整はかなりまだ時間がかかり、今進行中である、こういう状況であ
ろうと思いますのでございますので、これ以上減速感が広まらないようにということ、そういう意味では政府の中央、地方を通じます緊急経済対策はその効果が浸透しつつあると、こう考えておりますので、その効果を見守っておるというのがただいまの私どもの立場でございます。
 万一ただいまのこの緊急経済対策が不十分であるということがわかってまいりますならば、それはそれに的確迅速に対応しなければならないと考えておりますけれども、ただいまはまだそれを申す段階ではなく、私はこの緊急経済対策によりまして比較的早い時期に経済の立ち直りというものが期待できるのではないか。
 何よりも、前回のプラザ合意後の不況と比べますと、雇用の不安というものがない。有効求人倍率は少し下がりましたけれども依然としてかなり高いところにおりますし、またあのときにございました企業城下町というようなものの灯が消えてしまうような不況というものも今回はございませんので、そのときとの比較、それから殊にヨーロッパの各国、失業率が一〇%、アメリカでも七%余りでございますから、そういう状況と比べますと我が国の不況というものは、それは決して楽観はいたしておりませんけれども、雇用の不安がないということはこれに対する対応がそれだけいわば難しくない、対応のしようがあるという、そういう状況であるというふうな判断をいたしております。
#18
○久保亘君 今首相のお考えになっていることはわかりましたが、エコノミストの判断というのも、人によっていろいろございますが、全体を通してやっぱり今景気の減速段階で、非常に早い時期にこれは回復してくるという見方の人は少ないのではないでしょうか。政府で言えば経企庁あたりはかなり景気のいい見方をされておるようでありますけれども、全体にそういうことではなくて、もう一段景気対策、経済対策を進めるべきだという主張をなさっている方は大変多いように思います。民間の研究所の責任者の人たちのお話を伺いましても、そういう考え方の人たちが大変多くいらっしゃるように思っておりますし、また、政府でも新経済五カ年計画においては実質成長率を〇・二五%マイナスにされるというふうに伺っておりまして、この問題は正確な判断と見通しの上に立って的確な、時期を失しない対策がとられなければ政府の責任を果たしたということにならないんじゃないかと思っております。
 そしてまた、この問題はミュンヘン・サミットにおいて大変大きな問題として日本の立場が論議されることになるのかなと、私はそういう考えも持っておりますが、首相は大変慎重に慎重におっしゃっておりますが、現況の判断の上に立った経済対策というものを、今直ちにやるという問題ではなくても、その方針については明らかにしていくことが政府のとるべき道ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#19
○国務大臣(羽田孜君) 総理からでございましょうけれども。確かに景況の判断については、常に直近といいますか、現状というものをきちんと把握するということが非常に重要であろうというふうに思っております。そういう意味で、私どもといたしましても、各財務局あるいは日銀等の機関等も通じたり、あるときには通産省の機関等を通じまして、刻々のその動きというものをやっぱり把握しながら対応していかなければいけないだろうということ、私どもよくこれから注意していかなければいけないというふうに存じております。
 ただ、景況の判断について多少の、何というのですかばらつきというのが、最近では割合と早く回復するであろうという声も実は出てきておるということがあります。と申しますのは、このところ住宅なんかが割合と回復基調にあるということ、また、鉄鋼の一部等については多少不足ぎみになってきて、生産が今動きつつおるというようなこと、あるいは今まで生産を減をしましてもまだ在庫がたまっていく、というのは要するに需要が少なかったということでありますけれども、これが割合と真っ当に動き出したというようなこと、こういった中から、私どもはそういったものを感じ取ることができるというふうに思っております。
 ただ問題は、追加ということだけを、今御指摘のありましたことを私たち念頭に置かなきゃいけないわけでありますけれども、まだ先に何かがあるんじゃないのかなということを考えますとなかなか動かないという問題があろうと思っております。ですから、そういった点を注意しながら現状というものをよく把握して、そして的確に対応していくということが重要であろうと思っております。
 それともう一点は、今度の不況というのが、マインドということをよく言われますけれども、それだけではなくて、相当多くの設備投資というのが二年三年と続いたということでございまして、そのストックの調整があるということ。それから、どちらかというと今までの日本のあれは薄利多売的なものできたわけでありますけれども、経済界の皆さん方もやっぱりこれはまずいなということを考え出されてきておるということで、これからの設備投資は増産あるいは生産の効率というだけではなくて、むしろ時間短縮ですとか、そのための省力化の設備投資ということでありますから、多少不況感というものがあるときにはなかなかそういったものに手が出せないなということで、例えば公定歩合を下げましてもなかなかマネーサプライがふえてこないというところはそんなところに原因があるのかなというふうに考えます。
 私どもは、これでもし下手なことをやってまたインフしみたいなのを起こしてはこれはまずいですし、小さなバブルでもまた起こすということは危険なことであろう。そのあたりも十分注意しながら対応していきたい。しかし、今御指摘がございましたように、本当に現状どうなのかということを、刻一刻の移り変わりというものを私たちも十分正確に把握するようにこれからも努め、そして適切に対応していきたいということを申し上げたいと存じます。
#20
○久保亘君 宮澤さんはプラザ合意以後の日本経済の責任者でもございましたから、あのときの一つの苦い体験というものがあるわけですね。それで、そういうものがあって、本来どちらかというと景気浮揚の政策について非常に積極的な推進論者であるだろうと私は思っているんですが、そういう首相にして大変今慎重な立場をおとりになっているのかな、こんなことを思いながら、しかし日本経済の現況というのは、厳しい見方をしておられる専門家の御意見というものに対して私どもは深く着目しておかなければならぬと思っております。
 私どもとしては、そういう経済の浮揚という側面とあわせながら、今、日本の地方と呼ばれる地域において、政府の経済政策によって公共事業の前倒しか行われたために後期における状況はどうなるのかという不安感が大変強いわけです。例えば私の住んでおります鹿児島市などは前倒し七八%と聞いております。そして、地方の場合には公共投資が地域の経済にとって非常に大きな部門を占めているわけでありますから、この前倒しに対してこれから政府の方で具体的に財政政策としてどういうことをやってくれるのかということに対する期待と不安感というものがあるわけです。
 こういうものに対して、私は追加補正をおやりになるのならば、効果を最大限のものとしていくためには実際に補正を組む時期の問題ではなくてその方針を政府がどの時点で明らかにするかという問題が非常に大きな効果をもたらすんだろう、こう思っておりますものですから、追加策として公共投資、特に生活開運を重視していく立場での公共投資について積極的な意思をお持ちなのかどうか、どの程度のことをお考えになろうとしているのか、その辺をお聞かせいただきたいと思ったんです。
#21
○国務大臣(宮澤喜一君) 例え話を申し上げて恐縮でございますけれども、昼飯をうんとひとつごちそうしたから晩御飯は我慢してくれというよう
なことは私は申すべきことでないと思っておりまして、前倒しをするということは、これをできるだけ早く消化をして国民経済を興してほしいということでございますので、将来が不安なために前倒し分を少し繰り延ばすようなことをしていただけばその効果はないわけでございます。したがってそういう御心配は、御懸念は無用である。先に行ってすべき仕事があり、しかも国民経済としてどうしてもそれをやることが大事であるということであれば、それはそれに対応するような処置は間違いなくいたさなければならない、必要であれば。そういうふうに今から考えております。
#22
○久保亘君 もう一つ、私どもは経済対策の側面からも重要なことではないかと思っておりますことに、所得税、住民税の減税が国民の強い要請としてある、こう思っております。
 最近発表になりました内外価格差を見ましても、また、昭和六十三年以来所得税減税が行われていない。その間に物価が一〇%上昇している。つまり物価の上昇に見合う税制上の調整というのは一切行われていない。こういう側面から見ましても、所得税、住民税の減税というのは今非常に重要な要請となってきているんじゃないかと思うんです。
 このことについてもいろいろな意見がありますが、首相はどのようにお考えになっておりますでしょうか。
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) その問題でございますが、久保委員もよく御承知の、過般の税制の抜本改正をいたしました際に、税率構造のいわば税率の刻みの緩和であるとか、あるいは基礎控除を引き上げる、配偶者特別控除を設ける等々の思い切った改正をいたしました。これは御承知のように、中・低所得層のいわば重税感あるいはちょっと所得がふえるとすぐ上の刻みに行くというような負担の累増感というものを緩和したいと考えたわけでございます。
 その結果としまして、ただいま我が国の課税最低限というものは諸外国に比べまして非常に高いものになっておりますし、また、一番最低の税率は低いものになっておる。我が国の所得税はそういう意味では従来と一変をしたぐらい大きな税制改正をさせていただいたと考えております。
 もとより、納税者の立場からいって所得税は軽いほどいいというのはそれは十分首肯できることでございますけれども、ただいまの国の財政状況から申しますと、所得税の減税ということはただいま申し上げましたような理由から私はなかなか考えにくい。殊に、過般の税制改正からそんなに時間がたっておりません。また、現在の負担状況を諸外国と比べましても先ほど申し上げましたようなことでございますので、私はこれは簡単に考えられないことだというふう妃思っております。
#24
○久保亘君 経済対策という立場を離れて考えましても、今首相が税制改正を行ったときのことをお話しくださいましたけれども、そのときに、直間のバランスの問題とかそういうようなことで税制改正の一つの目標というものを国民に対してお示しになったはずです。計量的には示されていないけれども、方向を示された。ところが、それから数年を経た今日、それじゃ直間のバランスということで税制改正がねらったものは達成されているのかということになれば、ほとんどその目的は達していないんじゃないでしょうか。
 そういう意味でも、所得税というのは、特にあの改正のときに国民に説明されたことというのは、実感として納税者である国民の側はそのことが実現したとは受けとめていないんです。そして、この数年間にわたって全く所得税の減税が物価調整としても、物価調整に見合う分でさえも行われていないということに対する不満感というのは非常に強いものがあると考えております。だから、今首相がそのことは考えにくいというお話でございましたけれども、恐らく党首会談等においても各党それぞれ御意見のあるところだと思っております。十分にひとつ御検討くださることをお願いいたしておきます。
 それでは、法案に直接かかわる部分について少しお尋ねをいたしておきますが、今回、証券取引等監視委員会が設置されることを提案されておりますこの出発点というのは、昨年、議会でも取り上げられました一連の証券業界をめぐる不祥事であります。その不祥事は大別をいたしますと、一つは損失保証と補てん、一つは相場操縦的行為、もう一つは暴力団取引であった。こう思っておりますが、これらの問題は社会的に大変影響の大きい犯罪であるという認識の上に今回の証取法の改正が行われるものであると理解をしてよろしいかどうか。
#25
○国務大臣(宮澤喜一君) 犯罪という意味を非常に厳格に使うかどうかは別といたしまして、ただいま御指摘になりました補てんの問題、あるいは相場の操縦の問題、いずれも市場の公正なフェアな運営という観点から申せば極めて好ましくないことであることは申し上げるまでもございません。
 いわんや、第三に言われました暴力団云々についてはなおさらのことだと思います。
#26
○久保亘君 本来、この種の行為というのは法律で明確に犯罪として規定できない部門もあったのかと思いますけれども、大蔵大臣が提案理由の説明で述べておられるこれらの社会的に影響の大きい犯罪、こういう表現を使っておられますね。私は、昨年来指摘されております一つ一つの事件が、これが犯罪を構成するかどうかという問題を別にしても、こういったような行為は少なくとも社会的犯罪として律せられるものである、したがって今回これらの行為を厳しく監視をしていくために監視委員会がつくられるものであるという認識に立たなければいけないんではないかと思うんです。
 もちろんこの監視委員会が、それじゃさかのぼって過去問題になりましたものを扱えるのかどうかという問題は、これは法律がどのように適用されるのかという問題でしょうから、それは別だと思うんですけれども、そういう認識でおやりになるんですか。そうなれば、業界に対してはある程度の責任に基づく処分とかペナルティーが科せられた部門もございますが、このことに対して連帯的に責任を負わなければならぬ行政機関の側は、一体この証券取引等監視委員会の設置と何項目かの証取法の改正をもってこれらの一連の事件に関しては一件落着、こういうことになっているんでしょうか。
#27
○国務大臣(羽田孜君) その点につきましては、例えば先年起きました問題につきましては、橋本前大蔵大臣が損失補てん等を禁ずるという法案を通過せしめた後に辞任をされるというような、みずからがそういうことをなさったということ、あるいは事務次官以下の担当の皆様方がこれは減俸処分あるいは訓戒等が行われたということで、一応の処理をしてきたということでありますけれども、私どもといたしましては、再びそういったものは起こしてはならないということの中で今御審議をいただいている法律を御提案させていただいているところでございます。
#28
○久保亘君 この一連の事件を通して、国民の側、私どもの側から見ますならば、私は一つだけメリットがあったと思っていることは、証券市場というのが企業にとっての最も有力な資金調達の場所であり、それから個人にとって資産運用の場所であるという認識が高まってきているということだと思うんです。しかし、それではそのことに、一連の事件が失墜せしめた信頼というものを回復して正しくそういう場として活性化していくかどうかという問題は、この証券取引等監視委員会がどのようにこれから活動をしていくのかという問題が一つと、それから業界がどん省受けとめ方をするのか。
 証券業界も昨年みずから倫理綱領のようなものをお決めになりましたですね。それから経団連も企業行動憲章というのをお決めになって発表になりました。首相は当然御存じだと思いますが、この二つの綱領や憲章については御承知になっておりますか。
#29
○国務大臣(宮澤喜一君) 詳しいことではござい
ませんが、そのようなことがございましたこと、大きな大筋の考え方は存じております。
#30
○久保亘君 本来、この経団連の企業行動憲章とそれから証券業界がみずから決めました倫理綱領というものを業界がきちっと守るなら、監視委員会は私は要らないぐらいのものだと思います、あそこへ書いてあることをそのとおりやってくれれば。ところが、こういうものはつくったけれども、すぐ飛ばしにかかるんですよね。そして全然守っていかないということになれば、やはり監視委員会というのがよほどきちんとした役割を果たさなければいかぬと思うんです。
 それで、お尋ねしたいことは、監視委員会の委員が三名と決められた理由はどういうことでしょうか。
#31
○国務大臣(羽田孜君) まずその前に、お話がございましたように、まさにこれから正常なルールの中でこれをやっていく、証券取引というものをやっていくということに関しまして、今度の証取法の中に証券取引所あるいは証券業協会、こういったものを自主規制団体としてきちんと一つの位置づけをされたということ、そういう中で相当な権限を持ってやっていこうということで、今先生から御指摘がありましたように、確かに監視委員会が機能しなければいけないけれども、しかしまずやっぱり市場そのものがみずからが律していくということが一番重要であろうというふうに思っておりまして、そういった点はこれからも私たちも念頭に置きながら対応していきたいと思っております。
 また、なぜ三名かという御指摘であったわけでございますけれども、委員会が、広く衆知を集める性格の審議会とは異なりまして、検査ですとかあるいは犯則事件、これの調査等の実務を処理する機関であるということから考えましたときに、その事務の円滑かつ機動的な運営、これを図るために合議制の機関として必要最小限の人数として三人としたところでございます。
 委員が三人の合議制機関というものの例といたしましては、会計検査院ですとか、あるいは司法試験管理委員会、これは三条機関でございますけれども、こういうものがございます。また、税理士審査会というのが、これは八条機関としてやっぱり三名の委員によって構成されておるということをあわせて申し上げたいと思います。
#32
○久保亘君 合議制でそして多数決で物事を決めるということになれば、三名というのはこれは最低の単位ですね。三名に決められたのはそういう例に準拠したものということなんでしょうが、七月にこの委員会は発足させるということになれば、この通常国会のうちに同意を求められる御予定ですか。
#33
○国務大臣(羽田孜君) この法律を速やかにお通しをいただけるということを前提にしてでございますけれども、極力今国会におきまして委員長及び委員の任命に当たりまして国会の同意が得られるように、私どもとしては最善の努力を尽くしていきたいということでございます。
#34
○久保亘君 ということは、既に人選についても準備作業が進められているものと思います。この会期から考えまして当然そういうことですね。
 私は、人事の問題でありますから、だれと交渉しているのだということをここでお尋ねしようとは思いません。しかし、どういう分野の人々を委員に起用していくお考えなのかということは、これは法案を私どもが審議する上からも必要なことだと思うのでお聞かせいただきたい。
#35
○国務大臣(羽田孜君) 具体的な問題につきまして、私ども法案がまだ通っておらないという段階でございますので、まだ念頭にあれしておりませんけれども、基本的には、専門的な知識に加えまして、やはり公共性、中立性、これを確保するという観点から、慎重に人選をしなければいけないだろうというふうに考えております。
 この考え方から言いますと、例えば法曹界ですとかあるいは官界その他法律または経済に関する専門的な知識を有する中立的な立場にある、そういう方の中から人選をすべきであろうというふうに考えております。
#36
○久保亘君 これは前に一連の事件がいろいろと審議をされました際に、監視委員会の性格からいって、直接の行政官庁である大蔵省から起用することはないという意味のことを話をされていたように私、これは正確な記憶でありませんが、そういうことを思い起こすのでありますが、その考えは大蔵大臣は今お持ちなんでしょうね。
#37
○国務大臣(羽田孜君) この問題につきましては、確かに大蔵省でこういった行政に携わっておった者、こういう知識というものを活用すべきだという御意見があることは私ども聞かされることがありますけれども、しかし、今度この委員会をつくらなけりゃならなくなった経緯、背景というものを考えましたときに、やはり当面の間は大蔵省からこの委員の中に選任することについては私たちはやっぱり慎重であるべきであるというふうに考えております。
#38
○久保亘君 それから、行政からの独立という言葉が提案理由の中にも再三出てまいったわけでございます。行政からの独立という点を強調すれば、三名の委員の方のもとに置かれる事務局というのは人事を通じて行政からの独立がどのように保全されるのか、確保されるのかということは非常に重要な問題となろうと思うのでありますが、この点についてはどうお考えになっておるか。
 それから、事務局の人事権というのは実質的に形式的にだれが持つんですか。
#39
○国務大臣(羽田孜君) まず、この大事につきましてでございますけれども、独立性のための人事でありますけれども、まず委員の任命に当たりましては、この方をお願いするということになりますと、両院の合意を得なければいけないということであります。それで、合議制であるということ、また、委員会が独立して仕事を行うということで、これ大蔵省の中にあれしますけれども、大蔵省でこうこうこうしなさいということを指図するものでないということ、それから、委員の資格といいますか、これにつきましては、これを罷免するとかそういったことはできないということになっておるということであります。
 それから、事務局長あるいは次長、事務局につきましてのあれは、いわゆる事務局長、次長を含めまして委員会の事務局の職員というのは一般職の国家公務員であるということでございまして、これは国家公務員法の原則によりまして、その大事については大臣が行うということになっておることを申し上げたいと思います。
#40
○久保亘君 宮澤首相にお聞きしたいんですが、この種の委員会というのは、行政からの独立という立場をきちっと守っていくためにも、委員のもとに置かれる事務局の責任者というのは、官界というのかな、今のいわゆる行政機関の中に限定せず、民間を含めて最も適当な人が起用されるということも考えられてよいのではないか、局長とか次長とかいったような立場の人たちです。特に事務局長です。そういう点については監視委員会についての新しい発想というのをお持ちになりませんか。
#41
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、いずれにしてもしかし国家公務員ということになると思いますので、その点につきまして、やはり採用についての制約があるかと思いますけれども、大蔵大臣のお考えを伺っておりますと、やはり事務には通暁してもらわなければなりませんが、その人々がすべて大蔵省出身の人間であることがいいかどうかということは恐らく大蔵大臣もいろいろにお考えであろうと思います。局長とあるいは次長というようなことになるのかと思いますが、そのコンビネーションと申しますか、そういうことについては大蔵大臣もお考えになられるのではないかというふうに存じております。
#42
○久保亘君 時間が短くなりましたので、もう少し人事の問題についてお尋ねいたしますが、事務局の職員というのは、これは一般的には大蔵本省との間の交流人事となるのか、あるいは監視委員会にプロパーな人事として考えられていくのか。行政機関からの独立ということを念頭に置く場合
に、どういうことをおやりになるつもりか伺っておきたいと思います。
#43
○国務大臣(羽田孜君) まず、事務局のメンバーといいますか、人たちでございますけれども、これは行政に通暁した人ということでございまして、やはり基本的に大蔵省の方から人を派遣するということになろうと思っておりますけれども、それだけではなくて、検察庁であるとか警察庁あるいは国税庁、こういった方々にも専門的な知識を有する方々の派遣をお願いすることになるんじゃなかろうかというふうに考えております。
 なお、今人権問題等もございまして、人の交流につきましては、確かにこれは八十何人だけの委員会ということになるわけでございますので、そこでずっと全部というわけにはいかないということで、人事の交流というものはあり得ようと思っております。そしてまた、そういったところで経験をなさった方々が例えばそういった方面の行政の方を担当するところへまた帰ってくるということ、これまた行政の効果というものも上げることがあろうと思っております。
 ただ、独立性というものについては、やはり私たち非常にシビアにこれからも考えていかなきゃならぬ問題であろうというふうに思っております。
#44
○久保亘君 私たちが考えてみましても、行政の独立性ということから人事を完全に独立させるということになりました場合には、そこへ今度は配置された方の問題が将来非常に大きな問題となってくるのかなということも考えなければならぬ、こう思っておりまして、非常に難しい問題ではなかろうか。じゃ、行政からの独立性というものが保全されない形で監視委員会が事務局まで構成されたということになれば、今度は監視委員会そのものの任務が果たされないというおそれが残るわけです。残るからこそ行政からの独立性ということを大変強調されてきたわけですね。
 それで、この問題は、ではどうすればよいのかという結論は私も申し上げにくい問題だと思っておりますが、少なくともこの監視委員会が発足をしてまいります場合に、行政からの独立が確かに保全されているということについて疑念が残らないようなものにしてもらいたいと思っております。
 それから、監視委員会事務局の全体の責任者等については、最もふさわしい人材が広くいろいろな分野から選ばれることが望ましい、こう思っておりますので、御検討をいただきたいと思っております。
 それから、監視委員会がスタートをするに先立ってぜひ伺っておきたいことが一つございます。「相場操縦的行為」という表現が提案理由の説明の中にも使われてございますけれども、「相場操縦的行為」というのは、具体的に昨年問題となりました東急電鉄株の問題とか本州製紙株の問題とかいうのはこれに該当をするものということで「相場操縦的行為」というのをお使いになっているのかどうかということです。
#45
○政府委員(松野允彦君) 「相場操縦的行為」という表現は非常にある意味ではあいまい、広範な行為を指しているわけでございます。御指摘の例えば東急電鉄株のケースにつきましては、これは私どもの調査では証券会社の非常に行き過ぎた投資勧誘行為があったということが、それが結果的に東急電鉄株の価格形成上に非常に大きな影響を与えたということでございます。相場操縦そのものは、これはある程度作為的に相場を操縦するというようなことが前提になるわけでございますが、行き過ぎた投資勧誘といいますのは、あくまでも投資家に対する勧誘の行き過ぎということでございます。しかし、いずれにいたしましても、その結果価格形成に非常に大きな影響を与えるということでございますので、今回御提案申し上げております法律でも、それについては行き過ぎた投資勧誘行為で価格形成をゆがめるおそれのある行為については新たに証券会社の禁止行為ということにしているわけでございます。
 また、例えば本州製紙の場合、これは非常に大量の注文が出てきて、それの中にはある特定のグループが大量の注文を出したという事実もあるわけでございます。そういったものについて、作為的、人為的に相場を操縦するというような行為がどうかということが問題になるわけでございますが、これにつきましては、現在の証取法の百二十五条の相場操縦というものの規定の運用につきましていろいろと証取審などで議論をしていただきまして、運用、これは判例が幾つかございます。その判例の中に示されております考え方に沿って考え方をまとめていただきまして、それに沿って積極的に活用する。したがいまして、その考え方に従いますと、市場においてどういう注文が出てきた場合には百二十五条違反になるというふうな疑いが濃いということを世間に既に明らかにしております。そういったようなことで、注文の出し方あるいは証券会社が注文を受けてそれを市場で執行するやり方というようなものを見ながら相場操縦的行為であるかどうかということを判断していく、それによって逆にそういう相場操縦的行為が出てくるのを予防するというようなことを考えているわけでございます。
#46
○久保亘君 どうもありがとうございました。
#47
○和田教美君 総理は、二十五日の本会議での私の質問に対して、当面の景気見通し、景気回復の見通しというふうなことについて比較的楽観的な判断をされましたし、今も比較的早く回復するんじゃないかというような御見解でございました。その理由として、三月末の公共事業上半期前倒しなどの緊急経済対策が実施段階に入って、そして効果が上がりつつあるというふうなことをおっしゃっているわけですけれども、しかし、経済界の受けとめ方はそれほど楽観的でもないわけです。
 例えば通産省がこの間発表しました企業の景気動向調査によりますと、現在の景気が悪いと見る比率が七八・五%、よいと判断しているのはわずかに二・九%にすぎません。また、現在進んでいる在庫調整が終わって生産が増加に転じる時期については、九二年十−十二月期が三九・一%、一番多いんですけれども、しかし、九三年一−三月期が二四・一%、九三年四−六月期が二二・四%と半数近くが年を越す、来年になるというふうなシビアな見方をいたしております。これについて日銀総裁も、在庫調整にめどがつくのはことしの秋以降だということで、景気の回復はかなりゆっくりしたものになるというような見通しをこの間述べられております。総理の見方と大分食い違っているんじゃないかというふうな率直な印象でございます。
 そこでお伺いしたいんですけれども、公共事業前倒しの緊急経済対策を実行するだけで政府として当面は十分であると、追加的な景気対策や大型の補正予算の編成などはもはや必要ないというふうに本気でお考えなのかどうか。それとも、いずれそういうものの追加的措置は必要だということに考えているけれども、とにかくその表明は七月のミュンヘン・サミットの前は避けたい、要するに下半期というのは十月からだからそれからでも間に合うと、こういうふうにお考えなのか、総理の本心のほどを少しお聞かせ願いたいと思います。
#48
○国務大臣(宮澤喜一君) それはごもっともなお尋ねだと思います。
 まず申し上げられることは、前倒しをいたしましたので、残りの公共事業量あるいは地方の単独事業量は当然少なくなっておるわけでございますので、これをこのままほっておいていいのかどうかということは、当然その問題にだれでも気のつく話でございますから。これだけ前倒しをいたしましてなお景気の動向が思わしくないというようなことであれば、それは当然追加をしなければ、本来前倒しというのはそういう性格のものでございますので、ならないということは、これは常識的に私はどなたもお考えになるであろうと思いますし、私もそこは常識的に考えております。
 そこで、ミュンヘン・サミットということではございませんで、そういう心構えは持っておりま
すが、それを判断すべき時期でございます、問題は。いろんな指標がありましても、やはり一応QEを中心に考えるといたしますと、一−三のQEがわかりますのは来月の六月のある時点でございますから、四−六がわかりますのは九月になると思うのでございます。そういうことも一つ見ていた方が私はいいだろうと思っております。そのほかにもう少し早い指標もございますけれども、断片的でございますので、やはり総合的には四−六がどうなったかということを見るのがいいのではないかと一般論としては思っているのでございますけれども、しかし、それはそうといたしまして、大変に思わない現象が出てまいりましたらまた一般論にこだわることはございませんが、一般論としては私はそういうふうな感じを持っております。
#49
○和田教美君 同じく二十五日の本会議での私の大幅な所得税減税を要求する質問に対しまして、総理も大蔵大臣も否定的な答弁をされました。
 所得税減税ができないという理由として、政府は、前回昭和六十三年度の税制改正によって中低所得者の重税感が大幅に緩和されたということを強調されました。しかし、その時点とそれから三年以上もたった現在とでは、かなり状況は変わっているのではないかというふうに我々は考えるわけです。平成元年から三年間で消費者物価は八・九%上昇しております。そして、三年間で我々の計算によると約七千億円も実質的に増税になっているという計算をいたしております。個人の所得が物価値上がりによって実質上余りふえないという状況の中で、名目上の所得がふえることによって、課税最低限で今まで課税されなかった人たちに新たに課税されるという状況も起こっておる。あるいは税率が累進的に上がるために税金が重くなるという状況も出ておる。したがって、中低所得層の重税感が緩和されたというのは現実から遊離しているのではないかというふうに我々は判断をしているわけです。
 少なくとも中低所得層を中心とする物価上昇分の税負担の調整減税的なものは早急にやるべきであるという観点から、一兆円を超える所得税減税ということを要求しているわけですけれども、その点についての総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#50
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども久保委員に申し上げましたが、過般の税制改正の結果、我が国の課税最低限というのは先進国の中でも非常に高いものになっておりますし、また最低税率は低いということで、私は我が国の所得税というのは今の姿で決して先進諸国の中で厳しいものではないという、基本的にそういう考えを持っております。
 和田委員の言われますように、しかしある程度年限がたてばその間の物価の変動に従って物価調整減税というのはあってもいいではないかと言われることは、私は考え方としてそれに特に反対だというふうに申し上げるのではありませんけれども、そんなに物価上昇が大きかったわけでもございません。何よりもしかし財政の事情、これから申しますと、御承知のような財政の状況でございますので、そういう減税の財源をどこに求めるべきかということは、これは大蔵大臣のお立場からも私の立場からも極めて深刻な問題でございまして、減税というのは本当は政治としてはできるときにはなるべくやった方がいいという哲学は私も持っておりますけれども、ただいまの財政状態でこれを考えるということは、私はなかなか難しいのではないかという気持ちを持っておるわけでございます。
#51
○和田教美君 減税の問題についてはもう少し議論をしたいんですけれども、時間が限られておりますので、別の問題に移らせていただきたいと思います。
 総理の諮問機関であります経済審議会の生活大国部会というのが、この間その報告内容がまとまったという報道が出ておりました。例えば二〇〇〇年を目標に下水道などの排水処理施設を人口の七〇%超、七〇%を超える程度が利用できるように整備するというふうなことがうたわれております。恐らく生活大国ということを強調されます総理も、大体ここに書かれているようなことを目標とされておるんだろうと思うんです。
 ところが、問題は本年度の予算ですね。これの公共事業費の配分、各省庁別の配分だとか事項別配分など内容を詳しく見てみますと、その生活大国的な総理の考え方というものがほとんどはっきりした形で出てない。つまり各省庁の枠はもうほとんど前と変わらないという状況なんですね。そこで、せっかく上半期に七五%前倒しをやるんだし、先ほどの答弁でもありましたように、これから補正予算で追加を考えていくというふうな状況があるんですから、この際、この問題にメスを入れて各省庁別の枠の配分というふうなものに抜本的な改革をするということを考えられたらどうかと思うんですけれども、その点はいかがでございますか。
#52
○国務大臣(宮澤喜一君) それはまことにおっしゃるとおりでありまして、そのことは私も大蔵大臣をしましたときからいろいろに心がけてまいりましたし、今も大蔵大臣もそうでありますし私もそうなんでございますけれども、なかなか急に目に見えてこれを変えるということがいろんな事情で難しゅうございます。多少時間をかけた時点で比較いたしますと、生活関連のもののシェアはかなり上がっているんでございますけれども、毎年毎年で言いますと何だこんなものかというような動き方しかできませんで、大変にこのことは私もどうも自分のなかなか思うとおりにならぬものだなという、そういう実は実感を持っておりまして、そのために二千億という一つの別の枠をつくったりもいたした。この限りでは多少実績が上がりましたんですけれども、今年度もだんだん予算編成の時期が近づいてまいります。おっしゃいますように、多少のことはなるほどできたなというように何とかしたいものだというふうに考えております。
#53
○和田教美君 先ほど環境税の構想についての御答弁がございましたけれども、この環境税というのはいろんな構想があって、まだこれが環境税だという概念が固まったものではございません。しかし、ECなど先進国の一部では地球温暖化防止を理由にCO2、二酸化炭素の税を導入しようという動きがありますし、これが一つの主流になっているんじゃないかと思います。ところが、この炭素税というものについては早くもサウジアラビアなど石油産出国が猛反対という状況もあって、そういう中から国内でも財源としての環境税、つまり端的に言えば、例えば消費税の税率を少し上乗せしてそして財源をつくるというふうな考え方の方がいいんじゃないかというふうな考え方も台頭しているという状況でございます。
 先ほどはもう少し模様を見るというようなお話でしたけれども、環境税構想そのものについては総理は肯定的なのか否定的なのか、その点がわかりませんので明確にしていただきたいと思います。
#54
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたけれども、いわゆる化石燃料に課税をするということは、一つはその消費を幾らかそれで抑制をしようという目的があるかと存じますが、他方でそのための財源、環境のための財源を得たいという二つの目的が私はあるように思います。両方の目的ともまだ十分に私は、何と申しますか、いわゆる費用対効果と申しますか、そういう分析がなされていないと思うのでございます。
 前者についてもそうでございますが、後者については、財源であればそれを何に使うのかということがもう一つ明確でないというふうな今の段階であろうと思いますので、将来に向かってそういう構想はありませんと私は申しておるのではございません。将来あるのかもしれないけれども、問題がもう少し解明されませんと、すぐに飛びついていくことは、やはり解明をもう少し待つ必要があるのではないかという気持ちを持っておるわけでございます。
#55
○和田教美君 景気浮揚のために、金融政策とし
て公定歩合を軸として金利は低ければ低いほどいいというふうな一種の信仰が依然として経済界なりあるいは政府部内にもあると思うんですね。ところが、この信仰というものはそろそろ変えていただかなければいかぬのじゃないか。というのは、やっぱりこういう状況になってくると、生活者の立場から、特に金利に依存する、つまり年金生活者などの立場をもっと考えていただかなければいかぬのじゃないか、こう思うんです。
 ですから、もしさらに公定歩合を下げるという必要性などが起こってきた場合には、年金生活者などの高齢者に対する手当てというものを考えるために、例えば現在ある老齢者向きのマル優の枠を拡大するとか、何かそういう手当てを考える時期に来ているのではないかというふうに思うんですが、総理のお考えはいかがですか。
#56
○国務大臣(羽田孜君) この点につきましては、やはりただマル公、公定歩合というものだけを信ずるということ、これはやっぱり私たちも慎まなければいけないというふうに思っております。
 特にその一番大きな理由といたしましては、この問題につきましては資金の手当てというのが非常に広範囲に多様化してきたというものがありますから、公定歩合だけ下げて、金利を下げたからそれじゃ銀行からの借り入れが多くなるかなというと、最近幾ら下げましてもまだ需要が出てこない。しかし、それじゃ本当に動いてないのかといいますと、ほかで資金手当てというのをしているところがあるわけですね。特に手元流動性なんかを崩しながらやっておるという状況もございます。
 そういうことと、もう一つはやっぱり公定歩合がどうのこうのと余り議論をこっちでいたしますと、じゃまた下がるんだったらもうしばらく待った方がいいやということで、なかなか実際の借り入れての投資というものも行われてこないというようなことがございますから、その辺はやっぱり考えなきゃならぬと思っております。
 また、こういったことによって預金生活者ですとかそういった人に影響があるだろうという今御指摘で、こういったものに対しての配慮をできないかという御指摘でありますけれども、この点につきましては、既に少額のものについては三百万というものが債券の場合にもございますし、預金の場合にもございますし、またもう一つは老齢者のための特別な手当てというものがあるということでございまして、大体お一人で老人が九百万円まで、御夫婦で一千八百万円。しかし、実際にはまだ相当低いところであるということからいって、そこらあたりはまだ私どもは考えるべきじゃないんじゃないのか。
 それと、これによる減収というものは相当大きなものがあるというようなことも、ございますので、この点はお許しをいただきたいなというのが率直な気持ちであることを申し添えさせていただきます。
#57
○和田教美君 もう時間がなくなりましたが、議題になっております法案関係について一つだけ宮澤総理にお伺いしたいと思います。
 昨年の七月、総理就任前のことですけれども、大阪市内のホテルで記者会見をして、総理は、大手証券会社の損失補てん等一連の証券不祥事問題に関連して、我が国は業界の育成と監視を一つの役所で行っている、第三者的に間違ったことをしていないかを見る組織が何らかの形で必要となるのではないかというふうにお述べになっておられます。このことは、再発防止に向けて大蔵省とは別個に証券界の不正行為を監視する第三者機関が必要だというふうな認識を示されたんだろうというふうに我々は理解していたわけでございます。
 そこで、総理にお伺いするんですけれども、今審議中のこの証券取引法の改正案、証券取引等監視委員会は八条委員会ということで政府部内に位置づけられておるわけです。この委員会でもその独立性の問題はいろいろ議論されましたけれども、総理がその当時に持っておられたイメージとでき上がった監視委員会というものとの内容は相当違うんではないかという、今の記者会見の模様から見るとそういう印象を持つんですけれども、そうではなくて独立性はこれでも確保されているというふうに総理自身も納得されているのかどうか、その点を最後にお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
#58
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう発言を昨年の夏に確かにいたしました。私は、三条機関ということはそのときも実は考えておりませんで、やはり大蔵大臣との、大蔵省との間の独立性というものは三条機関でなくても何かの方法で必要だと考えておりましたので、このたび、委員会の独立性、中立性、そして委員の任命についての院の同意、あるいは委員会が調査、検査の結果に基づいて自分で告発をすることができる、あるいは大蔵大臣に行政処分の勧告を行うことができる等々、三条委員会というものは私はどうかなと思っておりました立場から申しますと、今御審議を願っておりますようなことが一番目的を達するいい方法ではないか。他方で、大蔵省の行政部局との間である程度の情報交換あるいは連絡調整も大事なことでございますので、ここらが一番現実的に有効な方法ではないだろうかというふうに考えております。
#59
○近藤忠孝君 総理にまず政治改革について質問をいたします。
 昨日、政治改革協議会の実務者会議において自民党の方から案が示されましたね。それによりますと、パーティー開催の適正化、政治団体の資産公開、政治資金の運用方法の制限、寄附やパーティー券販売の公務員の関与の制限など十二項目であります。
 しかし、肝心な数々の腐敗を生む温床である企業団体献金の禁止は欠けておるわけであります。企業献金の本質はわいろだということ、これは企業関係者もちゃんと言っていまして、営利を目的とする企業の立場で言えば、企業の利益にならないことに金を出すのは株主に対する背信になる、だから必ず見返りを期待するんだと。これは実際そのとおりであります。
 しかし、総理の今までの見解を拝見しますと、節度ある企業献金はいいんだと、こういうことですね。しかし、節度あるかどうかその限界が、大体もともとわいろなんだから、わいろ性を持っているんだから、難しいんですよ。そういう限界が極めて困難で難しいからこそ、この間の鈴木善幸さんのように善意の保管なんという国民の失笑を買うような言葉も出てくるわけですね。これほど批判も高まってきた。となりますと、総理自身の企業献金に対するお考えが変わってしかるべきだと思うのが第一点。
 と同時に、今問題になっているのは、明白に企業献金の限度を超えたわいろそのものの事件が多発しています。共和、佐川事件などなど。しかもほとんど未解明であります。と同時に、総理御自身のリクルート疑惑もこれ晴れてないんですよ。こんな状況で政治改革と総理がおっしゃっても、国民は信頼できないんじゃないか。まずこの二点についてお答えいただきたいと思います。
#60
○国務大臣(宮澤喜一君) 企業献金はわいろだ、そういうお立場からのお尋ねでございますので、私はそう思っておりません。企業も社会の存在でございますから、個人がそうであるように、自分の信念、自分の考えていることの達成のために献金をするということはあることで、それは許されてしかるべきことである。それは何も自分の会社がもうけるためばかりではございませんで、ある種の体制に日本がなってもらっては困ると考えているような企業があると思います、例えば。それならば、それはやはり市場経済が大事であるとか、自由民主主義が大事であるとか、そういうために献金をするというようなことも、個人がそうでありますように企業がそうでありましても私は不思議でないと思いますので、企業献金というものをわいろである、したがって悪であるという立場に私は立っておりません。
 ただ、近藤委員の言われますように、そうかといってまことに野方図に幾らでもいいかということになりますと、それはやっぱりおのずからそこ
には節度というものがある。節度というものはやはり自分自身で考えるべきものだと思いますけれども、そういう条件のもとに、私は企業献金というものは認めていいものである、こう考えておりますものですから、このたびの政治改革で資金問題の中でこれを提起をいたしておらないわけでございます。
#61
○近藤忠孝君 思わぬところにとばっちり来ましたけれども、それを議論していると時間なくなっちゃうからまた別の機会に議論したいと思います。
 それから、一昨日のこの委員会で、今度できる監視委員会から金融機関を監視対象から外したことについて随分説明があったんですが、私も納得できなかったし、ほかの委員も納得できなかったようであります。何しろこれは行革審答申ではっきり金融も監視対象にしろと明記している。また、橋本大蔵大臣も当時そういう発言をしていることの大幅な後退が第一。それから、昨年来のスキャンダル事件において巨額の不正融資が明るみに出ましたけれども、しかしこれは従来の大蔵省の金融検査では発見、抑止できなかったという、こういう反省がやっぱり必要だということ。そしてさらに、今法案として出てますが、金融、証券両業務の一体化が進んでおり、制度的にも銀行の証券参入を認めようとしている。そういう中では、私は委員会は金融機関に対しても監視をすべきだし、なぜ外したのか、一昨日の大蔵省の説明では納得できておりませんので、ひとつ総理として私に納得できるような御答弁をお願いしたいと思います。
#62
○国務大臣(宮澤喜一君) 金融検査自身は、金融機関の経営が健全であるかどうか、国民に非常に関係の多いことでございますので、そういうためにやるものであろうと思っておりまして、金融機関の内部でいろいろ問題がある、個々の職員の不正等々は基本的には私は金融機関自身の問題であろう。
 そういう意味では、証券というのは市場取引でございますから、市場が公平に公正に形成されている、これは大事なことで、それが今回の監視の一つの目的でございますけれども、金融というのはそういう意味では相対の取引でございますから、そこに市場の形成云々という問題はないのであろう。そのところが金融検査と証券検査の私はやはり基本的な一つの違いではないかというふうに考えております。
#63
○近藤忠孝君 お役人の答弁の域を出ていないようでありますが、先へ進みます。
 やっぱり今回の反省は、金融あるいは証券の行政と業界とが癒着しておったところにあるわけですね。いろんな面の癒着がありますけれども、私は一番問題は、やっぱり天下りが大きな問題の一つだと思うんです。
 現に、私たちが地方あるいはどこかの金融機関に行きますと、ここでお目にかかった方にちょくちょくお会いするわけですよ。また近々、東京銀行の会長にやっぱりここで大分議論した人がおつきになるという報道も出ていますよね。証券関係での天下りも結構ありますが、特に金融機関というのはその比でないですね。しかも、そこに今度できる委員会の監視が外れるとなりますと、私は相当問題があるし、特に金融機関あるいは証券に対する天下りについては、今よりももっと自粛すべきではないのかと思うんですが、いかがですか。
#64
○国務大臣(宮澤喜一君) これは御承知のように、人事院でもそのことについでは大きな関心を持っておられて一定の制約が設けられておるわけでございますけれども、他方で、個人個人としては自分の職業の選択の自由というものがございますし、またそうでなければならないわけでございます。そして、その間でやはり専門的な知識、経験というものを一番有効に生かすためにはどうすればいいかということが当然あるわけでございますから、そういうことが今のような行き過ぎますと御指摘を受けることになる。これにも節度がなければならないことであろうと思います。
#65
○近藤忠孝君 最後になりますけれども、一連の金融スキャンダルの根本にあるのはやっぱりバブル経済の拡大、それから金融自由化、規制の緩和、こういうところから必然的に起きてきたんだと思うんですね。
 ところで考えてみますと、実は超低金利をつくったときの大蔵大臣は宮澤さんですよね。それからまた、私も土地特別委員会で宮澤さんに金融機関の土地融資を規制せよという質問をしたことがありますが、そのときの宮澤さんの答弁は、やはり投機ですから、もうける者もあれば損をする者もあり、潮が変わったら早く引いた方が得ですから、黙っていてもきっと引いていくという、こういう御答弁で、やろうとしなかったんです。その年に一番土地高騰が上がったとなりますと、私は、金融不祥事の根本にあるバブル経済、当時大蔵大臣であった宮澤さんの責任が大変大きいんじゃないかと思うんですが、今胸に手を当ててどう考えますか。
#66
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、長い御説明ができませんですけれども、一九八五年のプラザ合意以降の急速な円高というものに、国民経済は非常に極端に実は不況に陥ったわけでございますので、これに対応しなければならなかった。一つは急激なドルの下落を防ぎますためにかなり市場で介入をいたしました。それはそれだけの円の流出になったわけでございますが、また緊急経済対策も六兆円規模のことをいたしました。これらはすべてそのようなプラザ合意以降の緊急事態に対応するためでありまして、それはそれなりの目的を達したと考えておりますけれども、それがまた過剰流動性になったことはこれは否定のできないところでございます。それはバブルに関係があるだろうとおっしゃれば、それはあることは認めざるを得ません。
 ですから、あのときにああいう対策は必要であったが、その過剰流動性をどういう方法で、他方で比較的遅くない時期に吸収できなかったか、何か方法があったであろうかというのは、一つの私は反省材料だというふうに考えております。
#67
○近藤忠孝君 終わります。
#68
○池田治君 総理の諮問機関であります経済審議会の地球的課題部会の報告が先日ございました。これによりますと、地球環境保全や旧ソ連、東欧諸国の市場経済化の支援の必要性を提唱されております。また、七月に行われる予定であります先進国首脳会議、ミュンヘン・サミットですが、そこでは旧ソ連、東欧諸国の原子力発電所などの安全対策、また地球環境保全の対策が話し合われ、必要に応じて先進国が費用を分担することの協議もされると伺っております。私もこれらの提唱、提案は、いずれも環境保全にとって重要なことでありまして、問題はないと思っておりますが、しかし、資金的な問題が、裏づけが解決しませんとこれは何にも意味をなさないわけでございまして、この点心配をしておりますが、そこで総理にもお尋ねいたします。
 昨年の末、平成四年度の予算編成に関連いたしまして、政府や自民党の首脳の間では、国際貢献税とか国際貢献資金構想、こういう問題として三年間五千億円ずつ積み立てて基金を創設するほか、一般会計予算の中に予備費を一千億円程度上積みして積み立て、必要に応じてこれを支出するとか、最近では環境税を新設して資金をつくろうとか、いろいろなことが言われておりますけれども、総理としてはどうしてこの地球環境保全や旧ソ連、東欧諸国の支援をするための財源を賄うのが一番適切であって、国民の理解が得られると、こうお考えでしょうか、お尋ねいたします。
#69
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる地球問題あるいはソ連の解体等々から、国際的なそのような新しい財政需要が起こっているということは池田委員の御指摘のとおりでありますし、各国がみんな必ずしも経済運営うまくありませんので、その間我が国に対して期待されるところが非常に大きくなっているということもそのとおりでございますけれども、その我が国自身が実は財政的には非常につらいことになっておるということでこざいま
すので、大きな期待を受けながらこれにどのように対応するかということは、いろいろ知恵を出さなければならないところであろうと思います。
 国際貢献税というようなこともその一つとして昨年一度提起された問題でございましたけれども、ただ、やはり国民の負担というものにもおのずから限度がございますので、そのような大きな期待と我が国のこの財政の現状とをどういうふうにつないでいくかということは、私どものやっぱり非常に苦労しなきゃならない問題だと思います。幸いにしてすべての問題が一時に資金需要になってまいるわけではございませんので、私どもとしては、やはり日本にそれだけの期待があるということは、日本の経済をその期待に沿えるような、つまりそれだけの運営をしていって、そうしてその経済の成長から期待されておるような原資を生み出すと、そういう経済運営をするということが私は基本なのであろう。今のこの時期の日本経済はちょっとそういう状況にございませんけれども、できるだけ早く立ち直りまして、そして多少の時間をかけながらそういう世界からの期待にもこたえていかなければならない、そういう心構えが大事だろうと思っております。
#70
○池田治君 総理はなかなか経済通でございますので、意味のある慎重な御答弁でございますけれども、しかし我が国は、今貿易黒字は一千百億ドルを超えている。これは月々にすると一兆円を超えるわけでございますね。その反面、国家財政には百七十兆円を超える国債残高も控えている、こういうことでございまして、諸外国が見るように必ずしも日本は経済的に豊かさが充満しているとは考えられないと思うんですが、総理はいかがお考えでしょうか。
#71
○国務大臣(宮澤喜一君) どう申しますか、我が国は市場経済をやってまいっている国でございますので、いわば、ちょっと今それを申しますと少しぎらつきますけれども、一般的に民間は大きな強い経済をつくり上げている、他方で政府は必ずしもそうではないという、そういう状況になっておりまして、その間、貯蓄超過ではないかということを言われますけれども、その貯蓄超過を政府が利用するとすればそれは国債とか説とかという話になってまいりますので、これにはやっぱり問題がある。そういう国全体の持っている経済力と、その中における政府が必ずしも豊かでないということの問題に常に悩んでおるということじゃないかと思います。
#72
○池田治君 そういうことでありますから懸念をしているわけでございますが、先ごろ開かれました経済協力開発機構、OECDの閣僚理事会の席上では、サパン・フランス蔵相は、日本の貿易黒字はもう記録的水準に膨らんでいると言ったし、フランクリン・アメリカ商務長官も、財政状態の健全なる国は経済の成長加速に向けて適切な財政措置を実施する必要があるなどと我が国を暗に指した発言があったと、こう伺っております。こういう諸外国の対日感ということがある以上は、ミュンヘン・サミットにおきましても日本に対する資金要求は応分以上なものがあるんではなかろうかと思っておりますが、先ほど総理が言われましたように、貿易黒字である民間の黒字と政府そのものの財政の苦しさと誤差があるということをどうして諸外国に理解をさせて、御理解を賜るかということが私は重要な問題だと思うんですが、これはいかがお考えでしょうか、お伺いします。
#73
○国務大臣(羽田孜君) この点につきまして、ちょうどG7、G10あるいはIMF等へ出てまいりましたので私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 確かに日本に対しての要請というのは、やっぱり数字がひとり歩きするということがございます。ただ、私どもそこでよく皆さんに申し上げたことは、大きな数字でありますけれども、実際には、私どもの方から例えばアメリカなんかに対して資材の供給というのがないとアメリカが今度は輸出する製品ができ上がらないというようなことが実はあります。こういった点について御説明申し上げると同時に、我が方といたしまして、相当世界に生産拠点をつくっておるということ。そういったことで、これからはもうそんなに大きな黒字が出てくる体質じゃありませんよということ、それから円高になったということなんかがやっぱり相当大きなものがあるということ、こういったことをるる御説明申し上げまして、現在の黒字というのは、過去においてどんどん輸出にドライブがかかって黒字になったものと違うんだということを理解を求めたところであります。
 それからもう一つは、日本が非常に財政的に豊かじゃないのかという御指摘があるわけでありますけれども、一般に皆さん方が言われる場合には、一般政府というものを、いわゆる年金等の積み立てですね、残。こういったものについて、実は含めて日本の国は非常によろしいという御指摘があります。ただ問題は、もう御案内のとおり、一年間に六十五万人ぐらいずつ六十五歳以上の方、いわゆる年金受給者がふえてくるという状況である。ということになりますと、二〇〇〇年になりますと最も高い方に実はなってくるということでございまして、そうなると途端に財政が苦しくなるということで、そういう見方をしますと財政が苦しくなるということ。そういう意味と、今御指摘がありましたように、百七十四兆円以上のもの、そして一六・七、八%ですか、これが利払い費に払われておるということ、これは国際的には先進国の中で最も高いというものでございますから、決して日本が財政が豊かだということ、そのようにとられることについてはこれは大変困りますということを実は申し上げておるところでございます。
 しかし、私どももこういった議論を聞きながら、やっぱりよく国際的に理解されるようなPRというものをしていかなきゃいけないなということを改めて思っております。
#74
○池田治君 時間大丈夫でしょうか。
#75
○委員長(竹山裕君) 時間でございます。
#76
○池田治君 それでは、よくわかりました。そういう方針でひとつ御苦労ですが頑張ってください。
#77
○三治重信君 今度の証券取引法の一部改正の中で、結局検査・監視体制の強化が図られたわけなんですが、しかしこれは行政改革から見ると異例な特殊なことだろうと思うんです。
 あれだけ世間を騒がせたから、監視体制の強化がこういうふうに図られたということはやむを得ないことだと思うんですが、これも行革審の審議を通してこういうぐあいになったんですが、その反面、今盛んに、行革審は一生懸命になって国民的世論を代表して行政改革に取り組んでいるわけですが、そういうことからいくというと、今度の証券取引法の一部改正の中で機構だけ非常に強化された、監視になって。その中身についてはどうなったか、もっと自由な活動ができるようにとかなんとかいうのはどうなったかということについては、検討中だという答弁がほとんどです。だから一方、後でもう一つ聞きますけれども、証券業協会や取引所の自主規制の権限の規定があるから、これが一つの自由化にわたっているかと思うわけです。
 こういうものを考えてみたときに、総理として今後の行政改革、第三次行政改革審議会、許認可の業務から、いろいろ答申なり何かやろうと思っているが、行政改革については非常に抵抗があるというのが新聞の極めて強い報道ですよね。これに対して、こういうものの特殊的な事情でこういうぐあいになったけれども、第三次行革審というのはやはりもっと総理がよほどバックアップしないと立ち消えになるというのか、行革審が一生懸命やってもそれは委員会の審議だけだということで、行政改革出してもらっても、国民の実感が伴わないような行革審になりゃせぬかということを憂えるわけなんです。
 これに対して、総理のお考えなり、行革審に対するお考えをひとつお伺いしたいと思います。
#78
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお話ですが、戦後、委員も御承知のとおり財閥解体があり、閉鎖機関というようなものもできまして、大きな
証券が放出されました。それをいわゆる証券民主化ということで国民がみんな証券を持つという、それは四十年前のことでございますけれども、今日までそのような証券界あるいは国民の証券に対する関心というものがここまで大きくなったことについての証券会社の方々、あるいはその行政を指導してまいりました大蔵省等の指導、私はその成果を決して過小評価はいたしておりません。決して過小評価はいたしておりませんが、その結果として他方で、余りに伸びが大きゅうございましたから、このようなことが起こったということも事実でございます。そこで、このような法律によりまして市場の公正を図らなければならないということになってまいった。このような監視体制は、確かに行革から申せば行政がそれだけ大きくなるわけでございますから例外になろうと思いますが、しかしこれはやはり必要であったろうと。
 そこで、市場はですから公正でなければならないが、同時に活発でなければならないわ付でございまして、このたびの一連の問題以来、活発ということについて、やむを得ないことでございますけれども、かなり影響を与えたことは私は事実だろうと思います。ですから、このような監視によって公正が確保されました以上は、市場活動はぜひ活発であってほしい、そういうことは当然なことでありますが、お互いに考えていかなければならないことと思います。
 なお、行革全体につきましては、せんだっても鈴木会長にお目にかかりまして申し上げたことですが、長い間の行革の努力の中で、二つやはりまだ十分でないところがある。一つは官から民へといういわゆるデレギュレーションの問題であります。もう一つは中央から地方へという地方自治の問題、この二つが残っておりますので、政府としてはこれを中心に一生懸命行革を進めていかなければならないというふうに強く考えております。
#79
○三治重信君 次に、こういうふうな不祥事件で、日本の東京市場がどうなるかというのが世界で関心の的だろうと思うんですが、総理としては、今、日本の東京の資本市場がニューヨークやロンドンと三大市場を形成している、こう言われている。あるいは僕なんかは、三大市場のうちで一番中心に、東京市場の動向が証券の活性化というんですか、世界の資本市場のバロメーターになるような位置にも望まれるのではないかと思うんですが、そういうところの中で、今度新しく責任を持たされた証券業協会や取引所のやり方で、ほかのロンドンやニューヨークの市場と取引所の機能や業界の自主規制の機能が大体対抗して同じような基準、標準でやっていけるだろうと、こうお思いになりますかどうか。
#80
○国務大臣(宮澤喜一君) ロンドンもニューヨークも東京も、おのおのよその人からは少しずつわかりにくいところがあるのはこれはやむを得ぬことだと思いますけれども、我が国の場合には殊に文化的背景が大変に違いましたので、ある意味ではなかなかわかりにくい部分がやっぱりあったのであろうと、必ずしも不正という意味ではございませんけれども、思います。このたびのことは、図らずもそういう意味で我が国の市場のあり方、広い意味で市場のあり方についてこれを公正にするということは、またある意味で国際化ということに通じておると思いますので、そういう意味では東京市場がロンドン、ニューヨークと並んで文字どおり透明性の高い国際市場になるということに私はこのたびの改革は非常に貢献をするであろう、またぜひそうでなければならないと思っております。
#81
○委員長(竹山裕君) 以上で質疑は終局いたしました。
 本案の修正について近藤君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。近藤君。
#82
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、本案に対し修正の動議を提出いたします。その内容はお手元に配付の案文のとおりでございます。
 これより提案理由とその概要を御説明申し上げます。
 修正案提出の第一の理由は、政府案による証券取引等監視委員会では、証券市場の公正性、透明性を確保するための機能を果たすには余りにも大蔵省への従属性が強く、国民の期待を裏切るものとなっていることであります。一連の証券スキャンダルは、大蔵省が免許制度のもとで証券会社の保護育成と監視という相反する役割を演じていたことによる行政と業者のなれ合い、癒着が最大の原因であります。その再発防止の成否はこの癒着の明確な遮断にかかっており、そのためにはこの監視委員会の大蔵省からの独立性が確保されなければならないのであります。
 第二の理由は、証取法百二十五条の規定に全く手をつけていないことであります。昨年野村証券が行った東急電鉄株の大量かつ集中的な推奨販売は、相場操縦の疑いが強いものであったにもかかわらず、現行条文の規定から立証の困難さを理由に刑事罰が適用されなかったのであります。これでは、今後同種の不祥事が生じても的確な法の適用はできず、行政処分のみで終わってしまい、法改正の目的である市場の公正性と透明性を確保することは不可能であると言わざるを得ません。
 第三の理由は、金融機関が監視委員会の監視の対象から外されていることであります。証券スキャンダルと並んで、不正融資や暴力団に巨額の資金を供給した金融スキャンダルの学習効果を今回の改正に生かすべきであるにもかかわらず、対象を証券に限定しているのは重大な欠陥であると言わざるを得ません。
 以上のような政府提出法案の問題点を是正し、証券・金融スキャンダルの再発防止と、証券取引の公正を確保するために最小限必要な修正を行うことが修正の動議を提出した理由であります。
 次に、修正案の概要について御説明いたします。
 第一に、証券取引等監視委員会を、国家行政組織法第三条に基づく大蔵省の外局としての独立行政委員会とし、事務局の任命権は委員長が持つこととしております。また、委員長は独自の行政処分権を持ち、犯則事件の調査を行った場合において必要があると認めるときは証券会社の業務の停止を命じ、または証券会社の役員の解任を命ずることができることとしております。さらに、証券取引に関する紛争の仲介の権限を現行の大蔵大臣から委員会に移すほか、委員会は独自の規則制定権を持ち、国会に対して報告する義務を負うこととしております。
 第二に、証券会社の大量推奨販売について、政府提出法案に規定される行政処分だけでなく、刑事罰を科することができることとしております。
 第三に、大蔵大臣が金融機関に対する検査の実施方針その他の基本的事項について委員会の意見を聞くという政府提出法案の規定に加えて、この意見を尊重しなければならないことを明記することとしております。
 以上が本案に対する我が党の修正案の主な内容であります。
 何とぞ、慎重な御審議の上、御賛同賜りますようお願いいたします。
#83
○委員長(竹山裕君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#84
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。
 本法案は、昨年明るみに出た一連の証券・金融スキャンダルの再発を防止し、公正な証券市場を確立するための一環として提案されていますが、当初の国民の期待から大幅に後退し、骨抜きにされてしまいました。
 本法案によって設立される証券取引等監視委員会は、国家行政組織法三条機関としてではなく、審議会等と同じ八条機関とされ、独自の行政処分権を持たないなど、極めて独立性の弱いものとなっております。委員長及び委員の任命権は、両院の同意が必要とはいえ、大蔵大臣にあり、事務
局の人事権も大蔵大臣にあります。地方組織に至っては、委員会の権限は財務局長に委任されるなど、文字どおり一体化しているのであります。
 また、委員会は、専ら証券取引のみを監視することとし、銀行等金融機関を監視対象から外していますが、これは金融・証券両市場の一体化から両市場を視野に置くべしという行革審の答申にすら反しており、不当であります。金融・証券不祥事においても、証券取引のみならず、金融取引に関しても巨額の不正取引がなされたことが明るみに出ました。また、政府が行おうとしている金融制度改革は両業務の相互参入を促進しようとするものであり、銀行を監視対象から外すことは納得できません。
 さらに、委員会の検査や調査結果などを公表するとともに、国会に報告することを義務づけるべきであります。
 本改正案はこのほか、株価操縦に対する刑事罰適用の見送りなど、問題を含んでおり、賛成できません。
 我が党提出の修正案は、これらの一定部分についての修正を施したものであるので、御賛同くださるようお願いいたし、討論といたします。
#85
○委員長(竹山裕君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、近藤君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#86
○委員長(竹山裕君) 少数と認めます。よって、近藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#87
○委員長(竹山裕君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 前畑君から発言を求められておりますので、これを許します。前畑君。
#88
○前畑幸子君 私は、ただいま可決されました証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    証券取引等の公正を確保するための証券
    取引法等の一部を改正する法律案に対す
    る附帯決議(案)
  政府は、次の事項について十分配慮すべきで
 ある。
 一 証券市場に対する国民の信頼を確保する努
  力を引き続き行うとともに、自己責任原則に
  基づく明確なルールの下で公正な取引を行う
  という基本的な原則の周知徹底に努め、市場
  の活性化につながる透明、かつ、健全な市場
  の実現を図ること。
 一 証券取引等監視委員会の委員の人選に当
  たっては、行政部門からの独立性・中立性を
  確保する観点から、これを担保し得る、かつ、
  専門的知識を持った適任者を選任すること。
  また、委員会を担う事務局職員についても委
  員会設置の趣旨を勘案して幅広く人材を求め
  ること。
 一 委員会の職務遂行の万全を期するため、事
  務局体制の充実を図るとともに、委員会の所
  掌事務及び組織のあり方については、その運
  営状況を踏まえ社会経済情勢の変化にも対応
  しつつ、適切な見直しに努めること。
 一 大蔵大臣は、金融機関等検査の実施方針そ
  の他の基本的事項に関する委員会の意見を尊
  重して事務運営を行うよう努めるとともに、
  委員会が大蔵大臣に対して勧告、建議等を
  行った場合には迅速、適切に対応すること。
 一 委員会は、勧告、建議等の内容及びその実
  旋状況を公表するに当たって、検査等、事務
  処理状況の実態についても国民に十分理解さ
  れるよう配慮すること。
 一 自主規制機関である証券業協会及び証券取
  引所が、自ら証券取引のルール違反を監視
  し、処分する仕組みと慣行を確立し、自主規
  制機関としての本来の使命を十分果たし得る
  よう努めること。
 一 今般の証券会社による損失補てん等一連の
  証券不祥事によって、投資者の信頼が著しく
  損なわれたことにかんがみ、早急に、いわゆ
  る「とばし」等の是正を図るとともに、暴力団
  の不当な介入を排除するため自主的な対策の
  確立及び捜査機関との連携・協力体制を強化
  すること。
 一 行き過ぎた大量推奨販売行為や相場操縦的
  行為についての禁止規定の運用等に当たって
  は、積極的に公正、かつ、厳正に行うこと。
 一 証券行政の透明化を図るため通達等を全面
  的に見直し、可能な限り法令に移行する措置
  を講ずるとともに、極力、その整理・統合に
  努めること。
 一 投資者保護の観点から、投資顧問業者及び
  投資信託委託会社の業務の健全性を図るた
  め、その独立性の確保に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
#89
○委員長(竹山裕君) ただいま前畑君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#90
○委員長(竹山裕君) 全会一致と認めます。よって、前畑君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、羽田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。羽田大蔵大臣。
#91
○国務大臣(羽田孜君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿いまして配意してまいりたいと存じます。
#92
○委員長(竹山裕君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○委員長(竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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