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1992/06/18 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 大蔵委員会 第10号
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1992/06/18 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 大蔵委員会 第10号

#1
第123回国会 大蔵委員会 第10号
平成四年六月十八日(木曜日)
   午前九時三十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十八日
    辞任         補欠選任
     石川  弘君     合馬  敬君
     大浜 方栄君     野村 五男君
     木暮 山人君     大島 慶久君
     谷本  巍君     瀬谷 英行君
     堀  利和君     赤桐  操君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹山  裕君
    理 事
               大河原太一郎君
                野末 陳平君
                前畑 幸子君
                本岡 昭次君
                白浜 一良君
    委 員
                石川  弘君
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                合馬  敬君
                斎藤栄三郎君
                中村 太郎君
                野村 五男君
                藤井 孝男君
                藤田 雄山君
                赤桐  操君
                久保  亘君
                鈴木 和美君
                瀬谷 英行君
                角田 義一君
                和田 教美君
                近藤 忠孝君
                池田  治君
                三治 重信君
   衆議院議員
       大蔵委員長    太田 誠一君
   国務大臣
       内閣総理大臣   宮澤 喜一君
       大 蔵 大 臣  羽田  孜君
   政府委員
       内閣法制局第三
       部長       津野  修君
       経済企画庁調整
       局長       吉冨  勝君
       国土庁計画・調
       整局長      田中 章介君
       法務省入国管理
       局長       高橋 雅二君
       外務大臣官房審
       議官       畠中  篤君
       外務省経済協力
       局長       川上 隆朗君
       外務省国際連合
       局長       丹波  實君
       大蔵政務次官   青木 幹雄君
       大蔵大臣官房長  篠沢 恭助君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     日高 壮平君
       大蔵省主計局次
       長        小村  武君
       大蔵省主計局次
       長        涌井 洋治君
       大蔵省主税局長  濱本 英輔君
       大蔵省証券局長  松野 允彦君
       大蔵省銀行局長  土田 正顕君
       大蔵省銀行局保
       険部長      鏡味 徳房君
       大蔵省国際金融
       局長       江沢 雄一君
       通商産業大臣官
       房商務流通審議
       官        麻生  渡君
       郵政省貯金局長  松野 春樹君
       労働省職業安定
       局長       若林 之矩君
       労働省職業安定
       局次長      伊藤 欣士君
       建設省住宅局長  立石  真君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        下村 純典君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○金融制度及び証券取引制度の改革のための関係
 法律の整備等に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する
 法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)
○青色事業主勤労所得控除の創設に関する請願
 (第四一号)
○電波によるたばこ宣伝の廃止に関する請願(第
 六七号外一一九件)
○中小自営業者婦人の社会的・経済的地位向上に
 関する請願(第三四二号外一四件)
○消費税廃止・飲食料品即時非課税、課税最低限
 引上げに関する請願(第三五六号外六二件)
○パートタイム労働者の非課税限度額を百五十万
 円に引き上げることに関する請願(第七一五号
 外一六件)
○消費税廃止・国民本位の税制改革に関する請願
 (第九六六号)
○印刷局の労働者賃金引上げに関する請願(第一
 八六二号外六件)
○所得税の課税最低限を年収百五十六万円以上に
 大幅是正することに関する請願(第二八九二号
外一七件)
○一兆円規模の所得税減税と「子育て減税」の実
 施等に関する請願(第三四〇八号外六六件)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(竹山裕君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○前畑幸子君 昨日に続きまして、金融制度改革についてお聞きしたいと思います。
 私ども利用者の立場からいいますと、制度の見直しもさることながら、諸規制、諸慣行の見直しによります中長期預金等の商品開発が進むことも重要と思いますが、今後自由化されると考えていいのか、お聞きしたいと思います。
 ただいまの金融市場に残る諸規制、諸慣行について、金融制度調査会答申によりますと、「中長期預金の導入」とあります。改革後はそれを認めていかれるのか。そしてまた、銀行法において禁止されているのではないと思いますが、銀行における三年超の預入期間を定めた金融商品は販売することができなかったわけですが、その理由についてお聞きしたいと思います。
 また、長期信用銀行の利付金融債、信託銀行の貸付信託など五年物がありますが、各業態の垣根を低くすることによってこうした商品が利用者ニーズにこたえていかれるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
#4
○政府委員(土田正顕君) 中長期定期預金についてのお尋ねでございます。
 今は、議論となっておりますのは、預入期間三年超の預金についての場合が多いと存じます。こ
れにつきましては、御指摘のようにそのような預金が法律で禁止されているということはございません。これまで定期預金が、現在は三年まででございますが、比較的短い期間に限られておりました理由は、一つには、金融機関、普通の銀行が原資を調達いたしますときに長期固定金利で資金を吸収いたしますことによるところの金利変動に対するリスク、それに備えるという考え方がございまして、どちらかといえば短期貸しか主流でありましたので、短期貸しの資金として短期商品によって資金を調達するという組み合わせが理想的であると考えられていたからでございます。それをバックアップしておりましたのがいわゆる長短分離の考え方でございました。
 ところが、その後、普通銀行でも一年超のいわゆる長期貸し出しの比重が非常にふえてまいりましたし、また、そのような長期貸し出しに見合う長期的な原資が必要である、それを手に入れることが望ましいというニーズも出てきたわけでございます。これが従来のいわば中長期預金問題の背景でございます。
 そこで、現在、この中長期預金についての状況を御説明いたしますと、大蔵省といたしましては、金融制度調査会の答申などを踏まえて、中長期預金を含む金融商品の多様化に鋭意取り組んでいるところでございます。昨年十一月の三百万円以上の定期預金金利自由化に当たりましても、初めて預入期間三年の自由金利定期預金を導入したところでございます。その後、これは御指摘のように、預入期間三年超の預金を導入することについての議論も進んでまいっております。
 このような商品・サービスにつきましては、これからは金融自由化の進展に伴いまして、金融機関みずからの創意工夫によって魅力ある商品・サービスを利用者に提供していくことが期待されておりますので、私どもといたしましても、金融機関の間の競争条件の公平性の確保とか、金融秩序の維持とか、そういうものに配慮する必要はございますが、預入期間三年超の中長期預金導入を含め、金融商品多様化に前向きに取り組んでまいりたいと存じます。
 なお、他の業態で五年物の利付金融債や貸付信託のような商品を扱っておるわけでございますが、このような商品そのものがそのものの形で普通銀行によっても取り扱われるということは、なかなかこれは期待しがたいであろうと思います。むしろ普通銀行は何といいましても預金が主力商品でございますので、この預金の条件についての工夫によって長期資金を調達していく、それが今後の方向ではないかと考えております。
#5
○前畑幸子君 六月五日の毎日新聞に、「都銀、地銀の中長期預金には反対」という信託協会の会長の談話が載っているんですけれども、「来年六月からの導入を検討している期間四年以上の定期性預金について「普通預金金利の自由化など先に検討されるべきことがあり反対だ」」ということで、この中長期預金の導入に反対の意見を出されています。
 こうした今までの既得権というか、そういうものに対する導入に対してはっきりと反対の意見が出ておりますが、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
#6
○政府委員(土田正顕君) 各金融機関、金融業態は、それぞれに自分の得意とする商品によりまして一定のシェアを維持するべく資金調達に努めておりますので、そこで新たな動きが起こりますと、それによって不利の影響をこうむるであろうと予想する業界から慎重論が出てくるというのは、昔から必ずといっていいほど見られる現象でございます。もちろん、ただ中長期預金そのものだけの問題を取り上げるということであれば、それは自分たちの業界にとって好ましくない影響があるというような議論はあり得ることであり、私はよくは存じませんが、協会長はそのような空気を踏まえた発言をされたものと思います。
 ただ、ただいま御指摘もございましたが、この中長期預金の問題一つだけを抜き出すということではなくて、預金の自由化について各業界の意向をもいろいろ探りながら、調和のとれた、いわば段階的な進め方によって次第次第に自由化を進めていくということを従来からやっておるわけでございまして、基本的には、私どもは今後ともそのような方向で各業界の議論に対し必要あらばいろいろと説得、調停の労をとりたいと考えております。
#7
○前畑幸子君 そうしますと、今回のこの金融制度改革というのは、まだ各段階できちっとしたコンセンサスを得られていないままに動いていくような気がします。
 信託分野に参入する都銀などの子会社の業務範囲は極力限定的な範囲にすべきだという意向やら、それから都銀と信託銀行では店舗数にも大きな差があり、経営でその差を埋めていくのは難しいというようなことが言われているわけです。こうした点はこれからだんだんにということですけれども、どのくらいの期間を経てこういうものがすべて参入をきちっとされて利用者にの前にあらわれるのか、その辺に対して、少しさあ、となった場合にネックがあるような気がいたしますが、いかがでしょうか。
#8
○政府委員(土田正顕君) 今後、具体的に各論としまして個別問題を取り上げるに当たりまして、各業界に意見の差が出てくるであろうということは予想しております。ただ、それは従来もそういうことであったわけでございます。例えば証券子会社なり、その子会社の新設につきましても、それからその他のいろいろな預金ないしは信託関係の商品につきましても、店舗数の少ない金融機関にとっては店舗数の多い金融機関がその多い店舗で一斉にその取り扱いを始めるということについて非常に影響を懸念する声があるということは、従来もございましたし、これからもそうであろうかと思います。
 ただし、それにつきましては、例えば信託銀行子会社の当初の業務範囲をいわば制限をして徐々にこれを広げていくというような、いわばソフトランディングの工夫を私どもは考えており、またこの国会でも御説明をしておるところございます。そのような工夫によりまして円滑な着地を図ってまいりたいと考えております。
 どのくらいの期間がということはあらかじめなかなか申し上げにくいのでございますが、ふたをあけてみますとさほど長い期間でもないかもしれない。一つの前例といたしましては、昭和五十六年の法改正によりまして銀行その他の金融機関に公共債の窓販のみならずディーリングを認めたわけでございますが、このディーリングが次第に金融機関に行き渡ってまいりまして、今はほぼ十年たちましたけれども、主要な金融機関は大体バンクディーリングの能力を備えるに至っております。
 このようなことでございますので、私どももあらかじめ何年というようなことを申し上げることはなかなか難しいし、また適当でないと思いますが、全体としてこの制度改革の目的であります適正な競争の促進という観点を踏まえて、今後業務の相互乗り入れの作業について各業界の理解を得られるように努めてまいりたいと考えております。
#9
○前畑幸子君 利用者の立場からもその辺をきちっと対処していっていただきたいと思います。
 金融のこういう自由化によっていろいろな商品が出てくるわけでございますけれども、そうした場合に、利用者の側にも今度どこの銀行のどういう商品を選ぶかということが自分自身の責任において適切な選択を迫られることになるのではないかと思います。株のように自分の意思によって買えばいいというように、金融商品に関しましてもどこの銀行、どこのレベルの銀行の出したどういう商品を買うかという、自分自身にも自己責任が求められるようになると思いますけれども、その際に一番大事なことは、金融機関のディスクロージャーが欠かすことのできない要件になってくると思います。そういう点で銀行さんはどうも内部の姿を私どもの前になかなか見せないのでございますけれども、こうした点から大蔵省はディスクロージャーを推進するスタンスに立ってこれから取り組んでいただけるのか、そのあたりはいかがでしょうか。
#10
○政府委員(土田正顕君) どの商品を選ぶかにつきまして、利用者の側にも主体的な判断と責任が求められるというのは全く御指摘のとおりであります。その判断を助けるためにディスクロージャーが有益であるということも御指摘のとおりでございます。
 そこで、このディスクロージャーのあり方につきましては、ことしの一月の金融制度調査会報告書におきましても、「今後の方向として、各金融機関はこ、「より広範なディスクロージャーを推進していく必要がある。」とされております。その一つの例といたしまして、全国銀行協会連合会などでは、かねてからディスクロージャーの具体的基準の充実について検討してまいったわけでございますが、銀行の場合、銀行法の中に「説明書類の縦覧」というような規定がございますけれども、それを踏まえたディスクロージャーの統一的な項目につきましても、たしかそのような項目のすり合わせを始めたのが昭和六十年代の初めのころであったと思うのであります。当初は五十項目程度でありましたのが、昨年の三月、年度末の時点の開示項目としましては六十一項目であり、さらに本年の三月末時点ではこの六十一項目を六十八項目に広げるというような作業も行われたわけでございます。今後もこのような充実の方向での検討が行われるものと期待しております。
 私どもといたしましても、このディスクロージャーの活用を考えておりますが、ただ最近へ不良債権の問題をめぐりまして、その具体的な範囲とかそれを開示することによる信用秩序への影響などについてなお検討を要する点も少なくないというような状況になりましたので、金融制度調査会の中に金融機関のディスクロージャーに関する作業部会を設けて、この六月五日から会合を開始いたしました。このような検討をも踏まえて、今後とも開示内容の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
#11
○前畑幸子君 今おっしゃいましたように、不良債権の件につきましても、どういう理由と基準で預金保険機構による無償供与などがされたかということも、私どもの目には見えないところでされてしまっているということですので、今回の不良債権の問題でも、一部の銀行で大変反対があったということで見送られたようですけれども、やはり社会的公共的な存在である金融機関はこうした面で情報を積極的に開示するということに努力していただきたいと思います。
 そうしまして、金融制度改革法案がこれで施行されますと、私ども一般庶民にとって、預金をする者、それから投資をする者、そしてまた借り入れをする者にとりまして、大企業は別といたしまして、個人とか中小零細企業であります一般利用者にとって、どのようなメリットが出てくるのか、お聞きしたいと思います。
#12
○国務大臣(羽田孜君) 今御提案申し上げております法案におきましては、専門制ですとかあるいは分業制、これに基づきまして各業態の間の垣根、これを低くすることによりまして、金融ですとかあるいは資本市場における有効で適正な競争、これを促進しようということであります。また、市場の効率化を図るとともに、より多様で良質な金融商品・サービスを利用者に提供することを可能としておるということでございます。
 それぞれの享受しますメリットといたしましては、具体的に申し上げますと、例えば預金者にとりましては中長期の預金の導入など金融商品、これが多様化するということがあろうと思っております。また投資家にとりましては、証券化関連商品など投資対象が拡大しまして、あわせて証券取引法上の投資者保護、これが図られるということになろうと思っております。また借入者、いわゆる資金を調達される側でございますけれども、この方々にとりましては、金融資本市場の効率化によりまして各種の手数料の引き下げですとか、あるいはサービスが向上すること、また私募の法整備によりまして中小企業などの資金調達、これが円滑化するというメリットが享受できるというふうに考えられます。このほか、金融資本市場の効率化を通じまして、これは目には見えないあれでございますけれども、国民経済全体の効率化といった形での制度改革のメリット、これを享受できるものであろうというふうに考えておるところであります。
#13
○前畑幸子君 ありがとうございます。そのようになることを私も祈りたいと思います。
 今の銀行法におきましては都市銀行と地方銀行という区分がないわけですが、実際には都銀とか地銀あるいは第二地銀という区分けがしてあるわけです。金融制度調査会の答申にも「都市銀行」、「地方銀行」という言葉が区別して使われておりますけれども、この区別はどのような概念に基づいて区別されているのでしょうか。銀行自身が自分で地方銀行、都市銀行というふうに判断して決めてよい概念なのか、法律上の概念と事実上使われている概念が整理されることなく現状を追認した形で改革が行われようとしているような気がいたしますけれども、その辺に対する見解をお聞きしたいと思います。
#14
○政府委員(土田正顕君) これは大変難しいお尋ねでございます。
 実は、我が国の銀行制度は、明治、大正以来、銀行条例ないしは銀行法ということで引き継いでまいったわけでございますが、その昔から、全国にネットワークを持ち圧倒的な規模の店舗を持つ。銀行と、それから各地の商工業者を相手とする地域の銀行とに分かれておるという状況でございましたが、それを法律上は一体として扱ってまいりました。法律論といたしまして、多少銀行の中に都銀と地銀の色分けがあるということを示唆する表現といたしましては、日本銀行法に日本銀行政策委員会の委員の選任についての規定がございまして、その中で「金融業二関シ優レタル経験ト識見ヲ有スル者二人 内一人ハ地方銀行二関シ経験ト識見ヲ有スル者トシ値ノ一人八大都市銀行二関シ経験ト識見ヲ育スル者トス」、こういうのが実は立法例で出てまいりますほとんど唯一の例でございます。
 ただ、実際上は、銀行が今申しましたような大都市に拠点を持ち全国ネットワークを持つ大規模な銀行と、それから一定の地域における金融機関であるところの、いわば地域銀行とかリージョナルバンクとかコミュニティーバンクとか言っておりますが、そういう銀行とに分かれまして、かつそれがまたこれまでのいろいろないきさつなり制度の変遷その他からそれぞれ自主的に協会をつくっておるわけでありますが、その協会で、地域の銀行協会、またそれを束ねました全国銀行協会連合会というそういう組織のほかに、同業態という自覚を持ったものが集まりまして地方銀行協会とか第二地方銀行協会というものを組織しておるわけでございます。それで、日本の場合はどうしてもそのような業界単位のもの、活動によって自己の立場を明らかにし、また自己の主張をなるべく実現しようとする、そういう行動様式が見られるというのが実態でございます。
 私ども、いろいろな制度論議なりそれから金融商品・サービスの議論をいたしますときにも、話し相手と申しますか、意見を探る相手といたしましては、やはりそのような、業態別に意見にどのような開きがあるかということを参考にしながら進めるということが実務上も必要でございますので、その限りにおいては、いわば現状を踏まえるという意味で、そういう実態的に生じておりますところの法律によらない区分けというものを尊重した行政をやっておるということでございます。今後とも、やはり金融界の現実というものを踏まえまして、それを望ましい方向に混乱なく進めていく、変化を促し改善を進めていくというためにはやはりこのようなやり方によるのもやむを得ないのではないかというふうに考えております。
 なお、御指摘の点は、いろいろと申し上げるべき点もございますが、私どもといたしましても、行政の進め方についてはなおいろいろ工夫してまいりたいと考えております。
#15
○前畑幸子君 そうしますと、今回の改革において、地銀には本体において信託業務を行うことを認めるというふうになっていると思いますが、地銀と都銀との区別はここではどういうふうにとらえたらいいんでしょうか。
#16
○政府委員(土田正顕君) 地銀と都銀との区別は現状によるという以外に御説明のしょうがないわけでございます。実は行政上、都市銀行については大蔵省銀行局がいわば直轄的な扱いていろいろな管理監督をしております用地方銀行にも若干そういう直轄扱いのが数行ございますが、地方銀行は原則としては財務局が管理しておるという仕組みになっております。
 自分の銀行がいわば地銀であるか都銀であるか、そのどちらにくみするかというのは、これはもう最終的にはその銀行の判断と、それを関係者が受け入れるかどうかというような話になるわけでございますけれども、率直に申しまして、一つのグループから他のグループに移るということはなかなか自分の思いつきだけでもできるような状況にはなっておりませんので、やはり都銀と地銀の区分けは現状によるということであろうと思います。
#17
○前畑幸子君 現状によるということで、私はちょっと頭に入らないんですけれども、そうしましたら、例えば東京とか名古屋とかというところに最初発生した銀行は都市銀行であり、それが地方に支店をつくっていくと。それから、そこでどういうふうに区別をしたらいいのかわかりませんが、地方の町でできた銀行は、それが東京に支店を出そうとそれは地方銀行というふうに、現状からは私の概念で区別するのかなというふうに思いますが、そんなようなとらえ方でいいんでしょうか。
#18
○政府委員(土田正顕君) 大体はそのとおりでございますが、地方に発生しましたものが母体となり、その後合併その他によって全国ネツトワークを備えるに至って都市銀行になっているものもございます。
 実は、制度論といたしまして、本体で業務の取り扱いを認める、そういう物のとらえ方といたしましては、確かに銀行の場合には都市銀行ではないその他の地方銀行とか第二地方銀行協会加盟行とか、そういうグループに入る銀行を考えておるわけでございますが、私どものとらえ方としましては、地域金融機関という概念でとらえております。その地域金融機関というものの定義は、これは金融制度調査会の文書によりますと、「一定の地域を主たる営業基盤として、主として地域の住民、地元企業及び地方公共団体等に対して金融サービスを提供する金融機関」というふうなとらえ方がされておるわけでございます。
#19
○前畑幸子君 ある程度概念的には理解ができたような気がいたしますけれども、ちょっとその基準が、きちっとしたところに関しましては理解しにくいなと思っております。
 最近、信用金庫とか信用組合などの合併件数がふえている傾向にあるようでございますけれども、こうした動きに関しましては、大蔵省としては好ましい状況にあると考えられておるかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
#20
○政府委員(土田正顕君) 信用金庫、信用組合のみならず、近年各業態に合併その他再編成の動きが見られるところでございます。このような合併なり、それから合併ではございませんが、業態を移りかえるという、転換ということもございます。そのようなものは、基本的にはあくまで金融機関の自主的な判断に基づいて行われるべきものでございます。ただ、それが金融機関経営の基盤強化など金融自由化への対応に資すると考えられる場合には、私どもとしても、地域における預金者の利便や資金の需給に十分配慮しながら前向きに受けとめていくこともあり得るというふうに考えております。
 信用金庫や信用組合に関して申しますと、ここのところ合併なりそれから転換を考える例が幾つかあるというふうに聞いておるわけでございますし、また近年その件数も次第にふえる傾向にあると。一般的にはそういうことであろうかと思います。これはやはり金融の自由化の進展に伴いまして、従来以上に自主的な経営努力が必要であり、経営基盤の強化、それから競争力の確保を図るということが重要な課題になるという、そういう情勢を踏まえて、それぞれの金融機関の経営者が将来を見通した自主的な判断をされた結果であるというふうに私どもは考えております。
#21
○前畑幸子君 そういう経営基盤の強化とか体質を強くするということは、私も大変必要であるし、ありがたいことだと思います。しかしその逆に、こうした中小金融機関が合併していきますことによって、私ども中小金融機関の利用者の立場から見ますとまた困った影響が出てくるような気がいたします。金融サービス向上が進んで体質がよくなる、基盤が強くなるということは結構なんですけれども、地域に密着したきめ細かい対応という本来の地方銀行としての目的から次第に遠ざかっていく方向にあるような気がいたします。その辺に関しましてはどういう御見解でしょうか。
#22
○政府委員(土田正顕君) この問題もなかなか難しい問題でございますが、ただ当面、これまでの合併の例などを見ますと、合併をしたいという金融機関は例外なく従来と同様の地域密着型の経営を目指し、かつ合併その他によって体力を強化し、より一層その面での特色を生かしたサービスの提供に努めたいということを言っておるわけでございまして、いわば合併のスローガンとして地域密着型の経営路線を堅持し、さらにそれを改善するということが異口同音に唱えられておるわけでございます。私どもは、そのような主張をいろいろ吟味いたしまして、それがもっともであるというときにはその合併を認可する判断材料の一つにしておるわけでございます。
 皮面、非常にマクロ的に申しますと、組織が大きくなりますと従来ほどにきめの細かい個別対応が難しくなってくるというような面は、これは組織論として多少は防ぐことができないことかもしれませんが、ただ、それではありましても、現在までのところ、それぞれの信用金庫なり信用組合は、ある意味では銀行と競争する必要上からも彼らの固有の強みを生かすという意味で地域密着型の経営路線を追求しておる。その努力自体は評価することができる。あとはそれについてのいろいろな合併のときに公約いたしました努力が実るように我々としては期待をしておるということであろうと思います。
#23
○前畑幸子君 私は、そうばかりもいかない問題も出てくるような気がするんですね。改革後の競争が非常に厳しくなる金融環境を考えますと、合併とか再編が進むのは当然の流れになってくるのではないか。しかも、金利の自由化とか業務の自由化という中で大手の銀行がかなりの力を持っていく、その陰で中小金融機関が大変厳しい状況になるので、金融機関経営戦略上の選択肢の一つとして合併、再編というものも選ばざるを得なくな合方向になるのではないかなという気がしてなりません。
 今回の法案では、合併転換法の改正によって異業態間の金融機関の合併が可能になるわけですけれども、こうした手当てを行うことは、大蔵省としては今後合併を推進する方向にあるということも考えられるのですが、その辺の御見解はいかがでしょうか。
#24
○政府委員(土田正顕君) 今回の合併転換法の改正につきましては、これは委員御指摘のとおりでありますので説明を省略いたしますが、簡単に申せば専門金融機関と一般の金融機関との間に合併または転換が容易にできるようにその方面での法律上の手当てをするということでございます。
 信用金庫や信用組合がなかなか今度の改正について固有の関係があるとも考えにくいのでございますが、むしろ従来の合併転換法の規定を受けるという例は間々ございました。それからまた、信用金庫なら信用金庫同士の合併というのは、これは合併転換法の規定の関係ではございませんで、信用金庫法その他の定めるところによりできるわけでございます。
 いずれにいたしましても、そのようなときの認可基準、物の考え方でございますが、これは合併転換法の中にも認可のときの審査事項として明文で書かれてございますが、その中に「合併又は転換により当該地域の中小企業金融に支障を生じないこと。」という審査基準がございます。これは異業種との合併であろうと同業種の合併であろうとを問わず、いわゆる合併につきまして守られるべき審査基準であるというふうに私どもは考えております。
#25
○前畑幸子君 次に、政府系金融機関の今後のあり方についてお尋ねしたいと思います。
 今回の金融制度改革は、民間金融機関を中心に改革がされているわけですけれども、政府系金融機関制度については今後どういうふうになっていくのでしょうか。ある意味では民間金融機関だけが競争原理を導入されて自由化の中で闘っていくわけですけれども、政府系の金融機関は、安閑という言葉は失礼に当たるかもしれませんけれども、既得権の中で余り競争原理というものを意識せずにいけるような気がいたしますけれども、その辺についてどのようにお考えでしょうか。
#26
○政府委員(土田正顕君) 政府系金融機関はいわゆる政策金融を担当しておる金融機関でございますが、この政策金融のあり方につきましては、やはり民間金融を補完、奨励するものということがその基本的な位置づけであるべきだというふうに私どもは考えているわけでございます。
 この政府関係金融機関につきましては、これま、で行革審などからも、民間金融のみでは対応困難なものへの質的補完という面でのその役割は引き続き大きいという累次の指摘を受けております。いわばその存在意義は認められるわけでございます。ただし、これは御指摘にもございますが、そのときどきの経済社会情勢の推移に適合したものでなければなりませんので、そのためには、その業務などについて不断の絶えざる見直しが必要であるというふうに考えられております。
 政府関係金融機関を個別にどのように持っていくかというような話につきましては、これは金融という側面のみならず、財政とか行政とも密接な関連を有する問題でございますので、多面的な検討を要するものであり、大蔵省銀行局限りの検討というふうにもなかなかまいらない状況ではございますが、私どもの立場からは、民間金融の補完、奨励という基本的な観点を踏まえて、そのあり方について不断の見直しを行うということが必要であり、その観点から、これは何年に一回というようなことでなく、毎年度の予算編成を通じてもある程度の見直しは行うことができ、また現に行われているわけでありますから、そのような方法をも含めて今後とも各金融機関の適切な業務運営に期待してまいりたいというふうに考えております。
#27
○前畑幸子君 政府系の金融機関はほとんどが長期資金の提供、貸し付けを行っているわけですが、今回の改革の中では、子会社の形態として長期信用銀行子会社という概念はないように見受けられます。また長期信用銀行が普通銀行に転換することを認めているわけですが、こうしたことは長期信用銀行の役割を政府系金融機関に肩がわりさせるということを意味していられるのでしょうか。
#28
○政府委員(土田正顕君) 政府関係金融機関の中で専ら長期資金を供給するという分野は、これは多数の政府関係金融機関の中で、特に例えば住宅金融でありますとか農林金融でありますとか、そのような民間金融では対応し切れない長期資金の供給というものを担っておる部分がございます。そのほかに、例えば、日本開発銀行とか、それから中小企業金融のための政府関係の金融機関もそれぞれに長期資金を供給しているわけでございますが、その位置づけは、再三申し上げますが、あくまでも民間金融を補完、奨励するものという位置づけであるべきであると考えております。
 今度いわゆる業態別子会社をつくりますときに、長期信用銀行子会社については、「新たに設立する必要性は基本的には小さい」というふうに金融制度調査会の答申でも述べられておりますが、これは別個の理由によるものでございまして、特にこの部分について政策金融の方にその肩がわりを期待しているというようなことでは全くございません。
 ちなみに、長期信用銀行子会社についての金融制度調査会のコメントは、「普通銀行と長期信用銀行の融資面における同質化現象が進展していること、銀行等が長期信用銀行子会社を設立しても親銀行等の長期貸出の単なる代行会社となる可能性が大きいこと等の観点からみれば、新たに設立する必要性は基本的には小さい」というふうに答申しておるところであり、それも踏まえまして今回の制度改革では長期信用銀行子会社を想定した規定はつくらなかったわけでございます。
#29
○前畑幸子君 そうしますと、今後の政府系金融機関のあり方を考えるときに、関連してどうしてもその政府系金融機関の資金源であります郵便貯金について考えなきゃならないと思います。特に現在の定額貯金の件につきまして、大蔵省と郵政省はこの問題について既にお話し合いが進んでいるようにも承っておりますけれども、どの程度お話が進んでいるのでしょうか。
#30
○政府委員(土田正顕君) 定額貯金は郵便貯金の主力商品としての地位を占めております。定額貯金は申すまでもなく定期性預金の一態様でございますが、これは御案内のように、定期預貯金金利につきましては遅くとも平成五年中に完全自由化を行うことを予定しております。その中で、定額貯金につきましても自由化の流れに適切に対応することができるように、金利決定方法を含む商品性について見直しを行うことが必要であると私どもは考えておるところでございます。
 と申しますのは、現在の定額貯金は最長十年までという長期かつ固定の金利をつける長期固定制というものがあります一方で、六カ月経過した後はいつでも引き出しかできるという流動性をもあわせ持つ特異な商品でございまして、民間金融機関がこのような商品を持つということはリスク管理などの観点から見て難しいと見るのが大方の見解でございます。
 そこで、このような点も踏まえまして、大蔵省の方の考え方といたしましては、今後さらに金利自由化を進めるに当たりましては、定額貯金について商品性の見直しを行うことが必要であるという考え方をとりまして、これまで鋭意郵政省と協議を行ってまいっておるところであります。これまでの両省間の協議におきましては、基本的な認識で一致している部分もございます。すなわち、規制金利と自由金利が併存しているような現在の状態、これはいわば金利自由化の過渡期でございますが、そのような状態におきまして、規制金利の代表格であります定額貯金と、それから続々と範囲を広げていっております自由金利預貯金との関係が不自然な状態になることによって大幅な資金シフトなどが生ずるのは好ましくない、こういう認識では一致しておるわけでございます。
 さて、それならば、具体的に定額貯金についてどのように見直すかという内容につきましては、昨年来いろいろ協議はしておりますが、成案を得るに至っておりません。今後とも私どもは引き続き郵政省と協議を行いまして、私どもの腹づもりとしましては、遅くも来年の定期預貯金金利の完全自由化のとき、すなわち平成五年中でございますが、その完全自由化のときまでには成案を得ることができるように最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#31
○前畑幸子君 定額貯金という商品性については、私ども小口零細預金者にとっては大変ありがたい貯金でございまして、今おっしゃったように、六カ月たてばいつでも解約できるし、十年間預け入れたときの金利が保証されているということでございます。ですから、金利が上昇するときはほかの銀行に預けかえる人も出てくるでしょう。金利が下がってきたときには民間金融機関から逆にこの商品にかえられる方が多くなるというのが実態ではないかと思います。この定額貯金というのはたくさんの小口零細預金者の窓口として大変ありがたくなっているわけでございますけれども、こうした商品をやはりこのまま持っていくということは、民間の金融機関との競争は大変不利な状況になるということでございますので、今後、今おっしゃったように五年を目標に検討されるということですけれども、政府系金融機関の資金源がこの郵便貯金から来ているわけでございますので、そうしますとその政府系金融機関で貸し出す金利との兼ね合いも出てくるのではないかと思います。そこのあたりに対しましての大蔵省の見解はどのようにお考えでしょうか。
#32
○政府委員(土田正顕君) お尋ねは必ずしも銀行局だけでカバーできる問題でもないと思うのでございますが、私どもの従来から考えておりますところは、郵便貯金というのは一つの官業でありまして、官業というのは基本的には民業の補完たる地位にあるべきであるという考え方がまず基本的にございます。
 ところで、民業、すなわち民間金融機関は経済合理性を追求した経営をせざるを得ないわけでございますが、この点から見ますと、定額貯金というのが最長十年間という長期間にわたって固定金利を提供する、その間に資金を運用する側の運用金利はどんどん変わっていっているはずでございますので、いわば金利変動リスクを負うことになります。それから、かつ半年経過後は手数料なしで随時に解約できるということでございますので、いわば流動性リスクをしょうことになります。このようなことでございまして、これは民間金融機関ではとてもやっていけない商品ではないかと見る経営者が多いのでございます。そこで私どもは、金利も含めてトータルな商品性を見直す、例えば定額貯金ないしはそれに類するようなものを民間でも持ち得るような商品に改めるということも考えたらどうか、そういう主張は現に民間側にもあるわけでございまして、私どももその辺も念頭に置きながら意見のすり合わせを行ってまいりたいと思うわけでございます。
 他方、政府関係金融機関は確かに政府資金の供給を仰いておりますが、これは資金運用部から供給を受けておるということでございまして、この資金運用部と郵便貯金との間のつながり、結びつき、それをどうするかというのはまた別個の問題であろうというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、この定額貯金そのものの扱いにつきましては、先ほど申しましたような交渉の続行中でございますので、なお今後鋭意協議し、成案を得るように努めてまいりたいと思っております。
#33
○前畑幸子君 私の心配するのは、銀行の中小企業に対する貸し付けがこれから大変厳しい状況になってくると思うわけです。今、もう既に中小企業は銀行からの借り入れが大変困難でございますので、政府系金融機関、国民金融公庫等にどうしても頼らざるを得ないということで、国民金融公庫とかそういう種の金融機関に中小零細企業はほとんど借り入れを申し込んでいるという状況ですので、その辺に対しましてのこれから手当でもお願いをしたいと思います。
 今回、金融制度改革とともにノンバンクの問題が上がってきていますので、少しノンバンクについてもこの際お聞きしたいと思います。
 いわゆるノンバンクの融資残高が九一年三月の時点で約九十一兆円にも上っているということで、信用金庫の約六十兆円、それから第二地銀の約四十八兆円を上回った金額になってきております。現在の金融機関のすき間を埋める金融機関として大きく成長してきてしまったわけですけれども、そのほとんどが不動産業向けの融資、約四割近いものを占めているということのようでございます。ある意味で不動産融資分野において銀行の別部隊としての働きをしているのではないかという批判がされている状況でございますが、バブル経済の崩壊に伴ってノンバンクの経営状況も大変悪化していると聞いております。そのために貸金業の規制等に関する法律を改正して、ノンバンクに対して監視体制を強化したり自主ルールの作成を促すという予定のようでございますけれども、このノンバンクに対して資金調達手段としてCP発行を認めるということも検討していられるように聞いております。こうしたことは、今回の改革の中でノンバンクをどのように位置づけていかれるのかお聞きしたいと思います。
#34
○政府委員(土田正顕君) いわばノンバンクの総括的な位置づけでございますが、このノンバンクというのは、小規模の貸金業者としましては昔からあった存在でございますが、近年非常に注目を浴びましたのは、その多数の貸金業者の中で、数そのものは比較的少ないのでございますが、業容を拡大し、大きな組織を持ち、そして近代的ないろいろな装備も備えまして活発な営業を展開してきた、その点が非常に注目を浴びるに至った背景であろうと思います。
 そのような大型ノンバンクを想定いたしますと、そういうノンバンクの融資業務は、これはやはり背景には国民のニーズが多様化するということがございますので、その多様化したニーズをとらえて多種多様な金融サービスを提供する、これによって発展してきたものであるというふうに考えられます。すなわち、それは顧客の利便を幅広く追究する、それから資金需要などの、従来の金融機関では提供が必ずしも思わしくいかないようなそういうすき間を補てんする、それから新しい金融手法や金融商品の開発に努めるというような努力もあったわけでございます。その結果、これは昔からもそうでございますが、銀行その他の金融機関からの借り入れが困難な信用力の乏しい企業や個人にとりましては、やはりこういうノンバンクその他の貸金業者は重要な資金供給先としての役割を果たしております。
 そのような社会的役割は認められるわけでございますが、さらに近年のノンバンク問題が大きくなりました背景といたしましては、いわゆるバブル経済の過程におきまして、一部のノンバンクが株や土地などのいわゆるバブル関連に傾斜した融資によりまして融資規模を拡大するという現象が見られたわけであります。ノンバンクは元来非常にいろいろな種類のものがあるわけでございますが、その中で事業者向けの貸金業者の範疇に属するものが非常に業容を拡大した。その拡大した中身というものがかなりの部分いわば株や土地などに関連する融資であったということでございます。そのこと自体が不公正とか公正とかいう話にはならないと思いますけれども、やはりバブル経済の過程の中でそういうノンバンクの中には安易な業容拡大に走ったという批判が出ております。そういう批判があることも事実でございます。また、その後いわばバブルの消滅によりましてその経営内容が悪化するものが出てきたということも事実でございます。
 私どもは、このノンバンクの位置づけといたしましては、ノンバンクが担う資金仲介機能というもののあり方、これはやっぱり金融システムの安定を図る上である意味では重要であろうし、それから昨今伝えられる経営問題についての対応も金融システムの健全性を守る上で重要なものであろうと思うわけでございまして、新興産業でございますし、自己責任原則を阻害するということには余りなってはならないわけでございますが、やはりノンバンクの経営の健全性の確保についての最小限のフレームワークを整備するという方向で行政なり政策を進めるべきではないか、それによって金融システムの安定性が増すことにもつながるというふうに考えておるわけでございます。
 その間につきまして、この国会での御議論もあり、貸金業規制法の改正が昨年行われ、また現在もその改正が現実に御議論をいただいておるという情勢も踏まえまして、今後いわゆるノンバンク問題についての行政を適正に進めていきたいと考えておるところでございます。
#35
○前畑幸子君 私は、金融制度としてノンバンクが果たしている役割というのは、銀行等の果たす機能と同じではないかと思うわけです。ですから、ノンバンクを必要悪として認めていることに問題がないのかなという気もするわけですけれども、その辺に関してはどうお考えですか。
#36
○政府委員(土田正顕君) 貸し出しを行うという面に着目し、すなわちこれは一つの金融活動でございますから、そういう活動については銀行の行っておる活動と性質としては同じようなことをやっておるということは御指摘のとおりでございます。
 ただ、最近話題になっておりますものとはちょっと違いますけれども、昔から一般の貸金業者が行ってまいりましたような小口の貸し出し、それは消費者金融もあり事業者金融もあったわけでございますが、そのような小口の貸し出しにつきましては、相手を審査するというような手間、それから相手のリスクをどのくらいに評価したらいいか。というような、そういう債務者の能力その他についての判断、そのようなものは既成の金融機関、なかんずく大手の銀行は決して得意ではございませんので、やはりそういうような一定の分野につきましては金融機関などでは必ずしも果たし得ない資金供給に対するニーズがあるということは申せると思うわけでございます。
 近時話題になっておりますような非常にロット一の大きな事業者向けの金融、これは土地担保融資であったり、それから土地取得資金の融資であったりというようなことでございますが、それはかなり確かに銀行本体も行い得るような融資と同質的なものでございます。その点について御指摘は確かにそのとおりという一面もあるわけでございますけれども、一般的なノンバンクの活動自体はやはり銀行が同じことをやるということにはなかなかならない、またそういうことは銀行の仕事になじまないというところで、そういうすき間をとらえて貸金業者が急成長してきたという背景はあるわけでございます。
 それで、それについて銀行と同じような観点から規制をするということはなかなかこれは実際上行われがたいし、また適切とも思われないわけでありまして、一例を申しますけれども、例えば貸付金利につきましても、銀行につきましては常識的な金利というものがあり、恐らくは年一五%あたりがその最高限度であろうと思います。それに対しまして貸金業者につきましては、これは過度な高金利を抑制するということで、かつて出資法に基づく上限金利の規制が非常に高く設定されておりましたのを、段階的な措置によって引き下げてきたというような事実もございます。それでありましても、実は貸金業者の上限金利は昭和五十八年十月以前は年利一〇九・五%でありましたものが段階的に引き下げられまして、昨年十一月にいわゆる本則金利と申しますが、そこに下げられてきた。その金利は年利四〇・〇〇四%でありまして、これは銀行に比べて極めて高い水準に設定されておるわけでございます。
 このような金利の設定そのものにつきましても、やはり貸金業者と銀行というのはこれを同じように扱うことは困難である、それぞれの特性に応じた規制を考えていくしかないというふうに私どもは従来考えてきたところであります。
#37
○前畑幸子君 今のお話を聞いておりますと、銀行が貸し付けを直接したくないところ、リスクが大きいから直接貸せないところをノンバンクを通して貸すということで、ノンバンクは銀行の隠れみのの一つの役目をしているように考えられます。ノンバンクを抱えている理由がそんなところにあるのかなという気がいたしますけれども、そんなふうにとっていいものでしょうか。
 私は、一つ不思議で仕方がないのは、ノンバンクは銀行からお金を借りるんですけれども、そのときに担保を入れてお金というのは借りていらっしゃるんでしょうか。どういうふうにして銀行からノンバンクヘの貸し付けというかいお金は行っているんでしょうか。
#38
○政府委員(土田正顕君) 銀行がいわば貸金業者に対して卸売的な資金を供給いたしますときに担保をどうしておるかというのは、大変私どもも実態をやや十分に把握しているとは言えない部分でございます。
 率直に申しまして、物的担保をとるという例ももちろんございますけれども、貸金業者がどちらかというと銀行その他、他のものから資金を受け入れて、それをまた運用する、それによって規模を拡大させていくわけでございますから、そのような場合には、物的担保を提供するといってもおのずから限界がございます。かなり広く行われておりますのは、貸金業者からのユーザーに対する債権そのものについて、いわば公正証書その他によりまして銀行が、これは一種の債権質と申しますか、そういう範疇のものであると思いますけれども、銀行がその貸金業者が貸した債権をみずからの、銀行からの貸金業者に対する貸し出しの引き当てとして、いざというときにはこの担保権を実行できるような状況にしておく、ないしはそれの一歩手前の段階の準備を整えておくというようなケースがかなり行われておるというふうに承知をしております。
 それで、一言補足をいたしますが、必ずしも銀行が自分たちがやりたいこともなかなかやれないから隠れみのとして貸金業者を利用しているというふうにばかり見るわけにはいかないのでございまして、事実貸金業者の中には、さらには大型のノンバンクの中にもいわゆる独立系と申しますか、銀行とは人的、資本的に必ずしも結びついていないような大型業者が昔からおるということも事実でございます。やはりそのような末端のユーザーからのニーズがあり、それをとらえた貸金業者からの資金需要があり、それを銀行は銀行で独自の立場によって審査をするべく努めながらそういう資金供給に応じてきた。それがバブルの時代に非常に急激に膨れ上がったという点は確かに問題なしといたしませんけれども、それも必ずしも銀行のみの一方的な責任によってそこまで広がったというものではないというふうに私どもは全体としては見ておるところでございます。
#39
○前畑幸子君 でも、企業への大規模融資が八〇%のウエートを占めているという、こうした機能がバブル経済に与えた影響というものは大変大きいものが日本経済においてもあるわけですけれども、じゃ、こうした事実をどのように判断されるのでしょうか。私は、ノンバンクの果たしている役割を局長のおっしゃるように認めるといたしましても、金融上の役割として果たして本当になっているのかなという気がいたしますけれども、こうした経済に与えた、社会的犯罪事件について、どのような御見解をお持ちでしょうか。
#40
○政府委員(土田正顕君) 確かに、いわゆるバブル経済の過程において、株や土地の取得などに関連いたしまして非常に急激に融資規模を拡大したという事実がございました。さっきもちょっと申しましたが、そのこと自体は、それ一件一件が不公正な取引であるとは必ずしも言えないと思いますけれども、全体として見ますとやはり安易な業容拡大に走ったと。それからまた、それの一つの弊害として、例えば土地投機を助けるようなそういう働きをしたんではないかというふうな批判があることも事実でございます。
 私どもがこのノンバンク問題に新たな観点から取り組み始めましたのは、いわば土地融資に関連した話題といたしまして、単に金融機関に対する指導を行うのみならず、金融機関から融資を受けておりますところのいわゆるノンバンクについてもその融資姿勢の厳正化、適正化を求める必要があるというふうに判断したところが始まりでございました。それは、実は昭和六十二年十月ごろからでございまして、割合新しい時点でございます。
 ただ、その後、平成元年あたりでも、ノンバンクに対する融資の実態を把握するとか、それからその資金が投機的土地取引等に利用されることがないように資金使途について十分審査を行うとか、そのような指導を銀行に対して行いましたのと並行いたしまして、ノンバンクに対する要請をするということで、ノンバンクの各業界団体において自主的な措置をとるように銀行局からも要請をいたしたわけであります。さらにその後、平成二年の四月からは、いわゆる総量規制と並行いたしまして、金融機関のノンバンクに対する融資の実行状況の報告をも求めるということであったわけでございます。その後の行政もその延長線上にあるわけでございますが、土地関連融資の実態把握とその適正化を図るということでさらに努力をいたしたい。もちろん、それについてはノンバンク側の協力が得られることが前提でございますが、その協力を求めることにいたしたいと思っております。
 その間に、これは国会の方でも活発な御議論がございまして、当局が、一定の条件つきではございますが、ノンバンクから報告を求めることができるように体制が整備されつつあるということでございますので、さらにそのような法改正の結果をも利用させていただきまして、今後ともこのノンバンクの活動が金融システム全体の中で、何と申しますか、おさまりのいいような姿になるようにいろいろと考えてまいりたいと思っております。
#41
○前畑幸子君 ノンバンクの金利と銀行金利の関係は一概に一定ではないと思いますけれども、その辺、わかりましたら教えていただけませんか。
#42
○政府委員(土田正顕君) 先ほど申し上げましたのは、いわば規制という観点から出資法に基づく上限金利の数字は貸金業者については四〇・〇〇四%まで下がってきたと申し上げたわけでございます。
 次に、これは統計によりまして貸出約定平均金利というものを比較してみたいと存じます。やや統計上制約がございますのでそれは御容赦いただきたいのでありますが、平成三年三月末時点の貸出約定平均金利として御紹介いたしますと、全国銀行はこれは総合金利で七・六八四%でございます。内訳としまして短期金利、長期金利ございますが、これは省略をさせていただきます。
 次に、貸金業者の平均金利としてとりあえずここで御披露いたしますものは、平成三年三月末で一〇・九六%でございます。それの内訳で、消費者向け金利と事業者向け金利に分かれた数字を所持しておりますが、消費者向け金利は一九・四七%であります。それから事業者向け金利は九・五七%であります。
 大体そのような平均値になっておるものというふうに理解をしております。
#43
○前畑幸子君 この金利の関係を規制する必要はないのでしょうか。銀行系列のノンバンクを通じて銀行が営業利益を上げているということは問題はないのでしょうか。銀行というのは公共性のあるものとした観点から見ますと、そうしたノンバンクに貸し出した金利との差がかなりあるわけですけれども、こうしたことによって営業利益を上げていることに問題はないと思われますか。
#44
○政府委員(土田正顕君) 実は、貸付金利そのものは、まさにこれは金利交渉の結果として個別に自主的に決定されるべきものであるというのが基本でございますので、私ども全般的に個別貸し出しの金利について介入をするということは従来からしてこなかったわけでございます。
 ただし、これに対する例外といたしましては、どちらかと申せば社会悪を防止するという観点と申しますか、暴利を禁止するという観点から、一定の規制を設けるというそういう立法政策はあり得るわけでございまして、それにつきましては、御高承のとおり、貸金業者につきましては、例えば出資法により上限金利が設けられておる。それが現在は、これでも大分下がりましたが、年四〇・〇〇四%で依然高いわけでございますけれども、ただし、それは貸金業者の経営内容からいってやむを得ないところであるというふうに私どもは考えております。
 そこで、やはり銀行は公共的な存在であるということは御指摘のとおりでありますけれども、しからばノンバンク一般に金を貸すことは公共性に反するかといえば、それは決してそうは言えないわけでありまして、あとはやはりノンバンクの貸し出し態度なりいわゆるパフォーマンスと申しますか、それに行き過ぎがありますときには、やはりそれは貸金業者に対する行政問題として是正を働きかけていくということであろうかと思います。
 そのときに、銀行と違いましてノンバンクは免許業種ではございませんし、その取り扱う営業種目について何ら制限はありません。でありますので、銀行に対すると同じようなアプローチでノンバンクにいわば行政規制を適用するということは、これはできない相談でございますので、私どもとしましては、今回もいろいろと御議論をいただいているわけでありますけれども、ノンバンク側の自主規制などに基礎を置き、それからさらに必要がある場合には多少行政当局からのいわゆるモニタリング的な活動もまぜながら、しかし基本的にはノンバンク業界の良識ある自主的な行動に期待をするという態度をとりたいというふうに考えておるわけでございます。
 ただし、個別の報告をとる方面の権限なり我々の活動が広がりますならば、そういう報告を徴収することによってノンバンクに対する実態把握の活動は進む。その実態把握の結果を踏まえて、さらに適正な行政のあり方を考えてまいりたいというふうに思っております。
#45
○前畑幸子君 よく私も理解できない面もあるんですけれども、今回の各業態の相互参入が行われたとしましたら、ノンバンクという存在は必要性が低下してくるのか高まるのか、どうお考えでしょうか。
 それから、系列ノンバンクの不良債権が今後金融機関の経営にどのように影響してくるとお考えでしょうか。
#46
○政府委員(土田正顕君) このたびの金融制度改革で、一般的にはいわゆる業態間の垣根は低くなり、金融資本市場における競争が促進されるということをねらっております。これがいわばノンバンクの業務運営にもある程度影響を及ぼしていくことになるとは考えられます。例えば従来の金融証券制度では必ずしも円滑に供給できなかったようなすき間について、今後は多少すき間を埋めるような金融活動がやりやすくなるということは考えられるかと思います。
 しかし他方、このような状況の中にありましても、いわゆるノンバンクが従来と同様にいろいろな資金需要を探し出しまして、そしていろいろな金融サービスを提供するということによりまして、全体としては金融機関の貸し出しを補完するという機能は依然あるかと思いますが、それと同時に、新しい資金需要に新しい形で対応するという方面の工夫もこれは従来ノンバンク業界がやってきたところでございますので、そのような活動を通じて、やはりノンバンクというのは国民生活なり産業社会において引き続き重要な役割を果たしていくのではあるまいか。
 話はやや変わるようでございますが、例えばアメリカにおいては非常に大型のクレジット業界のようなものも登場しておるわけでございまして、やはりノンバンク業界というものの今日のステータスが今度の金融制度改革で一気に改まるということはないのではないかというふうに考えております。
 それから他方、現実の問題といたしまして、いわゆるバブルの崩壊と言われるような現象によりまして、ノンバンクにかなりの不良債権を生ずるというふうになったということが伝えられております。このノンバンクが不良債権、具体的にはノンバンクからの貸国債権が延滞したり、それから利息が入らなくなってきたりというようなことで、さらにはノンバンクの資金繰りに支障を生ずるというようなことになりますと、これはノンバンクに対する資金の供給者たる金融機関においても影響が生じます。
 すなわち、金融機関の側においても、例えば未収利息が発生したり、それからそのうちには金利減免その他による金融支援が必要とされるというようなケースも考えられるわけでございます。これは申すまでもなく、金融機関の経営に影響を及ぼすわけであり、例えば貸出金利息の減少とかいうようなことで、仮にそれが多額になれば金融機関の経営にも相当程度の影響を及ぼすということでございます。当面、金融機関は収益力、いろいろと内部留保などがございますので、直ちに金融機関の経営に懸念が生ずることはないとは考えておりますけれども、やはりいずれにいたしましても、このような金融機関の不良債権については、これは適切に管理、回収するように指導をしたいと思いますし、それから万一回収が困難であるということがはっきりいたしました債権については、積極的な償却を促してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 この辺のことにつきましては、率直に申しますと、この半年ぐらいにかなり情勢が動いておるところでございますので、私ども今後の推移に十分注意を払ってまいりたいと思っております。
#47
○前畑幸子君 いろいろと御説明をいただいて、納得したいと思いますけれども、ノンバンクという存在は、借りる方の立場に立ちますと安易に借りやすい、銀行が貸し付けをしたがらないところにも貸してくれる。そのかわりリスクも大きいからということのようでございますけれども、私、先ほど隠れみのの役目という言い方をしましたけれども、実際に、銀行がノンバンクに破産をかけないわけですよね、どんなに不良債権ができても。これが例えば銀行から直接個人がお金を借りていた場合には、もちろん担保をとられているわけですけれども、その担保を没収されて、そしてなおかつ不足分に関して貸し倒れを立てられるという形で破産をかけられるわけです。しかし、ノンバンクには負債の責任をとらせないまま温存をしているような気がするわけです。その辺がちょっとしっくり納得できない面もあるわけなんです。ですから、銀行が貸し付けを直接したくないところに隠れみのとしてノンバンクを使っている。としか私は思えない気がするんです。
 ノンバンクから銀行は担保をきちっとしたものをとっていないという、代理的な担保という感触がいたします。銀行の貸し倒れという形で処理させていくようでございますけれども、ノンバンクを破産をさせればいいのではないかという気がいたします。破産もかけないで、銀行が金利を棚上げとか不良債権棚上げ、そして数年にわたって債権償却という形で不良債権を処理していかれるのではないか。それはひいてはだれのところにその負担がくるのかなということを一国民として不思議でならないわけです。ノンバンクという会社は、きちっと存在しているわけでして、貸し倒れを出すことだけで済んでいってしまうというところに国民としては割り切れないものがあるわけです。普通貸し倒れが出たら、一般企業でしたら破産なわけでございますので、しっくりしない面というんですか、私割り切れないものを感じております。
 透明な銀行の救済措置にこそ国民は期待しているということが書いてあるんですけれども、大蔵省、日銀を初めとする当事者が、腐心して解決しているということは十分理解できるけれども、何か総もたれ合い型の解決に対して、心から納得できない面がある。それから東洋信金問題などでも、丸抱え方式による救済というようなことが書いてございますけれども、これから銀行とノンバンクとの不良債権に対する処置のされ方がもう少し国民に見える形でなされるべきではないかなという気がいたします。
 その辺に関して大蔵大臣、最終的にどういうふうな埼考えを持たれるでしょうか。
#48
○国務大臣(羽田孜君) 今御指摘のありましたように、ノンバンクが不良債権を抱えながら窮地といいますかそういったところに陥っていく、それが銀行の経営の安定というものを損なうということ、あるいはそういったものを救うために銀行が透明性のないやり方というのについてはやっぱり批判があるだろう。またそういったものが、いわゆる銀行を利用する一般の皆さん方に迷惑がかかってくるんじゃないのか、あるいは銀行の不安定なものをつくり出していくんじゃないのか。今の御指摘、そういう現状というのは全然ないということは言えないわけでございまして、私どももやっぱりそれを受けとめなければいけないと思っております。
 ただ、銀行にありましても、無理なあれをするというよりは銀行の中で対処し得るもの、そういう中で私はきちんとした対応というのはなされていくんじゃなかろうかというふうに考えております。そして、ノンバンクが果たしてきた一つの役割、銀行にはなかなかできないすき間、よくニッチと言われます、そういった役割を果たしてきた。また、それが日本の経済というものに活力を与えてきたということ。いわゆる機動晦な貸し出しというものが日本の経済に対しての一つの役割も果たしてきたんだろうというふうにも私たちは一方では考えるわけでございまして、そういったものを考えるときに、ノンバンクというのはあれだけ大きな社会的な存在にもなってきておるということから、今後これがどのように信頼性のある機関としてこれから存在をしていくのか、こういったものを私どもはあわせて考えていかなければいけないんじゃなかろうかというふうに考えております。
 昨日でございますか、衆議院の方におきまして、いわゆる貸金業法の議員立法による一部改正というものがなされて、きょうたしか本会議にかけられるというふうに聞いておりますけれども、そういった中で、これからもノンバンクの内容といいますか、そういったものなんかについても私どもとしてもある程度きちんとチェックしていく、そういったことなんかもできるようにしていく必要があろうというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、ノンバンクに対する従来のやり方についての問題点と同時に、一方では果たしてきた役割というものを見詰め、そして社会的存在となってきておるノンバンクのあり方というものについて、これから我々としても適切な指導、こういったものができるような体制というものは組んでいく必要があろうというふうに考えております。
#49
○前畑幸子君 大臣のおっしゃったように、ノンバンクの必要悪的な存在価値というものもあったと思いますけれども、今回のノンバンクの果たした結果としましては、要するに土地ブーム、土地投機とか株投機に走った、その先兵にもなったという。その裏に控えていたのが銀行のお金余りがそういうところで金を使わせたという、私たち庶民にとっては何とも耐えがたい経済行為の中で、ノンバンクというものに対する私どものイメージはシビアなものしかないわけでございます。これからそうした面でやはり銀行の体質、金融制度改革の中におけるノンバンクに対する問題もきちっととらえていただきたいと思います。
 それから、今ノンバンクの抱えている不良債権、かなりの土地担保なども持っていると思いますけれども、評価がかなり大きい金額で担保が入っているわけでございますので、担保割れといいますか、担保の評価減というものがかなり出てきていると思います。例えば十億で担保を入れられていても、その実態価値というのは八億しかなかったわけで、それが今度の土地の値下がりによって下手をすると六億ぐらい、六割から五割ぐらいの価値にしかならないわけですけれども、その差額というものをこれからノンバンクがどういう形で評価損として落としていかれるのか。それはひいては、結局税収が上がらないというところにくるわけでございますので、国民すべてにその犠牲がかかってくるのではないかなという気がいたします。今後、国民に見える形でノンバンクの不良債権、銀行の不良債権に関する取り組みを御指導いただきたいと思います。
 それから、最後になりますけれども、今国会に提出されましたこの金融制度改革法案でございます。私どもは審議をもっと早くしたかったわけでございますけれども、いろいろな国会の状況の中から、できずに最後の二日間になってしまったわけですけれども、四月におきます各社の社説を大蔵省の方からも何回もいただきました。このように日本国すべてがこの国会で金融制度改革を上げるという声になっているということで、私どもも大変つらい思いをしたわけでございます。
 その内容の重要で複雑にもかかわらず、たなざらしになっているではないかとか、それから四十年ぶりに見直す重要な法案であるとか、各界の意見を聞きながら六年にわたって審議をしてきた重要法案であるということ、そしてそれがおくれてきたのは、野党の一部議員から慎重論を唱えているが、木を見て森を見ずの論理と言えるというような論説もあったり、思惑の道具にされることは理解しがたいとか、小手先で効果のない株価対策より健全な金融システムの構築こそが株価回復の早道であるという論説もありました。そのほか、慎重論は投資家の市場への不信感を一層増幅することを肝に銘じてほしい。目先の株価急落にうろたえて制度を土台から見直す機会を逃してはならない。現在の長期株価低迷も市場に対する投資家の不信が大きな理由であるため、市場の取引の公平性、透明性を推進する目的があり、株離れを食いとめ、市場に資金を呼び戻す上で有効である。その上、景気に対する波及効果も期待できるものであるというふうに、大変いいことばかり論説に書かれておりました。
 きょう、きのう、おとといと、ここ二、三日の株価は大変厳しい状況になっておりますので、この金融制度改革が必ず功をなすようになることを私は期待するわけでございますけれども、本当にそれを期待していいものでしょうか。大蔵大臣、いかがでしょうか。
#50
○国務大臣(羽田孜君) 私どもといたしましては、御提案申し上げました趣旨というものを十分念頭に置きながら、この制度改革によりまして、本当に金融あるいは証券市場というもの、まさに垣根を低くしたことによりまして自由な競争が行われる、そういった中に今までのような不祥事ですとかあるいは問題を起こすことなく、むしろ国民経済全体にプラスになるようにこの法律を運用していくべきであろうというふうに考えております。
#51
○前畑幸子君 中小企業、一般個人が日本の人口の大半を占めているわけでございますので、この金融制度改革が一般の利用者にとっていい方向に動いて、そしてこの効果が株の上昇につながっていくことを私は期待をして、この法案が廃案にならずに過ぎたことを本当に喜びたいと思っております。ありがとうございました。
#52
○和田教美君 本題の質問に入るに先立ちまして、今も話題に出ておりました株価下落の問題について、一言大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。
 東証のきのうの終わり値はことしの最安値ということで、五年八カ月ぶりの低水準だということでございます。経済界には景気の減速感がますます強くなってきておりまして、新たな追加的な景気対策あるいは秋口の大型の補正予算、また当面の株価対策についても、株価についての何らかのてこ入れ策というふうなことを求める声もだんだん強くなってきているわけでございますけれども、こういう点について大蔵省としてはどういうふうに判断をされておるのか、大蔵大臣のお答えを願いたいと思います。
#53
○国務大臣(羽田孜君) 確かに今御指摘がございましたように、株価が昨日一万六千四百四十五円、そして本日一万六千百八十七円というようなところまで実は下落しておるという現状であります。
 これにつきまして、いろんな方のコメントといいますかそういったものが出されておるわけでございますけれども、やはり景気回復というもの、こういったものが明らかにまだ見えてこないということ、業績が非常に低いというようなその不透明感、こういったものに対する懸念というもの、これが株価の下落というものに通じておるであろうということでございます。
 私どもは、景気に対しましては、もう御案内のとおり、景気に配慮した予算というものを編成し、またこれの前倒しを行う、それと同時に第四次の公定歩合を引き下げるということ、こういった対応というものをしてきておるということでございまして、御案内のとおり、一部の住宅が多少上向きになっておるということですとか、あるいは在庫につきましても一部のものについては調整が進んだということであろうと思っております。
 しかし、現在そのものは在庫調整というものがちょうど一番の最盛期といいますか、ところにあるということでございまして、一番苦しいところにあるというのが現状であろうというふうに思っておりますけれども、ただいま申し上げましたような施策がちょうど今一カ月とちょっとたったぐらいですね。ですから、そういったものの効果というものがこれから顕著にあらわれてくるんじゃなかろうかということを私たちは確信を持つと同時に、それに対して期待をいたしておるというところでございます。
 ですから、株価というものが、確かにこのところ一連の各機関から出された指標というものがなかなか厳しいものであったということがこういうものに出ておるということでございましょうが、私どもはこれは間違いなく業況の面からいったら、今厳しいけれどもこれから明るいものになってくるであろうという確信をいたしておるところであります。
#54
○和田教美君 金融・証券をめぐる当面の課題は、大きく分けて三つあると私は思います。
 金融自由化を一層進めるための縦割り金融制度を根本的に見直すということ、それから二つ目には世界の三大金融センターの一つとして一層開かれた市場をつくるなど国際化の対応を急ぐということ、さらにそうした中で昨年来の一連の金融・証券不祥事に対処して、失われた信用回復に努めるということなどだと思います。
 そういう意味で、今回の一連の制度改革は、いずれもこれらの課題への対応であって、その意味で私は必要な制度改革であるというふうに評価いたしております。しかし、細部については政省令あるいは行政指導などにゆだねられている部分が非常に多くて、不明な点も多いわけであります。
 そこで、以下、私は具体的な問題について質問をしたいと思うんですけれども、まず、今回の制度改革の基本的な考え方について二、三、お尋ねしたい。できれば大蔵大臣にお答えを願いたいと思います。
 まず第一点は、今回の制度改革に当たって、金融制度調査会がわざわざ答申で、利用者の利便性の向上ということを強調いたしております。しかし、利用者の利便性ということだけを重視するということになれば、一つの店舗であらゆるサービスを享受することのできるワンストップショッピングといいますか、ユニバーサルバンク方式というのが一番便利であるという理論も成り立つわけでございます。
 しかし、大蔵省は五つの選択肢の中から、結局こういうユニバーサルバンク方式のようなものは退けて、業態別子会社方式による相互参入という道を選択したわけでございますけれども、なぜそういうことになったのか。つまり子会社方式をとった本当の理由は何なのかということについて、大蔵大臣の御見解を求めたいと思います。
#55
○国務大臣(羽田孜君) 今御指摘ありましたように、確かに五つほどの業態といいますか、形が議論をされたということでありまして、その中でもう一つの有力なものとしてはユニバーサルバンクというものがあったということでございます。
 金融制度調査会での答申の中では、「銀行経営の健全性の維持、利益相反による弊害の防止等の面で、現時点では、問題が多い」とされておりますし、また、証券取引審議会、ここにおきましては、「証券業務以外の業務を営む者が、本体で広く証券業務を営むことは適当ではない。」というふうにされております。
 今度の制度改革におきましては、これらの答申、報告書を踏まえまして、日本の今日進めております金融制度、こういった実態等も踏まえながら、金融秩序の維持あるいは預金者の保護、利益相反による弊害防止等の観点ですぐれた方式である業態別の方式、これを採用したところでございまして、私どもは、今委員の方からも御指摘ございましたように、利用者の立場というものを主眼とする今回の制度改革の目的、これを達成する手段として最も私どもとしては適切なものであろうと思っております。また、そういった利用者の立場というものを確保するためには、その業態そのものがしっかりしなければいけないということもございますので、そのあたりを考えたときに、私どもといたしましては、業態別の子会社方式というものを採用することがよろしいであろうというふうに考えたところでございます。
#56
○和田教美君 業態別子会社方式をとるに当たって、子会社の業務範囲は原則として法制上は制限を加えない、金融秩序の維持の視点から、参入当初は必要最小限の制約を加える、こういう考え方に立っております。例えば証券子会社については、当分の間、株式のブローカー業務は認めない、あるいはまた、信託子会社については当初は貸付信託あるいは年金信託を認めぬというふうなことも言っております。
 しかし、きのうの答弁を聞いておりまして、私感じますことは、これはあくまで当分の間の措置であって、業務範囲を段階的に拡大して、できるだけ早く早期に各業法で認められているすべての業務を行えるようにするというふうな意向が読み取れるわけでございます。そうすると、将来的には親会社、子会社というものを一つのグループとして見た場合には、証券、銀行、信託などすべての業務が行われることになるわけであって、結果的にはユニバーサル型に近い効果もねらっているのではないかというふうにも思うわけですけれども、その点について御見解をお聞きしたいと思いまう。
#57
○国務大臣(羽田孜君) 今度の制度改革におきましては、金融機関ですとかあるいは証券会社が各種の業務分野に幅広く参入するための方式といたしまして業態別の子会社方式を主体としたところでございまして、これに本体での相互乗り入れ方式を適切に組み合わせておるということでございます。このことは、確かに今御指摘がありましたようにユニバーサル制度とは異なるものでございますけれども、金融機関が本体あるいは子会社により幅広い分野の業務を営んで利用者の多様なニーズにこたえることが可能となるという意味におきましては、我が国の今度とろうとします制度というものは、ユニバーサルバンク制度をとる諸国の制度というものと調和のとれたものとなるであろうというふうに考えております。
#58
○和田教美君 次に、今回の制度改革で金融資本市場における自由化、国際化というものが一応できるといたしましても、問題は、例えば今も株価の問題を申し上げましたけれども、証券業界は長期にわたる株価の低迷で大変な不況に陥っているということ、それから金融機関にしましても、大蔵省と民間とでは評価が違いますけれども、相当膨大な不良債権を抱えて、処理に五年以上かかるなんという見方もあるぐらいでございます。
 今回の制度改革は、確かに金融・証券業界にとっては戦後最大の改革と言ってもいいかもしれませんけれども、それほどの大改革を行う時期として今が適当なのかどうか。つまり、そういう他業界に乗り出すというほどの余力が今各業界にあるのかどうかという問題についての疑問もいろいろ提起されておるわけでございますけれども、この点についての見解をお聞きしたいと思います。
#59
○国務大臣(羽田孜君) 昨日もそういった実は御指摘もあったわけでございますけれども、しかし今のような不透明な状態をいつまでも続けるということは、さらに私は問題が出てくるであろうと思っておりますし、また実際に、近年商品なんかも新しいものが次から次と出てくるというのが現状であろうと思っております。
 それと同時に、国際的にもそういったものが進んでくるということでございますから、これを今株価が低迷するあるいは不況感というものがちょっと広がっておるというような中でやるのはどうなのかなということでありますけれども、このときにこそこういったきちんとした対応をすることが私はむしろそれぞれに活力というものを与えてくるんじゃなかろうかというふうに思っておりまして、このことが我が国の金融資本市場の効率化、活性化を通じまして経済全般の健全な発展に資する、こういう効果を上げていくものであろうというふうに考えておることを申し上げたいと思います。
#60
○和田教美君 それでは、銀行局長、証券局長にお尋ねをしたいと思いますが、まず、業態別子会社方式による金融・証券などの相互乗り入れに関連いたしまして、子会社の業務範囲についてお尋ねします。
 今回の法案では、金融制度調査会の答申を受けて各子会社の業務範囲は法制上はそれぞれの業法で認められているすべての業務ということになっております。しかし、実態は政省令で個別に業務範囲を認可するという手法がとられております。その理由は、各業態別子会社の業務範囲を法制上制約すれば新たな業態をつくることになりかねず、制度見直しの趣旨に反するということのようであります。
 しかし、法文上明確な規定がないとしても、政省令で制約するということになれば、結果的に大蔵省の裁量のみで新たな業態をつくり出すということにもなりかねないわけであります。私は、金融の自由化というスタンスは、基本的には行政の裁量の余地をできる限り少なくして、法令に書かれていること以外は業務についても努めて自由であるべきではないかというふうにも考えるんですけれども、その点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#61
○政府委員(土田正顕君) 御指摘のように、法制上は業態別子会社の業務範囲につきましてはすべての業務とすべきであるということが原則でございます。それを受けました法律の規定の整備を行っておるわけでございます。
 ただ、これも御指摘にございますが、やはり競走条件の公平性の観点などから当初の業務範囲について一定の制約を課する、この方向なり基本的内容については既に金融制度調査会の答申その他によって明らかにされておるところでございまして、私ども必ずしも一〇〇%裁量の自由があるというふうには全く考えておらないわけでございますが、いずれにいたしましても、これは過渡的な措置でございまして、今後の諸情勢に応じまして弾力的にその見直しを図っていくべきものであると考えております。
 具体的な業務範囲につきましては、もちうんこういう金融制度調査会の答申その他によって設定された範囲の中での選択ということになるかと思いますが、同時にこれはむしろその希望を認可申請なりなんなりの形で個別の金融機関なり証券会社が出してくる筋合いのものでございますので、そういうような業界の側から見れば、どのような選択、どのような希望を持ってあろうか、その点についても私どもはしかるべく注意を払ってまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、制度改革の趣旨は「有効かつ適正な競争の促進」を図るということでございますので、その趣旨を損なうことがないように適切に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
#62
○和田教美君 「大蔵省は二十九日の衆院大蔵委員会でこ「銀行や信託銀行が設立する証券子会社、証券会社、普通銀行などが設立する信託銀行子会社の双方について、当初認める業務範囲は「免許の申請が出た時点で、個別に認可するかどうかを判断する」と説明、具体的な基準を示さなかった。」というふうに報道されております。少し時間がたっておりますけれども、銀行等の証券子会社については御承知のとおり本法律案の附則で、免許に当たって当分の間株式に係るブローカー業務を認めないという条件をつけるということが明記されております。しかし、それ以外の子会社方式による相互参入は、これは実際には焦点になっているわけですけれども、この点について大蔵省が子会社の業務範囲を余り明言せずにすべて大蔵省の裁量によるということでは、国際性という視点から見ても不透明だというふうに言わざるを得ない。
 そこで、金融制度調査会の答申では、信託子会社については、「貸付信託、年金信託等の金銭の信託等の一部を除く」というふうになっておりますが、大蔵省は、現行信託銀行の主たる利益の源泉である貸付信託と年金信託の二つに限定して制限する考えかどうかお尋ねしたい。それとも、それ以外の業務についても、例えば信託銀行が行っている業務の比重の順に、つまりウエートの大きい順にある程度制約するという考えか、その点をお聞きしたいわけでございます。
 それともう一つは、同じく銀行の証券子会社についても当分の間株式のブローカー業務を認めないというふうになっておりますが、それだけなのかどうか。例えばワラント債、転換社債などはどうなるのか。こういう点についてひとつ具体的に御説明を願いたいと思います。
#63
○政府委員(土田正顕君) まず、信託銀行子会社の方の御質問にお答えを申し上げます。
 金融制度調査会の答申の表現はただいま御指摘のとおりでございます。その答申の意味するところは、やはり「金融機関間の競争条件の公平性の確保等に配慮する必要がある」という考え方を受けたものであるというふうに私どもは理解をしております。具体的には、そこで明示されたものは、一つは貸付信託は除く、それからもう一つは年金信託は除く、それぞれ理由があると思うわけでございますが、その理由を個別に述べることは省略をさせていただきます。
 そのほかにどうかということでございますが、これはやはり今後いろいろな情勢を考慮いたしまして具体的な肉づけを考えてまいりたい。全体としての経営環境なりそれから経済情勢なりもさることながら、それぞれの業務がどのような位置づけを持つものであるかということを子細に点検する必要があると存じます。
 その一つ二つの着眼点でございますが、これは実は衆議院でも申し上げたところでありますけれども、新たな業務分野に進出するということを考えます場合に、信託業者というのは一般の銀行その他の金融機関が扱っていないいわばかなり多面的な業務を営むわけでございまして、その中には金融界以外の他の業界との競合が考えられるようなものがございます。
 例えば、これは答申にも出てまいりますわけでございますが、不動産の仲介業務というようなものは、原則的には金融業界の中でやっておりますものは既存の信託銀行等のみでございます。その数は簡単に押せば八社だけてあります。それが続々と誕生いたしますような新たな信託銀行子会社によっても行われるということになりますと、それはその方面の不動産業界との間の関係の調整は非常に難しいことになるということで、これは金融制度調査会でもそのようなものは除くと初めから明言しておるわけであります。それと似たような考慮から慎重な検討を要しますものは、例えば高度に法律的な事務処理を要するようなもの、例えば財産管理なり遺言の執行なり、そういうようなものについて関係の、業界と言うのは失礼でありますが、そういう資格を持った方々がおられるわけでありますが、その方面との折り合いは大丈夫かどうかとか、そういう金融界の外側との調整関係を見きわめなければいけない。そういう分野が例えば一つございます。
 それからまた、競争条件の公平性と申しますからには、例えば信託銀行以外のものから信託サービスに入ってくるというものの度合いと、それから信託銀行の世界から他の業界に出ていくというものの度合いと、その辺の比較考量によって進度を調節するということもあるいは必要になるのではないかというようなことも考えられます。そのようなことは現段階ではまだ具体的判断に必要な材料はそろっておりませんので、今後なお全般の状況などを勘案しながら慎重に決定してまいりたいと思っているわけでございます。
#64
○和田教美君 銀行の証券子会社については、当分の間株式のブローカー業務を行わないということは先ほども言ったとおりですが、ところが、一方では既存の証券会社を買収して子会社化する場合にはブローカー業務を認める余地を残しておりますね。そうすると、今後系列証券会社の子会社化あるいは経営の悪化している証券会社の吸収合併などいわば弱肉強食が進行して、しかも行政が結果的にそれを促進するということになるのではないかという批判がございますが、この点についての大蔵省の見解はいかがですか。
#65
○政府委員(松野允彦君) 買収の件でございますけれども、私どもの考え方は、あくまでも、今回銀行が証券子会社を保有できるということになったのに対応いたしまして、新設の場合には株式のブローカー業務を認めないという規定を入れたわけでございます。それで、あと理論的に買収によって証券会社を保有する場合というのが考えられるわけでございますが、それについては、やはり新設の場合の趣旨というものを曲げないといいますか、趣旨を生かすために買収の場合についてもブローカー業務を禁止することができるという規定を入れたわけでございます。できるという規定でございますので、禁止しない場合があるのではないかというような指摘があるわけでございます。
 基本的には、今回の制度改正の趣旨は競争促進にございますので、新設による参入というのがあくまでも基本でございます。買収による参入というものについては、これは我々としては基本的には認めるつもりはございません。ただ、御指摘のように、例えば証券会社の経営が行き詰まって破綻を来した、その場合に金融機関がそれを支援するというようなケースは考えられるわけでございまして、その場合にも、基本的には新設の場合にブローカー業務を認めない趣旨というものを十分踏まえながら対応する必要があるわけでございますが、場合によっては、投資家に与える影響等々を考えた場合に、例外的にそういう破綻金融機関を支援するケースという場合にブローカー業務をそのまま引き続き認めるというようなケースも全く考えられないというわけではないというような趣旨でこの規定を置いたわけでございまして、あくまでも基本は新設の場合と同じようにできるだけ株式のブローカー業務、これは中小証券の問題とかあるいは新銀行が株を持っているとかいうようないろいろな問題があるということで禁止をしているわけでございますので、その趣旨はできるだけ生かして運用していきたいというふうに思っております。
#66
○和田教美君 今の当分の間ブローカー。業務はできないという証券子会社の問題ですけれども、銀行以外の新規参入者の場合はどうなるんですか。例えば、将来生保、損保、あるいは一般企業についてもそういうことが起こるというふうに考えられるわけですけれども、証取審のことし一月二十八日の報告でも、一般的な新規参入の場合には、「必要性は発行市場において高いと見られるものの、流通市場への参入も排除するものではないと考えるべきである。」というふうな記述がありました。そうすると、銀行以外の業態が親会社である場合は、参入当初からその子会社はブローカー業務も認められるということなんですか。その点はいかがですか。
#67
○政府委員(松野允彦君) 今お尋ねの件のうちの生保、損保の問題でございますが、これは御存じのように現在保険審議会で議論が行われております。生保、損保が子会社をつくって証券業務に参入するというためには保険業法の手当てが必要だということはあるわけでございますが、ただ、証券取引法の考え方といたしましては、生保、損保も従来から証券取引法上では金融機関の中に含まれておりますし、また、現実問題として大量の株式を保有しているわけでございますので、考え方としてはやはり銀行の証券子会社と同様の扱いをするということになろうかと思います。
 したがいまして、株式のブローカー業務は当分禁止するということになるわけでございますが、一般の事業法人につきましては、これは現在でも証券会社を保有することが既に認められているわけでございます。現に、非常に少数ではございますけれども、一般の事業会社が過半数の株を持っている証券会社も存在をして、ブローカー業務を行っておりますし、また、今回のブローカー業務の禁止という趣旨からいたしましても、一般の事業会社が仮に子会社をつくって証券業務に参入する場合についても一律にブローカー業務を禁止するというのはやはり行き過ぎではないか。基本的にはできるだけ広い業務を認める、それによって競争を促進するという考え方でございますので、一般の事業会社がつくります証券子会社については株式のブローカー業務を禁止するということは考えておりません。
#68
○和田教美君 時間が来ましたので質問をまとめていたしますが、きょうの日経新聞によりますと、大蔵省は、証券子会社の設立は長期信用銀行と信託銀行を先行させる、信託銀行子会社の設立は大手証券会社を優先させる、そして都市銀行に対しては証券子会社、信託子会社とも当分の間設立を認めない、こういう段階的な認め方をするというふうな考え方になったというのが書いてありますけれども、この点はいかがですか、それが一点。
 もう一つ、さっきから議論しております当分の間というのですね、これはいろいろブローカー業務をやれない期間というのが、当分の間というのは当分の間だと言われればそれまでですけれども、不祥事の以前と以後とでは大蔵省の取り組み方、考え方が変わってきているのかどうか。案外早い時期にこれを解除するということになるのかどうか、その点の二点をお伺いをしまして私の質問を終わります。
#69
○政府委員(松野允彦君) まず、銀行の証券子会社の参入の問題でございますが、これは証券取引審議会の報告書にもありますように、私どもやはりある程度漸進的段階的に考えていく必要がある。一時期に大量の参入が行われるということになりますと、やはり市場に混乱をもたらすということにもなりかねないわけでございます。ただその場合に、ある金融業態を優先させ、別の金融業態をその次にというような、そういう考え方を今持っているわけではございません。ただ、いろいろな考え方がございますけれども、証券子会社が参入する場合の免許の基準というのがございます。免許の基準の中には財産的基礎もございますけれども、証券業務を的確に運営できるというような適格性というような問題もあるわけでございまして、そういった観点から申し上げますと、証券業務に比較的習熟している金融機関というようなものも考えられるわけでございまして、その辺は業態によって一律にその前後関係を決めるというような画一的な考え方をとるつもりはございませんが、段階的漸進的ということになりますと今申し上げたような点も一つの要素に、判断の材料になろうかと思います。
 それから、当分の間のお話でございますが、これは株式ブローカー業務を禁止しております趣旨が、一つは銀行が大量に株を持っているということと、子会社のブローカー業務との関係というものを非常に気にしているということ、それからもう一つは中小証券会社の問題でございます。
 前者につきましては、これは銀行の証券子会社が実際にどういう証券業務を行うのか、つまり弊害防止措置というものがどの程度有効に機能するのかという点についてやはり見る必要があろうかというふうに思うわけでございます。それから中小証券の問題、これは営業地域によってさまざまでございますから一律に申し上げることはできないわけでございますが、やはり株式の営業を中心にして営業を行っているわけでございますので、中小証券会社の営業努力なりあるいは今後の経営の多角化の努力というようなものも見る必要があろうかと思います。しかし、基本的にはやはり投資家の利便あるいは競争促進というような基本的方向というものはあるわけでございますので、今申し上げたような点に配慮しながらやはりできるだけ、当分の間というものをそんなに長い期間とらないように努力をしていく必要があるというふうに思っております。
#70
○政府委員(土田正顕君) 信託銀行子会社のお尋ねもございました。御説明はやや一般論的になるかと存じますが、私どもは銀行、証券会社などが業態別子会社を設立する具体的な時期、運び方につきましては、金融制度調査会の答申にも指摘されておりますような観点、すなわち、参入段階における競争条件の公平性の確保等の観点から、業態別子会社を設立する親会社の店舗数等の格差、親会社が営む業務との間における親近性などを考慮していくことが適当であるというような指摘を踏まえまして、今後なおいろいろと考えてまいりたい。それは必ずしも業態ごとに機械的に処理するということではないと思いますが、今申し上げましたような指摘の点も踏まえて個別に十分検討してまいりたいと考えております。
#71
○近藤忠孝君 金融機関の専門制について質問します。
 長短分離、信託分離、中小企業専門金融機関、さまざまな分離がされております。それで、昨年来明らかになった銀行を舞台とした不正スキャンダルは、その専門制の本来の業務から遠くかけ離れた業務に無理に手を伸ばしたことから引き起こされたものが多いんだと思うんです。
 例えば興銀。尾上縫に対する巨額融資事件も、本来長期信用銀行法で設備資金など長期資金の貸し出しに専念すべき興銀が、本業以外の業務に乗り出す中で起きた事件です。これは、昨年の証券特別委員会で参考人として、当時の黒澤頭取です、頭を深々下げまして、今後長銀法の原点に立ち返ってしっかりした業務運営をやっていきたいと、反省の弁を述べたところであります。
 私は、これは興銀だけじゃなくて他の専門金融機関についても言えることではないかと思って、きょうは我が国唯一の外国為替専門銀行である東京銀行について指摘をしたいと思うんです。
 その前提として端的にお聞きしますが、東京銀行は国内の貸し出しそれから店舗設置では制約がありますが、そのかわりに海外店舗の設置、債券の発行などで優遇されております。これらのほか、東銀に対する優遇措置にどういうものがあるのか端的にお答えいただきたい。
#72
○政府委員(土田正顕君) ただいま御指摘がございましたことと多少重複いたしますが、国内店舗面での制約を補うために金融債の発行が認められておること、それから大口信用規制上の限度額が普通銀行では自己資本の二〇%とされているのに対しまして、外国為替専門銀行においては四〇%とされていることなどがあると存じます。
#73
○近藤忠孝君 端的に聞きたいのは、外貨の預託で優遇されているんじゃないかということを言ってほしかったんだ。
 外貨準備の民間銀行くの預託はどういう基準でされておりますか。これも端的に。
#74
○政府委員(江沢雄一君) 先生御指摘の預託というのは、昭和四十六年三月に我が国の輸入促進策の一環といたしまして輸入金融の円滑を図るために創設された制度のことをおっしゃっておられると思いますが、現在におきましても、我が国の保有外貨の運用の一環といたしまして引き続きこの外貨預託を行っております。
 それで、この預託に当たりましては、保有外貨の運用の一環でございますので、安全性、収益性等を総合的に勘案いたしまして、市場金利に基づきまして適切に行っているところでございます。
#75
○近藤忠孝君 これは総額で六百十三億ドル。外貨がね。ということは、約八兆円近い金がどこへどう動くかということは大変なことです。
 ですから、これが特定銀行、この場合には専門金融機関である東京銀行などに偏るんじゃないかと思うんだけれども、偏っちゃいかぬと思うんですが、どうですか。これも端的に。
#76
○政府委員(江沢雄一君) 総額につきましては、あくまでも国の保有外貨の運用の一環として行っているものでございまして、その総額を申し上げますとマーケットにいろいろ不測の影響がございますので、また運用の機動的、弾力的な実施が困難になるということもございまして、数字を申し上げるのは御容赦いただきたいと存じます。
 それで、どの銀行にどれだけ預託を行っているかという個別具体の運用の問題につきましても、これはお答えを御容赦いただきたいと存じますが、先ほど申し上げましたように、安全性、収益性、預託先の業容などを総合勘案いたしまして、市場金利をベースにして預託を行っておるわけでございます。
 なお、かつて輸入金融促進のために外貨預託を行っておりましたときには、邦銀の外貨調達が総体的に難しかったという問題がございまして、国の外貨預託が輸入促進のために役立ったという側面がございましたけれども、最近では邦銀の外貨調達というのは市場で幾らでも可能な状況でございます。したがいまして、国の保有外貨の運用という側面が強くなってきているということを御理解いただきたいと思います。
#77
○近藤忠孝君 日本銀行金融研究所なる書物の二百四十七ページに、「政府の外貨預託などの点で優遇されていると。これは専門銀行ですが、専門銀行ただ一つだから、東銀のことです。私が見たほかの文献、一々紹介しませんが、そう書いてあるのが多いんですね。ですから、政府の外貨について東銀が専ら預託を受けているというのは、これにちゃんと書いてあるんだから。これはつい最近の本ですよ。事実です。
#78
○政府委員(江沢雄一君) 御指摘の記述は、日本銀行の金融研究所が研究所としての立場、性格から外貨預託制度の趣旨を発足当時の沿革について説明したと、こういうふうに理解しております。
 先ほども申し上げましたように、輸入金融の促進のために実施した当時には、国際業務を広く展開しておりました為替専門銀行の機能を勘案して制度の運用が行われてきたということはございますけれども、最近におきましては保有外貨の運用の側面が強くなってきているということでございます。
#79
○近藤忠孝君 強くなったといっても、大変苦しそうな答弁であります。これ以上この問題は問いません。
 それで、東銀の業務については、外国為替銀行法の第六条で、外国為替取引、信用状に関する業務、輸出入取引などに必要な資金の貸し付けなど、要するに限定されておるんですね。その第二項で、これらの業務を円滑に遂行するために必要な場合に限って貿易関連以外の貸付業務ができる、第三項で、貿易関連以外の貸し付けを行う場合は大蔵大臣の認可を受けなきゃならないとなっています。要するに貿易関連以外はやっちゃいかぬ。しかし例外として、二重三重の縛りの結果、大蔵大臣がこの三項に基づいて認可しています。どういう認可でありますか。
#80
○政府委員(土田正顕君) 例えばということで申し上げますが、輸出入その他の対外取引に関係するものに対する一定の貸し出し、外国において行う貸し出し、自行の預金者や自行債券の購入者に対して行う真にやむを得ない貸し出しなどの業務を行うことについて認可を行っております。
#81
○近藤忠孝君 これは実際、一つは預金者もしくは債券の購入者、対象が限定されていますね。それから、目的も真にやむを得ざる貸し付け。これはしっかりと守られておりますか。
#82
○政府委員(土田正顕君) 東京銀行の個別の問題でございますが、個別の事案に即し、いろいろと認可に即した運用が行われているものというふうに考えております。
#83
○近藤忠孝君 個別と言ったって一つしかないんだから、これは要するに専門銀行の問題ですよね。果たして本当に適切かというと、これは前に私もこの委員会で取り上げた、東銀が株の購入で個人に対していろいろ貸し付けて、二十六億円に上る巨額融資をしたと。これは、本人は東銀のワリトーを持っておったんですが、これを解約して事業資金に充てたかったんだけれども、逆に東銀が思いとどまらせて、解約よりもこれを担保に株式を購入すれば有利だと言って、この人に総額三十二億円で、結果的に二十六億円ですが、こういう融資がされて、今まさしく財産全部を失おうというんですね。
 これが本当に真にやむを得ざる貸し付けなのか。貿易しかやっちゃいかぬのが、しかも国内で、しかも株式投資ですよ。どうしてこれが真にやむを得ざる貸し付けになるのか、そこを、ほかのことはいいから、端的に言ってください。
#84
○政府委員(土田正顕君) この貸し付けをしたということにつきまして、真にやむを得ざるものであったかどうか、そこの考え方を東銀から聴取いたしましたところ、次のような説明がございます。
 その顧客は、支店開設当時から十年以上にわたって数億円単位で継続的に金融債を購入してきた大口顧客であり、資産規模等から見て将来的にも預金、債券取引の拡大が期待されるにもかかわらず、融資を拒絶すれば継続的な取引関係が損なわれると考えられたこと、それから、そのような求めを拒むならば外国為替専門銀行は専門銀行であることを口実にいざ必要な場合には融資を拒むといった認識が広まりかねず、銀行全体として資金調達における安定性が損なわれるおそれがあると考えられたことなどを勘案して、全体として真にやむを得ざる貸し付けの範囲に含まれるものと判断したものであると聞いております。
 なお、ただいま御質問にもございました事実関係、これにつきましては、当局といたしましても長時間、累次にわたり説明を聴取しておるところでございますが、基本的な事実関係につきまして詳細はここでは省略いたしますけれども、双方の主張が真っ向から食い違っておりますので、私どもとしては一万の主張のみに立ってなかなか認定するということは困難な状況にございます。
#85
○近藤忠孝君 それは東銀の説明ですね。問題は、大蔵省はその説明をうのみにしたのかどうか。事実関係はいろいろ争いはありますよ。よく調査してくれていることは私も認めます。しかし、この場合には、債券をここで解約したいというのを、逆に東銀の方から、いやこれは株への担保というぐあいにやったというんです。ですから、本来解約しちゃえば対象じゃなくなっちゃうんですよ、債券の購入者でなくなっちゃうんだから。もう対象として融資をするかどうか検討の余地ないと、こうなってしまった。それをむしろ踏みとどめた。
 それはさておきですよ、その議論もあるけれどもさておき、解約するのを引きとめるということが果たして真にやむを得ざる貸し付けになるのかどうか。ここが私は大問題だと思うんですよ。しかも、それが株でしょう。ほかのむしろ事業のためだったらまだ話はわかるわ。その話が広まっちゃったら困るでしょう。だって、それは専門銀行なら当たり前の話じゃないですか。そんなものをうのみにしていいのかどうか。
 時間がないのであともう一つ申しますと、これは銀行局もそれなりに調査してくれて、それで当事者間の話し合いが進むことを期待するということで話をしたけれども、全然反省ないんだ、全然話は進んでないんですよ。
 それで、問題は、この大七証券と一体となって、関連会社ところかもうそこへ人を派遣するというのが週刊誌や新聞にじゃんじゃん出ていますよ。この大七証券へ東銀から人を派遣して、いわば系列どころか全くそれは実質的な関連、本当の一体となったもの、そこに株取引をやらせたんだから。私は一体だと思うんですね。だから、そういう点では片や法律をはみ出したことをやっておとがめなし、片やそのはみ出したことによって大損害をこうむっている。私は、むしろこれは証取法六十五条の問題もあると思うんです。これは同時に、今問題になっている銀行の証券参入が許されない現段階でもこんなことがまかり通っている。それが外されたら一体どうなるのか、そういったくさんの問題を含んでいるわけです。
 だから、そういう問題で、私は基本的に個人の問題じゃなくて大きな問題だと思うので、それぞれ証券局長、銀行局長、端的にお答えいただきたいと思います。
#86
○政府委員(土田正顕君) 先ほど申し上げましたように、双方の事実認識が大幅に食い違っておりまして、直ちにどうというふうに私ども認定できない状況にございますが、業務範囲の問題を離れ
ましてこの融資自体を金融当局の方から見た場合に、結果的には延滞債権になってしまったことは事実でありまして、いわゆるバブル経済が崩壊した現在の時点から眺めれば望ましい結果ではなかったと考えられるところであります。
 なお、東京銀行からは、個人融資のあり方について行内的に見直しを行い、資金使途の妥当性のチェックや与信後の管理のあり方について改善を行った旨の報告は受けております。
 いずれにいたしましても、現在、当事者同士及び双方の代理人である弁護士の間で協議が行われているところでありまして、私どもといたしましては引き続き話し合いの動向を見守ってまいりたいと考えております。
#87
○政府委員(松野允彦君) 御指摘の件につきましては、証券取引法上の仲介は、これは証券会社と投資家のトラブルを当局が仲介をして解決するという手続でございます。したがいまして、証券会社とお客との間のトラブルの局面に限りましては我々としては証取法の手続にのっとって仲介をするということになろうかと思います。
 なお、御指摘のような証券会社と銀行との間の関係でございますけれども、これは、今度御提案しております法律にもございますけれども、親銀行が子供の証券会社と取引をすることを条件にして貸し付けを行うとかいうようなそういう行為は、今度明らかに弊害防止措置の一環として規定をしているわけでございまして、そういったようなことをはっきりさせることによってこういったような問題が起こるのをできるだけといいますか、回避できる、あるいは回避しなきゃならないというふうに思っているわけでございます。
#88
○近藤忠孝君 終わります。
#89
○池田治君 鉄骨加工メーカーの共和は、阿部文男元北海道開発庁長官、鈴木元総理、塩崎前総務庁長官らへ数千万とも数億とも言われる現金を贈っていたということで、衆議院では実態調査のために問題となりました。最近では加藤官房長官へも一千万が渡っているんじゃないかということで問題にされつつあります。
 その共和について若干お尋ねしたいと思いますが、平成二年の十一月、和議申請をして実質的な倒産をする前に、旧協和銀行から十三億五千万を借り受けておりました。衆議院における参考人の尋問等では、たしか八億五千万を借り受けていたことを前提に尋問されていたようですが、私が銀行局長のお力添えもありまして調査をいたしましたところ、また別に五億円というのが出てまいりまして、拘束預金が実に十一億円もあったということが明らかとなりました。
 そこで、銀行局にお尋ねいたしますけれども、この旧協和銀行が松山市在の二億五千万円で売買された土地を担保として、周辺の土地の開発をするという計画もあったようですが、そのために十三億五千万円も貸し出すことは、これは過剰融資で問題だと思いますけれども、銀行局の御見解を賜りたいと思います。
#90
○政府委員(土田正顕君) これは個別銀行の個別融資にかかわる事柄でございますので余り立ち入ったコメントは遠慮いたしたいと思いますが、旧協和銀行は当局及び報道機関に対して次のような説明を行っております。
 まず、共和株式会社に対する十三億五千万円の融資は二つから成っております。一部は五億円、これは預金担保融資でございます。それからもう一部、八億五千万円、これは土地四筆の購入資金として貸し出したものでございます。この土地四筆の購入資金として、対象として予定されておりました土地四筆、四件のうちの一件については売買が実行されましたので、この八億五千万円のうちから約二億円が払い出されまして、見合いにただいま御指摘に出てまいりましたような物件に抵当権が設定、登記されました。
 残余の三件については、購入できないまま株式会社共和が倒産をいたしましたが、その間融資された八億五千万円から約二億を引きました約六億円は、銀行の正式担保の預金として拘束され、後日貸国債権と相殺をされました。そういうことでございますので、これはいわゆる過剰融資というものではないというふうに銀行としては説明をしております。
 私ども、立ち入った私どもの立場としての説明は差し控えたいと存じますが、このような対外説明については、おおむね実情を伝えているものと見ているところでございます。
#91
○池田治君 それでは、話を変えまして、共和とか協和銀行ということは一切なかったとしましょう。A、B、C、Dの四筆の土地がありました、Aだけはすぐ買収可能でした、あとのB、C、Dは病院が建っていたりアパートがあったりして、買うめども立たなければ売買の話もなかった。そのときに、その分まで開発計画さえ含めれば融資をしてもよろしゅうございますか。お答え願います。
#92
○政府委員(土田正顕君) これは今のB、C、Dについての買収なりなんなりの実行性及びその時期、それについての状況判断、これが銀行の審査の中で適正に行われるべきものであると考えております。それについて一応の銀行側の審査を納得させるような状況であれば、そのような融資を行うことも必ずしも不適当とは言えないというふうに考えております。
#93
○池田治君 そうですか。まだ病院が営業されていて全然売買の話も聞いてない、こういうところでも、それを将来の開発計画の中に入れて先にお金を出してもよろしゅうございますか。そんなことを許していけば銀行は何でもできますよ。高い金利で貸し出して、それでまだ使いもしないのを拘束預金で拘束しておる。こういう形になるわけですから、そう局長簡単に言える言葉じゃないと思いますが、いかがですか。
#94
○政府委員(土田正顕君) 融資の話というのは、貸し手と借り手の相対の交渉によって決められるものでございまして、銀行側からすれば債権の保全に誤りがないかどうか。それは、例えば先ほど申しましたような例でありますと、融資を実行いたしましても、実際の買収に用いられないような残額についてはこれを担保として握っておくということによって債権保全を図り得る。他方、これは確かに御指摘のように、借り手の方は、いざとなったときに使える資金の手当てはできましたが、その間借入金利を払わなければいけないわけであります。それは借り入れ側の負担になります。この借り入れ側の負担といわば資金の何と申しますか、アベイラビリティーとの比較考量によって、借り入れ側がそれでもよろしいと言えば、そのような借り入れ契約は成立する場合もあると考えております。
#95
○池田治君 その場合もあり得るし、ない場合もあり得るということですか。
 それでは、拘束預金というものが俗に言われておりますが、これはどういう性質の預金ですか。
#96
○政府委員(土田正顕君) 必ずしも厳密な定義を申し上げるほどの知識はございませんが、正式に担保としての手続を経たもの、これは拘束預金ということであろうかと思いますが、そのほかにいわゆるにらみと申しますか、実際上なかなか自由に引き出すことが難しいような状況に置かれているものも拘束預金というような言葉で言うこともあろうかと思います。
#97
○池田治君 そういう定義でいきますと、今回の貸し出しにつきましては、十三億五千万のうち十億円の拘束預金があったと、こういうことになろうかと思います。これは銀行にすれば担保は確実ですよね。しかし使用しないものまで、使用するのは二億五千万、使用しないで残っているのは十一億と、これは余りにも両建て歩積みが多過ぎるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#98
○政府委員(土田正顕君) これはどのような具体的な状況であるかにつきまして立ち入って御説明はできませんが、例えば銀行側に問題があるとすれば、いわば資金の貸し手としての優越的な立場を利用いたしまして、健全な商慣習に照らして債務者に過当な不利益を負担させる、そういう取引を行うということは好ましくないと考えられます。ただし、先ほど申しましたように、一応金利を支払い続けることではありますが、いざというときの資金手当てが確実になったということで、借入側がその点にメリットを感ずれば、優越的立場であるかないかという議論がない場合であってそのような融資契約が結ばれるということもあり得るのではないか、それは個別の判断によるというようなことではないかと考えます。
#99
○池田治君 それでは、次に移りますが、旧協和銀行が鉄骨メーカー共和に対して、また別に二十億円の融資もしておりましたが、本年三月、保証人であった石原建設に代払いをさせております。この代払いの方法は、また保証人に十三億を貸し付けてその金額をそのまま弁済させ、残りは自社の自己資金で弁済させております。保証人でございましたので、債務保証しているわけだから払うのは当然でございますが、それにしても、新たな貸し付けをして払わせるということは、金貸すからおごってくれや、一杯飲ましてくれやと、これに等しいような不良債権の回収だと思いますが、これは銀行局長はいかがな見解でございますか。
#100
○政府委員(土田正顕君) これも個別取引でございますが、ややまた立ち入って申しますと、この二十億円の融資というのは、株式会社共和の申し立てでは、何かゴルフ場開発資金というようなことであったというようなことだそうでございます。そのときに保全措置といたしまして建設会社の保証をつけたということであり、その後共和株式会社が倒産をいたしまして、その債権の回収にかかった。そのときに十三億円分だけ直ちには回収できない金額があった。これについて保証債務の履行を求めたときに、その履行として支払うような資金手当てがつかないかなにか、そういう事情があったのかもしれませんが、そこでいわば建設会社に対する貸し出しに振りかえまして、従来は共和株式会社と建設会社と旧協和銀行との三者関係でありましたものを、旧協和銀行と建設会社との両者間の関係に整理したというようなことではなかったかと思うわけでございます。
 このような融資のあり方、これはしょせんみずからの経営判断の問題でございますが、債務者の倒産によりまして貸出金の回収が困難となりました場合に、貸出金の保証人に対し保証債務の履行を求める。その際に、資金繰り的な問題がありますときに、そのための肩がわり資金を保証人に対して融資するということは通常あり得るものと一般論的には考えております。
#101
○池田治君 時間ですから、終わります。
#102
○三治重信君 きのうに引き続いて、融資の関係でちょっとお尋ねします。
 バブル経済の結果で不良債権というものが今問題になっているわけなんですが、こういうふうな不良債権というものが外国の新聞と大蔵省が発表されたというような金額とえらい違いがあるんですね。こういうものについて、この数字というものがこんなに大きな、例えばイギリスのファイナンシャル・タイムズなんか、不良債権が六・五%から八・七%もあると。大蔵省の方からいくと大体二、三兆円程度。これは発表されたのかどうかわかりませんが、こういうようなのは、やはりある程度の積み上げなり貸し拙しの中でめどをつけての発表だろうと思うんです。こういうふうになってくると、不良債権というものの価値判断というものが非常に世の中に与える影響が多いと思うんですが、ある程度の何というんですか、情報判断の基準というものをきちんと大蔵省の方として不良債権について発表されることが必要じゃないかと思うのが一つです。
 それから、今大蔵省の方でつかんでおられる不良債権の対象産業別ですね、具体的に言えば株と土地の不良債権というものが大部分を占めると思うんですが、株と土地の割合がどうか、こういうふうなのが第二点。
 それから三番目に、こういうような不良債権を、一部の報道機関によると金融機関はディスクロージャーをやるべきだというんだけれども、これは信用関係とかなんかから見てどの程度のディスクロージャーを不良債権について個々の金融機関が発表できるものか、発表した方が有利なのかどうか、その利害関係というものをどう判断されているか。三つお願いします。
#103
○政府委員(土田正顕君) 第一の点でございますが、私どもは、本年三月末時点で貸出金利息が六カ月以上未収となっている貸出金について、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行の三業態からヒアリングを行った結果によればという説明を付しまして、その額はおおむね七、八兆円であり、うち担保保証でカバーされているものを除いた貸出金残高は二、三兆円であるというふうに、いわば私どもの気持ちとしては明確な定義を付して説明をいたしておるつもりであります。
 これに対して、世上いろいろ御指摘のような、外国の新聞も含めて数字が出ておるようでございますが、それは私どもの行っておりますような明確な時点の指定、明確な範囲の確定を伴ったような説明ではございません。むしろ私どもの方からいかなる根拠によってそのような数字を得たのかということを聞きたいぐらいの気持ちでございますが、その点は取材の都合もありますから、要するに明確でない。金融筋によると言ったり、それからこの資料によるというように一たん報道されたものが、その資料の出し手である者がそういう事実はないと言って否定したり、さまざまでございます。私どもは基準を明確にしておるつもりでございます。ただ、残念ながら対象産業別の金額は承知しておりません。
 それから、第三点のディスクロージャーでございますが、これについては確かに御指摘のようないろいろ信用関係の問題もございますし、それから専門的にいろいろと検討を要する点も少なくございませんので、金融制度調査会に作業部会を設けまして、六月五日から検討を開始していただきました。なお、現在でありましても、例えば償却の額そのものなどはディスクローズされておるというふうに理解をしております。
#104
○三治重信君 これは質問には入れてなかったんですが、それほどひどくはないだろうと思うんですが、昭和の初めの金融恐慌のときとの比較も行っておられるかどうか。行っていなければ結構ですが、そこをちょっと。
 過去の昭和四年、二九年ですか、のアメリカの株価大暴落からああいうような金融の大不況が来たわけですが、今度も株の大不況、それから土地。日本特有の株それから土地に対するめちゃくちゃな融資についての不良債権ということから、五十年前の大不況と今回とを若干でも比較するような対象として考えておられるのかどうか、その比較の一つ判断が、基準があるならちょっとお願いします。
#105
○政府委員(土田正顕君) これはやや私の仕事の範疇を超える問題でございますが、二つばかり申し上げようかと思いますのは、第一は、昭和の初期に比べまして、金融機関なかんずく銀行というものは、すこぶる淘汰され、体力も強まっておるということでございます。普通銀行の数は、手元に所持しております数字では、例えば大正十年には千三百三十一行ございました。今日では銀行、信用金庫、信用組合、そこまでを足しましてざっと千ちょっとであろうかと思います。昔の普通銀行だけで千三百も大正十年にはあり、それが昭和五年には七百八十二に減っております。その後、その七百八十二の営業を受け継ぐものというのは現在ではさらに極めて少なくなっておる。恐らくは六、七十ではないかと思います。実際上、その辺のところまで集約されておるということであります。そのほかに新しい銀行もふえましたので、現在普通銀行の数そのものは百四十程度ございますが、昭和の初期に比べますと比較にならないほど銀行の体力は強化されており、かつ銀行・金融システムの安全性を支えるスキームもいろいろと開発されておる、これは全く同日の談ではないと思います。
 それから第二に、これは金融当局としての立場を離れた話でございますのでコメントは控えますけれども、私が読みました評論といたしまして、昭和の金融恐慌の数年前には実は例えば関東大震災というような非常に巨額に上る実物のロスとい
うものがあった。このようなものが、震災手形の処理その他から尾を引きまして、ある意味では昭和金融恐慌の原因の一つになっておるわけでございますが、今日そのような実物的なロスはどこにも何一つない、日本の経済は健全であると考えますので、全くこれは比較すべきような問題ではないという議論を読んだことはございます。
#106
○三治重信君 ひとつ話を変えて、株価の対策で、先日も株の配当の問題を出したんですが、きょうは、一つは、持ち株会社みたいなのが今度話題になっていないのはどういう理由か。これは持ち株会社が許されていないのは承知していますが、自社株保有を認めるより持ち株会社の方がいいんじゃないかと思う。
 それからもう一つは、株を系列で持ち合う、また銀行も非常に株を持つということからいくというと、金融の自由化から見れば、持ち株会社を認めて、それぞれそういうふうな商売に拘束を持つような持ち株制度を解消する方が日本の産業の発展にはいいんじゃないかと思うんですが、この点についての意見をお聞かせ願いたい。
#107
○政府委員(松野允彦君) 持ち株会社の話は、これは独禁法の問題でございますので、直接私からお答えを申し上げるところではございませんけれども、今御指摘がございましたように、例えば自社株の取得の問題、これは市場という観点から見ますと、それだけ流通株式数が減少するわけでございますので、需給バランスの改善に資するということにはなるわけでございますが、他方、資本充実の問題あるいは株価操作、インサイダーというような取引が行われる危険というようなものもあるわけでございまして、いずれにいたしましても自社株の問題につきましては、日本の商法が非常に厳格に禁止をしているということも事実でございます。
 そういった観点から、先般の緊急経済対策におきましても、「商法との関係も含め幅広い観点から検討する。」ということになっておりまして、法務省の法制審議会の検討課題にもなったわけでございます。その検討に期待をしたいわけでございます。
 市場の面では、今申し上げたインサイダーあるいは株価操縦というようなことに使われないような手当てをするということはもちろん必要でございますが、まず当面は、商法の法務省の法制審議会の検討状況を見たいというふうに思っております。
 それから持ち合いの問題でございますが、持ち合いはいろいろな理由から進んでまいったわけでございます。企業間の関係の強化、あるいは取引先との連携、安定株主づくりといろいろそれなりの理由があるわけでございます。ただ、市場という観点から申し上げますと、余り持ち合いが進みますと、これは個人投資家、個人株主を軽視するというようなことになってしまうわけでして、そういったことになりますと、市場としては非常に好ましくないという問題があるわけでございます。株の持ち合いそのものを直接禁止するということはなかなかできないわけでございますが、一方で株式の魅力を高める、配当をふやすとかいうようなことで魅力を高めることによって個人株主をふやしていくということが必要だろうと思うわけでございます。
 持ち合い解消のための持ち株会社の利用というような御指摘もございますけれども、これは、持ち株会社は御存じのように独禁法で禁止をされております。禁止をされておりますにはそれなりの理由があるわけでございまして、支配力の問題、あるいは共同政策上の配慮があるわけでございまして、証券市場の問題から持ち株会社の問題を云々するということは、独禁政策との関係もございましてなかなか難しいということを御理解いただきたいと思います。
#108
○三治重信君 そうですか、独禁法で明文で禁止されているの。しかし、アメリカでもヨーロッパでもみんな持ち株会社というものは制度上認められているんじゃないんですか。その点。
#109
○政府委員(松野允彦君) これは、独禁法の第九条というのがございまして、これで日本の場合には持ち株会社を絶対的に禁止しております。確かに御指摘のように、アメリカでもヨーロッパでも持ち株会社は認められているわけでございますが、日本の場合には、独禁法を制定するときに財閥問題がございまして、その財閥というものを解消、解体するために、あるいはその再来といいますか、再びそういうものができることを抑えるというようなことでこういう規定が設けられたというふうに承知をしております。
#110
○三治重信君 大臣ちょっと、答弁はいいんですが、希望として、持ち株会社は独禁法で禁止されているという、自社株のやつも原則として禁止されているわけです。だから、株価対策として、制度上認められていないやつはひとつぜひこういうものを外国との比較で、どこの国も禁止しているなら別だけれども、ほかの国でそういうことが許されているなら、歴史上は弊害があっても、これからの対策として僕はその方が株価対策としていいような気がする。余り勉強していなかったものだからこんな質問になっちゃったんですけれども、ひとつぜひ検討してもらいたいと思います。
 終わります。
#111
○委員長(竹山裕君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
#112
○委員長(竹山裕君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。
 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#113
○本岡昭次君 総理、御苦労さまでございます。
 本題に入る前に、せっかく総理においでいただいたのでどうしてもお尋ねをしておきたいと思うことがございますので、しばらく本題以外のことでおつき合いをいただきたいと思います。
 私は、ここでPKO協力法案の内容の問題なり、あるいは審議の仕方等について総理と議論をするつもりはございません。ただ、きょうの新聞記事として次のような中身のものが出ております。表題だけ読みますと、「PKO協力法 「違憲なら万死に値」 多国籍軍参加は「違憲」 別組織も論議の対象と示唆」という活字が躍っております。これは、宮澤総理が昨日、日本新聞協会総会で講演なさったことをこのように記事にされてある、このようでございますが、一〇〇%これを私どもがこのとおりというふうに受けとめていいのかどうか、総理の所見をお聞きしたいと思います。
#114
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨日新聞協会の総会がございまして、短いお話をいたしました後、若干の質疑がございました。それに関する報道でございます。概して正確に報道されておると思います。
 私が申しました第一のことは、政府が提案し、国会で御審議を願ったPKOの法案について、いろいろ御意見のあることは当然であるけれども、これが憲法違反であるという御議論には私は承服することはできない。子細に国会での御議論、あるいは新聞協会でございましたから報道による論説等々を十分注意して拝見をいたしましたが、何ゆえにどこが違憲であるかということについて、ついにはっきりした意見を聞くことはできなかった。
 そこで、私は、はっきり申し上げますが、これは違憲であるとは思わない。もし私がこの責任ある立場で違憲なことを行ったということになれば、それは私の罪は万死に値すると思いますと。新聞の論調等いろいろございましたが、疑問を呈せられておる中には、違憲と睦言わないがやはりそういうことに発展しやすいとか、そういったような論調、あるいはそこまでいかないが、自衛隊というものが海外に出るということはいろいろ問題じゃないかしらんといったような、その辺のお話ならそれはそれでよろしいのですが、違憲だとおっしゃるのならば、はっきりその根拠を示してもらわなければ困る、こういうことを申しました。
 次に、事を明快にするために申し上げますけれども、今度のPKO法は、湾岸危機のときの多国籍軍に参加すべきかどうかということとは全く本質的に違う問題である。理由は申すまでもないことでありますが、多国籍軍に従事するということは、たとえ国連の決議に基づくものではあっても、やはり戦闘を前提とするものである。サダム・フセインを撃退するというのが多国籍軍の目的でございますから、これに参加をするということは、即戦闘に参加をするということを意味するであろう。その戦闘がどれだけ正当性を持つ持たないはともかくとして、そうであることに違いないから、これは憲法で言う国の外における武力の行使に当たると私は当時から考えておりましたし、今でもその意見には変わりがありません。そのこととPKOの法律とを混同されることは最も根本的に間違いである、マスメディアにおける論調にそういうことがなかったのならば幸せであるというようなことを申しました。
 それが私の申しましたことの大体の中心点でございますけれども、いろいろな御議論がございましょう。国会においても、自衛隊でなくても何か別の組織の方がいいのではないかとか、いろんな御意見がありました。その御意見は御意見として、そういうことであればこれは傾聴をいたします。決して私はそういうことを、別組織をやるという意思があると申したのではないのでございます。御議論としては傾聴いたします、しかし違憲という御意見に対しては、私は断固として反論をいたしたいということを申したのであります。
#115
○本岡昭次君 新聞の記事とほぼ同趣旨のお話でございましたので了解をいたします。違憲であるかないかはこれから私どもも議論をいたしますし、また七月に控えております参議院選挙においても、このことを国民が国民投票的に審判をする、このように考えております。私どもはあくまでこれは違憲であるというふうに考えてこれからもやってまいります。
 そこでもう一点、ブラジルでの地球サミットの件であります。
 新聞の報道するところによりますと、首脳会議というものがあって、そこに参加できなかった先進国の首脳は首相不在のイタリアとそれから日本、この二カ国であった、こういうふうに報じております。そのことがどういう影響を及ぼしたかということはここで言うまでもありません。しかも、首相がビデオで参加するということが報道されまして、私どもも、ほう大変なことができるんだな、こう思っておりました。しかし、それは国連の拒否に遭ってできなかったということで、「首相不在に恥上塗り」というようなことが書かれたり、国連職員の中の日本人が大変恥をかいたというふうな事柄も出ております。また別の報道では、「国連会議史上初の“名誉あるビデオ演説”は、ルールを無視した非常識な提案として、地球サミットの記録に日本の名をとどめるだろう。」なんというようなことが書かれてあるわけでありまして、こういうことであるならば、私も日本人の一人として、国会議員の一人として大変困るわけであります。
 社会党としては、首相は参加すべきであるというふうに思っていましたし、参加しようと思ったらできなくはなかったというふうに思うわけですが、総理、ブラジルの地球サミット不参加、そしてビデオが取りやめになった、またこういう論評がいろいろある。こういうことについてどういうお考えを今持っておられますか。
#116
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる地球サミットは大変に重要な会議でございますし、また我が国としては非常に大事な決定をこの会議のためにいたしたわけでございます。そのことは各国から評価されていると思いますが、それだけに私としてはこの会議に出席することが極めて大切なことであると終始考えておりました。たまたま衆議院における国会の御審議と、その演説をいたします日の日程とが重なってまいったわけでございますけれども、私としては、それでもぎりぎり出発、二十五時間を必要といたしますので、そのぎりぎりのところまで航空機それから所要の同行者等々、最後までスタンドバイで準備をいたしておりましたけれども、国会の、衆議院の御審議の関係で私が院を離れられないということがはっきりいたしましたので、やむを得ず出席を断念いたしたわけでございます。
 そのような可能性というものは一、二日前から当然考えられておりました。そのことはサミットの準備の中心人物であったストロング事務局長にはお伝えをしてありまして、その御好意によりまして、何とか最善の努力をしてもらわなければならないが、万一のときには便法も自分として考えてみようということから、放映による、ビデオによるあるいは宇宙中継による、つまりスクリーンを使っての演説という、そういう示唆を得たわけでございます。その示唆に基づきまして事務当局は準備をいたしておったわけでございますけれども、中村環境庁長官が帰国されまして直接承ったところでありますけれども、現実にそれが行われますほんのわずか前に、国連の事務総長の御方針というものがあって取りやめることになったと、こういう経緯でありました。その間の先方の内部事情は聞かないわけではございませんけれども、ここで申し上げることもいかがかと思いますので申し上げません。
 つまり、この会議の中心人物であったストロング氏等々の好意によってそういう計らいが考えられておったわけでございましたが、それは終局的には実現をしなかった。このことは我が国の出先、外務省等々当局の責めに帰すべきものではありません。また、恥の上塗り云々というのは事情を知らない新聞記者諸君等々の報道であったわけであります。
#117
○本岡昭次君 そのことの問題はここで深く追及する必要がないと思います。
 そこで、この地球サミットの最大の問題は、途上国が新たに必要とする環境対策資金を先進国がどのようにして捻出していくのかということが一番大きな議論になった。それだけに、日本に多大の期待が寄せられる。宮澤総理も五年間に一兆円ODAの中に環境資金として出すという意味の表明もなされております。
 そこで、こうした地球全体の環境保護あるいは環境保全、またそれは大きくは国際貢献になるわけですが、その財源をそれではどう考えていったらいいのか。最近、環境税を新しくつくるべきだ、新設すべきだという意見等もいろいろ出てきておりますが、新税をつくるということは国民の負担率を上げていくということもあり、非常に難しいこともあろうと思います。しかし、少なくとも我々としてはそれなりに何らかの対応をしていかなければならぬと思うんですが、そういう財源の問題はどうお考えですか。
#118
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、我が国はODAにつきましては、年によって違いますが、世界の第一または第二の供与国であります。一九九一年中における供与額も、間もなく明らかになると思いますが、恐らく第一位または第二位に、定義の仕方にもよると思いますけれども、なっておると思います。
 その中で、過去何年間かの平均をとりますと、一二、三%がいわゆる環境問題の関連の援助になっておるわけでございます。したがいまして、かれこれ一兆円という、大づかみに考えますとその一二、三%は一千億円絡みになるわけでございますけれども、先般、今後のODAの問題として環境関係として九千億ないし一兆円と申しましたのは、今までのODAの中で環境に関連する部分をそれだけ増額しようという、そういう意図で申しておるわけでございます。この程度でございますと、いろいろ大蔵大臣に御苦労をいただいて、我が国の今までの政策の延長の上で、つまりODA
を倍増するとかそういったような延長の上でまだまだ賄っていけるのかと存じますけれども、これから新しくサミットで提言されました問題等を考えてまいりますと、従来の歳入歳出の中でいつまでもやっていけるかどうかということは実はこれからの問題であろうと思うのでございます。
 毎年千二百五十億ドル要るというような話を本岡委員もお聞きになっていらっしゃると思いますが、そういうことであった場合に果たしてどうするのかということはこれからの問題でございますし、また何にどのようにそれが使われるかということも実は解明をしていかなきゃならない問題でございますので、したがって将来の財源の問題を考えます前に、具体的にどういうことをしなければならないのかということをもう少しはっきりさせる必要があるであろうと思います。いわゆる今までの毎年やってまいりましたようなODAのある部分が環境問題に向けられるということは、これは今後とも続けるばかりでなく、ふやしていくことはできると思いますけれども、その方式以外。にさらに新しいものが必要となるかどうか、それは何であるかということはこれから解明されるべき問題だと思っております。
 なお、それとは別に、これはもともと政府ばかりでなく、いわゆるリサイクルの問題でありますとか、あるいは過剰な包装あるいは過剰な部品等々についての、つまり企業の側が考えなければならない問題、あるいは消費者として心がけなければならない問題というものもございますので、政府の務めは政府の務めといたしまして、民間においてそういうボランタリーな運動が起こってくるということは大変好ましいことであろうと思います。そのための受け入れ体制というものもまた必要であるかもしれないと思っておりますが、大体今考えております問題意識はそのようなことでございます。
#119
○本岡昭次君 そうすると、総理の現状の意識というのは、環境税の新設の問題、そういうふうなことは今は念頭にないというふうに受け取っていいわけですか。
#120
○国務大臣(宮澤喜一君) 環境税といえばそれは立派な目的に奉仕するものでありますけれども、税金である限りはやはり国民の負担であるに違いがございませんので、そのような新しい負担を国民に求めるとすれば、それがどのような目的に使われ、そしてどのような形で国民からちょうだいをするのか、ほかの財源ではやれないのかというようなことはやはりはっきり国民に御説明をしなければならないと思います。そのような条件がまだ整っていないというふうに考えております。
#121
○本岡昭次君 広く財源を得るというときにいつも出てくるのが消費税です。一%上げれば二兆円というふうに通常言われておるだけに、こうした環境問題、地球環境保全、発展途上国に対してさまざまな援助をするためにというふうなことで、消費税をパーセントを引き上げてそれを上積みしていく、そういうお考えも当然ないというふうに考えてよろしゅうございますか。
#122
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申しましたように、どういう目的でどこから、どこからというのは税源をどういうふうに求めるかというようなことがまずはっきりしなければならないわけでございまして、仮に目的税であることが望ましいということになりますれば、消費税というのは一般税であって、私は目的税ではないというふうに考えますので、そういう基本的な何のためにどこからということがもう少し解明されませんと、環境税というものは現実の日程になりにくいと思っております。いわんやそれを一般の税源である消費税に求めるというようなことはただいま私は考えておりません。
#123
○本岡昭次君 きのうからきょうにかけてこの金融制度改革の議論をする中で、今日の景気の低迷ということが絶えずセットになってこの時期にこうした戦後最大と言われる改革をやることが可能なめか、あるいはまたそういう適切な時期なのかという議論があるわけですね。
 そこで、景気対策のためにいろんな話が出ているわけであります。金丸副総裁が、七兆から八兆の補正予算を組まなければならぬとか、また河本元国務大臣が、いや十兆円の補正予算を組む必要があるとか、いろんなそういう秋の補正予算に対する金額というようなものも出てきております。金丸さんの場合は何かアメリカとそういう約束をされているんじゃないかというふうなことで、私は一体これはどういうことなのかと疑問を持ちます。
 しかしながら、私もずっと現場を歩いて、特に中小零細企業の皆さんの、今日の景気が下降しているという状況が一体どういうふうな実態にあるのかをつぶさに見ております。大変です、何とかしてくれという悲鳴に近い声をたくさん聞かされます。そして、日銀総裁に対する恨み君もその中で出てくるわけであります。景気がなかなか上昇していかないという状況の中で、三月に緊急経済対策を打ち出しましたけれども、さらにもう一度秋に大型な補正予算含みの緊急経済対策が打ち出されるんではないか、あるいは打ち出してほしいという強い期待というものが特に中小零細企業の中にあるわけで、私もその中身が問題であろうと思いますけれども、このままではいけないんじゃないかということを感じております。
 それで、総理は今から秋の補正予算云々もここで明確におっしゃるわけにはいかぬと思いますが、しかしそういうことがどんどんと議論になって、下でかなり期待を持っている状況で、一定のお考え方を示されてもおかしぐない時期であろうと、こう私は思います。それで、そうした景気を立て直していくための、浮上させていくための秋の大型補正予算というようなものをどういうふうに、必要であるというのか必要でないというのかというところからあると思います。一体それをどう考えておられるのかということです。
 もう一つは今までも景気が上昇したり下降したりいろんな局面があったわけですが、過去、景気が下降してそれを上昇局面に持っていくための緊急経済対策を打ち出したときに、所得税減税というものがいつもあったと思うんです。一兆円規模とかいうふうなものがあって、そしてそれが景気を浮揚させるということにかなり役立ったというふうに私は見ているわけですが、春にはそれがありませんでした。秋に恐らくそうしたものが出てくるんではないかという期待をしているんですが、金丸さんの発言によると、何ぼ減税してやったってみんな貯金に囲みだけで、そんなもの景気の浮揚にもならへんと。こういうまるで冷たい話が出てくるわけです。それで、私はみんなに、おい、減税があったらみんな貯金するも言うと、いや、そうやない、それは使うと皆はこう言っています、一般の者は。どうもそういう議論が、金丸さんで何も日本の国が動いているとは思いませんし、金丸さんで日本の内閣が左右されるとは思いませんけれども、何か知らぬけれども大変影響力の強い方で、あの人が言うとわいわいがやがやと下の方がざわめくわけであります。
 それで、所得税減税という問題に対する期待も一方これはサラリーマンあたりに非常に強いんですよね。それを、何ぼ減税しても貯金に回ってしまうんやから無意味だというようなことで一刀両断切り捨てていくようなやり方がいいのか。私は所得税減税というものをやってそして景気の浮揚を図るべきだと、こう思います。
 大蔵省の試算によっても、一兆円の減税をやればそれが三年間にわたって名目GNPをその一兆円の一・五倍、合計すると一兆五千億引き上げるという試算。そこから出てくる税金はもちろん一兆円に引き合うものではありませんけれども、少なくともそうしたGNPを引き上げていくことに貢献するということを大蔵省みずからも資料で出しておるのでありますから、そうした意味で秋の補正予算をいずれ組まなければならないんですが、そのときには景気対策としての手だてと、それから景気浮揚に必ず役立つであろう大型な所得税減税、こうした問題を念頭に置いているという、アナウンスというんですか、そういう効果というふうなものを一方に出さなければ、否定的なことばかりがずっと今多くて、そしてみんなお先真っ暗だお先真っ暗だという形で心理的に冷え込んでいるという現状があるんですよね。私たちはそういう一般の庶民なりあるいはまた中小零細企業の人たちと日常絶えず接触しておりますから、敏感にそうしたものを感じ取っております。
 総理としてひとつお考えを聞かしておいていただきたいと思います。
#124
○国務大臣(宮澤喜一君) 実はそれらの問題、まだ大蔵大臣と御相談をしておらないのでございますけれども、何分にも七割五分という前倒しをいたしました。地方でも単独事業を初めかなり速いスピードで契約が始まっております。ですから、これはかなりの影響を景気の動向に与えることは確かでございます。
 その動向をやはり十分、公定歩合も下がりましたので、見ておる必要があるというふうにまず考えておるわけですけれども、しかし同時に、七割五分も前倒しをいたしましたらあとがなくなってしまうということも、減っているということもこれももう当たり前のことであって、したがって、その時期になってもう少し仕事をしなきゃならないじゃないかというときに何にもありませんというようなことではこれは政策というものにはなりません。やはり七割五分前倒しをすることを決心したときに、将来こういうときにはこうするということを考えておかなければ、とりあえず前倒しをすればそれでいいと言って済むものではないことはよく承知いたしております。
 したがいまして、お話のように、今具体的にいっどうということを申し上げる時期ではございませんけれども、それはよく承知の上でまず前倒しをいたした。今お願いしたいことは、中央の公共事業にしましても地方の単独事業にしましても、関係の方々は将来のことを心配されずに消化をしていただくことが大事である、そのことが景気を浮揚させるために大事なことであるというふうに考えております。
 減税のことでございますけれども、御承知のように、いつぞやかなり思い切った抜本的な税制改正をいたしました。その中で、所得税は今課税最低限で見ましても先進国の中で我が国は一番高い方になりましたし、また最低税率も一番低い税率の刻み、いわゆるブラケットも非常に緩やかになっておるといったようなことから、私は今の我が国の所得税負担というものは非常に苦しいきついものであるというふうには国際的に見まして考えておりません。もとより、税金というのは国庫に余裕があればなるべく減らすことが政治の道だということは存じておりますけれども、その国庫に余裕がございませんことは御承知のとおりでございます。
 そこで、減税をするとすればその財源をどうやってつくるかということにならざるを得ません。今年度の税収見込みをまだまだ類推もできない段階ではありますけれども、景気動向からいって税収だけが非常に好調であったということは考えにくいことでございますので、そういう中で減税をするとすれば財源をどうするかということでございます。そのことはとりもなおさず、せっかく取りやめました特例公債というものをもう一遍考えるかどうかということにかなり関係のある問題でありまして、私はやはり歳入補てん公債というものは、我が国の将来のことも考えますと、もう一遍それを復活するということはやはり避けるべきであろう。これは当委員会におかれましても、いろいろ当時から御議論のあることを存じておりますけれども、私はそういう意見を持っております。
 それから、所得減税が消費にどのようにつながるかということでございますけれども、せんだってのQEを見ておりましても、消費そのものは非常に低調だというわけでもない。確かにデパートの売り上げ等は前年対比でマイナスが立ったりしておりますけれども、旅行とかレジャーとかいうことには結構お金が使われておる。恐らく国民の側でやはり選好的な、御自分の選好するところに金を使う、いわば一般の普通の意味での衣料であるとかあるいは電器、エレクトロニクスであるとかというようなものは一応の充足をしていて、旅行とかレジャーとかいうものに消費が向いていく。そういう変化はあるのかもしれないと思っていますが、消費水準が非常に過度に低くなっておるというふうには私は思っていません。
 もちろん資産効果というものほかってございました。ですから、今度は逆資産効果というものはきっとあるのだと思います。何となく財布のひもがかたくなるという、そういうことは私はないわけじゃないと思っていますけれども、消費全体が非常に沈滞をしているというふうにも思いませんものですから、両方合わせまして所得税の減税ということは私としては今は考えておりません。
#125
○本岡昭次君 私は、先ほど中小零細企業やさまざまな人たちに現在の消費動向、それから景気の動向を聞いていると言いました。そこで私の経験した中での一つの傾向は、建設資材であるとかあるいはまた造船のための、船をつくるための必要な資材であるとか、いわゆる土木にかかわるものであるとかいうのは、注文は従来ほどたくさんないけれども何とかつないであるから仕事はやれると、こう言っておる。一番しんどいと言うのはどういうところかというと、個人消費にかかわるところがやはりしんどいと、こう言っておるんですよ。食料品をつくっている、例えばパンをつくっているところとか、あるいはまた着物、ブラウスをつくっているところとか、そういうふうに個人消費にかかわるところが極端にしんどうなっている。大きな企業との関係の中で部品受注とかいうふうな形のものは、減ったけれども堅調にあると言うんですね。
 だから、私はそういう話を聞くと、個人消費は堅調だと言うけれども、そうじゃなくて、そこのところは市場的にかなり落ち込んできているんじゃないか、こういうふうに思うのであります。そして、三・五%の経済成長率をことしは維持する、そのことはアメリカとの公約にもなっていると思いますが、やはりそのGNPの三・五%を維持するということの中の個人消費というものの持っているウエートはかなりこれは重要であるし、そこのところの的確な見きわめを誤ってはならない、私はこう思っておるんです。
 だから、春の賃金引き上げの場合もあるいはこのボーナスも、やはり現在の景気のそうしたものの影響を受けて昨年をかなり皆下回っているという状況で、皆が財布のひもを締めかかるのはもう当然である、こう思うんです、ずっと秋にかけて。そういう状態のところで、減税というものがすぐ貯金の方た回ってしまうんだというふうな金丸発言にはならない。やはりそうした減税措置が落ち込もうとしている個人消費関係のところに必ず刺激を与えていく、私はこういうふうに見ておりますので、それは総理なり大蔵大臣と見解の相違というところもあろうかと思いますが、現に私は現場を歩いてそういうことを実感として感じているから申し上げているわけであります。こういう今起こっている経済の実態を認識することに食い違いがないように、できるだけこれは一致させていってそして間違いのない対応をしていかなければいけないんじゃないか、こう思います。
 そういうことで、これにあえて答弁は要りませんが、そのことだけはひとつ申し上げておきますので、一度そうしたところに目を向けて、所得税減税というこの問題の景気浮揚に対する効用、それともう一つ、切実にそのことを勤労者が求めているということにどうこたえるかということを真剣にこれは考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから最後に、この種の問題で地価税の問題があるんです。宮澤総理は、「生活大国」ということを標榜されました。私も賛成であります。しかし、その生活大国を構成していく中で一番弱いのが、生活といえば衣食住、こういうふうによく言われますが、住居という問題をどういうふうにして快適なものにしていくのかということであります。そのときに、地価が非常に高くてサラリーマンが自分の年間所得の今は八倍以上出さなければ持ち家は取得できない。しかし、宮澤総理は生活大国の一つの目安として、せめて年収の五倍というところで住宅が取得できるようにしたいというある種の目安を持っておられるわけです。しかしそれに近づいていない。
 どうして近づけるんだということの一つの大きな問題として、地価税というものが私は打ち出されて現にあると思うんです。それが〇・二%という形で来て、来年から〇・三%になるとして法律ではなっているわけでありますが、どうもこれが下手をすると〇・二%のままずっとしばらくいくようになるんではないか。〇・三%というふうに本法に書いてあるところへ引き上げていくについて、大蔵省なりあるいは内閣総理大臣のところにちゅうちょがあるのではないかというふうなことを耳にするんですが、これは生活大国というその目的を達するために、特に住宅取得、またそれが持ち家でなくとも、これは家賃を払って生活をする、家を借りる場合だって結局同じことになるわけでありますけれども、地価の動向が大きく左右するわけでありますから、いろいろな圧力があったとしても、〇・三%へ本法へ引き上げていくということについて責任を持ってもらいたい、こう思います。いかがですか。
#126
○国務大臣(羽田孜君) ちょっと一つ、先ほどお話のあった中で、私どものいわゆる三・五%の目標、アメリカとの公約というお話があったんですけれども、いろんな議論はしたことはございますけれども、これは民間の占める部分というのが大変大きいということです。ですから、これはあくまでも目標であるということでありまして、しかし私どもとしてもそういったものをもとにしながらいろんなものをつくり上げているわけですから、この目標というものはできるだけ達成するようにこれからも注意深く見守っていかなければいけないということをまず申し上げておきたいと思います。
 なお、地価税についての御指摘があったわけでありますけれども、確かにこれを本年一月一日から実施したということがあります。そして、それ以前に、法律を通していただいたということがございましたので、そういったもののアナウンスメント効果といいますか、そういったものはあったということで、確かにこのところいわゆる地価が全体が下落してきておるということがあろうと思っております。しかし、地価の水準は、今御指摘がありましたように依然高いというのが現状であろうというふうに考えておりまして、土地問題の解決というのは依然として我が国経済社会にとりまして重要な課題であろうということは変わらないというふうに私どもも認識をいたしておるところでございます。
 そういう意味で、土地税制改革、とりわけ地価税を円滑に実施しまして着実にこれを定着させていくということが重要でございまして、これによりさらに一層の地価の抑制あるいは低下、土地の有効利用、こういったものの促進を図っていくことが重要であろうと思っております。
 総理もよくお話しになることでありますけれども、土地神話というものを打破しなければいけない、そして二度と地価高騰を生じさせないということでございまして、この地価税というものをさらに理解をいただくように私どもは努めていかなければならないということで、今御指摘のありました点について我々がふらついているということはないということを申し上げておきたいと思います。
#127
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに都会における住宅問題というのは私どもの経済政策の一つの泣きどころでございます。何とかして年収五年分ぐらいで自分の家を持てるようにしたいということをかねて思っておりまして、間もなく正式答申がございます五カ年計画でもこのことは具体的に目標にいたしたいというふうに考えておるところでございます。
 今のお話の地価税、大蔵大臣が言われましたとおりでございますが、土地を持っているということが一番有利である、これが資産としては一番有利な資産であるということがやっぱり非常に問題なんだということをバブルの時代を通じて強く私ども感じておりまして、それは、例えば持っていれば一番値上がりをするとか、持っていれば金が借りやすいとか、あるいは持っていれば毎年の税負担あるいは相続税負担が軽いとか、いずれにしてもこれを持っていることが有利なんだということになればどうしても人は土地を持ちたがる、それだけのために持ちたがるわけでございますから、そういう神話といいますか、考え方をやっぱり直していかなければならないという意味でも地価税というものは大きな役割を果たすというふうに考えておりますので、今大蔵大臣が言われましたとおり、この法律の従うところによりまして平成五年度からは本来定められた税率に戻っていく、そうあるべきものと考えております。
#128
○本岡昭次君 それでは、残されました三十分ほどで本題の金融制度改革法案に関係する問題についてお尋ねをいたします。
 もう既にきのうからきょうにかけまして相当細かく議論になっております。しかし、戦後最大の金融制度改革ということで、どうしても総理の方から改めてこれに対する基本的な姿勢、考えをきちんと聞かせていただきたい。そうでなければ、この会期末、日程のない中で成立させていく我々参議院にとっては耐えがたい、こういうことできょうは総理の出席を願ったわけでございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それで、まず最初に銀行の公的性格と経営姿勢にかかわる問題なんです。銀行法の第一条の目的規定では、銀行業務の公共性の根拠として、信用の維持、預金者の保護及び金融の円滑を挙げるとともに、銀行業務の公共性と金融機関の業務運営における自主性の調和が図られるべきだというふうにこの銀行法の第一条では述べています。しかし、問題は、近年の金融機関の経営姿勢というものが公共的な性格というものをだんだんと弱めていって、私的な利益追求という利益至上主義に陥ってしまっていると言わざるを得ない状況になってしまっている、このことが非常に問題だと思っております。
 具体的に言えば、きょうも午前中随分議論がありました。銀行みずからが、あるいはノンバンクを通して土地関連融資、株式関連では仕手集団への融資をするなど、その経営姿勢が本来の公的なものから、何でもいい、手を出して金さえもうければいいというふうな節度を失ったものになっているんではないか、こう私たちは見ております。それが昨年の偽造預金証書を使った不正融資事件、証券会社の損失補てん等一連の金融・証券不祥事が起こり、国会がわざわざ金融・証券国会というふうなものを召集してそのスキャンダルの追及に当たらなければならぬというふうなことが起こったのであります。これらは金融機関に対する国民の信頼を大きく損ねて、一体金融機関はだれのものなのか、だれのために何のために存在するのかということが今問われているという状況にあります。
 したがって、私たちは、いろんな金融制度改革をこの法律によってやったとしても、改革後にまた昨年来私たちが経験しましたような不祥事が発生すれば、今度は、子会社を設立して相互に乗り入れるとか、今までのような縦割りでまた業態別というふうな整理された形でないだけに、大変なことが起こるんでないか、こう思うんです。
 それで、本当に金融機関が自己改革をなし遂げて、そしてああした不祥事を惹起していく、起こしていくようなもう体質というふうなものは除去し、そして公共性というものをしっかりと体して金融制度改革に立ち向かおうとしているのかどうかということなんであります。もちろん、衆議院における参考人の陳述をずっと読めば、それはそれなりに反省の上に立った話がいろいろと述べられております。一応それはそれで理解しますが、本当にそうなのかという疑念を持っております。それだけに、私たちも賛成の立場ではありますけれども、やはり拙速というふうなことで後ほど私たちが批判されるようなことはないのかどうかという一つの危惧をいまだに持っておるんであります。
 そういう意味で、ひとつ総理の方から、本岡さんそんな心配ないよ、大丈夫だよ、きちっとこういっているからと、こういう確信のあるひとつお話を聞かせていただきたいというのがまず第一点であります。
#129
○国務大臣(宮澤喜一君) 先般、いわゆる公正確保法をお認めいただいたところでございますけれども、これは最近における御指摘のありましたような出来事にかんがみまして、急速このような制度の整備をいたしたものではございますけれども、振り返って見ますと、戦後我が国の金融制度あるいは証券制度、とにかく我が国なりのやり方で、政府も場合によっては随分これを保護をいたしてまいりました。それは国民経済全体のためである、また国際競争力というようなことも考えましてそういう行政を続けてまいりましたし、それはそれなりの効果を上げたことも確かでございます。
 しかし、我が国がいわゆる国際国家となるに従いまして、そのような我が国独得の行政あるいは制度のあり方というものはこれでいいのだろうかということは、この間のような不祥事件にかかわりませず、もっともっと以前の段階からいろいろに議論をされておって、そして審議会等々において、やはりこのあり方はあるときに思い切って直さないと、いわば我が国の国内における公正な競争あるいは効率化、活性化等にも欠くるところが出てくるし、また外国から見て日本は日本独得のいわば国際的には通用しがたいいろいろな制度なり行政があるということは好ましくないという反省はずっと以前からございました。たまたまその問題の結論を出していくそのときにいわゆる不祥事件等々が起こってまいったわけでございますので、お立場からごらんになりますと、片っ方で大変ないわば火事場のような出来事が起こってしまった、そのときにこういう長期的な視野に立った改革をするというのは本当にいい時期なのだろうかという御批判が起こることは私、十分に理解のできるところでございます。
 ただ、在来の経緯がただいま申し上げましたように、やはりどうかしなければならない、このままでは置いておけないという意識は長いことございまして、その結論が出てくるその段階で、偶然と申しますか、図らずもああいう不祥事件というようなものが起こった、そういういきさつであったと思います。したがいまして、先般お認めいただきました公正確保法と今御審議の法律とは、いわば並んで二法というような形で出てまいったわけでございますけれども、いきさつはそのようないきさつでございました。
 この際、やはり我が国が、何と申しますか、いわば禍を転じて福となすとでも申しますか、従来のいきさつにこだわらずに、公正な競争の実現あるいは効率化、活性化、預金者あるいは投資者の保護、そして国際的にいわば理解できる透明性のある制度というものをつくっていく、そういう時期であろうというふうに考えまして、御提案を申し上げ、御審議をいただいておるわけでございます。
#130
○本岡昭次君 もう少しお話をしていただきたかったですが、時間がありませんから次の質問をいたします。
 この前の証券不祥事の問題を解決するために証券取引を監視する委員会がつくられました。これは大蔵省の中につくるのか外につくるのかということで随分議論があって、私どもは当初外につくるべきだという形でいきましたけれども、最終的にいろんな諸状況を検討する中で、大蔵省の中につくってくるという、八条委員会ですか、そういう形態を賛成して成立をしていったんですが、そのときも、大蔵省という巨大な官僚機構、さまざまな権限を持っている。それが今までの証券という業界を育成し、そして証券の事業をここまで保護し、やってきたという、それはそれなりの必要性はあっただろうけれども、なおこの上にまだ大蔵省が深く深くそれにかかわっていかなければならないことなのか、そういうことが正しいのかというふうなことについてやっぱり疑問を持つ。しかしそれが実態であらば、新たな混乱を生み出すわけにいきませんから、大蔵省さんお願いしますよと、こうなったと思うんです。
 今度の金融制度改革も、金融の自由化、そして垣根を取っ払って、業態別でそれぞれ子会社をつくっていろんなことをそれぞれがやれるんですよと、こうやっていっても、やっぱり大蔵省が主導権をとって、最大の権限を行使しながらこれからもやっていこうとすることに結局なってしまうのかなと、こういう気がしてならないわけです。
 というのは、きょうの新聞にこういう記事が載っております。「大蔵省は金融制度改革を進めるにあたり、証券子会社の設立は長期信用銀行と信託銀行を先行させ、信託銀行子会社の設立は大手証券会社を優先させる方針だ。いずれも来年春にも認め、都市銀行に対しては証券子会社、信託銀行子会社とも当分の間、設立を認めない考え。」と、こう書いて、「具体的には、証券子会社の設立は、長期信用銀行二行、大手信託銀行二行の計四行程度に、信託銀行子会社は大手証券四社に、まず認めることになりそうだ。」と、こういうふうに書いてあるわけです。
 だから、いつまでたっても大蔵省の枠の中で、何か自由化であるとかやれ国際性であるとか利用者の立場であるとか、いろいろこう言われてみたところが、結局信用秩序の維持という大義名分、信用秩序がこれは乱れたら大変ですから、それにはやっぱり大蔵省がしっかりかかわらにゃいかぬのやということばわからないことはありませんけれども、全部こういう形で進められるということは、結局各金融業界の利害を調整していきます、やっぱりこれからも大蔵省の言うとおり、大蔵省の意見を聞かなければ一つも進みませんよというふうに、金融改革のこの問題にも、大蔵省の影響力をますます強めていこうということになってくる。一体そのことと金融の自由化とか国際化とか、垣根を低くして自由にそれぞれやってください、利用者の立場をということとどうなんだということを私は思うんですよ。これは私の杞憂でしょうかね。
 そこらのところをちょっと総理の方から、いや本岡さんそんな心配せぬでもええと、こうちゃんと言ってくださいよ。
#131
○国務大臣(羽田孜君) 今の御指摘のあった点につきましては、まさに個別の進め方につきましては、これから私どもといたしましても、ここでの御議論なんというものを踏まえながら基本的な大目的というものに沿って進めていくということを申し上げておきたいと存じます。
#132
○本岡昭次君 そうすると、この新聞に書いてある、来春のことを早々とこういう形で打ち出している、これは何ですか。
#133
○政府委員(土田正顕君) ただいま御指摘の新聞記事は、私どももけさ以来読んでおりますが、特別これについて現段階でコメントをするのが適当であるとは考えておりません。
#134
○本岡昭次君 もしこのとおりになったらどうしますか。来春見てやっぱりこのとおりだったとなったらどうしますか。
#135
○政府委員(土田正顕君) ただいま大蔵大臣から御説明申し上げましたとおりでございますが、個別のいわば交通整理は、全体としての適正な競争の促進という大目的を達成するための経過的なステップとして私どもがいろいろな事情を勘案しながら今後やってまいりたいと思っているところでございます。
 そのときに、例えば一時に過度の参入が起こって混乱を招くようなことがあってはならないということは考えておりますが、反面、全体といたしましては、業態別子会社という手法を使って当事者の数をふやし、適正な競争を促してまいるというのが基本でございます。その際に、どのようなものから幾つぐらいをいつ認めていくかということについて、現段階ではいろいろと予言を申し上げるほどの材料を持ち合わせてはおりません。
#136
○本岡昭次君 この金融制度改革と大蔵省の関係ですね、大蔵省はしっかりしておいてもらわにゃいけませんけれども、そのことと、周辺にあるこうした金融、証券、さまざまな組織に対してどういう関係を持っていればいいのかという問題は、これはやっぱり新しい秩序というものをつくっていかにゃいかぬのじゃないですかね、従来の関係じゃない新しいものを。国際化という新しいものに対応するのに、いつまでたったって大蔵省と関係の企業との関係は従来の古いところに閉じ込めて、そして許可権とかいろんなそういう権限を擁してやっていく、一方は古くさいものを残して一方は新しいものを持ち込んでくる、そこの矛盾を私は感じるんですよ。
 そこのところはまた大蔵委員会の中で大蔵省の責任を、これからの新しい大蔵省のあり方について私たちもこれから勉強してみたい、こう思いますが、総理どうですか。細かいことを言ってもらわなくてもいいんですが、世界がずっと大きく動いて、金融関係にしても日本国内だけではいかぬ、やはり国際的な視野の中で動いていかなければならぬ。わかるんですが、そのときに大蔵省が昔のままの大蔵省であっていいということにならぬでしょう。そこらはどうお考えですか。
#137
○国務大臣(宮澤喜一君) これは大蔵省の行政に限りませんですけれども、やはり我が国が明治以来近代化をし、戦後またこうやって経済大国になってまいります道の中で、行政というものがやはり国の産業、金融、あるいはその他の経済機能を強くしようと。どうしてもそうしなければ日本はなかなか成り立っていかないという、長い百年余りの私は行政の考え方が今日でもなくなっているわけではない。それはそれなりに非常に大きな成果を上げたことは確かでございます。このことは十分に認めなければなりませんけれども、ここに来まして、一つは今本岡委員の言われました国際化でありますが、もう一つは、そこまで国の経済ができ上がったのであれば、やはり消費者、一般の消費者、一般の投資家、そういうものの方を行政がもっと向かなければいけないんではないかということは、私は行政をやっている諸君も気がついていることだということを知っております。それと国際化。
 ですから、両方のことを二つ合わせて言いますと、アメリカあたりが、構造協議をしますときに日本の行政というのはもっと消費者の方を向いたらどうなのという、それは国際的なやっぱり考え方でございますから、そういうことは行政をやっている諸君も考えてくれておりますし、また十分考えてもらわなければなりません。
 たまたま幾つかの不祥事件がございました。このことは、そういう関連の企業なり金融機関なりの問題でもありますけれども、我が国全体の行政というものも、やはりそういう新しい時代に立って姿勢を正していかなければならないということを私は意味しておるんだろうと思いますので、先ほどから本岡委員の言われますことは、それは大蔵省は強くなってもらわなきゃ困る、しかしやっぱり時代は変わっているんだよとおっしゃっていることは、私はよくわかります。そして、行政をやっている諸君にも、そのことはわかってはおりますでしょうが、重々やっぱり考えてもらわなければならないことだと思います。
#138
○本岡昭次君 総理と話がかみ合ってきたわけですが、今度の改革の理念に三つありまして、一つは国際化、それから金融秩序の安定維持ですか、金融秩序の維持がある。それから利用者の立場というこの三つがありまして、国際化というのは、これはもういや応なく国際化時代を迎えて、日本の今日の経済力の中では変わっていかなければならないものです。それから金融秩序の維持というのも、業態別とかいろいろあったものを新しく組みかえるときに、大蔵省がかなりの指導性を発揮してこれは維持を図っていかなければならぬでしょう。この二つまではわかる。
 それから、最後の利用者の立場、今総理大臣も言われましたけれども、利用者の立場というのをだれがどうするんだということが、いつもこういうときの目的には掲げられるんですけれども、具体的になかなか出てこない、置き去りにされるということになると思うんです。利用者といっても、大口の利用者と小口の利用者とあるわけで、前の証券のときも私は当時の橋本大蔵大臣と厳しく議論したんですが、大蔵省が保護育成をしたのは機関と大口の投資家ではなかったかと。小口の投資家が泣きの涙で、今日の証券問題の中でみんなが泣き寝入りしている状態、だれが一体救うんだと。それは自己責任だと言えばそれまでだという議論をしたわけですけれども、利用者の立場という問題を具体的にどのようにこの金融改革の中に生かしていくのか。
 しかも、それは何億とかいうお金を預金できる個人なり企業じゃなくて、それこそ先ほどの金丸さんの話しやないけれども、ああ一万円余計入ったからと一万円預金する、そういう預金者も、また株の投資家もおるんだという、そういう人たちに対して、一体今度の金融改革がどういう具体的に預金する場合の変化があるのかということでしょう。上の方は変化があったけれども一般の庶民は何の変化もなかった、戦後最大の金融改革とは一体何やったねん、多くの庶民と全く関係がないところで動いただけであったと、こういうことでは私はだめじゃないか。それでいつも泣き寝入りするのは一般の庶民ですよ。何かがあったときは、まさかのときがあったときは一般の庶民が泣くんですよ。
 だから、そういう意味で、さっき総理がおっしゃった利用者の立場というものを本当に尊重していくという、そういう視点を大蔵省の中にしっかりと組み込んでいただかなきゃいかぬということを私は強く思うんです。先ほど総理大臣がそうおっしゃったから、あえて念を押して申します。
 そこで、地域金融というのがそういうためにもあるわけです。信用金庫、信用組合、労働金庫、農協。そうしたところがあって、あそこの息子さんが間もなく結婚するとか、あそこの子供さんが間もなく大学に行くとかいう、一軒一軒の家族の構成から、その家族がどういうふうに生きていこうとすることまで全部知った上で、そして金融としての働きかけをしているそういうものがあるわけですよね。規模は小さくとも、それは地域の中でそれなりにきっちり生きているわけです。労働金庫なんかも、それぞれの会社の中に労働金庫の窓口をつくって、そして一生懸命になって労働者の金融という問題、最も不得手なものを一生懸命指導し、そして金融機関としての役割を果たそうと、こうしているわけです。
 そうしたところが、今度の金融改革に反対なのかといえばみんな賛成なんですね、大いにやってくれと。そうか、あなた方はボートで大海にこぎ出すのか、それもよかろう、大変だけれども頑張れよと言って私は励ましておりますけれども、こういう本当に地域住民、それぞれ農民とか労働組合の皆さんと密着したそういう金融機関が、この大きな金融制度改革の中でさらに将来大きな展望が切り開いていくようにならなければ、先ほど言いました利用者の立場という問題も本当は結びついてこない。上の方だけのことに終わってしまう、こう思うので、最後に総理大臣にそうした地域金融の、それぞれの金融機関とそれから全体の金融制度改革というものの関係の中で総理がどういうお考えを、大きなところはいいです、そうした小さいところに対してお持ちなのかということを聞かせていただいて、私の質問は終わりたいと思います。
#139
○国務大臣(宮澤喜一君) 信用金庫等々のいわゆる地域金融機関についてお話がございまして、これは今本岡委員の言われましたとおり、お互いに選挙をしている者は一番そのことをよく存じております。いかに地域金融の人たちがいわば地域に密着をして地域を大事に考えているか、また地域の事情も一番よく知っていて、そこへ中央の金融機関がいろんな形で入ってくることから生ずるいろいろな摩擦でありますとかいろいろな問題、お互いによく知っているところでございます。地域のためにお金を預かり、また地域にそれを還元していくといったようなそういう機能は、これはやっぱり何といってもコミュニティーからでき上がっている社会、日本でございますから、国でございますから、それが大事であることはもう疑いを入れないことであります。
 おっしゃいますように、小舟で荒海に乗り出していくというそういう思いもございますね、実際それは容易なことでない。この人たちにとっては一つの試練でもございますと思いますが、そういう地域金融機関が、いわば今まで法令でかなりいろいろ縛っております規定を緩和いたしまして、地域の利用者のニーズに対してもう少し広く対応してもらって、そして地域のために密着をし、強くなってもらうということが大事なことであろうというふうに思っております。
#140
○本岡昭次君 終わります。
#141
○白浜一良君 私も、本題に入る前に二点ほど総理にお伺いしたいと思います。
 第一点目は、PKOのことに関しましてでございますが、今UNTACの明石代表が帰国されておりまして、昨日、明石代表のお話で、具体的に工兵部隊が四百から七百とか、文民警察が七十五とか、具体的な日本に対する要請の構想を発表された、このように報道されております。法案も通過したわけでございますし、その上で、この明石代表の具体的ないわゆる要請、これをどのように具体化されようと考えていらっしゃるのか、これが一つです。
 もう一つは、具体的な派遣の時期を含めまして、今後の大きなスケジュールの流れ、どのようにお考えになっているのか、この点を総理にお伺いしたいと思います。
#142
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的なことは政府委員からお答え申し上げますが、法案を成立させていただきましたので、まず一方において、国連の本部に打ち合わせのためにPKO法案準備室長をニューヨークに既に派遣をいたしました。また、近く各省庁から成りましたところの調査団をカンボジアに出したいと思っております。それは、我が国に求められているものが何であるのか、またそれをどのようにしたならば一番現地の人々のためになる有効な方法で我々の貢献ができるかといったようなことを現地で具体的に調べてまいりたい、こう思っておりまして、できるだけ早くこの調査団は各省庁から人を集めまして出したいと思っております。明石代表の言われましたことは報道で拝見をいたしましたが、直接には私承っておりません。
 いずれにいたしましても、調査団が現地に参りまして、具体的にUNTACの当局からあるいはまたSNCの人々から御要望を承ることになるであろうと存じます。
#143
○政府委員(丹波實君) 滞在中の明石特別代表が、具体的な分野とその各分野につきまして日本の貢献できる数字まで挙げておられますけれども、UNTACの特別代表としての御意見でございますので、貴重な御示唆として受けとめておりますが、先生も御承知のとおり、具体的な采配を振るって分野を決め、数字を決めて要請をするのは国連本部でございまして、総理がただいま申し上げましたとおり、現在PKO準備室長がニューヨークで国連本部と会談を進めておりますので、この明石特別代表の御示唆をも踏まえながら今後具体的な詰めを行ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#144
○白浜一良君 いずれにいたしましても初めての任務になるわけでございますし、いろいろ国内外にまだまだ疑念のある方々も多いわけでございますから、慎重に考えていただきまして、よりそういう支持の層がふえるように賢明な対応をお願いしたい、このように思うわけでございます。
 それから、もう一点お伺いしたいことは、先ほども補正予算に対する考え方、本岡先生の方から出ておりましたが、この点でもう少しお伺いしたいと思うんです。
 証券監視委員会の質疑のときに我が党の和田委員の方から質問がございまして、そういう補正を考える時期というのは、たしか総理は四−六月期を見てというような答弁をされたと思うんです。それは一つの考え方としてあるわけでございますが、ところが、先ほどから話をされておりますように、金丸副総裁がアメリカに行かれて約束されたとも書かれておりますし、大型の補正を要請されたとも、そういう報道もされております。七月にはミュンヘン・サミットもあるわけですね。当然大きなテーマになることには間違いないわけです。ECの外相会議ですか、それでも日本の内需拡大というのが大きなテーマになっていると報道されておりました。当然このミュンヘン・サミットでテーマになるわけですが、いわゆる補正を考える時期、四−六月期を見てという、そういうお考え方は前回伺いましたが、今の時期、ミュンヘン・サミットを目前にした時期で、もう少し早くやはり結断をされなければならないんじゃないか、そのように思うわけでございますが、その点に関しまして総理の御見解を伺いたいと思います。
#145
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたが、かなり思い切った緊急経済対策をいたしましたので、これは中央、地方を通じまして相当な影響を経済動向に与えることは確かでございます。公定歩合も下がっておりますので、これは間違いないところでございます。またしかし、その浸透には当然のことながら一定の時間がかかるということもこれも事実でございますので、そこはやはり私どもとして見ている時期というものが一つあるであろうと思います。しかし、これだけで不十分であるということに仮になりましたならば、これはそれに続く施策を考えなければならないことは本来当然でございますし、大きな前倒しをいたしますれば、そうでなくともあとはこのままでいいのかという問題が出てくることは当然わかっておることでございますから、それだけの心の準備はもとよりいたして、そういう気持ちの中から現状の事態の推移を見ておるということでございます。
 現実に補正ということになりますれば、当然これは国会の御審議をいただかなければならない種類のことでございますから、そういう時間の関連もあろうと思いますが、私どもとしては必要なときには必要な措置をとれるようなそういう心構えは常に持ちながら事態の推移を見ておるということでございます。
#146
○白浜一良君 もう少し具体的にお伺いしたいんですが、私どもは、当然そういう景気対策という観点もございますし、個人消費の向上という観点からも所得税減税を含めまして当然補正は組むべきである、こういう立場であるわけでございます。いずれにいたしましても、補正を考える、国会審議ですから国会いつの時期で審議するかということは当然あるんですが、総理が国を指導されているわけですから、またミュンヘン・サミットというそういう非常に重要な会議に重要な日本の立場を代表して行かれるわけですから、ですからいろんな諸外国の要請もあるでしょうし、そういう構想そのものをサミットまでに総理御自身として固められる可能性もあるということですね。
#147
○国務大臣(宮澤喜一君) サミットでこういう議論が恐らく当然おっしゃいますように私は起こってまいると思いますし、それに対しては今白浜委員に申し上げましたような一般的な私どもの心構え、考え方を申してまいりたいと思っております。
 先般、和田委員に四−六のQE、これがどういうことになりますかということを申し上げました。四−六のQEが明らかになりますのは大体九月の十日より少し後ごろでございましょうか、そういう時期になるかと思いますけれども、QEばかりでなくとも経済の動向というのは大体見ておってわかりますので、入り用なことであればそれはやっぱり施策として具体化していかなければならない、常にそういう心構えでは推移を見ていきたいと思っております。
#148
○白浜一良君 それでは、今回の法案に関しましてちょっと何点かお伺いしたいと思います。
 これも先ほど若干テーマになっていたわけでございますが、今回の金融制度改革には三つの柱が
ございまして、しかし私どもから言うならば、三つ目の利用者の利便の向上ということ、これが一番大事であるわけでございます。ところが、金制調の審議の経過を伺っておりましたら、この一番大事な視点が非常に欠落していた。あるときに金制調の委員でございます高原さんが、利用者の立場はどうなるのかと、こういうふうにおっしゃって、やっと利用者の利便性の向上という視点が「付論」として入れられたと、そういう経過を私ども伺っているわけでございます。
 金融というのは、金利も自由化されていっておりますし、国際化されていっているわけで、制度改革も今後も当然引き続いて行われていくと思うんですが、そういう流れの中で当然利用者の利便というものが一番大事な柱として配慮されなきゃならない、そのように私は思っているわけでございますが、その点に関しましての総理の御見解を伺いたいと思います。
#149
○国務大臣(宮澤喜一君) この金融制度改革でございますけれども、先ほども申し上げましたように、効率化、公正な競争の確保等々、いわば国民経済全体の効率化ということでございましょうが、これは当然にそうである限りはそれは利用者にとって利益になるものでなければなりません。金融機関だけが都合がよくなるというような話ではそれは国民経済全体の効率化とは申せません。利用者にそれだけのメリットがなければならない。それは競争によって各種の手数料の引き下げがある、あるいは金融商品がいろいろ多様になってくる、そういう形で利用者がメリットを享受する、こういうことでなければならないと思います。
#150
○白浜一良君 それとあと三点ほど今回の制度改革に関連しまして御質問をしたいと思います。
 一つは、昨日も私質問したわけでございますが、政府系の金融機関の問題、例えば国金なんかは非常に利用がふえている。銀行の貸し出しか非常に厳しいという、いろんな事情もございます。そういう傾向も報道されているわけでございますが、要するに中小の金融機関というのはどうしても若干高目の金利で預け入れを勧誘する、若干高目の金利で貸し出ししている、そういう現状も実際あるわけでありますが、この辺が非常に政府系の金融機関との関係が難しい。便利なんですけれども、そういうのが余り広範に浸透しますと、今度は中小の金融機関が非常に経営しにくくなる、こういう問題も十分予測されるわけでございます。
 そういった面で、いわゆる政府系の金融機関の必要性と今後の見通してございますが、総理はどのようにお考えになっておりますか。
#151
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府系の金融機関、国民金融公庫を初め中小企業金融公庫あるいは開発銀行に至りますまで、金融が緩和しておりましたときにはいわば民業を圧迫するという批判を受けました。それはそうであったらまことに幸せなことで、本来、こういうことに政府が出ないで済めばその方がよろしいわけですけれども、そういうときもございましたけれども、最近になりますと、実は金融機関そのものがなかなか思うように利用者からいえば金を貸してくれないというようなことがあると言われておりまして、こういう政府関係の金融機関、殊に国民金融公庫、中小公庫等々には大変ないわば問い合わせがある。それはそういう意味でお役に立っておるということは私は結構なことだ。本当は民間がやってくれればもっといいんでございますけれども、それでも行くところがあってよかったという感じを持っておりますが、しかし、基本的にこういう政府関係の金融機関というものは民業の補助的なものであって、これが主になって民間の金融機関が従になるというようなことは私は正常な状態ではないと思います。
#152
○白浜一良君 二点目にお伺いしたいのは、いわゆる郵貯の問題なんです。金利が低下している局面では郵貯によくシフトするというふうに言われております。先日も、平成三年度の統計で郵貯が十一兆円多くなった、郵貯にシフトした、こういうふうに報道されていたわけでございます。これもいろいろ定額貯金の問題とか今まで論議もされておりますが、ちょっと総理にお伺いしたいんですが、郵貯制度の問題といたしまして、当面いわゆる定額貯金の商品性を見直す、こういうことに限定して取り組まれるのか、それとももっと郵貯全体の制度のあり方の問題として取り組まれるのか、この辺をお伺いしたいと思います。
#153
○国務大臣(宮澤喜一君) 郵貯と一般の金融機関との関係というのは、長いこと御承知のようにいろいろ難しい問題を持っておりまして、また世の中でも両方に応援団がおられるような、そういう長い間の非常に難しい関係でございます。郵貯には郵貯としての社会的な機能も立派にございます。一方的に物を考えるわけにはいかないと思っております。
 いわゆる定額郵便貯金でございますが、これは預貯金金利自由化等の流れの中で、やはり金利の自由化というものの中で商品性を考えていってもらうのがいいのではないだろうか。これは恐らく大蔵、郵政両省の間でいろいろ協議をしていってもらうことだと思いますが、郵貯全体の問題をどうするかということは何度も何度もいろいろなところで議論になっておりますし、私も実はかつて懇談会を設けたこともあったぐらいでございますけれども、さしずめこの定額貯金、郵便貯金の問題について自由化の中で一つの答えを出してもらえたらいいのではないかと思っております。
#154
○白浜一良君 三点目に伺いたいことは、昨日保険審議会の答申が出されたというふうに報道されておりました。そこで、生損保業界もいわゆる業態別の子会社方式で銀行や証券と相互乗り入れするという、そういう答申の内容であるわけでございますが、この答申に関しまして、総理は方向性としてどのようにお考えでしょうか。
#155
○政府委員(土田正顕君) 保険審議会は、数年来新しい保険事業のあり方をめぐって議論をしてきていただいたわけでございますが、昨日、答申をまとめていただいたところでございます。この答申では、人口の高齢化なり金融の自由化、国際化など保険事業を取り巻く環境の変化に対応して保険事業の諸機能を維持充実していくための方策ということで、保険事業のあり方の全体を見直すことが提言をされております。このうち、保険事業と他の業態との関係については、保険と銀行、信託、証券との業態別子会社方式による相互参入を可能とすることが適当である旨の提言がなされておるわけでございます。
 今後の作業の進め方でございますが、保険審議会から答申はちょうだいいたしましたが、この趣旨を尊重いたしまして、私ども事務当局においてこれから専門家のお力をもかりまして法制的な手当てを考えてまいりたいと思っております。
 ただし、保険審議会の答申は保険事業のあり方全体をカバーするものであり、また保険制度そのものについては長らく大きな見直しも行われてまいりませんでしたということもございますので、法制的な検討を要する課題は多々ございます。そこで、今後その検討をいつまでに済ませることができるか、また結論としてどの時期にどの程度の部分について見直しのための例えば法律改正案を取りまとめて審議をお願いすることになるか、そこにつきましては現時点でまだ見通すことは難しいというように私どもは考えております。
#156
○近藤忠孝君 証券・金融不正事件に対する政府の再発防止策につきましては、昨年の証券国会で行政の透明性ということが課題の一つとして取り上げられました。これについては、昨日も大蔵大臣から、通達を検討し減らしたという答弁がありました。しかし、通達を一定程度減らしたということ以外に目立った変化はあとないんじゃないか、この点について行政としてどういう努力をされたのか、御答弁をいただきたいと思います。
#157
○政府委員(松野允彦君) 行政の透明性の向上につきましては、御指摘のように、まず行政指導というものの透明性を高めるという意味で通達を整理いたしましてできるだけ法令化する、あるいは自主規制機関のルールにゆだねるというようなことを作業を進めているわけでございます。もちろんそれ以外、先般成立せさていただきました公正確保法で検査機能というものが非常に充実をし、そういう観点からの行政の指導というものも、むしろ監視委員会の検査ということでかなり市場を監視できるということになったわけでございますし、あわせまして、証券業協会あるいは取引所の自主規制機関の機能というものを法律上の位置づけを非常にはっきりさせ、そういう自主ルールを大いに利用していきたい。自主ルールにつきましても、これはすべて公表するというようなことで透明性を高めていきたいというふうに考えているわけでございます。
#158
○近藤忠孝君 行政の透明性ということは、今証券局長が答弁したにとどまらず、やはり行政の責任者として全般的に、根本的に取り組んでいただきたい、これは要望しておきます。
 それからもう一つ、金融スキャンダルの中で、行政と業界の癒着が問題であり、大蔵省のOBが監督下の金融・証券業界へ天下りするということが大きな問題だということを指摘しました。これに対して、前回ですから、五月二十八日の総理の答弁は、行き過ぎると今のような指摘を受けることになる、節度がなきゃならない、こういう答弁です。これはしかし考えてみたら一般論なんですね。問題は、現実に、特に金融機関に対する大蔵省の天下りは証券業界の比ではない。
 ここに昨年の帝国データバンクの調査がありますけれども、上場百十六銀行、長信銀、都銀等々の役員二千五百五十二人のうち大蔵省、日銀からの天下り役員は百五十三人、全役員に占める比率は六%です。これは大変大きな比率だと思います。しかも、これら天下り先の銀行は、銀行業務として優等生であればまだしも、よく大蔵省の監督が行き届いているなということになるんですが、しかし興銀、東銀、協和埼玉など幾つもの銀行が不祥事の点では他の銀行と変わるところがなかったわけです。
 ですから、こういう具体的な天下りの数、しかも行き先ですね、そういったことを、この現実を見て総理はこれを行き過ぎと感じないのかどうか、これが節度の範囲内なのか、こういった具体的な問題に即してお答えいただきたいと思います。
#159
○国務大臣(宮澤喜一君) 非常に具体的に知っておるわけではございませんけれども、その銀行なり何なりの中で育った人たちが、いわば重役のいすの幾つかは自分たちのところに来ないで、よそから天下りで、どうもなかなか中からうだつが上がりませんというような話を時々聞きますのは、やっぱりよくないと思いますですね。それは公務員を済ませた人たちが後の人生、これは職業の自由は当然ございますけれども、人事院のいろいろ規定もございます。ですから、その辺はこの間も申し上げた同じ言葉で申しわけありませんけれども、やっぱりおのずから節度というものがあるだろう。多分銀行の方から求められるんだと思います、それはそういう人に来てもらえば、有能でもありますし、求められるんだろうと思いますけれども、求められるからみんな行っていいんだというわけのものでもないんだろうと思いますので、監督官庁である大蔵省としてはその辺はやはり節度を考えなきゃならないということに思います。
#160
○近藤忠孝君 問題は、現実に信用第一の金融機関が幾つもの、一つや二つじゃなくて相当数の金融機関が実際不正事件に大きく関与した、発生させたという現実を前にして、その原因としてやはり銀行の監督行政が十分にいってなかったんじゃないか。特に証券の場合はそうですよ。これはかなり明確にされたけれども、金融機関についても同じことが言えるんではないかという現実。だから実際相当程度の天下りがあり、現実にその金融機関にこのような不正事件があった。
 銀行局長とは相当いろんな議論をしてきたけれども、具体的事件についてはなかなか、金融機関の言い分をうのみにというか、そのまま発言して、どうも銀行局としての積極的な指導が見られないように、きょうもさっきその議論をやったばかりで私印象的なんですけれども。
 ですから、そういう現実を前にして、やはり今の状況は行き過ぎとお考えになるのか、節度を超えているとお考えになるのか。その辺を明らかにしてもらわなきゃ、今後実際どのようにそのような批判を避けていくのかという方策が出てこないんじゃないでしょうか。
#161
○国務大臣(宮澤喜一君) 天下りがあったから何かそこに不正が起こる余地が大きいとかなんとか、私はそういうふうに思っているのではございませんで、やはりその銀行に育った人たち、内部からだんだん高い責任を負っていくというようなことを道をふさぐというようなことがやっぱり過度になればよろしくないというようなことを考えます。天下りがあるから何か癒着があるとか不正があるとかいう、そういう観点は余り私の強い観点でありませんで、やっぱりそこに育った人たちが自分たちの将来について明るい展望が持てるような、それをふさぐようなことはいけないというふうに思います。
#162
○近藤忠孝君 どうも不十分な議論しかできませんが、時間の関係でもう一つの問題について指摘します。都市銀行について見ますと、預金それから貸し出しとも東京に相当集中しています。預金で見てみますと五八・四%、それから貸し出しで見ると五七・一%、そして東京、大阪、愛知、この三大都市を合わせますと八〇%に達していますね。これこそ東京一極集中の金融面における集中的あらわれだと思うんです。それでまず質問したいのは、今この法案によって業務の自由化と競争が促進されますと、こういう一極集中を金融面でさらに促進することになりやしないか、これが第一点です。
 それから、先ほども質問ありましたように、地方経済の発展が望まれており、そして資金が地方にも行き渡るという面では地域金融機関の重要性、これは当然ですね。しかしその力は弱い。ですから、そういうほうっておけば一極集中になる中で、地方の中小金融機関が本来の役割を果たせるようにもっと具体的に積極的に方策が必要じゃないか。これについてお考えをそれぞれ簡潔にお伺いして質問を終わります。
#163
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる今度のこの改正案は、金融機関の系列化、つまりやや独占形態に向かっての系列化というものを意図しているものでないことはもとよりでございますし、むしろかえって公正な競争が行われるようにと考えておるのでありますが、近藤委員の御注意は、要するに地方に必要な金融、また地方の預金が地方に還元されるというようなことがこの制度改正の結果妨げられることがないようにという、それは私もまことに同感でございます。よく注意をいたします。
#164
○池田治君 新経済五カ年計画について総理にお尋ねいたします。
 総理の諮問機関であります経済審議会の生活大国部会では、五月二十一日、新しい経済五カ年計画の柱となる生活大国の実現のための施策を盛り込んだ報告書をまとめられました。その中で、東京など大都市圏の住民が平均年収の五倍で良質な住宅を取得できるようにする。二番目には、完全週休二日制の普及や年次有給休暇の取得促進などにより年間総労働時間を千八百時間まで減らす。この二つを計画期間中の最大目標として挙げておられます。これはまことに結構なことだと思います。しかし、報告は目標の青写真を書き並べておられますけれども、現実への具体的な手がかりというのが若干不足しておるんではないかと思います。
 住宅問題について言いますと、先ほども本岡議員も言っておられましたが、首都圏の新築住宅は現在、サラリーマンの平均年収の八倍から九倍、全国平均でも七倍ないし八倍、こう言われておるようでございますが、これを五年後にサラリーマンの平均年収の五倍以内で建てられるようにするためにはかなりの無理があるのではないかと思いますが、総理は自信を持って推し進めることがで
きるとお思いでございましょうかどうか、お尋ねします。
#165
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、新しい五カ年計画の中で、できるだけ各省庁の施策の目標を役所の側からでなく国民の側から考えられるような、読めるような表現、考え方にしてほしいということを申しまして、ただいま御指摘になりました住宅の取得が大都市圏で勤労者世帯の平均年収の五倍程度を目安にしたいということもこの中に書き込まれることになりました。
 実は、ここに至りますまでの間には、池田委員もよく御承知のことでございますけれども、各省庁の行政の間で相当激しい議論がございまして、勝手にこういうことを書けるというわけにまいりませんで、そこへいくまでに大変いろんな各省庁の間の調整が行われたわけでございますけれども、結局これを目標とすることでようやく意見の一致を見たということでございます。
 ただ、そのためには確かに手放しでおってはそういうことはなかなかできませんで、おっしゃいますように、まず地価水準の安定ということ、それから宅地の供給の推進、それから融資、税制等々、勤労者世帯が円滑に住宅が取得できるような各省庁の施策がございませんとなりません。一たびこういう目標で合意をいたしましたので、各省庁とも具体的な施策を進めてもらえることになる、またそういたしたいと思っております。
#166
○池田治君 次に、労働時間の問題をお尋ねしますが、平成三年度現在でなお日本は二千六時間と言われております。欧米諸国が、アメリカが千七百九十一時間、西ドイツで千六百七時間、フランスでは千六百八十六時間。これと比べますとかなり労働をしているわけでございます。
 ところが、この報告では、所定外の労働時間の割り増し賃金率の引き上げとか連続休暇の取得慣行の確立などで時短を進めていくと、こういう記載がございますけれども、しかし、バブル経済の後遺症がまだ残っておる日本の経済社会において、産業界の反発ということも予想されるし、特に人手不足と経営難にさらされている中小企業におきましては、時短については余り積極的ではございません。むしろ反対する業者も多いようでございまして、なかなか報告で書かれた時短を推進していくというのも難しいかと思いますが、この点総理はどのようなお考えでおられますか、お尋ねします。
#167
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、この問題につきましては、先ほどの五カ年分という目標の設定とは別に、各省庁と申しますよりは、御指摘のように産業界との間でいろいろな議論がございまして、非常に難しかったわけでございますけれども、ともかくこういうことを設定することにようやく意見の一致を見たわけでございます。
 しかし、そのためには具体的なステップがたくさん要りまして、完全週休二日ということはまず公務員のところで始まったわけでございますが、政府としても率先をいたします。それから、なるべく年次有給休暇というものもこれもとるということをやはり奨励をいたしたい。それから残業もできるだけ減らしていくということ。いわゆるサービス残業というようなことはこれはますますどうも問題であるというような、一つ一つが確かに労使の問題としては使用者側にやはり問題があるのだと思いますけれども、ともかくしかし、ここはそういう方々にも理解をしていただいて踏み切ったわけでございますので、これからあと、いわゆる同じ業種の中でもよその会社との横並びの問題でありますとかあるいは取引先との関係でございますとか、いろんなことがございますので、殊に中小についてはいろいろな問題がございますから、必要な法的整備もいたしまして、政府がこういう労働時間の短縮について積極的に呼びかけていって達成をいたしませんと難しい問題でございます。しかし、今度長期計画でこの目標を設定することに合意ができましたので、何とか政府としてもこの達成に最大限の努力をいたさなければならないと思っております。
#168
○池田治君 ぜひそのようにお願いをします。
 最後に、新しい経済五カ年計画期間中の実質経済成長率でございますが、これは三・五%ということが示されたと思います。これは企画・公共部会の方でございましたか、三・五%という数字は過去の経済計画の成長率の見通しては最低だと思っております。豊かさとゆとりを実感できる生活大国というためには、せめて五%ぐらいな成長率にしないとおぼつかないんじゃないかと思います。また、先ごろ行われましたOECDの閣僚理事会の共同声明でも、日本は内需拡大をして経済成長率を高めたらどうかという趣旨のことが言われたと承っておりますけれども、これらの声明にも反するので、もう少し経済成長率を高めるというわけにはまいりませんでしょうか、総理のお考えをお尋ねします。
#169
○国務大臣(宮澤喜一君) これは非常に難しい問題を御指摘になっていらっしゃると思います。お答えは簡単ではきっとないんだろうと思いますけれども、一応今度の長期計画のように、いわば国民にゆとりを持ってもらおうとか住宅環境をよくしようとか、そういう方の観点ほどちらかというと効率一本やりの経済成長というものとは幾らか違う方向を志向しておる。
 例えば労働時間一つとりましてもおわかりいただけるわけでありますけれども、そういう意味では、内在的にやや成長率を上げるよりは少しどっちかというと鈍くする。いわば効率一本やりでない国民経済の運営ということ、あるいは輸出一本やりも問題があるといったようなこと、すべてそういうふうな考え方を生活大国という中で考えておるものでございますから、どちらかというと、シミュレーションをやりますとやはり成長率は高くは出ないということに一面一遍なるんだろうと思います。それがここに出ておるんだと思います。
 実際には、しかしそういう社会ができましたときに、国民が豊かな消費をやっていくというようなことになったときに、それが一方的に経済成長を弱める要因であるのか、あるいは逆であるのかというようなところは、いろいろ恐らくやってみて議論があるところだろうと思います。シミュレーションは、しかし多分そのような効率一辺倒でない、いわば内容の充実した成長を図りたいということから、こういう結果になっておるのでないかと思います。
#170
○池田治君 時間ですので、終わります。
#171
○三治重信君 最近、若年層の多重債務者の破産問題、カードやなんかを十枚も二十枚も使って、そして一つも返せなくなる。返せなくなって裁判所へ破産申請すると、裁判所でオーケーということでやっちゃうと全然もう債務を返さぬでもええと。ただ、すぐカードが使えないということらしいんだけれども、それも何か作戦があって、最近は二、三枚ぐらいならすぐでもつくれるし、また二、三年たつと幾らでもやれる。そういうふうになっていて、いわゆる金を借りるとか人に迷惑をかけるというようなことについて、どうもこういうことが、単なる金の問題だけじゃなくて、若い人たちの生活そのものに対する態度というものが何か非常におかしくなっちゃうんじゃないか、こう思うわけですね。
 それで、カードで借りる、初めのうちは逐次二、三万円返しておれる、ところがそのうちに金を返すためにもう一つまたカードを借りて返す。だんだんだんだんカードに頼っていって、十枚が十五枚になり二十枚になる。そうすると、もう全然もらった月給からではどうしようもなくなってしまう。それで今度は裁判所へ行って破産宣告をしてもらう。裁判所はいとも簡単に、はいわかりました、それじゃあなたはとても返済能力がないから破産宣告をしますと。私は、それは困ると言うのはどうも司法権への介入みたいで、こういうふうに単刀直入には言える立場ではないんじゃないか、こう思うんですけれども、やはりこれは若い人たちの生活というものに対する認識の問題が一つあると思うんですよね。
 それで、カード会社というのは金融関係にもあるんだけれども、これは単なる物を買うカードか
らキャッシュを借りるカードまで、多種多様に本当に生活が非常な便利になっている。果たしてこれで、若い人たちは破産宣告してもらって、そして債務を免除されて、生活そのものは勤めの方も首になるわけではないということになってくると、これがはびこったら、どこに責任体制なり生活の秩序というものが僕はあるかと、こう最近の週刊誌を見ていて非常に強く思うわけです。
 そうすると、これは単にカードをチェックしてみても、それはただカードの信用の回復には若干役立つかもしれぬけれども、どんどこどんどこ破産申告して、破産オーケーとなりますと、それはもう全然何の関係もなく生活がもとに戻ってやっていける。これがもしもはびこるとなると、これはどうも非常に矛盾を感じざるを得ない。
 そうすると、政府として、単に金融の問題ばかりじゃない、青少年の教育の問題、生活態度の問題と、それからやはり裁判所に対しても安易な破産宣告というものは考えものだというのを、これは政府からやるというのもちょっとえげつないかもしれぬけれども、やはり世論として、そういうふうな一つの、審査会とか総理の諮問機関のようなもので、裁判所やなんかにもこういう青少年の債務破産というものについては慎重に対処してほしいというぐらいのことをやらぬと、この問題はカード会社だけ一生懸命抑えてみてもいかぬと思います。
 カード会社に対しても、もちろん、後で若干質問してもいいと思っているんですけれども、これは幾ら締めていっても、このカード会社の締めだけでは、青少年対策、これは若者が非常に多いですよね。家庭を持っている人、家庭の主婦も若干はあるけれども、それはごくまだ一部。これが家庭の主婦にまでずっとはびこっていったら大変なことになると思っているんですが、総理の御認識を伺いたい。
#172
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう問題がかなり広く注目されるようになっておりますことを存じておりまして、私も三治委員と同じように心配をいたしております。
 金融的な意味での社会的コストというのはそんなに私は大きくないと思いますので、そのことは余り心配いたしません。むしろそういう意味では、信用情報システムのようなことをプライバシーにわならない範囲でいろいろ考えてもらうということがいいのかと思いますが、むしろ、おっしゃいますようにこれは青少年そのものの心をついばんでしまう問題でございますので、そのことの方が私は非常に大事に考えなければならないことと思います。
 裁判所の破産宣告のあり方につきまして、私どもが直接に今ここで申し上げるべきことではないように思いますけれども、しかしそういう意味でのいわば青少年の健全な成長のために、国全体としてこの問題をどう考えるかということは、私ども政治に身を置きます者として関心を持たなければならない問題だというふうに考えます。
#173
○三治重信君 そこで大蔵大臣、これは返事をいただくことはちょっとできぬかもしれないけれども、カード対策はいろいろ事務当局でできると思うんです。ところが、債務免除になってしまうと、これどうなるんでしょうかね。今まで二万、三万、五万と返す努力をずっとしてきたけれども、どうにもならなくなって破産宣告をする。破産宣告されると、今度は今まで返していた努力はやらぬでもいいようになる。そうすると債権が没になって、本人が完全楽になるというのは、やはりどうもそこに――このカード対策として、破産宣告は受けても、やはり給料の中である一定の一割なり二割というようなものはその債務の返済に充てるというような、期間と衣考え方、その間の法律関係がちょっと私も整理がつかぬけれども、カード会社がカードをぽいにされるに対して、そういうカード利用者に対してある一定の負担をかけさすような方法をやらぬことには、僕は債権者が全部だめにされてしまう。
 ここを何とか知恵をやらぬと、裁判所の方も債務免除をそれじゃ十万円のやつを五万円返しなさいと。五万円でも一枚ならいいんですけれども、それが二十枚、三十枚となると、一万円ずつでも五千円ずつでも返さにゃならぬということになると、今度は払い込みだけでもできぬということになってくる。その受け入れ体制をつくらぬことには、二万、三万の返済を続けさすためにも、カード全体の、二、三十枚ということになってくるとできぬと思うんです。
 そういうカードの、いわゆる若年者の多重債務者の破産対策というものを、やはり単に債権債務の解決ということじゃなくて、債務者というものはこたんやるというと相当、一生ということもいかぬけれども、五年や十年はある程度の債務を負担して、その負債のうちの一割なり二割でも十年、五年かけて完済しなくちゃいけないよというような制度をぜひ考えてもらいたいと思うわけなんです。
 これ、単なる経済的じゃなくて、青少年の一つの教育問題であり、社会制度の問題であるということを、総理に対して全体として考えてもらいたいということと、それから、破産宣告されちゃうと具体的にどういうふうになるんだということから、そういうふうな債務というものが簡単に全額免除になるということについては、やはりこれはひとつ対策をぜひ立ててもらいたいと思います。
#174
○国務大臣(羽田孜君) 今、多重債務の問題、それによって自己破産を申告するという中で、裁定が下されて払わなくなるということでありまして、これは裁定下すに当たりましては、多分その裁定の下し方の中に、支払いのできるものをということで、まずそういったことの経過というものはあるんだろうと思うんですけれども、しかし今もお話しのとおり、裁定が下されたらもう払わなくてもいいということになると、これは非常に問題があります。
 いずれにしましても、これは週刊誌でというお話がありましたけれども、今漫画になったり、もうともかく一つの社会問題になっておるということでございます。私どももこれに関心を持ちながら、ただ関心持つというだけではなくて、やっぱり勉強もしていきたいなと思っております。
#175
○委員長(竹山裕君) 以上で質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#176
○委員長(竹山裕君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、谷本巍君、石川弘君及び大浜方栄君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君、合馬敬君及び野村五男君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#177
○委員長(竹山裕君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#178
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案について、反対の討論を行います。
 討論に先立って、私は、本法案が戦後の我が国の金融制度の枠組みを変える極めて重要な法案であるにもかかわらず、会期末ぎりぎりになって、わずかの審議で成立させることに対し、強い遺憾の意を表するものであります。
 本法案の最大の問題は、金融と証券との垣根を取り払い、銀行が子会社方式で証券業務に本格的に参入できる道を開いたことにあります。
 銀行は預金の受け入れ、貸し出し、決済機能など、極めて公共性が高く、社会的責任の大きい機関であり、リスクの大きい証券業務への参入は、決して望ましいものではありません。また、豊富な資金力を持つ銀行が証券業務にかかわることは、顧客への融資つき株売買初め、株価操作、インサイダー取引等不正取引を引き起こすもととなります。検討されているファイアウォールも極めて不十分であり、これらの問題が生じさせない保証とはなっておりません。さらに株式相互保有による企業集団の中核的地位、メーンバンク制などにより、企業に影響力の強い我が国の銀行が、証券業務を兼営すれば、経済力の集中化を促進し、我が国企業と国民生活に対し、一層の支配力を強めることになるのであります。
 第二に、本法案は、金融機関の業務の垣根を低め、同一線上での競争を促進すみことにより、また都市銀行から信金、労金に至るまで、あらゆる種類の合併、転換を認めることにより、金融機関の再編を促進しようとするものであります。この十年来の金融自由化、とりわけ金融のバブル化とその破綻によって、金融機関の経営は大きく変貌を遂げています。特に中小の金融機関には経営困難が続出し、既に大銀行くの吸収、あるいは解体、切り売りなどのケースも出ています。本法案は地域・中小金融機関がその本来の役割を果たす環境を整備しようとするのではなく、弱肉強食を促進し、一層大銀行本位の金融再編を推し進めようとするものであります。しかも、このような金融再編は、吸収する側の大銀行も巨額の不良債権を抱えているなどの理由から、預金保険制度や日銀の低利融資が安易に引き出されることになり、結局そのツケは国民へ回ってくることになるのであります。
 第三に、本法案は、昨年来、明らかとなった金融スキャンダルの教訓を踏まえた、有効な再発防止の対策がとられておりません。
 金融・証券スキャンダルは、八〇年代以降進められてきた金融の自由化、国際化の中で、政府自身がバブルをあおり、その中で銀行が社会的使命を忘れ、収益至上主義に走ったことが最大の原因であります。この反省に立つならば、公共性原理に基づいた社会的規制や監督の強化こそ、改革の主たる内容でなければなりません。ところが、本改正案は、ディスクロージャーの改善、ノンバンク規制、大口融資規制などの強化はすべて見送られ、逆に自由化、規制緩和の方向を一層大胆に推し進めようとしているのであります。
 さらに、本法案では、有価証券の定義の拡大、公募概念の見直し等証取法の改正を行っていますが、有価証券を包括的に規定することを見送ったため、新たな金融商品をめぐってトラブルの発生も予想されます。また私募債市場の拡大は、公募市場を空洞化し、またその転売規制の緩和により、新たな投資家被害も懸念されます。しかも、これらの取り扱いを証券会社だけでなく銀行本体で認めることは、銀行の経営を一層リスクの多いものにすることは明らかであります。
 以上、今回の改革は、昨年来の金融・証券スキャンダルを教訓に金融・証券のガンとも言える病根にメスを入れ、真に国民本位の金融・証券市場をつくることではなく、逆に、これまで進めてきた金融の自由化をさらに推し進め、さらには業界の垣根を一気に取り払い、大銀行、大証券会社に一層自由な営利活動を認めるものであり、断じて容認できません。今回の制度改革は、金融機関の社会的責任、公共性原理を重視する観点から、抜本的に再検討されるべきことを指摘し、私の討論を終わります。
#179
○委員長(竹山裕君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#180
○委員長(竹山裕君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 前畑君から発言を求められておりますので、これを許します。前畑君。
#181
○前畑幸子君 私は、ただいま可決されました金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について十分配慮すべきである。
 一 金融制度改革の主旨にかんがみ、個人、中小事業者、農林漁業者等の小口利用者の多様なニーズに応じた金融商品・サービスが提供されるよう努めるとともに、中小金融機関の業務範囲の拡充に引き続き配意すること。
 一 業態別子会社の設立に当たっては、一時期の過度の参入による市場の混乱を回避するため、銀行、証券会社等の営業状況等を踏まえ、慎重、かつ、適切に対処すること。
 一 金融機関及び証券会社の経営の健全性を確保し、預金者・投資者保護に万全を期するため、金融機関及び証券会社の業務規制を緩和するに当たっては、その業務遂行能力等を十分勘案するとともに、協同組織金融機関については、優先出資制度を含め、自己資本充実のための方策を検討すること。
 一 金融機関及び証券会社の相互参入に伴い発生するおそれのある弊害の防止については、適正な競争の促進等制度改革の意義を損なうことなく、かつ、実効性のある明確な措置を講ずること。また、政省令の制定については、法律施行後に混乱を生ずることのないよう早急に具体的・的確な内容を規定すること。
 一 銀行による既存の証券会社の買収及び銀行の証券子会社と既存の証券会社の合併に際しては、銀行の証券子会社の株式に係るブローカー業務が禁止されている趣旨に沿って慎重に対処すること。
 一 一連の証券・金融不祥事により損なわれた国民の信頼を回復するため、引き続き、金融機関及び証券会社の経営姿勢の是正を促すとともに、仮名取引の防止及び顧客情報の適正な管理について、厳正な指導を行うこと。また、指導、検査のための体制の充実に努めること。
 一 金融機関及び証券会社の公共性と業務運営における自主性の調和を図るとともに、銀行法等に基づく金融機関の業務及び不良債権を含めた経営内容の開示について一層の充実を図ること。また、最近の産業界全体の動向を踏まえ、労働時間短縮についても精力的に取り組むこと。
 一 新規参入による金融・資本市場の適正な競争の促進を図るため、免許基準を明確化することにより、行政裁量を極力抑制するとともに、金融・資本市場の諸規制・諸慣行の見直しを速やかに完了すること。また、株式等売買委託手数料については、小口取引等に配慮しつつ、その自由化を推進すること。
 一 ノンバンクが我が国金融システムの中で重要な地位を占めつつある状況にかんがみ、融資業務の健全性を確保するため、業界団体に対して自主ルールの策定を促すこと。
 一 金融機関の関連ノンバンクの管理体制の強化を図り、ノンバンクに対する金融機関の融資業務の適正化に努めるとともに、ノンバンクの実効ある実態把握に努め、今後の事態の推移に適切に対応すること。
  右決議する。
 以上でございます。
#182
○委員長(竹山裕君) ただいま前畑君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#183
○委員長(竹山裕君) 多数と認めます。よって、前畑君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、羽田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。羽田大蔵大臣。
#184
○国務大臣(羽田孜君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿いまして配意してまいりたいというふうに存じます。
#185
○委員長(竹山裕君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#186
○委員長(竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#187
○委員長(竹山裕君) 次に、貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、提出者衆議院大蔵委員長太田誠一君から趣旨説明を聴取いたします。太田誠一君。
#188
○衆議院議員(太田誠一君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び概要を御説明申し上げます。
 御承知のように、いわゆるノンバンクは、国民生活や産業社会の多方面において、広く金融サービスを提供しており、その融資業務は、量的拡大及び質的充実を遂げ、我が国の金融システムの中でますます重要な地位を占めるようになってきております。
 こうしたことから、昨年五月に貸金業の規制等に関する法律の一部が改正され、ノンバンクに対し、土地に係る貸し付けの実態把握及び適正化のための必要な最小限度において事業報告書を提出させ、報告徴収を求めることが可能とされたところであります。
 しかしながら、ノンバンクをめぐる問題については、その後もさらに一層の広がりを見せております。ノンバンク問題については、その重要性、緊急性にかんがみ、業界団体による自主規制及び金融機関の融資の適正化に関し、適切な対策を講ずるとともに、行政による融資業務内容の把握強化を行うことが必要であります。
 このような状況を踏まえ、先般来、衆議院大蔵委員会の理事会等において協議をいたしました結果、所要の立法措置を講ずることで合意に達しました。
 衆議院大蔵委員会におきましては、昨日、自由民主党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党の四党の委員より動議をもって起草案を提出、全会一致をもってこれを成案とし、同時に委員会提出の法律案とするに決したものであります。
 なお、本日の衆議院本会議においても全会一致をもって可決されました。
 以下、本法律案の概要を申し述べます。
 第一に、国民経済の適切な運営に資するための貸金業に係る事業報告書及び報告徴収の規定の運用に当たっては、土地のほか、株式等に係る貸金業者の貸し付けの実態把握及び適正化を行い、貸金業者の業務の健全な運営に資するため必要な最小限度において、これを行わなければならないものにしております。
 第二に、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することにしております。
 以上が本法律案の趣旨及び概要であります。
 何とぞ、速やかに御賛成あらんことをお願いいたします。
#189
○委員長(竹山裕君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 質疑、討論も別にないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#190
○委員長(竹山裕君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#191
○委員長(竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#192
○委員長(竹山裕君) 次に、請願の審査を行います。
 第四一号青色事業主勤労所得控除の創設に関する請願外三百八件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#193
○委員長(竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#194
○委員長(竹山裕君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 租税及び金融等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#195
○委員長(竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#196
○委員長(竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#197
○委員長(竹山裕君) この際、一言お礼を申し上げます。
 以上をもちまして、今国会における大蔵委員会の案件処理はすべて終了することができました。これも委員の皆様の御協力のたまものと深く感謝申し上げます。
 また、今国会で勇退されます諸先輩の各委員におかれましては、今後ともますます御自愛の上、さらに御活躍されますことを祈念いたしますとともに、来月改選を迎えられる各委員の御健闘もあわせお祈り申し上げます。まことにありがとうございました。(拍手)本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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