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1992/03/26 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 外務委員会 第2号
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1992/03/26 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 外務委員会 第2号

#1
第123回国会 外務委員会 第2号
平成四年三月二十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月四日
    辞任          鳩山威一郎君
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     堂本 暁子君     三重野栄子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大鷹 淑子君
    理 事
                成瀬 守重君
                山岡 賢次君
                松前 達郎君
                高井 和伸君
    委 員
                岡部 三郎君
                久世 公堯君
                関口 恵造君
                原 文兵衛君
                宮澤  弘君
                久保田真苗君
                田  英夫君
                三重野栄子君
                矢田部 理君
                黒柳  明君
                立木  洋君
                猪木 寛至君
   国務大臣
       外 務 大 臣  渡辺美智雄君
   政府委員
       外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君
       外務大臣官房領
       事移住部長    荒  義尚君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省北米局長  佐藤 行雄君
       外務省中南米局
       長        寺田 輝介君
       外務省欧亜局長  兵藤 長雄君
       外務省経済協力
       局長       川上 隆朗君
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合
       局長       丹波  實君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        辻  啓明君
   説明員
       警察庁長官官房
       企画課長     漆間  巌君
       法務省入国管理
       局審判課長    小野垣啓一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○在外公舘の名称及び位置並びに在外公館に勤務
 する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○旅券法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=
 太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの
 件(内閣提出)
○千九百六十八年二月二十三日の議定書によって
 改正された千九百二十四年八月二十五日の船荷
 証券に関するある規則の統一のための国際条約
 を改正する議定書の締結について承認を求める
 の件(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大鷹淑子君) ただいまから外務委員会を開会いたします。在外公舘の名称及び位置並びに在外公館に勤務。する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。渡辺外務大臣。
#3
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。
 改正の第一は、在外公館の設置及び廃止についてであります。今回新たに設置しようとするのは、在アゼルバイジャンを初めとする計十三の日本国大使館並びに在ホーチミン及び在デトロイトの各日本国総領事館であります。各大使館の設置は、いずれも旧ソビエト連邦を構成していた各国の独立に伴うものであり、すべて近隣国に駐在する我が方大使をして兼轄させるいわゆる兼館であります。また、各総領事館につきましては、在ホーチミン総領事館は、ベトナム最大の都市であり、インドシナ地域の拠点でもあるホーチミンの重要性にかんがみ、日越関係の発展に寄与するために設置するものであり、在デトロイト総領事館は、デトロイトが持つ日米関係上の重要性及びミシガン州、オハイオ州における邦人保護等の領事事務の増大に対処するために設置するものであります。
 また、在ウィニペグ総領事館を廃止することとしておりますが、これは新たな需要増に応じて在外公館の拡充を着実に図っていくとともに、可能な範囲で整理合理化を行い、全体として在外の外交実施体制強化を図っていくとの観点から行うものであります。
 改正の第二は、在ソビエト連邦日本国大使館の名称を在ロシア日本国大使館に変更する等、最近の国名及び地名の変更に応じ関連規定の整備を行うものであります。
 改正の第三は、一部在外公館職員の子女教育のための経費負担が増大していることにかんがみ、子女教育手当の加算限度額を定額の百分の二百五十から百分の三百五十に改定するものであります。
 改正の第四は、最近における為替相場及び物価水準の変動等を勘案し、在外公館に勤務する職員の在勤基本手当の基準額を金面的に改正するものであります。
 以上の改正内容のうち在外公館の新設及び廃止については、次年度当初より相手国政府との協議等の諸準備を開始する必要があるとともに、在勤基本手当の改定は在外職員の生活に直接関係することであり、四月一日から実施する必要があります。このため年度内の法律改正が必要であります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#4
○委員長(大鷹淑子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○松前達郎君 きょうは、いわゆる日切れと言われている在外公館に関連する法案の審議ということでありますけれども、その前に二、三まず御質問し御意見をいただきたいことがございます。
 アルゼンチンのイスラエル大使館爆破がつい最近起こったわけですが、また大使館の爆破とは違いますけれども、パナマの邦人社員の誘拐ですとかいろいろな事件が外国で起こるようになってきた。アルゼンチンのイスラエル大使館の場合は日本が直接関与していませんけれども、こういった問題はある人に言わせれば日本もやはり先進国並みになったなと言う人もあるのですが、そういうことでほうり出しておくわけにはいかないと思うのですね。在外公館の安全、活動に対する安全を守るということ、これはやはりこれから十分考えていかなきゃならないと思うのです。さらに在外、外国にいる日本人の方々の安全、これに対してはいろんな啓蒙活動等もおやりになっていると思うのですけれども、在外公館の危機管理あるいは在外日本人の命の問題等について外務省としてどういうふうに取り組んでいかれるつもりなのか、それをまず最初にお聞かせいただきたいと思います。
#6
○政府委員(佐藤嘉恭君) ただいま松前先生御指摘のとおり、在外公館に対するいろいろな脅威と申しますか、テロ活動あるいはふだんの毎日の安全の問題等が従前にもまして大きな課題になってきていることは事実だろうというふうに認識をいたしております。
 また同時に、日本人の旅行者が非常にふえているということ、また在外、外国に居住をする日本人の数も相当にふえてきているという実態、そういう実態から来るもろもろの在留邦人保護の問題が格段に重要な要素になってきているということもまた事実でございます。したがいまして、私どもとしては、これらの問題につきまして従前以上に予算面あるいは定員の面におきまして対応を払っていかなければならないというふうに考えております。
 同時に、この在外公館の警備あるいは安全の確保の問題につきましても、またあるいは邦人保護の問題にいたしましても、当該国の協力ということも必要になってくるわけであります。したがいまして、私どもとしては、私どもの大使館の安全性の確保、あるいは大使、総領事自身の身の安全、館員の身の安全といったようなことにつきましても相手国の関係当局に対して常に協力を求めていくというのがまず大前提としてあるわけであります。その上で私ども自身の自助努力と申しますか、自分自身で対策を考えるということをやっていかなければならないというふうに思います。
 過去におきましても日本の外交官が誘拐をされたりあるいは大使館に対するテロ活動といいますか脅威の活動があったということを踏まえまして、私どもとしては現地警察当局からの協力、すなわち警護車の導入であるとか、あるいは治安当局関係者の大使あるいは総領事に対する警護の強化とかいうことを求めてまいりますとともに、私ども日常の活動の中で警備対策についての強化を行っております。すなわち大使館に対する防護施設の強化、あるいは館員がそれぞれ自分の身の安全を考えるに当たって常に考えておかなきゃならないといったことをガイドブックにいたしまして、日ごろからの身の安全を確保するという努力もいたしているわけであります。
 邦人保護の問題につきましては、私どももちろんそれぞれの方々に危険な地域の状況については啓蒙をしていかなければならないかというふうに思っておりますが、危険な状況が発生いたしましたときにはいち早く現地の警備当局との協力を求めながら対応をするということで最大限の配慮を払ってまいりたいと思っております。
#7
○松前達郎君 今いろいろな問題たくさん抱え込んでいる状況の中で各大使館大変だと思うのですけれども、やはりその地域地域の動きといいますか、これを治安当局と十分連絡をとって事前にそういった危険性というものを察知できる、これは大変だと思うのですが、察知できればなおいいし、そういう状況にあるということの状況判断、そういうものについても事前に治安当局との交流の中で情報をもらってそして対応できるようにするのもまた一つの方法だと思うのです。例えばゲリラが来たとか何が来たからそのときに対応して防衛するというのももちろん必要かもしれませんが、それ以前の問題として、大変ですけれども、ひとつそういった面も御努力いただければと思うのです。
 それと今度はCISの問題に移りたいと思うのですが、CISといいますと一週間前にキエフで開かれた加盟国首脳評議会、これは詳しく報道されておったわけでありますが、クラフチュク・ウクライナ大統領、この方はCISはまるで夢みたいなものだというふうなことを言っておられるようでありますし、またエリツィン・ロシア大統領の方は、共同体はこれからダイナミックに活動できるようなそういう過程にあるのだ、現実的になりつつあるのだ、こういうことを述べて大分応酬があったという報道がされているのですね。恐らく今後もこの問題はそう簡単に解決できる問題じゃないだろうと思います。
 これは、その後の動きを見ていてもなかなかそれがまとまったということも用いておりませんし、とりわけ軍の再編の問題ですとか核の問題ですとかいろいろまだ残っておるわけですね。ですから、そういった状況の中で外務省の方ではやはりこのCISというものについての動きは十分関心を持っておられると思いますが、現状を一体どういうふうにとらえられているのか。きょうの新聞報道によりますと、例えば宇宙船ミールから帰ってくる宇宙飛行士も、途中で、打ち上げたときと帰ってくるときで体制が変わってしまって浦島太郎みたいなことになったというふうなことも報道されているわけですが、この動きといいますのは今後非常に国際的な面で重要になってくるのじゃないかと思うのです。
 ロシア共和国に関してはまた後ほど御質問をさせていたださますけれども、まずCISの現状を一体どういうふうにとらえられているのか。予測がつかないかもしれませんが、今後どういうふうにこれが展開されるであろうと予測されているのか。その辺ひとつ御意見をいただきたいと思うのです。
#8
○政府委員(兵藤長雄君) ただいま先生御指摘いただきましたように、十二月二十一日のアルマアタ合意以来、既に独立国家共同体が設立されましてから三カ月以上たっわけでございますけれども、その背景になりました民族ナショナリズムの動きとも絡みまして、まさに先生御指摘のごとく、いろいろ複雑な難しい問題を抱えてなお独立国家共同体全体像が必ずしも明確に浮かび上がってきていない。
 幾つかの大きな問題があると存じますけれども、現時点で大きな問題になっておりますのは一つは軍の組織再編の問題、それから経済の問題、特に独自通貨を持つ持たないという問題に集約されますいろいろな経済的な問題、さらに個々の独立した共和国の中でウクライナがいろいろな形で独立の方向を強めていることからくるいろいろな問題等々あるように存じます。したがいまして、独立国家共同体の今後の動きもまだなお不透明な部分を抱えながら動いているというのが認識でございます。
#9
○松前達郎君 不透明である生言えばもう一言で済んでしまうのですけれども、やはりこの辺を十分認識しながら今後の対CIS支援とか々ういうものが展開されていくだろうと思うのです。
 そこで、CISに対する支援、特に経済に関しては、これはかって日本政府がずっととってこられたのはいわゆる経済と政治との分離ということをずっと言ってこられたですね、特に北方領土の問題に関連して。しかし、それはそれとして交渉が今始まっているようですから、これも後でまた御意見佃いたいと思うのですけれども、やはり経済関係というのはある程度進めていかないと、他の先進国はどんどんやり始めていますから、そういう面で我が国がそこで知らぬ顔しているわけにはいかないし、気がついてみたらもう蚊帳の外にいるような格好でも困る。そういうことから考えまして、CISに対する支援、これについて恐らく資金を出してくれということを今後言ってくると思うのですね、特に領土問題も含めた交渉の中で。そういったようなことについての政府の対応はどういうふうにお考えになっているのか。
 対外債務の利払いもとまっているようですしね、これは六百五十億ドルですか。それから一億ドルの食糧援助融資も実行はされていない。また、輸銀の融資なども実施される見込みはまだ立っていない。これは二十五億ドルですかね。こういったような状況で一応今停滞しているということが言えるのじゃないか。これらについて今後政府はどういうふうに対処していかれるのか、これについてお伺いしたいと思うのです。
#10
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先生お話があったように、今までソ連と日本というのは民間の交流に何も制約は加えていないのです。民間が交流することは結構なことだと。ただ、支払いの遅延問題が起きましてそれで保険等がとまっている、したがって交流は余りないというのが実態であります。
 これは原因がいろいろございまして、まず第一は相手側に原因があります。そこで、政府としては去年から、一切面倒を見ないというのじゃなくて、できるだけ保険も再開できるようにその枠も十八億ドルですか、政府のカバーする保険の枠取りをしたり、今言ったように、一億ドル、五億ドルというような輸銀の使用も認めるというようにしたわけでありますが、去年からことしにかけてサインする人がいない。だれが管理するのか、だれが保証するのか、それがわからなければ動きようないわけですから。これは日本の話じゃなくて相手の話であります。ですから、速やかに中央政府とがそれぞれ地方政府機関とか、権限の所在をはっきりしてもらわなきゃ困るわけです。
 そういうようなことで、旧債務は引き継ぎます、これはまあいい。じゃ今後だれがどういうふうな形でそれを支払っていくのか、あるいは新しく借りた金はだれが責任を持って返すのか、そういうことについてまずはっきりさせてもらいたい。そこのところがなかなかはっきりしないでおって長引いたということでございますが、最近になってからやっと一部動き出したということであります。したがって、そのような民間なりあるいは一部政府のお金を使った取引が動き出していく、そう思います。
 それからあと政府支援の問題につきましては、これは我が国は、ソ連が非常に今、あれだけの資源大国であり軍事大国が日常医薬品や食糧に困っているという考えられないような実は話であります。したがって、これについては率直に向こうの言うことを認めて、日本はことしになってからもアメリカでの一月の会議に私が出席いたしまして、六十五億円の無償援助を実行すると。日本としてはいまだかつてそんな大金を出したためしはないのです。食糧援助等では十二億、これが今までの過去の最大規模なものでありますが、何せ相手はずうたいがでかいと言っちゃなにだが、大国で人口も多いしするので六十五億円をともかく出そうということにいたして、これは既に第一弾が終わり、第二弾が二十日から空輸作戦で沿海地方を中心に援助をしているという状況であります。今後大きなプロジェクトとかどうとかいうことをまだ話をするような段階に実はきていない。
 したがって、これらの問題は平和条約の問題と並行的に、私は参議院の本会議で魚心あれば水心と言ってちょっと誤解を招いたのでありますが、近代的な言葉に言い直して拡大均衡ということで、お互いに少しずつそれぞれの取引関係その他友好関係をだんだん近づけていこう、こういうような方針で今やっておるところであります。
#11
○松前達郎君 受け入れ側の方といいますかソ連側の方の体制が整っていないというのは、これは今大臣おっしゃったような状況であることは間違いなかったわけですね。しかし、それじゃ話にならぬということになりまして、恐らくソ連側も多少その辺を急いで体制づくりというのをやるのじゃないかと思うのですが、それにしてもまだ行き先が見えてないという状況ですね。これは何も経済的な問題だけじゃなくて文化的な交流にしても、向こうの接触すべき団体がどっかへいっちゃったりいろんな問題があるようです。
 きのうもソ連の領事といろいろ話したのですが、例えば私ども大学に関係していますけれども、モスクワ大学なんてまだ給料払われてないのですね。というのは、かつてはソ連邦が主管していた、ところがこれがロシア共和国に移った途端に、もともとそういう予算がなかったものですから全然給料が払われていないようです。こういう問題もたくさん起きておるというのです。過渡期と言ったら過渡期ですけれども、精神的にはやはりソ連に対する支援というものを考えながら、これに対応できる範囲で対応していかなきゃならぬだろう、こう思うのです。
 また同時に、いろいろ問題が出てきて、例えばロシア連邦の中でもいろいろと独立みたいな主権的な、主権国家としての宣言をするとかいう可能性も出てくるわけですね。ロシア連邦が今度は解体されるのじゃないかと、こんなようなことまで心配される向きがある。例えば極東沿海州あたりですと、かつてウラジオストクに行きましたときにいろんな要人と話してみると、これは外務省、極東共和国というのが一時あったのを御存じですかね、どうもそんなようなことまで話が出てくるようですから、ロシア連邦そのものも何となく解体の方向に向かう可能性もある。解体されるかどうかと言うと、解体というのはちょっと言葉が過ぎるかもしれません。そういうふうなことで、ロシアの動向というのが常に変動というか変化をしている。
 そういうことですから、今大臣おっしゃったようないろいろな援助をするにしても、いろいろ手伝うにしても、その辺が非常に難しいということになるのだろうと思うのですが、外務省の見解として、このロシア連邦に関して今申し上げたような、解体と言ってはちょっと大げさですが、そういうふうな方向が将来出てくるというふうにお考えでしょうか。これは余りはっきり言うと内政干渉になるかもしれませんが。
#12
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういう一抹の不安があることは否めないと思いますが、我々としてはなるべくもうこれ以上分裂しないことを期待したいと思っているのです、不安定でそれは何の交渉もできなくなりますから。ですから、できるだけ現在のような程度のことでエリツィン政権が安定をして、そして法と正義に基づいた国際関係を樹立し、また国内的にも民主主義が継続され、そして自由経済といいますか市場経済への移行を進めていく、人権も大切にされる、こういうような社会形態でそれが確立することを大いにバックアップしていきたいという気持ちでおることは事実でございます。
#13
○松前達郎君 非常に相手方が流動的であるということですね。変化が激しい状況ですから、大変外交にとってもやりにくい面があるのだと思うのですが、つい最近もサハリン沖石油・天然ガスの開発の問題で国際入札を見直そうという、こういったような問題まで出てきて、ロシア連邦内でのおのおのの共和国等、あるいは地方の力といいますか州の力といいますか、これが非常に大きくなってきつつあるのはもう現実だと思うのです。
 こういうことを踏まえながら今後の例えば北方領土の問題も考えなきゃいかぬでしょうし、交渉していたら突如どこかが独立しちゃって、北方領土の交渉をしていたら例えば沿海州が独立しちゃってまた変わっちゃったとか、そういうこともあり得るのですね。ないとは言えない。非常に不安定だということなので、その辺の展望をやっぱりきちっとしながらそういう外交交渉、折衝といいますか、こういうものも展開すべきだと思うのです。それは十分お考えだと思いますけれども。そういう感じを私は最近持っているものですから、ロシアの皆さんに聞いても全然わからないと言うものですからちょっと不安なところがあるわけであります。
 そこで、今回は旧ソ連邦に関しての在外公館の問題が入っているわけでありますけれども、CIS諸国との外交関係は、我が国は当然ですが、世界各国にとってもこれは重要だということであろうと思います。特に我が国ではロシアを除くCIS諸国の大使館の問題ですね。これが例えばバルト三国大使館についてはどうなのですか。それぞれその近くの現在ある大使館が兼ねてやるということなのでしょうか。例えばフィンランド、スウェーデン、デンマーク大使館がそれぞれ兼轄するということだとちょっと聞いているのですが。ところが、これは兼ねてやるのであって実際のものは置かないのですね。今後も置かない。その辺はどうなるのでしょうか、バルトについて。
#14
○政府委員(兵藤長雄君) バルト三国につきましては、今御審議いただいております法案を御承認いただきました際には、とりあえず今先生御指摘いただきましたような考えに立ちまして、エストニア共和国につきましてはフィンランド、ラトビア共和国につきましてはスウェーデン、リトアニア共和国につきましてはデンマーク駐割の我が方大使をして兼轄をせしめる。したがいまして、早速これらの大使から信任状をそれぞれの元首に奉呈をし信任をしてもらって、いわゆる正規の大使としての活動を始めてもらうという手はずになってございます。
 その間、実館を置くというお話でございますけれども、さしあたりバルト三国のほかに旧ソ連邦の中から独立をいたしました十一の共和国、さらにはユーゴスラビアでもスロベニア、クロアチアが独立をし、我が国も承認をいたしたわけでございますけれども、大変数多い独立国が出てまいりまして、我が国の直面いたします財政事情の中で可能な範囲で実館を優先度をつけながら設置して一まいりたいと思っているわけでございますが、さしあたりバルト三国につきましてはその間エストニア共和国に連絡事務所のようなものを置いて、その連絡事務所に常駐する要員を置いて、そこから実際的に必要な事務はとり行うということを考えております。
#15
○松前達郎君 ソ連邦が解体されて非常に複雑な、複雑といえばあれですが、それぞればらばらにいろんな共和国ができてくる。そうなりますとそれぞれ一つ一つ置くのは大変でしょうから、今おっしゃったような兼轄という形で、これは何もここに限ったことではなくてほかのところでもやっておられますね。
 ウクライナはどうですか。特別にウクライナというのはソ連にとっては資源問題その他も含めて非常に重要な地域だと思うのですね。これも今ちょっと特別な動きをしている。これはフランスと同じぐらいの大きさですが、このウクライナについては実舘を置くという計画はございませんか。
#16
○政府委員(兵藤長雄君) 旧ソ連邦から独立をいたしました十一の共和国の中で^、御指摘のごとく、ウクライナ共和国も圧倒的に人口その他からしましても重要性を持つ、また政治的な最近の動きを見ましても大変に詳細にこの動きをフォローして
 いく必要があるということはそのとおりだと存じております。
 したがいまして、旧ソ連邦の共和国の中での大使館の設置の優先度は、もう一つカザフスタン共和国が中央アジアで大きな共和国としてあるわけでございますけれども、それと並んで優先的に実館の設置を将来考えてまいりたいというふうに考えております。
#17
○松前達郎君 分離独立、十五ほどですね、旧ソ連邦諸国。これに対する外国の在外公館の設置状況というのは実際はどうなっているのでしょうか。
#18
○政府委員(兵藤長雄君) 概括的に御報告申し上げますと、バルト三国につきましては、この動きが先行しておりましたために、近隣の北欧諸国あるいはヨーロッパの各国はかなり速い速度で大使館設置に踏み切っております。主要な国は大使館を既に設置している。事務的にはホテルの中に一室を開設したというところが多いようでございます。
 バルト三国を除きます。その他のソ連邦諸国でございますけれども、米国はウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスタンに既に大使館を開設いたしております。そのほか、ウクライナにつきましては既に主要国は総領事館を持っておりましたので、これを大使館に格上げずるという形で、英国、フランス、ドイツ、カナダ等は大使館の開設の手はずを今整えているというふうに承知をいたしております。そのほかに、ベラルーシ、カザフスタンに大使館設置を今検討しているという国が若干あるというふうに承知しております。
#19
○松前達郎君 予算の関係もあるでしょうけれども、外国がやったから日本が必ずしもそれと同じことをやれということじゃなくて、やはり我々としてこれから重要であろうと思われる国、ここにはできるだけ可能な限りそういった活動の一環としての、領事館でもいいかもしれませんが、領事館というのはちょっとあれですかね、在外公館を置く方向で御検討をいただければと思うのですが、これはまたお金と人の問題があると思います。
 モスクワだけで全部集めるというのは、ソ連がああいう混乱状態ですから一カ所でもって各地のを全部集めるというのはおよそ困難じゃないかと思うのですね。そういう意味からも何らかの手だてをひとつ打った方がいいのではないか。情報収集の面でもそういったことが言えるだろうと思いますから、またこれひとつ御努力をいただければと思います。
 それと今度はグルジアの国家としての承認問題ですが、新聞等の報道によりますと、ECあるいは米国でグルジアの国家承認という動きがあるということが報道をされているわけです。一九七五年ですか、欧州安全保障協力会議、これはヘルシンキ会議というのでしょうか、CSCE、これへの加盟もグルジアは認められたということですね。
 こういうことの動きを背景としまして政府としてグルジアの情勢というのは一体どう分析されているのか、また今後どういう対策をお考えになっているか、それをお聞かせいただきたいと思います。
#20
○政府委員(兵藤長雄君) グルジアの情勢につきましては、他の十共和国承認に踏み切りました際には、グルジア共和国の中でいわば正統な政府あるいは指導者という問題をめぐりましてまさに二つのグループが武力をもって激しく争っていたという状況がございましたために承認を差し控えたわけでございますけれども、その後いろいろな貯金曲折がございましたが、つい最近になりましてシェワルナゼ元ソ連邦外務大臣が、執行機関と法令発布権を有します最高権力機関としての国家評議会ができたわけでございますけれども、その議長に就任するという事態がございました。そういう事態を踏まえまして、EC諸国はこれを契機にグルジアを承認するということに踏み切り始めたわけでございます。
 我が国もこのグルジアの承認を差し控えた認識が今申し上げたようなことでございましたので、その前提が急速に変わりつつあるという点に着目をいたしまして、現在モスクワの我が方の大使館を通じましてグルジアの情勢の最終的な確認をしているところでございます。
 もし、シェワルナゼ元外務大臣、現在の議長のもとでの政府というものが安定的な基盤の上に立ったという認識を確認いたしますれば、当然の
 ことながら我が国もグルジアを承認するという方向で事務的な検討を開始したいと思っております。
#21
○松前達郎君 グルジアの問題はそのぐらいにしまして、これからの課題ということになろうと思います。
 最近レニングラードの原発事故が起こって、これは評価の仕方がいろいろ違いますけれども、そんなに大したものじゃないという人もいますね。
 この原発事故でも示されますように、旧ソ連邦での原発。についてはこれはチェルノブイリから始まって、あるいはそのもっと前にもあったということを私も聞いていますけれども、非常に余り技術的に安全度が高くないというふうに言われ出し
 たわけですね。もっともこれは軍事用の原子炉でプルトニウム生産のための原子炉を発電用に使っているというのもあるらしいので、その辺日本の場合と大分違うのですね。周辺諸国もちょっと心配になってきて、旧ソ連の発電所についてチェックをしなきゃいけないし、できたら全部とめてくれなどということを言い出しているわけです。こういったような問題。それからもう一つ、核兵器の問題もございます。
 ですから、そういったような問題を含めて考えたときに最近になってよく言われたのは、いわゆる核開発に関する技術者、核科学者と言ってもいいでしょうね、こういう人たちが国外に流出するのではなかろうか。モスコーの郊外のあの特別の地域にそういう人たちの都市がありますが、ここの中にいる以上はある程度外に出られないだろうと思うのですけれども、アメリカとか日本とかそういうところに来てもらうのは私はそう世界が心配することじゃないと思うのですが、そうじゃない。核開発をやっているところにもし流出しますと仕上げになってしまう可能性があるのですね、核兵器の。
 そういった面から、日本として何らかの方策を提案し協力をするということが必要じゃないかと私は思うのですが、それについては外務省としてどういうふうにお考えでしょうか。
#22
○国務大臣(渡辺美智雄君) 全く仰せのとおりであると思います。実はドイツのゲンシャー大臣が同じようなことを言い出しまして、日本に来たときにもそれに賛同してくれという話がありました。考え方は結構ですから、できるだけ協力しますと言っておったのですが、その後になって去る三月の十一日にブリュッセルでそういう話が行われて、米ロそれからドイツ、ドイツというよりもECですな、EC代表が集まって今言ったような趣旨で科学者の海外流出を何とか食いとめなきゃならぬと。
 今のところは何か法律で、国外に出さないというような法律があるのだそうですが、しかしながら民主化して海外渡航自由ということになれば、それは行ったっきり帰ってこな。いという問題が起きてくるわけですから、やはりソ連の科学者をソ連の国内にとりあえずとどめておくと。そのためにはお金もかかる、待遇もそれなりの待遇をしなきゃなるまいということで、アメリカがさしずめ二千五百万ドルを出します、それからECも二千五百万ドルを出します、日本も相応の金を出してくれという話が実はあるのです。
 金額については私はまだコメントをしていないのです。予算審議ということももちろんございますが、ECと同じと言われてもそれはちょっと説明が難しいですなと。ECの中にはドイツもフランスもイギリスもと多数の国があるわけですから、GNPも日本の倍以上あるわけですから、それと対等に我が国が出さなければならない理由というものは、北方四島の問題を仮に別としたといたしましても、これが前例になってほかの問題もともかくECと日本と対等だと言われたらそれは莫大な負担になりますから、そういうことも頭に入れてやって前例にならないということと、それからできるだけ応分のということで、ある一定の金額は内々打診はしているのですが、まだ決まっておりません。おりませんが、これはできるだけ協力したいと、そう思っています。
#23
○松前達郎君 ここで金額はおっしゃれないと思いますから結構なのですが、できるだけの協力ということで。これは余りほっておけない問題なものですから、ひとつよろしくお願いしたいと思うのです。
 それから時間がもうちょっとありますので、北方領土の問題ですね。これはこれからの大変な問題になってくるわけですが、一月に宮澤・エリツィン会談が行われ、それから二月、外務次官級の日ロ平和条約の作業部会ですか、ワーキンググループといいますか、こういうものを通じて、交渉の基礎となるものとして法と正義、こういうふうな比較的ちょっと漠然ともしているのですが、こういうことに基づいて交渉を進めていこうということで合意されたと伺っているのです。
 私も前にソ連の皆さんと話したときに、やはり国際的な問題ですね、かつて取り決められた日本との間の協定とかいろいろあります。あるいは国連とかそういったようなものの国際世論といいますか、こういったようなものが必要になってくるのじゃないかとかということを言っていた人もあるのですが、いずれにしても、法と正義に基づいて交渉を進めようと。
 また、歯舞、色丹の二島返還、これは一九五六年の日ソ共同宣言にありますから、これについては一応有効であると認めようじゃないかとか、またもっとさかのぼりますと一八五五年ですか、このときの日露通好条約というのですね、古い話ですが。そういった条約の結ばれた裏は平和ということを常に考えて結ばれてきている、こういうふうなことをロシア側としてはどうも考えて確認しているようでありますね。大分両国間に共通の理念というものが少しずつ生まれ始めているのじゃなかろうかと思うのです。
 外務大臣、最近ロシアの外相とお会いになっていろいろとお話されていると思うので、これは近々エリツィン大統領が来日されるときまでに何らかの一つの合意というか、そのとき合意するのでしょうが、それ以前の内々の合意に達するような道をやっぱり見つけておかれるのだと思うのですね、これは当然だと思うのです。こういった潮どきがあるというふうに総理も言っておられるようですが、やはりそろそろ各論にもう入ってお互いに議論もし納得もしなきゃならぬ時期に入っているのじゃないかと思うのですね。
 こういったような問題に関して政府の方針といいますか、特に渡辺外務大臣として一体どうお考えなのか、お伺いしたいのです。
#24
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、ゴルバチョフさんのときは法と正義ということがはっきり出ていなかった。エリツィン大統領になりましてから法と正義ということを言い出したのです。私はこれはいいことだと。ただ北方四島を返せ返せたけ言っても、そればこっちのものだから返さない、あのことはもう決着済みだということでは平行線なのです。そこで、何かの話の糸口をつくらなきゃならない。たまたま向こう側は法と正義に基づいて解決しようじゃないかと言うのですから、それはもう私の方は大賛成だ、ぜひそれでいこうということを今言い始めたところです。
 今先生がおっしゃったように、法と正義といっても、法というのは国内法なのか国際法なのか、慣習法なのか何法なのかはっきりした定義はもちろん決まってないのですよ。正義といったって、それは見方によって正義の範囲が違うかもしらぬ。違うかもしれませんが、普通考えられる形のものだろうということになれば、我々は午後新しく条約を結ぶに当たってはその条約は守られるという保証がなければ法と正義になりませんと。
 残念ながら今まで二度ほど旧ソ連邦は条約を破ったというように私は認識していますと。一つは戦時中の中立条約、これをないがしろにして攻め込んできたという事実。それから第二回目は一九六〇年のときに、五六年に結んだ日ソ共同宣言、これはもう効力失ったと、一方的にそういうことを言うわけですから、それは法と正義に反する話じゃないのか。だから、法と正義を言うからにはやはり法と正義というものを本当に新政権は認めるという原点に立ては、私は話し合いはどんどん進むじゃないかということを言っておるわけであります。
 その中身はもう長くなるから申しませんが、今先生おっしゃったように、一八五五年の通好条約から始まって、千島、樺太の交換条約とかあるいはポーツマスの条約とか講和条約とかいろいろありますが、その中で択捉、国後というものは何の騒ぎもなく、これはもともと日本のものであったことはロシア自身が認めていることですから、したがってそういうような中から客観的な法と正義を出していこうと。そのためには両方で、北方四島に関するいろんな資料、今までの古文書とか条約だとか訓令だとかいろいろありますから、そういうものをお互いが出し合って、日本外務省、ロシア外務省共纂かな、共編かな、そういうものをこしらえて、それでお互いの両国にどんどんひとつそれは知ってもらおうじゃないか、そこからスタートですなというところまでは話は来ているわけです。
 それは遅くともエリツィン大統領が訪日される九月までには目次ぐらいはひとつちゃんとそろえなきゃならぬということであって、エリツィンさんが来たときは三日も四日もここで大激論をするようなことをしたってなかなか決まるはずないのですから、だからそれまでに来て確認し合うというぐらいのところを目安に今後交渉を継続しましょうということで、これは第一回の正規の会談ですから、新政権ができて。それから私は五月ごろソ連に行きますよ、いろいろ私の言ったことも向こうは踏まえて中で検討をしておいてくださいと。さらに必要があればその次にコズイレフ外務大臣に日本に来てもらう。そしてエリツィンさんに来てもらう。私がもう一回行くか。いずれにしても、九月にはエリツィン大統領が日本に来られてきちっとした方向が出せるようにしたいというスケジュールで動いているし、今後も動きたい。その間いろいろ紆余曲折はあります。そう考えております。
#25
○松前達郎君 今おっしゃったいろいろ客観的な文書等を発掘して、そういうものをもとにしてある程度世論を形成していくと、国内的なそれぞれの。それも一つのやらなければならないことだと思うのですけれども、最終的な段階での具体的な方策としては、考え方として至って簡単に考える手もあるのですね。
 ここは戦争中といいますか、かつて日本人が住んでいたところですね。現在はロシアの人たちが住んでいる。これは住んでいる人の立場から言いますと、かつては日本人が住んでいた、現在ではロシア人が住んでいる、それがまず基本にあるわけですね、生活の問題等。何といいますか、民主主義的な政治ということがもしかロシアの政治になるとすれば、やはりその大衆の考え方、意見、希望というようなものが重要視されてくるだろう、憲法の問題も出てきたようですけれども。そこから具体的な問題が出てくるのじゃないかと思うのですね。これがやはり経済と絡んでくるのか、あるいはあの地域全体の将来の日本も含めた開発あるいは経済交流その他も含めて考えた計画と絡んでくるのじゃないかと思うのです。
 これは大分先の話かもしれません。しかし、私はどうも現実的にはそういうことが最後に問題になってくるだろうと思うのです。これもある程度、これはここでどうのこうのということじゃなくて、何らかの方策があるとすれば考え方としてはこれも裏としては考えておかなきゃいけないことじゃないかと思うのです。しかし、ここではもうこれ以上申し上げません。北方領土は一日も早くというのが国民の願望でありますので、その辺はひとつ頑張っていただければと思います。
 以上で私の質問終わります。
#26
○国務大臣(渡辺美智雄君) そのような趣旨を体しまして、変速の時期、対応その他につきましては我々柔軟に対処してまいりたいと考えております。
#27
○田英夫君 渡辺外務大臣に御質問するのは実は初めてであります。恐らく今までに質問をさせていただいた外務大臣二十人目になるのじゃないかなと思います。
 きょうは法案の審議でありますから、まず在外公館の問題で、ホーチミン市に総領事館を置くということが今度の改正で決められておりますが、大変適切なことだと思います。これは旧南ベトナムが守備範囲ということではないように聞いておりますが、今度の新しい総領事館の守備範囲というのは旧南ベトナムと一致いたしますか。
#28
○政府委員(谷野作太郎君) このホーチミンの総領事館の管轄区域をどこまでにするかということにつきましては、ただいま御審議いただいております名称位置法を御承認いただいた上でベトナム側と詰めた話をしなければいけないと思っておりますが、ただいま私ども事務的に一応想定いたしておりますのは、先生御案内のとおり、ベトナム全土で四十五の省がありますが、そのうちの十七省、そしてホーチミン・シティーと。具体的に申し上げますればフーイェン及びダルラック省、それ以南のいわゆる南部のベトナム地域を管轄地域として想定しております。
#29
○田英夫君 カンボジア問題が一応和平の方向へ行ったので、ベトナムに対する経済協力というのも再開をされていると思います。今度ホーチミン市に総領事館ができるということは、ベトナムに進出している日本の企業はたしか二十数社と聞いておりますけれども、やはり主として南の部分が企業の活動の地域になっているのだろうと思いますが、それで間違いありませんか。
#30
○政府委員(谷野作太郎君) 最近の日本とベトナムの関係の進展状況を踏まえまして、日本の企業の方々の進出が非常に活発でございます。大部分は商社の駐在員のステータスで出ておられるわけでございますけれども、ほとんどはハノイとホーチミン双方に事務所を持っておられます。
 仰せのように二十五社ほどでございますけれども、ホーチミンの方はそれに加えて、したがいまして商社の駐在員事務所に加えましてメー力ーですとかあるいは日本のレストランも三軒ばかりあるようでございますけれども、そういった在留邦人の方々のお世話ということもこれから開設されれば重要な仕事になろうかと思います。
#31
○田英夫君 それに関連をしてカンボジアの問題、当面の重要な問題でありますから伺っておきたいのですけれども、まず最初に確認したいのは、日本政府は従来いわゆる三派連合政権、シアヌーク、ソン・サン、キュー・サムファン三氏に代表される三派連合政権を承認をしてきたと思いますが、そのことは、今度SNCが発足をしたということになりますといわゆるプノンペン政権を含めた四派とつき合う、こういうことに理解してよろしいでしょうか。
#32
○政府委員(谷野作太郎君) おっしゃるとおりでございまして、私どものただいまの立場は、SNCをカンボジアを正統に代表する政府というふうに認識いたしましてこれとの外交関係を持っておるということでございます。
 近々、ただいま東京に帰っておりますけれども今川大使、これを本格的な特命全権大使に任命いたしまして正式のそういう身分でプノンペンで活動してもらうということになっております。今までは今川大使は実はタイの大使館の公使という身分を持っておりまして、カンボジアとの関係では臨時代理大使ということで、さらにSNCの常駐代表部に張りつけた大使ということでございましたけれども、近々カンボジアに派遣する特命全権大使ということで縦横の活動をしてもらおうと思っております。
#33
○田英夫君 ということになりますと、今川さんは今度帰られるとシアヌークさんに信任状を奉呈するということになるわけですね。
#34
○政府委員(谷野作太郎君) まさにそのとおりでございまして、シアヌーク殿下も実はそれを強く望んでおられました。私どももそのタイミングを、カンボジアの国内情勢の落ちつきぐあいを見計らっておりましたのですが、御案内のように、UNTACの展開も始まりましたし、まあまあの落ちつきを見せておりますしSNCも活発に活動を開始いたしておりますので、そういう状況を踏まえて新たな措置をとることにしたわけでございます。
#35
○田英夫君 もう一つ確認したいのは、先日来日されたフン・セン氏、この人は新聞やテレビの報道の肩書きは略すとカンボジアの首相のように受け取られかねない表現になっているのですが、正確にやっぱり報道機関もカンボジア・プノンペン政府首相と、こう書くのがいいようでありますが、日本の政府として、今おっしゃったように、SNCとつき合うのだということになるとフン・セン首相という言い方が通用しなくなると思います。要するに何派と言ったらいいでしょうか、ヘン・サムリン派とあえて言えばそのSNCの代表、こういうことになるのじゃないでしょうか。その点はどうですか。
#36
○政府委員(谷野作太郎君) 確かにそういうふうにとらえるのがより正確と思いますが、フン・セン氏のお立場は、御案内のように、先ほど申し上げましたSNCの十二人のメンバーの一人というお立場でございまして、私どもはSNCを相手にしておるわけでございます。しかし他方、プノンペンの政権というのは大変強い存在感がありますので、私どももフン・セン首相首相と言っておりますけれども、ただいま先生のおっしゃるようなとらえ方の方がより厳格ではあろうかと思います。
#37
○田英夫君 私がこんなことをあえてこだわって申し上げるのは、フン・センさんは東京に来られてPKOの自衛隊派遣問題を非常に明快にはっきり言われたわけですね。そういう発言と、ヘン・サムリンということなしのカンボジアの首相というような印象を与えるようなフン・セン首相という肩書きで通用してしまいますと、いかにもカンボジアの首相が責任者として自衛隊の派遣を要請したというふうにとられかねないものですから大変こだわっているわけです。四派の中の一派の代表であるフン・セン氏がそういうことを言った。今度東京に来られて、私どもからは逆ですが、政府からは非常にタイミングよくそういう発言をされた。やらせじゃないかという人もいるようでありますが、私は必ずしもそう悪意にはとりませんけれども。
 そういう中で、今確認しましたように、実は日本政府はSNCとつき合うのだということになると、SNCは四派から構成されておりますから四派と平等につき合うのだと言ってしまうと言い過ぎになるでしょうか。この点はいかがですか。
#38
○政府委員(谷野作太郎君) SNCの構成は全員で十二名でございますけれども、そのうちの六名が先ほど申し上げましたプノンペン政権の側の方々でございまして、したがって数の上から言えば、四派というか、二分の一の六名の方の最高位にフン・センさんはおられますから、そういう大変重みのある地位におられることは事実でございます。
 それからカンボジアの現状も、これも御案内のとおり、プノンペン政権が事実上多くのところを実効的に取り仕切っておるわけでございますから、そういう意味におきましてもフン・セン氏のお立場というのは非常に私どもはカンボジアの国内では重いものがあるというふうに理解しておりまして、四人のうちの一人というよりはもう少し重みのある方ではないかと思います。
#39
○田英夫君 その辺は私は若干異論がありますけれども。
 それからフン・セン氏の東京での発言というのは率直に言って私どもから見れば内政干渉だと言わざるを得ないので、この点はやがてPKO法案の審議がこの国会の終わりの方では行われるでしょうから、その辺でまた取り上げていきたいと思います。
 そういうことになりますと、あくまでもSNCとつき合うのだということになればその重要な構成者であり、今フン・セン氏は非常に重要だと言われましたけれども、一番重要なのは当然シアヌークさんですから、ほかのソン・サンとかキュー・サムファンとかいうような人たちとも日本政府は意思疎通を図っていくべきだと思いますが、そういう計画はありますか。
#40
○政府委員(谷野作太郎君) ソン・サン氏につきましては、御記憶だと思いますが、私ども外務省で御招待しまして長時間ソン・サン氏及びその側近の方々とカンボジアの今後のことについて議論をいたした経緯がございますし、現地におきましても今川大使以下非常に緊密な意見交換の場を時折持っております。ポル・ポト派、キュー・サムファン氏がそれを代表する立場におられますけれども、率直に申し上げましてなかなか難しゅうございます。
 ただ、さはさりながら、私どももキュー・サムファン氏あるいはその側近の方々とも時折意見交換の場を持っておりますし、キュー・サムファシ氏がバンコクヘ出られるときには私どものタイの大使館にも時折来られたりいたしまして、タイでも意見交換の場を持つように努めております。
#41
○田英夫君 もう一度確認をしたいのですけれども、あくまでも日本政府としてのカンボジアの相手はSNCだということになりますと、国連の規定にも照らして、もし日本の自衛隊がカンボジアヘ派遣されるというようなことを考えた場合には、SNCが全体として一致して自衛隊の派遣問題で合意するということになりませんと派遣はできないと思いますが、丹波さん、この点はどうですか。
#42
○政府委員(丹波實君) この点は現在国会に御審議をお願いしておりますPKO法案によりますと相手側の受け入れの同意を必要とする、その点を先生おっしゃっておられると思いますが、この場合相手側というのはカンボジアについてはSNCであるという点の認識につきましてはそのとおりであろうかと存じます。
#43
○田英夫君 カンボジア問題で、PKOの絡みですけれども、加藤官房長官が、PKO法案が審議中つまり成立しない間は人的貢献はしない、つまり自衛隊以外の人的貢献もしないという意味のことを記者会見で発言しておられますけれども、これは大変な思い上がりというか、逆に我々に対する恫喝ではないかというふうにさえ言えることだと思っております。これはどういう意図でそういうことを言っておられるのか理解に苦しみますけれども、現行法でも人的貢献ができる部分があると思いますね。
 本当にカンボジアに対して復興を助け、あるいは国民の生活が今大変な状態になっているわけですからこれを助けようという意図があるならば、法案が成立する以前でも人的貢献のできる部分はあると思いますけれども、この点はどういうふうにお考えですか。
#44
○政府委員(丹波實君) この点につきましては、政府、外務省といたしまして当院の予算委員会あるいはこの外務委員会におきましても累次御説明申し上げてきたことでございますけれども、それは以下の二、三点を申し上げてきたつもりでございます。
 まず第一点は、カンボジアのUNTACの協力部門につきましては大きく分けて軍事部門がこざいまして、これには停戦の監視あるいは武器の管理、武装解除及び動員解除の監視、それから地雷の処理といったようなことがございます。それから文民部門につきましては、人権監視でございますとか選挙の監視、管理、それから文民警察への協力、文民警察の監視という活動がございます。現在国会にお願い申し上げておりますところの法案が成立いたしますれば、かつ国連が要請をし相手側が同意するのであれば、そのいろいろな側面でこの法案のもとで協力することが可能でございますので、よろしくお願い申し上げたいというのが第一点でございます。
 第二点は、そういう状況でございますので、その不成立を前提として御説明申し上げるのはなかなか難しいという前提のもとであえて御説明させていただければということ。ですが、先般日本に滞在しておられた明石代表は、いろいちな要請の中で例えば警察業務ということを言っておられましたけれども、これは日本の警察の根拠法令は何でございましょうか、警察法でございましょうか、そういう警察関係の根拠法令から見れば、やっぱり現行の枠内では大変警察は難しいのではあるまいか。
 しかし、田先生も今ちょっとおっしゃいましたとおり、過去の前例を見ますと、選挙監視という点でございましたならば八九年のナミビアの例とがそれから九〇年のニカラグアの例等ございます。したがいまして、そういう前例、現行法令の枠内でできるという前例はないわけではございませんけれども、他方カンボジアにおきましては治安の問題とかインフラの非常に難しい問題というのが残っております、しかしいずれにしても勉強はさせていただきたいということは繰り返し申し上げてきたところでございます。しかし、やっぱりまたもとに戻りまして法案をよろしくお願い申し上げたいという、大体以上の御説明で今日まで来たところでございます。法案が成立しなければ一切何も協力しないということをストレートに御説明申し上げてきたことはないわけでございまして、その点ぜひ御理解いただきたいと存じます。
 官房長官の御発言につきましても、私の理解は、法案の見通しが定かでないときにその法案不成立のときの協力の問題を議論を深めて論じるのは現時点ではなかなか難しいということを言っておられたのではないかと思います。基本的には今申し上げておる御説明と私はそう変わった御説明ではなかっだのではないかと理解しておりますけれども、現場にいたわけではございませんのであるいは違うのかもしれません。
 以上でございます。
#45
○田英夫君 官房長官の発言は大変はっきりしているので、私どもはあれを承認といいますか、認めるわけにはいかないということは申し上げておきます。
 カンボジアに対する協力支援ということからすれば、既に民間の皆さんいわゆるNGOが活動を始めているわけで、これはもう十何年、二十年近く前に佐々木更三元社会党委員長が中心になってつくられた日本カンボジア友好協会というのがありまして、今回このカンボジアに和平が実現してきた状況の中で活動を再開いたしました。私に理事長をやれということで、会長はまだ空席でありますけれども、活動を始めております。NGOの皆さんとも連絡をとり始めておりますが、あくまでも民間のものです。
 若い人たちのピースボートという組織がありますが、既にこれが船を出して、足で踏むミシン、古い型ですが、その方がカンボジアでは通用するようで、あるいは子供さんの教科書のための紙を大量に積んでカンボジアヘ行こう、こういう計画がもう進んでおりますし、キリスト教などの宗教者の方何人かもプノンペンに入っていく。それで、いわゆる募金をし物資なども運ぼう、こういうような協力の運動が始まっていることをこの際申し上げておきたいと思います。そういう意味で、NGOの活動をも視野の中に入れながらぜひ政府もお考えいただきたいと思います。
 そこで、カンボジアの問題はそのくらいにしまして、北朝鮮、いわゆる日朝交渉がずっと続いてきたわけですが、北朝鮮側の代表団長であった円仁徹さんが亡くなりましたので今しばし中断をした状況ですけれども、向こうのかわる代表団長がそろそろ決まるのか、そしていつ次の会談、会議が行われるのか、この辺の見通しはどうなりますか。
#46
○政府委員(谷野作太郎君) 一月の末に第六回目の交渉を中平大使と田代表の間で行いまして、その後、急にがんでお亡くなりになったという報に接したわけでございます。後任者の任命につきましては、今、内々のやりとりを実は先方といたしておりますけれども、いずれ正式に発表できるのではないかと思います。
 ただ、一月の末では、一応三月の末に第七回をやろうということで別れたわけでございますが、今のような新しい状況になりましたので、次回をいつにいたしますか、正式の代表を決めていただいてそれを発表した上で先方と第七回目の段取りを決めなければいけないと思っております。四月前半は、御案内のように、金日成氏の誕生日でいろいろ国内の行事が十五日でございますか予定されておるということでございますので、ただいまのところ私限りの見通しては、恐らく第七回は早くてもその後ということになるのではないかと思っております。
#47
○田英夫君 北朝鮮の方も、問題の一つであった核査察の問題について、IAEAとの協定を四月に批准して六月には査察を受け入れるというようなことを表明しておりますけれども、これはやはり日朝交渉が前進する要素になるのではないかと思います。
 全く大ざっぱなその見通しですけれども、この交渉も既に足かけ三年近くなる。実質二年ですね。そういう中でどういう見通しを持っておられますか。
#48
○政府委員(谷野作太郎君) よくあとどれくらいかかるのだというお尋ねをいただくわけでございます。他方、現在のところ私どもその辺のことについて残念ながら確たる見通しをまだ持ち得ないわけでございまして、幾つかの点でまだまだ基本的に考え方が分かれておりますものですから、その辺の理解をさらに深めていくプロセスが必要だと思っております。
 他方、ただいまお話しの核の問題、これは国会でもいろいろ御議論がございまして、私どもはこれを大変重要な問題として、過去一年先方との六回にわたる交渉でこの点を国内の御議論を踏まえて日本側の立場、考え方を先方に伝えてきたところでございまして、ただいまお話しのように、私はこの問題については大変いい動きが出てきておると思います。そこを抜ければ、と申しますのは、IAEAによる査察がきちんと行われて核をめぐる北朝鮮へのいわゆる国際社会が持っておる疑惑というものがきちんと晴れるのであれば、仰せのように、私は日朝交渉はそこで非常に大きな前進に向けての展望が開けてくると思います。
 もちろんそれだけが問題ではございませんで、その他幾つかの問題で議論を重ねていかなければならない難しい問題がございますけれども、やはりこの核の問題というのは日朝交渉を進める上で大きないい環境を整えるものだと思っております。
#49
○田英夫君 これは大臣に伺いたいのですけれども、日朝交渉は今アジア局長が一つの核の問題が山を越せばという意味のことがありましたが、最後の落とし場所といいますか、そのときの形なの
 ですけれども、過去に日本が、サンフランシスコ平和条約は別にしまして、中国、ソ連と国交正常化をしてきた。このやり方は、まず中国などは最も典型的ですが、田中総理の決断でいわゆる日中共同声明というものが出されてそれによって国交を結んで、それから八年ですかかかって日中平和友好条約というものを結んだ。具体的な問題はその間の交渉で、つまり二段階方式ですね。日ソの方も実は一段階で、二段階目がまだない。そのうちにロシアのような、さっきの松前さんの御質問のような状況になってしまっているわけですが、そういう方式と、日韓のような一挙に日韓基本条。約という形で条約を結んで国交も正常化したというこの二つの方式があると思うのですけれども、この日朝の方は日中方式をとるというお考えはありませんか。
#50
○政府委員(柳井俊二君) 大臣から御答弁あります前に一点だけ私の方から申し上げたいと思います。
 ただいま田先生が分析されました中で日中の国交正常化でございますが、これは確かに日中共同声明というものがまずあって、それからその後日中平和友好条約というものが結ばれたわけでございます。御承知の上でのことと思いますけれども、いわゆる正常化の問題、これはすべて日中共同声明で処理をしたということでございます。したがいまして、その後に結ばれました日中平和友好条約というのは、過去の清算という問題ではなくて将来にわたっての友好関係、平和的な友好関係を樹立し固めていくというための将来に向かっての条約ということでございますので、いわゆる通常の平和条約とは違うものでございます。
 この点、御承知の上でのこととは思いますけれども、ちょっとその点だけ確認させていただきたいと思います。
#51
○田英夫君 大臣、いかがですか。
#52
○国務大臣(渡辺美智雄君) 朝鮮半島については、韓国と朝鮮民主主義人民共和国と現実は二つの政府が存在し、それぞれ国連に加盟したという現実が一つございます。しかし、いずれの国も平和的・統一ということは言っているわけですから、そこらの点は頭に入れなきゃならない。韓国との国交正常化についてもこれはいろいろ議論があって、十数年、十三年かな、かかったわけです。
 私は北朝鮮の代表者の方にも言っているのですが、これはそんなにかかるわけがない。問題は一つは核の開発の存在、あるかどうか、これをともかく疑念を除いてもらうということがまず一つの問題。あとは日韓の間でつくられた条約のプロセスがあるわけですから、あれは経済協力協定とい
う形をとったのですが、それと全く別の問題を持ち出してもこれはなかなか難しいですよと。だから、日韓の考え方、妥結したときの考え方と同じような考え方に乗れるかどうか。私は、この二つの基本方針が決まれば何も代表部を置いて長々と、国交完全正常化じゃないが一応パイプができたという形をとる必要はないのじゃないかと。だから、あとは北朝鮮側の決断次第じゃないのかなという感じを受けておるのです。
 なるべく早く、核は存在しないと言っているのですから、であって批准もすると言っているのですから、批准した以上はお互いに査察を認め合うと、これは南も言っているわけですから、だから私はその気にさえなればとんとん拍子にいくだろうし、そうでなければなかなか難しいのかなという感じを持っています。
#53
○田英夫君 別の問題ですけれども、PKOを含めて日本の国際貢献ということが今大変論議の焦点になっております。事実それは、新しい世界の枠組みの中で日本がどうやって国際的に貢献していくかというのは非常に重要な課題だと思います。
 同時に、それを日本が果たしていく大前提として、特に今の朝鮮半島それから中国が中心ですが、過去の戦争、侵略、そして植民地支配といった不幸な出来事の処理がまだ完全に行われていないのじゃないかという問題ですね。強制連行の問題とか従軍慰安婦の問題というようなことが今出てきている。
 非常に私が心配していますのは、今中国で行われて一いる全人代、全国人民代表大会に千人の署名で日本に対して民間賠償を行えという要求をしようという決議案が出されておりますね。千八百億ドルという額まで出てきている。そういういわゆる民間賠償を行えというこの動きは、日中共同声明そして平和友好条約というものが結ばれているのだからもうこれで解決済みだということで突っぱね続けるわけにはいかないような、それから朝鮮半島の問題についても南北ともにやはりこの点については一致して、特に従軍慰安婦や強制連行の問題については非常に厳しい態度をとっておるわけで、この中国や朝鮮の動き、これは朝鮮半島の動きは大変私は重要だと思っております。
 これも外務大臣にお答えいただきたいのですけれども、ちょうど日中国交正常化二十周年という今年、この中国で起こっている民間賠償ということについての動きをどういうふうにお感じになりますか。
#54
○国務大臣(渡辺美智雄君) まず最初の全人代での動きについては、これは私は新聞で見たところであって、何か議論をされていることは事実のようですが、現時点についてどうこうということをコメントできる状態にはありません。
 また、戦争にかかわる日中間の請求権の問題は一九七二年の共同声明発出後存在していないというように我々はもう一貫しているわけであります。したがって、民間賠償の問題を日中両国間で改めて協議をするというようなことは全く考えておりません。中国政府もそれは明らかにしておるところであります。
 我々は、その一遍決まったものを取り壊してまた別なことが始まってというようなことをやったら、日本の国益に関する問題ですから、これはそういうことはできません。できませんが、しかしながら過去の歴史というものに対して我々は認めるものは認めながら、友好増進という中でそれはその嫌な思いを消していくということが大事だろう、私はそのように考えております。
#55
○田英夫君 私も政府間で蒸し返せると思っているわけではありませんが、民間の賠償というのはあくまでもその被害を受けた中国なり朝鮮の民間の方が提起をする。これに対して日本側はどうしたってこれは政府が対応しなければいけないというところで、中国政府もこのところこの問題については微妙な態度の変化があるというふうに私は思っています。
 きょうは時間がありませんからこの問題はこれ以上触れませんけれども、非常に私は、日本の国際貢献ということと絡んでこの過去の問題をもっときちんと国民の皆さんまで、つまり相手国の国民の皆さんも含めて納得できるような解決をしないといけないのではないかというふうに思っていることだけを申し上げます。
 次に取り上げたい問題は中国と関連をするをですけれども、外務省と直接関係ありませんので法務省においでになっていただいておりますが、非常に残念なことなので、大臣はひとつお聞きいただいて、最後に御感想を伺いたいと思います。
 中国に取り残されていた日本人、いわゆる残留孤児という言い方がありますが、そういう皆さんも含めて、あるいは御婦人で中国の人と結婚してしまっていたのでそのまま残ったという人も含めまして、何といいますか、中国残留者、その人が最近帰国をしてきている、孤児を含めて。その人たちが帰ってきて日本で大変いろいろ。生活に困り言葉に困り、これに対する日本社会あるいは日本政府を含めての対応というものが十分でないのじゃないだろうかと思われる事件が起こっております。
 私がきょう申し上げるのはその一つの例なのですけれども、もう帰ってきたのは八〇年代半ばですが、日本人の御婦人が中国人と結婚をしていて、別れてそして日本に帰ってこられた。まさに残留婦人ですね。そういう形の方が帰ってこられた。そのときに養女とその子供、つまり血はつながっていないでですね。ここにまた非常に法的に難しい問題が出てくるわけですが、つまり日本人の御婦人を中心に養女とその子供二人、孫ですね、そういう御家族が日本に帰ってきた。ところが、言葉がうまく通じない。その孫の一人は中学生で帰ってきたのですけれども、学校へ行ってもなかなか言葉もできないからなじめない。そして、家が貧しいから働きに出てもなかなかなじめないというような状況が続いてだんだん屈折した気持ちになって、ついに傷害事件を起こしてしまうのですね。それが一昨年ですか。
 そして、その傷害事件を起こしたのも結局同じような運命にあった中国から帰ってきた日本人の家族、あるいはその本人と同じような境遇の青年たちが一緒になって傷害事件を起こしている。結果的には一年二カ月という実刑判決を受けまして、一年二カ月を勤め上げた上、昨年末に出所したわけです。そうしましたら、これはここから先が法律の厳しいところですけれども、一年以上の実刑判決を受けた者は刑を終わった後強制退去にしなければならないという法律があるのですね。これがまた、韓国の場合は七年というふうに特例として認められているわけですが、その他の外国人は一年以上の実刑判決、こうなっている。一年二カ月の実刑判決ですから、この青年は中国へ強制退去を命ぜられるということで収容所に入れられてしまったわけです。
 その弁護士さんから私は話を聞いて、法務省に何とかこれはそう冷たい仕打ちをしないでいただきたいということをお願いして、法務省も例外として仮釈放にしてくださった。これは大変ありがとうございました。本人も収容所から出てきてすぐ私のところにあいさつに来ました。印象としては大変何といいますか、純情な青年という印象を受けたわけです。
 ところが、やはり精神的に屈折していた状況は完全には直っていない。私も、もう絶対にそういう傷害事件というようなことを起こしてはいかぬよと、日常生活を本当に慎重にやってほしいということを言ったのですけれども、つい一週間ほど前にこの青年はまた酒を飲んでバイクを運転している現行犯として警察に逮捕されてしまった。今も留置場に入れられているという状態にあるわけです。これは一つの例として申し上げました。
 これは今のこの新しい飲酒運転ということの処分が出ました後は中国へ強制送還される、こう法律上はならざるを得ないと思いますが、その点は法務省、そのとおりですか。
#56
○説明員(小野垣啓一君) 中国残留孤児の子供または孫でございましても懲役一年を超える刑に処せられるなど退去強制事由に該当する者に対しましては退去強制手続がとられることになっております。しかし、一本人が日本へ在留を希望するという場合には、その手続の中におきまして犯罪の内容であるとか刑期、本人の経歴、家族関係、生活状況、素行等を十分調査してこれらの事情を総合的に検討した上で、事案ごとに在留特別許可の可否を決定することとしております。
#57
○田英夫君 この本人は、これは中国の法律はまた日本と全く違うようでありまして、中国にそういう形で残留していた日本の婦人が帰国してしまった、家族も連れて帰ったというと、家族をくるめて、あれは何と読むのでしょうか、中国では戸籍のことを戸口と言うのですか、この戸籍から抹消されてしまう。したがって、この問題の青年は中国へ帰りましても戸籍が抹消されている。それからこの人の場合はだれも姻戚関係の人はいない。昔のお父さんがいるのですが、これはもう離婚してしまいましたから関係はなくなっている。
 こういう状況の中で、本人が入管法で収容所に入れられるときに、強制送還されそうな状況になったときに、お母さん、お兄さんみんないる、国に帰っても一人では生活できない、どうしても日本にいたいと、たどたどしい言葉ですが、これはその程度しか日本語ができないのでこういう言葉を書いて法務省へお出ししたようですね。これが唯一の、このたどたどしい文章が特別在留許可申請の文書というふうに扱われて、しかもこれは法務大臣の名前で即日却下になってしまっているわけです。したがって、強制送還という格好になるおそれが非常にあるというふうに弁護士さんは言っているわけです。
 いずれにしても、この問題は非常に不幸なことが重なっている特殊なケースかもしれませんけれども、中国残留孤児と言われた方々が日本に帰ってきてその家族を含めて生活が苦しい、言葉が通じないというようなことを基本的な原因にしていろいろな問題が起こっているということをこれはもう外務省の皆さんも御存じと思います。
 私は、最後に大臣にお願いしたいのは、もとをただせば日本の戦争ということが原因になっているわけですから、韓国の場合、朝鮮籍の人もそうですが、七年という特例を設けておられる。中国は一年以上というもとのあれが適用される。何とか法的に温かい処理をしていただけないものだろうかというのが私のこの問題に遭遇しての気持ちなのです。
 もともと中国にいて、あの戦争の犠牲者である日本人とその家族の問題ですから、これは外務省は直接関係ない。法務省、厚生省、そういうところの問題でしょうけれども、副総理でもある渡辺さんに最後に、今お聞きになったこの問題、法的には実ははっきりしているのですけれども、何とか温かい政府としての処理がないものだろうかということをお聞きしたいと思います。
#58
○国務大臣(渡辺美智雄君) 今、法務省の担当者の方から、犯罪の内容とか家族関係とかいろいろな諸般の事情を全部検討の上で結論を出したいということを言っているわけですから、これは情で法律を曲げるというわけには原則的にはいかないのでございますが、本人の改俊の情がどれだけあるのか、今後、刑が終わった後で犯罪を絶対起こさないという見通しがつくのか、そういうものも含めて大岡裁判もあることだろうと私は期待しています。
#59
○田英夫君 終わります。
#60
○黒柳明君 大臣、きのう梶山国対委員長が与野党の国対委員長会談でPKFの凍結、こういう提案をしたと報道で出ております。
 どうなんでしょうか、外務大臣、このPKFの凍結ということについては大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
#61
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私といたしましては、まず原則論を言えば、せっかく話し合いの上で修正をして衆議院から参議院に送ったものでございますからそのままで通してもらいたいということがまず第一番目なのです。
 しかしながら、多少手直しすることによって、それでより多くの人が賛成できる。しかもそれによって本来のPKO活動が所期したことが大きく阻害されないというのであれば、それは前から言っているように自動車の免許証をもらっても最初のうちは青葉マークだよということもあるので、そこはもう各党間でひとつ話し合ってもらえば私はその程度のものは政府としてはやむを得ないのじゃないか。各党間、より多くの人が賛成できるような形になることが一番いい。百点満点とはいかぬでしょうが、できるだけ多く、一党でも多くが参加できる方がいいのじゃないかという感じがいたしております。
#62
○黒柳明君 丹波さんも当然原案どおりに成立するに越したことはをい、外務大臣がおっしゃったとおりですが、与野党り話し合いというものは当然必要で、与党の委員長から、責任者からそういう提案があった。もしPKFが凍結で成立ということがあればこれはやむを得ない、もう一番の現場の事務の責任者としてもそれはいたし方ないことであろうと、こういうふうに感じますか。
#63
○政府委員(丹波實君) 今、黒柳先生の御質問に対して渡辺外務大臣が申し上げたことに対して、私としてつけ加えることはございません。よろしくお願いいたしたいと存じます。
#64
○黒柳明君 大臣、フン・セン総理に会われまして、PKFの派遣のことですが、昨年現地で会いましたときには当然日本の自衛隊の存在もよく知りませんでした、フン・セン首相は。当然自衛隊士我が国憲法との関係はこれはわかりません。当然PKOの我が国内での推移、これはてんでわかりません。
 今回訪日して大臣に会われた。そしてPKFの派遣を要請したと。そのときはどうでしょうか、そういうようなことを相当知られて認識しているという感じを受けましたでしょうか。いかがでしょうか。
#65
○国務大臣(渡辺美智雄君) UNTACができ、日本の大使館が置かれ、それから日本に訪日するということになれば、日本の勉強も当然それはするのですよ。我々知らない外国に行くときに不勉強で行くわけじゃないのですから。やはり向こうの国の事情とかなんかもなるべく全部勉強して行かなければ話はかみ合わないし、だから当然に勉強をされて来られた、そう思っております。
#66
○黒柳明君 そうじゃなくて、私はもう二十年間も党の国際局長をやっていますから、今外務大臣がおっしゃったことなどというのはこれは当たり前のイロハのイの字でありましてね。私たちが会った時にはそういうことを知らなかった。当然勉強してきた、してくることも当たり前でありまして、そうじゃなくて大臣が会われた時にいろいろなことについて認識を深めていた、認識をしていたという感じを受けたかどうか。そのことをディスカスしたわけじゃないと思いますね、別に。そんな時間もなかったと思うのですけれども、いかがでしょうかと、こういうことを聞いたわけです。勉強してきていることは間違いないと思います。
#67
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはもちろん勉強もしてきているし、もう既にタイの軍隊は入っているしインドネシア軍も入っているし、次から次から入ってくるという状況ですから、それは時世が変わってきておりますからね。
 だから、フン・センさんとしては日本からいろいろな経済的な支援をもらうことは大変ありがたいと。しかしながら人的貢献についても、それはシアヌークさんも同じことを言っているのですよ、できることならもう単なる選挙監視とかそういうふうなことだけじゃなくて、自衛隊もほかの国並みに入ってもらって御貢献いただければありがたいということは皆言っているので、チア・シムさんも言っていますしフン・センさんもみんな言っているのです。
#68
○黒柳明君 局長、明石さんから、先ほどもちょっと話がありましたように、警察活動、文民警察みたいなものもと、こんな話がありましたが、これは現行法では無理だろうという感じはいたしますが、先ほど局長から今までの国会審議での答弁を踏まえていろいろ話がありました。法案の成否はまだわからない、成立しなきゃならないという局長ですからね。ただ、これが不成立だとはっきりした時点においては、現行法で許せる限りのカンボジアに対する人的貢献、派遣、これはするということは当然お考えになっているわけですか。
#69
○政府委員(丹波實君) これは従来から。御説明申し上げてきておりますとおり、政府といたしましては、先ほど御説明申し上げたような軍事部門あるいは文民部門に幅広く協力を行い得るためには今お願い申し上げているこの法案をぜひ成立させていただきたい。そういう状況でございますので、不成立を前提といたしまして議論を徹底して深めていくということは現時点ではなかなか困難であることは御理解いただきたいと思います。
 他方におきまして、先ほども申し上げましたけれども、法律が不成立の場合には何もいたしませんということも実は申し上げておらないわけでございまして、そのときはそのときで、大変私たちは不成立というのは不幸な事態だと思いますけれども、そういう事態に当面した場合には何ができるか、その時点で考えなければならないことを今から少なくとも事務当局としては勉強しなくちゃいかぬなと思っております。
 しかしながら、ナミビアとかニカラグアとかそういった選挙監視の前例というものがございますけれども、カンボジアの治安状況あるいはインフラが非常に悪い。御承知のとおり、国連は、今各国が軍事要員を出してくる場合に、インフラが非常に悪いので六十日間は自給自足態勢がとれるようにということすら要請している状況ですから、かつての前例がそのままカンボジアに当てはまるのかどうか、そういうことも考えながら勉強しなくちゃいかぬなというふうに考えております。
#70
○黒柳明君 そうすると、成立するかしないか時期的にまだ若干時間はあるわけですけれども、今不成立ということは全く考えていない。考える必要がないと私も思うのですけれども、不成立の場合には現行法において何ができるかというこの検討、この勉強もまだやってなくて、不成立と決まるその前後に勉強すればいいと、こういうことですか。
#71
○政府委員(丹波實君) なかなか詰めて御質問されると困りますけれども、本当に法案の成立をまずぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 不成立になった時点で初めて鉛筆なめなめ何か書くということではございませんで、頭の片隅ではどういう状況のときにはどうということを考えるのが官僚の務めであろうと思いますので、頭の片隅では勉強はいたしておるつもりでございます。
#72
○黒柳明君 頭の片隅で勉強していること、例えばどんなことを勉強しているのですか、頭の片隅で。箇条書きでもいいから教えてくれますか。
#73
○政府委員(丹波實君) これは先生、箇条書きということをおっしゃいましたけれども、箇条書きにできるほどたくさんのことはなかなか難しいなという感じを持っておりまして、前例前例ということを申し上げましたけれども、それは典型的には八九年のナミビアに二十七名でございますかの選挙監視要員を出しまして、それから九〇年にニカラグアに六人の選挙監視要員を出しましたけれども、そういった分野における活動というものが一つの典型ではないかなというふうに考えております。
 先ほども申し上げましたけれども、警察業務ということになりすと、国内法上研究し尽くしたわけではございませんから断定するつもりはございませんけれども、今のところ考え検討したところでは、警察業務なんかはやっぱり現行国内法上では困難であろうというふうに考えております。
#74
○黒柳明君 選挙監視はもう前例ありますからね。どうですか、頭の片隅では文民行政、各省が向こうの省を援助する、こんなことも当然頭の中の勉強のテーマに入っているわけですか。
#75
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういうことは勉強する必要はないのですよ。それはもう考えなくたっていいと私は言っているのです。
 それは法案は私は通ると思いますよ、必ず話し合いによって。その程度の見識は皆さんお持ちだと私は思っている。国民の七割もがそれは当然あるべきだと言っているのに、国会だけがだめだと言う人が過半数いるなんていうことは考えられない。したがって、私は通ると思っておりますから、やはり通ったときのことを勉強を今した方がいいと。
 実際はもう通らなかった場合というのは、通らなくてもやったことはあるのですが、ほとんど大したことはできないということですよ。特に日本はこのカンボジア和平については海部総理のときにわざわざ東京会談を持たせて、それで先鞭をつけて、こうやれああやれと言ってうんと話し合いをさせてきているのですから、それがいよいよ今度は和幸実現になったらばろくなことはできないというだけじゃ済まないのでありまして、東南アジアなんかが言っているのもそれなのです。
 だから、私はそういう点でともかくできるだけ話し合いをして、そろっと始まるのならそろっと始まっても結構だから、ひとつぜひとも成立させるように一口皆さんによく頼んで歩きなさいということを私は言っているのです。
#76
○黒柳明君 これは大臣という最高責任者が絶対通ると言うのなら通ると思いますけれども、客観的に常識的に見て、マスコミだって通るなんていう書き方じゃないですよ。難しいですよ。疑問ですよ。通るじゃなくて通さなきゃならないと言っているのは総理と外務大臣だけね。あとの人は通さなきゃならないと言っているのじゃない。マスコミは一斉に難しい、困難だと、こう言っているのですよ。
 これは外務大臣、公明党と民社党なんていっても各党いらっしゃいますから各党の話し合いですけれども、いわゆるPKFの凍結と国会承認、もう委員長と委員長が何か感情的みたいになってしまっている。こんなことで客観的に見たってもう通らない。通る可能性の方が少ない。
 大臣はどういう割りつけて絶対通るという裏づけがあるのですか、それをお聞きしたい。どういう裏づけですか。
#77
○国務大臣(渡辺美智雄君) 物に絶対ということはありませんよ。
#78
○黒柳明君 私も絶対ということは言っていない。
#79
○国務大臣(渡辺美智雄君) 絶対ということはありませんが、法案を出しておる大臣としては最後の最後までもうその夢と希望とをしゃんと持って頑張らなきゃ仕方のないことでありまして、私はこれは話し合いによって必ず通していただけると、こう思っているのですよ。確信犯なのです、ある意味では。
#80
○黒柳明君 思っているなんたって、大臣だって国会の生みたいな経験持っているじゃないですか。だから責任者として通させてもらいたい、通そうという意欲はいいけれども、現場の局長は万が一の場合の勉強する必要はないと。それは余りにも、私は局長の肩を持ちますよ。大臣、横暴ですよ、そんなもの。勉強してると言うのですから、万が一の変わったときを考えて。ああ丹波局長、御苦労だなと。もう今ここで今晩一杯どこかで飲ませなかったら、局長膨れちゃってる、そっぽ向いちゃってる。大臣は横が見えないけれども、そっぽ、左向いちゃったです、大臣。
 これは大臣が確信持っているのですから我が党も通過させたいと、こういうことを願っているのですからもう結構ですけれども、裏づけがないとだめです、大臣。裏づけがない総理や大臣の発言は非常に我々もはっきり言うと迷惑だ。裏づけを持ってやっていただくなら私たちだって何とか通過させたい、この信念でいろいろない知恵を働かせてやっているのですが、裏づけがないで通さなきゃならない、通そう通そうというのはこれは迷惑です。話し合いの中で私たち善意で前向きでやっておるのに。
 その点失礼なことを言ってなんですが、さっきの局長に対する、そんなこと言わなくていいということを言わなきゃ私こんな失礼なこと言うつもりないですよ。だからちょっと、そんなこと考えるな、裏づけがなくて通るのだなんてそんなばかな話、ここで話すことじゃない。まあひとつまた後でゆっくり話しましょう。
 それで、警察庁に来ていただいた。当然今の現行法じゃ警察官の派遣なんてできませんわな。
#81
○説明員(漆間巌君) PKOの遂行は現行法上は警察の任務になっておりませんので、したがいましていわゆるPKO法案が通りませんと警察官の身分で警察官をPKOに参画させるということはできないということになります。
#82
○黒柳明君 当然そうでしょうね。
 そうすると、自衛隊ではそういう話がありましたけれども、警察官のいわゆる出向とか休職とかこういうあれだと出せることはありますか。
#83
○説明員(漆間巌君) 現行法上は、警察官の身分でなくて例えば外務省の定員を借りて行くということもできますが、しかしこれは警察官としてともかくPKOに参画しないと意味がないことだというふうに考えております。
#84
○黒柳明君 意味があるかないかということはまた別です。
 大臣いないから、これ仮定のこと、現行法のことを言ったが、大臣来るとまた怒られちゃうから。
 そうするとあれですか、もし休職、出向で行って、警察官なんだから意味がないと。だって今インドネシアだって丸腰ですよ、何も持ってないでPKFで丸腰でやっているわけですから。現場へ行くと必ずしも意味がないとこちらで想定するようなものじゃないかもわかりませんね。一応は警察官ですから、警察官として行くわけだから。
 そうすると、休職、出向で行くことができる。その場合には当然ピストルは持てないかな、そうなると。
#85
○説明員(漆間巌君) 先ほど申しましたように、PKOという任務が付与されておりませんので、警察官という身分でなしで出る場合にはけん銃を持っていくという根拠がございませんので、けん銃、武器は持てません。
#86
○黒柳明君 武器は持てないですね。わかりました。
 局長、大臣がいなくなったので、ひとつ万が一の場合も当然頭の隅で勉強して――ああ帰ってきた、いけないいけない。早いよ、あと一分おしっこしてきてくれなきゃ。ちょっと早かった。
 ちょっと時間がありませんもので、きのうかな、おとといかな、防衛庁長官が、北方領土から三割ソ連軍の兵隊さんが撤退していると。ロシアの外務大臣が来たときにもそんな話があった。ところが、防衛庁ではそんなことないのじゃないかと。それで外務省の方はどういうふうになんていう発言がありましたな、きのうかおととい。外務省はどうでしょうか、この北方領土、ソ連としてやっぱり約束ですから、公約ですかね、三割の撤兵。外務省としてはこれは撤兵していると見ているのですか。
#87
○政府委員(兵藤長雄君) コズイレフ外務大臣は渡辺外務大臣に対して、三〇%の削減は実施したと。渡辺外務大臣から具体的にはどういう形で実施したのかという問いに対しまして、人員数で言えば一万人から七千人に削減をした、こういう発言がございました。これにつきまして防衛庁の方に正式にそういう事実が確認できるかどうかを照会いたしております。まだ正式な回答はいただいておりません。その間に若干の報道が見られたということは私どもも承知しているところでございます。
#88
○黒柳明君 長官は外務省の見解と言ったけれども、こちらからむしろ防衛庁の方に問い合わせてその返事を待っている、こういうことなのですか。
 そうすると、三割撤退したということについて、こちらとしては大臣の発言があったですから、撤退したと。今のところはそういうことで了解している、こういうことですな。そうじゃないのですか。そうですね。
#89
○政府委員(兵藤長雄君) はい。
#90
○黒柳明君 そうすると、防衛庁の方でその確認を待って、本当に撤退しているかどうか、これはいつごろわかるものなのですか、時期的に。
#91
○政府委員(兵藤長雄君) これは防衛庁の方に今お願いをしている段階でございますので、私の方からその確認ができるかどうか、確認できるとすればどのくらいの時間を要するものであるかということは私自身ちょっとこの場でお答えする立場にございませんことを御理解いただきたいと思います。
#92
○黒柳明君 そうすると、大臣、やっぱり若干三割撤退したかどうかということについてこちらとしては疑問な点があると、こういう感触が大臣もあられましたか。
#93
○国務大臣(渡辺美智雄君) 我々は相手の言葉は信頼したいと思っておりますが、しかし丸々うのみにするというわけに老いきませんね。北朝鮮の核問題と同じような話でございますから。だけれども、私は実は去年、大臣になる前に五月とそれから七月の末、八月とソ連の軍の最高指揮官であるモイセーエフ参謀総長と会いました。それから同じく極東軍司令官とも会いましたが、そのときに彼らが言っておったのは、かなり撤退をして既に一個師団しか残っていませんということを言っていました、去年の八月の初めのときに。それをさらに今度は三割減らして、ですから七千ぐらいですかと言ったところが、旅団クラスだということを言っていました。
 しかし、一つ問題なのは、KGBつまり国境警備隊、あれが何千人いるのか、千人いるのか、それが入っているのか入っていないのか、私はこれは別じゃないかという感じを受けているのです。それが二千いるのか三千いるのか千人なのか、そこらのところを明らかにしておりません。だけれども、軍隊の方は三割減らして旅団クラス、師団にはなっていないということを言っていますから、全く根拠のない話じゃないだろうと。私は防衛庁の方でそれについてはどういうふうな見解か聞いてみたいと思っております。
#94
○黒柳明君 ありがとうございました。
#95
○立木洋君 この法律案については、在外公館の新設等これは当然の措置だと思いますし、また公務員の諸手当などについてもこれは賛成です。ですから、この中にあるホーチミン市に総領事館を新設するという問題と関連して、日本とベトナムとの関係について若干お尋ねしたいと思います。
 最近、日本とベトナムとの関係が進み始めている、あるいは経済的な状況についても動き出しているというふうなことを見るわけですが、一月に政府が経済調査団を政府の調査団として出されたわけですが、この調査の結果がどうだったのか、まず最初に知らしていただきたいと思うのです。
#96
○政府委員(川上隆朗君) 御指摘の調査団でございますけれども、私自身が団長になりまして関係省庁及び経済協力の実施機関で構成されまして、一月の中旬でございますけれども、約一週間ホーチミン、ハノイ等を訪問いたしましてベトナム政府の関係者と協議を行ったわけでございます。
 調査団の目的といたしましては、基本的には対越経済協力の再開に向けて正式にベトナム側との対話を開始する、再開のための準備を行うということであったわけでございますが、あわせまして今後の両国間の経済協力関係を深める上での基礎となります経済社会状況、ベトナムの経済社会状況を調査するという目的がございました。
 経済協力再開の準備につきましての対話でございますけれども、まだもちろん問題点は残っておるわけでございますが、基本的には相当程度の進展が得られまして、再開に向けて今我々は重要な一歩が踏み出されたというふうに認識いたしておる次第でございます。
 それから経済社会状況の調査につきましては、これは短期間の印象でございますけれども、基本生活物資の流通は非常に豊がで市場経済化が進展しているということについて印象づけられますとともに、社会経済インフラの不備と申しますか、特に港湾、道路、電力といった分野での早急な整備の必要性を認識した次第でございます。
#97
○立木洋君 外務大臣、昨年ベトナムを訪問されて最近もいろいろと動いておられるようですが、この見通しですね。ただ単なる経済協力だけの問題しゃなくてベトナムとの関係等々について、アメリカ等々の動きもありますが、それらについての見通しを外務大臣はどのように、経済協力やアメリカとの関係や今後の日本との関係等々、見通しについて少し述べていただきたいと思います。
#98
○国務大臣(渡辺美智雄君) 残念ながら、ベトナムの問題については、二年ぐらい前までは中国との間も非常に仲が悪かったのです、実際は。私はそのときに中国の指導者、ベトナムめ指導者にも会って、これの正常化をしないとカンボジア和平はできないと思っておったものですから、いるいろ橋渡しといいますか、平たく言えばそういうこともやってきました。
 これはうまくいってあとはアメリカとの関係ですが、ベトナムはアメリカとの国交正常化を一日も早くしたいということを強く望んでいる。アメリカの方はなかなか難しい。捕虜問題とか遺骨問題というのがあって国民感情があるという中で、ベトナムとの正常化はしたいということがあるのですが、ロードマップとかなんとかいって段階的なやり方をしようというような構えてあります。
 日本はその中間に立っておるわけでございまして、我々は、ベトナムがせっかく民主化もある程度やろうと、政治体制は中国と同じようなことを言っているのですが、経済開放・改革については
 やはり市場原理を取り入れたものを広げていこう、民生の安定を図っていきたいということですし、六千五百万の人がおって多少の資源もあり、今まで戦争疲れしておるわけですからこれからは
 もうそういうことはやらないということなので、何とかベトナムについても我々と同じような価値観を所有するような国家になってほしいと思う。
 平和国家として今後繁栄していくことはASEANに対してもプラスになりますし、また緊張緩和にもなりますし、ソ連の軍港とかそういうようなものも全部廃止されておりますししますから、これについてはできるだけベトナムの自助努力を支援して差し上げたい、こういう考え方で目下努力をしておるというところであります。
#99
○立木洋君 ベトナムとの関係を考える場合、もちろん大臣も十分承知されておいでになるだろうと思いますけれども、非常にベトナム民族というのは苦難な歴史を経てきたわけですね、さまざまな植民地の経験を経て。ですから、民族の主権、民族の基本的な権利というものを相互に尊重し合うということがベトナムとの関係を考える場合に私は非常に重要なことじゃないかというふうなことをあの歴史を振り返りながら痛感するわけです。
 この点について、ベトナム民族の基本的な人権を尊重する、向こう側も日本に対してそういう対等の立場で相互に尊重し合うという立場はもちろんですけれども、そういう見地をやはり重視していくことが非常に重要だというふうに考えるのですが、その点についての大臣のお考えはどうでしょうか。
#100
○国務大臣(渡辺美智雄君) ベトナムが今まで中国とかASEANから警戒されておったというのは、これはもう要するにあそこはなかなか優秀な民族なのですよ。それで、結局カンボジアに侵入をして中国の支援下にあったポル・ポト政権を追い出したというところから国際社会においてちょっと警戒されたわけです。
 中国側として見れば、これはケ小平さんが今から十何年前に私に言ったことですが、我々はベトナムがどんどん勢力を伸ばしていくのはとんでもない、だからあそこから手を引いてカンボジアに中立の非同盟の国ができるならばそれが一番いいのだと言っておったし、アメリカの方もベトナムがカンボジアのヘン・サムリン政権を支援するために軍隊を出しているというのはけしからぬ、だからそれを引けばベトナムとの関係は改善される、こう言っておりましたから、ベトナムの要人に対してはそれは一日も早く兵を引いてそして外国に侵略しているような形をとることはやめた方がいいということは繰り返し繰り返し私らが言ってきたのです。
 ベトナム側もそれはよくわかって、今度カンボジアはあのような形になって国連監視のもとで新しい国家をつくろうとしているわけですし、したがって自分たちは自分たちの国の再建を図らなきゃならぬということで一生懸命なのです。IMFのいろいろなコンディショナリティー等もよく消化をしてかなりそのための犠牲も国内ではあったようですが、それなりの努力をしているわけです。でありますから、私はベトナムの考え方を評価しておるのです。
 だから日本としては、フランスとかイギリスなんかもみんな支援しようと言っているわけですから、豪州にしてもどこにしても。非常に警戒を持っておったタイまでもベトナムについてはそんなに心配しなくたっていい、戦場を市場にすべきだというようなことを前のチャチャイ政権が言っているというようなことで非常に態度が変わってきておる。ASEANも大体ベトナムについては、経済の復興をさせることはASEANの地域の繁栄に役立つというコンセンサスができておるのです。したがって、私はベトナムの今のやつ方を支持することは何ら不思議はないし、私はやるべきだという意見なのです。
#101
○立木洋君 前段のベトナムとカンボジアとの関係については私は異なった見解を持っておりますが、それはここで述べることはしませんけれども、長期にわたってベトナムがカンボジアに駐留したことについては私たちも早期に撤退すべきだということを主張し、ベトナム側とはその点で意見を闘わしてきたという経過があるということだけは述べておきたいと思います。ただ問題は、民族の自決権の問題というのは、今の国際的な状況から見るならばこれはすべての国がやっぱり尊重し合わなければならないということだと思うのです。
 それで先般、我が党の上田さんが予算委員会でベトナム戦争の問題、ベトナム戦争をどう考えますかと外務大臣に質問しました。そうしたら、これは共産主義が広がるのを抑えるためのものであってというふうに、よかったような見解をお述べになったけれども、これは私はやはり不当なお考え方じゃないかということをどうしても指摘せざるを得ないのです、ベトナムとの関係を考える上では。あれはフランスの植民地で長期にわたったわけです。その中から、何としてでも植民地から抜け出していかなきゃならなかった。日本の軍隊もやっぱりべトナムに侵入して大変な悲惨な状態を受けている。その後、フランスが再侵略をして、ジュネーブ協定が結ばれたけれども、それを侵犯してアメリカが五五年から介入してさらには南に別の国をつくろうというふうなやり方までして、そして軍事的な介入までした。
 これは明らかに他国の主権に対する私は重大な侵害だと思うので、これを何か共産主義が広がるのを抑えるというふうな言い方をしておったのはまさにアメリカで、最終的にはパリの協定の調印で間違っておったということを認めざるを得なかった。結論がパリ協定で出ているわけですから、人類の歴史の経過から見てこういう間違ったことについて何かそれが正当だったというふうなお話をされるというのはどうも、日本ベトナム友好議員連盟の会長さんでもあるわけですから、今後のベトナムとのことも考えるならばベトナム民族が歩んできた歩みについても正当な理解を持って私は対処すべきだと思うので、この間の予算委員会での答弁というのはやはりいささか不当であったとどうしても指摘しておかなければならないと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
#102
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、世界全体としてなぜ国連ができたのに各地で地域戦争、地域紛争が起きたかというと、それはやはり思想的な問題が背景にあるのですよ。キューバの革命もしかり、アンゴラの内戦もしかり、朝鮮戦争もしかり、ベトナム戦争もその一環でなかったかということを申し上げただけであって、アメリカがあそこまで出兵したことのよしあしということを言ったわけでなくて、やはり本来のベトナムの政権とアメリカとの間に条約があって支援を頼まれて出たということでしょう。その点を私は申し上げたのです。
 だから、今後は共産主義の輸出というのはもうなくなっているんだから、そうなればいわゆる資本主義対共産主義の闘いというのはなくなるのじゃないですか。違いますか。
#103
○立木洋君 せっかくお尋ねですから答えますけれども、わたしが大臣になったつもりで。
 私たち自身も、例えばアフガニスタンに対する介入だとかそれからチェコスロバキアに対して軍事介入しただとか、あれは全部間違いなのですよ。やっぱりその国の民族は自分たちがどう歩むべきかということを自分たちが決めるべきなのですね。だから、我々が外国に対して革命を輸出しただとか輸入しただとか、こんな考え方は絶対反対ですよ。日本のことを決めるのはやっぱり日本の国民が決めるべきだ。だから、ベトナムのことを決めるのならベトナムの国民自身が決めるべきだ、自分たちの道は。
#104
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは平和裏にね。
#105
○立木洋君 そして、そういうことがやっぱり世界平和の前提になるわけです。武装、武器をふやして力で外国を押さえつけようとするところに平和が崩れていく根源があるわけですから。
 ただ、アメリカの問題で私がなぜこの問題を取り上げて言うかといいますと、今度の一般教書の中でブッシュ大統領がこのように歴史的にも間違っているベトナム戦争をいわゆる美化して非常によかったというふうなことを言い出しているのです。
 これは挙げると切りがありませんけれども、あのときのトンキン湾事件で大変な侵略をして、これは間違っていたというふうなことになったわけですけれども、当初はトンキン湾事件というのは、あれは八月八日に行われた、これは全くの謀略事件だったわけですね。それをアメリカの議会で議決をして大統領に報復するときの権限を与えた。それを国会が支持して、そして北爆を大々的に開始した。ところが、まさにトンキン湾事件というのはなかったことだということが後で明らかになって、フルブライト委員長がこれに対してマクナマラにごまかされたということまで言っておる問題なのですね。
 これは去年の四月二十三日に京都で開かれた国際新聞編集者協会の席上で、マクナマラ自身が国防長官のときにベトナム戦争で大量の爆弾を落とし多数の犠牲者を出したことをどう思うのかという質問をされて、私は間違っていたと本人自身が答えたのですね。それからキッシンジャー氏も、ベトナムに軍隊を派遣すべきではなかったと。かってのカーターさん自身も、ベトナムで失敗した、これは知的及び道徳的貧困の最もよい例であるということまで言っているわけですね。
 だから、既にベトナムに対するアメリカの侵略戦争というのはこれはまさに国際的にも誤りであったということが明確にされて、国連の一九六〇年の植民地独立宣言から始まって不干渉宣言から友好関係宣言からずっと、やっぱり外国に対しては、他民族に対しては武力でもって干渉してはならないということがつくられてきている国際的な常識なのですよ。それを今になってブッシュさんがベトナム戦争がよかったのだというふうなことを言って美化し出している。そして、自分は世界の指導者だ、それで自分たちの力に任されているのだというふうなことを言い出すとこれは大変なことになる。そういうようなことでは本当の意味での他民族の自決権を尊重した意味での世界の平和の秩序が確立てきない。
 そういう重要な状況が出されているときに日本の外務大臣の渡辺さんが上田さんの質問に対しそああいう答弁したのだから、これはちょっと私は外務委員のメンバーの一人として黙っておくわけにはいかぬ。民族の自決権を尊重して世界の平和の秩序を確立するためのあり方を真剣に考えるならば、あのベトナム戦争の誤った教訓というのはしっかり踏まえてやらなければいけない。これはアメリカであれ中国であれソ連であれ、どこであれ我々は間違いは間違いだと言わなければならないわけですから、そういうことを踏まえてあの点での答弁については民族の自決権を尊重するという立場を明確にする答弁をすべきではなかったかということを重ねて述べておきたいのですが、いかがでしょうか。
#106
○国務大臣(渡辺美智雄君) ベトナム議員連盟会長としては傾聴すべき話でございますが、今直ちに外務大臣としてあなたに全面賛成というわけにもいきません。よく研究をさせてもらいます。
#107
○立木洋君 この問題で先ほど大臣自身が質問されたので若干加えて私が答弁しておきたいと思うのですが、二十世紀の歴史の歩みについそ私たち考えている点で言えば、ソ連についても、アフガニスタンに侵略したりチェコに侵略したりしたというのはあれは本当に人民を幸章にしようというふうな考え方から逸脱したあり方なのです。これは大変な誤りなのです。これはアメリカであれ、アメリカがグレナダに侵略するだとかどこに侵略するだとかというのも、これも同じように歴史によって裁かれなければならない問題なのです。
 民族の自決権ということは一番最初は、二十世紀の前は、もう釈迦に説法かもしれませんけれども聞いておいてください。結局あのときは進んだ民族だけしか民族の自決権は認められなかった。しかし、二十世紀の歴史の中であのナミビアが最後の植民地として独立したように、百以上に上る国々が独立した経過が二十世紀の歩みだったわけですから、これはやっぱり人類の前進、英知の評価として、あらわれとして尊重されなければならないと思うのです。
 ですから、もう一遍検討してみますと外務大臣おっしゃいましたが、よくお考えになっていただいて、そして二十世紀の歴史の歩みの中から本当の世界の平和の秩序をどういう方向に切り開いていくべきか。今や力によって他国を押さえつけるなどということは歴史によって審判された、裁かれた、誤った、つまり逆行するものだということを重ねて私は述べておきたいと思います。いかがでしょうか。
#108
○国務大臣(渡辺美智雄君) 今の最終後段の部分は私は同意します。
#109
○立木洋君 終わります。
#110
○高井和伸君 在外分館のことがきょうの法案のテーマでございますけれども、このほどペルー・フジモリ大統領がお見えになりました。そして、この在外公館の方は中を見ますと北半球のテーマになっておりますけれども、私はきょうは南半球の特に中南米の外交政策について質問したいと思います。
 まず、外交を行う上で。いろいろな要素があるわけでございますけれども、外務省として人的にどれほどの方が在外公館、中南米に限定いたしますが在外公第におられまして、さらに内部部局といいますか、日本においてはどれほどの対応でやろておられるのか、そこからお尋ねいたします。
#111
○政府委員(寺田輝介君) 御質問の二点でございますが、本省中南米局におきましては、平成三年度三十六名でございます。ただし、平成四年度には増員されまして三十八名となっております。
 他方、中南米地域におきまして在外公館に勤務しております館員の数でございますが、平成三年度で二百八十四名、これが平成四年度になりますとかなり増員されておりまして二百九十名になっております。
#112
○高井和伸君 私ども中南米でイメージをするときは、日本の移住者というか、渡航されて現地で永住されている方が多い、日系人だとかそういうイメージで考えておりますが、私がいろいろ勉強しますと、鉱物資源を大変中南米に頼っている側面がクローズアップされております。
 一般的に日本と中南米の関係において、日本の生命線が中南米でいかほどのところで押さえられているか、そういう質問の仕方をしますとどうなるでしょうか。
#113
○政府委員(寺田輝介君) 手元に詳細な資料を持ち合わせていませんので別途先生のもとに提出させていただきたいと思いますが、一般的に申し上げまして、若干といいますか、すべての鉱物資源ではございませんが、かなりの種類のもの、亜鉛だとかそういうものにつきましては確かに中南米は大変な資源国でございまして、我が国も実は中南米諸国のそういった鉱物資源に依存しておるわけでございます。
#114
○高井和伸君 せんだってのペルーの大統領のお話の中にも、ペルーにある鉱物資源をぜひ大いに利用してくれと、こういうような発言がございました。ほかの問題もいろいろありますけれども、私が興味を持っているのは、日本国は中南米に対して外交政策として基本財にはどういうスタンスで、現在の外交スタンスはどのようなことになっているのか、御教示願いたいと思います。
#115
○政府委員(寺田輝介君) 現在の中南米を一般的に申し上げますと、いわば八〇年代の失われた十年、そういった極めて気の毒な状況から脱しまして少しずつ明るさを見出しつつある、そういう状況下にあるわけございます。そういう中にありまして中南米諸国のほとんど大多数の国はシビリアン政府になっている、かつまた経済改革を一生懸命推進しようと、そういう状況にあるわけでございます。
 したがいまして、そういった客観的な状況を踏まえまして私どもといたしましては、経済改革をまじめに推進している国あるいは民主化のプロセスをさらに進めようとしている国、そういう諸国を積極的に支援する、そういった基本的なスタンスに立っております。
#116
○高井和伸君 フジモリ大統領の例を出すまでもなく、日系人が大変中南米に多うございます。国によって濃淡がありますが、私が見たところ、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ペルー、ボリビア、メキシコ、こういったところに日系人あるいは長期滞在者が大変多くなっております。こういった方々の活躍ぶりというのは即やはり日本の外交政策、日本国の評価、いろんな面ではね返りがあろうかと思います。
 そういったときに、まず日系人の方々あるいは日本人そのものに外務省としてどういうスタンスでそういった方々をフォローアップしようとしておられるのか。日系人という言葉の中には、長期滞在者あるいは永住者、日本国籍を持っておられる方、そしてその子孫というような数が出てくると思うのですが、そういった位置づけをどう考えておられるのか。
#117
○政府委員(寺田輝介君) 中南米におきまして、正確な数はわかりませんが、恐らく百三十万以上の日系の方々がそれぞれ各地で活躍されておるわけでございます。そういう日系人の社会の中で今般初めてフジモリ大統領がペルーで、ペルーは大体八万程度の日系人の方々がおられるわけでございますけれども、そこで誕生されたと。そこで、私どもとしましては、まずペルーのケースを見ておりますと、そういったフジモリ大統領、非常にまじめにかつ国のために再建計画を推進されておられる、そういった点に特に着目いたしまして、今般日本にお見えになりましたときに既に御案内のような大規模な援助をしたわけでございます。
 こういうことをすることによって私どもが考えておりますのは、こういった日系人の指導者を持ちまじめに国づくりに立ち向かっている国を日本政府は正面から援助する、これは他の日系人を有しております諸国に対しましても政治的なメッセージだと思います。他方また、このフジモリ大統領、フジモリさんがペルーで大統領になったということ、これは他の日系の社会にとっても大変な励ましになる、こういうふうに考えております。
 他方、私どもとしては常々、毎年行っておりますけれども、将来の日系人の指導者に日本に来ていただく、そういうような計画も実施しております。
#118
○高井和伸君 少し細かい問題になりますが、失われた八〇年代というような言葉がございますけれども、一般的に言って債務累積問題あるいは麻薬問題というのが、そして民主化というような言葉で先ほどおっしゃられたように非常に政治的な側面が立ちおくれている。こういったところへの支援の仕方というのは非常に難しかろうと私ども思うわけです。
 そういった難しい支援の仕方を、今のお話の中にもかなりあらわれておりましたけれどもちょっと絞って言いますと、累積債務問題については日本はどのような対応をとっておられますか。
#119
○政府委員(寺田輝介君) 現在、中南米全体を見ておりますと、債務の累積総額といいますのは四千数百億ドルに達しておるわけでございます。これは開発途上国の三分の一の額を占めるわけでございます。
 そういう中で私どもの債務に関する取り組み方を申し上げますと、やはり一つの国際的な枠組みの中で行っております。まず第一に、債務問題で問題が生じできますと当該国はIMFとの協議を行う。そこで通常の場合でございますとスタンドバイクレジットが認められます。この第一段階が終わりますと次のステップといたしまして、これは公的債務の処理になりますが、やはり時間的余裕を与えて債務を返済してもらうということでいわゆるリスケということを、これをパリ・クラブで行っております。こういう、二つのステップで、これは他の工業先進国と同様に日本も同じ措置を。とっておるわけでございます。
 ついでながら申し上げますと、八〇年代の前半のいわゆる債務地獄という極めて残念な現象がございましたが、九〇年代に入りましてそういったところから少しずつ脱卸し、新たな発展に向かいつつあるということは一般的に申し上げることができると思います。
#120
○高井和伸君 中南米の財源はある意味では麻薬と誘拐だと、そんなような言葉であらわされている側面が、裏の経済というか、そういったものがかなり事実上の力を持っている。そういった中で、麻薬対策に対して日本はこの中南米との関係ではどんな措置をとっておられるのか。
#121
○政府委員(寺田輝介君) 麻薬の問題でございますが、中南米諸国におきましても麻薬の問題に関しましては、ただ単独でこの問題にぶつかってい」くというところから他の国々と共同して対応するという動きが見られるわけでございます。
 ちなみに、ことしの二月でございますけれども、アメリカのサンアントニオで第二回目の麻薬サミットが開催されております。我々といたしましてはこういった関係国の努力を十分評価する。他方、日本としては何ができるかということになりますと、これは従来より国際機関に対して資金協力をやっていく。例えば具体的に申し上げますと国連の中にもUNDCP、国連薬物統制計画というのがございます。九丁年度には三百万ドルを拠出する、こういったマルチの協力をするということもやっております。
 他方、二国間ベースでも協力をやっておりまして、これはかなり伝統がある協力でございますが、例えば一九六二年以来技術協力の枠組みの中で麻薬犯罪取り締まりセミナーをJICAベースで実施しておりますので、こういった協力を続けていく、あるいは麻薬犯罪防止のための第三国研修、実はコスタリカにそういった研究所がございますので、そこに日本政府としましては人的あるいは資金的な貢献を行う、こういうことを行っております。
 他方、特に中南米におきます麻薬の問題といいますのは、やはり麻薬を栽培する山岳地帯、農村地帯の農民の貧困問題というものがあるわけでございます。そういった農民の生活をよくするということが実は麻薬問題の解決の一歩にもなるわけでございまして、そういうわけでございますので、私どもとしましては通常の経済協力の枠組みの中でこういった麻薬の問題を抱える国々に対する農村のインフラ整備に協力する、こういった協力を行っておるわけでございます。
#122
○高井和伸君 あと誘拐の問題でございます。
 日本人の在外邦人の生命の安全の問題が非常に問題になりつつあり、せんだっても近々の問題として行方不明者を出している。そういったことは経済的な問題よりむしろ政治的な不安が非常に広がっているという側面なのだろうと思いますが、こういった問題に個別に一つ一つの身の代金を一払って解決する。
  いろいろな問題があるでしょうけれども、トータル的には、これは今のお話の中にございましたような国際機関へのてこ入れという側面もあるのでしょうけれども、ある意味では外務省自身の現地における実力、パワーをつけておく必要がもつとあるのじゃなかろうか。そんな観点からも私は見なきゃいかぬのじゃないかと考えておるわけですが、この現地の邦人の保護というのですか身の安全という側面、非常に危機的な状況が特に中南米に多く見受けられるわけでございます。そこの対策はどうされるのか、現状と展望をお願いいたします。
#123
○政府委員(寺田輝介君) 大変残念なことでござ
 いますが、最近ではパナマで発生したり確かに中南米の一部の国々におきましてはこういった不幸な事件が続いておるわけでございます。これは何と申し上げましても、やはり経済改革を進めている過程において経済的にいろいろ難しい問題が出てくる、その結果としてそれが経済的な動機に基づいて犯罪の発生の要因になっているという側面がございます。そういう事態を抱えております現地大使館におきましては、常々より在留邦人の皆様方の安全確保という観点から最大限の情報収集、安全対策に努力しておるわけでございます。
 具体的な措置といたしましては、現地におきましては大使館及び在留邦人の方々との間に一つのネットワークがございますので、そういうネットワークを通じまして定期的に治安情勢の説明あるいはテロ対策の措置について助言を行う、そういうことによって可能な限り在留邦人の安全確保に一緒に協力させていただく。また、場合に応じましては、大使館の名におきまして現地政府に対して在留邦人の安全確保についての配慮方を求めるべく申し入れも行っております。
 他方、日本から渡航をされる方が多くあるわけでございますが、そういう場合には事前に渡航情報を出す、あるいは極めて危険な場合渡航自粛を事前に周知せしめる、こういうことをやっておるわけでございます。
 こういった中で、特に東京におきましても確かに民間サイドで非常に情報入手が難しいと思われますのはやはりこういった中南米各国におきますテロ関係の情報でございますので、これは東京におきましてテロ対関係の情報を提供する、こういうことをやっておるわけでございます。
 具体的な措置をこの場で御説明いたしますと、御案内のところと思いますが、平成三年度予算におきましては、実は外務省誘拐対策のビデオを作成しておりまして、これを御希望の向きには無料で貸し出しするあるいは実費でお分けする。その他爆弾テロ対策あるいは誘拐対策用のパンフレットなどもつくっておりまして、こういうものを無料配付し事前に十分注意していただくというような措置をとっておるわけでございます。
 今後といたしまして、私どもといたしましては、現地のみならず東京においても今申し上げたような努力を一層続ける必要があるというふうに感じておるわけでございます。
#124
○高井和伸君 最後に外務大臣に、これからの中南米政策、これに対する展望と意気込みと決意をお述べいただきたいと思います。
#125
○国務大臣(渡辺美智雄君) 中南米は人口も多いし資源もありますので、それぞれの国々が自助努力、自分の力てはい上がろうということで国際機関等に対するいろいろな約束を実行するということであれば、我々としてはできるだけこれに支援をしてまいりたい、そう考えております。
#126
○高井和伸君 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#127
○委員長(大鷹淑子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、堂本暁子君が委員を辞任され、その補欠として三重野栄子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#128
○猪木寛至君 本日の法律案に関しては基本的には賛成ということですが、私も在外公館は海外へ行ったときによくお世話になるわけですが、本当に職員の皆さん御苦労だなという反面、全く給料なんか上げる必要はないのじゃないかという人も一部にはある。そういう中で、しかしながらやはり外交が非常に重要な時期に、いっだったですかね、二年ぐらい前だし、か質問をさせてもらったのですが、今の予算で十分でしょうかという話で、これはちなみに北海道庁と比較すると外務省は大変人数的には少ないですという、当時中山大臣だったと思いますが返事をされたと思います。大変ほかの省庁から突き上げがあったという話をその後聞いておりますが、ひとつ頑張っていただきたいと思います。
 そこで、今回私は三月の二日から十日間の予定でトルクメンの方へ行ってまいりました。我々が旧ソ連を見るときにどうしてもロシアを中心に何となく一色でしか見えなかった部分で、実際に今回トルクメンに行ってみまして、ここはかってはシルクロードの交易基地というか、中央アジアの最南端に位置するわけですが、ちょうどカスピ海のキャビアの産地にもなるわけですが、ここが今大変重要なポイントではないかと行ってみて初めて私はわかったのです。
 先月アメリカのべ一カー国務長官がわざわざその地を訪れまして、本来なら多分、大国のアメリカの国務長官が見向きもしなかったところへ何でわざわざ行くのかなということも考えますと、私は実際にそこを訪れまして、なるほどこれはアメリカとしても重要拠点になるのだということで実際にそういう調査に行ったのじゃないかと。
 それは一つはやはり今トルコとイランの綱引きが非常に行われている状況で、なぜかというとここは大変天然資源が豊富であって、かつてはウクライナにあるいはイスラムの近隣諸国に全部天然ガスを供給していたところなのですが、そのウクライナに対して三月の二日から供給をとめてしまったという。そのためにウクライナの産業が二五%ストップする、あるいはきょう現在も続いておりますからそれ以上にウクライナの経済に影響してくるのじゃないか。
 そういう中で、外務省としてはこのトルクメンという国をどのような位置づけで見られておるか、ちょっと局長に意見をお伺いしたいと思います。
#129
○政府委員(兵藤長雄君) 先生御指摘のとおり、トルクメニスタンは中央アジア五共和国を構成する一つの大事な国でございます。名前があらわしておりますように、トルコ民族発祥の原点でも地理的にはあるわけでございますが、私どもは、中央アジア五共和国の重要な一翼を担う共和国、しかも先生御指摘のように、いろいろな天然資源にも恵まれている共和国、しかしながら経済発展ということではこの五共和国の中でもいろいろ難しい問題を抱えている共和国というふうに認識をいたしております。
#130
○猪木寛至君 外務省としては、かつてトルクメニスタンに行かれたことがあるのでしょうか。
#131
○政府委員(兵藤長雄君) 突然のお尋ねでございますので外務省員全体の状況を把握しておりませんが、例えば私ごとになって恐縮でございますけれども、私自身、二十八年前にトルクメニスタンのアシハバード等を旅行いたしまして報告書を出したことがございます。
 時宜に応じまして情勢の把握ということで、時折中央アジアにもモスクワから大使館員を派遣をいたしまして巡回をさせているということを従来からいたしております。
#132
○猪木寛至君 その訪問したときにアタエフという大統領と会見する機会を持ちまして、今置かれている状況の先ほど申し上げたトルコとイランの綱引きの中で、一つはイランのイスラム原理主義というのが非常に浸透してきている。ベーカー長官が行かれたのはそこに一つの要因があったと思うのですが、トルクメニスタンを拠点に原理主義を広めようということで、イスラム五カ国、旧ソ連邦のこの辺の中で非常に一部の人はそれを警戒している。実際に町の中に入りますと、町の角々にイスラムのお坊さんが立っているというような状況であり、まして、一夜にしてホメイニさんの写真が町じゅうに張りめぐらされてしまうのじゃないかというように危惧している人もいました。
 それはさておいて、非常にアタエフさん自身が日本に目を向けておりまして、まだ憲法もできておりませんし、日本をぜひお手本に、また経済援助も含めていろいろ御指導願いたいという話がありました。そういうことで来月ですか、大統領がアメリカに行った帰りにぜひ日本に寄らせてほしいという話が出ました。日程的な問題はまだわかりませんが、そういう話が出ましたので、もし来るような形になった場合に外務省としてはどういうような対応をしていただけるか、聞かせていただきたいと思います。
#133
○政府委員(兵藤長雄君) トルクメニスタンとは既に国家承認をいたしておりますので、現在外交関係樹立のための話し合いを進めております。近々、渡辺外務大臣と先方のグリエフ外務大臣との間で外交関係の設定のための正式の書簡を交換するということにこぎつけ得ると思っております。外交関係の設定をいたしますれば公的に外交関係が始まるわけでございます。
 今、外務大臣の訪日のお話が出ましたけれども、私ども正式にはまだ、モスクワにおきましてトルクメニスタンの代表部と常時接触をとっておるわけでございますけれども、お話はまだ来ていないと存じますので、もしそういうお話が参りますれば、御訪日になる目的その他日程等を伺いまして検討させていただきたいというふうに考えております。
#134
○猪木寛至君 先ほど申し上げたロシアから見た旧ソ連連邦というか、私がトルクメニスタンの位置からロシアを見たときに、全くいろいろな問題がここにあるなと。民族問題、宗教問題。そこからソ連の混迷している部分というものを見たときに当然タタールの問題というものも、これは石油資源が非常に豊宮な部分で、このタタールがまた独立をしようというような動きがあります。
 そういうような民族問題と、もう一つはエネルギーに絡んでくる問題、この辺が大変不透明な部分で私もわかりませんが、今後のソ連という部分で、ゴルバチョフ大統領の時代には日本政府としてはゴルバチョフ大統領だけを見ている。そうでないかもしれませんが。それで、今はエリツィン大統領がおりますが、そこだけを見ている。しかしながら、その底流で動いているものというのは全然違うものが動いているような情報があるわけです。
 その辺について、私がこの間会ってきたのはポローシンという、これはロシア正教の宗教問題をやっていて大変エリツィン大統領を生むのに尽力した陰の実力者みたいな人ですが、この人自身がエリツィン大統領に対して見切りをつけているような情報があるのです。というのは、一つはガイダル、これは経済担当ですが副首相、この方に対して例えば今の経済問題の責任を押しつけてしまう、それで自分自身は身を守る。そして、九月に党大会がまたあるわけですが、そのときにはそういうことができないような状況になるだろう。そのときにエリツィン大統領の政治生命というものが問われるかあるいはそこで終わるかもしれないというようなニュースがありました。
 これは正式なコメントは外務省としても言えない部分があると思いますが、やはり一番大事な部分は表の情報とまた裏の情報、この辺が非常に大事じゃないかなと思うのですが、ちょっと大臣にその辺についてお伺いしたいと思います。
#135
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは本当に建前の公式論と実態というものほかけ離れていることがしばしばありますから、真相をちゃんと把握することは非常に重要だと存じます。
#136
○猪木寛至君 そして、このトルクメンを今回訪れまして、一つはクラスノボーツクというところへ参りました。ここは一九四〇年代にロシア人を含めて移住をして石油生産基地として始まったところなのですが、そのときに日本人の強制連行というのか、抑留者がそこへ連れていかれたという。全く私もその話は知らなかったのですが、実際にそこに墓地がありました。これは全く情報がもう途切れているものですから、しかし墓地があることだけは確認してまいりました。
 そういうことで名簿も上がってこないのですが、たしかゴルバチョフ大統領が日本に来られたときに名簿を持ってこられたと思うのです。その名簿の中にクラスノボーツクの亡くなられた方たちの名簿はあるのでしょうか。
#137
○政府委員(兵藤長雄君) 先生の大変に御熱心なこの面での御関心、大変ありがたく思うわけでございますが、御指摘のゴルバチョフ大統領来日時に持ってまいりました名簿の中にこの墓地の資料がございました。それはクラスノボーツク墓地という名前のもとに、このクラスノボーツク墓地の見取り図と同時に六十一名の埋葬者の名簿を手交してまいりました。したがいまして、私どもそういう形でこの墓地の状況を把握し得たということでございます。
#138
○猪木寛至君 私の方も生き残りというか、田沢さんという方がおりまして、その方の情報をいろいろもらったのですが、記憶が確かじゃないということで、人数に関しては六十一人ぐらいじゃないかということを言っておられましたので大体合います。
 それで、名簿に名前はほとんどこれは明確に出ているのでしょうか。
#139
○政府委員(兵藤長雄君) 若干不正確なところもございますけれども、名字、名前、生年月日、それから軍でございましたので階級、以上を記載した名簿を私どもは入手いたしました。
#140
○猪木寛至君 その名簿を公開してもらうことはできるのでしょうか。
#141
○政府委員(兵藤長雄君) 先生の特別な御関心でございますから、後刻コピーを差し上げることは可能だと思います。
#142
○猪木寛至君 大変ありがとうございます。そういうことであれば大変仕事がはかどると思います。
 近々墓参団を設けて行こうという話が今持ち上がっておりますが、一つはその墓地が恐らく整備されてきれいになっているとは私は思っていないのですが、トルクメニスタン政府としては、これから旧ソ連邦から独立して、自分たちが今までしたくてもそういうことはできなかったが、今後日本とのあかしということで国家予算をとってそこに記念碑を建てたいという大統領の意向もありました。大変遠い国で我々も認識も薄かったのですが、ある意味で中東紛争、そしてこれからあってはならないのですが、予測される民族紛争の種にもなる重要拠点というか、そういう部分で日本が何か果たせる役割があるのではないか。
 そういう意味で、国づくりにひとついろいろな御指導をお願いしたい。例えばこの間、外交関係を一日も早く結んでほしいという話をしたときにへどういう手続をしていいかわからないのが向こうの政府の現状だと思うのです。そういう国なものですから、そこで枝村大使にもぜひその辺根気よくひとつ教えてあげてほしいということをお願いしてきたのです。
 それで、もう一つは先ほど申し上げた天然資源が豊富であるということで、湾岸戦争あるいは歴史を見ますと、石油エネルギーの獲得というか、そういう意味で今非常に環境問題と密接する部分で天然ガスの需要がふえてきている。天然ガスの取り合いというようなことでこれからいろいろまた問題が起きる可能性があるのじゃないか。そういう意味で、全く旧ソ連連邦から独立した中で、もうすべてお任せしますからひとつ日本に手助けをしてほしいという話がありますので、その辺、大臣ひとつどうぞまた御理解をいただきたいと思うのです。
#143
○政府委員(兵藤長雄君) 重ねてのいろいろな御指摘、大変ありがたく思うわけでございますが、外交関係の設定につきましては、猪木先生の非常に積極的な御助言等もいただきまして実は文書の作成は最終段階に入っております。
 先生御指摘のように、先方も外交というものを全く経験していない。したがって、向こうの外務省もできたばかりでどういう文書をどういうふうに書いたらいいかわからないという中で、例えば言語の問題が問題になりまして、先方はやはりロシア語は使わない。最終的に合意いたしましたのは、日本は日本語を正文とする、トルクメニスクンはトルクメニ語を正文とする、しかし訳はロシア語ではなくて英語の訳をもって当てる、例えばそういうこと、細かいことでございますが、そういうことを今一つ一つ合意いたしているところでございまして、近々外交関係の設定は可能になるというふうに考えております。
 それから慰霊碑のお話がございましたが、これはゴルバチョフ大統領が参りましたときに取り決めました捕虜収容所に抑留されていた者に関する日ソ間の協定でございましたが、トルクメニスタンとの外交関係設定の交渉の中で条約の継承、権利義務の継承ということも今確認中でございます。その中で私どもこの抑留者の問題に関します協定の明確な継承ということについても特別に照会をいたしまして、この協定もきちんと継承してその義務等を守っていきたいということを言っております。その中に慰霊碑の建立については受け入れ国が可能な範囲で協力するということが書いてございますので、またそういうような動きがあればこの協定に従っていろいろお話が進むであろうかというふうに考えております。
#144
○猪木寛至君 私はこれで終わります。
 ありがとうございました。
#145
○委員長(大鷹淑子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#146
○委員長(大鷹淑子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#147
○委員長(大鷹淑子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#148
○委員長(大鷹淑子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#149
○委員長(大鷹淑子君) 旅券法の一部を改正する法律案、アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの件、千九百六十八年二月二十三日の議定書によって改正された千九百二十四年八月二十五日の船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。渡辺外務大臣。
#150
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま議題となりました旅券法の一部を改正する法律案について御説明いたします。
 我が国国民の海外渡航者数は、近年の国際化傾向とも相まって平成二年には一千九十九万人を突破、平成三年は湾岸戦争というマイナス要因にもかかわらずおおむね一千万人に達しました。これ。に伴い旅券発給件数も恒常的に増加、年間の新規の一般旅券の発給件数は五百万件近くに及んでおります。
 このため、旅券発給窓口の混雑、旅券事務量の膨張、旅券管理事務の複雑化等の諸問題が生じてきており、その改善のため、平成元年の旅券法の改正により手続の簡素化、事務の整理合理化を行い、国民の便宜及び行政効率の向上に努めてきていますが、平成四年十一月に機械読み取り旅券、MRPを導入することに伴い、申請手続の簡素化と手数料の改定を行い、もって一層の国民の便宜及び行政効率の向上に資するため及び刑罰規定中罰金刑に係る所要の規定の整備を行うため見直しを図ろうとするものであります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一は、一部申請に際しての提出書類の省略であります。
 現在有効な旅券を所持する者が、その残りの有効期間(いわゆる残存有効期間)が一年未満となった場合や所持する旅券の査証欄ページに余白がなくなったこと等の理由から旅券の切りかえをする場合に、当該有効な旅券を返納の上切りかえ発給の申請をするときは、戸籍謄(抄)本の提出を原則として省略し得ることとしたものであります。
 第二は、手数料の改定であります。
 一般旅券発給に係る手数料等は昭和五十三年以降据え置かれており、その間に消費者物価については四一・九%、国家公務員の給与については人事院勧告ベースで五〇・三%と。それぞれ上昇しており、旅券の発給に係る行政コストも。上昇しております。今回これらの経済事情の変動のもと、手数料の適正化を図るため、基本となる一般旅券の発給手数料につき二五%増の八千円から一万円に引き上げ、その他の手数料についてもこれに準じた引き上げを行うこととしたものであります。
 第三は、罰金額の改定であります。
 刑法その他罰則法規における罰金刑の額については、経済事情の変動等を理由に既に多くの該当法律について引き上げられており、それら罰金額との整合性を保つため、旅券法の罰則規定中の罰金額の最高限度についてその額の引き上げを行うこととしたものであります。
 次に施行期日であります。
 この法律は、一部申請に際しての戸籍謄(抄)本の提出省略及び罰金額の改定については平成四年八月一日から、手数料の改定については平成四年十一月一日からそれぞれ施行することとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
 次に、アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 アジア=太平洋郵便連合一般規則は、アジア=太平洋郵便連合憲章の適用及び同連合の運営を確保するための規則を定め、またアジア=太平洋郵便条約は、同連合の加盟国の間の国際郵便業務について規定しているもので、同連合の加盟国にとって締結が義務づけられているものであります。
 この一般規則及び条約は、平成二年十二月六日、ニュージーランドのロトルアにおいて、アジア=太平洋郵便連合の運営及び同連合の加盟国の間の国際郵便業務に関する事項について若干の改正を行った上で、現行の一般規則及び条約にかわるものとして作成されたものであります。
 我が国がこの一般規則及び条約を締結することは、アジア=太平洋郵便連合の加盟国として引き続き活動する上で必要であると認められます。よって、ここにこの一般規則及び条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、千九百六十八年二月二十三日の議定書によって改正された千九百二十四年八月二十五日の船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、昭和五十四年十二月にブラッセルで開催された第十三回海事法外交会議において作成されたものであります。
 この議定書は、一九二四年に作成され、一九六八年に改正された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約に定める運送人の責任限度についてさらに変更を加えて同条約を適用すること等について定めるものであります。
 我が国がこの議定書を締結することは、最近の国際海上物品運送の実情に応じた船荷証券に関する規則の統一に寄与する見地から有意義であると認められます。
 よって、ここにこの議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 以上二件の条約の締結につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#151
○委員長(大鷹淑子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 三件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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