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1992/03/26 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 法務委員会 第3号
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1992/03/26 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 法務委員会 第3号

#1
第123回国会 法務委員会 第3号
平成四年三月二十六日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     瀬谷 英行君     深田  肇君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴岡  洋君
    理 事
                野村 五男君
                林田悠紀夫君
                北村 哲男君
                中野 鉄造君
    委 員
                加藤 武徳君
                斎藤 十朗君
                下稲葉耕吉君
                中西 一郎君
                福田 宏一君
                糸久八重子君
                千葉 景子君
                深田  肇君
                橋本  敦君
                萩野 浩基君
                紀平 悌子君
   国務大臣
       法 務 大 臣  田原  隆君
   政府委員
       法務大臣官房長  則定  衛君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  濱崎 恭生君
       法務省民事局長  清水  湛君
       法務省刑事局長  濱  邦久君
       法務省矯正局長  飛田 清弘君
       法務省入国管理
       局長       高橋 雅二君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   上田 豊三君
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  今井  功君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   島田 仁郎君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   山田  博君
       最高裁判所事務
       総局人事局給与
       課長       萩尾 保繁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        播磨 益夫君
   説明員
       警察庁刑事局刑
       事企画課長    泉  幸伸君
       総務庁行政管理
       局管理官     木村 幸俊君
       文部省初等中等
       教育局高等学校
       課長       辻村 哲夫君
       労働省職業安定
       局業務調整課長  吉免 光顯君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鶴岡洋君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十四日、瀬谷英行君が委員を辞任され、その補欠として深田肇君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鶴岡洋君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○糸久八重子君 それでは、裁判所職員定員法改正案についてお伺いをいたします。
 趣旨説明で述べられておりますように、今回「地方裁判所における民事訴訟事件の適正迅速な処理を図るため、判事補の員数を七人増加」するとあるわけでございます。これは員数こそ異なりますけれども、前年度と全く同一の提案理由となっているわけでございます。二年連続して同一理由で判事補を増員するという理由をまず御説明をいただきたいと思います。表現は同一でも前年度とは具体的意味が違うのかどうか、そのあたり在御説明いただきたいと思います。
#5
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、昨年に引き続きまして地方裁判所における民事訴訟事件の審理充実ということで判事補の増員をお願いしてあります。これは、一言で申し上げますと、民事訴訟事件の審理の充実改善というものが私ども裁判所に課せられております最も重要な課題である、こういう認識を持っているからでございます。
#6
○糸久八重子君 認識ということはわかったのですが、例えば件数等の量的な拡大があったのか、あるいは事件内容の質的変化があったのか、それとも先取りをして対応しているのか、少なくとも法案の参考資料の二十一、二十二、二十四ページを見る限りでは昭和六十三年あたりをピークにして民事の新しい受件数というのは減少傾向にあるように思われるのですけれども、その辺のところはいかがでしょうか。
#7
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 委員御指摘のとおり、数におきましては昭和六十三年をピークといたしましてだんだんと減少の傾向を示しております。
 しかしながら、民事訴訟事件につきましては、委員御承知のとおり、なお解決までに時間を要する、こういう御指摘があるわけでございまして、すべての事件の平均審理期間と申しますか、そういったものは十二カ月ほどで終わっておりますが、本当に当事者が争っております事件につきましては、なお二年以上を要する事件も結構ございますし、また場合によっては十年を超えるといったような事件も多数係属しているわけでございます。
 したがいまして、私どもとしましては、なるべく民事訴訟事件を適正かつ迅速に解決することが国民の御要望にこたえるところである、こういうふうに考えておりまして、一人当たりの民事訴訟事件の負担件数を少しでも減らしていきたい、こういう観点から毎年裁判官の増員をお願いしている次第でございます。
#8
○糸久八重子君 確かに、解決まで時間がかかる、そして一人当たりの負担件数を少なくしたい、そうおっしゃったわけですけれども、前年度より二名増員するということで今おっしゃられたことは解決できるんでしょうか。それとも、前年度五名ということで見通しが甘かったのかどうか、その辺のところはいかがですか。
#9
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 民事訴訟事件の一人当たりの負担件数を減らすために一番いい方法としましては、本来ですと一人で裁判をできます判事を増員することでございます。しかしながら委員御承知のとおり、判事を増員すると申しましても判事になるためには資格が法律上定められておりまして、原則としては十年間判事補を経過しないと判事になれない、こういう状況になっております。したがいまして、私どもとしましては若干迂遠であるという御批判は受けようかと思いますが、まず判事補を増員いたしましてしかる後に判事を増員する、こういう段階を経ているわけでございます。
 ところで、判事補の増員につきましても、やはりその給源と申しますか、判事補のなり手という問題がございまして、これまた委員御承知のとおり、原則として司法修習生から判事補になるというのが原則でございます。そういたしますと、修習生からの判事補の希望者ということを考えまして増員の数をお願いする、こういう次第でございます。したがいまして、昨年は五名お願いしたわけでございますが、平成四年度におきましては修習生の希望者等を考えまして七名ほどお願いしている、こういう次第でございます。
#10
○糸久八重子君 そうしますと、希望者によって人数が決まるというような、そのような受け取り方ができたわけですけれども、三年度は五名増で十分対応はできたんですか。
#11
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 平成三年度は、委員御指摘のとおり、五名ほど判事補を増員させていただいたわけでありますが、東京、大阪の大規模庁に配属させていただきましてそれなりの成果を上げている、こういうふうに考えております。
#12
○糸久八重子君 そうすると、四年度の七人増で十分欠員の充足というものが賄える見通しがおありなんですか。
#13
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 厳密に申しますと、七名ですべて十分かということになりますと必ずしもそうは言えないんであろうかと思いますが、先ほど申しましたように、司法修習生からの充員等の可能性等を考えまして、一応七名増員させていただければ何とかやっていけるのではないか、こういう考えで増員をお願いしている次第でございます。
#14
○糸久八重子君 私、司法修習生から判事補へどのように登用するのかということがよくわかりませんが、何か希望が結局少ないということなんでございますか。その辺はどうなっているんでしょうか。
#15
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 現在のところ六十六人が希望しております。
#16
○糸久八重子君 判事補に希望する方がたくさんできるように、その辺の待遇等もそれから働く条件といいますか、そういうところもこれから考えていかなければならないんじゃないかと思いますけれども、過去の国会答弁を見てみますと、適正な裁判官の持ち事件件数というのは二百件程度が穏当である、そう述べられておるわけですけれども、現在でも基本的には変わっていないのでしょうか。その辺の現況はどうなっておりますか。
#17
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 委員御承知のとおり、裁判所にはいろいろな規模のものがございまして、例えば東京ですとか大阪ですとか非常に大規模な裁判所もございますし、あるいは地方における支部と申しまして、一人の裁判官がいろんな事件を担当するというところもございます。小さなところですと民事訴訟事件、それから刑事訴訟事件、それからいろんな雑事件と申しますか、仮差し押えですとか仮処分ですとか、いろんなものを一人の裁判官が担当する、こういう面がございます。それからまた、裁判官にも資格というのがございまして、一人で裁判をすることのできる判事と、それから、一人では裁判をすることができないで必ず合議体の一員としてしか裁判に加わることのできない未特例の判事補というものがございます。したがいまして、一人当たりの手持ち事件数がどのくらいかということを統計的にとることは非常に困難でございまして、私ども実はとっていないわけでございます。
 そこで、急速昨年の十二月一日現在で東京地方裁判所におきます民事訴訟事件、しかも通常民事訴訟事件を平均どのくらい抱えているかということを調査いたしましたので、その数字をお答えさせていただきます。それによりますと、平均二百十件前後の事件を抱えている、こういうことになっております。
#18
○糸久八重子君 それでは次に、裁判所職員の定員管理のあり方についてお伺いさせていただきます。
 現在の政府職員については、行政機関の職員の定員に関する法律、つまり総定員法と申しますか、それによって定員管理が行われていると承知をしておるわけでございますけれども、総定員法制定前はそれぞれの各省庁等設置法で決められていたようですね。どうして総定員法を導入したのか、その辺のところの総定員法の目的についてまずお伺いをさせていただきたいと思います。
#19
○説明員(木村幸俊君) 先生の今御指摘のとおり、総定員法制定以前におきましては、各省庁の定員はそれぞれの省庁の設置法で定められておりました。ただ、このような各省庁の設置法による各省庁別の定員規定、そのもとにおきましては各省庁間を通じますところの定員の再配置というのがなかなか行われない関係で、どうしても新しい行政需要に対応するための増員措置によりまして国家公務員の定員総数が増加の一途をたどる、そういった問題がございました。
 私ども国の行政機関の定員管理に携わっておるわけでございますが、社会経済情勢の変化に対応いたしまして簡素にして効率的な行政を確立していくということは、政府として重要な課題であると認識しております。国の各行政機関の職員の定員につきましても、その総数を抑制しつつ、行政需要の動向に対応いたしまして適正配置を推進し、効率的な業務処理体制を確立していくことが必要であります。
 お尋ねの総定員法でございますが、これは各省庁を通じた定員の総数の上限を定めますとともに、その範囲内で各省庁ごとの定員を政令で定める、そういうふうに規定いたしているわけでございます。これは繰り返しになりますが、その行政機関の職員の定員の総数を抑制する観点からその定員の最高限度を定めますとともに、各省庁ごとの定員を政令で定めることによりまして、行政需要に即応した定員の弾力的、合理的な再配置を省庁を超えて円滑に行う、そういうためのものでございます。
#20
○糸久八重子君 今の答弁で概略わかったんですが、もう一度お伺いしますけれども、総定員法による定員管理の仕組みはどうなっているのか、それから定員削減計画との関係はどうなっているのか、もう一度お答えいただきたいと思います。
#21
○説明員(木村幸俊君) 定員管理の仕組みと申しますか、まず総定員法では、ちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、国の行政機関の定員総数をとにかく上限を定めているわけでございます。その中では、各省庁ごとの定員、それにつきましては政令で定めるということによりまして弾力的、合理的な再配置を省庁を超えて図っていくということでございます。要するに、法律で国の行政機関を通ずる定員上限を決めているわけでございます。
 それで、一方、定員削減計画でございますけれども、これは我々の考えといたしまして、あらゆる行政部門、職種を通じまして、社会経済情勢の変化それから行政需要の動向に対応いたしまして、政府みずからが規定定員を見直しまして合理化努力を行う、それによりまして行政機関の定員の総数を抑制しつつ、その適正配置を推進するための有意義かつ不可欠な仕組みとして機能しているものであると認識しております。
 したがいまして、いわば国の行政機関の定員管理に当たりまして、総定員法と御指摘の定員削減計画、これは二つの大きな柱を成しているものと考えております。具体的に毎年度の予算編成におきましては、一方の定員削減計画に即しまして定員の削減が行われる一方、各省庁からの増員要求を受けまして必要な増員措置を講じまして、政府全体として定員の適正配置を推進している、そういうことでございます。
#22
○糸久八重子君 私ども社会党は、定員と機構は一体に規定されるべきである、そういう観点から総定員法の制定そのものには反対をいたしました。
 今の説明にもありましたが、一九九一年八月に総務庁から発表されました総務庁年次報告書というのを見てみますと、「定員管理の仕組みと定員の動向」というところでこう書いてあるわけですね。
  現行の定員管理の主眼は、定員の膨張を抑制
 しつつ、政府全体を通じての行政需要の消長に
 対応した定員の再配分を強力に行うことであ
 る。これは、行政需要の衰退部門、業務の要合
 理化部門から定員を削減するとともに、他方に
 おいて、行政需要の著しく増加している部門に
 必要最小限の増員を行うことにより実施され
 る。そのための基本的仕組みが、総定員法とぞ
 の下における定員削減計画の実施及び各年度の
 増員要求・審査であり、これらを通じて、社会
 経済情勢の変化に伴い行政需要が複雑多様化し
 ている中で、政府全体としての定員の縮減が図
 られている。というふうに書かれてあるわけです。
 つまり、総定員法というのは定員削減計画とやっぱりセットで運用されているということなんですね。国会議員とかそれから裁判所職員を含めて、そもそも国家公務員が国民の租税で賄われている以上、また国民の権利とか義務に直接関与する公権力の奉仕者である以上、その定員については法律で規定されるのはこれは当然と思うわけですね。つまり、法律で規定するということは、国民の代表者たる国会が必要に応じてその妥当性を検討し増減を行うことでなければならないと思うのですけれども、その辺の見解はいかがでございますか。
#23
○説明員(木村幸俊君) 答弁がまた繰り返しになって恐縮でございますが、一番目の質問の際に総定員法をなぜ制定したかというお答えを申し上げましたけれども、まさに先生からお話ございました各省庁別の定員規定、そういうもとでは結局各省庁間を通じますところの定員の再配置を行い得ない。ところが一方、世の中、社会情勢は変化しておりますので、それに伴いまして当然行政需要というのは変化してくるわけです。そうしますと、それに応じた増員措置は講じていかなければならない。そうなりますと、やはり各省庁間、まさにいろんな各省庁間を通じますところの定員の再配置を講じていきませんと、どうしても定員総数というのは膨張していく。実際、総定員法を制定する以前におきましては、現実問題として定員総数が増加の一途をたどったという事情がございまして、そういった事情を背景といたしましてこの総定員法を制定していただき、国の行政機関の定員の総数の上限を法律で規定すると同時に、各省庁別の定員につきましてはその範囲内で政令にゆだねるということに制度を変えられたわけでございまして、そういった経緯というものについて十分御理解をいただきたいと考えております。
#24
○糸久八重子君 総定員法による定員というのは、今お話しのとおり、定員の上限を決めるということですから、抑えようとするものですからある意味では大幅な増減は考えられない恒久的な数値になる要因があるんじゃないかなというような感じがするんですね。安易に上限を引き上げないことが法制定の意義なのだとするならば、もし大幅増員をしなければならないという状況になったら総定員法の意義が失われてしまうんですね。その辺はいかがなんでしょうか。
#25
○説明員(木村幸俊君) まさに先生おっしゃるとおりでございますが、確かに行政需要が変化して、それに伴いまして大幅な増員措置を講ずる必要があるということがあれば、しかもそれが現在の総定員法の上限を突破するということがあれば、それに伴いまして当然法律の改正はお願いせざるを得ないということになるわけでございます。ただ、私ども国の行政機関の定員管理に携わる者といたしまして、やはり現在、国家公務員の総数、その膨張を抑制する、これは現在の行政管理の基本でございます。したがいまして、御指摘のようなことはないものと考えております。
#26
○糸久八重子君 次に、裁判所職員定員法というのは、昭和二十六年、一九五一年に裁判官以外の裁判所職員の定員について、職種別に定められていた従前の定員を総定員、総員数に一括して規定することに改めて現在に至っています。最高裁判所当局は、裁判所職員定員が法定されていることについてどういう御認識をお持ちなんでございますか。
#27
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 委員御承知のとおり、我が国の憲法におきましては、いわゆる三権分立制をとっておりまして、立法権は国会に、行政権は内閣に、司法権は裁判所にそれぞれ与えられているわけでございます。
 そこで、一言で申しますと、裁判所職員定員法が法律で定められているというのは三権分立制に基づくものという理解をしているわけでございます。もっとも法律におきまして、例えば裁判所の職員の定員は最高裁判所の規則でこれを定める、こういうお定めをされることもあるいは可能かと思うわけでございますが、現行法ではそういう仕組みをとらないで法律で定員そのものを直接定めておられるわけでございます。これにつきましては、恐らく裁判所の職員の数というものが裁判を受ける国民の権利に重要に関連してくる、こういった観点から直接法律で定める、こういうことにしておられるのではないかと推測しております。
#28
○糸久八重子君 最高裁判事十五名を除けば、あるべき裁判官の定数とか、書記官とか事務官とか速記官の定数を予測することはいろいろ難しいのではないかと思いますね。例えば、訴訟事件数とか審理期間の短縮化等のいわゆる裁判事務の動向によって必要な裁判官とか一般職員はその都度積算されるべきであって、あらかじめ包括的に上限を設定しておいて、あとは最高裁当局に自由に増員させるような、そういう考え方は裁判所の本務から言ってもちょっと筋が通らないんではないかなというふうに考えるんですけれどもね、いかがでしょうか。
#29
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) いわゆる行政官庁におきます総定員法的な考え方を裁判所の職員の定員におきましてとってはどうかと、こういう御指摘を当委員会においてもかつて受けているところでございます。
 私どもとしましては、委員御指摘のとおり、事件数の動向、例えば今後十年間どうなるかと、こういったことを予測することがかなり難しい面がございますし、また、委員御指摘のとおり、あるべき審理形態というものはどういったものか、あるべき審理期間というのはどの程度のものかということをセットいたしますのも必ずしも容易ではない、そういった面がございまして、非常に総定員法的な考え方をとることには難しい面はあろうかと思っております。
 しかしながら他面、毎年毎年お忙しい時期に国会のお手を煩わせて御審議をいただいているわけでございますので、それを中長期的な観点から例えば十年間の増員をあらかじめお決めいただくといったことも、それなりの合理性はあろうかと思っていろいろと勉強させていただいている、こういう状況でございます。
#30
○糸久八重子君 裁判所職員の数の推移をちょっと見てみたわけですけれども、裁判官の定員は、一八九〇年、明治二十三年になるんですけれども、千五百三十一名、裁判官以外の職員が六千二百十三名となっております。来年度の予算定員では、裁判官は二千八百二十人、裁判官以外の職員が二万二千五百九十一名ということになっております。このおよそ百年の間、裁判官はわずか一・八四倍ふえたのに対しまして、裁判官以外の職員は三・六四倍になっておるわけです。
 裁判制度の変遷等も考えてみますと、単純比較するのは必ずしも当を得たものとは言えないかもしれませんけれども、百年という比較的長期のインターバルで見ても、比較的裁判官の員数は平準的な増加傾向しかうかがえないのに対して、裁判官以外の職員はかなりの増加傾向があるということがうかがえるわけでございます。いろいろ細かい数値は省略いたしますが、一九四七年、昭和二十二年以降に限って見てみますと、裁判官は各年逓増して、一九九〇年、平成二年の二千八百二十三名がピーク、裁判官以外の職員は二万一千台で昭和四十四年、一九六九年以降推移していますが、来年の二万二千五百九十一名がピークになっているという状況ですね。四十余年程度のインターバルで見ると両者ともかなり員数は固定化する傾向があります。さらに、二十年程度の短期で見ると、一層固定化していることが統計上からも明らかになっているわけでございます。
 このような歴史的定員の変遷について裁判所当局の御所見がございますればお伺いをしたいと思います。
#31
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 大変難しい御質問でございますが、例えばここの十年間をとってみまして、裁判官につきましては六十九人、それから裁判官以外の裁判所職員につきましては四百九十一人の増員を図ってきております。私どもとしましては、裁判所を運営していくためには裁判官が中心になることはもとよりでございますが、それを支えるところの裁判所書記官、裁判所事務官あるいは家庭裁判所調査官、そういったいろいろな職種の人たちと力を合わせて裁判所を運営していく必要があると考えておりまして、そのときどきに応じましていろんな要素を考慮しながら増員を図ってきているところでございます。
 なお、事件数の動向ですとか、あるいは審理の運営改善の実施状況等を十分見きわめながら、今後とも裁判官を初め裁判所職員の増員を図っていきたい、このように考えている次第でございます。
#32
○糸久八重子君 今のような歴史的な経過を踏まえて考えれば、トラスチックに裁判制度等を変革する場合には、裁判官についても裁判官以外の職員の員数についても相当の手当てをしなければならない事態が起こり得るかもしれないわけですけれども、現行裁判制度が維持されている限りは、事件の質的変化等に応じて必要な定員増を必要な時点で行うことが裁判所にもまた国会にも要請されているのでありまして、結果として毎年の裁判所職員定員法の改正ということになっても何ら疑問はないと私はそう思います。
 むしろ経験的な定数を使用したり、それから非科学的な推計、予想のもとにあらかじめ上限を設定しておいて、いわゆる総定員法的な裁判所職員の定員管理を考えているという、そういう向きがもしございましたら、私は先ほども申しましたとおり、国民の権利義務に関する裁判を所管する裁判所職員の定数が法定されていることの意義、また国民から負託されて法案審査を行うことの国会審議の意義を改めてお考えいただきたい、そう思うところでございます。
 昨年の定員法審査の際に、今もちょっとお話がございましたけれども、最高裁当局は定員の勉強会を行っているという御発言がございました。時代の要請等に応じて制度は変わっていくということは当然のことでありますので、私は勉強会の開催そのものについては特別申し上げることはないんですが、本日の私の質疑の意図するところを裁判所当局、それから法案提出に当たる法務省が十分心にとめておいていただきたいと思ってこの問題を出したわけでございますが、それについて一言御感想を伺いたいと思います。
#33
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 委員御発言の御趣旨を十分踏まえて勉強会をさせていただきたいと思っております。
#34
○糸久八重子君 それから、昨年の十二月にここの委員会で審議をいたしました育児休業法の問題なんですが、四月から裁判所にも育児休業が施行されます。裁判官及び裁判官以外の職員の申請状況はどうなっておりますか、ちょっとその辺をお伺いしたいと思います。
#35
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 御質問の趣旨は、裁判官以外の裁判所職員で育児休業をどのくらい申請しているか、こういうことでございます。実は正確な数はまだつかんでおりませんが、今のところ二十名ほどが申請をしているように聞いております。
#36
○糸久八重子君 裁判官につきましては数はわかりませんか。
#37
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 裁判官につきましては三名ほど申請をしていると聞いております。
#38
○糸久八重子君 裁判官についてはせんだっての質疑の中でも明らかにされましたが、育児休業者は欠員のままとされるわけですね。欠員になりますと他の同僚の裁判官への負担増というのが当然考えられてくるわけですけれども、三名程度ならば余り大きな負担にはならないかなと思うんですが、これから裁判官の育休者が相当数に上ってくれば、やはり定員増も検討しなければならないんじゃないかということが考えられるんですけれども、その辺の見通しはいかがでしょうか。
#39
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 今のところ、先ほど申しましたように三名というふうに聞いておりまして、育児休業をとる裁判官のための定員増ということは必ずしも必要ないというふうに理解しております。
 もっとも平成四年度におきまして判事補七名の増員を、これは民事訴訟事件の審理の充実ということでお願いしているわけでございまして、必ずしも育児休業とは関係がないわけでございますが、判事補の七名の増員をすることによりまして育児休業の関係でもメリットはある、こういうふうに考えております。
#40
○糸久八重子君 わかりました。
 それでは、次の問題に移りたいと思います。
 定員配置等も関係いたします具体的な個別の裁判所の対応についてになろうかと思いますけれども、最近増加してきた外国人関係の裁判ではどのような対応が行われているのか。特に勾留に対する人権上の配慮とか、それから裁判時における通訳関係の配慮はどういう状況になっておりますでしょうか。
#41
○政府委員(飛田清弘君) 勾留されている外国人の被疑者、被告人等行刑施設に収容されている外国人の処遇につきましてはいろいろな問題がございますが、原則としては、どこの国でも外国人の未決の者に特別な扱いをしている国は恐らくないのではないかと思っております。
 しかしながら、我が国におきましては、これまで日本人と生活習慣を著しく異にする外国人の未決の収容者に対しては、原則として独居室へ収容いたしまして、食事の面でどうしても米類が食べられない人に対してはパン食を給与するなど、食習慣の相違に配慮しているところであります。また、宗教の面がいろいろ難しいところがあるんですが、各自の信仰する宗派の方式による礼拝等の宗教上の行為のほか、教典とか数珠などの宗教上の用具の使用を認めておりますし、宗教上の理由により豚肉や牛肉を食べられない者に対しては、鳥肉などを用いた食事を出すというような配慮を加えてまいりました。また、言葉の問題がいろいろあるのでございますが、職員に英語や韓国語など外国語の研修を行っておりますし、また大使館や関係機関の御協力を得て信書の発受、面会、図書の閲読等をできる限り母国語で行えるように努めてきております。
#42
○糸久八重子君 それでは、外国人でも最近増加してきております日系人労働者の問題についてお伺いをしたいと思います。
 一九九〇年、平成二年から施行されました改正入管法、これは外国人入国の道を拡大したわけですが、特に日系人につきましては、日本人の子として出生じた者であれば日本人の配偶者等として、また日本人と一定の血縁関係、扶養関係のある者は定住者の資格で在留が認められますので、就労目的で日本に入国する者が大変ふえているという状況を伺っております。
 衆議院の予算委員会に提出されました資料を拝見いたしましても、ブラジルにつきましては一九九〇年で二千七百七十一名、一九九一年十一月までで千七百八十二名の定住者がカウントされております。その多くが日系人ではないかと思われるわけですが、ブラジル以外の国を含めまして、いわゆる日系人の入国状況の実態等がわかっておりましたら御報告をいただきたいと思います。
#43
○政府委員(高橋雅二君) 日系外国人のみにかかわる入国者数というものの統計はとっておりませんが、日系人、日系外国人の多い中南米諸国の人について見ますと、例えば一番多いのはブラジルでございますが、ブラジル人の平成二年におきます新規入国者は六万三千四百六十二名でございまして、これは五年前の昭和六十一年の一万二千九百十八人に比べますと四・九倍増という状況になっております。
 なお、平成三年につきましては統計が一月から六月までしかまだございませんけれども、四万九千十九人ということで、前年同期に比べまして一・六倍増という状況でございます。具体的には三万二百四十人でございます。
 次いでペルー人というのが数が多うございますけれども、平成二年の新規入国者数は一万九百四十二名でございますが、五年前の昭和六十一年の千五百七十三名に比べますと七・〇倍という状況になっております。ちなみに平成三年の一月から六月まで見ますと、九千四百三十九人でございまして、前年同期三千十五人に比べまして三・一倍増と、こういう状況でございます。
#44
○糸久八重子君 特に、観光目的で入国をして在留資格を日本人の配偶者等それから定住者の資格に変更する例というのはおわかりですか。
#45
○政府委員(高橋雅二君) 今御指摘になりましたように、多くの日系外国人の方々は短期滞在、観光目的で入ってきまして、それで国内で定住者等の資格に変えているというのが多くのケースでございます。
#46
○糸久八重子君 せんだって、三月十八日付の毎日新聞を拝見いたしますと、南米からの日系人の入国が二十万を超えていると推定されると書かれてあります。観光目的の短期ビザで入国して、その間派遣会社が在留資格の変更手続を行う事例が報道されておるわけです。また、別な新聞、朝日なんですけれども、それを見てみますと、偽造書類で日系人を装って来日するペルー人の事例が報道されております。
 南米の日系人は、ブラジルは百二十万、ペルーは八万人程度である、こう理解しておるわけですが、就労目的での入国の実態については法務省、労働省、それぞれどのように把握をしていらっしゃるのか、御報告をいただきたいと思います。
#47
○政府委員(高橋雅二君) 多くの者は、今先生御指摘なさいましたように、短期の資格で入国して、その後日本人の配偶者等または定住者ということで資格の変更を要求しているわけでございます。
 それで、ちなみに在留状況について申し上げますと、外国人登録数で言いますと、平成二年末の現在の南米諸国十二カ国の登録外国人は七万一千四百九十五人でございまして、このうち日系人が多いと思われますブラジル、ペルー及びアルゼンチンの出身者の登録者の増加が顕著でございます。この方々がほとんど就労目的で来ているかどうかということについてまでは特に調査はしておりません。今申しましたように、こちらに観光ということで来られまして、短期滞在という資格で入国されて、それで日本人の配偶者等または定住者ということで資格を変更されますので、こういう資格になりますと特に就労について制限がございませんので、まあ就労しておられるんじゃないかと思いますが、特にどういう就労なのかということで調査をしている、統計を把握しているということはございません。
#48
○説明員(吉免光顯君) お答え申し上げます。
 日系人の就労実態についてでございますが、私どもとしましては、在外公館あるいは現地の日系団体、そういったところから現地における情報、それから国内でございますと都道府県庁あるいは全国の公共職業安定所から情報を収集、あるいはその実態把握に努めているわけでございます。その中でも、特に日系人の就労経路につきまして、現地では仲介ブローカーといいますかそういった人に就労あっせんを依頼しているために非常に不明確な労働条件で募集されて日本にやってくるというような形、あるいは国内で悪質な人材あっせん業者を通じて就労するというふうなケースが少なくないというふうに考えております。
 数字的な把握はなかなか困難でございますけれども、そういった状況から、労働条件をめぐるトラブルでありますとかあるいは違法な労働者派遣、そういったところの問題が起きているというふうに承知をしておりまして、まさに就労適正化という点が大きな課題かというふうに考えております。
#49
○糸久八重子君 今御報告がありましたとおり、現地で募集活動をして日本に連れてきて、そしてこれは派遣会社と書かれているんですけれども、派遣会社が乱立して日系の外国人を組織的にあっせんしているというような報道がなされているわけです。現地で募集をして、観光目的で取得した短期ビザでまず入国をさせて、そして所属の施設に一時的に収容する、その間就労に必要な在留資格の変更手続をして、そして入国管理局から認められれば企業に派遣というそういう派遣会社が乱立していると、そう報道されているわけですけれども、考えてみますと、こういう派遣会社というのは恐らく違法の派遣事業者ではないかと思うんですね。そういうような業者に対して労働省はどのように対処をしていらっしゃるのでしょうか。
#50
○説明員(吉免光顯君) ただいまもお答え申し上げましたように、非常にいろいろな形でブローカーが途中で介在するということが大きな原因であるというふうに思っております。そういう事象に対しまして、労働者派遣法でありますとかあるいは職業安定法上問題があるというふうに思われる事案につきましては、関係機関とも連携をとりながらその実態把握、あるいは違法なものに対してまずは個別指導あるいは監督を通じて適正な事業内容になるように指導を行っているところでございます。
 また、基本的にこういった仲介ブローカーを根本的に排除するということが必要になってくるだろうというふうに思いますけれども、そうするためには、居住国から日本に至る何といいますか信頼できるような公的な就労ルートが必要ではないかというふうに考えております。そのために、平成四年度におきまして、特に居住者数が多いブラジル、特にその中でもサンパウロになりますけれども、そちらの日系団体と現在協力をしながら、また相談をしているわけでありますが、そちらの方で現地相談窓口をつくりまして、日本の方でつくっております上野にございます日系人雇用サービスセンター、そちらの方と連携をして動けるようにということで現在ブラジル政府ないしは現地の日系団体と協議をしているところでございまして、そういったものを通じて就労経路が適正になるように努めていきたいというふうに考えております。
#51
○糸久八重子君 派遣会社がどうこうというふうに書かれているわけですけれども、実際に派遣会社が労働者を派遣できる業務というのは決められておるわけですよね、十六業種。こうやって内容を見てみますと、結局この中にはいわゆる専門的なことが多くて、強いて派遣会社から派遣するとなれば建築物清掃とか――受付案内、駐車場管理なんというのはやはり言葉がわからなければできないわけですから、そういう清掃業務ぐらいしかないということになると、恐らく日系人が日本に入ってきた場合には正式なルートの派遣会社を通して職業につくという状況にはやっぱりないと思うんですね。
 それで、労働者派遣法というのは一九八六年に施行されたわけですけれども、一九九〇年六月施行の改正入管法を念頭に置いた制定ではないわけですね。その意味からは制定時に予測できなかったような事例が大変たくさん起こることも当然考えるわけですし、またそういうふうに起こっているわけですが、派遣労働者の適正な派遣就労の確保を図るため、派遣先の講ずべき措置に関する指針等やはり改定をしていかなければならないんじゃないか。現下の情勢に労働省はどのように対応していこうとなさるのか、そういう具体的な方針についてお伺いをしたいと思います。
#52
○説明員(吉免光顯君) 労働者派遣法等の違反の事案あるいは違反しているのではないかというような事案も確かにかなり見られるわけで、現在そういう実態も把握しているところでございますけれども、最近では年間個別に千件程度の指導もしておりまして、そういったものを見ながら委員御指摘の点について十分に勉強させていただきたいというふうに思います。
#53
○糸久八重子君 日系外国人労働者はこれからもやはりどんどんふえ続けると思いますけれども、これに対して法務省の見解を承りまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
#54
○政府委員(高橋雅二君) 経済的な格差その他いろいろなことを起因といたしまして、日系外国人のみならずいろいろな方が日本を目指して来るという状況ではございます。その認識は我々も持っておりますが、基本的には外国人労働者の受け入れに関しましては、政府としては専門的技術等を有する労働者については可能な限り受け入れる方向で対処するが、いわゆる単純労働者の受け入れについては多様な角度から慎重に検討するということを基本方針としていることは先生御案内のとおりでございます。
 入管法はこの方針に沿いまして、専門的技術・技能、知識等を持って我が国で就労しようとする外国人について幅広く受け入れることとしておりますが、いわゆる単純労働者の受け入れにつきましては、我が国の経済社会全般に影響を及ぼすところが大でございますので、法務省といたしましても関係省庁と協議いたしまして慎重に検討を続けることとしておるところでございます。
 それから、外国人の不法就労等の問題につきましては、入国時における厳正な審査あるいは在留審査に努める一方、警察官署等々の関係機関と協力しまして、悪質な事案に重点を置きました摘発を積極的に実施していく必要があると考えており、今後とも関係省庁と協力を深めながら、一層有効な対策を策定していきたい、こういうふうに考えております。
#55
○糸久八重子君 ありがとうございました。
#56
○北村哲男君 検察庁と警察庁にお伺いしたいと思うのですけれども、それは私が今から申しますのは、いわゆる当番弁護士制度という問題であります。
 私もかつてこの委員会で被疑者に国選弁護をつける制度についてはどう考えるか、つけるべきではないかという質問をしたことがあるのですが、それに対しては裁判所も法務省も極めて冷たい御返事で、全然考えておらないということがたしかあったと記憶しております。
 弁護士会は、被疑者の段階で被疑者の権利を守るために弁護士を何とかつけて、今盛んにあります冤罪を防ぐとか、あるいは冤罪だけではなくて被疑者段階での人権の保障ということを大事にしなければ、いわゆる被疑者の人権は守れないのだ、あるいは民主主義社会というのは正当に育たないのだという考え方から、弁護士が手弁当で当番制度を設けて、逮捕された容疑者からの連絡を受けると弁護士が無料で駆けつけて、被疑者の権利などについて助言したりあるいは相談に応じたりするシステムをつくり上げました。そしてそれを、ただつくっても捕まった人たちが知らなければ何の意味もないわけであります。
 そこで弁護士会では、昨年ですけれども、法務省、検察庁、警察庁、この三者に告知の制度、いわゆるどこかの段階で捕まった人にこういう制度があるんだよということを教えるシステムをつくってくれというふうにお願いをしたところであります。それについて、非常に吉報でありますけれども、最高裁判所はことしの四月から、勾留質問の段階で被疑者に対してこういう制度がありますよと、だからもし必要だったら弁護士会あるいはどこかに通知をしなさいということを何らかの形で教えてくれる制度というか、告知ということを実施していただけるということで、これは弁護士会としても大変うれしいことでありまして、ぜひこういう形で法曹三者が一緒になってそういう制度をつくり上げていこうということについてはうれしい話であります。
 ところで、かつて弁護士会は検察庁あるいは警察庁に対してもそういう告知を申し入れたのでありますけれども、これについて検察庁あるいは警察庁はどういう考えを持っておられるのか。一緒にやっていかれる計画があるのか、あるいはそういうことについて関知しないというお考えなのか、順次お伺いしたいと存じます。
#57
○政府委員(濱邦久君) 今委員からお話のございました当番弁護士制度は、私ども理解しておりますのは、これも弁護士会で実施に移しておられます弁護人推薦制度あるいは弁護人援助制度の実施に連なるものであろうというふうに理解いたしておるわけでございます。
 この弁護人推薦制度あるいは弁護人援助制度の実施等につきましては、これも日弁連等からの御要請もございまして、これらの制度については十分周知徹底にこれまで努めてきたところでございますし、被疑者段階で被疑者から相談を受けた場合あるいは申し出があった場合に、その制度を教示したりあるいは弁護士会に通知するなどの措置を講ずるように周知徹底を図ってきているところでございます。
 今お尋ねの当番弁護士制度につきましては、今委員からもお話ございましたように、創設されてからまだそれほど歴史がないと申しますか、一年半余の経過というふうに理解しておるわけでございますが、それぞれ各単位弁護士会が独自に創設され、あるいは創設しようとされている制度であるというふうに承知しているところでございます。しかも、その制度の内容は、待機制をとるのかあるいは名簿制をとるのか、それから当番弁護士への連絡は弁護士会経由になるのかどうか。あるいは弁護人選任権者以外の者からの要請によって接見に赴くことを予定している制度であるのかどうかというような点につきまして、各弁護士会によって、地方によってその内容が区々に分かれているように理解しているわけでございまして、その実績等が必ずしも同じではないと思うわけでございます。したがいまして、私どもの方は、とりあえず各地における当番弁護士制度の実態と実績について十分把握する必要があるのではないかということで調査をしているところでございます。
#58
○説明員(泉幸伸君) 御指摘の当番弁護士制度につきましては、被疑者段階の弁護活動の充実を図って被疑者の弁護人選任権の行使を実質的に保障する目的で弁護士会で創設された制度だというふうに理解しております。
 これにつきまして、昨年の七月十二日、日弁連の方から私ども警察庁に対しまして、警察庁においてもこの当番弁護士制度の趣旨を理解し、都道府県警察に対しこの制度の趣旨を指導するようにという旨の協力方の要請文をちょうだいいたしました。これを受けまして、各都道府県警察に対して同制度の趣旨について周知徹底するとともに、被疑者から弁護人を選任したいが心当たりがないなどと相談を受けた場合には、弁護士会に連絡すれば弁護士を紹介しているという旨を教示するよう指導の徹底を図っているところでございます。
 なお、被疑者に対する弁護人選任権の告知に当たっては、刑訴法に規定された手続を厳格に履行するよう指導していることも当然でございます。
#59
○北村哲男君 今の警察庁ですか、ちょっとひっかかるところがあるのです。被疑者の方が弁護士を紹介してほしいと言われたら教えてあげる、これはいいんです。そうじゃなくて、何も言わなくてもこういう制度がありますよということを言っていただきたいというのが弁護士会の趣旨でございますので、御理解いただきたいと思います。
 また、法務省の方から、名簿制とか待機制という二つの方法があるというお話もありましたが、確かに弁護士会もまだ各弁護士会の自主性に任せております。しかし、スタートしてからまだ日が浅いという点で、日弁連は全国都道府県に五十二の弁護士会があるのですが、そのうち既に三十四の弁護士会がこの制度を二つの方法で実施し、そしてことしの四月末までには十もふえて八五%というか、そのうち全国にもうことしじゅうにはほとんど確実に広がると思いますし、その辺については弁護士会も制度を二つの方法なら二つの方法をそういうことではっきりさせるので、その点について一緒に実施していくと思うのですけれども、ぜひ裁判所がいち早くきちっとこういう何かに書いてどこでも見られるようなことを、勾留質問の際に示すような形ができると同じような方法で、警察の拘置所であっても、あるいは警察官のところであっても被疑者に見せるような形、これを実施していただけるように望みたいと思います。
#60
○政府委員(濱邦久君) 今委員からもお話しございましたように、この当番弁護士制度の実態あるいは実績は、各地の各単位弁護士会によって制度が違っていると思いますので、私どもも各検察庁において、そういう各弁護士会でとっておられる違う形の制度についてそれぞれ対応する形も違ってくるかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、各検察庁を通じまして当番弁護士制度の実態と実績について十分把握した上で各検察庁が適切に対応するように考えていきたいと思っております。
#61
○北村哲男君 それでは、もう今の問題はそれで結構でございます。
 次に、この法案の関係なんですが、昨年からことしにかけて裁判所の定員の関係で一番大きな問題は、やはり司法試験改革に伴う司法修習生の増加とそれから司法研修所の移転ということだと思います。また、資料の中にも司法研修所の充実あるいは司法修習生の実務修習の充実のために裁判所事務官がふえるということを大きな理由に挙げておられます。
 そこで、司法研修所においてどのくらいの教官あるいは事務官、そのほかの人たちを現在擁しているのか、そしてそれが研修所の移転に伴ってさらにふえるということなんですが、どのくらいふえていくのかという点についての変動、増減等について御説明を願いたいと思います。
#62
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 委員御指摘のとおり、司法試験制度の改革に伴いまして法曹三者の合意ができまして、司法修習生の数を平成四年度から六百人程度、それから平成六年度以降は七百人程度に増加させていこう、こういうことが合意されているわけでございます。
 そこで、私どもとしましては、修習生の数が七百人程度になる平成六年四月をめどといたしまして司法研修所を移転するということを計画しているわけでございます。新庁舎に移転するまでは六百人程度の段階になりましても現在の教官数、職員数でもって対応していきたい、このように考えております。
 なお、七百人程度になる平成六年度以降におきましては、現在修習カリキュラムの工夫等を凝らせないかという点も含めまして修習体制について検討中でございまして、その中で今後どの程度職員、教官の増員が必要となるかということを検討していきたいと思っております。
 なお、平成四年度におきましては、委員御指摘のとおり、司法修習生の増員に伴いまして裁判所事務官二名の増員をお願いしているところでございます。
#63
○北村哲男君 ちょっと最初聞きそびれたのですが、現在は何人の教官を研修所に置き、どのくらいの事務官がおられるのかということ、それと、そのあとについては比較はどういうことでしょうか。
#64
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 失礼いたしました。
 現在、教官は全部で五十名でございます。裁判教官が二十名、検察教官が十名、弁護教官が二十名、合計五十名でございます。それから、一般職員は現在九十四名ほどおります。
#65
○北村哲男君 そうすると、教官はふえないのですか、今後は。
#66
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 先ほど御説明しましたように、六百人程度の段階では、現在の司法研修所の庁舎を使います関係もありまして、教官数をふやさないという体制でいきたいと考えております。
#67
○北村哲男君 時間ですから終わります。
#68
○野村五男君 この法律案は、主として民事事件の適正迅速な処理を図ることを目的としているとのことであります。
 そこで、民事訴訟事件の処理状況について最高裁にお尋ねいたします。
 まず、最近の民事訴訟事件数の推移はどうなっていますか。また、裁判に時間がかかるということをよく耳にしますが、民事訴訟事件の審理期間はどのようになっていますか、お伺いします。
#69
○最高裁判所長官代理者(今井功君) 最近の地方裁判所及び簡易裁判所に提起されました民事第一審訴訟事件の数でございますが、この法律案関係資料の二十二ページに出でございます。
 地方裁判所の事件につきましては、昭和六十年には、この表にございますように約十三万件ということであったわけですけれども、六十二年からは減少に向かいまして、平成二年度には十一万二千六百六十一件というふうになっております。
 それから、簡易裁判所の方でございますが、これは二十四ページの表でございます。簡易裁判所の方も昭和六十年には二十三万件を超えておったわけですが、その後急激に減少いたしまして、平成二年には九万七千三百五十五件ということでございます。これは主として急激に増加しておりました貸し金事件等のいわゆる消費者信用事件でございますが、これが貸金業法等の制定により落ちつきを見せたということが大きな原因であろうかと思われるわけであります。しかし、この表には出ておりませんが、平成三年度の仮集計というのができましたが、この数値で見ますと、地方裁判所の方は約十二万件、簡易裁判所の方が約十一万二千件ということで、前年に比べましてかなりの増加を見せておるということでございます。
 次に、審理期間のお尋ねでございますが、これは資料の二十五ページの表でございます。平成二年度で申し上げますと、地方裁判所におきましては十二・九カ月ということでございます。それから、簡易裁判所の方は三・一カ月ということでございまして、それなりの成果を上げていると見てよいかと思います。しかしながら、これは全事件の平均でございまして、当事者が本当に真剣に争っておる複雑な事件、例えば対席判決をされた事件がそれに当たると思いますが、その事件だけ見てみますと、これは二十五ページの下の表にございます。地方裁判所で見てみますと、六カ月以内に終わっておるのが全体の二六・四%、これをも含めまして一年以内に終わっておるのが四四・一%、二年以内に終わっておるのが七〇・一%ということであります。平均審理期間をとりますと二〇・九カ月ということになっておりまして、まだそれほど早いかと言われると必ずしもそうとは言えないというふうに言えようかというふうに考えておるわけでございます。
#70
○野村五男君 今のお話をお伺いしますと、当事者間で真剣に争っている事件では判決が出るまでに相当の期間を要しているようであります。最近、民事訴訟事件数が年々減少してきているというお話であるのに、なお相当の期間を要しているのはどうしてでしょうか。裁判所としてはこの点の改善についてどのような対策をとっておられるのでしょうか。
#71
○最高裁判所長官代理者(今井功君) 今御説明申し上げましたように、平成二年までは地裁、簡裁の訴訟の事件数は減少してきたわけでございます。しかし、その間にも例えば公害であるとか医療過誤の事件というような非常に事件処理が複雑でありまた処理が困難な事件が徐々に増加する傾向にございまして、各裁判官の努力にもかかわらず事件の審理にはなお相当の期間を要しているというのが実情でございます。
 申すまでもなく、民事裁判の使命は国民の間の紛争を適正迅速に解決をして国民の権利の救済実現ということにあろうかと思います。したがいまして、複雑困難な事件が多くなってきたとは申しましても、事件の処理に時間がかかり過ぎるということでありますと民事裁判に対する国民の要請に十分こたえていないということになろうかと思われるわけであります。
 その裁判の長期化の原因、これはいろいろ考えられるわけでございますが、一つ申しますと、従来の訴訟におきましては書面を交換するだけのいわゆる形式的な口頭弁論というのが五月雨式に何回も重ねられてきた、これが一つの遅延の原因だというふうにも言われておるわけでございます。この点につきまして、最近、第一線の裁判官の間で訴訟のあり方を見直そうというような試みがなされておるわけでございます。具体的に申しますと、法廷を今申し上げましたような単に書面交換の場にするということではなくて、その法廷の弁論期日の前に準備できることは十分準備をしておいて、口頭弁論期日においては実質的な討論を行い、争点をそこで煮詰めるというような作業を行う。それから、証拠調べにつきましてもできる限り効率的、集中的に行おうというような試みがされておりまして、このような試みが全国的に徐々に広まりつつあるというような実情にあるわけでございます。
#72
○野村五男君 今の御説明ですと、口頭弁論を実質的な討論の場にして審理を充実させる方策をとっておられるようですが、これと今回の地方裁判所における民事訴訟事件の審理充実のための判事補七人の増員とはどのような関係にあるのですか。つまり、判事ではなく判事補を増員するのはどのような理由からなのですか。また、七人程度の増員で民事訴訟事件の審理充実は図られるのですか。お伺いいたします。
#73
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 委員御指摘のとおり、民事訴訟事件の審理充実を図るためには一人で裁判をできる判事を増員するのが一番端的でございまして最も効果があると私どもも考えております。しかしながら、判事を増員するためには判事のなり手という問題を考えざるを得ないわけでございまして、現在では原則としまして判事補を十年間経験しましてその後に判事になるというのが現状でございます。したがいまして、私どもは、まず判事補を増員させていただきまして、しかる後に判事の増員をお願いしたい、段階を踏んで増員をお願いしたいと考えているわけでございます。
 判事補は一人では裁判を担当することはできませんが、いわゆる合議事件を担当しまして、合議体の一員としまして事件を担当するわけでございまして、合議事件の審理の充実を図ることができると考えております。合議事件の審理の充実を図りますと、従来ですと複雑困難な事件を一人の裁判官が担当していたわけでございますが、それを合議事件に回しまして、その分一人の裁判官の負担が軽くなる、こういったことからも民事訴訟全体の審理の充実を図ることができる、このように考えております。
#74
○野村五男君 ところで、最近の新聞報道等によりますと、破産事件が増加していると聞いております。破産事件については、サラ金業者による過酷な取り立てなどが社会問題化した当時、大量の申し立てがされましたが、その後鎮静化したと聞いていましたが、どのような状況ですか。
#75
○最高裁判所長官代理者(今井功君) 破産の事件でございますが、今御指摘ございましたように、いわゆるサラ金問題が社会問題化しました昭和五十九年にピークを迎えまして、その当時は二万六千件というふうになったわけでございます。その後減少いたしまして、最近数年間は約一万件強というふうに落ちついておったわけでございます。ところが、これが平成二年から増加の傾向があらわれまして、平成二年にはその前の年の約二割増、一万二千四百七十八件となりました。それから、平成三年に入りまして急激に増加いたしまして、平成三年の申し立て事件数は二万五千九十一件ということで前年度の約二倍、五十九年の申し立て件数に迫る件数となったわけでございます。
 このうち特に増加の激しいのは個人の自己破産の件数でございまして、二万三千二百八十八件というふうになっております。
#76
○野村五男君 クレジットカードを使って購入した商品の代金などを返せなくなり、その返済に充てるため、カードを使って借り入れをし、その借り入れ限度額を超えるたびに新しいカードで借り入れを繰り返し、幾つもの業者に対し借金をした、いわゆる多重賃務者による破産の申し立てがふえていることが破産事件の増加の原因になっていると言われておりますが、実際のところはどのようになっているのでしょうか。
#77
○最高裁判所長官代理者(今井功君) 先ほど申しました平成三年の個人の自己破産のうち、いわゆる貸金業関係と私どもは申しておりますが、中身を申しますと、クレジット会社、信販会社、サラ金業者、あるいは総合リース会社というような広い意味での貸金業者からの借り入れを主な原因とする破産の申し立て件数、これが平成三年は一万八千百五十件ということで、前年の二・一六倍ということになっております。全破産申し立て件数の七二・三%というわけでございます。また、幾つかの裁判所の担当者から聞きますと、最近では、今御指摘のありましたように、クレジットカードを用いまして幾つもの業者の方から返済能力を超えて借り入れをした、それが払えなくなったために破産の申し立てをしたという事例が巨につくというようなことでございます。
#78
○野村五男君 最後に質問いたします。
 多額の債務を負った人がみずから破産を申し立てるいわゆる自己破産の申し立てが多いように聞いております。このような場合には申立人は弁護士に依頼する資力がないため本人みずから申し立ての手続をとることが多いと思うのですが、一般の市民は破産の申し立て手続を十分に知らないために種々のトラブルが生ずるのではないかと思います。これに対して裁判所としてはどのような対応をしておりますか。
#79
○最高裁判所長官代理者(今井功君) 個人の自己破産の申し立てが非常にふえておるということでございます。それで、各地の裁判所には本人の方から手続について窓口に相談が数多く寄せられております。これに対して、裁判所の書記官、事務官等が相談に応じておる、こういう実情でございます。そのために、各裁判所では例えば申し立て書の作成方法であるとか、あるいはどういう書類を提出すればいいか、それから免責というのが伴いますけれども、この免責についてはどういうような書類が必要か、あるいは免責の手続はどういうものかということについて説明をしておるわけであります。
 こういう相談に来られた方に対応するために、私どもの方におきましては破産とはどういうものか、それから破産の申し立てをするにはどうすればよいか、破産宣告を受けるとどういうような権利義務の制限を受けるか、あるいは免責というのはどういうものかというような、いわば破産手続についてのわかりやすく解説をしましたリーフレット、簡単なこういうリーフレットでございますが、これを作成しまして全国の裁判所に配っておるわけであります。各裁判所におきましてはこれを窓口に備えつけまして、これを相談に来た人に渡して説明の補助にするというようなことで対応しておるというところでございます。また、裁判所により著しては、自己破産の申し立てをするにつきましてその書式というものを備えておきまして、これを利用させておるというようなところもあるということでございます。
#80
○野村五男君 終わります。
#81
○中野鉄造君 今回の法案改正について数点にわたって質問いたしますが、時間の都合上まとめてお願いいたします。
 今回の改正案を提出する前提として、従来から指摘されておりました家我の充実強化、この点についてどういうように検討されたのか。昨年度の総務局長の答弁で、百二十国会だったですか、判事補を増員する理由の一つに家裁の充実ということを挙げておられたわけですけれども、この点についてどうなのか、これが一点です。
 それから次に、弁護士から裁判官及び検察官への定期採用の制度がこの四月から実施されることになっておりますけれども、先日の新聞報道等によりますと、裁判官の希望者は九名だった、こういうようなことが報じられております。これらの希望者の平均的な年齢だとかあるいは弁護士経験年数だとか、そういったようなものがどうなっているのか、また、そうして採用された人たちの配置及び今後の見通しはどうなのか、この点についてお尋ねいたします。
 それともう一点は、裁判所の職員の減員の理由として、司法行政事務の簡素化、能率化が理由に挙げられておりまして、この対象にされているのがいわゆるタイピストだとかあるいは技能労務職員の数を減らすという答弁がなされました。この事務の簡素化、能率化はこれまでどういうように努力されたのか。また、これらの職種の今後の見通しはどうなのか、以上お尋ねいたします。
#82
○最高裁判所長官代理者(山田博君) 御質問の冒頭にございました家庭裁判所の充実強化のためにどのような方策をとっておるのかという御質問にまずお答えを申し上げます。
 家庭裁判所は創設以来もう既に四十年余りを経過しておりまして、国民に身近な裁判所として定着をしてまいっているわけでございますけれども、近時の社会経済情勢の変動等もありまして、家庭のあり方も変わってきておりますし、権利意識の高揚というようなこともございまして、家裁の紛争解決機能に対する国民の期待は一層高まってきているというふうに私どもは考えているわけでございます。
 これに対応しまして、私どもとしては従来とも家庭裁判所の充実強化のために努力を続けてまいっているわけでございますが、事件処理の面からこれをもう少し具体的に申し上げますと、まず事件を担当する裁判官に家庭裁判所の理念や機能を十分御理解いただく、このための研修でありますとか研究会を行う、あるいはまたその執務の参考に資するための各種の資料の刊行に努めるということはもちろんでございますけれども、具体的な事件処理におきましても、家事事件に関しては従来よりも一層家裁調査官を活用する、あるいは家事調停員の研修を充実するということを通じて家事調停制度の充実を図るとともに、家事の審判事件につきましては民間の良識を反映させるという意味で参与員の積極的活用に努めております。
 一方、少年の事件につきましても、少年に対する処遇の適正選択を的確に行う、こういう意味におきまして試験観察制度の効果的活用でありますとか、あるいはまた事案に応じて複数の家庭裁判所調査官による共同調査を行う、こういうような各種の方面からの試みを通じて、その機能の充実強化に努めてまいっているつもりでございます。
#83
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) まず、弁護士からの任官問題について御説明させていただきます。
 昨年の十月に最高裁判所におきましては、弁護士からの裁判官任官をより一層推進するという観点から従来の選考要領を改めまして、弁護士経験五年以上、それから裁判官として少なくとも五年程度は勤務していただけるという方で年齢五十五歳ぐらいまでの方にぜひ来ていただきたい、こういうふうにしたわけでございます。そして、委員御指摘のとおり、現在九人御希望をしておられます。この方々は弁護士経験十年ないし二十年の方々でございます。現在、提出されました書面につきまして書面審査あるいは各高裁、地裁の意見を聞いている段階でございます。
 次に、事務の簡素化の問題についてお答えさせていただきます。
 裁判所の司法行政というものは一般の行政と共通するところがございまして、いろいろな面で簡素化、能率化を図る余地があるわけでございます。例えば文書にしましても、OA化を図る、あるいはファクシミリを使う、そういったことからいろいろな簡素化を図ることができるわけでございます。さらに、下級裁判所から上級裁判所への報告事項等を整理しましたり、あるいは下級裁判所同士のいろいろな連絡等も簡素化したり合理化することができるわけでございまして、私どもも従来からこういった司法行政の面におきましてはいろいろな合理化等を図ってきたところでございます。
 定員削減の関係でございますが、一つは文書の浄書の量が減ってきたということからタイピストの削減を図る、もう一つは、庁舎の清掃管理部門等を外注したりすることによりまして合理化を図るというところから削減を考えているところでございます。
 以上でございます。
#84
○中野鉄造君 次に、先ほど同僚議員からも質問があっておりましたけれども、被告人ではなしに被疑者に対する国選弁護人の選任権、この問題についてでございます。
 最近よく報道等でも見受けますけれども、いわゆるその捜査段階における任意性のない自白が冤罪を生むというようなことが大きな原因ではなかろうかと思いますし、これは少なくとも殺人等の重大事件あるいは否認事件で身柄を拘束されている被疑者に対しては、被告人と同様にやはりこれは国選弁護人の選任権を保障すべきではないかと私も思いますけれども、法務大臣の御所見を承りたい。
#85
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
 そのような御意見があるということは承知しておりますが、被疑者段階での国選弁護人制度を設けることについては刑事手続全体の構造との関係において慎重に検討しなければならない。例えばバランス論からいくと、国費でやるわけですから国民感情がそこまで全部ついていっているかどうかという問題、それから捜査の段階と公判の段階ではおのずから違いがあるのではないかというような考えがあるというような点なども考慮しながら慎重に検討しなければいかぬというふうに私は考えております。
#86
○中野鉄造君 今、国民感情がどうのこうのということをおっしゃいましたけれども、これは憲法で保障されている人権の問題でありますから、これは国民感情の有無というのはまた別な問題ではないかと思います。
 もう時間も余りございませんが、次に、この前の委員会で私は保険金殺人疑惑に関連してお尋ねをいたしました。つまり、商法六百七十四条一項について要望もいたしましたけれども、質疑時間の関係上十分に意が尽くせなかったのでまた再度お尋ねいたします。
 民事局長は前回の委員会で商法六百七十四条一項の規定の解釈について、第三者の死亡によって保険金を支払う契約においてはその第三者の同意は契約の成立要件であり、第三者の同意がない場合の契約は無効であると、こういった答弁をいただいたわけですが、この商法六百七十四条一項の解釈としては全くそのとおりであると思うんですけれども、しかし現実にはこの前も私触れましたように、第三者の同意のない保険契約がもうそれが普通平常化しているわけなんです。しかも、有効な契約としてそれが処理されておるわけですけれども、ここにいろいろな問題が派生じてくると私は思います。
 そこで前回、不動産登記法四十四条ノ二の条文についてこれを例に引いて私はお尋ねしたわけですが、その条文が効果を生じている旨のお答えもありました。この第三者の死亡を保険契約の内容とする契約についても、第三者の生命を保護する観点から、この不動産登記法四十四条ノ二のような確認手段を商法の規定中にも取り入れることが必要である、私はこう思います。
 具体的に言えば、第三者の死亡を保険事故とする保険契約を締結するときは、あらかじめ生命保険会社からその第三者に、あなたにこうこうしかじかでだれそれがこれだけの保険金をかけていますよという、その承諾確認の通知を配達証明郵便で行わせる。第三者から承諾確認の返事が保険会社に到達してから保険契約が初めて当事者間で正式に締結されると、こういう規定にすべきではないか、こう思うわけです。とうとい人の命を保険金殺人から守るという観点からもこれは非常に大事なことじゃないかと私は思います。
 また、例えば保険契約に際して、第三者といっても事前に第三者に承諾確認の通知を上るわけですけれども、その第三者が未成年の子供であったというようなときには、これは民法八百二十六条の利益相反行為に準じてその承諾確認通知の対象は家裁の選任する特別代理人とする、こういうような方法もとれると思うんですけれども、この点についてお尋ねいたします。
#87
○政府委員(清水湛君) 第三者を被保険者とする保険契約におきましては、被保険者の同意が保険契約の効力発生要件である、こういうふうに商法上なっているわけでございます。この立法の趣旨は、先生まさに御指摘のとおり、もし第三者の同意なしにこのような契約が自由に行われるということになりますと、当該第三者の身に危険が生ずるおそれがある、こういうことから第三者の同意が絶対必要であり、しかもこれは強行法規であって、これに反する特約をしても無効である。この同意がない場合には保険契約は効力を生じない、無効である、こういうことになっているわけでございます。
 そこで、こういう契約をいたしましても無効でございますから、仮に第三者が死亡いたしましても保険金請求権は発生しない、こういうことになるわけでございまして、それなりに商法におきましては最も強い、無効であるということによりまして、このような第三者についての保険契約が勝手にされることをある意味においては強く防止をしているということが言えるわけでございます。
 そこで問題は、先生御指摘のように、現実の実務におきまして第三者の同意が十分に得られておらないままこのような契約がされているのではないかということでございますけれども、この点につきましては私ども保険の実務を直接掌握する立場にはございませんので、正確なことは申し上げられませんけれども、大蔵省等の監督官庁におきましてこのような同意をきちんととるように十分な指導をしておられるというふうには伺っているわけでございます。
 しかしながら、それでも第三者の同意が必ずしも確実に得られないというような場合に、先般先生御指摘の不動産登記法の例の保証通知の制度、これを採用したらどうかというのがただいまの御意見でございます。私どもはそういうような制度を採用するということにつきましては、これは一つの非常に示唆に富む意見ではあるというふうに思いますけれども、一つには、理論的な問題としてこのような登記所が現在行っている保証通知の制度はいわば登記官という国の機関に対して私人が登記という処分を求める、そういう場合に、登記官といたしましてはその人間が本当に本人であるかどうかという審査をする義務が不動産登記法であるわけでございますけれども、その審査をする義務の履行の方法として現在事前通知という制度がとられておる、こういう状況になっているわけでございます。
 しかしながら一方、商法の保険契約に関する規定は私人間の対等の私法契約としての保険契約について、その保険契約を締結するための要件とか効果とかあるいはそれに伴う種々の権利義務というようなものを商法は規定しているわけでございまして、具体的にその契約を締結するに当たって、例えば第三者の同意を得るためにはどういう手続をとったらいいかというようなことについては、一応これは商法の保険法の範囲外の問題ではないかというふうに考えられる要素もあるわけでございます。
 つまり、そういう第三者の同意がなければ無効であるという商法を前提といたしまして、そういう商法の規定に基づいて保険業を行う保険会社、こういう会社が無効な保険契約とならないようにするためにいろんな第三者確認手続というものを現にとっているわけでございますけれども、そういういわば業務のあり方あるいは業務規制のあり方の問題として、先生がおっしゃるような、例えば通知制度を事前にとるというようなことも一つの方法として考えられるというふうにも考えられるわけでございます。
 したがいまして、私どもこれは商法の問題として検討すべき問題なのか、あるいは保険会社の業務のあり方、あるいは業務の監督のあり方等の問題として検討すべき問題であるのか、いろいろ考え方はあるところでございますけれども、なお引き続き御意見を伺いまして勉強させていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#88
○中野鉄造君 今御答弁ございましたけれども、この間も大蔵省は、こういうような商法のちゃんとした法律がある、それだけに自分たちも指導している。していると言われるけれども、現実にこういう事件が発生して、やにわに指導されたというわけではない、もう以前からこういう指導はしておられると私は見ているんですけれども、現場では全然そういうことはもう守られていない。こういうことはしかもずっと連鎖的に、それにヒントを得たように法の目をかいくぐってこういう事件が多発してきております、現実に。
 ですから、この件については今民事局長から御答弁がありましたけれども、ひとつなお一層いろいろな各方面と検討をされて、何らかの手を打っていただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
#89
○橋本敦君 まず、この法案に則してお伺いをしたいと思うんですが、先ほどお話がありましたように、裁判官の判事補七名の増員ということで、育児休暇という制度がとられた中でメリットがあるだろうという話がございました。
 具体的にこの七名の増員をどのように裁判所としては機能的に配置をなさるということなのか、その点とのかかわりで、育児休業だけの問題じゃないと思いますが、お考えをまず伺いたいと思います。
#90
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 基本的には、やはり東京、大阪といった大規模の裁判所に配置したいと考えております。
#91
○橋本敦君 先ほど、育児休業の申請が現在のところ三名だということですが、私どもの調べでは今年出産なさった方が八名いるというように聞いておりおすので、八名いらっしゃるとすれば七名の増員では、いわば東京、大阪の裁判所の充実とおっしゃっても、育児休業関係の対応だけで目いっぱいで、実際は焼け石に水ではないかという感じで心配をして伺っておるんですが、どうなんですか。
   〔委員長退席、理事中野鉄造君着席〕
#92
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 委員御指摘のとおり、ここ数年間の平均出産者数と申しますか、子供を出産された裁判官の数は平均的には八人でございます。したがって、全員が育児休業をおとりになれば八人ということになるということで、判事補増員の七名とは数字が合わないわけではございますけれども、そのほかいろいろな工夫をいたしまして、育児休業をとりやすいように考えていきたいと思っております。
#93
○橋本敦君 だから、今の答弁でもなかなか目いっぱいでかなり苦労しなきゃならぬ数字なんだということはわかるんですが、そういう実情でこの七名の増員だけではなかなか回りがきかないので、育児休業の申請があってもそれは遠慮してもらいたいとか、抑えるというようなことがあってはならぬと思うんですが、それは間違いなく申請があればきちっと受けとめていくということでいかれますか。
#94
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 委員のおっしゃった趣旨を踏まえまして、育児休業の申請があればそれを認めていく、こういう方針でいきたいと思っております。
#95
○橋本敦君 大阪、東京など事件が込み合うところにやはり増員ということでのメリットを広めていきたいというお話はわかりましたが、近年、公害問題あるいは薬害問題あるいはまた自然災害からくる損害賠償など、そういった特殊複雑な事件もふえているかと思うんです。こういった特殊複雑な事件の近年の増加件数とか、裁判所で特別に対応なさっている状況があるのかどうか、その点はいかがでしょうか。
#96
○最高裁判所長官代理者(今井功君) 今御指摘のございましたように、公害、医療等の複雑な損害賠償事件というのは近年増加をしております。私どもの方では、これをいわゆる特殊損害賠償請求事件、こういうふうに名づけておるわけです。
 具体的には、公害、医療、薬品、食品、航空機、船舶、欠陥自動車、労働災害、こういうようなものを特殊損害賠償事件というふうに名づけておるわけですけれども、この事件につきましては近年増加をしておりまして、例えば十年前の昭和五十六年と平成二年とを比較いたしますと、公害事件でいきますと、十年前には八百件係属しておりましたのが、平成二年には千八十二件ということであります。医療の事件は十年前に千二百十三件の係属が、平成二年ては千六百六十一件というふうに増加をしております。逆に薬品、食品の事件、それから欠陥自動車の事件は若干減少しておるということで、トータルでまいりますと、昭和五十六年の係属事件は三千六百七十四件、これが平成二年には四千百四十二件ということで、約五百件足らずふえておる、こういう状況でございます。
   〔理事中野鉄造君退席、委員長着席〕
 それから、そのための審理処理の対策でございますが、これにつきましては、これらの事件はいずれも被害の実情であるとか、あるいは加害行為と被害との間の因果関係というようなものにつきまして自然科学の技術的、専門的な知識が非常に必要だということもございます。そういうことでありますので、証人も多数になりますし、鑑定人をお願いして鑑定をしなきゃいかぬ場合も多い。こういうようなことでありますので、裁判官にもこういう自然科学の知識が必要であろう、こういうことでございます。
 そのために私どもの方では、この各裁判所におきまして、自然科学を裁判官がいろいろ勉強するというような機会という、研究会のようなものでございますが、こういう機会を設けまして、これは基礎的な知識ということになりますけれども、そういうような知識の涵養に努めておる、こういうことでございます。
#97
○橋本敦君 その関係で、私は特殊損害賠償請求事件というのは非常に争点も複雑だし、判断も難しいケースが多いものですから、おっしゃるように、証人、鑑定人あるいはいろんな調査が必要になってきますので、当然審理期間もこれはかなり長くかかるケースが多くなってくるだろうと思うんですね。
 先ほど議論にも出ましたが、資料でも出ておりますけれども、どのくらいの審理期間を要するかというのを資料で見ますと、大体民事事件では十二カ月ぐらいかという数字が出ておるんですが、この特殊損害賠償事件では、その程度では済まないのが実情ではないかと思いますが、どういう実情でしょうか。
#98
○最高裁判所長官代理者(今井功君) 御指摘のとおりでございまして、やはり非常に難しいものですから時間がかかっておる。例えば平成二年の既済事件、平成二年に終わった事件で申し上げますと、例えば公害事件では二十五・七月、二年余り、医療の事件では四十三・三月ということでありまして、特殊損害賠償事件全体でいきますと、三十四・二カ月、こういう数字になっておりまして、一般の事件に比べますと、やはり相当な時間がかかるというのが実情でございます。
#99
○橋本敦君 そこで、こうした特殊損害賠償請求事件というのは、社会的にも注目されるような事件が多いわけでして、この点について裁判の充実という観点から、裁判所としては今後重要な部分として裁判官の配置、書記官あるいは速記官の配置も含めて、裁判の迅速化と充実のために一段と努力する方策を検討してほしいと思うんですが、いかがですか。
#100
○最高裁判所長官代理者(今井功君) 今おっしゃいましたように、こういう事件は非常に世間の関心も強いわけでありますし、また、こういう事件の被害者の方々の救済の必要というのも非常に大きいわけでございます。
 ただ、今申しましたように、こういう事件自体が非常に困難なものでございまして、ある程度時間がかかるということでございます。そのために、非常に大きな事件が係りましたときには、その部の負担を軽くするというような措置もとられている場合もございますし、普通は合議部には三人の裁判官が配置されておるわけでございますけれども、あるいはその部に場合によってはもう一人の裁判官を配置しまして、主任の裁判官が一定期間その判決の起案に専念するというような工夫もされておるわけでございます。
 そういうようなことであるとか、あるいはこういう事件におきましては原告が非常に数が多いというようなこともございます。したがいまして、そのようなときに損害の算定というのも非常に複雑な計算をしなきゃいかぬというようなこともありまして、そういう場合にはいろんな計算のための能率器具というようなものとか、あるいは判決の起案等をするためにいろんなコピーの機械とか、いろんなそういうOA機器というようなものも必要でございますので、そのような面でいろいろ配慮をしてまいったつもりでございますし、今後とも同じようなことで司法行政上のいろんな配慮をしていかなきゃいけないというふうに考えております。
#101
○橋本敦君 これまでもカネミ油症事件、あるいは典型的な水俣事件も含めまして、国民の権利にかかわる重要な事件がこの部分は多うございますので、今答弁なさいました方向で一層の充実の体制をつくられることをこの点では特に希望しておきたいと思います。
 それで、裁判官一人当たりの持ち事件ということですが、先ほどの御答弁では、東京地裁の調査で、民事事件では裁判官一人当たり二百十件をお持ちだという話がございました。大体大阪でもこの程度、あるいはこれ以上かというように思っておりますが、大阪の数字はございますか。
#102
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 大阪の数字は今手元に持っておりません。
#103
○橋本敦君 いずれにしても、それに劣らないことは間違いないわけでございます。
 それで、この裁判官の持ち事件数はどれくらいが妥当かというのは、客観的に数字ではなかなか出る問題ではないんですが、一般的に言いまして、非常に持ち事件が多いということがこれは裁判官の過重負担というだけではなくて、裁判を受ける権利を持っている国民の側から見ても、迅速、適正、公正な裁判を受けるという権利との関係でも、減らしていく方向が大事だ。そうなりますと、裁判所の裁判官やあるいは書記官の増員ということ、それからまた、裁判所の建物も狭隘でどうにもならぬということでは困るわけでして、司法制度全体の充実ということがどうしても大事になってくる。例えば、外国の数字なんかと比べてみましても、諸外国の裁判官の数というのは、日本と比べまして比較にならないぐらい多いというのはもう常識になっておりますですね。
 そしてまた、事件数の推移を見ましても、私どもいただいた資料では、一九五〇年ぐらいから今日まで比べますと、事件数の増加は四十年間で回ないし五倍ということで増加をしておりまして、数字で言えば、一九五〇年が新受理件数、民事、行政で約四十三万件ぐらいだったのが、一九九〇年は百七十二万件という数字も出ております。ところが、裁判所の裁判官の増員や定員というのは、こういった四倍、五倍ということではなくて、わずかな人数しかふえていないということにもあらわれておりますから、そういう意味で私は、この裁判所の裁判官や職員の数がどれくらい必要かという問題は、これはまさに今私が指摘した法曹人口がどれくらい要るか、それから、社会的ニーズとして国民の権利を受ける問題としてどれくらいの裁判官、職員の数が要るかという大きな視野で今後を展望して考えていかなくちゃならぬということを思うんですね。
 そういう意味では、司法の分野でも欧米諸国に比べて民主的な国家としてはまだまだおくれているというのは、これはもう多くの識者の一致している意見ですが、そういった大きな構えからこの定員問題を思い切って見ていくという姿勢がおありなのかどうかということを伺いたいと思うんですね。
#104
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 委員御指摘のとおり、裁判官一人当たりの適正な手持ち件数がどのくらいであるかということを数字であらわすことは非常に難しいわけでございまして、私どもも数字であらわすことはしておりませんが、裁判所全体の事件処理状況と申しますか、裁判所に新しく提起される事件と、それから裁判所で解決される事件、これを新受事件と既済事件と申しておりますが、その関係を見ることが一つのメルクマールになるのではないかと考えております。
 その観点から見ますと、現在のところ既済事件数が新受事件数を上回っておりまして、徐々に未済事件数が減っているという状況でございますから、その観点からは、まあまあ裁判官その他の職員の数も一応のものであるというふうに理解しております。ただ、委員も御指摘のとおり、やはりいろいろな事件を適正迅速に解決していくということが国民の裁判を受ける権利を保障する点からも極めて重要なところでございますので、私ども従来と同様、今後も裁判所職員の増員については努力をしていきたい、このように考えております。
#105
○橋本敦君 時間が参りましたので終わります。
#106
○萩野浩基君 今回上程されております裁判官等の定員をふやすこと、このことについては、裁判のスピードアップ、こういうものを図るためであり、また、先ほどの御質問にもありましたが、やはりこれが立法府に上程されたことは三権分立の意味からしても、その趣旨等におきましては大綱において理解できるものであります。
 しかし、現段階での目的達成のためにはこういうことで仕方ないのかもしれませんけれども、定員増を裁判のスピードアップに本当の意味で結びつかせるためには、そうした手段にもっともっと工夫が要るんじゃないか。単に審理や、また判決文というようなものの作成時間等における幾分かの短縮だけではいつも同じことを繰り返しておることであって、効果、また意味が薄いのではないかと思いますが、その点についていかがでしょうか。簡単にお答え願います。
#107
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 委員御指摘のとおり、事件の適正迅速な解決のためには、単に人的な問題だけでなく、物的施設の充実でございますとかいろいろな施策が必要である、このように考えております。
#108
○萩野浩基君 私考えますのに、例えば担当判事によって事件の判決が異なる事態、こういうのが御案内のように往々にありますね。そういう事態をもしできるならばなるべく未然につかみ、みんなが納得できる判決を早期に見出す、そうした方法というのはこれは大変と思いますけれども、私は考える必要があると思うが、いかがですか。
#109
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 委員御承知のとおり、裁判官はそれぞれの良心に従って裁判をやっているわけでございまして、それぞれの裁判官が自分の良心に従って事実認定をし、法律判断をするわけでございます。結果的には、A裁判官の事実認定あるいは法律判断とB裁判官の事実認定、法律判断が食い違う、こういうことは起こることでございます。しかし、そういったことはやはり各裁判官の良心に従ってやっていることでございまして……
#110
○萩野浩基君 簡単でいいですから。
#111
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) やむを得ない面があろうかと思いますが、しかし私どももいろいろと工夫をいたしておりまして、例えば研修でございますとかあみいは協議会等におきましてお互いに意見を交換し合う、こういうことをやっております。
#112
○萩野浩基君 そういうような工夫をされておるというのでわかりましたけれども、現在三審制であっても、できるならば最高裁まで上告せずに事件がなるべく解決できるというような方向であってほしいと、スピードの意味におきましても考えております。その点について、これは今の答えと同じになると思いますが、もしもっとお考えがあればちょっとお話しいただければと思います。
#113
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 一般論でございますが、なるべく早期に事件が解決するということは大変望ましいことである、このように考えております。
#114
○萩野浩基君 次に、大変これは基本的なことを法務大臣にお尋ねいたしますが、日本ではもちろんルール・オブ・ロー、法による支配ということで民主主義を進めておるわけですけれども、あらゆる法律の解釈とかそういうものに対する姿勢といいますか、プリンシプルというか、原理、ベース、そういうものは何とお考えになっておられますか。法務大臣にお尋ねします。簡単に一言で結構です。
#115
○国務大臣(田原隆君) 法律に対する考え方だと思うのです。これは、法律が社会において守るべき最低限のルールであるということをしっかり認識することだと思います。
#116
○萩野浩基君 了解しました。
 私も法制局長官の入江俊郎先生等に学びましたもので、法の一番大事な解釈のもとは一般社会通念であるということを教わってきたわけですが、私も今そのように考えております。まあ大体、法務大臣もほぼ同じような考えだろうと、そう思ってよろしゅうございますか。御答弁をお願いします。
#117
○国務大臣(田原隆君) ほぼ同じだと思います。
#118
○萩野浩基君 それで、そういうことになりますと、一般社会通念ということになると、民意に立った法制の整備ということが、これは無論当然だろうと思います。これが重要なことだろうと思います。
 実は、調べたところによりますと、昭和三年から昭和十八年まで約十五年間ですか、陪審制度というのがあったんですね。大正十二年にこの陪審制というのは陪審法に基づいて定められて、昭和三年から施行されて今申し上げたとおりに十八年四月までこれはやってます。その後戦争になってしまって、停止されたままになっております。
 その後、昭和六十三年五月の矢口最高裁長官時代だったと思いますが、欧米で裁判司法が国民の間に定着していると、そういうところから考えでこのような意見を言っておられます。「我が国でも国民の司法への参加の道を探るため本格的に刑事の陪審、参審制度の研究に着手、裁判官を米国等に派遣するなど、将来にわ光って検討されている」、こういうのが昭和六十三年に出ておるのは御案内と思いますが、そういう点から考えても、民衆のまた一般の人たちの司法への参加の意味で陪審制度というようなものをもう一度今考えてみたらどうかと思いますが、いかがなものでしょうか。法務大臣。
#119
○国務大臣(田原隆君) 法律の専門的な、相当な細かい分野でございますので、私が答弁するよりも専門家が答弁した方がいいと思いますので、まず最初にそれを聞きたいと思います。
#120
○萩野浩基君 簡単にお願いします。
#121
○政府委員(濱崎恭生君) 司法制度のあり方の問題でございまして、最高裁当局におかれてもいろんな角度から御検討されていると承知しております。
 御指摘の、国民の司法への参加という観点から陪審制度、参審制度を導入したらどうかという非常に有力な御意見があるということを踏まえて、最高裁におかれてもこれらの制度の研究のために裁判官を海外に研究のために派遣されるなどして鋭意研究を行っておられることを承知しております。
 私どももそれらの経過もその都度いただいておりますが、そういう御研究の成果を踏まえてこれからの問題として考えてまいりたいと思っておるところでございます。
#122
○萩野浩基君 ぜひそういう研究は進めていただきたいと思います。やはり民衆の司法への親しみというか、そうしたものをもっと近づけるためにも十分研究をしていただきたいと思います。
 さて、少し角度を変えますけれども、今日の裁判官の方々は、無論これは法令等について非常に熟知されておるのでありますが、やはり人間の社会であります。だから、人情の機微とか、また現代のトラスチックにチェンジしているこの社会、それから刻々と変わる国際状況、こういう中での司法の問題と、もちろん語学力等もありますが、もう既にいろんなこういう問題が起こってきております。
 また、いろんな面におきましても、例えば新しい技術革新などにおいても、必ずしもこれは全部そういうものを熟知できるとは思いませんけれども、かなり今までの裁判官等よりも別な面からのファクターが加わってきているんじゃないか、当然その辺私はお考えになっていると思いますが、そういう点でどういうような努力をされているか、簡単でいいですからお答え願います。
#123
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 委員御指摘のとおり、やはり裁判官にも国際的な感覚でございますとか、あるいは庶民感覚というのが必要でございまして、そのために、例えば裁判官を海外へ留学させる、あるいは海外へ出張させる、あるいは民間企業あるいは行政官庁等へ派遣する、こういったことで努力をしております。さらに、司法研修所におきましていろんな研修の機会に幅広い研修を取り入れているところでございます。
#124
○萩野浩基君 思い切った発想の転換をすれば、例えば語学なんかも司法試験の中に入れるのもひとつ考えてみたらどうか。会話はなかなかうまくはできなくとも、少なくとも外国の法律等を読む読解力ぐらいは必要ではないか。そうでないと国際時代の中の日本というものに対応していけないんではないか。特にその辺は強く要望しておきます。
 もう時間もなくなってしまいましたから、最後にもう一つだけ聞きます。
 近年我が国でも地方団体等を中心に、特に情報公開、それから個人情報の保護、こういうものがしきりに言われております。それからまた、スウェーデンにそのもとを発しますけれども、オンブズマンシステムといいますか、こういうようなものを地方自治体でも導入して司法の新しい形が模索されておる。どうも国レベルにおいては古い形にばかりとらわれているけれども、やはりそういうような新しいものをどんどん研究し取り入れていくことも必要と思います。その一例を挙げますとオンブズマンシステム。こういうようなもの、私は、簡単にある程度のものは決着がつくというのは、かえってこれは司法の社会観ではないか、そう思っておりますので、国民の立場に立った法制整備こそ大事じゃないかと思います。特に、オンブズマンシステム等についてはどのようにお考えになっておられるか、法務大臣にお答えいただければいいですけれども、もし御無理でしたらほかの方にどうぞ。
#125
○国務大臣(田原隆君) 法制全般についておっしゃったようにお伺いしますが、行政全般その他について情報公開という波がだんだん押し寄せてきているというのは御存じと思います。しかし、個人のプライバシーとか人権とかそういうものにかかわるものはやはりこれはできないし、そうすると、法務省自身の問題を見ますと、権利の保護とか人権の保護にかかわる問題が極めて多いものですから、一般の行政的な省庁におけるようなそういう公開、オンブズマンというのは、気持ちはよくわかりますが相当勉強しなければなかなか難しい点が多いと思います。
#126
○萩野浩基君 オンブズマンというのはただ情報公開というだけの意味ではないんで……
#127
○政府委員(濱崎恭生君) 突然の御質問でございますので正確にお答えができませんけれども、いわゆるオンブズマンシステムというものが一般の行政機関の場合と違って、司法の場面で一般の行政機関と同じように機能し得るものかどうか、これは大変難しい問題ではないかという印象を持っております。
#128
○萩野浩基君 もう時間が来ておりますので終わりにしますけれども、とにかく国民の立場に立った法制の整備、それから制度改革等にひとつ御尽力をいただきたいとお願いし、私の質問を終わります。
#129
○紀平悌子君 本法律案にかかわりまして最高裁にお願いをいたします。
 司法委員のことでございますが、国民の司法参加の面から、現在簡易裁判所民事事件について和解の試みを補助したり訴訟の審理に立ち会って意見を述べたりする司法委員の制度が採用されておりますが、この制度の現在の運用状況とこの制度を地裁へ導入できないものかということについてお伺いをしたいと思います。時間の関係がございますので簡略にお願いいたします。
#130
○最高裁判所長官代理者(今井功君) まず、活用状況でございますが、ここ数年非常に力を入れましてこの活用率が非常にふえております。
 具体的に申しますと、平成二年でございますけれども、簡易裁判所の事件の中で司法委員の関与した割合が全体では一三・二七%ということであります。これが五年前の昭和六十一年では二・二六%ということでございましたから相当活用されてきたということでございます。特に、欠席判決を除きましたそれ以外の事件での活用状況を見てまいりますと、平成二年では二一・九二%ということになっておりまして相当活用されておるというわけでございます。
 それから次に、これを地方裁判所に導入すればどうかというお尋ねでございます。
 これは実は、現在法務省の法制審議会におきまして民事訴訟手続全体の見直しという作業が行われております。昨年の十二月に法務省民事局参事官室の方から、今委員御指摘の地方裁判所において司法委員の制度を設けるものとするということはどうかと、このような事項も多くの意見照会の中の一つの事項になっておりまして、これについては現在法務省の方で各界に意見照会をされておる途中ということでございます。いずれこの意見照会の結果が返ってまいりましたら、また引き続き法制審議会の方で審議をされるというふうに伺っておりますので、私どもとしてもその経過を注意深く見守ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#131
○紀平悌子君 ありがとうございました。
 続いてお伺いしたいんですが、同僚議員が既に共通のことをお伺いされましたので、簡単に一点だけお答えをいただきたいと思います。
 田原法務大臣も今国会冒頭の法務委員会で所信表明をされました折に、登記事務の増大、取引等の国際化、社会経済関係の複雑、多様化などを背景に処理の難しい事務が増加しつつあるというふうにおっしゃっておられました。そこで、今回の改正による判事補、書記官、事務官の増員に当たりまして、こういった事件の内容面の複雑化とか国際化、専門化、これにふさわしい人材というものを考慮されていると思いますけれども、その点いかがでございましょうか、人材の登用の面で。
#132
○最高裁判所長官代理者(今井功君) 御承知のように、判事補は司法試験に合格しまして研修所における修習を終えた者の中から採用するということでございますし、それから一般職員につきましても裁判所の職員の採用試験の合格者の中から任命するということでありまして、その中でもできる限り考え方の柔軟な可塑性に富んだ人材というものを確保するということは従前からも努力しておるところでございますし、また今後ともやはり今申されました国際化、専門化というようなこともございますので、一層力を入れていかなきゃならないだろうというふうに考えておるわけでございます。
#133
○紀平悌子君 今回の改正で家裁、地裁でそれぞれ四名、十二名の減員が行われておりますが、浄書事務の簡素化、能率化とはどのような人員の削減または配置転換なのでしょうか、簡単で結構でございます。
#134
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 浄書事務を担当しておりますタイピストの削減ということでございまして、これは上級庁に対する報告事項を整理するとか、あるいはそれぞれの下級裁判所同士の連絡事項等を整理する、あるいは行政文書の取扱事務の改善等を図る、OA化を図る、そういった観点から削減するわけでございます。
#135
○紀平悌子君 次は、少年事件関連でお尋ねをしたいと思います。
 前回の法務委員会では、私、子供をめぐるいじめ、体罰または親権者による子供に対する傷害な七人権侵害行為について若干お聞きをいたしました。いわゆる少年事件については、資料をみる限りでは、少年の保護事件というのは昭和六十三年五十三万六千四百七十一件、平成二年四十八万一千百八十七件と減少しておるようでございます。ここでお聞きいたしたいのは処分内容についてでございます。いわゆる悪質化が進んでいるということもありますが、その保護の内訳はどうなっておりますでしょうか。概要で結構でございます。
#136
○最高裁判所長官代理者(山田博君) 少年事件、最近悪質化が目立つ、こういうような報道等もございますけれども、いわゆる凶悪事件というような重大な事件、私ども統計上は殺人、放火、強盗、強姦、この四つを凶悪事件という分類をしておりますけれども、この凶悪犯の累計で見ますと、一番ピークを示しましたのは昭和三十四年度でございまして、当時は八千二百件ほどの事件がございました。その後一貫して減少傾向にございまして、途中で若干の増減はございますが、ほぼ一貫して減少傾向を示してまいりまして、平成二年度は千百六十五件、これは戦後といいますか、家庭裁判所始まって以来最低の数字でございます。平成三年度は、まだ概数ではございますが、ほんのわずかふえまして千二百三人程度、こういう状況でございまして、これも平成二年度に次ぐ低い水準である、こういう状況でございます。
 時代を問わずこういうような事件はございますけれども、とにかく家裁としてはこういうような事件に対応する姿勢というのは十分慎重に対応していく所存でございますが、結果の方からこれを見ますと終局処分の内容から見まして、この種の凶悪事件は、刑事処分を相当として検察官送致がなされた事件が人数にしまして四十六人、比率にして三・九%でございます。少年院送致が三百六十三人で三一・一%、それから保護観察が三百十七人で二七・二%、このようになっております。
#137
○紀平悌子君 ありがとうございました。
 そこでお伺いしたいんですけれども、やはり少年事犯についても内容的にもあるいは心理的にも非常に社会の背景を受けまして複雑な問題もあると思います。今回家裁の調査官はふえておりませんですね。それで、悪質なというか、非常に悪質なものの中身いろいろでございますけれども、そういった事犯に対応するために質的な充実とそれから人員の増加が調査官において必要なのではないかと思います。
 一昨年の三月二十九日のこの法務委員会でも、最高裁の前総務局長の金谷さんから少年の保護事件調査は複数の調査官による共同調査という方法の導入などにより入念な調査をされている旨の御答弁がございました。非常に入念な御調査ということになりますと、四十八万三千四百四十二件も一年間に発生をしているわけですから、これを徹底するためには今の調査官の数では不足なのではないかと思います。その辺の増加の御予定とか、ぜひしていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#138
○最高裁判所長官代理者(上田豊三君) 家庭裁判所の事件は全体として減少傾向を示しております。もっとも、悪質な事件ですとかあるいは家事事件におきまして複雑困難な遺産分割の事件等はございますが、全体としては減少傾向を示しております。さらに、特にと申しますか、昭和六十二年の四月に道路交通法が改正されまして交通切符の限度額が引き上げられた関係で道路交通保護事件が大幅に減少しております。
 それによって生じました調査官の余力をそのほかの事件等の処理に充てているわけでございまして、現時点においては調査官の増員は必要はない、このように考えております。また、複数の調査官によりまして共同調査をする場合があるわけでございますが、これもすべての事件についてやるわけでございませんし、非常に複雑困難な難しい事件についてやるわけでございまして、この点から増員の必要は必ずしもないと考えております。
#139
○紀平悌子君 子供の関連でさらにお伺いしたいことがございます。
 児童の権利条約の批准にかかわる問題でございますが、今月の十三日現在で百十一カ国が締結しているこの条約について、政府は三月十三日の閣議で批准のための国会提出を決定されております。そのこと自体は、特に十八歳未満の子供の差別禁止、表現の自由、教育への権利、司法手続に関する保護などについての権利の確認ができるという点で前進であるし、支持をしております。
 しかし、批准を前に新たなる立法措置は不要だというふうな考え方で臨んでおられるように思いますけれども、これでは仏つくって魂入れずというような実質性を欠く部分が出てくることを心配しております。日本はもともとというか、聞くところによりますと条約の批准には非常に慎重でいらっしゃったはずでございます。特に、法務省は国内法との整合性というものを厳しく留意されてきたと思うのですけれども、法務省関係では、捜査段階、審判段階を通じて少年事件の附添人制度と申しますかそれの充実だとか再審制度の確立など、この点とこの条約の批准ということと全くそごがないのかどうか、どういうふうに考えておられるんでしょうか、お伺いしたいと思います。
#140
○国務大臣(田原隆君) 一般論を最初に申し上げますが、法務省所管の法令が、例えば民事、刑事に関して基本的な法律、出入国管理業務、人権擁護に関する事項等がございますが、これらについて事の重要性にかんがみいろいろ検討してまいりましたが、いずれも現行制度の運用で保障されているとの結論を法務省としては得ております。
 細かい点は政府委員から答弁させます。
#141
○政府委員(濱邦久君) 今大臣お答えになられたとおりでございますが、ちょっと先ほどお尋ねの中で具体的な細かい点についてのお尋ねございましたので、その点を私の方からお答えさせていただきます。
 一つは、附添人制度についてのお尋ねかと思うわけでございますが、捜査段階におきましては少年でありましても被疑者として刑事訴訟法上弁護人選任権が保障されておるわけでございます。また、家庭裁判所に送致された後は少年法によりまして附添人選任権が保障されているわけでございます。さらに、事件が検察官に逆送されて起訴された後は被告人として刑事訴訟法上弁護人選任権が保障されているということでございます。
 それから次に、再審制度についてでございますが、これは条約の三十七条との関係でお尋ねだと思うわけでございます。この条約の規定は現に自由の剥奪が継続している場合を想定したものというふうに理解されるわけでございまして、少年法上保護処分の継続中はその取り消しの制度が設けられておるわけでございます。
 したがいまして、附添人制度につきましても再審制度につきましても本条約の要請するところとそごするところはないというふうに理解しているわけでございます。
#142
○紀平悌子君 文部省においでいただいておりますので、文部省関係の例えば子供の懲戒についての手続的保障の確保とか、それから学校の自己情報、指導要録等の学業、性格等の評価についての開示と訂正要求など、そういった法制化も必要ではなかろうかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
 それから、多少時間がきょう短くなりましたので、あと厚生省にもあるいは大蔵省、通産省にも短い質問でございましたけれどもおいでいただいておりましたのですが、もう時間もございませんのでその方は時間切れとなりまして、まことに申しわけございませんでした。後ほど書面ででもお答えをいただければありがたいということを申し添えまして、どうぞよろしく文部省からお願いいたします。
#143
○説明員(辻村哲夫君) お答え申し上げます。
 第一点の子供の懲戒にかかわります手続の関連で、学校が子供に対しまして懲戒をするに当たりまして聴聞の機会の確保をする必要があるという条約十二条二項との関係でございますが、この内容につきましては立法措置に限られませず学校での対応等含めまして広く指導等の行政上の対応措置も含めたものというふうに承知をいたしております。したがいまして、法令改正は求められているのではないというふうに承知をしております。ただ、この趣旨の徹底ということにつきましては十分に配慮してまいりたいと思っております。
 また、情報の開示の関連でございますが、これは条約二十八条の関係と承知しているわけでございますが、この規定は児童が教育を受ける権利を確保するために、児童が進学や就職に必要な案内あるいはガイダンスを得る機会を保障するという規定と承知しでおりまして、生徒たちの成績評価というふうなものを内容といたします内申書あるいは指導要録への本人への開示を求めるものではないというふうに承知をいたしております。したがいまして、この点につきましても条約との関連において法制上の措置は必要ないとされているものと承知しております。
#144
○紀平悌子君 終わります、
#145
○委員長(鶴岡洋君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方ば賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#146
○委員長(鶴岡洋君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#147
○委員長(鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後零時三十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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