くにさくロゴ
1992/05/19 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 法務委員会 第10号
姉妹サイト
 
1992/05/19 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 法務委員会 第10号

#1
第123回国会 法務委員会 第10号
平成四年五月十九日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     糸久八重子君     会田 長栄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴岡  洋君
    理 事
                野村 五男君
                林田悠紀夫君
                北村 哲男君
                中野 鉄造君
    委 員
                加藤 武徳君
                斎藤 十朗君
                下稲葉耕吉君
                中西 一郎君
                福田 宏一君
                山本 富雄君
                会田 長栄君
                糸久八重子君
                千葉 景子君
                深田  肇君
                八百板 正君
                橋本  敦君
                萩野 浩基君
                紀平 悌子君
   国務大臣
       法 務 大 臣  田原  隆君
   政府委員
       法務大臣官房審
       議官       本間 達三君
       法務省刑事局長  濱  邦久君
       法務省入国管理
       局長       高橋 雅二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        播磨 益夫君
   説明員
       警察庁警備局外
       事第一課長    奥村萬壽雄君
       法務省入国管理
       局登録課長    山崎 哲夫君
       外務省国際連合
       局人権難民課長  吉澤  裕君
       厚生大臣官房政
       策課長      小沢 壮六君
       厚生省保険局保
       険課長      紺矢 寛朗君
       自治省行政局行
       政課長      蓼沼 朗寿君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○外国人登録法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鶴岡洋君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○糸久八重子君 きょうは、できるだけ今までの質疑と重複しないように、また政府の対応が明確になっていない事項を中心にお伺いをさせていただきたいと思います。
 初めに、四月二十三日の委員会で外国人登録証明書の最近の偽造、変造件数をお尋ねいたしましたけれども、手元に件数をお持ちでなかったようでございますので、最近の件数等を御報告願えればと思います。
#4
○政府委員(高橋雅二君) 先日は手元に資料がなくて大変失礼いたしました。
 最近の外国人登録証明書の偽変造件数でございますが、正確に偽変造の件数を把握するということは困難なものがございますが、登録証明書を現在のラミネートカード型にいたしました昭和六十三年以降平成四年現在までに偽変造を発見した事案として、地方入国管理局から報告があったものとしては二十八件ございます。ちなみに、年度別に分けますと、昭和六十三年が二件、平成元年が十五件、平成三年が七件、平成四年現在まで四件、計二十八件でございます。
#5
○糸久八重子君 偽造、変造は今の御報告をいただきますとそれほど多くないようでございますね。
 そういう件数が非常に少ないのにもかかわらずラミネートカードからプラスチックカードにするということなのですが、そのプラスチックカード化にかかわる予算というのはどのぐらいになっておりますか。
#6
○政府委員(高橋雅二君) 全体といたしまして、外国人登録制度合理化経費として二十億六千八百万円を本年度の予算において措置しておるところでございます。
 その内訳といたしましては、官側写真撮影機器の導入経費として六億六千九百十七万一千円、新登録証明書カード調製機器の導入経費として六億三千一百二十万円、画像集中管理システムの導入経費といたしまして一千五百七十九万九千円、署名制度及び家族事項登録の導入に伴う委託費として一億三千三百十九万円、その他として六億一千八百五十九万七千円、そういう内容でございます。
#7
○糸久八重子君 そのうち撮影機については、台数にするとどのぐらいになりますか。また、調製機はどのくらいの台数になりますか。
#8
○説明員(山崎哲夫君) 外国人登録証明書を調製する調製機は、従来と同じく地方入国管理局及び支局に設置する予定でございます。調製機器は十七台設置する予定でございまして、さらに撮影機器は現在のところ地方入国管理官署に四十七台設置する計画でございます。
#9
○糸久八重子君 偽造、変造が余りたくさんの件数がないのに二十億ものお金をかけてラミネートカードからプラスチックカードに変えるということは、私もこの前のときに申し上げましたけれども、あくまでも証明書が携帯しやすくなるような方法に変えるのが主眼ではなかったのかなというような気がしてならないわけでございますが、一応この前のときに御報告をいただけなかったものですから、加えて質問させていただきました。
 次に参ります。家族事項の登録につきましては前回の委員会で千葉委員から詳細な質疑がありましたけれども、明らかになっていない部分につきましてお伺いをいたします。
 まず、家族事項の登録のための手続はどのようになるのでしょうか。例えば、身分関係の公証書類の提出等が要求されるのか、それとも登録義務者の申請内容が尊重されるのか、それから市区町村の窓口では調査はどの程度要求されるか、あわせてお答えいただきたいと思います。
#10
○政府委員(本間達三君) このたびの改正案におきまして新たに家族事項の登録をしていただくことになりますが、家族の事項の件につきましてどのような証明文書を要するのかという御趣旨と思います。
 原則といたしまして本人の申告に基づいて家族事項を登録するということにいたしますが、登録後におきましてその変更が生じたとして変更登録を申請するという場合におきましては、そのことを証する文書の提出を求めるということにしております。この点は改正法案の外登法九条第二項でございますが、ここに明記したところでございます。
#11
○糸久八重子君 今までの政府答弁によりますと、家族登録導入の理由として本人確認について家族に照会できることを挙げておるわけですが、家族はこの種の照会に対して応ずる義務はあるのでしょうか。もしあるとしたならば、その根拠はどういうことなのでしょうか。
#12
○政府委員(本間達三君) 家族事項登録の趣旨ということにつきましては、これまで何回か御答弁申し上げましたとおり、同一人性確認の一つの手だてでございます。それが主な目的でございますので、御家族に照会して回答いただくということを予定はしておりますが、御家族の方がこれに応ずるかどうかということにつきましては、これはあくまでも任意の照会でございますので、御回答になるかどうかは御本人の自由意思でございます。私どもとしては、この照会に対して気持ちよく御協力いただけるということを期待しているところでございます。
#13
○糸久八重子君 事実行為として協力が期待できるというだけのものならば、写真、署名は本人自身のものだけれども、照会は本人そのものではありませんから、本人確認の有力な手段にはなり得ないのではないかなという気がしますけれども、その辺はどうですか。
#14
○政府委員(本間達三君) まさにそれは御家族の方の証言といいますか、供述、これの信用性にかかわる問題でございますので、御家族の方の数とかあるいはその供述されたことの内容の信憑性の判断というものは当然そこに入ってくるかと思います。
 ですから、その場合場合によりましてその御家族の回答というのが同一人性の確認のためにどの程度有効であるかということは、まさにその御協力いただく方のその程度といいますか、この辺によってかなり差が出てくると思いますけれども、一般的には自分の御家族のことあるいは同居されている方のことについてあえてうそを言われるような、そういうような方は一般にはおられないんじゃないかということを期待しているところでございます。
#15
○糸久八重子君 家族登録事項は個人の同一性が疑わしいときに確認するというのがその目的でありますから、運用に当たってはその他の目的で使われることのないように確認をしたいのですが、いかがですか。
#16
○政府委員(本間達三君) 何度か御説明申し上げましたとおり、家族事項の登録というのは、永住者及び特別永住者の同一人性確認の手段といたしましてこのたび採用させていただいた次第でございます。他の登録事項と同様に、外国人登録の目的でございますところの在留外国人の公正な管理に資するためのものでございますので、そのような目的を逸脱して家族事項を使用するというようなことは一切考えておりません。
#17
○糸久八重子君 次に、署名の方に移りますが、指紋にかわるものとして署名を導入したことが外国人にとってどのぐらい負担になるのか。少数の欧米人は日常的に署名をしておるわけですから苦にならないと思うのですけれども、署名などしたことのない人たちも大勢いるはずでございます。
 今まで政府の答弁では、原則旅券記載の署名ということのようですけれども、例えば識字教育がなされていないような場合にはどう対処なさいますか。
#18
○政府委員(本間達三君) 先生の御質問の趣旨が、もし字を知らないといいますか、書こうと思っても書けない、こういう方の取り扱いのことと理解してお答えいたしますと、理由が何であれ同一人性確認手段の一つであるところの署名というものを欠く事態が生じたということであれば、法案に書いてございますけれども、次回確認申請時期の短縮という措置をとらせていただくということになります。すなわち、一年以上五年未満の範囲内で市区町村長が指定する期間を指定する、原則は五年でございますけれども、これを一定の基準に従って短縮するという措置によって確認申請を一般よりも頻繁といいますか、早くしていただくということにしたいということでございます。
#19
○糸久八重子君 そうなりますと、文字が書けないという人については、罰則規定が適用されると少なくとも毎年一回窓口に行かなきゃならないことになりますね。
 何か窓口の職員の方たちはこんなことも言っているわけですね。窓口の職員が漢字、アルファベットの署名の手本を示してそれに似せたように書きなさいということも指導されるのかななんというようなことを言っておったわけですが、もし仮にそういうことがあると、これは人権侵害にもなりかねないと思うのですね。署名者の実情に十分留意して人権侵害にならないような人道的な配慮をすることが必要じゃないかと思うのですけれども、その辺はどういたしますか。
#20
○政府委員(本間達三君) まず、先生の御質問の中で、署名できない場合に罰則がかかるということをおっしゃいましたが、その罰則はもし刑事罰則の意味であるとしましたらそれはちょっと違うわけでございまして、刑罰の方は、できる人があえてしないということを要件といたしております。
 次回確認申請期間の短縮ということを先生は一つの罰というふうに御理解になったのかなと思いますけれども、これは必ずしも罰則という観点で短縮しているわけでございませんで、同一人性確認の手段が一つ欠けておりますので、一般の方は五年間確認しなくてもよろしいんですけれども、一つその手段が欠けていますので、その確認をより頻繁にすることによって常時その同一人性を確認していこう、こういう行政上の考え方から短縮という問題を出したわけでございます。
 それから、実際にお書きになれない方についてこれを指導によって事実上強制するようなことがあるんではないかというふうな御心配ですが、私どもはそういうふうな取り扱いをしようという考えは全くございませんで、任意に御本人が署名に応ずるということを前提にして行政を進めるということを考えております。
 それから、短縮期間の設定でございますけれども、一年に一回と先生おっしゃいましたが、これは一年以上五年未満の範囲内で法務省令で定める基準に従って市区町村長がこれを指定するということでございます。その基準というのは、やはり署名をできなかったあるいはしなかった、そういうそれぞれの事情がございます。書こうにも書けない方あるいは病気で書けなかった方、それから書けるんだけれどもあえて書かなかった、そういう方はそれぞれ事情がございますので、そういった事情も考慮しながら適正な基準を決めていきたいというふうに考えております。
#21
○糸久八重子君 確かに、署名がされない場合にはその原因が、拒否をして署名をしないのか、それとも疾病等によって署名することが不可能なのか、それから識字教育の機会を逸して書けないのか、それともそのほかの理由によるのか、いろいうその判断が難しいと思うのですね。それについて窓口職員の問いかけ方も大変難しいのじゃないかなというような気がするのです。そういう窓口でのトラブルを避けるためにも、その取り扱いを今明確にするとおっしゃったのですが、法施行までに明確にしてその基準等についてはマニュアルを作成して指導をすべきだと、そう思いますけれども、その辺はいかがですか。
#22
○政府委員(本間達三君) 先生御指摘のとおりでございまして、窓口において署名を求める際にトラブルということが生じないように、私どもとしましても、その事務取り扱いの要領といいますか、指導要領につきましてはトラブルを避けるという観点を入れまして、適正な事務が行われるように十分配慮していきたいと思っております。
#23
○糸久八重子君 現行の外登法と関連政省令では、身体の障害によって指紋押捺できない人の取り扱いはどうなっているのか。
 指紋押捺を拒否する人に対しては、十一条三項によって切りかえの期間を一年以上五年未満の範囲で短縮するという規定が設けられまして、また十八条八号によっては二年以下の懲役若しくは禁錮又は二十万円以下の罰金に処する。」という規定が設けられているわけですね。例えば、事故によって指をすべて失った等、体の障害によって指紋押捺ができない人までこれらの規定を現在適用しているのですか。その辺はどうなっていますか。
#24
○説明員(山崎哲夫君) 事務を実際に取り扱っておりますと、例えばサリドマイドというのがかつてありまして、いろいろ現実に指紋押捺をする指が欠損をしているという事例は現にあるわけでございまして、それは運用になるわけでございますが、その場合には次回確認を五年後にするという取り扱いを、極めて希有な事例でございますがしております。
#25
○糸久八重子君 署名について言えば、政府の改正案では故意に署名をしない人に対しては切りかえの期間を短縮とかという規定、そしてまた「一年以下の懲役若しくは禁錮又は二十万円以下の罰金に処する。」という規定を設けているわけですけれども、体の障害によって署名ができない人、それから識字教育が十分できていなかった人については、一年以下の懲役もしくは禁錮というそういう罰則は適用はしないということの確認をしたいのですが。
#26
○政府委員(本間達三君) この点は先ほども申し上げましたとおり、この犯罪は署名ができる方を前提にしている規定でございますので、できない方に不可能を強いるというようなことは、これは罰則の規定の性質からいって当然できないわけでございます。その点は全く問題がないと言ってはなんですけれども、当然罰則はかからないということでございます。
#27
○糸久八重子君 これは通告をしていなかったのですけれども、窓口の業務について確認をしたいことがございますのでお願いをしたいと思いますが、機関委任事務として市区町村の窓口事務については、前の二十三日の委員会で入管局長は、できるだけ早いマニュアルの作成や説明会、研修会の約束をされたわけですね。自治体への具体的な事務処理の内容の周知徹底の手順としては今考えておられることはありますか。
#28
○説明員(山崎哲夫君) まさに現在その手続が始まっているところでございまして、さきの衆議院で修正可決されましたところによりますと、十六歳に達します永住者及び特別永住者につきましては特別な経過措置が設けられまして、それは公布の日から施行されるということになりましたから、現在、法律が成立した場合にはその通達等を早急に地方自治体に発出すべく準備をしているところでございます。
 またそのほか、少なくとも韓国との約束で平成五年の一月までには新しい制度を施行しなきゃいけないということで、実際その事務は市区町村の窓口で行われるということも踏まえまして、登録事務一般の研修会でございますが、各研修会等が今開かれている段階でございますので、法案の内容、さらに成立したときにはどういうように事務が変わるということも説明をするなど、市区町村職員に新しい制度の周知徹底を図っているところであります。
 また、今後はマニュアルを制定する等しまして、できる限り前広に市区町村職員に知らせるとともに、研修会等を開催するべく準備をしております。
#29
○糸久八重子君 具体的に窓口で指紋が廃止されない外国人からの、なぜ私たちは指紋が廃止されないのだというようなそういう質問に対してどうやって答えるのか。それから、同じように指紋押捺が廃止される特別永住者とか永住者の方からも、代替手段の三点セット、どうしてそういうものを導入したのだというようなことを聞かれる場合の回答の方法、そういうような具体的な手引をぜひつくるようにお願いをしたいと思います。
 それから続きまして、署名の採用とか家族事項の登録などすべて自治体の事務増加となるわけですが、機関委任事務に要する経費というのは全額国庫負担で賄われるべきはずのものです。今年度の外国人登録事務委託費というのは九億円余り増額されているわけですけれども、これで超過負担が解消されたとはとても思えません。諸経費増については全額国庫負担で措置されるようにここでお約束を願いたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#30
○政府委員(高橋雅二君) これまで超過負担というものがないようにやってきたところでございますが、今後もこの機関委任事務が地方自治体にとりまして負担にならないように、それから特に新しい制度を設けることによりましてかえっていろんな事務とか心理的な負担がふえることがないように、これも重々心してやっていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
#31
○糸久八重子君 超過負担にならないようにしているとおっしゃいますが、地方自治体の方たちに伺いますと、かなりの超過負担があるということを言っております。したがって、私が先ほど御質問いたしましたように、国の負担でやはり全額賄うようにやるということを確約いただかないといけないのですけれども、その辺もう一度いかがでしょうか。
#32
○政府委員(高橋雅二君) 国の機関委任事務でやっていただいているわけですから、私たちとしてもそういう超過負担がないようにやっているつもりでございますが、それでもまだそういうことがあるというところがもしあるとすれば、これは我々の意図するところでございませんので、そういうことがないようにきちっとやっていきたい、こういうふうに考えております。
#33
○糸久八重子君 それでは、次の問題に移りますが、現在若年層を中心に労働力の流動化が起こっていると聞いております。労働省にお伺いしましたところが、年齢階級別転職入職率というのがあるのだそうですけれども、これが二十歳から二十四歳で、一九八九年、男性が一五・九%、女性が一三・二%、そして次の一九九〇年では男性一六%、女性が一六・四%と大変増加の傾向を示しているそうでございます。
 この若年層を中心に労働力の流動化が起こっているということは、外国人登録を行っている外国人についても同様と考えられますが、その辺はいかがでしょうか。
#34
○政府委員(高橋雅二君) そういう労働市場が非常に流動化しているということは、外国人の方々についても同様なことが当てはまるのではないかと思われます。特に、就労について制限のない方々についてはそういうような現象がだんだん起きているということは推察されるところでございます。
#35
○糸久八重子君 ところで、現行外登法において四条一項九号及び十九号で、職業、勤務所または事務所の名称及び所在地の登録を義務づけられておりますね。そして、九条一項で、職業、勤務所または事務所の名称及び所在地に変更を生じた場合には、その変更を生じた日から十四日以内に、その居住地の市町村の長に対し、変更登録申請書及びその変更を生じたことを証する文書を提出して、その記載事項の変更の登録を申請しなければならないとしていますね。
 今、局長も御答弁なさったように、労働力の流動化というのが大変今起こっておりまして、そして転職の機会が多くなる。転職というよりも職場がかわるというのですかね、職をかえるというのではなくて職場がかわるという機会が多くなるかと思います。そうすると、そのたびに申請を行うというのは大変煩わしいと思うのですね。この変更登録申請を行わない行為が罰則でなくて過料の対象であることを考慮に入れた場合でも、まだなおかつ煩雑に過ぎるのではないかと思いますが、その辺の見解はいかがでございますか。
#36
○政府委員(高橋雅二君) 外国人の居住関係及び身分関係を明らかにいたしまして外国人の在留管理に資するという外国人登録法の目的を達成する上に、外国人の職業及び勤務先も氏名、国籍、居住地等と同様に重要な事項であることから登録事項としておりまして、こうした事項に変更が生じたときに変更登録義務を課しておりますが、これは私たちとしては、外国人の公正な管理上その身分関係について常に最新の事項を把握しておく必要があるわけでございますので、煩雑であってもこのような義務を履行してもらう必要がある、こういう考え方に基づいているわけでございます。
 ただ、今先生の御指摘になったように、このように世の中が急激にいろいろ変わっているというときにあってこれは厳し過ぎるのではないか、こういう意見が先生からございました。私たちいろいろな陳情を受けた場合も、そういうことをおっしゃっている方もおられます。それから、この外国人登録法の行政目的と本人の都合といいますか、不便さといいますか、煩雑さというものをどこでバランスするかということが非常に問題でございまして、私たちとしては今のようなシステムがよろしいのではないかというふうに考えているわけでございますが、今後これを実施していく段階におきましていろいろ世の中も変わってくるでございましょうし、そういうことの段階におきまして今先生の御指摘のあったことなんかも十分念頭に入れて検討していきたいと思っております。
#37
○糸久八重子君 私どもの党は、衆議院に提出した対案の中で、登録事項から職業、勤務所または事務所の名称及び所在地を除くということを挙げたわけでございます。今の答弁の中にもあったような気もいたしますけれども、これらの事項を除くということを挙げたことについて政府はどのように考えていらっしゃるのか、もう一度お答えください。
#38
○政府委員(高橋雅二君) やはり本人の、この外国人登録法の目的を達成するという上で外国人の方の職業、勤務先も非常に重要な、国籍、居住地等と同様に重要な登録事項であり、また同一人性確認のための一助をなす意味においても必要であるということで登録事項として残している、こういうことでございます。
#39
○糸久八重子君 目的事項をもう一度見てみますと、その登録を実施することによって外国人の居住関係とか身分関係を明確にするということがありますね。そうしますと、それらのことについては勤務地以外のたくさんいろんなものを申告することがありますけれども、それでもってもう十分この目的は達せられると思うのですよね。
 それから、本会議のときの三石議員の質問の回答として、同一性の確認の一助をなすという意味からもこれは大事なのだというようなことの答弁もなさっているわけですが、同一人性の確認というのはそのほかのことでもって十分できることをもう今まで確認しているわけですからね。そういう意味からいうと、この職業とか事務所、それから名称、所在地なんというのは本当にこれは意味がないと思いますよね。
 それともう一つお伺いいたしますけれども、政府は、ある外国人が在留資格に反する就労をしていないかどうかを確認するためにもこの職業とか事務所の名称、所在地の登録が必要だとお考えになっていらっしゃいますか。
#40
○政府委員(本間達三君) 局長から御答弁申し上げましたとおり、勤務所、職業といった事項を登録事項といたしておりますのは、外国人の身分関係というものを明確ならしめようという法の趣旨に沿った措置でございます。
 その登録内容によって法に違反する状態というものが明らかになるという場合ももちろんございますけれども、本来の目的というのは、先ほど申し上げたとおり、当該外国人のもろもろの身分関係を明確ならしめまして、要するにどういう方が今日本において生活しておられるのかということを国としてきっちり把握しておくということから必要性があって認めているところでございます。また、それが同時にその方が当該本人であるかというようなことをいろんな角度から調べるという場合の一つの手がかりとしてもこの職業とか勤務所というものもまた役に立つんだというふうに私どもは考えております。
#41
○糸久八重子君 役に立つだろうということで、その在留資格に反する就労をしていないかどうかを確認するためではないということをここで確認をしておきたいと思います。
 それから、この勤務所それから事業所の問題ですが、登録事項とそれから登録証明書の記載との関係はどうなりますか。
#42
○政府委員(本間達三君) 職業とか勤務所またその所在地につきましては、登録証明書の記載事項としているところでございます。
#43
○糸久八重子君 登録証明書の記載事項になるわけですね、勤務所の場合は。
 今回、家族事項を証明書の記載事項から外しましたね、これの理由は何でしょうか。
#44
○政府委員(本間達三君) 外しましたという御表現を使われましたけれども、家族事項を登録証明書に記載すべきかどうかというのは、私ども立案の過程においては十分検討させてもらいました。
 いろいろ配慮はございますけれども、やはり家族事項と申しますと、中には当然他人に知られたくないような高度の個人のプライバシーにかかわる事項が含まれているということも私どもは考慮いたしまして、他人に見せることを一応予定しておりますところのこの登録証明書には記載しない方がよろしいのではないか。また同時に、これを記載するとした場合の技術的な問題というのももちろんございましたけれども、第一にはプライバシーという観点を特に考慮したということでございまして、したがいましてこれは登録証明書に記載しないで登録原票の方に記載して、必要があればそちらの方の記載を用いて目的を達しようということでございます。
#45
○糸久八重子君 御答弁の中に、家族事項はプライバシーに関係するからということをおっしゃっておったわけですけれども、家族事項もそれから職業及び勤務所も重要なこれはプライバシーだと思うのですね。そういう意味からいえば、当然次の見直しのときには勤務地の問題についてはこれは除くのが当たり前だということを強く私は申し上げておきたいと思います。
 それから、外国人の登録情報そのものは電算機器の活用で現在では容易に事実上の把握ができておりますね。コンピューター化で個人情報の管理をするということは、これは決してよいことだと思っておりませんけれども、現状はそうなっているわけです。現場ですぐに本人確認しなければならない必要が仮にあるとしても、職業とか勤務所まで外国人登録証明書に記載していなければその本人と特定できないという理由はとても考えられないわけですね。
 大臣は、御答弁の中で血の通った行政をということをよく強調されていらっしゃるわけですけれども、この職業、勤務所の登録の義務づけを廃止の方向で今後御努力を願えますかどうか、大臣、いかがでしょうか。
#46
○国務大臣(田原隆君) 私も毎回お答えしておりますように、血の通った、外国人の立場に立った運用をしてまいりたいという観点から、今回の法律を適用してみていろいろなことがわかると思いますので、次回のための、今度の見直し時期のための参考にし十分考慮してまいりたい、こういうふうに考えております。
#47
○糸久八重子君 それでは、最後になりますけれども、この外国人登録法抜本的見直しの必要性について大臣にお伺いをさせていただきます。
 先日、参考人の御意見で、外国人登録法は撤廃して住民基本台帳に準じた制度を制定し、外国人への行政のあり方の改善を要望するという声がございました。また、他の参考人の方々も、外国人の人権に配慮した制度にすることについて共通の認識が述べられたところでございます。
 この外国人登録法というのは、これからの日本が百万人を超える在留外国人とどう共栄共存を図っていくかという問題につながる重大な政治的な課題であると思います。衆議院で一部修正、そして附帯決議をつけられましたけれども、私は見直し条項ぐらいは当然附則に入れるべきものという意見を持っております。
 審議の過程で多くの問題点が挙げられましたが、早期見直しはこれは必至でございます。政府が本当にやる気があるのならば数々の問題点すべてに前向きに対応していくところであろう、そう思いますし、またそのためには積極的に附則として見直し条項を加えるべきであると思います。このことは、大臣、重く受けとめて、速やかな改善について努力されるように強く要望したいところでございますけれども、大臣のお言葉をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#48
○国務大臣(田原隆君) 一番根本は外国人の人権に関することだろう、集約していけばそういうふうに思いますが、このことについては私は厳重に受けとめ、職員各位もみんな同じ考えでございますし、いろいろな登録に関する書類の管理等につきましても厳正公正にやりたいと思っております。
 この制度の見直しについては衆議院の附帯決議で五年というふうになっておりますが、これは十年一昔と申しますけれども、その半分の五年で見直そうという精神ではないかと私はそんたくいたしますが、先生のおっしゃる気持ちをよくそんたくしながら、さらに一層の勉強をし研究し検討し、前向きの行き方でまいりたい、このように考えております。
#49
○糸久八重子君 ありがとうございました。
 終わります。
#50
○北村哲男君 社会党の北村でございます。
 本案は、ちょうど一カ月前の四月二十日の本会議で我が党の三石議員が趣旨説明に対する質疑を行い、同日当委員会に付託されました。以後、約一カ月間委員会審議を行ってきているわけですけれども、五月十二日には参考人に対する意見聴取が行われ、その後十四日にも質疑が行われました。本日は、社会党として私最後の質問になると思いますので、できるだけ重複を避けて、主として罰則問題についてお伺いしていきたいと存じます。
 その前に、前回、委員会の午後の冒頭に大臣の訂正発言がありました。それは、深田議員の質疑に対して、たしか参考人の意見は聞いてない、あるいは委員会でのこういう傍聴に来ておられる方々の多くの集会について何も聞いていないという発言を午後に訂正されたように私は聞いたのです。それについてまあ深田議員が質問しているときに聞いていないということになれば、それはそれで次の質問は重なるのですけれども、質問が終わった後で訂正されましたら、その前の質問の趣旨が随分違ってくるとも思うのです。まず、その辺についてどういうことであったのかの釈明を求めたいと思います。
#51
○国務大臣(田原隆君) 私が聞いてないと申したことを正確に表現しますと、きょうの参考人のあれはこうでしたという時間を設けて一人一人のことについてお聞きしてどうだという時間は持たなかった、そのとき時点では、そういう意味であったわけです。当然政府委員である入管局長は立ち会っておりまして、そのことを含んで、きのう大臣はどこどこの委員会に出ておりましたが、私が代理で出て聞いておりましたので、それを踏まえてきょう答弁させていただきますという話は聞いておりましたので、そういう意味でならば、それを聞いた内容をもって私に説明しておりますから、当然、結果的には私はそれをそういうふうにお答えすべきであったわけでありますけれども、先ほど申しましたように正確をちょっと欠いた点があったことをおわび申し上げたわけであります。
#52
○北村哲男君 それにしても、訂正の際にはせめて質問した当事者に事前に訂正をされる旨の説明なりをされてからしていただきたかったと存じます。今お聞きしますと、まあその後の質問ががらっと変わるような趣旨ではないように聞きましたのですが、私ども非常に奇異な感じを受けたということがありましたので、一言釈明を求めた次第であります。
#53
○国務大臣(田原隆君) いろいろ不都合があったことはおわび申し上げます。今後気をつけて運営してまいりたいと思います。
#54
○北村哲男君 それでは本論に入りますけれども、かねてから問題の多い外国人登録法における罰則の問題です。
 政府の基本的な考えは、法的地位の相違から、外国人の居住・身分関係を把握して管理する行政上の必要が日本人の場合より高い、したがって各種登録義務違反の罰則が戸籍法などの届け出義務違反に対する罰則と異なっても合理的な差異であるというふうな説明を言っております。またあるいは、単に行政上の過料といった行政罰ではなくて、違反すれば日本の国益にかかわる、秩序を乱すおそれがあるということで、それを抑止するためには刑罰という制裁をもって間接強制をしていくことが必要であるということを衆議院の四月十日の質疑でも言っておられると思います。
 外国人登録法の目的を、政府のおっしゃるように管理にウエートを置くのか、それとも私どもが常に主張しているように外国人に対する行政サービスのための法律、外国人から見れば義務の体系ではなくて権利の体系として再構築していくのか、その基本的スタンスによっても違いは出るかもしれませんけれども、国際化社会における日本のあり方を踏まえて、外国人人権の最大限の尊重という立場に立って考えてみると、現在でも共通の認識からの改善は可能であるし、あるいは政府にもそのための努力を要望したいと思います。
 そこで、まず大臣にお伺いするわけですけれども、先日の参考人の御意見でも、自由刑はもとより、不携帯についての過失まで二十万円以下の罰金とされている外国人登録法の罰則は重過ぎるのだ、私どもの党が対案でも示しているような行政罰である過料とすべきであるとの見解が床井参考人あるいは姜参考人から示されました。今回の改正ではこの罰則についてはほとんど触れられておらないわけですけれども、現行法における量刑体系についての政府の基本的認識、すなわち衆議院の附帯決議でも「適切な措置を講ずる」というふうなことを言っておられますが、政府としてもこれを積極的に見直し、すなわち過料制度への移行ということについての姿勢を示していただきたいと思いますけれども、まず、その辺についての大臣の基本的な認識をお伺いしたいと存じます。
#55
○国務大臣(田原隆君) 外国人の居住関係及び身分関係を明確にすることによりまして在留外国人の公正な管理に資するというのがこの外国人登録法の目的でありますが、この目的を達成するためには、外国人の居住関係及び身分関係、特に当該外国人が適法な在留者であるかどうか、許容された活動を逸脱していないかどうかをある現場において即時に把握することがやはり入国管理の立場から見ると重要であると思います。
 そのために登録証明書の携帯義務を外国人にお願いしておるというわけでありますが、したがってその履行を確保するためには現行法どおり刑罰により担保するのが必要であるというのが現在の考え方でございますけれども、現場における把握の観点から見て、不携帯であった場合に、その原因が故意によるものかどうかというようなこと、あるいは過失によるものかどうかというようなこと等によっていろんなことがあるかもしれませんが、その必要性には差異はないのでありますけれども、いろいろ事情があるでしょうから、運用に当たっては弾力的、常識的、そして外国人の立場に立った運用をさせていただくということで、罰則については将来の問題にこの際させていただきたいというのが今までのお願いでありましたが、先生の御意見よく肝に銘じて、ここにおる者、政府委員もみんなよく数回の先生の御質問についてはわかっていると思いますので、そういう方向で肝に銘じてこれから運用してまいりたい、このように考えております。
#56
○北村哲男君 衆議院においても修正で、この法律の公布日から施行日の前日までの間に十六歳に達した永住者などには指紋の押捺を要しないということも確かにしていただきました。これは結果として私どもの社会党が対案として出してきたことの措置と同じなのですけれども、対案では当初からそのようにしておりましたし、また私どもの党が一九八七年、百九回国会に提出した改正案でも指紋押捺拒否及び外国人登録証明書携帯義務違反などに対する行為について刑罰はもう廃止したいのだ、するべきである、あるいは改正法施行後処罰されないこととする経過措置を提案したところであります。すなわち、我が党の基本姿勢は、いつでも政府原案よりははるかに当事者の立場に立った血の通った仕組みとしてきておるわけです。今の大臣のお言葉、また政府の立場ということは確かにあるかと思いますけれども、その辺の接点を求めて、さらなる法改正へ向かって努力をしていきたいと思っておるわけです。
 さて、それで次に、今回衆議院で居住地等の変更登録義務違反に係る罰則について、自由刑を廃止して罰金刑のみとする修正をしております。それはそれとして評価をするわけですけれども、外登法から自由刑を廃止したわけではなくて、罰則としての罰金でありますから、私たちの過料に改めるべきであるという考えとはまだ大きくかけ離れていることは御承知のとおりであります。
 今回の修正で自由刑の廃止されるものは、居住地変更登録の申請をしない者及び外国人登録原票の記載事項のうち氏名、国籍、職業、在留の資格、在留期間または勤務所もしくは事務所の名称及び所在地の変更登録をしない者に対する罰則のみであります。さらに、今回新設される不署名罪等については依然として一年以下の懲役もしくは禁錮、二十万円以下の罰金が科されておるわけです。
 政府の言われるように、刑罰法規相互間あるいは同一法内のバランスなどからいえば、仮に妥当性があるにしても、外登法の罰則規定については今の国際情勢あるいは社会経済情勢の変化等に対応して基本的に見直すべき時期に来ていると思います。しかも、衆議院では附帯決議が行われて、当委員会でも今私どもで附帯決議の具体的な検討をしておりますけれども、その点について大臣の方から、もう一度今後の問題について御見解を確認しておきたいと思います。
#57
○国務大臣(田原隆君) 詳細にわたる実務上の問題がありますので、まず最初に政府委員からお答えして、後で私からお答えいたします。
#58
○政府委員(本間達三君) 現行外国人登録法上にありますところの罰則につきましては、これは当該違反行為の悪質性の程度とかあるいは当該違反行為を抑止することの必要性の程度、そういった観点からそれぞれ適正なものとして刑罰規定が設けられているわけでございます。私どもこの法案を提出するに際して、この罰則関係について一応見直しはしておりますけれども、この段階におきまして特に変更しなければならないような不合理、あるいは重罰に過ぎるといったものはございませんでしたので、その点につきましては特に改正案の中には盛り込まなかった次第でございます。
 しかしながら、衆議院におきまして一部修正を施されてきたというような事情もございますし、また附帯決議の中で罰則の見直しということがうたわれました。そういう点は我々といたしましても十分これを尊重して、今後、他の罰則規定との権衡の問題、あるいはこの外国人登録法の中の罰則相互間の軽重の問題含めまして、全体的に罰則について検討していく必要があるというふうに考えているところでございます。
#59
○国務大臣(田原隆君) ただいま政府委員からお答えいたしましたように、この罰則については、全体のバランスとか原状を踏まえて、現在これがぎりぎりのものであるということで出させていただきましたが、運用については、先ほど来申し上げたようなことの繰り返しと同じようなことになりますけれども、将来これを適用してみて、さらに深くいろんな情報もわかってくるでありましょうから、バランスその他について考えてみて、附帯決議等に合致するような方向で検討してみなければならない、こういうふうに考えております。
#60
○北村哲男君 ただいまの大臣の御発言で、運用について大いに配慮をするという言葉を再三言われております。確かに法律改正の第一歩と申しますか、運用をしてそれで支障がなければ、さらにある程度の法律的な、いわゆる法改正の基礎というか社会的基盤ができるということで、新たな法改正ができるということで一歩の前進だと評価いたしたいと思います。
 ところで、今抽象的にいろんな罰則間のバランス、あるいは他の法律との間のバランスという話も出てきましたので、具体的にこの十八条の問題について聞いていきたいと思います。
 十八条というのは外登法の罰則の規定であります。外登法は罰則を十八条及び十八条の二、そして十九条という三つの条文で規定しております。
 まず、最初の十八条というのは一番重い刑で、一年以下の懲役もしくは二十万円以下の罰金ということで、十項目にいわゆる犯罪の種類、犯罪の類型を分けております。
 十八条の二というのは、これは単に二十万円以下の罰金ということで、やや軽いと思われるものについてやはり四項目に犯罪類型を分けております。
 そして十九条では、これはまさに軽いということなんでしょう、突然法律の質を変えて、それまでは刑罰として懲役または罰金、すなわち強制捜査の対象になる、今まで問題になるという法律であるけれども、十九条では突然民事罰、いわゆる過料にしてあるわけですね。そこでもう既に体系が大体同じ種類のものについてがらっと変えているということで、やはりその法律間の矛盾があるということをまず大きな面では指摘しておきたいと思うのです。
 それで、まず、十八条全体を最初に聞きたいのですが、十八条の第二項に、これら十ほどの犯罪類型については「懲役又は禁錮及び罰金を併科することができる。」というふうにわざわざ規定してあります。これは刑法の一般原則によると、懲役と罰金は併科するという、刑法四十八条に当然のこととして原則は規定してあるのですけれども、これをあえて「併科することができる。」というふうに規定してあるのはどういう趣旨なんでしょうか。
#61
○政府委員(本間達三君) 併科するという特別な規定がございませんとこれは併科はできないわけでございますから、原則的には第十八条の第一項で「一年以下の懲役若しくは禁錮又は二十万円以下の罰金」という、この中から選択をするということが原則であります。ただ、その当該犯罪の情状といったものを加味した場合に、単に一年以下の懲役もしくは禁錮または二十万円以下の罰金というような選択では不十分という事案があることを予想し、そういう場合につきましては懲役または禁錮プラス罰金といった重い科刑をすることもできるというのが第二項の趣旨でございまして、要するに罪状の特に重いものについてはそれなりに考慮をした科刑ができる余地をこの規定は置いたというふうに理解しております。
#62
○北村哲男君 ということは、最高一年の懲役ですから、それでは貯えないというふうなことをいうのでしょうか。あるいはそのほか併科の必要性、例えばどういう場合に併科がされておるのかということは説明できるでしょうか。
#63
○政府委員(本間達三君) 具体的にその併科をした事例があるかどうか私どもちょっと承知はしておりません。
 一般論として先ほどのような御説明を申し上げたわけでありますが、この併科をしなければならないような特に重い事案というのがどういう場合をいうのかというような御質問であるとすると、ちょっと私どもも今ここで即答はしかねるわけでございます。どういう場合に併科するのかというのは、まさにその衝に当たる司法関係当局の判断でございますので、責任を持ってお答えするという立場にはございません。
#64
○北村哲男君 その辺はよろしいと思います。
 それでは、十八条一項一号を見ていただきたいと存じますけれども、この一項一号は、衆議院で修正前は五つの犯罪類型を規定してあるわけですね。一つは、入国後九十日以内に登録を申請しなかった者、すなわち三条ですね。二番目に、登録証を紛失あるいは盗難によって失った場合に十四日以内に再申請をしなかった者、これは七条の規定です。三番目に、居住地を変更した者は十四日以内に変更申請しなければいけない、これは八条。次に、氏名、国籍、職業等を変更した場合に十四日以内に申請しなければいけないというのが、これは九条です。それからもう一つ、十一条として、五年目の切りかえ時期に三十日以内に確認申請をしなかった者、これを一つにまとめてこれを申請しなかった者が一年以下の懲役、二十万円以下の罰金にするといっていますね。
 そこで一つの問題は、入国して九十日という長い間にしなかった者、これは確かに基本的なものでありますから大きな問題でありましょう。しかし次の二番目に、一たんもらったものを紛失するとか、あるいは居住地を単に変更したとか、そしてまた切りかえ時に、あるいは職業を変更したからやり直すというのとは本質的に違うと思うのです。期間としても一つは九十日の余裕がある、片っ方は十四日しかない、これを同列に置いたという、そういうものをこれはまずいと気がつかれて修正されたかもしれませんけれども、これのバランスは一体今までそうじゃないって確信を持って出された法務省当局が、同じ類型の、同じ可罰性のある、同じ違法性のある犯罪類型としてお考えなんでしょうか。その点について、まず修正前の確信を持って出された法務省当局の御意見を聞きたいと思います。
#65
○政府委員(本間達三君) 先ほど私申し上げましたとおり、見直しの結果として、現行の罰則については特に変更を加える必要がないという結論に達したということを申し上げました。その意味におきまして、先生御指摘のような幾つかの類型の犯罪というものは、それぞれその重さについておおむね同一のものというふうに理解し得るというのが私どもの当時の結論でございました。
 衆議院におきまして一部修正され、自由刑の規定を適用しないといいますか、罰金のみの罰にしたということにつきましては、衆議院の御判断でございますので、私どももそれはそれとして十分理解し、それに従うべきものと今は考えているところでございます。
#66
○北村哲男君 今の御説明、ちょっとはっきりしません。というのは、自分たちはそうじゃないけれども、衆議院の判断がそうだったからそれに従ったというふうな言い方、これでは今後の見直しについての基本的な姿勢が問われると思うのですよ。やはり率直にそうである、もっともであるというふうに、そしてこの例に従って再度見直しをするのだということをはっきりと方向として出していただきたいと思うのですね。その決意を示していただきたいと思うのですが、それはいいでしょう。
 ところで、確かに八条一項と二項そして九条一項は削除されました。そして、次のより軽い類型に持っていかれたことはありますが、九条の二の一項を逆に入れておられますけれども、その点については再度検討する対象になるかどうかについての御意見を伺いたいと存じます。
 九条の二の一項というのは、永住許可を受けた場合の変更等の登録ですね。それはいかがでしょうか。なぜ入れたのか、ここに残したのか、そして再度検討の対象になるものかどうかについて、御意見を伺いたいと思います。
#67
○政府委員(本間達三君) 九条の二の一項の違反と申しますと、新たに外国人が永住の許可あるいは特別永住の許可を受けて登録事項に変更が生じた、そういう場合に変更申請の義務を課しているわけでございます。それに違反したということによる罰則でございますが、事柄の性質といたしまして、やはりその法的地位の大きな変動でございますので、登録行政上は極めて重要な事項の変更でございますので、これはこの程度の刑罰をもって義務の履行を強制するということが適当であるという考え方でここに入れた次第でございます。
 先生の御指摘は、それと同時に、新たに加えたという事項についても今後見直しの対象としていくのかと、こういう御質問かと思います。私どもはこれが適当だという確信を持って法案を提出させていただきましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、衆議院における附帯決議の趣旨というものを十分尊重いたしまして、今後全般的に、どこを除くということではなくて、全般を検討していくというつもりでございます。
#68
○北村哲男君 それでは次に、十八条一号と二号とを比べてみたいと思います。
 この一号というのは今言ったように、単に申請をしなかった者、途中切りかえをしなかった者という、いわゆる不作為犯といいますか、不作為によってしなかった、サボった者、しないというかサボりにすぎないかもしれません。
 ところが、第二号は、同じ先ほど伸した五つの類型について、これに関して虚偽の申請をした者というのが十八条二号の規定であります。虚偽の申請をするというのはうそを言った者ですね。登録証というのは役所のつくる公正証書あるいは公文書でありますから、それに対してうそを言うということはこれは確かに公の秩序を害する、あるいは行政の秩序を乱す不法な行為だと思います。違法性も可罰性も十分にあります。
 一号と二号を比べますと、一方は単に不作為犯、片っ方は作為犯、しかも国家に対してうそを言うという虚偽犯で、これは犯罪が質的に違うと思うのです。それについて全く同列に置くというのもこれも私は腑に落ちない。
 それで、ちなみに日本の戸籍法を見てみたいと思います。戸籍法は、ほとんどのこの外登法にかかわるものは全部過料で終わっているのですけれども、唯一日本の戸籍法の百二十四条では、虚偽の届け出についての罰則というのがあります。これは、「戸籍の記載を要しない事項について虚偽の届出をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」というのがあります。唯一の懲役刑ですね。これは確かにそのとおりです。戸籍にうそを言ったらこれはもう困ると思うのですよ。
 だから、それからいうと、そのバランス上、確かにこの規定は必要だと、まあ必要であるならば必要であると思うのですけれども、私は今これそのものが云々じゃなくて、バランスの問題として、一号、二号を同列に置いたのは一体どういうことなのか、別格のものを、犯罪類型とか違法性とか可罰性とか全然違うのじゃないかと思うのですけれども、その辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#69
○政府委員(本間達三君) 先生御指摘のように、あえてうそをついて申請をしたのと何もしないのとどっちが悪いのか、こういうことでございますが、行政の立場から申せば、どちらもやはり公正な外国人の管理という面からいきますと、結果的には同程度に重い罪であるというふうに考え、その結果として、同じ罰条の中に、罰条といいますか、同じ十八条の中に規定したというふうに理解しているわけでございます。
#70
○北村哲男君 それで、衆議院の修正では、この部分の八条の一項と二項、九条の一項、これを外していますね。同じく同列に扱って、これを単に罰金にしていますね。私はこれは、それは低くするのは低くして、私は別に反対じゃないのだけれども、バランスからいって、十八条一項一号の八条と九条をのけたことと、二号の八条と九条をのけたのは、質的に違うと思うのです。それはちょっと安易過ぎるような修正ではないかというふうに考えるのですけれども、その辺についての御意見はどうでしょうか。
 はっきり言えば、片っ方を外すんなら片っ方は残しておくぐらいの、それぐらいのことはやはり考えるべき犯罪類型ではないかと思うのです。
#71
○政府委員(本間達三君) この罰則の修正は、衆議院の方でこれは独自の御判断でお決めになりましたので、これについて今どうこうと言う立場でもございませんが、先生の御指摘のような考え方というのもあるいはあるのかもしれません。いずれにしましても、衆議院の御判断でございますので、我々はそれを尊重すべきと考えております。
#72
○北村哲男君 衆議院が勝手にやったと言わんばかりのお言葉でございますけれども、やはりその辺は再度検討されるときには十分考慮して、私どもは抽象的に今まで他の法律とのバランス、そしてこの法律の中のバランスということを言っておるのです。しかも、その辺の中身についてはちょっと調べてみますと余り今まで論じられなかったので。そういうふうな矛盾も出てきているということを十分御承知の上、刑の均衡というのはやはり法律の中で最も大事な問題でありますので、ぜひその辺を考慮に入れていただきたいと思います。
 それからもう一つ、十八条の三号というのがありますが、これは突然また変わったもので、今までと同じような犯罪類型について、それまでは本人が申請しなかった、次は虚偽の申請をした、その次は突然「妨げた者」というふうに第三者が出てくるのですけれども、これもやはり同列に置くべき性質のものなんでしょうか。それまでは本人、外国人自身、次は妨げた者というのは、例えば私が、おまえ、そんなのまだこういう法律はつまらぬからやめておけというふうにもしやったとしたら、突然懲役一年かと。第三者すべての者を含むことになるのかどうか。その点についての解釈をお願いします。
#73
○政府委員(本間達三君) 妨げた者すべてを含むかと、こういう御趣旨でございますけれども、現実に構成要件の妨げた者というものに当たる者であれば、その人が外国人であるか日本人であるかということを問わず、この規定の適用を受けるということでございます。
#74
○北村哲男君 ちょっと語尾がはっきりしないのですけれども、要するに内外人を問わず妨げた者についてはすべてというふうに聞いてよろしいわけですね。
#75
○政府委員(本間達三君) 構成要件上は国籍による区別はございません。
#76
○北村哲男君 法律はそのとおりですけれども、突然異質のものが入っている。それまで一号、二号は、これは国籍を問わずというお話にはならないと思いますね。これはやはり外国人というふうにしか読めませんのでね。その点についての、異質の条項が入っているということの指摘をしておきたいと思います。
 それから、第三条四項の規定に違反した者というふうなものがあります。これは、第三条四項というのは、登録申請を重ねてしてはならない、二回してはならないという当たり前といえば当たり前の条項なんですが、それをあえてまた書くことすら不思議なんですけれども、何かそういう犯罪的な類型があるのかなと思うのです。戸籍を二回する人とか、住民票を二回もする人というのは滅多にいないし、あるいは結婚届けを二回する人、これはもう行政的にチェックされますよね、二重結婚はできないわけですから。ですから、あえてこれに違反した者を最も重い刑罰に処すということの意味がよくわからないのです。というのは、これは技術上の問題で解決できるのではないだろうか。すなわち、窓口でチェックできるとか、今はコンピューターにどんどん入っていますから、ぽんと押せば、ああ、あなたはもう一回しているからこれはだめだよとできるのに、そういう単に技術的なものであるのにかかわらず、最も重い犯罪類型に入れてあるのはどういうことなんでしょうか。
#77
○政府委員(本間達三君) 窓口における事務が二重登録を防止できるような完全なものであればこういう犯罪は起こらないのではないのかという御趣旨がと思いますけれども、かつてはこの種の二重登録というのが非常に多かったわけでございます。例の指紋押捺の採用ということの一つのきっかけになりましたのも、こういった二重登録の防止ということがまた一つは考えられたというふうに私どもは承知しておるところでございます。
 また、先生、二重結婚というのは戸籍の方で受け付けないからこれはないのじゃないかということでございますけれども、刑法上重婚罪というものもあることは先生よく御承知のとおりでございますから、制度が完備いたしましても、何らかの手違いとかそういうことで受け付けられて二重の結婚状態が生ずるということも一応前提とした上でやっぱり罰則というのも、刑法上の規定というのはできているというふうに私どもは理解しているところでございます。
#78
○北村哲男君 確かにわざわざ規定してあるからにはそういう類型があったとは予想はしているのですけれども、しかし、今はもうコンピューター処理になっていると思うのです。行政的にチェックできて、またしかも、現在そういうものがどのくらいあるかということも私は聞くまでもないのですが、それをお調べになると、そういうものはもう恐らくわざわざ重罪にしなくても済むような形で処理できるような感じもしますので、これあたりもやはり検討の対象になるのじゃないかと思います。
 余りくどく言っていると時間もたってしまいますので、ちょっと急ぎたいと思いますが、十八条六号でも、一つの条項の中に単に登録証を受領しない者とそれから受領を妨げた者というふうに、不作為的な者とあるいは妨害した者を二つ規定してあるのです。これもやはり問題があるというふうに考えるのですけれども、その点についての御意見はいかがでしょうか。
#79
○政府委員(本間達三君) 登録証明書の受領を拒否したりあるいはこれを妨げたり、こういう犯罪に問題があるということは、十八条の刑罰を科するには軽過ぎるんではないかという御趣旨かどうか、先生の問題があるとおっしゃったちょっと御質問の趣旨が不明でございますけれども、登録証明書と申しますのは携帯制度と結びついておりますが、常時携帯制度によりまして現場において外国人の身分関係、居住関係を即時に明らかにするというその重要な携帯制度の根幹をなすのがまず登録証明書を受領していただくということから始まるわけでございますから、したがって、その受領は確実にしていただきたい、こういうことから、この程度の重い刑罰をもって強制するということが適当であるという考え方からこの六号というものが定められたものと理解しております。
 受領妨害についても同趣旨でございます。
#80
○北村哲男君 私が言った質問の趣旨は、単に受領しないというのは不作為的なものである、しかし妨害をするというのとは別ではないかという、ちょっとそういう気持ちもあったのですけれども、御回答でそれはよろしいです。
 ところで、この受領をすることは非常に大事なことだというふうにおっしゃったのですが、十三条では受領とそれから常時携帯、そして提示、すなわちこの大事な三つの義務というのを定めております。受領義務、それから常時携帯義務、そして提示義務。ところが、その中で受領義務と提示義務はこの六号、七号で重罪を科しておるのですけれども、常時携帯義務は突然十八条の二にいって罰金だけだというふうにしてあるのです。これはどういうバランスを言っておられるのでしょうか。一番大事なとおっしゃっている常時携帯義務が突然懲役刑から外れているわけですね。提示義務、そして受領義務だけは重いというのは一体どういう形になるのでしょうか。
#81
○政府委員(本間達三君) 携帯しなかったという罰が一段低く評価されているという意味をお問いになっているかと思いますが、もちろんその携帯を強制する必要がございますけれども、当該犯行といいますか、不携帯に至る事情にはさまざまな事情が一般的には考え得ると、うっかり忘れてきたというような事例もありましょうし、確信を持って主義主張から持って歩かないという方もおられるかもしれません。そういう意味で情状の幅というのはいろいろあるかもしれませんけれども、概してうっかり忘れるという事例が多いのではないかというようなこと、そういう犯罪の実態というものを考えますときに体刑をもって処するということはいかがなものかという観点から罰金のみで十分というのが現行の考え方というふうに理解しております。
#82
○北村哲男君 これは、こういう論争は言っても別に結論が出るわけじゃなくて、恐らく平行線になると思うのですけれども、しかし受領しないのだって同じ理由が言えるわけですよ。どういう事情、病気で行けない場合だってありますし、何だってその事情はさまざまあるわけです。しかしそれで、受領は常に持っていなければいけない前提として重罰を科するのに、その後の携帯義務についてはいろんな事情があるからさらに下げるというのも、バランス上の問題からいったらちょっとその辺はもう一回再検討の必要があるかなと、首をかしげておられますけれども、やはり検討の対象にしていただきたいと思います。
 それから、もうこの辺はそろそろ終わりますが、十八条の二はそれに類したやや程度が低いものというふうにお考えになっているものと理解しますが、十九条は突然行政罰、過料ということになっております。例えば、これは自分で申請に行けない人の場合は親がかわりに行く、病気の場合に行けないから親がかわりに行く。そうするとその親が、すなわち代理人ですね、行った人が登録書を受領しなかった。これはまさに今の本人が受領しなかったのと打って変わって、親がかわりに行って受領しなかったら今度は重罰じゃなくて、そんな大事なことでも単なる過料だというふうに規定しているということになるわけですね。それは確かに第三者だから軽いかもしれませんけれども、なぜ私が言うかというと、その親がとってこなかった結果、本人がもし外に出て、前の事例からいえばおふろ屋でもいいです、あるいは運動会でもいいです、なしで行った場合、見せると言われたときにない、不提示あるいは不携帯という罰則に問われるわけですね。そうしたら、その前提たるとらなかったことは、過料じゃなくてもっと重く、絶対持っていかなければその後の人は迷惑をこうむるのだよ、大変なことになるのだよということでしなければいけないのに、そういうふうにバランスを欠いているじゃないですか。
 その点について、私は全部過料でいいと思うのだけれども、片や過料、片や懲役というふうな、こんなになっちゃうわけですね。その辺はどうでしょうか。
#83
○政府委員(本間達三君) 代理人による犯罪といいますか、代理人が犯した犯罪でございますが、代理人が受領等の行為をしなければならなかった事情というのはいろいろあるかもしれませんが、問題はやはり御本人にあって、そこから一定の身分関係あるいは同居関係、そういったところでその代理人が十五条で規定されますようないろいろな義務を本人にかわって行うという場合でございますから、本人がみずから自分のことを違反する場合と頼まれた人がこれをする場合というのでは、やはりその違反に対する制裁というのはおのずと差があってしかるべきだと一般に考えられております。そういう意味で、本人と全く同じような刑罰をもって科すというふうなことはやはりバランスの点から問題があるということで、この場合には行政罰である過料ということで処したものというふうに理解しているわけでございます。
 それから、不携帯との関係で御質問でございますけれども、正規に登録証明書というのを本人が受領できない、入手していないという場合に、持ってないものを持ち歩けないという意味では、やはり不携帯の罪そのものが成立するのかどうかがまず問題になるだろうと思います。ただ、いろいろ切りかえとかそういうことになりますと旧の登録証明書というのを持っておられますから、そういう意味でその携帯義務というのは依然としてございますから、罰則の関係では特に不合理な問題が出るということにはならないんではないかというふうに考えております。
#84
○北村哲男君 いずれにしても、この刑罰というのはいろいろ問題があるということで、今後の改正に向けては一番やはり、大きく分ければ、一つは、自由刑から行政罰への移行の大きな思想的な変化、それからもう一つは、万一あるにしても、刑罰というふうにしても、より軽くそしてよりバランスのとれたものを検討するという方向でぜひ検討していただきたいし、また恐らくそれについては異議がないと思います。それは、そういうことでみんな、衆議院においてもまた当参議院においても、ともに接点を求めて議論を繰り返してきたところであります。
 刑罰の問題についてはこの程度にしておきたいと存じます。
 ところで次に、衆議院において附帯決議がなされました、かなり重大、重要な附帯決議がなされましたが、その中身について少しわかりにくい点もありますので、説明を求めていきたいと思います。
 衆議院の附帯決議については、大臣は非常に重く受けとめていると本院においても再三答弁しておられます。当委員会でも各派共同提案で附帯決議を付すことになろうかと思いますけれども、当委員会でも決議された場合はさらに一段と重く受けとめていただけると思います。
 さて、外国人登録法の見直しについて我が党が要望したいことはもう本当にたくさんありますけれども、幾つかに絞ってお伺いしていきたいと存じます。
 まず、衆議院で「施行後五年を経た後の速やかな時期までに適切な措置を講ずる」というふうに附帯決議は決めておりますけれども、政府の受けとめ方あるいは御認識をお伺いしたいと思います。
 この見直し時期については早いにこしたことはないのですけれども、御説明によると、今回の切りかえ施行後一巡するのに五年かかるのだから、五年をめどとして、あるいはそれから、しかるべき速やかな時期までにとにかく再検討するのだというふうに言っておられます。特に日本語としては非常に難しい、「五年を経た後の速やかな時期までに」という非常に言葉が重なっておるのですけれども、その辺についてはどのような御認識をしておられますでしょうか。
 もうはっきり言えば、こちらとしては五年後一年以内というふうに区切っていただきたい、五年以内だと問題があるなら。だからまず第一に一五年をめどというふうな言い方にするとなぜまずいのか、あるいは五年以内だったらなぜまずいのかというお考えを一つと、それでその後どのぐらいを我々は頭に入れておけばいいのかという二つの点について御説明を願います。
#85
○政府委員(高橋雅二君) この五年という数字が出てきた背景には、今、先生御指摘になりましたように、新しい制度に切りかえるには五年かかるということでございまして、五年たてばすべての人が一巡して新しい制度に移るということで、そうすればいろいろな経験を積むこともできるし、いろいろな情報も得られるであろう。また、新しいシステムに全員が切りかわらないうちにまた制度を変えるというのも問題があるということで五年というのが出てきたかと思います。しかし、五年がたてばそういう経験があるわけですけれども、それに基づいて検討するに当たっても、ふだん検討はずっとやるわけでございますが、五年過ぎてから余り時間がたってもいけない、しかしその時間というのは今からなかなか特定しにくいということがございまして「五年を経た後の速やかな時期」ということで、この「速やかな時期」というのは、五年を経た後の余り長期にわならない、不必要に長期にわたってはならない、できる限り短い期間、必要な限度での短い期間というふうに考えております。
 それでは、じゃ「五年を経た後の速やかな時期」というのと五年をめどというのはどう違うかということでございますが、言葉だけで申しますと、「五年を経た後の速やかな時期」という場合には、五年の期間が経過した後のできるだけ早い時期という期間でございまして、五年の先の話でございますが、五年をめどといいますと、五年という期間を中心としてそのときまでにというふうに理解しておるわけでございまして、五年程度を目標としている、こういうことではないかと思います。
 いずれにせよ、その後に「までに」ということがございますので、それまで何もやらなくてもいいということではなくて、一応とにかくそこにターゲットを設けまして検討を進める、こういうことであると理解しておるところでございます。
#86
○北村哲男君 わかりました。
 そうすると、私どもとしては五年たてばとにかく一巡するから待とう、しかし五年たったらもう本当に速やかな時期に改正作業に入るというふうに頭に入れておいてよいということですね。
#87
○政府委員(高橋雅二君) 最小限そういうふうに考えております。
#88
○北村哲男君 それから、「適切な処置を講ずる」というふうに附帯決議の第一項に書いてあります。「適切な措置」というのも非常に抽象的な言葉でありますけれども、これは指紋押捺制度の全廃あるいは常時携帯義務の再検討というものを含めているかどうかを明確に答えていただきたい。
#89
○政府委員(高橋雅二君) 一項にいいます「適切な措置」といいますのは、ここに書いてございますように、「外国人の人権を尊重して諸制度の在り方について検討しこということでございますので、外国人登録制度そのものを検討することでございまして、当然同一人性確認の手段として今新しく採用した手段のほかに、元来、もともと問題になっております指紋押捺制度、それにかわるものの開発というのは、これは六十二年の附帯決議の中に我々政府として義務を課せられた問題でございますので、当然そういうものも全部含まれた意味での、そういう検討事項にはそういうものも当然全部含まれている、それを踏まえた上での「適切な措置」、こういうふうに考えております。
#90
○北村哲男君 次の質問に移ります。
 附帯決議の二項ですけれども、これは罰則の問題についていっておりますが、これは他の法律との均衡及びこの法律における罰則間の均衡などを検討して、適切な措置をとることが必要であると考えるわけです。このことの検討に当たっては、外国人登録法の目的とも密接に関連するものであることを銘記していただきたいわけです。また、在留外国人の基本的人権尊重の観点からの対応がこれも必要であるので、それらを十分に配慮する方針を明確にしていただきたい。
 それには、戸籍法とか住民基本台帳法等の仕組みについてもこれを十分に検討していただいて、それらの仕組みを在留外国人行政へ反映することを求めたものであることを認識していただきたいと思うわけですけれども、その点についてはいかがなものでしょうか。
#91
○政府委員(高橋雅二君) 罰則の問題につきましては、衆議院におきましても、また本委員会におきましても、また本会議におきましても、いろいろ御指摘を受けたところでございまして、この検討に当たりましては、御指摘を受けました点を含めまして十分検討いたしたいと思います。
 その際におきましては、今、先生御指摘がございましたけれども、この法律の目的を達成するには合理的な仕組みとしてはどういうものがいいのか、ほかの法律との均衡はどうなのか、それから、日本が締結している国際的な条約の観点から見て問題はないのか、現在の情勢下においてどうなのかということをいろいろ総合的に勘案して見直して検討をいたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#92
○北村哲男君 私は、先ほどの質問の中でもう一つ、国際人権規約、すなわち通常いわゆるB規約と言っておるのですけれども、市民的及び政治的権利に関する国際規約、これはもう既に日本が一九七九年に批准している条約なんです。これを今も指摘されたと思うのですが、確かにB規約の中の十七条あるいは二十六条、そして十二条、すなわちこれは幸福追求の権利あるいはプライバシーを守る権利、さらに法のもとの平等の権利等々が内外人平等にひとしく保障されなければならないということを強く規定してあります。日本国憲法をさらに進めたような形になっておりますので、十分それを考慮の上、この外登法の改正、いわゆる見直しをしていただきたいと存ずる次第です。
 ところで、さらに幾つか聞いていきたいと思いますが、附帯決議の第三項で、「指紋押なつ拒否者その他の外国人登録法違反者に対しては、その実情を踏まえ、人道的立場に立った対応を行うこと。」と書いてありますが、これはいわゆる現行法のもとでの押捺拒否者をいうのか、あるいは法律改正後の指紋押捺拒否者その他の違反者をいうのか、それとも双方を含むのか、ちょっとあいまいなんですが、このまま読めば別に法律施行前も施行後もないと思うのですけれども、その辺について説明を求めたいと思います。
#93
○政府委員(高橋雅二君) 衆議院の附帯決議の第三項にございます「指紋押なつ拒否者その他の外国人登録法違反者」に対する対応の件でございますが、この件に関しましては「その実情を踏まえ、人道的立場に立った対応を行う」ということにされておりまして、外国人登録法違反者につきましては、本改正法成立の前後を問わないということとなっておるようでございますので、本改正の成立前の違反者及び成立後の違反者も両方を含むというふうに私たちとしては理解しているところでございます。
#94
○北村哲男君 その辺はぜひ確認しておきたかったところであります。
 それから、第四項は、常時携帯・提示義務の運用について一層の常識的かつ弾力的な運用に努めるとともに、その規定のあり方についても、所持または保管というふうな現状を一歩進めた制度上のあり方の問題についても検討を要望する趣旨であることを認識していただきたいのですけれども、ここに書いてあるところをそんたくしますと、「外国人の日常生活に不当な制限を加えることのないよう配慮しこということは、幾つかの判例にあるように、現状ではないということを再三説明されましたが、かつては外国人の日常生活を不当に制約した悪法であったということは十分認識していただきたいし、さらに、「いやしくも濫用にわたることのないように努めること。」というふうにあえて附帯決議に規定したのは、乱用があったということの反省のもとに立った決議であるということを十分認識していただきたいのですけれども、その辺についても簡単に御見解をお願いしたいと存じます。
#95
○政府委員(高橋雅二君) この常時携帯、それから提示義務等の規定の運用に当たっては、再三この委員会及び衆議院の法務委員会におきまして、大臣からも常識的、弾力的に運用を行うということを申し上げたところでございまして、その申し上げた背景には、いろいろな方から乱用と言えるケースではないかと言われるようなケースもまあ挙げられたと、そういうことが念頭にあることは、そういうことではないかと思います。
 ここではっきりとさらに「日常生活に不当な制限を加えることのないよう配慮しこというのは、明確に、この外国人の登録の目的に照らして相当でない運用をすることによって、外国人の日常生活に不必要な制約や支障を生じさせることがあってはならないという例示として規定したと、こういうふうに理解し、これを念頭においてこの運用に当たっていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#96
○北村哲男君 最後の質問になりますが、私いろいろと述べてまいりましたけれども、大臣も、社会情勢が変わったり国際化が一層進展したりというようなときに、制度の運用実績等を踏まえて検討を続けていくことは所管省庁として当然というふうな発言をしてこられました。我が国の置かれている国際的立場に配慮して、また衆議院でなされた附帯決議はもちろんのこと、衆議院、参議院両院を通じての国会審査の趣旨を体して、政府としても人権尊重に十分配慮した外国人登録制度への速やかな改善の決意をしていただきたいと思うのですけれども、最後に大臣からお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#97
○国務大臣(田原隆君) 貴重な御意見、たくさん今までの議論、これからも伺うと思いますが、よく肝に銘じて運用に当たって、特に温かい血の通った運用をすることにより、なおまた運用上得られた知識を十分生かしてこれからの行政に資してまいりたいし、また五年後の見直しの規定についても誠実にいろいろの情報を集めて検討してまいりたい、このように考えております。
#98
○北村哲男君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#99
○委員長(鶴岡洋君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#100
○委員長(鶴岡洋君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、糸久八重子君が委員を辞任され、その補欠として会田長栄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#101
○委員長(鶴岡洋君) 休憩前に引き続き、外国人登録法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#102
○中野鉄造君 前回に引き続いてお尋ねいたしますが、きょうは総括的なお尋ねをいたしたいと思います。
 そこで、まず冒頭に、この法案で在留資格によって指紋押捺義務を変えたのはその定着性によるものだと言われておりますけれども、ここでもう一遍その定着性というものがどう定義されるのか、その点をはっきりさせていただきたい、これがまず第一点。
 それと、果たしてこの法案を立案されたその時点で考えられた永住者とその他の定住者等の間に言われるような定着性に差があるものなのか、その点も疑問に思うわけですけれども、指紋押捺に心理的な負担が伴うことは、これはやっぱり法務省も認めておられるからであると思います。永住者でないといっても地域への定着性がある方は、これはたくさんいらっしゃるわけですから、心理的負担を与えてまで一年以上の在留資格者に指紋を求める必要があるのかどうか。
 また、登録証明書に指紋を転写することによる不正使用に対する心理的抑止という効果について言えば、署名でだってこれは同じことが言えるんじゃないか、こういう気がするんですが、この二点、まずお尋ねいたします。
#103
○政府委員(高橋雅二君) お答えいたします。
 定着性というものをどういうふうに定義するかというのがまず第一の御質問でございますが、私たちといたしましては、定着性というものは、我が国に長年在留すること等によりまして生活の基盤が築かれ、我が国社会と密接に結びついて社会生活を営んでいる状態というふうに解しております。このような外国人は我が国社会との有機的関連が相当強うございますので、親族、知人、友人等多数の関係者が存在しているということが通例でございます。
 そういうことで、今度私たちが、六十二年の外登法改正の際の附帯決議によりまして指紋押捺制度にかわる手段を開発せよということで、研究の結果開発いたしました写真と署名とそれから一定の家族事項を登録してもらうということによるこの複合的手段の有効性ということを考えますと、我が国社会に定着性を高めている、定着性の強い人たちというのは、これは非常に情報量も多いわけでございますので、こういう人たちについてはこの新しい制度が有効に働く。そうではない人たち、すなわち永住者ではない人たちは、中には極めて定着性を高めている方も今先生御指摘のようにある場合もあるかと思いますが、類型的に申しますとやはりそういう方々は定着性が低いので、この新しい手段は有効に働かない。こういうことで、新しい手段を適用するに当たっては定着性に着目いたしまして永住者及び特別永住者に適用する、こういうことにしたわけでございます。
#104
○中野鉄造君 そうしますと、永住者については、通常では写真と署名によって同一人性の確認はこれは可能だとお考えでしょうか、それが一つです。
 それと、永住者と一年以上の在留資格外国人についてその扱いを異にしたのは定着性が認められるかどうかによるものだと、こう説明されておりますけれども、その定着性というものが家族事項を登録させることにつながったと、こういうように理解してもよろしいでしょうか。
#105
○政府委員(高橋雅二君) まず最初の御質問は、永住者及び特別永住者について、写真、署名の複合的手段によってどの程度同一人性の確認ができるかどうかということでございますが、もちろん終生不変・万人不同という性質を持ちます指紋、指紋と申しますのは同一人性確認のために非常にすぐれた手段でございますが、先ほど来から御指摘ありますように、この指紋については心理的負担ということを感じられる方もおられるということ等いろいろございまして、これにかわるシステムを開発してきたわけでございます。
 それで、私たちといたしましては、今度の写真、署名、さちに一定の家族事項を登録ということで、この三つを組み合わせれば、永住者、特別永住者の方々にはほぼ指紋と同じ程度の確度を持って有効であると、こういう結論に達した次第でございます。
 それから、第二番目の御質問は、永住者と一年以上の在留資格を有する者との間で定着性に差があるということから家族事項を登録させるということになったのかということが御質問かと思いますが、今先生のおっしゃったとおり、その定着性ということがこの家族事項を登録していただくということにつながってきているわけでございます。
 先生の御指摘のとおり、そういうことから家族事項を登録していただくということに、逆になりますけれども、家族事項を登録していただくということはすなわち定着性がある方に有効である、こういうことでございます。
#106
○中野鉄造君 そうしますと、大臣にお尋ねいたしますが、今回指紋押捺義務の残る外国人については、政府側の意見としても、今後、家族事項登録に基づく確認と同じ程度の確認方法が開発されたとしたならば指紋押捺は全廃できると、こういうように見てもよろしいでしょうか。
#107
○国務大臣(田原隆君) 先生の御質問をもう一度ちょっと振り返ってみますと、結局指紋とその代替性のものとの関係になってくると思うのですが、指紋は万人不同、またいつも変わらないという不変性があって、その効果を一〇〇と見ると、他の方法でそれに近いものとして開発されたのが今度の三点セットである。それもしかし、一〇〇まではいっていない。九九・九かもしれない、少し何か数学的、統計学的に見ますと。そこを補うものが定着性であろうと思うのです。
 その定着性というのは、先ほど説明ありましたように、インフォメーションの量とかそういうものが全然違うとか、相互関係が違うとか、お互いに理解し得る有機性を持って、日本の風土もよくわかっていただけるとか、そういうことからこれが代替性があるというふうに考えておるわけであります。
 特に永住者の方、特別永住者の方はそうでありますが、今先生のおっしゃるのは、もしそれが開発されたら要らないではないかと。論理的には私は、完全に完璧なものが今後開発されれば検討に値する事項であろう、そういうふうに考えておるわけでありますけれども、非常に難しい。相当突っ込んだ勉強をしてこれからの運用その他の情報も集めて、そしていろいろ勉強してみる必要がある、検討しなければいかぬと、またこれは積極的にやってみなければいかぬことだろうとも思っております。
#108
○中野鉄造君 今、大臣がおっしゃったように、一〇〇とはいかなくても九九%といったような表現がありましたけれども、私のお尋ねしているのは同じ程度のということで、同じとは言っていないんですが、そういうところからしますと、これを逆説的に言えば、じゃ、これはいつまでたっても全廃ということにはならないのかなと、こういう気もいたしますけれども、そこのところをもう一度。
#109
○国務大臣(田原隆君) 仮に、これは仮定の問題ですけれども、指紋にかわる人権を余り傷つけない、尊厳性を傷つけない方法が開発されたとしたら、これは一〇〇%のものが開発されたとしたら話は別でございますけれども、現在の手法を延長していくと、写真の技術その他の技術、今のサインから同一人性を確認する技術その他が物すごく進んできたときには九九・一%が九九・九九%になるかもしれないし、これはもうニアリーイコール一だと見れるかもしれません。そういうのは非常に技術的にこれからかなり勉強しなければいかぬ問題だろうと私は思うわけです。
 ただ、定着性のある人、特別永住者及び永住者の方はいろんな社会的条件、その人の条件からいって、インフォメーション、情報の量が全く違う、統計的に。ただ、これも特別の人はいますが。したがって、こういう線引きをせざるを得なかったけれども、今後のそういう補う方法、その三点セット以外のもので補うもの、あるいは三点セットそのものですぐれた一つの手法ができるということがあれば私は別問題だろうと、こういうふうに考えております。
#110
○中野鉄造君 次に、罰則の点についてお尋ねいたしますが、まず一つは、現在指紋押捺を拒否している方たちは何人ぐらいいらっしゃいますか。
#111
○政府委員(高橋雅二君) 現在、指紋押捺を拒否している方は、平成四年三月三十一日現在で百七十七名ございます。
#112
○中野鉄造君 昭和六十二年の改正のときもその附則で、法律施行前にした行為について罰則の適用は従前どおりとすると、こうされておりました。本案においても同様の附則がついておりますけれども、このような附則がなぜ継続して残されているのかということと、現在指紋押捺拒否者についてこの附則によって処罰が可能となるわけですが、今回の法案の趣旨からするとその処罰は弾力的な扱いが望まれるんじゃないのかという気がいたしますけれども、この二つの点についてお尋ねいたします。
#113
○政府委員(高橋雅二君) この罰則がございますのは、けさほどいろいろ議論がございましたところでございますが、制度の有効性といいますか、目的を確保するために罰則が設けられているわけでございまして、この制度が切りかわるときにありましてもやはりその罰則がその制度と一体となって機能する必要がある、こういうことで前回の改正のときも今回の改正のときもこの罰則に関しては「従前の例による。」という規定を置いているわけでございます。
 しかしながら、今、先生御指摘のように、この法改正の趣旨ということを考えますと、この適用に当たってはその辺は十分に考慮しなければならないんではないかという考えがもちろんございます。そういう観点から衆議院におきましても、この指紋押捺拒否者に対する扱いといいますか対応について、人道的といいますか、そういうこの法改正をする趣旨に沿った対応をするようにという附帯決議がなされたと私たちとしては理解しておりまして、今回の改正に当たりましても、法制度に伴う罰則は罰則として単に機械的に適用していくということではなくて、その法改正の趣旨を十分に踏まえて対応していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
#114
○中野鉄造君 次に、登録証明書の提示義務についてお尋ねいたします。
 最近、不法残留あるいは不法就労外国人の増加はいろいろな大きな社会問題にもなりつつあるところですけれども、その摘発というときに外国人登録証明書の提示を求めていくというようなことがこれからもしばしば想定されます。しかし、その不法残留者の摘発に熱心な余り、せっかく常識的かつ弾力的な運用が定着してきたものが外国人に不愉快な思いをさせるようなことも予想されるわけですけれども、そのようなことのないように入管あるいは警察当局はこの運用方針についてどのような対応をされるのか、その決意のほどをお示しいただきたいと思います。
#115
○説明員(奥村萬壽雄君) 不法残留外国人や不法就労外国人の増加に伴いましてこれから登録証明書の提示を求める機会等も多くなるであろうことは御指摘のとおりでありますけれども、警察官は職務を執行するに当たりまして、外国人の身分関係、居住関係を確認する必要がある場合に登録証明書の提示を求めているわけでありまして、単に外国人であるという理由だけで無差別に登録証明書の提示を求めることはしていないところでございます。
 警察といたしましては、登録証明書の提示要求あるいは不携帯事案の取り締まりにつきましては、今後とも場所的、時間的条件あるいは被疑者の年齢、境遇、さらには違反態様など総合的に勘案をいたしまして、法律の許す限り常識的かつ柔軟に対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#116
○中野鉄造君 そこで、警察庁にお尋ねいたしますが、最近、この近年、もうおととし、去年、ことしと年々外国人同士のけんかだとか、あるいはそういうようなことによる殺人だとか、あるいは自殺者だとか、そういったようなものが頻発しておりますけれども、その数、大体どのくらいございますか。
#117
○説明員(奥村萬壽雄君) お答えをいたします。
 外国人が殺人の被害者になっている件数でございますけれども、平成三年中が六十一件でございます。それから外国人が被疑者として検挙をされました殺人事件でありますが、これも平成三年中五十四件でございます。本年の分につきましては、現在集計中でまだ出ておりません。
#118
○中野鉄造君 外国人が何者かに殺害された、そしてその殺害された外国人がどこのだれであるかというようなことを判定するのはどういうふうに今までなされてきたのでありますか。
#119
○説明員(奥村萬壽雄君) 被害者の死体の身元確認の方法についてでございますけれども、これは逐一統計をとっておりませんのですべてのケースについて申し上げることは困難でございますが、一般的には被害者が所持しております旅券とかあるいは外国人登録証明書によりまして身元を確認する場合が多いと承知をしております。
 特に殺人の被害者あるいは自殺者等の死体につきましては、最終的な身元確認方法といたしまして指紋とかそれから歯形を使うことも多いわけでございまして、外国人登録の指紋を用いて身元確認をすることもあるというふうに承知をしております。
#120
○中野鉄造君 身元がなかなかわからない、外国人であるということは大体わかるけれども、そういう証明書も所持していない、そういうときには身元の確認のしょうがないというようなことも多々あると思うんですが、そういうときにはどういうふうに処理されますか。
#121
○説明員(奥村萬壽雄君) 例えば一つの例で申し上げますと、一昨年の九月、これは東京で発生した殺人事件でありますけれども、この場合は、被害者が中国人の方であることはわかったわけでありますが、この被害者の中国人が他人名義の旅券で入国をしておったということで身元特定が大変難航いたしました。その後の捜査におきましてこの被害者が以前に日本にいた経験があるということがわかりまして、その際に外国人登録を行っていたということが判明をいたしましたので、区役所で保管をしております登録指紋と照合いたしまして、ようやく身元確認をしたというような事例がございます。
#122
○中野鉄造君 今後もやはりこうした事件は、ないにこしたことはないんですけれども、また発生するということは十分予想されるんですが、そういう際に警察当局として、これは指紋があったならば身元が早く明確になるがといったような、そういうことも予想されますか。
#123
○説明員(奥村萬壽雄君) ただいまの事例で申し上げましたとおり、なかなか外国人であるということがわかりましてもその身元確認がきっちりと判明しないことが多いわけでございまして、そうした際にはやはり指紋を使いまして身元をきっちりと確認するということが可能になるであろうというふうに考えております。
#124
○中野鉄造君 次に、入管関係についてお尋ねいたします。
 指紋押捺義務の廃止対象者として、法案資料では特別永住者として六十万人ということが説明されておりますが、実際どのくらいいらっしゃるのか。また、いまだ特別永住の許可を得ていなくともその特別永住の資格を有している定着性を持った在日韓国人の方はどのくらいいらっしゃるのか。それと、これらの人々についても指紋押捺を求めなければならないというのはなぜなのか。この三点についてお尋ねいたします。
#125
○政府委員(高橋雅二君) この法改正案の対象となります指紋押捺を免除される人たちの数でございますが、平成二年十二月末現在の統計で申しますと、特別永住者は六十万二千五百二十五人でございます。全体は百七万五千三百十七人でございますが、特別永住者は六十万二千五百二十五人でございます。そのほかに永住者は四万二千九百十三人でございまして、この合計の六十四万強の方々、特別永住者及び永住者でございますが、の方々が今度新しい制度の対象となりまして、指紋押捺にかわるいわゆる三点セットと申しますか、新しい同一人性確認の手段というものを採用する対象になるということでございます。
 そのほか、今お尋ねになりましたそれ以外の在日韓国人がどの程度いるかということにつきましては、ちょっと今手元にございませんけれども、もちろん在日韓国人でそういう特別永住あるいは永住の資格を持っていない方もおられます。そういう方々はやはり現行どおり一年以上滞在する場合は指紋押捺していただくわけでございますが、基本的にはこういう方々は特別永住者の方々と違いまして我が国社会における定着性を有していない、こういう考え方でございまして、現行どおりのシステムといいますか制度を適用していく、こういうことでございます。
#126
○中野鉄造君 最後に、大臣にお尋ねいたしますが、まず一つは、そもそも指紋押捺制度が導入されたその社会的背景を御説明いただきたいと思うんです。
 二番目に、今回の改正に対する認識について、私の質問でかつて大臣は、今後国際化の進展など社会情勢の変化と技術の進歩を見て指紋押捺制度を検討していかなくてはならない、このようにお答えいただいたわけですが、私は少なくとも指紋押捺制度導入時における社会情勢と今日とでは既にかなり変化しておると思うわけですが、この点いかがでしょうか。
 今回の改正の理由として、指紋押捺にかわる制度の研究開発の結果と、こう言われておりますけれども、今回の措置は、研究なさったという点ではこれはそうだと思いますが、開発などというような大げさなものじゃない、ただ写真と署名といったようなことで、開発なんというものじゃ決してないんじゃないかと思うんですけれども、今後指紋押捺義務を残された人たちの同一人性確認の手段の開発というのはどこが主体となってどのような技術開発をなされるのが、今後の検討に対する決意なりあるいは対応なりをお尋ねいたします。
#127
○国務大臣(田原隆君) 最初にお断りしたいのですが、背景についてはちょっと実務的なことですので、最初に答えていただいてからにします。
#128
○政府委員(本間達三君) 指紋押捺制度が最初にこの登録制度の中に採用されましたのは昭和二十七年でございまして、その当時の日本国内における状況というものはただいまの状況と著しく違うというふうに私どもは承知しているところでございまして、当時在日の朝鮮の方々が圧倒的に日本におけるいわゆる外国人とみなされた時代だったと思いますけれども、そういう方々が多くおられたと思います。
 その当時における管理の方式として、登録制度というのはその前からございましたけれども、同一人性の確認という手段といたしましては単純に写真というものが中心になってなされておったという状況であります。当時、混乱期でございましたので、配給制度の実施等の場面におきまして、二重配給を得るために二重登録をし、あるいは他人名義をかたっていわゆる幽霊登録というようなものもございまして、非常に登録制度が乱れていたというふうなことを私どもは承知しております。
 そういった背景とか、あるいは不法入国というか密入国事案も少なくなかったということでございます。外国人の管理ということが非常に難しい時代でありましたので、何とか外国人の同一人性をぴたりと確定する方法ということで指紋押捺制度というのが採用されたというふうに承知しております。
#129
○国務大臣(田原隆君) ただいま昭和二十七年に制度を導入したときの背景について説明ありましたが、当時と現在とでは取り巻く内外情勢はかなり違っておると思います。ただし、この登録法の目的であります外国人の公正な管理に資するという点において、その外国人の同一人性を確認するための手段として何らかのものが必要であるという点においては私はまだ同じではないか、その同一人性を確認するということについては変わっていない、このように考えております。
 今度の改正のような手法を取り入れることもその同一人性確認のための手段でありますが、私は、しかしこの制度はその時代に合ったものでなければいけませんから、内外の諸情勢が変化すればそれに適応していかなければならぬし、在留外国人の人権にも特に配慮しなければならぬというのはもう当然であろうと考えておりますので、今度の法改正する場合もその点は特に考えてきたつもりでありますが、今後ともこの人権という点その他、これから変わっていく内外情勢に対しては常に勉強して検討の材料を集めておかなければいかぬというふうに考えております。
 また、この法の運用については、何度も申し上げておりますように、人道的な立場に立って血の通った運用をして、しかも積極的に、繰り返しになりますけれども、運用によって得られる情報を集めてそして検討の材料を蓄積しておくということが必要であろう、こういうふうに考えております。
 また、先ほどおっしゃったように、どこが行うか、どこが主体となるか、これはもちろん一課でできるようなものではなくてまたがっておりますから、法務省入管局が中心になって法務省挙げてやらなければいかぬ問題であろう、こういうふうに考えておりますので、そのように御理解いただきたいと思います。
#130
○中野鉄造君 はっきり申しまして、技術開発というようなことはもうできないんじゃないかと思うんですが、どうですか。
#131
○国務大臣(田原隆君) 非常に難しい御質問でございます。ただ私、最初から理論的に説明すれば、指紋を一とした場合に、その効果に非常にもうほとんど差のないほど近づけていく手段が今の段階で今度の制度である。これにとってかわるものはどうやってやるかということは、今最高のものとして出した瞬間でございますから、これからの問題としてやはり積極的に取り組んでいかなければいかぬ問題でありますが、その可能性云々についてはなかなか私も答弁申し上げるのは困難であると考えております。
#132
○中野鉄造君 終わります。
#133
○橋本敦君 最初に、前回の質問の最後で指紋原紙の廃棄処分に関連をして私の方から提起をした質問に対して、きょうまでに検討して答弁をするということの留保がございましたが、その件についてお答えをいただけるのかどうか、まずこれをお伺いしたいと思います。
#134
○政府委員(本間達三君) 前回御審議いただきました際に橋本先生から宿題をちょうだいいたしました。登録原票上の指紋の取り扱いについてどうするのかという御質問で、廃棄するのかしないのかということだったと思います。次回といいますから今回でございますが、本日までにお答えをするというふうに局長から答弁いたしました。
 結論から申し上げますと、現時点においてこの点についての結論がまだ出ておりませんので、もうしばらくお時間をいただきたいというのが結論的なお答えでございますが、この点につきましてちょっと事情を御説明いたしたいと思います。
 前回お答えしたときにもちょっと触れましたけれども、登録原票と申しますのは在留外国人の在留に関する重要な記録でございまして、適正な登録行政運用の点からこれを永久に保管する必要があると私どもは考えているところでございます。ところで、登録原票上の指紋はその原票の一部でございます。その指紋の抹消ということになりますと、そのような行政運用上重要な文書の一部廃棄ということに相なるわけでございます。ひいては記録の完全性を損なうということになり、登録行政全般に支障を及ぼしかねない大きな問題であるということでございます。したがいまして、その原票上の指紋の廃棄につきましては、なおいろいろな観点から慎重に検討してまいりたいと思っておるところでございます。
#135
○橋本敦君 基本的には指紋原紙は廃棄処分にするということではっきりしているわけで、当然法律上指紋を存置しておく根拠がなくなるというような体制に入っていくわけですから、登録原票に存在する指紋も、基本的には指紋原紙の廃棄処分と同じように廃棄の方向で検討するということを私は強く要請をして、そしてそれを含めて技術的な問題があるので検討するということでいろいろ議論があったわけで、この問題については私が提起をした趣旨から、基本的に法務省としては人権上の正しい処置がとれるように検討を至急深めていただきたいということを強く希望しておきたいと思います。その点はよろしいですか。
#136
○政府委員(本間達三君) 先生の御意見も踏まえて慎重に検討してまいりたいと思います。
#137
○橋本敦君 それで、きょう私は罰則の問題について。質問をしたいと思っておるんですが、基本的には私は、我が党が衆議院で修正案で提起しましたように、罰則は全面的に削除をして行政罰としての範囲にとどめるというのが基本的には正当だというように考えているわけであります。特に、これまでも当委員会でも衆議院でも議論をされてきた数々の問題の中で、登録証の常時携帯・提示義務、この問題は極めて重大な問題を含んでおるわけでございまして、この問題について私からも二、三ただしておきたいと思うわけであります。
 その一つは、常時携帯義務が課せられるということは、外国から日本にいらっしゃった皆さんで在留あるいは日本土陸を許可された皆さんは一般的には旅券をお持ちですから、その旅券については常時携帯ということが原則的にはっきりしておる、これは言うまでもない。ところが、その定住者の皆さん、この外国人登録をする皆さんについては、今度は登録証を発行してそれを所持させるということを義務づけ、しかも、それは罰則で強制がある、こういうわけですね。一時在留の皆さんは旅券でその身分を明らかにするというのはわかるんですが、定住者の皆さんについては、定着性、定住性があって同一性の確認はいろんな方法で可能になっていく人たちであるにもかかわらず、常時携帯・提示義務ということを罰則で強制するという合理的な理由があるだろうかという疑問が私はやっぱりあるんですね。
 そこで伺いますけれども、提示を求められるというときは、何らかの犯罪の嫌疑があって職務質問と、基本的にはそういうスタイルが原則だというように審議官も答弁されたと思いますが、それは間違いありませんか。
#138
○政府委員(本間達三君) 以前にそういう御答弁を申し上げました。そのとおりでございます。
#139
○橋本敦君 ですから、常時携帯義務というものは、常に外国人であるならば必ず提示を求めて常時携帯しているかどうかを調べるよと、こういう意味で法目的があるわけじゃないはずなんですよね。だから、何らかの法的必要があって同一人性を確認する必要があるときに持っていてくださいよ、見せてくださいよ、そういう限度にとどまるわけですよ。そういう限度にとどまるものを罰則で強制するという必要が一体どこにあるかということになると思うんですね。
 そこで、しばしば議論されたように、同一人性を証し得る他の資料を持っている場合にでも、なおかつ同一人性確認の必要性がそれで足りている場合でも、提示義務あるいは常時携帯義務ということを罰則で強制しなきゃならぬかという問題になりますと、これは局長も審議官も御存じのように、大阪高裁で不携帯無罪判決、実質的違法性がないと。運転免許証あるいは学生証で写真その他添付されているものによって同一人性確認はできているから、実質的に違法性はないということで無罪判決があった。私は、これは当然の法の適用であり、正しい判決だと思うんですが、この判決についての御見解はどうですか。この判決は確定していますよね、確定判決。
#140
○政府委員(本間達三君) 先生御指摘の判決でございますけれども、これは免訴という判決で決着を見ておるわけでございます。
 先生の御質問の趣旨は、罰則を付してまで携帯義務を課しておくという必要性がないのではないかという……
#141
○橋本敦君 その判決の考え方をどう考えるかということ、法務省として。
#142
○政府委員(本間達三君) 今この判決の細部につきましてはちょっと記憶がはっきりいたしませんけれども、具体的なケースの問題でございますので、個別な裁判所の判断としてそれは尊重すべきだとは思います。
 ただ、一般的な形でお答えを申し上げるならば、この外国人登録証の携帯の義務を課すという理由は、これまでの審議の際にも何回かお答え申し上げたとおり、当該外国人が許可を得て適法に日本に在留しているのかどうかということを現場で即時にこれを把握する必要があることによるものであります。
 他の手段によって当該外国人の身分が明らかになれば、その外国人登録証の携帯義務を免除するというか、あえて課さなくてもいいのではないかという先ほどちょっと御主張がございましたけれども、外国人登録制度を採用いたしましたのは、やはり長期のそういった外国人め方々にはその身分関係、居住関係をきっちりと把握しておくということで一定事項を登録し、それを登録証に記載させていただいている、こういうことでございますので、的確にその方が適法な在留者か否かということを把握する最も適当な手段としてこの外登証の常時携帯義務を課しているわけでございますから、他の手段があるからといってこれを免除するということになりますと、この制度の本来の目的というものが達せられないという場合が出てくるわけでございます。
 例えば、学生証を持っているとかあるいは運転免許証を持っていればいいというような制度にいたしました場合には、確かにその人がその人であるという限りではわかる場合もございましょう、しかしながらその方が果たして現在適法な在留者であるかどうかというような点については、今度はそれだけでは十分把握し得ないというのが普通ではないかというふうに考えられますので、そういう意味で、外国人登録証の携帯義務というのは他の手段をもってこれにかえれば十分ということは言えないというふうに私どもは考えているわけでございます。
#143
○橋本敦君 弾力的、常識的な運用ということで不当に人権を侵害しないようにという衆議院、参議院でのこれまでいろな論議は、法務省としては当然それは踏まえるという立場でこられたはずなんですよね。そして、今後ともこの問題については外国人の皆さんの日常生活に不当な不便を押しつけないように、あるいは不当に人権を侵害しないようにという観点から客観的に正しい判断をして運用をしていかなくちゃならぬ。そういう上で、今私が指摘した大阪高裁の一つの判決というのはこれはやっぱり慎重に法務省としても検討するに値する内容を含んでいるのではないかという私は質問をしているわけです。
 そういう趣旨からいって、これの常時携帯あるいは提示義務違反というような問題は形式的に論ずるのではなくて、十分に人権の尊重やあるいはまた定住者である皆さんの日常生活に不当な不便を与えないという観点から適正な運用を図るべきだというのは当然じゃありませんか。大臣、局長、いかがですか。
#144
○国務大臣(田原隆君) 私もたびたび申し上げましたように、運用に当たって不当な不便をかけないようにする、人権を尊重するということ等は全く同じであります。それは個別にこの場合はどうだ、この場合はどうだというと、これはちょっと今なかなか私お答えできませんが、そういう考え方にのっとってこれからやっていくわけでありますけれども、それは例えばそこを歩いている外国の人に、ほれ見せろというようにやたらにやるということもこれは当然できないことでありますから、そういうことがないようにということ等を含めて親切な気持ちで今後やっていくということを申し上げているわけでございまして、そのとおりにしたいと思います。
#145
○橋本敦君 つまり、外国人士見たら常に提示義務を発動して、そして常時携帯義務に違反していないかどうかを何の嫌疑もないのにいきなりそれを調べるというようなやり方はやりなさんなよということが基本にあるんですね。大臣もこのことは答えを今おっしゃっているのでおわかりいただけると思うんです。
 それから、今度新設される不署名罪の問題ですが、この署名というのは当委員会でも議論されましたが、例えばその人がなれているその人の国の文字、例えばハングル文字あるいはローマ字、いろいろございましょう。それはどういう文字でなきゃならぬかというような規制はしないんですね。
#146
○政府委員(本間達三君) 署名の方式等につきましては政令をもって定めることを予定しておりまして、現在のところ私どもが考えておりますのは、一般に旅券にする場合の署名と同じ形でお願いするのを原則とするという考え方でまとめてみてはどうかというふうに今のところは考えております。最終結論は出ておりませんけれども、大体そんな方向で考えております。
#147
○橋本敦君 だから、旅券に署名する署名というのは特に法で規制されているわけじゃありませんから、そのことは踏まえておいてもらいたい。
 それから、この不署名の罪ということになりますと、署名する意思はあるけれども、字を書くことができないから署名できないという場合はもちろん不署名罪に当たりませんね。
#148
○政府委員(本間達三君) そのとおりでございます。
#149
○橋本敦君 そうしますと、署名しないということが罰則でなされているこの構成要件というのは、故意に正当の理由なしに署名を具体的に拒否する行為があった場合というように解していいわけですか。
#150
○政府委員(本間達三君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
#151
○橋本敦君 この場合に、なぜ署名を罰則で強制することが必要で、過料という行政罰の範囲ではだめなんですか。
#152
○政府委員(本間達三君) 署名は、このたび新たに採用しましたいわゆる三点セットと俗に言っておりますものの一つで同一人性確認の重要な手段ということでございますから、確実に署名を履行していただきたいということで罰則をもって強制するということにしている次第でございます。
#153
○橋本敦君 確実に履行してもらいたいという行政上の要請なら、行政罰の過料の範囲ででもその要請ということは満たし得ると思うんですよ。刑罰を科さなきゃならぬという合理的理由というのは、私はなかなか説明し切れない難しい問題だと思いますが、なぜ刑罰でなくちゃならないか。
 それからもう一つの問題として、署名というのは本人の同一人性確認の指紋にかわる手段の一つであるけれども、一番端的に同一人性確認として効率的に即時的にわかるのは何といっても写真でしょう。家族の登録事項だとか、これは逆に調べなきゃならぬ。署名も本人署名がどうか確認しなきゃならぬというんですから、そういう意味で、写真というのは非常に私はわかるけれども、署名にまで刑罰で強制しなきゃならぬという合理的理由は理解しがたいんです。
 そこで、そういう問題もあるんですが、こういった行政そのものについて刑罰によってやらなくちゃならぬということは、基本的には私はやっぱり入管法が初めできたときの管理思想なり治安立法思想ということがずっと残っていく一つの要素になっているというふうに思うんですね。だから、こういった罰則の問題についても今後の見直しということの中で、合理的な程度が運用の実際にも照らしてどうであるかということも含めて慎重な検討をお願いしたい、私はこういうふうに期待をしておきます。
 そこで、次の質問に移っていくんですが、現在我が国には多数の外国人が在留していらっしゃるんですが、それらの皆さんの人権を守り、あるいは人道上我が国として適正な処置をしていくという上で、最近重要な問題として医療の問題がちょっと大きな問題になっているようでございます。
 そこで、厚生省にお願いしたんですが、東京都立の松沢病院の担当者の方が「精神科救急における外国人事例の実態と問題点」という報告を出されました。私もそれをいただいて拝見をしたのでありますが、この松沢病院に入院をされた外国人患者の事例は、外国人総数がふえると同じ曲線カーブで増大をしております。つまり、多くの人が入院をするということになってきているわけであります。問題は、それらの多数の人の国籍その他を調べてみますと、開発途上国のケースの方が多いということが一つ。したがって、ほとんどの方々については生活保護の適用の弾力的運用が必要であったりあるいは医療費が支払えないという状況があったりして、それ自体が一つの社会問題化している。松沢病院の例で言いますと、全額自己負担可能であったのは全体の二九%にすぎないという報告が出ておるわけであります。
 こういう外国人の皆さんの病気ということについて、基本的に病院や医者の立場でいえば、人道上これは診療を拒否するわけにまいりません。御存じのとおり、医師法でも診療拒否はできないことになっております。さりとて、これらの皆さんの医療費をどうするかということは医療機関にとって重大な問題になっているという意味で、この問題をどう対処するかということが問題になるわけでありますけれども、この松沢病院の報告書はこう言っております。
 医療費や帰国費用等経済上の問題も深刻で、救急事例の大半は健康保険の適用外のケースであり、生活保護の道も閉ざされた現在、個々に対策を積み上げる以外に方法はない状態になっている。とりわけ、いわゆる不法滞留者についての入管法による通報義務や労働法上の権利をめぐって法律上の問題も生じてきている。これらの問題に対しては国としての対応が急がれるということを現場から希望しているわけですね。私もそのとおりだと思うわけです。
 一方、日赤の関係での情報を新聞で見たんですが、日赤も外国人患者の治療費の回収ができないという問題が起こって、全国九十二カ所の直轄病院で近く実態調査をするということを決めたという報道がございます。この日赤の皆さんの御意見でも、これは厚生省に対する要望になるわけですが、在日外国人の皆さんのこういった問題での人道上の処置ということについては、第一義的には国が対応する方向を打ち出してもらいたいということを言っているようでございまして、まさに私は今日の日本の問題としても重大な社会問題になってきているというように思うわけですね。
 そこで、厚生省はこういった問題について実態の調査をぜひ行っていただいて、そしていわゆる資格外滞在という場合であっても外国人を診察するという、そういう人道上の必要によって行った医療費等についてはどうするか、国の責任で早く決めて医療体制に支障がないようにしてほしいという希望もあるわけですが、厚生省としての対応についてのお考えをまず伺いたいと思います。
#154
○説明員(紺矢寛朗君) お答え申し上げます。
 先生御指摘ございました外国人への医療の提供につきまして、私どもも重要な課題であるというふうに認識をいたしております。お話しございましたような各医療機関におきましてお取り組みをいただいておる事例があるというふうにも聞いておるわけでございます。また、それらの医療機関から国としての対応という声もいただいておるのも承知いたしております。
 我が国の社会保障制度、今御指摘がございました健康保険、生活保護など基本的にはいわゆる内外人平等を原則といたしております。したがいまして、我が国におきまして適法に居住あるいは就労される方につきましては、国籍を持っておる日本人と同様な形で社会保障を適用するという考え方でございます。この点につきまして総務庁の御指摘もございまして、私どもとしてはいま一度の適用の徹底を図っておるところでございます。
 しかしながら、今御指摘の事例の中でもございましたいわゆる不法に滞在あるいは就労される外国人の方に対する社会保障の適用につきましては、その前提となります居住や就労の取り扱いの問題あるいは出入国上の御当局の方のお取り扱いの問題などございまして、私どもとしては、現時点におきまして医療保障を行うことは基本的には困難であるというふうに考えておるところでございます。
 しかしながら、先ほど御指摘ございましたように、医療機関の対応というものもございますので、私どもといたしましては、御指摘ございましたような事例、さらに今後とも状況の把握に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#155
○橋本敦君 今おっしゃった状況把握に努めるということの具体的なやり方はいろいろあるでしょうが、基本的にはまず実態を正確に厚生省としても認識する必要がありますので、必要な実態調査はこれから検討してやってもらいたいと思いますが、やっていただけますか。
#156
○説明員(紺矢寛朗君) この点につきましては、総務庁あるいは関係省庁とも連絡をとりながら、私どもとしてはできる限りのことはしていきたいというふうに考えております。
#157
○橋本敦君 時間がもうなくなってまいりましたので、大臣に対する要望を最終的にはお願いをして質問を終わらざるを得ないわけでありますが、基本的に私どもは指紋押捺制度の全廃を主張いたしておる立場から、外国人登録証明書の制度も廃止をして、基本的には住民基本台帳を基本とするようなシステムに切りかえる、そうすれば指紋全廃、それに加えて登録証明書の常時携帯ということも、これもなくしていくという方向が出てくるわけであります。そういった修正案を衆議院でも提起をしたんですが、残念ながら各党の御賛同を得られませんでしたが、今後の検討課題として、この立場から大臣にもお願いしたいわけであります。
 それは私どもの党だけが言っているんじゃなくして、多くの関係者の皆さんの要望でもあり、参考人の御意見でもあり、また他の党の皆さんの御意見でも出てきておる問題でありますが、具体的に私は非常に大事なのは、政令指定都市、大阪、札幌、横浜、もちろんその他十二ありますから全部でございますけれども、その政令指定都市の各市長の皆さんが実際の実務を取り扱っている立場から、法務大臣あてに、指紋押捺義務及び常時携帯義務等については、これはもう抜本的な改正が講じられるよう要望してこれまでもまいっております。特に指紋押捺制度については、すべての外国人を対象としてこれを廃止されるよう強く要望するという要望書が法務大臣あてに出されている。これは大臣も、大臣あての要望書ですからごらんになったと思います。
 そしてまた、日本弁護士連合会、日弁連も平成四年四月十四日に日弁連としての声明を出しまして、今回の改正に当たっては、登録証明書常時携帯制度、これをなくすということにとどまらず、指紋押捺制度そのものの制度の全廃をやって、すべての外国人に一律に人権を保障する、そういう制度をつくれということも要望しておるわけであります。
 こういった政令指定都市からの具体的な要望というのは、私は行政として法務大臣は慎重にこれは御検討になって、そして自治大臣ともこの点については十分な協議をしていただきたいと思うわけでございますが、今後いろんな基本的な見直しという点については、こうした要望については重ねて慎重に受けとめていただくということをお願いして、その点の御見解を賜りたい、これが第一点であります。
 それから第二点は、私は近ごろ東京入管を訪れまして現場を視察させていただきました。そして、そこで入管の柴田博一局長あるいは倉島研二次長等からお話も伺いましたが、行ってみますと、東京入管、品川から来て広くなったとはいえ、今でも狭隘なところへたくさんの外国人の皆さんお越しになって、一日に二千人からお越しになる。業務量はもう昭和六十年にこっちへ来てから二倍、三倍になっているけれども、人員は今百三十人で、これは二倍、三倍にはとてもなっておりませんから、百三十人命いらっしゃるけれども、週休二日制になるということになると、一日の業務量が一五%の割合でふえますから、人員も倍ぐらい欲しいんだというのが本音だということをおっしゃっているわけですね。したがって、これから円滑な行政を入管行政としてやっていくためには、施設の整備、それから人員の整備は絶対に必要だということははっきりしているんですね。
 この二点について大臣の御見解を承って、質問を終わりたいと思います。
#158
○国務大臣(田原隆君) お答えいたします。
 第一点の日弁連並びに政令指定都市からの陳情、よく知っております。いろいろなことについて御意見を述べておられまして、それらについて我々も検討しましたが、今回の段階においてはこれらの意見も検討した上で提出して御審議願っておるということを御理解いただき、今後、運用上気をつけたり、あるいは運用しながら情報を先ほど申し上げたように集めて、そしてこれから五年後の見直し等に対して対処していくという方針でまいりたいと思っております。
 また、増員の点については、これはむしろ御質問というよりも御支援の感じと受けとめて、私も昨年法務大臣を拝命したときにちょうど予算の時期でありましたので、当時としては、昨年の倍ぐらいの定数を獲得いたしましたが、情勢がわかるにつれて事の重大さに最近気がついているわけでございまして、一層の努力をしてまいりたいと思う次第であります。
 特に私は、公務員に定年制ができたこと、あるいは定員削減という一定の方向がトータルとしてあるということ等が法務省に対しても一つの影響を与えておるということでありまして、これらの問題に有効に対処しなければならぬということもあわせて研究してまいりたい、そのように考えております。
#159
○橋本敦君 終わります。
#160
○萩野浩基君 連合参議院の萩野でございます。
 この外登法の法案は、私としましてもまた同僚の委員の方々も、大変重要な法案であるということで参考人の方々の意見も聞きまして、大体一カ月余やってまいりました。そこで本日は、過去の質問等に重なる点もあるかと思いますが、三、四点お尋ねいたしたいと思います。
 日本が国連人権委員会に出しました文書の内容と、それから在留外国人の日本での処遇というもののギャップが余りにも大きいのではないかということがよく指摘されます。私もそのように考えておる一人であります。そこで、国際社会の中で新たな役割を担っていかなければならない日本は、内外国人の平等の原則に立つという意味で、この外国人登録法を一体いかなる法律と考え位置づけておられるのか、これは基本的なことでありますけれども、まず、この点をもう一度確かめておきたいと思います。
#161
○政府委員(本間達三君) 外国人登録法の第一条に目的が定められているところでございます。これまでにも何回か答弁の中で申し上げてまいりましたとおり、外国人の方々の本邦における在留というものの根拠は、日本の国、国家の許可ということにかかっているということでありまして、これに基づくところの在留状況というものについて、国としてこれを把握しておくという必要性から出てきた法律でございます。
#162
○萩野浩基君 これはその目的のところを読めばわかるんですけれども、私はこの外登法は外国人の身分それから居住というものを明らかにする立法と、そのように解しておりますが、それでよろしゅうございますか、一言。
#163
○政府委員(本間達三君) 直接的には、先生御指摘のとおりと思いますが、第一条の規定の仕方をごらんいただければ明らかになりますとおり、「外国人の公正な管理に資する」というところにつながるところの身分関係、居住関係の把握でございます。
#164
○萩野浩基君 どうもこれまでの審議過程を見てまいりますと、何かそれ以外に目的があるんではないかというようなことが今回のこの審議過程においていろいろと考えられたわけなんです。今までの答弁の中から探してみますと、今も似通ったことをおっしゃられたと思いますが、公正な管理といいますか、こういう説明が以前あったのを私は記憶しております。
 そこで、九十日以上三年未満で、私、前にも質問したのですが、これはちょっとあいまいな点で終わってしまいましたのでもう一度聞いておきますが、指紋照合のために法務省へ指紋原紙の写しの送付要請が本当にあったかどうか、この点についてお伺いいたします。もう一度繰り返しますけれども、何といいますか、不法入国だとかオーバーステイをしておるとか、そういうのではございません。その点事実だけ、時間がもったいないですから。
#165
○政府委員(本間達三君) 送付依頼というものが事実としてございます。
#166
○萩野浩基君 何件。
#167
○政府委員(本間達三君) 最近の事例から申し上げますと、平成三年度中には照会が十五件ございました。
#168
○萩野浩基君 それは私の方もまた調べてみますけれども、私の調査の中ではこれは非常に数が少ない、三カ月以上三年未満の方。
 現在非常にコンフューズしている、混乱しておるのは、この不法入国だとかオーバーステイしているそういう人たちがいろんな問題を起こしている。そうではない正当なる入管の手続をとって来られている人、そういう人の中にこの前の参考人でいらした方もいらっしゃるのですけれども、エンジニアとか、研究者とか、芸術家とか、学者とか、宗教家等々、こういう日本にとって日本を紹介する意味において非常に大切な方々、そういうのも含まれておるわけですね。その辺のところもいろいろと今後配慮しなければ、かえって日本を宣伝していただかなければならないのに、その逆の効果というものがあってはならないんじゃないかと思います。
 それでは、次に移らせていただきますが、御案内のとおり、憲法九十二条には「地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とあります。地方自治の本旨とは、これはいろんな議論があるわけでございますが、私は地域に生きる住民の生の生活に立脚するというか、これがやはり大切なことではないかと思います。そういうところから考えますと、地方自治法の十条は「地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。」と、このように掲げてあります。私、外国の自治法等とも比較してみましても、日本の自治法は非常に崇高なる理念を掲げておると思うわけです。
 在日外国人をそこで考えまするときに、この中での負担ということについて参考人の方々からも意見が出ましたけれども、税金の平等とそして憲法に由来するこの自治法の平等というものについて個々における合法性、整合性、やはりこういうものが明確でなければならない、そのように考えておりますので、関係当局の御答弁をお願いいたします。
#169
○説明員(蓼沼朗寿君) 自治法十条第二項の負担の問題でございますけれども、この負担を分任する義務というものは、地方公共団体がいろいろ便益、役務を提供するに当たりまして経費がかかりますが、これらの経費につきまして住民が負担を分かち合うという趣旨でございます。具体的な負担につきましては、法令の定めるところによりまして、地方税ですとか手数料、使用料、そういうものが決まっているということでございます。
 地方自治法第十条二項に、地方公共団体の提供する役務をひとしく受ける権利、こういうのがございますが、これは地方公共団体の公の施設の利用料ですとかいろいろもろもろのサービス、便益がございますが、そういうものの便益につきましては法律の定めるところにより住民は平等に取り扱うべきということでございまして、この点につきましては自治法上外国人も同様に扱われるということでございます。ただ、いろいろ外国人の取り扱いにつきましてはそれぞれの法律によりまして趣旨、目的がございますので、そういうふうに決まっているものというふうに考えております。
#170
○萩野浩基君 私は、何も外国人の方にすぐ――アメリカでは、地方自治体によっては選挙権を税を出しておる方には出すとか、そういうのもありますけれども、私はそこまですぐできるとは言いません。やはりオブリゲーションとしてタックスを課しておるということにつきましては、住民としての権利というものもそこに認めていかなきゃならない。すなわち、その根底には基本的人権ということも考えられますけれども、そういう点において私はもっと合法性なり整合性というものが明確にされていかなければならないんじゃないかと考えます。
 時間が余りありませんので次に移ります。
 先ほど来、今までずっとそうでありますけれども、証明書の常時携帯義務についても、それからまた外国人登録証明書のこれにかかわる諸問題ということについてもるる議論されてきたわけでございますが、私これは感ずるんですが、同じ人間であるその前に外国人は別だ、こういう考えがどうも見えてならないわけです。こういう考えが先ほど来議論されておる罰則を含め外国人登録法の精神となっておるんではないか。そういう点について世のいろんな批判が巷に出ておる。そういうことにつきましてどのようにお考えになっていらっしゃるか、御答弁をお願いいたします。
#171
○政府委員(高橋雅二君) 今、先生御指摘があったところでございますが、この法律、外国人登録法というものがございますのは、基本的には日本人と外国人とは違うということで、何が違うかといいますと、日本に滞在するに当たっては、日本人は当然のこととして滞在できるが、外国人はこれは何らかの形で許可に属しめられているという意味で違うという、そういう基本的な考え方に基づいてこういう法律があるわけでございます。
 しかしながら、日本がだんだんだんだん国際化し、日本の社会が変わってくるということに従いまして、実態的にいろいろ外国人が受ける待遇というものは、先ほど来先生の御指摘がありましたように、内国民待遇がずっと広がってきているということは言えるかと思うんです。そういう意味で、基本的には外国人と日本人の差がありながら、だんだんだんだん実態的に差がなくなってきているという状況は起きていると思います。それが今後やはり基本的な方向でそういう方向にさらに進んでいくのではないかと、こういうふうに考えているところでございます。
#172
○萩野浩基君 ここで国籍の問題が中心になりまして、先ほどと若干重複いたしますけれども、やはり税金も納めていらっしゃる外国人、そういう者に、それは確かに自動車税、道を走ります。公衆便所も使います。そういうようなサービスは確かに受けていることはわかるけれども、それだけではない、もっと一つの権利として我々は目を開いていかなければならない、そのように考えておりますので、これも参考人の皆さんがひとしく申されたところでありますのでつけ加えておきます。
 さて、これからの未来に向けてでありますけれども、国際社会にどうしても日本は今までと違ってより一層かかわっていかなければならない。そうなりますと、今回でもいろいろ問題になったのが、やはりその根底に人種的なもの、そういうようなものがいろいろと見られる。今回、韓国の方、それから朝鮮の方、台湾の方というのはエクセプトで、それは除くというような形で、私はある程度の前進とは思いますが、逆にその中において差別を生むということも同時にあるわけで、今の段階では、日本の今までの歴史的経過においてまずそこから手をつけていくということは、これは私は理解しておるんですが、将来にわたりまして、この人種差別撤廃条約、それからB規約の選択議定書ですね、こういうものを日本は速やかにこれからの国際社会に向けてはやはり締結し、また批准していく、そういう準備がもう始まっていなければならない、こう思うわけです。
 このままでいきますと、ともするとアジアの中のアパルトヘイトというような、そういうような言葉も出てくるということになりかねませんので、人種差別撤廃条約及びB規約の選択議定書、これについての進行状況、また将来に対してどうお考えになっているか、御答弁をお願いいたします。
#173
○説明員(吉澤裕君) 人種差別撤廃条約でございますけれども、これにつきまして外務省といたしましては、あらゆる形態の人種差別を撤廃するというこの条約の趣旨にかんがみまして早期締結が重要だと考えているところでございます。
 他方、この条約につきましては、この条約が規定いたします処罰の義務というものと、表現の自由と憲法の保障する基本的人権との関係といったいろいろな問題もございまして、こうした点も含めまして関係省庁との検討を一層進めていきたい、このように考えている次第でございます。
 それから、B規約の選択議定書でございますけれども、これにつきましても、このB規約に掲げる権利についての個人からの通報にかかわる制度ということでございまして、これが人権の国際的保障のための制度ということで非常に注目いたしているところでございますけれども、この制度と国内的な制度との関係等を検討すべき問題もございますので、こうした点を含めまして関係省庁との検討を進めていきたい、このように考えている次第でございます。
#174
○萩野浩基君 最後は質問と申しますよりも、今までの審議過程、また参考人の御意見等も聞いたりしたこの委員会のメンバーとしまして、大臣の方からも前回、以前よりは大分前向きな回答をいただいたわけでございますが、前回も申し上げましたけれども、参議院の存在意義というのは、やはりアッパーハウスとしてのチェック機構、これが大事だろうと。これが良識の府としての参議院の存在価値であり、またここで意思決定が行われる。そういう中で、これは衆議院から回ってきましたので、衆議院ではという前提がちょこちょこ御答弁の中に出ておりますが、私もこの参議院のメンバーとしましても、当法務委員会のメンバーとしましても、参議院は参議院としての非常に重要な点があるんではないかと思っております。
 大変私的なことを申して恐縮なんですけれども、私は、「感性のとき」という、バイリンガルで英語名は「インサイド・ジャパン」という本を出して、今十一版でオックスフォード大学の保存版になっておるんですけれども、その中で実は私は、十分に参議院がそのファンクションを、その機能を果たしているかどうか疑問を持っているということを書いたのでございます。だけれども、現在私がこうして参議院議員であるということに対して責任と、そしてまた運命のいたずらかと、何かそんな感じがするんですが、私は議員といたしまして、また委員として、今回のこの法案に関しましても責任と義務というものをとっても強く感じております。
 日本で民主主義が根づくには、前回も申し上げましたけれども、アメリカで見られるように、上院、下院と、党は同じでも異なった意思決定がなされたりする。これが決して少なくない。そういうところに両院の存在というものが国民に認められ、そしてデモクラシーが守られていく、そのように私は考えておる一人でございます。
 前回の私の質問に対しまして、大臣はかなり前向きの姿勢で考えるという趣旨のようなことをおっしゃいました。これまでの質疑におきまして私が感じましたのは、三カ国を除く外国人に指紋押捺をする義務ということが一点、それから証明書の常時携帯というのが二点、それから罰則、刑罰というこの問題、この三点にある程度絞られてまいりました。
 それで、参考人の方々もみずからの経験をもとに我々にいろんなことを示唆してくださいましたけれども、異口同音であったことは、指紋押捺制度は廃止することが日本が国際社会に名誉ある地位を占める意味において非常に大きなアピールになるんではないかと、そのような意見が圧倒的でありました。
 憲法の前文を考えてみましても、また憲法の十三条、十四条、国際人権規約のB規約の二条と二十六条、また先ほど申し上げました地方自治法の十条、十三条、こうしたものを考えてみますとき、このリーズナブルな、合理的なといいますか、またラショナルなそういう合理的整合性ある区別として認める限界というものをやはり幾ら説明をつけても若干超えているんではないかというのが今までの質疑の経過であっただろうと思うんです。しかし現在、先ほど来数字が出ておりますように、この法案によって救われる人もたくさんおるわけです。
 ですから私は、北村委員からもありましたけれども、五年後速やかにこれを抜本的な改革というか、そういうものを目指して努力する本当の意味での前向きな意思というようなものを出して、出すといいますか、前向きにこの五年後速やかに検討するんだという強い意思をもう一度局長並びに大臣からお聞きし、この法案がここにとどまることなく、これから明るい希望に向かって日本が国際社会において発展していけるような形でこの法案を私は考えていきたい、そのように思っておりますので、誠意ある御答弁をお願いいたします。
#175
○政府委員(高橋雅二君) まず、私から御答弁申し上げます。
 この外国人登録法の目的は、先ほど来から申しましたように、外国人の公正な管理に資することでございまして、指紋をとることが目的ではございません。それで、外国人が日本に来て快適に住んでいただくというのも一つの目的でございますし、入管行政の一つの目的でもございます。また、日本が国際的な社会において名誉ある地位を占めるというのも日本の国家目的の一つでございまして、そういう観点からいきますと、我々の今後行うべき検討の方向というものはおのずから明らかになってきているのではないかと思います。
 いろいろ貴重な御意見をいろんなところから伺いました。この委員会を通じまして、またいろんな民間の方あるいはほかの政府の方からも伺いました。そういうものをいろいろ勘案いたしまして十分に念頭に置いて、それから先ほど来おっしゃっております人権規約とかそういうような国際的な約束事もきちっと念頭に置いて検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
#176
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
 ただいま政府委員からお答えしたことで尽きるわけでありますが、私も重ねて申し上げますが、もともと外国人の公正な管理ということで始まったこの制度でありまして、同一人性を確認する必要はこれは今でもあると。その手段が変わってきて、今度ある範囲での方を除いて代替手段が用いられるが、将来どうかというお話になるわけであります。
 私は、現在のこの出した法案が今考えておる最高であるとして出したばかりでございますし、これを御審議いただく過程においていろいろなこともお聞きしました。それで、この運用に対しては血の通った、繰り返しになりますが、人道的な、人権をよく考えた、そういう運用をやってまいり、かつ法の運用に当たって得られる情報を蓄積してその衆議院の五年という云々の問題に対して対処してまいりたい。
 衆議院とのことにつきましても、私ども衆参という考えを持っておりませんで、国会ということで、三権の国会ということで実は考えたわけでございますので、当然先生のおっしゃることもよく念頭に置いてやっていきたいと思いますが、これからも法務省みんな挙げて今回の御審議を通じた教訓を生かしてもらいたいと、そのように考えております。
#177
○萩野浩基君 どうぞこれは、これからの国際社会における日本の役割というのにも大変大きく影響しできますので、ぜひとも五年を経た後は速やかにこの立派な法律ができ上がることをお願いして、質問を終わります。
#178
○紀平悌子君 外登法の審議も終わりの方に近づいたようでございます。政府の御意見も伺い、大臣の御所見も伺い、また参考人の御意見を伺いながら真剣に取り組んでまいりましたけれども、さらにどうしてもお伺いしたいという部分につきまして、重なるところもございますけれども、お伺いをしていきたいと思います。
 前回に引き続きまして、指紋押捺制度が三十二万人に及ぶ非永住者の外国人の方々について同一人性の確認手段として維持されたことに関連して質問させていただきます。
 まず、外登法の目的自体は衆参の法務委員会での法務省あるいは警察庁、外務省などで一致した御見解として我が国在留の外国人の居住関係及び身分関係を明確にし、在留外国人の公正な管理に資することであるというふうにたびたび伺ってまいりました。この目的の達成手段として、例えば指紋押捺、署名、家族事項の記載等が有効であるという論議が従来の御答弁で優先されてまいりましたように思えます。しかし、昨今の傾向としまして、司法手続、行政手続上基本的人権に極力配慮を行いつつ、一定の警察目的などの制約を人に課す場合にはより制限的でない、他に選択し得る手段を模索し、それによるべきであるというような、国際的人権尊重の流れからすれば、指紋押捺の我が国における位置づけにはかなり問題があると思います。
 つまり、犯罪捜査もしくは捜査の端緒としての同一人性確認手段であるという性格が強いようにも思われます。これを何ら犯罪者でもなくしかるべき手続を踏んで来日をされた外国人に課してもよいのかというところが疑問が残ります。課してもよいのかというところがこの法案に対する出発点になるべきであったと考えます。今回はたまたま一九九一年一月九日、十日に行われました日韓首脳会議での協議事項に基づき、幸いなことに在日の永住または特別永住資格者六十四万人につき指紋採取の廃止が実現し、その限りでは外登法上の人権配慮が一歩進んだものとして受けとめますが、残り三十二万人の非永住者がすっぽりと抜け落ちてしまったのは大変残念だと思っています。
 法務省などの御答弁では、今回の取り扱いの外国人内での差については、おおむね家族事項の登録をさせることで十分な本人確認の資料となし得るか否かによるのがメルクマールであったように伺いますが、家族事項の採用の当否は別として、家族事項の有効性の検証というものはきちんと資料によってなされたんでしょうか。つまり、非永住者と永住者につき家族持ちであるのか、日本在住なのか、家族登録が本人確認として有効に機能するとみなし得るような事前調査が果たされたのでしょうか、これが合理的判断に基づくものなのか、お伺いをしたいと思います。法務省にお願いします。
#179
○政府委員(高橋雅二君) 今回の法改正案の作成過程におきましては、指紋押捺にかわる制度としてどういうものがいいのかということで種々検討いたしました。その中には、外国においてどのような方法をとっているかということも参考にしたわけでございます。それで、ほかの外国におきましても家族事項を登録するということによって同一人性の確認ということを行っているところがございまして、そういうところも参考にしたところでございます。
 そして、法務省及び市区町村に保管しております登録原票をもとに家族状況等について調査を行うことを含めまして検討した結果、家族事項を三つの手段の一つとして採用することにいたしますと、社会に定着性を深めている特別永住者にはもちろん有効であるし、同じような状況にある永住者についても有効である、そういう結論に達した次第でございます。そういうことで、この二つのカテゴリーの方々については新しい手段が有効である、こういう結論に達しました。
 そういうわけで、今回の法案の提出ということになったわけでございます。
#180
○紀平悌子君 法律であります以上、指紋押捺の廃止対象として明確な区分が必要だと思います。その区分の境界が永住者か否かという、いわば歴史的身分の有無に求められたのが今回の改正であったというふうにも思います。
 しかしながら、国際化の流れの中で、主に在留一年−五年未満の非永住者でも、企業に就職をしたり、家族を持ち、定住者以上に日本社会に溶け込んでいる方々も多いということを考えるときに、例えばその家族、または職場の日本人の確認等によって本人であることが十分証明できれば、指紋押捺を順次廃止して、しかるべき確認手段に切りかえていくような措置が、残りの三十二万人の方々についても必要であるように考えますが、その御認識はお持ちでございましょうか。
#181
○政府委員(高橋雅二君) 私たち、指紋押捺制度にかわる新しい手段を検討するに当たりまして、今先生のおっしゃったようなケースについても検討いたしました。
 しかし、一般的に、指紋押捺にかわる同一人性確認の手段としてこの三点セットを使うこととした場合、やはり長年本邦に在留している永住者、特別永住者の方々については有効でありますが、ほかの方々については、特定のあるケースを見ますと非常に社会における定着性が強いというふうに見られる方もございますが、基本的には一定の活動を継続する、あるいは一定の身分関係を継続する限りにおいて、この在留が認められているというものでございます。
 類型的に言うと、我が国の社会に定着性があるということではございませんので、この新しい制度というものがどうしてもまだ指紋にかわるものとして有効であるというところまで判断し得なかったということで、現在の制度をその方々については適用していく、こういうことになった次第でございます。
#182
○紀平悌子君 警察庁にお伺いしたいのでございますが、今回の外登法の一部改正、特に指紋押捺が署名と家族事項に代替された点につきまして、三つお伺いしたいと思います。
 その意義、それから、警察庁の今後の事務にどう影響するのか、三番目、非永住者三十二万人に対しまして人権配慮上の措置を貫いていくべきという見解に対してどういう御意見をお持ちかということ、これについてお答えいただきたいと思います。
#183
○説明員(奥村萬壽雄君) まず、今回の一部改正案の意義についてでございますけれども、今回の改正案は主管の法務省を中心といたしまして、制度面、運用面、いろんな観点から総合的に検討されまして、今回の成案ができたわけでございます。
 この改正案では、在留期間が一年以上の長期滞在者には、従来どおり指紋押捺制度を適用する。それから、永住者につきましては、写真、署名、それから家族事項の登録を複合的に組み合わせることによりまして同一人性の確認をするという仕組みになっているわけでありますけれども、そうしたことで、外国人登録の正確性をできるだけ損なわない仕組み、これが維持をされているというふうに承知をしております。
 それから、今回の改正による警察事務への影響ということでございますけれども、各種の警察活動を行います上で、外国人の居住関係並びに身分関係が明確になっておることが必要でございますし、また、外国人の同一人性が問題になる場合に、それを確認できるようになっている必要がございます。今回の改正案は、基本的にはそのような機能を果たし得るものと考えておるところでございます。
 それから三番目の、非永住者三十二万人に対しまして人権配慮上の措置を貫いていくべきという見解に対する意見ということでございますけれども、警察といたしましては今後とも外国人登録に関する各種制度を運用するに当たりまして、外国人登録法の趣旨、それから目的を踏まえまして、御指摘の三十二万人の非永住者を含めました外国人の人権に配慮しつつ、適正妥当に対処してまいりたいというふうに考えております。
#184
○紀平悌子君 続いて警察庁にお伺いしますが、外登証の携帯義務ですけれども、携帯義務違反が発覚する場合というのは、警察庁に関していえばどういう場合に一番多いのか教えてください。
#185
○説明員(奥村萬壽雄君) 携帯義務違反が発覚する場合につきまして詳細な統計をとっておりませんので正確に申し上げることは困難でございますが、現在把握している限りにおきましてお答えをいたしますと、外国人が窃盗などいろいろな犯罪とか法違反を起こしました場合に、これを警察が認知をいたしまして、そのとき同時に携帯義務違反が発覚するという場合が多いというふうに承知をしております。
#186
○紀平悌子君 例えば、前々回ですか、参考人への御質問の中で、参考人から出たお話だったと記憶しますけれども、小錦の取組最中の不携帯のケース、これはちょっと笑い話のようですけれども、まじめな話でございます。
 これは、いわゆる昭和六十二年の衆参法務委員会の附帯決議以降出されてきたと言われる弾力的適用の一例になるかと思いますが、常時身分を証明し得る状況にあるべきという外国人管理上の要請は必ずしも外登証の常時携帯に直結すべきものではないというふうに思うのです。
 そこで、警察庁のお考えを伺いたいのですけれども、昭和六十二年の附帯決議の前後で携帯義務違反の総件数と検挙数の変化、前後三年ずつをお教えいただきたいと思います。
 さらに、この弾力的運用について具体的に通達その他でとられた措置があれば教えていただきたいと思います。これは法務省にもちょっと質問申し上げたケースですけれども、警察庁からお伺いしたいと思います。
#187
○説明員(奥村萬壽雄君) 外国人登録証明書の不携帯事件の送致件数でございますけれども、昭和五十九年には二千六百七十四件でございましたが、昨年は四十二件となっておりまして、大変著しい減少傾向にございます。
 逐年的に申し上げますと、昭和六十年が二千八十八件、六十一年が千七百八十五件、六十二年が千四百二十八件、それから六十三年が七百四十四件、平成元年が二百三十一件、平成二年が九十七件、そして昨年が四十二件というふうになっております。
#188
○紀平悌子君 法務省に前回お伺いをしたのですが、時間の関係でさらにお伺いしかねたものですから、再びお伺いします。
 十六万人と言われる不法労働者対策につきまして、外登法等によってきちんと管理を受ける外国人等の法律的な扱いの不平等というのがあると思うんです。登録して就労しているという方々が遵法精神というか、遵法意識を損なうということがこれによってあるのではないでしょうか。こういう状況を踏まえた上で、今後どんな方針で臨まれますか、これは警察庁にもあわせてお伺いをしたいと思います。
 法律というものは、法律の専門家の方々や法務省の方々がおわかりになっているようには、一般はどういう法律によってこれはこうだとか、入管法、外登法、二つあるということもわからない方々が多いわけですね。
 そういう中で、やはり平等でない扱いを受けているという意識は、これは普通人間の間にはあることなんです。その意味でこの間御質問申し上げたんですが、御返事がしっかりいただけなかったのでお願いいたします。
#189
○政府委員(高橋雅二君) 確かに、法律をきちっと守っている人が守らない人に比べて結果として不利な状況になるとか不利な扱いを受けるようなことになるということは、法秩序の維持という観点からも非常に望ましくないことでございますので、極力そういう状況は排除していかなければならないというふうに考えているところでございます。
 そこで、今御指摘のありました不法就労者でございますが、不法就労者というのを厳密にとらえるのは非常に難しゅうございますが、不法滞在についていいますと、今先生おっしゃったように、昨年の五月一日現在で十六万人いるということでございますが、この不法就労の増加というのは我が国の社会経済等に重大な悪影響を及ぼすということで、入管といたしましては定着化を防止しつつ減少を図るという基本方針のもとでいろいろな努力をしているところでございます。
 具体的に申しますと、まず入り口のところで、水際で審査を厳格にして不法就労目的の入国者の阻止を図り、それから在留審査、資格更新、滞在の更新のときに実地調査を行うなど厳格に審査をするということが一つ。それから、実際にそういうものが行われているというような情報をつかみ、かつそういう情報が得られた場合には摘発していくという、そういう摘発活動の強化。
 それから、これは法務省だけではなくて、関係省庁と協力しながら情報交換をしつつ不法就労の摘発の推進や、それから不法就労助長罪というのがございますので、そういうものを適用して特に悪質な者を厳重に取り締まる。こういうようなことを通じまして不法就労をできるだけ減らしていく、こういう対策を講じているところでございます。
#190
○説明員(奥村萬壽雄君) 不法就労者につきましては、昨年の五月の時点で十六万人おるということでございますし、またそれからふえているという話もございます。こうした不法就労者につきましては、警察といたしましては法務省等関係機関と緊密な連携をとりながら、密航ブローカー、これは先般八丈島とか和歌山の方で中国人の密航がございましたけれども、そうした密航をあっせんするブローカーあるいは就労あっせんブローカー等が介在する組織的、計画的な悪質な事案、それから密航者等につきましては文書偽造、これはパスポートとか外国人登録証を偽造する事案が多いわけでございますけれども、そうした文書偽造を伴うような悪質な事案、そうしたものに重点を絞りまして適切な取り締まりに努めてまいりたいというふうに考えております。
#191
○紀平悌子君 不法就労の方々につきましては、私はまた別に意見がございますけれども、一応それは時間もございませんのでおきまして、それで取り締まりという言葉が強く出ますので、そういうことでなく、法のもとの平等というか、その辺についていささかもうちょっと違った御意見を伺いたかったわけでございますが、次に参ります。
 法務省にお伺いいたします。
 午前中の糸久委員の御質問で十分お答えになった点でございますので簡単で結構でございますが、今回の改正で、各地方自治体の窓口での混乱はないというふうにこの間はお答えになったように思われますが、各自治体への今回改正に当たっての対応、あるいは人的対応、費用分担の方針、一言二言で結構でございますので、いま一回お伺いしたいと思います。
 もう一つ続けて、最大の問題でございますこの署名の問題なんですが、前回、文字自体が読み取れない、それから先ほどは識字の問題も出ましたけれども、そういうふうな問題がございます。さらには、呼び出しして書類をお渡しするとき本人の確認はどうやって間違えないようにするのですかというふうに前回伺いましたけれども、何やらちょっと納得できないお答えでもございましたので、いま一回確認させてください。
#192
○政府委員(高橋雅二君) まずは、地方自治体を含めましてこの予算措置でございますが、外国人登録制度の改正に関しまして、特別永住者及び一般永住者に対して指紋押捺制度を廃止し新しい制度を適用するための予算といたしまして、官側写真撮影体制の整備経費、新登録証明書カードの導入経費、画像集中管理システムの導入経費、署名制度の導入経費及び家族事項の登録経費等、外国人登録制度合理化経費として二十億六千八百万円を本年度の予算で措置しているところでございます。
 また、新しい制度の導入に当たりましては、窓口におきまして混乱が生じないようにできるだけの措置、マニュアルの作成とかそういうものを含めまして措置をとるとともに、今申し上げました予算措置を通じまして、余計な負担がふえないように講じていきたいと思っております。
 それから、署名による同一人性確認をどのようにしているのかということでございますが、署名は登録外国人が本人にかわって行うことがないように、申請者本人が市区町村の窓口で行うということとしております。これは十五条にございます。
 それで、本人かどうかということについては、原則としてもう指紋はこの場合使うことはございませんので、写真というようなことをまず一義的に確認することになるんじゃないかと思います。
 それから、署名の確認ということにつきましては、これは特に厳密に筆跡鑑定とかそういう能力がなくともできるような、そういうことで照合するということで十分ではないかと思っております。その点に関しましても、市区町村の方々が迷うことがないように、具体的なマニュアルといいますか、そういう要領を作成していろいろ指導といいますか、そういうふうにやっていきたい、こういうふうに考えております。
#193
○紀平悌子君 恐縮ですが、そのマニュアルの一部というか、間違わないようにやる、例えばどういうふうにやるという何かございますでしょうか。なかなか難しいと思うんですね。
#194
○説明員(山崎哲夫君) 署名につきましては、先ほど審議官の方から答えましたように、政令で定めることになっておりますが、まず一つとしましては、旅券に記載されておる文字によるということを考えております。それによって確認をするということでございます。ただ、鑑定となりますと非常に難しい点がございますものですから、一義的には、一見して他人のまねをしたような署名につきましてはそれの特色が出ますものですから、それの解説書みたいなものを配付するというようなことを考えております。
#195
○紀平悌子君 それでは、厚生省においでいただいていると思いますので、先ほど橋本委員の御質問のございましたことと重なりますので、時間は短くて結構でございます。
 不法就労者が日本において、けがとか重病、こういうふうなところに陥った場合、どういう措置がとられるんでしょうか。その実態の把握はされているでしょうか。今後どのように対応されていきますか。手短で結構でございます。
#196
○説明員(小沢壮六君) 外国人に対する社会保障の適用でございますが、日本国内に適法に居住する者につきましては内外人平等の原則に立ちまして国籍を問わず社会保障の適用を一般的にするという建前でございます。
 御指摘の不法に滞在する外国人の方々の取り扱いでございますが、これは結果といたしましては、不法滞在が判明すれば出入国管理及び難民認定法の規定に基づきまして強制退去等の取り扱いの対象になる方々でございますし、仮に医療保障を行うとしますと、そのことがいわば不法滞在を容認、助長するおそれがあるんではないだろうかというような考え方から、私どもといたしましては、不法滞在を前提として医療保障を行うことは困難であるというような考え方でございまして、実態といたしましても、いわばそういう制度としての医療費の保障というのは行われていないのが実態でございます。
 それから、どれくらいの方々が、そういう医療の実態がどうなっているかという調査をしているかという御指摘でございますが、私どもとして全国的な調査はいたしておりませんが、総務庁におきまして行政監察の実態調査というものが行われておりまして、これは不法滞在ということでは必ずしもなくて、不法滞在か否かにかかわらず診療を受けた外国人の方々の実態ということでございますが、平成二年四月から三年三月にかけての調査でございまして、五十六医療機関におきまして調査をされまして、その問診療を受けられました外国人の方々は延べ千三百九十六名となっておりますが、そのうち医療費、診療費が未払いとなった外国人は三十四名であったというふうな結果であったと承知しております。
#197
○紀平悌子君 最後に、法務大臣に御意見というか、御所見あるいは御決意をお伺いしたいと思いますけれども、先ほど中野委員の御質問に対して大臣は、同一人性の確認について、永住者は写真、署名、家族事項が指紋押捺とほとんど、匹敵すると言うと言葉は違いましたけれども、確実な手段であろうというふうに考えている、こういうふうにおっしゃったわけです。
 それならば、これはその方の永住性に伴う問題をちょっと飛ばしている意見かもしれませんけれども、外国人を管理するときに二種類の方法を設けるということは在留・在日外国人に対する不平等ということにもなるように思いますので、できるだけそれを平等に近づけるという意味、それから基本的人権という問題を踏まえまして、もし手段として同じような効果というものが仮にあるならば、これはやはり指紋押捺をなくするべきじゃないか、全廃するべきじゃないかというふうに私は考えるわけです。
 そこで、基本的人権の立場から、それから国際的な状況からしても、これから五年以内に見直しということをなさいますときに、先ほど私が申し上げた、これは五年間手をつけないというんではなくて段階的な問題も配慮をお願いできないかということと、それから人権への配慮というのを何よりも第一として考えて次なるステップを踏んでいただきたい、こう考えるわけです。
 勝手なことを申し上げましたけれども、大臣として率直な御見解を最後に承って、質問を終えたいというふうに思います。
#198
○国務大臣(田原隆君) 午前中の質疑におきましてどなたかから指紋押捺の背景について御質問がありまして、それについて政府委員からお答えしましたが、昭和二十七年だったと思いますけれども、そのときから情勢が変わってまいりましたけれども、外国人に対して公正な管理に資するための同一人性の確認ということについては何ら変わってない。その手段として指紋が人権的に問題があるとすれば何か方法はないかということで考え出されてきたのがこの三点セットである。
 こういうことになりますが、何度も繰り返しになって恐縮ですが、指紋を一〇〇として考えた場合に、それ以外の方法は九九・一かもしれないし九八・五かもしれないが相当精度の高い同一人性の確認ができる方法でありますけれども、一〇〇%ではないが、定着性のある方については家族事項等を含めた他の情報等で十分それでいけるという判断のもとに行ったわけであります。定着性のない方についてはしばらくまだ、しばらくと申しますか、指紋のままでないと一が確保できないということでありますが、定着性とは何かというと、日本をよく理解しているとか友達が多いとか、相互の外国人同士の友達も多いが日本人にも友達が多いとか、いろんな情報が奉って同一人性が素早く確認しやすいということから私は出ていると思うのです。そこで永住者、特別永住者と長期滞在者どこう分けたわけでありますが、どこかで線を引かなければいかぬわけですが、そういう分け方になったわけであります。
 それで、五年後のお話が出ましたが、この人が一巡して一回やるのに五年かかるわけですから、五年以内は勉強の段階であって、私も人権というものは非常に大事であるということを感じますので、運用に当たって特に人権を尊重しながら、道義的、人道的によく考えながらやる、そして血の通った、外国人の立場に立った運用をするということも申し上げておりますが、そうやりながら、かつ法の適用によって得られる資料を蓄積していって将来に備えたい、こう申し上げておるわけでございまして、前向きに御答弁申し上げているわけであります。
#199
○紀平悌子君 ありがとうございました。
 終わります。
#200
○委員長(鶴岡洋君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 外国人登録法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#201
○委員長(鶴岡洋君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 北村哲男君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。北村君。
#202
○北村哲男君 私は、ただいま可決されました外国人登録法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院の各会派及び各派に属しない議員紀平悌子君の共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    外国人登録法の一部を改正する法律案に
    対する附帯決議(案)
  政府は、次の諸点について格段の努力をすべ
 きである。
 一 本邦在留の外国人に対する行政の在り方に
  かかわる内外の諸情勢の推移を踏まえ、外国
  人登録制度の目的を明確にするとともに、外
  国人の人権を尊重して諸制度の在り方につい
  て検討し、その結果に基づいて、この法律の
  施行後五年を経た後の速やかな時期までに適
  切な措置を講ずること。
 二 外国人登録法に定める罰則について、他の
  法律との均衡並びにこの法律における罰則間
  の均衡などを検討し、その結果に基づいて、
  適切な措置を講ずること。
 三 指紋押なつ拒否者その他の外国人登録法違
  反者に対しては、その実情を踏まえ、人道的
  立場に立った対応を行うこと。
 四 外国人登録証明書の常時携帯・提示義務等
  に関する規定の運用に当たっては、外国人の
  日常生活に不当な制限を加えることのないよ
  う配慮し、いやしくも濫用にわたることのな
  いように努めること。
 五 永住者及び特別永住者の同一人性を確認す
  る手段としての署名及び一定の家族事項の登
  録を実施するに当たっては、在留外国人の人
  権及び立場等に十分配意した運用を行うこ
  と。
   特に、署名をしなければならない者が、疾
  病等本人の責めに帰すべからざる事由によっ
  て、署名することが出来ない場合には、次回
  確認申請時期については人道的立場に立って
  適切な措置を講ずること。
 六 法改正により指紋押なつを必要としなく
  なった者の指紋原紙については、これを速や
  かに廃棄すること。また、それらの者の外国
  人登録原票の指紋部分については、今回の法
  改正の趣旨を踏まえ、今後の措置を速やかに
  検討すること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#203
○委員長(鶴岡洋君) ただいま北村君から提出されました付帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#204
○委員長(鶴岡洋君) 全会一致と認めます。よって、北村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田原法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田原法務大臣。
#205
○国務大臣(田原隆君) 外国人登録法の一部を改正する法律案につきましては、委員の皆様方に熱心に御審議いただき、ただいま可決されましたことを心から御礼申し上げます。
 なお、ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、今後とも努力を重ねていく所存でございます。
#206
○委員長(鶴岡洋君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#207
○委員長(鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#208
○委員長(鶴岡洋君) 民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田原法務大臣。
#209
○国務大臣(田原隆君) 民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 我が国の民事訴訟においては、近時の社会経済情勢を反映して、訴え提起の手数料の額を算出する基礎となる訴訟の目的の価額が高額な事件が増加し、これに伴って、一般国民がそのような高額事件にかかわる機会がふえてきておりますが、訴訟の目的の価額が高額になりますと、それに応じて訴え提起の手数料の額も高額となるところから、国民が裁判を受けようとする場合に過度の負担となることのないよう、早急に対策を講ずる必要があります。
 この法律案は、このような事情等にかんがみ、現行の民事訴訟費用制度を基本的に維持しつつ、民事裁判を国民にとってより利用しやすいものとするために、訴え提起の手数料のうち、訴訟の目的の価額が高額にわたる部分に対応する部分の引き下げを図るべく、その算出基準を改めるものであり、あわせて、訴え提起の手数料と同様の方法、により申し立て手数料の額を算出することとされている借地非訟事件及び民事調停事件についても、同様の観点から同趣旨の改定を行うものであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#210
○委員長(鶴岡洋君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後三時十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト