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1947/06/26 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 外務委員会 第10号
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1947/06/26 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 外務委員会 第10号

#1
第002回国会 外務委員会 第10号
昭和二十三年六月二十六日(土曜日)
    午前十時五十九分開議
 出席委員
   委員長 安東義良君
   理事 亘  四郎君 理事 細川 隆元君
  理事 唐木田藤五郎君 理事 高瀬  傳君
      植原悦二郎君    栗山長次郎君
      竹尾  弌君    仲内 憲治君
      武藤 嘉一君    若松 虎雄君
      竹内 克巳君    戸叶 里子君
      馬場 秀夫君    和田 敏明君
      園田  直君    村瀬 宣親君
      山下 春江君
 出席政府委員
        外務政務次官  伊東 隆治君
        厚生政務次官  喜多楢治郎君
        復員事務官   荒尾 興功君
        逓信政務次官  五坪 茂雄君
        逓信事務官   小笠原光壽君
 委員外の出席者
        外務事務官   西村 熊雄君
        厚生事務官   高野 藤吉君
        專門調査員   佐藤 敏人君
        專門調査員   村瀬 忠夫君
    ―――――――――――――
六月二十五日
 万國郵便條約及び小包郵便物に関する約定に加
 入することについて承認を求めるの件(條約第
 一号)
同月十七日
 日系大陸孤兒救済に関する請願(大野伴睦君外
 一名紹介)(第一四六六号)
同月十九日
 在外同胞引揚促進の請願(並木芳雄君紹介)(
 第一五七〇号)
同月二十四日
 ソ連領からの復員促進に関する請願(中曽根康
 弘君外一名紹介)(第一六四八号)
 在外同胞引揚促進の請願(中島茂喜君外四名紹
 介)(第一六四九号)
の審査を本委員会に付託された。
六月十九日
 ソ連地区残留同胞引揚促進に関する陳情書(廣
 島市國泰寺町廣島市役所内廣島市在外同胞帰還
 促進連盟委員長任都栗司)(第七五二号)
 在外同胞引揚促進に関する陳情書(在外同胞帰
 還促進新潟縣協議会大会代表者松木宏外一万八
 千五百名)(第八一五号)
 在外公館借上金の返還並びに換算率に関する陳
 情書(東京都中央区銀座四丁目教文館ビル山東
 協会会長鈴木格三郎)(第八六七号)
を委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 万國郵便條約及び小包郵便物に関する約定に加
 入することについて承認を求めるの件(條約第
 一号)
 在外同胞引揚促進の請願(淺利三朗君外七名紹
 介)(第九九七号)
 中國東北地区残留同胞に救援物資送付の請願(
 川合彰武君紹介)(第一一四八号)
    ―――――――――――――
#2
○安東委員長 ただいまより会議を開きます。
 政府より万國郵便條約及び小包郵便物に関する約定に加入することについて承認を求めてまいりました。その審議をいたしたいと思います。伊東政務次官。
    ―――――――――――――
  万國郵便條約及び小包郵便物に関する約定に
 加入することについて承認を求めるの件
  万國郵便條約及び小包郵便物に関する約定に
 加入することについて、日本國憲法第七十三條
 第三号但書の規定に基き、國会の承認を求める。
    ―――――――――――――
#3
○伊東(隆)政府委員 御説明申し上げます。皆さんのお手もとに万國郵便條約と、小包郵便物に関する約定というのと二つの書類が参つていると思いますが、この万国郵便條約というものが、いわゆる親條約でありまして、すなわち基本的な條約であります。この條約に基きまして、小包郵便物に関する約定なるものができているのであります。この小包郵便物に関する約定のみならず、ほかに六つほど子供條約ができているのでありまして、たとえば價格表記の書状及び箱物に関する約定とか、あるいは代金引換郵便物に関する約定とか、あるいは代金取立に関する約定とか、そういうようないろいろな約定、アレンジメントが七つほどあるのでありますが、これらのほかの六つの約定にはさしあたり、はいる必要がありませんので、この親條約に基きまして、小包郵便物に関する約定だけに今度は加入するわけでありますが、從つてもとより万國郵便條約、この親條約にまず加入いたし、この小包郵便に関する約定にはいる。この二つの國際約定に今度はいることにいたしたいと思いまして、國会の御承認を得たいというわけであります。
 万國郵便條約は、御承知の通り、ずつと以前からあるのでありまして、五年ごとに改訂をしてまいつたのであります。しかしながら今度の大戰によりまして、現在の改訂せられる前の條約は、九年目に改訂せられたのでありまして、昭和十四年の五月にブエノス・アイレスでできました万國條約を昨年の七月にパリーにおいて改訂せられました。その昨年の條約が本年の七月一日、数日後からいよいよ効力を発生する、こういう段取りになつているわけであります。まだわが國は講和條約も締結するという段取りに至つておりませんので、この種の國際條約に加入いたしますことも、わが國だけの自由意思によつては決定しがたいのでありますが、さいわいにして、郵便連合國際事務局が、連合國政府を通じて日本側に新條約のテキストを送つてまいりました。六月の十二日かと覚えておりますが、先般送つてまいりました。これに対しまして、わが郵政当局及び外務当局は熱心に協議した結果、ぜひこの議会に参加いたしたいという希望を連合國側に申し出たのであります。連合國側におきましては、日本側のこの希望を容れまして、それではひとつ実施期も七月の一日でもありますから、早速加入したらよいだろうということになりまして、ここに一應の内諾を得ましたので、國会の御承認を得て正式に加入することにいたしたいと存じているような次第であります。
 今度の万國郵便條約、すなわちパリー條約は、その前のブエノス・アイレス條約とどういう点において違つているかと申しますと、こまかな点につきましては、あとでそれぞれ関係政府委員からの御説明があることと存じますが、大体主要な点をかいつまんで申しますと、三つありますが、いずれも事務的なものでありまして、大した意味もないのであります。まずその一つは、この條約の附属協定でありまして、國際連合との協力関係を規定しております。すなわちユノーとの協力関係を規定しているのであります。御承知の通り、國際連合は今後の國際機構の根幹となるものでありまして、すべての國際機関はこのユノーを根幹としまして派生するような形式になつているのであります。從つて食糧に関する問題とか、あるいはまた最近はやりのユネスコの問題であるとか、あるいは労働の問題であるとか、そういういろいろな問題がありますが、それはそれぞれの專門機関という名前にしまして、それらの專門機関とユノーは緊密なる協力をもつて、國際機構の運営に当るという條項がありますので、この万國郵便もその專門機関の一つとしまして、國際連合との連絡をし、また協力していくということに相なるわけで、その旨をこの附属店で規定しておるのであります。この点が今までのブエノス・アイレス條約と異なる一つの点であります。
 第二の点は、ブエノス・アイレス條約におきましては、加盟しようと思います場合には、ただベルンの事務局に通告をすればよかつたのでありますが、そういう簡單な手続ではいけないということになりまして、加盟國の三分の二以上の同意がなければ加入できないということを規定いたしまして、加入に関する規定を重くしたという点が第二の変つた点であります。
 第三の点としましては、こんなわけで加入の手続を重くしましたけれども、日本とかドイツとか――彼らのいわゆる旧敵國でありますが、かかる重要な國で、國際郵政の上に非常に重要な立場をもつているこれらの國々の現状に鑑みまして、これらの國々が加入します場合には、何も加入國三分の二の同意を要せずして、ただ加入したい國の外交手続によつて、すなわち外務大臣から國際事務局にあてた加入の申込によつて加入できるという簡易手続を規定いたした点が、第三の変つた点であります。
 いずれにしましても、こういう事務的な條約でありますので、ブエノス・アイレス條約と今度のパリー條約との間には、さほど大きな特記するほどの点もないようなわけであります。特に技術的な方面における相違点につきましても、大したことはないのでありまして、今までは代金引換の制度などは、それぞれさきに申しました七つの約定、アレンジメントの中に散在しておつたのでありますが、今度は特に代金引換に関する約定、小包に関する約定のごとき、約定という一つのアレンジメントをつくつたことが一つ変つたことと、もう一つは、五年ごとにこの万國條約は改訂されるのでありますが、その五年間に加盟國がお互いに眠つておつたのでは、その進歩もないから、実施委員会をつくつて、加盟國は始終万國條約について円滑なる運営を協議しようという、常設の委員会をこしらえたことなどが変つておる点であります。
 なおこまかな点につきましては、関係政府委員から説明があることと思いますが、大体以上のようなことであります。実は会期が迫りました今日、急にこういう二つの國際約定を提出いたしまして國会の承認を求めますのは、さつき申しました通り、國際事務局からのテキストの送付が六月八日でありまして、それ以來外務、逓信両当局は、徹夜をいたしまして、新條約の研究を続けてまいりまして、ようやく先般閣議を経て今日ここに初めて國会に提出するような段取りになりましたわけでありまして、しかも会期がもう数日に迫つておるのでありますが、その効力発生の時期も七月一日というのであります。また数日後に効力が発生いたしますので、それまでに参加の通告をフランス政府にやりますことは、國際郵政の円滑なる運営をはかることになりますので、ここに國会の承認を一日も早く得たいということで提出したような次第であります。
 簡單でありますが、大体條約の内容及びその経過について御説明申し上げました。
#4
○西村説明員 お手もとに配付してございます万國郵便條約のうち一箇所だけ印刷を御訂正願います。五ページの第十二條の仲裁というところの一行目の下の方でありますが、連絡員の「二または二以上」とあるのを「二または三以上」と御訂正願います。
#5
○安東委員長 終戰後初めて日本が條約に加盟するわけでありまして、外務委員会といたしましても、本條約については当然愼重審議すべきものと私は思う。しかしながら先ほど政府委員からの御説明がありました通り、まことにやむを得ざる事情でもあるし、非常に急いでおりますから、その意味合におきまして本條約につきましては、特に審査委員会というようなものはつくらないことにいたしたいと思います。その点御了承願いたいと思いますが、御異議ありませか。
#6
○安東委員長 次にこの條約の本文はフランス文でございます。お手もとにあるのは飜訳でありまして、原文はフランス文でありますから、日本ではそのフランス文に加盟するわけであります。しかしながら印刷の都合上遂に本日までには皆さんのお手もとにそのフランス文をお渡しすることができなかつたそうであります。もつとも委員長のところにはその一部がまいつております。この点は惡しからず御了承願いたいと思います。
 それでは質問ございますればお許しいたします。
#7
○亘委員 ただいま政府委員の御説明によりますと、基本條約である万國郵便條約並びにその附屬約定の小包郵便に関する條約、この二つだけである。その他五、六の約定があつて、それは親に対する子の約定であるが、それらのものに対しては参加する必要がないというお言葉でしたが、それはどういう意味で参加する必要がないのでございましようか。ちよつとお伺いいたします。
#8
○小笠原政府委員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。
 終戰後日本が万國郵便業務を再開いたしましたのは、連合軍総司令官の指令に基きまして、一昨年の九月十日から再開いたしたのでございます。その指令に基きましていろいろ取扱います範囲等は限定されておるのであります。今日日本がやつております仕事の内容から判断いたしますと、さしむきは郵便條約及び小包郵便物に関する約定だけが直接必要になつてまいります。それ以外の價格表記でございますとか、あるいは為替約手でありますとか、その他先ほど外務省の政務次官から御説明を申し上げましたようなことがございますが、これらのことはもちろん情勢がこれを許すようになりますればなるべく速やかに加盟することが結構だと存じますが、今日の段階におきましてはさような約定へ加入する必要はさしむきございません。それでこの二つだけの加入の御承認を御提案したような次第でございます。
#9
○和田委員 現在郵便物や小包の交換状況は、実際どうなつておりますか、またそれは戰爭中にこういう國際條約から一切日本は離れているわけですが、しかし実際にはアメリカあたりから加州米を送つてきたという人もあるということですが、そういうようなことの実情はどうですが。
#10
○小笠原政府委員 外國郵便物の各國との交換は、ただいま御説明申し上げましたように、連合軍総司令官の指令に基いてやつているのでございますが、その範囲は一昨年九月、外國郵便業務を再開いたしまして以來、逐次拡充されておりまして、今日はいわゆる通常郵便物というものは、ほとんど例外なしに各國との間に交換をすることができる状態になつております。
 それから小包郵便物につきましては、今日外國からいろいろな物が到着することになつておりますが、日本からはただいま國会に提案しております郵便法の一部を改正する法律案が成立いたしますと、近く日本からも外國に対して小包を出すことができることになる予定でございます。そうなりますと、外國郵便との交換というものは、内地においては戰前の状態によほど近くなるのでございます。郵便物を交換いたします相手國も今日は別段制限はないのであります。世界各國どことでも郵便物を交換できる状態になります。
 それではどれくらい郵便物を交換しているかというと、ごく大畧な数字を申し上げますと、手紙とかはがきとかいういわゆる通常郵便物が、五月中に日本から外國へ出ていつたものが十八万箇ばかりあります。同じ期間に外國からは二十万箇ばかり日本に到着いたしているという状況になつております。それからなお最近は手紙とはがきは航空郵便物として、日本から出すことになつております。また外國からそれ以外の通常郵便物も飛行機で到着することになつております。それで五月中に日本から手紙やはがきが飛行機で送られましたものは十一万、それから外國から到着したものが約十二万ございます。
 次に小包につきましては先ほど申し上げましたように、今日は日本からはまだ出せないので、外國から到着するものばかりでございますが、いわゆるギフト・パーセルをきめまして、五月中に外國から日本に到着いたしましたものが、およそ九万箇くらいの小包が到着しておるような状況でございます。
#11
○和田委員 今の説明を承ると、大体ほとんどこの條約に何も加盟しなくても、相当な郵便物の交換がある。小包は日本からは出ないし、日本から出すようなものはあまりない。大抵は外國から來ておる。そこで特にこの條約に入る必要はないように思います。特に平和條約もわれわれには與えられていないのだが、この條約は特徴として國際連合とも非常に関係があるという。その國際連合にはもちろん加入は許されていない。こういうような技術的な協定にのみまず参加を許してくれるという態度、その基本的な態度には私は多少疑問をもつておる。特に條約を結ばなくとも、この占領下の状態において相当な万國との郵便や小包の交換はできるのじやないか。この点の政府の意見をひとつ伺いたいと思います。
#12
○伊東(隆)政府委員 技術的な点もありますので、その方からお答えした方がよいかと思つたのですが、御説ごもつともだと思います。しかし日本との平和條約が今日まで延びておるということにつきましては、これは皆様御承知の通りいろいろの複雜なる國際情勢から、やむを得ずきておるのでありまして、何もそういう條約を特に連合國側が引き延して、そうしてかくのごとき技術的約定から漸次出ていこうというような計画的な意図のもとに、今度の場合にもそれを許したのではないということだけは、はつきりしておることだと思います。ですから私どもといたしましてはそういうような邪推ではございませんが、そういうふうにも考え得ることではありますけれども、現在の國際情勢からいたしまして、こういう技術的な條約でも漸次國際関係の仲間にはいり得るということは、非常に慶賀すべきことであつて、実は外務省といたしましても、ここまで了解を得たことは、われわれとしては一つの成功のようにすら思つておるような次第であります。
 次に現在小包郵便がそれほどたくさん交換されておるのに、こんなものにはいらなくてもよいじやないかとおつしやるのですが、実はこの約定にはいることによつて、どれだけまた日本から出る小包が殖えることになるかということにつきましては、郵政当局からの回答があるかと思いますが、かりにそれだけの増加がないにしましても、こういうはつきりしたアレンジメントで、國際的なものに加入してやるということは、やはり正規な方法によつてやることでありまして、われわれとしてはかりに小包郵便物が殖えないといたしましても、こういうような手段でやることを希望しておるような次第であります。
#13
○和田委員 これは各主権國はいつでも條約に加入することができるというので、大した成功というような見解は私はとらぬのです。しかし別にはいるなという主張でもないわけなのですが、一体國連にはいつていない日本にとつて不利な点はないのですか。
#14
○伊東(隆)政府委員 この附属書におきまして、國際連合との協力関係を規定しておりますので、國際連合との関連を重視されたわけだと思いますが、これは一口に申しますとありません。ただ協力と申しますのはこういう種類の專門機関でも、やはりその親許には國際連合というものがあるのでありますから、それとの協力関係をやるというだけでありまして、國際連合にまずはいらなければ、これにはいつてもいろいろの不便があるということはないのであります。
#15
○和田委員 その点は特に御研究になつているとも思わぬが、大した問題でもないだろうとわれわれも考えますから、それはよいとして、一体負担金額は等級があるようで、日本の負担金額というのはもちろん最低だと思いますが、その最低の七級というのはどのくらいの負担をするものか。それをひとつ伺いたい。
#16
○小笠原政府委員 ただいまの御質問の問題は、二十七條の國際事務局の経費の問題の御質問だと了解いたしますが、日本は從來からこの中の一等になつておりまして、現実にどれくらいの経費を負担しておるかと申しますと、一九四四年の日本の負担は、一万二千二百五十スイス・フランでございます。終戰の年の四五年は一万三千三百七十五スイス・フランでございまして、大体それくらいから二万スイス・フラン程度まででございます。
#17
○和田委員 戰爭前は第一級かもしれないが、今やこんな國力になつておるのに、第一級の負担金などとてもわれわれ負担することは反対でありますし、そんな莫大な金をかけて、平和條約もできていない今日、私はこういう條約に何も参加する必要はないと思う。しかしどうしても参加するというのならば、必ずしも反対しないということは、さつきも言つた通りであります。しかしそんな第一級ということは考えられないのでありまして、今の日日の國力から言つたら、第七級ぐらいでよいではないですか。
#18
○西村説明員 その点御説申し上げます。從來は日本といたしましては、この條約には日本本國と朝鮮とそれ以外のいわゆる日本の属地として、三つの單位としてこの條約に参加していた次第であります。パリー條約によりまして日本は日本本國だけとして参加するわけになりますから、日本本國としては從來二十五單位であつたので、將來も二十五單位であろうという点については、特に負担が増加するという結果にはならないと思います。朝鮮に対する負担が落ちるし、それ以外の植民地に対する負担も落ちるということになります。
#19
○和田委員 それはわかりますが、しかしそれは日本が一流國としてやつていたときのことであつて……。
#20
○西村説明員 ちよつと郵務局長から朝鮮とそれ以外の属地の負担金について、御説明申し上げます。
#21
○小笠原政府委員 先ほど申しました数字は日本本土の数字を申し上げたのでございまして、実は漏らしましたが、そのほかに一九四四年におきましては、朝鮮の分としての負担金は四千九百フラン、朝鮮以外の属地全体として四百九十フラン、それに先ほど申しました日本本土の一万二千二百五十フランと合計しまして、一万七千六百四十スイス・フランとなつております。それからただいまの問題の、朝鮮は何等になつておるかという御質問に対しましては、現行の郵便條約のもとにおきましては、朝鮮は四等になつております。それから新しい條約に基きましても、朝鮮は四等に予定されておる次第であります。
#22
○仲内委員 ちよつとお尋ねしたいのですが、今度の加入は新しい加入でありますか。それとも戰爭によつて昭和十四年のブエノス・アイレスの條約に対する日本の現在の関係がどうなつておるか、それの復活なのか、パリ條約に全然新しく――そういうふうに説明されておるようであります。その点一つ。それからそれに関連しまして現在の日本と列國との條約で有効と申しますか、現に効力のあるものがほかにどういうものがあるか。
 それから提案が遅れた、突如本委員会に提案された理由としまして、フランスからのテキストの着いたのが六月の八日であつた。それから急遽その筋との了解その他に手間取つて提案されたというのでありますが、この條約そのものは昨年の七月五日に調印されておるのでありまして、終戰中といいましても、外務省は当然この條約のできたことも知つておつたはずであります。正式のテキストの入手は困難でも当然こういつた條約に参加の日を期待して準備があつたはずだと思うのでありますが、また今後日本のおかれておる立場からいたしましても、平和條約が遅れる。一方友好國の方はできるだけ、形式的な平和條約が遅れても、漸次日本の実情に適して実際に講和が終つたと同じようないろいろな外交的な関係の復活を現に海外旅行その他によつて見つつあるし、そういう方向に進まれていつておるのでありまして、日本側としては連合國の指導以上にできる限り外交関係の復活に向つて努力をしなければならぬと思うのであります。今後こういつたたとい技術的な條約であつても、一つでも多く参加を見るいとうことが望ましいということは、は私日本のために確信するのであります。積極的にそういう機会をとらえて機を逸せず参加すべく、むしろこちらが自主的に努力すべきものではないか。このテキストがフランスから送られたのもフランス側のイニシアティーヴによるものであるか、あるいは連合國の提案によるのであるか、あるいはわが外務省のこれに対して何か事前に希望でも申し出た事実があるのか、これらの点も伺いたいと思います。
#23
○伊東(隆)政府委員 お答えします。第一の点でありますが、これは新たなる加入であります。ブエノスアイレス條約に対する復活ではありません。今次の戰爭によりまして、すべての國際條約との関係が切断されておるという関係になつておりますので、これは新しい條約への新しい加入であります。しかもさつきちよつと御説明いたしました、日本とかドイツとかいう國の新しい加入方法によりまする加入をいたしておるような次第でありまして、新しい加入であります。
 それから今どういう條約が國際間に現存しているかという御質問でありますが、ポツダム宣言に基きます終戰に関する諸條約以外に、いずれの條約とも関係は遮断されているものと解釈しております。
 それから第三に、テキストが來たのが遅いので、あわてて研究して提案したのはどういうわけかという御質問でありますが、これはごもつともな御質問で、実は私の説明が少し惡かつたかと思いますが、國際事務局からのテキストの送付と申しますことは、要するにはいつてくれという意味の送付でありまして、それは昨年の七月五日パリにおいてこの條約ができまして以來、日本側においてあらかじめ念願しておつた、非公式に希望しておつたことが漸次非公式に連合國の方にも浸透いたしまして、これが了解を得まして、向うからテキストの送付を受け、これを緊急にやり、そうして今度加入する、こういうことでありまして、これは日本側の熱望によつて加入をしたようなわけであります。仲内委員のお説の通り、この種の技術的な條約に関しましても、今後外務当局といたしましてし、でき得る限り積極的に、加入いたしたい、平和條約が今日のような状態にありまするだけに、一層この種の條約にたくさん加入していきたいと思つて、当局は鋭意準備を進めているようなわけであります。
#24
○西村説明員 ちよつと政務次官の説明を補足させていただきます。第二点の現在日本との関係において、生きている條約はどういうものがあるかということについて御説明を申し上げたいと思います。その問題はたいへんむずかしい問題でありまして、要するに戰爭の條約に及ぼす結果いかんということになるわけであります。これは國際法上もいろいろな学説がございますし、過去平和條約にとられた先例も必ずしも一致しておりません。從つてこうこうでありますと申し上げるのははなはだ確信を欠く次第でありますが、大体学説上は交戰國間の二國間の條約を効力を失う。しかしながら多数國間の條約については効力は失わないで、ただその実施を戰爭中停止される。こういうふうな考え方が大多数であります。それによりますと万國郵便條約みたような多数國間の條約は、かりにブエノスアイレス條約の例をとつてみますと、日本と交戰國の間におきましては実施を停止しておりますが、その他のいわゆる日本と中立國との関係においては、條約それ自身としては有効に存続している。こういうような関係になると思います。現に日本郵政廳としては、郵便物の交換、小包郵便物の交換につきましては、ブエノスアイレス條約の規定によつて業務を遂行されている関係がございますから、從つてその條約がパリ條約によつて改正されて、七月一日からそれに切りかえられるというところに來ておりますので、日本としてもできるだけ七月一日前に新しい加入をやつて、いわゆる新條約による國際郵便業務を施行したい。こういう立場をとるわけになるのであります。今それ以外の條約関係におきましては、日本と中立國間の條約というものはむろん戰爭によつて影響をこうむりません。日本と同盟國関係になつた國との條約も、直接戰爭によつては影響を受けない、こういうことになりますから、私たちの常識としては日本と中立國間にあつた戰前の條約、日本と日本の與國間にあつた條約は、相手國に何か特殊の事情がない限り、たとえばイタリアは終戰末において日本に対して宣戰しまして交戰國関係にはいりましたし、ドイツ國というものは事実上消滅しております。こういうふうな特殊な事態がない限りは、たとえば日本とシヤムの條約というようなものは有効に存続している。中立國であつたスエーデン、スイスそういうようなものと日本との間にあつた通商航海條約というものは、何らの影響なく今日有効である。こういうことであります。ちよつと補足しておきます。
#25
○武藤(嘉)委員 はなはだこまかいことをお尋ねするようですが、たとえばアメリカからこちらへ送つてくるのに、書状が二セントくらいで、こちらからだと四円かで、たいへん高い。航空郵便も向うは二十セントくらいはつてくるのに、こちらから出ていくときは四十何円から五十円くらいとられます。もしこの條約に加盟することになれば、さような負担はどうなるものかを一應お尋ねしたいと思います。
#26
○小笠原政府委員 郵便物の料金については、郵便條約その他関係約定にそれぞれ具体的に詳しく規定されておるのでございます。たとえばお手もとにございます新しい條約においても、新しい條約の三十六條をごらん願いますと、國際間における郵便物の料金というものはきまつておるのでございます。さようなわけで、日本の外國郵便料金も決して日本独自に高い料金をとつておるわけではないので、これは條約で皆金フランで規定されておる。これは今日はもちろん為替相場がございませんので、ただちに換算するというわけにまいりませんが、今日の実情は連合軍総司令部の判断によりまして、円價による料金をきめておりますが、観念的には條約に定めてあるところの金フランの制限を越えない範囲で定めておるのでございます。
#27
○竹内委員 この條約は非常に簡單な條約で、これの書き方は私はまことに結構なことだと思います。しかしここで一應御注意申し上げたいことは、外務委員会の任務というものは條約が第一でございます。その次に外務省の予算でございます。一番初めに出された初めての條約、これのお取扱い方が私非常に遺憾だと思います。もつともお急ぎでございますから、事情やむを得ない点はあつたと思います。しかも結構なことであり、簡單なことでございますから、私は即座に賛成はいたしますが、今後こういうお取扱いであつてはいけない。殊に枢密院のない今日、この外務委員会が枢密院の今までとつた條約に関する方法をとらなければならないのでございます。殊に原文もお出しにならぬ、今日言つて、今日これを一日も早くというようなことでなく、お取扱い上今後は十分愼重にやつていただきたい。なおついでに申し上げますが、外務省の予算についても、まだ一度もこの外務委員会に何らお諮りになつたことはないように心得ております。今日はそういうことを申し上げるのではありませんが、條約については今日のようなお取扱いは今後断じていけないと私は思う。少くとも四、五日前に原文と條文とはお出しにならなければ、われわれは審議をすることを拒否いたしたいと思います。今日のこの場合は簡單でございますので、私はこの案には賛成はいたしますが、そういう條件附で私は賛成したいと思います。
#28
○馬場委員 竹内委員とまつたく同趣旨です。一、二具体的な問題をお尋ねしたいですが、パリー会議に参加した七十六箇國は郵便條約に調印しておりますが、小包郵便の方は十三箇國がこれに参加しておらない、この理由をお伺いしたい。
 もう一つは、料金決済は三箇年後となつておりますので、そのころには為替相場もきまるのでありましようが、現在連合國が一切これをきめておる、連合國の配慮によつてきめられておるということでありますが、これは他の交易物資と郵便料金と同じレートできめられておりますかどうか。
#29
○小笠原政府委員 小包郵便の約定につきましては、從來の例といたしまして、主として英法系統の國は万國郵便連合に小包約定によりませんで、それぞれこの万國郵便條約の規定に基きます特別約定というものをもつているのであります。たとえばアメリカにいたしましても、日米間、あるいは英國にいたしましてもそうであります。あるいは濠洲との関係におきましてもそうであります。そういうような特別約定で小包の交換をしている國がございます。さようなものはこの万國郵便連合の小包約定には参加しておらないのであります。
 それからあとの御質問の為替のレートの問題につきましては、今日の外國郵便料金は、御承知の通り、もちろん自由市場における為替相場はございませんが、当初これを決定いたしましたときは、連合軍総司令部のアブルーバルを得まして、一ドル五十円のレートできめているのでございます。
#30
○細川(隆)委員 この條約は六月八日にフランスから加入勧説を受領し、それに基いて研究された結果、憲法七十三條第三項によつて事前に國会の承認を求められたわけですが、閣議において國会の承認を求めようということを決定されたのは、何月何日か承りたい。
#31
○西村説明員 閣議決定の議は昨日の午前でございます。
#32
○細川(隆)委員 昨日の閣議で國会の承認を求めることに決定された。しかし、こういう印刷物をつくるとか、あるいは飜訳をするのは相当に準備も要し、日時がかかつているはずですが、それまでの間に一回も閣議には、議題になつたことがないのですか。昨日初めて出て、昨日の閣議で國会の承認を求めることになつたのか、その実際の状況を具体的にお聽きしたいと思います。
#33
○伊東(隆)政府委員 ただいまの御質問並びにさつき竹内さんでしたかの質問されたことに対しまして併せて申し上げたいと思います。
 実際この條約への加入を突如としてここに申し出まして、私ども政府側としましてまことに恐縮に思う次第であります。今後は、その本文はもとより、またその他の関係書類は十分これを準備いたしまして、相当の時日をおいて審議に遺漏のないように、政府は十分に注意をいたしたいと思います。実はそういうわけで、六月八日の初めてこれが加入について具体化をみましたので、それから急速に諸般の手続を進めてまいつたようなわけでありまして、正式に閣議に付議いたしましたのは、そういうわけでありますけれども、その前から外務大臣から閣議の席上において、この問題につきましては、大体の説明をしていただくように話しておりましたから、多分閣僚においてはあらかじめ了承しておつたことと推測いたします。併せてお答えいたします。
#34
○細川(隆)委員 この條約が國会の承認を得て、内閣が加入の手続を運びます場合に、大体いつごろ加入の効力が発生するお見込みですか。それを伺いたい。
#35
○伊東(隆)政府委員 加入は、本日もし衆議院の承認を得ますと、月曜日にその案が参議院に参りまして、参議院の審議を経まして、ただちにこれを連合國を通じてフランス國政府に申し入れますれば、七月一日からの実施に間に合うわけでありまして、七月の一日から効力を発生するわけであります。
#36
○細川(隆)委員 次は、手続上の問題ではないのでありまして、この條的にわれわれが加盟しますと、われわれは條約上の権利をもつわけです。今日本は占領下にありまして、無條約状態で、連合國の取計らいによつて事実行為として國際郵便物及び國際小包郵便物の交換をやつているわけであります。ところがこの條約に日本がいよいよ加入した場合に、この條約によつてもつところの日本の権利と、それから占領政策によつてわれわれが制限を受けるところの関係はどうなるか。たとえば、せつかく條約には加盟したが、將來占領政策の必要によつて、郵便物その他の交換について制限を受けるおそれはないかどうか、こういう点について連合國と打合せられたときにその点がはつきりしているかどうか、これをお伺いしたい。
#37
○西村説明員 その点についてお答え申し上げます。現在存しております郵便業務上の制限は、もつぱら連合國総司令部の指令に基くものであります。今度わが國の加入が、國内の議がまとまりまして、條約の規定に從いまして、責任当局の日本について適当の時期が來たとの判断を経た上で、これは議定書に規定があります文句でありますが、時期が適当であると責任当局が判断され、その判断を得ました上に、日本の加入というものが行われるのでありますから、この点から考えますれば時期が適当と判断されてあります以上は、新しい條約上の義務と矛盾するような現存の制限は次第に撤廃されていくのが当然であろうかと考えております。現にもうそういう趣旨で関係方面においていろいろ考究中であると私は承知しております。さよう御了承願います。
#38
○細川(隆)委員 言葉が抽象的で少し私には理解しにくいのですが、具体的の例を一つとつてみますると、せつかくわが國がこれに加入して、この條約の範囲内では各國との立場において対等になつたが、占領政策上特定の國とは郵便物の交換ができないというような、占領政策で制限を加えることは、占領政策自体としてはできるわけです。しかしこの條約に加盟した以上、占領政策の制限は將來絶対に來ないものかどうか、この点をはつきり伺いたい。せつかく加入して、やはり占領政策の制限が來るものとすれば、先ほど和田委員から言いましたように、特にこれによつて得た権利はノミナルであつて、実質上制限を受けるということになれば、強いてこれに加入の必要もないという理窟も出てくるわけです。また和田委員の疑問の点も技術上からいえば、そういう点にもあつたと思いますから、そういう点は関係当局との話合いの中に含まるべきものと思いますから、その点をもう少し御説明を願いたいと思います。
#39
○伊東(隆)政府委員 ごもつともな御質問だと思いますが、これは占領下にありましても連合軍の判定によりまして加入いたすのでありますから、この二つの國際約定に関しまする限り、占領政策上の制限は緩和されて行くものだと信じます。
#40
○細川(隆)委員 それはそういうふうに御判断になつているのか、あるいは関係当局の折衝においてそういう点も触れられたのかどうか。向うの御同意を得られたかどうかしらぬが、そういう点もこちらがだめを押されたかどうか、これもひつくるめてもう一遍くどいようですがお伺いいたしたい。
#41
○伊東(隆)政府委員 先ほど條約局長の説明で十分かと思いますが、これは日本側からはいりたいという希望を申し入れましたので、向う側もこれを檢討しまして、適当だと認めてここに加入を許されたわけでありまして、そうしました以上は当然占領政策上の制限も何ら受けずに、この二つの約定に関する限り対等の國際上の権利を得るものと了承しているのでありまして、別段御質問のごときそういう問題に触れたことは私は記憶いたしておりませんが、そういう制限はないものと了承している次第であります。
#42
○細川(隆)委員 非常にくどいようですが、最初の條約で、今後占領下の條約締結に進んでいきますと、いろいろな過渡的な懸念が効力上の問題で起つてくると思う。從つて法律上、――條約局長がおられるから伺いますが、國際法上占領政策が優先され得るものかどうか。制限を加えようとすればこの條約の権利を制限することが國際法上あり得るものかどうか。これはないという御確信を私ども非常に喜ぶものであるが、國際法上そういうことができるかどうかということをひとつ承つておきたい。
#43
○伊東(隆)政府委員 これは國際法上、私もとよりできると思います。ミリタリ・オキュペーションですからできると思いますが、しかし連合國側がこれに加入を許しました以上、將來絶対にそういう制限はないものと日本政府は確信しております。
#44
○細川(隆)委員 質問は終りました。
#45
○安東委員長 皆さんにお諮りいたしますが、本日皆さんのお手もとにある條約はおそらくどなたもまだお読みになつておらぬと思う。從つて本件についての採決は、月曜の朝十時にいたしたいと思います。御異議ありませんか。
#46
○安東委員長 それでは、それまで御研究を願いたいと思います。
    ―――――――――――――
#47
○安東委員長 それから時間が少し遅れましたが、請願を終えたいと思います。在外同胞引揚促進の請願、淺利三朗君ほか七名紹介、文書表第九九七号の審議をいたします。
#48
○淺利三朗君 この請願につきましては、同種の請願が、すでに多数本委員会に提案になり、本委員会において、それぞれ御処理になつているのであります。この請願も番号が示すがごとく早いのでありましたが、上程があとになりました関係上、おくればせにただいま説明を申し上げます。
 この問題は四月にすでにきめて出したわけでありますが、今日においては、その後情勢も大分変つております。この請願についての説明のうちには多少の変化もあるのであります。しかしながら今日なお一部これが実現しつつあるとは申しながら、まだ本年一箇年中にはたしてこれが完了できるかどうかということについて、非常に懸念をもつておるのであります。この請願は岩手縣議会の決議によつて、懸会議長から提出になつたのであります。紹介いたしております者は、岩手縣出身の各党連合の紹介であります。私から詳しくいまさら申し上げなくとも、皆さんはわれわれ以上に御配慮に預かつておることであります。ただ岩手縣としましては現在一万二千余の留守家族は、その肉身の者の一日も早く帰還することを熱望しておるのでありまして、去る四月三日におきましても、この留守家族の代表会議を開きまして、われわれ留守家族は愛する肉身のためにいかなる犠牲をも拂つて政府を撻鞭し、社会の輿論に訴えて引揚げ運動を強化し、目的達成のためにさらに困難と闘うことにしようという、非痛なる決議をいたしておるのであります。このことはすでに皆さんが御承知のことで、くどくどしく申し上げませんけれども、この問題はぜひとも至急解決するように、この上とも格段の御配慮を願いたいという趣旨であります。ぜひこの趣旨を御採択になりますようにお願い申し上げる次第でございます。
#49
○安東委員長 本請願に関して、政府委員において何か御説明はございませんか。
#50
○高野説明員 引揚げの現状について簡單に説明申し上げます。
 ここに表が出ておりますように、六月十八日担在ではまだ帰還されない方が約七十万でございまして、そのうちソ連関係が大部分を占めておりまして、六十三万二千、主としてシベリヤ及び樺太地区でございます。その他と申しますのは、大部分が満洲の中共地区でございまして、これが六万余りでございます。御承知の通り一昨年十二月の米ソ協定によりまして、月々五万ずつ帰つておりまして、今年の冬は中絶いたしましたが、五月からまた再開いたしまして、五万若干下まわつておりますが、この米ソ協定に從つて現在帰還しつつあるわけでございます。それでこの五万の率を少しでも多く殖やして、できるだけ早く引揚げを完了いたしたいと政府側としても念願いたし、あらゆる努力を続けておるのでございますが、現在のところまだこの増加という点は希望がもてないと申しますか、具体化しておらない状況でございます。それから中共地区はほとんど直接の連絡と申しますか、交渉相手がございませんので、この引揚げについても種々考慮はいたしておりますが、まだ軌道には乘つておらないという状況であります。そのほか華北、南満に若干の数がおりますが、最近三船ばかり配船いたしまして、御承知の通り上海、済南、華北、南満から合計約五千ばかり帰つて参りました。現在の状況は大体そのようなことであります。
#51
○淺利三朗君 大体ソ連の六十三万の引揚げの完了は、いつごろまでかかるお見込みですか。
#52
○伊東(隆)政府委員 その点政府当局としても非常に痛念いたしておる次第でありまして、できる限り今度の冬は越さしたくないという固い希望のもとに、連合國側と折衝いたしておる次第でございまして、ソ連側においても協定数には少しまだ足りませんが、十分の誠意をもつて当つておるように認められます。もう一段の誠意をソ連側において示してくださるならば、あるいは若干は冬を越さなければならぬことになるかもしれませんが、一段の努力をしてくださるならば、今度の冬を越さしたくないという日本側の熱望は、達成されるかと思つておるような次第でございます。
#53
○淺利三朗君 政府の御説明によりますと、昨年の十二月月々五万の帰還という予定ができたということでありますれば、大体本年中には大部分は完了すると思うのでありますが、これが配船その他の関係上、予定通りいくお見込みになつておりしようか、どうでしようか。その点もしわかりますれば、安心のいくようにお示しを願いたい。
#54
○伊東(隆)政府委員 さつき申しました通り、協定量に少し足りないかと思いますが、今後日本側のこの熱望は、常に連合國側に対して申し出ておりますから、何とかいきはせぬかと思いますが、もし今度の冬を越すようなことになりますれば、残つた者の苦痛は申すまでもないことでありますので、政府も一面非常に憂えておるのであります。
#55
○淺利三朗君 まことに御親切な御答弁で、ありがとうございました。どうぞ御採択あるように委員長からお諮り願います。
#56
○安東委員長 本請願の趣旨は、数次わが委員会におきましても採択をしておることでございまして、この請願を採択するのに御異議はないと思いますが、いかがでございますか。
#57
○安東委員長 それでは異議ないものと認めます。本請願は採択されました。
    ―――――――――――――
#58
○安東委員長 次に中國東北地区残留同胞に救援物資送付の請願、川合彰武君紹介、文書表第一一四八号を審議いたしたいと思います。この請願の趣旨につきましては朗読いたさせます。
  中國東北地区(満洲)残留同胞に対し救援物資送付に関する請願
 新憲法第一次國会以來貴院議員各位が民主日本建設のため國策審議にお示しくださつた御熱意、特に今次敗戰最大の犠牲者たる引揚者に寄せられた御同情と、引揚促進並びに引揚者対策に示された御盡力は感謝にたえぬところであります。
 このたび引揚が再開されたことは御同慶の至りでありますが、引揚の対象と対策の重点が、シベリヤ抑留同胞に指向さるるためか、東北残留同胞に対する対策がとかく疎んぜられがちにあることは関係者の遺憾に存じているところであります。東北には國府軍下になお四千五百の留用者のほか、二千名以上の難民(中共地区よりの退出者等)と数十名の戰犯容疑者があり、また中共地区には四、五万と推算さるる同胞が残留し、不幸な中國内戰の渦中に運命を託し、ひたすら故國からの救援と帰國の日を待望しているのであります。しかもこれら同胞のうち、留用者だけは、中國側各機関の御厚意により、一應生活の安定を得ている模樣でありますが、その他の者、特に中共地区より避難脱出してきた者は、全然まる裸の状態で、まことに見るに忍びぬ難民であることは、過去の実例に徴しても想像にあまりあるところであります。しこうしてこれらの人たちの救済援護や戰犯容疑者に対する差入れ等は、留用者の重荷となり、從來ともきわめて困難であつたのでありますが、その大部分が留用解除となり、近く帰國還送さるる予定となつておりますので、今後とも絶えない中共地区からの難民の援護救済を、残余僅少な同胞に、これを委ねることはとうてい望まれないことであります。聞くところによりますと、最近政府においては中國南方諸地域に残留する在外同胞のために、救援物資を送付する計画が進められておる由でありますが、その計画中には東北残留同胞の分が漏れていると傳えられ、これは輸送上の困難がおもに理由かと想像さるるのでありますが、少くとも國府軍管下にある同胞に対しては、胡蘆徳または秦皇島の両港を利用することが可能であり、鉄道不通の箇所は公路(自動車道路)の完通も遠からず実現すると聞いております。すなわち時期と方法を講ずれば、必ずしも送付不能とは考えられません。最もその必要の痛感される東北残留の不幸な同胞に対して、あらゆる方法を講じて救恤用の衣類、食糧、医療藥品等の送付をはかることこそ内地同胞の責務と信じます。何とぞ國会におかれても、右事情御賢察の上、その実現に格別の御配慮、御盡力を賜りますよう、ここに謹んで陳情請願申し上げます。
 昭和二十三年五月十四日
  財團法人満蒙同胞援護会
        会 長 平島 敏夫
 全滿日本人居留民会残務整理委員会
        委員長 平山復二郎
衆議院議長
  松岡駒吉殿
#59
○安東委員長 本請願に関して、はたして中國東北地区杉留同胞に救援物資を送付する可能性があるかないか。またあるとすればそういう計画があるかないか。これについて政府側より説明を求めます。
#60
○伊東(隆)政府委員 中國におります戰犯関係、または残留の邦人に対しまする救恤品の送付の点でありますが、これにつきましては政府側におきましては、ずつと以前より関係方面に対しまして、熱心にその申出をいたしておるのであります。現にこれらの救恤物資は、近く上海に向けて送付せられると期待しておるようなわけでありまして、上海にはちようど戰犯関係者を主としまして、人数ははつきり記憶いたしませんが、相当数の者が上海へ集結せられておりますので、まず上海に向けて救恤物資を送りたいということで、今着々準備を進めておるような次第であります。從つて上海以外の所には何らの措置をとつていないじやないかというような感じを受けるのでありますが、もとより上海以外の所に対しましても、これらを送る計画をしておるのでありますけれども、特に満洲地方、すなわち東北地方に関しましては、この請願の中にもうたつてあります通り、いろいろ交通上の困難がありますので、まだその実現を見ることになつていないのみならず、その計画もまだ具体化していないような次第でありますが、しかし東北地方のみを特に除外し、また軽んずるというわけでないことはもとよりでありまして、何とかしてこの交通上の困難を克服して、請願にもあります通り、胡蘆島とか、そういう適当な場所を選んで救恤物資を送りこんで、その後はバスとか、自動車とかいうもので、たとえば長春地区なんかの救恤者に一日も早く届くようにいたしたいということで、鋭意政府側としても努力いたしておるようなわけでありまして、この請願の趣旨にできる限り早く副いたいという念願でおります。
#61
○喜多政府委員 本請願に対しまして厚生省といたしましてお答えを申し上げたいと思うのであります。御承知のごとく海外の残留同胞の救援は、外務省の所管でありまして、ただいま伊東政務次官より御答弁があつたわけでありますが、物資につきましても、厚生省の引揚援護院の保有のものは、内地に引揚げて後支給する予定のものでございます。しかし外地の者といえども、外務省に物資がなく、かつ厚生省に物資の余裕がありまする場合は、これを放出するにやぶさかでないのであります。右の趣旨に從いまして、從來南方、上海の戰犯残留者に対しましては、外務省を通じ、タばコ、石鹸、歯みがき等を送つたのであります。上海向けの食糧につきましても、ただいま伊東外務政務次官よりお話のごとく、食糧は佐世保の援護局に発送でき得るように用意準備いたしておるのであります。外務省の方で具体的の取引がございますれば、いつでも送られるようになつておる次第であります。中國の残留者に対しましても、外務省の方で、関係方面との御了解がつき、かつ税関の問題等も解決いたしまして、確実に残留者の手にわたる見込みがつきまするならば、厚生省といたしましては、物資につきましてはできるだけの應援をいたす考えをもつておる次第であります。右請願に対しまして、厚生省といたしましてのお答えをいたします。
#62
○安東委員長 ただいまの外務政務次官の御答弁のうちに、東北地区に対しても、適当な所を選んでやるように十分な努力をするというお話でありまするが、この地方における中共軍とすでにある程度の了解なり、連絡なりができておりますか。
#63
○伊東(隆)政府委員 今のところ十分な了解はできておりませんが、何とかして中共との連絡が十分でない――特に東北地方はうまくいきませんので、今までのような單なる――と申しましては何ですが、國民政府だけとの了解では十分でないように思いますので、政府といたしましても、何とかただいま委員長の指摘せられた点につきまして、考慮しておるような次第であります。
#64
○山下(春)委員 本請願につきましては、本委員会といたしましても、同時に私個人としても非常に重要なことであり、衆議院の引揚議員連盟の方を代表いたしまして、対日理事会のシーボルト氏を数十回訪問いたしまして、再三熱心に申入れをいたしたのでありますが、ただいま伊東政務次官からお話があつたように、中共地区に対しては対日理事会においても、今的確な処置をとる方法がない。努力はしてやるという御返事を再三いただいております。しかし実情を聞きますと、想像以上のようでありますので、本委員会といたしましてもこのことに対しましては、外務当局を熱心に鞭撻し、何とかこの請願者の意思が速やかに残留者に到達するような声援をいたすことを、御決議あらんことを希望いたします。
#65
○安東委員長 ほかに御意見はありませんか。――それでは本請願の採択に御異議ありませんか。
#66
○安東委員長 御異議なしと認めます。本請願は採択せられました。なおただいま山下委員のお話の通り、本委員会といたしましては、本件の実現のために政府を鞭撻すると同時に、できる限りの協力をいたしたいと思います。
 それではこれをもつて散会いたします。
    午後零時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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