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1992/01/30 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第3号
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1992/01/30 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第3号

#1
第123回国会 本会議 第3号
平成四年一月三十日(木曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成四年一月三十日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(長田裕二君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。片上公人君。
   〔片上公人君登壇、拍手〕
#4
○片上公人君 私は、公明党。国民会議を代表いたしまして、総理の施政方針演説に対し質問を行うものであります。
 まず初めに、政治姿勢について伺います。
 宮澤内閣のこの三カ月間の政治を振り返ったときに、世界が注目するPKO法案は国会運営の不手際から不成立に追いやり、政治改革もとんざしたままであります。さらに、米の輸入自由化問題での対応は、いたずらに不安を高めているだけです。一体、総理の言われた決断と実行力はどこへ行ったのですか。国民は率直に言って失望しております。総理は、こうした国民の思いをどう認識され、どう反省し、対応するのか、明確に答弁願いたいと思います。
 さて、共和事件は阿部文男元北海道・沖縄開発庁長官の受託収賄容疑による逮捕に発展し、次々と政治の金権腐敗の実態が国民の前に露呈されています。阿部代議士は清潔をキャッチフレーズにした海部内閣の大臣です。その人が、長官の就任、退任の祝賀会を共和の丸抱えでやらせ、共和に利権を与えると同時に、常時、金をせびり取る行為をやっていたと報じられております。利権を金で売る我が国の政治の後進性と政治のえげつなさを示すに十分と申せます。
 リクルート事件の出直しを誓ったその裏側でこうした事件の発生は、残念至極と言わざるを得ません。阿部代議士は宮澤派の前事務総長であり、宮澤政権の誕生に力を尽くしてきた人物です。共和の金が宮澤派内や政権樹立のために使われ、派閥ぐるみの疑惑は深まるばかりであります。共和の十八億円とも言われる使途不明金の多くは、阿部代議士を通じ宮澤派の政治家に流れたことが報道されています。総理は、この事件をどう認識し、この疑惑をどう晴らすつもりなのか。
 阿部代議士は、共和に対し資金の必要性について、閣僚ポストを獲得するために派閥の実力者に金を積まねばならないと言ったとも報道されております。ここに利権と金が結びつく自民党の構造的な金権体質があるのではないかと思いますが、総理の明確な答弁を承りたい。
 共和事件に対し、総理は、自民党総裁として、また宮澤派の長として、さらに政治改革を進めようとする内閣の首班として、さらにまた、みずからがリクルト事件にかかわった政治家として、二重三重の政治責任があると考えます。まず、総理は阿部代議士の議員辞職を実行することです。もはや、本人が判断すべきなどの答弁は許されません。その上で、国民が納得するよう真相を解明し、どう再発を防止していくのか、この際、総理の毅然とした決意を伺いたい。
 さらに、総理自身の問題として、先国会に提出されたリクルート事件三点セットにより、新たな疑惑が再燃しております。服部秘書のみならず、松本秘書、ファーストファイナンスのかかわりなど、疑惑解明には証人喚問が不可欠のところに立ち至っていることを総理自身知るべきです。ぜひ宮澤総理は関係者の証人喚問に応じるべきと思いますが、答弁を願いたいと思います。
 リクルート、東京佐川急便、共和と続く政治の金権体質は、国民の政治不信を一層高めるとともに、我が国の政治に対する国際社会での信頼も揺るぎかねず、まさに議会制民主主義の危機と断ぜざるを得ません。十六年ぶりに国会議員が逮捕された今日、政治改革の断行は待ったたしであります。我が国においても英国の政治腐敗防止法のような制度をつくり、政治腐敗を根絶するためには、汚職事件の逮捕者は一定期間立候補できないなどを定めるべきと考えます。
 海部内閣の政治改革を引き継いで、一年をめどに決着をつけたいとする宮澤総理ですが、ここに至っては、政治改革三点セットのうち選挙制度の改革は切り離し、国会議員の資産公開を初めとする政治倫理法の確立と、政治資金の透明化を図り、企業、団体の献金から個人献金への移行など政治資金規制の強化を図ることが最優先課題であります。総理の決意を伺いたい。
 次に、外交問題について伺います。
 二十一世紀を目前にして新たな世界秩序が模索される今日、日本の外交のかじ取りは国家の将来と国際の安定を左右する重要なポイントであり、世界が注目するところでありますが、さきの日米首脳会談における東京宣言は、新世界平和秩序の構築を目指す宮澤総理の当初の意気込みからすれば、何ら新しい理念は示されず現状認識にとどまったとの感が強いのであります。東西の仕切りが消え去った今、総理は、国際社会において我が国をどう位置づけ新世界秩序の構築に貢献しようとするのか、まず明らかにされたい。
 先日の日米首脳会談は、米側の一方的な経済交渉に押し切られた形に終始したが、最終的にアクションプランに合意されたような管理貿易とも言える日本企業から米国への一部利益の移転によって、日米の経済摩擦が抜本的に解決されるとお思いなのでしょうか。
 また、米国マスコミが今回のブッシュ大統領訪日をこぞって失敗と論評する中で、押し切られた側の総理が成功と評価する根拠は何なのか、お答えいただきたい。
 旧ソ連からロシア連邦へと交渉相手が変化したことによって、北方領土問題の解決、平和条約締結作業などについてどのような姿勢で交渉を進めていくのか。我が国は人道的支援には積極的でなければなりません。対CIS支援については、宙に浮いたままの対旧ソ支援一億ドルと、今回新たに食糧、薬品等の六十五億円の援助を決めていますが、この具体的なやり方、援助先の配分をどのように考えているのか、明らかにされたい。
 この一年、朝鮮半島をめぐる情勢は著しく進展を見せています。本日も第六回目朝正常化交渉が開催されておりますが、北朝鮮の核査察の早期完全履行、半島の非核化、さらに南北統一の環境づくりのため、また、一番近い国として積極的に対話を促進しなければならないと考えますが、どうですか。
 再建が急がれるカンボジアについては、UNTACの最高責任者に明石国連事務次長が任命されるなど、日本に対する期待が高まっています。政府は、復興援助や三十五万人もの難民帰還などに対し具体的な貢献策を早急に提示すべきです。アジア諸国は日本の対応に注目しているのであります。また、カンボジアの国会議長が地雷撤去のために自衛隊の派遣を要望するやに聞きます。これにどうこたえるのか、それぞれ総理の所見を承りたい。
 総理は、常々国連の改革強化を唱えておられますが、まず我が国が国連の拠出金に見合う人材供与を行い、同時に、環境、人権、難民、麻薬、人口問題など直面する地球的課題に対し、金だけでなく人的な面でも積極的に取り組んでこそ我が国の国連における地位が確立されると思いますが、総理の御見解を伺いたい。
 今、日本の国際貢献のあり方、質が問われています。その意味で、PKO協力は、日本が国際社会の一員として世界の平和と安全の維持に積極的な役割を果たしていく上で極めて重要であります。しかし、現在継続審議中のPKO法案については、いまだ国民の理解、アジアの理解は不十分と言わざるを得ません。総理はどのようにして国民的合意を得て法案の成立に努力されるのか、決意を伺いたいのであります。
 米問題は、ウルグアイ・ラウンドでまさに正念場を迎えています。我が党はかねてより、関税化を含む米の完全自由化を阻止し国内農業を守るため、部分開放を提唱してきました。しかし、政府の硬直した姿勢が、例外なき関税化を受けるかどうかの最悪の事態を招いています。戦後の農政の無策がこの結果を生み出したと言えます。政府としてこの実態をどう打開されるのか。何より、稲作専業農家の保護育成にどう取り組まれるのか、明らかにしていただきたい。
 また、明三十一日、総理は安全保障理事会首脳会議に出席されるが、何を具体的にアピールされるおつもりか、首脳会議に臨む政府の方針を明らかにされたい。
 さて、国際情勢の変化は我が国の防衛政策にも大きな影響を与えざるを得ません。特に、ソ連邦の消滅等により、従来言われていたような周辺諸国に対する侵略的脅威が存在する要素はほとんどなくなったと認識すべきであり、かつ、それが世界の共通認識になっていることをしっかりと基本に置くべきであります。
 そのような観点に立ち、防衛問題について伺います。
 第一は、米、英、仏など主要各国が緊張緩和に伴い国防予算の削減等積極的な軍縮に着手していることにかんがみ、我が国も防衛費を削減し、その平和の配当を国際経済及び国民生活に還元すべきであると考えますが、見解を伺いたい。第二は、冷戦時代を背景に策定された防衛計画の大綱は、その前提条件が根本的に変化したことから、この際、抜本的に見直し作業を行うべきと考えますが、見解を伺いたい。
 第三は、我が国に対する脅威が大幅に減少したことから、自衛隊の定員は大幅な削減をし、装備を縮小すべき条件がそろったと考えますが、見解を伺いたい。第四は、国家の基本的重要政策である安全保障及び防衛に携わる自衛隊員が誇りを持ってそれらの任務を遂行できるよう、政府は、国民の理解を得るとともに、それにふさわしい地位と処遇を与えなければならないと考えますが、総理の所見を伺いたい。
 次に、財政問題について伺います。
 バブル経済の崩壊や景気後退によって、数兆円の自然増収が続いた税収は一転して大幅な税収不足を招いております。しかし、政府の予算案は、かつての高度経済成長時代に補助金等の既得権を温存した増分主義の枠を一歩も出ず、主要経費の構成比は、この十年来、国債費の急上昇を除き、わずか二、三ポイント変化した以外硬直したままです。四年度予算案の一般歳出の伸びが四・五%と、三年度の四・七%とほぼ同じ伸び率になったことを見ても、政府の予算編成方針である施策の優先度の明確化や、財源の重点的、効率的配分が十分行われたとは思えないのであります。
 宮澤内閣は、税収不足下の財政運営として、増税で対応するのか、それとも増分主義を是正し、政策の優先度を明確にし不要不急経費の徹底した見直していくのか、総理の明確な答弁を伺いたい。
 また、何ゆえ景気拡大にも逆行する増税を行おうとするのか、納得のいく御説明をいただきたい。
 我が党は、消費税は断固廃止すべきものと考えています。さきの予算編成等の中で税率アップが議論されたと聞いておりますが、宮澤内閣としては消費税の税率引き上げは絶対に行わないことを国民の前に明確に約束していただきだい。
 さらに、政府・自民党は、さきの衆議院選挙で飲食料品は非課税にすると公約されております。さきの税制協議会では、全野党の要求にもかかわらず、自民党の反対で飲食料品の全段階非課税が実現しませんでしたが、この点、明確な答弁を承りたい。
 次に、景気対策について質問いたします。
 昨年半ば以降、景気は政府の楽観的判断とは裏腹に減速へと向かい、今や設備投資に加え個人消費にも陰りが見られ、中小企業を初め企業の倒産の増加等、景気は完全に後退局面にあります。政府はこれまで、景気は減速しつつも拡大していると理解困難な説明を繰り返してきましたが、この判断が対応のおくれを招き、結果として三次にわたる公定歩合の引き下げの効果を減少させかねないと思います。
 こうした中で、政府は四年度の経済見通しを民間研究機関の見通しを上回る三・五%と見込んでおりますが、今なお停滞を続ける業種がふえていることや低迷著しい世界経済の動向からして、早期の回復は困難ではないかと思います。政府は景気の回復をいつごろと見ていますか。何ゆえ三・五%の成長が可能なのか、四半期別の動向とあわせ、その根拠を御説明いただきたい。
 さきに宮澤総理は経済審議会に新しい経済計画の策定を諮問されましたが、その中で総理の金看板の生活大国をどう位置づけるお考えなのか、御答弁願いたい。
 次に、生活者の政治の視点から、国民生活に身近な問題を具体的に伺いたい。
 第一に、看護婦不足対策です。
 看護職員が十万人も不足し、看護婦不足のために病棟閉鎖に追い込まれている状況です。看護婦不足対策に当たっては、看護婦の労働条件と職場環境を改善することこそが解決策です。そのためには、看護婦養成施設、院内保育所、週休二日制の完全実施、職員配置基準の見直し、リフレッシュ休暇の創設等を盛り込んだ実効ある人材確保法を制定すべきですが、総理の御見解をお伺いいたします。
 第二に、国民健康カード等の活用により生涯にわたる自分自身の健康管理を可能とする国民生涯健康管理システムの確立についてであります。
 加古川市を初め地方自治体で取り入れているところもあり、私も淡路島の五色町に我が党の石田委員長とともに視察をいたしました。住民の健康管理に成果を上げております。このシステムの全国レベルでの実用化について前向きな答弁を期待するものであります。
 第三に、全国百六十万人のひとり暮らしの老人に対する緊急通報システムについてであります。
 ひとり暮らしの老人にとって、緊急時の通報システムの整備並びに消防署、医療機関等の連携は必要不可欠なものと考えますが、この促進についての御見解も伺いたい。
 第四に、高齢化社会への対応の中で緊急課題は介護問題であります。
 我が国は二十一世紀には超高齢化社会を迎えます。介護を必要とする老人は年々増加してまいります。現在は家庭の過大な負担と犠牲の上に置かれており、私は、働く人たちが安心して介護や看護ができるように、介護・看護休暇法の制定、さらに専業主婦や自営業者を対象とした介護手当制度の創設をすべきと思いますが、御見解を伺いたい。
 第五に、パート労働法の制定について伺いたいと存じます。
 今日の我が国におけるパートタイム労働者は約八百万人に上り、近年ますます増加する傾向にあります。しかし、労働条件や基本的権利もなおざりにされているのが実情であります。パート労働法を制定し、パート労働者を保護すべきであります。なお、現在百万円の非課税限度額については百五十万円までにすべきと思いますが、あわせて所見を伺いたい。
 第六に、総理は施政演説の中で、障害を持つ人々が家庭や地域で安心して暮らすことができるよう、完全参加と平等の理念に沿ってきめ細やかな施策を講ずるべきと述べていました。
 しかし、この点に関して私の地元で心痛む出来事が生じました。それは、兵庫県尼崎市立高校入、誠に当たって、一人の少年が強く入学を希望し、試験も内申書も合格ラインをはるかに超えていたに沌かかわらず、障害を持っていることを理由に不合格になりました。なるほど、車いすで体育は他の生徒と一緒にはできないかもしれません。しかし、それまで通っていた小中学校ではクラスメートや家族の助けで不都合もなく、同級生からも、私たちが学校生活を助けるから大丈夫との訴えもあったにもかかわらず不合格になりました。教育の機会均等という観点から極めて問題であり、小中学校を通じお互いが肌で学んだ助け合うことのとうとさを無にすることにもなり、極めて遺憾なことと言わざるを得ません。
 外国では、障害が学業の妨げにたらぬよう物的環境を整備することを学校に法的に義務づけており、さきに訪日された英国の世界的天文物理学者のホーキング博士は、この事件は先進国日本の恥であり、また、障害を理由に入学を拒否してはならないことは国際的な常識であると明確に指摘されています。
 本当の生活大国とは、ハードの面での心配りとともに、高齢者や身体にハンディキャップを負う人に心優しい社会だと思います。総理並びに文部大臣の所見を求めます。
 最後に、環境問題についてお伺いいたします。
 六月にブラジルで開かれる地球環境サミットは、世界がこの地球的課題にどう取り組むか、日本がどう役割を果たすか、大きな注目を集めています。私は、今回のサミットこそ地球を救うラストチャンスであると思います。総理は、具体的に何を提言し、日本はどう貢献すべきとお考えなのか伺いたい。
 私は、今、国益よりも地球益、人類益を優先しない限り、人類の未来はないと言いたいのです。日本人より地球人、子供たちに何を残すかという未来人の視点を総理に強く要望し、私、片上公人の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、最初の御質問に関しましてお答えを申し上げますが、私は、この新しい平和秩序の構築の時代におきまして、国際社会において我が国がどのような貢献をすべきかという問題、それから、国民の一人一人が豊かさを真に実感できるようないわゆる生活大国への前進、さらに、国民の政治に対する信頼を回復するための政治改革の推進、これらの課題に取り組みまして着実に実現を図ってまいりたいと考えておりまして、それが私に対する国民の信頼と負託にこたえるゆえんであろうと、微力でございますけれども努力をいたす決心でございます。
 阿部元国務大臣の問題につきましては、まことに遺憾なことでございます。政治に対する信頼を回復するためにも、政治改革を早急に進めていくことが私に課された責務だと考えております。もとより、閣僚ポストを獲得するために金を積まねばならないといったようなことは、そういうことはもとよりございません。
 なお、阿部議員の進退についてお尋ねがございました。昨日も申し上げたところでございますけれども、基本的には阿部議員御自身が判断をせられるべき問題であると考えております。現在、当局が事実関係を究明中のことでもございまして、私の意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。
 それから、私自身の三点セットについてもお話がございまして、かねて御要求のありました資料をすべて前国会において御提示いたしまして、私自身誠意を持ってお答えをしたところによりまして事実関係は明らかになっていると考えております。御理解をお願いいたしたいと存じます。もとより、私自身の問題として常に反省の気持ちを忘れない決心でございます。
 政治改革の実現には何よりも政治倫理の確立を図ることが重要でございますが、現行の政治資金制度あるいは選挙制度をめぐるさまざまな問題を解決し得る具体的な方策を見出すことが、制度上の問題が必要でございまして、各党間で十分御協議をいただきまして早急に具体的な結論が得られることを念願いたしておりますが、もちろん私といたしましても最善を尽くしまして政治改革の実現が図れるように不退転の努力をいたすつもりでございます。
 次に、現在の新しい世界秩序の構築における我が国の位置づけというようなことについてお尋ねがございましたが、今の世界の大きな流れといたしまして、平和を求める人類の願いがこの冷戦後の時代にかなう方向に進んでおると思います。平和と民主主義のために、我が国がその先頭に立ってこの流れを促進する役割を果たさなければならないと思っております。そのために、積極的、主体的、創造的にこの流れに参画していく。現在の我が国の国力と申しますか経済力から申せば、世界のあらゆる問題に対して影響力を持つ立場にございますので、積極的にそのような動きに参画をいたさなければならないと存じます。
 また、おっしゃいますように、具体的にはそれは国連の問題でもございます。国連の機能強化、あるいは軍備管理・軍縮の促進、また、我が国が安保理事会の非常任理事国となりましたにつきまして、地域問題などの解決も安保理事会の理事国の一つの役割と存じます。また、国連の平和維持活動に対して十分な財的かつ人的貢献を行っていかなければならないというふうに考えております。
 ブッシュ大統領の来日につきましてお尋ねがございました。
 討議をいたしましたことは幾つかございましたが、大きく分けまして二つでございます。一つは、このような世界の流れの中で、今、両国で世界のGNPの四〇%を占める、価値観を共通にしております我々が力を合わせてこの新しい世界の平和の構築をしなければならないという、これが一つ。もう一つは、日米間に種々の経済問題がございます。それにつきましては、我が国としてもその解決に向けてできるだけの協力をいたしたい。そういう二つの主な問題があったわけでございまして、それらにつきまして大統領と私と十分に意思の疎通を図ることができたというふうに考えております。
 それから、北方領土問題でございますが、隣国ロシア連邦との関係を従来の日ソ関係から根本的に改善する必要がございます。それは平和条約を締結し北方領土問題を解決するということでございますが、ロシア連邦の指導部はこれまで、北方領土の問題は「法と正義」に基づいて早期解決をしたいということを何度か表明しておられまして、ああいう大きな変革でございますからロシアにとってこれ一つが問題ではないといえばそうでございますけれども、しかし、平和に向かう時代の中で、大国ロシア連邦と我が国との間に平和条約がないということはいかにもこれは異常なことでございます。あるのが当然でございますかから、私どもとしては、この問題はやはり真剣に努力をしなければならないと存じます。
 ちょうどこの二月の十日、十一日に、かねて日ロ間で約束をしておりました平和条約の作業グループというものがございまして、その会合を開くことに合意ができております。また、渡辺外務大臣が先般訪ロをされまして、三月下旬にはロシア外相の訪日を求めておられることもございまして、両国間でこの問題についての真剣な交渉に取り組む状況になってまいっております。私自身も、明日、明後日でございますか、ニューヨークでエリツィン大統領と会いましたときには、当然この問題につきましての私の所見をお話し申し上げたいと思っております。
 ソ連に対して輸銀の一億ドルの融資というものがあったが、これはどういうことになったのかということでございました。
 それは、昨年来実はそういうオファーをいたしてきたわけでございますけれども、ソ連邦が解体されまして、この融資についてはだれが借りるのか、そして、この融資についての借入国の政府保証というものが当然なければなりませんが、そこらのところが相手方が実はやや不明という状況になりましたので、改めましてロシア連邦とこれらのオファーについて協議をするということに考えております。
 それから、六十五億円を拠出する、これは食糧、医薬品を緊急援助としていたしたいと考えておるわけですが、なるべくならば我が国に近いロシアの極東地方の方々にこの援助を送りたいと考えておりまして、現在ハバロフスクに関係省庁それから日本赤十字社から成ります調査団を派遣しておりまして、それによりまして具体的に実施をしてまいりたいと考えておるところであります。
 それから、日朝間の問題でございますが、従来何度か国交正常化交渉をやってまいりまして、この周末に六回目の交渉をいたします。私どもは、微妙に変化しております国際環境というものはもとより十分留意いたしましてこの交渉に臨みますが、北朝鮮側に対しては、核査察の受け入れ、あるいは朝鮮半島の非核化、南北共同宣言の実施、南北対話の促進等々、そういうことを求めてまいりたい。真剣に誠実に交渉をいたしたいと考えております。
 それから、カンボジアの復旧との関連でお尋ねがございまして、カンボジアが復旧する、復興するということについて、あるいは難民、避難民の帰属と申しますか、自分のところへ帰るということでございますけれども、そういうことについて、二国間の援助、それから国際機関を通じた援助を我が国として応分にしてまいらなければならないと思います。
 そのためにどういうことをいたしたらいいか。現在カンボジアに政府の各省庁の調査団を出しておりますが、これには二つございまして、一つはカンボジアと我が国の経済協力関係に関するもの、もう一つは国連を通じでどのような援助ができるか、この二つを考えておるところでございます。それらの調査団の調査の結果によりまして、今後とも、二国間で、それから国連のいわゆるUNTAC等を通じまして、適切な人的、資金的貢献を検討してまいります。
 カンボジア難民の帰還のために地雷の除去が大きな問題となっていることは御指摘のとおりでございますし、最近、この地雷の除去について、国連PKO活動あるいはそれに関しましての我が国の参加ということについてカンボジアの側から期待が表明されていることは事実でございます。それは大事なことと考えております。
 殊に、UNTACの責任者が明石国連事務次長であるというようなこともありまして、我が国にいろいろな期待が寄せられ、それが高まっておるということは事実でございます。そういうこともございまして、私どもとしてはPKO法案というようなものをひとつできるだけ実現させていただきまして現実の寄与に結びつけていきたいということを考えておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、そのような我が風に対する期待が高まっておりますから、二国間、それから国連のUNTACの活動に対して、財的にも人的にもいろいろな協力をカンボジアの復興に貢献するためにやってまいりたいと考えておるところであります。
 PKO法案についての国民的な理解が十分ではなかったのではないかということをおっしゃっていらっしゃいまして、それは私どもも法案の御審議を願っておりまして反省をしておるところでございます。法案の内容は、明らかに我が憲法及び憲法の前文の期待するところ、これこそ平和的な国際貢献であるということに間違いがないと思いますけれども、なお十分に国民各位にそれを理解していただく必要がある。また、我が国の周辺の国々にもそういう努力を私ども続けつつあるところでございます。
 それから、ウルグアイ・ラウンド交渉は最終段階を迎えておりますが、各国とも農業問題につきまして困難な問題を抱えております。相互の協力によって何とか解決いたしたいと最終段階における努力を傾注しておりますが、その中で米につきましては、従来申し述べてまいりました既定方針のもとで対処してまいる所存でございます。
 稲作をめぐる内外の厳しい情勢の中で我が国の稲作の将来を切り開いていくためには、需要に見合った生産を推進するとともに、生産性の向上と担い手の育成を図ることがもとより大事でありまして、現在、規模拡大の推進、土地基盤の整備、中核的営農施設の整備等々、いわゆる稲作農家を支接する各般の施策を実施しているところでございますし、今後ともその充実を図ってまいります。
 一月三十一日の安保理サミットにお許しを得て出席いたしますが、どのような考えでおるかということにつきまして、私からは、このような時代になりました、重い責任を負うに至った国連の平和維持あるいは平和創造のための機能強化、また、戦後すぐに生まれました国連が四十何年たちましたこの時代の変化にどのようにしたら適応できるか、あるいは軍備管理・軍縮等につきまして私の考え方を申してまいりたいと思っております。
 防衛費の削減につきましてお話がございましたが、御承知のように中期防がございまして、財政事情も厳しゅうございますし、また国際関係は非常に変化をいたしておりますので、平成四年度の防衛関係費はそのような状況を踏まえて極力抑制を図ったものでございます。この経費をこの際削減して他の経費に充当するということは考えておりません。
 同時に、この中期防のもとで三年後には所要経費の見直しを行うという規定がございますが、最近の国際情勢はソ連の解体に見られるように激動しつつございますので、そのような情勢の変化を見きわめつつこの検討を前広に行うことを決定いたしまして、既に着手いたしました。
 なお、これとは別に、いわゆる防衛力のあり方について、大綱の別表等々がこれでいいのであるかどうであるかというようなことにつきましては、防衛庁の部内で事務的に勉強を始めたところでございますけれども、これが別表の変更につながるかどうか、これはかなり長い作業でございますので、ただいま結論を申し上げることはできないという状況でございます。勉強は始めたところでございます。
 自衛隊員が誇りを持って任務を遂行しなければ、またそのためにはそういう国民の理解がなければならないということは大変に大事なことでございますし、また、自衛隊員がいわば市民並みの生活ができなければ、これは務めをしてもらうのに非常に不十分なことでございますから、そういうことは特に心がけておりまして、先般も制服の諸君とそういう話をいたしたところでございます。
 それから、国の税収の状況が非常によくない、そういうことでこれからの財政をどうやっていくのか、増税によるのか、歳出の見直しによるのかというお尋ねでございましたけれども、それは増税といいましても限度がございます。したがって、建設国債を使いながら、歳出歳入両面にわたっての努力をするということでございます。
 今回、法人特別税、それから普通乗用車に係る消費税の特例措置をいたしました。
 これは、従来やってまいりました平成三年度の普通乗用車に係る消費税の税率よりは今回のものが低い、また法人特別税の基礎控除は法人臨時特別税よりも基礎控除を大きくいたしておりますから、今までの状態よりは負担は減るわけでございますけれども、しかし、本来臨時措置であったこれらの二つのものにかわって、これを完全に廃止はできなかったということでございますから、そういう意味では税負担をしていただくということになります。増税といいますか、そういう負担をお願いすることは本来決して気持ちが進むものではございませんけれども、このような財政の状況の中で御理解をお願いいたしたいと考えているところでございます。
 なお、石油臨時特別税は、これはこの限りでやめる、失効をするということにいたしました。
 消費税につきましては、今、税率を上げるというようなことは私は全く考えておりません。
 それから、飲食料品のことは、両院合同協議会において昨年の十月をめどに協議を続けるという御決定でございましたけれども、その一致が見られなかったということから、その結果を踏まえて、先般、法改正をいたしました。これを円滑に実施してまいりたいと思います。
 それから、経済の先行きについてのお尋ねでございましたけれども、確かに経済の拡大のテンポは減速している、そういう基本的な認識で平成四年度の予算編成も行いましたし、また、年末の公定歩合の再引き下げもそのような状況に即応するものであったと考えます。
 財政は、税収が非常に十分でないという状況の中でいろいろな工夫をいたしまして、公共投資を中心にかなり高い伸び率を積み上げましたが、そういう中で、人手は依然として不足でございますから、中小企業等々で省力投資、合理化投資をしたいということは企業家は常に考えておられるわけで、したがって、それを助けるような財政、経済、金融の背景をつくって差し上げることが大事だというふうに考えますし、また、ここで金利がかなり下がってまいりましたから、住宅ローンの金利が相当低下しているというようなことから、住宅投資等、経済は徐々に回復に向かうというふうに私は考えております。その兆しは既に見えておるというふうに考えております。
 それから、生活大国云々につきましては、ちょうど今年が経済の長期計画が新しく出発する年でございますので、先般、経済審議会に対してそのような具体的な裏づけの諮問を申し上げたところでありまして、夏までには一つの方向を出していただきたいと考えております。
 看護職員の確保はますます大事になってまいりました。平成三年度に引き続きまして、養成力の強化、離職を防ぐこと、再就職を促進すること等々で何とか確保したいという対策費を大幅に増額いたしました。また、そのために看護職員の人材確保を促進するための法的措置が必要であろうと思いますので、法案の取りまとめをただいま行っております。
 それから、もう一つ、国民一人一人の健康管理を進めていく上で、カードを利用した健康管理システムが有効に働いているというお話がございました。
 私は、そういう地域があることを存じておりますけれども、これを全国レベルで普及できるかどうか、やはりプライバシーの問題もございますし、情報をどのように入力するか出力するか、そのような研究開発の進捗状況をもう少し見守っていきたいと思います。
 ひとり暮らしのお年寄りの数は、ますます核家族化が進みますと増加してまいりますので、そういうひとり暮らしのお年寄りの急病あるいは災害の緊急時に迅速に適応できるような緊急システム、老人福祉施設、消防、医療機関等の関係機関の連携を強化するように努めてまいります。
 もう一つ、介護の問題でございますが、職業生活と家庭生活、その介護をどうやってやってもらうかということについて、労働省でも介護休業制度の普及促進を一生懸命やっておりますけれども、現在、普及率は一割程度でございます。やはり非常に難しい問題だということはわかっておりますけれども、この普及促進をまずガイドラインをつくって図ってまいりたい。すぐに法制化をするというのには、まだ事態が、一割程度でございますと熟していない。現実をそれだけ普及していくということからやっていきたいと思います。
 それから、寝たきりの介護の方でもなるべく自分の家で暮らしたいと考えられるのはもとよりでございますから、いわゆる十カ年計画を策定いたしましてホームヘルプ等の在宅福祉サービスの改善に努めております。
 介護手当というお話もございましたが、これが具体的なサービスの向上、利用につながるかどうかということについていろいろ問題があるのではないかと存じております。
 それから、パートタイム労働者の雇用の安定、労働条件の改善は、これは極めて必要なことでございますけれども、そういう意味でパートタイム労働指針の定着など多様な労働対策を行っておりまして、今後とも推進いたしたいと思います。
 なお、例の百万円のことでございますが、これは税制面では最大限の配慮をいたしておると考えておりまして、これを引き上げますことは税負担の公平の面から問題があるのではないかと存じます。
 尼崎市立の高校入試での問題について御指摘がございました。
 まことに残念なことでございますが、文部省において状況の把握に努めるなど適切に対応がなされていると聞いておりまして、後ほど文部大臣からお答えを申し上げます。
 地球サミットにつきましては、極めて大切な今年六月のブラジルの会議でございますので、我が国がその成功のために率先して現在まで努力を続けておるところでございます。
 残余の質問は所管大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣鳩山邦夫君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(鳩山邦夫君) 尼崎市立高校の質問でございますが、この一件は高等学校入学者選抜における個々具体の合否判定の処分でございます。また、現在訴訟が提起されているところでもございますから、文部省としては当該不合格処分のいわゆる是非については、今、私が言及をするのは差し控えなければならないと思っております。
 先生御指摘の一件、仮にA君といたしますと、そのA君を支える会等も結成されているということも聞いておりますし、そういうA君の高校入学をめぐって裁判にまでなっておりますことは、ただいま総理もおっしゃられましたように、大変残念なことであると考えております。
 文部省としては、一般論として従来から、単に障害を有することのみをもって受験の門戸を閉ざしたりあるいは不合理な取り扱いがなされることのないように指導してきたところでございまして、本件についても兵庫県教育委員会から随時報告等を求めてまいりました。今後とも関心を持ってその審理の推移を見守ってまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、片上先生御指摘のとおり、教育の世界ではその機会均等というのは一番大切な命題でございまして、私もそのような観点から、先般、いわゆる障害をお持ちのお子さん方の教育の実態を視察いたしてまいりました。歯を食いしばって懸命に頑張っておられるそういうお子さんたちの姿には正直涙が出てくるような思いがいたしましたし、そうした方々を懸命に教育しておられる先生方の姿にはそれこそ神々しいものを感じた次第でございまして、これからもそうした皆様方の教育条件や環境を整えるために一生懸命力を尽くしてまいりたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(長田裕二君) 立木洋君。
   〔立木洋君登壇、拍手〕
#8
○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、首相の施政方針に対し質問をいたします。
 激動する世界情勢の中で、軍拡に走り国民生活をないがしろにした大国の政治が国民の厳しい批判にさらされている深刻な事態は、日本の進路にとっても極めて教訓的であります。世界的にも経済大国と言われる日本の国民生活の実態は、真の豊かさが感じられないところか、さまざまな貧しさが指摘されているように、長時間過密労働などの過酷な労働条件、都市におけるマイホームの夢の崩壊、社会保障、福祉の貧困、さらに国民の食糧を供給する農業の危機、環境破壊など、国民生活は新たな重大問題に直面しているのであります。これらの事態が、大企業優遇、アメリカ追随による政府の臨調行革と民活路線、さらに軍拡政策によって生み出されてきたことは明らかであります。
 首相、あなたが生活の重視を強調し「生活大国」を掲げるのであるならば、この貧しさの根源にこそ具体的にメスを入れるべきであります。この点で、まず政府の国民生活に対する責任について質問をいたします。
 第一に、過労死を生み出す長時間過密労働をなくすという切実な問題についてであります。
 日本政府は、国際的にも繰り返し厳しい批判を受けてきたにもかかわらず労働時間に関するILO条約は全く批准せず、やっと五カ年計画で一九九二年には年間総労働時間を千八百時間程度に短縮する目標を掲げたものの、それ自体も遅々として進んでいません。法定労働時間に多くの例外を許容している結果、週四十八時間の企業が二〇%以上も存在しており、恒常的な残業、それもただ働きの残業を組み込んだ生産体制や変形労働時間制採用企業の増加は、労働時間短縮の公約を形骸化しているのであります。
 このことは、事もあろうに最高裁がたった一回の残業を断っただけでも労働者を首にすることを当然視するような非人間的な職場の実態とは無関係ではないのであります。こうした事態の根本に、政府の大企業の利益を優先する政治姿勢があることは明らかではありませんか。これでどうして長時間労働の問題を労使の自主的努力によって解決できるというのでしょうか。
 民間の調査によっても、ほぼ二人に一人の労働者が過労死の可能性を心配しているという結果にも示されているように、一刻も猶予はできないのであります。西欧に比べてみても明らかなように、長い労働時間によって人間らしい生活を損ねている実態を速やかに改善し、労働時間短縮を速やかに行うことを要求します。
 今日、世界的に見ても立ちおくれた日本の労働条件を改善するために労働基準法を抜本的に改正し、週休完全二日、週四十時間労働制、年最低二十日の有給休暇の実施、時間外労働の上限の明記、残業拒否の自由の保障、サービス残業の根絶、時間外労働の賃金割り増し率の大幅な引き上げ、全国一律最低賃金制の確立などをすべきであります。ILO関係条約の早期批准も含め、首相の明確な答弁を求めます。
 第二に、依然として未解決な土地住宅問題であります。
 政府は地価の下落傾向を強調していますが、高騰前の二倍前後という高い地価は一向に解決しておりません。東京圏などの住宅価格は勤労者世帯の平均収入の十倍を超えており、マイホームの夢は無残に打ち砕かれたままであります。
 政府は、昨年一月、中堅勤労者が住宅を確保し得る地価水準の実現を図る、こういう総合土地対策推進要綱を閣議決定いたしましたが、その実現の見通しがないまま、金融機関に対する不動産向け貸し出しの総量規制を解除してしまいました。
 勤労者が住宅を確保し得る地価水準の実現という公約をいつまでに達成するのか、首相の具体的な対策、見通しを明らかにしていただきたい。
 このような状況のもとで、中堅労働者まで対象にした多様な公共賃貸住宅の大量供給が従来にも増して重要になっているのであります。ところが、公団賃貸住宅では、三年ごとの家賃値上げや建てかえによる家賃三倍化など、年金生活者などが住み続けられない家賃の引き上げが強行されています。公営住宅は絶対的に不足し、地上げや建てかえなどで住みかを追われる高齢者の住宅問題は放置できないのであります。
 西欧諸国では、公共賃貸住宅の建設とあわせて、近年、住宅手当、家賃補助に力を入れており、東京を初め地方自治体でも、住みかえを余儀なくされた高齢者等に対する家賃補助制度を創設いたしております。政府は、無慈悲な高家賃化政策をやめるとともに、広範な家賃補助制度を創設すべきではありませんか。
 特に我々が重視するのは、地価高騰を初め証券スキャンダルなどを生み出したバブル経済をつくり出した根源に、当時の宮澤大蔵大臣の対米追随の金融政策があったという問題であります。首相は、昨年ある雑誌で、ベーカー米財務長官の依頼で内々澄田日銀総裁に公定歩合引き下げを要請したことをみずから述べております。当時二・五%という最低の公定歩合が一年余の長期にわたったことが、土地と株への過剰融資を生み出したことは明白であります。首相はその責任をどうされるのか、明確な答弁を求めます。
 第三に、臨調行革によって改悪された社会保障制度の問題であります。
 老人医療の有料化と差別的医療、健康保険本人一割負担の導入と国民健康保険への国庫負担の削減、年金保険料の引き上げと給付の大幅な減額などのもたらした事態は深刻であります。これらの制度改悪は、自立自助、高齢化社会に備えてという名目のもとに強行されましたが、その結果を見ると、社会保障関係費用に占める国の負担は一九八二年の二七%が一九九〇年には二〇・六%と実に六・四%も減少し、逆に保険料は五三・六%から五七・三%に増加し、国民の負担はふえているのであります。これは、高齢化社会に対する政府の責任の放棄であり、社会保障の費用を専ら国民の負担増でやりくりしようとすることの歴然たる証明であります。
 首相は、高齢者の方々が生き生きと安心してその人生を送ることができるような社会をつくりたいと言われましたが、ここに一片の誠意があるならば、国の負担の削減でなく、国が第一義的にしっかりと責任を持つ立場を確立すべきではありませんか。
 また、首相は施政方針で、子供たちが健やかに生まれ育つための環境づくりに取り組むと述べておられます。我々は、児童の権利宣言に示されたように、人類は児童に対し最善のものを与える義務を負うものであり、国際法としての子供の権利条約の早期批准は当然であります。同時に、条約の完全実施を保障するための国内法の整備も重要であることは言うまでもありません。同条約の批准のめどを含めて、首相の見解を求めます。
 本年は、国連障害者の十年の最終年であります。我が国における十年の取り組みを振り返って、「完全参加と平等」の目標はどうなったとお考えでしょうか。
 日本共産党議員団はJRの駅などで障害者用設備の調査を実施いたしましたが、世界一利用者の多いJR新宿駅ではいまだに車いすの障害者を手で抱えて乗りおりさせているという状態であります。これが日本の実態であります。この点で、私は、政府が十年間の結果を十分に分析して、教育、雇用、所得、住宅、社会参加等、「完全参加と平等」に向けた全般的、抜本的な年次計画の新たな作成を障害者の意向を踏まえて検討されることを提起いたしますが、首相の答弁を求めます。
 国民生活問題の最後に、米を守るという重大な問題があります。
 言うまでもなく、米の自由化反対については三回にわたる国会決議もあり、ウルグアイ・ラウンドでは、米の自由化につながる例外なき関税化には応じないとの日本の立場をあくまで堅持すべきであります。もともと、ガットは強制的な機関ではなく、貿易交渉でも受け入れられない要求を拒否する権利は加盟国が当然持っております。例外なき関税化に反対する国も二十カ国、さらに態度保留の国もあり、日本が孤立しているわけでは決してありません。
 米の自由化反対を貫くことは、国民の食糧を守るとともに、国土の保全、食品の安全性を守る見地からしても不可欠であり、米輸入自由化反対決議をした自治体は全体の九割にも達していることでも明らかなように、全国民的要求であります。あくまで自由化阻止の立場を貫くべきことを改めて強く要求し、明確な答弁を求めるものであります。
 次に、金権腐敗政治の一掃についての政府の責任であります。
 今日、宮澤首相自身が疑惑を持たれているリクルート事件についての全容解明も終わらないうちに、宮澤派の事務総長であった阿部文男氏が受託収賄容疑で逮捕されました。共和からの政治献金は総額十数億円にも上り、献金を受けた政治家は二十名以上と言われる中で宮澤派の政治家が多数を占め、特に逮捕された阿部氏は、昨年の自民党総裁選挙のときには、宮澤総理の実現のためだとか大臣になるためたどと称して共和に献金を要求していることが明らかにされています。
 もしこのような金によって総裁選に勝利し首相となったのであるならば、我が国の首相の地位が企業からのわいろ性を帯びた汚い金で買われたことになります。首相が深く国民におわびしたいというのなら、宮澤内閣の根本にかかわるこの事件の全容を徹底して解明すべきではありませんか。首相の責任ある姿勢を示していただきたい。
 さらに、共和事件がさきのリクルート事件の深刻な反省をすべき時期に行われていたということは極めて重大であります。それはリクルート事件の解明をあいまいにしてきた政府の責任と不可分のものであり、その責任においても、宮澤首相自身の疑惑に対しての徹底した解明は避けることができません。リクルート株の譲渡は、服部個人の取引などではなく、提示された証拠が示す事実は、宮澤事務所ぐるみでの宮澤首相本人の取引であったことを示唆するものであります。首相によって納得できる答弁がなされない以上、服部、松本秘書を証人として出席させ、真相を明らかにすべきは当然ではありませんか。
 さらに、膨大な金が脱税、労基法違反、免許取得をめぐって政界工作のために政治家に流れたと言われる佐川急便の問題もありますが、こうした不正事件が後を絶たないのは、営利を追求する企業、団体からの献金に根源があることは明らかであります。企業を社会的な存在などということで合理化することは、政治そのものが企業の代弁者となるのを放置することであり、絶対に許されたいのであります。企業、団体からの献金について、部分的に措置をするというようなびほう策でなく、日本共産党がかねてから主張しているように、一切禁止すべきことを強く要求するものであります。
 最後に、世界平和への貢献の問題であります。
 今日、核兵器廃絶と軍縮、軍事同盟の解消を進めることは、力によらない平和、民主主義を実現する国際政治の根本問題となっております。非軍事で平和実現のために世界に働きかけていく日本国憲法の平和原則の立場こそ、世界の平和と安全を築くべき方向であります。こうした見地から次の点について質問をいたします。
 第一に、核兵器の存在それ自体が脅威をもたらしているように、核兵器は人類と共存できないことがますます明らかにされ核兵器のない世界の実現を促進すべき好機に、あなたは被爆国の首相としてなぜアメリカのブッシュ大統領に核兵器の廃絶を要求されたかったのか、はっきりと答えていただきたい。
 第二に、政府はソ連の脅威を日米安保条約の最大の口実としてきました。今日、そのソ連の脅威なるものが崩れたにもかかわらず、なぜ日米安保条約が必要かどの国民の道理ある当然の指摘があります。ところが、首相はさきの東京宣言で、日米同盟関係は地球的規模の協力関係の基盤と確認し、引き続く在日米軍の前方展開を容認いたしました。安保条約を地球的規模で発動する軍事同盟へと強化することに同意したことは、まさに歴史の逆行としか言いようがないものであります。しかも、チェイニー国防長官が在日米軍は米国の利益のためと公言したように、日米安保それ自体が米国の世界戦略への一層の追随以外の何物でもなく、日本国民に不当な負担を強いるものであることを重ねて示しております。
 首相、真の平和秩序の構築に反し、国民を犠牲にする軍事同盟の解消について真剣に検討すべきではありませんか。明確な答弁を求めるものであります。
 第三に、世界の大勢は明らかに軍事費の削減に向かっております。アメリカ、イギリス、ドイツなどで削減は明確であります。日本だけが例外的に、四兆五千五百十八億円、前年比三・八%増となっております。ソ連の脅威がなくなった今日、新たな不安定性及び不確実性などということを口実にしてそれを安全保障の課題だとこじつけようとしても、現にソ連に対する装備とされてきた空中早期警戒管制機をあくまで導入しようとしていることでも明らかなように、結局それは、アメリカの強引な要求である軍事的役割分担の拡大とアメリカの軍事産業援助に応じる以外の何物でもないではありませんか。
 首相、政治に求められているのは、軍事費を削減して、はっきりした軍縮への転換であります。六月に地球サミットが開かれますが、世界自然保護基金、国連環境計画、世界自然保護連合が公表した新地球環境保全戦略も、地球環境保全のために必要な費用として軍事費の削減を強く求めています。二十二兆七千五百億円、この中期防衛力整備計画を直ちに中止し、軍事費を大幅に削減すべきではありませんか。明確な答弁を求めます。
 第四に、憲法違反の自衛隊海外派遣法の問題であります。
 さきの日韓首脳会談で盧泰愚大統領から、日本の国際貢献について非軍事が強く求められ、PKO法案への強い懸念が表明されております。また、日本国が関与した朝鮮人慰安婦問題への厳しい反省と措置が求められましたが、これらのことは同根の問題であります。それは、かつての日本政府による侵略戦争がつくり出した許すべからざる非人間的行為への無責任な態度と、軍事面での国際的な関与をいかなる形でも許さないとしている憲法の平和原則を踏みにじる日本政府の言動に対する厳しい批判であります。このことは、中国を含め、かつて日本の侵略を受けた国々の忘れられない共通の意見であることを銘記すべきであります。
 ところが、渡辺外相は、「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてみる国際社会において、名誉ある地位を占めたい」との憲法前文の一節を引用し、これを平和憲法の理想と称してPKOへの自衛隊参加を合憲であると強弁していますが、これほどの歪曲はありません。
 引用文の前に憲法には、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と憲法に明記しているのであります。憲法の平和原則は、いかなる意味でも、兵力、軍備など軍事に依拠する立場を完全に放棄しているのであります。この崇高な憲法の平和原則を投げ捨てる憲法解釈は、日本の進路を誤らせ、アジア諸国を初め世界の平和への真の貢献に逆行するものであることを厳しく指摘するものであります。
 私は、PKO法案の廃案を重ねて強く要求して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(宮澤喜一君) 労働時間の短縮は、労使の自主的努力を基本に推進していくことが重要と考えております。政府としては、今後とも、完全週休二日制の普及促進、年次有給休暇の完全取得の促進、所定外労働の削減等、労働時間の短縮を進めるための労使の取り組みに対して積極的に指導し、援助に努める所存でございます。
 労働時間は着実に減少しておりますけれども、なおこの上での短縮が必要だと私どもも考えております。従来から労使の自主的努力によってそういうことが行われつつございますけれども、我が国の企業の実態を見ますと、どうも同業他社との横並びという意識がかなり強い。これが阻害要因になっているように思いますので、業種、地域ごとの労働時間短縮に向けての自主的努力を政府の方も援助するといったようなことも必要ですし、法的整備が入り月かとも検討しておるところでございます。労働時間法制全般につきまして、中央労働基準審議会において検討が進められておるところでございます。
 それから、ILOの関係条約の批准に関することでございますけれども、国によりましては、実はただ批准をしてしまうというような国がかなりございますけれども、我が国は、批准をいたします以上これを誠実に履行しなければなりませんから、国内法の整備が伴わなければ批准はできない、こういうことを厳格にやってまいりまして、現在三十九本を批准いたしております一国内法制の整備をしながら批准に取り組んでいきたいと思います。
 勤労者が住宅を確保し得る地価水準、土地政策を推進していく上においては、各般の施策を総合的に実施することが必要で、昨年一月二十五日に総合土地政策推進要綱を決定いたしました。これを推進しておるところでございます。
 家賃の負担の軽減でございますけれども、融資、税制の活用等により資金コストの低減を図る、また、低額所得者等の世帯について公共賃貸住宅の的確な供給の充実に努めてまいります。
 家賃補助制度については、必要となる家賃の評価あるいは支出能力の把握等々、大変に難しい問題がいろいろございますので、これは国において全面的に実施に移すためにはかなり慎重に考えなければならない問題ではないかと思っております。
 バブル経済のことをお話しになりました。
 そういう状況は確かにございましたのですが、これは御記憶のように、一九八五年にプラザ合意がございました。そのときの円は二百四十二円であったわけでございますから、急激に円が上昇しまして、その年の暮れには二百円になりました。翌年の夏には百五十円になったという急激な円の上昇に日本経済が耐えられない、そうして雇用の不安が起こってきたことはまだまだ御記憶になっておられると思います。
 その間にあって、政府としては、緊急経済対策で六兆円に上るものをいたしましたし、また、急激なドルの下落を防ぐために、ドル買いといいますか、為替の買いにも入りました。そういうことからいわゆる購買力が過剰に発生したというそのことは私は決して否定いたしませんけれども、しかし、そういう経過を経て日本の経済が高い円というものを今日自分のものにした、そういう経緯があったことも御理解いただきたいと思います。
 それから、子供の権利条約の批准につきましては、これはもうできるだけ早く締結いたしたいと考えておりまして、権利義務の内容と国内法令との関係の詰めを、今、政府部内で急いでおるところでございます。
 それから、障害者対策につきましては、長期計画及び後期重点施策を策定して推進いたしておりますし、国連・障害者の十年の最終年でございます平成四年度に向けて各種施策を総合的、積極的に推進いたしております。この終了後のあり方につきましては、中央心身障害者対策協議会で検討をお願いいたしておるところでございます。
 米につきましては、ウルグアイ・ラウンドが最終段階を迎えておる現状でございますが、各国とも農業問題でおのおの困難な問題を抱えております。我が国は、米につきましては既定の方針のもとに対処してまいりたいとこの最後の段階に臨んでおるところでございます。
 共和の問題で御指摘がございましたが、この共和の問題と自民党の総裁公選とは別段何も関係がたいことでございます。
 それから、私自身の三点セットについて御指摘がございましたが、前国会で御要求のあった資料はすべて提示し、私自身が誠意を持って時間をかけてお答え申し上げております。事実関係は明らかになっていると考えております。
 それから、企業、団体の献金をどう考えるかでございますけれども、企業も一つの社会的存在でございますから政治活動をしてはならぬということはない。ただ、国民の批判を招くような、節度を失うことがあってはならないと存じております。
 核兵器の究極的な廃絶は、おっしゃるまでもなく我が国の重要な目標の一つで、そのことはいろいろな機会に申しておりますし、もちろんブッシュ大統領もよくよく御存じでございます。
 それから、日米安保条約につきまして、何かアメリカのチェイニー国防長官がこれはアメリカのためなんだということを言ったと、したがって日本のためではないようなおっしゃり方でございましたけれども^事実は、チェイニー国防長官がアメリカ国民に向かって、アメリカ軍を前方に展開することはアメリカ自身の安全のために大事なことなんですよと、納税者に向かってそういうことを言っているのであって、アメリカの利益になり日本の利益にもなるということは幾らでもございます。両方とも利害が共通のことは多いのでございますから、アメリカの利益になるから日本の不利益ではないかというような発想は私どもはいたしません。
 中期防につきましては、この厳しい財政のもとで極力抑制をしながら平成四年度の防衛費の策定をいたしたところでございます。これはひとつぜひこの予算の形でもって御承認をお願いいたしたいど思います。
 PKOの法案は、これは確かに憲法で言っております国際協調、恒久め平和を求める我が国民が平和になし得る大変な貢献であるというふうに考えておりますから、撤回をするというようなことは考えておりません。
 残余の御質問は関係大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(渡辺美智雄君) このPKO法案は、憲法の趣旨に合致していると私は思っておるんです。それは、自衛隊は憲法違反だから認めないという人と認めるという人の差でありますから、これは幾ら議論してもそういう意見があることは承知をいたします。
 私は、例えば国民の皆様に聞いてもらえばわかるが、海上自衛隊がペルシャ湾に出動して、それであそこで機雷を三十四個も拾って国際貢献を果たして、高く世界から評価されて、国内の七〇%以上の人はそれは立派なことをやったと、こう言っているんですが、ごく少数の人は憲法違反だと、こう言っていることと同じであります。したがって、この国連の平和維持活動、これはノーベル平和賞を受けて、この平和賞は、ああいうことは憲法違反だという発想なのか、憲法の精神に合っているんじゃないかという人との見解の差だと私は思います。
 以上、我が国憲法は九十八条で、政府が締結した条約、国際法規、これは守る必要があると。我々は、国連加入をし、国連規約や国連憲章というものを守るように議決しているわけでございますから、その国際規約というものを守っていくということは憲法違反ではございませんというわけであります。(拍手)
#11
○議長(長田裕二君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時二十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開議
#12
○議長(長田裕二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。中村鋭一君。
   〔中村鋭一君登壇へ拍手〕
#13
○中村鋭一君 私は、連合参議院を代表いたしまして、宮澤総理の施政方針演説について幾つかお尋ねをさせていただきます。
 まず、総理の演説全般を通じてでございますが、具体性がない、情熱も個性も感じることができない、国民に対して何を約束し何を求めるのか、総理が真に目指すものは何であるのか、こういった総理御自身の顔が見えてこなかったことが甚だ残念でございます。いま一度、そこのところをはっきりとお示し願いたいと思います。
 総理は、阿部代議士の逮捕は遺憾であり、国民にわびるとおっしゃいました。そして、各党各会派、国民の理解と協力をお願いすると言われました。理解をお願いすると言われましても、国民は戸惑うばかりであります。
 自民党の党大会に招かれた女優の栗原小巻さんは、陰謀、裏切り、だまし討ちはシェークスピアに任せてもらいたいとおっしゃいました。まさにしかりであります。しかしながら、現実には、まるで「ベニスの商人」のシャイロックのように、金と利権をはかりにかけて売り渡すようだ政治家が横行しているではありませんか。宮澤総理は、内閣の命運をかけて政治改革を断行すべきであり、今こそはっきりと、具体的にその方策を打ち出すべきであります。
 ここで、我々連合参議院が主張するところを端的に申し上げます。
 まず、厳重な連座規定と金権候補に対する議席剥奪を伴った腐敗防止法の制定、政治献金を含む収入と支出の完全な透明性を保証する政治資金規正法の改正、政党、会派に対する公的助成制度の確立、衆参両院にわたる抜本的な定数の是正、そして国民的合意の得られる選挙制度の確立てあります。何から先に手をつけるかは今国会で十分に相談をし、会期中に成案を見るべきであると思います。これらの提案に対し、宮澤総理はどのようにお考えか、お尋ねをさせていただきます。
 次に、共和汚職であります。
 阿部代議士は、ねだるというよりもほとんどゆするといってもいい強引さで多額の金品を手にいたしました。情けない限りであります。我々は断固として、即刻ただいま阿部代議士の辞任を要求いたします。総理はどうお考えか。
 また、総理は、こういった事件の陰にいわゆる派閥の弊害があることを考え、率先して総理がいらっしゃる宏池会を解散するお考えはございませんか、お尋ねをさせていただきます。
 しかしながら、考えてみれば、これはひとり阿部代議士の責めに帰するべきではありません。多年にわたる自民党の金権腐敗の体質が今回もまた露呈したにすぎません。一審で実刑四年の判決を受けた元総理、上告を取り下げ有罪が確定した現自民党総務会長、収賄罪で公判中の元官房長官など、枚挙にいとまがありません。当然、これについては宮澤総理も責任を感じていらっしゃると思いますが、それならば、総理御自身、いわゆる三点セットについて、これらの書証作成にかかわった証人の証言を拒否なさるはずはないと思いますが、この証人喚問についていかがお考えでございますか、お尋ねいたします。
 共和事件については、国会もまた立法府として適切な措置をとるべき責務があります。連合参議院は、この事件について、証人喚問などによって国政調査権を十分生かして徹底的な事件解明を行う必要があると考えます。総理は、二言目には、各党各会派でよく御協議をお願いしと、こうおっしゃいます。ですから我々はこのように提案をしております。行政の最高責任者としての答弁をお願いいたします。
 次に、平成四年度の予算についてお尋ねいたします。
 政府は、六兆円分足りないといって緊縮予算をつくり、一方で仕方がないといって増税を図っています。自動車税は三%に下げると言いながら四・五%にとどめ、法人税二・五%アップは二年継続であります。湾岸戦争に際して、我慢してくれとおっしゃった。我慢をした。湾岸戦争は終わった。それなのになぜ増税を続けるのですか。自動車税も消費税を創設したときの約束と違うではありませんか。また、地価税創設に際してはこれを目的税にすると言いながら、今回は一般財源に繰り入れているのであります。これらはすべて明白な公約違反であります。
 しかも、一方で生活関連予算の財源配分の変更はほとんどなされておりません。これではまるでだまし討ちであります。こんな編成で、どうして生活大国への前進などと言えるのですか。誠意ある答弁をお願いいたします。次に、防衛費でありますが、総理御自身お述べになったように、冷戦構造は終わりを告げました。ソ連は解体し、はっきり申し上げて、日本の仮想敵国は消滅したのであります。折しも、アメリカ、ロシア両国は、一昨日来歩調を合わせてまさに画期的な軍縮策を発表いたしました。アメリカの場合、戦術、戦略核兵器を含めて向こう六年間に兵力の二五%、金額にして六百三十八億ドル、八兆円余りという大規模かつ徹底的な削減計画であります。にもかかわらず、我が国では、一千億円の復活財源の中で百四十九億四千百万円が防衛予算に配分されました。その中に、多連装ロケットシステム九両、また、戦闘機FSXの開発費が含まれています。一体、だれに対して、何の目的で、どの方向に向けて多連装ロケットを配備するのですか。何の必要があるのですか。全く理解に苦しむ正面装備の復活であります。
 アメリカ、ロシアは、相互に複数弾頭ミサイルを廃棄する提案をしております。規模は小さくても我が国の防衛予算は軍拡です。世界じゅうで日本だけが軍拡なのであります。とどめることのできない軍縮の潮流に逆行していては、世界じゅうから物笑いの種にならないとも限りません。
 中期防を前倒しで早急に見直すことは当然でありますが、何よりも防衛力整備大綱を見直し、世界の趨勢に合わせた抜本的な防衛体制を確立すべきであると思います。総理は大綱別表の見直しを示唆なさいました。これは一歩前進と評価をいたしますが、今ここで、宮澤総理、リベラリストととしてのあなたの真面目を発揮する核心をつく御答弁を期待するものであります。
 次に、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 平成四年度の経済成長は政府見通しでも三・五%に落ちる、こうおっしゃっています。当然、税収が減ることは避けられない。今後三%台の成長が続くとすれば、それに対する財政運営のビジョンと具体策をお示し願いたいと思います。
 私は、低成長下の財政運営は、防衛費の徹底削減、行財政改革の徹底、地方自治体にスタンスを置いた地方分権的な財政運営に切りかえる、この三点が行われたときに新しい財政運営の姿が見えてくると思いますが、政府のお考えはいかがでございましょうか。
 次に、外交問題についてお尋ねいたします。
 PKOについては、憲法の許す範囲で、自衛隊とは別個の国連の指揮下に入った組織をつくるべきと思います。業務の実施に当たっては、実施前の国会承認は当然必要であります。また、自衛隊派遣を含むPKFへの参加は、これをすべきではないと思いますが、いかがでしょうか。
 ODAについては、現行の援助が内容的に疑問な点が多く、また不透明でありますから、一元性と国会のチェックが行き届くようにODA基本法を早急に制定し、真にその国の皆さんの役に立つODAとすべきと思います。総理の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
 また、北方領土の交渉の相手国は、これはロシア共和国になると思いますが、北方四島返還のための今後の手順、返還の時期についての見通しをお聞かせください。
 きのう、渡辺外務大臣は本院村上議員の質問に対して、「この先はやめておきましょう。」と、こうおっしゃいましたが、本日は「この先」も含めて機微に触れた誠実な答弁を期待いたしたいと思います。
 次に、環境問題についてお尋ねいたします。
 六月に予定されております地球サミットの成功のためにあらゆる努力を傾ける必要があると思いますが、我が国として具体的にこの地球サミットで何を提案し何を主張していくのか、お聞かせを願いたいと思います。
 また、我が国は、国内外における環境保全の重要性にかんがみて、環境庁を環境省に格上げすることを考慮すべき時期に来ていると思うのですが、総理はいかがお考えでございますか。
 次に、総理は、長良川河口ぜきの建設について広範な国民の間から反対の運動が展開されていることは御存じのことと思います。
 土木計画学には、時間の経過に伴う計画の自己矛盾という原理があるそうであります。長期間を要する大規模な土木計画は、人間の価値観ですとか社会情勢の変化を避けることができません。長良川河口ぜきが当初の利水目的を失って、また治水の役にも立たないということはおおむね一般の理解であろうかと思います。しかも、この河口ぜきが日本有数の豊富な水生動物の生態系を破滅させることは決定的であります。今や、長良川河口ぜきは環境破壊のシンボルとして無用の長物となった感があります。長良川河口ぜきは工事を中止すべきであろうと思います。少なくとも一たん中止して徹底した環境アセスメントを実施すべきであると思いますが、総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、総理の主張されます日米のグローバルパートナーシップについて言及したいと思います。
 両国が力を合わせて世界平和の構築の責任を共同で果たしていくこと、これが真のパートナーシップだと総理はおっしゃいました。これは私も全く同感でございます。しかしながら、それは当然互角対等めスタンスを保つべきであって、片方が一方的に言い分を通したりすることであっていいはずはございません。時には忠告もし反省も促すのが本当のパートナーであると思います。このような認識に立って、二、三指摘をさせていただきます。
 第一は米であります。総理の演説では、例外なき関税化にどう対応するのか明確にされておりません。アメリカは米の自由化を強硬に迫っています。しかし、米の自由化は、たとえ実現したとしても、対日貿易赤字の解消にはほとんど効果はありません。むしろ、アメリカは米を例に挙げて、こういう閉鎖的な国だという宣伝材料に使ってきたようにも思えます。総理はこのことをどのようにお考えでございますか。
 米は農政の象徴であります。まず何よりも農業に従事する皆さんが希望の持てる農政の姿を示すべきであると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 また、一九九四年度から日本は流し網漁から撤退することになりました。さらに、最高級のとろになりますクロマグロの商取引の規制をアメリカは提案しております。これらはいずれも、日本人は流し網漁で魚を根こそぎとるとか、あるいはまた西大西洋のクロマグロを日本が絶滅に追い込んでいるというような科学的根拠に乏しい言い分であると思います。端的に言えば、流し網漁もクロマグロも、そして見方によりますと自動車も、すべて感情的なジャパンバッシングの一つであると至言えると思います。
 我が国も堂々と主張すべきところは主張すべきであります。相手の立場を考えて納得のいくまで話し合い、平等互恵の大原則を貫くべきであります。アメリカがこれまで日本に対してどれほどよくしてくれたかを思うと、心の底から感謝し、今後とも仲よくしたいと思います。しかし、そのためにはお互い苦い薬も飲まなければいけないと思います。
 安保理出席のため総理は今夜アメリカへおいでになりますが、どうかブッシュ大統領に面会を申し込んでいただきまして、率直に二人で流暢な英語で話し合いをしていただきたい。先日はブッシュ大統領の介抱もされたわけでございますから、よもや面会を断られることはないと思います。総理がこれらの懸案をブッシュ大統領との間で解決したときに、日米両国民は歓声を上げてあなたを迎えると思います。
 最後に、政治倫理の確立と政治改革の断行、軍縮の実現、環境を守る闘い、生活者の立場に立った財政運営、そして世界じゅうの人々に喜んでもらえる国際貢献を勇気を持って断行することを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(宮澤喜一君) お尋ねの最初の部分にお答え申し上げますが、世界が今、冷戦構造に終止符を打って、平和を求める方向に人類の流れが流れておりますが、この際、我が国として新しい平和秩序を構築するために大きな国際的責任を持っております。それを果たさなければなりません。
 また、内政の重要課題としては、まだまだ真の長寿大国、老齢者の社会になるのには時間がございますので、今のうちに、この力のありますうちに、国民の一人一人が本当に豊かさを感じるようないわば生活大国をつくりたい。これは国内的に大事な課題であると思います。
 さらに、御指摘のように、政治の信頼を回復するための政治改革、これらを私としては全力を挙げて努めてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
 阿部議員につきまして、即刻辞職を要求するということをおっしゃいました。私としまして考えますことは、阿部議員の進退は、やはり基本的には本人側自身が判断をせらるべき問題であると思います。現在、当局が事実関係を究明中でもございますので、私の意見を申し述べることは差し控えさせていただきます。
 なお、この事件は目下司直の手によって究明が進められておりますが、政治と金のあり方について国民の厳しい糾弾を受けていることは私も厳粛に受けとめております。懸案の政治改革について、できる限り早く立法的解決を実現してまいりたいと思います。
 なお、私につきましては、前国会におきまして、かねて御要求のありました資料をすべて提示し、また私自身が誠意を持って自分でお答えをしてまいりました。事実関係は明らかになっているというふうに考えております。
 それから、予算編成についてお尋ねがございました。
 確かに、税制面におきまして、今までやってまいりました法人臨時特別税、石油臨時特別税、普通乗用自動車消費税率六%の経過措置につきまして、期限が到来する今年度限りで失効いたさせます。実は、そのままにしておきたい気持ちはやまやまでございましたけれども、どうしても予算が組めない、そういう財政の事情でございますので、最小限の措置といたしまして、法人特別税、それから普通乗用車に係る消費税の特例措置を二年間やらせていただく。
 これは、完全に失効することに比べましたら、やはりそういう御負担をしていただくことでございますから、まことにそういう意味では残念なことで申しわけないことというふうな感じがいたしますけれども、そのような財政の事情をひとつ御理解願いたい。従来に比べましたらそれでも負担は小さくなっておるわけでございますので、御理解を願いたいという気持ちでございます。
 それから、防衛力の問題についてお話がございましたが、米ソがこれだけ大きな防衛費の削減をしているではないかということでございました。
 ただ、米ソは長いことお互いを仮想敵にして非常に大きな軍備をしていたわけでございますけれども、我が国は仮想敵というようなものを持って防衛力の整備をしてまいったわけではありません。基盤的な防衛力の整備というのをやってきております。ですから、そこは一緒にするわけにはまいらないと思うのです。
 ただ、これも前に申し上げましたように、中期防が制定されまして、殊にソ連の解体というようなことがございました。そういう意味での国際情勢は非常に変わっておるわけでございますから、申し上げておりますように、その中期防の見直しをひとつ前広にやろう、こういうことは私どもも考えておるところでございます。
 そしてまた、こういう状況になりますと、防衛力のあり方そのものについてもやはり時間をかけて検討することは大事であろう。そういう意味で、大網の別表というものも検討することになるかもしれない。そういうことは十分にやっておりますけれども、米ソのような防衛力を我々は持っているわけではございませんし、また、我々の持っているものはいわゆる基盤的な最小限の防衛力であるということは御理解をお願いいたしたいと思います。
 それから、PKO、国連の平和維持活動に適切に迅速に協力するためには、私はやはり自衛隊の技能、経験、組織的な機能を生かすことが大事だというふうに考えてまいっておりますけれども、この指揮の問題につきましては、法律案にもございますが、本部長が法案の枠内で国連のコマンドに適合するように作成する実施要領に従って業務を行うというのがこの法案の仕組みでございます。
 国会承認の問題につきましては、私どもは、法案の中に書かれておりますように、これは政府の責任において処理をさせていただき国会に御報告をするということがよろしいかと考えましたが、衆議院において修正がございました。この点につきましては、もとより立法府の御意思を尊重しなければならないことは当然だと思っております。
 ODAにつきまして、我が国はODAのかなり、場合によりましては世界第一位の年もございます、大きな供与国になったわけでございます。我が国のODAの実施体制は、全体としては私は順調に機能をいたしておると思いますが、しかし、基本理念等を明確に示す必要があるという御意見もございまして、先般の行革審の第二次答申を踏まえまして、政府開発援助大綱の策定について政府部内で検討をいたしておるところでございます。
 それから、内外の環境問題に的確に対応するためには、政府全体の環境行政への取り組み体制を充実強化することが必要でございます。今後とも、政府一体となって環境行政への取り組み体制の充実強化に努めてまいります。
 長良川河口ぜきは、水害の危険に脅かされている長良川沿いの住民六十七万人の生命、財産を守るために不可欠な施設と考えております。同時に、中部圏の将来の発展のため必要な水資源もあわせて確保するものであります。人口、資産の集中に伴い、本事業の重要性はますます大きくなっております。本事業については、長良川沿いの住民を水害から守る責任を持つ県を初めとする地方公共団体の長からも強い事業促進の要望が出されております。行政の責任者として、こうした状況はしっかりと受けとめていかなければならないと思います。
 環境調査については、事業着手以前から十分実施し、その後も引き続き調査を進めるとともに、必要な環境保全のための措置を講じてきたところでございますが、念のため、現在、追加調査を実施しその結果を取りまとめております。それらを踏まえて、環境保全に十分配慮するとともに、関係自治体と十分連携をとって事業の進捗を図ってまいりたいと思います。
 米につきましては、ウルグアイ・ラウンド交渉が最終段階を迎えている状況で、各国とも農業問題についてそれぞれ困難な問題を抱えております。相互の協力による解決に向けて、この最終段階で最大限の努力を傾注して交渉に臨んでいくことが必要と思います。米につきましては、既存の基本的方針のもとで対処してまいる所存でございます。
 それから、二百海里の定着に伴い、各国とも公海における漁業が拡大をしております。公海における水産資源の国際管理の動きが活発化しておりますが、環境保護的観点から漁業に対するさまざまな批判が存在いたしております。我が国としては、科学的根拠に基づく水産資源の保存とその合理的利用を図ることを基本として対処してきたところであります。今後とも、米国を初めとする諸外国に対し我が国の考え方を粘り強く説明し、その理解を求めていく所存でございます。
 残りの御質問につきましては関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(羽田孜君) 今後の財政運営のあり方につきましては、これはいつも申し上げていることでございますけれども、社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくために、高齢化社会というものをもうすぐそこに迎えるというときでございますので、その時代に多大な負担というものを残さないように、二度と特例公債の発行というものをしないということを基本として財政の運営をしていかなければいけないというふうに考えております。
 今後、そういう考え方に基づきまして、現在とられております制度ですとかあるいは施策の見直し、こういうことを引き続き行う、いわゆる御指摘の行政改革というものを進めていくことがまず緊要であろうというふうに思っております。
 なお、防衛関係費につきましては、ただいま総理からもお答えがあったわけでありますけれども、国際情勢が大きく変化しておるということ、このことを踏まえるということは当然だろうと思いますし、また財政事情等もございます。そういう中で、節度のある防衛力とすべきであろうということを申し上げたいと存じます。
 さらに、国と地方との関係につきましては、いわば車の両輪でございまして、共通の行政目的の実現を分担して責任を分かち合う関係にあるところでございまして、まずそれぞれがやはり行政改革というものを推進していくことが重要であろうというふうに考えております。
 なお、予算の修正についての御指摘があったわけでございますけれども、今年度の予算編成、今年度というだけではございませんけれども、各党の党首あるいは政策担当者の皆様方に総理御自身がお会いになり、私どもも話を聞かせていただいたわけでありますけれども、皆様方の御意見というものも私どもお聞きしながら、その中で取り入れられるべきものを取り入れながら今度の予算というものを編成したということをまず申し上げます。
 そういう中で、特に社会資本の整備の着実な推進ですとかあるいは国際社会というものに対する貢献、これら時代の要請というものにこたえていこうということで、限られた財源というものを重点的、効率的に配分するよう努めたところであります。
 なお、今、景気等が低迷しておるという御指摘もあったわけでありますけれども、そういったものにも我々は配慮しながら予算を編成したということでありまして、現在、私どもはこの予算というものは限られた中における最善の予算であろうというふうに考えており、修正は考えておらないところでございまして、ぜひともこの点につきまして御理解をいただきたいということをこの機会に改めてお願いを申し上げたいと思います。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(渡辺美智雄君) 北方領土交渉の件について、今後の返還の手順、返還の時期、見通し等はどうかということでございますが、御承知のとおり、昭和二十年に終戦になりまして、そしてその後ずっとソ連は平和条約に参加しないでおりましたが、昭和三十一年、一九五六年、日ソ共同宣言によって国交が完全ではないが回復をされた。ところが、それから四年たって、昭和三十五年、一九六〇年に安保改定が行われたんですが、そうするとソ連の方は突然手のひらを返すがごとく、数年前に結んだ共同宣言、あれは効力を失ったようなことを言い始めて、それからずっと膠着状態になってきたわけであります。
 ゴルバチョフ大統領が去年日本においでになって帰った途端に、ソ連の国会で、こちらとしては五六年の共同宣言をやや認めたのかなというような受け取り方も一部あったわけですが、ところが、いや、あれは既にもうそのチャンスを失ったということをソ連の最高会議で演説しました。そこで、せっかく日ソがうまくいきそうになったのがだめになっちゃった。
 ところが、その後、御承知のような経過を経てエリツィン大統領が天下を、天下というかロシアの最高指導者として選ばれた。そこで、彼は今度は、北方領土問題は「法と正義」で解決しようじゃないかということを言い出したものですから、我々は、それはまことに結構なことであると。「法と正義」、その中身については具体的に敷衍しているわけではありませんが、例えばコズイレフ外相等は、一九五六年の共同宣言が無効のようなことを言うのは間違いだ、「法と正義」の立場からあれはそうじゃないということをはっきりとテレビなどで国民に向かって言い始めたわけです。
 これは非常にいいことなものですから、我々といたしましては、やはり「法と正義」の立場からロシア国民をまず説得してもらわなきゃならぬと。どこの国でも世論があります。世論が世論がと言うんですよ。世論が承知しないと。わかってはいるけれどもということは言わないが、世論が承知しないと。だから、世論が承知すればいいということなんですよ。それにはやっぱり「法と正義」ということで、例えばこの間は、修好条約というようなものの一部がロシアのマスコミに出てくる。あるいは、帝政ロシア時代に修好条約を結んだときか何かに訓令を出しまして、千島列島のウルップ島まではロシアのものだと、こう言っていることがはっきりしているわけですから、そういうものをまず認めさせるということが手順のまず始まりなんです。
 それで、一方においては交渉を続けていく、作業部会も発足させる、信頼関係をともかくつくっていくということで、両面からやらなきゃならぬ。したがって、無償の供与をするというようなことも、やはり我々は信頼関係を助長していくためにそういうことをやっているわけですから、だからこれは両面でやらなきゃならぬ、そう思っておるわけです。
 そして、三月の下旬に向こうの外務大臣が日本に来て、その後こちらからも行くようになるでしょう。そして、エリツィンさんの訪日の問題について具体的な詰めをする、こういうことを言おうとしたわけでありますが、じゃ、いつ、時期がどうだ。時期という問題で、いつ来るんだということについては、こちらは申し込みはしていますしていますが、そこから先はまだ約束ができていませんから、ちょっと言うのは控えさせていただきますと言ったわけであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(長田裕二君) 小西博行君。
   〔小西博行君登壇、拍手〕
#18
○小西博行君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表いたしまして、宮澤総理の所信演説に対して質問をいたします。
 今通常国会は、内外情勢の激変の中で行われる歴史的な国会であり、二十一世紀に向けた新たな国づくりのために、議員各位が姿勢を正し、英知を結集し、議論を通じて、来るべき世代が先進国にふさわしい平和で豊かな国家への第一歩を踏み出す重要な国会であります。にもかかわらず、またしても国民の政治不信を一層高める共和疑惑の先生という事態を招くに至りましたことは、国家、国民にとって最大の不幸であります。政治にかかわる者としてまことに残念であります。
 しかも、政治改革を旗印にした海部内閣の閣僚在任中にこのような事件にかかわっていた阿部代議士の政治的、道義的責任は極めて重く、直ちに議員を辞職すべきであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 また、共和から渡った金は、入閣するための工作資金やみずからの選挙資金のみならず、派閥への上納金、派閥としての選挙資金にも使われたと言われています。しかも、阿部代議士は、さきの自民党総裁選では宮澤派事務総長として重要な役割を果たした人物であり、共和からの資金を総裁選に使い、報道によれば他の派閥にばらまいたとも言われております。このような人物を側近として重用した宮澤総理自身の責任もまことに重いと言わざるを得ません。一日も早く、法律に則した疑惑の解明と処置を望むものであります。
 この種の問題が繰り返し起きるのは、政治家の倫理と我が国の政治土壌にあると思いますが、今こそすべての政治家が責任を共有して政治改革の出発点を政治倫理の確立に向けて取り組まなければなりません。今回の事件に対する責任と、政治倫理確立に取り組む総理の姿勢と決意についてお伺いいたします。
 総理は、政治改革について一年をめどに結論を得たいと言われておりますが、各党の合意の得やすい政治倫理、政治資金規制、政治腐敗防止策などについて政治改革協議会で真剣に取り組み、これを速やかに実現させ、選挙制度の抜本改革についても議論を深めていくという二段階方式を明確にすべきでありますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、外交、防衛の基本姿勢についてお伺いいたします。
 総理、あなたは就任直後から、国連に対する最大限の貢献を口にされ、ウルグアイ・ラウンドの早期終結への努力を約束されました。PKO、米問題、いずれをとっても国際社会の中で我が国の姿勢が問われ、あなたのリーダーシップがなければ解決不可能な問題ばかりでありましたが、結果は御承知のとおりでありました。その責任をどう感じておられるのか、お尋ねいたします。
 この一年間に、世界は劇的な変化を見せております。強固な中央集権国家でありましたソビエト連邦は解体し、欧州では統一ヨーロッパという連合国家が、また中東でも和平会議を始めるなど、各国がみずから生存をかけて真摯な努力を傾けている間に、我が国は一体何をしたと言えるのでしょうか。
 今月三十一日からニューヨークで開催される国連の安全保障理事会の首脳会議は、昨年秋、安保理事国となった我が国が具体的な対応を迫られる初めての会議であり、総理は、アジア・太平洋地域の平和と安定のための新秩序づくりに向けて、日、米、旧ソ連諸国、中国、南北朝鮮、ASEANを含むアジア・太平洋地域の新たな安全保障体制の構築を議題としたアジア・太平洋首脳会議の開催について、我が国が国連の場で関係各国に呼びかけるべきであると考えますが、この点について総理の御所見を賜りたい。
 また、これを機会に、旧敵国条項の廃止、安全保障理事会制度の再検討、事務総長の権限強化などの国連改革を提唱すべきであると思いますが、総理の御見解をお聞かせいただきたい。
 世界が対立から協調へ向けて大きく動き、各国が軍縮を進めようとしている中で、我が国もまた世界め軍縮の一翼を担っていかなければなりません。我が国においては、若年労働力人口の減少によって自衛隊員の充足率を達成することは極めて困難な状況にあります。こうした情勢を勘案すれば、防衛力について大胆にそのあり方を再検討すべきときであります。
 政府は、党首会談での我が党の提案を受け入れ、昨年末の安全保障会議で中期防の見直し作業に着手することを決定されました。私はこれを評価するものですが、具体的にどのようにこれを行おうとされておるのかが依然としてわかっておりません。また、その基本となる防衛計画大綱の思い切った見直しに着手すべきと思いますが、総理の口からこの場で明確にお示しいただきたいのであります。
 次に、平和問題、被爆者援護法についてお尋ねいたします。
 私は、防衛力を整備するだけが我が国の平和と安全を確保していく唯一の手段であるとは思っておりません。日本にとって最高の安全保障は世界平和の確立てあります。これまでの我が国の外交は余りにもアメリカに依存し過ぎ、自主性のないものに終始してまいりました。私は、日本が国際的に七つの理念、すなわち、安全、公正、自由、共存、福祉、軍縮、人権という諸原則に基づいて、主体性を持った平和外交を積極的に展開すべきであると考えるのでありますが、我が国の平和戦略についての総理の御見解をお尋ねいたします。
 また、世界唯一の被爆国として核兵器の廃絶と軍縮の推進を世界に向かって訴えていかなければならないのに、依然として被爆者の中から国の対応の不誠実さを指摘されるということは、まことに情けないと言わたければなりません。野党が本院に共同提案した被爆者援護法は、自民党の反対で最終的に成立しませんでした。平和国家としての意思を内外に明らかにしていくためにも早急に被爆者援護法を制定すべきであると考えますが、広島出身の総理として、総理御自身のお考えを賜りたいのであります。
 日米関係についてお尋ねいたします。
 先般来日したブッシュ大統領は、大きな成功であったとして我が国を去りました。また、総理は、八十点のできであったと評価されました。しかし、会談は二国間の経済・貿易問題に限定され、経済原則をも踏み外したなりふり構わぬ米国の姿と、またも外圧による譲歩を繰り返した日本政府の主体性のなさが浮き彫りになったと言わなければなりません。
 特に、我が国が米国製自動車部品の輸入額を九四年度百九十億ドルとすること等を約束したことは、自由な市場経済の根幹を侵し、とりわけ、一、二位の経済大国がかかる取り決めを行ったことは世界の自由貿易体制を揺るがしかねないと思います。また、我が国の消費者の行動を縛り、零細企業が多数を占める自動車部品産業の労働者の雇用を脅かすなどの点で問題があると考えますが、これらの批判にどうこたえるのか、総理の御所見をお伺いいたします。
 全世界のGNPの四割、貿易額の二割を占める日米の経済関係を健全化することは、無論重要であります。しかし、米国大統領が八年ぶりに来日しての首脳会談は、ただ二国間の問題を解決するという次元の低い内容であってはならたかったのであります。
 総理は、今回のブッシュ訪日をどう総括され、我が国の国益、そしてアジアと世界にとって何が有効であったと考えておられるのか、お聞かせいただきたいのであります。
 次に、旧ソ連との関係についてお尋ねいたします。
 ソ連邦はついに解体され、新たに独立国家共同体諸国が誕生いたしました。これら諸国との外交関係の構築青我が国としてどのように進めるのか、国境線の問題、共同体閣僚委員会の構成と権限、通貨、戦略核兵器等、困難な課題が山積しております。
 政府は、独立国家共同体の安定性についてどのような見解を持ち、これらの諸国を承認し外交関係を築いていくためにはどのような条件が必要と考えておられるのか、お示しいただきたいのであります。
 仮にこれら諸国が混乱すれば、数多くの難民が流出することによって、欧州を中心に政治的にも経済的にも混乱をきわめる事態となるでありましょう。今、深刻な食糧不足に直面しており、人道的見地からさらなる食糧援助、物資協力を行うことが期待されておりますが、経済支援について、あくまでも無制限ではなく、我が国の国益と安全を守るという前提に立ってこれを行うべきであります。交渉相手を明確に特定するとともに、本格的な財政、金融支援開始に当たっては、北方領土の返還、核管理体制の確立、核兵器削減方針の明確化などを求めることが必要であると思いますが、総理の御所見はいかがでありましょうか。
 国連中心主義を唱える我が国において、国連の平和維持活動への協力法案の制定がさきの国会で継続審議となり成立しなかった責任は、国民の世論である国会承認という修正を拒否し、議会制民主主義を踏みにじる暴挙によってこの法案を通過させようとした政府・自民党にあり、その責任はまことに重大であります。民社党は、この法案が今国会で成立するよう真剣に努力いたします。しかし、武装した自衛隊を海外に派遣する、すなわちPKFへの自衛隊参加に当たっては、これを国会承認事項とすることが我々がこの法案に賛成する不可欠の条件でありますが、総理に法案修正の意思がおありかどうか、率直な御答弁を求めるものであります。
 経済、財政及び税制問題についてお尋ねいたします。
 まず、当面の景気対策について伺います。
 昨年末、十月の景気動向指数が約九年半ぶりにゼロ%となって、初めて政府はこれまでの甘い見通しを改め景気後退を認めました。我が国は、六%の公定歩合を昨年三回にわたって〇・五%ずつ引き下げ四・五%としましたが、これでもまだ不十分で効果も中途半端などの声もあり、さらなる利下げを行う決意があるかどうか、総理の見解を求めます。
 公共事業を前倒しして実施し、生活関連の社会資本整備を着実に進める必要があります。公共事業の建設、農水、運輸などの省庁配分はここ十年ほとんど変わっていません。こうした惰性的な施策を続け、わずか二千億円の生活関連枠等でこの事態を打開することは不可能です。硬直的、固定的な予算配分を根本的に見直すことがなければ、国民には総理の言う生活大国実現など信用できないし、総理の他のすべての公約もまやかしたということになりますが、宮澤総理の御所見を求めます。
 次に、税制改革についてお尋ねいたします。
 政府・与党は、湾岸協力のための名目で法人税の増税や普通小型乗用車の消費税割り増し税率の事実上の延長など安易な増税策を柱とする税制改正を決定しましたが、行財政改革に着手することなく国民にツケを回し、今年度限りで撤廃するとの約束であった増税を継続するなど公約違反を犯すものでありまして、絶対に容認できません。かかる増税を撤回するよう求めますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 最後に、労働力と教育について質問をいたします。
 資源を持たない我が国が今日の経済大国になり得たのは先進諸国からの援助と勤勉な国民性によるところ大でありますが、中でも、製造業にかかわってきた勤労者の熱意と犠牲的な労働力なしては到底達成不可能でありました。今日、重要課題となっております労働時間の短縮問題は、諸外国から指摘されるまでもなく、経済大国から生活先進国への転換の第一歩として当然であります。一日も早く、週四十時間労働の実現、残業時間の抑制等を内容とする労働基準法の改正を行うべきであります。
 また、近年、労働力不足と相まって若者の製造業離れが深刻な社会問題となり、外国人労働者の受け入れてその場をしのぐ状況にあります。このまま放置すれば、日本も将来、米国の二の舞になること必至であります。企業としても、労働条件の改善等、努力を尽くしておりますが、産業形態上の問題や資金の面で遅々として進んでおりません。この際、政府としても力強い指導と援助を決断すべきと思いますが、総理の御見解を伺います。
 若者が喜々として働ける魅力的な職場づくり、環境づくりが重要であります。と同時に、若者が職業選択に際して製造業にも興味が持てる素養の醸成が必要であります。この際、従来の大学受験一本の画一的な教育を改め、義務教育期間中に魅力ある職業教育、特に手作業を通じて物づくりの楽しさ、創造の喜びを理解させることが大切であります。そのためには、授業時間の問題や先生方の指導力が決め手になることは当然でありますが、教育の根本にかかわることにもなり、教育の改正の立場から検討すべきと思いますが、総理の御見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの阿部議員の事件はまことに遺憾なことでございます。阿部議員の進退について、直ちに議員を辞職せよという御指摘でございましたが、先ほどもお答えしたことでございますけれども、基本的には阿部議員自身が判断せられるべき問題であると思っております。現在当局が事実関係を究明中でもございますので、私の意見を申し述べることは差し控えさせていただぎたいと存じます。
 内外の問題が山積しております現在、政治倫理の確立を期するとともに、政治改革の実現に全力を挙げて取り組まなければならない必要を一層痛感いたしております。
 政治改革の実現には、政治倫理の確立とあわせまして、現行の政治資金制度、選挙制度をめぐるさまざまな問題を解決し得る具体的な方策を見出すことが必要でございます。これらの問題については、各党間で十分御協議をいただき、できる限り早期に具体的な結論が得られることを念願しておりますけれども、政府としてはもちろん、私といたしましても、なし得る限り最善を尽くしましてこの実現が図れるように最大限の努力をいたす決心でございます。
 米につきましては、ウルグアイ・ラウンド交渉が最終段階を迎えておりまして、各国とも農業問題についてはいろいろ難しい問題を抱えておりますが、我が国としては、今まで申し上げましたような既定の基本的方針のもとで対処しつつ、このウルグアイ・ラウンドの妥結に向かって最大限の努力を続けていく所存でございます。
 国連の安保理サミットの機会に太平洋首脳会議といったようなものの構想を展開してはどうかというお話がございました。
 あちこちにおきまして、このいわゆる冷戦後の時代に地域のそのような大きな平和の傘の構想というのが語られるようになり、また具体化してくるところもございます。アジアの地域におきましては、ただいまのところは個々の政治的対立あるいは幾つかの紛争がまだまだございまして、今すぐにアジア全体のアジア・太平洋平和構想というようなものが可能であるかどうか。むしろ、ステップとしては、大変に多様性のある地域でございますから、二国間関係を強化するとか、あるいはASEANの拡大外相会議であるとかAPECの首脳会議であるとか、そういう既存のものを十分活用しながら、いずれの日にか、ただいま小西議員のおっしゃいましたようなそういう構想に向かっていくべきではないかというふうに私としては考えておるところでございます。
 それから、この会議に臨むに当たりまして、国連における旧敵国条項のような問題についてでございますが、旧敵国条項の問題、それから事務総長の権限強化などにつきましては、我が国は前から申しておることでございますけれども、それはこの機会に各国にもう一度強く主張してまいりたいと考えております。殊に、国連がこのような時代になって大きな仕事を担うに至りましたにつきましては、国連の事務総長というのはよほどの権限を持ち、それだけの仕事ができるようにいたさなければならない、そういうことにつきましては強調してまいりたいと考えております。
 防衛計画の問題でございますが、中期防には三年後には見直しを行うという規定がございます。ソ連の解体に見られるような大きな国際情勢の変動の中にありましてこの見直しを前広に検討ずみ必要があると考えまして、その検討は既に開始いたしました。
 また、それとは別に、防衛力のあり方そのものについて、これは少し長い時間をかけて検討するための勉強を始めてもらっております。それは大綱の別表に関することでございますが、この検討にはなおかなりの時間がかかると存じますが、そのような勉強は始めたところでございます。
 我が国の世界平和戦略についてでございますけれども、世界の大きな流れとして平和を求める人類の願いがかなう方向に進んでおると思いますが、我が国はその間にあって、積極的、主体的、創造的にこの流れの先頭に立ってまいりたいと思っております。
 また、軍備管理・軍縮の分野においては、そのための国際的努力の促進、あるいは核、生物・化学兵器の拡散防止の徹底などにつきましても努力をいたしてまいりたいと思います。
 被爆者等援護法案の問題は、御指摘のように、私もよく背景を存じております。しかし、従来いろいろ議論されてまいりましたように、一般戦災者との均衡などいろいろ問題がございまして、政府としては、現行の原爆二法を中心に、被爆者の保健、医療、福祉の各般にわたる施策を今後とも充実してまいりたいと考えております。
 ブッシュ大統領が来日されまして、アメリカの自動車のパーツの購入についていろいろな協議が行われたわけでございますけれども、結局、我が国の主要メーカーがこれから一九九四年までの計画に基づいて御自分のところで購入が可能な、また購入しようとする数字を積み上げてもらったということでございます。それは自主的になされた作業でございますので、そのこと自身が管理貿易は当たるとは私は思っておりません。
 しかし、各社とも自主的に非常に苦労してこれを積み上げていただきました。恐らくそのような努力を誠実にしていただけるものと考えておりますし、政府といたしましても約束は誠実に履行いたす考えでございます。
 ブッシュ大統領が来られて、それが成功であったというのはどういう意味がというお尋ねでございましたが、やはり基本的には、御指摘になりましたように、世界のGNPの四割を占める二つの国が価値観を同じくして、そうしてこの新しい冷戦後の世界の流れを促進していこうという、そういういわゆるパートナーシップ、地球的な責任の確認をしたことが将来に向かって私は非常に長い効果、意味を持つものと存じますが、同時に、当面の経済問題につきましてもお互いの協調ができたということを評価していただければと考えているところでございます。
 それから、いわゆる独立国家共同体CISの問題でございますが、参加国間で少しずつ合意はできておりますけれども、統一軍の創設をどうするか、あるいは通貨はどうなのかというようなことはまだまだ調整が調っていないように思われます。その中で、我が国としては、各国が条約その他の国際的な義務を履行してほしい、核兵器の一元的な管理をしてもらいたい、また旧ソ連の債務の承継などを確保したいということを要望しておりまして、そのような条件のもとに改革努力に対して支援をいたしたいと考えておるところでございます。
 殊に、御指摘のありましたように、ロシア連邦との間には北方領土の問題がございますので、これを解決し平和条約を締結するということは、今日、我が国も世界の経済大国でございますしロシア連邦もそうでございますから、この二つの間に平和条約がないということはまことに正常でない状態でございますから、領土問題を解決し平和条約を締結いたしたい。外務大臣もつい先ごろまでロシア連邦に行かれましてそういう努力を重ねてこられたところでございます。
 それから、PKOの問題につきまして、これはPKFへの参加には国会承認が必要であるというお立場について御説明があり、御主張がございました。
 政府といたしましては、前にも申し上げましたような事情からああいう法案のつくり方をいたしまして、国会に御報告をするという形を考えておったわけでございますけれども、やはりそれには国会承認が必要であるという立法府の御意思がこざいました。立法府の御意見は最大限に尊重しなければならないということはそのときに申し上げましたし、ただいまもまたそのように考えております。
 景気の問題に関連いたしまして、金利をどう考えるかということでございましたが、昨年末に公定歩合が再度引き下げられました。その後の長短市場金利はずっと今日まで低下を続けております。また、貸出金利も低下しておりますし、住宅ローンの金利も随分下がってまいりました。私は、これで平成四年度予算と相まちまして経済が立ち直るきっかけをつかめる、現状は現下の要請に十分こたえ得るものと思っております。政府といたしましては、平成四年度予算の早期成立をできるだけ早くお願い申し上げますとともに、最近の金融政策の効果の浸透状況を注視してまいりたいと思っております。
 それから、公共事業、生活大国を考える上でも、生活関連の社会資本、環境衛生、住宅、下水道、公園等々のシェアがなかなか目に見えて上がらないではないかと言われますことは、私も実は非常に気にしているところでございまして、平成四年度でもこれらのものの伸び率を少しずつ高くしております。その限りにおきましてはシェアが上がってきておるわけでございますけれども、中長期的観点から着実に効率的な配分に努力をいたそうと考えております。
 それから、法人特別税並びに自動車についての消費税についてお尋ねがございました。
 いわゆる法人臨時特別税、それから石油臨時特別税、乗用車の消費税六%、これらはいわば時限立法であったわけでございますので、期限が済めばこれは当然失効しなければならないということは理屈上そのとおりでございます。そのとおりでございましたが、このたび財政上のことから、改めまして、普通乗用車に係る消費税の特別税率、これは今よりは低くいたしました。また、法人特別税の基礎控除も、臨時特別税よりは基礎控除を大きくいたしましたから、従来よりは下がったわけではございます。現行に比べて負担は緩和いたしましたが、それでも完全に失効させることができなかった、御負担をいただくことになりました。これは財政の事情でやむを得なかったことでございます。御理解をいただきたい。ただし、これは時限立法にいたしておるところでございます。
 それから、労働時間の短縮は、これはもう生活大国への当然の道でありますし、国民的な課題であると存じます。この問題については、いろいろ地域ごとのお互いの横並びをするような感じがございますので、地域ごとに業種ごとに短縮に向けての努力を御援助するための法的な整備をいたしたいと考えております。これは大切な課題と存じております。
 最後に、若者の労働に対する態度について御指摘がございました。
 これは私は非常に大事な御指摘をなさいましたと思います。どうも物をつくるということに若い人がやや逃避的である。こういうことで資源の少ない我が国でいいのであろうか。また、こういう勤労観、職業観はいいのかということを御指摘になりました。確かに、価値を創造するということのとうとさというのは、私は、勤労観ばかりでない、人間観の基本であると思っておりまして、御指摘を大変大事に受けとめております。それはまた教育の問題でもございます。今般、学習指導要領を改訂いたすに際しまして、こうした趣旨を学習指導要領の中にも一層重視して改善を図ってまいったところでございますけれども、今後ともこの点は大切に考えでまいりたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○副議長(小山一平君) 千葉景子君。
   〔千葉景子君登壇、拍手〕
#21
○千葉景子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、宮澤総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 フランスのジスカールデスタン元大統領はことしの年頭インタビューで、今日のヨーロッパはかつてのフランス革命前後よりも緊迫した事態を迎えていると言われましたが、ヨーロッパに限らず、内外の激動はまさに画期的な状況にあります。
 このような時代に日本が世界に貢献するためには、軍縮と平和、環境と経済、福祉と人権、そして分権と自治という四本の太い柱の上に立って積極的な外交を展開しつつ、それに伴って内政を改革しなければなりません。この国会では、このような姿勢に基づいて、日米摩擦、米の市場開放、対外的戦後補償など緊急な問題について検討し、国民的な合意を形成する必要に迫られているのです。
 そのような重大な時局に、宮澤総理側近の汚職・逮捕事件、いわゆる共和贈収賄事件が発覚し政治に対する信頼が底をつくような事態となったことは、日本と世界にとって大きな損失であり、全く残念でなりません。このスキャンダルが深刻な理由は、リクルート事件究明の真っ最中に、すなわち政界も財界も自粛の念に覆われているときに阿部議員による収賄行為が繰り返されていたこと。しかも、清潔を売り物にした海部内閣の閣僚として起用され、さらに巨額の汚職を重ねていたこと。加えて、宮澤総理はその阿部議員の金集め能力に支えられて総理・総裁になったこと。以上です。
 総理、これらの事実から見ますと、ここ数年間のあなたの活動資金には共和から阿部議員に渡った黒いお金も含まれていたと考えるのが常識であろうと思いますが、総理御自身はそのような自覚をお持ちなのかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
 この際、加えて指摘しておきたいことは、大企業の税務会計上の使途不明金が三千億円以上に上ると見られており、これが政治家へのわいろの隠れみのとされていることについてであります。これらは通常の課税対象とされてきたため、国税庁としてはこれまで特段に問題にする必要がありませんでした。しかし、企業の社会的責任から見ても、またそれが悪用されている現実に照らしてみても、使途不明金にはペナルティーとして重課税の制度を創設すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 さて、総理は豊かさとゆとりを実感できる生活大国を目指すとおっしゃいます。そして、そのため、九二年度を初年度とする五カ年間の新経済計画を策定しようと準備されております。ところが、その九二年度の政府予算案においては、社会保障関係予算の伸び率が十三年ぶりに一般歳出の伸びを下回り、福祉切り詰め型になったことは実に不可解と言わねばなりません。宮澤流の豊かさというのは社会保障を抑制することなのでしょうか、お答えいただかなければなりません。
 私は、二十一世紀に日本が生活先進国になるための基本は、時間、空間、人間という三つの「間」づくりにあると考えます。
 まず一つ目の「間」、時間を充実させる前提条件は、労働時間の短縮です。政府の国際的な公的は、この九二年を目途に年間千八百労働時間を達成するというものです。現状から見ますと、これは全く実現不可能ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 働き中毒とを言われる私たち日本人にゆとりある生活を実現するには、もっと大胆な取り組みが必要です。例えば、時間外労働などの賃金割り増し率の引き上げ、都市銀行などに見られる恒常的なサービス残業の解消、育児休暇の有給化、教育・研修休暇や介護休暇の制度化、国民の祝日が土曜日の場合その前日を休日にする、また祝日と休日の谷間は休日にすることなど、さまざまな方面から具体的な提言がなされているにもかかわらず、政府は無為無策のまま「約束を平気で破る日本」と言われる道を歩んでいるように思われてなりません。一体なぜこれらを実現できないのか、その理由をはっきりさせていただきたいと思います。
 二つ目の「間」は空間です。生活時間を充実させるためにも、空間、すなわち生活の場や地域の環境をもっと豊かなものに改善しなければなりません。この見地から、まず土地と住宅問題についてお尋ねします。
 最近、東京、大阪など大都市での地価がやや下降してきたと伝えられています。それは、六年前から狂乱と言われた暴騰が起こり、そのバブルの頂点と比較して下落し始めたということにすぎず、日本の地価が異常に高い事実は依然として変わっておりません。
 こうした異常事態を解消する政策の一つとして、大蔵省は九〇年四月から不動産融資の総量規制を実施してきました。それまでは不動産への野方図な融資が土地投機や土地転がしをあおる結果を招いたために、社会党などが早くからその規制を提言してきたものです。ところが、政府はそれをこの一月に解除してしまったではないですか。この融資規制の解除によって地価の上昇が再び始まるおそれがありますが、政府はそれでよいと判断されたのか、それとも、規制解除によっても地価の下降現象がなお続くという展望を持っておられるのか、国土庁長官にもお答えいただきたいと思います。
 また、近年、総務庁の行政監察にも指摘されていることですが、国公有地の有効利用、とりわけ、空き地のまま放置され、しかも立入禁止にされている土地の活用であります。将来の利用計画が明らかな場合でも、言いかえれば、たとえ半年、一年という短い期間であったとしても、それを臨時の公共空間として、ちひつ手広場や駐輪場に活用できるのではありませんか。
 また、民間の未利用地についても、その所有者名などの現地表示を義務づけ、地元自治体による借り上げを促進するなどにより有効利用を誘導することができると思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、もう一つ、土地問題の解決には土地の公有化を促進することが必要だと思います。ヨーロッパ諸国が土地先進国と言われる理由の一つは、主要都市における公有地の比率が六割、七割というように極めて高く、東京都の三・七%、大阪府の二%たどと比べてゆとりのある都市計画を実施しやすかったという点にございます。日本には、公有地の拡大の推進に関する法律、略して公拡法があります。これが施行されて既に二十年、この間増大した公有地は、公社公団等の保有地を含めてもわずか二十万ヘクタール程度、国土全体の〇・五%がふえたにすぎません。一体政府はこの程度の効果でよいとお考えなのでしょうか。
 また、一般の土地を自治体等に譲渡する場合、土地譲渡税の税率がこの一月から若干軽減されました。しかし、その土地が住宅地造成事業や区画整理事業に使用される場合の特別控除額は、何と一九七五年から据え置かれたままになっているではありませんか。これを早急に引き上げて、公有地拡大の視点を税制においてもさらに徹底するよう大蔵大臣に強く求めたいと思います。
 関連して、この一月から施行された地価税の実施に伴う問題を指摘しておきます。それは、オフィス用のビルを初め、課税対象とされていないアパートやマンションの一部でさえ、地価税新設を理由に家賃等を引き上げようとする動きが見られることです。このような悪質な便乗値上げを放置するわけにはいきません。政府は、こうした事態を調査し、厳正な指導と強力な措置を講ずべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、住宅政策についてお尋ねします。
 憲法二十五条には健康で文化的な最低限度の生活を営む権利が保障されているわけです。総理、この権利の基礎は住宅です。住む家もなくて何で健康で文化的な生活と言えましょうか。つまり、生存権の基礎は居住権にあると私は思うのですが、総理の基本的な御認識を聞かせていただきたいと思います。
 問題は、その居住権保障の方法です。今日、全住宅戸数に占める公共住宅の割合は、日本が六%台にすぎないのに、イギリスでは二五%、旧西ドイツでは二〇%、フランス一四%強などとなっております。ヨーロッパ諸国と比べでこれほどの格差が生じた原因は、政府の民間自力建設中心の政策にあります。これを宮澤内閣の代で公共住宅中心に転換することは、生活大国を目指される以上当然のことではないでしょうか。それがなぜできないのか、その理由を明らかにしていただきたいと思います。
 社会党は連合参議院とともに住宅基本法案を提出しておりますが、かつての土地基本法や育児休業法成立の過程と同様に、政府は野党案を積極的に評価しその成立に協力すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 特に、野党案に示された公共住宅への入居希望者事前登録制は重要なポイントだと思います。つまり、現行のガラガラポンの抽せん方式ではたく、同居家族の構成、現在の居住状態、所得水準などの基礎データから住宅困窮度を一目瞭然の指数であらわし登録させるシステムであり、住宅供給者はその指数を入居優先度として扱うものであります。私たちのこのような提案を政府はなぜ採用できないのか、その理由もお聞かせください。
 もう一つの提案は、公共住宅における世代間ローリング方式です。つまり、単身時代の一ないし二DK、家族がふえて子供の個室が必要になる時期に三ないし四LDK、老後とたって高齢者用の一ないし二DKへと住みかえていく方式で、できるだけこれを同じ団地内あるいは同一地域内で実施できるようにするという制度です。これが約束されれば最低限の安心が得られると思いますが、いかがでしょうか。
 さて、この六月にはブラジルで国連環境開発会議が開催されます。ここでは地球環境の保全について日本の姿勢が問われるでしょう。会議では、CO2の削減、森林の保護、環境保護基金の創設等が焦点となるに違いありません。政府としてはこれらにどのような具体策を持って臨まれるのでしょうか。総理並びに環境庁長官にもお伺いしたいと思います。
 より充実した空間を確保するためには、地球環境の深刻な変化に対応し、生産と消費のあり方全体を見直さなければなりません。
 そのため、一つには、生産物、とりわけ廃棄物となったときの処理が困難な製品や有害廃棄物となる製品について、環境に及ぼす影響を評価するとともに代替製品を開発させるシステムを確立すること。もう一つは、海部内閣時代のいわゆるODA四原則が相手国の選別、評価の基準であって日本の行動規範と言えるものではなかった点を反省し、相手国の環境を汚染、破壊したいことというように、宮澤内閣としてのODA原則を確立すること。さらに、環境と健康を守るため日本国内で生産、販売が規制されているものは、たとえ相手国がそれを許容している場合にも、これを輸出したり海外で現地生産したりしないように規制すること。以上について、まずみずからのこととして国連環境開発会議に報告できるよう直ちに検討を始めてはいかがでしょうか。
 さて、三つ目の「間」づくりは、人間すなわち人と人の関係の問題であり、福祉と人権などの分野における諸課題であります。
 とりわけ、病気や障害に襲われたときに大切にされる社会、治る見込みのない心身のハンディキャップを背負う人々に惨めな思いをさせない社会の形成こそ豊かさの最低条件と言えるでしょう。
 そこで、まず福祉の課題についてお尋ねいたします。
 この九二年は国連障害者の十年の最終年に当たっており、したがってまた、政府の障害者に関する長期計画及びその後期重点施策はいよいよ目標達成の時期を迎えることになります。そこで、この機会に政府として取り組むべきことが少なくとも三つあると思うのです。
 その第一は、この十年間における施策の進展状況について総点検し、十年前と比べて何が前進して何が滞っているのか明らかにすること。第二は、障害者福祉の対象を見直し、特定疾患対策の対象にまだなっていない各種の難病を施策の対象とするなど、一九七五年の国連総会で決議された障害者の権利宣言による障害者の範囲にまで福祉を拡大するようにすること。そして第三は、九三年度実施となる自治体の老人保健福祉計画の策定に当たって障害者をも対象にするようにし、事実上、高齢者・障害者保健福祉計画となるよう自治体に働きかけること。
 これらの提案に対し、政府の積極的な姿勢を示されるよう求めるものであります。
 ところで、近年、政府管掌健康保険が黒字続きだからという理由から、政府はその国庫負担率と保険料率の双方を引き下げようとしています。これによって九二年度は、国庫負担千三百十億円、労使の保険料千百三十億円を節減できるというものです。
 そこで、お尋ねしますが、今後三十年以上にわたって上り続ける人口の高齢化段階においては、マンパワーの増強や、長期慢性病の患者増大などのため医療費支出をふやしてサービスを拡充しなければなりません。したがって、財政収支を短期的にとらえることをやめ十年程度の長期的な視点で調整することとし、このため現行法の抜本的な改正を急ぐべきではありませんか。国庫負担、保険料ともに、黒字だからすぐ引き下げるというような安直な状況ではないことを強く訴え、御所見を伺いたいと思います。
 さて、人と人との関係を考えるとき、夫婦、親子など家族のあり方が今大きく変わろうとしていることは総理もお気づきのことと思います。しかし、民法の親族編、相続編は、戦後、家制度の廃止に伴い全面的に改正されたものの、その後ほとんど見直しかなされておりません。そろそろこれを見直し、例えば夫婦別姓の選択を可能にするための法律改正、それに伴って、日本以外一つか二つの国にしがたい戸籍制度の見直しなどをすべき時期が来ていると思いますが、御所見を伺いたいと思います。
 さらに、人と人との関係を豊かにするためには、私たち日本人が諸外国の人々、とりわけアジアの隣人たちと信頼関係を築くことが必要となります。この観点からすると、従軍慰安婦や強制連行の問題に対する総理の態度は到底納得できるものではありません。総理の施政方針によれば、過去の歴史認識の問題ということのようです。しかし、過去の我が国の行為によって耐えがたい苦しみを体験させられた方々は現在もなおその苦痛の中で生活しておられること、しかも、政府は今日に至るまでその方々の苦しみを幾分でも和らげる対応をしてこなかったこと、これらの事実からすれば、この問題はすぐれて現在進行形の課題であり、この方々に対して今何らかの償いをしなければならないことは明らか過ぎるほど明らかと言わねばなりません。
 その適切な償いの方法を見出すためには、何よりもまず、第一に、生存者や遺族の方々のところに総理が出向くなり日本にお招きするなりして直接お目にかかっておわびをするとともに、適切な償い方について話し合う場を持つこと。第二に、韓国、朝鮮その他の政府の参加協力を得て日本の残虐行為とその被害の実態について調査することとし、その推進のため国会に対外戦後補償調査特別委員会を新設し、生存被害者などの証言をいたたけるようにすること。この二つが必要不可欠なのではありませんか。
 そして、これらの行動の上に、日本が過去を謝罪し不戦を誓うための施設、例えば日本不戦会館とか日本不戦記念館といったようだ建物を求めに応じて内外に建設し、ここで当時日本が犯した行為に関する記録や資料を公開してはいかがでしょうか。また、これらの事実を歴史の教科書に明記するようにし、それを加害者としての日本を省みる教育の一環として位置づけるべきです。
 さらには、国際人権規約の選択議定書を初め、人種差別撤廃条約、子供の権利条約など人権関連条約を早急に批准できるようにするとともに、アイヌ、在日外国人などに対する行き届いた施策によって、人権先進国として日本が生まれ変わる努力を内外にはっきりさせなければなりません。特に、差別の歴史を今なお背負う部落問題について、総理大臣の諮問機関としての審議会を設置し、差別撤廃のため本格的な法的措置を講じなければなりません。
 これらの総合的な努力を通じて、ようやくアジアに日本の友人ができる基盤が整うのではないでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。
 諸外国の人々との信頼関係は、単にアジアだけではありません。例えば、日本占領下のインドネシアで日本兵とオランダ国籍の現地女性との間に生まれた推定八百人もの混血児が今オランダで生活しています。この人々の大半は、父親が日本人ということ以外わかっておりません。既に五十歳近くになったこの人々は、昨年、日系インドネシア系の子孫の会を結成して、日本人の父親捜しに立ち上がりました。人道的な見地から政府はこれを積極的に手助けすべきではないでしょうか。
 「戦争によって命を失った者に思いをはせる人は多い。しかし、戦争によって命を授かった者に思いをめぐらす人は少ない。」これは戦時中インドネシアにおられた加藤亮一さんの生前の著書「今は、つぐないの時」の一節です。総理、かつて日本兵が残した子供が今は立派な大人にたって世界じゅうで活躍していることを念頭に置いて、総理の誠意を示していただきたいと思います。
 さて、私は、時間、空間そして人間という三つの「間」を豊かでゆとりあるものにするための提言をしてまいりました。そこで、これらの施策が効果的に推進されるための基盤となる条件について幾つか指摘したいと思います。
 その第一は、たとえバブルであっても成長したことになってしまう現在のGNP中心の経済指標を改めることではないでしょうか。それには、環境や資源への影響、社会資本の充実、女性、障害者、高齢者の社会参加の拡大、労働時間の短縮、寝たきり率の減少、食物や水道水の安全性の向上といった豊かさを示す新たな総合生活指標といったものをつくり、生活充実路線をしく必要があるのではないでしょうか。それによって真の豊かさを私たちは検証していくことができるでしょう。
 その第二は、分権、自治を世界史の流れにも沿ったものとして重視し強化することです。ヨーロッパには地方自治を見ればその国がわかるという言葉があり、また、地方自治は民主主義の学校であるという格言も今なおすがすがしい響きを持っています。この観点に立って、臨時行政改革推進審議会の豊かなくらし部会が提唱した地方分権特例制度、いわゆるパイロット自治体の制度を創設し、十年後にはすべての自治体をこのパイロット自治体並みにする分権拡大計画を検討されたらいかがでしょうか。
 加えて、一人一人の豊かさ、ゆとりが重視される社会、それを分権型社会によって実現を図ろうとすれば、公共セクターと民間セクターだけでなく、現在活動が活発化している各種の協同組合や市民団体などいわゆる市民セクター、NGOを経済社会活動の担い手として重視し、支援、育成を図ることが不可欠です。これにより、中央、地方政府の財政力と規制力、企業の資金力と効率性、そして市民セクターの自立性と地域性など、それぞれの利点を組み合わせた社会システムが構想できます。米国では、無数にある非営利団体を積極的に法人化し、企業も含めて財政支援を行っており、これなどは大いに参考になるところだと思います。
 分権、自治を強化するにはこれら大胆な改革が必要だと思いますが、総理、いかがでしょうか。
 その第三は、行政情報の公開を促進することです。政府は昨年十二月に行政情報公開基準を定め、それによれば、意思形成の過程であっても著しい支障を及ぼすおそれがなければ公開されることになりました。そこで、例えば今厚生、労働両省で立案中の看護、介護の人材確保法案について、その検討中のたたき台を公表することなどは当然できるかと思いますが、いかがでしょう。どんな著しい支障があって提出されないのか、明確にしていただきたいと思います。
 また、総務庁は、七九年に法令検索システムを、そして八六年には閣議情報検索システムをそれぞれ整備いたしました。これらを各省庁だけでなく国民一般が利用できるように、必要なら総務庁設置法を改正すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 さて、最後になりますが、日本の歴史の上で最も長い政権と言われる足利幕府や徳川政権は第十五代将軍をもって最後となり、そこから新しい時代の幕があきました。翻って、宮澤内閣といえばこれまた自民党第十五代の政権でございます。宮澤総理、総理も真の豊かさの実現に向けたその基礎づくりに邁進され、それをもって新しい時代にバトンタッチされますことを心から期待しながら、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる共和の資金につきましてお尋ねがございまして、これが私どもの総裁公選などということに何か関係があったことはないだろうなというお尋ねでございましたが、もとよりさようなことは全くございません。念のために申し上げさせていただきます。
 それから、次に、一般論といたしまして企業の使途不明金について、その課税についてのお尋ねがございました。
 これは大蔵大臣からあるいはお答えがあるかもしれませんけれども、どうしても使途が不明な場合には損金不算入とすることで課税をいたしておる、法人税制の枠内の措置としてはそれが限界であるということを承知しております。
 次に、社会保障関係予算の伸び率が一般歳出の伸び率を下回っているということがございました。
 二十一世紀の高齢化社会におきましても、社会保障制度は安定的に機能いたさなければなりません。そこで、四年度の社会保障関係予算におきましては、政府管掌健康保険制度や雇用保険制度等、各種施策について必要な見直しを行いました。また、一方で、保健医療、福祉マンパワーの確保対策の推進、あるいは高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランでございますが、の着実な実施等、緊要な施策についてきめ細かに配慮し、社会福祉費を大幅に伸ばすなど必要な予算を確保したところでございます。
 労働時間の短縮についてお話がございまして、これは基本的に、おっしゃいますようにやはり労働時間は短縮しなければならないと考えております。現在、労働時間法制全般について中央労働基準審議会で検討が進められております。
 また、育児休業期間中の経済的援助につきましては、いろいろな見解がございまして、ただいまのところ一定の方向を定めることが困難でございます。
 それから、介護休業制度、これも時々お尋ねがございますが、まだ普及率が一割程度だそうでございますので、法制化しますためには一層の普及がさらに必要ではないかというふうに考えております。
 大変御質問が多岐にわたりましたので、少しずつ関係閣僚に譲ってまいりますが、総量規制はいわゆる緊急措置として導入いたしまして、ほぼ目的を達したと考えましたので昨年末をもって解除いたしましたが、しかし、万一また地価高騰のおそれがございますときは時を逸することなく効果的に発動するような、いわゆるトリガーという仕組みを創設いたしたところでございます。
 遊休国公有地の有効利用につきましては、公用、公共用優先の原則のもとに、都市基盤施設の整備、都市再開発等、広域的な波及効果をもたらすものへ重点的に活用することにいたしております。
 それから、地価税新設を理由として家賃等の悪質な値上げがあるということについてお触れになりましたが、一般的に申しまして、居住用地については原則として地価税の課税はほぼ実際上はないはずでございますので、この地価税新設を理由に家賃等の値上げがございますと、これは便乗だと申さなければなりません。それは遺憾なことでございまして、実態を見きわめて、必要に応じ指導等の措置を講じます。
 それから、生存権の基礎は住宅、居住権にあると思う、基本的認識はどうかということについて、現在、住宅数は、我が国全体で申しますと世帯数を約一割上回っておるそうでございますけれども、量的にはそうであっても質的には、向上はしておりますもののまだまだ十分ではございません。住宅ストックの質的水準は十分とは申せません。特に大都市地域において、借家世帯を中心に水準の改善が立ちおくれていると思います。したがいまして、住宅金融、税制の充実、あるいは公的住宅の的確な供給等により、第六期住宅建設五カ年計画に基づいて施策を進めております。
 それから、社会党が連合参議院とともに提案されました住宅基本法案について政府はどう考えるかということでございました。
 国民の居住水準向上のために、住宅建設計画法等に基づき五カ年計画を策定してやっております。今申し上げたところでございますけれども、これに加えまして基本法を制定するということになりますと、住宅政策の目標、あるいはその中における国、地方公共団体の責務、住居費の負担をどうするか、居住水準のあり方等々、大変に有意義な問題は非常にあるのでございますけれども、それらについてのコンセンサスを得るということがなかなか簡単なことでないと思います。そういうコンセンサスを形成しながら政策を考えてまいりたいというのが政府の基本的な立場でございます。
 それから、住宅困窮度の指数による決定方式を採用できないかということでございますけれども、公共住宅の入居者の選考に当たりまして事業主体に対して、一律に住宅困窮度というようなものを指数化しまして、そしてそれを入居の優先度として取り扱うよう求めるということは、それは一つのアイデアと私は思いますが、現実に果たしてどのような指数をつくり得るかということは検討を要すると思います。もちろん、現実に公営住宅の入居者の選考は地域の実情で基準を設けておりまして、困窮度の高い者から選考する、あるいは母子世帯、老人世帯等について優先するというようなことはいたしております。
 また、もう一つ御指摘のありました国民のライフサイクルに応じた適切な住みかえを可能とすることは、これは重要な課題であると認識しておりまして、そういう努力をいたしつつございます。
 それから、次は環境でございましたが、ブラジルにおける国連環境開発会議は、政府は率先して、いわば旗振りの役を務めておる国の一つでございます。成功のためにこれから全力を傾けてまいります。
 次に、廃棄物でございますが、廃棄物処理法におきまして製品の処理の困難さの度合いを事前に評価することを事業者の責務としておりますし、またリサイクル法におきましてリサイクルしやすいように製品の材質、構造等の工夫をするということを事業者に義務づけております。行政としてもそのような努力をいたしております。
 それから、環境問題というものをODAとくつけられないかということは、これはサミットでも議論になりまして、八九年のパリでアルシュ・サミットがございましたときに、今後三年間に我が国としては援助三千億円程度を目途にしまして環境とくつけるという仕事をいたしまして、二年間でこれを達成いたしました。今後とも、援助の実施に当たりまして環境配慮のためのガイドラインを作成し、それを適用する努力を続けてまいりたいと思います。これは国際的か環境から申しますと、援助にそれを結びつけるということは非常に有意義でございますし、また有効であると考えております。
 障害者対策については、障害者対策に関する長期計画及び後期重点施策を策定いたしまして、総合的かつ効果的な推進に努めております。平成四年度は国連・障害者の十年の最終の年でございますので、障害者の完全参加と平等の実現を目指しまして、障害者の自立と社会参加の一層の推進が図られますように積極的に進めてまいります。
 それから、障害者対策につきましては、完全参加と平等の実現を図りますために政府、都道府県において障害者についての長期計画が策定されておりまして、それを進めておるところでございます。
 また、平成二年には社会福祉事業法を改正いたしました。地域において社会福祉の広範かつ計画的な実施に努めよという規定を置きまして、障害者対策につきましても地方公共団体で計画的に推進されるようになったわけでございます。
 それから、政府管掌健康保険、政管健保につきまして保険料率及び国庫補助率を引き下げることにいたしましたのは、今までのところ単年度ごとの収支バランスを前提にして財政運営をやってまいりましたけれども、これは少し中期的な財政運営に改めた方がいい、短期的な景気変動に余り左右されない方がいいという見地から安定的な保険料率を設定することにいたしたわけでございます。また、医療保険制度の充実は緊要な課題でありますので、新たに医療保険審議会を創設いたしまして早急に検討をお願いいたしております。
 夫婦の別姓、姓名を別にするという戸籍法等の問題でございますけれども、これは非常に重要な問題でありますし、いろいろ議論が起こっておることを存じております。非常に難しい問題でございますから、法制審議会に検討をお願いいたしました。法制審議会も非常に苦労しておられるようでございますけれども、法制審議会の審議を見守ってまいりたいと考えております。
 いわゆる従軍慰安婦の問題につきましては、先般も韓国を訪問いたしました際に胸のふさがる思いでこのことのおわびをしてまいったわけでございますが、政府といたしましては、どういう形で当時の軍が関与してきたか、募集とか施設の経営とかでございますが、それをさらに誠心誠意調査をいたしてまいりたいと思っております。
 なお、日本不戦会館の建設についての御提言がございましたが、とりあえず、政府としてはこの調査を誠心誠意行いたいと考えております。
 このような我が国の過去におけるアジアで犯しました戦争関連の事実関係でございますけれども、昭和五十七年に教科書検定基準を改定いたしました。現在、小中高等学校の教科書におきましてはこのようなことにつきましてかなり具体的に記述されているところでございます。
 それから、アイヌの人々の生活水準の安定向上のために関係省庁の連絡会議が設置されました。北海道庁を通じて、奨学金補助、住宅改修資金貸付補助などの福祉対策の充実に努めておるところでございます。
 オランダ国籍のインドネシア女性と日本兵の子供たちの父親捜しというお話がございまして、オランダ政府からの要請がございまして、従来から誠意を持って対応してまいったところでございますけれども、今後とも可能な限り協力をいたさなければならないと思っております。
 それから、いわゆる国民生活の指標でございますが、経済指標ではなかなか国民生活の現状というものをあらわすようなものにはならないではないかということは、従来から政府部内でも、学界もそうでございますが、議論がございまして、経済指標とは別に、ウエルフェアインデックスというようなものをつくって公表してまいりました。しかし、最近の社会構造や国民の意識がまた変化しておりますので、国民生活審議会におきまして何とかいい指標ができないものかという審議を今お願いいたしております。これは国民生活の豊かさというのを多様な生活実感の中でどのように指標に表現するかという仕事でございますけれども、国民生活審議会の答申を待っております。
 それから、市民団体の活動、いわゆるNGOでございますが、これは自主的であるところにNGOの意味がございますけれども、しかし政府としては、労働時間の短縮をする、あるいはいろいろなことについての情報を提供するということを考えますと、NGOがやりやすい基盤の整備、そういうことはいたしてまいりましたし、いたさなければならないと思います。
 それから、パイロット自治体のことについてもお触れがございまして、これは行革審の中で、豊かなくらし部会でございますか、前の熊本県の細川知事が中心になってこういう提言をされまして、大変にいろんな御議論がこの部会の中でございました。もう少し検討する必要があるということで、さらに検討が続けられるというふうに承知をいたしております。
 それから、総務庁の法令検索システム、これを一般的に国民が利用できるようにならないかということでございますけれども、関係者の意見によりますと、行政が果たすべき役割あるいは費用負担などいろいろ問題がございますので、今後とも慎重に検討させていただきたいということでございます。
 自余の御質問は関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣東家嘉幸君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(東家嘉幸君) 総理から述べられましたとおり、現在の地価動向については、基本的には大都市圏における地価の下落傾向は強まりつつございます。下落地域の拡大もしつつございますが、また地方圏においても鎮静化している地域が拡大しつつございます。今後の地価動向については、最近の不動産市場が引き続き弱含みで推移していること、エンドユーザーの先安感が強いこと等を勘案すれば、当面、現在の傾向が続くものと考えております。総量規制の解除によりこの傾向が直ちに変わるものとは考えておりません。
 なお、土地対策については引き続き、総合土地政策推進要綱に従小、適正な地価水準の実現等の土地対策の目標を達成するため構造的かつ総合的な対策を一層強力に推進していく所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(羽田孜君) 平成三年度の税制改正におきまして、税負担の公平の観点と土地の資産としての有利性を縮減するという土地政策上の考え方から土地税制の総合的見直しか行われ、一般の土地譲渡益に対しては一律三〇%の税負担を求める一方、公共用地の確保や優良住宅地の供給等を推進する考え方から、この目的にかなう土地の譲渡につきましてはその軽減税率を一五%に引き下げたところでございます。
 また、特に御指摘のございました土地譲渡所得の特別控除のあり方につきましても検討を行ったところでございますけれども、特別控除などの適用によりまして土地譲渡益のかなりの部分が課税対象から脱落しているなどの税負担の公平確保の観点からの問題ですとか、その効果が必ずしも明らかでないという、逆に土地の資産としての有利性を高めてきた面、こういう問題がございまして、今、公有地拡大の視点というものを税制の面でも考えなさい、そういう中で特別控除というものを引き上げるようにという御指摘であったわけでございますけれども、今のところ、その引き上げというのは困難であろうということを申し上げざるを得ないことを申し上げたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣中村正三郎君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(中村正三郎君) 我が国の地球サミットに対する対応という御質問でございます。
 総理がお答えになったとおりでありますが、いわゆる地球サミット、これは、人類の生存の基盤である地球環境を保全するための具体的な方策について国際的合意を得ることを目的とするという極めて重要な会議であります。ここで討議されます、御指摘のありました地球温暖化の問題、熱帯林減少の問題などいずれも極めて重要な問題でありますが、目下、これらの問題の解決に向かっての条約づくりでありますとか、地球環境保全のための行動計画でありますとか、地球憲章の作成でございますとか、国際的資金メカニズムの確立等について、準備段階でさまざまな国際会議が開かれておるところでございます。環境庁を初め政府は一体となって、これらの会議に具体的提案を持って積極的に参加しているところでございます。
 我が国は、環境対策の分野で多くの経験とすぐれた技術力を有しているわけでございまして、また、先進国の一員であると同時にアジアの一員でもございまして、南北の橋渡し役としても期待をされております用地球サミットの成功へ向けて、我が国の国際的地位にふさわしい積極的な役割を果たしていくべきと考えております用地球環境問題担当大臣といたしましても、課せられた役割を積極的に果たすべく全力を尽くしてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対する質問は、パイロット自治体制度を全面的に適用したらどうかという御質問だったと思っております。
 この提案は私はすばらしい提案だと思っておりまして、臨時行政改革推進審議会の方々ともこの件につきましては十分に話し合っております。ただ、目下のところ、臨時行政改革推進審議会の委員の中で具体化について協議をしておられるところでございますので、その具体案を待ちまして、自治省としては積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 と同時に、非常に大事なことは、今、地方行政というのは国の行政と親子の関係のような、そういう意識が一般の国民の方々に広く浸透しておるということ、そしてまた、地方行政というのは行政全般の中の第一線行政であるというふうなことがございまして、国の行政と地方の行政との関係で権限の問題が非常に複雑に絡んでおります。その権限に伴いまして財政問題も相関連しておるほどでございますので、そこらのほぐしをどうしていくかということが最大の問題だと思っております。
 しかし、お尋ねがございましたように、豊かな地方をつくる、そしてまた個性あるそういう地方自治を進める意味におきまして、パイロットプランというものは私はすばらしいアイデアだと思って、積極的に取り組んでいきたいと思っております。(拍手)
#27
○副議長(小山一平君) しばらくお待ちください。――答弁の補足があります。宮澤内閣総理大臣。
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(宮澤喜一君) 答弁を補足させていただきます。
 いわゆる従軍慰安婦、朝鮮人徴用者等のことに関しまして、国会に対外戦後補償調査特別委員会を設置することについてというお尋ねがございまして、政府といたしましては誠意を持って事実関係を調査いたしておりますが、また国会の場において御議論をいただくべきことかと存じます。
 次に、国連人権規約の選択議定書、人種差別撤廃条約、子供の権利条約などの批准につきましては、我が国の場合には、条約を批准いたしますとそれが誠実に履行されなければならないという意味から、国内法とのすり合わせ、整備を大事に考えておりますが、これらの条約の意義、国内法制との整合性を十分勘案の上、取り扱いについて検討を続けてまいります。
 それから、部落差別の解消に向けまして審議会を設置すべきではないかということでございましたが、昨年、地域改善対策協議会から御答申がございまして、今後とも審議する機関が必要であるという御提言でございましたので、政府といたしまして、「今後の地域改善対策に関する大綱」において地域改善対策協議会を存続させることといたしました。
 大変失礼いたしました。(拍手)
#29
○副議長(小山一平君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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