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1992/03/11 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第5号
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1992/03/11 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第5号

#1
第123回国会 本会議 第5号
平成四年三月十一日(水曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
  平成四年三月十一日
   午前十時開議
 第一 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指
  名
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 一、議員狩野明男君逝去につき哀悼の件
 一、日程第一
 一、租税特別措置法の一部を改正する法律案、
  法人特別税法案及び相続税法の一部を改正す
  る法律案(趣旨説明)
     ―――――・―――――
#3
○議長(長田裕二君) これより会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第二百七番、選挙区選出議員、宮城県選出、萩野浩基君。
   〔萩野浩基君起立、拍手〕
#4
○議長(長田裕二君) 議長は、本院規則第三十条の規定により、萩野浩基君を法務委員に指名いたします。
     ―――――・―――――
#5
○議長(長田裕二君) 議員狩野明男君は、去る二月二十六日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 つきましては、この際、院議をもって同君に対し弔詞をささげることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(長田裕二君) 御異議ないと認めます。
 同君に対する弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされました議員正五位勲三等狩野明男君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
    ―――――――――――――
#7
○議長(長田裕二君) 峯山昭範君から発言を求められております。この際、発言を許します。峯山昭範君。
   〔峯山昭範君登壇〕
#8
○峯山昭範君 本院議員狩野明男君は、去る二月二十六日、心不全のため東京都港区の虎の門病院において逝去されました。一昨年、体調を崩され一時入院を余儀なくされたものの、最近は、二月四日から三日間、みずから提唱された日本ミクロネシア連邦友好議員連盟の事務局長としてミクロネシアを訪問するなどお元気で御活躍されていたやさきのことであり、懸命に看病に当たられた御家族の悲しみはいかばかりのものでありましょうか。まことに痛惜哀悼の念にたえません。
 私は、ここに、皆様の御賛同をいただき、議員一同を代表して、故狩野明男君の御業績をしのび、謹んで哀悼の言葉をささげたいと存じます。
 狩野君は、昭和九年に茨城県新治郡出島村にお生まれになりました。小学校二年のときに父君がニューギニアで戦死され、さらに小学校六年のときに母君を亡くされ、幼くして御両親と決別されるという御不幸に見舞われました。以後、残された三人の御兄弟とともに、御親戚に離れ離れに育てられるという御苦労をなされたのであります。長じて県立土浦第一高校を経て慶応大学法学部を卒業された後は、郷里の茨城県に戻り、一時農業に従事されましたが、その後、酒造会社や自動車販売会社の経営に参加されました。
 昭和五十四年の衆議院総選挙に茨城県第一区から出馬、見事初当選を果たされ、衆議院議員を二期務められたのでありますが、衆議院では主に文教委員会に所属され、小中学校の教科書無償制度の存続に努力されたほか、国際社会の一員として日本の教育制度はもっと開かれたものにしなければならないという信念のもとに、議員立法である国公立大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法の成立に全力を注がれました。君は、この立法作業の責任者として法律案の提案理由の説明や答弁を積極的に引き受けられるなどその実現に努力され、その結果、成立を見たのであります。
 その後、平成元年七月、さきの参議院通常選挙で茨城県地方区において当選され政界復帰を果たされましたが、参議院では、文教、建設、運輸、決算の各委員会及び産業・資源エネルギー調査会を舞台に、中小企業対策や通勤対策等の問題を意欲的に取り上げられました。その間、第二次海部内閣において法務政務次官に御就任になり、商法の一部改正や借地借家法の改正等の実現に奔走されたほか、自民党においては国民運動副本部長、文教副部会長、交通副部会長等を歴任され、幅広く活躍されたのであります。
 君は、幼いときに父君の戦死に遭遇されたことから積極的に遺族会の活動に参加され、みずから慰霊団の団長となって、沖縄、中国、ビルマやニューギニア等の中部太平洋の島々の戦跡を訪れておられます。戦死された父君、さらには多くの戦没者への熱い思いが、君を慰霊巡拝へと駆り立てていたのではないかと思われます。
 また、昭和五十六年に請われて私立水城高校理事長に御就任されましたが、君は福祉教育問題にも並み並みならぬ関心を抱いておられました。県立水戸聾学校の卒業式にはたびたび出席され、時折、手話を交えて祝辞を述べられたり、国会議員として初めて手づくりの点字の名刺をつくったと伺っております。また、結婚式に招かれた折にいただいた謝礼を新婚夫婦の名前でこっそり福祉施設に寄附されたエピソードもあり、このような話を伺うとき、幼いころ苦労された経験から生まれた、ハンディを負った人に対する君の温かい気持ちが伝わってくるようであります。
 また、君は、合気道五段の腕前を持ち、体調を崩される前は毎朝六キロのジョギングを欠かさず、衆議院時代には青梅マラソンにも参加されたそうであります。こよなくスポーツを愛された君は、みずから出版された本の奥付に「スポーツでいい汗流そう、一生懸命仕事に打ち込みいい汗流そう、地域社会のためいい汗流そう」という言葉を記しておられます。この言葉のとおり、君はもっと人のために、社会のために汗を流したかったのではないかと思うとき、五十七歳という若さで、志半ばでの早世はまことに残念でなりません。
 君は、最近地元の茨城新聞に定期的に寄稿されておられましたが、くしくもお亡くなりになられた二月二十六日の朝刊に、「恥ずかしい献金疑惑」という見出しの随筆が掲載されました。この遺稿は、まさに政治家に警鐘を鳴らす君の遺言のように思えます。政治への国民の不信が高まっている今日、清廉潔白、何ごとにも情熱と信念を持って事に当たってこられた君のような人材を失うことは、国家にとりましても、本院にとりましても痛恨のきわみであります。
 ここに、謹んで故狩野明男君の御業績とお人柄をしのび、院を代表して心から御冥福をお祈り申し上げ、哀悼の言葉とします。
     ―――――・―――――
#9
○議長(長田裕二君) 日程第一 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名
 指名する委員及び同予備委員の数は、それぞれ五名でございます。
#10
○片山虎之助君 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名につきましては、いずれも議長に一任することの動議を提出いたします。
#11
○小川仁一君 私は、ただいまの片山君の動議に賛成いたします。
#12
○議長(長田裕二君) 片山君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(長田裕二君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 中央選挙管理会委員に堀家嘉郎君、皆川迪夫君、角尾隆信君、笠原昭男君及び鈴木一弘君を、
 また、同予備委員に花田潔君、金井和夫君、川那辺博君、石田氏君及び岡本富夫君を、それぞれ指名いたします。
     ―――――・―――――
#14
○議長(長田裕二君) この際、日程に追加して、
 租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(長田裕二君) 御異議ないと認めます。羽田大蔵大臣。
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(羽田孜君) ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案、以上三件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、最近における社会経済情勢等にかんがみ、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例を拡充するとともに、住宅対策等早急に実施すべき措置を講ずるほか、租税特別措置の整理合理化等を行うものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、土地の相続税評価の適正化に伴う相続税の負担調整に際して、居住用及び事業用の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例を拡充することといたしております。
 第二に、住宅取得促進税制の適用期限を二年延長するとともに、三大都市圏における優良貸し家共同住宅に係る新築貸し家住宅の割り増し償却率を引き上げるほか、産業廃棄物の処理に著しく資する公害防止用設備の特別償却率を引き上げる等の措置を講ずることといたしております。
 第三に、課税の適正公平の確保を推進する等の観点から、企業関係の租税特別措置等につきまして特別償却制度等の一層の整理合理化を行うこととしているほか、みなし法人課税制度の廃止、欠損金の繰り戻し還付制度の適用の停止、海外関係会社からの過大借り入れに対処するための過少資本税制の導入、青色申告特別控除制度の創設等の措置を講ずることといたしております。
 第四に、我が国の財政の現状にかんがみ、二年間の臨時の措置として、普通乗用自動車に係る消費税の税率を四・五%とする特例措置を講ずることといたしております。
 その他、国際金融取引におけるいわゆるオフショア勘定において経理された預貯金等の利子の非課税措置等適用期限の到来する特別措置につきまして、実情に応じその適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。
 次に、法人特別税法案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、我が国の財政の現状にかんがみ、臨時の措置として法人特別税を創設するものであります。
 具体的には、法人の各課税事業年度の基準法人税額から四百万円を控除した残額を課税標準とし、税率は二・五%とすることといたしております。また、課税事業年度は、平成四年四月一日から平成六年三月三十一日までの期間内に終了する事業年度とすることといたしております。
 次に、相続税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、土地の相続税評価の評価割合を地価公示価格水準の八割程度に引き上げる等の適正化に伴い、相続税等について負担調整等を行うものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 まず、相続税の遺産に係る基礎控除について、定額控除を現行の四千万円から四千八百万円に、法定相続人比例控除を八百万円から九百五十万円に、それぞれ引き上げることといたしております。
 また、相続税の税率について、その税率区分の幅を拡大するとともに、相続税の補完税である贈与税の税率につきましても、所要の調整を図ることといたしております。
 その他、相続税の申告書の提出期限について、現行の六カ月から段階的に延長するほか、相続税の延納・物納制度の改善合理化を図る等の措置を講ずることといたしております。
 以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(長田裕二君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。山田健一君。
   〔山田健一君登壇、拍手〕
#18
○山田健一君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました国税三法に関連いたしまして、総理並びに関係大臣に御質問申し上げたいと存じます。
 その前に、一連の政府の景気判断に対しましてお尋ねをいたしたいと存じます。
 政府は、昨年来ずっと、景気については強気の姿勢を示してまいりました。国会でのいろいろな質問に対しても、九二年度の政府予算案の成立、そして昨年末の公定歩合の引き下げによって景気はソフトランディング可能だ、こう言ってこられたわけでありますが、二月の中旬になってやっと景気後退の現状を認めることになりました。しかも、実は昨年の四月から景気は後退局面に入っていた、こういうことを追認されまして、景気対策にいよいよもって本腰を入れよう、こういう申し合わせをされたようでありますけれども、九二年度政府見通しの実質経済成長率三・五%、これは依然として達成できるとお考えなのかどうなのか、まずこの点についてお尋ねをいたしたいと存じます。
 二点目は、このたびの一連の景気判断がなされてきたわけでありますが、これはもう既に昨年から、産業界あるいは民間の調査機関等からもその甘さが指摘をされてきたわけでありまして、どうもその背景には、九二年度予算編成絡みで、いわゆる景気後退を認めれば一連の財政需要の膨らみを認めざるを得ない、こういうことで意図的に景気判断がおくらされたのではないか、こういう疑問が出されているわけでありますが、この疑問にどうお答えになるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
 そして三点目には、この景気後退の判断がおくれた、よく考えてみますと実質的に実態とは約一年ずれてこの景気後退の判断をいたしたわけでありますが、適切な経済政策なり財政運営、こういうものを展開していく上では迅速かつ的確な景気判断というものは不可欠だ、こういうふうに言わなければなりません。とりわけ、景気が下降局面にあってはその判断は極めて重要であると言わなければなりません。
 こうした一連の経過を踏まえて、私は、景気動向指数の改定を含めて景気判断のいわゆる手法について改善をすべきである、このように考えますが、総理、大蔵大臣、そして経企庁長官の御見解を賜りたいと存じます。
 次に、消費税と今後の財政運営のあり方についてお尋ねをいたします。
 大蔵省はさきに財政の中期展望をお示しになりました。財政再建の新しい目標を示したわけであります。しかし、それでも一九九五年度の歳入不足が約四兆一千八百億円、しかもそれは、これから毎年一年ごとに建設国債を一兆一千五百億円ずつ減じた上での話でありまして、これはもう、一体どうしてそういう芸当ができるんだろうか、こう思うわけであります。少なくとも、目標達成をしていく上では大幅な歳出の削減があるいは増税による税収確保は不可避である、このように考えるわけであります。そこで、消費税の税率の引き上げがここにはもくろまれているのではないか、このように実は思っているわけであります。
 宮澤総理、宮澤内閣ができまして、消費税の税率の問題については引き上げに含みを持たすような一連の発言が今日まで繰り返されてきております。少なくとも、飲食料品非課税の問題等いわゆる消費税の緊急是正の問題、あるいは不公平税制の是正、こうしたものをさておいてこうした発言を繰り返す、これは私は全くもって不謹慎だと言わなければならぬと思うのであります。
 総理は、さきの予算委員会でこの問題に関連をいたしまして、消費税の税率の引き上げについては経済政策上は下の下の策である、こういうふうにおっしゃっているわけであります。下の下の策の上に、経済政策上はという言葉がついておるわけであります。これは、場合によっては、財政政策上、あるいは景気が回復をすればあるというふうに受け取れかねないわけでありまして、税制の基盤というものが納税者の信頼の上にあるということを改めて思い直していただきまして、この消費税の税率の引き上げは絶対にないんだということを国民の前に確約していただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
 さらに、さきに示された財政の中期展望につきましても、これは既に目標達成は極めて不可能だと言わなければなりません。そうした意味では、もっと実態に即した財政再建計画というものをもう一度作成し直すべきであるというふうに考えておりますが、いかがでございましょうか、お尋ねをいたします。
 次に、税制上の諸課題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 一九九二年度の予算編成は、これは明らかにバブル経済が崩壊、こういうことでありますから、中長期的な観点から一つの財政構造の再構築が求められていたはずであります。しかし、税制の基本的なあり方や課題、こうした問題については突っ込んだ議論が何もなされないまま、安易な増税によって税収のいわゆるつじつまが合わされた、こういうふうに受けとめているわけであります。
 特に、先ほども御提起がありました法人特別税の二年延長、そして自動車消費税の税率を四・五%に落としてこれまた二年間継続する、そして地価税、これももともとは地価の安定なり、あるいは自治体等が公共用に土地を取得し供給するときの財源にすると言っていたのをあっさりと一般財源化してしまう、さらに、赤字法人の欠損金のいわゆる繰り戻し、この制度を二年間停止するということ等々今回増税の措置がとられているわけであります。政府は、これは新しく税を取ったわけではないから増税ではない、こんなことを言っておるのでありますが、これは全くもってそのことをへ理屈と言うのであります。全くその場しのぎの対応に終わっておる。
 法人特別税についても、いやしくも一たん期限を切って増税をやったわけでありますから、これは一たん失効させていくのが当然でありまして、法人の計画的かつ継続的な経営活動をやっていく上でもこれは支障が出てまいりますし、国民の租税政策に対する信頼を失うことになりかねないわけであります。間違いなく、二年間経過すれはこれは失効させる、こういうことの保証ができるのでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
 法人に負担を求めるのであれば、本来、企業の社会的な役割あるいは応益面、こういうものに着目して企業税制のあり方というものをもう一度見直した上で対処するのが本筋ではないでしょうか。大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと存じます。
 さらに、租税特別措置に関連いたしましてお尋ねをいたしたいと思います。
 今回、赤字法人の欠損金繰り戻し還付制度の二年間停止、こういうことになっておりますが、これは赤字法人課税のあり方を追求したことの一つの結果なのか、あるいは財源対策としてやられたのか極めてあいまいであります。確かに赤字法人については、全法人の半分が赤字法人、こういう実態にありますだけに、その課税のあり方については政府税調からも今日まで財政当局に検討の勧告がなされてきたわけでありますけれども、いまだその結論が出されておりません。そして、今回突如としてこうした措置がとられた。
 あるいは、みなし法人課税の廃止問題についても、これはかねてより、不公平税制の一つだ、こういう立場から批判がされていたわけでありますから、その意味では私たちは率直に評価をいたしたいと思っております。しかし、その見返りとして青色申告の特別控除三十五万、これが設けられたわけでありますが、これとて小規模事業税制の確立をした上でこうした対策が講じられるべきものだというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、こうした税制上の諸課題が全部先送りにされて今回こうした措置がとられているわけでありますが、そうは言ってもこれらの課題は喫緊の課題であります。一体どういうふうに今後取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたしたいと存じます。
 さらに、租税特別措置につきましては、本来の税の公平性というものを犠牲にしてでも一つの政策目標を追求するためにこうした措置が設けられているわけでありまして、常に見直しが行われて当然なのであります。政府は、毎年この租税特別措置については整理合理化に努めてきた、こういうふうにおっしゃっているわけでありますが、ここ数年の実態はむしろ廃止をした項目よりも新設の項目の方が多くなっているわけでありまして、これは確かに問題があると言わざるを得ません。
 そしてまた、九二年度のこの租税特別措置による減収見込み額が一兆一千四百十億円、さらに交際費課税分一兆四百二十億円がございますから、その部分を除きますと二兆一千八百三十億円というこれほど大きな減収額になるわけでありまして、これも見込み額なのであります。今まで、見込み額は発表されておりますけれども実績額は発表されてきておりません。私は、この際こうした実績額をきちっと国民の前に明らかにして、政策目標との関連でこの租税特別措置の改廃を思い切って進めていくべきだ、このように考えておりますが、御見解はいかがでございましょうか、お尋ねをいたします。
 さらに、相続税につきまして、土地評価額が今回は公示価格の七割から八割に引き上げられました。これは一歩前進だと評価できるわけてありますが、しかし、地価は最近やや鎮静化した、こういうふうに言われておりますけれども、相続税を払うために長年住みなれたところを配偶者が去っていかなければいけない、こういう現状が一方でありまして、事態は依然として解消していないのであります。配偶者が死亡した場合には次の世代の相続までは納税を猶予する等、そういった方策は考えられないのか、お尋ねをいたしたいと思います。
 最後に、二十一世紀に向けて、高齢化社会への対応、あるいは国際貢献、地球環境対策等々考えますと、ますますもって財政需要が高まっていくことは事実であります。
 こうした状況の中で昨年突然国際貢献税なるものが打ち出され、結局結果はつぶれたわけでありますけれども、国際貢献という美名のもとに使途も明らかにされないままこうした税が出されようとした、これはやはり問題だと言わなければなりません。
 国際貢献あるいは地球環境対策、こういうものを考えた場合、私は、その財源を税だけに頼るということではなくして、フィランソロピーの概念の高まり、こういうものを受けて、国民の善意、寄附でありますけれども、ある程度そこに依存をしてもいいのではないか、このように考えておりまして、もちろんその場合には思い切った寄附金控除というものが必要になってまいります。
 ちょうど今、私たちが貯金をする、その利子の二割を寄附してNGOに支援をしておる国際ボランティア貯金というのがあるようであります。加入者が六百万人、約二十五億円になるというふうに言われておりますが、少なくともこうした対象や使途を明確にした上で、時代やそして国際的な要請にこたえていける、そういう魅力ある制度の確立を検討してはいかがかと考えておりますが、総理の御所見をお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(宮澤喜一君) 経済の現状についての基本的な判断でございますが、我が国経済の現状は、景気の減速感が広まっておりましてまことに難しい局面を迎えているというのが基本的な判断でございます。
 したがいまして、平成四年度の予算編成に際しまして、このような減速が企業家等の心理をこれ以上冷え込ませないように、景気には十分配慮した施策を行う必要があると考えました。したがいまして、財政的には非常に苦しい年度でございますけれども、一般会計を初め財政投融資計画、それから実は地方財政においても単独事業を通じまして非常に大きなものを計上していただいておりまして、いわゆる公共事業の拡充に、国、地方を合わせまして最大限の努力を予算編成において払ったところでございます。
 また、金融面では、昨年の暮れに第三次の公定歩合の引き下げが行われましたことは御案内のとおりでございます。
 ごく最近、関係閣僚におきまして、さらに景気に十分配慮した施策を行う必要があるとの認識で意見の一致を見たところでございまして、いわゆる五項目につきまして所管官庁における努力を求めたところでございます。その中には、すぐに行えるものもございますし、また予算成立を待って速やかに行いたいというものもございますが、そのような準備を関係各省庁においていたしております。平成四年度の予算の早期成立を期待いたしますとともに、また、最近、長短期金利ともかなり低目誘導が成功いたしておりますので、その効果の浸透を注視してまいりたいと思います。
 基本的には、私は我が国経済の成長力はまだまだ強いというふうに判断をいたしております。特に、人手不足というのは各界各層の悩みではございますけれども、中小企業にとりましてはこれは省力化投資、合理化投資をせざるを得ないという局面でもございますので、そういう投資の動機というものは基本的に非常に強いものだ、旺盛なものだというふうに考えております。我が国経済がそのような潜在成長力を十分に発揮できますように、今後とも、景気の動向に十分注意を払いながら経済のかじ取りを誤らないように万全を期してまいりたいと考えております。
 それから、消費税につきましてお尋ねがございました。
 昨年十月に今の法改正を実施いたしましたわけでございますが、この円滑な実施、これが定着することが最も大事だと今考えております。三%の税率を引き上げるということは私は考えておりません。このことは明確に申し上げておきたいと存じます。
 それから、我が国の財政でございますが、御指摘のように大きな国債残高を抱えておりまして、二度と特例公債は発行しない、これを基本にいたしております。そして、公債依存度の引き下げ等によりまして公債残高がこれ以上累増しないような財政体質をつくり上げていくことが重要な課題と考えます。今後ともこのような考えに沿いまして財政改革を推進していく必要がございます。そういうふうに考えております。
 それから、建設公債を今年度、平成四年度でございますが、精いっぱいに発行いたしました。これは経済の現状から見て、先ほど申し上げましたようなやむを得ない理由からでございますが、他方で償還もございますので、全体の残高の累増をできるだけ食いとめていきたい、こう考えておるわけでございます。
 そこで、今後のいわゆる人口の高齢化あるいは国際社会における我が国の新しい貢献、そのような財政需要にどのように対応していくかは、御指摘のように極めて大切な課題と思っております。国民各位がこの国際貢献についていろいろ関心を持っていただいて、おっしゃいますような寄附、あるいはボランタリーないろいろな活動をしていただくことはまことに喜ばしい大切なことでございます。
 そのようなことはこれからも大きくなっていくことを心から期待いたしますが、他方で、しかしこのような状況を全部寄附に頼るということはもとより難しいことでございまして、私といたしましては、我が国がこれから高齢化社会に入ろうとしている、あるいは新しい国際的な貢献を求められている、そういう現状に照らして、国民経済をそのニーズにこたえられるような運営をしていくことが大事なのではないか。今まで我が国の経済にはなかったいわば二つの大きな課題でございますが、それに国民経済の運営がマッチできるようなそういう運営を心がけることが基本的に大事だというふうに認識をいたしております。
 残りの御質問につきましては関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(羽田孜君) お答えを申し上げます。
 まず、財政需要が急増するため意図的に景気後退の判断をおくらせたのじゃないのかという御指摘でございますけれども、今総理からも申し上げましたように、我が国の経済というのは製造業を中心にしまして減速感が広まっていることは事実であろうと思っております。しかし、一方では、労働力の需給は依然引き締まり基調にあるなど経済の活動水準に底がたさを維持しつつ、インフレなき持続可能な成長経路へ移行する調整過程にあるというふうに考えております。
 なお、景気に対する政府の現状の判断は月例経済報告で総合的に行うものでございますけれども、御指摘のような九二年度予算編成との関係で経済情勢に関する判断を意図的におくらせたとの御指摘は当たらないものということは申し上げられます。
 消費税の税率の引き上げは行わないと約束できるのかということは、これは総理からも何回もお答え申し上げておりますけれども、消費税につきましては、昨年十月から実施されている議員立法による法改正を円滑に実施することが最も重要でありまして、今三%の税率についてどうこうするといったことは、これは念頭にないことをはっきりと申し上げておきます。
 消費税の税率の問題は、基本的には、今後の財政需要の動向や税制全体としての負担のあり方などを踏まえまして、そのときどきの経済社会の条件のもとで国民が選択する事柄でございまして、国民の御理解なしには安易に税率の変更を行えるというものではないと考えます。要するに、国民の意向をそんたくし尊重して対応していくべき問題であるということを改めて申し上げる次第であります。
 財政の中期展望は常識的に考えてということでございますけれども、我が国の財政は、平成四年度末の公債残高が御案内のとおり百七十四兆円程度にも達する見込みでございます。また、国債費が歳出予算の二割を超えるなど依然として構造的な厳しさが続いておりまして、今後の中期的な財政運営につきましては、二度と特例公債を発行しないことを基本といたしまして、公債依存度の引き下げを図ること等によりまして公債残高が累増しないような健全な財政体質をつくり上げていくことが重要な課題であろうというふうに考えます。
 このような考え方に沿いまして、御指摘の財政の中期展望においては、平成七年度におきましては公債依存度が五%を下回る水準を仮置きして、公債金収入を毎年度機械的に減額しているというのが皆様に御提示してあるところでございます。今後とも、中期的財政運営の新努力目標に沿いまして公債発行額をできるだけ圧縮するため、まず制度あるいは施策の見直しを行うなど、引き続き財政改革を推進していく必要があろうと考えております。
 いずれにいたしましても、現在進めております中期財政運営の新努力目標は変えることはない、そういう中でこれからも私どもは進めていきたいというふうに思っております。
 二年後には法人特別税をやめるのかということでありますけれども、この法人特別税の創設は、当面の厳しい財政事情等に対応するための必要最小限の臨時的な措置であるということであります。今回の措置につきましては、三年度における税収の落ち込みによる財政収支の深刻化の影響が平成四年度のみならず少なくとも五年度に尾を引いていくことは避けられないと見られる一方、より中期的な税収動向につきましては現段階で確たる見通しを持つのは困難であることなどを考えまして二年間の措置とすることといたしております。政府といたしましては、あくまで当面の財政事情に対応するとの観点に立って二年間の時限措置としてお願いを申し上げている、その言葉に尽きるということを申し上げます。
 法人に負担を求めるのであれば、企業の社会的役割、応益面に着目して、企業税制の見直しによって対処すべきというお話でございますけれども、企業税制につきましては従来より、企業関係租税特別措置を初めといたしまして、必要に応じて適宜見直しを行ってきたところであります。今回の法人特別税の創設は、当面の厳しい税収動向、財政事情に対応するため必要最小限の措置を講ずるとの観点に立ちまして、臨時の措置としてお願いしていることをぜひ御理解いただきたいと存じます。
 それから、赤字法人の欠損繰り戻し二年間停止の趣旨でございますけれども、全法人の半数近くが現在赤字申告をされておられます。このような実態を背景に、赤字法人といえども、租税によって賄われる公共サービスを享受していること等を理由に何らかの応益的負担を求めるべきではないのかという御指摘もあるところでございます。
 このような御意見を踏まえまして、これまでも税制調査会において負担の公平確保の観点から赤字法人に対する課税のあり方について検討がされてきて、私どももそのことを受けながら検討しました結果、赤字法人の欠損金の繰り戻し還付制度についてその適用を二年間停止することとしておりますけれども、赤字法人課税の問題につきましては、税制調査会の答申などを踏まえまして、今後とも適切に対応してまいるということを申し上げたいと存じます。
 みなし法人と青色申告の問題でありますけれども、みなし法人課税につきましては、課税の適正公平の推進の観点からみなし法人課税制度を廃止する方向で検討することが適当との昨年末の税調答申の指摘等を踏まえまして、平成四年末で廃止することといたしたものであります。他方、青色申告特別控除制度は、正規の簿記の原則に従って記帳している事業者を対象として三十五万円の特別の控除を認めることによりまして記帳水準を一層向上していただこうという、青色申告の質的向上を図るということが基本にあることでございます。
 なお、小規模事業につきましては個人、法人を、その性格は異なっていても税制上は同一に扱うべしとする議論につきましては、所得税、法人税の基本にかかわる問題であることに加えまして、このような税制を考える上でその前提となる商法等において小規模企業のあり方についての方向が示されることが先決ではないかというふうに考えるところでございます。
 また、租税特別措置による減収額の実績額を公表すべきであり、政策目的との関連で厳密な検証を、そして思い切った改廃をというお話でありますけれども、特定の政策目的に資するため租税特別措置というものは行われておるものでございますが、公平、中立、簡素といった税制の基本原則を犠牲にしている面があり、常時そのあり方について吟味を行う必要があろうと思っております。
 企業関係租税特別措置につきましては、連年にわたりまして厳しい見直しを行ってきておりまして、今回の改正においても各種の租税特別措置について見直しを行っているところであります。
 なお、租税特別措置による減収額につきましては、減収項目の中には実績に関する基礎データが得られないものもあること等から、全体として減収額の実績値をお示しすることは困難であることを御理解いただきたいと存じます。
 配偶者が死亡された場合の異世代の相続まで納税の猶予をというお話でありますけれども、配偶者に対します相続税につきましては、遺産額のうち法定相続分までは相続税を課さないこととする措置を既に講じておるところでございまして、新たに配偶者に対する納税猶予の特例措置を講ずることはとり得ないということを申し上げざるを得ないことをお答え申し上げたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣野田毅君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(野田毅君) 私への御質問は二点あったかと思います。
 第一点の、景気判断について九二年度予算編成絡みておくらせたのではないかという点につきましては、ただいま大蔵大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。
 第二点目の、景気動向指数の改定を含め景気判断の手法を改善すべきではないかという点についてでございますけれども、この点につきましては、御案内のとおり、政府としての正式の景気の現状判断は、月例経済報告におきまして月々の報告時点で入手可能な最新の情報に基づき総合的に行っておるところであります。その際、当然のことながら、いろいろな統計、指標等に基づくばかりでなく、産業界、いろいろ各方面の方々の生の声をも十分参考にし、そして総合的な判断を行っておるわけでございます。
 この景気動向指数等の問題でありますが、いわゆる景気の山、谷というこういう厳密な意味での基準の日付につきましては、これは専門的、技術的な側面から、十分それを表現するあるいはGNP、あるいは景気動向指数、これらの十分な長さのデータが必要であります。そこで、それらのデータが入手可能となりました時点で専門家の委員会の見解を参考として総合的に経済企画庁が判断をすることとなっておるわけでありまして、このため景気の山や谷を正確に設定するにはある程度の時間がかかることはやむを得ないことであると思っております。
 しかし、政府としての経済運営の前提となります景気判断は、いわゆる景気の山や谷がいつであったかというようなことではなくて、足元及び先行きに対するそのときどきの総合的な判断に基づいて行っておるわけでございます。経済企画庁としましては、今後とも内外の情勢を注視し、的確な景気判断に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(長田裕二君) 白浜一良君。
   〔白浜一良君登壇、拍手〕
#23
○白浜一良君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました三法律案に対して質問を行うものであります。
 我が国経済は、設備投資の減少、住宅着工戸数の低迷、企業の軒並みの収益悪化などに見られるように、バブル崩壊を受けて景気後退局面に入っており、これは政府の二月の月例経済報告が認めるところであります。このような厳しい経済環境を憂慮して、自民党首脳からは、日銀総裁の首を切ってまで公定歩合を引き下げるべきなどの暴論が飛び出す始末であります。総理としては、現下の経済状況をどのようにとらえているのでしょうか。
 また、金融政策や公共事業の前倒しなどを盛り込んだ総合経済対策を四月にも決定するとのことでありますが、その具体的な内容を示していただきたいのであります。
 さらに、その場合、公共事業の追加実施や公定歩合の引き下げなども考えているのかどうか、まずお伺いしたいのであります。
 最近の景気低迷を反映して、平成三年度は二兆八千億円もの大幅な税収不足が生じ、これを受けた四年度予算では、建設公債の増発のほか五千四百億円もの大増税となっております。さらに、これを反映して平成四年度の国税における直間比率は七四対二六と、税制改革前の昭和六十三年度に比べ一ポイントも直接税偏重が進んでおり、政府の約束に全く反しております。これでは何のための税制改革であったのでありましょうか。財政運営、そして税制改革に対する真摯なる反省の弁を、総理そして大蔵大臣から伺いたいのであります。
 政府は、平成四年度改正は増税とはいっても現行の税負担と同程度のものであると強弁しておりますが、現在の経済情勢のもとでは景気に悪影響を与え、かえって税収減につながるとの懸念が広がっているではありませんか。不況感がますます強まる中で、平成三年度及び四年度の税収見込みは達成可能なのでありましょうか。大蔵大臣の所見をいただきたい。
 さらに、今回の増収措置の期限についても大いに疑問があります。政府が主張しているように現在の景気減速が一時的なものであるとすれば、増税の期間は一年で十分であります。それをあえて二年とするには明確な理由があるはずであります。国民から見れば、今回の措置は二年後、つまり平成六年度の消費税率引き上げを念頭に置いたものと受け取らざるを得ないのであります。二年間とは消費税率引き上げまでの猶予期間なのではありませんか。もしそのようなことがないというのであれば、総理大臣及び大蔵大臣の明快なる答弁を承りたいのであります。
 さて、法人特別税や普通乗用自動車に係る消費税率の上乗せなど目に見える増税もさることながら、国民は目に見えない実質的増税にあえいでいるのであります。それは、物価が上昇するのに伴い、名目所得が増加すれば減税を実施しない限り実質可処分所得は減少するからであります。財政再建の美名のもとに、平成元年度、二年度は六兆円ないし七兆円という大幅な自然増収が生じたにもかかわらず所得税減税を見送ってきました。このため、税制改革後は国民の負担増は進む一方であります。景気後退期の今こそ思い切った所得税減税が必要であり、これによって直間比率の是正も実現されると考えますが、総理大臣の見解を伺いたいのであります。
 特に、高齢化が進展する中で高齢者や主婦のパート労働者が増加しており、政府に対して、高齢化社会に対応した税制面、社会保障面を含めた総合的な政策を求める声が日増しに強くなっております。パート収入の課税最低限は現在百万円となっております。しかし、この額は余りにも低いばかりか、これを少しでも超えて働けば世帯全体の手取り収入は逆に減ってしまい、かえって労働意欲をそぐ結果となっているのです。
 我が党はかねてから課税最低限を百五十万円に引き上げるよう要求してまいりましたが、とりあえず、本年予算修正要求の一つとして課税最低限を百十万円に引き上げることを主張しております。課税最低限を超えた場合においても実質的負担増とならないよう、総合的施策を講ずるべきであると考えます。大蔵大臣の前向きな答弁を求めます。
 次に、課税の適正公平化についてであります。
 まず、利子所得及び有価証券譲渡益の見直しについてであります。利子所得については、昭和六十二年度にマル優が原則廃止されるとともに一律源泉分離課税に移行しましたが、その際法案修正により追加された五年後見直し規定は本年九月で要件を満たすことになります。さらに、これに加えて政府は有価証券譲渡益の課税のあり方について、納税者番号制度の導入問題を含めて検討することが義務づけられておりますが、どのようなスケジュールで見直しを行う所存でありましょうか。また、自民党は証券税制もあわせて検討することを求めておりますが、政府としてはどのように対処するおつもりなのか、大蔵大臣の所見を伺いたい。
 また、勤労者は来るべき高齢化社会での自助努力の一環として厳しい生活の中で預金をしておりますが、財形貯蓄については現在の非課税限度額五百万円を一千万円に引き上げるべきではありませんか。また、利子が加算されることにより限度額を超えると全額が課税されるという罰則的な制度でなく、超過した額だけ課税するという思いやりのある制度にすべきではないでしょうか。大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。
 次に、赤字法人課税についてであります。
 法人全体に占める赤字法人の割合は五割にも及んでおり、黒字にもかかわらず意図的に赤字申告をしているものもあるなど、与野党税制協議においても検討が求められてきた問題であります。ところが、その答えは、財源目当てに欠損金の繰り戻し還付を二年間停止するという小手先の、昭和五十九年度と同様の措置にすぎないのであります。赤字法人の課税問題は、累次の税調答申において引き続き検討が行われてきた経緯からしても抜本的対応策を出す時期に来ていると考えますが、これも二年後になるのでありましょうか。大蔵大臣の所見を伺いたいと思います。
 次は、土地・住宅税制であります。
 今回の租税特別措置法の一部改正案では、住宅取得促進税制や住宅取得資金に係る贈与税の計算の特例など住宅取得者に関する優遇措置は延長するものの、賃貸住宅の居住者についてはいまだ何らの配慮もなされておりません。これらの両者を比較した場合、相対的に見て、負担の面から税制上より優遇されるべきは賃貸住宅の居住者ではないでしょうか。土地政策の観点からも、税制の優遇は少なくとも住宅の取得と賃貸に対して同水準にすべきであります。
 そこで、住宅家賃については、従来から我が党が主張しているように、家賃控除制度を設けることにより税制上の配慮を行うべきであると考えますが、大蔵大臣及び建設大臣の見解を伺いたいと思います。
 また、最近の地価の動向に対応して相続税において軽減措置が行われているわけでありますが、その一方で、相続税の基本的役割である資産の再配分機能についても留意すべきであると言われております。そこで、政府としては最近の地価上昇に配慮した措置はこれをもってほぼ完了したと考えるのか、また資産の世代間移転のあり方として問題なしと考えるのか、大蔵大臣の見解をいただきたいと思います。
 最後に、国際貢献とその財源問題についてであります。
 平成四年度予算編成過程において急浮上した国際貢献については、税調答申では財源問題を含め検討することが適当とされております。国際貢献は重要でありますが、その財源を新たに求めることには反対であります。基本的には、現在の歳入歳出構造を全面的に見直し、歳出の削減合理化による財源確保を図るべきであると考えますが、総理大臣の所見を求めまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国経済の現状につきましては、先ほども申し上げましたが、景気減速感が広まっておりまして大変に難しい局面を迎えているというふうに考えておりますので、実は平成四年度の予算編成に際しましてもそのことは十分頭に置いておりましたつもりでございます。財政事情は非常に苦しいわけでございますけれども、一般会計の公共事業あるいは財政投融資の公共事業関連の配賦、それから地方財政につきましても単独事業等々はかなり手厚く積み上げておりまして、これは予算が執行されますと我が国の経済の底を固めますのに相当大きな力を発揮するものというふうに考えております。
 また、つい先般でございますが、関係閣僚にお集まりを願いまして、この景気の現状において各省庁で今できること、それから予算が成立いたしましたときに早速いたさなければならないこと等々について協議をいたしたわけでございますけれども、それらは項目は五つでございますが、基本的な考え方は、公共事業につきまして予算成立後にできるだけ早く適正な執行を、準備を今からしておく必要がある。これは人手不足の時代でもございますし、設計能力等々の問題もございますから、今から十分に準備をしておく必要がございます。
 それから、地方単独事業の弾力的な実施につきましては、自治大臣から地方公共団体に既に何度か呼びかけをしていただいております。それから、これは今からでもできることでございまして、中小企業に対する円滑な資金の供給。これらのことを中心に五項目の決定をいたしたところでございます。
 そこで、そのような施策が計画どおり行われると考えまして平成四年度の我が国の経済でございますが、今景気は確かに減速感が強まっておりますけれども、基本的には、個人消費はやはり堅調であろうと考えられますし、人手不足でございますので設備投資、殊に合理化・省力化投資、あるいは研究開発投資等々の意欲は強い。環境さえ整いますれば、企業がそれを必要と考えておることは間違いございません。
 住宅投資でございますけれども、住宅ローンの金利がかなり下がっておりますので徐々に回復するのではないかというふうに考えております。平成四年度予算の早期成立をひとつお認めいただきましてその執行をできるだけ早くいたしますとともに、現在長短期金利ともかなり低目になっておりますので、さらにその浸透を図ってまいりたいと金融当局は考えております。
 なお、公定歩合につきましては、御案内のように日本銀行の専管事項でございますので、その判断を信頼してまいりたいと考えております。
 それから、さきの税制改正におきまして、これはやはり所得、消費、資産に対する課税の間でバランスのとれた税体系を構築したいと考えたところでございます。
 四年度の予算編成に当たりましては、税収動向、財政事情も厳しい中で、歳出を徹底的に合理化いたしました。また、税外収入も確保いたしましたし、他方で建設公債の発行額の増加等の努力をいたしました。また、税制面で御指摘のありました必要最小隈の措置を講じざるを得なかったという状況でございました。
 そこで、直接税の比率、いわゆる直間比率がむしろ悪くなっているではないかということは、もし先年の大幅な税制改正をいたしませんでしたら所得課税は相当大きくなっていたと思われますので、あれがございましたのでまあこの程度にとどまったと申し上げるべきでございましょうか。現実に、四年度の場合で申しますと、利子とか有価証券譲渡益課税の見直しがございますので資産所得税収が増加しております。それから、地価税の収納が始まったことによってこのような現象が起きたものと考えております。
 先ほども御指摘がございました法人特別税の創設あるいは普通乗用車等に係る消費税の税率の特例措置、これは確かに一遍あそこでやめるということを申し上げたわけでございますので、やめることが本来ではなかったかと仰せられれば、私はそれはそうあるべきであったと考えますけれども、我が国のこのような財政事情から、必要最小限の臨時的な措置としてお願いをいたしておるものでございます。そういう意味で御理解を得たいと考えております。
 なぜ二年間にしたかということでございますけれども、平成三年度にあれだけの税収減がございました。これほどうも四年度一遍だけでは済みそうもない、もう少し後に尾を引くということを考えまして二年間の措置をお願いいたしておるのでございます。これは消費税引き上げまでの猶予期間云々という気持ちは一切ございません。消費税の三%の税率を今引き上げるということを私は考えておりません。したがって、そういう気持ちではございません。
 それから、所得税につきまして減税をすべきではないかということでございましたけれども、先般の抜本改正におきましてかなり基本的な手直しをいたしました。税率構造の累進の刻みであるとか、あるいは基礎控除の引き上げ、配偶者特別控除の創設などいたしまして、これは中低所得者層の一番きつかった重税感というものを何とか緩和しようとしたものでございますが、重税感、あるいはちょっと給与がふえますとすぐ上の刻みに行くというような負担累増感はかなり緩和されておると考えておりまして、今の財政事情等々も考えますと、この際所得税減税を実施することは難しい、それは無理ではないかというふうに考えております。
 そこで、最後のお尋ねは、国際貢献をしなければならない時代になって我が国はどうかしなければならないのだが、安易に国際貢献税というようなものを考えるべきでないということは、それは御指摘の意味は十分に理解をすることができます。
 国際的貢献を果たしていかなければなりませんし、国民の間にそのような認識を広く持っていただくことはどうしても必要なことでございますから、それにふさわしいいろいろな財源措置も工夫をしていかなければなりませんし、また、我が国が今そのような地位に立ったということからそのような国民経済の運営をしていかなければならない。従来のように国内の需要だけを考えていることがいよいよできないようなそういう国際的な立場、責任を持つようになったということから、そういうことを頭に置きながら国民経済を運営するということが私は何よりも第一に必要ではないかというふうに考えておるところでございます。
 残りの問題につきましては関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(羽田孜君) お答え申し上げます。
 まず、財政運営、税制改革に対する反省の弁ということでありますけれども、先般の税制改革におきましては、税制の抱えるさまざまなゆがみを是正して、所得、消費、資産等に対する課税の間で均衡のとれた税体系を構築するとの観点から抜本的な見直しが図られたところでございます。三年度の改正につきましては、土地に関する税負担の適正公平を確保しづつ土地政策に資するという観点から、地価税の導入を初め土地税制の総合的な見直しが図られたところであります。
 四年度予算編成に当たりましては、極めて厳しい財政事情のもとで、財政改革を推進するという観点から、まず既存の制度、施策についての見直しを行うなど歳出の徹底した節減合理化、また税外収入の確保など可能な限りの努力を払ったところでございますけれども、当面の厳しい税収動向、財政事情に対応するため、建設公債の発行額を増加させ、また税制面におきましても必要最小限の措置をとらせていただいたというところであります。
 四年度の予算におきまして直接税の比率は抜本改革前と比べまして一%程度高くなっておりますけれども、これは、直接税については利子・有価証券譲渡益課税の見直し、地価税の導入、法人特別税の創設、また間接税につきましては石油臨時特別税の失効等によるものでございます。
 なお、この間の個人・法人所得の増加等を勘案いたしますと、もし仮に大幅な所得課税の減税を含む先般の税制改革が行われなかった場合には直接税の比率はさらに大幅に高まっていったというふうに考えられることを御留意いただきたいと存じます。
 なお、平成三年度、四年度の税収の見込みでありますけれども、三年度の税収につきましては、補正予算におきまして、それまでの税収の実績、大法人に対します聞き取り調査の結果等を踏まえて見直しを行いまして、二兆七千八百二十億円の減額補正を計上したところでございます。今後の税収動向を注視してまいりたいというふうに考えます。また、平成四年度税収につきましては、見積もり時点までの課税実績ですとか政府経済見通しの諸指標を基礎といたしまして個別税目ごとに積み上げによります見積もりを行い、税制改正による増収見込み額を織り込んで六十二兆五千四十億円と見積もったところでございまして、私どもといたしましては適正なものであるというふうに考えております。
 また、今回の増収措置と消費税のかかわりでありますが、総理からも申し上げたことでありますけれども、今回の措置は、当面の厳しい財政事情に対応するための必要最小限の臨時的な措置としてお願いするものであるということを申し上げます。
 これらの措置の期限につきましては、平成三年度の税収減による財政収支の深刻化の影響が少なくとも五年度にもやはり尾を引いていくことは避けられないものであろうということであります。過去におきましても、税収確保のためにとられました法人関係の臨時措置の期限というのはおおむね実は二年間とされてまいっております。こういったことから今回も二年間をとったわけでありますけれども、消費税の税率引き上げまでの猶予期間といった趣旨ではないということであります。
 いずれにいたしましても、総理からも何回も申し上げておりますように、消費税については、今三%の税率についてどうこうするということは全く念頭にないということを申し上げておきます。
 パート課税につきましてでありますけれども、パートの所得者につきましては、先般の税制改革におきまして配偶者の特別控除の創設、拡充を行いました。それによりまして、パート主婦の収入が非課税限度を超えると夫と妻を合わせた世帯の手取りが減る、いわゆる逆転現象が生ずるというパート問題は既に解消しておるということは申し上げられます。さらに、平成元年十一月、いわゆるパート減税の実施によりましてパート収入の非課税限度額は九十二万円から百万円に引き上げられておりまして、パート世帯につきましては、同じ世帯収入の片稼ぎ世帯あるいは共稼ぎ世帯と比べましても負担が軽くなっておるわけであります。こういった点を見ましたときに、税制面では最大限の配慮をしておるものであるということを申し上げたいと思います。
 パートで働く御婦人でございましても一人で年間百万円を超えるような収入があれば、税法上、夫の被扶養者ではなくて独立した納税者として相応の負担をしていただくべきものと考えられまして、これ以上の非課税限度の引き上げというのはむしろ税の公平の面からも問題があろうと思っておりますし、国際的にも日本のこの課税の最低限というのは非常に高いものであるということであります。
 なお、パート収入の非課税限度と類似の問題といたしまして、いわゆる扶養手当における家族の所得制限ですとか、夫が加入されていらっしゃいます健康保険などにおける被扶養者の所得限度の問題があります。これらの問題は、税制で論ずるということよりは、むしろこれは本来別の事柄であろうというふうに考えております。
 以上のようにパートの課税問題は既に解決済みであると考えられますし、今後、パートの雇用問題の解決のためには、パート問題を雇用政策あるいは社会政策の上でどう考えていくのかということで検討していかなければならない問題であろうと思っております。
 利子所得及び有価証券譲途益の課税のあり方でございますけれども、現行の所得税制につきましては総合課税を原則としておりまして、利子・株式譲渡益課税につきましては、その所得の性格等に応じまして、実質的な公平を図るために分離課税が採用されておるところであります。株式譲渡益や利子に対する課税のあり方については、先般の改正の際、総合課税への移行問題も含め見直しを行う旨の規定が設けられておりまして、この規定の定めるところに従いまして検討してまいりたいと考えております。
 納税者番号制度の導入につきましては、制度の前提となります番号をどうするか等についての幅広い視点から検討を行う必要があるとともに、プライバシー問題や、制度導入に伴い国民が受忍しなければならない煩わしさや費用等の問題についての国民の理解と合意が形成されているかどうか、これが重要な問題であろうと思います。こうした考え方を踏まえまして、税制調査会に納税者番号等検討小委員会がございますが、これを再開いたしまして、私どもはさらにこの検討の結果を見詰めていきたいというふうに思っております。
 証券税制の見直しの問題でありますけれども、先般の自民党の「当面の経済施策について」という御提言、私どもも承っておるところでございます。ただし、最近の株価の動向は、現行税制に問題があるために生じているとは考えておりません。いずれにしても、証券税制にかかわる問題については、課税の適正公平の確保の観点や税制全体のあり方、財政事情等を総合的に勘案しつつ、中長期的に検討していくべきものであろうというふうに考えます。
 また、財形貯蓄に関しましてでありますけれども、財形貯蓄の非課税制度は、一般の預貯金金利を原則課税とする中で、勤労者に限って住宅貯蓄及び年金貯蓄について特に元本五百万円までの利子を非課税とするものでございまして、勤労者の皆様には十分配慮されているものであるということは申し上げられます。この非課税限度額の引き上げにつきましては、自営業者や多額の貯蓄を行う余裕のない勤労者など、この非課税制度の特典を活用できない者とのバランスを失しかねないこと、また、現在の平均貯蓄残高は約百五万円にしかすぎないという問題があります。
 なお、本制度が勤労者に対する特別の優遇措置であることに照らせば、貯蓄限度額を超すほどの残高をお持ちになる方についてさらに優遇するということは、これは困難なことであろうということを申し上げざるを得ません。
 赤字法人についてでありますが、これは先ほども申し上げましたけれども、全法人の半数近くが赤字申告をされております。このような実態を背景に、赤字法人といえども、租税によって賄われる公共サービスを受益しているということを考えましたときに何らかの応益的負担を求めるべきではないかという意見もあることを承知しております。このような意見を踏まえまして、これまでも税制調査会において負担の公平確保の観点から赤字法人に対する課税のあり方について検討が行われてきたところであります。
 今回、赤字法人の欠損金の繰り戻し還付制度についてその適用を二年間停止することとしておりますけれども、赤字法人課税の問題につきましては、税制調査会の答申などを踏まえまして、今後ともさらに適切に対処していきたいということを申し上げます。
 家賃控除の問題でありますけれども、家賃は食費や被服費などと同様に典型的な生計費であることから、家賃だけを取り出して特別の控除を設けることは基本的な問題があるほか、より高額の家賃を払っている者がより大きな恩典を享受するということになろうと思います。また、家賃控除の創設は賃貸の住宅への需要だけを刺激することになりまして、優良な賃貸住宅の供給には結びつかないであろうと思っておりまして、これは各国とも国自身がそういう措置をとっておらないということを申し上げたいと存じます。
 相続税の軽減措置でございますけれども、この基本的な考え方は、健全な個人の資産の形成と国民生活の安定に配慮しつつ、富の分配の不公平を是正するという役割を担うのがそのあるべき姿と考えております。今回の改正におきましても、相続税の負担調整のために税率適用区分の幅の拡大を図りつつも、最高税率七〇%を維持するなど資産再配分機能は損なわれていないと考えます。
 なお、今回の改正に際しまして小規模宅地についての相続税の課税の特例を拡充することとしておりまして、地価上昇に関しては十分配慮したものというふうに考えております。
 以上、お答えいたしました。(拍手)
   〔国務大臣山崎拓君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(山崎拓君) 政府といたしましては、現行の第六期住宅建設五カ年計画におきまして、大都市の借家世帯の居住水準が低いことにかんがみまして、標準的な世帯向け賃貸住宅の供給に重点的に取り組むことといたしております。このための税制上の措置として、平成四年度において、三大都市圏におけるファミリー向け優良賃貸住宅建設促進税制を創設することといたしたところでございます。
 なお、家賃控除制度の創設につきましては、ただいま大蔵大臣が申し上げましたとおり、家賃は食費や被服費と同様に典型的な生計費でございまして、家賃だけを取り出して特別の控除を設けることには、税制面のあり方といたしまして基本的な問題があるとされているところでございます。(拍手)
#27
○議長(長田裕二君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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