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1992/03/31 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第8号
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1992/03/31 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第8号

#1
第123回国会 本会議 第8号
平成四年三月三十一日(火曜日)
   午後五時三十六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第八号
  平成四年三月三十一日
   午後三時 本会議
    ―――――――――――――
 第一 看護婦等の人材確保の促進に関する法律
  案並びに社会福祉事業法及び社会福祉施設職
  員退職手当共済法の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、平成四年度一般会計暫定予算
 一、平成四年度特別会計暫定予算
 一、平成四年度政府関係機関暫定予算
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(長田裕二君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 平成四年度一般会計暫定予算
 平成四年度特別会計暫定予算
 平成四年度政府関係機関暫定予算
 以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(長田裕二君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長中村太郎君。
   〔中村太郎君登壇、拍手〕
#5
○中村太郎君 ただいま議題となりました平成四年度暫定予算三案の予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 今回の暫定予算は、平成四年度予算の年度内成立が困難な事情にありますので、国政運営に支障を来さないよう、四月一日から四月十一日までの期間について編成されたものであります。
 暫定予算の編成は、本予算成立までの応急的措置であることにかんがみ、暫定予算期間中における人件費、事務費等の経常的経費のほか、既定施策に係る経費については行政運営上必要最小限の計上にとどめ、新規施策の経費は、教育及び社会政策上の配慮から特に措置することが適当と認められもものを除き、原則として計上しないこととしております。
 一方、歳入につきましては、暫定予算期間中の税収及びその他収入を見込むほか、前年度剰余金を計上いたしております。
 以上の結果、一般会計暫定予算の規模は、歳入総額一千五十八億円、歳出総額五兆五千二百四十四億円となって、五兆四千百八十六億円の歳出超過となりますが、国庫の資金繰りにつきましては、必要に応じ大蔵省証券を発行することができることとしております。
 なお、特別会計及び政府関係機関の暫定予算につきましても、一般会計に準じて編成されております。
 これら暫定予算三案は、三月二十七日、国会に提出され、三十日、衆議院からの送付を待って、本日、大蔵大臣から趣旨説明を聴取した後、質疑を行いました。
 暫定予算に直接かかわるものとして、「平成四年度の暫定予算の税収額は、暫定日数が同じであった八年前の昭和五十九年度の暫定予算の税収額と比べると約三〇%城となっている。近年、暫定予算における税収の割合が小さくなる傾向があるが、なぜか。また、四年度暫定予算の歳出総額に占める税収の割合は〇・三%しかなく、歳出超過額を大蔵省証券で賄うため、約四百億円の利払い費が必要となる。年度当初にできるだけ税収が多く入るように工夫すべきではないか」との質疑があり、これに対し羽田大蔵大臣並びに政府委員より、「平成四年度の暫定予算における税収額は、最近の税収動向を勘案して百八十億円を見込んでいる。八年前の昭和五十九年度の暫定予算の税収は二百六十億円を計上していたが、玉十九年度にあった物品税が消費税創設でなくなったこと、また元年度から関税の延納制度によって税の収納額が減少していることなどが年度当初の税収が少なくなっている理由である。税の収納については昭和五十三年度から発生主義をとっており、翌年五月分税収は前年度に取り込む方式が既に定着している。したがって、年度当初に大蔵省証券に頼ることになり、行革審でもその改善が取り上げられている。ただ、年度所属区分を改めようとすると五月分税収に見合う相当の財源が必要で、現在の財政事情から動き出せないでいる状況にある。要は、足元の財政体質を確立して、その上でこの課題に取り組みたいと考えている」との答弁がありました。
 質疑はこのほか広範多岐にわたりますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党近藤委員から反対の意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、平成四年度暫定予算三案は賛成多数をもっていずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(長田裕二君) これより三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#7
○議長(長田裕二君) 過半数と認めます。
 よって、三案は可決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
#8
○議長(長田裕二君) 日程第一 看護婦等の人材確保の促進に関する法律案並びに社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 両案について提出者の趣旨説明を求めます。山下厚生大臣。
   〔国務大臣山下徳夫君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(山下徳夫君) 看護婦等の人材確保の促進に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国における急速な高齢化の進展及び保健医療を取り巻く環境の変化等に伴い、保健医療サービスの重要な担い手である看護婦等の確保の重要性は著しく増大いたしております。
 このような状況を踏まえて、病院や訪問看護を受ける者の家庭等において、高度な専門知識と技能を有する看護婦等が自信と誇りを持って心の通う看護を提供することができるよう、看護についての国民の関心と理解を深めることに配慮しつつ、看護婦等について、養成力の強化、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等を図るための措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容についで御説明申し上げます。
 第一は、看護婦等の確保の促進に関する基本指針の策定であります。
 厚生大臣、労働大臣及び文部大臣は、専門性に配慮した適切な看護業務のあり方を考慮しつつ、国民の保健医療サービスヘの需要に対応した均衡ある看護婦等の確保対策を適切に講ずることを基本理念として、看護婦等の養成、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等に関する事項を定めた基本指針を策定することといたしております。
 第二は、看護婦等の確保の促進に関する関係者の責務に係る所要の規定の整備であります。
 国につきましては、看護婦等の確保を促進するための必要な財政上及び金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めるとともに、看護婦等の処遇の改善に努める病院等の健全な経営が確保されるよう必要な配慮をしなければならないこととしており、地方公共団体につきましても、看護婦等の確保を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。また、病院等の開設者等につきましては、看護婦等の処遇の改善等を講ずるよう努めなければならないこととしており、あわせまして、看護婦等及び国民の責務を設けることといたしております。
 第三は、看護婦等の確保のための体制の整備であります。
 国及び都道府県の病院等の開設者等に対する必要な指導及び助言、雇用保険法の雇用福祉事業としての病院等の開設者等に対する雇用管理に関する必要な知識の修得のために必要な助成、公共職業安定所の看護婦等の職業紹介等についての規定を設けることといたしております。また、都道府県の看護婦等の確保に関する施策及び看護に対する住民の関心と理解の増進に関する施策への協力等を行う看護婦等就業協力員制度を創設するとともに、看護婦等の員数が著しく不足している病院において看護婦等の配置及び業務の改善に関する計画の策定等を行う看護婦等確保推進者の設置を行うことといたしております。
 第四は、ナースセンターの指定であります。
 都道府県知事は、看護婦等の就業の促進その他の看護婦等の確保を図るための活動を行うことにより保健医療の向上に資することを目的として設立された民法法人を、都道府県ごとに一個に限り都道府県ナースセンターとして指定し、春婦護等に対する研修、相談、無料の職業紹介等を業務として行わせることといたしております。また、厚生大臣及び労働大臣は、都道府県ナースセンターの指導、援助等を業務として行う中央ナースセンターを、全国を通じて一個に限り指定することといたしております。
 なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えたい範囲内において政令で定める日といたしております。
 以上が看護婦等の人材確保の促進に関する法律案の趣旨であります。
 次に、社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 急速な高齢化の進展等に伴い、国民の福祉サービスに対する需要は著しく増大しておりますが、このような状況に対応して、福祉サービスを必要とする者に対し必要な福祉サービスが適切に提供されるようにするためには、社会福祉事業に従事する者の確保を促進していくことが必要であります。今回の改正は、このような状況を踏まえて、基本指針の策定、福祉人材センター及び福利厚生センターの指定、社会福祉施設職員退職手当共済制度の適用対象範囲の拡大等所要の改正を行うものであります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明を申し上げます。
 第一は、基本指針の策定等であります。
 厚生大臣は、社会福祉事業が適正に行われることを確保するため、社会福祉事業従事者の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本指針を策定することとしております。また、社会福祉事業経営者は、基本指針に規定する社会福祉事業従事者の確保に資する措置を講ずるように努めなければならないこととするとともに、国及び都道府県は、社会福祉事業経営者に対し必要な指導及び助言を行うことといたしております。
 さらに、国は、社会福祉事業従事者の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するために必要な財政上及び金融上の措置等を講ずるよう努めなければならないこととし、あわせて、地方公共団体についても、必要な措置を講ずるよう努めなければならないことといたしております。
 第二は、福祉人材センターの指定であります。
 都道府県知事は、基本指針に基づき社会福祉事業経営者が行う措置に関する相談援助、社会福祉事業の業務に関する研修、社会福祉事業に従事しようとする者への就業の援助等を行う社会福祉法人を都道府県福祉人材センターとして指定することができることといたしております。あわせて、厚生大臣は、都道府県福祉人材センターの業務に関する連絡調整、指導等を行う社会福祉法人を中央福祉人材センターとして指定することができることといたしております。
 第三は、福利厚生センターの指定であります。
 厚生大臣は、社会福祉事業従事者の福利厚生の増進を図るための事業等を行う社会福祉法人を福利厚生センターとして指定することができることといたしております。
 第四は、社会福祉施設職員退職手当共済制度の改正についてであります。
 退職手当共済制度の対象として、老人、身体障害者等に係る居宅介護等事業等を追加することとしております。また、被共済職員が同一経営者の経営する退職手当共済制度の対象外の施設等へ異動した後、再び被共済職員となった場合に、被共済職員期間を合算する制度を設けることといたしております。
 なお、この法律の施行期日は、基本指針及び都道府県福祉人材センターに関する事項については法律の公布日から六カ月を超えない範囲内において政令で定める日、中央福祉人材センター及び福利厚生センターに関する事項については平成五年四月一日、その他の事項については平成四年七月一日といたしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(長田裕二君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。清水嘉与子君。
   〔清水嘉与子君登壇、拍手〕
#11
○清水嘉与子君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました看護婦等の人材確保の促進に関する法律案並びに社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部改正案につきまして、総理、厚生大臣ほか関係大臣にお伺いいたします。
 本格的な高齢社会の到来を目前にして、我が国の保健医療・福祉政策は全般にわたる見直しか迫られております。ふえ続ける老人医療費に対処するための老人保健法の改正や高齢者保健福祉十カ年戦略の策定など具体的な政策が進められておりますが、その過程でにわかに社会問題化してきたのが、保健医療・福祉分野で働く人材の確保問題です。
 自由民主党におきましても、今後間違いなく拡大する保健医療・福祉サービスを進めるためには人材の確保がかぎであるとの認識のもとに、昨年七月には看護問題小委員会で看護婦不足の解決に向けての提言を、また十二月には保健医療・福祉マンパワー小委員会が保健医療・福祉マンパワー対策についての提言をまとめ、立法措置を含めた人材確保対策について具体的な提案をしてまいりました。これらの取りまとめ作業にかかわってまいりました私としましては、きょう、こうして二法案に対する代表質問に立つことができることを大変幸せに存じます。また、この間、法案提出のために精力的な作業を続けてこられた関係各省担当者に敬意を表する次第でございます。
 私は、病人やお年寄りあるいは障害者の看護や介護に携わる職種がいわゆる三K職種の代表のように言われていることが残念でなりません。痛みや苦しみを持つ方々のお世話をし励ますことのできる職業に働く人たちみずからが誇りを持ち意欲を持てるようにすることが、健全な社会としてはまず大切なことだと考えます。そういう意味では、今回こうして立法措置まで講じようとされた厚生省の前向きな姿勢は大いに関係者を勇気づけるものと思います。もとより、このことは、厚生省だけでなく、生活大国づくりの理想を掲げておられる宮澤内閣全体でお取り組みになる課題でもあると思います。
 そこで、まず、厳しい状況の中にありながらも情熱を持って頑張っておられるこれらの人たちに対し、総理はこの法案を通してどのようなメッセージを伝えようとしておられるのか、お伺いしたいと思います。
 既に、二十一世紀までの十年間に十万人のホームヘルパーが必要というゴールドプランの目標が掲げられており、また、昨年十二月には看護婦需給見通しによる必要数も示されました。問題は、これらの達成目標を現実のものにするために今回の二法案がどのような役割を果たすものになるかということです。多くの関係者が期待をかけております。その点につきまして、厚生大臣に今後の方針をお伺いいたします。
 さて、人材確保のための具体的内容は、厚生、労働、文部三大臣の策定する基本指針にゆだねられることになっております。現在、保健医療・福祉サービスを支える人材の多くは女性です。そこで、女性が働き続けられるよう、労働時間の短縮、夜勤労働の負担軽減、育児対策といった面をも含め、ぜひ実効のある内容となるよう御検討願いたいと思います。
 基本指針に盛られる項目のうち処遇の改善については、他の法律でカバーされるということから公務員が適用除外になっております。しかし、保母や看護婦の育児休業制度を公務員が先行して民間への波及を図ってきたこと、国家公務員看護婦の給与の改善が民間病院の看護婦給与の改善に大きな影響を及ぼしてきたことの例からも、国家公務員である当該職員の処遇の改善については引き続き特別な配慮が必要と思われますが、いかがでしょうか。
 なお、人事院勧告により国家公務員の給与の改定は毎年行われているのに対し、民間病院については二年に一度行われる医療費改定の枠内で毎年の人件費アップに対応しなければならず、看護婦の給与改善に支障を来しているという声が上がっております。四月より行われる診療報酬改定においては看護婦の労働条件や処遇改善に配慮をした点数配分になっており、現場での努力が評価されたものと関係者は歓迎しておりますが、今後とも診療報酬の改定が看護婦の処遇改善に結びつくような仕組みが検討される必要があると思います。
 以上、基本指針に関して幾つかの問題を申し上げましたが、厚生大臣並びに総務庁長官の御所見をお伺いしたいと存じます。
 看護や介護の仕事は大変だと言われながらも、現在、看護学校や介護福祉士学校への入学を希望する若い人たちがたくさんいることはうれしい限りでございます。幸い、看護婦については資格制度も明確にされておりますが、その養成の実態にはいろいろな問題が出てきております。現在主流をなしている各病院に付設された看護婦養成所は、運営のために病院が多額の医療費を投入しなければならないこと、養成所を設置できない中小病院では看護婦の採用は望めないこと、高学歴社会の中で養成所という形態では若い女性を引きつけられなくなっていることなどです。
 看護婦教育を特定の病院のみの負担に任せるのではなく、地域医療計画の枠内に位置づけ、地域に必要な人材を地域全体で教育するという発想に変える必要があるのではないかと思いますが、厚生大臣、いかがでしょうか。
 また、将来の指導者育成のために看護大学の増設があちらこちらで計画されつつあり、大変喜ばしいことと思います。国際的に見ると大分おくれをとっている大学教育ですが、国としても設置促進のためにバックアップを図る必要があると思います。この点について文部大臣の御所見を伺います。
 今後、お年寄りが地域で安心して暮らすためには、必要なときにはいつでも利用できる病院や福祉施設が控えていることと同時に、各種の在宅サービスが用意されていることが必要です。特に、福祉サービスの担い手としてのホームヘルパーについては今後ますます活躍の場がふえるものと期待されます。今回の法案では退職手当をホームヘルパーにも支給できる仕組みが考えられており、大変結構なことと思います。今後とも、ホームヘルパーの処遇改善に努力されるとともに、供給形態の多様化など確保対策についても御努力願いたいと思いますが、厚生大臣の御所見を伺います。
 お年寄りや障害者のお世話は、専門家だけでなく、地域社会全体がともに生きるというノーマライゼーションの考え方で処していくことが必要と考えます。一九九四年には国連で国際家族年がスタートすると聞きます。子供を産み、育て、働き、老いるという人々の営みの中で、真の家族のあり方や地域社会とのかかわり方が問われる重要な時湖ともなっております。高齢者問題にこれだけ関心が高まり、看護婦や介護者、ホームヘルパーの仕事に理解が寄せられるようになった今日、国民みんなの意識改革、老人介護への参加を促すよい機会ではないかと思います。既に一部で行われている介護サービスの積立貯蓄制度の普及やボランティア休暇制度などについても、積極的に取り上げるべきときが来ていると思います。
 法案が提出されたこの機会に、国民への働きかけについての総理並びに厚生大臣の御所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初に、この二つの法案を通じて国民にどのようなメッセージを送りたいと思っているかというお尋ねでございました。
 たまたま今朝も報じられておりましたが、平成三年の我が国の推計人口の中で、六十五歳以上のお年寄りが国民の八人に一人という割合になったということでございます。そして、二〇二〇年には国民の四人に一人が六十五歳以上のお年寄りによって占められるようになると推計されております。このような急速な高齢化の進展の中で、看護、介護を要する人の数も当然増加してまいります。
 日ごろから日夜を問わず厳しい環境の中で病人やお年寄り、障害を持つ人々の看護、介護に尽力されている関係者各位の御苦労、その役割の大きさを十分に認識をいたしております。また、今回の二法案作成に至りますまでの長い過程において清水議員が大きな御貢献をなされたことに対しても、深い敬意を表したいと存じます。
 二十一世紀の本格的高齢化社会の到来に備えるため、社会が最も必要とする関係人材を十分確保していくことは極めて重要な課題であると考えております。このため、処遇の改善を図り、できるだけ長く働いていただくこと、新たに看護婦等になられる方を確保するための養成の充実を図ること、潜在看護婦等の方に職場で再度働いていただくこと、関係者の方に対する社会的評価の向上を図るなどを柱に各般にわたる対策を講じているところでございますが、これらの対策の基盤となるものとして今回二つの法案を提出いたしたところでございます。
 この両法案の提出によりまして、看護、介護に従事される方が国民が心安らかに暮らしていくことができる生活大国を支える重要な役割を果たしていただいていること、これらの方々が誇りと自信を持って仕事に取り組むことができるよう国、地方公共団体が支援を行うとともに、関係者がそのために一体となって協力していくこと、また、これらを通じて国民の保健医療・福祉の向上に努力していくという基本姿勢を、看護、介護に従事している方を初め国民の皆様にお伝え申し上げたいと思います。
 次に、介護サービスの積立貯蓄やボランティア休暇についてでございますが、清水議員の御指摘のとおり、人口が急速に高齢化する中、政府や地方公共団体による公的施策だけではなく、広く国民の参加を得て社会全体で高齢化対策に取り組む幅広い体制づくりが福祉社会建設の基礎であると考えます。このため、政府といたしましても、これからの高齢化社会を明るい活力に満ちた長寿福祉社会としていくために、高齢者保健福祉推進十カ年戦略等に基づき公的保健福祉サービスの大幅な拡充を図っているところでございます。
 近年、国民の間に老人介護などの活動への参加の機運が高まりつつあることはまことに喜ばしいことでございますが、このような動向を積極的に支援、育成していくことがただいま最も大事であると考えております。このような国民の介護や福祉への参加を進めるため、これまでボランティア情報の提供など必要な国民参加の基礎づくりを進めてまいりましたが、今後とも老人の介護への参加を促進するための施策の推進や研究、検討を重ね、幅広い国民の参加により長寿福祉社会をつくってまいりたいと考えております。
 残余のお尋ねにつきましては関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣山下徳夫君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(山下徳夫君) 清水議員にお答えいたします。
 まず、この二法案の役割についてお答えをいたします。
 急速な高齢化の進展等に伴う国民の保健医療・福祉サービスに対する需要の増大に対して、保健医療・福祉マンパワーの確保を促進していくことは極めて重要なことと認識をいたしております。こうしたことから、厚生省といたしましては、従来より予算、融資等各般にわたる対策を総合的に進めてきたところでございますが、さらに中長期的視点に立ってこうした取り組みの一層の推進を図るため、人材確保対策の基盤となる法律案を提出することといたしたのでございます。
 次に、診療報酬についてのお尋ねでございますが、今回の改定においては看護関連に特段の配慮を行ったところでありまして、点数上も勤務条件の改善につながるよう配慮しているところであります。また、改定の実施に当たり、関係者に今回の改定の趣旨を十分に周知するよう配慮しているところであります。今後とも看護サービスが診療報酬上適切に評価されるよう努めてまいる所存でございます。次に、地域医療計画への看護婦教育の位置づけにつきましては、厚生省といたしましても重要な課題と考えております。このため、看護婦等の医療従事者の確保に関する事項を医療計画の任意的記載事項としており、看護職員の確保のためにも、今後とも各都道府県の医療計画の推進が必要だと考えております。なお、看護婦等養成所への助成につきましては、平成三年度予算、平成四年度予算等において大幅に増額したとこうであります。次に、ホームヘルパーの確保につきましては、四年度に手当額の大幅な引き上げなどの処遇の改善を行うことといたしておるところであります。今後とも必要な措置を講じてまいりたいと思っております。
 また、要介護老人のニーズにこたえた適切なホームヘルプサービスを行っていくためには、その供給形態の多様化が重要なことは御指摘のとおりであります。このため、地域の実情に応じ、特別養護老人ホームや介護福祉士への委託が可能となるよう取り進めてまいります。
 さらに、早朝や夜間等のニーズに対応できるよう、非常勤ヘルパー等の活用により、地域の実情に応じ適切な供給体制をとるよう努めてまいります。
 次に、老人の介護への国民の参加につきましては、御指摘のとおり、福祉への幅広い国民の参加が期待されているところであります。このため、ボランティア等に住民が参加しやすいよう、行政として情報提供などの基盤整備を図ってきたところでありますが、平成四年度においては、老人介護の啓発や実習を行う介護実習・普及センターを創設するとともに、介護サービスの貯蓄制については十分な研究を行ってまいりたいと考えております。また、企業によるボランティア活動の支援のため、受け入れ側の施設の条件整備等について研究を行うことといたしております。
 今後ともボランティア活動などへの参加が図られるよう努めてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣岩崎純三君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(岩崎純三君) 国家公務員でございます看護婦の処遇につきましては、その職務の特殊性を考慮いたしましてこれまでも種々改善を図ってまいったところでございますけれども、現下の重要な課題となっている看護婦の人材確保の問題にも配慮いたし、昨年の給与改定におきましては、看護婦に適用される医療職俸給表目につき幅広い改善措置を講じてまいったところでございます。
 国家公務員の給与等の勤務条件につきましては、従来から専門・第三者機関である人事院が、民間の状況等を調査いたし、社会一般の情勢に適応させる、そうした原則に立ちまして国会及び内閣に対し勧告をし、これに基づいて給与制度等が定められているところでございます。総務庁といたしましては、看護婦の給与等の勤務条件改善につきましては、今後とも人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立ちまして、看護婦の人材確保の問題をも念頭に置きながら、国政全般との関連を考慮いたしまして適切に対処いたしてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣鳩山邦夫君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生御指摘のとおり、看護婦さん不足を解消するためにはいわゆるその指導者育成のための看護系大学を設置していかなければならないわけでございまして、その量的拡大を図るために、国公私立を問わず努力をしてまいりたいと思います。
 日本の大学教育は、いわゆる十八歳人口で考えますと急増が終わってこれから急減にかかってまいりますので、高等教育の量的拡大の時代は終わってこれからは質の時代だということが、大学についてもあるいは大学院についても語られているわけですが、看護系についてはいわばその例外として、これからも量的拡大を当分相当な勢いでやらなければならぬということでありましょう。
 国立大学については、清水先生が東大医学部衛生看護学科を御卒業でありますように、国立大学の医学部に保健衛生学科をつくるというような形で、平成元年度には東京医科歯科大学、そして平成四年度には広島大学医学部に保健学科の設置に必要な経費を計上いたしておりまして、ともに四年制の看護教育を行っているところでございます。
 また、公立大学については、地方公共団体が看護系大学を設置する場合に、平成四年度からでありますが、校舎等の施設整備費及びその用地費に対して所要の地方財政措置、すなわち起債を認めてその償還を交付税で裏打ちをするという形をとっていただきまして、ありがたいことと思っております。
 また、私立の大学につきましては、学校法人が看護系大学を設置するという場合に、だからといって特別な財政的な援助をするというのは現在の私学助成の仕組みからいってもなかなか困難であろうと思いますが、先ほど量的拡大について申し上げましたように、看護系大学の設置認可申請に対しては文部省として積極的に指導してまいる予定でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(長田裕二君) 西野康雄君。
   〔西野康雄君登壇、拍手〕
#17
○西野康雄君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました保健医療・福祉ヒューマンパワー関連二法案について、総理並びに関係閣僚に対し質問いたします。
 現在、我が国は急速な勢いで高齢化が進んでおり、来世紀には国民の四人に一人が高齢者という超高齢社会を迎えることになります。この超高齢社会に向けて、政府はこれまで、親子の高い同居率を前提に、あたかも高齢者保健福祉推進十カ年戦略さえ達成すれば老後は万全であるかのような説明をしてこられました。しかし、現在、核家族の進行と政府の住宅施策の甘さによって、親子の同居率は年々低下を続けております。こうした状況のもとで、総理はどこまで具体的な社会保障ビジョンをお持ちでしょうか。そして、老後は十カ年戦略で安心だと本心からお考えでしょうか、御見解を伺います。
 さらに、本格的高齢社会に向けて何よりも大切なのは人づくりであります。政府一丸となってこの問題に取り組む必要があると考えますが、残念ながら今回の法律案はこの点で不十分であります。と申しますのも、人材確保二法では国公立病院・施設に勤める職員の処遇改善は適用外となっているほか、衆議院に提出されている介護労働者雇用改善法案との関連も不明であります。政府は、この点についてどのようにお考えでしょうか。
 私は、政府の統一的取り組みのために、各省庁の縄張りを越えた、内閣総理大臣のもとに関係省庁を網羅した保健医療・福祉人材確保対策推進本部を設置し、一元的な保健医療・福祉人材確保のための施策を進める必要があると考えますが、総理の御所見を承りたいと思います。
 さて、我が党はこれまで実効ある看護・介護人材確保法の早期策定を主張してまいりました。しかし、今回の二法案は、基本的に求人難の緩和という求人側の発想に立った内容であり、肝心の働く側の処遇や労働条件の改善、地位向上等についてはすべて基本指針任せになっております。その実効性に対しては多くの疑問を抱かざるを得ません。総理は、法案の実効性についてどのような見通しをお持ちでしょうか。また、基本指針の具体的内容をお示しいただきたいと思います。
 また、看護婦等の確保の促進に関する基本指針の策定に当たっては、当然ILO看護職員条約・勧告の内容が盛り込まれると考えておりますが、御見解を賜りたいと思います。
 次に、看護婦等の人材確保について、当面の緊急課題に絞ってお伺いいたします。
 看護職員については、政府の需給見通しにおいても、現在既に七万人が不足し、九三年には十万人が不足すると見込まれております。そして、この看護職員の危機的状況は国民の命さえ危うくしているのであります。私の地元の兵庫においても、看護職員の不足のために手術ができない、満床だと言って入院を断らざるを得ないというような深刻な声を耳にするのであります。
 この問題の解決のためには、第一に、慢性的労働過重の状況にある看護職員の労働条件の抜本的改善と職員の増員が課題であります。総理、一体いつになったら看護職員すべての二・八、完全週休二日制が実現されるのでありましょうか。そして、現在の看護職員配置基準ではその実現も困難なのではありませんか。二・八、完全週休二日制実現の時期、配置基準の見直しについてお伺いをいたします。
 第二の緊急課題は、診療報酬の改善であります。
 四月から診療報酬が改定されますが、問題は、その引き上げが看護職員の待遇改善に直結ずみ制度的な担保が不明確であり、他の諸経費に充てられる可能性が大きいことであります。加えて、現在の看護料は看護職員の給与に見合うものとはなっておらず、低い看護料が看護婦の充足見送りや低賃金への固定化につながってきました。看護料について、最低限看護婦の実質賃金を確保できる水準に改めるとともに、診療報酬改定が看護職員などの処遇改善に直接結びつく仕組みをつくる必要があると考えますが、御所見を承りたいと思います。
 第三は、看護職員養成への公費助成の拡大であります。
 看護婦の養成は、これまで診療報酬を財源とする民間病院にその多くをゆだねてまいりました。しかし、今日、国はその負担を惜しむべきではありません。看護婦養成費は基本的に公費で負担すべきであると考えますが、御見解をお伺いいたします。
 次に、福祉・介護ヒューマンパワーについてお伺いいたします。
 社会福祉ニーズの増大、高度化、多様化に対応するために、十カ年戦略に沿った福祉施設や在宅福祉施設事業が増大の一途をたどっております。十カ年戦略の達成だけでも、平成二年度から十一年度にかけてホームヘルパーを約七万人、寮母、介護職員を約十一万人さらに確保する必要があると見込まれております。しかし、福祉の現場においては、福祉事業の拡大を図っていくためには向こう十年間で新たに四十万人余りもの福祉従事者の確保が必要だとされているのです。果たして十カ年戦略における政府の見通しは現状を正確に反映しているものなのか、総理にお伺いをいたします。
 多くの社会福祉施設では、現在人手不足状態が深刻さを増しております。東京都社会福祉協議会が昨年七月に都内の社会福祉施設を対象に実施した調査でも、約三割の施設が何らかの欠員を抱えており、一年前の調査と比べ、欠員を抱える施設の割合は三・七%もふえているのであります。総理は、こうした福祉・介護ヒューマンパワーの不足の理由をどのように理解しているのか、お伺いをいたします。
 直接処遇職員を中心に、福祉・介護ヒユーマンパワーの中心的担い手は依然として中高年の主婦層であります。看護職員が専門職として一定のステータスを確立しているのに比べ、福祉・介護ヒューマンパワーはいわゆる家庭の延長として必ずしも社会的評価が十分でありません。低賃金にとどまってきた面は否定できないのであります。
 こうした性格を有する福祉・介護ヒューマンパワーの確保のためには労働条件の改善が欠かせません。今回の改正法案では、「国は、社会福祉事業従事者の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するために必要な財政上及び金融上の措置」等を「講ずるよう努めなければならない。」となっております。しかし、措置費の算定方法の見直し、社会福祉施設の職員配置基準の見直しには一切触れておりません。深刻な人手不足を解消するための法案でありますから、労働条件の改善に欠かせない措置費の改善、職員配置基準の見直しを明確にすべきであります。また、在宅福祉の重要性にかんがみ、ホームヘルパーの手当額等の国庫負担率も早急に引き上げるべきだと考えます。
 総理の前向きな、簡潔な答弁を期待して、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(宮澤喜一君) 二十一世紀の本格的な高齢化社会を迎えるに当たりましての政府の社会保障ビジョンといたしましては、昭和六十一年に閣議決定をいたしました長寿社会対策大綱、平成元年十二月に策定いたしました高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプラン等がございます。これらの実現に向けて各種の施策を推進しているところでございます。とりわけ、このゴールドプランにおきましては、緊急の課題である寝たきり等の高齢者の介護体制の充実を図るための具体的目標を定めているところでございます。
 すべての国民に対して適切な保健医療・福祉サービスを提供するためには、これに必要な人材の確保を図っていくことが極めて重要でございます。このため、平成四年度予算や今回提案した法案におきましても、これらの人材の確保を推進すべく、勤務条件等の改善、養成の強化、就業の促進、社会的評価の向上等のための各般にわたる対策を、厚生省、労働省を初め関係省庁が協力して進めることとしているところでございまして、今後とも政府部内における一層の連携の緊密、強化を図りてまいりたいと思っております。
 二法案の実効性については、看護婦及び社会福祉事業従事者の確保を促進するため従来から各種施策を総合的に促進すべく予算、融資等において各般の施策を進めてきたところでございますが、これら施策の基盤となるものとして両法案を提出したところでございます。この両法案に基づきまして、今後とも息の長い取り組みを進めてまいりたいと思っております。
 次に、看護職員の配置基準につきましては、平成四年度予算案において労働条件の改善が図られるよう看護職員確保対策費の大幅増額を図りますとともに、今回の診療報酬改定に当たりましても所要の措置を講じたところでございます。医療法の看護婦等の配置基準につきましては、基準を満たしていない病院もございます。看護婦等の確保対策を通じ、現在の基準が遵守されますように努力をしてまいります。
 十カ年戦略の政府見通しにつきましては、十カ年戦略の達成に必要なホームヘルパー等の数について、現状を踏まえまして目標の達成に必要な数を見込んだものでございまして、これはまず適切なものと考えております。
 それから、社会福祉施設の職員につきましては、一部大都市地域において職員の確保に苦慮している事例もございますけれども、総体としては、現時点において必ずしも福祉サービスに支障を来している状況ではございません。しかしながら、今後、全体的な労働力の需給状況が厳しい現状の中で、ゴールドプラン等に沿った計画的な福祉サービスの向上に努めていく必要がございます。このため、中長期的視点に立って、処遇の改善、資質の向上等、福祉人材確保のための総合的な対策を推進していく考えであります。
 社会福祉施設の運営費であります措置費については、従来より、職員の給与改善、増員等所要の改善を図っているところでございますが、今後とも、今回の法律改正の趣旨も十分踏まえまして、福祉の人材確保の促進が図られるように所要の改善に努める所存でございます。
 次に、ホームヘルパーの手当額等の国庫負担率につきましては、国と地方の機能分担や費用負担のあり方等を勘案しながら、関係者の意見を踏まえ、平成元年度に三分の一から二分の一に引き上げを行ったものでございまして、この補助率は適当なものであると考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣山下徳夫君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(山下徳夫君) 西野議員にお答えいたします。
 まず、法案の内容が不十分ではないかというお尋ねでございますが、国公立職員の処遇につきましては国家公務員法等に基づき適切な水準が確保されることとされておりますので、基本指針の処遇の改善につきましては適用を除外したところであります。
 また、社会福祉事業従事者のうち介護労働者につきましては、その業務の特殊性にかんがみ、厚生省提出の法案における対策に加え、労働省提出の関係法案においてその福祉の増進を図る観点から必要な措置が講じられることとされており、相互の法案の整合性を確保しながら人材確保のための施策を推進することとしております。
 法案の基本指針につきましては、処遇の改善、資質の向上等の事項を盛り込む考えでございますが、具体的内容につきましては、関係審議会、都道府県の御意見を聞きながら定めてまいりたいと考えております。
 次に、診療報酬についてのお尋ねでございますが、今回の改定におきましては看護関連に特段の配慮を行ったところであり、点数上も勤務条件の改善につながるよう配慮しているところであります。また、改定の実施に際し、関係者に今回の改定の趣旨を十分に周知するよう配慮しているところであります。今後とも、看護サービスが診療報酬上適切に評価されるよう努めてまいる所存であります。
 次に、公費助成についてのお尋ねにつきましては、看護婦等の確保を図る上で養成力の充実を図ることも重要であると認識しており、看護婦等養成所に対する運営費補助及び施設整備費についても平成四年度予算において大幅に増額しているところであります。(拍手)
   〔国務大臣近藤鉄雄君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(近藤鉄雄君) 西野先生から、基本指針の策定に当たってはILO看護職員条約・勧告の内容を盛り込むべきじゃないかという御指摘がございました。
 看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本指針の内容につきましては、現在、労働省、厚生省及び文部省の三省において検討中でございまして、最終的には関係審議会の意見を踏まえて決定されるものでありますが、ILOの看護職員条約・勧告の内容についても、病院等に必要な看護婦等を確保する観点から参考にできるものがあれば十分に参考にし、その精神を基本指針の内容に盛り込むことが望ましいと考えておりますので、関係各省とも十分に調整しながら、法案が実効のあるものになるよう検討してまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(長田裕二君) 針生雄吉君。
   〔針生雄吉君登壇、拍手〕
#22
○針生雄吉君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました看護婦等の人材確保の促進に関する法律案、社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 医療や福祉の現場では、看護婦さんや福祉に携わる方々が大幅に不足し、月に十回以上の夜勤を強いられるなど働く環境も極めて厳しくなっております。私ども公明党は、高齢化社会を担う人たちのこうした状況を深刻に受けとめ、政府にその改善を何度となく求めてまいりました。特に、看護婦さんの現場に私たちは何回も出向き、その調査をもとに平成二年十月、「あたたかな医療・看護の確立のために――看護職員の確保・待遇改善に関する緊急提言」を行い、政府に対し、医療・福祉の中核となる看護職員の抜本的な養成・確保策の実施を要求しました。また、国会でも、数度にわたって政府の看護職員需給見通しの不備を指摘し、その見直しを迫ってきたのであります。
 その結果、政府は、昨年から新しく看護の日を設けるとともに、週休二日制の実施、夜勤の改善、そして人員基準の達成などを踏まえ、平成十二年までの保健医療・福祉の分野におけるマンパワーの総数を現在の二百二十万人から三百四十六万人にまでふやすことが必要であるとし、また看護職員需給見通しについても、当初、平成六年に看護職員の需要が満たされるとしていた甘い見通しを、当初の見込みから六年おくらせ、平成十二年に百十五万九千人で均衡させたいと目標を改めたのであります。
 しかしながら、私は、平成十二年の時点で百十五万九千人で看護婦の数が十分であるかという点と、果たして予定どおり平成十二年に百十五万九千人を確保できるのか、心配でなりません。この計画を必ず達成するという決意と具体的手段を明示すべきであります。総理の御認識をお伺いしたいのであります。
 さらに、高齢化社会対策の柱となるいわゆるゴールドプランについても、目標だけで実行には不安のみが残ります。政府は、毎年の予算書にゴールドプランの内容、達成状況、総予算を明示し国民にはっきりと知らせるべきであり、何より、従来の各省庁への予算配分枠にこだわるのではなく、重点的な予算配分を行うべきであります。総理の御見解をお伺いいたします。
 さて、今般政府から提出された人材確保二法は、昨年我が党が発表した医療・保健・福祉人材確保法案と比較して不十分なものと言わざるを得ません。
 第一に、人材確保の対象とされる職種からリハビリテーションを担当する理学療法士、作業療法士といった医療関係者が外されたことです。
 成人病を課題とする現代医療では、医師、看護婦とコメディカルと呼ばれる医療関係者との連携によるチーム医療が主流であります。また、看護婦さんを雑務から解放し本来の看護業務に専念していただくためにも、第三のグループであるコメディカルは忘れてはならない職種であります。今回の法案でこれらの人材確保が抜け落ちてしまったのはどうしたわけか、厚生省が考える医療とは一体何なのか、厚生大臣の明確な御答弁をいただきたいと存じます。
 第二に、介護労働者の確保策についてであります。
 政府の縦割り行政そのままに、今回、社会福祉施設職員とホームヘルパーについては厚生省の法案、その他の介護労働者、すなわち家政婦さんや民間事業者については労働省の法案という二本立てになっているようであります。今後の運用に当たる関係大臣から、ばらばらとなった理由と、この二法の関係を御説明願いたいと思います。
 第三は、看護職員の社会的地位の向上についてであります。
 看護職員を専門職として本当に育てるためには、各看護職等の定義と役割を見直し、看護職の養成方法、国家試験の方法、資格等の改善、准看護婦制度の再検討及び看護養成所の指定基準の検討など、現行の保健婦助産婦看護婦法を改正する必要があったのではないかと考えます。今回はなぜそのような抜本的改革を見送ったか、厚生大臣の明確な御答弁を願います。
 また、我が党は、看護職員に関するILO条約第百四十九号の早期批准とそれに基づく勧告第百五十七号の履行を主張してきましたが、いまだ政府においては積極的でないようであります。この際、改めて、条約の早期批准と勧告の完全履行について総理の答弁を求めます。
 第四に、看護活動を充実させるための条件整備であります。
 看護職員の夜勤手当の大幅引き上げや、準夜勤のタクシー代の支給を含む待遇を抜本的に改善する必要があります。また、昭和四十年の人事院判定、すなわち月八日以内二人以上の夜勤体制の完全実施をいりまでにどのようにして実現するのか、厚生大臣は明確にするべきであります。
 さらに、看護職員の心身の疲労の回復、そしてあすへのエネルギーを養うための看護婦リフレッシュ休暇制度や研修休暇制度を創設し、その実施について国は十分な助成を行うべきであると考えますが、関係大臣の前向きな答弁を求めます。
 第五に、看護、介護の職業と出産、育児等との両立についてであります。
 看護婦さんたちがやめていく主な理由として、過重労働、夜勤を含む過酷な勤務条件とともに、出産、育児等の家庭の事情が挙げられています。現在このような理由で年間四万人もの看護婦さんが離職しており、出産、育児等と看護職がともにできるような条件を早急に整備する必要があります。そのためには、育児休業法の所得保障等の実施と、院内保育所の増設や夜間保育の充実を図らなければなりません。関係大臣の御見解をお伺いいたします。
 第六に、介護に携わる人々の社会的地位の向上についてであります。
 社会福祉士、介護福祉士の資格制度は、昭和六十二年に誕生してからその活躍に大きな期待が寄せられております。しかしながら、処遇の問題等で、せっかく資格を取得しても福祉の仕事につかないケースが多いのが現状であります。したがって、養成施設に対して運営費などの助成制度や学生に対する修学資金貸付制度の創設など、公的養成制度を思い切って充実する必要があります。厚生大臣の御見解をお伺いいたします。
 最後に、二十一世紀に向けて保健医療・福祉サービスをどうするのか、またそれらを担う大切な人材をどう確保するのか、それらの位置づけは大変重要な課題であります。総理は、この点について新経済五カ年計画に具体的にどう盛り込まれるのか明快な御答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) 二十一世紀の本格的な高齢社会の到来を目前に控えまして、資質の高い看護婦を十分確保していくことがもとより重要であると考えております。この観点から、昨年十二月に看護職員需給見通しの見直しを行ったところでございますが、平成四年度予算案におきましては、需給見通しを踏まえ看護職員確保対策費を大幅に増額するとともに、診療報酬改定においても特段の配慮をいたしたところでございます。さらに、これらの施策の基盤とするため、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案を御提出いたしたところでございます。今後とも、中長期的視点に立って、看護職員確保対策に取り組んでまいらなければならないと考えております。
 次に、ゴールドプランの内容などを予算書作成の際に明記すべきではないかというお尋ねがございました。
 ゴールドプラン関係経費の中には執行段階で確定されるものが少なくないことなどから、予算書の中において一つ一つお示しすることは困難かと思いますが、しかし、お求めがございますれば、どのような形でお示しすることが可能か、検討させていただきます。資料の作成を工夫するなどの点で適切に対処してまいりたいと思います。
 ゴールドプラン関係経費につきましては、各年度の予算編成において、施策の緊要性等を考慮して、社会経済情勢等を踏まえ財源の重点的効率的な配分に努めてきているところでございます。
 看護職員、介護職員の確保対策を新経済五カ年計画の中にどう具体的に織り込むかということでございましたが、本格的な高齢化社会を迎えるに当たりまして、国民のだれもが健康で心豊かに暮らせる長寿福祉社会の構築を図っていくことは、生活大国の実現のためのいわば基盤とたるものでございます。このような長寿福祉社会を着実に推進していくためには、適時に適切な保健医療・介護が安心して受けられるような環境整備が重要な課題であります。このため、看護職員、社会福祉施設職員、ホームヘルパー等の確保対策を推進していく必要があると考えております。
 このような認識のもとに、現在、経済審議会における新たな経済計画策定作業においてこの点を御検討いただいているところでございます。
 残余の質問につきましては関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣山下徳夫君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(山下徳夫君) 針生議員のお尋ねにお答えいたします。
 まず、今回の法律が看護婦等だけを対象にいたしている点についてお答えいたします。
 今後の人口高齢化の一層の進展等に伴い、看護婦を初めとする医療関係職種を確保していくことは重要なことと認識をいたしております。中でも、特に数の多い看護婦については、夜間労働という業務の特殊性等を考慮した特別の施策が喫緊に求められているところであり、こうした観点から、今回の法案においては看護婦等を対象に所要の対策を講じようとするものであります。なお、理学療法士や作業療法士についても、昨年、医療関係者審議会において見直しをしていただいた需給計画を踏まえ、養成力の拡充に努めてまいりたいと考えております。
 次に、厚生省提出の法案及び労働省提出の法案の関係につきましては、厚生省の法案では、社会福祉事業の適正を確保する観点から、社会福祉事業従事者の確保のための所要の措置を講じることといたしております。このうち、介護労働者につきましては、その業務の特殊性にかんがみ、厚生省の法案における対策に加え、労働省の法案においてその福祉の増進を図る観点から必要な措置が講ぜられることとされており、相互の法案の整合性を確保しながら人材確保のための施策を推進することといたしております。
 次に、保健婦助産婦看護婦法の抜本改正についてのお尋ねでありますが、今回の人材確保法案は、看護婦等の資格制度を前提に、有資格者の方々をいかに確保するかという観点からその促進のための方策を進めるものであります。看護婦等の制度のあり方につきましては時代の要請に応じて見直しを進めてきており、教育内容等についても改善を行うとともに、現在は業務内容の見直しを進めているところであります。
 次に、二・八体制についてのお尋ねでありますが、看護婦等が働きやすい職場づくりを進めることは重要なことと認識をいたしております。平成四年度予算におきましても看護職員確保対策費の大幅増額を図るとともに、今回の診療報酬改定に当たっても所要の措置を講じたところであり、今後とも適切な処遇の実現に努めてまいりたいと考えております。
 次に、看護婦リフレッシュ休暇制度、研修休暇制度についてお答えいたします。
 看護婦等の離職を防止する上で、心身の疲労回復を図るための長期休暇や高度化する医療技術を修得するための研修休暇の導入に医療機関が自主的に取り組むことは望ましいことと考えておりますが、その制度化は、医療機関の運営上の問題もあり、今後の課題であると認識をいたしております。なお、厚生省におきましては、平成三年度から、就業後三年日程度の若手の看護婦等を対象として、心身のリフレッシュと自己啓発の意欲の向上を目的とする二泊三日程度の研修会への補助を行うことといたしております。
 次に、院内保育施設等につきましては、育児の問題は看護婦等が仕事を続けていく上で大きな障害となっていることから、離職を防止する上で院内保育施設の充実を図ることは重要な課題だと認識をいたしております。このため、平成三年度予算及び平成四年度予算案において院内保育施設の運営費補助の充実を進め、補助対象の拡大、夜間延長保育の促進を図るとともに、社会福祉・医療事業団の融資において貸付限度額の加算制度の創設を図ったところであります。次に、介護職員の公的養成制度につきましては、社会福祉士、介護福祉士は施設福祉や在宅福祉の中心的役割を果たすことが期待されるものであり、今後緊急にその養成の強化を図っていく必要があるものと考えております。このため、厚生省といたしましては、養成の基盤整備を図るという観点から、平成四年度において、新たに養成施設の施設・設備整備費を国庫補助対象とするとともに、介護福祉士養成施設の教職員の確保のための施策等を講ずることといたしております。(拍手)
   〔国務大臣近藤鉄雄君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働省、厚生省両省の法案の関係につきましては、厚生大臣からもお話がございましたが、厚生省の法案が社会福祉事業が適正に行われることを目的としておりますのに対しまして、労働省の法案はいわば雇用管理による介護労働者の福祉の増進を目的としておりまして、同時に、単に福祉事業従事者だけじゃなしに、介護サービス業の労働者や、さらには家政婦等を含めた介護労働者を広く対象としているものでございます。両法案それぞれ、観点、対象範囲を異にしておりますけれども目的は同じでございますので、それぞ札整合性を図りながら介護労働力確保に努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、ILO条約百四十九号、すなわち看護職員の雇用、労働条件及び生活状態に関する条約について御指摘がございました。
 実は、政府は従来からこのILO条約につきましては、批准後これを厳正に実施するとの基本方針のもとに、国内法との整合性を確保した上で批准することとしております。本条約につきましては、我が国の現行の法体系と相違する点もございますので、引き続き慎重な検討が必要と考えております。
 百五十七号勧告、すなわち看護職員の雇用、労働条件及び生活状態に関する勧告は、これも百四十九号条約と同じようなことでございまして、さらに細目的な事項についていろいろ決めてございます。具体的な実際的な適用に関する提案を含むガイドラインも中にございますので、これらについても慎重な検討が必要であると考えております。
 最後に、育児休業中の所得保障の問題でございますが、これもいろいろな議論がございますが、実は労働省としてはこの問題は今後研究に値するものと考えておりまして、多角的に検討してコンセンサスを得てまいりたい、こういうことでございますし、最終的には婦人少年問題審議会等で御議論をいただきながら結論を得たいと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○議長(長田裕二君) 沓脱タケ子君。
   〔沓脱タケ子君登壇、拍手〕
#27
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、看護婦、社会福祉施設職員等の人材確保に関する両法案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 看護婦さんが一番うれしいときは、患者さんが元気になって退院するとき、お世話になりましたとあいさつされるときだと聞きます。心から看護のしがいがあったと誇りに思うそうです。老人ホームでは、ふさぎ込んでいたお年寄りが心を開いてくれて、にっこりと笑ってくれたときほど介護の喜びを感じるときはないと聞きました。
 総理、我が国の医療や福祉はこのように勤勉で献身的な関係者の労働に支えられているのです。総理にはこの基本的な認識がおありかどうか、まずお伺いをいたします。
 初めに、看護婦の人材確保法についてお伺いいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 今日の看護婦問題を考えるに当たって、深刻な看護婦不足を引き起こした原因は何か、この点がまず解明されなければなりません。看護婦不足の根本的な要因は、医療の高度化等に対して計画的な養成が不十分であったことと、何よりも、看護婦が好きで続けていたいのだがもう続けられないという離職看護婦の声に代表されているように、劣悪な労働条件にあります。夜勤は二人、月八日とした人事院の判定が二十七年を経た今日でもまだ実現されず、離職者は毎年四万六千人にも及んでいます。このように労働条件の改善を怠ってきた政府の責任は極めて重大であります。総理はこの責任を痛感されているのかどうか、答弁を求めます。また、第三条の基本方針に定める処遇の改善は、その実効性を保障し看護婦さんたちの励みとするためにも、週休二日制、週四十時間労働制の確立、夜勤は二人以上で月八日以内とするとともに、給与改善の方向等をなぜ法律に明記しなかったのですか。せめて指針にはこれらの点について明らかにする必要があると考えますが、厚生大臣及び労働大臣の御答弁を求めます。
 次に、看護婦の養成の拡充強化について伺います。
 現在、看護学校への入学希望者は定員の三倍以上あります。人材確保のために、特に公的養成所の新増設を急ぐ必要があります。また、学生対策として、現在一万人程度である奨学金貸与人員を大幅にふやすこと、これは努力するべきであると考えますが、いかがですか。
 看護婦、准看護婦という二つの身分制度もこの機会に廃止し、養成制度を一本化すべきではありませんか。准看護婦は日本の看護婦総数の半数近くを占めています。看護婦と事実上同じ仕事に従事しながら、賃金の上でも少なくない格差があります。そうした現状を残したままで、どうして誇りを持って働けなどと言えるのでしょうか。一本化に踏み切る準備がおありかどうか、明確な御答弁を求めます。
 あわせて、宿舎の改築や院内保育所対策の強化も図る必要がありますが、厚生大臣の御見解を伺うものです。
 政府は、看護婦の需給計画を見直し、二〇〇〇年には需要数は百十六万人になると発表いたしました。この需給見通しは現行の配置基準でぎりぎりの勤務体制を前提とした竜ので、日本医療労働組合連合会では百五十万人が必要だと批判をいたしております。
 先進諸国の正看護婦配置の現状は、病床百床当たりアメリカは我が国の三倍です。フランス三・八倍、イギリス二・二倍という状況です。逆に言えば、我が国の正看護婦はこれらの諸国と比べて四分の一から二分の一の人員で看護していることになります。准看護婦数等を加味いたしましても、我が国の看護婦さんがいかに労働強化であるかが明白ではありませんか。
 この際、四十年も前に定めた看護婦一人に対して患者四人という基準を、三交代に換算いたしますと看護婦一人で十二人の患者を看護するという現行の看護婦配置基準を、二人に一人とする等に見直すことが根本的検討課題ではないでしょうか。
 また、民間病院看護婦の処遇の向上のためには毎年診療報酬の改定をすることがどうしても必要です。この点について厚生大臣の方針を伺います。
 次は、社会福祉施設職員等の人材確保法についてであります。
 社会福祉施設もまた民間任せで、その上、社会保障に対する国の負担を削減することを主な目的とする臨調行革によって、入所の本人負担の増加と職員の低賃金などの矛盾が大変拡大してきております。第七十条の五は、単に「国及び地方公共団体の措置」と規定し、なぜ「責務」と規定しなかったのかという点であります。措置と責務では国及び地方公共団体の姿勢にもかかわる問題であり、看護婦確保法と同様に責務規定とするべきであります。なぜ責務としなかったのか、御答弁を求めます。
 民間社会福祉施設職員の労働条件を見てまいりますと、決して高いとは言えない公務員の賃金に準じているものさえわずか半数にしかすぎません。ボーナスも公務員に比べますとかなり低い水準にあります。労働時間の短縮を含めて大幅賃上げなどの改善が急がれるというのが現状でありますが、厚生大臣の認識をお伺いいたします。
 全国社会福祉協議会では勤務条件改善目標十カ条というのを定めて国及び地方公共団体に予算上の裏づけを要望いたしておりますが、政府にはこの要望に誠実に応じなければならない責務があると思います。総理の御決意を伺うものです。
 ヨーロッパ諸国に比べて著しく見劣りのする社会福祉施設の職員配置基準と退職金制度もまた改善をする必要があります。ホームヘルパーの処遇改善も緒についたばかりであり、引き続き努力が求められています。退職金制度適用者はわずか七千人であり、適用拡大を図る必要があります。この点もあわせて御答弁を求めます。
 私は、最後に、ILO看護職員条約の早期批准を要求し、我が党は今後とも看護、福祉関係職員の大幅な増員と労働条件向上のため努力することを表明いたしまして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(宮澤喜一君) 申し上げるまでもなく、医療や福祉のサービスは人を相手にするサービスでございますし、しかも人手に頼る部分が多うございます。したがいまして、それは関係者の真心と御労苦によって支えられているということはよく認識をいたしております。
 次に、看護婦不足の要因でございますが、医療が高度化をいたします。また専門化をいたします。そして高齢化が進展をいたします。病院以外にも看護婦さんの就業の場が多くなってまいります。病院自身は病床が増加をするというようなことでございますから、看護婦さんの需要が大きく増加いたしましたために不足が甚だしいというのが現状と思います。したがって、今後看護婦さんを確保していくために、働きやすい職場をつくる、養成力を強めていく、あるいは就業の促進等々総合的な確保対策を進めなければならないと考えておるところでございます。
 それから、勤務条件等改善目標十カ条ということについてお話がございました。社会福祉法人等が自主的に社会福祉事業従事者の待遇、勤務条件等の改善を図るための指針として定められたものでありますが、あわせて国、地方公共団体に対して予算措置等について御要望があることは承知をいたしております。社会福祉事業従事者の勤務条件等の改善については、従来から給与の改善等所要の改善を図っているところでございますが、今後とも、福祉関係団体の御要望もよく念頭に置きながら、今回の法律改正の趣旨を十分踏まえまして福祉の人材確保の促進が図られるように所要の改善に努めてまいりたいと思います。
 あとの問題につきましては関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣山下徳夫君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(山下徳夫君) 沓脱議員にお答えをいたします。
 処遇の改善につきましては、週四十時間労働制の確立、夜勤回数の軽減などもその要素の一つであると思いますが、処遇改善の方法は幅広いものであることから法文上明記せず、処遇の改善に関する事項といたしております。
 また、給与の改善につきましては、個々の医療機関において経営状況等を踏まえ労使間で決められるものであると考えております。
 なお、この基本指針につきましては、関係審議会の意見等を踏まえてその内容を定めていきたいと考えております。
 次に、看護婦等の養成の拡充強化につきましては、看護婦等の確保を図る上で重要なことであると認識いたしております。このため、平成四年度予算案においては、公私立の看護婦等養成所施設整備費の充実、修学資金の貸与人員の拡大に努力をいたします。
 次に、准看護婦の問題についてのお尋ねでありますが、准看護婦制度の廃止につきましては、長い間議論してきたにもかかわらず関係者の間で意見がまとまっていない問題であります。このため、今後とも医療関係者の意見を聞きながら慎重に対応する必要があると考えております。
 次に、看護婦の宿舎や院内保育所につきましては、看護婦等の福利厚生の充実を図り働きやすい職場づくりに努めることは重要であると認識をいたしております。このため、平成四年度予算案においては、子供を育てる看護婦等が働き続けることができるよう病院内保育施設の運営に対する補助の拡大を図るとともに、社会福祉・医療事業団の貸し付けに当たり看護婦等の宿舎について配慮することといたしております。
 次に、看護婦の人員配置の標準につきましては、各病院に対してその遵守を指導しておりますが、十分に充足しているとは言えない現状であります。このため、看護婦等の確保対策に尽力するとともに、まず現在の水準が全病院で遵守されるよう指導監督に努めてまいりたいと考えております。
 なお、人員配置の標準につきましては、今後さまざまな角度から慎重に検討する必要があると考えております。
 次に、診療報酬についてのお尋ねでございますが、診療報酬の改定は従来より、中央社会保険医療協議会の御審議を踏まえ、医業経営の実態や賃金、物価の動向などを総合的に勘案し、おおむね二年に一度行ってきているものであります。今後とも、同協議会の御審議を踏まえながら適切に対応してまいる所存であります。
 次に、社会福祉事業法の改正案の国及び地方公共団体の措置の規定についてのお尋ねでありますが、社会福祉事業法におきましては既に基本理念等が規定され社会福祉事業全体に通じる責務が定められていることから、今回の改正案におきましては、社会福祉事業従事者の確保を促進するためのより具体的な措置を規定するという意味で「国及び地方公共団体の措置」としたものであり、看護婦等の法律案と同様の国等の責務を定めるものといたしております。
 次に、社会福祉施設職員の待遇改善につきましては、施設運営費である措置費において従来より改善を図っているところであります。
 給与につきましては、従来より国家公務員に準拠した改善を図るとともに、特に寮母等直接処遇職員につきましては職務の困難性に応じて特殊業務手当等の加算を行っているところであり、またその勤務条件については、平成四年度においては週九十分の勤務時間の短縮を図ることといたしております。今後とも、今回の法律改正の趣旨を十分踏まえ、所要の改善に努力してまいりたいと考えております。
 次に、社会福祉施設職員の配置基準等についてのお尋ねでございますが、社会福祉施設の職員配置につきましては、施設個々の需要に合わせた改善を図ってきているところであります。また、民間の社会福祉施設職員に対する退職手当共済制度についても、対象施設の範囲拡大や計算基礎額のランクの引き上げ等、逐次改善を図っているところであります。
 ホームヘルパーの処遇については、平成四年度に手当額の大幅な引き上げ等を行うこととしているほか、今回の法律改正により新たに退職手当共済制度の加入対象とすることといたしておる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣近藤鉄雄君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘のように、法第三条で、看護婦等の確保を促進するための基本指針を定めるということで、第二項に「病院等に勤務する看護婦等の処遇の改善に関する事項」、こうなってございますが、週休二日制、週四十時間労働制の確立は、看護婦に限らず、これから広く我が国労働者に労働条件の中で採用していかなければならないものでございますが、特に看護婦さんについてはこれは大事な問題だと思いますので、この具体的な指針の中で十分取り組むように、関係審議会等の意見を踏まえながらこれから検討してまいりたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#31
○副議長(小山一平君) 乾晴美君。
   〔乾晴美君登壇、拍手〕
#32
○乾晴美君 私は、連合参議院を代表いたしまして、ただいま議題となりました看護婦等の人材確保の促進に関する法律案外一件に対しまして質問を行います。
 高齢化の進行は着実にやってまいります。最新の人口推計では、ゴールドプランが策定されたときよりも高齢化の進行がもっと速いと予測されています。高齢化の進行とともに、保健医療・福祉における人材がますます求められております。この認識は、現在では政府も変わらないと思います。私たちは、ゴールドプランが策定されたときから人材不足の問題を指摘してまいりました。今回の政府の人材確保に対する法案の提出は遅きに失した感さえあります。
 厚生省は、今回この人材確保法案を提出する前提として、看護婦、社会福祉施設職員、ヘルパー等の需給についてどのように認識しておられますか。
 看護婦については、昨年の十二月に発表されました厚生省の需給見通しによりますと、平成五年に最も不足状況が厳しく、平成十二年になってようやく需給のバランスがとれるということですが、今回の法案によってそれが達成されるのでしょうか。また、理学療法士、作業療法士、ホームヘルパー等社会福祉関係の職員の需給見通してはどのようになっておられますか。まず、法案提出の前提の認識を厚生大臣にお伺いいたします。
 看護婦の人材確保については、しばしば潜在看護婦の再就職促進が言われております。厚生省の考えでも、潜在看護婦の掘り起こしについては重要な施策の柱の一つとして位置づけられていると思います。しかし、その前に、なぜ四十万人もいると言われているほどの看護婦が潜在化してしまったのでしょうか。すなわち、どうして看護婦さんは毎年そんなにも多くやめていくのでしょうか。看護婦需給見通しては、およそ六%もの看護婦さんが毎年その職場から離れていっております。この原因をどのように厚生、労働両省は把握しておられるのでしょうか。
 見通しては、平成三年の離職率と平成十二年の離職率の差はわずか〇・七%の改善にしかなっておりません。有効な離職対策はないということなのでしょうか。私の認識ではその原因の最大のものは処遇にあると思いますが、所管大臣の御答弁を求めます。
 次に、看護婦人材確保法におきまして六項目にわたる基本指針を、また社会福祉事業法におきましても四項目にわたる基本指針を設けることとなっておりますが、それだけでは人材確保が国民の医療や福祉の向上にとってどのような具体的な意味を持つのかがはっきりいたしておりません。この法案で人材を確保したいということはわかりますが、それ以上のことは全くわかりません。入院の場合、行き届いた看護や介護が受けられるようになるのでしょうか。付き添いさんを無理につけさせられるということもなくなるのでしょうか。デイサービスはだれでも気軽に利用できるというのでしょうか。
 法律の目的には、「保健医療の向上に資する」ということがはっきり言われております。しかし、厚生大臣、この法律の目的とするところをだれでもわかるように具体的にお示し願いたいと思います。
 私は、先ほど離職の原因は処遇の問題であると申しました。処遇には給与及びその他の労働条件が挙げられると思います。看護婦さんの給与につきましては、四月一日から診療報酬が改定されますが、その中で看護婦さんたちにかかわる分が全体の引き上げのうち二・六%織り込んであるとの説明がなされております。しかし、一方では、診療報酬の引き上げ分が必ずしも看護婦給与にははね返らないとも言われております。この点につきまして、厚生省はどのような指導を行う考えでしょうか。聞くところによりますと、病院経営の中にまでは入り込めないとのお考えであるとも聞いておりますが、いかがですか。
 現在、女性の職場は多様化しております。人手不足がそここで言われております。その中で看護婦さんを確保するには、看護業務の質、密度にふさわしい給与が支払われるべきです。特に、看護婦さんは国家試験の有資格者ですので、それにふさわしい処遇がなされてしかるべきであると思います。看護婦の確保が本当に必要であると切実に認識しておられるならば、消極的なお答えにはならないと思います。大臣の誠意ある答弁を求めます。
 次に、その他の労働条件についてであります。
 この問題での代表的なものは、いわゆる二・八の問題です。二人以上複数勤務で万八回以内の勤務をということが看護婦さんたちの要求でありますが、大臣、二人だけで万八回以上も夜間勤務をすることがどんなに大変なことかおわかりいただけますか。
 例えば、五十床の病棟で患者が夜間に平均二回のナースコールを行いそれぞれ平均十分の処理時間が必要であるとするならば、その仕事時間量は一千分、夜勤の看護婦さんは一人五百分の仕事時間量となります。五百分とはすなわち八時間二十分です。八時間の日中の勤務時間を上回る仕事時間量です。昼間働いていても、昼食の時間や休憩時間があります、それが、本来睡眠をとるべき夜間に休憩をとる時間もたく、昼間の勤務以上の仕事を万八回以上も行うわけです。この業務状況を改善することなくして看護婦さんの職場定着が図れるというのでしょうか。二人以上複数勤務で夜勤回数は月六回以内を目標に、当面速やかに月八回以内にすることを強く要望いたします。
 このことは基本指針の中に明記されるべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。基本指針を定めるに際しましては医療関係者審議会などの意見を聞くことなどが定められておりますが、その前に厚生省として、厚生大臣としてどのような基本指針を定められるお考えであるかをお伺いいたしたいと思います。
 あわせて、ILO看護婦条約の批准についてはいつまでに行う予定ですか、大臣の御答弁を求めます。
 看護婦の給与等労働条件の大幅な改善を柱に総合的な施策を講じるべきであり、看護婦の業務そのものにつきましても再考すべきであります。平成四年度予算におきましては看護婦業務見直し事業に二千七百万円の新規予算がつけられておりますが、レセプト処理や配膳業務など、看護婦の業務としてもっと合理化すべきであるのに行っていないことが看護婦の労働条件をより厳しいものにしていると言われております。看護業務の範囲について、厚生省はどのようにお考えですか。
 このほか、看護婦等の社会的評価を高める対策もとられると聞いておりますが、病院内の地位はどのようにして引き上げようとしておられますか。大臣、医師が全能ではなく、看護婦さんが自主的に自分の判断でよりよい看護を行えるような条件づくりにどのように取り組んでいかれるお考えですか。前向きにこの答弁をお願いいたします。最後に、保健医療・福祉人材確保は政府全体で取り組むべき課題であり、内閣直轄の対策本部を設置すべきであると考えますが、総理大臣、いかがでしょうか。
 看護婦につきまして多くを伺いましたが、これらの問題は社会福祉施設職員についても同じことが言えると思います。
 今回議題となった法律案だけで十分であるとは思えませんが、少なくとも取り組んでいくという姿勢は評価したいと思います。今後この法案をいかに具体化するかが課題であり、また、今年度をスタートに今後も継続して取り組みを進めるべきであることを指摘いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、二〇二〇年には国民の四人に一人が六十五歳以上という高齢化社会が到来することが見込まれておりまして、このような本格高齢化社会においてすべての国民に対して適切な保健医療・福祉サービス等を提供することは、従来御指摘になってこられましたとおり、緊急の政策課題となりております。そのためには、これに必要な人材の確保を図っていくことが極めて重要でございます。特に、近年の出生率の低下に伴い二十一世紀には若年労働力の減少が見込まれておりますこどから、関係省庁が一体と在った総合的な確保対策を今から着実かつ強力に推進することが必要だと考えております。
 とりわけ、医療の高度化、専門化に伴い既に不足が生じております看護職員の確保や、ゴールドプランを推進していく上で不可欠な社会福祉施設職員及びホームヘルパーの確保などについては、最重点課題としての取り組みが必要となっております。
 このため、平成四年度予算や今回提案した法案におきましても、これらの人材の確保を推進すべく、勤務条件等の改善、養成力の強化、就業の促進、社会的評価の向上などのための各般にわたる対策を、厚生省、労働省を初め関係省庁が協力して進めることといたしており、今後とも政府部内一体となりまして一層の連携の強化を図ってまいりたいと考えております。
 残りのお尋ねにつきましては関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣山下徳夫君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(山下徳夫君) 乾議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、需給についての認識でありますが、高齢者保健福祉推進十カ年戦略等を推進するとともに医療の高度化、専門化に対応していくためには、看護婦等やホームヘルパー等社会福祉施設職員の確保を着実に進めていく必要があります。このうち、看護婦等については、昨年十二月に公表した看護職員需給見通しの見直しでは平成三年末において約七万人の不足が生じているものと考えており、早急に確保を図ることが求められております。また、社会福祉関係職員についても、高齢者保健福祉推進十カ年戦略の実現のためには、平成二年度から十一年度の間にホームヘルパー約七万人、寮母、介護職員約十一万人の確保が必要であり、現段階から着実に確保を進めることが不可欠であると認識をいたしております。
 次に、看護婦等の離職についてのお尋ねでありますが、その理由としては、結婚、出産、育児や夜間勤務等によることが多いと考えており、看護職員の離職を防止しその確保を図ることが非常に重要なことであると認識をいたしております。このため、院内保育施設の充実、看護婦宿舎の整備等の諸施策を講じてきているところでありますが、今後とも医療機関の理解を得ながら看護職員が働きやすい職場づくりを進め、離職の防止に努めてまいりたいと考えております。
 次に、この法律の目的とするところについてであります。
 二十一世紀の本格的な高齢社会の到来に備え、適切な保健医療サービス、福祉サービスの提供を確保するため高齢者保健福祉推進十カ年戦略の推進等を行っているところであります。今回提出いたしました両法案は必要なサービスを適切に提供するための関係職員の確保の促進を図ることを目的とするものであり、基本指針においてはその確保のための措置を定めることといたしております。
 次に、看護婦の給与の改善策についてのお尋ねでございますが、今回の診療報酬改定の内容を効果的なものとするためには、各医療機関において改定の趣旨を十分に御理解いただき実施してもらうことが重要であると認識いたしております。このため、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案において、国が定める基本指針の中に看護婦等の処遇の改善に関する事項を盛り込むことといたしております。
 今後は、基本指針に基づいて、国、地方公共団体が医療機関に対して必要な助言、指導を行うことにより看護婦の処遇の改善に努めてまいります。
 夜勤の改善についてのお尋ねでありますが、看護婦等が働きやすい職場をつくっていくことは、適切な医療を提供する上で重要なことであると認識をいたしております。基本指針については、処遇の改善、資質の向上等の事項を盛り込む考えであり、夜勤負担の軽減も課題であると考えておりますが、具体的内容については、関係審議会、都道府県の御意見をお尋ねしながら定めていきたいと考えております。
 次に、看護業務の範囲についてでありますが、高齢化の進展、若年人口の減少を背景に看護職員の確保が今後一層重要になっていく中で、看護職員が本来行うべき業務のあり方を考えることは重要なことであると認識をいたしております。このため、平成三年度から看護業務検討会を開催し、合理的な看護業務のあり方、他職種との連携、機械化による業務負担の軽減等について検討を進めてまいります。また、平成四年度予算案においては、数カ所の医療機関において看護業務の改善をモデル的に実施し実証的検討を行うことといたしております。
 看護職員の社会的評価の向上につきましては、看護職員の資質の向上を図るとともに、医療関係者を含め国民一人一人が看護に対する理解を深めることが重要であると考えております。このため、平成二年度から新しい看護教育カリキュラムに基づき教育内容の充実に努めるとともに、看護に対する国民の理解を深めるため、平成三年度に看護の日を制定したところであります。(拍手)
   〔国務大臣近藤鉄雄君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(近藤鉄雄君) 大勢の看護婦さんがおやめになる問題につきましては、厚生大臣からお話がございました。厚生大臣もおっしゃいましたけれども、結婚とか出産、育児、それから夜勤回数での不満とか労働時間が不満、こういったまさに雇用管理が重大な問題でございますので、こういったものの改善をするために、労働省としても関係省庁といろいろ今後調整しながら施策を推進してまいりたい。
 また、離職していらっしゃった看護婦さんに積極的にまた仕事についていただくために、実は労働省では平成四年度予算の中で福祉重点ハローワーク構想というものを予算化していただいて、これで重点職業安定所で就職希望の看護婦さん方の登録やまた職業紹介、いろいろなことをやって、積極的に第一線に出ていただく措置を講じたいと考えております。
 それから、ILO条約の問題もございます。これは針生先生にも御答弁申し上げましたけれども、我が国はILO条約を批准したらこれは完全に守れるということでやっているわけでございますが、この百四十九号の問題は、本条約では看護職について他の労働者と同等またはそれ以上の条件を享受することとされているわけでございますが、現行の我が国労働基準法においては、女子の深夜業は一般に禁止されておりますけれども保健衛生業に従事する女子については深夜業が認められているだとか、また休憩は一斉に与えるのが原則であるが保健衛生業、看護婦さんを含めては一斉休憩の原則が適用除外されている、こういった問題がございますので、こういった問題で国内的ないろんな法制の調整もありますのでこれはいろいろ慎重に検討させていただきたい、こういうことでございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#36
○副議長(小山一平君) 勝木健司君。
   〔勝木健司君登壇、拍手〕
#37
○勝木健司君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、ただいま議題となりました看護婦等看護職員並びに社会福祉事業従事者の人材確保二法案につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 厚生省の調査によりますと、七十五歳以上の老人の自殺率は日本はハンガリーに次いで二番目に高い国であります。お年寄りに対してもっと温かい対策が講ぜられているならば、このような状況は恐らく生まれてないでありましょう。人口の高齢化が叫ばれて久しいにもかかわらず、高齢化社会の到来はスローガンだけが先行して、高齢者のための具体的な施策をどのように進めていくのか、政府は国民に十分な説明をしてきておりません。
 高齢者保健福祉推進十カ年戦略が策定されたのはつい二年前のことであります。しかも、この内容には多くの問題点があり、私は当時これを具体的に指摘いたしました。すなわち、年次計画がないこと、マンパワー確保の有効な対策がないこと、雇用、住宅、教育対策などとの連携がないこと、公共部門と民間部門、そして個人の役割などのあり方が明確でないこと、地域の実情の相違を考慮に入れていないこと、社会保障費用と負担のあり方が不明確であることなどであります。
 今回、政府はマンパワーの確保対策という一部分についての対策を示したのでありますが、これで十分とは到底申せません。宮澤総理が生活大国への前進を内政の最重要課題と言うのなら、ゴールドプランの着実な実施とともに、二十一世紀を見通した長期的な展望に立った社会保障の総合プランを示すべきと思うのであります。私は政府に、高齢化社会における我が国のあるべき姿を総合的に示した福祉ビジョンの策定を求めるものでありますが、総理の明快なる御答弁を求めます。
 高齢化社会が急速に進展する中で、社会保障に要する経費が増大することは避けられません。しかしながら、国の予算に占める社会保障関係費の割合は昭和五十五年度の二〇%をピークに年々落ち込み、平成四年度予算は一七・六%まで低下いたしております。しかも、平成四年度予算における社会保障関係費の伸び率は一般歳出の伸び率を下回っており、実に十三年ぶりに福祉が圧迫されたのではないかと思うのでありますが、社会保障における国の財政上の責任について総理はどのような基本的考え方をお持ちなのか、お伺いをいたします。
 現在、看護婦、ホームヘルパーや社会福祉施設に働く従業員等の人材確保は一段と深刻化しており、現状と目標との間には大きなギャップが存在をいたしております。若年労働力人口の低下など我が国社会全般が人手不足となっている中で、いわゆる三Kと言われるように、休息抜きの長時間労働、夜勤の連続などの過酷な労働を強いられる反面、労働にふさわしい待遇が得られていないということに大きく起因していると言わなければなりません。このまま放置するならば、我が国の高齢化社会は人材面から崩壊することは必至であります。私は、この見地から何点か質問いたします。
 第一に、在宅福祉サービスのマンパワーの確保につきまして、政府は十カ年戦略でホームヘルパー十万人という目標を示しております。しかし、国民には実感としてどのような在宅介護が保障されることになるのか伝わってまいりません。仮にこれが実現されたとして、我が国の要介護者を十分に介護できるマンパワーが確保されることになるのか、また、スウェーデンなど福祉先進国と比較してどのようなものになるのか、お示しいただきたい。
 第二に、マンパワーの確保のために欠落してはならない重要な視点は、看護や介護という仕事を魅力ある職業にしていかなければいけないということであります。
 ややもすると暗いイメージでとらえられがちなこれらの職業に対する国民の意識を改め、自信と誇りを持って働くことができるよう地位の向上等を図っていかなければなりません。政府案は看護婦や社会福祉施設で働く人々に専門職としての地位を確立するという目的意識が欠けているのではないかと思うのでありますが、政府はどのような見解をお持ちなのか、お伺いいたします。
 第三に、優秀な人材を確保するのに必要な条件は給与水準の保障であります。
 北欧諸国の看護婦の給与水準は医師の約三分の二の水準であると言われておりますが、これに対して我が国の看護婦の給与は一般事務職員以下の水準にとどまっているというのが実態であります。看護や介護の評価を高め良質の看護や介護を提供するためには、少なくとも一般勤労者の賃金水準を上回るような措置を講ずることが必要であります。この見地から、公務員については現行の給与体系を抜本的に改めその改善を図っていくことが重要であると考えます。また、民間の社会福祉事業に働く人々につきましても国としての必要な改善措置を講ずるべきであります。
 さらに、先般の社会保険診療報酬の改定につきまして、私は診療報酬の改定が看護職員などの処遇改善にストレートに反映するようだ制度や指導が不可欠であると思うのでありますが、これらの点につきまして、総務庁長官並びに厚生大臣の答弁を求めます。
 第四に、労働時間の短縮と労働環境の改善についてお伺いいたします。
 厚生省の保健医療・福祉マンパワー対策本部中間報告によりますと、看護婦の平均夜間勤務日数は一人一月当たり八・二回となっており、十・一回以上のところも一三%あると指摘をいたしております。また、社会福祉施設職員も週に二日は夜間勤務を行っているという結果が示されております。恐らく実情はそれ以上に厳しい勤務実態ではないかと推測されますが、この夜勤に象徴される労働時間を短縮することが緊急の課題であります。
 政府は、労働時間短縮、特に夜勤回数の減少、週休二日制、週四十時間労働の実現にどう取り組もうとされておられるのか、その手順、内容をお示しいただきたい。また、労働環境の改善についてどのような施策を考えておられるのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、今回人材確保法案が提出されたこと、そしてまた平成四年度予算案におきまして人材確保対策に一定の前進が見られたことは評価できるといたしましても、これら二法案が本当に実効性があるかどうかは今後の施策にゆだねられていると思います。また、これら人材確保対策は継続して実行すべきであり、政府が一体となって取り組むべきものと考えますが、宮澤総理並びに厚生大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(宮澤喜一君) 生活大国への前進にはゴールドプランの着実な実現が極めて重要であるという御指摘でございました。私もそのように考えておりまして、二十一世紀までの残された期間内に着実にその推進を図ってまいりたいと思っております。
 なお、いわゆるポストゴールドプランとしての福祉ビジョンを策定すべきなどのお話でございましたが、政府としては既に昭和六十一年に長寿社会対策大綱を閣議決定いたしました。また、昭和六十三年にはいわゆる福祉ビジョンを国会に御提示申し上げたところでありまして、ゴールドプランの推進とあわせまして、これらに掲げた各種施策の実現を図っていくことに当面全力を傾注いたしたいと思っております。
 次に、社会保障制度については、二十一世紀の本格的な高齢社会においても安定的かつ有効に機能することができますように各制度における合理化、効率化等を図るとともに、高齢者保健福祉推進十カ年戦略の着実な実施や保健医療・福祉マンパワー対策の推進など、豊かな長寿福祉社会の実現を目指して必要な施策について重点的に拡充を図ってきたところであります。その結果、一般会計に占める社会保障関係費の割合は平成四年度政府予算案で一七・六%、一般歳出のうちでは。三三%と、政策的経費の中で最大のものとなっております。
 今後とも、社会保障制度を将来にわたり揺るぎない制度とするための必要な改革は進めていかなければならないと考えておりますが、国の果たすべき役割を遂行するための必要な財源の確保には十分配慮をしてまいる考えでございます。
 なお、すべての国民に対して適切な保健医療・福祉サービスを提供するためには、必要な人材の確保を図っていくことが極めて重要であります。殊に、近年の出生率の低下に伴いまして、二十一世紀になりますと若年労働力が減少いたします。それでありますから、余計に関係各省庁が一体となって総合的な確保対策を今から着実に推進することが必要と思っております。このため、平成四年度予算や今回提案いたしました法案におきましても、これらの人材の確保を推進すべく、勤務条件等の改善、養成力の強化、就業の促進、社会的評価の向上などのため各般にわたる対策を厚生省、労働省初め関係省庁が協力して進めることとしておりまして、今後とも政府部内で一層の連携の強化を図って一体となってやってまいりたいと考えております。
 残余のお尋ねにつきましては関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣山下徳夫君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(山下徳夫君) 勝木議員にお答えいたします。
 在宅介護サービスの水準につきましては、諸外国との比較は、同居率等の社会的な諸条件の違いがあり単純に比較することは困難であると考えております。しかしながら、十カ年戦略の達成によりホームヘルパー、デイサービスなどの在宅サービスを組み合わせて提供することにより、介護を要する高齢者ができる限り自立した生活を送れるような条件が整うものと考えております。
 具体的には、例えば在宅の寝たきり老人の場合、ホームヘルパーは週四回から六回程度、デイサービスは週一、二回程度、ショートステイは年に六回程度といったサービス提供が可能となるものと考えております。
 次に、専門職としての地位の確立についてであります。
 国民の求める良質な保健医療・福祉サービスを的確に提供していく上で、看護や介護に携わる方々は極めて重要な役割を担っておられるものと認識をいたしております。こうした方々が自信と誇りを持って働いていただくためには、その知識、技能の向上の機会を確保するとともに、その業務について国民の理解を深めていただくことも重要な問題だと考えております。
 こうした観点から、今回の法律案においても、基本指針において資質の向上に関する事項を定めることといたしておりますほか、国民の理解を深めるための措置に関しても定めていくことといたしております。
 次に、民間の社会福祉施設職員の給与についてのお尋ねでございますが、従来より施設運営費である措置費において国家公務員に準拠した改善を図っているところであり、特に寮母等の直接処遇職員についてはその職務の困難性に応じて特殊業務手当等の加算を行っているところであります。また、ホームヘルパーの手当についてはその改善に努めてきたところであり、平成四年度においても大幅な引き上げを図ることにいたしております。今後とも、今回の法律改正の趣旨を十分踏まえ所要の改善に努めてまいりたいと考えております。
 次に、診療報酬についてのお尋ねでございますが、今回の改定においては看護関連に特段の配慮を払ったところであり、点数上も勤務条件の改善につながるよう配慮しているところであります。
また、改定の実施に際し関係者に今回の改定の趣旨を十分に周知するよう配慮しているところであります。
 なお、看護職員の勤務条件の改善を図るため、本法案において基本指針の策定及びこれに係る指導等も行うことといたしております。
 次に、保健医療・福祉事業にかかわる労働者の労働環境の改善についてお答えいたします。
 看護婦等、社会福祉施設職員が働きやすい職場づくりを進めることは重要なものと認識をいたしております。このため、看護婦等の労働時間の短縮、夜勤回数の軽減が図られるよう、平成四年度予算案において看護職員確保対策費の大幅増額を図るとともに、今回の診療報酬改定においても必要な配慮を行ったところであります。また、社会福祉施設職員についても、平成四年度予算案において勤務時間の短縮等を図っているところであります。
 さらに、現在国会に提出している人材確保のための両法案に基づき、今後とも息長く処遇の改善に努力していくことといたしております。
 次に、今回の法案の実効性につきましては、両法案の趣旨を踏まえ今後とも人材の確保を推進するよう、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等、各般にわたる施策を推進することが重要であると認識をいたしております。
 また、人材確保につきましては関係省庁が一体となって総合的に取り組んでいくことが必要であると考えており、各般にわたる対策を関係省庁と協力して進めてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣岩崎純三君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(岩崎純三君) 国家公務員でございます看護婦の給与につきましては、その職務の特殊性を考慮いたしましてこれまでも種々改善を図ってまいりましたが、今日重要な課題となっている看護婦の人材確保の問題にも配慮をいたしまして、昨年の給与改定におきましては看護婦に適用される医療職俸給表(三)につきまして幅広い改善措置を講じてまいったところでございます。
 また、国立の福祉施設に勤める保母、介護員等の職員につきましては行政職俸給表が適用されておりますけれども、職務の特殊性を考慮いたしまして俸給表の金額の一定割合をプラスして俸給月額の水準を補完、調整しており、相応の配慮がなされております。
 俸給表の新設等、国家公務員の給与につきましては従来から人事院が所要の調査等を行った上で検討いたし国会及び内閣に対し勧告することと相なっております。総務庁といたしましては、勧告が出された場合には、人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立ちまして、国政全般との関連を考慮しながらその取り扱いについて検討いたしてまいりたいと考えております。(拍手)
#41
○副議長(小山一平君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後七時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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