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1992/04/20 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第11号
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1992/04/20 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第11号

#1
第123回国会 本会議 第11号
平成四年四月二十日(月曜日)
   午後零時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十一号
  平成四年四月二十日
   正午開議
 第一 離島振興法の一部を改正する法律案(衆
  議院提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、外国人登録法の一部を改正する法律案(趣
  旨説明)
 一、日程第一
     ―――――・―――――
#3
○議長(長田裕二君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 外国人登録法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(長田裕二君) 御異議ないと認めます。田原法務大臣。
   〔国務大臣田原隆君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(田原隆君) 外国人登録法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 外国人登録法に基づく指紋押捺制度については、昭和六十二年第百九回国会における外国人登録法の一部を改正する法律案の御審議の際、衆参両院の法務委員会においてこれにかわる同一性を確認する手段の開発が求められたところでありますが、正確な外国人登録制度を維持することは外国人の出入国及び在留管理の根幹にかかわるものでありますので、その確認の手段につきましては慎重に検討を進めてまいった次第であります。他方、昨年一月の海部前内閣総理大臣の訪韓の際に、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定に基づく韓国政府との協議が決着し、在日韓国人についての指紋押捺の廃止を含むその内容を取りまとめた覚書に日韓両国の外務大臣が署名いたしたところであります。
 この法律案は、右に述べた経緯を踏まえ、指紋押捺にかわる手段を中心に検討を進めた結果、我が国の社会で長年にわたり生活し、本邦への定着性を深めた永住者及び特別永住者については、鮮明な写真、署名及び一定の家族事項の登録をもって指紋押捺にかえ律令との結論に達したため、外国人登録法の一部を改正しようとするものであり、その改正の要点は次のとおりでおります。
 その第一は、永住者及び特別永住者について、指紋の押捺を廃止し、写真「署名及び一定の家族事項の登録をもって同一性の確認手段とするものであります。すなわち、新規登録の申請の際、これらの者は本邦にある父母及び配偶者の氏名等を家族事項として登録することとするとともに、十六歳以上の者は登録原票及び署名原紙に署名することとするものであります。
 その第二は、永住者及び特別永住者について、登録の手続及び登録証明書の様式に関する規定を整備することであります。すなわち、これらの者から新規登録等の申請があった場合における登録原票への登録、登録事項の確認、新たな登録証明書の交付等に関する手続規定を整備するとともに、登録証明書には署名を転写することとするものであります。
 その第三は、登録の確認申請の時期に関する規定を整備することであります。新たに永住許可または特別永住許可を受けた者が登録事項の確認を受けた場合における次回確認申請の時期は、その後の五回目の誕生日から三十日以内とするとともに、署名をしていない者の次回確認申請の時期は、新規登録等を受けた日から一年以上五年未満の範囲内において市町村の長が指定する日から三十日以内とするものであります。
 その第四は、不署名罪の規定を設けるなど罰則その他の関連規定を整備するものであります。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院におきまして、居住地等の変更登録義務違反に係る罰則について自由刑を廃止し罰金刑のみとすること及びこの法律の公布の日から施行日の前日までの間に十六歳に達する永住者及び特別永住者について指紋押捺を要しないものとすること等を内容とする修正が行われております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(長田裕二君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。三石久江君。
   〔三石久江君登壇、拍手〕
#7
○三石久江君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました外国人登録法の一部を改正する法律案に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 第二次世界大戦における敗戦から約半世紀、平和憲法のもとで、今や日本は世界第二の経済大国となっております。我が国の国際的役割は急速に拡大し、国際交流の活発化、経済社会の国際化の進展に伴い、日本に入国、滞在する外国人見近年大幅に増加しております。今後とも在留外国人はますます増加していくものと思われ、外国人の人権尊重は一層の重要性を増しております。
 このような状況に照らしてみますと、施行後四十年を迎えようとしている外国人登録法は、このような社会経済情勢の変化、国民意識の変化等に対応し、また外国人の人権尊重の立場に立って、緊急、抜本的に見直すべき時期に来ているのではないでしょうか。
 我が党は、このような認識のもとに、人権尊重を求める国際的潮流を考慮し、我が国が主体的な立場から在日外国人の人権状況を改善していくために、衆議院においては、とりあえず現実的に対処するため、政府原案の内容を改善、敷衍する対案を提出したのであります。最終的には、我が党を初め四党の共同提案により、我が党が対案で主張している内容は修正により一部実現される運びとなり、また、他の事項の多くも附帯決議に盛られましたので対案は撤回いたしましたが、なお本院において我が党本来の考え方の実現を図るように、衆議院送付案に対する疑問点の幾つかを順次お尋ねしていきたいと思います。
 最初に、外国人登録法の目的と意義について伺います。
 外国人登録法の目的につきましては、従前からの政府答弁では、外国人の身分関係及び居住関係を明確に把握することを目的とし、これらの関連事項を登録させる、すなわち、外国人の在留管理のほかに行政目的への利用のためであるとしております。そして、これは日本人と外国人との間の法的な地位の相違に起因するものであり、不正規在留者と区分けする必要があり、その見きわめの手段を確保する必要があるとしてまいりました。
 ここから、現行の写真の提出、指紋押捺の義務づけ、五年ごとの確認制度、外国人登録証明書携帯制度などが採用され、ひいては違反者等に刑事罰を科すという体系ができ上がっているのではないかと思うのであります。これは我が国の行政目的のために外国人を管理するという発想のみで、外国人に対する人権尊重、配慮への感覚が全く欠如している法律立言わざるを得ないのであります。
 外国人登録法は、敗戦後の混乱時期ならいざ知らず、また、指紋押捺制度が導入された一九五二年当時の混乱していた経済社会情勢と現在とがほとんど変わっていないのならともかく、今日我が国の置かれている経済社会情勢や国際的な立場に立って考えれば、その目的、意義については、もはや時代にふさわしいものに見直すべき時期に来ているのではないでしょうか。
 かつて我が党は、外国人登録法の目的を在留外国人に関する行政の円滑化のための法律に改正するよう提案したことがありますが、この点に関する所見を含めて、外国人登録法の目的、意義、今日のあり方について、まず総理の見解、認識を問いたいのです。
 次に、指紋押捺の廃止問題について伺います。
 本案では、永住者等の指紋押捺は、鮮明な写真、署名及び一定の家族事項の登録をもって同一人性の確認手段とすることにより廃止することとしております。一律に一年以上の在留者に対し指紋押捺を義務づけている現行法よりは多少の前進との評価ができるかもしれませんが、これは子細に検討するまでもなく極めて問題の多い改正であると指摘せざるを得ません。
 そこで、伺います。
 政府は、指紋制度の必要性については、不正登録等に対する抑止的効果を含め指紋押捺制度が正確な登録制度の維持に果たしている役割は大きいとし、短期の滞在者に比べて長期、中期の在留者の同一人性の確認ということの必要性はより大きいためであると従来から説明してまいりました。
 ところが、本案では、従来の答弁とは裏腹に、我が国の社会で長年にわたり生活し、本邦への定着性を深めた永住者及び特別永住者については指紋押捺を廃止することとしたいと趣旨説明でも述べております。これは従来の方針を百八十度転換するものなのでしょうか。
 また、必要性のより大きいとしていた長期、中期の在留者とを言える特別永住者の指紋押捺を廃止するのに、従来の説明によればより必要性の低いともとれる他の在留者の指紋押捺を存続させることは、整合性に欠けるのではありませんか。どうして一律廃止ができないのでしょうか。一部で報道されているように、警察庁が治安維持対策等を理由に反対したからなのでしょうか。この際、一律廃止としないことについての明確な説明をいただきたいと思います。
 さらには、廃止に伴い不要となる登録原票等は直ちに廃棄すべきであると思いますが、どのように処置する方針なのか、明確にしていただきたいと存じます。
 また、同一人性の確認手段として、鮮明な写真、署名及び一定の家族事項の登録が要件とされておりますが、写真、署名の詳細は規則事項とされております。趣旨説明で強調している鮮明な写真とは、どのような規格のものを想定しているのでしょうか。署名は、現行登録の氏名における扱いと同様に、原則として漢字またはアルファベットによることを想定しているのでしょうか。民族固有の文字による署名は認めるのでしょうか。これらについては、心理的負担軽減との関係でも十分な配慮が必要であると思いますが、どのような対応を考えているのでしょうか。家族事項の法定範囲についても、どのような考え方のもとに決められたのでしょうか。戸籍のない外国人に家族事項を登録させることの意義はどこにあるのでしょうか。
 また、その他の登録事項は今回どのように検討されたのでしょうか。依然として職業及び勤務所または事務所の名称及び所在地を残す理由はどこにあるのでしょうか。電算機の活用等によって現在では必要な情報は管理できるのですから、少なくとも登録証明書への記載は取りやめるべきではありませんか。
 さらに、登録証明書の携帯義務については、依然改善が図られていないのは大変残念です。日韓覚書は制度自体の法改正を表明しているものではないので、常時携帯について法改正を行わないとしても日韓覚書には反しないというのが政府答弁ですが、これこそ人権感覚の欠如した答弁以外の何物でもありません。日韓覚書で明記されているされていないの問題ではなく、当事者の立場に立って可能な改善を図っていく、それが政治というものではないでしょうか。我が党が対案で提示したように、政令で定める一定の方法で保管することによっても制度が機能するような仕組みを考えていくことこそ、今求められているのではないでしょうか。総理の政治決断を求めたいと思います。
 さて、一番重要なことは、さきの三点によって同一人性の確認を担保できる確率をどのように見ているのでしょうか。指紋は万人不同、終生不変ですから絶対的な担保であるとしてきた方針は転換し、より必要性の大きいとしていた長期、中期の在留者でさえ、この程度の確認手段による蓋然性で十分であるということなのでしょうか。指紋制度を導入してから他人の登録証明書を不正使用した例は一件もないというのが過去の国会答弁でありますが、今回、プラスチックカードにより、偽造、変造、不正使用も今後は極めて困難になることは容易に推定できます。この面からも、指紋押捺による同一人性確認の必要性は、もはや理屈面の精神論のみとなってしまったのではないでしょうか。
 ところで、一九九〇年の外国人登録は、永住者等が六十四万五千人余りで全体の六〇%、指紋押捺が除外されている一年未満の在留者は十万九千人余りで全体の一〇%、両者で全体の七〇%を占めております。逆に言えば、改正後も指紋押捺を義務づけられる在留者は三十二万人余りとなりますが、法務省推定でさえ昨年五月時点の不法就労外国人が十六万人弱としておりますが、そのうち外国人登録の対象にもならない観光等の短期滞在による入国者が十二万八千人余りとしております。
 このような現在の日本社会、入管行政の現状に照らしてみると、正規に登録している三〇%の一年以上の在留者に依然として指紋押捺を強制することの意義はどこにあるのでしょうか。今後新規に指紋押捺を義務づけられるようになる外国人についてはどのように推定しているのでしょうか。これについても明らかにしていただきたいと思います。
 次に、登録事務は機関委任事務として市町村でも行われることになります。現行では写真と指紋に関しては在留期間によりいわば二本立てで処理しているわけですが、改正案では署名が加わって三本立てになります。事務が煩雑になるばかりでなく、市町村レベルで実際の確認に十分な対応ができるのでしょうか。
 最後に、附帯決議の検討結果と不署名罪の新設について伺います。
 趣旨説明で衆参両院の附帯決議並びに日韓覚書に触れておりますが、昭和六十二年第百九国会における外国人登録法改正の際の本院法務委員会の附帯決議はどのように検討されたのでしょうか。刑事罰のあり方については外国人登録制度のあり方の基本的な問題だと思いますが、これらについてはどのように検討されたのでしょうか。
 また、今回、不署名罪を新設しようとする真意はどこにあるのでしょうか。現行の指紋押捺拒否等に対するものと並行的に考えたのかもしれませんが、従来からの国会論議での要請から見ても逆行するものではありませんか。
 今回、衆議院修正で居住地等の変更登録義務違反に係る罰則について自由刑を廃止し罰金刑のみとしたことは現行よりは一歩前進と言えますが、刑の新設は依然として外国人に心理的負担を強いることにはなりませんか。仮に何らかの強制措置を担保しようとするのであっても、せいぜい我が党が対案で提示したように刑罰ではなく過料で十分ではありませんか。指紋押捺の一部廃止に伴って、現行法第十八条以下の罰則こそこの際抜本的に見直すべきではありませんか。
 外国人登録制度は時代の要請にこたえるものでなければなりません。今後とも検討し、最終的には指紋押捺制度の全廃、外国人登録証明書の常時携帯義務及び罰則の見直し等、行政側の都合だけではなく在留外国人の人権にも十分配慮したものとして再構築していく必要があると思いますが、最後にこの点についての総理の所見を伺って、私の質疑を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(宮澤喜一君) 外国人登録法は、本邦に在留する外国人の登録を実施することによりまして外国人の居住関係、身分関係などを明らかにいたしまして、それによりまして在留外国人の実態把握など管理事務の公正に資することを目的といたしております。すなわち、在留外国人の実態を把握しまして、福祉その他各般の行政を実施するための資料を提供いたしまして在留外国人に関する事務が公正に行われるようにいたすことを目的とするものであります。
 登録証明書の常時携帯制度でございますが、外国人の居住関係、身分関係を現場におきまして即時的に確認するためのものとして必要であると考えておるわけですが、いわゆる常時携帯制度というものの運用につきましては常識的かつ弾力的に行うように努めてまいりたいと思います。
 関係の官憲が登録証明書の提示を求めるのは職務の執行のために必要ということでございますけれども、例えば一定の時間内に提示すれば足りるというようなことをいたしますと、その間に当該外国人の所在が不明になるというようなことはあり得ることでございますので、そうなりますと目的を達しない、目的に沿わないことになるというふうに考えるのでございます。
 外国人登録制度は、内外の諸事情の変化に適応するとともに、在留外国人の人権にも配慮したものであるべきことは当然のことでございます。今回の法改正におきましてもこれらの事情を踏まえて検討いたしましたが、今後とも、これらの点に十分留意をいたしまして制度のあり方について検討を続ける必要があるものと考えております。
 残りの問題につきましては関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣田原隆君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(田原隆君) 三石議員の質問にお答えします。
 まず、指紋押捺について、一律廃止とせずに、永住者等を除く一年以上本邦に在留する外国人に対し指紋押捺制度を存続させる理由及び必要性についてのお尋ねでありますが、指紋押捺にかわる同一人性確認の手段として採用することとした写真、署名及び家族事項の登録による複合的手段は、長年本邦に在留し我が国社会への定着性の高い永住者及び特別永住者については有効と言えますものの、それ以外の外国人については類型的に我が国社会への定着性が認められる者ではありませんので、現行どおり一年以上の在留期間を有する非永住者については指紋押捺制度を維持することが必要であり、指紋押捺の必要性に関する従来の考え方に変わりはございません。
 なお、本案作成に当たっては、政府部内において慎重な検討と調整の結果、本案のごとくまとまったものであります。
 次に、指紋押捺を行わないこととなる永住者等に係る指紋の押捺された登録原票等の処置についてのお尋ねでありますが、今回の外国人登録法改正後におきましても、永住者及び特別永住者が新制度に移行するまでの間はこれらの登録原票等の保存が必要であります。また、永住者及び特別永住者全員が新制度に移行した後における登録原票等の取り扱いにつきましては、目下検討中であります。
 次に、鮮明な写真とはどういう規格のものかとのお尋ねでございますが、写真のサイズを現行のものより若干大きいものとするほか、撮影日の期限、被写体の背景等につき同一人性の確認上必要と認められる諸条件を定める方向で検討しております。
 次に、民族固有の文字による署名も認めるかとのお尋ねでありますが、署名の文字につきましては、原則的には自己の旅券上の署名と同じ書体で自署するものとし、また、旅券を所持していない者につきましては、本人が最も書きなれた文字により自署すればよいものとする方向で検討中であります。
 次に、家族事項の範囲についてどのような考えのもとに決めたかとのお尋ねでありますが、永住者及び特別永住者については、写真、署名及び一定の家族事項の登録をもって指紋押捺にかえることとしておりますところ、家族事項の登録の範囲としては、行政上の必要性、登録申請者の負担等を考慮し、本邦にある父母及び配偶者の氏名等のほか、居住及び生計を一にする世帯構成員の氏名等としたものであります。
 次に、戸籍のない外国人に家族事項を登録させる意義についてお尋ねでありますが、家族事項を登録させることにより、身がわり事案等、人物の同一人性に疑義がある場合に、登録されているその者の家族に照会し人物の同一人性を確認することが可能となるところにその意義が存在するのであります。
 次に、職業及び勤務所または事務所の名称及び所在地を登録事項等から削除できないかとの御質問ですが、外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ外国人の在留管理に資するという外国人登録法の目的を達成する上で、外国人の職業及び勤務先も、氏名、国籍、居住地等と同様に重要な事項であることから登録事項としているものであります。したがいまして、人物の同一人性の確認の一助をなすという意味からも、職業等、御質問の事項を登録事項や登録証明書の記載から外すことは困難であります。
 次に、指紋押捺によって同一人性を確認する必要がないのではないかとのお尋ねでありますが、今回の改正法により導入しようとする新たな同一人性確認手段は、我が国への定着性を深めた永住者及び特別永住者については有効でありますが、それ以外の外国人については十分に機能しないと認められますので、これらの者の同一人性の確認は、現行どおり、万人不同、終生不変という特質を有する指紋押捺によることが必要と考えております。
 次に、今後新規に指紋を押捺しなければならない外国人はどのくらいの数になるかとのお尋ねにつきましては、最近入国する外国人の増加が著しく、その伸び率から推計すると、平成五年度は約三十六万人と見込んでおります。
 次に、改正法施行に際して市町村窓口が十分に対応できるかとのお尋ねにつきましては、改正法の円滑な施行のためには、登録申請を行う外国人にも改正の趣旨がよく理解され、また、市町村における事務も混乱なく円滑に行われることが肝要と考えております。このため、改正法の施行前に広報活動を積極的に行うとともに、その事務の執行に当たる市区町村職員に研修の機会を設けるなどして万全を期する所存であります。
 次に、さきの外国人登録法改正の際の衆参両法務委員会の附帯決議は今回の改正案の上にどのように生かされたかとの御質問ですが、今回の改正は、昭和六十二年改正時における衆参両法務委員会の附帯決議の趣旨を踏まえたものであります。すなわち、我が国の社会で長年にわたり生活し本邦への定着性を深めた永住者及び特別永住者につ
いて指紋押捺を廃止し、写真、署名及び家族事項の登録をもってこれにかえることとし、附帯決議の内容を実施するものであります。
 また、外国人登録証明書の携帯制度についても、これまで常識的、弾力的な運用がなされているところであり、この運用方針をなお一層徹底する所存であります。
 次に、不署名罪を設ける必要性についてお尋ねでありますが、署名は、指紋押捺と同様、外国人の同一人性を確認する手段として外国人登録制度上重要なものでありますので、意図的にこれを拒否しまたは妨害するような法違反行為をする者には、指紋を押捺しない者と同等の刑罰を科することが相当であると思料いたします。
 次に、外国人登録法違反の罰則についてお尋ねでありますが、外国人登録法上の罰則は、外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ在留外国人の公正な管理に資するという法目的を達成する上で、各違反行為の悪質性や違反行為抑止の程度、必要性等を勘案して定めているものであり、現行の法定刑が特に重過ぎるとは考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対する御質問は、今回の改正で市町村レベルにおきますところの登録事務で確認が十分できないのではないかという御質問でございます。
 御承知のように、外国人登録法に基づく事務は国の機関委任事務として市町村長が処理しておるものでございますが、今回の改正に当たりましては、市町村の窓口での対応も含めた事務処理のマニュアルを所管省でございますところの法務省で現在作成されておりますし、それを教育いたしまして、それによって円滑な施行のための措置を講じられるものと期待いたしておりまして、それに基づく処理につき万全を期してまいりたいと思っております。(拍手)
#11
○議長(長田裕二君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#12
○議長(長田裕二君) 日程第一 離島振興法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長山口哲夫君。
   〔山口哲夫君登壇、拍手〕
#13
○山口哲夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近における離島の社会経済情勢にかんがみ、平成五年三月三十一日をもって効力を失う現行の離島振興法の有効期限をさらに十カ年延長するとともに、産業振興のための税制上の特例措置や地方財政への充実措置を講ずること、交通の確保、高齢者の福祉の増進、教育の充実等についての国及び地方公共団体の配慮規定を設けること等を主な内容とするものであります。
 委員会におきましては、衆議院建設委員長古賀誠君より趣旨説明を聴取した後、採決を行いましたところ、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(長田裕二君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#15
○議長(長田裕二君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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