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1992/04/27 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第13号
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1992/04/27 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第13号

#1
第123回国会 本会議 第13号
平成四年四月二十七日(月曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十三号
    ―――――――――――――
  平成四年四月二十七日
   午前十時 本会議
    ―――――――――――――
 第一 農業協同組合法の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
 第二 地方拠点都市地域の整備及び産業業務施
  設の再配置の促進に関する法律案(趣旨説明
  )
 第三 国際平和協力業務及び国際緊急援助業務
  の実施等に関する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(長田裕二君) これより会議を開きます。
 日程第一 農業協同組合法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。田名部農林水産大臣。
   〔国務大臣田名部匡省君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(田名部匡省君) 農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨の御説明を申し上げます。
 農業協同組合法は、昭和二十二年に、農民の自主的協同組織としての農業協同組合の発達を促進し、農業生産力の増進と農民の経済的、社会的地位の向上を図ることを目的として制定されました。以来、経済環境や農業及び農村をめぐる情勢の変化に対応して、農協の健全な育成を通じ農業振興や地域の発展に寄与し得るよう所要の制度改正を行ってまいりました。最近では、昭和五十七年に、信用農協連合会の員外貸し付け制限の緩和、内国為替取引に係る員外利用制限の廃止等の改正措置を講じたところであります。
 しかしながら、その後の社会経済情勢の変化には著しいものがあり、とりわけ近年の我が国農業及び農村をめぐる状況を見ると、農業の担い手不足の顕在化や農村の高齢化の進行等さまざまな課題に直面しており、このような状況のもとで、農協の事業、組織についても、営農、生活両面での組合員ニーズの多様化や金融自由化等への的確な対応が求められているところであります。
 今後とも、情勢変化に対応し、農協が本来の使命を果たしていくためには、その自主的努力にまつところが大きいことはもとよりでありますが、制度面においても、農協の行うことができる事業の内容を充実するとともに、執行体制の強化を図る等の改善を進めていくことが緊要となっております。
 このため、今般、農業協同組合法の一部改正を提案することとした次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 まず第一に、組合の事業内容の充実を図ることとしており、農業経営の効率化等の見地から、受託農業経営を連合会も行うことができることとしております。また、高齢化社会に対応して組合が老人の福祉に関する事業を行うことができる旨を法律上明らかにすることとしております。さらに、農協資金の地域での活用を図るため、特定の農協について員外貸し付け制限を緩和することとしております。
 第二に、組合の執行体制を強化するため、理事会及び代表理事を法律上設置することとするとともに、学識経験者等の理事への登用の観点から正組合員以外の理事の枠を拡大することとしております。また、内部牽制による的確な業務運営を確保するため、監事の業務・会計監査機能の拡充等を図ることとしております。
 第三に、農協の組織整備の円滑な推進に資するため、農協組織の各段階等において活用し得る事業譲渡等の規定を整備することとしております。
 第四に、農事組合法人の活性化を図る観点から、その設立のために必要な発起人の数の要件を緩和する等の改善を行うこととしております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(長田裕二君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。谷本巍君。
   〔谷本巍君登壇、拍手〕
#6
○谷本巍君 ただいま議題となりました農協法の一部改正案等について、日本社会党・護憲共同を代表し、総理並びに農水大臣に質問いたします。
 仁の法律案は、農協の大型合併や県連廃止による事業組織の二段階移行など組織の一大再編成を基礎に、金融自由化などの状況変化に対応し得る農協経営体制をつくっていこうというものであります。
 農協の経営も大事ですが、忘れてならないのは、農業と農家あっての農協だということであります。これまで農業危機の具体例として新規学卒で農業に従事する者が激減してしまったことが挙げられてきましたが、最近は、それに加え、農業に就労している若い担い手が農業から離れるという動きさえ生じているのであります。先祖伝来の農地にしましても、担い手不足による耕作放棄で荒れ果てていく状況が中山間地域から平野部へと広がり始めようとしております。農協法等の改正に当たっては、そうした実態を踏まえ、農業をどう立て直すかの方針が示されなければなりません。
 そこで、初めに宮澤総理に伺いたいのであります。
 その第一点は、農業の崩壊にどう歯どめをかけ、どんな農業づくりを進めるかについてであります。
 近くブラジルで世界環境会議が開かれます。環境問題は、地球的規模でとらえ、地域的に実践する時代に入りました。既にECにおいては、中山間地域など条件不利地域の農家を対象に環境保全の立場から所得補てんを含む保護政策を強めるとともに、化学肥料、農薬依存の合理化農業ではなく、家族農業を基礎に持続可能な環境保全型農業育成への農政転換が進められつつあります。農林水産省も新農政の検討を行っておりますが、農業問題は日本の経済構造問題そのものでありますので、当面する農業崩壊にどう歯どめをかけ、どんな農業づくりを進めるかについての総理の御所見を承りたいのであります。
 第二に伺いたいのは、米、酪農、畑作などの将来に決定的影響を持つガット交渉にどう臨んでいくかについてであります。
 四月二十二日に行われましたブッシュ米大統領とドロールEC委員長の会談は、農業分野の合意づくりについての具体的進展はなかったとも言われております。今後両者の話し合いがどう展開されるかは明らかではありませんが、この二大超輸出大国の判断で農業分野の合意がつくられていくとするなら、ゆゆしきことであります。それは、日本など多くの輸入国にとって不公正な合意となるからであります。また、そればかりか、食糧貿易はアメリカのアグリビジネスに牛耳られる危険性をさらに増大し、世界の家族農業つぶしに取ってかわる農業生産の企業化は地球環境保全ともまさしく逆行していくからであります。
 昨年開かれた世界消費者大会にいたしましても、これまでの自由化支持の方針を大転換しております。環境問題との関係から、食糧貿易の自由化は輸出、輸入両国の消費者にとって利益にならないとし、持続可能な農業づくりが世界の消費者共通の課題になったとの決議を行っているのがそれであります。食糧問題をめぐる世界の世論も歴史的な転換期に入っているのであります。
 食糧安全保障や環境問題を踏まえ、公正でバランスのとれた合意づくりに向け、総理はどんな外交努力をされるのか、昨日終了した通商国四極会議の経過等も踏まえ、具体的な考え方を承りたいのであります。
 次に、田名部農林水産大臣に、農協法の一部改正案等に関連し、以下四点の御質問を申し上げます。
 その第一は、企業の農地取得を認めていくのかどうかについてであります。
 農協法の一部改正の検討に際して、農協が農地を取得し農業経営を行うことに道を開いてはどうかとの議論があったと聞いております。仮にそれを認めるとするなら、そのことによって経団連などが要求する企業の農地取得をも許さざるを得なくなっていくのではないでしょうか。この問題は、環境破壊に通ずる企業農業への道を開くなど農政の基本にかかわる重大問題であります。農林水産大臣のしかとした御所見を承りたいのであります。
 第二は、農協の大型合併が果たして農家の利益にかなうものであるのかどうかということであります。
 これまでの例から申しますと、合併によって農協経営は改善に向かうといたしましても、農家との密接度は薄れるのが一般的でありました。とりわけ、今回の法改正では農協の金融関係業務が拡充されようとしております。金融関係事業等のスケールメリットからしますと、一県一農協が理想だとも言われております。しかし、肝心の農協にとって重要な営農事業や農産物販売事業は、コミュニケの範囲も小さく地域性を伴うだけに、広域合併にはなじみません。
 農家を忘れ、初めに農協経営ありきの発想であってはなりません。協同組合の理念を忘れ、経営の巨大化、効率化追求のみに傾斜していくなら、西ヨーロッパの生活協同組合の例に見るように、やがて資本に吸収され協同組合の実体を失うという事態さえ発生しかわないのであります。組合員と協同組合の精神を忘れた大型合併はマイナスとマイナスとを足し算するようなものでありまして、マイナスをより大きくするだけということになりがちなのであります。
 政府は、農協の大型合併を奨励しているのでありますから、合併によって農家と地域農業づくりにプラスがもたらされるという処方せんを示してしかるべきであります。これまでの農協合併促進の経緯を見てみましても、その点は必ずしも明確でありませんでした。今回は県連廃止も含めた農協大型合併という大事業が想定されているだけに、営農指導事業強化への政府援助等も含め、合併が真に農家の利益になるという実証的処方せんを示すよう要望し、農林水産大臣の御所見をお示しいただきたいのであります。
 第三は、農協を主体にした地域農業の立て直しを図るには農政の抜本改革が必要ではないかということであります。
 ここ数年、補助事業は要らないという農家がふえるようになりました。多くの条件がついた補助事業は、農家にとって要らない機械や施設まで導入させられ、そのため農家が自費で行う事業よりも農家負担が大きくなるということさえしばしばだからであります。また、補助事業が地域の自然的条件や個々の農家の寸法に合わぬ場合も少なくありません。そのため、特に技術水準と創意性の高い若手の農家などから補助金は要らぬの声が上がっているのであります。地域の自然と農家の創意を生かし、すぐれた地域農業づくりを成功させるには、農家が自由に使える資金が必要なのであります。
 この際、農林水産大臣は、農家の声を聞き補助事業の抜本的見直しを行い、大幅な利子補給による低利にして自由に使うことができる資金制度を創設すべきであります。それができれば、農協が保有する資金は地域農業に循環させることができます。また、農協にとっては農業生産と農産物販売に力が発揮できるようになり、地域農業づくりの主体となる道も開いていくことができるのであります。
 農林水産大臣、あなたがそれをやれば、長きにわたって続いた天下り農政の流れをあぜ道からの農政に発想を変える重要な契機をつくった大臣として、あなたの名は日本の農政史に残るでありましょう。田名部農林水産大臣、いかがでしょうか、あなたの御所見をお聞かせいただきたいのであります。
 最後に伺いたいのは、高齢者福祉と農協のかかわりについてであります。
 農村社会は二十年先取りの高齢化が進んでおります。それに対応し、政府は今回の農協改正法案に老人福祉事業について法文上明記をしましたが、高齢者福祉は本来行政の責任で行われるべきものであります。言うまでもなく、協同組合精神の原点は組合員相互の助け合いにあります。現に、農協婦人部などによる高齢者家庭の訪問や介護活動を行っている例など多くの事例が生まれております。
 問題は、政府の高齢者福祉政策の貧しさにあるのであります。その責任を農協に転嫁するのではなく、政府の福祉政策を充実することこそが先決なのであります。そして、政府施策の充実を基礎に農協による自主的高齢者福祉活動との連動関係をつくり、それぞれの地域の実態に合った福祉を充実強化していくことが真っ当な道筋なのであります。
 また、自主的助け合いの協同組合精神をはぐくんでいくのには、日本型農村社会が持つ相互扶助的精神に立つ、環境に優しい地域複合型の営農づくりが重要な意味を持つことを忘れてはなりません。健康や環境破壊に通ずる危険な薬物づけの農業生産でもある単作、専作型の近代化、合理化農政からは、農民分断が生まれてきても相互扶助の精神は生まれてこないのであります。環境に優しい地域農業づくりと自主的高齢者福祉の運動を一体的にとらえた発想こそが大事なのであります。
 この点、農林水産大臣はどうとらえておられるかをお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(宮澤喜一君) 今後の農業政策の方向というような点についてお尋ねがございました。
 最近の我が国の農業は、担い手が不足であるという御指摘のような問題がございますし、また高齢化も進行いたしております。耕作放棄地の増加が見られまして、いわば大きな節目を迎えているという点は私どもも同じような認識をいたしております。
 このような事態に対しまして、経営管理能力にすぐれた担い手を育成確保することが大事でございますし、また、それぞれの地域の実態に応じた生産体制づくりを進めていくことが肝要であると考えております。また、他方で、いわゆる生活環境、住環境といたしまして、道路、下水道等の整備の促進、村づくりを推進する、あるいはいろいろな就業機会を確保する等々により、その地域が活力に満ちて快適な生活を享受できる農村としていくことが何よりも大事なことであろうと考えます。
 このような観点から、農業を営む人々が生産活動を活性化し、いわば魅力と誇りを持って農業に従事し農村地域に定住できますように、その基本的条件を整備して、二十一世紀という新しい時代にふさわしいものとするように努めてまいる、これが非常に大事なことであるというふうに考えております。
 次に、今のウルグアイ・ラウンドにつきましてお尋ねがございましたが、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の成り行きにつきましては、御指摘のように各国ともいろいろ困難な問題を抱えております現状から、いわば見通しが不透明と申し上げてよろしいかと思います。
 今月二十二日にアメリカのブッシュ大統領とECのドロール委員長の会談がございました。その結果は必ずしも外部にはっきりわかっておりませんけれども、ウルグアイ・ラウンドの早期かつ成功裏の終結を図ることが大事であるという確認があったというふうには承知をいたしております。しかし、具体的にどのような問題についてどのような進展があったかということは、ただいまのところ明らかでございません。
 我が国としましては、現在のいわゆるダンケル・ペーパーの農業部分につきましては、やはり輸出補助金の問題に比べて国境措置の取り扱いというもののバランスが欠けている、つまり輸出国の立場と輸入国の立場というものについての配慮のバランスが十分でないというふうに考えておりまずし、包括的関税化の考え方が示されていること等にいろいろ問題があると考えておるわけでございます。したがって、このダンケル合意案につきましては、農業の部分についての我が国としての修正の考え方を示しつつ、食糧輸入国としての我が国の立場を踏まえました国別約束表を先般提出したわけでございます。
 今後とも、これまでの基本的方針のもとに、食糧輸入国としての我が国の立場が確保されますよう最大限の努力を傾注してまいりたいと考えております。
 残りの問題につきましては農林水産大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣田名部匡省君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(田名部匡省君) 最初に、農業経営と企業の農地の取得、こういうお尋ね等でございましたが、いずれにしても農協みずからが農業経営を行うことについては、農業の担い手でありますとか、あるいは農業施策全体の方向との関連でどうするかという問題でありますので、地域農業のそうした担い手、地方独自の条件等ありますので、その実態を踏まえながら引き続き十分検討してまいりたいと思います。
 なお、農協による農業経営を導入してはどうかという考え方でありますが、あくまでも農業者の協同組織である農協が組合員の営農を補完するという立場に立っておりますので、そのように認識しておりますが、お話しのように、農業が発展するあるいは農家が発展するということは、一方では農協もまた農家あるいは農民のためにしっかひとした経営をするということが大事なことだと考えております。
 農協の大型合併でございますが、農協合併に当たっては、合併のメリットというものが十分組合員に及ぶようにすることが必要であります。従来からこのことについては指導をいたしてまいりました。今後の合併を進めるに当たりましても、農協の広域化に伴い農協と農業者の関係が希薄にならぬように留意することが重要であると考えております。このたの、地域の特性に応じた適切な営農指導を確保するために必要な対策の実施、あるいは支所の機能、そうしたものの充実強化、重点作目の選定による流通販売対策の整備等を通じて組合員との結びつきの強化が図られるように指導してまいりたいと思います。
 次に、低利資金の創設でありますが、農政の推進に当たりましては、補助と融資、いずれも重要な政策の手段としてそれぞれの特性に応じて活用しておるところであります。特に融資につきましては、財政資金を活用した農林漁業金融公庫資金、農業改良資金などのほか、農協資金を活用して長期低利の資金を幅広く融通するための制度として農業近代化資金を設けておるところであります。今後とも、この制度が農協の営農指導、販売などの各種事業の展開と相まって地域農業の振興に積極的に活用されるよう、その円滑な融通に努めてまいりたいと思っております。
 補助事業のことにもお触れになりましたが、いずれにしても農家の皆さんがどちらを選択するか、必要に応じて補助、制度資金、そういうものはみずからが選択をして行うことになっております。
 地域の実態に合った福祉の問題でありますが、農村社会の高齢化に伴い、農家組合員が行う介護等の量が大変増大をいたしております。そのため協同組織である農協がこれを支援していくという必要性が高まっているという観点から、農協が老人福祉事業を行うことができる旨を法文上明記することにいたしております。いずれにしても、国全体挙げて高齢化対策に取り組む必要がある、こういうふうに考えております。農協がこの事業を行うに当たっては、地域の行政主体である市町村との緊密な連携を図りながら地域の実態に即した福祉の充実強化に資するよう、適切に指導してまいりたいと思います。
 環境に優しい地域の農業づくりでありますが、我が国農業は担い手不足、耕作放棄地等の増加が進行しておりますが、地域によっては農業生産を支える基盤の脆弱化が懸念されるわけであります。このような事態に対処して地域農業の健全な発展を図るためには、担い手農家への土地利用の集積の推進を中心としながら、地域の実情に応じて、兼業農家、高齢農家等も含めて農作業や農地利用の面でそれぞれ適切な役割を分担し、あるいは耕種農家と畜産農家と連携して各種の資源について有効利用を図っていくことが非常に大事だ、こう思っております。そのために、地域全体として効率的な生産体制づくりを進めていくことが極めて重要であります。
 我が国においては、欧米と異なりまして農業に由来する環境の悪化はまだそれほど表面化はいたしておりませんが、地下水、湖沼の水質等に環境の悪化が出てきております。そういうことでありますので、関係者の理解を得ながら、生産性の向上と両立し得る環境保全型農業についても積極的に取り組んでいく覚悟であります。
 以上であります。(拍手)
#9
○議長(長田裕二君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#10
○議長(長田裕二君) 日程第二地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。山崎建設大臣。
   〔国務大臣山崎拓君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(山崎拓君) 地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 近年、地方においては、平成二年の国勢調査結果に見られますように、若年層を中心とした人口減少が再び広がるなど地方全体の活力の低下が見られるところであります。一方、東京圏においては、人口及び諸機能の過度の集中により、住宅取得難、交通渋滞等、過密の弊害がさらに深刻化しているところであります。このような状況の中で、地方の自立的成長の促進を図り、東京一極集中を是正して国土の均衡ある発展を実現することは、現下の内政上の大きな課題となっております。
 こうした課題に対処するため、地域社会の中心となる地方都市及びその周辺の地域の市町村から成る地方の発展の拠点となるべき地方拠点都市地域について、地域における創意工夫を生かしつつ、広域の見地から都市機能の増進及び居住環境の向上を推進するための措置等を講ずることにより、その一体的な整備の促進を図る必要があります。
 また、これとあわせて、過度に産業業務施設が集積している地域から地方拠点都市地域への産業業務施設の移転を促進するための措置等を講ずることにより、産業業務施設の再配置の促進を図る必要があります。
 この法律案は、こうした認識に立って、地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進を図るため所要の措置を講じようとするものであります。
 次に、その要旨を御説明申し上げます。
 第一に、主務大臣は地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する基本方針を定めることとしております。
 第二に、都道府県知事は、関係市町村及び主務大臣と協議の上、地方拠点都市地域の指定を行うことができることとしております。
 第三に、地方拠点都市地域の関係市町村は、共同して当該地域の整備の促進に関する基本計画を作成して都道府県知事の承認を得るものとし、承認を行った知事は関係行政機関の長にその旨を通知することとしております。基本計画においては、地方拠点都市地域の整備の方針、拠点地区の区域及び実施すべき事業、公共施設の整備、居住環境の整備、人材育成等の活動等について定めることとしております。
 第四に、産業業務施設の再配置の促進を図るため、移転計画の認定制度の創設等所要の措置を講ずることとしております。
 第五に、地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進を図るため、地方行財政上の特例措置、都市計画上の特例の創設、税制上の特例措置、地域振興整備公団及び通信・放送機構の業務の追加等所要の措置を講ずることとしております。
 なお、本法律案の運用は、国土庁長官、農林水産大臣、通商産業大臣、郵政大臣、建設大臣及び自治大臣が協力して行うこととしております。
 以上が地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(長田裕二君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。翫正敏君。
   〔翫正敏君登壇、拍手〕
#13
○翫正敏君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となっております地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律案につきまして、宮澤総理並びに関係各大臣に対しまして質問いたします。
 まず、本法案の背景にあります東京一極集中の是正についてお伺いいたします。
 一九九〇年の国勢調査結果によれば、全国で十八道県にわたって若年層を中心とした人口減少が広がり、地方全体の活力の低下が見られます。一方、東京圏においては、建設大臣も趣旨説明で述べられましたように、人口及び諸機能の過度の集中により、住宅取得難、交通渋滞などの過密の弊害が問題となっております。
 このような深刻な事態を背景として、東京一極集中を是正することは緊急の課題となっておりますが、これについて、例えば東京圏の人口をどの程度に抑えるというような具体的な目標は設定されているのでしょうか。そして、その目標達成のための推進プログラムが用意されているのでしょうか。政府の施策を眺めておりますと、東京一極集中是正の必要度について緊迫感が少ないようにうかがえます。宮澤総理は、口では国土政策上の重要な課題であるとお述べになっておりますが、まだ東京への諸機能集中の果たしてきた積極的な役割の面に未練をお持ちなのではないでしょうか。改めて総理の御決意をお伺いいたします。
 それでは、具体的な施策についてお伺いします。
 総理は、施政方針演説の中で、東京一極集中を是正するため、まず国の行政機関の移転を進めると述べておられますが、その進捗状況についてお伺いいたします。政府公約である一九九五年度までの移転が可能かどうか、明確な御答弁をお願いいたします。
 政府機関の移転には、職員の住宅確保の問題、子弟の教育問題、また、業務核都市など大都市圏内への移転がほとんどであることによる長距離通勤の懸念などさまざまな問題が指摘されておりますが、これらは総理のリーダーシップのもと一つずつ解決を図り、本法案で提起されている民間のオフィスの移転のよいモデルとなるようにすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 それでは、本論に入ります。
 地方の自立的成長の促進を図り、東京一極集中を是正するため本法案が提出されたと理解いたしますが、果たして本法案による地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進によって東京一極集中是正に具体的にどの程度の効果を果たせると見込んでおられるのか、総理の御所見を伺いたいと思います。また、法案に規定されている法律の施行後十年以内に検討を行う際の基準もあわせてお示し願います。
 次に、本法案によって達成しようとされる目的について触れてみたいと思います。
 東京一極集中の是正と地方振興は、両者をうまく組み合わせることによって効果を発揮できる面もあるわけですが、企業を誘致することは、地方の自立的成長にとって場合によっては阻害要因になることもあります。本法案では地方の自立的成長がキーワードになっていると思いますが、地域の創意工夫を生かすためにどのような施策が用意されているのかが明らかにされていません。自治大臣はミニ東京はつくらないとおっしゃっていますが、本音のところは、ミニ東京でもつくれれば成功だと考えておられるのではないでしょうか。改めて御見解をお伺いいたします。
 次に、他の制度との整合性についてお伺いいたします。
 地方産業振興については、幾つかの制度がこれまでに策定されてきております。その中でも、多極分散型国土形成促進法による振興拠点地域制度の創設は記憶に新しいところであります。この制度もこれから大きく育てていかなければならないはずでありますが、その実績がほとんどあらわれていない現段階でそれとは別に新しい地方振興制度を創設するのは、朝令暮改と言われても仕方がないのではないでしょうか。地方拠点都市地域制度と他の地方産業振興施策との調整がどのように図られるのか、国土庁長官にお伺いいたします。
 次に、本法案の特色と言われる地方分権の考え方についてお伺いいたします。
 本法案は、従来の地域振興立法と異なり、国の役割を地方拠点都市地域の整備に関する基本方針の策定にとどめ、計画策定の権限を市町村に与え、国は計画達成のための支援措置を講ずることによって、地方の自主性、創意工夫を尊重する考え方に立っていると言われております。さらにこれを一歩進めて、地方に都市計画などの許認可権や財源を移譲することが必要であると考えられますが、総理の御判断はいかがでしょうか。
 総理も行革審答申に沿って権限移譲に努められる御決意のようでありますから、ぜひ、行革審第二次答申の指摘するように、地域、生活に密着した社会資本が地方自治体によって自主的に整備されるよう、補助金制度の一般財源化を検討いただきたいと思います。
 続いて、地方拠点都市地域整備についての住民参加についてお伺いいたします。
 自治大臣は、本法案が従来の地域振興施策の傾向とは異なりボトムアップを強めたとお述べになっておりますが、それを推し進めるとき、当該地域において住民参加の機会を保障すべきことになるのは必然ではないでしょうか。基本計画の作成について市町村の基本構想に即することとなっているわけでありますが、それだけではとても十分とは言えないのではないでしょうか。この点について自治大臣のお考えをお伺いいたします。
 次に、地方拠点都市地域への産業業務施設の移転促進についてお伺いいたします。
 まず、なぜ今までオフィス立地の誘導を中心とした施策がとられなかったのかを取り上げます。
 従来の地方振興の手段としては生産機能を中心とした産業立地が重視されてきましたが、今回、第三次産業の地方分散の重要性が認識されたことは評価してよいでしょう。しかし、その時期は遅過ぎたと言えるかと思います。例えば、東京都区部の工場床面積と事務所床面積の推移は、一九七五年以降だけを拾ってみても、工場は減少する一方であり、事務所は増加する一方であります。東京への諸機能の集中ははるか以前から予見できていたことであったと言えます。産業構造の転換が進められてきたことにかんがみれば、オフィスの地方への移転促進が従来から必要であったことは明らかであります。
 東京の高い生産性が日本の生産性の原動力となったことは否定できないのかもしれませんが、現在ただいまこの集中の排除が至上命題となっていることからすると、長期的な視点に立った対策が欠如していたことは否めないでありましょう。産業立地政策のあり方について、過去の総括を含めて通産大臣にお伺いをいたします。
 また、工場や大学については東京圏などで立地規制を行い、地方産業振興の誘導策とも相まって一応の効果が出せたように思いますが、オフィスについては現在東京における立地規制はなされておらず、本案においても予定されていません。今では、一極集中の是正は手段を選べる余地がないほどにまで差し迫った問題であるはずです。東京におけるオフィス立地規制についてのこれまでの検討の結果と、現在まだ導入されていない理由歩お伺いいたします。
 本法案でとられている再配置の誘導策は、税制、金融上の措置等であります。これらは、新産業都市、工業整備特別地域制度を初めとする地域産業振興制度でも採用されてきた常套手段であります。ところが、今回移転を促進する業務施設は、工場を除いている点で従来の生産機能を中心とした産業立地施策のタイプとは異なります。それであれば、従来の手法を踏襲するのは、単に施策としての新鮮味に欠けるだけではなく、その有効性においても疑問が出てくるわけであります。
 企業が東京に集中するメカニズムについてはさまざまな分析がなされてはおりますが、その成果が十分に生かされていないのではないかとの感をぬぐえません。確かに、通産省の行ったアンケート調査によりますと、新たなオフィス取得時の税制面、金融面での支援の必要性を挙げる企業が多数に上っていることは事実であります。しかし、それは必要条件ではあっても十分条件ではないはずであります。
 本法案でとられている再配置の誘導策の成算について、通産大臣の答弁を求めます。
 企業が東京に立地するメリットは多岐にわたっておりますが、つまるところは集積することによる効果の要素が強いと言えます。そうであるとすると、地方都市が企業立地の誘因としてこのメリットを持つことは直ちには無理なことであり、東京の受け皿となることは非常に困難であることになります。少なくとも、それを全国数十カ所で展開できるというのは幻想であると断言できましょう。あの新産業都市ですら、指定箇所が多過ぎた点が指摘されているのです。
 この点は、産業業務施設の再配置との関連以外でも指摘できることです。県内第二、第三の都市の整備を進めることによって、果たして東京の持つ若者を引きつける魅力に対抗できるような、働き、住み、遊び、学ぶ生活空間ができるのでしょうか。地方における若年層を中心とした人口の減少が食いとめられ、かつ、三大都市圏、特に首都圏から地方への人口分散を促すことができるでしょうか。検討を要する課題はまだかなり残されていると思います。
 政府は、東京から地方への産業業務施設の移転を促進する措置を地方拠点都市地域の整備と一体的に講じることによって若者の地域への定着を図ると考えておられるようでありますが、大都市の生活には、住宅難、通勤難などのデメリットも多い一方、就職、教育の機会の多様性や生活の利便性など大都市ならではのメリットも多く、それだけ人口の地方分散にはきめ細かな施策の展開が求められると言えましょう。少なくとも、散漫な地方拠点都市地域の指定がよい結果をもたらすとはとても考えられません。指定される地域の予定数について、どのような意図から大きな数字が出てきているかをお伺いいたします。
 企業立地の東京への集中を排除する方策としては、今回のような地方移転を促進する策をとる一方で、東京圏内において業務核都市を整備することによって分散政策を推進してもいるわけですが、この両者は矛盾しないのでしょうか。
 本法案の地方拠点都市地域を指定することのできる地域としては東京圏は排除されるとのことでありますが、企業の側としては移転を決定する場合でも業務核都市制度を利用して東京圏にとどまろうとの意思が働く可能性があることを考えると、本法案推進にとっては業務核都市制度は障害となるのではないでしょうか。その調整についてどのようにお考えなのか、国土庁長官にお伺いいたします。
 続いて、地価対策についてお伺いします。
 本法案が成立して仮にねらいどおりに地方拠点都市の整備が進んだ場合には、その地域の土地に対する実需が見込まれるわけですから、地価がある程度上昇することは織り込み済みであろうと思います。また、投機的な土地取引を招来することも予想されます。その対策として監視区域の指定について努力義務規定が置かれたわけでありますが、これをどのように発動させるかはこの規定だけでは明らかでありません。手おくれとなってしまっては当該地域の整備の成否にもかかわることでありますから、先行的な指定が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 また、あわせて良質な住宅宅地の供給を促進するとのことですが、それ自体は必要であるとしても、土地の供給増で必ずしも地価を抑制できないことは今般の地価高騰にかんがみても明らかであります。
#14
○議長(長田裕二君) 翫君、時間が超過しております。簡単に願います。
#15
○翫正敏君(続) 地価抑制のためにさらなる防止策が必要であろうかと思いますが、国土庁長官の御見解をお伺いいたします。
#16
○議長(長田裕二君) 翫君、簡単に願います。
#17
○翫正敏君(続) 最後に、公共投資の重点配分についてお伺いいたします。
 大都市圏と地方圏の公共投資の配分状況を国土庁のレポートで見ると、高速道路、空港などの交通関係では、近年の大規模プロジェクトの実施による東京圏の投資額増大、地方圏の投資額減少という傾向になっており、住宅、下水道、公園などの生活基盤関係では、地方圏への投資額が四〇%から五〇%前後となっております。
#18
○議長(長田裕二君) 簡単に願います。
#19
○翫正敏君(続) 総理が生活大国づくりを目指される上においても、地方においてこそ居住水準の向上、快適な住環境の確保など、総理の言う生活大国にふさわしい社会資本の整備を進める上でのフロンティアが大きいと考えられます。
#20
○議長(長田裕二君) 簡単に願います。
#21
○翫正敏君(続) 地方拠点都市地域の一体的な整備の促進のための公共投資をどの程度地方に重点配分していくのか、配分の今後の具体的な目標割合を明示していただきたいと思います。
 以上、総理大臣並びに関係各大臣の御答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(宮澤喜一君) 大変たくさんの問題についてお尋ねがございました。順次お答えを申し上げます。
 まず、東京一極集中の問題でありますけれども、御承知のように、四全総に基づきまして地域主導による地域づくりの推進を基本としてまいりました。ふるさと創生、全国一日交通圏、テクノポリス法、多極法に基づく振興拠点地域の開発整備等々でございますが、このたび、地方の自立的な成長と発展の拠点となる地方拠点都市地域整備のための法律案を御提案したところでございます。これによりまして地域圏の戦略的、重点的な整備を図り、東京一極集中の是正に努めてまいりたいと思います。
 次に、国の行政機関の移転の進捗状況はどうかというお話でございましたが、平成元年八月に移転先地または移転候補地が取りまとめられました後、現時点において二機関が移転を完了いたしました。十機関十一部隊等が用地取得または建物工事の段階にあるなど、着実に実施をしてまいりました。昨年十月には、用地取得または建物工事に着手している機関について原則平成七年度までに移転を行うこと、調査検討中の国の機関については原則として平成四年度中に移転計画の策定を行うこと等を申し合わせたところでございます。
 次に、本法案によりまして地方の成長を牽引し、地方定住の核となるような拠点都市地域について都市機能の増進、居住環境の向上により整備を図るとともに、地方の自立的成長を促進することを目的としておりまして、東京一極集中の是正及び国土の均衡ある発展にも寄与するものと考えております。
 それから、法律の施行後十年以内に検討を行う際の基準でございますが、附則二条の規定に基づきまして、経済社会情勢の変化、地方拠点都市地域の整備状況、産業業務施設の立地状況等について検討を加えます。その結果に基づき、本法案に基づく制度の変更などについて必要な措置を講じてまいりたいと思います。
 次に、許認可権限のことでございますが、今回の法律案において地方の自主性を最大限に尊重する仕組みといたしました。これまでも権限移譲、国の関与の整理合理化を進めてきたところでございますが、今後とも一層努力をいたしたいと存じます。
 国と地方の財源再配分の問題につきましては、税源あるいは地方交付税、国庫支出金等、いろいろな制度のあり方にかかわっておる問題でございまして、国と地方の機能分担及び費用分担のあり方等につきまして幅広い見地から行財政の再配分の検討を続けてまいりたいと思います。
 補助金等の一般財源化につきましても、多様で活力に満ちた地域社会を実現するため、権限移譲、補助金等の整理合理化に努めてまいりたいと思います。これまでも一般財源化を進めてまいりましたが、その努力を続けたいと思います。
 それから、二十一世紀に向けた生活大国との関連で公共投資の重点配分の具体的な目標というお尋ねでございましたが、どのような地域が指定されますか今明確になっておりませんので具体的な目標を示すことは難しゅうございますけれども、地方の自主的な取り組みや意向をできるだけ尊重しづつ、公共事業の思い切った重点配分に努めてまいりたいと思います。
 残りの質問につきましては関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣東家嘉幸君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(東家嘉幸君) まず、今回創設しようとする地方拠点都市地域の制度と振興拠点地域制度など他の振興施策との関係でございますが、本法案は既存の地域振興施策に比べ地域の創意工夫をより一層生かす点に特徴がございます。それぞれ適切な役割分担のもとに、地方の振興のために重要な役割を果たすものと考えております。特に、振興拠点地域制度とは制度の視点、内容、仕組みを異にしており、互いに補完的な性格を有するものとしてそれぞれの推進を図るべきものと考えております。
 次に、指定される地域の予定数でございますが、御指摘のとおり、地方の発展の拠点となるべき地域としての意義を希薄にせずその重点的な整備を図るためには、各県における指定数は限定する必要があろうと考えております。他方、県内の一極集中にも適切に対処する必要がございます。このことから、地方拠点都市地域は各県において一、二カ所程度を想定いたしております。
 次に、業務核都市制度との関係でございますが、業務核都市制度は、東京圏における業務機能等の適正配置により東京圏をバランスのとれた地域構造に改編しようとするものでございます。本法案による産業業務施設の再配置と業務核都市制度が相まって推進されることにより、東京都区部に過度に集積している業務施設の適正配置に一層の成果が上がるものと考えております。
 次に、地価の抑制策でございますが、地方拠点都市地域の整備に当たりましては、都道府県と市町村とが密接な連携を図りつつ地価の動向等の監視に努めるとともに、監視区域の先行的指定等を行うよう積極的に対応したいと考えております。また、良質の住宅宅地の供給や現行の土地利用規制制度の的確な運用を図ることにより、地価の高騰が生じないように適切に対処してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対するお尋ねは二つあったと思っております。
 一つは、この法律案によってむしろミニ東京をつくるのではないか、こういう大きい誤解があるということでございますが、これに対しまして、全くそういうことを意図しておるものではございません。この法律の趣旨はあくまでも、地方のある特定の都市の生活、住環境を向上させながら、そこに都市機能をつけていくことによって産業業務施設を誘致しよう、そして、その地域が産業的にも、そして生活的にも文化的にも向上発展しようという趣旨のものでございますから、ミニ東京を引っ張ってくるんだ、そういうことじゃ全然ございません。積極的に進めてまいりたいと思っております。
 次の第二の問題は、住民の意思がどのように反映されておるかという御心配だと思うのでございますが、これは御承知のように、現在地方各自治体におきましては、ふるさと創生事業が一つの転機となりまして、それぞれの地域ごとにいろんな多重的な層を持ちまして地域計画をつくっております。そういうようなものを総合いたしまして、そしてまた、住民の意思をあらゆる機会をとらえましてそれを集約していく、それがやはり首長のそれぞれの役割であろうと思っておりますが、そういうようなものを通じまして集約していきたいと思っておりますので、住民の意思の尊重というもの、翫さんの心配しておられるように、十分にこれは酌み取っていくようにいたしますので、御心配ないようにしていただきたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣渡部恒三君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(渡部恒三君) 三つの点で御質問をいただきましたので、順次お答えします。
 第一は、東京一極集中を是正するとともに地域の活性化を図っていくためには、産業の地方分散を通じて地方に魅力のある雇用機会をつくっていかなければならない。通産省としては、このような認識のもとに、従来から工業再配置政策、テクノポリス政策などの生産機能を中心とした産業立地政策を推進してまいりました。おかげさまで、工場の地方分散はおおむね期待どおりの成果を上げつつあります。
 ところが、最近になって、御指摘のように昭和六十年ごろから東京へのオフィス立地が加速し、東京一極集中の要因として、従来の生産機能の過度集中に加えて、業務機能の過度集中が見逃せない問題となってまいりました。今回の法案においては、業務機能の全国的な再配置促進を推進することとしたものであります。
 今後は、従来の産業立地政策とも有機的な連携を図りながら、業務機能の全国的な適正配置の実現も視野に入れた総合的な産業立地政策を推進してまいります。
 第二の点でありますが、業務機能の再配置の促進を図るためには、地方圏における魅力のある受け皿整備、東京から地方圏への移転誘導とともに、東京における過度集積促進に対する何らかの抑制が求められることは御指摘のとおりでございます。
 今般の法案においては、第三十九条において、都市計画を初めとする土地利用に関する計画の中で過度集中の状況を十分に踏まえた対応を求める規定を置いております。
 なお、より直接的なオフィス立地規制については、昨年、本問題を御審議いただいた産業構造審議会においても慎重論が多数を占めたところでもあり、こうした対策については、日本経済全体に与える影響を見きわめながら国民のコンセンサスを図っていくことが重要であり、なお一層研究、検討が必要であると考えます。
 最後の点でありますが、今回の法案においては、企業の移転コストを軽減するための税制、金融上の措置に加えて、オフィスなどの地方移転を進めるためには地方における立地環境を総合的に整備することが必要であります。関係省庁と連携して、都市機能の増進、居住環境の向上などの措置についても一体的にあわせ講ずることにしております。
 具体的な地域設定がなされていない現段階においてこれらの施策の効果を見通すことは極めて困難でありますが、このような企業のニーズに対応した個別企業対策と、さらに、豊かさと便利さの両面において魅力のある地方拠点整備のための支援措置を総合的かつ一体的に講ずることによって、東京二十三区における業務機能の過度集中の是正に目に見える効果があらわれるように努めてまいります。(拍手)
#26
○議長(長田裕二君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#27
○議長(長田裕二君) 日程第三 国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案(趣旨説明)
 本案について発議者の趣旨説明を求めます。野田哲君。
   〔野田哲君登壇、拍手〕
#28
○野田哲君 国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案について、発議者を代表して、提案の趣旨及びその内容について説明いたします。
 まず、我が国が世界の平和の創造と民生の安定、人権の保障に積極的に貢献していくためめ前提となる国際情勢の特徴と国際貢献のための基本的なスタンスについてであります。
 東西の冷戦構造は崩壊し、国際情勢は大きな転換期を迎えております。米ソ二つの超大国を中心とする対立の構図が世界の政治経済、軍事、社会情勢に大きな影響を及ぼした時代から、世界は、一部に国家間の紛争や民族対立などの不安定要因を抱きながらも、軍縮と協調を基調とする時代となりました。そして、この基調はまさに日本の平和憲法の理念と一致するものであり、世界はこうした方向で新しい秩序の構築が求められるという時代を迎えていると言えるのであります。二十世紀の終わりに生きる我々は、こうした平和への新しい潮流をさらに一層推し進めて確かなものにし二十一世紀に伝えていく崇高かつ重大な使命を担っているのであり、そのために果たす課題は数多くあるのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 その第一は、平和の創造と軍縮の実現に向けてのたゆみない努力であります。とりわけ、アジアにおける核の撤去と軍縮に向けての合意形成、平和と安全保障のための枠組み、国際秩序の形成は日本が避けて通ることのできない課題であります。そのため、我が国自体が軍縮のプランを示しながらアジアにおけるイニシアチブをとることであります。
 第二は、南北間の格差是正・解消についての課題であります。全地球の三分の二は開発途上国と言われる中で、どのようにして南北間の格差を是正し人権を保障していくか、飢餓や貧困の解消、難民や被災民の救済、そして自然災害に対する救援など、これらの諸課題は先進国と呼ばれる諸国に課せられた国際的な責務であります。
 そして第三は、年々広がり行く砂漠化、熱帯雨林の消滅、大気の汚染やオゾン層の破壊など地球的規模の環境破壊に対し、このかけがえのない地球をどう守っていくかという人類共通の課題に対し、世界各国はどう対処し、日本はどのような役割を果たすかということであります。
 このような国際的な重要課題に対し、世界のGNPの一五%をも占める我が国がどのような責任を果たしていくかは、ひとり我が国の将来だけでなく、世界の平和と安定にとっても極めて重要な課題であります。
 このような諸課題に対応する方策として、「まず自衛隊派遣ありき」という政府の姿勢はまさに時代に逆行するものであり、極めて問題であると言わなければなりません。そして、さきの国会で衆議院で強行採決まで行い、現在参議院で継続審議となっている政府案は、その中核に自衛隊の活用を規定しており、平和憲法の理念、近隣諸国の懸念、世界の潮流とも逆行するものであり、絶対に容認できるものでありません。
 よって、私たちは、日本国憲法の崇高な平和の理念に徹し、それにふさわしい国際貢献のあり方について国民の合意を形成し、今日の時代の要請に的確にこたえるべきであるとの考えに立って、世界が必要としている各分野について、非軍事、民生、文民による最大限の貢献をすべきであると主張し、かつ具体的な提案もしてきたのであります。このたび提案いたしました国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案もその立場に立ったものであります。
 以上がこの法案の提案の趣旨であります。
 次に、法案の具体的内容について要約して御説明いたします。
 まず第一に、我が国は国際協力について専門的な機関を設けて対応することとし、そのため総理府に国際協力本部を設置し、そのもとに約二千人程度の常設の国際協力隊を置き、国連等の国際機関、関係諸国の要請に対し、非軍事、民生、文民による積極的な国際貢献を行うこととすることであります。
 第二は、国際協力隊の業務についてでありますが、国際協力隊は国際平和協力業務として、国連の平和維持活動のうち軍事的分野を除いた業務及び紛争地域における人道的救援活動並びに海外における国際緊急援助業務を行うこととするものであります。なお、国際協力隊は国内の災害救助活動も行えることとします。
 第三は、国際協力隊の隊員は、自衛官及び予備自衛官の身分を有してはならないこととします。
 第四は、国際協力隊は、病院船などの船舶や輸送機、ヘリコプターなど必要な装備を持つこととし、適切かっ迅速に業務の遂行が行えるような能力を備えることとします。
 第五は、国際協力隊が国際平和協力業務及び国際緊急援助業務を的確に遂行できるよう必要な訓練を行うため国連等の協力を得て訓練センターを設置するとともに、医薬品や建設資機材など業務に必要なものを常時保有するための備蓄センターを設置することとします。
 以上でありますが、これらを総じて言えば、憲法の理念に沿った国際協力を積極的に推進するために、自衛隊とは別個の常設の国際協力隊を設置して行うという新しい体制を整備するということであります。国論を二分するような自衛隊の派遣ではなく、国民だれもが納得でき、そして特に近隣諸国からもこぞって歓迎される体制の整備こそ、我が国が今日の時代にこたえるものであると確信するものであります。
 なお、特に、国際緊急援助業務を実施するに当たり、効果的に行うためにも、アジア各国とはあらかじめ二国間協定を結ぶべきであります。
 何とぞ御賛同賜りますよう心からお願い申し上げ、提案理由の説明といたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○副議長(小山一平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。吉川春子君。
   〔吉川春子君登壇、拍手〕
#30
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、発議者提案の国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案に対し質問をいたします。
 言うまでもなく、我が国に求められている国際貢献は、憲法の平和原則の立場を踏まえ、軍事的貢献ではなく、日本の経済力と科学技術力を、国内での民生対策を優先させつつ、医療、教育、災害救助や貧困問題、地球環境問題などの解決に役立てることです。にもかかわらず、宮澤内閣は、自衛隊の派遣のみが国際貢献だと言わんばかりに、いわゆるPKO協力法案と、今国会に新たに提出した邦人救出を名目に自衛隊機を海外に送る自衛隊法改正案を成立させようと執念を燃やしていますが、これは断じて容認できません。
 さらに、政府はカンボジア問題を利用してPKO協力法案の必要性を大々的に宣伝していますが、ガリ国連事務総長は、カンボジアヘのPKF部隊の派遣は既に充足していると明言しています。カンボジアの平和的復興と民生の安定という最も重大な課題について我が国が成し得る貢献は、アンコール・ワットの修復や経済復興など非軍事分野でこそ多いはずです。PKO協力法案がなければカンボジア問題で貢献ができないなどという政府の主張は、初めに自衛隊の海外派遣ありきというべき不当な見解と言うほかはありません。
 そこで、まず、日本の国際貢献はどうあるべきか、発議者の基本的な見解を伺います。
 我が国は、PKOすなわち国連平和維持活動においてこれまでも選挙監視要員や政務官などの派遣を行ってきましたし、また災害救助については、昨年バングラデシュのサイクロン災害に際して医療、消防要員を送っています。日本がその気さえあれば、現行法のもとでも国際貢献を行える分野はたくさんあります。しかし、PKOについての新規立法ということになれば結局軍事活動の一翼を担うことになるのではないかと考えられますが、今回、発議者が新しい立法によって対処されようとするのはなぜなのか、見解を明らかにしていただきたいと思います。
 また、最近、貴党の責任ある幹部が一昨年のいわゆる自公民三党合意に社会党も同調し得るとの見解を表明されています。この合意の覚書は、「自衛隊とは別個に、国連の平和維持活動に協力する組織をつくる」となっており、自衛隊とは別個の組織だという以外何らの限定も設けられていません。今回の発議者の法案の非軍事、文民、民生の原則とは相入れないもののように思われますが、見解を伺います。
 次に、提出されたこの法案の非軍事、文民、民生の分野への協力内容について伺います。
 第一は、非軍事ということについてです。
 本法案で国連平和維持活動すなわちPKOへの協力という場合、平和維持軍、PKFや停戦監視団の活動には参加も協力もしないということなのか、お聞きします。
 法案第五条にいう国際協力隊は国連の指揮に服するのか、指揮命令系統はどうなるのでしょうか。
 また、協力隊は小型武器も含めて一切の武器を携帯しないのかどうか、伺います。
 国際協力隊は、輸送、保管、通信、機械器具の据えつけ、修理などの業務を行うとしていますが、これはPKFや停戦監視団の活動の輸送、通信、車両修理など、いわゆる後方支援的活動に一切関与しない、協力しないということかどうか、根本にかかわる問題なので明確にしていただきたいと思います。
 また、平和維持活動への協力と国際的な人道的立場での救援活動はあくまで民生部門に限り、医療、生活関連物資の配付、被害復旧などの業務であっても軍事部門の司令官の指揮下に入って活動するということはないと理解してよろしいでしょうか。というのは、医療活動といっても、カンボジア暫定行政機構に派遣されているドイツの医療隊の場合は軍事部門の医療活動を中心任務としています。ドイツの医療隊は軍隊ですが、文民の医療隊であっても、その活動内容の性格上、医療活動ならすべて非軍事だとは単純には言えないからです。
 第二に、国際協力隊員の身分について、この法案は第六条四項で「自衛官又は予備自衛官の身分を保有する者であってはならない。」と規定しています。国際協力隊が、自衛隊をやめ自衛隊員でなくなった者を中心に組織されるとすれば、ちょうど北欧の国連待機軍のような事実上の第二自衛隊になるのではないか。そうでないというなら、その保障は法律上具体的にどのように担保されているか、伺います。
 第三に、日本の国際貢献は他国の主権を侵すものであってはなら狂いという問題についてです。
 最近、国連の変質という問題が盛んに論議されていますが、平和維持活動も東西冷戦構造の変化の中でその性格を変えつつあります。過去において、国連はコンゴの内政に干渉した苦い歴史を持っています。コンゴの例に照らしても、国連のやることは何でも肯定できるというものではありません。たとえ国連の平和維持活動であっても、その国の主権や民族自決権を侵害したり内政干渉となるような場合の行動に日本が協力、参加するということがあってはならないと思いますが、このことについての御所見を伺いたいと思います。
 この一月の日米首脳会談の東京宣言において日米グローバルパートナーシップがうたわれ、日本の軍事的役割を地球規模に拡大する期待を米側は表明しました。自衛隊の海外派遣はアメリカの世界戦略からいっても不可欠なものである事実を再確認したものにほかなりません。そのためにも、宮澤内閣は、さきの国会で不成立になったPKO協力法案を今国会であくまでも成立させ、自衛隊を何としても海外に派遣する突破口を切り開こうとしています。しかし、これは憲法の平和原則を守ろうとする日本国民の声や、日本の侵略戦争で大きな被害を受けたアジア諸国の懸念に真っ向から対決するものです。
 政府は、日本の世論とアジア諸国民の声に謙虚に耳を傾け、政府の行為によって再び戦争の惨禍の起こることのないようにし、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して安全と生存を保持しようと決意した日本、また、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において名誉ある地位を占めたいと考えている我が国としては、自衛隊海外派遣をねらういかなる法案も廃案しかないと考えますが、この点についてのお考えと御決意を最後にお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔野田哲君登壇、拍手〕
#31
○野田哲君 吉川議員にお答えいたします。
 まず第一に、我が国が行う国際貢献は、憲法の平和原則を堅持して、軍事力によらない文民による民生分野、行政分野の貢献に限るべきだと考ええています。
 第二に、非軍事、民生分野の国際貢献は、現在ある法律によってやろうとすれば可能な分野があります。しかし、政府は、今のPKO法案が成立しなければ可能な貢献についても何もできないかめような態度をとり続けています。それは、政府案の国際貢献策は行政分野を除いてオール自衛隊の派遣となっており、現行法によって文民による国際貢献策が実施されれば政府案のPKO法案の必要性が薄れてくるからであります。その点を明確に国民の皆さんに選択を求めるために、私どもは今回の法案を提出いたしました。
 次に、三党合意の問題にお触れになっています。
 我が党の幹部が九〇年十一月九日の自民党、公明党、民社党三党の幹事長、書記長によるいわゆる三党合意を評価し、これに我が党も乗れるかのような発言をしたことと、今回私どもが提案した法律案とは相入れないのではないかとの趣旨の御質問でありますけれども、三党合意のポイントは、平和憲法の原則を堅持して国連中心主義を貫くこと、そしてもう一つは、自衛隊とは別個に国連の平和維持活動に協力する組織をつくり、PKO、国連決議関連の人道的救援活動、災害救援活動を行う、このようになっているわけでありますから、我が党幹部が発言をしたのは、その趣旨が文字どおり貫かれておれば協議の余地がある、合意の可能性もある、このように触れたものでありまして、現在の政府案とは全く相入れないものであります。
 カンボジアヘの国際貢献は、国連が発表している文書でも、軍事的分野だけではなく、文民やボランティアによって実行可能な民生分野の業務が数多くあります。政府案ではこの分野も自衛隊を派遣してやらせようとしており、そのこだわりようは、カンボジアの救援にかこつけて自衛隊の海外派遣の実績をつくることにもう一つのねらいがあるのではないかとさえ思えるのであります。
 次に、私どもが提案をした法案は、PKFにも停戦監視団にも、軍人もしくは軍事組織が担当する分野はすべて参加しないことを明確にしています。二条三号の国際平和協力隊の担当する業務では、政府案の三条三号に定めているイからへまでの軍事的分野をすべて除いています。また、六条四号で自衛官及び予備自衛官は協力隊の構成員にはしないことを明確にしています。それから、文民の派遣でありますから、武器の携帯については小型を含めて一切携帯をしないこととしております。
 次は、平和協力隊の業務は二条三号で定めており、PKFの後方支援活動には参加をいたしません。
 次に、指揮系統の問題でありますけれども、国際平和協力業務の実施に当たっては、その実施計画を閣議決定し、国会の承認を受け、その計画に沿って協力業務を実施することになります。しかし、派遣された現地での派遣隊の行動は、国連事務総長または現地において国連事務総長の権限を行使する者の指揮に従うこととしております。
 次に、国際平和協力業務を実施する場合は、実施計画を定めて閣議決定を行い、あわせて国会の承認を得なければならないこととしています。その実施計画の中で、実施すべき国際平和協力業務の種類及び内容を定めることとしています。したがって、もし派遣先で軍事部門の指揮下に入って軍事的業務を担当することになる場合には、第十条三項一号の「派遣隊の行動が実施計画に反することとなる」、このことに該当し、国連の指揮とは離れ業務を中断することにしています。
 次に、平和協力隊に多数の自衛隊退職者が入ってきたときには第二自衛隊になるおそれがあるのではないか、その場合の歯どめはどうか、こういうことでございますが、平和協力隊は隊員も幹部もすべて文民であり、所属も総理府であります。また、武器を使用する軍事的なトレーニングは行うことはございませんので、そのような御懸念はないと考えます。
 次に、国連のPKOの活動はその重要な原則として、いずれの紛争当事者にも偏ることなく実施されることになっています。したがって、もし国連の決定がこれに反し、あるいは実施の途中で公正、中立性を欠くことが明白になったときは、参加を中断すべきだと考えております。
 最後に、御指摘のように自衛隊の海外派遣を主たる内容とするいわゆるPKO法案は、一回は一昨年十一月に廃案になり、今回また継続審議になっている政府案も衆議院では強行採決されたものであります。最近に至ってPKF凍結論や国会承認事項の挿入が各政党幹部から発言をされており、加えて担当大臣である渡辺副総理・外相も同様趣旨の発言をされています。この渡辺副総理の発言は、実質的には国会法五十九条を無視した発言と言わざるを得ないのであります。このような形で政府提出の法案の実質が大きく変更されようとしているのでありますから、この法案は一回廃案にして、国民合意の内容にして出直すべきであると考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○副議長(小山一平君) 井上哲夫君。
   〔井上哲夫君登壇、拍手〕
#33
○井上哲夫君 私は、連合参議院を代表して、ただいま議題となりました国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案、以下これを私は対案と呼びます、について、提案者の日本社会党・護憲共同の発議者並びに宮澤総理にお尋ねをいたします。
 日本の国際平和協力については、国連平和維持活動、以下PKO活動と呼びますが、これへの参加の仕方をめぐって、国会論議はもとより、新聞、テレビなどのマスコミも連日これを報道しております。それにもかかわらず、PKO法案すなわちPKO活動の内容やその参加すべき形態の是非については多くの国民から十分な理解が得られない、あるいは難しい問題でお手上げたとの声も少なくありません。
 さらに、ここに来て政府がさきに提出したいわゆる政府案につきましても、参議院PKO特別委員会で継続審議案件となって以降にわかにその修正案論議が出てきました。軍事的色彩の濃いいわゆるPKF活動はひとまず凍結すべきだとか、国会の事前承認は欠かせないとか、さらに自衛隊員の身分を併任する協力隊員の指揮命令監督権は国連にあるのか日本政府にあるのかを明確にすべきだといったさまざまな修正案の声は、政府案の内容からも決して見逃すことのできない重要な部分ばかりであります。このような事態になり、かえってPKO法案への国民の理解は遠くなったとを言われるところであります。
 さて、社会党の田邊委員長は先週二十四日の全国書記長会議でのあいさつで、初めに審議拒否ありきの態度ではなく、徹底審議を求める中で野党間の接点を見出していきたいと表明したと報道されました。PKO法案に関して野党間の政策協調の場をもつくりたいとのお考えがあることを前提に質問するものです。
 ここで一言お断りをいたします。私ども連合参議院は、さきの第百二十二回国会より独自のPKO法案をまとめておりました。そして、その基本的内容は折に触れ公表してきております。今日この事態の中でも、私どもの独自案はその内容から見て、政府案や対策、さらに他党の見解に比べて決して遜色のないものと考えております。しかし、対案に対し、政府案との相違並びにその背景についての質問をするべく貴重な時間をいただいたものと考えております。その意味で、質問への率直かつ明確な、そして核心に触れる答弁をいただきたく、あらかじめお願いを申し上げます。
 対案の特徴は、非軍事、文民、民生という単語で象徴的に表現されております。日本のPKO活動参加の形態は、軍事的色彩のない業務に、自衛隊員ではなく民間人による構成で、派遣国の国民生活に密接した部門援助のためになされねばならないとの考えに基づくものであります。
 そもそも、PKO活動は多岐にわたる内容で、その実態につきこれを一義的には説明できないことはいたし方ありません。ただ、PKO活動は、国際連合の総会または安全保障理事会が行う決議に基づき、停戦合意の遵守の確保、停戦合意後に行われる民主的統治組織の設立の援助、その他紛争に対処して国際平和及び安全を維持するために国際連合の統括のもとに行われる活動であります。したがって、武力紛争当事者の兵力引き離し、放棄された武器の収集から、緩衝地帯、地域での停戦監視のための駐留、巡回といったいわば軍事的業務と、選挙管理監視業務、文民警察業務、医療業務といった民生活動、さらに難民救援、インフラ復旧といった人道的な救援活動とに大きく分類されましょう。
 聞くところによれば、過日実施に入ったカンボジアでのPKO活動の概要は、約七割はPKF要員で構成され、業務の内容も軍人の経験者が平和維持の業務につく側面が主要なものであるとのことです。にもかかわらず、PKF活動に日本が参加することについては、これまでの論議の中でも甲論乙駁、賛否入り乱れ、まさにかんかんがくがくの状況にあります。
 政府案では、自衛隊の身分をあわせ持った協力隊員のみがPKFや停戦監視業務に従事すべしとなっており、一方、対案では、軍事的色彩の濃いこれら活動に日本は参加すべきでないばかりか、身分が自衛隊員である限り国際災害援助活動にも従事すべきでないと対案からは読めます。対案で自衛隊員の身分を持つ者は一切参加すべきでないことの理由はどこから来ているのでしょうか。
 私どもの独自案では、日本は初めてPKO活動に参加することだし、憲法の制約や、海外、とりわけアジア諸国の不安や懸念もあるようだから、とりあえずはPKF活動は見合わせようと考えました。対案は、自衛隊そのものが憲法違反であることからなのか、武力行使の機会がPKF活動では避けられず、憲法上の制約をはみ出すおそれがあるからでしょうか。また、昭和二十九年六月の参議院での自衛隊の海外出動はこれをなさない旨の国会決議に違反するからなのでしょうか。さらに、くどいようですが、PKO協力隊員の指揮命令監督権がどうしても国連事務総長下に入り、日本政府の関与、監督が及ばなくなること、つまり自衛隊法違反の疑いが出てくることからなのでしょうか。
 ところで、湾岸戦争は日本に、アメリカその他の諸国に対し実に百三十億ドルの財政支援をもたらしたばかりか、難民輸送に自衛隊機を充てようとして、実現できなかったものの、いわゆる特例政令を生み出しました。さらに、ペルシャ湾での浮遊機雷の除去処理に自衛隊の掃海艇が、自衛隊法の改正手続を経ることなく雑則規定に基づいて派遣されました。私どもは、この問題に関しては政府と考えを異にしたのも事実です。
 しかし、こうした政府の対応は、憲法の空洞化の始まりとかあるいは法の支配の危機との声を招きました。自衛隊については、日本国憲法上どこにも規定がないにもかかわらず、政府の見解によれば憲法解釈によって軍備の整備、増強が図られ、しかも、廃案となったものの国連平和協力法案の審議の際には、これも解釈によって、ペルシャ湾でもどこへでも兵たん、輸送、通信業務を含む自衛隊派遣ができると説明されました。そして、難民輸送のための特例政令と掃海艇の派遣に至ったのです。
 しかし、憲法解釈の山を築いて自衛隊問題の処理を図るという手法は、当然のことながら政治問題を重箱の隅をつつくような法律論へと変質させる結果となります。このようなやり方は、自衛隊の問題については国民的コンセンサスをつくることを回避する極めて便宜主義的な取り組みと言われても反論はできません。これでは、一体憲法は何のために存在するのか、憲法体制が国の基本体制だと言われてもさっぱりわからなくなります。その意味では、法の支配が空洞化し始めていると言えます。
 このように考えますと、政府案も対案も多数の合意とならないとき、修正案を圧倒的多数で策定して目前の政治課題を処理しなければ私たち議員の職責は全うできないと言わざるを得ません。対案発議者にこのような考え方はあるのか、さらにカンボジア支援のPKO版を時限立法その他で考え得る余地はあるのかをお尋ねする次第です。
 私は、昨年十二月二十日、参議院PKO特別委員会にて宮澤総理に、政府案以外PKO法案につき念頭にないのか、つまり修正の余地はないのかどうかをお尋ねいたしました。そのとき総理は、参議院がその意思として修正を決めればこれを政府は尊重する、三権分立というのはそういう原則だとお答えになりました。しかし、これまで私がるる申し上げたように、状況は政府案への重大な内容の修正及びこれに呼応する声が与野党に上がり、また野党第一党よりこうして対案も出された中で、政府の最高責任者、そして与党総裁としては、むしろ今こそ主体的に修正案の骨子を提案して、これを審議の上成立させてほしいと御主張される意思はありませんか。宮澤総理に改めてお尋ねいたします。
 私の質問を終えるに際し、最後に申し上げます。
 今日の国際化社会の中で日本が今できることは何かは、国民の注視ばかりか海外からも注目されるところです。国会は今、議論は議論、しかし一つの結論、決断をしなければならないものと私は考えます。それは、私ども議員全員の努力によってPKO活動への参加の法案をまとめ、これを成立させることだと思います。
 昨年秋、私どもはスウェーデン、オーストリア、そしてキプロス共和国を訪ねました。中立政策を堅持してきたオーストリアの高官は、私どもにこう話ってくれました。「我がオーストリアのPKO活動参加の初めは衛生兵、看護兵を派遣し、次いで野戦病院等後方支援部隊を出し、最後にPKF隊を出した。いずれも国会承認のもとに」。この事実を厳粛に受けとめて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔野田哲君登壇、拍手〕
#34
○野田哲君 井上議員にお答えいたします。
 まず、政府案と今回私どもが提案した法案との基本的な相違点ほどこにあるのか、こういう御質問、御指摘でありました。
 御指摘にもありましたように、政府案は、国際平和協力業務の大部分を、民生分野を含めて自衛隊を派遣して行おうとするものであります。私どもが提出した法律案は、国際平和協力業務のうち軍事的業務を除いた民生分野、行政分野を、文民によって行おうとしている点があります。これが一番の基本的な相違点であります。
 次に、私たちが国際平和協力業務に自衛隊を派遣すべきではないとする第一の理由は、自衛隊の存在そのものについて憲法上の疑念があるからであります。
 第二には、日本でこそ自衛隊という名称で軍隊ではないかのようなカムフラージュをしていますけれども、国際的にはその認識は紛れもなく軍隊であります。そのような組織が海外に派遣をされることは、近隣諸国の懸念を招き、アジア諸国との真の友好を損なうことになるからであります。
 第三には、特に、自衛隊がPKOに派遣されれば国連の指揮に入ることになり、その場合PKFの現地での行動が集団的自衛権の行使に至るおそれを持っており、このことは、仮に自衛隊が憲法の容認する組織であったとしても、集団的自衛権の行使は明白に憲法の否定する行動であることがもう一つの理由であります。
 第四には、本院は、御指摘にもありましたように、自衛隊の発足の際の自衛隊法の審議に当たって、自衛隊を海外に派遣せざることという趣旨の決議を行っております。これは、自衛隊の行動範囲について国権の最高機関として制限を設けたもので、政府の解釈によって変更できるものではないと考えています。
 次に、PKOの活動分野については、その派遣される国または地域の紛争の経過や社会経済の環境によってさまざまの形態がありますが、その活動の大きな分野として軍事的な分野があることを否定するものではありません。そして、PKOの活動のどの分野にどのような形態で参加するかは国連の要請を受けそれぞれの国が自主的に決定するものであって、我が国としては、第一の御質問にお答えした理由から、軍事的分野を除いた人道的援助、インフラ復旧、経済的支援、行政上の指導等に最大限の貢献をすべきであると考えています。
 その場合のこれに対応する組織としては、既存の行政組織で持っているノウハウ、要員、機材、物資を国際平和協力隊に移管して、さまざまの形で今行われている国際的なボランティア活動とも提携をしながら、可能な限りの体制をとろうとしているものであります。
 次に、自衛隊の発足と日米安全保障条約の締結以降の政府・与党の安全保障政策の軌跡をたどると、憲法解釈の変更による実質的な改憲と、法改正についても便法的な附則の改正や政令にゆだねるなどのこそくな手段によって国会での真正面からの審議を回避する例が最近目立っていることは御指摘のとおりであります。これによって国会審議が空洞化し、法の支配の崩壊の懸念を持つものであります。私たちがかたくなに自衛隊の海外派遣に反対するのは、一つの先例を認めることが全体の歯どめを崩すことになるという懸念を強く持つからであります。
 そのような観点から、たとえカンボジアについても一定の条件を付して自衛隊の参加を認める考えは持っておりません。しか、日本が今後国際的にどのように貢献するかということは極めて重要な課題でありますし、カンボジアの問題についても急を要する問題については、当然立法府としての責任を果たすために非軍事の分野で協議をすれば合意できることが数多くあるわけでありますから、政府もそれに対応して法的措置をとるべきである、このように考えており、その協議には私どもも積極的に参加することにやぶさかではございません。以上、井上議員に対するお答えといたします。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの国際社会における現状から考えまして、国連による平和維持活動というものは極めて大切なことであるということ、それからそのような平和維持活動に対して我が国としても貢献をし責任を果たさなければならないということ、政府はそのような考え方のもとに我が国の参加、貢献についての根拠法として法案を提出いたしまして、一日も早く成立をさせていただき、このような国際的な責務を果たしたいと考えておるところでございます。ただいま井上議員の御質問を謹んで注意深く承っておりましたが、このような国連の平和維持活動について我が国が何かの参加をする必要があるであろう、そしてそのために、内容はともかくといたしまして、根拠になる法律案を成立させる必要がある、基本的にはそういうお立場からの御質問と承りました。
 そこで、政府といたしましては、そのような参加、貢献につきまして、政府が提出いたしまして御審議を願っております原案が最善のものと考えて御審議を願っておるわけでございまして、基本的にこの点を御理解いただきました上で十分御審議をお願い申し上げたいと存じます。もとより、御審議に当たりまして、ただいま井上議員が言われましたように、この問題は極めて重大なたくさんの要素を含んでおりますので、立法府が立法府の御意思において修正をお考えになられるということは、これは本来三権分立の立場から考えまして政府としては当然にそういうことは尊重しなければならない立場でございます。衆議院におきまして現実に一つの修正がなされたということも存じております。
 ただ、井上議員の、基本的にこのような国連の平和維持活動に参加をすることは大事である、そのための根拠法は必要であるというお立場からの御質問に対しましては、そのような御修正があるといたしましても、まず政府といたしまして、その結果として国連の要請に迅速かつ的確に対応し得るものでなければならないと存じます。また、実効性のあるものでなければならないと存じております。
 現実の御指摘になりましたカンボジアの事態というものを考えますと、例えば、私どもは自衛隊の参加ということが必要であると考えておりますが、現実の問題として申し上げますならば、あのような国連の平和維持活動に参加をいたしますときに、これがいわば組織のない、指揮のない、訓練のない人々が現地に参りましたときに、果たしてどのような立場で自分の安全を確保し得るか。また、どのように現実の生活をし得るか。生活と申しますのは電気であるとか水であるとかそういうことでございますが、そのような生活をいかにして確保し得るか。また、居住はいかにするか、活動のための移動をどうするか、現実に安全をどのように図るかという、具体的にそのような問題を考えてみますと、やはり自衛隊が参加をするということがどうしても必要である、政府としてはこのように考えております。
 したがいまして、いろいろ御審議をいただき御修正をお考えになられます場合におきましても、自衛隊の参加を含め、我が国として国連の要請に迅速かつ的確に対応し得る実効性のあるものとして国際的な貢献をいたしたい、このように考えておるところでございます。(拍手)
#36
○副議長(小山一平君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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