くにさくロゴ
1992/06/06 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第20号
姉妹サイト
 
1992/06/06 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第20号

#1
第123回国会 本会議 第20号
平成四年六月六日(土曜日)
   午前零時三十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程第二十号
  平成四年六月六日
   午前零時三十分開議
 第一 国際連合平和維持活動等に対する協力に
  関する法律案(第百二十一回国会内閣提出、
  第百二十二回国会衆議院送付)
 第二 国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一
  部を改正する法律案(第百二十一回国会内閣
  提出、第百二十二回国会衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、議院運営委員長井上孝君解任決議案(梶原
  敬義君外一名発議)(委員会審査省略要求事
  件)
 一、内閣総理大臣宮澤喜一君問責決議案(久保
  亘君外一名発議)(委員会審査省略要求事件
  )
     ―――――・―――――
#2
○議長(長田裕二君) これより会議を開きます。
 梶原敬義君外一名から、委員会審査省略要求書を付して、議院運営委員長井上孝君解任決議案が提出されました。
 お諮りいたします。
 議院運営委員長井上孝君解任決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○議長(長田裕二君) 御異議ないと認めます。
 よって、本案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。梶原敬義君。
   〔梶原敬義君登壇、拍手〕
#4
○梶原敬義君 私は、ただいま議題となりました議院運営委員長井上孝君解任決議案について、日本社会党発議者を代表して、その提案理由を御説明申し上げます。
 去る六月一日、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案など政府提出の二法案と我が党提出の国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案を並行審議をしていた国際平和協力等に関する特別委員会において、その政府提出法案の根幹にも触れるような自公民三党による共同修正案が提出され、さらに翌二日には連合参議院からも修正案が提出される等、これからなお委員会の審議を一層深めなければならない状況になっていたのであります。
 しかるに、六月五日の早朝、非常に残念なことでございましたが、我が党の質疑者がまだ残っており、かつ、各修正案についてそれを提出した理由やその内容についての審議を十分尽くすための時間が与えられないまま、さらにまた、質問中の我が党の角田議員には下条委員長は留保した十五分の質問を約束しながら、強引に質疑が打ち切られ、三党提出によるいわゆる自衛隊の海外派兵を含むPKO法案が強行採決されたのであります。
 そもそも、この国際貢献を名目にした政府案は、憲法を歪曲し、踏みにじり、これを機会に自衛隊を海外に派遣できるようにしようとするものにほかならず、マスコミ等の世論調査によっても多くの国民が反対しているところであります。私の地元の社会党県本部にも、昨日の無謀な採決強行に抗議をして、社会党頑張れと電話がたくさん入っているとのことであります。
 また、アジア諸国の国民にも危惧の念を持って注視をされたということも報道されておるし、アメリカのマスコミ界にさえも危倶の声が上がっていると伝えられております。
 夕刊の新聞の伝えるところによると、隣国韓国では、与野党は、「日本はあまりにも早く変身しているのではないかとの憂慮をぬぐいきれない」、また、「日本の平和憲法は厳格に解釈されねばならない」と指摘、さらに、「これで日本の平和憲法は事実上、有名無実になった。新たな軍事大国として浮上しようという保守派の目標が達成された」と伝えられております。
 同じく、中国首脳は、「日本の侵略を受けたアジア諸国にとっては、微妙な問題なので慎重な対応を」と政府に繰り返し表明していると伝えられております。
 私は、四月二十五日から一週間、社会党の調査団の一員としてカンボジアの実情調査に行ってまいりました。
 特に、現地で活動しているUNTAC、国連カンボジア暫定統治機構のサドリ副代表とサンダーソン中将現地指揮官に会ったときに、私は彼らに、日本は国際協力に際して金は出すが人は出さないという風評を国内でよく聞くが、カンボジアでもそうなのか、こう尋ねたところ、サドリ副代表はちゅうちょすることなく、確かに湾岸戦争の折にはそのようなことを聞いたことはあるが、カンボジアに関してはそんなことはありません、UNTACの立ち上がりの行動が起こせたのは真っ先に日本が資金を負担してくれたからであり、いろいろな御協力に感謝していると答えた。これは公式な場での発言であります。
 政府の言うように、カンボジアに対する国連の業務に協力するという国際貢献が求められているとしても、非軍事の面で、文民による民生の分野で貢献すべき課題が山ほどあることを私自身つかんでまいりました。平和憲法のもとにある我が国が、その分野で積極的な貢献を幾らでもできるのであります。
 さて、もし今憲法を変えようとすれば、我々も総力を挙げて闘うことになりますが、何よりも圧倒的に多くの国民が反対されることになると思います。したがって、今我が国においては憲法改正ができるような状態ではないと思うのであります。
 そこで、政府は、カンボジアの一方的な情報を利用し、国際貢献を名目に、何とか自衛隊を海外に派遣できるように無理な拡大解釈をしているのではありませんか。もしそうでないというならば、なぜ政府は自衛隊の派遣でなければ国際貢献ができないと言わんばかりの見解に固執するのでしょうか。そして、なぜ非軍事面での文民による民生の分野での国際貢献に消極的で、これまで手抜きをしてきたのでありますか。
 このように、本来憲法を改正しなければできないことを憲法の拡大解釈でやろうというのでありますから、国際貢献のためと言おうが、どう言い繕おうとも、事実上の改憲であることを隠ぺいしようとするこそくな手段と言わざるを得ないのであります。かかるこそくな手段を弄する宮澤内閣の政治姿勢を我々は断じて容認できないのであります。あまつさえ、与党の幹部や政府の閣僚の一部が、いわゆるPKO法案が成立しないときはなどと衆参同日選挙をちらつかせたりするなどは全く言語道断であります。
 加えて、我が参議院には一九五四年決議があります。この決議は、派遣を含めて自衛隊が海外に出動することを認めないというものであります。当時、一名を除いて全員が賛成をしているのでありますから、全会一致と言える状態のものであります。この全会一致というところにこの決議の重さがあり、この決議を打ち消す新しい決議が全会一致で行われない限り、我が参議院の議員は決議を踏まえて事に当たらなければならないという政治的責任があると思うのであります。
 今回の政府提出の法案や三党修正案は、自衛隊の海外派遣が憲法に違反していないかどうか、本院五四年決議と自衛隊の海外派遣の関係について徹底的な論議を尽くし、かつ国民の大方の合意が必要な重大な内容を持つものであります。そして、この論議を尽くすということは、委員会の審議時間が何時間だったかなどという計数的なものではなく、どれほど問題点の掘り下げが行われ、事実関係や資料の十分な検討がなされ、その結果として国民のだれにでもわかりやすく理解できるような審議が行われるということだと私は思うのであります。この観点からすれば、委員会での論議が尽くされたところか、指揮権の問題を初めまだ明確でない問題点が多くあることや、国連資料等ももっと検討しなければならない問題もたくさんあること等、まだまだ審議は不十分であります。
 また、三党修正案にも、昨日の我が党の角田議員の質問で次のような重大な問題点が浮き彫りになりました。
 すなわち、一つは平和維持隊であります。修正案において用いられている「国際連合平和維持隊」なる用語は政府原案にもないものであり、日本が参加しようとする対象である以上、それがいかなる性格、任務、範囲などのものであるか明確に定義する必要がある。この定義を法文に明記しなければ法の欠陥となる。
 第二点としては、五原則について、平和維持隊に参加するに際しての「基本的な五つの原則」という言葉もその定義が全く明示をされていない。
 三点といたしまして、国会に対する努力義務規定について、修正案には、内閣総理大臣が国会に求めたPKFへの派遣に当たっての承認について、国会は「七日以内に、それぞれ議決するよう努めなければならない。」と規定されている。国会が総理大臣によって求められた承認に対して議決する努力義務を負わされるというような法律はこれまでに立法例もなく、憲法ですら規定しておりません。国権の最高機関たる国会に内閣が求めた承認を議決する努力義務を負わせる修正案は、国会の機能、国会と行政府の関係、すなわち議会制民主主義のイロハをわきまえない本末転倒の法案であり、これ自体受け入れられないだけではなくて、もし認められれば国会の機能の根幹を否定する重大な前例となるという意味を持つものであり、断じて認められないのであります。
 以上の点も全く解明されないまま、強行採決というような異常な状態で委員会で採決をされたのであります。したがって、議会制民主主義によるルールの本質を踏まえれば、徹底論議を尽くすよう法案を委員会に差し戻すのが良識的措置だと思うのであります。
 しかし、結果は、委員会に差し戻されることなく、本会議の議題とされたのであります。議長が院の円滑な運営が行われる環境づくりに心がけるべき立場にある議院運営委員長は、伝えられるところによると、一方的な議事運営を行ったということであります。議会制民主主義のルールにかんがみて、その責任は問われるところであり、解任は当然だと思うのであります。
 井上孝議院運営委員長、我々日本社会党は、予算案の審議、法案の審議等においてはこれまで誠心誠意協力してまいりました。予算案に当たっては、昨年度の補正予算、今年度の暫定予算に賛成をし、法律案においても、九〇年の第百十八国会においては九四%の賛成、九一年の百二十国会では九六・四%の賛成、今国会においてはこのPKO法案三案を除きすべてに賛成をしようとしているなど、円滑な国会運営に協力をしていることは井上委員長が一番よく御承知なことではないでしょうか。にもかかわらず、昨夜、まだPKO法案の審議が続行中、しかも三党修正案に重大な問題が指摘される中での本会議手続をとるなど、議会運営の慣行を一方的に破った行動は許されるものではありません。
 さらに、特別委員会が混乱して以降、本会議に向けての調整努力が全く見られず、また、このような国論を二分するような対決法案が委員会において一方的に強行採決された場合には、全党全会派が了解せぬまま当日の本会議は開かないという本院の慣行を破ったことは許すことはできません。議会制民主主義を率先しなければならない議運委員長のとるべき態度ではない。著しく本院の権威を傷つけました。みずから潔く辞任すべきものであると考えます。
 以上、井上議運委員長解任の決議の趣旨を申し述べましたが、議員各位におかれましては何とぞ御賛同賜りますようにお願いをいたしまして、終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(長田裕二君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。千葉景子君。
   〔千葉景子君登壇、拍手〕
#6
○千葉景子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました議院運営委員長井上孝君の解任決議案に対しまして、賛成の討論を行うものであります。
 賛成の第一の理由は、まず、日本の国際協力をめぐる国会審議に関する責任でございます。
 昨年の第百二十二回国会におきまして、自民党は衆議院で、議院運営の基本を無視して、政府提案の国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案等二法案を強行採決いたしました。このため国民世論は激高し、政府・自民党にその撤回が強く求められたところであります。これは私たちの記憶にまことに新しいことでございます。
 にもかかわらず、宮澤内閣と自民党は、それらに対する自省も全くなく、本参議院に送付をしてまいりました。しかも、自民党は、この第百二十三国会をPKO国会と位置づけ、国民生活に不可欠なあらゆる重要法案を簡略な審議で強引に処理し、あるいは国際化時代に避けて通れないという子供の権利に関する条約等大切な条約案件を先送りするなど強硬な議事裁きを連続して、最後には、昨年の衆議院での蛮行と同様、六月五日、再び当日の審議時間の約束も無視して強行採決を行いました。さらに申し上げれば、採決は存在せず、存在しないものをしたと強弁しているというのが正確な事実です。これは極めて残念なことであります。
 ただいま申し上げましたのは、通称PKO法案と言われる法案をめぐる審議についての衆議院からの流れの大筋ですが、この間の政府・自民党のとった国民生活等内外情勢の進展に伴う課題に対する国会審議の態度の不誠実さは日に余るものがあり、その上、PKO法案審議をめぐる議会制民主主義のじゅうりんに至ってはまさに言語道断であります。
 さらに、具体的に指摘させていただきますと、この国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案に対する修正案が提出されたのはわずか数日前の六月一日であります。この一日の三党案提出に伴って、連合参議院会派からも修正案が提出されたことは申すまでもございません。
 繰り返して申しますと、自民党、公明党、民社党三党の合意による修正案と連合参議院提出の修正案に対する審議時間のあり方は、その修正内容が法案の根幹にかかわるものである以上、修正案提出以前のいわゆる旧案の審議時間を前提として、すなわち旧案に対する審議時間を合算してとらえるということは明らかに合理性を欠き、新たな法案の提出と同様に本来考えるべきものであります。国の命運を決する重要法案の一大修正案をわずか二、三日の審議で議了したというごとく解釈することは、最高立法機関の議会運営としてはかり知れない誤りを犯し、取り返しのつかない悪例を残したことになると断言しても過言ではありません。議会運営に責任ある者としてこのような議会運営を認めることは到底許されることではなく、責任は重大です。
 第二の賛成の理由を申し上げます。
 改めて申すまでもなく、議院運営委員会委員長の井上君は、議会運営に責任を持つ極めて重要かつ権威のある地位と立場にあります。にもかかわらず、さきに述べたPKO法案をめぐる一連の議会運営を許したのみならず、六月五日の不法不当な蛮行による採決という名の暴挙を何ら省みず、本来国際平和協力等に関する特別委員会の審議の再開を促し、問題を当委員会に差し戻すべきところ、強引にも本日の本会議に議題として提出したことです。
 しかも、この本会議開会に至る経緯も極めて問題が残ります。というのも、六月五日の本会議開会の決定は、六月四日深夜、国際平和協力等に関する特別委員会におけるPKO法案の審議の継続中、議了の見通しもないままに、議運理事会の合意もなく議長の明確な了解もないまま、ほかに本会議にかけるべき案件もないのに委員長の独断で決定したものであり、まさにPKO法案の強行採決を当然予定されるものとしてとらえた不当きわまりない措置であり、余りにも無責任なものと言わざるを得ません。
 万が一、委員会での審議が議了したとしても、議運委員会における緊急上程の決定は全会一致が先例であり、PKO法案について考えたとき、我が日本社会党からは独自の対案が提出され同時に審議をされていることからも、全会一致が不可能であることは明白なところでございます。議案なき本会議設定という全く異常な措置であると言わざるを得ません。このような議会運営を行った議運委員長の解任は当然でありましょう。
 今さら御説明するまでもなく、議院運営委員会とその委員長は、立法府が立法府たらしめるための中心であります。厳密に言えば、議運の委員並びに委員長は、所属党派を離れ、議会の公正な運営に死力を尽くすことでありましょう。
 以前から民主主義の学校とも言われている北欧のスウェーデンでは、立法作業に必要な国会議員のいわゆる立法調査費などは野党に多額が配分されるように制度化されていると言われています。ということは、与党は常に情報、資料、人材等に恵まれているから少額でもよいという前提に立ち、反面、一党による政権の長期化を抑制し、政権の円滑な移動、交代を保証、促進させるためには、日ごろから野党勢力を育てなければならないという崇高な考え方に立脚しているのであります。こうした哲学と見識を自民党がお持ちであれば、議院運営委員長はむしろ野党に譲るくらいのお考えがあってもよろしいのではないでしょうか。
 ましてや、司法、行政、立法の三権分立という憲法体制からいえば、今日の行政府の肥大化は目を覆うものがあり、国会は政府提出法案の独壇場の観がございます。こうしたことからも、これら閣法と衆議院法、参議院法等のいわゆる議員提出案との調整等にも、議院運営委員長は野党から選出されることが、バランスを保つなどあらゆる視点から極めて適切であると確信しております。
 とにかく、議会運営のかなめである議運委員長が、単に与党の議員であるからというだけで政府と一体となって、強行に強行を重ねて委員会採決、即本会議上程などという暴挙をすることは断じて許せません。
 もう一度強調しましょう。真の議会制民主主義とは、行政府と立法府とのチェック・アンド・バランスが基本であります。そのチェック・アンド・バランスを日常的に保障することが、民主主義的政治手法、運営を国民的にも習熟させることなのであります。そのチェック・アンド・バランスを責任を持ってつかさどるのは、申すまでもなく議運委員長でございます。議運委員長はこのたびその責任をみずから放棄してしまったのでございます。
 こうした議会制民主主義を冒頭から無視してまるで泥靴で神聖な議会を踏みつぶすかのごとき蛮行を繰り返すなら、国民の国会に対する不信はいよいよ高まり、さらに政党政治に対する疑問、そして政治全般にわたっての不信感はますます増幅され、やがて取り返しのつかない深刻な事態を招かないとも限りません。したがって、議運委員長井上孝君は、この際、議院運営委員長を解任されても弁解できないものと断言いたします。
 さて、本院には、政府案のほかに我が党も国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案を提出、御承知のように政府案と並行審議がなされており、その過程で、いかに社会党案が今回の国際情勢の中で合理性を示しているかが次第におわかりになってきたことと思います。
 改めて自信を持って申し上げますが、我が日本社会党は何党にもまして、PKOの必要性、重要性かつ緊急性を認識しております。米ソ二超大国が第二次大戦後の世界政治をリードしてきましたが、ソ連邦の崩壊による冷戦構造の終えん、それらによるデタント現象の拡大、その反動としての民族、宗教等の対立抗争が激発していることも否定はできません。したがって、これら地球上の紛争に対する平和的手段による解決のために、資源なき国家日本、貿易立国日本は、物心及び人的面において積極的に貢献しなければならないことは多言を要しません。こうした自覚と責任感から、かつ憲法にのっとった国民的立場から、さきの対案を提出、審議をいただいているところでございます。
 終わりに当たり申し上げますが、我が党の国民的、国際的検証にたえ得る対案が予想を超える広がりをもって支持され始めたために、政府案は一昨年の海部政権当時の法案からは後退に次ぐ後退を続け、さらに数日前の三党合意なる修正案にまで大きく後退してきたのであります。そのために、法案は結局矛盾だらけ、法律としての体をなさないものになってしまいました。これほどの重要法案についてここまで醜態をさらしながらの訂正、取り消し、修正劇は、戦後政治には見られなかった珍現象であると断言しても言い過ぎではありますまい。したがって、その非はひとえに政府・自民党に存するのであることは明らかであります。
 にもかかわらず、井上議運委員長は、過ちを連続して犯し、宮澤内閣と自民党執行部にのみ忠誠を誓い、最も大切な民主主義と賢明な国民を冒涜する蛮行を重ねたのであります。議院運営委員長は職員を投げ捨てたと言っても過言ではなく、よってここに井上議運委員長の解任決議は正当であることを申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)
#7
○議長(長田裕二君) 諫山博君。
   〔諫山博君登壇、拍手〕
#8
○諫山博君 私は、日本共産党を代表して、議院運営委員長井上孝君を解任する決議案に賛成の討論を行います。
 解任に賛成する第一の理由は、本日の本会議の設定を強行し、かつ、議院運営委員長として、本来国際平和協力等に関する特別委員会に差し戻さなければならない国際平和維持活動協力法案を、職権によって無理やり本会議に上程したことであります。
 六月五日の国際平和協力等に関する特別委員会での採決とは一体いかなるものであったでしょうか。国民が寝静まった深夜、委員会での一切の約束を踏みにじって審議を強行的に中断し、我が党の吉川春子理事が文書によって質疑継続の動議を提出しているにもかかわらず、いかなる正規の採決もなさないままPKO法案及び国際緊急援助隊法改正案が可決された、こう称しているにすぎないのであります。草木も眠る丑三つ時に強行されたこの行為は、それこそ何ら実体的な効力を有しないのであります。
 本法律案は、憲法の平和条項を真正面から侵害し、日本の戦後の進路の根本的な変更にかかわる重大なものであります。それだけに、慎重にも慎重を重ね、審議が尽くされることが要求されるのであります。そして、審議を通じて、本法案が自衛隊を海外に派兵することを中心内容としていること、武力行使を含む軍事中心の国際活動であるPKOの活動を日本の国内法で規制しようとする本来成り立ち得ない立法であること、自民、公明、民社の三党が自衛隊とは別個の組織と公約した内容と全く相反するものであることなどについて、責任ある解明はいまだ全くなされていないのであります。それどころか、修正によって新たな数多くの問題が出てきました。
 国会には法案の意味する法的、政治的内容を国民に明確にする義務があります。それらを解明しないままその努力を途中で投げ出すのは国民と憲法に対する国会の責任と義務の放棄であり、議会制民主主義を根底から覆すものであります。こうした暴挙が行われたとき、議院運営委員長が果たすべき役割は極めて重大であります。すなわち、採決の経過を調査し、その無効を指摘し、国際平和協力等に関する特別委員会に差し戻すこと、これこそが議院運営委員長が事態を議会制民主主義の大道に戻すために当面果たさなければならない最大の職員であったのであります。
 ところが、井上孝君が行ったことは、これとは全く逆に、本会議の強行設定と採決の実体のない国連平和維持活動協力法案等の上程という議会制民主主義のじゅうりんをさらに重ねる暴挙だったのであります。ここに至って、もはや井上孝君が議院運営委員長の職員を著しく逸脱し、本院の権威を失遂させたことは明白であります。その職に任ずるに極めて妥当を欠くと断定せざるを得ません。
 賛成理由の第二は、議院運営委員長井上孝君が国際平和維持活動協力法案等の本会議上程を強行することによって、本院が一九五四年に議決した自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議をないがしろにしようとしていることであります。
 この決議は、「本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれを行わないことを、滋に更めて確認する。」、このように宣言いたしました。自来、三十八年間にわたってこの方針は国是となり、本院もまた本決議に反する立法は一切行ってこなかったのであります。本決議には、国連平和維持活動協力法案等の提案者である内閣総理大臣宮澤喜一君も参加していました。また、修正案の発議者、とりわけ公明党の諸君なども繰り返し決議の歴史的な意義と重要性を強調していたのであります。これらの諸君が態度を豹変させたからといって、本決議の意義も内容も何ら変化するものでないことは言うまでもありません。にもかかわらず、自民党、公明党、民社党の諸君に引きずられ、決議遵守の職員を投げ出した議院運営委員長井上孝君の行為は天人ともに許さざるものと言わなければなりません。
 自民、公明、民社の三党によって修正が施された国連平和維持活動協力法案等が自衛隊の海外出動を目的としたものであることは、ここで改めて説明するまでもありません。むしろ、修正によって、PKFへの参加が公然とうたわれ、協力などという欺瞞がさらけ出され、さらに国会承認に際して七日以内の議決を国会に努力義務として課するという反憲法的な性格もあらわになったのであります。
 議長を補佐すべき任務を負っている議院運営委員長が、院の権威にかけても守り通さなければならない決議をみずからほごにし、国権の最高機関としての国会でも特に独自の地位と責任を持つ本院の権威を著しく低下せしめるなどということは絶対にあってはならないことであります。それをあえて強行した井上孝君をこれ以上議院運営委員長の任につかせておくことは、本院にとって極めて好ましからざることと言わなければなりません。
 以上、議院運営委員長井上孝君解任決議案に賛成する理由を申し述べましたが、議員各位の熱烈な賛同が得られることを心から期待して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#9
○議長(長田裕二君) 高井和伸君。
   〔高井和仲君登壇、拍手〕
#10
○高井和伸君 私は、連合参議院を代表いたしまして、梶原敬義さん外一名の発議になる我が参議院の井上孝議院運営委員長の解任の決議に賛成する立場から討論を行うものでございます。
 私ども連合参議院も、修正案を出しまして、この天下を二分するPKO法案に対しまして真剣に取り組んでまいりました。ところが、きのうの五日未明のPKO特別委員会の採決は、これは不存在だと私ども確信しております。そして、日本社会党も同じく、あのPKO法案の採決は委員会では不存在だという立場をとっておられます。そして、日本共産党も同様、PKO法案はPKO特別委員会では採決はされていない、不存在であると。この二政党一会派が唱えているPKO法案採決の不存在という重大な政治的な事態、この事実を無視されておるという点でございます。これが最大の解任の決議の理由でございます。
 翻って、私どもPKO特別委員会に参加している議員、そして私は、幸せにも昨日は連合参議院の修正案の発議者の説明員として委員会に入っておりました。そこで私が目撃した事実を広く皆様方に、当日参加されておられなかった方にも御披露したいと思うわけでございます。
 このPKO法案のそもそもの枠組みは、参議院の決議にございます。自衛隊を海外に出さないという決議がございました。そして、自衛隊は専守防衛の存在でございます。それを武力行使のおそれのある国連平和維持活動に出すという非常に重要な法案でございました。それだけに、衆議院においても修正が加えられました。すなわち、国会承認、ある意味では少しやわらかな姿でございましたけれども、二年後の更新のときに国会承認を加えるという姿が衆議院で加えられたわけでございます。そして、この参議院において、自公民三党の合意のもと修正が加えられました。国会事前承認、この承認の中身、これにはPKFを含むということで事前承認の対象にされましたけれども、これがPKFは凍結されるという内容にもなりました。
 私の言いたいことは、そういった審議が十分に行われなければならないという重要な法案であるということでございます。その重要な法案であるにもかかわらず、しかも、社会党の角田義一議員の質問時間が十五分残っておる、そういう状況での打ち切りでございました。これはPKO特別委員長も私は同じように責任があると思っておりますが、それを本会議にかけるということをなさいました井上孝議院運営委員長に対しましては、この重要な法案の審議の成否を確認しないままにこの本会議に上程されたこと、これは大変な責任であると私は考えております。
 聞くところによりますと、テレビ報道などを見ますと、メモであったのを頭に置いてそれをしゃべった、こうおっしゃいました。しかしながら、皆さん、連合参議院の修正案、国際緊急援助隊、この法律の一部改正案におきましては私どもの修正案が採決されませんでした。少なくとも、私どものPKOの特別委員二名が私どもの修正案が諮られたときは立って賛成するはずでございました。そのときは自民党の方々は座っておられるはずでございました。ところが、ずっと立ちっ放してございます。少なくとも、私どもの修正案が諮られたならば私どもの連合参議院の議員二名は必ず立ちました。立ったという現象はありませんでした。ないままに自民党の議員だけが立っているという現象、そういう現象をとらえて、私どもは、少なくともその一点でもあの特別委員会における議決は不存在である、こう考えているわけでございます。
 録音テープがあっただとかなかっただとか、頭にあっただとかなかっただとか、全然わからないのでございます。私もその現場におった者として、これは確信を持って皆さんに御披露申し上げます。わかっていたのは自公民の皆さんだけでございます。こんな状況のもとでの採決を、議院運営委員会において諮りもせずに職権でもって議長に具申したこの行為は、私ども、論理的に言ってもこれはもう間違いそのものでございます。間違いそのもののこの行為、しかも通常の手続を怠る、議院運営委員会の手続を踏まずにそれをやってしまった。これは大変に見識あるこの参議院の権威を汚す重大な瑕疵であると考える次第でございます。
 そこで、私ども連合参議院の立場を申し上げておきますと、この法案が非常に大きな意味で各党が寄ってきていた。社会党も対案を出されて寄ってきておりました。そして、自公民三党も修正案を出して寄っておられました。連合参議院も出しました。そうした中で、この修正案が非常に重要な修正でございました。そして、自公民の修正案が出たのは六月一日、審議がなされたのが二、三、四でございます。そして、連合参議院の修正案を出したのが二日でございます。審議されたのは三、四でございます。そういった段階での打ち切り、いろんな手続において問題はあるかもしれませんが、全部目をつぶったとしても、非常に重要な法案を、社会党あるいは共産党、連合参議院がまだ審議を求めているそういった段階でPKO特別委員会から送られてきた。これは非常に重要な問題である。
 そのことにも何ら配慮もせず、何ら点検もせず、何ら日本社会党、共産党、そして連合参議院にも尋ねることもなくやってしまわれる。この姿は、私は、参議院にとって非常に残念至極、そして将来に禍根を残すものと確信しているものでございます。そういう意味をもちまして、井上孝議院運営委員長の解任の決議に賛成する次第でございます。(拍手)
#11
○議長(長田裕二君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#12
○議長(長田裕二君) これより議院運営委員長井上孝君解任決議案の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#13
○議長(長田裕二君) 速やかに御投票願います。――まだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――まだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――まだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票をお願いします。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。−点呼を受けた方は立って速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票ください。――速やかに投票をお願いします。――速やかに投票をお願いします。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います、お後がつかえていますので。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに投票をお願いします。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票をお願いします。――速やかに御投票を願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票を願います。――速やかに御投票を願います。――速やか点呼を受けた方は立って速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票を願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票を願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。
   〔議長退席、副議長着席〕
   〔投票執行中〕
   〔副議長退席、議長着席〕
#14
○議長(長田裕二君) 速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかまだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やか御投票願います。速やかに御投票願います。――速やか御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やか御投票ください。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――速やか御投票願います。――速やか御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかまだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やか御投票願います。――速やかまだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やか御投票願います。−御投票願います。――速やか御投票願います。――速やか御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。−御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やか御投票を願います。――速やかに御投票ください。――御投票ください。――速やかに御投票願います。このままでは投票時間を制限しなければならなくなります。どうぞお早く御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票を願います。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票を願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やか御投票ください。――速やかに御投票願います。――速やか御投票ください。――速やか御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やか御投票ください。――速やか御投票ください。――速やかに御投票ください。――速やか御投票ください。――速やか御投票ください。――速やか御投票ください。――速やかに御投票願います。このままでは投票時間を制限しなければならなくなります。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票をお願いします。――速やかにお願いします。――速やかにお願いします。――速やかに御投票願います。速やかにお願いします。それを早く投票してください。――速やかに御投票願います。投票してください。――速やか速やかに御投票願います。――速やか投票してください。――速やか早く御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかまだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。一まだ投票なさらない方は速やかに御投票ください。――速やか速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。投票する気持ちはありますか。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかこの場は議論をする場ではありません。御投票を願います。速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やか投票の意思はないんですか、ありますか。速やかに御投票ください。――速やかにお願いします。――速やかに投票してください。−早く御投票願います。速やかにお願いします。――速やかに投票してください。――速やかにお願いします。あなた一人の行動で大勢の人の時間を左右しますので、ひとつ早くお願いします。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います「速やかにお願いします。――速やかにお願いします。――速やかに御投票ください。――速やかにお願いします。あなたの行動は今速やかじゃありません。速やかに御投票ください。御投票ください。――速やかに御投票ください。――速やかにやってください。――速やかにやってください。もう目的は達したんです。――速やかに願います。――速やかに御投票ください。――速やかに願います。――速やかに願います。――速やかに投票してください。投票時間の制限の問題までいかざるを得なくなります。――速やかに御投票願います。――速やかまだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やかまだ投票なさらない諸君は速やかに投票してください。――速やか早く投票してください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに投票してください。――速やか早く投票してください。――速やか早く投票してください。――速やか投票してください。――速やか投票してください。――速やか早く投票してください。一お早く願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やか早く投票してください。――速やか早く投票してください。――速やかに投票してください。――速やか早く投票してください。――速やかに御投票願います。――速やかに投票してください。問題は後で論じます。どうぞ早く投票してください。大勢の人が待っていますから、早く投票してください。――速やかな御投票を願います。――早い投票をお願いします。――速やかに御投票願います。もっとひとつできるだけ早くあれして、急いでください。――速やかな御投票を願います。――もうお渡しするだけのあれですから、どうぞ速やかに行動してください。――速やかにお願いします。――早く投票してください。――速やかに投票してください。
 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#15
○議長(長田裕二君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#16
○議長(長田裕二君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数       二百三十八票
  白色票            百三票
  青色票         百三十五票
 よって、議院運営委員長井上孝君解任決議案は否決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百三名
      会田 長栄君    青木 薪次君
      赤桐  操君    穐山  篤君
      一井 淳治君    糸久八重子君
      翫  正敏君    稲村 稔夫君
      岩本 久人君    上野 雄文君
      小川 仁一君    及川 一夫君
      大渕 絹子君    大森  昭君
      梶原 敬義君    粕谷 照美君
      菅野  壽君    喜岡  淳君
      北村 哲男君    久保  亘君
      久保田真苗君    日下部禧代子君
      國弘 正雄君    小林  正君
      佐藤 三吾君    櫻井 規順君
      清水 澄子君    篠崎 年子君
      庄司  中君    菅野 久光君
      鈴木 和美君    瀬谷 英行君
      田渕 勲二君    竹村 泰子君
      谷畑  孝君    谷本  巍君
      種田  誠君    千葉 景子君
      対馬 孝且君    角田 義一君
      田  英夫君    堂本 暁子君
      西岡瑠璃子君    西野 康雄君
      野田  哲君    野別 隆俊君
      浜本 万三君    肥田美代子君
      深田  肇君    福間 知之君
      渕上 貞雄君    細谷 昭雄君
      堀  利和君    前畑 幸子君
      松前 達郎君    松本 英一君
      三重野栄子君    三上 隆雄君
      三石 久江君    村沢  牧君
      村田 誠醇君    本岡 昭次君
      森  暢子君    八百板 正君
      矢田部 理君    安永 英雄君
      山口 哲夫君    山田 健一君
      山本 正和君    吉田 達男君
      渡辺 四郎君    諫山  博君
      市川 正一君    上田耕一郎君
      小笠原貞子君    神谷信之助君
      沓脱タケ子君    近藤 忠孝君
      高崎 裕子君    立木  洋君
      橋本  敦君    林  紀子君
      山中 郁子君    吉岡 吉典君
      吉川 春子君    粟森  喬君
      井上 哲夫君    池田  治君
      磯村  修君    乾  晴美君
      笹野 貞子君    高井 和伸君
      中村 鋭一君    萩野 浩基君
      古川太三郎君    星川 保松君
      山田耕三郎君    吉田 之久君
      喜屋武眞榮君    下村  泰君
      西川  潔君    山田 俊昭君
      紀平 悌子君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百三十五名
      青木 幹雄君    秋山  肇君
      井上 吉夫君    井上 章平君
      井上  孝君    井上  裕君
      伊江 朝雄君    石井 一二君
      石井 道子君    石川  弘君
      石原健太郎君    石渡 清元君
      板垣  正君    岩崎 純三君
      岩本 政光君    上杉 光弘君
      遠藤  要君    小野 清子君
      尾辻 秀久君    大河原太一郎君
      大木  浩君    大島 友治君
      大島 慶久君    大城 眞順君
      大鷹 淑子君    大塚清次郎君
      大浜 方栄君    合馬  敬君
      岡田  広君    岡野  裕君
      岡部 三郎君    加藤 武徳君
      狩野  安君    鹿熊 安正君
      梶原  清君    片山虎之助君
      鎌田 要人君    木宮 和彦君
      北  修二君    久世 公堯君
      沓掛 哲男君    倉田 寛之君
      木暮 山人君    後藤 正夫君
      佐々木 満君    斎藤栄三郎君
      斎藤 十朗君    斎藤 文夫君
      坂野 重信君    沢田 一精君
      山東 昭子君    清水嘉与子君
      重富吉之助君    下稲葉耕吉君
      下条進一郎君    陣内 孝雄君
      須藤良太郎君    鈴木 省吾君
      鈴木 貞敏君    世耕 政隆君
      関口 恵造君    関根 則之君
      田沢 智治君    田代由紀男君
      田中 正巳君    田辺 哲夫君
      田村 秀昭君    高木 正明君
      高橋 清孝君    竹山  裕君
      谷川 寛三君    中曽根弘文君
      中西 一郎君    中村 太郎君
      仲川 幸男君    永田 良雄君
      永野 茂門君    成瀬 守重君
      西田 吉宏君    野沢 太三君
      野末 陳平君    野村 五男君
      服部 安司君    初村滝一郎君
      林田悠紀夫君    原 文兵衛君
      平井 卓志君    平野  清君
      福田 宏一君    藤井 孝男君
      藤田 雄山君    二木 秀夫君
      星野 朋市君    真島 一男君
      前島英三郎君    前田 勲男君
      松浦  功君    松浦 孝治君
      松尾 官平君    宮崎 秀樹君
      宮澤  弘君    向山 一人君
      村上 正邦君    守住 有信君
      森山 眞弓君    柳川 覺治君
      山岡 賢次君    山口 光一君
      山本 富雄君    吉川 芳男君
      猪熊 重二君    及川 順郎君
      太田 淳夫君    片上 公人君
      刈田 貞子君    黒柳  明君
      木庭健太郎君    白浜 一良君
      常松 克安君    鶴岡  洋君
      中川 嘉美君    中野 鉄造君
      針生 雄吉君    広中和歌子君
      三木 忠雄君    峯山 昭範君
      矢原 秀男君    和田 教美君
      井上  計君    勝木 健司君
      小西 博行君    三治 重信君
      田渕 哲也君    寺崎 昭久君
      山田  勇君
     ―――――・―――――
#17
○議長(長田裕二君) これにて午後二時三十分まで休憩いたします。
   午後一時四分休憩
   午後六時三分開議
     ―――――・―――――
#18
○議長(長田裕二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 久保亘君外一名から、委員会審査省略要求書を付して、内閣総理大臣宮澤喜一君問責決議案が提出されました。
 お諮りいたします。
 内閣総理大臣宮澤喜一君問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(長田裕二君) 御異議ないと認めます。
 よって、本案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。久保亘君。
   〔久保亘君登壇、拍手〕
#20
○久保亘君 私は、ただいま議題となりました内閣総理大臣宮澤喜一君問責決議案について、日本社会党・護憲共同の発議者を代表して、提案の理由を御説明し、議員各位の御賛同を求めるものであります。
 最初に、主文を申し上げます。
  本院は、内閣総理大臣宮澤喜一君を問責する。
  右決議する。
 以下、主なる理由について御説明を申し上げます。
 理由の第一は、我が国の政治の基本である日本国憲法擁護を主張してきたと言われる宮澤喜一君が、憲法に違反すると同時に、一九五四年六月、宮澤喜一君も賛成をして行われた本院の自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議に反する国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案を提出し採決を強行させようとしている責任は極めて大きいと考えるからであります。
 憲法の擁護論者と言われてきた宮澤喜一君の変節を私は申し上げなければならないと思います。
 宮澤首相が、総裁選挙、つまり首相の座を目指される前に幾つかの著作や論文を発表されております。本院決議に関する問題についてはただいま申し上げました。そのほか、「国連常設軍の創設と全面軍縮」という論文を昨年の四月に月刊誌に発表されております。また、昨年の五月には「美しい日本への挑戦」、同じ時期に「戦後政治の証言」という二つの著作も発表されておるのであります。私は、これらの論文や著作の中に書かれた宮澤さんの幾つかの主張を今申し上げなければならないと思うのであります。
 「美しい日本への挑戦」の中で、「これだけの経済大国が、世界に対して、あるいは他国に対して軍事的には貢献ができないという憲法をもち政策をとった例は、歴史上ありませんね。だからこのことを外国人に理解させるのは非常に困難です。しかし、困難だからといってわれわれはそのコースをかえるつもりはないから、やっぱりそれはそれとして納得をさせるだけのことを、ほかの非軍事的な貢献で十分にやっていかなければならない。」と述べておられます。また、いわゆる非軍事的貢献、軍縮問題への努力などを含めて平和協力外交とも称すべき基本姿勢を確立し、それに沿って国際的責任を果たすベきであるとも述べられているのであります。私はこれらの主張に同感できる部分があります。
 また、「戦後政治の証言」の中には、真珠湾から五十年後の今、日米両国はお互いにとって最も大切な関係だと言われながら、多くのアメリカ人は日本はソ連より恐ろしいと思っている。そんな中で湾岸戦争があった。米ソの冷戦解消を背景にして国連が戦争処理の正面に出てきたことは画期的なことである。しかし、憲法のもとで日本は何ができるのかを国民は戦後初めて今真剣に模索している。この国民的模索は二十一世紀に向かって続けられるであろう。これが宮澤さんの御主張でございます。
 また、総理を目指された昨年の七月二十二日、三重県津市において総理は国際貢献のあり方について講演されています。その中で、憲法を変えようとか兵隊を送ろうとかいうことになると長年の決心を改め軍事大国になるが、戦後四十数年間歩いてきた道は間違っていない、今後も自信を持って歩くべきだと、憲法の改正や解釈の変更による軍事的貢献は行うべきではないことを強調したと報道されております。私は宮澤さんのこの主張にも同意できる部分がございます。
 しかし、これらのことを述べられた宮澤さんが、憲法に違反すると国民の多数が思っている、そして参議院において自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議に賛成をされたあなたが、なぜ自衛隊の出動に道を開くこのいわゆるPKO法案を提出されたのであろうか。このことは、明らかに私は宮澤さんの政治哲学や理念の変節であると言わなければならぬと思うのであります。もし、宮澤さん自身の政権を守ることが日本の憲法を守ることよりも優先するとお考えになっているとするならば、宮澤喜一君の責任を私は国民の名において問わざるを得ないのであります。
 理由の第二は、日本は侵略戦争の歴史を正面から反省しなければならず、教科書でも正しく記述しなければなりません。しかし、首相はこれに反し、アジア・太平洋諸国民の批判や非難に耳を傾けることなく、自衛隊海外派遣を主なる目的とするPKO法案は国際的貢献にとって必要と強調し、これらのアジア諸国民の声や国内の世論を無視したことを私は問責の理由の第二に挙げなければならないのであります。
 しかも、これらのPKO法案の論議の中で、審議を通じて深められた多くの疑義は今日も解明されてはいないのであります。自衛隊の海外出動に関する憲法上の疑義はもちろん、参議院決議との矛盾、国連のPKOに関する原則上の疑義、特に政府のPKO法案では武器使用について、自己防衛の際にも部隊の指揮官が対応を指揮することはできない。これは、机上の空論による法案策定を許し、現場で働く国民の安全を全く考慮していないことの証明がなされるにもかかわらず、これらの疑問が明らかでない。主権国家がなぜ国連の指揮に従う必要があるかなどという答弁をするに至っては国連の否定とも言えるのでありますし、初めに自衛隊の派遣ありきのPKO法案であることをみずから証明したことにはならないのでしょうか。国連のPKO原則を否定してまで自衛隊の海外派遣を強行する首相の責任はまた大きいと言わなければなりません。
 さらに、自公民三党による特別委員会に提出されました修正案は、国連平和維持隊の定義に関し、また国連平和維持隊への参加の五原則の定義に関し、また国会審議権を内閣が法的に拘束するおそれがあると言える憲法上の疑義について、委員会の審議を通じて国民に納得のいく解明はいまだに行われていないのであります。これらの問題をそのままにして、あの委員会における質疑打ち切り、強行採決が行われたと一部の人が言っているあのような委員会の結果を、この委員会に出席していた首相がそのとおり認める発言を事実に目を閉じて行われているということ、あたかも採決が存在したかのごとく発言し不当な強行採決を支持しているということは議会制民主主義の否定であり、私は首相の資格を根本から欠くものだと考えるのであります。
 理由の第三は、憲法と民主主義を否定し、そしてロッキード事件やリクルート事件の関係者を内閣や党の役員に起用することによってみずから政治改革推進という首相の重大な任務を進める資格を失ったことは、極めて重大なことだと言わなければなりません。
 また、あなたが提案をされた平成四年度の政府予算案は、多くの点において野党のほとんどの反対によって強く批判をされていることを忘れてはなりません。予算は政府の顔であります。宮澤政権の顔を否定しなければならないと考えている方々は、恐らくこの宮澤喜一君を問責する決議案に御賛同いただけるものと確信をいたしております。軍事費の拡大や地方財政の圧迫などにも象徴されるように、バブル経済の責任者でもあった宮澤さんが今や生活重視の公共投資拡大による経済対策についてちゅうちょの姿勢を示されているこ
とについても、私どもは国民とともに批判をしなければならないことでございます。
 特に、最後に申し上げたいことは、アジアの諸国民の間には、日本によって行われた侵略戦争の歴史が今も現実のものとして存在をしているということであります。従軍慰安婦の問題についてもそうであります。これらの問題を積極的に解決していく姿勢を持つならば、アジアの諸国民が今、日本のこのPKO法案の成立した暁のことについて極めて大きな憂慮の念を持っていることを、首相の座にある者は何よりも真剣に考えなければならぬと思うのであります。
 私は、以上申し上げた理由によって内閣総理大臣宮澤喜一君問責決議案を提案し、その理由を御説明申し上げました。
 何とぞ本決議案に対し議員各位の御賛同をいただきたく、心からお願いを申し上げるものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(長田裕二君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。石井一二君。
   〔石井一二君登壇、拍手〕
#22
○石井一二君 私は、自由民主党を代表して、ただいま上程されました内閣総理大臣宮澤喜一君問責決議案に対し、反対の討論を行うものであります。
 反対の第一の理由は、本問責決議案を提出する目的、趣旨が極めて不明確で、かつ、あいまいである点であります。
 我が国が国際社会において求められている人的役割を果たす上で喫緊の課題となっている国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案及び国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案が本院国際平和協力等に関する特別委員会において可決を見たにもかかわらず、単にその成立を阻止しようとして本決議案を利用せんとすることは、公党としてとるべき態度ではありません。反対のための反対という議会政治の原点にもとるこのような行為は、健全な議会制民主主義のあるべき姿からほど遠いものであります。
 反対の第二の理由は、本院国際平和協力等に関する特別委員会における採決の手続は、合法にして適法、極めて妥当なものであるという点であります。
 昨年十二月三日、本院に法案が送付されて以来、特別委員会における審議時間は異例の百時間を超える長きにわたっており、中央公聴会、地方公聴会を含め、既に十二分の審議が行われているのであります。法案に反対であるからといって、限定された会期の中で質疑の一方的な続行を要求し、あまつさえ特別委員会における議会制民主主義に基づく正当な採決手続を暴力でもって妨害せんとすることは、公党としてあるまじき行為であり、断じて許すことのできないものであります。
 反対の第三の理由は、国際社会において果たすべき人的な役割についての認識に相違があるということであります。
 今回我々が提案したいわゆるPKO法案及び国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案は、平和憲法の枠内で我が国としてのなし得る最大限の人的な役割を果たさんとするものであり、平和憲法の理念にまさに合致したものであります。
 自衛隊の海外派遣については、我々は、我が国として国連からの要請に的確に対応するためには自衛隊の経験、能力を活用することがぜひとも必要なものと考えており、これはいわば国際的な常識であります。この法案に基づくPKOへの自衛隊の参加が憲法に違反するものでないことは、今までに世界の約八十カ国から五十万人以上が参加し、一九八八年にはノーベル平和賞を受賞したPKOの基本的な性格からも明らかであります。
 また、昭和二十九年の参議院における決議については、自衛隊のいわゆる海外派兵を禁止したものであって、PKOや人道的な活動のために自衛隊を海外に派遣することまでをも想定したものとは到底考えられないのであります。
 さらに、PKOへの参加に当たり自衛隊の経験、能力を活用することについては、ASEAN諸国を中心に諸外国の理解が得られてきているところであります。PKO法案における武器の使用の規定については、特別委員会における長時間の審議において明らかにされたとおり、いわゆる五原則に基づいた極めて妥当なものであり、何ら問題のないものでございます。
 また、国連との関係についても、我が国部隊はこの法案の枠内において国連のコマンドに従うのであって、これまた何らの問題も生じないものと考えております。
 最後に、今回の法案は憲法の枠内で我が国として最大限の協力を行うこととするものであって、広く国連の平和維持活動全般及び人道的な活動に積極的に協力し得る法的仕組みを確保しようとするものであります。我が国が協力できる分野を一方的に限定したり、自衛隊とは別の組織によるなどということによっては我が国が十分な国際的役割を果たすことは困難であり、また、国際的常識にも反するものであります。
 以上申し上げた諸点にかんがみれば、提案者の言う宮澤総理に対する批判は全く的外れであります。私は、ここに宮澤内閣総理大臣を強く信任し、いわれなき理不尽きわまる本問責決議案に断固反対し、討論を終えるものであります。(拍手)
#23
○議長(長田裕二君) 吉田達男君。
   〔吉田達男君登壇、拍手〕
#24
○吉田達男君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました内閣総理大臣宮澤喜一君に対する問責決議案につきまして賛成の討論を行いますと同時に、自民党石井議員に反論をいたすものであります。
 良識の府としての参議院が自衛隊の海外出動を為さざるの決議を満場一致して可決されたのは、久保議員がただいま提案説明されたとおり、昭和二十九年六月二日、第十九回国会でございました。そのとき、参議院本議場の演壇の前の百十番議席で賛成をされたのが宮澤喜一議員であります。その宮澤議員が、今や内閣総理大臣として、また自由民主党総裁として、自衛隊を海外に派遣するPKO法案を上程し、さらにこれを自民、公明、民社党と共同修正して、PKFへは若干の凍結期間を置こうとすることによって厳しい国民の批判をかわそうとするがごときは、事の本質において全く許されざることであります。君子豹変して国会決議に違反する宮澤喜一総理は、まさに万死に値するものでありまして、責任を厳しく追及する問責決議に賛同をいたすものであります。
 冷戦の終結、ソ連邦の解体という新しい国際情勢の中で、世界はまさに軍縮と協調を基調とする新秩序形成に向けて動いておりまして、我が平和憲法が指し示す方向がまさに求められております今日であります。
 日本国憲法は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」、こういうふうに決めて、この九条の規定は、国の内外に多大の惨禍をもたらした戦前の歴史に対する日本国の反省であり、この国是を国の内外に宣明したものであります。そして、この平和主義に基づく国際交流によって経済の発展を図ってきたのが現在であります。
 しかるに、歴代の自民党政府は、解釈改憲によって国民の批判をかわしながら軍備拡張を進めて、ついに自衛隊を世界有数の軍隊に仕立て上げたのであります。今日まで政府は、平和を希求する国民の声に押されて自衛隊の海外派遣はしないと国会等々で明言してきましたが、今この経過を覆して、臆面もなく自衛隊を海外へ派遣することに踏み切ろうとしております。このことは平和憲法の名において断じて許されないところであります。このような法解釈、文理解釈の限界を超える事実が次々と国民の眼前に展開されるならば、国民の政治への不信は一層高まって、ついに法治国家としての基礎を揺るがすことになるでありましょう。PKO法案の意図は初めに自衛隊の海外派遣ありきでありまして、憲法違反は明白であります。
 憲法は、第九十九条において、国務大臣、国会議員等公務員の憲法尊重、擁護の義務を規定しております。国務大臣の筆頭たる宮澤総理は当然この義務を最大負う立場にあるにかかわらず、現憲法形骸化に道を開く法案を提出した責任は重大と言わざるを得ません。これが問責決議に賛成する理由であります。
 さて、国連平和活動について日本は、国連の要請、相手国の要請に基づいての国際貢献として、国際平和、医療、民生、災害や難民の救済、救援、選挙協力等の活動をなすべきであります。
 我が党は、非軍事、文民、民生の基本原則を踏まえて、国民的合意が得られる分野において国際的な責務を果たすための対策を提示して審議を並行的に進めてまいりました。また、進めていただきました。このような現行法でも十分可能な分野での貢献に直ちに政府は着手すべきであるにかかわらず、政府・自民党は、まず何としても自衛隊にこだわって対応のおくれを来し、批判をされました。そしてまた、この内外の批判を逆にてことして本法案の成立を図ろうとしているのであります。そして、本案に反対している野党があたかも国際貢献を阻害しているような悪質な責任転嫁を行っているのであります。この老獪にしてアンフェアな宮澤総理の政治責任は実に重大であります。問責決議に賛同するゆえんであります。
 政府提出のPKO法案及び自民、公明、民社三党共同提出の修正案は、その内容においても、指揮権、業務の中断、武器の使用と武力の行使、国会承認等々、数々の重大な問題が含まれております。したがって、我が党がこれについて徹底解明を求め、慎重な審議継続を主張してきたのは当然でありますしかるに、昨五日未明、PKO特別委員会において、自民、公明、民社の三党は自民党の動議によって審議打ち切りの暴挙に出ました。しかも、先順位質問者の同僚角田議員の質問を留保したまま、三党統一の明快な答弁をせず質疑を打ち切ることは、まさに議会信義を破る何物でもなく、国民に対する背信行為と言わざるを得ないのであります。
 問題の国際連合平和維持隊という修正案の法律語は、その概念、定義のないままに走り出そうとしております。PKFの翻訳というこのピース・キーピング・フォース、軍隊が、明確な規定の定義、したがって歯どめのないままに走り出すことこそ典型的な戦争への傾斜、戦争へ巻き込まれる構図でありまして、断じて憲法の名において許されないところであります。
 また、国会の承認を七日以内とする規定は努力訓示規定と強弁をされますが、事実上は日本国の最高機関たる国会の機能を国連平和維持という行政行為が縛ってしまうことでありまして、憲法第四章の国会、第四十一条の国会の地位と立法府の機能、これを侵すものであります。現憲法の擁護の責任を持つ国会として、これまた断じて受け入れることはできないものであります。
 ありていに例えて申せば、本日午前中、議運委員長解任決議案の可否が本議院で問われましたときに、他人の議決行為を何ら侵すことなく自分の判断で牛歩して議決する議員の権利に時間制限をするという警告を議長がいたしましたが、まことに、このようにして圧迫を加え、訓示だとしながら事実は国会と国会議員に対して重大な手続制限を加えることとなるのでありまして、断じて許せないのは自明の理であります。このような議会運営は議会制民主主義の根幹を破壊するものでありまして、政治改革を公約している政党の宮澤政治にあるまじきことであります。その責任を強く問責するのはまだ当然であります。
 宮澤総理は、かねて平和主義とリベラリズムを信条とする政治家として評価され、今日重大な時局に本格政権とその登場を期待されたものであります。しかし、昨年第百二十二国会で国民の大批判を浴びた衆議院のPKO特別委員会の強行採決に続いて再び参議院でのこのたびの強行採決には、もはや国民は期待のかけらも失せて、その忍耐は限度を超す事態となっております。これを人呼んで、このごろ宮澤総理の変節と言うのであります。
 かつて宮澤大蔵大臣がかかわったリクルート事件も、いまだ全くは解明されておりません。理想を追求する政治家として期待されたはずの宮澤総理の政治姿勢が今改めて問われているのであります。李下に冠を正さすの格言に従うならば、最近とみにおごりの気配漂う総理にあえて警鐘を鳴らす問責決議はまことに時宜にかなうものであります。内閣総理大臣宮澤喜一君の問責決議案は、その意味におきましてまさに国民の意思を踏まえたものと言うべきでありまして、心から賛同いたすものであります。
 以上申し述べまして、国会が諸罪をただして国民の信頼を回復できるよう期待して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#25
○議長(長田裕二君) 上田耕一郎君。
   〔上田耕一郎君登壇、拍手〕
#26
○上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました内閣総理大臣宮澤喜一君問責決議案に賛成し、石井議員の反対討論に反論する討論を行います。
 第一に、宮澤総理は、憲法違反の国連平和維持活動協力法案をあくまで成立させようと、昨年十一月二十七日の衆議院での強行採決に続いて本院でもPKO特別委員会で行われた強行的審議中断を容認し、存在してもいない採決を支持してその成立を図るという議会制民主主義の恥ずべきじゅうりんを行っています。
 日本国憲法は一切の戦力の保持を禁じており、自衛隊は憲法違反の存在であります。さらに、憲法は前文で全世界の国民の平和的生存権を確認し、第九条は「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」としています。ところが、今回のPKO法案は、武装した自衛隊を一片の法律で、国連の平和維持活動という名目で公然と海外すなわち地球上のどこにでも派兵し、武力による威嚇と武力行使をあえて行おうというもので、二重に憲法に違反していることは余りにも明白であります。
 石井議員は、ノーベル平和賞受賞を根拠にPKOを無条件に賛美し、法案は憲法に違反してい狙いと主張しました。しかし、PKOとは、平和のために積極的役割を果たす場合であっても、国連文書に明記されているように、日本の憲法第九条が禁止した武力による威嚇と武力の行使を含む軍事中心の国際活動にほかなりません。これまでの審議で暴露されたように、日本の指揮権と国連のコマンド、指図との間にある解きがたい矛盾について、ついに政府は合理的な説明を行うことができませんでした。それは、軍事中心のPKOという国際活動を日本の国内法で規制するという憲法違反を隠ぺいするためのこそくなやり方自体が本来成り立ち得ないものであるからであります。
 自民、民社、公明の三党が世論の強い批判に困惑して提出した再修正案も、軍隊の配置、武装解除、地雷撤去など本体業務に狭く範囲を限定して、いつでも解凍可能なPKF凍結なるものを施しただけの泥縄式ガラス細工であります。しかも、軍事活動である停戦監視団や武装した自衛隊が部隊として参加可能な後方業務は凍結の対象外になっており、憲法違反の本質を何ら変えるものではありません。
 さらに、再修正案は、自衛隊のPKF派遣について七日以内の国会承認の努力を求めるという違憲の規定をも含んでいます。周知のように、憲法第九十八条は次のように規定しています。「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」。この法案と、それに基づく政府の行為の全部が無効であることは疑いを入れません。
 さらに、憲法第九十九条は、国務大臣、国会議員の憲法に対する尊重、擁護の義務を規定しています。「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」。憲法の尊重・擁護義務を平然と無視し、事実を真剣に調べようともせずに、その場に出席しておりながら、私はよくわかった、強行採決ではないなどとありもしない採決をあったと強弁して無効の違憲法案を成立させようとしている宮澤総理の責任は極めて重大かっ深刻で、私は国民とともに満身の怒りを持って強く糾弾するものであります。
 第二に、PKO法案は、一九五四年の参議院決議、自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議に明白に違反しています。
 決議の本文は、「本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれを行わないことを、茲に更めて確認する。」となっています。鶴見祐輔議員はその提案理由説明で、自衛隊の任務を国内秩序、国土を守るものと厳密に限定し、「決して国際戦争に使用さるべき性質のものではありません。」「自衛とは、我が国が不当に侵略された場合に行う正当防衛行為であって、それは我が国土を守るという具体的な場合に限るべきもの」と述べています。
 自衛隊の出動目的を自衛以外の国連平和維持活動とし、行動の範囲を国土以外の海外としたこの法案は、二重の参議院決議違反を犯しています。PKOは決議に含まれていないとして石井議員は先ほどの反対討論で主張しましたが、それは参議院決議の内容を勝手に解釈した全くの詭弁にすぎないと私は反論するものであります。
 本院としてのこの決議の有権的解釈は、一昨年十月の国連平和協力法案に関連して本院予算委員会で問題となり、議運委員会理事会で五回行われた協議は法案廃案とともに打ち切られました。当然のことに、今回改めて問題になり、各党の意見が文書でPKO特別委員会理事会に提出されましたが、五日、日本共産党の立木議員の質問に対し委員長代理が今後各派協議していこうということと答弁したように、本院としての有権的解釈はなお確認されていないのであります。
 宮澤総理はこの参議院決議に参加したただ一人の現職国会議員であります。その総理が、本院としての有権的解釈が確認されていないまま、決議違反の疑いの濃い法案の成立を平然として強行しようとしていることは、憲法第四十一条が規定する国権の最高機関の全会一致の決議を冒涜するものであって、断じて許すことはできません。
 第三に、PKO法案について自民、公明、民社の三党は一昨年末の三党合意で、自衛隊とは別個に国連の平和維持活動に協力する組織をつくることとするとしていました。それは昨年の一斉地方選挙の公約にもなっていたのであります。ところが、驚くべきことに、今回のPKO法案と三党の再修正案は文字どおり自衛隊そのものを部隊としてPKFに参加させようとしています。国民に対する厳粛な公約をいとも簡単に捨て去り変節したことは三党の政党としての資格にもかかわる重大な無責任行為であって、政党政治の根本を損なうものにほかなりません。自民党総裁として宮澤喜一君は、この点でも厳しく問責されなければなりません。
 第四に、自衛隊を海外に派兵しようとする策動の背景には、ソ連崩壊後新しい世界秩序なるものを目指し始めたアメリカの世界戦略の変化があることも見逃すことはできません。
 その新戦略とは、世界唯一の軍事大国として新しい地域紛争のすべてに対処しようとするもので、九〇年七月の「国家安全保障戦略」には、今後アメリカの軍事力行使の対象はソ連ではなく第三世界になると公然と書かれています。こうして、安保条約に基づく日米軍事同盟もソ連向けから第三世界向けに再編成されつつあります。
 他方、世界最大の債務国家であるアメリカは、その財政危機から、同盟国、特に日本の金と人をこれまで以上に動員しようとしています。このPKO法案は、カンボジアを皮切りとする国連の名をかりた自衛隊の地球的規模への派兵によってアメリカの新戦略を補完しようとする危険な対米追従の策動以外の何物でもないのであります。
 アメリカの新戦略によって、今、国連にも重視すべきさまざまな変化が生まれつつあります。従来、国際紛争の終結に際して中立国、非同盟国を主体として組織されていたPKOも、イラク・クウエート監視団には初めて米ソなど国連安保理常任理事国が参加しました。国連の平和維持活動特別委員会は、今月一日、PKOの現状と将来に関する報告書をまとめました。
 重大なことは、この報告書が政府のこれまでの答弁を覆していることであります。例えば、政府は、国際紛争の解決後に紛争当事者の合意を条件として行うのがPKOだと繰り返し答弁してきましたが、この報告書では、紛争の初期段階、事前参加もあり得るとされ、必要なPKO活動に当事国の拒否は許されないから同意なしのPKO活動についても検討しているというのであります。さらに、この報告書は、国連のPKO活動は生成途上にあり、まだ決まった概念がないと明記して、今年の国連総会で決議しようとしています。明らかなことは、報告書が述べている内容が、いわゆる五原則のうち合意、同意、中立の原則に顕著な修正を加えて、この法案の前提そのものを崩壊させていることであります。
 ところが、政府は、日本政府の代表者が参加しているこうした重大問題について何ら国会に報告もせず、立木議員の質問に対して宮澤総理は、そうした節は考えられると認めつつも、法案とは関係ないと開き直った答弁を行ったのであります。
 明石UNTAC事務総長特別代理は参議院での参考人発言で、今や国連はPKOの花盛りという感がございますと述べました。恐らく、これからアメリカ主導のPKOが、報告書が展望してみせた方向で、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの第三世界の地域で数多く組織されることとなるでしょう。そうだとすると、かつて日本軍国主義が侵略したアジアの国々からの批判に全く耳をかさず、日本の戦争責任にもほおかむりのまま日本の自衛隊をそれらに参加させようとしている宮澤総理が、アメリカの新戦略と深いかかわりのある国連の実態やPKOの国際的性格の重大な変化についてこのような無責任きわまりない態度をとっていることは日本国民とそれら諸国の国民の不幸をますます増大させるぽかりであって、日本の首相としての資格は全くないと断ぜざるを得ません。
 第五に、今国会は、リクルート、佐川、共和事件の真相を解明することを重要な課題としていました。宮澤喜一名義のリクルートコスモスからの一万株が、金の振り込み人は松本秘書、売買代金受取人は服部秘書であった事実は、この三点セットが実は宮澤事務所ぐるみの三人セットによるリクルート未公開株の入手であった疑惑をさらに深めたものであります。それにもかかわらず、宮澤総理は服部秘書個人の取引だとあくまで言い張って株譲渡の真相を覆い隠した上、自民党総裁としては、共和事件、佐川急便事件の証人喚問も拒否し、国民が強く望んでいるこれらの金権腐敗事件の真相究明をも行おうとしませんでした。総理・自民党総裁として到底容認できない態度であり、その責任も極めて重いものがあります。
 以上、内閣総理大臣宮澤喜一君の責任は重大であり、問責決議案に対して賛成することを表明して、討論を終わります。(拍手)
#27
○議長(長田裕二君) これにて討論は終局いたしました。
 本日はこれにて延会することとし、次会は明日午前零時十分より開会いたします。
 これにて延会いたします。
   午後七時延会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト