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1992/06/07 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第21号
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1992/06/07 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第21号

#1
第123回国会 本会議 第21号
平成四年六月七日(日曜日)
   午前零時十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十一号
  平成四年六月七日
   午前零時十分開議
 第一 内閣総理大臣宮澤喜一君問責決議案(久
  保亘君外一名発議)(前会の続)
 第二 国際連合平和維持活動等に対する協力に
  関する法律案(第百二十一回国会内閣提出、
  第百二十二回国会衆議院送付)
第三 国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一
  部を改正する法律案(第百二十一回国会内閣
  提出、第百二十二回国会衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、議長不信任決議案(橋本敦君外一名発議)
  (委員会審査省略要求事件)
 一、日程第二及び第三
 一、国際平和協力等に関する特別委員長下条進
  一郎君問責決議案(佐藤三吾君外一名発議)
  (委員会審査省略要求事件)
     ―――――・―――――
#3
○議長(長田裕二君) これより会議を開きます。
 日程第一 内閣総理大臣宮澤喜一君問責決議案(久保亘君外一名発議)を前会に引き続き議題といたします。
 これより内閣総理大臣宮澤喜一君問責決議案の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#4
○議長(長田裕二君) まだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――傍聴の方々は静粛にお願いいたします。――速やかに御投票願います。――まだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――まだ投票なさらない諸君は速やかに御投票願います。――まだ投票なさらない方はなるべく速やかに御投票ください。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票ください。――速やかに御投票ください。――まだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票ください。――まだ投票なさらない諸君は速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票ください。――とまらないで投票にお進みください。――立ちどまらないでお進みください。――立ちどまらないでお進みください。――立ちどまらないでお進みください。――なお、議場内での食物の摂取はお慎み願います。――投票にお進み願います。――前へお進みください。――前へお進みくださって御投票ください。
   〔議長退席、副議長着席〕
   〔投票執行中〕
   〔副議長退席、議長着席〕
#5
○議長(長田裕二君) 立ちどまらないでお進みください。――速やかに御投票ください。――立ちどまらないでお進みください。――御投票ください。――どうぞ前へお進みください。――前へお進みください。――お進みください。――前へお進みください。――速やかに御投票ください。――前へお進みの上、速やかに御投票ください。――そこで横ではなくて前の方にお進みください。――前にお進みください。――前にお進みください。――速やかに御投票ください。――御投票ください。――速やかに御投票ください。――どうぞ前にお進みください。――御投票願います。――御投票ください。――前方に向かってお進みください。――速やかな御投票を願います。――どうぞ一段上がってください、同じ段を往復されては進みませんから。――壇の上にお進みください。――お早く投票願います。――そのまま前の方にお進みください。――速やかに御投票ください。――立ちどまらないでお進みを願います。――速やかに投票願います。――立ちどまらないでお進みを願います。――御投票願います。――前にお進みを願います。――お進みを願います。――一歩進んで御投票願います。――速やかに御投票願います。――御投票願います。――速やかに御投票願います。――立ちどまらないでお進みください。――御投票願います。――御投票願います。――御投票願います。――速やかに御投票願います。――進んで投票願います。――立ちどまらないでお進みください。――御投票願います。――ほかに投票漏れはございませんか。――速やかに投票願います。――前にお進みください。――お進みください。――お進みください。――立ちどまらないで前にお進みください。――前にお進みください。――前にお進みください。──さらに前へお進みください。
 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#6
○議長(長田裕二君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#7
○議長(長田裕二君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十五票
  白色票             百票
  青色票          百三十五票
 よって、内閣総理大臣宮澤喜一君問責決議案は否決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百名
      会田 長栄君    青木 薪次君
      赤桐  操君    一井 淳治君
      糸久八重子君    翫  正敏君
      稲村 稔夫君    岩本 久人君
      上野 雄文君    小川 仁一君
      及川 一夫君    大渕 絹子君
      大森  昭君    梶原 敬義君
      粕谷 照美君    菅野  壽君
      喜岡  淳君    北村 哲男君
      久保  亘君    久保田真苗君
      日下部禧代子君    國弘 正雄君
      小林  正君    佐藤 三吾君
      櫻井 規順君    清水 澄子君
      篠崎 年子君    庄司  中君
      菅野 久光君    鈴木 和美君
      瀬谷 英行君    竹村 泰子君
      谷畑  孝君    谷本  巍君
      種田  誠君    千葉 景子君
      対馬 孝且君    角田 義一君
      田  英夫君    堂本 暁子君
      西岡瑠璃子君    西野 康雄君
      野田  哲君    野別 隆俊君
      浜本 万三君    肥田美代子君
      深田  肇君    福間 知之君
      渕上 貞雄君    細谷 昭雄君
      堀  利和君    前畑 幸子君
      松前 達郎君    松本 英一君
      三重野栄子君    三上 隆雄君
      三石 久江君    村沢  牧君
      村田 誠醇君    本岡 昭次君
      森  暢子君    矢田部 理君
      安永 英雄君    山口 哲夫君
      山田 健一君    山本 正和君
      吉田 達男君    渡辺 四郎君
      諫山  博君    市川 正一君
      上田耕一郎君    小笠原貞子君
      沓脱タケ子君    近藤 忠孝君
      高崎 裕子君    立木  洋君
      橋本  敦君    林  紀子君
      山中 郁子君    吉岡 吉典君
      吉川 春子君    粟森  喬君
      井上 哲夫君    池田  治君
      磯村  修君    乾  晴美君
      笹野 貞子君    高井 和伸君
      中村 鋭一君    萩野 浩基君
      古川太三郎君    星川 保松君
      山田耕三郎君    吉田 之久君
      喜屋武眞榮君    下村  泰君
      西川  潔君    山田 俊昭君
      紀平 悌子君    小山 一平君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百三十五名
      青木 幹雄君    秋山  肇君
      井上 吉夫君    井上 章平君
      井上  孝君    井上  裕君
      伊江 朝雄君    石井 一二君
      石井 道子君    石川  弘君
      石原健太郎君    石渡 清元君
      板垣  正君    岩崎 純三君
      岩本 政光君    上杉 光弘君
      遠藤  要君    小野 清子君
      尾辻 秀久君    大河原太一郎君
      大木  浩君    大島 友治君
      大島 慶久君    大城 眞順君
      大塚清次郎君    大浜 方栄君
      合馬  敬君    岡田  広君
      岡野  裕君    加藤 武徳君
      狩野  安君    鹿熊 安正君
      梶原  清君    片山虎之助君
      鎌田 要人君    木宮 和彦君
      北  修二君    久世 公堯君
      沓掛 哲男君    倉田 寛之君
      木暮 山人君    後藤 正夫君
      佐々木 満君    斎藤栄三郎君
      斎藤 十朗君    斎藤 文夫君
      坂野 重信君    沢田 一精君
      山東 昭子君    清水嘉与子君
      重富吉之助君    下稲葉耕吉君
      下条進一郎君    陣内 孝雄君
      須藤良太郎君    鈴木 省吾君
      鈴木 貞敏君    世耕 政隆君
      関口 恵造君    関根 則之君
      田沢 智治君    田代由紀男君
      田中 正巳君    田辺 哲夫君
      田村 秀昭君    高木 正明君
      高橋 清孝君    竹山  裕君
      谷川 寛三君    中曽根弘文君
      中西 一郎君    中村 太郎君
      仲川 幸男君    永田 良雄君
      永野 茂門君    成瀬 守重君
      西田 吉宏君    野沢 太三君
      野末 陳平君    野村 五男君
      服部 安司君    初村滝一郎君
      林田悠紀夫君    原 文兵衛君
      平井 卓志君    平野  清君
      福田 宏一君    藤井 孝男君
      藤田 雄山君    二木 秀夫君
      星野 朋市君    真島 一男君
      前島英三郎君    前田 勲男君
      松浦  功君    松浦 孝治君
      松尾 官平君    宮崎 秀樹君
      宮澤  弘君    向山 一人君
      村上 正邦君    守住 有信君
      森山 眞弓君    柳川 覺治君
      山岡 賢次君    山口 光一君
      山本 富雄君    吉川 芳男君
      猪熊 重二君    及川 順郎君
      太田 淳夫君    片上 公人君
      刈田 貞子君    黒柳  明君
      木庭健太郎君    白浜 一良君
      常松 克安君    鶴岡  洋君
      中川 嘉美君    中野 鉄造君
      針生 雄吉君    広中和歌子君
      三木 忠雄君    峯山 昭範君
      矢原 秀男君    和田 教美君
      足立 良平君    井上  計君
      猪木 寛至君    勝木 健司君
      小西 博行君    三治 重信君
      田渕 哲也君    寺崎 昭久君
      山田  勇君
     ―――――・―――――
#8
○議長(長田裕二君) これにて午前九時まで休憩いたします。
   午前七時十分休憩
     ―――――・―――――
   午後八時一分開議
#9
○副議長(小山一平君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 橋本敦君外一名から、委員会審査省略要求書を付して、議長不信任決議案が提出されました。
 お諮りいたします。
 議長不信任決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○副議長(小山一平君) 御異議ないと認めます。
 よって、本案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。市川正一君。
   〔市川正一君登壇、拍手〕
#11
○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました議長長田裕二君を信任しない決議案の提案理由の説明を行います。
 まず、決議案の案文を朗読いたします。
  本院は、議長長田裕二君を信任しない。
  右決議する。
 この理由に先立ちまして、私は、自公民三党が六月五日未明、委員会での一切の約束を破ってPKO特別委員会での審議を強行的に中断する挙に出たことに、激しい怒りを持って抗議するものであります。
 次に、議長長田君を信任しない理由を述べます。
 その第一の理由は、議長長田裕二君は、六月五日、本院国際平和協力等に関する特別委員会において国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案等が採択されたとして、我が党などが強く差し戻しを要求しているにもかかわらず、あえて本会議に上程した点であります。
 五日の国際平和協力等に関する特別委員会での事態は、同特別委員会がたび重なる質疑継続の約束を無視して審議を強行的に中断したため起こりました。そのため議場騒然となり、いかなる正規の採決も行われた事実は一切なかったのであります。
 このことは、去る六日に行われた本院での井上孝議運委員長解任決議に対する賛成討論の中で連合参議院の高井和伸君も次のように強調されております。
 五日未明のPKO特別委員会での採決は不存在だと確信していることを述べられました。「私自身、連合参議院の修正案発議者の説明者として委員会に出席していたが、少なくとも連合参議院の修正案は採決されなかった。採決があったとすれば、私たちは必ず立つし、自民党は座っているはずだ。しかし、自民党はずっと立ちっ放しだった。その一点だけでも採決は不存在であったと考える」、こう主張されたことによっても一層明らかにされたところであります。
 我が党は、この暴挙を承認せず、政府及び自公民三党に厳重な反省を求めるとともに、五日、議長長田裕二君に対して、この採決を認めずに特別委員会での審議を続行するために必要な措置をとることを強く求めてまいりました。同時に、この要求を無視して本会議への上程を強行されるならば、議長の行為は国会の公正な運営に責任を負うべき議長の職責に著しく反するものとなり、重大な決意をせざるを得ないとの警告をも行ってきたところであります。
 長田裕二君を信任しない第二の理由は、本法案が、一九五四年、本院で議決した自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議に明らかに反するものであるにもかかわらず、事もあろうに、本院決議を遵守すべき義務を負っている議長長田裕二君が本法案の本会議上程を強行した点にあります。これは、本院が民主的で公正な運営を行う責任を放棄し、本院の権威を根本から失墜させたものと言わざるを得ません。
 本決議についての有権解釈については、九〇年十月、予算委員会での議論を受け予算委員長が議長に検討を要請、議長は議運委員長に検討を指示、その後六回にわたって各党の議運理事による協議を行ったものの、当時の国連平和協力法案が廃案になったのを受け本件に関する協議も未了となると、結局、有権解釈にきちんと決着をつけることができなかったのであります。
 PKO法案を採決するに当たって、PKO法案が本院決議に違反するとの疑義が表明されている以上、少なくとも本院としてこの法案が決議に違反するかしないかを明確にしておくべきであり、そのことは国民に対する本院の負っている最低の責務でもあります。この最小限の責務すら放棄してPKO法案を上程するなどというのは、院の権威と尊厳を根本から放棄したものにほかならぬのであります。
 本法案は日本国憲法に明確に違反した自衛隊の海外派兵法そのものであり、当然廃案とすべきものであります。この点では自公民三党の修正案も、武装した自衛隊を海外に派兵する法案であるPKO協力法案のこの危険な違憲の本質を何ら変えるものではありません。いかなる名目をとろうとも自衛隊を海外に派遣し軍事的活動に参加することは、憲法の平和原則に照らして許されないことは明瞭であります。このことは、自衛隊を違憲とする者も合憲とする者も一致して従来認めてきたことであります。だからこそ、本院は、憲法の平和原則と第九条を確認して、自衛隊の一切の海外出動を禁止する決議を採択したのであります。
 しかるに、議長長田裕二君は、この誇るべき日本国憲法と本院決議を一顧だにせず、PKO協力法案を委員会での正式な採決もないままに本会議に上程を強行したことは、戦後の日本の進路を根本的に転換し戦争への危険な道に日本を導くことに重要な役割を果たそうとするものであり、この責任は厳しく問われなければならぬのであります。
 私は、以上述べた点から、長田裕二君は議長の職員にとどまる資格が全くないと、その責任を厳しく問うものであります。
 何とぞ本決議案に対して各位の御賛同が得られますようお願いを申し上げまして、私の提案理由説明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○副議長(小山一平君) これより議長不信任決議案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#13
○副議長(小山一平君) 少数と認めます。
 よって、本案は否決されました。(拍手)
   〔副議長退席、議長着席〕
     ―――――・―――――
#14
○議長(長田裕二君) 日程第二 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案
 日程第三 国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案
  (いずれも第百二十一回国会内閣提出、第百二
  十二回国会衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
     ―――――・―――――
#15
○議長(長田裕二君) これより国際平和協力等に関する特別委員長の報告を求めるのでありますが、佐藤三吾君外一名から、委員会審査省略要求書を付して、国際平和協力等に関する特別委員長下条進一郎君問責決議案が提出されておりますので、まず、本決議案についてお諮りいたします。
 国際平和協力等に関する特別委員長下条進一郎君問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(長田裕二君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。佐藤三吾君。
   〔佐藤三吾君登壇、拍手〕
#17
○佐藤三吾君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、下条進一郎いわゆるPKO特別委員会委員長の問責決議案の提案理由を御説明申し上げたいと思います。
 下条委員長は、委員会の公正、公平な運営に尽くすべき立場にありながら、参議院国際平和協力等に関する特別委員会において、我が党の角田議員の残り時間を保証しておきながら一方的に質疑を打ち切り、委員会を混乱のうちに散会させるという暴挙を行ったのであります。これは、さきの国会の衆議院における強行採決に続く暴挙でございます。国会の審議権の否定であり、国会の自殺行為であります。我々は、満身の怒りを込めて厳重に決議し、審議を改めて続行するよう要求したところであります。
 政府提案のPKO法案及び自公民三党の修正案は、国連PKOなどに武装した自衛隊を派遣し、国際緊急援助活動にも自衛隊の部隊等を派遣することが中心になっており、日本国憲法に抵触するおそれが強く、多くの問題をはらんでいることは既に審議の中で明らかにされたとおりであります。また、同時に、自衛隊を海外に出さないという五四年の参議院決議にも違反するものであって、良識の府である参議院が国民の意思と決意を踏みにじるものと言わざるを得ません。
 また、国民の世論も、憲法違反であるかどうかについて真っ二つに分かれております。中国、韓国などアジア諸国の国民の皆さんからは危倶と反発の声が高まっております。
 したがって、自衛隊を海外に派遣するという国是を変更する重大な内容を持つこのような法案は、徹底的に審議を尽くし、重要な諸問題が解決されるまで採決など急ぐべきでありません。そのことは国会とすべての政党の最低の責務であります。特別委員会の審議においても、我が党の質問時間は十分でございません。私を含めて、いまだに一回も質問の機会がなかった委員も残っております。五日の暴挙はこの基本的な最低の義務さえ放棄したもので、その責任は重大であります。
 我が党はこれまでの審議の中で、憲法上の疑義、参議院決議との衝突、国連PKOの原則と法案の矛盾、武力行使や指揮権の問題など法案の持つ重大な疑問点、問題点を指摘してまいりました。それに対して政府は、問題を解決せずに答弁に窮し、あるいは言葉のごまかしで逃げるなどに終始したのであります。まさにガラス細工と言われる実態をさらけ出しました。
 その結果、政府法案に反対する国民の声と運動は日増しに高まってまいりました。国民世論は時間をかけた徹底した審議を求めて大きく盛り上がっておると思います。五日の暴挙はこの盛り上がる世論に対する政府・自民党などの危機感のあらわれで、憲法と国民に対する誠意ある姿勢の放棄であります。下条委員長はこうした状況を十分に認識し、審議を尽くすべきであったのであります。
 さらに、我が党は、憲法と国連を初めとする国際社会の要請にこたえて、我が国の国際協力のあり方、非軍事、文民、民生の原則による常設組織の創設などを我が党の法案として提出し審議に供してまいったのであります。また、PKO法案が通らなければカンボジアの和平と復興に対する人的協力はできない、しないとする政府の態度を厳しく批判し、独自のカンボジア国民の自立支援策を発表してきたところであります。
 日本は、軍隊によらず人的な国際協力をすることができる多くの分野を持っております。国民や国際社会もそれを強く求めておるところであります。こうした自衛隊や武装部隊によらない国際協力こそ、国民的合意、アジア諸国民の同意を得られる最善の道であり、本国会でも合意されるべきであります。
 以上、簡単に申し上げました。
 下条委員長は、もはやみずからの職責を放棄し、委員長としての適格性を失ったと言わざるを得ません。何とぞ議員各位の御賛同を心からお願い申し上げまして、提案を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(長田裕二君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。種田誠君。
   〔種田誠君登壇、拍手〕
#19
○種田誠君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま提案がありました国際平和協力特別委員会の委員長である下条進一郎君に対する問責決議案に賛意を表するものであります。国際平和協力特別委員会の委員長に下条君が就任いたしましたのが昨年十二月六日のことでありました。以来、下条委員長の委員会運営は、今回の強行採決もどきの暴挙を除けば、二、三の誤りはあっても、私は一応の評価を持って見てきた者の一人であります。しかし、今、私は、五日未明の暴挙に対して激しく、そして憤りを持ってこの問責決議動議に賛成討論をしなければなりません。議会に席を置く者として残念至極の思いであります。
 御存じのとおり、参議院は、大先輩の河野謙三議長時代から築いてまいりました良識の府としてのよき慣行、慣習のもとに、何よりも国民の合意を目指した徹底審議の実績を積み重ねてまいったのであります。そして、日々の議会活動を通じて、与野党を問わずお互いに努力を続けているところでもありました。
 しかるに、国際平和協力特別委員会の最高責任者である下条委員長は、六月五日一時四十一分、政府提案の国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案など二法案の質疑を一方的に打ち切り、我が党角田義一君の質疑権を不当に奪い、殊に下条委員長は理事懇談会において、角田君の質疑権については喜屋武眞榮君の質疑後に行うことを明確に約束していたものであります。そして、自公民三党提出の修正案を含めこれらを強行採決の形をとり、採決不存在のまま委員会を混乱のうちに散会させたのであります。この問わずか十数分のことでありました。
 私は、ここに、私が目前で現認した委員会質疑打ち切りの経過を明確に述べておきたいと思います。
 六月五日午前三時二十二分、発言席に着席し角田君が委員長に対し質疑を求めたところ、自民党合馬君より、「委員長、動議」との声が二度発せられたものの、我が党村田君、西野君らの抗議に遭い合馬君はたじろぎ、後退をし、以後の発言をやめ、動議提案の理由を述べるに至らなかったものであります。
 一方、下条委員長は、我が党議員の角田君らの質疑を保障せよとの抗議に対し、席に戻ってほしいとの言葉を繰り返しただけであり、合馬君の動議採択手続はもとより、その後、質疑打ち切りの手続、PKO関連法案の採決に必要な諸手続一切を全くとらなかったものであります。したがって、委員会におけるPKO関連法案に対する採決は全く不存在だったのであります。委員長の言動は議会制民主主義を踏みにじる暴挙であったばかりか、これら法案に対しての採決は、有効無効以前のまさに法的不存在であります。PKO法案は直ちに委員会に差し戻され、再び我が党角田義一君の残り十五分の質疑権を保障し、その上で整々と公正に採決が行われなければなりません。加えるに、下条君は、委員長としてみずから一方的に委員長席を辞し、委員長の職責を放棄したものであります。
 ここに自民党諸君が強行採決されたと称するPKO法案は、憲法が禁止している自衛隊の海外派遣を強行させようというのであります。これまでの審議を通じて政府答弁は、派遣される自衛隊が武器を携帯し、PKOとPKFの区別ができず、しかも指揮権が自衛隊にあるのか国連にあるのかわからないといった多くの疑念を増幅させてきたのであります。だからこそ、自衛隊派遣に多くの国民は慎重かつ徹底審議を望み、あるいは反対の意を明らかにしているのであります。憲法学者の多くも自衛隊派遣の違憲性を厳しく指摘しているところでもあります。
 こう見てまいりますと、憲法上疑義がある法案の取り扱いについて、その責任の地位にある委員長は、委員会運営の基本に国民の合意形成に努力することをしっかりと踏まえて事に処する責務が課せられていたのであります。しかし、下条委員長は、基本的な責務を放棄して議会制民主主義のルールを無視し、公正な採決手続をとらぬまま強行採決の手段に駆り立てた自民党議員の要求を押さえられなかった責任は極めて重いと言わなければなりません。
 これが問責決議案に賛成する理由の第一であります。
 第二の理由についてであります。
 下条委員長は、公聴会後にも十分な審議時間を確保する、このことを約束していたばかりか、角田君の質疑残り十五分についても、これを留保させ質疑権を保障する旨をも約束していたものであります。しかも、審議の中で私たち日本社会党・護憲共同が提出を要求した資料を出さぬまま、角田君への約束も一方的に破棄し、質疑を打ち切り、強行採決のごとき行為を図ったのであります。例えば、国連のSOPガイドライン、国連のPKO訓練マニュアル、UNTACのSOPなど八点が提出されていないのであります。
 下条委員長は、角田君の残り十五分の質疑権を保障するために、PKO法案を委員会にて直ちに審議すべきであります。そして、十分な審議が行われるための資料提出に積極的に取り組まなければならないのであります。そして、十分な審議が行われるための時間を確保するのが下条委員長の今日の務めでございます。
 角田君は、この十五分の質疑権により、国連平和維持隊の定義、事前承認手続と憲法四十一条の関係、五つの基本原則の定義など法案の重要な部分の内容を審議する予定でございました。この質疑権が一方的に奪われたということは極めて重大
なことでございます。この不法な強行採決もどき行為によって、日本の議会における議員の正当な質疑権、国政調査権を奪い去ったのであります。
 さらには、自衛隊の海外派遣を認めないとする本院における決議とPKO法案の関連を理事会で協議すると約束したことをほごにした責任は極めて重いものであります。
 第三の理由であります。
 社会党・護憲共同が提案しております国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案、また、連合参議院提出の修正案の審議権を奪ったのであります。社会党・護憲共同は、憲法と国連を初めとする国際社会の要請に従った国際協力のあり方として、非軍事、文民、民生の原則による常設組織の法案を提出して審議に供してきたのでありますが、強行採決は一瞬にしてこれら法案と修正案に対する審議を置き去りにしてしまったのであります。
 今般の強行採決もどき行為は、議会を否定するものであり、民主主義を否定するものであり、さらには憲法そのものを否定するものであります。我が国に対する国際社会の信頼と国民の国会に対する信頼を失墜させた許し得ぬ暴挙であり、下条委員長に反省を促すものであります。
 以上、提案された下条進一郎君の問責決議案に対して全面的に賛成することを再度表明して、私の討論を終わります。(拍手)
#20
○議長(長田裕二君) 吉川春子君。
   〔吉川春子君登壇、拍手〕
#21
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、佐藤三吾君提出の国際平和協力等に関する特別委員長下条進一郎君を問責する決議案に賛成の討論を行います。
 まず第一に、下条委員長は、去る五日、国際平和協力等に関する特別委員会においてPKO協力法案を初め六案件に関する審議打ち切りを強行し、PKO法案及び国際緊急援助隊法改正案が可決されたと強弁しておられます。
 しかし、私は、PKO特別委員会理事として、質疑打ち切りと同時に委員長席に駆け寄り、審議継続の動議、PKO特別委員会委員長の不信任動議を提出いたしましたので委員長席のすぐそばにおりましたが、委員長の口からは何も聞き取れませんでした。テレビの中継コメントどおり、採決は存在しなかったのです。
 また、この五日の審議について、PKO特別委員会理事会において自公民三党は締めくくり総括質疑の終局を要求し、我が党と社会党、連合参議院は一般質問の継続を主張し質疑の終局に強く反対していたため、審議の性格が定まっていなかったものです。下条委員長はこれを、双方を飲み込むなどと称して結局は自公民の質疑打ち切り、採決に手をかし、公正であるべき委員長の職務を投げ捨て、その結果このように事態を混乱させた責任は重大であり、厳しく糾弾されなくてはなりません。
 第二に、理事会において論議の継続中の幾つかの問題があったにもかかわらず、それをすべて紙切れのようにくずかごに投げ捨ててしまったのです。
 その一つは、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と我が国民の熾烈なる平和愛好精神に照らし、海外出動はこれを行わないことを改めて確認するとの一九五四年当院の行った自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議とPKO法案との関係についてです。これは、当時、自衛隊法に賛成した議員も反対した議員も含め、全会一致で決議しています。このように自衛隊の海外出動を禁止した当院において、これに真っ向から対立する武装した自衛隊を部隊として海外へ送るPKO法案をこのまま可決することは絶対にできないのです。
 しかし、自公民三党はPKO法案はこの決議に反しないと主張し、さらに、三十年以上も前の決議を持ち出すことさえおかしいとまで述べた党もありました。
 そこで、各党がこの決議とPKO法案との関係についてのみずからの考えを文書にして提出し議論を開始したのが六月四日のことです。これを引き続き議論するとの理事懇談会の各党合意を、委員長は一方的に踏みにじったのです。
 第三に、委員長は、自公民三党同様、質疑時間が十分あったと主張しますが、自公民三党の修正案を含む審議時間は十四時間とったにすぎません。加えて、国連平和維持活動について国連自身が定式化している諸文書が審議の前提として不可欠なものであるにもかかわらず、英文で五百ページに及ぶSOPガイドライン(標準作戦規定)やPKO訓練マニュアルを先国会でたった二、三時間院内で閲覧させたのみで、政府の提出要求拒否を容認してきたのです。これでは、法案審議を百時間行ったとしても、PKO協力法案が国連文書に合致しているかどうか国民にはわかりません。
 これは、国民と国会に対して目隠しをし、PKOが軍事的活動を本質とし、我が憲法が禁止する武力の行使について詳しい規定を持っていることをあくまで隠ぺいすることにより結果として審議妨害を行うという、到底許されない態度と言わなくてはなりません。
 第四には、自公民三党による六月一日提出の修正案の中身の問題です。
 修正案は、「国際連合平和維持隊(PKF)」とか「参加」とか「基本的な五つの原則」とか、原案にはない重要な新たな概念を次々と導入しながら何らの定義も示さないという、立法技術上も驚くべきお粗末な欠陥法案であります。しかも、PKFの定義については五月十三日のPKO特別委員会で、はっきりしていないし、使う人によって定義の内容が違ってくると政府自身が答弁しているのです。そういう不明確なものに自衛隊を参加させるなどということは、PKF凍結ということ自体、世論を欺く方便だと言われても仕方ないではありませんか。自公民三党の発議者は修正案の最重要部分であるこの点について答弁の混乱を繰り返し、理事会協議が何回も持たれ、まだ決着が見られていないものです。
 さらに、同修正案は、国会承認に際して七日以内に議決に努めなければならないなどとして、行政府が立法府の審議権を拘束するという憲法上新たな重大問題を法案に持ち込みました。これは憲法の三権分立の立場から極めてゆゆしい問題です。国権の最高機関であり国の唯一の立法機関である国会の審議権を拘束するものであり、憲法第四十一条に抵触するものです。この点も去る五日の質疑で社会党、連合参議院、我が党から共通して問題が指摘されて、しかし憲法との関係について答弁できず、いずれも質問は留保され理事会預かりになっていたではありませんか。
 これら国民から見て当然の疑問を審議を通じて国民の前に明確にする義務があるにもかかわらず、かつ、委員会の委員長の立場にありながら、その努力を怠って責任を放棄したばかりか、この矛盾に満ちた提案者の暴挙に結果として加担したことは断じて許すことはできません。
 本来、法案の審議は、慎重の上にも慎重に、民主主義のルールを踏んで行われるべきであるにもかかわらず、一方的に質疑打ち切りを強行した下条委員長の責任は重大です。PKO法案強行採決のニュースが報道されると、朝鮮など各国から早速自衛隊海外派遣を懸念する声が数多く伝えられています。我が党はこのような今日の混乱に導いた下条委員長を厳しく糾弾するものであります。
 以上申し述べて、下条進一郎君を問責する決議案に賛成の討論を終わります。(拍手)
#22
○議長(長田裕二君) 井上哲夫君。
   〔井上哲夫君登壇、拍手〕
#23
○井上哲夫君 私は、連合参議院を代表いたしまして、ただいま提案のありました国際平和協力等に関する特別委員会の委員長である下条進一郎君を問責する動議に賛成の討論をなすものであります。
 下条委員長、あなたのとられた六月五日未明の突如の質疑打ち切りとこのとき採決をしたとの措置は、その外形的事実を欠くもので、その存在は認められません。このように打ち切りと採決の事実がないにもかかわらずこれがあったと主張するあなたの態度は、特別委員会委員長として公正と公平な運営を旨とするとこれまで再三再四私どもに言明してこられたことと明らかに違うもので、委員長の職を大きく汚すものであります。
 加えて、野党より質疑打ち切りを撤回し採決のやり直し、すなわち正常な手続をとる機会をつくるべしとの声を無視して今日に至っていることは、まさに言語道断と言わねばなりません。直ちに委員長は可決されたというPKO法案を委員会に差し戻し、責任をとって辞任すべきではないですか。
 委員長、あなたは六月五日未明のPKO特別委員会で角田義一委員の残した十五分間の質問時間につき質問を最後にさせることを繰り返し約束されました。そして、参院クラブ喜屋武委員の質問が終わろうとした瞬間、突如自民党委員席より出た質疑打ち切りの動議提出の声に対し、間髪を入れず「質問者角田義一君の質問を受けます」と声高に叫ばねばなりませんでした。
 突如の動議も出るかもしれない状況は委員会のだれしもが予測し得たことから、この中にあって委員長として当然の措置を慌てふためくことなくとっていれば、委員長として公正にして民主的運営、すなわち一党一派に偏ることのない中立的立場に基づく運営ができたのです。にもかかわらず、この措置をとらないまま、数瞬を過ぎて飛び出した反対を叫ぶ委員の怒号と混乱に囲まれて、あなたは委員長席でしばし立ち往生の事態に至ったのです。
 なぜ私がこのことを申し上げるかといえば、だれもがこの光景、この事態の推移を現場で見ているからであります。深夜ではありましたが、まさに衆人環視の中であったからであります。
 筋書きどおりの展開であったかもしれません。あなたはその後、質疑終結の動議を諮り、賛成委員の起立を確かめ、討論がないことを確かめ採決の手続に入った、採決手続では、自公民の修正案、PKO政府提出法案、そして国際援助隊派遣法案と続けて諮り、質疑打ち切り動議の起立委員がそのまま座らずに起立多数で可決されたとして委員長は採決されたと申されるようであります。
 あなたの論法でいくと、私たち連合参議院提出のPKO修正案と国際援助隊派遣の修正案を含めた二本の法案の採決はどう処理されたとおっしゃるのでしょうか。一つの動議と三つの法案の採決中、賛成委員の起立多数を確認したというあなたのこじつけによれば、では三つ目の法案は何だったのでしょうか。一番初めに私たちの修正案が諮られ、否決後に自公民修正案、そして政府PKO法案と続くと、その次に来るのは私たち連合参議院提出の国際援助隊派遣の修正法案となることは決まっております。これが否決された後に政府提出の国際援助隊派遣法案の採決手続なんですよ。三案引き続き賛成委員の起立多数にて可決ならば、私たちの国際援助隊修正案が、つまり連合提出修正案が可決されたのではないですか、どうですか。
 あらかじめ示し合わせての強行の審議打ち切りと採決手続も、私がただいま指摘しましたごとく、大変大きなミスを犯したわけであります。どじを踏むとはこのことです。どこから見ても採決は不存在なのです。ないものをあるごとく装い、国民にこれがあったものと信じ込ませ、その錯誤に陥った国民に、もって民主政治が日本の国会で健やかに生きていると思わせることは、手品師の演技ならいざ知らず、ごまかし以外の何物でもあ
りません。それとも連合参議院の国際援助隊派遣法の修正案が可決したことを認めますか。
 私は、今回の特別委員会の不正常な強行採決事態に心から怒りを禁じ得ません。廃案のために審議の引き延ばしにのみ腐心する勢力に対抗するにはこれしかないとおっしゃりたいのでしょう。これまで幾度も、世に言う対決法案ではずっとこの方法で少数党の抵抗を排除して解決してきたのだとおっしゃりたいのでしょう。しかし、私たちはそうは思いません。鈴木内閣での八一年度予算案、比例代表制を導入した公職選挙法の改正案、竹下内閣での消費税導入の法案など、これまでの不正常採決ケース、強行採決事態と今回のそれは明らかに違うのです。シロをクロと言い繕い、採決を有効なものと言うところは同様でしょうが、審議を打ち切るべきでは断じてなかったのです。
 今回は、なるほど百時間に及ぶ審議時間がありました。しかし、政府提出の原案に対し、自公民三党による重大な修正部分を含む修正案は、余りに遅い時期、まさに終盤に提出されました。この修正案に対し、その審議時間は実にたったの十四時間にすぎないのです。その上、私たち連合参議院も自公民修正案提出後に独自の修正案を提出したのです。私たちの修正案は、実を申しますと、一昨年十一月、自公民三党の合意がなされた中での重要な事項である自衛隊とは別の組織で日本はPKO参加を図るという基本を忠実に守り、これを取り込んだ修正案であったことは皆さん御承知のことでしょう。
 このように、多数派みずからが出された修正案と、かつての基本とされた別組織論を実現した私たちの修正案に対し、わずか十四時間、三日間の審議でどうして審議は尽くされ質疑終局の機は熟していたと言えるのですか。いつものとおりの筋書きの強行採決とは今回は中身は全く違うのです。私は新聞報道の記者の方々にこのことを強く申し上げました。なぜもっと早く自公民修正案を提出なさらなかったのですか、一カ月も二カ月も前から。
 さらに、下条委員長、あなたは委員長として、本当に意見の対立の厳しい中で委員会運営に努力を重ねてきましたか。今回のPKO特別委員会は、あなたも途中から前委員長に交代して就任されました。運営上も審議の対象法案も重くて大きく、与野党の激しい対決も予想される委員会の委員長にいわばリリーフエースとしてつかれたあなたは、これまで大変な毎日であったでしょう。
 しかし、この委員会はまた画期的な法案審議の委員会でもありました。政府提出の法案のほかに、社会党からの対案、そして終盤での自公民三党の修正案、さらに連合修正案と、まさに議員立法の法案と政府案の花盛りの状況だったのです。最後の三日間の委員会審議の質問は、質問する議員と答弁に立つ議員のちょうちょうはっしのやりとり、まさに国会議員の政策をめぐる華々しい論争の場で、これ以上ない見せ場、迫力満点の審議風景でありました。
 その上、日本が国際社会で何をなすべきかに関して、日本国憲法や本院国会決議の内容をどのように受けとめその立法精神の実現を図るかがすべてにかかわる審議法案でした。国会開設百年を経過した日本で、まさに後世に名を残す議会審議となり得た委員会でありました。
 反対派の、あるいは少数派の抵抗があったとしても、多数派の方々も大きな度量でこの画期的国会審議を守り立てるべく説得に説得を重ね努力に努力を積んで、一歩後退二歩前進の精神で審議の円滑な運営を図らねばならなかったのではないでしょうか。反対のための反対の野党に一々相手になっていても仕方がないといった決めつけは、今回はあってはならなかったのです。
 もう与えられた時間が来ております。
 私は、六日未明、五日より始まった議院運営委員会委員長解任決議案件での採決で、生まれて初めて見よう見まねで牛歩の投票行動をとりました。物理的抵抗はやめろ、約束が違うぞ、ばかなことをだれに唆されたのだといった声が私の背後から聞こえてきました。しかし、特別委員会でのあのような委員長の措置に対し、私の腹の底からの怒りは抑えようがなく、この怒りをあらわすためにはあのとき牛歩以外ほかにないと考えての行動でした。私は、牛歩の実行に着手してから終えるまで、私のこの怒り、嘆きは、私の体を、私の目を、私の態度を見ていただければ一人でも多くの人にわかってもらえる、このように思ったからであります。
 下条委員長、あなたは過日私に、私が三重県出身者であることから、僕は終戦前海軍兵士として三重県鈴鹿市白子町にいた。そこで病を患い失意の時を過ごしたが、結果から見ると、死地に赴くことなくこうして九死に一生を得た。厚生大臣のとき、白子町で診察、治療をしてくれた医師が今では遠く北海道で生存しておられることを知り、念願の音信を果たすことができた。白子は忘れ得ぬ思い出の地ですと私に語られました。聡明にして温厚、物静かで人情に厚い下条委員長に私は心から尊敬をしてまいりました。
 しかし、今回の委員長としての措置は、当然なすべき委員会の運営の公正さと参議院特別委員会の権威を、さらに国民からの信頼をいたく傷つけ、それは回復不能とさえ言えます。委員会の権威を失墜させ、院の権威、そして委員会の公正さ、公平さを損なった責任をどのようにとるのでありましょうか。潔くPKO法案の審議を委員会にこれを差し戻し、直ちに辞任すべきことを重ねて申し上げて、私の討論を終わります。(拍手)
#24
○議長(長田裕二君) これにて討論は終局いたしました。
 本日はこれにて延会することとし、次会は明日午前零時十分より開会いたします。
 これにて延会いたします。
   午後八時五十九分延会
ソース: 国立国会図書館
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