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1992/06/08 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第22号
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1992/06/08 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 本会議 第22号

#1
第123回国会 本会議 第22号
平成四年六月八日(月曜日)
   午前一時十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十二号
  平成四年六月八日
   午前零時十分開議
 第一 国際平和協力等に関する特別委員長下条
  進一郎君問責決議案(佐藤三吾君外一名発議
  )(前会の続)
 第二 国際連合平和維持活動等に対する協力に
  関する法律案(第百二十一回国会内閣提出、
  第百二十二回国会衆議院送付)(前会の続)
 第三 国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一
  部を改正する法律案(第百二十一回国会内閣
  提出、第百二十二回国会衆議院送付)(前会
  の続)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(長田裕二君) これより会議を開きます。
 日程第一 国際平和協力等に関する特別委員長下条進一郎君問責決議案(佐藤三吾君外一名発議)を前会に引き続き議題といたします。
 これより国際平和協力等に関する特別委員長下条進一郎君問責決議案の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#4
○議長(長田裕二君) 速やかに御投票願います。――御投票願います。――御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。
   〔議長退席、副議長着席〕
   〔投票執行中〕
   〔副議長退席、議長着席〕
#5
○議長(長田裕二君) 速やかに御投票願います。――御投票願いぎす。――御投票願います。――御投票願います。――御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――御投票願います。――速やかに御投票願います。――前へお進みください。――速やかに御投票願います。――どうぞ前へお進みください。――速やかに御投票願います。――どうぞ前へお進みください。――前へお進みください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――御投票願います。――速やかに御投票願います。――御投票をお願いします。――御投票願います。――御投票願います。――まだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――前へお進みください。――前へお進みください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかな御投票を願います。――御投票願います。――速やかな投票をお願いします。――速やかな投票をお願いします。――投票をお願いします。――前にお進みください。――速やかに御投票を願います。――速やかに御投票ください。――速やかな御投票を願います。――御投票願います。――御投票くたさい。――御投票願います。――前へお進みください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票ください。――御投票ください。――速やかに御投票願います。――御投票ください。――御投票ください。――前にお進みください。――前に進んで御投票願います。――御投票ください。――御投票ください。――御投票ください。――御投票願います。――前にお進みください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――御投票願います。――前にお進みください。――前に進んで御投票ください。――御投票ください。――御投票願います。――速やかに御投票願います。――御投票願います。――御投票願います。――御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――御投票願います。――速やかに御投票願います。――御投票願います。――速やかに御投票願います。――御投票願います。――御投票願います。――御投票願います。――御投票願います。――速やかに御投票願います。――御投票願います。――御投票願います。――御投票願います。――御投票願います。――御投票願います。――御投票願います。――前へお進みください。――前へお進みください。――前へお進みください。――速やかにお進みください。――御投票願います。――御投票願います。――速やかに御投票願います。――前にお歩きください。
   〔議長退席、副議長着席〕
   〔投票執行中〕
#6
○副議長(小山一平君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#7
○副議長(小山一平君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#8
○副議長(小山一平君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数       二百三十五票
  白色票          九十九票
  青色票         百三十六票
 よって、国際平和協力等に関する特別委員長下条進一郎君問責決議案は否決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      九十九名
      会田 長栄君    青木 薪次君
      赤桐  操君    一井 淳治君
      糸久八重子君    稲村 稔夫君
      岩本 久人君    上野 雄文君
      小川 仁一君    及川 一夫君
      大渕 絹子君    大森  昭君
      梶原 敬義君    粕谷 照美君
      菅野  壽君    喜岡  淳君
      北村 哲男君    久保  亘君
      久保田真苗君    國弘 正雄君
      小林  正君    佐藤 三吾君
      櫻井 規順君    清水 澄子君
      篠崎 年子君    庄司  中君
      菅野 久光君    鈴木 和美君
      瀬谷 英行君    竹村 泰子君
      谷畑  孝君    谷本  巍君
      種田  誠君    千葉 景子君
      対馬 孝且君    角田 義一君
      田  英夫君    堂本 暁子君
      西岡瑠璃子君    西野 康雄君
      野田  哲君    野別 隆俊君
      浜本 万三君    肥田美代子君
      深田  肇君    福間 知之君
      渕上 貞雄君    細谷 昭雄君
      堀  利和君    前畑 幸子君
      松前 達郎君    松本 英一君
      三重野栄子君    三上 隆雄君
      三石 久江君    村沢  牧君
      村田 誠醇君    本岡 昭次君
      森  暢子君    八百板 正君
      矢田部 理君    安永 英雄君
      山口 哲夫君    山田 健一君
      山本 正和君    吉田 達男君
      渡辺 四郎君    諫山  博君
      市川 正一君    上田耕一郎君
      小笠原貞子君    神谷信之助君
      沓脱タケ子君    近藤 忠孝君
      高崎 裕子君    立木  洋君
      橋本  敦君    林  紀子君
      山中 郁子君    吉岡 吉典君
      吉川 春子君    粟森  喬君
      井上 哲夫君    池田  治君
      磯村  修君    乾  晴美君
      笹野 貞子君    高井 和伸君
      中村 鋭一君    萩野 浩基君
      古川太三郎君    星川 保松君
      山田耕三郎君    喜屋武眞榮君
      下村  泰君    西川  潔君
      山田 俊昭君    紀平 悌子君
      小山 一平君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百三十六名
      青木 幹雄君    秋山  肇君
      井上 吉夫君    井上 章平君
      井上  孝君    井上  裕君
      伊江 朝雄君    石井 一二君
      石井 道子君    石川  弘君
      石原健太郎君    石渡 清元君
      板垣  正君    岩崎 純三君
      岩本 政光君    上杉 光弘君
      遠藤  要君    小野 清子君
      尾辻 秀久君    大河原太一郎君
      大木  浩君    大島 友治君
      大島 慶久君    大城 眞順君
      大鷹 淑子君    大塚清次郎君
      大浜 方栄君    合馬  敬君
      岡田  広君    岡野  裕君
      岡部 三郎君    加藤 武徳君
      狩野  安君    鹿熊 安正君
      梶原  清君    片山虎之助君
      鎌田 要人君    木宮 和彦君
      北  修二君    久世 公堯君
      沓掛 哲男君    倉田 寛之君
      木暮 山人君    後藤 正夫君
      佐々木 満君    斎藤栄三郎君
      斎藤 十朗君    斎藤 文夫君
      坂野 重信君    沢田 一精君
      山東 昭子君    清水嘉与子君
      重富吉之助君    下稲葉耕吉君
      下条進一郎君    陣内 孝雄君
      須藤良太郎君    鈴木 省吾君
      鈴木 貞敏君    世耕 政隆君
      関口 恵造君    関根 則之君
      田沢 智治君    田代由紀男君
      田中 正巳君    田辺 哲夫君
      田村 秀昭君    高木 正明君
      高橋 清孝君    竹山  裕君
      谷川 寛三君    中曽根弘文君
      中西 一郎君    中村 太郎君
      仲川 幸男君    永田 良雄君
      永野 茂門君    成瀬 守重君
      西田 吉宏君    野沢 太三君
      野末 陳平君    野村 五男君
      服部 安司君    初村滝一郎君
      林田悠紀夫君    原 文兵衛君
      平井 卓志君    平野  清君
      福田 宏一君    藤井 孝男君
      藤田 雄山君    二木 秀夫君
      星野 朋市君    真島 一男君
      前島英三郎君    前田 勲男君
      松浦  功君    松浦 孝治君
      松尾 官平君    宮崎 秀樹君
      宮澤  弘君    向山 一人君
      村上 正邦君    守住 有信君
      森山 眞弓君    柳川 覺治君
      山岡 賢次君    山口 光一君
      山本 富雄君    吉川 芳男君
      猪熊 重二君    及川 順郎君
      太田 淳夫君    片上 公人君
      刈田 貞子君    黒柳  明君
      木庭健太郎君    白浜 一良君
      常松 克安君    鶴岡  洋君
      中川 嘉美君    中野 鉄造君
      針生 雄吉君    広中和歌子君
      三木 忠雄君    峯山 昭範君
      矢原 秀男君    和田 教美君
      足立 良平君    井上  計君
      猪木 寛至君    勝木 健司君
      小西 博行君    三治 重信君
      田渕 哲也君    寺崎 昭久君
     ―――――・―――――
#9
○副議長(小山一平君) これにて午後四時まで休憩いたします。
   午後二時十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時三分開議
#10
○議長(長田裕二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第二 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案
 日程第三 国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案
  (いずれも第百二十一回国会内閣提出、第百
  二十二回国会衆議院送付)
 以上両案を前会に引き続き一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国際平和協力等に関する特別委員長下条進一郎君。
   〔下条進一郎君登壇、拍手〕
#11
○下条進一郎君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、国際平和協力等に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案は、国際連合平和維持活動及び人道的な国際救援活動に対し適切かつ迅速な協力を行うため、国際平和協力業務の実施体制を整備するとともに、物質協力の措置等を講じようとするものであります。
 その主な内容は、国際平和協力業務の実施は、紛争当事者の停戦の合意、実施についての当事国等の同意、いずれの紛争当事者にも偏らないことを前提とすること、これらの前提が満たされなくなった場合には、我が国は業務を中断しまたは派遣を終了すること、国際平和協力業務の実施等は武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならないこと、総理府に内閣総理大臣を本部長とする国際平和協力本部を設置し、同本部に国際平和協力隊を置くことができること、国際平和協力業務の実施計画及び実施要領の策定手続等について定めるとともに、実施計画の決定、変更等があったときは遅滞なく国会に報告すべきこと、国際平和協力業務は、国際平和協力隊により行われるとともに、海上保安庁の船舶または航空機を用いて、または自衛隊の部隊等により実施され得ること、国際平和協力業務に従事する者の総数は二千人を超えないものとすること、協力隊員に貸与される小型武器等の使用は、隊員の生命または身体を防衛するため必要最小限のものに限られること等であります。
 なお、衆議院におきまして、自衛隊の部隊等が行う一定の国際平和協力業務については、実施計画の決定の日から二年を超えて引き続き行おうとする場合、国会の承認を求めなければならないこと等の修正が行われております。
 次に、国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案は、国際緊急援助体制の一層の充実を図るため、自衛隊の部隊等に国際緊急援助活動を行わせることができるようにするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を野田哲君外三名発議に係る国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案と一括して審査し、宮澤内閣総理大臣ほか関係大臣、発議者等に対し質疑を行うとともに、国連カンボジア暫定機構事務総長特別代表明石参考人からの意見聴取、カンボジア問題に関する集中審議、公聴会及び委員派遣による地方公聴会の開催、岡野理事外二名提出に係る自由民主党、公明党・国民会議及び民社党・スポーツ・国民連合の共同修正案並びに磯村委員提出に係る連合参議院の修正案に対する質疑を行うなど、熱心な審査が百五時間を超えて行われました。
 質疑は、我が国の国際貢献のあり方、自衛隊の海外派遣と憲法及び本院決議との整合性、武器の使用と武力の行使の相違、派遣部隊に対する国連のコマンドと指揮権との関係、自衛隊派遣についての国会承認の必要性、アジア諸国民の懸念、国連カンボジア暫定機構に対する協力のあり方、人道的な国際救援活動の態様、国際緊急援助隊への自衛隊参加の当否等の諸問題について広範多岐にわたり行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 なお、磯村委員提出に係る国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案に対する修正案は予算を伴うものでありますので、内閣の意見を聴取いたしましたところ、反対である旨の意見が述べられました。
 質疑終局の動議の可決により質疑を終了し、採決に入り、まず、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案について諮りましたところ、磯村委員提出の修正案は賛成少数をもって否決され、岡野理事外二名提出の修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも多数をもって可決され、本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。
 委員会修正の要旨は、自衛隊の部隊等が行う一定の国際平和協力業務については国会の承認を得なければならないこと、これらの業務については別に法律で定める日まで実施しないこと、政府は、本法施行後三年を経過した場合、その実施のあり方を見直すこと等であります。
 次に、国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案について諮りましたところ、磯村委員提出の修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(長田裕二君) 諌山博君外一名から、賛成者を得て、
 本件を国際平和協力等に関する特別委員会に再付託することの動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#13
○議長(長田裕二君) 少数と認めます。
 よって、本動議は否決されました。
#14
○議長(長田裕二君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。小林正君。
   〔小林正君登壇、拍手〕
#15
○小林正君 ただいま特別委員長から五日未明の報告がなされました。質疑打ち切りの動疑を耳にした人は多かったわけですが、今報告のありました、政府案、そして三党共同修正案、社会党の対案並びに連合参議院の修正案をそれぞれ今言ったような形で仮に採決をしたとすれば所要時間がどのぐらいかかったか。あの場における騒音の中にあって、混乱の中にありまして、どうしてそういうシナリオが書けたのか。
 考えてみますと、強行採決をしようという意思があったことは私たちも状況的に察知をしておりましたけれども、実際問題としてそれが成功したのかどうかということになれば、これは不成功であったことは事実であります。そして、その結果として、今報告された内容は実は架空の不存在のものに対して行われたということを私たちは確認をしなければならないだろうというふうに思うのです。
 今まで政府・自民党が長年にわたってやってまいりました、既成事実をでっち上げの疑いのあるような形で積み上げて、既にでき上がったものなんだから認めろ、こういう既成事実の強制力とも言うべきもので自衛隊の拡大強化を図ってきてその存在を誇示し認めさせてきたその手法と今の委員長報告は実に酷似をしていると言わざるを得ないわけであります。したがって、その欺瞞性を含めまして、この間の経過を討論によって明らかにしてまいりたい、このように考えるわけでございます。
 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案並びに国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案に関して反対の討論を行うものでございます。
 本論に先立ち、私はまず、先日の国際平和協力等に関する特別委員会における自民、公明、民社三党による質疑打ち切り動議に端を発した問答無用の暴力的な議会運営に対し強く抗議するものであります。これら暴力的行為は我が国の議会制民主主義にとって一大汚点となるものであり、国連平和維持活動への協力がこのような手法で決定されることは断じて許されるべきものではないということを改めて強く申し上げるとともに、三党に対し厳しい反省を求めるものであります。
 こうした立場に立ちながら、まず初めに、冷戦終えん後の世界での日本のあるべき立場から、政府提出の法案及び自民、公明、民社による共同修正の内容について反対の理由を申し述べます。
 今、世界は、第二次世界大戦後引き続いた冷戦という人類の破滅を意味する第三次大戦への序章とも言うべき暗い歴史のページから抜け出し、人類の宿願であった恒久の平和への大きな希望のページに歩み入りました。確かに、パックス・ルッソ・アメリカーナと呼ばれた時代、世界の諸国民に内在するさまざまな矛盾や問題は、この平和が崩れた場合の人類の破滅という重みの前に内向していました。そして、今、パンドラの箱があけられ、民族、宗教、国境紛争等のさまざまな問題が飛び出してまいりました。それと同時に、地球社会の抱える人口問題、環境破壊などさまざまな問題も冷戦にかわる新たな人類破滅の危機として同時に飛び出してきたわけであります。
 冷戦が終えんした今、こうした現実に直面して、平和への期待が大いなる幻影になってしまうのか、またはパンドラの箱の底に見出した希望に一層の輝きを与えることができるのかという岐路に立っているのであります。地球社会の新しい歴史のページを前にしてなお、私たちは余りにも長くいた冷戦のページのために、東西軸のイデオロギー思考からなかなか抜け出せずに、問題解決の手法を従来型に頼りがちであります。
 機能を回復しつつある国連においても、イラク・クウエート紛争において、アメリカを中心とする同盟軍のいわゆる力による正義の実現という手法が採用されました。今日の中東情勢という視点から見ると、多大の戦費と犠牲を強いた結果が一体何の問題解決になったのか、力による正義の実現の有効性が問われるゆえんであります。そのような意味において、地球社会で人類がどのようにすれば共存共生が可能かという南北軸の思考が今求められているのであります。
 太平洋戦争の惨禍、多大の犠牲を教訓として、我が国は、力による正義の実現という手法を捨て、南北軸思考の人類の共存共生への道を四十七年間にわたって歩んできたのであります。私たち日本人は、新しい歴史のページを前に、この半世紀にわたる歩みこそ国際社会の中で名誉ある地位を占める唯一の選択などの確信を持っているわけであります。
 湾岸危機から今日のカンボジア問題に至るこの間の国際貢献という名の論議を通して明らかになったことを要約すれば、憲法の目指す共存共生の立場と、力による正義の実現を基調とする立場との切り結びであったと思います。私たちは今、この論議の揺れ幅の中で、国民から政治課題として国民的な合意形成を図る努力をせよと強く求められているのであります。
 こうした立場から、本法案が、自衛隊を部隊ごと、そして大部分武器を携行して海外に出すためのものであり、このことは平和憲法のもとで戦後一貫してとってきた我が国の基本政策を根底から覆すものであり、あわせて、一九五四年の本院における自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議に真っ向から違反するものであること、これが反対の第一の理由であります。
 反対の第二の理由は、この国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案が、憲法第九条との関係や、他国における武力行使を避けるため、武器の使用については部隊としての使用を禁じ、また国連による部隊に対する指揮権の排除など、およそこれまで蓄積されてきたPKOの活動の原則と相入れない内容となっており、いわゆるガラス細工の法案であるということであります。
 第三は、この法案の目的とする国際貢献についてでありますが、その方法について自衛隊の活用を中心にしていることであります。
 今日の時代の流れは軍縮と協調を基調としており、こうした中で、世界の人々の生活の向上、飢餓や貧困の克服、そして人類共生のための地球環境の保全などについて、平和憲法のもとでどのような貢献ができるかということこそが我が国の国際協調の柱として論議されるべきであります。そのためには、武装組織によるのではなく、文民による専門的な組織による貢献こそが最も効果的で、かつ、各国から歓迎されることであります。
 それに反して、一方で軍備拡大をしながらその組織の一部を海外に出動させるということは、各国の我が国に対する懸念を増大させることであり、そのような国際貢献のあり方は基本的に誤りであると言わなければなりません。
 第四は、政府案に対する自民、公明、民社の修正案の内容自体についてであります。
 まず、この修正案には、政府案にもなかった国際連合平和維持隊への参加のための「基本的な五つの原則」なる用語が突如として出てきたことであります。基本的な原則という以上、法案の中にその内容が明記されなければならないのは当然のことであります。しかしながら、自公民三党の修正案には、括弧内に幾つかの条項名を並べ、その「規定の趣旨をいう。」としているだけなのであります。このような重大な問題を明確にしない法案は、もはや法律の体をなしていないと言わざるを得ないのであります。
 また、「国際連合平和維持隊」なる用語についても同様のことが言えるのであります。修正案によれば、国際連合平和維持隊とは日本が参加をしようとする対象であり、したがって、それがいかなる性格、任務等を有する組織なのかあらかじめ明確にしておく必要があるはずであります。にもかかわらず、自公民三党は法案に定義を明確にすることを拒み、極めて内容のあいまいな統一見解を発表するだけで言い逃れようとするばかりなのであります。
 さらに指摘されなければならないことは、内閣総理大臣が国会に求めたPKFへの派遣に当たっての承認について、国会は「七日以内に、それぞれ議決するよう努めなければならない。」と規定していることであります。このように、国会が総理大臣によって。求められた承認に対して議決する努力義務を負わされるような法律はこれまでに立法例もなく、憲法ですら規定していないのであります。行政府が立法府に対して特定の努力義務を負わせるような規定は、明らかに三権分立という民主主義の根本原則に抵触するものにほかなりません。いかなる法律も憲法の枠内でしか成立し得ないとすれば、三党共同修正案はこの一点においても廃案以外の道は与えられないのであります。
 このように、そもそも政府PKO法案自体が、国連の指揮、武器の使用、PKFの範囲などの問題で矛盾だらけな上に、自公民三党の修正によってもはや法律としての整合性を全く欠いてしまったのであります。
 次に、国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案について反対の理由を申し述べます。
 この法律案は、海外における自然災害や大規模な人災等の災害救助活動のために自衛隊の部隊等を派遣しようとすることが大きな特徴となっております。
 確かに、海外においては近年、発展途上国を中心として大規模な災害に苦しむ地域が多く、日本としても資金だけでなく人的な救援体制を整備充実することが求められております。また、国内の災害に対しても一定の部分を自衛隊に頼らざるを得ない状況にあることも事実であります。
 しかし、これらのことは、自衛隊の部隊等を国際的な緊急援助の分野に派遣する必要があることを意味するものでは決してありません。今回私たちが提出しております国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案のように、文民による常設の国際協力組織が創設され質量ともに確立されるならば、世界各地で災害に苦しむ人々のもとに赴き、彼らと一緒になって災害からの復旧や防止に取り組む文民の活動が可能となるのであります。
 次に、自衛隊の部隊等が持つ武器などの装備の。問題に触れておかなければなりません。
 政府は、閣議において、国際緊急援助に派遣する自衛隊の部隊等には武器を携帯させないこととしたと説明しておりますが、この法案の中にはそのような非武装の規定は一つもありません。これは、裏を返せば、閣議決定の変更さえ行えばいつでも武器を持っていける、すなわち武装自衛隊として派遣し得るということを意味しており、これまで、かつての侵略戦争を美化することはあっても真剣に反省せず、また憲法の拡大解釈を強行してきた当の政府がこのような法案の構成にしてきたことに、私は大きな危倶を抱くものであります。本当に武器が必要ないと考え、また武器を持たせるつもりがないのならば、法律にそのように明記すべきであります。
 自衛隊の海外派遣というまさに国論を二分する問題については、まだ一度も国民に政治選択を求めたことはありません。当初、いわゆる別組織からスタートした三党合意が、国会承認、PKF凍結などの措置によっていつの間にか自衛隊の組織そのものになり、憲法、五四年国会決議とも違背しないとの強弁をしているのであります。
 政府・自民党は、こうした欺瞞的な多数派工作で急邊つくり出されたマジョリティーによって法案の成立を図ろうとしているのであります。国際貢献という本来政治的対決の争点にしてはならない課題をあえて争点に据え、憲法とデモクラシーの未来にかかわる重大な意思決定を、マスコミの報ずるように「談合」による政治取引の対象とした行為は断じて許されないものであります。
 憲法と民主主義を守り発展させるべき国権の最高機関たる国会において、国際貢献という美名のもと、衆参両院において強行採決が行われました。政府は国際貢献の必要性を強調いたしますが、その内容は、まず自衛隊の海外派兵ありきであり、軍隊を強行採決で海外に平和協力と称して派遣しようとするものであります。
 アジア近隣諸国においても我が国国会での暴挙はリアルタイムで大々的に報じられ、各国のヤスコミは一層の懸念を表明しております。
 その一例として、五日付韓国東亜日報は、日本がついに非軍事原則の足の鎖を切った、日本軍の海外への再上陸が現実化した、大東亜共栄という美名のもとでアジアの支配を夢見たが、太平洋戦争で敗北し侵略軍を撤退させてから四十七年ぶりのことだ、日本軍の軍靴の音が第三世界へも響き渡るようになったと述べ、戦後の日本が維持してきた平和憲法の非武装平和主義と自衛隊の海外出動の禁止という国是を破ったと指摘をしております。そして、さらに、国連の旗のもとでの出兵ではあるが、自衛隊の海外派兵がこれからどのような形で発展していくのか緊張感を呼び起こしているとも述べています。これは韓国のみの反応ということにとどまりません。
 また、国内においては、冷戦終えん後の新たな国際社会における共同と共生の立場に立つ国連を中心とする連帯と協力のあり方について関心が高まってきております。このための国民的合意形成は大きく進展してきていると思うのであります。
 今国会の会期はなお残されており、その中で揺るぎない国際協力のあり方とそのための第一歩を踏み出すために、本院の歴史と名誉において、直ちに本案件の特別委員会への差し戻しと、この間の経緯を超えて共通のテーブルを設定して最大限の努力をする必要性を強調し、私の反対討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
#16
○議長(長田裕二君) 藤井孝男君。
   〔藤井孝男君登壇、拍手〕
#17
○藤井孝男君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案及び国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部改正案に対し賛成の討論を行います。
 今日、約四十五年間続いてきた東西対立の構図が崩れ、歴史は新たな平和秩序の模索段階にあります。まさに、世界は今、一つの戦後史の大きな曲がり角に来ているのであります。イデオロギーの対立から生じる紛争の可能性は少なくなったものの、ユーゴやCIS諸国の情勢にもうかがえるように、民主主義、地域主義等に根差した紛争はむしろ続発する様相すら見せており、多くの人々が悩み苦しんでいるのが現実の姿であります。このような中で、これまで国際社会の平和と安全の維持、創造を中心的仕事として取り組んできた国連の果たす役割もますます大きくなっております。
 我が国は、かねてから国連を我が国外交の主要な柱の一つとして位置づけてきましたが、これほど世界平和の恩恵にあずかり、そのもとで繁栄を謳歌してきた我が国は、この間、世界平和の維持のための国際的努力にどれほどの人的役割を果たしてきたのか、どれほどの汗を流してきたかを顧みますと、残念ながらじくじたる気持ちを禁じ得ません。
 ドイツでは、これまで連邦軍のNATO域外への派遣について基本法の改正をめぐり種々議論が行われてきましたが、今回のカンボジアでのPKO活動については、人道的な見地に立って、連邦軍軍人から成る医療団を派遣し積極的な貢献を行うこととしました。
 あの永世中立のスイスは、非同盟を堅持し国連にも加盟しない国でありますが、UNTACを初めとするPKO活動に要員を派遣しております。
 こうした模索の中からの新しい動き、すなわち、平和の創造としてのPKO活動に参加することが結局みずからの国の安全、平和に結びつくものであることを各国ともかたく信じているからにほかなりません。こう考えるとき、今こそ我が国は、国連の旗のもとで世界の多くの国の人々と手を携えて紛争に苦しむ人々を支援し、平和の維持、人類の福祉の増進のために積極的な役割を果たすべきときにあります。平和は単に希求するだけでは実現しません。このような人的な役割は、我が国憲法の平和主義、国際協調主義の理念にもまさに合致するものと確信いたします。
 自公民共同修正案を含む原案に賛成する第一の理由は、これが、国連平和維持活動や人道的な国際救援活動として行われている広範な活動に我が国が積極的に参加するための基本となる枠組みを整備するものとなっているからであります。
 PKOは、停戦の合意や受け入れ国の同意を前提に、中立・非強制の立場で国連の権威と説得により紛争の再発を防止する活動であり、一九八八年、ノーベル平和賞を受賞しております。これまでに世界の約八十カ国から五十万人以上が参加し、平和の維持のために多大の実績を残し、大変高い評価を得ているものであります。
 社会党の対案や連合参議院の修正案はいわゆるPKF本隊業務への参加を完全に排除しておりますが、これでは、日本は嫌な仕事はしないとの悪評をますます強めることになりかねません。我が党は、PKF本隊業務は、当面、内外のさらなる理解が得られるまで凍結するとしても、将来的には他の多くの国々とともにこれに真剣に取り組んでいく必要があると考えております。
 賛成する第二の理由は、我が国の平和憲法に適合する内容となっているからであります。
 一部に自衛隊を海外に派遣することを問題視する人もいます。しかし、PKOはそもそも武力行使を目的とした活動ではなく、平和を維持するための活動なのであります。この法案にはいわゆるPKO参加に当たっての五原則が盛り込まれており、この法案に基づくPKOへの参加は、先ほども述べたとおり憲法の平和理念に合致したものであり、憲法上何らの問題も生じないのであります。さらに、修正案によって、PKF本体業務に部隊を派遣する場合には、原則として事前に国会の承認を得ることとしているのであります。
 賛成する第三の理由は、PKO等に対する我が国の人的役割が将来にわたり機動的かつ効率的に果たし得ることとなっていることであります。
 PKFを初め国際平和協力業務の実効ある実施を図っていく上で、自衛隊の経験、能力の活用は不可欠であります。自衛隊の参加を否定したり別組織を創設するとの考えは、国連の平和維持のための活動であるPKOに軍人を積極的に活用するという国際的な常識に反するものであり、予算のむだとなるだけに終わってしまうことは明白であります。法案では、身分併有等の仕組みによって、具体的要請に対応した要員の参画が図られるようになっています。
 賛成する第四の理由は、国際緊急援助隊にも自衛隊の組織、能力を活用し得ることとしたことであります。
 昨今の雲仙・普賢母及び九州における風倒木災害に対する自衛隊の大活躍は改めてここで言及するまでもなく、この法案は、こうした国内救助の実績を生かし、大規模な自然災害等に苦しむ海外の人々に対し救援の手を差し伸べるものでありまして、基本的にはPKO法案と同一の精神で推進、拡充されることになるものと確信しています。国際的な大規模災害はいつ発生するかわからないことを踏まえるならば、我が国として早急にこれに対処しておかねばなりません。一部の政党が自衛隊の存在そのものを否定してこの法案にまで反対しているのであれば、もはや何をかいわんやであり、人道上の国際的立場を無視した非常識きわまりないものであります。
 以上のように、今回の二つの法律案はいずれも、我々日本国民が国際社会において、世界の平和と福祉の増進のための崇高な任務に他国の人々とともに手を携えて協力していくための枠組みを整備するものであります。特に、カンボジア和平のためのUNTACが既にスタートし、我が国からの参加が強く期待されていることにもかんがみますと、これらの法案の成立は焦眉の魚となっているのであります。
 どうか宮澤総理におかれましては、平和憲法の理念に基づき、国際社会においてなし得る最大限の人的な貢献を積極的に果たし世界の期待にこたえることを強く要請して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#18
○議長(長田裕二君) 立木洋君。
   〔立木洋君登壇、拍手〕
#19
○立木洋君 私は、日本共産党を代表し、PKO協力法案等についての反対の討論を行うものであります。
 政府・自民党及び公明、民社の各党が、質疑継続についての特別委員会における一切の約束を踏みにじって審議中断を強行したのみならず、不当にも本会議での採決を求めていることに対し、満身の怒りを込めて抗議をするものであります。どのような策を弄したとしても、「法案を採決するという意味の起立は行われていません」と述べたNHKのテレビ中継によっても明らかなように、いかなる採決も存在しなかったということは冷厳な事実であります。採決は、質疑の打ち切り動議。及びPKO協力法案を初め五法案など六回にわたって行わなければならなかったはずでありますしかるに、自公民三党の採決は正当だとする主張でも、起立は一回しかなかったと明言しているのだから、法案の採択は絶対に不存在なのであります。
 こうした状況であるにもかかわらず、憲法の平和条項を踏みにじり、日本の進路の根本的な変更にかかわるPKO協力法案の採決を強行しようとする自公民三党の行為は議会制民主主義を踏みにじる暴挙であり、断じて容認できな心ものであります。自公民三党は、審議時間が百時間を超えたなどと言ってこの暴挙を正当化しようとしていますが、憲法にかかわるこの法案の重大な問題点が解明されないまま残されていることを見れば、こうした論議が全く通用しないことは明らかであります。
 その上、見逃すことができないのは、外務大臣渡辺美智雄君と防衛庁長官宮下創平君ら関係閣僚の責任を問うべき決議の上程に際し、自公民三党はこれを不当にも拒否したことであります。強い国民世論に反して、憲法をじゅうりんし参議院決議にも反する自衛隊海外派兵法を積極的に推進した関係閣僚の行為は断じて許すことはできません。
 特に、外務大臣渡辺美智雄君は、日本国憲法において明らかにされているように、憲法を擁護する責任を負う国務大臣の立場にありながら、自衛隊の海外派兵を公然と主張し憲法に挑戦する言動をたびたび繰り返していたのであります。しかも、今回、徹底した審議が求められていたにもかかわらず、外務省は重要な資料提出さえせず国会の審議権を侵害したことは、担当大臣としても議会制民主主義に反する態度と言わなければならないのであります。
 また、防衛庁長官宮下創平君は、自衛隊の担当大臣の立場にありながら、自衛隊を海外に派遣し軍事活動に参加することを禁じた憲法の平和原則と自衛隊の海外派遣を禁じた参議院決議を一顧だにせず、PKO協力法案の成立と促進の先頭に立ったのであります。
 しかも、両君は、同法案の審議の中で国連の方針や原則に反する答弁を繰り返し、憲法違反を覆い隠す詭弁的な答弁を繰り返してきたことは断じて容認できません。このため、外務大臣渡辺美智雄君、防衛庁長官宮下創平君はその職員にとどまる資格がないものとして、その無責任な行為を厳しく糾弾するものであります。
 既に明らかなように、特別委員会での採決がなかったにもかかわらず不当にも採決が強行されることになった以上、この法案が持っ憲法上の諸問題及び我が国政治の進路にかかわる重大性にかんがみ、平和を願うすべての国民の立場に立って反対の理由を明らかにするものであります。
 まず第一に、本法案の重大問題は、戦後初めて武装した軍隊である自衛隊を海外に派兵するものであり、我が国憲法の平和原則を真っ向から踏みにじることであります。
 かつて専制と隷従、圧迫と偏狭の横暴をきわめた日本政府が、引き起こした侵略戦争の痛苦に満ちた反省の中から、日本国民は政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることがないようにすることを決意し、主権が国民に存在することを宣言して制定した憲法によって、日本国民は、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意したのであります。
 憲法第九条は、戦争及び武力による威嚇、武力の行使は永久に放棄し、戦力を保持せず、国の交戦権を否認することを明確にしたことによって、国際社会に対して、いかなる名目であろうとも軍事的に関与しないことを世界に高らかに宣言したのであります。この立場から、いかなる口実をもってしても自衛隊の海外派兵が許されないことは明白ではありませんか。
 自公民三党は、武器の使用は必要最小限に限るなどのいわゆる五原則なるものを持ち出し、憲法違反の内容を隠ぺいすることに必死になっていますが、五原則なるものを幾ら強調してみせても同法案の違憲性を覆い隠すことができないことは明白であります。そもそも、憲法は、武器の使用や武力行使があるなしにかかわらず、武装した部隊が海外に出動することなどを想定しておりません。それは憲法が武力の行使のみならず武力による威嚇を厳しく禁じているゆえんであります。しかも、PKOが武力行使を含む軍事中心の国際活動であることは、さまざまな国連文書が明記しているところであります。これを、武器の使用は要員の生命等の防護のための必要最小限のものに限られるなどとしてこの国際活動を日本の国内法でいかに規制しようとしても、それが本来成り立ち得ないことは明らかであります。
 まさに、五原則は、日本国民に対して自衛隊の派遣が憲法の枠内での協力であるかのように見せかけるためのごまかしにほかなりません。このことは、武装しその使用をも認められた自衛隊の海外派遣が、武力による威嚇、武力の行使を行うものであることを完全に否定し得えなかった政府の答弁によっても明らかではありませんか。
 こうした憲法上の重大問題を内包しているからこそ、自公民三党は、一九九〇年十一月九日の三党合意で、PKO協力に当たっては自衛隊とは別組織にするとしたではありませんか。自公民三党はこの合意を昨年の全国規模で戦われた一斉地方選挙の公約にしたのであり、選挙後この公約を百八十度転換してこれを強行することは公党として国民を裏切る極めて無責任な行為であり、議会制民主主義と国民主権に対する真っ向からの挑戦と言わなければなりません。
 一九五四年六月二日、参議院で決議された自衛隊の海外出動を為さざる決議は、その提案理由で、「自衛とは海外に出動しないということでなければなりません。如何なる場合においても、一度この限界を越えると、際限もなく遠い外国に出動することになることは、先般の太平洋戦争の経験で明白であります。それは窮屈であっても、不便であっても、憲法第九条の存する限り、この制限は破ってはならないのであります。」と強調しています。
 このことは、自衛隊が違憲と主張する人々も自衛隊を合憲と主張する人々も一致して認めていたことであります。しかも、この院の決議の有権的解釈を行うため現在各党で協議中であり、それをいかなる口実であれ無視することは議会制民主主義を公然とじゅうりんするもので、決して許されるものではありません。それにもかかわらず自衛隊を海外に派遣する法案を強行採決した自公民三党の態度は、国権の最高機関としての決議への重大な背信行為であります。本法案が、憲法の平和原則とともに参議院決議にも違反するものであることを改めて明確に指摘しておくものであります。
 第二に重大なことは、こうした内容を粉飾するために自公民三党が持ち出してきた再修正案なるものであります。
 自公民三党がにわか細工で持ち出してきたこの再修正案なるものは、国連平和維持隊に参加するという新しい規定を公然と打ち出しています。これはPKO協力法案という法体系をも変える重大問題であります。そもそも、PKO協力法案には国連平和維持隊という定義すらありません。これは何よりも再修正案の欠陥ぶりを如実に示すものであります。しかも、参加という概念は、政府の統一見解でも明らかなように、国連の指揮下に入りその一員として行動することになるので、法案は参加法ではなく協力法案だとその違いを強調してきたのではないですか。再修正案のこの新しい規定の挿入は、国連の指揮下で武力による威嚇や武力の行使を行うことをみずから告白したものと言わざるを得ません。自公民三党はこの点に関する質問にはまともに回答できなかったではありませんか。
 また、再修正案は、PKFの国会承認について「七日以内に、それぞれ議決するよう努めなければならない。」として、憲法第四十一条の「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」とした国会の審議権をも不法に制限することを明記しています。
 さらに、再修正案は、PKFの凍結を言いながら、武装した部隊と一体となる弾薬輸送や通信などの後方軍事部門に武装した自衛隊の派遣を公然と行うことを明記しています。このことは、いわゆる後方軍事部門における自衛隊派遣が武力行使と一体となる危険をみずから示すものとして極めて重大であります。
 以上のように、これらの再修正案の規定が本法案の違憲性を何ら変えるものでないばかりか、法案に新たな危険な内容を持ち込むものであることは明らかであります。これらの重大な内容を持つ再修正案の審議が極めて短時間に行われ審議打ち切りとされたことは、二重三重に議会制民主主義を破壊する暴挙と断ぜざるを得ないのであります。
 さらに指摘すべきことは、今回の特別委員会の審議の中で、自公民三党がかつての日本の行った侵略戦争を明確に認めることができなかったということであります。このことは決して偶然なことではありません。侵略戦争の根本的な反省がないからこそ、自公民三党は自衛隊海外派遣の法案の採決なるものを強行し得たのであり、この動かしがたい事実こそがこのことを明確に示しているのであります。
 言うまでもなく、真に歴史を学ぼうとしない者は歴史の進歩の立場に立つことはできないのであります。十五年戦争の歴史から学ぼうとしない者が、アジア諸国民との友好協力関係を真に発展させることがどうしてできるというのでしょうか。断じてできないのであります。私は改めでこのことを強く指摘しておくものであります。
 第三に、新たな重大問題となるのは、去る六月一日、国連の平和維持活動特別委員会が発表した平和維持活動についてのまとめと将来への勧告の問題であります。
 そこで検討された国連平和維持活動の見直しの内容は、日本政府がこれまで述べてきた平和維持活動を大幅に変更するものとなっております。それは、国際紛争の停戦後に行われる平和維持活動が、それにとどまらず、紛争の初期の段階、いわゆる事前参加をもあり得るものとされ、また、その平和維持活動は紛争当事者の合意の存在を条件としてきたものも見直されるものとして検討されています。そして、必要な平和維持活動は紛争当事国の拒否は許されず、当事国の同意が存在しなくても平和維持活動があり得るというのであります。こうした事態は、平和維持活動の重要な中立性の条件をも問われかねない状況が生じていることを示しております。
 こうした国連での重大な見直しの状況が進行するならば、政府の言う合意、同意、中立の原則は全く成り立たず、PKO協力法の前提そのものが崩れるのであります。このような重要な内容について、日本政府は四月の段階からこの会議に参加しているにもかかわらず国会への報告も何ら行おうとせず、新聞が報道することによって質問されて初めてあいまいな答弁をするという態度であります。このような国会での当然の審議権をも無視し、宮澤首相にあっては、この法案は何ら関係がないなどという開き直りの態度をとるに至っては言語道断と言わざるを得ません。
 こうした方向でアジアでの平和維持活動の実施に日本が加わることは、非軍事分野での国際貢献を要望した中国や南朝鮮などの首脳を初め、少なくない国々で、第二次世界大戦の痛苦の教訓に基づく憲法の平和原則を踏みにじることは許されないという厳しい国際的な批判に対する挑戦的な態度であります。
 最後に指摘したいことは、この自衛隊海外派兵なるものが、国連協力を名目にしながら、アメリカの要求に基づき、ことしの一月、日米首脳会談での東京宣言でも明記されているようなアメリカの世界戦略への全面的、積極的な軍事貢献をも含むものであるということであります。
 五月に来日したクエール米副大統領は、日本がグローバルな責任を背負っているとしてPKO法案の成立を強く要求しました。また、米議会も、PKO法案促進決議を行うなど不当な干渉を行っております。自公民各党による今回の強行可決をアメリカ政府が高く評価したのもこのゆえんであります。
 宮澤首相がグローバルな協力を念頭に置いていると発言し、小沢自民党元幹事長がその「国際」という言葉を「アメリカ」と言いかえてよいなどと述べていることは、こうしたアメリカの要求に応じるという本質を明確に示したものであります。この世界の憲兵としてのアメリカの軍事力を補完し、日米軍事同盟の機能を地球的規模で発揮させる道筋を整えるこのPKO法案は、日本の自主的発展を著しく妨げアメリカに追随する誤った道を一層突き進むものであり、日本の進路をさらに危険な方向に陥れるものと断ぜざるを得ないのであります。
 以上のように、PKO協力法案は国の主権者だみ国民の意思を乱暴にじゅうりんするものであり、憲法の平和原則を正面から侵害し、日本の戦後の進路を根本的に変更する重大きわまるものであります。今、最も求められていることは、国民が築き上げてきた憲法の平和原則を擁護する立場に立って、これを真っ向から否定する自衛隊海外派兵の本法案をきっぱりと否決することこそが日本の平和を築き平和的国際協力ベの唯一の道であり国会の責務であるということを強く主張し、私の反対討論を終わるものであります。(拍手)
#20
○議長(長田裕二君) 木庭健太郎君。
   〔木庭健太郎君登壇、拍手〕
#21
○木庭健太郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました自由民主党、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合三党提案による国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案に対する修正案並びに修正案を除く政府原案及び国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部改正案に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。
 世界は今、冷戦の終結を得て、新しい国際平和秩序の構築を目指して歴史的な変革期を迎えております。これまでの米ソを中心とした世界秩序にかわって、国際平和の維持、構築に対する国連の果たすべき役割と期待は極めて大きくなってきております。戦後、我が国は、平和憲法のもとでひたすら自国の平和と復興、繁栄を目指し、今日、世界有数の経済的繁栄を実現いたしました。冷戦後の世界を見ますと、これまで以上に地域紛争、民族対立が頻繁に起こっており、その中で多くの人々がその犠牲となって苦しんでいるのが現状であります。
 こうした世界の現状に対して、我が国がこれまでのような、人的貢献はどうか他の国でやってください、金だけは出しますといった姿勢は、国際社会の中で決して評価されないばかりか、国際社会の一員としての心構えがあるのかとの批判を受けることになると私は考えるのであります。
 我が国は従来より国連中心主義を掲げてまいりましたが、今こそこの国連を中心とする国際平和秩序の確立、とりわけ、これまで国際紛争の再発防止と平和の維持に大きく貢献してきた国連の平和維持活動すなわちPKOに世界の国々と協力し積極的に協力していくべきであると考えるものであります。それはまた、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてみる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」との憲法前文を目に見える形で実践することであると強く確信するものであります。
 我々がこのPKOへの参加に賛成する理由は、PKOの基本的性格が、武力行使を目的とした活動でなく、あくまで国連の権威と説得によって停戦によって得られた平和を維持し、その基盤を強固にしつつ再び紛争が起こらないようにするという極めてとうとい活動であり、これまで多くの実績を上げてきた活動であるということであります。
 PKOは、一九四八年以来約半世紀にわたって、八十カ国以上、五十万人以上の方々が参加し、しかも、非暴力、非強制、中立を原則として国際紛争の平和的解決のために多大の役割を果たしてまいりました。一九八八年にはノー一ベル平和賞も受賞しているのであります。また、最近においては、中立を堅持するために国連に加盟をしていない永世中立国スイスにおいてさえPKFへの参加も本格的に検討しているのであります。我が国がおくればせながら国連のPKOに参加することは、世界の平和の維持に初めて進んで汗を流すのであり、その意義は極めて大きいと思うのであります。
 今回の政府原案は、PKOに対して効果的な協力を行うため自衛隊を海外に派遣するという点において新しい問題であり、国民の不安もあります。したがって、法案。においては参加に当たっての基本的な五つの原則、すなわち、紛争当事者間での停戦の合意、我が国の参加についての紛争当事者の同意、中立的立場の厳守、これらの原則が崩れた場合の撤収、武器使用は生命防護に限定との五原則が法律に盛り込まれていることは、必要かっ十分な歯どめとして機能するだけでなく、国民の不安を解消する措置が講じられたものであると考えます。さらに、平和協力隊員の上限を二千名としたこと、事前事後の国会報告などを義務づけたこともシビリアンコントロールが十分確保されているところであります。
 これらに加えて、さきの衆議院審議で、公明、自民両党の提案で、二年を超え引き続き派遣をする場合には国会の承認を得るものとし、さらに二年ごとに同様の承認を求めるよう政府案を修正いたしました。これによって、国会の関与、シビリアンコントロールの強化が一段と明確にされたのであります。
 我が党は、こうした法案の趣旨は子とするものの、我が国がPKOへ参加するに当たっては、その目的からもできるだけ多くの国民理解を得ながら参加すべきであるとの観点から、自由民主党、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合の三会派共同の修正案を提出した次第であります。
 その主な内容は、第一に、我が国が国際平和維持隊の本体業務に参加するに際しての国会の事前承認であります。
 我が党は、平和目的のPKOとはいえ自衛隊を活用するに際してシビリアンコントロールという問題を特に重要視し、党内において議論を積み重ねてきました。その結果、いわゆるPKO参加五原則、実施計画の国会への報告義務を法律に盛り込むよう主張し、厳格な歯どめを設けたのであります。今回の修正案は五原則に基づく派遣の可否を承認しようとするものであり、できるだけ慎重な手続をとったものであります。
 第二は、PKF本体業務のいわゆる凍結であります。
 PKFの本体業務は、いわばPKOの中核とも言える任務であります。公明党は、これらの活動に参加することは賛成であります。しかしながら、PKF本体業務はどちらかといえば軍事的な色彩が強く、この部分へ自衛隊が部隊として参加することに対しての不安を持つ方々がいるのも事実であります。また、アジアの国々の中で自衛隊のPKF参加に危惧を持っ国もあります。公明党はこうした点を考慮し、もとよりPKO協力の国民理解はかなり深まっていると考えますが、さらに国民の理解を得るため、PKF本体の業務を別に法律で定める日まで実施しないこととしたのであります。
 他方、輸送、医療、通信などのいわゆる後方支援については、その任務の性格上人道的なもので、この点についてはおおむね国民理解は得られていると判断し、いわゆる凍結の対象とはしませんでした。これは、現時点における国民的コンセンサスを図る上で極めて現実的かつ有効な政治判断であると考えるものであります。
 いずれにしましても、私は、日本の国際貢献のあり方、自衛隊の位置づけ、活用のあり方といった極めて重要なテーマについてより多くの賛成、より多くの国民の理解を図るために、各党の基本的な立場、考えを集約し修正案としてまとめたものであり、本修正はまことに適切かつ妥当なものであります。
 また、国際緊急援助隊に自衛隊を参加させることは、これまでの実積に加えて、さらに我が国が自然災害等に対する人道的救援活動の強化拡充を図ろうとするもので、我が国の国際貢献に対するより高い評価につながるものと言えます。
 最後に、今回の法案審議は、衆議院で七十四時間、参議院で百五時間という他に例を見ないほど長時間にわたって審議が行われ、論点は出尽くしておりました。にもかかわらず、自分の主張が全部受け入れられなければ十分な審議とは言えないと繰り返し、審議の引き延ばし、廃案を目指そうとすることは議会制民主主義のルールに反するものであり、まことに遺憾であります。
 ともあれ、今回の法律案によってPKO参加への道を開くとともに国際緊急援助隊を拡充することは、我が国が新しい国際貢献を進める上で極めて妥当でありふさわしいものであることを重ねて申し上げ、私の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
#22
○議長(長田裕二君) 井上哲夫君。
   〔井上哲夫君登壇、拍手〕
#23
○井上哲夫君 私は、ただいま議題となりました国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案及び国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案について、連合参議院を代表しまして、最初のPKO法案に対し反対であり、その旨の討論を行うものであります。
 連合参議院は、冷戦崩壊後のある意味では国際情勢の不安定化に対処するため、国連機能の活性化、人的側面を含めての貢献の重要性について深く認識をしております。しかし、PKO法案の骨格は自衛隊の部隊単位での海外派遣であり、これに関しては、日本国憲法、本院国会決議、そして自衛隊法との重要かつ広範な問題点の解明に必要な質疑を十分尽くさねばならないと考えております。そればかりか、多くの疑義を残してあえて踏み出すことには私たちは慎重でなければならないと考えております。こうした点に懸念と不安を感じる国民世論を無視しての今回のこのPKO法案と自公民修正案が入ったものに対し、特例委員会での強行採決に強く抗議したのみならず、本法案に対しても反対をするものであります。
 日本国憲法第九条は、自衛権を否定するものではありません。しかし、この自衛権の行使としての旨衛隊は、専守防衛の任務に厳しく限定され、かつ、質量ともに一定の制約のもとにあるものでなければなりません。この限定は必然的に、旧太の領土、領海、領空を越えて任務につくことは認めず、いわば自衛隊は常に抑制されたもとでの専守防衛の盾でなければならないことに帰結するものであります。この趣旨を遺憾なくあらわしたものが、昭和二十九年六月、本院でなされた自衛隊の海外出動を為さざるの国会決議であります。
 私たち連合参議院は、憲法第九条、国会決議、そして自衛隊法の法の精神をこのように理解し、武器を携行して自衛隊が海外に赴くことは、派兵と言おうが派遣と言おうが許されないと考えているところであります。
 国連平和維持活動参加の機運を前にして、私は仲間とともに、昨年、バングラデシュ国政選挙の超党派国会議員による選挙監視団に加わり、さらに、スウェーデン、オーストリアからの国連平和維持軍の駐屯するキプロス共和国も訪れました。そして、この五月、ようやく停戦合意の成ったカンボジアの首都プノンペンにも急遽飛びました。憲法や国会決議に基づく法的側面からの検討のみならず、PKOの実態、実情もこの目で直接確かめて、協力法案のあり方をめぐって真剣な討議を全員で続けてきたものです。
 こうして得られた結論は、くしくも一昨年十一月の自公民三党合意の中にある自衛隊とは別の組織によるPKO参加を図るという骨子でありました。武器を携えて自衛隊の部隊がPKO業務で海外に赴くことは、武力行使の点で憲法に抵触し、さらに、これまで一貫して政府答弁の中に生き続けてきた本院決議の海外出動なさざるの趣旨に触れるものであります。したがって、境界線が必ずしも明確でないものの、いわゆるPKF業務は目下のところ我が国は参加できない、今後の検討課題に残しておこうとの結論に達しました。しかし、武器の携行のない、いわば丸腰で行く停戦監視団については、それが個人参加であり軍事的経験が必須であるところにより、身分上の問題を解決の上で日本も参加すべきであると考えたわけであります。
 この観点から、私どものPKO協力の修正案は、常設の総理府に置かれる別の組織体であり、自衛隊員も休職・出向、つまり身分は残すも任務は防衛庁長官の指揮から離脱する形で、そして、ほかの政府職員、地方自治体の職員、さらには民間企業からの参加者たちとまじり合って、同じ仲間として、それぞれが与えられた、そして自信のあるPKO業務について参加することを骨子にしたものであります。
 さて、自公民三党による衆議院送付の政府原案への修正案が本院特別委員会で終盤に出され、PKF凍結、国会承認事項の盛り込み、さらに見直し条項の追加となってきました。憲法や国会決議に触れかねないと私たちが危惧し最も神経を払った点については、残念ながら自公民三党は修正努力をなされませんでした。私たちの落胆は言うまでもなく、ここに来て連合参議院独自の修正案を提出するに至ったものであります。
 今、採決の対象になっておりますPKO法案は、反対する政党からガラス細工、果ては氷細工法案と批判され、さまざまな矛盾点や疑問点を今なお指摘されております。いかに参加五原則を組み込み、武器の使用と武力行使とを区別し、業務の中断と撤収を可能として国連のコマンドと我が国の指揮権を調整するといっても、その組み立て方が一見積級であるがゆえに壊れやすいガラス細工となっていることはだれの目にも明らかであります。先ほど申し上げましたPKFを凍結し国会承認や見直し制度を議員立法による修正案で導入してみても、自衛隊の海外派遣に伴うもろもろの問題、とりわけ憲法上の疑念は解消し得ないものであります。
 一例を挙げれば、何も戦場に出ていくのではないといっても、停戦合意成立直後の地では不測の事態も起こらないとは決して断言できません。このような場面でどうして武力行使にはならないのかの保障があるかといえば、あるともないとも言えないのではないでしょうか。これは国民一般の持つごく普通の疑問であります。
 さらに、この法案は、衆議院送付の際に一部修正が加えられ、その上、委員会採決ではやはり強行採決を経由しております。参議院に送付されたときには、既に修正と強行採決の影を引きずってきたわけであります。二国会にまたがって本院でも審議され、そのあげくは、衆議院同様、いや、それ以上に重大な根幹部分の修正と、これまでかつてないような強行採決という傷を帯びてしまいました。まさに満身創湊の姿であります。
 なぜこのように見るも無残な姿になったのでしょうか。憲法、国会決議の規定や趣旨に触れるとの指摘、あるべき自衛隊の枠組み、歯どめからの逸脱の指摘は多くの国民の疑問を投げかける声を呼んで、その結果がこのような継ぎはぎだらけの法案の姿になったのではないでしょうか。あってはならない強行採決が二度までもなされ、この先、衆議院でどのような経過をたどるかはだれも知り得ませんが、いずれにしましても、この上ない産みの苦しみを味わわせてよいものでしょうか。そうであってはならないと思います。
 最後に申し上げます。
 本日の朝日新聞でのPKOのアンケート記事を見ましても、自衛隊が部隊単位で併任の形で参加するPKO法案には、賛成と反対が全く互角の割合であることを報じております。国論を二分した中でのPKO法案、憲法上疑義を残すこの法案に私たち連合参議院は反対であることを再度申し上げまして、私の討論を終わります。(拍手)
#24
○議長(長田裕二君) 寺崎昭久君
   〔寺崎昭久君登壇、拍手〕
#25
○寺崎昭久君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、ただいま議題となりました国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案、国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案の両案に賛成の討論を行うものであります。
 議案が国会に提出されて以来九カ月、衆議院の議決を経た後、本院の国際平和協力特別委員会では、延べ百時間を超える異例とも言える長時間にわたり慎重な審議が尽くされてまいりました。そして、この間、法律をめぐって、二年ごとの継続国会承認の修正があり、また、PKFについての国会事前承認、一定期間凍結、そして複合業務の国会承認、三年後の見直しなど、法案の基本的な枠組みを変更するものではありませんが、大幅とも言える修正が加えられたのであります。
 このことは、冷戦構造崩壊後の新しい世界秩序の構築と世界平和の実現に向けて日本として何をなすべきか、何ができるかを各党が真剣に模索した軌跡であり、我が党も、この種の法案はできる限り広範な支持のもとで成立させたい正念願しつつ、各党各会派との間で積極的な協議を行い、合意形成の努力を重ねてまいったところであります。このために、我が党が試行錯誤を繰り返し、各党との接点を広げるために軌道修正をしてきたことも事実です。
 このような修正は、風案を提出した政府・自民党にとってはあるいは不本意だったかもしれません。しかし、おのおの妥協したことによって一つの結論が導き出され、多数の意思がそこに結集されたのであり、また、それが議会制民主主義の原点なのではないでしょうか。
 最終段階においては、十分に審議が尽くされ、既に妥協の余地がなくなるまで協議され、ほとんどの各党各会派がそれぞれ修正案、対案を提出一し、採決で表明すべき立場が明らかになっていたにもかかわらず、なお反対のための反対の論理を振りかざし、審議不十分だと採決を力で妨害する行動がとられたことは議会制民主主義を踏みにじる行為であり、断じて容認できません。今後再びこのような行為を繰り返すことがないよう反省を求めるものでおります。
 以下、我が党が賛成する理由を申し述べてまいります。
 第一は、我々が主張していたPKF本体業務の国会事前承認が法案に盛り込まれた点であります。
 国会承認の必要性は我々が既にあらゆる機会を通じて主張してまいりましたので割愛いたしますが、両院においてそれぞれ七日間の審議期間とする努力規定を設けたことで、シビリアンコントロールを確保しつつも国連の要請に十分迅速に対応できる体制をとることができることとなったのであります。
 立法府の審議を拘束するものではないかとの一部の批判がございます。もともと政府の判断で派遣可能であったものを国会承認にかかわらしめようとするもので、国会の審議権を拡大するものでこそあれ、その批判は見当違いのもりであると言わなければなりません。参議院法制局長の答弁でも明らかなとおり、審議を拘束するものではなく、憲法違反でもありません。立法府が立法府の立法意思を尊重するのは当然のことであり、また、審議をどのように進めるかは国会の運用にかかわる問題であって、この期間内に必要な審議を行うことは十分可能であると考えるものであります。
 また、あらかじめPKF本体の業務が想定される場合にはすべて国会承認の対象とするということが政府答弁で確認されたことにより、この点からもシビリアンコントロールが十分機能する措置が講じられたと考えるものであります。
 第二は、指揮権の問題についてであります。
 すなわち、本部長たる内閣総理大臣の指揮権と国連の指揮権との関係が不明確であり、二重指揮という問題が生ずるおそれがないか懸念されたのでありますが、外相発言を通じてこの懸念が解消されたため、政府見解を了としたのであります。その命令系統は、国連司令官から総理大臣、総理大臣から実施要領を介して防衛庁長官、現地の部隊へと行われ、その実施要領が国連のコマンドに適合するようにつくられ変更されることとされて一おり、これにより、現地に派遣された我が国の部隊が国連の司令官の指令に従わないということはあり得ないということが明らかになったのであります。
 第三は、三年後の見直し条項を規定したことであります。初めて本格的なPKOに我が国が協力することでも。あり、PKOの任務もますます重要かつ複雑多様化していく傾向にある中にあって、この法律が有効適切に機能するか、法律の施行後一定期間が経過した時点で再検討する規定を法案の中に明記したことは極めて有意義なことであると考えるものであります。第四は、PKF本体業務の凍結について規定された点であります。
 民社党は、国際的責任にふさわしい、国際的に意味のある貢献をしていくためにはPKFを含むすべてのPKOに参加する仕組みをつくることが必要であり、PKFについては個々の判断を国会が行うことが最も望ましいと主張してまいりました。しかし、PKF派遣について国民にその内容を周知徹底し、より理解してもらうには一定の期間を置くことも必要であり、また、各党との協議を重ねる中でも、凍結については何らかの形で配慮、実現していくべきなどの合意をしてきており、凍結することが妥当であるという結論に達したのであります。PKFも、今後、内外の理解をさらに深め、凍結が一日も早く解除される状況が生まれるよう期待し、また努力したいと考えているところであります。
 ハマーショルド元国連事務総長は、PKOは軍隊のする仕事ではない、しかし、軍隊でなければできないと述べておりますが、PKOの中心となる活動は軍事的な知識と経験を必要とするものであります。
 PKOに自衛隊が参加することは憲法違反ではないかという主張は、憲法の精神とPKOの活動を正しく理解していないからだと言わなければなりません。日本国憲法の前文には、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてみる国際社会において、名誉ある地位を占めたい」「いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と述べられており、また、第九十八条二項には、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守する」と述べられております。PKOに積極的に参加することは、この憲法の精神に照らしても当然必要なことであります。
 最後に、国際緊急援助隊に自衛隊を派遣させることはかねてより我が党の主張であり、それがようやく実現することを評価するものでありますが、これまで、一部野党の声を気にする余り、自衛隊に対して災害救助のための海外派遣すら認めてこなかった政府・自民党の姿勢にいささか不満を表明して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#26
○議長(長田裕二君) これにて討論は終局いたしました。
 本日はこれにて延会することとし、次会は明日午前零時十分より開会いたします。これにて延会いたします。
  午後五時三十四分延会
ソース: 国立国会図書館
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