くにさくロゴ
1992/03/11 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第2号
姉妹サイト
 
1992/03/11 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第2号

#1
第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第2号
平成四年三月十一日(水曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 林  義郎君
   理事 大島 理森君 理事 金子原二郎君
   理事 中川 昭一君 理事 船田  元君
   理事 与謝野 馨君 理事 石橋 大吉君
   理事 上原 康助君 理事 串原 義直君
   理事 山田 英介君
      逢沢 一郎君    井出 正一君
      伊吹 文明君    衛藤 晟一君
      小澤  潔君    岡田 克也君
     小宮山重四郎君    斉藤斗志二君
      鈴木 宗男君    武部  勤君
      中谷  元君    二階 俊博君
      西田  司君    萩山 教嚴君
      福田 康夫君    増子 輝彦君
      町村 信孝君    松浦  昭君
      三原 朝彦君    光武  顕君
      秋葉 忠利君    伊東 秀子君
      小澤 克介君    緒方 克陽君
      岡田 利春君    五島 正規君
      松原 脩雄君    山中 邦紀君
      東  祥三君    遠藤 乙彦君
      山口那津男君    渡部 一郎君
      東中 光雄君    古堅 実吉君
      和田 一仁君    楢崎弥之助君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (国際連合カン
        ボディア暫定機 
        構(UNTAC)
        事務総長特別代
        表)      明石  康君
        国際平和協九等
        に関する特別委
        員会調査室長  宮崎 正之君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十一日
 辞任         補欠選任
  上草 義輝君     萩山 教嚴君
同日
 辞任         補欠選任
  萩山 教嚴君     上草 義輝君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 国際平和協力及び国際緊急援助活動に関する件
     ―――――・―――――
#2
○林委員長 これより会議を開きます。
 国際平和協力及び国際緊急援助活動に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として国際連合カンボジア暫定機構(UNTAC)事務総長特別代表明石康君の出席を求め、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
#4
○林委員長 この際、明石参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。専門的なお立場から忌憚のない御意見をお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、議事の順序でございますが、まず明石参考人から御意見をお述べいただき、その後委員からの質問に対しましてお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、お願いいたします。
#5
○明石参考人 ただいま林委員長から御紹介にあずかりました明石でございます。よろしくお願いします。
 私は、昨日ニュー・ヨークからここに着きまして、この十四日にはバンコクを経由しまして、十五日にプノンペンに入ることになっております。そのことによって、国連のカンボジアにおける暫定行政機構は現地に展開されるという運びになります。
 このカンボジアにおける国連の平和維持活動というのは、基本的には、昨年の十一月二十三日にパリにおいて、我が国を含む関係国がカンボジアにおける四つの分派の代表も交えまして合意に達したわけでございますけれども、それに基づいて、国連の安全保障理事会がこの二月の二十八日、アメリカの議長のもとに全員一致で採択した決議に基づいて発足するものでございます。
 予算措置に関しましては、立ち上がり予算としまして、国連総会が、極めてこれは異例のことでございますけれども、カンボジアの場合、戦争を、二十年にわたって続いた戦争と内戦の結果、インフラが全く整備されておらないという現状、それから、この五月になりますと雨季が始まるということもございまして、ともかくも立ち上がりのための基本的な予算は必要であろうということで二億ドルの予算が特別ついております。
 しかしながら、我々の、今のところこのUNTACに要する分担金の部分、その予算が十九億ドルという数字が出ております。これはまたさらに精密な、より正確な数字を出す必要がございまして、その作業がこれから数週間において行われるわけでございますけれども、その十九億ドルの予算、この予算がやや多過ぎるのじゃないか、国連史が始まって以来の大きな平和維持活動なものでございますから、多過ぎるという意見もございました。
 しかしながら、先週私はワシントンに参りまして上下両議員約二十名の方々にお会いしましたけれども、カンボジアとかアジア問題を担当しておられる議員の先生方は、いや多過ぎるどころか、これは少な過ぎるんじゃないか、果たして、二十年続いたカンボジアの内戦を抑え、本当の民主主義をカンボジアに樹立し、クメール・ルージュその他の残虐行為が二度と起きないように保障するためにはこれで十分なのかということを、下院議員のソラーズさん、それから、政府に対して批判者の側に回っておりますアトキンス下院議員その他からそういう声が漏らされましたので、予算が多過ぎるという声もあって、国務省では非常に悲観的な見通しを聞いてきたんだけれども、そういうことで、米国議会においてもアジア問題その他をやっておる皆さん方と予算をやっておられる議員さんたちの間の非常に率直な対話というものが必要ではないかということをちょっと申し上げてまいったわけでございます。
 で、御承知のとおり国連は今やPKOの花盛りという感がございます。どうして国連がそういうことになったかといいますと、これは何と申しましても、もちろん米ソの間の冷戦が今や完全に終結を遂げだということが基本的な理由としてあるんだと思います。それでまあポスト冷戦の時代に我々は入っておるわけでございますけれども、米ソのそのおもしかとれたということで、伝統的に前からくすぶっておったいろんな地域紛争、宗教的な対立、人種的な対立、部族的な衝突、こういったようなものが、こう今まで抑えられておったものが噴き出してきた。
 そういうことで、国際社会は皆様御存じのように次から次と新しい紛争が起きております。そのことで国連は、そういう小規模な地域紛争、局地紛争なんでございますけれども、それに対処するために、相撲でいえば行司みたいな役割として、主として小規模な国連の監視団ないしは平和維持部隊ないしは選挙監視団というものが世界各地に次から次と送られておるわけでございます。この数年の間にも、一九八八年以来約十にわたる国連の新しい平和維持活動が新たに発足しております。これはそれに至るまでの三十三年間の間にたった十三の平和維持活動が発足したということを見てもわかるとおり、ここ数年の間にこういう平和維持活動が急に世界じゅうに展開されるようになってきているということでございます。
 この一月三十一日に開かれました安保理サミット、宮澤総理も日本から出席されたわけでございますけれども、その安保理サミットにおきましてもこういう平和維持活動に国連が乗り出して、国際平和のために積極的な役割を果たすようになったということは大変結構だ。しかも、その平和維持活動の範囲が広がっておって、単なる停戦の監視、軍隊の撤退の見届けということだけではなくて、自由選挙、民主選挙の監視とか人権の保護とか、それから難民の帰還を達成してやるという今までなかった諸方面に広がっておるという点で、これは将来の国連の活動として注目すべきものであるし、国際。社会全体としても強化しなくちゃいかぬじゃないかということがその安保理サミットの宣言の中に盛り込まれることになっております。
 それで、それでは日本に何が期待されておるかということに話を移したいと思いますけれども、今や国際社会において押しも押されぬ大きな力を持つに至った日本に対する期待というものが非常に大きいことは皆様御存じのとおりでございます。私も先週ワシントンの国務省、国防省、ホワイトハウス、上下両議院の議員さんたちに会って非常にそれを感じさせられたわけでございますけれども、日本はお金もうけをしているだけじゃなくて、やはり国際平和と安全保障のためにもっと協力していいんじゃないかという声は非常に強くあるわけでございます。
 で、御承知のとおり今アメリカは十一月の大統領選挙、上下院両院の選挙を控えておりまして、ブッシュ大統領はやや外交に少し専念し過ぎた、やはりもっと国内問題を重視しろということでアメリカ全体がやや内向きになっているということで、対外援助その他の予算が非常にいろいろな障害に当面しております。
 平和維持活動のためにも、今年度三億五千万ドル、来年度も三億五千万ドルを国務省としては要求しておるわけでございます。そのことしの三億五千万ドルのうち二億ドルはカンボジア関係のアメリカ側の出資といいますか分担金でございますけれども、イーグルバーガー副国務長官なんかは、非常に情勢は厳しい、何でも外国ないしは国際と名のつくものに関しては金がなかなかつかないということを言って慨嘆しておられまして、そういうことで国連に迷惑をかけるかもしれないけれども、アメリカはそういうもの青払わないんではないんだ、払うんだけれども、その払う時期としてはもしかしたら十一月以降になるかもしれないので、それまでに迷惑をかけるかもしらぬけれども、日本その他からの拠出を大いに、つなぎとしてやってもらえれば非常に幸いなんだという声がありました。
 下院議員の、下院のアジア問題小委員会の委員長をしておりますソラーズ議員なんかも、そういう意味では具体的に私に、日本としてはどれだけ出すつもりがあるのかということを単刀直入に聞いておりまして、私は日本の代表ではないんだ、私は国連の代表ですからそのことについてはっきり申し上げる立場じゃないんだけれども、日本としてもアジアの問題、カンボジアの問題にはかねてから深い関心を持っておるわけでありますから、応分の、相当額の拠出は期待できるんじゃないか、そうでないと私としても非常に困るし、そういうことでは期待しておるんだと申し上げておきました。
 カンボジアに関しては、御承知のとおり各国に割り当てられる分担額、こういうものがございまして、日本の場合総額の一二・四五%が割り当てられておるわけでございます。しかし、日本としてはもっと協力していいんではないか。そういうことで、できれば拠出の方、義務的ではない自発的な寄付に当たる拠出、難民の帰還、救済、それからカンボジアの将来の立ち上がりのための復旧、復興のための必要経費、こういうものは分担金じゃなくて拠出金の形でやることになるわけでございますけれども、その拠出金の方にも大きな期待がございまして、分担金と拠出金の総額については、日本に三分の一くらい期待したいという声が相当強くあるように聞いております。
 日本は、今まで国際社会に対する貢献としては、湾岸の場合もそうでございますけれども、相当の額を結局出しているわけでございますが、その出す時期がおくれるために、何か国際社会に期待したほどのそういう感謝の念が起きないということが今までの実態であったんではないかと思いますけれども、少なくともカンボジアの場合、これはアジアの足元でございますし、日本がかねて関心を持ってきた地域でもございますから、むしろ日本が率先して出すことによってほかの国からの誘い水の役割を果たしていただけるということになると、非常にありがたいというふうに私は考えております。
 それから、このカンボジアの暫定行政機構でございますけれども、これは単なる国連の平和維持活動ではございません。停戦を監視し、外国軍隊の撤退を見守り、それからカンボジアの四派の軍隊約二十万、それから民兵二十七万、合計四十七万人を一定場所に集め、それから武装解除を行う、そういう停戦監視並びに武装解除の野心的な仕事も一つございます。しかし、そのほかにも六つの仕事を抱えております。
 一つには選挙の監視でございます。これも、単に監視をするのみならず、国連が選挙法をつくり、国連の手でいろいろ選挙民の登録をやり、選挙運動を進め、最終的には来年の四月末ないしは五月に自由、民主選挙を行う。その選挙が終わりまして、立憲議会が新憲法をつくりまして、三カ月後には立法議会の形になります。それで新政権をつくられる。そこで我々の仕事は終わり、カンボジアを立ち去ることになるわけでございます。その選挙部門がございます。
 それから、カンボジアの行政が、本当に中立的な自由な形で選挙が行われる雰囲気をつくる、そのために、プノンペン政権ないしはほかの三派に偏った政策が展開されないように、カンボジアの行政を、特に外交、財政、大蔵関係でございますが、それから内務関係、国防省、情報省、そういったようなものの政策と行動を監視するという役割も担っております。
 それから、治安が非常に悪いわけでございますから、現地の四派に属する警察が独断専行で法に違反した行為をとらないように、また、法律自体公正な民主的な法律であるかどうか、そうでない場合はこれを全部変えさせる役割がございます。
 そういうことで、半ばカンボジアという国を、臨時に準政府的な機能を果たすことによって自由選挙まで持っていって、それが終わったらきれいにカンボジアの新政権に全権を渡すということで、四派から成ります最高国民評議会、これには四派が全部代表を送っておりまして、その議長はシアヌーク殿下でございますけれども、シアヌーク殿下は私を半ば冗談で、おれが議長だけれどもおまえは共同議長であるということで、二人でとにかくカンボジアの民主主義をつくるところまでやっていこうということを言ってくれておるわけでございます。
 そういうことで、もし御質問があれば、カンボジアにおけるその国連の平和維持活動にどういう国がどういう拠出をするのかということを申し上げたいと思いますけれども、約一万五千九百人のPKOを抱えておるわけでございますが、シビルアドミニストレーション、そういう行政の面も、人権の面も、治安の面も、いろいろございますので、これは単なるPKOではない、より総合的な、より包括的な、野心的な活動である。それだけに非常に難しい問題、デリケートな問題、いろいろ出てくるんじゃないかと思いますけれども、そういうポスト冷戦後の地域紛争を解決するための一つの国連の大きな手段としてカンボジア問題があるのである、これを成功裏に終えて我々が来年の春カンボジアを引き揚げることができましたら、国連というものはまたさらに一段と強力な新しい次元の国連になり得るし、とすれば、国際社会にとってももっと頼りになる存在になるのではないかというふうに私は期待しております。
 これからカンボジアに関しましてはいろいろお願いすることも多々あると思いますけれども、どうか国会の皆様方には、やはり足元のアジアの試金石でございますし、私は、二十余年にわたる内戦とカンボジアの人々のなめたその悲惨、それを救うという精神的な、道義的な意義が一つあると思います。それからもう一つは、地政学的な、戦略的な意義でございますけれども、そういう変わりつつある世界の中で、中国とベトナム、ないしはベトナムとASEAN諸国、この関係が御承知のとおり非常によくなってきております。そういうことで、この一月二十七、二十八日のASEANのサミットにおきましても、インドシナ諸国に友好の手を差し伸べております。そういうことで、そういうASEANとインドシナ諸国が仲よくなるためにも、そのかなめになる場所がカンボジアでございます。カンボジアの平和と安定がなければ、私は、東南アジアの安定はあり得ないんだと思います。
 そういう意味で、国際政治的に見てもカンボジアというのは重要でございますので、外部的な条件はできつつあるわけですけれども、これからは、まだまだ犬猿のように不信感に満ち満ちております四派の間を、国連が何とか仲を持つことによって、カンボジア人が自分たちの民主主義を樹立し、今までの戦場で解決した問題を議会政治の中で解決するというところまで持っていくのに国連がお手伝いできれば幸いだと思いますし、日本にとっても援助に値することでありますし、日本がカンボジアに関してどれだけの支持を与えるかということについては、アメリカその他も非常に関心を持って見守っておりますので、いろいろとこれから御協力、御支援をお願いしたいと思っております。
 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
#6
○林委員長 ありがとうございました。
 これにて明石参考人からの御意見の開陳は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#7
○林委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島理森君。
#8
○大島委員 明石代表、本当に御苦労さまでございました。また当委員会に参考人として御出席いただいたことに感謝申し上げます。ありがとうございました。
 ただいまの代表のお話を伺いつつ、私は、昨年、一昨年と思い浮かべておるわけでございますが、ソ連の崩壊、あるいはまたイラクのあのような状態、そういう中で、私どもは顔が見えない日本ということをよく言われました。加えて、そういう状況の中で我が国は、実は五つの外交方針を昨年立てたと私記憶いたしております。
 それは、一つは平和と安全が保障されることである、あるいは自由と民主主義が尊重されること、開放経済体制を推進すること、人間らしい生活環境をつくること、あるいは対話と協調の世界をつくること、これはまさに日本外交の理念であると私思っております。
 もう一つ、対ASEANを考えますと、日本外交の基本というのは、いわば福田ドクトリンから始まりまして、加えてさらに、幅と深みのある対アジアというものを築いてアジアの平和の貢献のために尽くそう、理念はそのように打ち立てているのでございますが、いわばその手段について私どもはいろいろ考えなきゃならぬ、こういうことで、実は財政的支援、人的貢献、こういうものの中から人的貢献に対してどう我々が対処すべきかということで、昨年以来この委員会でもあるいは国会でも大変議論をしてまいりました。
 その中にあって、当然私どもの念頭にはカンボジアの和平ということもありました。PKO法案をつくったり、あるいは緊急援助隊というのもそういうものでございました。そういう中にあって、明石代表がUNTACの代表として就任されてきょうおいでいただいて、率直な御意見を伺いつつ私どももまた知識を深めて、国会としての結論を出すべく努力してまいりたいと思っておるところでございます。
 そこで、三点ほどお尋ねを申し上げたいと思います。
 まず第一点は、まさにUNTACは今までの国連のPKO活動の中で規模が史上最も大きい、こういうふうに伺っておるわけでございまして、任務の面でも、先ほど代表がお話しされましたように未曾有のオペレーションである、今までとはちょっと違うものであるというようなお話がございました。したがって、そのUNTACのオペレーションの中でいわば行政面、さらに軍事的能力面において最も困難なことは何だというふうに思っておられますでしょうか。そして、そのUNTACが成功するために全体的に今最も必要としているものは何か、そういうことをまず第一点お伺いしたい、このように思います。
#9
○明石参考人 大島委員からの御質問でございますけれども、UNTACが当面しております困難なことは幾つかございます。一つには財政的なことでございます。UNTACは国連史始まって以来の最も巨額の予算のかかる活動でございますし、ほぼ同時にユーゴスラビアの平和維持活動も発足しておりまして、これまた五億ドルないしは六億ドルかかる活動でございまして、それからエルサルバドルにおける国連の平和維持活動、これも数億かかるのじゃないかと思います。それからメジロ押しに待っておりますのは、西サハラにおけるモロッコとポリサリオとの対立を、国民投票を国連の手で実施することによって帰属を決めるという、そういう西サハラの問題。それから、事によったらアルメニアとアゼルバイジャンとの間のナゴルノ・カラバフの問題、これも国連に持ち込まれる可能性がございます。
 そういうことで、安保理事会というのはもうほとんど毎日のように会合をやって、国連の事実上執行機関になりつつある、その動きの早さ、仕事の大きさ、そういうものは、かつての冷戦時代の麻痺した国連というものとは違って生き生きとした感じがございますけれども、そういう活発に前向きに次から次へと平和維持活動を発足させるにしては、どうも金の面になると急に渋くなってしまう。それらの国の大使連中は非常にビジョンのある積極的なことを言ってくれるわけでございますけれども、予算の担当者が出てくるACABQという財政と行政に関する諮問委員会、そこに出ますと、予算がずたずたに切られてしまう。また、かつて超大国の一つであったロシアなんかは、今の財政事情は御承知のとおり非常に厳しいわけでございます。ですから、そういう政治面での積極性と裏腹な財政面での厳しさ、そのことによって、国連自体は新しい野心的な任務を与えられておる、ところがその任務を達成するための手段、予算の裏づけを与えられていないということが我々のある意味では一番苦しい点でございます。
 それからもう一つ申し上げますと、人的な面、これに関しましても、ある意味ではカンボジアとユーゴスラビアの平和維持活動が同時的に発足しておるものでございますから、ふだんでしたら、いろいろPKO活動のために派兵してくれる国の数は決して少なくございませんけれども、今回の場合、ちょっと例を申し上げますと、カナダの場合でございます。
 カナダは御承知のとおり、一九五六年に国連の本格的な平和維持活動が発足したその言い出しっぺの国でございます。当時、カナダのレスター・ピアソン外相が事務総長のハマーショルドと協議の上でつくったのが一九五六年のスエズ運河に対する国連平和緊急軍でございました。そんなことで今までのPKO活動にはカナダは全面的に参加してきております。ところが、カンボジアには約二百人のロジに関する部隊しか出してくれないということで、私は非常にがっかりしまして、カナダの常駐代表の大使に言いましたら、ユーゴスラビアの方に千何名のカナダの兵士を出さなくちゃいかぬ、そういうことで、カンボジアにも出したいんだけれども、それはやまやまなんだけれども、これしか出せないんで御賢察願いたいという返事がございました。
 そういうことで、しかもカンボジアの場合、さっきも申し上げたとおり、道路ができてない、橋も壊されておる、鉄道もろくにない、飲めるような水もない、非常に悪質なマラリアが蔓延しておるというインフラ未整備のところでPKOが発足するものでございますから、私どもは歩兵部隊を出してくれる国には六十日分の自給自足ができるような糧食その他を全部持ってきてほしいと言っているわけです。ところが、それだけの態勢を整えて出兵できる国がそんなに多くないというのが現状でございます。そういうことがございますし、それから警察部門、三千六百人のシビリアン警察が必要でございますけれども、これに関しましても人集めがかなり困難であるという現状がございます。そういうことが一つある。
 それから、第三に申し上げますと、国連自体が次から次とPKOが発足するものでございますから、国連が機構としてパンク寸前である。国連の関係者はオーバーワークでぶっ倒れそうになっておりますし、国連のそういうマネジメントの機構を強化しないとやはりだめでおるという感じが非常にしております。
 それから、カンボジア内部の非常に微妙な四派の対立関係それからポル・ポト派その他まだまだ猜疑心に満ち満ちておりますし、そういったような軍隊に対して国連による停戦をどのようにして遵守させるか、これについてはいろいろ問題がこれから起きると思いますし、そういう各派の指導層が我々の言うことを聞いてもそれが下にまで浸透しているかどうか。いろいろまた各派の中でも分派があるようにも聞いておりますので、そういうパリ協定の実際面での現地でのグラウンドにおける実施ということになるといろいろな頭の痛い問題が出てくるであろうということ、この四つぐらいではないかと思います。
#10
○大島委員 ありがとうございました。今、四つの大きな項目についてお答えをいただき、大変参考になりました。
 そこでさらに私はお尋ねをいたしたいのでございますが、そういう人的な面でそういう相当規模が必要であって、立ち上がりにおいても必要だ。そういう中にあって、もう少し具体的に、もし代表の今のお立場でお話しできるとすれば、人員確保の見通し、本当はこのぐらい必要なんだけれども現在はこのぐらいしか立っていない、各部門があると思うのでございますが、その辺をさらにもし詳しくお話しいただければ大変ありがたい、このように思います。
#11
○明石参考人 フランス、イギリスその他の一部の新聞は、UNTACの立ち上がりが少し遅いというふうな批判的なことを書いております。しかし、これは国連の事情をよく理解しない批判ではないかと私は考えております。少なくとも私が任命されました一月九日以来、私としては全力を尽くしてUNTACの発足のため、また現地に配備するために努力を重ねておるつもりでございます。
 しかしながら、何せ国連の予算手続は非常に複雑でございまして、安保理で決定した後に国連総会の財政と行政に関する諮問委員会にかからなくちゃいかぬわけでございますし、国連の本会議でそれを可決しなくちゃいけない。その過程においてまたいろいろ事務局側と国連の各国の代表の間にインフォーマルなやりとりとか相談がございます。そういうことで予算手続が非常にまだるっこしい。
 それから、予算がついてからいろいろな物資を発注しなくちゃいかぬわけでございまして、これが最小限六週間から八週間かかる。しかも、こういった形で購入したものを空輸できればよろしいのでございますけれども、空輸というのは金がかかるものでございますからできるだけ海上輸送で持っていく。すると、これがまた時間がかかるわけでございます。
 そんなようなことで、予算がついてから八週間は少なくとも見なくちゃいかぬわけでございます。それから、現地にその物資が持ち運ばれましてからプレハブ住宅とかプレハブの事務所をつくらなくちゃいかぬということで、そういうものができる前にでもPKOの配備は必要なので、各国に対して六週間のそういう自給できるだけの物資、資材を持ってきてくれとお願いしているのはまさにそのことなんでございます。
 そういうことで、時間はかかりましたけれども、昨日、この十日にインドネシアの最初の派兵大隊、これがカンボジアのコンポンソム港に着く運びになりましたし、この下旬にはさらにマレーシアの一個大隊が到着することになっておりますし、四月から五月にかけて一万五千にわたる国連のそういうPKOは全面的に配備できるんじゃないかと思っております。
 国連の中にはもっと時間をかけてもっと慎重にいろいろインフラを整備してから国連が出かけるべきじゃないかという慎重論もございまして、私も事務総長も、そんなまだるっこいことを言っていたのではせっかく昨年の十月にできたパリ合意が実地で破られてしまってカンボジア和平の話し合い路線がまたもとのもくあみになってしまってゼロから出発する必要が出てくるかもしらぬということで、完全な形での活動にはならないのでありましょうけれども、我々としては政治的に、一刻も早く行動する、カンボジアの国民に対して国際社会の決意を知らせるということが最上の問題であるということでやっております。
 そんなことで、私がニューヨークを立ちます昨日まで人集めに奔走しておりました。シビリアンサイドも、国連の職員、それから外からの応募しておる人たち、そのうち優秀な人で、しかも英語、フランス語、できればクメール語のできるような人たち、現地で役立つ人の人選をやっておりまして、これまたユーゴスラビアの方との競争状態になりまして、カンボジアの方に欲しい人が全部採れるということでもございませんけれども、かなり、数百人の人間が一応ピックアップされております。その中には邦人の若い職員もございまして、男女を含めて、特に若い女性でまだこぶつきになっておらない元気のいい国連職員の人たちが次から次と応募をしてくれるというのは私は涙が出るほどうれしいことだと思っております。
 そういうことで、ともかくも見通しは厳しいけれども何とか発足できる、油断はできないしまだまだ人集めは必要でございますけれども、できるんじゃないか。ただし、我々がもっと時間があったらもっと完全な現地への展開はできるのでありましょうけれども、それは望むことができないということで、これは安保理にもカンボジアのそういう関係者にも理解してもらわなくちゃいかぬのじゃないかと思っております。
#12
○大島委員 代表の今のお話で実感として非常によくわかります。
 そこで最後の質問になるわけでございますが、先ほど代表から冒頭に日本に対する各国の期待というものもこういうものがあるということをお話されましたし、また代表御自身の日本に対する期待というのも相当あるものだと思っております。その国際社会の期待にこたえるという側面もあると同時に、冒頭に私が申し上げたように我々自身が何をなすべきかということがまた問われていることでもあろうと思います。そういうことを私ども議論し、また結論を出すためにも率直に日本に対する期待というのでございましょうか、そういうものに対して代表の立場から、総合的に財政的な面あるいは人的な面、それらの問題につきまして率直な御意見がございましたらお聞かせを願いたいものだ、このように思う次第であります。
#13
○明石参考人 今の大島先生の御質問に対しましては、私は、日本国としてまた日本人として、カンボジアに対しましては日本の憲法ないしは法律の枠内でできるだけの最大のことをしていただければそれでいいのだと思います。先生のおっしゃったように財政面でも日本は、今そういう不況の中にあるように聞いておりますけれども、ほかの国に比べればまだしも恵まれている状況にありますし、アジアの平和の問題でございますから、分担金を払うのみならずそれにプラスアルファとして、日本のそういう人道的なまた国際的な責務を認識した寛大な御支援をぜひお考えいただきたいと思います。
 これについては諸外国はかなり関心を持って見ております。ですから、おつき合い程度ないしはこれは割り当てられた額だからこれだけに済まそうということじゃなく、また今まではほかの国がこれだけ出すから日本もこれくらい出さないと格好が悪いということで出すのじゃなくて、むしろほかの国に対して先鞭をつけて、日本がこれだけ出したからおれたちもこれくらいは必要じゃないかというふうな形で、できれば日本のビジョンとリーダーシップを示すような拠出の仕方をしてほしいと思います。
 それから、人的面におきましても無理なことをお願いするつもりはございません。しかしながら、金だけを出す、それで済ますというのは非常に寂しいことだと思うのです。タイの一個大隊は地雷の除去という危険なことをやっております。タイの大使は、政府がそういうことを決めたものだから野党に攻撃されて困っているよと言っておりましたけれども、安全なことだけをやるというようでは、私は日本に対する外国の評価は決していいものにならないと思います。
 ですから、このUNTACこそ軍事面、警察の面、選挙監視の面、人権の面、行政監視の面いろいろあるわけでございますから、私は選挙監視について申しますと、国連の平和協力隊に相当しますUNのボランティアという制度がございまして、このボランティアを四百各国連から出すことになっております。このボランティアなどの四百名のうち一割くらいは日本人であってほしいなと思っておりますし、それから選挙前後に二、三週間にわたりまして国際的に一千名の選挙モニターの要員を要請したいと考えております。この一千名のうちやはり相当数を我が国が出して当然ではないかなと思いますし、それから、これは可能かどうかわかりませんけれども、このPKOの性格もカンボジアの特殊性にかんがみまして、ロジの面、それからエンジニアの面、医療隊、その他が非常に比率的には大きいわけです。
 そういう点では日本の持つ技術その他が物を言う場合が相当あるのではないか。これはネパールとかフィジーの国連派兵軍ではちょっと無理ではないかと思われるものがありますので、そういうものも見てみますと、UNTACが発足する前からフランスなどは飛行機を提供しておりますし、オーストラリアは通信部隊を現地に派遣しておりまして、この人たちは条件の悪いところで実に喜々躍々として活躍しておるので、私は非常にいろいろな意味で感激するのでありますけれども、そういう現地で汗を流している各国の人にまじって我が国のそういう人も活動できればいいなという感じがしますけれども、日本の政治の中で置かれた法的な状況の中で十分にやればそれでいいのだと思います。
 ちょっとその点申し添えますと、国連加盟国でないスイスでさえもこのUNTACには協力しておるということ、それから日本と同じような憲法上の問題を抱えているはずのドイツでさえも医療隊を現地に派遣しておるということをちょっと申し添えておきたいと思います。
#14
○大島委員 大変ありがとうございました。大変参考になりました。
 タイの前の首相のチャチャイさんは、戦場から市場へという、インドシナ半島をそうしたいということをおっしゃられました。しかし、市場への前に平和をつくり民主国家にするというのがまさに明石代表のお仕事であり、また私どももこれに対して真剣に受けとめて、これからどう決断し貢献するかということを考えなければならぬと思います。きょうの御意見をしかと踏まえまして努力してまいりたいと思います。どうかひとつお体に注意されて頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。
#15
○林委員長 次に、上原康助君。
#16
○上原委員 きょうは、私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま国連の暫定行政機構の最高責任者に御就任になられた明石代表の方から貴重な御意見を拝聴いたしましたが、大変参考になります。限られた時間ですが、三点くらいお尋ねをさせていただきますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 実は、私も去る一月中旬に我が党の田邊委員長を団長としてカンボジアを訪問する機会がございました。十分ではございませんが、プノンペン市内の状況あるいはカンボジアの現状等については、現地で頑張っておられる今川大使を初め日本関係者の方々から御事情を拝聴する機会もありましたので、ある程度日本としてカンボジアの和平そしてこの戦後復興というものをどうやっていかなければいかないかということは理解をしておるつもりであります。
 そういう前提に立って三点お尋ねをさせていただきますが、まず、先ほどもいろいろお述べになっておりましたが、要するに、昨年末のパリ協定を十分国際的に国連として保障をしてカンボジアの平和回復を図るにはカンボジアの政治的安定というもの、政治の安定化というものが大前提じゃないのかということをシアヌーク殿下を初めカンボジアの指導者の方々の御意見等も聞いて感じました。そういう面で非常にこれから御苦労をなさると思うのですが、明石代表としては、カンボジアのこれからの四派を含めての政治的な安定化はどういう方向に行くのであろうか。パリ協定の実施も、なかなか上の方では決まっても下におりていくのは難しい面もあるのじゃないかという今のお話もございましたが、そういう面で、まず今後の政治的安定ということについてどういうお見通しを持っておられるのか、お聞かせ願えれば参考にしたいと思います。
#17
○明石参考人 上原先生からカンボジアの国内の政治安定の見通しについて御質問がございました。二十年間にわたって血で血を洗う対立を遂げた間柄の四派がございます。特に、ベトナムの支持を得て設立されたプノンペン政権側と、本来これは同根なんですけれども、それと対抗して民族路線、非常に極端な、文革当時の中国からインスピレーションを得たと言われておりますクメール・ルージュ、ポル・ポト派、この対立はまだまだ根深いものがございます。
 ポル・ポト派は、御承知のとおりまだベトナム軍が何らかの形でカンボジアに駐留しておると言っておりますので、UNTACが現地に行きましたら、本当にそうなのか、これを徹底的にカンボジアじゅうを調べる必要があると思います。調べて、おらなかったとしたらもちろんポル・ポト派の言い分はかなり弱まるわけでございますし、そういうことでカンボジアの四派の間の不信感を少しずつでも解消していく。それは一夕一朝に解消されるものではないと思いますけれども、そのために国連としては関係諸派の間の友好のための橋をかける仕事をできるだけやりたいと思っております。
 と同時に、そのパリ協定に対する違反行為については厳正にどの派に対しても当たろうと思っております。国連が国連として信用されるのはあくまでも国連の中立性にあり不撓不覊の精神にあるんだと思いますので、いろんな時期には四派のいずれも国連については文句があるということになるかもしれませんけれども、それは覚悟せざるを得ないと思います。
 それから一つは、カンボジアにおける財政危機の問題でございまして、歳出過剰で今やプノンペン政権の台所はまさに火の車でございまして、公務員の相当数、学校教師それから軍隊の一部、給料をもらっておらないということで軍隊の一部の人たちはやや暴徒化し、盗賊化しておると聞いております。そういうことで財政が悪化し、その結果としてもともと悪かった治安が非常に悪くなっておる。そういうことで、UNTACでは軍事部門のほかに警察部門、治安維持部門を強調しておるのはそのためでございます。
 それから、二十年間戦った国でありますから国じゅうに武器が充満しておる。そういうことで物騒な状況にあるわけですから、いかにしてカンボジアの国民にそういう恐怖とか不安なしに自由な選挙に伸び伸びと参加し、集会の自由、言論の自由を行使してもらうか。そのための明るい雰囲気づくりというものをつくるということが非常に重要だと思います。
 そういうことで、心配なことはいろいろございます。民主主義というのは欧米の場合、日本の場合をとっても何年も何十年もかかっておることでございますから、来年の春までの一年余りの間にカンボジアに全く健全な民主主義ができるとは思いませんけれども、少なくとも、そのための地ならし、これを国連の手でやりたいというふうに考えております。
#18
○上原委員 お説のように大変困難な国内事情あるいは周辺事情があるように思います。そういう意味では、これは国連だけでなくして、日本外交のまたアジアをどう重視していくかということもあわせて考えねばいかない課題じゃなかろうかという感がいたしました。
 次に、国際貢献の面と関連するわけですが、要するに今国際貢献をしていく場合には金、物、人、これをどうするかということに相なろうかと思うんですね。特に日本のかかわりについては、金、物の面ではタイミングの問題はあるにしても国際的にも国連においてもそれなりの評価は受けている。だが人の問題だということが絶えず本委員会やあるいは今国会論議の的になっているわけですが、先ほどの明石代表の御意見からしましても、いろんな分野で日本がかかわっていく面は多いような感を受けました。きょうは特定のことは申し上げません。大変参考になる分野がありましたので、国際情勢も大きく変化をいたしましたし、また国会における与野党のどう日本の国際貢献案はあるべきかということについても、一時期よりも相当接点が求められつつあるのではないのかという期待感も出ていることも御理解がいただけるかと思うのです。
 そういう前提を含めてお尋ねをしますが、要するにカンボジアの平和回復、安定化に要する財政というか、資金の裏づけがなければ人だけ確保してもこれはなかなかうまくいかぬ。トータルで十九億ドルあるいは二十億ドルとも言われておるわけですね。その三分の一くらいは日本の割り当てと、そしてまたこれだけの経済力がある国ですから拠出としてやっていただきたい、割り当てプラスアルファをぜひ期待をするという今の御意見でございました。私たちもそのことでは同感であります。
 そこで、せんだってカンボジアを訪問したときに、UNAMICに出す財政についてもなかなか芳しくないという説明を受けました。そういったことからしますと、人の確保も大事なんだが、当面やはり暫定措置の二億ドルあるいはトータルの十九億ドルをどう国連として各国の御理解、協力、なかんずく我が国の協力を得て確保するかというのが一番大事な点じゃなかろうかと思うのですが、その点についてもう少し御見解を聞かせておいていただければ、これからの参考にいたしたいと思います。
#19
○明石参考人 上原先生おっしゃいましたとおりカンボジアに対する貢献、国際貢献の重要な一部でございますけれども、それを金、人、物のいずれの面においてもいろいろやることがあるという大変勇気づけられるも言葉を今お聞きしまして、ぜひその諸方面においてきめ細かく日本のできることを率先してやっていただければと思っております。
 金の面では今先生おっしゃったとおり、単に割り当てられるそういう分担金、これは税金に当たる部分でございますけれども、これは日本の分担分一二・四五%ということ、これを払うのは当然のことでございますが、明らかに日本に対してはそれ以上のことが期待されておりますし、アメリカのそういうPKOの分担分は三〇%強でございますけれども、アメリカとしてはその分担分プラスアルファの拠出、そちらの方については特に日本に色よい積極的な態度を期待しておりまして、その両方を足した総額が国際社会の総額の約三分の一ないしは三割というところをアメリカあたりは期待しておるように私は感じております。ですから、分担金の方が一〇%でございましたら、拠出金、その寄附に当たります拠出の方は五割ないしは六割ということで、その両方をならした場合に三分の一ないしは三割ということになるくらいのことがお願いできると非常にいいなと思うのでございます。
 それから、これはちょっと蛇足になりますけれども、またカンボジアとは直接関係ないかもしれませんが、平和維持活動というのはこれから世界各地で頻繁に起こることでございますし、アジアにおいても起こることだと思うのでございます。それで、その国連のPKOが敏速に行動できるように、立ち上がれるように、必要な物資の集積所を日本にでもアジアのほかの国でもどこかにつくっておくということが一つ大事ではないかと思います。
 それから、北欧諸国とかカナダが既にやっておりますようなPKOに必要な要員のふだんからの訓練、これはやはり訓練の積み上げがないと、やたらに人を送っても役に立ちませんので、そういったようなものを日本が例えばアジア諸国と協力してつくっておく、そのことで国連が行動する場合に、人の面でのオプションがいろいろできるというふうなこと、そういうことで、国連物資集積所と国連PKO、これは広義のPKOという意味で、軍事面のみならずその他の面でも活動できる専門要員の養成ということをやる。そのことがまた日本とアジアの間のいろいろな相互理解にも貢献すると思いますので、何でも日本だけでやるのじゃなくてそういう形での貢献も考えてほしいと思いますし、青年海外協力隊でもその国連ボランティアの形ですぐ提出できるような訓練もしていただけるとありがたいと思いますし、物の面におきましても、日本の先進的な技術力でもって将来は、そういうカンボジアなんかに五百万ないし六百万と言われておりますプラスチック爆弾、これは在来の検出手段ではなかなか見つからないわけでございますね。気の遠くなるような探知作業を続けなくちゃいかぬわけでございますけれども、こういうことについても日本の技術で開発ができないものだろうか。そういう意味では、日本がしなくちゃいかぬことできることのリストは非常に長いリストになると思いますので、そういうことで積極的な御検討をいろいろお願いしたいと思います。
#20
○上原委員 さすがに国連の負託というか期待を担ってこの重責につかれる明石さんの柔軟な対応といいますか、あるいは国際貢献、特に人の面では幅広く広い視野から人的確保をしていくということについては、私どもも共通認識を持っております。ですから、余り特定した既成概念で考えずに、例えば先ほどの御説明によりますと警察官でも三千六百名くらい必要になる、あるいは選挙監視団その他の面、医療とかインフラの通信部門とか、そういう面では、もっと工夫すれば日本の技術や能力を活用できる方途というものはあり得るのではないのか、こう思いますので、参考にさせていただきたいと存じます。
 そこで最後に、これはきょうの御意見、陳述とは必ずしも直接の関係はありませんが、若干確かめておきたい点があります。
 一昨年の国連平和協力法案、今問題のPKO法案等々の審議過程で、国連が発行する重要文献というか文書について大変議論になりました。長いこと御経験があるわけですから、お答えいただければ聞いて参考にしたいと思うのですが、要するにこのPKO活動等にかかわる、国連が発行している標準行動規範、SOPというのか、標準行動規範であるとか訓練マニュアルというものを提出して、その中身をよく精査して、この国連の指揮権の問題とかその他のことを解明したいということを大変政府に要望というか、強く資料公開を我々は求めてきたわけですが、国連がそれはできないと言っているから出せませんということで、大変この点はいろいろな面で支障を来している点なんです。
 だから、私は、昨年でしたか、国連にも足を運んだこともあるし、その前にもお伺いをしたことがありますので、国連というのはそんなに秘密主義でもないし、公開の原則はとっておるのだが、余り加盟各国が多過ぎるからそういうことを控えて、それぞれの国の権限でできることじゃないのかと思うのですが、なかなかそうはしていただけないこれまでの経緯がありますので、もし差し支えなければずばりお答えをいただきたいと思います。
#21
○明石参考人 今の上原先生の御要請につきましては、私はその文書の管理の方の責任者でございませんし、特にPKO部門の責任者でもなくて、私の同僚のグールディンクという人がそちらの方を担当しておりますので、残念ながら単刀直入、ずばりと先生に対してお答えできないのは非常に遺憾でございます。私自身も基本的には公開主義、透明主義をとっておりますけれども、国会審議のためにそういうものが必要という御要望は、御希望はわかりますが、その点についてこちらとして何かできるかということになりますと、私としては残念ながらできかねるということでございます。
#22
○上原委員 今答弁しているそのお顔を見れば、いや、こんなのは公開しても差し支えないものですよというふうに私は理解をしたいと思います。わかりました。大変ありがとうございました。
 気候風土も大変異なるし、非常に御苦労なさると思うのですが、明石さんの今後の御活躍には国民も多くの期待をしておりますし、また、私たちもいろいろ柔軟にこの国際貢献のあり方というものをこれから勉強しつつ、お役に立てる面があれば積極的な協力をしたいと思います。大変ありがとうございました。
#23
○林委員長 次に、山口那津男君。
#24
○山口(那)委員 明石代表には本当に大変なお仕事をお引き受けなされまして、心からおめでとうございますと申し上げます。と同時に、困難な作業が待ち構えているわけでありまして、大変に御苦労さまでございますとも申し上げておきたいと思います。
 さて、私は、おととしでしたか、国連に赴いた折に明石さんからさまざまな御指導等賜りました。それを受けまして、昨年の七月に我が党の若い議員四名でカンボジア現地を訪れまして、難民のキャンプですとか、あるいは当時はまだSNCも発足しておりませんでしたが、四派各派の代表等ともいろんな意見の交換をいたしました。そしてまた、さらにことしの二月十九日から二十三日まで、これはカンボジア友好議員連盟の皆様とともに超党派で再び現地を訪れてまいりました。シアヌーク殿下あるいはチア・シム議長あるいはソン・サン派のソン・サン元首相、こういった方々とも意見交換をする場があったわけでありますが、それらを踏まえて、時間も限られておりますので、二問ほどお伺いいたしたいと思います。
 まず初めにですが、日本に対する期待というのは、先ほど語られたように多方面にわたり非常に大きいものがあるわけでありますが、これはカンボジアへ送る側の国々あるいは人々、そしてまた受け入れる側であるカンボジア自身の考え方という二通りあるだろうと思うのですね。そして、ともすればカンボジアの人々の気持ちというのが十分には語られでないような気がいたします。
 カンボジアという国は、我が国とは大変古い関係があるわけでありますが、第二次大戦中あるいは大戦後独立に際して、我が国の立場というものが少なからぬ勇気を与えたというか、寄与をしたという面もあると思います。そして、戦後いち早くシアヌーク殿下が日本に対する戦時賠償というものを放棄をいたした。それに対するその後の援助というものはあったわけでありますが、日本人あるいは日本という国に対するカンボジアの人たちの感情というものは、例えば朝鮮半島の方々ですとか、あるいは中国の方々とはまた違った見方があるのではないだろうかと思うわけでありますね。
 その面で、これから人的貢献を日本もできる限りすべきであろうと思うわけでありますが、残念ながら現行法のままでは、これは法的根拠という面からいっても、また態勢の準備の都合からいっても、非常に限られたことしかできません。このままであれば国際的信頼あるいは期待に対してほとんどこたえられないまま、むしろそうした信頼や期待というものをあるいは日本の国益というものを損ないかねないことすら私は懸念するわけであります。
 そうした意味で、このカンボジアへ送り出す側の日本に対する期待と、そしてまた現地の人々の日本に対する期待というものを、率直なお気持ち、御意見を賜りたいと思います。
#25
○明石参考人 ただいまの山口先生の御質問は、現地の日本に対する期待ということだと思いますけれども、日本に対する期待が非常に大きいというのは、四派のSNCを構成しております各指導者からもシアヌーク殿下からもはっきりと私に伝えられておりますし、現地の雰囲気からもそれは十分に感じられますし、現地の外交団を構成しております各国の大使からも十分に酌み取れることでございます。
 それで、シアヌーク殿下自体、ある私を歓迎する席の場で、アジアの友邦国である日本からこういう代表が来たということは非常にうれしいということを言ってくれておりましたし、非常に期待しておるということはよく感じられたわけで、ただ、その場所で殿下がそういうことをおっしゃったところで、イギリスの大使とかフランスの大使がおりましたので、アジア人だけが仲がいいところを見せては悪いと思いまして、私はシアヌーク殿下のアジアとアジアをということは無視して、むしろ国際社会としていろいろカンボジアを助けたいということで私はここに来ているんだということを付言しておきました。
 そういうことで、日本に対する親近感と期待は非常にありまして、この期待感を失望させるようなことがあったら、その反応は非常に厳しいものがあろうかという感じがいたします。
 と同時に、私は、日本に対する好感があるから、期待があるからということでいい気になってはいけないと思うのですね。やはり第二次大戦中にフランスの勢力を除外して、押しのけて日本が一九四五年にシアヌークを王様にしたということ、それから同じく第二次大戦中にタイとカンボジアは国境紛争がございまして、カンボジアの穀倉と言われておりますバッタンバン州一帯を日本が調停してタイの方に切り取って譲渡させてやったということがありまして、そのことについては、ややカンボジアの人は釈然としない気持ちを今でも持っているのじゃないかと思います。なかなか言いませんけれども。
 そういうことで、非常にさっきの過去がございますから、やはりお隣の国であればあるほど私は日本人は自分の言動に気をつける必要があると思うのです。ですから、カンボジアの人たちのそういう複雑な気持ちをそんたくしながら、要望にはこたえるし、またその要望についても本当にそれがカンボジアにとって必要なものかどうかについては細密な検討をこちらとしてもすべきだと思いますし、カンボジア人の持つ対日好意というものに図に乗っていい気になってはいけないんじゃないかという感じもしております。
#26
○山口(那)委員 これからのUNTACの展開に当たって、カンボジアの行政機構の育成とかあるいは連続性をどう確保していくかということも考えなければいけないことだろうと思うのです。今現在UNAMICが展開しておりますが、プノンペンあるいはシエムリアップ、バッタンバンというような主要都市でありますが、いずれも旧ヘン・サムリン政権の支配下にあった地域でありまして、現実にはその旧ヘン・サムリン政権の行政機構の人々と接触する場面が多いわけでありますね。しかし、やはり四派を公平に扱わなければならないという要請はあるだろうと思います。
 そこで、UNTACが展開後も人数は限られているわけでありますから、活動のスケジュールというものが地雷除去、そして武装解除、難民の帰還、そして選挙と、大きく分けでこのようなスケジュールがあるだろうと思いますが、その個々の過程でカンボジアの人たちにもUNTACの活動に参加をしていただくとか協力をしていただくとか、こういうことが可能性があるだろうと思いますし、またむしろそうした方が後に、UNTACが引き揚げた場合の行政機構といいますかの育成、教育という面でも非常に役立つだろうと思うわけですね。
 それからまた、人数が限られておって非常に広い地域をカバーしなければならないわけですから、やはりUNTACだけの行動では限りもあろうかと思うわけであります。その大きなスケジュールの流れに沿って、カンボジアの人たちとどう協力関係をつくっていくか。四派を公平に扱っていくか。
 それからあわせて各国のNGOの方々、つまり政府以外の方々もいろいろなボランティア活動等をなさっておられるだろうと思うのですね。そういう人たちもどう取り込んでいくか、その点での指導性というものについてお伺いをいたしたいと思います。
#27
○明石参考人 山口委員の御質問、非常に適切な御質問でございます。
 国連のカンボジア暫定行政機構は、これはカンボジアの占領軍では明らかにございません。カンボジア人と手を携えて民主自由選挙に至るまで、カンボジア人を勇気づけ、助け、民主主義のルールに従わせてそこまで持っていくということでございます。ですから、選挙の段階では、例えば村落、コミューンのレベルにおきまして五万六千人のカンボジアの人に手伝ってもらうということも考えております。それから、国連のシビリアン警察、三千六百人でございますけれども、これはもちろんカンボジア全土の治安をこれだけで維持することは不可能なんで、カンボジア自体が警察を使い、その上に警察をモニターする国連警察というものが乗っかるわけでございますね。
 ですから、カンボジア人の協力と参加ということは不可欠でございますし、今いみじくも山口委員がおっしゃったとおり、カンボジアの民主主義を存続させるのはカンボジア人なんですね。我々が去った後でもこれを支えていくのは明らかにカンボジアの人々でございますから、押しつけがましいことは一切国連としてはすべきではありませんし、そういう意味では国連の役割はあくまでも触媒的なものである。法制的な面の整備それから要員の、専門家の養成、そういったような一部のことに限定して、国連としては重点的に土台づくりに参加して、あとはきれいに渡してカンボジアを去りたいというふうに考えております。
 それから、今山口先生のおっしゃったNGOの活躍、これは非常に大事だと思います。これはどこでもそうでありますけれども、欧米のNGOの活躍は非常に目覚ましいものがございます。カンボジアにおきまして、我が国の一部の仏教団体のNGOがおりまして、私がNGOの人たちと会ったときに、その人がおられたので非常にうれしく思ったのですけれども、やはりNGOの人たちは少ない予算できめの細かい草の根の援助をやっておるわけですね。そういう意味で非常に参考になるようなことを言ってくれます。
 それから、ついこの間、国連のヘリコプターがポル・ポト派の軍隊によって射撃されたとき、スチュアート中佐、オーストラリアから国連軍に参加しているスチュアート中佐はかなりの重傷を負ったわけでございますけれども、すぐ近くのコンポントム空港におりて応急処置を受けたのは、フランスの国境なき医師団の医師であったわけです。そのことでスチュアート中佐は命を取りとめたわけです。そういうことで、復旧、復興の面、難民の面、それから選挙の監視の面、そういうことでNGOの役割は極めて大きいものがあると思うのです。
 そういう意味で、我が国もまたカンボジアのみならず国際的に活躍するNGOの育成ということは私は焦眉の急であろうかと思っております。できるだけ多くのNGOが、できるだけ多くの国に行って、しかもできるだけ長く現地に腰を据えて血と血の通った援助と指導を行うということは、やたらに金をばらまくこととは違った非常に大きな意味があるんだというふうに私は確信しております。
#28
○山口(那)委員 大変な活動に挑まれる明石さんの御決意に深甚の敬意を表したいと思います。と同時に、大成功に終わりますように、恐らく大方の委員の皆様は超党派でできる限りの御協力をして差し上げよう、こういう気持ちでやぶさかではないだろうと思います。どうか大成功をお祈りして、私の質問を終わります。
#29
○林委員長 次に、東中光雄君。
#30
○東中委員 日本共産党の東中光雄でございます。
 先ほどのお話で、クメール・ルージュの残虐行為を二度と繰り返すことのないようにやらにゃいかぬ、ポル・ポト派のあの残虐行為はかってないようなものでありますが、そういう条件でのカンボジアの平和と安定のための御努力に、御苦労さまでございます。
 それで、時間がありませんので、一点だけお伺いすることになるのですが、UNTACの展開計画は総費用二十八億ドルというふうに言われております。その中身でありますが、これは今明石さんの言われましたようにかつてないような大規模なものでありますし、UNTAC設立に関する国連事務総長報告では、UNTACの規模は、軍事要員が一万五千九百人、それから行政監視要員が四千百人、それから選挙要員が千四百人というふうに示されておりまして、UNTACの実施計画では三つの部門が挙げられております。一つは文民部門の人権監視、選挙監視、管理それから行政監視、文民警察の監視、それから軍事部門では停戦監視その他いろいろなことが言われております。
 もう一つはUNTACの直接マンデートにはないがパリ協定の包括的政治解決の枠内で協力する部門ということで、難民、避難民の帰還、三十六万人、それから復旧計画で経費は約八億ドルなどということが言われております。これは非常に大規模なものだと思うのですが、先ほどのUNTACの要員の数でいえば、この三番目のパリ協定に基づく復旧計画、人員は入ってないわけですね。別枠だと思うのです。
 それで、日本の協力という問題があるわけですが、特に軍事活動面について、一万五千九百人という非常に大きなものになっています。内容は、先ほど言われましたようにクメール・ルージュの残虐なあるいは戦闘的な行動を前にしての行動でありますから、ここでやられておる外国軍隊の撤退、不帰還の監視それから動員解除、最小限七割の動員解除の問題があります。しかも武装解除をやる、それから武器弾薬の管理、これはもうなかなか大変な問題だと思いますし、地雷の問題等々大変でありますが、そこで軍事要員あるいは軍事部門の活動について、この計画では、軍事機構としては国連事務総長のもとに総司令部があって、地方司令部があって、それから歩兵部隊一万人強、十二大隊、それから軍事監視員、通信部隊、工兵部隊、運輸輸送部隊、海軍部隊、医療部隊、憲兵隊というふうに言われておるわけです。
 それで、お伺いしたいのですが、この軍事部門の軍事部隊は事務総長の指揮それから総司令部、地方司令部の指揮のもとにそれぞれの部隊が編成される、その指揮のもとに行動を起こすんだということだと思うのですね。それは結局国連で出しておるSOPのガイドラインが一昨年ですか、出ましたね。それから各国の参加についての訓練マニュアルも国連ではつくられました。そういうものに従ってこのUNTACの軍事行動というのはそういう部隊として、それは兵たん部隊もあるでしょうし、通信部隊もあるでしょうが、歩兵部隊を含めて全体として行動を、活動をやるということになるのではないかと私は思うのですが、派遣国の指揮によって動いていくということじゃなくて、UNTACの軍事活動をやる軍事部隊というのは、そういう総司令部、地方司令部に従っての行動をやる、そういうSOPをUNTACとしてつくるということになるのじゃないかというふうに思うのですが、その点はどうなんでございましょうか。とにかく一万五千九百人という非常に大きな部隊でもありますし、お伺いをしたいと思います。
#31
○明石参考人 今、東中先生の御質問がございました。
 軍事部門に関しましては、これは大きいように思われるかもしれませんけれども、この歩兵部隊約二万人、これが全面的に配備されておる期間というのは六カ月でございます。その六カ月が終わりますと、この一万人はその半分の五千人に縮小されます。この一万人の計算も、八百五十人から成る一個大隊、これが十二個大隊でございますけれども、カンボジアを九つの軍医に分けまして実施しようと思っております。五月半ばまでには配備を完了し、六月一日から四カ月にわたってカンボジア四派の二十万の軍の集結と、これを五十二カ所の集結場所に集結させ、武装解除等軍備の解除を行う。今先生七〇%とおっしゃいましたけれども、七〇%はパリ協定でございますけれども、国連安保理はこれをできれば一〇〇%までやれということを言っております。それから、そのほかに二十七万の民兵がございますけれども、これは集積させないで、それぞれの場所において武器を全部取り上げてこの武器を破壊すべし、合計四十七万人でございます。これを一万人の歩兵部隊が全面的にやるということは極めて難しいのでありますけれども、一万人が本当に確保されるのであれば、我々は可能であると思っております。
 九月末にこれが完了しましたら数は五千人になる。また、選挙人の登録その他を終えますと、さらにこの規模は小さくなります。そういうことで、効率的な使用と予算面から、全面的に段階的にこういうものはフェーズインしフェーズアウトするということで考えております。
 それから、カンボジアのPKOの特徴は、歩兵部隊の数はそういうことで十二個大隊でございますけれども、インフラが全く整備されておりません関係から、ロジ関係の部隊、それから地雷の撤去、道路の補修その他のためのエンジニア部隊、それから医療設備が全く不備なものですから医療関係の部隊、これに関しましては、さっき申し上げたとおりドイツ、スイス、オランダ並びにインドということになっておりますけれども、こういう部門がやや大きく、ユーゴなんかに比べると大きな数が必要なものでございますから、一万五千九百ということに全体としてはなります。参加国の数は全部で三十三カ国でございます。それから、警察部門の数は四十七カ国でございます。
 この中に日本という国が見えないというのは、ちょっと寂しい感じがするのは当然ではないかと思います。もちろん国連のそういう軍事活動、警察活動は国連内部でつくる幾つかのガイドラインに従って行われるわけでございますし、シビリアンポリスの場合は、昨週末に派兵国との会議がございましたときに、警官は何かピストルその他を携行するのか、どうすればいいのかという質問に対しては、基本的にはそういう武器を携行しないで来てほしいというのが国連の今の考え方であるという答弁がございましたけれども、もちろん各国のそういう参加のための条件、方針その他は当然あると思いますし、国連としてもガイドラインをつくって対処するということで、両者の合意のもとにそういう活動が行われるというのが実態でございます。
#32
○東中委員 時間がございませんので終わります。
#33
○林委員長 次に、和田一仁君。
#34
○和田(一)委員 民社党の和田一仁でございます。きょうは、大変タイトな日程の中にお時間をいただきまして、朝から御意見を伺わせていただきまして、大変ありがたく、参考になったことを厚くお礼を申し上げたいと思います。私、大変短い時間の中で許されたのはたった一問でございますので、皆さんお聞きなったこと以外のことで一つだけお伺いしたいと思っております。
 私も、先ほど山口さんが行かれたカンボジア友好議連の超党派の調査団の一員に加えていただきまして、先般カンボジア・プノンペンに行ってまいりました。お会いした要人の中からいろいろなお話を伺ってまいりました。先ほど来のお話のように、国連が大変たくさんの平和維持活動をやっておるけれども、今回は本当に史上最大の規模の大変なUNTAC活動がいよいよ決まったというふうに感じておりまして、その仕事の大変さがよくわかるわけでございます。三十数万の難民を、まず定住地をきちっとしてそこに定住させるという仕事一つも、これは容易なことではない。どこにどのような危険な、戦争の後のまだ後始末がついていない地雷等の除去処理についても大変な仕事だし、難民の方々を定住させて、そしてきちっと登録させて、そして選挙をやって、新憲法を決めて、そして新しい政府を樹立してと、こういうお仕事をなさるというのは、これは国連の今までの平和維持活動にもないような広範で新しい分野のお仕事だ、私はこう思いますし、その最高の責任者としてこれから行かれるわけで、本当に御苦労だと思っております。
 そこで私は、たった一つだけの質問なので、これは非常に強く感じたことなんですが、今行っているUNAMICがいろいろ御苦労されて、先遣隊として仕事をしております。いろいろUNTACが早く入ってきてほしいというのは、カンボジア自体もUNAMICもそう考えております。その規模について、今おっしゃったようなかってないような規模をお考えになって、それを派遣しよう、派遣する、こうなっております。先ほどのお話来、そのためには財政的な面の裏づけとその人的な要員の確保ということでお骨折りをなさっているようでございます。そのことはカンボジア自身ももうわかっておるわけですね。
 そこで、私は、派遣する国と受け入れるカンボジア側、この間の調整というのは随分御苦労なさったと思うのですが、先ほどの、派遣されて私行ってまいりましたときに、SNCのシアヌーク殿下にもお会いいたしまして、そのときに殿下は、情勢全体の見通しとしては、いろいろ細かいトラブルはあるけれども、自分が中心に何としてもやっていくという、非常に強い自信をお持ちのように感じました。その中で、UNTACはぜひどうしてもそのために来てほしいんだということもおっしゃっていました。その規模について非常に財政面の裏づけも難しいのはわかっておる、それから人的にも大変だということもおわかりのようでした。
 そこで、シアヌーク殿下のお言葉の中に、自分としては二億ドルでできる範囲の要員を派遣していただければと考えていると、これは最初の二億ドルのことだと思います。それから、カンボジアはそれほど不安定でないこともあり、四、五千人の要員が派遣されれば十分ではないかな、こういうも言葉がございました。私は、ドナーである派遣国と受け入れる側の国の気持ちの何か微妙な違いというものを若干ここで感じたわけですが、そのことはこれから一年有余にわたって目的を達成していかれる上で大変大事なことではないかな、こう私は考えました。
 この点について代表の御意見はどんなものをお持ちか、またそういうことが具体的に感じられたときにどう対策をとられようとされているかについてお伺いしておきたい、こう思うわけでございます。
 確かに、これだけのものをお決めになる前に、軍事面についても行政面についても選挙についても調査団を派遣されて、細かい調査をされた上で、こういう規模でないとできないということを決定され、国連で全会一致で決められたことだということはよくわかっておりますけれども、現地との気持ちのずれというのはあるかないか、これも含めてお伺いしてみたいと思います。
#35
○明石参考人 今の和田先生の御質問にありましたとおり、私は、国連側とSNC、特にSNCの議長でありますシアヌーク殿下との意思の疎通ということは極めて必須の、このUNTACの任務遂行のためにも絶対に不可欠のことだと思っております。
 この四千人ないし五千人ということは我々は聞いておりません。シアヌーク殿下は非常に頭の動きの速い人ですし、時々思いつき的なことも言われますので、その点はある程度割り引きして考える必要もあるのではないかという感じがいたします。
 殿下がこれをおっしゃったのは、たしか国連事務総長が安保理に提出しましたレポートの提出前だと思いますけれども、国連のレポートをよくごらんになれば、これくらいの人員は必要であろうということを納得されるのではないかと思いますし、特に四派の一つでありますポル・ポト派、クメール・ルージュは、国連がやはり本気で、クメール・ルージュも言う意味でのベトナム人の撤退、ベトナム軍の撤退でございますね、それから中立的な選挙の監視、こういうことには互いに疑問を持っておりますから、ある程度の規模の国連軍が行かないと――国連軍と言うとちょっと語弊がございます、PKO特別委員会において国連軍と国連平和維持軍ないしは平和維持活動との区別はきちんとしておかないと林委員長に怒られるのじゃないかと思いますけれども、この国連の平和維持活動はそういうことで多面的な任務を担い、カンボジアの四派全部に歓迎され、祝福される形でいかないと成功しないわけでございますし、また今までのところそういう関係にあるということは事実でございますけれども、任務を達成するまでそれは維持していきたいと思います。
 派兵国の構成に関しましても、特定国の軍隊は、ある地域に配備しないと問題が起きそうだなと思いますと、やはりその軍隊を展開する場所についてはこちらとしては慎重に検討した上でそこに配備するということに当然なるわけでございます。さっきも申し上げたとおり、最大限の配備というのはこの六月から九月にかけてでございますし、選挙要員も一万人配備されるというのは選挙のあります四月下旬から五月にかけてにすぎないわけでございますから、我々としては必要な人数は配備するけれども、必要以上には一人といえども余計な人間は配備しないという方針で臨みたいと思いますし、シビリアンサイドでも軍事面でも、実情がこれ以下でよろしいということであれば、もちろんそういうふうに削減するのにやぶさかではございません。
 しかしながら、これはPKOの基本的な哲学でございますけれども、国連のそういう平和維持のための軍隊というのは戦う軍隊ではございません。しかしながら、国連の持つプレステージ、政治的、心理的、道義的な力によって戦争が再び起きないように、停戦が恒久的になるように、軍隊が撤退するように見てやる、そういう軍隊なのです。ですから、国連平和維持軍が発砲しましたら、それはある意味で国連の任務を達成するための本当に最終的な手段でございまして、私はそういう意味では、国連のPKOのフィロソフィーはあくまでもガンジー的な非武装抵抗の精神だと思います。
 そのことで、今先生がUNTACの前衛隊でありますUNAMICのことに触れられましたけれども、UNAMICは数百人の小規模なものでございます。しかしながら、UNAMICが配備されておる七カ所においては何ら事件が起きてないわけです。ですから問題は、国連の旗を立てる、何人かの国連の将校ないし兵士がそこに出かける、そのことが持つ、その人たちの背後には国際社会の総意があるわけでございますから、国連旗に対して弾を撃った場合、その国、その軍隊は国際社会全体を敵に回すことなのです。
 ですから私は、国連平和維持軍といいましても、基本的に戦うためではなくて平和のためのそういう軍でございますから、そういうことを念頭に置かれまして、この委員会の審議においても、そういう基本的な理念というのはどういうことなのかということを念頭に置かれて日本のこれからの参加の態様について御検討願えましたら非常にありがたいと考えております。
#36
○和田(一)委員 質問は一つでございますので、これで終わりますが、カンボジアの和平のためだけでなく、カンボジアの和平は同時にアジアの大変大事な和平のかなめでございますし、世界のためにこれからお骨折りいただく明石代表、三十数カ国の総責任者として大変なお仕事をこれからなさるわけでございますが、どうぞひとつお元気で目的を達成されますように御健闘をお祈りいたしまして、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#37
○林委員長 以上で、参考人に対する質疑は終了いたしました。
 明石参考人には、お忙しい中御出席いただき、貴重な御意見をいただきまして、大変ありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。(拍手)
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト