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1992/03/12 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 予算委員会第四分科会 第2号
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1992/03/12 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 予算委員会第四分科会 第2号

#1
第123回国会 予算委員会第四分科会 第2号
平成四年三月十二日(木曜日)
    午前九時開議
出席分科員
  主 査 戸井田三郎君
      甘利  明君    金子徳之介君
      唐沢俊二郎君    新村 勝雄君
      外口 玉子君    野坂 浩賢君
      和田 静夫君    井上 義久君
      遠藤 乙彦君    貝沼 次郎君
      木島日出夫君    三浦  久君
   兼務 岩田 順介君 兼務 加藤 繁秋君
   兼務 小森 龍邦君 兼務 常松 裕志君
   兼務 土肥 隆一君 兼務 中村 正男君
   兼務 長谷百合子君 兼務 堀込 征雄君
   兼務 松原 脩雄君 兼務 安田 修三君
   兼務 山元  勉君 兼務 平田 米男君
   兼務 菅  直人君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 山下 徳夫君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      大森 政輔君
        厚生大臣官房総
        務審議官    大西 孝夫君
        厚生大臣官房審
        議官      田中 健次君
        厚生大臣官房会
        計課長     近藤純五郎君
        厚生大臣官房老
        人保健福祉部長 岡光 序治君
        厚生省健康政策
        局長      古市 圭治君
        厚生省保健医療
        局長      寺松  尚君
        厚生省生活衛生
        局長      玉木  武君
        厚生省生活衛生
        局水道環境部長 小林 康彦君
        厚生省薬務局長 川崎 幸雄君
        厚生省社会局長 末次  彬君
        厚生省児童家庭
        局長      土井  豊君
        厚生省保険局長 黒木 武弘君
        厚生省援護局長 多田  宏君
        社会保険庁運営
        部長      奥村 明雄君
 分科員外の出席者
        法務大臣官房審
        議官      山本 和昭君
        大蔵省主計局主
        計官      渡辺 裕泰君
        文部省初等中等
        教育局職業教育
        課長      水野  豊君
        文部省高等教育
        局学生課長   井上 明俊君
        通商産業省機械
        情報産業局自動
        車課長     川嶋  温君
        労働大臣官房参
        事官      後藤 光義君
        自治省行政局公
        務員部能率安全
        推進室長    石橋 孝雄君
        自治省税務局市
        町村税課長   三沢  真君
        消防庁救急救助
        課長      朝日 信夫君
        予算委員会調査
        室長      堀口 一郎君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月十二日
 辞任         補欠選任
  唐沢俊二郎君     金子徳之介君
  野坂 浩賢君     新村 勝雄君
  和田 静夫君     竹内  猛君
  浅井 美幸君     長田 武士君
  木島日出夫君     菅野 悦子君
同日
 辞任         補欠選任
  金子徳之介君     山本 有二君
  新村 勝雄君     外口 玉子君
  竹内  猛君     吉田 和子君
  長田 武士君     井上 義久君
  菅野 悦子君     山原健二郎君
同日
 辞任         補欠選任
  山本 有二君     唐沢俊二郎君
  外口 玉子君     野坂 浩賢君
  吉田 和子君     鉢呂 吉雄君
  井上 義久君     貝沼 次郎君
  山原健二郎君     三浦  久君
同日
 辞任         補欠選任
  鉢呂 吉雄君     竹内  猛君
  貝沼 次郎君     遠藤 乙彦君
  三浦  久君     古堅 実吉君
同日
 辞任         補欠選任
  竹内  猛君     和田 静夫君
  遠藤 乙彦君     藤原 房雄君
  古堅 実吉君     木島日出夫君
同日
 辞任         補欠選任
  藤原 房雄君     浅井 美幸君
同日
 第一分科員小森龍邦君、平田米男君、菅直人
 君、第二分科員土肥隆一君、中村正男君、長谷
 百合子君、第三分科員松原脩雄君、第五分科員
 加藤繁秋君、常松裕志君、山元勉君、第六分科
 員岩田順介君、堀込征雄君及び安田修三君が本
 分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成四年度一般会計予算
 平成四年度特別会計予算
 平成四年度政府関係機関予算
 (厚生省所管)
     ――――◇―――――
#2
○戸井田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。
 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算及び平成四年度政府関係機関予算中厚生省所管について、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子徳之介君。
#3
○金子(徳)分科員 私は、地域医療の抱えている諸問題について、医療福祉とでもいいますか、そうした観点から若干のお尋ねをいたしたいと存じます。なお、理念的な問題につきましては、私どもいろいろと政調会等で質疑を行ってまいりましたので、簡潔に要点のみをお答えいただければ幸いでございます。
 初めに、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案が今国会に提案されたことは時宜を得た改善であり、二十一世紀に向けてゴールドプランの着実な実行という面で高く評価をいたしたいと存じます。この関連予算につきましては、看護職員確保対策の充実強化対策費、一般会計で二七%増の百十五億六千二百万、大変大きな前進であろうというふうに思っておるわけであります。
 さて、看護職員に占める正看護婦の割合を高めるために、看護婦養成所の増設と定員の増加を進めるべきではないかというふうに思っているわけであります。予算の中でも施設整備の充実努力は非常に留意をされておりまして、これは大変いいなと思っておったのですが、定数の大幅増を図る考えはないかということであります。また、准看護婦制度をこの際廃止の方向を打ち出して、看護婦制度の一本化を図るべきであると思いますけれども、この点についてはいかがなものかということであります。
 特に、准看護婦から正看護婦への道をさらに広げる方策、これはぜひ御検討いただきたいと思うわけであります。例えば、准看護婦学校を正看護婦学校へ切りかえるとか、それから、学校の定員も少ないために、どうしても准看護婦にならざるを得ない人が残されているわけでありまして、能力のあるそうした人たちに機会と希望を与える、そうした対応、対策をしてはどうか、まず初めにお伺いしておきたいと思います。
#4
○山下国務大臣 看護職員の確保は厚生行政の中でも最も重要な問題と理解をいたしておりまして、今御指摘ありました充足計画につきましては、二十一世紀の初頭に百十六万人を確保するという目標を立てて、年次計画を進めているところであります。
 ただ、今お話ございましたように、数だけではなくて資質の向上ということも大事でありますから、准看から正君へ、そしてその准看をどうして正君にするかとかいろいろ細かい問題もありますけれども、今一挙に准看をなくするということは、これはもう絶対不可能でございまして、足りない上にこの人たちがやめていけばえらいことになりますから、その正君への道を講じながら、准看にもひとつしっかり頑張ってもらうという今の現状でございます。
 なお、勤務条件、処遇等の改善についてはもとよりでございまして、四十時間労働あるいは俗に言う二・八とか育児休業の問題とか、いろいろやっていかなければなりません。そんなことで、特にこの看護婦等の人材確保の促進に関する法律案というものを今国会に提出いたしまして、総合的にこの中に盛り込んで、その目的達成のために努力していきたいと思っております。
#5
○古市政府委員 今の大臣からの御説明を数字でちょっと補足させていただきますと、現在、御指摘の看護婦、いわゆる正看護婦と准看護婦でございますが、正看護婦が平成二年で四十二万人の方が働いておられますし、一方、准看護婦は三十六万人、そういうことで、一挙にこの身分の統一というのは難しゅうございますが、方向としては、先生の御指摘の方向で行政も進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
 ちなみに養成校でございますが、正看護婦は八百九十校、准看護婦は六百十三校でございます。看護婦をふやすために養成校をふやしていかなかったらいけないということで、予算的にも格段の手当てをしているわけでございますが、現在、平成四年に新しく養成校を開くあるいは増員するというのはすべて正看護婦の方にきておりまして、私どもも各自治体なりを指導しておりますので、そういう方向で正看護婦の学校がふえてくる、定員増が図られるということでございますので、将来に向かっては全部正看護婦の方にいく。
 また、現在准看護婦の人たちには、進学課程等への道を広げて、正看の資格を取れるというコースを拡大していきたい、このように思っております。
#6
○金子(徳)分科員 大変きめ細かい御配慮の上で進めていただきたい。また、ただいまそのような方向でのお答えがあったわけでありますが、ありがとうございました。
 特に大臣からは、処遇の改善についてもあわせてそれぞれお答えがあったわけでありますが、私は、民間の病院の勤務条件とそれから国公立といいますか、これは一部事務組合等も含めての病院経営、あるいは恩賜財団であるとか日赤その他国公立に準ずる病院の勤務条件には幾らか格差があるのではないかなと思っておったわけであります。特に、給与の面だけではなくて、有給休暇の問題であるとか週休二日制の実施あるいはまた働きやすい環境づくりということで、そういった面でのそれぞれの格差というものは、現場でもいわゆる二・八体制ですか、あるいは給与の夜勤加算等の格差等については、できる限り公立病院に準じて民間も努力いたしておるようでありますけれども、そうした地方における看護婦不足の際は、待遇のいい方に人材が流れてしまうという傾向は否めない事実であります。民間病院は要員確保が大変困難になりつつあるのではないかなと、ある一面感じられるわけであります。
 そうした意味で、予算的な措置については、根っこが元来少なかったわけでありますけれども、今回は二倍以上にふやされたということで、大変これも時宜を得た対応であろうと思って感謝をいたしております。有子看護婦のための育児休業の拡大であるとか院内保育所、この院内保育所については既に補助事業でやっておられるわけですけれども、なかなか目に見えてこない。国の施策について、県を通してやるわけですが、いま少し何かPRの方法があっていいのじゃないかなと思いますし、それからパートタイム勤務者の身分の確立とでもいいますか、これらについてもやはり大きな国内の流れでありますから、御検討いただければなというふうに思っております。
 それから、ナースバンクから全国四十七カ所のセンター化をするという抜本的な改組があったわけであります。このナースセンターについては運営ですね。民間病院にとっても十二分に情報伝達、あるいはそれぞれの従来のナースバンク、単なる情報提供だけではない、そうした御指導をいただく機関にぜひこのセンターの内容充実を図っていただきたい。局長から所見があればお願いをいたしたいと思います。
#7
○古市政府委員 御指摘のとおりの活動を強化していきたいと思っております。
 殊に最後に御指摘いただきましたナースセンターでございますが、現在四十七都道府県にナースバンクということで、国も相当力を入れているわけでございますが、今回提案させていただきました看護婦等の人材確保の促進に関する法律案の中ではこれをナースセンターに格上げして、常勤の職員を張りつけて、この紹企業務それから看護の心の普及というものに心がけていきたい。
 その際には、この法律案の中にも書いてございますが、殊に看護職員の足りない民間病院からこういう要請があった場合には、重点的にそこの職員が現実にふえるように、情報提供だけでなくてあらゆる相談に応ずるように、このようなことを期待している法律になっておるわけでございます。法案が通った暁には、その線に沿ってさらに格段の努力を続けてまいりたいと思います。
#8
○金子(徳)分科員 次に、歯科医療についてお尋ねをいたしたいと存じます。
 八〇二〇運動推進対策、これも長寿高齢化社会を迎えてのステップを着実に展開をするという意味で、非常にこの努力を多とするわけであります。予算についても、それぞれ前年対比では七・二%、医療現場では五・一%の増額をされているわけでありますが、二年に一回の医療費改定が行われる中で、医科と歯科両方のドクターの意見等がいろいろ耳に入るわけであります。どうも医療費改定のときには格差があるのではないかな、そのように感じることも私自身もあったわけであります。
 しかし、それはそれぞれ論拠があって、中央医療協議会の中での答申を受けての上でありますから、それは別にいたしまして、医療行為には全く変わりないと思うわけです。実際、歯科医療技術なり医療行為について、今人工臓器時代と医科、特に内科では言われているわけでありますが、内科、外科と同じような形で入れ歯を、義歯を物として見ているのではないかなという感じがするわけであります。私ども歯が痛いと、一日たりとも我慢できない大変な状況になるわけですが、義歯を入れてからリハビリなしで、すぐこれが人工臓器として機能するというふうに考えておられるのかどうか。
 それから、義歯装着移のリハビリ、そしてまた調整には点数算定がないわけであります。再診料のみであります。また薬価基準としても、購入価格十五円以下は一点のみになるわけですか、乙表適用になるかと思いますが、この基準の甲乙表あるいは歯科表の中でちょっと検討する余地があるのではないかな、そのように感じているわけであります。
 また、具体的に硬質レジン前装冠、いわゆる入れ歯でありますけれども、これは老人社会になりますと、どうしても単冠で認めてほしいというような要望がいろいろと出ていると思います。ブリッジの方は既に認められているわけでありますけれども、この点について矛盾があるように感じますので、改善すべきと思っております。この点についてはいかがでしょうか。
#9
○黒木政府委員 歯科の診療報酬につきまして広範な御質問をいただいたわけでございます。
 まず、今回の歯科の改定でございますけれども、二・七%ということで、私どもとしては前三回の改定がずっと一%できておったわけでございまして、今回の歯科の改定は、久しぶりの大ぶりの改定枠を確保した上での改定であるということをぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 さらに、医科と歯科の格差にお触れになりましたけれども、確かに今回、医科は五・四であり、歯科は二・七でございますけれども、医科のほとんど半分ぐらいは看護婦対策、看護関連経費ということで、ここに私どもの改定枠の重点を移したわけでございますので、そういう意味からいってもぜひ御理解、御納得をいただきたいと思うわけでございます。
 入れ歯等について、特に物として見ているのではないかというお尋ねがございました。私どもは、義歯の装着に対する診療報酬という場合に、物としてよりも、その診断から装着、さらにその後の指導に至るまでの診察室におきますいわゆるチェアーサイド技術というものを随分重点的に評価をいたしておりますし、義歯の製作に係る技術につきましても適切な評価が行われるように、中医協の専町家の御議論も踏まえまして、具体的に今回の点数設定を行ってきたところでございます。
 今回の改定におきましては、私どもの重点という意味から申し上げますと、初診料とか再診料等の引き上げを行いますほか、俗に八〇二〇といいますけれども、歯が抜けないようにということで、歯牙の喪失の抑制等につながる技術というふうなものを非常に重点的に評価をしたつもりでございます。
 材料費の問題等々、さらに私どもとしては、今回だけではなくて、今後ともよりよき歯科診療報酬のあり方を目指して検討しなけれ偉ならないと思っておるわけでございますけれども、まさしく先生御指摘されましたように、技術料の評価という基本的観点に立ちまして、専門的な中医協の御議論を踏まえながら、今後とも歯科診療報酬が適切なものになるよう、あるいは先生の念願されるような診療報酬になるように、さらに努力をさしていただきたいと思うわけでございます。
#10
○金子(徳)分科員 よろしくお願いしたいと思います。
 この歯科医療は、特に地方における地域医療の中で大変重要な意味合いを持ってきているわけでありますが、大半が民間診療所であるということで、いろいろと問題もないわけではないと思っております。特に、これは伝統的なドクターに対する差があるというような、これはドイツ等では確かに一般医療とは切り離した分野での観念がされてきたわけでありますが、西欧は別にして、日本の場合はこれから大いにそうした老人歯科医療の充実等も図っていかなければならないというふうに思っておりますので、ぜひ末端における在宅寝たきり老人の歯科医療についての充実を図っていただければなと思うわけであります。
 それと同時に、歯科衛生士、歯科技工士に対して、人材確保の面から、医療費改定に当たって、先ほど保険局長から御説明がございましたが、ぜひ適切な待遇が確保されるように御配慮をお願いしたい。どうしても人件費分に食い込んでしまうというような問題がございますので、なお重ねてお願いをしておきたいと思うわけであります。
 それから、あわせてお願い申し上げておきたいことがございます。これは歯科医師の資質の向上についてでございますけれども、卒業生が非常に多い。不祥事件も、ある大学ではあったというようなこともございます。歯科医師過剰と言われている時代ですけれども、資質についてはやはり高いレベルを維持していくべきだ。これは世界各国と比較しても、我が国の場合は非常に高い水準にあるわけでありますけれども、どうか卒業の後に臨床研修を十二分に実施するように御指導賜りたいということでございます。
 それから、低い保険点数と言っては先ほどの局長さんのお言葉を返すようになりますが、どうしても能率主義になりがちだ。時間制でもって行列をして待っているというようなこともあって、そうしたことで患者と医師との間の信頼関係が失われないような指導もあわせて、初めて医療につかれる、診療所経営をされる歯科医師に対しては、先ほど申し上げた臨床研修の充実をぜひ図っていただきたいと思うわけでありますが、この点について所見があればお願いをいたしたいと思います。
#11
○岡光政府委員 まず、寝たきり状態の老人の歯科医療の充実という点でございますが、従来からこの必要性を痛感しておりまして、経過を若干申し上げますと、昭和六十三年に寝たきり老人訪問診療料というものを設定いたしました。それから、あわせまして、保健婦や看護婦による寝たきり老人訪問看護指導料、こういうものを設けたことがございます。それから平成二年には、歯科衛生士による同じような寝たきり老人訪問看護・指導料を新設したところでございます。
 今回の改正に当たりましても、寝たきり老人のところへ訪問をして実際に治療を行うわけでございまして、それに伴って切削の器具が必要になってくるわけでございます。これは大変重いものであるし、大がかりなものであるようでございますが、そういった器具を携行しまして必要な治療を行った場合には、特別の加算を行って、そういう行為がなお促進されるようにという配慮を行いました。あわせまして、歯科診療が困難な心身障害者に対して訪問診療を行った場合に、これも加算をするということで、その促進を考えようというような改善を行っているところでございます。
#12
○黒木政府委員 医療費に関連いたしまして、歯科衛生士あるいは歯科技工士の重要性の御指摘でございます。
 私どもも、歯科医療におきましては、歯科医師のみならず歯科衛生士の方あるいは歯科技工士の方、そういうものと一体となったチーム医療が非常に重要であるという認識は、先生と同様でございます。これらのスタッフがその技術を十分に発揮できるような医業経営の確保が重要であり、そのためにまた診療報酬が重要であるというふうに心得ておるところでございます。今回の診療報酬も、そういう観点から、健全な歯科医業経営ができますように、中医協の御議論を踏まえながら改定を行ったつもりでございます。
 さらに、今回の改定におきまして、歯科技工士に関します技術の評価といたしましては、例えば歯冠修復・欠損補綴の製作料のうち全部鋳造冠や部分床義歯等の引き上げを行いましたし、また歯科衛生士につきましては、歯科衛生士の歯周疾患治療における指導を重点的に評価する等の改定を行っておるわけでございますので、御理解いただきたいと思うわけでございます。
#13
○古市政府委員 歯科医師の資質の向上についてでございますが、やはり第一義的には歯学部在学中の歯学教育によって十分の知識と技能を身につけていただく。それに基づいて国家試験を受けて歯科医師になられるわけでございますけれども、厚生省の所管は卒後の方たちの技術、知識の向上で、そのために私どもは六十二年から一般歯科医養成研修事業というものをやっております。
 ただ、この履修率が、予算等の関係もございまして、現在新卒者の三五・四%が対象でやっていただいております。しかし、これはよく総義歯等の装着が合わないというようなことで、時間的にも物的にも壮大なむだがあると御指摘を受けるように、やはり歯科医療の技術を向上することがトータルのコストを下げるということにもつながりますので、さらに今後とも臨床研修については力を入れていきたいと思っております。
#14
○金子(徳)分科員 ことしは国際障害者年の最終年次になっているわけでありますが、心身障害児者が必要とする歯科医療を十分受けられるような配慮を最後にお願い申し上げておきたいと存じます。時間がありませんので、これは御要望のみにとどめておきたいと思います。
 最後に、これも国際障害者年にちなんで御質問申し上げるわけであります。
 脳性麻痺児の発生の状況を分娩障害の面からちょっと調べてみました。時間がありませんから簡単に要約して申し上げますが、新生児医療にかかわる分野についてでございます。
 疫学的な調査結果を見てみますと、東京の多摩地区の一九八五年から八九年までの出生者数六千七百七十二人のうち、脳性麻痺発生率と在宅管理困難児の誕生の頻度、これは千人に対して一・九と〇・七になっております。また、国分寺市の調査でも、出生者数が五千四百七十五人、それに対して千人に対して二今後者の場合には千人に対して一人。これらについては今後しっかりとやっていく必要があるだろう。というのは、生活福祉大国を目指している我が国は、長期的展望で長寿高齢化社会対策というものほかなり充実して進められているわけでありますが、出生率が下がってきておる我が国で、分娩時の医療充実をちょっと図ることで不幸な子供たちをなくすことができる、脳性麻痺児を防ぐことができるのではないかなと思うからであります。
 さてその中で、一応厚生省としても、古市健康政策局長の方の御配慮と思いますが、各医学系病院等に対する委託研究事業や何かを進めておられると思います。厚生省の心身障害研究の指導もなさっているわけでありますけれども、日本の医療体系の中で、専門科医制度がとられておる中で、小児科と産婦人科はありますけれども、海外のような新生児科が全くない。しかし、学会の構成からいうと既にもう二千人を超すメンバーがいるのではないかと思いますが、新生児医療関係についての診療報酬が非常に低いので、不採算部門ということで、今後それを小児科なり産婦人科なりで対応した場合に、もちろんこれは院内収容の施設のある場所でないとできないわけでありますけれども、これはちょっと問題が残る、切り捨てられる可能性がある、そんなことも憂慮されるものですから申し上げているわけであります。
 それで、二つのことだけ申し上げておきますが、今後新生児科をつくっていくという方向、いわゆる専門科医制度のまだなじんでいない新生児科というようなものを標傍化していく、一つの用語として定着させるような努力が必要と思うが、そういった点についての御所見を伺っておきたいと思います。
 それから、さしあたって私いろいろと調べている中で、施設関係については、パルスオキシメーター、これについては保険でまだ認められていないようであります。経皮的動脈輸血酸素飽和度監視メーターとでもいいますか、そういったことで一言御所見を伺っておきたいと思います。
#15
○古市政府委員 新生児科の標榜の件でございますが、これは現在医療法の中で三十三科が法律で標榜科名が決まっておりまして、新生児科だけでなくていろいろな学会から要望が出ております。そういうことで、現在医療法の改正について今国会にも提案させていただいておりますが、それが通りましたときには、政省令事項の中で検討するということになっておりますので、関係学会の要望も十分反映される機会があろうかと思っております。
#16
○金子(徳)分科員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
#17
○戸井田主査 これにて金子徳之介君の質疑は終了いたしました。
 次に、安田修三君。
#18
○安田(修)分科員 高齢化社会に入りまして、高齢者の入れ歯について大きな関心が持たれるようになってまいりました。特に、一千万人高齢者の約半数は義歯だと言われています。この義歯の補綴をめぐりまして、歯科診療や歯科医院に目が注がれるようになってきたわけであります。
 歯科の初診料は昭和五十九年以来今日まで据え置かれてまいったのでありますが、今回の診療報酬の改定によりまして、四月一日から引き上げられることになりました。また、再診料は、歯科に再診料が設置されました昭和四十五年は五点、当時、医科の中表による再診料は十五点であったのであります。その差は当時は十点でありました。今日では歯科は二十七点、中表診療所における再診料は五十五点、まさにその差二十八点ということになっておりますが、これは四月一日からの改定の新しいものでございます。
 今現在、四月一日改定前までは差は約五十四点と開いておったのでありますけれども、今回の引き上げによりまして二十八点ということで縮まりましたが、それにしましてもまだかなりの差が出ておるのでございます。このような格差、初診料等が長らく据え置かれてきたのはどういうような理由によって措置されておったのかということについて、まずお伺いしたいと思います。
#19
○黒木政府委員 医科と歯科の初診、再診料の格差についてのお尋ねでございます。
 御案内のように、現在の初診時基本診療料あるいは再診時基本診療料につきましては、診察とこれに付随する他の診療行為が含まれるわけでございます。例えて申し上げますと、医科につきましては、基本初診料の中に、簡単な検査とか投薬、皮下注射、あるいは簡単な物理療法とか、あるいは簡単な処置ということで血液の採取ですとか洗腸ですとか、あるいは目とかの洗浄処置、鼻の処置、そういう一連の行為が、簡単な行為でございますけれども、簡単な処置行為、医療行為がこれに包括して含まれまして、評価をしているわけでございます。
 歯科についても同じでございまして、細がく申し上げますと、簡単な検査、投薬の際の処方料等、それから皮下、筋肉内、静脈内注射の注射手技料、消炎、鎮痛を目的とする理学療法、口腔軟組織の処置、簡単な外科処置、口角びらんの処置、簡単な歯石除去、それから有床義歯の監視等、こういうものが初診、再診の基本診療料に含まれておるわけでございます。
 したがいまして、私どもは従来、改定につきましてその都度こういうものを見直してきたわけでございますけれども、医科のそういういろいろな周辺の処置あるいは治療あるいは投薬等の動向と歯科のそういう関連の付随する医療行為の動向、それぞれの体系の中でそれぞれ評価をしてきたわけでございまして、その結果として医科、歯科かなりのものが年々入ってくるわけでございますけれども、その入ってくるような新しい技術等の差等もございまして、現在のような差が生じているというふうに御理解いただきたいと思います。
#20
○安田(修)分科員 今、技術の差という話も出ましたが、診療科によって診療行為にかかわる技術料というのはかなりの差があるでしょうか。
#21
○黒木政府委員 診療報酬は御案内のように、よく言われておるわけでありますけれども、一つは技術の評価の基準でございますし、一つは配分の基準とも言われているわけでございます。したがって、技術の評価という意味では、同じ行為でございますから同一であるべきだ。ただ、配分の場合には、各科の医業経営がバランスがとれるように配分をしていくという要素もあるわけでございます。
 したがいまして、診療各科間で診療行為の技術に差があるということは当然あるわけでございますけれども、評価を中心にいたしておる関係上そうないわけでございますが、端的に申しまして、一番わかりやすいのは、同じ初診行為あるいは再診行為でありながら、甲乙でその点数に差が今回医科においてつけられたわけでありまして、同じ初診料につきまして、病院の場合ですと甲表が百九十八点、それから乙表が百九十五点という差がありますし、再診料につきましても中表が四十五点、乙表が四十三点というふうに差があるわけでございます。
 何を申し上げているかというと、それぞれの甲表、乙表、歯科診療報酬という体系の中で技術を評価し、そしてバランスがとれたような財源の配分をしていくという意味で、それぞれの観点から多少のでこぼこがあるわけでございまして、基本的には技術の評価という意味では同一が望ましいわけでございますが、全体の構成の財源の配分上、若干のでこぼこがあるということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#22
○安田(修)分科員 そこで、今医療経済上のことでいろいろおっしゃったわけでございますが、要するに今の診療報酬体系が出発した昭和二十年代、その当時、今局長のおっしゃったような中身で、一応これは私が質問書を出しました答弁の中にも出ております。事務の繁雑さを避けるとかいろいろなことで、同一の診療料を出すということ宣言われてきたわけでありますが、その間今日まで多少の変遷はあります。変遷はおりますけれども、とにかく各科ともほぼ同一というのが基調のようであったと私は思うのです。
 ところが、歯科の場合は、今甲表と乙表の場合は、病院経営それから診療所経営ということで、皆さん経営上のことが主体になっていると思うのでございますけれども、歯科と医科という関係からしますと、今おっしゃったように技術上は医療全体としてはそんなに差はない。「傷病の性質によりこということもいろいろ答弁書等をいただいた中にありますけれども、全体としてはそんなに差がないということであれば、なぜ医科と歯科に多くの差が出たのかという点、この点がどうも私ははっきりわからない。その点ちょっとお答えいただきたいと思います。
#23
○黒木政府委員 診療報酬の沿革もお触れになったわけでありますけれども、御案内のように診療報酬というのは、随分古い昔に、私どもは、医師会、歯科医師会に来年度はこれだけの診療報酬を配分するから、この中で医師会、歯科医師会は配分してくれという形の中で、医師会、歯科医師会が配分表という形でできたわけでございます。その流れを実はずっとくんでいるわけでございます。
 したがいまして、公町に診療報酬をつくります場合に、最初は医科と歯科の初診料とは差があったわけでございますけれども、三十三年に医療費体系を新しくしようという形で新医療費体系をつくりますときに、歯科と医科の初診差は一緒にする方がやはりいいかなということで、本来的な初診、再診に先ほど申し上げましたようにいろいろな簡単な技術とかそういうものを相整えまして、出発点は同じ形にいたしたわけでございます。
 その後、ここに入っておりますいろいろな技術とか処置とかいうものが出たり入ったり、あるいは評価を変えていくという流れの中で、おのずから医科の方が処置技術とかいろいろ入ってきますものですから、伸びが高かったというふうに御理解いただきたいわけでありますけれども、それでも医科と歯科の初診料の格差問題が国会でも熱心に御議論いただいているわけでありますから、できるだけ近づけようということで、今回の改定の中では私どもは初診、再診を重点的に引き上げさせていただいているということで、この問題はぜひ先生の御理解をいただきたいと思うものでございます。
#24
○安田(修)分科員 そこで、歯科の初診時基本診療料には有床義歯の監視を含むと言われておるわけでありますが、歯科の補綴分野、とりわけ義歯は最も不採算だと言われております。それを診察料の方に包含していくということは非常に不合理ではないだろうか、私はこう思うのでございますが、どうでしょうか。
#25
○黒木政府委員 確かに、後のフォローアップでありますような監視という行為が、初診という形の最初のところに入っているのはいかにもおかしいのではないかというようなお尋ねだと思います。
 しかし、何度も申し上げますように、評価表であり配分表であるということで、診療報酬はどういう形でバランスをとって見てあげるかというかなり技術的な要素も持っておるわけでありまして、どこの箱にいろいろな技術を入れるかという技術的な操作もあるということを、先生ぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。私どもの立場からいうと、お尋ねでございますけれども、一口腔単位の診察という観点からは、患者の歯牙に対する診察と同様に、有床義歯の監視というものも基本診療料に含まれてしかるべきものと考えているわけでございます。
 なお、初診時に義歯そのものについて問題があって患者から訴えがあるような場合には、その治療を別途算定できることとされていることも御理解をいただきまして、私どもの今の歯科の診療報酬体系というものでやらせていただきたいと思うわけでございます。
#26
○安田(修)分科員 この歯科、医科とも、先ほど局長もおっしゃった同一の時代があったわけであります。
 そこで、初診時基本診療料を区分した理由の中に、先ほども技術という問題が出ましたが、技術の進歩とかあるいはまた技術料等を正当に評価していく必要性ということが言われておるわけでありますけれども、その技術の進歩とかあるいは正当に評価していく必要性というものは、どういうような客観的な過程や評価の方法を指しておられるのか、その点お答えいただきたいと思います。
#27
○黒木政府委員 やや繰り返しになりますけれども、現行の診療報酬体系の基本的枠組みが形づくられました昭和三十三年の改定におきまして、初診料と再診料の点数設定が行われた際には、それぞれ他の一部の技術料を適宜包括した上で医科、歯科同一の点数とされたものでございます。
 その後、改定の都度、他の技術料等の引き上げ等とあわせまして見直しを行ってきたところでございますけれども、そもそも技術料の評価に当たりましては、技術の進歩とか技術料の正当な評価という点について配慮する必要があるということで、私どもは先生の質問主意書に対する答弁書においても、初診料の見直しに関連いたしましてこのような趣旨を説明をいたしたわけでございます。
 なお、今回の改定においては、歯科につきましても技術料重視の観点から、くどいようでございますが、初診料及び再診料についてそれぞれかなり引き上げを行うということにしておりますので、御理解をいただきたいと思います。
#28
○安田(修)分科員 私お聞きしておるのは、そういう技術料等を見直して引き上げたとおっしゃるんですけれども、その評価のあり方というものは、例えば口腔外科等も含むそうした歯科の場合に、その評価というのは、では医科とそれほど差があるのかということなんですね。その点とういうような客観的な技術上の評価というものがなされているのか。正当な評価の必要性ということも技術の進歩ということも言われておる。その中身を聞いているわけなんです。
#29
○黒木政府委員 まず一つ申し上げたいのは、医科と歯科の初診料を構成しております要素は、先ほどるる申し上げましたけれども、医科と歯科とは、構成要素といたしまして簡単な処置とか投薬とかいろいろなものがずらずらと、特に医科についてはずっと並んでおりまして、したがって、評価の対象になる項目が違っているという点を御理解いただきたいと思います。
 まあ最終的には、私どもこの評価の仕方というのはなかなか役人としては難しい限界があるわけでございますので、まず関係学会にお伺いを立てて、これが評価を行います。そういう意味では、歯科の問題は日本歯科医師会でございますし、日本歯科医師会は、御案内のようにその傘下にいろいろ大変な数の学会を持っておられるわけでございまして、日本歯科医師会と御相談をして、私どもは事務局的に対応をしておるわけであります。最終的には中医協に歯科のお医者さんと申しますか歯科の代表が出ておられますから、そういう人の最終的な御判断ということで、診療報酬の体系なり個別の具体的な点数なり配分が決まるということでございます。
#30
○安田(修)分科員 そこで、実は今中医協の話も出ましたが、中医協の場合にそういう技術上のことの論議もあり、もう一つは医療の経済実態についての上からの審議もあるわけでありますが、中医協の医療経済実態調査の速報がまだ今年の場合には発表されておりません。私はこの調査結果を実は示してもらいたい。それから歯科の経済実態調査も実は示してもらいたい。
 なぜかといいますと、今局長申されましたように、中医協でという。中医協という中身について、これは権威ある機関ではありますけれども、どのような論議があってという点で国民からはなかなか見えにくい。また、診療する側からもなかなか見えにくい。そういう点では、この今言われたような技術的な問題、それからまた医療経済の実態というものが国民から、また診療側から見えることによって初めて相互の間に信頼関係もできますし、医療費等についても国民の納得も得られるわけでありますから、そういう観点からも私は調査の実態について示していただきたい、こう思います。
#31
○黒木政府委員 医療経済実態調査の公表についての御要請だと思います。
 この調査は、もう先生御案内のように、これは中医協の中の診療担当者側の了解と申しますか、合意の中で中医協の調査として行われている調査でございます。厚生省の調査とか経済調査とかいうものではございませんで、診療改定の要否なり、診療改定をする必要があるかどうか、あるいは診療報酬改定をする場合にはどういうスタンスで考えるかというような判断材料にするために、いわば中医協が行っている実態調査でございます。
 今回も、御案内のように平成三年六月にこの調査が行われたわけでございまして、中医協の審議の大詰めが十二月であったわけでございますから、この調査をとりあえず粗い集計で十二月の審議に間に合わせるべく取りまとめて、その粗いいわば速報と言っているような形の中で中医協がそれをベースに一定の判断をなされた、そういうものでございます。
 この調査の公表の問題でございますけれども、この調査は実は公表をいたしておるわけでございます。ただ、御理解いただきたいのは、調査結果の確定値を取りまとめるまでには、さらに複雑な統計処理、それから調査結果の精査が必要とされることから、中医協の判断として、速報値も含めまして、現在のところ未公表の取り扱いとなっているわけでございます。
 調査結果の公表は、中医協における審議を経た上、例年どおつ本年夏ごろになされるのではないかというふうに考えておりますけれども、これも中医協の御判断になるわけでございます。しかし、各方面から強い要請があるということで、例年どおり公表に相なるだろうと思っておりますけれども、大変関心が高いだけに、例年御案内のように、国民の何倍もお医者さんが所得があるというような話。で、大変な議論を呼ぶ統計調査なものですから、診療側もあるいは公益の先生も支払い者も含めまして、精緻に分析をして公表するという形で取り組まれておりますので、何とぞ御理解をいただきたいと思います。
#32
○安田(修)分科員 いや、こういうことになりますと中医協ということで、中医協の方に全部行ってしまうわけでありますが、しかし、実質は診療報酬改定そのものは大蔵、厚生両省の折衝で改定枠を皆さんが初めに定められて、その後に中医協で配分を決めるという方式をとっておるのが私は現状だろうと思うのです。
 したがって、私は、中医協そのものはなかなか立派な方々がいらっしゃるけれども、しかし、実際これほど医療の技術問題、それから医療経済等を審議するところにすれば、実質審議期間が最終場面では余りにも短い感じがいたします。せいぜい二日か三日で終わってしまう。そこらあたりの経緯についてどうも余りしっくりいかない。
 そういう点では、今、中医協中医協とおっしゃるが、しかし、中医協は審議機関でありますから、何も自分で資料のデータ等をとれるわけはないんでして、やはり事務当局の厚生省が速報値なり、そして精査が必要なら、それは後から誤差があるから、現在は速報値だから、精査の結果誤差が出るという上で中間発表をする。今局長がいみじくもおっしゃった、いや、お医者さんはもうかっているじゃないか。実際もうかっているかもう分ってないかわからぬが、診療側もそれから支払い側も、そのことによって納得でき得る改定ということについての国民的コンセンサスが得られるのじゃないだろうか。今のままですと、どちらも余りどうもはっきり納得できない、こういうことに私はなっていくんじゃないかと思います。
 そこで、私、大臣にも聞いてもらいたいのであります。前段の方は局長の答弁で結構でございますが、後段の方は大臣にも答弁いただきたいのです。
 診療側の具体的データに基づいていろいろな要望事項というものをまとめて、その妥当性を審議する、そして改定総枠のアウトラインを決めて、そして政府に中医協が建議し、その後に微調整を図るように改定の作業方式というものを見直すべきではないだろうか。
 それからもう一つは、医療費総体の枠組みの観点から、診療報酬改定の資料を国会にも提出して、意見を聞くべきようなそういう手続も必要ではないだろうか、こう私は思うのでありますが、その点の見解を伺いたいと思います。
#33
○黒木政府委員 現在の診療報酬を改定するに当たりまして、中医協の御審議についてのお尋ねがいろいろあったわけでございます。
 審議期間がわずかではないかというお尋ねがあったわけではありますけれども、これはかなり前から診療担当者側がこれぐらい改定してくれというかなりの改定要望が出まして、そこから延々と何度も何度も議論が積み重なっているわけでございます。
 中医協というのはもう長年の歴史がありまして、御案内のとおりでございまして、正直申し上げまして、診療者側はできるだけ診療報酬を上げてくれというスタンスでございますし、支払い者側は、これは保険料なり医療費を負担する側でございますから、基本的にはできるだけ少ない診療報酬を望むスタンスであるわけでございます。そのせめぎ合いの中で議論が展開されていくわけでございますから、先生ぜひひとつ御理解をいただきたいのは、そのための実態調査でございます。
 これは何しろ、例えば民間の開業医の病院の所得の実態を調べるわけでございますから、法律で強制的な調査権があれば別でございますけれども、やはり医療担当者側の合意という中でこの調査が行われているという点をぜひ御理解をいただきたいし、厚生省がさっさと取りまとめて発表しろというお尋ねでございますけれども、中医協が調査をし、支払い者側それから診療者側、公益委員という三者の中の取り決めなり、それから検討の結果としてこの辺が動いているということをぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 それから、中医協のやり方についてのお尋ねがあったわけでございまして、これはやや経過的なものも含んでおりますので、大臣の前にまず私の方からお答えをいたしたいと思うわけであります。
 じゃ、今回はどういうふうになって決まったかということでございますが、今回の改定につきましては、六月にやりました実態調査、それを年末に速報値の形で中医協に提供いたしまして、それで粗いところ判断をつけてもらいまして、私どもの方に中医協の意見として御提言があったわけでございます。
 その意見が、最近の医療を取り巻く状況から見たら一定の改定が必要だということ、それから、良質な医療の効率的な供給という考え方を基本に、看護関連にも十分配慮した改定が必要であるということ、それから、改定幅、改定時期につきましては、厚生省は中医協の審議の経過をよく体して所要の措置をとってくれ、こういう意見があったわけでありまして、それを受けまして政府部内で政府案として最終的に調整を行いまして、改定幅なり実施時期というものを定めまして予算に計上する形をとったわけでございます。
 改定方式についてはさまざまな議論等があったわけでございまして、諮問方式から建議方式へというお尋ねでございますけれども、先生おわかりのように、中医協の歴史というのは、何度も何度もパンクをしたり、もつれたりした経緯の中で現在の方式というものが定着をしているわけでございますから、私どもとしては現時点で現在の方式を変更するつもりはございません。
 国会との。関連について私の方から一、二だけ申し上げますと、診療報酬の改定を行いますと、全体としてこの財源は保険料でございまして、政府というよりも健保組合だとか市町村国保の保険料の負担にはね返っていくわけでありますけれども、国庫補助分等がございますから、当然予算に関連いたします。したがって、私ども、予算案という形でこの診療報酬改定は御承認をいただくことにいたしておりますとともに、この審議をいたします中医協につきましては、公益代表の四名の委員につきましては、その任命に当たりまして国会の御承認をいただいていくということになっているわけであります。厚生省としては、こういうことから、中医協のあり方なり国会とのかかわり合いは、現在のところ今の仕組みでいいのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#34
○山下国務大臣 現在の医療費の仕組みにつきましては、今日まで長い間かかって、常に議論を繰り返しながら、あらゆる経緯を経て今日の姿になっておるわけでございます。したがいまして、まだまだ議論もあるかと思いますが、この方式は現実的に見て極めて妥当であるという考え方で、現在の方式を踏襲してまいりたいと思っております。
#35
○安田(修)分科員 最後に、まだ一つ残しましたが、さっきの医療経済実態調査については、改定が既に公表されたのに速報値も発表できないというのは、それは不明朗を残すだけだということを申し上げておきたいと思います。そういう点では御検討いただきたいし、それからまた診療報酬の改定経過について、国民から見えるようなプロセスについて今後御検討いただきたいということを要望しておきます。
 時間が参りましたので、終わります。
#36
○戸井田主査 これにて安田修三君の質疑は終了いたしました。
 次に、松原脩雄君。
#37
○松原分科員 救急医療体制についてお伺いをいたします。
 昨年、救急救命士法が成立しました。交通事故が大変ふえておることとか、あるいは高齢社会が進んでおりまして、そのために救急車の出動回数が大変ふえてまいりました。聞きますと、救急車の出動が全国で一年に二百七十万件という回数になっておるようであります。
 ところが、救急車が出ましても、いわゆるDOA、デッド・オン・アライバルですか、心肺機能が停止をしてしまっておる方の森生率というのは、欧米が一〇%を超えておるようでありますが、日本では二%以下というふうな数字だと聞いております。したがって、こういうDOA症例にきちっと対処をするために、救急救命士制度の充実といった問題が今後極めて重要になってくるだろうと思うのです。
 そこで、ちょっと消防庁の方にお聞きをしたいのです。まず最初に、たしか消防庁の職員が十三万名、そのうち救急隊員が全国で四万八千名と聞いておりますが、今度の救急救命士法によって資格を取らせる予定の救急隊員、どういう計画で救急隊員に資格を取らしていこうとしておられるのか、まずそれをお聞きしたいと思います。
#38
○朝日説明員 救急隊員に対する救急救命士の資格取得の件でありますが、私ども将来的には、救命率の向上を図るために、すべての救急隊において常時一名以上の救急救命士が配置される、そういう状態を目標として頑張っていきたいというように考えております。これは数的に申し上げますと一万四千とか五千といったようなオーダーになろうかと思いますが、できる限り早くそうした状態に達するように養成に努めてまいりたいというように考えております。
#39
○松原分科員 つまり、救急車は大体三名でワンチームつくりますね。そのうちに一人そういう資格を持った者をつくっていきたい。三分の一とすると、総数で約一万五千名ぐらいだと思うのですね。できるだけとおっしゃったけれども、三分の一の隊員に資格を取らせるのにどれぐらいの期間を大体めどに置いておられるのですか。
#40
○朝日説明員 この養成につきましては、御案内のように救急救命士の養成施設の整備計画といったものが大きくかかわってくるわけでございまして、現在、都道府県共同出資の救急振興財団によります研修所、あるいはほかに独自の消防機関での養成施設の建設、そうしたものを進めでございます。
 今の段階におきましては、そうしたものの今後の見通しというものにつきまして的確にまだ見通しがたい事情もございますので、何年ということについて明確には申し上げにくい事情がございますが、やはり今回の救急業務改良の趣旨に照らしまして、できる限り早く、できれば十年程度で何とかいきたいものだということを私どもとしては願っているところであります。
#41
○松原分科員 十年以内をめどに、そういう資格を持った救急隊員をつくっていくという計画だと思います。その方向性は私は大変結構なことだと思うのでありますが、そういうふうに資格を取らせた救急隊員が現実に現場に出ていって患者にきちっとした対応ができるかどうか、そのシステムができているのかどうかという点が実はこれから大きく問題になってくるだろうと思うのです。
 まず最初に、ちょっと技術的なことになりますが、いわゆるDOA状態の患者に対して気道確保という措置が今度認められるようになったわけであります。食道閉鎖式エアウェーあるいはラリンゲアルマスクというふうな気道確保の具体的な方法も今回認められたようでありますが、その中に、医療の現場では気管内挿管方式と言われるものも実際使われており、しかもこれは相当効率がいいといいますか、そういう措置だと言われておるのですが、この気管内挿管方式がなぜ今回は排除されたのか、取り入れられることができなかったのか、その点お伺いしたいと思います。
#42
○古市政府委員 今回の法律に基づきまして新しく資格を持って出てまいります救急救命士につきましては、搬送途上において医師の具体的な指示のもとにある一定の医療行為ができるということにしたわけでございます。これを審議した過程で、どのような範囲までがそういう状況の中で必要でかつ安全であるか、いろいろな専門的な意見もいただきまして、今先生がお話しになりましたラリンゲアルマスク等による気道の確保というところであって、いわゆる気管内挿管によるものはやはり危険性も伴うということで、これは外そう。今後、実際の運用を見てまだ検討することになろうかと思いますが、スタート時点においては、これは危険であるということでございました。
#43
○松原分科員 専門的にわたるようですが、気管内挿管方式というのは、いわゆる喉頭鏡というものを使うようであります。喉頭鏡は、しかし救急隊員の仕事の中で比較的軽易とされている中に、異物除去のためには喉頭鏡を使ってよろしいというふうになっておるわけであります。ですから、喉頭鏡を使う気管内挿管方式というものについては、専門の医師の話を伺いますと、救急隊員にきちっとした研修さえ行えば、実際に救急隊員でも運用できるというふうな意見もあるようでありますが、いま一度その方向性について御意見をお聞かせ願いたいと思います。
#44
○古市政府委員 異物の除去について喉頭鏡を使う、それは確かでございますが、いろいろな意味から、喉頭鏡による気道の確保というものは、やはり手技の習得というものにかなりの技術の習得と実際の経験の積み重ねが必要であるそれから気道確保というものにその後、喉頭鏡でやった後、時間を要したり困難な場合があるということ、それからまた、挿管に伴って周囲の喉頭部に対する損傷、気管壁の損傷等から予後に非常に困難を起こすというようないろいろな危惧がございましたので、スタートのときにはこれは除外したという経緯がございました。
#45
○松原分科員 今後の措置の中で検討しておいていただきたいと思います。
 そこで、救急士の資格がどんどんこれから生まれていく計画だ、十年内に一万五千人ほどが生まれてくるということでありますが、問題は、これは医療現場ではそうでありますけれども、一たん資格を取っても、例えばお医者さんにしたところでいわゆる研修制度が行われておる。それから看護婦さんも、資格を取った後自主的な研修という形で新人教育が行われておる。つまり、実践を積まないとこの手の医療のような問題は実際はなかなかうまく作動しない、そういうことになると思うのですね。そうしますと、資格取得後のいわゆる研修体制、この点についてはどのように考えておられますでしょうか。
#46
○朝日説明員 救急隊員が救急救命士の資格を取得した後におきましても、お話しのように知識、技能を錬磨し、その水準を確保していくということは大変大切なことであろうと考えております。各消防機関におきましても、例えば協力医療機関内におきまして、一定期間あるいは定期的に習熟訓練等を予定するといった例も見られるところであります。
 もちろん、当面は私ども有資格者の早期養成ということが差し迫った課題となっておりますが、消防庁といたしましても、各地域での医療機関との連携関係の状況あるいは救急救命士の活動状況、さらに医療技術の動向、こうしたことも踏まえながら、効果的な研修のあり方につきまして検討してまいりたいというふうに考えております。
#47
○松原分科員 もちろん研修と言われるものはいろいろな方法はあるのでしょうけれども、現実に救急隊員が配置されておるその地域、その地域の医療機関あるいは医師との連携、研修関係といったものを主としたものとして考えておられるのでしょうね。
#48
○朝日説明員 お話しのとおり、救急救命士がその活動を円滑に行うためには、その地元地域におきます医療機関との連携関係というものが不可欠であります。したがいまして、そういう意味に資するためにも、今申し上げたようないろいろな意味での医療機関側との体制づくりといいますか、そうしたものに各消防機関とも取り組もうということで努力しております。
#49
○松原分科員 そこのところをもっと具体的にお聞かせを願いたいわけですが、例えば具体的に地域においてどのような医療機関、どのような資格を持った医師と連携を持とうとしておられるのか、その点いかがでしょうか。
#50
○朝日説明員 これは先生御案内のように、各地域におきます救急医療機関の配置状況あるいは運営実態といいますか、そうしたものも異なっておりますし、またそれぞれの地域におきますこれまでの医療機関との協力関係の積み重ねぐあい、こうした点も異なっておるわけでございまして、統一的なものを指し示すといったことは難しいと存じますが、また東京消防庁のように、消防機関の通信指令の中にそうした医師の方が配置されるという例もございましょうし、多くの地域におきましては、恐らくはいわゆる救命救急センターを持っている病院あるいはそれに準ずるような基幹的な医療機関、そこに勤めておられる医師の方々、そうした方々との連携関係を築いていくということが当面のかぎとなろうというふうに考えております。
#51
○松原分科員 実際の力というか技量も持っておるのは、恐らく救命救急センターでしょうね。救命救急センターが中心となって研修体制に取り組むということになるだろうと思うのですが、今度の救急士法では、救急士が現実に患者に対応する場合には、医師の指示を受けなければいけないということになっています。要は勝手にやれないということですね。
 そうすると、医師との信頼関係あるいは医師が的確に救急隊員に指示を出すというシステムができていないことには、これは全く機能しないということになるだろうと思うのですが、この点厚生省、そういう医師もしくは医療機関の救急隊員に対する指示の観点から、日ごろの信頼関係をつくるために、具体的に救急士と医療機関との間ではどうあるべきと考えておられますでしょうか。
#52
○古市政府委員 これは救急医療だけではございませんで、厚生省は、地域全体の医療をどう関連機関と適切に提供していくかという観点から、全国を三百四十五の第二次医療圏に分けまして、その医療圏の中における医療供給体制というものを事前に計画を関係者によってつくらせております。その中で僻地医療、救急医療というものを議論されておるわけでございます。
 原則的には、その計画にのっとって、実際に関係する人たちでまた個別的にもっと細かい計画なり話し合いが行われているというのが実態でございまして、この新しい制度が発足して資格者が出たときに、当然先生が御指摘になったようなことが問題になるわけでございますから、そういうような話し合いが行われるように私どももさらに指導助言をしていきたいと思いますし、そういう中で医師と救急救命士の方々との連携が深められていくということを期待しておるわけでございます。
#53
○松原分科員 救命救急センターのことをお伺いしますが、現在救命救急センターもしくは大学における救命救急の講座は、全国的にはどういうふうな状況になっておりましょうか。
#54
○古市政府委員 先ほど申しました地域での第一次的な夜間、休日とか簡単な処置に当たるというネットワーク、それから第二次的なもの、その上に今御指摘の救命救急センターというのがくるわけでございますが、全国の数で申しますと現在百九カ所、これが第三次と申しましょうか、一番機能の付与されている施設です。百九カ所ございます。
 それからまた、大学等で救急医学の講座を置いてくださっている大学というのが国立て四カ所、私立て六カ所、合計十大学において講座が設けられている状況でございます。
#55
○松原分科員 そこで、救命センター百九カ所設置をされておる。しかし、これは実際に全部の救命センターが稼働しておるのでしょうか。
#56
○古市政府委員 今手元に実績の数はございませんが、それぞれ二十から五十あるいは百の病床を持って動いておりますから、間違いなく稼働しているということでございます。
#57
○松原分科員 それは確かに数字のとり方によりましょうが、実質的な観点から見た場合、百九あるうち、実際に活動しておるという実態をもっておるのは三十ぐらいではないかという意見を持つ方が結構おられるのですけれども、間違いなく全部動いていると言っていいのですか。
#58
○古市政府委員 多分それはかなり期待の高い活動状況というところで、いろいろレベル、線の引き方だと思いますが、これはこの地区に、例えば北海道ですと四カ所でございますし、青森なら一カ所、県立中央でございますから、これが活動していないというのはあり得ないことで、ただ、その程度についてそういう数字が出たのかと思います。
#59
○松原分科員 そこで、救急士と医師との関係、医師が指示を出すわけです。しかも救急車の中にいる者、遠隔地に指示を出すことに多分なるだろう。と思うのですが、具体的にその指示の出し方はどういうふうな方策を考えておられますか。
#60
○古市政府委員 現在、まず第一報は現場なり家から入ってくるわけでございまして、そこである程度の情報を把握して救急車が出動するわけでございます。そのときに、医療機関をどこにやるか、日ごろから大体連携がとれておりますから、聞いていくことができます。それからまた、車の中には医師とのホットラインをできるという電話の装備率を上げていこうと思っておりますから、これから先はそういう電話を使って現場と連絡できる。それからまた、現場に着いたときの状況判断で、最寄りの電話でまたできる、こういうような状況が現実の姿になろうかと思います。
#61
○松原分科員 そこで、救急隊員は医師の指示を得て一定の救急医療行為を行いますよね。その指示の出し方がどうも、電話であるとかいう形、具体的に医師はその患者の状態を見ていない、そういう状態で指示を出すことになると思うのですね。そうすると、救急隊員が、こういう患者がいる、こういう状態だ、どうしたらよろしいかということを医師に指示を求める。そうすると、医師はそれを電話で聞いて、じゃ、こうせいああせいというふうな指示を出すわけですが、もしその指示に間違いがあった場合、過誤があった場合は、結局法的にはだれが責任をとるのでしょうか。
#62
○古市政府委員 一律にはお答えできないと思いますが、事故が起こった場合の責任主体と申しますのは、そのときの患者の傷病の程度、それからまた医師の指示の内容、それから救急救命士が行った処置の内容、そういうものを全体の中で考えられることになろうかと思います。
 しかし、割り切って申しますと、医師が患者の状況を踏まえて救急救命士に対して行った指示の内答が、もう明らかに医学的、社会常識的に誤りがあると認められた場合には、当然医師の指示が責任を問われるということになります。また一方、救急救命士が医師の指示に反した措置を行ったということがこれまた明らかな場合には、救急救命士の方に責任がある、こういうことになろうかと思います。その状況によって責任の所在というものは変わってくると思います。
#63
○松原分科員 それはそうだと思います。問題は、そうなってくると、場合によっては、医者が指示を出した、それが誤っているということは、医者の責任が医療過誤の問題として出てくる。そういういわゆる重大な責任を負った話になりますから、つまり、お医者さんに救急隊員から指示を求めてきたときにちょっと考える、これは下手に指示をしたら自分の責任を問われる。しかし、実際救急隊員が患者を見て正しく認識する能力を持っているのか、状況判断する力を持っているのかどうか、もし疑いでもあるようであれば、それはもう医者は恐らく逃げますよ、自分の責任回避のために。それは無理のない話だと思うのです。
 そういう意味ぞ私は、今度の資格をたくさん取らせます、大変いいことだ。しかし、それを現実に運用するためには、医師と救急隊員との間の深い信頼関係、人間的な信頼関係、あるいは技術に対する医師との信頼関係、そういう密接な関係がないと、この制度は、資格者ばかりできるけれども、現実には動かないという危険性をはらんでいると私は思うのです。これくらいの認識は厚生省もお持ちになって今後の体制を考えておられますでしょうか。
#64
○古市政府委員 御指摘のとおりの危惧もあるわけでございまして、そういうことがないようにいろいろな努力をこれからしていかなかったらいけない。現に、国家試験を目指して半年間郷里を離れて非常に熱心な勉強をしてきた第一期の卒業の人たちが、今度、来週の日曜ですか、受験されるわけでございます。そういう方が社会に出て、先生御指摘のように、少しでもデス・オン・アライバル、これを減らそうという中でやっていくわけでございますから、私は、そういういろいろな危惧を乗り越えて、日本に定着していくということをみんなで支援していかなかったらいけない。当然この新しい資格の人と医療担当者の間の信頼関係というのも、前向きで構築をしていく努力を重ねなかったらいけないと思っております。
#65
○松原分科員 おっしゃるとおり、今度の資格を取得するために、聞くところによると、今度四月に試験が行われますよね。六千名ほどの応募があるのではないかと聞いていますが、とにかく予想を超えて、消防士の皆さんあるいは看護婦の皆さんも資格試験を受けに来ているようです。やはり非常に重要な医療業務であり、ある意味では今まで医師が持っていた技術の世界に一部入ってくるわけですね。しかし、それだけ責任のある仕事をやりたいということで、現場の方々は熱心にそういう方向でやっていきたいという気持ちは、私はよくわかる。
 問題は、それが本当に前向きに展開していくためには、どうも医療の方、医師のサイドあるいは医療機関の方、そこのところの問題が今後恐らく出てくるであろう。したがって、よほどしっかりこの問題について取り組まなければいかぬと思うのです。
 ひとつその意味で、聞くところによると、お医者さん、このごろはどうもちょっと過剰だと言われてきましたけれども、救命救急医、これらの方々についてはやはり医師の数は不足しているのではないか。救命救急というのは大変ハードな仕事だと聞かされています。もう二十四時間、日夜を問わない体制ですし、大体公的な医療機関が多いようですから、普通一般のほかの医者に比べて、待遇の問題もいっぱいあるように聞いております。
 今後、救命救急医師をどういう方向で養成をされようとしておられるのか、あるいは今の現状をどうとらえておられるのか、それをちょっとお聞かせください。
    〔主査退席、唐沢主査代理着席〕
#66
○古市政府委員 そういうような分野のドクターというものは、量もまた質も、まだもっともっと強化していかなかったらいけないというのは事実でございます。
 厚生省の方といたしましては、既に昭和三十五年からこの救急医療の医師の研修というのを始めておりまして、それを受けていただいた方は、現在まで延べ三十五万人の方がこの研修を受けてくださっております。これは一般的な救急医療でございますが、そのほかに脳神経外科、麻酔科、小児科、それぞれの専門領域の研修というものも昭和四十三年、四十四年、それから五十二年とずっと引き続いて開いてきております。
 そういうようなことで、専門医だけでなくて、その周りにおられる先生方にも、許される範囲内でそういう救急医療の知識、技術を身につけていただくという研修をやっておりますが、今後さらにこの事業を充実させてやっていきたいと思っております。
#67
○松原分科員 今までの点をちょっとまとめておきますと、今後恐らく問題がたくさん出てくるという指摘だけにきょうはとどめておきたいのですが、その一つは、やはり救急救命士資格取得後の研修体制をしっかりやらないと、全然動きませんよ。二つ目は、そのためには、どうしても各地域における医療機関との連携あるいは研修機関の充実という問題、そういう意味で医療サイドをきちっとしなければいけませんよね。それから三つ目に、いわゆる救命救急センター、全国に百カ所あると言われているけれども、実際の稼働という面については厳しい指摘も実はなされておる。だから、救命救急センターの本当の充実という問題も、恐らく実は立てなければいけないだろうと思いますし、最後に救急救命医師の養成、そういった面を御指摘申し上げましたが、そういった問題も含めまして、救急医療体制の今後について大臣からひとつ御意見を伺いたいと存じます。
#68
○山下国務大臣 この問題は極めて重要な問題だと私も認識をいたしております。
 そこで、私も大臣になりまして早々、東京消防庁の現場を見てまいりましだ。仰せのとおり、いよいよ四月には国家試験があるわけで、救急救命士第一号が生まれるわけでございます。
 これは、何といっても現場での効果的な救命救急、これはもう一番大切な問題でございますから、特にこの点は、ますますそれに向けての訓練が行われることを私どもも期待いたしておりますし、医療の分野に大きくかかわる問題でございますから、今後とも消防庁とは常に緊密な連絡をとりながら、一体となってこの問題について取り組んでいかなければならぬと私は思っております。
#69
○松原分科員 終わります。
#70
○唐沢主査代理 これにて松原脩雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、中村正男君。
#71
○中村(正男)分科員 社会党の中村正男です。よろしくお願いしたいと思います。
 私は、きょう質問する内容は、地元の障害者を抱えておられます御家庭の父母の皆さん方から強く厚生大臣に訴えていただきたい、こういう要望をいただいてまいったわけでございまして、若干他省庁にまたがる問題もあろうかと思いますけれども、そこはぜひひとつ主管官庁である厚生大臣、厚生省として十分なお答えをいただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。
 そこで、ことしは一九八三年から始まりました国連障害者十年の最終年に当たります。この間、政府としても昭和五十七年三月には障害者対策に関する長期計画、五十九年には身体障害者福祉法の改正、六十一年同じくこれの改正、六十二年には国連障害者十年中間記念行事、平成二年にはいわゆる社会福祉八法の改正等々取り組んでこられたわけでございます。いよいよ十年終わるわけでございますが、振り返ってこの十年の総括と、それからとりわけ最終年である本年の重点的な取り組みについて、基本的なお考えをお聞きをしたいと思います。
#72
○山下国務大臣 今おっしゃったとおり、国連障害者の十年、ことしか最後の年であります。これを振り返ってみまして、だれもがやはり家庭や地域において暮らしていくといういわゆるノーマライゼーション、これがだんだんと国民の間に浸透してきたということは、非常にいい結果が出てきたというふうに私は理解をいたしております。
 また、障害者対策につきましては、国連のテーマでございました完全参加と平等、この理念の実現を目指して諸般の事業をやってまいりました。政府の長期計画に沿って、障害年金の改善を初め、在宅福祉及び施設福祉対策の推進等、各般の施策を着実にやってまいった次第でございます。
 平成四年は国連障害者の十年の最終年であると今申し上げたとおりでありまして、ことしはその最終年を記念していろいろと行事も計画をいたしておりますが、ただ十年終わったからこれでいいよというのではなくて、これで一応の基礎ができたという考え方で、その基礎の上に立ってこれからさらにひとつ充実した計画を長期的にやって、障害者の方々のために尽くしていく、このように理解をしております。
#73
○中村(正男)分科員 そこで、とりわけ九〇年六月に社会福祉八法の改正がございました。今後の社会福祉のあり方が、いわゆる地域密着型のきめ細かな社会福祉体制、これが主眼になっておると思うのです。
 ただ、よく比較をされるわけですが、とりわけそういった地域福祉が進んでおる北欧と比較をいたしますと、これはもう到底その水準にほど遠い。ある学者の先生に言わせますと、一番地域福祉が進んでおるのはデンマークだ。デンマークの水準にまで日本が到達するためにはまず当面四兆円のお金が要る。時間の関係で詳しい中身はお話しできませんが、そういう指摘がございます。それほどまだ実態面では、私は積極的な対応が求められておると思うのです。とりわけ都道府県、市町村段階、地域密着型でありますからこれが中心にならざるを得ないと思うのですけれども、大きな障壁もあり、限界もある。さらにまた、地域間の格差の問題もあると思うのです。
 そこで、今後の重点的な国としての対応をお聞きしたいのですが、一つは財政的な負担の問題、それからもう一つは地域間格差の問題、さらには、都市計画を見直して、長期に地域福祉型のための都市計画はどうあるべきかという施策も問われてくると思うのです。当面の急務でありますマンパワーの養成についても、これは市町村ではやはり限界があるわけでして、今挙げた主要な点だけでも大変な問題なのですが、国全体としてはどういうふうに対応しようとされておるのか、具体的にお聞きをしたいというふうに思います。
#74
○末次政府委員 福祉八法改正、これは住民に最も身近な市町村におきまして、在宅サービスと施設サービスが一元的かつ計画的に提供されるような体制づくり、これを行いまして、地域に密着した福祉サービスの展開を目指したいという趣旨でございます。
 そういう観点から、まず地域におきます社会福祉サービスの充実を図るということで、これまでも身体障害者福祉行政を含めました各種の施策の推進を図ってきたところでございます。平成四年度におきましても、ホームヘルパーの手当の補助額の増額あるいは増員、さらにデイサービス、ショートステイといいました在宅福祉関係予算の拡充、さらに地域福祉の中核になる施設整備の充実といった各都道府県あるいは市町村の福祉サービスの基礎づくりというところにまず力を入れてまいっております。
 さらに、平成五年度から施設入所事務の町村移譲を控えております。これを担当いたします町村職員の研修を現在実施いたしております。また、これは直接の担当職員だけじゃなくて、やはりその当該市町村の首長といいますか責任者、こういう方々にも十分認識を持って理解をしていただかなければならぬということで、特に平成四年度はこういった管理者に対する研修、啓発、これも事業の中で取り組んでおりまして、こういった責任者の方々からこういう問題に関心を持っていただきたいというふうに考えております。
 それから、具体的な体制といたしましては、やはりこれを担当する職員、これを確保していかなきゃならない。それからさらに、それを裏打ちいたします財政負担、こういう点につきまして、これは地方公共団体の基礎的な財政需要ということでございますので、地方交付税におきまして所要の手当てがなされますように、人の確保、さらにこれに必要な財源の確保、これを関係省庁にお願いをいたしておりまして、これはまだ準備段階でございますけれども、順次その手当てもなされつつあるところでございます。
 また、こうした市町村におきます体制整備とあわせましてぺ都道府県が広域的観点から市町村相互間の連絡調整あるいは市町村に対する情報提供その他の援助をするということが大事であるというふうに考えておりまして、こういった施策、さらに先ほど先生挙げられました都市づくりの問題あるいはマンパワーの確保の問題、こういった問題につきましても、福祉の町づくり、あるいはマンパワーにつきましては今国会に福祉人材の確保のための所要の立法措置をお願いいたしておりますが、こういったもろもろの施策をあわせまして、いずれの市町村におきましても総合的な福祉サービスの提供が円滑に実現できますように、厚生省といたしましても都道府県と連携を密にしながら努力していきたいというふうに考えております。
#75
○中村(正男)分科員 そこで、私の方がらお願いしたいことは、重度障害者に対する療護施設、これが絶対的に不足をしているんじゃないか、こういう問題であります。
 現在、肢体不自由者の更生施設、重度身体障害者更生援護施設、身体障害者授産施設、重度身体障害者授産施設、身体障害者通所授産施設・福祉工場と、それなりに法的な裏づけがあって存在をしておるわけですが、中でも深刻な問題というのは、やはり全国的に見てもそうなのですが、生活施設、療護施設、これが極めて不足をしているのじゃないか。
 私どもの地元の、その父母の皆さん方もおっしゃっているのは、自分たち親が生きている間は何とか、自分の家族なんだから何をさておいてもこれは面倒を見る。しかし、親もだんだん高齢化が進むわけですし、ましてや親が亡くなったとき、その後一体どういうふうになっていくのか、それが今のこの施設の実情からすると極めて不安であるというのが全員の皆さんのお声でございます。そこで、生活施設、療護施設についての現状認識についてひとつお考えをお聞きをしたい。
 それから、これから地域福祉を進めなきゃならぬわけですが、この療護施設をいわゆる地域福祉のセンターにしていくというふうなことが一番いいんではないかというふうに思うわけですが、その点についてお聞きをしたいと思います。
#76
○末次政府委員 身体障害者の療護施設につきましては、全般的にやはり重度化あるいは高度化、さらに高年齢化、こういうことが言われておりまして、全国的に見ましても約半数近くは五十歳以上というような状況になっております。
 したがいまして、こういった身体障害者療護施設について入所需要が高いということから、重度障害者施設緊急整備五カ年計画、これは平成二年度から六年度までの計画でございますが、こういう計画をつくりまして、現在その整備の促進を図っておるところでございます。関係の都道府県に対しましても、この身体障害者療護施設につきましては、障害者の高齢化、重度化に伴って入所需要が高いというところから、各都道府県について療護施設のニーズについて的確な把握を行い、計画の整備を図るようにという趣旨の指示をしておるところでございます。
 また、最近特に施設の社会化というようなことも申し上げておるところでございますが、こういった社会福祉施設は、地域におきます一つの福祉の資源であるというふうに私ども考えておりまして、こういった施設がその地域におきましてその機能を提供するということで、地域福祉を増進していくということは非常に好ましいことではないかというふうに考えております。
#77
○中村(正男)分科員 次に、就労保障の問題ですね。社会参加、健常者の人たちとともに生活をしていく、こういう意味合いで、やはり労働につくという保障を、国としても基本的にこれを確立をしなきゃならぬと思うのです。今確かに一般企業の雇用の問題、モデル工場、福祉工場、授産施設、職親制度、作業所等々あるわけですけれども、私の地元でも最近は障害者を抱えておられる父母の皆さん方を中心に、自主的に作業所なりあるいは生活施設というものをつくっておられます。それぞれお聞きをしますと、若干都道府県なり市町村からの援助があるけれども、国はほとんどないというのが聞こえてくるわけですね。そういったことに対するまず国としての助成についての基本的な考え方、それをお聞きをしたいと思います。
#78
○末次政府委員 こういう授産施設という中には、先生挙げられましたようにいろんな種類があるわけでございます。私どもといたしましては、在宅の障害者が適所して作業を行うというニーズ、これに当面こたえていかなきゃならぬだろうというふうに考えておりまして、定員規模二十人以上であること等の一定の要件を備えました適所授産施設の整備を促進したいというふうに考えておりまして、年間おおむね千五百人から二千人程度の定員増を逐年図っているところでございます。
 また、こうした施設に交通の便等で通いにくいというようなところにつきましては、平成二年度から授産施設の分場方式という方式をつくりまして、いわば授産施設の支店と申しますかブランチと申しますか、そういうところではさらに小規模でもいいというような制度をこしらえまして、現在までに既に十三カ所でこういった事業を行っております。また、できるだけ利用しやすいという意味で、身体障害者の適所授産施設に精神障害者の方あるいは精神薄弱者の方、こういった方も適所いただけるようにという、いわゆる混合方式という方式も取り入れまして、できるだけ利用しやすいような方法に持っていきたいというふうに考えております。
 それから、さらに小規模といいますか、精神障害者、あるいは特に精神薄弱者が多いだろうと思いますが、父母会等で簡易にといいますか、自由にそういった事業をやりたいという需要もかなりあることは確かでございます。私どもはそれはいわゆる小規模作業所というふうに呼んでおりますが、この小規模作業所につきましても、障害者対策の一環として、一定の要件を具備するものにつきましては補助制度をつくろうということで、国の補助額あるいは対象箇所数の増を現在努力中でございます。平成三年度には補助単価を若干アップいたしましたし、平成四年度におきましても箇所数を百三十カ所増加するというような施策をとっておりまして、今後ともこの小規模作業所につきまして充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
#79
○中村(正男)分科員 地元で大阪府なり市町村にいろいろ聞きに行ったのですが、結論的には、七人以上の施設であれば、国は関与はしておりませんが、府なり市町村から一定の年間補助金が出ているということですね。さらに、特定のそれ以下の人数のところでも、例えば大阪の豊中市では五人から六人のところが一カ所で、基準補助額が年額二百十万円。吹田市では四人から六人のところが三カ所あり、これについては基準補助額一名当り月額九万七千二百八十円掛ける利用者数掛ける十二カ月掛ける二分の一、こういう補助がなされているのですが、最近は、よりもっと少ない五名以下のところが随分ふえているし、むしろそれが一番面倒を見やすいというのがお父さんやお母さんの方の御意見なんですね。
 それらには全く補助がないのです。国はもちろんのこと、府、市町村もないわけです。これも何とか国の指導なりで府、市町村にそういった義務づけができないものか。もちろん国がちゃんと基準をつくってもらうということが一番望ましいわけですが、それが一つ。
 それから、これは建設省の問題かもわかりませんが、例えば公的な集合住宅がつくられる。そうした場合には、必ずその一室を障害者の皆さん方がそこで生活ができるような、そんな部屋を国の責任で保障するというふうなことができないものか。結局重度障害者を持っておられる方は、親が一対一で面倒を見ておられる。その間一日じゅう何もできない。しかし、仮に三人でも四人でもそういう同じ子供を持っている、同じ障害を持っておる人が近くのそういう集合住宅の一室に集まってくれば、その中で仮に四人障害者がおられても、それは必ずしも親が四人必要ではない、三人でカバーできる、あるいは二人でカバーできる。そうすると、一人二人の親はその間いろいろなことができる。
 こういう現実的な要望というのがあるわけですね。これは、きょうここでお答えは、建設省の問題もありますからちょっと無理だと思うのですが、主管官庁としてそういうことも頭に入れていただきまして、横断的な省庁の取り組みとしてぜひひとつ推進をしていただきたいと思います。
 そこで、地元の問題なのですが、具体的に申し上げますと、大阪府下で今身体障害者手帳を持っておる方は十二万三千三百九十四人、これは平成二年度の数字であります。国全体としては百九十四万七千八百二十一人、これも六十三年度の社会福祉行政業務報告から見たのですが、こういう数がまずある。特に大阪の場合、平成二年でありますけれども約十二万人、このうち三分の一は介護者が必要と言われておるわけです。しかし、それに相応する療護施設ということになりますと、九カ所、五百八十名の収容能力しかない。これは、障害者を持つ親御さんとしては到底安心できる状態ではないのです。私も大阪府にも強く要望しますが、ぜひ国としても大阪府に対する格段の御指導をお願いしたいと思います。
 さらにその中で、私どもの地元、北河内を見てみますと、枚方の津田というところに津田療護園がございまして、百名の収容能力がある。しかし実際は、高齢者が大半のウエートを占めておられて、肢体不自由者の若い方々がもう入れない。新たなものがどうしても近々必要だ、こういう要望がございますので、ぜひひとつお聞き取りをいただきたいと思います。
 それから、今大阪の例を申し上げたのですが、大阪府下でも地域的に施設の差があるのですね。一口で言うならば、大阪の南部は比較的障害者数の比率においても施設がある、東部、北部は非常に少ない、こういう実態なのです。これにはいろいろの理由があります。地価の問題もあり、地元の理解の問題もあります。ありますけれども、やはり国として、一定の障害者数の比率というもので療護施設をつくらなければならないという法的な整備が必要ではないかというふうに私は思うわけですが、とりあえずその点のお考えをお聞きをしたいと思います。
#80
○末次政府委員 身体障害者の療護施設につきましては、先ほど申し上げましたように、全国的に待機が解消されていないというところで、緊急整備五カ年計画を実行している段階でございます。
 大阪府におきましては、設置状況といたしましては、平成四年四月開所見込みが一カ所ございまして、平成四年度からは十施設、六百三十人というような整備状況になるというふうに伺っております用地域的な問題、いろいろあろうかというふうに考えております。
 要因につきましても、おっしゃいましたような要因が恐らく響いているのではなかろうかと考えておりますが、今後の療護施設の整備に当たりましては、待機者の状況あるいは当該地域の実情あるいは適正配置といった点を勘案しながら、整備を促進するように指導を進めてまいりたいというふうに考えております。
#81
○中村(正男)分科員 次に、これは冒頭申し上げましたが、あくまでも障害者を持つ親御さんたちの強い要望でございまして、それぞれの省庁にまたがる問題でございますから具体的な答弁は難しいと思いますが、要望だけ申し上げておきますので、ぜひひとつお聞きをいただきたいと思います。
 第一点は、高速道路の料金の問題です。今障害者が運転する場合は料金が減免されている。ところが、介護者が運転した場合、もちろんそこには障害者が同乗しているという前提でありますが、その場合は全くそれが適用されない。これは極めておかしな話じゃないか。運転でさる障害者であれば、これはまあそれなりの安全性もきちっとなされた上で運転されているわけですから、そういう人たちに減免があって、運転できない障害者を介護者が乗せて病院へ通う、あるいは適所へ行く、それに全くそういう措置がない。大臣、こんなばかげた話は本当にないと思うのですよ。こんなことから、私は、国が強力な指導をすべきじゃないか、これが第一点。
 それからもう一つは、療護施設をつくるにはやはり土地の問題があります。これは思い切って国有地を積極的に活用するという施策を出してもらいたい。
 それからもう一つは、社会全体の認識を高めるという意味合いで、とりわけボランティア活動に対する社会的な理解を高める。そういう意味合いで高校、大学にボランティア育成のための専門学科を設けるというふうなことも、私は今日の社会の要求として当然ではないかというふうに思うわけです。
 それから、障害の重い方はどうしても医療費がかかります。すべての障害等級を持っている方というわけにはまいりませんが、せめて障害一、二級の方については医療費を無料にするというふうなことも、これは国の責任でやるべきではないかと私は思います。
 それからいま一つは養護学校、これは共通しておっしゃることなんですが、小学、中学、これを終えると家族のもとで二十四時間面倒を見るということになるのですが、やはりちゃんとした公的なところで訓練、リハビリ含めてするためには、これでは余りにも年限が少ないのではないか。もう三年間、ぜひひとつ養護学校の期間というものを延長してもらいたい。これも文部省の管轄かもわかりませんが、主管省庁として前向きにひとつ推進してもらいたいと思います。
 最後に、何といいましても、これは完全社会参加と平等というのが基本であります。そういう意味合いでは社会的な、もっとそういうことに対して目を向けさす、こういう意味合いから障害者の権利宣言、これが採択をされた日が十二月の九日になっておりますが、これを国民的な休日にして、より関心を高めるというふうなことはいかがなものかというふうなことを申し上げて、大臣の御見解をお伺いして、終わりたいと思います。
#82
○山下国務大臣 障害者の対策につきましては、年々、しかも改正ことに改善されていると私は認識をいたしておりますが、今後さらに十分配慮してまいりたいと思います。
 また、厚生省の所管しない他省庁の問題についても御質問がありましたが、これらの問題につきましては、その趣旨を各省庁にお伝えしたいと思います。
#83
○中村(正男)分科員 終わります。
#84
○唐沢主査代理 これにて中村正男君の質疑は終了いたしました。
 次に、井上義久君。
#85
○井上(義)分科員 初めに、低肺患者の対策の件についてお伺いしたいと思います。
 先日、私の地元であります世田谷区在住の低肺で苦しんでいらっしゃる御婦人を訪ねたわけでございます。若いときに結核の手術を受け、その後は健康に暮らしてきたわけでありますけれども、六年前に呼吸器不全で倒れまして、現在は在宅で酸素療法を受けておられます。老夫婦の二人暮らしで、脳梗塞の後遺症の残る御主人がほとんど寝たきりの御夫人を看病していらっしゃる姿は、私も本当に大変だなという思いをしたわけでございます。
 御承知のように、結核は国民病、亡国病、こういうふうに言われまして、一九五八年当時で約三百万人を超す結核患者がおりまして、約三十万人の結核外科手術症例があったわけでございます。現在注目しなければならないのは、手術後三十年を経て、多数の結核後遺症としての心肺機能低下、呼吸不全患者を生んでいるということでございます。結核のピークが過ぎてから三十年後、すなわち、一九九〇年から二〇〇〇年にかけてが結核手術患者の後遺症がピークになると考えられるわけでございます。当然高齢化が重なり、単身者、老齢世帯がふえておりまして、極めて緊急の対策が望まれる事態となっておると思います。
 特にこの低肺の恐ろしさは、風邪などの感染症によって急性増悪と呼ばれる急性悪化を起こして、数時間のうちに致命傷となるということでございます。一例を挙げますと、急性増悪の兆候があって救急車で運ばれまして病院に行きますと、軽い場合は何でもありませんということですぐ帰されるわけですけれども、重い場合には命にかかわる重体になってしまうということで、健康とそうじゃない場合の幅が極めて狭いわけでございます。健康な人には考えられないことでございますけれども、低肺の患者の皆さんにとっては大変な状況で毎日生活されている行けでございます。
    〔唐沢主査代理退席、甘利主査代理着席〕
 そこで、まず第一に、この患者の皆さんが繰り返し要望していらっしゃいます低肺ホーム、いわゆる低肺機能の方々の専門のホームを設置していただきたいということでございます。
 低肺の患者の皆さんは、疾病患者としては、例えば、酸素療法なんかにょって治るわけではございませんから、厳密な意味で病気とは言えないわけでありまして、病院には入院できない。しかし、先ほど申しましたように、急性悪化による急性増悪の危険があって、患者も高齢化し、ひとり暮らしの人もふえており、いつも不安の中で暮らしていらっしゃるわけでございます。したがって、排たん器ですとかネブライザーによる吸入療法がいつでもできる、さらには熟練した医師や看護婦による健康管理体制というものが整った、そういう低肺ホームというようなものをぜひ設置をしてもらいたいということでございますが、まずこの点について御見解をお伺いしたいと思います。
#86
○末次政府委員 いわゆる低肺機能の身体障害者の施設としましては、身体障害者福祉法に基づく内部障害者更生施設、重度身体障害者更生援護施設、こういった施設で受け入れを図ってきております。
 内部障害者更生施設は全国で十カ所設置されておりますけれども、ここは非常勤の医師を置くごととされているほか、協力医療機関を設けるための経費を措置費に計上いたしまして、低肺患者のために必要な医療面の確保を図っております。
 このほか、低肺機能の障害者を対象にしました重度身体障害者授産施設、清瀬喜望園という名称でございますが、これが設置されております。
 また、平成元年度には、医師の常勤する重度身体障害者更生援護施設において重度の内部障害者を対象とできるように改めてまして、神奈川県あるいは広島県で低肺機能の障害者を受け入れる施設がスタートをしたところでございまして、今後ともこの低肺機能の障害者の方々に対しまして、こういった施設を活用することによりまして、道切に対応できるように努力していきたいというふうに考えております。
#87
○井上(義)分科員 次に、在宅酸素療法を行っている患者の方はたくさんいらっしゃるわけでございますけれども、急性増悪の危険がございます。そこで、訪問看護制度などの新しい制度を利用して、きめ細かな在宅患者へのフォローをぜひやっていただきたい、こう思うわけでございますけれども、この点はいかがでございましょうか。
#88
○岡光政府委員 おっしゃいますように、自分のうちで生活をなさっている、特にそういうハンディを負ったお年寄りの生活をなお維持させる、寝たきりにならないようにする、そういう趣旨で老人訪問看護を今度始めようというわけでございますので、御指摘がありましたような在宅酸素療法を行っている低肺患者の中で、そういうお年寄りにつきましては、これはもちろん主治医の訪問看護の必要性の判断が必要でございますが、それを前提にいたしまして老人訪問看護の対象にするというのは十分考えられることだし、また、趣旨に沿うことだというふうに考えております。
#89
○井上(義)分科員 次に、先ほど申し上げましたように外科手術症例が約三十万、こう言われておるわけでございます。そういうふうに考えますと、潜在的な患者はまだまだ多いと思われるわけでございます。
 そこで、保健所などを通じて、これらの潜在患者の掘り起こしのための啓蒙活動というものができないのかどうか。それからまた、保健所で患者のための自己管理やリハビリ方法を習得し、急性増悪を予防できるような呼吸器教室というものを開けないのかな。これも患者の皆さんの要望でございますが、この点はいかがでございましょうか。
#90
○寺松政府委員 結核後遺症を有します潜在的な患者というものにつきまして、完全に把握するのはなかなか難しいのでございますけれども、保健所におきましては、家庭訪問や衛生教育等の一般的な保健指導を通じまして、低肺機能を含んだ結核後遺症の患者への取り組みを行っているところでございます。
 特にその中でも、結核再発のおそれが高いようなそういうケースにつきましては、結核再発防止あるいは結核予防の普及啓発の観点から、結核対策といたしまして健康相談や家庭訪問指導を行っている、こういうのが実情でございます。
 今先生御指摘の呼吸教室というものでございますか、そういうふうなことの事例を八つぐらいの県、市で行っておるようでございますが、私どもも、そういうふうなことによりまして健康相談や呼吸体操あるいは腹式呼吸というふうな実技の指導というものをやってまいりたいということで進めておるわけでございます。
#91
○井上(義)分科員 次に、いわゆる呼吸不全の治療には熟練した医療スタッフが必要であるわけでございます。そのために、いわゆる呼吸器科の医師とか看護婦に対して、こういった低肺患者の皆さんの状況に合わせて、それに遣切に対応できるような研修制度というものを設けて実施する考えはないかどうか、この辺もお伺いいたします。
#92
○古市政府委員 一般に医師、医療従事者は、自分の関係する領域について絶えず自己研修、生涯教育をやっていかなかったらいけないということでございますから、それは当然やられていることでございますが、御指摘の在宅酸素療法を中心としたものについては、手技等について全国のお医者さんにまだ十分知られていないということもありましたので、私どもは、日本医師会と協力いたしまして、在宅酸素療法のマニュアルの作成事業というのを行いました。それにょりまして、お医者さん用にはこのように「在宅酸素療法ガイドライン」というのをつくりまして、これを配付いたしました。また、患者さんには患者用のマニュアル、さらには医療者、患者両用のビデオ等をつくって全国の関係者に配付して、理解を深めていただいているということをやっております。
 今後も、必要に応じてこの種の事業をやりたいと思っております。
#93
○井上(義)分科員 その次に、ダウン症の件について一つだけお伺いしておきたいと思います。
 ダウン症のお子さんをお持ちのお母さん方、お父さん方は、大変厳しい中を何とか子供を育てようということで、一生懸命努力をされているわけでございます。そういう皆さんの中で非常に要望が強いのは、早期療育ということでございまして、いわゆるダウン症の子供たちにとって知的な面での早期療育というものをやりますとかなり回復する。回復するといいますか、かなり成長するということでございまして、ここに皆さん大変期待をされているわけでございます。
 そこで、ダウン症を対象とする早期療育について一問だけちょっとお伺いいたしますけれども、ダウン症の子供たちにとって知育の面でのいわゆるポーテージ法とか、あるいはワシントン法と言われているような早期療育というものが非常に有効であるというふうに言われておるわけでございまして、この方法は日本に入ってきてまだ歴史が浅いわけでございますけれども、私どもが伺っております範囲では、子供たちは目覚ましい知的レベルの向上を見せておるということでございます。これらの早期療育には大きな可能性があるやに思われるわけでございます。
 ところが、今こうした療育を行っているところはかなり限られているということと、それから、そういう塾なんかに子供たちを通わせるということになりますと、費用も非常にかかるということが大きな悩みでございまして、そういう点からこれらの早期療育の有効性というものをまず検証する必要があるのではないか。そして、それが本当に有効であるということであれば、マニュアルをつくるなどして、これを普及していくことが大事ではないか、私はこう思うわけでございます。
 まず、この早期療育ということについての見解、それからまた、それを検証し、マニュアルをつくること、それからさらに、そのためにそれらのことを研究している大学とか養護施設なんかがあるわけでございまして、そういったところに助成をすることができないかどうか、この辺についてお伺いしておきたいと思います。
#94
○土井政府委員 御指摘のとおり、心身に障害のある児童に対しまして、早期の療育体制の強化ということは非常に重要な課題であると考えております。
 ダウン症による知的障害を持つ子供たちの療育に関しましては、これまでも、これは既存の体系でございますけれども、精神薄弱児の通園施設等の整備、あるいは心身障害児の通園事業の実施、それから児童相談所、保健所等の関係行政機関の連携による相談指導といったようなことを実施をしておりますけれども、今後ともこれらの施策の推進には努力をしてまいりたいと思います。
 また、御質問にございました新しい療育手法の普及の問題でございますが、この研究助成につきましては、ちょっと古うございますが、昭和五十五年度から五十八年度の心身障害研究におきまして、ポーテージ法の我が国における導入のあり方について研究をいたしまして、日本版のプログラムを作成するなどの取り組みを行ってきております。それからまた、昭和六十二年度からの心身障害研究におきましては、ダウン症児の療育効果向上のための方策に関する研究を行っているところでありまして、今後とも、これらの療育方法に関する調査研究をとりあえず力を入れて推進してまいりたいと考えているところでございます。
#95
○井上(義)分科員 続きまして、医療費の保険外負担の解消の問題についてお伺いをしたいと思います。
 高齢化社会の進行に伴いまして、老人医療を中心に今保険外負担が大きな問題になっておるわけでございます。具体的には、差額ベッド、付添婦、お世話料、おむつ料というさまざまな名目で、保険外負担が患者や家族に大きな経済的圧迫となっているわけでございます。老人医療に限らず、この保険外負担の解消は、保険医療全体の問題として解決しなければならないというふうに考えているわけでございますけれども、この保険外負担の解消ということについて大臣は基本的にどのようにお考えか、お伺いしておきたいと思います。
#96
○山下国務大臣 保険外負担、特に差額ベッド等につきましても、従来から一定のルールをつくりましてそのように指導をし、適正な運用を図ってきたのでございますけれども、今申し上げましたように保険外負担が適正なルールに沿って今後とも行われますように、十分監督をしてまいりたいと思っております。
#97
○井上(義)分科員 ルールに従ってということでございますけれども、まずこの差額ベッドの問題でございますけれども、これは厚生省告示で、現行、国立病院で一〇%、それ以外の一般病院では二〇%というふうに決められているわけでございます。さらにまた、三人以上の病室での差額は徴収しない、このように指導されているわけでございます。二月十二日の中医協への諮問では、一律五〇%以内をめどに四月から大幅に緩める方針を打ち出して、それに沿った答申も出されているわけでございます。
 その理由に、患者ニーズの高度化、多様化、いわゆる個室を望む患者がふえて、いるということのようでございますけれども、特に大都市圏、私どものおります東京等では、現行の基準を超えたさまざまな名目で、実質的な室料差額を取っているところが多いわけでございます。例えば患者ニーズの非常に高い学校法人病院、いわゆる大学病院ですね、これは厚生省からいただいた資料でも、基準外の三人部屋で今現在も一六・二%が差額を徴収しているという現実があるんですね。この差額ベッド五割の容認というのは、こういった実態を追認してしまうのではないか、さらに助長するのではないか、結果として患者、家族の保険外負担を増大させることになるのではないかというふうに心配をするわけでございますが、この点いかがでしょうか。
#98
○黒木政府委員 差額ベッドに絡みまして、あわせて今回の措置にまで御言及なさったわけでございますが、まず差額ベッドの現在の考え方でございますけれども、これは昭和五十九年の健保法改正におきまして、特定療養費の対象として法制度上位置づけたわけでございます。したがって、これもきちっとした規則の形でルールを示したわけでございます。そのルールは、先ほど先生がお触れになりましたように、三人室以上しゃだめである、一人、二人の部屋に限るということでございます。したがって、三人室以上の差額徴収というのは年々減っておりまして、ほとんど取ってない県がふえておるわけであります。残念ながら都心部の私立大学等ではまだ見られるわけでありますが、数字的には四十九年に一九・二%であったものが今一〇・一%ということで、差額ベッドの割合は年々減少を見ているわけでございます。
 そのほか、差額徴収ベッドの割合も御指摘のとおりでありまして、国は一割、それから都道府県知事の承認を受けたような場合には三割という特例がありますけれども、原則として二割になっておりまして、さらに、これはすべて患者自身の希望によって入った場合というように厳しいルールを定めておるわけでありまして、先ほど大臣がおっしゃったのも、そういうルールに沿った連営をさせますということでございます。
 今回の措置によってこのルールが大幅に乱れるし、今もルールを守ってないところがあるんだから、拡大するんではないかというお尋ねでございますが、私どもは、むしろルールはきちっと守らせようということが真意でございまして、今回の措置によってそういうふうに動いていくんではないかと思っております。と申し上げるのは、もう先生御案内のように、東京都とか都会では個室に対するニーズが非常に高まっておりまして、病院は個室から埋まるというようなことも言われるほどでございます。
 そこで、どうするかでございますが、医療機関においてもだんだん個室の比率が高まる状況があるわけでございます。そういう現実を踏まえまして、若干特例としてそういう動きに対応する必要があるというふうに私どもは考えまして、一定の厳格な要件のもとに緩めようかなというふうに考えておるわけでございまして、これまでの原則のルールは変えもつもりはありませんけれども、一定の要件を満たします場合には、従来の都道府県知事の承認ではなくて、厚生大臣が個別に審査して承認をする医療機関に限りまして、原則として五割まで徴収を認めるという形に考えておるわけでございますので、御懸念がないし、例えば私立大学が五割まで認めてほしいと言った場合には、ルール外の三人部屋とかあるいは四人部屋で差額徴収が行われている場合は承認をいたしませんので、むしろ私どもは、きちっとしたルールに沿って動いていくのではなかろうかと思っているわけでございます。
#99
○井上(義)分科員 アメニティーを追求するということは医療の一つの大きな課題だろうというふうに私は思うわけでございます。ただ、それがイコール差額ベッドの増床ということはいかがなものかなというわけでございます。本来であれば、例えば一人部屋であっても差額を取らないでやっていけるということが理想なのでありまして、こういう傾向を助長していきますと、医療の差別化ということがまたさらに進んでくる人じゃないかな、私はこういうふうに思うわけでございます。
 そういう意味で、アメニティーを追求するということが、何か個室がふえ、それで差額ベッドがふえるというようなことがあってはならないんじゃないかな、こう思うわけですけれども、どうでしょうか。
#100
○山下国務大臣 保険局長が御説明申し上げたとおりでございますが、私は、一つはやはりニーズの問題だと思います。個室から埋まるという話をしておりましたけれども、個室がなければまた他の個室のついている病院を探して回るという事例はたくさんあると思うのでございます。私は佐賀県でございまして、出身も田舎の方でございますから、公的病院がございますけれども差額ベッドはほとんどございません。つくっても入る人は余りないんです。ですから、そういうニーズに沿ってやはりこういうものは推移していくべきだろうと思います。
#101
○井上(義)分科員 これは先ほどルールに沿って指導というお話がございました。今回、厚生省が中医協への諮問で、いわゆる病院内表示義務化ということを打ち出されたということは、改善の第一歩だというふうに私も評価しておるわけでございます。ただ、病院内では、患者、家族というのは治療される側で、非常に弱い立場にあるわけでございます。そういうことを考えますと、本当にルールに従ってやらせるということになりますと、やはり厚生省の行政の指導ということがかなり重要だ。
 そういう意味で、例えば患者から具体的にそういう問題があった場合に相談を受けるような窓口をつくるとか、あるいは行政指導をさらに強化する、そして本当にこの保険外負担というものを解消していく、ルール以外のものは本当になくすんだ、こういう強い姿勢が必要だと思いますが、この点いかがでございましょうか。
#102
○黒木政府委員 確かに、差額ベッドの運用に当たりましては、患者さんの理解が非常に大事だと思っておるわけでございます。特に今回の承認に当たりましては、私どもは具体的な要件といたしまして、そういう相談体制、入退院につきます相談体制がとられているという要件を一つ課すことにいたしておりますし、さらに差額ベッドに関します事項を患者の見やすい場所に掲示させることも、先ほど申しましたように、三人室以上を差額病室としていないという条件に付加する形で、厳正な運用を心がけていきたいと思っておるわけでございます。
 表示に絡んでのお尋ねでございますけれども、現在どうなっているかと申しますと、患者の希望があった場合に差額徴収ができるわけでありますから、そこはもう当然患者に対して十分な説明を行いまして、同意を得た上での差額ベッドの運用でございます。したがって、私どもは療養担当規則でルールを定めているわけでありますが、ルールあるいは法令の規則として、あらかじめ病院は患者に対しまして、差額ベッドあるいは差額の徴収につきまして、その内容及び費用に関して説明を行いまして、その同意を得なければならない旨を定めておるわけでございます。
 それに加えまして、その同意を得ることに、説明をすることに加えまして、だれでも目につくところに、我が病院では差額徴収をしておりませんとか、三人室以上は取りませんとかいったような差額ベッドのルールについて、だれでもああそうなっているのかということがわかるように、院内の表示を義務づけようというふうにしているわけでございますから、差額ベッドに入られる御本人のみならずいろんな人が、個々の病院全体の病室についての費用の関係あるいは厚生省の定めているルールが御理解をいただけるような形で、一歩前進になるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#103
○井上(義)分科員 保険外負担の問題でもう一つの問題は、付添婦の問題でございます。いわゆる患者、家族の経済的な負担として重くのしかかっているのがこの付添婦の看護料金の問題でございまして、最大の問題は、患者による給付格差につながっているということだろうと思うのです。
 基準看護病院とかあるいは特例許可老人病院、こういうところに入院した患者の場合は負担はゼロなんですけれども、一般病院に入院すると、付添看護婦料金の還元金といわゆる付添婦の料金との差額、これを自己負担しなければならない。これがかなり大きいわけでございます。患者が医療機関の選択によって差別をされているということでございますので、まず、いわゆる還元金と現実の雇用料金との差、これが非常に大きくなってきている。厚生省としてこの支給基準の引き上げを考えるべきではないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
#104
○黒木政府委員 御指摘のように、付添婦をつけられた場合には、それを実勢価格というようなもので患者さんは払うわけでございますが、私どものそれに対する償還との間に差がある。私どもの金額を引き上げても、実勢価格がまたその上にいくというような非常に悪循環を今まで重ねておりまして、そこで厚生省としては、おっしゃったように、やはり基準看護病院、完全看護が行われてそういう付添婦がつけられない病院と、付添婦をつけさせられて保険外負担が生ずる病院との差等というのは適当ではないなということで、私どもの基本的な方向としては、これからは院内看護の体制で入院患者が見られるように、外からの付き添いではなくて院内の看護体制の中で、付添料金を払うことなしに、我が方の現物給付サービスと申しますか、その中で看護が行われるような方向にしたいというふうに考えておりまして、今回の私どもの改正におきましても、基準看護がとりやすいように類別の見直しとかあるいは介護力強化病院の拡充とか、いろいろな形で看護の院内化が図られるような措置を講じたところでございます。
 したがいまして、厚生省の方針は、先生お尋ねでございますけれども、償還額を引き上げるということじゃなくて、現物給付と申しますか、付添看護婦の院内化こそを図っていくことによって、公平な看護が国民にひとしく受けられるような体制にしていきたいと思っておる次第でございます。
#105
○井上(義)分科員 理想と現実のギャップをどう埋めるかということも行政の大事な仕事の一つだと私は思いますので、理想は理想として私どももそのとおりだと思いますけれども、じゃ、具体的に現実とのギャップをどう埋めていくのかということについてのお答えがないなということを私は指摘しておきたいと思います。
 それで、確かに基準看護病院への誘導ということなんですけれども、例えば基準看護病院でも、現実は付添婦をつけてくださいということで大変な負担を強いられたという、この場合は還元金もないわけですから、そういう具体的なお訴えが幾つも私どもの方に来ているわけでございます。こういうケースの場合は全く救済がないわけでございます。ところが、看護婦の需給見通しなんかからいいますとこういう実態はなかなか解消しないのではないかということで、こういった理想と現実とのはざまにいる人を救済するような方途というものを考えるべきではないかというふうに、最後に一問だけ質問させていただきます。
#106
○山下国務大臣 基準看護病院内で患者負担において付添看護が行われる、これはあってはならないことであります。今後厳重にこれは監視してまいらなければなりませんが、一つには、やはりそういうことはしていけませんよというような周知徹底を図ることも必要であると思いますので、その辺もまたやっていきたいと思います。
#107
○甘利主査代理 これにて井上義久君の質疑は終了いたしました。
 次に、岩田順介君。
#108
○岩田分科員 本日は、同和行政の問題並びに、時間がありましたならば、中国残留婦人問題について若干お尋ねをしたいというふうに思っておりますが、御答弁をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 日本は、戦後、経済大国というふうに言われるような発展を遂げてまいりました。経済の発展を中心に走ってまい、ったわけでありますが、これに対する世界の目はいろいヶあるわけであります。さきの国会で就任をされました宮澤首相は、品格のある国家形成ということを理想に掲げ、そして、本国会の冒頭には生活大国を目指すというふうに言われました。これ自体大きな問題はあるんですけれども、足といたしまして考えてみましても、生活大国というのは、いわゆる日本の今の経済力に見合った国民の生活が一体どうであるかということを考えれば、これは一目瞭然でありまして、当面、勤労者の時間短縮の問題やゆとりを求めて政策を展開する。つまり、言ってみれば民主主義を前進させようという思想ではないかと思います。生活大国とは言われますけれども、しかし、日本の人権問題については、国内はもとよりでありますけれども、国際的に批判がこの近年も集中したわけであります。
 山下厚生大臣は、部落問題、そして同和問題については非常に御努力をされてきたことを高く評価しておるわけでありますが、昨年の十二月、地対協における意見具申というものが出されました。これに基づいて政府は大綱を決定されて推進していく、こういうふうになっているわけですね。
 同和問題につきましては、昭和四十年に同対審の答申が出されました。非常に崇高な方針のもとにこれを実行しようということになったわけでありますが、残念ながらすぐこれに着手をしていないのですね。四年間ぐらい間隔を置いて、この事業法として特別立法が制定されて、そして名前も変え期限もまちまちでありますけれども、四半世紀を超えて今日まで事業法が実施をされてきた。これにつきまして、政府は一貫してこの一般対策への移行を言われてきたのであります。しかし、地対協の皆さん方に関係者の熱い意見が届きました。政府にも届いたと思われますが、努力が一定実りましてこの意見具申というふうになったと思いますけれども、この意見具申に対して一体どういう御所見をお持ちなのか、どういうふうにしていかれるか、大臣のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
#109
○山下国務大臣 昨年の十二月に提出されました地対協意見具申、これは大体要点は三つでございまして、まず第一に、地対財特法失効後の方策について、二番目に、今後における施策の重点課題、さらに三番目に、今後の地域改善対策を適正に推進するための方策、この三点が基本的なものであります。この施策推進に当たりまして、私どもこれは貴重な意見として今後受けとめてまいりたいと思っております。
 政府としましては、意見具申を踏まえて、現行法失効後のあり方については所要の見直しを行った上で、五年間の延長を図るべく地対財特法の一部改正法案を今国会に提出しておるところでございます。
 いろいろ御意見がございましたように、同和問題は憲法に保障されましたいわゆる基本的人権にかかわる大変重要な問題でございまして、かつて私も総務庁長官をいたしておりましたし、この点について私も深く肝に銘じているつもりでございますので、厚生省といたしましても、意見具申を尊重しながら、その解決のために最善の努力を図ってまいりたいと思っております。
#110
○岩田分科員 今、どういうお気持ちでこの問題を解決していくかという点について、極めて高い見地から御答弁がございました。
 先ほども申し上げましたように、今大臣もおっしゃいましたが、「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的な人権にかかわる問題である」こういうことを同対審答申は述べているわけですね。同対審答申を全般見渡しましても、いわゆる部落における差別の実態や幅広い観点からの指摘はしておりますけれども、いわゆる事業を開始をして、その事業でもって格差を埋めればそれでよいという発想では、決してなかったんではないかというふうに思うのですね。
 したがって、同対審答申が出て四年くらいかかりまして、空間があって事業法に移っていくわけでありますが、その間果たして政府としては人権問題まで視野に置いてこの事業を開始していくのか、いわゆる生活環境その他の格差について事業でもってそれを補正をしていくというか修正をしていく、こういう観点か、いろいろ議論があったと思いますけれども、いずれにしても、具体的には事業法として出発したんですね。そこに、今日まで四半世紀以上かかってこの同和事業がなされてきたけれども、本質的な問題というのは解決を見ない。今後十年、二十年たっても、今のままでは非常に難しいんではないかということさえ言われているわけなんですが、きょうは事業法がいいかどうかということはさておきましても、私の気持ちとしては、やはりこの人権の問題、ここに視点を置いた同和行政の展開が広範になされていかなければならない問題ではないかというふうに思っているわけですね。
 そこで、もう一度お伺いをいたしたいというふうに思いますけれども、厚生省として、いろんな分野がありましていろんな問題が指摘をされておりますけれども、国民課題としてどうこの実態を解消しようとしているのか、具体的なこの方策についてお尋ねをしたいと思います。
#111
○末次政府委員 地対協の意見具申にもございますように、同和地区と一般地区との格差、これは全般的には相当程度是正され、また、心理的差別についてもその解消が進み、成果は全体的に着実に進展を見ているという具申がございまして、私どももそういうことではないかというふうに認識いたしております。
 しかしながら、生活環境の改善等の厚生省関係の物的事業、これは必要事業量がまだ残っておりまして、その早期完了を目指して、引き続き特別対策を行っていかなければならないというふうに考えております。
 また、六十年の総務庁の同和地区実態調査によりますと、生活保護率が高いという問題あるいは高齢者、障害者、年金の加入状況等それぞれに課題があるという、この点は認識しておりまして、こういったそれぞれの問題に対する一般対策の実施に当たりましては、例えば労働行政等関係機関との連携を密にする、あるいは隣保館機能を活用する、あるいは必要に応じまして事業の優先採択を行う、こういったもろもろの方策を講じまして、地域の実情に応じたきめの細かい対応に配慮していきたいというふうに考えております。
#112
○岩田分科員 今局長から御答弁がありましたように、いわゆるこの課題というのは、同対審答申も言っておりますし、今回の地対協の意見具申にも言われておりますが、まさに国民的な課題である、こう言われているわけです。これは、したがって、厚生省は厚生省で残事業をどうするかということで解決するべき問題ではない。今おっしゃったように、労働省との関係も密にやっていく、これは当然だろうというふうに思っておるわけであります。
 ところで、具体的な問題について、今御答弁もありましたが、その点について具体的にお尋ねをしたいというふうに思います。
 例えば、生活保護問題です。生活保護問題というのは、分析の角度というか見る角度も非常に難しいわけでありますが、一つ現象としてはっきり出ているという点では、これは大きな課題だろうというふうに思います。
 私は福岡県の出身でございますけれども、福岡県の調査によりますと、これは平成三年十二月一日現在のものでありますが、県全体が二〇・六%、県全体も福岡は非常に高いですね。これは産炭地という歴史を有している旧産炭地問題、これがオーバーラップしているというふうに理解されてもよろしいでしょう。同和地区で申し上げますと一四〇%、これは千人に百四十人という意味だと思いますが、こういうふうになっておるわけであります。したがって、ここにも産炭地問題がオーバーラップしているという問題はありましょうけれども、しかし、依然として異常に高い数値を示していることは現実であるわけです。
 一方、大阪府が調査をいたしましたものを見ますと、大阪府全体では、これは受給世帯の問題でとっておりますが、全体が二・二%。それから、部落をとってみますと一二・五%というふうに、これまた同様に異常に高い数値を示しているわけであります。
 そこで、先ほどもこの問題について問題意識を言われましたが、いわゆる同和事業が本格的に実施される前とその後の推移、今日の状況と比べてどうなのか。先ほどの御答弁では、着実に前進をしたというふうに言われていますが、しかし依然として高い、一体どうなのか、これが一つであるわけです。
 それからもう一つは、やはり生活保護の実態というのは、生存権の問題、ひいては人権の問題というふうに見ていい、見るべさ問題も多いんじゃないかというふうに私は思うんですね。おっしゃいましたように、単にこの生活保護卒だけを見てどうするか、これは改善の方は、厚生省、非常に大変なんです。やはり雇用の問題であるし、産業の問題であるし、そして、それに対応する教育の問題、啓発の問題、これは全体的な啓発の問題ですよ、こういうことでなければならぬというふうに思いますが、必ずしも国民的な課題になっているとは私は思いませんね。
 自分のところは部落がない、だから余りよう知らぬ、一般の国民はそれでまあいいかもしれませんけれども、中央省庁の皆さんや閣僚の皆さんはそうであったらいかぬわけですよ。しかし、現実にそういう問題があるでしょう。具体的には申し上げませんが、そういう問題だらけなんですよ。国民的な課題であるかどうか。
 余談にそれましたけれども、私がお聞きしたいのは、労働省と厚生省というのはこの問題では表裏一体、良さにそうでなければならぬが、どうですか、プロジェクトチームでも組んで全面的に全国調査を一斉にやると同時に、大事業として、一大事業として改革の方途を、連絡会議ぐらいじゃなくてどんとやるという方式でないと、大きな前進はないのではないかという心配をいたしますが、いかがでしょう。
#113
○末次政府委員 まず、同対法施行前と比べて実態はどうかというお尋ねでございますが、実はこの前の数字がございません。六十年に総務庁調査がございます。その前と申しますと、四十六年あるいは五十年の調査という数字がございますので、御参考までにその数字を申し上げますと、十年前の五十年時点で同和地区の保護率が七・六%でございます。これに対して、全国の保護率が一・二一%、約六・三倍ということでございます。六十年時点で、同和地区の保護率が六・七七%、全国の保護率が一・一八%ということで、五・七倍という数字になっております。
 また、就労対策との連携の問題でございますが、これはもう先生の御指摘にございましたように、基本的には教育あるいは雇用、こういった問題が根底にございまして、そういった問題と密接な関連を持ちながら、この保護率の問題というのは動いていくというふうに認識をいたしております。
 昭和五十五年に、私ども、各都道府県あるいは指定都市に対しまして、この点につきまして特に重視するようにということで、管内の福祉事務所と公共職業安定所、職業訓練校その他被保護者の自支援助に関係する機関、こういった機関にお集まりをいただきまして、地域の連絡会議を持とうということにいたしまして、被保護者の就労援助のためにとり得るもろもろの対策に関することをこの機関で話し合いまして、連携を密にしながら改善をしていこう、こういう取り組みをやっておるところでございます。こういった方策を活用しながら、より緊密な連携に努めていきたいというふうに考えております。
#114
○岩田分科員 ぜひ積極的な対応をお願いしたいと思います。
 先ほども申し上げましたように、関連をしていいますと、県によっても対応が違うんですね、これは失礼な言い方ですけれども。それは実態の濃淡によって違っているんじゃないかという気もしますが、大臣、これではやはり困るんですね。したがって、今御答弁のありましたようなものも、全国に通達や指示が出されておると思いますが、これ以上時間がありませんから詰めた議論ができませんけれども、ぜひとも強力な推進方を要望しておきたいと思います。
 続いて、具体的な問題をお尋ねをしたいと思います。
 部落の生活保護率を押し上げている問題の一つに、老人世帯の問題があります。やはり高齢化社会を一歩先取りしているという状況は各地に見られますけれども、こういった問題も一つあると思います。
 ところで、年金問題を見てみますと、これも大阪と福岡の例をとりますけれども、例えば大阪では未年金者が現実二二・八%、これは九〇年の調査です。それから福岡では、県全体の未年金者が依然として八兆程度ありますが、しかし、同和地区には一六・九%、非常にこれも高いんですね。生活保護率と同様な数字を示しております。これについて一体どういう考えをお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#115
○奥村政府委員 お答えを申し上げます。
 国民年金の適用を的確に行って、年金の未加入者を生じないようにしていくということは、大変重要な課題でございます。私どもといたしましても、制度の一般的な広報を行いますほかに、住民基本台帳でありますとか国民健康保険の被保険者台帳を活用いたしまして、加入をされていないというふうに思われる方については、個別に勧奨を行うなどの対策を進めておるところでございます。
 同和地区におきましても、地域の実情に応じたわかりやすい広報、例えばパンフレットに絵入りの、あるいはルビを振った易しいものとか、そういうようなものをつくりまして配布をいたしますとか、場合によっては御要望に応じて年金の相談を行う機会を設けますとか、そういったきめ細かな対策を講じているところでございまして、今後ともさらにこういった方向で努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#116
○岩田分科員 詳細な調査というのは、全国的にはなされていないのですか。
#117
○奥村政府委員 年金の未加入者につきましては、特に都市部におきまして人の転入転出が激しいとか、それから被用者年金が国民年金に移りましたり、あるいは被用者年金に移りますというような移動が激しいというようなことがございまして、なかなか国民年金の対象者を特定することが難しいということで、私ども全国的な規模でその正確な数値は把握をしておらないわけでございますけれども、先ほど言いました各種の公簿等を使いまして、適用の促進を図っているというのが実情でございます。
#118
○岩田分科員 これは完全な把握は難しいと思いますね。しかし、ある程度の把握をしないと、広報程度で今言った実態の格差をどうするかというのは、これは進みませんよ。どう手を打つのですか。広報だけじゃ進まないというふうに思います。したがって、実態把握については、これは努めて御努力をいただきたい。後日またお伺いしますが、念を押して要望しておきたいと思います。
 ところで、この年金問題についてもう一つ将来的な問題がありますのは、大臣も既に御承知と思いますが、これは大阪府の調査を使わせていただきますけれども、年齢別の年金の加入状況調査というのがございます。この中で、三十五歳から五十九歳のところをとってみますと、国民年金が三七・一、厚生年金が二五・七、共済年金が一二・六、そして未加入者が二一・一%もあるわけですね。これは大変な数字なんですね。これは一般の状況と比べてどうなっているかということと、三十五歳から五十九歳までに何らかの年金に入っていないと、無年金者で一生終わるわけですよ。この問題をどういうふうにお考えですか。
#119
○奥村政府委員 先生おっしゃいました無年金者の対策でございますけれども、制度的な対応といたしまして、昭和六十年の改正で、六十歳から六十五歳に達するまでの間に任意加入ができる制度を新たに創設をいたしております。また、保険料を納めやすくするために、保険料の毎月納付の仕組みを導入するというような措置を講じたところでございます。また、保険料が御負担できない方については免除制度を設けておりますし、十年間は追納ができるという制度もございますので、こうした制度を周知いたしますことにより対応していきたいというふうに考えているところでございます。
#120
○岩田分科員 せっかくの御答弁ですから、それはそれで努力をしていっていただきたいのですが、私はきょうは同和問題で議論しているわけですから、それで簡単にいく状況でないという認識がないと、これは大変ですよ。
 六十年以降いろいろな対策がされた、年金加入の促進がされた、広報をもって知らせる、それでもなおかつ実態はこうだということになりますと、これは将来ずっと二〇%前後の無年金者を再生産しているようなものでしょう。その点は二一・一%という数字が大阪で出ていますけれども、今言われた改善でどれくらいの進捗があるのですか。
#121
○奥村政府委員 先生おっしゃいました数字については具体的な――その中には、例えばサラリーマンの妻の場合には、年金の保険料を現在の仕組みでは支払わないで制度として負担するという仕組みになっておりますので、そうした意識がない方があるというようなこともあるのではないかというような気持ちがいたしております。
 いずれにいたしましても、同和地区につきましては、一般的な対策とは別に、先ほど言いましたように特別なパンフレットを作成いたしますとか、年金相談所を随時開設をして理解を深めるとか、個別に指導を徹底してまいりたいと考えておるところでございます。
#122
○岩田分科員 大臣、ぜひともお願いをしておきたいのは、今も話にはありましたが、一般対策以外の対策もするということでございますけれども、御答弁ありませんでした。
 一般地区と同和地区の実態の差はどうなっているかということを見てみますと、かなり歴然として、なおかつ相当の努力が必要だろうというのは数字の上からも明らかになってくるだろうと思うのです。しかもこの差を埋めるのは、やはり部落の実態をどう見るかによって変わってくると思いますよ。そういう意味でも、実態の把握についてはなお万全を期していただぎたいということを強く要望申し上げておきたいと思います。
 それから、時間がありませんから最後の質問になるかと思いますけれども、再三申し上げてまいったのでありますが、政府大綱が決まりまして、地対協の存続みたいなことになるんではないかなというような印象を私は受けるわけであります。しかし、今厚生省が担当する一、二の問題を取り上げましても、着実に前進はしているけれども解決のための道のりはなおかつ遠い。しかも二十五、六年やってきた結果がそうなんですからね。
 しかも同和問題というのは、物質的な問題、あらわれている生活環境の問題だけではないということを考えますと、やはり限界がある。努力をいただきましたけれども、地対協の議論ては、事業法の枠内で事業をしていくということになりますと、これは一定の限界があることは、もう三回も四回も延長してきているわけですから、これは反省点としてもあるべきものであると思うのですね。したがって、大臣、この点は一体今後どういうところで審議をしようとしているのか。残された精神的、物理的、社会的な格差を埋めるとすれば、やはり何らかの、同対審が議論されたような審議会の場みたいなものはぜひとも必要ではないか、こういうふうに思うのです。
 それから、具体的な問題の二つ目に当たりましては、実態調査が不十分だというふうに指摘をさしていただきたいと思うのです。ぜひとも厚生省にかかわる分野、そしてこれは二つの問題を取り上げましたけれども、労働省との関係は極めて密接に、プロジェクトでも組んで、きちんと早晩実態調査の着手と、具体的な改善のための施策を講じる具体的なプランが必要ではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょう。
#123
○山下国務大臣 大変貴重な御意見をちょうだいいたしましたが、いずれにいたしましても、地対協は総務庁に置かれておるわけでございまして、私どもは、また私ども本省に限らず関係のある各省庁は、これを最大限に尊重して今日まで参ったわけでございます。
 今後とも引き続き審議する機関としてどうするかという御提言がございましたが、宮澤総理も国会におきまして、地対協を存続して、ここで審議をしていくということを申しておりますので、私どもといたしましては、そういうことで総務庁に置かれておる審議機関、これを中心にやっていかなければならぬと思いますが、いろいろ御意見ございました点は私もある程度承知いたしておりますので、大変貴重な御意見として、今後ともまたそのことを尊重してまいりたいと思います。
#124
○岩田分科員 大臣の最後の御答弁を期待をしたいと思いますけれども、総務庁に任せておって進むべき問題であるかどうかということもはっきりしてきたのです。共管競合行政がいろいろ指弾をされている中にあって、まさに生存権、人権の問題では厚生省の、担当される大臣の責務は極めて大であるというふうに私は思いますけれども、一層現実を直視した政策の展開を要望して、終わりたいと思います。
#125
○甘利主査代理 これにて岩田順介君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩をいたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十五分開議
#126
○唐沢主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 厚生省所管について質疑を続行いたします。堀込征雄君。
#127
○堀込分科員 私は、きょうは厚生省の国立病院・療養所の再編成の計画についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 この計画は、昭和六十一年に基本方針が決定をされて、それに基づいて実行されておる、こういうことでございます。昭和六十一年からおおむね十年聞の計画で、今全国二百三十九ある国立病院・療養所を百六十五に統合して、国立医療機関としての機能の質的強化を図る、こういうふうにお聞きをしているわけであります。この国立病院あるいは療養所の再編成計画はそういうねらいでいいのかどうか、あるいはさらに、財政などの事情を含めて、国立病院の経営の実態を踏まえて、そういうこともねらいとしてあるのかどうか、まずお伺いをいたしたいと思います。
#128
○田中(健)政府委員 国立病院・療養所の再編成の目的でございますけれども、今先生お話がございましたように、公立の医療機関あるいは民間の医療機関が整備充実をしてまいりまして、我が国の医療機関は量的に見まして先進国に遜色のないような状況でございます。その中で、国立病院の使命と申しますか、国立て担うべき医療はどうあるべきか、こういう視点、それに加えまして、やはり経営の合理化という観点からも、私どもは、先ほど先生お話ございましたが、六十年の三月に厚生省として閣議に報告をいたしました。国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針というものを閣議に報告いたしまして、それによりまして再編成を進めているものでございます。
#129
○堀込分科員 厚生省では医療法の改正も提案をされておるわけでありまして、これは特定機能病院だとか療養型病床群など医療提供施設間の機能分担、業務提携、こういう考え方を出されておるわけであります。この国立病院・療養所、今の御答弁で、いわば連動した考え方で進めていらっしゃるというふうに考えてよろしいですか。
#130
○田中(健)政府委員 現在私どもが国会に御提案をしております医療法の改正案、これは、先生今お話がございましたが、患者が病状に応じまして良質な医療を適切に受けられる、こういう医療供給体制の確立のための改革の第一歩という位置づけでございまして、一つは、医療の目指す方向を法律に理念として明らかにする、二つ目が、施設機能の分化と体系化を進めまして、患者が病状に応じた医療を受けられる流れをつける、それからさらに三番目といたしまして、適切な医療情報の提供を通じまして患者サービスの向上を図る、こういう目的で医療法は今御提案を申し上げているところでございます。
 それから、国立病院・療養所の再編成でございますが、これは先ほど申し上げましたように、国立医療機関としてふさわしい機能の質的強化を図るということを目的としております。医療法は、ただいま申し上げましたようなこと。で、我が国の医療供給体制全体を念頭に置きまして必要な改革を行うものである。こういうことで、私ども厚生省としては、両方ともそれぞれ推進をしなければならない政策課題である、このように考えておりますけれども、今の二つの施策を全体として推進していくことによりまして、結果的に我が国の医療供給体制が望ましいものになっていくというふうに考えておるわけでございまして、直接の連動ということはないと思います。
#131
○堀込分科員 わかりました。
 そこで、この再編成計画の実施ぐあいでございますけれども、国立病院は百を移譲する、統合後六十九にする、それから国立療養所の方は百二十九を九十六にする、こういう十カ年計画を立てられたわけでございます。現在六年目という状況でございますが、進みぐあいはいかがでございますか。
#132
○田中(健)政府委員 再編成の進捗状況でございますけれども、再編成の実施に当たりましては、地方自治体など地元の関係者と十分に話し合いを行って計画の具体化に取り組んでいく、こういうことで作業を進めております。
 それで、既に終了いたしましたものといたしましては、国立精神・神経センターと国立国府台病院の統合でございます。これは昭和六十二年四月に統合いたしました。それから、国立療養所の阿久根病院、鹿児島にございますが、これを鹿児島県の出水郡医師会に経営移譲いたしました。これは平成元年の十月でございます。
 それから、次に進捗中のものでございますけれども、一つは国立の柏病院と国立療養所の松戸病院の統合、これはがんセンターの第二病院をつくるということで、ことしの七月に発足を予定しております。それから、国立田辺病院と国立の白浜温泉病院を統合いたします。これもことしの七月に発足を予定しております。それから三番目に、国立療養所の盛岡病院と国立の花巻温泉病院を統合、その一連といたしまして花巻温泉病院と療養所の南花巻病院の統合も進めておりまして、これは平成五年度に予定をしております。それから四番目に、国立療養所の東栃木病院と国立療養所の宇都宮病院の統合、これも平成五年度に予定しております。それから五番目に、国立の福岡中央病院と国立久留米病院の統合、これは平成六年度を予定しております。進捗中のものは以上でございます。
 それから、さらに進んでおりますものは、国立の高知病院と国立療養所の東高知病院の統合でございまして、これは現在統合のために国立高知病院の隣接地の土地の取得を行っております。
 それから、平成三年の十二月には、国立の王子病院と国立の立川病院の統合によります広域災害医療の基幹施設の基本計画を公表いたしております。
 それから三重県でございますが、国立の津の病院と療養所の静澄病院、これの統合につきまして、昨年の九月、静澄病院のあります白山町議会で受け入れに関する決議、統廃合の受け入れの決議が出ております。
 それから六十三年六月には、津の病院があります久居市議会で統廃合の反対を取り下げている、こんな状況もございます。
 以上が統合のケースでございますが、次に移譲のケースにつきましては、平成三年の五月に静岡県に国立の疾病院がございますが、それにつきまして静岡県知事が経営移譲の受け入れに前向きの答弁をなされております。それから昨年の九月、京都府の国立福知山病院につきまして、福知山市議会が、国立福知山病院を市民のための公立総合病院として充実整備するということを目的とする請願を採択をしております。
 以上申し上げましたように、着実に計画を推進しているところでございます。
#133
○堀込分科員 着実に計画を実行されているという判断でございますが、そうはいっても、そういうふうに進んでいるところ、あるいは今の答弁にもありましたが、手のついていないところといいますか、全然進んでいないところもあるわけでございます。この進んでいないところについての、いろいろケースはございますでしょうけれども、主要な要因というのは何でございましょうか。やはり地元の理解ということで私ども理解してよろしいでしょうか。
#134
○田中(健)政府委員 お話しのように、全体計画を発表して六年を経過をしております。それで私どもは、計画を進めるに当たりましては地元に十分話し合いを行う、自治体を初め地元の関係者と十分お話し合いをして、理解を得ながら進めていくということでございまして、多くのケースにつきまして、現在までに地元自治体の理解を得るべくさまざまな働きかけを行っているところでございますけれども、先生今お話にございましたように、なかなか地元のコンセンサスが得られないということが進んでいないところの主な理由でございます。
 私どもとしましては、今後とも地元自治体との話し合いを積極的に行いまして、鋭意計画の具体化に努めていきたい、こういうふうに思っております。
#135
○堀込分科員 そこで、今の国立病院・療養所、そうはいっても今の地域住民にとってなくてはならない存在として、頼りにされているという事実も一方にあるわけであります。ですから、地域としてもなかなか厚生省で計画を発表されても踏み切れない、こういう住民感情もあるし、また自治体の市町村長の皆さんも、そういう感情を無視して進めるということはなかなかでき得ないという状況もあると思うのです。
 そこで、厚生省もいろいろな措置を講じておられるわけでありますが、統合した方の、あるいは新しく建てられる方の病院・療養所については、厚生省の再編成計画に基づく機能類型に基づいて十分な予算措置を講じて、そしてその運営に責任を持っていく、こういうことでよろしいかどうか。
 それから厚生省は、再編成に当たりまして、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律というのがありまして、譲渡、移譲の場合特別の措置を講じておられるわけであります。一方、譲渡された方の病院・療養所については、自治体だとか日赤だとかいろいろなところが引き継いで、その場合は無償だとか、日赤だとか厚生連病院などの場合は九割引きだとか、いろいろな措置を講じておられるわけであります。
 これは、今申し上げましたように、統合した方の病院については、再編成後の病院については国立病院として残るわけですから、厚生省はやはり十分な体制をしいていくということでありましょうし、それからその後の、譲渡された方の後医療の方の病院の方につきましては、体制整備まで、軌道に乗るまで運営費用だとか医師の派遣等も面倒を見ていただくことが必要ではないか、こういうふうに思いますが、その両方のケースについて見解をお伺いいたします。
#136
○田中(健)政府委員 まず統合のケースでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、国立病院・療養所の機能を強化していくというためには再編成は必要不可欠と考えておりまして、その趣旨を踏まえまして、統合後の施設に対しましては、国立にふさわしい広域を対象といたしました高度または専門の医療を担えるように私どもとしては必要な措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。
 それから、統合されまして吸収された方の後医療の問題でございますけれども、ただいま先生お話ございましたように、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律、これに支援策が規定されておりまして、移譲を受けた医療機関の開設者に対しまして、一つは、予算の範囲内におきまして、資産譲渡後五年間、その医療機関の経営の安定を図るために運営費の一部を補助するということもできるようになっております。
 それから二つ目に、その医療機関に対します医師の派遣等必要な配慮を行うことが認められております。これは法律でそういうふうなことが規定されておるわけでございますが、このほかに個別事例に即しまして、国立病院等の資産の譲渡を受けて開設される医療機関に対しましては、一つは医療スタッフの確保のための助言やあっせんをする、あるいはまた譲渡を受けました病院職員の研修会等をやる配慮、あるいはまた医療機器の共同利用等によります診断、治療を援助するなど、私ども厚生省としましても、必要に応じまして、当該病院の運営が円滑に行われるように配慮していきたい、こういうふうに考えております。
#137
○堀込分科員 それでは、この再編成計画がありながら地元と話し合いがうまくいかない、したがって、なかなか進められない、こういう現行の国立の病院・療養所につきましては、例えば新しい機器類の導入だとかあるいは施設投資などを認めない、やはりそれは統合が先ですよという姿勢でおやりになるのかどうか。つまり、言葉は悪いのですけれども、兵糧攻めにして統合とか再編成を進める、こういう考え方でございましょうか。いかがでしょうか。
#138
○田中(健)政府委員 御案内のとおり、国の財政事情あるいは定員事情が非常に厳しい中でございます。私どもは二百五十の多数の国立病院・療養所を抱えておりまして、そのすべての施設を充実強化するということは非常に現実的に困難でございます。それから、国立病院特別会計におきましても、近年非常に厳しい経営状況でございます。そうした状況にかんがみまして、経営の改善が大きな課題となっている現状でございます。
 それで、特段動きのない再編成の対象施設でございますが、医療機関でございますので、運営をしていく上で、医療機能を維持していく上で必要な措置は、これはどうしても講じていかなければならないということでございますけれども、予算が一方では限られております。それから、先ほど申しましたように幾つかの再編計画が同時進行中でもございまして、どうしても優先順位をつけて整備等を計画的に行っていかざるを得ないという実情もございます。どうしても再編計画が進行中のものに重点がいくということを御理解をいただきたいと思います。
#139
○堀込分科員 そこで、その話はそういう厚生省の姿勢としてはわかりますけれども、この十カ年の中でもう六年が経過しているわけでありますから、私が見ても、地元との調整を急ピッチに進めたとしても、最終的に難しいところが出るのではないかというふうにも思うわけであります。その復そういう病院については、やはり必要経費はなかなか順位もあっていかないのだということもありますし、後はどういう対応を考えていらっしゃいますか。将来もう手放してしまうとか、そういうことを考えていらっしゃるのでしょうか。いかがですか。
#140
○田中(健)政府委員 再編成につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、関係自治体の理解を求めるということで私どもは最大限の努力をしておりまして、おおむね十年という期間で計画を達成するように、今後とも努力をしていきたいと思っております。
 仮にの話で先生のお尋ねでございますけれども、計画期間が終わっても残った施設はどうするのか、こういうお尋ねだと思いますが、現在の国立医療機関の定員事情、あるいは冒頭に申し上げましたような日本の医療供給体制の状況あるいは国立病院の役割分担等から考えまして、残りました再編成対象施設がそのまま充実強化されるということはあり得ないのではないか、私どもはそういうふうな受けとめをしております。ということで、その点からも、移譲対象あるいは統廃合の対象になっております関係者の一層の御理解や御協力がいただければ、こう思っております。
#141
○堀込分科員 何が何でも再編成、統廃合、進むしかない、そのためにあらゆる努力をする、必要手段を講じるということははっきりしたわけであります。
 そこで、具体例で恐縮でございますが、長野県の国立長野病院それから東信病院のケース、これについての進捗状況及び県及び市町村の対応状況、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
#142
○田中(健)政府委員 国立の東信病院と長野病院につきましては、再編成の全体計画の中におきまして、この二つを統合いたしまして総合診療施設として整備するといたしております。六十一年の一月にその全体計画を公表いたしましたが、その後関係者の間でさまざまな論議が行われてきておりまして、そうした実態も踏まえまして、これまで私ども厚生省といたしましては、具体的に動きを起こすことには至っていなかったところでございます。
 この統合計画に対しましては、まだ具体的な計画公表以前の昭和五十八年当時、臨調答申が出たころでございますけれども、まずそれぞれの地元の上田市と上山田町の議会におきまして存続決議が出されました。その後、地元関係者の間でさまざまな動きがあったわけでございますけれども、昨年の十二月、上田市の市議会議長から国立病院の再編成の推進に関する陳情書が長野県議会に提出をされまして、また、上小地区等の住民団体から後医療の確保を前提といたしました条件つきの統合計画の合意、賛成を旨とする請願書が長野県議会に提出をされました。県議会においてそれぞれ採択をされたというふうに聞いております。
 それから、今月の十日、一昨日でございますけれども、国立長野病院の存続及び診療機能の充実強化を求める意見書が長野県議会に対しまして提出をされまして、県議会の社会衛生委員会におきまして、これは不採択という扱いになったというふうに承知をいたしております。
#143
○堀込分科員 わかりました。
 そこで、この両病院とも実は地域医療に大変重要な役割を果たしております。したがって、地域の人々の思い入れも非常に強いわけであります。したがいまして、この再編成計画につきましては大変な不安もあるし、心配もあるわけであります。住民の切なる願いとしては、やはりこの二つの病院、さっきのような答弁ではなくて、それぞれ充実をして、厚生省にうんとこれからの投資もしてもらったり、高度医療ができたり、救急医療ができたりしてもらうことが一番望ましいというふうに考えているわけであります。
 しかし、今のような動きもあるわけでありまして、これはもう先ほどの答弁のとおり、仮に地域住民がどんなに強い要望をしても計画を見直すというケースには当たらない、こういうことで理解してよろしゅうございますか。
#144
○田中(健)政府委員 私どもは、国立医療機関の使命ということで、国としてふさわしい医療を展一開していくということで、その機能の質的強化を図るためには、どうしても再編成計画を進めていく必要があるということでございます。
 長野病院と東信病院のケースにつきましては、二つの施設が距離的に非常に近い、およそ十六キロでございます。それから、近隣に類似の機能を有する医療機関があるという点から、全体計画の中で統合するということにしているものでございまして、二つの病院をそれぞれ単独で整備するということは、私ども厚生省としては考えておりません。今後とも関係者の理解を求めていきたいと思っております。
#145
○堀込分科員 これも仮にの話でございますが、長野、東信のケース、それから全国にも、ほかにもあると思うのですけれども、双方で話し合ってもなかなか住民感情でうまく話し合いがつかない。それじゃその中間地点に新しい土地を取得して、新しい病院をつくってくれというようなケースが出るのではないかと思いますが、このケースを含めて、例えば二つの病院をどこかへ移譲して、新しく中間地点へ設立をする、こういうことは可能でございましょうか。あるいは考えていらっしゃいますでしょうか。
#146
○田中(健)政府委員 統合の場所でございますけれども、このケースにつきましては、今後関係者の意向にも配慮して検討を重ねていかなければならないと思っておりますけれども、私どもといたしましては、再編成計画の実施に当たりまして多大な経費を要するということでございます。経理状況、会計状況も非常に厳しい状況でございまして、第三の地点での統合というのは現実的ではないというふうに考えております。
#147
○堀込分科員 現実的でないということは、不可能だという判断をしているというふうに受けとめたいと思います。
 そこで、今まで統合が終わったあるいは再編成が終わったいろいろなケースがございます。特に鹿児島の阿久根のケースなんかが参考になろうかと思いますけれども、これは後医療などは住民医療にそこを来さないように十分進んでいるかどうか、あるいはこのケースの場合、病院・療養所の職員の配置転換、そういうことも円滑に、スムーズに行われたのかどうか、退職勧奨などをやって少し無理をした経過はないのかどうか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
#148
○田中(健)政府委員 今お話の出ました旧国立療養所の阿久根病院でございますけれども、再編成計画で経営の移譲対象施設ということで、地元の関係者の合意を得まして、平成元年十月一日に先ほど申しました特別措置法の第三条を適用いたしまして、鹿児島県出水郡の医師会に譲渡をいたしました。
 経営移譲後の当出水郡の医師会病院でございますけれども、国立病院に比べますと病床数も倍近く増加をしております。診療科も二科から七科にふえております。それから医療スタッフも大幅に増員をされておりまして、患者も大幅にふえており、極めて順調に運営をされております。
 それからさらに救急医療でございますけれども、国立の時代には、お恥ずかしい次第ですが、十分に対応できずに、患者が市外へ搬送されるという状況だったものでございますけれども、現在では、市内はもちろん市外からも救急の患者が搬送されるようになり、地域医療の充実に非常に貢献しているという状況でございます。
 それから、お尋ねの職員配置の混乱あるいは身分保障の問題でございますが、平成元年十月の経営移譲の場合に、移譲先の医師会病院から、まず職員を引き受ける意思の有無あるいは職員の処遇や勤務条件等十分に説明を聞きまして、これらの内容を職員に対してよく説明した後に職員の意向を聞きまして、移譲先へ就職をしたいという人にはそのあっせんを行いまして、ほかの国立病院へ配置がえを希望する人にはそのような措置をとりました。こういうことで、職員の身分に混乱はなかったということでございます。
 それから、先生がお尋ねの長野病院と東信病院のような統合のケースに当たりましては、私どもは、職員は原則として統合後の病院に行っていただくということを考えておりますけれども、いずれにしましても、再編成の実施に当たりましては、職員の身分につきまして職員の希望をできるだけ尊重するというふうにこれまでも配慮をしておりまして、今後もそうしていきたいというふうに思っております。
#149
○堀込分科員 それでは最後に大臣、この統合問題、再編成問題、やはり何といいますか、市町村ごとの対立が起こったり、あるいは県会の中でも地域ごとに県議さん方がいろいろな意見を言うとか、非常に問題が出やすい課題なんですね。ですから、よく話し合ってうまく理解を求めないと、今後の厚生行政にも非常に問題が出るのではないか、私はこういうふうに思いますので、ひとつこの持っていき方について最大の配慮をいただきたいと思いますが、決意を一言お聞かせをいただきたいと思います。
#150
○山下国務大臣 今おっしゃるとおりでございまして、地方自治体も過去において非常になじんできた国立病院でございますから、したがって、これを今度転換する場合には、統合したりする場合には、そういう人々の理解も得なければならぬし、職員も非常に不安がっておりますから、折に触れて職員に進捗状況を説明していく。私の地方にも一つありますけれども、初めは頑固でありました市長さんとか町村長さんもだんだん理解を深めてきた。職員も大体そのとおりでありますから、やはりかねがねそういう努力をしていかなければならぬと思っております。
 いずれにいたしましても、再編成は何としてもやらなければならぬという大前提に立っておるものですから、それがスムーズにいくためには、地元の自治体の方々その他と十分話し合って、理解を深めていくということが第一であると思います。
#151
○堀込分科員 ありがとうございました。終わります。
#152
○唐沢主査代理 これにて堀込征雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、常松裕志君。
#153
○常松分科員 きょうは厚生大臣に、精神障害者の方々の問題に絞ってお尋ねをいたします。精神保健法が制定されて四年、来年は附則によりますと見直しか行われる丸五年になります。その見直しに向けお尋ねをいたしたいと思います。
 まず第一に、見直しに当たりまして、精神保健法から親を保護義務者とする規定をぜひなくしてほしいということであります。大臣あての手紙を私は預かっております。全文は既に大臣にお渡しをいたしてございますので、お読みをいただいていると思いますが、要旨を御紹介申し上げますと、
  私は、精神障害者の親でございます。(中略)
 私達は家族会を作り、障害者の諸問題、家族の
 相互扶助につとめ社会を広くみて勉強しており
 ます。燃し、会員は六十五歳以上が七五%を占
 め、ほとんどが無職で年金生活者です。このよ
 うな家庭状況で、病んでいる子供の全責任を持
 てと言われても、力がないので共倒れになって
 しまいます。どうか、精神保健法から親の保護
 義務規定を削除してください。
こういう手紙です。
 私は、精神障害者小規模共同作業所をつくっていらっしゃる親の方々、あるいはそこで働いていらっしゃる職員の方々とお会いする機会が多くございます。私がたまたま代表者である労働保険事務組合中小企業振興センターにそうした施設の一つ、東村山けやき会が加入、そこで働小ていらっしゃる職員の皆さんがこの事務組合を通して労働保険、社会保険に加入をしているためなのです。そこでお会いをするすべての親の方々がそんなふうにおっしゃっているわけであります。
 やはり精神障害者の方々を保護する義務は社会に、したがって国及び自治体にあるとすべきであると思います。この問題は、精神保健法審議の際の根本問題であったと思うわけであります。どういう方向で検討が行われるのか、来年度、附則に従って見直しが検討されるかどうかということも含めまして、御答弁をいただきたいと存じます。
#154
○山下国務大臣 御案内のとおり、この精神保健法につきましては、精神障害者の人権の一層の擁護という立場からも、社会復帰ということに主眼が置かれておるわけでございます。
 そして、これは六十三年の七月から施行されておりまして、しかもその附則には「施行後五年」、平成五年の七月でありますが、「施行後五年を目途として、新法の規定の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずる」このようにされておるわけでございます。したがいまして、保護義務者制度のあり方も含めて、今後公衆衛生審議会等におきましても検討していただいた上で、厚生省としていかなる対応をするかということを検討してまいりたいと思っております。
#155
○常松分科員 ぜひひとつよろしくお願いいたします。
 次のお願いは、精神障害者、そして回復者の方々の労働を保障し、適切な仕事を与えていただきたいということでございます。先ほどの手紙のさらに続きを少し読ませていただきます。
  わたくし達の家族会は地域作業所を運営しています。病院を退院した障害者の社会復帰のための訓練をして、六ケ月−一年位で就職をこころみるのですが、企業に対する精神障害者の雇用率の義務づけがないためか、また、企業が精神障害者への理解に乏しいためか、あるいはまた周囲の深い差別意識のためか、長続きが出来ず辞めて作業所に戻って来ます。
このように訴えられていらっしゃいます。
 障害者雇用促進法で精神障害者の方々の雇用率の義務づけが行われていない現況について、厚生大臣はどんな御感想をお持ちでございましょうか。精神障害者の方々について、他の障害者よりも差別されているという実感を私は持ちますし、当の障害者の方々が、そして親の方々がそう思っていらっしゃいます。このお母さんからの訴えについて、ぜひひとつお答えをいただきたいと存じます。
#156
○寺松政府委員 精神障害者の社会復帰を進めるためには、その活動の場やあるいは働く場というものの確保が重要であることは、先生御指摘のとおりでございます。
 このため、厚生省としましては、精神障害者社会復帰施設の一つとして、雇用されることが困難な精神障害者を対象に作業訓練等を行う授産施設の整備あるいは小規模の作業所に対する助成、通院患者リハビリテーション事業等の施策を進めておるところでございます。
 精神障害者の一般就労対策というものにつきましては労働省の所管であり、精神障害者の雇用率の義務づけにつきましても、基本的には労働省において検討されるべき問題だ、こういうように考えるのでありますが、精神障害者に係る雇用施策の充実が図られますことは、精神障害者の社会復帰の促進にも大いに資するものだ、こういうように考えております。
#157
○常松分科員 大臣にお尋ねをしたいわけでありますが、大臣が御所管の精神障害者の方々の社会復帰にとって欠かすことのできない障害者雇用促進法の中に、障害者の義務づけがいわば除外されている。こういう実態について、障害者の方々の社会復帰を所管されていらっしゃる大臣としての御所見をぜひひとつお承りをいたしたいと思います。
#158
○山下国務大臣 これは極めて大切な問題でございます。ただ、私自身この問題についてはまだ若干勉強不足のところもございますので、所管の局長からお答えをいたします。
#159
○寺松政府委員 先ほど私どもの方から申し上げましたように、精神障害者の社会復帰、すなわち就業が行われるということは、社会復帰政策の上からも非常に大事なことだ、こういうように私ども考えております。したがいまして、その促進方を図りたい、こういうように考えておるわけでございます。
#160
○常松分科員 大臣にお願いでございますが、今度労働省、労働大臣から障害者雇用促進法の改正案が国会に提出をされるわけですけれども、この中にも除外されているのです。ぜひ大臣の方から労働大臣に対して、今局長からの御答弁もありますから、ひとつできるだけ速やかにこの促進法の中にそうした精神障害者の方々の雇用促進の一定の義務づけを入れるように、そういうお話し合いを労働大臣としていただくわけにはいかないでしょうか。
#161
○山下国務大臣 おっしゃる趣旨はよくわかりますので、厚生省といたしましてもできるだけのことはして。まいりたいと思います。そして、労働省とはよくまた話し合ってまいりたいと思います。
#162
○常松分科員 よろしくどうぞお願いいたします。
 次に、精神障害者の社会復帰事業についてお尋ねをいたします。
 改めて申し上げるまでもなく、精神保健法の第九条、社会復帰施設の設置及び第十条の二、国または都道府県の補助のいわゆるできる規定について、市町村の義務規定に改めてもらいたいというのはすべての精神障害者及び家族の方々の非常に強い希望であります。同時にまた、それは精神保健法審議の過程におきましても、衆議院においてあるいは参議院において各委員がこもごも指摘をした点でございました。
 それを前提にして、いわゆる法外施設とされております小規模共同作業所の実情を踏まえてお尋ねをい、たしますが、この小規模作業所は、全国の精神障害者の方々及びその御家族の方々がやむにやまれない気持ちで、立ちおくれた国の施策を待てずに始めたのがこの小規模共同作業所というふうに私は理解をいたしているところでございます。そして、それが瞬く間に数をふやしていったわけでありますが、そうしたことに対する国の行政責任は私は極めて大きいと思っているわけであります。
 まず第一に、大臣は、社会復帰事業全体の中でこの小規模共同作業所が果たしている役割についてどんなふうに御認識でございましょうか。
#163
○寺松政府委員 この小規模作業所の問題を先生御指摘いただきました。私どもは、これは軽作業等を通じまして社会適応訓練を行うことにより、精神障害者の社会復帰や社会参加の促進にも資するものだ、このように考えております。
#164
○常松分科員 後でもう少しお尋ねをしなければなりませんが、まずどうなんでしょうか。全国でこうした小規模共同作業所が一体どのくらいある、そこにはどのくらいの方々が入所していらっしゃる、あるいは運営主体であるとか他の社会復帰施設との関連であるとか、そういった点についてはいかがでございましょうか。
#165
○寺松政府委員 今先生御指摘の精神障害者の小規模作業所という部分につきましては、もう当然のことでございましたが、地域の家族会というものが自主的に運営を行っておるということでございますし、自然発生的にできたものであり、作業所自体もいろいろなものでございます。したがいまして、その実数等については必ずしも十分に把握はいたしておりませんけれども、私どもは平成三年の一月の数字では五百三十カ所程度あるものと聞いております。
 それから今、収容人数はどのくらいかというお話でございますが、一カ所五人から十人というふうに聞いておりますので、これでいきますと五倍から十倍くらいの人数の方が入っていらっしゃるのかな、こういうふうに思います。
#166
○常松分科員 そういうふうに、この間にそれこそ燎原の火のごとくつくられていったわけでありますけれども、その小規模共同作業所が社会復帰の全体の中に現実に果たしているという役割については、厚生省も高く評価をしていらっしゃるというふうに受けとめてよろしいですね。
#167
○寺松政府委員 小規模作業所の数は先ほど申し上げたようなことでございますが、全体的な精神障害者の方々の社会復帰の施設としましては、こういうふうにそれ相応の役割を果たしておられる、こういうふうに考えております。
#168
○常松分科員 そういう小規模共同作業所に対して国はどういう補助をしているのでしょうか。
#169
○寺松政府委員 私ども、この小規模作業所につきましては、一カ所当たり大体九十万円を補助させていただいている、これも奨励的な意味でさせていただいている、こういうことでございます。
#170
○常松分科員 九十万円出しているところは全国でどのくらいあるのですか。
#171
○寺松政府委員 平成四年度に考えておりますのは、二百五十二カ所ということで予算をお願いいたしております。
#172
○常松分科員 今は、三年度までだと何カ所ですか。
#173
○寺松政府委員 平成三年度で二百九カ所でございます。
#174
○常松分科員 大臣、今の局長の答弁をお聞きだと思いますが、とにかく五百カ所あるだろう。これもまあ必ずしも正確ではないようですけれども、現状ではそのうちの約半分に対して一カ所九十万円しか補助が出されていないというのが実情であります。これでは余りにも先ほどの局長の御認識、つまり、社会復帰事業全体の中で現実に果たしている役割について、それなりの評価をしているということでしたけれども、それなりの評価をしているかどうかという点がやや私は疑問に思います。
 少し具体的に、大臣に実情を知っていただきたいと思うのでお尋ねをするわけですが、その共同作業所で働いていらっしゃる職員や指導員の方々のことなんです。
 今そういうところで何人ぐらい働いていらっしゃるか。その年齢構成、あるいは賃金や年次有給休暇等の労働条件、あるいは労働保険、社会保険などの加入状況、そして、その中での有資格者数などについてお調べになったことはありますか。
#175
○寺松政府委員 先ほどもちょっとお答えいたしましたように、詳細なことは承知しておらぬのでありますが、私どもが今承知しております範囲内で申し上げますと、大体その規模も非常に多種多様である。そして、平均いたしますと二名程度の常勤の職員を持っていらっしゃる。それから、その中に精神科のソーシャルワーカーでございますとかというふうなものを配置していらっしゃるところが六十カ所ぐらいある、こういうふうに承知をしております。
 それからまた、顧問医を含めまして、非常勤の職員というものを置いていらっしゃる作業所も相当数あるというふうに承知しておりますが、先ほども申し上げましたように年齢構成あるいは労働条件、こういうふうなことについては詳細を承知しておりません。
#176
○常松分科員 大臣、ぜひお聞きしたいのですが、実際はどうかといいますと、地域最低賃金さえ保障されていないというのが実態でありますし、厚生省あるいは国の義務づけております労働保険あるいは社会保険にさえ加入していらっしゃらない。年休などもってのほかというのが実情であります。
 次に読み上げる手紙は、こうした小規模共同作業所で働いている国井さんという若い方からのものであります。既にこれも大臣にお渡しをしてございますので、お読みをいただいていると思いますが、その一部だけ御紹介を申し上げておきます。
  私たちの施設でも人手不足は深刻です。若い
 男性職員は私一人です。もう一人男性の二十六
 歳の職員がいたのですが、やめざるを得なくて
 やめていきました。給料が安いのです。二十歳
 で手取り十万から十二万円ぐらいです。
  残業を幾らやっても、一円にもなりません。
  休みもとれません。休日出勤しても、他の日
 に代休とることはできませんし、有休なんてと
 んでもないといった感じです。この二年で、二
 カ月分の有休がたまっでいます。私でさえそう
 ですから、所長などは、半年分ぐらいの年休が
 たまっていますし、代休まで入れたら一年以上
 でしょう。
  労働保険などの身分保障もありません。
  こんなことから、私たち職員自身に精神的ス
 トレスがたまっできます。心に障害を持った方
 のケアをするのですから、本当は職員の方に精
 神的余裕がありませんと、よいケアができませ
 ん。そんな矛盾の中で私たちは仕事をしていま
 す。そうした悩みもあり、また、結婚して家庭
 を持つことを考えると、この仕事を続けていく
 ことができなくなってしまいます。
  都内の作業所の職員の平均勤続年数は二年半
 です。
こういうふうに訴えられているわけであります。
 このお手紙のとおりであります。ぜひひとつこういう実情について大臣の御感想をお聞かせをいただきたいと存じます。
#177
○山下国務大臣 この小規模作業所というのは、制度的に一つの法に基づくとかそういうことではなくて、地域の家族会の皆さん方が自主的に運営なさり、自然発生的にできたものだと私は理解をいたしております、篤志家によってこういう制度をおつくりいただいたことは大変ありがたいことでございますが、ただ、そういう趣旨で発足したものでございますから、作業所自体も非常に千差万別という形になっておるようでございます。
 そこで、厚生省自体も、この数はおおよそのことは承知いたして、かなり正確には承知しておると思いますが、次々にできるものに対して追っかけて調査したりすることもあるというふうに私も聞いておりますから、大体は捕捉いたしておりますが、今申し上げましたような趣旨でできたこの小規模作業所について、制度的にさっき申し上げた法に基づいたとかそういうものがございません。ただ、そういった家族会の方々等の御労苦に対して、とにかくこれはもう大変な御苦労だから、ひとつ奨励金という意味において差し上げようではないか、こういう趣旨でこの奨励制度というものができたと私は伺っております。
#178
○常松分科員 今私は働いている方のお手紙を読み上げました。障害者の方々のために若い人生をささげようという方のお手紙でございますけれども、それについて大臣、どんな御感想を持っていらっしゃるでしょうか。
#179
○山下国務大臣 最近こういったあらゆる福祉施設は、私は日本は非常に進んできたと思います。ただ、数が非常にふえたことも事実でございますし、政府もこういうものに対しては、社会福祉に重点を置くという立場から十分やっていかなきゃなりませんが、今申し上げましたように急激にこういうものがふえたという立場からして、あるいは後追いになる面もあるかと思いますが、今後とも努力はしてまいりたいと思います。
#180
○常松分科員 とにかく若い方が非常な低賃金で、休みもとることができず、そういう休みをとることができないということも、これは自分の暮らしのためじゃなくて、それにょってよいケアができないということで悩みながらこの仕事をしていらっしゃる。こういう実情をぜひ御認識いただきたい。
 先ほどから自然発生的にというお話ですけれども、自然発生的じゃありません。これは、そういう実態がなければ、精神障害者の方々の社会復帰の事業というものは非常に立ちおくれている。国、自治体がやるべき事業が非常に立ちおくれている。そういう中で、それこそやむにやまれず親の方々がやっている、こういうことです、今、日本が国際的にも非常に注目されているわけですけれども、恐らく世界でこの精神障害者の方々について一番おくれている国の一つだ、こういうふうに言われているわけでありましてそういう中ででき上がってきている施設である、こういうことをぜひひとつ認識をいただきたい、そう思うわけであります。
 次に、これらの小規模作業所で障害者の方々が社会復帰のための作業訓練を行っているわけでありますが、その作業訓練の内容についても実はたくさんの問題があります。
 一つは、全くの軽作業、袋張りとか袋詰めとかというような非常に単純作業であるというのが特徴であります。私が見学したある作業所では、生活協同組合と提携をいたしまして米ぬか石けんをつくづておりましたが、それは全くの例外でありまして、そのほかはもう単純作業ばかりであります。しかし、障害者の方々の中には、いろいろな能力と可能性を持った方がたくさんいらっしゃいます。それを生かしてこそ社会復帰に役立つわけでありまして、したがって、実際にこうした作業所での作業の実態は社会復帰にとって本当に有効に機能しているのかな、そういう思いがあります。
 私の知っているある方は、発病までは国立大学の助教授でございました。そういう方が実際には袋張りの作業をしていらっしゃる、こういう実情なんです。こういう実情を大臣は認識をしていらっしゃるとは思いますけれども、こういった実情を改善していかなければいけないというふうにお思いになりませんでしょうか。
#181
○寺松政府委員 今先生から、いろいろと作業の内容等についても微に入り細に入りお話をいただきました。私どもその内容については理解できるわけでございます。
 そこで、それぞれの作業所においていろいろな作業を習っていらっしゃるわけでございますが、個人に対してその作業能力の向上のために、平成三年度より、いわゆる専門にやっております授産施設におきまして実地研修ができるようなことのための補助を支出するというようなことで、できるだけそういう作業を高度化するといいますか、そういうふうにやっていただきたい、こういうふうなことで援助させていただいておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後こういうふうな制度をできるだけ充実するように努力はいたしていくつもりでございます。
#182
○常松分科員 国なり都道府県なりがつくっている授産施設、そういうところでも障害者の方々の持っている能力に合った活動が行われなければならないわけですし、同時に、今お話がありましたように、そういう都道府県の施設を通して、周囲にございますこうした小規模共同作業所の仕事の内容を向上させていく、あるいはそういうところに本当に適切な仕事を提供していく、こういうことをやってくださるということなんでしょうか、今の御答弁は。
#183
○寺松政府委員 先ほども申し上げましたように、私ども、専門にやっております授産施設というものにおきまして、いろいろとそういう技術を勉強する、実地研修と言っておるわけでございますが、そのようなことでございます。
#184
○常松分科員 小規模共同作業所を対象にして、先ほどの局長の御認識のとおり、これが社会復帰事業全体に対して資しているというふうに御認識なさるんだったら、今のこの作業所における作業の実態では十分な機能を果たせていないわけですから、そういうところに対して適切な仕事を提供するようなことをひとつ厚生省としてお考えいただきたいというふうに思います。
 次に、そういう軽作業ですから、その工賃はせいぜい一カ月に八千円から一万円ぐらいにしかなりません。大臣、これでは到底働く意欲が出てまいりません。
 ここに東村山けやき会共同作業所というところのパンフレットがありますけれども、時給が七十円なんです。そして、一日働いても四百二十円。神奈川県立精神保健センターの調べがございますけれども、平成二年の平均で七千三百円。しかも問題は、こんなわずかな収入であっても、その収入がありますと、生活保護を受けている障害者の方々は生活保護からそれをカットされる、こういう問題があります。これは何とがなりませんか。
#185
○末次政府委員 生活保護を所管している立場からお答えいたしますが、御承知のとおり、生活保護制度そのものは、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力等のあらゆるものをその最低限度の生活の維持のために活用するということを要件として行われているものでございます。したがいまして、就労収入があれば収入認定して、最低生活費に充てていただくということになるわけでございますが、同時に、生活保護制度というのは、対象者の自立を助長するという面もございます。したがいまして、収入の額に応じまして一定額を収入認定しない勤労控除制度というものを設けております。
 具体的には、収入がふえますと、最終的に被保護者の手元へ残る額もふえる仕組みになっておりまして、一級地で申し上げますと、月額で最高三万二百四十円控除するというような仕組みになりまして、結果として、働かないときよりも保障水準が上がっていくというような仕組みをとっております。また、これの控除のほかに、通勤費等の勤労に伴います必要な実費、これも控除していくというような仕組みをとっておるわけでございます。
 この勤労控除につきましては、毎年その上限額を改定いたしておりますが、この勤労控除の額をどの程度に定めるかということになりますと、生活保護制度というものが基本的かつ一般的な制度といたしまして、原因のいかんを問わず無差別平等に適用するという制度である、また、生活保護を受給していない一般の低所得者層との均衡を考慮すべきだという点もございます。毎年若干ではございますが逐次改定いたしておりますが、こういう点もあるということは御理解をいただきたいと思います。
#186
○常松分科員 時間が参りましたので終わりますが、現実にはその自立を阻害している、カットをすることによって現実には自立が阻害されているということを御指摘をいたしておきます。
 最後に大臣、こうした小規模作業所に対して、現在の補助額あるいは交付方式というものを抜本的に改めて、一定の条件を満たすような作業所については、すべての作業所に対して国庫助成をしてほしいという強い御要望が作業所の運営をしていらっしゃる親の方々からございます。言いかえれば、精神保健法の法の枠の中にこれらの小規模作業所を含めてほしいということでございまして、この点も含めた見直しか行われますように強く御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
#187
○唐沢主査代理 これにて常松裕志君の質疑は終了いたしました。
 次に平田米男君。
#188
○平田(米)分科員 私はまず、介護福祉士についてお伺いをしたいと思います。
 昭和六十二年に法が制定をされまして介護福祉士制度が始まったわけでございますが、いろいろな実情を現場の人にお伺いをいたしますと、さまざまな問題点があるというふうに伺っております。
 一つは、介護福祉士になるメリットがない。今の現状の制度では、ないという御意見でございました。一つの例といたしましては、通常、高校を卒業いたしますと、二年間介護福祉士の養成施設に入ります。相当な時間数の勉強をされ、また実習もされるわけでございますが、これを卒業されまして就職をいたしますと、二年の短大を卒業されて就職された方と介護福祉士の養成施設に二年間入られまして卒業された方、同じ職場であっても給料に差がある。初任給で大体八千円から一万円ぐらい養成施設卒業者の方が低いという実態がございます。私は、これは理由のないものではないかというふうに思うわけでございますが、この現状に対しましてどのようにお考えなのか、また、それに対してどのような対応をされるお考えなのか、お伺いをいたします。
#189
○末次政府委員 社会福祉施設といいますと、入所者に対しまして人がサービスをするということでございます。したがいまして、入所者処遇を担う職員の処遇改善というのを私ども大変重要な仕事であるというふうに考えておりまして、従沫から、社会福祉施設の運営費でございます措置費の中で、職員の人件費等の改善を行っているところでございます。
 現実の民間の社会福祉施設の給与につきましては、私ども措置費という形で人件費を国家公務員に準拠いたしまして積算をいたしまして、各施設におきましては、さらに国家公務員あるいはその地域の地方公務員あるいは地場賃金等を勘案いたしまして、公正妥当な給与規定を設定して、それに基づき給与を支給するというように指導を行っております。
 ただいま先生御指摘の事例につきましては、私ども一般的には、高卒後介護福祉士養成施設修了者と短大卒の者とで差を設けるということは、通常は考えられないんじゃないかというふうに考えておりまして、御指摘のような事例があるとすれば、今後私ども、さらに給与決定に関しまして公平かつ妥当なものになるように指導をしていきたいというふうに考えております。
#190
○平田(米)分科員 そういうケースが余りないような御認識のようでございますが、私が知る限りでは、ほとんどの施設がそのような待遇で受け入れているというふうに聞いております。これは介護福祉士の養成施設側の人、すなわち、就職をあっせんをする立場の人からの聴取でもそのようなお話を伺いましたし、それから、地方公共団体の社会福祉関係の担当者からも同様な内容のお話を伺いました。そういう意味で、厚生省の認識が少し甘いのではないか、こんなふうな印象を受けました。
 もう一度実態をよくお調べをいただきまして、今のような御趣旨できちっとした御指導をいただきたい、このように思います。もう一度御答弁いただければと思います。
#191
○末次政府委員 先生からそういう御指摘を受けまして、私ども手近にわかる範囲で幾つか調べてみたわけでございますが、私ども調べました範囲では、そういうケースが見当たりませんでした。ただ、先生の御指摘でもございますので、さらに詳細に調べまして、公正妥当な給与決定がなされるように指導していきたいというふうに考えております。
#192
○平田(米)分科員 それから、介護福祉士が地方公共団体に介護福祉士として採用されていない現状がございます。この理由を伺いましたところ、どうも社会福祉施設に対して国が配置をする基準というものをまだ定めていない。ですから、介護をする人は介護福祉士の資格を持っていようと持っていまいと構わない。そういうことがありますので、特に介護福祉士をその資格をもって採用をするという契機が起きないわけでございます。それで、地方公共団体といたしましてもそのような採用は特にしていない、これが現実のようでございます。
 今介護福祉士の国家試験の合格者は一万人を超えておりますし、それから、養成施設の定員は五千人を超えております。介護福祉士の必要人数からいったならばまだ不十分な状況にあるかとは思いますが、できるだけ近い時期にこのような配置基準というものをきちっと決めて、各施設に介護福祉士が介護福祉士として採用されるような状況をつくっていただく必要があるのではないかというふうに思うのですが、それについていかがでございますか。
#193
○末次政府委員 社会福祉施設におきます職員の配置につきましては、当該施設の性格、規模あるいは介護需要の程度等に応じまして基準を設け、配置を行ってきております。
 介護福祉士につきましては、御指摘のとおり制度発足後まだ日が浅いわけでございまして、資格取得者といいますか、登録をされている方の数も現時点で一万四千名程度ということでございます。したがいまして、これを直に配置基準の中に位置づけることは困難な状況にあるというふうに考えておりますが、今後「高齢者保健福祉推進十か年戦略」等の円滑な実施を図っていくためには、緊急にその養成、確保を図っていきたいというふうに考えておりまして、当面養成基盤の強化拡充に努めまして、その活用を促進していきたいというふうに考えております。
 なお、これは配置基準そのものではございませんが、介護福祉士としての技能を活用するという意味で、平成三年度に導入いたしました主任寮母制、その中で「介護福祉士の資格を有する者又は寮母として長年の経験と専門技術を有する者」ということで、「介護福祉士の資格を有する者」というのを選任条件の一つとして含めるということにいたしております。
 また、そのほか、この種のいろいろなサービスにつきまして、今後こういう介護福祉士としての専門技術を生かすという観点から、介護福祉士の活用をさらに進めていきたいというふうに考えております。
#194
○平田(米)分科員 まだ制度発足以来四年ほどにしかならないということから、やむを得ない点もあるかと思いますが、しかし、急速に高齢化社会は進展をしておりますので、速やかな対応をいただきたいと思うわけであります。
 そういう中で、国が介護福祉士として介護福祉士を採用したケースが今のところ全くない、こういう状況にあります。そのために、介護福祉士としての給与体系さえ公務員の給与の中に存在していない。国の制度の中に介護福祉士の制度が本当にあるのかどうか。これが民間における、あるいは地方公共団体における介護福祉士の地位を非常に弱くしているという実態があるのではないかというふうに思います。そういう意味で、幾つか国立の福祉施設もあるわけでございますので、そこでぜひとも介護福祉士を介護福祉士としての資格でもって採用を早急にいただくようにお願いをしたいと思うのですが、大臣、どうですか。
#195
○末次政府委員 私どもが所管しております国立の社会福祉施設の中で、介護の職員がおりますのは二カ所でございまして、現実に介護業務に従事している職員は二十二名ということでございまして、これらの者につきましては、研修、実務を通じて介護技術の向上に努めておりますし、また、この施設自身が介護福祉士の実習施設として指定を受けておるわけでございます。この二十二名の中で、これらの職員そのものは相当の技術、経験を有しておるわけでございますが、介護福祉士としての資格を持っておる者は二名でございまして、この数をふやしていくということが私ども今後の課題であると考えております。
 さらにこれを、定員事情もございまして、なかなか新しく採用するケースというのはそうはないわけでございますが、今後採用に当たりましては、そういうような観点も含めて考えてみたいというふうに考えております。
#196
○平田(米)分科員 考えてみたいというふうに言っていただいたわけでございますが、現に二人介護福祉士がおいでになるということならば、その方は資格を持っていても持っていなくても待遇は一緒だということになっておるわけでございまして、もう既に採用しておるならばそれなりの待遇をすべきではないか、このように私は思うのですが、いかがでございますか。
#197
○末次政府委員 こういう介護福祉士そのものの処遇をどういうふうに位置づけていくかということ、これは制度が始まってまだ間もないわけでございまして、私ども、こういった専門技術をどういうふうに活用していくか。その中の一つの方法として御指摘のような方法もあるかと思いますが、さらにこれは検討させていただきたいというふうに考えております。
#198
○平田(米)分科員 ぜひとも早期に検討をして、結論を出していただきたいということをお願いして、次の質問に移ります。
 介護福祉士の養成施設に修学する学生に対しましては、最近、各県で修学資金貸付制度を創設する動きがございますが、国といたしましても看護学生に準じた修学資金貸付制度を創設するべきではないかというふうに私は思います。養成施設の側の方々にお話を伺いますと、やはりおいでになる学生さんは裕福な子弟は多くない、非常に少ないということを言っておいでになりました。それで、学費は年間八十万円前後かかるようでございます。一カ月にいたしますと七万円近いわけでございまして、大変な負担でございます。確かに今、育英会とか社会福祉法人等が奨学金を設けておるケースもございますが、もう非常に微々たるものでございまして、学生のうちもう本当に幸運なごく少数、一つの施設で三、四人、そのくらいの数しか奨学金を受けられない、それもまた大きな金額ではないという実態がございます。
 やはり、介護福祉士制度をつくられたならば、それに大勢の学生が希望をし、今後の長寿社会においてマンパワーを確立できるような周辺の体制というのをきちっととらないといけないと思うわけであります。そういう点につきまして厚生省、それからまた文部省もおいでになっているかと思いますが、今後どのような対応をお考えなのか、御意見を伺いたいと思います。
#199
○末次政府委員 介護福祉士の養成課程にございます生徒の修学資金これは先生から御指摘のございましたように、日本育英会の修学資金貸付制度の対象にもなっておりますし、また私どもの方の制度として、低所得者世帯に属する者につきましては、生活福祉資金の中に修学資金の貸付制度というものがございます。これはやはり同じように無利子ということになっております。
 こういう制度もございますし、また、地方公共団体あるいは民間の団体におきましても、貸付制度を行っているという例も聞いておるわけでございますが、国といたしましては、当面やはり養成の基盤整備を最重点に図っていかなければならぬということで、平成四年度におきましては、新たに介護福祉士養成施設の教職員の確保、あるいは施設整備等の新規施策を講ずることとしたわけでございます。
 今後とも、こういう養成施設におきます学生の学びやすい環境づくりというような点につきましては、十分検討していきたいというふうに考えております。
#200
○井上説明員 お答え申し上げます。
 文部省では、日本育英会を通じまして、すぐれた学生生徒であって経済的理由によって修学が困難な者を対象に育英、奨学事業を行っておりまして、高校、大学、短期大学、大学院、高等専門学校、専修学校の学生生徒について、教育、研究の分野を問わず、その対象としているところでございます。
 介護福祉士養成施設の指定を受けた短期大学や専修学校専門課程に在学する学生生徒につきましても、学業成績及び家計収入の基準に該当しておれば、日本育英会の奨学金により対処できるというふうになっております。
 また、このような一般的、包括的な日本育英会の事業のほかにも、民間団体によって特色ある育英、奨学事業が行われておりまして、その中には介護福祉士を目指す学生に対し奨学金を貸与または給与することを目的とした財団法人もあり、最近では、昨年七月にそのような事業を行う財団法人が設立されております。今後におきましても、民間の財団法人の御協力がいただけることを期待しているところでございます。
#201
○平田(米)分科員 民間はどんどんやっていただければいいと思うのですが、国としてどうするかということだと思うのですよ。国としてきちっと取り組まないと、これから私たちは高齢化社会を迎えるわけでございます。そのための介護福祉士制度をつくられたのに、その養成をするための奨学金さえ、これは民間でやってください、こんなことでは本来の養成はできないわけでございます。
 大臣、どうですか。看護婦さんはきちっとした奨学金制度があるわけでございまして、それは、財政が非常に厳しいということは私も重々わかっておりますし、予算のシーリングもあります。しかしその中で、これから高齢化社会へ向けていろいろな施策を強力に推し進めなければいけないわけでございまして、私はぜひともこの奨学金制度は実現をしていただきたい。もう各県もどんどん始めようとしているわけでございまして、国もぜひ腰を上げていただきたい、こういうように思うのですが。
#202
○山下国務大臣 御承知のとおり、この制度は、制度化はいたしておりますが、まだ四、五年でございますか、比較的短い制度、きちんとした制度になってから年月が短うございます。したがって、おっしゃるとおり、やはり不十分な点もまだ多々あるかとも思います。
 ただ、基本的に申し上げておかなければならぬことは、看護婦という資格は業務独占でございますが、介護福祉士は業務独占ではないということが基本的な違いであろうかと思います。したがいまして、その趣旨はよく理解できますので、さらにまた今後とも勉強をしてまいりたいと思います。
#203
○平田(米)分科員 勉強されるということでございますが、本当に本気になって、高齢化社会を迎えるということなら、早期にその勉強の結論を出していただいて、実現をしていただきたい。時間がございませんのでこれ以上申し上げませんが、ぜひともお願いをしたいと思います。そうしなければ学生さんは集まらないし、今養成施設の基盤整備をしたいとおっしゃっていますが、これからどんどん養成施設をふやしたときに、果たしてそれだけの学生が集まるのかと考えたら、同時にやはり修学資金制度の整備をきちっと並行的にやっていかなければ、困難な問題が起きてくるのではないかというふうに私は思うわけでございます。
 それと同じような観点から、介護福祉士の養成施設に対しまして、運営費とか設備費について、看護婦養成校に準じてこれも同様に助成をすべきであると思います。
 これはもう先ほどから申し上げましたような趣旨でございまして、厚生省もそれなりの努力をしておいでになって、施設費については平成四年度からお考えになっているということでございますが、運営費の補助を出せば、同時に学費を低く抑えることもできるわけでございまして、奨学金と相まって学生さんが積極的に養成施設に入ろう、こういうインセンティブを与える結果になります。そういう意味で、ぜひとも助成制度を設けるようにお願いをしたいわけでございますが、その点いかがでございますか。
#204
○末次政府委員 介護福祉士養成施設の施設整備費につきましては、平成四年度から新たな国庫補助の対象にいたしました。また、六十三年度に創設いたしました社会福祉・医療事業団の融資制度、整備費を融資するというこの制度につきましても、融資率を七五%から八〇%に引き上げを図るということで、施設整備につきましては相当な制度をつくったわけでございます。
 運営費の問題でございますが、運営費につきましては、これは確かに看護婦養成施設はあるわけでございますが、看護婦につきましては業務独占、医療上この資格がないとできないというような性格もございまして、看護婦と同列に扱うということはなかなか困難がなという感じを持っております。
#205
○平田(米)分科員 まさに片一方は業務独占で片一方は名称独占だ、だから差がありますというふうにおっしゃっていますが、確かにおっしゃるとおりでございますけれども、しかし、高齢化社会の中で、マンパワーの中核として介護福祉士制度というものが設けられた。しかも非常にレベルの高いものとしてお考えになっている。福祉士というものに対する厚生省の高い理念があったからこういう制度をおつくりになったと思うわけでございますが、それが、制度はつくったけれども周辺の整備をしないで、看護婦と同様にできないのは名称独占だから、こういう理由だけではやはり納得できるものではないと思うのです。何度も申し上げますが、厚生省として介護福祉士というものをきちっと制度上持った以上、それに対応する周辺の諸施策というのはやらなければいけないと思います。
 看護婦さんの充実について今叫ばれておるわけでございますが、医療という観点からいって看護婦の充実というのは非常に必要でございます。しかし、お年寄りの面倒を見るのは、これからは介護福祉士に頼るわけでございまして、看護婦さんと仕事は違いますが、介護を受ける立場の人からすれば、同じサービスといいますか、また同じような心配り、そういうものを介護福祉士に期待をするわけでございまして、その立場は極めて重要じゃないかというふうに思いますが、大臣、どうなんですか。看護婦さんとどこまでも違うという認識で今後もこの介護福祉士制度を扱っていかれるわけでございますか。
#206
○末次政府委員 高齢化社会を迎えまして介護福祉の重要性、私どもそれは非常に認識をしておるわけでございます。そういう意味で、いろいろな施策を講じまして、養成基盤の拡充という面に取り組んできておるわけでございます。いろいろなほかの制度との違いを念頭に置きながら、学生の学びやすい環境づくりといった観点から、どういうところがどこまでできるかという点につきましては、なお検討を重ねていきたいというふうに考えております。
#207
○平田(米)分科員 ぜひお願いいたします。
 もう時間がありませんので、次の質問に移りますが、介護福祉士というものが余りまた国民に十分認識されていない、そしてまた、養成施設に入る高校生に対しても十分な認識がなされていないのが現状ではないかというふうに思います。まだ日も浅いという点もあるかと思いますが、しかし、これも早急に充実をするという観点から、PRについては積極的な御努力が必要かと思います。
 そういう中で、高校の在学生に対して知らしめるために、進路指導をする先生あるいは担任の先生に介護福祉士制度というものをぜひ十分に周知をしていただきたい。それからもう一つは、高校生に、介護福祉士の養成施設とかあるいは社会福祉施設というものを見学をするとか、あるいはそういうところでボランティアをすることによって、教育的PRといいますか、そういうようなことをぜひやっていただいて、介護あるいは介護福祉士に対する認識というものを十分に与えるような努力をしていただきたいと思うのですが、その点どうでしょうか。
#208
○末次政府委員 一般的に、介護福祉士の制度あるいは実際の仕事につきましては、政府広報の活用によりますPR活動、あるいは長寿社会福祉基金の事業として実施いたしております社会福祉・医療事業団によりますテレビ、ラジオ等を通じました広報あるいは情報誌の発行等、各種の広報、啓発活動を行っておりますが、こういった面の広報というのは、私ども従来以上に積極的にやりたいというふうに考えております。
 また、御指摘の特に高校生を対象にした啓発活動、これは全く御指摘のとおりでございまして、私どももいろいろな面でそういう動きをバックアップできるように、広報の面で考えたいというふうに考えておりますし、また、学校教育の中でボランティア活動にいろいろ御関心を持っていただくためのボランティア活動の推進事業、これも別途行っております。
 そういった施策を総合的に展開いたしまして、御指摘の趣旨に沿うように努力してまいりたいと考えております。
#209
○水野説明員 高等学校におきます進路指導における対応につきましてでございますけれども、近年の福祉分野におきます職域の拡大に伴いまして、高校生の中には将来福祉の分野に進もうという者もふえているわけでございます。御指摘のとおり、これらの者に対しまして、進路決定をする際に、介護福祉士制度等の福祉に関する正しい理解を与えることは極めて大切なことだと思っているわけでございます。したがいまして、進路指導におきましては、進路の適正な理解や将来の生活設計、望ましい職業観の形成とともに、進路情報の理解と活用ということを極めて重視しているわけでございます。
 具体的に、各学校におきまして進路指導に当たりましては、職業の種類や内容や将来の展望などの情報に加えまして、生徒が職業につくに当たって必要な資格や学習歴、そのために学ぶことができる上級学校の状況など、具体的な情報を収集、提供いたしまして、生徒がみずから主体的に進路決定できるように指導、援助しているところでございます。
 文部省におきましても、各学校において適正な進路指導が行われますように、今後とも引き続いて進路指導に関する手引等の作成でございますとか、進路指導担当教師を対象といたしました講習会の開催等を行ってまいりたいと思っておるわけでございます。
 また、学校教育におきますいわゆる福祉の心を育てるような体験的な学習につきましては、小中高各段階、児童生徒の発達段階に応じまして、特別活動、道徳等の時間において指導することにしておりますし、今回の学習指導要領の改訂におきましても、その内容の充実を図ったところでございます。
#210
○平田(米)分科員 時間が参りましたので、これで終わります。ごみの問題でお伺いをしようと思いましたが、時間がありませんので、申しわけございません。ありがとうございました。
#211
○唐沢主査代理 これにて平田米男君の質疑は終了いたしました。
 次に加藤繁秋君。
#212
○加藤(繁)分科員 加藤繁秋でございます。
 私は、あした政府の方が土曜日閉庁ということで閣議決定されて、一週間に二日休むという法案が提案をされるということでございますが、大変結構なことで、大いにこれは進めなきゃいけないと思いますし、民間がなかなか千八百時間体制に向けて困難な条件があるという中において、国が率先をして引っ張っていく、あしたの提案される週休二日制法案はそういう役割があるんじゃないかと思いますし、ぜひこれができるだけ体制も含めましてできるようにしてほしいなということでございます。
 その国家公務員の二日制に伴って、地方自治体もその実現に向けて努力をしていく、それに対して国の行政機関も指導をするということになると思いますが、きょうは保育所の保母さんの問題につきまして、この方に週休二日制ということを実施するに当たって、一体どのようにしていくのかということについてお伺いをしたいと思うのです。
 昨年の九月ぐらいから地方自治体におきましてはもう既に試行がなされていると思いますが、まずこの試行に当たりまして、今日までの試行の実施状況、一体どの程度の実施がされているのか、そして試行されて一体どんな問題が生まれているのかということについてお伺いをしたいと思います。
#213
○土井政府委員 保育所の保母さんの週休二日制の問題でございますが、私ども、保育所を含めまして、福祉施設の職員の勤務条件という問題につきましては逐年改善をしてまいっております。ただ、お話がございました週休二日制というところまではまだ至っておりません。
 御案内のとおり、一昨年までは週四十四時間の勤務体制ということで措置費の基本を置いておりましたが、今年度、平成三年度でございますが、四十三時間三十分ということで勤務時間を措置費上設定いたしております。それから、新年度の予算におきましては、十月実施ということでございますが、四十二時間という勤務体制で予算を組んでいるところでございます。なお、地方団体における実施状況等については、私どもその実態を伺っておりません。
#214
○加藤(繁)分科員 厚生省としても保母さんの二日制をこれから指導していこうというときに、昨年もう一部では試行されているでしょう、保母さんについて、その試行されている状況をつかんでないということだったら、一体どうですか、簡単にばっとできる、こういうふうにお考えですか。
#215
○土井政府委員 私どもの業務の進め方でございますけれども、保育所の保母さん方の勤務時間をどうするかという問題は、片一方では財源的な裏打ちをしながらその内容を前進させていく、そういう形で実施をしてきているところでございまして、ただいまここ数年の状況も御説明申し上げましたが、そういう形での取り組みでございまして、したがって、私どもとしては、保育所の保母さんが週四十時間で勤務するというようなことを決めているわけでもございません。そういう意味で、一部新聞等によりますと、地方団体等におきましてそういう試行が始まっているという報道は存じておりますけれども、詳しい事情は承知していないという状況でございます。
#216
○加藤(繁)分科員 承知していないのじゃなくて、そういうことについて調べようという気持ちはないということですか、そうしたら。
#217
○土井政府委員 週休二日制の問題につきましては今後の課題であるというふうに考えておりますので、今後地方団体等がどのような実情にあるか、あるいは地方団体だけではなくて、地方団体が措置費という形で財政支出をしている民間の保育所がどういう状態であるかといったようなことを、よく状況を見ながら今後の検討課題として取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#218
○加藤(繁)分科員 それじゃお伺いしますけれども、つまり、試行されているところは間違いなくあるわけですけれども、そういう状況について余り実態をつかんでいないということでしたら、恐らく厚生省としては、保母さんの二日制実施に当たってはそんな試行をしないでいきなりできる、こういうふうにお考えだろうと思うのです。
 そこでお聞きしたいのですけれども、一週間に二日休むということですから、保育所の土曜日を閉庁する考えはあるかどうかということについてお聞きしたいのです。
#219
○土井政府委員 土曜日の保育所のあり方の問題でございますけれども、私どもは、保育所というものは保護者が就労等により保育に欠ける乳幼児をお預かりする、そういう施設でございますので、企業等における週休二日制の普及状況などを勘案しながら、慎重に対処しなければならない重要な課題であるというふうに考えております。
 現在のところ、週休二日制の普及状況を企業について見てみますと、これは労働省の調査でございますけれども、完全週休二日制を採用している企業の割合が一二%程度というふうに伺っております。また、従業員数で見ますと三九%という状況でございますので、現時点では保育所の土曜閉園ということは考えていないところでございます。
 今後、週休二日制の普及状況等を見ながら、保育所における対応というものは検討してまいりたいと考えているところでございます。
#220
○加藤(繁)分科員 現在考えてないということは、この週休二日制法案は、平成二年度に試行をしていこうという閣議決定がされているはずですね。そのとき以来、厚生省の中では保母さんの二日制に対して、土曜日閉庁するということについて全く検討していないのか、それともそういうことについて検討したが、民間の保育に欠ける人たちが大変多いのでそれは難しいとしたのか、どちらですか。
#221
○土井政府委員 保育所につきましては、ただいま申し上げましたとおり、保育に欠ける乳幼児の方々の実態という問題がどう推移するかということにかかわる問題であるというふうに考えております。
 一方、保母さん方の勤務条件の問題につきましては、私ども平成三年度におきましては、従来の週四十四時間勤務時間を四十三時間三十分というふうに三十分改善をいたしておりますし、さらにまた平成四年度の予算におきましては、これを四十二時間というようなことで、本年の十月から実施する必要な財源措置を予算上講じている、そういう形で対応しております。
#222
○加藤(繁)分科員 ちょっと正確にお答え願いたいのですが、そういう検討をしたかどうかということについて先ほど聞いたのですよ。厚生省の中で保母さんの問題が出る。出るなら、土曜日は休まそうとした、そういう意見が出たかどうか、それについて検討があったかどうかということをお聞きしたいのですよ。
#223
○土井政府委員 保母さんの週休二日制の問題と保育所の土曜閉園という問題は別個の問題であると考えております。
#224
○加藤(繁)分科員 いや、別の問題じゃなくて、そういう議論はしたことあるのですかないのですか、どっちですか。
#225
○土井政府委員 恐縮でございますが、どういう趣旨のお尋ねが、私もよくポイントをつかみかねておりますが、私どもの内部におきまして、保母さんの勤務条件の問題、あるいは学校五日制というようなことがことしの秋から行われるというようないろいろな社会趨勢の中で、将来における保育所運営のあり方の問題、そういう議論、検討というものは常に行っているところでございます。
#226
○加藤(繁)分科員 私なぜ聞いたかといいますと、あるところ、これはちょっとあれですけれども、厚生省の中では保育所の土曜閉庁については全く考えたことがない、こういう話を聞いたものですから、全く考えたことがないということで出発するのじゃなくて、そういうことも一応頭に置きながら、しかし現状では保育に欠ける人たちが大変多いんだから、現状としてはそれは難しい実態にあるんだ、したがって、今のところは難しくて、それが変わっていけばやがてそれはできるんだ、やっていく方向なんだ、こういう趣旨でお伺いしたのです。それについてはどうですか。
#227
○土井政府委員 ただいま申されましたような趣旨で検討しているわけではございませんで、あくまで私どもは実態を見きわめながら対応していくという考え方で臨んでおります。
#228
○加藤(繁)分科員 それじゃ実態が変われば変わるということですね。
#229
○土井政府委員 保育所に子供を預ける必要のある親たち、それの実態がどうなるかという意味での問題でございまして、抽象的に、私ども保育所の土曜閉園が可能かどうかという形での議論ではないというふうに理解をしているところでございます。
#230
○加藤(繁)分科員 それじゃちょっと角度を変えてお聞きしますが、もし土曜日の閉庁が成った場合、保育園では当然悩みになるのが、そういう土曜日に子供を預かってほしいという方が随分といらっしゃる。そういう問題が当然起こるわけでございまして、そういうことに対して現在厚生省としては、こういうふうに考え対処していくべきじゃないかというような考えはお持ち合わせじゃないですか。どうですか。
#231
○土井政府委員 現在、保育所を土曜日閉園するという考え方を現状においては考えていないと申し上げましたことは、土曜日閉園にするという考え方を現時点では持っていないという意味でございます。したがいまして、土曜日保育園を閉園にした場合に、かわるべき措置をどうするかというところまでは、私ども現時点でお答え申し上げることができないと思います。
#232
○加藤(繁)分科員 それじゃ、保育所において週休二日制というのはどのようにやろうとしているのか、お聞きしたいと思います。
#233
○土井政府委員 保母さんの勤務時間の改善ということには私ども努力をしてきているわけでございますが、その努力の仕方というのを申し上げますと、一人の保母さんの一週間の勤務時間というのは、先ほど申しましたとおり、ことしの十月からは週四十二時間というような形で予算上考えております。したがいまして、保育所の保母さんたちが週四十二時間勤務することによって、カバーできない時間帯というものが出てくるだろう。その場合に私どもとしては、非常勤の保母さんを採用する、そしてその非常勤の保母さんを採用する財源措置を講ずるという形で対応してまいろうというふうに考えております。
    〔唐沢主査代理退席、甘利主査代理着席〕
#234
○加藤(繁)分科員 今四十二時間で足りないところは非常勤だとおっしゃったのですが、そうしますと、非常勤の単価ですけれども、これは正確じゃないかもしれませんが、休暇代替保母の年間一人当たり十四日分というのがあるのです。この十四日分で試算しますと、一人口額五千三百四十円という計算になるわけですけれども、非常勤になりますと恐らくこれよりももっと安いのではないかと思いますが、そういう安いお金で、しかも保母さんの月給そのものも、実は短大卒で五年で大体平均が決まっている。そういう安い状況もあるということ。しかも、休暇代替保母の日額五千三百四十円というお金、これよりも非常勤はもし安いとすれば、果たしてそういう非常勤の確保ができるかどうか。もしできない場合は一体どうするのか。実際しわ寄せになるのは保母さんだと思うのですが、そういう点についてどうでしょう。
#235
○土井政府委員 非常勤保母さんの単価でございますけれども、先生おっしゃいましたように、平成三年度日額五千三百四十円でございます。それから、平成四年度の予算案におきましては、五千五百四十円という金額で予定をいたしております。
 また、保母さんの給与につきましては、今お話がございましたように、保母の資格を取りまして短大を卒業されるという方々につきまして、勤続年数五年ということで、国家公務員の給与に当てはめましてその格付をいたしているということでありまして、私ども、実態に照らしておおむね妥当であるというふうに考えているところでございます。
#236
○加藤(繁)分科員 これは全然関係ないのですけれども、永田町の論理というのと国民の論理とは違うという話がよくあるでしょう。皆さん方が妥当だと思っているのと、実際現場へ行って妥当だと思うのは違うと思うのですよ。したがって、皆さん方はそれで人が来るのだから、来なければしょうがないんだということですね。それで本当に週休二日制ということが保育現場においてできる、こういうふうに確信を持っているということですか。
#237
○土井政府委員 週休二日制の問題は、初めに申し上げましたとおり、私どもはことしの秋から週四十二時間勤務体制を実現したいという形で考えておりまして、今の時点で保育所の保母さんについて週休二日制、逆に言いますと週四十時間という問題については、次の問題というふうに考えているところでございます。
#238
○加藤(繁)分科員 次の問題というのはやらないということですか。私が聞いているのは、一週間に二日休ますのですか休ませないのですかということなんですよ、結論は。何か四十二時間とか勤務時間ばかり言って、勤務時間はわかっているのです、言わなくても。だから、厚生省として、今度法案が提案されたら保母さんは一週間に二日休ませます、こういうことですか。
#239
○土井政府委員 保母さんにつきましては、週休二日制を今度の法案で決めるという形には相なっておりません。
#240
○加藤(繁)分科員 それじゃ、厚生省の指導は、保母さんは週二日は休ませない、こういうことで理解してよろしいですか。
#241
○土井政府委員 ことしの十月から週四十二時間の勤務体制を実現したいというのが私どもの当面の目標でございます。
#242
○加藤(繁)分科員 大変後退したお話ですね。国はもうとにかく四十時間で週二日をやっていこうというときに、保母さんだけはそうはしない、こういうことですから。一体千八百時間に向かって政府としてどういう指導をするのか、ちょっと疑わしく思うのです。恐らく今後いろいろな運動で、私たちも今後の国会の中で、この問題についてはできるだけ皆さん方に対して申し入れしていかなければいけないというふうに考えますので、これで終わりますけれども。
 そこで、いずれにしましても、四十二時間になりますと休む日が多くなるということは間違いないわけなんです。そうなりますと交代で休むということになると思いますが、休んだときに、先ほど言われたように非常勤を充てるということですが、その非常勤というのは非常勤の保母さんですか、それとも事務員なんですか、どっちですか。
#243
○土井政府委員 非常勤の保母さんでございます。
#244
○加藤(繁)分科員 そうなりますと、基準保育というのがありますけれども、例えばゼロ歳児は六人に一人とか五歳児は三十人に一人とか、こういうことが守られない保育の現状に非常勤が入ることによってなると思うのですが、それはどうですか。
#245
○土井政府委員 非常勤ですが、きちっとした保母の資格を持っている保母さんでございますので、その基準は守られることになります。
#246
○加藤(繁)分科員 そういう考え方だということですね。はい、わかりました。
 そういうふうになりますと、非常勤の方というのは、初めて来るし、なかなか職場の状況もわかりにくい。ですから、お互いになじみにくいということもありますし、先生方の連係プレーもなかなか難しい。そうなりますと、今でさえも保母さんの健康状態は大変悪いということがありますし、今後さらに四十二時間、あるいは厚生省は今のところ考えていないとおっしゃいますけれども、我々としては四十時間にしなければいけない、あるいは三十八時間四十五分にしなければいけない、幾つかあります。そうなりますと、ますます保母さん一人一人にそのしわ寄せが私は体にあらわれてくると思うのですが、そういう保母さん一人一人の健康状態について厚生省として実態をつかんでいるかどうか。もしつかんでいるとすればどういう状況にあるとお考えか、お聞きしたいと思います。
#247
○土井政府委員 保育所の保母さんの健康状態の問題でございますが、これは入所児童に接するということで非常に大事な事柄であると考えております。現在の仕組みは、御案内のとおり、保育所の所長さんが児童福祉の最低基準等に基づきまして、職員の健康診査を定期的に実施をして、健康を確保していくという形でやってきておりまして、現在のところ、特段の調査は行っておりませんけれども、私ども問題が生じているとは伺っていないところでございます。
#248
○加藤(繁)分科員 問題が生じていないという認識、それぐらい現場と認識がずれているということを私申し上げたいと思います。
 例えば、これは自治労の香川県本部が調査した例ですが、八八年二月に百十二保育所て千八十九人のうちで九百六十三人がアンケートに応じたわけです。そのうちで一〇〇%が残業をしている、超過勤務をしている。町のほとんどのところで手当が支給されていないというような問題があるということ、そして、ふろしき残業とかいうことを合わせますと、これは相当なものになるのではないかということ、それが一つです。
 それから健康状態についてですけれども、例えば肩凝りは九五%の人が訴えている。頭痛は七四%、そして腰痛は七七%、生理不順・苦痛が五五%、こういうさまざまな状況があらわれているわけですけれども、そんな不調を感じたときに七〇%の人は我慢して働いている。病院に行ったり休息したり年休をとったりして体を休めている人は二二%しかいない。病院へ行けるのは仕事が終わってであり、年休をとっているのは一八%だ。そして保母さんの七〇・九%が妊娠・出産異常を経験しておる。そのうちで妊娠・出産数の五四・三%の率で異常となっている。調べによりますと、四十一人の命が死産・風疹などのための中絶として途中で亡くなっている。
 こういう調査があるわけでありますが、これは恐らく香川県本部だけではなくて、どこの現場をとりましても、特に香川県が悪いというのではなしに、どこの現場へ行ってもあると私は思うのです。先ほど厚生省は特に問題がない、こういうふうにおっしゃっているのですけれども、こういう私が申し上げたようなことは問題ではないとお考えですか。どうですか。
#249
○土井政府委員 今先生お話しの香川県の自治労県本で調査をされた実態、私ども今初めて伺いましたので、恐縮ですが、後ほどできればちょうだいしたいと思います。
 私どもも保母さんの健康の保持ということは重大な関心を持っておりまして、それが今先生おっしゃるように非常に難しい局面を迎えているということならば、それなりに対応していく必要があると思いますが、現在、私どもの方で全体的に見て、保母さんの健康状態にそれほど大きな問題があるというふうには伺っていないという私の認識を申し上げたわけでございまして、これがもし間違っておれば、それはそれなりの対応を今後検討していく必要があるだろうと思います。
#250
○加藤(繁)分科員 ぜひ厚生省としても、実際現場で働いている人のアンケートをとるか実際に聞くかして、本当に生の声を聞かないと、今働いている人だって問題がないと言う人は、本省の人だっていないと私は思いますよ。厚生省の職員だって、体の異状を訴えない人は少ないんじゃないかと思います。現に私のところにだって、本省の人をふやしてくださいというように陳情に来ますからね。これは余談ですけれども。したがって、実際に現場と、それを預かっているところは差があるということをぜひ認識していただいて、厚生省ですから、再度それについては十分に調査を行い、対処をしていただきたいなということなんです。
 そういう実態がある。しかも四十二時間。あるいは今後さらに四十時間にしていく上にとって、非常勤だけで非常に対応がしにくくなっているんじゃないかというようなところから、あしたですか、週休二日制法案が提案されるし、今後さらにそれが広がっていく段階において、保母さんを中心として、私はきょうは保母さんですから保母さんの問題を申し上げますが、人員増を図る、こういう措置がなければいけないんではないか。今の由の方針でいきますと、サービスは落とさない、そして人はふやさない、金はふやさない、三ないでとにかくやりなさい、こんな閣議決定がされているんですね。これではとてもできないと思うんですけれども、大臣、私が今申し上げたような中で、ひとつ実態からあわせて、保母さんの状況で、しかも四十二時間体制、さらに四十時間にしていく中で、人をふやさなければいけないという現状があることについて私は理解を示してほしいんですが、いかがでしょう。
#251
○山下国務大臣 かなり具体的に事例を挙げて御説明ございましたが、あるいは厚生省の調査が不十分であったかもしれませんが、さらに調査を進めて対処をしてまいりたいと思います。
#252
○土井政府委員 恐縮でございます。今、金はふやさないと言いましたけれども、私ども、勤務時間を短縮する、改善する場合に、そのカバーをする財源措置はきちっと考えている、その財源措置でもって非常勤保母さんを採用できるように手当てをしているということでございますので、そこの点だけつけ加えさせていただきたいと思います。
#253
○加藤(繁)分科員 じゃ大臣、人の問題はどうですか、増員の問題は。大臣ちょっと答えてください。
#254
○山下国務大臣 保育所の週休二日については、現在まだ完全に実施されておりませんし、今局長が答弁申し上げましたようにことしの十月から考えるということになっておりますので、これから無理がいかないでいけるかどうかということを種々検討してまいりたいと思います。
#255
○加藤(繁)分科員 よくわからないのですけれども、無理がいかないじゃなくて、実態としては非常にしにくい状況があるので、今はできるだけ人をふやさなければできないという状況について厚生省として理解ができるというふうに考えていいですか。
#256
○土井政府委員 保母さんの勤務時間が短くなった分をカバーするために、非常勤の保母さんを採用する財源措置を講じていく。したがって、結果として、正規職員ではありませんが、非常勤の保母さんという形できちっと埋めることができるというような仕組みになっているということを先ほど来申し上げているところでございます。
#257
○加藤(繁)分科員 はい、きちっとやってください。
 自治省来ていますか。時間がありませんから、最後にお伺いしたいのです。
 土曜閉庁に伴って通達が出ていますけれども、その中で、国家公務員との均衡を失しないように所要の改正を行いなさいということが出ているのですが、この意味をちょっとお聞きしたいのです。
#258
○石橋説明員 地方公務員の勤務時間につきましては、地方公務員法第二十四条第五項に基づきまして「国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」こういうふうになっておるわけでございます。また、先生今お話ありました土曜閉庁を導入する際に、各界の有識者の方々に御参加をいただきまして御意見をお聞きするために設けました地方公共団体の土曜閉庁に関する研究会がございますが、その報告書におきましても、地方公共団体が土曜閉庁を導入するに当たっての留意点といたしまして「勤務時間制度等について、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失している団体においては、社会的批判を招くことのないよう早急にその適正化を図るべきである。」というふうに報告書にも出ているところでございます。
 したがいまして、自治省といたしましても、勤務時間の適正化を図ることによりまして、この土曜閉庁方式の導入について住民の御理解と御協力が得られるものじゃないかというふうに考えておりまして、ただいま先生が御指摘になりましたような通知を行ったところでございます。
#259
○加藤(繁)分科員 ちょっと具体的にお伺いしたいのですが、今度国が四十時間になります。そして、地方団体の中でこの二日制を実施しますと七時間四十五分になるところがある。一週三十八時間四十五分ですね。つまり、一日七時間四十五分で、国が八時間ですから。そういう状況がある中で均衡というのは、これを、七時間四十五分を八時間にしなさいということじゃないということですね。
#260
○石橋説明員 ただいま申し上げましたように、地方公務員法上の規定がございます。したがいまして、今先生がおっしゃいましたように、今度国家公務員につきまして完全週休二日制を実施いたしますと、一週間当たりの勤務時間というのは四十時間になるわけでございます。したがいまして、地方公務員につきましても、やはり一週当たりの時間というのは四十時間にすべきであるというふうに考えておるわけでございます。
#261
○加藤(繁)分科員 もう時間がありませんから最後にしますけれども、地方公共団体の勤務時間は地方公共団体が決めるのですよ。国がこうしなさいと言うのは、それは指導はいいですけれども、押しつけるものじゃないですね。しかも千八百時間にしていこうという流れの中で、大体一千三十八団体ぐらいが今度七時間四十五分になるそうですけれども、そういう状況を後戻しにするというのはおかしいのじゃないかというのが一つ。
 もう一つは、国が八時間で、一部、一〇%ぐらいですけれども、千三十八、これが七時間四十五分というのは、労働基準法の休息時間、休憩時間を四十五分とっている、しかし、国家公務員の場合は労働基準法が適用外だから三十分であるという、この十五分なんですよ。したがって、むしろ是正すべきは、国家公務員に労働基準法を適用して、四十五分にすべきじゃないかというのが筋であって、その七時間四十五分、進んでいるものを後戻ししなさいというのは逆行じゃないかということについて、ぜひともそういうことにならないように指導をしていただくということをお願いしたいのですが、いかがですか。
#262
○石橋説明員 ただいま先生からお話がありました労働基準法の適用の問題、したがいまして休憩時間の差異ですね、そういうことについても私の方もそういう話は聞いておりますし、十分承知はいたしております。しかし、先ほどからも申し上げましたように、現在の地方公務員法上は、国と同じように、週四十時間になれば地方公務員も同じく四十時間、こういうことですべきであるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、先生がおっしゃいますように、それは地方団体の勤務時間というのはそれぞれで決めるんだというふうにおっしゃいますけれども、確かにそれは労使の間で協議もあり、しかも条例で定めるわけでございます。条例につきましては、住民の代表であります議会の議決が必要でございますから、やはりその中身というのは、先ほどから申し上げましたように、国あるいは他の地方団体とのバランスのとれたものであるべきじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
 それと、ちょっと答弁が長くなりますけれども、千八百時間、これは我が国の非常に重要な課題でございます。したがいまして、先ほど先生からお話もありましたように、今完全週休二日制の導入に向かっていろいろ諸般の準備もやっております。それからまた、最近は非常に超過勤務なんかもふえております。こういう超過勤務なんかはできるだけ縮減するようにしていかなければいけない。また年次休暇につきましては、現在その消化率は三割ぐらいでございます。こういうものももっともっと消化率を上げて、千八百時間に向かって労働時間の短縮を図っていかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。
#263
○加藤(繁)分科員 もう終わりますけれども、片っ方は四十五分を十五分延ばしなさい、保母さんは四十二時間でそのまま置いておきなさい、こんな都合のいいところだけ変えるというような指導じゃなしに、ぜひとも挙げて千八百時間に向けて努力していただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#264
○甘利主査代理 これにて加藤繁秋君の質疑は終了いたしました。
 次に、小森龍邦君。
#265
○小森分科員 私は、部落差別の問題をめぐりまして、特にソフト面と言われる側面を多少ここで分析をするという形をとりながら、今日の部落差別の問題、ひいては我が国における民主主義全般の問題というようなことにつきまして質問をいたしたいと思います。
 まずは、部落問題については非常に経験豊かな厚生大臣のおられるきょうの分科会でありますから、話の取っかかりといたしまして材料を出すことが大事でありますから、厚生省の立場から、ソフト面において、被差別部落の者の今日の生活の実態が日本国民一般と比べてみてどういう点にどんな問題点を持っているか、これは全部説明をいただくことはできませんが、二、三ひとつ特徴的なところをまず御説明を賜りたいと思います。
#266
○末次政府委員 総務庁が昭和六十年に生活実態調査をいたしまして、その報告書が出ております。それと一般の資料を突き合わせまして見ますと、まず第一点としては、生活保護率が同和地区で六七・七パーミルに対しまして全国平均が一一・八パーミル、このような差が出ております。また、六十五歳以上の健康の状況の「病弱・床につききり」という項目につきましては、同和地区が四〇・六%に対し全国は三六・九%、それから身体障害者の対人口比で、同和地区は三・三%に対し全国が二・四%、それぞれ若干同和地区は高くなっているというのが実情であろうと思っております。
#267
○小森分科員 質問の順序といたしまして、ついでのことながら、労働省の所管の行政において、当然、賃金ということに対しては日ごろ関心を払われておると思いますが、賃金でもよろしいし、一般的に言われる収入でもよろしいですが、労働省の方は、そこに格差があるとすればどの程度の格差があると御理解をなさっておられますか。
#268
○後藤説明員 昭和六十年の同和地区を対象に総務庁において実施されました生活実態調査から、同和地区と全国の就労状況を見ますと、一つには、臨時日雇い等の不安定就業者の割合が一五・一%と、全国平均の一・七倍と高く、一方、常用雇用者の割合は五三・三%で、全国平均に比べまして約九ポイント下回っているといったような状況が出ております。いま一つ、従業員三十人未満の小零細規模の企業で雇用されている者の割合が四二・四%で、全国平均より約九ポイント高くなっておりまして、一定の改善が見られるものの、なお雇用状況は厳しいものがある、このように認識しております。
#269
○小森分科員 そこで、地域改善対策協議会には厚生省の関係者も、表向きは事務次官ですね、労働省の事務次官も出られていたわけですが、どうして地対協は、八六年の地対協のときもおおむね問題は解決ついた、今回は少しトーンを落としていますけれども、解決ついたという言葉の使い方、もうおおむね解決ついたというんでしょうかね、こんな実態があるのに。その点につきましては、各省庁とも事務次官が出られておるのでありまして、もちろん具体的には代理だと思うけれども、どういう論理的整合性を持って、もう問題は大分片づいたというような雰囲気を出されるのでしょうか。その点いかがですか。
#270
○末次政府委員 地対協の意見具申の中では、いわゆる物的な事業、ハードは相当進捗し、これからは産業、就労、教育、啓発等の非物的事業、ソフトといいますか、これが重要だという指摘がございます。
 厚生省の分野では、ただいま例として挙げましたような点であろうかというふうに考えておりますが、こういった面につきましては、いわゆる一般対策で取り組む分野であるということでございまして、事業実施の上で、地区の実情に即しまして、ニーズに適切な対応をしていくことがこれから必要であろうというふうに考えておるということでございます。
#271
○後藤説明員 私ども、就労の関係につきましては、同和関係住民の就職の機会均等を確保することが重要であるという認識のもとに、就職差別の解消や不安定就労の職業の安定を図っているところでございますけれども、先生御指摘のように、職業安定機関を通じて最大限の努力はしているものの、現在につきましては、就職差別の問題につきましてもいまだしという感じを持っておりますし、不安定就労者の解消についてもいまだし、このような感じを持っておりますので、今後ともその解消に向けて努力してまいりたい、このように思っております。
#272
○小森分科員 後ほど大臣の意見も聞きたいと思いますが、確かに言いわけとすれば、ソフト面まだしもの感があるという意味のことは書いてあるのです、地対協のこのたびの意見具申に。しかしながら、五年前の意見具申でもって、あのときも本当は法律をつくるまいとしたのです。それは意見具申のちょっと前に、部会報告の中にあるのです。法律などつくるというようなことは考えていないという意味のことを書いて、私らがそうじゃないということを一生懸命働きかけて、やっと五年前の十二月に出た意見具申では、今切れたら財政力の弱い市町村が困るから何らかの法律が必要だ。部落問題を解決しなければ人類普遍の原理にもとるからというような考え方でなくて、地方自治体が財政的に困るから、何らかの法が必要だということで地対財特法ができたのです。
 もともと、もし民間運動団体がぼうっとしておったら、あのときでさえもう問題は大分片づいた、こう言っておるのですから、もうこの問題はやみに葬られてしまうところだった。あなた方の各省庁の代表が出ておられて、こういう格差というのはちゃんとわかっておって、そして物のはずみによったらもう法律など切ってしまおうかというような雰囲気にどうしてなるのでしょうか。
 つけ加えて言いますと、去年の十一月に社会党の田邊委員長が代表質問に出て、宮澤総理は、一般行政への円滑な移行で、法の延長は考えておりませんとかいうようなことを本会議場でやったんですよ。これは官僚が書いたものを読んだ。だから、たったこの間までそういうことだったのです。だから、総務庁に振り回されるというのか、総務庁や法務省が悪いと私は思っていますけれども、あそこらの官僚に振り回されているのではないか。
 こういうソフト面というのはなかなかぱっと見て見えないことですから、よく本質を見きわめて数字を検討しなければわからないことですから、ややソフト面を問題とする省庁が押し切られているのでしょうか、どうしてあんな雰囲気になるのでしょうか。本来ならほっておいてもやらなきゃならぬことはやらなきゃならぬのであります。大臣からは後で聞きますから、ちょっと官僚のところで答えてみてください。
#273
○末次政府委員 ソフト面につきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろな問題があることは確かでございます。例として挙げました生活保護その他の問題につきましても、いずれも私ども一般対策として取り組んでおりまして、その中で地区の実情に即して、ニーズに適切に対応できるような配慮を加えていくということが必要であろうというふうに考えております。
#274
○小森分科員 事がいかに深刻であるかということについて申し上げますが、私は既に二回、去年もおととしもこの分科会に出させてもらっておりますので、恐らくその都度言っておると思いますけれども、部落差別というのは、こういったソフト面において一見したところすぐにはわからない。しかし、よく掘り下げたら大変な、取り返しのつかない問題を持っているということについて、その最たる事例として寿命の問題があるのです。
 この寿命の問題で言いますと、私ごとになりますけれども、私の父親の兄弟が何人もいたのですけれども、この間八十四歳てたった一人残ったおじが亡くなりました。しかし、これは抜群に長生きしたのです。順番を言いますと、私のおやじらの兄弟は十八歳、四十歳、四十二歳、四十四歳、五十六歳、私のおやじは五十歳、こんな死に方なんですよ。君のところは寿命の短いつるじゃないかと言われるかもしれませんけれども、よく地域の広がりで調べてみると、これは広島県芦品郡新市町というところです。私の町の隣の人口二万五千くらいの町なんですけれども、調べてみたら、部落の人の寿命が町全体に比べて大体六歳短い。それから、山を一つ越えて尾道という町は有名です。私の府中市の山を一つ越えて瀬戸内海の方へ出たら尾道という町ですが、調べてみたら尾道も五歳短かった。
 これは、同じこの世に生まれてきて、偶然的な一人一人の事実で早死にをするということはあったとしても、統計的にそういう数字が出るということは、これはゆゆしき人権侵害ですよ。人命を尊重していないということですから、社会的な一つのいろいろな要素があってそうなるわけでありますから、これはゆゆしい問題だ。だから、芦品郡新市町なんかは自分のところで、県の保健所だけでは間に合わぬから、保健センターというのをつくっています。国や県の制度でなくて、別に町で体育指導員というのをつくって、体をいかにして鍛えるかというようなこともやっています。
 そういうふうに、部落差別というのはそんな簡単に、地対協が、やれ物はもう解決つきましたとかいって、痛うもかゆくもない者が寄ってたかってもう問題解決つきましたと言うのだから、それでは余りにも軽々しい、こういうことになるのでありまして、こういったソフト面のところまで食い込んで、差別というものがじわっと浸透しておる、これはどうやったら解決つくでしょうかね。
 この点について、これは極めて大きな政策的課題の問題でありますから、どうやったら解決つくかということについて、この辺でひとつ大臣の意見を賜りたいと思います。
#275
○山下国務大臣 前回のこの法律をつくりましたときに、私はいみじくも総務庁長官でございまして、大変苦労いたしました。あのとき、いろいろ検討し、いろいろな方々の御意見も聞きました。そして、もう時限立法としては今度が最終ですよということも念を押しました。そして、大体何年でできるのか、五年なら大丈夫ということで、五年という時限の法律をつくったつもりでございます。それは合意の上だったと思います。
 しかしながら、その後の経過を見てみますと、どうしても五年では無理だ、無理であればできるまでのことはしなければならぬというのが今回のさらに延長する五年の立法措置だと私は思っております。
 したがって、これは別に差別であるとか差別でないということではなくて、一つの約束事でありますから、国としては、そういう趣旨で五年でできると思ってやったことができなければ、やるのは当然でございますし、憲法にも保障された基本的人権にかかわる差別というものが実際にこの世に残っているということに一般に認識されておりますから、まずそういう面から、一つの精神面からこれをクリアしながら、あわせて、そういった方々が苦しんで統計的に若干でも差があるとするならば、その差を埋めるための事業その他もまたやっていかなければならぬ、こういうふうに私は理解して、今後とも同和対策には取り組んでまいりたいと思っております。
#276
○小森分科員 前回、山下厚生大臣、当時の総務庁長官には土壇場でいろいろ御努力をいただいたということは、私も運動団体の幹部の一員でありますのでよく承知しておりまして、その点では感謝をいたしておるところでございます。
 それで問題は、今日の内閣、閣内にあってもこの問題を一番よく承知されておる厚生大臣でありますから、私はそういう厚生大臣を意識してこれから申し上げるのでありますが、例えば事業量にいたしましても、あの五年前にこれくらいの事業があるという計算をしたわけです。そして、必ずしもそのはじき出した事業量に対して余りふつり合いな、不細工な予算の削減はしていなくて、この五年間で九十何%ぐらい総額は組んだと私は思うのです。一ところが、ふたをあけてみれば三千八百八十八億という数字が出る。しかし、大臣、この三千八百八十八億というのは、総務庁が苦肉の策で言っておる数字であって、決して正しい数字とは私は思っていないのです。今これを例えば総務庁あたりと徹底的な議論をすると、せっかく法律をつくろうというふうにみんなその気にずっと向かっておるときに、何だ、そんなことなのかということで、かえってマイナス面もありますから、私はほかの分科会あるいは私の所属する委員会でもそういうことは言っていませんけれども、我々は実際はそんな簡単なものではないと思っているのです。
 それで、同和対策審議会答申ができまして、これが一九六五年のことでありますが、六九年に同和対策事業特別措置法ができまして、これが前期五年、後期五年の十年、それから三年の延長がありまして、それから地域改善対策特別措置法が五年あって、それから地対財特法、当時の山下総務庁長官が苦労して、何とかそこまでこぎっけてもらった。また今度は地対財特法の、政令で多少圧縮するところがあると思いますけれども、法律はほとんど同じようなものをやる。その都度、従来予定しなかったような残事業が出てくることを大臣はどういうふうに認識されるでしょうか。
#277
○末次政府委員 御指摘のとおり、前回、地対財特法制定当時予定いたしました事業量、厚生省で申し上げますと千四百三十二億という事業量でございます。それを、予算をずっと逐年とりまして事業を実施してきたわけでございますが、再度調査いたしますと、御指摘のとおり残事業が出てきた。予算的には大体当初の事業量とほぼ見合った予算を計上したわけでございますが、結果としてこうな一つたということでございます。
 その理由といたしましては、この地対財特法制定当時予定した事業量以外のものが、現実には実施をせざるを得なかったという点がございます。したがいまして、その後新たに事業として実施をいたしました部分を含めますので、こういう金額になるということで、当初予定いたしました事業量の中にもやはり若干未実施の事業として残っているものがある。こういうものが今回残事業として出てきたというふうに理解をいたしております。
#278
○小森分科員 まさしく御説明のとおりだと思うのです。だんだん次から次へと問題が出てくるのですね。出てくるのは、どう言いますか、背負ってやろうと言うたら抱いてくれという意味で出るのではなくて、つまり、従来自覚をしていなかった。ここに隣保館が建てはよいのになというのが、地域の人の意識水準が低いと自覚がないのですね。そして、だんだん日本の民主主義の定着度なり部落の中の相互の接触などがあって、隣保館でもつくって地域のコミュニケーションの場に使いたいじ、また子供たちの予習復習をする場所に使いたい、場合によったら隣保館を、部落ではないけれども隣町の人の集会所にも使ってもらって、部落の中にどんどん出入りをしてもらおう、こんなことが意識が高まるにつれて、ここにこういうものが必要だ、こうなってくるのです。
 ところが、その意識の高揚ということとは関係なしに、総務庁の方では、官僚は考えるわけです。これだけやったのにまだあるよ、もういいかげんに切らなければ切りがない、こういう考え方ですね。だからこれは、政府あるいは県、市町村が先回りをして、運動側も一生懸命やっているけれども、寝た子を起こすなというふうな考え方では最終的には物は片はつかないのだから、同対審答申にもそう書いてあるんだから、みんなで運動と名がつくほど組織的でなくともよいが取り組みをやろうじゃないか、そして、この時期にやるべきことをやって、徳川封建幕府以来四百年の封建的な問題を解決して、真に近代国家としてふさわしい状況に持っていこうじゃないか、これがなければいかぬと思うのですね。
 大臣は、その点は理念的には賛成していただけるでしょう。ちょっと大臣の方からひとつ。
#279
○山下国務大臣 そのとおりであります。
#280
○小森分科員 そうしますと、大臣、今の政治状況では、私が大臣にこういうことを言うのは大臣に余り、俗っぽい言い方になりますと荷を負わせ過ぎるといいますか、しかし、今の山下厚生大臣の力量なら、閣内にあってもある程度主張してもらえるのではないかという期待もあるのですけれども、結局自覚ということについて、組織的とまではいかないけれども、部落を隠すだけでは解決つかぬのだから、この時期みんなと一緒に隊を整えてやっていこうじゃないかという意識を持ってもらわなければならないのは、私どもが強調しておるおよそ千地区、今までの法律からいったら未指定地域なんですね。
 これは我々も一生懸命やりますけれども、例えば私の県の裏側の島根県、どっちが裏か表か、自分の方から勝手に言ってはいかぬのですが、つまり日本海側ですね。正本海側の島根県に百五十ほど部落がございますけれども、この間県庁へあることがあって私は聞きましたら、百五十ほどあるうちおよそ百が未指定地域、こう言われるのですね。それは、全国からいったら約千ほどあるのですね。それを今の状態でいきますと切り捨てていこうという方向になっています。今の地対財特法で、要するに五年前から申請しなさいと言ってもせぬのだから、よほどの事情があるのだろうからもうこの辺で打ち切ります、こうなっているのですね。
 しかし、それは長い歴史の目から見たら、四百年も続いた差別なんでありますから、もっと前の、近世封建社会でなくて中世封建社会あるいは古代にさかのぼって、いずれの時代にも何らかの形の被差別民はおったと思いますが、六千部落の中には、歴史的にいつもいつも運が悪くて、いかなる変革の時期にも上昇カーブに乗ることができずして、千何百年も差別の運命を背負っている部落もあろうと思いますよ。
 そういう状況だから、五年、七年間戸をあけておったのだから、正確に言うと十八年間門戸をあけておったのだから、そのときに乗ってくれぬのだから行政としてはしょうがないというようなことでは、部落差別というものは、人間の自由と平等に関する市民的権利の問題であり、基本的人権の問題であり、さらに人類普遍の原理であると同対審答申が言い、しかも、憲法は身分差別根絶ということを言っておる。そういうことからすると、余りにも表面的な考え方に基づいて総務庁は物事の取りまとめをやっておる、こういうことになりますので、この千部落をどうするかという問題、具体的に言うたら、そこで先ほど来お話しになりましたようなソフト面の実態が出てくるようでないと、この社会的病理現象に対する正しい手当ではできない、こう私は思うのですね。
 これは、今の雰囲気で厚生大臣はなかなか話しづらいことかもしれませんけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
#281
○山下国務大臣 先ほども申し上げましたように、私は五年前、総務庁長官を一年ほどやっております間に、この同和の問題についてはいろいろと頭を痛めたこともございますし、いろいろやってまいりました。ただ、常に篤と話し合いながらやっていくと、お互いに人間と人間が話し合えばわかってもらえるんだな、お互いがそう思って私はやってきたつもりであります。
 そこで、いろいろとハードの面でもやってまいりましたけれども、そのときに、このように未指定地域が残っているということは、私の長官時代には私には伝わっておりません。ただ早く残事業をやらなければというのが先に進んでおったこともございましょう。したがいまして、それから五年たった今日、こんなに残っているのかなと、今実は私も思っているわけでございますが、ここまで参りますと、私もしゅうと根性を出して、総務庁は一体何だと言うわけにもまいりませんし、やはりこの問題は所管のところで解決していただかなければならぬ。それは総務庁であり、あるいはまた法務省が若干関係する点もあるかと思いますが、そのようにこれから解決すべきではなかろうかと思っております。
#282
○小森分科員 当時、五、六年前の総務庁長官時代には、確かにこの千部落のことについては、私どもも余り大きく問題として前面に出していませんでした。それは、あの時期にまさか法打ち切りをにおわすような形で問題が出るとは思っていなかったものですから、とりあえずの防衛策といいますか、残事業ということに重点を置いた立論であったわけですね。
 そして今回は、大臣、ひとつよく御理解いただきたいと思いますのは、ことしの分科会での各議員の主張は、私自身もそうでありますが、去年までとは大分違うと思うのですね。去年までは、差別事件がどうとかあるいは残事業がどうかというようなことに重点を置きました。それはとりあえず当面の問題をクリアしなければいかぬ、こういう考え方であります。ことしは、不十分ではあるけれども、それは閣議決定して、もう国会に提出してもらっておる。今までの水準のことは何とかできそうだという、我々に心のゆとりといいますか、だから厚生大臣に対しても、そのことは一応クリアできそうだということに立って、実は我々ののどにかかる問題はこれなんですという意味のことを私が今言っているのですね。
 したがって、今大臣が言われますように、直接の省庁とよく話してくれ、私どももそれは話したいと思いますが、閣僚の一員、特に総務庁の長官も経験なさり、その後も数々、これまでの山下大臣の経験を生かした立場から陰になりひなたになりいろいろなことをやってもらっておるので、私はそのことについて感謝をしておりますし、やはり経験者が物も言うと、経験者でない者が物を言うよりは響きが大きいわけですから、どうぞ閣僚の一員として、私が今申しましたようなことについていろいろ御助言なり御尽力を賜りたい。ひとつ大臣の最後の気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
#283
○山下国務大臣 先ほど来申し上げましたように、五年前には、とにかく残事業をやるということに皆さん方の団体も一生懸命で、私もそれは一生懸命やってまいりました。そして、とにかくこれでいいかなというわけで、最後は握手で別れるような時限立法をっくったわけでございますが、それから後五年たった今日、まだこれぐらい残っていたかなという実感がございます。
 ただ、先生もおっしゃるように、五年前は残事業にとにかく全精力を集中してきたとおっしゃる。私もそうでありました。そのときに、これはこれとしてもっと大きくおっしゃっていただければ、また一緒に解決する方法もあるいはあったかもしれぬな、これは後で悔やんでも仕方がないことでございますが。ですから、次々に出てくるという、何かエンドレスになるんだという誤解を招く人もあると私は思うんです。ですからこの際、私もまた感じたことは総務庁にも申し上げますが、ひとつ所管の官庁にまた強くおっしゃっていただきますように、私からもお願いをしたいと思います。
#284
○小森分科員 それじゃ、これで終わります。
#285
○甘利主査代理 これにて小森龍邦君の質疑は終了いたしました。
 次に、貝沼次郎君。
#286
○貝沼分科員 時間がありませんので、はしょっていたします。
 戦没者の妻への特別給付金のことでございます。
 これは、過ぐる大戦において一心同体である夫を失った特別の痛手、加えてまた、生計の中心を失ったことによる経済的な困難と闘ってこなければならなかったという精神的苦痛に対して、特別の慰謝を行うため特別給付金を支給するという制度だと思いますが、結論から申し上げますと、これが平成五年までになっておりますので、今後どうするかということが一つの問題でございます。
 私の主張することは、この制度をさらに続けていただきたいという希望が当事者からは多いわけでありますので、まずその方向で今後検討されるかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
#287
○多田政府委員 戦没者等の妻に対する特別給付金でございますが、先生おっしゃるとおり、五年に一応償還が終了するという予定になっております。
 今後の扱いでございますが、まだ明年度の予算編成の過程でいろいろ議論をしていかなければならないという状況でございまして、今の段階でこういうふうにするというようなことを申し上げる段階にないということを御理解をいただきたいと思います。
#288
○貝沼分科員 決まっておったら私は要望しないんです。わかっているでしょう。
 来年度、平成五年ですからいよいよ来年ですね、そういう話が出てくるだろうと思うんです。その場合に厚生省としてはどんな気持ちでおるのか、もういい加減やめた方がいいという考えなのか。しかし、やめるとしたって理由がありませんね、今まで続けてきたんですから。かといって、これからどうするかというときに、やはり厚生省の姿勢というのは私はおのずからあると思うんですが、それをお伺いしておるわけであります。もう一度答弁してください。
#289
○多田政府委員 繰り返しになりますけれども、これから十分検討していくという状況でございますので、今のところちょっと申し上げる段階にないということでございます。
#290
○貝沼分科員 検討する、じゃ内容を言ってくれませんか。何を検討するんですか。例えば続けようという意思があって、その条件とかそういうものを検討されようとするのか、それともも、ついっそのことやめてしまおうかというところまで検討されようとするのか、その辺はいかがですか。
#291
○多田政府委員 どういうふうに扱うかということを全般的によく検討をしていきたいと思います。
#292
○貝沼分科員 じゃ、打ち切るという場合に何か理由がありますか。
#293
○多田政府委員 まだこれから検討する段階でございますので、それらも含めてこれから検討をするという状況でございます。
#294
○貝沼分科員 時間のないところでこんな議論ばかりしておっても仕方がないわけですが、ぜひこれは前向きでひとつ取り組んでいただきたい、この要請をしておきます。大臣、いかがでしょうか。
#295
○山下国務大臣 御趣旨のことは私はよくわかりますので、そのように承っておきます。
#296
○貝沼分科員 それで、この制度の対象者でございますが、大変高齢化しております。国としては何歳ぐらいの人が対象になっているかという調査はないそうでありますが、岡山県である人が調べた結果によりますと、大体平均七十七歳でございます。そうすると、今まで十年ごとにこの制度をつくってまいりましたが、十年間ずつやりますと、平成五年から次十年といいますと九十歳ぐらいになってしまうわけですね。ここまで生きておれば大変幸せなことですけれども、人間の寿命はそう簡単には考えられませんので、そこで、当事者の中には――この妻の制度と並んでできた戦没父母時給というのがありますね。これは親ですけれども、このときには五年単位でやっているわけですね。そういうところから見ましても、もう九十歳までという話よりも、八十近いのですから、五年くらいで、自分たちのために出してくれるものであるならば自分たちが生きておるうちにお願いしたい。したがって、十年を求める人もおるかもしれませんし、あるいは五年を要求する人もおるかもしれません。そういったことを選択制も含めてひとつ検討の内容に加えていただきたい、こういう要請がありますが、これについて、そういう意向も取り入れて御検討されますか。
#297
○多田政府委員 先生のお話のことも念頭に置いて、いろいろな角度で検討してみたいと思います。
#298
○貝沼分科員 それから、今、期間のことを申し上げましたが、当然のこととして、十年間であれば、例えば現在の制度であれば百二十万円相当の国債になるわけでありますが、これが今度はさらに額を上げて、そして五年間というふうにするような場合もあると思いますので、そういう要望が強いということを申し上げたいと思います。
 それからもう一つは、八十歳以上になりますと体が大変不自由になってまいりまして、今までと同じような方法で手に入る方法をとっておりますと、大変困難なことがあるということでありますので、その方法についてもひとつ善処方をお願いしたいと思っております。これはもう答弁を求めても、それらを含めてということでしょうから、時間がありませんから答弁は求めません。要望だけいたしておきます。
 それから次の問題は、輸血の副作用防止対策についてお伺いをしたいと思います。
 輸血の副作用の中でいろいろなものがあるのですね。その中で死亡率九〇%、副作用が起きたらほとんど死ぬと言われる輸血後GVHD、移植片対宿主病というのですか、これがこの五年間で少なくとも五百八十三例に上っていることが判明しております。それで、輸血後、多くの場合は手術後でありますが、一、二週間で発病して、最終的には汎血球減少症を呈して死に至る病気で、有効な治療法はない、こういうことであります。これは東大輸血部の十字教授を中心にした日赤の研究班による全国実態調査で明らかになったものでありますが、実際にはこの二倍以上と推定されるのではないかと言われております。
 ただ、ここで大変気になることは、この調査の結果、副作用があるということあるいはその症状、そういう臨床体験もないというようなお医者さんが四八%という数字が出ておりましたので、びっくりしたわけでございます。したがって、このGVHD、これの実態調査を今後もさらに進められるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
#299
○川崎政府委員 ただいまお話しございましたGVHD、これは免疫不全の患者にリンパ球を含む血液を輸血した際に見られる疾病でございますけれども、免疫不全以外の患者さんに対します大量新鮮血の輸血などの際にも、まれに発生する場合があると言われております。
 現在、お話しございましたように、これが発症した場合には有効な治療法が確立されてないということもございまして、その対策といたしましては、発症の予防のための輸血用の血液に対する放射線照射が有効ではないかといったようなことが言われておりますが、今先生お挙げになりましたように、日赤の研究班でアンケート調査が行われていまして、そのGVHDの報告例につきましてさらに確認等を行うための詳細な調査を行っております。
#300
○貝沼分科員 日赤の方でこういうショッキングな結果が出たわけですが、厚生省としては、今後安全対策というものを確立していかなければならないわけでございます。
 ただしかし、何とかしなくちゃと言うだけではいけませんので、やはり専門集団でありますから、それなりのスケジュールを持ってその対策を詰めていくんだろうと思いますが、そのスケジュールは今後どういうふうになっておるんでしょうか。
#301
○川崎政府委員 ただいま申し上げましたように、日赤の研究班の方で詳細な調査を行っていただくとともに、学会等でも輸血用の血液に対します放射線照射について、対象とか照射の条件等を御検討いただいているところでございます。
 できるだけ早く取りまとめていただくようお願いしておりまして、その結果を得まして、医療機関等への発症予防のための輸血用の血液に対します照射等の対応について周知を図るとともに、体制の整備を早急に進めたいというふうに考えております。
#302
○貝沼分科員 今、私はスケジュールということを申し上げたわけですが、スケジュールというのはやはり早急とかそんなことではないと思うんですね。まず段階的にこういうことをきちんとやって、それでこういうことを目指して、ちゃんと作業工程があってやってまいりますというのがスケジュールだと思うんです。ただ早急にとかあるいはできるだけとかというのは、これはだれでも考えることでありまして、厚生省がこんなことを考えているのかなと私は今がっかりしたわけですが、もう少し具体的に答弁をお願いします。
#303
○川崎政府委員 現段階ではできるだけ早くというように申し上げざるを得ないわけでございますけれども、何も半年先とかという意味でなく、できるだけ早く進めたいというふうに考えております。
#304
○貝沼分科員 もう時間がありませんから、じゃもう一つ。
 先ほど申し上げましたように、現場の医師が実は知らない、これは恐ろしいことですね。四八%の医師が知らない。これについてはどう手を打たれますか。
#305
○古市政府委員 厚生省では、私どもの局から平成元年九月に、輸血に関し医師または歯科医師の準拠すべき基準の廃止及び輸血療法の適正化に関するガイドラインの制定、これを既に出したわけでございます。この中で、新鮮血はGVHDを引き起こす可能性があるので、必要最小限度に使用するようにとやったわけでございますが、今御指摘のように十分行き渡っていないということであります。
 そこで、ただいま業務局長がお話ししましたように、いわゆる学会等で具体的な対策を検討していただきまして、その結果を早急に医師会等関係専門学会雑誌も通して注意を喚起する、このように思っております。
#306
○貝沼分科員 大臣、こんなことやっていたって進みませんね。大変だ大変だ、何とかしてくれ、それだけでしょう。知らない人は、幾ら大変だと言われようが、何とかしてくれと言われようが、やりようがない。はっきりと医師に対してそれを指導したらどうですか。なぜそういうことが言えないんですか。もう一度答弁をお願いします。
#307
○古市政府委員 端的に申しますと、そのような製剤が届いた場合に、一たんそれを輸血したら現在の段階では残念ながら治療法がないということでございます。したがって、最大め施策というのは、そういう製剤が必要な場合には最小限度使用する、それと同時に、放射線照射でそのようなリンパ球の活性を殺すということが対策になろうかと思います。
#308
○貝沼分科員 それは先ほど答弁を聞きましたから、私わかるんですが、現場の医師が知らないということに対してどうか、こういうふうに質問しているんです。
 だから、現場の医師にはその徹底を図るとか、あるいは何々を通じてこうやっているとか、ただ通達を一本ぽんと出したから徹底されるものではないと思いますよ、技術的な問題ですから。これはもうちょっと積極的に、国民が納得できるような方途をとられることが大事だと思いますが、大臣、どうなんでしょう。
#309
○山下国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。問題は、やはり通達だけではなくて体制をつくるということでしょうから、これに対してどう対応していくかということを厚生省でさらに協議を進めて、その体制をつくるように今後また努力してまいります。
#310
○貝沼分科員 了といたします。
 それから次の問題は、ツツガムシ病の話題でございます。
 最近ツツガムシ病の患者が随分発生しているようですが、どういう状況ですか。
#311
○寺松政府委員 今先生御指摘のツツガムシ病でございますけれども、ここ二、三年大体九百を超える程度の患者が発生を見ております。
#312
○貝沼分科員 一たんほとんど絶滅に近いと言われたツツガムシ病患者、これが最近、殊にこの数年間九百あるいは今度は千名を超えるだろうと言われておりますが、こういうふうにふえたのはなぜですか。
#313
○寺松政府委員 私どもいろいろ専門家の御意見をお聞きしてみますと、次のようなことにその理由が考えられるわけでございます。
 従来のアカツツガムシというのにかわりまして、フトゲツツガムシあるいはタテツツガムシ等の新型のツツガムシ病虫が発生したということ、それが一つ。それから次に、DDT等の強力な殺虫剤の使用が停止されたこと、それから、人の山林部への立ち入りの増加等が考えられる、こういうようなことでございますけれども、専門的にはなかなか難しい、こういうふうなことをおっしゃっております。
#314
○貝沼分科員 早い話がネズミがふえたんでしょう、ネズミのダニですから。それで、かっては阿賀野川であるとか信濃川であるとか、私は生まれが新潟ですから、生まれたときからツツガムシというものの怖さというのはよく教えられておるわけですが、今ネズミは国道に沿って走るわけですね。したがって、私は今回山におりますが、岡山でもツツガムシの患者が出ておりますね。全国的に今、千葉なんか相当出ていますね。しかし問題は、その予防ができないということでございます。実際にこの発見も難しい。大体知らないというところがありますのでこの質問をしておるわけでありますが、この患者発生を予防するにはどういうことを厚生省はやっていらっしゃるんですか。
#315
○寺松政府委員 私どもの今までのこのツツガムシ病に対します対策でございますけれども、簡単にちょっとお話ししてみたいと思います。
 昭和五十年ごろからタテツツガムシ等の新種のツツガムシ病虫の出現によりまして、全国的に発生が見られるようになった、こういうことでございまして、厚生省といたしましては、調査研究を行いますとともに、その結果を踏まえまして、昭和五十八年の二月の五日の通知によりまして、ツツガムシ病の原因、診断、治療法、予防方法について都道府県に指導通知を出したわけでございます。
 ところが、またさらにその後増加するというようなことでございますので、先生もいろいろそこでおっしゃっておりましたが、ツツガムシ病の対策としてなかなかいいのはないのでございますけれども、いろいろとその旨を周知徹底するとともに、医療機関との連携によって予防対策に取り組むよう、各都道府県に昨年の十月でございますか、改めて通知を出したわけでございます。
 その内容といたしまして、先ほどもちょっとその理由ということで御説明を申し上げましたが、先生からネズミがふえたのではないかというお話がございました。そのようなことでございますが、まず患者の早期発見とか早期治療及び疫学調査の徹底、それから住民に対しまして、山林等の生息場所に立ち入ります場合には、皮膚の露出を防ぐことや速やかに医療機関に受診するようなことの指導、それからもう一つは、地方衛生研究所での検査体制の整備、こういうようなことにつきましてやったわけでございます。それで、実際は私ども住民の啓発を行わなければならないものですから、具体的には各自治体に対しまして広報紙等への掲載あるいはパンフレットの配布、ポスターの掲示等を行っているところでございます。
#316
○貝沼分科員 今御説明のあったのは、昭和五十八年二月五日のものが基本ですね。これは非常におもしろい文書なのです。これをやっていたら二時間ぐらいになるのですけれども、きょうはそうやりません。要するに意味がないということを言っているのです。
 まず、生息が考えられる場所に入っちゃいけないというのですが、どこですか、これは。だれが知っているのですか。こういうことは一般の人は知っているのですか。この場所はツツガムシが生息しておりますと言ったら、そこの所有者は怒りますよ。どこですか。それは一般の方はわかるのでしょうか。生息の考えられる場所に入っちゃいけないと書いてある。どうやって判断しますか。
#317
○寺松政府委員 患者等が出た場合でございますけれども、ツツガムシ病の淫浸地帯といいますか、浸淫地帯に対しましていろいろな疫学調査等も行いまして、その辺のことを決めていく、こういうことではないかと思います。
#318
○貝沼分科員 だから、結局わからないのですよ。それだったら、林に入るなと言った方がまだいいですよ。
 ツツガムシ病の臨床体験の医者というのはまた少ないのです。だから医者へ行っても、これがツツガムシ病なのかどうかというのは判断がまた難しいので、この調査に上がってきたのは、知っておるところだけが上がってきているのです。ですから、この調査が鮮明になったから、これしかいないのだと思ったら、とんでもない間違いであって、もっともっと多いのです。ただわからないだけのことなのです。もっとこれは力を入れないと大変ですよ。
 また、ダニのつき方、有効な殺虫剤、ダニ忌避剤の指導をするというふうになっているけれども、これはだれがどこでこんなことをやっているのですか。
#319
○寺松政府委員 私どもが承知しておりますのは、都道府県を通じまして保健所等で指導しておる、こういうふうに承知しております。
#320
○貝沼分科員 大体保健所で指導するといったって、行く人が決まっているわけじゃないでしょう。特定の職種の人がどこかへ入るのなら、その人に指導するということはできるかもしれませんが、不特定多数の人に保健所はどうやって指導するのですか。一軒一軒回って歩くのですか。そんなの不可能です。結局やっていないということなのです。
 もう一つ、刺されたかどうか点検しなさいとある。ダニがいるかいないかわからないところへ入って、刺されたか刺されないかだれがどうやって点検して、どういうことならこれがツツガムシだということが一般の人はわかるのですか。点検できますか。どういう場所が刺されるのですか、あなた御存じでしょう。娘が死ぬでしょう。刺される場所が人に見せられないから、恥ずかしい思いをするのが嫌だといって我慢をして、手おくれになって死ぬわけじゃないですか。だれがどこで点検するのですか。そんなのは頭の中の体操ですよ、これは。どうですか、どこでやるのですか。
#321
○寺松政府委員 先生なかなか厳しい御質問でございますけれども、私ども、日本感染症学会だとか日本内科学会等におきましていろいろ専門家とのお話をしておるわけでございますが、診断方法だとか治療方法、そういうふうなもの、あるいは予防方法等についていろいろとお知恵をいただきましてやりたい、このように思っております。
#322
○貝沼分科員 そういうことなんですよ、大臣。
 もう一つ書いてある。僕は厚生省の書類をもとにして今聞いているのですよ。確認しているのだ。私が保健所の役人になったとすれば、何をやるのかなと思って今確認しているところなんだ。「本病の診断は臨床所見及び経過からおおむね可能とされているが、病原体の確認や血清学的検査は一般医療機関では行い難い場合が多いため、地方衛生研究所での検査体制を整えるとともにこ云々、こういうふうにある。難しいと書いてある。じゃ、これに対して何を手を打ったのですか。難しいということも認めた文書でしょう。難しいことはみんなわかっているのです。
 それを難しいと書いて、研究は進めますと言うけれども、都道府県に通達を出してあると言うけれども、実際その都道府県のところでは、この人がツツガムシに刺されたか刺されないのか、どういう治療をするのか、どういう血清をやるのか、具体的に対応しなければならないのです。それが間違ったら医師は問われるのです。だから、これでよしとしたって、この通知は、こんなものただ書いてあるだけ、全く内容が不明確です。私はもっと具体的に出していただきたいと思いますが、いかがですか。
#323
○寺松政府委員 私どもも、先ほども申し上げたのですが、いろいろ専門家の意見も聞いておりますが、今先生がおっしゃったように、予防方法なりあるいはダニの固定等もなかなか難しいようでございます。したがいまして、また意見をお聞きしまして、できるだけ明快にわかるような指導をしてまいりたい、このように思います。
#324
○貝沼分科員 次の問題をやろうかと思ったのですけれども、時間があと二、三分しかなくなっちゃったからしょうがない。
 ダニですから、発生する時期がありますね。冬の初めとそれからこれから、たしか四、五月じゃなかったかと思いますが、時期はいつですか。
#325
○寺松政府委員 五、六月ごろから十月ごろぐらいまでじゃないかと思います。
#326
○貝沼分科員 それは大丈夫ですか。そうじゃないよ、あれは寒いときだよ。もう一回……。
#327
○寺松政府委員 私が申し上げましたのは、五月から十月と申し上げたのですが、春から初夏ぐらいまでと秋から冬、この二回のようでございます。
#328
○貝沼分科員 だから、そういうこともはっきりしてないようではもう対策できないのだよ。これからなんだ。
 これから子供たちば山へ遊びに行ったり、いろいろなところへ行くわけです。そのときに、帰ってきたらすぐに親がお風呂に入れて、そして刺されたか刺されないか一生懸命点検するのですか。そんなことできるわけないでしょう。だから、これは絵にかいたもちにすぎないと言っているわけです、言葉は悪いけれども。もっと具体的にやってくれと。
 そこで、もう時間がありませんから、大臣にちょっと所見を伺いたいと思いますが、どのようにお考えですか。
#329
○山下国務大臣 私は、少年時代にこのツツガムシの話を聞いて、本当に恐ろしいなと思ったことがあります。台湾で霧社事件というのがありまして、駐在所が当時の台湾人に襲撃されて、集まったたくさんの邦人、日本人ですが、野っ原や林の中に逃げて、これがツツガムシに食われでほとんど死んだという怖い話を私は記憶いたしております。
 もしもそれと同じようなツツガムシであるならば、これは大変なことだと思いますし、全国に広がるということであればなおさらのことでありますから、これはやはり徹底的に対策を講じなければならぬ、そのように思います。
#330
○貝沼分科員 それで、同じようなことで、実はきょうMMR、新三種混合ワクチンの接種の問題をやろうと思ったのですが、時間がありませんのでいたしませんけれども、これは保護者の意思を確認してやるというふうに書類はなっているのですよ。私は、やるかやらないか、保護者の意思の確認かと喜んでおった、インフルエンザと同じように。私はインフルエンザのとき、それを一、生懸命言って、やっと保護者の意思になったのですから。ところが、そうじゃない。この書類には確認となっているけれども、これは三回ワクチンをするか、MMR一回で終わるかの確認のための単なる保護者の意思なんです。これは考え直してもらわなければいけません。これが一つ。
 それからもう一つは、MMRの中で自前株と統一株とありますけれども、自前株の方が大分すぐれている、こういうふうに言われておりまして、これからいろいろモニタリングでやるのだそうですが、すぐれているならばすぐれているようにそちらの方をやるべきであって、そして、そこには保護者の意思で選択するということがない。それで、今度はMMRか三回接種するかということについては、これは判こを押すようになっている。しかし、問診に対しての責任の判こではない。その判こはどういう判こかと聞いてみたら、その辺で売っている三文判でいいのだ。一体何のための書類がということをきょう私は問題にしたかったのでありますが、時間がありませんのでやめます。次の機会に、何かあれば篤とやらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上で終わります。
#331
○甘利主査代理 これにて貝沼次郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、新村勝雄君。
#332
○新村分科員 私は、脳死、臓器移植についてまず伺いたいと思います。
 脳死と臓器移植については、臨時脳死及び臓器移植調査会からの答申が先般出されたわけであります。方向としては、脳死を死と認めて臓器移植を行う方向で答申が出されているわけでありますけれども、まだ国としては、厚生省としては最終的な決断に至っていないというのが実態だと思います。
 どころが、この問題について、私は素人の立場からの質問でありますから、場合によったら間違ったことを申し上げるかもしれませんが、筋としては間違っていないと思います。この問題については、既に十数年、二十年近く前から世界じゅうの各国で問題になっているわけですが、先進各国においては、いずれも慎重な検討と研究の結果、脳死を人の死と認めて臓器移植を行う、こういう決定をして、既に相当数の実績が積まれているわけです。それで現在、世界主要国で脳死を人の死と認めていないのは、日本とイスラエルだけだと言われております、その他の国はいずれも脳死を人の死と認めて臓器移植をやっているという状態であります。
 しかも日本には、臓器移植をやらなければ、近い将来、死を迎えざるを得ないという運命の人が数百人とも数千人とも言われておるわけです。そして、そういう人たちの中で、費用が許される人あるいはカンパ等によって資金を集めて、外国へ行って移植を受けているという方が相当いるということも周知のとおりであります。
 こういう状況の中で、一日も早く政府におかれても、脳死を人の死と認めて臓器移植ができるように施策を進めていただきたいと思うわけでありますけれども、大臣のお考えをまず伺いたいと思います。
#333
○山下国務大臣 日本の各界一流の権威者すぐってのこの脳死臨調、二年間で三十三回も、あるときは八時間も討論しながら結論を出していただいたことに対して、私も深く感謝いたしております。
 しかし、せっかく出たものは実現に移さなければなりませんが、御承知のように、今のところ司法当局がこれを認めないという態度をとっております。したがって、どうするのか。私どもは、せっかく答申が出たのでございますから、何らかの形において立法化をしなければ効果がないのでございますから、一日も早く厚生省としても方針をまとめて、この法律立案の方向へ向かって進んでいかなければならぬと思っております。
    〔甘利主査代理退席、和田(静)主査代理
    着席〕
#334
○新村分科員 司法当局が脳死を人の死と認めないということでありますが、死の定義というものは法定されていないのですね。今まで普通、三徴候というのですか、心停止あるいは呼吸停止、瞳孔散大ということで判断していたようでありますが、これも死の定義に基づいて、法定された定義に基づいてやっているのではないわけです。何といいますか、経験的というか慣習というか、それにょってやっていると思いますし、同時にまた、その死の判定は全面的に医師に任されている状況でありますが、医学が進歩し、あるいはいろいろな新しい療法ができてきた。
 特に脳死という状況は、最近の人工呼吸器とか生命維持装置の開発によって、初めてそういう状況ができたのだと思いますけれども、そういう状況の中で、いわゆる不可逆的な、もう絶対にもとに戻らないという状況、死の方向にしか進み得ない、絶対にもとに戻り得ないという状況が脳死であると言われているのでしょう。そういう状況を人の死と認めるか認めないかという問題でございますが、この問題は純粋に医学的な見地から、純粋に科学的な見地からの判断、もう一つは宗教的といいますか哲学的な、あるいは感性的な、感情的な見地からの考え方と、二つに分かれると思うのですね。
 それで、現在もまだ脳死臨調においても、全会一致で脳死を人の死と認めていないと思います。少数意見というのがある。しかし、この少数意見というのは、今申し上げたように、思想的なあるいは宗教的な観点から、あるいは哲学的といいますか、そういう思想的な立場からの反対でありますから、これは説得はできないし、いかに医学が進歩しても、いや心臓が動いている限りは死ではないのだ、こういう認識、不可逆的な、事実上は死んでいるのだということを認めたくない立場あるいは認めない立場、こういう立場もあるわけでありますから、これは臨調においても、あるいは国民世論においても全会一致はあり得ないと思います。
 この人間の生の営みはあくまでも神の摂理であるから、外部から物理的な力を加えてはいけない、こういう突き詰めた宗教的な立場もあるわけです。ですから、そういう立場からすれば、臓器移植はもちろんのこと、輸血もだめだ、あるいは外科手術もだめなんだ、これは神の意思に反するのだという立場もあるわけでありますから、そういう点で言うと、何年待っても、臓器移植あるいは脳死を全国民がすべて一〇〇%認めるということにはならないと思います。
 ところが、今臓器移植をしなければ助からない人が相当いるわけであります。そういう状況を考えた場合には、もうそろそろ国としても最後の決断をすべきではないか。しかも、世界じゅうに二国しか残っていないわけであります。脳死を認めない国は日本とイスラエルだということが言われております。そういう中で、ぜひ政府の決断を願いたいと思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。
#335
○山下国務大臣 おっしゃるとおり、死の判断というのは難しいんだなと思います。三徴候、おっしゃるとおりであります。いずれにしても、それに携わる医師の判断にゆだねるわけでございますが、他の二徴候が科学的にあいまいだと言われる今日において、特にこの脳死は重要になってまいりました。
 そこで、その脳死にも少数意見がございますけれども、多数意見に従った法律をつくるのかどうか、それは別といたしまして、いずれにしても急がなきゃならぬことは間違いありません。したがって、私ども何らかの形において立法化すべき手段を講じていかなければならぬ。それは議員立法にせよというお話もございます。いろいろやり方はあると思いますが、この問題はひとつなるたけ早くやらなきゃならぬと思っております。
#336
○新村分科員 脳死を認めないのは、司法当局が認めないということでありますけれども、司法当局が認めないというのは、なぜ認めないのかということです。死という現象は、やはり医学の立場から、医学の専門家がこういう状況は死なんだということを決めるのが筋だと思いますね。司法当局は法を守る立場ではありましょうが、医学の専門家ではありませんから。司法が認めないということは、司法というのは法の番人ですからね。
 ところが、死は別に法定されていない。経験的なものから、心臓が停止すれば死だと、いうことが今まで一つの慣習みたいに守られてきたと思いますね。ところが、死というのは一点だけで、一つの時点だけで決められるものではない、かなり長い一つの経過があるということが言われていますね。心臓が停止をしても皮膚は生きている。心臓が停止をしてもひげなんか伸びるそうですね。そういうことで、最初に死の兆候があらわれてから、その個体が完全にすべて死ぬまでの間には相当の時間がある。十時間ないし二十時間の死の経過があるということは、一点で死を判定するのはいろいろな議論が起こる余地がある、そういうことが言われております。したがって、心臓停止のときが死なのか、あるいは全身の細胞が死んだときが死なのかという問題もあるわけですよ。
 ですから、脳死を死と認めて臓器移植ができるようにするということのためには、もう絶対にもとに戻らないという不可逆的な状況になったかどうかということで判断をしてもよろしいんだというのが、今世界的に認められている死の定義だと思うのですね。人工呼吸等によって、生命維持装置によって呼吸をし、心臓は動いていても、一定の時間が来れば脳は融解して解けてしまうと言われております。心臓は動いていても、脳はすっかり解けているということになると、これは果たして生きているのかどうか。生命維持装置によって心臓は動き、肺臓は動いているけれども、脳が既に融解してもうすっかり解けてしまっているという状況になった場合には、これは明らかにその時点で不可逆的な状況に立ち至った、だから死と見ていいんだというのが世界的な一つの認識になっているわけです。
 ところが、残念ながら、日本ではそれがまだ国民的なコンセンサスになっていないということでありますけれども、こういう状態を果たして国民世論に基づいて決めることがいいのかどうかということも、一つの問題ではないかと思います。国民の皆さんの多くは、専門的な生命の現象やなんかについては知識が恐らくないのではないかと思います。ただ感情的に、感性的に、一応の説明をされて、いや心臓が熱いているんだから、これは死と認めるのは無理だという反応が返ってくるのが普通ですよ。よほど医学の知識のある音あるいは深い知識のある者でない限りは、心臓が動いている限りはこれは命があるんだろう、心臓が動いている人からその段階で心臓を取り去ることはかわいそうだ、場合によったらこれは殺人ではないかとか、こういう反応が一般の国民からは返ってくると思います。
 そういう状況はなかなか説得というか、脳死が人の死だという認識が一般の常識として国民の間に行き渡るというのは難しいですね。恐らく何十年とかかるんじゃないかと思います。それでもだめかもしれない。感情的には、例えば自分の肉親が、心臓が動いているのに死んだと判定されることが納得できるかどうかということになりますと、これは大変なわけですよ。ですから、こういう問題については、世論の動向だけで決めるということは時期を逸するおそれがあると思います。
 ですから、こういう高度な専門的な問題については、世論の動向を考慮するということももちろん必要でありますけれども、それと同時に、行政が、政府が専門的な専門家の意見を十分に聞いて、また世界各国の状況等も十分調査をされて、間違いないという確信を持つに李ったならば、国民に対して、この状況はこういう状況だ、しかも臓器移植をすることによって多くの人が、国民が助かるんだということをよく説明をされて、そういう手続を経た上で決断をする以外にはないと思いますわ。決断をして死ぬ以外にない運命にある人たちを救っていく、五年でも十年でも延命をしていく、こういう方向、道を選ぶべきではないかと思うのですが、もう一回お伺いしたいと思います。
#337
○山下国務大臣 死の時点を判断するのは、私は司法当局の任務ではないと思っております。これはあくまで法によって、法に準拠しなければならぬ。その法をつくらなければなかなか難しい。その法をつくるには、直接この問題に関係のある権威者、関係のある業界といいますか、その権威者のコンセンサスを得なければやはり難しいなという感じを私は持っているんであります。
 少なくとも、国民全体といったって、それはできません。ただ、直接関係のある人々の中に、さらに今日において、またこれに対してどうも疑問を持っておる向きがあるようでございますから、せめてその方々くらいとのコンセンサスを得なければならぬ、それを私は申し上げているんであります。しかし、なるたけ遠くない時期には結論を出さなきゃならぬということは、私も思っております。
#338
○山本説明員 司法当局云々ということがございましたので、一言だけ御説明させていただきます。
 脳死、臓器移植問題につきましては、先ほど先生御指摘のように、本年一月に臨調の最終答申が出たわけでございますが、脳死を人の死と認めるかどうかにつきましては、これを肯定する脳死臨調の意見とこれを否定する意見、先ほどおっしゃいました哲学者及び日弁連代表の委員の方が反対意見を付されておるわけでございます。脳死を死と認めるかどうかにつきましては、以上のような意見が分かれたわけでございますが、他方、脳死状態の者からの臓器移植に関しては、全員一致でこれを肯定するという答申が出されておるわけでございます。
 人の死に関する法務省の見解ということになりますと、先ほど出ましたように、反対意見も付記されているような状況、あるいは人の死というのは、関連法令を見ますと、四万幾つも死という文言が出てくる条項があるというようなことで、今直ちに一義的に人の死がこうだということをお答えすることはできませんが、医学的概念であると同時にすぐれて法的概念でございますので、十分検討させていただきたいというぐあいに思っております。
 しかしながら、脳死状態の者からの臓器移植に関しましては、先ほども申しましたように、最終答申は一致して認めているところでございますので、臓器移植と犯罪捜査の関係も含めて、厚生省、警察庁とも協議しながら、脳死状態の者からの臓器移植問題について前向きに検討していきたいというぐあいに考えておるところでございます。
#339
○古市政府委員 脳死臨調の事務局を担当いたしました立場から、先生の御質問に関連するところをちょっと要約をさせていただければありがたいと思います。
 この答申の方は、意見が分かれた点は非常にいろいろございました。しかし、脳死を人の死とするかどうかということにつきましては、本調査会としての意見である多数意見と異なる少数意見を付記するということになって、報告が出されました。したがいまして、意見は違ったわけでございますが、調査会の立場は多数意見が本調査会の意見である、このような立場でございました。ただ、そこを明確にするために、第四章としてそれを紹介して書いてあるということでございます。
 それから、先ほどから話になっております医学的に見た人の死と社会的、法的な人の死ということになるわけでございますが、そこに関しましては、多数意見は、医学的に見ると脳死をもって人の死とすることが合理的であるとしておりますが、そうだとしても、そのことから直ちに社会的、法的にも脳死をもって人の死とすることができるかということになると、なおそこには問題があると言わねばならぬということで、先生が御指摘されたようなことを紹介しております。
 そして、それに関連しまして、「関連した法制の整備」といたしまして、「臓器移植は、法律がなければ実施できない性質のものではないが、腎臓に加えて心臓、肝臓等の移植を行っていくためには、包括的な臓器移植法(仮称)を制定することにより、臓器移植関係の法制の整備を図ることが望ましい。」こういうぐあいに書かれております。そして、最後に調査会としていわゆる委員全員が認めたということは、「脳死をもって「人の死」とすることについて大多数の委員は賛意を示したものの、一部の委員は反対であった。一方、脳死体からの臓器移植に関しては、前意見の如何に拘らず、委員全員がその意義を認めた」ということでございます。ここは先ほど法務省からお答えしたとおりでございます。
 以上のような経緯であったということでございますので、補足させていただきます。
#340
○新村分科員 法的な、社会的な死と医学的な死との違い、認識の違いということでありますが、これはまさに臨調で意見の分かれる根拠にもなっていると思います。
 しかし、人間の生命あるいは人間の存在というものをどう見るかということですが、これは法的、社会的に、あるいはそこへは宗教的な、思想的なものも入ってくるということですね。人の死あるいは人間そのものをどう見るかということについては、確かに科学だけで割り切れないものがあると思います。宗教というものも人間社会における大きな要素ではありますから。しかし、死の定義あるいは死を認定する、死を認識をするというような問題になった場合には、何といっても医学的な、生理学的な立場から決定をする以外にはないのではないでしょうか。そうでなくて、いわゆる法的、社会的立場の死、あるいは医学の死というものを分けて考えるということになりますと、これは収拾のつかない問題になってくるのではないかと思います。
 そこで、世界の各国を見ても日本だけが、日本だけじゃなくてイスラエルもそうだと言われておりますが、日本だけがいまだに脳死が認められていない。そのために臓器移植ができない。どうしても必要な人は外国へ行ってやってもらう。これはある意味では日本の、日本人の決断のなさ、あるいは合理性のなさといいますか、理性的な判断がいつになってもできない国民だと。
 そうかといって、死を前にして移植の必要のある人は相当いる。そういう人は金を出して外国へ行ってやってもらう。日本ではやれない。これはある意味では、決して日本人として誇れるべきことではないですよね。これは本当に困ったことだと思いますよ。ある意味では、言葉は過ぎるかもしれないけれども、国辱だというふうに、外国は、何だ日本は、あんなに金があって、金さえ出せば何でもできるのか。しかも、みずからはこういう重大な問題について決定が下せない、優柔不断、遅疑逡巡というふうに見られてもやむを得ないですよね。ですから、そういう点からしても、世界で二国しか残っていないのですから、もう決断のときではないかと思うのです。
 ところが、まだこの問題についての決断がつかない。仮に臓器移植をやってもいいという判断を政府が示しても、死の認定について例えば検察庁なり警察庁がそれを認めなければ、検視ができないわけです。臓器移植のドナーは、多くの場合、交通事故とか不慮の死が多いのですね。その場合に検視の問題があって、それがネックになってできないということがありますね。
 ですから、死の定義については当然政府が示すべきであるし、今まで法定事項ではないのですから、脳死を死と認めるというふうに政府が宣言すれば、それでいいのですね。そうすれば、政府機関はそれに基づいて行動すればいいのです。それができなければ、それが無理だとすれば法定をしなければいけない。死の定義について法定をして、法定をするのであれば、速やかにそれを国会に出していただいて法定をする。それに基づいて全国的にドナーのネットワークをつくるとか、やるべき問題がたくさんあると思いますけれども、そういうことにすぐ着手をしなければいけないわけでありますが、着手をしても、実際に機能するまでにはやはり一年や二年かかるでしょう。
 ところが、今の段階では基本的な決断が依然としてできない。ですから、それを大臣の決断で一日も早くやってもらう。反対者については説得も必要でしょうし、国民的な合意も必要でしょうけれども、これは完全な説得はできないということですよ。ですから、今死を待っている人たちが何百人といるわけですから、死を待っている人たちを救うという立場からぜひ決断をお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
#341
○山下国務大臣 ただいま司法当局から明快な見解が示されました。したがいまして、臓器移植についての立法技術と申しましょうか、それは可能であるということは私もはっきりしたのでございます。したがいまして、臓器移植についての観点からの立法、そういうことについてひとつ関係者になるたけ早く見解をまとめていただいて、法律の草案にかかりたいと思います。
#342
○新村分科員 他の事項を通告しましたけれども、時間がありませんので、別の機会にお願いしたいと思います。
 以上で終わります。
#343
○和田(静)主査代理 これにて新村勝雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、土肥隆一君。
#344
○土肥分科員 私は、昨年十二月十八日に出発しました財団法人骨髄移植推進財団、言ってみれば、その財団がこれからの骨髄移植のかぎになると思います。そういうことも含めまして、まだ出発して間もないわけでございますけれども、大いに活躍をしていただかなきゃならない、こういう視点に立って質問させていただきたいと思います。
 言ってみれば、白血病の患者さんあるいは重症の再生不良の病気をお持ちの方にとっては、この骨髄移植というのがいわば最後の治療方法だというふうに存じております。年間五千人の発生が見られる白血病患者の皆さん、それから重症再生不良性貧血、先ほど申しましたのは年間に三百人ぐらい発生すると言われております。そして、移植対象者が患者さんとして年間千人ぐらいはいるのではないかと言われております。そういう意味では、極めて重要な骨髄バンクの誕生に当たって、厚生省の支援も十分にいただきまして活発化させていただきたい、このように思うのであります。
 さて、それにしましても、骨髄移植推進財団が出発したわけでありますが、残念ながらまだ事務所をお訪ねすることはできなかったわけですけれども、どういう事業を計画しておられ、例えば平成四年度の予算は幾らぐらいで、そして、その財源はどう確保されるのか、また政府の補助金等がどうなっているのかを御説明いただきたいと思います。
#345
○寺松政府委員 先生のお尋ねの第一番目は事業内容でございますが、まず第一は骨髄提供者を募るための国民への普及啓発、二番目が骨髄提供者及び移植希望患者に対しますコーディネート等の連絡調整活動、それから三番目が骨髄提供者に事故があった場合の補償、大きく言いますとこういう三つがございます。
 それから年間の予算でございますが、平成四年度は一応一億七百万円程度を予定いたしております。その財源でございますが、四千二百万の国庫補助金がありますが、それ以外には企業等からの寄附金とか、賛助会費とかというふうなものを予定いたしております。
#346
○土肥分科員 現在まで財団に寄せられた寄附金の額はどれくらいでしょうか。
#347
○寺松政府委員 お名前を一部出させていただきますと、日本医師会あるいは日本製薬団体連合会等からの特別寄附金といたしまして一億三千万円程度、それから一般の方々の、本当の浄財だと思いますが、二百三件ばかりございまして、約三千万円というふうな寄附金をいただいております。今後とも財団の事業が円滑に安定的にやれますように、私ども寄附をこれからも積極的にお願いしていくつもりでございます。
#348
○土肥分科員 ことしの平成四年度が一億七百万円でございますならば、政府の補助が四千二百万しかないということは若干問題を感じますけれども、順調に寄附が集まっている。これは基金ではないんですね。寄附ですね。自由に使える額ですね。
#349
○寺松政府委員 一つは基本財産の造成のためのものでございます。あと一部事業費等にも使うということでございます。いわゆる基本財産と申しますのは、私ども三年間くらいかけて造成をいたそう、こう考えておるわけでございます。
#350
○土肥分科員 そうなりますと、また少し内容が変わってまいりますが、一応諸団体あるいは個人の献金も集まっているようでございます。これからますます寄附金に期待するところが多く、また財団の活動においても寄附金が多く寄せられることを願っているわけですが、ドナーの登録件数がどれくらいになっているかということをお聞きしたいのであります。
 私の質問では一月末日としておりましたが、最近また新しい統計が出たようでありますので、一番最近の統計でドナーの件数は何件なのか。それから、ドナーの登録が済みましたらHLAの検査を済ませるわけですが、それはA、B検査だけなのか、それともDR検査まで進むのか、その辺のところについてもお聞かせいただきたいと思います。
#351
○寺松政府委員 今、私どものドナーの登録件数というのでございますが、千七百件ほどになりました。実質大体二カ月ばかりでございましたが、そのくらいの登録が行われまして、そしてHLA検査を済ましておる方々でございます。今先生がおっしゃいましたように、私どもは、第一段階のHLA検査の中でA座、B座の固定検査、こういうものが終わった段階と聞いております。次に第二段階のHLAのDR座の固定検査というものを行うことになっております。
#352
○土肥分科員 細かいことは専門外でございますのでお聞きしませんが、それでは、厚生省としてドナーの数を当面二万人、そして五年後には十万までというふうに目標を立てておられるようですが、平成四年度の見通しはどういうふうにお考えでしょうか。
#353
○寺松政府委員 平成四年度はどうかというの員、私どもちょっと予測しかねておりますが、先ほど申し上げましたように現在千七百人でございます。一方、民間のバンクにもうデータを登録されている方々がいらっしゃるわけでございまして、その方々も移管を進めるということに御了解をいただいておりますので、今それに入ろうとしておるところでございます。
 私どもは、当面五年間でドナーの登録者を十万人を目標といたしております。と申しますのは、十万人ぐらい登録していただきますと、希望者の方々の八、九割は対応していけるのではないかな、こういうふうな専門家の御意見でございますので、そういう努力をさせていただきたいと考えております。
#354
○土肥分科員 私が今申しましたのは、五年間で十万人。この骨髄移植の問題はHLA検査、検査というよりはHLAという遺伝子の組み合わせが非常に複雑で、数が多くないと適合者があらわれないというところがあるわけですね。したがって、五年で十万人で、八、九割の患者さんに相手が見つかるということはいいのでありますが、五年間待ちに待って、数がふえないために患者さんに大変な失望感を与えるというようなことにもなりかねないわけであります。
 適合が悪いということになりますと数でこなさなければいけない、数をふやさなければいけないということで、私が冒頭申しましたように、財団は何といっても登録者、ドナーの普及啓発というものが必要なわけで、全力を挙げていただかなければならないわけでありまして、そういう意味で五年間で十万人という、これも大変な数だとは思いますけれども、何とかこの速度を速めていただけるような方法を考えていただかなければいけないのですが、今財団にはスタッフは何名働いていらっしゃるのでしょうか。
#355
○寺松政府委員 専任の職員が五名でございますが、実際いろいろな電話の照会等に対しまして専門的な知識が必要なものでございますから、専門家でございますドクターが交代で詰めていただいておりまして、その方々の応援も得ておるわけでございます。
#356
○土肥分科員 五名の専任者、事務も含めてでしょうし、ドクターが何人詰めていただいているのか存じませんけれども、十万人体制で、パンフレット等とか、あるいはこの前はシンポジウムを開かれたようでありますけれども、やはり数をふやすという意味では、もう一つももう二つも工夫しなければ、とてもじゃないけれども五万、十万という数は難しいのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。
 そこで、財団が普及啓発活動をしておられるわけですが、これは東京でなさるわけで、地方などにはどういう働きかけ、例えば地方自治体などにはどういう働きかけをしていらっしゃるのでしょうか。
#357
○寺松政府委員 都道府県に対しましては、私ども都道府県の部長会議あるいは主管課長会議をやっておりまして、その席上でもお願いをいたしておりますし、通知も出していろいろとPRをお願いしておる、こういうことがございます。それからまた、全国的なスケールでは、マスコミをいろいろとお願いをいたしまして、テレビあるいはラジオあるいは新聞等で広告をお願いをいたしておるわけでございます。
#358
○土肥分科員 私は、この啓蒙普及活動というのは、やはり全国的にあらゆるところで大がかりにやりませんと、とても十万人体制に五年で達成するかな。いや、もっと早い時期に達成してほしい。というふうにも思うわけです。
 そのときに、一つお聞きしておきたいのは、日本赤十字が骨髄データセンターをつくるわけでございますけれども、日赤の役割は、骨髄移植HLAのデータを保存しておいて、そして移植が始まったときに適合者をコンピューターによってはじき出すということになるわけであります。その日赤の役割というときに、私は日赤のことについて知っているのは、血液銀行とか血液事業でございますけれども、例えばあれだけ暑い日も寒い日も街頭に出て、献血の呼びかけをしていらっしゃるようなそういう長年の経験を持っておられる日赤のスタッフ、職員の皆さんの経験を生かせないものか。例えば血液採取の車が出ておりまして、街頭で献血の呼びかけをしておりますが、そういう人たちはこの骨髄移植の普及啓蒙には何もしないわけですか。その辺をちょっとお聞きしたいと思います。
#359
○寺松政府委員 先生の今の御指摘は、献血なんかを日赤がやっておりますが、そこの職員がPRとか何かをするか、こういうような御質問だとお聞きしました。
 私から答えるのはいかがかと思いますが、私どもはこの広報、PRとかというのは別のラインでやっていきたいと考えておりまして、先ほども申し上げましたようなマスコミ等の広報、あるいは都道府県を通じましていろいろと広報等はお願いをしていっておる、こういうわけでございます。
#360
○土肥分科員 私は御提言申し上げたいのでありますが、日赤が単に骨髄バンクのデータセンターというだけでは、せっかく長年の血液事業をしていらっしゃる人たちを利用しない――利用するというと語弊がありますけれども、そういうノウハウを活用すべきだというふうに思うのです。ぜひそれは検討していただきたい、このように思います。
 それから、もう一つ思いますのは、やはりパンフレットとかリーフレットだけでは、それを読まなければいけないし、このごろの時代は読んでくれません。お聞きしますと、ビデオ等が用意してある。そして各地の日赤の骨髄センターにもビデオがある。そこでいろいろな相談業務も受けられるようでありますけれども、私はやはりこの普及啓蒙活動には民間のボランタリーな、これは素人でありますけれどもボランタリーな人も参加すべきではないか、そしてそういう運動を広げていくというふうなことも提言したいと思うのであります。
 これについては今答えていただくというわけにはいかないと思いますので、私の提言、日赤の役割をもっと評価してはどうかということと、それからボランタリーの人たちの参加をぜひともやるような一つの運動体としての財団であってほしいな、こういうことを希望を申し上げておきます。
 さて、この日赤の骨髄センターでございますが、現在何カ所整備されたのでしょうか、
#361
○川崎政府委員 全国で現在血液センター六十四カ所、これはすべて地方骨髄データセンターとなっております。そのほか、血液センターの支所のようなもの三カ所、合わせまして六十七カ所が地方データセンターとして整備されておりまして、本年一月から骨髄提供希望者の登録、HLA検査の業務を行っているところでございます。
#362
○土肥分科員 そうしますと、従来ある血液センターの中に骨髄センターを併設して仕事をしてもらう。
 日赤が骨髄センターをそれぞれの地方に持った場合のスタッフは、これは兼務ですか、それとも専務でやっていただくのですか。
#363
○川崎政府委員 現在、骨髄データセンター業務に携わっております職員は、中央骨髄データセンターの業務に専任として六名配置されております。その他は血液センターと兼任という報告を受けております。
#364
○土肥分科員 できたばかりですがら、余り無理な注文を申し上げたくないのですけれども、財団も専任が五名ぐらい、そして地方の骨髄センター、最先端で骨髄事業を、これはデータを整理するということで、例えば普及活動とか啓蒙活動をしないというのであれば、これで回るだろうということかもしれませんが、将来的な展望を考えますときに、データだけをということであるにしても、もっと職員をふやさなければならない、スタッフをふやしていかなければならない、こういうふうに思うのです。それは今後どういうふうな見通しに立って、日赤の現在あります機能を活用していかれるつもりでしょうか。
#365
○川崎政府委員 先ほど説明がございましたように、日赤は原則といたしましてデータセンターの役割を分担するということになっておりまして、これは年間おおよそ二万人程度の登録、検査といったものを想定しまして、職員の配置を検討しておるわけでございまして、今後登録件数が増加した場合にも対応できるものというふうに聞いております。
#366
○土肥分科員 そうしますと、スタッフ、兼任等がわかったわけでありますけれども、その人件費は恐らくこのHLA検査の技術料というようなもので賄われると思うのでありますが、その検査の費用というのは一件当たり幾らになるのでしょうか。
#367
○川崎政府委員 検査の費用は、HLAのA座、B座の検査につきましては一人当たり一万二千円、それからDR座の検査につきましては一人当たり一万六百円というふうに見込んでおります。
#368
○土肥分科員 それはいわゆる患者さん負担でございますか。ちょっと聞きます。
#369
○川崎政府委員 これは全額日赤に対します国庫補助でございます。
#370
○土肥分科員 これは全額国庫補助。そうしますと、二万人になっても十万人になっても全部、これはこれから先の単価の変更はございますでしょうけれども、最後まで国庫補助で見ていかれるつもりでしょうか。
#371
○川崎政府委員 基本的には、この経費につきましてはそのように考えております。
#372
○土肥分科員 その他、コンピューターの整備あるいは諸事業を、日赤が行っていくわけでありましょうけれども、その辺の補助はどういうふうになさるのでしょうか。
#373
○川崎政府委員 今後、電算処理システムを整備いたしますために、国はその整備につきまして二分の一の補助を行っております。
#374
○土肥分科員 そうしますと、大体日赤の事業量、事業の内容がわかってきたのですが、数がふえ、そして登録量がふえてまいりますと、人件費相当の部分というのは、検査の費用とか、これは全額国庫補助ということでありますけれども、それに見合って日赤の自助努力、自主的な判断でふやしていかれる、こういうふうに思います。そういうふうに理解してようございますでしょうか。
#375
○川崎政府委員 先ほど御説明したような考え方で、業務を行うための必要経費は確保されているというふうに考えております。
#376
○土肥分科員 次に、骨髄移植を受ける患者さんの治療費についてお答えいただきたいのですが、調べますと、登録料が一万円、検査料十万円、移植保険料十万円、計二十一万円が患者さん負担になるということでございます。それで、その他の骨髄移植にかかわる治療というのは相当な額になると思いますが、全額保険で見ることができるのでしょうか、お尋ねいたします。
#377
○黒木政府委員 骨髄移植の治療に要します費用につきましては、骨髄移植そのものにかかわる手術料として一万二千点、十二万円を含めまして、その他の検査、処置、入院料等すべて基本的には保険の対象ということで、保険者から支払われるわけでございます。
#378
○土肥分科員 将来、この単価というのは変化する可能性はもちろんあるのですね。お答えください。
#379
○黒木政府委員 今後、この単価が改定されるかというお尋ねでございます。
 まさしくこの四月一日から、今申し上げた一万二千点、十二万円が一万五千点、十五万円に引き上げられることに相なります。
#380
○土肥分科員 大変結構だと思います。しかし、その他の患者さんの負担も、この治療費だけではなくて、無菌室に入っている間の家族の気苦労とか、あるいはそれに至るまでのいろいろな準備段階でのさまざまな負担も考えられるわけですが、その治療費に関しては、ぜひとも自己負担が極力狭められるようにお願いしたいと思います。
 次に移りますが、いよいよこうして本格的な骨髄バンクが始まり、十万人に向かって頑張っていく、数をそろえていくということでありまして、これは普及啓発と一言で言いましても、ドナーが入院を伴い、検査を受けるだけでも何回か骨髄センターに出かけ、かつ移植の場合は入院をし、しかも全身麻酔で骨髄の採取を受けなければならないということでありまして、これは何といってもその人、国民一人一人の理解と、それから自分の骨髄を提供してもいいという勇気、そして、骨髄を待っている人たちの命を救うという思いやりというか愛といいましょうか、そういうものが根底になければ、到底十万人なんという人が骨髄を提供していいというふうには言ってくれないのではないかというふうに思うわけです。
 それで、新聞等を見ますと、この骨髄提供に家族の同意が要るというふうになっておりますが、その家族の同意ということがいわば足かせになる。一方欧米では、本人が決めるなら家族はそのまま同意するというのが大体。個人の意思を尊重するということでございます。日本の場合はもう初めから家族の同意を求めております。これは削除したらどうかと思うのですが、御意見をお聞きしたいと思います。
#381
○寺松政府委員 骨髄提供に際しまして、本人の意思だけでいいのではないかという御意見も確かにございます。しかし、実際に現場でやっていらっしゃる方々の御意見を伺って、これは専門家の方々も含めてでございますが、やはり家族の同意がなければなかなかやれないというふうなことでございますので、一応そういうふうな項目を入れておるわけでございます。
#382
○土肥分科員 これはまあ何といいましょうか、日本人の一種の風土みたいなもので、我が子の体は親のものであるみたいなところがありまして、これが例えば老人問題あるいは在宅の老人の問題などにもつながってまいります。いつも家族を引っ張っていなければならない、そういうことでなかなか難しいと思いますが、私は、思い切って骨髄移植に関しては外したらいかがというふうに御提言申し上げたいと思うのです。
 もう一つは安全性なんです。必ず全身麻酔のリスクを訴えられるわけですが、これは今の麻酔医学の水準からいって削除してもいいんじゃないかな。全身麻酔はしますけれども、その危険率は何%ですというような言い方はもうやめても、それは別に患者さん、ドナーをだますことにはならないと思うのですが、いかがでしょうか。
#383
○寺松政府委員 この問題につきましては、やはり説明と同意というのでございましょうか、インフォームド・コンセントを何回にもわたっていろいろと入念にやっていくという過程で、最後は骨髄をとりますときには一応全身麻酔というのが大体の一般的な場合でございますので、その辺につきましてのいろいろの説明は必要ではないかと思います。それによりまして御協力が得られないというようなことがないように、その前から先ほども申し上げましたように何回かにわたってお話をしていく、こういうふうに努めてまいりたい。
 もちろん、こういうふうなルールがだんだんと普及していきまして軌道に乗ってまいりますと、今先生がおっしゃったようなことでやれるような事態になるかもしれませんが、それまでは念には念を入れてというふうに考えておるわけでございます。
#384
○土肥分科員 最後にちょっと一分だけ、大臣の所見を伺いたいと思います。
 大臣、これは臓器移植などの問題とも連関してまいりますが、骨髄移植を成功させることが将来の臓器移植の問題等にも大きくつながっていく。そして、これはある意味で、インフォームド・コンセントにいたしましても、本人の意思にいたしましても、あるいは骨髄を提供するというようなことにいたしましても、日本人の意識革命につながるような事業であると思うのですが、大臣の決意のところを、この骨髄事業をぜひとも成功させる意味の決意をお聞きしたいと思います。
#385
○山下国務大臣 先ほど来るる御指摘がございましたけれども、私も拝聴いたしておりまして、おおよそ皆さん方の御理解でこれはいけるなと私自身が確信を持ったわけでございます。もとより私自身は、今の職員からいたしまして、これは推進していかねばならぬということはかねがね思っておったんでございます。
 そこで、日赤とか地方自治体とか、あるいはまた財界等の協力も必要でございますが、私どもひとつこの問題につきましては積極的に、特に平成四年度の予算には必要な予算措置を盛り込んでおりますので、平成四年度を契機としてこの問題を推進していきたいと思います。
#386
○土肥分科員 終わります。
#387
○和田(静)主査代理 これにて土肥隆一君の質疑は終了いたしました。
 次に、長谷百合子君。
#388
○長谷分科員 まず最初に、昨年のきょう、同日、この委員会で私が質問をいたしました競走労働者に対する社会保険の適用について御答弁をいただきましたが、その中の調査の結果ということはどうなっているんでしょうか。
    〔和田(静)主査代理退席、主査着席〕
#389
○奥村政府委員 競走事業従事者に係る調査の結果についてのお尋ねでございます。
 平成二年の九月に先生御指摘の調査を都道府県を通じて行ったわけでございます。調査は、競走事業の施行者の数あるいは施行形態、開催日数、従業者の数、雇用形態、就労実態などを調査いたしました。
 その結果の概要を申し上げますと、まずその従事者の雇用形態につきましては、地方公務員法第二十二条に基づく臨時的雇用、いわゆる臨時職員として位置づけられておりまして、その雇用期間については、そのほとんどが日々または一開催ごとに採用される形態となっておったわけでございます。
 それから就労日数については、一月の就労日数は競馬、競輪、競艇、オートレースでそれぞれ異なりますが、例えばオートレースでは約十一日、競艇では十五日、競馬では七日、競輪では七日というような数におおむねなっておるわけでございます。
 それから三番目に、競走事業の場合には全体の半数近くが一つの競走場で二以上の施行者によって開催をされておりまして、いわゆる事業主が複数存在している、こういうような実態であったわけでございます。
#390
○長谷分科員 私がこれから問題にいたしますのは、前回と同じく多摩川競艇場に働く従業員への社会保険の適用についてでございます。社会保険庁が適用上の問題であるとされた三点についてお尋ねいたしますので、今の調査等を踏まえてお答えいただきたいと思います。
 まず第一点目、今お答えのような継続労働者かどうかという問題でございます。社会保険庁の言う継続労働者とは一体何なのか。それから、調査の結果、多摩川競艇場の従業員が臨時と言えるのかどうか。多摩川競艇場では、退職金は平均して一千百万円でございます。一時金は六十五万円。それから永年勤続表彰ということもございますし、平均して二十年から三十年勤めていらっしゃる方が大半でございます。また、日々の雇いということでいいますと、月に十六日勤務というのが多摩川競艇の実態でございます。それから、厚生年金法の第十二条二号から見ましても、適用ではないかと思うわけです。この第十二条二号は、御存じのように、日々雇い入れられる者であっても、一月を超え引き続き使用されるに至った場合は適用であるということになっておりますし、また第五号には、臨時的事業の事業所に使用される者でも、六カ月を超えて使用されるべき場合は適用である、こういうふうになっております。多摩川競艇場の従業員の場合は、今申し上げましたように、実態から見まして継続であるということは言うまでもないことだと思っております。法律からいえば臨時であっても適用することになっている。この点からは、適用かどうかを争うことには何も問題はない、こう思っております。
 それから、二番目の問題でございます。複数事業主、多摩川競艘の場台は青梅市と匹市事業組合があるわけですけれども、この一本化の問題について、雇用保険については既に一九七五年の五月に、年次有給休暇、当時は特別有給休暇と言っておったようですけれども、これにつきましては一九七二年十二月に一本化いたしております。この実態をどうお考えになるのか。そしてまた、雇用保険や年休の比例付与においては、全競走場において一体化が労働省によって認められております。労働省と社会保険庁の見解に違いがあるとすれば、それを社会保険庁として正すべきなのではないか、こういうふうに思っております。社会保険庁にも努力をしていくべき点があるのではないか。どう考えても労働省見解が実態に基づいた判断なのではないでしょうか。
 最後の問題で、日数の問題ということでございますが、社会保険庁は四分の三条項をもって適用困難とされておりますけれども、四分の三というのは市の職員に比べてと理解してよろしいのでしょうか。そうであれば、この秋にも予想される市の職員の週休二日制の実施後の日数の問題はどう考えればよいのか、この問題から考えると、日数の問題はクリアされる、こういうふうに考えてよろしいのでしょうか。
#391
○奥村政府委員 継続労働者とは何を指すのかという御質問でございます。私ども、継続労働者という概念、直接の概念はございませんが、常用的使用関係にある者という概念で法律上とらえられておりまして、先ほどちょっと触れましたが、「日々雇い入れられる者」あるいは「二月以内の期間を定めて使用される者」、これらは常用的使用関係にないというのが法律の整理でございます。
 それで、先生御指摘の、この期間を超えて使用される者ということでございますが、私どもが調査した限りにおきましては、雇用契約がそこで切れて再び雇用契約を結ぶというような形になっておりますので、こうした形態が変化してくる、あるいは実態的に変わってくるというようなことがあれば、個別に考えていくということになってまいりますが、私どもの調査した限りでは難しいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 それから、雇用保険との関連でのお尋ねでございます。健康保険、雇用保険、それぞれ仕組みが違っておりまして、雇用保険は総報酬制、社会保険の場合には標準報酬制、保険料納付が年一回、毎月納付というようなことで、それぞれ仕組みが異なっております。また、社会保険の場合には皆保険、皆年金となっておりまして、国民健康保険あるいは国民年金という他の制度がございまして、そのいずれかの制度で医療、年金を保障するという形になっておりまして、雇用保険とは仕組みが異なっております。これまでのところ、雇用保険は雇用保険ということでいろいろな対応をしておられると承っておりますが、私どもの健康保険、厚生年金の扱いとしては、従来の形で続いてきておりまして、必ずしも社会保険と雇用保険とか同じ扱いになるということではないのではないかというふうに考えておるところでございます。
 それから三点目の日数の問題でございますが、同じ事業所の同種の労働者との関係ということで考えておりまして、競走事業の労働者の場合には、これを雇用している自治体ということになろうかと思いますが、自治体の雇用者の就労日数が先生御指摘のように変化する動きにあるわけでありまして、こうした実態については、私どもとしても、その状況を把握いたしまして、そういう状況を見ながら、その他の条件も含めまして個別に検討をしていくべきものというふうに考えているところでございます。
#392
○長谷分科員 社会保険庁の前回の答弁でも、事態を見て前向きに考える、こういうふうに御答弁をいただいたわけです。機械的に、法の仕組みのところにこぼれてしまったということではなくて、労働者の福祉ということを考えたときに、前向きにということでございますので、年金法を見ましても、先ほどの十二条に示されたように、臨時という形態ではなくて、結果として継続という実態を重視して、取り込めるものは取り込んでいく、こういうのが法の精神だとお答えをいただいておるわけですけれども、これは当たり前のことでありまして、弱者を助けていこうという精神が本来社会保険庁には一番あるものだ。こうだからだめだ、ここのところがあるからだめだ、ひっかかるからだめだ、こういう審査の仕方ではなくて、本来の法の精神というところに照らして、今言いました細かい事務的な問題ということがあるにしても、そこはやはり前向きにというふうなことをお願いいたします。
 そうしますと、昨年からもう既に一年たって、実態を調べていただいて、変化している。十六日というのも、これは私きちっと調べたことでございますし、もう二十年、三十年ということが、社会的な常識でいいましても、こういう方々を臨時の人であるというふうに解釈することの方が非常に難しいのでは。ないか、こういうふうに思っております。
 もう一度ぜひお尋ねしたいのですけれども、週休二日制が導入されるというときでございますので、今後クリアされるべき問題を日数の問題であるというような形で理解していきたいと思っております。そういった前向きの、血の通った適用ということをお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#393
○奥村政府委員 雇用形態の実態的な変化、あるいはそういった状況、それから公務員の完全週休二日制の進捗状況、こういうものを見ながら、個別のケースごとに具体的に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。ただ、先ほど申しましたように、私どもが調査した限りにおいては、現状においてなかなか法律的な判断としては難しいということは申し上げたとおりでございます。
#394
○長谷分科員 重ねて申し上げますけれども、ここがひっかかるからということではなくて、そこをうまくクリアしていくんだという前向きの姿勢で、多摩川競艇場の労働者の皆さんに社会保険を早期に適用するような努力をぜひ続けていただきたいということを申し上げて、この質問を終わらせていただきます。
 続きまして、ポストハーベストの問題に関してでございます。
 厚生大臣、やはりパンをお召し上がりになりますよね。今度厚生省が出しました農薬残留基準では、フェニトロチオン、スミチオンのことでございますけれども、このお米の基準が〇・二ppmということでございますが、小麦の基準はその五十倍の一〇ppmになっております。ですから、お米よりパンやうどん、こういう小麦粉を食べる人にとっては非常に厳しい、怖い数字と言えるかと思います。この残留農薬基準を設定するに当たって、厚生省としては、国民の健康を守るためにどんな基本姿勢をとっておられるのか、まず大臣に御答弁をお願いいたします。
#395
○山下国務大臣 食品中の残留する農薬について早急に基準を整備すること、このことについてのお尋ねでございますが、具体的には、現在六十一の農薬について食品中の残留基準を定めるべく食品衛生調査会に諮問をいたしておるところであります。
 今後とも農薬の残留基準の整備拡充について努力をしてまいりますが、なお、平成四年度の予算におきましても、この農薬の残留基準について整備していくための予算を計上いたしているところであります。
#396
○長谷分科員 大阪の府立公衆衛生研究所で一九九一年にモデル献立による農薬の一日摂取量の調査をやっておりまして、その数字を見ますと、パンを食べていらっしゃる方の方がスミチオン、パラチオンの摂取量が明らかに多くなっております。また、パン摂取量が約二割少ないと言われております女性用献立の方が、男性用献立よりもより少ないという結果も出ております。パンをたくさん食べると農薬をたくさん摂取するということがはっきり数字であらわれているのですけれども、こういった傾向について、これは間違いでございましょうか。
#397
○玉木政府委員 大阪の衛試の支所におきまして、昨年、一昨年調査した結果を新聞記者の御質問に対してお答えいたしておりますが、あれをよく読んでいただきますとおわかりでございますけれども、一つの基準から見て、実際にマーケットバスケットで調べてみますと相当内容が減ってきておるということを発表したわけでありまして、逆に言いますと、全然ないつもりというお考えでおられたのかどうかわかりませんが、新聞の表現はあのような形になっております。したがって、御質問の趣旨のことは承知しております。
#398
○長谷分科員 今までの厚生省の見解でも、ADI、一日許容摂取量以下であればいいということが返ってくるわけですけれども、農薬残留基準によりますと、スミチオンは理論的最大摂取量はどのくらいになるのでしょうか。そして、それだとADIを超えるというような危険性はないのでしょうか。
#399
○玉木政府委員 先生御案内のように、食品の残留基準、農薬等の残留基準というものは、各農産物すべてに基準値の上限まで農薬が残留したと仮定しまして、それを足し合わせた総和が理論最大摂取量ということで考えておるわけでございますが、この理論最大摂取量が各農薬の一日摂取許容量、いわゆるADIでございますけれども、これを超えないように農薬の残留基準が設定されております。
 今御質問のスミチオン、我々としてはフェニトロチオンという名称で食品衛生調査会に諮問したわけですけれども、このフェニトロチオンの場合、この理論最大摂取量は約二百四十マイクログラム、このように計算されております。
#400
○長谷分科員 二百四十マイクログラムということになりますと、ADI、体重五十キログラムの方で二百五十マイクログラムということになっておりますので、そうしますと、これはぎりぎりの数字だというふうに思うわけですけれども、食べ物をたくさん食べる食べ盛りの子供であるとか小さな子供だとか、そういった人たちに対してはもっと安全性を確保するようにすべきではないか、このように思うのですが、いかがでしょうか。
#401
○玉木政府委員 何度も申し上げるようでございますが、農薬の残留基準は、各農産物すべてに基準値の上限ぎりぎりまで農薬が残留していたとしましても、各農薬の一日摂取許容量、ADIを超えないように設定されてございます。
 農産物の摂取量につきましては、これは国民栄養調査の日本人の平均摂取量を採用いたしておりますが、農薬のADIは相当の安全率が見込まれております。百分の一という安全率を掛けておるわけでございますが、その安全率を見込んでいるということと、農薬の実際の摂取量はADIに比べてかなり低いということから、特定の農産物を多量に摂取し続ける者あるいは子供に対しても安全性は確保されている、このように考えております。
#402
○長谷分科員 その百分の一という根拠ですけれども、これは動物実験をした場合の十分の一を種の差、もう一つの十分の一を個体の差ということで百分の一というふうに掛けてあると承知しておりますけれども、この十分の一という双方の数については何が根拠となっておるのでしょうか。
#403
○玉木政府委員 この種の差、個体差を十分の一、十分の一、百分の一というぐあいにしておるわけでございますが、これは一応世界じゅうの専門家がこれだけの数値を掛ければまずADIとして定めて心配ないだろう、学者方のおおよその安全の基準ということで定められております。したがいまして、世界じゅうでこの数字を使っておるということでございます。
#404
○長谷分科員 そういたしますと、相加的な影響あるいは相乗的な影響ということを考えなければいけないと思うのですけれども、相加的な影響についてはどういうふうに考えられていらっしゃるのでしょうか。
#405
○玉木政府委員 相加的な、相乗的な影響があるのじゃないかということが今までよく御指摘されておるわけでございますが、ADI以下のものであれば、これを幾つも摂取したとしても問題はない。問題がないもの掛ける問題がないものは問題がない、これはいわゆるゼロ掛けるゼロはゼロである、こういうような考え方でもって世界じゅうの専門家がADIを各農薬に決め、それに従って残留基準を決めておるというのが現状でございます。
#406
○長谷分科員 現在基準がございます三十四品目について、この相加的な影響というのはどういうふうに評価されているのでしょうか。
#407
○玉木政府委員 したがいまして、この三十四品目、それからまた何カ月か後で出てまいるだろうと考えております先日諮問いたしました二十品目、このようなものが相加的に入ったとしましても、これは問題はないという考え方でございます。
#408
○長谷分科員 三十四品目の中には有機燐系のものが入っておりますけれども、そうしますと、今のあれですと有機燐系については相加的な影響を厚生省は認めていらっしゃらない、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。
#409
○玉木政府委員 有機燐系というものがどういう形で使われるかということになるわけですが、いわゆる殺虫効果があるということで殺虫剤として使われるわけですけれども、殺虫剤として使われますものは、一定の時期に一定のものに使うという形をとっております。それと、まずこういうものがどういう農産物に使われるか。現在のところ、百三十の農産物に対して現在使われておるもの、使われる可能性があるもの、そういう農産物を出しまして、ADI以下に基準を置いております。したがいまして、まず相加的にいろいろな意味で使われるということはない。一種類、多くても二種類ぐらいしか使われないだろう、このように我々は考えております。
#410
○長谷分科員 相加的な影響はない、心配ないということだと思うのですけれども、今、農薬残留基準は農産物が八、水が一、魚肉、空気などで一というふうに伺っておりますけれども、この比率を考えてみますと、空気の残留農薬というのは最近の生活の中では相当大きくなってきているのではないか、このように思うわけです。家庭内の殺虫剤使用もかなりありますし、東京都の生活文化局の調査では、噴霧器方法の殺虫剤でスミチオンをまきますと、十二時間たっても高濃度で空気中に残っている、その後も低い数値ながらずっと残るということが出ております。場合によっては一カ月も残ることもあるようだというふうに伺っております。
 こういったことを考えましたときに、横浜市衛生研究所の調査では、クロルデンについて見たものですけれども、平均の食事から〇・四八マイクログラム、室内空気から〇・五二マイクログラムとなっておりまして、この調査で見る限りは空気からの方が食事よりも多い、こういったようなことも報告されておるわけでございます。こういったことから考えますと、空気からの農薬摂取量をもっと深く考えて、国民の健康を守っていくという必要はないでしょうか。
#411
○玉木政府委員 家庭内で殺虫剤を使用する場合は、先生御案内のように、その急性毒性について十分注意する必要があるということは御案内のとおりでございます。例えば、肌の露出を避けて使用するとか、使用後の洗顔、うがいをする、室内の換気を十分にする、こういうことが一般的な注意事項として挙げられております。有機燐系は比較的速やかに分解無毒化されることは御案内のとおりでございまして、今お示しになりましたものをごらんになりましても、十二時間で百分の一以下に減衰いたしております。
 食品の残留農薬の基準は、食品への残留による長期毒性をターゲットに基準をつくっておりまして、家庭で時たま使用する殺虫剤はこれらとは別の問題ではなかろうか、このように我々は考えております。
#412
○長谷分科員 別の問題だとおっしゃられても、一人の人間としては、空気の中から受ける影響といったものを考えてやっていかなければ、安全は守れないのではないかと思います。
 そして、食品の中に残留するという今のお話で、現在、大変輸入食品というものがふえてきておりまして、したがって、私たちが食べる量というのも、輸入食品で、日本の国内では使われていないような農薬を摂取するような機会もふえてきておるわけでございます。こういったことを考慮いたしまして、国際的なハーモナイゼーションといいまして、既に基準の決まっているものに対してはそのまま割り振っていくというような基準の決め方ではなくて、やはり日本が、世界の中でも特殊にたくさん外国から来るものを食べるということを考えて基準というものを設定していただかなければいけないのではないか、このように考えておりますけれども、いかがでしょうか。
#413
○玉木政府委員 そのように我々も基本的には考えておるわけでございます。
 ちょっと資料として申し上げますと、先ほどから御質問にございますスミチオン関係、フェニトロチオンの残留農薬基準の適合状況でございますが、これは平成三年の報告分の集計でございますけれども、穀類は米、大豆、これは日本のものですが、野菜類はシュンギク、レタス、タマネギとか、果物としてミカン、リンゴ、ニホンナシ、こういうようなものについておのおの調べております。例えば米ですと、二十九のものについて二十九ともこれはND、いわゆる数字が出なかった、残留していなかった。大豆につきましても、四品目中四品目とも出なかった。こういうようにほとんど出てまいっておりません。そこで出ておるものは、例えばシュンギク、これは五つ調べて一つだけ出ております。これは〇・〇二ppm。基準は〇・二ですから十分の一です。それからリンゴは、十三調べて十がNDですから、三つ出ておりますが、それは〇・〇二二−〇・〇二七、こういうような範囲内におさまっておりまして、残留農薬の道合状況を見ますと、食品衛生法で決めている基準の十分の一以下、こういうことになります。
 それともう一つは、先ほどもちょっと御指摘ございました、いわゆるどのような食べ方をするかという問題があります。マーケットバスケット方式ということで、我々は、食べる前の状況の食品の中にどの程度のものが含まれておるかということを調べております。たくさん調べておりますが、その中でフェニトロチオンだけを抜き出してみますと、これが先ほど申し上げましたようにADIが二百五十マイクログラム・パー・五十キログラム、それに対して平均値で〇・一二マイクログラムということになっておりますから、このADIに対してフェニトロチオンは〇・〇五%程度、いわゆる一%以下と我々は考えております。
 そのように非常に実態は、まあまあ我々が安心して食事をするに十分足るような残留の実態になっておるのじゃないか、このように我々は理解しております。
#414
○長谷分科員 現在六百種類にも及ぶ農薬が世界で使用されているというふうに聞いておりますけれども、そういたしますと、いろいろ基準をつくられるということを私は評価はいたしますが、しかし、まあ言ってみれば、それに指定のないものについてはフリーパスであるということは依然として変わらないわけでございます。
 そういたしますと、先ほど申し上げましたように、日本は外からたくさんのものを買うんだ、食べ物を買うんだ、いわば消費者の立場でございますね。そういたしますときに、やはり消費者が生産者、供給者に対してこういうものを食べたいということを注文をつけるのは、昨今、当たり前のことですね。こういうものを与えられるのではなくて、こういうものを獲得していくんだというふうなことが必要だと思うんですね。そういったことで考えますと、今、食品添加物はこれを使いなさいという形になっておるかと思うんですけれども、農薬に関しましても、今後指定農薬という形の検討を進めていくべきではないか。これを使ってほしい、これ以外のものを使った場合には受け入れることはできないんだというような形の検討を進めていただきたいと思います。
 国民の健康を守ることを仕事とされている厚生大臣に、ぜひその辺のところも含めまして、国民の安全を守るという点での御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#415
○山下国務大臣 先生が非常に純粋に安全の上に安全というお気持ちはよくわかるのでございますが、私はちょっと考え方が違うので、これだけ安全性を見ているのにまだ見なければいかぬのかなと、若干気持ちが違います。したがって、十掛ける十つまり百という数値は、これはどちらから見たって、もうこれ以上安全性を疑う余地はないなという気持ちを私は持っておるわけでございます。いろいろ政府委員からも答弁いたしましたけれども、これから先は、これはまた一つの議論になってしまうので、私の気持ちはそれで、十掛ける十の百はこれで信頼していいのじゃなかろうかと思います。
 それから、今の指定農薬制度にしたらということでございますが、我々、農薬の中でこれとこれと指定するのは非常に難しい問題と思いますが、先生の御見識として承っておきたいと思います。
#416
○長谷分科員 済みません、一つお願いします。もう一つだけ。
#417
○戸井田主査 それでは、時間が過ぎておりますので、結論だけ急いでください。
#418
○長谷分科員 厚生大臣の今の弁解は少々残念でございます。私の方ももう少し具体酌な資料でもってまたどんどん厚生省の方にも出してまいりますので、安全である、国民の健康を守る、こういう決意で当たっていただきたいということを重ねてお願い申し上げます。ありがとうございました。
#419
○戸井田主査 これにて長谷百合子君の質疑は終了いたしました。
 次に、山元勉君。
#420
○山元分科員 社会党の山元でございます。もう既に六時です。主査、大臣、大変御苦労さまでございます。お疲れさまでございます。
 私は、精薄者の更生施設あるいは授産施設等、心身障害者の援護に関する問題について御質問を申し上げていきたいと思います、
 御案内のように、国連障害者の十年の最後の年を迎えています。障害者が人間として尊重される、そういう社会をつくる、社会人としての生き方を最大限保障する、そういう教育や福祉をつくっていく、そういうことが非常に大事なわけでございますけれども、今申し上げましたような心身障害者の問題についての大臣の一つの政策的な理念といいますか、認識をまずお聞かせをいただきたいというふうに思います。
#421
○山下国務大臣 十年前に国連におきまして、完全参加と平等というスローガンのもとに国際障害者年が行われまして、私はこれは全く同感であり、立派なスローガンであり、人類のために大変結構なことだと思っておりました。それからあっという間にもう十年過ぎてしまいまして、一体何がなされたかなということを、私も過去を振り返りながらいろいろ個々に見てみますと、あれもできた、これもできたという説明をいろいろ聞きますと、守るべき一つの基盤というものはやはりもう完全に造成された。
 したがって、この基盤の上にこれからさらに継続して、十年で終わったのではないよということで、長期にわたってあらゆる面でひとつ障害者対策を打ち立てていかなければならぬ。私も、手をつなぐ親の会とかいろいろな会に出まして常々申しておるのでございますが、ハンディをしょってこれから人生を渡っていく人たちのためには、政治、行政等がどれだけやってもやり過ぎるということはない、こんな考え方を持っておりますので、そういう気持ちで今後とも対処してまいりたいと思います。
#422
○山元分科員 時間が短いので、具体的なことでお尋ねをしていきたいのです。
 最初にもう一つだけ大臣にお伺いをしたいのですが、この障害者の問題で、完全参加と平等というような大きなスローガンです。そういう目指すところははっきりとしているわけですけれども、今の実態は余りそうでない状況が多いわけです。
 その中で一つよく言われるのですが、大臣も御理解いただいているだろうと思うのですが、そういう施設の長期滞留化現象というのが起こっているわけです。そのことについてどういう認識を持っていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
#423
○山下国務大臣 おっしゃる滞留化現象は私ども感じております。例えば、身障児等については初め非常に、次々に施設が出てまいりました。私はびわこ学園を見に行ったときにしみじみ思いました。もう行くところがないからかなりの年齢の人がそこに、小児の施設に入っているというのを見てまいりましたし、これからは滞留ということを考えなければなりませんけれども、長期にはこれらの人を収容できる、子供だけではなくて、成人になった人たちの施設もました当然考えていかなければならぬというふうに私は理解をいたしております。
#424
○山元分科員 私の地元のびわこにまで足を運んでいただいて、敬服いたしますけれども、実際に現状、愛護協会の資料ですけれども、十年間でどういう状況になっているかといいますと、昭和五十三年でいいますと、例えば十年以上そういう施設にいる人が一二%であった。ところが今は三五%、およそ三倍になっている。十年以上いるという人が十年間で三倍にぐっと膨らんでいるわけです。そのうち特に長い、十五年以上も施設にいる人が十年前は四・二%だったのです。ところが今、十年たって一五・九%、およそ四倍にこれも急上昇、急増しているわけです。
 それは、理由についてはいろいろあろうと思いますけれども、一つの大きな国の施策として、十三年前に養護学校の義務化というのが行われました。一大変困難な状況を克服しながら、心身に障害を持っている子供に就学猶予だとか就学免除だというのはなし、すべての子供に教育を保障しようということで取り組んだ。これは大変な努力が要ったわけですけれども、そのことが十三年前です。十三年間たって、そういう人たちが施設に入って勉強もする、あるいは療育も受けるという状況の中で、今そうやって長期滞留をするという人がどっとふえてきているわけですね。これは、一つは、今言いましたように消極的な意味で、十三年たってそういう現象が出てき。たということと、もう一つは、やはり見逃せぬのは、そういう子供たちが実際は重度、重複、そういう子供たちであって、社会の受け皿がない。長い間そういうふうに訓練なり教育なりをしても、社会の受け皿が不十分だという状況で滞留化現象が起こっているのだろうというふうに思います。
 もう一つ、そういうふうに長期化していることとあわせて、障害者の状況というのは大変高齢化しているわけです。例えば、今の十年で比べますと、四十歳以上の入所者、そういう施設に入っている人たちの四十歳以上の割合というのは、十年前は一九%だった。ところが今は三〇%を超しているわけです。ですから、長期になりますから当然のことといえば言えるわけですけれども、高齢化しているわけですね。
 そういう状況を克服していくというのか、最初に申し上げましたように、完全参加と平等という精神からいうと、これは大臣に申しわけないですけれども、先ほどはそういう長期滞留化現象に対応する長期収容の施設をつくっていかなければとおっしゃるけれども、私は、発想を逆にして、それを解消していく受け皿というものがつくられるような施策がないといけないと思うのですけれども、いかがお考えでしょう。
#425
○土井政府委員 先生お話しのとおり、精神薄弱者につきまして、障害の重複化でありますとか重度化あるいは高齢化というような状況が出てまいっております。私どももその点は十分認識をいたしております。
 そこで、私どもとしましては、施設自体が総量としても足りないという点が特に一つ指摘されておりますが、これにつきましては緊急整備ということで取り組んでまいっているところでございます。
 さらにまたいろいろな形の対応が考えられますけれども、例えばグループホームと言われるような新しい対応というものも、それにふさわしい方々につきましては工夫をしていく。いろいろな形で今後検討すべき課題であるというふうに認識をしているところでございます。
#426
○山元分科員 今申し上げましたように、重度化とか高齢化というのは厚生省はいろいろ資料をお持ちだろうと思うのです。IQで見ても、あるいは入所している人の重度の占める割合とかさまざまな資料はお持ちで、理解、把握をしていらっしゃるだろうと思うのです。ぜひそのことに視点をしっかり当てた解消の方法を、先ほど私が申し上げましたように、受け皿があって、そういう人たちが社会参加できるような体制というのをつくっていく施策を考えていただきたいなというふうに思います。
 そしてまた、今の状況で特徴的なことをもう一、二言いますと、一つは、家族の皆さんの介護力といいますか、それが落ちているわけです。今の社会の状況で言いますと、核家族化が進んでいるとかという状況もありますし、身障者自身が高齢化してきている。当然のことながら、御両親だとか家族の方の高齢化というのは、これは比例というか並行して起こるわけです。したがいまして、家庭が引き取るとか、家庭の力でということが非常に困難な状況にどんどんなっていっているということをひとつ理解をしてもらいたいというふうに思います。
 そこで、時間もなんですから、問題はそれをどういうふうに解決していくかということだろうと思うのです。最初に申し上げましたように、十年ということ、あるいは十三年前に行われました義務化ということ、そういうことを、すべての子供が最大限の発達なりあるいは生活というものが保障されるという精神からいって、今のような状況を解決、解消していく道というのを施策として考えてもらいたい。これからどんどんと今言いましたような状況は進むわけですから。
 そこで、幾つかの解決の方法、道があろうと思いますけれども、一つ申し上げたいのは、そういう施設に働いているというのか、施設でお世話をしている職員定数の問題です。念のためにお尋ねしますけれども、今の配置基準はどうなっているのかということについて御説明いただきたい。
#427
○土井政府委員 精神薄弱者援護施設の入所施設の場合を例にとりまして御説明をさせていただきたいと思いますが、施設長それから医師、これは百五十人未満の場合には嘱託でもよいということになっております。それから栄養士、事務職員、調理員等の配置のほかに、直接処遇職員、これは生活指導員でありますとか作業指導員等でございますが、入所者四・三人に一人の割合という配置になっております。また、指導員の補助的な業務に当たる介助員を一施設。一人上乗せしております。授産施設にありましては、指導員がさらに一人加算をされているところでございます。
 この直接処遇職員の配置基準でございますけれども、昭和五十一年度の予算からそのような状況で、四・三対一人という形でやっておるところでございます。
#428
○山元分科員 今の四・三という基準は、五十一年と今おっしゃいましたけれども、基準としてはもう少し早いのと違いますか。
#429
○土井政府委員 失礼をいたしました。予算措置としては昭和五十年度、五十一年度の二年をかけまして四・三対一人ということで、五十一年度にそれが実現をいたしました。
 それから、省令上の職員配置基準でございますが、これは昭和四十八年度に七対一という基準を五対一に改善をいたしましたが、五対一をさらに四・三対一に改善をしたのは昭和五十四年度でございます。これは、省令改正という形で明示したのが昭和五十四年度ということでございます。
#430
○山元分科員 そうすると、省令で施設基準というのが定められたのが四十三年。それから四十八年に改正になっているのですね。そこで、先ほど申し上げましたように、四十八年から二十年たっているわけでしょう。その間に国連障害者の十年もあった。義務化されて、どんどん重度化されていく、そういう子供たちが施設へ通ってくる。一体二十年間、私は一年生議員ですけれども、その改正の論議がなかったのかどうか、どういう努力があったのかをお聞かせいただきたいと思います。
#431
○土井政府委員 恐縮でございますが、昭和四十七年は七対一から五対一に直した年でございまして、昭和五十四年、その六年後に四・三人対一人というふうに改めましたので、二十年じゃなくて十三年ということでございます。
 それで、私どもその後も、予算上の措置でございますけれども、改善のための努力をいたしておりまして、入所施設に対する介助員の配置、これを、昭和五十三年度常勤一名でございますが、平成三年度、今年度でございますが、非常勤一名を配置しております。それから、授産施設への指導員の配置、これは昭和五十五年度でございますが一名。それから、業務省力化等でございます。これは、今言った配置基準を前提にして、職員の勤務時間を週四十何時間というような勤務時間の短縮化、改善をいたしておりますが、これは昭和五十六年以降逐次改善を積み重ねておりますけれども、例えば平成三年度は週四十四時間の勤務時間を四十三時間三十分、さらに平成四年度、新年度でございますけれども、十月からそれを四十二時間ということで九十分短縮する、そういった業務省力化の改善もいたしております。
 さらに、重度あるいは最重度の重度加算費というものがございますが、それの改善もいたしておりまして、全体として職員の勤務体制の充実と負担の軽減というような形で今日まで努力を積み重ねてきているところでございます。
#432
○山元分科員 先ほども申し上げましたように、三倍、四倍というテンポで困難になっていっているわけですね。四十七年から抜本的な改善というのはなかったというふうに思うのですよ、これだと。ですから、こういう今の状況というのは、皆さんも御承知だとは思うのですけれども、それぞれの施設が本当に人材確保のためにどれほど苦労しているか。
 今おっしゃるように、去年も改善があった、ことしも、この平成四年、四十二時間にしよう。絵にかいたもちですよ、これは。どんどんと重度化していく、重複化していく、そういう状況の中で、時間を短縮します、あるいは給料表をちょっと別建てにしましょうと検討を進めていただいているようですけれども、私は、それはむだではないと思うのですよ。むだではないけれども、今おっしゃったような。四十七年から五十四年、五十五年、平成三年というふうに少しずつ手直しをしていらっしゃるけれども、私が持っているこの省令で言いますと、四十八年厚生省令から変わってない、基本的には。予算の措置上は変わっている。だから、基本的な立場でそういうものをしっかりと見直さなければならぬという立場がなかったのではないかというふうに思うのですが、いかがですか。
#433
○土井政府委員 省令を直したのは、一番新しいのが昭和五十四年でございますので、これは間違いございません。
 それから、先生おっしゃるとおり、確かに高齢化ということは、障害の程度から見ると重度化というような形で結果としてあらわれておりますが、私ども、重度加算というものを、当初スタートしましたときには二〇%と二五%という措置費の上乗せという形の重度加算を行っておりますが、それをその後改善をいたしまして、二五%とそれから三〇%というふうに五%引き上げをしております。これはそのような形で、重度加算の対象になる方々につきましてはかなりの措置費の上乗せという形に相なっておりまして、実質ベースで、例えば四・三人に一人という配置基準ではございますけれども、そういう重度加算を織り込んで平均的に結果を見てみますと、それがかなり改善された姿になっているという状況でございます。
#434
○山元分科員 先ほども言いましたように、そういうのはむだでないし、努力を少しずつ重ねていただいているということはよくわかっているわけです。したがって、ことし国立施設ですね、給与を別建てにしようとか労働時間を短縮しようということは一つの手だとは思いますけれども、今の状況ではおくれおくれて後手になっていて、やはり抜本的な改善のことを考えないと、思い切った改善の仕方をしないと、私は近い将来大変なことになってしまうという気がしてならぬわけです。どうかひとつ大臣、そのことを認識していただいて、抜本的な改善ということについて検討に着手をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
#435
○山下国務大臣 いろいろ申し上げたいこともございますが、時間もございませんので、今後とも勤務条件の改善を進めていくことにより、施設職員がより強い熱意を持って入所している方々に対して対処していく、福祉の向上のためにその職務に専念できるように努力をしてまいりたいと思います。
#436
○山元分科員 努力をしていただきたいと思います。重ねて申し上げますけれども、重度化している、マンツーマンでないと介護できない子供も入所しているわけですね。そういうことでいうと、重度加算だとかあるいは四・三で十分だというのには全くならない状況が現場でどんどん進行しているということを十分認識していただいて、対応をしていただきたいというふうに重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。
 それから二つ目ですが、そういう職員の問題とは別に、作業所、小規模作業所ですね。そこの実態について、これも把握はしていらっしゃるんだろうと思うのですけれども、一体今全国でどういう状態になっているのか、実態はどうなっているのか、あるいはそのことについての国の施策はどうなっているのか、補助の問題ですね、どうなっているのか、お聞かせをいただきたい。
#437
○土井政府委員 小規模作業所でございますけれども、御案内のとおり無認可の施設でございますので、私ども必ずしも正確な数字を把握しているとは考えておりませんが、全日本精神薄弱者育成会の調査によりますと、主として精神薄弱者を対象としていることが明らかな施設でございますが、平成元年七月現在で五百七十五カ所というふうに聞いております。平成三年度におきましては、国庫補助の対象となっておりますのは、そのうちの三百二十八カ所でございます。
#438
○山元分科員 全国で五百七十五、額はたしか九十万円ですね。実際に、今も申し上げましたように、更生施設だとかあるいはいわゆる援護施設から作業所、社会へ参加、出ていくということで、受け皿がないというふうに申し上げましたけれども、今もおっしゃるように、全国で把握できただけで五百七十五、そのうち去年は三百二十八、ことしは御努力いただいて三百七十にふえた。これは一つの前進で、いわば厚生省の概算要求、全額認められたことでもありますし、私どもも一定評価をしているのです。
 けれども、考えてみてください。五百七十五あって三百七十になった。あとの二百というところは、たったの九十万円といったら言い方が悪いですけれども、たったの九十万円の補助ももらえない。全く地域の皆さんの善意やあるいは親の力で、あるいはそういうボランティアで何とかしていかなければならぬところが二百カ所はあるわけでしょう。ですから、そういうのはいかにも貧困な状況だというふうに思うのですけれども、近い将来、その五百七十五の皆さんにせめて九十万円、これは絶対上げてほしいと思いますよ。上げてほしいと思うけれども、一体そういう作業所のすべてに光が当たるという日はあるわけですか。
#439
○土井政府委員 私どもは、小規模作業所のうち補助の対象となる施設につきまして、御案内のとおり一定の要件を考えておりまして、先ほど申しました五百七十五のうち、その要件に該当するものは四百十二カ所というふうに育成会の方から伺っております。それで、毎年度私どもとしてはできる限りの努力をしまして、補助対象箇所数の増を図って今日に至ってきているつもりでございますが、この四百十二カ所まで一日も早く、補助対象として取り上げるように、さらに努力を傾注したいと思っております。
 ただ、そのほかにまだ百何十カ所か残るではないかという御指摘でございますけれども、一応国の補助の要件として、一定の基準で対象を考えておりますので、そこのところについては、私どもとしては現段階では、補助対象からは外さざるを得ないというふうに考えているところでございます。
 補助金額の問題につきましては、御案内のとおり平成三年度、今年度に十万円の増額ということが確保できまして、平成四年度はそのまま据え置きという形でございますが、いろいろな実態を踏まえて今後どうするか、さらに勉強する必要があろうと思っております。
#440
○山元分科員 大臣、私のところに子供の親の手紙があるんです。前、後ろ省略しますけれども、親の気持ちだろうと思うんです。「雨の日も雪の日も、たくさんの施設に通う仲間を乗せて送迎バスが走ります。その走行距離は、一日で約二百キロ。」一台のバスが二百キロ走るんです。
 これは少し説明しますと、この地域にある施設、いろいろの作業所等が共同してバスを維持する、だから一つのところの子供たちだけではなしに、幾つかのところの子供、だからだあっと回って施設へおろしていく、そういうようなことまで工夫しているわけです。ですから一日にバスの走行キロが、毎日二百キロ走る。
 「通所補助は本当にスズメの涙はどしかありません。ガソリン代も車両維持費も足りず、家族負担はふえます。言葉の出ない人も、傘を持てない人も「バスまだかな」「早く作業所へ行きたいなあ」と表情で、ジェスチャーで訴えています。」何とかして補助をこの子供たちに、実際子供たち自身でいいますと、一番遠いところから乗っている子供は二時間乗って通っているわけです。そういう状況というのは生活大国の姿ではないと思うのですよ。ですから、そういう子供たちが喜んでといいますか、生きがいにして作業所へ通うような状況をつくるというのが政治だろうというふうに思います。
 そこで大臣、今も努力をするというふうにお答えをいただきましたけれども、何とか思い切って九十万円という額を引き上げてもらいたいし、そして、この数をふやしてもらいたいというふうに思います。けれども問題は、ちょっと九十万円を百万円にしても僕は解決しないと思うのです。そういう補助をぽちょぽちょと、ぽちょぽちょというのはいかぬですけれども、するのではなしに、小規模作業所を国の制度としてきちっと認めて、そして援助をする。
 確かに今、地方自治体もそれぞれ大変な努力をしているのです。幸いにして私の滋賀県は、愛護協会の資料で見ますと最高のグループに入っている自治体、努力をしてくれています。けれども、やはり今申し上げましたように、箇所を少々ふやすとかあるいは九十万円を百万円にして十万円ふやすとかいう努力ではなしに、国の制度として小規模作業所をきちっと整備するということでないと、しつこいですけれども、先ほども言いましたように重度化していく、高齢化していく障害者の社会参加というのはおぼつかないというふうに御理解をいただいて、努力をしていただきたいというふうに思うのですが、大臣、どうですか。
#441
○土井政府委員 先生おっしゃるとおり、こういった事業をきちっと位置づけをしてできないかというお考えだと思います。私ども、先般の法律改正によりまして分場という方式を取り入れまして、本来の施設の分場として位置づけられるようなものをできるだけふやしてまいりたいという考え方で、きちっとした正規の施設として運営ができるような取り扱いに持っていけるものは、できるだけ移行したいという考え方でございます。
 この分場は十二カ所できておりますけれども、そのうち七カ所が、これまで無認可の小規模作業所であったものが分場として正規の施設に移行したという実績もございます。今後、できるだけそういう可能性のあるものにつきましては、私どもも指導しながら、きちっとした施設として運営できるように、また入所者の方々のお世話ができるように努力を積み重ねてまいりたいと思っております。
#442
○山元分科員 時間が来ましたから、最後にお願いをしておきたいのですが、私が申し上げたかったのは、グループホームの問題も、今度三百カ所が四百カ所になった、百カ所ふえた、これはもう大きな前進だとは思います。けれども、考えてみてください。全国で百カ所ふえた。私の地元の滋賀県で言うと二つかな、三つかな、こうなんでしょう。それも四人単位。四人のグループが滋賀県に一つ、二つか三つかなと言わなければならぬような、悲しいというか、貧しいというのか、一つの施策だというふうに思うのです。ですから、やはり生きがいなりそういうものを、そういう障害を持った人たちができるだけ生き生きと社会生活ができるためにこの制度ができたわけですけれども、格段にふやしていく、これについても実態を申し上げて、そういう努力をお願いしたかったんですけれども、ぜひ格段の拡充をお願いをしておきたいと思うのです。
 最後にやはり大臣に、先ほどからしつこく申し上げてきました。そういう今の加速度的に悪化していく状況を克服する、解決するということでの所信というのですか、お気持ちをお聞かせをいただいて、質問を終わりたいと思うのです。
#443
○山下国務大臣 こういう問題にお詳しい先生方から見れば、まさに隔靴掻痒と申しますか、じれったいところがあると思いますが、厚生省は厚生省として一生懸命やっているつもりでございますし、さらに目標を掲げて、早くそれに到達するように頑張ってまいりたいと思います。
#444
○山元分科員 ありがとうございました。
#445
○戸井田主査 これにて山元勉君の質疑は終了いたしました。
 次に、遠藤乙彦君。
#446
○遠藤(乙)分科員 どうも遅くまで御苦労さまでございます。私、最近非常に目立つようになりました路上の放置自動車、バイクあるいは自転車の対策、特に路上の放置自動車についてお伺いをしたいと思います。
 大きく膨れ上がってきた新車登録台数に比例しまして廃車の台数も大幅にふえ、それに伴い、ここ数年来路上放置自動車等の問題が急激にクローズアップされていることは御高承のとおりだと思います。ナンバープレートを外して放置された自動車やバイク等、特に自動車はガラスを割られたり、車内のシートや部品が取り外され、タイヤまでとられてほこりをかぶったまま、最後にはごみ捨て場となっているという見るも無残な状態となっております。特に放置された自動車は、車の改造用部品として取り外されていくケースが多いようでございます。
 私の地元の場合、東京二区でございますけれども、大田区の多摩川付近や、品川では八潮団地の隣、いわゆる都立中央海浜公園の周りにも無残な状態で自動車が放置されておりまして、青少年、いわゆる暴走族みたいな人たちがそこに集まり始めて周りに与える影響も大きいし、大変邪魔になって、交通安全問題になるとともに環境問題にもなってきております。こういったことで、放置自動車は現在全国で二万台とも三万台とも言われておりますけれども、その実態はまだ明らかにされておりません。
 そこでお伺いをしていきたいと思います。
 まず第一に、不法放置自動車の実態について厚生省としてはどのように掌握しておられるのか、御説明をお願いしたいと思います。
#447
○小林(康)政府委員 放置自動車につきましては、ただいま先生お話がございましたように、今や社会的な問題となっておりまして、生活環境保全の観点からも、市町村がかかわって、場合によっては廃棄物としてその処理を行わなければならない状況になっております。今後の施策を立てます上で、放置自動車の実態を把握することは重要なことと認識しております。
 現在、自動車の保有台数が約五千八百万台、廃棄されます台数も年間五百万台を超えていると考えられております。このうちどのくらいが放置をされているかを統計的に調査をいたしますことは、放置場所が地理的に非常に広がりを持っておりますし、それから人目につかないところに放置をされているということもございまして、なかなか困難な課題でございますが、厚生省では市町村におきます処理の実態を把握するという観点から、市町村が処理をしております放置自動車の台数を調査し、現在その集計を行っているところでございます。
#448
○遠藤(乙)分科員 市町村の処理データを集計中と聞いておりますけれども、より具体的に何か結果が出ておりますでしょうか。
#449
○小林(康)政府委員 市町村の把握の仕方がさまざまでございますので、集計に少し時間がかかっておりますが、大きな都市、例えば平成二年に横浜市ですと五百七十三台、大阪市でございますと千三百二十台処理をしておりまして、これらが現状の一端かと思っております。現在集計を急いでおりますので、その結果によりまして次の施策の検討に入りたいと思っております。
#450
○遠藤(乙)分科員 厚生省においてもそういった統計の調査中と聞いておりますので、ぜひ、まず実態把握をきちっとしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 それで次に、不法放置の理由についていろいろ考えられるわけですけれども、この点につきましてはどのように考えておられるか、御説明をお願いいたします。
#451
○小林(康)政府委員 放置をされまして不法に投棄をされております自動車につきましては、その所有者の割り出しかできないということがございまして、どういう動機、状況で放置をされたかというところがなかなか正確にはつかみにくいところでございます。
 個々の事例ごとにいろいろの状況があろうかと考えておりますが、現在私どもが推定をしております理由といたしましては、一つは、自動車の台数が増大をいたしまして、その増大に伴いましてある程度のものが不法に放置をされている、パーセントとして絶対数も障害になるほど大きくなってきたというような自動車の増大ということが一つ大きく背景にあるかと思っております。
 それから、我が国では自動車の下取りの制度が整備をされ、それからスクラップ業というのも大変盛んでございまして、今まで廃車でございましても価値のあるものとして流通をしておったところでございますが、最近の自動車はプラスチックのウエートが高くなりまして、相対的に金属の使用量か少ない、そして金属スクラップの価格も低下をしているという廃自動車そのものの価値がなくなってまいりまして、逆に解体をし、処理をするのにお金を払わないと処理が進まないという、一般に逆有償というような言い方をしておるようでございますが、そういう状況がございまして、今までのルートに乗り切れないで放置をされた車もふえてきている。
 それから三番目には、自動車を利用する人がふえましたことによりまして、昔に比べて自動車の所有者のモラルが低下をして、その辺に空き缶と同じような感覚で捨てるというような状況もあるのではないか。大きくそんな三点が放置自動車増大の理由ではないか、こんな整理をしているところでございます。
#452
○遠藤(乙)分科員 私も、今の御説明のあったモラルの点は一つの非常に大きな問題で、日本もだんだん豊かな社会になってきまして、モラルが低下している。大変大きな問題ではないかと私は感じておるわけでございます。
 そこで、この放置自動車といっても大半はナンバープレートを外されてあるわけですから、いわゆる不法投棄に該当する場合が多いのだろうと思います。市町村がその処理に当たらざるを得ないのが実情であるかと思います。政府は昨年、道路交通法といわゆる廃掃法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正と時期を同じくして、放置自動車の処理に乗り出したわけでございます。
 こうした動きに自動車業界団体が市町村行政に側面から協力する形で、昨年七月一日に路上放棄単処理協力会というのを都道府県に設立をしまして、市町村が処理した放置自動車の処理費用を同会が市町村に寄附するというシステムがつくられたわけですが、現状どれだけの協力依頼が持ち込まれ、どれだけの実績を上げているのか、御説明をお願いしたいと思います。
#453
○小林(康)政府委員 お話がございました、自動車業界が組織をいたしました路上放棄車処理協力会が廃自動車の処理費用を寄附する制度が動いております。昨年の九月から実績が上がっておりまして、昨年の十二月までに全国で二千三百四十七台分、金額にいたしまして二千四十四万円の寄附が行われた、こういう報告を受けております。
#454
○遠藤(乙)分科員 横浜市の場合、昨年金国に先駆けて横浜市放置自動車及び沈船等の発生の防止及び適正な処理に関する条例というのをつくりまして、この問題に対処し始めたことは承知しておりますが、横浜市の放置自動車条例の実績は現在どのようになっておりますか、御説明をいただきたいと思います。
#455
○小林(康)政府委員 横浜市では、平成三年十月一日より条例を施行をしておりまして、その条例に基づき、廃物判定委員会を設置をして廃棄物としての認定を行っておるところでございます。本年二月までに放置自動車として発見、通報がございました件数は一千十件でございます。このうち二百八十九件につきまして廃物の認定をしております。
 こうした認定を受けましたものを含めまして、撤去または撤去予定ということで動いておりますのが百九十四件、放置車を放置いたしました者によりまして自主的に撤去されましたものが百八十二件、こういう報告を受けております。
#456
○遠藤(乙)分科員 続いて、これに関連して通産省にお聞きしたいと思います。
 路上放棄車処理協力会としては、放置自動車の原因は自動車業界ではなく、あくまでも所有者の責任という考えから側面協力をするという立場でございまして、積極的なPR活動はしてないと理解をしておりますが、売りっ放しという自動車業界の体質に問題がないとは言い切れないと思うわけでございまして、通産省としても、この問題についてもっと積極的にPRするように業界を指導すべきではないかと考えるわけですけれども、この点いかがでございましょうか。
#457
○川嶋説明員 通産省といたしましても、この廃車の問題というのは非常に重要な問題であるというふうに考えまして、一昨年から、内部的な研究会でございますけれども、車社会フォーラムという場を設けまして、車社会に伴うもろもろのひずみの問題を検討いたしました。
 その際の重要なテーマがこの廃車の問題でございました。そこでの提言も踏まえまして、廃車処理の協力会という場を関係業界とも相談をいたしましてつくったわけでございます。この制度につきましては、既に有効に機能を始めているところでございますけれども、制度の発足に当たりまして、私ども厚生省にもお願いをいたしまして、関係市町村に対していろいろな資料を徹底をする、PRをするという措置をとったところでございます。
 ただ、一般へのPRという点につきましては、こういう事柄の問題でございますので、捨て得を許すようなことを助長するようなPRになっては困るという面もございますので、一般へのPRという点についてはいかがかというふうに思っておるところでございます。
#458
○遠藤(乙)分科員 今度はまた厚生省にお聞きします。
 現状の一般廃棄物の処理についての法体系は、国としての処理基準を設定した上で、市町村に責任を負わせる形になっているのが実情でございます。一般廃棄物としての放置自動車、バイク等については、いまだ何ら基準が設けられていないということになるわけです。
 厚生省としても、全国的な統一基準といいますか、この放置自動車の認定基準の作成に努力をしていると聞いておりますけれども、現在の検討状況はどうなっているか、御説明をいただきたいと思います。
#459
○小林(康)政府委員 自動車につきましても、廃棄物になりましたときの処理の責任はその自動車の所有者というように考えております。しかしながら、放置自動車は所有者が不明のまま放置をされているという状態にございますので、通常の廃棄物の処理のように、排出者を定め、その人に責任を持たせるというわけにもいかないわけでございますので、まずそのものが廃棄物として扱っていいかどうか、ここの認定をしませんと、その先問題が生ずることになるわけでございまして、廃棄物の認定の手続、基準等につきまして、法律的な側面から検討する必要がございます。
 そのため厚生省では、法律の学者、地方公共団体等関係行政機関の職員等の有識者を構成員といたします放置自動車処理についての研究会を設置いたしまして、廃棄物の認定の手続、基準等について検討しておるところでございます。
#460
○遠藤(乙)分科員 市町村としまして放置自動車を処理するに当たりまして、放置車の認定をどのようにするかということが一番の問題点であろうかと思います。今御説明にもあったことだと思いますが、放置車と認定する段階における問題点となる点ほどういったことか、これにつきまして、検討状況なりとも御説明いただければと思います。
#461
○小林(康)政府委員 放置自動車は、長い期間路上等に放置されておりますため、生活環境保全上も問題を生じているところでございまして、迅速に処理をするということが必要でございます。しかしながら、廃棄物の認定といいますのは、廃棄物処理法におきましては占有者の意思、所有者がその物をさらに必要としているか、もう不要とするかという占有者の意思、それから、その物が客観的に見ましてどういう性状のものか、こういうような点を勘案いたしまして総合的に判断をするというようにしております。
 放置自動車の場合には、放置された自動車を見ましても所有者がはっきりしないという状況がございますので、その所有者の意思を確認することができないという点が一つございます。それから、捨てられたという意味での放置という行為と長期間そこに車をとめておいた、車を駐車していた、放置と駐車との区別をすることが見ただけではなかなか難しいという点がございます。
 また、所有者等十分確認をしないまま放置自動車を廃棄物として認定をし、処理をいたしました場合に、その後におきまして所有者があらわれ、処理をしました人との間で例えば損害賠償の問題が生ずるということも予想しておかなければならないことでございますし、自動車が犯罪のために使われ、犯罪の後放置されたというような場合には、犯罪に関係して捜査の妨げになってもいけない、こんなような問題も生ずるおそれもあるわけでございます。
 このため、放置をした者の所有権の取り扱いにも十分配慮した上で、できるだけ迅速に、かつ問題の残らない形で廃棄物としての認定を行うことが必要である、こんな認識に立ちまして現在検討をしておるところでございます。
#462
○遠藤(乙)分科員 今の御説明で検討状況は理解をいたしました。
 この放置自動車の問題はだんだん大きな問題になってきておりますので、ぜひ早急に認定の基準を設けるべきだと思うわけでございますが、大体いつごろをめどに結論を出そうと考えておられるのか、そのタイミングにつきまして御説明をお願いします。
#463
○小林(康)政府委員 現在鋭意検討しておるところでございまして、具体的な結論を出しますためには、ただいま申し上げましたような法律的な検討に加えまして、地方公共団体、例えば横浜市等で先駆的に取り組んでおられる事例もございますので、そうした取り組みも十分踏まえ、それから関係省庁とも連携をとりながら方針をまとめる必要がございますことから、現在のところ、いつまでにまとめるという明確な時期をお示しできないわけでございますけれども、できるだけ早い時期に厚生省としまして放置自動車の廃棄物としての認定に関する考え方を取りまとめたいと考えております。
#464
○遠藤(乙)分科員 具体的にこの目標を明示できないということですが、ぜひ早急にということでお願いをしておきたいと思います。
 今度はまた通産省にお願いしたいのですが、先ほどの答弁で、不法放置の理由につきましてるるお聞きしましたけれども、捨てる人の本音の部分では、車を買いかえない限り下取りしてもらえない。他方、自分で廃車するのは面倒だ、さらには、昨今では廃車するにも手数料がかかるというケースも出てきているわけでございまして、結局お金がかかるので、ナンバープレートを外して捨ててしまえばわからないだろうというユーザーの身勝手、モラルの問題になっているかと思われます。
 こういった問題が起こらないようにするためのユーザーに対する啓発やPR、業界に対してどのように指導しておられるのか、御説明をお願いいたします。
#465
○川嶋説明員 通産省といたしましては、先ほどの既に捨てられた車についての協力会の制度と同時に、未然防止のための新しい制度も昨年から発足させたところでございます。これは、買いかえ、下取りという形ではなくても、つまり単に捨てたいだけという方の場合でございますけれども、そういう場合でございましても、販売業者等によりまして実費での引き取りの協力をするという制度を発足させたところでございます。この制度につきましては、それぞれの業界の店頭等にポスターを張りまして、積極的なPRを行っているところであります。ぜひこの制度を御利用いただきたいというPRをしているところでございます。
 いずれにいたしましても、廃車の問題は、モラルの問題もございますけれども、さらにそれ以前に法律違反という問題でもございます。こういったいろいろな制度と厳正な法律の運用とをあわせて対応していくべき問題ではないかと考えているところでございます。
#466
○遠藤(乙)分科員 いろいろ御説明をお聞きいたしまして、私なりにまた理解を深めたわけでございます。
 一つの提案ということで申し上げたいわけなんですが、自動車やバイク、自転車を販売する段階で、販売価格に一定の金額を上乗せして買ってもらう、こういったことを提案したいと思うわけでございます。例えば自動車の場合には一台十万円、バイクの場合には五万円、自転車の場合はたった二千円とか上乗せして、その分を路上放棄車処理協力会でプールしておきまして、廃車の手続が完了したらそれぞれの金額をユーザーに返却する、こういったシステムをつくってはどうかということです。また、この不法放置車は、従来どおり市町村が処理したら、路上放棄軍処理協力会から寄附金を出してもらう。さらに、自転車については、上乗せ費の証明書を添付すれば、粗大ごみで出しても処理費用はかからないようにして、処理費用は路上放棄車処理協力会が負担するというのはどうでしょうかということでございます。細かい部分の問題につきましては今後検討していただくにしても、これによりユーザーの意識が大きく変わってくるのではないか、また、放置の予防にもなり得るのではないかということで提案をさせていただきたいと思っています。
 ぜひ御検討いただきたく思うわけですけれども、現時点でこの点につきまして当局側の所見をお伺いをしたいと思います。
#467
○小林(康)政府委員 先生から御提言のございました預かり金制度、俗にデポジットの制度でございますが、デポジットの制度を全国一律に実施いたしますためには、預一かり金の保管の制度あるいは回収ルートの整備のための体制づくりの問題等、取り組むのに困難な課題があると考えております。
 そのため、現在のところ、先ほど来お話がございますような放置自動車の処理費用に対します協力会によります支援制度、それから自動車の販売店等を通じました自動車の引き取りあるいは廃棄処理によります路上等への放置の未然防止、こうした施策が動き始め、かつ、実施の状況を見ましても実効が上げられるという感じを持っておりますので、これらの施策を強化することによりまして、この放置自動車の解決を図っていきたい、そのように考えております。
#468
○遠藤(乙)分科員 こういった放置自動車の問題を解決していくに当たって、一つは規制強化ということが当然あろうかと思いますけれども、それだけでは不十分であって、システムとして自動的にいくようなうまいやり方を考えることが大変大事かと思いますので、当局側におかれましても、問題解決に当たってのシステムをぜひしっかりと考えていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 大臣、今のやりとりをずっと聞いていただきましたけれども、この路上放置自動車が最近非常に大きな問題になりつつあるわけでございまして、車社会のひずみということで一つの問題点、また特にモラルの問題も含まれておるわけでございますけれども、この問題に関する大臣としての所感及びこの放置自動車問題解決に当たっての決意といったものを最後にお聞きしたいと思います。
#469
○山下国務大臣 自動車が放置される、ああいう状態は私どもの世代の老にはまず考えられないことでございまして、時代が変わったなということが第一でございます。
 それよりも対策、いろいろございますが、市町村がごみとして処理するのは大変な費用もかかるわけでございます。あるいは盗難車の問題等につきましても、他の省庁ともよく打ち合わせてやっていきたいと思います。先ほど通産省から、モラル以前の問題としては法律の問題がある、そのとおりであると思いますが、両々相まって社会のシステムの問題として、これから少し強く出るところは出たり、いろいろな措置を講じていかなければならぬと思っております。
#470
○遠藤(乙)分科員 今の大臣の御発言を多といたしまして、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#471
○戸井田主査 これにて遠藤乙彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、三浦久君。
#472
○三浦分科員 厚生省に、まずホームヘルパーの処遇改善の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 厚生省は、ホームヘルパーの手当に対する国庫補助の対象額を、来年度予算から常勤の場合で三百十八万円に引き上げる予定ですが、そのねらいは人材の確保にあると思います。したがって、この措置によって全国のヘルパーの給与が引き上げられるということは大変望ましいことだと私は思っておりますが、それだけではなくて、全国的なホームヘルパーの状況を見ておりますと、年功加算がないとか、またボーナスがないとか、そういうような自治体もあるわけですね。今回の引き上げは、そういう自治体が年功加算、ボーナスを支給するようにするのに対応するものも含まれているというふうに考えていいのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#473
○岡光政府委員 結論的に申し上げますと、先生の御指摘のとおりでございます。
 これまでの手当につきましては、水準が低いとか勤務年数が反映されていないとか、いろいろ問題がございました。今回は、御指摘のように三百十八万という単価を設定したわけでございますが、これは常勤のヘルパーの平均として設定されたものでございまして、運用に当たりましては、それぞれのヘルパーさんの勤務の状態に対応するように弾力的に執行するということにしておりまして、賞与等の各種手当も対象経費として含めまして、ヘルパーの勤務の実態に柔軟に対応するような執行方針をとろうとしております。
#474
○三浦分科員 政府は、今ゴールドプランでホームヘルパーを十万人にふやすという計画を策定されておりますけれども、現在ホームヘルパーは何人いらっしゃるのか、また常勤者はそのうち何名なのか、お尋ねいたしたいと思います。
#475
○岡光政府委員 平成二年度末におきましてのヘルパーの設置数は三万八千九百四十五人でございまして、常勤はそのうち三五%程度というふうに把握をしております。
#476
○三浦分科員 北九州市では、常勤と言える人はわずか五十五名しかおりません。しかも、市当局は退職者を不補充のまま、民間の福祉サービス協会という団体をつくりまして、登録制のヘルパー、これは有償ボランティアと言っておりますけれども、要するに自分の自宅から対象者の家へ直行する、そしてまた自分の自宅に帰る、いわゆる直行直帰型と言われておりますけれども、そういうヘルパー、ここへの委託をふやしているのですね。
 今おっしゃいましたように、全国的にも常勤者というのは少ないという傾向です。私は、介護型にしてもまた家事型の人、今度は給料では一本になりましたけれども、両方ともやはり非常勤よりも常勤の形態の方が、より行き届いた介護なら介護ができるのではないかというふうに思うのです。というのは、例えば直行直帰型でございますと、その家庭に入りましていろいろな悩みが出されるわけですよね。そうすると、体調がよくないとか、経済的に苦しいとか、家庭の中のいざこざの問題、悩みやらいろいろなものを打ち明けられるわけですね。そうすると、それをだれにも相談することができないというようなことで、精神的に参ってしまうというようなことがございます。
 それからまた、登録制のヘルパーさんを我々は否定するわけではございませんけれども、やはり常勤を主体にしてヘルパーの増員を図っていくということが必要ではないかというふうに考えておりますけれども、いかがでございましょうか。
#477
○岡光政府委員 このホームヘルパーの仕事は、私は、結論的には、住民のサイドからできるだけ利用されて、住民のニーズに的確にこたえていくということだと思っております。つまり、住民に利用されやすいサービスの提供システムをつくることがポイントではないかというふうに考えておるわけでございます。
 そういう意味では、私どもは、一つの進め方としましては、御指摘にありましたように、仕事の際に不安を抱くようでは自信を持って仕事ができませんので、そういう意味でチーム方式で対応したらどうか。そしてまた、他の職種との連携も深めていくべきではないだろうか、こんなふうなことを一方では行っているわけでございます。
 利用形態としましては、在宅における介護を要するお年寄りを支えていくということでございますので、場合によっては朝早い時期に欲しいとか、あるいは夜中に何とかしてくれというふうなニーズもこれはあるわけでございまして、そういうふうなことを考えてまいりますと、やはり雇用形態というのは弾力的な格好にならざるを得ないのじゃないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
 現に国際的に見ましても、ヘルパーの雇用形態というのは非常勤のヘルパーの割合が多いという国がほとんどでございまして、私どもとしましては冒頭申し上げましたように、ニーズヘの的確な対応が可能になるような勤務体制を念頭に置く。そういう意味では、ニーズに応じて、かつ地域の実情に応じながら適切な供給体制をとるべきものではないだううかというふうに考えているわけでございます。
#478
○三浦分科員 お言葉を返すようですけれども、私もホームヘルパーさんと一緒に対象者の家に行ったことがあるのですよ。やはり人間関係というのが非常に大事ですね。私、登録制を全部否定するわけではないですよ。それが必要な場合もありますけれども、一般的に言えば、やはり常勤者が同じところ、同じ人にずっと介護に行くというようなことが望ましい。
 それからまた、国際的に見ますと、デンマークやスウェーデンはヘルパーは全員公務員ですよ。また、長野市では九〇年度に全員を、これは社会福祉協議会ですけれども、その正職員にした。そのために賃金も公務員の業務職並みに変えた。その結果、職員の補充が一気にふえた。こういう例もありますから、そういうことであなたが地域の実情に応じてと言われるのですが、まさに実情に応じて、地域のニーズに応じて、ぜひ常勤主体の増員計画というものをやってほしいということを私は要望しておきたいと思います。
 時間がありませんから、次に参ります。まず、国保料の算定問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 最初に法制局にお伺いいたしますが、法制局はいらっしゃっていますか。――憲法の八十四条は租税法律主義、これを定めておると思います。
 「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」というふうに規定しております。この条文で言っている租税の範囲というのは、直接の意味での租税だけではなくて、国保料のように公権力によって強制的に徴収される保険料も含まれるというのが憲法の一般的な解釈、通説だというふうに思いますが、いかがでございましょう。
#479
○大森(政)政府委員 憲法八十四条は、ただいま委員が紹介なさりましたような規定を設けておりますが、国民健康保険料は形式的な意味における租税ではないということでございます。
 しかしながら、保険事業に要する費用に充てるため、保険料にかえて国民健康保険税を徴収することができるというシステムになっている。そしてまた、その制度への加入も強制的でございます。そして、その賦課徴収も、納付をしないときには滞納処分が行われる。このようなことを総合いたしますと、やはり租税と同様に、憲法八十四条の趣旨に従って処理すべき性質のものであるというふうに考えているわけでございます。
#480
○三浦分科員 自治省、おいでになっていらっしゃいますか。お尋ねいたしますが、秋田市の国保条例の違憲性が争われた秋田市国保税訴訟で、五十七年の七月二十三日に控訴審判決が出されておりますね。この判決は、国保税の税率を条例に明定しないのを憲法八十四条と憲法第九十二条に基づく租税条例主義に反するというふうに判示したものだと思います。判決が出る以前には、国保税の税率を条例で明定していなかった市町村は約百ございましたけれども、この判決が出た結果、例外なく条例で、算定方式だけではなくて税率を明定するようになったというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
#481
○三沢説明員 国民健康保険税の税率、私どもいわゆる按分率と呼んでおりますけれども、それにつきましては、従前から市町村に対しまして、定率、定額で具体的に条例中に規定するよう、条例準則を示すこと等によりまして指導をしてまいりました。
 さらに、今先生御指摘の秋田地裁の第一審の判決、五十四年五月にございましたけれども、これを契機といたしまして、条例準則どおりに按分率の定めをするようにさらにその指導を徹底いたしまして、現在では保険税を課する全市町村におきまして、条例で按分率を明記しておるところでございます。
#482
○三浦分科員 それで、厚生省にお尋ねいたしますが、国保料も国保税と本質的には全く同じ性格で、憲法八十四条の租税法律主義、この精神に従って徴収されなければならないという御答弁がありましたね。したがって、国保料を採用している市町村にも秋田判決のこの趣旨が適用されて、租税条例主義に基づいて、その条例の中に保険料卒を明記しなければならないのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#483
○黒木政府委員 国民健康保険料につきましても、法制局の方から御答弁いただきましたように、憲法八十四条の租税法律主義の精神に沿いまして、明確に賦課要件を条例で定めることが要請されていると思っております。しかしながら、賦課要件のすべてが条例自体において規定されなければならないというものではございません。条例の趣旨などに照らした合理的な解釈によって、その内容が一義的に明確であれば、料率を条例に明記しなくても租税法律主義の趣旨に反するものではないというふうに考えております。
#484
○三浦分科員 今の局長の答弁は、結局、課税権者の恣意的な判断、政策的な判断、そういうものが入らない限りは、いわゆる税率の算定方法、こういうものを条例に定めておけばそれでよろしい、こういう御答弁ですね。どうですか。
#485
○黒木政府委員 おっしゃるとおりでございまして、秋田市の条例の地裁の判断あるいは控訴審の判断等も読みますと、やはり秋田市の条例が賦課総額の規定の仕方につきまして、これが行政庁の恣意的なものにゆだねている面が非常に多いというようなことから、条例の規定が一義的に明確でないということが明らかである。よって、課税法定主義に違反をするという趣旨の判決ではないかというふうに承知をいたしておるわけでございまして、私どもは、条例上国保料の賦課総額が一義的に明確に定まり、そして条例上賦課の方法が明確に定まっておりますれば、そこで一義的に保険料なり保険料額がおのずから出てくるわけでございますから、そういう意味で、行政庁の恣意的な判断が入ってくるおそれがないということから見ますと、違憲の疑いと申しますか、そういうものは全くないんではないかという判断でございます。
#486
○三浦分科員 そうすると、逆に言えば、その賦課総額の算定について、いわゆる政策的な裁量の余地または恣意的な裁量の余地、そういうものが入り込む余地があるという場合には、ぴしっと料率というものを条例に明示しておかなければならないということになりますね。
 それで、あなたたちが去年国保法を改正いたしました、八十一条で。いろんな課税要件について、政令で定める基準に従って条例で定めるというふうにしましたね。そして、その政令に準拠して各市町村でもって条例をつくっておりますね。私、政令も見てみました。条例も見てみましたよ。しかし、これは秋田判決と同じように、恣意的な解釈、また政策的な判断の入り込む余地がもう本当にいっぱいありますよ。
 例えば、賦課総額というのは、簡単に言えば、結局その年の国保事業に必要な費用、それから保険料を引いた収入、それを控除したものというふうに考えていいでしょうね。そうすると、保険事業に必要な費用というものは何かといえば、それは療養給付費とか高額療養費だとか老人保健の拠出金であるとか、そういうようなものでしょう。その他健康保険の事業に必要な費用とか、そういうような書き芳していますね。そうしますと、これは全部見込みでしょう。当該年度の見込みなんです。そうすると、これはもう完全に恣意的な判断が入るんですよ。政策的な判断が入るんです。
 ですから、あなたたちは、この予算編成の時期になると、毎年必ず都道府県に対して予算編成についての通達を出しておるでしょう。局長名でも課長名でも出していますよね。これが本当に条例で一義的に明確化されていろんなら、自動的に出てくる、機械的に計算したら出てくるというんであれば、何もあなたたちが毎年毎年局長通達とか課長通達を出して、こういうふうにやりなさい、ああいうふうにやりなさいなんて言う必要は全くないことなんですね。それをあなたたちがやっているということは、結局、医療費の見込み額についてすら一義的には決まらない、明確になっていないということの証拠ですよ。
 例えばあなたたちが、これは課長さんのことし一月二十二日に各都道府県の民生主管部に出した通達です。例えば「保険給付費等」というところがありますが、「療養の給付費、療養費、高額療養費及び老人保健拠出金等の積算に当たっては、これらの過去の実績を踏まえて、更に最近における医療費の動向や特殊事情の有無等も分析検討したうえで、適正な額を計上すること。」というのでしょう。「最近における医療費の動向」とか「特殊事情」とか、こんなものわかりゃせぬですよ、あなた、これによることができないときは、今度は別紙「平成四年度医療費等の推計方法」を参考として推計せいといって、裏に書いています。そうでしょう。
 ですから、結局、条例自体では一義的に明確になっていないのですよ、賦課総額算定をする場合の前提が。これはもうはっきりしているじゃないですか。ですから、結局こういう賦課総額を決定する場合に、いろいろなことをやらなければいけないわけだ。たくさんの作業をした上でこの賦課総額を出さなければいけないのですよ。この保険事業に必要な費用を算定するということ、これはたくさんの積算をしなければいけないのです。
 それからもう一つ、今度は保険料を除いた収入、これもいろいろな種類があるでしょう。こういうものを全部積算した上で、予算上の賦課総額というものをあなたたちは出すわけです。そうすると、その一つ一つの作業、この過程の中で裁量の余地があるじゃないか。そして、一つ一つは保険事業の目的から見れば合理的理由はあるかもしれない。判決はそう言っていますね。合理的な理由があったとしても、その積算の過程の中で、一つ一つの裁量は少ないかもしれないけれども、たくさんの裁量行為が集まって結論が出てくるのであれば、その裁量は幅が狭い裁量行為とは言えないのだ、こう言って、結局こういう条例というのは憲法に違反しているというのが秋田判決なのです。ですから、その点はあなたたちのこの通達によっては何も是正されていないということです。それをどう思いますか。
#487
○黒木政府委員 確かにいろいろな計算をしながら見込み額を立てていくわけでございます。しかし、私どもが申し上げているのは、そこに恣意的な判断が入る要素があるかどうかということでございます。確かに……
#488
○三浦分科員 いや、政策的な判断が入ったってだめなんだよ。恣意的だけじゃないよ、政策的な判断も入っちゃだめなんだよ。
#489
○黒木政府委員 私どもが申し上げておりますのは、いろいろな要素の中で見込み額をはじいていくわけでございますけれども、その見込み額の算定に当たりましては、おのずから一定の算定のルールというか、仕方というものはもう当然のこととしてあるだろう。一番大きい要素は実績でございます。
 あらゆる来年度の見込み額を立てる場合には、まず実績がベースになることは、もう先生御案内のとおりでございまして、その実績に基づいて翌年度の見込み額をどう立てるかということでございますけれども、この見込み額を立てます場合にも、おのずから合理的な判断のもとに作業を進めていくわけでございまして、その中で恣意的な要素というものが入ってくるあれはあり得ないと私どもは思っております。機械的に出てくるということではもちろんございませんけれども、合理的な算定の中に一恣意的な要素を排除しながら出てくるべきおのずからの見込み額というのは算出できるというふうに考えておるわけでございます。
#490
○三浦分科員 それは局長、あなた自身は算定できると言っているのですね。それはそうでしょう、あなたたちは通達も出して、そして非常に細かいものを出していますから。しかし、条例でできるかと聞いているのですよ。あなたたちがそういう細かい、いわゆる一義的、明確的なものを通達で出さなければ計算できないようになっているじゃないですか、現在の各市町村の保険料の条例は。だからあなたたちはこういう通達を出している。
 その課長の通達ですら、最初に出したものは、一段目にあるのは「過去の実績を踏まえて」とあなた今言いましたね。それは書いてありますよ。しかし、それだけじゃないでしょう。「最近における医療費の動向」ですよ。医療費の動向まで検討しなければならない。「特殊事情」、何だかわかりませんよ、「特殊事情」と言われたって。ですから、あなたたちが条例の一部分、いわゆる課税要件の一部分についてさらに絞り込んできているけれども、その絞り込んだものだって一義的に明確じゃないのです。
 恣意的というのは、でたらめということじゃないですよ。こういうやり方をすることが悪いと言っているわけじゃない。事業遂行のためにはやはり合理的な必然性があるだろう、見込みでやらなければしょうがないわけですから。確定的なものは出てきませんよ。だけれども、こういう方法をとることが合理的理由であっても、それに政策的な判断、恣意的な判断、保険者のそういう判断が入り込むような余地があり、その保険者の判断によって、ほかの条件が変わらないのに、条例の改正がないのに保険料が変わっていく、そういうことはいけないというのが秋田判決の趣旨なんですから、私はそこは十分に検討してほしいと思う。
 それともう一つお話ししておきますが、予算上の賦課総額というものを出しますでしょう。それを今度あなたたちが予定収納率で割りますね。予定収納率で割るなんということは、政令にもなければ、どこの市町村の条例にもないですよ。あなたたちの通達でやっているのですからね、毎年の通達で。予定収納率が九五%なら九五%で割りなさい。そうすると、要するに保険料を払ってない人の分まで払える人にみんなおっかぶせろということなんですよ。それで、それは条例に書いてない。これは認めますね、あなた。どうですか。
#491
○黒木政府委員 私どもの政令の基準でございますけれども、予定収入とそれから予定費用と申しますか、収入と費用の差が賦課総額になるわけでございますけれども、その額で決めろというふうに書いてあるわけではございませんで、この基準に則して申し上げますと、イに掲げる費用の見込み額から収入の見込み額を控除した額とするという政令ではございませんで、費用から収入を「控除した額を基準として算定した額であること。」というふうに政令で定めているわけでございます。
 この理由は、先生の御指摘のように、社会保険のルールとして、当然収納率と申しますか、滞納率が存在をするわけでございますから、その穴の分というのは当然割り戻して皆さんに賦課するというのが、これも全く恣意の入らない当然のルールと私どもは思っておりますけれども、そういうことを予定してこういう書きぶりをいたしているわけでございます。こういう不確定概念であっても許容される余地というのは秋田訴訟の方でもメンションされているところでございまして、私どもはそういうふうに理解をいたしております。
#492
○三浦分科員 それは全然違うのですよ。秋田判決は、予定収納率で割るということは、保険制度の目的からいってそれはやむを得ないということは言っているのだけれども、そこに結局政策的な判断が入り込むからだめだと言っているじゃないですか。
 それはなぜかといいますと、例えば過去の収納率を見てみた場合に九一%しかなかった。ところが、ことしはどうしようか、もっとたくさん人を使って収納率を上げよう、希望的な観測でもって収納率を九八%にしようということで、九八%にするということも可能なんですね。それは禁止はされてない。そうすると、九一%から九八%までの間、これは全く政策的な判断によって決められてしまうのです。そうすると、北九州の場合ですと、一%収納率が違うと一世帯当たり千五十円保険料が違ってくるのです。そうすると結局、保険者の裁量、政策的な配慮、こういうものによって税額が変わってくるのです。税率も税額も変わってくる。それはそうです、賦課総額が変わってくるのですから。
 ですから、そういうことは租税法定主義に反するじゃないですか。千円ならいいと言うのですか。三%違ったら三千百五十円違ってくるのですよ。三千円ぐらいいいじゃないか、そんなものは保険者の裁量で取っていいんだ、そういうことが言えますか。言えないでしょう、そんなことは。一円だって、あなた、ぴしっと法律に基づいて課税要件は一義的明確なものにして、税金を納める人たちが、自分は幾ら税金を納めればいいのだということがあらかじめ予測可能性がなければいけない。それでなければ経済的な安定性がないじゃないですか。ですから私は、やはりあなたたちがもっと保険料を支払う人々の立場に立って、この算定方式をもう一回見直してほしいと思う。大臣、いかがでしょうか。
#493
○黒木政府委員 再度秋田訴訟の判決を引用させていただきますけれども、
  課税要件明確主義の下でも、課税要件に関する定めが、できるかぎり一義的に明確であるこ  とが要請されるというのがありまして、諸般の事情に照らし、不確定概念の使用が租税主義の実 現にとってやむをえないものであり、恣意的課税を許さないという租税法律主義の基本精神を没 却するものではないと認められる場合には、課税要件に関して不確定概念を用いることが許容さ れる余地があるというべきである。
こういうふうな判決が出ているわけでございまして、できるだけ一義的に明確に決められる条例というのはもちろん私どもの目指すところでございますけれども、保険料の賦課に当たりまして、ただいま申し述べました滞納があった場合の割り戻しといったような算定の仕方というのは、この秋田訴訟の判決の中に用いられております、先ほど申しました「不確定概念の使用」という形での規定ぶりと申しますか、「基準として算定した額」という表現をとっておりますけれども、そういう政令あるいはそれを受けた条例というのも私どもは許容されるものと思っております。
#494
○三浦分科員 終わります。だけど、また後でやりましょう、それに反論している時間がありませんから。
#495
○戸井田主査 これにて三浦久君の質疑は終了いたしました。
 次に、外口玉子君。
    〔主査退席、和田(静)主査代理着席〕
#496
○外口分科員 私は、昨年八月三十日の厚生委員会並びに十月一日、物価問題特別委員会におきまして、特に民営の施設である有料老人ホームについて、二十一世紀を見通した高齢社会の福祉の仕組みづくりを目指す観点から質問いたしました。
 有料老人ホームはその五〇%余りが大都市圏にあり、都市部に集中しています。この都市部への一極集中は、我が国の経済政策のゆがみにほかならないと考えるものでございます。大都市圏に特別養護老人ホームは極めて少ないことからも明らかなように、公的サービスが大変に乏しい中で有料老人ホームが生じてきたとも言うことができます。そして何よりも、有料老人ホームは人生の締めくくりの時期が利潤追求の対象にされている点、しかもさまざまな問題が生じているにもかかわらず、現状の改善に向けて行政の対応が立ちおくれていることに私は大変な危機感を覚え、この問題に対する公的な責任性を追及してまいりたいと思います。中でも介護専用型有料老人ホームに至っては、いまだ設置基準すら示されないままに置かれていることは、人権後進国日本の諸政策の立ちおくれのゆがみがここにも象徴されていると考え、厚生行政の責任をただしたいと思います。
 まず、私は消費者保護の立場から、昨年政府に早急な改善策を求めました。にもかかわらず、バブル経済がはじけた後に一層のこと、有利な投資先として、商社、建設、不動産業者等大手企業の安易な参入をいたずらに許し、有料老人ホーム経営の七割以上を株式会社が占めるに至っている現状を深く憂えるものでございます。また、有料老人ホームの経営者交代、系列会社の倒産などの不祥事も相次いで起きております。そして、国民は高齢社会の到来に対して大変に不安感を持っております。このことに対して行政の責任者としてどのように受けとめておいでになるのでしょうか、まずお伺いしたいと思います。
#497
○岡光政府委員 まず、高齢者対策の進め方でございますが、高齢者が老後の生活を送る上で必要とされる基礎的なサービスにつきましては、公的な部門がその責任を持って必要なものを確保し、提供すべきであるというふうに考えておる次第でございます。そういう観点から、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」に基づきまして、在宅対策であるとかあるいは特別養護老人ホームであるとか老人保健施設等、受け皿の施設の整備もあわせ進めているところでございます。
 御指摘ございました有料老人ホームのような民間の動きでございますが、一方では、高齢者のニーズは多様化し、高度化しているということも否めないわけでございまして、このような部分に対応するものとして民間部門の創意工夫は大いに活用すべきではないだろうか、こういうふうに考えているわけでございます。決して公的な責任を放棄するわけではございませんで、ニーズの多様化、高度化にこたえる、こういうことを念頭に置いているわけでございます。かつ、この民間部門の動きにつきましても、やはり高齢者が食い物にされないような、そういうチェック、規制というのが必要だというふうに考えているわけでございまして、公的な施策と相まちまして、民間の動きにつきましては適正に育成を図っていくべきである、こういうスタンスをとっているわけでございます。
#498
○外口分科員 ただいまのお答えの中では、ニーズの多様化に対して選択肢をということでございますが、選択肢というのは、選択できるための裏づけがきちっとされなければ選択肢が提供されたとは言えないわけで、私は、その点について極めて懸念を大きく持っておるものでございます。
 今、岡光部長の口からも出されましたように、老人福祉の諸政策に取り組んでこられている責任者として、部長、あなたがつい先日の関係者の集まりにおきまして、老人を食い物にすることは許されない、社会町制裁が加えられなければならないといったお話をされたと聞き及んでおります。このような御発言をなされる以上、事態の深刻さを裏づけるに十分なデータをお持ちのはずだと思いますので、どのような実態調査が行われ、実態が明るみに出されているのか、簡単にお話しいただきたいと思います。
#499
○岡光政府委員 全体的な有料老人ホームの動きにつきましては、関係の皆さんで協会をつくっていただきまして、そこにいろんな情報を集約をしてもらうということをやっているわけでございます。
 それから、昨年老人福祉法の改正をいただきまして、有料老人ホームの建設に当たりましては事前の届け出をしていただくということになりましたので、そういう意味で、個別の事前審査ということをやって対応しているわけでございます。憂うべきケースも若干あるわけでございますが、私ども今把握しているものとしましては、本業がいろいろあるわけでございますが、バブル経済の崩壊とかそういうことの影響を受けまして、本業そのものがおかしくなって、副業的に行っている有料老人ホームの方の経営にも影響を与えられているんじゃないだろうか、そういうことで、もしそのまま放置しておきますと有料老人ホームの経営倒産ということにもつながりかねないというふうなケースを数例見ておるわけでございまして、その辺を、利用者であるお年寄りがひどい状況に遣わないように、ひどい目に遣わないように、その事前の指導を行っているところでございます。
#500
○外口分科員 昨年の厚生委員会さらに物価問題特別委員会におきましても、私は特に介護専用型有料老人ホームの設置運営指導指針のおくれについて、早急な取り組みを求めました。その折、公正取引委員会の方々もおられましたが、実態調査を行い、それを踏まえてこの三月には介護専用型有料老人ホーム設置運営指導指針を明示するとの御回答をいただきましたが、いまだに実施されていないのはなぜなのでしょうか。
 私は、長年医療、福祉の現場で働いてまいりましたことから、老人を抱えている家族からの切実な声は日に日に増加しておりますし、また、幾つかの老人ホームで働いているケースワーカー、看護婦などからも、その実情に大変心を痛めているとの話を伺い、大変に危機感を深めております。厚生省としての実態調査の結果はどうであったのでしょうか。また、その折、その結果をどのように今検討していらっしゃるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
#501
○岡光政府委員 有料老人ホームの中での介護専用型のホームにつきましての基礎的な調査は、平成三年度につきましては七月一日に行いました。
 その概要でございますが、その時点における有料老人ホームの全体の施設数が二百二十八施設でございましたが、介護専用型が二十五施設、定員で申し上げますと、全体では二万一千八百二十五人のところ、介護専用型の施設の定員は千七百七十二人という状況でございました。
 これにつきまして、私ども設置運営につきましての指導指針をつくるということで、今先生が御指摘なされたとおりでございますが、省内に検討会を設けまして、これにはいろんな専門の方も入っていただいておりますが、現在作業を進めております。
 また、並行しまして、シルバーサービス振興会という、これはこういうシルバーサービスを行っている皆さんが集まっている団体でございますが、法律上指定法人にもなっておりますが、ここでも並行してシルバーマークの認定基準の作成をしよう。要するに、いいレベルの仕事をなさっているところについてはいわゆるシルバーマークをつけるように、そのシルバーマークを認定する際の基準づくりをしていただいているところでございまして、ガイドラインとシルバーマークの認定基準、両方相まちましてこれで一つの指導方針にしたい、こう考えておるわけでございまして、できるだけ早くこれを全国に通知をしたいということで、鋭意作業を進めているところでございます。
#502
○外口分科員 ことしの一月二十日付の事務連絡で、各都道府県の老人福祉担当官あてに介護専用型有料老人ホームの実態把握を依頼しておいででございますね。よろしゅうございましょうか。その中で、各都道府県に対して実態把握について依頼しておりますけれども、その結果はどのようなものであったか、あるいはどのような調査項目が最も行政責任者としては懸念されるものとして出てくるか、簡単にお答えいただきたいと思います。
#503
○岡光政府委員 御指摘のように、本年一月二十日に追加調査をお願いをしておりまして、その調査の中身でございますが、十分な介護サービスの提供とそのための介護マンパワーの確保、それから医療機関との連携、こういうことについてどういう状況にあるのかというのをお願いをしまして、現在その取りまとめをしているところでございます。
#504
○外口分科員 その折に、ここに私も手元にございますが、私がお願いしたときは八月三十日、そして十月一日のそれぞれの委員会でございますが、「ホームに適宜調査の趣旨を説明の上、照会される等により、実態を把握し、御報告されたく、お願いします。」とありまして、かなり自己申告制に基づいたものと考えます。一体このような実態の把握の方法で非常に密室性の高い介護型有料老人ホームの実態が把握できるかということについて大変疑念を持っておりますが、その点についていかがお考えでございましょうか。
#505
○岡光政府委員 調査に協力をしてもらうのですから、そのようにお願いをしておりますが、その報告の内容につきましては県が後で確認をするということで、正しく報告されているかどうかのチェックを行うことにしております。
#506
○外口分科員 この実態把握の結果につきましては、質問いたしました私のところにまでまだ報告がされておりませんが、これは二十日から二十四日までというような形でファクスで依頼されているようです。その結果についてまた後ほど詳しくお聞きしたいと思いますが、それはお約束いただけますでしょうか。
#507
○岡光政府委員 今取り急いで作業をやっているわけでございまして、結果がわかり次第御報告をいたしたいと思います。
#508
○外口分科員 先ほど岡光部長がお答えになられました中で、この実態把握、実態調査を踏まえて設置運営指導指針策定検討会で検討されているということでございましたが、そのメンバーの構成についてお伺いいたします。
#509
○岡光政府委員 検討会のメンバーでございますが、まずそういった有料老人ホームで介護専用型のものをおやりになっているそういう関係者、それから皆さんのこの団体を取りまとめております関係団体、シルバーサービス振興会のその部門の責任者、それから一般的な建設に当たる建設業者、それから特別養護老人ホームという、介護専門の老人ホームでございますが、こちらの方の運営に当たっている方、それから行政担当者、あるいは大学における、これは契約の問題もございますので法律の専門家、ちょっとばらばらでございますが都合十四名で、関係のありそうな人皆さんに集まっていただいている格好で構成をしております。
#510
○外口分科員 私もそのメンバーについての資料を手元に持っておりますが、ほとんど一名を除いて主に業界の経営者代表が名を連ねているという点で、大変に当初から私はこの点を危惧しているものでございます。そういった意味では質の向上、そしてその質を保証していくためのチェック機構といいますか、そういうものを業界にのみゆだねていくというようなことは大変に問題であるのではないか。そういった意味ではもう少し行政の責任ある対応が必要ではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
#511
○岡光政府委員 これは、ガイドラインをつくるための基礎的な考え方をとりあえずいただいておるわけでございます。この意見をいただいた上で、やはり行政が責任を持って一つのガイドラインとして指針をつくろうという発想でございまして、いわばそのガイドライン策定のための材料、それから着眼点、アイデア、これをいただいているところでございまして、この方々の御意見をもって直ちにガイドラインの内容にするというものではございませんので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
#512
○外口分科員 私は、一昨日の厚生委員会においても、医療の関連の審議会が大変に透明性に欠けていることと、その審議会の構成メンバーが極めて偏っているということを指摘し、厚生行政の責任者としてもう少しユーザーである国民の声を直接反映するような仕組みづくりをと要求したところでございますが、この検討委員会も、今高齢社会に向けて国民は大きな関心を寄せておりますし、そういった意味では、この検討会の審議過程が何ら外部に伝えられていないということは大きな問題ではないかと思いますし、この三月にもし基準を明示されるようなことならば、既にきょうは三月の十二日でございますので、もっと外部に、あるいは質問した私のところに報告されて当然だと思うのですが、その辺の審議過程についてお聞かせいただければと思います。
#513
○岡光政府委員 介護専用型の有料老人ホームというのは、かなり慎重に対応しなきゃいけないと思います。御利用なさる高齢者は多額の経費を出して、しかも終身介護をお願いしようということでこの老人ホームに入居をするわけでございますから、そういう意味では、私どもその設置運営に当たっての指針づくりは慎重を期する必要があると思っております。それは委員御指摘のとおりでございまして、私どもその検討会で意見をいろいろまとめだものをもう一度よく行政の立場から検索をするなり、関係のいろいろな皆さんの御意見を聞くなりして、慎重の上にも慎重を期した上でつくり上げたい、そういうふうに考えておりますので、そういう過程においては大勢の方々の御意見を賜りたいと思っておる次第でございます。
#514
○外口分科員 私がなぜこのような点について大変関心を寄せ、行政の責任の方々の慎重な討議を、また広く国民の声を、あるいはさまざまな立場を代表する方々を入れて検討してほしいとお願いをしているかというと、国際的に問題になり、国連の人権委員会からも問題にされました日本の精神病院における処遇問題というものがかねてより大きく問題になっておりまして、私もその領域で仕事をしてきた経験から、密室性の高い施設の中では、さまざまなことが生じ得るということを十分に経験しているからでございます。
 特に慎重に検討するという場合には、実態調査の中の項目などについても具体的に、看護・介護に当たる方の人員数はサービスのケアの質を左右する重要な基準でありますし、またその数が余りにも少ない分、しばしば夜間などは物理的な拘束、いわゆる縛りと言われているもの、あるいは薬物による拘束、これは見えないのですが、大変怖いものでございまして、薬づけによる問題などが大変行われやすくなる状況がある。その点を懸念して今質問をしているわけなんですけれども、そのような懸念に対して責任者としてはどのようなお考えをお持ちなのか、また現状についてどういう見解をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
#515
○岡光政府委員 そもそも論といたしまして、有料老人ホームにおける入居者というのは一般的には健康な方でございますけれども、高齢であるということにかんがみまして、その入居者の心身の状況に応じた適切なサービスが提供されるようにということで、その設置運営指針もつくっているわけでございます。これはもう委員御承知のとおりでございますが、「入居者の実態に即し、夜間の介護、緊急時に対応できる数の職員を配置する」こういうふうに指導しておりますし、またこれらの方々が構成されております有料老人ホーム協会でも、職員配置の目安を策定して、会員の皆さんの相互チェックをしている、こういうことになっております。
 今お話しの介護専用型でございますが、これは今申し上げました一般的な有料老人ホームとは違いまして、対象者は主として寝たきり等の介護を必要とする高齢者ということになるわけでございますので、そういう意味では現在一般的な有料老人ホームの職員配置の状況よりもなお厚くしなきゃいけない、こういうことを考えているわけでございまして、それについてまず実地で関係のいろいろな仕事をなさっておる関係の皆さん方の意見を聞いて、どういうふうに持っていったらいいんだろうかという基礎的な材料を得ているというのが今の検討会の段階でございまして、私どもは、基本認識としましては、介護専用型ホームの運営ということは少なくとも特別養護老人ホーム以上の介護は確保できる、こういう体制でないとまずいのではないだろうか、こういうことを基本的な認識として置きながら、現実的にはどういうふうな対応をしたら一番適切なのかということで内容を煮詰めたいと思っておるわけでございます。
#516
○外口分科員 有料老人ホームにおける人員配置の低さは、それが要介護になったときには、自分の意思に反して別なところへ送られてしまうという大きな原因になっています。多くの人が実際に介護が必要なときには、自分の意思を通す力を持てなくなっている状態になるわけですから、住む場をいや応なく変えさせられてしまう。こういうことに対して市民による福祉アセスメントなど、第三者によるチェック機構が全く保障されていないのが現状でございます。これはまさにゆゆしき人権問題と考えます。しかも、要介護者のみが入居する介護専用型有料老人ホームにおいては、人の配置が十分になされていないのでは、これは安全確保という名のもとでの薬づけもしくは縛りつけが行われていくのは必然の結果と大変憂えます。
 そして、去る二月二十九日「有料老人ホームの問題点と今後の課題を探る」というシンポジウムが行われました。私も出席しましたが、シンポシストの中にも厚生省のこの課の責任者が出席しておられましたし、経営者の責任者団体である有料老人ホーム協会の理事長さんも出席されておりました。このシンポジウムは、もちろん「われら有料老人ホーム探検隊」などの報告書をまとめるなど、これまで地道に活動を続けてこられた高齢化社会をよくする女性の会の主催によるものであります。
 このシンポジウムの中でも、模範的と言われるホームでも三十八人の入居者に対し夜間世話をする介護者はたったの一・三人、しかも老人の八人がベッドに縛られていたというゆゆしき発言があり、三月三日の毎日新聞紙上でも報道され、利用者や関係者に大きな衝撃を与えているところでございます。このような事態に対してどのように認識されておりますでしょうか。
#517
○岡光政府委員 有料老人ホームの指導に当たりましては、私どもは、一つは倒産防止という観点から、長期的な安定経営が確保されるようにということをまず指導しております。それから、利用者側、特に入居を希望するその段階で情報を開示するように、適正な情報開示を徹底しようということにしております。また、現に利用なさっている人から苦情を申し入れられるような、苦情処理の体制もつくり上げるようにということにしておりますのと、あわせて入居者側に対する啓発ということで、例えば契約の手続の適正化であるとか、後でしまったと思わないようにということで、そういう事前の入居者の心得というものを体験入居だとかいろいろなことをするようにということで、こういったことを県を通じて徹底するように通知をしたところでございます。
 先生おっしゃいますように、有料老人ホームは実はなかなか定着をしておらない状況でございますし、法律の段階でも、昔はつくった後単に届ければいい、そういう位置づけであったわけでございますが、これからの高齢社会の中においてこの有料老人ホーム、特に介護型のものにつきまして、今対応しているよりももっと直接的な対応が要るのじゃないだろうかということで、私ども取り組み始めたところでございます。
 そこは、繰り返しになりますが、検討会等における意見をいただきながら、そういう将来展望をした上でお年寄りの処遇が適切になるように、そういう方向で努力をしてまいりたいと思います。
#518
○外口分科員 そのシンポジウムの折に、恐らく厚生大臣もお目通しと思いますが、要望書が厚生大臣あて、そしてまた厚生省関係部署あて、有料老人ホーム経営者あてに、高齢化社会をよくする女性の会、有料老人ホーム研究会として何項目にもわたって出されておりますので御存じかと思いますが、時間がありませんので、その中の一つだけどうしてもお尋ねしたいことがございます。
 それは、有料老人ホーム指導指針において、有料老人ホームには特別介護室を入居定員の五%以上設置しなければならかいことになっています。しかし、この五%基準は大変非現実的だということについては、もう多くの関係者が指摘しているところでございまして、さきのシンポジウムにおきましても、大田老人福祉振興課長以外のすべてのシンポシストの方々が、この基準の見直しの早急な必要性に触れておりました。シンポシストのお一人である有料老人ホーム協会の理事長も、要介護者が二〇から三〇%であることは既に事実化しているということを認めておいででございました。
 この五%という基準の根拠はどこにあるのでしょうか。また、この五%という基準を前提にしましたならば、日本の高齢社会への将来計画が間違ってしまうのではないかと大変色倶するものですが、これについて簡単にお答えいただきたいと思います。
#519
○岡光政府委員 この五%というのは、現在六十五歳以上の人たちの中に占める寝たきり老人の実際の割合から、大体五%程度になっておりますものですから、割り出したものでございます。そういう意味では一般的な数字を用いているわけでございます。繰り返しになりますけれども、終身介護型の有料老人ホームについては、定員の五%以上というこの縛りはきかないものだというふうに見ております。この五%というのは、あくまでも一般的な有料老人ホームを想定して、しかも五%というのは現実に占める寝たきり老人の割合から割り出したものでございます。
#520
○外口分科員 もっとたくさん質問をしたい問題があるのですが、時間でありますので、最後に、民間のサービスというものは、まず基盤となる公的サービスが整備されて、初めてその上で多様なニーズに見合った選択肢が提供されるというふうに私は考えます。しかし、その基盤となる公的サービスが未整備のままで民間に肩がわりざせるということは、老人を利潤追求の手段とすることをあえて認めていることになりますし、しかもその民間サービスが今破綻しつつあるというときに、大変にいろいろな問題を起こしているこのような時期に、今度はそれに対して公的な福祉で補っていくような発言が、岡光部長の日経ヘルスビジネスの九二年一月十三日のインタビュー記事の中で、公共と民間サービスのあり方についての中で幾つか触れられておりまして、特定の人に対する公的福祉の私物化になるのではないかと私は大変懸念しているところでございます。そういった点からも、まず公的サービスの整備の早急な取り組み、そしてさまざまな民間のサービスに対するきちっとした対応、指導体制、チェック機構の整備というものをぜひとも取り組んでいただきたいというふうに思います。
 最後に、時間がございませんので、きょうの先ほど目にした夕刊、大臣にお答えいただきたいと思いますが、毎日新聞の夕刊、社会面のトップに「人生ひけ時が肝心。寝たきり、痴呆症にはなりたくない」として「八十五歳夫は緑内障、妻看病疲れ」この妻は七十七歳、看病していた夫は八十五歳でございます。その方が「人生ひけ時が肝心だ。寝たきり、痴呆(ちほう)症などにはなりたくない。他人の手を借りなければならない。汚いのはだれでも嫌だ。遠慮して長生きするのが幸福か不幸か分からない。体の自由がきくうちに自ら生命を絶つことを定めた。大変ご迷惑をかけました」と遺書をしたためて亡くなっております。
 私はつい先ほどこの夕刊の記事を見まして、そして、これが一体経済大国、いわゆる大国と言われている日本に生じていることかと改めて日本の高齢社会対応の施策の貧困さを痛感して、この席に、質問に立ったところでございます。
 そして、この記事のところに、先ほどの高齢社会の研究をしている会の代表の樋口恵子さんの「老人が気兼ねなく、安心して頼れる公共的サービスが権利として認められるべきだ。」というコメントが出されております。こうした事態が昨今新聞紙上、マスコミをにぎわしておるところでございますが、このような実情に対して厚生大臣、どのようにお考えでございましょうか。また、これからどのような取り組みをなされるのか、決意のほどをお伺いさせていただきたいと思います。
#521
○山下国務大臣 まだ毎日新聞の夕刊の記事は読んでおりませんけれども、私は、これはやはりお年寄りの切実な叫びであろうかと思います。しかも、これはお年寄り共通の一つの感懐であり、悩みではなかろうかと思います。私もただいまの話を聞いて、これは私ども十分こういう点を配慮しなければならぬなと思いますが、先ほど来いろいろ御意見ございました。
 特に民間部門に対して公的にどのような関与をするかということは、一般的に申し上げてなかなか難しい問題であろうと私も思います。有料老人ホームについては、民間に対して今後適切な関与、規制が必要だということを私も痛感いたしております。今後その規制についてどうするかは、幅広く検討してまいりたいと思います。また、御指摘がいろいろありましたが、その中ですぐ手をつけられるものはしかるべく手を打ってまいりたいと思います。
#522
○外口分科員 終わります。
#523
○和田(静)主査代理 これにて外口玉子君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅直人君。
#524
○菅分科員 今、外口さんの最後の質問を聞いていて、若干順序が変わるかもしれませんが、私も前々から考えていたことが一つあったわけです。
 つまり、夫婦で、一方が大変体が弱って、一生懸命看病をした人がある段階でもうこれ以上は看病し切れない、それで何か老人施設に入れてもいいのだけれども、それではかわいそうだということで心中をするというケースが、先ほどの話だけではなくて従来からよく目につくわけです。例えば、何とか夫婦で一緒に入れるような施設、一方が体が弱ければ一方はまだ多少元気だ、そうすると半分ぐらいのことは、例えば今の例であれば御主人が面倒見られるけれども、あと半分ぐらいのことは施設で面倒を見る、こんなあり方もあるのではないかと思うのですが、そういうふうな施設をつくる考えというのは厚生省にはないのでしょうか。
#525
○岡光政府委員 御指摘のように、身体の弱った高齢者の希望に応じまして、夫婦で入居できるような施設の整備が必要だというふうに考えております。
 例えば、今進めておりますのは、車いすを使用する状態になってもなお自立をした生活が送れるような配慮をしたケアハウスを進めておりますが、このケアハウスは一人部屋または二人部屋ということで、夫婦で入所されるということも想定をしているわけでございます。
 本当に痛ましい事件にまことに私どもも心が痛むわけでございますが、こういった状況にならないように、事前の相談体制をよくしていきたいということで高齢者の総合相談所なんかもつくっているわけでございますし、また、井型の八〇八〇を押していただければ、どこの県でもその共通番号でそういう相談所につながるようにもなっているわけでございます。また、ひとり暮らしの場合には緊急通報装置を整備いたしまして、困った状態のときには、腕時計のタイプであるとかペンダントタイプがございますが、それを押せば装置が働いて必要なところへ連絡がいく、こういうふうなことも配置を進めているところでございまして、おっしゃいますように、不安があった場合には不安を解消するような手当てを講じながら、かつまた受け皿の施設のサイドにおきましても夫婦で入所できるような施設を整備していく、そういう方向で施策を進めているつもりでございます。
#526
○菅分科員 夫婦で入居できる方向、それを必要と考えているということなので、これは本当にもう今でも遅いぐらいで、外国にはケアつき住宅というのがいろいろと事例が出ているようですけれども、早急に進めていただきたいと思います。
 もう一つ、これは予定にしてなかったのですが、さきの厚生委員会のときに大臣に丸山ワクチンのことをちょっと申し上げたのですが、その直後の六日に丸山先生が亡くなられて、あすがお葬式ということになっております。御承知のように何とか正式な認可を見せてあげたかったと、私なんか個人的にも思いが残ったわけです。それについて感想という言い方も変ですが、大臣としてはどんなふうにお思いになっておりますか。
#527
○山下国務大臣 丸山ワクチンの議員連盟において先生といつも席を同じくした者の一人でございますが、長年にわたりまして深い関心と期待を持っておりましただけに、大変残念だなという気持ちでございます。先生はがん患者を救うための研究に誠実に取り組んで、その生涯を終わられたということでございますから、その御冥福を祈ってやまない次第でございます。
 そういうことで、私は今後とも政治家の山下徳夫として、丸山先生が亡くなられるまで念願しておられましたそのワクチンが、がんに適用されることが認められるような時期が来ることを期待をいたしております。
#528
○菅分科員 それでは予定に戻って、一つは診療報酬のあり方について、幾つかの議論をさせてもらおうと思っております。
 ちょっと具体的なところから入っていきますが、例えば看護婦さんが、老人の場合に、おむつをかえるとかあるいは入浴サービスをするとかあるいは入浴サービスのかわりに体をふくとか、こういうのは保険点数はついているのですか。ついているとしたらどのくらいついているのですか。
#529
○岡光政府委員 老人病院で申し上げますと、そういう日常生活の介護を行うのは看護婦ないし介護人でございまして、それは診療報酬の上では看護料でございます。
 それで、その場合にどのような看護料を支払うかでございますが、病院の体制に応じまして、基準看護体制をとっておればそれに応じた基準看護料金、それから、いわゆる入院医療管理料といういわば包括化をした点数を選んでいる病院にはそれと、それから、そういう体制にないところにつきましてはその他看護料という格好で支払っているわけでございます。
#530
○菅分科員 いや、個別の行為に対して点数がついているかと聞いているのです。
#531
○岡光政府委員 それは看護・介護行為ということで、一括をして看護料という格好で払っております。
#532
○菅分科員 大臣、多分この分科会はもちろんのこと、本来の厚生委員会でも看護婦不足の問題が大変議論が多く出ていると思うのです。いろいろな原因があるというのは当然なんですが、いろいろな点数の計算の仕方が今の話でもありますから一概に言えませんが、例えば看護婦さんがたくさんいて、非常にいいサービスを行えば病院にとっても経営がよくなるというのであれば、私は看護婦さんの待遇も、別に厚生省が指導しなくてもどんどんよくなっていくと思うのです。
 ですから、例えば今のように、おむつをかえるのに一回百点、千円つける。ちょっと高過ぎるかもしれませんが、つければ、今まで寝ている間に、例えば一日に三回だったのが五回になるとか、あるいは入浴サービス、体をふくサービスなどに点数をつければ、あるレベルまでいけば、それをする人をふやしても十分に経営が合うわけです。しかし現実には、いろいろ私も現場的な話を聞いておりますと、看護婦さんが足らないことは困るけれども、かといって、いい待遇でたくさんの人を置いて夜勤も少なくするような勤務体制をとれば、逆に病院経営上は非常に難しくなるということを実態としてよく聞くわけです。こういう矛盾をどういうふうに思われますか。
#533
○山下国務大臣 先生の御質問に対してのお答えになるかどうか知りませんが、最近の医療を見ておりますと、どうも機械等に依存し過ぎて、いわゆるそういう検査の結果をまず第一に信頼して、それによる処置が行われるという傾向にあるのではないかと思うのでございます。病は気からとはよく言ったもので、私も昨年入院して体験したのでございますが、医療というものは、ある意味においてはやはり人に依存することの方が適切であるという感じがいたします。したがいまして、人手によるサービスというものは、ある面においては薬よりも評価すべき点がある。
 そういう意味におきましては、看護婦さんの医療における価値というのですか、それは非常に大きなものだと私は思います。したがって、今看護婦不足ということは、そういう真の医療のあるべき姿からしても非常に困ったものだなと思っておりますし、そういう意味において、物から人へと移行する今日において、看護婦さんを早く充足しなければならないし、充足することによって、医療の分野における人の評価というものは、これから物から人へと依存して、保険その他においても、処遇においてもだんだんそちらの方に移るべきことが適切であると私は思っております。
    〔和田(静)主査代理退席、主査着席〕
#534
○菅分科員 ですから、それはそれでいいのですが、今言ったのは、そういうふうに誘導するように保険の診療報酬制度がなっているかということなのですね。
 もうちょっと加えて言って、あと局長でも答えていただきたいのですが、例えば手術料、今回新しい点数表を見ましたら、かなり技術料が引き上げられているので、そういう点では一定の前進かどば思いますが、一般的に、例えば外科のお医者さんなんかに聞きますと、手術で支払われる診療報酬では実際にかかるコストはとても貯えないと言うのですね、例えばお医者さんの給料とかですね。結局、そういうところは単純に計算すると赤字になる、あるいはある診療部門は赤字になる。しかし一方で、例えば薬なんかはかなりの差益が生まれていることはまさに公然たる事実でありますし、検査なんかでも、どちらかといえば実際にかかるコストよりは診療報酬の方がやや高い。そうすると、トータルで病院経営が成り立つ。
 トータルで成り立つというのは成り立つでいいのですけれども、気をつけないと、コストに対して高い診療報酬の部門には過剰にそれを使おうとする。簡単に言えば薬づけや検査づけになる。しかし、コストに合わない部分、幾ら何でも手術をしないというわけにはいかないでしょうが、先ほどの看護婦さんの例で言えば、看護婦さんの、トータルに対しては看護料で点数はついているけれども、一つ一つの行為にはついていないわけですから、そうすると、その看護料の中でやろうと思えば、経営的に言えば最低限やっておけば看護料は取れる。だから、三回で済むなら三回で済ませよう。もし一つ一つに点数をつけていれば、例えば三回しゃなくて五回ある行為をすればそれだけ点数が取れる。逆にそれは介護のし過ぎ、介護づけなんという言葉があるかどうか知りませんが、そうなれば患者にとっては大変ありがたい話なわけですね。
 そういう意味で、患者にとって、あるいは国民にとってよりいい方向に誘導されるような点数制度になっているならいいけれども、ある意味では、薬づけとか検査づけと言われるようなものにならざるを得ない構造に点数制度ができているのじゃないか、あるいはゆがみが大きく残っているのじゃないか、このことを指摘しているわけなのです。
#535
○山下国務大臣 おっしゃるとおり、人自体のなし得るものは、時間的に見ましても物理的に見てもある程度限界がある。無限に薬とがそういうもののように生み出すものではありません。
 私はかつて抜歯、歯を抜くについての点数について、歯を抜くのに一体何人の人間が必要なのか。最初レントゲンを撮ったりというようないろいろなことがありますけれども、何分かかるかということを計算して、歯医者さんの一日の勤務時間を何時間というので、そこから割り出したら、抜歯というのは点数で大体幾らにしたらいいということを一遍議論したことがあるのでございますが、そのように、人を中心としてやる場合において、そこにもっと評価すべきものがあるということは私も全く同感でございます。
#536
○黒木政府委員 大臣に補足しまして菅先生にお答えいたします。
 まず、手術料につきましては、御案内かと思いますけれども、平均して五〇%引き上げているわけでありまして、例えば悪性腫瘍、がんの手術の場合に、全摘の場合には一〇〇%アップというのもございますし、盲腸の場合には三一%アップになってもおります。全体として五〇%の大幅な引き上げということで、御指摘のように不採算部門だと言われておったわけでありますけれども、大幅に引き上げた。
 これは、技術料の評価というのはありますけれども、手術部門には看護婦さんも相当勤務されているというようなことも踏まえまして、看護婦さんの配置というようなことも勘案して大幅に引き上げたということでございますし、片一方では、検査料と投薬料につきましては、それぞれ我が方は調査をいたしまして、その調査の結果として検査料につきましても所要の引き下げをやっております。
 薬価も、御案内のように八・一%引き下げるというようなことで、まさしく先生のおっしゃるように今回の改定、今までもそうでございましたけれども、検査とか薬といったようなものから技術、あるいは特に看護婦の業務に着目したような改定をやってまいったわけであります。これは、国民本位と申しますか、国民が期待する病院のサービスが提供されるようにということでございます。
 さらに加えて申し上げますと、看護関係では、看護料が約二〇%アップになっておりますし、特に人員配置、たくさんおれば、たくさん配置されればそれだけ点数がぐんぐんと上がっていきます。そのかわり、医療法の基準にも満たないような看護体制ですと、むしろペナルティー的に低い評価しかいたせませんよといったような非常にめり張りをつけまして、手厚い看護が行き届くように。ということでめり張りをきかせた形になっております。また、夜勤体制あるいは週休二日制の実施、そういう勤務体制をとっておられれば加算点数を差し上げますということで、今回の改定は、おっしゃるような方向に相当踏み出したものと私どもは認識をいたしております。
 御提案にありましたように、例えばおむつを一回交換したら点数をつけてあげるというのも確かに一つの発想でしょうけれども、今の診療報酬の考え方というのは、細かい点数を一々出来高払い的に払っていくよりもむしろかなり包括化して評価していく。そのかわり、先ほど言いましたように、検査とか薬とかいうようなものは実勢価格において引き下げながら、マンパワーだとか質の高い医療が実現するようにというところに非常にめり張りをつけた形での診療報酬を組んだつもりでございますから、国民の期待に沿えるような質のいい医療が一歩一歩実現していくのではなかろうか、かように思っております。
#537
○菅分科員 せんだってのときに大臣には本をお渡ししたのですが、お忙しいからあるいは読めていないかもしれませんが、この「世界の高齢者福祉」という中に逆に日本のことがちょっと書いてありまして、老人病院の人に今何が一番困っているかと聞いたら、「入院しているお年寄りが長生きすればするほど、病院の赤字が大きくなることです。」とある病院の担当者が答えているのですね。「では、お年寄りにいいお世話をすることと、利益をあげることは両立しないのですか?」と尋ねたら、「残念ながら、両立しないですね。実は、金儲けをしようと思えば簡単なのです。最初の二、三か月に検査づけや薬づけにすれば、お年寄りも早く死にますし、医療点数もかせげて、お金も儲かります。」こう書いてあるわけです。これは決して特殊な例じゃないと私は思うのですね。
 私の親族といいましょうか、何人がお医者がおりますが、田舎で開業医などをやっていて病院に送る。そうすると、田舎で自宅にいながら時々往診している間は何とかまだ半年や一年は生き延びているはずだと言いながら、大きい病院にぼんと行くと、ぼぼぼんと治療といいますか検査とかなんとかをやって、二、三カ月でお亡くなりになったというようなことをいろいろ聞くと、まんざらこういうことが特殊な例ではない。
 つまり、ことしは医療費総額は多分二十二兆円を超えるかと思います。総額二十二兆円そのものが足らない足りるという問題はまた問題としてあるかもしれませんが、少なくともこれだけの巨額な費用を投じ、多くの人が個人的には皆さん一生懸命仕事をされている方向が、先ほども申し上げたように、本当に国民にとってあるいは患者さんにとっていい方向に誘導するように使われているのか。今もこの本で申し上げたように、ある意味ではそういう方向をとったら逆に病院は赤字になり、いい治療なりいい待遇をすれば赤字になり、余りよくはないけれども、とにかくお金がかかるやり方をすれば、黒字にはなるけれども患者さんにはマイナスになるというようなことになっているとすれば、今局長の方は大変そういう方向で前進をしたんだと言われておりますし、確かに幾つかの前進があることは私も認めますけれども、私流に言うと、保険と自由診療というのは、社会主義と資本主義、いわば自由主義の接点みたいな組み合わせですから、その組み合わせを間違うと非常におかしな現象が出てくるというふうに思うわけです。そのことをちょっと申し上げて、次の問題に移らせていただきたいと思います。
 今、高齢化社会の問題で、せんだっても若干問題にしたのですが、出生率とか高齢化のことはいろいろ言われているのですが、私は同居卒がこれからの在宅福祉の場合のもう一つの要素になるのじゃないかと思うのです。現在の日本の同居率、いわゆる高齢者と若い人の同居率がどのくらいで、これから将来の見通しをどういうふうに厚生省としてはお持ちになっているか、お尋ねします。
#538
○大西政府委員 同居率についてお尋ねでございますが、私ども国民生活基礎調査を毎年やっておりまして、それで実績の方はとっておるわけでございます。
 それで、近年これは一貫して低下をいたしておりまして、平成二年で五九・七%となっております。将来どうなるかという点につきましては、残念ながら明確な推計がなされていないわけでございますが、傾向としましては、今世紀末に向けて引き続き徐々に低下してくるだろうと思っております。近年の同居率の低下傾向を仮にそのまま延ばしたらどうなるかということでやってみますと、二〇〇〇年にはおおむね五割程度になるのじゃなかろうか、五〇%くらいになるのじゃないかというごく大ざっぱな見通しを持っております。
#539
○菅分科員 もう一つの出生率、今一・五四ですか、この見通しはどうなっていますか。
#540
○大西政府委員 出生率の方につきましては、御承知のように、将来推計、平成三年六月の暫定推計が一応現在最新のものでございますが、それで一・五四が、平成五年、一九九三年で一・四八まで下がり、その後二〇〇〇年に一・五八になるだろうというのがその六月の暫定推計における中位推計でございます。ちなみに、高位では一・八三、低位では一・三八というのが二〇〇〇年の数字でございます。
#541
○菅分科員 かなり差がありますね、一・八三と一・三八ですか。つまり、これから先の日本の社会構造を相当見通さないと、まさに高齢化社会という、ある意味では国内の社会体制の最も大きな変化に対応する見通しが狂うと思うのです。
 一つは、今言いました同居率が十年間で一〇%ぐらいは下がりそうだという数字ですね、今の見通しだと。そんなものかもしれません。しかし、その勢いでいえば三十年後には三〇%下がる。今六〇%が三〇%になっていく。となれば、いわゆる老人だけの家族あるいは単身あるいは施設に収容された老人の割合は、逆算をすると比率で倍ぐらいにはなっていくということになるわけです。
 あるいは出生率も、伺うところによると、一時的な晩婚傾向でちょっと減っているので、晩婚といったってそのうち結婚するんだから、また少し戻るだろうなんというデータが、予測があるそうですが、そう簡単にいかないだろう。つまり、女性の社会参加等を含めて、社会構造そのものに何らかの意欲づけをしない限りは、晩婚であるから出生率が下がったというよりは、晩婚も社会変化の一つであり、子供を生まなくなったのも、またそれと並行した現象と見るべきだろうと思っているわけです。
 そういうことで、今よくゴールドプランということを厚生省が言われるわけですが、率直に言うと、あの程度なんと言うと何を言うかとしかられるかもしれませんが、あの程度で本当に大丈夫なんだろうか、もっと構造的に、社会構造全部を見通して、ハードの面、ソフトの面を考えていくまさに世紀の大事業としてとらえる必要があるんしゃないだろうか。いろいろ外国の事例を話やこういう本や多少行ったりして見ていますと、例えば車いすで生活する状況というのは、日本だと車いすというのは障害者であるとかお年寄りで、ほとんど病人だとかという範疇に何となく入れてしまうわけですが、ある意味では、車いすまでが一般的な市民生活ができるという社会構造をヨーロッパの幾つかの国ではある程度達成している。日本もそういうところを一つの目標にすべきではないだろうか。それと住宅の構造。段差のある住宅が平気で幾らでも建っている。それじや段差がない住宅をつくるときには特に補助金を出す、税制の補助をする。
 あるいは町づくり、今私は土地のこともいろいろやっておりますが、最近、自治体に対して土地を買ってくれというのが物すごくふえているのですね。これは三多摩版の朝日新聞ですが、「「土地買って」自治体に申し出殺到」。ついこの間までは、自治体が土地を買おうにもとても買えないと言われたのが、今やバブルがはじけたこと、さらにことしから生産緑地法の新しい改正で、土地を資産として持っているよりも、持っていることの有利性が非常になくなりましたから、どんどん出てくるわけです。そのときに、ただ住宅供給、ただ道路をつくるという発想ではなくて、十年後、二十年後、三十年後の高齢化社会に備えた都市構造をどうつくるか、住宅構造をどうするか、そういうものをトータルして考えていく時代ではないか。
 最近、私は、小学校二つに一つは老人施設という言葉を、私は、私がつくったような気がするのですが、あちこち見ると、そろそろ似たような話もたくさん出ています。つまりは、小学校区ぐらい、人口で言うと一万人、あるいはもうちょっと大きく見てもせいぜい二万人ぐらいの人口の町の中に、小学校のように歩いていける距離のところに老人施設があり、その町全体がワンパッケージといいましょうか、生まれて死ぬまでの施設がちゃんとあって、車いすで移動ができるという構造をつくっていくためには今何をすべきか、そういうことを含めた拡大ゴールドプランでもつくって進めていく必要があるのじゃないか、こんなことを強く感じていますけれども、こういった点について大臣なり厚生省としてはどういう展望を持っておられますか。
#542
○岡光政府委員 おっしゃいますように、高齢者が普通の人としてまさにノーマライズされた格好で生活できる、そういう町づくりが必要だというふうに認識をしております。個別には、もちろん個々の住宅の住宅改造を行いまして、まさに段差解消であるとか、すっと町に出られるように車いすのスロープをつけるとか、そんなふうなことをやっておりますし、それから健康長寿のまちづくりという格好では、おっしゃいますように関連の施設を若い者も一緒に使えるような、そしてお年寄りが安心して住まうことができるような町づくりを進めているわけでございます。
 それから、施設整備の発想では、例えば総合的な相談を行うための在宅介護支援センターのようなものにつきましては中学校区に一カ所つくるとか、それから入所する施設につきましても、特別養護老人ホームとか老人保健施設とかケアハウスであるとか、そういう関連の施設を合わせまして大体私ども計算をいたしますると一万カ所近くになるんじゃないだろうかなというふうに考えておりまして、中学校区は約一万一千程度ございますけれども、そんなふうなところにカバーできるような、そういう数のものが必要だというふうに考えておるわけでございまして、こういったものは今の十カ年戦略の中に盛り込んでおるわけでございまして、在宅対策と施設対策と両々相まって、いわば自分のうちと施設とを通いながら、健やかに人間らしく老いていくようにしょうではないかというのが基本的な発想でございます。
 それから、まことに恐縮でございますが、先ほど委員御指摘がありましたが、老人病院がまことにお年寄りを扱うのにひどい処遇をしておるかのごとき御発言がございました。それはかつてそういう老人病院もございましたが、そういったものの反省に立ちまして、検査づけとか薬づけのないような医療が行われて、むしろ日常生活の介護を中心に現場の医療が展開されるということを念頭に置いた老人診療報酬を設定しているつもりでございます。
 例えば、介護力を強化した病院につきましては入院医療管理料というものを採用しておりますが、それを採用した病院の実績によりますと、薬の使用量は半分とか三分の一に減る。それから看護職員につきましては、そういう入浴の介助であるとか日常生活の介助に相当のウエートを置いて行うことができるようになった。結果として、入院患者の日常生活動作能力は従前のものに比べて相当改善が見られておる、こういうふうなものもあるわけでございまして、私ども、現在の出来高払いの欠点を解消しながら、望むべくそういう日常生活の介護を中心としたような老人病院の体制をつくりっつあるわけでございまして、ひとつそういう方向に向かいますように、いろいろとまた御指摘をいただきたいと思いますが、そういう病院との連携も考えながら町づくり、そして施設との連携ということを考えていかなきゃいけないというふうに考えておるところでございます。
#543
○菅分科員 時間ですので終わりにしたいと思いますが、先ほども申し上げたように、別に病院がすべて悪いと言っているんじゃないんですね。ただ、確かにここにも、八木さんといえば皆さんの先輩に当たる方が、そういうことをこの間毎日新聞に書かれています。読みようによっては、これまでこれだけむだな薬がたくさん使われていた。今の部長の話も、聞きようによっては、五〇%減ったということは、つまりは、これまでは使わないでいいものを、まさに薬価差益を生み出すために倍も使っていたという長い歴史の反省がやっと少し出てきたのかなという気が、決して意地悪に言うつもりはありませんが、本当言いましてしないわけではない。
 それはそれとして、今一万カ所で十年戦略に入っている。確かにそういうふうに書かれておりますけれども、私にはどうも厚生省の物の考え方が、去年よりはこの点はこう改善したから少しよくなった、おととしよりはこう改善したから少しはよくなった、そういう物の考え方をされているような気がするんです。しかし、社会全体が動いていますから、人手の問題なんかは去年より若干待遇をよくしても、今ちょっとバブルがはじけて人が少し緩くなりましたが、より景気がよくなったら、幾らサービスをよくしたって、もっとほかとの比較で言うと悪くなって、人が集まらなくなるというようなこともたくさんあるわけです。
 ですから、そういう去年よりはこれだけよくなった、おととしよりはこれだけよくなったという物の考え方、これはこれでわかるのですが、逆に十年先、二十年先、三十年先の日本の社会構造を高齢化社会にどう備えて、どういうところまで実現するのか、それにはこの段階で何をやっておかなければいけないのか。そういう中に、場合によったら財政的な問題も、かつて消費税議論の中で福祉目的税なんという議論もあったわけですが、結局はあの議論も未成熟なまま、与野党が賛成、反対で分かれたままで今なお残ったままになっているわけです。ですから、国民としては、ある程度二十年後、三十年後、あなたがお年寄りになったときにはこういうことまではきちんとできますよということがあれば、それに向かってどの程度の負担が必要だというふうな絵がちゃんとかかれれば、場合によってはある程度の国民負担率が上がることも、これはお互いさまではないかという話にもなり得ると思うわけです。
 そういう点で、これはまさに世紀の大事業だと思いますので、山下大臣にも、厚生省という枠にある意味では余りとらわれないで、高齢化社会に備えて施策をいただきたいと思います。時間がありませんが、何か言いただければ、それで終わりたいと思います。
#544
○山下国務大臣 いろいろ大変御立派なお話を伺いまして、どう答弁していいかわかりませんが、少なくとも老人対策、これから二十一世紀にかけて厚生省が一番やらなければならぬ仕事の一つです。やはり人間というものは生来友を求めるというのでしょうか、団らんを求めて孤独を非常に嫌うという習性、これは必ず本能があると私は思うのです。したがって、そういう意味においては、ひとり暮らし老人というものは、将来にわたってこれをなるたけなくすような方法、これはもう第一義的な問題であります。
 そこで、例えば一つの例で、公団の住宅とか公的な住宅については、小さくてもいいから年寄りのための部屋を一つつける、そういう規格をもっと普及しなければならぬとか、そういうことで社会の構造というものは少しずつ変わってくる。今先生は、少しずつはだめだよとおっしゃる。発想の大転換というわけにはいかないにしても、そういう例えば老人向けの住宅を四畳半でも六畳でもいいから、一つつけるとかというようないわゆるお年寄り対策について、社会全体がもっと工夫しながらやっていかなければならぬという気はいたしております。
#545
○菅分科員 じゃ、終わります。
#546
○戸井田主査 これにて菅直人君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、厚生省所管についての質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 分科員各位の御協力により、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚くお礼を申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午後八時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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