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1992/05/13 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第6号
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1992/05/13 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第6号

#1
第123回国会 労働委員会 第6号
平成四年五月十三日(水曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 川崎 寛治君
   理事 愛野興一郎君 理事 大野 功統君
   理事 長勢 甚遠君 理事 三原 朝彦君
   理事 岩田 順介君 理事 永井 孝信君
   理事 河上 覃雄君
      赤城 徳彦君    野呂田芳成君
      林  義郎君    平沼 赳夫君
      池端 清一君    岡崎 宏美君
      鈴木  久君    外口 玉子君
      井上 義久君    金子 満広君
      伊藤 英成君    徳田 虎雄君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 近藤 鉄雄君
 出席政府委員
        労働省労働基準 佐藤 勝美君
        局長
        労働省職業安定 若林 之矩君
        局長
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局経済部調 山田 昭雄君
        整課長
        経済企画庁総合 安原 宣和君
        計画局計画官
        経済企画庁総合 星野  順君
        計画局計画官
        文部省生涯学習
        局生涯学習振興 小野 元之君
        課長
        文部省初等中等
        教育局小学校課 近藤 信司君
        長
        林野庁林政部森 関川 和孝君
        林組合課長
        通商産業省産業
        政策局企業行動 生田 章一君
        課産業労働企画
        官
        中小企業庁計画 佐藤 哲哉君
        部振興課長
        中小企業庁計画 柚木 俊二君
        部下請企業課長
        労働大臣官房政 椎谷  正君
        策調査部長
        労働省労働基準 井上 文彦君
        局賃金時間部長
        労働委員会調査 下野 一則君
        室長
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案
 (内閣提出第七九号)
     ――――◇―――――
#2
○川崎委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三原朝彦君。
#3
○三原委員 トップバッターとして時短の問題の質問をさせていただくわけでありますが、実は私自身もこの前の連休は休んだわけではないのですが、同僚議員のお誘いもあって五日間ばかりアメリカあたりに行ってきました。
 向こうの同僚議員たちといろいろなディスカッションもしてきたのですが、やはりどこの国も政治家は職業の中でも一番忙しいような職業でありまして、私たちと議論している間でも、委員会の採決だと走り込んでいく。次はといいますと、地元の中学生が来ているから、向こうのキャピタルビルの前で一緒に写真を振らなければいかぬから行ってくるというようなことで、何だか身につまされたような感じでした。しかし、私自身としては、外国に行っておる間電話がかかってこぬ、これが何といっても私にとってのストレス解消になるわけでありまして、休み、ホリデーではなかったのですが、今の洗濯を少しはさせていただいたような気持ちにもなるわけてあります。
 話はさておきますけれども、確かに日本も経済大国と言われて久しいもりがあるのですが、他の諸国と比べて経済大国と言いながら劣っているといいますか、先進諸国と比較しても我々がまだまだ足りないような感じと言われるのは、いろいろあると思います。
 例えば、外国に行きますと、生鮮食料品といいますが食べ物の値段というのはかなり差があります。ずっと前、大臣の所信表明の後の質疑で同僚議員の方がいろいろ質問された中で、大臣が、購買力平価で考えるとアメリカの労働生産性は一・六倍ぐらいまだいいのだ、それから考えるとまだまだ日本も考えなければいけない場面があるとおっしゃったことを思い出したわけですけれども、労働時間もそうでしょう。
 また、通勤する時間も我々は大いに考慮しないといけない。東京中心の一極集中の生活環境の中で働くために、二時間も三時間もかけて来て八時間働いて、それでまた夜の夜中に二時間、三時間かけて帰る、こういう状況もあります。
 また、休暇、休みのとり方使い方あたりでも、私自身もそうですけれども、休みが三日あると朝六時に起きて夜の十時までA地点からB地点、B地点からC地点というようなことで、俗に言うヨーロッパ流のバカンスなんという精神構造が全くない。そういうメンタリティーにも我々はあるのじゃないかと思います。
 確かに一人当たりのGNPではもう世界の三本指に入るくらい、アメリカなんかとうの昔に追い越しちゃったのですけれども、その他の面では、GNPのパーキャピタだけ見ると世界に冠たる経済大国日本ですけれども、まだまだ我々が学ぶべき点、改良、改善する点がたくさんある、こう思うわけであります。
 この中で、まさに今回議論される労働時間の短縮の促進のための法律はまことに時宜を得たものであると私は考えて、これから我が国がより人間的な生活を国民がする上で、その衝に当たる労働省に大いに頑張ってもらわなければいかぬと思っておるところであります。
 ところで、働く時間はもちうん少ない方がいいですが、といって働く時間が少なくて所得が減ると、これはやはりおもしろくない。それで、働く時間が少なくとも報酬、対価というものはバランスよくしておる、減ることがない、そういうような考えでやっていただかなければいけないのですが、ちょっと質問が大きくなりますけれども、その点に関してのグランドデザインみたいなことをもう一度お聞かせいただきたいと思います。
#4
○近藤国務大臣 先生から大変貴重な御指摘があったわけでありますが、我が国の生活水準が低いときに、また経済力が足りないときには、休むよりも働いて収入を上げていろいろなものを買いたいというのが率直な気持ちだったと思うわけでありますけれども、ここまで来ますと、働いて余計収入を得る方がいいのかそれとも休んだ方がいいのかということについての考え方がどうもだんだん変わってきて、むしろ、所得も大事だけれども時間的余裕がもっと大事だという気持ちが強くなってきているのが現状だと私は思うわけであります。
 ただ、先生、そういう働く時間が短くなったから収入も減るかというとそうじゃないのであって、私はいろいろな方々に申し上げているのだけれども、働く時間が短くなったけれども、その短い時間で従来並みの生産性を上げるということだから、時短というのは怠け者をつくることじゃないのであって、むしろ時短こそが本当に勤勉な効果的な労働というものを同時に進めるのだ。だから、収入かレジャーか余裕かというのじゃなしに、ある意味じゃ時間を短くして収入をもっと上げるということも可能だ。殊に日本のような生産技術が進んでいるときには同時並行的に行うことができるのであって、そういう腹のくくり方――ただ、一人じゃできない、一会社じゃできないから、横並びで条件を整備していこうというのが今度の時短促進法の基本的な考え方だというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
#5
○佐藤(勝)政府委員 大臣が申し上げたとおりだと思いますけれども、さらに具体的に申し上げれば、おっしゃいますように、時短によって収入が減ることが労働者の意識に影響するということが非常にあるわけでございます。
 かつては低賃金・長時間労働ということでありましたけれども、最近は低賃金とは言えないまでも、やはり教育の問題であるとかあるいは住宅ローンの問題であるとかあって収入が多い方がいいということで、その問題が大変大きな問題になっているとは思います。が、総務庁で行いました調査を見ますと、収入増よりは労働時間の短縮を選択するという人の比率が昭和六十一年から平成元年までの間に大変ふえているところでございます。そういった意識の変革もございますし、また、そういう問題は問題として、やはり本当に豊かな勤労者生活を実現するということになりますと、考え方なり生活様式の改革も伴わなければいけない、大変大きな問題であろうかと思います。
 したがいまして、そういう収入の問題という一方で、労働時間の短縮をそういう問題に影響させないでどういうふうにやっていくかということが必要になるわけでございますけれども、そのためには、先ほど大臣がお答えになりましたように、生産性の向上によって短い時間でさらに同様な生産を上げる、売り上げを上げるということも必要になるわけでございます。
 私ども、中小企業について行いました調査を見ますと、労働時間の短縮を行ったからというのじゃなくて、行うためにいろいろな設備の改善をやる、あるいは時間管理の合理化をやる、あるいは労働者のモラルが向上するというようなことで、むしろ時間短縮をした割合以上に生産性を上げている事例がほとんどでございますけれども、今後ともそういった方向を支援するための中小企業の設備投資に対する助成等を積極的にやっていきたい、かように考えているところでございます。
#6
○三原委員 今局長さんの話の中小企業のことですけれども、次の質問になりますが、数日前の新聞あたりにも書いてありましたけれども、自動車産業、あれは寡占ですよね、自動車産業の中でも、時短をやる可能性が強いところとなかなか厳しいところでは、年間で何か三百時間くらい差があるようだということです。それでも自動車産業の会社というのはみんな大手ですよね。大手でもそんな差があるということですね。
 横並びと大臣おっしゃったけれども、なかなかそう簡単にいかない。一つの産業の中での大手同士でもそれだけ差があるのに、ましていわんや、今局長さんがおっしゃった、今度は中小企業と大企業という、一つの産業じゃなくて中小企業と大企業というようなことを比較してみたら、これはちょっとそう簡単に時短時短と言っても解決できる問題じゃない。
 つまり、私のふるさとは北九州ですが、大手の企業もあります、それの下請もある、本当に小さな企業もあります。そういうところで小さな企業あたりに聞くと、残業をしてそのお金を足したところがやっと大企業の給与に追いつくぐらいだというような状況があるわけですから、その面では、私はやはりこれから先も、もちろんこれは労働省だけがやる問題じゃない、産業界に指導村役割を持つ通産省だとか、あと建設業界の建設省だとかそういうところもあるわけですけれども、そういうところから大いに中小企業により日の当たるようにすることが大切だと思います。
 給与の面とか生産性とかいうだけじゃなくて、例えば、同じような休みをもらっても、大企業なら海の家、山の家、保養施設を安く利用できる。中小企業だとそんなものはない。それで、お金のない人の方が高いところへ行って休まなければいかぬというのは、そういう面から見ても辺縁的な、福利厚生の面でも私はやはり中小企業の方がおくれておるということは否めない事実でありますから、そういう面を時短の中でもっときめ細かくやっていただかなければいかぬと思うのです。それは、私もそう思うということを申し上げて、次の質問に移ります。
 きめの細かい指導といえば、今もう日本は第一次産業、第二次産業、第三次産業とある中で、第三次産業の中でもサービス産業が一番主なところですけれども、サービス産業といえば、それこそでっかいデパートやスーパーから、父ちゃん母ちゃんが持っている店に、子供が大きくなって手がかからぬようになった近所のおばちゃんあたりが来て働いておる商店まであるわけですが、そこの従業員の人だってやはり勤労者でやっているわけですけれども、そういうところ。でかいところはやはり、私は何度も言いますけれども、デパート業界が集まって横並びにやってみたりとか指導も行き渡ると思うのですけれども、今一番の人口動態の中で働くことが多いサービス産業の中での小さなところに対するいろいろな指導に対する考え方みたいなものを少し教えてもらいたいのです。
 先日もトラック協会の人たちと会ったのですが、大手の一部に上場しているような流通関係のトラックの会社というのは、それはやはりかなりしっかりと法律にのっとってやりますけれども、実際私の地元にある小さな運送屋さん、軽を四、五台持ってやっているとか、ちっちゃなトラックの運送屋さんあたり、大手の流通業界の下請、孫請をやっているようなところでは、今の労働時間の問題で短縮されたらもう会社がつぶれちゃう、こう言うのです。それなら、かわるものとしては、外画人労働者でもどんどん入れてもらわぬとというようなことになるわけですね。
 トラックも一つ買うと何千万しますから、トレーラーなんて。そうすると、そればできる限りたくさん動かしてないと、八時間なら八時間だけ、週に五日で四十時間としたんじゃ元が取れない。人手が足りないから、八時間しか働かせられないというようなことになりますと、週に四十時間だなんて、フレックスとかいろいろやっても、トラックを動かしてないとトラックにかけたお金が払えない。といって人は時短で働かせられない、どうするか。どうするかと私に聞かれても答えられなかった、詰まったのですけれども、そういう点までのきめの細かい指導というのはどうなんでしょう、ちょっとそこのところをお尋ねしたいのですね。
#7
○佐藤(勝)政府委員 ただいま中小零細企業、特にトラック運送事業のような労働時間の短縮が非常に難しい環境にあるところの問題に触れられましたけれども、確かにトラック業界あるいはサービス業、例えば理容、美容というようなところもそういうことになるかと思いますけれども、特に本質的に労働集約的な事業の場合に生産性を上げるということはなかなか難しいということは事実でございます。
 そういう場合には、やはりその生産性を上げる、あるいは時間短縮をするための工夫はいろいろあり得るわけですけれども、やはりある場合にはどうしてもそれがコストに反映をしてくるというようなこともあり得るんだろうと思います。例えば先般のタクシー運賃の値上げにいたしましても、タクシー労働者の労働条件の向上、確保ということを一つの大きなねらいとして認可をされたわけですけれども、ああいうようなことが労働時間の短縮等に伴いまして一種の構造改革のような形で進んでいかざるを得ない面はどうしてもあるだろうと思います。しかしながら、それじゃそういうものをコストに転嫁をすれば労働時間短縮はすぐ進むのかということになりますと、これはまた別の問題であろうかと思います。
 そういう大きな動きの中で、さらに労働時間の短縮が難しいところにつきましては労働省としてもきめの細かい指導援助が必要であるということで、例えば今例に挙げられましたトラック、道路貨物運送ということを例にとりますと、事業主の団体の代表の方あるいは学識経験者の方を交えまして、どういうふうにしたら労働時間短縮ができるかというようなことで、具体的な検討を昨年三月に行っているわけでございます。
 そういう中で当該業界に特有の問題を扱いました労働時間短縮の指針を策定したわけでございますけれども、そういった指針の周知、広報であるとか、あるいはその指針で示されました目標を達成するための労働時間短縮推進員の選任を勧奨するとか、あるいはこういった推進員が労働時間短縮を推進していくために必要な知識等を盛り込みましたマニュアルをつくるというようなこと、それから推進員に対します研修会を開催するというようなことで、それぞれの業界の事情に即応した指導をきめ細かくやるということをしているわけでございますけれども、特に時短の難しい業種につきましては、こういった努力は今後ともさらに一層強化される必要があるというふうに思っておるわけでございます。
#8
○三原委員 時短の問題は、次の問題に関連してくるのです。
 これまた労働省の枠内で今いろいろ議論されております外国人労働者の問題ですけれども、これは質問じゃなくて私の考えですが、やはりその面からも研修制度をはっきりと基準を決めて、二年間のサイクルで来てもらって研修して帰す、そういうシステムを、今最終状況にありますけれども、これから先議論して、今まさに局長さんがおっしゃったような生産性の向上を図るにも図れないような場面も、物を売ったり買ったりするのに生産性といっても、スーパーあたりではできるでしょうけれども小売店ではもうぎりぎりのところにきているでしょうし、トラックの運転だとかタクシーにしたって、生産性の向上といったって一人の人が道を走るのに一つの車しか運転できないわけですから、トラックの場合だったらでかいのにして輸送量をふやすとかあるかもしれませんけれども、いずれにしろ、働く時間が少なくなればそれだけそこに、産業に人を入れなければいけないと私は思うのです。これから先議論にもなるでしょうけれども、地元なんかで説明するときには、いずれ外国人も入ってくる、研修に入ってくるような制度にせざるを得ない日本の状況になるんじゃないか、まして人口もこれから先高齢化して働く人が少なくなる、そうなるんじゃないかというようなことを言っておったんです。
 その話はさておきまして、私たちというのは仕事柄週末は――私は普通金帰月来で、東京におるときの方が時間的、精神的余裕があるのでしょうね。地元にいますと、ほとんど選挙区内にいますから、朝起きてから寝るまで、電話も朝八時前からかかってくるし十時過ぎでもかかってくる。そういうことで余暇なんというのは、五年と八カ月ぐらい二期生で代議士をしていますけれども、先輩議員がたくさんいらっしゃるのでおまえまだ甘いと言われるでしょうけれども、本当に休んだなんというのを数えたって十本の指に入るだろうかと思う。正月だって一日から働きますから。そんな生活を僕らはやってきておるのです。
 五月一日からは公務員の人だって今度は週休二日で、でも局長さんたちなんかは土日だといったって仕事、仕事かもしれませんが、普通そうなってはっきりとけじめがつけられると、人間というのはやはり精神的にも余裕ができるのでしょう。そうなると今度は、本が好きな人は朝から晩まで二日間本を読むような生活もできるでしょうが、そうじゃなくてアウトドア、外でいろいろなことをやるのが好きな人は、それに対してのいろいろな意味でのサービスみたいなことがないと、例えばA地点からB地点へ行こうとすると、車で行くと込むなら鉄道だって要るでしょう、バスだって要るでしょう。また、一泊二日なり二泊三日で行こうと思ったらリーズナブルなお金で、今平均の家族で子供二人ぐらいですが、夫婦で子供二人連れていってもサラリーマンの人がそれを払えるぐらいのものじゃないと、そうそう行けません。そういうことになってくるとそっちの方の受け皿の準備も必要だと思うのですけれども、そういうことに関してのいろいろな他省庁との関係、連絡みたいなことはもう既に行われておられますか。それと、労働省あたりでもそういうことに関する指針みたいなものがあったらちょっと示していただきたいと思います。
#9
○近藤国務大臣 まさに先生も御指摘のとおり、暇ができても行くところがないじゃないか、行っても結構高くなってきて、そして大企業の職員、従業員はそれなりの会社で寮やリゾート施設を準備しているからそこへ行けるけれども、むしろ相体的に待遇の悪い中小企業の勤労者が遊びに行くときには高い金を使う、大変じゃないかという御指摘、全くそうだと思うのであります。
 先生も御案内だと思いますけれども、こういった点については労働省としても従来から非常に強い関心を示しておりまして、今も雇用促進事業団でいろいろな労働者の福利厚生施設についての整備を行っております。
 例えば、実は私は今度の連休に、労働大臣として少しそういった地方の福利施設、レジャー・リゾート施設を見てみたいと思って山梨県に参りまして、いこいの村八ケ岳だったかな、一泊二日で家内、子供を連れて行ってまいったわけでございます。大変適正な値段で、決して豪華でないですけれども、山村というか山ろく地帯でございますが、すっきりした、まさにそういったふさわしい施設がある。こういったものは、いこいの村だけでも全国に百ぐらいあるのかな、数十はあるようでありますが、結構満杯なようです。
 こういった施設を今後さらに充実をしていくことで、中小企業の従事者の方々が大企業の従事者、従業員と同じような、そういったいわば余暇時間活用条件を整えるということもこれからの労働行政の大きな役割じゃないかというふうに思っております。
 労働省以外にも厚生省、文部省、建設省、運輸省それぞれのアイデアで、例えば運輸省は家族旅行村だったかな、いろいろなアイデアでやっております。ですから、私は、それなりに各省がそれぞれめアイデアでいろいろなこういう施設をつくることは大事だ、ただ、いわゆる既成の観光地、例えば温泉旅館地帯にこういった公的な施設をつくることによって既成のそういう温泉街なり観光街が影響を受ける面もありますので、そのあたり、まさに余り従来も入ってないような多少山の奥なり寒村、山村に入っていって、風光のいいところにそういった公的な施設をつくっていくこともこれからは大事なことだと思いますので、従来もやってまいりましたが、労働省としてもこれからも真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
#10
○三原委員 休むのと怠けるのとは全然違うのでありまして、休むのは次のエネルギーのための充電期間だという気持ちでおるのですが、休暇でも、このごろは夏休みになったら新聞あたりで、また新聞で喧伝するのがもともとおかしいのでしょうけれども、何々株式会社は十日間連休をとりますよとか二十日間休みになるそうですとかやる。大体そういうのがニュースになるのは、まだまだ日本がそういう時間に対する観念に関しておくれているのではないかという気がします。しかし、私自身は、やはり休むことによって、そのときにのんびりとしておくことがまた次のエネルギーになることは当然のことだと思います。
 今から我々がディスカッションをするこの時短の問題も、宮澤総理言われるところの生活大国の一つの基軸として、時短を目指して大いに我々は努力していかなければならぬ。そして、より余裕のある時間をみずからのため、また家庭のためとか社会のために使えるように、GNPをふやすことと同じように、よりみずから使える時間がふえることが幸せ度をふやすことだという気持ちでやられぬといかぬなと思うわけであります。
 ところで、もう一つ、この時短のことに関して地元でよく言われることは、特に子供さんが小学校、中学校、親のまだ指導下にあるような年齢の子供さんを持っておられる親御さんから言われるのですが、学校の先生もやはり週五日になってくれれば半面ありがたいと思っておるかもしれませんね。それはそうでしょうね、やはり自分の自由時間があるでしょうから。今度もうすぐ、この秋からですか土曜日が休みになるのですが、他の俗に言うヨーロッパ、アメリカなどの先進国ではもう既に週休二日、学校週五日をやっておるのです。我が国として今までずっと土曜日まで、土曜日は半ドンですけれどもあったのですが、文部省あたりの指導で、ゆとりある何とかとかいって、休みにならぬけれども、週のうちの土曜日か何かはもうのんびりしなさい、学校にかばん、教科書は持ってこぬでもいい、自由にやりなさいとかいってやっていると、それが今度は中学校に行ったら、中学校の先生が、あそこの小学校の子供は成績が悪い、それが継続して、高校の進学校か何かに行くと、それが糸を引いてきて、とうとう最後は、比較してみたら統計上は、○○高校に入るのはこの小学校から行ったのはできが悪かった、こういうことが実際言われているんですね。言われているし、親というのはそういうことを調べているようでありまして、どうしてくれるというようなことを私たちの方に話しに来るわけですよね。
 となりますと、よくやゆされるように、時短で五日になった、子供は五日になったらあとの二日は塾へ行くんじゃないか。それじゃ何のことだろうか。親は自由な時間があるけれども、子供は逆に受験戦争の中で締めつけられるようなことになる。しかし、逆に塾へ行くことによって心の安らぎを感ずる子供もこのごろおるそうですから、私もよくわかりませんが……。
 これは直接労働省と関係がないですけれども、しかし、やはり時短ということから考えると、それによって影響を受ける子供に対しても、政府として、文部省としてどういう考えを持っておられるか、私はちょっとお尋ねしておきたい。時短をすることによって、よりすくすくと成長し二十一世紀を目指す子供たちに何か悪い影響があるようでは、これは二十一世紀の日本にとって禍根を残すと思うのですが、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
#11
○近藤説明員 お答えをいたします。
 文部省におきましては、学校週五日制に関する協力者会議を設けましてこの問題について検討してきたわけでございますが、去る二月二十日に協力者会議から審議のまとめをいただきまして、その提言の趣旨に沿いまして、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、それから盲・聾・養護学校におきまして平成四年度の二学期から、月一回でありますけれども、学校週五日制を実施することにしたわけでございます。
 今先生からお話がございましたように、みずから使える時間がふえることが大切である、こういう御趣旨の御発言だったかと思いますが、今の子供たちの生活を見ておりますと、概してゆとりがないとか、あるいは社会体験、生活体験が不足をしている、こういうことが言われておるわけでございまして、学校週五日制の導入が次代に生きる子供の望ましい人間形成を図ることを基本にいたしまして、子供たちがみずから考えて、主体的に判断し行動できる、そういう力を身につけてほしい、こういうことで導入しようということでございますが、おっしゃるように、教育水準の維持、学力の問題でございますとか、あるいは土曜日にかえって学習塾通いがふえないであろうかとか、あるいは逆に月曜日から金曜日までの子供の学習負担が増加しないであろうか、あるいは家庭、地域社会の受け入れ態勢がまだ十分に整っていないのではなかろうか、こういった課題がいろいろとあるわけでございます。
 私どもといたしましては、例えば学力の問題で申し上げますならば、これからの学校におきまして、体験的な学習でありますとか問題解決的な学習、そういうものを一層重視していただく、そして基礎的、基本的な内容を子供たち一人一人に確実に身につけさせる、そのために、個に応じた指導でありますとか、そういった指導方法、指導内容の工夫、改善が一層必要であろうと思っております。
 そういった趣旨につきましては、既に都道府県の教育委員会等を通じまして指導もしたところでございますが、先生の御指摘のように学校週五日制の導入がかえって教育に禍根を残すことがないように、まことにごもっともなことと思っておりますので、そういう意味におきましても、まず月一回からスタートいたしまして、その過程で出された問題点を一つ一つ解決しながらこの問題について対応してまいりたい、かように考えているところでございます。
#12
○三原委員 もう質問の時間が終わったので次へ進められないんですが、本当は、私思ったのは、大人の側でも余裕があればそれだけ今度はもっと自分を向上させるために、大学あたりをもっと開放して、都心にあれば夜間にしてみたりとか土曜、日曜学校みたいにしてそれで単位を取って、それはうまく修士だとかそんなところもやれればいいですけれども、そこまで行けるかどうかわからないですが、そういうことをやることはそれこそ日本人一人一人の資質を高める上でも大いに効果がある。休みでのんびりするのも休みだし、何度も言いますけれども、自分が自由にできる時間がふえることは大いに価値あるのですから、その中で、自由な時間ができればその分だけ自分の選択、オプションが広げられる。ただただ海辺に行って寝転がるだけしかできないような環境ではまずいのでありまして、ここに生涯学習局の課長さんいらしておられますけれども、時間がないので終わりますが、そういう面でも、私は、大いにみずからを高める上でも政府の方で努力していただきたいということをお願いして、質問を終わります。
#13
○川崎委員長 池端清一君。
#14
○池端委員 一九八八年に経済審議会の「世界とともに生きる日本」という表題のもとに経済運営五カ年計画が策定をされました。同じ年に第六次雇用対策基本計画、そして労働時間短縮推進計画、これらも策定をされたわけであります。これらの計画のいずれにも労働時間の短縮については、おおむね計画期間中、すなわち一九八八年度から一九九二年度までの五カ年間に週四十時間労働制の実現を期し、年間総労働時間を計画期間中に千八百時間程度に向けてきる限り短縮する、こういう目標がそれぞれの計画で設定をされたわけでございます。
 いよいよことしかその最終年度を迎えるわけでございますけれども、この目標の達成は、今日までいろいろ出されております調査結果から見ましても極めて困難である、絶望的である、こういうふうに私は思うわけでございますが、この点について、実情を踏まえて、改めてその計画達成の見通しについて近藤労働大臣からお答えをいただきたい、こう思います。
#15
○近藤国務大臣 実は昭和六十三年に改正労働基準法が施行されたわけでございますが、それまでどうも年間総労働時間は停滞をしておった、低迷状況だったわけです。そこから年間大体三十時間前後、まあ最近は四十時間近い労働時間の短縮が年間行われてきたことは事実でございますけれども、先般も労働省が発表いたしましたが、平成三年度でも残念ながら二千時間の壁は破れなかったという実情でございます。ですから、例えば一年間従来の率で今年度も労働時間の短縮が行われたとしても、御指摘の千八百時間はまだ達成できないというのが残念ながら現状でございます。
#16
○池端委員 ただいま答弁ありましたように、労働省がこの五月一日に発表いたしました毎月勤労統計調査結果によりますと、平成三年度の労働者一人当たりの年間総実労働時間は二千六時間、こうなっているわけであります。確かに昨年度に比べますと三十八時間の減少にはなっておりますけれども、しかし、今大臣も言われたように二千時間の壁を破ることができなかったわけであります。
 経済運営五カ年計画にしても第六次雇用対策基本計画にいたしましても、これは閣議決定をなされた計画でございます。私は、その決定は極めて重いと言わざるを得ないわけでありますが、閣議決定であるにもかかわらず目標よりもはるかにほど遠い、こういう現状について労働大臣としてはその政治的な責任をどういうふうに考えておられるか、どういうふうに認識をされておるか、その点を明確にお答えをいただきたい、こう思うのです。
#17
○近藤国務大臣 先生がまさに御指摘のとおり、新経済五カ年計画、現行の計画は閣議決定したものでありますから、その決定の線に沿って私ども極めて重大に考えて努力してまいりました。
 労働時間の点では、例えば完全週休二日制をぜひ実現してもらいたい、有給休暇をちゃんととってもらいたい、所定外労働時間も減らしてもらいたい、こういうことでいろいろ声かけは実は真剣にやってまいったわけでございますけれども、これが実現できるためには、各会社それぞれの個別の事情もございますし、例えば人手不足解消のための省力化をするためにはそれなりの設備をしていかなければならない、ロボットにしていかなければならないとか、自分たち一社でやっても、横並びでやっていただかないとやったところだけ例えば入札におくれをとるだとか、いろいろなことがございます。
 ですから、我々としても閣議決定の線に沿って目標達成に真剣に努力をしてまいりましたけれども、現在は、先生も御指摘ございましたように、二千六時間が平成三年度の実績でございますので、これをひとつこれからも現実的に進めてまいりたいということで、実は今度時短促進法を提案させていただいて、それを実現するための社会的な、経済的な、またはいろんな雇用関係等総合的な環境整備を図っていきたいということが、まさに今法案を御審議いただいている基本的な私どもの気持ちでございます。
#18
○池端委員 五年前に労働基準法が改正をされたわけであります。その改正の際の国会の議論は、政府案ではどのくらいの労働時間短縮が期待できるか、これが論議の一つの焦点でございました。
 当時、一九九〇年度年間総労働時間二千時間、この達成が政府目標として設定をされておったわけであります。しかし、一九八七年四月に発表されましたいわゆる新前川リポートでは、さらに二〇〇〇年に向けてできるだけ早期に千八百時間程度を目指すことが必要である、こういうふうにうたわれておったわけでございます。私たちも、当時労働省の試算でも、政府の改正案では一九九〇年度を迎えようやく労働時間の短縮の効果があらわれる、しかし、効果があらわれるといっても、それもわずかに年間五十五時間程度にすぎないから、一九九〇年度の年間総労働時間二千時間という政府目標はとても達成することはできない、こういうことで政府案は極めて不十分であるということをこもごも指摘をしたところでございます。
 しかし、そのときの労働省はどうであったか、労働大臣はどうであったか。我々の主張を認めようとはしませんでした。しないばかりか、例えば一九八七年九月十七日の参議院社会労働委員会における当時の平井労働大臣は、我が党浜本参議院議員の質問に対してこういうふうに答えているわけでございます。平井卓志労働大臣であります。
 昭和六十一年の年間総労働時間は、御案内のように約二千百時間でございまして、昭和六十五年度二千時間の目標を達成いたしますためには約百時間の短縮が必要であるということになります。
 一方、おっしゃいますように、今回の法改正による直接的効果だけでも三年間で約五十五時間が見込まれるわけでございますが、そのほか、法定労働時間短縮の目標を四十時間と定めるわけでございますから、これらから労使の自主的努力もこれは当然促進されるものと考えられまして、以下、中略でありますが、そして経済情勢から見まして所定外労働時間も縮小傾向で推移すると考えられますことも一つの理由でございまして、この目標の達成は十分に可能なものであるというふうに考えております。すなわち、一九九〇年度年間総労働時間二千時間という目標の達成は十分に可能なものであるというふうに考えております、こういうふうに胸を張ってお答えになったわけであります。
 ところが、結果はどうでありましょうか。今大臣も言われましたが、政府のこの答弁は、政府の期待とは反して見事に裏切られた、こういう結果になったわけであります。私は、これについてもう一回労働大臣に、この辺の経過についてどういうふうに受けとめておられるのかはっきりお答えをいただきたい、こう思うのです。私は、これはやはり温故知新、古きをたずねて新しきを知るという、これからの展望を見出すためにも過去のこういう誤ったことについてしっかりとした教訓として踏まえていかなければならない、そういう思いから再度大臣の認識をお尋ねしたいと思うのであります。
#19
○近藤国務大臣 先生から再三御指摘がございますように、今年度中に千八百時間の総労働時間の達成ができないということは私ども非常に残念に思っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、総労働時間の減少が改正労働基準法施行以来着実に進んでいることも事実でございまして、いま一つそれが進まなかったのは、これも申し上げておりますように、我が国の企業における横並び意識の問題もあれば、片っ方では労働省力化のための投資よりもどちらかというと生産拡大の方に投資が傾いておったという面もあれば、雇用状況、労働力の供給の問題とかいろいろな問題があって、残念ながら目的達成には今回は至らなかった、こういうことでございます。
 こういった現実の反省に立ちまして、政府として、実は平井さんが労働大臣当時の経企庁長官は私だったわけでございますので私も多少責任の一端を感じているわけでございますけれども、(池端委員「多少じゃないですよ」と呼ぶ)重大に感じておりますが、ただ、経済計画というのは多少一つの設計、ビジョンの面が強くて、それを具体的に実行するための政策手段については、従来は必ずしも正確というか、現実的なそういう施策に欠けるところがあった。
 経済企画庁が経済審議会をつくっておりますので、私実は閣議等その他いろいろな場で現経済企画庁長官の野田君と話をいたしますが、ひとつ今度具体的ないろいろなことを盛り込んでいこう。そのためには、先ほど申しましたけれども、時短ができるための例えば必要な融資措置を、現在も中小企業における労働力確保法等がございましてこういった問題について最低五・五%の低利の金利でお貸しすることになっておりますが、こういったものをもっと拡充していくということで、今度はいわばふんどしを締め直してというとあれでございますが、まさに政府を挙げてこの時短の推進に取り組んでいく、その大きな柱が今度御審議をお願いしている時短促進法でございます。
#20
○池端委員 今度こそは今度こそはということは、今まで私は再三聞いてきたようなそういうせりふだ、こう思うのであります。
 そこで、大臣は、目標は達成できなかったけれども、労働時間の短縮は着実に前進をしているんだ、こういうふうに言われたわけであります。それでは、具体的にどういうふうになっているのかという点でお尋ねをしたいと思うのであります。
 一九八八年の六月十七日に策定をされました労働時間短縮推進計画、これは労働省で決定をされた計画でございますが、この中に「個別的課題」として幾つかの問題が挙げられております。一つは、完全週休二日制の普及促進、二つ目には、年次有給休暇の完全取得の促進、三つ目には、連続休暇の定着、四つ目に、所定外労働時間の削減、五つ目に、変形労働時間制の利用、そして、自由時間の活用促進、こういう個別的課題が列挙されておるわけでございますが、これらの課題がどういうふうに普及促進、定着をしてきたのか、具体的にお尋ねをしたいと思う。
 まず第一に、完全週休二日制の問題についてはどのような前進がこの五年間で図られてきたのか、これについてお答えをいただきたいと思います。
#21
○井上説明員 完全週休二日制の六十三年から現在までの状況でございますが、まず週休二日制については、何らかの形で週休二日制が適用されている労働者が、昭和六十三年には七九・九%でございましたが、平成二年におきましては八六・四%になってございます。完全週休二日制が適用されている労働者につきましては、二九・五%から平成二年には三九・二%という状況でございます。
#22
○池端委員 次に、年次有給休暇の完全取得の促進について、この重大課題はどういう状況で推移をしてきたのか、その点についてもお尋ねをしたいと思います。
#23
○井上説明員 年次有給休暇でございますが、昭和六十三年には取得率が五〇%でございまして、平成二年には五二・九%と、ほぼ横ばいの状況で推移しているところでございます。
#24
○池端委員 年次有給休暇の取得状況は、取得率は横ばい、こういう答弁でございますが、それでは次に、所定外労働時間の削減についてはどういう推移をたどってきたのかお尋ねをし、また、数字だけではなくて、それについてどういう評価をしているか、それについてもひとつお尋ねをしたいと思います。
#25
○井上説明員 所定外労働時間でございますが、所定外労働時間については、昭和六十三年には年間で百八十八時間でございまして、平成三年度にはこれが百六十九時間というような状況でございます。
 所定外労働時間につきましては、六十三年から平成二年ごろまでに関しましては、景気が順調に推移したこともございまして、高水準な状況を続けてございました。最近につきましては、景気の停滞等も反映いたしまして、先ほど申し上げましたように百六十九時間と、少し減少傾向が見られるところでございます。
#26
○池端委員 今何とおっしゃったんですか。景気がよかったから好調に推移してきた、所定外労働時間がふえてきた。これは好調に推移してきた、こういう判断ですか。
#27
○井上説明員 平成二年ごろまでは景気が上昇過程にございまして、企業における人手不足等も反映いたしまして、企業として所定外労働時間に頼らざるを得ないという面もございましたので、かなり高い水準で推移しているところでございました。
#28
○池端委員 次に、連続休暇の定着が重点課題として設定をされておりますけれども、これも五年間でどのような推移をたどってきたのか、またそれに対する現時点での評価についてもお尋ねをしたいと思います。
#29
○井上説明員 連続休暇につきましては、昭和六十二年に連続休暇を実施しました企業の一企業の平均の連続休暇総日数でございますが、これが十一・六日でございました。これが平成二年には十三・六日というふうに着実に伸展しているところでございます。
 特に、ゴールデンウイークとか夏とか秋というような形で、まとめてとる傾向が最近見えるところでございます。
#30
○池端委員 今部長から答弁がありましたように、確かに我が国の最近の労働時間の動向を見ますと、所定内労働時間は着実に減少しているわけでございます。それは私も率直に認めるところでございます。完全週休二日制にしても若干の前進はございます。しかし、年休については、その取得率については横ばいだという答弁もございました。連続休暇については、日数はふえておるという答弁でございますけれども、実施割合はむしろ減っている、これはデータが示しているところでございます。ゴールデンウイークを除いてはいずれも下がっている、下回っている、こういう状況でございます。
 また、所定外労働時間については、平成三年度百六十九時間と前年度より十六時間短縮されたといっても、これは昨年秋以来のいわゆる景気減速の影響を受けたものだ、こういうふうに思われるわけでございまして、残業、休日出勤は一向に減っていない、こう言っても決して私は言い過ぎではない、これが今日の現状である、こういうふうに思うわけであります。しかも、よく言われますようにサービス残業あるいはふろしき残業、フロッピー残業等々、労働省の調査に含まれていない残業というものは極めて膨大になっている、こういうふうに言わざるを得ないと思うのであります。
 こうやってかねや太鼓、鳴り物入りで時短時短といってやってきた。しかし、実際にはこの目標計画が達成できなかった。さっき大臣からその理由の一端は答弁がありましたけれども、もう一度この目標計画が達成できなかった要因は那辺にあるのか、どこにあるのか、その理由を明らかにしていただきたいと思うのです。
#31
○近藤国務大臣 先生、私、端的に言いまして、私が労働大臣になったからそういう気になったのかですが、これまで過去五カ年間の経済計画期間の間で、確かに千八百時間という数字を政府は挙げて私たちも取り組んでまいりましたけれども、社会通念的にといいますか、企業の経営者の方々、労働組合の方々はさておいて、この時短というものに対する取り組み方において、今日ほど社会的な環境といいますかムードといいますか、そういったものの盛り上がりはなかったのではないかな。殊に、私は宮澤内閣の閣僚の一人としてあえて申し上げますけれども、宮澤内閣が誕生して、宮澤内閣の大きな政策課題として生活大国を目指そう、そのためには時間短縮というものが非常に大きな社なのだということを宮澤内閣発足以来申し上げておりまして、予算委員会でも、今国会の予算委員会ほど時短に対して衆参両院を通じて御熱心な御討議があったことはなかったと思います。それから、先般の春闘におきましても、こういう時期で、賃上げはもちろん大事だけれどもそれと同じくらい大事な課題として時間短縮、この時短についてはまさに労使双方において基本的な合意が見られるに至った、こういうことでございます。
 なぜこれまでできなかったのだといろいろなことを御指摘ですが、私も責任者の一人として十分反省を込めてお答えしているわけでございますが、やはりこういったものは一つ一つ社会的な環境だとか、それから企業の経営においても千八百時間に――例えば自動車業界が二千二百時間の労働時間を千八百時間にということは、ある意味では二割労働時間カットですから、それがどういうふうに経営に影響してくるのか、もっと具体的には、今度は勤労者の方々の収入にどう影響するのか、そういったいろいろな問題があるわけでございますから、先ほど言いましたけれども、やはり相当ふんどしを締め直してかかっていかないと、腹をくくってかかっていかないとできない問題がある。あるいは、釈迦に説法でございますが、大企業、中小企業、下請の問題、いろいろな問題があります。
 ですから、なぜできなかったかとおっしゃると確かに私どももじくじたるものがございますが、そういった環境がまさに昨年からことしにかけて急に盛り上がってきた。私が労働大臣になったからではない。そういう社会的な環境が醸成されてきた。ですから、この機会に法律を通していただいて、さらに具体的な環境整備に一歩前進させていただきたいというのが私たちの切なる思いであり願いでございます。
#32
○池端委員 この法律はそういう意味での環境整備を図るものだということでありますが、真に実効あるものにしていくため十分国会の中でも議論をする必要がある、こう思っておるわけであります。
 そこで、年次有給休暇や時間外労働の縮減についても一向に進んでおらぬということで、我々かねてからこれについても法的措置が必要だと主張してまいってきたわけでありますし、こういう今日の状況を見ますると、ますます法的措置の必要性を痛感せざるを得ないというふうに私は考えるわけでございますが、労働省としてはこの法的措置の問題についてどういうふうに考えておるか、その点についての御見解を承りたいと思います。
#33
○佐藤(勝)政府委員 年次有給休暇とか所定外労働の実態につきましては、ただいま先生から御指摘があり部長の方からお答えしたような実態であるわけでございます。
 労働省としましても、従来から、労働時間の短縮を進めるためには完全週休二日制の普及促進であるとか年次有給休暇の完全取得、連続休暇の普及拡大、所定外労働の削減等が必要であるということで、そういう見地からいろいろな施策を講じてきたところでございます。例えば削減要綱であるとか、いろいろな意味での啓発指導をしてきたわけでございます。
 また、先生がただいま申されましたように、年次有給休暇の取得率を上げるために一体どういう方策が法的にあり得るのか、あるいは所定外労働時間についてもどういう方策があり得るのかということは大変大事な論点でございます。
 こういう論点につきましては、ただいま、平成三年の四月からでございますけれども、労働基準法の改正附則に基づきまして労働時間法制全般の見直しを中央労働基準審議会にお願いをしまして検討していただいているところでございます。御承知のように公労使三者構成で、特に労使はそれぞれの組織を代表しての大変熱心な議論が交わされているところでございますけれども、そういった議論を通じまして一定の結論が得られるかと思います。
 この結論を得ました暁には、我々としても所要の措置を講ずるというふうに考えているところでございます。
#34
○池端委員 私は、政府の答弁を聞いていると、いつも審議会に全部げたを預ける、こういうことで労働省は一体存在価値があるのか、本当に理念、哲学、エネルギーがあるのか、こう言いたいくらいなんですよ。
 確かに中央労働基準審議会は、法律に定められた審議会で三者構成です。その中でしっかり議論してもらうこと、本当に結構です。そして、それを尊重するということも我々は今日までやってきたわけであります。しかし、それにしても、単に審議会で検討していただいていますからその状況を待って、見た上で判断をしたいということではなしに、時短というのは国民的課題なんですから、労働省はもっと積極的に、本当に真の哲学を持って推進する、そんな迫力がなければだめなんじゃないですか。いつも審議会にげたを預けるという方式、これではもうだめだ。これは単に労働省ばかりではなくて、政府全体がまず初めに審議会ありきという発想、これではだめでないかと私は思うのですが、大臣どうですか。
#35
○近藤国務大臣 先生のお気持ちは私もわからないではありませんが、ただ、一つの政策を実行してまいりますためには、やはり関係者の方々の御理解、御支持、そして国民的なコンセンサスがないとできないわけでございます。ですから、私も大臣になりましてから、いろいろな審議会の先生方とお会いしてお話しする機会がございますけれども、率直に申しまして、審議会にお任せして、そして結論を得てというのは、事務方、お役人さんは多少遠慮して申しておりますけれども、実際の審議会の中では、労働省でこういうことをやりたいのだけれども先生方どうでしょうか、こういうことを実は言っておりますので、その点は、全部ボールを預けてしまって先生方にお任せするということでは全くないのであって、先生方、労使の代表の方々、学識経験者、それぞれお忙しい方々にお集まりいただいて短期間でするわけですから、ボールを投げてしまってさあどうでしょうでは、実は審議会は運営できないのですね。
 ですから、これは率直に言って、私は大臣としてあえて事務方が言えないことを申し上げるわけでありますが、事務方は案をつくって、こういうことなんですけれども御審議いただきたい、こういうことを申しておりますので、何でも審議会で逃げているということではございません。まさにこの時短については内閣挙げて、特に担当の役所である労働省挙げて取り組みたいということで、そういうきちっとした目標でそれを先生方に徹底的に議論していただく、そして結論を得る、こういうことをやっておりますので、御理解をいただきたいと思います。
#36
○池端委員 私もそうだと思うのですよ。そうであるならば、政府も率直に、我々もこう考えているんだ、それでこういう形で審議会に今検討をお願いしているんだという、もうちょっとはっきりした物の言いようがあってもいいのじゃないか。何か奥歯に物が挟まって、それこそ遠慮がちに国会で答弁をする、そういう作風は改めてもらいたいと私は思うのです。国会は議論をする場でありますから、ちょうちょうはっし佐藤局長や近藤大臣と我々議論していいじゃないですか。それが国会の活性化にもつながるわけですよ。
 そういうことで、二言目には審議会の御判断を待ってとかなんとか、そういう物の言いようはひとつこれからは、ぜひやめてもらいたいというふうに私はあえて苦言を呈しておきたいと思うのであります。
 次に、現在経済審議会において新しい経済計画策定に向けての検討が進められておるようでございます。この計画は今後二十一世紀に向かう日本の進路を明らかにする重要なものである、こういうふうに考えるわけでありますが、この新しい経済計画に関連をして二、三、経済企画庁と労働省にお尋ねをしたいと思うのであります。
 ここに「新しい経済計画の基本的考え方と検討の方向」という本年四月十五日に経済審議会運営委員会から出されたペーパーがございます。このぺーパーの中で、こういうふうに書かれているわけであります。「経済全体の豊かさと豊かさに対する個人の実感との間に乖離がみられている。また、個人が多様な選択肢を公正に選べるような環境が必ずしも整えられていないことが、豊かさの実感を妨げている面もある。」「豊かさの実感を妨げている面もある。」こういうくだりがございます。
 確かに、言うまでもなく、経済全体の指標から見ても我が国はいわゆる経済大国として大きく発展をいたしました。しかし、国民一人一人の生活は、欧米諸国と比較いたしましても、労働時間の問題、土地を初めとする物価の問題、あるいは賃金の問題等々からいって、とても豊かとは言えない、こういう現状であることはもう申し上げるまでもないわけであります。それを「豊かさの実感を妨げている面もある。」と表現することは、私はどうも合点がいかないのであります。
 これでは、国民は実際は豊かなんだけれどもその豊かさを実感していないのだ、つまり、問題は現実ではなくて感じ方にあるのだというような表現に受け取ることができるのじゃないか。これはおかしい言い方ではないか。こういうことを言っていきますと、宮澤総理や近藤労働大臣が言われておる生活大国を目指すというようなこととも矛盾をする、私はこう思うのでありますが、経済企画庁、このくだりについての見解をひとつ承りたいと思うのです。
#37
○星野説明員 現在、経済審議会におきまして、新しい経済計画の策定のための審議が精力的に続いているわけでございます。先生先ほどお話しありましたように、先月の十五日に、今後の各部会でのいわば審議の見取り図といたしまして、いわゆる中間報告の取りまとめがなされたところでございます。
 その中で、先生御指摘のように「経済全体の豊かさと豊かさに対する個人の実感との間に乖離がみられている。また、個人が多様な選択肢を公正に選べるような環境が必ずしも整えられていないことが、豊かさの実感を妨げている面もある。」こういった記述があるわけでございます。
 それで、我が国の国民生活を考えてみますと、飛躍的な経済成長の結果によりまして、国民生活の多くの面で豊かで安全な社会が実現したわけでございます。例えば、一人当たり国民所得は世界の最高水準に達しております。また、失業率だとか平均寿命だとか治安の高さ、こういった面では、諸外国に比べですぐれている面もあるわけでございます。しかしながら、現状におきましては、御指摘のように労働時間が長いこと、あるいは居住水準が低いこと、あるいは社会資本の整備においてなお立ちおくれている点が見られるなど、残念ながら事実でございまして、このような事実認識を踏まえて記述されたものと理解しております。
 したがいまして、単に感じ方の問題だということを言っている趣旨ではないと私どもも理解しておるところでございます。
#38
○池端委員 この問題について多くを議論する場ではございませんので、これは今の答弁で一応わかりました。単に感じ方の問題ではないんだ、実情を述べているんだ、こういうことであれば、やはりそのことが素直にわかるような表現にした方がいいのではないか、私はこう思うのであります。
 そこで、労働時間の問題については、この中で「地球社会と共存する生活大国への重点課題」として、「労働時間短縮については、計画期間中に達成すべき具体的な目標を示し、その実現のため、労働基準法の改正により早期に法定労働時間週四十時間制への移行を実現する。また、所定外労働の削減を図るため法定割増賃金率の引上げについて具体的に検討する。さらに、いわゆるサービス残業の解消を図る。」こういうふうに述べられているわけであります。
 そこで、お尋ねをしたいのは、労働時間短縮のいわゆる目標時間がここではうたわれていないわけですね。いわゆる労働時間短縮の目標時間がうたわれておりませんが、これについてはどういうふうに時間を設定するお考えなのか。これは当然新しい経済計画においても設定されることになると思うのであります。今の経済計画においても千八百時間という時間が明確に示されておったわけでありますから、新しい経済計画においてもこれが示されると思いますが、これについて経済企画庁、現在の検討の段階で結構ですから、この問題についての考え方をお示し願いたいし、労働省としてもこれについてどう考えているか。これをお聞かせいただきたいと思うのです。
#39
○安原説明員 お尋ねの件でございますけれども、先生御指摘のように「新しい経済計画の基本的考え方と検討の方向」におきましては、労働時間の具体的目標につきまして、計画期間中に達成すべき目標を示すとしか書いてございません。
 この趣旨でございますが、この目標につきまして、まさしく現在審議会で御審議をいただいておるということでございます。具体的な数字につきましては、その答申において結論をいただきたいと考えておるところでございます。
 現行経済計画におきましても、先ほど来先生御指摘のとおり、年間総労働時間を千八百時間程度に向けてきる限り短縮するという目標を掲げさせていただいておりまして、現在の審議の過程におきましても、この数字を目安とした議論をさせていただいておるという状況でございます。
#40
○佐藤(勝)政府委員 現在の経済計画でも千八百時間に向けてきるだけ短縮をするということで、千八百時間が一つの目安になっておるわけでございます。
 私どもとしては、これより後退をするというふうなことは適当ではないというふうに考えておるところでございます。
#41
○池端委員 答申をいただいた上でということでございますが、千八百時間を目安とする、あるいはこれを後退することはない、当たり前の話でございますね。もうちょっと歯切れよくこれは答えられないのですか。
 今これは本当に国民的な大きな課題になって、経済審議会がどういう答えを出すかということを皆さんかたずをのんで見守っている状況でありますから、もうちょっと具体的に、審議会の、あるいは、これはそれぞれの部会でございましょうか、部会の検討状況などについても率直に承りたいと思うのです。
#42
○安原説明員 先生再度のお尋ねの件でございますけれども、まさしくおっしゃられましたように、ただいま部会におきまして非常に激しいといいますか集中的な議論がされておる事項でございまして、大変恐縮でございますが、この段階で確たることは事務局としては申し上げられないということでございます。
 私どもとしては、先ほど申し上げました趣旨は、議論のたたき台といたしましてはその千八百時間というものを目安に考えて議論をしていただいておるという趣旨でございます。
#43
○池端委員 重ねてお伺いします。
 過般、新聞報道等によれば、日経連等から具体的な時間数等は、目標等は示すべきではない、私は必ずしもそうではないと思っておるのでありますが、そういうようなことの申し入れがあったということが報道されておりますけれども、そういう考え方にくみするものではない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。明確な数字を出す、このことははっきりしているのだ、そしてそれは千八百時間よりも後退することはない、それを目安にして考えているのだ、こういうことは言えますか。
#44
○安原説明員 先ほど先生が引用されました検討の方向の中におきましても、達成すべき具体的な目標を示す、こう断言しておるわけでございますから、数字を明確に示すということにつきまして後退するという意図はございません。
#45
○池端委員 次に、労働時間の短縮については「計画期間中に達成すべき具体的な目標を示し、その実現のため、労働基準法の改正により早期に法定労働時間週四十時間制への移行を実現する。」こういうふうに記述がございます。
 そこで、労働省としては週四十時間制への移行時期をどのように考えておられるのか、また、この労働基準法の改正をいつ国会に提出する予定なのか、その日程等についてお尋ねをしたいと思います。
#46
○佐藤(勝)政府委員 労働時間法制につきましては、先生つとに御承知のように、六十二年に労働基準法が改正されまして、そこでは法定労働時間の短縮の目標が週四十時間ということになりまして、これは本則に書いてあるわけでございます。実際の進め方としては、この四十時間に向けまして段階的に短縮するということで、昭和六十三年四月からは四十六時間になり、また平成三年四月からは四十四時間になった、これが現在の段階でございます。
 それで、次のステップはどうか、こういうことでございますけれども、現在、これも先ほどから申し上げておることで恐縮でございますけれども、この改正労働基準法附則の見直し規定に基づきまして中央労働基準審議会で議論をいただいておるということで、具体的にはこの五月、六月に行われます全国的な実態調査の結果を踏まえてまた具体的な議論がなされてくると思います。
 この点につきまして、どういう中身でいつから具体的にということにつきましては、私ども労働省当局としても具体的にここで申し上げる段階には至っていないわけでございますが、私どもとしましては、中央労働基準審議会の結論をことしじゅうにいただきたいということで審議会にお願いをしているところでございます。
 それで、この審議会の結論を得まして、それと並行して我々としてもこの考え方を固めてまいるわけでございますけれども、いずれにしましても、この審議会の結論を踏まえまして必要な措置を早急に講じたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#47
○池端委員 中央労働基準審議会の結論をことしじゅうにいただきたいということですから、次期通常国会にはこれは出されるものというふうに私は理解いたした次第であります。
 そこで、「所定外労働の削減を図るため法定割増賃金率の引上げについて具体的に検討する。」こういうくだりがございます。
 我々もかねてから現行の一二五%ですか、これは企業にとっては労働者の追加採用よりも時間外労働による対応の方が得である、したがって、時間外労働削減の実効を上げるためには割り増し率の引き上げは極めて緊急の課題である、こういうふうに主張してきたところであります。したがって、こういう検討条項を加えたということは私は評価するにやぶさかではございません。
 その具体的な検討の方向とか内容とか、今答弁できるものがありましたら経済企画庁からお聞かせをいただきたいし、労働省もこの割り増し率の見直しについて着手したと先般報道がございました。国際的にも我が国の割り増し率は非常に低い水準にあり、これは当然見直し、改善を図らなければならないと思うわけでございますので、この点についての労働省の見解もあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
#48
○安原説明員 御指摘の箇所でございますが、「また、所定外労働の削減を図るため法定割増賃金率の引上げについて具体的に検討する。」という記述になっているところでございますが、この記述が入りました経緯をまず申し上げますと、経済審議会の審議の過程におきまして、先ほど来いろいろ議論が出ておりますように、現状で労働時間がなかなか短縮が進まない一つの要因に、所定外労働時間が最近減っておりますけれども依然高水準であることがあるということで、今後一層の労働時間短縮を進めていくためには、最初の段落に書いてありますような四十時間労働制への移行と同時に、所定外労働時間の削減を進めていくことがぜひとも必要ではないかという御指摘がございました。その有効な手段として割り増し賃金率の引き上げが必要であろうという、これも強い御意見がありまして、その委員の皆様方の御議論の趣旨を踏まえまして記述しておりますのがこの部分でございます。
 ただ、経済計画というものの性格でございますが、これは先ほど労働大臣の御答弁の中にもございましたように、経済計画と申しますのはあくまで経済運営の基本的方向を示すという性格でございます。したがいまして、この法定割り増し賃金率の引き上げの具体的な内容、方法等につきましては、これを所管しておられます労働省あるいは中央労働基準審議会の中で具体的に決められ実行されるべきものではないかというふうに考えております。
#49
○佐藤(勝)政府委員 労働時間短縮を一層進めるためには、所定外労働時間、とりわけ恒常的な所定外労働時間を削減する必要があるということにつきましてはコンセンサスが得られているというふうに考えておりますけれども、その一つの方法として、所定外労働時間に対する賃金の割り増し率を上げたらどうかという有力な議論がございます。
 もちろん、これはコストが高くなるということを通じまして、事業主、使用者のサイドでは抑制効果が働くという考え方でございますけれども、一方におきまして、労働者の意識が最近変わってきたといいましても、なお所得維持あるいは所得増加の考え方が非常に強い中で、これが一体どっちに働くのかという考え方もあります。また、とりわけ中小企業につきましては、労働時間短縮そのものが大変難しいところにダブルパンチになるのではないか。実態からいいますと、ほとんどが、現在、法定の二五%で支払っているというような実態もございます。
 こういう実態についてどういう判断をするか、あるいは考え方をどうするかということは、今一例として申し上げました主な論点などを踏まえて真剣に議論すべき問題であると思っております。また、国際的な基準として申しますと、労使協定で五〇%なりあるいはそれを超えるような率を定めている例も数多くあるわけでございますが、ただ最低基準としての労働基準法あるいはその類似の法制としては、外国と比べても、現在の日本の基準法の水準は可もなく不可もなく普通のところであるというのが本当のところでございます。
 いずれにしても、先ほど申しましたような論点をめぐっての議論が、これから中央労働基準審議会の場においても本格化をいたしますし、私どもとしても、この問題にどういうふうに対処をするかということについての考え方をおいおいにまとめて、いずれ結論を得て適当な措置を得たいというふうに思っておりますけれども、先ほど企画庁の方から御答弁ございましたように、経済審議会の方の経済計画につきましては、非常に大きな立場から一つの問題点、課題をお示しになっているわけでございますけれども、この問題に関しましては、労働基準法の問題、運用の問題あるいは制度の問題を直接扱っておりますのが労働省、あるいは審議会で申しますと中央労働基準審議会でございますので、そちらの方で議論をすべき問題であるという立場でございます。
#50
○池端委員 次に、下請中小企業の労働時間短縮問題について二、三お尋ねをいたします。
 申し上げるまでもなく、我が国の産業、企業には、欧米諸国に見られない重層下請構造が見られ、下請企業が我が国中小企業の大部分を占めていることから、いわゆる大小格差問題、これを抱える結果になっておるわけでございます。このことが労働時間短縮が進まない一つの大きな要因になっているわけでございますが、多頻度少量発注あるいは小口配送、ジャスト・イン・タイムなどの、今までもいろいろこの委員会でも議論をされてまいりましたが、親企業による発注方法が下請中小企業の労働時間短縮を阻害しているということが再三指摘をされておるわけであります。
 この問題について労働者はどのように受けとめて対応されてきたのか、それについて承りたいと思います。
#51
○井上説明員 御指摘のように、下請企業につきましては、親企業の発注方式の問題とか、多頻度小口納入、多頻度小口配送等が下請企業に対しまして長時間労働を生み出しているという面が強くあるわけでございます。
 このため、労働省といたしましては、平成三年八月に策定いたしました所定外労働削減要綱におきまして、適正な納期の設定とか過度な多頻度小口配送の是正、また、過度な過剰サービスが長時間労働を生み出すというような面もございますので、そういう意味での社会的コンセンサスの形成等につきまして要綱で御指摘いただきました。それをもとに業界団体等にその趣旨の徹底等をお願いしているところでございます。
#52
○池端委員 中小企業庁は、昨年の二月に下請中小企業振興法第三条に基づく振興基準を改正したわけでございますが、この振興基準改正の趣旨と、また、その後この内容を具体的に浸透、徹底させるためにどのような施策、方途を講じてきたか、この点について御説明をいただきたいと思います。
#53
○柚木説明員 お答え申し上げます。
 下請中小企業の労働時間短縮を図るためには、自助努力が必要なことは申すまでもございませんが、限界が当然ございます。発注方法等の面におきます親企業の協力が不可欠であるということでございます。
 こういった認識から、私ども平成三年二月に下請中小企業振興法第三条に基づく振興基準を改正いたしまして、親企業の発注方法の改善を図るということとしたところでございます。具体的に申しますと、例えば、週末発注週初納入あるいは終業後発注翌朝納入といった下請企業側での労働時間短縮の妨げとなる、こういう無理な発注の抑制等を追加規定した次第でございます。
 振興基準の改正後でございますが、親事業者団体に対しまして通達はもちろん発出いたしました。そのほかにも、パンフレットを多数配布いたしましたし、それから親事業者の発注責任者に対しまして全国各地で講習会等を開催いたしまして周知徹底を図りました。それのみならず、私どもの担当官によります下請代金支払遅延等防止法に基づきます親事業者検査の際にも指導を行う等、振興基準の普及啓発に全力を尽くしている次第でございます。
#54
○池端委員 今振興基準の改正の内容とその具体的な施策について答弁があったわけであります。しかし、本年二月二十七日に発表されました「発注方式等取引条件改善調査の結果」、これは中小企業庁計画部下請企業課で作成したものでございますが、この結果によりますと、終業時刻後発注翌朝納入という発注がある下請企業は一八・七%、休日前発注休日直後納入は四一・二%、発注内容の変更がしばしばあるとする下請企業は四一・九%、こういう数字が出ておりまして、残業、休日出勤で対応した企業もかなりの割合を占めている。発注方式等の取引条件改善が依然進んでいないということが明らかになったわけでございます。
 これについて中小企業庁としてはどういうふうに受けとめ、また、今後これをどういうふうに改善をするのか、その対策、今後の対処方針について明らかにしていただきたいと思うのです。
#55
○柚木説明員 お答えいたします。
 昨年二月の下請中小企業振興法の振興基準改正後の下請取引に係る親企業の発注方式等取引条件の改善状況の実態を把握するために行いました調査結果を、本年二月に取りまとめたところでございます。
 その結果、先生御指摘のとおり、納期に関します協議といった一部につきましては改善傾向が見られたところでございますけれども、振興基準改正後日が浅いこともございまして、全体的に見ますと残念ながら改善が進んでいないという実態が判明した次第でございます。
 私どもかかる結果を深刻に受けとめておりまして、これを踏まえて振興基準の遵守等につきまして、先般、親事業者団体に対しまして中小企業庁長官名あるいは関係局長名で通達を発出したところでございます。
 今後は、さらに全国各地での講習会の開催あるいは各種広報を充実するといったことによりまして、振興基準の普及啓発に努めることといたしますが、それのみならず、下請代金支払遅延等防止法に基づく検査を一層強化いたしまして、振興基準の悪質な違反につきましては代金法違反にもつながるわけでございますので、こういった代金法の検査といった下請取引の適正化を通じた下請中小企業の時短の促進のために努力を続けてまいりたいと思っております。
#56
○池端委員 一層の努力を傾注していただきたいということを強く要望申し上げておきます。
 企業活動の実態を見ますと、今申し上げた親企業と下請関係だけではなくて、出版と印刷あるいはデパートやスーパーと取り扱い商品の製造業者といった横の関係についても、取引慣行によって労働時間の短縮を阻害している面も多々ある、こういうふうに我々は押さえているわけでございますが、この取引慣行の全体にメスを入れていくこともこの際必要ではないか、大胆にここにメスを入れる必要があるというふうに私は思うのでありますけれども、通産省はこの点についてはどういうふうにお考えでしょうか、この点についてもお尋ねをしたいと思うのです。
#57
○柚木説明員 お答えいたします。
 先生御指摘の出版、印刷といった業界につきましては、これは私どものやっております下請概念に入ります。下請代金支払遅延等防止法あるいは振興法というのは物の製造に関する行為の規制でございまして、その中に出版と印刷という関係が入っております。かなり広い概念とお考えいただいて結構でございます。
 ただ、流通問題となりますと、これは私どもの言っている下請概念には確かに入らないわけでございます。
 これにつきましては、先般、公正取引委員会から、ひどいケースは独禁法で禁止しております優越的な地位の乱用に当たるということで、かなり具体的な指針が出ております。これに基づきまして各省は指導していると承っているところでございます。
#58
○池端委員 中小企業の労働時間短縮を促進するために中小企業労働力確保法案、これが成立をいたしまして、去年の八月から施行されていると思うのでありますが、この事業と今回の法律による時短実施計画承認制度、これとの関係はどういうふうに考えたらいいのか、この点についてお尋ねをしたいと思いますし、また、この労確法の実施状況、これはどうなっておりますか。やがて一年たとうとしておるわけでありますけれども、この状況についてもお尋ねをしたいと思います。
#59
○若林政府委員 初めに、労働力確保法の実施状況について御説明をさせていただきたいと思います。
 中小企業労働力確保法に基づきます都道府県知事によります改善計画の認定状況でございますが、ただいま先生御指摘ございましたように昨年八月からでございますが、本年三月三十一日時点で百二十一団体について認定をしたという報告を都道府県から受けているところでございます。
 業種別に見ますと、鉱業が一団体、建設業が四団体、製造業が六十九団体、運輸業が五団体、卸・小売業が十八団体、サービス業が十四団体になっておりまして、残る十団体は複数の業種で構成されております。
 この計画内容は、労働時間の短縮、職場環境の改善、福利厚生の充実、募集・採用の改善等となっておるわけでございまして、このうち労働時間の短縮に取り組むものは百二十一団体のうちの百十五団体、九五%でございます。
 以上、実施状況でございます。
#60
○井上説明員 中小企業労働力確保は、ただいま御説明いたしましたように、中小企業におきます労働力の確保のために雇用管理の改善を行う中小企業組合等の事業を都道府県知事が認定し、援助を行うというものでございます。本法案に基づきます労働時間短縮実施計画の承認制度につきましては、同一の業種の方々が労働時間短縮に向けた取り組みを推進するため計画を立てた場合に、労働大臣と所管大臣が承認し援助を行うという仕組みになってございます。
 このように両者の制度の仕組みや目的は異なる面もございますが、雇用管理の改善には、先ほど申し上げましたように労働時間の短縮が当然含まれてございますので、私どもといたしましては、双方の制度を互いに連携をとりますことによってより実効が上がるようにしていきたいと考えております。
#61
○池端委員 次に、この第十条の関係でお尋ねをしたいと思うのであります。
 この労働時間短縮実施計画の承認制度において、その十条で公正取引委員会との調整が必要とされているわけであります。私は極めて煩雑な手続が要求されているな、こういうふうに思うわけでございます。労働時間短縮といった国民的な課題に公正取引委員会がどういう立場にあるのか、どうもよくわからないわけであります。
 公正取引委員会はどのようにして独占禁止法の運用をこの問題について行っていく考えなのか、ひとつ基本的スタンスをお示しいただきたいと思うのです。
#62
○山田説明員 公正取引委員会といたしましても、労働時間の短縮が政府全体として取り組まなければいけない非常に重要な課題であるということは、十分認識しているところでございます。従来からも、事業者あるいは事業者団体が労働問題の対処のために休業日でありますとか営業時間等の基準を設定することにつきまして、特段の問題のない限り独禁法に抵触することはないとの考え方をとっておりまして、このような考え方に基づきまして、公正取引委員会として、事業者や事業者団体が実施しようとする労働時間短縮のための取り組みに関する相談には積極的に対応しているところでございます。また、この法案に盛り込まれているものにつきましても、調整手続というのがあるわけでございますが、適切に対応してまいりたいと思っておるところでございます。
#63
○池端委員 ちょっと具体的に二点ほどお尋ねをしたいわけであります。
 事業者団体が会員の労働時間短縮のために休業日や営業時間を申し合わせた場合には、これは独占禁止法に違反することになるのかどうかという問題。もう一つは、例えば一定の業種の商店が労働時間短縮のため一斉に休業をすることを申し合わせたら、これは独禁法に違反することになるのかどうか。この点についてしかとお答えをいただきたい、こう思います。
#64
○山田説明員 御質問の点についてでございますが、既に昭和五十四年に私ども「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」というガイドラインを公表しておりまして、事業者団体あるいは事業者の方々に独禁法違反行為が起こらないように未然防止を図っているところでございます。
 その中で、事業者団体が労働問題への対処のために休業日等の基準を設定することは、需要者の利益を不当に害さず、構成事業者にその遵守を強制しないものである限り原則として独占禁止法上問題ないとの考え方を明らかにしておりまして、従来から事業者団体からの相談に対しましてはこの考え方に即しました回答を行っているところでございます。
 したがいまして、御質問のような、団体が労働時間の短縮を推進するために会員の休業日や営業時間について話し合って基準を設けたといたしましても、需要者の利用を不当に害さず、かつ会員にその遵守を強制しないものであれば独禁法上問題にならないという考え方をとっております。
 二つ目の、例えば一定の業種の商店等が時短推進のために一斉に休業日を申し合わせる場合はどうかという御質問の点でございますが、これにつきましても同様な考え方でございます。
#65
○池端委員 これからもいろいろなケースが想定されると思いますけれども、やはり時間短縮を進めるというのはもう国全体としての課題としてやっているわけでありますから、そういう立場を十分配慮してこれから運用に当たっていただきたいということを申し上げておきます。
 そこで、時間も残り少なくなりましたけれども、条文に即して一、二お尋ねをしてまいりたいと思います。
 まず、この法案の第四条で、国は労働時間短縮計画を策定する、こういうふうになっております。その二項の二号で「労働時間の短縮の目標に関する事項」というのがございますが、当然ながら、この「労働時間の短縮の目標に関する事項」では、四十時間法制、総労働時間千八百時間の達成時期、完全週休二日制の達成時期、年次有給休暇の付与日数の増加と完全取得、長期連続休暇制度の導入、時間外労働の年平均百五十時間程度への削減、こういった具体的目標が明確に入るもの、このように理解をいたしておりますが、それでよろしいかどうか、その点についてお答えをいただきたいと同時に、この労働時間短縮計画は閣議決定されるものでありますけれども、これはいつごろ計画を策定する予定なのか、その点についてもお尋ねをいたしたいと思います。
#66
○佐藤(勝)政府委員 労働時間短縮推進計画につきましては、現在経済企画庁の方で作業をされております経済計画の内容も踏まえる必要がございますが、こういったものの内容を踏まえまして、一定期間内に達成すべき目標として、年間総実労働時間あるいは週四十時間労働制の早期実現といったものを掲げることを考えておりますけれども、具体的にどういう内容になるかということにつきましては、法律が成立をいたしまして施行されました暁に、中央労働基準審議会の意見も聞いた上で具体的には固めてまいりたいというふうに考えております。
 いつこの作成をするのか、こういうことでございますけれども、これは当然企画庁の方の経済計画の策定時期あるいはこの法案の成立後の施行日程にもよるわけでございますけれども、いずれにしましても、経済計画が策定されました後に、それと調和するようにできるだけ早く策定をしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#67
○池端委員 第八条の労働時間短縮実施計画の承認の問題についてお尋ねをしたいわけであります。
 この承認について、原案では、同一の業種に属する二以上の事業主が共同して労働時間短縮実施計画を作成し、これを提出して承認を受けることができる、こういうふうにされておるわけでございます。
 私どもは、これはやはり労使対等の立場に立って考えていくべきではないか、時短実施計画の提出が事業主または事業主団体だけに限定されている、これはおかしいのではないか、これについても、労働組合にもこの計画の提出権を、提出を行わすべきである、そういうことを当然認めることが労使対等の立場に立った考え方ではないか、こういうふうに考えておるわけでありまして、ここは極めて大きな問題であります。
 この点については私どもはぜひ法案の修正を求めていきたい、こういうふうにも考えておるわけでございますので、この点についての明確な答弁をお願いしたい。
#68
○佐藤(勝)政府委員 労働時間短縮の問題につきましては、労使対等の原則から、労使の間で十分に話し合いを行うことが重要であるという認識は十分持っておるわけでございます。
 この法案の中にも、事業場内で労働時間短縮の問題を話し合う場の設置というようなことの規定もございますけれども、この労働時間短縮実施計画につきましては、その内容が労働時間短縮のために経営事項その他事業主が実施をしようとする措置に関する計画でございますので、その実行に直接責任を持ちます事業主を計画の策定に当たる者として申し出の主体としている、こういう意味でございます。
 労働組合の申し出につきましては、計画をみずからの責任において直接実施するという立場とは違うわけでございますので、そういう立場での計画の策定、申し出ということになりますと、この計画の物の考え方、理屈からしてこれはちょっと難しいのではないか、かように考えているところでございます。
#69
○池端委員 難しいのではないかというのはどうも私にはわからないわけでありますが、この時短というのは、やはり労使双方が積極的に協力し推進をしなければならないもので、単に事業主なりその団体の立場でやるというものではないのであります。したがって、私どもは、申請者が労働組合である場合には、当該事業主ないしは事業主団体の意見を聞くということも、これは当然うたっていい問題だ、こういうふうに考えております。やはり労使が対等の立場で対処するということは重要なことでございますので、この点については、委員長、ぜひ理事会でよく御協議をいただきたいということを私、委員長にお願いしておきます。
 そこで、次に、これは中央労働基準審議会の建議にもございますが、計画の策定に当たって関係労使の話し合いが行われることが重要である、さらに、計画の承認に当たっては関係労働組合または関係労働者の意見を聞くよう留意する、こういうことがこの建議で明記されているわけであります。
 この留意事項をぜひ私は法の中で明確にしていただきたい、そして、これはまた労使対等の原則を貫いてもらいたい、このように思いますが、この点についてはどうですか。
#70
○佐藤(勝)政府委員 計画の策定に当たりましては、できるだけ関係労働組合等の意見を聞くのが望ましく、また、行政としても審議会の場、この計画は審議会で審議の上承認をするということになるわけでございますが、審議会の場を通じましてできるだけ関係労働組合等の意見を聞くように留意をしてまいる考えでおります。
 こういう点につきましては、先生今一応触れられましたように、審議会の中でもいろんな御意見がございまして、ただ、行政による意見聴取というのを法律上の要件とするということにつきましては、中小企業におきましては労働組合のないところも多い、したがって、法律上の要件にした場合にはこれは厳格な運用が必要だということになるわけで、結局施行上問題が生ずる、実効性にかかわることにもなるのではないかということで適当ではないというふうに考えるところでございますし、また、計画の策定に当たりまして関係労働者の意見聴取を事業主の法律上の義務とするという場合には、やはり関係労働者の代表の適格性の判断について、これを法律でやるということになりますと厳格な運用が要求されるということになりますことから、これまた実効性としていかがなものであろうかというふうに考えておるところでございます。
#71
○近藤国務大臣 ただいま基準局長から御説明をいたさせましたけれども、労働時間短縮というものを現実に実行するのは個々の企業でございますね。ですから、個々の企業のいわば経営政策、そして労務管理政策、生産計画等々というものを踏まえながら現実的な労働時間短縮計画を詰めるわけでありますから、その過程の中で、当然その企業内の労働組合の方、また労働組合のない場合には労働者代表の方々の御意見も聞きながらそういった計画をつくっていくわけでございますけれども、最終的には企業の責任において、そのマネージメント責任で行う、そういうことでございますので、先生のお気持ちもわからないじゃないわけでありますけれども、これは最終的には経営の責任において決めさせていただく、こういう形をとらせていただいているわけでございます。
#72
○池端委員 労働大臣は私の気持ちはよくわかってもらっているようでございますが、その気持ちをわかったのをひとつ素直に法案の中に書いてもらいたい。これはそんな重大な法律の基本に触れるような問題ではない、私はこう思うんです。労使対等の原則をこの法の中に盛り込むという立場からも、これについてもぜひ御検討をお願いをしたい。委員長に申し上げておきます。
#73
○近藤国務大臣 先生のお言葉でございますけれども、繰り返し申しますけれども、その具体的な時短計画というものは企業の責任において行うことでございますから、その中ではいろいろ労働者の代表の人の意見も十分に聞きますし、その実行に当たっていろいろ協議をしていく、また、協力を求めるということは当然のことでございますが、最終的責任の所在はそのマネージメントでやらせていただきたい、こういうことでございます。
#74
○池端委員 それでは時間もそろそろ終わりに近づきましたので、最後に、私は林野庁と労働省に林業労働者の労働基準法適用の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 林業労働力の現状は、御案内のように、減少と高齢化が進んでおります。極めて憂慮すべき実態にございます。とりわけ、一九九一年の林業労働への就業者は、新規学卒者で全国でわずかに百八十三人、そのうち国有林の就業者は約百人という本当に大変な状況でございます。
 こういう状況に立って、一九九〇年十二月十七日の林政審議会の答申では、今後の労働力を確保するため、民間林業労働者への労基法の完全適用や月給制に向けた対策を含め、少なくとも他産業並みの労働条件が確保されるよう、緊急かつ効果的に講じていく必要がある、こういう答申が出されておるわけでございますが、これについて林野庁はどのようにお考えになって、また、この労基法の適用の問題について労働省とどのような協議をされているか、お尋ねをいたしたいと思うのです。
#75
○関川説明員 先生が御指摘のとおり、林業労働力につきましては減少化あるいは高齢化が著しいわけでございまして、その育成確保を図るということは重要でございます。そのためには、林業事業体の体質強化でございますとか機械化作業を進めるとともに、労働時間、休日の明確化あるいは適正化を含めました林業従事者の就労条件を改善することが重要な課題となっております。
 一方、林業につきましては、労働基準法のうち労働時間、休憩及び休日に関する事項が適用除外となっておりますが、林業従事者につきまして他産業と同程度の就労条件を実現する、そのためには、労働基準法を全面的に適用できるように条件を整備することが重要な課題であると私ども認識しておる次第でございます。
 このため、林野庁といたしましては、森林組合の合併等によります林業事業体の経営基盤の強化、雨降り時の就業対策等の各般の施策を進めてきているところであります。今後さらに関係団体等の意向も聞きつつ、労働省とも十分に御相談をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#76
○池端委員 この点について、労働省はどういうふうに対応されるお考えですか。
#77
○佐藤(勝)政府委員 ただいま御質問あるいは林野庁からの御答弁がありましたように、林業労働者につきましては、労働基準法の規定のうち労働時間、休日、休憩の規定が適用除外になっておるわけでございます。これはもちろん仕事の性質上、林業だけではございませんで農林水産業に共通しているわけでございますが、いわゆる自然条件に作業が左右されるということからそういうことになっているわけで、外国にもそういう例が多いわけでございます。しかしながら、社会全体として労働時間の短縮が進む、あるいは労働条件の向上が求められるという中で、林業労働者につきましてもこういう点の改善を図っていくということが重要であるということは、私どもとしても十分な認識をいたしております。
 そういうことで、現在中央労働基準審議会で行っております労働基準法の見直しの中では、この林業に対します労働時間等の規定の適用の問題も含めまして検討をお願いしているところでございますけれども、先ほど申しましたように、現在これらの労働時間等の規定が外されていることにつきましては当初それなりの理由があったわけで、やはり私どもとしてはそういうものが適用できるような条件整備が必要だとも思います。それから実態がどうなっているかということをもとにしての検討も必要でございますので、ことしの五月、六月にかけまして林業も含めましてひとつ実態調査を実施をいたしまして、その結果に基づいてまた具体的な審議をいただきたい、かように考えておるところでございます。
#78
○池端委員 一時間余にわたってお尋ねをしてきたわけでございますが、この法案につきましては、いろいろな方面からいろいろな御意見が出ておるわけであります。この法案では時短実現の効果はほとんど期待できない、あるいは時限立法でこのような重大な労基法の改正を行うべきではない、労使対等の原則というものをこれは否認する立場である、あるいは労働組合の労働の交渉の権限を弱体化するおそれのあるものだというような御意見等もあるわけでありまして、十分この点については配慮をしていかなければならないと私も思うわけであります。
 しかし、今日、時間短縮というものは本当にもう緊急にして重要な国民的な課題であります。このことの一日も早い実現、達成というものは国民ひとしく願っておるところでありますから、これは政労使、全国民挙げてこの喫緊の課題に取り組んでいかなければならない、こう思うわけでありまして、労働大臣はさらにふんどしを締め直すと言われた、二回も言われたのでありますから、ぜひさらに決意を新たにして時短問題に取り組んでもらいたいということを強く要望申し上げて、私の質問を終わります。
#79
○川崎委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五分開議
#80
○川崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。岡崎宏美君。
#81
○岡崎(宏)委員 午前中の池端議員に引き続きまして質問をさせていただきます。
 その前に、きょうのこの労働時間の短縮を進めよう、どうやって進めていこうかという論議は、きょう、そしてこの委員会ではもう日程も組まれているわけですけれども、本当に鳴り物入りで生活大国をどう進めようか、そんなふうにみんなが構えている課題でございますので、みずから委員会が非常に寂しい状態の中で本来審議がされるということはやはりおかしいのではないか。過労死と隣り合わせで働いている人あるいは本当に心から時短を願っている働く人たちがこの場にもしもおいでになったらと、そういうこともふと思いますので、これからは本当に意識の改革もいろいろな立場の人たちが進めていかなければ、時短というものも進まないと思いますので、委員会がそういう非常に熱心な論議の場になるように、これはお互いに心がけていくということで一言申し上げておきたいと思います。
 そういう立場できょうは質問をさせていただきたいと思いますが、労働時間の短縮を考える、このことに当たりまして、私は、人が働いているということ、人間が人間として暮らしていくために必要なことであるということ、これを抜きに語れないと思います。経済の情勢によって人が人らしくあるための条件が左右されていくというふうなことがあれば、これは本当に困るわけですから、このことをまず最初に申し上げておきたいと思います。
 特に、時間の短縮を考えていくときに、私たちは一日の一人の人間の生活ということを頭に置かなければならないと思いますし、もともとメーデーの起源にもなりました八時間労働の要求というものも、働く時間あるいは睡眠や食事という人間の生理的な部分に必要な時間、それから文化的、社会的な時間、これは人間の生活の大事なバランスの部分だと思うわけですが、このバランスを崩さない、この考え方に立っていると思うわけです。今の社会が進んでいく中で求められているのは、八、八、八のこの三等分のバランスを、休息のための時間、生理的に必要な時間、あるいは文化的、社会的な時間の方にどれだけ働く部分を移していくのか、それが結局は生活大国の中身であったり、ゆとりが実感できる、豊かさが実感できるということになってくると思うわけですけれども、ここにかかっていると思います。
 特に、家庭責任を持つ人、家庭責任を有する労働者というのは、これはもう一日を単位に家族責任を果たしていかなければなりません。このために、労働時間の短縮についても、一日を単位とする時間短縮ということ、これが最も大切だと思います。ILOの百五十六号条約でも、仕事と家庭の両立ということが図られるように、これはもうはっきり記されているところですし、この基本的な考え方に対して、まず大臣からお考えをお聞きをしたいと思います。
#82
○近藤国務大臣 先生から御指摘がございましたILO百五十六号条約におきましても、「家族的責任を有する者であって就業しているもの又は就業を希望するものが、差別待遇を受けることなく、また、できる限り就業に係る責任と家族的責任とが相反することとなることなく就業する権利を行使することができるようにすることを国の政策の目的とする。」と規定してございますが、まさに私たちこれから労働行政の大きな課題は、就業の態様と家庭的な責任というものをどういうふうに調和するかということが大きな課題でございます。
 そういう線でいろいろ考えてございますから、通常の場合に、おっしゃるように、一日単位の時間短縮というものが大切であるという御指摘については十分理解できることでございますが、同時に、労働の需要の側と労働の供給の側で、一日単位でお互いの要請といいますか条件がうまくマッチする場合もあれば、また、人によってはむしろある程度一日まとめて仕事をして次に休むというような形の労働の供給のあり方と、それから今度は労働を需要するいわば企業の立場の需要と、むしろそういう方でマッチするということもそれはあり得るわけでございます。私は、これからの就業形態というのはいろんな形があっていい、労働を供給する側と需要する側のまさに調整、調合という問題もございます。
 ただ、一つの基本的なありようとして、労働時間というものを一日単位で考えていって、したがって、時短も一日単位でいくということは十分配慮すべき就業の形態であり労働時間のありようである、私はこういうふうに理解をしております。
#83
○岡崎(宏)委員 確かに、例えば人の命を預かる職場は二十四時間その体制を持っておかないといけませんし、そこに働く人が夜も働いているということは私も否定をするものではないわけです。
 けれども、人の本来の、生身の人間のリズムから考えますと、例えば寝だめを三日ぐらいすればあと三日ぐらい起きたまま仕事ができるかというとそうはいきませんし、子供を育てているお父さん、お母さんからいえば、お父さん、お母さんの働き方はどうあれ、子供は朝決まった時間に起きて決まった時間に保育園や学校に行って、そして夕方には帰ってきてきちんと食事もしなければいけないし、子供は成長する過程で夜更かしはよくないということもあるわけです。こういう生活のリズムというものはきちんとつくっていかなければいけないわけですね。
 家庭責任を有する労働者がなぜ今働く場にそこを配慮することを求めているかというと、結局そういう子供たちのことも含めてやはり一日の人間の生活の単位というものを崩してはならないということが言われるわけで、これをILOの条約にはっきり書いてあるということですね。
 このことを大臣がいろんな状況があるしいろんな働き方があるということで包んでいかれてしまいますといろんな働き方がある中でも、それでもなおかつ家庭責任を有する労働者というのは男であれ女であれそういう配慮が必要だ、このことを強調していただかないと、これからお父さん、お母さんたちは仕事と家庭を両立する際に大変な困難があるということを申し上げておきたいと思いますし、当然そのことを配慮していただいた上で、十分配慮をするというお答えだったというふうに受けとめたいと思います。
    〔委員長退席、永井委員長代理着席〕
 そこで、労働時間の短縮を進めるということで、例えば前回の労働基準法の改正にいたしましても、弾力的な方法あるいは段階的に目標を設定していく、いろいろな方法がとられました。その方法によって労働時間の短縮は大きく進んだのか、あるいは今回の時限立法が提案されているわけですけれども、この法案で大きく踏み出していくことができるのか、そのあたりを頭に置きながらお尋ねをしていきたいと思います。
 まず、前回の労働基準法改正後を中心に置いて、時間外労働の推移についてお尋ねをしたいと思います。どうなっているでしょうか。
#84
○井上説明員 昭和六十三年以降の所定外労働時間の状況でございますが、昭和六十三年が百八十八時間でございまして、それ以後、元年が百八十八時間、二年が百八十五時間という状況でございまして、平成三年度につきましては百六十九時間というふうな状況でございます。
#85
○岡崎(宏)委員 これは午前中の池端議員も実は指摘をされていたわけですけれども、前回の労働基準法の改正審議の際に、当時の労働大臣が目標を十分に達成できるというふうにおっしゃった言葉を引用されておいででした。特にその言葉の中で、所定外の労働時間というものも縮小の傾向で推移をする、その時点でそういう予測をされて、だから計画が達成できるというふうにもおっしゃっておられるわけです。
 しかし、その後の推移というのは、今もお答えいただきましたけれども、目に見えて大きく時間外労働が縮小されたということではないわけですし、これは労働省の方も随分統計もとっておられるようですが、むしろ大企業と言われる大きな規模のところではこの所定外が伸びている、こういう結果もあるというふうに思っております。
 ことしの三月に時間外・休日労働調査結果、これは労働時間課から発表されていると思うのですけれども、一昨日の日経新聞のトップでは時間外労働協定に関する指針改定のことが報道されていたわけですが、そのガイドラインを作成していくための基礎資料ということでことしの三月に発表されています。それによる時間外・休日労働の現状というのはどういうふうになっているのでしょうか。
#86
○井上説明員 この三月の調査でございますが、これは三六協定で届けていただく場合の時間外の目安を定めているものでございますが、それに関します調査でございますと、年間の目安の労働時間が平成元年に追加されたという事情がございまして、年間単位の時間外労働の協定を締結している事業所が前回の四・二%から今回の調査では五五・九%と非常に多くなっているところでございます。また、協定されました延長時間の実態を見ますと目安時間に接近しました延長時間を定めるものが多い状況にございまして、一月単位の目安の場合ですと四十五時間を超え五十時間以下のものが四五・九%、年間で見ますと四百時間を超え四百五十時間以下のものが四七・六%というような状況でございます。
#87
○岡崎(宏)委員 今報告をいただいたように、現行のガイドラインの上限ぎりぎりのところですね。一週間を単位で見ても一カ月を単位で見ても一年を単位で見ても、実は上限ぎりぎりのところにほとんどの企業が集中をしているということが出ているわけなんです。これは本当に申しわけない言い方ですが、お世辞にも時間外が短縮に向かって進んでいるとは言いがたいのではないか、そんなふうに思うのですけれども、一体こういうふうな集中した数字が出てきた原因というのはどこにあるというふうに分析をしていらっしゃいますか。
#88
○井上説明員 目安の労働時間の協定でございますが、これは先生御承知のように、企業内における時間外について最高の基準を労使が協定するという性質のものでございまして、どうしても労使が企業内で話し合う場合には、安全といいますかゆとりを持ったという形で目安のぎりぎり、限度いっぱいで定める傾向が強いというような状況でございます。
 ちなみに、前回の改定で一年四百五十時間というようなものが新たに設けられましたので、今回の調査で見ますと、その四百五十時間ぎりぎりのところで安全性を見込んで労使が協定しているというような実情がこういう数字に反映しているというように考えでございます。
#89
○岡崎(宏)委員 安全性を見込んでというその一言は、実際、現場の感覚からいきますと、労働省の方にはもっともっと現場を見ていただきたいなと私思うわけです。
 ところで、そのおとといの新聞によりますと、結局このガイドラインの改正をするに当たって、今の上限は年間でいうと四百五十時間ですが、その二、三割程度短縮をするという方向が検討されているように書いてあるわけですね、もう見出しのトップであったわけですけれども。この報道についていかがでしょうか、そういう検討がされているわけでしょうか。
#90
○佐藤(勝)政府委員 時間外協定の限度時間の目安の検討を、現在、中央労働基準審議会にお願いしていることは事実でございますけれども、ただ、今先生引用されました新聞で大きな見出しで二、三割という具体的な数字が出ておりました件につきましては、私どもとしては実は承知をしていないわけでございます。
#91
○岡崎(宏)委員 新聞に書いてあることはうそだったのでしょうか。実は私は二、三割でいいというふうには思っておりませんので、そういう意味で違うのならば結構なことだと思いますけれども……。
 ただ、この調査結果からも、先ほども申し上げておりますように、ガイドラインの上限に協定は集中をしている、しかも、大きな企業ほどその傾向が非常に強いということがわかるわけですね。そうすると、さっきなぜそこに集中するかという分析をなさったように、結局ガイドラインの上限まではやっていい、そこをやっている限りは大丈夫なんだ、こういう感覚があるという、そのとおりだと思います。
 そうすれば、この時間外をいかに短縮するかということを本気で考えれば、この上限のラインはうんと低くしていかないと、もうほとんどの企業はちょっとでも高いところ、ちょっとでも高いところというふうにいくわけですから、これは人間が暮らすということからいくと、二、三割などと言わないで、ぜひ私は大幅な短縮をしていただきたいというふうに思うのです。
 前回の労基法の改正の審議のところででも、特にこの時間外・休日労働の法的規制については、少なくとも三年後の見直しのときまでにこれをどういうふうに実施するか検討すべきだ、いろいろな追及があったわけです。それに対して、時間外労働の短縮については、今後さらに年間の時間外労働時間数の限度を含む新しい時間外労働協定指針によってその遵守の徹底を図るとともに、御趣旨も踏まえ引き続き有効な規制方法について検討する、これはそのときの労働大臣が答えていらっしゃるわけです。有効な規制の方法ということを追求するなら、ぜひこの上限は思い切った削減をしていくべきであるというふうに思います。
 この点について、当時の大臣はそういうふうに答えているわけですが、さらに状況が整ってきつつある今の大臣からぜひ御決意をお伺いしたいと思います。
#92
○近藤国務大臣 時間外労働の短縮につきましては、まず実施のための指針を労働省としてつくって、この趣旨に沿ってやっていただきたいとお願いしているわけでございますけれども、これは現実に実行していただけないと困りますので、そこは先生のお話のこともよくわかりますが、実行していただける範囲の中で漸次その指示をさせていただくということではないかなと私は考えております。
 先生御指摘もございましたように、実際我が国の場合にはいろいろな生産調整というものを労働時間の調整でやっている面があるわけでありますので、その時間外労働の短縮ということは即生産の調整、場合によっては、それをカバーするための頭数の確保とか、そういった具体的な経営の措置と並行して進められているわけでございますので、方向としてはそれを縮減するということでございますけれども、実際実行していただける速度というものを見ながら、しかし、我々としては基本的な方向は時間外労働時間の短縮だということを踏まえての措置をこれまでも続けてきましたし、こういうことでございますから、さらに従来よりも一歩進んだ措置は十分考えさせていただきたいと思っておる次第であります。
#93
○岡崎(宏)委員 これは二月かな、ことしの労使関係白書というのでしょうか、日本生産性本部が出した白書の中で、やはり中小企業で残業を減らすには法律で残業を制限しないとだめじゃないかというような見解まで出てきておりまして、確かに時間を短縮するということについてはさまざまな意見がある。立場によってはっきり意見が異なるということも承知をしております。しかし、もうここまで来て、しかも、労基法改正の時点からいえば、目標を少しずつ設定をしながら時間をかけてやってきて、なおかつ達成できないという時点において、やはり労働大臣を先頭にかなり思い切った、一歩を踏み込んだと今おっしゃいましたけれども、私は現実にみんなの目に見える形でぜひ進めていただきたいというふうに、これは重ねて申し上げておきたいと思います。
 その場合に、これから具体的な目標数値というのは出てくるわけですけれども、私は一人の女性で働いてきた、こういう立場からいきますと、今の女性の時間外の制限といいますか枠というのは百五十時間あるわけですね。これがいいのかどうかということについて私は私自身の受けとめ方がありまして、もっと少なくないといけないというふうに思うのです。
 しかし、それはさておきまして、せめて男の人も女性の百五十時間まで上限を抑えていくということが必要ではないのか。男性と女性に差をつけないという事態をつくっていくためにも百五十時間、今の女性の枠、そこまで男性を制限をしていく、こういう方向が必要ではないかと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
#94
○佐藤(勝)政府委員 現在の計画では、年間総実労働時間千八百時間というのが一つの目標になっているわけで、その内容の一つに所定外労働時間が年間百五十時間程度というのがございます。これは平均でございますけれども、実態は御承知のように平成三年度で百六十九時間ということでございます。
 それで、本来所定外労働というのは臨時、緊急の場合にのみなされるのが原則であるということでございますけれども、率直に言ってそういう認識は非常に乏しい。率直に言いまして恒常的な残業、休日労働が行われている実態がかなりあるということが一つございますが、また一方におきまして、先ほど大臣も申し上げましたけれども、日本の場合に景気が悪くなってもできるだけ解雇しないということの半面、忙しくなったときに人をふやすよりは時間でカバーをするという面もございますから、そういう両面を考えてどの辺で調和をさせるかというのは大変難しい問題でございます。
 今先生がおっしゃいました女子の百五十時間という上限に男子も近づけるべしということでございますが、平均で百六十九時間というのは、御承知のように女子が百五十時間よりずっと少ないところで男子はそれよりずっと多いところで、その平均が百六十九時間ということになっているわけですから、これを男子も百五十時間までというのは、先ほど申しました千八百時間の内容からしても、そこが究極の目標であるにしましても、実態としてすぐにそこに持っていくということは、これまたなかなか現実の問題としては困難な問題であろうと思います。
 しかし、男女合わせて平均で百五十時間ぐらいにしないと千八百時間が達成をしないということはそのとおりでございますので、できるだけそこに近づけるような努力をいたしたいというふうに思っております。
#95
○岡崎(宏)委員 現状がなかなか難しいというのは必ず出てくるお答えではありますけれども、しかし、さっきも大臣にお答えいただいたように、男性であれ女性であれ、例えば家庭責任を有する労働者が本当に仕事と家庭と両立をさせていこうとすれば、ここを乗り越えられないと現実にはできないということですから、ぜひこの上限は近づけていっていただくようにお願いをしたいと思います。
 それで、先ほども時間外が恒常的だというふうにおっしゃっているわけですが、何でそうなってしまったのでしょうか。その原因と、どうやって減らしていくのか、その具体的な方策についてお示しをいただきたいと思います。
#96
○井上説明員 所定外労働時間の問題で先ほども御説明申し上げましたが、やはり日本の雇用体系という面を考えますと、景気の繁閑に応じて企業としてはどうしても雇用量よりもむしろ残業の時間で調整するという傾向がございます。そういうことを反映いたしまして、企業としては雇用量をできるだけ維持するという観点から、所定外労働時間の一定量といいますか恒常的な量をどうしても企業の生産計画で考えるというのが実情ではないかというふうに考えてございます。
 ただ、残業の問題は、先ほど局長もお答えいたしましたように、恒常的というより緊急かつ臨時、そういう性質のものでございますので、できるだけその水準が低いことが望ましいと我々も考えでございます。
 そういう意味で、所定外労働時間の削減に対しましては、私どもといたしましては、先ほどもお話が出でございますが所定外労働時間削減要綱等をつくりまして、ここで年間の所定外労働時間の一割削減とかサービス残業の廃止、休日労働の廃止等を呼びかけているわけでございます。また、時間外の労働協定、目安に関しましても、現在、中央労働基準審議会にその検討についてお願いしているところでございまして、私どもといたしましては、その結論を早急にいただきまして所定外労働時間の削減に努力してまいりたいというように考えでございます。
#97
○岡崎(宏)委員 審議会で論議をされるそのたたき台は労働省が積極的に出していかれるということでございましたから、ぜひ注目をしていきたいと思いますけれども、その時間外を短縮させる一つの方法として割り増し賃金、これがあるんじゃないかというふうに思います。
 この問題はもう過去にも何度も論議が行われてきているわけですが、現行は二五%の割り増しである。しかし、労働省御自身が出されております、少し古くなりますが、昭和六十年の労働白書では、所定外賃金の割り増し率を六二・九%にしたときに初めて、「追加的採用による業務の遂行と所定外労働による業務の遂行に係る労働費用は同一となる。」六二・九%の割り増しで、そこを超えて初めて人一人雇うより高くなるんだというふうに出していらっしゃるわけですね。
 割り増し率が低ければ、これはもう雇う企業にとってみれば悩むことなく、コストが安い方といいますか所定外の労働の方を利用するというのははっきりしているわけでして、やはりここをさわらないことには時間外というのは減少はしないのではないかというふうに思いますが、この割り増し率の大幅な引き上げを私は望むわけですが、いかがお考えでしょうか。
#98
○井上説明員 時間外労働の割り増し賃金率の問題でございますが、これにつきましては、先生御指摘のようにいろいろな意見がございます。
 例えば、先ほども御指摘になりましたように、割り増し賃金率を引き上げることによりまして事業主の負担が増加する、これが時間外労働の抑制効果に働くのではないかという意見もございます。また、時間単価がアップすることによりまして、時間外労働が削減した場合の労働者の収入減をカバーするという意見もございます。また、国際的に見ても、欧米諸国の実態と比べるとかなり低いという指摘もございます。また一方では、割り増し賃金の引き上げはコストアップにつながるということで、時短自体のコストアップとダブルになりまして中小企業等を中心にかなりの負担を与えるのではないかという意見もございます。また、これは現場の労働者で収入増に誘発されまして時間外労働を好むというような傾向もあるんではないかというようなことも指摘されてございます。
 といいますように、割り増し賃金率については今いろんな議論がございますが、先ほども申し上げてございますが、中央労働基準審議会で、現在、労働時間法制全般について検討されてございますが、その中の重要な項目としていろいろ議論されてございます。私どもといたしましては、この審議会の結論を早急にいただいて所要の処置を講じたいというように考えでございます。
#99
○岡崎(宏)委員 現状をそのままの形で認めていくと何だか悪い繰り返しをしていく以外にないんですけれども、例えば働いている人も実は黙ってこれを受け入れているわけではありません。一番いいのは、働く時間も短くなり、そして、例えば賃金もその単価が上がっていくということだろうと思いますし、また、それがうまく滑り出せば、人手不足というふうに言われているけれども、人間はやっぱり正直ですから、物すごい長い時間働くところと適度な労働時間であるところとあれば、適度な労働時間のところに行きたいし、賃金だってそうです。だから人手不足も解消されていくわけで、現状を固定したまま追認をしていくという姿勢で物事を見ていくと、これは私は労働省としてはなかなか前向きにはいかないのではないかなというふうにも思います。
 ところで、昨年の九月に京都の労基局、それからことしの一月に東京の労基局が金融機関に立入調査を実施をされましたね。そこで把握されました実態、それから、その後監督指導された内容について御報告をいただきたいと思います。
#100
○佐藤(勝)政府委員 昨年労働基準局、具体的には京都と東京の労働基準局で銀行の立入調査を行いました。
 平成三年度でございますが、東京につきましては都内の金融機関十二行八十店に対して監督指導を実施をいたしました。この結果、臨検監督を実施した今申しました八十事業場のうち六八%に当たります五十四事業場で、労働基準法、労働安全衛生法に関して何らかの法違反が認められました。その違反の主な内訳を見ますと、労働時間に関する違反が一六%、時間外労働の割り増し賃金に関する違反が三五%、それから就業規則の変更届に関する違反が一五%等でございます。
 それから、京都の場合でございますが、これも平成三年度でございますけれども、金融機関を監督指導の対象といたしましたが、管内の金融機関五十九事業場に対して監督指導を実施した結果、臨検監督を実施いたしました五十九の事業場のうち、十一事業場において労働基準法に定める労働時間あるいは時間外労働に関する法律違反が認められた。また、二つの事業場におきまして女子の深夜業にかかわる法違反が認められたところでございます。
 法違反の認められたところには直ちに是正勧告をいたしまして、その後是正勧告に対しての処置の報告を徴するわけでございますが、是正勧告をしたものにつきましては、是正されたというふうに理解をいたしております。
#101
○岡崎(宏)委員 是正勧告の中身を少し御報告いただけませんか。
#102
○佐藤(勝)政府委員 個々の是正勧告の中身、一つ一つの例についてここに持っておりませんけれども、例えば割り増し賃金が払われていないという事例を発見すれば支払えという是正勧告をいたしますし、あるいは就業規則が適正に作成され届け出られていないものがあれば直ちに是正をさせるということで、具体的な法違反の内容に即しましてこれを是正する、ちょっと言葉の繰り返しみたいになりますけれども、そういう指導をいたしておるわけでございます。
#103
○岡崎(宏)委員 その結果、できているだろうとさっきお話があったのですが、具体的に詰めができましたでしょうか。
#104
○佐藤(勝)政府委員 是正勧告をいたしましたものにつきましては、その是正勧告に対してどういう処置をしたかという報告をとりますので、その報告の内容で判断をいたしますので、報告が出ていないということ、あるいはその処置がとられていないということがわかりますれば再監督ということもあり得るわけで、そういう方法によって、法違反が発見されたものを直していくという方法をとっておるわけでございます。
#105
○岡崎(宏)委員 ちょっとくどくお尋ねして申しわけないのですけれども、違反を見つけた、そして是正勧告をした、そこまででもかなり行政としては仕事としてされているわけですが、本当に是正というか、今後再び違反状態を起こさないというふうにしていこうと思えば、例えば割り増しの賃金にしても、結局払われていなかったということも含まれての三五%というふうな数字があると思うのです。きちんとさかのぼって払うとか払わせるということ、一つ一つを押さえていかないときちんとした是正につながらないのではないか、同じことが繰り返される心配があるのではないかというふうに思いますので、これは次の機会でも結構ですから、最終的に是正勧告をしたところについてどういう結果になったのか、ぜひ御報告をいただきたいと思います。
#106
○佐藤(勝)政府委員 労働基準監督機関が法違反を確認したと言う場合には、これは具体的にどの時期について、だれについて、幾らの不払いがあるということを確認したものを法違反を確認した、こう言うわけでございます。
 ただ、先生は具体的な事例についての説明を御希望でございますので、またいずれ機会がありましたら幾つかの個別のケースについて御報告をすることといたしたいと思います。
#107
○岡崎(宏)委員 ぜひお願いいたします。
 関連をいたしますが、サービス残業ということも指摘をされているわけです。
 これは昨年暮れに出ているエコノミストですけれども、一橋大学の小野教授、この方が、労働時間の総計は労働省は事業所単位で調査した毎月勤労統計、総務庁は働いた個人のレベルで調査をした労働力調査、この数字に実は差があって、大ざっぱに言って事業所の労働時間と個人のそれとの差がサービス労働になっているのだ、こういう一つの指摘をされているのです。それによると、ざっと年間二百時間がサービス残業になるのじゃないかという一つの指摘でありますが、これについてはどんなような見解をお持ちになりますか。
#108
○佐藤(勝)政府委員 小野教授がそういう論文をある雑誌に発表されましたのは私も読んでおりますし、よくそういう議論がなされるわけですが、私どもは普通、労働時間の統計という場合には毎月勤労統計調査の数字を使っておりまして、これは御承知のように毎月の調査を事業所でやっているわけでございます。一方小野先生の、これは就業基本調査でしょうか、もう一つの統計の方は毎月月末の一週間の労働時間を世帯の方で調査をしているというものでございますから、年間の数字を出される場合に、恐らく毎月の最後の一週間の分を引き伸ばして年間の数字を出しておられると思います。したがいまして、月末一週間のものを年間に引き伸ばすというところでちょっと違いが出てくるというようなこと、それから、通常月末というのは忙しい時期であるということがございます。それから、事業所の場合には適正に調査をする限り、実際の労働時間が報告をされるような仕組みになっているわけですけれども、世帯調査の場合には、労働時間に属するかどうかは別として、とにかく事業所にいた時間を書くというようなこともあり得るわけで、私どもとしては、労働時間を把握をする統計としては毎月勤労統計の方が適当であろう、こういうふうに考えております。
 ただ、統計によっていろいろ差がありますけれども、その差につきましては、どういうことからそういう差が出てくるかという分析を常に加えまして、出てくる数字の内容につきましては十分いろいろな点から考慮していきますけれども、現在の労働時間統計の数字については、今申しましたような考え方で使っておるわけでございます。
#109
○岡崎(宏)委員 労働省は毎年定期監督等実施状況、法違反状況というのを出しておられますね。この調査の結果、多分労働時間に関する違反の状況がかなりのウエートを占めているというふうに承知しているのですが、これはどうでしょうか。
#110
○佐藤(勝)政府委員 労働基準監督機関が定期監督を行う場合は、一つの重点は労働時間の関係ということになるわけでございますけれども、最近の状況を申し上げますと、現在、年間単位で出ております一番新しいものが平成二年でございますが、定期監督を実施をいたしました事業場数が全体で十五万六千四百件ほどでございます。そのうち、労働基準法等関係法令でございますが、何らかの法違反が認められた事業場が九万余り、率にして五七・七%でございます。その法違反の内訳を見ますと、男子の労働時間に関するものが一万九千三百件余り、それから、女子の労働時間に関するものが八千六百件余り、それから、年少者の労働時間に関するものが七百件弱、男の休日に関するものが三千百八十件ばかり、それから、同じく女性の休日に関するものが八百九十件強、年少者に関するものが百七十件というぐあいでございます。
 その前の年と比べてみますと、平成元年では何らかの法違反があったというのは五七・八%でございますので、ほとんど平成二年と同じでございます。内訳を見ますと、男子の労働時間に関するものが一万六千六百九十件、女子の労働時間に関するものが八千件余りというような状況でございまして、全体としての法違反は大体同じぐらいの率でございますが、両年にわたりまして労働時間関係だけ拾ってみますと、違反率に若干差がございます。
#111
○岡崎(宏)委員 結局、協定を超えて働かせていたりということが、こういうところに含まれてくると思うのです。ということは、時間外をしてもそれに見合う料金が払われていなかったり、いわゆるサービス残業がこういうところに含まれているということではないかというふうに思います。これが、例えばさっきの統計でいう二百時間であるかないかは別にしても、実際にいろいろなところでサービス残業があるということは、これはもうだれも否定ができないわけです。
 たまたま私が働いておりました兵庫の県の関係の職場で、ちょうど今健康調査とあわせて労働の実態調査を行っている最中なんですけれども、公務員の職場でも、結局大変な時間外、しかも、それに対する手当というものが見合って出ておりませんのでサービス残業をやっている、あるいは、さっきもふろしきだとかフロッピーだとかいう言葉が出てきましたけれども、そういう残業をやっている。それで、返ってくる答えは、忙しくて忙しくて忙しくて、どうしようもなくて持って帰っている。こういうことが出てくるわけですので、統計の中から出てくる数字、労働省御自身がつかんでいらっしゃる数字も含めて、やはりここの部分にぜひ目を向けていただきたいと思います。
 この調査そのものは、定期監督等の実施状況の方ですけれども、この調査の方は、これはすべての事業所を対象にしていらっしゃるんでしょうか。
#112
○佐藤(勝)政府委員 御質問の趣旨をもし間違っておりましたら後で御指摘いただきたいのですが、私が先ほどから申し上げております数字は、労働基準監督官が事務所に入って監督をした際に把握をした数字でございますから、実際に監督をしたものに対応する統計数字ということで、全事業所に対応するものではございません。
#113
○岡崎(宏)委員 わかりました。目を向けていっていただいて、ぜひそういう意味ではきちんとした現状を今後も把握をしていただきたいと思いますし、その上で、現行でさえ守れないところをどうやって改善をしていくのかということを取り組みをいただきたいというふうに思うのです。このサービス残業と言われる部分をなくすためにも所定外、これはまあ法的には違反ではない部分ですが、この所定外の労働時間というものについてきちっとした規制というものをぜひ進めていただきたいというふうに思っております。あえてこれはつけ加えて申し上げておきたいと思います。
 次に、これはもう千八百時間実現の絶対の条件でもあります年次有給休暇の問題について、お尋ねをいたします。
 通産省が出している「ゆとり社会の基本構想」というふうなものを見てみましても、千八百時間達成のパターンとして、年休二十日かつ一〇〇%消化が条件になっております。午前中も少し質問があったわけですが、年休の付与日数、これの推移と現状、そして取得率の推移と現状について、お尋ねをいたします。
#114
○井上説明員 年次有給休暇でございますが、平成二年におきます年次有給休暇の付与日数は十五・五日でございまして、取得日数は八・二日、取得率ではほぼ五〇%で推移してございまして、長期的に見ましても、ほぼこの水準で推移しているところでございます。
#115
○岡崎(宏)委員 付与日数の方もほとんどふえてない、取得率の方も横ばい、決してふえていないという御報告だと思うのですが、何でこういう結果になっているんでしょう。年休は、これは本当に基本的な休暇なんですが、これが消化をできない原因というのは一体何でしょう。
#116
○井上説明員 年次有給休暇の状況でございますが、取得できない理由につきまして調査等を行いますと、例えば、周囲に迷惑がかかるからとか、病気等有事に備えてとか、仕事がたまって後が忙しくなるとか、人手不足の問題とかという答えが多数を占めでございます。そこら辺が年次有給休暇の取得率の上昇を阻んでいる要因ではないかというふうに考えてございます。
    〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
#117
○岡崎(宏)委員 今御報告いただいたように、休んでも後で忙しい、あるいは同僚に迷惑がかかる、病気や急な用事のために残しておくんだ、こういうことなんですが、さっきも申し上げましたけれども、本当にとにかくもう忙しい、忙しくて休めない、これが一番大きな原因だと思います。
 前回の労基法の改正の審議の中でこれも出てきたことですし実際導入されているわけですが、計画年休というふうなことが探られましたね。これは取得率向上の積極策ということで取り入れられたはずなんですが、さっきの御報告を聞きましても、どうも効果の方があらわれていない、計画年休という制度を取り入れても消化の状況は横ばいである。結局、仕事に支障を来さないときに、言いかえたら暇なときを自分で選んで、それでしか計画年休というものも立てられないとしたら、もう毎日忙しくて忙しくて忙しくて、恒常的に所定外の労働もある中で、計画といっても暇なときを選んでしかとれないとしたら、多分暇なときはないわけですから、これは職場の実態を見ていただけば一目瞭然、もう年休をとれないというのがあるんだと思うのです。
 計画年休は、ある意味では何日がまとまってということを念頭に置いて考えられたと思いますが、休みたいとき、例えば、私たちは子供がいて、一つの家庭を持っていて、家族で何日かそれでは泳ぎにでも行きましょうかということになりますと、これは子供の夏休みでしかとることはできません。ところが職場の方は、ある職場では夏は猛烈に忙しい、そこにみんなが休みたいというふうなことになると、もう一斉休業以外にはないと思うのですが、実は休みたいときイコール休めないときになってしまっている現状もある。結局は企業の方の、仕事の方の都合でとる計画というのは、労働者にはほとんどその恩恵がないというふうに言えると思います。
 ただ、計画ということで考えたときに、これは非常に古い話になりますが、労基法の旧の施行規則の中で、「使用者は、法第三十九条の規定による年次有給休暇について、継続一年間の期間満了後、直ちに労働者が請求すべき時季を聴かなければならない。但し、使用者は、期間満了前においても、年次有給休暇を与えることができる。」というふうにありました。例えば、年の初めに、ことし一年間でとりたい時季というのは、これは労働者の都合でとりたい時季というのを請求をする。使用者の方はそれが例えば夏に集中するとしたら、その時期は、じゃ会社を一斉休業をしようとかそういう手だてをとる。とりたいときに本当に休める体制を整えなければいけないというふうにしていけばかなりこの消化率は上がるのではないか、こんなふうにも思うのですが、いかがでしょうか。
#118
○井上説明員 御指摘のように、年次有給休暇の取得につきましては、本人とともに企業の側の体制の整備が必要だというふうに私ども考えるところでございます。
 平成二年四月に、労働時間のゆとり専門家会議というのがございまして、そこで休暇取得促進についていろいろ検討していただきました、連続休暇取得促進要綱というものをつくっていただきまして、それをもとに私どもいろいろPR等に努めているわけでございますが、その中で例えば具体的には、個人別年次有給休暇取得計画表というものを作成いたしまして、計画的に年次有給休暇をとる、そういうことが完全取得になるのではないかというような御指摘もございまして、そういう観点に立ちまして要綱等をつくりまして、計画的な年休取得に向けまして宣伝、PR等に努めているところでございます。
#119
○岡崎(宏)委員 今の現状の中で、例えば今私が提案させていただいたことがそのまますとっと入るかというと、なかなか難しいだろうという状況はわかります。
 けれども、いろいろなときにいつも比較の対象にされる、例えばヨーロッパの先進国はこうこうだからというふうに政府みずからがいつも引き合いに出されるような国の年休のあり方、使われ方というのを見ていくと、そういう意味では非常に企業としても努力がされている。それによって例えばそこの企業がつぶれてしまったというふうなことでは、そういう休暇制度がきちんと歴史を持って進んでいくということがないわけですから、本当に何度も申し上げて恐縮ですけれども、現状がどうかということを一つ押さえるということは、これは大事なことですけれども、現状をいつまでも固定をして物事を考えるということでは本当に前に進みません。思い切ってみんなが年休をとるようになれば、職場の雰囲気は変わります。もちろん変わっていけば、企業は、あそこの企業だけが年休を使わせていくとか絶対使わないということで競争がという心配があっても、みんながそれをするようになればそれこそ横並びというか、横にらみではありませんけれども、これは前進をしていくものと思いますので、ぜひ検討をしていただきたいと思います。
 もう一つとれない理由に、病気だとか急な用事のために残しておくというのがありましたね。これはもう本当に、病気をしたときに休むことができる休暇制度だとか、それから家族が病気をしたその看護・介護をしなければならないというときに休める休暇制度だとかが不備だということと裏表になっていると言わなければなりません。
 これは後でもまたお尋ねもしようと思いますが、私は娘が二人おりまして、今中学生になりましたが、やはり小さいときというのは本当によく病気をします。それも、そろそろ病気になりますという信号を送ってくれるわけではありません。例えば、保育園から帰ってきたらはやりのものにかかった、急に夜中に熱が出るというふうなことで、次の日の朝どうしてもお医者さんに駆け込まないといけない、そういう場面はよくあります。
 結局、そこの時点でどんな形で休むのか。子供の看護のための休暇があればそれを使うことができますけれども、なければ自分の持っている年休を使って休む以外にありません。そうすると、自分の持っている年休というのは、これはもう年間で限りがあるわけですから、そういうことがあったときのためにというふうに、やはり使わなくなっていくものなんです。ぎりぎりになって使おうと思っても余って、ある意味では、やれやれというふうな状況も出てくるわけでして、年次有給休暇が本来の目的のためにみんなが使えるものであるためにも、病気や介護のための所得の保障も私たちは要求をいたしますが、休暇の制度が早く実現をされること、それから年次有給休暇の付与日数そのものをやはりふやしていくこと、また、今いろいろな形で働いている人がいます、短期で働いている人も出てくるわけですが、一年の勤続期間が仮になくても入社をしたら即年次有給休暇が付与される、そういうふうなことが考えられないものでしょうか。そういう手だてをしていくことによって消化率もまた上がると思うのですが、これについていかがでしょうか。
#120
○井上説明員 年次有給休暇の取得促進のために、例えば病気休暇とか介護休暇の問題でございますが、病気休暇といいますのは、年次有給休暇を取得しない理由として病気というのを挙げられますので、そういう面で病気休暇等を設けることは年休の取得促進につながるという面も指摘されるところでございますが、これはなかなか企業の実情等によって状況は異なる面もございますので、一律に規制をするというのはなかなか難しいのではないかというふうに考えてございますが、私どもとしても、そういう一つの手段として病気休暇等についても検討していただくというようなことにつきましても研究しているところでございます。
 また、介護の問題でございますが、介護休暇につきましては、現在の状況を見ますと、平成二年度でございますが、事業所の一三・七%のところで採用しているというふうな形で、かなり普及の動きも見られますので、こういう制度につきまして今後啓発、広報活動等も努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 それからもう一つ、年休の資格要件の問題でございます。これにつきましては、現在では労基法の三十九条によりまして、一年間継続、全労働日の八割以上出勤というふうな条件がございます。この年休の継続要件につきましては、年休の付与が勤続に伴います心身の疲労を回復するという制度本来の趣旨とともに、これまで功労報奨的な要素もあわせ持っていたというふうにも考えてございます。一年の勤続要件をどうするかにつきましては、現在、中央労働基準審議会におきまして年休のあり方に合わせてこれが検討されているところでございまして、早急に結論を得たいというふうに考えてございます。
#121
○岡崎(宏)委員 恐らく諸外国でもこういったような年休のあり方、いろいろな例があると思うのですが、その研究も含めて、変えるべきは発想の転換をするということでぜひ検討を進めていただきたいと思います。
 関連をいたしましてちょっとお尋ねしたいのですが、この四月から育児休業、この制度がスタートいたしました。前の委員会でちょっとお尋ねをして検討も要請したのですが、この年次有給休暇の資格要件にかかわります問題でございます。
 一年間を超える超期間の育児休業をした場合、育児休業の期間というのは欠勤日からも労働日からも除外されておりますので、結果的に一年を超えて休むような場合、年次休暇を休業明けの計算をする場合、ゼロ分のゼロになってイコールゼロ、育児休業明け年休ゼロ、こういう事態が起こり得るということなのですね。
 さっきのお話ではありませんけれども、小さな子供というのは本当によく病気をしてくれます。こういう急な休みを必要とする場合も十分予測されますので、やはり何らかの救済措置が必要だと思うのです。年休ゼロというのは余りにも不安定でございます。ぜひ積極的に検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#122
○佐藤(勝)政府委員 育児休業法がこの四月から実施をされるようになったわけですが、世の中の実態を見てみますと、おっしゃるように一年を超える育児休業制度を持っているところが幾つかございまして、長い場合は三年というふうなところが、私ども承知しているだけでも幾つかあるわけです。
 そういう場合に、今先生おっしゃいましたように、前の年の労働日がないということで、法律上年次有給休暇の資格がないということが現実に起こり得るわけでございます。これは今の法律上はいたし方ないとはいうものの、育児休業明けで年次有給休暇がないということにつきましては、やはり労働者の福祉あるいは育児休業制度の発展のために問題ではないかというふうに思います。
 もとより、基準法上の権利ではなくても、企業でそういう場合に年次有給休暇を与えることはもちろん差し支えないわけでございますし、また、そういうことを労使間で定めることがむしろ望ましいというふうにも考えられますので、労働省としては、今御指摘のありましたようなケースにつきましては、育児休業・ゼロということでなくて、何らかの休暇が与えられるような措置がとられるように、指導するといいますかあるいは啓発するといいますか、何かの方法を考えてみたいと思っております。
#123
○岡崎(宏)委員 ぜひ検討をお願いをいたします。多くの女性がやはりそういう形を待ち望んでいると思いますので、お願いをいたします。
 今まで、時間外の労働あるいはサービス残業など、こういう実情をお尋ねしてきたのですが、女性ということで考えれば、特に均等法以降時間外の制限が緩やかになった、あるいは深夜の制限が緩やかになった、変化がございました。これが今の女性の労働者にどういう影響を与えているのだろうか、実情を教えていただきたいと思います。
#124
○井上説明員 昭和六十一年以降の女子の所定外労働時間の推移の状況でございますが、六十一年以後は、景気の影響もございまして一時増加傾向にございましたが、平成二年以後はこれが減少に転じまして、平成三年には八十二時間というような状況でございます。
 また、産業別には、運輸・通信業や製造業において長く、一方では卸・小売業等で短いというふうな状況でございます。
#125
○岡崎(宏)委員 変形の労働時間というものも実際導入をされた。均等法の論議もそうでしたし、それから前回の労基法の改正の時点もそうですが、特に変形制が導入されるに当たって子供のいる労働者への配慮というものは求められたと思います。妊娠中や産後一年以内の女性労働者が請求した場合には、変形の労働時間制によって一日八時間以上、一週の法定労働時間以上の労働をさせることは禁止をされていると思います、いるはずですね。こういう配慮であるとか、禁止事項というのは十分守られてきたのでしょうか、そのあたりの実情がわかりましたらお教えください。
#126
○井上説明員 変形労働時間制につきましては、これは業務の繁閑に合わせまして労働時間の効率的な配分を行うことによりまして、全体の労働時間の短縮を可能にしようというものでございます。
 ただ、特定の日または週におきまして、通常よりも労働時間が長くなる場合もございまして、特に、長期の変形労働時間制であります三カ月単位の変形労働時間制につきましては、一日十時間及び一週五十二時間の労働時間の限度を定めているところでございます。
 また、労働省令におきまして、変形労働時間制を採用する場合につきましては、「育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者、その他特別な配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をするよう努めなければならない。」と規定をしてございまして、通達におきましてもその旨十分指導したい、指導するということになってございます。
 私どもといたしましても、これら法令、通達が十分守られるよう必要な措置を講じたいと考えでございます。
#127
○岡崎(宏)委員 私たちが結局そこを心配いたしますのは、きょう何度も申し上げましたけれども、一日を単位で生活をしている人というか、私たちもそうでしたけれども、どうしてもそうすることが必要な家庭がございます。
 その際に、労働時間の年間の枠を短縮する一つの手だてとして、例えば週休二日制の実施ということがありました。ところが、ある職場では、週休二日制を実施するに当たって一日の労働時間が十五分とか二十分とか実は延びているということもあったわけなんですね。皆さんにとってはたかだか十五分か二十分かもしれない一日の時間延長でさえ、実はそのことによってもう仕事をやめないとしょうがないというところに追い込まれる女の人たちというのはたくさんいる、このことだけはぜひ皆さんの中に受けとめていただきたいと思うんです。
 実際私も、子供を保育園に預けて電車に飛び乗って職場に通って、また仕事が終われば、カンという鐘と同時に飛び出して、電車に乗って保育園に迎えに行ってという生活をしてまいりました。そうすると、十五分の一日の時間延長は、乗る電車が十五分おくれるだけでは済まないことがあるわけです。これは住んでいる地方にもよりますけれども、十五分職場を出るのがおくれると、次の電車まで三十分待たないといけないということもあります。そうすると、その人はこれまでの生活のリズムは完全に壊れてしまいます。アウトです。保育園に間に合いません。じゃ保育園を長くあければいいのかというと、子供のことだとか、あるいは今度はそこに勤める保母さんのことを考えると、そんなにおいそれと保育園を長くあけろという話にもなりません。たかだか十五分の延長であっても、そのことによって仕事をやめようか、あるいはそこまで苦労するのなら子供を産むのはやめようか、こういう選択を、結局男の人も女の人も家庭を持つ人というのは迫られていくということがあるわけなので、そこで変形制だとか導入されたときにもいろいろな危惧の声がありましたけれども、その危惧の念を振り払う役目として、配慮が必要だとか、あるいは請求をした場合には一定の時間以上働かせてはいけないという禁止事項がきちんと守られているかどうかということは、これは非常に大事な問題になってきます。そのことを今後の調査の中、あるいはこれからまた労働基準法の改正があるわけですから、ぜひそういうことを頭に置いておいていただきたいと思うのです。
 それで、今度は今回の法案の条文に移りたいのですが、七条の関係についてでございます。
 時短委員会の決議に労基法上の労使協定と同様の効果を与える、こういうふうになっているわけなんですが、その理由は一体どこにあるのでしょうか。本当にそれが必要なことなんでしょうか。
#128
○井上説明員 法七条によりまして、労働時間短縮推進委員会等におきまして話し合いが行われました結果をその事業場の労働時間の短縮の促進に生かしていくことが重要でございます。そのため、委員の半数が事業場の過半数労働者の推薦に基づき指名されているというようなものであることを前提にいたしまして、委員会の決議が労使協定と実質的に同視できることを要件とした上で、委員会における決定をもって労使の協定にかえるというふうにしているわけでございます。
 委員会の決定がこのような効果を有することとすることによりまして、委員会における話し合いも一層重みを増すのではないかというふうにも考えでございます。
 また、このような措置をとらない場合ですと、委員会の中で一定の結論に達しましても別途労使協定締結手続をとらなければならないというような二度手間となってしまうという面もございます。手続の重複を避けるためにもこのような措置をとることが適当であるというふうに考えたわけでございます。
#129
○岡崎(宏)委員 問題なのは、ここで言う労働者の代表、この労働者の代表が本当に労働者の意思を正確に反映をされたものであるかどうか、これだというふうに思います。
 これは実はいろいろな団体の方からもどうも心配だという声が寄せられている部分なんですけれども、大きな企業で大きな組合があって、ほとんどの人がその組合に組織されているという場合は問題ないかもしれません。けれども、小さな会社で組合がないところ、あるいはあっても少数の人しか組織をされていないところ、こういうところでは非常に不安というものを持っておられるわけでして、この労働者の代表を選ぶ手続を何らかの形で明らかにしていく必要があるのではないか、その手続は民主的でなければならないんじゃないかというふうに思うのですが、これについてはいかがでしょうか。
#130
○井上説明員 法七条第一号の労働者代表の選任の問題でございますが、労働時間短縮推進委員会の要件の一つといたしまして、委員の半数は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、ない場合には労働者の過半数を代表する者の推薦に基づきまして指名するということになってございます。
 この労働者の過半数を代表する者の選任につきましては、現在、通達によりまして労使協定の締結における過半数代表者の適格性及び選任方法について定めているところでございまして、これと同様の方法により選任することが適当であるというふうに考えてございます。
#131
○岡崎(宏)委員 労働者の代表を選ぶに当たって、先ほど報告をいただいた時間外・休日労働の調査結果の中でも、例えばこれは三六協定の締結当事者として挙がっているわけですが、過半数代表者の選出方法というのは、特に小さな規模のところで、話し合いによるとか、少ないですが使用者の指名というものもありますし、その過半数の代表者の職務上の地位というのも、一般の従業員が約過半数でありますけれども、役付の人が三割強というか四割近く入っていたりというふうに、小さな規模では非常に問題が起こり得ると思います。
 今も努力をいただくというふうにお返事いただいたわけですが、直接無記名の投票あるいは投票の秘密を保障する、使用者の介入を禁止する、代表の選出のための便宜の供与や文書の配付を保障する、不利益な取り扱いをしない、選ばれる側の方の人たちの中から、労働者の代表になる人というのは管理監督者を除外する、こういう手続が今後だれにもわかるように行われなければならないと思います。そうしないと、少数の組合の人あるいは未組織の企業というのは非常に問題が起こり得る可能性が大きいと思いますので、ぜひ積極的な指導をお願いしたいと思います。
 三カ月の変形労働時間制についての委員会の決議をすれば、これは労働基準監督署に届け出をしなくてもよいとしているわけですが、これについても問題は起こらないでしょうか。
#132
○井上説明員 現在、三カ月変形労働時間制の各協定につきましては、届け出をお願いしているところでございますが、労働時間短縮推進委員会におきましては、委員の半数が労働者の過半数を代表する労働組合の推薦を受けた者であり、委員会の設置につきましては労働基準監督署に届け出ることとしているというような状況もございます。また、当該委員会の議事について議事録が作成、保存されていることというような規定もございますので、このような委員会におきましては適正な決議が行われるものと考えられますので、届け出義務を課さないということにしたわけでございます。
#133
○岡崎(宏)委員 さきの部分と重なりますけれども、結局現状の労使関係、これを見たときに非常に危惧の念を持つわけです。問題が起こらないように、十分なチェックの体制あるいは委員会における労働者の代表の選任について労働省の方から指導をお願いをいたします。これはぜひお返事を受けとめたいのですが、いかがでしょうか。
#134
○佐藤(勝)政府委員 今部長から御答弁申し上げましたけれども、労働時間の問題につきましては、日常的また専門的に議論を行う労働時間短縮推進委員会におきます決議につきましては、委員全員の合意により行われるということが前提でございますので、そういう意味で十分信頼できるものというふうに考えております。
 また、委員会の設置につきましては労働基準監督署への届け出が必要だというふうにされておりますし、決議は書面で行われて決議に至る議事録が作成、保管されるということでもございますので、労働基準監督官が臨検監督をいたしました際にも推進委員会の活動状況を見てチェックが可能でございますし、また、十分チェックをするように留意をしてまいりたいというふうに思っております。
#135
○岡崎(宏)委員 ぜひお願いをしたいと思います。
 最後になりますが、ここに一つ小さな企業の例がございまして、あらかじめちょっとお話をさせていただいておりましたので、時間の関係もありますから細かい現状というのは避けたいと思うのですが、これは大阪にありますサンダルとか靴をつくっている会社でございます。そこに働いていらっしゃる方が企業の名前を出してもいいということですので御報告させていただきますが、ダイケミという靴、サンダルをつくっている会社でございます。パートの人も含めて三十人以下の小さな会社なのですけれども、ここの会社が実は変形労働時間制を採用された。労基法が変わってそういう制度がとれることになったんだ、一カ月単位でそれをやりたいんだ、こういう会社の方からの申し入れがありまして、一年間やってみたら実はこの変形労働時間制の導入というのは、その目的は、弾力的な労働時間の扱いをすることによって結果としては労働時間を短縮する、これがたしか目的であったと思うのですが、一年トータルしたら、変形時間を採用する前の労働時間よりも変形労働時間を採用して後の方が、一年間の労働時間は実は延びたということでございます。
 これは、実は地元の労働基準監督署にも相談を持ちかけた経過もあるのですが、変形による所定の時間の枠内にすべておさまる、こういうことなのですね。結果としたら違法にはならない、こういう答えなのです。
 しかし、この変形の時間を採用するに当たっては、これはもうたくさんの人からいろいろな問題があるというふうにあの時点であったと思いますが、それでもあえて採用に踏み切ったのは、労働時間が短縮できる、そういう目的のためだったということだと思うのですね。ところが、結果的に延びた。これは本来の目的からすると随分外れているんじゃないか。変形労働時間制が、特に一カ月をこの会社は採用したものですから、届け出もある意味では要しない、こういう形で乱用されていって、労働時間が延びていくというふうな結果というのは非常に好ましくないというふうに思うのですが、この例はいかがでしょうか。
#136
○佐藤(勝)政府委員 ただいま一カ月単位の変形労働時間制について具体的な事例で分析ありましたけれども、この一カ月単位の変形労働時間制というのは、御承知のように昭和六十二年の基準法改正のときに、従前ありました四週間単位から一カ月単位へ改正されているというものでありまして、業務の繁閑に対応する変形労働時間制という位置づけ、そういう原則的な位置づけでございますけれども、この趣旨については変更がなかったものでございます。
 そういうことからしますと、この制度が本来の趣旨に沿って採用されます限り、週の所定労働時間の段階的短縮に伴いまして、年間の所定労働時間も短縮されるはずでございます。
 しかしながら、御指摘のようなことになりましたのは、多分、その過所定労働時間の段階的短縮に伴いまして一カ月単位の変形労働時間制を導入したときに、年末年始等の週休以外の休日分をほかの日の労働時間として振りかえたケースであるというふうに考えるわけですが、こういった例はこの制度の趣旨に沿っているとは我々もちょっと言いかねるわけでございます。
 こういう例はこの制度の趣旨からいいますと、その制度の趣旨に合わないというふうに思いますが、いずれにしても、この法定労働時間内の所定労働時間につきましては、労使の間で決定されるものではございますけれども、制度が本来の趣旨に沿って有効に活用されるように、今後とも啓発指導に努めてまいりたいというふうに思います。
#137
○岡崎(宏)委員 本当に、変形制を採用することによってこういうふうに所定の労働時間が延長されることがないように、こうした企業に対して強力に指導していただきたいと思います。
 もう一点つけ加えれば、変形制が乱用されることがないように、今回の場合のように、一カ月単位の変形制についても労使協定を労働基準法上の要件とすべきではないでしょうか。少なくとも、このような変形制の実施については、やはり労働基準監督署に届け出ることを要件としていただきたいと思います。
 前回の基準法の審議のときに、一カ月の変形労働時間についても、これは労働大臣の答弁ですけれども、乱用されることがないように十分指導するとともに、三年後の見直し時期までに十分実態を調査をして、規制の要否、その方法等について検討する、こういうふうに答弁をされているわけでして、今回一つの非常に悪い例ですけれども、こういうことが広がらないように、ぜひ検討をいただきたいと思います。
 これについて一言お伺いをしたいと思います。
#138
○佐藤(勝)政府委員 一カ月単位の変形制は、今申しましたように昭和六十二年の改正のときに、従来の四週間単位というのを企業の実態に合わせて最長限度を一カ月に延長したというものでございますけれども、これにつきましては、従来の四週間単位の変形制については労使協定の締結を要件としていなかったという経緯がございます。それから、それまでそういうことにつきまして特段問題を生じたという例を聞いていなかったというようなことがありましたので、そのまま現行の仕組みに引き継いだという経緯がございます。
 こういうことからいいますと、一カ月単位の変形制につきまして、その要件を今以上に厳しくする必要性はないというふうに判断をしたわけでございますけれども、ただ、運用としてそういうことが、先生御指摘のようなことが起こるということは、これはもちろん望ましいことではございませんから、今後ともそういうことのないように指導を徹底するようにしたいというふうに思います。
#139
○岡崎(宏)委員 ぜひお願いをいたします。
 ずっと質問させていただいたのですが、時間短縮、この目標は非常にはっきりしているわけですね。今の時点で私たちはこの目標に向かってどれだけ有効な手段をとり得るか、その有効な手だての中に、例えば行政が率先してやらなければならない規制があるとしたら、それをどういう形でやっていくのか、具体的な詰めの段階に来ているというふうに思いますので、まだこれから審議の時間もございますけれども、ぜひ有効な方法をもって進めていかれますように、これはお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#140
○川崎委員長 河上覃雄君。
#141
○河上委員 最初に、日本の労働時間は国際的にもかなり高い水準にあるわけでありますが、日本の長時間労働が社会に対して与えた影響について、大臣はどのように分析なさっているのか、この点からお伺いしたいと思います。
#142
○近藤国務大臣 先生も御案内のように、我が国の労働時間は五十年代からずっと、むしろどちらかというと上昇ぎみであったわけでございますが、六十三年の労基法の改正以来着実に下がってきたわけでございますけれども、十年以上にわたって労働時間短縮がなかった。その間、やはり日本の経済は成長し続けましたし、それに並行して我が国の輸出も伸びて、ちょうど私が経済企画庁長官当時にまさにプラザ合意から円高に切りかえたわけでございますが――私が大臣をやったのはその翌年でございますけれども、円高に切りかえて、貿易収支の改善、さらに経済の構造調整、こういったことに追い込まれたわけでございますけれども、そういったいろいろな我が国の経済調整の一つの原因にもなったかな、こういうふうに思いますし、そういったことの反省に立って、六十三年以降は労働時間短縮を進めてまいりました。
 そんなことから、私たち国民が労働時間について改めてというか、改めてというよりはむしろ初めてと言っていいのじゃないかと思いますけれども、お互い大変な関心を持ち始めてきて、そして現在に至ってさらにその関心の度を高めた、こういうことではないかと思います。
#143
○河上委員 平成三年度総実労働時間は二千六時間、目標の一千八百時間に対してなお二百六時間不足をしているわけであります。
 六十三年に閣議決定されました経済五カ年計画中の一千八百時間は既に絶望的、こういう状況にあるわけですが、この絶望的な原因について、どう分析なさっていますか。
#144
○近藤国務大臣 御案内のように、平成三年度で二千六時間でございますが、先ほど申しましたように、三十数時間最近は労働時間が減っているわけでございますが、目標千八百時間に二百時間、そうすると、三十数時間でこれを割ってまいりますと五年から六年ということになるわけでございますが、私は率直に言って、三十時間というのは二千時間ベースで考えますと二%ぐらいのものですね、ですから、二%ぐらいずつ時間を短縮をするというか、もっとずばり言いますと、百時間ということで時間を短縮ということは、二千時間ベースで五%ですから、五%労働時間が短縮するということは、その五%の労働時間短縮をどこでカバーするか。例えば五%生産性を上げれば時間が五%減っても生産は戻るわけですけれども、そういった時間短縮に伴う生産の調整といいますか雇用調整というものが、実はそんなに簡単ではなかったということが一つ。
 それと同時に、単独で自社だけがやっても、周りは依然として長期の労働時間をやっているということで競争的に不利になるとか、そういったいろいろな条件が絡み合っての現在の結果だと思うわけでありますので、まさにそうした社会的な、また経済的なコンセンサスのもとでこの横並び、同時に時間短縮を進める必要があるということが、今度の時間短縮促進法をこうして御審議を願っているゆえんでございます。
#145
○河上委員 今大臣からいろいろと幅広い観点から御説明いただいたわけでありますが、週四十時間労働制、一千八百時間の達成の時期は、大臣、いつとお考えになりますか。端的にお答えいただきたい。
#146
○近藤国務大臣 先ほど申しましたように、今二千時間ちょっと超えている、千八百時間とは二百時間でございますから、二百時間を今のレート三十数時間で割ってまいりますと、五年から六年ということですね。六年ぐらいかかる、こういうことでありますので、今度の時短促進法を通していただいて、さっき言いました横並びで一斉に取り組んでいく。
 いついつまでに、こういうことをまさに今経済審議会で御審議をいただき、また、労働省側としては雇用審議会でこれも御審議をいただいているわけでありますので、どのあたりを到着時点にするかということはまさに今御審議されている状況でございますけれども、言いましたように、二百時間を三十数時間でやれば六年間だ。これは今の傾向値ですからね。そうすると、六年かかったのでは政策的な効果が出てこないわけでありますから、だから、六年を、どれだけ目標時間を前倒しできるかということがこれからの一つのその議論の最大のポイントである、こういうふうに考えております。
#147
○河上委員 新たに経済五カ年計画が決定されるわけでありますけれども、これからの時短促進に極めて重要な意義を持つものであると考えます。総理も、通常国会施政方針演説の中で国民的課題と、また、予算委員会の答弁の中においても、時短はこの五年先我が国経済政策の一番の中心部分となる、こう意欲を示されているわけであります。
 そこでお伺いしたいわけでありますが、五月の六日、日経連は新経済五カ年計画に一千八百時間の目標を明示しない旨の要請をした、こう聞き及んでおりますが、これについての大臣の御見解をお示しいただきたい。
#148
○近藤国務大臣 新聞では明記しないことにしてくれ、こういうふうに伝えられておりますが、実際日経連のこの審議会に出した文書は、必ずしもそういうはっきりした言い方ではなかったというふうにも私知らされているわけでございます。いずれにいたしましても、時間短縮というのは、これはもう最終的には個々の企業が決めて、そして生産計画を立てる、人事管理をする、こういうことでありますから、周りで一つの枠をはめられるというような感じは余り楽しいことではない、こういうふうに経営者の方々が考えられるお気持ちもわからないではない。
 ただ、先ほどから言っておりますように、むしろ横並びで一緒にこれをやっていくということもある意味では大事なことでございますので、私は、これは経済企画庁長官ともいろいろな会合で話をし合ったわけでありますけれども、この先、きちっとどこに到着時点をセットするかということについては、これから議論をさらに進めていっていただきますけれども、時間を決めて、それに対してどうしたら達成できるかという、難しいから目標時点を決めないよということじゃなしに、さっき申しましたように、もう今の傾向値でいつでも六年たてば達成できるわけですね、それを何年前倒しするかということでありますから、目標を決めて、そして具体的にそのために必要な、例えば省力化投資、時短促進関連投資についてはこれまで以上に国が積極的に措置を講ずるとか、その他時短が目標年次に達成できるための具体的な政策、措置についてむしろ関係者の方々から政府に要望していただいて、それに私たちがこたえ一定の時期に時短を達成するということが、私はこの時期に大事ではないかというふうに考えております。
#149
○河上委員 大臣、これは大事なんですね。
 現行経済五カ年計画には、週四十時間労働制、一千八百時間とうたい込まれているわけでありまして、大臣もさまざまな御説明がございましたけれども、いま一つはっきりなさらない。私は、むしろ数字も明記すべきであろう、目標が幾つかはまた別にいたしまして、目標の数値は明示すべきであろう、こう思うのですが、大臣、もう一遍この部分だけについていかがでしょう、お答えください。
#150
○近藤国務大臣 個々の企業、個々の産業で時短が、千八百時間が達成できるのは多少違いがあってもやむを得ないと思いますが、国全体として平均で千八百時間というのはいついつまでに達成すべきだ、達成したいということは、やはり新しい経済五カ年計画の中ではっきり明記すべきである、かように考えております。
#151
○河上委員 新たに決定いたします経済五カ年計画では、むしろもっと具体的な形で明示すべきではないか。これはさまざまな側面から言えると思います。例えば所定外労働時間の規制明示であるとか、こうした観点からも、より具体的に五カ年計画の中でも盛り込むべきではないのか、私はこう考えるものでありますが、この点についての御見解を伺いたい。
#152
○佐藤(勝)政府委員 経済計画は経済企画庁が経済審議会で御検討の上つくられるものでございますけれども、当然、労働あるいは労働時間の分野の問題につきましてそこで取り扱われるわけでございますが、ただ、具体的な事項ということになりますと、ちょっと言い方はおかしいんですけれども、やはり本家は労働省の方でございますから、私どもとしましては、新経済計画に盛られた内容と調和のとれた形の姿でもっと具体的なものを、現在御審議いただいておりますこの法案の中で規定をされております労働時間短縮推進計画の方で定めたいというふうに考えております。
#153
○河上委員 質問を少し変えて何点かお伺いしたいと思います。
 二月四日の予算委員会で、我が党の委員がサービス残業あるいは毎勤統計の実態、さらに目安時間の見直しについてさまざまな観点から指摘をいたしました。これらの点につきまして、その後の労働省の対応等を含め、確認も含めましてお尋ねをしたいと思っておる次第ですが、最初にサービス残業の件であります。
 新聞にも発表されました金融機関のサービス残業の実態、極めて劣悪、こうした指摘に対しまして大臣も、これからは監督を厳正にしていきたい、このように答弁されております。
 そこでお尋ねするわけでありますが、その後金融機関に対して具体的な指導をなさったのか、どのような指導をされたのか、この点についてお伺いします。
#154
○佐藤(勝)政府委員 サービス残業という言葉が大変有名になりましたわけなんですけれども、ただ、我々は労働基準法との関係ということで法律的には見ることになるわけですが、その多くは、基準法の三十七条で定められております割り増し賃金の全部または一部が支払われていない所定外労働というふうにまずその定義をしているわけです。
 こういう問題につきましては、平成三年度に東京の労働基準局におきまして、都内の金融機関十二行八十店でございますけれども、監督指導を行いました。この八十事業場のうちの六八%に当たります五十四の事業場におきまして、労働基準法等関係法令に照らし何らかの法違反が認められたわけでございます。この法違反の内訳でございますけれども、労働時間に関します違反が一六%、それから時間外労働の割り増し賃金に関する違反が三五%などというふうになっているわけでございます。
 この監督指導結果に基づきまして、東京労働基準局では、この三月に社団法人東京銀行協会それから社団法人東京都信用金庫協会に対しまして、労働時間管理の適正な実施につきまして傘下会員企業への指導の強化を図るように文書をもって要請したところでございます。
 もちろん個々の監督対象になりました事業場で法違反があったものにつきましては是正勧告をいたしておるわけでございますが、さらに、ただいま申しましたように関係団体に対しましての指導を文書で要請をした、こういうことでございます。
#155
○河上委員 三月に具体的な形になさった、四月の時点でありますので、まだ余り時間は経過してないわけでありますけれども、確かに一部改善の兆しはあるようにも現場の方々に伺ってみますとあります。それ以降女性は早く帰れるようになった等々もありました。しかし、全く変わってないところも実はありまして、相変わらず今東京都基準局の実態に近い現実がまだまだある。男性では六十時間働いても実際に十四、五時間しかつかない。これはある大手の銀行でありますけれども、つい最近こういうお話も受けました。また、改善の兆候はあるにせよ、相変わらず仕事の終わってない者はふろしき残業、お持ち帰り残業、テークアウト残業ともいうそうでありますけれども、こうしたことがまだ行われておる、これが実態じゃないかと思うのですね。
 その意味で、私はこれらに対する厳しい実態調査あるいはさらに具体的な対応が必要である、こう認識するんですが、いかがでしょうか。
#156
○佐藤(勝)政府委員 いわゆるサービス残業と言われているものにつきましては、基準法との関係は、先ほど申しましたような法律上要求されている割り増し賃金の不払いということが多いわけでございますけれども、ただ、それではそういうものをどうやってなくしていくかということにつきましては、臨検監督をして法違反を発見をして是正勧告をするというようなことだけではなかなか片づかない問題がございます。これはやはりもう基本には労働時間管理、特にホワイトカラーについてそういうことがありがちだと思いますけれども、やはり労働時間管理がきちんと行われない、場合によっては労働者の側においてさえ、不本意がどうかは別として、それを何となく受け入れているというような雰囲気の問題もございます。
 そうなると、やはりその法違反を指摘するだけでは根本的な解決になるとばかりは言い切れないわけで、そういう意味からいいましても、昨年労働省で策定をいたしました所定外労働時間削減要綱のように、とにかくそういうものの生ずる土壌をなくそうというような啓発が不可欠でございます。
 私どもとしてはその両面から、つまり適時適切な監督を行う、それによって発見されたものにつきましては厳正な対処をする、あるいは一般的に社会あるいは企業、労使に対してそういうものの解消を呼びかけるということで、両面から大いに努力をしていかなければいけない、こういうふうに思っておるところでございます。
#157
○河上委員 次に、毎勤統計の問題についてお尋ねしたいと思います。
 毎勤統計が労働時間の実態を正確に把握してないのではないか、正確に把握できる別な方法の調査を併用する等しないと、時短を論ずるベースが正確でなくなる、我が党の予算委員会委員がこう指摘をさせていただいたことに対しまして、大臣は、労働者の勤務条件の実態が正確に把握できるような統計を調査し検討させてもらう、こう答弁されております。
 そこで、この調査は進めていらっしゃいますか。進めているならば状況の報告、御説明をいただきたい。
#158
○佐藤(勝)政府委員 まず、毎月勤労統計調査の問題でございますが、毎月勤労統計調査が実際の労働時間数の実態を反映していないのではないかという御指摘がございました。
 ただ、この統計調査の仕組みそのものとしては、その仕組みのとおりに記入をすれば、賃金の支払い対象となっているかどうかを問わず実際に労働した時間を書くようになっているわけですから、正しい統計がとれるというふうに考えております。一つには、この毎月勤労統計調査が設計されているように適正に実施をされるということについて努力をするのがまず大事であろうかと思います。
 それから、いわゆるサービス残業というもの、これも毎勤統計、制度の上ではそこには入るべきものでございますけれども、ただ、実際にそういうことから漏れているのではないかという疑いがある。これは疑いがあるという御指摘があるわけで、事の性質上これを確認するのが非常に難しいという面がございます。
 なお、そういう問題について量的な把握についてはどうしたらいいのか、問題があるとすればどういうふうに解決すべきなのかということについては、もう少し研究をさせていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
#159
○河上委員 まだ進んでないわけでありますが、予算委員会の際、基準局長は時系列的にすぐれた統計である、こうおっしゃいました。労働時間の記入については、給与支払いの基礎となったか否かを問わず実際に労働した時間を記入するようにお願いをしている、記載要領に従って正確に記載をしていただいている限りは信頼できる統計であると思っている、こう御答弁なさいましたね。
 そこで、私は本当にこれが正確に反映されているのかちょっと疑問を感じないわけではないわけでありまして、今御答弁いただきましたサービス残業が漏れている、こうした側面一つ見ても、やはり正確な実態は把握されていないのではないか。あるいは事業所に結果的に記入していただいているわけでありまして、そう考えますと、実際は結果として支払い労働時間が計上されているのではないのか。しかも、この調査は現金給与額も記載するようになっておるわけでありますから、時間とお金が両方記載されるようになっておるわけでありますので、私は実際支払い労働時間が計上されているのではないか、こう思うのですが、これはいかがですか。
#160
○椎谷説明員 やや技術的な問題だと思いますので私から御答弁申し上げます。
 御指摘のように、毎月勤労統計調査は毎月それぞれの事業所に対して、大きい事業所についてはその事業所で直接記入していただく、小さい事業所は統計調査員が行って調査をする、こういうことでございますが、前に基準局長が御答弁申し上げましたとおり、調査員の手引なりあるいは直接事業所にお願いをする際には、実際に働いた時間を記入してくださいということで徹底をしているつもりでございまして、出てきた結果に対して、あなたのところはうそを書いているのではないかということを言うのもこの統計調査を円滑に進める上ではいろいろと問題があるところでございます。
 その限りにおきまして、局長が先ほどお答えしたとおり、私どもの統計調査の手法としては、これは戦前から続いている調査でございますし、きちんとやっているというつもりでやっておりますし、地方の、特に都道府県の協力を得てやっているわけでございまして、その意味では正確にその意思が伝わっているというふうに信じております。なお、毎年ブロック会議等で各県に対してもそういう要請をしておりますので、今後ともそういう形で進めていきたいというふうに思っております。
#161
○河上委員 現金給与額等を記載されていますと、時間とお金と両方出てくるわけでありますので、書く側もやはり厳しくなるわけです。
 私は、今ここにその毎勤統計調査の調査票を持っておりまして、これに基づいてお話をさせていただいているわけであります。
 一種の調査、二種の調査と二通りございますね。今データとして出ている三十人以上規模の労働時間は一種調査に該当する。そしてこれは郵送による通信調査で行うとあります。もちろんこの調査は、今戦前からとおっしゃいましたように、昭和二十五年に対象規模を三十人以上に統一して以来行われているそうですから、かなりの歴史的なものであると認識しております。二種調査の方は五人から二十九人、いわゆる小さい規模のところに当てはまる調査でございまして、これは統計調査員による実地調査となっております。これは平成二年一月に始まったそうでございます。
 そこで、私は、この五人から二十九人という小さな二種調査について、正確な実態を把握する意味からも、この二種調査を産業別に毎勤統計に反映をされるおつもりはあるのかどうか、この点についてお伺いしたい。現在、データの上では参考として五人から二十九人の総枠の数が盛り込まれておりますけれども、三十人以上規模と同等に産業別に分類して出すおつもりはあるかどうか、この点についてお尋ねします。
#162
○椎谷説明員 御指摘いただきましたとおり、平成二年一月から、五ないし二十九大規模の事業所につきましても、三十人以上規模と同じ調査項目にして調査を実施しております。したがいまして、御指摘のとおり労働時間につきましても産業別に五ないし二十九大規模についても結果はわかっておりますし、公表もいたしております。
 ただ、平成二年一月から実施したものでございますから、過去にさかのぼってという古いデータがない。平成二年一月以降は、三十人以上規模と同じような形で調査をし、結果についてもまとめ、かつ公表をしております。
#163
○河上委員 もう一点、パート労働者を毎勤統計に反映させましたのは、これも平成二年からです。パート労働者は当然短時間労働者とも言えるわけでありまして、この毎勤統計の中には、常用労働者数の内訳として常用のパート労働者の人数だけ示されております。ある視点からいえば、平成二年からパートの方々の数が入ったわけでありますから、割る分母に多くのパート労働者の方々が入ってきているわけでありますから、所定内労働時間というのは従来よりは薄くなってくることは計算上当然そうなると思います。
 そこで、このパート労働者を、内訳ではなくて、常用労働者と同様に統計上別にとって独立させるおつもりはあるのかないのか、この点もお伺いしたい。
#164
○椎谷説明員 毎月勤労統計調査の上での常用労働者あるいはバート労働者の区分の問題が一つございますが、もともと今言われましたパート労働者については、それこそ昭和二十五年の三十人以上規模の事業所について現在のような基本的なスタイルになりました毎月勤労統計調査を実施する段階から入っておりまして、いわゆる常用労働者であるパート労働者、その場合の常用労働者というのが恐らく通常の概念より広いのかもしれません。
 当然もう先生よく御承知だと思いますが、その調査票にございますように、その常用労働者の定義というのが、一つは雇用期間の定めのない人全部、したがいまして、いわゆるパート労働者であっても、期間の定めのない人についてはすべて常用労働者扱いになっておりますし、それから、日雇いですとか臨時労働者とか言われている方々がおりますけれども、この人たちにつきましても、実際に前の月二月間を見て、それぞれの月に十八日以上働いている場合には常用労働者扱いにして、毎月勤労統計調査上は常用労働者になっております。そういう人たちの中で、その事業所における一般の労働者よりも短い時間働いている、これは一日であってもあるいは一週間であってもよろしいのですが、この人たちについてはパート労働者ということにしてございます。
 ただ、御指摘のように、パート労働者という形できちんと表章を始めたのが平成二年の一月からということでございまして、現在は労働者数しかとっておりませんが、最近特にパート労働者問題がいろいろ大きな問題になってきているということもございまして、来年から労働時間あるいは給与等も含めて調査をしたいなということで、現在、総務庁に統計審議会というのがございますが、そこに調査の改正を諮問をいたしたところでございます。
#165
○河上委員 これはぜひお願いをしたいと思います。
 続いて、目安時間の見直しの問題について移ります。
 基準局長の答弁で、法定労働時間が六十三年の基準法改正後下げられたことに伴い、このまま放置することは適当ではない、近くこの上限時間は改正の検討を中央労働基準審議会にお願いする予定である、こう答弁されています。
 そこで、まず、中央労働基準審議会に諮問はなさったのか、なさってないのか、この点からお伺いします。
#166
○井上説明員 現行の時間外労働適正化指針につきましては、本年三月四日に、中央労働基準審議会にその見直しの検討をお願いしたところでございます。
#167
○河上委員 五月十一日の日本経済新聞一面のトップに、具体的な形で「時間外労働上限を短縮」「二、三割を検討 残業の監視強化」、ここにあるわけでありまして、六月に改正をして秋から実施に移したい、ここまで特定されております。極めて詳細な内容で掲載されているわけでありますけれども、この内容の是非について御答弁願いたい。
#168
○井上説明員 本年三月に基準審議会に適正化指針の見直しをお願いしたところでございます。現在、集中的に議論を行っているところでございまして、労使双方それぞれ厳しい意見が出ているところでございまして、具体的な状況等につきましては、まだこれからの状況でございます。
 私どもといたしましては、審議会にできるだけ早く結論を出していただきまして、目安時間に関する告示の改正を行いたいというふうに考えてございます。
#169
○河上委員 今まだ決定しておりません、こういうことでございます。
 どうでしょうか、目安時間の四百五十時間、多いわけでありますが、どの程度がふさわしいと思っていらっしゃるか、御感想をいただきたいのです。
#170
○佐藤(勝)政府委員 なかなかお答えしにくい問題でございます。私どもとしては、あくまで中基審での、とりわけ労使の御意見をよく聞いてみたいと思っておりますが、現在のところ、全く相反する厳しい対立が続いている状況でございまして、私どもとしてこういうふうにしたいと言い出すのが適当な段階にはまだ至っていないというふうに見ております。
#171
○河上委員 基準局長、では時期について、いつごろまでにこれを実施に移したい、これも御感想をいただきたい。
#172
○佐藤(勝)政府委員 私どもから中央労働基準審議会にお願いをしましたのは、できるだけ早く、六月ぐらいにはまとめていただきたいというふうに申し上げておりまして、具体的な実施に至るのはことしの秋ぐらいではないかというふうに見込みをつけております。
#173
○河上委員 この目安時間ですが、業種別に限度時間を設定するようなお考えはありますか、あるいはありませんか。
#174
○井上説明員 先生御承知のように、限度時間の設定でございますが、これにつきましては恒常的な長時間労働を改善をするという観点から設けられてございまして、業種別には、一部目安時間の適用になじまない業種につきましては、現在適正化指針の適用除外というふうにしてございます。
 今後の問題につきましては、現在審議会で非常に厳しい意見が出てございますので、その結論を待っていきたいと考えでございます。
#175
○河上委員 もう一点、時間外割り増し率は、現行で適正とお考えでしょうか、お考えではないでしょうか。
#176
○佐藤(勝)政府委員 時間外割り増し率、労働基準法で定められております割り増し率のお話として受けとめさせていただきますが、基準法、つまり最低基準を罰則をもって実施をしてもらう法制としては、日本の二五%というのはILO条約の水準でもありますし、各国の同種の法律の水準も大体同じようなものでございます。
#177
○河上委員 時短の阻害要因となっております所定外労働時間、目安時間の見直しの視点から、また、所定内労働時間等さまざまお尋ねをしてまいりましたが、もう一点、年次有給休暇についてお伺いしたい。
 現在その実態は、少ない付与日数、所得率も五〇%強である。この付与日数等の引き上げの検討はいつなさいますでしょうか。
#178
○佐藤(勝)政府委員 御承知のように、前回の労働基準法改正におきまして付与日数が引き上げられたわけでございまして、現在、中小企業の猶予措置につきましては段階的に付与日数が増加をしている最中で、三百人以下につきましては八日になった段階でございまして、これが十日という法律上原則の数字にまだなってない段階でございますので、そういう状況の中で一体新たな日数の設定ということについてどう考えるかということにつきましては、今申しましたような状況も含めまして、現在、審議会での議論の中の項目になっているという状況でございます。
#179
○河上委員 六十二年改正で年次有給休暇の労使協定による計画的付与、この規定を設けたわけでありますけれども、この計画的付与の実行効果は上がったんでしょうか。そして取得率は現実的に高まったんでしょうか。
#180
○井上説明員 労働省といたしましては、計画的付与制度につきましては、年次有給休暇の計画的取得の制度を活用いたしました連続休暇の普及促進につきまして、労使に対しまして働きかけやほっとウィークフォーラム等の各種のキャンペーン活動を行っているところでございます。
 また、年次有給休暇の完全取得、連続休暇の普及に向けての労使の自主的取り組みを促すために、平成二年七月、連続休暇取得促進要綱を策定したところでございまして、ここで、平均二十日付与、二十日取得に向けまして企業に対している。いろ周知啓発を図っているところでございます。
 この結果、最近では多くの企業におきまして、連続休暇の導入等年次有給休暇の取得のための種々の措置を講じられている企業が増加してございまして、平成三年夏の連続休暇につきましては、年休の計画的付与制度を活用する企業は二七%という状況でございます。
 今後とも、これらの施策を積極的に進めてまいりたいというふうに考えてございます。
#181
○河上委員 公務員の完全週休二日制の観点からでございますが、国家公務員の完全週休二日制が五月より施行されました。地方公務員は、各議会とも六月の定例会で条例化の方向に進むと思います。そして、それ以降実施の運びに移るのではないか。もちろん、地方公共団体の完全週休二日制、この実施率にもよるわけでありますけれども、公務員の完全週休二日制の施行に伴いまして民間企業の時短に何らかの影響を与える、こう考えられます。
 先ほど大臣の答弁にもございましたように、六十三年から元年には二十四時間総実労働時間が年間減っておりますし、元年から二年は三十二時間減りました、二年から三年は三十八時間と、こう減少はしておるわけでありますが、今般この公務員の完全週休二日制による民間企業への時短、これは従来どおりの形ではなくて、もっとより一層の効果をもたらすものであると考えられます。
 そこで、こうした実態を見ながら、労働省はこの民間への波及効果、これはどの程度だとお考えになっておりますか。
#182
○近藤国務大臣 実は、時間短縮の中で、中小企業は所定内労働時間が結構依然として長く、大企業が所定外労働時間が長い、統計的にそういうことが出ておるわけでございますけれども、公務員週休二日制は、まさに所定内労働時間が相対的に長い中小企業に対して、土曜日働いてもお役所はもう閉まっていてだめだよ、こういうことで、私は、まさに中小企業の所定内労働時間の短縮に直接的影響がある、このように考えております。
#183
○河上委員 全体としての完全週休二日制、これは達成時期はいつごろだとお考えでしょうか。
#184
○近藤国務大臣 これは、先生、大変難しい御質問でございまして、私、ここでいつごろということは申し上げられないのですが、ただ、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、全体の総労働時間、平均で本来ならこれから六年かかるところをどれだけ前倒しをするか、こういうことで、そこに焦点を当ててやっておるわけでございます。
 その中で、まさに所定内、所定外、有給休暇が何日、それから週休二日制、総合的にやって、平均としては早い時期に千八百時間を達成したい、こういうことでございますが、個々の要素についていついつと言うのはなかなか難しいと思いますが、ただ、完全週休二日制については、公務員がもう週休二日に踏み切っておるわけでありますから、これはできるだけ早い機会に達成をしていただくように我々としても御指導を申し上げてまいりたい、こういうことでございます。
#185
○河上委員 公務員の完全週休二日制実施に伴いまして、行政としてのサービスに支障を来して住民に迷惑がかかってはならないことは言うまでもありませんし、サービス低下を招かないようにしなくてはならないわけであります。これは危惧する点でございます。
 その意味で、行革審は、運転免許証あるいは旅券、車検などの期限延長や更新手続の簡素化を打ち出しております。こうした考え方、これについて労働省はどういう御見解をお持ちか、御答弁願いたい。
#186
○井上説明員 現在行革審におきまして、規制緩和や基準認証制度の見直しの観点から検討が行われているというふうに聞いてございますが、同審議会から答申が出された場合には、これを踏まえて政府全体として対応策を検討することになると考えでございます。
 労働時間短縮の観点から申し上げますと、企業内における業務の簡素化等が図られまして、そのことが労働時間の短縮に寄与することになりましたら望ましいというふうに考えてございます。
#187
○河上委員 次に、週四十四時間労働制の適用を猶予されている事業場への対応の点についてお伺いします。
 この週四十四時間労働制適用猶予事業場のうち、週四十六時間未達成事業場数は幾つありますか。
#188
○井上説明員 法定労働時間につきましては、平成三年四月から、週四十六時間から四十四時間にされたところでございます。御指摘のように、一定の業種・規模につきましては、二年間週四十四時間労働制の適用が猶予されまして四十六時間になってございます。
 猶予対象につきましては、事業所数割合で四五・二%、労働者数割合で四九・六%になってございます。
 四十四時間労働制移行後におきます調査のデータはございませんが、四十四時間労働制移行前の平成二年に実施した調査によって平成三年四月における予定状況を見ますと、猶予対象事業場で過所定労働時間が四十六時間を超える事業場の割合は、二六・一%というような状況でございます。
 今年度、四十四時間労働制への移行後の実態把握のための総合実態調査を実施したいというふうに考えてございます。
#189
○河上委員 このうち、各種指導を行ったにもかかわらずそれが守られていない、こうした事業場数は幾つありますか。
#190
○井上説明員 先生御指摘のような数字は、統計的には今私どもちょっと把握してございませんので……。
#191
○河上委員 把握されていないということであります。いろいろ理由、背景等があると思います。もちろん、猶予措置を与えられている中には中小企業等も含まれているわけでありますが、時短促進の上から、十分熟慮しながらやはり実態の把握をしっかりと図るべきであろう、私はこのように考えるわけでございます。
 残り時間も余り多くなくなってまいりましたのですが、今回の本法案に関連して、何点かお伺いしたいと思います。
 まず、本法案を審議してまいりました中央労働基準審議会の建議では、計画の策定に当たって関係労使の話し合いが行われることが重要である、さらに、労働大臣及び都道府県労働基準局長は、労使の自主的取り組みを促すとの観点から、計画の承認に当たっては関係労組または関係労働者の意見を留意する、こういう趣旨の労使双方の立場を尊重することが明示されておりました。
 私は、時短推進では、事業主の取り組む姿勢、これは大変大事である、こう思っておりますし、また、ある意味では意識変革も大事であると思っておりますし、やはり労使一体となった取り組みがなければ、この時短達成はできないのではないか。しかし、本法案では、この計画が事業主から提出されることになっておりまして、これだけでは労働者の意思が十分反映しにくいのではないか、こう考えるわけでありますけれども、この建議から本法案が後退しました理由について御説明願いたい。
#192
○佐藤(勝)政府委員 中央労働基準審議会の建議におきましては、留意事項の中に、建議に盛られた労働時間短縮の促進のための施策については、立法措置による場合であっても労使の自主的努力を促すとの基本的考え方で実施されるよう留意する必要があること、それから、労働時間短縮実施計画の承認に当たっては、関係労働組合または関係労働者の意見を聞くように留意する必要があるというふうにされているところでございます。
 こういったことから、計画の策定に当たりましては、できるだけ関係労働組合等の意見を聞くことが望ましいというふうに私ども思っておりますし、また、行政としても、この計画の承認に当たって審議をいたします審議会、これは三者構成でございますが、その場等を通じまして、できるだけ関係労働組合等の意見を聞くように留意をしてまいる考えでございますけれども、ただ、行政によります意見聴取を法律上の要件とするということになりますと、中小企業におきましては労働組合のないところも多いということで、実際に法律の運用をする場合に、むしろ困難なことになりはしないかというふうに危惧をいたすところでございます。
#193
○河上委員 政府の計画、第四条でございますが、第四条二項に推進計画を定める事項として四つ挙げられております。国が策定する推進計画は時短推進の基本となるものであると思いますし、重要であります。
 現状で時短の阻害要因となっております所定内・所定外労働時間、具体的には完全週休二日制の実施あるいは年次有給休暇付与日数増、取得率あるいは目安時間等の目標、これらは極めて現実を進める上では大切になるわけでありますけれども、こうした観点からの目標値、これは具体的に明示なさるのかどうなのか、この点についてお尋ねいたします。
#194
○佐藤(勝)政府委員 労働時間短縮推進計画につきましては、現在策定作業中の経済計画の内容を踏まえまして、一定期間内に達成すべき目標としましては、年間総労働時間あるいは週四十時間労働制の早期実現といったものを盛り込むということを考えておりますけれども、具体的にどこまで書き込むかということになりますと、これは審議会の意見もお聞きをしながら、その内容を固めてまいりたいというふうに思っております。
 なお、時間外協定に関する指針につきましては、現在も、先ほど申し上げましたように審議会の検討をお願いしている最中でございます。その答申を得た上で労働大臣の告示として実施をするものでございますので、この点につきましては、この計画の内容とするということは考えていないところでございます。
#195
○河上委員 本法は五年の時限立法となっているわけでございますが、短期間での効果を目指すことになるわけでありまして、この五年と設定した理由は一体何でしょうか。
#196
○井上説明員 労働時間の短縮は御承知のように早急に実現すべき重要な課題でございまして、本法案の作成の基礎となりました一月三十日の中央労働基準審議会の建議におきましても、本法案に盛り込まれた措置が「一定期間内に集中的に講ぜられることにより総労働時間の短縮が図られることを期待するものであることから、一定期間内の時限措置とすることが適当である。」という御答申をいただいてございます。
 本法案につきましては、こうした建議の趣旨を踏まえまして、五年間の時限法案としたものでございます。
#197
○河上委員 この法案は環境整備が目的でありまして、同業他社と横並び意識が強い、大企業に比べてみますと時短の進めにくい中小企業、ここに焦点を当てたものであります。この中小企業の時短促進に、五年間でこの法律に基づいてどの程度環境整備がなされると考えられますか。御感想を述べてください。
#198
○井上説明員 先生御指摘のとおり、中小企業におきましては、大企業に比べまして労働時間の短縮は進めにくい条件がございます。例えば労働組合の組織率が大企業に比べて低いこと等から、企業内におきまして労働時間の問題について日常的に話し合う場が整っていない、また、そういうことを反映いたしまして、労働時間に関する意識の改善や労働時間短縮の方策の検討がなかなか進みにくいというような状況もございます。また、御指摘のように、経営基盤が比較的弱いとか同業他社との横並び意識がとりわけ強いことなどがございます。
 そこで、この法案におきましては、特に企業内におきます労働時間短縮実施体制の整備を進めたい、それによりまして、企業の労使の時短に向けました取り組みを促していきたいというふうに考えてございます。また、横並び意識等を反映いたしまして、同一の業種の事業主が共同で取り組んでいただくというふうなことで、中小企業にあっても、同一歩調で時間の短縮に取り組めば効果が上がるというような観点から考えたわけでございます。
 私どもといたしましては、五年間にわたり集中的に措置を講じることによりまして、中小企業の時短の環境整備に全力を挙げてまいりたいというふうに考えてございます。
#199
○河上委員 五年です。整備の進捗状況によっては五年後も継続なさいますか、五年で終わるのでしょうか。
#200
○佐藤(勝)政府委員 この法案では五年を予定をしておりまして、その期間内に集中的にいろいろな対策を講じまして、それ以後はこういった法律でやる必要のないような状態をつくるのが理想であるというふうに考えておりますので、五年を延長するとか、そういうことを今の段階で考えてはおりません。
#201
○河上委員 それでは、最後にもう一点お尋ねしますが、本法案が目指す目標は何でしょうか。
#202
○近藤国務大臣 これは先生、まさに、労働時間短縮を、これまでのスピードをさらに上げていって、速やかに千八百時間の達成をしていただきたい、こういうことでございます。
 先ほどから五年はどうだというお話がございましたが、私が申し上げましたように、やはり今の率でいって六年なら何とかなるわけです。それは三十数時間で二百時間を割っていきますからね。それでは何もしないと同じでありますから、したがってそれをスピードアップしていけば、端的に言って一年間四十時間ずつ減らしていけば、五年間で二百時間減りますね、理屈の上で。ですから、五年の間にはその千八百時間を達成するということはそんなに難しいことではない。できれば、さらにいま一つ頑張って、どれだけ早く達成するか、こういうことでありますから、まさにこれは関係者挙げて時間短縮に積極的に取り組んでいただく、そういう計画を国がつくり、そして企業内でそういった委員会をつくっていただき、また、業種内においてもそういう体制をつくっていただく、こういうことでございます。
#203
○河上委員 実は通産省、中小企業庁の方にもおいでいただいているのですが、時間ももう全くなくなってしまいまして、大変申しわけないと思っておりますが、残しました質問は次の機会にまたさせていただくこととして、これで終わります。
#204
○川崎委員長 金子満広君。
#205
○金子(満)委員 最初に、大臣に伺います。
 労働時間の短縮という問題は、大きな社会問題であり、政治問題であり、もう一刻の猶予も許されないというところに来ていると思うのです。国政の上でも中心課題の一つであることは、もう間違いないわけですね。
 一九八八年に閣議決定で新経済五カ年計画を出したとき、五カ年間で千八百時間にということを公にしたわけですから、来年の三月いっぱいでこれはならなくてはならぬ。しかし、現実は、とてもじゃないが千八百時間にならないということはもうはっきりしているし、マスコミも絶望的と書いているわけだし、大臣もできるとは言わない。当時の総理も労働大臣も現在その職にないわけですから、それをどうしたと言っても仕方がないわけですけれども、いまだに二千時間を超えているわけですから、もはや来年の三月いっぱいで千八百時間は達成できない、ここでこういうことを言明した方がいいと私は思いますが、どうですかね。
#206
○近藤国務大臣 当委員会でもたびたび御答弁申し上げたわけでございますけれども、残念ながら、平成四年度末までに千八百時間の達成は不可能でございます。これは明確に申し上げておりまして、そういう反省に立ちまして、今度は、この法律で具体的な対策、措置を講じてまいりたい、こういうことでございます。
    〔委員長退席、永井委員長代理着席〕
#207
○金子(満)委員 計画倒れというのはこういうことなんですよね。責任の所在は明確になっていると思うのです。計画が非科学的であったのか、それとも行政指導の面に欠陥があったのか、どちらかだと思うのです。両方かもしれません。いずれにしても、達成できないということで、これは一般の企業なら倒産ですよ、立てた計画が全く進まないんだから。
 そういう中で、国際的にも日本の長時間過密労働、そしてよく言われるように、過労死まで言葉が国際語になっているというのですが、そういう点で若干私は具体的に指摘してみたいと思うのです。
 これはILOの機関誌で、一九九〇年第二号ですが、全文は、非常に長い、二百ページもあるのですが、その中で「働く時間−新しい勤務態様の政策と実例」というのがあります。この中で日本に触れたところがあります。それは、ヨーロッパその他の国々で時間短縮がこのところずっと進んでいる、しかし、そういう中で日本はどうか。「日本の事例は、先進工業諸国の以上の傾向とは、非常に異なっている。これには、文化的要因が非常に大きく影響しているとはいえ、日本の長労働時間と、それが一九七五年以来減少してこなかったという事実は、きわめて重要である。日本における労働時間編成の実情は、本報告が取り上げる諸国の中では、根本的な変化からもっとも遠い位置にある。」というのが日本だ。これは、ILOが機関誌で指摘をしている内容であります。
 しかも、そういう中で日本における日本ILO協会、これは去年の十二月号でありますか、その中でも、ILOの問題で「労働時間短縮をめぐる国際的動向」というのがありますが、ILO本部の労働条件部のマルティーノという方が次のような文章を寄せています。「日本は、目下、年間総労働時間を一八〇〇時間に短縮するためのキャンペーンを進めているが、他の先進国では、週の労働時間が問題とされているので、容易に比較できない。日本の過労働時間は、今のところ四六時間ないし四四時間ということだが、ヨーロッパ諸国では、四〇時間を下回っているところが多い。」そして続けて「日本だけがそこに達しないという特殊な状態にある。」とまで言われております。
 さらに、先般これは各新聞やテレビに報道されましたが、先月三十日に、ドイツでは年間総労働時間が千五百時間を割って千四百九十九時間になった、このように報道されています。同時に、ドイツでは「労働組合は過労働時間を現行の三十五時間から」既に三十五時間になっていますが、「三十五時間から三十時間への短縮を目指しており、労働時間の短縮はさらに進む見通し。」こう書かれています。
 これが最近私がピックアップした幾つかの内容なんです。
 そこで、これは労働大臣に聞くのが一番いいと思いますけれども、この俗称促進法は五年の時限立法なんですよね。だから、入り口はどうであっても出口のところはどういう状態にするのか。目的ですよ。この五年間で千八百時間にはできなかったわけです、また五年延長で十年間です、これは。ドイツはもう千五百時間を割ったという中で、悠長なあれを掲げているような格好になるんだが、それにしても千八百時間にするためには、週休は二日とは言っているわけですが、労働時間はどのようにし、そして今度は時間外労働の上限はどのくらいにするのか。審議会、懇談会、そっちの方へずっとやっておいたのでは行政が何もイニシアチブをとれないわけですから、そういう意味で、主管大臣として労働大臣が少なくとも出口のところではこれこれにしたい、そのようにすれば千八百時間あるいはそれをさらに割り込んでくることになるが、そういうような目標を今考えているかどうか。もう過去四年間でうまくいかなかったのだから、またできないということになると同じ石にまたつまずくことになるわけですね。その点をひとつ、今考えていることを目標として数字で挙げていただきたいと思うのです。
#208
○佐藤(勝)政府委員 大臣の前に、事実の問題も含めまして私の方から若干お答え申し上げます。
 そのILOのものは私は読んでおりません。今お伺いして感じますことは、日本の労働時間は昭和三十五年から昭和五十年まで、つまり第一次石油ショックのころまで順調に減少してまいりましたが、その後昭和五十年から六十二年までの間はほぼ横ばいという状態でまいりました。これは非常に厳しい企業経営環境が影響しているのかと思いますけれども、その後六十三年度から改正労働基準法が実施をされまして以降、かつてないような割合、もちろん千八百時間という目標に到達するには非常にまだ距離があるわけでございますけれども、それにしましても、かつてないような率で労働時間が平成三年度まで減少してきておるということが一つでございます。
 それから、ドイツの研究所のドイツでは千五百時間を切ったという調査がございます。これは新聞に出ていたわけでございます。私どもは、労働時間の国際比較というのはデータのとり方が違うものですから非常に難しいということで、製造業の生産労働者についての比較可能な数字を推計をしているものを出しております。これにつきましては詳しく申し上げませんが、いろいろな機会に、こういう場でもお答えをしているものでございますが、ただ一言申し上げますと、今回発表されました資料はドイツの経営者団体の組織の中にある研究所でございますけれども、ドイツの数字はどうも協約の数字である。日本の数字はどの数字からとったかわかりませんが、これは実労働時間のようなので、この統計自体非常に問題があるということは私どもの調査でわかっておりますので、どうもこれをそのままいただくわけにいかない。ただ、ドイツなんかと比べますと、日本の場合に非常に時間が多いということは事実でございます。
 こういうことをとりあえず申し上げておきます。
#209
○金子(満)委員 今の点についてちょっと伺います。
 ドイツの千四百九十九時間という場合、統計のとり方とかいろいろあるという話なんだが、それならばそれなりに具体的に答えていただきたいのですが、これは所定内の労働時間と思っているのですか、それとも所定外労働時間も含めてやっている、それはどのように考えますか。
#210
○佐藤(勝)政府委員 ドイツの数字として出ておりますのは、協約上の労働時間から欠勤日数分を引いたものであるというふうに承知をいたしております。
 日本の数字として出ておりますのは、どうも毎勤の数字とも合わないわけですけれども、実労働時間であるということはドイツの大使館を通じての調査では承知をいたしております。
#211
○金子(満)委員 先月三十日のドイツの発表でも、ドイツの年間労働時間が少ないのは主に祝日と有給休暇が多いためで、既に一九八七年の段階で千五百八十二時間になっている、こういうこともありますし、それから、時間外は上限が一日二時間、年間六十時間に区切ってあるのですね。ですから、それをオーバーしているということはないと思うのです。したがって、いずれにしても日本の方が長いわけなんです。
 そこで、今度はこの法案に戻ってお聞きしたいと思うのです。
 これは時間短縮を促進するというわけですね。それが法案の趣旨だとすれば、具体的目標が数字的には全く一つも出ていないわけですが、どのような目標に対して努力していくのか、ここが非常に大事なところなんですね。この法案にあるのは、時間短縮という言葉はあります、言葉はあるけれども何で具体的な目標を出さないのか。個々には労働省の幹部も、労働大臣ももちろんですが、総理まで時間のことは言っておるわけです。言っておることが何で数字に出てこないのか、なぜ具体的な目標を出さないのか。私は、具体的な目標が掲げられなければ時短は進まないと思うのですが、その点はどう考えているんですか。
#212
○佐藤(勝)政府委員 時間短縮の目標、できるだけ具体的なものを掲げるということは、実施をする場合に重要なことだと思います。
 この目標につきましては、経済計画あるいはそれとの調和を保ちながら策定を予定しております労働時間短縮推進計画の中で示されるわけでございますけれども、先生が今御指摘の計画というのは、恐らく二以上の事業主が策定する計画ということではないかと思いますが、もし間違っていたら御指摘いただきたいのですが、これは複数の事業主が例えば土曜日曜を休みにしよう、そのためにも営業日をどうしようというような具体的な進め方を考えて、これを実施をするということをやりやすくするための仕組みをこれでつくろう、こういうものでございますので、経済計画あるいは労働時間短縮推進計画のように全体的な推進の目標を具体的に定めるというものとは、若干性格を異にするものであるというふうに申し上げたいと思います。
#213
○近藤国務大臣 今局長が言ったとおりですけれども、ただ、先生、もう釈迦に説法でございますが、千八百時間という数字はどうしたら出るかといったら、週休二日をやって、有給を二十日間とって、十五日国民の休日等でとって、あと二日か三日休んで残ったものを四十時間で計算すると一応千八百ですよ。ですから、千八百にするということはそういう個々のファクターを一つ一つ実現していけばなるわけであります。だから、計画を示してないとおっしゃるのは必ずしも当たらないのじゃないでしょうか。
 それから、タイミングについては、先ほど言いましたように二百時間残っているわけですから、それを三十数時間で割れば六年間です。ですから四十時間、あと一日やれば五年間ですね。そうすると、法律の期限もちょうど五年間ですね。それから、新経済計画もことしから五年間でありますから、ちょうどタイミングとしては五年間で合う。
 それは大体のめどで、努力目標で、場合によってはあともう一、二年かそこら引っ張られるか前倒しできるかどうか、このあたりがこれからだと思いますけれども、少なくとも五年後には千八百時間を達成することは決して不可能じゃないというふうに考えております。
#214
○金子(満)委員 言われるとおり、近藤さんそうおっしゃって、確かに今言った数字があるのです。だったら法案に書いたらどうです、目標なんだから。労働大臣はこの措置法の提案理由の説明の中でも「完全週休二日制の普及」とちゃんと言っているわけですよね。提案理由で言っているんだから本文に入るのは全然不思議じゃない。ところが、ひょっと見るとなくなっちゃっている。
 全体から見て、この法案では、一つは、時間短縮の計画をつくるのが政府ですよとなっている。もう一つは、じゃ事業主に対してはどうかというと、時短の義務づけはないのです。だから罰則があるはずがないのです。あるのは、ただ自主的な努力をしてくださいということなんだ。事業主に対しては自主的な努力をしてください、計画は政府がつくるようにということにはなっている。そうすると、今度は全体の法律は政府に一任ということになっちゃうのです。審議は国会でやるわけだ。私はそういう点で具体的な目標を出していかないとこの法案というのは何か一種の勧告とか要望のようなものになってしまって、失礼な話だが、法律の体をなさないんじゃないか。
 したがって、私は具体的な問題として提起をしたいのは、今大臣も言われた点でありますけれども、労働時間の短縮というのは本当は労働基準法の抜本的な改正で、しかも早期にやるべきだ。しかし、今ここで時短促進という法律が出ているのだから、そういう中で最小限このくらいの目標はやるべきだ。一つは一日拘束八時間だ、そして完全週休二日、これは大臣の提案理由の説明の中にもあるとおりだから。そして、これも言われているように週四十時間労働制の実現をしていく。それからもう一つは、時間外労働の上限を、私の考えでは一日二時間、月二十時間、そして年百二十時間を上限とする。これでもヨーロッパのそれよりは多いのですから、少なくともこのくらいを最低のものとしてやる。それから、年次有給休暇についても二十日間を最低とする。こういうことを何で明記できないのか。そうすれば努力の目標というのは出るわけですね。抽象的にただ努力してくれとか、事業主はとか、あるいは政府はとかいうのじゃなくて、もう出ているものは明確にしてこそ、あそこへ向かって進むんだなということははっきりするのですね。だから、その点を明確にすべきである。それをしないと、もう午前中からの質問でも出ているように、日経連が時間を書くなとか言うなとか、いやそんな感じじゃなかったとかいろいろ言われていますけれども、そういうぼやっとしたようなものになってしまうのですよ。時間というものについては明確にそれをすべきだ。
 なぜこれができなかったのかというそこのところ、正直な話これはどうなんですか。
#215
○近藤国務大臣 正直な話、先生、一応千八百時間というのはそういう形で週休二日、有給二十日、こういうことでなるのですけれども、それは一つの基礎的な計算例、一つのモデル計算例でございまして、実際はいろいろな企業がそれぞれの特殊事情からおやりになっていただくわけでありますので、そういうことは一応の計算の例だけれども、まず千八百時間をこの法律の有効期間五年間に達成していただこうということにして――なぜ法律に書かないのかというお話でございますけれども、これはそういう一つの条件整備のための法律でございまして、この後にまさに先生おっしゃったような労働基準法の改正が待っているわけですね。労働基準法の改正になれば、これはぴしっといよいよ週四十時間と出てきて、それから罰則が出てくるわけでしょう。だから、もうしばらくの御辛抱でございますといいますか、これでやって、あとは改正労働基準法でぴしっとさせていただく、こういうことじゃないでしょうか。
#216
○金子(満)委員 条件づくりと言うけれども、目標のない条件というのは一体何をやるのですか。皆さん幸せになる委員会をつくりましょう、こんなことをやったって何が幸せかわからないのですよ。だから、労働時間の短縮を促進するというのだから、どこのところへ促進して進んでいくのか、そのためにどんな委員会をつくるのか、これは別の機会に質問しますけれども、そういうのでないとだめです。
 いろいろ言われているけれども、経済審議会が四月に中間まとめを出したですよね。そのことについて日経連が永野会長名で五月六日に経済審議会に対して文書を出しました。「「新しい経済計画の基本的考え方と検討の方向」に対する見解」、それで大臣が先ほど別の委員の質問に対して答えて言ったのですが、この中で労働時間について次のようにはっきり言っているのですね。「労働時間短縮については、次の諸点をとくに留意願いたい。 労働時間の短縮は、労使の自主的な努力が基本である。また一労働基準法の改正を含む労働時間の短縮については、現在、「中央労働基準審議会」で論議中であるため、具体的な方向についての言及を避けるべきである。なお、中間報告に指摘されている過所定四十時間制への移行については、特定の産業や中小企業の実情を配慮し、適切な移行措置ないし例外措置が必要である。」ということを述べてやっているのですね。つまり、経済審議会の最終答申が六月に出るけれども、その最終答申では千八百時間という目標値は明確にしないでくれという意味ですよ。これははっきりしている。そういうことにとらわれないというのが労働省の担当者の見解であることも私は聞いていますけれども、だとしたら、法案の中に明文化しなかったらこちらが生きることになるのです。
 だから、決意だけやって、そういうのはだめです、我々の腹はしっかりしています。そのしっかりしている腹で八八年のときに打ち上げた千八百時間、あのときの総理とか労働大臣の発言を見たらえらいすごい勢いですよ。だんだん声が小さくなって、先ほど大臣の言明のように、これはもうあかんです、こういうことになっているわけだから、今やはり促進法をやるのだったらそこのところは明確にしないとだめです。だれに気兼ねしておどおどして、口でしゃべっていること、それがなぜ全然文字に出ないのですか。
 ですから、私はさっき私の考えで出しましたけれども、こういう点は明記していかないと、これは仕掛けづくりと言ったって、これは何をやりますの。うちの事業所でできますか、やりますか、難しいですね、じゃきょうの会議はこれで終わってまた次の機会にやりましょう、そんなことに。なってしまうのです。だから、目標というのは本当に明確にすべきなんだが、もう一度、どういうところに障害があるのですか、この数字を出すのに。ふだんではみんなもう言葉で出ているのです。
#217
○近藤国務大臣 先生が引用されました日経連の意見書は、字面で読みますとある意味では当然のことでございまして、労働時間というのはまさに中央労働基準審議会で、専門審議会で議論したことでありますから、これは経済審議会の中でそのことに中央労働基準審議会の先乗りしてということはどうかなと私は理解をしておりますから、それは日経連としては穏当の意見ではないでしょうか。
 ただ、私たち労働省としては、中央労働基準審議会に諮っておりますから、そこで数字が出てまいれば、そういう数字を踏まえながら、今度それをもう一回審議会に持っていって、そして政府の統一した目標時期としていついつまでに幾ら、こういうふうに明確化することになる、かように私は考えております。
#218
○金子(満)委員 くどいようだけれども、先ほども別の委員からの質問で、新聞にもう報道されていることですけれども、時間外労働協定に関するガイドラインを労働省は改正する、現行の時間外労働協定の上限時間、年間四百五十時間を短縮する、これは二、三割と書いてあるわけですね。これは時間外労働を二、三割短縮しても千八百にはならないですよ。そういう点で、このことは審議会だか調査会だか、そっちの方で今議論願っていますというのがさっきの答弁でありましたよ。だけれども、イニシアチブというのは労働省がとるべきだ。何か第三者のところへやっておいて、それで別なところではっきり言っているんだから、上限を決めなければいかぬ、こういうことですよ。
 それから、先ほど申し上げた経済審議会の運営委員会の四月十五日の中間まとめの中では、「労働時間短縮については、計画期間中に達成すべき具体的な目標を示し、その実現のため、労働基準法の改正により早期に法定労働時間週四十時間制への移行を実現する。」ということまで言っているわけです。サービス残業を解消するということまで言っているわけですね。みんな数値が全部出ているのですよ。
 それで、労働大臣は、近藤さんは決意として随分述べているのですよ。だけれども、五年先まで労働大臣をやっているかどうか、これはだれも保証できないですよ。ですから、大臣が言明したということでは法律にならぬのですね、これは。それほど確信を持って言明するんだったら、文書の中にはっきりできないものだろうか。ここのところは多くの人たちが望むところで、意欲があるんだかないんだか、そうすると、目標を明示しないで時短ができるのかできないのか、みんな疑問に思うと思うのですね。だから、初めから疑問に思うようなことだったら歯車回らないですよ。だから、行く先がちゃんとあって、そこに向かってどのようなスピードで進むのか、どんな列車に乗るのか、自動車で行くのか。目標がはっきりしないで、ただこの車に乗りなさい、乗っている中で話しなさいと言っても、到達できるんだかできないんだか、そんなのんびりした段階ではない。
 経済計画のいろいろな関係も言いますけれども、これほど貿易摩擦で国際的に袋だたきになっている多くの要因の中の一つには、長時間過密労働があるのですよ、間違いなくあるのです。そして低コストが摩擦の原因の一つになっちゃっているのですよ。だから、ここまで露骨に袋だたきになっている中で、今国際的にも国内的にも明示するということが本当に必要だ。
 時間が来ましたからこれで終わりますけれども、最後に、そういう点で時短の目標を明示すべきだ、この点を強調しておきたいと思うのです。もう一度大臣に伺っておきます。
#219
○近藤国務大臣 先生、今の車に乗っても六年ぐらいで達するのですよ、今のスピードで。だから、それを五年後に達するようにしようというのが今度の法案の基本的なスタンスでございます。
 それから、新しい経済五カ年計画の中にも、そういうことを踏まえてきちっと最終的には書き込むことになると思いますし、私は書くべきだと思う。しかし、その結論は、労働省側の雇用審議会もございまして、そこで雇用対策基本計画というのを新しくつくるわけですし、やはり中央労働基準審議会の議も経てくるわけであります。ですから、あえて日経連を弁護するわけではありませんけれども、全部先行して、先回りして経済審議会が結論を出すのは多少問題ではないですかということをおっしゃったというふうに、日経連の意見書を私は理解しております。
#220
○金子(満)委員 続きは後でやりますが、その点はひとつさらに研究してもらいたいと思います。
#221
○永井委員長代理 次に、伊藤英成君。
#222
○伊藤(英)委員 今、実は私たちは労働時間短縮という極めて重大な問題について論じているわけですね。私は、この問題はいわば私たちの生活の仕方あるいは生き方の問題を論じているんだ、こういうふうに思うのですね。先回の本委員会で、私は、時間外の割り増し率の問題のときに、これは時間に対する価値の問題を私たちは今議論しているのですよという話をいたしました。
 例えば、よく言われることですが、レジャーという言葉がありますね。レジャーというのは一体何なんだろうかということでありますが、百科事典なんかで調べてみますと、もともとこれはラテン語のリセレという言葉から来ているんだそうです。意味はどういうことかというと、許容される時間、あるいは拘束されていない時間、それから、生活のために働くことから解放され、祈り、思索、学ぶことに充てられる時間とも書いてあるのですね。そして、活動としてそれをとらえたときには、自由時間ですね。自分の持っているトータルの時間の中から、働く時間なり、あるいはひょっとしたら睡眠時間等も差し引かれるかもしれません。そうして残ったいわゆる自由時間を人間的に使う活動というようなことが書かれております。もともとはこういうことですよね。
 したがって、レジャーと言われるものは本当はそういう意味なんだよ、その時間をどういうふうに今私たちは使おうとするんだろうかということを実は扱っているのですね。だから、文字どおり、これは実はライフスタイルの問題になるわけですね。そういうふうに私は思うのですが、基本的に今私が申し上げたようなことにつきまして、大臣はどういうふうに思われますか。
    〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
#223
○近藤国務大臣 先生から大変大事な御指摘があったわけであります。私も、人間にとって、人生にとって最も大事なのは時間だと思うのですね。時間は有限ですね、未来永劫に生きるわけではないのですから。その有限の時間をいかに有効に使うか。
 ですから、私は、時間短縮という考え方は、有限な時間をいかに有効に使うかということのための措置だと思う。しかし、それはいろいろな社会的なしきたりやいろいろなことがあっての話でありますから、そう簡単にできないので、そのためには今回法律を成立させていただいて、そして、それが速やかに達成できる環境整備にぜひ取り組ませていただきたい、こういうことでございます。
#224
○伊藤(英)委員 まあそういうことなのですね。
 実は、今の日本の労働時間短縮の問題というのを非常に難しくしていることがいろいろあるなと私は思うのです。私たちも時間短縮やれ時間短縮やれ、こう言うのですが、実はなかなか大変だなと思う。
 それはどういうことかというと、今の日本の経済あるいは産業構造、これはどうなっているんだろう。あるいは日本の労使関係は、労働組合のあるところもあるし、ないところもある、労働組合があるとしてもそれぞれがどういう機能を実は果たしているんだろうかという問題もある。あるいは、さっきもちょっと触れましたけれども、労働観というのをどう考えるんだろうか、あるいは人生観をどう考えるんだろうということだってある。さらには、生活大国生活大国と言ったりいたします。私たち、生活先進国、こう言ったりするのですが、そういうふうになっている現状はどこにどういうふうにあるんだろうかということだってある。どのくらいいろいろな周りの環境、施設等が整備されているんだろうかというようなことだってある。そして、自分たちが得ている所得の水準についてどういうふうにそれぞれが認識しているんだろうかというようなことがあるのですね。
 実は、今私が申し上げたようなことが反映をされて今日の労働時間という実態をつくり上げているわけですね。だから、そういう意味では、言うはやすくしていろいろ難しい話だなというふうに思うのです。
 では、これからどういうふうにして時間短縮というのを進めていくんだろうかというふうに考えるわけです。
 大きく分けると、私は、一つは今回のような法案もつくりながら、政府の経済計画にのっとって関係労使の自主的な努力もしてもらいながら行政が指導援助をするという、いわば環境整備を図るやり方ということもあるでしょう。あるいはもう一つは、本来の手法であると思うのですが、労働基準法の改正等、こういうものをやって進めていくという方法がある、こう思うのです。
 今労働省としては、その辺についてどんな時代認識を持って、そしてなぜ環境整備というようなやり方をしようとしているのか、お伺いいたします。
#225
○佐藤(勝)政府委員 現在の日本の労働時間の姿というのは、今先生が挙げられましたように、いろいろな社会意識あるいは文化背景、いろいろな問題の積み重ねの上で今日の姿ができているわけですから、これを減らすということになりますと、そういうものに全部関連をしてくる話でございますが、ただ、行政として取り組める問題とそうでない問題と両方ございます。
 総合的に先生御指摘の問題を解決しようとしても、これは行政の仕事としてなかなか難しい。したがって、例えば週四十時間労働制であるとかあるいは週休二日制の普及であるとかあるいは有給休暇をとるように、そんなような手法になってくるわけでございますが、基本的には労働時間の短縮というのは労使が自主的に進めるべき問題である、これが基本であろうかと思います。ただ、そうは言ってもそれに任せているだけではなかなか進まないという実態もあるわけです。それで、経済計画なりあるいは労働省の計画で労働時間短縮の目標を示す、それから労働基準法によりまして罰則で実施を担保する最低の基準をつくるということで、それはそれで監督あるいは法違反に対するいろいろな措置という形でその最低基準は確保する、それ以上のものはやはり労使がやっていくわけですけれども、その場合に、特に中小企業において自主的に進めることが難しいということで、中小企業あるいはその団体に対するいろいろな支援助成措置を講じているわけです。
 そういうふうにして、時短の歴史というのは結構長いわけで、時短という定義にもよりますけれども、言ってみれば労働基準法ができてから、終戦以来ずっと始まっているわけでございますけれども、この数年とってみましてもそういった手法でやってきた。ところが、いろいろな障害が出てくる。例えば、コストの問題であれば融資とか減税とかいった問題でカバーをされる、あるいはどうやって時短をやったらいいかわからないというノウハウの問題であれば、アドバイザーであるとかそういうことを指導する人を派遣するというような方法もあります。そういったいろいろな問題の中で、横並び意識といいますか、特に中小企業の場合に、自分のところだけそれをやれない、自分のところだけやればいろいろな問題が生ずるということで、やはりそのあたりを眺めるというようなことが一つの障害になっているという実態がだんだん明らかになってきておるわけでございますので、今回の法律は、そういった横並び意識が障害になっている面につきまして、事業主が共同して時短に取り組めるような環境をつくろうというのが、大ざっぱに申しまして全体の構図であろうというふうに理解をいたしております。
#226
○伊藤(英)委員 私は、今のようなこともあるのでしょうけれども、やや責任を他に押しつけ過ぎてはせぬかなという気もするのですね。
 例えば、昭和六十三年五月に閣議決定をされましたいわゆる経済五カ年計画、そこに平成四年度までに週四十時間労働を実現して、年間千八百時間に向けてできるだけ短縮するというふうに決めたりしておりますね。そして、昭和六十二年の労働基準法の改正では第三十二条の本則で四十時間というふうに定めておりますね。
 なぜ目標は達成されなかったのか、今言われたようなことですか。
#227
○佐藤(勝)政府委員 千八百時間に向け、計画期間中にそこに向けてできるだけ近づくという目標が達成をされない原因でございますが、これは根本原因あるいは現象的な原因といろいろとあるわけでございますが、後の方の全く現象的なお話をすれば、例えば中小企業では完全週休二日制の普及がおくれている、あるいは年次有給休暇の取得が不十分である、あるいは特に大企業を中心に所定外労働時間が減らないというようなことで、なかなか千八百時間に近くならないという実態があったと思います。
 そういった例えば週休二日制が普及しないとか年次有給休暇の所得が半分程度しかいかない、あるいは所定外労働時間が、平成三年度は若干減りましたけれども百八十時間ぐらいで来ているとかということになりますと、これは申し上げれば切りがないようないろいろな原因があろうかと思います。労働組合の組織の問題もございましょうし、それから、過去四十年にわたって法定労働時間四十八時間の体制できていたというようなこと、あるいは特に企業の規模間格差が非常に大きいために、最低基準を定める労働基準法の改正もそれに制約をされるという面がどうしても出てくるというようないろいろな面があろうかと思います。
 いずれにしましても、六十三年からの労働基準法の実施以降を見ますと、例えば平成二年度から三年度にかけましての労働時間の短縮幅というのは三十八時間でございます。これは過去と比べますと大変大きな数字でございます。一・八%から九%ぐらいの減少になるわけでございますけれども、最近で労働時間がだんだん順調に減ってきた時期というのは、昭和三十五年から昭和五十年ぐらいまでの間ですが、その間でさえも年率一%くらいでございました。それが一・九%ぐらいの減少になっているわけですから、不十分であるといってもかなり進んできている。仮に現在の経済計画期間中の五年間で千八百時間を達成しようということになると、これは年率で三%以上の減少でいかなければいかぬという意味では非常に大変な大事業であろうということでございます。
 いずれにせよ、我々としてももっともっと努力をする必要があるということでいろいろな方法を考えるわけでございますけれども、今回の法案で考えておりますのも、そういう点に対する貢献が期待をされるということで御審議をお願いしているわけでございます。
#228
○伊藤(英)委員 私はこういうふうに思うのですね。
 経済審議会の答申とかあるいは経済計画でいろいろなことをやってきたりするのです。ところが、少なくとも労働行政ということを考えてみても、実はひょっとしたら結果論かもしれませんけれども、いわゆる産業、企業優先の考え方であったのだと思うのです。だから、結果としてそういう実効を上げることができなかったのだと思うのです。そう思いませんか。基本的に実は労働行政もそうであったというふうに反省はされませんか。
#229
○近藤国務大臣 先生、私はちょっと違う認識を持っておりまして、これまでの日本経済発展の中で、産業の発展や生産の増強というものが重要視されてきて、それはそういうことであったのだけれども、ここまできますと、これも御指摘ございましたように、日本人の労働環境というのは、単に国内問題だけでなく国際的な問題にもなっているのです。場合によってはジャパンバッシングの材料にもなっている。そういうことですから、国内的にも経済的に力が出てきたし、逆に外から見ると何だ、こうなってきておりますので、そういう内外の情勢が労働時間の問題について改めて官民挙げて取り組むという状況になってきた、こういうふうに私は理解しております。これからが一つのスタートだ、こういうふうに理解している。
 そういう意味では、我田引水でございますが、タイミングのいい法律を今御審議をお願いしている、こういうふうに考えております。
#230
○伊藤(英)委員 私は、大臣の今言われた言葉も私なりに考えれば、今まで本当にもう少しこうすべきであったのだろうな、だけれども、なかなかうまくできなかったのかもしれない、しかし、そういう面も反省をしながら、今はあるチャンスだから実は本当に一生懸命やりたいのですよという意味だろうと私は思うのですが、今回の出されている法律案について見ますと、実は幾つかの点がなかながわかりにくいなということがあるのですね。
 例えば、そのうちの一つは、いわば行政がこれからどんどん不当介入みたいな格好になってくるのじゃないかという気もいたします。幾ら政府が閣議決定をしても、強制力を持たない法律で今度やるわけですね。それは余り意味がないのじゃないだろうか。ただただ、これから行政介入はどんどん多くなるというやり方をしているのではないかと思うのですが、これはどうですか。
#231
○近藤国務大臣 例えば建設業界の時短を考えた場合には、早い話、公共事業の条件から、例えば納期をどうするかだとか、そういったことがありますから、やはり建設業界を指導する建設省の協力を得なければならないし、それから今度は運輸業界の時短は、これはバス、タクシー、そういった運輸業界を指導している運輸行政の協力がなければできない。ですから、まさに国全体として時短推進基本計画というのを決めて、そして閣議で、関係大臣が集まって閣議決定をするということは非常に大きな意味がある。
 しかし、そのことは、先生が危惧されているような不当な行政介入になるというふうには私は理解しておりませんので、むしろまさに内閣挙げて、それぞれつかさつかさで時短が具体的に推進できる、促進できるようなそういう措置をひとつ協力して一斉に、まさに一斉にやっていただきたい、こういうことじゃないかと思います。
#232
○伊藤(英)委員 例えば、今回こういうときにどうしていくのかなという意味でちょっとお伺いするのですが、営業日の問題で、デパートなんかが正月営業がどうかという話がいろいろ出たりいたしますね。現在ですと、一月の二日、三日、そして四日からそれぞれ営業するデパートというのが結構あるのですが、例えば、同一の業種に属する複数の事業主から幾つかのパターンで計画が提出されたとしたときには、どういうふうに処理をされることになりますか。
#233
○佐藤(勝)政府委員 先生の今の御質問は、同じ業種の幾つかの事業主がそれぞれ違うグループをつくって、いろいろな計画をつくろうということでございますが、私どものつもりでは、事業主が自主的に労働時間の短縮に寄与する計画をつくって出してくるという場合に、それぞれ違うグループから出てきたとしても、労働時間の短縮に役立つということであれば、同一業種の違うグループから出てきても、それはそれでいいではないか。違うグループが違う計画を持ってきても、それぞれのグループの中でその計画に従って時短を進めようということで、実際にそういう中身の計画になっていれば、それはそれでいいのではないかというふうに考えているところでございます。
#234
○伊藤(英)委員 そうすると、同じ業種の中で営業日等の問題でいろいろなケースがあっても、それは別に意に介しませんよということになるわけですね。
 話は違いますけれども、今回の法律案は、例えば時間短縮について具体的な数値を示すというようなことはいたしません。そして、行政がかなりいろいろな介入をしていろいろなことをやっていこう、そして独禁法の適用の問題についても、それを緩和するというような今回のような法律は、世界の先進国に似たようなものはありますか。
#235
○佐藤(勝)政府委員 外国といいますか、いわゆる先進国の状況を見てみますと、最低労働基準につきましては日本と大差ないところが多いわけでございますが、あとは労使協定で、全国産業別の協定というようなことで進んでいる。ドイツなんかはその典型でございますが、御承知のように、日本ではちょっと違ったところでございまして、そういう違いがありますので、私の知る限り、今回審議をお願いしているような法律を持っている国は、私の知る限りではないのではないかというふうに思っております。
#236
○伊藤(英)委員 私も、多分、こういう法律は余りないんだろう、こう思います。大体、こういう法律はほとんどつくらないのだろうと私は思っております。
 そこで、例えば同一業種の中で、いわゆる外資系の事業主ですね、外資系の事業主に対してどういうふうにアプローチするのかな。彼らから見たときに、ひょっとして政府の不当な介入じゃないのだろうかというふうに思うことはないのだろうか。あるいは、日本の政府というのは変わったアプローチの仕方をするものだというふうに思うことはないでしょうかね。
#237
○佐藤(勝)政府委員 今回の法案の仕組みというのは、日本の状況に照らして、こういう方法が有効であろうという形で考えているものでございますから、そういう意味では、ほかの国で似たようなものがあるとはちょっと思えないのですけれども、ただ、やはり日本の状況に合ったユニークな、かつ役に立ちそうな制度であるという評価があっても不思議はないと思います。私はそういうふうに、手前みそですけれども思っております。
 ただ、外資系の企業云々のお話でございますが、外資系の企業だけの問題ではないと思いますけれども、こういう法律が成立をした暁には、こういう制度があります、それでこういう制度を利用して、こういう方法で労働時間短縮をやることができますというPR、啓発指導あるいは相談に応ずるということは大いに積極的にやっていきたいと思いますけれども、ただ、実際にこの制度を利用するかどうか、これは最後の決定は企業の労使あるいは事業主の判断でございますので、仮に外資系の企業から日本政府が不当な介入をしてきた、そういうようなそしりを受けるようなやり方はするつもりはございません。
#238
○伊藤(英)委員 大臣、私はこういうふうに思うのです。
 今回の法律案の基本的な認識といいましょうかそういうことで大臣にコメントを求めたいと思うのですが、私は、この時間短縮という問題を考えるときに、これは最初に申し上げたように、ゆとりある豊かな社会、そしてそこに住む人間としての労働時間のあり方、あるいは国際社会との調和とかあるいは整合性という問題から考えたときに、本来の姿は、本来のやり方は労働基準法の改正をすべきだ、企業はその法律を守ってもらいましょう、そして行政はそれを見守るといいましょうか、守らせるための努力をすることだと私は思うのですよ。
 したがって、今回の法案は、本来の進め方ではないけれども、言いかえれば、世界に対して胸を張って私たちはこの法律を主張するというようなものではないけれども、日本の現状にかんがみて、これはいわば残念ながら過渡的な措置としてこういう法律も必要だなというふうに私は思うのですが、これはそういうふうに考えてよろしいですか。
#239
○近藤国務大臣 当委員会でもたびたび御答弁申し上げておりますように、現五カ年計画で今年度末までに千八百時間を目標にしておって、それが残念ながら今達成できない。そこで、しかし、その千八百時間というのはそんなに難しいことかといったら、先ほど来言っておりますように、既に現レートで三十数時間ずつ減らしておりますから、五、六年では達成するまで来ているわけでございますので、まず、それを達成できるようなフレームワークづくりをこの法律でやらせていただいて、そして最終的には労働基準法を改正して、週四十時間体制にぴちっとやる。やる以上は、もう企業界でこれに従っていただくということになるわけでありますから、それを最終目標に置きながら、まさにそちらに向かっての促進法だ、こういうふうに私どもは位置づけをしているわけでございます。
#240
○伊藤(英)委員 法案の具体的な中身に多く踏み込む時間がありませんので一点だけお聞きするのですが、この企業内の時間短縮推進体制の整備に関連して、時短を推進するために労働時間短縮推進委員会を設置して、そしてそこでの決議は、時間外・休日労働にかかわる決議以外、労働基準監督署への届け出を免除することになっておりますね。私は、この届け出免除ということは労働基準法の精神から逸脱しているのではないか、こういうふうに思うのですよ。
 そもそも労働基準法か労使協定を要件として変形労働時間制や時間外・休日労働を認めているのは、これは経営側と対等、独立の立場に立つ過半数組合ないしは過半数の代表者に協定締結権限を認めることによって、変形労働時間制や時間外・休日労働が安易に認められることのないように歯どめをかけたものだと思うのですね。
 今組合の組織率が低い現状、特に中小企業の現状から考えますと、過半数代表者の委員と経営者との関係において、対等の立場を貫き、公正な労使協定、決議ができると想定して本当にいいんだろうかということであります。
 そしてまた、時短推進委員会の設置は事業主がいたします。そして、その委員の指名も事業主が行います。しかも、届け出義務は法的なチェックをするためにあるのにそれを放棄する、私は監督行政の後退だと思うのですね。そして、見方を変えれば、事業主への便宜供与をしているのかもしれない。だから、労使の自主的な努力を強調する余りに時短推進委員会の決議に法的効果を持たせて本当に大丈夫だろうかということ、そして、こういう特例を認めることが今後の労働行政について大きな影響を与えていくんじゃないか、私はこう思うのです。これは基本的にどういうふうにこれから進めていくんだろうか。この法律そのものは時限立法になっていますわね。五年なら五年以内というふうになっているのですが、基本的な物の発想が本当にこれは大丈夫かな、こういうふうに思います。
#241
○佐藤(勝)政府委員 この法案では、時間短縮推進委員会というか、労働時間短縮のための労使の話し合いの場をつくるということを促進しようということでございますし、また、そういうことでできました推進委員会が一定の要件に該当する場合に限って労働基準監督署への届け出在免除する場合があるわけでございます。
 ただ、この届け出の免除は、例えば時間外労働の協定のように免罰規定といいますか、もともと罰則をもって禁止されているものを解除するという意味の協定について届け出を免除するという意味ではございませんので、三カ月変形労働時間制とかあるいはみなし労働時間制についての届け出に限るわけでございますけれども、これらにつきましてはもともとその届け出を義務づけている意味が、そういうものが適正に行われるように行政指導を行う必要上把握しやすいようにということで届け出を義務づけているという性質のものであるということが一つでございます。
 それからもう一つは、この時短推進委員会の決議に届け出免除といったような法的効果を認めますのは、労働時間の問題についてはこの委員会で日常的また専門的に議論が行われるわけで、そこでの決議につきましては委員全員の合意により行われるということを必要としておりますから、そういう意味で、十分信頼ができるのではないかということが一つ。
 それから、委員会の設置そのものにつきましては労働基準監督署への届け出義務、届け出を要件としております。また、そこでの決議は書面で行われる。それから、その決議に至る議事録が作成、保管をされているということを必要としているわけでございますので、労働基準監督官の臨検監督の際にもこういった推進委員会の活動状況が十分把握をされる、チェックができるという前提でこういう仕組みをこしらえているわけでございますので、従来の監督行政のあり方を逸脱するあるいは後退をするというおそれはないように仕組んでいるつもりでございます。
#242
○伊藤(英)委員 時間が参りましたので、この続きは次回の委員会で行います。
 ありがとうございました。
#243
○川崎委員長 次回は、来る二十日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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