くにさくロゴ
1992/05/20 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第7号
姉妹サイト
 
1992/05/20 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第7号

#1
第123回国会 労働委員会 第7号
平成四年五月二十日(水曜日)
    午前九時三十二分開議
出席委員
  委員長 川崎 寛治君
   理事 愛野興一郎君 理事 大野 功統君
   理事 住  博司君 理事 長勢 甚遠君
   理事 三原 朝彦君 理事 岩田 順介君
   理事 永井 孝信君 理事 河上 覃雄君
      赤城 徳彦君    小泉純一郎君
      田澤 吉郎君    中谷  元君
      野呂田芳成君    林  義郎君
      平田辰一郎君    平沼 赳夫君
      船田  元君    池端 清一君
      岡崎 宏美君    五島 正規君
      鈴木  久君    外口 玉子君
      井上 義久君    金子 満広君
      伊藤 英成君    徳田 虎雄君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 近藤 鉄雄君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局経済部長 糸田 省吾君
        中小企業庁計画
        部長      桑原 茂樹君
        労働省労政局長 清水 傳雄君
        労働省労働基準
        局長      佐藤 勝美君
        労働省婦人局長 松原 亘子君
        労働省職業安定
        局長      若林 之矩君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局経済部調
        整課長     山田 昭雄君
        公正取引委員会
        事務局取引部下
        請課長     本城  昇君
        厚生省児童家庭
        局母子福祉課長 冨岡  悟君
        中小企業庁計画
        部振興課長   佐藤 哲哉君
        中小企業庁計画
        部下請企業課長 柚木 俊二君
        労働省労働基準
        局賃金時間部長 井上 文彦君
        労働委員会調査
        室長      下野 一則君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十九日
 辞任         補欠選任
  池端 清一君     貴志 八郎君
同日
 辞任         補欠選任
  貴志 八郎君     池端 清一君
同月二十日
 辞任         補欠選任
  齋藤 邦吉君     中谷  元君
同日
 辞任         補欠選任
  中谷  元君     齋藤 邦吉君
    ―――――――――――――
五月十四日
 短時間労働者保護法の制定に関する請願(竹村
 幸雄君紹介)(第一九八三号)
 同(小川国彦君紹介)(第二〇八三号)
 同(伊藤英成君紹介)(第二二六〇号)
 同(大内啓伍君紹介)(第二二六一号)
 同(川端達夫君紹介)(第二二六二号)
 同(神田厚君紹介)(第二二六三号)
 同(小平忠正君紹介)(第二二六四号)
 同(高木義明君紹介)(第二二六五号)
 同(塚本三郎君紹介)(第二二六六号)
 同(中井洽君紹介)(第二二六七号)
 同(中野寛成君紹介)(第二二六八号)
 同(永末英一君紹介)(第二二六九号)
 同(柳田稔君紹介)(第二二七〇号)
 同(米沢隆君紹介)(第二二七一号)
 同(和田一仁君紹介)(第二二七二号)
 同(楢崎弥之助君紹介)(第二二七三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
五月二十日
 労働時間の短縮に関する陳情書(大阪府茨木市
 駅前三の八の一三茨木市議会内茂手木幹久)(
 第八六号)
 パートタイマーの労働条件改善に関する陳情書
 (富山市新桜町七の三八富山市議会内五十嵐俊
 行)(第八七号)
 介護・看護休暇制度に関する陳情書外一件(富
 山市新桜町七の三八富山市議会内五十嵐俊行外
 一名)(第八八号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案
 (内閣提出第七九号)
 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出第五九号)(参議院送
 付)
 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき
 、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認を
 求めるの件(内閣提出、承認第二号)
     ――――◇―――――
#2
○川崎委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。
#3
○赤城委員 おはようございます。
 最初に大臣に、大臣が提唱されていますゆとり創造社会について伺いたいと思います。
 実は先日、エンデという作家の「モモ」という童話を、これはビデオにもなっておりますので見ました。こんな中身なんです。
 ある町の人たちのところへ灰色の人間が来ます。君は何歳だねとこう聞きます。三十歳ですと答えると、そうすると、何億何千何百何万何千何秒君は生きているね。寝ている時間が何万秒で食事をしているのが何万秒だ。こんなに人生をむだにしているじゃないか。それを切り詰めて一生懸命働いて、その分時間をためておいて後で使ったらすばらしい人生になるぞ、こういうふうに言いまして、町の人たちは、ああそうかと納得して時間を切り詰めてどんどん働くようになる。そのためた時間というのは、実は灰色の人間たちに奪われてしまう。その奪われた時間を主人公のモモが取り返しに行く。こんなような話であります。
 世の中が便利になりますと、本来なら時間がもっと余っていいところが、どんどんどんどん時間に追われてしまう。それが現代社会の特質ではないかなと思います。
 例えば、コピーの機械ができます。今まで手書きで写していたものがコピーで便利になったと思いましたら、あに図らんや、コピーする枚数がどんどんふえて、あれもコピーしろこれもコピーしろ……。ワープロができてもコンピューターができても、みんな同じです。どんどん仕事がふえます。自動車とかあるいは電車が便利になりました。「のぞみ」なんというのは大阪まで二時間半で行く。そうしますと、朝九時の大阪の会議に間に合うというふれ込みで今やっておりますけれども、そのために、朝五時に起きて電車に乗って大阪の会議へ九時に出ます。一日仕事をして帰ってくるのはもう十二時近い。そういうふうにどんどんどんどん時間に追われてしまう。そこら辺を社会構造全般の転換をしていかなきゃいけないときに来ているんだなというふうに感じます。これは単に労働時間だけでなくて、まさに社会全体の変革が必要なんだと思うのです。
 日本がどんどん成長を続けてきた。日本だけがこういうふうに成長しているならばいいんですけれども、成長の陰には環境問題とかごみの問題とかいろいろな問題が出てまいります。日本だけでなくて、アジアの国々、アフリカの国々、そういった国々が同じような生活をしたい、ぜいたくをしたい、こういうふうになりますと、とてもとても、地球はパンクしてしまいます。ですから、日本だけがひとり勝ちをするということは許されない。ある程度その成長をペースダウンをしても、世界の国々とあるいは自然環境と調和するようなそういう社会を目指さなければいけないんじゃないかなと思うのです。
 例えてみますと、晴耕雨読型社会といいますか、働くのもそこそこに、そして、余った時間は決してレジャーとかぜいたくとかそういったことに費やすのではなくて、文化的な、本を読みながらとか、そういうような中庸な人生、中庸な社会、そういったものを目指していくことが必要ではないかなというふうに私思いますけれども、大臣のゆとり創造社会に対するお考えを伺いたい、と思います。
#4
○近藤国務大臣 ただいま赤城先生から大変示唆に富むお話があったわけでございます。私は、やはり人生におけるゆとりというのは、いろいろなものがあるわけでございますが、その中で基本的なものは、人間の生活を維持するために働く時間と、これはミニマムな生活ということですが、生活を維持するために働く時間と、それから――人間というのはいろいろな目的で生きているわけでございます、いろいろな価値があるわけでありますから。そういった基礎的な生活とそれ以外のいろいろな人間生活とで、やはり基礎的な生活をするに必要な働く時間をできるだけ短くして、そしてそれ以外のまさに多目的な、多価値な人生を追求する時間をいかに多くするかということが一つのゆとりの創造だと思います。
 それ以外に、例えば生活空間ですね、これを今のような小さなものよりもっと広げるだとか、それから、むしろ社会環境にももっともっと、豊かな自然だとかレジャーとかいろいろなことがありますけれども、それももちろん大事ですが、基本的には働く時間を短くして、それ以外のものを、目的を追求できる時間を余計にする、これがゆとり創造の非常に大きな目的だと思いますので、我田引水で恐縮でございますけれども、実は今御審議いただいている時短促進法というのもそういう方向に向かっての具体的な第一歩であると私は考えて、御理解をお願いしている次第でございます。
#5
○赤城委員 まさに人間の価値、何を人生で追い求めていくのか、これは非常に多様で人それぞれだと思います。いずれにしても、そういう価値を追求するためにはそのための時間が必要だ。働く時間は少し削って、そういったいろいろな人生の目的追求に割いていくということが大変大事だと思います。
 そこで、じゃ時間をどのぐらい削減をしていくのかということなんでありますが、先般の当委員会での審議でも、千八百時間はいつになったらできるんだ、なかなかできないじゃないかというようなお話がありました。既にドイツでは千五百時間になんなんとするということであります。前回の労働基準法の改正からここ三年間で非常に労働時間が減ってきています。百時間ぐらいもう既に減っておりますし、今ちょっと景気が減速ぎみでありますから、そういった意味で、超過勤務、過重労働というところは少し緩和される条件がそろってきたんではないかな。今が時短推進の絶好のチャンスだと思います。千八百時間はこの調子でいっていずれ達成できるんじゃないかなと、私はちょっと楽観的かもしれませんけれども、そういうふうに考えております。
 むしろ、その千八百時間を達成して、その先どういうふうになっていくのか、そのときの労働のあり方というのを問い直すべきではないか。千八百時間達成したら、次はドイツ並みに千六百、千五百とやっていくのか。ラッセルの本に「怠惰のすすめ」というのがありまして、この中では、労働は一日四時間でいいのだという話が出ております。今は生産効率からいったら明らかに過剰に働いている、そういうふうな説であります。
 さて、その労働時間がどんどん短くなっていくのか、なったときに今のフルタイムという考え方からちょっと違った労働の形態が出てくるんじゃないか。既に、アルビン・トフラーの「第三の波」の中で、脱産業化社会ではフレックスタイムとかパートタイマーがどんどんふえていく、こういう予言をされまして、まさにそのとおりになっております。最近では、フリーターという定職を持たない若者が出てきている。パートタイムについても、パートタイム小委員会でさまざまな議論がございましたが、確かに企業の側が、フルタイムではなくて、少し条件を落として景気変動に対応しやすいように条件を落として雇用しているのだ、そういうふうな見方もあると思いますけれども、一方でパート労働者の側から、より積極的に短時間でいいんだ、いろいろ育児や家事や何かがあるし、また余り責任の重い仕事につくのも困る、フルタイムの長時間労働も困るというような、むしろバートを積極的に選択しているというのがかなりの数に上っている。これはもう統計で出ております。
 そういうふうに考えますと、例えばこんな労働社会というのが生まれてくると思うのです。一日八時間じゃなくて、もっと短く、六時間とか四時間とか企業に働きます。帰ってきて、自分の仕事、例えば翻訳の仕事をして、そこで収入を得るとか、趣味のピアノを子供たちに教えるとか、そういったいろいろな仕事の組み合わせをしていく、そういうふうなあり方というのが出てくるんじゃないかと思うのです。
 いずれにしても、そこで大事なのは、どういう企業に働き、どれだけの時間を働き、どういう仕事をやっていくのかということを労働者自身が選んでいくというふうなことではないか。時間主権なんという言葉があるそうですけれども、労働者みずからがそういうものを選択していくというふうな形に、また、それに合わせた制度というものが必要になってくるんではないかというふうに考えております。
 そういう将来の社会に移行するためにも、今どうやって時間を縮めていくのかということが大事なわけでありまして、これは労働時間短縮促進法という促進的な法律と、もう一つ労働基準法という規制的な法律と、これが両輪相まって進んでいかなければならないと思うのです。
 そこで、三年前に労働基準法が改正になって、時間短縮が進みました。暫定措置として今四十四時間ということになっていますけれども、これをいつ本則の四十時間に戻していくのか。新経済五カ年計画の報告案が今出ているということで報道がありましたけれども、この新計画の期間中に四十時間へ労働基準法を改正して直していくんだ、こういうふうな報道もありました。先ほどの新しい労働時間のあり方とあわせて、では具体的に労働基準法の四十時間というものをいつどういうスケジュールで持っていくのか、お尋ねしたいと思います。
#6
○近藤国務大臣 最初に、なぜ千八百時間がということにつきましては、年間総労働時間が千八百時間になるためには、まず土曜週休二日で、そして二十日間の有給休暇をとって、それから国の祝日等で十五日とって、さらに二、三日休んで、残った日数を一日八時間、週四十時間、これでちょうど千八百時間になるわけですので、私は、これは一つの基準として置くべきであって、すべての企業なり労働者がそこにおさまれば、多少産業別にいろいろな差があっても、まず平均で押さえて、それからあと個々の企業、産業までそうだということだと、二段構えていくべきだと思っております。
 そこから先につきましては、これは先生からもいろいろな、また大変示唆に富む発言があったのだけれども、全く私も同意見でございまして、人間が八時から五時なり六時まで働くというのは、これは何も神様や仏様が決めたことではないのであって、便利だから決めたのですね。八時に集まって一緒に仕事をして帰る、言ってみれば工業化社会、工場労働者というものを前提にして考えた場合に、一緒に集まって仕事をしようということだと思うのです。だけれども、まさに第三次産業とか細分化とか情報化とか出てくると、必ずしも工場労働者の枠にとらわれなくてもいいのであって、働きたいときに働くだとか、また、こちらが働きたいタイミングと向こうの必要とするタイミングと合わせればいいのであって、例えばスーパーなんかは夕方だけ忙しいのですが、そうすると奥さん方は日中いろいろされて、夕方からいらっしゃって、そこだけお手伝いして帰られればいいのであります。
 だから、今私が労働省内部で検討させておりますのは、いわゆる通常の労働時間の供給のあり方、これが中心で主力で、パートは二軍、三軍の労働の提供だという発想でなしに、どっちも大事だというような形でいろいろな雇用形態、労働時間の態様を考えるべきだ、こう思っておるわけであります。
 ただ、一応千八百時間というものを基準にして努力した上で、そこから先はいろいろなことをみんなで考えて、要は、人間生活が大事ですから、人間生活が一番ベストな形の労働需要、供給のありようというものを、まさにおっしゃったようなフレックスタイムだとかパートだとか、もっとフリーターみたいに自由に働くだとか、いろいろなことを考えて、それがこれからの新しい社会の労働のあり方である、しかし、ここに行くためのプロセスとして今の法律があって、そして、では労働基準法という法律はどうするかということは、客観的条件が整う前にこっちが先行するとまたいろいろ問題が起こりますから、今度法案でまず粗ごなしした上で、労働基準法の改正をきちっと対応をお願いする、こういう形で段階的に進めるべきではないかと我々は考えております。
#7
○赤城委員 今の最後の部分でもう一度お尋ねしたいのですけれども、新経済五カ年計画でどういうふうになっているか。まだ正式のものは出ていないと思うのですが、三年前に基準法が改正になって、原則四十時間、ただし附則で四十四時間、四十六時間、四十八時間、こういうふうになっているわけであります。特に中小企業、あるいは職種によって一気に短縮するのは難しい、そういうことで特例ができているんだと思うのですけれども、そういう中小企業や事業別に難しい分野をどうやって進めるかということで、今度の時短促進法で推進していきましょう、その横並びを見て一歩、一歩進めていくということ、これはまさにそのとおりだと思うのであります。ただ、原則四十時間ということを決めてあります。千八百時間というのは、既に前回の経済五カ年計画で期間中に達成します、こう言って、現実には達成できなくなったわけでありますから、では次の目標設定は新経済五カ年計画の中でやっていくべきだ、こういうふうに思うわけであります。
 そうすると、最終的なリミットというものは、五年後までにやる、それまでに労働基準法の原則へ持っていくんだ、したがって、こっちの推進法もそれに向けて精力的に運用していくんだということで、はっきりとタイムスケジュールというものを示していただいた方がいいのではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
#8
○佐藤(勝)政府委員 年間総実労働時間千八百時間の内容として、週四十時間というのは非常に大きな要素でございます。
 御質問にございましたように、現在までに四十四時間まで来ているわけでございますけれども、これを名実ともに四十時間に基準法の改正によってするという問題につきましては、現在中央労働基準審議会で御審議をお願いしておりまして、我々としては、ことしじゅうに結論を出していただきたい、それを踏まえまして必要な措置を講じたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
 その際、全体をすぱっと切って四十時間で出発するのか、あるいは基準法は罰則をもって履行を強制する性質の法律でございますので、実態を考えて、その辺は一体どういうふうにしていくのかという点につきましては、これは労働省当局としてもどうするかを十分考えるとともに、また、審議会の場で労使が十分に御議論をいただいてコンセンサスをつくっていく必要がある問題であると思います。
 そういうことを経まして初めて実効性のある法改正ができるというふうに考えますので、ことしじゅうにそういう点についてのいろいろな議論を踏まえましての詰めが行われるものというふうに考えておるところでございます。
#9
○赤城委員 ちょっと視点を変えまして、先ほど申しましたように、時短促進法と労働基準法、これは両者相まってだと思います。どうしてもこの基準法のところでまだ足らざるところがあると思います。それは三六協定の問題、それから割り増し賃金率の問題、これは女性の立場から岡崎委員からるるお話がございました。私も同感であります。
 まず、その三六協定でありますけれども、平均で超過勤務が百七十五時間になっている、そういう現状で時間の延長に関する指針が年四百五十時間を定めている。これはちょっと長過ぎるのではないかなということ、これを法律で三六協定の限界を決めるべきじゃないかなと思いまして、前回参考人の方に来ていただいたときに、北大の保原教授に伺いました。そうしましたら、時間を決めるということになりますと、強制法ですから余り短い時間を決めると守られないということになりますし、余り長い時間を決めると、じゃその時間まではいいのかということになりますのでなかなか難しいというお答えがございました。
 ところが女子の場合は、これは百五十時間ということははっきり法定されております。男女平等という考え方に立ちますと、男子だけが労使で協定すればどこまで延びてもいいんだというのは、やはり人間としての限界といいますか、健康や生活に与える影響というのもありますから、どこかで限界は引かれるべきだ。四十時間法制にするときにもいろいろな特例を業種別に置いたわけでありますから、ここでも一つの経過措置とか業種別のいろいろな対応というものを設けられると思います。
 外国の例を見ましても、例えばドイツですと一日二時間、週十時間というふうな上限で、協定でもこれは限度を厳密に定めるというふうな意味での協定が結ばれるので延ばすという意味での協定ではないんだ、国際的には大体そういう考え方になっているようであります。
 それからもう一点、法律で決めるということとあわせて、現在の適正化指針、これも実は建設、運輸、研究開発とか季節労働、一番超過勤務の多い、労働時間の長い分野が対象外になっています。こういった点もその指針の対象に入れて、時間を短縮していくようにきめ細かく業種別に指導していくということが大事ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#10
○井上説明員 御指摘のように、時間外労働の実態につきましては、産業ごとに大きな相違がございまして、私どもといたしましては、産業とか業種の事情を踏まえましてその削減のための指導を行っていく必要があると考えてございます。
 しかし、この時間外労働の指針でございますが、これは時間外労働の最長限度の目安を定めるというものでございますので、その性質上これまで全産業につきまして統一基準として設定したところでございますが、今先生御指摘のように、業種の事情に応じてという点につきましては十分理解できますので、御指摘の点を含めまして、現在検討中の中央労働基準審議会の意見を聞いてまいりたいというふうに考えてございます。
 なお、建設、運輸等の除外されている業種でございますが、これは業種の実態から一律に規制することがなかなか難しいというような事情もございますので現在のような運用でやってございますが、これらの点につきましても、審議会の意見を聞いて対処してまいりたいと考えでございます。
#11
○赤城委員 労働基準法の限度の法定のことについてはいかがですか。
#12
○佐藤(勝)政府委員 御指摘のように、国によっては残業時間も含めまして一日の労働時間を制限をしている例があるわけでございますけれども、日本の場合には、御承知のように、景気が悪くなってもできるだけ労働者を解雇をしないという反面、忙しくなったときには残業でカバーをするというような形になっておるわけでございます。
 そういうことからいいますと、日本の雇用慣行との関係が非常に深いということがあります反面、最近の所定外労働時間の状況を見てみますと、そういった景気の繁閑に伴う部分ではなくて、もう要するに恒常的に今残業でやっておるという部分がかなり目立つようになっているわけでございます。
 そういうことからしますと、例えば千八百時間の目標達成ということになりますと、残業の削減ということが非常に重要な課題になってまいるわけですが、そういった観点から、どういうふうにしたらその所定外労働時間を削減ができるのかというその方法の検討が必要でございます。そういう点につきましては、これまた審議会でその点も含めまして十分御議論をいただいているところでございますけれども、削減の方法としては、一般的な啓発の問題あるいは時間の制限をすべきなのかどうか、あるいは割り増し賃金によるコスト面からの削減を図るのか、いろいろな方法が考えられるわけでございます。
 そういう点につきましては、現在中央労働基準審議会でそういう点も含めましての議論が行われているわけでございますが、いずれにしても、所定外労働時間を短くしなければいけないという点につきましては、これは労働省はもちろんでございますけれども、労使につきましてもその点の総論につきましては大体コンセンサスができておる段階でございます。あとは手段は一体どういうのがいいのかという点でございますが、その点につきましては、なお先生の御意見にありましたような点も含めまして検討を進めたいというふうに考えております。
#13
○赤城委員 今局長から割り増し賃金のこともちょっと触れられましたが、この割り増し賃金という考え方が、時間を削減するのに経営側のコスト意識、経営意識に訴えていくという非常にうまい手段になり得るのではないかなと思います。
 ことしの春闘で金属労協が割り増し賃金率の引き上げを要望しておりましたが、外国の例をこれまた見ますと、平日労働と休日労働、これを使い分けていたり、それから同じ超過勤務でも、二時間延びた場合と四時間、六時間と延びた場合と、これは意味が違うと思います。そういった意味で、延長した時間によって割り増し賃金率が逓増するような方式をとっているという国もございます。そういったものを組み合わせて、いきなり一時間延びた、延長しただけでも五〇%割り増し払えというのでは、これはかなりきついことになると思いますけれども、休日労働の場合はどうだとか、余り長い時間働かしたらどうだとか、そういったところを組み合わせて、経済的なインパクトで、コスト的なインパクトで時短を進めていくという有効な手段になり得るのではないかなと思います。
 最後の質問に移らせていただきますが、今度の時短促進法については、実はいろいろな方面から心配があるわけなんです。経営の側から、労働者の側から、あるいは社会全体としてどうなのかなという心配が当委員会でもるる提起されました。最後にまとめてそういったことについてお答えいただきたいと思うのです。
 一つは、労働者の側にとって、超過勤務が現実問題減りますと収入の減になるんじゃないかな、また、時短によってリセッション、景気後退になるんじゃないかな、その収入減の問題であります。
 それから、経営者の側にとっては経営のコストアップになるんではないかな。今回の時短促進の実施計画を立てて承認を受けますが、アドバイザーの派遣とかあるいは公正取引委員会の方の規定の特例とかありますけれども、具体的にその経営にとってどんなメリットがあるのか、事業主にとってこの時短計画の承認を受けたらこういういいことがあるのですということをぜひ教えていただきたい。あわせて、時短関連でこういう施策があります、省力化投資、こういうことをやってはいかがですかということがあればお話しいただきたいと思います。
 それから三点目に、今まで日本は人が一番大切な資源であってその勤勉な労働者に支えられて発展してきたんだ、こういうことが言われていますので、労働時間の短縮を進めていきますと国際競争力も失われて社会の活力が失われていくんじゃないかなという心配もあります。
 この三点についてどういうふうにお考えか、伺いたいと思います。
#14
○近藤国務大臣 もう時間がございませんので端的に申し上げますが、おっしゃるように時短をすれば賃金収入が減ってくるという問題があります。それから、時短をするとそれだけトータルな労働投入が減るわけだから、生産が維持できるかなということだとか、コストアップになる、おっしゃるとおりです。それから国際の問題もあります。
 いろいろな議論がありますが、端的に結論を申しますと、そういう問題はそういう問題として、そう言ってはあれだけれども、まずここで腹をくくってみたらどうか。結局、一つの目標を示して、私はよく言うのだけれども、時短時短と言うと労働大臣は二宮尊徳から小原庄助さんになるのか、こういうことなのだけれども、そうじゃなしに、限られた仕事を限られた時間でやるということはどれだけ頭を使うことか。むしろ、だらだらやるよりは勤勉でなければならないのです。だから、二宮尊徳以上に場合によったら勤勉でなければ時短なんかできないと私はあえて思っていますので、目標を設定して、それで多少現金収入が減っても多少生産が減っても多少コストアップになってもまずやってみて、そういう中で新しい生産のありようとか産業のありようを考える、それが国際的に共通するような日本の雇用関係、日本経済のファンダメンタルズをつくることになるのだ、こういうことをまずやるために知恵をいかに出すかということではないか。したがって、それができるための例えば融資制度とか必要なら税制とか、そういったことについても考えよう。
 ですから、私は経営者の方々に申し上げているのだけれども、大変だからできないとおっしゃるのじゃなしに、やろう、やるけれども、この点については政府は面倒を見ろとか、そういうやることを前提にしての政策についてのむしろ要望を言っていただきたい、我々はできるだけ対応いたします、こういうことを申し上げているわけであります。
#15
○赤城委員 ぜひ、ゆとり創造社会に向けて大臣も先頭を切って頑張っていただきますようにお願いいたしまして質問を終わります。
 ありがとうございました。
#16
○川崎委員長 岩田順介君。
#17
○岩田委員 おはようございます。
 五月のゴールデンウイークの前に、地元の県の労働福祉事務所だとか地元の飯塚労政事務所に、ことしのゴールデンウイークは一体どういう状況になっているかということをお聞きをいたしましたら、それぞれ調べておられまして、概して申し上げますと、私が聞きました数値では昨年よりも一・三ないし一・四くらい減っておりました。
 この理由をお尋ねをいたしますと、昨年とことしのゴールデンウイークの暦の関係で、中がぽつんとあくのでなかなかとりにくいということが一つあって、そういうふうになったのではないか。もう一つは、経済の不安感がありまして、設備投資ももちろんでありますけれども、どうしても今頑張っておかなければ、いつどうなるかわからないのではないかという不安感があることは歴然としておったのではないかというふうに思いますが、一・三ないし一・四くらいは減っておるという印象を私は受けたわけであります。
 私の地元は中小零細ばかりでありますけれども、休みの間に何カ所か回ってみますと、経営者の方は、経済がどうなるかわからない、しかも今減速をして確かに受注もかなり減っているというのが軒並みでした。七つぐらい回ったのですが、そこそこにやっているという事業場はほとんどありません。言われるのは、経済がよくなったら東京がよくなって、福岡、北九州がよくなって、我々には何か月も一年も後に経済がよくなるという構造なんだけれども、悪くなると一番初めに我々のところに来るのだという声がありました。それから、労働者、勤労者の方は、おおよそ組合のあるところはございませんけれども、事業主に言わせると、うちの番頭がよく働いてくれる、よう従業員の面倒を見てくれる、番頭という制度はありませんけれども、そういう言葉を使っている事業主もありました。やはり一心同体、徹夜もある日はするであろうし、日曜出勤もするであろうし、そういうことで日常の経営が成り立っているという実態が多いのではないかというふうに思います。
 経済の動向については、いろいろ見方がありましょうけれども、政府の見通しよりも随分おくれていくことは事実ですね。一千億以上貿易黒字が出れば外需で底上げをしていくことができましょうが、これまた大変な問題として降りかかってくるわけですね。アメリカは内需でいけ、こう言っているわけですから、今非常に難しい状況にある、こういうふうに思うのです。
 しかし、この五年間を見てみましても、経済がいいときも悪いときもあったわけでありますけれども、総体として労働時間は減っていない、これが一つ問題ではないかと思います。千八百時間達成についていろいろな角度からの問題はあるのですけれども、ぜひ労働省としては、後退するというような言葉は非常に失礼でありますけれども、厳然とした態度で対処していただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。
 ところで、最初の質問でありますけれども、今の御質問にもそれから十三日の各委員の質問にもありましたけれども、経済運営五カ年計画の問題であります。
 これにつきましては、千八百時間という目標がほぼ絶望的になったわけであります。先般も議論がありましたけれども、経済計画というのは、当面の経済基本政策を国として策定をする、そしてその達成のために各省庁が各省庁なりの施策を講じてその達成に向かって努力をしていく、こういうことだろうと思います。労働大臣は達成できなかったことをるる申されておりますけれども、しかし私の印象では、経済計画というのはそうあいまいにすべき問題ではないのではないかと思います。最近は経済計画についてはかなりルーズになってきたんじゃないかという印象を私はぬぐえないわけですね。
 なぜルーズになったかというと、例えば日米構造問題になりました四百三十兆というような問題につきましては、いろいろ各省間の思惑はあったにしても、これはびしっとやっていかざるを得ないということで計画が進んでいくわけでありますが、しかし、この時短問題も今や国民的な重大な課題であるというふうに言われておるにもかかわらず、国内の調整がいろいろ難しい。各省庁の共管するいろいろな問題もある。こういう問題になりますと、いつの間にか後退をしているという側面はありはしないか。こういう点でルーズになっているのではないかと思うわけです。
 ですから、確かに六十二年の労働基準法の改正、そしてその前後に経済運営五カ年計画というのが出たわけですけれども、政府としては、日米問題等々いわゆる欧米諸国との経済摩擦等を考えるときちっと姿勢を示さなければならぬけれども、いわゆる財界や業界、事業団体からの要請やいろいろなプレッシャーもある。そういうことで、四十時間というふうに本則は書いたけれども四十六時間スタート、こういう作品というかこういう状況にならざるを得なかったのではないか。こういうことではいつまでたっても千八百時間の到達というのは遅くなるし、今ありましたようにドイツは千五百時間、三十五時間を三十時間としているわけですから、ますます格差は広がっていくだろうと思います。
 この点について、一体労働大臣としてはどういうふうにお考えなのか、お伺いをしておきたいと思います。
#18
○近藤国務大臣 当委員会でもお答え申し上げておりますように、現行の経済五カ年計画中に千八百時間というのはもう達成が不可能であることは認めざるを得ないわけでございます。
 ただ先生、経済計画というのはもちろん閣議決定をした責任ある政策でございますから、できるだけその線に沿ってということですが、国が決めること、例えば四百三十兆の公共投資というのは国が予算をつくってそして地方と協力をしてやる、これはきちっと数字で出てくるわけでありますから、すべきであるしできることでありますけれども、経常収支黒字とGNPとの割合を二%か三%か、これは自由主義、マーケットエコノミーの中の結果として出る数字でございますから、きちっといかないのは仕方ないことである。労働時間についても、これは個々の企業が経営努力でやることでございますので、予算措置のようにきちっとした数字でないことは現実にあり得るわけでございます。
 ただ、そうはいいましてもここ数年の間に年間三十数時間ずつ総労働時間が減っているということは大変なことでございまして、総労働時間の中で二%ぐらいずつ減らしてきているということは、やはりそれぞれの企業の方々の努力があったと私は高く評価しているわけであります。
 そこで、端的に申しますと、今二千時間をもうちょっとで切る。それで千八百時間まで二百時間ありますから、今三十数時間ずつ、この率でいくと六年かかれば差額二百時間はなくなるわけですね。ですから、今度の新しい五カ年計画が五年以内ということは、三十数時間ずつ減っているものを四十時間ずつ減らしていけば五年間で千八百時間を達成するわけでありますので、あと一押しである。そういう認識でこの時間短縮促進法を出していただいて、それで国の計画をつくり、労使でやっていただける体制をつくる、また地域、業種別にそうした横並びの、また縦並びの対策を講ずる、さらに、それができるために必要なロボット化等の投資については融資も考えさせていただきます、こういうことでありますので、これまでもやってきたけれども、今度の新しい計画の中ではより具体的に実行できる政策手段も準備させていただいて御協力をお願い申し上げたい、こういうことでございます。
#19
○岩田委員 おっしゃる意味では、例えば五カ年の間に経済の見通しというのが一体どうなるかということが不透明な問題としてあるわけですね。したがって、必ずしも基本計画がそのままいくことがない場合だってそれは想定されるわけですね。しかし、五年前の状況から考えまして、国内における時短問題の関係者のコンセンサスというか意気というのが上がっているかどうかというのは、それは格差がございましたけれども、しかし、おおよそ国際的な状況と日本の位置等を考えてやはり相当思い切った措置をとられてしかるべきではなかったか、私はそういう思いがあるのでお聞きをしているわけであります。
 次に、関係する問題を幾つかお聞きをしてまいりたいと思います。
 千八百時間の問題を今苦労している実情は我々もよく理解をするわけですけれども、例えば大臣でもそうでありますが、サミットに行って日本の労働時間はどうしたのかなんという議論があった場合には、やはり大変困るだろうと思います。それから、ドイツでは千五百時間というふうにこの間新聞に出ておりましたけれども、この中には残業がどういうふうになっているか、これは入ってないんじゃないかという見方もありますけれども、しかし週三十五時間になっていることは事実ですね。それを三十時間に達成しようという動きが非常に顕著になっているというふうに聞いております。
 例えば、ドイツなどとの関係で、自動車でいきますとフォルクスワーゲンだとかベンツだとかというのがありますが、そういったことを念頭に置いて、日本がドイツの労働条件と全く同じというふうになったならば一体どうなるのかというような議論は、もう水面下ではいろいろやっているんでしょうけれども、これは表に出てくる時間の問題でもありはしないかというふうに思いますね。それから、仮にそういう労働時間で、競争条件でこんなに格差がある日本が現状で余り進まないということになりますと、いわゆるドイツや欧米における自動車産業あたりでは雇用面で非常に問題が出てくる。解雇等がもし出た場合には一体どうなるのかということも深刻な問題ではないかというふうに思うのですね。昔のことでありますけれども、第二次世界大戦の発端は、日本がアメリカからガソリンを全部ストップされたという契機が一つあると思うのです。これで戦争になるということは私は思いませんけれども、しかしそれだけ大きな問題ではないかというふうに思いますが、一体いかがでしょうか。
#20
○近藤国務大臣 先生御指摘のとおり、まさに日本の労働条件、労働時間というのは国際的な問題になっていまして、どんないい物をつくって輸出したって、おまえたちは何だ、そんな土曜日曜なしに働いてつくったって意味がないじゃないか、こういうことになりますので、これまでもやってきましたけれども、この一両年ぐらいの間にこれほど時短に対する関心が高まったことはない、政府だけでなしに労使ともども。私は宮澤内閣の閣僚の一人としてあえて申し上げるんだけれども、宮澤政権ほど時間短縮に熱心な内閣は史上なかったと言って大いに皆さんに御協力、御理解を賜っているわけでございます。
 そこで、千八百時間からさらに千六百時間、千五百時間――私は多少保守的かもしれませんが、千八百時間ということ自体が、もう御案内のように週休二日で、有給二十日間で、国民の祝日を全部休んで、さらに二、三日休んで、残った日数を八時間で大体千八百時間ですから、さらにこれを突っ込んで千七百、千六百、千五百ということまでいくのかどうか、これは議論の分かれるところであると私は思います。
 ですから、千八百時間を達成した後はまたいろいろこれは御議論をしていただく、しかし、少なくとも千八百時間まではぜひこの際数年間で実現ができるような具体的な措置を講じながら関係者の御理解と御協力をお願いしたい、こういうことであると思います。
#21
○岩田委員 おっしゃる意味は、私もよく理解をするわけですね。宮澤総理は最初の所信表明演説の中で、我が国は余りにも経済を急ぎ過ぎたということをおっしゃっていましたね。そして、しかしこれから先はやはり勤労者、国民のゆとりある生活を求めていかなければならない、そのためには、やはり産業も発展をして、しかも国民生活のゆとりも達成しなければならないということを標榜されました。そして、品格ある国家形成、二度目の所信表明では生活大国というふうに言われたのではないかというふうに思いますが、これはよくわかるのであります。
 つまり、五年前の前川レポートがそうでありますように、とにかく国際的な問題から千八百時間というものをどうしても達成しなければならないというインパクトがあったことは事実ですよね。しかし、国内の労働事情を考えてみると、そうたやすくいけるものではない。これほど重層下請構造の産業構造になっている国というのは欧米諸国ではないわけです。しかも、これほど小売店業が多いという国も珍しい国です。そして、トラックの運転手さんが三千時間を超えておる国というのはどこにもないわけです。戦前から日本の会社経営というのはいわゆる年功序列型賃金で営々としてそれがはぐくまれて今日まで来ているわけですから、一挙にこれを移行しようというのは無理だということはわかっているのでありますが、しかし、わかっているのでありますけれども、もう一歩労働省内の踏み込んだ行政指導というのを私は冒頭の質問から希望しているわけで、そういう質問をしてきたわけですね。
 それからもう一つ、大臣、ECが統合いたしますと、日本にとってやはり大変大きな競争相手ということもありますが、ある意味では脅威ではないかというふうに思いますね。ECの共通政策がECの社会憲章をもとに議論されておりますけれども、これが新たな共通政策としてぴしっとなった場合は、ILOの基準よりももっと高いところで社会政策、共通の社会契約みたいなものが十二カ国でできてくる。こうなったときには一体どうするかという問題も見て対処すべきではないか。そのためには、もっともっと関係者の理解を得る。その理解というのは、十三日の委員会では大臣は、かなり理解は進んだ、五年前とはこんなに違うというふうにおっしゃっていましたけれども、私は、これはやはりもう一歩踏み込んでいく必要があるんじゃないかというふうに思いますが、それはいかがでしょうか。
#22
○近藤国務大臣 たまたまけさいわばG7の、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、イタリー、あとは日本、それにEC、そのG7の各在日大使館のレーバーアタッシェと一緒に朝飯会をしたのです。
 それはまさに今先生が御指摘になった問題意識を踏まえながら、日本は二%の失業率です、アメリカは七%、もうEC、ドイツ、フランス、イタリーになると一〇%前後だ、この失業率で日本はすばらしい、ECはだめだというわけでもない。多分日本の場合は、よく言われますけれども、流通だとか建設だとかいろんなところでいわば低生産性雇用状態があるとか、むだ遣いしておるだとか、農業なんかもよく言われますよね、そういう問題を踏まえての二%。しかも、日本の場合は片一方では労働時間は依然二千時間、ECは千八百、千七百、千五百だ。
 こういうことですから、そういう日本とEC、具体的に、もっとストレートに言ってG7各国の中で、そういう雇用状況、雇用政策について率直に話し合いをして、お互いが適切、有効な雇用状況をつくろう。いわゆるG7で金融、財政についてのいろいろな話があるけれども、そういうマクロの経済政策では解決しないような具体的な雇用問題、労働政策について話し合いをしていこう。そして、日本の労働条件自身が、今やもう単独の国内問題でなしに世界じゅうから大きな関心を持って見られておるわけでありますので、十分に改善すべきは改善して御理解を得たいし、また皆さんも変えてもらうことはありますよという話をして、ひとつ労働大臣G7をやろうというのが私の考えなので、あなた方から大使に話をして本国の労働大臣に伝えていただきたい、私も国会が終わったらG7各国を回ってこういった問題意識で率直に労働大臣同士話し合いをして、いずれは、大蔵大臣のG7じゃなしに労働大臣のG7をしたいんだ、どうだ、こう言ったら、大変皆さん喜んで、ぜひひとつ早速本国に情報を流そう、こういうことでございましたので、先生の御指摘もございましたが、まさに国際的な問題としてこれから日本の労働問題、雇用問題を、労働省としても関係の皆さんの御理解を得ながら、またいろいろ判断をお願いしながら進めてまいりたい、こういう気持ちでございます。
#23
○岩田委員 欧米と日本の労働条件の問題、格差を前提にしてそういう勇気ある行動というのは、私も賛成をするわけでありますが、関連をして、ILO問題でもう一つお聞きをしておきたいと思います。
 これは三月の問題でありますが、ドイツのコール首相が、三月の十四日、日本の労働条件や労働事情を引き合いに出して、与党キリスト教民主同盟の会議で、ドイツ人が労働時間の短縮や年次休暇の拡大、賃金の引き上げを要求をし過ぎるという発言をしたそうですね。これに対して、ドイツ社民党のエングホルム党首は早速その翌日に記者会見をして声明を出しておりますけれども、「日本人が劣悪な住宅事情や長時間労働、過度の残業、短い休暇といった悪条件のもとで働いていると指摘。ドイツは日本と異なり、整備された福祉国家を維持することができるばかりか、福祉国家の在り方が経済面での成功を測る尺度になる」このように反論をしたという記事を読みました。
 それで、先ほどもILOの問題をちょっと触れましたけれども、コール首相は東西ドイツの統合ということで非常に厳しい状況に置かれている、何とかしたいという思いもあってそういうことを言われたかどうか私は知りませんけれども、しかし野党の方は、そんなことはもう大変であるということで、日本の労働事情というものを非常に酷評しておりますね。しかも、労働時間を短縮することによって経済も安定させ、福祉という面では日本と違うというようなことも言っていることに私は興味を覚えるのであります。
 そこで、こういう格差の事態というのが、先ほども言いましたように、いろいろな問題になってはね返ってくることを私どもは心配するのです。その一つに、ILOの場あたりに日本の労働事情や労働時間問題というのが持ち出されないという保証はないわけですね。ILO憲章の前文には「いずれかの国が人道的な労働条件を採用しないことは、自国における労働条件の改善を希望する他の国の障害となるから、」云々というふうなこともあるのですね。もしこういうことがあったら、私は残念であるし、そういうことがないようにしていかなければならないというふうに要請もするし、我々の努力も必要であるわけでありますけれども、特にこの点では、先ほども言いましたように、やはり企業、それから大きな業界団体、こういったところの発想の転換というか、今まで甘かったんじゃないかということも率直に感じるし、指摘をしなければならぬというふうに思いますね。
 労働大臣も率直に認められておりますように、国際的な問題になっている労働問題がILOの場にでも持ち出されて日本が指摘をされるようなことになると、これは労働大臣のサミットなんというのもなかなかうまくいかぬのじゃないですか。大臣、そういう点についていかがでしょう。
#24
○近藤国務大臣 労働省が時間短縮を推進しようとして頑張りますと、例えば、私は選挙区は田舎でございますが、田舎の中小企業の皆さんから、そんなことを言ったってできっこないじゃないか、むちゃ言うなというお話もあることは事実でございます。
 ただ、これまでですら日本は働きバチだとかウサギ小屋の家に住んでいるだとかワーカホリックだとか、まさに欧米から日本の労働条件が問題になっていて、今お話しのようなドイツにおける与野党の党首の間の話し合い、やりとりになっているわけでありますので、私は、もうこれまではこれまでとして、ここから先は腹をくくって、そして千八百時間というものを目標にして、それはどうしたら実現できるかということについて、まさにポリシーパッケージといいますか、総合的な政策のパッケージを我々も準備して、関係者の御協力を受けてやる、こういうことでございまして、そういうことをしないで、ともかくいいものをつくって安く売ればいいじゃないかということでは、もう日本は言ってみれば世界経済の撹乱者になっちゃうわけですね。ですから、日本がある程度の労働時間、労働条件でなおかついいものをつくって売れるというなら多少世界の理解があっても、人様以上に働いていいものを持ってきたといったって決して評価されない時代になっておるということでございますので、私は、まさに国内的な問題としても国際的な問題としてもこの際は懐をくくって、そして労働条件の向上、一定の目標に達するまで関係者一体になって努力するということではないかと考えております。
#25
○岩田委員 関係者の努力を大いに期待しますし、その関係者が奮起するようにひとつ労働大臣の御決意を今申されたとおりに受けとめておきたいというふうに思います。
 次に、労働基準法が六十二年に改正をされまして六十三年に施行されてきたわけでありますけれども、その議論の際に問題になった幾つかの点、そして今日どういうふうになってきたかという問題について、幾つかお尋ねをしておきたいというふうに思います。
 政府は、一週間の労働時間を四十時間というふうに本則で決めましたけれども、実際には四十六時間でスタートして、そして昨年から四十四時間に移行してきたわけですね。その結果、労働時間は総体としては今いろいろ議論がありましたように千八百時間に到達できなかったという残念な状況にあるわけであります。
 当時のこの議論の際に、我が党もそうでありますが各党からも、四十時間というのは、一渡千里にいくということは政府の説明でも理解できないけれども、せめて四十四時間でいくべきではないかという議論があっておりますね。しかも、労基研の見解としては四十五時間が妥当ではないかというような一定の問題提起もあったやに聞いておりますけれども、しかし実際には四十六時間でスタートをされたということです。
 これは、四十四時間に書こうが四十六時間に書こうが実態が動かないものがそう成功するはずはない、実行力がなかったというふうに言われるかもしれません。かもしれませんけれども、当時の議論としては、四十六時間では政府の姿勢としても弱いではないか、四十四時間ぐらいでスタートすべきじゃないかという妥協的な議論もありましたけれども、最終的には四十六時間になりましたね。私は、このことの意味するところは総括点として大きいのではないかというふうに思っておりますけれども、その点についていかがでしょう。
#26
○佐藤(勝)政府委員 千八百時間の達成の内容として、過労働時間の法定労働時間四十時間というのは大変大きな要素でございますけれども、ただいま昭和六十三年の改正法施行のときに四十四時間で出発すべきではなかったかという御意見でございます。
 これは一つの大変重要な御見識であろうかと思いますけれども、基準法改正のときには、当時の実際の労働時間の状況を踏まえまして、法定労働時間の短縮を現実の労働時間の短縮に結びつけるという目的のためには、休日をふやすということに主眼を置いて週四十六時間――週四十六時間といいますと四週五休制に相当いたしますが、まず週四十六時間、それから週四十四時間、これが四週六休制に相当するわけでございますが、その四十六時間、次に四十四時間というステップが適当であるというふうに判断をしたものでございます。
 その点は若干詳しく申し上げますと、当時の、つまり前回の法改正時の過所定労働時間の状況を見ますと、週四十六時間以下である労働者の割合が五九・六%、約六割でありましたのに対しまして、週四十四時間以下である労働者の割合は四七・〇%、つまり半分以下であったということ、特に中小規模の事業場について見ますと、規模百人から二百九十九人では三分の一以上が、また三十人から九十九人の規模のところでは半数以上が、また一人から二十九人のところでは七割以上が週四十四時間を超えていたという現状でございました。そういうことからいいますと、直ちに週四十四時間とすることは困難である、当面は四十六時間としてなるべく早い時期に週四十四時間とすることが適当であるとされたわけでございます。
 ただ、労働基準法の性格は、先ほども申し上げましたけれども、罰則を規定してそれによって履行を確保するという性質のものでありますので、実態に配慮するということも重要でございますけれども、また逆に、法律改正によって実態を進めるという面も大事でございますから、その辺の調和をどう図るかという判断の面で、大変困難な中での一つの判断であったと思いますが、当時の判断の根拠としては今申し上げたような実態があったというふうに承知をいたしております。
#27
○岩田委員 基準法改正の六十二年というのは、プラザ合意の後の円高不況で大変な日本の経済実態の中ではなかったかというふうに思いますね。私の地元でも鉄鋼を初め不況業種の指定、地域指定、大変な時期だったですね。それに前川レポートが千八百時間と言う、このようなことになりまして、非常に議論もあったところです。今おっしゃったような当時の就業時間状況からしますと心配もするわけであります。
 ところで、経済運営五カ年計画については、議論をした上で、どうするかというのは今からだというふうにおっしゃっています。それから労働基準法改正について来年どうするかということも、これは中基審で議論をいただいて具体的なものにしていきたい、こういうことが十三日からの議論の中で御答弁があっております。
 端的にお聞きしますけれども、四十時間に移行しなければならない。これは、経済計画の中でどう書くのか、労働基準法の改正のときにきちんとやるのかということはありましょうけれども、しかし一定の方針というのはもう出ているはずでありますが、この辺労働省の見解はどうでしょう。
#28
○佐藤(勝)政府委員 できるだけ早い時期に法定労働時間週四十時間にする必要があるという認識は我々も持っておりますし、その点につきましては、審議会に出ておられる公労使の委員もそういう認識であると思います。
 ただ、それをどういう時期にどういう方法でやっていくのかというところは大変議論のあるところでございますので、そういった御議論を十分にしていただくのと、また、そういう議論と並行して我々労働省としての考え方もまとめていく。また、審議会の意見が必ずしも労使で一致しないままに終わる可能性もありますけれども、そういう場合には労働省としても考えを示して進めなければいけない問題だろうと思いますが、現在そういうことに向かっていろいろやっている最中であるということでございます。
#29
○岩田委員 いや、そういう御答弁はたびたび聞いておりますけれども、私はそういうことを聞いているわけではなくて、労働省としてはどうお考えなのか。しかも、先ほどの佐藤局長の御答弁では、六十二年にそういうふうにせざるを得なかったのは、当時の就業時間がこういうことで四十時間、四十四時間なんというのはとてもできる状況でなかったということを御説明ありましたが、五年間たっているわけですから、いろいろ変わってきましたね。それらに基づいて、それらの状況変化の上に立ってどういうふうにお考えなのかということを聞いているわけですから、それはいかがでしょう。
#30
○佐藤(勝)政府委員 平成三年の四月から四十四時間に移行したわけでございます。実態は徐々に進んでいると思いますが、ことしは五月から六月にかけまして労働時間の実態調査をかなり大規模にやります。これは先ほどから申し上げております、中央労働基準審議会の審議に資するためにその材料を集めているということでございます。
 その中で、先生がおっしゃいますように、実態はもう変わってきておるのではないかということが出てくるかどうか、あるいはどのぐらい出てくるか、そういう実態調査も踏まえましての議論になろうかというふうに考えております。
#31
○岩田委員 四十時間にすれば完全にすべてがいいという問題でもありませんけれども、やはり週四十時間が基本であることは言うまでもありませんね。ぜひ御努力をいただきたいと思うのです。
 昭和二十二年、労働基準法が制定をされたわけでありますが、このときは、日本は戦後間もない、直後ですから、何もなかったところに労働基準法ができたわけですから、それを思えば、私は、単純に言いますけれども、やはり相当思い切ったことをやるべきであるし、やることができるのではないかというふうに思うのですね。
 釈迦に説法ですけれども、昭和二十一年に労務法制審議会に労働保護法制の起草がいわゆる委任されまして、翌年の二十二年の九十二回帝国議会というふうになっておりますから、これは最後の帝国議会で労働基準法というのはできたわけですね。その中でも、当時の厚生大臣の提案理由では、労働条件の決定に関する基本原則の開明、二番目に封建的遺制の一掃、三番目にILO条約を一応の基準として最低労働条件の法定を考慮したというふうになっているわけです。そういう意味では偉大な法律だったんですよ。それは、国民の側からいえばびっくりするような法律だったと思います。まさに女子労働の問題なんというのは、考えてもみなかったことでしょう。無制限の労働をやってきておったわけですから、一部を除いては。
 そういう事情でできた労働基準法ですけれども、それから四十五年たっているわけですね。やはり、もう明快な方向を示して、国際的なレベルに名実ともに一致させる、この決意をぜひお願いをしておきたいと思います。
 次に、年休問題についてお尋ねをしたいと思います。
 法施行当時の昭和六十三年と平成二年の比較の統計が出ておりますけれども、企業全体でいきますと、取得日数は七・六が八・二に若干ふえていますね。取得率は一・三%ぐらいしかふえてない。それから、千人以上になりますと、六十三年と二年というのは、これも一日延びてない。取得率は三・五%延びていますけれども、付与日数は全然ふえてないし、取得日数も一日ふえてない。それから、千人以下百人までのところで見ますと、これも付与日数、それから取得日数もふえてない、取得率が若干ふえているという数値にはなっておりますけれども、ほぼ数字は動いてないですね。それから、九十九人以下三十人までのところを見ますと、これも全然、付与日数もふえてないし、取得日数ももう微々たるものですね。こういう状況ですけれども、これを一体どういうふうにお考えなのか。
#32
○井上説明員 年次有給休暇でございますが、御指摘のように、平成二年を見ますと、付与日数十五・五日、取得日数で八・二日ということで、取得率は五〇%にとどまっているという状況でございます。
 これを、企業のアンケート等によりまして年次有給休暇を取得できない理由をいろいろ聞いてみますと、周囲に迷惑がかかるからとか、病気等有事への備え、仕事がたまり後で忙しくなる、人手不足というようないろいろ理由を挙げてございます。
 私どもといたしましては、年次有給休暇の取得促進につきましては、企業内でまず年次有給休暇を完全に取得するという意識を慣行として確かにしていくということが必要であるというふうに考えてございます。また、個々の勤労者が気兼ねなく取得できるような環境整備が極めて重要であるというふうに考えてございまして、こうした観点から、労働省といたしましては、年次有給休暇の計画的取得の制度を活用いたしました連続休暇の普及促進等、いろいろな形で労使に普及啓蒙活動を行っているところでございます。また、年休の完全取得、連続休暇の普及に向けまして、平成二年に連続休暇取得促進要綱というものを労使でつくっていただきまして、これをもとに、現在、平均二十日付与、二十日取得に向けてのいろいろな啓蒙活動を行っているところでございます。
#33
○岩田委員 そういった努力がなされていることは我々も承知をしているわけです。恐らく通達も出されているんでしょう、要綱に基づいたいろいろな事業主体に対する指導文書も行っていると思いますけれども、一向に進んでないからお尋ねをしているわけです。
 今も部長が申されました年休をなぜとれないかという理由が、総理府の統計調査で出ておりますけれども、休んだ後に負担になるし、同僚に迷惑をかけるというのが多くなっています。これは、六十一年当時よりも平成三年の方がむしろ多くなっているんですよ。これは経済の変動によるものでしょうかね。それから、病気や用事のために残しておくというのも二八・三、六十一年に比べてやや減っていますけれども、こういうふうになっている。三番目が職場の雰囲気が年休がとりにくい、さらには上司がいい顔をしない、こういう今部長がおっしゃたような状況がまさに出ていると思います。それに加えてというか、七年間一向に進んでない。これが今おっしゃったような手法というか対応で進むのかどうなのか、これはなかなか難しいんじゃないですか。
 例えば、先ほども申し上げましたように、日本のいわゆる特徴的な問題として年功序列型賃金というのが、これはなくなったとはいえども、大企業から零細企業まで残っておるわけですよ。この法律は中小企業を主に対象とした法律になっているようでありますけれども、そういった中小零細の企業では、やはりこの古い慣行といいますか年功序列型賃金で、長年勤めて昇格昇給していくという制度になっているわけですね。これではなかなかとりにくいですね。社長はとれというふうに言うんだけれども、しかし、現場の親分というかリーダーがとれと言わない、とると難しい顔をする、当然うかがわれるわけです。当然だろうというふうに思いますよ、そういうことで必死になって経営を維持しているわけですからね。
 冒頭申し上げましたけれども、何軒か回った事業主の方、異口同音にそうですが、コストがどうなるかということも下請のところは問題ですよ。時短が進んだら我々のところには仕事が少なくなるが、どうするかという問題もあります。それらの問題を、やはり解明というか正しく指導をして環境整備をしていかないと、働く方も、それは大丈夫かというふうになってなかなか休めないということだって、逆に増幅してくるんじゃないかという気がするんですね。そういう状況がまさにこれでは出ているんじゃないかというふうに思います。
 ところで、こういう実態を変えていかなきゃなりませんが、こういう実態が続いている現状で、本法律というのは、労使の自主的な努力でもって時短を促進をしていこう、そのうちの計画の中にも、この年休、有給休暇をどうするかということは入っていくと思うのだけれども、状況から考えて、果たしてうまくいくのかどうか、この点は一体どうでしょう。
#34
○井上説明員 年次有給休暇の取得の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、連続休暇等におきまして、二十日付与、二十日取得というふうな形で私ども周知啓発を行っているところでございます。
 また、前回の労働基準法の改正によりまして、そのときに六日から十日に引き上げられたわけでございますが、三百人以下の中小企業におきましては段階的に引き上げられておりまして、平成六年四月から十日に引き上げられるというふうな状況でございます。
 また、現在の労働基準法の改正の中で、年次有給休暇の取得を容易にする、その付与の問題につきましてもいろいろ議論されてございまして、例えば前年の勤務の要件の問題とか、とりやすくするための企業の側における労働者に対する年休付与の計画的な問題、そういう問題がいろいろ議論されまして、近々結論をいただくと思いますので、私どもとしても、年休の問題につきましてできるだけとりやすくするような環境をつくるように努めていきたいと考えでございます。
 また、今回の時短促進法案におきまして、企業の横並び意識等がございますので、業界ごとに、例えば営業日とか年休とかというのをとりやすくするような環境というか、それを決めていただきまして、それで業界として一体となって中小企業の皆さん方が努力していただくというようなことも、年休取得のためには効果が上がるのではかいかというふうに考えてございます。
#35
○岩田委員 年休取得というのは、やはり個々の産業形態によっても事業形態によっても違いますし、なかなか難しい問題でありますが、しかし、この七年間変化をしていないということでもってこの法律をつくられたのかもしれませんけれども、その関連があるかもしれませんけれども、非常に難しい問題である。しかも、経済がやや不況のときもいいときも変わっていない。付与日数を六日から十日にしたということですから、今から変わるのかもしれませんけれども、これはなかなかどうなのかということが心配になるわけであります。
 ところで、この六日から十日というふうになって日が浅いのですけれども、もう少し基準を変える、付与日数を変えるという考え方はどうですか。
#36
○井上説明員 基準法上の年休の問題でございますが、先ほども御説明申し上げましたように、三百人以下の中小企業におきましては、平成六年四月に十日になるというふうな状況でございまして、目下年休の引き上げの計画の最中だという事情がございます。
 ただ、先ほども申し上げましたように、年休の問題につきましてはILOの基準等もございますので、中央労働基準審議会におきましても、その年休の水準なりそれの付与の条件等につきまして、いろいろ議論されているところでございます。私どもといたしましても、その議論の結果を踏まえまして、早急に対策を立てたいというふうに考えてございます。
#37
○岩田委員 ぜひ一層の取り組みをお願いをしておきたいというふうに思います。
 それから次に、年休の計画的な付与制度というものが言われておりますけれども、この計画的な年休の取得制度みたいなものがあるという企業というのは比較的少ないのですね。
 六十三年で、あると答えたところが、一四・二%しかないのですね。それから規模別で見ますと、千人以上では二六・五あったのが平成二年では一〇%近く伸びてはおりますね。しかし、やはりここでも中小零細、規模が小さくなると減っている。逆に百人以下の企業では、あると答えておったものが、一三・五あったのが一〇%に減っているのですね。これは大変気になっているわけでありますが、景気のいい時期を挟んでおるだけに、勢いジャスト・イン・タイムなどという問題などがかぶさってきたのかなということも考えられるわけでありますけれども、とりわけ中小企業への対応は特段の措置が要るのではないかというふうに思います。
 労働省が出された資料だったと思いますけれども、いわゆる時間短縮を進めていく、そういう労働条件の環境整備をしていくと、人手も集まるようになった、いわゆる好評になったなんという数字が出ていますけれども、ちょっとこれからは想像できない数字なんですね。私はどこか間違っているのじゃないかとは言いませんけれども、どこかやはり矛盾を感じるわけですよ。実態としてはそういう状況ではない、こういう数字ではないかというふうに思いますけれども、この年休付与日数や付与計画について、やはりもっと具体的に指導するという方法は必要ではないですか。一片の通達や何かではこれはできませんよ。
 例えばトラック業界とかなんとかというのが先日の交通特別委員会でも議論になったらしくて、我が先輩の永井議員が指摘をされておりますけれども、自民党の大物代議士がその業界の会長をしておられる、それに何ぼ運輸省が運輸大臣の名前で通達を出してもなかなか聞くまいという現実、大変問題のある議論、指摘があったわけでありますが、この中小零細についてのこういう実態というのは、今御説明は聞きましたけれども、どうもそういう程度では進まぬのじゃないか、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。
 お尋ねしたいのは、いわゆる年休をもっとふやすということも一つ考えていかざるを得ないが、付与計画についての目安もやはりぴしっと設けて、具体的な行政指導をする必要があるのではないか、そうしないと伸びないと思いますね。
 さらに、こういう状況ですけれども、果たして今回の時短促進法というのがこれに絡まってぐんと環境整備を押し上げていくのか、事業主の発想を多少でも前向きに変えることができるかという点になりますと、私はどうもそういう確たるものをあの法律から読み取ることはできないというふうに思いますが、あわせていかがでしょう。
#38
○井上説明員 年休の計画的付与の問題でございますが、今先生御指摘のように、企業におきます計画的付与制度の状況を見ますと、残念ながら、規模計で平成二年で一三・三%というような状況でございます。千人以上に見ますと三五・七%でございますが、特に中小企業におきましては一割台という状況でございまして、私どもといたしましても、今後年休を計画的にふやす上での周知なりその利用なりにつきまして、一層の努力が必要じゃないかというふうに考えてございます。
 ただ、最近の状況におきまして、いろいろな企業でいろいろな工夫が行われてございまして、例えば平成三年夏の連続休暇につきまして、年休の計画的付与制度を活用する企業について聞きますと、二七%ぐらいの企業が利用しているというような状況もございますので、私どもとしては、いろいろな機会をつかまえて、この付与制度の普及といいますか理解を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
 また、本時短促進法案に関連いたしましてでございますが、これは先ほども申し上げてございますように、主に地域とか中小企業の業種が横並び意識とか競争関係でなかなか一企業だけではやれないというような場合に、企業としてまとまってやった場合にはそういう制度が非常に利用しやすいのではないかという観点に目をつけたものでございまして、私どもといたしましては、今後、例えば基準局等を通じまして、そういう企業の集団なりそういうところにこういう制度の趣旨の徹底を図るということも大いに努めてまいりたいというふうに考えてございます。
#39
○岩田委員 今度の法案もそうでありますけれども、法案にかかわらず大企業、中小企業の格差の多い点はここだと思いますね。ひとしく勤労者の豊かな暮らし、ゆとりある生活というふうに言うならば、どうしてもその格差を埋めなければならぬという発想でこの法律が出ているとすれば、その問題の一つの年休についてもぜひとも強靱なお取り組みをお願いをしておきたいと思います。
 それから、所定外労働時間であります。
 これはいろいろとり方というか発表の時期もあるのでしょうけれども、私の手元に持っております数字でいきますと、平成二年の実労働時間というのは二千四十四時間、二千六時間という数字もございますけれども、それでいきますと百八十五時間の所定外労働時間という数値が出ていますね。これも労働基準法の改正の時点からは減ってないということになっています。実際は百六十九時間というふうに言われていますけれども、私の持っている資料では減ってない。違う資料で見ますと百六十九時間ということを聞いておりますけれども、それにしても随分やはり所定外労働時間というのがあるわけでありますね。しかも、企業間、企業の規模の格差というものが相当あるわけでありますが、これについて思い切った対応も必要ではないかと思いますけれども、労働省としては今後のこの所定外労働時間についてどういう対応をされるのか、お聞きをしたいと思います。
#40
○佐藤(勝)政府委員 所定外労働時間につきましては、まず内容として、景気の動向によります。務の繁閑を所定外労働時間でカバーをしている面があるのと同時に、そういうこととは関係のない恒常的な所定外労働時間あるいは休日労働があるということでございまして、特に後者の方は本来の労働基準法の予想するような所定外労働時間とは性質が違うものであるというふうに思っております。所定外労働はあくまでも臨時、緊急に必要な場合に行われるものであるという認識が必ずしも十分でないという点があるわけでございますので、まず一つにはそういう点について、今さらという感じもしないわけじゃないのですけれども、労使、とりわけ使用者の方の認識を変えてもらう必要があるというふうに思っております。
 昨年まとめました所定外労働削減要綱もそういう趣旨からできておるわけで、そういったものによる啓発普及というのがまず基礎になければならないと思いますし、また、基準に違反して行われている形の残業につきましては厳重な監督、指導を行うということも必要でございましょうし、それからもう一つは、労使協定で上限を決めるようになっておりますけれども、この労使協定につきましても、よくその基準法の趣旨を理解した上で適正な労使協定が結ばれるようにということで上限時間の目安の告示を出しておるわけでございますけれども、その適正な運用を図るとともに、その目安につきましても現在改定をしたいということで作業をしているところでございます。
 また、基本的に基準法の制度として所定外労働時間あるいは休日労働に対して今後どう対処していくべきかということにつきましては、現在お願いをしております中央労働基準審議会での審議の中でも、一つの大きなテーマになっておるところでございます。
    〔委員長退席、永井委員長代理着席〕
#41
○岩田委員 今も御説明がありまして議論の最中でということでありますが、この前、十三日の日に岡崎議員もいわゆる協定指針の改正について質問をされておられましたけれども、四百五十時間をどうするかということがあるわけであります。佐藤局長は、新聞報道にあります二、三割を検討ということに関しましては、この二、三割というのは承知をしてないというふうに言われておりましたけれども、これは別にいたしまして、七千八百近い事業場について労働省は実態調査をされておりますね。これにつきましても四百五十時間の時間外労働をしている事業場の割合というのは比較的少ないんだけれども、しかし、なるべく上限のところで協定しようとする事業主についての指摘をされておったやに思います。この調査結果からしましてどういうことが言えるのか、どういう分析をされているのか、お伺いをしたいと思います、
#42
○井上説明員 目安指針の改正の検討のために、時間外労働の目安につきまして調査をいたしましたところでございますが、時間外労働協定上の延長時間の状況を見ますと、目安時間をかなり下回っでございます一週十四時間以下とか一カ月四十五時間以下、一年四百時間以下という企業が大体五割ぐらいでございまして、一方、目安限度きりぎりまで決めている企業が五割というような状況でございます。
 先日もお答えいたしましたように、かなりの企業が目安限度ぎりぎりの最長時間、これはそこまで残業ができるという一つの協定でございますので、かなりの企業でぎりぎりまで決めているというような状況でございます。
#43
○岩田委員 いずれにしても、この残業という問題が醸し出す障害というのは大きいと思います。例えば通産省にしても建設省にしても運輸省にしても今やまさに労働時間をどうするかということで膨大な資料といろいろな方針が出されておりますけれども、その中で豊かな生活実感を阻害しているのは残業であるということはだれしも、どこでも言われているわけです。
 実態は、お聞きをしてまいりましたように、多少は進んだけれども思うように進んでない。これは一体どこが原因かということになりますと、それぞれこの事業を担当している各省庁は一生懸命やられているけれども、その指導が行き届いてないという現実が実際にあるわけです。だから、進んでないわけですよ。それはいろいろ細々あるでしょう。だから、そのことを考えますと業界や日経連のいわゆる反駁はよくわかるのです。そう言うけれども、日本の企業を支えてきた産業界が一遍に冷えていいのかという議論もあるでしょう。あるでしょうが、いやそれくらいの余裕と実力はあるはずですから、それを乗り越えて同一競争条件にしないと国際的に問題だということも、一番よく御承知なのは労働省初め政府であるし、各業界だってもうそういうことは言ってあるわけですから。しかし、このいわゆる指針策定に当たっては業界からはいろいろ圧力というか反駁というかあることも事実ですね。しかし、これは何とかしないと、過労死の原因になっている残業です。長時間労働の最たるものは残業ですよ。それから、教育の問題だって家庭生活の問題だって、これほど問題になっている時期はないのではないかというふうに思いますね。
 そういった意味では、大臣、私は労働時間短縮の問題についていろいろお聞きをしてまいりましたが、これは審議会の議論に任じているとか、それも否定はいたしませんが、まさに、労使の問題とか業界の問題であると同時に、政治の姿勢の問題だと思いますね。
 この二、三割というふうに、それは否定されておりますけれども、政府が言ってないということが新聞に漏れると、言ってないはずのいわゆる目安の近くで法律ができたり方針ができたりすることは間々あるのですね。岡崎議員は二、三割じゃなくてもっとやれということを前提に、二、三割でなくてそれで安心したなんという議論がありましたが、一体、この点はどうなんですか。
#44
○近藤国務大臣 労働時間をこれからさらに短縮していこうというのが基本的な私どもの姿勢でございますから、いわゆる目安といいますか適正化指針、これも方向としては減らしていく、こういうことであると思います。それが何割がということについてはいろいろな議論をしていこうと思います。
 私ども、中央労働基準審議会にいろいろ検討をお願いしているわけでございますが、これは率直に言って、いわゆる学識経験者の方々が学識経験に基づいていろいろ議論されていることだけじゃなしに、御案内のように審議会はまさに三者構成になっているわけでございますね。経営者側の代表の方もおられれば労働側の代表の方もいらっしゃる、第三者的な立場の方もいらっしゃるわけでございますので、そういう審議会で議論をさせていただいて結論を得るということは、一種のいわばコンセンサスビルディングのプロセスでもあるわけですね。いろいろなお立場の方々が議論を出して、尽くしていただいて、そしてお互いの立場を、主張を聞きながら、では、このあたりでひとつ審議会としてその答申を出そう、こういうことでございます。
 これはまさに、そういう労使そして第三者、国民の方々の話し合いの場であり、コンセンサスづくりの場であり、そういうことで、現実に指針が改定された場合にはそれが実行できるものでなければならない、実行についての関係者の合意を得たものでなければならない、こういうことでございますので、審議会にやってひとつまとめてくれというよりも、私どもが真剣な議論というものを大変重要に考えて、いろいろ御指導を受けながら、また我々の立場も主張させていただいている、こういうことでございます。
#45
○岩田委員 その慎重に審議をしていただいて出されたものから後退をして法律が提案されるということだってあるのですよ。一体、国会というのは何なのかということも先日から問題になっているのです。そこで、労働省は時短問題についてやはりきちっとした政治決断というかそれをすべきだということを私は申し上げているわけで、これは時間がありませんから答弁は要りませんが、そういうことを私は申し上げて、もう少し凛としたものを持つべきではないかということを申し上げたかったわけであります。
 時間がありませんからはしょってまいりますけれども、小売商店、商店というのはたくさんございますけれども、日本くらいあるところはないんだそうですが、この商店街それから商工会議所、こういったものはこの法律でどういうふうになりますか。
    〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
#46
○井上説明員 商店街とか商工会議所につきましては、これは異業種の、いろいろな異なる事業主の方を構成員とするような場合がございますので、この法律の策定主体とすることは、対象の把握の問題や範囲の問題でなかなか難しい面もあると考えてございますが、私どもといたしましては、同一業種の判断に当たりましては、日本標準産業分類の大分類にとらわれず、実態として競争関係や横並び意識の生じている事業主の集まりをできるだけ広く、できるだけ弾力的にそこら辺は拾ってまいりたいというふうに考えてございます。
#47
○岩田委員 商店街ほど横並びが多い業種はないのではないかと思います。しかも最近、二十四時間営業のストアができておりますね。これについては、さきの大内力先生が会長を務められております報告がございましたね。あの中でも指摘をされておりましたけれども、ストアができる、そうすると、周辺の小売店はなるべく夜遅くまであけておかなければならぬという気持ちになるのは当然なのです。このストアが醸し出している社会的な問題というのも大変多くなりましたね。どれぐらいいわゆる夜勤や何かの労働者があれを利用するかということよりも、最近高校生が利用する、塾帰りの小学生が利用する、大変問題になっているわけですよ。しかも、ストアはどうだということになりますと、店員が一人ではいろいろ困難だ、二人は最低、三人は要るんだけれども三人置くと人件費が出ない。一体、それまでして置く必要があるのかどうなのか、これは一つ問題がありますね。長時間営業するから商店街をあけなければならぬ。
 かつて日本でも商店法というのがあったそうですね。昭和十三年に東京の商工会議所から、八時以降の売り上げは三%にも満たないので一律閉店をするように、こういう陳情、請願がありまして、十三年に商店法というのができておりますね。特定の業種を除くと十時までというふうにしておりますね。これは戦後、国家総動員法でできた法律は全部パアになっておりますからなくなっておりますけれども、そういう状況に何か似ているんじゃないかというふうに思いますね。それはやはり今後一考をしていく必要があるのではないかというふうに思います。それから、弾力的な運用は、なるべく幅広く啓蒙啓発をしていく必要があるというふうに思います。
 それから、週休二日制の問題についてお尋ねをいたしますが、時間がありませんから、一括お尋ねをします。
 これは一体どうしていかれるのか。かなりふえてはきました。しかも、先憂後楽という言葉がありますが、労働条件問題というのは、公務員が後で民間が優先という我が国の伝統的なスタイルがあったのですが、異例にも今度、二日制の問題については公務員がことしの五月から実施になったのですね。ぴちっとなったのですよ。これはやるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょう。
#48
○井上説明員 御指摘のとおり、国家公務員の完全週休二日制につきましては、この五月より法律改正により実施されたところでございます。私どもとしましては、これによりまして民間部門におきましても週休二日制の普及は加速されるというふうに期待しているところでございます。
 なお、民間部門の週休二日制の問題でございますが、先ほども申し上げてございますように、中央労働基準審議会で四十時間の問題を含めまして時間法制全体を検討されてございますので、私どもといたしましては、この四十時間の問題について早期に結論を出していただきたい、それによりまして所要の措置を講ずることによりまして、実質的に完全週休二日制が一層普及するのではないかというふうに考えてございます。
#49
○岩田委員 時間がなくなりましたので、はしょってまいりますが、この法律は、中小企業を主として対象にして時短を促進するという法律になっておりますが、日本の一次産業を除く事業所統計で見ますと、一次産業、農業や水産業は除きますけれども、現在のところ三百六十五万三千という事業所がございますね。これについてどれくらいの事業所が今度の法律で対象になるのか、この点いかがですか。
#50
○井上説明員 私どもといたしましては、できるだけ多くの事業所を対象にしたいというふうに考えてございまして、現在のところ特に数的に幾らというふうには想定してございません。
#51
○岩田委員 いや、これは想定をしてもらわぬとやはりいかぬのじゃないですかね。漠然とした法律で、環境整備を何となくつくり上げるために出した法律であるということなんですか、これは。
#52
○佐藤(勝)政府委員 この法律施行の暁には、計画あるいはそれに関係する事業所がどのくらいの数になるかということにつきましては、大変その見通しが難しい、数として把握するのが難しい問題でございますが、私どもとしては、当然のことながらできるだけたくさんこの制度が活用されるように、普及に努めてまいりたいというふうに思っております。
#53
○岩田委員 労働省は、平成二年、三年に、特定業種労働時間短縮促進事業というのをやってこられましたでしょう。間違いないですね。それで指針をつくって、事業主団体にマニュアルを示して、必要なひな形をつくって指導する。特に五業種を、例えば道路運送業だとか建設だとかいう特殊なところを、難しいところを指定をしてやろうとした。しかし、これも現実的には全国規模の団体の皆さんの協力は得られなかったんじゃないかというふうに思いますね。今回は地方でやろうというふうにされておりますけれども、一体うまくいくかどうかということを考えて心配をしているわけです。一体どれぐらいのところが法律の網にかかって協力をしてくれるだろうかということぐらいは、きっちりやはりお示しをいただきたかったわけであります。
 ところで、法案の中には、同一同業者で労働大臣に計画書を出す、こういうふうになっておりますけれども、同業者というのは、つまり競争相手なんですよね。市場における競争の最もライバルなんですけれども、ここで自主的に時短計画をつくる場合に、示されているようなアドバイザーの派遣等の援助等々のいわゆる支援でうまくいくのかどうかなんですね。それから、実施計画のイメージというのはどんなものがあるのか。どういうものを想定されて、例えば完全週休二日制だとか、残業だとかいろいろあるでしょうけれども、どういうことをイメージ、想定をされておるのかお聞かせをいただきたいと思います。
#54
○佐藤(勝)政府委員 労働時間短縮が必要であるという認識が社会に広く浸透してまいりましたし、とりわけ中小企業等では、優秀な労働力を確保したいということで時間短縮が必要であるという状況にもなってきている中で、ただし自分のところだけ突出してやると、これもまた場合によっては不利になるというようなところで、時間短縮を独自にやるということについてちゅうちょをする場合が多いわけで、そういう懸念を取り除いて、共同して時間短縮に取り組むための枠組みをこの法案でつくるわけでございます。
 この法案は、昨年来審議会の議論をお願いをしましてここまで来たわけでございますけれども、その経過の中でも、幾つかの業界から大変この構想に興味を持って、自分たちの業界でもそういう制度を利用したいけれどもどういうものなのかということで大分問い合わせがあった、あるいはその後いろいろ相談をしているような実績もございます。
 そういう中でございますので、私どもとしては、こういうものを活用して時短をやりたいという事業主が多くあらわれてくるというふうに思っておりますが、計画の内容としてどういうものをイメージしているかということにつきましては、例えば過所定労働時間を何時間にする、あるいは週休二日制に関する目標が掲げられるというようなこと、それからそういった目標を達成するために、営業時間の短縮が必要になる場合もありますし、あるいはまた営業休日を増加させる必要が出てくる場合が多いと思いますけれども、そういったものが時短のために必要な措置として計画の中に盛り込まれるというように考えておるところでございます。
#55
○岩田委員 今局長が言われましたようなものについて、内容を労働大臣が、これは審査というのかどういうのか知りませんけれども、適格制に欠ける場合は差し戻すということになると思いますけれども、これは厳然とした、今おっしゃったことなどが一つの目安になって、それがないと受け付けないということになるのですか。
#56
○佐藤(勝)政府委員 労働時間短縮の進め方といいますのは、それぞれの業種なりあるいは事業の状況に応じて、どういうところを重点に進めるべきかという点は異なる場合も多いかと思います。
 そういった問題点を踏まえて、直接労働時間管理の責任を持つ事業主が考えるわけでございますから、かつ、この計画は現状より後退をするということで計画をつくるわけではございませんから、時間短縮に貢献をする措置として出てくるわけでございますので、労働大臣が、あるいは労働大臣と事業所管大臣が承認をするときに、場合によってはいろいろな相談の段階で、こういうふうにしたらどうだろうかというようなことはあり得るかもしれませんけれども、こういう計画ではだめだからやめなさいというようなことは、余りどうも想定をできないのではないかと今の段階では考えておるところでございます。
#57
○岩田委員 そうだろうと思うのですね。規制をするということになってないわけですからそれは難しいだろうと思いますが、果たしてうまくそういう実施計画が上がってくれば、この法律は有効に活用できた、実効性があったということになると思いますが、なかなかそれが心配なんでお聞きをしているわけです。
 いわゆる市場における競争相手を同業者から求めていくわけですから、競争条件というものを同一にして、一定の枠というか基準みたいなものを法律で決めていくということは不適当なんですか。できない理由は何ですか。
#58
○佐藤(勝)政府委員 御指摘のように、競争条件を法律で決める必要のある場合があると思います。労働条件、あるいはその中での労働時間の問題について申し上げれば、労働基準法が最低基準を定めている。これを強制的に実施をさせるという性質のものでございますけれども、言ってみればこれが法定の競争条件、その面での競争条件を定めた法律であるというふうになると思います。
 ただ、そういった最低基準を上回る労働条件の問題としましては、労働時間の問題について言いますと、労働基準法を上回る、つまり、労働基準法の最低基準を超えて労働時間をどう短縮していくかということにつきましては、本来労使が進めるべき問題であるというふうに考えております。
 もちろん、労使の自主的努力に対します支援、あるいは共通の目標、国民、社会のコンセンサスづくりにつきましては国の果たす役割は大変大きいわけで、そういう見地からもいろいろな施策を進めているわけでございますけれども、もとへ戻りまして、法定の競争条件というのは私どもは労働基準法である、それを超えて時間短縮を進めるための一つの枠組みが今回審議をお願いしている法案であるという位置づけをいたしているところでございます。
#59
○岩田委員 労働基準法改正とこの法律がどういうふうに絡むかという意味では、環境整備を促進したいという意味はわかりますが、やはり社会的競争条件みたいなものは一定してないと、この五年間の推移を見ても無理じゃないかというふうに思います。
 次に、労働組合の問題も出ましたけれども、労使でやっていく、こういう法律なんですが、組織率の状況を見ても御承知のとおりです。民間の企業におきましては、労働組合の存在というのは二一%なんですよ。ふえていませんから、これはもっと減るかもしれませんね。こういう実態になっているのです。
 諸外国を見てみましても、アメリカが一六%ぐらいですか、ドイツが三五%ぐらい、イギリスが四四%ぐらい。それからいけば日本は中間ぐらいで、数字の上からは遜色ないのですが、向こうはきちんと職能別になっているわけです。ドイツなどは十七ぐらいしか労働組合はないのですが、全部それで大体網羅されているわけですよ。アメリカなんというのは組織率は一六%ですけれども、御承知のように一人一人の権利が認められている、主張できるという関係にあるから日本とも違うのです。いずれも状況は違うのですけれども、労働組合が社会的に影響しているかどうかという意味では、日本はやはりちょっと落ちるのではないかと思います。しかも、百人以下の事業場では二%いってないんじゃないですか。ないに等しい状況ですよ。
 しかし、労使自治ということになった場合に、三六協定をつくる場合でも就業規則でもそうですけれども、何らかの形で労働者の代表者の判が押されているけれども労働組合の存在はない。そういったところを前提にして労使なんという枠組みをつくったって、これは意味がないと思いますね。これが一つ問題がある。
 それから、この法律でいうと、労働組合があるところで、労働組合が時短促進に関する計画について参加するという状況になっていない。意見は当然聞くでしょう。これは十三日にもお答えもありましたが、ある意味では画竜点睛を欠いた結果になるのではないか。
 それからもう一つは、意見は聞くでしょうけれども、事業主団体から出された時短法の具体的な内容が新たな労使紛争になる心配もなくはないのじゃないかと思いますが、これは修正案も出しておりまして皆さんの協力を得たいというふうに思っておりますけれども、この点、一体いかがでしょうか。
#60
○井上説明員 計画の策定に当たりまして、法律上、事業主に関係労働者の意見聴取を要求することにつきましては、関係労働者の代表の適格性とか範囲の問題等なかなか難しい問題がございまして、事業主に過度の負担がかかるおそれもございまして、施行がなかなか実効性が上がらないというような面も危惧されているところでございます。
 ただ、労働時間短縮実施計画の制度が円滑に機能するためには関係者の合意がぜひ必要でございます。したがいまして、労働時間短縮実施計画の策定に当たりましては、私どもとしてはできるだけ関係労働組合の意見が反映することが望ましいと考えでございます。
 計画の策定に当たりましては、労使の話し合いができる限り行われますよう私どもも指導してまいりたいと考えております。
#61
○岩田委員 労働組合の実態は、組織率を見ても低いわけでありますが、しかし、産業構造の転換期に差しかかっている現在、しかも労働時間短縮等を果たしていくには極めて大きな責任が労働組合にもあろうと思いますし、一方の担い手であることは言うまでもありません。これについて、この法案のみならず、いわゆる労働組合の社会的な地位を対等に労働省としても政治の場で見ていただきたいと思います。
 いずれにしましても、この法案のみならず、労働時間短縮の問題、労働条件の問題について見てみますと、労働基準法改正以降もそうでありますが、戦後一貫して政府・労働省は大企業に対してちょっと腰を引いておるのではないか、弱気ではなかったのかという意見を率直に申し上げなければならぬと思います。
 そういった意味では、先ほども申し上げましたようにこの問題は政治の問題である、政治決断である、こういうことを労働大臣に申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
#62
○川崎委員長 正午より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    正午開議
#63
○川崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。永井孝信君。
#64
○永井委員 初めに、昨年成立いたしました中小企業労働力確保法、ちょっと舌をかむようでございますが、中小企業労働力確保法は労働力の確保が目的でありますが、そのための重要な柱の一つが労働時間の短縮ということになっておったわけですね。特に週休二日制の実施であるということが非常に強調されてきたわけでありますが、今回提案されている法律案は、労働時間短縮の促進を直接の目的としているわけでありますから、この中小企業労働力確保法と今回の法案との関係はどのようになっているのか、冒頭に御説明を願いたいと思います。
#65
○佐藤(勝)政府委員 中小企業労働力確保法は、中小企業におきます労働力の確保のための雇用管理の改善を目的としているわけでございますが、その一環といたしまして、中小企業組合等が行います労働時間短縮等の事業に関する計画を都道府県知事が認定をいたしまして、援助を行うことを内容としているものでございます。それに対しまして、今回御審議をいただいております法案は、労働時間短縮に向けた労使の自主的な努力の促進を目的としております。業種ごとの取り組みを推進するために、同一の業種の事業主が共同で作成をする労働時間短縮実施計画を労働大臣と事業所管大臣が承認をして、これに対して援助を行うということを主な内容としているわけでございます。
 こういうぐあいに、中小企業労働力確保法と今回の法案は、制度の仕組みや目的で異なる面はございますけれども、雇用管理の改善には労働時間の短縮も含まれるというか、労働時間の短縮は大変大きな要素でございまして、したがいまして、両方の制度が相互に連携をとり、補完し合って、より実効のあるものとなるように努力をしてまいりたいと存じます。
#66
○永井委員 今御答弁いただいたわけでありますが、この中小企業労働力確保法は、珍しく労働省と通産省の共管だったわけですね。両省の施策を持ち寄って、協力し合って、中小企業について労働時間の短縮等による魅力ある職場にしていこう、そのことから中小企業に人材を確保できるようになるではないか、そういうことだったと思うのであります。それを国としても促進あるいは援助しようというものであったわけでありますが、それだけに我々も注目してきましたし、期待もしてきたところでありますが、その施行状況はどうなっているか、順次お尋ねをしていきたいと思うわけであります。
 まず、この法律に基づいて一体どれくらいの事業協同組合等が改善計画に取り組んできたのか。当時の当委員会における審議の中では、平成三年度に二百五十ないし三百団体を見込むというふうに答弁がされているわけでありますが、改善計画の認定件数はどのぐらいになっているのか、これも含めて明らかにしてもらいたいと思います。
#67
○若林政府委員 中小企業労働力確保法に基づきます都道府県知事による改善計画の認定状況でございますけれども、本年三月三十一日時点で百二十一団体について認定をしたという報告を都道府県から受けておるわけでございます。
 業種別に見ますと、鉱業が一団体、建設業が四団体、製造業が六十九団体、運輸業が五団体、卸売・小売業が十八団体、サービス業が十四団体というふうになっておりまして、残る十団体につきましては複数の業種で構成されております。
 その計画内容は、労働時間の短縮、職場環境の改善、福利厚生の充実、募集・採用の改善等となっておるわけでございます。これはこの法律に基づきます新規の認定でございまして、それ以前から中小企業の改善の事業を進めておるわけでございまして、その関係のものの継続分がございます。これを入れますと二百五十団体ぐらいになるわけでございます。
#68
○永井委員 従前の継続分を含めて二百五十団体という御答弁でありますが、本来この中小企業の労働力確保法を審議する段階での目標数値というのは二百五十ないし三百団体、これを見込んでおったわけでありますが、この見込んでおった団体数というのは、もともと継続してきておるものを含んでおったのですか。
#69
○若林政府委員 二百五十ないし三百団体ということを申し上げたわけでございますが、これは一部は、従来から行っております予算上の措置によりまして平成三年度に労働力の確保のための雇用管理の改善に取り組むと見込まれた中小企業団体でございまして、二百五十ないし三百団体の全部が新たにこの確保法に基づきます認定を受けるということではございません。
 結果的には、平成三年度にはただいま申し上げました団体と予算上の措置の団体と、ただいま二百五十と申し上げましたが二百七十団体がこの対象になっているということでございます。
 なお、御承知のとおり、この制度は五年間の制度でございまして、毎年積み上がっていく制度でございます。
#70
○永井委員 その数字のことについてとやかくここで議論をしようとは思わないのであります。その成果がどこまで上がったかということでありますが、昨年のこの議事録を見ますと、今言われたように、継続分を含めて積み重ねていくということにも必ずしも答弁の中身はなっていないわけですね。この当時の議事録で見ると、「おおむね二百五十から三百団体程度が本法に基づきまして雇用管理の改善に取り組むものと見込んでいるところでございます」、こう答弁しているわけでありますから、本来なら継続分を除いてさらにこれだけのものが上積みになるぐらいの取り組みが必要であったのではないか、私はこう思うわけですね。これはもう答弁要りませんけれども、言いたいことは、もっと積極的にやるべきではないのかということを私は申し上げたいのであります。
 さて、これらの認定計画で労働時間の短縮を取り上げているものはどのくらいあったのか、労働時間短縮を取り上げている認定計画についてはどれくらいの労働時間の短縮が見込まれてきたのか、あるいはどれくらいの所定労働時間にそのことが実績として上げることができたのか、これをひとつまとめてお答えください。
#71
○若林政府委員 認定組合のうちで労働時間の短縮に取り組みますものは、ただいま申し上げました百二十一団体のうちの百十五団体でございまして、その構成中小企業者の雇用しております常用労働者の数は約七十五万人でございます。
 昨年の八月に法律か施行されまして、これまで百二十一団体が都道府県知事の認定を受けて労働力確保のための労働時間短縮等の改善事業を開始したところでございますけれども、これらの団体の多くは、今後五年間の事業としてその改善事業に取り組むことにいたしておりまして、現時点まででどの程度労働時間短縮が進んでいるかということにつきましては、まだちょっと判断できない段階でございます。
 ただ、私どもこの計画の中身を見ておるわけでございますけれども、こういった中に、計画期間内に完全週休二日制の実施をするとか、あるいは所定労働時間の四十時間制の確立を図る、こういった目標を掲げまして積極的に事業を実施しているところが多く見られるわけでございますので、逐次こういった目標が達成されてまいりまして、法律が当初から目指しました形での事業が進んでいくというふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、私ども、この認定団体が出しました改善事業の計画が円滑に目標どおり進められるように、十分指導を進めていきたいと思っております。
#72
○永井委員 まだ具体的な検証がされていないようでありますけれども、やはり法律をつくって施行する以上は、その法律がどれだけの効果をもたらしたか、あるいは不十分であればそれにどう対応していくかということが当然問われることでありますから、その検証については一日も早くやってほしいということを要望しておきたいと思います。
 ところで、労働基準局長にお尋ねするのですが、最前も同僚の岩田議員からも若干質問がございました。いわゆる昨年の中小企業労働力確保法を実効あらしめるためにも、その当時議論があったわけでありますが、労使が相協力し合って初めて効果を上げることができるわけです。その関係について、今回の提案されております時短促進法について、労使の協力関係のことについては最前岩田議員が質問をしたわけでありますが、先週の審議のときにも、同僚の池端議員から法修正を求める立場からこのことについて質問をしているわけであります。
 それに対する御答弁の要旨は、計画の策定に当たって労働者の意見を聞くことを要件とすることについては、中小企業においては労働組合のないところが多いので意見を聞くことが難しいと池端議員の質問に対して答えたかのように私は受け取れたわけです。いわゆる労働組合のあるところ、あるいは労働組合のないところについても十分に計画段階で労働者の意見を聞くようにすべきではないのかという質問に対して、今申し上げたように、もう一回繰り返しますが、中小企業においては労働組合のないところが多い、事実そのとおりなのです、だから、意見を聞くことが難しいというふうに答弁されたように私は受け取れたわけでありますが、もしそうであるとするならば、そこで働いている未組織労働者を結果として無視するようなことになってしまう。そういうことであるとするならば、私は納得ができないわけですね。
 したがって、前回の答弁の趣旨についてもう一度確認をしておきたいと思いますが、御答弁願います。
#73
○佐藤(勝)政府委員 今先生から御質問の件につきまして、前回の審議では十分意を尽くした御説明ができなくて、私の言わんとするところが御理解をいただけなかったわけでございます。
 その点につきましては改めてここでお答えをさせていただきますけれども、先般の答弁は、労働組合の有無にかかわらず労働者の意見を聞くことを義務づけた場合には、複数の事業主が共同で計画を策定するという性格上、どのような労働者からどのような形で意見を聞くか、単に法技術的な問題があるという趣旨でお答えをしたつもりでございました。
 しかしながら、計画の策定に際しましては、何らかの形で労働者の意向が反映されることが必要なことはもちろんであるというふうに考えております。このため、労働省といたしましても、計画の策定を行います事業主が、先ほど申し上げましたような技術的な問題に適切に対応いたしまして労働者の意向を聞く機会が持てるよう、個々のケースに応じまして必要な助言や指導を行うよう努めてまいりたいと存じます。
#74
○永井委員 まだ速記録を見ているわけじゃありませんので正確なことは言えなかったわけでありますが、いずれにいたしましても、労働組合の存在しない事業が対象になることが非常に多いという観点から、それだけになおさら労働側の意見が反映できるように考えていきませんと、幾ら法律をつくってみてもそのことが円滑に施行されないということになってまいりますので、あえてこのことについては質問を申し上げたわけであります。
 さて、昨年の、何回申し上げても法律の名前が非常に難しいものですから舌をかんでなかなかうまく出ないのですが、中小企業労働力確保法、これの審議の際に、我が党の池端議員の質問に対して労働省の当局は次のように答弁しているわけであります。
 ここに議事録を持っておりますが、この法律に基づきます改善計画が事業協同組合等及び個別企業におきまして適切かつ効果的に実施されますためには、関係労使が相協力して雇用管理の改善を進めていくことが重要であるというふうに認識をいたしております。こう答えています。
 したがいまして、中小企業者が雇用管理改善の目標等を定めます場合には、その改善のねらいが労働者にとりまして魅力のある職場をつくることでございますので、必要に応じて関係労働者の意見を聞くなどの手続をとることが望ましいというふうに考えております。このように答弁されています。さらに続いて構成中小企業者が行います労働時間の短縮でございますとかあるいは職場環境の改善に関する改善事業につきましては、労働時間の短縮等の改善目標につきまして当該事業所において労使の合意や労働者への周知が図られるようにし
 てまいりたい、そのように考えております。これは議事録のままなんです。そのようにお答えをされているわけであります。
 そしてまた、法第三条の基本指針、これは平成三年八月十五日、通産省と労働省の告示第一号でありますが、その中に触れられておりますことは「改善事業の内容を労働者に周知すべき旨を記述することを検討したい」そして基本指針の末尾に「中小企業者が雇用管理の改善に係る措置を行うに当たっては、関係労働者の理解と協力が重要であり、当該雇用管理の改善の内容について関係労働者に対し意見聴取、周知するなど、関係労働者の理解と協力を得るよう努めることが求められる。」というふうにこの通産省と労働省の告示第一号では明記しているわけであります。
 しかし、実際には労働者の意見を聞いた例や労使の合意あるいは労働者への周知が図られた例は、どの程度把握されているのか。非常に大事なところでありますから、この点について明らかにしてもらいたいと思います。
#75
○若林政府委員 昨年の中小企業労働力確保法案の審議の際にお答え申し上げましたように、この法律に基づきます改善計画が効果的に実施されますためには、関係労使が協力して雇用管理の改善を進めることが重要であるということでございまして、このことを踏まえまして、この法律に基づきます基本指針におきまして、関係労働者に対します意見聴取、周知などによりまして、関係労働者の理解と協力を求めることの重要性を明らかにいたしました。
 都道府県に対しましては、改善計画の作成指導に当たりまして、関係労働者の意見の聴取などが行われることが望ましいというように事業協同組合等に対して指導するように通達をいたしました。
 これは県への改善計画の資料が出されます場合にそういった資料は特に添付されておりません、添付資料になっていないわけでございますけれども、具体的には、一定期間後に所定の労働時間を四十時間にするといった労働時間の短縮を図りますとかあるいは職場環境の改善を図るということにつきまして、労使の合意が行われたり意見聴取が行われたり周知などが行われております。私も職場の代表が判をついたそういったような資料も現に見ております。
 今後ともそういったような認定を受けようとする団体等に対しまして十分指導を進めていきたいと思っております。
#76
○永井委員 再度申し上げますけれども、去年施行されてまだ一年でございますから、十分なことの事務処理もなかなか難しいとは思うのでございますが、最前から申し上げておりますように、法の施行後どうなっているか、どこに問題があるか、法の規定したことをどのように実際に適用させていくのかという問題等について、やはり検証することが一番大事なのですね。
 どうしても苦言を呈するようでありますが、行政当局は通達は出すけれども、検証がなかなかうまくいかないということが多いのですよ、労働省のことを言っているわけじゃありませんけれども。これだけ通達を出していますと言ってみたって、なかなか守られない。そういうことも現に私どもは体験しておりますので、ぜひともひとつその検証をしてもらって、本来ならその検証の上に立って今回の時短促進法というものが提起をされるべきであったのではないかと私は思うのですね。どうですか。
#77
○若林政府委員 昨年成立いたしました法律の施行後でございますけれども、私どもも通達の出しっ放してはございませんで、そういったような現状につきましての計画などの中身はよく見ておるつもりでございます。
 ただ、ただいまお話しのございました合意でございますとか意見聴取、周知というのは、これは書類として添付されておりませんので私どものところに出ておりませんけれども、そういったものが行われているということは既に報告も受けております。引き続き、よく状況の把握に努めてまいりたいと思っております。
#78
○永井委員 次に、労働省と通産省にお尋ねをいたします。
 この中小企業労働力確保法に基づいて中小企業の人材確保推進事業助成金や中小企業労働力確保推進事業費の補助金などの支給実績及び今年度の予算確保状況についてどのようになっているか、労働省と通産省、双方からそれぞれ明らかにしてください。
#79
○若林政府委員 昨年の、平成三年度の助成金の支給の実績でございますけれども、十二億五千七百万でございます。そして、平成四年度でございますけれども、中小企業人材確保推進事業助成金の予算は約二十六億でございます。
#80
○桑原政府委員 通産省で用意しております補助金は労働力確保推進事業費補助金というものでございます。
 平成三年度につきましては三十八団体を対象にいたしまして総額二億九千九百万円交付をいたしております。平成四年度の補助金につきましては総額六億円の予算措置を講じているところでございます。
#81
○永井委員 それなりに努力はしてもらっているわけでありますが、これも前回の法案の審議の際には、関係方面とも調整を図りながら支給対象団体の拡大に努めていきたい、これは労働省が答えています。あるいは通産省の方は、今後我々も補助金の交付団体の拡大等について全力的に努力していきたい、こう答えているわけです。ここは全く共通しているわけですから、やはり実効を上げるためには、ないそでは振れぬということもありますので、今の金額にとどまらずに、当時の法案審議の際の確認どおり、さらに一層の努力を私は求めておきたい、こう思います。これはもう答弁は要りません。
 次に、これに関連した問題をちょっとお聞きするわけでありますが、中小企業勤労者総合福祉センターという施設がございますね。中小企業では労働時間等の労働条件面のみならず、福祉面においても大企業に比較して非常におくれが目立っている。これはもう御承知のとおりだと思うのですが、労働省は数年来、大企業と中小企業の福祉面での格差是正のために中小企業勤労者総合福祉推進事業に取り組んできたわけですね。その中小企業勤労者福祉センターの育成という問題でありますが、その実施状況はどうなっているか、お答えください。
#82
○清水(傳)政府委員 ただいまお尋ねのように、大企業、中小企業の福祉面での格差を是正するために昭和六十三年度に中小企業勤労者総合福祉推進事業というのを創設いたしております。
 これは、さまざまな理由で中小企業が単独ではなかなか実施しがたい労働福祉面の諸制度、諸政策、これらにつきまして市町村単位で今御指摘のようなサービスセンターというのを設立をいたしまして、地域の会員のニーズを把握しながら、中小企業勤労者の共済給付事業でございますとか生活融資のあっせんでございますとかあるいは健康の維持増進を図るためのセミナー、講習会等の開催、各種スポーツ施設の利用のあっせん、こうしたことを中心とした総合的な福祉事業を行うものに対しまして管理運営費の助成を行っていくというものでございます。
 この指定団体数は、発足当初の六十三年度に六団体、平成元年度に八団体、平成二年度に十団体、平成三年度九団体と順次増加をいたしまして、平成四年度の内定を含めました指定団体の十二団体、これらを含めまして現在四十五団体ということになっているところでございます。
#83
○永井委員 今労政局長がお答えになりましたように、単独では従業員のために十分な福利厚生措置を講ずることが困難な中小企業、特に零細企業にとって大変有益な制度だとは思うのですね。これが全国的に設置されることが望ましいと思うのでありますが、今もお答えがありましたように、制度創設五年経過して四十五団体、こういうことにとどまっているわけですね。
 私は、この制度を創設した当時の状況から考えまして、創設の数が思ったより少ない。一体、どこのところにそれが四十五団体にとどまっているという原因が存在すると認識されておりますか。
#84
○清水(傳)政府委員 この事業につきましては、原則として人口十万以上の市区町村において全国的に整備をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
 それからいたしますれば、四十五団体という設置数は確かに少ない、このように私どもも認識をいたしておりますが、実際の設置状況を見てまいりますと、調査検討の段階から実際の市区町村段階におきます予算化までの設立準備そのものにやはり一定年数、三、四年はかかっておるというのが実態でございまして、現在指定を受けている団体は内定を含めて四十五でございますけれども、現時点におきましてこれとほぼ同数程度の市区町村が来年度以降センターとしての指定を受けたいということで検討をいたしているところでございます。
 しかし、この事業の趣旨が十分に徹底をしていない、そうしたPR面での努力がなおかつ必要であるというふうに私ども考えておりまして、そうした徹底をしてない市区町村もございますので、都道府県を通じましてのそうした設立指導の強化という点に一段と力を尽くしてまいりたい、このように存じております。
#85
○永井委員 この四十五団体の内訳ですが、私の調べた資料では、対象の県が二十都道府県ですね。一番最初に創設されたのは昭和六十三年度でありまして、そのときに六団体が指定をされているわけであります。
 この制度はもちろんもっと充実させなくてはいけないのでありますが、今もお答えがありましたように、準備期間も必要だあるいは援助の関係も絡んでくるということでありますが、このすばらしい目的を持っているセンターをより効果的に発展させるためには、補助期間が五年間に限定されていることが極めて大きい足かせになっていると思うのであります。なぜ補助期間を五年間に限定しておかなくてはいけないのか、簡単にお答えいただけますか。
#86
○清水(傳)政府委員 一般的に国の補助期間につきましては、御承知のように、臨調答申また閣議決定等によりまして補助事業の終期設定というものを行うこととされておるところでございまして、そうしたことから新規の国の補助金につきましていわゆるサンセット方式がとられているところでございます。
 この事業につきましても、基本的に将来的には事業主及び勤労者の自助努力によって自立的に実施されることが望ましい、こういう考え方から、一センター当たり五年間を補助期間、こういうことにしてスタートをいたしたところでございます。
#87
○永井委員 いろいろなことをお聞きいたしましても、ああそうですか、それなら結構だということになかなかならないわけですね。
 中小企業勤労者福祉サービスセンターの方々で組織している団体があるのですが、そこから提起されておりますことは、「中小企業勤労者福祉サービスセンターに対する国の補助金交付期間は、少なくとも当該地域の福利厚生が大幅にレベルアップされ、且つサービスセンターが自立できるまで継続すること。」という強い要望が実は出されているわけであります。
 私もその関係団体といろいろ協議をしてまいったわけでありますが、例えば五年の期限がことしで切れるという昭和六十三年から創設された最初の六団体ですね、この六団体の状況をいろいろ聞いてみると、仮に国の補助金が打ち切られてもそのまま継続がしていけるという目安の立っているところは、兵庫県の姫路市だけなのですよ。あとは国の補助金が打ち切られた時点で、残念だけれどもこのセンターは解散をせざるを得ない、これが今の実態なのですね。これではまさに昔の言葉で言うと仏つくって魂入れずになってしまうということでありますので、この辺のところは単に五年間で打ち切るということではなくて、今後とも継続できるような方向を含めて検討してもらいたいと思いますが、どうでございますか。
#88
○清水(傳)政府委員 この事業につきましては、昭和六十三年度に創設をされまして、今年度が五年目に当たるわけでございます。私どもといたしましては、このセンターの財政状況をよく研究いたしまして、補助金のあり方を含めまして中小企業勤労者の福祉増進がさらに図られますように、サービスセンターの事業内容の充実なりあるいはセンターに対する補助のあり方についてさらに検討をいたしてまいりたい、このように考えております。
#89
○永井委員 時間の関係がありますから、これ以上多くを触れることはできませんけれども、ぜひひとつ御努力を願いたいと思います。
 次に、関連して恐縮でありますが、気にかかる問題がありますので厚生省にお尋ねをしておきたいと思いますが、いわゆる民間保育所の関係であります。
 すべての労働者にとって働きやすい職場づくり、国際社会と調和した発展のためには労働時間の短縮が国民的な課題となっている。これは言うまでもないことでありますが、福祉の分野において、多様化する福祉サービス事業の担い手である福祉労働者の人材を確保するために、労働時間の短縮をそういう面においてもより積極的に対応していかなくてはいけない、今そういう現状に置かれているわけでありますが、保育所の保母については厚生省としてはどのように対策を講じていらっしゃるのか、簡潔にお答えください。
#90
○冨岡説明員 御説明申し上げます。
 私どもといたしまして、保育所の保母の労働時間の短縮につきましては大変重要な課題だ上承知いたしております。
 そこで、最近の一般産業界の時間短縮の動向などを踏まえまして、また、保育所におきます保母確保のためにも、保育所保母労働時間の短縮に努力しているところでございます。具体的に申し上げますと、平成四年度予算におきましては、週四十二時間勤務体制が可能となりますよう業務省力化等勤務条件改善費というものを、九十分短縮する分増額したところでございます。
 保育所職員の労働時間の短縮につきましては、今後とも重要な課題といたしまして所要の改善に努力してまいる所存でございます。
 以上でございます。
#91
○永井委員 フルタイムに働く女性が安心して子供を保育所に預けるためには、夜の七時ごろまでの延長保育が重要である、こう言われているわけでありますが、保育時間が長くなったからといって保母の労働時間が長くなるということでは困るわけですね。労働省は時間短縮を進めようと言う、厚生省の方は土曜日も日曜日も保育をするようにしなさいという指導もする、全く矛盾しているわけですね。
 きょうは保育所のことを一つの具体例として取り上げたわけでありますが、病院だって同じことなのです。看護婦さんの問題だって同じことなのですね。労働時間の短縮という大きな課題があるのだけれども、現場の方では、市民のニーズにこたえるために土曜日も日曜日も保育してくれよ、こうなっていくわけでありますから、この辺についてはどのように厚生省は対応していくのか、お答えください。
#92
○冨岡説明員 ただいま御指摘の点につきましては、御指摘のようにフルタイムで働く女性が非常に多くなってきたということから、どうしても通勤時間が長くなっているといったようなこともございまして、七時といった時間まで延長して預かってほしいという要望が大変強くなっているところでございます。
 そういったことから、私どもは特別保育事業という名前で延長保育とか長時間保育といったものを推進いたしておるところでございます。そして、こういった延長保育といったものを実施いたします保育所につきましては、そのためにほかの保育所よりもオープンしている時間が長いわけでございますから、そのために必要な人員を置くことができますよう予算上の措置を講じているところでございます。
#93
○永井委員 予算上の措置は講じていると言うのだけれども、この措置費ですね。措置費は確かに措置をされているのでありますが、この措置費が不十分なためにこの要員の確保ができない、長時間労働になるという問題は具体的に保育所関係の働く人たちからは何回も何回も要望を聞いているわけでありますから、その措置費の増額については思い切って考慮すべきではないかと思うのですが、どうですか。
#94
○冨岡説明員 保育所の運営費の大半は措置費で賄われておりまして、御指摘のように保母さんの処遇の改善のためには措置費での対応、裏打ちが大変重要であると思っております。
 このためいろいろ改善しているところでございまして、平成四年度におきましては、先ほど申し上げました勤務時間短縮の分に加えまして、年休代替職員を雇い上げるための費用の改善、それから事務職員を雇い上げるための費用の改善を行ったところでございます。
 こういったことで毎年措置費の増額に努めているところでございまして、平成三年度、四年度を見ますと、実は保育所でお預かりしております子供の数自体は増加しておりませんけれども、措置費の額は両年度とも八%以上の伸びとなっているところでございます。
 今後とも保母さんの処遇の改善に努める考えでございまして、これに伴いまして措置費につきましても必要な改善を図っていく所存でございます。
 以上でございます。
#95
○永井委員 ひとつ努力をお願い申し上げておきたいと思います。厚生省はもう結構でございます。
 さて、本題に戻りますが、労働時間の短縮は、大企業よりも中小企業でいろいろ問題が存在するわけでありますが、今回の法案は、中小企業における時短の促進にとってどのように効果があると確信できるのか。
 中小企業では、経営基盤が非常に弱いことなどによって、週休二日制の普及等労働時間短縮が進みにくい状況に置かれているわけでありますが、本法案は中小企業にとって魅力ある内容となっているのかどうなのか。特に、中小企業については、労働時間短縮に伴うコストの上昇が足かせとなってきておりますが、そのような負担軽減のための助成金等の経済的支援が求められているわけでありますが、この点について十分措置されているのかどうなのか、お答えをください。
#96
○佐藤(勝)政府委員 今回の法案は、主として中小企業について効果があるものというふうに考えておりますが、中小企業について見た場合に、一つには、労働組合の組織率が低いというようなことで、大企業に比べまして、企業内において労働時間の問題について日常的に話し合う場が整っていないという点が一つございます。こういうことから、労働時間に関します意識の改善であるとか、あるいは労働時間短縮の方策の検討、実施がなかなか進みにくい状況にあるという点が一つ指摘をされるわけでございます。
 それから第二に、中小企業におきましては、一般的に申しまして経営基盤が比較的脆弱であるということで、同業他社との横並び意識がとりわけ強いというようなことが、労働時間短縮におくれが見られる原因となっているわけでございます。
 そういうことから、この法案におきましては、企業内におきます労働時間短縮実施体制の整備を事業主の努力義務といたしまして、企業の労使の労働時間短縮に向けた取り組みを促すことといたしておりますのと、それから、同一の業種の事業主が共同して労働時間短縮実施計画を作成をして、これを行政が承認をし援助する仕組みをつくり出すということによりまして、中小企業におきましても、企業間競争を心配することなく、同業他社と同一歩調で労働時間の短縮を進められるようにするという意図を持ったものでございます。
 なお、特に中小企業におきまして、時短によりますコスト上昇についての対策が重要であるということは御指摘のとおりでございますけれども、現在、労働時間の短縮に資する設備投資等につきましては、労働力確保が必要であり、かつ、そのための魅力ある職場づくりを実施する事業主等を対象に、税制上の優遇措置、融資制度、それから助成制度がございます。これらの周知や、関係機関との連携を図ることによりまして制度の利用促進を図ることなどによりまして、計画対象の事業主がより一層円滑に時間短縮を進めることができますように努めてまいる所存でございます。
#97
○永井委員 次に入りますが、中小企業の労働時間短縮を促進するために、従来から集団単位で労働時間短縮の推進事業を実施してきているはずでありますが、これらの事業と、今回の法案による時短実施計画承認制度の関係は一体どうなっていくのか。既に、横並び意識を踏まえた施策を実施してきているはずですね。例えば、道路貨物運送業の労働時間短縮指針であるとか、あるいは木材・木製品製造業の労働時間短縮指針、あるいは建設業労働時間短縮指針、そして印刷産業労働時間短縮指針など、もう既に立派なものができているわけですね。
 そういう現状を踏まえて、今回の法案との関係は一体どうなのか、これをひとつお答えください。
#98
○井上説明員 中小企業の時短の促進につきましては、これまで企業集団による取り組みが効果的であるというような観点から、企業を集団としてとらえましてきめ細かな指導援助を行ってきたところでございます。
 一方、本法案に基づく労働時間短縮実施計画の承認制度につきましては、業種ごとの労働時間短縮に向けた取り組みを推進するため、同じ業種の事業主が自主的に共同で作成する計画、具体的な時短の目標等を掲げました自主的な共同計画を労働大臣と事業所管大臣が承認し、その実現方について種々援助を行おうとするものでございます。
 このように、従来の時短推進事業と本法案に基づく計画の承認制度につきましては、行政の主導かどうかといった点、また自主的な計画の目標の設定などの点で仕組みは異なるところがございますが、ともに労使の取り組みの促進によります労働時間の短縮を目的としたものでございまして、本法案の計画申請事業主に対する指導援助に当たりましては、これまでの事業におきますノウハウの蓄積などを活用いたしまして、実効ある制度としてまいりたいと考えでございます。
#99
○永井委員 今の御答弁で聞きますと、実効あるものにということでありますが、もちろん実効を求めるものでなければならぬことは自明の理でありますが、そういうことを踏まえて、この横並び問題について若干お尋ねをしていきたいと思います。
 中小企業の労働時間短縮が進まない原因の一つに、今申し上げたように横並び意識というものが挙げられている。前回の労働基準法の改正に当たってもそのことが随分と指摘をされてきたわけであります。
 一九八五年、昭和六十年の十二月の労働基準法研究会報告というものが出されておりますが、この研究会報告は、労働時間の短縮は労使の自主的な努力が基本であるというふうにしつつも、次のように述べているわけであります。これは今申し上げたように、労働基準法研究会報告です。
 その中身を申し上げますと、まず一つは、「労働組合の組織形態が企業別組合主体であるところから、労働協約の規制力が弱く、また適用範囲についても自ずから限界があることこ二つ目に、「また、労働組合の組織率は、民間部門においては」この当時、一九八五年当時「二三・六%であるが、これを企業規模別にみると、大企業と比べて中小零細企業においては極めて低いことこ三つ目に、「さらに、同業他社との競争関係、経営者の横並び意識等から労働時間の実態の変動については法制の果たす役割が大きいこと」、このように三点指摘をしているわけであります。
 こういう指摘も受けまして、労働時間法制の改正が必要だということになりまして、この前最低基準の引き上げが図られたわけですね。
 このようなことを考えていきますと、果たして外的な強制もなく、この法案によって中小企業が共同して労働時間短縮に取り組むということが本当に期待できるだろうか、こう思うのですが、これはどうでございましょう。
#100
○井上説明員 御指摘のように、特に中小企業におきましては、個々の企業で労働時間短縮に取り組む意欲がございましても、競争関係のもとで横並び意識の問題等が阻害要因となりまして、労働時間短縮を進めにくい状況にございます。
 そうした状況を踏まえまして、本法案ではそういう阻害要因をなくしまして、労使が時間短縮を進めやすくするような環境整備を図ることを目指したものでございます。
 具体的には、こうした状況のもとで時短を進めるため、業界一体となりまして、自主的取り組みを促進する仕組みを整備しようというものでございまして、二以上の事業主の方々が共同して労働時間を短縮するための計画を策定いたしまして、それを的確に実施することができるような環境整備のために承認制度を設けたものでございます。
 本制度によりまして、同業他社との横並び意識の強い中小企業におきましても、労使の自主的取り組みが一層促進される、私どもといたしましてもそういう形でいろいろな方面に働きかけるなり、周知徹底をいたしまして、中小企業における取り組みが促進するよう努めてまいりたいと考えてございます。
#101
○永井委員 今の答弁ですっぽりと納得することはなかなか難しいのでありますが、要は、横並び意識が非常に強いということが日本の経営の実態なんですね。それはいい面も悪い面もあると思うのですよ。ある意味では、この横並び意識で競争してきたということが今の経済大国に押し上げる一つの要因になったことも否定できないと思うのでありますが、この横並び意識を逆にいい面に利用して、共同で時間短縮の計画策定をさせようということがあると思うのですね。これは労働基準局長どうですか。
#102
○佐藤(勝)政府委員 おっしゃいますように、特に中小企業では同業種間の横並び意識が非常に強い、それから、労働組合の組織形態にいたしましても企業別組合が圧倒的であるということになりますと、やはり複数の事業主がその横並び意識に基づきまして、共同の計画をつくりながら一緒に進めるという方法が一つの有効な方法であるというふうに考えておるところでございます。
#103
○永井委員 そこで、公正取引委員会に来ていただいておりますので公正取引委員会にお尋ねいたします。
 今まで若干この議論を進めてきましたように、あるいは今までの同僚の議員たちの質問にもありましたけれども、中小企業における横並び意識等を踏まえて集団的な取り組みの促進を図るというのであれば、これら労働時間短縮のために営業休日や営業時間の統一を図るというような共同行為については、思い切って常に独占禁止法に抵触するものではないという解釈に立つことができないのかどうなのか、お答えください。
#104
○糸田政府委員 私どものこれまでの独占禁止法の運用の経験からいきましても、現在御審議いただいております法案の労働時間短縮実施計画、これの承認の要件がございますが、これを満たすようなものであれば通常独占禁止法で問題となるものではない、かように考えておるわけでございます。したがって、私どもの考えておるところとこの法案の考え方は、全く一致するものであるというふうに承知しております。
 ただし、実際問題として、企業の方々が労働時間短縮のための実施というものに取り組む場合に、ややもすると独占禁止法上問題ないのかという御不安を抱くという面もあろうかと思いまして、それでこの法案におきましても、私どもは、そういった個別、具体的な計画の承認申請があったときに、公正取引委員会から、その計画を拝見いたしまして、このプラン一切問題はございません、独占禁止法上何の不安もございませんというふうにお答えするということが、企業の方々が労働時間短縮を進める上においても非常に有効なものではないか、そういうふうに考えているわけでございます。
#105
○永井委員 おおむね問題はないというふうに答弁をされたと理解をするわけでありますが、しかし今回の法案は、独占禁止法の適用除外は何一つないわけですね。適用除外としては何一つ規定されていないわけでありまして、大きくマクロでいえば、独占禁止法の定めた枠内での対応ということになっている、組み立てはそうなっているわけですね。
 実態的には今お答えいただいたようなことでありますが、しかし、この法案の第八条の第三項の四号、ここにこのように規定されているわけですね。「当該労働時間短縮実施計画の実施に参加し、又はその実施から脱退することを不当に制限するものでないこと。」こういうふうに規定しているわけでありますが、ここで言う「不当に」ということは一体何を言っているんですか。「不当に制限するものでないごと」ということを規定するということは、不当でない制限というものを片方で担保しているということで受けとめていいのかどうなのか、お答えいただけますか。
#106
○糸田政府委員 公正取引委員会の立場からどの程度御質問に対して的確にお答えできるかわかりませんが、ただいま委員御指摘になったこの要件は、そもそもこの法案が労働時間の短縮を自主的に進める努力を促すといったような趣旨に基づいた要件であろうかと思っております。
 これを独占禁止法の関係から申し上げるならば、何らかの格好で労働時間の短縮を推進するために事業活動についても考慮するということであれば、いろいろな意味での制限ということはあろうかと思いますけれども、言ってみれば、独占禁止法の関係からいけば、公正な競争あるいは自由な競争、こういったものを著しく妨げるような制約というようなものであればこれはまた行き過ぎではないかというふうにも考えておりますが、その点この法案におきましても自主的な努力を促すという関係で、こういう不当な制限あるいはその過度な制約といったものについてのことが要件として規定されているものである、そのように承知しているわけでございます。
#107
○永井委員 一つ具体的な例を挙げてお答えしていただきたいと思うのでありますが、私ここのところを非常に心配しているわけです。第八条の三項四号の規定を心配しているわけであります。
 例えば、同じ親企業のもとで下請をやっている中小企業の事業主が、規模の大きさとかいろいろの違いはありましょうけれども、共同して労働時間短縮の計画を策定する。その策定をするために一緒にやりましょうと呼びかける。そこへ入ってきて、じゃ一緒にやりましょうと計画を策定して大臣に承認を求めて、大臣が承認をした。ところが、後でちょっと通産省にはお尋ねしたいと思っているわけでありますが、親企業の都合で、当初この共同で策定した時間短縮のための計画に基づいてやっていくとするならば親企業の要望にこたえることができないということが起きてきたときに、その事業団体は、いやこういうふうに計画策定して共同でやっているんだから親企業の要望にはこたえることができません、こういうふうに簡単に言うと拒否をした。
 そうすると、複数の事業者の中のある特定の事業主が、他のところがそういうことで共同計画に基づいて拒否をするのであれば、よしこの際おれのところはうまくやってやろう、うまくもうけてやろう、利益を上げてやろうということで、一緒に計画策定に参加したんだけれども、途中でおれはやめたと脱退する、この脱退の自由は保障されているわけでありますから。脱退して自分のところだけが計画策定をはみ出して、ほかの企業が休みのときに自分のところだけは仕事を受けてやるというふうなことが起きたときに、共同作業をした事業主団体がそれはおかしいじゃないか、一緒に計画を策定してきて、一緒にやろうとしてきたんだから脱退するのは認められぬ、こう言ったときにこの第三項の四号が抵触するということになってきたのでは、私は、この共同計画作業というものは何の効果もなくなってしまう、意味もなくなってしまう、こういうことを心配するがゆえにあえて質問をしたんです。そういうケースの場合はどうですか。
#108
○糸田政府委員 これはまた独占禁止法の立場から申し上げますと、例えば、この計画に参加して推進をしてきたといった後で何か事情が起きて、以後この計画に加わることができなくなったといったような場合に、もしそれを極めて過度に、例えば過大な違約金を取って絶対に計画から抜けさせないといったようなことがもしあったとすれば、あるいはこれは行き過ぎという面もあるんじゃないかな、そういうふうにも考えております。しかし、実際にはそんな話ではなくて、恐らく、そういった事情の変更が起きたときに、この計画の参加者が、皆さんがそういった企業に対していろいろと説得をし、またいろいろ慫慂もして、引き続きこの計画に参加してもらいたいというようなことをいろいろお話をされるんだろうと思います。もちろんそのことは独占禁止法上は何の問題もございません。そういったことになってお互いの理解のもとにこういった労働時間短縮の計画が推進されていく、これがまた非常に効果的なものではないのかな、そういうふうにも考えております。
 それから、今委員御指摘になった例で、私どもの過去の経験からいきますと、例えば取引先との関係でなかなか労働時間の短縮が進まないといったような場合に、組合とかそういった業界団体が業界団体の名において取引先に対して、労働時間の短縮の推進に対してしかるべく御協力をお願いしたいというような申し入れをする、こういったことも私どもいろいろと相談を受けた中に例があるわけでございまして、こんなようなことも委員御心配のような点を解消する上において有効な方策がなと思っております。もちろん独占禁止法上何ら問題になるものではございません。
#109
○永井委員 多くをこのことについては議論する時間が残念ながらないのでございますが、要は、意図的にいわば抜け駆けで、共同作業をしてきた他の事業者を出し抜くということが堂々とまかり通るようなことがあったのでは、この法の制定の意味がなくなってしまう。その辺のところはきちっと押さえて公正取引委員会としては対応してもらいたいということを重ねて強く要望しておきたいと思うのです、本当は、時間があればもっと細かくやりたいのですが。
 さて、その次に通産省にお尋ねいたします。
 独占禁止法上そうした解釈が非常にいろいろ難しい問題はありますが、中小小売店の時短などを効果的に進めるためには土曜日曜を閉店とさせるような措置を講ずべきではないかと思うのですが、どうでございますか。
#110
○桑原政府委員 中小小売店につきましては、実際問題としてかなり長い勤務時間というものが行われていると我々も考えておりまして、何とかして中小小売店の店主及び従業員の勤労時間を短くするように努力をしていきたいと思うわけでございます。
 ただ、土日を一律に閉店にするということにつきましては、一いろいろ問題がございまして、言うまでもなく、現代の国民の大多数は土日に買い物に行きたいというふうに考えているのではないか、また、小売店の方も、むしろ土日を営業して売り上げを伸ばしたいと期待をしている者はかなり多いと考えられますし、また自由な営業活動でございますので、国の方で一律に土日は休むべきだというふうなことを言えるかどうかというところにもやや問題があろうかと思っております。
 ただ、それはそれといたしまして、中小小売業、商店街等において時短を進めるということが非常に重要でございますので、我々、例えば中小小売商業振興法というものがございますけれども、これの振興指針を昨年八月に定めたわけでございまして、この中にもパートタイマーをうまく利用するとか、あるいは時差勤務体制を活用するとか、共同店舗ぐるみで一斉休日を図る、こんなような方法を勧奨しているわけでございますし、また、国の取り組みとしましても労働力の確保推進アドバイザーというような制度もございまして、いろいろなところで指導していきたい。あるいは、商店街ぐるみのいろいろな努力に対して調査事業への補助その他をやっていきたいというふうに思っているところでございます。
#111
○永井委員 土曜日曜に限定はしませんけれども、一斉に閉店するようなことをある程度考えていきませんと、中小小売店などで働く労働者の時間短縮毛なかなか実効を伴わないわけでございますから、あえてその検討をもう一度求めておきたいと思うわけであります。
 ところで、通産省は昨年の二月、一昨年の十二月以降の中小企業近代化審議会下請中小企業部会の審議を踏まえて、下請中小企業振興法の振興基準を改正したわけですね。平成三年二月八日の告示であります。親事業者の義務として新たに、週末発注・週初納入や終業後発注・翌朝納入、あるいは発注内容の頻繁な変更等の労働時間短縮の妨げとなる発注等の抑制等の追加する措置をとっていただいたわけですね。
 そして、冒頭から問題になっておりますように、昨年の中小企業労働力確保法の審議の際に、私の質問に対しまして当時の渡辺計画部長は、議事録で見ると次のように答えているわけです。
 端的に言いまして、私の質問は幾つかあるのですが、下請企業の労働時間短縮のための親企業、下請企業共同の取り組みに対して支援措置を行うべきであるというふうに中小企業近代化審議会の報告でうたっていることについて、具体的にどうするのかと私が質問をしているわけでありますが、そのときに当時の渡辺部長は、「現在約三千に上る親事業者団体に全部通知を出しておりますし、それから、下請事業にもその周知徹底を図りまして、さらに平成三年度予算におきましては、これにつきましてフォローアップ調査を行うあるいは立入検査の回数を相当ふやせる、それから改善指導を行うこそのための予算措置も十分に確保したい、こう答えまして、少なくとも、全部問題点をなくすぐらいの強い意気込みで取り組んでまいりたい、こういうふうに私の質問に対して当時答えているわけです。
 我々はこの下請振興基準改正措置を評価しているわけでありまして、その効果を、もっと大きなものになるだろうと期待しておりました。
 ところが、ことしの二月二十七日の新聞報道でもそのことが取り上げられているわけでありますが、通産省・中小企業庁が昨年秋に行った調査結果では、ここにその調査結果を持っておりますが、こういう大きな調査資料をいただいておりますけれども、それによりますと、休日前発注・休日直後納入は四一・二%となっています。一昨年調査の四〇・三%より、わずかでありますが悪くなっているわけです。終業時刻後発注・翌朝納入も一八・七%でほとんど改善の跡が見られない、私はこのように指摘をせざるを得ないと思うのです。
 だから、そのときのことを、当時新聞報道などたくさん出ましたけれども、「親の無理聞きゃ時短進まず」親の企業の言うことを聞くと中小企業の時短は進まない、子供の時短は進まない、その当時、新聞でもかなり批判的にこういう記事を載せているわけであります。また、親企業の責任が重大だということも当時の新聞でも報道しているわけでありますが、これは一体どうしたことなのか。
 中小企業庁では、このような結果になった原因がどこにあると考えているのか。時間の関係もありますから十分な時間はとれませんけれども、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
#112
○桑原政府委員 ただいま御指摘いただいたいろいろな点については、残念ながら同意するところが非常に多いわけでございまして、中小企業の時短を進めるためには親企業の協力が非常に重要であり、かつまた、我々の調査によりますと振興基準、すなわち親企業が発注方式等で下請企業の時短に協力するための振興基準の改正の成果が、残念ながら我々の調査ではなかなか上がっていないということも事実でございます。
 どうしてこういうことになったかというところにつきましては、いろいろ原因はありますけれども、一つは、振興基準の改正がちょうど二年ちょっと前に行われ、六カ月ぐらいたったときの調査でございましたので、やや親企業の意識が高まっていなかったのではないかということが一つ考えられます。もう一つは、当時まだ日本の景気が非常によく、仕事も非常に忙しい時代でございましたので、どうしても無理な発注等々が行われやすかったのではないかということも考えております。
 いずれにしても、こういうことではなかなか問題があるということは我々の認識でもございますので、我々としてはいろいろな努力をし、せっかく改正した振興基準というものが親企業により遵守されるように努力をしていきたいと考えているところでございます。
#113
○永井委員 二月二十七日付で、中小企業庁長官それから機械情報産業局長、そのほか基礎産業局長、生活産業局長など五者の連名で通達を出していらっしゃいます。その通達の対象は三百六十業界団体だ、こういうふうに承っでいるわけであります。きょうはもう時間がありませんからこのことで答弁は要りませんけれども、せっかく改善要請を行ったわけでありますから、冒頭から私が申し上げておりますように、その検証という問題については積極的に取り組んでもらいたい、そうしませんと実効が上がってこないわけでありますから、強くこの点については要望して、これは要望にとどめておきたいと思います。
 その次に、もう一度公正取引委員会にお尋ねいたします。
 下請代金支払遅延等防止法というのがございますが、これでは資本金一億円を超える事業者が一億円以下の事業者に、また資本金が一千万円を超えて一億円以下の事業者が一千万円以下の事業者に、それぞれ物の製造や修理を委託する場合に適用されることになっているわけでありますが、例えば、わかりやすく言いますと、資本金九千九百九十九万円、そういう事業者が資本金二千万円とか三千万円の事業者に製造、修理を委託するような場合には適用されない形になっているわけであります。これは実情と乖離があるのではないか、改めるべきではないかと私は思うのです。
 この点につきましては、昨年の中小企業労働力確保法の審議の際に我が党の吉田議員がこの問題を取り上げたわけでありますが、その当時、公正取引委員会は、下請法の適用されない分野については実態調査中であり、その結果を踏まえて対応するというふうに答弁されておりますが、その実態調査の結果はどうなっておりますか。
#114
○本城説明員 下請法の下請事業者の範囲でございますが、これにつきましては、下請法制定当時資本金一千万円以下ということになっておったわけでありますが、その後、中小企業基本法の制定、改正に伴いまして、中小企業者の範囲が制定、改正されております。それにあわせまして下請法の下請事業者の範囲も改正してきておるわけでございまして、当方といたしましては、下請法の目的、趣旨から、それが妥当な下請事業者の範囲と考えられてきた経緯がございます。いわゆる中小企業者である下請事業者を保護する必要性等からそういった線が妥当な範囲と考えられてきた経緯がございますので、今後ともそうした経緯を踏まえて対処していくことが適当かと存じておるわけでございます。
 今永井委員がおっしゃいました、昨年吉田議員から御指摘があって当方が調査をしているという件でございますが、これは資本金一億円を超えて五億円以下の事業者、その辺のところの下請取引というか外注取引のことでございます。
 これにつきましては、御指摘のとおり調査をいたしまして、その辺のクラスの外注取引についての状況、あるいはその辺の委託取引が再委託されて、下請法の対象となる下請取引の範囲内のそういう再委託が行われる場合、こういったところに対する再委託の取引条件の影響、こういったものもあわせて調査をしております。それで、その結果については現在分析中でございますが、一般的に問題があると考えられる状況は必ずしも認められておりません。しかし、今後とも可能な範囲内で適宜実情の把握に努めますとともに、優越的地位の乱用として問題となる行為が認められます場合には独占禁止法上の問題として対応してまいりたい、かように存じている次第でございます。
#115
○永井委員 時間が不十分で十分議論がかみ合わない面もありました。私の方から問題の指摘だけにとどまった面もあるわけでございます。要は、法律をつくる以上はその法律が実効あらしめるようにしなければいけない、目的を果たすようにしなければいけない、そのためには、関係省庁はそれぞれ実効あらしめるための立場から調整を図りながら進めてもらいたいということを改めてここでもう一度申し上げておきたいと思うわけであります。
 さて大臣、五月十三日ときょうの二日間の審議を通しまして、同僚議員も含めて我が党だけでもざっと六時間三十分の質問をしてきたのです。もちろん中身は十分でないと思いますけれども、今回のこの政府提出法案について、その背景や労働基準法改正問題との関連等も含めて多角的にその質問の内容はわたっているわけですね。したがって、それを踏まえて、今までの質問で提起したこと、お答えいただいたこと、これらを含めて確認をする意味において、以下、大臣に質問をいたしたいと思いますので、ひとつ端的にお答えをいただきたいと思うわけであります。
 まず第一に、政府の現行経済計画に掲げられた年間総労働時間千八百時間という目標は、最終年度である今年度中に達成することは絶望的になったと言わざるを得ないのですね。政府としてはできる限り当然の責務として早期に実現するよう努力すべきだと思うのでありますが、どうでございますか。
#116
○近藤国務大臣 政府としては、年間総労働時間を千八百時間に向けて短縮するという目標ができる限り早期に達成されるようなお一層の努力をしてまいりたいと考えております。
#117
○永井委員 年間総労働時間千八百時間を達成するためには、週法定労働時間を四十時間としなければならないし、それがまた改正労働基準法の規定するところでもあります。したがって、政府としては可及的速やかに、遅くとも二年以内に実施すべきだと考えますが、どうですか。
 また、労働基準法の見直しについては、政府として積極的に検討を進めるとともに、その結論が得られ次第、速やかに改正法案の取りまとめを行い、遅くとも次期通常国会に提出するものと受けとめてよろしいか。
#118
○近藤国務大臣 週四十時間労働制への移行の問題を含む労働基準法の見直しについては、週四十時間労働制が労働基準法本則に規定されている趣旨を十分踏まえつつ、政府として積極的に検討を進めるとともに、中央労働基準審議会の結論が得られ次第、速やかに改正法案の取りまとめを行い、国会に提出する考えでございます。
 なお、中央労働基準審議会には、今年中に一定の結論を出していただくようお願いをしているところでございます。
#119
○永井委員 今回の法案の第四条に基づき政府が策定する労働時間短縮促進計画においては、週四十時間労働・完全週休二日制の達成時期、年次有給休暇の付与日数の増加と完全取得に関する事項及び長期連続休暇制度の導入に関する事項、時間外労働を年間百五十時間程度に削減する等の時間外労働の削減に関する事項が定められるものと理解してよろしゅうございますか。
#120
○近藤国務大臣 労働時間短縮推進計画においては、中央労働基準審議会等の意見を踏まえながら、目標として年間総労働時間の具体的目標値及び週四十時間労働制の早期実現を掲げるとともに、完全週休二日制の普及、年次有給休暇の完全取得、所定外労働の削減のための取り組みについての基本的な考え方を盛り込む方向で今後検討してまいりたいと考えております。
#121
○永井委員 その次に、労働時間の短縮については政府が一体となって推進すべきであって、労働省はもちろんのこと、通商産業省、運輸省、建設省、厚生省などの事業所管官庁を初めとする関係省庁間の連携協力を一層強化しつつ、業界全体としての取り組みを積極的に指導援助していく、特に運輸・交通業、建設業などの労働時間の長い業種については、指導を格段に強化するものと受けとめてよろしゅうございますか。
#122
○近藤国務大臣 労働時間の短縮については、政府が一体となって推進すべきものであることにかんがみ、事業所管官庁を初めとして関係省庁間の連携協力を一層強化しつつ、今回の法案に基づく労働時間短縮実施計画承認制度の活用の促進を図る等により、業界全体としての労働時間短縮のための取り組みを積極的に指導援助するとともに、特に労働時間の長い業種については、強い決意を持ってきめ細かな指導援助を実施するように努めてまいりたいと考えております。
#123
○永井委員 それでは、その次に法案第七条の関係でありますが、法案第七条の労働時間短縮推進委員会の要件であります過半数労働者代表による推薦の手続については、その適正化に努めるべきではないかと思うのでございますが、どうでございますか。
#124
○近藤国務大臣 労働時間短縮推進委員会の要件である過半数労働者代表による委員の推薦の手続については、できる限りその基準を明確にするとともに、これが適正になされるよう啓発指導に努めてまいります。
#125
○永井委員 労働時間短縮推進委員会による決議についてでございますが、労働基準法上の労使協定にかわる効果を付与するに当たりましては、労働基準法の趣旨を逸脱することのないよう厳正な運用に努めるべきではないかと思うのでございますが、どうでございますか。
 また、労働時間短縮推進委員会による決議についてでありますが、労働基準監督署への届け出の免除を行うに当たっては、監督行政の放棄につながることのないよう厳正な運用に努めるべきだと思うのでございますが、これについても明確にお答えをいただきたいと思います。
#126
○近藤国務大臣 労働時間短縮推進委員会による決議について、労働基準法上の労使協定にかわる効果を付与するに当たっては、委員の半数は労働者代表が推薦した者とする等の要件を付しているところであり、労働基準法の趣旨を逸脱することのないようその厳正な運用に努めてまいる所存でございます。
 また、その決議について労働基準監督署への届け出の免除を行うに当たっても、委員会の設置の届け出を義務づける等の要件を付しているところであり、監督行政上問題が生ずることのないよう厳正な運用に努めてまいります。
#127
○永井委員 次に、業種ごとの実情に応じた取り組みを促進しようという本法の目的に照らしまして、本法に基づく措置の実施が実効あるものとなるようにするためには、地方労働基準審議会や労働時間問題懇談会などの地域における関係者の話し合いの場の活性化を図るとともに、業種別労使協議機関の設置等、関係者の合意形成を積極的に推進すべきだと思うのでございますが、これについてもお答えをいただきたいと思います。
#128
○近藤国務大臣 業種ごとの実情に応じた取り組みを促進しようという本法案の目的に照らし、本法案に基づく措置の実施が実効あるものとなるよう、地方労働基準審議会や地方労働時間問題懇談会を活用し、業種や地域の実情に応じた労働時間短縮の進め方について十分な議論を行う等、関係者の合意形成の積極的推進に努めてまいりたいと考えております。
#129
○永井委員 本法に基づく労働時間短縮実施計画制度の運用でございますが、その運用に当たりましては、関係労働者の意見ができる限り反映されることが望ましいことにかんがみまして、計画策定時に労使の話し合いが行われるよう指導をすべきではないかと思います。少なくともその承認に際しましては、関係労働組合または関係労働者の意見を聞くように努めるとともに、計画策定時に労使の話し合いができる限り行われるよう啓発に努めるべきだと思うのでございますが、これについても明確にお答えいただきたい。
#130
○近藤国務大臣 労働時間短縮実施計画が円滑に実施されるためには、計画の策定に当たって関係労使の話し合いが行われることが重要であると考えております。
 このため、労働時間短縮実施計画の承認に当たり、関係労働者の意見を聞くように努めるとともに、あらかじめ計画の策定時に労使の話し合いができる限り行われるよう啓発に努めてまいります。
#131
○永井委員 この法案第八条の関係でございますが、この第八条によって労働時間短縮実施計画の承認を受けることができる複数の事業主としては、都道府県単位の同業種に限らず、全国規模の同業種、幾つかの都道府県にまたがる同業種、あるいは工業団地など異業種の地域的なまとまりなども含まれるものと理解してよろしゅうございますか。
#132
○近藤国務大臣 労働時間短縮実施計画の策定主体は、「同一の業種に属する二以上の事業主」とされているところであり、同一業種に属する事業主である以上、一の都道府県、複数の都道府県、全国規模といった地域の範囲を問わず、いずれも対象となるものであります。
 したがって、全く異なる業種に属する事業主の集まりは対象とはならないが、同一の業種の判断に当たっては、法の目的に照らし、実態として競争関係や横並び意識の生じている事業主の集まりをできるだけ広く弾力的にとらえていきたいと考えており、工業団地等についても、実態を見ながらできるだけ広く対象に含めるよう対応してまいりたいと思います。
#133
○永井委員 法案第十条の運用に関してでございますが、労働時間短縮のための営業日または営業時間に関する申し合わせにつきましては、労働時間短縮が効果的に進められるための必要性という観点を重視して、労働省等と公正取引委員会との事前調整が行われるものと理解してよろしゅうございますか。
#134
○近藤国務大臣 労働大臣及び事業所管大臣が法第十条第一項に基づき公正取引委員会に意見を述べる際には、当該計画に係る事業分野での労働時間短縮が重要であること、労働時間短縮の目標が適切であり、その目標実現のために計画記載の措置が必要不可欠かつ有効なものであること等の意見を述べることとし、御指摘の趣旨を踏まえた運用に努めてまいります。
#135
○永井委員 承認計画の円滑な実施に係る取引先事業主等に対する協力要請に関する法案第十一条の規定でございますが、改正下請振興基準を踏まえまして、納期や単価について十分配慮した積極的な運用がなされるものと受けとめてよろしゅうございますか。
#136
○近藤国務大臣 承認計画に係る取引先事業主等に対する協力要請に関する法案第十一条の規定については、改正下請振興基準も参考にしつつ積極的な運用に努め、当該承認計画の円滑な実施を図ってまいります。
#137
○永井委員 その次に、労働時間短縮実施計画制度の活用の促進を図るためでございますが、計画対象事業主が実施する場合の支援措置の充実に努めるものとこれまた受けとめてよろしゅうございますか。
#138
○近藤国務大臣 計画対象事業主が労働時間短縮実施計画に基づき円滑に労働時間の短縮を図ることができるようにするため、公正取引委員会との事前調整、取引先事業主への協力要請、時短アドバイザーの派遣等の指導援助等の措置を積極的に実施するとともに、今般の緊急経済対策によって拡充された省力化投資促進融資制度の有効活用に努める等、事業主に対する積極的な支援を実施してまいります。
#139
○永井委員 その次に、時間外労働は、本来、臨時、突発的な業務に対応するものでありまして、必要最小限にとどめられるべきであるという観点に立ちまして、サービス残業の根絶を図ることはもちろんでございますが、時間外労働協定の適正化指針を大幅に見直すとともに、時間外労働の賃金割り増し率の大幅引き上げを図るべきではないかと思うのでございますが、この点についてはどうでございますか、ひとつ積極的な御答弁をお願い申し上げたいと思います。
#140
○近藤国務大臣 労働時間短縮のためには、恒常的な時間外労働の削減が重要であると認識をしております
 このため、時間外労働協定の適正化指針の見直し及び時間外・休日労働の割り増し賃金率の問題を含めた労働時間法制全般の見直しについて、中央労働基準審議会において検討していただいているところであり、これらの結果を踏まえ、必要な措置を講じてまいります。
 いわゆるサービス残業については、労働時間管理の適正化を図ることが重要であり、今後ともサービス残業を生むような土壌をなくすよう啓発指導に努めてまいります。
#141
○永井委員 次に、労働基準法の履行確保、労働時間短縮の一層の促進を図るために、労働基準監督官等の増員を初めといたしまして、労働基準行政体制の充実強化に努めるものと受けとめてよろしゅうございますか。
#142
○近藤国務大臣 安全かつ健康でゆとりある勤労者生活の実現に向けて、労働基準行政の推進を図るため、関係機関と協議しつつ、今後とも事務の効率化を図りながら労働基準監督官等関係職員の増員等行政体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
#143
○永井委員 以上で確認を申し上げる質問は終わりますが、いずれにいたしましても、本法律案が施行される段階においては、意識的に効果を上げるようなことを関係省庁を含めて全力を尽くしてもらいたいと思うのですね。
 そこで最後に、もう時間がなくなりましたからこれでおきますが、改めて労働大臣に労働大臣の哲学的なものを聞きたいと思うのであります。
 何回も労働大臣が触れておられますように、宮澤内閣は生活大国論をぶち上げた。本当はこの点についてもっともっと時間をとって、議論の場でありますからここで議論を深めたかったのでありますが、なかなか法案審議ということになりますとその時間をとることができません。したがって、多くのことを言うわけではありませんけれども、生活大国論をぶち上げて、世界の中の日本として二十一世紀を目指していこう、その一つの柱にこの労働時間の短縮というものが据えられておったわけですね。当初、宮澤総理大臣もこの委員会に出席を私は求めたのでありますが、なかなか出席がしてもらえない。私は極めて残念なことだと思うのですね。もちろん、内閣を代表して労働大臣が出席をされているわけでありますが、生活大国論をぶち上げた張本人が総理でありますから、その柱である労働時間の短縮を議論するというこの場には、総理として当然ここに来て答弁をすべきだったと思うのであります。そのことは一つ苦言として申し上げておきたいと思うわけであります。
 さて、その生活大国論でありますけれども、幾つかの問題がありますが、大企業と中小企業の関係においては、労働時間の問題だけではなくて、賃金の上においても福利厚生の面においても非常に大きな格差があることは御承知のとおりなんですね。だから、その格差というものはいわば日本の恥ずべき恥部であり、社会的不公正の象徴だと私は思うのです。これを正すことが労働行政として最も喫緊の課題だと思いますが、これについて、生活大国論をぶち上げ時間短縮を進めていこう、福祉をそういう面では中小企業にもっと充実をさせていこう、こういう政策を持っている宮澤内閣の閣僚として、労働大臣からひとつその関係の決意といいますか、短い時間でありますから哲学でも結構でございますが、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#144
○近藤国務大臣 我が国の経済発展は最近目覚ましいものがございまして、海外からとりわけ経済大国とまで言われるわけでございますが、こうした経済大国と言われるほど大きくなった日本の経済力を一人一人の国民生活にいかに具体化するか、それこそが宮澤内閣の生活大国化政策の基本的な考え方でございます。
 このため、いろいろな条件整備が必要でございますが、その中の最大の課題が労働時間の短縮でございまして、これは総理の出席ができなくて大変残念だとお話してございますが、私も申しわけなく思っているわけでございますが、あえて申しますと、宮澤内閣ほど時間短縮の問題に総理以下我々閣僚挙げて取り組んでおる内閣はかってなかったとあえて自負しているわけでございます。
 そういうことで、この時間短縮を促進するためにいろいろな条件整備が必要でございますけれども、もうたびたびこの委員会でもお話を申し上げておりますけれども、そのあたりの基本的な内閣の方針を確定して、それができるような企業内の体制もつくるし、また、同一業種間の横並びの実現を図るような計画もつくって、そして関係省庁とも連絡を保とう、こういうことでございます。ぜひひとつこれを実現してまいりたいと思っておるわけでございます。
 これも先生から御指摘ございました、また当委員会でもたびたび議論がございましたけれども、大企業はそれなりに体制ができているけれども、問題は中小企業ではないか。言いかえますと、大企業において時間短縮が進まって、結果的にしわ寄せが下請、中小企業に行くというようなことがあれば、これはもう本末転倒でもございます。私たち政府として、政治家として特に大事なのは、そうした末端の中小企業における労働条件の向上であり、時間短縮の促進でございますから、私は、その末端の中小企業が時間短縮ができるようにまず積み上げて、その上に、いわば元請、大企業の時間短縮がいくということであって、順序はむしろ下からではないか、こういうことで今度の緊急経済対策の中にも盛り込んでございますし、その以前から、きょうも先生冒頭御指摘ございました中小企業労働力確保といったいろいろな措置を従来以上にフルに活用しながら、まず末端の時短を取り組んで、その上に大企業を含めた全体の労働時間短縮を図ってまいりたい、こういうことでございます。
 この委員会にいろいろ御審議を賜りまして、私ども大いに啓発されるところが多いわけでございますけれども、これからさらに思いを新たにして、この時間短縮、特に末端中小企業の時間短縮に取り組んでまいる決心でございますので、よろしく御指導また御鞭撻、御協力をお願い申し上げたいと思います。
#145
○永井委員 終わります。
#146
○川崎委員長 河上覃雄君。
#147
○河上委員 私は、前回の質問で総論について触れました。したがいまして、今回は、本法の内容に即しまして簡潔にお伺いをしたいと思っております。細かい議論となりますが、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 冒頭お尋ねをしておきたいと思いますが、本法は、完全週休二日制の普及促進あるいは所定外労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進など、総実労働時間の短縮を前提としております。
 そこで、五年という時限立法によって達成しようとする本法の目標あるいはねらい、これはどこにあるのか。まず、大臣にその御見解についてお尋ねしたいと思います。
#148
○近藤国務大臣 現行の経済五カ年計画において、実は今年度末に年間総労働時間千八百時間を目標としたい、こういうことであったわけでございますが、この委員会でも申し上げてございますけれども、現在の段階ではその実現は困難である、こういうことでございます。
 ただ、そうはいっても、改正労働基準法の施行以来、最近は三十数時間ずつ労働時間が短縮しているわけでございますので、この速度で参りましても向こう六年間の間に千八百時間には達成する、こういうことでございますけれども、本来なら今年度中が延びるわけでございますので、何とかこれを前倒しにして、最低五年以内に千八百時間に達成すべきではないか。すなわち、新しい経済計画期間中にはですね。そのためには、やはり三十数時間を少なくとも四十時間まで進めていかなければならない。とすると、ただ現行を放置するといいますか、ではなしに、やはり政策的な手段を加えていくということが必要である、こういうことでございまして、そのためにいろいろな枠組みづくり、また協力の体制というものをぜひひとつこの機会につくらせていただきたい、こういうことでございます。
#149
○河上委員 時短の促進に当たりましては、中小企業に課された課題というもの、これは大きいわけであります。本法のターゲットでもあります中小企業の時短促進、この意味で、私のこの議論に入る前に、前提として、やはり中小企業の時短促進のさまざまな阻害要因等を挙げられておりますけれども、この点について、まず若干議論をさせていただきたいと思っておるわけであります。
 きょうは他省庁の方にもおいでいただいておりますので、まず、その中小企業の関連につきまして何点がお尋ねをしておきたいと思います。
 これは御存じのとおりでありますが、三百人以上と三百人以下の労働者数を見てみますと、ちょっとこれは古い資料でございまして、総務庁の統計局の資料に基づいて申し上げますと、三百人以上の企業ではその労働者数は五百万、これは一四・九%、三百人以下が何と三千万、これは八五・一%と、圧倒的に中小企業に勤める労働者が多いわけであります。また、これを事業場別に見ますと、三百人以上が七千八百しかない。それに比して、三百人以下、これは三百五十万、九九・八%が三百人以下の企業、三百人を超えるものは〇・二%しかないわけでありまして、こうした客観的な実情にあるわけであります。
 そこで、中小企業をターゲットとしてとらえたこの時短、私はさまざまな考慮と熟慮を加えて進めなければこれはならないのではないか、このように考えているわけでありますが、この点につきまして、大臣の御見解はいかがでしょうか。
#150
○近藤国務大臣 先生御指摘のとおりでございまして、我が国の勤労者の生活を国際的に比較をしてみましても、大企業の従業者は給与水準もそうでございます、またいろいろな福利厚生の施設を考えてみても相当いい線をいっていると思うわけでございますけれども、この差が目立ちますのは、中小企業の勤労者の生活水準、生活条件でございます。
 この改善こそが私たちの、特に政治家の最大の課題だと認識をしておりますけれども、これがなぜできないかと言えば、いわゆる我が国の有名な二重構造の問題があって、下請、元請の力関係、こういった問題もございますし、また、中小企業が非常に数が多くて、どうしても内部で非常に激しい競争をしてなかなか難しい、こういうようないろいろな条件がございます。したがって、まさに元請、下請の関係から、地域間また業種間の過当競争、こういった問題について積極的な施策を講じていかなければ、中小企業の時間短縮ができるどころか、逆に、大企業の時間短縮が進む結果みんなそのしわが中小企業の末端に行ってしまう、こういうことにもなりかねないことでございますので、今回の法案の大きなポイントは、末端中小企業の時短をどうして進めるかということにあるというふうに私は考えております。
#151
○河上委員 これだけではなかなか中小の時短は進まないわけでありまして、周辺的な環境整備も踏まえてさらにさまざまな政策を講じていかなければ結果としてなかなか実りにくい、こう思っております。
 そこで、具体的に何点か質問をしたいわけであります。
 中小企業の皆さん方は、この時短について意見を求めますと、受発注システムの問題等さまざま挙げられますが、特に今申し上げましたこの受発注システム等が阻害要因になっているケースが多いことを指摘をしております。
 例えば中小企業庁で平成四年二月二十六日に発表いたしました「発注方式等取引条件改善調査の結果」によりますと、休日前発注・休日直後納入の事実があるとした下請企業は四一・二%ありまして、これは昨年を上回っている、こういうデータ、報告があります。さらに、親会社との間で一定の協議、意思疎通の改善は見られるけれども、終業時刻後発注・翌朝納入が、しばしばまたはときどきある、そうする企業が一八・七%ありまして、これはほとんど昨年の実績と変わってない。さらに、発注内容の変更がある、こう言う下請企業は四一・九%、そのために残業、休日出勤で対応している場合、これが二七・三%もある、こうした関係にあります。
 こうしたシステムが従前と比しても改善されていないことを背景といたしまして、下請中小企業は時短への障害として次のような点をまた挙げているわけであります。親企業の休日が異なる、また、短納期、短い納期である、多頻度少量発注等もある、納入頻度が多過ぎる、こういろいろと挙げられているわけであります。
 そこで、中小企業庁にお伺いしたいわけでありますが、昨年二月に改正下請振興基準を定めまして発注・納入方式の改善などを指導されてきたところでありますが、しかし、今年二月の調査結果を見ますと、この改善の実態は進んでない、この結果をまずどのように受けとめていらっしゃるか、この点から質問いたします。
#152
○柚木説明員 お答えいたします。
 昨年二月に下請中小企業振興法の振興基準を改正いたしたわけでございますが、その後の下請取引に係る親企業の発注方式等の取引条件の改善状況の実態を把握する、こういうために昨年の秋に調査を行いました。その結果を本年二月にまとめたところでございます。その結果、今先生御指摘のとおり、一部については改善傾向が認められるものの、振興基準改正後日も浅いこともございまして、全体的に見ると残念ながら改善が進んでいない、こういう実態が判明したわけでございます。
 私どもとしましては、このような結果を深刻に受けとめておるところでございまして、振興基準の遵守等につきまして、先般親事業者団体に対しまして、中小企業庁長官それから関係局長名で通達を出したところでございます、今後はさらに全国各地での講習会の開催でありますとかあるいは各種広報等というものを通じまして、振興基準の普及啓発に努めるとともに、下請代金支払遅延等防止法等に基づきます検査を一層強化しまして、発注・納入方式の改善を含め、下請取引の適正化に向け粘り強く努力をしてまいりたいと考えております。
#153
○河上委員 もう一つ、今の質問につきましてですが、下請中小企業と親会社の間の発注・納入の改善、この点についてはどのように推進を具体的になさるのか、そして中小企業の時短推進への対策は皆さん方はどのようにお考えなのか、この点を確認します。
#154
○柚木説明員 お答えいたします。
 時短推進のための方策としまして、ただいま申し上げましたとおり、全国各地で行いますいろいろな講習会の開催とかあるいは広報といったもので普及啓発ということも大事でございますし、それから、下請代金支払遅延等防止法等に基づく検査も大事でございます。それとともに、下請企業におきます親企業との交渉力の向上といいましょうか、そういったことも非常に重要と考えております。
 このため、私どもとしましては、各都道府県にございます下請企業振興協会の取引あっせん業務等を通じまして、下請中小企業の取引の多角化あるいは自立化といったことも積極的に支援してまいりたいと思っております。
#155
○河上委員 発注システムの問題とは別に、下請中小企業が時短の障害になるものとして、同じ中小企業庁の調査では、人材確保ができない、これが三五・七%、仕事の性格上時短のための合理化に限界がある、こう挙げるものが三五・七%、下請単価が低過ぎる、これが三二・一%、こうなっておるわけであります。
 この障害の中で、下請単価が低過ぎる、この三二・一%というものは下請企業の根本的な問題であると私は思っておりますが、労働者の賃金も、事業所規模別に見ますと、規模が小さくなるに従って給与が低くなって労働時間が長くなるという傾向が、別の調査でもはっきりとあらわれておるわけでありまして、こうした側面等も考えながら親企業優位の現状というものをやはり改善していかなければいけないんじゃないのか。そうでなければさまざまな観点からさらに障害、障壁というものは除去されずに残ってしまうのではないか。
 この親企業優位の現状改善のため、この点についてどのようにお考えになるのか、この点について伺いたいと思います。
#156
○柚木説明員 お答えいたします。
 下請中小企業の発展のためには適正な方法による下請単価の決定が不可欠と考えております。
 このため、下請中小企業振興法の振興基準あるいは下請代金法といったものを積極的に活用しまして、適正な下請単価決定に努力しているところでございます。
 また、それだけでなく、先ほどもちょっと申しましたとおり下請企業における親企業との交渉力の向上ということも重要視しておりまして、このため、各振興協会の下請取引あっせん業務といったものをますます充実しまして、下請企業の取引先の多角化といったようなことを支援してまいりたいと思っております。
    〔委員長退席、永井委員長代理着席〕
#157
○河上委員 これも同じく中小企業庁の調査でありますが、下請単価に納期の長短が反映されているとしているのが一四・五%にとどまっておりまして、納期の長短が下請単価に反映されてないとしているのが七五・三%挙げられているわけであります。この実態についてどうお考えですか。
#158
○柚木説明員 お答えいたします。
 下請代金の決定に当たりまして納期の長短が反映していない、それによって下請企業に過度な負担を強いている、こういうものである場合には下請代金支払遅延等防止法の違反に当たるおそれがあると考えております。
#159
○河上委員 いろいろと伺ってまいりましたが、時短の問題につきましても中小企業の経営者の時短への意識変革は大変重要な側面を持つもの、こう私は理解しておりますし、また、大事な要因であると思っております。その意味で経営者の時短についての正しい認識とまた熱意も必要となるわけでありますが、この時短促進法と関連して中小企業の経営者に対する指導、対策等はどのようにお考えでしょうか、この点についても触れておきたい。
#160
○佐藤説明員 お答えいたします。
 御指摘のとおり、中小企業におきます時短を進めるには、経営者に時短が重要であるということをよく認識していただくことが非常に重要であると私ども考えております。
 このため、通産省といたしましては、昨年制定していただきました中小企業労働力確保法に基づきまして、昨年八月労働省とともに基本指針を作成いたしました。この中で「労働時間の短縮は、魅力ある職場の重要な要素であり、中小企業者にとって、長期的な発展のための重要な要素である。」ということを盛り込みました。これに基づきまして雇用管理改善計画を作成をいたしました中小企業者に対して、時短などを進める上で必要な指導を行うために約六億円の補助金を交付しているところでございます。
 さらに、中小企業指導法に基づきます労働時間の短縮等の経営改善を支援するための労働福祉診断、さらには、平成三年度から新たに労働力確保推進アドバイザーという制度を設置いたしまして、時短などの推進に関します指導助言を行っております。さらに、平成二年度から時短などに対します成功事例集を作成をしておりまして、中小企業団体に配付するなどの措置を講じてきております。また、全国の商工会議所や商工会では経営指導員による中小企業者に対します経営指導を行っておりますが、その一環として、労働問題に対します相談、指導なども行っております。
 こうした制度の活用を図りながら今後とも引き続き中小企業経営者の時短に関します啓発を積極的に行ってまいりたいと考えております。
#161
○河上委員 いろいろとお伺いしましたが、それでは本法に入ってまいりたいと思います。
 ちょっと順序が変わりますが、まず、第六条に関する実施体制の整備の点について何点か質問をしたいと思います。
 まず一つは、委員会の設置はすべての事業場に義務づけられるのでしょうか、あるいはそうではないのですか。
#162
○井上説明員 時短推進委員会でございますが、現在、大企業を中心にいろいろな形で労働時間短縮委員会とかいうのがございます。
 私どもといたしましては、本法によりまして中小企業等を中心にできるだけこの種の委員会を設けていただきたいと考えでございます。また、そういう観点で努力してまいりたいと思います。
#163
○河上委員 第六条に言う委員会の事業主代表と労働者代表の構成割合は、同数を想定しているんでしょうか、同数でなくてもよろしいんですか。
#164
○井上説明員 同数を想定してございます。
#165
○河上委員 第六条の「労働者を代表する者」、これは労働組合がある場合はその代表者でもよいのですか。
#166
○井上説明員 ここに言います「労働者を代表する者」につきましても、各企業の実情に応じた方法により選任されるものと考えておりますが、これに労働組合の代表者が含まれることも当然考えてございます。
#167
○河上委員 もう一点、複数の労働組合がある場合、どちらの労働組合がその対象となるのか、あるいは双方から代表者を選ぶことになるのですか。
#168
○井上説明員 法第六条の労働時間短縮の実施体制は、各企業で労働時間短縮のための自主的な取り組み体制の整備を行いまして、適正な運営を図っていくためのものでございます。ここに言う「労働者を代表する者」につきましても、各企業の実情に応じた方法により選任されるものと考えております。
 御質問のような場合についても選任方法に特段の限定をする考えはございません。
#169
○河上委員 この委員会を構成する労働者の代表の資格要件あるいは人選基準、これは具体的に内容等を明示するお考えでしょうか、否かでしょうか。
#170
○井上説明員 法第六条の企業内におきます推進体制は、画一的に決めるべきではなく、実態に応じてその具体的あり方を工夫していくことが適当であるというふうに考えてございます。具体的あり方につきましては、労使協議の場の設置を一例とし、既にある労使の話し合いの場や労使懇談会の活用等、各事業場の実情に応じた方法によることとなるよう労使の選択にゆだねたものでございます。
 したがって、第六条の委員会の構成員である労働者代表者の要件、人選の基準や労働者代表の割合につきましても要件が定まっているわけではなく、各事業場の実情に応じ労使の選択にゆだねられるものでございます。
#171
○河上委員 事業主は時短を効果的に実施するために必要な体制の整備に努めることになっております。その一つとして「労働時間の短縮を図るための措置」、もう一つは「その他労働時間の短縮に関する事項を調査審議しここうなっておりますが、この後段の方でございますが、「その他労働時間の短縮に関する事項」、これは、時短を図るための措置のほかどのようなものを想定なさっているのでしょうか。例えば、受発注システムの改善等々、これらもこの中には含まれるのですか、調査審議をする対象となるのでしょうか。
#172
○佐藤(勝)政府委員 この委員会の場では、労働時間短縮に関します目標を設定いたすというようなこと、それから、そのフォローアップ体制の整備、労働時間に関します意識の改革、完全週休二日制の導入等の所定労働時間の短縮の方策、それから、所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進のための方策、労働時間短縮のための業務体制の改善等について調査審議を行うというものでございますけれども、その具体的な調査審議の項目につきましては、労働時間短縮のための業務体制の改善につながるものであれば、取引慣行あるいは受発注システム等についても幅広く審議対象としていくことが適当であるというふうに考えております。特に行政の方から狭くそれを取り扱う必要はないものというふうに考えているところでございます。
    〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
#173
○河上委員 「委員会を設置する等」とございます。この「等」とは委員会の形態はかどのような形態を想定していらっしゃいますか。
#174
○井上説明員 例えば、推進者の選任、プロジェクトチームの組織化、労働組合との定期協議の実施、労使懇談会の開催等が考えられるわけでございます。
#175
○河上委員 今挙げられた形態のうち、第七条の労基法の適用の特例の対象となる形態は、委員会のほか何かありますか。
#176
○井上説明員 労働基準法の特例は、法第七条の規定により、委員会が設置されている場合であって、その委員会が同条各号の要件に適合する場合に限り適用されるものでありますので、御質問のような場合には特例が適用されることはないと考えます。
#177
○河上委員 時間外労働、休日労働はこの委員会の調査審議対象となりますでしょうか。その場合、労使協定とのかかわり、関係はどのように取り扱われるのでしょうか。
#178
○井上説明員 労働時間の短縮を図るための事項として時間外・休日労働も当然含まれるものでありまして、時間外・休日労働に関して委員の全員の合意による決議があれば、労使協定にかわり得るものと考えます。
 なお、本法が成立いたしましても、時間外労働、休日労働をする場合には必ず労使協定にかえて決議をしなければならないというものではございません。
#179
○河上委員 六条については以上にいたしまして、次に、八条の関係以降に移りたいと思います。
 まず、承認する労働時間短縮実施計画と政府の策定する推進計画の関係についてお尋ねします。
#180
○佐藤(勝)政府委員 労働時間短縮実施計画の方は事業主が策定するものでありますし、それから労働時間短縮推進計画は政府の作成するものでございますが、この事業主の策定をいたします実施計画の承認制度は、政府の作成をいたします推進計画に定める施策を事業場の段階で具体化していく一つの方策として位置づけられるものでございます。
 したがいまして、労働時間短縮実施計画の作成に当たりましては、この政府の策定いたします労働時間短縮推進計画の趣旨を十分踏まえて作成をしていただくべきものであるというふうに考えておるところでございます。
#181
○河上委員 具体的に何点がお尋ねしてまいります。
 一つの親企業の傘下にある下請子会社、例えば十社あるとします。これが共同して実施計画を作成することは可能でしょうか。
#182
○井上説明員 親企業の傘下にある子会社の問題でございますが、同一の業種に属している場合は、その共同で作成した計画が承認要件に適合する場合には、計画の承認を当然行うものでございます。
 また、業種の実態につきましては、親子の関係につきましてできるだけ幅広く解釈して適用できるように考えてまいりたいと考えでございます。
#183
○河上委員 それでは、下請の子会社と孫会社が共同して実施計画を作成することはできますか。
#184
○井上説明員 同一の業種の場合には当然できると考えでございます。
 また、業種の問題につきましては、先ほども申し上げましたようにできるだけ弾力的に考えていきたいと考えてございますので、御指摘のようなケースについてもできるだけその趣旨を生かしてまいりたいと考えでございます。
#185
○河上委員 もう一点伺います。
 今度は親企業と子会社、孫会社が共同して実施計画を作成することは可能でしょうか。
#186
○井上説明員 そのような事例の場合にも、業種が同一の場合には問題ないと考えでございますが、親子の競争関係とかそういう観点から、そういうものにつきましてもできるだけ幅広く解釈してまいりたいと考えております。
#187
○河上委員 同一業種に属する事業主が例えば石ある場合、二つの事業主で実施計画を作成し申請されたとします。この場合、承認は受けられるのでしょうか。
#188
○井上説明員 労働時間短縮実施計画の承認は、同一の業種に属する二以上の事業主が共同して作成した計画であって適合するものであれば、当然承認するということでございますので、申請事業主が二つの事業主であることによって承認が妨げられるものではないというふうに考えてございます。
 しかしながら、申請事業主の当該業種におけるシェアが極めて小さいため、他の事業主が計画に参加しなければ計画の実効性を上げることが期待できないような場合には、私どもといたしましては、他の事業主にもできるだけ計画に参加するよう助言を行いたいと考えでございます。
#189
○河上委員 同一業種に属する事業主が四つ程度しかない、そのうち二つの事業主で実施計画を作成し申請した場合、これも今の御答弁の中で、うちに入るものでありますので答弁いただいたと思いますけれども、今の御説明を伺っておりますと、できるのです、しかしとついたわけですね。この辺が少しあいまいになっているのではないか。承認の場合もあるし不承認の場合もある。別々の対応になってしまうわけでありますが、それならば、この承認の基準の原則をより明確にすべきである、私はこう考えますが、この点はいかがですか。
#190
○佐藤(勝)政府委員 労働時間短縮実施計画の承認は、この法案では、同一の業種に属する二以上の事業主が共同して作成した計画であって承認要件に適合するものであれば、申請事業主の数とは関係なく、というのは、つまり二以上の事業主であれば承認を行うということは法律上はっきりしているわけでございます。
 今部長の方から御答弁申し上げましたのは、非常に多数の事業主があるところからごく少数の事業主の計画が出てきた場合には、実効性を確保するという意味から適切な助言をしたいということなので、法律上は二つ以上の事業主の計画であれば承認をする、これははっきりしているわけでございます。
 ただ、先生がおっしゃる御心配の点も理解はできるわけでございますので、この承認要件の具体的運用のあり方につきましては、関係省庁と連携を図りながら、実効のあるものになるようにさらに検討を進めてまいりたいと思います。法律上は二以上の事業主ということで明確に決まっておるわけでございます。
#191
○河上委員 八条関係の最後になりますが、この第八条、実施計画の承認、この点については労働者の意見が十分反映されてない。時短は労使一体の取り組みが基本的要件であることを考えるならば、より労働者の意見を何らかの形で反映するようなことが必要である、私はこう考えますが、御見解を伺いたい。
#192
○近藤国務大臣 労働時間短縮実施計画が円滑に実施されますためには、計画の策定に当たって、関係労使の話し合いが十分に行われることが重要であると認識をしております。
 このため、労働時間短縮実施計画の承認に当たりましては、関係労働者の意見を聞くように努めるとともに、実はあらかじめ計画をつくるために各企業ごとに委員会を設けることになっているわけでございます。その中でいろんな話が常時行われるものと理解しておりますけれども、なお一層いろいろな形で労使間の話し合いができる限り行われるように啓発に努めてまいりたいと考えております。
#193
○河上委員 次に、独禁法に関連する部分について何点か御質問したいわけであります。
 まず、「事業者の団体とはこ独禁法二条二項で「事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体」と規定されております。
 そこで、本法の「事業主の団体」とは、独禁法第二条二項の事業者団体と同じものなんでしょうか、違うものなんでしょうか。
#194
○井上説明員 御指摘のように独禁法八条の事業者団体は、当該団体が規約、会則、役員、意思決定機関を設け、また経費を徴収するなどして独立に結合体としての意思決定をし、これに基づいて共通の利益の増進を図っているものと解されておりますが、このような団体は法第二条第二項の「事業主の団体」に通常該当すると思われます。
#195
○河上委員 公正取引委員会に御質問しますが、現在、公正取引委員会に届け出している事業者団体数は幾つでしょうか。
#196
○山田説明員 独占禁止法の事業者団体につきましては、先生先ほど御質問にございましたように「事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体」と定めておりまして、八条でその団体の成立、変更あるいは解散につきまして届け出を義務づけております。
 平成四年三月までに公正取引委員会に成立居を出しております事業者団体は、全体で約一万四千九百団体ございます。
#197
○河上委員 第八条の時短実施計画の承認、同一の業種に属する二以上の事業主が実施計画を策定することになっておりますが、この「同一の業種に属する二以上の事業主」は、第二条二項の「事業主の団体」に所属することを前提としているのですか。
#198
○井上説明員 同一の業種に属します二以上の事業主は、地域の業界団体に所属している事業主が典型例として考えられますが、必ずしもそのような業界団体に所属することを前提とするものではございません。
#199
○河上委員 それでは、同一業種に属する二以上の事業主は、独禁法に基づいて公正取引委員会への届け出は必要になるのでしょうか。
#200
○山田説明員 独占禁止法上の事業者団体に当たるかどうかにつきましては、私どもとしては、当該団体が規約、会則、役員あるいは意思決定機関を置いている、そして、独立に結合体としての意思決定をしまして、これに基づいて共通の利益の増進を図っているかどうかによって判断しておりまして、法第八条に従い、二以上の事業主が労働時間短縮実施計画を共同して作成したといたしましても、通常は事業者団体に該当するとは言えず、独占禁止法の八条に基づく届け出は不要、このように考えております。
#201
○河上委員 不要ということであります。
 もう一遍お願いしたいのですが、不必要の理由を御説明いただけますか。
#202
○山田説明員 これは先ほど申しましたように、二以上の事業者が共同行為を行うということでございまして、私どもといたしましては、繰り返しになりますが、事業者団体に当たるかどうかということは、その団体が規約、会則、役員、意思決定機関等を置きまして、また会費を徴収するなどして独立に結合体としての意思決定をし、法律の定義で定めております共通の利益の増進を図っているかどうかによって考えております。
 そういう理由から不要というように、すなわち、事業者団体に当たる場合はほとんどないというように考えているわけでございます。
#203
○河上委員 わかりました。
 次に、同一業種に該当するかどうかの解釈権限はどこにあるのですか。公正取引委員会でしょうか、労働省でしょうか。
#204
○佐藤(勝)政府委員 この同一業種に該当するか否かの解釈権限はどこにあるかというお尋ねでございますが、それには、この法案で時短の実施計画の策定主体を「同一の業種に属する二以上の事業主」としております。その趣旨から考えるわけでございますが、その趣旨は、過当競争のもとで我が国の企業の有します同業他社との横並び意識が労働時間の短縮の阻害要因であるという現実を踏まえまして、これらの意識が同一の業種に属する事業主相互の間に生じやすいということから、これを克服して労働時間の短縮を推進していこうとするものでございます。
 したがって、同一の業種に当たるかどうかは、実態として競争関係や横並び意識の生じている事業主の集まりであるか否か、そういう観点から判断をされるものでございますので、そこで計画承認の主体であります労働大臣、それから事業所管大臣がこの点についての判断をするということになるわけでございます。
#205
○河上委員 本法案は、二千八百時間の達成に向けまして時短推進の環境をつくっていくことが主たる目的になっております。実施計画を策定いたします同一業種に属する二以上の事業主の団体と構成する事業主は、この時限であります今後五年間でどの程度普及すると考えられるか。また、当初の目的を達成するためにはどの程度普及が必要と考えているのか、この点について御見解をいただきたい。
#206
○佐藤(勝)政府委員 この実施計画の数あるいはこれに関係をする事業主がどのくらい出てくるかということをあらかじめ数的に把握をするというのは大変困難でございますので、特に数字としては具体的に想定はしておりませんけれども、できるだけこの制度の趣旨、内容につきまして広く啓発を積極的に進めまして、できるだけたくさんの事業主がこのような計画に参画をするということを期待をしておりますし、また、そのように運用してまいりたいと思っております。
#207
○河上委員 独禁法第八条の事業者団体の禁止行為の関連で二点お伺いします。
 ここでは「社会公共への配慮又は労働問題への対処のために行う営業の種類、内容又は方法に関する基準の設定であって、需要者の利益を不当に害さず、かつ、構成事業者にその遵守を強制しないものは、通常、競争を実質的に制限し又は公正な競争を阻害することとはならないので、原則として違反とならない。」このようにあります。
 時短実施計画を事業主団体が作成した場合、構成事業主に対して遵守することを強く求めなければ、私は効果がないと思いますが、独禁法との関連を説明していただけますか。
#208
○山田説明員 御質問の点につきましては、公正取引委員会といたしましては、事業者団体に関する独占禁止法違反事件が非常に多いものでございますので、事業者団体の活動につきましてのガイドラインを昭和五十四年に公表しております。
 そのガイドラインの中で、労働問題の対処のために休業日等の設定を行うことは、需要者の利益を不当に害さず構成事業者にその遵守を強制しないものである限り原則として独占禁止法上問題ないという考え方を示しているわけでございまして、従来から事業者団体からの相談に対しましては、この考え方に即しまして回答等を行ってきておるわけでございます。
 御質問の点でございますが、独占禁止法の観点から申しますと、団体が時短促進のために休業日等を決めまして、これを遵守するため、例えば違反者から過大な違約金を徴収するというようなことになりますと、事業者の自由な事業活動を一面で制限し、独占禁止法に違反するおそれがあるものでございます。
 他方、団体が構成事業者に対して、その基準に従って休業日等を設定し実施するように説得等を行ったり、あるいは基準に従わない場合には基準に従うよう慫慂するとしましても、これは何ら独禁法上問題ないわけでございまして、遵守の強制がなくてもこのような方法で時短の促進が十分図れる、このように考えているわけでございます。
#209
○河上委員 社会公共への配慮または労働問題への対処のための営業の種類、内容、方法、営業時間等の基準を設定することは認めているのです。ただし、構成事業者に遵守を強制しないことが条件になった。
 そうしますと、営業日、営業時間の取り決めができたとしても、何ら強制力がない。これでは時短促進の大きな阻害要因になっております横並び意識の改善にはならないのではないか、こう考えるのですが、この点はいかがですか。
#210
○井上説明員 構成員に関しまして遵守を強制できないという面はございますけれども、ただ、計画の構成員の中で十分話し合っていただく、また説得をしていただくということも我々考えてございますし、また、我々といたしましても、そういう事業主に対しまして積極的に計画の中に加わるよう説得なり慫慂を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
#211
○河上委員 公正取引委員会と法案提出に向けましてさまざまな調整をしてきた中で把握されました独禁法に関する問題点と、同一業種に属する二つ以上の事業主の団体がこの実施計画策定に当たって留意すべき点、これを示してください。
#212
○井上説明員 労働時間短縮実施計画におきましては、労働時間の短縮を推進するための措置として、営業時間の短縮、休業日数の増加その他の措置を想定してございます。
 営業時間等の営業の種類、内容または方法について複数事業主が共同の行為をする場合には、競争を制限し、独占禁止法に抵触する可能性がありますが、公正取引委員会の示す指針によりますれば、労働問題への対処のために行う営業時間等の基準の設定であること、需要者の利益を不当に害するものでないこと、構成事業主にその遵守を強制しないものであることの要件に該当すれば、原則として独禁法に抵触しないこととされてございます。
 そこで、本法では、労働時間短縮実施計画の承認に当たりまして、これらいずれの要件にも該当することとなるよう承認基準を設け、労働大臣及び事業所管大臣が確認するとともに、公正取引委員会と事前に調整することとしてございます。
#213
○河上委員 時短実施計画を策定いたしましても、その団体に参画しないいわゆるアウトサイダー、このアウトサイダーへの対策は、そうしますと、労働省としてはどうお考えですか。
#214
○佐藤(勝)政府委員 アウトサイダーにつきましてこの種の法律で法律上いろいろな規制を加えるということは、これは難しいわけでございますけれども、今度のこの法案につきましては、できるだけ多くの事業主が計画に参加をするということがこの法律に基づきます計画の実効性を上げるために必要でございますので、日ごろから業界団体等に対しまして、こういった計画はできるだけ多くの事業主が参加して作成をされるように、そういうことにつきまして啓発指導を行うように努めてまいるつもりでございます。
#215
○河上委員 計画が承認された事業主に対しまして、計画の円滑な実施を図るための助言、指導援助などの支援措置を講ずる、こうされているわけであります。
 何点か支援措置の具体的なものはありますけれども、財政的支援策、これについては何かお考えがあるでしょうか。
#216
○佐藤(勝)政府委員 とりわけ中小企業におきまして労働時間短縮のためのコストの問題を解消していくためには、基本的には事業主が生産性の向上によりましてできる限りカバーしていくということが必要でございますけれども、現在、労働時間の短縮に資する設備投資等につきましては、中小企業労働力確保法に基づきます事業主等を対象とする税制上の優遇措置がございますし、また、融資制度、助成金制度がございます。それから、本年三月三十一日に出されました緊急経済対策におきましては、省力化投資促進融資制度が日本開発銀行に創設されたところでございます。
 今後ともこれらの制度の利用促進を図ることによりまして、計画対象事業主がより一層円滑に時間短縮を進めることができるように努めてまいる所存でございます。
#217
○河上委員 時短促進を側面から支える措置としまして利用促進を図ると今申されましたが、強化拡充を図るお考えはありますか、ありませんか。
#218
○佐藤(勝)政府委員 ただいま申しました労働力確保法に基づきますいろいろな優遇措置、融資制度、助成金制度、さらには緊急経済対策によりまして新設された融資制度等の支援措置につきましては、さらに有効に活用されますように、関係機関との連携を図りながらその充実にも努めてまいりたいと存じます。
#219
○河上委員 支援措置の対象を承認事業主としたのはなぜですか。時短効果を考えればもっと幅を広げるべきではないのか、いかがでしょう。
#220
○佐藤(勝)政府委員 従来から中小企業の労働時間短縮に関しますさまざまな支援措置を講じているわけでございますけれども、今般のこの法案では、その内容に即しまして、公取との調整であるとかあるいはアドバイザーの派遣であるとか、あるいは関係者に対する要請といったような支援措置を講じているわけでございます。そのほかにも現在まで、特に中小企業の集団を中心としまして、同業種の集団あるいは同一地域の集団等を対象にきめ細かな指導援助に努めているところでございます。それから、先ほど来何回か引用しておりますけれども、労働力確保法に基づきますいろいろな指導援助を行っているところでございますし、設備投資につきましても先ほど来御説明しておるような措置がとられておるわけでございます。
 こういった措置につきましては、これが十分活用されますように、現在御審議をいただいております法案の成立、実施に合わせる等、いろいろな機会に広く事業主に広報するというような方法を講じてまいりたいと存じます。
#221
○河上委員 第四条の推進計画の点につきまして何点がお尋ねをいたします。時間ももう余りございませんので、簡潔、端的に申し上げますが、よろしくお願いいたします。
 推進計画の策定に当たりまして、時短のおくれている業種を所管する行政機関と協議をすることになります。その際、関係する行政機関の産業政策に係る点についても労働省としては調整などを要請することになるのでしょうか、ならないのでしょうか、どうなるのでしょうか。
#222
○佐藤(勝)政府委員 労働時間の短縮は、国それから労使が一体となって全体として取り組むべき国民的課題であるわけでございます。したがいまして、労働行政はもちろんのことでございますが、政府全体として取り組んでいくことが必要であります。そういう趣旨から、この法案におきましても、労働時間短縮推進計画を閣議決定により作成することとしているものでございます。
 こういった趣旨を踏まえまして、この推進計画の案の作成の段階から、産業政策あるいは公共政策を担当する省庁等の関係行政機関とは十分に協議を行ってまいります。これによりまして、産業政策等との連携を図りながら労働時間短縮のための施策を講ずることができるようにしていく考えでございます。
#223
○河上委員 産業政策等関係行政機関との協議の結果、意見の一致を見ない場合には推進計画の策定はできないのでしょうか。
#224
○井上説明員 労働時間短縮は、国及び労使が一体となって取り組むべき国民的課題でございます。目指すべき基本的な方向、そのために労使が取り組むべき措置等について政府の基本的な考え方を示すことが適当であるというふうに考えてございます。
 このように労働時間短縮推進計画を閣議決定により定めることにより、労働時間短縮を政府全体として取り組むべき課題として明確に位置づけ、国民的機運の一層の醸成を図っていくとともに、各省庁が責任を担うものであることを明らかにしまして、これに基づき、労働省としては関係各省との労働時間短縮対策の推進のための連携をより効果的に行いたいというふうに考えるところでございます。
 したがいまして、労働省といたしましては、関係省庁と十分連絡、協議し、これをまとめるような方向で努めてまいりたいと考えでございます。
#225
○河上委員 第四条に「都道府県知事の意見を求める」とありますけれども、そのねらいは何ですか。
#226
○井上説明員 労働大臣が労働時間短縮推進計画の案を作成するに当たりましては、地域の実情を十分踏まえる必要がございますので、その際、都道府県知事の意見をお聞きするということにしたものでございます。
#227
○河上委員 求めた意見は推進計画に反映するのですか。
#228
○井上説明員 これは当然地域の実情を勘案することがございますので、反映してまいりたいと考えでございます。
#229
○河上委員 公表の方法と、事業主を含めて関係者に周知徹底する具体的な方法についてお聞かせ願いたい。
#230
○井上説明員 労働時間短縮推進計画につきましては、その内容が広く国民に理解され、円滑に実施されなければならないというように考えでございます。我々といたしましては、策定後遅滞なく公表をしてまいりたいと考えでございます。
 公表の方法につきましては、官報への掲載も考えてございますが、より広く周知徹底を図るため、パンフレットの作成など広報活動を積極的に行いたいと考えてございます。
#231
○河上委員 この第四条の項の最後に「推進計画の変更」とあります。推進計画の変更はどのような場合に行うのでしょうか。
#232
○佐藤(勝)政府委員 労働時間短縮推進計画は、そのときどきの労働時間の動向、経済情勢等を考慮に入れながら労働者のゆとりある生活の実現という観点から策定されるべきものでございます。また、政府の策定をいたします経済全般に関します計画と調和するものでなければならないものでもございます。
 したがいまして、計画を策定した後の経済情勢の変化等によっては計画の変更が必要となる事態もあり得るので、その可能性があるということで変更に関する規定が用意されているものでございますけれども、ただ、労働時間の短縮の進捗状況がはかばかしくないというようなことを理由として計画を変更することを考えて規定を設けているものではございません。
#233
○河上委員 さらに、本法はある意味で環境整備、環境づくり、意識啓発、これはできるわけでありますが、実行効果はまだまだ未知数、私はいろいろお伺いしながらこんなふうに思っております。どうしても実行効果あらしめるためには、現行の労働基準法の見直し、これは必至であるわけでありますが、前回の質問におきましても、労基法に係る何点かの部分の改正等をいろいろ議論してまいりました。
 改めてお伺いしたいわけでありますが、時短促進の視点から、労基法改正による法定労働時間週四十時間制達成への移行時期はいつでしょうか。
#234
○近藤国務大臣 既に御説明してございますが、労働基準法につきましては、改正労働基準法附則の見直し規定に基づきまして、平成三年四月より中央労働基準審議会において、労働時間法制全般についての検討を行ってきたところでございます。
 この検討については平成四年中に結論をいただくようにお願いをしておりますので、政府としては、その結果を踏まえまして、必要な措置を速やかに講じてまいる所存でございます。
#235
○河上委員 時間でありますので、ここで終わります。
#236
○川崎委員長 金子満広君。
#237
○金子(満)委員 この法案が、労働時間の短縮を目標としていながら具体的な数字を明示しないということについては前回も指摘しましたが、これではなかなか実効性が上がらない。政府が四年以上も強調し、そして公にしてきた千八百時間すらこの中には明示されない、こういう問題ですね。
 きょうも他の委員からいろいろ具体的な目標について質問がありましたが、大臣初め労働省側の答弁というのは、努力する、検討する、進めていきたいという域をなかなか出ないわけですね。それはこの条文の中にある、法案の中にある時間短縮というのは、企業の自主的な努力に期待するというものとやはり軌を一にするものだ。したがって、法律上このようにするという規制、義務づけをしないというのがやはり一つの大きな特徴だと思うのですね。
 そういう中で、いろいろやりますけれども、きょうはもう一歩その中に突っ込んで、サービス残業の問題について最初にただしておきたいと思うのです。
 先ほども近藤労働大臣は、サービス残業はなくすように努力するということは言われました。これはもうそのとおりであってほしいと思うのですね、なくしていくというのですから。
 労働省の方では、今サービス残業がどのくらいあるのか、今までの調査の結果どのくらいのものが存在するのか、その認識の点についてまず最初に伺っておきたいと思うのです。
#238
○佐藤(勝)政府委員 サービス残業というのは、もちろん御承知のように法律上の言葉でもございませんし、我々の理解では、一般的に使用者が明示または黙示の指示によって労働者を時間外に労働させる、従事させながら、その正確な時間外労働時間を把握しない、あるいは労働者が時間外労働時間に対する賃金を請求することができにくい環境をつくることによりまして、時間外労働に対する賃金が支払われないものを総称しているというふうに理解をしております。
 その前提の上でございますけれども、そういうサービス残業の内容ということからしまして、労働基準法との関係でいえば、割り増し賃金あるいは所定外労働時間に関します違反という問題として法律的にはとらえられるわけですが、ただ、その根っこにはいろいろ労働時間管理が適正に行われないというところから生じてくる問題があるわけでございます。そういうことからいいますと、法律違反というような形で明確な形で出てこない問題が大変多いわけでございます。
 そういう意味で、数量的にどのくらい一体あるのかということをここで申し上げるのは大変難しい問題でございますけれども、金融機関等におきまして、労働基準監督機関が監督をしました場合に、そういう例が少なからず発見されるということが事実でございます。
#239
○金子(満)委員 こういうサービス残業という問題については、諸外国では余り日本ほどひどい例は聞いたことはないわけですけれども、いずれにしても、賃金を支払わない労働ということになるわけですね。労働省がある程度把握しているように、これをなくしていくという点であれば、相当踏み込んでやらなければなくならないと思うわけです。とにかく労働時間として計上されてこないわけですから、極端な言葉で言えばやみからやみに葬られる時間になっておるわけですからね。
 そこで、私は四月初めに北海道でパルプ・製紙関係その他について若干労働時間の実態調査をやってまいりました。その結果、幾つかただしておきたいと思います。
 製紙工場では三交代になっておるわけですね。三交代の切れ目がないわけです。ですから、例えば大昭和製紙の場合には、朝、中、夜番で、朝が七時三十分から十五時まで、次が十五時から二十二時まで、次は二十二時から翌朝の七時三十分まで、それぞれその間一時間の休憩というのがあります。それからまた王子製紙についても、若干時間割りは異なりますけれども、三交代、七時からと十五時と二十三時からということになります。
 問題は、ここで引き継ぎをするときの引き継ぎ時間、ミーティングというのがあります。ほぼ十五分前後やられております。毎日十五分ずつです。三交代だから三つ出てくるわけですね。一人の労働者にしますと一カ月で大体五時間半から時によって六時間になるわけです、合計いたしますと。こういう中で、これが労働時間として計上されないわけです。つまり、サービス残業として長い慣例のようになって扱われている。そして、労働者の中からは、当然これは労働時間であるという声は非常に高いわけなんですね。
 だから、こういう点を考えたときに、いわゆるこの引き継ぎとか、そしてそこで生ずるところのミーティングの時間とか、これを労働時間としてみなすかみなさないかという点について、ひとつ労働省、どなたでもいいですから、見解を伺っておきたいと思うのです。
#240
○佐藤(勝)政府委員 今先生具体的な事例を挙げられたと思うのですけれども、ただ、その具体的な問題について、それが例えば法違反になるのかどうかということをここでお答えするのは大変難しいのですが、一般論として申し上げますと、今お話しのような交代制勤務の職場におきまして、引き継ぎ時間がその実態から見て労働基準法上の労働時間であるということになった場合に、それについて労働時間としての法律上の取り扱いがなされていないというような実態があれば、これはそのようなことが法違反として把握されれば、是正の措置をとるということになるわけでございます。
 ただ、今お尋ねのその部分が、ミーティングとかいろいろ具体的におっしゃられましたけれども、それが労働時間であるのかどうかということを今ここで申し上げるということはちょっとできないわけでございます。
#241
○金子(満)委員 基準局長の答弁というのは、これは全国的に大きな影響を及ぼす発言ですから、大変慎重にされているようなんですが、例えばこういう中で大昭和製紙の就業規則というのがある。
 この就業規則の中に「給与規定」というのがあります。その「給与規定」の十一条にはこういうのがあるんですね。
  遅刻、早退、私用外出そのほか、勤務時間中に勤務しない時間があった場合は次のとおり基本給を控除する。ただし、業務上の傷病の場合はこの限りでない。として
 1 勤務しない時間一時間につき 基本給百六十三分の一これをカットするというわけですね、解説がちょっとありますが。
 2 勤務しない時間は一回を十五分単位で切り上げ一か月を通算する。とこうなっている。
 いろいろ聞きますと、一分おくれると十五分の賃金カットをするというわけです。そして、引き継ぎとかミーティングのときには、十五分前後は賃金は支払わないでサービス残業になる。出勤が一分おくれたら「給与規定」でいきますとそういうように十五分の賃金カットをする、こんな不合理なことはないと思うのですね。
 したがって、私は当然、今局長も言われるように、労働基準法の立場から見て労働時間であるというのは――引き継ぎというのは業務上必要なんです。それをしなかったら事故を起こす場合だってあるんですから。大変なことで、当然労働時間としてはっきりと認定をしないと変な形になる。実際は、実務的にもそれを聞きました。そういう中で出てきているのが、トラブルがあって引き継ぎが三十分以上になればそれはもちろん時間外労働としてでもはっきり位置づけます、そうでない場合は今までどおりと、こういうことで認めないのですね。だから、こういう点は改善をしなければならない。
 そういう点で、今度は新日鉄の名古屋です。
 去年の十二月に、新日鉄の名古屋製鉄所の労働者の有志と地方議員と私ども日本共産党の新日鉄委員会が、愛知県の半田労働基準監督署に次のような問題を指摘して是正改善指導を求めたわけです。
 それは、つまり、新日鉄の名古屋製鉄所では就業時間前約十五分前後のミーティングをしているが、過勤務として扱われていない。月にすれば六時間になる。一万五千円に相当する。こういうことを指摘して是正指導を求めたわけですね。それに対して、この二月に半田労働基準監督署から指導が入りました。
 「労働時間休日休暇の法律実務」という本を示されたそうですが、そこで「朝礼、ミーティングや職場体操時間は労働時間か」というものの中で、4項の「点呼をとったり、作業の手順などの説明をする場合」でこういうように述べているところがあるんですね。
 当日の作業手順の説明をしたりするような場合には、朝礼に参加しなければ作業にかかれなかったり、事実工作業が円滑に行われない結果になるので、労働者としては参加せざるを得ないことになる。そこで事実上参加を強制されたのと同じ結果になるので労働時間となる。こういうことを示して指導を入れたわけですね。
 これは重要な指摘だと思うのですよ。こういう姿勢がなければ、サービス残業とかこういうような古いしきたりというのはなかなか直していくことはできない。私は、こういう点を指摘しながら、労働行政の中での監督指導というものがどういうものかというので踏み込んだ内容というのが非常に大事だと思うのですね。こういう点で、愛知県半田の労働基準監督署が新日鉄の名古屋製鉄所に対してとった指導の内容というのは、非常に順当であるけれども、やはり注目しなければならないことだと思うのですね。
 とにかく引き継ぎの所要時間というのは労働時間だ、これを正確に把握しなければだめだというのは当たり前過ぎるほど当たり前なことですが、こういう点について、局長、どう思いますか。
#242
○佐藤(勝)政府委員 ただいまの具体的なケースにつきましては、現地の所轄の監督署が実際に事業所で調査をし、諸規則に照らしてそういう判断をしたのであれば、これは、そういう取り扱いは適正なものだというふうに思っております。
#243
○金子(満)委員 大変肯定的な答弁なんですが、私は非常に大事だと思うのですね。労働省関係、特に地方にいる基準監督署の皆さんは、労働時間についても労働条件についても相当意欲的にやっていると思うのですよ。これを奨励し激励するような体制がない限り時短は進まないと思うのです。
 そういう意味で、現場の監督署がやったそういうことについて肯定されたわけですね。その点は大変積極的なことだと思います。
 そこで、今度本論に戻って、この法案に基づいて若干の質問をしておきたいと思います。
 第七条です。法案が言うところの時短推進の委員会は、この七条の一項一号の規定によると次のようになっていますね。「当該委員会の委員の半数については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名されていること。」こうあるわけですね。
 過半数に満たない労働組合の権利はここでは完全に無視されるわけですね。しかも、ここで決定されたことがすべてに拘束力を持つ、事労働時間については拘束力を持つということになります。
 これは、労働基準法の第二条で言っているところの、労働条件は労使対等の立場で決定する、このことを念頭に置いた場合に、それと異なる状況になっている。労働者の当然の権利、つまり労働条件の改善、労使協定やそのための団体交渉権、こういうものを否定するようなことになるんだと思うのですね。
 こういう点についてどう思いますか、その点を伺います。
#244
○井上説明員 本法第七条の労働時間短縮推準委員会につきましては、その委員の半数につきましては、御指摘のように、「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においでは労働者の過半数を代表する者の推薦」を要件として規定してございます。
 このことは、労使協定の締結者たる労働者代表の選任と同様な考え方をとってございますので、私どもといたしましては、労働基本権の侵害にはならないというふうに考えてございます。
#245
○金子(満)委員 この時短推進委員会の構成というのは、これは時限文法で、労基法で言われていることとは違うわけですね。
 したがって、ここのところで、例えば過半数に満たない組合がどんな形であるか。一事業場においてA組合、B組合というのがあったとする、あるいはC組合があったとする。どれも過半数に満たなかった場合にどうするか。しかし、全体の労働組合を合計すると過半数を超えるというのは、現実に幾つもあるわけですね。
 こういうような点からいえば、労働組合は憲法と労働組合法に基づいて組織されているわけですから、労働基本権があるわけですね。そういう点では、すべての労働組合が参加するというのが本当に憲法、労働組合法に基づく原則的立場だと私は思うのですね。そういうようにすべきであると思うのです。こういう点で一歩やはり改善、改革の方向に、変革の方向に出るべきだと思います。長い経験を持っている人もあると思うのです。見解を伺っておきたいと思います。
#246
○井上説明員 先ほど申し上げましたように、推進委員会の委員については、「労働者の過半数で組織する労働組合」ないしは「労働者の過半数を代表する者の推薦」ということになってございます。
 いろいろな労働組合、過半数に満たない労働組合等がある場合には企業内で十分話し合っていただきたいと思いますし、その際、「労働者の過半数を代表する者の推薦」というような要件もございますので、そういう方面から考えますと、この労働者代表の選任については、私ども適当ではないかというふうに考えてございます。
#247
○金子(満)委員 いずれにしても、私は一つの事業場の中において、従業員の過半数がいずれかの労働組合に組織されている場合には全部の労働組合を参加させるべきだ、これは私の主張ですから、このことをぜひ改善の方向で念頭に置いてやってほしいと思うのですね。
 それから、そのこととも関連しますが、次の問題は、これは他の委員からも若干の質問がありましたが、変形労働時間制の届け出を免除しているというこの問題です。
 これはもう何回かありましたが、この法案の中で私どもが指摘しなければならないもう一つの重大な問題だと思うのですね。時短推進委員会が決めれば、三カ月単位の変形労働時間制などは届け出をしなくてももちろんいいということになるわけです。そういうように七条ではなるわけですね。
 もともとこの変形労働時間制は、八七年の労基法の改正のときに、一日八時間労働制というもの、それに例外制をつくったわけですね。その例外制をつくるかわりに、歯どめをつくらないと――もともと八時間労働制を弾力的に延ばしていくということについては、事業主の側からは非常に便利なのだけれども、それを悪用した場合にはやたらに広がるわけですね。こういうときに、労働者としては生活のリズムが狂ってしまう。ですから、その三カ月という単位の中で届け出制という形で、罰則まであるわけです。そして、その歯どめをしたわけですね。今度、その歯どめがぱっとなくなるわけです。
 こういう点を見たときに、例えば基準法の三十二条の四、これが三カ月単位の変形労働時間制の問題ですよね。それから次に、同じく三十二条の五が一週間単位の非定形的労働時間制の問題です。それからさらに、三十八条の二、これがみなし労働時間制の問題です。これはみんな届け出をすることになっているわけですね。今度それをしなくてもいいという免除規定ができたわけですね。私はこれは大きな後退だと思うのです。これは労働行政の後退であると同時に、労働基準法の改悪にも匹敵する内容だと思うのですね。
 そうならないように、あるいは脱線しないように、いろいろ注意する、配慮する、行政的に見ていくということは言われるのです。しかし、この歯どめができたというのは、相当の議論をして、当時の議事録を見ても出ているのですね。この歯どめがどのくらい大事かというのは、当時の中曽根総理も答弁をしているわけです。ですから、こういう点をなぜ除くのか。そして除いた結果、善意に善意に解釈しないで、法律というのは、万が一にも間違った方向へ行かないように歯どめしているわけですから、そういう点についての保障はどうなのですか、その点ちょっと伺っておきたいと思うのです。
#248
○井上説明員 労働時間短縮推進委員会におきましては、労働時間の問題について恒常的に話し合いがなされることとなるものでございます。そこでの話し合いの結果をその事業場の労働時間の短縮の促進に生かしていくことが重要でございます。そのため、委員の半数が事業場の過半数労働者の推薦に基づき指名されているものであること等、委員会の決議が労使協定と実質的に同視できることを要件とした上で、委員会における決定をもって労使協定にかえるものでございます。
 委員会の決議についての労働基準監督署への届け出免除につきましては、当該決議は、委員全員の合意により行われることとなっており、十分信頼に足りるものと考えております。また、委員会の設置につきましては、労働基準監督署への届け出要件がございますし、かつ、決議は書面で行われて、決議に至る議事録が作成、保管されているので、労働基準監督官による臨検監督の際にも推進委員会の活動状況についてチェックが十分可能であるというふうに考えてございます。
#249
○金子(満)委員 繰り返しそういう説明は聞いてきたわけですけれども、労使協定にかえるものだ、もともと労使協定は、これがないときだってあるわけですから、その場合、団体交渉を通じて労使が一致して文書にしてという経過をたどっているわけです。
 ですから、今の説明にあるように、事業主側と労働者側が半々で、半数ずつだからここで一致すればもうすべてができるということになると、届け出の義務をここで免除して罰則から全部外してしまうと、もうそこに一任で何でもできるということになってしまうわけですよ。だから、もともとそういうことがあってはならないから、三十二条の四、三十二条の五、三十八条の二というのは、そういう規定をつくったわけです。そして、他の法律と違って、労基法の罰則は軽いんですよ、全体から見て。軽くても罰則があったのが、今度はそれを適用しないんだから罰則の部分は空文化するんです。そういうようになっちゃうんですね。
 だから、私は、こういう点で目標は明示しない、そして企業の努力に期待する、そしてみんなで仲よくやろう、決まったことは法律にかえますじゃないが、基準法のあれは適用しません、これはどう考えても後退だと思うんですね。
 この点で、実際に全国の労働基準監督署で実態を見ている人がどう思うかということですよ。楽になっていいな、こんな感じを持つ人はいないと思うんですよ。どうしてこんなことになったのかと自問自答するようになると私は思うんですね。この点も私は指摘して、届け出制は継続していくべきだということは私の主張としてここで明確にしておきたいと思うんです。
 そういう中で、次は、これももう大変出ていることですけれども、この時短問題で、ある意味では大変な困難に直面するのが中小企業、地場産業の皆さんだと思うんです。この点は先ほどからいろいろ出ましたから、これは労働省、通産省、どちらでもいいですけれども、特に下請中小企業それから各種の地場産業の発注と受注の交通整理の問題です。
 これはよく出ることでありますけれども、週未発注をされたのではとてもではないが大変だ、土曜日がつぶれ、日曜日がつぶれる、そして時間外がここに集中する、せっかくいろいろの日程を繰って休もうと思ったのが一遍でパアになってしまう、こういうのが実際なんですね。こういう中で、親企業の方は近代化ですから生産性も高い、それに合わせるんですから同じ時間じゃできないわけですよ。そうして時間外時間外で長時間過密労働になってくる。こういう点の指導の点で、これは通産省、中小企業庁の方でやっているというのは片りんはわかるわけですけれども、週末発注はやめて週の前のところで発注をする、これをシステムとして、流れにしていかなければだめだと思いますが、この点、通産省の古いたら伺っておきたいと思います。――いなければ、どなたでもいいですよ。
#250
○井上説明員 御指摘のように、下請中小企業につきましては、主たる取引先でございます親企業の発注方式が労働時間制度の改善の阻害要因となっている場合がございます。親企業が自己の都合で下請から頻繁に少量を納入させる多頻度小口納入、親企業における在庫を少なくするような理由から多頻度小口配送というのが長時間労働を生み出しているという面もございます。
 このため、労働省といたしましては、平成三年八月に策定いたしました所定外労働削減要綱におきまして、適正な納期の設定とか過度な多頻度小口配送の是正等につきまして事業主団体等に周知徹底を図っているところでございます。今後とも、そういう面での努力を続けてまいりたいと考えでございます。
#251
○金子(満)委員 それからもう一つは、これも出ている問題ですが、私はもう一歩踏み込んで中小企業の特に下請産業の、生産性の問題もありますが、職場環境を変えていく、さらに、そういう中で機械、設備の更新をどうやっていくか、資金の問題になってくると思うのです。中小企業では三K、きつい、汚ない、危険ということが、もうどこへ行っても同じことを言われるのですから、指摘はしても改善になかなか手が出ないというのは資金の問題だと思うのです。
 こういう点で長期、低利の融資という問題はよく出ますけれども、これを、制度をひとつつくったらどうかという点について、どなたでも結構です、そういう考えがあるかどうか、一般的強調だけではなくて……。
#252
○井上説明員 中小企業の時短の支援のための省力化とか合理化投資の助成の問題でございますが、これは先ほども申し上げましたように、現在、中小企業労働力確保法に基づきまして、雇用管理の改善の一環といたしまして労働時間の短縮に資する設備投資に対しましては税制上の優遇措置、融資制度、助成金制度等がございます。また、本年三月の緊急経済対策におきまして、省力化投資促進融資制度が日本開発銀行に創設されてございます。
 今後、これらの制度の周知や関係機関との連携を図りまして、制度がより一層利用されるように私どもとしても努力してまいりたいと考えでございます。
#253
○金子(満)委員 最後に一言。私は、一般的でなくて時短を頭に置いて、時短のための融資とか税制問題は、特にこういう声が業者の中にはあるのですが、中小企業に対しては時短促進減税というようなものを労働省がイニシアチブをとって大蔵省と折衝して進める、そのぐらいのことをやらなかったら、言ってみるだけに終わってしまうのじゃないか。
 この点を最後に質問して、時間がありませんから、きょうはこれで終わりたいと思います。
#254
○近藤国務大臣 たびたび御説明申し上げておりますように、いわゆる時短を実現するためには省力化投資、ロボット化投資、そういったことが必要でございますので、これは幸い昨年から、中小企業労働力確保法ができて、省力化を含む投資に対しての融資をする、労働力確保という観点から考えられておったわけで、こちらから見ればまさに時短促進であります。
 実は私、大臣になりまして、当時不勉強だったのでいろいろ検討しました。こういう法律があるということなものですから、これは少し大いに積極的にPRしろということで、今労働省で時短促進のための融資がいかにできるかということを、わかりやすいパンフレットをつくらせているのです。法律ができ次第、いろいろな関係政令その他できた段階で、これを全部全国の労働基準局、監督署、末端の労働基準監督署にも配付いたしまして、そして基準局長さん、監督署長さんがいろいろな御相談を受けるときに、こういう制度があるから積極的に活用してください、必要なら地方の中小企業金融公庫の支店長とかそういうところに署長さんみずから電話をかけてもやれというぐらいのことを、私は指導ということを今命じているわけでございます。
 税制につきましても、時短促進税制というお考えは十分わかりますが、これはこれでまたいろいろ政府部内としても検討をしていることでございます。さしあたって現在ある制度をフルに活用して実際にこの時短を進めよう、こういうことでぜひやらせていただきたいと考えております。
#255
○川崎委員長 伊藤英成君。
#256
○伊藤(英)委員 先回の本委員会で、労働時間の短縮促進臨時措置法案について、私は、その基本的な取り組み姿勢、それから企業内の労働時間短縮推進委員会の決議が一部を除きまして労働基準監督署への届け出が免除されることについて問題提起をいたしました。これは先回の委員会の最後のところで今申し上げたようなことを提起したわけでありますが、本日は、その提起したところから始めさせていただきたい、こう思うのです。
 この時短推進委員会についてでありますけれども、まず、労働組合のない企業のケースで伺うわけであります。
 第六条によりますと、時短推進委員会は事業主が設置することになっているわけですが、労働者側からの要求があっても事業主がなかなか時短推進委員会を設置しない場合も想定されるのではないかと思うのですね。そのときには労働省はどのように指導をされますか。
#257
○佐藤(勝)政府委員 企業内において、現在でもいろいろ労働時間の問題も含めまして労使で協議する組織を持っているところも多いわけでございます。特に我が国の場合には、法律でそういったものをつくるというよりは、それぞれの企業の実態に合わせてそういう組織を持っているところが多いわけでございます。しかしながら中小企業等ではそういう組織がないということから、現在の法案で時短推進体制の整備の促進ということに関します条文を設けているわけでございますが、こういった体制は、画一的に内容を決めるというのではなくて、やはりそれぞれの実態に応じてその具体的なあり方を工夫をしていくことが適当であるということで、何らかの推進体制の整備を行うということを努力義務としたわけでございます。
 具体的なあり方につきましては、労使協議の場の設置を一つの例としまして、既にあります労使の話し合いの場や労使懇談会の活用等、各事業場の実情に応じた方法によることとなるよう労使の選択にゆだねたものでございます。
 御質問のように、労働者側からの要求があっても事業主が設置をしないという場合は可能性としてはあるわけでございますが、それに対してどうするかということになりますと、強制的にこれをつくらせるということは難しいと思います。ただ、こういった制度の有用性、あるいは現在の時短推進が広く進められる中でこういった委員会制度が重要であるということを、十分に事業主に理解をさせるような努力を一生懸命やっていきたいというふうに思っておるわけでございます。
#258
○伊藤(英)委員 それではPRするだけということになるわけですね。
#259
○佐藤(勝)政府委員 PRだけとおっしゃられますといささかあれなのですけれども、私どもこういう法律の施行に際しましては、事業主団体あるいは個別の事業主、いろいろな段階で、それからいろいろな方法を講じまして、PRといえばPRの一部ではあるわけですけれども、本当にわかってもらえるように、PRよりさらに進んで助言、指導ということも含めてやっていきたいと思います。
#260
○伊藤(英)委員 今言われましたように、経営者団体等そういうところに懸命なPR、啓発の努力をしていただきたい、こういうふうに思います。
 それから、この時短推進委員会の委員の指名権限はどなたになっておりますか。
#261
○佐藤(勝)政府委員 指名権限といいますか、この委員会の委員の半数は、労働者の過半数で組織します労働組合等が推薦する者を事業主が指名する、こういう仕組みにいたしております。
#262
○伊藤(英)委員 今、私は労働組合のない企業のケースについて伺っているわけですが、組合がないケースでありますから、ますます、一層といいましょうか、事業主が指名をするということになるわけですね。
 それで、今局長の言われたように、事業主に指名権限があるといたしますと、例えば事業主に都合のよい者を指名するということができるわけですよね、組合もありませんから。そうすると、逆にまた、都合の悪い者は拒否することができるというようなことになっていくかもしれません。そういう状況になりますと、労使対等の委員会というふうには、これはなかなかとてもそうは言えないわけですね。
 労働省としては、そういうふうにならないために何か手だてを考えておられますか。
#263
○佐藤(勝)政府委員 労働時間の短縮のための労使の協議組織はいろいろな形態があるわけでございますが、この七条で書いてあります要件を満たすためには、委員の半数が、事業場の過半数労働者を組織する労働組合等の推薦に基づいて指名されていることが必要であるということでございますので……(伊藤(英)委員「今私が申し上げているのは組合のないケースです」と呼ぶ)労働組合等と申しますのは、労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の推薦に基づくということでございます。そういう意味で、労働組合等と申し上げておるわけです。
 そういった要件を設けておりますので、労働組合等が推薦する者を、あるいは労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の推薦する者を拒否するようなことは生じないと思っておりますが、仮にそういうものを拒否した場合には、この七条の要件に当たらないわけですから、この七条で言っているような、例えば委員会の届け出の免除であるとかあるいは労使協定にかわるという取り扱いを受けられない、こういう結果になるわけでございます。
#264
○伊藤(英)委員 私は、組合のない企業でありますから、いろいろなケースが実はあると思うのですね。もちろん労働者の過半数を代表するような形で決められるような場合もあるかもしれませんけれども、実態問題として考えると、それはなかなか難しいケースというのが非常に多いだろうと私は思うのですね。これは机上の空論でやっていたって仕方ない話だと思うのですよ。
 しかもそういうときに、先ほどもお話しになったとおりに、事業主が指名権限を持ってやりますよというふうになるわけですから、これは、基本的には事業主が明らかに有利な立場に立って時間管理を進めるということになると私は思うのですね。そういう性格を持っていると思うのですよ。
 だから、そういう意味で、これはなかなか危険性を秘めた時短推進委員会というふうになるかもしれませんし、そして、その決議が労働基準監督署への届け出が免除されるというのは、これは今までもいろいろな議論がありましたけれども、私はどう見ても労働者側から見て合理的なものではないな、あるいは納得のいくやり方ではない、こういうふうに思うのですね。
 だから、いわゆる望ましい労働行政ということを考えれば、このやり方はやはり労働行政の後退という話にならざるを得ないのだろう、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
#265
○佐藤(勝)政府委員 企業の中で労働時間の問題を日常的に話し合う機関ができるだけ広く普及することが望ましいという見地で、基本的にはこの制度ができております。
 ただ、その場合に、その形態はいろいろある。その事業、企業の実態に合わせたものにする必要があるであろう。しかしながら、一定のものについて届け出を免除する、あるいは労使協定にかわる効力をその決議に認めるというような場合には、それはどんなものであってもいい、こういうことにはならないわけでございます。そういう考慮から、本法案では、委員会の決議の場合はその適正な運営を担保するために一定の要件が法律上課されているわけで、適正に決議がなされ、十分信頼に足るものであると考えられる場合にのみ届け出を義務としていないということでございます。
 例えば、この委員会の設置についての届け出を労働基準監督署に義務づける、あるいは決議は文書でする、あるいは決議に至る議事の経過は文書で記録を残すというようなことで、これは労働基準行政として監督指導をやる、必要な場合にはそういうものを通じて監督指導ができるようなものをはっきり決めておいた上で、一定の部分についてのみ届け出を免除する、こういうことにいたしておるわけでございますので、労働基準行政の後退につながるというふうには考えていないところでございます。
#266
○伊藤(英)委員 私は、基準局長にはほかの場でも申し上げたのですが、労働省の行政がもう少し毅然としたところがあれば、今労働時間短縮と言われるような問題については、やはりもう少し進んでいたのではないだろうかというふうに思うのですね。この問題を考えても、やはりそういうことを思います。
 次に、では今度は、労働組合のある企業のケースでちょっと伺います。
 この時短推進委員会が労働組合の労働時間に関する交渉権限をひょっとして弱体化するおそれはありはせぬだろうかというふうに思うのです。特に中小企業のケースで心配するわけです。労働時間に関することはすべてこの時短推進委員会で行いますよ、そういう口実のもとに団体交渉が事実上拒否される、あるいは形骸化するというようなことはないだろうかと思ったりするのですが、この点についてはどのように考えますか。
#267
○佐藤(勝)政府委員 憲法、労働組合法で定められておりますところの団体交渉の権利は、この法律によって損なわれるわけではないわけで、労働時間の問題は、企業内の委員会等の組織で相談をしておるから団体交渉しなくてもいいんだというようなことは、団体交渉を使用者の方から拒否をする正当な理由にならないということでございますので、仮にそういうことが起これは、これは労働組合法に基づく不当労働行為等の問題について扱われることになろうというふうに思っておるわけです。
 あくまでも団体交渉権は団体交渉権として、これによって損なわれることはないという仕組みでございます。
#268
○伊藤(英)委員 この時短推進委員会が「労働時間の短縮を図るための措置その他労働時間の短縮に関する事項を調査審議しこういうふうにありますが、具体的には何をどの程度調査審議すると期待していいのでしょうか。
#269
○佐藤(勝)政府委員 この問題につきましては、企業内の労使で労働時間の短縮に資するという大きな観点から話し合う事項でございますので、行政の方から、これは話し合っていけ、これはだめというようなことを言うことはないわけでございますが、具体的にそれではどういう項目が予想されるかということについて申し上げれば、労働時間短縮に関します目標を設定する、それからそのフォローアップの体制の整備について議論をする、あるいは労働時間に関します意識の改革の問題、完全週休二日制の導入等の所定労働時間の短縮の方策、所定外労働の削減の問題、年次有給休暇の取得促進のための方策その他その他、要するに、労働時間短縮のために寄与するいろいろなことをここでやっていただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
#270
○伊藤(英)委員 次に、業種ごとの実情に応じた取り組みの推進ということにつきましてお伺いいたします。
 同一の業種に属する二つ以上の事業主から提出された労働時間短縮実施計画は、労働大臣及び事業所管大臣の共同承認というふうになっておりますけれども、この承認の目的はどういうことになりますか。
#271
○佐藤(勝)政府委員 これは、先ほど来申し上げておることですけれども、特に我が国では過当競争のもとで各企業の横並び意識が強いということで、個々の企業が単独で労働時間の短縮を進めることが困難であるといった事情があるために、この法案の中のような枠組みを設けたわけでございます。
 この枠組みの中で、二つ以上の事業主が共同して労働時間の短縮をするための計画を策定をする、これを承認をすることによりまして――この承認に先立って、公正取引委員会との間の調整ということもございますし、また、承認をしたことによってこれを時短アドバイザーの派遣の対象とする、あるいはこの計画の実施に関係する関係者に対する要請を行政が行うことができるというようなことで、いろいろな支援措置の対象を確定をするという意味があろうかと思います。
#272
○伊藤(英)委員 直接事業における時短計画について考えたとき、そのときには労使協議が事前に必要となると私は思うのですね、組合がある会社を考えますと。その点についてどういうふうになるのか。また、事業の態様の改善に関する事項であっても、関連する労働者の意見をその計画に反映しなければならぬ、こういうふうに思いますね。それをどういうふうに図っていくのか。いずれにしても、労働側の意見を反映するシステムにしなければ円滑に進まない、こういうふうに私は思いますね。どのように考えますか。
#273
○佐藤(勝)政府委員 労働時間短縮というような問題につきましては、労働者の意見を十分聞くということが必要であると思います。ただ、法律的、技術的な問題として申し上げれば、労働者の意見を聞くということを要件とすることについては技術上の問題があるわけでございますが、この法律を運用するに当たりましては、事業主が計画を策定する際には関係労働者の意見を聞くことが望ましいことは言うまでもないわけで、そのような指導をいたしたいと思いますし、また、行政が計画の承認をする場合には、労働者の意見をできるだけ聞くように努めようということを考えているところでございます。
#274
○伊藤(英)委員 今の局長の趣旨のように、労働側の意見を聞いて実際に計画もし、承認をするときもそういうふうに運用できるように、修正も含めてこれをぜひやりましょう。よろしくお願いします。
 それから、今回は公正取引委員会の方の承認の問題等もあるわけでありますが、この実施計画を承認をして、そして取引先との関係、あるいは下請企業との関係、あるいは同業他社との関係、それから消費者との関係、そうしたことにおける、その関係における公平性という問題についてどういうふうに考えて指導をするつもりですか。
#275
○佐藤(勝)政府委員 労働時間短縮実施計画の承認に当たりましては、計画が公正な競争状態が損なわれるものにならないように、承認要件として法律上「一般消費者及び関連事業主の利益を不当に害するおそれがあるものでないこと。」というような要件を規定しているところでございます。
 それから、計画の承認後におきましても、計画の円滑な実施のために特に必要がある場合には、行政は取引先事業主等に取引方法の改善等の問題につきまして協力要請を行うことができることといたしておるわけでございます。こうした措置によりまして、取引先事業主等の理解を得ながら、労働時間の短縮が推進されることになるものと考えておるところでございます。
 こんなぐあいに、この法案におきましては、消費者あるいは関連事業主、取引先の関連業界等との関係について一定の規定を置いているわけでございまして、こういう規定の具体的な運用については関係省庁と十分連携をとることも必要でございますし、そういった連携をとりながら公平性が確保されるように極力努めてまいりたいというふうに思っております。
#276
○伊藤(英)委員 先回の本委員会のときに、今私たちが審議しているようなこういう法案が他の外国の先進国等で見られるだろうかという話をいたしましたよね。そして、そのときに基準局長もそういうのはないのではないかという話をされました。要するに、時短というものを進めるに当たってこういうようなやり方をしたり、あるいはそのために独禁法の適用も緩和したりというようなのは、やはりそれは見られませんですね。だから、そういう意味で、この運用の問題につきましては、消費者の問題も含めた公平性の確保のために、これは全力でといいましょうか、大きな注意を払いながら運用をしていただきたい、要望をしておきます。
 それから、時間も余りありませんけれども、この法案が成立をして国が策定する労働時間短縮推進計画の内容についてであります。
 週四十時間労働制、総労働時間千八百時間を達成しようと思いますと、完全週休二日制の問題、あるいは年次有給休暇の付与日数とその完全取得の問題、あるいは所定外労働の削減などが明らかにされなければなりませんよね。
 具体的な目標とその達成時期が明確に打ち出されてくると考えてよろしいですか。
#277
○近藤国務大臣 先生御案内のように、現在新経済五カ年計画の策定中でございますし、また、これと並行いたしまして雇用審議会において新しい雇用対策基本計画も策定される、大体六月末から七月にかけて二つ大きな計画が出てくるわけでございます。
 この法案の実行に当たりましては当然この二つの計画を踏まえて考えるわけでございますので、閣議で決定をいたします労働時間短縮推進計画においては、一定の期間内に達成すべき年間総労働時間等の目標を掲げることを考えておりまして、また、こうした目標の実現を図るため完全週休二月制の普及促進、年次有給休暇の完全取得等必要な施策の方向についても盛り込んでまいる考えでございます。
#278
○伊藤(英)委員 今のお話を聞いてみても、例えば週四十時間労働制の実施時期についても一定の期間内に云々と言われましたよね。要するに、明確ではありませんよね。それから所定外労働の削減に関する具体的な施策ということについてもなかなか見受けられないということですよね。だから、こういうことではなかなか進まないですね。
 それで、例えば時間外労働協定の適正化指針を見直したり、あるいは時間外割り増し率の引き上げを図るというようなことが私は必要だと思うのですよ。いかがですか。
#279
○佐藤(勝)政府委員 労働時間の短縮のためには所定外労働時間の削減ということが重要な要素でございますから、その時間外労働削減のための方策の方向というものは、これは労働時間短縮推進計画の中の内容になるかと思います。
 それから、具体的な問題としまして、時間外労働協定の適正化指針につきましては、現在既に見直しの作業を進めているところでございますので、これにつきましては、早急に結論を出して、かつ、そういうものに基づいて時間外労働の削減を行っていくための政策の方向というものをその計画の中でうたっていくということも必要でございましょうし、また、時間外割り増し率の問題は、これは時間外労働の削減のために非常に重要な手段であるという有力な意見がございますけれども、この問題につきましては、具体的にどうするかということにつきましては、現在中央労働基準審議会で鋭意検討している最中でございますので、そういうものを踏まえて、結論をいただいた後に必要な措置をとってまいりたい、こういうふうに思っております。
#280
○伊藤(英)委員 労働大臣に決意をお伺いしたいのですけれども、私は、これはまた先回の本委員会でも申し上げたのですが、今回のこの法案は、時間短縮の問題に関していいますと、いわば日本はこういう部分では未熟な状況だからこういう法律をつくるのかなというふうに考えられるかもしれませんね。いわば経過措置としてやむを得ないなというふうには思うのです。しかし、できるだけ早くこういう法律は廃止できるような状況にしたいなというふうに思いますね。そして、あくまで基本にのっとって労働基準法の改正をしてやらなければならぬ、こう思います。だから、そういう労働基準法の改正ということについての決意をお伺いして、私の質問を終わります。
#281
○近藤国務大臣 先生から、未熟な社会だから未熟な措置だとお話がございましたが、お言葉でございますが、未熟というか、私たちはそれだけ丁寧に物を考えて、そして時間短縮を話し合いをしながら、できるだけ円滑にやっていただけるためのいろいろなことを配慮した考えだ、こういうふうに思っているわけでございます。
 いずれにしても、御案内のようにこれは五年間の時限立法でございますから、この法律施行によりまして時短が着実に進みまして、まさにこの法案に基づくいろいろな施策の必要性がなくなるような状況を早くつくることが大事だ、かように考えているわけであります。
 御指摘の労働基準法の改正でございますが、平成三年四月から、改正労働基準法附則の見直し規定に基づきまして、現在中央労働基準審議会において、週四十時間労働制の問題も含め労働時間法制全般についての検討を行っていただいているところでございまして、労働省としては、この検討結果に基づき所要の措置を速やかに講じてまいる所存でございます。
#282
○伊藤(英)委員 終わります。
#283
○川崎委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#284
○川崎委員長 この際、本案に対し、大野功統君外三名及び金子満広君から、それぞれ修正案が提出されております。
 提出者より順次趣旨の説明を求めます。永井孝信君。
    ―――――――――――――
 労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案に
  対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#285
○永井委員 ただいま議題となりました労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、労働大臣は、労働時間短縮実施計画の承認に当たっては、関係事業場の労働者の意見を聞くように努めるものとすることであります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#286
○川崎委員長 金子満広君。
    ―――――――――――――
 労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案に
  対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#287
○金子(満)委員 ただいま議題となりました労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案に対する修正案につきまして、日本共産党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府提出の原案は、労働時間短縮促進をうたいながら、そこには何ら具体的な目標が示されていません。
 また、各事業場に設置される労働時間短縮推進委員会の委員は事業主の指名とされており、法案の委員会選出規定に従えば、すべての労働組合の代表の参加を認めておりません。同時に、この法案は、労働条件は労使が対等の立場で決定するという労働者の当然の権利、労使協定やそのための団体交渉権の否定にもつながるものであります。これが、憲法、労働組合法によって保障されている労働基本権の抑制、侵害になることは明らかであります。
 さらに、一定の条件を満たす委員会の決議があった場合、三カ月単位の変形労働時間制などの労働基準監督署への届け出義務を免除しようとしております。これは、労働基準監督行政の明白な後退と言わなければなりません。
 我が党は、基本的には、労働時間の短縮は労働基準法の抜本的改正によって行うべきであると考え、既にその提案も発表しておりますが、政府が労働時間の短縮促進を目的とした法案を提出してきた以上、最小限、次の諸点について修正を行う必要があります。
 我が党の修正案は、次の四つの内容を持っております。
 その第一は、労働時間短縮の具体的目標を明示し、可及的速やかにそれを実施することとしております。すなわち、一日拘束八時間、完全週休二日、週四十時間労働制を実現すること。時間外労働の上限を一日二時間、月二十時間、年間百二十時間とすること。年次有給休暇を最低二十日とすること。
 第二は、労働時間短縮推進委員会は、この具体的目標を達成することを目的とし、その構成の半数を占める労働者代表には、各事業場におけるすべての労働組合の代表を含むこと。また、労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者をもってこれに充てること。
 第三は、労働時間短縮推進委員会で決議がなされた場合でも、三カ月単位の変形労働時間制、一週間単位の非定型的変形労働時間制及びみなし労働時間制にかかわる届け出義務を免除せず、現行労働基準法どおり労働基準監督署への届け出を要するものとすること。
 第四は、労働時間短縮に困難が予想される中小企業に対しては、資金の援助など必要な助成を行うこと。
 以上が、本修正案提出の趣旨であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いし、提案の説明といたします。
#288
○川崎委員長 以上で両修正案についての趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#289
○川崎委員長 日本共産党から討論の申し出がありますが、理事会の協議により、御遠慮願うことにいたしましたので、そのように御了承願い、直ちに採決に入ります。
 労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案及びこれに対する両修正案について採決いたします。
 まず、金子満広君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#290
○川崎委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。
 次に、大野功統君外三名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#291
○川崎委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#292
○川崎委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#293
○川崎委員長 この際、本案に対し、大野功統君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。大野功統君。
#294
○大野(功)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案に対する附帯決議(案)
  ゆとりある勤労者生活の実現、国際社会との調和ある発展等の観点から労働時間を速やかに短縮することが国民的課題となっていることにかんがみ、政府は次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 労働時間の短縮については、関係省庁間の連携・協力を一層強化し、政府が一体となって推進するようにすること。
 二 本法の施行により労働時間の短縮が円滑に推進されるよう、本法の趣旨、内容について、事業主団体等に対する周知を図るとともに、地方労働基準審議会や地方労働時間問題懇談会等の場を活用して、業種や地域の実情に応じた労働時間短縮の進め方について十分な論議が行われるようにするなど、関係者の合意形成の促進に努めること。
 三 労働時間短縮推進委員会に係る労働基準法の適用の特例については、その運用に当たり、労働基準法の趣旨に反することがないよう十分留意すること。
 四 労働基準法の見直しについては、中央労働基準審議会における結論が得られ次第、速やかに改正法案を国会に提出すること。
 五 労働基準法の履行確保、労働時間短縮の一層の促進を図るため、労働基準監督官等の増員をはじめ労働基準行政体制の充実強化を図ること。
以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#295
○川崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 大野功統君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#296
○川崎委員長 起立多数。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。近藤労働大臣。
#297
○近藤国務大臣 ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
    ―――――――――――――
#298
○川崎委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#299
○川崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#300
○川崎委員長 この際、内閣提出、参議院送付、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認を求めるの件の両案件を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。近藤労働大臣。
    ―――――――――――――
 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案
 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#301
○近藤国務大臣 ただいま議題となりました障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 障害者の雇用対策につきましては、障害者の雇用の促進等に関する法律を中心といたしまして、鋭意その推進に努めてまいったところであります。また、本年は国連障害者の十年の最終年に当たり、国の内外において障害者問題に関する意識の高まりがかつてないほど見られるところであります。
 しかしながら、障害者の社会参加の指標ともいうべき実雇用率は、一・三二%と法定雇用率一・六%から大きく隔たっており、重度障害者を中心として雇用の立ちおくれが見られ、障害の重度化に伴う対策の強化が求められているところであります。また、昭和六十二年の改正により、障害者の雇用の促進等に関する法律は、その対象を身体障害者のみならず精神薄弱者、精神障害者等すべての障害者に拡大したところでありますが、これら精神薄弱者や精神障害者に関する施策のさらなる前進も望まれているところであります。このような状況に対する施策を含め、障害者の雇用対策は、今後さらに、総合的かつ計画的・段階的に進められていくことが重要であります。
 これらの問題につきまして、障害者雇用審議会におきまして、御議論いただきましたところ、昨年十二月に「障害者雇用対策の今後の方向について」の全会一致の意見書が提出されたところであります。
 このような状況にかんがみ、政府といたしましては、同意見書に基づきこの法律案を作成し、同審議会にお諮りした上、ここに提出した次第であります。
 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、労働大臣が障害者雇用対策基本方針を策定し、今後の障害者雇用対策の総合的かつ計画的・段階的な展開のあり方について定めるとともに、障害の種類及び程度に応じたきめ細かな対策を講じることとしております。
 第二は、重度障害者の雇用対策の推進のための施策の充実であります。
 すなわち、重度障害者の中には、精神的・肉体的問題、通勤・通院問題等により、いわゆるフルタイムによる雇用が困難な者が多いことから、重度障害者については、短時間雇用の形態によるものであっても、身体障害者雇用率制度等の対象とすることとしております。また、重度障害者の雇用の安定が図られるためには、職場において作業補助等を行う介助者の配置等障害者の障害の種類及び程度に応じた職場環境の整備が望ましいことから、身体障害者雇用納付金制度に基づく助成金の支給目的を雇用の継続にまで広げて、これらの措置に対しても支給できることとしております。
 第三は、精神薄弱者・精神障害回復者等の雇用対策の充実であります。
 重度精神薄弱者は、その雇用に伴う事業主の負担が相当に大きい状況にあることから、身体障害者雇用率制度等の適用に当たっては、このような負担が適正に評価され、調整されるよう、重度身体障害者と同様に取り扱うこととしております。また、精神障害回復者等の雇用についても、身体障害者雇用納付金制度に基づく助成金の支給の対象とすることとしております。
 なお、この法律は、平成四年七月一日から施行することとしておりますが、身体障害者雇用率制度等に係る部分は、平成五年四月一日から施行することとしております。
 以上、この法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 近年、職業生活の中でその能力を有効に発揮したいという希望を持つ女性が増加している中で、それぞれの就業ニーズに応じたきめ細かな再就職援助措置を講じていくことが重要になっていることにかんがみ、労働省では、平成三年度から、女子の就業希望登録、離職期間中の職業情報の提供、職業講習、きめ細かな職業紹介サービス等を内容とするレディス・ハローワーク事業を実施しております。
 この案件は、レディス・ハローワーク事業を専門的に推進する組織として公共職業安定所の出張所を横浜市、神戸市及び福岡市の三カ所に設置するほか、近年の地域における労働市場の変化や産業構造、企業立地の動向等を踏まえ、公共職業安定所の出張所二カ所を設置することについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、国会の御承認を求めようとするものであります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承認くださいますようお願いを申し上げます。
#302
○川崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る二十二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト