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1992/05/22 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第8号
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1992/05/22 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第8号

#1
第123回国会 労働委員会 第8号
平成四年五月二十二日(金曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 川崎 寛治君
   理事 愛野興一郎君 理事 大野 功統君
   理事 住  博司君 理事 長勢 甚遠君
   理事 三原 朝彦君 理事 岩田 順介君
   理事 永井 孝信君 理事 河上 覃雄君
      赤城 徳彦君    今津  寛君
      衛藤 晟一君    亀井 久興君
      平沼 赳夫君    福永 信彦君
      船田  元君    森  英介君
      山口 俊一君    岡崎 宏美君
      沖田 正人君    五島 正規君
      鈴木  久君    外口 玉子君
      井上 義久君    中村  巖君
      金子 満広君    伊藤 英成君
      徳田 虎雄君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 近藤 鉄雄君
 出席政府委員
        労働大臣官房長 齋藤 邦彦君
        労働省職業安定 若林 之矩君
        局長
        労働省職業安定
        局高齢・障害者 征矢 紀臣君
        対策部長
        労働省職業能力 松本 邦宏君
        開発局長
 委員外の出席者
        文部大臣官房審 遠山 耕平君
        議官
        厚生省保健医療 廣瀬  省君
        局精神保健課長
        厚生省社会局更 松尾 武昌君
        生課長
        厚生省児童家庭 田中耕太郎君
        局障害福祉課長
        厚生省保険局医 小野 昭雄君
        療課長
        労働委員会調査 下野 一則君
        室長
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十二日
 辞任         補欠選任
  赤城 徳彦君     今津  寛君
  齋藤 邦吉君     森  英介君
  田澤 吉郎君     亀井 久興君
  野呂田芳成君     山口 俊一君
  林  義郎君     福永 信彦君
  平田辰一郎君     衛藤 晟一君
  池端 清一君     沖田 正人君
同日
 辞任         補欠選任
  今津  寛君     赤城 徳彦君
  衛藤 晟一君     平田辰一郎君
  亀井 久興君     田澤 吉郎君
  福永 信彦君     林  義郎君
  森  英介君     齋藤 邦吉君
  山口 俊一君     野呂田芳成君
  沖田 正人君     池端 清一君
    ―――――――――――――
五月二十一日
 パートタイム労働法早期制定に関する請願(東
 順治君紹介)(第二三〇八号)
 短時間労働者保護法の制定に関する請願(近江
 巳記夫君紹介)(第二三〇九号)
 同(菅直人君紹介)(第二三一〇号)
 同(阿部未喜男君紹介)(第二三六八号)
 同(赤松広隆君紹介)(第二三六九号)
 同(秋葉忠利君紹介)(第二三七〇号)
 同(網岡雄君紹介)(第二三七一号)
 同(有川清次君紹介)(第二三七二号)
 同(五十嵐広三君紹介)(第二三七三号)
 同(井上一成君紹介)(第二三七四号)
 同(井上普方君紹介)(第二三七五号)
 同(伊東秀子君紹介)(第二三七六号)
 同(伊藤茂君紹介)(第二三七七号)
 同(伊藤忠治君紹介)(第二三七八号)
 同(池田元久君紹介)(第二三七九号)
 同(池端清一君紹介)(第二三八〇号)
 同(石井智君紹介)(第二三八一号)
 同(石橋大吉君紹介)(第二三八二号)
 同(岩田順介君紹介)(第二三八三号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第二三八四号)
 同(宇都宮真由美君紹介)(第二三八五号)
 同(上田卓三君紹介)(第二三八六号)
 同(上田哲君紹介)(第二三八七号)
 同(上田利正君紹介)(第二三八八号)
 同(上原康助君紹介)(第二三八九号)
 同(遠藤登君紹介)(第二三九〇号)
 同(小川国彦君紹介)(第二三九一号)
 同(小川信君紹介)(第二三九二号)
 同(小澤克介君紹介)(第二三九三号)
 同(小野信一君紹介)(第二三九四号)
 同(緒方克陽君紹介)(第二三九五号)
 同(大出俊君紹介)(第二三九六号)
 同(大木正吾君紹介)(第二三九七号)
 同(大畠章宏君紹介)(第二三九八号)
 同(岡崎トミ子君紹介)(第二三九九号)
 同(岡崎宏美君紹介)(第二四〇〇号)
 同(岡田利春君紹介)(第二四〇一号)
 同(沖田正人君紹介)(第二四〇二号)
 同(加藤繁秋君紹介)(第二四〇三号)
 同(加藤万吉君紹介)(第二四〇四号)
 同(川崎寛治君紹介)(第二四〇五号)
 同(川島實君紹介)(第二四〇六号)
 同(川俣健二郎君紹介)(第二四〇七号)
 同(木間章君紹介)(第二四〇八号)
 同(貴志八郎君紹介)(第二四〇九号)
 同(北川昌典君紹介)(第二四一〇号)
 同(北沢清功君紹介)(第二四一一号)
 同(串原義直君紹介)(第二四一二号)
 同(小岩井清君紹介)(第二四一三号)
 同(小林恒人君紹介)(第二四一四号)
 同(小林守君紹介)(第二四一五号)
 同(小松定男君紹介)(第二四一六号)
 同(小森龍邦君紹介)(第二四一七号)
 同(五島正規君紹介)(第二四一八号)
 同(後藤茂君紹介)(第二四一九号)
 同(輿石東君紹介)(第二四二〇号)
 同(左近正男君紹介)(第二四二一号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第二四二二号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第二四二三号)
 同(佐藤敬治君紹介)(第二四二四号)
 同(佐藤泰介君紹介)(第二四二五号)
 同(佐藤恒晴君紹介)(第二四二六号)
 同(佐藤徳雄君紹介)(第二四二七号)
 同(斉藤一雄君紹介)(第二四二八号)
 同(沢田広君紹介)(第二四二九号)
 同(沢藤礼次郎君紹介)(第二四三〇号)
 同(志賀一夫君紹介)(第二四三一号)
 同(渋沢利久君紹介)(第二四三二号)
 同(渋谷修君紹介)(第二四三三号)
 同(嶋崎譲君紹介)(第二四三四号)
 同(清水勇君紹介)(第二四三五号)
 同(新村勝雄君紹介)(第二四三六号)
 同(新盛辰雄君紹介)(第二四三七号)
 同(鈴木喜久子君紹介)(第二四三八号)
 同(鈴木久君紹介)(第二四三九号)
 同(関晴正君紹介)(第二四四〇号)
 同(関山信之君紹介)(第二四四一号)
 同(仙谷由人君紹介)(第二四四二号)
 同(田口健二君紹介)(第二四四三号)
 同(田中昭一君紹介)(第二四四四号)
 同(田中恒利君紹介)(第二四四五号)
 同(田邊誠君紹介)(第二四四六号)
 同(田並胤明君紹介)(第二四四七号)
 同(高沢寅男君紹介)(第二四四八号)
 同(竹内猛君紹介)(第二四四九号)
 同(竹村幸雄君紹介)(第二四五〇号)
 同(武郎文君紹介)(第二四五一号)
 同(谷村啓介君紹介)(第二四五二号)
 同(辻一彦君紹介)(第二四五三号)
 同(筒井信隆君紹介)(第二四五四号)
 同(常松裕志君紹介)(第二四五五号)
 同(戸田菊雄君紹介)(第二四五六号)
 同(外口玉子君紹介)(第二四五七号)
 同(土井たか子君紹介)(第二四五八号)
 同(土肥隆一君紹介)(第二四五九号)
 同(時崎雄司君紹介)(第二四六〇号)
 同(富塚三夫君紹介)(第二四六一号)
 同(中沢健次君紹介)(第二四六二号)
 同(中西績介君紹介)(第二四六三号)
 同(中村正男君紹介)(第二四六四号)
 同(永井孝信君紹介)(第二四六五号)
 同(野坂浩賢君紹介)(第二四六六号)
 同(馬場昇君紹介)(第二四六七号)
 同(長谷百合子君紹介)(第二四六八号)
 同(鉢呂吉雄君紹介)(第二四六九号)
 同(早川勝君紹介)(第二四七〇号)
 同(日野市朗君紹介)(第二四七一号)
 同(藤田高敏君紹介)(第二四七二号)
 同(細川律夫君紹介)(第二四七三号)
 同(細谷治通君紹介)(第二四七四号)
 同(堀昌雄君紹介)(第二四七五号)
 同(堀込征雄君紹介)(第二四七六号)
 同(前島秀行君紹介)(第二四七七号)
 同(松浦利尚君紹介)(第二四七八号)
 同(松原脩雄君紹介)(第二四七九号)
 同(松前仰君紹介)(第二四八〇号)
 同(松本龍君紹介)(第二四八一号)
 同(三野優美君紹介)(第二四八二号)
 同(水田稔君紹介)(第二四八三号)
 同(武藤山治君紹介)(第二四八四号)
 同(村山富市君紹介)(第二四八五号)
 同(目黒吉之助君紹介)(第二四八六号)
 同(元信堯君紹介)(第二四八七号)
 同(森井忠良君紹介)(第二四八八号)
 同(安田修三君紹介)(第二四八九号)
 同(安田範君紹介)(第二四九〇号)
 同(山内弘君紹介)(第二四九一号)
 同(山口鶴男君紹介)(第二四九二号)
 同(山下八洲夫君紹介)(第二四九三号)
 同(山中邦紀君紹介)(第二四九四号)
 同(山中末治君紹介)(第二四九五号)
 同(山花貞夫君紹介)(第二四九六号)
 同(山元勉君紹介)(第二四九七号)
 同(吉岡賢治君紹介)(第二四九八号)
 同(吉田和子君紹介)(第二四九九号)
 同(吉田正雄君紹介)(第二五〇〇号)
 同(和田貞夫君紹介)(第二五〇一号)
 同(和田静夫君紹介)(第二五〇二号)
 同(渡部行雄君紹介)(第二五〇三号)
 同(渡辺嘉藏君紹介)(第二五〇四号)
 同(阿部昭吾君紹介)(第二五〇五号)
 同(東祥三君紹介)(第二五〇六号)
 同(井上義久君紹介)(第二五〇七号)
 同(石田祝稔君紹介)(第二五〇八号)
 同(河上覃雄君紹介)(第二五〇九号)
 同(北側一雄君紹介)(第二五一〇号)
 同(倉田栄喜君紹介)(第二五一一号)
 同(玉城栄一君紹介)(第二五一二号)
 同(中村巖君紹介)(第二五一三号)
 同(日笠勝之君紹介)(第二五一四号)
 同(平田米男君紹介)(第二五一五号)
 同(宮地正介君紹介)(第二五一六号)
 同(森本晃司君紹介)(第二五一七号)
 同(遠藤和良君紹介)(第二六三二号)
 同外一件(大野由利子君紹介)(第二六三三号
 )
 同(鍛冶清君紹介)(第二六三四号)
 同(竹内勝彦君紹介)(第二六三五号)
 同(西中清君紹介)(第二六三六号)
 同(春田重昭君紹介)(第二六三七号)
 同(薮仲義彦君紹介)(第二六三八号)
 パートタイム労働者に関する法の整備に関する
 請願(北沢清功君紹介)(第二六二九号)
 同(串原義直君紹介)(第二六三〇号)
 同(清水勇君紹介)(第二六三一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 小委員会における参考人出頭要求に関する件
 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出第五九号)(参議院送
 付)
 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき
 、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認を
 求めるの件(内閣提出、承認第二号)
 職業能力開発促進法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第五八号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
#2
○川崎委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認を求めるの件の両案件を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。住博司君。
#3
○住委員 ことしは国連障害者の十年の最終年に当たり、これまでの十年間で、完全参加と平等というスローガンのもとに障害を持つ人を取り巻く環境というものも、いろいろと課題は残ってはいるけれどもよい方向に進みつつあるのだ、私はこういうふうに思っています。そんな中で、労働省は、障害者の雇用問題をまさに最重点の一つに掲げて施策推進の原動力として役割を果たしてこられました。私なりに高く評価をしているところなんです。
 私は常々、障害を持っている人々がいわゆる健常の方々、この健常者の方というのは言い方を何か変えた方がいいのかなと思うことがありますが、健常者の方々と一緒の職場で可能な限り同じような条件で働いていただきたい、そして働く環境をつくっていただきたい、そのためには設備の面とか待遇の面とか多少お金がかかってもいいのではないか、言い過ぎかもしれませんけれども、そんな考えで事業主の方々にも努力を求めるべきではないかと考えている者の一人です。
 前段がちょっと長くなりましたけれども、この障害者の十年を総括して、労働省として障害者問題にどう取り組んで対処してこられたのか、まずその点をお伺いをいたしたい、こう思います。
#4
○若林政府委員 国連障害者の十年の間におきましては、障害者対策に関します長期計画及び障害者対策に関する長期計画・後期重点施策に基づきまして、重度障害者を最大の重点に置きながら、可能な限り一般雇用の場を確保することを基本方針として対策を講じてまいったところでございます。
 十年間の対策は、いろいろと講じてまいったわけでございますけれども、その主要な点を申し上げますと、まず第一に、昭和六十二年に身体障害者雇用促進法を「障害者の雇用の促進等に関する法律」に改正をいたしたわけでございます。この中で、実雇用率の算定に当たりまして精神薄弱者をカウントするという措置を講じたところでございます。また、同年職業能力開発促進法の一部を改正いたしまして、法律の対象となる者の範囲を、身体障害者から精神薄弱者等を含むすべての障害者に拡大をいたしました。また、重度視覚障害者に係る介助者に関します助成制度を六十三年に創設をいたしました。さらに、重度精神薄弱者に係ります。務遂行援助者に対する助成制度の創設を平成元年に行ったところでございます。また、五十八年には第三セクター方式による重度障害者雇用企業育成事業の実施を行いました。今年はILOの百五十九号条約、職業リハビリテーション条約の批准をお願いいたしました。今回、また、障害者雇用促進法の改正をお願いしているところでございます。
#5
○住委員 十年間というのは簡単に言うこともできない、その間に労働省も多分相当ほかの省庁との折衝等も含めていろいろと御苦労なさったんだと思います。
 昭和六十二年の法律改正というのは、まさに対象を障害者全般に広げるという意味で大変大きな意味を持っていたと私は思っているのですが、その六十二年以降を見てみますと、雇用される人の数はふえているけれども、雇用率で見るとやはり法定雇用率は下回っていて横ばい状態。ここ数年は特にそうだ。それから、重度障害者の面で重点を入れておられるといっても、やはり立ちおくれは否めないということが挙げられると思います。こういう指摘はどうしても受けざるを得ない状況にあるというふうに私は思うわけです。
 今回の法改正の中の目玉の一つというのでしょうか柱の一つに、重度障害者への配慮そして雇用安定への志向ということがあるというふうに思いますけれども、これまでですと、どうしても雇い入れの入り口の部分、つまり、採用するときの助成についてはいろいろと面倒を見ます、しかし助成の期間が終わってしまうとそれで切れてしまう、おやめいただかなければいけない、離職せざるを得なくなる状況があるというようなことがありました。
 そこのところに今度は光を当てられるというわけですけれども、それでは、具体的にどんな措置を新たに加えられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#6
○征矢政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、特に重度障害者の方につきましては、雇用の促進を図ることとあわせて雇用の安定、継続を図りませんと真の意味での社会参加、復帰にならないという観点から、今回の法律改正とあわせまして、具体的に申し上げますと、重度聴覚障害者に対する手話通訳担当者あるいは重度内部障害者等に対します健康相談医師、重度視覚障害者に対する介助者あるいは重度精神薄弱者等に対する業務遂行援助者、こういうような対策を現在とっているわけでございます。これは納付金に基づいて助成金を支給しているわけでございますが、これが従来雇い入れという観点から二年ないし三年ということでございました。これを抜本的に変えまして、雇用の継続、安定ということを法律に明定することとあわせて、最大限雇い入れから十年間この助成を支給できることといたしております。
 それからもう一つの問題点といたしまして、一遍助成金の支給対象となりました作業設備が老朽化した場合等におきまして、これをさらに更新する場合の助成がなかったわけでございますけれども、今回はこの更新につきましても新たに助成することといたしております。
 あわせまして、重度障害者である短時間勤務の労働者、これについて今回新たに法律制度の適用をいたすわけでございますが、精神障害の方で一定の回復をした方、こういう方につきましても助成金を支給するというようなことを考えているところでございます。
#7
○住委員 ぜひそれはきちんとやっていただきたいと思うのですが、一つ確認をしておきたいのです。
 例えば、重度精薄者の業務の遂行補助をされている人が三年になっていますね。三年で期限が切れたその後この新たな措置を加えるときに、これは七年それにプラスすることができるというふうに考えてよろしいわけでしょうか、それからまたさらに新しくやり直してやらなければいけないというふうに考えればいいのか、延長という方向だと思うのですけれども、ちょっとそこの点についてお答えいただきたいと思います。
#8
○征矢政府委員 御指摘のとおりでございまして、現在例えば三年間の助成をいたしている方についてことしその期限が来たという場合には、その切れた時点で新たに助成金の申請をしていただきまして、三年についてさらに七年間の助成金を支給するというような考え方でございます。
 したがいまして、いずれにいたしましても、トータルで十年間の助成ができるようにするという考え方で対処いたしたいと思います。
#9
○住委員 今度の改正のもう一つの柱に、重度の方について短時間雇用でも通常勤務とみなして実雇用の数の中に算入していくという考え方があります。
 フルタイムだとだめだとか、短時間でなければ難しいという人のケースを考えてみますと、私なりに、例えば通院治療のための時間をどうしても割がなければならないとか、あるいは作業そのものを長くすると精神的にも肉体的にもとても耐えられないとか、混雑する時間帯の通勤は難しいとか、いろいろと私たちは思いつくんだけれども、実際には本当にどうなんだろうかというところを労働省としても把握をしておられるはずだと思う。こういう詳しい調査というのはやられておられるのかどうか、そしてそれに基づいてこういうことを考えられたのかということがまず第一点。
 それからもう一つ、今度は逆の考え方で、法律はそういうふうには規定はしていないかもしれませんけれども、フルタイムで働ける人でも、逆に、短時間の方にいったらどうですかみたいなことを例えば事業主の方から言われないのか、そんなことについての担保はどうなっているのか、その点についてお答えをいただきたい、こう思います。
#10
○征矢政府委員 第一点目の御指摘のような調査でございますが、これは率直に申し上げましてそういう統計的な調査はございません。個別に私ども行政の出先機関で行政を進める際に、いろいろな話をお聞きするときにそういう問題指摘がございます。
 それから、今回の対策につきましては、昨年来、障害者雇用審議会、これは労使、公益それから障害者団体の四者構成でございますが、そこで対策についていろいろ御議論をいただきまして、その全会一致の意見書に基づいてこの法律の案をつくったわけでございますが、その際に、御指摘のような短時間勤務についてぜひ必要であるというのが一致した御意見でございました。そういうような考え方に基づいて実施いたしたいと考えておるところでございます。
#11
○住委員 ぜひその法律の趣旨に基づいて、働いている障害者の方々が本人の意思とは違った方向で時間を決められるというようなことのないようにぜひきちんと趣旨を徹底していただきたい、こう思う次第です。
 もう一つは、障害を持っている人というのは、程度の差とか障害部位の違いとかまさに千差万別だ、こう思うのですね。ですからこそ、短時間勤務についてもいろいろな考え方が出てくるのだろう、こう思うわけです。また、いろいろな障害の中身についても違う、個別的にもいろいろと違ってくるのだと思うのです、それで、今まではちょっと概括的に聞いてきたのですけれども、個別的にも伺いたいと思うのです。
 精神薄弱者の方についてですけれども、さっきの昭和六十二年の改正でまさにほぼ同様の措置の中に組み入れられた。しかしながら、能力開発という面からすると、どうも実態と違っているのじゃないのか。例えば、いろいろな仕事を覚えたとしても実際に作業しているところに、本格的に就業の場に入っていくと、なかなか覚えた仕事がうまく生かせないとか、いろいろな面があるのだろう、こういうふうによく聞かされるのですね。
 そういう意味で、精神薄弱者の方々の雇用対策をこれから能力開発の面も含めてどのように進めていこうとされているのか、その基本的な考え方を簡単にお聞かせいただきたいと思います。
#12
○松本(邦)政府委員 精神薄弱者の能力開発につきましては、今先生御指摘のように、六十二年の法改正で対象として加えたわけでございますが、その年から国立の障害者職業訓練校で精神薄弱者向けの訓練コースというのを設置しております。県立の中ではその前から設置をしておりました科も幾つもございまして、現在、就職率という点で見ますと大変高率でございまして、手元には平成元年の数字がございますが、一番悪いところでも九〇%ぐらいでほとんどが一〇〇%という就職率でございますから、そういう意味では就職はうまくいっていると思います。
 問題は、今先生御指摘のように、就職した後が果たしてうまくいっているかどうか、それまでのチェックはいたしておりませんので、その辺については、訓練内容等については事業主の方々ともよく御相談しながらやらなければならないかと思っております。
 今後も、一つは、一般の訓練校においても、一般の方と同じような形で訓練ができる方についてはそちらでできるだけ訓練をするということで、それが難しい人については特別のコースを設置していく、こういう考え方でいきたいと思っておりますが、やはり精神薄弱者の方についてめ訓練科をつくるというごとになりますと、職種の問題がありますのと、訓練科という形でつくりますからには一定の人数が継続的に需要として見込めるかどうか、そういった点があるわけでございますので、その辺を地域の事業主の方と十分御協議しながら科目設定を図っていきたい、かように考えております。
#13
○住委員 言ってみれば就職率だけで、先ほど言いました入り口だけで議論をしてしまうと、どうしても後のフォローができない。そういう意味で、今度の助成措置も含めて大変大きな意味を持っていると思うので、ぜひ精薄者の方々の定着率を高めるように、そして、そういう方々がまさに意欲を持って仕事ができるような環境をおつくりをいただきたい、こう思う次第です。
 そういう障害者の方々にとってどのような仕事を手にしていくのかというのは、大変大きな意味を持つわけですね。そこで重要な役割を果たすのが授産施設だ、こういうふうに言われる。
 授産施設は、直ちに一般企業に雇用されることの困難な方に必要な訓練を行いつつ、仕事を持ってもらって経済的な自立を図ってもらうという目的を持っている。これはもう大体わかっていることなのですけれども、こういう施設に行きまして私どもがよく聞きますのは、費用徴収の問題であります。施設での工賃収入よりも費用徴収額の方が上回ってしまっている、何とかならないのだろうかということなのですね。費用徴収の制度は社会福祉全般に行われているわけですけれども、工賃を上回ってしまっているのではまさに働く意欲を阻害しかねないじゃないか、そんな心配もあるわけです。
 厚生省の方に今の仕組みと授産施設のあり方についても含めて現状認識をお聞かせをいただきたいし、こうした声にどういった形でこたえていこうとしておられるのか、その点を端的にお伺いをいたしたいと思います。
#14
○松尾説明員 身体障害者授産施設につきましては、概略先生のお話がありましたが、私の方から改めて申し上げますと、直ちに一般企業に雇用されることの困難な障害者に対しまして必要となる訓練を行い、かつ職業を与え自活させる、こういう社会施設でございます。
 この授産施設の運営に当たりましては、措置費といたしまして、運営費や入所者の生活費を公費で負担しております。したがいまして、他の社会施設と同様その負担能力に応じて応分の負担をしていただいている、こういう現状でございます。
 この場合の負担能力の認定に当たりましては、これも他の社会施設と同様でございますが、障害者の受けます年金や工賃あるいは財産収入等の実収入全体の収入額から日用品費等の必要な経費を控除して決定しております。障害者間の公平、こういうことも配慮しているところでございます。
 先生御指摘の問題でございますが、障害者の方々にこの費用徴収制度をよく理解していただくということも大事でございますし、それから、授産施設でございますから工賃収入を引き上げる、こういう努力も今後必要だと思っております。
 現在、授産施設制度全体につきまして検討委員会を設けておりまして、この問題も含め授産施設のあり方について鋭意議論をお願いしております。この結果を踏まえまして、今後十分検討してまいりたいと思っております。
#15
○住委員 もう少し詳しく聞きたいところもありますけれども、ぜひ前向きに取り組んでいただいて、そういう声に対して少しでもおこたえをするような姿勢はお示しをいただきたい、こう思うところであります。
 それから、精神障害の方々についてなのですけれども、職場適応訓練の対象となっている精神分裂症、躁うつ、てんかんにかかっている人で症状の安定している人を雇い入れる場合に一定の助成金を支給している、こういうふうになっているわけですね。ただ、精神障害者の場合、プライバシーの問題等人権にも相当配慮しなければならないと思うわけですけれども、支給対象となる人をいかにしてお決めになるのか、その点についてどのようにお考えになっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
#16
○若林政府委員 精神障害者の方々の仕事のお世話に当たりましては、ただいま先生御指摘のようなプライバシーの問題、人権の問題に十分に配慮して仕事を進めなければならないということでございまして、一線の職員もそこに十分に配慮して仕事を進めているわけでございますけれども、今回、一定の精神障害者、ただいま御指摘の精神分裂症、躁うつ病またはてんかんにかかっている者で症状が安定している、こういう方々を雇用する事業主に対しまして、助成金を支給することによりまして雇用促進を図ることといたしておりますけれども、その支給に当たりましては、ただいま御指摘のような問題に十分配慮いたしまして、御本人が精神障害者たる旨を明らかにした上で公共職業安定所に求職登録をなさったという方を、公共職業安定所の紹介で雇い入れた場合にのみ支給するということにいたしておりまして、御本人が精神障害者たる旨を明らかにしない方については対象にしない、こういう取り扱いにいたしております。
#17
○住委員 それから、障害者の雇用が立ちおくれている企業というのが毎年問題になる。指導勧告にも応じない四社の名前が公表されました。厳正な措置を高く評価をする向きもあるのですけれども、私は、本来それは残念なことだ、こう思うのです。本来これは公表が目的ではなくて、要するに実雇用率を上げることが目的ですから、公表という制裁によって雇用率が上がるなんというふうに短絡的に考えるのはいかがかな、私はこう思っているわけです。労働省もその点をよくお考えをいただきたい、こう思います。
 同時に、労働省は、今まで障害者雇用に積極的に取り組んできたところを大臣表彰なんかをされて、今度はあめの方をいろいろとやってきておられるわけですから、きちんと制度の趣旨を踏まえながら、言ってみれば、あめとむちを使い分けていただきたいということなんですね。結果的に障害者の雇用の促進につなげていただきたい。これは言ってみれば要望みたいなもので、ぜひ制裁ばかりというようなことを言うのではなくて、その両方のバランスをよく考えながら、どうすれば雇用率を上げることができるのかということをお考えをいただきたいということをお願いをしておきたいと思います。
 それから、毎年障害者の雇用状況というのが発表されるのですね。私、かつて記者をやっていましたときから大変気になっていたことがありまして、その点についてお伺いをいたします。
 といいますのは、障害者の雇用総数についてなんですが、去年の十月二十五日の発表によれば二十一万四千八百十四人ということになっている。しかし、現行の雇用率制度からしますと、重度障害者はダブルカウントするということになっていますから、重度の方は法律上二人と計算していることになるわけです。そうすると、発表の雇用総数というのは、実際に働いている障害者の数とはちょっと異なるのではないのかなということがあるのですね。そして、一方、職業安定所に出てきます障害者の求職数というのですか職を求める人の数というのは、言ってみればこれは実数だと思うのですね。そうしますと、そこでどうしてもちょっと乖離が生まれてくるのではないか。別にその乖離がどうのこうの言うわけじゃないですけれども、発表の段階で実雇用、本当の実数としてはこれだけで、実を言うと重度障害者はダブルカウントすることも含めてこういう発表になっているんですよみたいな言い方をされた方が親切じゃないかと私は思うのですが、その点についていかがでしょうか。
#18
○征矢政府委員 毎年六月一日現在におきます障害者の雇用状況報告を求めまして、御指摘のようにその集計結果を発表しているところでございますが、これは、現在の考え方は、現行の雇用率制度が重度障害者は法律に基づいてダブルカウント、こういうことで法定雇用率及び実際の雇用率を算定するというふうにいたしておることから、ダブルカウント後の数値を発表してきているということでございます。
 ただ、ただいま先生御指摘のございましたような問題点もございますので、今後の雇用率の発表内容につきましては、その趣旨を踏まえて検討したいというふうに考えます。
#19
○住委員 要するに、基本は数字で発表するだけが意味があるのではなくて、実際に障害者の方々に対してどんな手だてができるのか、そしてどういうふうな形で就業の機会が与えられているのかということを本当に明確にお示しする方がよろしいのではないか、そんな意味で御質問させていただいたわけであります。
 それから、日本が高度の技術能力を駆使すれば障害者の方々に新たな就業の道が開かれるじゃないか、よくそういうふうに言う意見もありますし、私もそう考えている一人なんです。そんな技術開発も可能だ、こう思っています。
 今までも本来障害者の方にはとても無理だな、こう思われたところも、技術開発で、マイクロエレクトロニクスも含めてそういったもので、ああ、こういうこともできるのだなということができてきたと思うのですね。したがって、今までは本来できないと思っていたような障害を持っている方でもできる範囲がふえてくるのではないか、こう思うわけです。
 労働省の方でも障害者の方が使いやすい機器とかそういったものの開発にもぜひ力を入れるべきだと私は思っているのですけれども、その技術開発の取り組みについて、簡単でよろしいですからお聞かせをいただきたいと思います。
#20
○征矢政府委員 御指摘のとおりでございまして、今後、障害者雇用対策を進めるに当たって一つの大きな重要な方向であるというふうに考えております。
 その点を含めまして、昨年十一月に開所いたしました幕張に設置されております障害者職業総合センター等におきまして、障害者雇用対策についての先駆的あるいは実践的な研究をして、御趣旨のようなことも含めていろいろ調査研究した上でそれを開発をしていく、こういうような考え方で今後対処してまいりたいというふうに考えております。
#21
○住委員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 障害者雇用というのはまさに世界各国共通に抱える重要な課題だと思います。日本に対しても、さまざまな国から職業リハビリの専門家の派遣等国際協力を求める声も強まっていると思います。今回の法案でも、職業リハビリの効率的推進を図るということで、国際協力業務というのが日本障害者雇用促進協会の業務に加えられるということになっているそうですけれども、障害者雇用の面で国際協力の現状、政府としての取り組み、それから民間における取り組み、わかる範囲でお聞かせをいただきたい、こう思います。
#22
○征矢政府委員 国連障害者の十年を通じまして、御指摘のように障害者の職業的自立を図るということにつきまして、例えばアジア諸国を初めとする開発途上国もこれが重要な課題となってきておりまして、我が国の職業リハビリテーションあるいは職場改善等の障害者雇用に係ります技術的事項について、そのノウハウ等について伝達をしてほしいというような要請が高まっているところでございます。
 従来から政府レベルにおきます国際協力の推進に努めてきておるところでございまして、ただ、これも現実には障害者関係につきましては、現在までのところはそう多いわけではございませんが、例えば労災関係の施設等についての助成等が行われてきているところでございます。
 今回は特に民間レベルにおきます国際協力、そういう点について、日本障害者雇用促進協会において、当面現地の関係団体あるいは施設との共催のもとに、現地において障害者雇用国際セミナーというようなものを開催することによって、ただいま申し上げましたような要請にこたえていこうということで手をつけたいと考えているところでございます。
#23
○住委員 時間もなくなってきまして、実を言うと雇用率についての障害の範囲も聞きたかったのですが、ちょっとそれはできませんので、いずれの機会にまたとっておきたいと思います。
 今回の改正では、大臣が障害者の雇用対策基本方針を定めることになりますけれども、大変すばらしいことだと思うのです。しかし、障害者にとって、事は働く場所だけではないというふうに私は常々思っておりまして、例えば交通機関、道路、通勤の際の配慮であるとか、社会参加とは言うけれども公的施設は利用しにくいとか、いろいろと労働省だけで対処することのできない問題というのがたくさんあろうかと思うわけです。まさにこれは政府として総合的に取り組んでいただかなければならない。宮澤内閣は生活大国、こういうふうに言っているので、まさにそれも含めた上でお考えをいただかなければならないと思いますが、社会全体の理解と協力というものがごく自然にできるような仕組みを我々の世の中としてぜひつくっておかなければいけない用
 そんなことも含めまして障害者雇用促進への御決意を大臣からお聞かせをいただければありがたい、こつ思います。
#24
○近藤国務大臣 今いろいろ住先生の御質問を承っておりまして、先生が障害者雇用に寄せる並み並みならぬ御理解と御熱意、御見識に感服する次第でございます。
 私は、先生もおっしゃいましたように、豊かな社会、生活大国、こういうことをうたって目標にしておりますけれども、それは非常に基本的な政策の一つが、心身障害を持たれた方々が健常者と同じような職場でお仕事をされて、そして同じような社会生活をされる、そういうことを担保することが非常に大事である、かように考えておりまして、その意味からも今回法律を御審議いただいて、ぜひひとつ障害者の雇用に一歩前進をしょう、そして、まさに基本計画をつくらせていただいて、これは労働省が中心になりますけれども、関係各省、各大臣にも閣議その他の場でいろいろ御理解を賜って、御協力を賜って十分を期してまいりたい、こう考えているわけでございます。
 最近、私もいろいろ各地を回りますが、例えば体育館、さらに公民館に行っても、障害者用の、いわば車いす用のトイレが出てきていますね。新幹線に乗ったって、スペースは二倍とってしまうのですね。だけれども、あれがある。私は、やはりそういうことがゆとりだと思うのですね。ぎりぎりじゃなしに、そこまでいろいろな点で配慮する。
 ですから、職場の面については私ども担当でございますからいろいろ考えますが、広く障害者の皆さんの社会生活全般についても、まさに公共社会基盤の整備についても、これからもいろいろ努力をさせていただきたい、かように考えております。
#25
○住委員 御丁寧に答弁をいただきまして、ありがとうございました。大臣の御決意も聞いて、障害者雇用をさらに促進することを心から念じて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#26
○川崎委員長 鈴木久君。
#27
○鈴木(久)委員 私は、本日議題となっております公共職業安定所の出張所の設置に関する国会の承認事項と、障害者雇用促進法、双方についてお尋ねをしたいと思います。
 初めに、公共職業安定所の出張所の設置に関する案件からお伺いをしたいと思います。
 今回の承認案件は、レディス・ハローワークなどの新たな事業推進をする、そのために新設する横浜など五カ所の出張所の問題と、同時に、港湾労働関係出張所二カ所、あるいは日雇い労働関係出張所三カ所の廃止という、いってみれば片っ方は新設をして片一方は廃止をするということが承認案件にされておるわけでございますけれども、まずその廃止をする理由、背景、ここのところをお聞かせいただきたい。
#28
○若林政府委員 今回、レディス・ハローワークを初めといたします五つの出張所の新設に伴いまして、五つの労働出張所を廃止することといたしておるわけでございますけれども、これらはいずれも、日雇い求職者数が大幅に減少していることなどに伴いまして、業務量が著しく減少していることを踏まえまして廃止するものでございます。
 労働省は、これまでも労働市場の変化でございますとか、産業構造、企業立地の動向等に対応いたしまして、地域の行政ニーズでございますとか、その時代のニーズというものにこたえるような形で公共職業安定所等の再編整理を図ってまいっておるわけでございまして、今回の件につきましても、こういった基本的な考え方によりまして進めておるものでございます。
#29
○鈴木(久)委員 実は、平成元年の一月二十四日の閣議決定で、いわゆる行革の実施方針として労働省に対する整理統廃合のノルマといったらいいのでしょうか、そういうものが示されていると思いますね。その中で、公共職業安定所及び出張所等については平成五年度末までに二十五カ所を整理するのですよとなっている。既に平成元年に三カ所、二年度に七カ所、三年度に三カ所、四年度に七カ所、計二十カ所は整理が行われている。残り五カ所だ。今度は、そういう意味でいうと、この行革のノルマを達成する五カ所が廃止になった。こういうふうに理解していいのかどうかということが一つ。
 もし、そういう画一的なノルマ達成ということで整理をされていくということになると、今まで行政サービスを受けてきた人々が、これでサービスの低下に陥ったりすることはないのかどうか、ここのところを確認をする意味でしっかりと御答弁いただきたいと思います。
#30
○若林政府委員 御指摘ございましたように、国の地方行政機関につきましては、平成元年一月の閣議決定の「平成元年度に講ずべき措置を中心とする行政改革の実施方針」によりまして、計画的に整理統合することになっておりまして、公共職業安定所と出張所等につきましては、ただいまお話しございましたように、平成五年度までに二十五カ所整理統合することになっておりまして、本件を含めますと、平成四年度までに二十カ所が実施されたことになるわけでございます。
 これは私ども、基本的に、先ほど申し上げましたように、市場の変化でございますとか、それぞれの出先機関が設置されましてから年を経ているわけでございますので、その間に、その地域の労働市場の状況も変わっておりますし、産業構造も変わっております。企業立地の動向も変わっているわけでございますので、新しい状況に応じて再編整理を進めておるわけでございますが、その際に、ただいま申し上げましたような行革大綱の趣旨を踏まえてこういった再編整理を進めてまいっているということでございます。
 こういうようなことを進めていきますと、利用者の方にいろいろと御迷惑をかけるのではないかということでございますけれども、今回の出張所五カ所の廃止につきましては、ただいま申し上げましたように、いずれも日雇い求職者数が大幅に減少しているなど業務量が相当減少しているということでございまして、一方、レディス・ハローワークを初めとする五出張所の新設につきましては、女性の方々の就業意欲の高まりでございますとか、労働市場の変化等を背景とした地域のニーズに的確にこたえようというものでございまして、中央職業安定審議会の御意見ですとか、関係県市町村の御理解もいただいて推進しようというものでございます。
 いずれにいたしましても、先生御指摘のように、利用者の方に御迷惑をかけるということがあってはいけないわけでございまして、今回の労働出張所の廃止が、利用者サービスの低下を招くことのないように努力をしてまいりたいというように考えております。
#31
○鈴木(久)委員 そこで、急に廃止をしてなくなってしまうということは問題があろうと思うのですね。当分の間、暫定措置みたいなことをやる考えはございませんか。
#32
○若林政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、今回五出張所の廃止後の具体的な業務の処理につきましては、当分の間の措置でございますが、廃止となります出張所の現庁舎を利用いたしましたり、隣接労働出張所におきまして業務を実施するなどいたしまして、利用者の方々に極力御迷惑のかからないように配慮をしていきたいというふうに思っております。
#33
○鈴木(久)委員 そこでもう一つ、再確認の意味でお尋ねをするのですが、行革方針のノルマはこれで出張所、安定所の関係は二十五カ所達成された。今後は、いろいろな情勢の変化があるのだろうとは思いますけれども、これで一応行革実施方針の目標を達成したので、これから近い期間の間は安定所の廃止とか出張所の廃止、そういうふうな問題については考えてはいないですね。
#34
○若林政府委員 先ほど申し上げましたように、平成五年度までに二十五カ所ということでございまして、平成四年度で二十カ所ということでございます。
 それ以降の問題はどうなるかということは今後の問題でございまして、これは国全体としての基本的な考え方に沿って対応していくということでございますけれども、私ども基本的に、先ほど申し上げましたように、やはりこういう出先機関ができましてかなりの年月を経ているわけでございますので、それぞれの地域における労働市場の状況でございますとか、あるいは産業構造、あるいはいろいろ企業の立地の動向、そういったものがございますし、また新しいニーズがある。また、従来は大変必要だったけれども、今はそれが比較的少なくなっている、こういったようなケースはいろいろあるわけでございますので、そういったところを、十分に私どもは状況を把握いたしまして、そのときそのときに合った、皆様に十分活用していただけるような、そういった安定所、ハローワークのネットワークをつくっていきたいというふうに考えているところでございます。
#35
○鈴木(久)委員 それで、レディス・ハローワーク事業についてお伺いをしたいと思います。
 まず、本事業を東京と大阪で実施をされましたね。この実施をされた実績といいましょうか、それと、やってみてどういう教訓があったのか。今回それを拡大をするということでございますから、その辺をまずお示しいただきたいと思います。
#36
○若林政府委員 東京、大阪のレディス・ハローワークは、昨年に開設いたしまして業務運営を行っているところでございますが、ことしの三月末日現在の取扱実績でございますが、来所者数は、月平均でございますが、東京が約三千五百十名、大阪が二千三百十名でございます。それから新規の求職者数でございますが、月平均で申しまして、東京が約六百九十人、大阪が千五百六十人でございます。新規求人数でございますが、東京が約三百十、大阪が六百二十でございます。就業希望の登録者数、今は直ちに就職できないけれどもしばらくして就職をしたいということで登録をなすっている方、これが月平均で東京が二百、大阪が四百でございます。それから就職の件数でございますが、月平均で東京が百五十、大阪が二百二十ということでございます。
 そういうことで、レディス・ハローワークではきめ細かな職業相談等のサービス等さまざまな再就職活動の支援を時間をかけて行っております。それから、公共職業安定所から独立した庁舎で来所しやすいレイアウトの工夫などを積極的に行ってまいっております。
 この結果、東京、大阪レディス・ハローワーク合わせまして四万二千人、東京では二万一千人、大阪では二万人という来所者を得ておりまして、これは私ども当初予想した数字を超えて多く利用いただいておりまして、好評をいただいているというふうに思っております。中でも、来所者の方の…分の一は初めて公共職業安定所を利用した方だということでございまして、従来、公共職業安定所を利用なさらなかった層のニーズにもこたえることができているということでございます。
 やはりじっくり御相談をする、また非常に来所していただきやすいレイアウト、そういったものの工夫を加えてまいった、こういうところがこういった好評をいただいている背景にあるのだろうというふうに思っております。
 私ども、こういった点を十分に参考にいたしまして今後のレディス・ハローワークの展開を図っていきたいというふうに考えております。
#37
○鈴木(久)委員 成果が上がりましたということですね。
 それから、問題は、このレディス・ハローワークと銘打って女性のための特別の窓口を職安でつくった。そうしたら、今までの職業安定所の行政がその意味ではどちらかというと男性型だったのでしょうか。余り女性に親切、丁寧に行政をやってこなかった、逆に言うとそういうことになるのかな。本来は、私は、どこの公共職業安定所でも男女区別なく、それこそ機会均等にそういう仕事をするということが基本になければならないんじゃないだろうか、こういうふうに思うんですね。まず、その点をどういうふうにお考えか、お尋ねをいたします。
 同時に、今回いい教訓があったから新たに五カ所をやる、そうですね。五カ所を新たに設置をする。ここでもまたどんどん成果が上がったから全国化しようか、こういうふうにスタンスを広げていくのかどうか。いくとすれば、冒頭申し上げました基本的な職業安定所の行政からちょっとゆがみ、ひずみ、女性だけ別扱いみたいな、逆のそういう安定所行政ができてしまうかもしれない、そんなふうにも感じないわけではないのですね。その点について、今後の方針を含めてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
#38
○若林政府委員 レディス・ハローワークでお世話を申し上げる女性の方々の一番のサービスの目標と申しますものは、育児でございますとかあるいは老親の介護でございますとか、そういったいろいろな御事情で一遍仕事をおやめになったけれどもぜひまた再就職をしたいというような方、再就職についていろいろな阻害の要因がある、そういった問題についてじっくり御相談に応じて、これからの仕事の準備をしていただくということが一番大きな目的でございます。
 そういうことで、できるだけそういう努力をいたしまして、好評をいただいているわけでありますけれども、それでは、そういうことは安定所はどうなのか、私は先生の御指摘のとおりだと思います。私ども全国六百の出先機関を持っておりますけれども、そのところどころで、今言ったような基本的な考えでできるだけきめ細かな時間をかけた相談を申し上げるということが基本であると思っております。そういった面では、高齢者の問題でございますとか障害者の問題につきましては、ほとんどの安定所にその特別のコーナーを設けまして、きめ細かな御相談に応じているわけでございます。
 このレディス・ハローワークにつきましては、もちろん今後もその数をふやしていきたいと思っております。今年度は三カ所お願いをしたいということでございますが、これを今後も伸ばしていきたいと思っておりますけれども、これは全国的にどこにでもということではございませんで、女子の有業率が全国的にいって低い水準にとどまっておりまして、かつ潜在的な女子労働力の絶対数が多い、そういう潜在的女子求職者を一定数以上期待できるそういう大都市部におきまして、そして、そこである意味では集中的に時間をかけたサービスをさせていただくということを考えておるわけでございますので、もとよりこれから各地に展開をしていきたいと思っておりますけれども、だからと申しまして、ずっとあちこちに安定所と同じような形で展開をしていくというような考えはございません。
#39
○鈴木(久)委員 ですから、今後の基本的な方向というか、そこのところがちょっとあいまいなまま、今好評だ、いこうかと、どんどん拡大していくということをおやりになるのは、ちょっと先行き問題を生じると私は思うのですね。むしろ全国にある職業安定所でレディス・ハローワークと同じような意味での機能を持たしていくということも含めて、将来どうするのかということについては、どんどんただ拡大をしていくという方針だけではない、基本部分のところをしっかりお示しいただきたい。これは今のところどんどん拡大をしていくという、暫定的な措置なのかもしれませんけれども、ひとつそこのところだけはしっかりと今後の方針を明示していただきたい。
 同時に、女性の場合はパートバンク、特にこれはほとんど女性なんでしょうけれども、そういう事業も各地でおやりになっているでしょう。ですから、確かに女子の労働力確保というレベルからいったらこういうのが必要なのかもしれませんけれども、本当の意味で男女差別なく職業安定行政というものをするという意味からすると、余りやり過ぎるとゆがみ、ひずみも出るというふうにも思いますので、再度そのことについての今後の方針についてちょっとお尋ねをしたい。
#40
○若林政府委員 ただいま御指摘の点は、私も先生おっしゃるとおりだと存じます。やはりこういったような、ある意味で集中的にそういったサービスを提供するところと、それから各個の安定所のサービス、それをどういうふうに連携させていくか、いわば私どもの一定の職員の中でどういうふうにそのサービスを有機的に展開していくかということは一つの課題であるというふうに思っております。これは、今後このレディス・ハローワークの展開を図りながらそういった点も十分研究いたしまして、有機的にこういったサービスが展開できるようにしていきたいというふうに思っております。
 なお、このレディス・ハローワークは、御理解いただきたいのでございますけれども、決して労働力の確保という観点ではございませんで、先ほど申しましたように、やはり介護でございますとかあるいは育児とか、そういったことでどうしても職場をやめなければならなかったという方々、しかも、そういった面でのいろいろな阻害要因があってなかなか就職が難しいという方がおられますので、そういった方についてできるだけサービスを十分提供いたしまして、そういった方々の社会参加をしたいというお気持ちが十分に果たせるようにしていきたい、そういう条件を整備したい、こういうような基本的な考え方でこれを設置したものでございますし、今後も私どもはそういう基本的な考え方に立ってこれを運営していきたいというふうに思っております。
    〔委員長退席、岩田委員長代理着席〕
#41
○鈴木(久)委員 それでは次に、障害者雇用促進法の改正の問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 「「国連・障害者の十年」の最終年に当たって取り組むべき重要施策について」ということで、前の海部首相あてに、中央心身障害者対策協議会葛西会長さんから基本的な考え方等々含めてかなり要望がございますね。
 この基本的な考え方を見ますと、いろいろな「施策の推進に当たっては、ライフステージのすべての段階での全人間的復権を目指す「リハビリテーション」の理念と、障害者が障害を持たない者と同等に生活し、活動する社会を目指す「ノーマライゼーション」の理念を基調としこ障害者の社会への参加あるいは自立という目標を国民の間に一層広めて、その具体化を促進するために強く政府に求めております。
 具体的に言いますと、町づくりにおいては、福祉、生活環境の施策や職業教育、職業訓練におけるいわゆる教育、医療、福祉、雇用・就業の連携など各般の障害者施策について関係機関が連携を密にして、総合的かつ体系的な施策を展開しなさい、してほしい、こういう要望になっていますね。
 障害者の特に社会参加の推進という意味と雇用を促進するというこのきょう審議をしております本法は、その意味では最も大切な法律になるし、その要望の理念がどういうふうにこの法律の中に生かされているかということも私は大事なんだろうと思うのですね。この障害者の社会参加あるいは自立、平等あるいはノーマライゼーションという理念がこの法案にしっかり生かされているんだろうかということを考えますと、残念ながら、私の見る限り、私はどうも疑問がある、不十分だ、こういうふうに考えておるのですけれども、大臣どうでしょうか。切り口から大臣に質問して恐縮ですけれども、基本的な部分ですからね、本法と今の問題についてどんなふうに理解をいたしておりますか。
#42
○近藤国務大臣 先生から御指摘ございましたけれども、障害者雇用促進法第一条においては、法の目的を「障害者がその能力に適合する職業に就くこと等を通じてその職業生活において自立することを促進するための措置を総合的に講じ、もって障害者の職業の安定を図ること」とし、第二条の二におきましては、「障害者である労働者は、経済社会を構成する労働者の一員として、職業生活においてその能力を発揮する機会を与えられるものとする。」こううたってございます。
 私は、まず基本的には、豊かな社会の中で心身障害をお持ちになった方も健常者と同じ職場で、そしてできるだけ同じ条件でお仕事につかれる、社会生活も同様に並んでされる、こういうことであろう、かように考えております。そういう点について今度は基本計画も策定いたしまして、各般の施策をいろいろ審議会その他御意見を承りながら考えていく、こういうことでございますので、まずこの法律の中に十分生かされているかどうか、こういう御指摘につきましては、私は相当そうした精神に基づいて法案の作成に当たったつもりでございます。
#43
○鈴木(久)委員 そういう御答弁ですけれども、本法を端的に言ってしまえば、こうでしょう。障害者の雇用を促進する、そのために、雇用という問題はどうしても企業が一番大きな役割を果たしますからその企業に雇用の法定義務を、まあ法定義務までにはいろいろ議論がありましたけれども、法定義務を課して、それを果たさないものにはペナルティーをして、できるだけやろう、そこがこの法律のポイントでしょう。
 実態を見ると、一番肝心かなめの大企業を中心として、社会的に責任を持たなければならない企業ほどこの法律を守ってないというか、雇用率が悪い、こういうふうに考えますと、どうですか、ノーマライゼーションとか障害者の社会参加とか平等とかという問題が、本当にこの法律で精神を酌み取られたり、その理念が生かされているというふうにはとても思えないんですね。大企業はもちろん若い人たちをどんどん労働力確保できるでしょう。だから、何も今さら障害者を雇用しなくてもいいんじゃないかと思っていらっしゃるのかもしれない。だから雇用しないのかもしれぬ、それはよくわからない。中小企業はなかなか労働力確保が難しい、多少補助金、いろんな奨励金も出る、障害者を雇用してみようかということなのかもしれない。そうしたら、文字どおり雇用の面における弱肉強食そのままですよ。ノーマライゼーションや社会参加や平等なんという論理は、ここには私は余りないというふうにどうも思えてならないです。そこで、そういう私の考え方がどうなのかということをもう一度お聞かせいただきたい。
 同時に、今度は障害者雇用対策基本方針というのを今大臣おっしゃったようにつくりますね。今の法律ではそういう不十分なところがあるんだから、その基本方針を策定するときに、今私が申し上げているような基本理念を十分に生かして、障害者の意見も十分聞き、何がどこに問題があるのかということを十分把握をして、そして本当の意味での社会参加、それも平等に、ノーマライゼーションの理念も生かされて基本方針がつくられていくべきなんだろうと思うんですね。そうでなかったら、私は、本法は本当の意味で障害者のための法律になり得ない、こんなふうに思えてならない。どうですか。
    〔岩田委員長代理退席、委員長着席〕
#44
○近藤国務大臣 先生のお気持ちはよくわかります。ただ、例えば障害者雇用というものをどこまで法律的に義務づけるかということは、これは私、慎重にやらなければならないと思いますのは、法律的に仮にきちっと義務づけて、そしてびしびし実行するという形だけの雇用で、十分な障害者のいわば能力の開発とか活用ということもおやりにからない面があるとすれば、これはかえって問題ではないか。ですから、一応雇用率というものを示して、御協力いただくと同時に、またそれなりの助成その他講じさせていただくということでございます。
 同時に、やはり基本計画の中で、国として、社会として障害者がどうするかというその理念をきちっとして、それをいろいろな審議会の場で御議論をいただくということは、まさに社会的ないわばコンセンサスビルディングだと私は思うのですね。いろいろな形でやはり障害者雇用について社会的に取り組むんだというそういう機運の醸成ということがまず大事なんで、この基本方針というのはそういった方向への大きな前進であるというふうに私は考えております。
#45
○鈴木(久)委員 それでは、具体的にお伺いします。
 じゃ、その基本方針をどのような手法でおつくりになるか。そのときに、本当に障害者のいろいろな、冒頭申し上げましたような団体の皆さんの要望もありますね、新たに今度はILOのいわゆる職業リハビリテーションの国会の承認事項も出ておりますから、この国内のしっかりした措置というものもとらなきゃならないでしょう。そういうことを含めて、その手法はいつごろまでに、どんな対応になるのか。余り時間がありませんからポイントだけお示しいただきたい。
#46
○征矢政府委員 障害者雇用対策基本方針につきましては、今回改正をお願いいたしております法律に基づきまして、この改正法が成立しかつ施行後、事務的にいろいろ検討し準備を進めた上で、できるだけ早い時期に都道府県知事の意見を聞き、かっ四者構成でございます障害者雇用審議会にお諮りしてこれを策定いたしたいというふうに考えております。
 ただ、その過程で、先生御指摘のように、障害者雇用審議会の場というのはこれは代表が限定されているわけでございまして、そのほかの各団体の方々も当然いろいろな御意見もあろうかと思います。そういう御意見については幅広く伺った上で、事務的な準備を今のような手続で進め、この方針を策定いたしたいというふうに考えております。
#47
○鈴木(久)委員 これからずっと具体的におただししますけれども、こういうものを策定するときに、私は、主客を転倒しないようにしてほしい、やはり障害者を基本的にしっかりと、その人たちの要望とか要求とか現在雇用に対してどういう考えを持っていらっしゃるかということを基本にしてほしいということだけは、まずこの段階で申し上げておきたいと思うのですね。
 前に戻るようになりますけれども、法定雇用率の問題等の関連でお伺いをします。
 今の日本の社会の中では、先ほども申し上げましたけれども、雇用ということに限って言えば、これは企業の社会的責任は極めて重大です。幾らだれがもがいたって企業の方がシャットアウトしたらこれは達成しない。本来は、ノーマライゼーションの理念なんかをちゃんと企業が踏まえていれば、わざわざ法定雇用率を示しておまえのところは達成しないからペナルティーを科すんだなんてことをやるべきじゃないでしょうね。でもこの法はそうなっている。ここのところは将来的にはこんなふうにならなくても済むようにすべきなんだろう、こういうふうに思います。
 でも、現在それでも守られてないのですね。今度は守らないところはいろいろ雇用計画を出させたりして、それでもだめなところは公表するよ、ここまで踏み込みました。そこまでいきました。
 そうなりますと、どうですか、皆さんのこれからの予測といいましょうか、そこまで踏み切ったら雇用率の達成というのは大丈夫だよというふうに言えるのか、これが一つ。
 それから、身体障害者雇用納付金制度という問題です。
 これは今、いわゆるペナルティーと言うかどうか、皆さんはそういうふうに言わないかもしれないけれども、守らないところから納付金を出させる、それを障害者雇用のために使うというやり方ですね。そうですね。論理的に言えば完全に達成をすれば納付金はゼロになるんですね。そうすると、障害者雇用促進のために今まで使ってきたお金というのはそこでなくなる、そういう仕組みですね。
 ところで、完全に達成するのかどうかということが一つと同時に、そういう仕組みで雇用促進をやってきている今日の情勢というものは、これだけでいいのかということがある。これだけでいいのでしょうか。私はもっと国も、予算を出してないとは言いませんよ、出してないとは言いませんけれども、今やっているようなそういう事業に一般財源からももっとお金を出して、いわゆる雇用促進のための事業というのをやるべきなんじゃないか。ペナルティーを科して金を取って、その分を奨励金でやるというこのスタイルだけでこの問題を考えてしまうというのは、私は正直言って国としてはまことにお粗末かなと思っているのです。
 なぜこんなことを言うかというと、障害者のこれから仕事をしたいという要望はたくさんあります。あるいは能力開発をしなきゃならない。特に今度の法案の重点は、重度障害者と精神薄弱者、精神障害者まで拡大をして特に雇用促進をしよう、雇用の能力開発をしよう、こういうところまで軸足を移してきましたから、これは大変すばらしいことだと思うのです。ですからなおさら、今の雇用率でいいのかどうかということを含めて、そっち側はすそ野を広くしたのですから、雇用率ももっと達成の目標を上げてやる、そして能力開発もどんどんしてやる、こういう方向へもう少し具体的にステップする考えはないですか。
#48
○若林政府委員 今回、これまで雇用率の指導を進めてまいりましたけれども、計画の提出そして適正実施勧告あるいは特別指導、こういったことを重ねてまいりましたけれども、なお雇用を進めていただけなかったという企業四社について公表を行ったわけでございまして、公表が目的ではございませんから、私どもそういうような事態を大変残念に思っているところでございます。
 しかし、百余の対象企業につきまして、そういったような公表というものを前提にして指導を進めてまいりました結果、その対象企業については大変雇用率の向上を見ることができたわけでございます。また、こういったような計画作成命令、適正実施勧告といったような形での対象ではございませんけれども、しかし不足数が相当に多いといった大企業につきましては、これについても特別の指導を進めてまいりました。こういったところも相当雇用率の向上を見ることができたわけでございます。
 私どもは、こういったことで雇用率の厳正な指導というものを通じまして雇用率の実績というものが相当上がっていくのではないかというふうに期待をいたしておるわけでございます。
    〔委員長退席、永井委員長代理着席〕
 しかし、そうは申しましても、それが、先生おっしゃいますように、納付金というベースで考えまして全部出し入れがバランスになるように、何と申しますか全く収入がなくなるというような状況というものは、なかなかそう簡単に来るものではないということは、諸外国のこれまでの経験等からいってもあろうかと存じます。しかし、私どもは、ただいまのような厳正な運用によりまして雇用率の向上というものを図っていきたいというふうに思っております。
 ただいま先生は、法定雇用率を引き上げたらどうだというようなお話でございます。これにつきましては、私ども五年ごとにその見直しを行っているわけでございまして、この法定雇用率と申しますものは、身体障害者につきましても健常者と同水準でその雇用が確保されるよう、身体障害者雇用促進法の規定に基づきまして、失業者も含めて全労働者に占める割合を基準として設定をいたしまして、五年ごとにその割合の推移を勘案して政令を定めておるわけでございます。そういうことでございますから、私どもは雇用率の現行の制度はこれで理論的にもきっちりした制度だと思っております。
 それから、雇用対策の予算でございますけれども、これは国の予算として二百四十億計上いたしておりまして、雇用促進対策を進めておるわけでございます。そして、納付金によりますいろいろな助成制度というのは、これは事業主による社会連帯のためのいわば経済調整という形で進めておるわけでございまして、これもほぼ同枠でございますけれども、これとは全く別に、国として、雇用対策として二百四十億余を計上して対策を進めておるというのが現状でございます。
#49
○鈴木(久)委員 通告したことがいっぱいあるものですから、全部はできないかもしれませんけれども、答弁は少し端的にいただきたいと思います。
 この間の職安に対する障害者の求職登録状況というのを数字で見ますと、昭和五十年に十七万一千人くらい、平成三年三十四万ですから、比較するとちょうど倍です。それで有効求職者の数も五十年が一万五千人、平成三年五万四千人。そして就業中の方は、この中で見ますと、五十年が十四万八千、十五万人くらい、平成三年が二十七万二千。これは昭和六十年ころから平成三年まではほとんど二十七万ペースなのですね。ですからほとんど変わらない。
 その意味では求職登録をしている人たちの就業率というのは、最近横ばいでよくないのです、この数字を見る限りまずこの実態をどういうふうに考えているかというのが一つ。
 それから、私は先ほど、新たに重度障害者の能力開発とかそういうものをやっていくのですから、雇用率ももう少し上げたらどうだというふうに言ったのですけれども、この状況というのは一体どういうふうに考えたらいいのですか。
#50
○若林政府委員 昭和五十年と平成三年との比較は、先生御指摘のとおりでございます。六十年と比べまして、就職中の障害者は二十七万から二十七万二千とほとんど増加をしておりませんが、求職登録者につきましても同様に三十三万三千から三十四万二千人という登録の状況でございます。
 なお、先ごろの景気調整下におきましては、景気の状況でかなり就職の伸びが落ちでいるという時期がございました。私ども景気の動向に関係なく障害者の雇用が伸びるように全力を注いでいるつもりでございますけれども、そういったことは確かにあったかと存じます。ただいま申しましたように登録者の数と就職者の数、大体同じ動向をたどっているということでございます。
#51
○鈴木(久)委員 時間がありませんから、この問題はこれ以上やりません。
 それで、今度は職業リハビリテーションの問題を中心にした能力開発問題といいますか、重度障害者を中心とするそういう問題についてちょっとおただしをしたいと思います。
 私は、本法改正案が示されてから地元のいろいろな施設を回りました。授産所も行きました。通勤寮も行きました。せんだっては所沢にある厚生省所管の国立身体障害者のリハビリテーション、同時に労働省が併設をしております国立職業リハビリテーションの双方にお邪魔をしていろいろと御指導をいただいてまいりました。あそこは本当にすばらしい施設を持っているなというふうに私は思いました。
 例えば、厚生省のサイドで言えば、障害者の医療からリハビリテーション、そして更生施設があり、日常の訓練施設もある。そこからいよいよ労働省が所管している職業リハビリテーションというふうに一連のシステム化をされていて、大変すばらしい実績を上げていらっしゃる。今度の法律を具体的に考えていった場合にそういうことが最も大事なのじゃないか。重度障害者の雇用という問題を考えるときに、厚生省所管の職業能力開発以前の、いわゆる医療リハから生活リハ、社会リハといいましょうか、そういう問題と職業リハ、これが連携、有機的に結ばれるということが大事なんじゃないか、私はこういうふうに認識をいたしております。
 そこで、具体的にお尋ねをしますけれども、そういう一連のものが東京やごく一部のところだけじゃなくて全国的に展開をされなければ、重度障害者の雇用促進、本当の意味での雇用促進を図るということはできない、私はこういうふうに思うのですけれども、今後の全国的展開といいましょうか、そういうものをシステム化して全国的におやりになっていくという考えがあるのかどうか、お尋ねをしたい。
#52
○若林政府委員 先生御指摘のような医療リハビリテーションと職業リハビリテーションが連携した総合的な体系と申しますものは、所沢と吉備とそれから飯塚の脊損センターがございます。
 こういったものはそれぞれ相当広域をカバーするような形で業務を展開いたしておるわけでございますけれども、すべての施設入所者にこういった医療リハビリテーションと職業リハビリテーションが連携したような施設が必要であるということは必ずしもないわけでございますので、それ以外のところにつきましては、各都道府県に設置されております地域の障害者職業センターにおきましていろいろとサービスを提供いたしまして、必要な場合には、その地域の医学的なリハビリテーションの実施機関と連携をとって進めるという形で進めておるわけでございます。
 今後も、こういったような医療リハビリテーションと職業リハビリテーションの連携の仕方につきましては、いろいろとそのあり方を検討していきたいというふうに思っております。
#53
○鈴木(久)委員 厚生省にお尋ねします。
 厚生省は福祉サイドといいましょうか、身体障害者、重度障害者のそういうレベルでいろいろ一生懸命努力をされてきました。全言ったように、医療から身体障害者のリハビリテーションなど、これは全国的にいろいろとおやりになっていらっしゃると思うのですね。ところが、具体的にいろいろな資料を見ますと、例えば厚生省がおやりになっている授産所から就労というのはごく一部です。ほとんどなきに等しい数字なんですね。そうでしょう。職業訓練所から就職をするというのもほんのわずかなんです。障害者の今の雇用の全体像から見るとほんのわずかです。
 ですから、今私が指摘をしたことについて、厚生省サイドから見て、せっかく身体障害者の皆さんの医療から授産所まで更生施設をつくってやって、その後がないというのは自立してないのですよ。そうでしょう。それはどんなところに原因があるかということと、今後本当に障害者の自立や就労、雇用という問題を考えたときに、厚生省サイドから見て何が一番不十分だったのでしょうか。
#54
○松尾説明員 先生の御指摘ございました厚生省サイドの対策でございますが、所沢に先ほど先生おっしゃいました国立リハビリテーションセンター、これをモデル的に設置しております。このセンターで医学的リハビリテーションから職業的リハビリテーションまで一貫した形でやっていくということで、これは全国のモデル的な形で設置をしております。このほかに各都道府県に身体障害者更生援護施設というのを設けております。
 この身体障害者更生援護施設につきましては、現在建てかえ時期に参っておりますので、私どもこの身体障害者更生援護施設を建てかえるときに、各種相談から更生訓練、職業訓練等を一体的に実施できるような総合的なリハビリテーションセンターを設置するよう相談を受けました段階で指導を行っておるところでございます。このほか、更生施設や授産施設に、これは労働省の所管でございますが、身体障害者等能力開発助成金を受けまして、この施設で職業訓練を受けて社会に復帰していくという制度も実施しております。
 こういう形でまだまだ社会復帰の施策を充実していく必要がありますとともに、関係機関とも十分連携をとりながら、障害者の社会復帰に努力してまいりたいと思っております。
#55
○鈴木(久)委員 そこで、具体的に数字を示しますと、これは肢体不自由の皆さんの数字ですけれども、職業訓練校から一・一%ぐらい就職をしている、社会福祉施設からは〇・三%です。それで、あと養護学校や聾学校、そういう学校からは一八・七%、比較的多いのです。公共職業安定所も三七%、結構多い。びっくりしたのは、縁故から二一・一%、広告を見てというのが七・九%です。私は、お国でやっていらっしゃるいろいろなところからの障害者の自立というのがいかにおくれているかということを、この数字を見てびっくりいたしました。
 もう少し具体的におただしをいたします。
 今度は主に厚生省の、精神薄弱者、児というよりも者ですね、授産施設はいっぱいございます。それと、その授産施設から仕事をするために必要な――特に精神薄弱者の場合には生活指導というのは大変なんですね。日常生活になれるということをしないとなかなか就労できません。それで、通勤寮というのがありますね。全国に百カ所ぐらいある。平均二、三十人。三千人に満たないはずです。しかし、この役割は極めて重要なんです、いろいろ聞いてみますと。私は、将来どこの授産所にも、そこから自立をしていく精神薄弱者の皆さんの希望と夢をかなえるのにはこの通勤寮というものをもっと充実しなければいかぬ、こういうふうに思うのです。
 ところが、その実態を申し上げましょうか、人件費、維持費で補助金が一人当たり五万五千円。事務費が一万七千九百二十円。私の地元でやっているある通勤寮は、三十人の規模なんですけれども、これで職員は三人しか置けない、事務員を含めて三人ですよ。これは一昼夜交代でやらなければだめなんです。たまたま私がその施設を訪れたときに、一人の人が通勤寮に帰ってこない、地域挙げていろいろと対応している。三人で三十人の人を自立させるためにやっていらっしゃる、涙ぐましい努力ですよ。まさにボランティアですよ。ところが、これを法律で、精神薄弱者福祉法で社会福祉法人としてやりなさい、皆さんはちゃんとそういう法律に基づいて仕事をしていらっしゃる。余りにも不十分じゃないですか。
 将来のこういう精神薄弱者の自立のための施設をどういうふうに考えているか、ふやすのかどうかということと、この充実をしなければこの人たちは本当に自立しないですよ。社会福祉施設からわずか〇・三%というこの数字を見て、それを拡大していかなかったら精神薄弱者の雇用や自立というのはできないのですよ。だから、そこのところをしっかりとお答えいただきたいと思います。
#56
○田中説明員 お答え申し上げます。
 今先生御指摘の精神薄弱の方々についての通勤寮でございますけれども、私どもも、この通勤寮という制度は、これからの精神薄弱という知的な障害を持つ方々が地域で自立をしていかれるための大変重要な施設であるという認識を持っております。このために、平成二年に法律改正をしました際にも、通勤寮というのを法律上の施設として正式に位置づけをすることもやってまいっております。それから設置の箇所数についても、百カ所という御指摘がございましたけれども、近年その整備は進めてきておるところでございます。
 しかしながら、今の定員、配置の問題でございますけれども、基本的には、現在の通勤寮についての一般的な考え方としましては、所定の定員というのは大体二十人を標準的な規模というふうに考えておりますが、比較的少人数のグループにつきまして、特に昼間は原則として就労しておられてある程度の社会的な自立の用意ができておるという方々を対象にして、主に生活面での助言ないし指導をするという施設の機能ということで考えておりますので、現在の助成の水準ということを考えてきております。
 ただ、先生御指摘ありましたように、この通勤寮につきましては、これからの地域の就労、自立に向けての人々を支える拠点になるべき施設だろうというふうに考えております。
 そういう考え方の中で、平成三年度でございますけれども、新しく国の事業として地域生活の生活支援事業というのを設けまして、まさにこの通勤寮に、地域の自活して就労しておられる方々についての日ごろのバックアップといいますか、生活面での指導ですとかあるいは職場でのトラブル等々をアフターケアをするような専任の生活支援フーカーというものを配置していただくという事業を、全国で十カ所から始めたところでございます。平成四年度についてもさらに十カ所ふやしてきておるところでございますけれども、通勤寮につきましては、量的な充実と並びまして、こういった形でその機能を充実強化していくという方向について、私ども今後とも努力をしていきたいと考えております。
#57
○鈴木(久)委員 文部省にも通告をしておりましたので、同じようなレベルで、特に養護学校や聾学校、そういう障害者の皆さんの教育に携わっている文部省にもお尋ねをしたいと思います。
 就職者全体の率からいうと一八・七%という学校からの就職があるわけでして、いわゆる小中高学校での教育の内容というのが、就労するためにも極めて重要な役割を持っていると思うのですね。それで、どんな就労に対する教育的な立場での指導をなされているかということが一つ。特に精神薄弱児ですね、こういう皆さん方への生活指導を含めたものをどういうふうになされていらっしゃるか。
 それともう一つは、この間施設を訪れたときにお伺いをしたのですけれども、言語・聴覚障害者の皆さんは、日常的にはほとんど手話でコミュニケーションをやっていらっしゃいますね。学校では口話で授業をやる、そういう違いがあったりしておりますけれども、いずれにしても、聴覚・言語障害者の場合に、もちろん目はしっかり見えるわけでございますから、文章をつくったり字を読んだり、今だったらワープロをたたいたりということが社会に出るために大変大事なことなんですね。それで、学校が終わった段階の子供さん方の知識レベルというのをお伺いしましたら、手話でコミュニケーションをしているせいか、意外に文章をつくるとかということは相対的にいって得意じゃないのだそうです。こういう点は、社会に出ていくために、就職をする場合に新たにいろいろと訓練をする必要があるのですというふうに言われました。学校ではどういうふうにそういう問題を受け止めていらっしゃるか、ここもお伺いをしたいと思います。
 さらに、聴覚障害者の場合に今新しく人工内耳といいましょうか、そういうものをつけてどんどん社会復帰をしている。これは厚生省の皆さんぜひお答えいただきたいのですけれども、こういうものが、まだ全国で百人くらいだそうですが、保険の適用がないのでかなり経費がかかってできない。ですから、そういう問題についても障害者の自立という問題を考えたときにぜひ必要だと思うのですね。そういう点については一体どういう方針をお持ちか、文部省と厚生省と同時にお伺いをしたいと思います。
#58
○遠山説明員 お答え申し上げます。
 四点ほどあったと思いますけれども、まず、養護学校における就職指導でございますが、心身障害児について社会自立の達成を図ることは特殊教育の重要な目標であり、養護学校の中高校部における職業教育や進路指導の果たすべき役割は重要というぐあいに文部省としましては考えているところでございます。
 そのため、養護学校におきましては、心身障害児の社会自立につながる職業教育、あるいは進路指導の充実を図りつつ、教員が実際に企業を訪問をして理解を得る等によりまして、多様な進路先の確保に努めているところでございます。
 また、文部省におきましても、昭和六十三年から心身障害児職業自立推進のための調査研究というものを都道府県に委嘱をしまして、雇用環境の変化ですとか、時代の要請等に対応した職業教育、あるいは進路指導のあり方、それから労働あるいは福祉等の関係機関との連携のあり方等につきまして調査研究を行っていただいております。また、その成果をまとめまして、ほかの県でも参考にしていただいているところでございます。
 また、指導要領におきましても、今回改正をした中におきまして、精神薄弱者の養護学校の高等部におきまして、新たに職業教育に関する教科を新設する等の改善を行っているところでございます。
 それから、精神薄弱者等の生活指導の関係でございますが、心身障害児が学校を卒業後、社会で円滑に生活をしていくためには、社会における心身障害児に対する理解と心身障害児の社会性の育成が重要であるわけでございます。
 そのために、心身障害児が同年代の小中高校の障害のない児童生徒や地域の人々と活動をともにする交流教育というのが非常に大切になるわけでございます。学習指導要領でもこうした機会を積極的に設けるように新たに規定をしているところでございまして、文部省としては、この線に沿ってさらに指導をしてまいりたいと思います。
 それから、聾学校における聴覚障害者に対する手話の教育でございますが、現在の文部省の考え方を申し上げますと、手話は聴覚障害者の間でコミュニケーションを円滑に行う上で大変有益な方法でございます。言葉が耳から入らずに言語の習得に困難のある児童生徒に対しては、まず、言語習得期におきまして言葉を豊かに身につけさせるということが一番大事であろうかと思います。そのために、音声言語による教育がまず第一に必要であるという考え方でおるわけでございます。
 こうした考え方から、聾学校におきましては日本語を言語として身につけさせることを主眼としまして、主として聴覚活用ですとか、説話、あるいは発言、発語による意思の疎通を図るいわゆる口話法による教育を行っているところでございます。それから、次第に年齢がたつに従って、すなわち中学部あるいは高等部におきましては、コミュニケーション活動に関する指導の一層の充実を図るという観点から、口話法による指導のほかに手話による指導を徐々に進めているところでございます。こうした方法が基本的には一番いいのではないかというぐあいに考えているところでございます。
 それから、聴覚障害者についてはそういう作文能力の面で問題があるのではないかというお話がございましたが、確かに、聴覚障害者については声が聞こえない、あるいは聞き取りにくいという障害があるわけですから、健常者と比べまして日本語の習得そのものに困難があるわけでございまして、そのために作文能力についても健常者に比べて劣るという場合が間々あるわけでございます。
 そのために、聾学校の小中学部の在籍者のために、一般の国語の教科書のほかに、特に言語指導用の教科書を無償で配付をしまして、それを用いて言語力を伸ばすための教育を行いまして作文能力の向上を図っているわけでございます。具体的に申し上げますと、小中学部では養護・訓練という時間がございます。週二、三時間でございますが、そういう時間を活用して言語能力の向上あるいは作文能力の向上のための指導をしているわけでございますので、さらにこれらの指導を充実してまいりたいと思います。
 以上でございます。
#59
○小野説明員 保険適用の関係の先生の御質問でございますが、現行の制度におきます保険適用につきましては、大きく分けて二つございます。すなわち、医療技術全体が保険制度の保険給付の対象となる場合と、高度先進医療制度というものがございます。
 特に高度先進医療制度と申しますのは、新しい医療技術が次々と出てくるわけでございますが、その技術に対しまして、高度医療を行うにふさわしいというふうに認められる医療機関におきまして、基礎的な部分、例えば診察料でございますとか入院料でございますとか検査料といったようなものは保険給付の対象とする、その他のものにつきましては患者さんの御負担となるというものでございます。
 御指摘の人工内耳につきましては、補聴器が無効な高度難聴の方につきましてその適用となるわけでございますが、平成三年十月に今申し上げました高度先進医療の対象とされたわけであります。現在、東京医科大学病院と虎の門病院の二医療機関が承認をされているわけであります。
 それでは高度先進医療の保険適用をどう図るのかという点でございますが、従来から医療の普及性、有効性、効率性、安全性あるいは技術的成熟度といったようなものを判断基準といたしまして、中医協に設置されております専門家会議の御意見を伺いまして、中医協で御審議をいただきまして、保険適用が適当かどうかということを判断しているわけでございます。今後とも、人工内耳につきましてもこういった御意見を踏まえまして、診療報酬改定の際に検討することになろうというふうに考えております。
#60
○鈴木(久)委員 それは聴覚・言語障害者にとってはいいニュースですから、ぜひ実現できるようにしていただきたい、こういうふうに思います。
 時間があと五分くらいですけれども、職業リハビリテーションの問題について最後にお尋ねをしたいと思います。
 ILO百五十九号条約の国会の承認を求めておりますけれども、その承認をいただいた後の仕事としては、今度はこの条約に基づいた国内的な措置というものを当然しなければならないと思います。
 そこで、まず、基本的な部分からお尋ねをしますが、職業リハビリテーションのこの問題では、第二条にこういうふうに言っておるのです。「職業リハビリテーション及び雇用に関する国の政策を策定し、実施し及び定期的に検討する。」こういうふうなことをやりなさいというふうになってございます。
 それで、先ほど、冒頭申し上げました障害者対策基本方針を策定いたしますね。その段階で、ここで言っているILOの内容というものを十分にこの基本方針に組み入れて策定をいたしますか。端的にお答えいただきたい。
#61
○若林政府委員 障害者の雇用対策、職業リハビリテーション対策を推進するに当たりましては、このILO百五十九号条約の精神にのっとってこれまでも進めてまいったところでございます。今後、条約を批准することになるわけでございまして、一層こういった考え方に沿って我が国の障害者の雇用対策を推進していくべきものと考えておりますので、先生御指摘のように、今後、こういうような方針を定めるに当たりましては、そういった精神を十分踏まえて作成していきたいと考えております。
#62
○鈴木(久)委員 それで、職業リハの施設ですけれども、本当に中央に、所沢にある施設は大変すばらしい仕事をしていらっしゃると思いますね。特に重度者にとってはああいう施設がもっとあった方がいいし、なければならないのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、その全国的な展開をどう考えていらっしゃるか。特に都道府県立や労働省でやっているところでも障害者の訓練はやっていらっしゃるだろうと思いますけれども、あの職業リハビリテーションと言われる重度障害者レベルの具体的な仕事というのは、大変な仕事だと思うのですね。あそこにあれだけのノウハウがある、あれを十分全国的に展開をすべきなのだろう、こういうふうに思うのですが、それが一つ。
 具体的にもう少しお尋ねしますけれども、例えばコンピューターを使ったり、特に視覚障害者がコンピューターを打っている姿を私は見てきましたけれども、大変な努力をしていますね。もちろん、そこには介助者が必要です。今度は就労する場合にも、介助者について雇用の継続という観点から、今まで三年だった介助の補助金を十年にするということを、皆さんにこれは確認をしてよろしいかと思いますが、そういうふうにすることになっておりますけれども、ワープロをやったり事務処理の機械をやったりしておりますのでも、そこで大事なのは、そういうものに対する附属器具とかアダプターとかそういうものの改良に大変努力をされていますけれども、そういうものがあのリハビリテーションの施設だけじゃなくて企業で実用化されなければ、せっかく訓練したものが就労できない、仕事で生かされない、こういう格好になると思うのです。
 ですから、職業リハビリテーションの全国的展開とあわせて、あそこで研究され成果を上げているものを、今度は就労している企業の場に導入をする方策というものについてもっと充実した援助をすべきなのだろうと私は思うのです。それがやはり、職業リハビリテーションをしっかりやると同時に、重度障害者が仕事を具体的に職場でする場合に生きてくるのではないか、こういうふうに思うのです。これらの具体化についてどんなふうに方針をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
#63
○若林政府委員 まず第一の、所沢方式の総合的なリハビリテーションセンターの全国展開の問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、東の方には所沢、西の方には吉備、そして飯塚というのが展開しているわけでございます。それ以外の地域につきましては、地域の職業リハビリテーションセンターとその地域におきます医療リハビリテーションセンターが連携いたしておりまして、この地域の職業リハビリテーションセンターのセンターといたしまして、このたび総合リハビリテーションセンターが幕張に開設いたしまして、ここがネットワークの中心になりましていろいろな指導を進めていくわけでございます。当面は、こういったようなネットワークで業務を進めていきたいと思っております。
 第二点目の点でございますけれども、先生御指摘のとおりME機器を視覚障害者の方が活用いたしまして、その技能を習得されまして就職を得ておられます。大変高い就職率でございますし、職場でも大変活躍しておられます。
 そういった場合に必要になりますいろいろな補助装置でございますとか改良機器でございますが、この研究も進めておりますけれども、各企業の持っております機械にそういうものの補助器具をつけるというものにつきましては、現在いろいろな助成措置がございます。こういったものを今後大いに活用していきたいと思いますし、またその拡充も図っていきたいというふうに思っております。
#64
○鈴木(久)委員 ずっと質問してまいりましたけれども、私は、国際障害者年の十年の最終年ですが、これまで障害者は、ある意味では、社会参加をするという意味でこの十年は大きな意味があったと思います。しかし、本当の意味で自立をし、社会参加をしていくという意味からいえば、特に雇用問題というのは自立の中では一番大きな位置を占めてくる、こういうふうに思うのです。ですから、新しいいろいろな施策も展開しなければならないと思いますが、とりわけ重度者、精神薄弱者等に対する前段の医療リハビリテーションから職業のリハビリテーションまでのいろいろな仕事と同時に、雇用促進という問題は極めて大事な分野になってくるのだろう、こういうふうに思っております。正直申し上げまして、医療リハビリテーションの問題は、新しいネットワークをつくってやるというふうに今局長がお話でございますけれども、まだまだ全く不十分だろうと思います。出発点という感じじゃないかと思うのです。
 ですから、障害者の自立のために、新しいこれからの十年をスタートするという極めて大事な時期にこの法案の改正の審議が行われておりますので、冒頭申し上げましたように、この法案がノーマライゼーションの理念やあるいはまた障害者の参加、平等という精神をしっかり受けとめて、法律の改正はここでこういう形でやりますけれども、基本方針を策定するに当たっては、ぜひILOの批准とあわせてそういうものが十分に組み入れられるように強くこれを私は求めておきたい。
 最後に大臣の決意をお伺いして終わります。
#65
○近藤国務大臣 障害者の方々のためのリハビリテーション、医療リハビリテーションその他いろいろあるわけでございますが、私は二、三の職場で障害者の方々が仕事をしていらっしゃる現状を見てまいりまして思いますのは、いろいろなリハビリ施設の中で職業のリハビリテーション、職場におけるリハビリテーションというのは最も重要なものではないか、こう思うわけであります。やはり現場の職場で、実際に自分で物をつくって、健常者と一緒に仕事をしながら健常者と同じような収入を得るということは大きな喜びではないか、私はこう考えております。
 従来、ややもすれば、健常者の作業機械を障害者が何とかそれを使いこなすということであったのを、逆に、発想を変えて、障害者の方々が使いやすいような機械を開発していく、こういうことであって、まさにそういう開発を幕張その他で労働省もいろいろ考えているわけでございますが、お話にございましたように、特定の場所に限定しないでそういった新しい障害者が使えるような設備、機械というものを全国に展開していくということは非常に大事なことであると考えておりますので、先生の御指摘にも沿ってひとついろいろ私たち積極的に考えてまいりたい。
 障害者雇用対策基本方針の中でも、まさにそういったことを取り組みながらこの施策の充実を図ってまいりたいと考えておりますので、また今後ともよろしく御指導をお願い申し上げたいと思います。
#66
○鈴木(久)委員 終わります。ありがとうございました。
#67
○永井委員長代理 外口玉子君。
#68
○外口委員 ただいま鈴木委員が何度も強調されましたように、本年は国連障害者の十年の最終年に当たります。ここで終わらせるのではなく、この十年間、障害者の完全社会参加と平等を目指して展開してきた我が国の障害者運動を振り返り、これからの始まりの一つのステップとして本改正案の質問に臨みたいと思います。
 常日ごろ、働き、収入を得ることを私たちは当然のことのように受けとめています。障害を持ちながらもより前向きに生きようとする人たちにとって、就労するということは周囲の人たちが考える以上に切実な望みです。仕事を通じて自分自身の課題を克服する場と機会を得ることは、一市民としての権利でもあります。障害を持つがゆえに就業したい人がその権利を奪われる社会の仕組みは、変えていかなければなりません。
 私は、社会福祉法人地域ケア福祉センターの理事長を務めておりますが、共同住居、小規模作業所、相談活動などに取り組む中で、日本の精神障害者のリハビリテーション施策の大幅な立ちおくれを痛感させられてまいりました。中でも、精神障害者の社会参加にとって重要な柱である働く権利を保障するための法的整備は、全くと言ってよいほどなされてきませんでした。
 そこで、本改正案の審議におきましては、この精神障害者の雇用促進の実現に向けて、絞って質問をさせていただきたいと思います。
 まず、今国会に、一九八三年に第六十九回ILO総会にて採択された障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約、第百五十九号条約の批准に向けての承認が求められました。この条約の第一条の四項に「この条約は、すべての種類の障害者について適用する。」と明記されております。また、この条約に関連して、職業リハビリテーション及び雇用に関する勧告、百六十八号勧告が出されていますが、この内容を踏まえまして、条約の批准に伴いその趣旨に沿った障害者の雇用の促進をどのように進めていかれるのか、まず大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#69
○近藤国務大臣 国連障害者年十年の最終年次に当たりまして、先生から御指摘ございましたように、ILO第百五十九号条約の批准に努めるということは、私、大変意義のあることであると考えておりまして、こうした中で、このたび法案の改正をお願いいたしまして、いわゆる障害者の方々が積極的な雇用を確保されますように、また、そういう形の中で職業を通じてリハビリテーションが進むように、このたび障害者雇用対策基本計画を策定いたしまして、障害者雇用対策を総合的かつ計画的、段階的に進めてまいる所存でございます。
#70
○外口委員 一九八五年に来日し日本の旧精神衛生法の改正に大きな影響を与えましたICJ、すなわち国際法律家委員会の精神医療調査団が本年四月に来日し、昨年国連で採択されました精神障害者の保護及び精神保健改革のための諸原則並びに来年に予定されている精神保健法の見直しを視野に置いた調査活動を行っています。このような精神障害者の社会参加を取り巻く状況にあって、雇用制度の拡充は大きな役割を果たすものと考えます。
 精神障害者の雇用の実態を見てみますと、身体障害者や精神薄弱者と比べて大変大きなおくれをとっていることは、さきに提出していただきました障害者種類別施策適用関係の表においても明白でございます。精神障害者の雇用施策のこれまでの取り組みがなぜこれほどまでにおくれてきているのかについての御認識をお伺いしたいと思います。
#71
○征矢政府委員 精神障害者の方に対する雇用対策につきまして、ただいま御指摘もございましたが、御指摘のとおりおくれております面があることは私ども否定できないところでございます。
 ただ、この方々の問題につきましては、現実に行政を進めるに当たりまして、プライバシーの侵害あるいは人権問題にかかわることが多々あること、あるいはその職業適性・能力あるいは職業的諸問題、医学的管理も含めたその適切な雇用管理等のあり方につきまして、必ずしも現段階で明確ではない、あるいは障害が安定していない場合も多いというようなことがございまして、なかなか難しい課題であるというふうに考えておるところでございます。
 ただ、そうは申しましても、御指摘のように最大限そういう方々についての雇用の促進を図らなければならないわけでございまして、そういう観点から、従来から職業リハビリテーションあるいは職場適応訓練についてこの対象として対策をとってきたところでございます。
 そういうことでございますが、状況としては、御指摘のように、他の障害者の方に比べて格差があることも事実でございます。
#72
○外口委員 そのような格差について、今回の改正ではどのように取り組むということなのか、もう少し具体的にお聞きしたいと思います。
#73
○征矢政府委員 そのような経緯でございますけれども、しかし、さらに精神障害者の方々についての雇用の促進を、現状を踏まえつつ最大限どこまでとり得るかというようなことにつきまして、昨年以来、障害者雇用審議会におきましてもいろいろな御議論がございまして、そういう中で、現段階におきましては、一定の精神障害者の方々を雇用する事業主に対して納付金制度に基づく助成金を支給することによってその雇用促進を図るということが必要であろう、こういうことで、今回の法律改正におきまして助成金の支給対象とするという考え方をとっているところでございます。しかし、身体障害者の施策等と比べまして、雇用率制度の適用あるいは納付金の調整金あるいは報奨金等の適用対象とはなっておらないという意味で、現状において差がございます。
#74
○外口委員 すべての種類の障害者について適用されるはずのこの法律にもかかわらず、実際の諸制度を見てみますと、特に求人開拓、職業指導、適応訓練、障害者職業センターにおける職業指導、それから障害者職業訓練校における職業訓練などの就業に至るまでのサービスは、確かに他の障害者と同じように適用されることになっております。雇用するための準備としてのサービスは受けられるようになっていますが、特に今度の改正の中で強調されている雇用義務、実雇用率にカウントすること、受け入れ計画、障害者雇用調整金減額などの、実際に雇用そのものを担う制度については精神障害者はその対象になっておりません。先ほど鈴木委員は、こういう対応策ではまだ不十分であると指摘されましたが、不十分ところか、それまでにも至っていない、対象にされていないのが精神障害者でございます。
 この点について、なぜこのような制度間での格差をこのままにして改正されようとしているのか、お尋ねしたいと思います。
#75
○征矢政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、精神障害者の方につきましては、プライバシーの問題あるいは人権の問題等が生じるおそれがあるということ、あるいは職業適性・能力あるいは医学的管理を含めた諸問題について、適切な雇用管理等のあり方についてはまだ必ずしも明確な方策が見つかっておらないこと、それから現状におきまして精神障害者の方々の実態の把握、これも的確な資料がございません。そういうような状況がございます。
 ただ、私どもといたしましては、そういう中で最大限雇用を促進するために、現在、職場適応訓練につきまして一定の精神障害者の方についてこの対象として実績を積み重ねてきた経緯がございまして、そういう中から、そういう方についてさらに現実に就職する場合の助成制度、この適用がない、これはさらに助成金を支給することによって雇用促進を図ることがより雇用促進に資する、こういう観点から、今回の法律改正において助成金の支給対象としたところでございます。
#76
○外口委員 確かに、今おっしゃったように、精神障害者が就業する際には身体障害者と異なる特徴が幾つか存在するということは私も認めたいと思います。しかし、人権、プライバシーの問題を先ほど何度か言われましたけれども、それが、これまで国が国の責任において対応してこなかった隠れみのになってしまっている面があるのではないかというふうにも考えられます。
 このプライバシーの問題は、確かに精神障害者への偏見や差別のある社会においては重要な問題ですけれども、しかし、みずからの障害を明らかにすることによって得られるメリットよりもデメリットの方が多いようでは、だれもためらいを乗り越えていく勇気は持てないと思います。
 そういった点で、社会全体の受け入れ態勢をつくっていくための施策というものが必要だというふうに考えますが、この点に関して労働省としてはどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
#77
○若林政府委員 ただいま御説明申し上げてまいりましたように、精神障害者の方々につきましてはきめ細かな相談サービスを実施する、そしてまた職場適応訓練の実績を積み重ねてまいりまして、かなりの方が就職に結びついているという実績を得てまいりました。こういったものを踏まえて、今回、事業主の方が雇用していただくという場合には、いろいろな助成制度を適用して、こういった雇用をさらにふやしていこうというような考え方でございます。
 私どもは、こういったような法律に位置づけられましたいろいろな助成制度、援助制度を活用いたしまして、この精神障害者の方々の雇用を伸ばしていく、そして、そういった方々がいろいろな職場で働いていることを皆さんに理解していただく、このことが今後の精神障害者の方々の雇用の拡大にとって何よりも重要である、こういう認識を持っておるわけでございまして、そういった観点に立ってこれらの方々の雇用の拡大に努めてまいりたいというふうに考えております。
#78
○外口委員 先ほどおっしゃっていた精神障害者の特徴に対応した就業援助においては、私はやはり動機づけをする人あるいは持続力を支える人、そういう人的な資源というものが不可欠である、そういう特徴をどのようにクリアしていくかということが国の施策として必要だというふうに考えます。また、対人関係上の問題が生じやすい人も多いことから、そういう対人関係能力を高める働きかけをしていく人ということも大事だと思います。また、制度を利用するに際して、利用の対象者が定められた条件を整えるためにサービスが要る、そういうきめ細かな援助が必要なために、どうしても制度が利用されないままに置かれているということが多いように思います。
 しかし、精神の障害を持つ方たちは、動機づけられてやり始めればとてもまじめに取り組まれるし、かえってそれによってやり過ぎて疲れ果てて調子を崩してしまうというような不安定さがあって、職場適応に当たってはさまざまな支援、パートナーというか支える人たちが必要だというふうに思っています。
 そういう意味では、就業支援策もかなり柔軟なものでなければならないと思いますが、このような点を踏まえて、精神障害者の就業の特徴に呼応する支援体制のあり方はどのようなものにしたらよいかということについて、労働省並びに厚生省にお伺いしたいと思います。
    〔永井委員長代理退席、岩田委員長代理
    着席〕
#79
○若林政府委員 先生御指摘のとおりだと存じます。精神障害者の方々が職場に適応するためには、人的な面での配慮が必要だろうというふうに思っております。それには、その方をサポートする人を配していくという配慮も必要でございますし、職場の方々に十分理解いただくという面での条件の整備も必要だろうというふうに思うのでございます。
 今回の改正によりまして、身体障害者雇用納付金制度に基づきます助成制度で、健康相談の医師の委嘱でございますとか、雇用管理に必要な職業生活に関する相談や指導を行う職業コンサルタントの配置でございますとか、あるいは作業遂行に当たって必要な指導援助を行う業務遂行援助者、一緒についていてよく仕事の仕方についてのアドバイスをする、そういう援助者の配置といったことにつきまして、精神障害回復者の方についても新たに適用してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。また、こういったような業務遂行援助者等の養成につきましても、講習会等を実施いたしまして、そういった資質の向上も図っていきたいというふうに考えております。
 私ども職業安定所の窓口におきましていろいろきめ細かい御相談に応じておりますけれども、こういった精神障害者の方々の就職に結びつけていくということにつきましては、弾力的な考え方で対応していかなければなりませんから、御指摘の点を踏まえて今後サービスを進めていきたいというふうに思います。
#80
○廣瀬説明員 先ほど御質問の精神障害者の人を助ける人たちの養成の問題でございます。
 その中で、動機づけそれから持続力を高めるための人を養成すること、そして障害者が対人能力を高めていくということでございますが、厚生省で行っています精神障害者の対策で、一般就労の前段階のことでのそういう人たちの養成という問題でございます。この人たちについては、現段階で、国立精神・神経センター精神保健研究所それから精神保健センター等で、精神科ソーシャルワーカー、保健婦、臨床心理技術者等に対して研修を行ってさております。そして、精神障害者の社会復帰の促進に伴いまして、その従事者等については質的にも量的にも一層重要性が増すと考えております。今後、これらの研修事業の充実について検討してまいりたいというふうに思っております。
#81
○外口委員 精神障害者の場合には、人的な資源をどういうところに配置することが一番適切かというようなことを考えますときに、企業内での相談者を持つことはもちろんですが、もっと地域ケアセンターとか職業センターなどに支援パートナーを置くなど、各地域単位で、企業の中ではなくて地域の中にさまざまな年齢層の人材をプールしておいて、そこから必要に応じて派遣していくというようなシステムをつくっていかないと、なかなか活用されにくいのではないかというふうに考えますが、そういうようなことについては、労働省としてはどういうふうにお考えでございましょうか。
#82
○征矢政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、精神障害者の方々の雇用対策につきまして、私どももできる限り一生懸命努力してまいりたいというふうに考えておりますが、そのような観点から、今後の課題といたしましては、御指摘のような点も踏まえて公共職業安定所、ハローワークにおきましてその相談体制をどのようにつくっていくかというようなこと、あるいは各都道府県に設置されております地域職業センターにおきましてカウンセラー等の相談、これについても具体的にどのように取り組んでいくか、そのようなこと等について今後検討いたしまして、この問題に取り組んでまいりたいというふうに思います。
    〔岩田委員長代理退席、永井委員長代理
    着席〕
#83
○外口委員 私は、今確かにそういう人的な資源について幾つか話を伺いましたけれども、それに加えてもう一つ、支援体制の中身の問題で重要なこととしましては、企業に対する助成金とか企業内の相談員の設置ということのほかに、障害者自身に対する権利擁護のシステムを担保をしなければいけないのではないかというふうに考えているわけです。例えば、先ほど聴覚障害の方の例が出されていましたが、たとえ就業できても、耳が不自由なため長年の間会議に出席する機会を奪われ続けた方などの報告も聞き及んでおります。そういうそれぞれの方の仕事の能力に対する正当な評価がされる保障がないと思います。
 そのような権利擁護システムがないままでは、障害者は安心して就業を続けることはできないと思います。形として企業が雇用していくけれども、それをお客様として扱っていくようなことでは、かえってそれぞれの人にとってのふさわしい職業生活を保障する制度とはならないわけです。
 そういった点で、人的資源に加えて公正な第三者機関によるチェックシステムを設けるなどの権利擁護の体制ということがあって初めて実効性のある雇用制度となると考えますが、労働省の御見解をお聞かせください。
#84
○若林政府委員 これまでの雇用促進法におきまして、事業主が二足の条件のもとに職場に障害者の職業生活相談員というものを置く制度がございます。こういった方々が、働いている障害者の方々についてのいろいろな相談とか指導を行うようなことになっておりまして、私どもそういった方々の研修なども行ってまいっております。しかし、これはあくまでも職場の中の問題でございます。
 また、今回はこの職場の中の問題につきましても、新たに推進者を置くという努力義務を課すことにいたしておるわけでございますけれども、職場の外につきましては、先ほど部長から申し上げましたように、私どものハローワークにおきます相談体制、あるいは各県に置かれております地域の障害者の職業センター、こういったところで、今先生御指摘のような問題が起こりましたときのいろいろな御相談に応じて、職場の中で例えば障害者ということで差別を受けたというようなことについては、そういったところでよく御相談に応じて事業主を指導していく、こういうことが必要であろうと思います。
 そういったことで、私どもの方も、ハローワーク等において十分そういうものの御相談に応じられる体制をつくっていかなければならない、こういうふうに思っております。
#85
○外口委員 さてもう一つ、権利擁護システムが担保されていない点についてはどういうふうにお考えなんでしょうか、今のお答えの中では触れられていなかったと思うのですけれども。
#86
○若林政府委員 障害者の方々が職場で仕事をしておられますときに、やはり周囲の同僚との間でいろいろ問題が起こるというケースがございます。私どもは、障害者ということでそういったような職場で理解を得られないというようなケースについて、そういうような状況をよく伺いまして、私どもとして、事業主にこれは指導できるということについては十分その指導をしていきたいこそしてそういうようなことによって職場の無理解がなくなるように努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
#87
○外口委員 できるだけ第三者的なそういうチェックシステムをつくり上げていく方向で、実効性ある制度にしていっていただきたいというふうに望みまして、次の質問にさせていただきます。
 今度の精神障害者の就業をめぐっての特徴に呼応する策やその運用のあり方について、この法律では余りきちっと規定されておりませんが、予算措置による幾つかの事業があります。
 その一つとして(職場適応訓練を試みとして取り組まれていますが、ちょっと見ますと、この事業は今まで年間で全国約百件程度とありますけれども、一体どういうような実績になっているのか、お伺いしたいと思います。
#88
○征矢政府委員 一定の精神障害者の方々につきましては、前回の法律改正の前でございますけれども、昭和六十一年度から職場適応訓練の対象として今日まで至っているところでございます。六十一年度から平成二年度までにこの訓練を実施した対象者は五百十六人でございます。この訓練終了者のうちでその結果として雇用に結びついた方が八二・八%、八割を超えているというような状況でございます。
#89
○外口委員 これに似た制度として、通院患者リハビリテーション事業、すなわち職親制度というものがこれまで厚生省の方で実施されておりますけれども、実際に適用者が少なく、十分にこれが活用されていない面がございます。もちろんこの制度は一つの大変に有効な制度であるとは思いますが、その実効性を高めるための手段を積極的に講じていく必要があるものだと思います。雇用する側にとっても対応の仕方について大変戸惑いもあり負担も多いと伺っています。また、就業する側にとってもこの制度の利用期間などの問題とか利用の仕方に関しての十分な周知がなかったりしている点でいろいろまだ問題が多いかと思いますが、今後この制度の実現を図るためにどのような対応をされているのかについて、厚生省にお伺いしたいと思います。
#90
○廣瀬説明員 通院患者リハビリテーション事業のことについてお答えいたします。
 現在精神障害者の自立のために都道府県が一般の事業所に委託して社会適応訓練を行っている事業でございますが、平成三年度千四百三十八事業所で、平成四年度に千七百七十二事業所に拡大をしております。そしてこの制度を利用しての社会復帰率でございますが、制度ができましたのが五十七年でございますが、この当時五一・二%、それから平成元年度の統計ですが、四九・八%、約半数の方が社会復帰しております。そういうことで、この事業をぜひ拡大していきたいということで、予算の増と事業所の拡大とを図っております。
 そしてまた、この職親になっていただいている事業所の方々との協議等を含めて、現在具体的に検討を進めておりまして、どのような形で事業がより拡大できるか。それから先生が御指摘のように、事業所の方も障害者を預かったときにいろいろ戸惑いがある、そのために先ほど申しました保健所等を通じまして人を養成して、その職場の方にも訪問できるようにする。それから病院の方からも訪問等指導していただいて、十分な体制に持っていく。
 ただ、この制度はやはり簡単に利用できないところもございます。と申しますのは、障害者の方が職場に行きまして具体的にお見合い的な形をとりまして、それでお互いに了解をとった上で具体的に県の方で許可を出すという制度でございますので、その辺のところで大変迅速な動きができないというところは問題があるかと思いますが、やはり現段階ではより慎重に、そして先ほど先生が申されたように、この人たちを手当てする人たちをよりサポートする形での体制を固めていかないと難しいところもあるかと思っています。
 それから、障害者を職場でお願いしているわけですが、職場で問題になったときに直ちに対応できる部分というのも必要になりますので、保健所等を含めての中間的な中身の入れ方ということを考えていかなければならない。それからもう一つは、服薬等も大変重要なものでもございますので、その辺のところにも注意を払いながら、職場の人にもお願いしているということになりますので、より慎重さを加えているかと思っております。
 それから、こういう通院患者リハビリテーション事業を利用する方は、すぐ就職できる方とはちょっと違った形で、やはり長期的な形での入院とか医療を受けている形をとっておりますので、その辺のところをより慎重性を持っているかと思っております。
 ただし、この事業がより迅速性を増すためには、もっと制度的に動きやすい地域単位の世界を考えていかざるを得ないのかと思っておりますが、まだ具体的なものを研究会からもらっておりませんが、近いうちにその辺のところの意見をもらって、どのようになるかを検討してまいりたいというふうに思っております。
#91
○外口委員 この制度の充実に向けて、ぜひとも積極的な施策を講じていただきたいと思います。
 次にもう一つ、精神障害者の雇用の面での社会参加を積極的に進める策として、既に試行期間を過ぎ、今年度から全国七カ所で行われる職域拡大援助事業についてお尋ねしたいと思います。
 生活支援パートナーや技術支援パートナーなど人のサポートを通じた就業援助ということで、これは一定の評価ができますし、今後これをどのように充実させていくかということについては大変注目するとこうでございますが、このような、いわゆる援助つぎの雇用ともいえる雇用援助の進め方としては、雇用の場においても、介護や介助を受ける権利として当然保障されていくという方向で推進しなければならないと思いますが、しかし、訓練期間中に本人に賃金が払われないこと、あるいは金銭的な助成が、本人ではなく事業主に支払われること、また期間が限定されていることや、就業をめぐって周辺をサポートする人材の保障ということも先ほど述べましたが、そういうことなどまだまだ不十分な点があると思いますが、このような点について今後どういうふうに対応されていくのか、労働省にお尋ねいたします。
#92
○征矢政府委員 御指摘の職域開発援助事業につきましては、過去二年間にわたりまして試行実施という形で実施をしてきたわけでございますけれども、その結果といたしまして、援助終了後大多数の方々が雇用に結びつくというような結果も得られておりますので、本年度から、この法律改正を機にこれを本格的実施に移したいということで、当初七カ所のセンターでこの事業を開始することというふうにいたしているところでございます。
 現状におきましてはいろいろな問題もございますが、現在私どもが考えておりますような形での職域開発援助事業というような形で、本格実施をいたしたいというふうに考えているところでございます。
#93
○外口委員 特に生活支援パートナー、そして技術支援パートナーという、このパートナーとなる人たちというものを具体的にどのような方々を考えておいてか。また、その方たちを確保していくためにどういう養成をなされようとしているのかについてお尋ねいたします。
#94
○征矢政府委員 この職域開発援助事業につきましては、具体的には企業において実施をいたすわけでございますが、したがいまして、技術支援パートナーにつきましては、その企業におきます。その方面の知識を有する方にお願いする。あるいは生活面の支援パートナーにつきましては、私どもの関係で実施いたしております地域センターにおきます体制の中で、その担当者を定めて実施いたしているところでございます。
#95
○外口委員 私は、この支援パートナーをどういうように養成するかということで、今後この制度が実効あるものになるかどうかということを左右するものだと思いますし、大変重要な要素だと思いますが、このような事業を効果的に生かすには、言ってみれば、このパートナーは身体障害者にとってのつえとか車いすといった、そういう福祉機器にも当たるものでございます。
 したがって、そのような人材は、少数の専門家だけではなく、普通の人々がより多く障害者と一緒になって行動して、実際の経験の中で体で感じ、ともに悩みながら精神障害者の問題をわかり合っていく、そして支えていくといった、そのようなごく普通の人々あるいは地域の人々などが啓発されていって、その人々が支援者として育っていくという仕組みを充実していくことが大事かと思いますが、そういう点について、ことし始まったばかりのこの職域拡大援助事業の正当な発展を期待しまして、どのような人材確保を進めていくのか、もう一度お伺いしたいと思います。
#96
○征矢政府委員 職域開発援助事業につきましては、先ほどもお答えしたとおり、二年間の試行実施を経まして、その結果非常に結果がよかったものですから、その試行実施の結果を踏まえて、本年度から本格的に七カ所のセンターで実施するということでございます。
 したがいまして、この制度の運営につきましては、今年度の予算は、そういう形で試行実施の結果での予算の仕組みの内容で実施をいたしてまいりたいと思いますが、今後その実施結果等を踏まえて、必要な手当て等があればさらに改善しながら具体的に雇用促進に結びつくような方策を検討してまいりたいというふうに思います。
#97
○外口委員 ただいまの答弁で、大変試行の結果がよかったということでございましたけれども、その場合、このパートナーとなった方たちはどんな方たちであったか、どんな方が適切という判断をされたのかについてお伺いしたいと思います。
#98
○征矢政府委員 技術支援パートナーにつきましては、先ほども申し上げましたように、雇用開発、職域開発をお願いする企業におきます専門家の方、具体的に障害者の方をその仕事にどういう形でつけ、どういうふうに訓練していったらいいかというようなことについてのその企業における実情のわかった方をお願いするということでございます。
 それから、生活支援パートナーにつきましては、地域の職業センターにおきまして、生活支援についての過去いろいろな経験等のある方、例えば福祉施設関係等の仕事を長くやってきた経験者その他そういう障害者問題についてかかわってきたような方について、お願いしてやるというような形で実施をいたしているところでございます。
    〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
#99
○外口委員 私は、もう一つ、国としてこのような人材の育成に積極的に支援すべきものとして、大変重要であるにもかかわらず日本においては非常に欠けている点があると考えるものですが、それは当事者団体の力を鍛えていくための助成です。
 いわゆるセルフヘルプグループ、これは患者回復クラブとか、あるいは家族会などがありますけれども、そういうセルフヘルプグループの活動を助成する中から、支えのための人材が育っていくというようなことが本来目指すべきものであり、それが結果的には社会全体の受け入れ態勢をつくるなどの社会的啓発にも通ずるというふうに考えますが、このような当事者団体への対応ということについては、どういうふうに進めていかれるおつもりなのかについてお聞かせいただきたいと思います。
#100
○征矢政府委員 今後の課題といたしまして、例えば生活支援パートナー等につきましては、おっしゃるように関係団体の方で適任の方があればお願いするというようなことも含めて、今後検討してまいりたいと思います。
#101
○外口委員 これまでの試行の中で、そういった経験、試み、あるいはそのような団体との交流というようなものは持たれておりますでしょうか。
#102
○征矢政府委員 二年間におきます試行段階におきましては、ただいま御指摘のような具体的な交流等はございませんでした。今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
#103
○外口委員 さて、この法律は、障害者の職業的リハビリテーションを促進する役割を担っていると考えますが、精神障害者については、特に職業的リハビリテーションの推進の基盤となっているものに、先ほど廣瀬課長が申しておりましたように、医学的なアプローチあるいはまた生活面の援助が大変に不可欠なわけですけれども、そのようなトータルなリハビリテーション活動を実現していくに当たっては、厚生行政によって行われるリハビリテーションと労働行政によって行われるリハビリテーションとが相互の連携態勢をとっていかなければならないのではないかと考えるものです。
 障害者の雇用促進は、今後両省の協力によって推進されていくべきと考えますが、各省どういうように分担をしていこうとお考えなのか、それぞれ厚生省、労働省からのお考えをお伺いしたいと思います。
#104
○若林政府委員 これまでも障害者の雇用問題につきましては、労働省と厚生省、現場段階で連絡の会合を開きまして、場合によりますと、ケースごとにいろいろな御相談をしながら進めてまいっておるわけでございます。
 精神障害者の方々の雇用の促進につきましても、やはりそういった地域の障害者の職業センターと医療機関、あるいは安定所と医療機関、福祉事務所、こういったところの連携を一層強化いたしまして、協力し合ってその雇用の促進とそれから職場の定着、これに努力をしていきたいと考えます。
#105
○廣瀬説明員 厚生省と労働省との協調関係についてお答えいたします。今ほど局長がお答えしましたとおり、現段階まで障害者雇用対策課と連絡をとりながら仕事を進めております。今後についても十分に連絡をとって進めてまいりたいというふうに思っております。
 それから、私の方は、労働省の政策がどううまく進むかの前段階を支えている部分でございますので、当然その部分について力を入れてまいらなければいけないというふうに思っています。
 その具体的な例を申し上げますと、平成四年度に新規に認められましたグループホームは、雇用を進める上に当たって大変役に立つものというふうに思っています。グループホームは、五、六人の障害者がアパートをお借りしまして住んでいるわけでございますが、この方々をお世話する人に国と県でお金を出しまして、具体的にお世話をしながら就職の道を開いていく。そのために会社関係にも十分に安心していただけるような体制。それから、先ほど先生が申されておりますように、生活の部分としての情報を持っておる人がお世話する人でございますので、その人等を通じながらまた職場に連絡が十分行くような体制をどのように具体的に固めていくかということになるかと思っています。
 いずれにしても、今後の対応をより具体的にどう進めるかにかかっていると思いますので、逐一具体性を帯びながら仕事を進めていくことが肝要だと思っております。
#106
○外口委員 それぞれの省の考え方をお伺いしましたが、やはり現場での混乱をできるだけ防いで、実体のある施策を推し進めていただきたいというふうに思います。
 次に、もう一つ厚生省にお伺いしますが、現在国の施策として、障害者の社会参加推進のための施設として授産施設が設けられています。しかし、それと同様の機能を果たしている無認可の施設である小規模作業所が近年大幅な増加ぶりを見せております。
 そこで、お伺いいたしますが、まず、今日の授産施設と小規模作業所の実態を明らかにしてください。
#107
○松尾説明員 お答えいたします。
 身体障害者通所授産施設、それから精神薄弱者授産施設、精神障害者通所授産施設と、授産施設には三種類ございまして、その数でございますが、全部で平成三年度五百八十七カ所でございます。定数で一万九千五百八十一でございます。
 それから、小規模作業所でございますが、小規模作業所は法的な施設でございませんので、変動が激しい面もありますので、厚生省としては数字はつかんでおりませんが、関係団体の調査によりますと、自治体が助成している小規模作業所につきましては、約三千カ所と聞いております。
#108
○外口委員 精神障害者の社会参加の高まりの中で授産施設のニーズは大きなものであるにもかかわらず、実際には余りふえていってないように伺います。また、今述べられました無認可の小規模作業所の方が急激な増加を見せている。これは何らかの施策上の問題があると考えられますが、厚生省としてはこの現実をどのように認識されて、また、このような結果を迎えている理由について、どういうことを考えられ、対応していこうとされているのか、お伺いします。
#109
○廣瀬説明員 特に精神障害者の授産施設、それから小規模作業所についてお答えいたします。
 精神障害者の授産施設は平成四年度現在五十一カ所になっております。そして、増加しない最大の理由は、平成三年七月の公衆衛生審議会より厚生大臣に提出されました「地域精神保健対策に関する中間意見」において、社会復帰施設の運営費の四分の一設置者負担の解消がなければ難しいということの提言を受けでございます。それに基づきまして、この運営費について、四分の一の設置者負担の解消を関係省庁と現在協議をしているところでございます。
 それから、小規模作業所の問題でございますが、小規模作業所については、精神障害者にかかわる、障害者に対しての家族会それからその周辺の方々で思いを入れていただいている方々が草の根的に発生を助けてきてくれる。そして、地域からの理解がどう得られるかということになりますと、家族の方々、それからそういう地域でサポートしてくれている方々が大変地域で信頼を受けているということの中で、地域から容認されてそういう小規模作業所ができてきているということが中心であって、そしてその数がだんだんふえてきております。
 現段階においてこれに対してどのようにサポートをするかということになりますが、やはり現段階で小規模作業所から法定施設の方に入れるような努力をしていただくような形での指導を続けてまいりたい。なお、法定施設に入るためには法人格を取らなければいけないわけですが、地域から、それから県等からも援助をいただきながら法人格が取れるような形でどのように動いていくか、そういうことで作業を進めてまいりたい。今の段階で、小規模作業所に十分な費用を負担する形で、補助をする形でということは今のところ考えられないというふうに思っております。
 具体的に申すと、精神保健法が昭和六十三年七月にできました。それに基づいて法定施設が第九条の中に盛り込まれてございまして、現在四年近くたちますが、それに基づいてつくられている段階でまだまだ数が足りない状況にございます。
 そういう意味では、法定施設の社会復帰施設等を十分つくっていくように指導することが、厚生行政の中での、精神保健行政の中の一番のところと思っております。そのところを中心にしながら、小規模作業所についても、温かい目を送りながらどのような育成を図っていくかということで考えてまいりたいというふうに思っております。
#110
○外口委員 今答弁の中で指摘された設置者の四分の一負担、また運営費基準の非常な低さなどが現場の大変意欲的な人々への負担を大きくしているという点で、今後ぜひとも取り組んでいっていただきたいと思います。
 次に、労働省にお伺いします。
 今実態について伺った小規模作業所は、大変身近に、気軽に利用できる点、あるいはかなり柔軟な運用で多機能な役目を担っている、そういう柔軟さ、そういう点で障害者のニーズと一致して多くの利用者が急増してきたというふうに私は受けとめています。ですから、先ほど鈴木委員が指摘しましたように、一つ二つの立派な大規模なモデル施設の建設というよりは、より身近なところでの地域に点在する支援する受け皿というものを人々は望んでいるということが明らかだと思います。
 そういう受け皿である作業所は、大変乏しい人的、物的資源の中でいろいろな役割を担っているということが言えます。特に障害者に対する相談活動、レクリエーション、また経験交流の場所の提供、そしてまた就業の場の提供など大変多機能な役割を担わざるを得ない状態に置かれています。その中でも、例えばある作業所では、設立以来百六十人余りの利用者のうち四十人余りを一般企業への就業に結びつけたとの報告がされています。このような例は明らかに作業所が職業訓練の機能をも担っていると考えられますが、この点について労働省としてはどのように考えられますでしょうか。また、このような事業を行っている場合、その事業に対して助成を行っていくというお考えはおありでしょうか、お尋ねします。
#111
○若林政府委員 小規模の作業所に入所しております障害者の方々は、一般雇用がなかなか難しい障害者の方が多いというふうに承知をいたしておりますけれども、ただいま先生御指摘のようなケースもございまして、一般企業への就職を希望している方につきましては、私たちもできる限りそれを実現するように努力をしていきたいと思っております。
 公共職業安定所におきましても、先ほど申しましたように、従来から公共職業安定所ごとに福祉関係の機関との連絡の場を設けているわけでございますので、そういったところで、ただいまのようなケースについて、ケースごとにきめ細かくお世話をしていくということを進めていきたいと思っておるわけでございます。
 こういったような事業所に対する援助でございますけれども、私どもの助成と申しますものは、やはり雇用というものに着目して助成をしていくということでございます。そういうことでございますので、この小規模の作業所に対しての助成というケースは少のうございます。しかし、現実に実態としてそれが雇用であるというふうに判断されますものにつきましては、数は少のうございますけれども、これまでも助成の対象にしているケースがございます。
#112
○外口委員 その作業所で十分な発展的なケアが受けられないときには、いつまでも作業所の中にとどまり続けることになり、それがノーマライゼーションの考え方によれば、障害者同士だけが集まるのではなく、もっとそのような場での経験をステップにしてより社会参加、一般企業に就職したり学校に通ったりしていくのが当然の目指すべき方向だと思いますので、障害者の雇用促進という面からもそういうような作業所での十分なケアが大切ではないかと思いますので、そういう点について労働省としても取り組んで、助成できるような仕組みをもう少しお考えいただきたいというふうに思います。
 もう一つの問題として、時間もございませんのでひとつ指摘しておきたいと思いますが、今度の雇用促進法の中で精神障害者の場合、精神分裂病、躁うつ病、てんかんにかかっている人として病名を前面に出して直接的に規定している点が大変私は疑問に思っています。精神的な障害によって職業的にハンディキャップを持っている人ということでよいのではないかと思うんです。その職業的にハンディキャップになっているかどうかの判断ということでよいにもかかわらず、非常に医学的な面が強調され過ぎているかに思えますが、そういうあり方に対してどういうふうにお考えなのか。厚生省、労働省にぜひ御意見をいただきたいと思います。
#113
○征矢政府委員 私ども現在既に実施いたしております職場適応訓練につきまして、これについてどういう形で取り組むかということについて出発点で、昭和六十一年度から実施いたしておるわけでございますが、検討した際に、ただいま先生御指摘のように、精神障害者の方々について、今言ったような形での方々を対象として職場適応訓練を始めてきた経緯がございます。
 そういう経緯を踏まえ、職場適応訓練の実績を踏まえた上でさらにこれを具体的に雇用に結びつける場合に、現在納付金制度に基づく助成制度等の適用もないものですから、そういうものを適用することによって雇用の促進を図ろうという考え方でスタートしているところでございます。
#114
○廣瀬説明員 精神障害者の雇用の促進にかかわりましてその前段階を受け持っておる厚生省といたしましては、精神障害者の病名というよりも、障害を持ち、そして疾病を持っている方々に対していかにサポートし、より社会に出ていただけるかというところに対して十分気を使っていくものと思っておりますので、精神保健法の中で定められております第三条による定義に基づいて対応してまいりたいというふうに思っております。
 なお、障害者にかかわっては、症状が消退してきましても、いろいろと変化の中での、社会の中での生活ということがございますので、より十分な心遣いを持つ人たちを養成することによって十分に支えていけるような体制、づくりになるかというふうに思っています。
 そして、現在のところは、その支えている人たちが、今まで精神障害者にかかわって二十年、三十年という形で大変力を尽くしてくれた人たちですが、今後障害者対策が推進すればするほど新しい人たちが入ってくるということも十分心得まして、その養成に努力してまいりたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#115
○外口委員 時間になりましたので、最後に、精神障害者の雇用の促進に当たってはとりわけ支援する体制を、特に人については幾重にも支え手をつくり出すことによって、また柔軟な就業形態を提供していくことによって、ぜひとも今後積極的な雇用促進対応策を進めていっていただきたいとお願いして、二十一世紀のだれもが安心して暮らせる社会の仕組みづくりに向けて、いわゆる高齢者、女性、弱者などの社会的なハンディキャップを余儀なくされている人々の社会参加に向けての大臣の縦割りの、制度を超えた御見解をお伺いしたいと思います。
#116
○近藤国務大臣 障害者の雇用対策、とりわけ精神障害者の雇用対策は私どもの最大の政策課題の一つでございます。きょうも先生からいろいろ貴重な御指摘も受けましたが、そういった御指摘を踏まえまして、また関係各省との連携、連絡、協力を密にいたしまして、そういった障害のある方々が、健常人とできるだけ同じような状況で立派な仕事をしていただき、立派な人生を送っていただけるように、我々もこれから全力を尽くしてまいる決心でございます。
#117
○外口委員 終わります。ありがとうございました。
#118
○川崎委員長 午後一時四十五分より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十五分開議
#119
○川崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。井上義久君。
#120
○井上(義)委員 昭和五十六年に国際障害者年、そしてそれに続きます国連障害者の十年の、ことしは最終年度に当たるわけでございます。国際連合の国際障害者年行動計画には、高齢者も若者も健常者も障害者も、すべての者が通常の生活環境の中で一市民としてノーマルな生活を送ることができるよう物心両面で環境条件を整備していく、いわゆるノーマライゼーションの基本理念が示されているわけでございます。
 こうした社会を実現するためには、社会参加の基本とも言える雇用の確保が十分になされなければならないわけでございまして、特に障害者にとりましては、仕事につく、働くということは、いわば自立あるいは社会への参加ということの具体的な実現の場として大変に重要であると思うのでございます。
 それでは、この十年間で、ことしか最終年度でございますからまだ完全に終わったわけではございませんけれども、どれだけ障害者の雇用がふえたのか、また、この間、障害者も含めて常用雇用労働者というのも大変ふえておるわけでございまして、この障害者の実雇用率はどの程度前進をしたのか、それをまずお示しいただければと思います。
#121
○征矢政府委員 国連障害者の十年の初めであります昭和五十八年の雇用状況について見ますと、雇用されている障害者数は十五万五千五百十五人でございまして、法定雇用率一・五%に対し実雇用率が一・二三%でございました。これが、最終年の前年でございますが、平成三年について見ますと、雇用されている障害者数は二十一万四千八百十四人、法定雇用率一・六%に対し実雇用率は一・三二%となっておりまして、この間、雇用されておる障害者数で五万九千二百九十九人、実雇用率で見ますと〇・〇九%の増加となっておるところでございます。
#122
○井上(義)委員 六十二年に法改正がありまして、雇用率制度及びこの納付金制度上は、精神薄弱者が身体障害者と同様にカウントできるようになりました。あわせて、重度障害者がダブルカウントできるようになったわけでございますけれども、六十三年にこれが施行されて四年経過しておるわけでございます。
 この間のデータを見ますと、例えば六十二年と六十三年を比較いたしますと、〇・〇六ポイント上がっておるわけでございますけれども、身体障害者だけを見ますと改善がほとんど見られていない。その後も、六十三年から平成元年、〇・〇一ポイント上がっただけで、その後全く改善の跡が見られないわけでございまして、そういうことを考えますと、十年間で〇・〇九ポイント上がったわけでございますが、身体障害者だけを見ますと、実質は〇・〇三ポイントしか、あるいはそれ以下ということにしかならない、こう思うわけでございますけれども、この〇・〇三ポイント程度しか上がらなかったということについて、御認識はどういう御認識でいらっしゃるでしょうか。
#123
○征矢政府委員 先生御指摘のように、昭和六十二年の法改正以降で見ますと、昭和六十三年の雇用障害者数が十八万七千百十五人、実雇用率で見ますと一・三一%でございまして、平成三年までの四年間で雇用されている障害者数、これは二万七千六百九十九人、実雇用率で〇・〇一%の増加にとどまっているところでございます。
 この原因につきまして的確に申し上げることは難しい面もございますけれども、一つには、大きな理由といたしまして、雇用障害者数自体が増加しているわけでございます。あわせて、ちょうど経済的な好況等も反映して一般の常用労働者数の伸びもあったために、結果として実雇用率で〇・〇一%の増にとどまったというふうに考えているところでございます。
#124
○井上(義)委員 要するに、この十年間で、比較の対象のために身体障害者の皆さんだけをとりますと〇・〇三%しか上がらなかった、しかも、重度障害者の方をダブルカウントしているということも含めてそれだけしか上がらなかったということでございまして、十年間大変御努力されたと思うのです。
 この十年間の御努力の結果、確かに雇用者数はふえていますけれども、実雇用率で見ますと〇・〇三ポイントしか上がらなかったということについて、どういう御認識でしょうかということをちょっとお伺いしたい。
#125
○若林政府委員 私ども、雇用率の達成指導につきましては格段の努力を払ってきたつもりでございますし、また、そういうことを通しまして事業主の方々また同僚の方々の御理解も次第に広がってきたというふうに認識はいたしております。
 しかしながら、経済の情勢その他は別といたしまして、やはりまだまだ雇用率の達成が横ばいになっているということにつきましては大変厳しい認識を持っているところでございます。最近におきましても、これまで計画作成命令あるいは適正実施勧告というものの指導を続けてまいりまして、さらに特別の指導を続けまして、なおどうしても雇用を進めていただけないというところにつきましては公表に踏み切った次第でございます。
 今後とも雇用率の達成指導につきましては、その厳格な指導を続けていきたいというふうに思っております。
#126
○井上(義)委員 御努力してきていただいたことは我々も評価するにやぶさかじゃないわけでございます。しかしながら、この十年間で〇・〇三ポイントしか上がらなかったということについて、障害者の雇用対策というものをやはりどこか抜本的にもう一回考え直してみる必要があるのじゃないかということを最初にちょっと御指摘しておきたいなと思うわけでございます。
 それで、一・三二%程度にとどまって改善が見られない、特にこの六十二年改正以降ほとんど横ばいになっているわけでございまして、要するに、このままでは法定雇用率という考え方自体がもう形骸化してしまうのではないかということを心配するわけでございます。
 障害者の十年の初年と中間の六十二年に、障害者政策が策定されました。これらの計画は障害者対策全般のものであったわけでございますけれども、雇用対策は重要な柱の一つであったわけでございまして、ある意味で政府を挙げて取り組んでこられたわけでございます。しかしながら、実雇用率という意味で大きな改善が見られなかった。
 今回の法改正で障害者雇用対策基本方針は労働大臣が策定されるというふうに伺っておるわけでございますけれども、じゃ、この基本方針というのは、具体的な中身はどういう中身になるのか。少なくとも、この法定雇用率をどういうやり方でいつまでに達成するのだ、こういう明確な目標がないと、何のための計画か、また同じ十年を繰り返してしまうのじゃないか、こういうふうに思うわけでございまして、労働大臣がお定めになるこの基本方針、この中でそういう法定雇用率をいつまでにどういうやり方で達成するのだということを明確にされるようなお考えはあるかどうか、お聞きしておきます。
#127
○近藤国務大臣 まだまだ障害者の雇用率の改善が少ないじゃないかという御指摘については、私たちも残念ながら認めざるを得ないわけでございます。
 ただ、先生、障害者雇用を強制しても、ただ会社が頭数合わせだけしてしまって、状況は雇用で実際はしかるべき仕事を与えていないということも起こり得ると私は思うのですね。ですから、障害者雇用というのは、やはり会社がその気になって積極的に障害者の方に雇用の場をつくっていただいて、そして喜んで、まさにもうノーマライゼーションという考え方で健常者と同じようにやっていく。そこまでいかないと、ただ機械的に率を与えてそこまでやれ、ペナルティーはどうだという形ではどうもいかないのかな、こんなことでございますので、現行の制度を、今度はひとつ基本計画をつくりながら社会的なムードづくりといいますか、そういう社会的機運を国がいわば中心になって盛り上げながら、その中で積極的に、しかも意欲的に障害者雇用をやっていただくということをつくることだと思いますので、いついつまでにどうしようということはなかなか言い切れない、しかし、気持ちとしてはもうできるだけ早くやっていただくようなことをこれまで以上に我々は努力してまいりたい、こういうことでございます。
#128
○井上(義)委員 そうすると、この基本方針というのは具体的にどうなるのでしょう。大体五年計画とか十年計画とかというような考え方でいいますと、五年計画とかというようなことになるのでしょうか。
#129
○征矢政府委員 基本方針につきましては、余り長期な形で考えますと、先行きの問題がございますので、やはり五年ぐらいをめどにした方針にいたしまして、なおかつ諸情勢の変化の中で修正の必要がある場合には適宜修正するというような形で対処していきたいというふうに考えております。
#130
○井上(義)委員 そうすると、五年程度のめどで基本方針をお考えになっているということでございます。
 では、この五年間で少なくとも実雇用率はこの程度までは上げなければいけない、そのためには具体的な施策はこうしたいというのが計画をつくる本来の道筋だろうと思うのですけれども、それはどうでしょうか。
#131
○若林政府委員 五年間に数字としてここまでということはやはり難しいと思うのでございます。ただ、先ほど先生が雇用率制度は形骸化しているのではないだろうかという御懸念がございましたけれども、先ほど申し上げましたように、公表ということを前提にして、相当強力な雇用率達成指導を進めてまいっておるわけでございます。百余の企業が対象になりまして指導を続けてまいりましたけれども、こういった企業につきましては、相当大幅な雇用率の向上が見られております。また、こういった対象ではございませんけれども、大企業でまだ相当不足数が多いという企業がございまして、こういったものも、やはり百を超える大企業につきまして特別の指導をいたしましたけれども、こういった企業についてもかなりの改善が見られているわけでございます。
 そういった意味で、私どもこの雇用率の引き上げにつきましては、今後全力を尽くしてまいりたいと思っておりますけれども、数字という面になりますと、これを方針等にお示しするというのはなかなか難しいということでございまして、その点は御理解賜りたいと存じます。
#132
○井上(義)委員 六十二年の改正のときにも同じような議論がなされたと思いますけれども、四年間やった結果、実雇用率の改善はほとんど見られなかった。今回、法改正をして五年間の方針を策定した、結果として実雇用率は横ばいであったというようなことを私は心配しているわけでございます。
 それでは、この法定雇用率の障害者対策で持つ意味は、どういうふうにお考えなんでございましょうか。
#133
○若林政府委員 この法定雇用率と申しますものは、制度といたしましては、働きたいという障害者の方々、当然失業者の方も入ってでございますけれども、その方々の雇用の状況と健常者の雇用の状況とを同じようにするという前提で計算をする、五年ごとに見直していくということによりまして法定雇用率はできているわけでございますけれども、その基本的な考え方と申しますのは、事業主が社会的責任として雇用していくんだということが前提になってできている制度でございます。
#134
○井上(義)委員 企業主が社会的責任として達成すべき数字、こういうふうにお答えになったのですけれども、それじゃ政府としてこの雇用率というのは達成すべき責任だというふうにお考えじゃないのでしょうか。もちろん、雇うのですから企業主が最終的には責任を持つことは当然なんですけれども、この施策を遂行する立場として、これは責任を持って、あらゆる施策を通じてやるんだという目標というふうにはお考えでございましょうか。
#135
○若林政府委員 まず、国も地方公共団体もそれぞれ雇用率を定められておりますから、雇用主体として国、地方公共団体がそれぞれに課せられました雇用率を達成するということは当然でございますけれども、それに加えまして先生御指摘なのは、民間の企業に課された雇用率というものを達成することについて政府の責任があるのではないか、こういう御指摘だと存じます。
 この障害者の雇用というものにつきましては、こういう雇用率の達成ということは別といたしましても、障害者の方々の雇用の促進ということにつきましては国が責務を負っているわけでございます。そういった観点から、私どもは、この雇用率の達成というものにつきましての行政上のいわば責任と申しますか、責務を負ってこの達成指導を進めているわけでございます。ですから、私どもは、ただこれは民間の方々が達成すべきことで政府は別、そういう考えは全く持っておりませんで、少しでも雇用率の改善ということに向けまして、これは私ども一線職員を含めまして努力を続けておるわけでございまして、これは民間のことというような考えは全く持っておりません。
#136
○井上(義)委員 もちろん無責任だと申し上げているのではなくて、やはり政府として雇用率というものをお定めになっておるわけでございますから、やはりあらゆる施策を通じてこれは断固実現をするんだ、そういう強い決意がないと、確かに民間の企業の社会的責任ですけれども、要するに、民間の社会的責任だけれども実際は達成できなかったということになったら、これは意味がないわけでございますし、今回せっかく法改正されるわけでございますので、五年たったら結果的に実雇用率は変わらなかったというようなことがないように、ぜひ頑張っていただきたいなということを申し上げておきたいと思います。
 次に、雇用率がなかなか達成しないということで、企業の規模が大きくなるほど雇用率が低いという問題があるわけでございますけれども、この企業規模別の雇用の状況はどうなっておりますでしょうか。
    〔委員長退席、永井委員長代理着席〕
#137
○若林政府委員 全体が一・三二でございますけれども、六十三人から九十九人が二・〇六%、百人から二百九十九人が一・五二%、三百人から四百九十九人が一・二七%、五百人から九百九十九人が一・一九%、千人以上が一・一六%というのが現状でございます。
#138
○井上(義)委員 企業規模が大きくなるほど実雇用率が低くて、未達成企業の割合も高くなっているということでございます。特に、今千人以上の規模の企業の実雇用率が非常に低いわけで、一・一六%、本来雇用しなければいけない障害者の七〇%程度しか雇用していないということになるわけでございまして、日本がこういう仕組みを採用した際にモデルとなった西ドイツなんかの例を見ますと、大企業ほど雇用率が高いというようなことも伺っているわけでございまして、この原因をどのように分析をなさっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
    〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
#139
○若林政府委員 やはり企業規模が大きいほど実雇用率が低いというのが現状でございまして、これにつきましては、大企業におきまして、組織が大きいだけに企業のトップのこの問題についての理解が非常に大きな影響を持つということでございます。
 やはり企業のトップの方がこういった問題について認識をお持ちいただきまして、末端までそういったことを指示していただいているところにつきましては、大企業でも雇用率を達成しているということでございます。そういうことで、大企業の場合、トップの方の認識が必ずしも十分でないということが一つ問題点として挙げられようかと存じます。それから、やはりこれも組織が大きいということに通ずるのだと思うのでございますけれども、障害者雇用を推進する社内体制の整備がおくれてきているということが考えられようかと存じます。
 こういうことで、私ども、雇用率の低い大企業に対しましては、先ほど来申し上げておりますように、雇入れ計画・適正実施勧告制度を厳正に運用いたしまして、公表を前提とした指導を引き続き実施いたしますほか、公表の対象とならない未達成の大企業に対しましても、企業のトップの方への個別指導、そういったものを通じまして指導を行ってまいりまして、また、各地に事業所が点在いたしておるわけでございますので、こういった事業所でも雇用の促進をするように働きかける、こういうことで、大企業を中心に雇用の促進を進めているところでございます。
 こういったような指導を進めております中では、かなりその趣旨が徹底してまいっております。
#140
○井上(義)委員 先ほど障害者雇用というのは企業の社会的責任というお話があったようでございますけれども、大企業ほどこの社会的責任は大きい、その社会的責任が大きい大企業ほど雇用率が低いということは、企業の社会的責任だという前提で今の施策というのは組み立てられておるわけでございますけれども、その社会的責任の大きい大企業ほど雇用率が低い。施策との間に大きなギャップがあるわけですね。
 先ほど企業のトップの意識、それから社内体制の未整備というようなお話があったのですけれども、これを、例えば企業のトップの意識調査をするなり、あるいは社内整備についてのアンケート調査をするなり、先般労働組合の連合の皆さんがやはりこの問題の意識調査をされて、大企業ほど意識が低いという話が出たと出ていましたけれども、そういうような調査は労働省はなさったことがございますか。
#141
○若林政府委員 私どもは、トップの方に対するいろいろな活動というものはいたしておりますけれども、トップの方々を対象にした意識調査と申しますか、そういったものはこれまで行っておりません。
#142
○井上(義)委員 そうすると、トップの意識が弱いところがやはり弱いというような、先ほどの原因ですね。それは一般論としてそうおっしゃっているのでしょうか。
#143
○若林政府委員 大企業、千人以上の企業と申しますと、私どもはその一つ一つの企業の実情を把握いたしております。そうしまして、それぞれの企業においてどういうような指示をなさっているかというところまで実は掌握をいたしております。ですから、どこどこの企業においては、お正月の営業所長の会議のときに社長さんが御指示になったとか、そういうところまでいろいろ伺っておりますので、それぞれの企業の動向というのはかなり承知しております。
#144
○井上(義)委員 施策の目標と実態のギャップが非常に大きいということは、やはりそこに施策についてきちっとした見直しをしなければいけないんじゃないか。そうしないと、労働省がせっかくいろいろ施策をお進めになっている、先ほどからの繰り返しになりますけれども、社会的責任が重要だ、その社会的責任の大きな大企業ほど雇用率が低いというような、労働省の施策に反してそういう傾向があるわけでございまして、ここを変えなければいけない。やはりそこを変えるためには、ただ責任を持ちなさい、持ちなさいと言っているだけではだめなわけでございまして、責任を持たざるを得ないような施策をきちっと明確にとらなければいけないのではないか、こういうふうに思うのですね。
 一つは納付金制度でございますけれども、いわゆる納付金制度というのは、全体として障害者雇用に伴う経済的な負担の平等化あるいは事業主の共同連帯責任の実現を図る、そういう枠組みになっているんだろうと思います。しかし、納付金というのは納めたことで障害者の雇用義務を逃れるものではない、こういう建前にはなっているのですけれども、実際には、納付金を納めている限り社会的な制裁あるいは批判を受けることがないということで、納付金が免罪符になっているという側面もあるのではないか。要するに、罰則じゃありませんから、あくまでも納付金を納めればいいということでございますから、これが免罪符になっているという側面があるんじゃないかという指摘があるわけでございます。そういう指摘についてどういうふうにお考えになっておりましょうか。
#145
○征矢政府委員 先生御指摘のような見方がされている面があることは否定できないわけでございますけれども、この法律に基づく制度といたしましては、法律雇用率が定められておりましてその雇用率を達成、維持していただく、そういうことを前提として、それに届かない場合に納付金制度に基づいて障害者の雇用に伴う経済的負担を調整する、そういうことでこの制度が運用されております。したがいまして、納付金を払えば雇用義務を免除されるという制度ではないということを前提としているわけでございます。
 納付金の額につきましては、五年ごとに制度を見直しする際に見直しを行って、かかった費用の実態調査の上で納付金の金額を定める、こういうことで平成三年度見直しを行いまして、本年四月から一人当たりの額を四万円から五万円に引き上げたところでございますが、そういう制度であるわけでございます。
 したがいまして、そういう制度とあわせて、雇用率未達成企業に対しましてはこの雇用率制度の厳正な運用によって法律の所期の目的を達成しなければならないということで、先ほど局長もお答えいたしましたように、昨年来そういう考え方を前提とした厳正な雇用率制度の運用に努めているところでございまして、今年度以降も引き続きそういう観点から雇用率の達成を図ってまいりたいというふうに考えております。
#146
○井上(義)委員 要するに、この納付金が免罪符になっているんじゃないか、そういう指摘があることについて労働省はどのようにお考えなのかということをお伺いしているわけです。
 というのは、大企業ほど実雇用率が低い、大企業というのは、ある意味で経済的な力があるわけでございまして納付金を払う能力がある、そういう観点から、要するに、今程度の納付金では免罪符というふうに受けとめられてもしょうがないのじゃないかという指摘に対して、どういうふうにお考えなのかということをお聞きしているわけです。
#147
○若林政府委員 ただいま申し上げましたように、雇用率の資料につきましては公表ということを前提にして今厳正な運用を図っておるわけでございます。現に、大変残念なことでございますけれども、四社について公表をしたわけでございます。
 この公表をしたということは、ただいま先生に申し上げましたように、納付金の納付は免罪符にならないということの一つの表明でもございます。こういった企業は恐らく相当の納付金を納めていらっしゃるんじゃないかというふうに思うわけでございまして、決してそういうものではないということが明らかになっていると存じます。
#148
○井上(義)委員 今おっしゃった点は非常に大事な点なので、この後もう一回お伺いします。
 別な角度から、この納付金がそれなりの経済的な重みを持つということも考えなければいけない観点じゃないかと思うのですね。要するに、現行五万円程度であれば、それは払った方が障害者を雇用するよりも経済的な負担が少なくて済むというのも、やはり一つの側面としてあるだろうと思うのです。
 そういう観点からいいますと、現行五万円というものをもう少し漸次増額をしていって、実際の障害者雇用に見合うような水準まで引き上げるべきではないか、あるいは給与は年々上がっていくわけでございますから、当然物価スライドの導入ということを考える必要があるのではないか、こういう考えもあるかと思いますが、この点いかがでございましょう。
#149
○征矢政府委員 納付金制度につきましては、法律に基づきまして障害者の雇用に伴う経済的負担を調整することを目的としている制度でございます。したがいまして、その額につきましては、障害者雇用促進法におきまして、障害者の雇用に当たって特別に必要とされる費用の平均額を基準として定めることとされているところでございます。これにつきましては、少なくとも五年ごとと規定されております雇用率の見直しとあわせてその時期に見直しを行う、こういうことで制度の運用を行っているところでございまして、そういう観点から、平成三年度が五年目でございましたのでその時期に見直しを行いまして、特別に必要とされる費用の実態を調べ、それに即して平成四年四月から納付金の引き上げを行ったところでございます。
#150
○井上(義)委員 もう少し制裁的効果を持つ程度の額まで引き上げたらいかがですかということを申し上げているので、ちょっとお答えが何か……。
#151
○征矢政府委員 法律に基づく制度が、先ほど申し上げましたように雇用率を達成している企業と達成していない企業との間の経済的な負担を調整する制度としてこの制度が成り立っているわけでございまして、そういう意味では罰金という性格は有しておらないわけでございます。
 そういう経済的な負担を調整するという観点から費用を見、それに基づいて額を決め運用する、したがって、納付金を納めればそれで免罪符になるというものではなくて、雇用不足数が多ければ当然それに基づく計画作成、あるいは適正実施勧告等を行い、さらに遵守されない場合には最終的な公表というような形で達成をお願いする、こういう制度の運用を行っているところでございます。
#152
○井上(義)委員 雇用率未達成企業に対する雇用率達成指導が強化をされて具体的な成果を出されているということについては評価することでございますし、大いにやってもらいたいと思うのですね。特に企業名の公表ということでございますけれども、先ほどおっしゃいましたように、企業の社会的責任が前提となって組み立てられた障害者雇用対策であるという観点からいいますと、特に最近、企業の社会的責任ということが重視されるようになってきたわけでございまして、社会福祉に非協力である、こういうレッテルを張られるということは企業規模が大きくなればなるほどイメージダウンが大きいわけでございまして、効果としては非常に大きい効果を持つことが予想されるわけでございます。
 そういう意味では強い姿勢でやっていただきたいと思うのですけれども、現在、雇い入れ計画作成命令の発出基準、これが実雇用率〇・八%未満、こういうように伺っておるのです。これを例えば未達成企業すべてを対象にする、あるいは少なくとも平均以下、一・三二以下のところについてはすべて命令を出して、改善が見られなかったところはどんどん公表するというような厳しい対応をする必要があるんじゃないかなと思うのですが、どうでしょうか。
#153
○征矢政府委員 御指摘のように、現在、雇い入れ計画作成命令の発出基準といたしましては〇・八%ということで運用いたしておるところでございます。
 この雇い入れ計画の作成命令につきましては、事業主に計画を作成させることによりまして、将来における雇用関係の変動を的確に予測していただき、かつ計画的に身体障害者の雇い入れを行っていただく、こういうことによって障害者の雇い入れを促進しよう、こういう考え方でございます。
 したがいまして、従業員数が多く、法定雇用率を達成するために多くの障害者を雇用しなければならない企業、これは当然大企業ということになるわけでございますが、それに計画を作成させることは効果的である、こういう観点から、身体障害者の雇用割合が著しく低い場合にこの命令を発出している。この基準は、現在法定雇用率一・六%の半分、〇・八%ということで運用しておるところでございます。
 そういうことでございますが、私どもといたしましては、国連障害者年の最終年を迎えるに当たりまして、先ほど来申し上げておりますように、昨年来この雇用率達成指導について強力な指導を行ってきているところでございますが、その結果、今後の障害者の雇用状況の結果等を踏まえまして、要すればさらこの命令発出基準の見直しについて検討してまいりたいというふうに考えております。
#154
○井上(義)委員 実際に公表されてそれなりの効果があったということでございますので、企業の社会的責任を問うということは、やはり不断に問うていかなければ、これは環境をつくるだけではなかなかできないと思いますので、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、未達成企業すべてというのはなかなか大変かと思いますけれども、少なくとも、できるだけ幅広く発出命令を出していただいて、必要があれば公表するというような姿勢でやっていただきたい、こう思います。
 それから、そういう企業に社会的制裁を加えるというだけではなくて、もう一方では、やはり雇用率の非常に高い先進的な企業もあるんだろうと思うのですね。こういう企業については、逆にまた名前を公表することはその企業のイメージアップにつながっていくという側面もあるのじゃないかと思いますが、低い企業だけじゃなくて、高い企業も発表なさるというようなことはどうでしょうか。
#155
○若林政府委員 事公表ということになりますと、法律に公表というものの手続が出ておりますから、よいところ悪いところ含めまして、やはりこの公表という制度を一つの手続を踏んで進めていかなければならないというふうに思うのでございます。
 ただ、ただいま先生御指摘のように、大変苦労して高い雇用率を上げておられるというところにつきましては、これはまた社会的に大いに評価をすべきであることは全くおっしゃるとおりでございまして、私ども、現在、毎年労働大臣の表彰制度というのを設けておりまして、年間約百の事業所について表彰いたしております。
 こういった表彰制度につきましてもさらに私どもいろいろ工夫を加えまして、そういった企業の御努力が社会的に評価されるように工夫をしてみたいというふうに思っております。
#156
○井上(義)委員 ぜひ何らかの方法を考えていただいて、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、労働省でお出しになっている身体障害者雇用実態調査によりますと、これは六十三年の調査でございますけれども、いわゆる雇用されております障害者の産業別割合、これを見ますと、製造業が四七%というように圧倒的に多いわけですね。これは一般の労働者の三六・四%と比べますと一〇ポイントも高いということで、その他精神薄弱者なんかを見ましても六六・〇%、あるいは聴覚障害者が六九・六%というようなことで、障害者の雇用というのは極端に製造業に依存しているというのが実態だろうと思うわけでございます。
 しかし、産業構造の変化によりまして、今後の製造業で大幅な雇用増というのは期待しにくいわけでございまして、国勢調査の産業別人口構成を見ても、第二次産業から第三次産業に着実にシフトをしているというような状況を考えますと、障害者の雇用機会というのはこの産業構造の変化によってますます厳しくなるのではないかなというふうに思うわけでございます。
 それに十分対応していくような、例えば職業リハビリテーションの内容なんかも含めてこういう産業構造の変化にどのように対応していくのか、特にこれからの五年、十年ということを考えますとそういう問題が一番重要だと思いますが、その辺の御認識をお聞かせいただきたいと思います。
#157
○若林政府委員 確かに、産業構造の変化に対応いたしまして第三次産業の雇用が伸びてくるわけでございまして、こういったところにより多くの障害者の方々の雇用の場をつくっていくということが重要になってくるというふうに思っております。
 そういったことで、こういった産業における障害者の方々の雇用を創出していくという意味で、職業訓練につきましてはいろいろな意味での工夫をこれからしていかなければならないだろうというふうに思っております。訓練内容の整備充実に努めておりまして、特に三次産業の訓練科目として、経理事務ですとか一般事務、販売科なども設置いたしております。最近はME関係での需要も非常に多いわけでございます。そこで、パソコン、ワープロの操作でございますとか、こういったものも職業訓練施設のみではなくて、地域の障害者の職業センター、こういったところでもこういったワープロの講習などを実施いたしまして雇用に結びつけております。
 今後とも一層こういった三次産業における雇用の場の創出という観点から、リハビリテーションの内容を検討していきたいというふうに思います。
#158
○井上(義)委員 それから、最近サービス産業なんかを中心に、いわゆる常雇用以外のパートタイムの労働者が非常にふえてきているわけでございます。ところが、雇用率の算定というのは常雇用労働者を基準に決めていますから、パートタイマーとかあるいは最近フリーターと言われるような、いわゆる雇用期間が一年に満たない労働者がふえればふえるほど、この法定雇用制度、法定雇用率を定める制度というのがますます形骸化していく傾向になってしまうのではないか。
 そういう意味からいいますと、こういうパートタイマーあるいはフリーターと言われるような雇用形態の変化に対応して、この法定雇用率を決めてこれを守らせるという考え方とは別な障害者雇用の対策というものをやはり考えていかなければいけないのではないか、こう思うわけですが、この点はいかがでしょうか。
#159
○若林政府委員 障害者の職業生活におきます自立を図りますためには、障害者がフルタイムの常用雇用によって雇用されるということがやはり基本であろうと存じます。障害者の雇用促進法におきましても、こういう基本的な考え方のもとに雇用率制度を定めておるわけでございます。しかしながら、重度障害者につきましては、その障害が重いゆえにむしろ短時間勤務の方が望ましいケー人も多いわけでございまして、今回の法改正におきましては、こういった重度障害者である常用雇用の短時間労働者について、いわば特例的に実雇用身体障害者数に算入するということになったわけでございます。
 今後事業主に対しますいろいろな指導援助を行うことによりまして、こういった重度障害者で短時間勤務が望ましいんだという方については、こういった形での雇用の場の拡大に努めてまいりたいと思いますけれども、先生今御指摘の点はこれとは別で、パートのウエートが非常に高くなってくるので、こっちの方にも何か雇用の義務を課したらどうだろうかというようなお考えだと存じますけれども、やはり基本的な考えは、障害者がフルタイムの常用雇用によって雇用される、こういった形で雇用率を定めているのが現行の制度でございます。私どもはやはりこの現行の制度が制度としては適切であるというふうに考えますけれども、また、パートを多く雇用している、パートのウエートが非常に高い企業というものにつきましても、指導といたしまして障害者に適当な雇用の場を与えていただくように指導も進めていきたいというふうに思っております。
#160
○井上(義)委員 時間がありませんので、その他お伺いしたいことありますけれども、ぜひ実効性のあるようによろしくお願いしたいと思います。
 最後に、レディス・ハローワークの件につきまして一点だけお伺いしておきます。
 女性の就業意欲が非常に高まって、職場進出が盛んになっているわけでございます。しかし、社会的な制約条件が多いということで、これらを取り除いて働きやすい環境をつくるということが施策の一番基本でなければいけないと私は思うわけでございますけれども、あわせて、やはり現実にあるさまざまな制約条件のもとで多様な就労ニーズにこたえるということでこのレディス・ハローワークがスタートして、それなりの効果を上げているようでございますので、大変結構なことだと思います。
 今後、全国にどの程度このレディス・ハローワークを設置をしていくお考えなのか、これだけ確認させていただきたいと思います。
#161
○若林政府委員 レディス・ハローワークは、当面、女子の有業率が全国的に見まして低い水準にとどまっておりまして、かつ潜在的女子労働力の絶対数が多く、潜在的な女子求職者を一定数以上期待できる大都市部において設置することが適当であろうというふうに考えておりまして、昨年度は二カ所、東京、大阪、今年度は横浜、神戸、福岡に設置をすることにいたしております。
 今後も、ただいま申し上げましたような考え方に沿ってひとつ進めてまいりたいと思いますけれども、やはり各地にこれからつくってまいりますレディス・ハローワークの運営状況をよく見ながら、今後の対応を考えていきたいというふうに考えております。
#162
○井上(義)委員 以上です。
#163
○川崎委員長 金子満広君。
#164
○金子(満)委員 限定された時間ですから、端的に質問をいたします。
 障害者の雇用を促進しなければならないという法改正をしなければならぬ、これほど事態は深刻だと思うのですね。したがって、雇用の促進を妨げているものは何なのか、これをしっかりつかむことが大事だし、同時に、それを見なければ、改善をどのように具体的にやっていくかということも出ないと思うのですね。
 そこでまず、先月、労働委員会の調査室が発表したこの文書の中で幾つかありますから、具体的に質問をしたいと思います。
 「平成三年度における雇用率未達成企業に対する指導結果について」これは三月十日、労働省の発表でございます。この点は、先ほど局長からも言われましたように、去年の十一月までに雇用率の悪い企業に対して、百十三社という数字が出ていますが、これを挙げて、特にその中で「一定の改善がみられなかった企業は四社」。というので具体的に名前が挙がっております。茨城県の石岡信用金庫、東京都港区の株式会社サトウダイヤモンドチェーン、同じく東京都港区のワーナー・ランバート株式会社、そして愛知県名古屋の株式会社アルペンという、この四つの企業が名前が挙がっております。
 さっき他の委員の質問で、この百十三社にいろいろ注意を喚起したという中で、一定の改善が行われているという意味のこともありました。そうしますと、この四つの具体的に名前を挙げた企業、港区といえばそこですが、そういう中でどのような改善がなされたか、労働省としてどういう指導をやってきたか、その点についてまず担当官からお伺いしたいと思います。
#165
○征矢政府委員 先生御指摘のように、昨年六月から十一月にわたりまして、公表を前提といたしまして、百十三社を対象とし厳正な指導をいたしてまいりました。その結果、大多数のところ、百十三社中百九社につきましては一定の私どもの示しました基準に到達したということでございますけれども、なおそれに到達しない四社がただいまお話ございましたようにございまして、これを三月に公表いたしたわけでございますが、この公表制度は、御承知のように、あくまでも雇用率達成についての御努力をいただく、そういうことを前提として、そういう御努力がなかなか進まないということで、やむを得ない場合に最終的な手段として公表制度を発動する、こういうことでございまして、そういう意味では社会的な影響が大きい、いわば一種の社会的な制裁というような形になるわけでございます。
 そういうことで公表いたしたわけてございますが、したがいまして、公表後もやはり雇用率達成に向けての努力をしていただくということでございまして、そういう観点から見ますと、この四社につきましても、この公表の事実を真摯に受けとめておりまして、企業の社会的責任と障害者雇用の責務を御理解いただいたものと考えております。
 その後、四社につきましては、採用職種の見直し、年齢要件の緩和、求人活動の拡大など、障害者雇用に積極的に取り組んでいると承知いたしておるところでございます。
#166
○金子(満)委員 公表して、積極的に取り組んでいるというのはいいのですけれども、公表してもう七十日たっているわけですよ。そして、採用という点、雇用という点でいえば、年度がわりはどこの企業にとっても一つの節になるわけですね。
 今進んでいると言うのですから、どれだけ進んでいるのですか、具体的に報告してくれませんか。
#167
○征矢政府委員 現時点におきまして、石岡信用金庫におきましては、公表後、重度障害者を採用し、さらに雇用率達成に向けて求人を現在公共職業安定所に提出していると聞いております。
 サトウダイヤモンドチェーン及びワーナー・ランバートにおきましては、五月二十一日に開催された障害者就職相談会に参加し、両社とも応募者があったという報告を受けております。
 それから、サトウダイヤモンドチェーンにおきましては、採用職種の拡大、年齢要件の緩和を図ったというふうに聞いております。
 株式会社アルペンにつきましては、公表後、安定所への求人の申し込みがあり、安定所でも広域の求人連絡を行うとともに、採用担当者に各安定所を訪問させ相談をしていただいている。その結果、五月二十二日に重度二級の障害者を採用面接する予定であるというふうに聞いておるところでございます。
#168
○金子(満)委員 指摘をし、そして指導を入れれば前進するというのは、今のお答えでもはっきりしていると思うのですね。
 そういう中で、今度はそれぞれの企業の問題でありますけれども、一般民間企業の法定雇用率は一・六ですからね。それを念頭に置いて見ると、これも公表されている一番新しい調査室資料でありますけれども、中小企業ほど雇用率が高くて、大企業ほど悪くなるわけですね。その点で、単位企業で六十三名から九十九人の企業においては達成率が二・〇六%になっている。これは法定の率を超えているのですね。それから百名から二百九十九名のところが一・五二で、接近をしている。三百から四百九十九のところでは一・二七で、これはまた下がっていますね。そして千名以上のところは一・一六で、最低なんですね。これは深刻な事態だと私は思うのです。
 先ほどの答弁の中で、トップの認識という問題が出ました。認識もさることながら、そういう認識を変えていかなければならぬのが指導であり、法律の立場であり、また、国連の障害者十年の中で、国際的にもこの問題が重視されてきているわけですね。他の面でも貿易摩擦を起こして袋だたきになっているくらいなのに、これは障害者の問題でもひどいじゃないか、ある意味でいえばこれはサボタージュなんですね。こういう点を考えたときに、これをどう指導で直していくかというのは非常に大きな問題だと私は思うのです。
 そういう中で、同じ報告の中で二つあるのですけれども、これは総務庁が平成二年五月に出した「雇用に関する調査結果に基づく改善意見」という中で、「企業規模が大きくなるほど実雇用率が低く雇用率未達成企業の割合が高くなる傾向がみられる。」というのが総務庁のあれでありますけれども、そういう中で、今どうなっているかという点で、先ほど企業の名前を挙げたその最後のところに「大企業に対する指導」、これは労働省としての見解ですよ、「大企業における障害者雇用への取組みの強化」というところで、「障害者雇用について取組みの強化が図られ、雇用される障害者が増加している。」という評価なんだけれども、これはどう考えてみても、労働省の今の発表と先ほど発表した総務庁のもの、これを比べるとやはり労働省は甘いと思うのですよ。もっと深刻に大企業の場合は見ていった方がいいと思うのです。民間の中小企業の場合には、地域にかなり密着していますし、社会的責任ということもいろいろあらゆる角度から感じていると思うのですね。ですから、実際より高い雇用を示しているわけです。
 こういう大企業に対して、私もいろいろなこと、細かい点、申し上げたい点はたくさんあるんだけれども、これを所管の基準監督署だけに任じておいたのではなかなかできないと思うのですね。幸いにもというか、幸か不幸か知りませんけれども、東京圏には資本金十億円以上の企業の五八%の本社があるわけです。この中で、本当に認識の違っている大企業のトップについては労働省が具体的に直接話をする、直接の指導を入れる。時と場合によっては、局長もそうだし労働大臣が出ていって、旧来の陋習にとらわれないで、そして惰性でなくて、この際こういう法改正をやったんだからこれでどうだというのを、東京なんですから場所もないわけじゃないし、時間もそうたくさんとらなくてもできるんだから、そのぐらいのことを労働省の中枢でやってみたらどうかという検討はできませんか。
#169
○若林政府委員 私ども既にそのことをやっておるわけでございます。私ども局長以下が大企業の幹部の方にお目にかかって、直接雇用の促進をお願いしてまいっております。それは特別指導の一環でございます。また、ただいま御指摘のように東京に大企業の本店がございますので、そこの本社の方々にお願いするということで、東京に特別そういうような専門の担当者を置きまして、そういうところを通じまして本社の責任のある方々に雇用の達成をお願いしてまいっております。したがいまして、そういうような本社のところから一線の工場にいわば指示が出ておりまして、そういった一線の工場の人事の方々がそれぞれその地域の安定所、ハローワークをお訪ねくださいまして、どういうような求職者がいるのかというようなことのお問い合わせが相次いでいるのが現状でございます。
 まさに私どもは、そういった形で大企業に対する障害者の雇用の引き上げの要請をお願いしてきているということでございます。
#170
○金子(満)委員 そのやっているということがもっと公になる必要があると私は思うのです。局長結構ですけれども、大企業のトップといえば社長ですよ、それに例えば近藤労働大臣が会ってごういうことを指導したというのが大きく出たう、事態は本当に変わると思うのですよ。そういうこともやるぐらいの、検討するというような姿勢がなければ、法はできました、しかし魂が入らない。やった以上こういう点では本当に積極的な態度をとっていく必要があると思うのですね。この点もひとつ後でお答えいただきます。
 もう一つは、地方公共団体、つまり地方自治体における障害者の雇用の状態ですよ。地方公共団体の非現業については法定雇用率というのは二%になっていますから、一般の民間企業より高いわけですね。そういう中で、一口に言えば地方公共団体なんですが、都道府県というものと市区町村というのがありますね。ここでは雇用率が相当違うと思うのです。ここも大企業が悪いと同じように、都道府県の方が悪くて、市や区で、東京都なんかで言うと区ではもう法定雇用率の二%を超えているところもかなりありますよ。ところが、都道府県の段階でそういうところに達していないというのが多いと思うのですが、細かくでなくて傾向で結構ですから、実情を短く答えていただきたいと思います。
#171
○若林政府委員 都道府県の機関につきましては、雇用率が達成してないというところがあるわけでございまして、これは主として都道府県の教育委員会の雇用率が低いということによって、他に比べて低い状況になっておるわけでございます。
 御承知のとおり、都道府県の教育委員会は中学、高校の教員の方々が含まれるわけでございますけれども、障害者の方のうちで教員を希望し、かつ教員の資格免許を有する方が少ないというために、急速にこの雇用の改善を図るということが困難な状況にあるのが現状でございます。
 しかしながら、国、地方公共団体は率先して障害者を雇用すべき立場にあることは当然でございまして、今後とも障害者の雇用が促進されるように指導してまいりたいというふうに思います。
#172
○金子(満)委員 そこで、先ほど引用いたしましたけれども、総務庁の雇用に関する調査結果という中にもあるわけですが、そこでは労働省のことを指摘しながら――これは確かにそのとおりの指摘だと思います。労働省は、「都道府県及び安定所の幹部職員が中心となって企業幹部に対する特別指導を行うよう都道府県及び安定所を指導している。」こうだと思うんですよ。
 そこで、私は、都道府県段階で、今教員の問題がありましたが、確かにそういう面はあると思うのです。しかし、雇用率はそれを除いても低いんですよ。法律にあることだし、そして一般的、抽象的だけじゃなくて、具体的にも反対する政党はいないと思うのです。地方議会の中でこれに反対というのはいないですよ。だとしたら、都道府県知事が先頭に立って、みずからのところでまず採用する。同時に、関係企業に対して知事がそれこそ先頭に立ってやらなかったらこの数値は上がらないですよ。
 この点で、労働大臣、この障害者の雇用については都道府県知事が先頭に立って情熱的にやるんだという点で、ひとつ強力な指導をすべきだと思いますが、どうですか。
#173
○近藤国務大臣 先ほど安定局長が御説明申し上げましたように、労働省は、企業に対してもしばしば直接指導や勧告をしているわけでございますし、また、地方自治体に対してもいろいろな機会をとらえてこれまでやってまいったことは事実でございます。
 ただ、まだ十分じゃないじゃないか、こういうお話と思うわけでありますけれども、まさにこの法律を通していただいて障害者雇用対策基本計画を国がつくったときに、先生から労働大臣、陣頭指揮でやれ、こういう話もございましたけれども、そうした基本的な計画をつくって、それに基づいて従来以上に積極的に都道府県、地方自治体また企業に対しても働きかけをしてまいりたいと考えております。
#174
○金子(満)委員 やはり一日おくれれば一日おくれただけ被害の方は大きくなるし、不満や事態の深刻さは一層加速するわけですね。ですから、せっかくこういう時期で、この法律の改正によって少なくともこれまで以上に人々が関心を持つし、企業の側は雇用率を達成しないところは厳しく指摘されているわけだから、労働大臣も先頭に立って意欲的にやると言うのだから、これは目に見える形を出してもらわないと、ただ意義の強調だけではどうしようもないわけですからね。
 そういう上で、今度はこの雇用を促進するという推進力は労働省であるわけですよ。まず自分のところから始めるという点で体制が弱いと私は思うのです。これは理由はいろいろつければつけてくるだろうしするけれども、決定的に弱いのは、私は職業安定所の相談活動が人手不足だと囲いますね。やる以上、一般的に大事ですじゃ全然進まないですよ。ですから、それは労働省が任意の安定所を選んで、間に合っていますかと言ったら間に合ってないという答えが返ってくると思うのです。そこで、この点も含めて増員ということについての意見を聞きたいわけです。
 ことしは、最初に申し上げたように、国連の障害者年最後の年だ。そして、確かに障害者雇用対策関係の予算は十年間を見るとだんだんふえてきた。それで八八年がピークだったですよ、三百九十九億円を超えているわけですから。ところが、最終年のことしになったらこれががくっと下がって三百九億円。約九十億円ほど下がってしまったですね。確かに相談員の数は少し上がっているのです。しかし、予算が下がってしまっている。政治の流れ、姿勢はどこに映るかというと、予算という鏡に映ってくるわけですよ。労働省はこれに力を入れているとは言うんだが、裏づけとなると九十億円マイナスですか、そういう指摘をされるんだと思うのですね。
 こういう点で、予算の問題もありますが、まず雇用を促進するために労働省自身が、そして職業安定所を強化するという点について、これは大臣、最後に決意で結構ですから伺いたい。
#175
○若林政府委員 安定所の職員、相談体制につきましては、これまで重点的に増員をしてまいっておるわけでございます。今後とも関係機関とも協議しながら相談体制の整備に引き続き努力してまいりたいというふうに思っております。
 予算につきましては、二百四十億余の予算でございます。先生御指摘の数字はその中に総合センターの建設費が入っておるわけでございまして、そういった建設が終了いたしましたので減額になっているという点でございます。現在二百四十億余という予算でございます。
#176
○近藤国務大臣 先生、職安行政に限らず、労働行政、基準行政その他ますます行政需要が増大している中で、残念ながら人手不足感は否めないわけでございます。増員には努力いたしますが、同時に、限られた人数をいかに有効に使うか、これは労働行政がある意味では範を示す必要があるわけでございますので、有効活用をやってまいりたい。
 しかし、この障害者雇用については大きく前進しようというわけでございますので、人数の問題もさることながら、実行できるような労働行政の体制については、ひとつ思い切ってこれに対応できるような体制づくりにこれから配慮してまいりたいと考えております。
#177
○川崎委員長 伊藤英成君。
#178
○伊藤(英)委員 障害者の雇用の促進に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 障害者の雇用の問題につきましては、関係者の努力もありましてやっているわけでありますが、ただ、政令で定めた実雇用率の達成は、一部を除いてできないという残念な状況にあるわけであります。
 今後の方針及び考え方等についてお尋ねをいたしますけれども、まず、政府はこれまで障害者対策に関する長期計画を策定して重点施策を推進しているわけでありますが、実雇用率の現状からすると、引き続き長期計画を策定して推進する必要があると思うわけです。
 その場合、今回の改正によって策定される、労働大臣が定めます障害者雇用対策基本方針との関係はどういうふうになるのか。それから長期計画の検討状況も、これは実際に厚生省がやっているのだと思うのですが、この状況についてもあわせてお伺いをいたします。
#179
○若林政府委員 国連障害者の十年の最終年に当たるわけでありますが、障害者の社会参加の状況を示す実雇用率は停滞傾向にございまして、今後とも対策の一層の推進が必要であると考えております。
 障害者対策に関する長期計画終了後の取り組みにつきましては、国の審議会でございます中央心身障害者対策協議会におきまして検討を行うことになっておりまして、新たな長期計画を策定する方向で年内を目途に障害者対策推進本部に対しまして意見具申を行うということになっております。
 新たな長期計画が策定されました場合には、労働大臣が定めます障害者雇用対策基本方針は、この長期計画の目的を達成するために障害者雇用対策についてのより具体的な事項を規定したもの、こういう位置づけになると考えております。
#180
○伊藤(英)委員 この障害者対策の問題は、雇用の分野に限らないわけでありますけれども、いろいろな方面からの総合対策が必要になるわけであります。それで他の省庁との連携あるいは政策の整合性、こういうものが必要になるわけでありますが、具体的な事例で質問をいたします。
 例えば、平成二年五月の総務庁の行政監察では、厚生省の更生・授産施設に関する指摘があります。更生訓練の結果、雇用につながると思われる者に対して就職援助が行われず、そのまま入所が継続されている者が見られるという指摘もあるわけであります。
 現在は、この問題に関して厚生省と労働省との連携はどのように行われているのでしょうか。
#181
○若林政府委員 労働省といたしましては、授産施設等に入所している方々のうちで民間企業等への就職を希望する方の把握等を行いまして、必要な方に対する就職援助を行うために、授産施設等を管内に有する安定所におきましてこれらの施設等との連絡会議を設置しておるところでございます。
 しかし、ただいま先生が御指摘のような問題があることは私どもも認識をいたしております。今後、具体的な連携のあり方につきまして、さらに厚生省とも協議をしていきたいというふうに考えております。
#182
○伊藤(英)委員 ところで、この実雇用率がなかなか上がらない、こういうことなんですが、その理由あるいは原因はどこにあると思われますか。
#183
○征矢政府委員 実雇用率の改善が図られない理由といたしましては、近年、経済的な好況ということも背景にありまして常用労働者数も著しく増加している、そういう中で障害者の雇用も伸びている、こういうようなこともございます。
 なお、障害者雇用を推進する特に大企業における社内体制の整備がおくれていること、それぞれの企業におきます障害者に適した職域の開発が十分行われているとは言えないこと等が主な理由であるというふうに考えておるところでございまして、いずれにいたしましても、一・三二%ということが実雇用率で、伸び悩みで停滞しておる現状を踏まえて、今後さらに雇用率達成の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#184
○伊藤(英)委員 本当はいろいろな側面があるのですが、まず一つは働ける環境をなかなか日本はつくっていないのではないかと私は思うのです。
 よく言われることでありますが、ある人のレポートにもあるのですが、その人によると、最大の問題は、例えば、「特に重度障害者の場合は、通勤の問題が雇用に際しての最大のネックとなっている。」というのがありますね。ここには「大都市での朝・夕の混雑時の問題や駅のエレベーター、スロープ、歩道の段差など社会的環境の未整備」こう書いてあるのです。
 私は、議員になる前にアメリカで生活していたのですけれども、例えばアメリカと比べてもと言った方がいいのかもしれませんが、日本は甚だしく障害者のための投資をしてないというふうに思います。だから、ただただ企業にこれだけの目標でやりなさい、あるいは雇ってくれ、雇ってくれ、こういうふうに言ったりしているのですが、そういう社会的環境をつくってないということが非常に大きな問題だ、こう思うのですね。もちろん、今いろいろ改善されているところもあるわけでありますが、しかしそれにしても、経済大国日本というふうに言われるにしてはこの辺の未整備は甚だしい、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
#185
○近藤国務大臣 最近いろいろな公共施設、例えば新幹線の中なんかに車いす用のトイレがあるとか、ひところよりは気がつけばそういった整備がされていると思いますけれども、まだまだ不十分であることは先生御指摘のとおりであると思いますので、まさに障害者雇用対策基本方針、基本計画の作成にそういったことを関係各省と話し合ってまいりたいと思います。
 また、私ちょっと確かめていませんが、今作成中の新経済五カ年計画もまさに宮澤政権として生活大国を目指す大きな経済プログラムですから、その中で、障害者が安心してといいますか、いろいろ御不自由があっても生活できるようなそういう社会公共施設整備についても触れるべきではないかと思いますので、きょうも御質問ございましたので関係省庁の方にも私、話を伝えてまいりたいと思います。
#186
○伊藤(英)委員 同じような観点で、例えば会社なら会社、工場なら工場の中で障害者の人に働いてもらおうと考えたときに、どういうふうにしたら本当にうまく働けるのだろうかなということを考えなければなりませんね。例えば建物にしてもあるいは機械設備にしても、障害者の人たちが働きやすいような構造にするためには、まずいろいろな助成があっていいですね。そういうところにはもっともっと金を使っていいと私は思うのですよ、国家的に考えて。
 今の点について、現状をどういうふうに認識をされ、今後どのようにされるおつもりですか。
#187
○征矢政府委員 ただいま御指摘の問題でございますけれども、私ども、特に重度の障害者の方々等を雇い入れるために作業に必要な施設設備の設置等を行う場合、この事業主の方に身体障害者作業施設設置等助成金を支給する、あるいは、重度障害者を多数雇用するための事業施設等の整備を行う事業主の方に対して、重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金の支給を行うというようなことで、雇用の促進を図っているところでございますが、これらの助成金の最近の活用状況につきましては、平成二年度の実績で見まして対前年度比一・五倍から二倍というような、これは支給件数でございますが、伸びになっているところでございます。
 今般の法律改正におきましては、障害者の雇用の継続を図るという観点から、一たんそういう形で設備の助成を行いまして作業施設設備をつくったわけでございますが、それが老朽化した場合のいわば更新ということにつきましても新たに助成金を創設するというようなことで、特に重度を中心とする障害者の方の雇用促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
 なお、あわせまして、特に障害の重い方については、通勤事情等があるということからいわゆる在宅雇用というような形で勤務する場合、これについても助成するとか、今回の法改正におきまして常用の短時間勤務制度を導入するとか、こんなような考え方で雇用促進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
#188
○伊藤(英)委員 さらに、具体的な話でございますけれども、米国ではジョブコーチというのを置いておるようですね。要するに、このジョブコーチという人が障害者の訓練等、実際に職場でいろいろ援護をされておるようであります。そしてこのジョブコーチに対しては連邦政府がその給与を負担するというように聞いたりするわけであります。連邦政府が負担しようが地方自治体でもいいのですが、私は発想として非常にいいものがあるのだろうと思うのです、物の考え方という意味で、こういうのは日本でももっといろいろ取り入れたらいかがかと思うのですが、どうですか。
#189
○征矢政府委員 御指摘のようなアメリカの制度を参考といたしまして、私どもは職域開発援助事業という名前で呼んでおりますが、地域障害者職業センターにおきまして、就職が特に困難な精神薄弱者等の方々を対象といたしまして、事業主の方の協力のもとにそれぞれの個人の特性に合わせて、職業生活指導から技術指導までの障害者の職域を開発するための援助を行う、そういう職域開発援助事業を過去二年間にわたり試行実施をしてきたところでございますが、これの評判が予想以上によく、かつ成果が上がっている現状にかんがみまして、本年度からこれを本格的に実施するというふうな予定にいたしているところでございます。
 これは、アメリカの援助つき雇用とは異なりまして、雇用関係にはございませんけれども、この援助事業の中で、生活指導パートナーあるいは技術指導パートナーというような形で、指導する担当者を置いて実施しているところでございます。
#190
○伊藤(英)委員 今私はどちらかといいますと雇用促進のための環境面からちょっと申し上げたのですが、もう一方の側面で見たときに、国民一般の意識でもそうですし、それから企業それ自身の意識というものが極めて重要なものですね。状況を見ますと、大企業の中に実雇用率の低いところが結構あったりいたしますね。そのときに、もちろん納付金制度を免責的役割といいましょうか、そんなふうに思っているところはないのだろうなと思ったりするわけでありますけれども、労働省としてその意識の面でどういうふうに認識をされておりますか。
#191
○若林政府委員 納付金制度は、事業主の間の身体障害者雇用に伴います経済的負担を調整するとともに、身体障害者を雇用する事業主に対する助成、援助を行いまして、その雇用を促進することを目的として設けられたものでございます。納付金を納めれば雇用の義務を免れるというものでは全くないわけでございまして、これまでも繰り返しそのことは啓蒙啓発を図ってきておるわけでございますが、中にはやはりそういったような考え方をする事業主の方もあろうかと存じます。
 私どもは、このたび雇用率の厳正な達成指導を進めてまいっておりまして、計画作成命令、適正実施勧告、特別指導等をいたしましてもなお雇用の改善をしていただけないという事業主につきましては、残念なことでありますけれども、これを公表いたしたわけでございます。結局、公表したということは、まさに納付金を納めるだけでは済まないということが明らかにされていることでございます。
 そういったことがこの一事をもって表明されるわけでございますけれども、今後とも、私ども、この制度と雇用率の達成義務とは異なるものでございまして、あくまでも私どもが求めるものは雇用率の達成であるということを啓発指導していきたいというふうに存じます。
#192
○伊藤(英)委員 私は、これはペナルティーと考えた方がいいんじゃないかと思うのですね、そもそも。そして、企業にとっては、こういう身障者の方を雇い入れて、そこで発生するコストについては、これは企業運営の必要コストだと認識をしなきゃいけないんだろうと思うのですね。本当にこれは必要コストだというふうに認識しているんだろうかと思うのですが、いかがですか。
#193
○若林政府委員 障害者の雇用というものは、企業の社会的な責任であるということでございます。そういった意味で、雇用率の達成指導につきましても一定の手続が踏まれておりまして、この雇用率の未達成の企業に対する公表というものは、社会的な制裁ということになろうかと思います。
 しかしながら、やはり基本は、障害者の雇用につきまして企業に十分理解をしていただいて、そういった理解のもとに障害者の雇用を受け入れていただく、これがやはり一番基本であろうかと存じます。したがいまして、私どもは、確かにそれは時間を要することでございますけれども、あくまでもその基本的な理念に立ちまして啓発指導を繰り返していく、そして理解をしていただいて、その理解の上で雇用していただく、これがやはり基本的に障害者の方にとりましても幸せなことであろうというふうに認識をいたしております。
 したがいまして、やはりこの納付金という制度は、現在の制度のように企業間の経済的な負担の調整という形で置くということが適当であるというふうに考えております。
#194
○伊藤(英)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。
#195
○川崎委員長 以上で両案件に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#196
○川崎委員長 これより両案件を討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#197
○川崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#198
○川崎委員長 この際、本案に対し、三原朝彦君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。岩田順介君。
#199
○岩田委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、障害者の雇用の促進とその職業の安定を図るため、次の事項の実現に努めるべきである。
 一 障害者雇用対策基本方針については、労使及び障害者団体の意見を十分尊重して実効ある内容を定めるとともに、適宜その実施状況について検討を加えること。
 二 未達成企業名の公表制度を前提とした指導を強化して雇用率制度の厳正な運用を図るとともに、そのための体制整備に努めること。
 三 公共職業安定所、障害者職業センター、障害者職業訓練校等における障害の種類及び程度に応じたきめ細かな職業リハビリテーションサービスの一層の充実強化を図るほか、技術革新の進展等に対応して、職域開発の推進、除外率制度の適正運用等に努めること。
 四 重度障害者の範囲について、職業生活における援助の必要性という観点から実情に即したものとなるよう、見直しに努めること。
 五 第三セクター方式による重度障害者雇用企業の育成等重度障害者の雇用の場の確保に努めるとともに、通勤事情等に対処するため、公共基盤の整備を含めた諸施策の推進に努めること。また、障害者の雇用の安定を図るため、助成金の活用等により事業主の努力を促すとともに、就職後の定着指導に努めること。
 六 精神薄弱者の雇用の促進等を図るため、能力開発等条件整備対策を引き続き推進し、    雇用率制度の在り方の検討も含め、施策の充実強化に努めること。また、助成金の活用、きめ細かな職業相談等により、精神障害者の雇用の促進等に努めること。
 七 障害者雇用に関する国際協力の推進に当たっては、相手国の実情に配慮しつつ、実効あるものとなるよう努めること。
以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#200
○川崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 三原朝彦君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#201
○川崎委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。近藤労働大臣。
#202
○近藤国務大臣 ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。
    ―――――――――――――
#203
○川崎委員長 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所の出張所の設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#204
○川崎委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#205
○川崎委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両案件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#206
○川崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#207
○川崎委員長 この際、内閣提出、参議院送付、職業能力開発促進法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。近藤労働大臣。
    ―――――――――――――
 職業能力開発促進法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#208
○近藤国務大臣 ただいま議題となりました職業能力開発促進法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 我が国経済社会は、今後、若年労働力の大幅減少等に伴い、構造的に労働力不足基調で推移することが見込まれる一方、技術革新、情報化等が急速に進展しております。このような中で、経済社会の変化に柔軟に対応できる人材の育成と労働者の職業の安定を図るためには、労働者の職業能力の開発及び向上を一層促進することが必要であります。
 また、若年者を中心に、いわゆる技能離れの風潮が強まる中で、技能を尊重する社会を形成することが重要な課題となっております。
 政府といたしましては、このような課題に適切に対処していくため、事業主、労働者等の自主的な職業能力開発を促進するための支援の強化、高度で多様な職業能力開発機会を提供するための公共職業訓練体制の整備、技能を尊重する社会を形成するための技能振興施策の推進のための措置を中心として、職業能力開発促進法を改正することとし、中央職業能力開発審議会の答申をいただき、ここに職業能力開発促進法の一部を改正する法律案として提案いたした次第であります。
 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、国及び都道府県は、事業主等のほか労働者に対しても、職業能力開発に関する情報及び資料の提供、相談援助の実施に努めなければならないこととするとともに、公共職業訓練施設は、職業訓練を行うほか、事業主、労働者その他の関係者に対し、情報及び資料の提供、相談その他必要な援助を行うように努めなければならないこととしております。
 また、公共職業訓練施設につきましては、職業訓練と並んで各種の援助業務を行う、職業能力開発に関する総合的な施設として位置づけることにかんがみ、施設の名称を改め、公共職業能力開発施設と総称することといたしております。
 第二に、公共職業訓練の体系を、養成訓練、向上訓練及び能力再開発訓練に基づく対象者別の体系から、労働者が受講したい訓練を選択できるような、訓練内容の程度と訓練期間の長さによる弾力的な体系に再編することにより、多様で高度な職業訓練を実施できるようにするとともに、新たに職業能力開発短期大学校において、在職労働者を主たる対象とした短期間の高度な職業訓練を実施できることといたしております。
 第三に、事業主がその雇用する労働者の職業能力開発を促進する場合に講ずる措置として、労働者に各種の職業能力検定を受けさせることを規定するとともに、国及び都道府県が事業主等の行う職業能力検定に対する援助等を行うことにより、その普及促進を図ることといたしております。
 また、国は、技能を尊重する社会を形成するため、技能の重要性について事業主その他国民一般の理解を高めるために必要な広報その他の啓発活動等を行うことといたしております。
 第四に、公共職業能力開発施設等は、その業務の遂行に支障のない範囲内で、外国人研修生等に対しても、職業訓練または指導員訓練に準ずる訓練を行うことができることを明確にすることといたしております。
 その他、職業訓練指導員免許制度の改善、技能検定の受検資格の弾力化等所要の規定の整備を図ることといたしております。なお、この法律の施行は、一部の規定を除き、平成五年四月一日からといたしております。
 以上、この法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#209
○川崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
     ――――◇―――――
#210
○川崎委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 パートタイム労働に関する小委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#211
○川崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る二十七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十四分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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