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1992/04/14 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 運輸委員会 第4号
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1992/04/14 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 運輸委員会 第4号

#1
第123回国会 運輸委員会 第4号
平成四年四月十四日(火曜日)
    午前十時七分開議
出席委員
  委員長 久間 章生君
   理事 今枝 敬雄君 理事 今津  寛君
   理事 坂本 剛二君 理事 武部  勤君
   理事 村田 吉隆君 理事 緒方 克陽君
   理事 山中 末治君 理事 春田 重昭君
      植竹 繁雄君    衛藤 晟一君
      小里 貞利君    岡島 正之君
      木部 佳昭君    橋本龍太郎君
      平泉  渉君    古屋 圭司君
      星野 行男君    細田 博之君
      増子 輝彦君    宮崎 茂一君
      赤松 広隆君    小岩井 清君
      左近 正男君    常松 裕志君
      細川 律夫君    元信  堯君
      山下八洲夫君    浅井 美幸君
      草川 昭三君    佐藤 祐弘君
      高木 義明君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 奥田 敬和君
 出席政府委員
        運輸大臣官房長 豊田  実君
        運輸省運輸政策 大塚 秀夫君
        局長
        運輸省海上技術 戸田 邦司君
        安全局長
        運輸省海上技術 金子 史生君
        安全局船員部長
        運輸省港湾局長 上村 正明君
        海上保安庁次長 小和田 統君
        海上保安庁警備 茅根 滋男君
        救難監
 委員外の出席者
        環境庁水質保全
        局企画課海洋汚 木下 正明君
        染・廃棄物対策
        室長
        運輸委員会調査 長岡日出雄君
        室長
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十四日
 辞任         補欠選任
  小里 貞利君     植竹 繁雄君
  二階 俊博君     岡島 正之君
  赤松 広隆君     小岩井 清君
  小林 恒人君     山下八洲夫君
  関山 信之君     元信  堯君
同日
 辞任         補欠選任
  植竹 繁雄君     小里 貞利君
  岡島 正之君     二階 俊博君
  小岩井 清君     赤松 広隆君
  元信  堯君     関山 信之君
  山下八洲夫君     小林 恒人君
    ―――――――――――――
三月十六日
 国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第七〇号)
 地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観
 光及び特定地域商工業の振興に関する法律案
 (内閣提出第七一号)
四月七日
 飛行コース案の早期発表に関する請願(佐藤祐
 弘君紹介)(第九八五号)
 気象事業の整備拡充に関する請願(石田祝稔君
 紹介)(第一〇九七号)
同月十日
 東北地方における測候所の体制強化と気象庁予
 算の拡充に関する請願(阿部昭吾君紹介)(第
 一一四〇号)
 同(志賀一夫君紹介)(第一一四一号)
 同(山内弘君紹介)(第一一四二号)
 同(関晴正君紹介)(第一三二四号)
 気象事業の整備拡充に関する請願(阿部昭吾君
 紹介)(第一一四三号)
 同(左近正男君紹介)(第一一四四号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第一二一二号)
 同(菅原喜重郎君紹介)(第一二五二号)
 同(田口健二君紹介)(第一二五三号)
 同(春田重昭君紹介)(第一三二三号)
同月十三日
 博多湾の人工島埋立計画の見直しに関する請願
 (楢崎弥之助君紹介)(第一三九四号)
 気象事業の整備拡充に関する請願(藤田スミ君
 紹介)(第一三九五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
三月十六日
 北海道新幹線の建設促進に関する陳情書(札幌
 市中央区北一条西二の一の甲のイの一札幌市議
 会内見延順章)(第四七号)
 四国への新幹線鉄道の導入等に関する陳情書
 (高知市丸ノ内一の二の二〇高知県議会内西岡
 寅八郎外三名)(第四八号)
 重要港湾の整備促進に関する陳情書(高知市丸
 ノ内一の二の二〇高知県議会内西岡寅八郎外三
 名)(第四九号)
 ユジノ・サハリンスク市との定期航空路の開設
 に関する陳情書(北海道旭川市六条通九の四六
 旭川市議会内賀集一正)(第五〇号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出第四一号)
 船員法の一部を改正する法律案(内閣提出第四
 二号)
     ――――◇―――――
#2
○久間委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細川律夫君。
#3
○細川委員 海防法の一部改正の法律案につきまして御質問をしたいと思います。
 まず、法案の具体的な問題点に入る前に、全体的なことについてお聞きをいたしたいと思います。
 海洋汚染の現状についてまずお聞きをいたしますけれども、我が国の周辺海域におきまして海洋汚染がどのように発生しているのか、これを態様別あるいは海域別などについて海上保安庁の方で把握をしておるごとをまず御報告をいただきたいと思います。
#4
○小和田政府委員 お答えいたします。
 平成二年の数字で申し上げますが、海上保安庁が確認しました海洋汚染の発生件数は全国で九百九十三件ございました。このうち、油の排出によるものが五百八十三件、約六割でございます。それ以外は廃棄物あるいは工場排水等の油以外のものが三百五十四件、それから赤潮によるものが五十六件となっております。
 それからもう一つ、海域別に申し上げますと、油による汚染の内訳でございますが、東京湾が六十九件、伊勢湾が二十六件、大阪湾が三十六件、そ
れから大阪湾を除く瀬戸内海地域が百四件、その他が三百四十八件となっております。
#5
○細川委員 海洋汚染ということについては、今御報告がありましたように油による汚染が大変多いわけでありまして、全体の約六〇%ぐらいを油汚染ということで占められているわけでございます。
 それでは、一体この油による汚染がどういうところから排出をされたのか、あるいはまたどういう原因でこの油による汚染が発生をしたのか、この点について把握をしていることを御説明いただきたいと思います。
#6
○小和田政府委員 先ほどと同じく平成二年の数字で申し上げますと、油の排出が五百八十三件でございますが、このうち船舶からのものが四百八十五件で大部分を占めております。それ以外のものといたしましては、陸上からのものが二十八件、それから排出源不明のものが六十七件、その他でございます。
 さらに、船舶からの四百八十五件について原因別に申し上げますと、故意によるもの、これは百一件、それから取扱不注意、これは操作ミス等によるものでございますが百七十六件、その他の原因によるもの、これは海難等によるものが中心でございますけれども、それが二百八件となっております。
#7
○細川委員 今御説明がありましたように、取扱不注意とかあるいは故意によるものが油汚染で大変多くの割合を占めております。
 そうしますと、この取扱不注意あるいは故意によって油を海に放出をするというようなことについては、これは発見できた場合にそのような数字になろうかと思いますが、実際は人為的なものですからもっとたくさんあるのだけれども、これがなかなか発見ができないということで数字の上にはあらわれていない部分がたくさんあるようにも思います。そういう人為的な取扱不注意だとか、特に故意による投棄なんかについての監視体制といいますか取り締まり体制、これはどのようになっているのか、お聞きをいたします。
#8
○茅根政府委員 お答え申し上げます。
 海上保安庁では航空機、巡視船艇を使いまして監視をしておるわけでございますけども、油の監視について最も有効なのは上から眺める、航空機による監視が最も有効であります。特に船から後ろにずっと尾を引いておりますので、上から見ると一目瞭然ということで航空機を主体に監視体制を組み上げておりまして、その下に巡視船艇を配置して、油を発見すればたちどころにその船に行って捕捉する。とりあえずは取扱不注意あるいは故意、どちらにしましても油を出していることをまず発見することが大事でございますので、そういう体制を組んでおるわけでありますけれども、特に船舶のふくそうする東京湾、伊勢湾あるいは瀬戸内海あるいは本州南岸から南西諸島へかけてのタンカーの航行の多い海域、そういうところについては頻度を高めて航空機による監視を主体に監視取り締まり体制を行っておる。それと夜間に赤外線を利用しました夜間監視取り締まり装置を航空機が持っておるところもございまして、夜間に月何回というような頻度を定めましてそういう夜間の監視も行っております。
 そのほか、港に船が入港しましたときに、油記録簿と称しまして油の出入りをいろいろ書いた帳簿があるのでございますけれども、その中身をいろいろ精査しまして、ひそかに垂れ流しをしていないか、不法に出していないかというようなこともその帳簿を精査いたしまして、見えない油を追及するという体制で臨んでいるわけでございます。
 とりあえず、以上お答えいたします。
#9
○細川委員 油による海洋汚染というのは一時期大変多くて、また減少しておりましたけれども、またちょっと多くなりつつあるような感じです。この取扱不注意あるいは故意による油汚染、これを今言われたような体制のもとに取り締まりをされているということなんですけれども、それでは今後さらにこれをそういうことがないように取り締まっていくためにはどういうような方策があるのか、あるいはまた、今の海上保安庁の職員、航空機あるいは巡視艇、こういうようなものでそういう取り締まりが十分できるのかどうか、その能力といいますか、それはどのように考えておられるのか、お聞きをしたいと思います。
#10
○小和田政府委員 ただいま警備救難監の方からお答え申し上げましたように、従来からやっておりますことは、海洋汚染の発生の可能性の高い海域を中心に船艇、航空機の連携による監視取り締まり、それから入港船舶に対する立入検査等、いわば陸海空一体となりまして効率的な監視取り締まりを実施してきているわけでございます。そこで、そのために必要な要員あるいは資機材等の体制の整備も計画的に進めているところでございます。
 なお、保安庁の部署、出先機関のないところにつきましても、そのような監視体制を確保するために全国で五百七十人の民間の方々を海洋汚染防止推進員として委嘱しております。この方々にお願いして汚染の発見、それから保安部署への通報等についての協力をしていただいているわけであります。
 それから、今後の問題といたしましては、耐用年数を迎える巡視船艇、航空機を順次代替建造していくわけでございますけれども、その際、高速化あるいは所要の機材の整備等を含めまして、より効率的に汚染の監視取り締まりに対応できるよう、業務執行体制の強化に一層努めてまいりたいと考えております。
#11
○細川委員 環境汚染に対する、今環境そのものを守らなければいけないということは地球的な規模で大きな課題となっているわけでありまして、海洋につきましてもこの汚染から守るように今後十分対応をしていっていただきたいと思います。
 それでは、改正案の具体的な規定についてこれからお伺いをいたしたいと思います。
 今度のこの改正案につきましては、海洋汚染が進む現況の中で油汚染の防止に関する規則の強化をする、こういうことでありますけれども、この改正案が提出されるに至りました経緯及び趣旨、そして一体これを改正することによって果たして効果があるのかどうか、この点につきまして運輸省はどのように考えているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#12
○大塚(秀)政府委員 平成元年三月にアラスカ沖で発生しましたアメリカ船籍のタンカー、エクソン・バルディーズ号の座礁事故に際しましては四万キロリットルに及ぶ油の流出があり、大きな被害をもたらしたわけでございます。
 この事故を初めとする最近の船舶からの油排出事故の状況から、事故の発生時におきましては乗組員の行動の指針となるべきマニュアル、手引書が必要であるとの国際的な認識が高まってまいりました結果、MARPOL条約、国際海洋汚染防止条約でございますが、これについて平成三年七月、国際海事機関、IMOにおいて油濁防止緊急措置手引書を船舶内に備え置くことを義務づけるとともに、この手引書を船舶検査の対象とすることを内容といたします附属書の改正が行われ、平成五年四月に発効することとなっております。
 このために、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律につきまして、第一に、船舶所有者は一定の船舶ごとに事故発生時に乗組員がとるべき事項について規定したマニュアルでございますところの油濁防止緊急措置手引書を作成して、これを船舶内に備え置かなければならないこととする、第二に、船舶所有者はその油濁防止緊急措置手引書が技術基準に適合していることにつきまして、運輸大臣が行います定期検査、中間検査などの検査を受けなければならないこととする、これらを主たる内容といたします一部改正を行うこととするものでございます。
 その効果でございますが、事故発生時という船舶内が混乱した状況におきましても、あらかじめ設定され、適切に構成されております油濁防止緊急措置手引書、このマニュアルを参照することによりまして、必要な措置の組織的また合理的で適
時適切な実施が確保されて、油の排出をとめ、あるいは油の排出を最小限にとめることができるということが期待され、対応のミスによりさらに汚染が拡大するといった事態は回避することがより可能になると考えております。
#13
○細川委員 今御説明がありましたように、今度の法改正によりまして油濁防止緊急措置手引書の備え置きが義務づけられる、そしてまた、これが船舶安全法上の定期的な検査の対象となることになるわけなんですけれども、その船舶の範囲でありますけれども、これは今までの総トン数二百トン以上のタンカーから百五十トン以上のタンカーに範囲が拡大をされまして、そしてまた四百トン以上のノンタンカーにもこれが義務づけられるということになるわけなんです。
 それでは、今度の法改正によりまして規制対象の船舶の数は一体どういうふうになるのか、対象船舶の内訳隻数、そして全体で一体何隻の船がこの法案の対象になるのか、説明をしていただきたいと思います。
#14
○大塚(秀)政府委員 油濁防止緊急措置手引書につきましては、今回の改正で一定の船舶に新たに義務づけられることとなります一方、油濁防止規程については油濁防止緊急措置手引書と同じ対象の船舶とするという点で従来より範囲が広がります。
 その対象船舶というのは、総トン数百五十トン以上のタンカー及び総トン数四百トン以上のノンタンカーでございますが、この隻数は、総トン数百五十トン以上のタンカーが約千二百隻、それから総トン数四百トン以上のノンタンカーは約三千百隻でございます。
#15
○細川委員 そうしますと、この新油濁防止規程、それから油濁防止緊急措置手引書の備え置きの義務づけられる船舶、これは合計すると四千三百隻というふうになるわけなんですけれども、これらの船に乗る船員といいますか、それは大体どれくらいの人数になるものでしょうか。
#16
○金子(史)政府委員 お答え申し上げます。
 日本籍船の手引書備え置き対象船舶に係る日本人の船員数につきましては、内航、外航、漁業合計で約六万四千名と推計されます。
 なお、その対象船舶に乗船しております外国人船員数は、外数でございますが、約二千人というふうに私ども推計いたしております。
#17
○細川委員 この四千三百隻の中でいわゆるマルシップあるいは便宜置籍船と言われる、外国人と日本人が一緒に混乗している、こういう船なんですけれども、これらの船は大体どれぐらいあるのか、あるいはまた、これらには外国人の船員がどれぐらい乗り組んでいるのかということはおわかりでしょうか。
#18
○金子(史)政府委員 お答え申し上げます。
 まず、我が国商船隊等における便宜置籍船等の外国船と、それからマルシップの隻数でございますが、まず我が国の商船隊が用船している外国用船につきましては、昨年、平成三年の年央、六月末でございますが、年央で千六百隻強ございます。これが外国用船の数でございますが、便宜置籍船はおよそそのうち四分の三程度ではないかと推定いたしております。それから日本籍船のうちのマルシップの数でございますが、昨年の年央値でございますが、百五十八隻でございます。
 それから、それらに乗船している船員の数でございますが、我が国商船隊におきますところの便宜置籍船等の外国船及びマルシップに乗船しております外国人船員の数という御質問でございますので、それらにつきましては、対象船舶が外国籍船及び外国に貸し出された船ということもございましてその正確な数を把握するということは難しいところでございますが、私どもの推計では、昨年の六月末現在でおよそ四万人近くに達するのではないかというふうに考えております。
#19
○細川委員 今御説明がありました便宜置籍船あるいはまたマルシップのこういう船については、今後さらに増加をしていくであろうということも予測がされるわけなんですけれども、そうしますと、こういう船については外国人と日本人が乗っているわけなんですから、連携関係なんかがうまくいかない場合等も考えられるわけなんです。そうしますと、そういうところから人為的なミスが起こりまして、このことから事故が起こったりあるいは海洋汚染の原因の一つになるのではないかということが心配をされるわけでございます。
 したがって、今後このような混乗体制というものが進んでいくとするならば、ここで船員の教育あるいは運航技術の向上などについていろいろな教育をしていかなければいけないと思いますけれども、そういうことについてはどういうふうにお考えになっているのか、説明していただきたいと思います。
#20
○金子(史)政府委員 お答え申し上げます。
 事故防止の観点からの監督につきましては、STCW条約、これは千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約という正式な名称でございますが、このSTCW条約に基づきまして、外国船舶に対しましてもいわゆるポートステートコントロールが実施できることとされておりまして、同条約を国内法化いたしました船員法の第百二十条の二及び船舶職員法の第二十九条の三に基づきまして、我が国におきましても外国船に対する監督、立入検査等を実施いたしております。
 これらの規定によりまして、我が国の港にあります外国船舶が航海当直基準を守っていなかった場合、あるいは一定の資格を有した者が乗り組んでいなかった場合等におきましては、運輸大臣は必要な措置をとることを通告することができ、さらに、その通告に従わなかった場合において特に必要があると認めますときには、当該船舶の航行停止命令あるいは航行差しとめを行うことができるということになっております。
 なお、マルシップに対する監督につきましては、マルシップは日本籍船でございますので、船員法及び船舶職員法がそのまま適用されることになりまして、乗組員の資格に関する規定等はすべて適用されることになりますので、他の日本船に係る規制と同様な規制が行われることになります。
#21
○細川委員 本件そのものが海防法の一部改正でもありますし、ぜひ海洋汚染が起こらないように船員の教育などについても積極的に対応をお願いしたいというふうに思います。
 そこで、今度この緊急措置手引書の備えつけなどが義務づけられまして、船舶の数も拡大するわけなんですけれども、緊急時にどういうことをするかというマニュアルを備えつけをするということだけで、果たして緊急事態が発生したときにこのマニュアルどおり行動が期待できるのかどうか、この効果といいますかその点についてまずお聞きをしたいと思います。
#22
○大塚(秀)政府委員 先生御指摘のとおり、マニュアルを備え置くだけではなしに、そのマニュアルの内容を乗組員に徹底させることが必要だと考えております。
 この海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の内容につきましては、乗組員あるいは海運会社などに対しまして、海洋汚染防止に関する指導を行うことを目的として毎年全国六カ所で開催されております海洋汚染防止講習会等の機会を利用して周知、指導をしているところでございます。今回法改正が行われました際には、ただいま先生御指摘のマニュアルの内容等について重点的に講習会のテーマとして、関係者への周知徹底を図っていく予定でございます。
 しかし、これは一部の人が出席するだけでございますので、それぞれの海運会社において担当部局から乗組員にさらに指導するということが必要でございまして、この趣旨も徹底したいと考えておりますし、特に、大きなタンカー等におきましては、油濁防止管理者が船内において乗組員に対し油濁防止緊急措置手引書、マニュアルに指摘された事項を教育、周知することとなっておりますので、この趣旨もこれから指導していく考えでございます。
#23
○細川委員 そうしますと、これに伴います予算といいますか、教育を徹底させていくためにはや
はり教育体制を充実するための予算というかお金が、財政的な措置が必要だろうと思いますけれども、この点についてはどういうふうになるんでしょうか。
#24
○大塚(秀)政府委員 海洋汚染防止に関する指導監督、規制内容の周知業務を今後やっていくための経費としまして、これは旅費とか会議費が主でございますが、平成四年度は約四百万円の予算を計上しております。これだけでは十分でございませんので、民間の団体でございます日本海難防止協会等にも必要な協力をお願いするつもりでございます。
#25
○細川委員 ぜひそちらの方の面からも充実をさせていただいて、この改正の効果が上がるようにお願いをしたいと思います。
 次に、この緊急措置手引書の備え置きの義務化によりまして、それの対象とされる所有者といいますか、特に中小の内航の海運業の皆さん方に対していろいろな影響もあるのではないかと思いますけれども、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#26
○大塚(秀)政府委員 油濁防止緊急措置手引書は、総トン数百五十トン以上のタンカーと総トン数四百トン以上のノンタンカーに備えつけを義務づけることとしておりますので、それ以下の小型の船舶には新たな義務づけを課することとはなっておりません。
 また、油濁防止緊急措置手引書についての義務づけ自体も、単にマニュアルの備えつけを義務づけるものでございまして、その内容につきましても、運輸省及び海上保安庁におきまして関係業界と調整を行って作成したひな形を参考とすることができるために、その作成にそれほど困難はないと考えておりますし、こういうひな形、値段にして千円以内ぐらいのものになろうかと考えておりますので、内航海運業界にこの義務づけ自体が影響を与えることはないと思っております。
#27
○細川委員 その手引書だけではなくて、検査も受けるというようなこともあるわけなんですけれども、そういうことが特に小さな内航海運業の皆さんに影響を与えるというようなことはないでしょうか。
#28
○大塚(秀)政府委員 この検査につきましては、他の検査と一体的に行えるようにすることによって新たな負担が課せられないという趣旨も含めまして、既存の船舶に対しては二年間の猶予期間を設けております。こういう点で、検査についても負担が重くならないような配慮をしたつもりでございます。
#29
○細川委員 今御説明も一部ありましたけれども、この油濁防止緊急措置手引書の備え置きに関しては、既存船について二年間の猶予期間というのが置かれているわけなんですけれども、こういう二年間の猶予期間を置いた理由を、今ちょっと説明があったのですが、詳しく説明いただきたいと思います。
#30
○大塚(秀)政府委員 この法律では、義務づけそのものに二年間の猶予期間を設けておりますが、これは大部分の内航船につきまして定期検査が四年ごと、その中間検査が一回ございますので二年ごとに受検時期が来るわけでございます。それに対応して経過措置を定めたものでございます。
 現存船は、この二年間の猶予期間の間に行われます定期検査または中間検査の際に油濁防止緊急措置手引書についても検査を受けて、この検査に合格した手引書を順次その船舶内に備え置き、または掲示することとなります。
#31
○細川委員 次に、どういう言語が使用されるのかということについてお伺いしますけれども、この新油濁防止規程それからまた油濁防止緊急措置手引書、これらは日本語だけなんでしょうか、それともその他の言語も使用して、そういうものを備え置くようになるのでしょうか、その点についてお伺いします。
#32
○大塚(秀)政府委員 事故が発生したときという混乱した状況の中におきましても、船舶職員は油濁防止緊急措置手引書を参照して相互に連絡をとりつつ必要な措置を講じる必要がございます。そこから、手引書はその船舶に乗り組んでいる職員が通常使用している言語により記載されることが必要と考えております。日本船舶であれば原則として日本語でございますが、外国人が混乗しているようなマルシップ等につきましては、その実態に即して、通常使用されている言語、例えば英語により記載するように指導していきたいと考えております。
#33
○細川委員 この法案の具体的な質問としては最後にしたいと思いますが、この法律案が成立をいたしましたならば、この施行は来年の四月四日からということでありますけれども、この法案が成立して公布後、来年の四月四日までの間に運輸省としては関係者にどういうようにこの改正事項を周知徹底させていくのか、そのスケジュールなどはどういうふうになっているのか、説明をいただきたいと思います。
#34
○大塚(秀)政府委員 今般の改正法が成立いたしましたならば、私どもとしてはこれに必要な省令、マニュアルの記載事項等については省令に委任されておりますので、その省令と速やかに整備し、油濁防止緊急措置手引書の備えつけが義務づけられる船舶の範囲についても省令によって確定することといたしております。
 それから、先ほども申し上げましたが、油濁防止緊急措置手引書のひな形をつくってできるだけ関係者の便宜を図りたいと思っておりますし、またこれも先生御指摘がございましたが、特に今回、法律の成立の後は、あらゆる機会を利用してその内容を船舶所有者また船員等に周知していくように努力したいと考えております。
#35
○細川委員 それでは次に、タンカーの二重船体化についてお聞きをいたしたいと思います。
 海洋汚染の防止については大変重要な問題でありますし、特に平成元年にアメリカのアラスカ沖で発生をいたしました超大型タンカーの座礁によります油流出事故、これを契機といたしまして船体の二重船体化問題が生じてきておったところでございます。
 そこで、ことしの三月、ロンドンで開催をされましたIMOの海洋環境保護委員会におきまして、新造タンカーなどに対して二重船体化を義務づけるというようなことが決定をされたわけなんですけれども、この決定につきまして運輸省はどういうふうな受けとめ方をしているのか、まずお聞きをしたいと思います。
#36
○戸田政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまの先生からの御質問でございますが、エクソン・バルディーズの事故以来、IMOにおきましてタンカーの構造についての検討が進んでまいったわけでありますが、我が国としましては、世界最大の造船国である、それから世界有数の石油の輸入国であるということから、この環境保護のための技術関係についてはIMOにおいて積極的に貢献してまいってきております。
 この件については、二重船体タンカーの有効性とかあるいはそれと同等と考えられております中間デッキタンカーなどについて、その技術的な面について我が国から相当の資料を出して、それで検討を進めていただいたわけでありまして、その結果、本年の三月にIMOの海洋環境保護委員会におきまして海洋汚染防止条約の改正が採択されたわけであります。
 採択に当たりましては、米国が既に国内法を制定しておりまして、この国内法と異なる規定となったために態度を留保しておりますが、圧倒的な多数によって支持されております。
 運輸省としましては、この改正が平成五年七月に発効するということでありますので、この改正の円滑な実施を図るために、今後国内法令の改正などを進めていくことにしております。
#37
○細川委員 今お話がありました二重船体構造のほかに、もう一つのミッドデッキ構造、中間甲板方式、こういうものも同じように採用されたということなんでありますけれども、このミッドデッキ構造というものは一体どういうようなものなのか、簡単にちょっと御説明をいただきたいと思います。
#38
○戸田政府委員 このミッドデッキタンカーでありますが、中間甲板つき二重船側タンカー、こう呼んでおりまして、貨物タンクの両側の船側部分は二重にしておりますが、その間に狭まれたタンクの部分の中間に甲板を設けまして上下に仕切っているわけであります。
 それで、このような構造の効果でありますが、座礁した場合の船底部の損傷に対しましては、船底に作用する海水の圧力、すなわち油が水に浮かぶという性質を利用しまして油の流出を防ぐかあるいは最小限にとどめる、こういう構造になっております。
 それから船側部につきましては、バラストなどの関係で船側の二重の部分を約倍の幅にすることができるというようなことでありまして、衝突の場合にも通常の二重船殻よりはるかに油流出防止に貢献できる構造であると考えております。
#39
○細川委員 このタンカーの二重船体化の問題につきましては、今説明がありました日本の会社が開発をいたしましたこの中間デッキ方式も二重船体化と同じように認められたわけなんですけれども、これは先ほども御説明がありましたように、アメリカの方では反対をしたという経過がございます。この反対したということは、アメリカの造船業界が不利益を受けるということだろうと思います。
 そうしますと、タンカーの二重船体だけではなくてこの中間デッキ方式も採用されたということで、アメリカとの間の経済摩擦の一つとして今後大きな問題にはならないだろうかという危惧をするわけなんですけれども、この点について運輸省の方ではどういうふうに受け取っておるのか、また、今後どういうふうに対応していかれるのか、お聞かせを願いたいと思います。
#40
○戸田政府委員 先生御指摘のとおり、アメリカは、この中間デッキタンカーについては、議会筋からの申し入れなどもありまして採用しにくいということを言っていたわけでありますが、このIMOの会議におきましては、我が国の開発を行ったメーカーが、この件についての特許は申請いたしますが、それを全面的に公開し、また特許料をただにするというようなことで、世界的に受け入れられ、またその効果もIMOの会議で認められたということになっております。
 アメリカにつきましては、今後この方式を採用するかどうかについて検討が進むものと思われますが、この問題自身が日米摩擦の新たな火種になるということはないものと考えております。
#41
○細川委員 新聞などの報道によりますと、この中間デッキ方式を採用した場合にはアメリカの方に入港させないような可能性も出てくるとかいうような報道もありますし、また、アメリカが反対をしている理由というのは、この中間デッキ方式はもともと日本で開発をされたわけでありますから、日本の方が基礎的な研究あるいは技術を十分持っている、そういうことから新しい造船の受注については日本が大変有利になるだろうというふうに言われております。
 そこで、特にアメリカの方では、冷戦の終結後は国防予算が削減をされまして、艦艇などの軍需に依存をしていた造船業界が、そういうのが少なくなってくるということで、非常にこの点について関心を持っているということから、私は、日米の経済的な摩擦の一つになるのではないかというように心配しているのですけれども、この点いかがでしょうか。
#42
○戸田政府委員 この中間甲板つきタンカー自身につきましては原理的にも大変単純でありますし、また構造的にも非常に単純でありまして、また、先ほども申し上げましたようにメーカー自身がパテントを全面的に開放するということでありますから、それらの点につきましては、我が国の造船業もアメリカの造船業もともに差別はされないということではないかと思います。
 先生お話しのとおり、アメリカの造船業は大変現在苦しい時期にありますが、今後この中間甲板つきタンカーが採用されたりしますと、国内船の建造でかなりの需要が出てくるのではないかと見ております。
#43
○細川委員 まあ心配はないということでありますけれども、私が先ほどお話をいたしました日米の経済摩擦の一つの原因になるのではないかということでの危惧もなきにしもあらずと思いますから、ひとつ十分慎重に対処されることをこの場で望んでおきたいというふうに思います。
 それから、新しく建造される船のほかに、既に航行中のタンカーについても、建造から二十五年ないし三十年の船齢になった場合にはこの二重船体構造への改造が義務づけられるということになっているわけですね。そこで、こういう現在航行中のタンカー、日本のタンカーでそういう二十五年ないし三十年たった場合、この船齢になった場合に改造しなければならないタンカーは今どれぐらい予想されるのか、その点について伺います。
#44
○戸田政府委員 今後船齢が二十五年ないし三十年に達するタンカー、現存の二万重量トン以上のタンカーということでありますが、現在、日本籍では約七十隻であります。
#45
○細川委員 その七十隻は対象になるということで、これらはそうすると新しく改造をするということになるわけなんですけれども、またそのときに、改造するのに金が余りにもかかり過ぎればこれはもう廃船にしていくということにもなろうかと思います。これはちょっとここでは予測はなかなか難しいかと思いますけれども、今後それらは改造されていくようになるのか、それともスクラップになっていくのか、その点についての見通しはどうでしょうか。
#46
○戸田政府委員 大体船齢二十五年ぐらいになりますと、タンカーの場合、相当の老朽船と言うことができると思います。これに相当の金をかけて改造するということは大変難しいと思いますので、それらはほとんどスクラップされるものと思っております。
#47
○細川委員 それはこのタンカーの二重船体化が義務づけられるということで、二重船体化にすれば金がかかるのでそれでやらないのか、もうそういうことは関係なく二十五年ぐらいたてば廃船にしていく、こういうことなのか、どちらなんですか。
#48
○戸田政府委員 メンテナンスの仕方にもよりますが、一般的に言いまして、二十五年ぐらいになればもうそろそろスクラップする時期になっていると言えると思います。
#49
○細川委員 それではちょっと先に進みますが、この二重船体化の問題でこれからいろいろ考えていかなければならないのは、船を建造する工期だとかあるいは価格、これらで工期が長くなったりあるいは価格の方で高くなる。造船業界の試算によりますと、工期とかあるいは価格など大体三割ぐらいがアップするのではないかというふうに言われているわけなんですけれども、そうしますと海上輸送の運賃なども中長期的には上がってくる、押し上げになってくるんじゃないかというような心配がされるわけでございます。
 これらの点について運輸省の方では、こういう問題についてどういうような影響があるのか、そしてどういうふうに関係業界を指導していくのかについて考えを聞かせていただきたいと思います。
#50
○戸田政府委員 この二重船殻構造の強制の影響でありますが、我が国の造船業の仕事量全体からいいますと、昨年の暮れに海運造船合理化審議会で今後の仕事量の見通しをしておりますが、その際には、これらの点もすべて含めて現状の設備で十分に処理し得るという答申を得ております。技術的に考えますと若干の工数の増加になります。それから船体が大きくなるというようなこともありますが、建造のために問題になる点はないものと思っております。
 それから、先生御指摘の建造コストでありますが、これは小型になるほどそのアップ率が高くなるということになっておりまして、大体二十五万から二十八万重量トンのVLCCになりますと、従来と比べまして約二割ぐらいのコストアップになるのではないかと思います。
 海運業に与える影響としましては、船価が上がるということで資金の調達もそれだけ多くなるということでありますし、それから運航コストの面への影響でありますが、これは航路などによって異なっておりまして一概には言えませんが、船価のアップ率それからメンテナンスなどを考えますと、約一割前後運航コストが上昇するのではないかと思っております。
 それが油の値段にどのような影響を与えるかという点については、細かく計算したわけではありませんが、大ざっぱに言いましてたかだか一%ぐらいではないかと推定しております。
#51
○細川委員 今御説明をいただきましたけれども、建造コストあるいは運航コスト、それからまた油に対してもいろいろ影響してくる、こういうことになってまいりますと、一般の物価といいますか、特に海上輸送については日本の物流の相当数を占めておるわけでありますから、そうしますと消費者物価に強い影響を与えるのではないかということが心配をされますけれども、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
#52
○戸田政府委員 通常の油の値段の変動幅などを考えますと、十分に吸収し得る範囲内にあるのではないかと考えております。
#53
○細川委員 このタンカーの二重船体化の問題につきましては、いろいろな業界あるいは国民生活にも直接間接いろいろ影響してくることが予想されますので、ひとつ運輸省の方でも十分この点について対処していただきたいというふうに思います。
 続きまして、船舶の排ガスについて何点かお伺いをいたしたいと思います。
 現在、地球規模の環境保全が大変大きな課題になっておりますけれども、今後船舶からの排ガスの問題も大変大きな問題になろうというふうに思います。そこで、船舶から排出されますNOx、これらの排ガスの規制の現状はどのようになっているのか、あるいはまたその対策はどういうふうになっているのか、これについてお伺いをしたいと思います。
#54
○大塚(秀)政府委員 船舶からの窒素酸化物、硫黄酸化物の排出量を詳細に推定するためには、船舶の航行状況、燃料油の消費量、その性状、排出ガスの性状など多くのデータが必要でございまして、現在運輸省ではこれらの調査研究を進めているところでございます。
 ただ、燃料油の販売量と排出原単位から大まかに試算しますと、窒素酸化物については、海洋環境保護委員会に提出いたしました排出原単位を用いますと、我が国の沿岸を航行する内航船舶からは年間約二十数万トン、漁船からは年間約二十数万トンが排出されていると大まかに推定され、これらの船舶からは総計約五十万トン弱排出されていると推定されます。
 また、硫黄酸化物につきましては、燃料油に含まれる硫黄がすべて硫黄酸化物として排出されると仮定した場合でございますが、内航船舶からは年間約十数万トン、漁船からは年間約数万トン排出されていると推定され、これらの船舶からは総計約二十万トン弱排出されていると推定されます。
 このほかに外航船舶がございますが、外航船舶は沿岸部分を航行する場合の割合というのが明確に算出されませんので、今申し上げた数字からは省いてございます。
 運輸省としましては今後これらの推定値の信頼性を高めますとともに、通常船舶は陸域から離れたところにおいてこれらの物質を排出しているという特性もございますので、船舶からの排気ガスがこれら陸地から離れたところで大気汚染にどういう影響を及ぼすかということも陸上と比較しつつ詳細に評価検討していきたいと考えております。
 また、船舶から排出されます窒素酸化物と硫黄酸化物の規制につきましては、現在IMO、国際海事機関におきまして国際的にその方策について検討が行われているところでございまして、運輸省としては船舶からの排気ガスによる大気汚染は重要な問題と認識しております。
 このために、現在、船舶からの大気汚染防止技術に関します調査、排気ガス浄化技術の研究開発、排気ガスに係る国際規制対応のための調査研究などを実施して、船舶による大気汚染防止方策について全体的な検討を進めているところでございます。
#55
○細川委員 この対策については、今の大塚政策局長の話だと調査研究が専らのようなんですけれども、具体的に今後どのようにこの排ガス規制の対策を行っていくのか、ちょっと具体的なあれとしてはないのでしょうか。
#56
○大塚(秀)政府委員 船舶から排出されます窒素酸化物及び硫黄酸化物の抑制策、規制策につきましては、ただいまも若干触れましたが、現在国際海事機関におきまして船舶からの排気ガスによる大気汚染防止に関するMARPOL73/78条約の新附属書の策定作業が進められているところであり、一九九四年にこの新附属書を採択し、一九九五年に発効される予定となっており、我々もこの検討に参加しているところでございます。
 運輸省におきましても、排気ガス浄化技術の研究開発など船舶からの排気ガスによる大気汚染防止技術の研究開発などを引き続き推進いたしますとともに、この問題に関する専門家を中心とした検討会を設置しまして、ただいま申し上げましたMARPOL条約の新附属書の実施時期に合わせて国内体制の整備を図るべく、準備をいたしたいと考えております。
#57
○細川委員 船舶が排出をいたしますガスというのは大変多いというふうに伺いました。特に今の日本の船籍の五トン以上の船舶というのは約三万隻ですけれども、そのほとんどすべてがディーゼルエンジンということで、これは十トントラックの百倍以上のパワーを持つエンジンを搭載している船も多いというふうに聞いておるところでございます。
 そういうことで、先ほど最初のところで細かくお話もいただきましたけれども、一隻当たりの窒素酸化物、NOxやあるいは硫黄酸化物、SOxの排出の量というのは相当量なわけです。先ほども説明をいただきましたけれども、先ほどの調査というのは運輸省独自なわけですか、それともほかの省庁と関連をとりながらそういうこともやっておるのでしょうか。
#58
○大塚(秀)政府委員 関係省庁とも十分連絡しながら運輸省で検討を進めていきたいと考えております。
#59
○細川委員 それでは次に進みます。
 これは三月の三十日の新聞に報道をされたところでございますけれども、英国の日曜版のオブザーバーという新聞に載ったということで報道されております。このことについてお伺いをしたいと思いますけれども、新聞の報道によりますとこのように書かれております。
 地球温暖化や臨海開発などによる海面の上昇の規模が予想水準をはるかに上回り、その対策を講じなければ東京など世界の臨海都市の一部は水没するおそれがあるとするアメリカの気象研究所のジョン・トッピング博士の研究報告を伝えた、こういうことが報道されているわけでございます。
 この内容にもありますように、海面水位の上昇ということについてはこの委員会でも前にもいろいろ議論もされたところでありますけれども、この海面の上昇について運輸省の方ではどういうような認識をされているのか、お答えいただきます。
#60
○上村政府委員 地球の温暖化に伴います海面水位の上昇につきましては、国の内外において重要な問題となっているところでございます。
 このような内外の動きを受けまして、世界気象機関、WMOといいますが、それと国連環境計画、UNEPと申します、これが共同で設置しました気候変動に関する政府間パネル、これはIPCCと呼びます、このIPCCが一昨年の五月に二一〇〇年におきます海面水位について予測を行っております。この予測結果によりますと、今からおよそ百十年後に、低いケースで三十センチ、高いケースで百十センチ上昇すると予測しておりま
す。このことからわかりますように、海面水位の上昇は極めて長い期間にわたってゆっくりと進行する現象だと承知しております。
 しかしながら、海面水位の上昇がこの予測どおりに現実のものとなった場合には、しかもまだ有効な対策が講じられないという場合には、我が国の経済社会は壊滅的な打撃を受けることになりますので、私どもといたしましては、その被害を未然に防止するために、平成元年度から調査研究を実施しているところでございます。
 今後ともIPCCの活動など国際的な動きを把握し、また、国内の関係諸官庁、諸機関とも連携をとりながら長期的観点に立って所要の調査研究を進めていきたい、このように考えております。
#61
○細川委員 この約百年後ぐらいですか、これまでにきちんとした対策が立てられなければ日本は壊滅的な被害をこうむる、こういうようなお話でございました。そういうことで、平成元年から研究も始められたということでございます。この点については大変重要なことでもございますし、ぜひより積極的にこの対策を講じていただきたいというふうに思いますけれども、この新聞報道をさらに御紹介いたしますと、こういうふうに書かれております。
 同博士の報告によりますと、東京については洪水対策に約九兆四千億円かけて防波堤を高くする必要があり、さらに下水道保護設備や堤防の新設に約十四兆一千億円かかるとしている、こういうような報道になっておるわけでございます。
 大変な莫大なお金がこれらの対策にかかるというような予測がされているわけなんですけれども、財政的な面に対してのこういう博士の報告に対して、運輸省はどういうふうに受けとめているのか、今後の対応策についてお聞かせをいただきたいと思います。
#62
○上村政府委員 先ほど海面上昇によりまして我が国経済社会は壊滅的な打撃を受けると言いましたけれども、なかんずく港湾とか海岸の施設が重大な影響を受けると考えておりまして、その影響と対策につきまして港湾技術研究所、港湾建設局と共同で検討を進めているところでございます。
 具体的な対策につきましては、今後長期的な視点に立ちまして関係機関と連携をとりながら検討を進めまして、結論の出たものから速やかに実施に移すという方針でまいりたいと考えております。
#63
○細川委員 それでは大臣にお伺いをいたしたいというふうに思いますが、海洋汚染についてもこれは自然環境の破壊の問題でもありますけれども、今地球規模の環境問題への対応が人類が直面をしております最も重要な課題の一つだというふうに言われているわけであります。
 このような中で、ことしの六月にはブラジルでいわゆる地球サミットが開かれるわけでございます。こういうような国際的な動き、そういう中で運輸省の地球環境問題への取り組み状況、さらにはこの六月に行われます地球サミット、これに対してどういうような対応をされていくのか、ひとつ大臣の所見をお伺い。したいと思います。
#64
○奥田国務大臣 先生の御指摘どおり、環境問題、これは今人類が抱えている最重要課題であるという認識は先生とひとしくいたしております。しかし、これを解決するためには国際社会が一体となって解決を急ぐ必要がございますし、また、今御指摘ございましたように六月に開かれる地球サミット、これによって二十一世紀に向けての国、人類、人の行動計画が示されるであろうということで、私たちは熱い期待を寄せておるわけであります。
 先生も先ほどからいろいろなデータ、資料を提示されてお話ございましたけれども、私はこの海水面の上昇一つとらえてみても、これはまさに日本列島の沈没というか浮沈をかけたくらいのやはり大きな二十一世紀の大問題だと思いますし、我が国は御存じのとおり、先ほど来のお話にもございましたように最大の、海を頼りにしている造船国でもあり、商船隊も持っており、また世界で有数の石油輸入に依存しなければならぬ国でもあり、自動車産業は国の基幹産業で、いわゆる環境、NOxの問題一つとらえてみても、地球環境に果たしていかなければいかぬ責任というのは大変重要だと思っております。
 海、これはもう我が国は、海こそ我が命というくらい、海がなければ、これだけの大量の資源輸入に頼っている、そういったこと等々を考えますと、私は、この日本が世界において果たさなければいけない最大の課題は、まさに環境、優しい地球づくりへの貢献であろう。したがって、積極的に参加、貢献することは当然でありますけれども、これらの諸問題を踏まえて日本と環境、そして地球、これに対して積極的貢献を果たしていくのは義務である。
 運輸省としてもこれは当然抱えている形が、行政の範囲は海であり、陸の交通、輸送であり、いわば環境発生源庁と言ってはおかしいですけれども、環境問題に深くかかわっているので、そういった視点にも立って積極的に貢献をしていかなければならぬと思っております。
#65
○細川委員 今大臣の方から地球環境の保全について力強い御決意を御披露いただきまして、今地球が直面をいたしております最大の課題とも言われますこの環境問題にさらに積極的に取り組んでいただきたいとお願いをする次第でございます。
 終わりになりますけれども、きょうはこの一部改正の法律案に関する質問をさせていただきました。今回提案をされておりますこの改正案の内容につきましては、緊急事態が発生したときのマニュアルを備えつけをする、こういう内容でありますけれども、しかし私は、ただこれだけでは海洋汚染を防止をするということはまだまだ効果が少ない内容ではなかろうかというふうに思います。海洋汚染を未然に防ぎ、あるいは事故が発生したような場合には、いかに早くこの災害を防除といいますか排除していくか、そういうことにさらに運輸省の施策を積極的に望んでいるものでございます。
 最後にこのことを申し上げまして、私の質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
#66
○久間委員長 常松裕志君。
#67
○常松委員 今日、極めて深刻に進行しております海洋汚染から我々人類を含む生態系を守り、また、いつ大事故が起こっても不思議ではないと言われております東京湾、浦賀水道での海上災害などを未然に防止をするという観点から二、三質問をさせていただきます。
 北海沿岸を旅行したことのある方ならきっと出会ったことのあるゼニガタアザラシ、そのゼニガタアザラシが今絶滅寸前というふうに言われています。北海沿岸には約二万頭生息をしていたと言われておりますが、そのゼニガタアザラシが一九八八年の四月から翌八九年の二月末までの十カ月間に何と一万九千頭も突然に大量死をするという事態が起こりました。あるいは、アメリカ合衆国の五大湖付近では、くちばしが曲がってしまったウ、あるいは首や頭に水腫を持ったりしている奇形の鳥などが異常に発生をし、また、胎児のまま奇形で死んでいく卵も無数に見つかっているということが伝えられています。
 世界で最も汚染が進んでいないと言われております太平洋でも、愛媛大学の立川流教授などの研究によりますと、イルカに驚くほど高濃度のPCBが蓄積をされている、こういうお話であります。PCBというのは、御存じのとおり、一九六八年北九州で発生したあのカネミ油症の原因物質であることは言うまでもありません。そして北極海にすむシロクマにも同様のことが起こっているそうであります。
 現在起きている動物たちからの警告を一刻も早く受けとめ、地球環境を守り、海洋汚染をこれ以上進ませないようにするための措置を国際的にも、そして公害を克服したと言われている日本においては世界に先駆けて実施をすべきだと考えております。日本は、数多くの公害防除の闘いには勝った、しかし、環境の質を高めるための闘いにはいまだ勝利をおさめていないというのはOEC
Dのちょうど十五年前のレポートでございますが、私は、今なお新しい我々に対する問題提起だ、こんなふうに受けとめているところでございます。
 審議をしております海防法につきましては、昭和四十五年十二月に制定以来今日まで、今回を含めて五回の改正を行い、法規制の充実を図ってきたことになるわけでありますが、これらの経緯の中でどのような効果を発揮してきたというふうに評価をされているか、お答えをいただきます。
#68
○大塚(秀)政府委員 海洋汚染防止対策につきましては、先生御指摘のように地球全体として重要な課題であるという側面から、早くから国際海事機関を中心として国際条約を策定することにより取り組みがなされてまいりました。
 千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約は昭和二十九年に採択された条約でございますが、この条約の内容を取り入れまして海水汚濁防止法が昭和四十二年に我が国で制定されました。
 その後、高度成長期の中で公害対策が極めてクローズアップされ重要課題となりました際に、我が国では世界に先駆けて、海洋への油その他廃棄物の投棄を原則的に禁止するということを内容とする現在の海洋汚染防止法を昭和四十五年に制定したわけでございます。この法律は、その後のIMO、国際海事機関の審議その他各国の海洋汚染防止対策に大きな効果を与えたのではないかと考えているところでございます。
 その後昭和五十一年には、大量の油が流出した場合の事故や海上災害などの防止措置を強化する改正が行われ、これに基づいて海上保安庁あるいはその関係団体を中心とした防除体制が整備されました。
 また、昭和五十五年には、海洋投棄規制条約の批准に必要な国内法制を整備するとともに、油の排出規制の強化を行いました。
 また、昭和五十八年には、船舶に起因する汚染を包括的に防止するMARPOL条約を批准したことによりまして、海洋汚染防止対策の体系が整えられたものと考えております。
 こうした我が国また国際的な努力によりまして、法改正の効果といたしまして、海洋汚染防止措置の法律上の規制、また海洋汚染防止のための設備の設置義務また資機材の充実、あるいは海上保安庁等監視体制の強化、また、対象としても、禁止対象物質の拡充等を通じて、それぞれこの法律が必要な効果を上げてきたと考えております。
#69
○常松委員 確かに、MARPOL条約あるいはこれに関連した我が国の国内法あるいは各国におけるそれぞれの国内法の整備は行われてきたわけでありますけれども、先ほど申し上げましたような、北海沿岸を特に中心とした大変な海洋の汚染、こういうものが世界の海で極めて深刻な一途をたどっている、そういう認識に政府は立っているのかどうか、その点をひとつお答えいただきたいと存じます。
#70
○大塚(秀)政府委員 先生御指摘のように、アラスカ沖で発生しましたエクソン・バルディーズ号の事故に見られますように、一たん大きな油排出が起こりますと、その付近、広範な海域の生態系に影響を与えるということで、海洋汚染の防止というのはますます地球環境対策上も重要な課題になっており、そのために、国際海事機関の検討においても年々いろいろな規制のための条約改正あるいは新たな条約がつくられているところであり、我々日本の関係者もそのような国際機関に積極的に参加して、このような条約の採択に当たってはその国内法制化を進めているところでございます。
 今後一層海洋汚染防止対策というのは充実強化していかなければならないと考えております。
#71
○常松委員 なるほど確かに油の汚染による対策というのは、MARPOL条約その他、今回もそうですけれども、比較的進んできているだろうと思うのです。
 しかし、先ほど申し上げましたゼニガタアザラシなどの絶滅の危機とかあるいは五大湖付近での鳥などに発生している奇形などの原因は、詳しくはわかりませんけれども、やはりPCBとかあるいはDDTとか、そういう非常に安定した化学物質が原因となっている。それが食べ物の連鎖を通して奇形やあるいは大量死というものを生み出しているというふうに想定されているわけでありまして、そういう点でいえば、今後この海洋汚染防止対策を、油というようなものからさらに化学的な物質、こういうものの規制というようなものにもっと力を入れるということが世界的な規模で必要なのではないか、こんなふうに思われます。
 ぜひひとつその点の努力を大臣、お願いしたいと思いますが、実は、政府が発行しております「海上保安の現況」、平成三年十一月発行の冊子によりますと、我が国においては海水やあるいは海底堆積物の調査、あるいはこれらについては申し上げましたような化学物質についての調査を実施しているわけであります。また、廃油ボールの漂流、漂着の調査や海上漂流物の実態調査、ビニールとかああいったものですけれども、その実態調査なども行われており、この「海上保安の現況」によりますと、「汚染の進行は認められない。」こういうふうにございます。それは非常に我々にとってうれしいことでありますし、あるいは政府の施策なり海上保安庁の努力が実を結んでいるというふうには思います。
 しかし、それは日本の沿岸はそうであったとしても、世界的には申し上げましたような規模で非常な勢いで汚染が進んでいるわけでありますから、ぜひひとつその点での国際的な役割を、先ほど大臣から非常に力強い答弁がございましたけれども、発揮をしていただきたいわけであります。
 そこで、我が国における海洋汚染防止対策は海防法を中心にして未然防止対策あるいは防除対策、監視取り締まり・指導、また防止技術の研究開発の四つを柱として総合的に推進をされているわけでありますが、簡単にその概要について伺いたいと存じます。
 あわせて、先ほど申し上げましたような深刻な事態でもございますので、海上保安庁の海洋汚染に対する船艇、航空機による監視取り締まり体制などにつきましての今後の強化についての考え方についてもお答えをいただきたいと存じます。
#72
○大塚(秀)政府委員 最初に、前段の御質問に対してお答えいたします。
 第一に、海洋汚染の未然防止対策でございますが、原則としてすべての海域における油、廃棄物等の排出は法律上禁止され、一定の排出基準に従った場合その他安全の確保上やむを得ない場合のみ例外的に排出が認められております。これらの規制を担保するために、油濁防止管理者の選任等の船内処理体制の整備、船舶の設備、構造に関します技術基準の設定、検査の実施、廃棄物排出船の登録などを法律上も義務づけているところであります。また、船舶の廃油の適正な処理を図るために、廃油処理事業等について運輸大臣が所要の監督を行うとともに、施設の適切な整備に努めているところでございます。第二に、海洋汚染防除対策でございますが、原油、重油等の排出があった場合には原因者に防除措置義務が、また、荷送り人等にも原因者が行うべき防除措置に協力する義務がそれぞれ課されているほか、対応が不十分なときは海上保安庁が海上災害防止センターに指示して防除に当たらせるというような仕組みになっているわけでございます。また、一定の船舶には排出の防除のための資材等を備えつけることが義務づけられております。
 第三に、監視取り締まりでございますが、これは後ほど海上保安庁でも申し上げますけれども、海上保安庁で実施しているところでございます。
 第四に、海洋汚染防止技術の研究開発ですが、運輸省ではこれまで大量油の拡散防止の研究、船舶における廃油の処理技術に関する研究、船舶からの油性排出水の低減に関する研究などを実施してきたところでございますが、これに加えて、地球環境問題への世界的な関心の高まりに対応するために、油流出を生じにくくする新形式のタン
カーに関する研究開発、あるいは先ほども申し上げました排気ガスの関係の研究開発を進めているところでございます。
 また、先生も御指摘いただきましたが、港湾や周辺海域の浄化対策として、堆積汚泥のしゅんせつ、覆土等の公害防止対策事業を港湾当局において実施し、また、ごみ、油の回収事業も各港湾管理者等において実施しているところでございます。
#73
○茅根政府委員 お答え申し上げます。
 巡視船艇、航空機の今後の強化方針だけに絞りましてお答えをさせていただきますけれども、この海上公害、油の監視は空からの監視というのが絶対に有効なわけでございます。しかも夜間監視装置などがございますとさらに悪質なものには有効だということで、そういった新しい機器、開発されますものをできるだけ予算の範囲の中で取り入れていきたいというふうに考えておりますし、巡視船は大体二十五年たちますと耐用年数が参りますし、あるいは艇タイプですと二十年ですので、そういう耐用年数が来たときにできるだけ高速化を図っていく、あるいは見張り能力をふやしていくということで性能アップを図っていく、そして全国に展開しております巡視船艇を機動的に運用いたしまして、要するに運用の知恵で、汚染発生の蓋然性の高い海域に集めまして監視取り締まりの密度を高めていくという運用で体制強化を図ってまいりたいと思います。
 以上でございます。
#74
○常松委員 大塚さんの御答弁の中にもありましたが、海上災害防止センターというのが機能してきているということについては海上保安白書の中でも勉強させていただきましたけれども、その事業内容及び今日までの経緯の中でどのような効果があったのか、あるいは今後さらにどのような方向で充実させていこうとしているのか、この点についてお答えください。
#75
○小和田政府委員 海上災害防止センターは、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律、ただいま御審議いただいている法案の観法でございますけれども、この法律に基づきまして、海上災害の発生及び拡大の防止のための措置等を実施するために昭和五十一年十月に設置された認可法人でございます。
 事業内容は、油の流出事故等が起きました場合に海上保安庁長官の指示によってその防除措置を実施すること、あるいは原因者でありますところの船舶所有者等の委託によって同様に排出油等の防除を実施すること、それからまた海上災害の中には船舶等の火災もございますけれども、そのような消火作業を実施すること、それから油防除用の資機材を保有し、これを必要に応じて船舶所有者等に提供すること、それから船員等に対する防災訓練の実施、これらが主な事業内容でございます。
 最後に申し上げました船員等に対する防災訓練と申しますのは、タンカー乗組員を中心といたします船員、それから陸上の製油所あるいは貯油施設等、石油会社の従業員を含めまして防除関係の訓練及び消火訓練等がその内容でございます。
 センターの設立以来今日まで、排出油の防除措置の実績が九十六件、それから今申し上げました船員等に対する訓練でございますけれども、その受講者数は三万二千名、それから海上防災に対する調査研究等も行っておりますが、その項目は九十件、さらに現在持っております防除用あるいは消火用の施設等でございますが、オイルフェンス約五十キロメートル分、油回収船十隻、それから大型消防船二隻等の資機材を全国二十八の基地に保有しておりまして、いざ災害が発生した場合等に備えて民間における海上防災の中核となり得る機関として極めて重要な役割を果たしております。
#76
○常松委員 次に、昨年の運輸省における湾岸汚染対策の対応状況とその後の対応についてお答えください。
#77
○大塚(秀)政府委員 平成三年一月に発生しましたペルシャ湾原油流出に伴います環境汚染問題に対応するために、運輸省では、我が国の貢献策の一環といたしまして海上災害防止センターの協力を得ましてオイルフェンス約十キロメートルを湾岸諸国に供与いたしました。
 また、二次にわたるペルシャ湾流出原油回収のためにサウジアラビア等に派遣された国際緊急援助隊専門家チームなどに海上保安庁などの油防除の専門家十名を参加させる、こういう人的貢献も行っているところであります。
 さらに、原油回収後も、この地域における大気汚染及び海洋汚染に関係します中長期的な対策を検討するための専門家チームに海上保安庁、気象庁などから六名の専門家を派遣するということで、引き続き人的貢献を行っているところでございます。
 世界各国の協力で、汚染についても表面的にはほぼ原状回復しつつあると聞いておりますが、運輸省としては、今後とも必要がありますればできる限りの支援をしていくつもりでございます。
#78
○常松委員 大変御苦労だったわけですけれども、なかなか知られていないですね、運輸省がそういう活躍をしているというのが。まあ、しないことは新聞にもよく出ますけれども、していることはなかなか伝えられていないというのは、我々にも責任があるのでしょうけれども、もう少し運輸省の方も誇れることは一生懸命誇ったらいいんじゃないかなと思っておりますし、非常に心配されたあそこの湾岸における油なんかも、いつの間にかなくなってしまったと言ってはおかしいですけれども、心配されるような事態はなかったようでありまして、そういうことに大きく貢献したわけでありますから、ぜひひとつその辺は積極的に伝えていただくようにしたらどうかなと思っております。
 さて、OSPAR計画の事業の概要と事業の実施状況についてはいかがでしょうか。
#79
○大塚(秀)政府委員 OSPAR計画と申しますのは、運輸省が平成二年度から推進しております国際協力事業でございまして、我が国の主要なオイルルートでございますASEAN海域周辺諸国に対しまして、我が国から積極的な技術協力を行いまして技術ポテンシャルの向上を図りますとともに、我が国の側面的な支援のもとにASEAN諸国の国際協力を促進して、大規模な油流出事故が発生した場合の国際地域緊急防除体制ともいうべきものを整備しようという計画でございます。
 この計画につきましては、運輸省、ASEAN諸国の油防除対応官庁とIMO、国際海事機関の事務局が参加いたしまして昨年一月に横浜で開催されましたOSPARフォーラムにおいてその推進が合意されますとともに、各国の意見交換の場としてOSPAR協力会議の開催が合意されました。
 この合意に基づきまして、ことしの一月にマニラで第一回OSPAR協力会議が開催され、油防除資機材の備蓄基地の整備とか油防除に関します情報のコンピューター化などについて今後さらに検討を継続し、第二回OSPAR協力会議をことしの十一月ごろインドネシアで開催することも合意され、現在関係国の間で数年内にOSPAR計画の具体化を目指してそれぞれの課題、問題点を詰めているところでございます。
#80
○常松委員 北海などに比べますと太平洋とかインド洋とか東シナ海などは比較的まだまだ汚染は進んでおりませんけれども、油汚染だけではなくて、これからASEANを中心にして化学工場なども次々に建設されていきますし、また、DDTなんかもアフリカとかあるいは東南アジアなんかではまだまだ使われているわけでありまして、そういう化学物質に対する汚染についての国際的な協力あるいは支援のようなこともぜひ運輸省におかれましても積極的に取り組んでいただくということをお願いをいたしておきます。
 最後に、東京湾の問題についてお尋ねをいたします。
 東京湾の汚染ですが、特に窒素と燐による富栄養化が進みまして、結果、植物プランクトンの異常増殖による青潮、赤潮が定期的に発生、魚介類に壊滅的な打撃を与えています。そして、死滅し
たプランクトンが海底に堆積をすると、やがて酸素のない嫌気的状態に至り、死の海に至るわけであります。東京湾は、まさにそうした水質汚染が加速度的に進行しているというふうに言われています。
 他方、その東京湾での海上災害の危険性でありますが、これはもう極めて深刻な事態であります。まず第一に、これは大臣も皆さんも御存じのとおり、東京湾内の海上交通は世界でも最高の過密状態にあります。第二に、二十万トン級の大型タンカーやLNG船あるいは六弗化ウランなど核物質積載船などの危険物積載船の割合が極めて高いということも東京湾の特徴であります。第三に、東京湾横断道路の建設であります。かつて、一九八三年、昭和五十八年の海上保安白書あるいは一九七四年、運輸省の専門家も入って作成されました建設省関東地方建設局作成によりまする「東京湾船舶航行調査報告書」などが懸念をした、この東京湾横断道路の建設によるところの東京湾の海上交通の危険性に対する防災対策はほとんどとられないままこの建設が進行をしているわけであります。
 私は、さきに大臣に対して、六弗化ウラン積載船の衝突炎工事故を想定をした質問を行ったところでありますが、大型タンカーが、例の海上自衛隊潜水艦「なだしお」やあるいは米軍のフリゲート艦ロックウッドのような軍艦に衝突をされたり、あるいは七四年の第十雄洋丸とパシフィック・アリス号との衝突事件などのようなことがいつ起こらないとも限らない東京湾の過密状況だろうと思います。
 あるいはまた、地震による津波が起こったり、あるいは昨年九州を襲った台風十九号などのような自然災害が起こった場合に、それによりまするそうした大型タンカーなどの衝突事件が起こる可能性は十分ありますし、特に東京湾の中では、あの横断道路の建設によって錨泊地も非常に少なくなっているというようなことも伺っているところであります。
 東京湾の周辺には、私のような東京都民も含めて約二千五百万人が住んでおります。特にこの東京湾の周辺でいえば数百万人住んでおりますが、ここでこの大型タンカーの衝突炎工事故などが起こった場合には、油が湾岸に流れていって、そしてそれが炎上するなどということになりましたら、それこそ数百万に上るような甚大な被害が起こるということも想定されるわけでありまして、懐然とする思いであります。
 このような事態は東京湾だけではなくて、瀬戸内海あるいは伊勢湾など日本全体の問題だろうと考えているわけでありますが、そういうことを考えた場合に、現在我が国では、海上交通安全法あるいは海上衝突予防法、港則法などの海上三法及び海洋汚染防止法などだけで海上保安庁の業務を行え、そしてそれによって、申し上げましたような東京湾の安全を確保しろといっても、正直言ってそれは不可能だ。伊勢湾あるいは瀬戸内海などについても、それだけの法律とそれから海上保安庁の体制だけでそうした想定され得るような深刻な被害というものを食いとめることは、私は、ほぼ不可能だろうと思うのです。
 そこで、これまで東京湾については特にそうですけれども、各省庁ばらばらの対策にピリオドを打って、運輸省が中心になりまして、運輸大臣が中心になっていただいて各省庁に呼びかけ、水質保全、海上防災、開発規制、総合管理、総合利用などを多角的に盛り込んだ、仮に東京湾保全法とでもいうべき総合的な立法をしていただいて、そしてそれによって、前回、私質問いたしましたけれども、あのときは六弗化ウランだけを取り上げましたけれども、そういう立場に立って総合的な安全対策あるいは災害防止対策あるいは水質保全対策といいますか、これを総合的に進めていただく必要があるのではないかということを御提言申し上げ、大臣から一言御決意を承って質問を終わらせていただきます。
#81
○奥田国務大臣 今東京湾を例に引かれましてのお話でございましたけれども、東京湾における海上交通がもう大変なラッシュ状況であり危険度が高いという形の御指摘はまさにそのとおりであろうと思っております。また、特にいつ起こるかわからないような台風災害、地震、津波等についてのそういった防災対策に関して運輸省だけでどうかなという形も全くそのとおりであると思います。
 そこで、総合対策を関係省庁でそういった形で常にあるべき対応をすべきじゃないかということでございます。国土庁が現在そういった形の防災面を含めての主管庁ではありますけれども、ただいまの先生の御提案、御提言に対して、私たちももちろん海に関しては主管庁でございますから、そういった形での御提言を生かしていくべき対策協議会等々で積極的に発言をしてまいりたいと存じます。
 ただ現在のところ、この汚染防止一つとらえてみてもまだだめじゃないかという御指摘もございますけれども、一万二千人の海上保安庁、二十四時間体制でもう懸命に与えられた使命に邁進しているわけでございます。何とか、そういった監視体制だけじゃなくて、対応する港湾も幸いに御賛同を得て、第八次ですか港湾計画、五兆七千億対応の大きな事業計画も策定されました。そういった形の中で安全避難を含めた港湾計画も着々実行される、整備されていくと存じます。
 いずれにしても、私たちは、先ほども申し上げましたように年間七億トン以上の総貨物量を海の輸送に頼って生きている国であるという現実点に立って、そして海難防災を含め、海洋環境の保全も含め、私たちが世界のモデルになる、それぐらいの覚悟で取り組むべきであるという、それはもう皆さんの合意は得られると思います。
 そういう形で今先生の、東京湾という形を特にとらえてでございますけれども、東京湾に限らず我が国の主要港湾は世界で最大の貨物量の輸入を持し、関西において、神戸においても、本当にそういった意味においては海に対していずこの地もラッシュ状況である、またラッシュでなければ日本の国は生きていけないという、それだけの何というか頼っておるということもあるわけですから、あらゆる面において日本が世界の規範、模範になれるように、先生の御提案の趣旨を踏まえて、防災環境面にも万全を期すべく最善の努力をしてまいりたいと存じます。
#82
○常松委員 どうもありがとうございました。
#83
○久間委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十八分開議
#84
○久間委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。春田重昭君。
#85
○春田委員 限られた時間でございますから、答弁をひとつ簡潔にお願いしたいと思います。
 今回の法改正の趣旨は、平成元年の三月、アラスカ沖で発生いたしましたタンカーの座礁事故に伴う大量の油流出の事故を契機としたMARPOL条約の改正に伴う国内法の整備であります。
 内容として、油濁防止緊急措置、すなわち、油が流出事故を起こした場合の手引書の備えつけの義務一を命じているわけでございますが、タンカーでは百五十トン以上、ノンタンカーでは四百トン以上となっております。したがって、百五十トン未満、ノンタンカーでは四百トン未満の船舶は対象となりません。
 これら対象でない船舶の隻数は、タンカーでは二千三百隻のうち約一千百隻でございまして、全体の約五割近くあります。ノンタンカーでは五万七千隻のうち五万三千隻ということで、九四%の割合であります。これらの船舶に対してこの油濁防止の緊急措置の手引は必要でないのかどうか、お答えいただきたいと思います。
#86
○大塚(秀)政府委員 油濁防止緊急措置手引書をMARPOL条約の規定に基づきまして総トン数百五十トン以上のタンカーと総トン数四百トン以上のノンタンカーに備え置き義務を課しましたのは、これらの船舶は貨物艙または燃料タンクの容
量がおおむね三百立方メートル以上でございまして、トン数でいいますと大体油二百四十トンぐらい、大量油汚染事故を起こす可能性が高いことが範囲を選んだ一つの理由になっております。
 それから一方、このほかの小型船、義務づけられでないものにつきましては、船の仕組み、操作が相対的に簡単であること、それからこういった小型の船は沿岸の特定の海域を主として航行するので、通報先の選定も容易であること等がこの境を決めた理由であろうかと思います。しかし、これらの対象外の船舶につきましても、今回定めますマニュアルのようなものを設置する、備え置くということはより望ましいと考えておりますので、法律上の義務ではありませんが必要に応じ指導をして、そのようなマニュアルを備え置くように考えていきたいとも思っております。
#87
○春田委員 対象でない船舶に対しましては行政指導で対処したい、こういう御答弁でございますけれども、しかし船舶の隻数は、先ほど言ったように対象でない船舶の方が圧倒的に多いわけであります。そういった意味でも、我が国独自として厳しい法改正であってもいいと私は思っております。
 次に、手引書め備えつけは、既存船舶では二年間め猶予期間を設けておりますが、特別な経済的な負担がかかるわけではないわけでありまして、もっと短くできないか、そういった声もあります。御答弁いただきたいと思います。
#88
○大塚(秀)政府委員 既にある船、現存船に設けられております今回の改正の二年間の猶予期間は、大部分の内航船の定期的な検査の受検時期、この間隔が二年間でございまして、これに対応して定められたものでございます。現存船はこの二年間の猶予期間の間に行われます定期的な検査、定期検査と中間検査、両方ございますが、その検査の際に油濁防止緊急措置手引書についても検査を受け、その検査に合格した手引書を順次その船舶内に備え置くこととなります。
 したがいまして、現存船につきましては準備が整い次第できるだけ早期に検査を受け、油濁防止緊急措置手引書を備え置くように指導していきたいと考えております。
#89
○春田委員 さらに、検査の義務でございますが、緊急措置手引書のみが対象でありまして、日常作業の油濁防止規程は対象となっておりません。油流出の事故というのはそうあるものでありませんし、その意味ではむしろ日常的な油の取り扱い作業による排出を重視することが大事ではないかと思います。そういった意味で、この日常作業の油濁防止規程も検査の対象とすべきではないかと思いますが、御答弁いただきたいと思います。
#90
○大塚(秀)政府委員 油濁防止緊急措置手引書につきましては、技術基準に適合せず、事故発生時に有効に機能しない場合におきましては、船内が混乱状況もございまして直ちに油の排出による甚大な汚染事故につながるものとなることから、あらかじめ油濁防止緊急措置手引書の内容が基準に適合し、事故の発生時におきましても適切な措置を講じられることを確保するために検査対象としたものでございます。
 一方、油濁防止規程は、日常的な油の取り扱い作業に関するものでございまして、船内の冷静な対処が期待できる場合の通常のマニュアルであるために、検査対象とする必要性は緊急措置手引書に比べて相対的に乏しいと考えられるところであります。
 しかし、海上保安官署その他の立入検査の際に油濁防止規程に不備が発見された場合には、油濁防止規程の変更等の指導を適宜行うこととし、油濁防止規程についても備え置き義務を担保したいと考えております。
#91
○春田委員 なぜ私がこの日常作業の油濁防止規程を検査の対象とすべきかということをこれから御質問していきたい、こう思います。
 平成二年の海洋汚染の発生件数を見ると、全体で九百九十三件が確認されております。発生件数は全体で九百九十三件ですね。油による汚染が五百八十三件ということで、約六割が海上汚染の原因となっております。それで、油による汚染の排出源を見ますと、船舶が四百八十五件ということで率にして全体の八三・二%を占めております。昭和六十三年、平成元年の数字を見てもほぼ同じ数字が出ておりまして、改善された形跡はございません。
 こういったいわゆる船舶からの油による汚染が非常に海上を汚染している、こういった実態につきまして運輸省また海上保安庁はどう受けとめておりますか、御所見をいただきたいと思います。
#92
○小和田政府委員 私どもは、発生した排出事故につきましてこれを監視し、取り締まるという立場ではございますけれども、基本的にまず船舶の構造、設備につきまして国際条約あるいは関係国内法があるわけでございますから、それらの遵守をしていただくということ、それからその操作に当たる船員、乗組員につきまして十分な教育訓練を施していただくということ、それからまた、その船の運航等に当たる船舶所有者等におきましても海洋の汚染防止、環境保護ということに十分意を用いていただくということ、そういう総合的なことが必要であろうかと思います。
 その中にありまして排出したケースにつきましては、それが故意によるものであれば私どもとしては厳重な取り締まり及び処罰の対象ということで対応してまいりたいと思いますし、また、不注意によるものにつきましては指導その他を十分いたしまして再発防止に努めていきたいと考えております。
#93
○春田委員 平成二年の船舶の油による汚染の排出源を数字で見ますと、取扱不注意が百七十六件あります。故意で百一件、海難で百七十二件、その他二十四件ということで、合計で四百八十五件となっております。海難は別として、取扱不注意、故意、この両件合わせて全体の実に七二%を占めているわけですね。昭和六十三年にしても平成元年にしても大体同じような確認数が出ておりますし、割合となっています。
 海上保安庁としてはその都度指導していると言っておりますけれども、全然変わっていないわけですよ。私はこれはやはり厳しく受けとめていく必要があるのではないかと思いますけれども、再度海上保安庁の御所見を伺いたいと思うのです。
#94
○小和田政府委員 平成三年度を含めまして過去数年間大勢的に見ますと若干の低下傾向という感じもいたしますけれども、基本的には先生御指摘のとおり余り減っていないという実態でございます。
 海上保安庁といたしましても、さらに船艇、航空機の効率的な運用、連係プレーを通じまして監視に当たるほか、民間のモニター制度の活用等によりまして努力してまいりたいと思います。
#95
○春田委員 この四百八十五件のうち、要するに百五十トン未満のタンカー、それから四百トン未満のノンタンカーの確認数は平成二年でどれぐらいになりますか。
#96
○小和田政府委員 昭和六十三年から平成二年までの間に確認した船舶からの排出について申し上げますと、昭和六十三年が合計四百六十九件ございますが、このうち百五十トン未満のタンカーによるものが十六件、それから四百トン未満のノンタンカー、タンカー以外の船舶によるものが二百四十四件でございます。同様に、平成元年につきましては百五十トン未満のタンカーによるものが十五件、四百トン未満のノンタンカーによるものが二百六十九件、合計いたしますと、その他船舶を加えまして四百七十六件、それから平成二年は合計四百八十五件中百五十トン未満のタンカーが十二件、四百トン未満のノンタンカーが二百六十五件でございます。
#97
○春田委員 そこで、大臣に御答弁いただきたいと思うのですが、ただいま御答弁をいただきましたように、平成二年におきまして油による汚染が全体で四百八十五件あるのです。その中で、今回のいわゆる対象となっております百五十トン以上、四百トン以上の船舶の件数は二百八件なのです。ところが今回、日常のマニュアルが義務づけ
られていない百五十トン未満のタンカー、それから四百トン未満のノンタンカーのいわゆる油流出事故は全体で二百七十七件となっておりまして、対象になっている船舶数よりも対象になっていない船舶数の方が明らかに多いわけですよ。
 そういった意味で、対象になっていない船舶にもそういったいわゆる取扱不注意だとか、また故意に排出している、こういったことを未然に防ぐためには検査の義務づけが必要でないか、こういった意味で私は御質問しているわけでありまして、大臣、どうでしょうか、実態的に対象になっていない船舶数が多いわけですから、この際義務づけを国内的にも厳しくやる必要があるのではなかろうかと私は思いますが、どうでしょう。
#98
○大塚(秀)政府委員 今回の法律改正のもとになっておりますMARPOL条約の改正が、先ほども申し上げましたようにエクソン・バルディーズ号の油流出事故、このような大規模な海洋汚染事故が海洋に及ぼす影響から出発しておりますので、今回もこのような対象にしたわけでございますが、まさに先生御指摘のように、最近は小さな船も海洋汚染の違反あるいは事故を起こしておりますので、法律に義務づけがあるかどうかは別として、先ほどお答えさせていただきましたように、小さな船につきましてもマニュアルのようなものをそれぞれ設置させる、あるいは私ども年六回各地で海洋汚染防止のための講習会をやっておりますが、このような講習会におきましては、小さな船の船長等関係者にも積極的に御出席いただいて指導しているわけでございますので、海上保安庁の海洋汚染防止の取り締まりはもちろんのこと、事前の海洋汚染防止の講習、そういった知識の徹底、その他あらゆる機会を通じての指導を今後もしていきたいと考えているわけでございます。
 また、この法律の運用におきまして、そのような小型船についてどういう措置をとったらいいかどうかというようなことについても、今後我々も十分注視していきたいと考えております。
#99
○春田委員 ちりも積もれば山となるでありまして、トン数が小さいものでもどんどん出していけば海洋汚染していくんですよ。トン数が大きいのだけを規制して、トン数が少ない船舶は対象にしないというのはおかしいと思うのです。実態に合わせてとるべきじゃないか、私はこう思っているわけであります。
 海洋汚染の防止には、一つは未然防止と、もう一つは事故が起こったとき、その防除体制の二つに大きく分かれると思いますけれども、取扱不注意、また故意というような違法行為は未然に防止することが十分できると私は思うのです。ところがそれがここ三年間の推移を見ても全然変わっていない、相変わらず件数は多い、割合も高い、こういったことを考えたときに、従来から海上保安庁がやっております講習や指導体制がいいのかどうか。その辺の見直しまたは罰則の強化等もある程度必要じゃないか、こう思っておりますけれども、海上保安庁はどうお考えになっておりますか。
#100
○小和田政府委員 指導につきましては、中小型船のオーナーあるいは漁船関係を含めましてさらに指導に努力してまいりたいと思います。確かに小型船の場合には、その法令の遵守等についてなかなか手が回らないという面も若干あるかと思いますので、講習会、説明会等を含めまして、あるいは業界団体等を通じてさらに汚染防止について注意喚起をしてまいりたいと思います。
 それから、罰則につきましては、現在の法律に故意あるいは過失についてのそれぞれの罰則の規定ばございますけれども、これは国内の他の法令における罰則の規定ぶりとのバランス等々のこともございまして、一応現在の罰則の中での運用の問題ということになろうかと思います。
#101
○春田委員 いずれにいたしましても、海上保安庁は年二回ですか、周辺海域とか主要湾では年一回調査をやられておりますね。いずれも汚染の状態が低レベルであるという形で報告されておりますけれども、私は、こういった認識は非常に甘いのじゃないかと思うのですね。したがって、汚染の状態がよくなってこそ初めて海上保安庁のそういったパトロールが生きてくると私は思うのです。ところが、過去三年間のデータを見ても全然この件数は減っていないし、一向に改善されていないという結果になっておりますので、そういった面で厳しい認識のもとで海上保安庁はこの汚染の調査もやっていただきたい、私はこのように強く要望しておきます。
 次に、船底塗料に使用されております有機すず化合物、トリブチルすずですか、TBTの問題についてお伺いしたいと思うのですが、このTBTに含まれる有機すず重金属が海中に溶け出すことによりまして海洋汚染とか海洋生物への蓄積が今大きな問題となっております。
 ある新聞報道によりますと、昨年の東京都内の魚市場で入手した魚介類の約九〇%から人体に影響のある有機すず化合物が見つかっております。同じ有機すずのTPTは既に製造が中止されておりますけれども、TBTは依然として船の汚れを防ぐ塗料として使用されておりますけれども、疑わしいものは使わないという形で全面禁止の方向として対策をとるべきではないか、私はこう思っておりますけれども、運輸省としてはどんなお考えでしょうか。
#102
○大塚(秀)政府委員 有機すず化合物の一種でございますトリフェニルすず化合物と、先生御指摘のトリブチルすず化合物は、海藻や貝類の付着を防止する効果を持っておりますことから、主として船底塗料に含まれる防汚剤や漁網の防汚剤として使用されてまいりました。しかし、最近、環境庁の生物モニタリング調査などの環境調査におきまして、これらの物質が内湾等の魚介類に蓄積していることが指摘されております。
 こうしたことから運輸省におきましても、船舶所有者、造船事業者等に対しまして、平成元年度にはトリフェニルすず化合物を含有する船底塗料はその使用を取りやめることを指導しました。平成二年度にはトリブチルすず化合物を含有する船底塗料につきまして、まず内航船舶は使用を取りやめること、その他の外航船舶等にございましては、入渠期間が一年程度の船舶はその使用を取りやめるとともに、それ以外の船舶は船側部のみにトリブチルすず化合物の含有率の低いものを使用すること、第三に、代替塗料の早期開発に努めることを指導したところでございます。
 この結果、既にトリフェニルすず化合物を含有する船底塗料の製造及び使用は中止されておりますし、また、トリブチルすず化合物を含有する船底塗料の使用量も、この指導前に比べますと三割から四割程度減少しています。
 なお、既に造船事業者におきましては、新規建造契約分についてはトリブチルすず化合物を含有する船底塗料の使用を自粛するとともに、修繕船については既契約分も含めことしの四月以降の着工分についてはその使用を自粛するなどの自主規制を講じておりますので、今後トリブチルすず化合物を含有する船底塗料の使用量はなくなる方向に進むと考えており、今後も一層この方向で指導していきたいと考えております。
#103
○春田委員 ただいまの御答弁のとおり、限定使用といいますか適正使用という形でこのTBTは使われておるわけでありますけれども、平成二年を見る限り元年より約二割は減っております。しかし、千七百九十トンが平成二年においても出荷されているんですね。平成二年の九月には、人の健康被害のおそれとして第二種の特定化学物質に指定されておりまして、そういった面では私は、適正使用といいますか限定使用といいますか、そういったものよりも、全面的ないわゆる使用禁止に踏み切るべきである、そのためには早急な代替品等が必要であろうと思うのです。
 そういった意味で運輸省として指導なり、また国としての一定の助成なりをしていくべきではないか、こう思っておりますけれども、そういった国の代替品につきましての指導なり、また国の助成というのはお考えになっておりますか。
#104
○大塚(秀)政府委員 専門家の意見もお聞きしつつ、先生御指摘の方向で関係者でさらに努力していきたいと考えております。
#105
○春田委員 続いて、条約問題について若干お尋ねしたいと思うのですが、非常に長い条約であります。仮称と言われておりますけれども、油汚染に対する準備、対応、協力に関する条約、すなわちOPRC条約でございますが、一九九〇年、米国が提案して一応採択はされておりますけれども、いまだ批准はされていない。発効には十五カ国以上の批准が必要ということになっておりますけれども、我が国としてはこのOPRC条約についてはどうお考えになっておりますか。
#106
○奥田国務大臣 先生御指摘のOPRC条約の批准でございますけれども、これは我が国としては積極的に批准すべきであるという形で外務省も対応いたしておりますし、私たちもこの条約批准というものに対応するための国内法の整備をあわせて検討している段階でございます。
 今現在御審議願っている法案は御存じのとおりMARPOL条約に基づくものですけれども、先生が御指摘のこのOPRC条約は、船という面だけではなくて、一つの地域のシステム、陸上施設等々についても厳しく規定しているわけであります。我が国としては、もう既にこれらに対応すべくASEAN各国、日本が主導国になりましてOSPAR、地域システムの構築を今まさに始めようとしているわけで、このことも大きく言えばこのOPRC条約の批准に向けての予備活動であるという形で御了解願いたいと思います。
 いずれにしても、このOPRC条約に向けては、積極的に批准に向けて対応していきたいということでございます。
#107
○春田委員 MARPOL条約は批准しているのに、同じ性格といいますか内容のOPRC条約を批准しないというのは矛盾が出てきます。そういった面では、今大臣からも積極的に支援していきたい、こういうお話でございますので、日本が各国へ働きかける立場でひとつ積極的にこの条約の批准に向けて努力をしていただきたい、こう思っております。
 最後に、やはり同じ条約問題でございますけれども、有害廃棄物の越境移動及びその処分に関する条約、バーゼル条約でございます。本年の五月五日、二十カ国をもってこの条約が発効される予定でございますが、我が国としてはいまだ批准していない。この有害廃棄物も海洋汚染の大きな原因となっているわけでありまして、その規制のためにも私はこの早急な批准を促したいわけでございますが、どうも聞くところによりますと、環境庁と通産省と厚生省ですか、協議がスムーズにいっていないみたいでございまして、現在まだ批准がされていないという状況であります。
 環境庁、きょう御出席いただいておりますけれども、環境庁としての御所見をいただきたいと思います。
#108
○木下説明員 有害廃棄物の国境を越える移動に伴う環境汚染問題は、六月の地球サミットでも取り上げられます予定の重要な地球環境問題の一つであります。このため、環境庁としても、バーゼル条約の早期加入の必要性は強く認識しているところでございます。
 加入に当たりましては国内法の整備が必要でございまして、環境庁としては、これまで条約を誠実に履行するための国内法を関係省庁と鋭意調整を図ってきたところでありますが、現在のところまだ調整がついていない、このようなことでございます。
 先生の御指摘のとおり、この条約はことしの五月に発効する予定でございますので、できるだけ速やかに関係省庁との調整を進めてまいりたい、このように考えております。
#109
○春田委員 地球サミットがブラジルのリオで六月一日から開催されるわけでありまして、各国の首脳が参加する、非常に熱い期待が集まっておりますし、我が国も、あすから賢人会議が開かれるということで、地球環境が今非常に大きな全世界の中心になっておるわけですね。そういった中で、このバーゼル条約を日本が批准してない。
 聞くところによりますと、アメリカも近々加入するという話が出ているわけであります。アメリカが加入したならば、この条約によりますと、加入しない国との取引はできないことになりますし、そういったことをすれば我が国もアメリカとの取引はできないことになってまいります。外国から見て、何か通産省と環境庁の縄張り争いみたいな感じにとられないように、早急に環境庁が音頭をとりましてこのバーゼル条約の早期批准の手続をとっていただきたいことを私は強く主張しておきたいと思っております。
 それでは、最後になりますけれども、大臣にお伺いしたいと思うのですが、今回の法改正はMARPOL条約の改正に伴う国内法の整備ということでございまして、条約の改正部分のみを国内法で整備するということでございますが、先ほど私が言ったとおりいろいろな問題がございます。そういった面で、私は、我が国は我が国として実態に合わせたそういった国内法の整備が必要じゃないか、こう思うのです。
 そういった面で、海をきれいにする、海洋汚染を絶滅していく、そして地球環境を守っていく、そういう立場からすれば、私は、もう一歩踏み込んだそういった国内法の整備であってもいいのではなかろうか、こう思うわけでございまして、大臣の御決意なり御所見をいただいて質問を終わりたいと思っております。
#110
○奥田国務大臣 先ほどから大変貴重な御意見、春田先生の御提案も含めて注意深く聞いておったわけでありますが、大変適切な御提案と私は肝に銘じております。
 今度のマニュアルの義務化を規定していない小さいいわゆるタンカーあるいはノンタンカーも含めまして、やはり海に生きる人のモラルと申しますか、海で生きているのは、海上勤務者は当然ですけれども、私たちも含めて、海の恩恵を一番受けておる民族、国家でございますし、こういった条約に伴う国内法整備にとどまらず、小さくても数が寄れば小さい汚染が大きな汚染につながってくるわけですから、先ほど来御提言のあった趣旨等も踏まえまして、今後ともいわゆる海洋環境を守るためのモラルを、法ばかりじゃなくてそういった運動展開も積極的に進めてまいりたい、努力してまいります。
#111
○春田委員 以上で終わります。
#112
○久間委員長 佐藤祐弘君。
#113
○佐藤(祐)委員 ことしは六月に地球サミットがブラジルで開かれる。海洋環境の保全というのは地球環境を守る上で大変大きな比重を占めているというふうに思います。
 今回のこの海洋汚染及び海上災害防止法の一部改正案は、海洋における油濁防止、これを進めるというものでありますから、私たちは大いに積極的にそれは促進する必要があるという観点から賛成であります。
 けさ以来いろいろな問題が議論されてまいりまして、できるだけ重複を避けながら、二、三お聞きしていきたいと思います。
 全体として重要な問題点としては、エクソン・バルディーズ号ですか、あの事故の際も座礁でありましたし、あるいは衝突とか爆発とかそういった原因で起きている。ですから、そういう事故そのものをなくしていくということが根本だろうと思います。それからまた、最近の問題では、仮に事故が起きた場合にも油の流出が起きないようにしようということで、二重船体化の問題などが開発が進んでいる。三つ目に、事故が起きた場合に、油流出が起きた場合にどう防除するかということになるのだろうと思います。
 それで、先ほどからの議論を聞いておりまして大変気になったので、改めてお聞きしておきたいのですが、この原因の中で、故意と取扱不注意、これは大変多いのですね。故意というのは全く私はけしからぬと思うのだけれども、具体的にはどういうものなのか、ちょっと御答弁いただきたい。
#114
○小和田政府委員 故意による油排出の具体的内容でございますけれども、平成二年の場合で申しますと、船舶からの油排出件数が海上保安庁で確認いたしましたものは四百八十五件ございますけれども、そのうち故意によるものは百一件でござ
います。この百一件の中で八十五件、約八割くらいかと思いますけれども、これがビルジを排出したものでございます。ビルジといいますのは、エンジンルームその他船底にたまる油まじりの水と申しますか、あるいは水と油の混合物といったようなものでございますけれども、そのビルジを排出したものが八十五件でございます。なお、船の種類で申しますと、貨物船が四十六件、それから漁船が二十二件となっております。
 なお、我が国の沿岸で起きた排出事故でございますので、全体の九割以上が日本船によるものでございますけれども、一部外国船によるものもございます。
#115
○佐藤(祐)委員 取扱不注意の問題もありまして、これは過って違うバルブをあけるとか、送り手と受け手の間で意思が疎通していなくてそういう誤作動がやられるといったようなこともあると聞いておりますが、こういうものに対する対策といいますか指導はどういうように進められているのでしょうか。
#116
○小和田政府委員 船舶における油、例えばタンカーであれば貨物としての油の積み込み、積みおろし、それからタンカーを含めて船舶全般につきましては燃料油や潤滑油等についての積み込みといったような作業がございますけれども、そういう作業についての手順、操作のマニュアルにつきましては、既に関係の部局においてそれぞれきちんとしたものができております。また、業界においてもそういうマニュアルに沿って関係者を指導するという体制がとられております。あるいはまた、船員教育におきましてもそういう内容の教育がきちんとされております。
 ただ、やはり人間のことでございますので、ついうっかりバルブ操作を誤るとかあるいは油の関係のメーターのチェックを間違ってしまうとかいうようなことがございますので、今後ともそういう不注意あるいはその取り扱いミス等によります油排出の防止にくれぐれも注意するよう私どもとしても関係者の指導に努めてまいりたいと考えております。
#117
○佐藤(祐)委員 指導してきているようにもおっしゃっているが、このいただいた数字では減っていないですね。故意の方も取扱不注意の方も大体同レベルできているのですよ、ここ数年。これは指導というか監督が不徹底だということを示していると思うので、強化してもらわなければならぬということを申し上げておきたいと思います。それから防除の問題なのですけれども、防除作業の進め方の基本的な考え方、それはどういうふうになっておりましょうか。
#118
○大塚(秀)政府委員 油排出事故発生時の船舶内における措置の内容でございますが、我が国におきましては海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の三十九条の三に基づきまして、湾内、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、鹿児島湾を航行する百五十トン以上のタンカーなどではオイルフェンス、それから油吸着材等を備えつけることが義務づけられております。
 それから、油流出事故が発生した場合におきましては、その船舶の船長は、これも海洋汚染防止法に基づきまして日時及び場所、排出の状況その他の事項を直ちに最寄りの海上保安機関に通報すると同時に、同法に基づきましてオイルフェンスの展張、油の移しかえ、損壊箇所の修理などの排出油の防除のための応急措置を行うこととされております。
    〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
#119
○佐藤(祐)委員 事故が起きた場合に海上災害防止センター、ここがかなり大きな役割を果たしているということであります。中核的な役割という御答弁もあったと思います。
 それで私たちセンターの方にお話をお聞きしました。そうしましたら、やはり何といっても事故が起きて後の対策としては、立ち上がりですね、油濁防止の立ち上がりが大事だということをおっしゃっておられた。これはどんな事故の場合もそうだと思うのですね。最初の初動といいますか、これが非常に大事だということなのですが、同時に、お話をお聞きしている中でこういうことが言われておりました。大きなケースといいますか、そういう場合には保安庁長官の指示で動く、保安庁長官からセンターに指示が行って出動していく。センターの方では各港湾なりにいる協力される方、そういう方と連絡をとり合って作業を進めていくということになると思うのですが、長官の指示で動く以外の場合は一般的に船主からの依頼、オーダーでやることになる。
 ところが、お聞きしたところでは船主によってはセンターの存在を知らない人もいて、連絡が遅くなって立ち上がりがおくれる場合がおるというようにお聞きしたのです。これは契約していない船主ということかなというふうにも思うのですが、とにかくこういう漏れがありますと非常に初動にそこを来すわけでありまして、このあたりの実情はどうなっているのか、そういう抜け穴がないようにすべきではないかという点について御答弁いただきたいと思います。
#120
○茅根政府委員 お答え申し上げます。
 海上災害防止センターが実際に防除作業を行う場合には、今先生御指摘のとおり地元の防災事業者、これはタグ業者であったりあるいは防災機器の販売メーカーであったり、いろいろなものが混在しておるわけでありますけれども、そういうところと契約をして、センターがコンダクターと申しますかブロモーターになりまして進めていく。そういうシステムが徐々に浸透してまいりましたので、センターのいわゆる二号業務、船主からの委託によって行う防除業務、これが確実にふえてきております。その方が確実に防除作業ができるという船主側の信頼も高まっておりますので、海上保安庁が直接監督する団体、公益法人でございますので当然もうけもございませんし、公益的な立場で防除作業を行うということで信頼度も高まっておりますので、今後いろいろな事件がふえるに従いまして海上災害防止センターへの委託、依頼がふえてくるのではないかというふうに見ております。
 以上でございます。
#121
○佐藤(祐)委員 ちょっとポイントのところが答えられていないのですが、基本的には基金で運営されるわけですね。それから船主の分担もあるわけでしょう、船会社の。具体的に、出ていった場合には、防除作業をやった場合にはその経費分担の問題もあるというふうに思いますが、今お聞きしているのは、知っていない船主さんがいて、連絡がおくれて初動がおくれる、こういう場合があるのだということなのですよ。それはやはりそういうことがないようにする必要があるのじゃないかということを申し上げているのです。
#122
○小和田政府委員 油の流出事故の場合の対応でございますけれども、一義的には油を流した船舶の所有者あるいは施設の設置者等にその防除措置を行う義務が課せられております。
 ただ、先生今おっしゃいましたように、必ずしもそういう人たちの対応が素早くできないことがあるのではないかという問題がございます。そのために、海上保安庁が直接防除作業に乗り出すということももちろんいたしますし、それからまた、海上災害防止センターに保安庁が指示をして防除活動を直ちに行わせるということもございます。それらの場合には、その防除措置にかかった経費は原因者であるところの例えば船舶所有者の方に後で請求をする、求償をするという建前になっております。
 それから、海上災害防止センターの設備の内容等につきましては午前中にもお答え申し上げたところではございますけれども、その数をさらに全国的にネットをつくるという意味で、全国に民間の防災事業者がございます、そういうところとも防災センターは契約をして、いざというときに対応するようにしております。
#123
○佐藤(祐)委員 どうも質問の趣旨が伝わっていないようなんだけれども、一般的には、事故が起これば海上保安庁の保安部の方へ通報があるわけですよね。それで海上保安庁としては巡視艇を出したりとか、あるいは飛行機を飛ばしたりとか、
それにふさわしい対応をする。油濁防止の必要性の度合いによってはセンターの方へ連絡して指示をしてやらせる、こういうことになるわけでしょう。センターの方は、そういう長官からの指示の場合は別に問題はないのですよ。それ以外の場合は船主からのオーダーで出るんだと言っておるわけですよ。それはそのとおりになっているわけですね、一号、二号とかいう分類で。
 それで、船主の中にセンターのことを知らなくて連絡がおくれる、なかなか連絡されない、あるいは事故の直接の対応に手間取っておられて連絡がおくれるというケースもあり得ると思います。そういうことで大事な立ち上がりがおくれる場合があるので、そこがやはり改善される必要があるということなんですがね。ですから、船主への周知徹底といいますか、その問題なんです。
#124
○茅根政府委員 船主に海上災害防止センターの存在、電話番号あるいは夜間の連絡先等は当然これからも周知を図っていきたいと思いますけれども、事実関係といたしまして、船主は知っておりながら、やはり保険によって初めて費用はてん補されますので、その辺、保険会社との連絡に手間取りまして、そして実際問題として委託は自分独断ではうんと言えない、やはり保険会社、PI保険ならPI保険の方とネゴをして確実にその費用がとれるということにならない限りはセンターとの契約に正式に入れない、船主だけでは当事者能力がないという問題が現実の油汚染の事故では多々ございます。そういうことが船主の意思決定のおくれにもつながっているというのが現実でございます。
#125
○佐藤(祐)委員 これはやはり何といっても海洋の汚染を敏速的確に防除するということが重要なわけですから、保険問題はあるにしても、まず動き出さなければ話にならぬと思うのですよ。そのあたりはもう少し私は検討してもらいたいというように要望しておきます。
 そうすると、今回の改正で油濁防止の緊急措置手引書、これを備えつけなければならぬということになりましたね。この手引書そのものはどこでつくるのですか。スタンダードなものを運輸省で出すのですか。
    〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
#126
○大塚(秀)政府委員 関係者の方々と相談して運輸省でひな形をつくって、そのひな形をもとに各事業者の方において具体的に書き込んでいただくというようなことになると思いますが、モデルのようなものは何らかの形でできると思います。
#127
○佐藤(祐)委員 その中の一つの要件として、油汚染事故の際に連絡すべき当局のリストという項目がありましたが、この当局のリストはどこどこになっていますか。
#128
○大塚(秀)政府委員 まず第一には海上保安機関、それから港の通報先としては日本でいえば港湾管理者、それからこれは当局じゃないのですが船舶の関係者、船主とか荷主、こういうところが通報先になるようにモデルをつくるつもりでございます。
#129
○佐藤(祐)委員 私は、防除の緊急対応という点からいうと、このセンターもそこに加えるのが妥当ではないか、適切ではないかというように思います。
#130
○大塚(秀)政府委員 今抜かしましたが、海上災害防止センターも日本の沿岸等あるいは日本に出入りする船のマニュアルには加えたいと考えます。」
#131
○佐藤(祐)委員 あと一、二点、時間の関係がありますから簡潔にお答えいただきたいのですが、一つは先ほどもやりとりがあったのですが、二重船体化ですね。これは私はいいことだと思いますが、これに関連して、新聞報道ですけれども、やはりコスト高になるから石油製品へ当然はね返っていくだろうとか数パーセントの価格転嫁が必要になるかもしれないとか、いろいろなことが当事者から言われているというのがあるのですね。
 それで私は、環境保全は今大きな人類的課題なわけですが、これへの投資分担というのは企業にとっても社会的責任であろうというように考えるわけです。ですから、安易に石油製品への転嫁というようなことをすぐに言い立てるというか、こういうのは私は好ましくないと思うのですね。そういう点、先ほど運輸省としても適切な指導をされるような御答弁も午前中の議論であったように思いますが、こういうことを口実に末端の製品価格の値上げが行われないように指導していただきたい。いかがですか。
#132
○大塚(秀)政府委員 できるだけコストが吸収されるように、各般にわたって今後検討していくべき問題だと考えております。
#133
○佐藤(祐)委員 これは新規の受注で潤う面というのも大きいわけですからね。
 それで、今の二重船体化の問題あるいは排ガス関係でいいますと脱硫装置の開発とか、いろいろな課題があると思うのですね。それから防除についても、もっと技術向上というのか、そういうこともあろうかと思います。そういう点で日本はやはり先進国として技術開発を世界に先駆けて大いに進めていく、そういう責務があろうかと思います。そういう点どういう研究開発を進めておられるかお聞きしたい。
#134
○戸田政府委員 環境面に対する技術開発関係でありますが、船舶に関して申し上げますと、船舶に係る環境問題につきましては、昨年の六月に運輸技術審議会から「二十一世紀を展望した運輸技術施策について」という答申が出ておりまして、その取り組みの必要性が指摘されておりまして、運輸省としましてもその重要性を認識しているところであります。
 船舶関係の環境保全技術の研究開発につきまして具体的に申し上げますと、平成二年から予算措置を講じまして、二重船殻構造よりもさらに効果のあるタンカーの開発、それから船舶からの排ガス、NOx、SOx低減の研究開発を造船業基盤整備事業協会あるいは船舶技術研究所などにおいて実施しているところでありますので、これからもこれらの面でさらに努力をしてまいりたいと思っております。
#135
○佐藤(祐)委員 最後に大臣にお聞きしたいと思います。
 地球環境を守る問題では、大臣午前中からも、積極的な姿勢で取り組んでいく、模範的な活動をしたいというような御答弁がありました。ぜひそうあってもらいたいというふうに思うのですが、しかし、六月サミット、地球サミットへ向けてのいろいろな動きの中で日本政府の中に足並みの乱れがあるというようなことが出てきているわけですね。先ほどはバーゼル条約の問題がありましたが、船の場合はNOx、SOxが大きな課題ですが、CO2の問題で今大変意見が分かれているという状況があるのですよね。特にアメリカが目標値設定に難色を示している、まあ反対しているのですね。削減目標にはもう明確に反対しているということがあります。ECの方はやるべきだという姿勢です。そういう中にあって日本の省庁間で意見の食い違いが起きているというようなことが。あるわけですね。これは現に存在しています。
 それで、こういう点でやはり大臣は、まあ運輸大臣として海洋環境、これはもう全力投球していただきたいわけですが、国務大臣として、地球環境を守る諸課題について日本政府、日本として本当に各国に信頼されるような積極的な対応、いろいろそういう食い違いなども前進的に調整してそういう方向で御尽力いただきたいというように思いますが、その決意をお聞きして終わりたいと思います。
#136
○奥田国務大臣 午前中の質疑にも答弁いたした次第でありますけれども、私は、今人類が当面しておる最重要課題は何だということになれば、どなたもまさに環境問題であり、このことは世界が一体になって取り組まなければならない問題、この認識はいずれの国、皆さんも一緒だろうと私は思います。
 ただ、今海洋汚染の問題一つとらえても、温暖化の問題やオゾン層破壊の問題、NOx問題等々、もう多岐にわたっておる。このまま放置しておいて果たして一体人類、生態系を含めての生存が可
能だろうかという問題であって、そんな単に規制が難しいとかなんとかという、これは生産段階とだけミックスさせて考える、それ以前のまさに二十一世紀にかけて我々が生存し得るかどうか、これくらいの重要な問題であるという認識に立って、いわゆる六月に行われる地球サミットでも、我が国はもう海に生きてそしてその恩恵によって今日の繁栄を享受している国でもあるわけですから、そういった意味においてはもう積極的に貢献していくのが我が国としてのとるべき対応であろうということで、この六月の地球サミットで国、人がとるべき行動計画が示されるということに大きな関心と期待を持って、しかもこれに対して積極的に対応していく、そういった決意でおります。
#137
○佐藤(祐)委員 終わります。
#138
○久間委員長 高木義明君。
#139
○高木委員 ただいま議題となっております法律案につきまして若干のお尋ねをいたします。
 法案の性格上、一部重複の点もありますけれども、さらに確認の意味を含めまして御答弁をいただければ幸いでございます。
 まず、海洋の汚染の問題、油の流出事故防止につきましては、諸外国との協力が不可欠であることは言うまでもありません。現在特に油流出事故の可能性の高いマラッカ海峡を中心としたところのASEAN海域、こういったところが国際協力においては重要な課題になるということから、いわゆるOSPAR計画というのが検討されております。
 この計画自体私は大変意義あるものであろうと思いますし、何よりも中身を充実して今後十分な対応ができるように我が国としても取り組むことが必要であろうと思いますが、このOSPAR計画について、今後の展望はどうなっていくのか、そしてまた我が国としてはどういう立場を貫くのか、この点についてまずお伺いをしておきたいと思います。
#140
○大塚(秀)政府委員 OSPAR計画と申しますのは、運輸省が平成二年度から推進しておるASEAN諸国に対する国際協力事業でございます。
 我が国の主要なオイルルートはASEAN海域周辺でございますので、これら周辺諸国に対しまして我が国から積極的な海洋汚染防止の技術協力を行い、これらの国の技術ポテンシャルの向上を図りますとともに、我が国の側面的な支援のもとにASEAN諸国の国際協力を促進し、万一大規模な油流出事故がこのようなASEAN諸国の周辺海域で発生した場合に、国際地域緊急防除体制の整備が図られているようにしようというものでございます。
 この計画につきましては、運輸省とASEAN諸国の油防除を所管しております官庁、それとIMO、国際海事機関の事務局の参加のもとに昨年一月に開催されましたOSPARフォーラムにおいてその推進が合意されますとともに、この合意に基づき本年一月、マニラにおいて第一回のOSPAR協力会議が開催されて、基本的に問題点を検討していくということが合意されたわけでございます。
 この際課題となりました油防除資機材の備蓄基地の整備の問題、油防除に関します情報のコンピューター化等の問題、これらにつきましては各国協力して今後検討を継続しますとともに、第二回のOSPAR協力会議をことしの十一月ごろインドネシアで開催することも本年一月の会議において合意されました。
 現在関係国の事務当局間で数年内においてOSPAR計画の具体化を目指し検討を進めておるところでございまして、我が国としてはこのOSPAR計画の趣旨にのっとり、この計画が推進される際には全面的な協力をしていくつもりでございます。
#141
○高木委員 その問題と並びまして、平成二年十一月に国際海事機関の環境委員会におきましていわゆるOPRC条約が採択されました。この採択に当たっては、我が国といたしましても早期にそれを批准をして、関係の整備を進めていくことが必要だろうと思っておりますが、この点についてどのような御所見であり、我が国としての対応はいかなるものか、この点についてお示しいただきたいと思います。
#142
○大塚(秀)政府委員 OPRC条約は、エクソン・バルディーズ号の大規模な油流出事故を契機として国際機関で検討した結果まとまった条約でございます。
 その内容としては、大きく分けまして、一つは油流出の際の緊急措置手引書の設置、これは船舶に設置する部分につきましてはOPRC条約のみならず、早期に実施するためにMARPOL条約にも規定され、その結果、今回海洋汚染防止法の改正を提出しているわけでございますが、OPRC条約上は船舶だけじゃなしに陸上施設等についてもその義務づけが行われております。
 それからもう一つ大きな柱としましては、大規模な油流出事故についての各国の防除体制の強化のために国際的なシステム、地域システムをつくるということでございます。
 このほかに、海洋汚染防止技術の国際協力等も条約の内容となっておりますが、これらの点につきましては外務省とも協議して、今批准に向けて私ども諸種の問題点の整理をやっております。例えば地域システム、先ほどから申し上げておりますOSPAR計画もその一助になると思いますが、その他にも例えば日本海における地域システムをどうするかというような問題もございます。これらの問題について、今後の見通しを立てながら批准に向けて検討を進めていくつもりでございます。
#143
○高木委員 いわゆるOSPAR計画等におきましては我が国は環境保護の担い手だ、こういう立場に立ち、あるいはまた自覚を持って事に当たられることが肝要だろうと思っております。とりわけ技術面の協力におきましても、そしてまた資金面の援助、拠出におきましても私は今我が国が大きく役割を果たすときだと思っておりますが、こういった環境保護に対する、とりわけ海洋汚染防止という観点に立つ我が国の国際貢献、こういった基本的なスタンスについてお示しをいただきたい。
#144
○大塚(秀)政府委員 海洋環境の保護は、単に我が国だけではなしに世界的に各国が協力していって初めて効果のあるものでございます。
 その際に、ASEAN諸国その他発展途上国等でいまだ海洋汚染防止のための技術が十分でない国あるいは防除資機材等の設置が十分でない国等もございまして、これらの国をバックアップしていく、国際協力していくことが全世界的な、地球的な規模での海洋汚染防止を効果あらしむるものと我々考えておりまして、OSPAR計画もその一環でございますが、今後ともそのような海洋汚染防止のための国際協力が必要な国がありましたら、積極的に国際貢献の努力をしていくつもりでございます。
#145
○高木委員 この法案のいわゆるよって立つ趣旨といいますか、背景につきましてはこれまでも言われております。いわゆるエクソン・バルディーズ号の座礁事故、約四万キロリットルの油が流出をしてアラスカ湾沿岸を中心にしたところの生物の生態系をかなり侵していったということで、環境に甚大な影響を与えたわけでございます。
 また、いわゆる船舶とは直接は関係ありませんけれども、例の湾岸戦争におけるところの原油流出、これで二万羽から三万羽の鳥が油づけになった、あるいは点もかなり死滅をした、そしてまた樹木においてもかなりの害が生じた、こういうことを見ましても、私たちは自然を破壊するというこういった事故については重大な関心を持つ必要があるわけであります。
 そういうことから、とりわけ船舶における油流出の防止ということを考えると、緊急時の手引書の備えつけの義務化ということは、それは私は一定の役割を持つと思っておりますが、しかし緊急時に、しかも極めて悪い天候の中で、この手引書の義務化がどれほどの効果を持つものか、私はもちろんそれですべてではないと思っておりますし、この義務化によってどういった効果があると
いうふうに考えておられるのか、この点についてお考えをお聞かせいただきたい。
#146
○大塚(秀)政府委員 油の流出事故が発生したような場合には船舶内が混乱する状況も生じます。その際に、あらかじめ設定されて適切に内容が構成されました油濁防止緊急措置手引書が備えつけてございますれば、これを参照することにより必要な措置の組織的で合理的、また適時適切な実施が確保されて、油の排出をとめ、または油の排出を最小限にとめることができることとなり、対応のミスによりさらに汚染が拡大するといった事態は回避することができる、そういう効果があると思います。
 もちろん先生御指摘のように、このマニュアルがすべてではございませんで、このマニュアルをもとに、それ以上のことをふだんの講習あるいは油濁防止規程その他の面を通じて頭に入れていくということも大事だということは我々は認識し、いろいろな機会を通じて乗組員、特に船長や油濁防止管理者の教育、講習に力を入れていくつもりでございます。
#147
○高木委員 資料によりますと、船舶からの油の排出による海洋汚染発生確認件数ということで、例年なべまして大体四百数十件、平成二年度の場合は四百八十五件というふうになっておりまして、この中で、故意の油の排出が昭和六十三年には九十二件、平成元年には百十一件、平成二年に百一件、こういうことで約二割以上占めております。こうした故意の油の流出を防ぐために、これに対して現在どのような取り組みをしておるのか。
 また、この油の排出の中で原因不明というのが十数件あるわけでございます。これは非常に難しい問題でありまして、今回は、過去のことはさておくといたしまして、やはり取り締まりの方法とかあるいは監視体制のあり方とかあるいはまた地方自治体への徹底、協力、そしてまた民間への周知徹底、協力、こういったものをしなければ、この原因不明の流出によって海洋が汚染されるということはあってはならないことでありますので、この点は今後十分留意しなければならないのであろうと私は思っております。この点についていかがお考えであるか。
#148
○小和田政府委員 先生御指摘のとおり、船舶からの油の排出のうち約二割が故意によるものでございます。法律に違反していることを承知の上で、いわゆる大変悪質な環境破壊でございますので、海上保安庁は、従来から巡視船艇及び航空機の連係動作によって監視取り締まりに努めているところでございますけれども、今後さらにそういう努力を強化してまいりたいと思います。現認したものにつきましては直ちにこれを捕捉し、検挙あるいは送検するということをしております。
 それからまた、監視の目が届かないところで違法の排出をするというものもございますけれども、これらにつきましては、船舶が入港した際に油の記録簿等の関係書類の精査を行いまして、その違反事実の確認等に努めているわけでございます。
 なお、原因不明についてのお尋ねがございました。原因不明の排出事故が十二件ございますが、これらはすべて領海外における外国船からの油の排出でございまして、それらの船が日本の港に寄港すれば直ちに原因究明等ができるわけでございますけれども、この十二件につきましては本邦の港への入港がございませんでしたので、原因の究明には至らなかったというものでございます。
 なお、国籍なり船名等が確認できる場合もございますので、そういうものにつきましてはその船の船籍国等への連絡をとって、国際的にこのような違法排出の防止に努めていきたいと考えております。
#149
○高木委員 その点につきましては、国際協力を踏まえまして、今後いわゆる監視体制、取り締まり体制、これはむしろ拡充強化をしていくべきではないかと私は思っておりますが、ぜひそのように取り組んでほしいと要望申し上げておきたいと思います。
 そこで、海洋汚染の防止対策といたしましては、いわゆる常備品、例えばオイルフェンスあるいは中和剤、そして油回収船、こういったものが万が一の事故のときには大きな役割を果たすわけでございますが、とりわけ油回収船ということにつきましては、その配備状況について非常に不十分ではないか。一体、今どのような状況であるのか、こういったことについてお伺いをしておきたいと思います。
#150
○小和田政府委員 我が国が現在持っております油防除用資機材のうち、お尋ねの油回収船は、官民合わせまして約百隻ございます。確かに流れ出た油を全部回収できればそれが最善の措置がと思いますけれども、気象条件、海象条件等によっては必ずしもそれが十分できないというようなこともございますので、そのほかの防除用資機材、オイルフェンスあるいは処理剤、吸着材あるいは回収装置等いろいろな種類のものの整備に努めているわけでございます。
 ごく大まかなことを申し上げますと、これらの資機材を合わせまして、二十八万キロリットル程度、大型のタンカーVLCCクラスの全量が流れたとしてそれに対応できる程度の資機材を我が国全体として持っているということになると思います。
#151
○高木委員 時間も参りましたので、最後に大臣に今後の決意をお伺いしておきたいと思います。
 油による海洋汚染、これは陸上からの汚染もあるわけでございますけれども、運輸省として、海上における船舶の安全航行、これが私は何といっても一番重要とされなければならない課題ではないかと思っております。そのことが例えば無理な航行あるいは危険地域への航行等を防ぎ、そしてまた、瀬戸内海とかそういうところでは非常にラッシュといいますか、そういう状況もあるわけでございますので、常日ごろから船舶の安全航行に十分な対応をするということが私は何よりも重要であると思っておりますが、この点につきまして大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
#152
○奥田国務大臣 海洋汚染、そして安全航行の基本的な問題について触れられたわけでありますけれども、いずれにしても、私たちは海によって生きている国であり、海のおかげで今日の繁栄を享受している国である。しかも、海に生きる人たちは、国民のいわゆる大きな期待を担って活躍されておる皆さんばかりですから、私はやはり環境問題であれ安全航行の問題であれ、要は大切な海を守っていくための必要不可欠なこれはモラルであります。
 先ほど来、故意の海洋投棄とか云々、いろいろな御指摘もございましたけれども、ともかく環境、安全航行を含め海を大切にし、海に生きる者の当然のモラルであるという形で今後とも安全の面、環境を守っていく面についての指導を強めていきたいと思っております。
#153
○高木委員 終わります。
#154
○久間委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#155
○久間委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#156
○久間委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#157
○久間委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#158
○久間委員長 次に、内閣提出、船員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。奥田運輸大臣。
    ―――――――――――――
 船員法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#159
○奥田国務大臣 ただいま議題となりました船員法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 従来、沿海区域または平水区域を航行区域とする総トン数七百トン未満の船舶で国内各港間のみを航海するいわゆる小型船については、その労働形態の特殊性等から船員法第六章の労働時間等の規定の適用が除外され、別途運輸省令によりその基準が規定されております。しかしながら、近年、船舶設備の向上に伴い、小型船の運航形態及びこれに乗り組む船員の労働形態が変化してきており、小型船についても船員法第六章の規定を適用する必要性が高まってきております。
 また、船員を取り巻く状況の変化に対応して、定員に関する規制の見直しを行う必要性が高まってきております。
 このような状況を踏まえ、平成元年十月以来船員中央労働委員会におきまして船員法の労働時間」等の規定の適用範囲の拡大及び定員に関する規制の見直しについて検討をいただいておりましたが、昨年一月同委員会より答申をいただきましたので、この答申に沿いまして、この法律案を提案するものであります。
 次にこの法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、沿海区域または平水区域を航行区域とする総トン数七百トン未満の船舶で国内各港間のみを航海するいわゆる小型船についても船員法第六章の規定を適用することとしております。
 第二に、船舶所有者は、公衆の不便を避けるために一日の労働時間の制限を超えて海員を作業に従事させる必要があると認められる命令で定める船舶に乗り組む海員については、労使協定で定めるところにより、時間外の労働をさせることができることとしております。
 第三に、船舶所有者は、航海当直その他の船舶の航海の安全を確保するための作業を適切に実施するために必要な員数の海員を乗り組ませなければならないこととしております。
 第四に、常時十人以上の船員を使用する船舶所有者は、定員について就業規則を作成し、これを行政官庁に届け出なければならないこととしております。
 なお、この法律の施行期日は、周知に必要な期間等を考慮し、平成五年四月一日としております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#160
○久間委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 次回は、明十五日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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