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1992/05/29 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 商工委員会 第12号
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1992/05/29 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 商工委員会 第12号

#1
第123回国会 商工委員会 第12号
平成四年五月二十九日(金曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 武藤 山治君
   理事 逢沢 一郎君 理事 井出 正一君
   理事 自見庄三郎君 理事 額賀福志郎君
   理事 山本  拓君 理事 竹村 幸雄君
   理事 和田 貞夫君 理事 森本 晃司君
      甘利  明君    新井 将敬君
      岩屋  毅君    植竹 繁雄君
      臼井日出男君    浦野 烋興君
      尾身 幸次君    奥田 幹生君
      佐藤 信二君    佐藤 守良君
      田辺 広雄君    増田 敏男君
      御法川英文君    大畠 章宏君
      岡田 利春君    加藤 繁秋君
      小岩井 清君    後藤  茂君
      鈴木  久君    安田 修三君
      安田  範君    吉田 和子君
      二見 伸明君    渡部 一郎君
      小沢 和秋君    川端 達夫君
      江田 五月君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 加藤 紘一君
        (内閣官房長官)
 出席政府委員
        公正取引委員会 梅澤 節男君
        委員長
        公正取引委員会 柴田 章平君
        事務局長
        公正取引委員会
        事務局官房審議 植松  勲君
        官
        公正取引委員会 糸田 省吾君
        事務局経済部長
        公正取引委員会 矢部丈太郎君
        事務局取引部長
        公正取引委員会 地頭所五男君
        事務局審査部長
        外務省経済局次 林   暘君
        長
        通商産業大臣官 渡辺  修君
        房総務審議官
 委員外の出席者
        議     員 小岩井 清君
        内断参事官
        兼内閣総理大臣 梅崎  壽君
        官房人事課長
        法務大臣官房審 山本 和昭君
        議官
        国税庁課税部酒 河手 悦夫君
        税課長
        厚生省生活衛生 石本 宏昭君
        局指導課長
        商工委員会調査 山下 弘文君
        室長
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十九日
 辞任         補欠選任
  谷川 和穗君     臼井日出男君
  中山 太郎君     御法川英文君
  後藤  茂君     小岩井 清君
同日
 辞任         補欠選任
  臼井日出男君     谷川 和穗君
  御法川英文君     中山 太郎君
  小岩井 清君     後藤  茂君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇号
 )
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(竹村幸雄君外十名
 提出、衆法第七号)
     ――――◇―――――
#2
○武藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案並びに竹村幸雄君外十名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。額賀福志郎君。
#3
○額賀委員 今回提案されました政府案の刑事罰強化に関する独占禁止法改正案について順次質問をさせていただきたいと考えます。自由民主党も重大な関心を持っておりましていろいろと議論、討論をしてまいりましたが、その趣旨を踏まえまして今後の質疑を展開させていただきたいと考えます。
 まず、最近独占禁止法強化の動きというものが世界的な潮流となっていることはだれもが御承知のとおりであります。つまり、世界的な経済の発展を維持していくためには、自由主義経済の基本ルールである市場メカニズムの守護神としての独禁法の存在というものが再評価されているということ、また新しい市場経済体制に移行していくためにもやはり独占禁止法の制定あるいは強化というものが必要であるということ、そういうことが世界的に認識されているゆえんであるというふうに考えるものであります。
 ちょうど三年前にソ連、東欧の経済体制が崩壊して、各国の皆さん方が市場経済への移行にいそしんでいるところであります。戦後我々は、社会主義的な計画経済のもとで国民を幸せにできるか、それとも自由主義経済によって国民を幸せにできるか、しのぎを削ってまいったのでありますが、これは自由主義によって国民を幸せにすることができるという方に軍配が上がったというふうに判断をするわけであります。これをきっかけにいたしまして、ソ連、東欧諸国においてはやはり計画経済体制の限界、非効率性というものが認識されまして、その後、国営企業の民営化あるいは企業の自由な活動あるいは消費者保護等々の動きに象徴されますように、市場経済への移行が進められているわけでございます。
 アメリカにおきましても、ブッシュ政権になりましてからはカルテルの規制あるいは合併規制、それから刑事罰につきましても百万ドルから一千万ドルに引き上げるとか、独禁法規制の強化がなされております。EC各国におきましても、イギリスやスペインのように既存の競争法を強化すると同時に、あるいはイタリアのように新しく競争法を導入するとか、一様に独禁法の強化に向かわれている。また世界的に、OECDの加盟各国におきましても、やはりそれぞれの独禁法の内容あるいは運用の調和を保つように指導がされているということであります。これは、総じて言えば世界経済の共通のルールづくりのために独占禁止法というものが基本的な存在になっているということであります。
 私は、我が国のこれまでの経済繁栄の底には、戦後いち早く独占禁止法を導入したというか取り入れさせられたというか、いずれにいたしましても市場経済の原則をルールにして今日の経済発展をなし遂げてきた、現在経済のグローバル化に伴って我々は国際的な責任を果たすとともに、経済発展の段階に応じた本当の幸せ、真の豊かさを求めるために独禁法の強化というものが再認識されているということだろうと考えます。私は、そういう認識のもとに以下、今回の刑事罰強化に伴う独禁法改正案について順次質問をしてまいりたいと考えます。
 まず、きのうの官房長官の御説明にありましたように、今回の法律改正案は抑止力強化の一環として位置づけられているものと思います。これまでも公取の中では審査体制の強化とかあるいは昨年の課徴金の引き上げたとか、るる抑止力強化の政策をとってまいりましたが、今回の刑事罰強化、引き上げはその一連の抑止力強化の中でどういうふうに位置づけられて、また全体的にどういう機要を持っておられるのか、御説明をいただきたい。
#4
○梅澤政府委員 ただいま委員が御指摘になりましたように、世界経済の基調、主流をなしておるのは今日市場経済の体制でございまして、その意味で我が国を含め各国とも市場経済体制の基本的な枠組みである独占禁止政策ないし競争政策を強化あるいは各国間で協調するという動きが顕著に出てまいっておるわけでございます。そのようなことを背景といたしまして、この両三年来我が国におきましても独占禁止政策の強化、なかんずく違反行為に対する厳正な措置並びに違反行為に対する抑止力の強化に努めてまいったところでございます。厳正な措置につきましては、この画二年既に公正取引委員会が行っております勧告等法的措置の件数は四倍にふえております。一方、抑止力の強化につきましては、昨年立法府の御承認を得まして課徴金の大幅な引き上げを実現させていただいたわけでございます。
 今回刑事罰の強化を政府として提案いたしておりますのは、実は課徴金といいますものは、その法的性格からいい。まして利得の徴収の範囲にとどまる。課徴金自体抑止力を持っておることは申すまでもないわけでございますけれども、その抑止力の効果というのは、ただいま申しました課徴金の法的性格から見ておのずから限度がある。一方、米国等を含め違反行為、特に市場支配を招く違反行為につきましては、これはカルテル等でございますが、法律の強化あるいは運用の強化を進めておるわけでございます。
 翻って我が国の場合は、課徴金という行政措置と刑事罰という制度が併存しておるというのが我が国の独占禁止法制の抑止体制の顕著な特徴でございます。
 ところが現行の刑事罰の水準を見ますると、これは独占禁止法に限りませず我が国の近代の企業刑事法制におきましては、行為者の刑事罰の水準と法人等の事業者の刑事罰の水準が連動しておるというのが基本的枠組みでございました。ここの部分を強化するためにはどうしても連動を切り離すということが必要になるわけでございますが、たまたま昨年十二月、法制審議会の刑事法部会におきましても、独占禁止法のみならず、今日の法人企業社会のもとにおいて企業の刑事罰のあり方を考えた場合に、この連動を切り離すべきであるという基本的な方向が打ち出されまして、今回御提案申し上げております独占禁止法の刑事罰の強化もその方向に沿うものでございます。すなわち、現行五百万で連動しておりますものを事業者について一億円という水準に大幅に引き上げる、同時にその引き上げの対象となっております行為類型」につきましては、冒頭私が申し上げましたように、市場支配を招く違反行為、具体的には独占禁止法八十九条に規定いたしております独占禁止法三条ないし八条一項一号、これは私的独占ないしカルテルの行為でございますが、これに限定をいたしましてこの際大幅に引き上げていただく。課徴金と相まちまして今回の制度改正が実現をいたしますれば、独占禁止法違反行為に対する抑止力として我が国として大きな一歩を踏み出す内容になるものと考えておるわけでございます。
#5
○額賀委員 今公取委員長が課徴金どこの刑事罰の引き上げが運動して大きな抑止力を形成してくることを期待しているというようなお答えだったと思います。
 これまで抑止力というのは、行政的な処分それから民事的な処分あるいは司法的な処分というものが三つ並立的にあったわけでありますが、戦後これまでの我々の受け取り方からいたしますと、どちらかというと、司法的あるいは民事的な分野というものは余り重視されずに行政処分的な形でこの抑止力というものが形成されてきておった。だから、海外からはなまぬるいのじゃないかあるいはほえぬ番犬などと称されてきたわけでございますが、私は、これから抑止力の強化のためにこの課徴金と刑事罰の引き上げがどういうふうに作用していくか見守ってまいりたいと思いますけれども、この際、昨年の課徴金引き上げからまだ実施されて一年もたたないうちに刑事罰の引き上げとなるわけでございますけれども、この課徴金引き上げの抑止力の効果というものがまだ適切に判断されないうちに刑事罰の引き上げになったという背景、またそういうことが合理的な理由があるのかないのか、そういうことについて公取委から明快なお答えをいただきたいというふうに思います。
#6
○梅澤政府委員 ただいま御指摘がございましたように、昨年成立をさせていただきました課徴金の大幅の引き上げでございますが、施行時期は昨年の七月以降になっております。現在まで公正取引委員会が処分を行いました事件につきまして新しい率による課徴金納付命令を発しましたものは今日現在まだないわけでございまして、実はこれからのカルテル事件について、新しい率が適用されるという事案がふえてまいる、あるいはそれが一般になってまいるわけでございます。
 その意味では、この引き上げの効果というものを見定めないうちに罰金の引き上げを行うというのは性急にすぎるのではないかという御批判なり御指摘が、今回の立案過程でも各方面からございました。しかし、この点につきましては、私先ほど申し上げましたように、課徴金の抑止力というものは法的性格から見まして利得の徴収の範囲にとどまる、したがって、抑止力の効果もおのずからその限界があるということでございまして、一方、各国が現在カルテル等につきましてその制裁措置を強化したりあるいは法運用を強化しておる現状にかんがみますと、現在の五百万円という水準は低きに失するということは否定できないところでございますし、独占禁止法のみならず、法人企業に対する社会的制裁としての刑罰を引き上げるというのは、刑事政策なり刑事法制の分野でも今日一般的な方向となりつつあるわけでございます。その意味で、今回の刑事罰の引き上げについては課徴金の効果が出てまいることと同時に、将来の抑止力の強化として、今の時点でぜひ我が国の独占禁止政策の観点から見ましても整えておく必要があるという認識を持っておるわけでございます。
#7
○額賀委員 今公取委員長のお話によりますと、一般的な概念としてもいろいろと企業犯罪が増加しているあるいは巧妙化している、そういうことを受けて企業に対する処罰というものの強化が叫ばれており、また独禁法の抑止力を強化するためいろいろな要因が語られたわけであります。
 そこで、企業の処罰強化というものに関連いたしまして、法務省に御質問をしたいと思いますけれども、企業に対する処罰を強化するためには一般的に両罰規定という概念でなされているわけでありますが、企業に対する処罰を強化するためには行為者、個人と企業との連動的なことに対する考え方を見直しをしなければならないということであろうと思います。昨年十二月、法制審議会刑事法部会の了承事項というものが発表されておるわけでありますが、この中で示されました考え方等について御説明をいただきたいというふうに思います。
#8
○山本説明員 法制審議会におきましては、平成二年九月に法務大臣から財産刑をめぐる基本問題につきまして諮問を受け、四項目にわたる審議、検討をいたしておりますが、両罰規定のあり方もその検討項目の一つでございます。
 昨年、独占禁止法あるいは証券取引法の改正問題との関連におきまして、両罰規定におきます法人等業務主に対する罰金刑を従業者等行為者に対する罰金刑と切り離して引き上げることの可否が問題となりまして、早急な解決を要するという情勢になったことから、同審議会刑事法部会財産刑検討小委員会で他の問題に優先して論議を進めていただき、先ほど出ましたように昨年十二月二日、その検討結果が刑事法部会で了承されたところでございます。
 その了承事項の骨子でありますが、基本的認識といたしましては、現行の法人等業務主に対する処罰はそのほとんどが両罰規定によって賄われているわけでございますが、これらの両罰規定では法人等業務主に対する罰金刑の多額が自然人である従業者等行為者の罰金刑の多額と連動するという形態になっておりますために、法人等業務主に対しては、自然人である従業者等の違反行為に対する法定刑の最高罰金額を超える罰金を科すことができず、現行の両罰規定では、法人等業務主に対しまして、十分な抑止力となることが期待できる刑罰としての罰金刑を科すことができない事態が生じているという基本的認識でございます。このような基本認識を示した上で、法人等業主に対し罰金刑を科している現行の法制を前提として、法人等業務主に対する罰金刑の多額と従業者等に対する罰金刑の多額の連動を切り離すことの可否及び法人等業務主に対する適正な罰金額の水準に絞って検討を加えたものであります。
 そして、審議の結果、両罰規定の沿革、業務主処罰の根拠、従業者に対する自由刑との関係などに照らして、この連動の切り離しは法理論的に可能であるという結論に至ったのであります。その場合の業務主に対する適正の罰金額の水準は、当該業務主に対する抑止力として期待できる金額は幾らかという点を基本にすべきであるということでございます。
 以上が経緯と内容でございます。
#9
○額賀委員 今の両罰規定の見直しと。いうのは、私は、すべての違反行為についてこの見直しを適用するものではない、こう理解するわけでありますが、そうした場合に、ではどういう法令でどういう罪に対して見直しの対象とするのか、その点について関連して簡単に御説明をいただきたい。
#10
○山本説明員 刑事法部会の了承事項は、すべての両罰規定について連動を切り離すということではございませんで、法律ごとあるいは条項ごとに切り離しを相当とするかどうかを検討すべきであるという考え方に立っております。
 それでは、具体的にどういう基準でやるべきかということになるわけでございますが、一般論として申し上げますと、それぞれの法律ないし罰則の目的、趣旨、罪質を踏まえまして、当該行為がもたらす社会的影響等の大小、当該違反行為によって業務主が得ることになる利益の多寡、当該法律ないし罰則が対象としている法人等の規模の大小、法人等に対する罰金刑による抑止力強化の現実的、具体的必要性の存否、度合い等を勘案して判断されることになると考えております。
#11
○額賀委員 今法務省の両罰規定に対する見解をお聞きしたわけでありますが、これを独禁法に当てはめた場合、どういうふうな運用の仕方になるのか、公取委員長から御説明をいただきたい。
#12
○梅澤政府委員 今回御提案を申し上げております切り離しの対象とする罪は、独占禁止法の八十九条の違反に限定をいたしております。これは先ほど法務省からの御説明もございましたように、それぞれの罪の重大性と申しますか、法益侵害の重大性、その行為の構成要件的特質、刑事政策等の観点から総合的に判断して、それぞれの法律の目的に従ってこれを決定するのが妥当であるという考え方でございまして、現に昨年一月から公正取引委員会が委嘱いたしました刑事罰研究会においてもこの線に沿って検討され、法益侵害の重大性、特に現在の市場システムの中で最も違反行為を抑止すべきものとしては、八十九条、つまり私的独占なりカルテル行為に限定するのが適当であるという御結論をいただいたわけでございます。
 ちなみに、一九九〇年、アメリカが刑事罰を十倍に引き上げたわけでございますけれども、このときにもシャーマン法に限定をいたしておりまして、クレートン法等につきましては刑事罰の引き上げを見送っております。したがいまして、今回日本の独占禁止法が八十九条の罪に限定してこれを引き上げるということは、米国を含め各国ともこういった方向について理解を示すものであるというふうに私どもは考えております。
#13
○額賀委員 公取委員会、それから法務省、それぞれの見解は、両罰規定の見直しというのは全部の違反行為に対して一律的に科すものではないということでございました。刑事罰というのは違反行為者に対して最も厳しいものでありますから、これはそれぞれの個別の分野についてよく慎重に対応すべきものであるというふうに考えるものであります。続きまして、罰金刑の水準について公取にお尋ねをしたいと思っておるわけであります。
 今回、政府案は現行の五百万円から一億円に引き上げるということであります。この一億円という数字につきまして、どういう評価というか考え方を持っておられるか、御説明をいただきたい。簡単にお願いします。
#14
○梅澤政府委員 罰金刑のあるべき水準につきましては、先ほど申し上げました独占禁止法に関する刑事罰研究会の御結論では、法人と個人の資力格差、あるいは課徴金の存在、あるいは諸外国の法制等を総合的に判断して数億円が適当であるという御報告をいただいたわけでございますが、その後、各方面との調整をいたしまして、課徴金が引き上げられたばかりであるという点についての各種の御批判、それから、そもそも連動規定を切り離すというのは我が国の企業刑事法制にとっては画期的な内容をなすものであるだけにその内容についての御理解の現状、それからもう一つは、事業者、特に中小企業者の方々から、一挙に引き上げられることについての大変な不安感というふうな事情もございました。
 したがいまして、私どもは、数億円という御報告はいただきましたけれども、制度を構築するに当たりましてはやはり大方の御理解を得るということがぜひ必要なわけでございまして、現時点におきましては今回の御提案を。申し上げております一億円という水準がぎりぎりの水準であり、また適当な水準であるというふうに考えております。
#15
○額賀委員 今公取委員長の方から、一億円は適切な水準ではないかということでありますが、多くの国民の皆さん方の間、経済界におきまして、刑事罰研究会では今御指摘がありましたように数億円という数字が、数字というか考え方が示されているわけであります。数億円と言っただけで具体的に一億円だとか二億円だとかはっきりした数字が示されなかったということは、これは学者あるいは専門家の皆さん方もなかなか示せないという難しい問題があったのだろうというふうに推察をするわけでありますが、それが公取側で一億円という数字を出したことに対して、刑事罰研究会の皆さん方の受け取り方というか、理解の仕方というか、そういう点についてはどういうふうに公取の方ではお受け取りになっておられるのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#16
○梅澤政府委員 確かにただいま御指摘になりました問題があるわけでございます。そこで、公正取引委員会といたしまして、政府案として一億円という水準が妥当であるという結論に至りました段階におきまして、改めて刑事罰研究会にこれまでの検討の経緯、各方面との調整の経緯等を御説明申し上げまして、御意見をお伺いしたわけでございます。研究会におかれましては、やはり今回の大幅な引き上げという方向はぜひ実現してもらいたい、ただし、その水準について必ずしも社会全般の理解が浸透していない状況が存在するとするなれば、当面実現可能なものとしてやむを得ない、数億円と一億円というのはやはり開きがあるわけでございますけれども、一億円という水準で制度の改正が実現するなら、そちらの方を選択することはやむを得ないというふうに御了承いただいているところでございます。
#17
○額賀委員 今一億円という数字についての研究会における見方、受け取り方について御説明があったわけでありますが、先ほど公取委員長もお触れになっておりますが、一億円というのはやはり課徴金の制度もある中で中小企業にとっては場合によっては過酷に受け取る場合もある。しかも、なおかつ課徴金制度においては、大企業と中小企業に対しましてはそれぞれ課徴金の算定の比率が分けられておりまして、それなりの配慮がなされているわけでございます。
 この際、量刑あるいは求刑あるいは告発する場合に事業者の規模とか資金力だとかあるいは企業の大小、そういうことが配慮されていくことになるのかならないのか、我が自民党内でも大いなる論議を呼んだ課題でありますけれども、まず告発する際に、公取側といたしましては中小企業あるいは事業規模、資金力、そういったものについて考慮をして告発をしていくことになるのかどうか、公取の考え方を示していただきたい。
#18
○梅澤政府委員 公正取引委員会は、平成二年六月に刑事告発に関する方針を公表いたしました。具体的には、この方針を踏まえ、事案の内容、国民経済に与えた影響、その他のさまざまな事情を総合的に考慮いたしまして、個別具体的事件についての告発の要否が検討されるものでございます。刑事告発はいわば最後の手段として行使されるものでありますから、告発の対象となる事案はおのずから相当限定され、言うまでもなく課徴金納付命令の対象となるカルテルすべてが直ちに告発の対象となるものではなく、違反事業者の事業規模などもその際考慮されるものであることは言うまでもございません。
#19
○額賀委員 今委員長の御説明にありましたように、実際に違反行為に対して刑事罰に対する告発をするかどうかについては重大かつ悪質なもの等に限定されるということでありますから、ある意味では違反行為者が市場に対して相当の支配力というか影響力を持つものでおるというふうに考えますと、一般的に原則的には中小企業に対しては相当の配慮をしてくれるものと受け取る次第でございます。
 さらに、そういう考え方の延長線上に、法務省にお聞きしたいと思いますが、実際に検察官が求刑をする、裁判官が量刑をする際にはそういう事業規模とか資金力等の問題について配慮なされることになるのかどうか、考え方を示していただきたいと思います。
#20
○山本説明員 罰金刑におきます法定刑の多額というのは、あくまでも罰金刑を科し得る上限を定めるものでございます。本法律案による改正後の独禁法八十九条の法定刑について見ますと、罰金一万円から一億円までの幅があるのでございまして、事案に応じてその範囲内で一定の罰金額が定まるわけでございます。具体的な事件の求刑や量刑に当たりましては、違反行為の態様、結果の重大性などもろもろの事情をしんしゃくすることになり、御指摘の当該違反事業者の事業規模や資金力なども当然のことながら求刑の事情ないし量刑の事情の一つとして考慮されるものと承知しております。
#21
○額賀委員 今公取委員長並びに法務省から御説明がありましたように、一億円というのはあくまで刑事罰の上限でありまして、その中で妥当な量刑がなされる。つまり中小企業の経営を困難にする、倒産をさせるようなそういう過酷な罰金刑が行われるというようなことはあり得ないというふうに理解をしておきます。
 さて、一応刑事罰がこの委員会で議論をされて成立をしていくようなことになった場合に、法律ができても果たしてそれがどういうふうに運用されていくか、これが大きな問題になるだろうと思います。
 まずこれまでの流れからいきまして、先ほども言いましたように独禁法の運用というものはどちらかというと行政処分重点主義だった嫌いがある。今後は、課徴金制度も導入したしあるいはまた刑事罰の引き上げも行った、そういうことになりますと、アメリカ型の刑事罰あるいは訴訟中心の運用を図っていくのか、あるいは刑事罰と課徴金の両方の並存でございますからそういうものを中心に日本的なものを考えていくのか、今後の公取の独禁法に対する運用の姿勢をどういう方向に持っていくのか考え方をお示しいただければありがたいと思います。
#22
○梅澤政府委員 ただいま御指摘がございましたように、各国独占禁止法の抑止体制の内容を異にいたしております。アメリカは、ただいま仰せのとおり刑事訴追一本でございます。ヨーロッパになりますと、我が国で言えばいわば行政罰に近い、制裁金というふうに訳しておりますけれども、そういう制度一本でございます。我が国の場合は行政処分としての課徴金と刑事罰が併存する体制でございまして、これはこれとして我が国の基本的枠組みを変更する必要はないと考えております。
 ただ、刑事罰につきましては、昭和五十二年の独占禁止法改正で課徴金が導入されて以来、政府は一貫して違反事件についてはこの課徴金制度が定着するまでの間は専ら行政処分で対応するという方針を貫いてきたわけでございますけれども、一昨年公正取引委員会が方針変更を公表いたしまして、一昨年六月でございますけれども、悪質、重大な事件等については今後刑事告発を再開するということにいたしたわけでございます。したがいまして、今後この方針に基づきまして、平成二年六月のステートメントに該当するものについては積極的に刑事告発を行ってまいりたいと考えておりますけれども、それはあくまで我が国の場合刑事告発はラストリゾートでございまして、基本的に行政処分で対応可とするものについては行政処分でとどめるという枠組みを変更する考えはございません。
#23
○額賀委員 世界の国々から、日本の社会的な風土あるいは日本の経済運営の仕組み、いろいろなものに非常に不透明なものがあってわかりにくいというふうに言われておりますが、例えばアメリカのように刑事訴追型の独禁法運用、ヨーロッパのように行政罰中心、制裁金中心の運用、そういうふうに明快になされていると、外から見ても大変明快に理解できるところがあるけれども、行政処分的な課徴金と刑事罰併用というのは外国から見るとなかなかわかりにくいおそれはないのか。割れないおそれがあるのではないかというような懸念を持つわけでございます。
 いずれにいたしましても、日本の国民性、歴史的あるいは風土的、いろいろな意味で、海外から集団的あるいは協調的、排他的等々の御批判を受けているわけであります。これが独禁法に合わせてまいれば、集団的ということはカルテルのことを言うのかな、協調的というのは談合のことを言っているのかな、排他的というのは系列と言われているようなことを言っているのかなというふうに感じられるわけでございますが、我々そういう文化的、歴史的なことはなかなか革命的に短期間に変えていくことは難しいわけでありますけれども、ここまで世界的な中で生きていくことになれば、これはやはり海外からも評価されるような形はつくっていかなければならない、順次そういうことをしていかなければならない。我々は過去二回、明治維新とか戦後で大いなる改革をしてきたわけでありますから、この新しい二十一世紀に向かうに当たってそういうことを念頭に置きながら考えていっていただきたいというふうに考えるわけでございます。
 あと質疑時間がありませんので最後に、今談合の話もしましたけれども、先般、埼玉県の談合問題が新聞あるいはマスコミ等でもいろいろと論議をされ、話題になったわけでありますが、これについて公取側は今後どういうふうに対応していくのか、御見解をいただきたい。一
#24
○梅澤政府委員 先般のいわゆる埼玉談合事件につきましては、先般排除措置の勧告を行い、各社全部応諾をいたしたわけでございます。刑事問題につきましては、平成二年六月のステートメント公表以降の事実について、法律問題、事実問題、検察当局と検討を重ねてまいったわけでございますけれども、犯罪ありと思料し告発に値する案件というまでの結論を得るに至らず、告発を断念せざるを得なかったわけでございます。
 ただ、私ども、先ほど申しましたように、刑事告発を再開いたしましてまだ緒についたばかりでございますけれども、今後この方向を積極的に推進するという考え方でございます。また、今回の事件を契機といたしまして、当方の事務局と検察当局の間でワーキンググループをつくりましていろいろな事案についての検討を重ね、そういったものを参考にしながら審査方法の開発等、今後の刑事告発をより厳正、適正に行えるように努力してまいりたいと考えております。
#25
○額賀委員 談合行為に対しましては国内世論及び海外からも大変な注目を浴びているところでありまするから、公取行政の透明性を保っていくためにも明快な姿勢で臨んでいっていただきたいというふうに考えます。また、海外の域外適用の問題だとか政府規制とかあるいは除外規定等々について御見解を承るうと思っておったのでありますが、質疑時間が終了いたしましたので、この辺で終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
#26
○武藤委員長 加藤繁秋君。
#27
○加藤(繁)委員 今回政府の方から罰金刑の強化ということを中心に改正案が提案されているわけでございますが、確かに従来よりは一歩踏み出したもので、その点はいいわけなんですけれども、今日の情勢から見ると、私たちから見るとやはり不十分である、こういう立場でございまして、これについてはただ反対と言うだけではなしに対案を出して皆さん方の審議をいただく、こういうことで今回質問をしていきたいと思うわけでございます。
 この点については後半、私たちの側から幾つか質問をしますので、私はこの際、競争を前提とした流通問題、中でも再販価格ということについて幾つか明らかにしていきたいと思っているわけでございます。特に、消費者の中で、どうして特定の商品だけ再販価格が維持されているのか、あるいは不公平ではないかという声をよく聞くわけでございまして、もちろんこれが導入された昭和二十八年以降何回となく議論されていると思いますが、この際、今回の改正に当たって再確認の意味で幾つかお伺いをしていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
 そこで、まず最初に、日本の流通業界における競争の状態についてどういう認識を持っているのか。この流通という問題については、もちろん日本の発展してきた政治経済の状況あるいは慣行、そういう点からつくられてきたわけで、その国によってもちろん長所も短所もあるわけなんですけれども、自由な競争政策という観点からこの点についてどういう認識を持っているのか、最初にお伺いをしていきたいと思います。
#28
○梅澤政府委員 ただいま委員まさに御指摘になりましたとおりでございまして、経済がグローバル化してまいりましたけれども、それを構成しております各国の市場の取引の慣行とい、つのは、それぞれの国の歴史的、社会的背景のもとで形成されてきたものでございまして、それぞれ長所なり短所を備え、それぞれ性格を異にしておると申しますか、個性を持っておるわけでございます。
 我が国の流通業界について特に顕著な特徴として指摘されますものはいわゆる流通系列でございまして、これは一九五〇年代後半、大量生産に入りました時点で流通業界が非常に未成熟であった、したがってメーカーが流通経路を構築していった、そういった歴史的経緯で形成されたというのが我が国流通業界の大きな特徴の一つであろうということはつとに指摘されておるところでございます。この流通系列につきましても、例えば顧客に対するアフターケアとかサービスという点で非常に長所といいますかいい面もある。しかしながら、同時にえてして末端の流通業者がメーカーに依存しからであるというふうな問題もあるわけでございます。
 競争政策の観点からいいますと、それぞれの国の取引慣行の長所を生かしながら、しかしながら例えば拘束的な行為とか排他的、閉鎖的な行為といったような反競争的な行為が行われないように、あるいは行われた場合にはこれを除去していくということが大切でございます。
 私どもは、そういった観点から、昨年流通に関する独占禁止法のガイドラインを作成いたしまして公表したわけでございますけれども、それはあくまでも我が国の流通の現状を踏まえつつ、いい点は生かしながら、しかし反競争的なところは除去していく、それが基本的な考え方でございます。
#29
○加藤(繁)委員 今、流通の未成熟な段階でメーカーがつくってきたというお答えで、しかも今日に至って反競争的なものは除去していく、こういうことでございますが、例えば先ほど言われました談合という問題についても、中身そのものは反競争的なものでありまして、たまたま埼玉であらわれただけであって、だれに聞いても、私の同級生も建設会社をやっていますけれども、日常的にこれはやられているわけでございます。そうしますと、それは今後調査をしながら、新聞に出るとか出ないとかの問題は別にして、そのような実態についてはしっかりと除去していくという立場。あるいは、デパートにおきましては例えばメーカー側の派遣店員が最近では多くなりまして、一般の中小小売業者等から見ますと公正な競争とは言えないような状況が生まれているわけでございます。このほかたくさんあると思いますが、そういうことについて公取としては厳正な立場で臨んでいく、こういうふうに考えてよろしいですか。
#30
○梅澤政府委員 先ほども申し上げましたように、ガイドラインなるものをつくりましたそもそもの私どもの考え方は法運用の透明性ということでございますが、そういったガイドラインを通じましでまず事業者により明確に独占禁止法のルールを理解してもらう、同時に取引先の事業者なり消費者もそういうルールをよく知っていただきますと、相手方が反競争的行為を行った場合にクレームの端緒というものがつかみやすいということでございます。そういったガイドラインで独占禁止法のルールというものを普及、浸透させると同時に、ただいま委員がおっしゃいましたように、万一違反行為ありという端緒に接しました場合は、今後とも機動的に調査をし厳正な対応をとるということは申すまでもないことでございます。
#31
○加藤(繁)委員 独禁法のルールを理解してもらう、それはどのような手段でどういう時期にどういう方法で理解してもらう努力をするのか、お伺いをしたいと思います。
#32
○梅澤政府委員 行政に対する我々の広報の問題になるかと思いますけれども、昨年公表いたしましたガイドラインについては、各種のチャネルを通じまして講習会等が広範に行われております。それから、これの波及効果といたしまして、我が国の大手企業を中心に、社内でマニュアルをつくる、あるいは法務体制を整備するというふうな動きが非常に顕著にあらわれておるわけでございます。そういった方向が一つ大事だと思います。
 それからもう一つは、何といいましても、公正取引委員会がそういった違反行為に対して厳正に措置をするという行政の実質を各方面にわかっていただくように私どもが努力をする、これも大変大事なことだと考えております。
#33
○加藤(繁)委員 ぜひ努力をしていただきたい。厳正にするという姿勢を示すということですから、それを理解してもらう方法は幾つかあると思いますが、先ほど言われたような状況で、ぜひ、各事業者、消費者にその姿勢が伝わるようにお願いをしたいと思います。
 そこで、再販の適用除外の問題についてお伺いしたいのです。
 これは、昭和二十八年に導入をされたというふうに聞いていますが、どういう趣旨で、どういう目的で導入をされたのかということ。いろいろ資料を見てみますと、おとり廉売というのが言われているわけなんですけれども、現実にその時点においてどのような弊害があらわれているのかということ。そして、現時点でも、この再販指定商品以外でも同じようにおとり廉売があるのかどうなのか、この辺についてお伺いしたいのです。
    〔委員長退席、和田(貞)委員長代理着席〕
#34
○矢部政府委員 指定商品の再販適用除外制度は、朝鮮動乱終結の不況の中で、現実に廉売に苦しんでいた零細小売業者の救済という当時の社会政策上の要請にかんがみまして、おとり廉売を防止することによって、その商品を販売する小売業者がおとり廉売によって打撃を受けることから保護するということ、それからまた、商品の生産者につきましては、そのブランド品の信用を害されることから保護する、こういう趣旨で、昭和二十八年の独占禁止法改正によって導入されたものでございます。なお、これにつきましては、当時、アメリカにおいても消費財一般について再販が認められていたということ、それから、ドイツの競争制限禁止法の中でも出版物とブランド品の再販が適用除外されている、こういうようなことも影響を与えたと考えられているわけでございます。
 再販制度が導入されました当時に比べまして、流通経路の整理、短絡化など、流通の近代化、合理化が進んでおりまして、現在では、当時のように流通の混乱が頻発する可能性というものは少なくなってきていると思います。したがって、再販制度が廃止されても、直ちに懸念されるようなおとり廉売が広範に行われるようになみということは考えられないわけでございます。
 それから、今、再販指定商品以外でそういうおとり廉売というのがあるのかということでございますけれども、現在よく出ておりますのは、スーパー等の量販店が顧客を誘引するための目玉商品として牛乳ですとかしょうゆを廉売に使う、それよって中小小売店が影響を受けるということで、私どもの方に申告が寄せられておりまして、調査して問題があるという場合には、是正指導の措置を講じております。
#35
○加藤(繁)委員 よくわからなかったのですが、最後の。現在でもおとり廉売があるというふうに、私ちょっと今聞いたのですけれども、もしあるならば、最近ということですから、ここ一年、二年じゃないと思いますよ。したがって、どういう調査と、どういう公取の中での論議が行われたのか、お伺いをしたいと思うのです。
#36
○矢部政府委員 最後の点は、再販商品でないものについて現在おとり廉売があるかということで申し上げたので、化粧品、一般用医薬品が今指定再販商品になっているわけでございますが、これらについて廉売が広範に行われているという状況は現在ではございません。
#37
○加藤(繁)委員 いや、そうじゃなくて、指定商品以外の商品でおどり廉売があるというふうにお答えになったと思うのです。したがって、指定商品以外でおどり廉売がもしあるならば、それについて、再販適用除外ということについてやらなければいけないのじゃないですか。ですから、あるという品物に対して、公取の中でその点についてどういう審議、論議がされて、なおかつ、現在、適用除外が必要ないというのはどういう理由なのか、お伺いしたいということなんです。
#38
○矢部政府委員 現在、不当廉売の対象になっておりますのは、再販商品以外のものでございますが、おとり廉売はそのものが独占禁止法の不公正な取引方法になるわけでございまして、どういう場合におどり廉売になるかということを、公正取引委員会の方でガイドラインとして示しております。したがって、そういうおとり廉売が広範に行われるという状況ではございませんで、個々のケースによって単発的に行われているわけでございますから、そういう理由だけで、その商品全体について再販の適用除外の制度のもとに置くというのはやや行き過ぎであるし、それからまた、この再販制度と申しますのはある程度業界の方の要望に基づいて指定されておりますので、特にそういう業界から再販をしてほしいという要望があるわけではございません。
#39
○加藤(繁)委員 先ほどお答えになりました、指定商品以外ておどり廉売が一部に行われている、どういう商品なのか、お答え願いたいと思います。
 そしてもう一つ、広範に行われてないからする必要はないというのですが、それでは広範というのは一体どういう意味なのか、お伺いしたいと思います。
#40
○地頭所政府委員 おとり廉売も不当廉売の一類型でございまして、不当廉売につきましては、不公正な取引方法の一般指定で構成要件が定められておるわけでございます。簡略に申し上げますと、コストを下回る価格によって競争業者等の経営を困難にさせるということでございます。
 こういったような事案につきまして、私どもの方に、関係業者あるいは消費者等から独禁法の四十五条に基づいて報告がございました場合には、それを取り上げて審査をし、違反があれば是正等の措置をとっておるということでございます。小売段階のものが非常に多いわけでございまして、最近では、年間約千件前後の事案が報告されておりまして、二百件前後につきまして、注意、警告等によって是正を指導しておるという実情でございます。
#41
○加藤(繁)委員 だから、もし二百件ぐらい行われているんだったら、どういう商品についてそういうことを行ったかというのを聞いたんですよ。
 それからもう一つ、広範な――一部で行われていると先ほどおっしゃったでしょう。広範でなければそれはやらないんだとお答えになったんですから、広範というのはどういうことなのかというのをお伺いしたいのです。
#42
○地頭所政府委員 どういった商品がという点につきましては、豆腐、しょうゆ、牛乳、こういったものがこれまで多かったわけでございますが、最近ではそのほかに、自動車用のガソリン、それからお酒、酒類につきまして申告が多数参っております。
#43
○加藤(繁)委員 お答えにならなければいかぬでしょう、広範なということはどういうことなんですか。
#44
○矢部政府委員 昭和二十八年に化粧品、医薬品について再販が指定された当時の状況というのは、薬ですとか医薬品につきまして、ある地域で乱売が起こりますと、それが全国的に波及してきて、かなり広範囲にわたってそういう乱売合戦が行われるというような状況でございます。
#45
○加藤(繁)委員 そうしますと、豆腐とかしょうゆとか牛乳、お酒、ガソリンは、現在、おとり廉売はあるけれども広範ではない、全国的ではないというふうに理解してよろしいのですか。
#46
○矢部政府委員 各地で発生をしておりますけれども、それは単発的と申しますかその地域だけで、大体、是正指導で措置をとれば、それ以上に広がるという状況にはないわけでございます。
#47
○加藤(繁)委員 それでは、次に移ります。
 一九七四年に適用除外について見直しを行ったわけでございますが、歯磨きや家庭用石けんあるいは合成洗剤を指定から外して、化粧品、医療品についても指定を縮小したと思うのですが、外した商品について何か問題が起こったかどうか、あるいは小売店の影響がどのようになったのかどうか、お伺いをしたいのです。
#48
○矢部政府委員 委員からただいま御指摘のありましたように、昭和四十九年に従来五商品ありましたものを化粧品と医薬品に限り、化粧品と医薬品につきましてもその品目の縮小を図ったわけでございますが、そのときに取り消されました歯磨きや家庭用石けん、それから家庭用合成洗剤につきましても、また指定品目の範囲を縮小した化粧品、一般用医薬品につきましても、指定の取り消し後、おとり廉売が広く行われまして中小零細小売業者の経営が困難になるという状況は発生していなかったと承知しております。それからまた、最近公正取引委員会が調査したところによりましても、化粧品小売業も医薬品小売業も、四十九年の指定縮小の前後で商店数に目立った変化がない、むしろ増加傾向にある。それから、粗利益率につきましても、その指定縮小の前後で目立った変化はございませんでした。
    〔和田(貞)委員長代理退席、委員長着席〕
#49
○加藤(繁)委員 指定商品を適用除外を外しても問題はないということですね。
 そうしますと、今度は一九八〇年十月に、書籍について一定の期間を経過したものについては、定価を抹消して非再販本として価格を変更して売ってもいいことになっているわけでございますが、この制度の運用状況、どうしてこの制度がまた運用されなかったのか、余りされていないというふうに私聞いているんですけれども、されていないのはどうしてなのかということですね、そのあたりの御認識をお伺いしたいのです。
#50
○矢部政府委員 出版物の再販につきましては、これは指定再販と異なりまして、公正取引委員会への届け出を要するということになっておりませんので、その実態につきましては、定期的に公正取引委員会の方で調査いたしまして、問題があればその是正指導をしていくという形をとっておるわけでございます。
 昭和五十四年に、当時出版業界の中には出版物というのはすべて再販契約の対象としなければいけないといった理解のもとで取引が行われていた嫌いがございますので、ある程度出版社の意思に基づいて再販にするか再販にしないのかという自由があるわけでございますので、そういう観点から行政指導をしたわけでございます。それで、そのときの指導の内容といたしましては、出版社の意向を尊重した再販契約を行うべきであるという観点から、その関係業界に対しまして指導したわけでございますが、一つは、すべての書籍、雑誌が自動的に再販契約の対象となっている点を改めまして、出版社の意思で再販契約の対象とするかどうかを決めることができるようにする。これは部分再販といっております。それから二番目は、再販契約の対象となった後においても出版社の意思で契約の対象から外すことができるようにする、
 一定年限だったものについてはもう再販の商品でないということができるようにする。これを時限再販といっているわけでございますが、こういう指導をしたわけでございます。これに基づきまして、業界では再販契約書の改定等所要の措置を講じたわけでございますが、実際には部分再販も時限再販もそれほど行われていないという状況でございます。ただ、バーゲンブックフェアといいますか、出版社が在庫になっておる本を持ち寄って、そこで安く消費者に販売するというようなことは、かなり頻繁に行われているわけでございます。
 なぜこういうふうに余り実施されていなかったかということでございますけれども、これは出版物の中には日本では卸売業者が真ん中にいるというような状況、それからあと、各小売店ですとか出版社の意向とがそれぞれが、全体としてその部分再販や時限再販に持っていこうという熱意が余りないというようなことによるものと考えられるわけでございます。
#51
○加藤(繁)委員 せっかく八〇年に改めてこれは規制強化という立場ですね、それを出したのですけれども、余り利用が少ないということなんです。しかし、今度もう一度返ってみますと、こういう本についてすべてしなければいけないという状況から、出版社の独自の判断に任すというふうに変更したという、変更するということは、それなりのその当時の経済状況やあるいは公取の考えがあってのことだろうと思いますし、それからまた途中に卸売業者が、東販、日販、大きなのがありますけれども、そういうことも当然もちろん熟知しての判断だったと思いますが、それでもなおかつこういう結果になったということは、その変更しなければいけないという理由と、そして当時の状況判断、それについて、これは間違いだったということじゃないのですか。
#52
○矢部政府委員 再販制度のもとにおいてやはりいろいろな弊害が出てきておって、それが一般消費者の利益を害するという場合には、そういう是正指導をするというのは当然考えられるわけでございますが、出版物につきましては、その商品の特性等からいって、再販がある程度必要な部門もあるわけでございます。ただ、この指導に従ってなかなか行われないというその原因として、例えば出版社によってそういう部分再販とか時限再販の実施を妨げているような行為がもしあるとするならば、それは独占禁止法によって厳正に対処するということによって、部分再販、時限再販の拡大普及を促進するという考え方で、この指導以後も努めているわけでございます。
#53
○加藤(繁)委員 もう一度お伺いしますが、それじゃこういう部分再販というようなものを導入したその理由は、その当時はどういう理由でしたのですか。
#54
○矢部政府委員 出版社というのは大変数が多いわけですけれども、出版社によっては、自分のところは再販で売らなくて自由な価格で売らせてもいいというところがある場合には、やはりそういう出版社の意思を尊重する必要があるということでございます。それからまた、本というのは再販になりますと、最後に売れなかったときにも安くして売るということになっていないわけですので、一定期間たって売れないようなものについては、安くすれば需要がつくのではないかというようなことから、考え方としては再販制度の中においても一般消費者の利益を確保するという点から、正しいやり方であったと思っております。
#55
○加藤(繁)委員 正しいやり方であっても、利用がほとんどないということですから、結果として余りこれは意味がなかったような気がするわけなんです。したがって、これはなぜこういうふうに聞くかというと、今後の問題として、こういうことでは効果がなかったということを踏まえて次はぜひ考えていただきたいという意味でお聞きしたわけでございます。
 次の質問に入ります。
 一九八九年の四月に消費税が導入をされたわけなんですが、そういう中で、例えば千円の商品が千三十円、こういうことになるわけなんですけれども、再販の価格が一応適用除外によりまして決められるということは、法的に、三千万以下のお店だとしますと、正確に言いますと千二十四円ですね。しかし、実際定価は千三十円であるということですから、法律で六円しっかりともうけさせることができる、こういう価格の差が生じるのではないか、現実生じているのではないか、そういうふうに私は思うのですけれども、その点について少し御認識をお伺いしたいと思うのです。
#56
○矢部政府委員 独占禁止法の中で再販制度の条項においてですけれども、再販売価格とは何かということが書いてございまして、それは、その再販商品を買い受けて販売する卸売業者や小売業者がその商品を販売する価格となっておるわけでございまして、したがってその小売段階の再販売価格というのは、消費者が支払う消費税込みの価格ということが定義されているわけでございます。
 それで、もともと再販制度のもとにおきましては、再販品を買い受けて販売する個々の小売業者の利益率というのはそれぞれ異なるわけですけれども、そういう場合であっても、再販を実施する事業者が全小売業者に統一的な再販売価格を決定するということが認められているわけでございます。それからまた、消費税の実施に伴いまして、課税業者と免税業者とがあるわけでございますが、その間で同じ定価をつけたとしても、消費者の利益を害することにはならないというふうに考えられるわけでございまして、したがいまして実態といたしましても、それからほとんどの事業者が、現在、消費税相当分を含んだ同じ定価を設定している状況でございます。
#57
○加藤(繁)委員 消費者の不利益にならないと言いますけれども、それは千二十四円で買った方が利益になるのですよ。それを法律で千三十円と決めるのですから、それは不利益になるじゃないですか。それともう一つは、今度は法的に三千万以下の業者にはもうけさせるということを認めることになるのですよ。その実態についてお伺いしているのです。
#58
○矢部政府委員 再販売価格を幾らに決めるかというのはあくまでも再販を実施する事業者でございまして、その価格を法律で決めているというわけではございません。それから、もしそこに例えば課税業者、免税業者ということで分けて定価を一つけるということになるとかえってコストアップになるというようなことからも、再販制度のもとにおいては同じ価格をつけることが認められているわけでございます。それから、再販売価格はあくまでも消費税込みの価格でございますので、再販を実施する事業者が決めた価格そのものでございますので、それが二十四円か三十円かというところも再販を実施する事業者の自主的な判断に全く任されているわけでございます。
#59
○加藤(繁)委員 そうすると千二十四円で売ってもいいということですね。しかも、一方では千三十円で売ってもいい。したがって、私が言うのは、こういうふうに再販の適用除外ということが認められている中で、実際問題、千円の商品圭二十円で売るところも二十四円で売るところも、二つ再販価格がある、こういう現実を認めているということですね。
#60
○矢部政府委員 指定商品につきましては、再販売価格を幾らに決めるというのは公正取引委員会の方に届け出が参りますので、その段階では一つの価格で従来届け出が来ております。そこで二つになることはございません。それから出版物につきましても、今は出版社は全部消費税込みの価格を再販売価格としておりますので、実態的にそういう二つの価格がつけられるということはないのではないかと思っております。
#61
○加藤(繁)委員 そうだと思います。したがって、私は最初に申し上げましたように、この再販適用除外という制度があることによって、明らかに法的に三千万以下の業者は六円もうかるし、消費者は当然千二十四円で買わなければいけないのが千三十円で買わされるのですから、不利益になっているという実態は残っているということですね。そういうふうに理解をしているわけなんです。
 次に、適用除外の現在の運用状況についてぜひ説明いただきたいのですが、指定商品の数とか契約の届け出数、あるいは届け出ている事業者の数、こういうものを少しお聞きしたいのですが、いかがですか。
#62
○矢部政府委員 現在の指定商品は一般用医薬品二十六品目と小売価格が千三十円以下の化粧品二十四品目でございますが、実際に再販がどういう状況で行われておるかというのを平成二年十二月未現在の状況で申し上げますと、医薬品につきましては二十四社が届け出を行っており、再販商品の数は百八十八でございます。それから化粧品につきましては三十一社が届け出を行っておりまして、再販対象となっております商品の数は二千三百六十七でございます。それで、その再販の届け出を行っている事業者の中で、医薬品と化粧品のそれぞれで契約を実施しているための重複を除きますと、事業者の数は五十四でございます。
#63
○加藤(繁)委員 結局、特定の事業者のための特定の商品の制度になっていると思うのですが、その点についてはいかがですか。
#64
○矢部政府委員 再販制度は小売業者にその価格を全部守らせるということでございますから、一般には大企業でなければ利用できないと言われておりますが、現に届け出メーカーを見ますといずれも大企業の部類に属しておるわけでございまして、実際には再販適用除外制度は大企業を中心に利用されていると言えると思います。
#65
○加藤(繁)委員 再販の適用除外というのが大企業中心に利用されている。そうしますと、結局は中小の製造業者、あるいは我々消費者にとりまして、大手の大会社ばかりが利用してしっかりともうかっているのじゃないか、それを助長しているのがこの再販という問題ではないかというふうに考えるのですが、いかがですか。
#66
○矢部政府委員 再販制度というのは、あるメーカーの商品だけについて販売業者の間の価格競争をなくすわけですので、メーカーの間に競争があればそれほど弊害というのはないわけでございますけれども、寡占企業が利用していて、しかもこの再販によって末端の価格まで硬直化してくるということはやはり問題があるということです。そういうことで、公正取引委員会は今回再販の範囲の縮小ということを図ったわけでございます。
#67
○加藤(繁)委員 ありがとうございました。
 これまで現状についてお伺いしたのですけれども、そうすると、二十八年に導入して結局幾つか変更になってきている、つまり再販指定商品を減らしてきた、そういう中で、業者の問題点もない、おとり廉売の問題もない、指定商品以外では少しおとり廉売はあるけれども、しかしそれは一部のものであって公取がしっかり指導すればそれは直っている、起きることはない、こういう状況。しかも、再販という制度は大手の大会社ばかりが活用しているという状況が明らかになったわけですね。
 そういう中で、それではこの点について今後どういうふうにやっていこうとしているのかということです。現在の指定商品についてなくしていこうということでするのかどうなのか、私は抜本的に見直すべきではないかというふうに思うのですけれども、そういう点、今後の方向についてお聞きしたいと思います。
#68
○梅澤政府委員 現在、独占禁止法の適用除外として、再販指定商品と言われるものが、千三十円以下の化粧品、それから一般用医薬品、それぞれ二十数品目あったわけでございます。今回この見直しを行いまして、品目につきましてはそれぞれおおよそ半分、出荷ベースで見ますと、医薬品につきましてはおおよそ七割、化粧品についてはおおよそ四割のものを平成五年四月一日から原則として廃止する、一般用医薬品の一部につきましては平成六年中まで存続を認める、残余の品目につきましては平成十年中に再度見直しを行うという決定を行ったわけでございます。
 再販の指定商品を取り消すということは、先ほど来委員が御指摘になっておりますように、いわば政府規制を緩和といいますか自由化するということになると思うわけでございます。率直に申しまして、競争政策の観点からはこれは一挙に自由化したいということで取り組んだわけでございます。その後、事務局で詳細に実態調査をいたしましたり、昨年十二月でございましたけれども私ども公聴会を開催いたしまして、消費者のみならず、事業者、学識経験者等から広く意見を伺いました。その過程で、現状におきまして基本的に自由化の方向であるべきだけれども、ただいま言いましたように、いわば部分的、段階的自由化という手法を今回とったわけでございます。
 それはどういうことかと申しますと、例えば化粧品を例にとってお話ししたいと思うわけでございますけれども、再販制度という制度がある以上、それを前提にした流通慣行というものが市場に成立しておるということは否定できないわけでございます。特に今回指定再販を廃止するに当たりまして、流通段階でも小売段階に非常に問題があるということでございます。例えば我が国の化粧品の小売店の数は非常に多い、しかも零細なものが多いということが一般的に言われておるわけですけれども、これを例えば計数的に国際比較をいたしたものがございますけれども、化粧品人口というのは女性でいいますと満十五歳から六十五歳未満、これを一応化粧品人口と規定をいたしまして、一店舗当たり化粧品人口が一体幾らあるのかということでございます。日本の場合は、これは概数でございますけれども、およそ千人、フランスは一店舗当たり日本の大体六倍、西ドイツは十二倍ということでございますから、これは逆比例の関係にあるわけで、日本の化粧品の小売店というのは非常に零細で数が多い、しかもこの数は一般の流通と異なりまして決して減る傾向にもないわけでございます。
 なぜそういうことになったのかということは、いろいろな理由が考えられるわけですけれども、一般的に指摘されておりますのは、やはり再販制度がございますとその商品については価格が安定いたしておりますしマージンも保証されておるわけでございますから、再販制度ということがある限り小売店としては非常に商売がやりやすい領域であるということが率直に言えるのではないかということでございます。したがいまして、今一挙にこれを廃止するということになりますと、再販制度を前提としてきました現在の流通秩序に不測の混乱が起こるし、またその経営に携わっている方々が大変な不安を感じるというこの社会的、経済的現実というものを私どもはやはり無視できないと考えるわけでございます。
 したがいまして、今回まず段階的に、ただいま申しましたように医薬品については七割、化粧品については出荷ベースで四割のものを廃止をする、しかも平成十年中にこれを見直すということは、私どもはやはり完全自由化を目指すべきであろう。大事なことは、そういった将来展望を与え、段階的にそういう方向に進むものであるということを、現在この業界に携わっておる小売業者の方々にも十分御認識をいただきまして、経営の効率化なりあるいは自由な競争になれる準備期間というものを与える必要もあるのでございますけれども、同時にこれは、自由化というのは一般的に言えば大部分の消費者の利益につながる話でございますから、ここは業界の方にも十分御認識をいただく。そういう手法として今回段階的な自由化を目指し、かつ将来、平成十年中には完全自由化の方向に向かっていくんだということを示すことによって、今後この業界に参入される人はよほどそういうことも十分覚悟の上市場への参入もされるであろう。その意味では、独占禁止政策も経済政策の一環でございますから、自由化という手法をとる場合にやはり段階的手法をとるということが多くの場合現実的であり効果的であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#69
○加藤(繁)委員 正確を期すために幾つかお伺いしたいのですが、平成十年度には完全に自由化をする、こういうふうに理解してよろしいかどうかということが一つ、
 それからもう一つ、今後公取としては適用除外ということについて、指定商品をふやすという気持ちがあるのかないのかということが二つ目の問題です。
 それからもう一つは、その準備期間、つまり社会的混乱を防ぐということでございますけれども、そうすると、そういう段階の中で、例えば先ほど豆腐や牛乳と言われましたが、最近ではテレビの非常な安売りによって、つまりおとり販売によりまして他のものを売るというような状況もあるでしょう。あるいはトイレットペーパーもこういう状況になっていると私思うのです。そうしますと、逆に返しますと、ではどうしてトイレットペーパーを指定商品にしないのか、あるいはテレビならテレビをしないのか、こういう問題も起こってくるわけなんです。したがって、客観的に置かれている同じ商品という立場から見ると、そこにはおのずから不公平というものが生じているのじゃないかなというふうに私は思うのです。
 この三点、ちょっとお伺いしたいのです。
#70
○梅澤政府委員 三つほど御質問があったと思います。
 最初の平成十年中に完全に自由化を目指すのかということでございますが、そのとおりでございます。
 それから、指定商品につきましてさらにふやすのかどうかという御質問でございましたけれども、これは、基本的に一九七〇年代を契機に先進国におきましては既にいわゆるブランド品について再販制度はほとんど廃止されておる状況でございまして、もちろん今の独禁法では指定再販という制度があるわけでございますけれども、私どもは今ある形での指定再販というのは全廃されるべきであるというふうに考えます。
 したがって、第三番目の質問も、新たにそういうものが出てきたときに指定再販の対象にするのか、それはすべきでないという考え方でございます。
#71
○加藤(繁)委員 大変よくわかりましたが、そうしますと、その準備期間の間は幾つかの商品について不公平さがあるということは、もうこれは認めなければしょうがないですね。その点はどうですか。
#72
○梅澤政府委員 先ほども言いましたように段階・的自由化の手法をとったわけでございますから、その経過期間において完全に廃止された場合と状況がやや、経過的にそういう問題が生じるということは、これはやむを得ないことだと思っております。
#73
○加藤(繁)委員 その再販という問題とややよく似た問題で、希望小売価格制度というのが、制度かどうかわかりませんけれども、そういうものがありますね。これは家庭電器、カメラ、時計、乗用車、加工食品など広く行われているのですけれども、この点についてどういう認識を持っているのかということをお伺いしたいのです。
#74
○矢部政府委員 ただいま委員から御指摘がありましたように、日本では消費財につきましてメーカーが希望小売価格を決めるというメー力ー希望小売価格というのはかなり一般的に行われております。
 この希望小売価格は、一般消費者にとりましては商品選択の際の参考になるというメリット、それからまた流通業者におきましても価格設定の際の参考になるというようなことから、我が国の商取引において重要な機能を果たしているわけでございます。実際に、メーカー希望小売価格の実態調査を行ったところによりましても、消費者、流通業者いずれもその大部分がメーカー希望小売価格の存在機能を積極的に評価しております。
 しかし、全く問題ないかといいますと、そういうメーカー希望小売価格が価格の硬直性あるいは販売業者の価格拘束に結びつくのではないかとか、あるいは実勢価格から大幅に乖離したメーカー希望小売価格というものは消費者の商品選択の誤認を招くのではないかという問題もあるわけでございます。そういう点につきましては、公取の方で景品表示法あるいは独禁法上の問題として規制しているところでございます。
#75
○加藤(繁)委員 そうすると、この希望小売価格は通達でこうしなさいということでなければ、現在これはもうしょうがない、こういうことですね。それでよろしいですか。
#76
○矢部政府委員 メーカー希望小売価格につきましては、流通業者、消費者に対して単なる参考として示される限りそれ自体独禁法上問題となるものではないと考えております。ただ、参考価格として単に通知するだけにとどまらず、その価格を守らせるなどメーカーが販売業者の再販売価格を拘束する場合には、独禁法上問題になるわけでございます。したがって、メーカー希望小売価格につきましては再販との関係が非常に微妙なところもございますので、どういうメーカー希望小売価格なら問題がないかということを、昨年公表したガイドラインでも明確にしているところでございます。
#77
○加藤(繁)委員 実は、この再販制度が廃止になりますと恐らく今度はこの希望小売価格ということに移ってまた同じような現象になりはしないかというふうに思いますので、そのガイドラインというものを、再販の適用除外と同じようにしないと、せっかく再販制度がなくなったけれども今度は形を変えて同じものが出たのでは困りますから、その点についてぜひとも強くお願いをしたいと思います。
 先ほどちょっと私聞き漏らしたのですけれども、委員長、平成十年度には完全に自由化をするんだ、こういうことですが、その中にもちろん著作物も、レコード類、CDも含まれているということで考えてよろしいんですね。
#78
○梅澤政府委員 著作物の再販制度の、これは法定再販と申しておるわけでございますけれども、取り扱いの問題については、指定再販とやや趣を異にしておるわけでございます。本来、この問題が出ましたのは、いわゆる音楽用CDについて現行の法定再販の範疇に入る商品であるかないかということを今回明確にしたいという作業をいたしたわけでございます。
 そのときに二つほど問題がございまして、一つは法律上の問題でございます。それは、独占禁止法上法定再販と言われるものは「著作物」というふうに書いてあるわけでございまして、公正取引委員会は、この独禁法上の「著作物」というのは独禁法の目的に照らして限定的に解釈されるべきであるということで、現実には書籍、雑誌、新聞、それから音楽用レコード、これで昭和二十八年以来運用してまいったわけでございます。
 今回この問題を検討いたしましたときに、独占禁止法学者あるいは法律専門家の中で有力な見解が実は二つに分かれたわけでございまして、一つは、従来の公正取引委員会の運用をいわば支持する考え方、もう一つは、独占禁止法上の著作物と著作権法上の著作物、これは法文理上は非常に紛らわしい問題がございまして、仮に音楽用CDを独占禁止法上の現在の著作物に該当しないという公正取引委員会が行政解釈を下した場合、これは法的に非常に問題があるという有力な見解に遭遇をいたしたわけでございます。
 したがいまして、この問題の取り扱いについては、いずれにせよ法的安定性の問題がございますから、新たに将来立法措置をもって明確にすべき。であるという結論に達したわけでございます。
 その場合に、音楽用CDだけを検討の対象にするのかどうかということでございますが、これは御案内のように、現在情報媒体というのがいろいろ開発されてまいりまして、今後いろいろな著作物、著作権法上の著作物に該当するような新たな商品が出てくるかもしれない。そういったものも視野に入れつつ、現在ございます新聞、雑誌、書籍、それから、音楽用レコードは日本の場合はほとんど市場から姿を消したわけでございますが、こういった著作物全体をもう一度再検討する。そのためにこれから実態調査を始めまして、一年先になりますか二年先になりますか、現在予断を持って申し上げるわけではございませんが、この著作物の再販問題については、別途そういった作業を進めまして結論を得て、恐らくその時点では法律改正が必要になるだろう、そういったもくろみを持っておるわけでございます。
 したがいまして、指定再販の平成十年中の見直しとはまた別の作業になるというふうに考えております。
#79
○加藤(繁)委員 その見直しを行っていくスタンスですけれども、公取の。それは、再販価格というものを維持しないような方向で検討していくというスタンスなのかどうかということをお聞きしたいのですけれども。
#80
○梅澤政府委員 再販制度というのはあくまで独占禁止法の適用除外ということで市場原理を修正される部分ですから、競争政策の観点からは、基本的にこういった範囲がなるべく狭い方がいいということは言えると思います。
 ただ著作物につきましては、諸外国の例を見ましても、著作物についてある部分再販制度を認めているところもある。フランスのように一たん廃止をして、混乱が起こってまた復活をしたというような分野もございまして、これは今から全部廃止するとかしないとかということを公取として予断を持って申し上げるべき性格のものではなくしかし、極力、できるだけ限定できるものは限定するというふうな心組みを持ちまして、やはり実態調査も行い、各方面からの法律上の見解なり、それから、著作物については文化上の価値論というのが必ずつきまとうわけでございますので、いろいろな方の意見も聞きながら、しかし、なるべく効率的、限定的な制度に持っていくという方向で取り組むべきだと考えております。
#81
○加藤(繁)委員 大変よくわかったのですが、そこで委員長、ちょっと見解をお伺いしたいのですが、私ども社会党が今度対案を出していますけれども、その対案の中に、指定商品に係る再販売価格維持制度の廃止と、「再販売価格維持制度は、特定の著作物に係るものを除き、廃止するもの」とするというように書いているので、このことは今委員長がお答えになったこととほとんど同じだと私は理解できるのですけれども、いかがでしょうか。
#82
○梅澤政府委員 指定再販につきましては、先ほど言いましたように、段階的に自由化をするという方向が一番妥当であると考えておりますので、今直ちにこれを廃止するということには私どもは問題があるという考え方でございます。
 それから、著作物等の法定再販について社会党が現在御提案になっておりますような立法形式は、将来の考えられる立法形式の一つではあろうと存じます。ただ、これも先ほど申しましたように、今後何年かかけまして結論が出た段階で、立法措置としてどういう形がいいのかというのは、その時点でやはり検討されるべきであるというふうに考えております。
#83
○加藤(繁)委員 ありがとうございました。
 最後にお伺いしたいのですけれども、今回罰金刑が強化されているわけなんですし、それから、この再販については不公正な取引ということで取り締まるしか方法がないわけでございますが、そういう取り締まる方法を幾ら検討しましても、実際これをやるのは公正取引委員会でございまして、一番最初に委員長おっしゃったんですが、厳正にやっていくという姿勢を伝えるということをおっしゃったわけでございますが、そういう立場からいきますと、例えば独禁法の四十六条ですね。強制捜査ということに関して考えてみますと、今度、証券取引法を改正する中で証券監視委員会という項があるわけなんですけれども、その監視委員会の中の強制捜査と、四十六条に書かれていることについての違いが一体どこにあるかということと、そして、その違いを明らかにすることによって監視委員会の中の強制捜査、これとの関連をぜひ御認識をお伺いをしたいと思うのですが。
#84
○梅澤政府委員 ただいま御指摘になりました今回の証券取引等監視委員会も含めまして、いわゆる犯則調査と言われますものは、裁判所の令状を得まして行う強制調査でございます。犯罪捜査のための調査権限でございます。一方、独占禁止法で現在公正取引委員会に付与されております、ただいま御指摘の四十六条の調査権限というのは、正当な事由なくしてその調査を拒んだ場合に刑罰が科される、いわば間接行政調査権限でございます。
 率直に申しまして、現在私ども、この四十六条の権限で実際の行政執行上支障を生じておるというふうな認識は持っておりません。ただ、独占禁止政策の強化の一環として、この際公正取引委員会にも犯則調査権限を付与すべきであるという有力な御意見もございます。
 しかし、一方、公正取引委員会は一般の行政機関と違いまして、勧告という権限を有しますと同時に、審判、審決の権限も持っておる。この審決につきましては、司法制度上一審が省略されて、これは、今回社会党の御提案の中にも触れておられます、第一審は高等裁判所に係属するという、したがいまして、極めて司法的色彩が強い面もあるわけでございます。そういたしますと、そういった機関が一方で非常に強い犯罪捜査権を持ち、それで、一方で審判権限を持つということがいいのか悪いのかという非常に難しい問題、その辺をどう整理するのかという問題もございます。
 私ども、この問題につきまして、公正取引委員会として今結論を持っておる段階ではございません。したがいまして、この問題は、ただいま申し上げましたようないろいろな問題も含んでおりますので、将来この当否を含めましてこの問題は十分検討に値する課題であるという認識は持っておりますけれども、直ちにこの権限を付与すべきである、あるいは付与すべきでないという結論を出すのはまだ時期尚早であるというふうに考えております。
#85
○加藤(繁)委員 今後すぐしなさいということを私、きょうここで御回答いただけるとは思ってなかったのですが、せっかく大蔵委員会の方でこういうような審議で、これは恐らくできるわけでございますから、同じような経済事犯のことでもございますので、ぜひこのような証券監視委員会と同じような権限を持った公正取引委員会にしていくこと、これがとりもなおさず、これまで告発ということに至るのは大変少なかったわけでございまして、支障はないというのは逆に裏返しますとそれだけ告発が少なかったということを物語っているということにもなりかねないんじゃないかと思いますし、ぜひとも今後積極的な、公正な取引ができるような活動を取引委員会にお願いしまして、今後のこの検討の中に加えていただくこと先ほど答弁いただきましたので、私の質問をこれで終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。
#86
○武藤委員長 川端達夫君。
#87
○川端委員 梅澤委員長、よろしくお願いいたします。
 独占禁止法に関しましては、前回の法改正では課徴金の引き上げというものを行いまして、今回は刑事罰の引き上げということで提案をされております。この一連の動きというのは、いずれも独禁法に違反した場合にはどういう一種の罰がある、あるいは課徴金があるというペナルティーの部分というふうに理解できるというふうに思いますし、要するに守らせる側からのアプローチであろう。したがって、こういう独占禁止法に違反をすればこんなひどい目に遭いますよ、だから守りなさい、こういう立場だというふうに思います。しかし、この独占禁止法自体の趣旨というものは、当然ながら守らせる側の論理と同時に、守る側のあるべき姿というのが当然問われなければいけないというふうに思います。そういう部分では、両者相まって、やっている人も可能な限り守るということを努めるという部分に関して、どういうことが求められるのかということの部分について少しお尋ねをしたいと思います。
 公取委員会御推奨の本で、「アメリカ独占禁止法概説 社団法人商事法務研究会」という本を見せていただいたんですが、ここに反トラスト法が非常に厳しく運用されていると言われているアメリカで、確かにアメリカも法の執行が非常に厳格にぎれているということはよく言われますけれども、一方で守るということに対して非常に、逆に厳格な、いろいろな努力をしておられる。ボーデン社のマニュアルというのがここに例示されておるのですが、「社長の職員への通知」ということで、社長が一人一人の職員にマニュアルを渡す。その中身は、法の概要からこういうものに違反したらこんなに個人も会社も不利益になる、したがってこういう項目にわたっていわゆるチェックリストで、十八項目ですか、こういうことが起こってないか、こういうことが起こってないか、常にケアをしなさい、そしてわからなかったら必ず法務部に聞きなさい、勝手にしてはいけません、そしてこういうことはというケーススタディーも含めて非常に詳細なマニュアルをつくって、そして社長が社員に添え書きをつけて渡す。社員は、確かに受け取りました、私の義務はここに書いてあるとおりだというのはよくわかりましたので守りますというサインをして返すというくらい徹底をしている。
 中身を読みましても、例えば今いろいろな談合問題等々が公正取引の部分で議論になっておりますが、いわゆる「事業者団体」という項目がありまして、「ボーデン社も、多くの会社と同様、積極的にたくさんの事業者団体に参加している。事業者団体は、適法に利用されるならば、共通の問題に関する意見を交換し、共通の利益をもつ問題に関し共同して対応する機会を各社に与える。」云々とありますが、しかし、「これまで一部の構成員により悪用されてきた」、「競争者が、価格協定、市場分割などの反競争的目的で集まる機会を提供する。」そういうようなことの危険性を指摘して、こういうことがあったらこういうふうに行動しなさいというリストがありまして、例えば五番目に、「事業者団体の会合の参加者が、反競争的な話し合いを行っている場合には、その話し合いに参加してはならない。できるならば、ただちに退席せよ。その場合、この話し合いに異議を唱えるか、または話し合いを妨害することによって、諸君が退席したことが、十分に記憶されるようにせよ。そして、この件を法務部に報告せよ。」と。要するに、私はそこに抗議をして出ていったとみんなに記憶にとどめるようにして出ていけ、証拠を残して出ていけというふうなことも含めて、非常にきめ細かくやっておられる。ですから、そういう部分では、やはりそういう側面からの守る側の努力というものも非常に大きな課題ではないか。
 そういう意味で、こういう自助努力的な部分を、耳にしましても、幾つかの日本の企業でもおやりになっている、あるいは検討しておられるというのを伺っているのですが、その部分の実態というのを公正取引委員会としてはどのような把握というのをしておられるのか、お聞かせをいただきたい。
#88
○梅澤政府委員 後、詳細につきましてはあるいは事務局から補足して申し上げますが、ただいま川端委員が御指摘になりましたように、米国の企業が反トラスト法の遵守につきまして社内マニュアルを作成し、しかもかなり社内に強い羈束力を持つものを備えておる、それから法務部を中心にした体制も充実しておるということは御指摘のとおりでございます。我々の事務局が先年調査いたしましたところでは、そういったものがアメリカでは、日本でいえば中堅企業以上ぐらいのところは大体備わっているというのが現状でございます。
 翻って我が国でございますが、これは昨年公正取引委員会がガイドラインを公表いたしました時期に前後いたしまして、これは民間のある調査でございますけれども、我が国の上場企業の大体一割を超えるぐらいを対象にしたサンプル調査の結果によりますと、現時点でマニュアルを作成した、あるいは現在作成しているというふうに答えたところが大体四割でございます。あとの四割は作成することを目標にもう検討している。したがって、大づかみに言えば、サンプル調査でございますけれども、少なくとも我が国の上場企業クラスぐらいの企業でございますと八割ぐらいの企業が何らかの意味でそういった取り組みを始めている。これは我が国の企業社会なり経済社会にかつてなかった事象であるし、公正取引委員会としても、これはあくまで企業が自主的に取り組むべき話でございまして、いわゆる行政指導等を通じて公正取引委員会が強要すべき話ではございませんけれども、そういった動きに対しまして、公正取引委員会事務局がいろいろな御相談に応じたり参考資料を御提供申し上げたり、そういった態勢をとりながらこれを監視をしてまいりたいという方向を現在とっておるわけでございます。
#89
○川端委員 交通事故が非常にたくさん起こって大きな社会問題の一つになっていますが、罰金をきつくするということ以外に、やはり多大な努力を安全教育含めての部分に実際には力を入れておられるということからいいまして、私は、こういう企業の自助努力と同時に、委員長おっしゃいましたように、これは行政指導でこうこうする筋合いのものではございませんが、企業から御相談が。あれば、受け身ということではなくて積極的に、いわゆる啓蒙という部分を含めて、そのバックアップをするということは今までもおやりいただいていると思いますが、ぜひともに特段力を入れていただきたい。
 それと同時に、マニュアルでも、恐らく中身に関しては程度の差はいろいろあるというふうに思います。本来こうあった方がいいのではないかというふうな中身も、参考みたいなものもいろいろな資料というのでお示しいただくとかいうことも含めてやはりひとつ大々的に取り組むべきではないかというふうに私は思います。その点に関しては、簡単で結構ですけれども。
#90
○植松政府委員 先ほど委員長お答えいたしましたように、民間の機関、財団法人の公正取引協会というところで実はこのマニュアルの作成の手引というのをつくっております。この検討の過程におきまして、私どもオブザーバーですが、参加させていただきまして、側面からマニュアル作成の手引について援助させていただきました。こういうようなことを通じまして、相談等に応じながら、各企業のマニュアル作成、独禁法遵守マニュアル作成の手引を普及することによって、企業に遵守の体制をつくっていただきたいと思っております。
#91
○川端委員 次に、最近この公正取引というものの、国民の非常な関心を集めたといいますか、注目した部分に、埼玉県の土木工事に関する談合問題というのがあります。五月十五日に委員会は、埼玉県土木工事に関して、六十六社に対して勧告、警告という形で摘発を行われました。公共事業という極めて県民に影響の大きい問題で、公取が監視の目を光らせて対応されたということは非常にいいことだというふうに思います。
 しかし、一方で、マスコミの報道等で国民が受けとめている印象という部分で見ますと、その対応の形が排除勧告にとどまり、事前にこの規模等々から一般に受けた印象では、マスコミが受けた印象と言った方が正しいのかもしれませんが、これはついに刑事告発に至るのではないかという部分からいったときに、そこまでいかなかったという部分の論評が報道では随分たくさん流れました。新聞の解説記事でもそういうスタンスで、「独禁法運用強化に逆行」「埼玉の談合 告発見送り」「腰砕け公取委に強まる批判」「疑惑逃さぬ姿勢を」こういう報道が流される。そういう側面での見方が非常に強くあることは事実だと思います、受けとめとして。
 一方で、平成二年六月に委員会で、これから「法務省刑事局との間に告発に関する手続等を検討するための連絡協議会を設置」してやっていきたい、そして(一)、(二)というふうな部分で、悪質かつ重大な案件、あるいはその他に関して「積極的に刑事処罰を求めて告発を行う方針である。」と。いうふうな委員会の方針を出されて、やはり公正な経済活動という部分で公取は随分積極的にやっていただくのだなという期待を込めて見ていた中でこういう処理になったということで、実際この平成二年の運用強化、積極姿勢というものが空洞化されているのではないかという受けとめがあるのは事実だというふうに思います。私も懸念はあると思います。昨年の課徴金の引き上げ等々でできるだけ独禁法を守っていこうという機運を高めて、そしてよりよい経済行為が構成されるようにという機運に、結果的には非常に水を差した状況をつくり出しているのではないかなというふうに思います。
 そういう意味で、しかもそれを受けたのかと思いますが、この前いわゆるラップ業界、ストレッチフィルム業界が刑事告発を受けまして、そこが、「ラップ業界が公取不公平論」「カルテル告発は無効」だという公訴棄却の手続を進められている。これは法廷闘争のことですし、個々の案件に関してどうこう言うつもりはありませんが、やはり、埼玉の談合はあれぐらいだったのにうちだけがこんなのかというような感じがしないでもない。そういう部分では、やはり最近の一連の動きの中で、いろいろな論評の中ではそういうことを指摘し、果たして積極姿勢なのかどうか、公取の姿勢は、頑張ってほしい、大丈夫かなという部分が非常に蔓延していることが否めないと思います。
 こういう昨今の動きを含めて、公取としてはその部分をどのように、いわゆるそういう報道も含めて御認識をされているのか、そしてこれからどうされようとしているのかについて、決意も含めてお聞かせをいただきたいと思うのです。
#92
○梅澤政府委員 先般のいわゆる埼玉県の発注に係ります土木建築工事の談合事件につきましては、六十六社につきまして先般勧告をし、関係六十六社が応諾をしたわけでございます。ただ、刑事告発問題につきましては、法律上の問題あるいは事実上の問題につきまして、平成二年六月以降の事実につきまして検察当局と意見の交換を重ねてまいったわけでございますけれども、告発するに至らない、告発するには適当ではないという結論に達し、告発を断念いたしたわけでございます。
 それで、先ほども他の委員にお答え申し上げたわけでございますけれども、平成二年六月に十七年ぶりに刑事告発を再開するという段階に入りまして、ラップ事件について昨年十二月に告発、この事件につきましては現在東京高等裁判所に係属しておりますので、個々の議論につきましては、私どもは刑事告発に関する公正取引委員会の方針に基づきラップ事件につきましては告発を完了したわけでございまして、この事件については既に手を離れておりますので、これ以上現段階では申し上げることを差し控えたいと思います。
 そこで、今回の談合事件につきましては、我々が十七年ぶりに刑事告発を再開するというまさにその段階、緒についた段階で告発を断念せざるを得なかったということは非常に遺憾なことと考えております。委員が御指摘のように、それをめぐって公正取引委員会に対する信頼あるいは日本の独占禁止行政の将来に対する信頼というものが損なわれるということになったらこれは大変なことでございまして、私どもは今回の事件を契機に、今後談合の問題につきまして私どもの事務局と検察当局との間でワーキンググループをつくりまして、いろいろな事案について法律問題等検討を重ねる、その過程で今後の談合事件に対する審査方法等についてもさらに改善、開発を図っていくという作業にこれから取り組んでまいりたいと思うわけでございます。
 私どもも、今回の断念について各種の御批判というものは痛いほど耳に入るわけでございます。ただ我々のお願いといたしましては、この刑事告発に我々が踏み切りましてまだ本当に緒についたばかりの段階でございますから、今後公正取引委員会の活動についてひとつお見守りをいただきたい、これは私どものお願いでございます。
#93
○川端委員 報道でも、今委員長おっしゃいました部分でも、信頼が損なわれることがあってはいけない。しかし現実には、やはりそういう部分で損なわれた部分は本当に大きいというふうに思います。そして、この報道でも、これは、個人的には見送りは残念という報道がございました。個人的なお話ですからこの場でどうこうということではありませんが、いろいろな法的な仕組みの中で、犯罪要件を構成する個人というものの立証ということとか、いろいろな法技術的な難しさもあると私は思います。そういう部分を含めての課題はやはり随分あったのではないかな。
 今、勉強会を含めてやっていくということをおっしゃいました。うわさされますような政治家によるいろいろな圧力とかいうのがあったとは私は思いたくありません。そういう意味で、これからの部分に、こういうことが積極姿勢を打ち出された中でたび重なればもうその信頼は本当になくなってしまうという分かれ目に今あるということだと私は思いますし、十分御承知だと思います。その部分ではひとつ断固たる決意で信頼回復と確立に御努力をいただきたいとお願い申し上げておきたいと思います。
 今回、こういうふうな法改正を機会に見ますと、罰金を五百万円を一億円にする、厳罰に処すぞという部分は非常に大事なことなんですが、その前提としては、守った者と守らない者の仕分けはきっちりされるというのが前提だというふうに思います。百メートル走るときにフライングをしたらだめなんです。フライングをしてもしなくても、そのときどきの審判や、大会の種類や、選手、人によって許してもらえるときと許してもらえないときがあるということであれば百メートルの競走は成り立たない。だから、その部分で、フライングをした者はだめという中でいかにスタートをうまくするか、技術を上げるかという、要するに企業であれば競争力を強くするということ、公正な競争というものを磨くわけですから、間違っても――フライングをしたときは厳罰、要するに失格するのだということが前提だと思うのですね。
 ですから、罰金を上げるということは大事なことの一つかもしれません。しかし、その前提として、例えば本当に悪質、重大なものは刑事告発までされる、そして、フライングした者にはもちろん原則的には課徴金を付されるという部分の運用の問題が、やはり一番この公取委員会の使命としては重要であろう、そこに今疑問を持たれたということだというふうに思います。
 事は、本質にかかわる非常に重要な問題だというふうに思っております。国民の目から見て、ガイドラインという部分は基準は明確になっている。そのガイドラインの適用に関しては、適正じゃなくて厳格に運用される。そして、その部分に関しては違反した者は罰則がされるのだというものが国民の目から見て本当にきっちりなるということでないと、罰金一億、五億という議論もありますけれども、幾ら一億にしようが、五億円にしようが、百億円にしようが、そこへ行かなかったらそんなものは本当に何にもならないというそこが一番問題ではないかなというふうに私は思っております。
 そういう意味で、ましてその努力の部分でいうと、報道で埼玉の部分でも、また、これはうそか本当かはわかりませんけれども、談合隠しで談合、これからはそういうので寄り集まるといかぬから、みんな電話でしょうと相談をしているというふうな談合をしているのじゃないかとか、本当に懲りないのじゃないかなという思いもあります。そういう意味では、フライングをしてもうまくごまかせるケースもあるということがあれば、決して本当にみずからの力を強くしょうということではないという部分にあると思いますので、その部分に関して、繰り返しになりますけれども、その運用がまさに公正取引の部分の生命線を握っているということに関してひとつ改めて御見解を賜りたいと思います。
#94
○梅澤政府委員 ただいまの御指摘なり御批判につきましては、私ども謙虚に受けとめますとともに、これを機会に独占禁止法によって公正取引委員会に与えられました任務並びに使命の重大さを再認識し、せっかく再開いたしました刑事告発でございますので、今後の運用に当たって、国民一般の信頼を損ねないように厳正かつ積極的にこの問題に取り組んでまいりたいと思います。
#95
○川端委員 関連して。この問題自体は、かねがね公正取引という問題に関しては日米間でいろいろな議論があって続いております。そういう中で、特にこの埼玉県の談合事件に関してアメリカは大きな関心を持っている。そして問い合わせがあった。そして経緯を御説明をされたというふうに伺っております。そういう意味で、アメリカがこの件に関してどういう立場で公正取引委員会に対して問い合わせをされたのか。そして、その経緯は御説明をされたと思いますが、アメリカの態度は、なるほどそれはよくわかったということでなっているのか。これからのアメリカのこの件を含めてのいわゆる公正な取引というものに対する影響というものに対してはどうお考えになっているのか。もう全く心配することでないのか。何らかのこれからの課題を日米間でこの問題を契機としての部分はやはりクリアしていかなければいけない課題を持っていると御認識をしているかについてお教えをいただきたいと思います。
#96
○梅澤政府委員 本件につきまして米国司法省から公正取引委員会に問い合わせがあったという事実はございません。それから、もとより日本政府の機関が決定いたしましたことについて一々外国政府に通知をすべきものでもございません。
 ただ、構造協議等々の過程で、先般辞任をいたしましたけれども、米国の反トラスト局長と私の間で個人的に、アメリカの事件についてあるいは我が国の事件についていろいろ意見の交換をしたことがございますので、今回の件につきましては私の全く個人的な情報提供という形で、公正。取引委員会が国内に公表いたしました新聞発表の範囲内で、在外公館を通じて私の責任で連絡をさせております。在外公館から私どもに届きましたところでは、米国司法省は今回の事件について排除措置、つまり勧告を行ったということは歓迎をする、それから個別の事件について告発が必要であったか必要でなかったかということは相手国政府の問題であって、米国司法省がコメントする立場にはない、これは当然のコメントだと思います。
 それからもう一つ、刑事告発についてはSIIで日本が表明したという経緯もございますから、今後とも公正取引委員会においてこれに積極的に対応してくれることを期待するというコメントを出したという連絡を受けております。
#97
○川端委員 時間がほとんどなくなってしまいましたが、最後に、これは前の課徴金引き上げのときにも私委員長にお尋ねをしたのですが、やはり日米間でいろいろな問題、こういう部分に関してというときに、日米間のいろいろな、いわゆる価値観というのですか、物の考え方という部分に随分違いがある。それはお互いどちらがいいかということではなくて、違いがあるということを認識しなければいけないということの議論をさせていただいたと思うんですが、フェアかアンフェアかということは本人にとっても名誉にかかわる重大なものであるという価値観を持つ部分と、それから、これはある部分で民主主義でいつでも、議論はとことんする、しかし採決して決まったものは多数決に従うという一つの価値観だと私は思います。日本も議会制民主主義という部分では一応そういう形をとっていますが、日本の風土というのは事前調整、全会一致型というのがよく見られる
 ことだと思います。もうこれだけ議論を尽くしたから採決しようではないかと例えば委員長が言えば、いやいやそう事を荒立てな、いで、もう少しよく話し合おうではないかという話が、例えば自治会でもいわゆる我々周辺でも間々あるという社会風土だと思います。しかし、企業の公正な活動と
 いうものが世界を舞台にしてやるという分には、そういう風土の違いはあるけれども、こういう公正な取引に関しての共通のルールというものはやはり確立していかなければいけない。そういう部分でいろいろ御努力もいただいているわけでございますが、一部には日本はそういうものなんだ、事前調整、全会一致していくのが日本の風土であり美徳なんだ、それが無用の競争を防いで、余分なことをしないで効率を求めうまくいく方法なんだからこのままでいいんだという話を、時々いろいろな業界の人たちから聞くことがある。そういう部分に関しては、風土的な価値観の違いとしては認めるにしても、経済活動においてはその部分から脱却をしない限りいつまでたってもこのことは直らないというふうに私は思いますし、そこにメスを入れて価値観をつくっていく、ルールをつくっていくというのが公取委員会に課せられた非常に大きな国際化の中での使命ではないかと思いますが、この点に関しての所感をお尋ねをして、終わりにしたいと思います。
#98
○梅澤政府委員 日本の精神文化といいますかメンタリティーとの関係で、私ども独占禁止法との関連で今委員がおっしゃったような意見も含めましていろいろな方々が御議論をされるのを伺ったこともございます。詳細は省くことにいたしまして、いずれにしても、共同体あるいは共存共栄と
 いうメンタリティーそのものは日本文化の美点であるという議論はそれはそれといたしまして、事市場経済についてそういった議論は一切通用しな
 いというふうに考えております。
#99
○川端委員 終わります。
#100
○武藤委員長 午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十分開議
#101
○武藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。森本晃司君。
#102
○森本委員 朝から議論が続いているわけでありますけれども、独禁法を取り巻く近年の経済環境、国民的には豊かさを実感できる国民生活の実現が非常に求められておりまして、生産重視から消費者の利益重視への政策転換を今余儀なくされているところであり、求められているところであります。
 そうした中で、けさからも議論がありましたが、公取への期待が大きく高まっていることは事実であります。しかもまだ、国際的な視点からも、経済活動のグローバル化が進展する中で、我が国に対してより開かれた市場の実現が強く求められておりまして、競争政策の強化と公正取引委員会の厳正な運用が期待されております。
 そういう意味から考えてまいりますと、公取は今世論の追い風の中にあるのではないかと思うのですが、いかがに考えられますか。
#103
○梅澤政府委員 ただいま御指摘がございましたように、世界経済における我が国の地位が今日これだけ大きくなってまいりました。それに見合って、国民生活の豊かさというものを目指し、かつ経済がグローバル化する中で、各国間での経済的な相互依存関係、協調関係の要請というのが高まっておるわけでございます。その意味で、現。在日本国政府の経済政策というのは、大きくその方向に向かって進んでおるわけでございますが、独占禁止政策も経済政策の一つでございまして、私どもそういった方向を十分念頭に置きながら、この両三年、特に独占禁止政策の強化について努めてまいったつもりでございます。
 なかんずく一番基本になりますのは、独占禁止法の競争秩序の違反行為に対しまして厳正に対処するということがまず何よりも基本でございます。その意味で、公正取引委員会が勧告等法的措置をとりました件数も、平成三年度は三年前に比べますとおよそ四倍の数字になっておるわけでございます。また、違反行為に対する厳正な措置と同時に、違反行為に対する抑止力を強化するという観点から、昨年国会において御承認を賜り、課徴金につきまして大幅な引き上げもお願いをいたしました。さらにまた、一昨年でございますが、十七年間停止をいたしておりました刑事告発というものを再開するという方針を鮮明にいたしまして、刑事罰の活用についても今その緒についた段階でございます。
 その意味で、今後独占禁止政策の強化あるいは法運用の強化等につきまして、公正取引委員会といたしまして、国民の大方の御期待と御理解を賜りながら今後とも努めてまいらなければならないというふうに考えております。
#104
○森本委員 今の委員長のお話を伺っておりまして、私も全くそのとおりだと思っております。
 告発の方針転換をされた、あるいはまた課徴金の引き上げをされた、あるいはまたラップ業界の告発をされた、そういう状況下等々、世論は、また消費者は公取に万雷の拍手を送ってきたはずであります。あるいはもっと頑張れと言ってきたはずであります。
 しかしながら、ここに来てまだ公取が後退の姿勢が見えるのではないだろうかということが今国民の率直に思っている点であります。かみつかない番人から、表現は悪いかもわかりませんが、方針転換のときに今度は独禁法の番人としての宣言をされた。ところが、今またかみつかない番人に戻りつつあるのではないかと世の批判を今受けつつあるのは事実だと思うのです。
 それは、例えばきょう法案にかかりました罰金刑の五百万から一億にする件についての極めて不透明な部分、あるいはまた埼玉県の告発見送りの極めて不透明な部分、こういったこと等々がここ半年ほどの間に重なりまして、大変失礼な言い方ではございますけれども、私が先ほど申し上げたような状況になっているかと思うのです。
 その辺の認識について、またいろいろな批判があることについてどのように思っておられるか、お伺いしたいと思います。
#105
○梅澤政府委員 ただいま委員がお触れになりましたような点について各種の御批判があるということは私ども痛いほど痛感をいたしておるわけでございます。
 ただ、釈明をするという意味ではございませんで、この間の事情についてぜひ御理解を賜りたいと考えるわけでございます。一つは、ただいま御指摘になられましたいわゆる埼玉県が発注いたします土木工事に対する六十六社の談合事件でございますが、先日六十六社に対して排除措置を勧告し、全社応諾をいたしたわけでございます。ただ、刑事問題につきましては、刑事告発再開を公表いたしました平成二年六月以降につきまして、法律問題あるいは事実問題につきまして検察当局と意見の交換を重ねてまいったわけでございますけれども、犯罪ありと思料して告発に値するという結論には達しませず、やむなく告発を断念いたしたわけでございます。
 しかし、それは公正取引委員会が厳正な法運用についてたじろいだということではございませんで、専ら事案に即して検討いたしました場合にどうしても告発を断念せざるを得なかったという事情でございます。
    〔委員長退席、竹村委員長代理着席〕
 ただ、ただいま委員が御指摘になりましたように、私ども刑事告発再開を公表して以来まだ緒についた段階で、こういった事態に対しまして各方面から公正取引委員会がたじろいでいるのではないかというふうな御懸念とかあるいは御批判、それが将来の我が国の独占禁止政策の強化について国民の信頼を損ねるというようなことがあってはまことに残念なことなのでございます。
 したがいまして、今回の告発断念はただいま申し上げましたような事情ではございますけれども、今後さらに適正な法運用、厳正な法運用を図るために、談合問題につきましては当委員会の事務局と検察当局との間でいわばワーキンググループを設置いたしまして、あらゆる事案を想定し、法律問題、事実問題の入念な研究、検討を重ねる、我々はその作業経過を踏まえて、今後の新しい事件に対処いたしました場合の審査方法の開発、改善等に努めたいというふうに考えておるわけでございます。
 いま一つ、ただいま御提案申し上げております刑罰の引き上げの問題でございますが、これは後ほどまた時間のお許しをいただきまして、一億円という今回御提案申し上げました結論に到達いたしました経緯を御説明申し上げたいと思うわけでございます。この件につきましても、我々としては従来の行為者と事業主の刑罰が連動しておったという我が国の近代の企業刑事法制の枠組みを大きく変更いたしまして、将来の独占禁止法の抑止について大きな一歩を踏み出す内容のものであると私どもは考えておるわけでございますが、やはり制度改正というのは、大方の御理解というものを得ることが前提でございます。したがいまして、現時点において独占禁止法の抑止力を強化する現実的な大きな一歩を踏み出すために、私どもは一億という水準でぜひ制度の改正をお願いしたいという趣旨でございます。
#106
○森本委員 今その趣旨を申し述べられましたが、委員長にお尋ねしますが、刑事罰研究会の報告書によりますと数億円程度の水準の提言が、政府案では一億円になった。この研究会の数億という報告書がなされたとき、委員長の頭はどれぐらいだと想像されたのでしょうか。「数」ですから一億ではないはずだと思いますが、それが一億になった理由について伺いたいと思います。
#107
○梅澤政府委員 研究会の報告書は、公表されておるとおりでございますが、罰金の数億円という水準につきましては、結局法人と自然人との資力の格差、これはストックそれからフロー面での試算作業が行われておりますが、その格差、あるいは外国法制、あるいは我が国の場合の固有の事情といたしまして課徴金というものが存在しておる、こういったものを総合的に判断した場合に、幾らの水準にすべきかということで研究会の先生方が御議論をなさったわけでございます。
 私どもが承知いたしますのは、結論として研究会の報告が数億円ということでまとめられたのは、研究会に参加しておられます学者の諸先生方も、この種の罰金の水準については、ただいま申し上げましたようないろんな要素を総合的に勘案して決せられるものであって、計量的に、一義的に、アプリオリにこういう数字でなければならないというものではない。事実、各先生方がいろんな水準で御議論をなさったのを私もはたで傍聴をいたしておったわけでございますが、結局のところ、数億円という幅のある水準幅を示して、あとは制度化に当たって政府がこれを決定し、立法府に語るということで、ある程度幅を与えた形で、私ども、方向づけをいただいたというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、それは今御指摘になりましたように、一億円というのと数億円というのは研究会の報告どおりであるかということになりますと、事水準に関しては、やはり研究会が想定されたものよりも低い水準とあるいは言っていいと存じます。これにつきましては、私ども、各方面との調整を図りつつ、先ほども制度の改正というのは大方の御理解を得るということが基本的前提であると申し上げたわけでございますけれども、三つぐらいの点で、現時点においてやはり数億円という水準をお願いするにはまだ大方の御理解はそこまで熟していないというふうに判断をいたしたわけでございます。
 その一つは、今回の罰金の引き上げというものは、先ほども申しましたとおり、我が国の企業刑事法制の従来の枠組みを大きく変更するという内容でございます。
 それから二つ目は、昨年国会の御審議を賜りまして課徴金の大幅な引き上付を行い、昨年の七月からこれが実施に入っておるわけでございますけれども、まだその実効の状況もわからない。かたがた課徴金を引き上げたばかりなのになぜそれを追うように罰金の水準を引き上げる必要があるかという御議論でございます。これはある意味では、課徴金の引き上げというのはそれほど大幅であって、抑止力の実効性を持っておるということを物語るのではないかと私どもは考えるわけでございますけれども、やはりそういった御不満あるいは納得がいかないというふうな向きが多うございます。
 それから三つ目は、特に中小企業の階層におかれまして、これは我が国の法人企業の相当部分を占めるのは中小企業でございますけれども、やはり五百万という水準から一挙に億単位の罰金水準に引き上げられるということについて不安感、あるいは恐怖感と言ってもよろしゅうございますけれども、そういった御意見なり反対というのは非常に多かったわけでございます。
 私どもは、そういった状況を考えながら、しかしこの機会にやはり相当思い切った水準に引き上げざるを得ないということで、一億円という水準で今回お願いするのが一番現実的であり、これがぎりぎりの水準であるという判断をいたしたわけでございます。
 ただ、これは研究会の報告の数億円と乖離することは事実でございますので、この結論を得る段階におきまして研究会に改めてお諮りをいたしました。そのときに研究会の方といたしましては、大方の理解がまだ進んでいないという現状であるとするなら、この一億円という水準でもやむを得ない、それでもこの制度改正が実現するならやはりそちらの方がよろしかろうというふうな御感触なり御意見も賜っておるわけでございます。
    〔竹村委員長代理退席、委員長着席〕
#108
○森本委員 梅澤委員長、私の方からお願いでございますが、御丁寧にお答えいただくのは大変ありがたいことでございますけれども、限られた時間でございますので、聞きたいことがたくさんございまして、ぜひ簡略にお願いをしたいと思います。
 そこで、先ほど聞きました中で、報告書が出たときの委員長の頭は数億はどれほどかということについてはまだ御答弁いただいてないはずであります。その点をお尋ねしたいと思います。
 それから、その数億の水準から一億に変わっていく過程に、いろいろと言われている中に、いろいろな圧力があったのではないかと言われている。
 それから、これはほかでも指摘されましたが、報告書が出た十二月からその報告書が公表されるまでの間、二カ月間の期間が置かれた。これは非常に意図的におくれたのではないだろうか、数億が表に出るとそれは大変困るので、きちっと一億なりあるいは数億なりの決着をつけてから公表しょうと考えていたのか、そのように言われているところがあります。極めて意図的ではないかと思うのですが、おくれた理由等々についてお答えいただきたい。
 また、政治的圧力あるいはいろいろな団体の圧力がよもや独立の行政機関である公取にあってはならないことだと思うのですが、その見解について伺いたいと思います。
#109
○梅澤政府委員 調整の過程におきまして各方面とそれぞれ時々刻々いろいろな意見の交換をしたわけでございまして、この数億という中のある一点が公正取引委員会なり私自身の頭に固定的にあったということではございません。
 それから、報告書の公表の件でございますけれども、これは十二月の時点で私どもいただいたわけでございますけれども、その当時から、先ほど申しましたような事情で、まだ刑罰の引き上げ自体についての理解、それから御議論が熟してない、こういう段階で報告書を公表することは、議論に予断を与えると同時に、これからいろいろ議論していただく場合にかえって支障になるという判断に公正取引委員会として達したものでございまして、どこからかの圧力によって公表を断念したということではございません。
 ただ、公表の時期をおくらすことについて、私自身、当時記者クラブで記者会見をいたしましてはっきり申し上げたわけでございますけれども、この報告書が永久にやみに葬られるということでは絶対にないと。これは研究会の先生方にも、報告の時期をおくらすについてお断りするときにもはっきり申し上げておるわけでございますけれども、これは必ず公表いたしますと。公表の時期について今が適当でないということで、あの時点での公表をいたさなかったわけでございます。
#110
○森本委員 公表の時期がその時期で適当でないと判断した理由は何ですか。なぜそのときに公表することが適当でないと判断したのですか。
#111
○梅澤政府委員 これは繰り返しになりますけれども、独占禁止法の刑罰の水準をこの機会に引き上げるということ自体が、その当時、非常に唐突なテーマとして受け取られる向きが非常に多かったということでございます。したがって、まず引き上げる必要性というものを十分に御認識いただくと同時に、それと並行して、現在の五百万という水準を一体幾らにするのかということは、もちろん、数億円というのは私ども報告書でいただいておりますから、いろいろな調整の過程でそういったことも念頭に置いていろいろお話を申し上げたわけでございますけれども、これを一遍に世の中に公表するという場合にはかえってそういった調整そのものが進まないのではないかということを行政機関としての公正取引委員会が判断したわけでございます。調整を円滑に進めるためには発表の時期を、もう少し適当な時期を選んだ方がいいという判断を当時いたしたということでございます。
#112
○森本委員 証取法では、事業主に対する罰金引き上げを個人に対する罰金の百倍としましたね。課徴金は制裁金ではなくして、不当に得た利益を国庫に徴収するものでありますから、罰金とは全く質の異なるものであります。課徴金を上げたからこちらを一億にとどめたんだという論理はなかなか成り立たないと私は思うのです。殊に、百倍に対して今度は二十倍でありますが、同じ政府提出法案の中でバランスを欠くのではないかと思いますが、その点、課徴金を上げたからというのは理由にならないと私は思っているのですが、どう考えておられますか。
#113
○梅澤政府委員 刑罰の具体的な引き上げ水準については、研究会の報告でも、課徴金の存在というものを総合的に考慮するという考え方が示されておるわけでございます。
 おっしゃるとおり、課徴金という行政処分の法的性格といわゆる制裁としての刑事罰というのは性格を異にするわけでございますけれども、そもそも独占禁止法は、言うまでもございませんけれども、事業活動の基本を規制するものであり、その規制を受けるのは事業者であり、課徴金なり刑罰を課されるのも事業者でございます。そういたしますと、課徴金という経済的負担、罰金という経済的負担が総合的にかかってくるということで、事業者に対する抑止効果はやはり総合的に勘案されるべきものであろうということで、刑罰研の報告書でも、課徴金の存在を考慮の一つに入れろというふうに書いてあると思うわけでございます。
 証券取引法は証券取引法の法目的なり規制対象ということで、今仰せになりましたように三億円という水準を設定されたわけでございますけれども、独占禁止法は独占禁止法の総合的抑止力の観点から、それから繰り返し申し上げますけれども、証券取引法の規制対象に比べますと、独占禁止法は事業者一般でございますから、御理解を得る範囲というのははるかに広いわけでございます。そういった現在における大方の御理解の状況から見て、精いっぱいの水準であるということでございます。
 刑罰の整合性の問題については、証券取引法、独占禁止法、それぞれ法目的、法運用が異なるわけでございますから、証券取引法の今回の改正水準に独占禁止法の改正水準が達しない、金額そのものが達しないということ自体をもって、私どもは必ずしもそれは国の刑事政策全体としての整合性が著しく損なわれるような制度改正であるというふうな認識は、率直に言って持っていないわけでございます。
#114
○森本委員 政治的圧力があったかどうかということをここで議論しても、恐らくなかったとおっしゃると思うのです。しかし、もう新聞各紙には相当そういったことが書かれている。この点については、このことがありましたかと問えば、ありませんと答えるだけだから、この程度にしておきますけれども、相当な横車があり圧力があったというふうに書いてあります。
 私は公取から、公取の事務局が書いた「独占禁止法ガイドブック」、これをいただきました。ここの二十二ページ、「独占禁止法はどのように運用されるのでしょうか」というところで公正取引委員会のことについて、「独立の行政委員会であるところにその特色があります。独占禁止法は、自由経済社会における企業の事業活動の基本的ルールを定めたものですから、その運用に当たっては、政治的な影響を受けることなく、中立的な機関により公正な運用が図られねばなりません。」云々とありまして、その後、「このため、公正取引委員会は、独占禁止法の運用については、他から指揮監督を受けることなく、独立してその職務を行います。」これは公取から出したガイドブックです。
 ここに書いてあることと、この数カ月、報告書が出て以来あるいはこの一億に至るまでの間、非常に不明瞭な点が多い。これとどうも違うじゃないかと国民は思う。今本当に消費者の味方として公取が頑張っていくのであれば、よくよくそのことを心がけてやっていかないと、不明瞭な点があるというところに疑惑が出てくるのです。
 このガイドブックとこの数カ月の新聞記事、公取委員長もよくあれされていると思いますが、その違いについてどのように考えておられるか、また、今後どのようにしようとするのか、お伺いしたい。
#115
○梅澤政府委員 これもぜひ御理解を賜りたいわけでございますけれども、ただいま委員が御引用になりました独占禁止法二十八条、公正取引委員会が独立して職権の行使を行う。独占禁止法で定められた公正取引委員会の権限を行使する際に、あらゆる機関の指揮監督を受けない。そのために五名の委員の身分保障も定められておるわけでございます。これが公正取引委員会の行政活動のバックボーンであるということは御指摘のとおりでございます。
 ただ、議論のための議論を申し上げるわけではございませんけれども、法律の策定あるいは政令の策定あるいは予算等については、国家行政組織法上の考え方といたしましては、公正取引委員会は、内閣に属します各行政機関と何らその地位は変わらないわけでございます。特に法律を制定するためには、政府提案の形で閣議決定を経て国会に提出するわけでございますけれども、その場合、議院内閣制のもとにおいては、当然与党との調整を経ない限り政府提案の形は実らないわけでございまして、必然的に与党との調整というのはつきまどうものでございます。この点については、独占禁止法といえどもほかの法律の改定手続とは全く同じものでございまして、もちろんその調整というものをある側面からごらんになると政治的圧力というふうな表現もあるやに存じますけれども、私どもは与党と調整したということを決して否定していないわけでございます。
#116
○森本委員 委員長、言葉の端をつかまえて言うわけではありませんけれども、出すために与党との調整が必要だと今おっしゃいましたね。それでは野党との調整は要らないと考えておられるのか。調整というか、こういうぐあいにしたいと。私たちも消費者の立場の中にいる者であります。それがこの後国会で議論されるということがわかっていながら、今委員長、与党との調整をしなければならないとおっしゃった。野党はいいのですか。別に調整してくれと言っているのではないのですよ、調整を野党にしろと言っているのじゃない。与党との調整をしなければならなかったということについてどう考えておりますか。
#117
○梅澤政府委員 私の答弁、誤解を招く点につきましてははっきりと申し上げなければならないと思いますけれども、私が申し上げましたのは、与党との調整は必須の手続であるというふうに、これは各省の法律はみんなそうだと思いますけれども、私どもは認識しているわけでございます。
 ただ、おっしゃいますように、各野党の政審等に適宜御連絡なり御意見を承るという手続をとるということは、まことに行政機関としてやるべきことである、これは公正取引委員会がそういうふうに判断すべきものだと思います。ただ、今回の調整手続の過程において野党にお諮りしたという事実は残念ながらございませんで、まとまりました段階で各野党の政審の方にあるいは御説明に上がっていると存じます。
#118
○森本委員 公取に野党への調整をしてくれとは私は申し上げておりません。したがって、与党への根回し云々という前に、もっともっと公取独自の本来の姿勢を示してもらいたい、そのことを申し上げておきます。
 なお一億については、委員会でいろいろと議論されますが、率直に申し上げまして、私は将来に向かっては、世界の各国の例を挙げても最高額十三億というアメリカの例もありますし、今後もこの委員会の席、並びに公取の皆さんもよくよくこの一億という額にとどまることなく議論をしていかなければならないと思っておることを申し上げておきます。
 次に、談合の問題でございますが、五百万を一億にした、あるいは五億にした、百億にしたという状況であっても、結局告発されなければ何にもその刀は使われないわけであります。効果を発揮しない。何も私は人の罪をつくるために告発をせよというのではありません。しかし、国民の生活を守るために公取があり、その公取が公平に考えて運用していったときに、なすべきことはきちんとしなければならない、そのために方針転換を公取はされたのです。しかし、その後考えてみますと、ラップ業界の後、インクあるいはセメント業界等々が見送られている。そして今回の埼玉の談合については、業界筋の中でももうだめかなという声も聞こえていた。だれが見てもこれは告発に値するものだろうと思っておったし、恐らく委員長も最初はこれはやるべきだと判断をされていたに違いない。大変な意気込みであった。ところが年が明けるとその勢いは急速に落ちていって、そして最後は告発断念という状況になっていった。ちょうど罰金の引き上げと時を同じくしていたときだけに、あるいはいろいろな政治圧力があるという話があるだけに、公取の今回の態度については非常に厳しいものがある。もう新聞を見ますと、朝から川端先生もおっしゃったので余りたくさん申し上げませんが、見出しだけやります。「公取委、なぜ消極姿勢に」「独禁法強化に逆行、批判も」「あきれ果てた公取の告発断念」「告発はなぜ見送られたのか」「独禁法運用強化に逆行 疑惑逃さぬ姿勢を 腰砕け公取委に強まる批判」「「なぜ見送り」広がる波紋 公取委に禍根残す」等々、挙げれば数え切れないぐらいの、一斉にそろっての公取への今回の談合告発断念に対する批判があるわけです。私は、いろいろな上でこういう結果になったかと思いますが、率直に国民として疑問に思っている点をこれからお尋ねをさせていただきたいと思うところであります。
 まず、平成二年六月二十日、刑事告発に関する公取委の方針を発表されました。一つは国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質、重大な事業、または、公取委員会の行う行政処分によっては独禁法の目的が達成できないと考えられる事案について積極的に告発する方針を明らかにしながら今回断念したのは、この二点に該当しなかったのでしょうか。特に第一番目の国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質、重大な事業か木公共事業は国民の税金で行われるものでありますから、国民の生活に与える影響が極めて大きいと思われるのですが、どうですか。
#119
○梅澤政府委員 今回の埼玉の談合事件につきましては、平成二年六月時点以前から談合の行為が行われておりまして、行政上の排除措置の対象にいたしたわけでございます。刑事告発の検討としては、いわば法的安定性という観点から、セメント等についてもそうでございましたけれども、平成二年六月以降の時点について告発の要否を検討いたしました。
 その結果、法律上、事実上のいろいろな問題を検討した結果、告発を断念したわけでございますけれども、ただいまの委員の御質問に端的にお答え申し上げなければならないのは、今回の事件は、もちろん埼玉という一定の地域に限定はされておりますけれども、市場の状況から見まして、外形的に今回の埼玉の談合事件が平成二年六月の告発方針に該当しないがゆえに告発を断念したわけではございません。外形的には該当しておると思います。いわばこれを告発するに当たっての法律上あるいは事実上の構成に当たって、これを犯罪ありと思料し、告発に値するというまでの事実上の問題を構成することができなかったということでございます。
#120
○森本委員 恐らく今公取委員長、答弁しながらじくじたるものを持っておられると思う。恐らく率直な気持ちは、今回告発できなかったことを極めて残念に思っていらっしゃるのではないか。記者会見のときにも、委員長はそのように思っていると発表されました。私たちから見ても非常に残念であります。
 そこで、私たちが疑問に思っている点、まず第一点、今回の刑事告発に当たって、検察当局との間で個別事件の具体的問題について告発問題協議会を設置された。それで聞きたいのですが、公取と検察側の折衝がことし二月以降ほとんど行われていないと聞いているのです。事件を担当する審査官、捜査官同士の協議が行われたのは四月三十日と五月一日だけ、その後五月十三日、これはもうお手打ちのときの会合であったと言っても間違いない。記者会見で十分協議されたと言っておられますが、まず二月以降、四月三十日と五月一日だけで間違いがなかったのか。あるいは十分協議したとおっしゃるのであれば、具体的回数やその時期等を国民の前に明確に発表する必要があるのではないか。それは捜査の云々ということは言えないと思う、もう告発しないと決めたのですから。何回打ち合わせ、内容まで言えと申し上げませんから、時期と回数をお尋ねします。
#121
○地頭所政府委員 個別事件の処理にかかわる問題でございますので、詳細は申し上げかねますが、昨年の秋以降本年五月に至る間、数回、検察当局との間で、私どもの審査結果を踏まえて、法律上、事実上の問題について種々意見交換を重ねたところでございます。
#122
○森本委員 地頭所審査部長さん、私が今申し上げているのは、数回ということでは国民がわからないから、内容を聞いているんじゃありませんよ、内容を聞いているんじゃない、時期、そして何回やったかを聞いているのに、数回と申し上げます、これじゃ話は前に進みませんよ。どうですか。
#123
○梅澤政府委員 私、事務局から意見交換の状況を逐一あるいはまとめて報告を受けております。ただいま審査部長が申しましたように、今後の事件処理について支障があると申しましたのは、もしこれが公表されるべき性格のものであるとするなれば、今後、事件処理に当たって、検察当局との協議というものについて一々私どもは、内容は言わなくても事柄を公表しなければならないというふうな性質のものであるのかどうか。私は、これは、事件進行中の場合に公取と検察当局とのそういう意見交換の実情を一々明らかにするということは、かえって、告発権の正当な行使なり、ひいては将来にわたる検察当局の捜査にも支障を生じるだろうということで、この点は、具体的な日時という点については、これは公開されるべきものではないということは、ぜひ御理解願いたいと思います。
 ただ、その数回という点について非常にはっきりしないとおっしゃるわけでございますけれども、私も、これはいろいろなレベルでやっておりますから、どのレベルのものまでをカウントするかということが問題になるわけですけれども、二けたにはいかないにしても、少なくともそれに近い回数をやっておるということでございます。
#124
○森本委員 私は、これが告発されていたら、捜査の影響、あと検察側の影響もありますから、それは聞きませんよ。告発しないと決まって、協議会が頻繁に行われなかったということが言われるから、僕は、それじゃ公取が明確に答えた方がいいじゃないか。これは、告発するんだったら私も聞きませんよ。告発しないんだから、言ったって別段構わないでしょう。みんなが疑問に思っているんですから、胸を張って公取が、何回やりました、週に一回やりました、例えば二月に何回、三月に何回、四月に何回でもいいじゃないですか。聞きますよ、ラップのときは何回だったんですか、協議会。
#125
○地頭所政府委員 ラップの事件につきましても同様でございまして、個別事案の処理にかかわることでございますので、詳細については答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
#126
○森本委員 ラップのときは協議回数も七、八回重ねていたと聞いておりますが、どうですか。
#127
○地頭所政府委員 回数については、私、詳細に記憶いたしておりませんが、相当な回数に及んだということは事実でございます。
#128
○森本委員 検察側との折衝が二月以降に急速になくなったということが報道されたりいろいろしているから、だからきちっと答えたらいいんじゃないかと私は言っているんですよ。そういう姿勢が余計に、二月以降何かがあったんではないかと思われるのです。
 これで何ぼやりとりしていても、あなたは恐らく、言うなら言え、おれは繰り返し繰り返しだ、そのうちに時間が来て終わると思うだろうからやめますが、そういう疑惑を持たれているときは、一つ一つみずからやってください。公表できなかったら私のところへ、私はどこへも持っていかないと約束しますから、何月に何回、何月に何回、書類を提出してくれませんか、教えてくれても結構ですよ、見せてくれても結構です。
#129
○梅澤政府委員 これは担当部長の責任ではございませんで、委員長としてお答えしなければならない問題であると考えます。
 森本委員が、いろいろな観点からそういった資料要求なり御要請をなさるお立場というのは十分理解できるわけでございますけれども、繰り返しになりますが、今後の事件処理等の関係がございますので、この種の資料を非公開とはいえ、やはり部外にお示しするということはお許し願いたいと思います。
#130
○森本委員 繰り返しても時間がたつばかりでございますので、この点については、私もいろいろな角度からの資料を集めて、追ってまた確認をさせていただきたいと思っています。
 次に、立入検査をされましたが、いつ、何社に、立ち入った人数は何人か、書類はどれほどの量が押収されたのか、まずこの点についてお伺いします。
#131
○地頭所政府委員 独占禁止法第四十六条に基づく立入検査を、平成三年五月二十七日、同二十八日及び十月十五日の三回にわたって、それぞれ担当官百名前後を投入して、土曜会メンバー六十六社七十八カ所について実施しております。収集いたしました資料は四千点を超えております。
#132
○森本委員 四千点、審査部の優秀な人たちが三日間にわたって入ってそれだけの書類を押収されたわけでありますけれども、それでも個人的根拠がなかったとおっしゃるのですか、告発断念に至る。
#133
○地頭所政府委員 本件は、埼玉県発注の一定の土木工事につきまして、独占禁止法三条に該当する、つまり一定の取引分野における競争を実質的に制限する行為があったということでございますが、その事実につきまして、自然人である土曜会メンバー会社の役員または従業員の関与状況につきまして、犯罪ありと思料するに至るような状況は把握し得なかったということでございます。
#134
○森本委員 調べられましたのは、平成二年六月二十日、公取委の方針発表以降のものを調べられたのか、あるいは事の起こりから調べられたのか、そして、六月二十日を境にして、その前にもそういった今おっしゃった告発できない理由のもの、証拠書類がなかったのか、六月二十日以降だけなかったのか、六月二十日を起点にして答えていただきたいと思います。
#135
○地頭所政府委員 埼玉土曜会は、昭和四十七年に結成されたものでございまして、その後の状況につきまして、私ども、証拠のある限り調査をいたしたわけでございますが、勧告書「事実」に記載のとおり、昭和六十三年四月以降平成三年六月十日に至る間、一定の土木工事につきまして、受注予定者を決定し、受注予定者が落札できるようにしている行為が、独禁法三条に違反するという事実を認定したわけでございますが、その間におきまして、平成二年六月二十日のいわゆるステートメント公表後の事実関係につきまして、先ほど委員長から答弁いたしましたように、検察庁当局とも種々協議を重ねた上、犯罪ありと思料するに至る事実はなかったということでございます。
#136
○森本委員 余り余計なことを言わないで、聞いていることに答えてくださいよ。六月二十日の方針発表以前のものをまず調べたか調べなかったか。調べた結果、具体的なものがあったのかなかったのか。六月二十日以降を調べて、具体的なものがあったのかなかったのか。それだけ答えてください。ほかのことは要らぬ。
#137
○地頭所政府委員 会員事業者間におきまして一定のルールのもとに受注調整を行っていたということは、六十三年四月以降について認定できたわけでございます。かつ、平成二年六月二十日の方針公表後におきまして、埼玉土曜会のメンバー会社の役員、従業員等の自然人において犯罪を構成するような事実は認められなかったということでございます。
#138
○森本委員 済みません、もう一度聞きますが、六月二十日以降は認められなかったのですね。以前を聞いているのですよ。それをまだ答えてないじゃないですか。
 委員長、質問に対してきちっと答えるように言ってくださいよ。
#139
○地頭所政府委員 本件違反行為……(森本委員「六月二十日以前のものに、調べた結果具体事例があったのかなかったのか」と呼ぶ)犯罪を構成するような事実は六十三年四月以降においてもなかったということでございます。(森本委員「六月二十日以前に、方針転換以前に」と呼ぶ)以前においても……(森本委員「以前にもなかったのですか」と呼ぶ)そうでございます。
#140
○森本委員 以前もなかった、つかめなかったのですね。非常に不公平感があるのです。いろいろなところから聞いていますと、これはいろいろなところから流れてくる情報ですから、私自身が直接聞いたのじゃありませんけれども、立入検査に入ったときに会長のメモが没収されて、これは没収じゃないな、出す方だから。そしてその中に個人的メモもいっぱいあったという話も流れてきているわけです。それで、これだけの有力な審査部の人がおられて個人的、具体的なものはなかったというのは納得できない。ないようにしたんだとしか思えない。
 それから、次に質問しますが、言われているのは、ラップ業界を告発しながら今回告発しなかった、非常に不公平ではないかという話がある。ラップ業界の売上高四百億。公共工事の規模は年三十兆円。インキのカルテルも見送られて、セメントーも見送られた。ラップ業界だけが、日米構造協議の中で言われたからスケープゴートにされたのではないかということが言われているわけであります。このラップ業界と建設談合の見送りについての矛盾点を、私も疑問を持っておりますので尋ねます。
 確認いたしますが、ラップ業界を告発した際には、平成二年六月以降に犯罪ありと思料する具体的事実はあったのですか。
#141
○地頭所政府委員 あったということでございます。
#142
○森本委員 それは、第一次値上げと第二次値上げの両方にあったのですか。
#143
○地頭所政府委員 そのとおりでございます。
#144
○森本委員 では、第一次値上げに絞って伺います。
 第一次値上げでは、違反を行ったというのはどのような会合があったのでしょうか。ラップ業界の場合に行われた会合、それから第一次の六月二十日以降に犯罪としてのものがあったかどうか。
#145
○梅澤政府委員 ラップ事件につきましては、先ほど申しましたように、昨年十二月に告発し現在東京高等裁判所に係属しておる事件でございます。私どもは、先ほど審査部長が申し上げましたように、平成二年六月の方針に照らしましてラップのカルテル事件については犯罪ありと思料するに足る事実、法律構成をもって検察当局に告発をいたしました。そこでこの事件は私どもの手を離れておりまして、あと起訴事実をどういうふうに構成され、法律論をどういうふうに構成されるかというのは検察当局の問題でございます。したがいまして、今後、裁判でございますからどういう事柄が争われるのか予断を許さないわけでございまして、現実にもう事件が司法権の中に入りました以上、告発の段階における詳細の御説明についてはやはり差し控えさせていただきたいと思います。
#146
○森本委員 難しいことを聞いているのではありません。要するに、第一次の会合はいつといつあったのか、これは何も捜査に影響を及ぼすわけじゃないじゃありませんか。今まで既に出ているじゃないですか。
#147
○地頭所政府委員 告発の段階で私ども公表しておるわけでございますが、平成二年五月から七月ごろまでの間、東京都港区所在の東部ビル内会議室等において……(森本委員「日にちだけで結構、いつといつ」と呼ぶ)五月から七月の間ということでございます。審決記載の事実で申しますと、五月十五日から七月三日の本部会・役員会合同会議までの間を指しておるものでございます。
#148
○森本委員 ちょっと日にちがおかしいのじゃないですか。勧告書を読みますと、二年五月二十五日から六月二十五日までなんです。検察庁のものと間違っていらっしゃるのじゃないですか、日を。
#149
○地頭所政府委員 訂正いたします。五月二十五日の本部会から七月三日の幹部会・本部会合同会議の場までの間を指して、この間において関係営業担当責任者の間において合意が行われたことを告発事実としているものでございます。
#150
○森本委員 私の手元にある勧告書は間違っているのですか。「平成二年五月二五日から六月二五日までの一連の本部会の場及び同年九月五日から一〇月二日」、これは第二次ですが、これは間違いですか。間違ったもので勧告されたのですか。
#151
○地頭所政府委員 勧告書の主文、審決書の主文で排除いたしましたのは六月までの間における本・部会決定でございますが、その本部会決定なるものが七月三日の本部会・役員会合同会議において確認されておるということも踏まえて、関係人、役員、従業員の間に合意があったというふうに判断したものでございます。
#152
○森本委員 それでは、お尋ねします。
 六月二十五日、これは主文では六月二十五日ですが、七月三日とおっしゃるわけでございますが、六月二十日以降というのはこの一回だけですね、第一次は。これをもって第一次値上げの告発をされたんですか。六月二十五日以前のものはどうなんですか。五月二十五日からの分については。
#153
○地頭所政府委員 一連の会議を通じて合意が形成されたという判断をしたものでございます。
#154
○森本委員 一連の会合を総合的に見ての判断ですね。六月二十五日または七月三日だけの判断でされたんではないわけですね。もう一度お伺いします。
#155
○地頭所政府委員 そのとおりでございます。
#156
○森本委員 今回の埼玉談合、六月二十日以降に個人の違反の事実はないと聞いておりますが、もう一度お尋ねします。ありませんか。
#157
○地頭所政府委員 三条違反の犯罪を構成する事実はないというふうに判断したものでございます。
#158
○森本委員 ないのに勧告ができたのはなぜでしょうか。
#159
○地頭所政府委員 会社の間において一定のルールが形成され、そのルールに従って受注予定者を調整するという行為が行われたということについては、諸般の証拠から認定できたわけでございますが、その間におきまして、自然人が具体的にどのような行為をしたことが犯罪事実に当たると思料するものが認められなかったということでございます。
#160
○森本委員 法人ができて、個人ができなかったということですね。法人には目もなく、手もなく、足もなく、法人が勝手に歩いていくわけではない。四千点の書類を押収しながら、法人はできたけれども個人はできなかったんだと。何となくすっきりしないじゃないですか。これは告発しないという考え方が頭の中にあったから結果としてそういう状況になったのではないか。その個人的なものがつかめなかったから告発できないというのであれば、今後こういった談合の場合には大抵そのような状況ですから、今後談合については告発はできないということを言っているのと同じことではないんですか。
 それで時間がありませんから、私、今回の矛盾点をあなたとちょっと話してみたい。
 六十三年四月、埼玉土曜会による談合がここから始まりました。平成二年六月二十日による、談合に個人的なものが認められなかった、この前もなかったとおっしゃったけれども、四千点の書類をもってなかったということはあり得ない。しかし、ここから談合がなかったから、だから告発しませんでしたという考え方です。一万ラップのときは、第一次値上げカルテルが平成二年五月二十五日から始まりまして、平成二年六月二十五日、七月三日とおっしゃっていますが、六月二十日を超えたのはこの一回。しかし、勧告文の中にはこの一回を書いてあるのではなしに、ずっと一つ一つの会合の日にちが勧告文の中に書いてあるのです。一連、関連したものである。こちらは関連しているから、ここまで関連してきたから、そしてこれと二次値上げと関連してダブってやったからこれは告発したと言い、こっち側の場合には、個人的証拠がなかったと言い、同じようにこれは引き続いてやってきているのです。
 一方、セメントを告発しなかったときの理由は何だったか。六月二十日以前にそれは終了していたからセメントを告発しなかったと言っている。インキのときは初犯だからしなかったと言った。しかし、実際インキの中に再犯の人たちもいてるわけです。再犯の人たちがいてる。私は、この六月二十日のこの時点で方針転換を発表したことを理由に、あるときはそれを超えているからやったんだ、あるときはそれ以前のやつであったから、そういうことで私は逆に六月二十日の方針発表が告発しない理由に使われているんではないかと思えてしょうがない。その点についてどう思いますか。
 それからもう一つ、ではここの、これは今度課徴金をかけられますね。この課徴金は売り上げに計算します。売上高に掛ける計算です。ここからやられるのですか、それともここからだけですか。課徴金の計算はどうしてやられるか、聞きます。
#161
○梅澤政府委員 御質問の後段の部分は担当部長から後ほどお答えを申し上げます。
 基本的な点をおただしになっておりますので、私からお答えを申し上げることをお許し願いたいと思うわけでございます。
 独占禁止法の三条違反というのは、言うまでもなく、独占禁止法に明記してございますように、事業者でございます。埼玉の事件にいたしましても、ラップの事件にいたしましても、それは会社がいわばカルテルあるいは談合のルールに従って入札を行い、あるいは値上げを行っておる。行政処分としてはここの認定に過不足はないわけでございます。したがいまして、排除勧告をいたしたわけでございます。
 ところが、基本論になって非常に恐縮なのでございますけれども、我が国の刑事法制におきましては、法人という観念上の存在は犯罪能力なしとされておるわけでございます。したがいまして、法人が関与いたしました独占禁止法違反事件について、これを犯罪として構成し、刑事告発をするためには、自然人たる行為者が具体的にどういう行為によって関与したかという基本的事実の認定が前提になるわけでございます。
 ラップの場合は、この点過不足なく排除勧告も行い得ましたし、荊事告発も行い得たわけでございますけれども、埼玉の場合には、基本的ルールの存在は、これは疑いの余地なく存在し、そのルールに従って会社の名前において入札行為を行っておるわけでございますから、これはもう独占禁止法違反は明確でございますけれども、これを刑事責任者問うためには、繰り返し審査部長が申し上げておりますように、個人の犯罪行為としての構成事実というものが残念ながら今回の場合につかみ得なかったということで、これはいろいちな観点から検察当局とも意見交換を重ねてきたわけでございますけれども、結局今回は断念せざるを得ないという結論に到達したわけでございます。
 ただ、先ほど委員がおっしゃいましたように、それでは談合についてすべて告発できないんじゃないか。これは一番国民の信頼を裏切るし、かつ今後の独占禁止政策の運用についても大きな問題でございますので、たびたび本日この委員会で他の委員にも御説明申し上げましたように、今回の事件を契機といたしまして、当委員会の事務局と検察当局との間で談合問題に絞りましてワーキンググループを設置をし、あらゆる事案というものを想定いたしまして、今後どういった事実、どういった法律構成で臨むかということの研究を重ねる、その過程におきまして、公正取引委員会として今後談合事件に対します初動調査も含めまして審査の手法というものについて真剣に検討していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#162
○森本委員 課徴金の問題については時間がありませんから結構です。
 それで、これは後でまた私に質問の時間が後日あると思います。
 課徴金の計算をするときに、何月何日どこで、何も埼玉の売り上げ全体掛けるのじゃありません、埼玉の公共事業全体に対しての計算じゃありませんから、どの工事についてどうだったということが出て、それの売り上げに対する計算をされるのだと私は思います。そのときに何にもわからなかった、個人的事実がなかったということはあり得ないのじゃないだろうか。
 課徴金の問題は、二日になるかいつになるかわかりませんが、改めて聞きたいと思います。
 時間がありませんけれども、最後にあともう一つ聞きたいのですが、こういう状況で、公取が公正取引委員会、本当にその名のとおりであるかという状況にあり得ない、何となく疑惑を感ぜられるような状況を改めてもらいたい。公取は政府・与党に弱いとか、先ほど与党という言葉を使われましたから使いますが、いろいろなところで弱いと言われる原因はそれぞれあるかと思います。国内の消費者には強いけれども、そういった状況の特定の団体や政党に対しては極めて弱いと言われている。さらにまた、外国にも弱いと言われている。
 その弱いと言われている例の一つは、きょう公取委員長が川端さんの質問に対して、委員長が個人的に在外公館を通じて司法省に連絡をしたというふうに答えていらっしゃいましたが、これをお伝えになったのはいつなんですか。
 結論だけ聞きますが、お伝えになったのは日本で発表する前であったのではないかと私は思うのです。それは、あるテレビ局のニュースの中で、司法省のリルという人にアメリカ時間の十四日の午後七時に取材に当たった。それは日本時間の十五日午前九時ごろです。そのときのリルさんの答えは何と言っているかというと、知っていることはマスコミから伝わってきたことと、きょう受け取った通知に書いてあることのみですというぐらいなやりとりがある。委員長は日本で発表する前にアメリカに伝えられたのですか。それともこれは外務省が伝えたのですか。また、委員長がこういった大事な問題を個人的にという形でお伝えになっていいのですか、外務省を通じなくて。この辺もまた弱いと言われるところじゃないでしょうか。これを最後に御答弁いただきたい。
#163
○梅澤政府委員 これは先ほども申し上げましたけれども、本件、つまり埼玉の談合事件について米国司法省からの照会はございません。それから、日本の公正取引委員会としてこれを正式に通知するということもいたしておりません。これは当然のことでございます。これは日本政府の機関としての公正取引委員会が判断することであって、決定したことについて一々外国政府に通知をするというふうな筋合いのものではございません。
 ただこれは、先般辞任したわけでございますけれども、司法省の反トラスト局長とは構造協議その他定期協議を通じまして個人的にいろいろ接触がございます。そのときに、お互いにそれぞれで取り上げている事件、もちろん中身は入りませんけれども、事件の概要についての情報交換は当然いたします。その意味で、埼玉の事件については日本の新聞等にも事前にいろいろ報道されておりましたので、彼らは当然関心を持っておりました。私の個人的な情報提供ということをわざわざ明らかにいたしまして、ただ、ルートといたしましては、公正取引委員会が、ワシントン大使館に書記官のアタッシェがおりますから、彼を通じまして司法省に連絡をいたしました。(森本委員「伝えた日時」と呼ぶ)先ほども申し上げましたように、その内容は、日本国内における新聞発表以上のことは当然のことながらいたしておりません。時期につきましては、日本時間とアメリカ時間との関係で、恐らく時差の関係がございます。向こうの大使館の活動状況もございますので、その辺は事務局でどういうふうにあんばいをいたしましたか、私の記憶では、発表当日向こうに連絡したと思います。
#164
○森本委員 発表当月の朝だったと思います。
 いろいろ申し上げましたが、公取さん、大いに頑張ってもらいたい、そういう思いで申し上げた次第でございます。
 質問を終わります。
#165
○武藤委員長 大畠章宏君。
    〔委員長退席、竹村委員長代理着席〕
#166
○大畠委員 日本社会党の大畠章宏でございます。
 私は、今回提出されました独禁法に関する改正案の政府案の内容は、今日の国際的な観点からも極めて不十分な内容であり、その内容について再検討をすべきである、そういう考えを持っております。そういう意味からしますと、今、私ども日本社会党の対案といいますか、独禁法の改正案を同じように提出しておりますけれども、この社会党の提出いたしました独禁法の基本的な観点というものをベースとして、今回出されました政府の独禁法改正案の内容について種々御質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、今いろいろ御質問が前段でございました。先ほどいろいろ御答弁されました公正取引委員会の現在の姿勢で、本当によく言われます世界の中の日本、流通も、そして情報も、もう世界的な形になっておるのですが、日本の国内では、何とか公取の姿勢でごちょごちょとやっていればいいのかもしれぬ。しかし、アメリカやヨーロッパの社会から見た場合のこの日本の国内での市場の透明性、そして取引の公明正大な姿勢というものを求められているその今日の状況において、今公正取引委員会の委員長が説明されましたけれども、今の説明を果たしてアメリカの国民は、ヨーロッパの国民は納得するでしょうか。もちろん日本の国民も納得できないと思いますね。
 そういう意味から何点か御質問をしたいと思いますが、まず公正取引委員会としての独禁法の基本的認識を少し伺いたいと思います。
 今アメリカと日本の間の貿易赤字、黒字の問題が大変大きくなっておりまして、アメリカでは何とか輸出をふやそう、強硬な手段を使ってでも日本に輸出をしようという傾向が強まっております。日本の古い体質が、取引問題、今もいろいろありましたけれども、そういう閉鎖的な市場というものがアメリカの輸出機会を非常に奪っているのじゃないか。そういうことから、アメリカも日本に対して非常に厳しい姿勢をしているのじゃないかと思うわけであります。
 そういう問題のときにそういう中途半端な対応をしているならば、アメリカの国内法を日本にかぶせるよ、そういう非常に内政干渉的な発言までしているわけであります。そういう国際的な状況の中で、今日本の中で、昨年も独禁法改正をやりました。今回も独禁法改正案が提案されました。果たしてそういう内容がそういう国際状況にマッチしているのか。先ほど自民党の賛成を得られなければ法案が通らないと言いました。野党の方の調整はしませんでした。私はそういう状況じゃないのじゃないかと思うのです。まさに自民党と公取との談合が成立した今回の改正案だという感じがするのですが、そういう内容で本当にこれから日米構造協議、アメリカのいろいろな関係者も来るのでしょうけれども、果たしてそれで対応できますか。私は、そういう基本的な公取を取り巻く環境が非常に厳しいことはわかるのですが、果たして今のような、できるだけやっているのですという対応だけで、これからの国際化の中での日本のこの透明感ある市場というものをつくるだけの土壌に本当になるのかなという感じがするのです。
 そしてまた、実際に米軍の横須賀、横田基地の工事に対する入札談合事件では、アメリカからの通報を受けて公正取引委員会が摘発したという事例もありますけれども、いわゆる独禁行政というのは自国だけ、日本の国の中だけを考えていればいいという時代は過ぎた。例えば、すぐれた外国製品が日本国内に入ることも日本の消費者にとっては大変益になるものでありますし、そういう意味ではアメリカ、ヨーロッパ、そして日本の独禁行政というのがまさに連携しながら同じような透明感ある市場をつくろうという、手を結んで行動すべき時代に入っているんじゃないかと私は思うのです。
 そういう意味では、先ほどのいろいろな話がございましたけれども、独禁行政が非常に甘い。日本という土壌に甘え過ぎているんじゃないかと思うのですが、公正取引委員会の委員長としてそういう国際情勢をどうとらえているのか。あるいは、公正取引委員会を取り巻く環境は厳しいことはわかりますが、果たして自民党と調整するといいますか、自民党との間の関係だけでこの独禁法というものを改正してアメリカやヨーロッパと五分の姿勢で渡り合えると考えておられるのか、そこら辺の認識をまず伺いたいと思うのです。
#167
○梅澤政府委員 経済がグローバル化してまいりまして、特に世界経済における我が国の経済的地位が急速に高まっている今日、競争政策につきまして、国際的なハーモナイゼーション、国際的な政策協調がまず要請されておるという認識については委員御指摘のとおりでございます。
 大変難しい話を申し上げるようでございますけれども、ただ各国の市場慣行というのはそれぞれ歴史的、社会的背景のもとで形成されてきたものでおる。同時に、それを規制する制度もまた各国によって異なっておるわけでございます。例えば、カルテルの抑止について申し上げますればもう御承知のとおり、米国ではすべて刑事訴追によってこれを対処する。ヨーロッパにおきましては我が国の行政罰に性格的に近い制裁金によってこれに対処しておる。我が国の場合は課徴金と刑事罰によってこれに対処している。したがって、今大事なことは、各国の制度はそれぞれ違うわけでございますけれども、それぞれの違う制度の中で各国が対応している姿勢がお互いに共通の理解に達するということが必要でございまして、アメリカの制度に日本の制度がぴったり洋服が同じであるようにする必要はないわけでございます。したがいまして、課徴金の引き上げと、今回お願いをしております刑事罰の引き上げによって総合的な抑止力として、我々はこれを各国に当然、制度化されれば示されるわけでございます。
 その場合に、今回お願いしておりますのは、独占禁止法の八十九条に限定をいたしまして引き上げをお願いしておみわけでございますけれども、これを絞ったという点については、二年前にアメリカがシャーマン法の刑事罰を十倍に引き上げました経緯、あるいはヨーロッパにおいてカルテル等についての運用を強化しているという状況から見ますと、今回我が独占禁止法が八十九条に限定をしてここの刑事罰の引き上げをしたということについては、各国は相応の理解を示すと思います。ただ、この罰金刑の水準につきましては、これからも各国といろいろ議論が生じるでありましょう。それは、昨年お願いをいたしました課徴金の水準自体につきましても、アメリカと我々やりとりをしたわけでございます。しかし、日本の国家意思としてこれが制度化され、これが整々と制度運用として実効を上げていく過程において、私は必ずや各国とも日本の独占禁止政策の姿勢というものについて理解を示すというふうに確信をいたしております。
 例えば、日米構造協議等におきましても、協議当初のアメリカの認識と今日の時点におけるアメリカの認識というものは非常にさま変わりしておると私は思います。それは、一つはその間における我が国の対応ということがございましたし、同時にアメリカも日本の市場慣行なり独占禁止法の内容そのものについて非常に誤解している点もあった、知らない点もあったということについての認識も深まったという点もあるわけでございます。
 ただ、委員が御指摘になりましたように、単に国内に着目するばかりでなくそういった国際的な協調の背景のもとに我が独占禁止政策はいかに対応すべきかという視点は常に必要なわけでありまして、今回政府案の立案に当たりましての調整過程におきましても、私どもこういった国際的な背景といったようなものも十分説明をしながらただいま御提案を申し上げている内容のものに結論的に到達したということでございます。
#168
○大畠委員 委員長も一つの独禁行政の夢といいますか、ビジョンを持っていらっしゃると思うのですが、それが政権政党の理解を得、調整をしなければなかなか党が提出されないという意味では、非常に複雑な心境もあるんじゃないかなと思うのですね。
 今私は思うのですが、日本のいろいろなシステムというものが変化をするときに、非常にその変化に対しては保守的な傾向があります。しかし、日本が弱いのは、外から攻められると非常に弱いのです。いろいろな問題も、内側から何か変えようとするとなかなか変わらない。しかし、外側から攻められると何となく急に、ではこの問題に手をつけなければならないかということでだっと動く、そういう傾向もあるし、この独禁法改正問題についても日米構造協議が一つのきっかけになっているということはまずどなたも否定されないと思うのです。
 そういう意味からすると、公正取引委員会の委員長としてこういう独禁行政をやりたいというビジョンがあれば、アメリカやヨーロッパそして政府の与党だけではなくて野党にもその理念、理想というものを出せばいいじゃないですか。アメリカの理解を求め、ヨーロッパの理解を求め、そうすると何でおまえ与党の方に相談しないであっちの方に言っているんだ、そういう指摘を受けるかもしれません。しかし、いいいじゃないですか。いい日本になれば、いい行政のシステムになればそれでいいじゃないですか。与党だけと話をして、先ほど失礼な話かもしれませんけれども与党と談合をしながらの独禁行政というのは私はそろそろ終わるべきだと思うのです。まさにそこにメスを入れない限り日本の独禁行政の根本的な改革というのはできないと思うのです。したがって、先ほど一生懸命熱心に公明党さんも努力されました。公明党さんも各野党もこの独禁行政、日本の政治について考えているのですよ。自民党だけが考えているわけじゃないのです。したがって、五一%の議席を持っている党とだけ話をすればいいというその公正取引委員会の基本的な姿勢を改めない限り、私は日本の独禁行政、国民が求めるような独禁行政にならないのじゃないかと思うのです。
 今回いろいろお話しして政府と折り合ったこの改正案というものを出してきましたけれども、これで本当に公正取引委員会の委員長としてこれからアメリカやヨーロッパそしてまた日本国民に対して胸を張ってこれが最終の改正案なんですということが言えますか。また来年も出すことになるんじゃないですか。あるいはことしの暮れにも出すことになるんじゃないですか。どうですか。そこら辺の腹づもりといいますか、今回の改正案に対する自信のほどを聞かせていただきたい。
    〔竹村委員長代理退席、委員長着席〕
#169
○梅澤政府委員 最後の御質問の前に前半委員が御指摘になりました点につきましては、今後我々の行政運用に当たりまして十分参考にさせていただきたいと思います。
 それから、今回の案につきましては、これは政府案としてただいま提案しておるわけでございまして、ぜひこの国会で成立をさせていただきたいというのが私どもの念願でございます。成立しました暁には、先ほど来申し上げておりますように課徴金と刑事罰の総合的抑止力の面からいって、今回の我が国の独占禁止法の刑事罰の改正は我が国の独占禁止法の歴史から見ましても非常に大きな前進であるということを部分的に彼らも評価をすると思います。ただ、罰金の水準につきましては今後いろいろな議論を彼らとしなければならないかもわかりません。しかし、それはあくまで日本政府の決定でございますので、私どもは粘り強くそういったことをアメリカから質問を受ければ説明をしてまいりたい。
 将来の問題ということでございますけれども、私どもは今の政府の提案を、とりあえずこれを成立させていただきたいということをお願いをいたしておるわけでございますので、これは一般論になって大変恐縮でございますけれども、およそ制度というものは、改正された後その執行状況等から見てまだ必要な改正というものが生じ得るということは、当然将来の問題として予想されるわけでございますが、ただ、その場合も、アメリカに言われたからさらに慌ててそれを引き上げるというふうな措置は日本政府としてとるべきではない。あくまでそれは日本政府の判断として、あるいは日本の国会の御判断として、そういった時期がございますれば、それはあくまで日本独自の判断として行われるべきものであろうと考えております。
#170
○大畠委員 そういう気持ちであってほしいと思うのですが、これまでの流れから見ると、国内ではなかなかこの改正も難しい、しかしアメリカから圧力がかけられると何だかんだ言いながら動き出すというのが、どうも私は最近の傾向ではないかと思うので、ぜひ今お話がありましたとおり、日本として、日本の独禁行政としてこうやっていきたい、あるいはぜひこういうものを実現したいという、そういうものをもうちょっと、委員長の胸のうちだけじゃなくて、見てください、ここだって、議員席があれですけれども、大体半分ちょっとが自民党さんで、あとこっちは野党なんですよね。したがって、五一%か五二%かわかりませんけれども、そことだけでお話をする時代は終わらせていただいて、ぜひこっちの方に座っている、きょう出席のメンバーだけでいくと野党の方が人数が多いわけでありますが、いずれにしても、そういうことを考えてもぜひトータル的に、中立的に考えて、与党や野党や本当に独禁行政を真剣に考えているメンバーにぜひ胸のうちを明かしていただいて、ともにあるべき姿勢を、あるべき行政をつくるような姿勢をまず示すことが、私は公取としても必要じゃないか。これはぜひ委員長に申し上げておきたいと思います。具体的な社会党案と政府案との差について幾つか申し上げたいと思うのですが、一つは、先ほどいろいろ御指摘がございましたけれども、この一億円という引き上げ額、私たちは五百万を一億円に引き上げてはいかぬということを言っているわけじゃないのですね。不十分じゃないか、アメリカやヨーロッパの状況を見てもその点として不十分じゃないかということを申し上げているのです。いろいろ漏れ承りますと、答申としては数億円、そして公正取引委員会としては三億円ぐらいということで自民党さんに提示をした。そうしたらいろいろ、それは高過ぎるじゃないか、企業がきつ過ぎるよ、そういうものに該当したときにその企業がつぶれてしまうのじゃないか、いろいろな配慮から一億円程度ではどうかという話で、それではということで委員会に持ち帰って、一億円ぐらいではどうでしょうかというので一応了承を得た、いわゆる刑事罰研究会の方にその旨を話して皆さんに了承を得た、そういう答弁を梅澤委員長はされておりますが、この刑事罰研究会というのはそんなものなんですか。調整に行ったら数億円じゃなくて一億円、一億円でどうですか、一億円ぐらいがまあぎりぎりのところなんですが、これで何とかしてください、それでこの刑事罰研究会というのはわかりましたという、そういう感じの、グレードの刑事罰研究会なんですか。みんなが、これは約一年ぐらいかけてやったでしょう。一年ぐらいかけて一生懸命やって、一致億円が日本として適切だという結論を出したんじゃないですか。その結論を出したものが、行ったり来たりで、そして一億円に下がってしまう。これはどうも私は刑事罰研究会に加わっている研究者の皆さん、参加して一生懸命に日本の市場を、日本の国というものの将来を考えながら、こうしなければならないという答申書を出した人にとっては、委員長も非常に大きな責任だと思うのですが、余りにもこの研究会の一年間の行動というものを軽視しているんじゃないですか。私は非常にその点について、少し委員長のこの件に対する認識というものをお伺いしたいと思うのですが。
#171
○梅澤政府委員 研究会の存在の重み、この作業の結果の重みというものは、ただいま委員が御指摘のとおり私どももそういうものとして受けとめております。特にほとんどが学者でいらっしゃいますし、お一方は刑事政策の実務専門家でございますが、いずれも権威のある方々がおよそ一年をかけてお出しいただきました結論でございます。
 基本的な方向、つまり両罰規定の連動の切り離し、それから八十九条に限定して引き上げるということについては、研究会のお示しいただいた方向で作業が進んでおるわけでございますけれども、最終的な罰金の水準については、研究会では法人と自然人との資力の格差あるいは外国法制あるいは課徴金といったもので総合的に判断をするという基本的な方向をお示しの上、ただ事柄の性質上一義的な金額水準というものを、いわばアプリオリに示すべき性質のものではなかろうということで、数億円という幅をいただいて、この中で政府が制度改革に臨みなさいということであの報告をちょうだいしたものと私どもは考えております。
 ただ、その後各方面との調整の過程で、先ほども申し上げましたけれども、一つは従来の両罰規定の水準を基本的に切り離すということでございますから、我が国の企業刑事法制にいわば抜本的な変更を加えるという大きな制度改革でございます。二つ目は、これは独占禁止法固有の問題といたしまして、一年前に国会にお願いをいたしまして、課徴金の水準を大幅に引き上げたばかりである、これに対する不安感といいますか、御批判というものが非常に強くございました。それから三つ目は、特に中小企業の方々が、これは我が国事業者のうち、数では圧倒的多数を占めておるわけでございますけれども、やはり五百万円という水準から億単位の水準に罰金が引き上げられるということにつきまして、不安感あるいは恐怖感に近いというふうないろんな御意見があったことを、私自身も肌に感じておるわけでございます。
 そういった情勢を研究会の先生方にもう一度御報告申し上げまして、この報告どおり数億円という水準が現状においては制度化できません、したがいまして政府としては実現可能な水準としてこの一億で臨みたいと思いますが、先生方のお考えを率直にお伺いしたいということで、改めてお諮りをしたわけでございますが、そのときの研究会の先生方は、もちろんこの報告書どおりの方向で、水準まで含めて制度改正が行われるということが望ましいけれども、それでは現実の世の中の理解の熟度から見て、これが実現が難しいという場合に、この数億円の規模ができなければギブアップするのか、あるいはかなり大きな前進として一億の水準でやるのがいいのかということについては、むしろこの際やむを得ないにしても、制度改革に一歩踏み出してください、それで政府がそういう決定をすることはやむを得ないというお答えをいただいておるわけでございます。そういった経緯でもって、現在の政府案というものを作成し、現在お諮りをしておるわけでございます。
#172
○大畠委員 今の話を伺ってますと、まさにもう公取も非常に視野が狭い範囲内で考えている、いわゆる公正取引委員会と自由民主党の政府・与党との関係だけで、小さなところで何とか折り合いがつくところという、そこに打っちゃったんですね。でも、本来もう先ほどの、前段で申し上げましたとおり、国際的に日本の市場というものがどう透明性があるのか、これを求められているのですね。日本から優秀な製品がたくさん輸出されます。しかし、海外にも優秀なすばらしい商品がある。これをやはり日本の消費者は求めている。こういう意味で、フェアな状況ならばアメリカの製品もヨーロッパの製品も、おれたちも日本に売れるんだ。相互に自由な貿易というものをしてほしい。どうも貿易黒字の原因というのが日本の閉鎖的な体質にあるのじゃないか。これをアメリカが強く求めているのです。
 そういう状況の中で、公正取引委員会が刑事罰研究会と与党との間を行ったり来たりして、このくらいではどうでしょうか、いやまずい、じゃこのくらいだと何とかなりそうなのですが。そんなことをやっている場合じゃないと私は思うのですよ。
 したがって、公正取引委員会の委員長が、あるいは下の方でもいいのですが、我々としては日本の市場に対してこうしていきたい。先ほどちょっと私申しましたけれども、アメリカ、ヨーロッパの独禁行政ともお互いに連携をとりながら、この程度に我々はしだい、ぜひいろいろな面でバックアップしてほしい、そういうものでも情報を発して、あるいは野党の方にも協力を求める。そういうふうにしていけば、今のような形の決着にならないんじゃないか。もうちょっと頑張って、この理念を貫いた数億円という程度に持っていくこと、これを私はやるべきだったんじゃなかったかと思うのです。
 そういう意味では、今梅澤委員長のお話を伺いましたけれども、非常に視野が狭い。もっとグローバルな、あるいは自分の理念を通すためにはどうしたらいいか、与党だけが視野に入っている状況じゃなくて、野党やアメリカ、ヨーロッパ、自由市場、経済あるいは自由な貿易を求める世界的な傾向と手をつないでやっていくんだという姿勢をもっと持っていただきたいと私は思います。
 社会党の方では既に、御存じのとおり、個人の正味資産との比べあるいは時価に換算する云々で、基本的に企業の純資産は個人の正味資産に比べて単純計算で約五十倍、時価に換算すると約百七十倍というような数字もありますし、そして過去五年間の平均で九十二倍ですとか、いろいろな数字があるのですが、そういうものをベースとして私たちは百倍というものを法案の中に組み込みました。まさに私はそういう罰金の額としては社会党案のこの百倍、五億円というものが、非常に理論的にもあるいは世界的にも通用する数字だと思います。ぜひこの件についても、私は政府から出された改正案についても見直しをすべきであると思います。この件については指摘をして、次の質問に移りたいと思います。
 次の質問は、再販指定の範囲の状況でありますが、私どもはこの再販指定の問題についても見直しをすべきである。日本のこの状況がアメリカやヨーロッパのシステムと比べて非常に閉鎖的である。したがって、もうちょっとオープンにすべきだということで、書籍等を除いてはもうオープンにしてはどうか、再販の対象から外してはどうかということを提案しているわけでありますが、この件について、公正取引委員会の委員長としてどういうふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
#173
○梅澤政府委員 いわゆる指定再販につきましては、御案内のとおり、一般用医薬品それから千三十円以下の化粧品、それぞれ二十数品目ずつが従来適用除外として指定商品にされておったわけでございますが、この問題につきましては、昨年来、この指定再販商品というものがやはり消費者にとって弊害が大きい制度でありますので、これを見直すという作業を進めてまいったわけでございます。
 先般これについて私どもが出しました結論は、医薬品については出荷ベースでおよそ七割、化粧。品については出荷ベースでおよそ四割のものを今回指定を廃止するということでございます。残余の品目につきましては平成十年中に見直しを行う。
 それで、言うまでもございませんけれども、適用除外でございますので、この制度自身はいわば政府規制の一変形でございます。したがって、これを廃止するということは、いわゆる市場原理に乗っけるということでございますから自由化ということになるわけでございますが、この自由化をするに当たりまして、一挙にこれを自由化するということについては相当困難が伴うという結論に到達したわけでございます。
 と申しますのは、我々この作業を進めるに当たりまして、事務局がかなり詳細な実態調査を行い、その資料に基づきまして昨年十二月、これは消費者のみならず事業者、学識経験者による公聴会等も開き、各方面の御意見等も伺ってまいったわけでございますけれども、基本的に一番問題と私どもが考えましたのは、今これを一挙に廃止をいたしますと、この再販制度を前提にしております一般医薬品なり化粧品の流通秩序に相当混乱が起こる。
 これは、化粧品を例にとって申し上げますと、我が国の場合流通、特に小売段階に非常に問題が多いわけでございます。というのは、化粧品について小売の零細な業者の数が非常に多い。先ほども他の委員に御説明申し上げたわけでございますけれども、化粧品につきまして化粧品人口という概念がございますが、これは満十五歳以上六十五歳未満の女性、これによってそれぞれの化粧品需要をはかる物差しにして各国比較をするわけでございますけれども、非常に大ざっぱな数字で言いますと、我が国の化粧小売店の抱えております化粧品人口はおよそ千人でございます。これがフランスになりますとおよそ日本の六倍、ドイツに至りましては日本の大体十二倍ぐらい。ということは、これは逆比例でございまして、この人口が少なければ少ないほど、それに逆比例して店舗の数が非常に多いということになるわけでございます。
 したがって、これを今一挙に廃止いたしますと、この再販指定商品というのは、小売の経営の観点から見ますると、価格が安定しておる、マージンも保証されておるということでございますので、これを全部廃止するということについては、相当の混乱が起こるし、この小売業界も非常に不安を感じるだろう。同時に、これだけ数が多くて、しかもこの数が一向に減らないというのは、いろいろな分析がございますけれども、その重要な原因の一つとして、再販制度が存在しているがゆえに非常に安易な非効率的な小売業者の参入が行われてきたということも否定できないと思うわけでございます。
 したがって、これをまず段階的に自由化をしていく。同時に、平成十年完全自由化に向けて我々もこれから作業をする。むしろ、そういった展望を与えることによってその間、現在小売業を営んでいる方が自由競争になれる期間でもあるし、経営基盤を強化する準備期間でもある。同時に、今まで仮に再販制度あるがゆえに安易に参入してきた非効率な小売業というものはそこで阻止できるだろう。
 したがって、私どもはこの段階的自由化という方向で今回結論を出したわけでございまして、社会党の御提案になっております基本的な考え方は私どもも十分理解できるわけでございますけれども、今これを一挙に廃止するということについては、経済政策として私は、競争政策と経済政策の整合性を図りながら、できることを実現していくという観点からすれば、やはり私どもの先般決定いたしました方向でぜひ進めさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
#174
○大畠委員 今の基本的な考え方については、私は理解したいと思いますが……。
 いずれにしても、要するに、国内も見なければなりませんけれども、海外の状況も見なければいかぬというので、大変だと思うのですが、今、平成十年にはそういう状況については諸外国とほぼ同等にしたいという話がございましたけれども、ぜひその姿勢で取り組んでいただきたいと思います。
 それから、内閣官房の参事官がおいでになっていると思うのですが、公正取引委員会の委員構成、これについては後ほどまた小岩井委員からも質問があると思いますが、現在の公正取引委員会の委員構成においてお役人出身が多過ぎるのではないかという指摘がございます。梅澤委員長がおいでになる前で申しわけないのですが、ちょっと耳をふさいでおいていただきたいと思いますが、歴代の委員長の出身母体をずっと見ますと、現在のところ三分の二が大蔵省出身、そして現在の委員四人も全員が大蔵、通産などの官庁出身者という現状があるというのも事実であります。どこ出身者だからいけないということではないのですが、こうなってきますとやはり知っている人との関係においてはなあなあじゃないかとか、何かそういう関係ができつつあるのじゃないかと私は思うのですね。そういうことから、今公正取引委員会も世界状況の中で非常に頑張っている姿勢はわかりますが、それはちょっと別におきましても、基本的に国民から見て公正な行政を行っている、そういう信頼を得るためにもそろそろ現在の五人とも全員が官庁出身者という事実に対してメスを入れるべきじゃないか。我が党は、少なくとも三人は、委員長も含め過半数はそういう雰囲気が強くない人を入れよう、そういう基本的な姿勢で対案を出しているわけでありますが、その点についてはどのような御認識でおられるのかお伺いしたいと思います。
#175
○梅崎説明員 お答え申し上げます。
 公正取引委員会の委員長及び委員の出身につきましては、先生御指摘のとおりであろうかと思います。これは、公正取引委員会の行政そのものが経済の広範な分野におきます事業者の活動を対象といたしまして、かつ処分に当たりまして準司法的な手続がとられるというようなことから、法律、経済に関する豊富な知識と高度な専門性が必要とされるというところから、法律上も「年齢が三十五年以上で、法律又は経済に関する学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が、両議院の同意を得て、これを任命する。」ということになっているわけでございます。このような観点から委員長及び委員につきまして実務に詳しくかつ公正な判断をし得る適切な人材を人選したということで、結果的に公務員出身者が多くなっているというのが実態であろうと思います。これはすなわち、長い行政官庁での経験を通じまして法律、経済に関する豊富な知識経験を有していること、またこれによりまして独占禁止法に定めます公正取引委員会の権限の行使、そのほか公正取引委員会の任務の遂行に当たりましても公正な判断がなし得るとえられる、期待できるというようなところから、両議院の同意を得まして結果的にこのような構成になっているということであろうかと思うわけでございます。
 そこで、先生御指摘の一定の行政機関あるいは事業者、事業者団体の出身者の委員長あるいは委員への就任を制限するということ、すなわち委員長及び委員の資格要件の加重の問題でござけますけれども、ただいま申し上げました法律、経済に関しまして豊富な知識あるいは高度の専門性を有する者の中から適切な人材を広く選ぶという点から考えますと、必ずしもそういう加重というのが好ましいものではないのではなかろうか、こういうぐあいに考えているところでございます。
#176
○大畠委員 今全然意味がわからないという声が聞こえましたけれども、私も今聞いていてよくわからないのですね。長年の間に結果的にそうなってしまったということだと思うのですが、この長年の間に結果的にそうなってしまったというのが、先ほどの話じゃありませんけれども、世界的な国の間の貿易をなるべく自由にやろうじゃないか、自由競争のもとにいろいろお互いに切磋琢磨してやろうじゃないか、そういう中での日本の公正取引委員会というものの位置づけから考えると、一生懸命いい方を選んだ結果そうなってしまったのですということかもしれないけれども、それがもう一度視野を広げてみたときに果たして本当に同じような形になるかどうか。内閣の方でそういう人選をするのですが、そういう人選の経過というのは国民にわかりませんからね。アメリカもヨーロッパもわかりませんね。そうすると、その内閣の中で人選するときにどういう方を対象にやっているのか。官庁出身の人しか優秀じゃないと言われるのかもしれませんけれども、民間にも優秀な方がおられるし、学者、文化人にも大変優秀な方がおられます。もちろん梅澤委員長も優秀な方でありますが、もっとその対象を広げてみること、内閣だけじゃなくて、日本だけじゃなくて、地球儀でも眺めながら一体日本の公正取引委員会というのはどうあるべきか、あるいは日本国民から、野党から、与党から、アメリカやヨーロッパから見て、一体この公正取引委員会というのはどういう視点で眺められてい月か、そういう視線を感じながら人選を進めなければいかぬと私は思うのですね。自分たちで考えた結果、最高の人がこの人でした、さあ理解してくださいと言われても、本当かな、どういうところからこうやって五人とも官庁出身なんだろうという疑念はやはりぬぐえないんじゃないですか。本当にそうかどうかと言ってもなかなか答弁は難しいと思いますが、そういう視点から今後の公正取引委員会の人選においてはやるべきだと思うのです。再度、もうちょっとわかるように説明していただけませんか。国民に対して答弁してください。
#177
○梅崎説明員 ただいま先生の御指摘のような、例えば我が国の経済の国際化の問題であるとか、その中での公正取引委員会に対する活動の期待であるとか、そういうようなことを踏まえまして適切な人材が委員長あるいは委員に任命されていくように考えていくのは当然のことだと存じます。私が先ほど申し上げましたのは、そういうような公正取引委員会の任務あるいは置かれている状況を踏まえながら、その都度、その都度適切と思われる人たちにつきまして内閣におきまして人選し、国会の同意を求めて任命が行われてきたわけでございまして、先生おっしゃいましたような観点を一切無視して内閣が人事を行ってきたものではないというぐあいに考えております。
#178
○大畠委員 いろいろな観点から一生懸命人選されたと思うのですが、その結果が国民から見て、日本で五人しかいないのですから、その五人のメンバーが本当に広い視点のもとに公正な日本の市場をコントロールするといいますか、大変重要なセクションを担うわけでありますから、そういう人を選んだなということがわかるようにシステムをすべきだと私は思うのですね。例えば日本の中で五人選びましょうというときに目につくのは、やはりここにいる人なんですね。やはり身近にいる人、内閣の近くにいる人。あの人も優秀だ、この人も優秀だ、あるいはもっと、例えばこの部屋の中から二人あるいはその外から三人という枠ができれば、今度はこの中から二人は、あの人が優秀だし、またこの人、そして枠以外からというとどういう人がいるか、じゃ一生懸命候補者を集めよう、あそこの大学の先生も一生懸命この問題について取り組んでいる、ある企業のそういうところで一生懸命頑張っている人もいる、二、三百人候補者を選んで、面接するかどうかわかりませんが、いろいろな関係からやって、じゃ三人の方、そしてこの中で一人委員長を決めよう、そういうことだってできると思うのですよ。そういうものがなければやはり安易に、悪い言葉で言えば談合的に、この中でじゃあなた次やってくれませんか、そういうことをやっているんじゃないかという思われ方をしても仕方がないんじゃないですかね。だから私どもは、失礼な言い方があったら謝りますが、この五人のうち三人はこの部屋の外の人を選びましょう、そういうことを法案の中で提言しているのですが、こういう考え方についてどうですか、間違っていると思いますか。
#179
○梅崎説明員 一つの御意見であろうとは存じますけれども、公正取引委員会の任務を考えますと、法律、経済に関する多くの知識と高度な専門性が必要とされるということがございますので、そういうような適材を広く選ぶという観点からいきますと、二足の官庁であるとかあるいは企業であるとか、そういうようなところの経験している者を排除するというところは、広い人選をという観点からいきますと余り好ましいものではないのではないかというぐあいに考えておるところでございます。
#180
○大畠委員 この問題についてはなかなか答弁も難しいと思いますので、私どもはそういうシステムにすべきでないかということで法案の中に入れているわけであります。したがいまして、今回の独禁法改正案についても、この根本的な問題にメスを入れない限り、私は国民から信頼されるあるいは世界から信頼される独禁行政というものにならないのじゃないかという観点で指摘をしていきたいと思います。
 それから、公正取引の関係の裁判所のあり方でありますが、これはいわゆる東京高等裁判所しかないということなのですが、いろいろ裁判所の方も勉強されて各地方の高等裁判所でももう十分対応ができるのではないか、逆に言えば、公正取引委員会で一生懸命対応をしてそれを裁判所の方に持っていこうとしても、北海道あるいは九州、沖縄の方から東京高等裁判所に持ち込むというのはなかなか大変でありますし、そういうことから考えますと、もっと地元の高等裁判所で対応ができるように改正をすべきじゃないかということで私ども社会党案に織り込んであるのですが、この件についてどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
#181
○梅澤政府委員 ただいま社会党の改正案で御提案になっている問題につきまして、平成二年六月でございましたが、平井教授を座長にいたします損害賠償制度研究会で御検討をいただきました。そのときの研究会のお考え方を若干御披露申し上げますと、「二十五条訴訟が、公正取引委員会の審決の確定を前提として提起されるものであり、また、専門的かつ統一的な判断を必要とする独占禁止法違反行為に関して提起されることにかんがみ、これを一つの裁判所」これは現実には東京高等裁判所でございますが、それが集中して審理、判断することによって被害者に対し救済を迅速に与え得るようにすることにあると考えられる。しかし、専属管轄の見直しについては、損害賠償制度の活用を積極的に図るという観点も念頭に置き、ただ、この研究会の報告書でも指摘されておりますとおり、他の専属管轄制度、これは御案内のとおり刑事訴訟、それから私どもが審決を下しました場合の行政訴訟、これはいずれも全部東京高等裁判所の管轄になっておりますので、これらの三つの管轄というものをどう考えるのか、そういった点を総合的に勘案して「その当否を含め、将来の問題として慎重に検討されるべきものと考えられる。」という御結論をいただいております。
 私どももそういった観点から、ただいま御提案になっております問題につきましては、刑事管轄それから行政管轄も含めまして、将来その当否も含めて検討されるに値する課題であるという認識は持っております。
#182
○大畠委員 アメリカ、ヨーロッパの例を見ましても、これから市場が非常に拡大され、あるいは国家間の貿易がどんどん進むという状況になりますと、本来公正取引委員会が仕事が忙しいということは余りいいことではないかもしれないけれども、私はこういったぐいの問題はたくさん起こってくるのじゃないかな、そういうことを考えますと、一カ所の高等裁判所だけで対応するのだ、そういう状況じゃなくなる。もっとタイムリーに、スピーディーに審査、審理が進むという環境をつくることも大変重要だと思いますので、今梅澤委員長の方から、これからもそれは考えていかなければならないという話がありましたけれども、ぜひ積極的に御検討いただきたいと思います。私どもの法案の中では、そういう観点から東京高等裁判所だけというのじゃなくて地方の高等裁判所にもぜひ裁判する範囲に含め谷へきじゃないかということで、提言といいますか、法案の中で織り込んでいるということを申し上げたいと思います。
 以上、社会党案と政府案との主な違いについて続いて御質問してきたわけでありますけれども、次に、先ほど取り上げられました埼玉の土木に関する談合事件について、少し事実関係について申し上げながら確認をしてまいりたいと思います。
 私の手元には、五月十五日付の勧告書、これは公正取引委員会で出されたものがございます。それから、この談合事件に関する公正取引委員会と同じように詳細な「埼玉県所在の土木工事業者に対する勧告等について」という報告書がございます。そういうもの一をベースに幾つか残り時間ちょっと質問させていただきますが、まず、私はこの報告書を見てこんなことがあるのかなということで非常に驚きました。ちょっとその一部を申し上げさせていただきますが、先ほどいろいろ御質問がありましたので皆さん御存じだと思いますけれども、土曜会、埼玉県からの土木工事を一手に受注するような感じで六十六社が土曜会をつくっております。この土曜会の内容を読ませていただきますと、本当にびっくりするような内容であります。
  土曜会会員は、埼玉県が指名競争入札の方法により発注する土木一式工事のうち土曜会会員が複数指名されることが予想され、かつ、自社が受注を希望するものについて、あらかじめ、工事ごとに、工事箇所、工事名、自社名、近隣の自社の工事実績等を記載したPRチラシを作成し、土曜会に提出する
二番目、
  土曜会会員は、埼玉県が土曜会会員を複数指名して指名競争入札の方法により発注する土木一式工事については、あらかじめ、受注を希望する会員の中から、受注予定者を決定する
三番目、
  土曜会会員は、受注予定者の決定に際し、必要に応じ、指名を受けた会員により点呼若しくは研究会と称する会合を開催し、又は受注を希望する会員の間で会合を開催するなどして話合いを行う
四番目、
  土曜会会員は、受注予定者の決定に当たっては、PRチラシの提出の有無、提出の時期及び記載内容の正確度、当該工事に関連する過去の工事実績等の要素を勘案する
五番目、
  指名を受けた土曜会会員は、入札価格を相互に連絡することにより受注予定者が受注できるよう協力する旨の合意の下に、埼玉県発注の特定土木工事について、あらかじめ、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。
こういう五つの事実に関する認定が報告されているわけでありますが、この内容に間違いはございませんか。
#183
○地頭所政府委員 間違いはございません。
#184
○大畠委員 そして、その上に「工事を受注した者は、必要に応じ、土曜会の役員等の助言により、「救済」と称して、受注を希望していた受注予定者以外の会員又は一定期間受注実績の無い会員に、当該工事の一部を施工させていた。」、そして、この内容でもって「埼玉県発注の特定土木工事のほとんどを受注していた。」という内容でありますが、この五月十五日、こういう勧告書が出されまして、六月十日にこの土曜会というものを解散しています。そして、先ほど梅澤委員長からいろいろございましたけれども、そういう実態について認識をしたのだけれども告発をしなかった、先ほどいろいろお話がございましたけれども、この公正取引委員会の方針を公表した六月二十日以降における事実においては、そういうものを解散したというので「告発を相当とする具体的事実を認めるに至らなかった。」ということであります。先ほどもいろいろありましたけれども、これからもそういうことがあった場合に、こうやって五月十五日に勧告書を出し、六月十日に解散をし、六月二十日に云々したらその前に解散していたのでこれは告発するに至らないんだといったら、ずっとこの種のものについては告発することにならないのじゃないですか。
 それから、先ほどお話を伺っていますと、法人については犯罪人の対象にはならないんだという話がありました。いろいろお話を伺いますと、そんなことはない、告発はできるのだということを専門の方に伺ったのですが、この事例からいうと、またこういう事例になったら告発はできるのですかできないのですか、ちょっとお伺いしたいと思うのです。また同じような事例があっ力場合にどうですか。
#185
○地頭所政府委員 全く同一の事実関係であれば判断は同一ということになると思いますが、現実問題といたしまして、本件の対象になっております土曜会は平成三年の六月十日に解散をしたわけですが、私どもが六十六社間において合意に基づく受注調整ありというふうに認定をいたしました期間は六十三年四月以降その解散の日までということになっておりまして、その間に平成二年六月二十日のステートメントの公表というのがあるわけでございまして、このステートメントをまたぐ時期にたまたま発生した事件であったわけでございますが、その後一年余の期間を経過いたしておりますので、全く同一のような事案が生ずるごとはないのではないかというふうに考える次第でございます。
#186
○大畠委員 いやしかし、どうも何かやっていそうだ、そしてこうやって告発の勧告書を出した、そうしたら急に何か行動をやめてしまった、それでいろいろやったらその時点としてはその事実が特定できるかどうかわかりませんけれども、どうも終わっているのだからいいだろう、そういう体質がアメリカ、ヨーロッパから見るとわからないというのじゃないですか。いつの時点だって、そういうことがあれば、みんなでわあっとやっていて、そしてそういうことを言われたらぴしゃっと動きをやめる、もう僕は解散しましたからいいでしょう、そうだな、もうその行動をやめたからいいか、そういうことだったら、そういう説明は、先ほどの梅澤委員長のお話もありましたけれども、アメリカとかヨーロッパの人、また日本国民、全くこういう事実について告発ができないということであれば、一体何を信じたらいいんだ、どういうときに告発が行われるんだ、全く不信感でいっぱいになりますよ、公正取引委員会に対して。
#187
○地頭所政府委員 本件の場合に、平成三年六月十日に土曜会が解散をした、それでもっていわゆる土曜会ルールに基づく受注調整行為がなくなったということをもって告発に値しないというふうに判断したものではございません。平成二年の六月二十日の告発方針以降における行為、土曜会を一構成する会社の役員、従業員等による個別具体的な行為につき、犯罪を構成する事実ありと思料するに至らなかったということでございます。
#188
○大畠委員 この件については、また私どもの同僚議員からいろいろ質問させていただき、国民に納得できる公正取引委員会としての行動というものを示していただきたいと思いますので、この件については終わりたいと思います。
 いずれにしても、今国際化の時代に対応した公正取引委員会の機能というものが求められていますが、まだまだ機能として意識が不十分じゃないかという感じを持ちます。まさに世界の中の日本として、特に世界各国から見て日本の自由市場経済が透明性があり公正な取引を形成しているということを理解いただけるよう、今後とも一生懸命私どもは努めなければならない。そういう観点から考えますと、今回の改正案というのは内容として非常に不十分であるということを申し上げなければなりません。したがって、政府案については国際的視点に立ち再度見直しをされるよう申し上げますとともに、私は社会党案を支持することを表明し、質問を終わります。ありがとうございました。
#189
○武藤委員長 小沢和秋君。
    〔委員長退席、竹村委員長代理着席〕
#190
○小沢(和)委員 今回の法改正は、カルテル等の不当な取引制限に対する企業の罰金をこれまでの二十倍、一億円に引き上げようとするものであり、これ自体は積極的な意味を持っていると思います。しかし、もともと独占禁止法に関する刑事罰研究会の報告は、罰金の数億円程度の水準への引き上げを提案しておりました。それが、政府・自民党や財界の圧力で一億円に後退した経過を見れば、この程度の引き上げでは極めて不十分なことは明らかだと思います。
 公取委としては、こういう圧力をはね返してもっと大幅な罰金引き上げを提案すべきだったのではないか、お尋ねをいたします。
#191
○梅澤政府委員 今回の刑事罰の引き上げにつきましては、昨年一月刑事罰に関する研究会で学者、専門家の検討作業を進めていただき、その報告もちょうだいをしたわけでございます。
 今回御提案を申し上げている内容は、まず我が国近代における企業刑事法制の基本的な枠組みでございました行為者と事業者の両罰規定の連動というものを切り離し、後者を大幅に引き上げるということ。それから二つ目といたしまして、米国もそうでございますしEC諸国もそうでございますけれども、市場秩序に対する重大な侵害としての私的独占とカルテル、特にカルテルでございますが、これに絞って大幅な引き上げを行うこと。この二点につきましては刑事罰研究会の基本的な方向に沿った内容のものでございますが、罰金の水準につきましては、ただいま御指摘になりましたように、研究会では一義的な数字はお示し願えなかったわけですが、数億円という範囲でいわば政府に選択をゆだねられたわけでございます。これをいただきまして後、各方面との調整を行ったわけでございますが、たびたび同じことを申し上げて恐縮でございますけれども、独占禁止法というのは事業活動を規制する基本的なルールでありますがゆえに、この規制を受けるのは事業者自身である、それから課徴金にいたしましても刑事制裁にいたしましても、これを受けるのは事業者でございます。
 そういたしますと、基本的に、事業者の人たちが制裁とか課徴金の水準を上げることに賛意を表するということは、なかなか期待できないわけでございまして、ただ必要性、その意義というものを十分理解してもらって、これはやむを得ないという水準にまで理解が届きませんと、やはり議会民主主義のもとでの立法ということを考えますと、政府が独断的に法案を提出するという手法は、やはり避けなければならないわけでございます。
 ところが、事業者の側におかれましては、今回の引き上げというものが、今までの企業刑事法制の枠組みを基本的にいわば破ると申しますか、変更する内容のものであり、大変唐突に受けとめられたという点もございます。
 それから二つ目に、課徴金の引き上げが昨年七月に行われたばかりであって、なおそれに追い打ちをかけるように刑事罰の引き上げをする、その必要性、その意味についてなかなか御理解を得られなかったという点がございます。
 それから三つ目といたしまして、これは経済界全般と申しますよりも、事業者の圧倒的多数を占めております特に中小企業の方々が、従来の五百万という水準から一挙に億単位の水準に引き上がることについて、不安感あるいは恐怖感といったようなものがございました。
 そういった状況を踏まえながら、しかしながら、独占禁止法の抑止力を強化するために、この罰金の引き上げはぜひ必要なんだということを繰り返し繰り返し各方面に御理解を願って、やっと一億円の水準というものに達し、刑事罰研究会に対しましては、数億円という報告をいただいているわけでありますから、この際、この数億円が実現できなければ制度改正を断念するか、あるいは一億円という水準でも、とりあえず実行可能なものか一ら制度改正を行うべきかということについても御意見を伺ったわけでございますけれども、もし現状がそういうことなれば、やはり制度改正が実現する方向で政府が取り組まれることもやむを得ないという御意見も賜ったわけでございます。
 したがいまして、私どもは、現時点におきまして、ただいま御提案を申し上げておりますこの一億円という水準は、やはり課徴金とあわせて考えました場合に、従来の我が国の独占禁止法の抑止力を飛躍的に強化する、大きな前進の一歩を踏み出す内容のものであるというふうに考えておりまして、ぜひともこの国会で成立をさせていただきたいと考えておるわけでございます。
#192
○小沢(和)委員 私、たくさん質問したいことがありますので、委員長、済みませんけれども、ずばっと簡潔なところで答弁をお願いしたい。
 次のお尋ねでありますが、我が国の独占禁止法では、カルテル等を抑止する制裁手段として罰金と課徴金があり、それを総合的に評価する必要があることは私も理解をしております。
 しかし、今回の罰金引き上げを含めても、なお全体として低額に過ぎ、これでは十分な制裁にならないのではないでしょうか。課徴金は、カルテル等で得た不当な超過利潤を国がいわば吐き出させるものでありますが、六%では、大部分の場合、その一部にしかならない。これに最大一億円の罰金を加えても、多くの場合、なお超過利潤が手元に残るのであれば、やった方が得をする。これではカルテル等を思いとどまらせることはできないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#193
○梅澤政府委員 これは課徴金の御審議のときにも申し上げたことでございますけれども、課徴金の法的性格から見て、カルテル利得を上回る水準に設定はできない。それから、公正取引委員会が行政裁量でこれを確定することは適当でないということになりますると、結局、売上高、営業利益率を指標にいたしまして、原則六%という水準が限度であるということであの課徴金の引き上げをお認め願ったわけでございます。
 この課徴金は、原則、従来の四倍になるわけでございますから、これはカルテルの抑止力として不十分であると、それはいろいろ御見解はあろうかと思いますけれども、先ほど申しましたように、今回の刑事罰引き上げのときに、課徴金の引き上げに追い打ちをかけて、なお刑事罰の引き上げを行うということについて、経済界からあるいは事業者から大変な御異論があったというのは、反面、この四倍の引き上げというのが相当の抑止力を持っているということを物語っているのではないかと私どもは考えているわけでございます。
 今後、実際の課徴金納付命令として出てくるカルテルというのは、どんどんこれから出てまいるわけでございまして、必ずや私どもはこの抑止力は効果を発揮するというふうに考えております。
 それとあわせて、刑罰の大幅な引き上げを行うわけでございますので、現時点におきまして、総合的な抑止力というのは飛躍的に強化されるものであると考えております。
#194
○小沢(和)委員 その上に、告発がほとんど行われずに、罰金がかかる心配が余りないということになれば、これはいよいよ罰金額を引き上げた効果もなくなるのではないかと思うのです。
 一昨年六月まで、公取委は、原則として課徴金で済ます姿勢だったことは先ほど来委員長みずから言っておられます。だから、告発が実際に行われたのは、十七年前の石油ショック当時の例外的な二件だったわけであります。
 独占禁止法第七十三条では、「違反する犯罪があると思料するときは検事総長に告発しなければならない。」とあり、公取委は原則として、犯罪が行われたときは告発する責任があるはずなのに、長いこと、いわばこれをサボってきたということになるのではありませんか。
#195
○梅澤政府委員 七十三条の規定は、「告発しなければならない。」というふうになっておりますけれども、法律の解釈、運用といたしましては、これはあくまで訓示規定といいますか、公取の裁量権を認めておるという条文でございます。さもないと、課徴金制度が生まれまして後、この定着のために刑事告発というものをあえて発動しなかったということが、政府として独占禁止法違反になるわけでございまして、それはそういうことではございません。
 ただ、仰せのとおり、課徴金も定着し、かつ独占禁止法の抑止力の強化が要請される今日、この七十三条の基本的な精神に戻って、これから告発を積極的に運用するという方針に転換したのが一昨年の六月でございます。
#196
○小沢(和)委員 しかし、その一昨年六月、今後積極的に告発することになったわけでありますけれども、その後も、課徴金納付を命じたカルテル等は、平成三年度で十件あったにもかかわらず、告発したのは業務用ストレッチフィルム製造業者の一件だけだったわけであります。なぜ、残りはすべて見送ったのか、お尋ねします。
#197
○梅澤政府委員 これは一昨年の六月に方針の転換をいたしまして、その後、年内いっぱいかけまして法務検察と公正取引委員会の間で、この告発方針を具体的に運用するための基準の策定のいわば準備期間であったわけでございます。この運用基準は抑止力に影響がございますので、今後とも将来一切公表はいたしません。この運用基準に基づきまして、実際に事件が起こったときに、これを厳正、適正かつ効率的に行うために、翌年、先ほど来しばしば問題になっております検察当局との協議会を設置したわけでございます。
 したがいまして、現在、この告発方針の公表後、あるいは刑事告発を積極的に行うという方針に転換したまだ緒の段階でございます。これから検察当局との事前の連絡態勢というものをより緊密にしながら、有効かつ機動的な刑事告発を行う体制が漸次整いつつあるというのが現状でございます。
#198
○小沢(和)委員 その上、さっきから問題になっている埼玉県の土木工事のことがあるわけです。Aクラス六十六社の三年間にわたる談合で、埼玉県の大型工事約九百億円を完全にこの六十六社が独占をいたしました。これだけ県政、県民に重大な被害を与えた悪質な企業犯罪を、個々人の談合した内容を特定し切らなかったと告発を見送ったのであれば、今後もほとんど告発できないのではありませんか。これでは今後積極的に告発をすると幾ら公取委が言ってもだれも信用しないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#199
○梅澤政府委員 今回いわゆる埼玉の談合事件につきまして告発を見送った理由につきましては、先ほど来繰り返して御説明申し上げておりますように、告発をするという、あらゆる側面からの法律上、事実上の問題について検察当局との間で意見の交換を重ね、今回の事件については告発を見送らざるを得ないという結論に達したわけでございます。
 これは、基本論に戻って恐縮でございますけれども、我が国の刑事法制のもとにおいては、独占禁止法の事業者概念と違いまして、法人という観念的存在が独自に犯罪能力を持つという形で刑事事件を構成することは、よほど法律上の大改正あるいは判例、通説の大転換でもない限り難しい、これが現実でございます。そういたしますと、独占禁止法違反事件について告発あるいは刑事訴追を行うためには、その基礎として自然人、行為者の刑事責任を問うに足るだけの事実行為というものを把握しなければならない、確認しなければならない、それが今回の場合果たし得なかったということが今回の告発の見送りの理由でございます。
 ただ、おっしゃるように、それでは談合について今後刑事告発というのは全然、難しいのではないか、これはそういうふうに受けとめられては、公正取引委員会としても、それは我々の任務あるいは国民の信頼にかんがみ、決してそうあってはならないわけでございまして、これは、先ほど申し上げておりますように、この談合の刑事事件構成の特異性というものにつきまして、私ども委員会の事務局と検察当局の間でワーキンググループをつくりましてあらゆる角度からシミュレーションなり検討を行いまして、その過程で、これからそういった事件が起こります場合にそれに対処すべき審査方法の開発等に努め、この談合に対する刑事告発を今後有効に進めていくという作業に改めて入っておるというのが現段階でございます。
#200
○小沢(和)委員 昨日の新聞では、建設省が二十八日、六十六社全部を一カ月指名停止にしたと伝えられております。一カ月というのもごく軽い処分だと思いますが、六月末になると大型工事の発注をしなければならないので、それに間に合うように指名停止期間が終了するように急いでこの時期に処分をしたというのですから、私は本当に怒りを禁じ得ません。これでは今後も談合が続くばかりではないかということを私は厳しく指摘をしておきたいと思います。
 埼玉の場合、談合の場となった土曜会が解散させられたわけでありますけれども、カルテル等にはいつもこういう場がつきものであります。私は昨年の当委員会で、セメントカルテルの場になった社長会の解散に関連して、鉄鋼業界ではいろいろなレベルでカルテル的な話し合いが行われていることを指摘をして改善を求めました。このことはその後どうなっておりましょうか。
#201
○地頭所政府委員 私ども、独占禁止法違反行為については常時あらゆる情報の収集に努めておりまして、具体的な端緒に接した場合には厳正に対処しているところでございますが、個別具体的な業界におけるいかなる情報をつかんでいるかということについては、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
 ただ、鉄鋼業界においても、個別具体的に独禁法違反行為の存在を疑わせる事実、情報がございました場合には、法に基づき厳正な審査をし、違反があれば厳正に対処するということは当然でございます。
#202
○小沢(和)委員 いや、私が指摘をしてからしばらくして、鉄鋼業界ではそういうようなものについてみずから解散をするとかいうようなことにもなったというのですが、あなた方が指導してそうなったわけじゃないのですか。
#203
○地頭所政府委員 私ども審査部の方で鉄鋼業界について一定の指導をしたという事実はございません。
#204
○小沢(和)委員 それから、公取委は本年三月二十五日、松下、東芝等家電四社に対し、AV機器についてのやみ再販の疑いで系列販売会社の立入調査を行っております。これは大型の摘発事件として注目されておりますが、この捜査はどうなっておりますか。
#205
○地頭所政府委員 三月の二十日ごろに、ただいま委員御指摘のございました家電業界、松下電器、ソニー、東芝、日立家電の各特定の系列会社につきまして、家電製品につきまして希望小売価格以外にチラシ広告あるいは店頭表示に際して表示すべき価格レベルというものを通知して、これを守らせるようにしている疑いがあるということで、その特定の疑いの認められる販売会社に対しまして立入検査をしたものでございます。
    〔竹村委員長代理退席、額賀委員長代理着席〕
#206
○小沢(和)委員 だから私は、その調査をした結果、疑いありということでその後もずっと続いているんじゃないかということでお尋ねをしたわけです。
#207
○地頭所政府委員 現在審査中でございまして、具体的な事案につきましてどういう段階にあるかあるいは今後の見通し等については、法律上の制約もあり、また審査に支障を来すことでもございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
#208
○小沢(和)委員 では、それは今後の経過を見守りたいと思います。
 次の問題に参りますが、最近アメリカ司法省が反トラスト法の域外適用の方針を再び明確にしてまいりました。これは日本を標的にしたものだと見られております。自由で公正な国際的な経済交流を発展させるためには、各国がお互いに主権を尊重しつつ、それを保障する共通の独占禁止政策をつくり上げていくことが必要だと思います。
 日本の主権を乱暴に侵害することになりかねないアメリカ独禁法の域外適用に対しては、断じて認められないという抗議をすべきだと思いますが、どう対処しておられるでしょうか。
#209
○梅澤政府委員 先月四月、ただいま御指摘のように、米国司法省が反トラスト法の適用につきまして、この域外適用というのは、厳密に言いますと、アメリカの輸出に対して相手国の反競争的行為があった場合に自国の反トラスト法を適用するという方針でございますが、公表いたしました。これにつきましては、外交筋、チャネルを通しましてしかるべく日本側の考え方を明確に伝えてありますし、公正取引委員会といたしましても、これは御指摘のように管轄権の考え方に基本的に抵触する問題でもあるし、事業者の保護のために競争法を乱用するというのはおよそ競争政策として誤った考えてあるという立場でございます。したがいまして、米国に対しましてはそういった意向を伝えるとともに、たまたま四月に日米競争法ゼミナールで米国の反トラスト局長が東京に参りましたときに、私の口から、撤回も含め慎重な対応ということを要請いたしております。
#210
○小沢(和)委員 アメリカとECは、日本に対し独禁法適用除外制度の撤廃を両方とも要求してきております。この適用除外制度の中には、大企業のカルテル的行為を保護するものがあり、私はこういうものは撤廃すべきだと考えます。しかし、中には中小零細業者の営業や生活を守る上で積極的役割を果たしているものもあります。これは今後も存続させるべきであり、両者を一緒に議論すべきではないと思います。
 厚生省お見えでしょうか。――この点で厚生省にお尋ねをしたいのは、理美容、クリーニング関係のことであります。
 これらの業者の料金や営業時間などについて一切の基準や協定を認めず過当競争を放置すれば、衛生水準の低下、長時間労働などを引き起こし、さらに閉店に追い込まれたり生活に困る業者を続出させることになるのではないでしょうか。現に、最近は大手業者に押されて理容、クリーニング業者等が減少傾向を示しております。これらの人々の営業と生活を守るためだけでなく、利用者である国民のためにも適用除外は継続すべきではないかと思いますが、厚生省はいかがお考えですか。
#211
○石本説明員 現在理容業についてカルテルがございまして、美容業とクリーニング業については既にカルテルがございませんので、理容業について申し上げさせていただきたいと思います。
 理容業は現在全国で十四万店舗ございますが、その大部分の九三%が個人経営という典型的な零細企業であります。理容業のカルテルの趣旨は、先ほど委員申し上げられたとおり、零細、小規模業者の経営健全化を通じまして公衆衛生の確保を図るということにございます。例えば、今営業時間や休日の取り決めが撤廃されますと、お客さんの確保のため長時間労働が多発し、時代の要請でございます労働時間短縮に逆行することが考えられます。また、長時間労働から疲労がたまりますし、休日を利用しました組合研修等がおろそかになり、衛生水準の低下の懸念もございます。
 このような意味で、カルテルの意義、必要性はなお強いものがあると私どもは考えておりますが、独禁法の適用除外制度の見直し等につきまして強い御要請があるのも十分承知しておりますので、厚生省といたしましては、業界の実態なども十分に踏まえながら公正取引委員会等と引き続き御相談してまいりたい、かように考えております。
#212
○小沢(和)委員 次に、国税庁お見えでしょうか。――国税庁にお尋ねをしたいのは、酒類の製造、販売等についてやはり適用除外を継続すべきではないかということであります。
 ここ十数年、製造、販売についての不況カルテルは結ばれておりませんが、酒類の消費がビール以外は頭打ちの状態になり、大型店での安売りが各地での販売競争を激化させている状況等を考えると、近い将来再び不況カルテルを必要とする事態も考えられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#213
○河手説明員 酒類に関しましては、酒類自体が高率の酒税が課されているということもございまして、酒税の保全を図るといった見地から酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律というものが制定されております。同法におきましては、独禁法の適用除外として、一定の要件のもとで酒類業組合等が酒類の製造、販売等に関し、大蔵大臣の認可を得て、不況カルテル等の必要な規制を行うことができるようになっております。もとより独禁法の適用除外制度は、これは緊急避難的措置でございまして、これを軽々に適用すべきものではないというふうに考えておりますが、酒類業界は中小零細企業がほとんどでございまして、酒類の販売の競争が過当なものとなりますれば酒類業者の経営が不健全となり、酒税の納付が困難となるとの事態が生じ得るというふうに考えております。したがいまして、これらの事態が起こる場合には同法に基づく不況カルテル等の規定を適用して、市場の安定を図り、酒税の確保を図る必要があるというふうに考えておりまして、同法に基づく独禁法の適用除外制度というものは必要であるというふうに考えておるところでございます。
#214
○小沢(和)委員 時間が来たようですから、最後に公取に今の問題、もう一遍お尋ねをします。
 今明らかになったように、適用除外制度には中小零細業者を保護し、国民生活にも重要な意義を持つものがあると思います。こうした除外制度をアメリカの圧力などで撤廃すべきではない、公取委にもその立場で対処してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#215
○糸田政府委員 独占禁止法適用除外制度でございますけれども、これはあくまでも自由経済の建前からいたしますと例外的な制度でございます。もちろん必要性があって認められたものではございますが、例外的な措置であると考えております。
 私ども、競争政策を推進する観点からこういった例外的なものについては絶えずその必要性を見直しをしていくということが非常に大事なことと思って、これまでもそういったことで仕事を進めてきてまいっておるところでございます。今委員お話のありましたように、例えば経営基盤の脆弱な中小企業、こういった方々に対して不況の際の緊急避難的な適用除外カルテルというものの必要性というものもわからなくもございませんし、またそういった制度があることも事実でございますが、そういったものであっても絶えずその必要性を見直していくということが必要であろうかと思っておりまして、今後とも私どもそういった方針で仕事を進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
#216
○小沢(和)委員 では終わります。
#217
○額賀委員長代理 江田五月君。
#218
○江田委員 国民も注目をし、また世界も注目をしている独禁法改正でございます。きょうは閣法と衆法と両方俎上に上っております。
 私は今回の政府案についても一定の評価をしておりますが、その政府案が決定にこぎつけるに当たってはやはり社会党の皆さんの大変な御努力が大きな影響を与えたんだと考えております。独禁法改正に強い意欲を持って積極的な行動をとられた、そして対案を提出されるに至った。できれば野党共同の統一案をまとめることができたらよかったんですが、私どももその作業に入ったんですけれども、時間が残念ながらなくて間に合わなかったということでございまして、次の課題にしたいと思います。
 そこで、まずきょうは衆法の方について伺っておきたいと思います。
 既に趣旨の説明もお伺いをし、また本会議で質問と詳細な答弁もあったわけでございますので、繰り返さないようにしたいと思いますが、まず何といっても九十五条で罰金の上限を現行の百倍、すなわち五億円に引き上げられる。政府案の方は一億円というわけですが、これは幾らがいいのかというのはなかなかこうだという方程式のような数字があるわけではない、理由があるわけではないと思いますが、五億円に引き上げられることの趣旨、あわせて政府案の一億円というものの評価について伺います。
#219
○小岩井議員 御質問いただきましてありがとうございました。
 この罰金の上限を現行の百倍、五億円に引き上げることの趣旨、あわせて政府案一億円に対する評価、この点について簡潔にお答え申し上げたいと思います。
 これは、実は公正取引委員会の委員長の私的諮問機関であります刑事罰研究会が行ったこの調査の報告書を参考にいたしております。法人と個人の資力格差、これはフローで九十二倍、ストックで五十倍ないし百七十倍ということを重視いたしました。さらに証券取引法改正案、これは百倍でございまして三億円であります。それから先進国の罰金の水準、特にアメリカでは十三億円でありまして、これらをすべて勘案をいたしまして、刑事罰研究会の結論のちょうど中間あたり、五億円が適当ではないかということでその水準にするというふうに考えたわけであります。
 政府案については、一億円に圧縮する合理的理由がない、これは断言してもいいんじゃないかというふうに思うわけであります。これは法人等の資力に比して十分な感銘力、経済的打撃を持つものにはならない、したがって抑止力にならない、こういうふうに考えているわけであります。
 以上であります。
#220
○江田委員 私は、これからの、特に先進国の独禁法政策というのはやはり国際的通有性がなきゃいけないのじゃないかということを強く感じているのですが、そういう点からすると社会党案の五億円の方がむしろ妥当なのかなという感じがしますね。
 次に、社会党案の二十九条、公正取引委員会の委員長及び委員の任命要件を加重するという点について伺いたいと思います。
 まず大企業、まあ大企業ですね、その社長であった者は委員長や委員になれないとし、また委員長及び委員三人以上が国の行政機関出身者となってはならない、いろいろな具体的な規定があるわけですが、具体的にどのような委員構成が望ましいものだと想定されているのでしょうか。例えば、消費者団体などから消費者団体のリーダーを入れるべきだというような主張もあったりするわけですが、これは法律上そういうことをどう書くかなかなか難しいかとも思いますが、どのような委員構成をビジョンとしてお持ちになっているかを伺います。
#221
○小岩井議員 お答え申し上げたいと思います。
 今回の社会党・護憲共同の提案は、現行規定の要件、三十五歳以上、法律、経済学識経験者にさらに要件を加重するということであります。積極的に特定の職域から選出を固定する考え方ではありません。もちろん法律要件にかなう限り、今江田委員おっしゃるとおり、消費者団体のリーダー等で学識の経験を有する者の中から委員の任命があってもよいとは考えておりますけれども、私どもイメージとして一般的に想定をしているのは法曹界、裁判官であるとかあるいは弁護士であるとか学者の中から登用するということを考えているわけであります。
 以上であります。
#222
○江田委員 八十五条、これは東京高裁の専属管轄というものを一般の高等裁判所にも広げようということですが、私も裁判官経験者として関心があります。
 ちょっと意地悪質問になるかもしれないのですが、御趣旨はわかるのですけれども裁判所とどういう相談をされたかですね。東京高裁というのは、これは先ほど来るときに名簿を調べましたら裁判官が九十九人。前の年の暮れの裁判官会議で事務分配をきちんと決めて行う。特別部が四つあって、例えば海難審判とか人身保護とかそういうような特別部があって、そのうちの一つがこの独禁法、こうやって受け入れ体制をしっかりつくっているわけです。しかしその他の高裁ということになりますと、例えば高松高裁だと判事は十一人。あるいはまた各支部ということになりますと、仙台高裁秋田支部、広島高裁岡山支部、なかなか大変だというので、これは具体的に実現可能性について検討されておるかどうか。
#223
○小岩井議員 お答え申し上げます。
 江田委員の場合には裁判官の御経験があり、極めて貴重な御意見、御質問をいただいているわけでありますけれども、八十五条改正の趣旨については、従来東京高裁にしか提起できなかった二十五条の損害賠償訴訟を各高等裁判所に提起できるようにした。ものであります。このために各高裁に専門的な判断能力を有する裁判官の合議体を設けることにしたものでありまして、この合議体の設置については司法行政に関する問題であります。したがって、支部を置くか、あるいは事務配分を具体的にどうするか等、これは裁判所内部の問題として処理をしていただきたい、このように考えているわけであります。具体的には裁判所との協議はいたしておりません。
#224
○江田委員 司法部の中のことですから、法律を決めればそれは何とかやっていただくほかないのですが、それでも余りきりきり舞いさせても困りますので、よろしくひとつお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
 次に、閣法について若干の質問をしたいと思います。
 公正取引委員会に対して少し伺いたいのですが、いかに新しい罰則ができてもそれが活用されなければ意味がない、もう何度も言われたことです。しかしどうも国民から見ても、また国際社会から見ても、我が国の公正取引委員会は弱いというふうに見られているんじゃないか。既にこの委員会でも多くの質問のありました今回の埼玉県の建設談合問題、これはどうも公取が自民党と談合したのではないかというような見方さえあるわけで、まことに情けないと思います。
 この埼玉県のことでちょっと伺いたいのですが、二条六項に該当する事実があって三条に違反をする、そこで排除措置はとった、しかし行為者が特定できなかったから、そこで告発はできなかったんだ、こうおっしゃったわけですね。それでいいですね。後でいろいろ言い逃れされても困るのですが、今のことでいいですね。
#225
○梅澤政府委員 法律の御専門家の江田委員にお答え申し上げるわけでございますけれども、今仰せになりましたことは大筋にそのとおりでございます。
 ただ、一言付言させていただきたいのですが、繰り返しになりますけれども独占禁止法の行政上の措置としては、これは法人がその……(江田委員「それはわかっています」と呼ぶ)それで、我が国では刑事罰としてこれを犯罪として構成するためにはその基礎としての個人の刑事責任を問うに足る事実の行為の確認が必要であるということでございます。
#226
○江田委員 二条六項に該当する事実があって、これは三条に違反をするんだ、そうすると、これはもう八十九条一項一号で犯罪はその限りではそこにあるわけですよね。犯罪はあるんで、あなた方は、公正取引委員会としてはこの法律の、独禁法の規定に違反する犯罪はあったと思料されたのですかされないのですか。犯罪があった、というふうに考えたのか考えてないのか。
#227
○梅澤政府委員 犯罪ありと思料するに至らなかったということでございます。
#228
○江田委員 犯行を犯した者がだれであるかという特定はできなかったと。しかし、犯罪がなければあなた、こんな排除措置だってできないんじゃありませんか。土曜会というものがあって、そしていろいろな土木建築事業について不当な取引制限をやっておる、その事実ははっきり認定されたんじゃないのですか。犯罪はあった、しかし、だれがやったかがわからなかったから告発できなかったということじゃないんですか。
#229
○梅澤政府委員 申すまでもございませんけれども、犯罪の場合には違法性という構成要件と責任要件という問題があるわけでございます。行政措置の対象になります独占禁止法の三条違反としては事業者の違法性があればそれで十分足りるわけでございますが、犯罪ありと思料するためには、やはり個人の行為者の特定、刑事責任を問うに足る相当の事実が前提になるというのが私どもの考え方でございます。
#230
○江田委員 七十三条ですが、犯罪があると思料するときは告発義務が生ずる。しかし、普通に刑事訴訟法で考えれば、告訴、告発というのは、被疑者を特定しなくても、犯罪を特定して処罰の意思を求めればそれで成立するわけです。犯罪事実の特定と処罰の意思、それで告訴、告発は成立するのですよ。被疑者を特定しなくて犯罪事実を特定することはできるのです。もしあなたがおっしゃるように違法性とか責任まで全部きっちり証拠を固めてやらなければ告発できないということになったら、検察庁はもう何もすることないじゃないですか。そうじゃなくて、犯罪事実があったらそれで告発し、あとは検察当局がきっちりした捜査をやって、専門的に刑事司法の観点から違法性や責任の問題までちゃんと捜査した上で起訴をすればいいということにならないと、そんなことを言っていたら、刑事犯罪なんというのは告訴、告発、全くできないことになる。そこがさっきからずっと言われていることじゃありませんか。一体なぜ埼玉のこの建設談合事件で犯罪があったと考えないのか、もう一度明確に答えてください。
    〔額賀委員長代理退席、委員長着席〕
#231
○梅澤政府委員 専属告発権の発動につきましては、法理論上は公正取引委員会の裁量に属するわけでございます。しかしながら、それは適正、厳正に行われなければならないということは言うまでもないわけでございます。
 そこで、我が国の行政告発で最も効率的かつ機動的、厳正に行われておるのは国税の脱税の犯罪でございます。これは、なぜこれだけワークしているかと申しますと、やはり検察当局と告発当局との事前の連絡体制がきっちりとできておりまして、機動的に告発権を発動しておる。私どもも、今後独占禁止法の告発というものを継続的かつ機動的かつ適正、厳正に行うためには検察当局との協議体制がぜひ必要である。今後これを強化する考えを持っておるわけでございますが、私どもが検察当局と意見を交換いたしますのはあくまで公訴提起あるいは公訴維持の専門機関である検察当局の専門機関としての意見を聞くわけでございまして、そのときには、我々が審査をした事実、それに対する独占禁止法上の構成、あらゆるものを示しまして意見を聞くということでございます。そのときに公訴提起あるいは公訴維持の専門機関の意見をよく聞いて、やはり告発というものを厳正かつ機動的にやることがこれからの公正取引委員会の七十三条の活用のための基本的な条件であろうと私は考えるわけでございまして、その点はぜひ御理解を賜りたいわけでございます。
#232
○江田委員 そんなことをおっしゃったら私は、自民党とだけじゃなくて、公取は検察庁とも談合したのじゃないかと言いたくなりますよ。そうまでは言いませんけれども、確かに七十三条、それは告発しなければならない、しかし、そこに公取当局の裁量というものが働くと思います。思いますが、もう少し毅然たる態度で厳正にやってもらわなければいけないと思います。
 もしも公取の方がスタッフの数が足りないんだ、検察庁の方ももうちょっと人が足りないので今は困ると言っているんだとか、そういうことがあるならば、今度はそっちの方でちゃんとしていけばいいことでして、しっかりしていただきたいと思います。
 きょうは、加藤官房長官がお忙しい中をこちらへ出席してきていただいているということなので、まだ私の時間はもうちょっとありますが、加藤長官への質疑があるので、私はこのあたりで終わりにいたします。
#233
○武藤委員長 小岩井清君。
#234
○小岩井委員 最初に、埼玉談合から伺いたいと思います。
 刑事罰研究会報告の数億円を圧縮して一億円として政府案を提出する、ただし埼玉談合問題については告発をしないという取引があったのではないかということが巷間伝えられている。このことについて伺いたいわけであります。
 先ほど来、埼玉談合についていろいろ事実関係が質問されております。三条違反として排除勧告がなされたわけでありますけれども、個人についての立件立証ができないので告発は断念したということであります。しかし、冒頭申し上げましたように、一億円として政府案をつくる、そのかわり埼玉談合は告発をしないという取引があったと思われるようなことが事実としてたくさんあります。この点について具体的に一つ一つ伺いたいと思います。
 公正取引委員会と検察側の接触について、ことし二月以降全くされていない、これは四月下旬まで続いているというふうに言われております。私が予算委員会で刑事罰研究会の報告書の提出を求めました。本来十二月十八日に提出をされるものが予算委員会に国政調査権を使ってまで提出をさせなければいけないという異例事態。今言った期日と予算委員会でこの問題が表面化した期日が奇妙に一致をしている。この点について、具体的に事件を担当する審査あるいは検察の捜査官同士の協議がいついかなる方法で行われたのか、何回行われて、いつやったのか、どういう協議があったのか、明らかにしてもらいたい。
#235
○地頭所政府委員 埼玉土曜会の談合事件につきまして、検察当局と公正取引委員会の間で本件の審査事実を踏まえて事実上、法律上の問題について意見交換を行いましたのは、昨年の秋以降五月までの間にその審査の進展状況に応じまして適宜行ったところでございますが、具体的、詳細については、個別事件の処理にかかわることでございますので、御答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
#236
○小岩井委員 なぜ言えないのですか。回数と日にち、内容をなぜ言えないのですか。言わなければ告発しなかった理由がわからないじゃないか。言いなさい。
#237
○梅澤政府委員 ただいま審査部長が申し上げましたとおり、今後の事件処理について支障があるので申し上げられないと申します意味は、今後におきましても事件が起こりました場合に、検察当局との協議体制を今後とも強化する方針でございます。そういたしますと、その都度間断なくいろいろなレベルで意見の交換あるいは情報の交換を行うわけでございまして、もしそういうものを公表するということになりますと、今後の事件処理に当たりまして、審査業務そのものの進行状況、あるいは将来それが刑事事件となりました場合の捜査当局の捜査活動にも支障が生じるという性格の問題でございますので、具体的な日時、回数等については申し上げられないということを何とぞ御理解を賜りたいと思います。
#238
○小岩井委員 全く理解はできません。
 それじゃ私の方から申し上げますけれども、事実かどうか確認しますよ。
 四月三十日行いましたね。五月一日行いましたね。そして五月十三日、これは最終協議の場が持たれたそうでありますね。ことし二月以降これだけだそうでありますけれども、事実ですか。
#239
○梅澤政府委員 その前にお断り申し上げておかなければならないのですが、昨年一月に発足いたしました協議会というのは、公正取引委員会の事務当局のメンバーそれから最高検を含みますメンバーというものがフィックスされておりまして、この協議会というのは、正式に公正取引委員会が告発をするという決定をいたしまして、そこで今後の公訴提起、公訴維持等の問題について協議を最終的に行う場でございます。したがいまして、今協議、協議とおっしゃっておりますけれども、我々のシステムから言いますと、その協議に上がる前の全段階のいろいろなレベルでの意見交換あるいは情報交換を総称しておるわけでございまして、非常に厳密に申しますと、何回、何日にやったかというカウントができるような、いろいろな形での連絡とか、これは事柄によっては電話でもできるわけでございますから、そういった情報交換はしょっちゅう行われておる。ただ、うちの職員が検察当局の庁舎に入りまして、いつ、何日というのは新聞等に報道されるわけでございますけれども、その問題と協議連絡体制というのは必ずしも同じものではないということはぜひ御理解を願いたいと思います。
#240
○小岩井委員 余計なことを言う必要はないのですよ。四月三十日と五月一日、五月十三日、協議したのは事実ですか。
#241
○地頭所政府委員 個別具体的な経過でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
#242
○小岩井委員 それじゃ答弁にならないじゃないですか。埼玉談合が個人の証拠について立証できなかったということにならないじゃないですか。これじゃ質問できないことになりますよ。しかも、非常に業界の立場の弱いラップ業界のときには、告発の場合に双方の事件担当者が頻繁に会っていたでしょう。今回なぜできなかったのですか。答えてもらいたいと思いますよ。
#243
○地頭所政府委員 ラップ事件の場合といわゆる埼玉土曜会事件の場合とにおきまして、検察当局との意見交換の場に著しい差はございません。
#244
○小岩井委員 答えになってないですよ。
#245
○武藤委員長 答えになってないという質問者なんですが、答えになるような答えはできない理由を述べているようですが、どうなんでしょう。
#246
○梅澤政府委員 先ほど来繰り返し御理解を賜るべく御説明申し上げているわけでございますけれども、検察当局と公正取引委員会の各レーベルでのいろいろな形での情報交換、意見の交換というものの具体的な状況につきましては、今後の事件処理に影響いたしますので、その詳細について申し上げるということはぜひお許しを願いたいと思うわけでございます。
 それからもう一つ、私ども、この種の問題について報道機関でいろいろ報道されたことも承知をいたしております。したがって、報道に出ているからどう、出ていないからどうという御判断自身も、私どもラップの事件の経験にかんがみまして、両当局の協議の進捗状況、対応についても、なるべく結論が出るまで公にされない形での仕事の進め方というのが今後この種の事件を効率的に厳正に行うためにぜひ必要であると考えておるわけでございます。途中の経過の話と結論の話、ぜひひとつ御理解願いたいと思います。
#247
○小岩井委員 余計なこと言わないでいいよ。
 今後の事件に影響すると言いましたね。これはもう審決が出たのでしょう。まだ今後続くのですか、この埼玉談合のことは。どうなんです。
#248
○梅澤政府委員 今後の事件に支障を生ずるといいます専らの意味は、今後新たな刑事告発の事件が生じてまいると思います。その場合に、検察当局と公正取引委員会がどの段階でどういう密度でどういう意見交換なり協議が行われるのかということは、公にした場合に、それとの関係で事件処理に当たって審査についても支障が生じますし、検察当局の将来の捜査にも支障が生じる、こういうものはやはり公にすることなく、効率的に行うべきであるという趣旨で、今これを公にいたしますと、今後、事件の段階ですべて公にしなければならないといったぐいのものにもなりかねないということを申し上げておるわけでございます。
#249
○小岩井委員 事件処理は終わったんでしょう。事件処理に影響、何に影響するんですか。これは事件処理は終わったんじゃないですか。
 それから、独禁法第七十三条「告発」の義務を負っているんですけれども、今、個人について立証できないからということになっているんです。みずから自己規制している、みずから自分で告発できないようにしているということになれば、独禁法第七十三条の二項は形骸化することになるじゃないですか。答えなきゃ、これ以上質問しませんよ。
#250
○梅澤政府委員 七十三条の告発権の発動は、公正取引委員会の裁量と責任のもとに、しかしながら、厳正、適正に行われるべきものであるということは、言うまでもないわけでございます。検察当局と公正取引委員会が、この問題について事前の連絡あるいは意見交換体制をつくりましたゆえんのものは、この公正取引委員会の告発権の発動というものに基づき、事件の処理が厳正に、かつ刑事公訴という形で制裁が実を結ぶということについては公正取引委員会は独禁法を所管する官庁として重大な関心を持っているわけでございまして、この体制は、私は、今後、継続的にかつ効率的に、機動的にこの七十三条を発動いたしますためには、国税の脱税告発の協議体制の例を引くまでもなく、ぜひ必要なシステムであると考えているわけでございます。
 今回も、告発権の発動について自己抑制したということではございませんで、公訴の提起あるいは公訴維持の専門機関と、我々の手持ちの資料を見せ、専門家の捜査、あるいは刑事事件としての構成への発展の見通し等の意見も聞きながら、しかしながら、最終的にはこれは公正取引委員会の責任において告発を断念したことには間違いはございませんけれども、今回の結論について、公正取引委員会も検察当局も、意見の不一致はなかったということでございます。
#251
○小岩井委員 あなた、厳正に、公正に判断したと今言いましたね。厳正、公正に判断をしたかと。うかという、そういう判断材料を聞いているんだよ。それを言わないで、なぜ判断できるんですか。今言ったこと、答えてくださいよ、先ほどの日にちについて。
#252
○地頭所政府委員 企業に対して独禁法に基づく行政措置をとり得る証拠関係と、自然人レベルで犯罪と思料する証拠関係の間には差があるというふうに考えておるわけでございますが、その本件具体的な事案につきまして、かくかくの事実関係を認め得なかったから犯罪ありと思料するに至らなかったということを具体的に示すということは、逆に申しますと、業界、独禁法違反を犯すおそれのある業界サイドに、こういうことに対して対処すれば犯罪ありと思料することを免れるというような影響を与えるおそれがあると考えられるわけでございますので、具体的に、なぜ、どういう点で犯罪ありと思料できなかったということについての詳細を申し上げられない次第でございます。
#253
○小岩井委員 影響がある、影響があると言うのですけれども、審決は終わったんでしょう。審決が終わったかどうか、それだけ言ってください。
#254
○地頭所政府委員 同種の事件に対して、先ほど申しましたような懸念があるということを申し上げたものでございます。
#255
○小岩井委員 それでは、同種の事件というのは今何をやっているか、具体的に明らかにしてください。
#256
○地頭所政府委員 今後起こり得る同種の事件ということでございます。
#257
○小岩井委員 答弁にならないよ、そんなの。
#258
○地頭所政府委員 現在、特定の事件について刑事告発を考慮に入れた審査をしているかどうかということについては、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
#259
○小岩井委員 委員長、御判断いただきたいのですけれども、答弁になっていると思いますか。
#260
○武藤委員長 委員長の意見を聞かれたのですが、問題は、公訴を提訴していろいろ議論をする問題を、行政府がかかわって深入りして答弁することは慎みたいというのが答弁だと思うのですね。それは認められないというのが小岩井さんの立場だと思うのですね。だから、どちらがいいかというのは委員長として言えないので、それはやはり議論を深めてもらう以外に、委員長としては受けとめ方がありません。
#261
○小岩井委員 企業に違法性があったということは、三条違反があったということはお認めになっていますね、それはこの排除勧告が出たということで。それでは伺いますけれども、独禁法の第九十五条の二責任罰について、なぜこれで告発しなかったのですか。できるじゃないですか、これで。
#262
○梅澤政府委員 九十五条の二は、条文にございますように、三条違反の仮に違反事件があった場合に、八十九条第一項第一号を引用しているわけでございます。つまり、基本の談合なりカルテルというものが刑事訴追の対象になるという前提があって、しかもこの場合は、代表者の責任を構成要件上八十九条なり九十五条より加重した構成要件になっておりますので、本件の場合、八十九条一項の犯罪ということで構成できない以上、九十五条の二をもって告発をすることはできないという考え方でございます。
#263
○小岩井委員 これはよく読んでくださいよ。三条違反について、法人の代表者が、法人及び従業者個人の違反行為を防止もしくは是正しなかったことについて、代表者を処罰することができると定めているのですよ。ということは、仮に個人の行為について犯罪要件を構成するかどうかということを特定できなかったとしても、企業が排除措置を受ける、いわゆる三条違反を行ったということであれば、これは告発をできるという条文なんですよ。いかがですか。
#264
○梅澤政府委員 小岩井委員のこの九十五条の二の解釈をお承りしたわけでございますけれども、九十五条の二にございますように、八十九条第一項第一号というのは三条違反による犯罪でございます。したがって、三条があるからすぐにその代表者を九十五条の二によって、加重された構成要件を持つ犯罪要件でございますから、これだけを単独に刑事訴追の対象とはなし得ないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#265
○小岩井委員 この点は指摘をいたしておきます。時間があれば徹底して追及をするところでありますけれども、ほかに移ります。
 冒頭申し上げました。数億円を圧縮して、一億円にして政府案をつくった。この経過の中に埼玉県の談合問題を告発しないという取引があったと巷間言われていますね。自民党の部会もしくは自民党のそれぞれの実力者というか役員と言ってもいいかもしれない、何回接触をしてそういう調整をしたんですか。
#266
○梅澤政府委員 まず、今回埼玉の談合事件の告発を見送りましたのは、本日の当委員会で繰り返し御答弁申し上げておりますように、平成二年六月以降の事案につきましてあらゆる角度から、法律問題、事実問題について検討を加え、検察当局と意見を重ねた結果、告発を見送らざるを得ないという結論に達したものでございまして、埼玉の談合事件について告発を見送った理由は、それ以外のものは一切ございません。
 それから、ただいま御指摘になりました、ただいま御審議を賜っております政府原案の作成過程におきまして、与党とあらゆるレベルでの調整、協議、これは事務レベルでもございましたし、私自身もいろいろ意見を申し上げ、あるいはお願いを申し上げるという手順も間断なく踏んでまいったわけでございますけれども、それぞれいろいろな。方の御意見もまちまちな段階もございましたし、それぞれの方とお話ししているのは、あくまでインフォーマルな形での調整、これはこの種の問題をやりますときに、単に公正取引委員会のみならず、各行政庁が踏んでおる手続と私は承知をいたしておりますが、そういった調整を、どなたといつ、どの時点でどういうふうなお話をしたかということは、私としては一切申し上げることは差し控えたいと思います。
#267
○小岩井委員 差し控えたいばかりですね。部長も、日にちは言えない、だれに会ったかも言えない、これで審議できますか。ただ、これはもう一回私質問する機会があると思うので、これらの点についてだけ徹底してやることを申し上げておきます。
 それで、刑事罰研究会報告の公表が、自民党並びに経済界、経済官庁から抑えられて予算委員会で異例の形で提出されたこと、再販見直しの後退、罰金額圧縮、埼玉談合告発見送りに至る公正取引委員会の姿勢について、先ほど来繰り返し繰り返し出ております。その職務の執行に当たっての独立性と公正さに疑念と厳しい批判が国民から向けられているということは、先ほどの答弁でも御存じのとおりですね。
 先ほど森本委員の質問にもありましたけれども、公正取引委員会の名に値するのかどうかという話がありましたね。そういう国民の声があるんですよ。公正取引委員会の名に値するのかどうか、公正の二文字は取ったらどうですか。取計委員会、取引委員会なら今までやっていることはおかしくないんですよ。ということが国民の間から言われている。私が言っているということじゃありませんよ。国民の間から言われている。こういう公正取引委員会に向けられた厳しい目をどのように理解して対処しようとしているのか、これは公正取引委員会じゃなくて、所管をする官房長官から答えてもらいたいと思います。
#268
○加藤国務大臣 独占禁止法の運用につきましては、独立した公正取引委員会がその職務を執行しているのでございまして、私たちとしては、その職務は公正取引委員会の主導のもとで適切に行われているというふうに考えております。
#269
○小岩井委員 梅澤委員長はどう考えますか。
#270
○梅澤政府委員 ただいま大臣がお答えになりましたように、公正取引委員会に対して独占禁止法上付与されている権限の行使につきましては、法律でもって、あらゆる機関の指揮監督を受けないで職権を行使しなければならないということでございまして、私どもはこの原則に基づきまして従来からも仕事を進めてまいりましたし、今後ともその方針を堅持しなければならない義務と責任があるということは申すまでもございません。
 ただ、法律改正との関連で申し上げますと、これは独占禁止法の二十八条に規定いたしております職権行使の問題ではなくて、国家行政組織法上も通常の行政機関と同じ立場で法案の企画立案に当たりまして、独立職権行使という立場にはないわけでございます。そういたしますと、今回の独占禁止法改正のときもしかりでございますけれども、各方面の御理解を受ける努力を懸命に続けながら、大方の御理解を得た水準でやはり法案の原案を作成するという立場は一般の行政機関と同じでございますので、その点はぜひ御理解を賜りたいと思います。
#271
○小岩井委員 公正取引委員会の独立性と公正さに重大な疑念が出ているという昨今、これについて、公正取引委員会の人事のあり方にあるのではないか。この点については官房長官から伺いたいわけでありますけれども、大変失礼な話でありますが、梅澤委員長は大蔵官僚です。そして委員については、大蔵、通産、法務、外務、全部官僚ですね。しかも、これは内閣の任命ではありませんけれども、事務局長も大蔵省出身ですわ。委員長が大蔵省、事務局長も大蔵省、そして四人のうちの一人も大蔵省、しかもあとの三人も全部官僚である。こういう官僚で独占されていることと今起こっている事態とは、無関係ではないというふうに言われているのです。こういうふうに人事を構成する根拠について官房長官から伺いたいと思います。
#272
○加藤国務大臣 いわゆる独占禁止法の運用につきましては、これが極めて広範にわたります経済活動についての事例を審査する、そして最終的に判断するという側面と、それからただいま小岩井議員との間で御議論がありましたように、極めて高度の準司法的な側面を持っているということもあって、その点につき、この委員の人選に当たりましては、当然のことながら、経済とそれから法律についてのかなりの広範な知識を持った人にお願いするというのが一つの重要な基準になると思っております。その観点から、経済的かつ法律的な知識を持った行政官出身の人また司法界出身の人等が結果的に多くなっておりますことは事実でございますし、またその点につきましては、この仕事の性格上そういう結果になるということをぜひ御理解いただきたいと思います。もちろん、これは国会の同意を得た人事でございますので、最終的には立法府の御判断というところが一つの担保になっていると思っております。
#273
○小岩井委員 具体的に伺います。
 梅澤公正取引委員会委員長の後任はだれをお考えなんですか。もう既に去年の商工委員会における私の質問からこれは出ているのですよ。具体的に出ている雑誌まで申し上げました。名前は、個人のことでありますから固有名詞は申し上げませんでしたけれども、申し上げました。だれを予定されているのですか。それは事実かどうか伺いたいと思います。
#274
○加藤国務大臣 梅澤委員長を前にして、御当人を前にしての話でございますが、委員長の任期はまだございますし、したがって、現在その後任の方をどなたにするというようなこと、一切のその選定の準備とか作業とか検討は考えておりません。
#275
○小岩井委員 それでは、なぜ名前が具体的に印刷物になって出てくるのですか。それと、前回の伊従さんの後任人事のときに、同意案件についての同意をする私どもまで全く知らないうちに公表されているということがあったのですよ。しかも、その経緯について官房長官に予算委員会でお答えいただきましたけれども、伊従さんが公取プロパーだから公取プロパーが望ましいと申し上げたわけですけれども、そういう結果じゃなくなって、結局承認について国会の同意が非常に延びましたね。その折に社会党に説明に見えた方の態度は極めて悪かった。彼ではないのです、彼の上司の、名前は忘れましたけれども極めて悪かった。こういうような大事についての姿勢なんですよ。そういうことについて、今まだ任期中ですから具体的な名前はないと言ったけれども、じゃ、なぜ出てくるのですか。それを伺いたいと思うのです。
#276
○加藤国務大臣 世の中の大事につきましては、それは役人の人事であっても政治家の大臣候補の大事にありましても、あらゆるところにいろいろなものが出てまいりまして、それが当たってないケースの方がずっと多いのでございまして、一つの雑誌か出版物がよく存じませんがそこに名前が出たからといって、御指摘を余り強くされてもなかなかその辺は申し上げにくいところでございますが……。
#277
○小岩井委員 その方はもしなれなかったら、一年前から辞令をもらって、去年から出ているのですから、大変気の毒だと思いますけれども、そうならないことを願っておきます。
 それで、社会党案は、委員長は学者もしくは裁判官、委員四名のうち二名も公取を除く行政官庁出身者ではない学識経験者、そして、今度の案には含まれておりませんけれども、事務局長については大蔵官僚ではない、公正取引委員会プロパーが適当ではないかというふうに考えております。この考え方について官房長官はどうお考えになるか、見解を伺いたいと思います。
#278
○加藤国務大臣 前に予算委員会の質疑の際に、できるならば公正取引委員会のプロパーの人が一人でも委員になった方がいいのではないかという小岩井委員の御指摘に対し、確かにそういうことができるならば望ましい形ではないでしょうかという趣旨のことを私は申し上げましたけれども、その点は現在もそう思っておりますし、またその方向で進みつつあるのではないかと思います。それ以外に、事務局長をどうすべきかにつきましては、公正取引委員会の委員長の方からお答えいただいた方が適切と存じます。
#279
○梅澤政府委員 公正取引委員会の事務局長はたしか最終的には閣議の口頭の御了解を得る手続があったと思いますけれども、事務局の任命権者は委員長でございます。これはいかなる官庁組織におきましても、その事務局の構成、二人一人の適材、資質というものを見きわめまして、最も適当な人をそのポストにつけるというのが任命権者の務めだと思っております。
#280
○小岩井委員 時間がありませんので、最後の質問をしたいと思います。
 以上申し上げてきましたように、日本の独禁政策に対して、国内の厳しい目だけじゃなくて国際的にも厳しい批判の声が上がっているということは御存じのとおりですね。刑事罰の圧縮について、埼玉談合の告発見送りについて、アメリカ並びにECがどう受けとめているか、先ほど答弁があったようでありますけれども、これは対政府だけじゃなくて、アメリカないしEC全体のマスコミ報道も含めて反応について明らかにされたいということが第一点です。
 それから、アメリカ司法省の四月三日の反トラスト法の域外適用についての政府の考え方について、これは官房長官から伺いたいというふうに思います。
#281
○林(暘)政府委員 我が国は市場における公正かつ自由な競争を一層確保するという観点から、従来よりも独禁法及びその運用の強化に努めてきておりますが、これまで日米の構造問題協議や日本とECの間のハイレベル協議、または多数国間の場でありますOECD等において、このような我が国の努力は関係国に説明してきているところでございます。
 お尋ねの刑事罰の罰金上限の引き上げにつきましては、昨年の課徴金の引き上げと相まちまして総合的な抑止九を強化するものとして、アメリカ及びECとも基本的には我が国の努力について評価しているものというふうに考えております。
 また、埼玉建設談合事件については、現段階で外交ルートを通じて特段の反応がアメリカやECから私どもの方にあるわけではございません。
#282
○小岩井委員 まだ終わりましたというカードが来ませんから最後にもう一問やりますけれども、埼玉談合についてワシントン・ポストに報道されたのは御存じですね。この点についてどう認識されていますか。
#283
○林(暘)政府委員 アメリカにおいてさまざまな意見があるということは承知しておりますけれども、基本的には我が国の努力について評価しているものというふうに我々は考えておりますし、引き続いてアメリカ側の理解が得られるように努力していきたいというふうに思っております。
#284
○小岩井委員 今具体的に聞いたのですよ。ワシントン・ポストの報道について承知していますか、承知していればどういう評価として受けとめますかと聞いているのです。承知していなければしていないでいいですよ、次にまだ質問の機会がありますから、そのとき聞きますから。
#285
○林(暘)政府委員 私はワシントン・ポストの記事については現在承知しておりません。
#286
○小岩井委員 アメリカもECも反応がそれなりにないということに自信を持った答弁にしては随分怠慢ですよね。このことを申し上げておきます。
 終わります。
#287
○武藤委員長 森本晃司君。
#288
○森本委員 最初に加藤官房長官にお尋ね申し上げますが、私、けさほども七十分ほど質問に立たせていただきました。いろいろと公取の皆さんに、今国民が思っている疑惑の点についてただすことが多々あったわけでございますけれども、なかなかみずからその言われていることを晴らそうとされない。限られた時間の中での私たちの質疑でございますから、大変歯がゆい思いをしながらの討議をさせていただきました。
 朝の中でも申し上げましたが、また、本法案の提出者であります官房長官でございますのでよく御承知のことかと思いますが、もう一度述べさせていただいて、官房長官の御意見を賜りたいと思うんです。
 公取が発行している「ガイドブック」で、
  独立の行政委員会であるところにその特色があります。
  独占禁止法は、自由経済社会における企業の事業活動の基本的ルールを定めたものですから、その運用に当たっては、政治的な影響を受けることなく、中立的な機関により公正な運用が図られねばなりません。
というふうに書いてあります。そういうことですから、公取は毅然と、いろんなところの、政治やあるいはそのほかの圧力を受けてはならない独立機関としてやっていくべきなんだということであります。これは官房長官もよく御承知のことかと思います。
 しかし、この埼玉談合の問題やあるいは今回の罰金刑の引き上げに関しましては、巷間、先ほども小岩井委員がおっしゃっておりましたけれども、大変な圧力があったのではないか、あるいは取引があったのではないかというように言われております。この点については官房長官もよく御承知かと思いますので、そういったこと、報道され、巷間流されていることについて、法案の提出者である官房長官はどのように考えておられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#289
○加藤国務大臣 ただいま小岩井議員の質疑の中でそういうような御指摘がございましたけれども、政府といたしましては、公正取引委員会の研究会の中での結論をもとに、そしてまた、法案を提出する際には国民全体の大方の御理解を得られて、そして支持を受けるような法案の内容にしなければならないというような判断も踏まえながらある方針を出されたものでございます。
 政府といたしましては、その公正取引委員会の判断をもとに今度の法改正を提出したものでありまして、私たちとしては、公正取引委員会の判断を信用して、そしてこの法案の提出をし、また、皆さんに御審議をお願い申し上げている次第でございます。
#290
○森本委員 官房長官、巷間いろいろ言われていることについては官房長官はどのように受けとめていらっしゃいますか。
#291
○加藤国務大臣 先ほど梅澤委員長が申されましたように、いろんな各方面の御理解を得て大方の賛成を得なければならない。そういう意味で、いろんな方の御意見、各層各界にわたってお聞きになったりしたことはあると思いますけれども、その過程の中で、言われるようにある種の取引があったとかというようなことがあったとは思っておりません。
#292
○森本委員 じゃ、官房長官、全く圧力はなかったと考えていらっしゃるのですね、圧力とおぼしきものは。もう一度。
#293
○加藤国務大臣 法案を提出するときには、当然のことながら大方の御賛同を得られるということを公正取引委員会では考えたと思いますし、そういう圧力という、特定の一部の人からの特定の圧力でこの法案を判断されたものとは思っておりません。
#294
○森本委員 今言われていることは、そういうことがあったのではないだろうかということが、私はそれは随分あったように思っているんです。それで、そういった公取がなぜ弱いんだろうか、あるいはなぜそういうことまで言われるのかということになってまいりますと、先ほどの小岩井さんの質疑の中にありましたが、委員会の構成、そして体質に問題があるのではないかと思う。委員長は大蔵出身であります。ほかの方々については先ほど小岩井委員がおっしゃったとおりであります。
 そういった構成との状況から考えてみますと、一つは、いわゆる内部登用が、余りにも少ないのではないかなということを感じる。私は、公取の皆さんの中に人材はおられないとは思えない。経済問題ですからということで大蔵官僚がやってくるという話にはなるかもしれませんが、今のプロパーの皆さんが、将来おれたちも委員になってそれを担っていくんだというものがあれば、幅広く今まで持っている知識、あるいは今までも勉強されておりますから、それ以上に理解してこられるんじゃないだろうか。まず公取に入るときからそれぐらいの意気込みを持って皆さん方は入ってこられているに違いないし、しかし、だんだん見ているうちに私は職員の皆さんの士気にも影響するのではないだろうかというふうに思うところであります。
 また、それぞれの役所出身の方々がいらっしゃいますと、どうしても人間関係でございますから、先輩に大蔵官僚――きょうは、お二人の関係は決してそうだとは申し上げませんが、委員長がおっしゃったら、塩田審議官は大先輩に対しては余り言えないあるいはその意を酌み取ろうとする、人間としての情の部分が出てくるのではないだろうか。圧力がなかったとしても、自分の出身省庁の意向を自然に酌み。取ろうとするのは、それはある意味では私はむしろ自然だと思う。そんなことありません私はと言ったって、私がその逆の立場になったときに――めったとなることありませんけれども、なったとしても、やはりそれは情というのが働く。
 そういう点から考えてみますと、独立性を高めるためにもプロパーの方々がその委員に数多くおさまられること、あるいは、委員長並びに委員の選任についてもう少しの工夫があったはいいのではないかと思いますが、官房長官、いかがでございましょう。
#295
○加藤国務大臣 先生御指摘の前段の部分は、確かに私もそのように思います。
 公正取引委員会が戦後できた組織で、そして、まだ歴史的には新しいとはいえ、できましてからかなりの年数もたちました。ですから、その中でこの独禁法の運用の問題につき何十年と経験を得た人たちが最終的には委員の一人になり、そして、最高意思決定の委員の一人としてその法の運用に当たるということは、プロパーの人たちにとって大きな励みになりますし、それはぜひそうあってしかるべきでないかなと思います。もちろん、今委員になっておられます佐藤さんも、大蔵省御出身であっても、かなり長い間公取におられた方ですから、私はある意味ではプロパーの方であろうと思いますが、純粋の生え抜きの方がこの委員の一人になるということは、確かに、働く意欲という意味でも、法を適正に運用するという意欲の上におきましても大切なことだと思い、その方向で現在進みつつあるのでないかなと思っております。
 それから、後段の点で、役所出身の方がともすれば法の運用を適切に行わない傾向にあるのではないかという御指摘は、私は必ずしもそうではないと思っております。
 もちろん、役所の人間関係とか情の部分があるのではないかという御指摘をなさることも御意見としては確かにあるのかと存じますけれども、私は、少なくとも公務員をおやりになった方というのは決して高給を取っている人たちではございませんし、そういう中でできるだけ一人の消費者、一人の生活者として世の中の価格というものが適正であってほしいという気持ちは、ある意味では豊かな経済生活されてきた人たちよりもより強い意識を持っておられるのではないか。そういう意味では、私は、役所出身の人だからその法の運用に余り厳格に考えない傾向があるのではないかという御指摘には私は必ずしも賛成できないし、その役所出身の人たちはそれなりに必死に価格の公正というものがあってほしいという気持ちを十二分に持っておられるのではないかと思っております。
#296
○森本委員 時間が参りましたので質問を終えますが、今後私たちも大いに委員会の構成等々たついても関心を払いながらやってまいりたいと思うところであります。
 以上です。
#297
○武藤委員長 小沢和秋君。
#298
○小沢(和)委員 官房長官に時間の許す範囲で何点がお尋ねをいたしますので、簡潔にお答えを願いたいと思います。
 まず第一、我が党は今回の一億円への罰金の引き上げについては、それなりの意義は認めております。しかし、一億円という低い罰金では、超過利潤を取り上げる課徴金が六%という低きであることと相まって、企業は多くの場合、カルテルを摘発されても不当な利益が手元に残ることになります。これではやっただけ得ということになって、抑止効果が余り出てこないのではないか。法案提出の責任者として、その点をどうお考えになりますか。
#299
○加藤国務大臣 この一億円の上限というものは、公正取引委員会が諸般の事情を考え、また昨年の課徴金の引き上げに続き、今回の罰金の上限の引き上げによって抑止効果をもたらすようなことを考えて適切に判断されたものであろうと思っておりますし、政府もそれに基づきまして法案を提出した次第でございます。
#300
○小沢(和)委員 時間がないから議論ができないのが残念ですが、次に、アメリカの反トラスト法の日本への域外適用の問題でお尋ねをします。
 日米経済関係におけるアメリカの主権侵害ともいうべきやり方は目に余るものがあります、今回、米国司法省が反トラスト法の域外適用方針を決めたことは重大だと思います。既に公取委の見解は伺いましたけれども、政府としても主権侵害となる域外適用をやめるよう米国政府に申し入れるなど、毅然とした対処をすべきではないかと思いますが、この対応についてお尋ねをいたします。
#301
○加藤国務大臣 私たちもそのアメリカの反トラスト法の域外適用の問題は、国際法上許容されない米国内法の域外適用に当たるというふうな見方をいたしております。これまでも栗山駐米大使よりベーカー国務長官に対し、またバー司法長官あてに米政府の善処を求める書簡を出しましたほかに、単にこれは二国間のこういうやりとりだけでなく、OECDの場を含めて累次米政府に対し慎重な対応を要請する旨申し入れを行っておるところでございます。
#302
○小沢(和)委員 第三にお尋ねしたいのは、公正取引委員会委員の構成の問題であります。
 公取委が内閣その他の指揮監督から独立した行政委員会として国民の期待にこたえるよう活動するために、公取委の委員構成は非常に重要な意味を持っております。昨年の金融・証券スキャンダルは、公取委の委員構成との関係で、金融・証券が従来聖域になってきたのではないかとの重大な疑惑を国民に植えつけました。先ほどから委員が官僚出身者で固められていることが問題になっておりますが、少なくとも私は消費者代表を委員の中に加えるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#303
○加藤国務大臣 独禁法の運用というものがかなり広範で、かつ、常に流動しつつある経済事象というものを対象にしていくという側面から、かなり経済についての深い、また広い知識を持った方が要求されます。また、準司法的な手続を要請するものでもありますので、法律についてもかなりの知識を要求されるものでありますので、そういう知識を持った人材を集め、なおかつ経験を得た人という意味で、結果的に役所の人、OBの方が多くなることは少しやむを得ないところがあるのかなと思っておりますし、またそういう人も、先ほど申しましたように、一人一人を見ていけばそれなりにといいますか、本質的に消費者、生活者の立場を持っておられる方でございますので、現在の構成でも適正な運用がなされていくものと思っております。
#304
○小沢(和)委員 今お役所出身の人も消費者としての側面を持っているというふうに言われたんだが、それは確かにすべての人は生活をしているという意味では消費者としての側面を持っておりますけれども、私が言っているのは、そういう役所出身者ということではなくて、もっと感覚的にも消費者としての立場を積極的に押し出せるような人をこの際考えたらどうか。今あなたが言われたそういうお役所出身者にはすぐれた面もそれは私ないとは言えないと思いますけれども、しかし今は全員がそういう立場の人でしょう。だから、今私が言ったような、もっと消費者としての感覚を発揮できるような人をそこに入れたらどうかという点について、もうちょっと前向きな答弁をしませんか。
#305
○加藤国務大臣 それぞれの専門的な知識等を要求されますので、そのときどきで各界からの人材を広く選択しながら、そのときどきの人選を行っていくべきだと思いますけれども、必ずしも役所の方が多くなったから消費者の意向が反映されないとも断定できないのではないかと思っております。
#306
○小沢(和)委員 最後に、公正取引委員会の体制それから人員の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 厳正、公正に独禁行政を遂行し、大企業等の不法な取引制限や不公正取引から国民生活や中小企業を守る上で、公正取引委員会全体の人員を充実する必要があると思いますが、欧米先進国と比べても現状は余りにも貧弱だと思います。今後も大幅に増員するよう政府として特別の努力をすべきではないかということを最後にお尋ねをいたします。
#307
○加藤国務大臣 人員等につきましては、総定員法とかそれから国の限られた予算等の中で考えていかなければなりませんけれども、その点につきましては公正取引委員会の委員長と十分協議して対処してまいりたいと思っております。
#308
○小沢(和)委員 ここ数年審査部門などには積極的に人員を入れてきているわけですよ。だから私は、そのことは評価をした上で、まだ極めて不十分ではないかという立場から言っているのですが、もう少しこれなどは前向きの答弁があってしかるべきではないですか。
#309
○加藤国務大臣 梅澤さんと十分協議して、また考えていきたいと思います。
#310
○小沢(和)委員 終わります。
#311
○武藤委員長 川端達夫君。
#312
○川端委員 官房長官、大変御苦労さまでございます。
 独占禁止法の改正という法案が出てまいりました。いわゆる国際社会の中での日本の立場、とりわけ公正なルールという部分に関して一、二お尋ねを申し上げたいと思います。
 日本が国際社会の一員としていろいろな責任を果たしていく、そして協調していくという姿勢をとらなければいけないという指摘は、ここ数年来、随分日増しに強くなってきているという状況だと思います。そういう中で、今回のこの独占禁止法という部分に焦点に絞りましても、おのおのの市場の中で公正な競争条件が確保されていくという部分で、国際的な観点から日本を見ても、そういう市場であるということが非常に強く要請をされている。そして、やや閉鎖的ではないかという指摘もたくさんある。
 そういう中で、今回の法改正、昨年の法改正も含め、あるいは公正取引委員会のこれからの運用も含めて、より公正な市場の確保ということは、国内の政策、消費者に対する政策だけではなくて、日本政府としてのいわゆる国際公約の一つとして大変大事なことではないかというふうに私は思いまして、重要な国際公約の一つだ、このことをより前進をさせていくということ自体がそういうものだと思うのですけれども、長官はいかがお考えでしょうか。
#313
○加藤国務大臣 川端委員御指摘のとおり、我が国の独占禁止法の運用も、国際社会の中で正当な評価を受けるようなものであらなければならないと思います。公正取引委員会も従来からその方針で臨んできたと思っておりますけれども、今後ともその努力を一層強化されるものだと私たちは期待しております。
 また、ともすれば我が国が従来から生産者の立場により重点を置いた社会であることは事実でございますけれども、私たちの内閣も、生産者の視点から生活者の視点ということを内閣の大きな基本方針にいたしております。そういう意味で、今後ますます一層公正取引委員会の活動が充実し、また自信を持って今後とも活動してもらいたいと思っております。
#314
○川端委員 一方、今いみじくも生活者いわゆる働く者の立場という部分で、その人たちの非常に大きな要請として、生活大国という、宮澤内閣の中でもお触れをいただいておりますが、時間短縮という問題があります。これはただ単に、よりゆとりがあり潤いがある生活をするという視点だけではなくて、国際的に見たときに、これはより公正な競争条件を有して相競うという意味では、これは公正な経済活動という意味でも、これはまた一方で国際的な視野から日本に対して働き過ぎではないかという指摘もありますし、政府としても、そういう観点で老いわゆる時短というのはやらなければいけない。いろいろな施策を今実施もしていただきつつあるし、これからも計画をしていただく、私はこのことに関しては非常に評価をいたしますし、これから積極的に進めていただきたいというふうに思います。この時間短縮も、やはりいろいろな見方はありますが、国際公約の大きな一つであるという認識に対しての長官の御認識を簡単にお聞かせをいただきたい。
#315
○加藤国務大臣 労働時間の短縮は、政府において一体となって取り組むべき国民的な課題だと思っております。従来から公正取引委員会としては時間短縮の促進のため大変な努力をされておりまして、独占禁止法の枠の中で労働時間の短縮が促進されるように適切に対処をしてこられたことだと承知いたしております。したがって、時短についていろいろ話し合われることと独禁政策というのとは矛盾しないかという問題点というのは非常に重要な、ある意味では微妙な問題点であろうと思いますけれども、労働省等の適切な指導等も加えながら、この二つの問題は両立し得るものではないかなというふうに理解いたしております。
#316
○川端委員 次の質問に御答弁をいただいたような気がいたします。私は、時短も政府としてやるべき国際公約の非常に大きな柱ではないかということで、これに関しては官房長官、御異存値ないというふうに理解をいたします。それに関してまずお聞きをしたのですが、そうであればそうであるということで……。
#317
○加藤国務大臣 そのとおりでございます。
#318
○川端委員 ということで、時短をそういうことでやらなければいけない、そして公正な取引もやらなければいけない、これはこういうふうに申し上げた、全くそのとおりだということなんですね、おのおのに関しては。そして、きっちりやってほしいというのがみんなの願いである。
 ところが、現実に、例えば今人手不足という部分も含めて中小零細企業という立場で見ますと、時短をやりなさい、法律でこういうふうにやります、多少は援助しますけれども、やりなさい、こういう中で時短を実行するには必ず労務費のアップということがコストアップにつながるということですね。だから、コストは上がります。そのときに比較的体力のある企業と非常に体力のない企業、時短に関していろいろバックアップはしていただくとはいえ、コストは上がることは事実だと思います。コストが上がるとそのときに下請や孫請やという企業、そういう部分の、部品をつくっているとかいうところが、時短のために値段が上がりますというと値段が通らない、競争が過激であるということが起これば、結局はその値段が通らないとしわ寄せを全部がぶらなければいけないという問題が出てくる。そうすると、これは想像ですけれども、値段を、同じものだけでカルテル的にやってみんなでその値段を上げるということをやらなければ時短もできない、そういう非常に微妙な問題が出てくるのではないかというのを心配するわけです。
 それで、カルテルを認めよと言っているわけではありません。そういう部分で言えば、実際に自分たちが時短を、国の基本的な方針としてやれやれということだし、やらなければいけない、働く人のためにやらなければいけない。時短を促進すると、例えば部品をつくっているメーカーは値段が上がった、値段が上がった分で買ってくださいと言ったら、その買い元は、そんなものはおまえの努力が足りないんだから、ほかやったらもっと安いのがあると言われると、みんなで同じ値段にしようということをしないと時短ができないということになってはいけないということを非常に危惧するわけです。
 その部分で公正取引の部分の促進ということに関しては公取委員会という独立した機関が一生懸命おやりになる、しかし政府全体としては国際公約という部分で時短も含めてというときに、労働省とか通産省とか含めて公取委員会も含めて、官房長官というお立場は、広く国際的な日本との関係というものを含めてそのことを調整し、知恵を出していくということに非常に重要な役割を私はお持ちいただいているというふうに思います。これは間違いなく現実にそういう問題が出てくるというふうに私は思います。そういう部分で問題提起をさせていただくと同時に、官房長官としてそういう役割をぜひともに果たしていただきたいというふうにお願いを申し上げるわけですが、御所見を賜って、終わりにしたいと思います。
#319
○加藤国務大臣 現在国会で御審議いただいている労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案も、独占禁止法の枠内で労働時間の短縮を促進するよう公正取引委員会と所管省庁との調整手続を置き、その調整が図られているところでございます。
#320
○川端委員 終わります。
#321
○武藤委員長 次回は、来る六月二日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時散会
ソース: 国立国会図書館
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