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1992/06/03 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 商工委員会 第14号
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1992/06/03 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 商工委員会 第14号

#1
第123回国会 商工委員会 第14号
平成四年六月三日(水曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 武藤 山治君
   理事 逢沢 一郎君 理事 井出 正一君
   理事 自見庄三郎君 理事 額賀福志郎君
   理事 竹村 幸雄君 理事 森本 晃司君
      甘利  明君    新井 将敬君
      岩屋  毅君    植竹 繁雄君
      浦野 烋興君    尾身 幸次君
      岡島 正之君    奥田 幹生君
      佐藤 信二君    佐藤 守良君
      斉藤斗志二君    増田 敏男君
      大畠 章宏君    岡田 利春君
      加藤 繁秋君    小岩井 清君
      後藤  茂君    鈴木  久君
      安田 修三君    安田  範君
      吉田 和子君    小沢 和秋君
      川端 達夫君    江田 五月君
 出席政府委員
        公正取引委員会 梅澤 節男君
        委員長
        公正取引委員会 柴田 章平君
        事務局長
        公正取引委員会
        事務局官房審議 植松  勲君
        官
        公正取引委員会 糸田 省吾君
        事務局経済部長
        公正取引委員会 矢部丈太郎君
        事務局取引部長
        公正取引委員会 地頭所五男君
        事務局審査部長
 委員外の出席者
        議     員 小岩井 清君
        公正取引委員会
        事務局官房審議 塩田 薫範君
        官
        法務大臣官房審 山本 和昭君
        議官
        建設大臣官房地 峰久 幸義君
        方厚生課長
        建設省建設経済 風岡 典之君
        局建設業課長
        商工委員会調査 山下 弘文君
        室長
    ―――――――――――――
委員の異動
六月三日
 辞任         補欠選任
  仲村 正治君     岡島 正之君
  加藤 繁秋君     小岩井 清君
同日
 辞任         補欠選任
  岡島 正之君     仲村 正治君
  小岩井 清君     加藤 繁秋君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇号
 )
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(竹村幸雄君外十名
 提出、衆法第七号)
     ――――◇―――――
#2
○武藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案並びに竹村幸雄君外十名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木久君。
#3
○鈴木(久)委員 独占禁止法の改正に当たって、我が党は対案を出しまして審議をいただいているわけでございますけれども、特にこれまでの審議経過を私なりに聞いてまいりまして、政府案ができるまでの過程、ここに大変不透明な、我々になかなか理解のできない、国民にはどうも理解してもらえないのじゃないだろうか、こういうことがあったように思えてならない。公取の委員長も、法案を通すために調整をやりました、こういうふうにはっきりおっしゃっております。通すために調整をする、これが優先されるとすれば、法案としては極めてゆがんだものになっているのじゃないだろうか、こういうふうに私は思えてならないのです。
 私どもが社会党案を提出したのも、そうした一連の今日まで公取がとってきた、例えば刑事罰研究会の報告が公表をされない、予算委員会でやっと資料要求があって提出をする、言ってみればこういう当然のことをやってこなかった、どうも政府案はどんどんどんどん後退をしていく、こういう中で、どうしても我々としてはしっかりした独占禁止法をつくらなければいかぬ、こういう立場で実はあの対案をつくるという作業により一層拍車がかかったと言ってもいいでしょう。
 ですから、今まで政府が法案の作成過程で行ってきたことについて私はどうも不明朗だというふうに思っているのです。そして、私どもが提案をしている衆法の方がはるかに理にかなっている、こういうふうに思いますけれども、改めてこの作成過程の問題について公取委員長の御見解をただしたいと思います。
#4
○梅澤政府委員 ただいま御審議を願っております政府提案に係る独占禁止法の改正、特に事業者の刑罰、罰金の量刑の水準を引き上げることについてでございますが、ただいま御指摘もございましたように、この内容につきましては昨年一月から学者、専門家による刑事罰研究会で検討作業をずっとお願いしておったわけでございます。たしか五月でございましたか、一遍中間報告をいたしまして、これは公表いたしたわけでございますが、恐らくその後独占禁止法の刑罰強化についての議論が各方面で開始されたというふうに認識をしておるわけでございます。
 ただ、たびたび申し上げるわけでございますけれども、独占禁止法は事業活動の基本的なルールを規制する領域でございますから、これによって規制を受けるのは事業者であるし、課徴金なりあるいは刑罰なり、そういったものを課せられるのも事業者自身でございます。したがいまして、これだけ大きな制度の改正を行います場合に、やはり大方の理解といいますか、なかんずく事業者全般について、こういった引き上げについて全面的に賛成するということではないにしても、そういったことの必要性、やむなしという理解まで熟さない限り、制度の改正ということについて政府としてはなかなか踏み切れないということがあるわけでございます。年末に研究会の報告がまとまりました段階で、率直に言いましてまだ各方面の刑事罰の引き上げについての必要性、その意味についての御理解は必ずしも熟していなかったというのが私どもの当時の判断でございました。したがって、あの時点でこれを公表するということは、これから各方面の理解を得る上においては、作業上かえって支障が生じるのではないかということで、公表の時期をもう少し適当な時期を選ぶということ、これは公正取引委員会の判断で行ったわけでございます。
 ただ、時期をおくらすことについて、このこと自身を世の中に公表するに際しましても、私どもはこの報告書を未来永劫世の中の目から隠してし
まうということは絶対にいたしません、この制度の当否あるいは実現の可否にかかわらず時期が参りましたら必ず公表いたしますということは、当時から明らかにしておったわけでございます。
 そこで、その調整の問題でございますけれども、調整と申しますのは、ただいま私が申しました各方面の御理解を得るための公正取引委員会としての行政努力なり、その行政努力の過程のことをいわば調整という言葉で申し上げておるわけでございます。事務局あるいは私自身も含めまして、各種の団体、各種の地域の団体、それから関係諸官庁、与党の各機関と恐らく半年以上にわたりまして間断なくこの議論をしてまいったわけでございまして、その積み重ねの結果、大方の理解を得るものとして、現時点においてただいま御提案申し上げているものが、ぎりぎりの、しかし独占禁止法の歴史から見ますればいわば画期的な内容を持つ、刑事罰の引き上げ、抑止力の強化という内容を含むものをただいま御提案申し上げておるというふうに考えておるわけでございます。
#5
○鈴木(久)委員 そこなんですね、認識の違いは。大体、皆さんが刑事罰をどのくらいにしたらいいかということを研究会で何度にもわたっていろいろと勉強していただいて方向を出された、それを自分たちだけで温めておいて、関係のところと調整をしたと言うけれども、調整をするときに、最も大事な研究会の報告が隠されておいて調整をするというのは一体どういうことか。
 確認をする意味でお尋ねしますけれども、今委員長が各関係のところと調整をした、こう言っていますね。そのときには刑事罰研究会の報告書というのを、こういうふうになっていますよ、そういうことを明示して公表して調整したんでしょう。一部分にだけは明示をしてほかにはやらないで調整をするとか。我々のところには全然知らされていないわけですから。どういう作業形態だったんですか。ここも不明朗であれば、私は、どうもこの公表をすることが今判断として時期じゃない、だからずっと抑えてきたということだとすると、そういう各団体との調整の段階でも一切公表しなかったということなんですか。そこのところだけははっきりしていただきたい。それでなきゃ、まさに密室の協議だよ。
#6
○梅澤政府委員 先ほど申し上げました経緯でございますので、報告書そのものは何人にも公表はいたしておりません。
 ただ、各方面との議論の過程、特に、公正取引委員会として、独占禁止法の罰則の引き上げが今喫緊の課題であるということを繰り返し繰り返し御理解を得る努力を重ねてまいったわけでございますけれども、その場合に、報告書の内容その沌のは公表はいたしておりませんけれども、なぜ近代日本の企業刑罰法制の基本的な枠組みである両罰規定の連動を切り離して事業者の罰金の水準を引き上げる必要があるのか。その場合に、独占禁止法では、独占禁止法三条ないし八条一項一号、競争秩序の一番重大な部分を侵害する私的独占なりカルテルの部分の罰則に限定してこれを引き上げる必要があります。これは国際的な観点からでも必要の要請があります。それから、その場合の引き上げ幅といたしましては、億単位、数億円単位のものを想定しなければならない。ということは、公表はいたしておりませんけれども、研究会の報告の基本的な考え方に沿って各方面に御説明し、御理解を求める努力を続けてきた、こういうことでございます。
#7
○鈴木(久)委員 そうすると、政府・与党、自民党との調整に当たってもそれはそうですか。そこのところを正確に。そうすると、数億円ということ、研究会から数億円という報告はありますということだけは、調整の段階では、公取委員会の方から各方面に調整に当たって言っておった、こういうふうに理解していいですか。
#8
○梅澤政府委員 これは与党の機関のみならず、先ほど申しましたように各種の団体についてもそういった考え方で説明しておったわけでございます。
#9
○鈴木(久)委員 そうするとやはり研究会の報告はそれなりに、調整の段階では数字も含めて出されておった、数億円ということもあった、こういうふうな中で調整をして一億円になったということでいいですね。そこのところをもう一度。
#10
○梅澤政府委員 そういった調整過程を経て、一億円という水準といいますか、政府として現時点において立法府に御提案申し上げる水準として一億円であるという結論に達した、こういうことでございます。
#11
○鈴木(久)委員 だから私どもはとても理解ができない、こういうふうに考えるわけでございます。
 もう一つだけ。これはどうも、公正取引委員長、がこのことを理解しているかどうかわかりませんけれども、法案を提案をして、この審議が始まる前提でいろいろと私どもも法案調査をする、そういう過程で公取委員の皆さん方の説明を受けたり、あるいは質問との関係で調整をしたりしてまいりました。そのときに、残念ながらと言った方がいいんでしょうね、私どもは衆法を出して一生懸命議論をしよう、こういうときに、これでもめてお互いの法案が通らないようなことがあったらもとのもくあみだ、刑罰も五百万円に戻ってしまうんだ、それでいいのかみたいなそういうことを、調整の段階で、あるいは質問のヒアリングやあるいは我々が意見を聴取する段階で公取の役人が堂々と言うというのは一体どういうことか。ふまじめですよ。
 これは、今理事会でも採決の問題で議論になっているでしょう。衆法が優先するのか閣法がどうなのかという問題も、この採決に当たっていろいろな議論が行われている。国会は立法機関として憲法で認められている唯一の機関。問題は衆法が優先されるのが当然。その議論はこっちに上げておいても、対案を出し、我々がそういう法案審議をまじめにやろうというときに、出してごちゃごちゃになったらもとのもくあみじゃないかみたいなことを堂々と言うなどというのはまことにけしからぬ話ですよ。
 公取委員長、そのことをあなたは報告を受けていますか、あるいはまた、そういう対応があったとすればどういうふうに考えますか。
#12
○梅澤政府委員 御指摘のとおり、議会民主主義制度のもとにおいて立法の成否は、あくまで立法府、政治の問題でございまして、行政府が介入すべき問題ではございません。御指摘のとおりでございます。
 私どもの政府の原案のまとまります過程におきまして、各党の政審の方の御要請なり、あるいはこちらからお願いをして御説明に上がった経緯がございます。その過程におきましてどういったやりとりがありましたか、私は詳細に報告を受けておりませんし、存じ上げないわけでございますけれども、恐らく当方の担当事務職員は、この政府案について何とぞ御理解を賜るというために熱意を持って一生懸命御説明申し上げたことと思います。皆一丸になってこの作業をやってきたわけでございますから。しかし、詳細は存じませんけれども、その過程においてあるいは誤解を受けるようなことがあったとすれば、私、委員長としておわびを申し上げます。
#13
○鈴木(久)委員 我々が衆法を出しているというのは、公取委員会の行政を国民から信頼されるものにして――今どんどん公取行政に対する国民の、しっかりしろよというか頑張ってほしいという方がむしろ多いんですよ。そういうときだからこそしっかりした法案をつくって、そして頑張ってほしい、我々は本当にそういう意味でこの法案を提案をしている。何か、提案したのが悪いみたいな認識を与えるような発言が行われたとすれば、全くこれは言語道断です。そこのところは、今公取委員長からそういうお話がありましたけれども、極めて問題だ、こういうふうに指摘だけはしておきたいというふうに思います。
 さて、公取委員会の行政の問題を考えるときに、経済犯罪全体の問題についてちょっと私なりの感想を申し上げて、委員長の御見解も賜りたいのですけれども、最近、とみに経済犯罪が悪質化
し、そして多発をし、計画的、大規模になってきているという感じを私はいたしております。ちょっとさかのぼれば、豊田商事の悪徳商法のようなものがあったり、サラ金、ネズミ講、脱税、そして、このバブル経済と一緒に大々的に行われたいわゆる金融スキャンダルと言われること、あるいはゴルフ会員権の乱売、詐欺等々、きょうの新聞なんかを見ても、その種経済犯罪が載らない日はないですね。本当に多発傾向になっている。確かに経済の複雑化、発展をしている過程の中で起きていることなのかもしれませんけれども、余りにもゆゆしき状態であります。そして、どちらかといえば、こういう経済犯罪をやっている人々が罪の意識をそんなに持っていない、こういう傾向にあるのではないのか。まともなことをやっているのだ、何が悪いか、中には開き直る者も多いですね。本当に刑事罰でもかけられない限り、堂々とそういうことを言ってのけているというのがほとんどこの経済犯罪の内容でないか、こんなふうに考えているのですけれども、現在の、これは捜査などがどうだとかいうことではなくて、委員長とうですか、経済の犯罪のそういう状況、どんなふうに現状を見ておられるのですか。
#14
○梅澤政府委員 経済犯罪一般に対する認識という問題になりますと、独占禁止法を所管いたします行政機関としての公正取引委員会として、一般的な責任ある見解を述べるという立場にはないと思いますけれども、私どもも文字どおり世の中の経済事象そのものに関連する仕事にタッチをいたしておりますので、現代経済社会というものについてどういう認識を持つかということにも関連する問題でございます。
 仰せのとおり、現在の経済社会というのは非常に大規模な企業経済社会、したがいまして、企業活動というものが社会経済事象一般の中で個人の活動の範囲をはるかに超える影響力を持っておる。しかも、ただいま御指摘になりましたように、技術革新あるいは経済活動の多様化に伴いまして行為の内容も複雑になってきております。そうした複雑、多様化の中で、企業に対するあるいは企業の不法行為に対する対処の仕方をどう考えるかという点については、法務省の法制審議会刑事法部会においても、そういった観点から今後の企業犯罪に対する刑事政策のあり方ということが議論されていると存じます。
 私どもも今後とも、経済事象を対象にいたします行政機関といたしましては、ますます複雑、多様化する中で、あえて経済犯罪とは申しませんけれども、経済に係る各種の不法行為、違反行為に対しては厳正に対処していかなければならない、そういう使命を強く感ずるわけでございます。
#15
○鈴木(久)委員 そこで、独占禁止法にかかわる、例えばカルテルとか談合とか、今そこを中心に、特に刑事罰の問題で議論になっておりますね。カルテルの行為とか談合の行為というのは極めて組織的、そうですね、それも会社ぐるみですよ、これは。業界ぐるみと言ったらいいでしょうか、大規模ですね、知能犯ですか、悪質です。しかし、ここから、カルテル行為をやっている行為者ないしは談合をやっている当事者、こういう人々に罪の意識が少ないですね。むしろ会社のためにおれは仕事をしている、こういう認識が強いのではないですか。そういう行為をして、会社の利益を上げるのだからいいではないか、おれは仕事の命令を受けてやっているようなものだ、ちっとも罪の意識がない、こういうふうに思いませんか。
#16
○梅澤政府委員 仰せになりましたように、カルテル、談合、談合もカルテルの一種でございますけれども、これは本来市場経済体制のもとで公正、自由な競争をすべき、競争の当事者たるべき者が競争を回避して、共同によって価格を決め、あるいは数量を決め、あるいは受注者を調整するという行為でございますから、市場経済体制の基本的な法益というものを侵害する悪質な行為であるという位置づけで私どもは考えておりますし、現在御提案申し上げている法案におきましてもこの部分に限定して抑止力の強化をお願いしておるわけでございます。
 そこで、この独占禁止法違反に対する社会全般の認識あるいは価値観の問題ということに御質問はお触れになったことと思います。
 各国によりましていろいろ歴史的経緯がございますし、それぞれの社会、文化的な発展の状況の中で、私は価値観は変わっていくと思います。やや個人的な経験を申し上げることをお許し願いたいわけでございますけれども、今日脱税なるものに対する世の中の価値観というものは、これは国民として、納税者として許すべからざる行為であるという認識はほぼ確立していると私は思いますけれども、これも、やはり今を去る二十数年以上前にさかのぼりますと必ずしもそういう状況ではなかったということでもございます。
 我々は、今後日本の経済あるいは市場経済秩序というものをますます公正、自由なものにし、世界的にも理解を得るためには、この独占禁止法違反に対する社会全般、特に企業なり従業者の意識の水準というものを高めてもらう必要があると考えておるわけでございますが、この基本になるのは、何といいましても、やはり違反行為に対して公正取引委員会が厳正に対処するというその現実を見せるということが一つでございます。それからもう一つは、やはりこの独占禁止法違反に対する具体的なルールというものをわかりやすく、特に事業者方に普及啓蒙するということが大事でございまして、このため昨年七月、いわゆるガイドラインというものを作成したわけでございます。
 今日、先般の委員会でも御報告申し上げましたけれども、我が国の上場企業の相当部分のところで独占禁止法の遵守マニュアルを作成したりあるいは作成中のところが出てきておりますし、あるいは法務部門を初め社内のそういった遵守体制を強化するという動きが今までになく顕著に出てきておるわけでございまして、私どもはそういった方向に我が国の社会も顕著に動きつつあるという希望を持って、しかしそういった方向を推進するための公正取引委員会の使命なり任務の重大さに改めて思いをいたしまして努力してまいらなければならないと考えております。
#17
○鈴木(久)委員 脱税はそういうふうに罪の意識を持つようになってきた、長い時間かかったんだ、独占禁止法違反もそうしなきゃならないという決意は伺いました。しかし、今もって談合の問題あるいはカルテル行為をやってる人々、私は、そんな意識持ってないと思うよ。それは、この間の埼玉の話は後でやりますけれども、ああいうことをやっても大丈夫だよ、こういうふうに結果としてなっちゃっていますからね。これは梅澤委員長の言うように、これからカルテルの行為や談合やそういうものが罪の意識として、それぞれ行為者にそういう問題意識を持ってもらうようなシステム、仕掛けというのがこれで十分かどうか、ここが今度の法案の一番大きなポイントだ。皆さんが言っている抑止力が働くか働かないかという問題でしょう。
 そこで、具体的にお尋ねをいたします。法人は刑事罰の対象としては極めて難しい、だから行為者に対して刑事罰を科すのだ、議論の過程をずっと聞いてまいりますと、そういうことですね。行為者とは何か、まずここからお尋ねをしたいと思います。
#18
○地頭所政府委員 お答えいたします。
 具体的な独禁法違反行為に関与した者、これが通常の場合における行為者でございます。
#19
○鈴木(久)委員 それで、いいですか。談合でもカルテルでもいいですよ、どっちにしろ、一つの業界の中でいろいろな法人が業界の中であって、それが談合する、こういう格好になるでしょう。当然そのときに、直接談合したA会社のだれ、B会社のだれ、こういうのが確かにいましょう。それが今審査部長が言う行為者ですね。ところが、私が聞きたいのはそこからです。会社の中でその行為をしている一人の人間というのは、組織ですからそこに少なからず命令系統があるのですよ。もともとこういうものは会社ぐるみ、業界ぐるみです。行為者というのはどこまで責任が及ぶので
すか。ここのところをちょっとお聞かせいただきたい。
#20
○地頭所政府委員 私どもが現在談合事件として審決を出しておるものについて申し上げますと、一定のルールにつきましての合意の存在が認められまして、その合意に基づいて個別の物件について受注調整を行っておるというものがほとんどでございます。そういった場合に、そのルールの合意形成方に関与した着ないしはその個別談合に関与した者、この両方が行為者として存在し得るわけでございます。例えば直接に会合に出席したとか、そういう者だけが当該行為者になるということではなくて、それに指示を与え、あるいは報告を受け承認を与えている、そういったような関係があれば広く関与した者というふうに認定し得る場合があるというふうに考えております。
#21
○鈴木(久)委員 そこで、何かのしっぽ切りなんてよく言われますけれども、大体責任はだれがその行為者一人に、会合に、談合にまざった人一人や二人を切って終わり、こんなことでは、先ほど言ったやり得、刑事罰を科せられたってそんなものはちっとも痛くもかゆくもない。
 問題は、特にカルテル行為などに至っては会社の中枢部、大体これが全く関与しないはずがない、かかわらないはずがない。だって、今までの経過から見てもそういう刑事罰でそういう対処をしたということがない。だから、せいぜい行為者を罰するといっても恐らく本当に直接関与した部分以外に対象にならないのじゃないだろうかというふうなことを含めて、私は、経済犯罪、とりわけ談合やカルテルの問題などについても甘さがあるし、あるいはまた、罪の意識もない、こういうところと裏腹の関係になっているのじゃないか。
 委員長、もう一度ここのところだけは、審査部長じゃなくて、行為者そのものの範囲、範疇というものをしっかりと――本当は会社の責任ある者が罰せられなければ、それは脱税が罪の意識を持ってくるようになった。脱税だって、企業が脱税をやる場合もあるし、個人がやる場合もあるのですけれども、この独占禁止法にかかわる問題は、基本的には対象が法人ですから、法人に刑事罰を与えられない、こういうふうに言って担当者だけだ。こんなことであるとすれば、幾ら刑事罰に罰金を科してもまたもう一つ問題がある、こういうふうに思いますから、はっきりとそこをお答えいただきたい。
#22
○梅澤政府委員 行為者の考え方については先ほど審査部長が御説明を申し上げたとおりでございます。
 繰り返しになるわけでございますが、例えばカルテルの場合でございますと、独占禁止法三条違反で私どもが排除勧告を行います。これは事業者単位あるいは会社単位でそういった共同行為が行われておる、そういう競争秩序の違反が行われている事態を原状に回復するという行政処分でございまして、今回の埼玉の事件につきましても、排除勧告を行うために、行政上の処分を行うために必要な事実、資料等に過不足なく、行政処分を行ったわけでございます。
 翻って、それでは刑事罰を求める、刑事訴追を行うということになりますと、これは犯罪として構成されなければならない。これもこの委員会で繰り返し申し上げておるわけでございますけれども、行政処分というのは違法状態の原状を回復するものでございまして、刑事罰というのはそれぞれの刑事責任、責任を問うわけでございます。したがいまして、ただいま東京高裁で係属しておる事件でございますので詳細に立ち入ることは差し控えますけれども、いわゆるラップ事件の場合は、このカルテルの形成に当たりました営業担当重役、営業担当部長クラスの具体的な個人の特定、それから具体的な行為の特定というものが私どもの審査の段階で明らかになりましたし、検察当局の刑事捜査によりましてさらに事実が明らかにされ、現在公訴が提起されておるわけでございます。
 そういうことでございますので、今回のこの埼玉の事件につきましては、ただいま申しました意味での行為者の特定なり行為者の行為そのものが公訴提起に足る程度の、相当程度の見込みあるだけの事実の把握が困難であったということでございます。
 したがいまして、一般論から申し上げますれば、そういった刑事告発に該当する犯罪性というものが明らかになり、同時に、今おっしゃいましたように当該担当重役なり担当部長にとどまらず、さらに会社上層部がそういった違反行為について、これを知りながらそれをとめなかった、あるいは知りながら知らんぷりをしていたというようなものについては、もう一つ九十五条の二という規定がございまして、そういった明らかなカルテル事件については、やはり単に行為者のみならず代表者も刑事責任を問い得るという法制になっておりますので、私どもは今後ともこういった法制というものを活用しつつ抑止力の強化に努めなければならないというふうに考えております。
#23
○鈴木(久)委員 それで、抑止力を働かせるという意味からいえば、そういうことがきちっとやられなければやはり絵にかいたもちになる、私はこういうふうに思います。
 具体的にお尋ねをいたします。
 埼玉の談合事件の場合にその特定ができなかった、こういうことでございますが、これは審査部長にお尋ねした方がいいのかもしれませんけれども、土曜会という組織がありましたね。あそこにはそれなりの役員メンバーというのがあったでしょう。それはそれなりに特定できますね。そういう組織に対する審査というものはきちっと行われたのですか。
#24
○地頭所政府委員 埼玉の事件につきましては、土曜会会員として六十六社から各二名参加しておりましたものでございます。これらの者につきましては事情聴取をいたしております。
#25
○鈴木(久)委員 最も当事者について事情聴取をした、それでどうして、我々にはそこから疑問ですね。行為者が特定できなかったわけですね。あるいは犯罪行為としてこれを成立させるに至らなかった。あれだけの談合事件が、ちゃんと排除勧告をしているだけのものがあって、そこにちゃんと土曜会に入っているメンバーがいて、そこの事情聴取をやって、やった中身を明らかにしろといったって、あなたたちはそれこそ審査の問題だから公表できない、これはやみに隠されて我々のところに出てこない。これじゃやはりだれが考えたって、埼玉談合問題というのが刑事罰に該当しなかったのだ、特定できなかったのだという皆さん方の主張は到底国民には理解してもらえないですよ。
 そこで、今の問題も後でお答えいただきたいのだけれども、特に審査体制の問題についてあわせてお尋ねをしたい。
 こういう事件の端緒に接してから、その事実の概要を調べて、関係法令に照らして、どうもこれは審査の必要ありと部長が認めたら審査会を設定して、そして具体的審査に入る、そして事情聴取もやる、出頭命令もする、書類も提出をさせる、そういうことを皆さんは権限として持っていらっしゃいますね。そして、今度はちゃんと談合問題では土曜会のメンバーも全部事情聴取をしました、供述をとりました、恐らく書類の提出もあったでしょう、それでできなかったというのはどうも納得がいかない。それで、審査体制が極めて不十分なためにそういうふうになったのか、あるいは公取委員会の持つ審査というものの限界が刑事罰の対象を特定するところまでいかなかったのか。皆さん方がそれ以降、それ以降というかそれ以前かもしれぬけれども、いわゆる検察との間でいろいろな検討会をやっていらっしゃるといいますけれども、脱税の方はそういう仕組みがしっかりできていて、だから摘発もできる、こういうふうに委員長がおっしゃいました。埼玉談合はどこがだめだったのですか。どこまでいって、どこが一番欠陥だったのですか。それをしっかりここに報告をして、だめなところを強化しなかったら、また同じですよ。それがちっとも整理をされていない。審査体制がだめなのか、体制が不十分なの
か、人がいないのか、権限がないからできないのか、そこのところをはっきりしていただきたい。
#26
○梅澤政府委員 今回の刑事告発の見送りに関連いたしまして、各方面からの御質問なり御批判、特に当委員会におきましてたびたびの御指摘をいただいておりまして大変恐縮しておるわけでございますけれども、これに対する私の考え方といたしまして、一つは、我が事務局の審査能力が劣るがゆえに今回の事件が刑事告発に至らなかったという認識は一切持っておりません。我々の審査能力というものは相当の水準に達しております。
 そこで、今後の審査体制についてどう考えるかという問題でございますけれども、これは特に談合の問題に関連いたしまして、今回の事件を契機に検察当局との間でいろいろな事案を想定しながら早急に対処の方針についてのワーキンググループの作業を開始する。したがいまして、私どもは、現在の審査体制をさらに充実させていただくということをぜひお願いしたいとは考えておりますけれども、そのことと相まつと同時に、やはり審査手法の開発等を通じまして、今後談合に対する厳正な対処の方向を早急に確立したいというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、埼玉事件の談合の問題について、先ほど来委員からいろいろな角度からの御質問をいただいておるわけでございますけれども、私ども今回の審査過程を通じまして検察当局の間といろいろな意見の交換を行ってまいりました。それは告発可能性という観点からでございますが、法律問題それから事実問題、事実問題というのは先ほど来個人の特定なり個人の事実、行為の確認というふうなことで申し上げたわけでございますけれども、どういった手口についてどこに問題があるかというふうなことを御説明申し上げることは、今後の事件処理にやはり影響すると私は存じます。これからの談合の事件に対処する場合に、刑事告発に当たってどのような点が問題になるかということを具体的に明らかにすることは、それを免れる道をまた誘発するということにもなるわけでございまして、この点、個別具体的に今回の事情を詳細に御説明できないという行政当局としての立場はぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
#27
○鈴木(久)委員 抑止力を働かせてこれからこういうカルテル行為とか談合行為をなくそうという意味では、私は一つには、刑事罰の今問題になっている数億円と言われるのを一億円にしてしまって抑止力をみずから下げた政府案というのは極めて問題、これはもう再三にわたって指摘をされているとおり。
 もう一つは、今私が申し上げている審査体制や権限の問題、実はここにまだまだメスを入れなければならないところがたくさんあるのじゃないか。アメリカと日本の独占禁止法のやり方の違いというのはあるから比較にはならないかもしれませんけれども、日本の審査部門の人員というのは全体で百七、八十名、アメリカは公取関係の職員が九百八十人いて、反トラスト局に五百五十人もいる、そしてFBIもしっかり連携をとってやる、こういう状況になっているのと比較すれば、とても刑事罰を適用し告発をし、そして抑止力を働かせるという意味合いからいえば、審査体制は十分なのですか。公取委員長、そこは正直にお答えいただいて、これからしっかりとこういう経済犯罪を摘発して、組織的、計画的、悪質になっている犯罪を本当に抑止力を働かせ摘発をしていくということをしっかりやるとすれば、不十分なところはたくさんあるんじゃないですか。あなたの答弁だと十分ですと言う。埼玉の談合事件はいろいろ審査をしたけれども、結局はできなかった。何が問題だったかもどうも明らかにならない。これではやはり皆さん方の言っていることは理屈に合わないですよ。国民が納得できるような答弁になっていない、こういうふうに思いますしっかり御答弁いただきたい。
#28
○梅澤政府委員 審査部門につきましては、この両三年、国会での予算の御承認も賜りまして、およそ四割増強いたしております。現行が百七十八名の定員でございます。
 ただいま御引用になりましたアメリカのFTCあるいは米国司法省との人員の比較でございますけれども、これは必ずしも、国土の問題がございます、広さの問題もございますし、一概に比較できないわけでございます。FTCでございますとむしろ、我が国で言えば不公正な取引方法を中心に、もちろん審査活動に類したものも含まれるわけですけれども、そういったセクションもございますし、それから米国司法省になりますと、これは刑事訴追一本でやっている国でございますので、我が国の場合に、もしそれと比較するとすれば、例えば今後連携を強化したいと考えております我が方の審査人員と検察当局の人員とをどう評価するかという比較もしなければならないわけでございます。
 ただ、委員が御指摘になっておりますように、それから我々も強く念願しておみところでございますけれども、厳しい予算事情の中でこの両三年、審査部門に四割の増員をしていただいた、その結果、この三年間で違反事件の摘発の件数が四倍になっておるという実情を考えますと、この審査部門の充実についてはぜひともこれを将来にわたって強化していただきたいというふうに考えております。
#29
○鈴木(久)委員 時間がなくなりましたのでこれで終わりますけれども、議論をしてまいりましてますます私は、我が党が提案をしているこの法案の方が、独占禁止法の行政をこれから進めるに当たって、はるかに理にかなっているというふうに思えてなりません。どうして報告書の数字を一億円まで抑えてしまったのかもきちっとわかるような説明をいただけなかった。談合についても、いわゆる埼玉談合の問題についてもそれなりの審査をしながら刑事罰の適用ができなかった。これから果たしてできるんだろうかという疑問の方がむしろ大きくなりました。
 審査体制の問題についてもいろいろ検討しているようですけれども、これから実効が上がるようにして、ますます多発化するこの種悪質な犯罪が白昼堂々と行われることのないように、独占禁止法の行政がしっかり対応できるように、法案の審議の議論というのは一定の時間で制約をされておるわけでございますけれども、今後、どうかそういう意味で、公取委員会の姿勢というものをしっかり正していただきたいということを強く求めて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#30
○武藤委員長 吉田和子君。
#31
○吉田(和)委員 きょうは地球の反対側のブラジルで環境サミットが開始をされた日でございます。
 地球環境の保全の問題で本当に日本がこれから大変大きな役割を果たしていかなければならない、そういう時期に来ているというところでございます。これから、環境問題をクリアしていく中で経済の発展を遂げていかなければならない、大変難しい時代にも入っているというふうに考えるわけでございます。
 また一方では、情報化による経済の国際化、一元化というものが一層進んでいる中で、日本のこれまでの経済システム、特に排他的なシステムはもう通用しなくなっていく、そういうふうな時代を迎えているわけでございます。
 一方、国内では私たち生活者重視、ゆとりある国民生活を目指すということで、国民の意識も大変変化をしてきているわけでございます。企業中心から市民社会へと、そして中央から地方へと、本当にこれからどういうふうに日本型のシステムを転換していかなければならないか、大変な時期に来ている。これから十年、二十年でどういうふうに変えていかれるか、それが日本経済のこれからの行方、本当にどういうふうになっていくかということを、この時点において転換をしていかなければならない大事なときなわけでございます。そして、転換をして、経済自身が成熟化へ向けて充実した経済にしていかなければならない、その努力を問われている時期であるわけでございま
す。
 今この法案の改正は、アメリカから外圧で言われたから日米関係を大切にしようというよりも、経済がこれほどグローバルに展開をする中で、長期的に見れば日本のこの排他的なシステムが世界的に通用しなくなってくる時代をもう迎えてきている。今転換を図らなければ我が国の経済に大変大きなマイナスになるというふうな観点から、踏み切った政策をとっていかなければならないと考えているわけでございます。
 まず、その点に関しまして委員長より、経済のこれからの見通し、そして公取のこれからの役割など、所見をお伺いさせていただきたいと思います。
    〔委員長退席、竹村委員長代理着席〕
#32
○梅澤政府委員 ただいま委員がお触れになりました全般的な情勢判断、政策のあるべき方向についてのお考え方はおおむね私どもと認識を共通にするものがあるということで拝聴いたしました。
 委員がおっしゃったことと重複するわけでございますけれども、我々の基本認識といたしましては、世界経済の中で日本がこれだけ大きくなったという現状、それを基本に考えます場合に、やはり国内的にはそれに見合った国民生活の質の向上という要請。それからもう一つは、グローバルな関係におきまして我が国の経済と各国経済の相互依存、相互協調というものを大切にしていく。恐らくこれが現在の日本政府全体の経済政策の方向であると存じます。
 それは、委員のお言葉をかりますれば、企業オリエンテッドから消費者あるいは市民オリエンテッドヘの政策の転換という方向でございます。独占禁止政策ももとより経済政策の一環を担うものでございます。特に、これからの経済体制というのは、基本は市場経済体制というのが世界の潮流になっておりますが、この市場経済体制の基本的枠組みを分担するのが独占禁止政策でございます。
 その意味で、これから独占禁止法に基づく市場の公正で自由な競争秩序というものをぜひ守り、かつそういった方向を促進していかなければならないわけでございまして、そのために私どもの行政運用の具体的な戦術目標として掲げておりますのは、第一は、やはり競争秩序の違反があった場合にこれに厳正に対処するということでございます。二つ目は、そういった違反行為が起こらないように抑止力を強化するという措置でございます。三つ目は、私どもは透明性という言葉を使っておるわけでございますけれども、事業者、消費者を含めまして、競争秩序、競争のルールというものに対して具体的にわかりやすく展開をしていく、また、この透明性の中には、公正取引委員会の行政運用そのものをどういった背景で、どういった理由で何をしているのかということをわかりやすくさせるという努力、これがぜひ必要であるというふうに考えて、この両三年、各種の施策を展開してまいっておるわけでございます。
 もう一つつけ加えますれば、これは独占禁止政策ないし広い意味での競争政策の観点から申しますと、市場原理が機能する分野をなるべく広げていくということは、逆に言えば、広い意味での政府規制、政府が担当している事業部門でも、市場に任せればいい部門は民間部門にどんどん移譲していく、これは近年かなり進んだわけでございます。
 それともう一つは、政府の各種の法律規制によって市場原理が修正されている部分がございます。もとより政府規制というのは、一定の公共目的によって市場に任せられない部分について政府が分担するという分野でございますけれども、これも経済社会の動態に応じまして、市場に任せればいい部分はとんとんそこへ譲っていく、これが政府規制緩和の考え方でございますけれども、こういう点につきましても公正取引委員会は、各官庁と調整の上、いろいろ御提案を申し上げたりいたしまして、着実にその方向に進められておるというふうに認識をいたしております。
#33
○吉田(和)委員 総合的なお考えを聞かせていただいたわけでございます。国民から大いに期待をされ、注目を集めているこの時期に法案の改正でございます。しかし、これまで多くの委員の質問の内容にもございましたけれども、内容的には、公取委員会の御努力や御苦労は本当に認めるところでございますけれども、国民の期待にこたえられるような改正内容には大変ほど遠いと言わざるを得ないのが残念でございます。本当にこの改正で企業違反の抑止力となり得るか、企業の公平性が、自由競争の公平性が確保されるのか、消費者側からの透明性は確保されるのかどうか。これまでの審議経過を通されまして、御所見といいますか、今のお考えをここでちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
#34
○梅澤政府委員 私ども公正取引委員会が独占禁止法によって課せられております使命、任務に照らしまして、現状をどういうふうに判断し、どういう方向で進んでいくか、現実にこの両三年、展開してまいりました大筋のことを先ほど御報告申し上げたわけでございます。私どもはこの方向をさらに進める、手綱を緩めることなくこれを進めるということが我々に課せられました使命と考えております。そのために、行政運用の透明性あるいは厳正さというものについて一層の努力をいたしますと同時に、国会等の御理解も賜りながら、機構あるいは人員の充実整備等についてもぜひ進めさせていただきたいと考えておるわけでございます。
#35
○吉田(和)委員 日本経済に本当に今メスを入れていかなければならない、そのときが来ているというふうな御決意を固めてくださって、これから厳正に、積極的に取り組まれるというふうな御決意にとらせていただいております。
 まず、法案の内容に入る前に、私たち消費者から見ておりますと、公正取引委員会の権限や陣容の改善が非常に必要なのではないか。まずその前に、どうしてこう公正取引委員会、委員の方の姿や実情が見えてこないのだろうかというふうないら立ちが消費者の側からあるわけでございます。きのうは関東鉄道で大きな事故がございました。もう克明に、一刻一刻そのニュースが伝えられて、その現場が明らかに一人一人のところに映し出されてくる、映像で送られてくる、もうそういう時代に入っている情報化社会の中で、なぜ公正取引委員会の業務内容が、そして委員の皆さんのお顔が一人一人の消費者のところに届いてこないのか、そういうことが本当に国民としては素朴な疑問として残るわけでございます。時代の変化の中で役割に重要性を帯びているこの時期に合わせまして、どうしてこう見えにくくなっているのが、そういうことについていかがでございましょうか、お答えをいただけますでしょうか。
#36
○梅澤政府委員 公正取引委員会の顔が見えないのではないかというお話ですけれども、私どもは、独占禁止政策の周知徹底と申しますか、各方面に御理解を得ていただくためにいろいろな活動をやっておるわけでございます。なかなか及ばない点はあるわけでございますけれども、例えば、具体的に申しますと、私ども、消費者代表の方と定期的にお話し合いをするとか、あるいは、これは独占禁止懇話会と申しておりますけれども、関係各方面、消費者団体も含めましてでございますけれども、論説の方あるいは経済界の方を含めて定期的に私ども懇談の場を設けておるわけでございます。
 それから、最近では特にPR活動に予算をいただきまして、例えば広報用のビデオテープをつくって、消費者団体あるいは国民生活センター等に置いていただくというようなこともやっております。
 それから、年間二百数十件に及ぶかと思いますが、その都度、いろいろな事案ごとに新聞発表をして御説明をしているということで、かなりいろいろな媒体で公正取引委員会の活動が取り上げられているのではないかと思います。ただ、御指摘の点、まだ十分でないところがございますので、これからもそういう方向で努力していきたいと思っております。
#37
○吉田(和)委員 一番わかりやすいことは、例えば今度の埼玉の土木談合などで、どういうふうに調査がなされて、それがどういうふうに公表されていくか、そしてその後どういうふうになったかということが消費者、国民の側にきちっと入っていけば、わかりにくいとか見えないとかということが言われないで済むわけでございます。そういう意味でも今後の厳正な取り組みを望みたいというふうに思います。
 公正取引委員会の陣容についてでございます。各国の執行機関と比較して改善点があるのではないか、もっと踏み込んだ仕事が公正取引委員会はできるようにならなければならないのではないかというふうに、いろいろな委員の質問の中にもございました。再度になってしまいますけれども質問をさせていただきたいというふうに思います。
 審査の内容が違うということで単に比較ができるというふうなものではないということでございましょうけれども、日本の場合、委員の五名のほかに事務局が四百七十八名、米国では、委員のほかに九百五十名の職員、ドイツでは二百五十名、そしてフランスでは、委員の三名のほかに十六名、このスタッフの体制のところで数の問題はないのでしょうか。立入検査などを十分にやれるだけのスタッフであるのでしょうか、お伺いをいたします。
#38
○植松政府委員 お答えいたします。
 今、吉田委員が各国の数字を具体的に挙げてお話しいただきましたけれども、各国の競争法施行機関についてそれぞれの位置づけと申しますか、機能や役割や手続の相違、例えばアメリカですと司法省反トラスト局、基本的には刑事手続で進めるわけでございます。カルテルなり独占につきましてはそういうことでありますし、一方、不公正取引につきましては連邦取引委員会というところで行政的にやる。合わせて、今委員御指摘いただきましたように、千五百名という数字でございます。それから、ヨーロッパの方に行きますと、行政的な手続で基本的には措置するということで、ドイツ、フランス、具体的に数字を挙げられましたけれども、そのような数字でございます。
 それぞれ、その手続の相違、それから各国の経済規模というのがまずあるのだろうと思います。アメリカの国土の広さあるいは人口の多さ、そういうようなもの、それからさらには、歴史的な経緯もこれあろうかと思います。
 アメリカの場合ですと、十九世紀から既に百年を超す独占禁止政策の歴史を持っておるわけでございます。日本の場合には戦後、御案内のように、昭和二十二年に独禁法が制定されまして、その施行機関として公正取引委員会あるいは公正取引委員会事務局というのが設けられたわけでございますが、社会党御提案の法案の趣旨説明にもございましたように、自乗独占禁止政策、多少の紆余曲折はあったわけでございますけれども、制定当初の職員数の倍を超す人数が今置かれておるわけでございます。非常に厳しい中で、最近特に審査部門を中心にして職員の増加を図っていただいておりまして、両三年で四割増ということで審査部門を特に強化して違反事件の摘発をやる、そのことによって抑止力を強化していこうということでございます。
 したがいまして、今後とも関係方面の御理解を得つつ、審査部門を含む定員、機構の整備充実に努めていき、違反行為に対し厳正に対処するということで競争政策の有効、適切な運用を図っていきたいというふうに考えております。
    〔竹村委員長代理退席、額賀委員長代理
    着席〕
#39
○吉田(和)委員 スタッフの数の面では、今のところ問題がないというふうなお答えであったと認識をいたします。
 次に、委員の人選についてお伺いをしたいと思います。
 各国の資格要件を見せていただきますと、法律家、そしてエコノミストや大中小企業を代表する経済学者といいますか教授、ビジネス界の専門家など、大変多方面から、偏りのないように委員の配置の配慮がなされているというふうに受け取られるわけでございます。
 日本の公正取引委員会はなぜお役人の出身者がこれほど多いのか。過去においてずっとこういうふうな状況であったのか。幾ら優秀で立派な人材であっても、多様な経済面での国民的要求を入れていく、そういう代表にはなかなかお役人が多過ぎるというふうな偏った状況では公平にいかないのではないか、そういうふうな懸念を感じるところでございます。その点について過去はどうであったか、そしてその点についてのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
#40
○梅澤政府委員 公正取引委員会の委員長及び委員につきましては、独占禁止法二十九条に規定がございまして、御案内のとおり、「年齢が三十五年以上で、法律又は経済に関する学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が、両議院の同意を得て、これを任命する。」という規定になっております。
 ただいまの委員の御質問でございますけれども、私自身、総理大臣から御任命を受けまして本職に当たっている人間でございますので、ただいまの御質問について、公正取引委員会として、あるいは公正取引委員会委員長として、お答えすることは差し控えるべきであろうというふうに考えております。
 ただ、御指摘のとおり、今私を含めまして五人の同僚委員がおりますけれども、それぞれの経歴は行政官のキャリアの者で充てられていることは事実でございますけれども、私どもはむしろ総理大臣から、この独占禁止法の厳正公正な執行についての任務に誠実に当たるようにということで御任命を受けたというふうに考えまして、誠心誠意かつ厳正な行政運用について努力してまいったところでございます。そのことだけは申し上げておきたいと存じます。
 なお、従来の委員の構成等についての御質問につきましては、事務局から御説明を申し上げます。
#41
○植松政府委員 昭和二十二年に公正取引委員会ができましてから、委員長、委員、多く任命されておるわけでございますけれども、その間、学者出身の方あるいは弁護士出身の方、二、三名でございますけれども、ございます。それから、民間企業の出身の方、委員長も含めましてでございますけれども、三名ほどございました。最近ではそういう事例はございません。
#42
○吉田(和)委員 一番近いところで学者、弁護士の方が入っておられたのは何年ごろでございますか。
#43
○植松政府委員 今申し上げましたのは、大体いずれも昭和二十二年に独禁法が制定されまして公正取引委員会が発足した当初の創立メンバーに今申し上げたような人がおられたということだろうと思います、基本的には。そういうことでございます。
#44
○吉田(和)委員 発足当初はそうであったというふうに聞いております。本当に私どもの社会党案の中では、バランスよく配置をすること、各層の代表を入れること、そういうことをうたっているわけでございますけれども、そこの人選については大変重要な点ではないかなと考えているわけでございます。
 次に、権限強化の必要性について質問をさせていただきます。
 公正取引委員会は、四十六条でしょうか、強制権限をある程度持っているというふうに認識をしております。例えば、資料を集める、刑事告発になるための事情聴取をする、しかし間接的な強制でしか担保されないというふうに聞いているわけでございます。物の提出命令を出すことはできるけれども、強制的に差し押さえることはできない、これでは不十分ではないか、権限をもっと与えるべきではないか、そのように考えるわけでございます。証券取引法の今改正でも国税犯則取締法に準ずるものにするとされている新たに設置をされる取り締まり監視機関と同等の権限が与えられていいのではないかというふうに考えているわ
けでございますが、その権限の強化の必要性について、実際に告発をやり、資料を集め、そういう過程の中で権限の不足があるということをお感じになってはいらっしゃいませんでしょうか。
#45
○梅澤政府委員 率直に申しまして、ただいま御指摘になりました四十六条で付与されておりますいわゆる公正取引委員会の現行の強制調査権限で支障なく業務の運用を行っているところでございます。
 ただ、今委員が御指摘になりました将来犯則調査、つまり裁判所の令状による強制調査権限を公正取引委員会に付与すべきであるという有力な議論がございます。同時に、この議論につきましては、通常の行政機関と異なりまして公正取引委員会の場合審判機能を有しておりまして、審判、審決を行いましたものについては一審が省略されるというふうないわゆる司法に類似した機能も持っておるわけでございます。そういったものとの整合性をどう考えるかというふうな片っ方での議論もございます。
 いずれにいたしましても、現時点でこの問題について公正取引委員会として確定的な考え方をまとめておる段階ではございませんけれども、公正取引委員会に付与すべき権限のあり方については、今後その当否を含めまして将来検討されるに値する課題であるという認識は持っております。
#46
○吉田(和)委員 権限の強化につきましては、これからもなるべく早い時期に検討に入っていかなければならないというふうに認識をさせていただきたいと思います。
 審査体制の強化についてはどのような努力が今なされているのでしょうか。
#47
○地頭所政府委員 人員面あるいは機構面での増強につきましては、先ほど来説明いたしておりますように、この三年間に四割の体制の強化をしたということでございます。
 さらに、その具体的な事案の処理についてでございますが、なかんずく談合事件につきましては、検察庁との間でも連絡を密接にとりながら、刑事告発を前提とした場合にどのような審査の進め方、手段方法を講ずるのが最も効率的に、かつ事実解明を的確に行うことができるかという点につきまして、種々研究、勉強をするための具体的なスケジュールあるいはそのメンバー等について現在協議中でございまして、近々その研究を始める予定にしておるところでございます。
 そのほか、種々の審査事件、一般的に申し上げまして巧妙化が進んでいる状況がございますので、こういった事態に対処しまして、審査手法の向上、職員の研修強化等につきましても可能な限りの努力をしてまいる所存でございます。
#48
○吉田(和)委員 公正取引委員会の業務の強化というものに対しまして、国民はこれから大変期待を寄せなければならない、そういう時代に入ってくるわけでございますので、どうぞ引き続き厳しい御努力をされますようにお願いをいたします。
 次に、罰金の規定改正についてお伺いをしたいと思います。
 これまでの各委員の質問の中でも繰り返し繰り返し質問をされているわけでございますが、どうしても納得がいかない。法人罰、法人の罰金規定の上限額でございます。一億円とされる改正案に対して納得がいかないのは、刑事罰研究会での算出方法があるわけでございますけれども、国民から見ればこの算出方法というのはごく妥当であり、このとおりにはじかれて適当である、そういうふうに見るわけでございますけれども、その考え方として金額が幾らか、結果幾らかというよりも、まず最初にその考え方の問題としてこの考え方の問題は大変妥当だというふうに考えておりますけれども、まず、その点に関してはどうでしょうか。
#49
○梅澤政府委員 罰金の水準の問題でございますけれども、御指摘になりましたように、研究会の御報告では具体的にはこれは大法人の企業とそれに従事しておられます重役クラスの個人のフローとストックの比較の作業がされたわけでございます。そういった法人と個人の資力の格差、そのほか外国の法制それからもう一つ我が国の独占禁止法の抑止体系の顕著な特徴といたしまして、カルテルに対して先般大幅な引き上げをお願いいたしました課徴金の存在、こういったものを総合的に判断して、結局研究会としても計量的に一義的に決められるべき性質のものではないけれども、数億円というレンジで政府において具体的な水準を決定するようにという方向をいただいたわけでございます。理論的に言いまして、こういった御報告というものは妥当性を持っておるというふうに考えております。
    〔額賀委員長代理退席、委員長着席〕
#50
○吉田(和)委員 算定でいきますと二億五千万から八億五千万というふうな数字が示されたわけでございます。理論的にいくとそうなるというふうにおっしゃっておりますけれども、理論的にいけばこの数字の範囲の中で決められなければならないというふうなことなわけでございます。そこが納得がいかない。算定方法は正しい、基準に合っている。状況にかんがみて合っているのであれば、考え方が優先されずになぜその二億五千万から八億五千万の数字が一億になったのかというところが、その説明では非常に非理論的であるというふうに言わざるを得ないわけでございます。そこのところが非常に国民、消費者のところには伝わりにくい。納得のいく説明がなされていない。そこのところをもう一度御説明をお願いいたします。
#51
○梅澤政府委員 この研究会は、学者及び刑事政策実務の専門家によります純理論的な御検討作業でございます。その意味で、先ほど申しましたように理論的にあるべき姿として方向をお示し願ったものとして私どもは受け取っておるわけでございます。
 これをいただきまして、その後たびたび申し上げておりますように、この制度を実現するために、なかんずく独占禁止法は事業者を規制する法律でございますから、課徴金にしろ罰金にしろ、やはりこれを受けるのは事業者でありますから、事業者が賛成はしなくてもその必要性、水準についてやむを得ないという大方の御理解を得るということが、大きな制度改正にとっては必要になるわけでございます。
 各方面との調整の過程の中で私どもが痛感いたしましたのは、一つは今回の刑罰の引き上げというのは我が国の近代の企業刑事法制の枠組みを基本的に変革をするものでございます。そこで出てまいります疑問といいますか議論というのは、なぜ独占禁止法だけこれをやるのか、いろいろな企業刑事法制があるではないか、なぜこれをやらなければならないのかという御理解を得るのに相当な時間と労力を私ども費やしたわけでございます。
 二つ目は、これは独占禁止法固有の事情といたしまして、昨年国会で成立をさせていただきました課徴金、これは原則四倍の水準に引き上げられまして、実は昨年の七月から実施の段階に入っておりますけれども、現実の違反事件として課徴金の納付命令を発したものは、きょう時点においてまだ一件もございません。これから摘発いたします事件について漸次新しい率が適用されるわけでございますけれども、そういった引き上げが行われた直後にまた刑罰の引き上げを行う、そのことについての大変な反対といいますか御質問がございました。つまり、課徴金も抑止力の強化のために行ったとするならば、この課徴金が実際に動き出した状態を見てそれから刑罰の水準を考えてもいいのではないか、余りにも政府の作業は性急に過ぎるという議論でございます。
 それからもう一つは、一歩、二歩下がって、というのはそういった反対論なり消極論を展開されるお立場のことでございますけれども、それにしても今の五百万円を一挙に億単位に引き上げるということには大変な御批判がございました。しかもこれは、いわゆる大企業というよりはむしろ企業の数からいえば圧倒的多数を占める中小企業の方々の不安感といいますか恐怖感というのは非常に強うございました。例えば、年間数百万ぐらいの経常利益を上げている事業がカルテルを行う、
刑事訴追を受ける、これは法律違反をした者が刑罰を受けるのは当然であるという議論は一方にはございますけれども、しかしその場合に、億単位の罰金を科せられた場合にその企業がそのために破産してしまうではないか、そういったひどい罰金の引き上げ方があるかという御議論でございます。
 しかし、法定刑というのは上限が決められておるわけでございまして、例えば一億円というふうに決めましても実際の量刑に当たりましては結局裁判所で具体的な判決が出て、一万円から一億円の範囲内で実際は決まるものです、そういった中小企業の資力等は十分考慮して量刑というものは行われるものでありますということも、これは法務省刑事局の御協力も得まして各方面に繰り返し繰り返し御説明をしてきたわけでございますけれども、やはりこの点について法律に何のそういうふうな中小企業が排除されるという保証がないではないかというふうな御議論がございまして、なかなか御理解が得られない。きょう時点でも私はその点についての御理解は必ずしも熟してないのじゃないかと思うわけでございますが、そういったいろいろな経緯を経まして、しかしながらやはり大幅に引き上げる必要があるということで、おのずからこの一億円の水準がぎりぎりであるし、現時点ではこれでもって日本の独占禁止法の抑止力の強化に向かって、将来に向かって一歩大きな前進をするんだという認識のもとに政府原案を決定し、ただいま御審議を賜っているわけでございます。
#52
○吉田(和)委員 過去の違反のほとんどが資本金が一億円以上の企業である、大変な巨大な利益を上げている、そういうふうなところから考えれば、この一億円の上限というのは、大変個人には威しくて企業には優遇、保護するというふうな感を免れないわけでございます。その点について、これからの時代にはふさわしくないんではないか、そのことについて一点お答えをいただきたいのと、それからその水準について、やむを得ない、そういうふうな判断を下した、各方面に御相談をされてどういうふうなあれがあったのかと思いますけれども、社会党が今百倍というふうな金額を出しているわけでございますが、少なくとも事前にこの水準についても御相談があったのだろうか、そういう疑問を抱くわけでございますが、その二点についてどうでしょうか。
#53
○梅澤政府委員 今回政府が御提案申し上げております内容は、いわゆる従業者等の個人の刑罰の水準は現行のままといたしておりまして、法人を含みます事業者の罰金の水準を大幅に引き上げるという内容のものでございますので、この法案がかえって企業を個人よりも甘くするというふうな御指摘でございますけれども、私どもはやはり、これまでの我が国の企業犯罪を規制してまいりました経済刑罰の枠組みを大きく変更して事業者の罰金水準を大幅に引き上げる内容である、そういったいわば画期的な内容を持っておるということはぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
 それから、社会党からこの罰金の水準について別途の御提案がございますけれども、これはもとより立法府で御議論を賜る問題でございまして、私ども政府といたしましては、現状においてとりあえず一億ということで大きな一歩を踏み出すということでぜひお認めを願いたいと考えておるわけでございます。
#54
○吉田(和)委員 一億円というその金額が、個人、企業を比較をすると、まだまだ非常に企業に優遇ではないか、そういうふうな感が否めないということを御指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 次に、談合の防止について防止策というのはあるのかどうなのかというふうな御質問に入らしていただきたいと思います。
 この談合というのは、聞きますと何か日本ではもう江戸時代には確立されたと言われている慣行だというふうに聞いております。本当に長い時間をかけて隅から隅まで談合の体質というものがやはり残っている、そして現在までもそれが根強く残っているというふうに認識をさせられましたのが埼玉の土木談合でございました。今回は刑事告発をせずに勧告のみで、事実が解明されずに大変残念と同時に、今後より巧妙な形で談合がなされるのではないかというふうに懸念をしております。さる業界では、告発を避けるのに何かマニュアルのようなものもできて、例えば同席をしないとか電話だけでのやりとりというふうな話も一部では聞いております。談合防止に向けて前進をする、抑制力をかけるというよりも、むしろここで一歩後退したんではないかなというふうな感じが国民の側からは否めないわけでございますが、そのことについていかがでございましょうか。
#55
○地頭所政府委員 将来に向かっての談合防止策についてのお尋ねでございますが、私どもまず談合事件の端緒の発掘に重点を置いて資料収集を図る、そして多くの事件について可能な限りの行政措置を講ずる。例えば今回の埼玉の談合事件でございますけれども、主文の中には、今後受注予定者の決定をしないということを発注官庁等に周知させるのみならず、自社の関係の役員、従業員に対しても周知徹底させるという、これはこれまで談合等の事例について命じたことのない新方式の主文であるわけでございますけれども、こういった措置を講ずることによりまして、例えばそういった周知措置が社内的にとられていないとか、とられていてもそれを破って受注予定者の決定行為を行ったとか、そういうようなことがございますと、これは審決違反の問題が当然に出てくるわけでございまして、そういったことを通じて一方において抑止力を図っていく。それから、行政措置だけではなく、犯罪ありと思料して、いわゆる平成二年六月の告発方針に該当するようなものについては積極的に告発をもって臨む。
 また、巧妙化するのではないかという御指摘でございますが、私どももそういった懸念は持っておりまして、これは取り締まり当局と違反を犯す側のある意味では追いかけっこになるところであると思うのでございますが、私どもはそういった業界の対応に対して、いかにして的確に事実を把握し、適切な措置をとっていくかということについて今後とも一層研究し、また職員の能力の向上も図っていくつもりでございます。
#56
○吉田(和)委員 不透明な談全部分に対して本当はもっと生活者が、なぜ我々に知らされないのだ、知る権利はどうしたのだと言って怒りのこぶしを上げなければならないわけでございますが、その行為に対して国民の側ももうなれてきてしまったというのでしょうか。今生活者重視というふうなことで施策を進めていく中で、生活者も襟を正して、きちっと知るべきことは知り、要求すべき資料は要求し、そういう時代に今入っている。そういう意味では、本当に今度の埼玉談合はその納得できる事実が国民の側に示されていないという点で大変残念なわけでございます。特定の人が絞り切れなかったというふうなことで、これまでの御審議にございました、告発ができなかった、そういうふうなお話でございました。今後告発などできるのかというふうな疑問が国民の側にあるわけでございますが、その点についてお答えをいただきたいというふうに思います。
#57
○梅澤政府委員 たびたび申し上げておりますけれども、談合の事件につきまして、今回の告発の見送りというものが、将来談合に対する公正取引委員会の対処の方向について国民の信頼を失わせるようなことがあっては絶対いけないわけでございまして、私どもといたしましては、この談合も含めまして、悪質なカルテルの事件については、刑事告発を含め今後とも積極的に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
 先ほど審査部長が詳細に御説明申し上げましたけれども、今回の埼玉の事件は残念ながら告発には至らなかったわけでございますけれども、我が国を代表いたします、全国的に営業を展開いたしております大手の建設業者をほとんど網羅する形での排除勧告を行ったということは、過去の行政事例から見て特筆すべきものとして評価をいただ
いている向きもございます。これ自身が、大きな抑止力として関係方面にインパクトを与えつつあるというふうに私は確信をいたしております。
 それから、今回の主文におきまして、埼玉県内において六十六社が関係いたします受注調整行為が将来行われた場合には、そのこと自体をもちまして刑事告発につながる形での審決命令が付されておるということを付言させていただきたいと思います。
#58
○吉田(和)委員 時間が参りました。今本当に日本の経済にとって大きな転換点であるこの時期に思い切った改正をして、そして公取が、世界の経済を担う日本経済の中で大きな公平的な役割を果たしていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#59
○武藤委員長 午後零時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時四十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時四十分開議
#60
○武藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。江田五月君。
#61
○江田委員 独禁法改正案について質問いたします。
 きょうは公取の委員長に伺いたいのですが、私も政府案の積極面を認めないわけではありません。両罰規定、きのうも参考人の方がおっしゃっていましたが、法人に対して別の刑罰を科すのだ、言うのは簡単だけれども、実際に実行するのはなかなか大変で、今回の一億円というのはそういう意味では画期的な面を含んでいることを認めないわけじゃない。しかし問題は、仮に罰金が一億であろうが五億であろうが絵にかいたもちではだめなわけで、公正取引委員会の意欲といいますかやる気といいますか、本当に取引の公正ということのために全力を尽くすという覚悟があるのかどうか、ここを実は私は疑問に思っているわけです。もし、公正取引委員会が独占の排除とかあるいは取引の公正とかこういうものに対して、もうまるで情熱や意欲を持っていないのだとするならば、たとえこの案の罰則が五億円になっていようが十億円になっていようがこんなものは何にもならない、反対だ、あえてこう言いたいぐらいのところです。そこでぜひ意欲のことを伺いたい。
 そこで、その意欲の点が最もよくわかるのが先日来問題になっている埼玉談合に対する態度だと思うのですね。そういう意味で埼玉談合についての告発をしないということを問題にしているわけですが、先日、なぜ告発しなかったかについていろいろ言われましたが、要約すると、犯罪ありと思料しなかった、こういうことですね。刑罰法規の基本構造、委員長に御説明いただきましたが、それはもうよくわかっていますので繰り返していただかなくて結構なのですが、要するに行為者が特定できなければこれはもうどうしようもない。その行為者について、構成要件該当性、違法性、有責性、これを判断しないと犯罪ありと思料するわけにいかない、そこができなかったのだ、こういうお答えだったと理解しますが、それでよろしいですか。
#62
○梅澤政府委員 お答えは後段の方だけのお答えでよろしゅうございますか。(江田委員「そうです」と呼ぶ)先般も委員に御説明を申し上げましたように、七十三条の規定に従って犯罪ありと思料し検事総長に告発する、その告発に値するという認定を行うに至らなかったということでございます。その場合に、違法性、有責性等の観点は当然のことながら検察当局と何遍も意見の交換を重ねたわけでございますけれども、その結果、しかし最終的には公正取引委員会の判断といたしまして告発を見送ったということでございます。
#63
○江田委員 だから、公正取引委員会の判断というのは犯罪があると思料するに至らなかったということなのですね。
#64
○梅澤政府委員 犯罪ありと思料し検事総長に告発する、そういった要件に当たらないという判断をしたということでございます。七十三条は先般も御説明申し上げましたけれども、私ども公正取引委員会の裁量の範囲に属する権限とは考えておりますけれども、これは厳正、公正に行われなければならない、その点は堅持しながら今回の告発権の見送りという結論を出したわけでございます。
#65
○江田委員 もうちょっとはっきりお答えいただきたいのですが、公正取引委員会、平成四年五月十五日、「埼玉県所在の土木工事業者に対する勧告等について」ここでは「独占禁止法の規定に違反する犯罪ありと思料し告発を相当とする具体的事実を認めるに至らなかった。」こうお書きですが、これは独禁法の告発義務ということでございますね。犯罪ありと思料するときには告発をしなければならない。しかし、これは当該公務員の職務上正当と考えられる程度の裁量までも禁止する趣旨ではないであろう、小野先生とか団藤先生とかそういうお説のようですが、私も、裁量、それはあるだろうと思います。したがって、起訴便宜主義のような裁量とまではいかないけれども、しかし、公正取引委員会は公正取引委員会の職員上判断して、その違反する事実は確かにありそうだけれども、しかしもう十分社会的制裁をこうむっているとか、あるいは軽微であるとか、再犯のおそれがないとか、十分説諭をしたからとか、それはいろいろあるだろうと思いますよ。
 そこで、今回はどっちなんですか。犯罪ありと思料しなかったのか、それともそれはちょっとどうかなという点はあるけれども、そのほかのいろいろな事情から裁量で告発しないという判断に至ったのか、どっちなんですか。
#66
○梅澤政府委員 これは今後の公正取引委員会の告発権の運用に対しての私どもの考え方を基本的に述べることになると思いますけれども、平成二年六月に十数年ぶりに告発を再開するということを公にいたしまして、今後これを継続的かつ機動的に運用していかない限り抑止力の強化にはつながらないということを考えます場合に、七十三条の告発権の発動に当たりまして、これは大変厄介な事件でございました。公訴提起当局である検察当局ともたびたび意見を重ねたわけでございますけれども、公正取引委員会の判断といたしましては、公正取引委員会自身が犯罪を構成するという確信がない限り告発してはならないのだ、そういうふうには考えてないわけでございます。
 問題は、それでは、違法性がある、したがって後は検察当局の捜査なり起訴判断に任せるという運用がいいかといいますと、私はそうではなくて、今後とも検察当局との連絡をさらに強化していくという形でこそ初めてこの独占禁止法の刑事告発の運用というのは軌道に乗るということを考えているわけでございます。何となれば、仮に不幸にして、告発をいたしました、ところが検察当局の捜査を経たにもかかわらず起訴が行われなかったという場合でございますね。特に、告発あるいは刑事訴追というのは社会的制裁としてはラストリゾートでございますから、告発権を行使しながらそれが起訴に結びつかなかったという場合には、やはり公正取引委員会の行政運用に対する信用を根底から失ってしまうということになりかねない。
 それからもう一つは、やはり告発を受けるという段階で既に当該事業者は相当の影響を受けるわけでございまして、結果としてそれが実らなかったという場合に、やはり行政運用としてそういうことが起こらないように告発を行うという態勢でやっていきませんと、私は日本の独占禁止法の有効な告発体制というのは根づかないというふうに考えておるわけでございます。
#67
○江田委員 あなた、そうおっしゃいますけれども、それでは、どこまで公正取引委員会が犯罪が行われているかどうかについて判断する能力があるのか、権限があるのか、力があるのかということですね。今、確かに、構成要件、違法性、有責性のすべてについてまでびっちりと確実に犯罪の認定ができるところまで要するとは思っていない
ということですが、それは当たり前だと思うのですが、告発をした、しかし不幸にして公訴提起に至らなかった、そうすると、というようにいろいろおっしゃるわけですけれども、公訴提起までできるかどうかという判断をするだけの調査能力というのはあなた方にあるのですか。
#68
○梅澤政府委員 私は、そういうことを申し上げているわけではございませんで、いささか説明が舌足らずであったと思いますけれども、端的に言えば、当委員会の事務局が違反事件について証拠なり供述をとり、独占禁止法としての事件構成をやっていくわけでございますけれども、これを刑事事件として刑事訴追を求めるという形で告発を行った場合に、公訴提起の可能性あるいは公訴維持の可能性、そういうものについて相当程度の見込みがあるかないかということを判断する、しかしそれは、最終的には公正取引委員会の責任において判断をするわけでございますけれども、やはり公訴提起なり公訴維持の専門機関である検察当局の率直な意見を聞きながら判断をする、そういう手順をとっておるということでございます。
#69
○江田委員 公訴提起の可能性についての検察当局の意見も十分に聞いてということですね。
 法務省おいでですね。本件について、そういういろいろな相談というもの、これは公取の方はしたんだということですが、行われたんだと思いますけれども、公訴提起の可能性とか、こういう点を調べたらもっと公訴提起の可能性があるかどうかわかるから調べてみてくれとか、そういうサジェスチョンまで検察庁の方としてはやるのですか。
#70
○山本説明員 お尋ねの件につきましては、公正取引委員会当局と検察当局、主として東京高検が中心でございますけれども、必要に応じて意見交換を行ってきたところでございます。公正取引委員会の慎重な調査を踏まえて、検察としては公訴提起及び公訴維持の観点から意見を述べたというぐあいに聞いております。
#71
○江田委員 では、もう一遍法務省に聞きましょう。恐らくごらんになっていると思いますが、勧告書があります。これは、平成四年(勧)第一六号、公正取引委員会の平成四年五月十五日の勧告書ですが、ここでいろいろな事実が認定されています。御存じだろうと思いますけれども、埼玉に土曜会というものがあって、その土曜会がどういうルールを決めて、「救済」などということまであるような、そういう事実を認定して、この事実によれば、競争を実質的に制限していたもので、これは独禁法二条六項に規定する不当な取引制限に該当し、三条の規定に違反する、こう認定された事実があるのですが、この事実を明らかにして処罰を求めれば、それは告発として成立していると思いますか、いないと思いますか。
#72
○山本説明員 一般論として申し上げれば、捜査の端緒及び訴訟条件としての要請を満たすという観点としては満たしていると思われますけれども、しかしながら、国家機関としての公正取引委員会が告発するかどうかという観点に立ちますと、犯罪事実が、特定の犯人の存在を前提として、当該犯人とされる者の行為で構成要件を満たし、違法かつ有責なものであるかという観点からその有無が判断なされるものであるというぐあいに考えるわけでございます。
#73
○江田委員 この事実で処罰を求める意思を表示すれば告発としては成り立っているわけですよ。いいですか、公正取引委員長、あなた方はこの事実に基づいて勧告をなさいましたね。それでもう行政的な手続はできているわけです。後は、今度、捜査の端緒としての告発を一体どういうふうにするかということが問題なんですね。告発は捜査の端緒です。捜査の端緒についての具体的な事実などを明らかにするような調査権限をあなた方はお持ちだろうかどうだろうか、私は、これは大変に疑問だと思いますよ。
 独禁法四十六条の四項では、四十六条は、調査のための強制処分権限を公取に与えているわけですが、しかし、その強制処分権限というのは、犯罪捜査のために認められるものと解釈してはならない。これは国会の意思です。国会は、皆さん方の調査権限は犯罪捜査のために認められると解釈してはいけませんよ、こう言っているのですよ。あなた方はいろいろなことをお調べになって、そして勧告までやったわけです。それでもうあなた方の権限は終わっているわけで、後は、この事実の中に犯罪があると思うか思わないかです。
 こういう事実があって、これでなお犯罪があると思わないというのは公取としてどういうことなのか。公取というのは、私は、公正取引という保護法益からするといわば親と同じだと思いますよ。親が、公正取引という保護法益、自分の子供が目の前でずたずたに犯罪でやられているのに、これに対して何の心も動かされずに、何か講学上の言葉を使って逃げ回るというのでは、公取は役割を果たしているかどうかということになるんじゃないですか。いいですか、あなた方はもうこの段階で、これで犯罪があるかどうかを思料しなければいけないんじゃないですか。後は捜査機関に任せなさい。だって、あなた方の権限は捜査のために与えられた権限と解釈してはならぬというのが国会の意思として明らかになっているわけですから。いかがですか。
#74
○梅澤政府委員 あるいはおっしゃっておりますことと若干見解を異にする点もあるかと存じますけれども、四十六条の、犯罪捜査のために行うと解してはならないという問題につきましては、種々の見解があるわけでございますけれども、その規定は、独占禁止法そのものも、八十九条以下、犯罪になる行為がございまして、それに関連する調査は当然独占禁止法で認められているわけでございますから、今の告発をするかどうかの問題と四十六条の犯罪捜査のために行ってはならないというのは、例えば公正取引委員会の調査の過程で、他の法律違反の犯罪、そういうものに着目してやってはいけないという趣旨であろうと私どもは解しておりまして、告発の問題と四十六条の犯罪捜査に対する制限規定とは直接関係がないということでございます。
 それからもう一つ、これは先ほど来繰り返して申し上げておりますけれども、今後、独占禁止法の告発というものが継続的、機動的に行われる体制を根づかせるために、公訴提起なり公訴維持を行う検察当局との関係、あたかも国税犯罪における、脱税犯罪の場合の国税庁と検察庁とのあの連携こそが、今日、税法違反に対する刑事訴追というものをようやく我が国に定着させたわけでございまして、そういった観点を入れますと、事前の連絡というものは今後ともむしろ強化していくべきだろうというふうに私は考えておるわけでございます。
 それから、告発の前段階で各種の協議を行いますけれども、私ども、七十三条の公正取引委員会としての告発というものを行う場合には、やはり委員会で決定をいたしまして、それで正式に公正取引委員長名をもって検事総長に対し様式をもって告発するという手順を従前もとっておるわけでございます。したがいまして、事務レベルにおける事前の調整過程というのは、告発の意思の表明ではなくて告発の可能性そのものについて専門機関としての検察当局の意見を聞いておる、あるいは意見を交換しておるというその手続であるというふうに御理解を願いたいと思うわけでございます。
#75
○江田委員 私は、検察当局といろいろ事前に打ち合わせをすることそのこと自体がもうそれだけでまかりならぬと言っているわけじゃないのです。しかし、もし検察当局の方が、これはもう少し行為者も特定したり、その者の違法性、有責性までちょっと公取の方で調べてほしいというようなことを仮に、仮にですよ。私はそんな不見識なことを検察当局は言うはずもないと思いますけれども、そのようなことを言われたとしたら、あなた方は、そんなことは検察の方でやってくださいと言わなければいけないのじゃないですか。あなた方にはそういう権限はないので、違法だ、有責だ、有責性まで判断するために資料を集めるような権限は国会はあなた方に与えているわけではな
いのだと思いますよ。まして独立行政機関で、独立して国家意思を行使していこうという機関なのですから、よそから見て、国民から見て検察と談合しているのじゃないかと疑われるようなことを公正取引委員会がやったらこれはとんでもないことですね。そういうことは公正取引委員会の命取りですね。
 私は、もう時間が参りましたが、今回のこの埼玉談合の措置については、これは状態規制、構造規制じゃないので、やはりこれは行為規制ですよね。土曜会というものが何か知らぬ間にできていてそれを何とかしようというわけじゃないので、ちゃんとそういうものは行為によってつくられているわけです。したがって、これを排除する、そういう勧告をあなた方はお出しになる。これはそれでいいので、そして今度、この事実をずっと見るとこれは明らかにこの中に犯罪ありますよ。そこで後は検察庁の方にお任せをする、そういう役割分業というものでやっていくのでなければ、そこを何か余りにも過度にいろいろな調整をし過ぎると、検察との談合と疑われてしまう。そうではなくて、やはりこれはもう告発をして、後は整々と検察の処分に任せるということでないと、我々はあなた方に犯罪捜査のための権限まで与えなければいけないことになる。あるいはもっと言えば、あなた方が公訴を提起する立場を持ってもらう、そこまでやらなければいけないことになる。日本の立て方はそうじゃないわけですから、あなた方にそこまで求めていないわけですから、もっと堂々と告発されたらどうですか。そういう及び腰の態度で出される法案というものに我々は、どうもこれは魂が抜けているのじゃないかと思わざるを得ないということを最後に申し上げて、質問を終わります。
#76
○武藤委員長 小沢和秋君。
#77
○小沢(和)委員 まず、社会党案について三点ほどお尋ねをさせていただきます。
 我が党は、罰金額が政府案のような一億円への引き上げでは、売上高が何兆円というような巨大な企業に対しては抑止力として十分働かないと考えておりますし、その点から社会党の五億円にはもう全く同感であります。それで、初めにこの五億円という金額をどういう考え方で決められたのか、お尋ねをいたします。
#78
○小岩井議員 御質問いただきましてありがとうございます。小沢委員にお答えを申し上げたいと思います。
 刑事罰研究会の検討結果を最大限に尊重をいたしました。法人と個人の資産格差は、フローで九十二倍、ストックで五十倍ないし百七十倍という試算が報告書の中に出ております。この格差に応じて法人事業者に対する罰金刑の上限を引き上げるという観点から、両罰規定に定めるすべての罪について法人等に対する罰金刑の上限を個人の百倍、最高五億円に引き上げることにいたしました。これは、アメリカなど主要先進国の罰金、制裁金の上限あるいは今国会で成立した改正された証取法、百倍、最高三億円と比較しても整合性ある水準だということで提案をいたしている次第であります。
#79
○小沢(和)委員 その点はよくわかりました。
 ここ数日の動きを見ておりますと、これまでの慣例が壁になって、社会党案が採決までいくのが現実問題としてなかなか困難なように思われます。それで、罰金の五億円への引き上げなどこの改正案を採決まで持っていくためには、政府案に対する修正案の提出というやり方もあったのではないかと思いますが、そういうことは考えられなかったのでしょうか。
#80
○小岩井議員 お答え申し上げます。
 御指摘の点は確かにあったと思います。しかし、昨年の課徴金引き上げ以来、刑事罰を引き上げるということで刑事罰研究会で作業が進んでおりまして、刑事罰の引き上げとあわせて現行独占禁止法すべてについて全部洗い直してみましたということで、対案というよりもむしろ独自の社会党・護憲共同案だというふうに御理解を賜りたいわけでありまして、そういう面で衆法として提出した次第であります。したがいまして、刑事罰だけでいくとすればおっしゃったようなことがあり得たかもしれませんけれども、今申し上げました経緯で提案をしているということを御理解賜りたいと思います。
#81
○小沢(和)委員 公正取引委員会の委員長等の任命についてもお尋ねをいたしたいと思います。
 今のように産業界、特に大企業と密接なかかわりのある官僚出身者が委員を独占している状態を改めようという考え方には私どもも大賛成であります。ただ、貴党の提案理由では、「行政官庁と無関係の裁判官、学者などの専門家から積極的に登用する」とありますが、我が党はかねてから、長年消費者運動の先頭に立ってきた高い見識を持った在野の専門家などを委員として登用すべきだと提案しておりますが、こういう点についてはいかがでしょうか。
#82
○小岩井議員 ただいま御指摘をいただきました点でありますが、委員長が大蔵省、それから残り四名の委員のうちの一名は大蔵省、それから、これは国会の同意案件ではありませんけれども事務局長が大蔵省、あとの残りの委員が全部行政官庁出身者だということは、これは今国民から厳しく批判の目で見られておりますし批判の対象になっているということは、この間一連の動きを見ても明らかなわけでありますが、その点について御指摘のとおり考えて、根本的に委員の構成を考え直したいというふうに考えております。裁判官、弁護士、学者等からというふうに申し上げましたけれども、消費者代表についてもこれは選考の対象として考えて提案をいたしております。法律の要件を満たす者から登用するということも十分考えられるということを御答弁申し上げたいと思います。
 以上でございます。
#83
○小沢(和)委員 大変ありがとうございました。
 それで、次に政府案について質問を続けさせていただきます。
 これは予定になかった質問なんですが、午前中の議論に関連してお尋ねをいたしたいと思います。
 公取委でも今までに多くの研究会などをつくり意見を求めてきたと思いますが、その報告を受け取ったとき、今回のように発表しないこととした前例がありますか。
#84
○梅澤政府委員 各種の研究会、各レベルで現在もございますけれども、発足当初から公表を前提に研究をお願いいたします場合もございますし、まとまったものをおまとめ願うという形ではなくて、その都度事務局が問題を出して、専門家の意見を聞きながら行政に反映させるという形の研究会もございます。
 今回の刑事罰研究会は、当然発足当時から、結論をおまとめ願った場合には公表するということを前提で発足いたしております。したがいまして、今回も、最終的には公表するという公正取引委員会の方針は対外的にも一貫いたしておりまして、ただ公表の時期を、結論がまとまった段階ではなくて適当な時期におくらせたということでございます。
#85
○小沢(和)委員 重ねて今の点をお尋ねしますが、公表する方針ではあったというのですが、すぐに公表しないで、こうやって国会で問題になって出すというような時期まで公表がずれたというような実績がありますか。
#86
○梅澤政府委員 そういう事例があったかどうか、私は全部知るわけじゃございませんけれども、私の在任中には、そういうものは今回が初めてでございます。
#87
○小沢(和)委員 今のお話で、いかに今回が異例であったかということは大変よくわかったわけですが、これはどうしても多くの人は、数億円を一億円に引き下げたこととの関連で見ざるを得ないわけであります。
 私は、この種の研究会は、当局と専門家が一緒になって議論しながら結論をまとめていくのが普通であり、したがって、罰金の数億円への引き上げは公取委としてもそういう考え方であったので
はないかと思いますが、いかがですか。それとも、あなた方は初めから一億円という考え方に立っておって、研究会から数億円という報告書をもらってびっくりして、これはぐあいが悪いというので報告書の公表をおくらせたのでしょうか。
#88
○梅澤政府委員 この研究会はあくまで、学者及び刑事政策の有能な専門家によって構成されておりまして、当初から、この研究会と公正取引委員会が協議をしながら報告をまとめていただくという性格のものではございません。これはあくまで研究会が独自におまとめになったものでございます。
 ただ、研究会の御議論の過程で、私自身は終始御議論の過程をそばでお聞きしておりますから、報告が出た段階で数億という結果が出て、いわば思惑が違うということで慌てておくらせたというふうな事実は一切ございません。
#89
○小沢(和)委員 だから私は、本当は公取委としては報告をすぐ発表するつもりだった、しかし、政府や自民党、財界などからの圧力で発表ができなくなった、だからあなた方もその点では大変残念に思っているというのが真相じゃないかと思うのですが、いかがですか。
#90
○梅澤政府委員 発表を適当な時期におくらせるという判断をいたしましたのは、あくまで公正取引委員会の独自の判断でございました。
 この問題につきまして、圧力とかいろいろな言葉が使われるわけでございますけれども、実態は、あの報告がまとめられました当初、各方面では、そもそも独占禁止法に限ってなぜ事業者の罰金水準を大幅に引き上げるのか、この連動を切り離すということは、日本の企業刑事法制のいわば大変革を意味するものでございまして、なぜ今独禁法なのかという問題、あるいは、課徴金がその年の七月に引き上げられたばかりで、まだこれが実行を始めるのはこれから先ではないか、そういうものを見きわめないでもう一方の抑止力の強化に手をつけるというのは時期尚早に過ぎるという反論、そういうものが当時大変ございまして、この報告書の中身に入っていろいろな角度から御議論をいただくというような雰囲気というか、情勢にはございませんでした。
 したがいまして、しかし私どもは、あくまでもこの研究会の方向に沿った法改正はぜひ実現をさせていただきたいと考えたものでございますから、各方面との調整を行う上で、むしろあの時点では、報告を公表せずに、ということは、やはり公表いたしますと、まだそういった御理解の状況でございますから、公正取引委員会が一方的に世の中に予断を与えるために世論操作をやっているのではないかというふうな感情的な反発があってかえって御理解を得にくい、法改正の実現のために支障がある、そういう判断をいたしてあの当時の公表を見合わせたわけでございます。
#91
○小沢(和)委員 きのう、当委員会で刑事罰研究会の正田座長は、一億円という改正案について、数億円という提言から見れば残念と述べられ、将来、提言の方向に沿って検討されることを希望し、まあためらいながらも賛成するという気持ちを表明されたわけであります。この研究会の方々のこういう無念の気持ちを酌み、今後公取委としては、できるだけ早い機会に数億円への再引き上げを実現すること、それまで告発などで精いっぱい厳しい運用を行うことを、私からも要請したいと思います。
 次に、先ほど来議論をされております埼玉県の土木談合事件の問題で、私、もう一言だけお尋ねをしたいのですが、これまでの議論を聞いておっても、私は、公取委としてはかなりの資料は持っておるというふうに聞こえるのですよ。そうだとすれば、それだけの材料でいいから出して、もう告発をするということにこの際踏み切るべきじゃないですか。これだけ多くの皆さんが納得できないと言っているし、世論もそうでしょう。そういう再検討する気持ちがないかどうかだけ、私、もう一遍お尋ねします。
#92
○梅澤政府委員 この問題については、再々お答えを申し上げておるところでございますが、今回、公正取引委員会の決定といたしまして、この事件については告発を見送ることといたしました。それは、検察当局との意見交換を重ねてまいりまして、これは法律面の問題と事実上の問題と両方あるわけでございますが、いずれにいたしましても、犯罪ありと思料し告発するに当たる事件と結論することはできないということが最終の決定でございますので、先般の決定をもって、再度これを刑事問題として取り上げる考えはございません。
#93
○小沢(和)委員 私は、ここ数回の両罰規定についての議論を聞いておりまして、経済の現実から随分おくれているのではないか、このことがあなた方の企業を告発する上での姿勢にも関連しておるのではないかということを感ずるのです。
 昭和の初めに、行為者、つまり従業員だけでなく、事業者、つまり企業にも監督責任を問えるようにしたときには、これは画期的な理論だったのかもしれませんけれども、今や経済の主役は企業、それも大企業であり、まさに、その企業そのものの意思としてカルテルや談合が行われ、従業員はその企業の方針をそれぞれの持ち場で遂行しているにすぎないというのが実態だと思うのです。だから、企業に監督責任というような消極的、間接的な責任を問うのでは全く不十分ではないかと思います。
 こういう理論に縛られていては、企業の責任を正面から追及し告発することはできないのではないかと思うのですが、この点どうお考えになりますか。
#94
○梅澤政府委員 ただいま御提起になりましたものは、いわゆる法人企業の犯罪能力の可否という、刑事法の領域における学説等の面でいろいろ御議論のあるところと私どもは承知をいたしております。
 ただ、そういった問題でありますがゆえに、この独占禁止法だけ独自の刑罰理論を構成するという、そういう問題ではなくて、ただいま委員が御提起になりましたような問題は、やはり企業刑事法制全般の中で、制度の議論なりあるいは学説の議論というものの発展を待たないと、公正取引委員会としてこの問題について権限のある見解を申し上げるべき性質のものではないのではないかと考えております。
#95
○小沢(和)委員 きのうからきょうにかけて、公取委の人員などの体制をもっと強化する必要があるということが議論になっておりますけれども、私も全くそう思うのです。公取委はこの十年間に五十三名増員され四百七十八名の定員となっております。確かにこの二、三年で審査部門が著しく増強されております。しかしアメリカの連邦取引委員会の九百五十三名、司法省反トラスト局六百一名などとは比べものになりません。加藤官房長官は私の質問に対し、増員については公取委員長と相談すると答えられましたが、この際委員長は抜本的な増員を要求すべきではありませんか。
#96
○梅澤政府委員 政府の機構なり国家公務員の定員については、政府全般の非常に厳しい一般的な方針がございます。そういった方針の中でも、この両三年大変な御理解を得まして、公正取引委員会の審査部門に集中的、重点的に増員なり機構の強化をお願いしてきたわけでございます。これからも、各方面の御理解を得まして、公正取引委員会の本局のみならず、地方事務所も含めまして、それからやはり私は重点は審査業務だと思います、そちらに向けての充実について各方面の御理解を得ながら努力してまいりたいと考えております。
#97
○小沢(和)委員 次に、去る二月、公正取引委員会は日本ビクターなど大手電機メーカーに対しVHS方式VTRの基本特許利用に関連して独禁法違反があったとの疑いで調査を開始いたしました。その後四月になって、公取委として独禁法違反があったとの判断を固めたと報じられております。それからさらに二カ月近くたっておりますが、まだ排除勧告を出すに至っておらないのか、いつごろそういう最終結論が出される見通しが、お尋ねをいたします。
#98
○地頭所政府委員 お尋ねの件につきましては、現在審査中でございますので、現在どのような処理の段階にあるか、今後の見通しはどうかということについては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
 なお、御指摘の新聞記事でございますが、これは公正取引委員会は全く取材を受けてないものでございます。
#99
○小沢(和)委員 ではまあこれは見守っておきたいと思いますが、私は去る五月二十九日の質問で、松下、日立など家電四社のやみ再販の疑いによる調査の状況についてもお尋ねをいたしました。私がこれに特に関心を持ったのは、大手メーカーの強力な価格支配力であります。この価格支配力は今回の立入検査の対象となったカラーテレビ、ビデオカメラだけでなく、ステレオ、冷蔵庫、洗濯機など多くの家電製品に及んでいるのではないかと思いますが、そこまで公取委としては関心を持つべきではありませんか。
#100
○地頭所政府委員 御指摘の、家電大手四社の系列の特定販社に対してチラシ等の表示価格を制限している疑いで審査をしていることにつきましては、前回委員の御質問にお答えしたとおりでございますが、きょうお尋ねのような、さらに進んでその表示上の問題だけでなく、実売価格についてまで拘束行為があるというような状況がございましたらば、当然にその疑いについても審査をし、厳正に対処する所存でございます。
#101
○小沢(和)委員 これら大手家電メーカーの製品以上に市場占有率の高い製品がいろいろあります。公取委の発表で二、三の例を挙げてみましても、ビールは上位四社で九八・二%、写真フィルムは三社で一〇〇%、腕時計は三社で八四・九%などとなっております。そして、これらの製品は日本全国どこに行っても価格がほとんど同じであり、自由で公正な競争が妨げられている疑いが強いと思います。こういう独占支配が強い分野についてはやみカルテルややみ再販の疑いがないかどうか、一層強く監視の目を光らせる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#102
○地頭所政府委員 御指摘のような業種につきましても私ども情報の収集に努めまして、違反の疑いがある場合には審査をし、その結果において違反事実が認められれば厳正に対処する所存でございます。
#103
○小沢(和)委員 私は、五月二十九日の質問で、経済の国際化が進む中で自由で公正な競争を国際的に保障するために日米欧など各国の国内の独禁政策をできるだけ共通にしていく必要があると指摘をいたしました。しかし考えてみると、それだけではまだ不十分で、真に国際的な自由競争を保障していくためには、多国籍企業同士のカルテル行為はもちろん、彼らの国際的なスケールでの提携、合弁、共同開発などについても監視していく必要が急速に強まっているのではないかと思います。そのための国際的な独禁当局間の協力がどうなっているのか、我が国の公取委としてはこういう問題にどう取り組んでいるのか、お尋ねをいたします。
#104
○塩田説明員 委員御指摘のように、各国経済の相互依存関係が大変深まっておりまして、企業活動のグローバル化が進展しております。そういう中で、競争政策の重要性というのは幅広く認識されています。したがいまして、競争政策の国際的な調和あるいは競争当局間の国際的な協力の必要性というのは御指摘のとおり高まっていると思っております。
 OECDの競争政策委員会という、独禁法といいますか競争政策に関する委員会がございますが、ここにおきましては、加盟各国の競争政策の進展についてレビューする、あるいは各国共通の競争政策上の問題について討議をする、そういう場でございます。冒頭に申し上げましたような現下の状況におきましては、OECDの競争政策委員会での議論というのはますます重要になってきていると思っております。競争政策委員会、昨年の六月の閣僚理事会の要請に基づきまして競争政策の一層の収れんあるいは国際協力の強化等について検討を行うことになっておりまして、その一環として各国の合併規制の手続面についての比較検討作業を開始したところでございます。
 さらに、御指摘のように国際的な企業提携が活発化してきております。これらのかなり幅広いといいますか、具体的な個別の事例を見ますと、さまざまな態様のものが考えられますけれども、こういった提携につきましては、市場のグローバル化の中で単独で行う場合のリスクや資金負担を分散といいますか、回避し、あるいは相互の得意とする分野、不得手とする分野を相互に補完し合う、そういうようなことで行われているというものでございます。こうした企業提携につきましては、一方で新しい競争単位を生み出す、あるいは効率的な事業活動が行われるということで、競争を活発化する面も考えられますけれども、他方で提携企業によるカルテルその他の反競争的な行為につながるおそれがあるということも否定できません。したがって、こういう点につきましては各国の競争当局共通に関心を持っているところでございます。OECDの競争政策委員会におきましても、こういった問題についてもこれから検討していくことになるだろうと思います。
 それから、各国の当局間の国際協力についてお触れになりましたけれども、一九八六年のOECD理事会勧告というのがございます。この勧告に基づきまして、OECD加盟競争当局間におきまして通報協議制度が設けられておりまして、活発に利用されているところであります。
 それから二国間のレベルにおきましても、各競争当局間での意見交換あるいは情報交換がかなり密接に行われているところでございます。
 公正取引委員会としましては、以上申し上げたような多国間、二国間の場を通じまして、競争政策についての国際協力の推進に努めていきたいと考えております。
#105
○小沢(和)委員 五月二十日に、公正取引委員会は平成三年度における下請法の運用状況及び下請代金の支払い状況を発表いたしました。相変わらず注文時に書面を交付しないなどの形式的な違反も多いのですが、それは一応おいて、実質的な違反の状況がどうか。昨年に比べ違反件数が減ったような数字になっておりますが、昨年度後半、経済情勢が全体として悪化しているのに、一昨年より改善されているというのはちょっと理解できないのですが、どういうことでしょうか。
#106
○矢部政府委員 ただいま委員から御指摘いただきましたように、平成三年度における下請法の運用状況につきまして、先月発表いたしましたわけですが、その中で、支払い遅延ですとか減額、買いただきのような実体規定の違反の件数は八百二十八件ということで違反全体の約四割を占めております。昨年度よりも確かに減っておりますけれども、この減った原因につきまして考えられますことは、一つは、下請法違反というのは申告を待って処理するということになじまない、事案の性格上なじまない性格のものですので、公正取引委員会が親事業者、下請事業者に対して書面調査を行っているということでございますので、その調査件数がふえた場合には違反が多いという状況にございます。
 特に昭和六十三年に、下請法強化の観点、運用強化の観点から新たに四割ほど親事業者の数をふやしまして、その中には下請法に基づく定期調査を受けたことがない親事業者が相当含まれていたというようなことから、多かったわけでございますけれども、昨年はそういうのが少なくなっている。特に下請法違反を行った親事業者に対しましては、違反行為の再発防止のための社内体制、研修等社内整備を行うよう指導しておりますので、新たに調査対象として拡充された親事業者に対してもそういう効果が浸透した面があって、平成三年度は減少になっているのじゃないかと考えるわけでございます。
 それからまた、調査件数と実態との間でややタイムラグもございますので、昨年以降の景気後退面での下請調査というのはまだ平成三年度にはあらわれていないのじゃないかと思っております。
#107
○小沢(和)委員 これで最後にしたいと思いますが、今も述べましたように、昨年末から景気が急速に悪化してきており、こういう時期には親企業がその優越的な地位を利用して下請企業に対し手形割合をふやしたり、その期間を長期化したりする、または単価を一方的に切り下げたり、注文量を削ったりしからであります。親企業のこういう不公正な取引から下請中小企業を守るためにどう公取委として指導を強めているのか、お尋ねをいたします。
#108
○矢部政府委員 公正取引委員会といたしましては、景気の減速感が広まり、下請事業者を取り巻く経済環境が先行きの経済の不透明感も加わって厳しい状況にある中で、下請事業者に対して不当なしわ寄せがなされるおそれがあるのではないかということにかんがみまして、下請法違反に対して十分な監視を行うとともに、下請取引の適正化を一層推進するために本年四月、関係親事業者団体に対しまして、下請法に違反する行為を行うことがないよう要請を行い、傘下親事業者にその旨の周知徹底を図るよう要請しております。公正取引委員会といたしましては、景気の後退局面において親事業者から不当な取引条件林下請事業者に課されるおそれがあるため、下請法違反行為が行われることがないよう十分な監視を行うとともに、違反行為に対しましては厳正に対処していく所存でございます。
#109
○小沢(和)委員 終わります。
    〔委員長退席、額賀委員長代理着席〕
#110
○額賀委員長代理 森本晃司君。
#111
○森本委員 先日、私も質問に立たせていただきまして、公取の刑事罰の罰金額に対するいろいろな疑問、さらにまた埼玉談合に対するいろいろな疑問を質問させていただきました。最後に公取の姿勢をさらに強くしてもらいたいということを望んで終えましたが、数点まだお伺いしたいことがございますので、きょうは質問に立たせていただきたいと思います。
 最初に、まず埼玉談合についての件でございますが、公取委員長、先般排除勧告をされました。そして勧告の審決をされると伺っておりましたが、勧告の審決はいつどんな形でされるのかお伺いしたいと思います。
#112
○地頭所政府委員 応諾期限日でございました五月の二十五日までに六十六社全社から応諾書が出てまいりまして、その後官房の方で手続をとりまして、六月三日付で審決を相手方に送達したというふうに承知しております。
#113
○森本委員 三日付というのはきょうですね、六月三日付というのは。きょう通達されたのですか。何時ぐらいにされましたか。
#114
○地頭所政府委員 この送達の手続の方は官房でやっておりますので、時間まで正確に私は承知しておりませんが、本日送達をしたということでございます。これは法律の所定の手続で特別送達という手続をとっております。
#115
○森本委員 その審決、送達されたあるいはされるのは六十六社中、六十六社だったですか、何社に送達されましたか。
#116
○地頭所政府委員 勧告の名あて人である六十六社全社に対してでございます。
#117
○森本委員 それではこれから課徴金の算定に入られて、事前通知をされて課徴金納付命令を出されるわけですが、課徴金納付命令を出す時期はいつごろと考えていらっしゃいますか。
#118
○地頭所政府委員 これから手続を始めるものでございますので、具体的にいつごろ課徴金の納付命令が出せるかということについては現段階では見通しを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと存じます。
#119
○森本委員 審決を出されたということは、課徴金の対象が明確になってきたということは言えるのではないかと思うのです。
 そこで、課徴金は通常売上高に対して課せられることになりますが、こういった今回のような談合の場合は契約ベースで計算されるのでしょうか、その点についてお伺いします。
#120
○地頭所政府委員 一般論として申し上げまして、談合事件については契約ベースで売上高を計算することになります。
#121
○森本委員 今回の場合は、平成三年六月十日、土曜会が解散しておりますが、六月十日までの間に、それぞれ談合がその直近まで行われたとすると、工事はその後も引き続いて行われている、六月十日以降もその契約した工事が行われているわけですが、それも今回の課徴金の対象になるわけですね。
#122
○地頭所政府委員 御指摘のとおりでございます。
 独禁法の施行令の五条に基づきまして、契約ベースで算定いたします場合には、実行期間中に契約が行われておれば、施工して発注者に引き渡しか実行期間終了後に行われたものであっても売り上げとして計上するということになっております。
#123
○森本委員 今回の勧告並びに審決をもって談合ありとされたのは期間的にいつからなのか、昭和六十三年四月から平成三年六月十日までなのか、期間はいつであったのか。それから、違反行為の対象となった受注物件の件数は一体どれほどの件数をもって勧告の対象とされたのか、その件数と、なお、およその額で結構ですから、どれだけの談合が行われたと判断されたのか、お伺いしたい。
#124
○地頭所政府委員 きょう出された審決書に記載のとおり、実行期間は昭和六十三年四月から平成三年六月十日までということになります。私どもが審査段階で把握しているもので申し上げますと、これは土曜会会員が二名以上指名された特定土木工事ということになるわけでございますが、こういった範疇に入って、先ほど申しました実行期間中に契約がなされたものは六十三件、八百十億円が土曜会の会員の単数もしくは複数の者によって落札されているというふうに承知しております。
 なお、この八百十億という金額でございますけれども、埼玉県の土木工事、比較的大型な工事でございますが、こういったものにつきましては、原則的にジョイントベンチャー方式を前提として発注がなされておりまして、その中には通常地元の企業が入っております。つまり、六十六社以外の企業も入っておりますので、この八百十億の中、あくまでもこれは三億円以上のものについて申し上げたわけでございますけれども、八百十億円から地元業者受注分は差し引いたものが売り上げとして積み上げ計算されるということになろうかと存じます。
    〔額賀委員長代理退席、委員長着席〕
#125
○森本委員 六十三件、八百十億円、八百十億円というのはもう多額の金額ですね。これは、国民経済に与える影響が多い場合云々という公取の方針から考えて、これだけの金額であり、そして六十三件という件数ですから、この六十三件というこれだけの数多くの件数がありながら、公取が四千点もの証拠書類を集めながら告発できなかったというこの六十三件、八百十億円に対して、これでもなお個人がみなしたと思える資料が、証拠が集まらなかったということですか。
 それからもう一つ聞きます。この六十三件のうちで、平成二年六月二十日以前は何件だったのでしょうか。平成二年六月二十日以降はどれだけだったかわかりますか。今急に言ってもわからないかな。
#126
○地頭所政府委員 犯罪ありと思料するに至らなかったという点については、これまでに委員の御質問に対して答えたとおりでございます。
 平成二年六月二十日以降と以前に分けてどうかという点でございますが、平成二年六月以降の分が六十三件中十七件、三百十九億、約三百二十億ということになっております。その差額分がそれ以前ということになります。
#127
○森本委員 平成二年六月二十日以降で十七件、三百十九億、本当にこの点が、これで犯罪とする証拠がなかったという点がわからないわけです。あるいはそれ以前、六十三件中十七件を引いた分、それだけの中でもまだなかったのだろうか、
犯罪事実が、違反事実がなかったのかということで非常にこれは、これどこまでも問答をやりますと、あると思う、なかったということだけですから、いつまでももうそれの繰り返しになりますからやめますが、ここの点がどうも納得できない点である。これは、なかったと言うあなたのお答えに対して、こっち側は、あったに違いないと言うだけですから、恐らくあったとは言わぬと思いますからこれでやめますけれども。
 それではお伺いしますが、六十三件の談合ありと決めてそれを対象にされましたが、六十三件一つ一つをすべて調べられたのか、それとも、六十三件を対象とする場合に、何件かを具体的な事例として取り調べて、そして同じようなものであった、土曜会全体がそうであったと決められるのか、それの調べ方、もし事例で調べるとしたならば、それは何件ぐらい調べることができたのか、伺いたいと思います。
#128
○地頭所政府委員 具体的な事件の処理にかかわることでございますので、一般論でお答えすることをお許しいただきたいと存ずる次第でございますけれども、ルールに基づいて受注調整行為が行われているという場合に、件数は、埼玉の場合は三億円以上で申しますと六十三件ということになりますが、事案によって多い場合、少ない場合種々ございます。そういったものにつきましては、ルールに基づいて概括的に受注調整が行われていたかどうかということをまず押さえるといいますか、調べるわけでございまして、さらに進んで、個別の物件について受注調整行為があればさらに審判等において立証する場合にベターということになるわけでございます。
#129
○森本委員 だから、ルールに基づいて受注調整が行われたかどうかというのが明確になったのは、六十三件中何件なのか。一般論じゃなしに、埼玉談合の問題で何件だったのか伺いたいと思います。
#130
○地頭所政府委員 その六十三件について個々に受注調整の過程が調べ上げられているかということになりますと、それはむしろ否定的でございます。要するに、本件の合意内容といいますのは、埼玉土曜会所属の会社が二名以上指名を受けた物件についてはかくかくのルールのもとに受注調整をしていこう、そういう合意というふうに私どもとらえておるわけでございますので、その二名以上の者が指名を受けたもの、物件といいますのは、先ほど申しましたように、三億円以上について見れば六十三件ということになるわけでございます。
#131
○森本委員 個々のものは調べなかったのですか。調べたのですか。
#132
○地頭所政府委員 もちろん、これは一般論として申し上げますけれども、審査の対象にいたします。しかし、審査の対象にいたしますが、個々の物件についてそれぞれ受注調整過程を明確にしなければ行政措置がとれないというふうには私どもは考えていないわけでございます。先ほど申しましたように、本件について申し上げますと、個々について受注調整のプロセスというものは十分解明していないということでございます。
#133
○森本委員 そこがおかしいのですよ。六十三件の物件があって、要するに排除勧告を出すという視点だけであればそれだけでいいのです。しかし、本気に告発をするため、あるいはこれは大変なことだからきちんと調べようと思えば、個々の事案についても当然調べられて当たり前じゃないですか。それでは、もしそういうことを個々の事案について調べていないということは、最初から告発する気はなかったと言えるのじゃないですか。最初からもう排除勧告、行政処分でやろうという姿勢だったんじゃないですか。
#134
○地頭所政府委員 私の説明が若干不十分だったかと思いますが、当然に全力を投じて調べはしたわけでございますが、そのすべての物件についてのプロセスというものは明確にすることはできなかった。しかしながら、企業ベースとして、いわゆる土曜会ルールというものに基づいて調整が行われたということにつきましては、十分に立証できるということで法的措置に踏み切ったということでございます。
#135
○森本委員 何度も繰り返すような問答になって大変あれですが、六十三件あって、一つもその事例のプロセスを解明することができなかったのですか。解明しようとしなかったのですか。それとも、解明しようとして努力したけれども、調査資料が足りなかったのですか。そんなことは考えられないじゃないですか。どうなんですか。
#136
○地頭所政府委員 私どもの審査したところでは、その埼玉県発注の特定の土木工事につきまして、二名以上の土曜会会員会社が指名を受けたものについては受注調整をしている、そういうふうに裏づける資料は得ているわけでございますが、これは先ほど申し上げたとおりでございますが、個々の談合について、程度問題ということになりますが、十分に究明はできておらないということは、先ほど申し上げたとおりでございます。
#137
○森本委員 六十三件のものがあって、そして談合が行われたと排除勧告するに至るについては、六十三件中何件かはA社のだれとだれがいつどこでどう集まったとか、それはそういうものがきちんとあるから公取は自信を持って排除勧告をできたはずです。そういうことがなしで大まかに受注調整が行われたと思うからといって、それで六十三件の件を全部排除勧告をする。あるいはきょう審決を出す。もしそういうものが公取の中になかったとしたならば、業者はこのきょうの審決を出す前に、お受けしますかといったときに、そんなことはないといって必ず振り切りますよ。八百十億に対する課徴金、これからかかってくるのです。それを簡単に審決の通知をきょうは受けますと、そしてきょう皆さんが、公取がそれを出した、その後の、確かにそれに対していろいろと意見があれば再検討ということになりますが、きょうそれを素直に受けたということは、そういった証拠を公取がつかんでいると今度は業界の人が思っているからなんですよ。そうでないと八百十億円に対する課徴金をそう簡単に、おっしゃるとおりで談合をやっておりましたので、えらい済みませんでした、全部払います、なかなかそうはいかないのではないですか。
 公取は一つ一つの幾つかの事例で何月何日どこの会社のだれがやった、わかっておるはずです。しかし、先ほど来の回答を見ると、要するにそれは調べることができなかった。できなかったというのは、それでは公取の審査部門の能力が足りなかったのですか。普通、国民の側に立って公取がやるとするならば、当然それぐらいのことが六十三件中何件か、わかって当たり前です。だれが考えたってわかりますよ。そんなことがわからない、わかりませんでした、具体的事例がありませんでした、それだったら本当にどうしてそんな審決を出し、どうしてそれを業界の人が受けたのですか。
#138
○地頭所政府委員 程度問題ということを申し上げたわけでございまして、そのプロセスを十分に解明することができなかったということでございまして、例えば、受注調整をしなかった、対象になっていないものがあるかどうかというような形での調べはついておりますので、先ほどの応諾する理由がないはずだという点については、先方の方は応諾やむなしという判断をしたのではないかと推測する次第でございます。
#139
○森本委員 押し問答ばかりしていますとこの間と同じようにまた私の時間がなくなります。あと七かしかないので、次へ移りたいと思いますけれども、この問題は私は今の回答で納得しない。私だけではありません、だれが聞いたって納得できない、実に不思議な話、不思議な問答を私は審査部長とやったということを明確に記憶に残しながら、次の質問に入りたいと思います。
 そこで、そういうことがつかめなかったというのは極めておかしなことでございまして、それではこれからいつまでたったって今のような姿勢では、この間も申し上げましたように談合を告発することはできない。その調査能力を充実するために一層審査体制を強化する必要がある。平成元年
T度から四割増員されましたが、これでもまだまだ足りないのか。
 国税庁が査察を行うとき、一声かければ軽く四百人は集まるそうでありますけれども、公取の場合には実態はどうなっているのか。総勢でも五百人もいない公正取引委員会に十分な立ち入りができるのか。審査能力がなければ、幾ら罰金刑を上げても何にもならないし、告発方針を決めたところで何にもならない。したがって、調査能力が不十分であればさらに強化すべきであると思いますが、どうですか、その見解。
#140
○地頭所政府委員 審査部の体制につきましては、平成元年以降約四割、具体的に申しますと百二十九名体制から百七十八名体制に増強されたわけでございまして、これは法的措置の件数だけをもって審査能力を云々することは必ずしも適当ではないというふうに考えますけれども、ちなみに法的措置の件数を申し上げますと、平成元年度におきましては七件、平成二年度は二十二件、平成三年度は三十件、平成四年度は、第一・四半期の途中でございますが八件の法的措置を講じているわけでございまして、私どもその事案の審査処理能力というのは十分かどうかという点についてはいろいろおしかりを受けておりますように、今後さらに関係当局の理解を得ながら増強を図り、かつ能力的な面につきましての研修、訓練を施していかなければいけないというふうに存ずる次第でございますけれども、着実に成果を上げつつある、この点についてはぜひ御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。
#141
○森本委員 告発に向かって、私は今回残念であるし、今回の点では公取の姿勢について指摘をしておきたいと思うし、同時に告発が行えるように審査部門あるいはそのほかで環境整備をきちんと体制を整えていかなければならない、そのことを今回の埼玉談合を通じて強く思っているところでありますし、また我々も公取がそういう体制になっていくよう一生懸命応援をしていかなければならないと思うところであります。
 さて、公取がこうして告発しなければ談合が続くわけでございますが、建設省、来ていただいておりますね。
 大事なことは、やらないということが一番事の起こりであります。告発するのが必ずしもいいとは言えない。大事なことは、そういう体制をなくしていくことが一番肝心なことだと思いますが、今回課徴金の納付命令がこれから出されるわけでありますけれども、違反業者六十六社に対して指名停止等々をされたと思いますが、今後やはり再発防止に努めるべきであると思いますが、どのように考えておられるか。
 それから同時に、個々に聞こうと思ったのですが、時間がなくなってまいりましたので、埼玉県が今度の反省から「公募型」を導入し「談合封じへ改善 企業の技術力重視」という新たな埼玉県の指名競争入札の方式を発表いたしました。こういったことについて、建設省はどのように考えておられるのか。まず談合が行われないようにすることが大事だと思いますが、どうですか。
#142
○峰久説明員 建設省におきましては、今回の埼玉土曜会事件に関しまして、独占禁止法違反が明らかになったことをまことに重大に受けとめておりまして、発注者の立場としましても既に六十六社全社に対しまして関東地方建設局管内で原則として一カ月の指名停止措置を講じております。指名停止というのは、これで既に指名が行われている業者にとりましては指名が取り消されますし、それから今後のものにつきましては一定期間新たな指名から排除されるということで、かつ当該ブロック内で起きますとすべての公共工事発注機関から同様の措置が講じられるということなどを考えますと、業者にとりましてはそれ自体かなり厳しいものであると考えております。
 ただ、御指摘のように、公共工事の入札に関しまして独占禁止法違反が繰り返されるということは公共事業に対する国民の信頼を損なうおそれがありますので、今回の事件を契機としまして、我々今後は三カ年以内に再び独占禁止法違反により指名停止を行う事案につきましては最低二カ月の指名停止となるように指名停止要領を改正しまして、今後の再発防止に万全を期したいと思っております。
 それから、入札制度等については別途お答えさせていただきます。
#143
○風岡説明員 私ども、建設業者を指導監督する立場でございますが、今回の件につきまして大変重大なこととして受けとめておりまして、早速、先日でございますけれども、業界団体七団体の長を呼びまして建設大臣の指示事項を伝達するというような措置を講じております。
 それから、先生御指摘のように、こういった事件の再発防止の観点からは、入札・契約制度についてもいろいろさらに検討する必要があるのではないか、埼玉県では公募型の制度というようなものを考えているという御指摘がありました。御指摘のとおりでありまして、私ども現在、建設省の中央建設業審議会で入札・契約制度の基本的な在り方について既に御審議をいただいております。私どもの考え方といたしましては、入札・契約制度をできるだけ透明性、競争性のある制度を実現する必要があるということで現在御審議をいただいているところでございますので、我々事務方としましても、審議会の方に審議の促進をぜひお願いしたいというふうに考えているところでございます。
#144
○森本委員 時間が参りました。最後にもう一度、一カ月から今後二カ月になるとおっしゃったのですね。(峰久説明員「三カ年以内の同じような事案の場合です」と呼ぶ)三年以上同じようなことを同じ業者が行ったら二カ月ということか、ちょっとその点だけもう一度。
#145
○峰久説明員 再犯防止という観点から、やはり独占禁止法違反の事例で同じ業者が関東地建なら関東地建の中で三年以内に同じ独占禁止法違反で指名停止になる場合は最低二カ月にするということでございます。
#146
○森本委員 それじゃ最後にもう一度、公取委員長を含めて皆さんに申し上げておきたいと思います。
 一つは、罰金額については一億まで持っていかれましたがまだまだ不十分である。これはきのうの参考人もそのようにおっしゃっておられましたし、さりとてこれを取り消してしまうとまたもとの五百万になってしまうということも考えられます。そういう意味で、罰金額については今後も十分に検討、報告書に近い数字に近づいていくようにしていかなければならないということ。二つ目、告発のあり方への体制、環境整備も今後十分していかなければならない。三つ目、公取の人事のあり方について今後も十分検討していかなければならないということを申し上げまして、先日の質問、きょうの質問をまとめて、特にこの三点について強く要望して、質問を終わります。
#147
○武藤委員長 小岩井清君。
#148
○小岩井委員 私は最初に、先日来問題になっております梅澤公正取引委員会委員長が公取の決定以前にアメリカの関係当局に通知をしていた問題について、まだ事実関係がほとんど未解明でありますので、その点から質問をいたしたいというように思います。
 最初に、私が事実関係を指摘をする前に、この事実関係について梅澤委員長から御答弁をいただきたいと思います。
#149
○梅澤政府委員 御質問は、埼玉の排除勧告の決定並びに刑事告発の見送りにつきまして新聞発表を行いまして、当日の午前に事業者に勧告書を送達したわけでございます。その点についてアメリカの方にいつ連絡したか、こういうことでございますか。先般も別の委員の御質問にもお答えしたわけでございますけれども、相手方とは時差の関係がございますから、日本時間で申しますと五月十五日に先方がこれを周知するようにということで事務局に手配をいたしてもらいました。したがって、日本時間で新聞発表の当日に向こうは承知をしたと思います。
 それから、なぜこれを通知したかという話がい
つもあるわけでございますけれども、これは私が個人の立場で、先般辞任いたしました米国の反トラスト局長にいわば個人的な情報提供として新聞発表の範囲内、それよりもっと簡潔でございますけれども、連絡をしたということでございます。
 これはぜひ御理解を賜りたいと思うのですが、アメリカの競争当局のみならずEC各国の競争当局も含めまして、私は各国の競争当局のトップとほとんど個人的な情報交換関係を持っております。お互いに関心のある事項について情報の交換をするということは先方も当方にやってまいりますし、我々もやっておるわけでございまして、その一々の内容については申し上げませんけれども、例えば日本の公正取引委員会が非常に関心を持っておる相手国政府の、あるいは相手国競争当局の検討しておる問題について相手国政府が決定を行い、公表を行いますときには私あてに個人的な書簡、場合によっては電話あるいは在京の大使館を通じまして、何々委員長、何々局長からの指示によってあなたに連絡をしますという形で連絡をくれております。そのルールは、あくまでお互いに東西時差がございますから、相手方の方も発表の時点が日本の時点におくれないように、大体同じ日に届くようにという配慮でやってきておるわけでございます。今回もそういう形で、新聞発表の範囲内で従前の相互関係に基づいて個人的な情報提供をいたしました。
#150
○小岩井委員 個人的な情報提供ということですね。しかも私の調査では事前にやっているのですね。
 具体的に聞きますけれども、個人的な情報提供ということだと、もっと事は重大なんじゃないですか。私人梅澤さんが職務上知り得た行政機関の決定を外国の関係当局に事前に情報として流した行為は大問題ですよ、もし個人としてやったとすればですよ。私人としての行為なのか公人としての行為なのか、はっきりしてください。
#151
○梅澤政府委員 もちろんこれは私人としての行為ではありません。個人としてという前提をつけておりますのは、これは政府機関同士の関係で、約束事でやっていることではないわけです。だからお互いにその立場ははっきりしようということ、それから、相手方に対する情報というのは、先ほども申しましたように政府決定で公表されるものをその範囲内において、お互いに時差がございますから情報の時間ギャップがないようにという配慮でもって、先方もいろいろな形でそういう情報の提供がございます。あるいはもう一日早いくらいの時期で電話なり書簡で送ってまいります場合もございます。今回の場合は、日本における公正取引委員会の公表の日に相手方に届くようにということで情報を提供したわけで、事前に秘密を漏えいするとかそういう話では決してございません。
#152
○小岩井委員 あなた、個人で情報提供したと言ったじゃないか。今、私人じゃないと言った。ということは、公正取引委員会委員長として出したんでしょう。どっちなんですか。
#153
○梅澤政府委員 もちろん私の名前で出すわけですから、先方は当然私が公正取引委員会委員長として受け取っていると思います。しかし、これはあくまで個人的な、あなたが関心を持っている情報だから、しかもこれを公表するから、この公表の範囲内においてあなたに連絡すると。それはアメリカのみならず他の各国の首脳もそういう形で、彼の個人的サインで、あるいは大使館から持ってくるときに個人的な指示によって、だれだれさんの指示であなたにこれを届けるように言われましたと言って持ってくるわけですから、それは私人ではないと思います。しかし、これだけ経済の関係が、国際交流が増し、特に競争当局相互間での情報交換をいろいろなレベルで、これは秘密の漏えいということじゃないわけです、日本国政府が一体何をしているかということを知らしめるためにこういうことをお互いに情報交換をするということが私は必要なことであると思っておりまして、私の現在の地位から見て、法律なり国益に違反するような、そういった行動をとった覚えはございません。
#154
○小岩井委員 はっきりしてくださいよ。個人なのか公人なのか。私人と個人というのを使い分けているけれども、はっきりしてくださいよ、それ。重要なんですよ。個人が職務上知り得た情報を事前に外国の関係機関に流した。それは事の内容じゃないのですよ。とすれば、責任は当然追及しなきゃならないと思うのですよ。通知したあて先、通知した発信人、その日時、通知をどこから発信したのか、その場所、通知の内容について梅澤委員長は具体的かつ明確にする責任がある。答弁を求めます。
#155
○梅澤政府委員 先ほど来申し上げているとおりでございまして、秘密の事項を外国政府に漏えいする、これは国内でもそういうことは独占禁止法なり国家公務員法で禁じられていることでありまして、そういった問題に抵触する話では絶対にないということをまず申し上げたいと思います。
 それから、なぜそういう情報交換ということを行っておるか、これは私人ではございません。ただ、それぞれの機関がお互いに集まったときにお互いの関心事項について、向こうも向こうの政府発表と時期を失せずに連絡をしてくれておる、こちらも向こうの関心事項について連絡をしてやる、そういった形の人間関係といいますか、それぞれのレベルの政府機関の関係というのは、むしろ私は緊密にすべきものであろうというふうに考えておるわけでございます。
 事柄については先ほど申し上げたとおりでございますけれども、どういった内容をということは、これは新聞の発表の範囲内でございます。これは当然のことでございます。
 それから、どういった方法でどういう内容をいつということでございますけれども、これは例えば外国の機関からも今言いましたような形でいろいろなことを情報提供してくれるわけです、これは。そういった関係から見まして、私は外国から受けた情報の内容なり、その伝達の手段を個別具体的に申し上げられないのと同時に、私が発しました方法なり内容なり日時につきましても、基本的には日本時間における発表時点に彼らもわかっているようにという時差を考えて事務局で手配してくれたと思いますけれども、この具体的なことについての答弁は差し控えたいと思います。
#156
○小岩井委員 梅澤委員長、この間あなたは個人として情報提供したと言ったのですよ。今また答弁内容が違ってきているじゃないですか。きちんと整理されて答弁し直したらどうですか。それとも食言するのですか。あわせて、リル反トラスト局長が通知を受け取ったと言った時刻、時差を考えたとしても五時間以上前なのですよ。事前に出したということはお認めになりますね。
 それから、これは四月二十七日に、来日していたアメリカのヒルズ通商代表部代表ですか、聞くところによると、この事実関係も伺わなければいけないのだけれども、埼玉談合問題について重大な関心があるということで梅澤委員長にコメントがあったというふうに伝え聞いているのですよ。それは事実ですか。とすれば、これはリル反トラスト局長だけではなくて、ヒルズ通商代表部代表にも当然情報提供したということが考えられるわけですけれども、この点はどうですか。
#157
○梅澤政府委員 私は個人としてと申し上げて、今も個人としてと申し上げておるわけで、先般のお答えを変えているとは考えておりません。
 先般個人としてと申し上げましたのは、これは公正取引委員会という行政機関として、相手方の公的な行政機関にそういったものを、内容は秘密に属するものでも何でもないにしても、日本政府の決定を相手国政府に正式に通知するというのは、それは日本の国の立場あるいは国際的な慣例からいってもおかしいわけなので、したがって、必要な情報の交換は各国ともそれぞれ個人のイニシアルでもっていろいろなものを送ってきておる。しかし、それは私人ではないことは明らかです。それはお互いにこれからの競争政策の協調を行うために必要な情報交換を、しかも国益を害することなく情報を提供するということであります
から、その点について何か非常にうろんなことを私がやったというふうな御指摘については、これはせっかくの御指摘でございますけれども、私はそれを認めることはできません。
 それからもう一つ。ヒルズ代表が来ましたときに、これも国際慣例上、どういう話をしたかということを具体的に申し上げることはやはり差し控えるべきであると思いますけれども、当然のことながら、当時埼玉事件については公正取引委員会は何ら決定を行っておりませんから、その決定の内容とかあるいは予測めいたことを私が申し上げるはずがないわけであります。
#158
○小岩井委員 質問に答えなさいよ。そういうコメントを受けたことは事実ですか、事実だとすれば当然ヒルズ通商代表部代表にも通知をしたのですかと聞いているのですよ。全然観点の違う答弁をしないでくださいよ。
 それから、事前か事後かはっきり答弁なさいませんね。これはこの前から、談合問題についての検察当局との協議の日にちも内容も、あるいは刑事罰研究会の公表が抑えられて公表するまでの間、あるいはその後法案をつくるまでの間に、自民党の各部会に対する接触、調整、経済官庁並びに経済界あるいは自民党のそれぞれの役員の方たちにどういう調整をして話をしたのかということについても答えがない。きょうまた質問に全然答えないじゃないですか。したがって、国益を害することはしていない、それはそのとおりでしょうよ。私は、梅澤さん、そこまでやるとは思いませんよ。そこまで信頼していないわけじゃない、信頼していますよ。しかし、その決定を事前に、日本の国内、国会議員である我々とかあるいは国民に知らせる前に通知を出すことはおかしいでしょう。おかしくないと言う神経の方がそれはよっぽどおかしいのだ。だから、通知したあて先、通知した発信人、しかも私人じゃないけれども個人だと言う。公正取引委員会委員長、梅澤委員長が出したということなのでしょう、それは。それと、日時と、通知をどこから発信したのか、その場所、通知の内容について明らかにする責任がある、あなたは。答えないということじゃ済みませんよ。
#159
○梅澤政府委員 幾つか御質問があったわけですけれども、まずカーラ・ヒルズに反トラスト局長と同じような連絡をしたかということでございますけれども、彼女にはしておりません。それは、する必要がないからです。私の競争政策のカウンターパートは、あくまで反トラスト局長でありますから。
 それから、事前にという意味が、決定が行われる前に事前にという意味でございますと、これは事実に反します。それは、たしかあれは五月十五日に事業者に午前中勧告書を手交し、午後新聞発表を行ったわけでございます。十五日じゅうに反トラスト局長がそれがわかる、時差の関係がございますから、それで連絡をしたということでありまして、それは公正取引委員会が決定を行う前にそんな連絡というのはあり得ないわけでございます。
 それから、くどいようですけれども、例えば諸外国におきましても、競争当局のトップがこれこれの決定をあした公表するという形で情報をよこすことはたくさんあるわけです。それは、例えばEC委員会なり反トラスト局としてではなくて、それぞれの委員長であったり局長であるという、これは私はその個人という意味はそういうことに受け取っているわけで、決して私人ではない、しかし機関としてではない。そういう非常に弾力的な情報交換の関係にあるということでございます。
 それから、今後とも必要な情報交換のルートというのは各レベルで持っておった方がいいと私は思うのです。それは、国益を害したり秘密を相手方に知らせるという話ではないわけですね。日本国の政府の政策態度がこういうことである。最近の時点でございますと、日本の新聞報道というのは、その日にもうアメリカの方に伝わっている、あるいは日本の新聞そのものが向こうで送達されているわけですから、そういう情報の時代になった場合に、やはり新聞発表と大体同時ぐらいに相手方にそれが届くという配慮はしてやる。それが本当の意味での、彼らはまたそういう形で情報の提供をしてくれるということでございますね。その場合に、これはくどいようですけれども、時差の関係がございますから、どうしても相手方が起きているうちにぎりぎりの時間というものを考えてやるという場合もあると思いますよ。その辺は事務局がいろいろなことを考えて、ぎりぎりの向こうの起きている時間のようなところを押さえて恐らく連絡してくれたのだろうと思います。しかし、いずれにしてもこの問題は私自身が指示し、私の責任でやったことですから、ただ事務局はそういうことを十分考えてやってくれたことと思います。
 くどいようでございますけれども、いつどういう方法で、どういうふうに連絡したかというふうなことは、今度は相手方の方の立場を考えますと、日本国政府の場合に、いろいろな情報が提供されるけれども、その日時とか経緯とか、そういうものが全部公開されるのだ、それは重大な内容の問題なら別でございますよ。そうじゃなくて、お互いに政策決定というものをなるべく早くわかり合うという方向での情報交換でありますから、どうかひとつ、この点については御理解を賜りまして、その具体的な手段、方法までここで明らかにすることはお許し願いたいと思います。
#160
○小岩井委員 何で相手国の立場を害することになるのですか。こっちが発信した日にちと通知の内容を言って、なぜ相手国の立場を害することになるのですか、新聞発表の範囲内だったら。それは不思議ですね。発信人は今わかりました。発信した相手先もわかりました。それから、発信人は公正取引委員会委員長、梅澤委員長だということもわかりました。ただし、その日時です。日時と、通知をどこから発信したかです。これは秘密でも何でもないでしょう。しかも国益を害したわけではないと言っているのだから、それは信じますよ。なぜそれを言えないのですか。しかも、リル反トラスト局長がコメントした時間までわかっているのです、こっちは。現地時間十四日午後七時ごろ。日本時間にするとそれは何時ですか。ということは、そのときにはもう既に行っていたということですから。日本はこれをいつ出したのですか。
#161
○梅澤政府委員 五月十五日に午後新聞発表したわけでございますけれども、日本時間でいいますと五月十五日の朝に発信をしているようでございます。
#162
○小岩井委員 何時ですか、朝。
#163
○梅澤政府委員 日本時間の五月十五日の早朝でございます。
#164
○武藤委員長 小岩井清君。――質問を続けてください。
#165
○小岩井委員 早朝まで言って時間言えないというのはどういうことですか。国会における質問をばかにしているのですか。
#166
○梅澤政府委員 正確な時間の記録ということの問題と、もう一つは、直接に私が電話をするということも考えたわけですけれども、何しろ早朝でございますし、向こうも寝る前の時間でございましょうから、したがって、公正取引委員会の在ワシントン勤務の職員を通じて連絡をさせましたから、相手の耳に入ったのは日本時間の恐らく午前中ではあると思いますけれども、そういう具体的な時間を申し上げるだけの記録とトレースを行っていないということです。ただ、要するに日本で新聞発表を行った日の午前中のことであるということでございます。
#167
○小岩井委員 リル反トラスト局長がコメントしたのは五時間前です。日本のちょうど十五日の午後二時から比べると五時間前。それより前に出したことは認めますね。それがきっちりしていないと次の質問に行かないのですよ。
#168
○梅澤政府委員 新聞発表が二時でございましたから、今委員がおっしゃいましたように五時間前といいますと十時……。先ほども言いましたよう
に、その辺の時間はちょっと私どもトレースはしておりませんけれども、当日の午前中ということでは先ほど申し上げたとおりでございます。
#169
○小岩井委員 二時八分から始まって、今二時三十六分なんです。私の聞いたこと、ほとんど今答えたでしょう。こんなに時間かかって答えるとはどういうことですか、これは。御注意申し上げておきます。
 そして、これは必ずしもアメリカが日本の国内決定に干渉するということには快しという気持ちを持っているわけではありません。しかし、「公正取引委員会が当初の目標どおり談合の慣習を打ち破り、犯罪として処置できることを期待しています。」というコメントも最後にあるのですよ。この点についての感想を求めておきます。
#170
○梅澤政府委員 これは、SII等の議論を通じまして、刑事告発を強化するということをアメリカにも表明いたします前に、日本国内に平成二年六月公表いたしまして、アメリカは十分それを承知しておりますから、それに対して非常に期待を持っておるということは明らかであると思います。
#171
○小岩井委員 今の質問はそれで次に移りますけれども、答えられないという答弁が多過ぎますよ、何を構えているのか知らないけれども。
 前回に引き続いて聞きますけれども、審査部、東京高等検察庁の検事と証拠資料をもとにして話し合った。四月三十日と五月一日、この二回については答えられないと言いましたね。これはどうなんですか。
#172
○地頭所政府委員 具体的な日時については答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
#173
○小岩井委員 二回話し合ったのは事実ですか。
#174
○地頭所政府委員 二回以上意見交換を行ったのは事実でございます。
#175
○小岩井委員 私が聞いているのはことしの二月以降です。二月以降二回ですかと聞いているのですよ。そのほかに五月十三日というのがありますね。これは検事と審査部だけじゃなくて、幹部を含めて最終協議の場が持たれたというふうに、これはきっちり私、確認しているのですよ。それも答えられませんか。
 というのは、なぜ埼玉談合がそれだけのことで告発断念に至ったか、ほとんど何にもやってないじゃないかということなんですよ。だから答えられないんでしょう。どうなんですか。
#176
○地頭所政府委員 答えることができない理由でございますけれども、私ども、検察庁との間に公式あるいは非公式に今後とも事案について意見交換をする必要は生じるわけでございますが、そういった経過等について公になるということは、当然に関係人等においても知るということになるわけでございまして、やはり審査を進める場合に相手方が私ども審査当局の動きを見きわめるについて情報が多いということは、何かと審査がやりにくいということは非常に数多くの経験で私ども体験しているわけでございまして、こういった事柄については個別事案の処理にかかわることでございますので、公開はしないということで効率的、能率的な審査を進めるということについて御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。
#177
○小岩井委員 またこれで時間をとることになるんですよね。というのは、この前あれだけ質問をして、きょうはちゃんと答弁するかなと思ったのですよ、もう一度考え直してみて。というのは、相手方相手方と言うのだけれども、審決をして、排除勧告をして、すべて決着がついてしまって、何が相手方なのですか、この間と同じことを言うけれども。
 それで、繰り返し繰り返し各委員が質問の中で言っておりますけれども、九〇年六月に告発についての方針が公取から出されましたね。それが金科玉条のごとく言われているんだよね。これは何か法的拘束力があるのですか。専属告発ということでは一貫しているでしょう、専属告発権を持っているということについて。その辺、どうですか。
#178
○梅澤政府委員 六月二十日のステートメントが法的拘束力を持っているかということでございますけれども、当然ながら委員が言われる意味での法的拘束力はございません。
 なぜその六月二十日ということについて我々があえて法的安定性というような言葉を使って申し上げるかというと、十六、七年にわたりまして独占禁止法違反事件については課徴金によって対処する、刑事告発というものは発動しないということが、政府のいわば五十二年の法改正当時からの一貫した方針だったわけです。これは皆さん御承知なわけなので、今後、刑事告発で悪質なものは刑事責任を追及しますよということを言う場合には、やはり事は刑事訴追でございますから、ここの時点以降についてそこは覚悟してやってくださいということははっきりさす必要があると思うのです。
 それで、これからいよいよこの刑事告発の作業が始まるわけなので、先ほど来いろいろ御議論がございましたけれども、七十三条の告発権の発動が、最終的にはしかしこれは発動を受けるのは違反行為を行った人たちでございますから、その人たちに対して、六月二十日以降の問題についてあなた方は刑事責任を問われるのですよということははっきりした方がいい。今回の埼玉の件についても、公正取引委員会は、ステートメントの前の問題から刑事責任を追及しているのではないのですよということをきちんと理由をつけてやはり皆さんにわかるようにする必要があると思ったから、ああいうふうに断ってあるわけでございます。
 この委員会でも御説明申し上げておりますように、六月二十日以降に限定したから刑事告発ができなかったわけじゃないのです。六月二十日以降についても、先ほど審査部長が申し上げましたように三百億になんなんとする受注調整工事が行われておるわけでございますから、外形的には六月二十日の告発方針に該当するのです。これもはっきり申し上げているわけです。ただ、これを刑事訴追するに当たっては、法律上、事実上の問題について今回は告発に値するというだけの事実把握ができなかった、これが現実でございます。
#179
○小岩井委員 先ほどの質疑を聞いておりましたけれども、六十三件あったそうでありますね。六十三件。しかもこれは排除勧告の対象になっているわけです。それは土曜会ルールの調整が立証できた、そして受注調整している裏づけ資料は出ているというふうに先ほど答弁しましたね。八百十億の課徴金は科すと言いました。数字は後で確認してください。ただし、プロセスを十分解明できなかったということですね。ここまでやって十分解明できないわけはないのですよ。
 では具体的に、非常に初歩的な質問をいたしますよ。埼玉県の場合、指名業者が決定をして指名通知しますね。指名通知以降入札まで、どういう手順で行われるのですか。その点答えてください。
#180
○地頭所政府委員 指名の後、通常の場合でございますと現場説明等がございまして、入札参加者は計画の詳細について情報を得た上で入札に参加するということであるかと存じます。
#181
○小岩井委員 いきなり現場説明ではないでしょう。指名通知をどうやって受け取るのですか。郵送ですか、それとも個人が行って受け取るのですか。
#182
○地頭所政府委員 指名通知をどのような形で受け取っているか、私は承知しておりませんが。
#183
○小岩井委員 そんなことでよく個人が特定できなかったなんて言いますね。これは、指名競争入札の場合には地方自治法に書いてあるのですよ。県の段階もあるいは市町村の段階も地方自治法に書いてある。具体的にはその会社のしかるべき人が行って受け取るのですよ。受け取って、受け取った人はサインをしてくるわけです。その点、確認できてませんか。
#184
○地頭所政府委員 ただいま担当の方に問い合わせをしておりますので、後ほどわかり次第お答えいたします。
#185
○小岩井委員 それではそれは後で答えてもらい
ますけれども、現場説明があると言いましたね。現場説明に行く。この場合に、現場説明に行った人はどういう手続をとるのですか。
#186
○地頭所政府委員 現場説明を受けるということでございまして、具体的にどういったような形で現場説明を受けるかということについては、もちろん審査の担当の方では把握しているかと存じますが、私、今の段階では承知しておりません。
#187
○小岩井委員 それでよくやっぱり個人が特定できなかったと言いますね。その折にも、現場説明に行った人はちゃんとサインをするのですよ。どうですか、答えてください。
#188
○地頭所政府委員 その点につきましても確認をいたしたいと存じます。
#189
○武藤委員長 係か担当を呼んできなさい。細かい話だから、部長にわかるわけないよ。
#190
○小岩井委員 それでは、手を挙げるというのはどういうことですか。
#191
○地頭所政府委員 埼玉の事件の場合に、私ども、審決ではPRチラシという言葉を使っておりますし、言われ方としては希望工区表というようなことを言われております。事前に指名とか現場説明とか、それよりははるか前の段階で発注当局の発注予定について情報を得て、情報を得た段階でこれこれの物件については我が社としては受注を希望する、その希望の意思表明のことを通常手を挙げるというように言っているようでございます。
#192
○小岩井委員 手を挙げるというのは、受注希望ですね。では、仮に複数字が挙がったときにはどうするのですか。
#193
○地頭所政府委員 土曜会ルールにおきましては、PRチラシの提出時期あるいは記載内容の正確度、関連工事、例えば近隣の関連する従前の工事等につき実績ありや否やというような点に基づいて複数希望者がある場合に調整をする、そういうようなルールになっておるわけでございます。
#194
○小岩井委員 では、調整をした当事者というのは特定できるのですね。
#195
○地頭所政府委員 これは、先ほどの質問にも関連するわけでございますけれども、ある程度把握しておるということでございます。
#196
○小岩井委員 いや、調整をすると言って、ある程度というのは何ですか。いいですか、調整をして一社に絞ったのでしょう。絞った人間は特定できるんじゃないですか。とすれば、複数の人間も特定できるはずですよ。
 もう一つ聞くけれども、天の声って何ですか。
#197
○地頭所政府委員 私どもが一般的にこういった談合問題等を調べている過程において承知をしていることで申しますと、発注者の意向というような意味で使われている場合が多いのではないかというふうに理解しております。
#198
○小岩井委員 やはり、かなり詳しく知っているじゃないですか。それで個人が特定できないということにはなってこないのですね。
 それで、入札という段取りになりますね。いわゆる談合ということで、企業として談合ありと言ったわけだから、そこまで調べているでしょう。入札ということになって、入札に参加をした人はどういう手続で参加するのですか、札はだれがつくるのですか、その点聞きます。
#199
○地頭所政府委員 札は、入札参加者が記載して提出しているというふうに考えております。
#200
○小岩井委員 入札に参加をする企業は、参加をした人は、署名捺印しているのですよ。間違いありませんか。
#201
○地頭所政府委員 その点につきましては、ただいま確認中でございますので、確認でき次第お答えいたします。
#202
○小岩井委員 そんなことがわからなくてよく個人が特定できないと言いますね。署名捺印をして、それぞれ一番札、二番札、三番札、どこが幾ら入れるかということは談合の場合には決まっていて、それぞれ分けて持ってくるのですよ。それでなぜ個人が特定できないのですか。その点どうですか。答えがないとすれば、これは保留してこのままとめておきますけれども、どうですか。
#203
○地頭所政府委員 具体的事案の内容でございますので、どこまで申し上げられるかという問題があるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、委員御指摘のような場合もあるかと存じますが、本件の場合に、御指摘のような形で、事前にだれがどういう札を入れるというような形が決まっていて、そしてそのとおりにやったというようなところまで解明はできていない、そういうことでございます。
#204
○小岩井委員 それじゃ談合にならないじゃないですか。ということは、普通に入札したということであるわけですね。
 では、もう一度聞きますが、たたくって何ですか。たたいたのですか、この場合。
#205
○地頭所政府委員 受注調整と全く反対の状態、たたき合いというような言葉を業界では使う場合が多いようでございますが、これはまさに入札制度の本来の企図のごとく、競争を通じて全く自主的な判断で入札金額を記入して札を投ずる、そういうふうに理解しております。
#206
○小岩井委員 談合があったということで排除措置を出したでしょう、六十三件ですか。今、談合はなかったという答弁ですよ。そんなでたらめな答弁していいのですか。
#207
○地頭所政府委員 私が質問をあるいは間違って受けとめたかもしれませんが、たたくという意味については、たたき合いという言葉がよく使われておりますので、そういった意味で業界では使っているのではないかということを申し上げたわけでございまして、埼玉の事件につきましては、勧告書、まあ現在は審決でございますが、その審決書記載のいわゆる土曜会ルールというものに基づいて受注調整が行われているという点については、私どもとしては裏づけとなる証拠を得ているということでございます。
#208
○小岩井委員 たたいていないということは談合していたということなのですよ。回りくどく言わなくたってそれは談合したということなんだ。
 それで、入札参加者は会社名、個人名、捺印しているのですよ。それを確認できないのですか。先ほど確認できないこと全部保留せざるを得ませんけれどもどうですか。
#209
○地頭所政府委員 現在、事案を把握している者をこちらへ向かわせておりますので、わかり次第答弁をいたします。
#210
○小岩井委員 時間があと八分しかないのですよ、どうしますか。八分間に着かないということが考えられますが、どうしますか。
#211
○武藤委員長 もし着かなかった場合、委員長は後日理事会あるいは理事懇談会において取り扱いを協議したいと思っております。
#212
○小岩井委員 今指摘申し上げましたように個人は特定できるのですよ。告発したくないからしなかったということを申し上げておかざるを得ません。そして、先日来、個人の具体的な違法行為が認められるだけの証拠が不十分であるということになるとするならば、これは公正取引委員会の権限というのは行政調査の権限しかないわけですね、立入検査も令状もない行政調査。事情聴取にしても検察や警察のような身柄をとって調べるわけにいかない。ということになるならば、企業の違法性が確認できて個人の違法性も推定されるということであれば、繰り返し繰り返し各委員が言っているように、その段階で告発をして後は強制捜査権を持つ検察の捜査に任せるのが筋じゃないか、こういうふうに思うわけです。この点について答弁をいただきたいのと、もし個人が特定できなければ企業犯罪が告発できないということになるとするならば、これはそういうことができる法改正まで踏み込んでしなければならないと思うのですけれども、その点は梅澤委員長から答えてもらいたいと思うのです。
#213
○梅澤政府委員 これは七十三条の運用に関する御指摘かと思いますけれども、たびたびお答え申し上げておりますように、公正取引委員会といたしまして、今後悪質な違反事件につきましては刑事告発を積極的に行っていく、しかも継続的、機動的にこの体制を培っていきたいということでご
ざいます。その観点からいたしますと、やはり公訴提起の可能性、公訴維持の可能性ということにつきまして公正取引委員会の段階ですべての犯罪事実、犯罪理論を構成する必要もありませんし、またそういう立場にもないわけでありますけれども、ある程度の犯罪の可能性というものについての見通しに立って告発をしていくことが、やはり長い目で見れば今後我々の告発権の発動に対する国民の信頼を得る道であるというふうに私は考えておるわけでございます。
 それから、今担当の方が参りまして、あるいは時間に間に合うかどうかということでございますけれども、大変審査部長が答えにくくいたしておりましたのは、今後の談合に関する事件処理についてここで詳細に御説明申し上げるということは抑止力の点でかえってマイナスになるのではないかという懸念を私どもは深く持っているわけでございます。と申しますのは、あの埼玉の談合に関しまして告発を見送る際の新聞発表にもはっきり公正取引委員会の考えを書いてございますが、法律問題と事実問題双方から、この問題を追及せざるを得なかったということでございます。基本ルールがあって、それが行政処分としての排除勧告を行うに足る資料というのは十分審査部としては収集し、あらゆる証拠資料、供述の調書もとってあるわけでございます。ところが、先ほど私ここで聞いておりまして、問題は、それと同時に個々の談合案件についての御議論をなさっている。この辺の法律構成についてどういう議論があるのかという問題があるわけでございます。これは今後の事件処理に関係いたしますし、談合問題について今後どういう対応をしていくかということについて一つの大きな問題点でございますので、これ以上の議論を申し上げることはひとつ今回の場合はお許しを願いたい。
 それからもう一つ、個々の、例えば現説のときに来た人の名前とかあるいは実際に入札をした人の名前、これは個人の名前はわかるではないかという御指摘だったろうと思うのです。ところが、談合事件として、これは独禁法の共同行為として構成するわけでございますから、そういたしますと、どういったポジションにいてどういうことをやった人が刑事訴追を受けるかという問題であって、そこの個々の事件についてアトランダムに、あるときにはA社の何という社員がたまたまそういうふうにやったということをつかまえてこれを全部個人と言っているわけじゃないわけでございます。つまりその場合に談合の個人的行為、個人の特定なり個人の事実行為というのはどういう手口にかかわったところが一番問題になるかということなのでございますね。それが今回の事件は非常に難しかった。ここが、こういう人はわかっていますけれどもここまでしか関与していませんでしたというふうな手口の問題を、まあ立法府での御質問でございますから私どもなるべく誠実に答えなければならない立場でございますけれども、そういったことを全部あからさまに申し上げるということは、私は今後の談合の事件処理に非常に影響がある。あるいは検察当局と公正取引委員会で既に合意をしておりまして、先般も審査部長も申し上げましたけれども、あらゆる事案を想定してこれから実効ある談合の告発ができるようにと、検察当局との間でワーキンググループを持って検討していこうという問題も全部そこに含まれておるわけでございまして、審査部長は非常に答えにくくしておりましたし、あるいは個々の談合の事案でございますからあるいは担当でないとわからない事実もあると思うのでございますけれども、これは委員の真剣な御質問に対して我々が答弁を逃げるとかあるいはごまかすとか、あるいは非常にうろんな調査しかやっていない、そういったことではないということだけはぜひ御理解を賜りたいと思います。
#214
○小岩井委員 時間一時間やった割にほとんど中身のない質疑に終わるということは残念ですけれどもね。
 なぜこういう質問をするかというと、告発権は公取が持っているのですよ。専属告発なんですよ。神聖な権限を公正取引委員会は持っているわけですね。ですから、今回我が党は五億円の刑事罰を出しました。政府案は一億円ですね。現行は個人、法人とも五百万ですね。しかし、告発をするということにならなければ、一億だろうが、五億だろうが、五百万だろうが、百万だろうが、あるいは百億だろうが、同じことなんですよ。ですから、きちっと評価をされる、公正取引委員会なり独占禁止政策なり独占禁止行政について、これは、国民の間からもよくやっているという評価を得るような、そういう実績を上げてもらいたいというふうに考えているわけですよ。そういう点から申し上げているということを最後につけ加えて、終わりたいと思います。
 終わります。
#215
○武藤委員長 その前に、係から回答が来ていれば答弁をもらいたいと思いますが、いいですか、答弁した方がいいですね。(小岩井委員「はい」と呼ぶ)
#216
○地頭所政府委員 まだ把握できておりませんので、何らかの方法で御連絡を申し上げたいと存じます。
#217
○武藤委員長 それでは、小岩井さん、後で理事懇なり理事会で与野党の皆さんの意見を聞いて処置をしたいと思います。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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