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1992/03/26 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 農林水産委員会 第5号
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1992/03/26 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 農林水産委員会 第5号

#1
第123回国会 農林水産委員会 第5号
平成四年三月二十六日(木曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 高村 正彦君
   理事 岩村卯一郎君 理事 金子徳之介君
   理事 杉浦 正健君 理事 東   力君
   理事 簗瀬  進君 理事 石橋 大吉君
   理事 前島 秀行君 理事 藤原 房雄君
      赤城 徳彦君    石破  茂君
      岩屋  毅君    上草 義輝君
      内海 英男君    大原 一三君
      金子原二郎君    亀井 久興君
      鈴木 俊一君    西岡 武夫君
      鳩山由紀夫君    保利 耕輔君
      星野 行男君    松岡 利勝君
     三ッ林弥太郎君    御法川英文君
      宮里 松正君    柳沢 伯夫君
      有川 清次君    佐々木秀典君
      志賀 一夫君    田中 恒利君
      竹内  猛君    辻  一彦君
      鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君
      目黒吉之助君    西中  清君
      藤田 スミ君    柳田  稔君
      阿部 昭吾君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  田名部匡省君
 出席政府委員
        農林水産大臣官 馬場久萬男君
        房長
        農林水産大臣官 白井 英男君
        房審議官
        林野庁長官   小澤 普照君
        林野庁次長   赤木  壯君
 委員外の出席者
        環境庁自然保護 櫻井 正昭君
        局企画調整課長
        環境庁水質保全 細田 敏昭君
        局土壌農業課長
        国土庁地方振興 斉藤 恒孝君
        局総務課長
        文化庁文化財保 吉澤富士夫君
        護部記念物課長
        農林水産委員会 黒木 敏郎君
        調査室長
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十六日
 辞任         補欠選任
  金子原二郎君     岩屋  毅君
  小平 忠正君     柳田  稔君
同日
 辞任         補欠選任
  岩屋  毅君     金子原二郎君
  柳田  稔君     小平 忠正君
    ―――――――――――――
三月二十五日
 青年農業者就農援助法案(村沢牧君外三名提出
 、参法第二号)(予)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第一一号)
 森林組合合併助成法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第二一号)
 獣医師法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 四四号)
 獣医療法案(内閣提出第四五号)
 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第四六号)
     ――――◇―――――
#2
○高村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松岡利勝君。
#3
○松岡委員 ただいま議題となりました両法案につきまして質問させていただきたいと思います。
 時間がありませんので早速入らせていただきますが、まず最初に、森林は国民生活の背景にあってといいますかその土台としてのいろいろな大変な、そして欠かすことのできない重要な役割を果たしておるわけであります。端的に言いまして、国民の生活や産業活動全般にわたって一番の基礎であります水の供給、さらにはまた災害の防止、そしてまた木材の供給、そして環境の保全、非常にさまざまな役割を果たしておるわけでありますが、その森林の働きといいますか役割も、これは適切な管理がなされて初めてその役割が十分に発揮をされるわけでございます。
 そのような観点からいたしますときに、現在の森林・林業を管理していくといいますか担っていくその状況は厳しい状況がある、私はこのように思うわけでございます。そういったような意味で、このまま続いていけば、国民経済やそしてまた国民生活の上で大変重大な支障が生じるおそれもある、このようなことも思われるわけであります。
 したがいまして、このような状況に対処いたしまして、緑と水の源泉であります森林の整備を進め、さらにそれを通じてまた山村地域の活性化を図ることが喫緊の課題であろう、私はこのように認識をいたす次第でございます。このような状態に対して国としてどのように対処していかれるのか、そういった観点からまず大臣に、大変恐縮ではございますが大臣の御所信をまずもってお伺いいたしたいと思うわけであります。
#4
○田名部国務大臣 お答え申し上げます。
 森林・林業は今非常に厳しい状況にあります。農業もそうでありますが、漁業、特に私ども見ておりまして森林・林業というものは極めて厳しいという認識を持っておりまして、お話の緑と水の源泉であるこの多様な森林整備を推進していくということは大事なことだ、こう思っておりますし、また、国産材時代というものの到来を何としても現実のものにしなければならぬということもございまして、昨年森林法を改正して民有林、国有林一体となった森林の流域管理システムというものを確立いたしました。また、森林整備事業計画制度の創設を図って、何とかこれによって活性化をしていきたいということでございます。
 平成四年度には、このような改正森林法の着実な実行を基本といたしまして、森林整備事業計画及び第八次の治山事業五カ年計画に基づく造林・林道、治山事業の計画的推進を図ることといたしております。また、森林組合の合併、これも進めたいということでありまして、加えて林業の事業体を強化していきませんと、零細な個々ばらばらのことではなかなか進展が難しかろうということであります。また一方では、林業労働者の育成確保ということが難しいということで、この事業体を育成しながら何とか確保をしていきたい。また、人手不足でありますので、高性能機械を導入して機械化によってこれをカバーしていくということを図っていく、あるいは林業構造改善事業の推進等によって生活環境基盤の整備を図って、お話しのようにこの活性化を図っていこう。何といっても山村の活性化があってこうした水の確保、いろいろなものがありますので、この点を目指して努力をしてまいりたい、こう思っております。
    〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕
#5
○松岡委員 ただいま大臣から、森林・林業また山村をめぐる問題状況、内容的にも相当突っ込んだ御認識もいただいたわけであります。そしてまた、その御認識に立っての今後への御所信というものを承って大変ありがたく心強く思うわけでございますが、そういう観点から森林組合合併助成法も今回さらに改正、延長される、このようなことであろうと思うわけでございます。
 そこで、次に質問を進めてまいりたいと思うわけでございますけれども、林業生産活動及び森林の適正な管理の推進、そういったことを目的として、先ほど大臣からも内容的にお話がございました森林の流域管理システムというものが昨年の法改正で導入をされた。これは大変画期的な手法である、このように私は思うわけでございます。そしてその確立と運用をこれからどうやってやっていくかということが一番問題になるわけでございますけれども、上流と下流あるいは民有林と国有林、こういう地域的な違いなりまたその主体の違い、そういったところをしっかりと結び合って、通じ合って、そして林業、林産業の関係者が一丸となって取り組むことが肝要である、このようにも思うわけであります。
 そこで、森林の流域管理システム、こういったことを進めていく中で森林組合、今回の法改正のもとで想定をされておる、そしてしっかりとしたものを目指していかれたい、こういうふうに思っておるわけですが、その森林組合、これはどのような役割を果たすべきであるとお考えになっておられるのか。またそのような森林組合を育成するために国としてどのような育成強化の措置、施策を講じようとされておられるのか、その点をお聞きしたいと思うわけでありますが、よろしくお願いいたします。
#6
○小澤政府委員 お答えいたします。
 近年の森林や林業をめぐります厳しい情勢、こういうものに対処してまいる必要がございますけれども、この際、流域を基本的な単位といたしまして地域あるいは流域の森林・林業の関係者が一体となって森林整備や林業生産等を総合的に推進していく必要がございます。このために流域管理システムの確立を図ることが重要であると考えているところでございます。
 こうした中で森林組合の役割でございますけれども、森林所有者の協同組織でございますし、また地域の林業労働力を組織化している森林施業の主たる担い手であるという森林組合のその機能ということからいたしまして、流域管理システムの中核としてひとつやっていただきたいというように思うわけでございます。
 内容的には、森林施業の共同化の促進等によります森林の適切な整備、それからまた造林、保育に加えまして素材生産への取り組みの強化、林業従事者の養成確保、それからさらにまた高性能林業機械の導入等によります生産性の向上及び労働強度の軽減、なおまた木材の加工流通部門への取り組み等多角的な事業展開、これらについて役割を果たしていただくことが必要なのであります。しかしながら、森林組合の組織や経営基盤がまだ脆弱でございますし、またそのような脆弱な組合が依然として多い状況であるわけでございますので、この際広域合併を通じまして事業量の確保や財務基盤の充実、事業執行体制の整備等を行うことによりまして森林組合の体質強化を図ることが重要な課題となっておるわけでございます。
 このため、現在御審議いただいております森林組合合併助成法の改正によりまして、合併及び事業経営計画の提出期限を五年間延長する、それからまた、森林組合合併助成法に基づきます認定を受けました森林組合につきましての法人税等の軽減措置を講ずること、また、合併に向けての合意形成の支援、作業班の機能強化のための機械、施設の整備を図る森林組合合併促進等特別対策事業の新規実施、それからまた、合併に伴う退職金でございますとか負債への充当資金等を貸し付ける林業事業体体質強化促進資金、これは国産材産業振興資金でございますが、これを活用していく、これらによりまして、森林組合の広域合併を促進することとしております。
 さらにまた、これらにあわせまして林業労働力対策、林業構造改善事業、間伐促進対策、森林総合整備事業等の各般の施策を通じまして、森林組合の育成強化を図ってまいりたいと考えております。
#7
○松岡委員 次に移らせていただきますが、今回提出をされております森林組合合併助成法の改正案におきましては、合併及び事業経営計画の計画事項として、森林施業の合理化に関する計画を追加されておりますが、今回新たな計画事項を追加することにされました理由、これは何なのか、また、その計画事項の具体的内容としてどのようなものをお考えになっておるのか、その辺が一つ今回改正のポイントでもあろうかと思います。したがいまして、その辺についてお考えをお聞かせ願いたいと思うわけであります。
#8
○小澤政府委員 先ほども申し上げました流域管理システムの確立は林政の重要課題でございますが、昨年の森林法の改正の際に、この地域森林計画それから市町村森林整備計画の計画事項に、森林施業の合理化に関する事項が追加されておるわけでございますが、一方、森林組合はまさに流域管理システムの中核的担い手でありまして、森林施業を合理的、計画的に進めていく役割を担っておりますし、また、地域森林計画等、これら計画事項の具体的実践を図っていくことが求められているわけでございます。
 そのような理由から、今回の森林組合合併助成法の改正におきましては、合併及び事業経営計画の計画事項といたしまして、森林施業の共同化その他森林施業の合理化に関する計画を追加することにいたしまして、また、合併及び事業経営計画が、地域森林計画及び市町村森林整備計画と調和したものであることを新たに合併の認定基準要件とすることとしたところでございます。
 さらにまた、森林施業の合理化に関する計画の具体的内容といたしましては、森林施業の共同化の促進、これは内容としては共同施業規程の制定、協定の締結の促進というようなことがございます。それからまた、作業班員等林業に従事する者の養成及び確保の問題、それから森林施業の合理化を図るために必要な機械の導入、これらに関する目標とその達成方策を定めることを考えているところでございます。
#9
○松岡委員 さらに次に進ませていただきますが、林業をめぐる厳しい状況の中でも、これはいろいろ厳しい状況というのはあるわけでありますけれども、その中で特に林業労働力の減少の問題、そして、さらにまたそれが高齢化、こういうような問題、本当に深刻でございまして、現在の傾向で推移するということになりますと、いろいろとお聞きをしたところでは、今現在十一万人いる林業就業者が十年後には半減をする、六万人程度になるのではないか、このようなことが、大変残念なことでありますが、確かな見込みみたいに思われておるわけであります。このままでは、森林整備が停滞をいたしますとともに、これからの国民生活に本当に不可欠な森林の役割、働きといったものをどう維持していくかというようなことでも大変懸念をされるわけであります。
 したがいまして、林業労働力の育成確保、これをも内容とする計画を合併及び事業経営計画の計画事項にお加えになったことは、私は大変時宜にかなったものである、このように大変評価をするわけであります。しかし、森林組合の作業班ばかりでなく、林業労働力全体としての育成確保のための対策、これはまさに林業を取り巻く諸般の大変厳しい事情の中でも特段の問題であろう、私はこのように思うわけであります。
 こういった観点から、どのような施策をお講じになられるのか、ひとつその辺のお答えをお願いしたいと思います。
    〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕
#10
○小澤政府委員 ただいま御指摘ございましたように、林業の就業者数でございますけれども、最近におきます林業生産活動の停滞でございますとか山村の過疎化の進行等も反映いたしまして、国勢調査で見ますと、昭和五十五年の十七万人から平成二年には十一万人へと大幅な減少をしているところでございますし、また、今後も減少するのではないかという予測も出されたりしているところでございます。さらにまた、年齢構成を見ましても、五十歳以上の就業者の占める割合が六九%に達するというような、高齢化が著しく進行している状況にございます。
 このような中で、今後優秀な林業労働力の育成確保を図ることは極めて重要な課題であると認識しているわけでございますが、このために、流域を単位といたしまして、民有林、国有林を通じました森林整備、あるいは林業生産等を効率的に推進する体制を整備する必要がございます。
 そこで、生産性向上のための林道等生産基盤整備の促進が必要でございますし、また、事業の協業化、多角化等によります事業体の体質強化、特に、森林組合合併助成法の延長等によります森林組合の合併促進が必要と考えております。また、広域就労の促進、雨降り時の就労施設の整備等によります雇用の長期化、安定化、あるいはまた休日や労働時間の適正化ということ。それからまた、機械化の推進等によります労働強度の軽減や労働安全衛生の確保、さらにはまた、技術向上のための研修の充実、山村の集落林道、用排水施設等生活環境の整備等、これらの対策を総合的に講ずることとしておるわけでございます。
 今後とも、予算、金融、税制等さまざまな手法を活用いたしまして、林業の担い生育成あるいはまたこの確保対策を図ってまいる考えでございます。
 具体的には、平成四年度におきまして新たに、現在御審議いただいております森林組合合併助成法の期限の延長と関連いたしまして、この合併促進の特別対策事業によりまして森林組合の広域合併の促進を図ってまいりたい。ほかの施策もあわせて講じたいと思っておりますが、そのようにして合併促進を図るということ。それから次は、作業の間断というものがございますけれども、このときの就労施設や高性能の林業機械等の整備等によりまして、森林組合あるいは事業協同組合等林業事業体の就労条件の改善を図るということのために、林業就労改善促進対策事業を行うことにいたしております。それから、高性能林業機械等に対応いたしまして、安全管理手法の定着のための労働災害防止緊急対策モデル事業、これらを実施することといたしております。これらの施策によりまして推進を図ってまいりたいと考えております。
#11
○松岡委員 なかなか特効薬はないと思うわけでありますが、しかし、どうしても一番必要なまた大変重要な問題でもございます。御苦労の多いこととは思いますが、ぜひ着実、確実な施策の推進を望むものでございます。
 次に、松くい虫の関係についてお尋ねさせていただきます。
 御案内のとおり、本年は地球全体の環境問題という上で大変重要な節目の年でございます。地球環境サミットが開かれる、こういう年でもあるわけでございます。そういう中で、世界的な環境対策として我が国に対する期待も相当大なるものがあると思うわけでございますが、我が国の国内にありまして非常に重要な問題の一つが松くい虫の被害の問題でございます。松くい虫という、伝染病と言っては言い過ぎかもしれませんが、大変恐ろしいこの病気によって毎年百万立方メートルもの規模でこの材が失われておる。昔から白砂青松と言われますように、松林というのは我が国の風景の言ってみればシンボルでもあるわけであります。この美しい自然を形成し、さまざまな役割といいますか働きをしているこの松の緑を守る、これが大変重要でございまして、農林水産省を初め関係者の皆様の御苦労また御努力も大変であろうと思うわけでございます。
 そこで、松くい虫から松林を守るために今日までのいろいろと努力もあったわけでございますが、このまま放置すれば、国民生活に大変重要な松林がいよいよなくなってしまう、そして、その枯死によって二次被害の発生さえ危ぶまれる、まだまだこういう状況は厳しいものがあると思うわけでございます。政府は、この松くい虫被害についての総合的な対策を推進するために、五年前現行法を延長され、これまであらゆる角度から御努力はされていることと存じておりますが、今回さらに被害対策を続行しなければいけない、続行して対策を続けなければ今も申し上げましたような大変重要な松林が守れない、こういうことで再度の延長を申し出られていると考えます。
 そこで、時間もなくなりましたので端的にお答えをお願いしたいと思うのでありますが、まず第一は、この松くい虫被害のこれまでの推移、現在の被害状況、これをどう認識しておられるか。さらにまた、この松くい虫被害についての対策の必要性や基本的な考え方につきまして、時間もありません、あと三つか四つはぜひ御質問したいと思っておりますので、端的なお答えをお願いしたいと思うのであります。よろしくお願いいたします。
#12
○小澤政府委員 被害の推移でございますけれども、昭和四十年代後半から増大しておりまして、昭和五十四年度には二百四十三万立方メートルに達しました。その後減少いたしまして、平成二年度には九十五万立方メートルとピーク時の四割の水準となっております。
 それから、被害状況の認識でございますけれども、被害地域は北海道、青森県を除く四十五都府県の範囲に及んでおります。被害地域の著しい拡大はほぼ停止しつつありまして、被害程度も全体としてはおおむね中ないし微害の状況となっております。しかしながら、依然として百万立方メートル近い異常な被害が発生しているということでもございますし、地域によりましては一部激害地が存在している。あるいはまた、保全すべき松林やその周辺に感染源が残存しているという状況でございますので、このまま放置する場合には、重要な森林資源を損なう、あるいは国土の保全等の公益機能の発揮に重大な支障を及ぼすことが懸念されますから、今後の対策につきましては、森林資源として重要な森林を保護し、有する機能を確保する、そのために引き続き必要な松くい虫被害対策の積極的な推進を図りまして被害を早期に終息せしめることが必要と考えております。
#13
○松岡委員 そこで、今回の法律改正に当たって、今までの対策はそれなりに大変な効果もあったと思うわけでありますし、また、いろいろと残った問題点もあったと思うわけであります。それをどう総括されて、そしてさらに今回の延長に当たっての改正のねらいといいますか趣旨、それをぜひひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
#14
○小澤政府委員 この松くい虫被害対策でございますけれども、昭和五十二年に特別措置法を制定いたしまして、さらに五十七年、六十二年と改正、延長し、各種対策の総合的な推進を図ってまいりました。この結果、先ほども申し上げましたように、平成二年度には被害は九十五万立方メートルにまで減少するというような相当な成果を上げてはきております。しかしながら、特別措置法制定直前、これは昭和五十年度でございますが、このころと比較いたしましても、当時と同じ百万立方近い被害が発生しているということでございます。
 このような状況を踏まえまして、今回の改正案に一おきましては、被害対策を推進する松林をより重点化しつつ、また、より徹底的かつ効果的な措置を講じますために、被害対策対象松林の範囲の見直し、あるいは補完伐倒駆除命令制度の創設、さらにまた樹種転換を促進するための森林組合等に対する助言等の制度の創設など、所要の改善を加えまして、そしてその有効期限を五年間延長するというこれらの施策を徹底して講じてまいりたいと考えております。
#15
○松岡委員 中身としてはいろいろとまだお尋ねしたい点もあったわけでありますが、そういう中で特に樹種転換の問題、こういったことも大変重要な問題であろうと思うわけであります。と同時に、松くい虫被害に対する対策の手法といいますか、これはかなり前進を見てきたわけであると思いますけれども、まだまだ研究開発の面で突っ込む余地があるといいますか必要性があるのではないか、このようにも思うわけでございます。この辺のところは、お考えになっているとは思うのですが、提案として、問題提起として、お答えはともかくといたしまして強く要請をし、お願いをしておきたいと思うのであります。
 そして、時間もなくなりましたので、最後に一つお尋ねをしたいのでございますが、今後の松くい虫被害対策に取り組む姿勢といいますか、松くい虫被害を鎮静化させるその決意のほどをひとつ田名部大臣に、恐縮ではございますが御所信を承りまして、そしてさらに最後、一分ほど時間をいただいてお願いをさせていただいて終わりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#16
○田名部国務大臣 松くい虫被害につきましては、これまでの被害対策の実施によってピーク時に比べると約四割程度まで減少した、こういいましてもまだまだ努力をしなければいかぬ、こう思っております。今回の改正法案に基づき、保全すべき松林というものに重点を置いていきたい。また、効果的な防除を徹底することによって異常な被害の終息を図り得るものである。そのほかにもいろいろな対策を考えておるわけでありますが、いずれにしても、このため全力を挙げて対策の推進を図っていきたい、撲滅をしたい、こう考えております。
#17
○松岡委員 大変ありがとうございました。
 それでは最後にお願いをしたいと思うのでありますが、私はうっそうたる森林、亭々たる樹木、これはやはり文明、文化の源であろうと思うわけでございます。そしてまた、国民生活を守っていく環境の基本であろうと思うわけでございます。そのような意味から森林、そして林業の重要性というものがあるわけでございまして、そういったものをしっかり守っていく上で山村地域の活性化ということがまた大変重要なわけでございます。と同時に、先ほど申し上げましたように松林というものはまさに私どもの日本の風景の代表的な、言ってみれば本当にシンボル的なものであろうと思うわけでございます。これをどう守っていくかということは、本当にこれは先祖代々から引き継いだ財産を後世に残していく大変な責任がある、このように思うわけでございます。どうかこの二法案がそのためにも成立をしまして、そしてそれに基づいてしっかりしたお取り組みがなされていきますように、本当に願う次第でございます。
 大臣初め御当局の皆様方の御尽力、御努力に敬意を表しまして、そして今言いましたことを本当にお酌み取りいただきますようお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#18
○高村委員長 田中恒利君。
#19
○田中(恒)委員 法律の審議の前に、大臣、もう多分お示しになったのだろうと思いますが、きょう畜産審議会の酪農部会が開かれておると思います。そこで、本年度の一つの大きな焦点になっております原料乳の価格が据え置きというふうに漏れ承っておるわけでありますが、この数日来この問題で大変、我々も何度か御要請をしてきたわけでありますが、どう考えても今この乳価、それから昨日は肉が若干引き下げられましたが、我々としてはそういう畜産物の価格が据え置かれる理由がわからない。生産費は完全に上がっておる。統計調査部の正確な資料で、御承知のように八・六%生産費は上がっておる。需給事情は完全に品不足、乳製品をたくさん入れなきゃいけない、牛乳の生乳の消費も順調である。そして農家は、御承知のように塗炭の苦しみにあえいでおります。先般の畜審の総会の報告でも、大体半分は継続するが、あとの半分はどうしようか、そんな状態でおるというのが今の実情であります。こういう農家の実態の上に立って据え置くということは考えられない。予想されるのはガット、外圧であります。ガット、外圧の圧力が国内の支持価格に大きな影響を与えておる。こういうことになると、政府はこれまで安全保障ということを言っておった。食糧の安全保障論ということをガットの席上で口を開いて胸を張っておった。私はこの主張は正しいと思うのです。ところが、それが実際の国内の価格については貫かれないではないか、こういう考えになるわけでありまして、まことに遺憾であります。
 実は、早朝我が党は、この問題について農林水産大臣に厳重に、据え置きであるということになれば抗議をしておけ、こういうことでありまして、私はまず冒頭にこの点について、大臣のこの問題についての御所見を最初に承って質問に入りたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
#20
○田名部国務大臣 各方面からいろいろ御要請もございました。そのことは十分承っておるわけでありますが、下がった要因もあります、上がった要因もあるわけでありまして、いろいろこの金利の低下でありますとか、コストが下がっておるとか、あるいは一方ではぬれ子が大幅に下落をしたとか、いろんな要素、それだけで決めているわけではありません、その他の要素も全部後で出るわけでありますが、そういうもので一応諮問をいたしました。諮問を受けた方でそれらが本当に妥当なものかどうかということをこれから審議会で御審議をいただくということでありますので、それを見守っていきたい、そう思っております。
#21
○田中(恒)委員 当委員会は二十四日にこの畜産の問題について大変熱心な審議をいたしまして、今大臣がおっしゃられたような諸点についても、いわゆる大変な議論が展開されたわけであります。従来の政府の計算からいっても多少はあるでしょうが、しかし、どう考えても値上げこそ考えられるが据え置きということは考えられないというのが常識であります。いずれ審議会でいろいろな角度の討論がなされると思いますが、ひとつ大臣は、この審議会の答申というものを重視せられるのは当然でありましょうが、最終的には政治決断をしなければいけないのであります。政府・与党の諸君も一生懸命になってやっておるはずであります。我々も一生懸命であります。ひとつその辺の要素を十分に頭に入れていただいて最終的な価格の決定をしていただくように、特に強く要請申し上げておきます。
 きょうは私は、松枯れ被害対策特別措置法の問題について御質問を申し上げますが、この法案は十五年たちました。この間、国は約八百億ですね、県、地方自治体は五百億、千三百億の金をぶち込んでおります。そして今どういうふうに、これは四回目の審議でありますが、三度目の五年間延長を求められるに当たって政府はどういう総括というか、成果と反省を押さえておるか、まずこの点をお聞きいたします。
#22
○田名部国務大臣 今お話しのように、松くい虫被害対策は昭和五十二年に防除特別措置法を制定して以来、各種の対策を総合的に推進してまいりました。異常な被害の終息に向けて努力を重ねてきたのは御案内のとおりであります。しかし、成果と言えるかどうかわかりませんが、昭和五十四年度に二百四十三万立方メートルにも及んでおった被害量が平成二年度には九十五万立方メートルまで減少しております。この鎮静化に相当の成果を上げたと思いますが、しかしながら、なお依然として年間百万立方メートルの被害が発生しておる状況にあります。地域によっては一部に激害地域が存在しておりまして、まだ保全すべき松林及びその周辺に感染源が残存しております。引き続いてこの特別措置を講じていく必要があると考えております。何分にも北海道、青森を除く四十五都府県、広大な地域でありますので対策にも完璧ということはありませんが、しかし、何としてもこれは撲滅したい、こういうことで努力をいたしております。
#23
○田中(恒)委員 私も初めからこの法案の審議に加わっておるものでありますから、よく経過もわかるわけですが、どう見ても、今九十五万立方ぐらいになったということですが、これ成果があったとは思えないのですね。二百四十三万というのは最高のときです。たしか五十二年のときは八十四、五万じゃなかったですか。五十二年よりも今はふえている。この法律ができたときよりも現時点は松枯れはふえておるのです、最高はそれからぐっと上がってやっておるわけでありますが。だから、どう見てもそんなに成果は、松枯れの面積そのものについては成果はあったとは思わない。
 当初これは空中散布が中心でありました。だから空散ということについては学界にも異論がある。特に国民的にいろいろな影響を与えるということで私どもはこれまでずっと反対の態度を貫いてまいりました。そしていろいろなことを申し上げてまいりました。その結果一回、二回、そして今回を通して制度的にはいろいろ変化をしてまいりまして、単に松枯れの原因についても、空散だけではなくて、一番いいのは伐倒ですよ、伐倒。あるいは樹種転換あるいは天敵あるいは樹幹注入、そういういろいろな多面的な手法をもってやっていくということで、全体の予算などもたしかそういうものがぐっと膨らんできておると思います。そういう面では一定の成果として受けとめていいわけでありますが、しかし、依然として空中散布については大きな国民的な関心事であります。しかもこれは環境問題という背景を持っておりますだけに重大な問題であります。
 そこで私は、林野庁の被害というものが発表になっておりますけれども、この一年間に新しくどれだけふえてきたのかということがどうもわからない。これまでの累積の額がずっと載せてありますからわからないのです。空中散布をどれだけの面積をやって、どれだけの効果がありました、それでこれだけ減りました、新しくこれだけふえました、こんな細かい内容のついた資料が出ないと、正確な被害面積についての評価もできないのですよ。そういうものをぜひつくっていただきたいと思います。
 同時に、今回はこれ、我々は四回目の審議であります。もう十五年たった。今度二十年になります、特別措置法で。この今回の改正で、今のような形の松枯れ対策についてはどの程度の決着をつけていかれるという自信がおありなのか。今までも何回も聞きましたが、一番最初は全滅させる、五年間でゼロにすると政府は言い切った。それどころか逆にふえていった。次は一%の微増にとどめるということをずっと言ってきた。今回はどうするのですか。今回はもうこれで最後という腹構えで臨まれるかどうか、この点をお聞きしておきます。
#24
○小澤政府委員 確かに先生御指摘のように、最初に法律ができました年、昭和五十二年でございますけれども、このときは八十一万立方の被害でございました。ところが、その翌年の五十三年から爆発的にむしろ被害が増加をいたしました。これは、気象状況とかいろいろなものの要因があるわけでございますけれども、激甚な被害となりまして、私どもも鋭意防除に努めてきたところでございます。
 最初に要点を申し上げたいと思うわけでございますけれども、その後の状況の変化等につきまして、全体の被害量そのものは逐次減少してピーク時の四割程度になっているということは再三申し上げておるとおりでございますけれども、面積でどういうふうになっているかということも分析をしてみましたところ、我が国の松林全体に占めます被害面積というものがございます。これは、昭和五十六年度におきましては松林の二八%が被害を受けておったわけでございます。それがその後、六十一年度では二六%になり、それから平成二年度では二五%となっておりまして、確かに目立って減少しているということではございませんけれども、若干ずつは減少しているというような状況がございます。なお、量的には四割水準であるということがございますので、全体のトレンドといいますか、傾向としては被害を少なくする方向には向かっていると思うわけでございます。
 それでは、既に二回延長して、今後どうかというお尋ねでございます。
 これにつきましては、一定の年限内に異常な被害の終息を図ろうという考えを私どもも持っているわけでございます。確かに被害の発生ということになりますと、異常気象の出現とか不確定な要因というものは常にあるわけではございますけれども、しかしその中で徹底した防除を図るということが重要であると我々も考えておるところでございます。
 したがいまして、今回の法案の中で御審議をいただくこととしておりますけれども、今後は保全すべき松林を重点的かつ効果的な防除というものを行う、徹底させるということを考えておりますし、そのほか樹種転換も含めまして、とにかくいわゆる特別防除以外の手法をできるものはすべて投入する考えでございます。天敵の活用も、利用も図るというようなことでございますので、この異常な被害の少なくとも終息を図るということに全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
#25
○田中(恒)委員 そこで私は、やはりこの対策の中で空中散布、特別防除というものについてもう少し突っ込んだ対策というか国民的に理解のできる状況をつくらないと、これほど環境問題が、農業にとっても非常に関係の深いことでありますだけに、特に森林などは一番だと思うのであれだと思いますが、マツノマダラカミキリがマツノザイセンチュウを運んでくる。だからそれが羽化する前に農薬でぶっ殺してしまえば退治できるというのが林野庁のこれまでの主張でありますが、なかなか、それだけではないと今長官も言われたが、大気の汚染であるとか酸性雨であるとか温暖化であるとか、こういう異常な今日の気象条件の背景というものなども加わって、その上に今の材価の低迷、そして労働力の決定的な不足ですね。だからもう手入れする人がいないという状態になっておる。木全体が、松だけではない、これは日本の森林全体が弱っておる。弱っておるから病気が当然入ってくるということでありまして、そういう総合的な、多面的な、多角的な対策をやはりこれは立てなければいけない時期に来ていると思うのですよ。
 だから私は、マダラカミキリとマツノザイセンチュウだけでやるから、空中散布をやれば、それでいくんだという、今はそれだけじゃないと思いますが、そういう発想じゃなくて、この際、広い意味の出づくりということを基本に置いた対策を打ち立てる必要があると思っておる。だからこの法律も私たちは、松くい虫の被害対策特別措置法じゃなくて、松くい虫等被害対策特別措置法という要素を入れるべきだということを何遍か言ってきたわけでありますが、どうも法制局がどうだのこうだの言って、うんと言わない。しかし、これからは新しい松くい虫の処方についても、森林対策についてもそういう施策が必要ですよ。それは森林整備法でやるんです、こう言っておるけれども、こういうような問題についてそういう要素を急速に織り込んだ新しい視点がどうしても必要だと私どもは思っております。そういう点について、長官、どう思いますか。
#26
○小澤政府委員 先生が御指摘されますように、今日本の森林を整備し、また健全な状態を維持するということは大変重要でもございますけれども、非常に状況は厳しいわけでございます。
 その中で、この松くい虫の被害というのは激害型の被害を発生させるということでございまして、これにつきましては、確かに世間からもいろいろと御心配をいただいております。森林全体が健全な状態であるかどうかというようなことも言われているわけでございますが、そのような中で、しかし一方、試験研究の面でも分析もいろいろ行われまして、少なくとも激害型で発生する松の枯損というものはマツノマダラカミキリが媒介いたしますマツノザイセンチュウによるものであるということは明らかにされてきたところでございます。しかしながら、先生もおっしゃいますように、松林全体あるいは日本の森林全体というものにつきましては手入れ不足の問題も確かにございますし、あるいはまた酸性雨等によります環境の悪化ということも懸念されるわけでございますので、私どもはこれら全体を含めました状況というものもよく見きわめながら、国民の皆様方にも状況を理解をしていただきたいというように思っております。そのような中で、防除方法につきましてもいろいろな方法があるわけでございますから、これを有効かつ適切に組み合わせて、被害の対策を図っていくということが重要であると考えております。
    〔委員長退席、金子(徳)委員長代理着席〕
 それから、先生がおっしゃいました本法案の名称でございますけれども、これにつきましては、この法律案は松くい虫によります直接的な被害につきまして対策を体系化していこうというものでございます。そこで私どもが考えております総合的な対策というものは当然あるわけでございます。これにはもう担い手問題からいろいろ入るわけでございますけれども、そこまでをこの法案の内容としているわけではない。ですから、松林保全対策すべてを網羅するものではなくて、あくまでも激害型の被害の防止を内容とするということでございますので、法律の内容を的確にあらわす名称が必要であるというようなことを考えておりまして、そのような意味で松くい虫被害対策特別措置法という形で端的な名称にさせていただきたいということを申し上げたいのでございます。
#27
○田中(恒)委員 それで、私はあなたがおっしゃることも多少わからぬこともないんだが、この改正法に基づくこれからの対策の処方せんの中に、今も入っておるわけですが、伐倒駆除、特別伐倒、緊急伐倒、それから特に今回は樹種転換、こういう方面にやはり力を入れなければいけないのであって、空散のように、大体空散というのは正直言って細かく言い出したら、航空会社と林野庁の関係の中まで突っ込ませてもらったらたくさん問題があるんだ。わずかなヘリコプターで日本列島をほとんど同じ時期にやらなければいけないんだから、だから計画は年内に決めて二月までに林野庁出さなければいけない、そしてもう五、六月には実施だ、こんな計画を立てられるわけですから、最も効果的なときにその地点にまくことはできない。だから、まいたってむだなのはたくさんあると私は思う。そして、周辺の住民からは空中散布をされて大変だといって騒ぎが起きておるんだ。各地に起きておるんだ。これは何百カ所と起きておるわけですから、林野庁は知っているはずだ。だから、そういう空中散布については、それこそ重点的にどうしてもやらなければいけないところはそれはやってもしょうがないと思いますよ、山奥とかあるいは松が有名で残さなければいけないとか、そういうところは。しかし、その他のところはやはりできるだけセーブして、むしろ伐倒とか、さっき言いました樹種転換とか、そういう方向を中心にした運営をしてもらいたい。そしてまた、方向も、それは比重が全体としては今はそっちの方が多くなっているはずだが、急に変わるのはお役所としては難しいかもしれぬけれども、そういう方向で進めてもらうというふうに私は理解をしておるわけだが、よろしいですか。
#28
○小澤政府委員 この空散という問題につきまして、私どもも十分慎重に取り扱う必要もございますから、特にその実施につきましては地域の御理解も得、また方法そのものにつきましても、その空散によります副作用が出ないように考えてまいりたいと思っております。
 なお、空散の比率といいますか量というものも最近は少なくなってきているわけでございます。しかし、空散というのはやはり松くい虫を直接たたく方法として、現在のところこれにかわる手法もなかなかないということでやらせていただくわけでございますが、しかし同時にその他の手法を徹底してやってまいりたいということを考えているわけでございます。したがいまして、伐倒駆除でございますとか、あるいは今回樹種転換を徹底してまいりたいというようなこととか、そういうものを含めてあくまで総合的に対応をしてまいりたい、このように考えております。
#29
○田中(恒)委員 だから、空中散布、特別防除をやる場合には、細かくあなたのところの文書を見ると、「住民の理解と協力が必要である。」こういう表現を示しておりますね。住民の理解と協力ということは、住民がいいというのか悪いというのかそれを判断するということでありまして、住民がいけないという場合にはこれはやらない、や札ない、こういうふうな前提があると理解してよろしいですか。
#30
○小澤政府委員 地域住民等関係者の御理解を得るということは大変重要でございます。したがいまして、私どもとしては、どのようなことをやっているかと申しますと、具体的には、まず計画段階におきまして都府県の松くい虫被害対策推進連絡協議会、さらにはまた松くい虫被害対策地区推進連絡協議会、このような協議会を開催いたすわけでございます。そうしまして、また同時に、実施。に当たりましては地区説明会等を通じまして地域住民等の理解と協力を得るように努めておるところでございます。
 なおまた、住宅あるいは宿泊所その他の家屋でございますとか、あるいは公園、レクリェーション施設その他の利用者が集合するような場所の周辺につきましては、家屋等の居住者あるいは管理者の意向を十分確認しなければいけないということでございます。したがいまして、これらの意向を確認した上で、そして大多数の同意が得られない場合には実施いたさないという考えを持っているわけでございます。
 なお、実施地区に近接する地域に保全対象物があります場合には極力他の防除方法、これはいろいろございますが、これらの方法を選択するように努めてまいる、このような方針で実施をさせていただきたいと思っております。
#31
○田中(恒)委員 住民、関係者の理解がなければやれない、こういうふうにお答えになったと理解をいたしておりますが、これは何も私の質問に答えたのではなくて、今までも何回もこの国会ではっきりそういうふうにお答えになっているんですね。
 それで、基本方針というのがありますね。特別措置法の第三条一項に基づいて基本方針、この基本方針で空中防除はこういうところはやってはいけないというところが何カ所かありますが、それを簡単にさっとお答えください。
#32
○小澤政府委員 ただいま御質問の基本方針でございますけれども、防除を実施する場合には基本方針に定めるところに従って実施をしてまいりますけれども、この基本方針では、貴重な野生動植物の生息地または生育地、病院、学校、水源等の周辺などの松林においては特別防除を実施しないということにいたしておるわけでございます。それからまた、住宅、宿泊所その他の家屋の周辺、公園その他の利用者が集合する場所の周辺、それからさらに葉たばこ、桑園、茶園その他の農作物の栽培地の周辺などの松林においては地域住民から要望があり、かつ適切な防止措置を講ずることができるものを除き原則として特別防除を実施しない、このようにいたしているところでございます。
#33
○田中(恒)委員 長官の答弁は、ちょっとはっきりしてないな。私が言っているのは、特別措置法で絶対やってはいけぬというふうにちゃんと書いてあるところがあるんだから、ア、イ、ウ、エまであるんだ。今言われたのは、その一部分だ。特殊鳥類、動植物、これは法律で全部決まっているんだ。自然環境保全法の野生動植物保護地区、自然公園法、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づいて指定された特別保護地区、そして病院、学校、水源等の周辺、この四つは絶対やったらいけぬという地区なんですね。そうでしょう。ところが、病院、学校、水源というのは法律では決まっていない。あとは全部法律で決まっているんだ。だからやれないんですけれども、病院、学校、水源というのは法律では決まっていないが、実際にこういうところは相当数空散がやられておるという報告が私のところには、事例を一つずつ申し上げたら幾らでもあるんですよ。これは周辺という言葉があるんですが、その周辺というのは大体どのくらいですか。松林からその周辺をどのくらい見ておるんですか。ともかく水源地や学校や病院にはやったらいけないということになっておるんだ。そういうところはありますよ。言えといえば幾らでもありますがね。
#34
○小澤政府委員 周辺の問題でございますけれども、周辺という考え方の基礎になっておりますのは、薬剤の飛散あるいは流入によりまして周囲の環境に悪影響を及ぼすおそれのある地域を考えているわけでございます。この範囲というのは立地条件とか気象条件等によって異なるわけではありますけれども、そこで一律に定めるということは困難であるということもあるんですが、目安というものが必要だということでこれを二百メートル程度を考えているわけでございます。実際に実施いたします場合には、地域の実情などを勘案してそれぞれ個々の検討というものも必要というように考えております。
#35
○田中(恒)委員 空中散布をやる場合に、飛散の距離がどこまであるかということが問題になって、おたくの方もいろいろ調査をやっておるんでしょうが、これは大臣、病院あるいは水源地から二百メートル近くまでというこの周辺の理解ですね。私はこれでいいかというと、我々の調査では四キロぐらいまで散るというんだ。飛行機が上からまくんですから、それは風向きなどは十分考えるでしょうけれども、それはやはり二百メートルという距離が妥当かどうかということは問題があると思います。だから病院に若干頭がどうなったとかちかちかするとか腹が痛くなったとかという人がふえてきたり、周辺の人々が参っているじゃないかというような問題も起こしておると思うので、やはりこの飛散の距離というのはもっと現地の実情を見て、風が全然ないときにやったような資料をやったっていけないので、やはり現実に今やっておるものの中からどれだけ飛散したか、我々のところは、住民組織はいずれも学校の先生ですよ、そういう先生方がいろんな方法でやっておるデータがありますが、この二百メートルというところにも問題があると思います。
 広島県の三原地区の四市三郡九町、学校の数は五十一校、これは一万名のアンケート調査が集まっております。そのアンケート調査を見るとやはり目がちからかするとか、頭が痛くなったとか、あるいは下痢をしたとか、腹痛がしたとかといったような症状が出てきておる人が、大体二年続けて同じところでやっておるんですが、一九八八年と一九九一年とやっておりますが、一九八八年の数字ではそういう人が一九・〇%、九一年では一五・八%、だから二割ちょっと以下ですが、どうもほかの地区の調査を見てもそのぐらいの人はやはり何らかの変調を訴えておるんです。空中防除というのは、空散というのは、これが被害だと言えるかどうかという解釈論は別にして、人体に対してそういう悪影響を与えておるということは事実ですよ。だからそういうことはできるだけ避けるという建前をとらなければいけませんし、同時に完全にはっきり出てくるのは、空中防除をやる地点からの距離に反比例しておる、つまり距離が遠くなるに従って少なくなってきております。大体五百メートルまでの範囲で四四・五%、大体四四%か五〇%ぐらいが五百メートル以内に集中しております。それから遠いところでは三千メートルから四千メートル、つまり三キロから四キロの範囲でもやはり一五%ぐらいそういう関係者が出ておる。だからそういう状態を見ると、この調査は一番広い範囲で、これは学校が子供たちにアンケートを持っていかせて、空散をやったときに、その日に全部やっておるわけでありますが、相当正確だと私は思っておりますけれども、こういう状態の空中散布というものについて私が申し上げたいのは、やはり慎重の上にも慎重を重ねなければいけない、特にこういう問題が起きるようなところはやってはいけない、そういう基本姿勢を政府として持っていただきたいということであります。そういう意味で私は、この基本方針の中にはいろいろなことが書いてありますが、今長官が言われた住宅とか宿泊所とかその他家屋ですね、住居のたくさんあるところ、あるいは公園とかレクリエーションの施設とかあるいは休みにみんなが何かレクで集まる場所とか、そういうようなところは人間が集まるところでありますからやめるべきである、やってはいけないという原則をこの機会に確立する必要があると思います。
 さっき住民の同意がなければやらぬ、こう言われたことだろうと思いますが、そのほかにも水道、井戸その他の給水施設、鉄道、道路その他の交通施設、そんなものも原則としてやってはいけないということになっておるのですよ。それから農業漁業の栽培をやっておるところ、たばこ作をやっておるところ、そういうところもやってはいけないということになっておるのですよ。ただし書きがあって、ただしこういうものはやってもそう影響を及ぼさないような処置がとれれば構わないということになっておるんだ。そのとれれば構わないということで大体やっておるんですよ、これは。だけれどもこれは、とれれば構わないというそういう処置よりも、やはりやってはいけないという思想、考え方の方が先行すべきだというふうに私は理解をしておりまして、特にこの点について申し上げまして、さっき長官が言われた住宅、宿泊所その他の家屋、それから公園、レクリエーション施設その他の利用者が集合する場所、ここは今までやったらいけないと言われておったところとほぼ同じような立場でやってはいけないというふうに理解していいんですね、構いませんね。
#36
○小澤政府委員 先ほどもお答え申し上げましたけれども、基本方針をしっかりと守ってやるということが重要でございますので、私どもこれらの指導の徹底に努めたいと思っているわけでございます。
 それで、今御指摘の中で出てまいりました広島県のアンケート調査につきましても、私どもが承知しているところでは、これは広島県の教職員組合がアンケート調査を行っておるということで、特別防除の実施に伴いまして学校の児童生徒に健康被害が生じたということで、これは我々も承知しているところでございます。
 一方、私どもは特別防除等に伴う被害につきましては具体的に発生した場合に報告をしていただいておるわけでございますが、今回のこのアンケート調査に基づくものにつきましては、広島県の方からは、被害としての報告は受けてないということも聞いているわけでございます。しかしながら、先生御指摘のように特別防除、空散ということにつきましては、危被害や貴重な動植物への影響を把握していくことが重要でございますし、今後特別防除を実施いたします地方自治体等につきましては、地域住民との対応窓口も設けまして周知徹底も図り、その状況を把握しまして慎重を期す、万全を期すということを基本にしてやってまいりたいというように考えます。
#37
○田中(恒)委員 確かに被害が上がってない。この法律には賠償も政府は応じなければいけないとなっておるが、その賠償をどれだけ、件数なんか聞いてみたら十五年間でもうわずかなものだ。こんな程度じゃないんですけれども、その被害が上がらないというところに実は問題があるんですよ。つまり、林野庁というか本省と県と町村とそれぞれ一つの存在を持っておるところですが、その間で空散防除についてぴしやっとした統一ができておりませんよ。そして下へ行くほど、はっきり言わしてもらったら補助金がつくから補助をとってやればいいんだという程度の理解しかない町村も相当あると思うのですよ。それをやはりそうじゃないという形で一体になった行政の対応が欠けておると私は思うな。我々は住民から直接聞くから、我々の理解の仕方にも、あなた方から言えばちょっとまずい点があるかもしれぬけれども、しかし実態であるということは事実ですよ。
 私は、今さっき長官も言われたけれども、協議会、これは一つの非常に大きな意味を持っておると思いますよ。今度特別防除を実施するところには協議会を全部置かなければいけないという考えのようですが、今までは必ずしも協議会がないところもあったと思いますよ。そして、協議会でどういうことをやったかというと、これは空中防除をやるという通知を、周知だよ。それを下に知らすということが主な任務であったと思います。空中防除をめぐっていろいろな意見があるわけですよ、特に環境保全の問題をめぐっては。そういう皆さんの意見もよく聞いて、そしてこれなら大丈夫だという自信を持たせて、そしてやるならやる。あるいはどうしてもいけませんというところも出てきますよ。それはそういう意見を聞いてやらないと、そんなことを十分に議論をしていく場所でなければ、つまり住民が参加をして、住民の意思が十分に反映されていく、そういう協議会にしないと。上からやるという方針を決めて、その方針に基づいて計画書を出して、その計画書に阿片何日何時から何時までやりますから、ひとつ住民の皆さん承知してください、それだけでは、私は空中防除という、ある面では人体に影響も与えるようなことをやる場合に、余りにも慎重さに欠けておると思いますから、そういう意味で、この協議会が組織上どういう位置づけになり、これがどういう機能を持ち、どういう性格を持っておるか、もう一遍明確にしておいていただきたいと思います。
#38
○小澤政府委員 私どもは、やはりこの松くい虫防除というのは、松林をどういうふうにして守っていくか、また日本の森林を健全な状態に維持していくということがまず基本でございますから、このことにつきましての御理解もいただきたいし、また地域におきましても同様でございますけれども、あくまで防除の実施につきましては、事柄の性格上、慎重を期すということが同時に重要であるわけでございます。
 そこで、先生も今おっしゃいましたような協議会というものを十分に、ここでいろいろ御意見も出していただく、意見も交換していただく、そのような中から、松林は守るというそのことと関連させて、より有効な防除、また安全な防除に心がけさせていただきたいと思うわけでございます。
#39
○田中(恒)委員 いろいろ細かいことたくさん申し上げたいのですけども、時間が余りありませんので、はっきり言うたら、基本方針で書かれたことがきちんと守られれば、大分これは問題は解決すると思いますよ。私、これ全部隅から隅まで見させていただいて、相当細かいことを書いておる。だけれども、それが正直言って守られていないところに、やはり空散についてこれほどの世論が形成されておるのですよ。これは皆さん、空中散布について世論調査をやってごらんなさいよ。林野庁も言うように、松くい虫対策でこれはどうしても必要だという形でこれを了解する国民の世論と、そして、いや、それはちょっと待て、困るという世論と、どう出るか、そんなに伯仲するか、あるいは逆に困るという人の意見の方が私は多いような気がしますよ。
 だから、そういう意味もあって、空中散布の取り扱いについては非常に慎重を期していただきたい。そのためには、さっき申し上げましたように、少なくとも人が住んでおるところ、人が集まるところ、そういうところはやらない、こういう原則に立って処置をしていただきたい。その中で、なおやりたいという人があるかもしれぬから、そういう場合には十分地区住民が話し合いの中で一定の方向を引き出すように、協議会などでやっていただきたい。協議会については、十分に存在を重視をしていただいて、上も下も、特に民意、これについての国民の声が持ち寄られる、そういう性格の協議会にしてもらいたい。そのためには、単に村のお偉方が寄るだけのことじゃだめなんで、いろいろな環境保全の機関や、いろいろな組織や、いろいろな代表者がおるのですから、そういう人もぜひ入っていただいて、そこで名実ともにその地区の全体の世論が反映されるようなものにしていただくことをお願いをしておきたいと思います。
 大臣、要は本当にきちんと法律、政令というか、基本方針、通達、それから本委員会がいろいろな決議をやっております。今までも非常に立派な決議をやっておるんだ。そういう決議事項が守られておるかどうかということが最終的には一つの焦点になるんだ。だから、我々はこれを守らせるために、我々は我々の立場で今後ともこの問題に取り組んでいきたいと思いますが、ひとつ行政の最高責任者としてぜひ、空中防除の問題について非常に大きな国民の世論が今起きておることは事実ですよ。それは林野庁の諸君が一番よく知っておる。だから、この問題について非常に慎重を期して対応していただく、そしてさまざまな決められたことを守らせていくということについての大臣の所信を最後にお聞きしておきたいと思います。
#40
○田名部国務大臣 長官とのやりとりの中で感じましたことは、本当にこのことは重要だな、こう思っております。松というのは大体景観のいいところに、あるいは海岸だとか里山、そういうところにあるわけでありまして、特にどんなやせた土地でも育つし、一年じゆう緑でおるという、松に関しては私たちは非常にいろいろな愛着を持っておるし、また景色が非常にすばらしいということからいいますと、非常に難しいと思うのです。しかし、難しいのですけれども、集中的にやらなければいかぬということでありますから、今お話しのように環境保全への配慮、この基本方針の趣旨が都府県初め地域の特別防除の実施者の段階まで徹底するように、各種担当者会議等あらゆる機会を通じて指導していきたいし、万が一そういうことで反対というところは、これは絶対やってはいかぬ、そう思います。
 ただ、時期的に集中してやらなければならぬ。これはこれからの相談ですが、各地域によっても、運動を展開して、何かどうしても伐倒でなければいかぬという地域は、県や市町村や地域の住民の方々にもひとつ御参加いただけるかどうか、あらゆることも含めて、残すというわけにいきませんので、何とか退治をしたいということで、そんなことも考えながら、少し勉強しながら、仰せのとおり地域の人たちの意見を十分聞きながら、全く安全だというところについて空中散布をしていくということでやってまいりたい、こう思っております。
#41
○田中(恒)委員 松くい虫の法律はこの程度にして、あと長官に一つ、二つ質問をさせていただきますが、一つば昨年の十九号台風で森林の被害が非常に大きかったですね。千二百億ですか。これに対して、今森林関係者の間では、これは共済がほとんどない。ないというよりも、ほとんど入っておりませんからね。入ってないからということはありますが、山の共済制度のあり方、保険制度のあり方、これは長い間の懸案でありますが、国は国営保険をやっておる。共済組合は全国で森林共済をやっておる。早急にこういうものをできれば一元化して強力な体制をつくる、国も相当援助する、そういうことについての声が大分高まっておりますね。それから、この前の台風のような異常森林災害というものに対して特別な制度をつくっておかなければ、五十年、六十年も育てたものが一遍になくなってしまうわけでありますから大変だ、こういう声もあります。そういう意味で、十九号台風によってもたらされた重要な日田等の山林地帯を初め裏日本側もやられておりますが、ああいうことについて林野庁としてはどういう方針でお臨みになっていくかということが一つ。
 それからもう一つは、これは労働力の問題でありますが、労働力問題イコール日本の林業、山林の荒廃と言っても間違いないくらい関係があるわけでありまして、もう初めから労働力不足ということが言われておるのですが、特に林野庁長官にも関係がある国有林などはたしか平成五年に二万人体制ということで進めておると思いますが、もう二万人体制どころか局によっては、私は四国だから高知営林局ですが、高知営林局なんか多分ことしの近いうちに定員割れですよ。二万人体制の定員は割れますよ。どんどん減ってきよる、どうにもならぬという状況になっておるわけであります。こういう問題について早急に、国有林の労働者の要員をどうしていくかということについて、一つの案はもうできておりますけれども、抜本的に思い切った施策を立てなければだめだと思います。そういう方向についての長官の御所信をお伺いして、私の質問を終わります。
#42
○小澤政府委員 まず最初の森林災害対策でございますけれども、森林損害のてん補制度でございますが、これは森林国営保険とそれから全国森林組合連合会が行っております森林共済事業、これによって実施しているところでございます。森林共済につきましては、中高齢林中心ということで百六万ヘクタールの加入でございますけれども、加入率一四%程度ということでございます。
 そういう状況の中で、昨年の十九号台風というような災害が発生もいたしておりますために、大変その関心も高まっているわけでございます。私どもとしては、今後林業経営の安定を図っていく、林業経営の安定化が大事でございますから、共済加入の拡大でございますとかこれらの運営が健全に図られるように、全国森林組合連合会につきましても指導もいたしているところでございますけれども、この二つの保険を合わせましても加入率三割弱でございますので、このため加入の促進でございますとか、今後この運営の方法の改善でございますとか、あるいは国営制度との一元化の問題も含めまして現在協議、検討を進めているところでございます。
 なお、異常災害に対する制度でございますけれども、これにつきましては、今申し上げましたような現行の制度の運営改善の問題もございます。また、森林損害てん補制度のあり方を幅広に検討する必要もございますので、これらを検討する中で今後その要否も含めまして判断してまいりたいと考えているところでございます。
 それから労働力、担い手の問題でございますけれども、これは国有林、民有林を問わず大変大きな課題でございますので、私どもこの問題につきましてはこれも多角的、総合的に考えてまいりたいということで、基盤整備や機械化を初めもろもろの問題、これにかかわっているわけでございますから、私どもの最重点課題の一つとして取り組んでまいりたいと考えております。国有林につきましては、平成五年度末までに二万大規模ということで現在進めておるわけでございますけれども、確かに地域的にいろいろアンバランスも生じているということは先生御指摘のとおりではございますけれども、まだ二万大規模の見通しもこれからという段階でございますので、この問題につきましては職員の配置の地域間調整も図らなければならないと考えておりますので、広域にわたる営林局、営林署間の配置転換というようなことも考えなければならないと思っております。
 いずれにいたしましても、国有林野事業の使命達成のため、今後この要員規模も必要最小限とするということも行わせていただきながら、民間実行の徹底あるいは組織の簡素化とかいろいろなことも考えながら、しかしながら国有林の使命達成にまた問題が生じてはいけないということ、いろいろと難しい問題ではございますけれども、私どもこの問題についてはやはり真剣に取り組ませていただきたいと考えております。
#43
○金子(徳)委員長代理 竹内猛君。
#44
○竹内(猛)委員 松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案に関して、今田中委員が質問したことと重複しないように、重点的な問題を質問していきます。
 第一に、法案ができる過程において、この法案のもとが病害虫防除法を基礎法として松くい虫を特別措置法という形で進めてきたということについて、私どもは基本的に反対の立場をとって今日まで来ました。そういう中でこの十五年間に二回延長をしてきた。この二回の延長の中でどのような成果があり、どういうところに問題があったのかということについて、総括的にこれは大臣から報告をしてもらいたい。
#45
○田名部国務大臣 先ほどもお話し申し上げましたが、昭和五十二年にこの松くい虫防除特別措置法を制定いたしまして、いろんな対策をやってまいりました。完全にたたき切れないという難しさはありましたが、しかし五十四年度に二百四十三万立方メートルあった被害というものは平成二年には、徐々でありますが九十五万立方メートルまで減少した。減少してこれでいいかといいますと、ほっておきますとまた拡大する可能性というのはあると思います。
 全体としては被害の鎮静化に相当の成果を上げたと思っておりますが、何といってもまだ残っているマツノザイセンチュウ、それから運び屋の方であるマツノマダラカミキリというものがまだおるわけでありますから、これを撲滅する以外に救ってやる方法というのはなかなかないと思うのです。しかしこれは粘り強く根気強くやってまいりませんと、まだ年間百万立方メートルに近い異常な松くい虫被害が出ておるわけでありますから、手を抜くとまた蔓延していくというおそれがあります。防風林等非常に公益的に機能を果たしておるそういうものまで支障を来すということになりますので、この改正案においては被害対策を推進する松林を重点的に、徹底的にこの措置を講じていきたい。そのためには、今までのようなことではなくて、松林の範囲の見直しをやろうということと樹種の転換を促進するための新たな制度を設けるということで引き続き必要な松くい虫被害対策の積極的な推進を図って、何とか早期に終息をせしめなければいかぬ、こう思っております。
#46
○竹内(猛)委員 五十七年、六十二年、いずれも五年後にはこれを終息をする、こういう附帯決議をつけてあるけれども、それは依然として守られていないのですね。今も話があったように、とてもこれはこの形だけでは終息はできない。そこで社会党としては、松枯れというのは、虫だけではなくて、大気汚染とか手入れのやり方とか、あるいは樹勢の衰えたところ。に排気ガスなどのいろいろな事情があって総合的な対策が必要である、総合的なものでなければならないということで、松枯れ等というような言葉を入れて総合的対策をしろという要求を前々からしてきた。今度の予算を見ると確かに、当初出発のときには二十八億ですか、あの当時散布の費用は二十八億でしたね。現在が八十二億の中で二十億、山をつくる金が十六億というように、その他伐倒等々にかなり予算が回っているところを見ると、予算の組み方はなるほど総合性を持っているが、法律は依然として松枯れ被害、こういう形になっている。確かに社会党が前々から委員会のたびに要請をし、附帯決議をつけ、押し上げてきたという形に対して、内容がかなり変わってきていることは事実だ、これは認めなければならないのですね。けれども、依然として状況に変化はない。そこで、反対運動というものがあちらこちらで起こっているけれども、その形態と、原因は何だと思っていますか。
    〔金子(徳)委員長代理退席、簗瀬委員長
    代理着席〕
#47
○小澤政府委員 私どもも、松くい虫の防除対策につきましてはいろいろな手法があるということを前提にしておりますけれども、しかし、それはいわゆる技術的な開発とかあるいは周辺の人家でございますとか、いろいろな状況というものとも絡んでおるというわけでございますから、より前進を図るために常に技術的な問題についても解明を図っておりますし、また周辺の状況等も十分に見ながら実施するということを基本にして今後もやってまいりたいと思うわけでございます。
 そのような中で、世間の御心配といいますか、御懸念はいろいろあろうかと思いますけれども、やはり人体でございますとかあるいはいろいろな農作物でございますとか、そういうものに被害が及ばないようにひとつやってほしいというのが大方の考え方ではないかというように考えているわけでございます。そのような中で有効な手法を組み合わせてやるということが重要であろうと思いますし、そのような状況も私ども十分に考えまして、先ほども申し上げましたような協議会におきましていろいろと御意見も出していただくとか、あるいはもちろん基本方針というものをつくっておりますので、これをしっかり守っていくということから、地域なり国民の皆様方の御理解も得て、その重要な森林を守り整備するということが前提でございますから、そしてその森林がまた国民生活にお役に立つという形をつくってまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。
#48
○竹内(猛)委員 どうもはっきりかみ合っていないような感じがしますね。
 それで、十五年の間に各地にいろいろな形の住民の運動が起きている。これは、中央でものを決定しても、自治体にまで必ずしも確実にその方針が流れているとは思えない向きもある。我々も現地調査をすると、ある県などはおよそやる気がないところもあった。また一方においては、反対をしているのに構わずに散布するというところもある。基準をつくれということを何回か決議をしたけれども、基準というのは一体できているのですか。これはどうですか。
#49
○小澤政府委員 散布の基準というふうにおっしゃいましたけれども、これにつきましては私ども、先ほども御説明いたしました基本方針にかなり詳細に明確にしているところでございまして、この基準を守ってやるべきである、またそうしなければならないと考えているわけでございます。
 それで、実際の実施担当者、これが確かに徹底していないといろいろと不安というものを与えたりするということでございますので、私どもは基準は基本方針を中心にしっかりさせてきておりますし、また、それを今後もさせていくと同時に、実施担当者に二のことをよくのみ込んでもらう必要がございますから、この点につきましても指導を徹底してまいりたいと考えております。
#50
○竹内(猛)委員 先ほど田中委員がかなりの長い時間を費やして質疑をしたのは、山を守るということも大事だけれども、より人の命を大事にするということに中心があるのですね。ところが、その人の命を大事にするという、そういう行動がややもすると失われているところもある。だから住民の運動が熾烈に起こってくるわけですね。そういうものに十分にこたえるということと、樹種を転換をする、伐倒駆除をする、あるいは薫蒸をする、いろいろな方法がある、こういう点についての手引、基準、こういうものをつくるべきですよ。そして自治体は少なくともこれぐらいのことはやれということをしなければ、せっかく法律をつくっても、末端でこれがうやむやになってしまったのではしょうがない。やってもらいたい、どうです。大臣、これはどうです。
#51
○小澤政府委員 今先生のおっしゃった御趣旨を体しまして、この防除それから松林の保全、また地域の理解が十分に得られるように実施してまいりたいと考えております。
#52
○竹内(猛)委員 環境庁が来ていると思うが、国定公園、自然公園、いろいろあるが、環境庁が管理をしている公園、こういう部分において松枯れあるいはその他の、松枯れだけじゃない、最近は杉の木も枯れだということが二、三日前の新局に出ていた。松、松というけれども、被害が起こっているのは松だけじゃありませんよ。山林がやられているのだから、山がやられているのですからね。そういうことについて一体環境庁はどういう対策を立ててきたのか。特に宮城の周辺の松が非常にきれいになっている。あそこでは松枯れを探そうと思っても探せない。この法案ができるときに私は質問をした。やはり人手とお金をかければよくなるのだと、こういう結果にはなっているけれども、恐らく異議はないはずだけれども、どうです、環境庁。
#53
○櫻井説明員 お答えをいたします。
 まず、一般的に国立公園等の松くい虫の被害対策の方から御説明をいたしますが、松くい虫の被害対策については、国立公園内でありましても基本的には関係都道府県の林務担当部局が計画的に実施をしておりますが、その際、公園の核心部である特別保護地区でありますとか、あるいは利用者が多く集まる地区におきましては空中散布は行わない等の配慮をお願いしているところでございます。
 なお、国有地における松くい虫の被害対策はそれぞれ所管する省庁ごとに行うことになっておりまして、環境庁といたしましても、小面積ではありますが国立公園内に所管地を持っております。そういうところで松くい虫の被害が発生した場合にみずから行うわけでございますけれども、近年の例では、瀬戸内海国立公園の広島県福山市の仙酔島というところにおいて薬剤散布、伐倒駆除等の対策を行っております。
 それから、松くい虫以外の病害虫駆除対策の例でございますけれども、例えば阿蘇くじゅう国立公園内のミヤマキリシマ、これはツツジの種類でございますけれども、に対しましてやはり病害虫対策を行っております。今後とも環境への影響に十分配慮しながら自然景観の保全に努力してまいりたいと思います。
 それから、続けて御質問のありました皇居外苑の松のことでございますけれども、皇居外苑の管理に当たりましては、これは皇居の前庭としての特性を踏まえまして歴史的雰囲気を損なわないよう配慮するとともに、その美観の保持に努めているところでございます。皇居外苑には現在約二千本の松を植栽しておりますけれども、すべての松を対象といたしまして毎年二回程度薬剤散布を行うことにより松くい虫の被害防止を図っているところでございます。
#54
○竹内(猛)委員 環境庁、毎年二千本に二回ずつ手入れをするとお金は幾らかかるか。
#55
○櫻井説明員 約二千本の松に対して毎年約二千万円を使っております。
#56
○竹内(猛)委員 文化庁からも来ていると思うが、文化財というのは山の中腹にあるところもあるし町の真ん中にあるところもある。恐らく人間の住んでいるところが多いですね。人の出入りするところが多い。そこにも松があるはずだ。三保松原とか天橋立が文化財になっているかどうかそれはわかりませんが、いずれにしてもここもやられた。それから松島にも大変努力しているようですけれども、こういうようなところをどうして守っているか。その守っていることについて、あるいはそれがまた松くい虫にやられた場合にどのようなことをしているのか。
    〔簗瀬委員長代理退席、委員長着席〕
#57
○吉澤説明員 天然記念物その他の文化財につきましては、先生十分御存じだと思いますけれども、通常その管理に当たる管理団体、それから地元の地方公共団体がその状況等を常に把握して適宜必要な保存のための措置を講ずるということにされております。樹木に関する天然記念物あるいは名勝につきましてもこのような状況把握に努めるとともに、特に必要な場合には樹勢の診断などの調査を行い、その結果に基づいて樹勢回復それから病害虫の駆除などの保護のための措置を講じております。
 松くい虫による被害防除につきましても、このような一般的な保護のための事業の一環として、その天然記念物等の管理団体その他の地方公共団体が具体的な状況に応じて薬剤の散布それから伐倒駆除、これらの事業を実施しているところでありまして、文化庁といたしましては、これに対して専門的な指導と国庫補助を行っているところでございます。今後ともこうした指定文化財の把握に努めるとともに、松くい虫の防除について十分連絡をとって、さらに適切にしてまいりたいというふうに思っております。
#58
○竹内(猛)委員 文化庁にも環境庁にも聞くけれども、農薬、薬剤を散布する場合にどういう手続をとって、住民との間にどういうような話し合いをしているのか。いきなりまくのかどうしているのか、その点についてちょっと。
#59
○櫻井説明員 お答えいたします。
 先ほどもお答え申し上げましたように、国立公園等に関しましては基本的には都道府県の林務担当部局にお願いしておりますので、住民等との話し合いに関しましてもそちらの方にゆだねているところでございます。
 それから、皇居外苑の薬剤の散布につきましては、ヘリコプターを使いませんで地上散布というやり方をしておりますので、特に周りの方々の了承をとるということはしてございません。
#60
○吉澤説明員 文化庁といたしましては、薬剤の空中散布など、これが天然記念物に指定されている動植物に影響を及ぼさないように林野庁と協議して行っていくということにしておりまして、具体的には天然記念物に指定された動物その他学術上の価値の高いもの、これらが生息する地域については、各地方公共団体において実際に散布します農林担当部局から文化財の担当部局が相談を受けまして、空中散布以外の方法などで十分注意して行うということにしておりまして、これまで指定されたものについて、動植物に悪い影響を生じたというふうには聞いておりません。
#61
○竹内(猛)委員 今までの経過の中でやはり一番問題なのは、薬剤を散布する時期の問題、それとヘリコプターの会社というのは限られている、契約をしなければならない。それから、松枯れというのは赤くなって散布してもこれは意味がない。命のなくなった人間に水をくれるようなものですね。これは意味がないのです。やはり生きている元気のいいときに、これは危ないからという形でやられるとすると予測が必要ですね。これがはっきりしない限りにおいてはいい結果が出ないでしょう。だから、住民運動の中から、散布した後にはマダラカミキリの影は一つもない、むしろ天敵、益虫がいっぱい死んでしまっている、こういうことが報告されるわけだ。散布する場合には、一体どこが危ないんだ、環境庁や文化庁の場合にはそれぞれかなり厳しい選択をされているようだけれども、山はかなり広いからこれが一番大事だ。その時期と選択、それからヘリコプターの契約、この三つの問題をどういうふうにしていますか。
#62
○小澤政府委員 先生おっしゃいますように、時期というのは大変重要なのでございます。それで、マツノマダラカミキリの幼虫が、羽化脱出というふうにいっておりますけれども、成虫になって飛び出す時期をつかまえなければいけない、そしてそれが松の木にたどり着いて松の新しい芽をかじる、後食というふうにいっておりますけれども、この時期をつかまえて防除するというのが基本でございます。
 そこで、各府県におきまして毎年度松くい虫の発生予察調査というものを実施しております。これは今まで相当経験も積ませていただいておりますので、これまでの結果、それから当年度におきます気象条件を踏まえまして特別防除の実施時期を決定しておるわけでございます。それから、ヘリコプターの方のダイヤ編成を行ってこれとかみ合わせなければならないわけでございますけれども、もちろんダイヤ編成をいたしましても降雨があるというような場合には散布はできないわけでございますから、ある程度ここは弾力的に調整できるようにしているわけでございます。それからなお、薬の効果というものが一回の散布で二週間とか三週間持続するというわけでございますから、大体二回まくというようなことで、ある程度の幅を持って効果の持続があるわけでございますから、少しのずれは心配はないということになっておりますので、そのヘリコプターのダイヤ編成とそれからまく時期は当然予測をしてやる、そしてその効果が継続する期間、その中でやるということでございますが、これらにつきましてその組み合わせを効果的なものとするように努力もいたしながら実施していきたい、このように考えているところであります。
#63
○竹内(猛)委員 今長官が言われたような、そういうことは本当に実際行われていますか。
#64
○小澤政府委員 これは地域も全国的に多いわけでございますから、私が今申しましたようにある程度の弾力度というものがございますから、その範囲内で実施されていると考えております。
#65
○竹内(猛)委員 各地でこのヘリコプターによるところの被害というものが発生をしている。その補償について、散布によってその周辺にいろいろな被害を与えた場合、この二回の委員会の決議では国家賠償法によって補償しろ、こうなっている。これからもこの問題については補償という問題が非常に大事ですが、これについてはいかがですか。
#66
○小澤政府委員 実際に被害が発生するというのも、私どもはこれはゼロにしたいとは思っておるわけでございますけれども、残念ながら年間数件被害が起きているというような報告もございまして、これにつきましてはその被害の実態、それからこれはおおむね誤散布というような形で起きるわけでございますけれども、それはその責任を負うべき者がだれかということも決定しなければいけないわけでございますが、そのような中で必要な措置は講じているというのが実態でございます。
#67
○竹内(猛)委員 これからの問題としては、今まで佐賀県の虹の松原等々、我々も現地に行ってみた。あれは散布をしている。ところが、最近になるとちょっと時期をずらしたために虫が入ったという話も聞いている。だから、その時期というものについての把握、これは非常に大事ですね。松島なんかも、松がなくなったら松島というものはなくなってしまうのだから、これは大変でしょう。それから静岡の三保松原あるいは和歌山県の煙樹ヶ浜ですか、そういうふうに松というものを背景にしてその地域が存在をしているところにいろいろな形のものが起こっているけれども、これは一体林野庁がそういうのは指導していくのか、それともそうじゃなくて自然保護団体とか文化庁とかあるいは環境庁が手を入れるのか、これはどうなんです。
#68
○小澤政府委員 各地域に、これはどうしても保全しなければならない、あるいは昔からすぐれた景観を形成してきている松林というものがございます。先生が今おっしゃいました虹の松原を初め各地域におけるこのような松林につきましては、文化的な要素も大変強いわけでございますけれども、同時にまた森林の整備、保全を図る上で重要であると考えておりますので、この松くい虫の防除につきましては、私どもがこれにつきましては実施をいたしておるところでございます。
#69
○竹内(猛)委員 そこで、繰り返すようですけれども、先ほど田中委員からかなり執拗に要求をされたのですが、やはり住民の、人間の命を大事にするためには、基本方針にもあるように人が住んでいるところはやめる、あるいはまたその地域で住民から反対があった場合にはそれはやらない、こういう方向を確認をしなければならない。これももう既に何回かの決議の中で明らかにしていって、別に今初めて言っているわけじゃない。そのときに、今までは協議会というものについてどの程度熱が入っていたのかどうかわかりませんが、やはりこの際、自治体を中心とした協議会によって十分に話し合いをして対応をしていくということについてのこれからの方向について、はっきりした答えを出してもらいたいと思います。
#70
○小澤政府委員 この防除を行います場合に地域の十分な理解を得るということが大変重要でございますし、同時にまた薬剤が飛散して被害を生ずるということは避けなければならない問題でございますので、この協議会の運営というものが大変重要になるわけでございますけれども、私どもはもちろんこれまでもこの協議会が有効に動くように考えてはまいったわけでございますけれども、今先生の御指摘もいただきましたが、今後におきましては、この協議会が十分に機能するように各般の努力もし、また必要な指導もしてまいりたいと考えております。
#71
○竹内(猛)委員 このことは強く要求をします。
 そこで、これからの課題になるわけですけれども、予算の中にも樹種転換という方向がかなり予算化されていることは以前から見れば前進だと思うのですね。この樹種転換をする場合に、筑波には森林総合研究所がある、それから各都道府県にも恐らく林業試験場があるはずだ。それと地域の住民との間の一体性というものをしっかり構えていかないと、本当の山づくりにはならないのじゃないか。要するに官民一体の形をとらないと山づくりにならないのじゃないかと思うのですけれども、この点についてはいかがですか。
#72
○小澤政府委員 今後のこの被害対策の有効な手段、方法といたしまして樹種転換を考えているわけでありますけれども、同時にこの樹種転換ということは、先生もおっしゃいますように、新しい出づくりをも意味するわけでございますから、この樹種転換を行うに当たりましてやはりポイントといいますか重要な点は、どういう樹種を選択し、どういうふうに育成させていくかということになるわけでございます。したがいまして、この点になりますと、その地域の気象条件あるいは土壌条件等幾つかの要素というものをよく検討して実行する必要がございますから、この点につきましては、筑波の森林総合研究所を初め各府県に林業試験場等の研究機関もございます。この研究機関の研究成果を十分に生かすということも考えていかなければなりませんし、同時にまた、地域の森林として樹種転換をした森林が役割を果たすということもございます。同時にまた、その森林の所有者の点から考えましても、樹種転換をしていく森林、あるいは樹種転換を行った森林というものが有効な状況、また健全な状況になっていかなければならないということがございますから、この点につきましては、情報あるいは研究成果あるいは所有者、地域の考え方もよくまとめて実施していくべきであると考えております。
#73
○竹内(猛)委員 国土庁は来ていると思うのですが、リゾート法ができてからちょうど五年たったのですね。当初考えたような形でリゾートが進んでいない。今、リゾートはやめてくれという声が非常に強い。しかし、リゾートの中にもうかなり資本が入ってきて、あちらこちらにいろいろなことで食いちぎっているところがある。三十五のうちで三つか五つか今機能していて、あとはおよそ今停滞をしていると聞いているが、今日的意味でリゾートの現状はどうなっているか。そしてそれは、その地域もやはり松林があるはずだ。こういうこととの関連で、このリゾート問題について報告してもらいたい。
#74
○斉藤説明員 リゾート法ができましてから、五年が経過したところでございます。
 リゾートは、国民のための余暇空間をつくるということ、それから地域の活性化ということ、その両方の目的で立法されてきたわけでございます。現在までに三十五の地域で基本構想が承認されております。いろいろなプロジェクトがございまして、その中には御指摘のように社会経済情勢の変化の中で見直しをしているものもございますが、全体としては、リゾートというのは長い意味での地域づくりの一環でございまして、長期的な観点に立って地域づくりに取り組んでいくようにと昨年の十一月にも都道府県の課長会議を招集いたしまして、いろいろ社会経済情勢の変化はありますものの、その中で地域に密着したものを、それから、長期的な地域づくりの一環として地道に仕事を続けていくことが必要でないかということを各県の課長会議でも相談し、今後の対策を検討したところでございます。
#75
○竹内(猛)委員 地域に密着をしたというところが非常にいい言葉ですが、なかなか地域に密着していないのだよ、現実は。資本に密着してしまっている。これではリゾートにならない。山村僻地が活性化をする、何とかひとつ退職した皆さんにも若い方々にもともに喜んでもらいたい、憩いの場所をつくろうじゃないかということで我々もリゾート法に参加をした。ところが現実に見ると、財界が乗り込んでいって、名前を変えて土地を押さえる。周辺の道路なり環境については、そこの市町村がなけなしの金を出していろいろつくって誘致をした。ところが、こういう事情になると、土地は押さえたけれども実際の仕事ができないというこの実情を考えるときに、およそその地域は国有林もあるだろうし、公有林もあるだろうし、民有地もあるだろう。岩手県の安比なんというのは、これは代表的な悪いところだ。リクルートの汚染で悪いところですが、こういうことを考えると、これはゆゆしい問題ですね。
 このリゾート問題について、大臣の所感はどうです。
#76
○田名部国務大臣 基本的には、先生お話しのように、その開発される地域にメリットというか恩恵がなければならぬ。私も、基本的にはその地域の人たちがいろいろやれれば一番いいわけでありますが、何といっても大きな開発になると資金というものがない、あるいはそれを経営するノウハウ、そういうものがなければなかなか難しい。私も今長官といろいろ話をして、国有林を町村が欲しい場合に払い下げたらどうか。その場合に何をやるか。林間学校をつくるとかゲートボール場をつくるとか、いろいろなことを考えて何かやれないか。その場合に、地区の若い人たちに経営管理をさせる。まあいろいろ考えるのでありますが、いざとなると、この資金はだれが出すかとなると、そういう町村でありますから、大きな会社があって金を出してやってくれるというところもなかなかない。その辺が非常に問題だと思います。しかし、なるたけ地元の人たちが参加をしてやれるように開発しなければいけない、そう考えております。
#77
○竹内(猛)委員 リゾートの問題について、私は三つの提言をしたい。これは答えは要りませんがね。
 一つは、資本が買い占めている土地を永久に資本に預けないで、一定の期間が来たらこれはやはり押さえて活用しなければ、国の法律によって乗り込んでいったんですから、これについてはやはり国が一定の措置をしなければ、山が荒れほうだいになってどうにもならない。まずこれが第一。
 第二は、今林野庁が越後の湯沢でやっているリゾートがありますね。あれは大変いいと僕は思う。ところが湯沢へ行くと、東京都湯沢町と言われるくらいに、銀座のある一角が湯沢の方に移っていったようなビルディングができて、大変なものですね、越後湯沢は。あれはリゾートじゃないんだ。その奥の方にある林野庁がやっているふれあいの郷というのは苗場、これがリゾートの形ですよ、あるべき形だ。これは立派なものだ。だから、所有というのは資本に与えちゃいけない。所有は地元が持っている。利用権を与えて、悪かったら取り上げてしまわなければいけない。こういうやり方をしないと、資本にほしいままにされちゃって、おれたちの買った所有権についておまえら余計なことをするな、これでは困っちゃう。このことをぜひしっかり頑張ってもらいたいと思うのです。
 それから、特に地域に密着するということになるから、当然、定年でおやめになった地域の方々やお年寄りや、今度は若い人たちや女性の方々がそこに入れるような、そういった開かれたものにしてもらいたいということを要望をして、これに対して別に答えをもらう必要は今のところありません。
 そこで、あと森林組合法の問題について若干触れていきますが、森林というのは景観の保全と保持、それから都市住民への憩いの場という形で非常に重要な社会的役割を持っている。この森林を整備するために組合を合併するということだけれども、その組合の目的は何かということについて、合併の目的、基本目的は何かということについてまずお伺いします。
#78
○小澤政府委員 森林組合につきましては、まさに森林整備の担い手の中核でもございますし、また地域におきます森林・林業活性化のために今後ますます活動を活発にしてほしいということを考えているわけでございます。
 特に、流域管理システムということを申し上げでおるわけですけれども、これも森林法を改正させていただいて流域ごとに森林の整備や林業の活性化を図ろうとしているわけでございますから、そのような中で、今般森林組合の合併ということにつきまして促進ができますように法律の改正をお願いしているところでございますが、現在森林組合の実態を見ますと、まだまだその基盤は脆弱でございます。したがいまして、合併促進により強化を図ることによりまして森林の整備をいたしますとともに、先生もおっしゃいました、これは都市部と申しますかあるいは下流と申しますか、上下流の連携ということも必要でございますから、そのような意味でも森林の機能というものをもっと広げていく必要がございます。これはレクリエーションの問題にもなりましょうし、先ほどのふれあいの郷などというのも皆その森林の有効活用でございますけれども、そういうようなことにもいろいろと大きな役割を果たしていってもらわなければならないというようなことを考えまして今回の合併促進をさらに進めさせていただきたい、このように考えているところでございます。
#79
○竹内(猛)委員 確かに森林に関係する諸法案の改正をして、従来の所有権別の国有林、公有林、民有林というような、そういう所有権別の、国有林は国が、それから公有林は市町村が、民有林はその所有者がという形の管理形態を変えて流域ごとに管理をしていく、こういうふうになったことは、それは自然の形態からいって正しい、いいことだ、こういうふうに思いますね。
 そうすると、森林組合が今千六百ほどあるようですけれども、それは八百くらいにするのか幾らにするのか、そういうふうにした場合に営林署との関係等々について、これはどういうような連携を持っていくのかということについてはいかがですか。
#80
○小澤政府委員 各流域には、全国百五十八の流域を考えまして流域の活性化を図ろうとしているわけでございますけれども、森林組合は現在全国で千六百余ございまして、これはこの合併促進の期間を通じまして、私ども目標としては大体千ぐらいに促進もし、各流域ごとに少なくとも一つ以上の広域組合というものができることを期待しているわけでございます。同時にまた、営林署の役割でございますけれども、各流域の森林地域は国有林と民有林で成り立っているわけでございまして、今後営林署が管理いたします国有林というものが民有林と一体となりまして森林の施業の推進を行う、あるいは国産材の供給体制を確保していくということが必要でございます。
 したがいまして、改正をいたしました森林法によりまして、まず森林計画を樹立いたします際に民有林、国有林の連携を保つということがございますし、さらに本年度からは、流域を単位にいたしまして、森林組合等の民間林業事業体や営林署など流域内の林業関係者等が参加をいたしまして流域林業活性化協議会というものを設置いたしているわけでございます。これは、今すべてがスタートしたわけではございませんけれども、既にスタートしましたところが三十を超えているわけでございますが、今後は民有林、国有林一体となりました施業推進体制の整備やそれから地域産材の産地化形成、こういうものを図ります必要がございますから、営林署の役割も大変大きいということで、この流域活性化のために鋭意努力もしてもらいたいし、その構成メンバーとして大いに頑張ってほしいというのが私の気持ちでございます。
#81
○竹内(猛)委員 もう時間が来たから、あと一問質問しますが、問題は合併をしたから活力が出るわけじゃなくて、いい働き手が残るか否か、これが問題なんです。そして、それをいかにして育成をしていくか、希望を持って山づくりができるのか、こういうことが問題になりますね。農業がそうであるように、山も今荒れほうだいになっている。どうしたら一体、山も農業も海も本当に活力ができるのかということを考えると、これは大臣、大変ですよ。青森県もそのうちの一つだ。これをしっかりやってもらわなきゃ、日本がだめになってしまう。
 そういう点で最後に、松枯れの問題を中心にしても、やはり森林組合などが地域でしっかりする、それから営林署もしっかり頑張ってもらわなくちゃならないし、研究所も頑張ってもらわなければならない。総合性を発揮をして、官民が一つになって日本の自然七景観とそれから国土を守っていくんだ、しっかりした国をつくっていくんだ、こういうような意欲を持たせるために、大臣、青森県出身の大臣としてはいい答弁をひとつ欲しいですね。それを聞いてから、私は終わります。
#82
○田名部国務大臣 合併によって組織・経営基盤が充実されますと、経営単位は大きくなりますから、資本効率の高い事業経営が可能になると思っております。大体この地域を見ますと、何となく寂しいという感じがしますので、働く人たちもぱらぱらとやっておったんではやはり効率も上がらぬし、意欲も出てこない。効果があらわれると、これは何でも意欲的になるものでありますが、そういう意味ではこういう事業経営をしていかなきゃならぬと思いますし、なお、優秀な役職員の確保、また組合員、そういうものに対するサービスというものも大きくなれば本当に効率的にやれるだろうと思います。就労条件の改善、それを通じて若い林業労働力の確保ということも進めなきゃならぬし、先ほども申し上げましたが、機械化を進めていく、何をとってみても大変大事だと思いますし、特に作業班のことでも、数においても二・一倍とか、新植面積で二・二倍、いろいろデータが出ておるわけでありますが、いずれにしても合併して適切な森林の整備を図ることができる、こういうふうに考えておりますし、何といっても若い人たちが魅力を持てる、そんなことにいたしませんと、これはどんなに努力しても進んでいかない。そのためには労働条件、いろいろな面をよくしてあげませんと、もっといい方へ流れていく、こういうことになりますので、そういうことを配慮して大きい、大きくてメリットが低下する面があるかもしれませんが、そういうことのないようにしてこの活性化をしていきたい、こう思っております。
#83
○竹内(猛)委員 終わります。
#84
○高村委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時五十分開議
#85
○高村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。石橋大吉君。
#86
○石橋(大)委員 田名部農林水産大臣になりましてから、残念ながら登壇の機会がありませんで、きょう初めて相まみえることになりますから、ひとつよろしくお願いをいたします。
 もう午前中から、田中委員、竹内委員など先輩委員の皆さんから、松くい虫の関係についてはかなり詳しく時間をかけて質問がありましたので、私は、主として森林組合合併助成法の関係にまず重点を置いて幾つかお尋ねをしたいと思います。
 まず初めに、合併によって最終的に森林組合の数を何ぼぐらいにしようとされているのかということをお聞きしたいと思うのです。
 御承知のとおり、森林組合合併助成法が成立したのは昭和三十八年でありますが、以後今日に至るまで、途中で何年間か適用除外期間もありますが、資料によりますと、おおむね次のような経過をたどっております。
 第一期、昭和三十八年四月一日から昭和四十二年十二月三十一日まで。原則として市町村の区域を単位とする合併の促進。この間、合併参加組合数九百六十、合併後の成立組合数三百十六。
 第二期が昭和四十九年五月一日から昭和五十三年三月三十一日まで。市町村の区域を超える広域の地域を地区とする合併の促進。こういうことで、合併参加組合数が二百二十、合併後の成立組合数五十一。
 第三期が昭和五十三年四月一日から昭和五十八年三月三十一日まで。経営基盤の脆弱な組合を解消する合併の促進。こういうことで、合併参加組合数百三十三、合併後の成立組合数四十一。
 第四期、昭和六十二年六月十二日から平成四年三月三十一日まで。森林組合の実施事業の拡大に対応した組織・経営基盤を充実する合併の促進。こういうことで、合併参加組合数が百十四、合併後の成立組合数三十三。
 こういう結果によりまして、森林組合数は昭和三十八年三月末の三千五百四十一が平成二年度末に千六百四十二と半分以下になるとともに、市町村の区域の一部、旧市町村等を地区とする組合は六三%から四%に減少し、逆に市町村単位以上の組合は三七%から九六%、うち市町村の区域を超える広域組合は二%から二〇%に増加する等の成果を上げているとされているわけであります。
 今回の期間延長により、平成九年三月三十一日まで、さらに五年間の延長があるかどうか知りませんけれども、いずれにいたしましても、そういう期間延長によって、最終的に合併によってどれぐらいの数にしようとしているのか、これがまず一つ。
 それから、あわせてこの際一緒に伺いますが、そういうことに関連して、将来の森林組合像というようなものについてどういうふうにお考えになっているのか。最終的な目標数ともそういう意味で非常に関係するわけですが、先ほども申し上げましたとおり、現在まで四期にわたる合併助成によりまして、市町村単位以上の森林組合が九六%に達しているわけであります。森林組合の単位を市町村単位ということにすれば、ほぼ目標は達成されたという状況に近い実態になっているわけです。そうであるとすれば、市町村を超えた広域の森林組合にこれからは重点を移す、こういうことになろうと思います。そういう意味で、将来の森林組合像というものをどういうふうにお考えになっているのか、この際聞いておきたいと思うのです。
 また、今後の重点を広域化に移すとすれば、極めて脆弱な体制のまま組合を広域化しても、かえって活動が一層低迷してしまうおそれはないのかどうか。さらに、広域化することでこれまでの地域的な一体感が失われ、森林組合と組合員との関係が希薄化し、共同体意識が薄れたり地域間格差が生ずるおそれはないのかどうか、この点についてもあわせてお聞きをしておきたいと思います。
 なおもう一つ、同じような性格の質問ですから、この際あわせてお聞きをしておきたいと思いますが、昨年の森林法の改正などによりまして、国有林、民有林あわせて流域管理システムをしっかりやろう、こういうことになっているわけですが、それと、森林組合の役割、配置についてどういうふうにお考えになっておるのか、この際あわせてお伺いをしておきたいと思います。
 以上です。
#87
○小澤政府委員 お答えを申し上げたいと思います。
 森林組合の合併の促進につきましては、昭和三十八年以降、合併により体質強化に努めてまいってきたところでございます。しかし現在、まだ森林組合数は千六百余を数えておるわけでございます。
 まず最初の御質問でございますけれども、今後の最終目標数ということでございますけれども、次期合併促進期間中の合併につきましては、おおむね八百の森林組合が合併に参加をいたし、そして、おおむね二百の合併組合が誕生するということを目指しております。そういたしますと、森林組合の総数は、平成三年度末見込みの千六百強から、合併促進期間終了時、平成八年度末でございますけれども、おおむね千程度となるように、系統、行政を挙げて合併の促進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、将来の森林組合像でありますけれども、今後の流域林業を担う森林組合のあるべき姿といたしましては、流域におきます森林の適切な整備、管理一素材の安定的生産供給、あるいはまた林業従事者の養成確保、高性能機械の導入によります生産性の向上、さらにはまた、山村地域におきます多角的な事業の取り組みを実施し得る組織・経営基盤を有することが必要であると考えているところでございまして、このような形の森林組合ということになりますと、流域内の森林整備・管理の主体としてふさわしい広域の面積規模を有し、かつ、地域の優秀な林業労働力を確保し、そしてまた、森林の造成、素材生産、林産物加工、経営の指導等の各事業を多角的に展開し得る組合であることが必要であると考えておるわけでございます。
 このために、広域合併によりまして今申し上げましたような森林組合の育成を図るということを考えますときに、次期合併促進期間中に、おおむねすべての流域につきまして組織・経営基盤の充実した森林組合が少なくとも一組合は存するようになることが必要であろうということでございまして、これを目標といたしてまいりたいわけでございますけれども、今までの歴史的、経済的なつながりや面積規模等から考えますと、近隣の市を含みます郡単位程度の規模を一つの目安として、地域の実情に即した合併を促進してまいりたいと思うわけでございます。
 なお、この際に広域化に伴って体質が脆弱化してはならないということがございますから、この広域合併組合の体質強化策につきましては、諸般の強化施策を当然とっていかなければならないと考えておりまして、これは予算措置あるいは施策的に強化策も具体的に講じてまいりたいというように考えているところでございます。
 なお、流域管理システムとのかかわりでございますけれども、まさに流域ごとに活性化していくという中で森林組合がその役割を果たしていかなければならないということでございますので、流域管理システムの中核としてふさわしいものに持っていく、そのためには、森林施業の共同化の促進等によります森林の適切な整備や造林、保育に加えまして、素材生産への取り組みの強化も図る、あるいは林業従事者の養成確保、高性能機械の導入等、さらにはまた加工流通部門への取り組みなど多角的な事業展開の役割を果たしていくように考えておるわけでございますけれども、このために、すべての流域、おおむねすべての流域というふうに考えますけれども、組織・経営基盤の充実した森林組合が安定的に発展してまいる方策をあわせ講じまして、流域の活性化ともしっかりとかみ合うように展開してまいりたいと考えているわけでございます。
#88
○石橋(大)委員 次に、さっき申し上げたような形で今までずっと合併が進められてきたわけですが、合併の結果、本当に森林組合の体質が強化をされているのかどうか、この点についてちょっとお聞きをしておきたいと思うのです。
 昭和五十年以降五年ごとの森林組合の組織・経営基盤の変化という林野庁の資料を拝見をいたしますと、一番大きく変化したのは払い込み済み出資金の総額、約三倍、一組合平均で四倍と、これは目覚ましく大きくなっていますが、私が経営体質というか経営の面で一番問題だと思うのは、常勤役職員数の変化だと思います。ほかに作業班があるとしても、総数で五十年の八千三百人が平成二年九千人、一組合平均で三・九人から五。六人にふえている。三・九人から五・六人にふえているといえばある意味では大きいふえ方かもしれませんが、絶対数からいえばまだまだ非常に少ない。これでは極めて人的体制の面からいえば脆弱な状態を脱し切れていない、こういうふうに見受けるわけであります。しかし、その辺の変化はないとしても一例えば人の質、若くて優秀なオペレーターに、数は少ないけれども質を変えたとか、あるいは人手の足らぬ分最新の優秀な機械装備を充実させたとか、こういうことが進んでおれば大変結構だと思いますが、この辺、できれば数字があればいいのですが、そういうことも含めて、実情についてこの際承りたいと思います。
#89
○小澤政府委員 今の御質問に対しましては、数字等で極力具体的にお答え申し上げようと思っておるところでございますが、四期にわたりまして合併促進をしてまいりました。このことによりまして、二市町村以上にまたがります広域森林組合が、法施行時の六十三組合から、これは全体の構成比では二%でございますが、三百十一組合に平成二年度末にふえておりまして、これは二〇%に当たるわけでございます。一組合当たりの組合員所有森林面積は二・二倍になっております。それから、常勤の役職員数は二・四倍に増加しております。
 この場合に、広域組合とそれ以外の組合とを比較いたしますと、常勤役職員数あるいは作業班の班員数それから新植面積、素材生産量、これはいずれも二倍程度の規模になっております。
 そのようなことから、広域合併組合の体質につきましては強化されたというような判断をしているわけでございますけれども、今後流域管理システムの中で中核的役割を担う必要がありますし、組織・経営基盤の脆弱な森林組合は依然として多いという状況でございますために、今後さらに体質の強化を図りたいということでございます。
 そこで、このような観点からお答えを申し上げますと、まさにこの森林組合合併助成法の改正案を提出させていただいているわけでございますが、この中で、今先生がお触れになりましたオペレーターの養成等、人材の育成を図る必要がございます。このために、まず森林組合系統を通じました事業運営等の指導教育活動の促進を図ります。そして、技術系職員の技能研修の実施、あるいは事務の方でございますが、パソコン等の情報機器の導入もさせていただいて事務の効率化を図りたい。それから、林業構造改善事業等によりまして高性能林業機械の導入の促進、これはオペレーターの養成も必要でございますが、これらを組み合わせまして、森林組合の体質強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
#90
○石橋(大)委員 次に、森林組合の体質の強化に関連をして、これは私の個人的な考え方ですが、市町村単位の森林組合の実情を見ても、数も少ないということもありますし、二人か三人の職員が寂しげに窓口に座っている、こういうような状態も非常に多いのですが、これからの労働力需給の長期展望だとか、あるいは森林、木材をめぐる非常に厳しい状況がなお続いているなどからすれば、人的体制を強化をするといっても、また装備を強化をするといっても、なかなか思うようにいかないのではないか。
 そこで、これは私の考え方ですが、当面は県連合会レベルに重点を置いて、若い優秀なオペレーターを充実をする、あわせて機械装備についても一段と強化をしていく。そして、それにかなりの機動性を持たせながら、市町村単位の森林組合とタイアップをして効果的な仕事ができるようなことを、段階的にというか、当面重点的に、総花的にはなかなかできませんから、そこに重点を置いた方法をもっともっと重視をし、考えた方がよくはないか、こういうふうにも思っておるわけですが、その点、いかがでしょうか。
#91
○小澤政府委員 都道府県におきます森林組合連合会、先生もおっしゃいますように大変重要な役割を果たしているわけでございます。この連合会は、素材や製材品の販売等につきまして、規模の利益を生かして個々の森林組合の事業を補完いたしますとともに、系統の上部組織として会員の指導や監査、あるいは連絡を行うことなど、森林組合とはその役割は異にしている面があるわけでございます。
 しかしながら、最近はこの連合会におきましても、高性能機械、タワーヤーダーでございますとかプロセッサー等でございますけれども、こういうのを直接装備をいたしまして、オペレーターも養成し、素材生産事業を実施している例も見られるところでございます。
 これは、私どもこのことにつきましては、連合会が森林組合の事業を補完するという位置づけのもとで行われているというような理解をしているわけでございますが、このような限りにおいて連合会が御活躍されるということはあるわけでございますが、しかし、実質的に造林でございますとか素材生産等の森林施業を担っていく者は基本的にはやはり森林組合であるというように考えるわけでございますので、今回の法案を提出したその最大の理由にもなるわけでございますけれども、個々の森林組合の広域合併を促進いたしまして、流域林業を担います森林組合の体質強化を図ることにさせていただきたいと思うわけでございます。しかし同時に、あわせまして、連合会の補完的な役割も十分機能するように指導等いたしてまいりたいと考えているところでございます。
#92
○石橋(大)委員 若い人たちが市町村単位の今までの森林組合を見ていて抱いているイメージでは、なかなか森林組合に若い労働者を確保することは容易ではない。それが県レベルになれば、やはり財政力もそれなりにあるし、また身分的なステータスからいっても若い人の要望にこたえられる余地も大きいのではないかというふうに考えますので、後でも申し上げますが、これからますます労働力をめぐる産業間の熾烈な競争が激しくなってくる、こういうようなことを念頭に置いたときには、やはり県レベルの人材の充実という問題をかなり重視をすることが必要になってくるのではないかと思いますので、ぜひひとつそういうことを念頭に置いて御検討をいただきたい、これだけ要望しておきます。
 次に、合併即経営基盤の強化、こういうことに目的が置かれているわけですが、しかし、機械的に合併がすぐ経営基盤の強化になるとは言えないわけでありまして、職員が誇りを持ってフルに稼働できるような事業量をちゃんと確保することだとか、さっきから申し上げております機械装備の更新、充実だとか、そういうようなことが非常に大事になってくるわけでありますが、そういう問題についてこれから助成措置などどういうふうにお考えになっているのか、次にお伺いをしておきたいと思います。
#93
○小澤政府委員 合併促進が確かに規模の拡大だけではその目的が達成されないというように思いますので、規模拡大と同時に内容の充実を図る必要がございます。このために、具体的には新たに森林組合合併促進等特別対策事業を創設するというようなこと等を初め、流域林業を担うにふさわしい基盤を持つ森林組合の育成を考えているところでございます。
 それで、この今回の合併の促進の計画事項といたしましては、合併及び事業経営計画があるわけでございますが、この内容としては森林施業の共同化の促進あるいはまた林業従事者の養成確保、林業機械の導入等を内容とする計画を追加するということにしておりますが、同時にまた合併に向けての合意形成の支援、機械、施設の整備等を図る必要がございます。このために新しい事業も創設いたしまして、実質的に内容が充実するように努めてまいりたいと思うわけでございます。
 さらにまた、林業労働力対策でございますとか林業構造改善事業、間伐促進対策、森林総合整備事業等の各般の施策の適切な推進を行いまして、森林組合の経営基盤の強化を図ってまいりたいと考えております。
#94
○石橋(大)委員 次に、不在村者保有の森林面積等の拡大に対する林野行政の対応についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。
 御承知のとおり、九〇年の農業センサスを見ましても、耕作放棄地が非常に拡大をしているわけであります。たしか三十七万八千ヘクタールぐらい、四国、近畿の農耕地を合わせた規模の耕作放棄地が拡大をしているわけですが、それと同じように山林についても、管理を放棄をされて放置をされたような山林が恐らく急速に拡大をしつつあるのではないか、こういう心配をしているわけであります。きょう林野庁からいただきました「不在村者保有の森林面積の推移」を見ましても、昭和四十五年に二百十一万七千ヘクタール、これが昭和五十五年に二百六十四万八千ヘクタール、平成二年には三百万ヘクタール、こういうふうに四十五年から平成二年までの間に約百万ヘクタールぐらいに近い面積の拡大があるわけですね。
 こういう状況は、恐らく水田などの耕作放棄地もこれからさらに拡大をしていくことが非常に心配されていますが、恐らく山林の関係についても同じような傾向にある、こう私は思っているわけですが、こういう問題に対して、森林組合が主として仕事をすることになろうと思っていますけれども、いろいろな新しい問題がやはり出てくるのじゃないかと思っていますが、そこらについて、一体林野庁はどういうふうにお考えになっているのか。
#95
○小澤政府委員 先生が今御指摘されました数字でございますが、不在村者保有の森林が増加しておりまして、平成二年には三百万ヘクタールでございます。これは私有林面積の二二%に達する状況でございます。さらに一万また、林業の採算性が低下しておりますし、あるいは担い手の減少ということもございまして、さらにはまた高齢化の問題もございますけれども、このような状況でございますから、間伐のおくれが見られることなど、森林の整備が必ずしも十分な進展を見ない状況にございます。
 したがいまして、こういう状況に対処して打開をしていくためには、各事業、施策を強化、組み合わせる必要がございますけれども、造林事業はもとより、間伐促進強化対策事業等によります助成措置の活用を行いますとか、特に森林組合が不在村者等からの森林の経営や施業の受託等を推進する必要があると考えておりますが、このためにふるさと森林活性化対策事業というようなことを行っておるわけでございますが、こういう事業を通じまして森林の整備に努めているところでございます。
 さらに、昨年の森林法改正に当たりまして、森林施業の共同化を推進するための施業実施協定制度を創設いたしました。そしてまた、間伐等を早急に実施する必要のある森林につきましては、市町村等が、これは強制的手法ということでございますけれども、分収育林契約を締結することができる裁定制度も創設いたしたわけでございまして、これらの措置を通じまして森林の整備に努めてまいりたいということでございます。
 今後におきましては、この森林計画制度の適切な運用を図りますとともに、森林組合によります不在対者の施業受託等も促進いたしまして、森林の整備を図ります際に、この不在村者等の対策を念頭に置いて推進してまいりたいと考えているところでございます。
#96
○石橋(大)委員 次に、森林組合の作業班の労働者の確保に関連をしてお尋ねをしておきたいと思います。
 さっきもちょっと触れましたが、去年、おととしですか、出しました労働省の労働力需給の長期見通しによりますと、西暦二〇〇〇年に我が国の労働力の需給ギャップは三・九%、二百五十八万人、約二百六十万人の労働者が不足をする。二〇〇五年には需給ギャップが八・五%で五百五十八万八千人の労働者が不足をする。二〇一〇年には需給ギャップが一四・一%で九百十万人の労働者が不足をする、こういう長期見通しがあるわけです。こうなってきますと、去年の森林法の改正のときにも申し上げましたが、若い労働者をめぐる産業間の争奪戦が激化をする。最近ちょっと景気が悪いものですから、合理化などで少し人手が浮くような感じもないことはないのですが、長期的に見ると、そういう意味では非常に厳しい。ですから、現状のまま放置をしておくと、森林組合の作業班の労働者はもちろん、林業に従事する人々は激減をする、こう見ておかなければならぬと思うのですね。
 ちなみに林野庁の資料によりますと、林業就業者の年齢構成の推移などを見ますと、昭和五十年に五十歳以上の人が三六%あったものが、平成二年には六九%になっているわけです。七割は五十歳以上です。林野庁の資料には六十五歳以上というやつはありませんけれども、恐らくこの七割の中身は六十五歳から上の人が多い、こういう状態ではなかろうか。余り厳しくて表に出せない、こういうことで伏せておるのかどうか知りませんが、どっちにしてもかなり厳しい状況、こういうことを考えますと、何としても若い労働者を確保することを真剣に考えなければならぬ、こういう状況にあるわけであります。
 そこで、例えば賃金を見ましても、建設業と比較したデータしかいただいておりませんが、平成二年に林業の切り出し作業の職種平均賃金、かなり重労働に属する部分だと思いますが、林業は九千四百六十円、一日の平均賃金。建設業が一万一千二百七十円。そう大きな開きではないかなという感じはしないこともないのですが、どっち。にしても賃金、社会保障制度の適用その他で、数が少なければやはり場合によっては他の産業にまさるぐらいな処遇を考えないと労働者の確保はできなくなる、こういうふうに私は非常に心配をしておるわけです。この点について林野庁の御所見を伺いたいと思います。
#97
○小澤政府委員 先生御指摘のように、林業労働者につきましては平均年齢が大変高くなっておりますとともに、年齢構成も高齢層に動いてきております。また同時に人数も減少している、こういう状況にございます。この中で、こういう状況を打開し、これからの若い方々にも参入していただくためには、やはりこの林業というものを何としても魅力のある職場、産業という形にしていかなければならないと考えておるところでございます。
 森林の維持管理に当たり、また森林を整備していくということは大変誇りの持てる職業ではございますけれども、一方で今先生も御指摘になりましたような条件はよくないという見方は当然あるわけでございますので、ここのところを改善していく必要がございます。
 そのためには事業量の安定的確保等によります雇用の長期化、安定化というような問題、また月給制の導入ですとか社会保険加入の促進、さらにはまた休日や労働時間の適正化、まさに他産業並みの条件に持っていかなければならないということもございます。
 そのような状況の中で機械化の推進等も促進しておりますのは、やはり労働強度の軽減ということもございますけれども、同時に安全の確保をやり、スマートな仕事をやれるということで魅力をつけたい。しかも、高能率になることによりまして賃金、給与とも関連してまいるだろうということ。でございます。
 そのような中で森林組合の作業班の育成確保ということも考えていくわけでございますけれども、今般の広域合併というようなことによりまして基盤を整備確立して、魅力のある職場環境づくりもやってまいる。さらには平成四年度から新規に創設いたします合併促進等の特別対策事業によりまして、作業班におきます技能の向上でありますとか機械施設の整備、これらを推進することによりまして、魅力ある状況に一歩一歩近づけてまいりたいと考えております。
#98
○石橋(大)委員 今の点は、材木を売ってその金でやろうと思っても現状ではできない。国有林の場合もそうですが、いろいろな意味で国民のための非常に重要な資源なんですから、やはり一般会計からの思い切った財政的な支出も含めて、林野行政に責任のある林野庁の皆さん頑張って、今言ったような問題を解決するために全力を挙げていただきたい、このことだけお願いをしておきます。
 森林組合に関する問題はもう一つ予定していましたが、時間がありませんからこれは飛ばします。
 最後に、松くい虫に関連して二つ、三つ質問したいと思いますが、十分余りしか時間がありませんので、ひとつ簡単に要領よくお答えをいただきたい、こう思います。
 まず一つは、松くい虫の防除をめぐる一番基本的な問題点は、特別防除という農薬の空中散布による方法は、御承知のとおり病原を直接たたく方法ではない、病原はマツノザイセンチュウ、空散によってターゲットになっておるのはそれを媒介するマツノマダラカミキリ、こういうことになっているわけですから、間接的な方法であります。ここに根本的な大きな問題点がある、こういうふうに言われているわけですが、直接病原をたたく、こういうようなことを含めて、こういう問題点についてどうお考えになっているのか。
 それから、まとめて言いますよ、二つ目は、防除面積は被害面積の数分の一、これはちょっと表現がよくないのですが、松くい虫にやられている松林の被害面積の大体五分の一ぐらいに空中散布、特別防除をやっている。そういう意味でいうと、被害地域に対する全面的な特別防除ができないところになかなか松くい虫をやっつけられない根本的な問題点の一つがあるんじゃないか、こういう厳しい批判もあるわけです。これが二つ目、これはどう考えるか。
 三つ目は、防除適期から少しずつずれて散布され続けてきた問題点をどう克服するか。恐らく、松くい虫は生き物ですから、羽化するときには気温だとか湿度だとか風だとかいろいろと気象条件の変化などによってある程度左右されるところもあるのじゃないか、こういう感じもしているわけですが、ヘリコプターを飛ばして空中散布する方は、非常に限られた飛行機の機数、そして全国的な日程をちゃんとしっかり組んで農薬散布をするわけですから、そういうマダラカミキリの羽化の時期と空散の時期がぴたっと一致をしていない、ここに空散をしながらもなかなか絶滅できなかった原因があるのじゃないか、これをどういうふうに考えているか。
 四つ目は、森林防除に対する研究の現地適用への難しさをどう考えているか。実験では、試験研究のレベルでは非常にうまくいく、しかし、生きた山林を相手にしたときにはなかなかうまくいかない、こういうところに問題点があるのじゃないか、こう言われているわけですが、この四つの点について、さっき申しましたように非常に時間がありませんので、できるだけ要領よく簡単に、的確にひとつ、お答えをいただきたい。
#99
○小澤政府委員 最初に、まずマツノザイセンチュウを直接たたく方法いかんといいますか、それをやるべきではないかということでございますが、この問題につきましては、マツノザイセツチュウ自身は線虫でございまして、みずから移動能力がございません。これを運んでいるのはマツノマダラカミキリであるということで、マツノマダラカミキリをたたく方法を使っているわけでございます。ただ、マツノザイセンチュウを直接にたたくといいますか、その力を弱める方法も皆無ではございません。
 例えば、樹幹注入方式によります防除の仕方というのは確かにございます。しかしながら、これは草木的な木でございますとか少数の松の樹木でございますと効果発揮はいたしますけれども、広域な森林全体でこういうことはなかなか難しゅうございますので、広域的な防除につきましてはマダラガミキリを駆除対象として実施させていただきたい、このように思っているわけでございます。
 二点目の防除面積でございますけれども、確かに先生御指摘されますように被害面積は大変大きいわけでございますけれども、その中で特別防除をできるあるいは実施している面積というものはどうしても限られるわけでございます。これは現実的。にそうなりますし、またそれ自身を拡大することだけでは防除全体ができないということで、総合防除方式をとっているわけでございますけれども、今後は特に保全すべき松林を重点化しつつ、さらに被圧木の伐倒駆除も含めまして効果のある防除方式を実施すると同時に、特別防除等の周辺松林につきましては樹種転換を積極的に実施いたしていくことにしておりまして、このような方法をあわせることによりまして、防除効果を上げてまいりたいという考えでございます。
 それから次の防除の適期の問題がございますが、これにつきましては、まず毎年発生予察というものを行いまして、この発生の予察、予測につきましては当年度の気象条件等も勘案して行うわけで、そして航空機の運航スケジュール等の調整を図るわけでございますけれども、これまでのいろいろな経験からこれを考えてみますと、経験によりまして申し上げますと、松くい虫の羽化脱出の時期というのは、毎年おおむねは一定しているのですが、しかし、年によりまして一週間程度ずれているということは私どももわかっております。
 そこで、このようなずれというものを克服するために、薬剤散布につきましては二回実施することにしておるわけでございますけれども、一回の薬剤散布によります効果というものはおおむね三週間持続するということでございます。二回入れますと、六週間効果があるということになりますから、ここのところで羽化脱出のずれの調整等を、それから航空機利用を行います際に、これは天候その他で若干の変更ということもございますし、その辺の調整が図れるというように考えているところでございます。
 それから四点目の研究でございますが、研究の現地へおろすという場合の現地適用の問題でございますけれども、これにつきましてはいろいろな研究を今進めておりまして、先ほども申しました樹幹注入方式の開発でございますとか、さらに薬剤の空中散布におきましても、散布飛散、飛び散らないように集中的に非常にきめ細かく行うような散布装置の開発、こういうものほかなり実用化してきておるわけでございます。さらに天敵を利用する防除技術につきましても、今までの研究成果等から、平成四年度から新たにアカゲラ等の天敵を防除に使おうということもしているわけでございます。
 このほかいろいろな研究につきましては、さらに現在進めているものが幾つかございますけれども、これからは行政それから研究部門、さらにまた普及部門、これらが相互に連携を図りながら、現地に即した防除技術の開発と定着に努めてまいりたいと考えております。
#100
○石橋(大)委員 時間がなくなりましたので飛ばして、最後大臣にちょっと見解を承りたいと思いますが、今の林野庁長官の答弁に関連して一つだけ申し上げておきますが、空中防除とマツノマダラカミキリの羽化に若干のずれがある、大きいときには一週間程度。しかし、これは散布をした薬剤の効果が大体一回で三週間だ、二回やるから六週間だ、十分そのずれはこのことによって解消できる、こういう御説明でしたが、私はこれについても実は疑問を持っているのです。
 なぜかといいますと、例えば環境委員会での我が党の岡崎トミ子議員の質問に対する林野庁の答弁の中で、茨城県の被害率三〇%の松林で、一ヘクタール当たり一万三千頭のマツノマダラカミキリの抜け跡があった、奈良では一ヘクタール当たり千七百頭を超えるものがあった、こういうふうに言われておるわけですね。仮にこれくらいのマダラカミキリが生息をしておるものとして、さっき長官が言われたような前後六週間にわたって効果を発揮できるような状態であるとすれば、マダラカミキリの死骸は相当累々たるものがなければいかぬと私は思っているのですが、残念ながらあっちこっちで昆虫学者や何かが詳細に調査をしたところでは、ほとんど死骸が見つからない。林野庁の調査をかりて言いましても、林業試験場の調査では一カ月間の拾いとり調査で約四十四頭が見つかった、これは七九年の古いデータだと言っていますが、どっちにしても、こういう実情と効果との関係には非常に大きな乖離があるのではないか、こう思っているわけであります。問題点は残念ながらなくなっていないのではないかと思っていますので、ぜひひとつこういう点はさらに効果のあるような方向を検討していただきたい、こういうことを申し上げておきます。
 それからもう一つ、私たちの議論の過程で非常に問題になったのは、行政に対する不信感が非常に強いのです。今までいろいろなことで林野庁の政策の中で、住民組織、住民に対する周知徹底をするとかいろいろなことが考えられてきていますが、ほとんどやられていない、そのために非常に不信感がある。これは島根県の行政監察事務所のデータをもって具体的なことを申し上げようと思っていましたが、もう時間がありませんから、後がありますから私はこれを省略しますが、どっちにしてもそういう行政不信を解消することが今度の延長に当たっては非常に強く求められているわけであります。
 最後に大臣に、そういうことを含めて、また、森林組合を中心にした林業の、さっきの労働者不足の問題なども含めまして、大臣の高度な政治判断というか、所見をひとつ最後に伺って終わりたいと思います。
#101
○田名部国務大臣 それぞれ先生方の御意見、御質問を伺っておって、松くい虫の退治というのは本当に難しいんだなという感じがいたしました。しかし、それにもかかわらず何とかこれに挑戦しておるわけであります。そのことはこれからも新しいことをやってまいりますので、なお一層努力をしたい、こういうことを申し上げると同時に、住民の不信感、そのことももっと本当に配慮をしてやります。
 空中散布できないという残ったところをどうするかというと、結局手でやらざるを得ない、広範囲でありますので。もうこれは本当に国民挙げて、市町村挙げてこれに取り組んで守ることをしていかなければならぬ、こう思っておりますし、また森林は、もう今さら先生に申し上げるまでもないことでありますが、国土の保全、水資源の涵養、さまざまな国民生活にとって大変重要な役割をいたしておりますから、何といっても間伐材がおくれておる、森林の整備は必ずしも十分な進展をしていない、私どもも本当にそう思っております。
 したがいまして、昨年も森林法を改正いたしまして、民間林、国有林を通じた流域管理システムというものを考えて、これで何とか活性化を図りたい、こういうことで今いろいろと進めておるところでありますが、いずれにしても、これを進めることと森林組合の体質の強化を図る、ゼロから十人程度の組合員でやっているところも多いものですから。そしてまた担い手の育成、機械化、そういったものを総合的に対策を講じながら、何とか他産業並みの勤務状況、所得、そういうものがなければ、基本的に林業も農業も私は若い人たちが喜んでやってもらえると思っておりませんので、何とかそういう方法で林業の活性化を一層進めてまいりたい、こう思っております。
#102
○石橋(大)委員 大臣の発言に基づいて、ひとつさらに頑張っていただきますようにお願いしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#103
○高村委員長 藤原房雄君。
#104
○藤原委員 時間をいただきまして、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案と森林組合合併助成法の一部を改正する法律案、数点にわたりまして質問をいたしたいと思います。
 質問に先立ちまして、本日、畜産振興審議会の酪農部会に、畜産物価格の中で注目されております酪農部会におきます加工原料乳の保証価格、政府の諮問、けさほど見させていただきましたが、一昨日、この問題についても、大臣は予算委員会等で出席できませんでしたが、私どもも現状を踏まえましていろいろなことを御提言申し上げましたし、また非常に緊迫した窮状にある、こういうことを痛切に感じまして、それらのことについての問題点提起をいたしました。
 大臣もこの審議会の審議の様子についてはお聞きになっていらっしゃることだと思うのでありますが、今回のこの諮問の内容を見ますと、それらのものが反映されているかどうか、非常に疑問に思う点もございます。どうか農民の納得のいく形で最後のこの保証価格の決定をしていただきたいということとともに、ぜひ大臣、時間を見出していただきまして、大規模に、そしてまた国の施策にのっとって一生懸命この新しい時代を目指して努力をいたしております酪農の実態を、現場をひとつ視察をしていただきたい。専業で大規模で、そして国の方針に従って一生懸命やった人ほど、今回のこの急激なぬれ子の価格の低落を初めとします諸問題で非常に苦悩いたしておりまして、兼業もしくは頭数の少ないところでは、また農外収入のあるところではある程度カバーができるという、こういう実態からしまして、大きくそしてまた国の方針にのっとった方々のためにと私は声を大にして叫んだわけでございますが、その点ひとつ十分に考慮していただきたいものだとまず冒頭に申し上げておきたいと思います。
 それで大臣、現場の視察等も含めて一言だけちょっと……。
#105
○田名部国務大臣 かねがねいろんなお話を承って、一度その実態を見せていただきたい。大規模なところとまた中小、そういうところも見させていただいて、本当にどういう経営をなさっておるのか、実態をこの目で一度見せていただきたい、こう思っております。
#106
○藤原委員 では、審議に入らしていただきます。
 時間もありませんので何点かに絞って申し上げたいと思うのでありますが、まず最初に現状認識といいますか、この十五年間の経過を見ますと、林野庁としましても何とかこの原因究明、その原因に対する対策、こういうことで大変に御努力をなさったことは私どもよくその経緯を存じておりますが、今回の法改正に当たりまして主な点は、被害対策の対象松林の範囲の限定とか伐倒駆除命令の充実とか計画対象松林の区域の明確化、樹種転換の促進、こういう項目が今度の改正点の主なことだろうと思うのであります。
 これらのことにつきまして、新しい改正点をもってこれから五年間延長しまして対策に乗り出そうというわけでありますが、この十五年の長きにわたってのいろんな経験を踏まえて、その反省の上に立ってのこれらの改正点だろうと思います。これらのことが一つの大きな対策のかなめとなって、今後のこの防除の、また予防の見通し等については林野庁としてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか。まあ終息という言葉もありますけれども、なかなか容易ならざる現状にあるだろうと思うのでありますが、林野庁のまずその決意と、この法律を単純延長ではなくして、十五年の経験を踏まえた上に立ってのこのたびの改正ということ、こういうことで今後の見通し、そしてまた取り組む姿勢、決意、こういうことを含めて長官からお伺いしておきたいと思います。
#107
○小澤政府委員 お答えをいたしたいと思います。
 十五年間実施してまいりまして、確かにピーク時の四割水準の被害量にはなったとはいえ、まだまだ被害が続いている状況にございます。これを振り返ってみますと、林業を取り巻く情勢が大変厳しいということもございますけれども、感染源除去という意味で有効な樹種転換というようなことがなかなか簡単に進まなかったというようなこともございますし、それからさらに、従来駆除対象とされていなかった被圧等による枯死木、これも感染源でございます。このような経験を今回洗い直してみたわけでございまして、今までの経験、知識等をすべて今後の対策に投入する考えでございます。
 したがいまして、改正法案におきましては、防除を必要とする地域を重点的に実施するということにしておりますし、同時に、被圧等による枯死木につきまして伐倒駆除命令が出せるように、行えるようにするということ。それから、感染源除去等のために樹種転換を積極的に進めていくということ。これにつきましては、こういう施業の担い手でございます森林組合等に対しまして、都道府県知事が必要な助言、指導、勧告を行うことができるようにするという所要の改善策を加えることによりまして、今後における松くい虫の防除の徹底を期しまして、異常な被害の終息を図りますよう全力を挙げて取り組む所存でございます。
#108
○藤原委員 現状を見ますと、ひところの最盛期に比べますと四割方ということでございますけれども、各地域別に見ますと、東北とか北陸、東山、こういうところは十五年前その割でもなかったのがだんだんふえておるという、地域によりましていろいろ状況があるようであります。中国は余り変わらないような状況にあるというように、都道府県別にも、いただいた資料を見ますと平成二年度より三年度の方が三%ほど増加しておるということですが、二十三都県では増加をし二十一府県では減少しておる。一県では増減なし。こういうことも言われておりますが、全国レベルで立方メートルとか平方メートルとかということになるとあれですが、実際対応策を講ずるのは都道府県単位ということから見ますと、そう減少傾向にあるということも言えないのではないか、こう思うわけであります。
 それで、当初この法律ができたとき、また五年たって改正するとき、原因というのはマツノマダラカミキリやマツノザイセンチュウ、これらのものに対して徹底的な防除を行えば被害は終息の方向に向かうだろう、そういう御答弁もあったやに思うのでありますが、私はそういうことからいいまして、被害発生のメカニズムというのは、今言われておることだけではなくてほかの要因というものもあるのではないかということや、防除の手段というものに本当に有効性があったのかどうか、それから今後気象条件等によって激増する可能性はないのかどうか、こんなことを考えざるを得ないのですけれども、林野庁としましてはこういうこと等についてはどのように現在お考えになっていらっしゃるか、お伺いしておきたいと思います。
#109
○小澤政府委員 全国的に被害がこの十五年間に広がってきております。当初はやはり西日本でございますとか九州地区等が非常に多かったわけでございますが、その後、関東地区から、さらに現在は北海道、青森県を除く全国的な被害状況になっている、ということもございまして、地域別に見ればいろいろと移り変わりはございますけれども、とにかく範囲が拡大しておりますために、防除につきましても徹底してまいる必要があると考えております。
 発生メカニズムにつきましては、試験研究機関も鋭意努力をしてくれまして、解明は進んでまいってきておりますけれども、これに対する防除手段というものは単一手法ではなくて、多種多様に組み合わせを行うということがやはり有効であると考えております。
 今までの防除手法そのものについて、効果はそれぞれに発揮したと考えておりますけれども、先ほども申し上げましたように、この十五年間の経験も生かし、さらに広域化している状況というものをよく見きわめまして、私ども今後も新しい手段、方法で投入できるものはすべて投入するという形で今後も取り組ませていただきたいと考えております。
#110
○藤原委員 非常に気象にも左右される、湿気の少ない気温の高いときには非常に発生しやすい、こういうこと等もございまして、決して油断のできない状況にある。こういうことからいいまして、そういう気象条件になりますと激増する可能性も秘めているのではないか、こういう危倶を抱いているわけであります。
 いずれにしましても、現在までのことについては対症療法的なことについての対策であったと思うのでありますが、予防技術の開発促進、言うのは易しいことでありますが、どこまでできるか。こんなととを考えますと、予防措置に対する研究というものをもっと充実させなければならないのではないか。
 今度、新しい樹種転換を初めとします何点かについては確かに新しい手法というものが取り入れられることになりますが、もっと根本的な問題につきまして、こういう眼で見ますと、現在の予算とか林業白書、こういうものを見ますと、森林総合研究所及び林木育種センターの研究開発費というのは非常に少ないのではないか。平成三年度で五千二百万。松くい虫対策だけではなくてそのほかのことについても含めての金額でありますから、単純に他との比較で多い少ないというそんなことを私は言っているわけではないのですけれども、事の重要性にかんがみますと、もし対応策が完全にとられない、もし防除というものについてそれなりの効果を発揮しないということになりますと大変な被害をこうむるわけでありますから、相当な取り組みでなければならないということであります。五年ごとに状況を判断して云々ということではなくて、相当な研究開発や対応策、十五年を顧みましても惰性的なやり方ではならぬなという感じがするのです。
 もちろん、最近におきましては酸性雨対策とかいろいろなことについても言われておりますから、そういうものも研究しなければなりませんし、多方面にわたることはよくわかっております。けれども、十五年たって一進一退でもございませんが、なかなか終局、終息という方向に向かっているとは言えない現状、そしてまた複雑な要因がこの中にあるということ等も考えますと、それから被害額の非常に大きい現状にかんがみまして、これはぜひ研究開発の予算というものを考えるべきであると私は思うのですが、大臣、これは予算ですから、大臣にしっかりひとつこの辺のことについてお考えいただかなければならぬ、こう思うのですが、いかがですか。
#111
○小澤政府委員 先ほど研究費の金額にも触れられましたので、若干私の方からお答えさせていただきたいわけでございます。
 防除技術の開発の推進、大変有効な手段でもございますし、私どももこの予算の確保あるいは技術開発ということには力を注いでまいりたいということで、今までも新技術の開発でございますとか、抵抗性を有する松の育成あるいは天敵の利用促進というような、あるいは被害の発生予測技術ということでやってまいっておりますが、予算になりますと変化がございます。
 この中で、国立の森林総合研究所あるいは公立の林業試験場等について見ますと、平成四年度の概算額が、松くい虫防除に係る部門だけでございますけれども千六百万円、しかしこれは前年度の千四百万円から見れば増加しているということでございます。ただ、天敵利用による松くい虫防除の調査につきましては、実は四年度減少しておりますのは、天敵利用が一応めどがついてきたということがございまして、本年度から実用化にも移るということで、ここは若干少なくなっているところでございます。そのほか、林木育種事業につきましては、これは大変有効な手段でございますので、これにつきましては相当強化をいたすということで、三年度四百三十万円の予算が一千万円強になっているということでございます。
 しかしながら、まだまだ技術開発あるいは研究開発が必要でございますので、必要な予算の確保には今後私どもも一生懸命に努めてまいりたいと考えております。
#112
○田名部国務大臣 大体解明できた分では防除を一生懸命やっておりますが、さらに研究を進めるということでこの点にも今度は予算を多くとってやっていかなければならぬ、そう思っております。
 多方面にわたって、伐倒駆除でありますとか、この前元大臣でありました加藤六月先生に、和華松というのを知っているか、こう言われまして、勉強不足でわかりませんでしたが、中国と日本の松をかけ合わせたもので松くい虫に強いものがある、こういうお話を伺ったわけでありますが、そうしたものとか、あるいはマツノザイセンチュウに抵抗性のある松を被害分から選抜して供給するための研究開発、いずれにしても、防除技術の多様化と防除技術の開発あるいは育種面、いろいろな研究をしていかなければならぬ、こう思いますので、いずれにしても予算が伴うことでありますから、この分についても一生懸命努力をいたしてまいりたい、こう思っております。
#113
○藤原委員 金をかければ防除ができるという単純なものじゃないのかもしれませんが、先ほど来申し上げておりますように山の仕事は大変に労働もきつい、そしてまた広範囲である、こういう中でのことでありますから、有効な手段があったとしましても、それを実施するには相当な経費がかかるわけでありますし、林野庁、一体この防除ということをしないということになると、これは一体どれくらいの被害になるのか。七千億とか八千億とかいろいろ試算なさっているようでありますが、膨大な日本のとうとい資源が失われるということ等も考え合わせますと、一千四百万どうするこうする、こういうところじゃない、研究開発とともに、もっと真剣なこの防除のための諸施策というのは講じられなければならないのではないか。金で一切解決がつくということを申し上げているのでは決してありませんが、私ども現場を見まして、確かにもう少し力を入れていくべきところであろうかと思います。今大臣から、予算等については十分検討いたしましょうということでございますから、この点ぜひひとつ現状を分析いたしまして、この被害の大きな現状にかんがみまして適切な配慮をいただきたいもの、こう思うわけであります。
 次に移ります。
 法改正のことにつきまして、改正点の中で都道府県実施計画の対象松林の範囲の限定ということがございますが、今後の被害対策の進め方は、この法改正によりましてどのように変わるのか。今後のこの法改正に伴います具体的な方途について御説明をいただきたいと思います。
#114
○小澤政府委員 今回、対策を行います地域、特に保全すべき松林等の区域を限定すると申しますか、ここのところをなぜこういうふうにしたかということを申し上げたいと思うわけでございます。
 今までは松くい虫の被害というのは非常に外延的に拡大といいますか、地域が外側へ広がる傾向があったわけでございます。そこで、従前は先端部分をたたく、防除をするという形をとってまいったのですが、最近におきましては、被害量もピーク時の四割水準に減少したということもありますけれども、外側へ向かって拡大というのがほぼ停止しつつある状況でございます。ただし、内側のところはなかなかおさまらないという実態もございますので、ここのところに対応したいということでございまして、そこで、むしろ保全すべき松林あるいはその周辺の松林において重点的な対策を講ずることがより効果的であるという判断に立ちまして、今回、都道府県実施計画の対象松林及び知事等が特別防除を直接できる松林群を限定する方式に改め、防除を徹底してまいりたいと考えているところであります。
#115
○藤原委員 松林の限定というのは今度は都道府県知事等が行う防除の直接実施の松林を限定するということになるわけでありますが、百万立方からの被害が発生しているこういう段階では時期尚早ではないか、こういう声も聞かれるわけであります。それから都道府県実施計画の対象松林の絞り込み、これは国や都道府県が市町村とか松林所有者の方々に現在以上に防除の負担を負わせることになるのではないか、こんなことも考えられるわけでございますが、これらについてはいかがでしょうか。
#116
○小澤政府委員 都道府県知事が行う、あるいはそれ以外の自治体等が行うということの区分けがありますのは、あくまでも被害の態様によりまして決めていく考えでございますけれども、今回都道府県知事等が防除を実施する地域を重点的に決めてやるということでございます。一方で、それでは都道府県実施計画の対象とならない松林につきましては、地区実施計画の対象といたす考えでございます。
 この地区計画に基づく防除につきましては松林所有者等の自主的な防除によって行うわけでございますが、これにつきましては奨励防除事業ということで補助対象となるわけでありまして、そのような意味で負担の区分も異なるということでございますけれども、それはそれぞれの対応でやらせていただきたいというところでございます。
 なお、それでは市町村や松林所有者に負担が増加するかどうかという問題でございますけれども、私ども、今後の対象松林の面積等につきましてもどのようになるかということでいろいろと見ておりますが、防除の重点化を図ることによりまして地区実施計画の対象松林も全体としては面積が減少すると見ておりますので、全体といたしましては市町村や松林所有者に対する負担が直接増加することはないであろうというように考えておるところでございます。
#117
○藤原委員 次に、樹種転換ですね。樹種転換、今度新しくこういう考え方が入るわけでありますけれども、伐倒駆除はどちらかというと迅速な対応ということではありますけれども、樹種転換には非常に時間がかかるし、所有者に人手や費用がかかる、こういう面があろうかと思います。今後の樹種転換を推進するに当たりまして、今後どういう考え方でこれを進めていこうとするのか、今日までもこの樹種転換ということについてはいろいろ議論されておったわけでありますが、現状、この進捗状況とか、進まない原因とか、こういうこと等について、樹種転換にまつわります諸問題について、お伺いしておきたいと思います。
    〔委員長退席、岩村委員長代理着席〕
#118
○小澤政府委員 樹種転換が有効な手段でありながらなかなか進まなかったという理由につきましては、やはり林業全体の状況が厳しいということもございますけれども、そのような点を踏まえまして、今後樹種転換策を推進するという考えでございますが、この場合に、まずこの樹種転換、実際に森林の施業という形で担っていただきます森林組合でございます。あるいはまた、森林の整備法人がございますけれども、このような実際の担い手に対しまして、都道府県知事から必要な助言や指導等を行っていくようにするということを新たな方式としてやらせていただきたいというように思いますし、また同時に、実際に予算面におきましても、このような事業が促進できますように、広葉樹林等へ樹移転換する場合にこれを支援する体制が必要でございます。このために、松林保護樹林帯緊急造成事業という事業を四年度から新たに創設してまいりまして、これにつきましては補助の内容等も高率なものを考えていくわけでございます。
 そのほか、感染源除去事業の拡充でございますとか、それから都府県が、この伐採あるいは松材の利用という問題でございますけれども、これらにつきまして計画の策定を行う、あるいは森林、松林の所有者等に指導を行うために樹種転換推進事業を新たに実施する、このような形で円滑な樹種転換の推進を図りたいと考えております。
#119
○藤原委員 今度の改正の中で補完伐倒駆除が追加されておりますけれども、これはどのぐらいのことが見込まれているのか、ちょっとお伺いしておきたいと思うのです。
#120
○小澤政府委員 この補完伐倒駆除につきましては、新たに実施してまいりたいと考えております。
 被害木の駆除とあわせまして、被圧等によります枯死木も駆除をするということでございますが、具体的にはどのくらいかと申しますと、平成四年度の予算におきましては、命令に基づいて行うもの六千六百立方メートル、松林所有者等の自主的な防除、これは奨励防除でございますけれども、これを五千六百立方メートル、計一万二千二百立方メートルを予定しているところでございます。
#121
○藤原委員 今日までの十五年にわたります経過を踏まえまして、被害を受けたところ、また防除をいたしましたところ、いろいろあるわけでございますが、被害を受けたところについてその後どういう管理をしてきたのかというこの対応ですね、被害地域に対する。一回被害を受けたところにつきましては、それなりの対応策がその地域、地域に即した形で講じられるのだろうと思いますけれども、防除ということについては、私どもは頭が働いて、どうするかという対応策、これを真剣に議論するのでありますけれども、その被害を受けた地域についての後の管理はどうなっているのか、それをちょっとお伺いしておきたいと思います。
#122
○小澤政府委員 被害が鎮静化した後の松林の取り扱いでございますけれども、この扱いにつきまして、私ども最も重要と考えておりますのは、やはり後の育林の問題がございます。
 具体的には除伐、間伐等を促進する必要のあるところが大変多いわけでございますので、この隙間伐等の実施を通じまして適切な松林管理を行いまして、松くい虫被害の再発を防ぐということが必要であると考えております。このために、造林事業ですとかあるいは間伐の実施事業によりまして事業実施を推進いたしまして、今後ともより一層健全な松林の育成に努めてまいりたいと考えております。
#123
○藤原委員 次に移りますが、特別防除についてですけれども、六十二年の三月二十四日、衆議院におきます当委員会におきます附帯決議の中にも、「緊急伐倒駆除については、森林所有者の理解と協力を得て円滑に実施できるよう、その手続き等に遺漏なきよう努めること。」という附帯決議もございますが、実施段階では住民への徹底をということが第一条件になろうかと思うのでありますが、今日に至るもいろいろな団体、市民団体を初めとします、この特別防除、空中散布につきましては慎重を欠いているのではないかと思われるような提起がなされております。この空中散布に対します慎重でなければならないという再三にわたります附帯決議があるにもかかわらず、こういう声が出るというのは非常に残念なことでありますが、実態的にはこれはどういうことなのか、また空中散布におきましては、薬剤の種類とか散布に当たっての取り扱いの留意事項とか、こういう問題等について、実態的な面からひとつお話しをいただきたい、こう思います。
#124
○小澤政府委員 薬剤の散布に伴います危被害の防止、これは私どもとしても最も重要な事項の一つであると考えて努力をしているところではございますけれども、この危被害の申し出件数、都府県からの報告をいただくわけでありますが、これの実態は、近年におきましては相当減少しているということではございますけれども、平成二年度の実態で見ますと、養蚕に対する被害等四件ございました。
 ただ、これまでのところ人体に直接被害があったとの報告は得ておりませんけれども、しかしながら、この危被害防止につきましては、実態というものをよく私どもも把握をいたす必要がございます。そして、今後の危被害防止に万全を期してまいりたいということを考えておるわけでございますが、実際に特別防除を行います場合の薬剤の選定や散布につきましては、当然この薬剤につきましては農薬取締法に基づきまして登録された農薬を使用いたしますが、同時に実施に当たりまして貴重な動植物の生息地、病院、学校等の周辺においては実施しないということ、あるいは環境の保全や農業、漁業等への被害防止のための必要な措置は講ずる。それから地区説明会の開催等でございますけれども、地元の方々の理解と協力を得るということ、あるいは農薬登録における使用方法及び使用上の注意事項等を遵守する、あるいは風というものの影響がございますけれども、風の向きあるいは風速に十分注意をし、一定の風速以上の風があるときには散布を中止するということなど、安全かつ適切な実施に努めているところでございます。
 今後、この点につきましてさらに徹底するように指導も行ってまいりたいと考えております。
#125
○藤原委員 薫蒸とか樹幹注入とかいろいろな対応策があるわけでありますが、空中散布というのはある面積のところ、しかも山林ですから平たん地ではないところが多いのだろうと思います。そういうところではやむを得ないところもあるのかもしれませんが、慎重でなければなりませんし、限定的でなければならない、こんな思いがしてならないわけでありますし、今日までもそういう議論が続いておったわけであります。
 空散にかわる防除方法というものについての研究というか、こういうものについてはいかがなんでしょうか。これは、農業における農薬散布につきましても、ヘリコプターでやりますと、ある高度からですと、どうしても広域的に飛散するということからいいまして、リモコンヘリを使ってという、こんなことも、稲作や何かですと平たん地でもやるものですからそういうことが可能なのかもしれません。ところが、林野庁のお話を聞きますと、林野におきましてもリモコンヘリを使っているところがあるというお話でもございましたが、空中散布の地域についてはそういう実態を把握してできるだけ適切に対応しなければならぬということはもちろんでありますが、できるだけ、ある高度から飛散いたします、関係のない地域にまで飛び散るような状況の中での空中散布ということじゃなくて、もっと有効なものの研究開発をしていかなければならない。方法、手段を考えなければならない。広域的にやるのだからやむを得ないということではなくて、最小限の、今長官からもお話ありましたように、いろいろな微生物や何かに影響もあること等も考え合わせますと、こういう点についての研究というのは大事じゃないかと思います。
 このことについて、何か林野庁としてお考えがあったらお聞きしておきます。
#126
○小澤政府委員 特別防除を行います基本的な方針につきましては、先ほども申し上げまして、風速とかそういうことにも十分留意して行うということでございますけれども、さらに新しい技術面ということで若干お答え申し上げますと、リモコンヘリコプターのことが出ておりますが、私の方でも今この問題につきましては実験的に一部やっておりますが、まだ一般的に事業としてやるところまでは至っておりません。
 なお、散布を空中から行う場合でも、非常に限定的にやるという点につきましては、散布装置の方を工夫いたしまして、ガンノズルというふうに言っておるのでございますけれども、非常に狭い範囲のところへ散布する、そういう器具はできておりますので、これは必要に応じて使っていくというようなことも考えておりますので、今後とも技術面での開発につきましては努力してまいりたいと考えております。
#127
○藤原委員 時間ももうございませんので、次に森林法のことについて申し上げたいと思いますが、その前に松くい虫のことについて、前に附帯決議にもあったと思うのでありますが、誘引剤とか抵抗性品種の育成とか被害木の有効利用とか、こういうことについてもいろいろ御努力なさっていらっしゃるようでございますが、実効性の上がるように対応策をひとつ講じていただきたいと思います。
 今度、森林組合の合併助成法につきましては、五年間の延長とともに何点かについてまた改正が加えられております。これは昨年の森林法の改正に伴いましての流域管理システム、これにのっとりました諸問題を中心としましてでございますが、今一番地元の森林組合の方々からお話がありますことは、緑の効用をうたわれて、森林の持つ。重要性ということはだれもが認識をいたしておるわけでありますが、これはだれが管理をし、また施業をするのかということになりますと、厳しい現実にあるということでありまして、そういうことからしますと、合併助成法によって足腰を強くするということも一つの大きな大事な目的であると思います。それとまた、森林整備協定制度、川下と川上との間のお互いの協力関係、こういうことも大事なことだろうと思います。それからまた、たび重なる附帯決議におきまして、林業労働者の方々の労働条件の改善や向上、こういうものを改善することも大事なことだろうと思うわけであります。
 そのことについて一つ一つお伺いする時間もございませんから、ぜひ森林法の改正によりまして、流域管理システムの充実によります活性化、助成や支援や指導ということについて、林野庁が今度図ることになったわけでありますが、これに伴いまして、森林組合の育成強化というものにぜひひとつ力を尽くしていただきたい。
 それから森林整備協定制度、これはこういう機運が出てきたということは非常にうれしいことでありますが、全国の状況についてお伺いしておきたい。
 それから、同僚委員からもお話ございましたが、白書を見ますと、作業班の年齢、四十代、五十代の方々はだんだん前年対比で減っておるわけでありますが、六十歳以上の作業に携わる方々だけがふえておる、こういう現状や、林業就業者の賃金水準、他産業に比べまして重労働で、労働災害の発生頻度が高いということや、賃金水準が低いということ、それから月給制での雇用というのは二%そこそこ、これは六十二年度。社会保険への加入等の就業条件が立ちおくれている、若年労働力の新規参入が極めて少ないということや、こういうこと等につきまして、森林組合の合併を進めるということで、これからどのぐらいになったら理想的な状況なのか。そういうことのために、五年延長ということでありますけれども、五年でこれらのことが進むわけはないわけでありまして、こういう諸条件を逐次改善をする努力を惜しまない、こういう姿勢が大事ではないか、こう思うのですが、今申し上げたこと等につきまして、林野庁のお考えをお聞きしておきます。
#128
○小澤政府委員 流域管理システムの確立を図りつつ、森林の整備や林業の活性化を進める考えでございますけれども、この場合に、各流域ごとに流域林業活性化協議会を設置いたしまして、そしてこの中で森林組合が中核的な役割を果たしていってほしいということでございますが、そのような、流域活性化策ともつながるわけでございますが、森林の上下流におきます整備協定制度ができたわけでございますが、これにつきまして各流域で関係者種々御協議もいただいているところでございますが、最近具体例も出てまいりまして、昨年の森林法改正以来初めてのケースと我々考えておりますけれども、この具体例につきまして御報告いたしたいと思います。
 昨年の十二月に長野県の根羽村と愛知県の安城市との間で、これは矢作川の流域に属するわけでございますけれども、矢作川水源の森を整備するという協定が締結されました。このようなことが一つの具体的事例としてございますけれども、今後も上下流の方々、関係者または地域の方々も積極的にこのような協定の締結が各地域でできることが好ましいわけでございますし、私どもとしてもこのような協力関係が進みますように、いろいろと指導なりあるいはまた相談に乗ってまいりたいと思うわけでございます。
 それから、林業の労働力問題とこの合併促進との関係等でございますけれども、労働力の高齢化あるいは減少ということ、大変重要な課題でございますので、今後優秀な林業労働力の育成確保を図る観点からも、森林組合の体質の強化が必要でございます。
 このような観点から、広域合併の促進もしてまいりたいということでございますけれども、少なくともこの五年間の期間の間には各流域に広域合併の事例が少なくとも一つ以上は出てほしいということがございますし、そういうようなことを目標にして合併促進も進めさせていただきまして、そしてそのような具体例がその後における森林組合なりあるいは林業に関する事業体の育成強化につながっていくことをぜひ進めてまいりたいということでございます。そして、そのようなことによりまして、魅力のある林業ということを考えてまいりたいわけでございますし、高齢の方々には、またその方々にふさわしいような仕事の場も開発していかなければならないと考えております。
#129
○藤原委員 もう最後、時間が来ましたので終わりたいと思いますが、当委員会には付託になりませんが、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案、これは林野庁も関係することであります八次計画、これを一つ一つ申し上げる時間もございませんが、この八次計画に対しましての林野庁、農林省としての治山治水に対するおおよその考え方、計画の基本的な考え方と、それから雲仙・普賢岳に対する対応、詳しいことはよろしいわけでございますが、この対応策について現在考えていらっしゃることをお聞きをして終わりたいと思います。
#130
○田名部国務大臣 雲仙のことでお答え申し上げますが、昨年の三月に学識経験者等によって雲仙岳の眉山地域治山対策検討委員会を開いていただきまして、この中で中尾川、湯江川あるいは西川流域において治山ダム二十一基の建設を実施しておりまして、眉山地区に観測体制も整備したところであります。また、島原地区も治山激甚災害対策特別緊急事業としてこれを実施する考えでおります。
 なお、水無川は火砕流等により地形が激変していることから、噴火活動が終わりましてから詳細な計画を策定して速やかに対応を進めてまいりたいと思っております。
#131
○小澤政府委員 治山事業でございますけれども、平成四年度を初年度として第八次の治山事業五カ年計画を策定する時期に当たっているわけでございます。これにつきましては三点の目標を持っておりまして、これは、一つは安全で潤いのある国土基盤の形成、二点目として水源地域の森林整備の推進、三つ目が緑豊かな生活環境の保全、一創出でございまして、総投資規模を二兆七千六百億円ということで実施してまいりたいと考えております。
 なお、整備率につきましては、三八%から四五%の水準にすることを目標として計画的に推進してまいりたいと考えております。
#132
○藤原委員 以上で終わります。
#133
○岩村委員長代理 藤田スミ君。
#134
○藤田(ス)委員 限られた時間ですので、御答弁は簡潔にお願いいたします。
 特借法が実施されて以来十五年たちました。被害材積の推移を見ますと、依然として被害材積は九十五万立方メートルの水準を維持しております。前回改正時に政府答弁で示された、被害材積を六十五万立方メートルまで鎮静化させるという水準を大きく上回っておりますが、その原因についてどうお考えなのか、明らかにしてください。
 私どもは、一九五〇年から七二年までの経過の中で、松くい虫被害対策の基本が示されていると考えるわけであります。この当時は、松くい虫と松枯れのメカニズムは解明されておりませんでした。松くい虫による松枯れは、松くい虫が松の幹や枝に産卵し、そのふ化した幼虫が松の樹皮下を食害するというものであるというふうに考えられていました。したがって、松くい虫の主たる防除方法は、枯損木の除去を重点にし、秋季から冬季にかけて枯損木の伐倒、剥皮、焼却、または伐倒、薬剤散布の方法がとられていましたし、当然空中散布も行われていなかったわけであります。
 しかしながら、当時は松材の需要が薪炭の利用や製材の需要などで旺盛であって、被害木の利用も安定していました。そのために松林の管理は十分なされていたわけであります。そういう中で、松くい虫被害は終戦直後では百万立方メートルの被害材積がありましたが、二十六万から三十七万立方メートルにまで低下し、そのまま現在の四分の一の水準で推移していたわけであります。結局、科学的なメカニズムの究明の結果明らかにされたマツノザイセンチュウ説に立脚した空中散布もない中で伐倒駆除を中心にした対策でも、松材の利用があり、その結果松林の管理が十分に行われているならば松くい虫被害が相当に鎮静化されるということの教訓が引き出されるわけでありますが、その点についてはどのように評価なさっていらっしゃるのか、明らかにしてください。
#135
○小澤政府委員 お答えいたします。
 五年前に特別措置法を改正させていただいたわけでございますけれども、確かに現在まだピーク時の四割水準とはいえ、百万立方近い被害がございます。これにつきまして理由をということで申し上げれば、平成二年度の夏でございますけれども、これは大変高温で少雨であったということで、松くい虫の活動が大変活発化したということが一つ考えられます。
 なお、二点目は、有効な方策としての樹種転換策でございますけれども、これが停滞したということが考えられるわけでございますが、今後につきましては、被圧木等によります枯死木を伐倒駆除の対象とする、あるいは樹種転換を積極的に推進するというように対策を総合的に実施いたしまして、異常な被害の終息を図ってまいる考えでございます。
 なお、昭和二十年代後半、確かに当時も松くい虫被害はあったわけでございますけれども、被害量が比較的少なかったではないかということはございます。確かに、今御指摘のように、当時は被害木を燃料として使うというようなこともございましたし、そういうことで伐倒駆除というような形が自然のうちに行われていたということも考えられるわけでございますけれども、しかし現在の状況を見ますと、何といいましても当時から比べますと被害地域が全国的に実は拡大しておりまして、そのようなことも含めて今後の防除対策を我々考える必要があると思っております。そしてさらにまた、奥地化している、あるいは急峻地形の山地にまで及んでおるということでございますから、従来のような形だけを期待するわけにはいかないのでございます。したがいまして、各般の防除方式を総合的に実施させていただきたいと考えております。
#136
○藤田(ス)委員 私は、十分それでは本当に、原点に戻って考えるという言葉がありますが、そこのところの見きわめが弱いんじゃないかというふうに思います。総合的な対策を否定しているわけじゃないのです。しかし、伐倒駆除、特別伐倒駆除、樹種転換についてはそれを支える林業従事者の存在が必要不可欠であり、搬出経費が出るような材価がどうしても求められることになるんじゃないでしょうか。
 しかし、日本の林業を取り巻く状況は、木材の状況は、政府・自民党の木材の輸入自由化政策の中で大変厳しい状態に置かれておりまして、林業従事者は高齢化と後継者難、昨年は全国で百八十三人というような状態になっています。そして、七〇年の百七十万人から九〇年の四十九万人に林業従事者が激減をし、うち年間百五十日以上林業に従事している人たちは全国でわずか二万五千人足らずというような状況になっているわけです。
 しかも、それではこれから少しでもそこに展望があるかというと、今の状況では深刻さが増すばかりです。そのために八七年から九一年の五年間にかけて、伐倒駆除、特別伐倒駆除あるいは樹種転換の実施。というものが行われてきたわけですが、皆さんの出していただいた資料を見ましても、伐倒駆除が四十九万八千立方メートルから二十九万五千立方メートル、特別伐倒駆除が十万四千立方メートルから四万七千立方メートル、樹種転換が八千ヘクタールから七千ヘクタールに急速に激減をしているわけです。政府は被害量が減ったからというふうにおっしゃいますけれども、被害面積で見れば横ばいであります。結局は伐倒駆除に携わる林業労働者が不足しているからであることは明らかであります。これから五年間についてもその傾向が一層強まるというような状態の中で、政府として、駆除対策として極めて有効な伐倒駆除をどのような手段で引き上げようとしておられるのか、明らかにしてください。
    〔岩村委員長代理退席、委員長着席〕
#137
○小澤政府委員 被害木の伐倒駆除、被害対策の中の重要な手段でございます。昭和五十二年度以降伐倒駆除の量は、各年度四十万立方ないし五十万立方メートル台で推移をしてきておりますが、伐倒駆除につきましてこれを今後も推進していくということになりますと、まず、確かに伐倒木の利用の方法、これもこのままではいけないだろう、有効利用する方法が必要であろうと思いますし、また、林業労働者の減少等の制約要因、これも事実でございます。
 したがいまして、今後はこの被害木を有効に利用するために、最近また非常に需要が上向いてきております木炭の原料として活用するということも考えてまいりたいと思いますし、また林業労働者の育成確保につきましては、ただいま、今回御審議もいただいております森林組合の合併促進等とも関連いたしますけれども、育成確保に一層努力してまいりたいと考えております。
#138
○藤田(ス)委員 いろいろ御苦労されていることはわからないことはないわけですけれども、しかしさらに大事なことは、松材の材価をいかに上げるかということも非常に大事なことです。樹種転換にしても一大量に出る松材がパルプチップなどに利用されなければなりませんが、現在の輸入チップ価格に抑えられてとても樹種転換で切られる松の搬出経費も出てこない、これが現状です。これでは幾ら樹種転換だというふうにかけ声をかけましても進むわけはないわけであります。政府としてこの松の材価が搬出経費も出ない状態の中で松くい虫対策が本当に進むと思っていらっしゃるのかどうか、私は大臣にお伺いしたいわけです。
 私は、やはり松くい虫対策は木材の輸入自由化政策による国産材の材価の低迷、森林の荒廃と林業労働者の激減と後継者がいない問題を抜本的に解決しないことには、根本的な解決にはならないということは明らかではないかというふうに考えるわけです。そこのところの政策を転換しないで、今いたずらに特措法を延長するということだけでは真の松くい虫対策にはなりません。今問われているのはそういうことじゃないでしょうか。
 また、この特措法は松くい虫対策として成立した森林病害虫防除法の特別。法として出されたわけでありますが、これだけ被害が広範になり、皆さん方も特定した地域というふうに限定をする中では、むしろ本法である森林病害虫等防除法の松くい虫対策での処理に戻すべきではないかと考えます。大臣お答えください。
#139
○田名部国務大臣 お尋ねになっていること、そのお気持ちはよくわかります。
 しかし、狭い日本だと思っても飛行機に乗ってみると随分と森林が広い広範にわたってあるわけでありまして、その中で一体どうやってこれを退治をしていくかということになると、なかなか難しい。おっしゃるとおり森林・林業の労働者が確保されれば済むかというと、それだけのもので済むような範囲ではないということで、外材のことにも触れましたが、しかし木材の価格が高くなれば一層代替のコンクリートあるいは鉄鋼というものがどんどん普及するし、なかなかこううまい方法というものがないのでありますが、いずれにしても、そういうことも含めていろいろと対策を講じているわけであります。
 お話はよくわかりますが、何といっても防除体制、空中散布でありますが、十分地域の人たちと相談をするそういう組織をつくって、どうしてもだめだという地域までやるつもりはありませんが、しかし広範であるということはひとつ御理解をいただきたいと思います。
#140
○藤田(ス)委員 私はとても残念です。本当に大臣にわかってもらいたいところが少しもわかっていらっしゃらないんじゃないか。
 きのうも災害特別委員会がありました。日田地方の大変な二次災害が心配される台風十九号のつめ跡はほとんどそのまま残っておるのです。あそこの折れた木を搬出して、そしてトラックに積んで一台持っていくたびに五千円ずつ赤字が出るというような状態の中で、何とか輸入材を抑えてくれないかという切実な声も出ています。私は、やはり今の政策が今日これほどの松枯れを広げていった大きな原因になってしまっているというふうに思わざるを得ません。
 それから、大臣は特別防除が何か松くい虫をやっつける大もとみたいにおっしゃいますけれども、これはあくまでも予防であって、根本を切ろうと思ったら、これはもう伐倒駆除しかないわけであります。そこのところをわかってくれない以上、何年延長したって解決になりません。私はそのことだけ申し上げておきたいと思います。
 そこで、私はこの法案を審議するのは三度目です。そのたびに私は、国民の協力を求めるべきだということを申し上げてきました。そのためには何が必要か。国民の中に、松枯れの被害の実態、そして松林の管理と被害木の伐倒駆除の重要性、必要性について積極的にもっともっと宣伝をしていくことだ、広報活動をすることだということを強調してきたわけであります。
 私は今、本当に広範囲に広がったあの松枯れの森林を見るたびに、その思いを強くいたします。桜前線のそういう放送も今ごろからずっとあるわけですが、ああいうふうに、大事な防除のときにはやはり今がそのときだというふうに放送するとか、あるいは秋になればこれを切りましょうと言うとか、そういうふうな宣伝活動、広報活動というものをもっと旺盛にして、国民に協力を呼びかけるべきではないでしょうか。それが一点です。
 それからもう一つは、私はきょうここに木酢液を利用するための「木酢炭で減農薬の使い方とつくり方」という本を持ってきました。岸本定吉さんというこの方は皆さん方の先輩であります。この木酢液というのは、言ってみたら漢方薬みたいなもので、今減農薬がやかましく言われている中で大変喜ばれています。これは農に役立つわけですけれども、同時に松材の利用、特に枯損木の利用というものがこれによって広げられる。私は、これで一〇〇%物が解決するとは言いません。しかし、かなりコンパクトなもので、木酢液を活用することができるという点では、私は大いにこういうものを利用していただきたい、積極的に活用していただきたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
#141
○小澤政府委員 二点ございました。
 一つは広報の重要性ということでございまして、これは私ども同感でございますが、この進め方につきましては今後徹底を図りたいわけでございます。一つには、各地域における御理解をいただくために、被害対策推進連絡協議会など各種の場がございますから、こういうところで私ども内容が理解されるように努力してまいりたいと思います。それから、広く国民の御理解をいただきたいということがございますから、これにつきましてはいろいろ工夫もしてみたいと思いますけれども、今後努力いたしたいと考えております。
 それから、木酢液のことでございますけれども、確かに木炭を焼きますときに木酢液がとれるわけでございますが、大変有用なものでございます。これにつきましては今後これを広く利用していただきたいと思っておりますので、これにふさわしい炭化装置、連続炭化炉というのがございますけれども、これを開発して使いたいということでございます。そうしますと、かなりの量を連続して炭化できるということがございます。それで、予算的には、平成四年度から新たに間伐材等炭化促進モデル事業というものを実施いたしまして、低コストで量産化できる施設の導入を図りまして、これらのことと関連させて、松くい虫の被害木の活用さらには松くい虫防除を有効に促進してまいりたいと考えております。
#142
○藤田(ス)委員 後ほどこの本を大臣に差し上げますので、よく読んでください。
 次に、森林組合合併助成法の一部を改正する法律案についてお伺いします。
 現在、合併及び事業経営計画を立てるには、組合員の半数以上が出席する総会において、その議決権の三分の二以上の多数による議決による、こういうふうに法規定されております。農林中金森林部が合併にかかるアンケート調査を昨年実施いたしましたが、それによりますと、合併の話が出た際の組合員の反応は、一部反対五六%、かなり反対が八%と、反対意見がかなり見られる結果になっています。ですから、組合員に大きな影響を与える組織の合併に当たり、組合員の直接参加によって決定されることは、民主的手続としては極めて重要なことであります。
 ところが、驚くべきことに、これまでこの法律規定が全く無視されて、総会を総代会に読みかえて実施されていて、林野庁も法律違反ではないとして指導してきているというわけですから、私はあいた口がふさがらないわけであります。もし、合併及び事業計画で損失をこうむる林業者がその合併と事業計画の無効を訴えたとしたら、法律違反をしているのですからあなた方は勝てるはずがありません。我が国は法治国家です。したがって、法律違反を指導したことに対して、私はここで明確な反省を求めておきたいわけであります。
 ところが、事もあろうに今回の法改正は、現在の民主的な規定を後退させ、総代の半数以上が出席する総代会の三分の二以上の多数による議決によるということで、現在の法律違反の行為を合法化させようとするものであります。私は、そういう点ではまず明確な反省を求め、こういうような民主的な規定を後退させることは認めることができないということを申し上げておきたいと思います。簡単で結構です。もう一問残っていますので、簡単にお答えください。
#143
○高村委員長 小澤長官、簡単にお願いします。
#144
○小澤政府委員 お答えいたします。
 昭和六十二年に森林組合法が改正されたわけでございますけれども、この際に合併及び事業経営計画の議決につきましては、合併の議決が総代会においてもできることとなったものですから、私どもは、この合併に伴うということから総代会でできることになったものと解釈して、そのように指導もしてまいったところでございます。
 今後、合併の推進に当たりましては、法律上の疑義が生じないようにするために森林組合合併助成法におきましても明文の規定があった方が望ましいという観点から、今回必要な規定の整備を行うこととしているところでございます。
#145
○藤田(ス)委員 法規定ではそう、いうふうにはなっていなかったでしょう。皆さんが解釈をしてそういうふうに勝手な指導をされるということに対して、それでは反省の色が全くないではありませんか。私は、強く抗議をしておきたいと思います。
 最後に、もういろいろ言いませんけれども、環境庁、農薬の空中散布についての基準設定、検討を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#146
○細田説明員 御説明申し上げます。
 農薬は、農薬取締法に基づきまして農水大臣が登録を行ったものでなければ製造販売できない仕組みになっておるわけでございます。この登録に際しまして、人の健康の保護あるいは環境汚染の未然防止の観点から環境庁長官が農薬登録保留基準を設定しておりまして、この基準を満たさない農薬は登録ができないことになっているわけでございます。
 この基準としましては、農薬が比較的長い時間にわたって残留するおそれのあるもの、そういう環境中の場面を念頭に置きまして、また基準設定のための関連する科学的知見の蓄積を踏まえまして、作物残留、土壌残留、水質残留、水産動植物といった四つの項目につきまして化学的成分が満たすべき条件を設定しているわけでございます。
 大気につきましても基準を設定できるかどうかでございますけれども、散布後の農薬のほとんどすべては、対象とする作物なり樹木あるいは地上に付着、落下をいたしまして、大気中の濃度は立地条件とか気象条件によって違うわけでございますけれども、一般的には、散布地域並びにその直近の周辺では散布直後に一時的には高まるわけでございますが、短時間でごく微量になりまして、その後はほとんど検出されなくなることが知られているわけでございます。 こういうような局地的、短時間に減衰するものにつきましては、関理知見の状況から見ましても、水や土壌と違いまして大気汚染の未然防止の観点からの化学的成分の規制というのはなかなか難しいわけでございますし、私どもも海外においてそういう状況にあるというふうには承知してないわけでございます。大気汚染の未然防止につきましては、立地条件等に応じました散布地域の見直しとか住民への周知徹底といったことが基本であると考えておりまして、私どもとしましても、環境保全の観点からさらに適切な使用指導が行われますように、農林水産省に求めているところでございます。
#147
○藤田(ス)委員 終わります。
#148
○高村委員長 柳田稔君。
#149
○柳田委員 昭和五十二年に松くい虫防除特別措置法が制定されまして、十五年にわたり国、都道府県、市町村が積極的に防除対策を講じてきた結果、松くい虫被害は昭和五十四年度の二百四十三万立方メートルから平成二年の九十五万立方メートルまで約四割の水準に下がっておる。このことは、我が党は従来から一貫して松くい虫被害対策特別措置法の必要性、存続を主張しており、今回の法改正も適切な措置として評価いたしております。がしかし、松くい虫被害の外延的拡大はほぼ停止したと言われても、被害状況は終息には至らず、いまだ百万立方メートルに近い被害が発生していることを参酌したとき、今回の松くい虫法の継続は当然行うべきものだというふうに考えております。
 また、森林組合合併助成法の改正も、我が党の従来からの主張を多く含んでおるという点も考えまして妥当な改正であろうというふうに思っております。
 今回の質問は、国有林野事業の経営の改善、財務の改善のことについてまず質問をさせていただきたいというふうに思うわけでありますが、近年の林業を取り巻く環境は、民有林、国有林を問わず極めて厳しいものがあります。そのため、国有林野事業の経営改善について、林業者の多くが大きな関心を持って注視しております。私は、日本林業の活性化のためにも国有林野事業の経営改善を強く望みたいと思っております。
 国有林野事業の経営改善については、昨年国有林野事業改善特別措置法が改正され、関係者の多大な努力により改善への取り組みが現在進められているというふうに聞いております。御存じのとおり、この新たな改善への取り組みは、まず一つに財務の改善、二つ目に事業運営の改善、これらにより実施するのであります。
 運営の改善については、主なものとして、一つ目に立木販売への指向、素材生産事業等における民間実行の徹底、二つ目に要員規模の縮減、三つ目に組織機構の簡素化、四つ目に自己収入の確保等が挙げられております。そのため、国有林野事業経営改善のため、現在現場では精いっぱいの努力を行っておるというふうに聞いておりますが、現状並びに今後もこの努力は継続して行われていくのか、まずお聞かせ願いたいと思います。
#150
○小澤政府委員 国有林野事業の経営改善につきましては、昨年改正の国有林野事業改善特別措置法に基づきまして、まず、昨年、平成三年七月に国有林野事業の改善に関する計画を策定いたしました。現在、この計画に即しまして経営改善を進めているところであります。
 この計画は、累積債務を経常事業部門と区分をいたしまして、経常事業部門につきましては平成十二年度までに財政の健全化を確立するということを目標にして進めております。それから累積債務の処理でございますけれども、これにつきましては経常事業と区分をいたしまして、その解消、改善を図るということとしておりますが、経常事業につきましては請負化等による事業の民間実行の徹底、要員規模の適正化、それから営林署の三分の一程度を統合、改組するなどの組織機構の簡素化、合理化に努めることにしております。なおまた、林産物の機動的な販売、森林空間の総合利用の展開等によります自己収入の確保、それからまた森林の公益的機能発揮等の観点から一般会計の繰り入れ等の財政措置を講じまして、改善に努めることとしているところであります。
 今後とも国有林野事業の経営の健全性を確立いたしまして、国有林の持っております重要な使命を適切に果たしていくために、本庁、営林局、営林署一体となりまして経営改善に取り組んでまいる考えでございます。
#151
○柳田委員 今御答弁を聞いておりますと、精いっぱいの努力を行っておるし、今後も続けていくという御答弁であったわけでありますが、今おっしゃられたような努力をしておるというにもかかわらず、国有林野事業の財務状況を見ますと、債務残高が平成二年は二兆二千五百億円、三年度が二兆四千六百億円、四年度が二兆六千三百億円というふうに極めて厳しい状況にまだあるし、さらにこれが拡大されるというふうに予想されます。
 加えまして、景気が後退したということで住宅建設も落ち込んでまいりましたし、昨年の台風災害による倒木によりまして木材価格も大分下落してきておる。そうすると、自己収入の大半を占める林産物収入が平成四年度は落ち込んでくるのではないかな、そういうふうに懸念がされるのではないかな、そういうふうに思いますと、平成四年度の予算案で林産物収入を一千六百九十五億円と見込んでおるわけでありますが、台風のことや材価の下がりを考え、景気の後退を考えますと、本当にこの額が確保できるのだろうか、そしてもし林産物収入が落ち込んだら事業の実施にこれから支障を来すことがないのだろうか、さらにはこのような材価の下落、林産物収入の落ち込みに対し、何らかの緊急対策もしくは国有林野事業の改善計画の基本的枠組みの見直しが必要とも考えられるわけでありますけれども、この辺について林野庁としてはどのようにお考えか、お聞かせください。
#152
○小澤政府委員 平成四年度の収入の問題につきましては、予算では一千六百九十五億円の林産物収入を見込んでいるわけでございます。
 確かに最近の状況を見ますと、新設住宅着工戸数の減少など大変厳しい状況にあることは事実でございます。そのような中で、どのように打開策を講じていくかということでございますけれども、私どもといたしましては、木材の需要につきましても新しい観点から取り組んでまいりたいと思いまして、みずからも木造の建築物等につきましても推進をしていく、あるいはPRもさせていただくということも考えておりますし、やはり需要動向に即応した機動的な生産、販売を行うということが必要でございます。なお、付加価値の向上に努めるために、木材を乾燥させて販売するということも考えているわけでございます。このような努力を各般にわたってやってまいりたいということでございます。
 なお、収入の落ち込みが事業の実施に影響を及ぼすのではないかという御質問でございますけれども、今申し上げましたような林産物の機動的な販売に努めますと同時に、その他の収入対策といたしまして、分収育林、これを緑のオーナーと称しておりまして、最近各段階あるいは各地域で大変契約も着実にふやしていただいておりますけれども、こういうものを推進していく、そのほか緑化木の販売等、こういうことで自己収入の確保を図りますとともに、同時に造林・林道整備等の事業施設につきましても、一般会計の繰り入れ、これも増額という形で努力をさせていただいておりますが、そしてまた同時に、事業実施に当たりましては、投資の効率化、経費の節減に努めて、着実に経営の改善に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
 なお、さらに御質問がございましたが、この改善計画につきまして基本的な枠組みの見直しが必要ではないかということでございますけれども、私どもは昨年七月に策定いたしました改善計画によりまして今改善を進めておりますが、これにおきましては森林・林業全体のこととも絡んでくるわけでありますけれども、いわゆる森林を流域的に整備していくというような中で、国有林につきましてもこれと足並みを合わせて事業運営をやっていく、その中で森林を機能別に類型化いたしまして、それぞれの森林の機能を発揮していこうということを考えておるわけでございます。
 なお、累積債務と経常事業部門とに区分をいたしましたのは、累積債務の処理が経常事業部門に支障を及ぼさないようにという考え方からでございますが、この債務処理につきましても、資産処分収入を債務処理に充当していくとともに、一般会計の繰り入れ等の財政措置も行いまして債務対策をしていく。それから、経常事業部門につきましては、今も申し上げました民間事業を請負等に導入していくとか、あるいは要員規模の適正化等、各般の努力をし、このような自主的な改善努力の徹底と同時に一般会計の繰り入れ等所要の財政措置も講ずるということでございますので、国有林野事業の経営改善につきましては、国民の御理解と御支援もいただきまして、現在の努力を続けさせていただきたいと考えておるわけでございます。
#153
○柳田委員 今大変努力をしているというのは理解ができます。が、しかし、財務の改善という点について考えてみますと、この財務は改善しなければならないというのも目標であるわけであります。
 ことしの予算を見ておりますと、平成四年度の累積債務対策として一般会計から昨年度より二九・四%増額、今御答弁があったように努力しているのはわかります。額にして百二十九億四千二百万円、しかし借入金が二千六百七億円あるにもかかわらず、借入金の返済は二千四百七十七億円にしかなっておりません。としますと、努力は一生懸命しておりますけれども、返済額より借入金の方が大きいという現実もあるわけであります。
 財務の改善をしなければならないという目標から考えますと、一生懸命現場としては努力しておるけれどもいかんともしがたい状況になりつつあるのかな。そう考えできますと、平成五年度はさらに累積債務残高が増加し、平成六年、七年とさらにふえていくのではないかなというふうにも考えられるのですが、この先々の累計債務残高の増加、どのようにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
#154
○小澤政府委員 累積債務の処理につきましては、確かに膨大なものがございますので、これはある程度の期間を要するものでございます。つまり、長い目で見ていただきたいということでございますけれども、債務返済がその資産処分等の収入で不足をする場合には借りかえ措置を行うことになっておりまして、その借りかえ措置につきましての利子等につきまして、一般会計からの援助といいますか、支援もいただいてやってまいりたいということでございますので、短期的に見れば累積債務残高が増加するということも予想されることではございます。しかしながら、そのような状況を長期的に乗り越えて、健全な経営の確立、債務の処理を行ってまいる考えでございます。
#155
○柳田委員 私は今の努力、聞いていてそれなりに評価したいと思うのですが、長期的に乗り越えられるという御答弁でありましたけれども、この国有林野事業だけで債務が返済できるような感じにはならないのではないかな。つまり、森林の持つ公益的機能を配慮して一般会計からさらに増額をして繰り入れなければ、この債務はなくならないのではないかなというふうに思っておるわけなんですけれども、この一般会計からの繰り入れを増額するということについては、政府は何か御検討されておりますでしょうか。
#156
○田名部国務大臣 平成三年七月に策定いたしました国有林野事業の改善に関する計画に即して自主改善努力を実はやっておるわけでありますが、一般会計からの繰り入れ等、所要の財源措置を講じて国有林野事業の経営改善を推進をしていくこととしております。
 平成四年度の予算案で一般会計の繰り入れを前年度に比べて二一%増、三百三億円としているところでありますが、いずれにしても、膨大な累積債務を解消するということは非常に難しいと思います。思いますけれども、努力はしていかなければならぬ。相当長期にわたって努力をしなければならぬということはそのとおりでありますが、しかし、事業の性格上、お話しにありましたようにやはり林野というものは公益的な機能も有しておるわけでありますから、長い目で見て農業でも中山間地というものをそうしたことにしていかなければいかぬとか、いろいろな分野であると思います。経営が成り立たない部分でも、国家としてこの国土の維持、環境保護、そういう立場から見てやっていかなければならないものだと考えております。
#157
○柳田委員 努力をしなければならないというのは重々わかるわけであります。そして現場の皆さんにも大変な努力をお願いしているというのも理解をしておるわけでありますが、ただ、この債務残高を見ておりますと、だんだん希望も消えていくのかな、とはいえ、やはり林業を守らなければならないという気持ちに助けられて今も頑張っておるのではないかなというふうに思うわけであります。
 ちょっと別な話になりますけれども、二〇〇〇年代になりますと、人口も減るし、GNPもどうのこうのということで、ほかの省庁では長期にわたったシミュレーションをいろいろしながら将来の予想対策を立てておるというところもあるわけであります。
 今大臣の御答弁、局長の答弁を聞いておりますと、今は厳しいけれども頑張りなさい、長期的には乗り越えますからどうにか我慢をして努力をしてくださいと言うならば、その指針といいますか目標といいますか、将来にわたって、平成二十年度はこうなるのだ、こういうふうな収支になる、だからここまで努力をしてほしい、そのために君たちはこれほど、もっともっと努力をしてほしいということを言われれば、それなりの努力のしがいもあるのでしょうけれども、今のところを見ておりますと、もう短期的といいますか、超短期的な予想しか出ていない。バランスシートにしても、将来を考えていくのであるならば、二十一世紀を見通してここまで立て直すべきだ、そういう予想を示すような、端的に言えばバランスシートですか、こういうものを出す。これが林野における最善の努力です、ここまでやっても足りませんので一般会計の方からこれだけ出してもらわなければ立て直しはききませんという目標もつくるべきではないかと思うのです。
 今、長期的には乗り越えられるという御答弁でありましたので、具体的にどうにか示せないか、要するに、条件が将来こういうことがあるのでわからないという面はありますけれども、大まかな数字は出せるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#158
○小澤政府委員 短期的な見通しあるいは長期的な展望というもの、これを踏まえながら経営というものを健全化していくことが確かに必要でございますが、では、それを数字に示すということになりますと、これにつきましては、私どもいろいろな経営を行うという観点から、内部的には試算もいたしましたりはやっておりますけれども、ただし、その収入につきましても支出につきましても、いろいろと変動要素が多いという一万の問題がございます。
 例えば収入につきましては、木材販売収入が大きな部分を占めておりますけれども、木材価格というのが非常に変動しやすいものであるというふうなことがございます。また、支出につきましても、人件費でございますけれども、これが大きな部分を占めておりますけれども、要員調整の進展状況によってまた影響を受けるということ、あるいは物価、賃金、財投資金の貸付金の金利の利率等、これらも私ども経営が主体的に行えるものとそうでないものとかいろいろございますが、いずれにいたしましても、社会経済の変動によって影響を受ける要素というのが大変多いわけでございます。
 また、一般会計繰り入れにつきましても努力をしているわけでございますけれども、あるいはまた財投資金の借り入れにつきましても毎年度の予算編成を経て決定されていくという状況の中での改善でございますために、その変動要素の多いものをどういうふうに示すかということになりますとなかなか難しい面もございますので、こういうものを一つ一つ明らかにすることは差し控えさせていただきたいと考えておるわけでございますけれども、しかしながら変動要因の多い中で、一歩一歩確実に改善努力をしていかなければならないということでございますから、ここのところはぜひとも御理解をいただきながら、いろいろとまた御支援も賜りたいと思いつつ、私ども全力を挙げて改善努力をさせていただく考えでございます。
#159
○柳田委員 時間がなくなったわけでありますけれども、さらに不確定要因の多いGNPの予想さえも出ているわけでありますし、今回のこの経営のバランスシートについても、条件はこうこうこうだからこういう感じになりますというものくらいは出せるのではないかな、また、出しても条件さえはっきりしていれば理解をされるのではないかなと思いますので、今後の努力をお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
#160
○高村委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしまた、
    ―――――――――――――
#161
○高村委員長 これより両案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。東力君。
#162
○東(力)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の各党を代表いたしまして、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案の二法案について、一括して賛成の討論を行います。
 まず、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案についてであります。
 松くい虫の被害につきましては、これまで鋭意防除措置が講じられてきたところであり、この結果、全体としては、松くい虫の被害の沈静化に相当の成果を見たところであります。しかしながら、依然として百万立方メートル近い被害が発生するなど、異常な被害が終息する状況には至っておりません。
 今回の法改正は、このような状況を踏まえ、本年三月末日で失効することになっております本法の有効期限を五年間延長するとともに、被害の実態に即し、被害対策を推進する松林の重点化、補完的な伐倒駆除措置の導入、森林組合等を通じた樹種転換の一層の促進等を図り、多様な防除手段をより効果的に実施していこうとするものであり、早期に松くい虫による異常な被害の終息を図る上で必要不可欠なものと考えます。
 次に、森林組合合併助成法の一部を改正する法律案についてであります。
 森林・林業をめぐる情勢は、林業の採算性の低下、林業従事者の減少、高齢化の進行、機械化や基盤整備の立ちおくれ尊厳しいものがあります。このような状況のもとで、流域を単位として森林整備、林業生産等を総合的に推進するためには、森林所有者の協同組織であり、森林施業の主たる担い手でもある森林組合がその中核的役割を担う必要があります。
 このため、今回の法改正は、合併及び事業経営計画の都道府県知事への提出期限を五年間延長するとともに、計画事項として、森林施業の合理化に関する計画の追加、税法上の特例措置の延長等の措置を定めようとするものであり、広域合併を通じて森林組合の体質強化を図る観点からぜひとも必要なものと考えます。
 また、法改正事項の実施に当たって留意すべき事項または一層の努力を要する事項等につきましては、各委員の質疑に対する農林水産大臣及び政府委員各位の答弁を通じて、万全を期して対処していくことが明らかにされたところでありますし、さらには、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案、森林組合合併助成法の一部を改正する法律案について、具体的かつ詳細な附帯決議も付されることとなっておりますので、これらの諸点を踏まえ、今後の政府の一層の努力に期待いたしまして、両法案に対し賛意を表するものであります。
 何とぞ、各党各委員の御賛同を賜りますようお願い申し上げて、賛成討論といたします。(拍手)
#163
○高村委員長 藤田スミ君。
#164
○藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表して、松くい虫被害対策特別措置法の一部改正案及び森林組合合併助成法の一部改正案に対し、反対の討論を行います。
 まず、松くい虫被害対策特別措置法の一部改正案の反対の理由の第一は、八七年改正後、木材の輸入自由化政策による松材価格の低迷、林業労働者の急速な激減のため、松くい虫の駆除措置である伐倒駆除や特別伐倒駆除量の低下が顕著になり、事実上、特別防除という予防措置のみに頼るという傾向が強まっています。そして、駆除措置が落ち込んでいるため、松は立ち枯れのまま放置され、それがさらに感染源となり、松林の荒廃は広範に進み、被害面積は横ばいの状態で推移し、被害終息の見通しも立っていません。
 このような状況の中で、松くい虫被害を終息させるための必要な駆除措置である伐倒駆除を飛躍的にふやすための措置をとることもしないまま、ただ特別防除を推進するだけの理由で特措法を延長することは賛成できません。
 第二に、環境保護の世論形成が進む中で、農薬の空中散布による人体被害が保団連の調査でも指摘されるなど、農薬の空中散布による人の健康や生態系に与える悪影響の可能性について国民的関心が高まっています。当然、農薬の空中散布である特別防除に対する社会的批判は強まっており、日弁連もその反対を明らかにしています。
 このような中で、伐倒駆除や特別伐倒駆除が機能せず、松くい虫防除の総合性、整合性を失い、今後特別防除にますます依存することが必至であるような特措法の延長には、この特別防除に対する社会的批判の高まりを踏まえて、賛成するわけにはいかないわけであります。
 第三に、駆除措置を飛躍的に高めるためには、林業労働者の確保や、松を初めとする国産材の材価の向上を図る林業政策を確立することが不可欠であり、その対応をしないまま特措法を延長することは松くい虫対策のゆがみを招くものであり、反対であります。
 次に、森林組合合併助成法の一部を改正する法律案についてであります。
 反対の理由の第一は、今回の改正案が、昨年改正された森林法と国有林野事業改善特別措置法で導入された流域管理システムにこたえられる森林組合としての広域合併を推し進めるものであり、しかも合併及び事業経営計画の計画事項として森林施業の共同化、合理化に関する計画などが追加されており、組合運営に行政の介入を容認する点であります。
 第二の理由は、本法の改正で、合併及び事業経営計画を立てるには、これまで組合員の半数以上の出席の総会の三分の二以上であったものを、総代の半数以上が出席する総代会において三分の二以上の多数による議決にと、民主的手続を後退させる点であり、以上反対の理由を述べて討論を終わります。
#165
○高村委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#166
○高村委員長 これより採決に入ります。
 まず、内閣提出、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#167
○高村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#168
○高村委員長 この際、本案に対し、東力君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。堀込征雄君。
#169
○堀込委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合を代表して、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読申し上げます。
    松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万遺憾なきを期し、各般にわたる松くい虫の被害対策を緊急かつ総合的に推進すべきである。
      記
 一 松くい虫等による異常な被害を早急に終息させるため、地域の被害態様を十分把握した上で総合的な被害対策が適切かつ効果的に実施できるよう、国・都道府県・市町村・森林組合等を通じた実施体制をさらに充実、強化するとともに必要な予算を確保し、本法の目的が達成されるよう万全の努力を行うこと。
 二 松くい虫防除特別措置法が制定されて以降十五年間に、環境保全への国民的認識が高まっていることを重視し、可能な限り伐倒駆除、樹種転換、樹幹注入、天敵利用等の方法を選択し、被害の終息に努めること。今後の制度運用に当たっては、その趣旨が地域の実施者へより一層徹底するよう努力すること。そのため、その運用基準を明確化すること。
 三 国・都道府県・市町村は、総合的に被害対策のため地域の自主的な、取り組みを促進し、松林の重要性や被害の状況とその防除方法等について地域住民、松林所有者への普及啓発に努めるとともに、その支援に努めること。
 四 特別防除については、住宅、宿泊所その他の家屋及び公園、レクリエーション施設その他の利用者の集まる場所の周辺の松林においては、原則として、これを実施しないこと。
 五 特別防除の実施に当たっては、地域住民の意見を十分反映できる構成員をもって協議会を開催し、特別防除の必要性、薬剤の安全性、人畜への危被害防止、環境への影響について周知徹底を図り、生活環境及び自然環境の保全に留意しつつ慎重に実施すること。
 六 特別防除の実施に当たっては、被害状況の把握に努めるとともに、その実施によって被害が発生した場合においては、直ちに特別防除を中止し、その原因究明に努め適切な措置をとることとする。特別防除により被害が生じた場合には、国家賠償法に基づく等の円滑な損害補償を行うこと。さらに、薬剤の飛散等が生活環境と自然環境に及ぼす影響について引き続き必要な調査を行うこと。
 七 樹種転換については、新たな山造りを進める観点を含め長期的な視点にたって計画的に行っていくものとし、都道府県・市町村・森林組合等が必要な予算措置、技術指導、労働力の確保に努めること。
 八 松の枯損メカニズムについて、引き続いてその徹底究明に努めるとともに、誘引剤利用等新たな防除技術の早期実現化に努めること。また、選抜育種の一層の推進と併せて、バイオテクノロジー等の導入による抵抗性品種の育成及びその供給体制の整備等育種事業の充実に努めること。
   さらに、松の枯損被害についても、手入れ不足等による松の不健全化や酸性雨などの影響について調査研究を推進すること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#170
○高村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 東力君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#171
○高村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田名部農林水産大臣。
#172
○田名部国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#173
○高村委員長 次に、内閣提出、森林組合合併助成法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#174
○高村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#175
○高村委員長 この際、本案に対し、東力君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。佐々木秀典君。
#176
○佐々木委員 私は、自由民主党、正本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合を代表して、森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 案文を朗読いたします。
    森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は本法の施行に当たり、最近においても我が国森林及び林業をめぐる諸情勢が依然として厳しいことにかんがみ、流域林業の中核的担い手としての森林組合の組織経営基盤を強化するため、左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。
      記
 一 森林組合の合併の促進に当たっては、組合の実態、地域の実情等に基づいた適切な助言、指導を行い、個々の森林組合自体が意欲をもって取り組めるように努めること。
 二 森林・林業・林産業の活性化を図るため、流域を基本単位として、森林整備水準の向上、国産材産地形成等を図る流域管理システムを確立していく上で、森林組合には流域林業の中核的役割を担うことが期待されていることにかんがみ、技術向上等に必要な教育、指導の推進による技術者の養成に努めるとともに、地域振興のリーダーともなりうる森林組合職員の人材の確保に努めること。
 三 林業後継者の育成に資するため、地域社会との連携を強化しつつ、学習研究体制の整備、グループ活動の活性化に努めるとともに、個性と魅力のある地域づくり、都市との交流の促進、その他有効な施策の充実を図ること。
 四 林業労働者を確保するため、雇用の安定、労働基準法の完全適用、社会保険への加入促進、福利厚生施設の整備等労働条件の向上、労働安全衛生の確保に努めるとともに、高性能林業機械の導入を図ること。
 五 間伐対策については、その緊急性にかんがみ、引き続き森林組合等が行う間伐事業に必要な施設の整備、森林所有者等が共同して行う計画的な間伐の実施、間伐材の需要開発等に努めること。
 六 森林災害共済については、対象森林の構成の変化、異常災害の発生、加入率が低いままに推移していること等を考慮し、林業経営の安定化を図るという観点から、共済加入の拡大と健全な運営を図るとともに、森林国営保険と併せて、長期的展望を踏まえつつ、将来の経営及び仕組みのあり方について引き続き検討を行うこと。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御高承のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようにお願い申し上げます。
#177
○高村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 東力君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#178
○高村委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田名部農林水産大臣。
#179
○田名部国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#180
○高村委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#181
○高村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#182
○高村委員長 次に、内閣提出、獣医師法の一部を改正する法律案、獣医療法案及び家畜改良増殖法の一部を改正する法律案の三案を議題とし、審査に入ります。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。田名部農林水産大臣。
    ―――――――――――――
 獣医師法の一部を改正する法律案
 獣医療法案
 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#183
○田名部国務大臣 獣医師法の一部を改正する法律案、獣医療法案及び家畜改良増殖法の一部を改正する法律案の三法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 まず、獣医師法の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。
 最近の飼育動物に関する保健衛生及び畜産業をめぐる情勢を見ますと、畜産業が我が国農業の基幹的部門へと成長を遂げるとともに、一般家庭における小動物の飼育が広く普及しており、獣医師による的確な診療の提供はますます重要となってきております。また、獣医療技術につきましては、新たな診療機器の普及、動物用医薬品の開発等により、その高度化が進展してきております。他方、家畜飼養の多頭化に伴いその疾病が多様化、複雑化する等新たな動物に関する保健衛生上の問題が生じてきているほか、安全な畜産物の生産のための動物用医薬品の適正使用等が重要な問題となっております。
 このような最近における飼育動物に関する保健衛生及び畜産業をめぐる諸情勢の変化にかんがみ、動物に関する保健衛生の向上及び畜産業の発達を図り、あわせて公衆衛生の向上に資するため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、獣医師の活動範囲が拡大し、その果たすべき役割が多様化してきたことを踏まえ、獣医師の任務を明確化することとしております。
 第二に、獣医師の臨床技術の向上を図るため、診療を業務とする獣医師は、免許取得後も、獣医系大学の附属施設である診療施設または農林水産大臣の指定する診療施設において、臨床研修を行うよう努めるものとすることとしております。
 第三に、畜産物生産の多様化及び疾病に対する的確な防除の必要性の増大に対応するため、獣医師の診療対象飼育動物を追加することとしております。
 第四に、安全な畜産物の生産を図るため、獣医師がみずから診察しないで投与または処方することができない医薬品として、農林水産省令で定める医薬品を追加することとしております。
 第五に、複雑、多様化する疾病に的確に対応するため、獣医師は、診療をしたときは、その飼育者に対し、飼育動物に関する保健衛生の向上に必要な事項の指導をしなければならないこととしております。
 第六に、外国の獣医学校の卒業生等の獣医師国家試験の受験に適切に対処するため、獣医師国家試験予備試験制度を設けることとしております。
 第七に、獣医師国家試験に関する事務その他この法律及び獣医療法によりその権限に属させられた事項を処理させるため、農林水産省に獣医事審議会を置くこととしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 続きまして、獣医療法案につきまして御説明申し上げます。
 適切な獣医療の確保につきましては、これまで獣医師法に基づき、診療施設の開設の届け出を義務づけるとともに、獣医師の業務に関する広告についてその適正を確保するための措置を講じてきたところであります。
 しかしながら、近年、産業動物獣医師の高齢化が進む等獣医師の確保が困難な地域が発生し、畜産業への影響が懸念されるようになってきております。また、エックス線装置の普及、診療施設の整備の進展等に伴い、診療施設が一定の水準を満たし、かつ、それについて適切な管理が行われることが要請されるようになってきております。さらに、獣医師や診療施設の業務に関して適切な情報を飼育動物の飼育者に提供していくことが重要となっております。
 このような情勢の変化を踏まえ、適切な獣医療の確保を図るため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、診療施設を開設した者は、開設の日から十日以内に都道府県知事に届け出を行うこととしております。また、診療施設の構造設備は、その手術室やエックス線診療室について、農林水産省令で定める基準に適合したものでなければならないこととしておりますとともに、開設者は、みずから獣医師で診療施設を管理する場合のほかは、獣医師にその管理をさせなければならないこととしております。さらに、往診診療者等につきましても、以上の事項を一部適用することとしております。
 第二に、農林水産大臣は獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針を獣医事審議会の意見を聞いて定めるとともに、都道府県はこれに則して都道府県計画を定めることができることとし、当該都道府県計画に基づいて診療施設の整備を図ろうとする者がその診療施設整備計画について都道府県知事の認定を受けた場合には、農林漁業金融公庫からの長期低利の資金の貸し付け在受けることができることとしております。
 第三に、獣医師または診療施設の業務に関する広告につきましては、何人も獣医師または診療施設の専門科名、獣医師の学位または称号を除き、その技能、療法または経歴に関する事項を広告してはならないものとしております。また、この場合でも、獣医事審議会の意見を聞いて農林水産省令で定めた事項については、これを広告することができることとしております。
 以上が、この法案の提案の理由及び主要な内容であります。
 最後に、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 家畜の改良増殖は、畜産経営の体質強化を図り、畜産物の安定供給を図る上での基本となるものであり、我が国における家畜の改良増殖を推進するため、種畜検査、家畜人工授精、家畜体内受精卵移植に関する規制等を行ってきているところであります。
 しかしながら、近年の家畜改良増殖の状況を見ますと、一バイオテクノロジー等先端技術の開発が目覚ましく、家畜体外受精卵移植の技術は既に実用化の段階に達しております。
 また、これら畜産新技術の進展に伴い、家畜改良増殖における雌畜の重要性が増大してきております。
 このような情勢の変化に対応して、家畜改良増殖の一層の促進を図るため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
 第一に、家畜体外受精卵移植に関する規定を整備することであります。
 家畜体外受精卵移植の健全な発展と円滑な普及を図る観点から、家畜卵巣の採取の用に供する家畜の雌は、伝染性疾患及び遺伝性疾患を有しないことについての獣医師の診断書の交付を受けたものでなければならないこと、家畜卵巣の採取、家畜未受精卵の採取、処理、家畜体外授精、家畜体外受精卵の処理、移植を行う者の資格を定めること等家畜体外受精卵移植に関する規定を整備することとしております。
 第二に、都道府県の家畜改良増殖計画の計画事項の追加であります。
 優良な雌畜を家畜改良増殖に有効に活用していくため、都道府県の家畜改良増殖計画に、従来の優良な雄畜の利用等に関する事項に加え、家畜受精卵移植の用に供する優良な雌畜の利用等に関する事項を追加することとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、これら三つの法律案につき慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようにお願いを申し上げます。
#184
○高村委員長 以上で三案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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