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1992/04/14 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 農林水産委員会 第6号
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1992/04/14 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 農林水産委員会 第6号

#1
第123回国会 農林水産委員会 第6号
平成四年四月十四日(火曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 高村 正彦君
   理事 金子徳之介君 理事 東   力君
   理事 簗瀬  進君 理事 石橋 大吉君
   理事 前島 秀行君 理事 藤原 房雄君
      赤城 徳彦君    上草 義輝君
      内海 英男君    大原 一三君
      金子原二郎君    亀井 久興君
      坂井 隆憲君    鈴木 俊一君
      西岡 武夫君    鳩山由紀夫君
      保利 耕輔君    星野 行男君
     三ッ林弥太郎君    宮里 松正君
      柳沢 伯夫君    有川 清次君
      佐々木秀典君    志賀 一夫君
      田中 恒利君    竹内  猛君
      鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君
      目黒吉之助君    倉田 栄喜君
      藤田 スミ君    小平 忠正君
      阿部 昭吾君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  田名部匡省君
 出席政府委員
        農林水産大臣官 馬場久萬男君
        房長
        農林水産大臣官 白井 英男君
        房審議官
        農林水産省経済 川合 淳二君
        局長
        農林水産省畜産 赤保谷明正君
        局長
        食糧庁長官   京谷 昭夫君
 委員外の出席者
        厚生省健康政策 伊原 正躬君
        局総務課長
        厚生省生活衛生 織田  肇君
        局食品保健課長
        厚生省生活衛生 伊藤蓮太郎君
        局乳肉衛生課長
        農林水産委員会 黒木 敏郎君
        調査室長
    ―――――――――――――
委員の異動
四月三日
 辞任         補欠選任
  佐々木秀典君     木間  章君
同日
 辞任         補欠選任
  木間  章君     佐々木秀典君
同月十日
 辞任         補欠選任
  赤城 徳彦君     小渕 恵三君
  石破  茂君     熊谷  弘君
  内海 英男君     長谷川 峻君
  金子原二郎君     愛知 和男君
  鈴木 俊一君     江崎 真澄君
  鳩山由紀夫君     亀井 静香君
  保利 耕輔君     坂本三十次君
  星野 行男君     奥野 誠亮君
  鉢呂 吉雄君     伊藤  茂君
同日
 辞任         補欠選任
  愛知 和男君     金子原二郎君
  江崎 真澄君     鈴木 俊一君
  小渕 恵三君     赤城 徳彦君
  奥野 誠亮君     星野 行男君
  亀井 静香君     鳩山由紀夫君
  熊谷  弘君     石破  茂君
  坂本三十次君     保利 耕輔君
  長谷川 峻君     内海 英男君
  伊藤  茂君     鉢呂 吉雄君
同月十四日
 辞任         補欠選任
  松岡 利勝君     坂井 隆憲君
同日
 辞任         補欠選任
  坂井 隆憲君     松岡 利勝君
    ―――――――――――――
四月七日
 松枯れ対策農薬空中・地上散布即時完全中止、
 松くい虫被害対策特別措置法延長反対に関する
 請願(北沢清功君紹介)(第九四〇号)
 同(串原義直君紹介)(第九四一号)
 同(沢藤礼次郎君紹介)(第九四二号)
 同(志賀一夫君紹介)(第九四三号)
 同(森井忠良君紹介)(第九四四号)
 同(岡崎トミ子君紹介)(第九八〇号)
 同(馬場昇君紹介)(第九八一号)
 同(長谷百合子君紹介)(第九八二号)
 同(日野市朗君紹介)(第九八三号)
 同(元信堯君紹介)(第九八四号)
同月十日
 松枯れ対策農薬空中・地上散布即時完全中止、
 松くい虫被害対策特別措置法延長反対に関する
 請願(秋葉忠利君紹介)(第一二〇四号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第一二〇五号)
 同(岡崎トミ子君紹介)(第一二〇七号)
 同(野坂浩賢君紹介)(第一二〇八号)
 同(長谷百合子君紹介)(第一二〇九号)
 同(武藤山治君紹介)(第一二〇号)
 同(山元勉君紹介)(第一二一一号)
 同(有川清次君紹介)(第一二四四号)
 同(石橋大吉君紹介)(第一二四五号)
 同(小川国彦君紹介)(第一二四六号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第一二四七号)
 同(新盛辰雄君紹介)(第一二四八号)
 同(竹内猛君紹介)(第一二四九号)
 同(野坂浩賢君紹介)(第一二五〇号)
 同(目黒吉之助君紹介)(第一二五一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会申入れに関する件
 参考人出頭要求に関する件
 獣医師法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 四四号)
 獣医療法案(内閣提出第四五号)
 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第四六号)
     ――――◇―――――
#2
○高村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、獣医師法の一部を改正する法律案、獣医療法案及び家畜改良増殖法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、審査を進めます。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。
#3
○赤城委員 おはようございます。
 獣医師法、それから獣医療法、家畜改良増殖法について質問させていただくわけですけれども、質問に入る前に、まず畜産行政に対する基本的な姿勢を大臣にお尋ねしたいと思うのです。
 と申しますのは、畜産業、これは言うまでもなく我が国農業の大事な部分を占める分野でございますが、農業全般が厳しいあるいは曲がり角だと言われる中で、特に畜産につきましては、ここ数年大きく状況が変わってきておると思うのです。これは言うまでもなく、牛肉の自由化が昨年されまして、関税率が今下がっております。輸入肉と国産の牛肉との競合、それに伴う特に乳肉の価格が非常に下がっているというような状況、それから後継者が減っておる、また畜産公害などなど、特に農業の中でも畜産業というのは大変な時期にぶつかっているのじゃないかなと思うわけであります。
 この中で特に後継者難のことについて、数字で申し上げますと、まず酪農家、養豚、牛肉といずれも農家の数が急激に減っているということでありまして、酪農家が昭和五十五年から平成三年に十一万五千戸あったのが六万戸に、養豚に至っては十四万一千戸が三万六千戸、約三分の一。養豚は昨年からことしにかけて、わずか一年間で一七・一%減っているということであります。これについて、農水省からも資料をいただきましたけれども、農水省の説明では、数は減っていますけれども飼養頭数は余り変わりませんから規模が拡大しています、コストも下がっていてということで、むしろ肯定的な評価がされているように思うのですけれども、私はそんなに楽観できるものかなというふうに思うのです。
 私の地元も全国で一、二を争う養豚県でありますけれども、近所の養豚農家を見てみますと、豚舎が空っぽになっている。酪農も同じですけれども、かなりのところがもう空っぽになっているのですね。本当に規模を拡大してうまくやっているのだったら、こんなに農家がやめていかないのじゃないかな。思うに、大変厳しい、いろいろな状況で厳しいのでどんどん脱落しでいっている、残っている農家は、これはもうまさに生き残りをかけて一生懸命規模拡大に努力をして、これも一か八かのかけみたいな感じがするのです。よく聞かれるのは、本当にこのまま規模拡大をやっていって大丈夫なんでしょうか、農家を続けていって大丈夫なんでしょうかということを聞かれるわけであります。ですから、農家にとって、本当にこの先続けていって大丈夫なんだ、任せておいてくれ、そういうしっかりとした対策を立てていただかないと、このままなくなっていって、農家は減っていって、最後はいなくなっちゃったというのでは仕方がないと思いますので、そこら辺、これから畜産行政に対してどういうお考えで取り組むのか、大臣の所見を伺いたいと思います。
#4
○田名部国務大臣 お答え申し上げます。
 我が国の畜産は、何といっても食生活の高度化あるいは多様化を背景として非常に順調に進んできたと思うのです。特に、従来は、畜産というのはそこまでいってなかったんでありますが、今では基本的な部門として位置づけられるようになってまいりました。
 まあ、お話のように、自由化後、非常に厳しい環境でありますけれども、何といっても商売といいますか企業といいますか、どの業界も激しい競争の中で努力していると思うのですね。ですから、そういうとらえ方で見ますと、やはり品質を高めるとかいろんな高度な技術を駆使して、そうして経営の安定を図っていく。どうしてもできない部分については、国もそれ相当のお手伝いを今までもさしていただいてきたということはあるのですね。ただ、どうも見ておりますと、最初から企業として成り立つようにやっておったかというと、必ずしもそうでない部分というのはあるのですね。やはりある程度の収入を得られるにはどの程度の規模が適切なのかということから、余り農家の方々は事業展開をされていない。まあ養豚ばかりではなくて、他の分野も含めて一体どれだけの収益を上げられるだろうか、何人でやればいいだろうかという原価計算、そういうものも余りなされていないというところに、今日のように自由化の波をかぶると競争できないという部分が出てくると思います。
 確かにおっしゃるとおり、飼養頭数では減っておりませんので、規模はそれなりに、小さい人たちはやめる人もありますけれども、全体で見ると規模の拡大の傾向に向かっていることは事実であります。そのほかに、混住化でありますとか、環境問題でもうやれないという人たちもおるのですね、都市の近郊なんかでは。まあそういう現象というのはありますし、何といっても酪農経営においては収益性の低下、そういうものが見られるということは、私どもも厳しい状況にあるということはよく承知いたしております。
 そこで、肉用牛等大家畜経営の生産性の向上あるいは経営体質の強化を図ってあげるとか、あるいは受精卵移植技術等の畜産新技術の実用化、普及、そういうものを図る。あるいはお話のような担い手、これは研修でありますとか農場あっせん、整備、経営資金の金利負担の軽減、あるいは畜産環境の整備、そういうものを総合的に対策を立てて、これからも畜産振興のために最大の努力をしていきたい、こう思っております。
#5
○赤城委員 畜産農家も大変な努力をしているわけですので、ぜひ行政としてのバックアップもよろしくお願いいたしたいと思います。
 もう一つの問題点で、畜産公害なんですけれども、こちらも農村の混住化が進んでおりまして、それまでずっと経営続けていたんだけれども、周りに家が建ち並んでしまったために、おまえ出ていけというような状況まであるわけであります。私もことし正月に地元の年始回りに行ったときに、養豚農家を十軒ほど見せてもらいました。確かに規模拡大している。大変大規模でありますから、出てくるふん尿も多くなるわけですね。特に、ふんはまだ土壌還元なりできるんですけれども、尿の方が、これだけ大量に出てきますと、処理し切れなくなる。どうして毛里山に捨ててしまうとか、どこかに、ため池みたいな形でそのままにしてしまう。本当に広大なため池みたいなところに捨ててありまして、これが雨が降るとあふれてしまうので、どうしたものかというふうな実態を見てまいりました。そこら辺、処理施設をつくるといってもなかなか、いろいろ補助事業あるようですけれども、その負担もかかるようですし、特に尿の処理という部分について、どういうふうに考えていかれるのか、お尋ねいたします。
#6
○赤保谷政府委員 畜産公害についてのお尋ねでございますが、畜産経営に起因する環境問題、これは近年、全体の件数は減っておりますけれども、先ほど来お話がありますように飼養戸数が減少している、それに伴って飼養戸数当たりの苦情の発生件数、これは増加傾向にございます。
 それで、この環境問題ですけれども、畜産にマイナスイメージを与える、後継者確保難の一因にもなっているというふうに考えておりまして、今後畜産の発展のために家畜のふん尿を堆肥化しまして土壌に還元するリサイクル利用を基本とした適切な処理を行うことがますます重要になってくると思います。
 環境問題の解決のためには幾つかあるわけですけれども、耕種農家との有機的な連携によります家畜ふん尿の効率的な処理、利用の一層の推進を図るということが重要でございますが、今お話にありましたような混住化というか都市化したそういう地域における経営の継続が困難になってくる、そういう地域においては集団的な経営の移転というようなことも助成をいたしておりますし、また地域社会と調和した経営を営んでいる優良事例、そういうものの発掘というのか、普及等による畜産農家の環境保全意識の向上、こういうことを図っていくことが必要であろうと思います。
 そういった基本的な立場に立ちまして、私どもとしましては畜産農家に対する適切な家畜ふん尿処理技術のための巡回指導だとか、共同利用施設の設置、移転等に対する助成、さらには個人施設、個人は補助の対象になりませんので、融資だとかリース、そういういろいろな事業を講じているところでございます。
 それで、今年度、平成四年度にはさらに畜産公害を重視いたしまして、新たに堆きゅう肥の地域間需給情報ネットワークの確立、要するに専業化していきますと需給の地域的なアンバラができる、その需給調整ネットワークをつくろう、あるいは畜産環境保全資金の融資枠あるいは貸し付け限度額の増額ということも考えておりますし、今お話のありました尿汚水、尿、それの減量化に資する機械だとか装置等のリースの対象のリース量を拡充する、それに必要な資金を助成する、そういうことにいたしているところでございます。
 こういうようなことを進めて環境問題の改善に努めていきたいと思いますが、今先生、特に尿の問題を強調しておられましたが、養豚経営におきましては、ほかの畜種に比べまして尿の排せつ量が多い、それから養豚経営の多くが土壌還元のための十分な農地を持っていない場合が多い、さらには尿汚水はその性状から広域的に流通して散布する、それになじみにくい、そういう困難性があることは承知をいたしておりまして、尿汚水の処理に当たっては尿汚水に混入するふんを減らすことによって負荷量の減少を図る、あわせて尿汚水自体の減量化を図ることによりまして、処理施設費、運転管理費の節減を図ることが重要であると考えております。
 このため農林省では、従来からいろいろなことをやってきたところでありますけれども、さらに今年度、平成四年度におきましては、尿汚水の減量化に資する機械、装置等のリース量を拡充するに必要な資金を助成する事業を実施することとしているところでありまして、こういった事業の円滑な推進を中心として、今後とも環境問題に対して積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
#7
○赤城委員 それでは、いわゆる畜産三法の問題に移らせていただきます。
 まず獣医師の仕事、最近は大変広範囲にわたっております。産業動物の診療も、従来の個体診療から群全体を見るというような方向へ、あるいは予防というものがクローズアップされている。それから公衆衛生の分野、狂犬病ばかりでなく屠畜検査、食品衛生監視、さらに小動物、ペット関係、ペットも全世帯の三割以上がペットを飼っているということで、それに対する獣医師も個人開業の三分の二が小動物関係ということが言われています。獣医師さんの仕事も非常に広範囲にわたっているわけで、その任務の重要性、畜産業あるいは我々の生活の安全、健康、そういった面で、その重要性というのはもう一般の医師、歯科医師とまさるとも劣らないものだと思います。そういう獣医師さんの重要性というものをしっかりと位置づけて、これから行政をやっていかなければいけないなというふうに思うわけであります。
 そこで、特に産業分野の獣医師さんが不足しておるということが今非常に問題になっております。産業分野でも、先ほど申しましたように飼養規模が増大しておりますので、慢性的な疫病とかあるいは集団的な衛生管理技術、こういうものが重要でありますし、医薬品の残留問題、受精卵移植の技術、役割は非常に広範になっているのですけれども、それに対して産業動物の開業獣医師さんが大変高齢化しておりまして、六十一歳以上の獣医師さんが六四%、平均年齢でも六十一歳、高齢化が進んでおります。それに伴って、都道府県、市町村、共済組合、農協、あらゆるところで獣医師さんが不足しております。
 なぜこんなに不足しているのかと考えてみますと、何といっても産業動物の獣医師さんは往診が中心になりますので、それも往診といっても、私の地元では三十キロも五十キロも離れたところ、一日がかりで往診に行って、しかも大動物ですから、その労働たるや大変重労働あるいは危険を伴うわけであります。収入面でも小動物に比べまして非常に劣るということ、そういったこともありまして、今獣医系の大学で産業動物を担当する学生さんが非常に少なくなっているというふうに聞きます。学生さんでも都会の出身者や女子がふえているということでありますので、特に産業動物あるいは農家出身、農業高校出身の生徒さんが獣医系の大学へもっと進学してもらうように対策が必要だと思うわけです。
 一つは、獣医系大学の定員をふやして、農業高校とか農家の子弟を中心に推薦で入学をするというようなことをもっと考えなければいけないのじゃないか、あるいは奨学金制度がありますけれども、これはもっと拡充していくという対策が大事だと思います。
 それから、大学で学んでも実際に臨床、実地でやっておりませんと、いきなり産業動物というのは、学校ではなかなか経験できないわけでありますので、そういう臨床研修の制度を今度設けておるわけですけれども、特にそれに対して法律で政府が援助する、こういうふうになっております。そこらはどういうふうに援助していくのか。
 それから、これはまたちょっとそれに関連してなのですが、既に開業している獣医師さんにとっても、ここら辺新しい技術ができできますと、それを研修で学ぶということが大事になってきます。いわゆる高度研修についてどういうふうに考えていくのか。そういった対策についてどう考えるか、お尋ねいたします。
#8
○赤保谷政府委員 産業動物の獣医師さんが不足している、その不足に対する対策いかんというような御趣旨の御質問だと思いますが、日本のこれまでの畜産の発展、発達を図る上において、産業動物の獣医師さんは非常に重大な役割を果たしてきたところでございますが、今お話がありましたように、近年、産業動物の開業獣医師さんの高齢化が進んでいる、それから農業共済団体、農協等における獣医師系職員の確保も困難になってきている。そういったように獣医師の確保が困難な地域が発生して、畜産業の健全な発展に支障を生ずるのではないかといった懸念が強まってきているわけでございます。
 こうしたことから、今回、地域における高度で体系的な獣医療を提供する体制の整備を図るために、そのための計画制度を法律で設けることとして御審議をお願いしているわけですが、その計画制度におきましては、国の定める基本方針に即して都道府県が計画を定める、それで都道府県計画において獣医師の確保に関する目標を定めまして、この目標に向けて関係者の努力を促すということにしているわけでございます。
 さらに、具体的な支援措置として、お話もございましたが、産業動物開業獣医師と農業団体を対象とした診療施設の整備のための農林漁業金融公庫による長期低利資金の貸し付けたとか、これまたお話がありましたが、産業動物獣医師を志向する学生さんを支援するための修学資金の給付、これも拡充をしようと思っております。それから、獣医師免許取得後における臨床研修の実施、卒業後すぐ一般の臨床研修をする場合と、開業してしばらくたってから日進月歩の技術を習得しようといういわば高度の技術習得研修、そういう研修、それから勤務獣医師のOBの方、家畜保健衛生所のOBの方とか、そういう方の産業動物診療への参入を促進するための講習会の開催、あるいは獣医師が不足する地域における民間の開業獣医師さんに巡回診療をしていただく、そういうようなこと、いろいろなことを行うことといたしておるわけでございます。
 以上のように、国と都道府県が一体となって、各般の対策を基本方針、都道府県計画に即して実施することによりまして、産業動物獣医師の誘導、定着を推進してまいりたい、かように考えているところでございます。
#9
○赤城委員 もう一つ、学校を出て研修も終わって、さて開業獣医師をやろうというときに問題になりますのが、その診療施設をどうやって準備するかということであります。特に最近はエックス線装置なんかも、七五%の方がエックス線装置を持っておられるというふうになっていますので、そういう診療施設を整えるのに大変費用がかかるようになっております。今回、農林公庫の資金でそういう施設に対して融資をするということ、これは大変大きな前進だと思います。
 そこで、これは簡単で結構ですけれども、どんな融資条件になるのか、貸付対象の施設は具体的にどんなものを想定されているのか、対象者としては産業動物獣医師に限られるのかどうか、そこら辺をお尋ねしたいと思います。
#10
○赤保谷政府委員 今申し上げましたように、今回農林漁業金融公庫の長期低利の資金の融資を考えているわけですが、小動物開業獣医師については、産業動物獣医師さんが不足しているということから発想したことでありまして、小動物開業獣医師さんについては対象から除外している。ただ、小動物獣医師さんに対しては、国民金融公庫とか中小企業金融公庫からの融資もございますので、その道をお使いをいただきたいと思います。
 それで、融資の概要ですが、融資を受けようとする者は、診療施設整備計画を作成しまして、その計画が都道府県計画に照らして適切なものであって、かつ、畜産業の振興に資するための診療施設にかかわるものである旨の認定を知事から受けることが必要でございます。この場合、どういう融資条件で資金を借り受けすることができるかということですが、診療施設の整備を行う場合に、今のところ貸付利率五・五%、これは平成四年二月三日現在の財投金利を前提としたものでございますが、貸付利率は五・五%、償還期限は十年以内、うち据置期間は二年以内、融資率が八〇%。それから農協だとか農業共済組合、そういう団体が診療施設の整備を行う場合には、利率は五・五%、同じでございますが、償還期限は二十年以内、そのうち据置期間を三年以内、融資率は同じく八〇%ということを予定いたしております。
#11
○赤城委員 さらに、獣医師の不足についてでありますけれども、もう一つ、これは一番あるいは根本的な理由だと思うのですけれども、何といっても産業獣医師さんの収入が低いということでありまして、平均年収で小動物関係と比べますと、産業動物の獣医師さんは平均年収が一千三万円、小動物は一千九百九十九万円、約二千万円でありますから、倍違う。諸経費を除いても五百万と八百万で大変に大きな開きがある。勤務獣医師さんの初任給を一般の医師と比べてみますと、これは給与表そもそもが違いまして、勤務獣医さんは二級六号で十八万二千五百円ですか、医師の場合は一級四号で二十三万三千四百円で医師手当がつくということで、これまた大きな開きがある。いずれにしても、その開業獣医師さんの収入を何とか確保していかないとなり手がいないんじゃないかなと思うわけです。
 それで、さてどうやってやったらいいのかということですけれども、開業獣医師さんにとってその収入の基準となるのは家畜共済の診療報酬でありますから、ここら辺はどういうふうにやっていくのか。それから、家畜衛生対策の中での雇い上げ獣医師さんの手当、これも一つ大きな部分でありますし、そういったところで何か獣医師さんの収入面で対策はないものかなと思うわけですが、お答えいただきたいと思います。
#12
○川合政府委員 家畜共済にかかわります御質問でございますので私の方からお答えさせていただきますけれども、家畜共済に加入している家畜を診療した場合に支払われる診療技術料というものがございます。これの計算につきましては、診療を行う獣医師さんが地方公共団体などの類似業務に携わる者とほぼ同等の給与が得られるようという考え方に立って決めておりまして、一般的な給与水準の動向がまた反映されるように、原則として三年ごとに必要な見直しを行うということでやってきているわけでございます。
#13
○赤保谷政府委員 ただいまお話しになりました家畜衛生対策のための事業を行うに当たって、注射とか検査を行うわけですが、そのときの獣医師の雇い上げ、獣医師を雇い上げて協力をしてもらうことが必要であるわけです。その場合の雇い上げ獣医師の手当ですけれども、これまで人事院勧告の給与上昇率に即して引き上げられるように措置してきたところでありまして、平成四年度の予算におきましては、獣医師の雇い上げ手当は一日一万二千七十円としたところであります。これはまた普通のお医者さんとほとんど同じ額でございまして、それとのバランスもありまして、こういうような人事院勧告の上昇率に見合った引き上げをいたしているところでございます。
#14
○赤城委員 それでは時間が迫ってまいりましたので、これは担当は厚生省さんになると思うのですが、最後の質問をさせていただきます。
 先ごろUSTRが諸外国の外国貿易障壁に関する年次報告書というのを出しまして、その中で残留農薬基準というのを新たに項目として取り上げております。内容としてはそれほど深く立ち入っておりませんけれども、我が国の食品残留農薬基準というのは二十六農薬、五十三農産物について基準を定めてあるわけですけれども、アメリカでは四百種類、例えばポストハーベスト農薬みたいなものについての基準がある。我が国ではそういうものは未登録で、販売が禁止されているというものが二十四種類あるわけです。最近の輸入農産物の残留農薬調査でも、数々その農薬が検出されたという問題が報告されております。こういったむしろ科学的な見地から判断すべきものを貿易障壁という観点からアメリカが取り上げている、これはいかがなものかなと思うわけであります。
 二点目には、ウルグアイ・ラウンドで検疫・衛生措置に関する合意がありまして、残留農薬とか抗生物質の基準をFAOとかWHOの国際基準に統一していこうということでありますが、これについても、国内で禁止されているDDTがアメリカの基準よりさらに五十倍も緩い、そういう国際基準になっている。果たしてそういうものに合わせていっていいんだろうかというような問題がございます。また、厚生省がポストハーベストの農薬残留基準を昨年の暮れに決めました。これがちょっと基準が緩いのじゃないかというような話も当委員会でありましたけれども、その中身には立ち入らないとしても、今度畜産物について同じように、えさなどを通じて農薬の残留が問題になりますので、その基準を定めるということになっております。これもオーストラリア産の牛肉からDDTとかディルドリンが検出されている、タイ産のブロイラーからもディルドリンが検出されたというふうな具体例が出ております。そういう中で、さきのUSTRの議論とかウルグアイ・ラウンドでの議論、これを踏まえまして、一体どういうふうな残留基準をつくっていくのか、どういう姿勢でその基準を設定していくのかというのが大変大きな問題になると思うのです。果たして国際基準等を単純に受け入れるというような形でいいのだろうか。もっと厳正に検査をしてそれに基づいた基準でやっていく、これはまさに食品の安全性、我々の生活に直接かかわる問題でありますので、しっかりとした基準を立てていただきたいと思うわけでありますけれども、どういうふうなお考えで取り組むか、お答えいただきたいと思います。
#15
○織田説明員 食品の安全性の確保は国民の健康を守る上で極めて重要な事項であると認識しておりまして、従来から科学的根拠に基づき、食品について必要な安全確保対策を講じてきたところでございます。
 食品衛生の分野においても国際基準に基づいて各国の基準を調和させる必要性は認識しておりますが、食習慣の違い等から、食品の安全性確保を図る上で、必要に応じ、国際基準より厳しい措置をとることにしております。
 畜産の分野におきましては、平成四年度より新たに畜産食品中の農薬残留実態調査等を行い、残留基準値の設定を進め、畜産食品の安全性確保に努めていく考えであります。
 いずれにしましても、食品の安全性の確保のため、今後とも引き続き一層の努力をしてまいりたい、このように考えております。
#16
○赤城委員 終わります。ありがとうございました。
#17
○高村委員長 金子徳之介君。
#18
○金子(徳)委員 ただいま同僚委員から我が国の畜産行政の将来の展望、力強い大臣答弁があったわけでありますが、それは省略し、直ちに畜産、獣医師法等の三法改正に伴います関連事項について御質問いたしたいと思います。
 まず第一点、もう一度確認をしておきたいわけでありますが、重複いたしますけれども、最近産業動物に携わる獣医師の方々の充足率が非常に低い。例えば農業共済団体であるとか、あるいは各全農、経済連所属の獣医師さんとか、あるいはまた公共団体では県段階の研究機関の獣医師さん、畜産試験場等に所属をする、それぞれ研究職としての獣医師さんが慢性的に非常に不足しているわけであります。先ほど同僚委員からも御指摘がありましたとおり、結局新卒者の平均給与というものが他の職種と比べて非常に低い、それで採用難の現実が今日まで来ておる。もう既に、四年制の獣医資格取得から六年制に変わって、卒業生がたしか十年目を迎えていると思います。そうした中で、やはり給与の高い方あるいは小動物、ペット等の愛玩動物関係の方にどんどんと開業されるというケースが多いわけであります。
 そうした面からいいまして、もう一度確認しておきたいのは、今回の前向きの法改正の提案があったわけでありますけれども、これからの対応を積極的に、全国に対して、関係諸団体に対して国としても対応すべきというふうに思います。その点について、大臣に確認の意味で冒頭御質問をしておきたいと思います。
#19
○赤保谷政府委員 今先生から、いろいろな面で獣医師さんが非常に不足している、いろいろ要因を挙げてお話がございましたが、私たちそういうことも踏まえまして、今回獣医師さんの確保を含む適切な獣医療の提供を図る、そういう趣旨で獣医療法案というものの審議をお願いをしているところでございます。
 細かいことは申し上げませんけれども、法案を通していただけましたら、関係団体、役所はもちろん、県、団体力を合わせて、獣医師さんの確保というのは、何かやればすぐ確保できるという即効薬というのもなかなか見当たらないような気もいたしますが、先ほど赤城先生の御質問に対してお答え申し上げましたように、いろいろな施策を総合してぜひ獣医師さんに頑張っていただきたい、私どもも一生懸命努力をしてまいりたいと考えております。
#20
○金子(徳)委員 特に公共団体等につきましては、直接国の指導を受けるそれぞれの委託試験等もあるかと思います。そうした中で、例えばある県では、獣医師の資格、免許を持っているということについて初任給二号俸アップ、そしてまた十二短をやる。自治省等の指導ではそれはいかぬというような話もあるわけでありますけれども、それだけでは他の同じ獣医療に携わる民間の畜産農場であるとかあるいは飼料関係、食肉加工その他化学薬品関連の企業、これらに就職する獣医師と大変な格差があるものですから、十分御配慮をいただくようにお願いをしたいわけであります。これは答弁要りません。
 それといま一つは、研究職のそれぞれの等級がございます。これは一般事務職と違って非常に低く抑えられているという、全国的な横並びの傾向があるわけであります用意欲的にこれから研究をやっていこうという方々に対して非常に水を差しているといいますか、魅力がなくなっている職種というふうに感じられてならないわけであります。したがって、そういった点についても、例えば試験場の五等級制度の一例で申し上げますと、その並びで部長と名前がついていても県庁の本庁の課長補佐クラス、そして場長が課長相当職ということで、参事職をくっつけたりしてわたり制度でもってそれを調整をする、人についてそれがつくられていくというような給与表であります。こうした点は、これは自治省との関連もあるかと思いますけれども、どうか内容をよく御精査をいただきたい。こういった点について、局長、何か所感がございましたら、お願いしたいと思います。
#21
○赤保谷政府委員 獣医師さんの研究職に従事しておられる方の給料がほかの職種に比べて低い、同じような職種に従事している方々と比較するとおおむね同じですけれども、他の分野と比較するとあるいは低いのかもしれません。それは自治省の問題もあり、県の財政の問題もあり、国でも人事院の問題もあります。そういう問題につきましても、今お話がありましたが、さらによく調べてみまして、どれだけやれるかわかりませんけれども、処遇改善の面につきましても努力をしてまいりたいと考えております。
#22
○金子(徳)委員 農業共済団体が管理をいたしております家畜診療所、大変経営が容易でないわけであります。したがって、これらにつきましても産業動物関係については最初から魅力がないというようなことのない御指導をちょうだいいたしたいと思います。要望して次へ移ります。
 家畜増殖法関連について御質問をいたしたいと思います。
 牛肉が自由化されて二年目を迎えまして、我が国の国産牛肉の需給がまことに不安定なことは、先ほど同僚委員が御指摘申し上げたとおりでございまして、これから本格的な農業経営のサイクルの中に組み込んで土地生産力を維持していくというための一つのあり方として、先ほども御答弁があったわけでありますが、そうした意味で消費者の嗜好に合った畜産物を生産することが極めて重要なことであると思います。家畜の能力の向上を図って、そしてまた農家の収益性を高める、これがなお一層重要になるわけでありますが、品質の向上、そしてまた家畜の能力向上、家畜改良に課せられたこれは大きな課題であります。今後の畜産振興の基本事項の一つであると思いますけれども、畜産振興における家畜改良増殖の位置づけというものをお示しをいただきたいと存じます。
#23
○田名部国務大臣 畜産物の市場開放、国際化が進んでまいりまして、いよいよ自由化の波にもまれる、突入していくという中で、生産性が高くて足腰の強い畜産振興をしていかなければいかぬということは当然のことでありますが、このような中で、今能力の低い家畜を淘汰しながら、先生お話しのように、乳量、乳質、肉量、肉質、こういう面で能力の高いすぐれた家畜をどうつくり出していくかということが家畜の改良増殖には大変重要なことだ、これから本当にこれが要求されていくであろう、こう考えるわけであります。
 今般の法改正は、能力の高い家畜の受精卵を活用して家畜改良増殖の一層の推進を図る、また、新しい技術であります家畜体外受精卵移植について、生産者が安心して利用できるように、雌畜の衛生検査や品質の保全について一定のルールをつくって行おうとするものであります。このことによって家畜体外受精卵移植技術がより一層活用され、家畜の改良増殖のさらなる促進が図られ、結果的には畜産農家の安定が図られていく。
 御案内のように、我が国の畜産肉等は海外に輸出されておりません。したがって、日本の高度経済の中で、これを求める人たちというものは安全でおいしいものを求めるという傾向が何によらず多いわけですね。ですから、消費者のニーズに合ったものを安定的に供給する、これならば外国産のものに対抗してやっていけるということで、今自由化になったばかりでいろいろと混乱が生じておりますが、何とかここ数年の間に安定して、日本の畜産というものは外国には絶対負けないというものをつくり上げていきたい、こう私は考えております。
#24
○金子(徳)委員 今回の法改正で家畜体外受精卵の移植技術を積極的に活用していくということはまことに時宜を得ておりますので、どうか農水省の家畜改良センター、大いにこれから末端の各県畜産試験場との連携を持ちながら効率的な成果を上げていただくように、これも御要望申し上げておきたいと存じます。
 今は、従来の十七種畜牧場を再編整備しまして、各センターが研究技術の一番高いレベルで増殖を行っております。また、それについては黒毛和種は一番安定した価格形成をいたしているわけであります。私は地元から、試験場で保存されておりますそれぞれの種雄牛の名簿をもらってきたわけでありますが、全国でそうした交流をしっかりとやる、あるいは精液をきちんと管理していくことが必要だ。前に精液が間違ったというような、これは善意の間違いだろうと思いますが、凍結精液を取り出したときに善意の間違いによっていろいろと不信感が出た、そんなこともあったというふうに聞いているわけでありまして、どうかそういった点の指導の強化も図っていただきたい。
 時間がございませんので、次に、今後の家畜の生産性を高めるための研究のために薬剤を使う、成長ホルモン剤を使う。ホルモン剤の種類はいろいろあるようであります。トロンボロンとかゼラノールとか、あるいは泌乳量増大のために使っているホルモンではソマトトロピンであるとか、そういったものを使っているわけでありますけれども、この試験研究用のホルモン使用がなかなか許可になっていないのではないか、そのようなことを仄聞いたしているわけであります。これは畜産局の衛生課が所管されておると思いますけれども、この場合は、安全対策が十分であれば積極的にそういうものを使わせることによって研究の成果をより高めるということが必要なのではないかなと考えるわけであります。これについてのお答えを賜りたい。
 それから、これらの家畜に使用されるホルモン剤が食肉に残留されている場合の安全対策、これまた必要なことであると思います。この点についても伺っておきたいと存じます。
#25
○赤保谷政府委員 成長ホルモンについての御質問でございますが、まず最初の、国内での使用を認めていないではないかというお話ですが、家畜の成長ホルモンは脳下垂体から分泌されるホルモンでして、成長を調整するだけではなくて、反すう家畜では泌乳量の増加にも関与しているホルモンでございます。
 生体における成長ホルモンの量が微量であるために研究はなかなか進まなかったわけですけれども、近年海外において、遺伝子組みかえ技術を活用して微生物から成長ホルモンを生産できるようになりまして、研究開発が進んでいるとお聞きをいたしております。しかし、我が国では遺伝子組みかえによる研究開発が進んでいるとは聞いておりませんけれども、一部大学では輸入の成長ホルモン剤を使用した、実験動物を用いた基礎的な研究が行われたことがある。その際には、試験研究に安全性等の問題がなければ、研究用としての輸入は認められているわけでございます。
 海外の製薬メーカーにおいては牛の成長ホルモン剤の製造承認を、一九八七年にアメリカ政府、それからEC政府に対して申請しているわけですけれども、現在までも両政府から承認は得られていないとお聞きをいたしております。日本におきましては、薬事法に基づく通常の製造または輸入の承認申請はなされておりません。ただ、先ほど申し上げましたように、試験研究の場合には特別の道がありまして、そのための輸入が行われたことはございます。
 それから安全性の問題ですけれども、成長ホルモン剤を使用した場合の畜産物の安全性の確保、これは食品衛生上の問題でございまして厚生省の判断に従うことになるわけですけれども、基本的には科学的根拠に基づいて安全性の評価をすべきものであると考えております。
 国際的には、牛の成長ホルモン剤の取り扱いについてFAO、WHOの合同食品規格計画で一九九二年度以降に科学的な検討を行う予定となっておりまして、製造または輸入の承認申請があった場合には、こういった検討結果等を踏まえながら、厚生省との連携を図り、中央薬事審議会の意見を聞いて慎重に対処をしてまいりたいと考えております。
#26
○伊藤説明員 お答え申し上げます。
 食肉を含めまして、食品の安全確保は健康を守る上で極めて重要なことであるというふうに認識しております。
 それで、飼育時に使われますホルモン剤の安全性につきましては、そのホルモンが食肉中に残留するかどうか、またその残留が人体に対してどのような影響があるか、そういうようなことを検討して評価をする必要があろうかというふうに考えております。
 先生御提起になられました成長ホルモンにつきましては、現在まだ国際的に研究されている段階というふうに聞いておりますので、実用化の段階におきまして安全性評価などを行いまして、必要な安全確保の措置をとってまいりたいというふうに考えております。
#27
○金子(徳)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、十秒だけ御要望申し上げておきたいと思います。
 和牛の特質、すぐれた肉質を持ったこれらの生育、これは我が国においての大きな財産でありますので、どうか海外輸出等が軽々しく行われないようにお願いを申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
#28
○高村委員長 有川清次君。(「定数、定数」と呼ぶ者あり)定足数は足りておりますので、有川君の質問を……。
#29
○有川委員 定足数は足りていますか。
#30
○高村委員長 足りています。
#31
○有川委員 では、今回獣医師法の一部を改正する法律案と獣医療法案並びに家畜改良増殖法の一部を改正する法律案が提出されましたが、私は、獣医師法の一部改正法案を中心にしまして、また、これに付随する二法案に関連しながら質問をいたしたいと思います。
 現在の獣医師法は、昭和二十四年に旧獣医師法にかわって新たに制定されたものでありますが、畜産業の振興発展など、経済、社会の変化に伴い、日本獣医師会等から長年にわたり改正の要求があったものと承っております。
 改正の内容を見てみますと、主なものは獣医師の任務の明確化、臨床技術の向上、診療対象飼育動物の追加、獣医師の診察なしで投与もしくは処方することのできない医薬品の追加、獣医師国家試験予備制度の新設等となっているようであります。
 そこで、特に今回このような改正を必要と判断されました客観的な状況と理由について、大臣にお伺いをいたしたいと思います。あわせて獣医療法を新しく提案をされておりますが、その理由も含め、お伺いをいたします。
#32
○田名部国務大臣 獣医師をめぐる最近の情勢の変化を見ますと、今お話しのように、昭和二十四年以来、畜産業は我が国の農業の基幹的な部門へと移行してまいりました。特に一般家庭において小動物の飼育がまた広く普及をいたしておりまして、獣医師による的確な診療の提供はますます重要になっていくわけであります。また、獣医療技術については、新たな診療機器の普及が見られる、レントゲン等が大変普及してきておるわけでありまして、動物用医薬品の開発等によって、その高度化が大きく進展をいたしております。
 他方、家畜飼養の多頭化と、それに伴ってまた疾病が多様化、複雑化いたしておるのも御案内のとおりでありまして、保健衛生上の問題が実は生じておるわけであります。産業動物獣医師の高齢化がまた進む一方、獣医師の確保が困難な地域というものが発生をいたしておる。さらに最近では、安全な畜産物の生産のための動物用医薬品の適正使用等が重要な問題になってきております。
 このような情勢の変化の中で、獣医事に関する研究会における獣医師制度のあり方についての検討結果を踏まえて、所要の改善を図るべく、獣医師法の一部改正案及び獣医療法案を国会に提案をした、こういうことでございます。
#33
○有川委員 今考え方についてはお伺いをしたわけですが、今、私もその主要な改正項目を申し上げましたように、多様な状況になっております。しかし、基本的な内容としては、産業動物を取り扱う獣医師の不足、絶対的な不足の状況、こういう中で変化もあって、小動物の方に医療が移りつつあるという状況の中で、これを何とか打開したい、こういう目的が大きいのではないか、このように理解をしておりますが、大臣、どうでしょうか。
#34
○田名部国務大臣 おっしゃるとおり、小動物の方の獣医師というものがどんどんふえております。それだけペットを飼う人も多くなりましたし、どちらかというとこちらの方が自分のうちで面倒を見られる、あるいは高収入もあるでございましょう、そういうことでやはり条件のいい方へ移行していく、そちらがふえていくというのはこれは世の常だと思うので、やはり待遇改善でありますとかいろいろなことで環境整備を整えてあげるとか、いろいろなことに配慮して努力をしていかなければならないということはおっしゃるとおりだと思います。
#35
○有川委員 そのような状況の中で、産業動物にかかわる獣医師の不足、これをどう補うかという立場で、この法案がその目的を達成するような状況になっておるのかということが一つ、私はまだ極めて疑問があるところでございまして、その辺のことについての自信といいますか、考え方、そういうものを一つはお伺いをしたいと思います。
 また、日本農業全体を取り巻く情勢でありますけれども、これは非常に輸入自由化によりまして厳しくなってきておるわけでありまして、次々に出城が落とされて、本丸の米まで、今ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉で厳しい局面に立たされるという状況下にございます。そのために、穀物の自給率は三〇%を割る状況でもありますし、先行き展望がなかなかつかめないために農業の後継者もいない、そういう状況下であり、高齢化が進んでおるわけでありますが、場合によっては集落全体の崩壊まで心配をされるところでございます。
 これらはそれなりに努力をされつつあるところでございますが、牛肉の自由化が行われまして一年、その影響をもろに受けた酪農家の皆さん方は、乳雄の決定的な打撃を受けて酪農に見切りをつける、そういう状況も起こっておるのは、先般の委員会でもお互いに論議をし合ったところでございます。そうした立場から、畜産業の振興発展というのが、これから先の産業獣医にかかわろうとする獣医師を志向する人たちがふえるかどうか、私は、ここに大きなかかわりが出てくるように思うわけであります。
 そうした立場から考えますと、日本の畜産業の将来展望、こうしたものをどのように踏まえて日本農業を守ろうとされておるのか、畜産業の発展を図ろうとされておるのか。そういうことについての大臣の見解を、基本になる問題でありますからお伺いしたいと思います。
#36
○赤保谷政府委員 産業動物獣医師さんの不足の問題と関連して法案をお願いしておるわけですが、それだけで本当に獣医師さんの確保ができるのかどうなのか。やはり基本は畜産業の長期的振興発展方策、それをはっきりさせるべきではないか、そういうような御質問であったかと思います。
 先ほど来お話がありますように、食生活の高度化だとか多様化、そういうことを背景として日本の畜産は順調な発展を遂げてきたわけです。それで我が国の農業の基幹的な部門に成長しておるわけですけれども、近年、いわゆる牛肉の輸入の自由化等、非常に厳しい状況になっておるわけでございます。
 こういう状況のもとで、今後とも需要の動向に即した畜産物の安定的な供給を確保して畜産経営の健全な発展を図っていくためには、生産から流通、消費にわたるいろいろな施策を総合的に、かつ整合性を持って実施していくことが重要であろうと思います。
 こういった観点に立ちまして、生産性の向上等経営体質の強化ということで、飼養規模の安定的な拡大、あるいは飼料生産基盤の拡充、さらには飼養管理技術の改善ということが必要でありましょうし、また、受精卵移植技術等の畜産の新しい技術の実用化、普及、こういうことも重要なことであろうと思います。さらに、合理的な流通体系の確立、家畜市場、産地食肉センターの整備等、そういうことも重要であろう。あるいは、全体のパイを広げるという意味で消費拡大、こういったもろもろの施策を総合的に推進してまいりたいと考えているところでございます。
#37
○有川委員 ここは基本的な問題で、論議をすれば際限なく広がると思いますが、国内の主要産業として畜産の振興に力を入れていく、これはもう当然なんですけれども、わずか一年の牛肉輸入自由化、さらに関税の引き下げが起こる、こういう状況の中で、報道等を見ると外国も非常に売り込みに力を入れておりまして、そういう意味では国内産の肉がどんどん押しまくられて、畜産業はどうなるのだろう。
 私の出身地は黒毛和牛の生産地でありますが、今高齢化が非常に進みまして、やがてもう十年もたたないうちに、だれが子牛の生産をするのだろう、こういう心配もされるほどでございます。家族農業が壊れて大型化するのかなという気もいたしますが、だんだん安い肉が入ってくるということになりますと、外国でつくった肉が日本に入ってくるというのが多くなれば、獣医業の皆さん方の仕事に対する対象動物が減少していくという問題にもつながるわけでありますから、その辺の農業全体の振興と畜産分野における対策、ここを今後さらにきちっと踏まえて対応していただくように、まず要請を申し上げておきたいと思います。
 特段に答弁は求めませんが、私は今、そのようなことを非常に心配しておる関係から、申し上げておきたいと思います。
 加えまして、次に、獣医系の大学で当初産業獣医師を目指しておられた方々が途中から奨学金を返納してでも小動物に転向する、こういう人たちが非常に多いというふうに聞くわけですが、その実態と原因をどのように判断をされておるのか。奨学金の引き上げについてのいろいろな御見解もあるようでありますが、そうした具体的な内容についてもお聞かせを願いたいと思います。
 また二番目に、獣医系大学の学生定数は、産業動物医師の確保上、今日の定数で適切な規模となっておるというふうに判断をされるのかどうか。卒業生は毎年一千名程度。この中で三〇%が公務員というふうに承っておりますが、産業動物の場合は毎年百人から百五十人が不足をして、累計で二百人も不足しておるというふうに言われておりますけれども、これを補う方針を具体的にどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
#38
○赤保谷政府委員 二つ御質問がございまして、一つは小動物獣医師がふえていて産業動物獣医師の確保ができるのか、こういうような御趣旨でございます。
 新規学卒者の産業動物分野への就業につきましては、個人開業の獣医師におきましては従来からその数が少なかった。以前は多かったのですけれども、ここのところ少なかった。また、近年では農業団体において獣医師系の職員の採用予定数に不足が生じてきているという状況であるわけでして、小動物分野への就業者数は、おっしゃるとおり増加傾向で推移しております。
 このため、今回の獣医療を提供する体制の整備を図るための計画制度を導入しまして、農林漁業金融公庫による診療施設の整備に要する資金の融通措置だとか、あるいはその診療に必要な技術の習得を図る研修の実施、それから学生である間の修学資金の給付、そういった措置を講ずることによりまして、産業動物分野への獣医師の誘導、定着を図ることといたしておるところでございまして、その確保に努めてまいりたいと考えております。
 それからもう一つ、獣医系大学の定数規模の問題について御質問がございましたが、獣医系大学、今十六校ございまして、獣医学科の定員は、昭和五十年以降一学年九百三十名で推移をいたしております。
 近年における新規学卒者の就業状況を見てみますと、小動物診療あるいは製薬関係への就職というものが増加しているのに比べまして、農業関係団体等において採用が困難となってきておりますので、獣医系大学の定員を増加すべきではないかという御意見もございます。ございますが、一方で小動物診療における獣医師さんが過剰であるという御意見もございまして、獣医師に対する需要の推移を十分見きわめた上で、この枠の問題については慎重に対処することが必要であろうと思っております。
 なお、平成三年の五月に大学審議会というところから答申が出ておりまして、「平成五年度以降の高等教育の計画的整備について」という答申でございます。その答申によりますと、「獣医師はおおむね必要とされる整備がすでに達成されているので、現行計画に引き続き、その拡充は予定しないこととする」というふうにされております。
 先ほど申し上げましたように、足らないという話、小動物へ行ってしまうという一方で、小動物診療における獣医師さんが過剰であるという意見もございますので、今後の需給の推移を十分見きわめていく必要があると考えております。
#39
○有川委員 定数はこのままでやられるということでありますが、問題は、小動物の方に過剰ぎみに移っていく。それらに対応して慎重に対応したいという答弁でありますけれども、その慎重とはどういうふうな慎重をやればそれが小動物の方に行かずに産業動物の方に行くような対応を考えられておるのか。具体策について若干お伺いしたい。
#40
○赤保谷政府委員 ただいま申し上げましたように、小動物獣医師さんについては過剰であるという御意見もございますので、全体がだぶついてもいけません、産業動物獣医師さんは不足しておりますが。そういう意味で慎重にと申し上げたわけでございます。
 そこで、今回の獣医療を提供するための計画制度、これも主として産業動物獣医師さんが不足しているということに着目をして法案の審議をお願いしているところでございまして、産業動物獣医師さんに対する修学中の、学校にいる間の修学資金の拡充、それからこれは一般の獣医師さんもあわせてですけれども、卒業した後の技術研修、技術も日進月歩でございますので、しばらく開業した後でもまた研修を受けられるようにするとか、いろいろな対策を総合的にやっていく必要があろうと思います。何か一つやれば、先ほど申し上げましたように獣医師さんが確保できるということでもないと思います。いろいろなことを総合的に実施をいたしまして、今度の計画で獣医師さんの確保の目標も決める、それに向かって国、県、関係団体それぞれ努力をしていくというようなことも含めまして、産業動物獣医師さんの誘導、定着を図ってまいりたいというふうに考えております。
#41
○有川委員 そういうことで、問題は、努力をされたとしても、今度の法改正がそういう目的もあったとしても、どうもおっしゃるような方向に進むという姿が私たちには見えにくいわけです。その辺も非常に心配しますが、問題は獣医師の処遇の問題ですね。産業獣医師の診療報酬がいかにあるかというこの問題なのではないかと思います。
 この間、私は地元の獣医師のうちに行きましたら、息子さんが小動物を、おやじが産業動物を取り扱っておる。そのお父さんの方と話を十分ぐらいでしたか、しておる間に、十何人おった小動物を連れてきておった奥さんやらいろいろな人たちの姿が、全部診療が終わってもう帰っておられました。ちょっとの間に小動物の方はどんどん収益が上がって、産業動物の場合はやはりさっき言われましたように遠くまで出かけていったり、いろいろ三Kの一つと言われる、そういう状況があるわけでありまして、この診療報酬についてもあるいは労働量においても非常に大きな苦痛があるのじゃないかということを考えますと、もっとこの辺は検討しなければ、簡単にはそういう状況にならないというふうに思うわけです。
 活動分野別の獣医師数の状況を見ますと、産業動物は平成二年に一万一千三百八十二人で、三十八年の六五・六%から平成二年は四六・九%に大きく激減をし、六十一歳の平均年齢。小動物の方は五千七百八十六人で、当時七・八%から二三・九%へ、こういう大きな移動が、変化があるわけであります。こういう状況からくると、今の場合を含めての認識の中で、畜産への影響、畜産振興への影響をどのように考えられておるのか、それを含めて獣医師の確保の方向性を大臣の方からちょっとお伺いしたいと思います。
#42
○田名部国務大臣 開業獣医師については、本来自由業でありますから、その収入について国が何らかの措置を直接講ずるということは非常に困難であると考えております。
 産業動物の診療については、家畜共済に加入している家畜を診療した場合には診療技術料が支払われるわけでありますが、これについては一般的な給与水準の動向が十分反映されるように考慮しております。原則として三年ごとに必要な見直しを行っているほか、家畜衛生対策の中で検査、注射等の業務に従事する獣医師に対しては雇い上げ獣医師手当が支払われております。これについては、これまで人事院勧告の給与上昇率に即して引き上げられるよう措置してきておるわけでありますが、今後とも産業動物獣医師の処遇改善につき、引き続き必要な努力を行ってまいる所存であります。
#43
○有川委員 先ほど大臣に獣医療法案の設置をされた目的、理由、これを求めたのですが、御答弁がなかったのですけれども、獣医療法案は、診療施設の開設届とか、基本方針を決める場合に都道府県の認定で農林漁業金融公庫からの長期低利貸し付け、獣医師の診療施設の広告の制限の問題、こういう三つが柱になっておるようですが、もう少しその任務を、ちょっと新しく設置した、提案した理由をお聞かせください。
 あわせて、具体的な問題で獣医師の任務の明確化の中で、獣医師が我が国の社会経済においてどのような任務及び役割を果たすべきと考えておられるのか。
 さらには、目的規定にかえて任務規定を置いた理由について、基本的な考え方をお聞かせください。
#44
○赤保谷政府委員 順不同かもしれませんが、獣医師の任務の規定を置いたわけですけれども、獣医師の任務としては、第一に、飼育動物に関する診療でございます。飼育動物に関する診療は、獣医師の任務の中核をなすものでございまして、一定の飼育動物の診療については獣医師法第十七条によりまして、獣医師でなければ診療を行うことができない、いわゆる獣医師の専管的な事務となっているわけでございます。
 それから、二番目に、飼育動物に関する保健衛生の指導でございます。近年の疾病の多様化、複雑化という中で、飼育動物の疾病の治療それから予防を効果的に行う上で、獣医療における保健衛生指導のウエートが著しく高まっているところでございます。また、食品の安全性の観点からも、動物用医薬品の適正使用につきまして獣医師が積極的な指導を行うことが要請されるようになっているわけでございます。
 それから、三番目としましてその他の獣医事ということでございまして、その他の獣医事には、飼育動物に関する診療、それから保健衛生指導、それ以外の獣医学的知識をもって処理すべき衛生上の事項一般が含まれるわけでございます。具体的には、公衆衛生業務として、狂犬病予防業務だとか、屠畜、食鳥検査業務だとか、あるいは食品衛生業務があります。また、畜産関係の業務といたしまして、受精卵移植業務あるいは家畜防疫業務、飼料の製造、管理業務がございます。さらに、動物用医薬品だとか動物疾病に関する試験研究、あるいは貴重な野生動物の人工繁殖、そういうようなことが具体的には含まれるわけでございます。
 それから、目的規定であったものを今度任務規定にかえる、どういう理由なのかというお話でございますが、最近の飼育動物に関する保健衛生それから畜産業をめぐる情勢、大きく変わっております。先ほど来申し上げておりますように、畜産が基幹的な部分に成長を遂げている、あるいは一般家庭における動物愛護思想の普及、そういったような小動物の飼育が広まっておりまして、その中で獣医師による診療の重要性が増大をするとともに、診療内容がこれまた複雑、多様化をいたしてきておるわけでございます。
 また、国民の間で食品に対する安全性の関心が非常に高まっておる、そういう中で、食鳥検査等に見られるように、公衆衛生分野における獣医師の活動範囲が拡大をしておりまして、公衆衛生の向上という面におきましても獣医師は非常に重要な役割を果たすようになっているわけでございます。
 さらに、獣医師さんは、近年、実験動物あるいは動物園動物、そういったものに対しても獣医療の提供を行うほか、獣医療技術を活用して家畜の改良増殖あるいは動物疾病、動物用医薬品の試験研究、希少動物の人工繁殖等にも取り組むようになっているところでございます。
 このように獣医師さんの活動範囲が非常に拡大をして、その果たすべき役割が著しく増大をいたしておる今日の情勢を踏まえまして、獣医師の資格について規定する獣医師法において、獣医師に課された任務を明記する。獣医師さんがその社会的地位に対する十分な自覚に基づきまして、その資質の一層の向上を図り、社会の要請に的確にこたえていくようにするため、現行の目的規定にかえまして獣医師の任務に関する規定を整備することとしたものでございます。
 なお、現行の獣医師法の一条のように法律の目的として規定する場合と、今度お願いしているような任務として規定する場合の差異に関してでございますけれども、両方とも、獣医師なりあるいは獣医師という制度が社会的に果たすべき目的について規定するという点におきましては基本的に類似しているわけですが、今回お願いしている法案では、獣医師の活動範囲が拡大をいたしまして、その果たすべき役割が著しく増大をいたしております今日の情勢を踏まえまして、獣医師の行う任務を具体的に列挙したものとなっているわけでございます。同様の規定を置いている例としては、医師法あるいは歯科医師法、薬剤師法、そういうようなものについては、それぞれ任務規定ということになっているわけでございます。
#45
○田名部国務大臣 局長がお答えしたとおりでもう御理解いただけたと思うのでありますが、全般的なことを申し上げますと、一般家庭における小動物、これは時代の背景もありまして非常に普及したと思うのです。特に、私たちもよく聞くのでありますが、子供が少ないあるいはいない、そういうことで小動物を飼ったという人が非常に多いのですね。それはやはり時代の、何といいますか経済的な要因とも非常に大きくかかわってきたと思いますが、これから先はそんなにこれが増加する、普及するとは思っておりません。大体行き着くところに行ったのではないかという感じを実は持つわけであります。
 何といっても畜産は、御案内のように我が国の基幹的な部門になってまいりまして、それとともに、今のお話のように病気もいろいろなものが出てまいりました。そういうことで、医薬品もいろいろなものを使っていかなければならぬ。言ってみれば自由化によって畜産は今大変なときだということは、もう私も十分承知をして、先般も厳しい中でありましたが、いろいろな対策も講じました。これで万全かというと必ずしも私はそう思っておりません。当面これで畜産振興をどの程度図れるかということで、あとは農家の皆さんの努力を見ながら、これでまた何か不足があれば新たな対策というものは立てていかなければならぬ。農業は押しなべて毎年新しい対策というものを立てておるわけでありますから、当面これで皆が最大の努力をしてもらう。これが振興すれば、一方における獣医師、こういうものはまた今の対策でどうなっていくか、あるいは獣医療法についても今いろいろなお手伝いをしながら、何とか振興を図っていきたいということで考えております。バイオテクノロジー等を駆使して新しい方法でやるということになると、畜産そのものは厳しいけれども、なくなるような状態には絶対してはいかぬし、なくならない、むしろ世界に先駆けて、どこの国も日本のこうしたやり方についていけないというものを常に目指していかなければならない、私はこう思うのですね。
 ですから、先ほども申し上げたように、当初から経営的に不安定な状況でおやりになるということは、これはやはり考えていかなければならぬ。ですから、いつも申し上げますように企業マインドといいますか、原価計算をしながら、これならこれだけの収入が上がるという中で努力をしていくという方向がなければ、これは三百年も百年も二百年もいろいろな対策をやっても成り立たぬということはあろうと思います。そこで、いま一つ私どもは政策として打ち出したいというのは、そういう方向と農家の皆さん方が努力していく方法、新たな技術、そういうものを一体となってやっていくことによって、一万の獣医師の方も安定さしていきたい、そういうふうに考えておるわけであります。
#46
○有川委員 畜産業の振興の問題は、法案の審議ですからこれはまた別途お互いに意見開陳をする場を持ちたいものだな、こういうふうに思います。ただ、畜産業はなくならないけれども、大型化して規模拡大、企業化、家族農業はやはり損なわれていく可能性というものもあるわけでありまして、その辺を含めて検討が必要なんじゃないかなと思います。
    〔委員長退席、金子(徳)委員長代理着席〕
 それから、小動物は行き着くところまで大体来たんじゃないかというお話ですが、それはなかなか断言できない、決定づけられるような状況じゃないと私は思うのです。この辺も十分考えながら、産業の方にどう力を入れるのかという対応を求めていかなければならないと思います。
 それじゃ次に移りますが、現在の獣医師法に、畜産の振興発展と公衆衛生の向上という二つの目的があるわけであります。今度加えて、新法案に動物に関する保健衛生の向上を入れてございます。動物愛護の普及、浸透に対処するための小動物の重要性にこたえたものだというふうに理解をいたしますが、新しく三号をこうして加えた理念、あるいはまた動物愛護のために獣医師の皆さんの役割と、制度改正後の動物に関する保健衛生向上のためのどのような業務を進めることになるのか、この辺についてお伺いします。
#47
○赤保谷政府委員 今度、法律改正で動物の保健衛生の向上ということを加えたわけでございますが、獣医師に寄せられる社会的要請、先ほど来申し上げておりますように非常に多様化する中で、特に飼育動物の保健衛生指導につきましては、獣医師の積極的な関与が強く求められているわけでございます。
 すなわち、近年疾病が多様化、複雑化する中で、多頭飼育農場における伝染病の予防あるいは一般家庭における人畜共通感染症の感染防止、こういったことを図る上におきまして、獣医師による衛生管理方法の指導が極めて重要となっているということが一つございます。
 また、これも先ほど申し上げましたが、食品の安全性に対する関心の高まり、そういう中で動物用医薬品の適正な使用について獣医師がより積極的に関与していく、指導していくということが要請されている、こういった事情から、今後獣医師がより積極的に保健衛生指導を行っていくことが強く求められていると思います。
 こういった観点から、保健衛生の指導義務を法律上明記いたしますとともに、第一条の任務規定におきまして、獣医師がその社会的地位に対する十分な自覚に基づきまして、その資質の一層の向上を図って、社会の要請に的確にこたえていくように、獣医師の任務の一つとして保健衛生の向上を規定することとしたものでございます。
 今後とも獣医師につきましては、獣医師に対して寄せられるさまざまな社会的な要請を十分明確に認識をして、飼育動物に関する診療及び保健衛生の指導その他の獣医事をつかさどることによりまして、動物に関する保健衛生の向上あるいは畜産業の発達、公衆衛生の向上に寄与していくことが重要であると考えているところでありまして、国といたしましても以上のような考え方を踏まえながら、獣医師の組織する団体に対する指導等を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、動物愛護の問題がございました。これも最近、物の生活から心の生活、豊かさ、潤い、そういうような考え方に人の意識の変化がございまして、動物に対する愛護の考え方、これも非常に強くなっております。獣医師さんもその持てる技術、知識を活用しまして、そういう面での普及、啓蒙というようなことについても活躍をすることを期待をいたしておるというところでございます。
#48
○有川委員 時間の関係もありますから、もっとかいつまんで御答弁を願いたいと思います。一ちょっと時間の関係もありますので順序を差し違えますが、御理解ください。
 次に、飼育動物の診療業務の中に、今回は「うずらその他獣医師が診療を行う必要があるものとして政令で定めるものに限る。」を入れた理由ですね。政令で定めるものとはどのような動物を想定されておるのか、考え方をお聞かせください。
 さらに薬事法では、第八十三条の二で、もっとミツバチとかブリとか、いろんなものを指定をしています。しかし、その薬事法の中には綿羊とかヤギとか犬とか猫とか、この中にあるものはまた入っていない。いずれにしても、人間がいろいろ都合のいいように決めるわけですが、究極は人間の健康に対する配慮からだろうと思いますし、一般法と特別法の関係であると思いますけれども、そのほかに家畜伝染病予防法とか飼料安全法とか動物保管法とかいろいろありますね。そういう中で、私は獣医療にかかわる動物はできるだけ統一した方がいいような感じもするのですが、しかしまた、いたずらに広げてみても問題もあると思いますし、その辺の考え方をちょっと、理解を深める意味で教えてください。
#49
○赤保谷政府委員 簡単にということでございますので簡単にお答えいたしますが、まず、診療対象動物にウズラを追加しまして、政令でその他必要な飼育動物を指定することができることにいたしております。
 その場合の指定についての考え方でございますけれども、畜産業の発達、公衆衛生の向上等の観点から見た重要性、それから疾病の発生状況、それから獣医師による技術的な対応能力、幾ら指定してみても、業として獣医師さん、あなたしかできませんといっても対応能力がなきゃいかぬ、そういうことを総合的に考慮して指定をする。今後政令で指定する、とりあえずといいますか、人畜共通の病気でありますオウム病、これの感染源というのか、オウムとかセキセイインコとか、それは小鳥の種によって違います。非常に専門的、技術的でございますので、政令に譲ることにいたしているわけでございます。
 それから、薬事法、家畜伝染病予防法、飼料安全法、いろんな法律がある、そこの対象家畜というのか対象動物を統一したらどうかというようなお話がございました。詳しく御説明してもいいわけですけれども、それぞれの法律にはそれぞれの目的がございます。それで必要な範囲内の、その目的を達成するために規制が必要なものをそれぞれの対象の家畜あるいは家畜等というような形にしているわけでして、多くの面では重なるものがあるわけですけれども、その範囲に幾分出っ張り、へこみがあるということになっているわけです。
 法律別に御説明してもよろしゅうございますが、大ざっぱに申し上げれば以上のようなことでございます。
#50
○有川委員 それでは次に、畜産業の振興と獣医療との関係で、あるいは獣医療の運営、共済運営の関係でお伺いをしたいと思います。
 先ほど来申し上げましたように、牛肉の自由化で酪農が副産物の収入が減りまして、経営状態が非常に悪化してまいりました。また、和牛も先行き不安で、特に後継者がいないという状況。さらには養豚、養鶏、これらも不安の要素がかなりございます。そうした中で、獣医師志向の皆さんも、農業、とりわけ畜産業の将来の展望というのが非常に重要になってくるわけです。
 この畜産業の振興政策と共済運営の関連なんですけれども、酪農の関係で、乳牛の脂肪肝等が多発いたしまして、乳房炎とか関節炎による事故が増大をしておる。この結果、乳用牛の死亡事故による共済金の支払い額が急増して、保険収支が極めて悪化した、このように、この後の方ですが、農水省の経済局保険業務課長の堤さんが、ことしの年頭のあいさつの中で、「ぶぉーなす」というので述べておられます。また、このことに関しては、乳脂肪率を三・五%に引き上げるために濃厚飼料の多給による個体乳産量の増加を図ったことが事故を増幅させた、こういうような意見がたくさん聞かれるわけであります。
 農水省の経済局保険業務課第三家畜班でも、昨年の七月十日に業務連絡を発しまして、対前年同期比で一二二%、うち死廃事故一一六%、病傷事故一〇四%とさらに上回って推移していることから、無理な飼料給与等により乳房炎の事故発生を招く傾向にあるので、適正な飼料給与等の指導を徹底することを含む指導をされております。
 この事故が脂肪率引き上げに関係があるかどうか、正確な原因究明は困難があるとしても、今日、全米のトップに五年間輝いたカーネーション牧場の産乳成績を見てみますと、乳脂肪率は三・四五%なんですね。なぜ日本だけが三・五%を求め、それを基準にして乳価を決めていくのか。当然酪農家は濃厚飼料を重点にされまして飼育をせざるを得ないという状況に追い詰められるのではないでしょうか。また、高齢者の皆さんは牛乳を飲めという指導がお医者さんからよくありますが、それは脂肪を求めるために牛乳を飲めというのではなくて、カルシウム分が多いから飲んだ方がいいという、健康づくりに重要だ、こういう考え方で言われておるというふうに思います。
 そうした立場で考えますと、乳牛も、健康な食品を均等化して食べながら、そして健全な体の中で良好な乳を出していく、そういうことにせぬと、今濃厚飼料だけやるということは、人間がステーキばかり食べて野菜は余り食べぬとか、そういう偏った食糧需給になっていくのではないか、こういうことなども考えられるわけでありまして、結果として農業共済の保険収支が悪化して、さらに農業生産者にはね返り、または獣医師の皆さんにもはね返ってくる、こういうふうな問題があるわけであります。畜産業の振興政策を行う場合は、やはりこうした農家の負担にならない、あるいは健康なそういうものをつくって」いく立場で対応しないとならないというふうに思いますが、その辺について具体的に今どのようにお考えなのか、畜産振興とこうしたかかわりについてお聞かせを願いたいと思います。
 さらにもう一つは、この機会ですから、これは大臣どうですか、脂肪率三・五%の見直しをされる意思はないのかどうか、こういうことを含めて、この点は大臣にお伺いいたします。
#51
○赤保谷政府委員 たくさん御質問がございましたが、ある目的を追求する、そういう場合に家畜の衛生状態というようなことも考慮すべきではないか、乳脂肪率三・五%ということを追求する余り、個体の故障が発生しているのではないかというようなお話がございましたが、死亡事故の内訳を種類別に見てみますと、主として産前産後の疾病が上位を占めているようでございます。
 このように産前産後の疾病が増加をしている要因といたしましては、泌乳量に見合った適正な飼料、えさ、お話にございましたが、そういうえさの給与が行われていないということが考えられておりまして、適正な飼養衛生管理を行うことによりまして、乳脂率を維持しながらこれらの疾病の発生を予防することができるものと考えております。そういった飼養管理についての指導についても努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
#52
○有川委員 今、乳用牛の事故死の場合には、平成二年度で、乳房炎が一三四・三%、それから関節炎が一二五%、こういうふうに対前年比で非常に上がって、こういう指導が行われてから死亡率は高まっているわけですよ。そうおっしゃる今の局長の見解はちょっと違うんじゃないでしょうか。
 それから大臣、これはただこの法律だけにこだわらずに、農業全般の施行の中で牛乳の脂肪率をどの辺に基準を求めるか、このことは全体の農業振興なり畜産そのものを考えて決めていかなければならぬと思うのですが、その辺の考え方を整合性を求めていかないと、部分的にそれぞれあるの。ではないわけですから、それは大臣の見解をお伺いします。
#53
○赤保谷政府委員 生乳取引における乳脂率の基準でございますけれども、近年における乳質の向上の実態と、品質のよいものに対する消費者のニーズ、そういうものを踏まえまして、生産者、乳業者の合意によりまして、昭和六十二年度から、おっしゃいました三・五%に引き上げられたわけでございます。
 生乳の生産状況から見ますと、いろいろな乳が合わさった合乳となった段階では、全国的には平均で三・七%の乳脂率となっております用地域別、季節別でも三・五%以上となっておりまして、先ほど申し上げましたように、乳脂率三・五%の生乳を生産する技術は定着しているのではないかなと考えております。
 また、乳脂率の基準の変更による飲用牛乳の乳成分のグレードアップが消費者の嗜好に合致いたしまして、昭和六十二年度以降、飲用乳等向けの需要の増加の大きな要因となっているわけでございます。
 生産段階におきまして、乳脂率の維持向上を図るためにいろいろな取り組みが行われておりまして、それぞれ工夫を凝らした飼養管理が行われてきているわけでございます。そのようなことによりまして、今申し上げました三・五%以上の水準が全国的に達成されていると認識をいたしておるところでございます。
#54
○有川委員 大臣の答弁はないようですけれども、ちょっと一言……。
 その前に、今の消費者ニーズというのがありますけれども、それは大事だけれども、確かに脂肪率が高ければおいしいですよ。だけれども、本当に牛乳はどこを求めていくのか、牛乳の味とはこれだというのを消費者にわかってもらえばいいわけで、三・七%に全体がなっているとか三・五%が定着しているということは、それだけ乳牛が非常に厳しく健康状態を侵されているということになるのじゃないですか。そこら辺は考え方が、定着しているなんて落ちついたようなものを言われるけれども、畜産の安定、乳牛の健康ということを考えてどう考えるかということを求めているわけですから、そこをちょっと答えてください。大臣、どうですか。
#55
○田名部国務大臣 確かにお話を伺って、そういう問題であるとすれば、量を搾ることが問題なのか、脂肪率が高くて問題になっているのか、これは少し時間をおかしいただいて研究して、できるかどうかちょっとやってみたいと思います。搾る量が問題なのか、影響が出ておるのか、脂肪が高くて問題になっておるのか、まだどちらかというのは出てないようですから、ちょっと研究できるものなら研究させてみたいと思います。
#56
○有川委員 獣医師法の改正なりいろいろされまして、研究も進んでいくようでありますから、ぜひこの辺は十分な検討をされまして、やはりそれらのほかに悪影響を及ぼさないようにきちっと、農業共済の経営も悪化しないように判断をしてやっていただきたい、このように要望を申し上げておきたいと思います。
 ほかにたくさん準備をして通告しておりましたが、時間がなくなりましたので、もう一点だけお伺いをいたします。
 牛肉の輸入自由化後、黒毛和牛の価格は何とか安定しておるのですが、それで生産地帯の皆さんは一応胸をなでおろしてはおるものの、遠からずして子牛の値段がまた暴落をするのじゃないかという非常な危惧、不安を持っているところでございます。報道等によりますと、既にアメリカに和牛四頭が渡って、今回また、見島牛ですか、これが二頭流出した、農業新聞等で報道されておりました。私も現地の農場の写真等を見せていただきましたが、見渡す限りのアメリカの農場の中に、黒毛和牛とのF1というのがかなり生産をされているという写真も見ました。
 そこで心配するのは、精液の流出、あるいは今度体外受精卵ができるようになりますと、これは向こうの雌に精液を注入するのではなくて、もう既にできた和牛の立派なものが向こうの牛の腹をかりればいいということになるわけでありまして、広がりは時間がかかるとしても、こういうのであれば、たくさん流出してしまえば広がりが大きくなるという危険性があるわけですが、その体外受精卵等の輸出の危険性について、あるいはその防止策についてどのような見解を持って対応されようとしているのか、その辺をちょっとお伺いしたい。
#57
○赤保谷政府委員 いわゆる精液その他の遺伝資源の海外流出というか輸出の問題についてのお尋ねでございますが、和牛の精液等の遺伝資源は、和牛の生産改良を進めてきた大勢の方々のいわば共通の財産のようなものだと思います。日本の和牛の改良の歴史はまだ浅い、いろいろばらつきもありまして、これからさらに改良を進めていく必要がある。そういう意味で、私どもの関係者の共通の財産である遺伝資源につきましては、国内で品種の改良増殖、改良に使っていくということがまず第一だろうと思っています。それに優先活用するという考え方でございます。
 このために、生産者団体の方におきましても、優良な和牛については国内での利用を図ることが先決である、そういう今申し上げましたような方針のもとに、優良和牛遺伝子保留協議会というものを設立いたしまして、優良な和牛精液の国内での利用体制を整備強化をしているというふうにお聞きをいたしております。
 政府としても、輸入牛肉に負けないような国産牛肉、要するに安くていいものをつくるということでございます。そのために品質の確保を図る、こういうことが重要でありますので、受精卵移植技術も取り入れて、和牛の肉質等の品質面での向上に重点を置いた改良対策の強化を促進することといたしております。要するに、優良な遺伝資源につきましては、共通の財産である、まだまだ国内で品質の改良に使う、そういうことを優先してまいりたいというふうに考えております。
#58
○有川委員 この体外受精卵の技術が発達してここまで来たことは、非常に展望としてはあるわけですね。ところが今、精液をもって人工授精師さんがやられる、すばらしい牛がおるとなれば、農家の皆さんは、近親結婚であってもあの種をもらおうということで非常に集中しまして、ちょっと健康がよくない牛が生まれたり、そういうのもあるわけですね。だから、そういう意味では、この体外受精卵移植の問題については、偏りのないようにいい牛を育てていくという立場で、今後の十分な研さんを期待を申し上げます。
 どうも外国に、アメリカに十二社ぐらい大きな日本の商社の牧場があるわけです。あるいはオーストラリアに大きいものだけで十六社あるというふうに承っておりますが、そういうところは日本の商社ですから、この技術を持っていかれたら、あるいはその卵を持っていかれたら大変だという心配が非常にありますので、もう時間が参りましたから、大臣、一言、その問題はどうするという決意を述べてください。
#59
○田名部国務大臣 大変な貴重な財産でありますので、これは本当に日本の畜産の生き残りのかかったものであります。十分注意をして、持っていってはいかぬと言うことはできるのかどうかわかりませんが、いずれにしても、そのことはみんなでやはり国内の畜産を守るという気持ちがまず前提になければ、大量に、安ければ何でも持っていって外国でつくるんだという、今までのような経済オンリーだけで物事を処すということは、これから厳しい畜産業でありますだけに、十分監視をしてまいりたい、こう思います。
#60
○有川委員 終わります。どうもありがとうございました。
#61
○金子(徳)委員長代理 鉢呂吉雄君。
#62
○鉢呂委員 まず最初に、昨日、ガット・ウルグアイ・ラウンドのTNCで、ドンケル事務局長の方から交渉の継続が明らかにされ、農業分野はもちろん、サービス分野でもさまざまな対立があるかのように報道されております。アメリカとEC、あるいはこの七月のミュンヘン・サミットと、さまざまな交渉が続けられるんだというふうに思いますけれども、現局面、現在のこの状況、さらにはこの見通しについて我が国としてどのように考えておるのか、簡単でよろしいですけれども、御説明願いたいと思います。
#63
○川合政府委員 昨日ジュネーブで、貿易交渉委員会の非公式会合が開かれました。目的は、現状についての認識ということでございます。御承知のように公式の場面ではございませんが、一つの交渉の期限と申しますか、一つのターゲットとしてイースターまでというようなことが言われておりましたので、そういうこともありましてこの会合が開かれたというふうに考えられます。
 御承知のように、ここに至りますまで、米・ECの交渉というものが色濃く出ておりまして、それに対する不満などもあったというようなことからこの会合が開かれたわけでございますが、ここではそれぞれの第一から第三までの議長が現状評価をしたわけでございますけれども、その評価は必ずしも芳しくないということでございます。ダンケルはそうした中で、何とかイースター後、この交渉につきましてベースに乗せたいということで努力をするというようなことを言っているようでございます。
 問題は、やはり米・EC、さらに、これに交渉が特化していることに対する各国の不満というものをどう持っていくかということでございまして、一つには、二十二日に予定されておりますアメリカとECの首脳会談というものが注目されているという状況でございます。率直に申しまして、かなり不透明な状況にあると思っております。
#64
○鉢呂委員 そこで、大臣にお聞きをいたします。
 今もお伺いいたしましたけれども、ECとアメリカの首脳会談が開かれるというようなことも言われております。また、ドンケル事務局長は、合意案の修正トラックはやらないんだ、それをやれば十二月二十日以前に戻って混乱を起こすんだというようなことを言っておりまして、合意案の修正についてどういう方向でやるのかということは、非常に定かではありません。あるいはまた、ECはバナナの輸入について規制を加えるというようなことも報道されておりますし、あるいは、アメリカのウエーバーの条項、作物についても定かでない。
 私は、大臣に何回もお話をしております。今の日本の、我が国の政府の態度は、端的に言って、座して死を待つ、そう言っても過言でない。むしろ私は、日本の安全保障作物と言われるものについても、大臣も言っておりますが、これは輸出補助金と密接に関連があるんだ、輸出補助金はこのようなあいまいな削減案ではどうにもならないということでは密接な関連があるわけでありますから、私は、日本が積極的に、大臣を先頭にして、七月にミュンヘン・サミットがありますし、二国間交渉は避けておるんだと官房長官は盛んに言いますけれども、私は、これはラウンドの中でも二国間の、あるいはさまざまな分野での各国に対するさまざまな働きかけというのは日本はとるべきである。今の時期なくして、日本の主張を明確に各国に訴えかけ、説得力を持つという、そういう時期はないだろうというふうに思いまして、大臣が率先して、単にアメリカの農業団体が来たから話を聞きましたとかいうことではない。私は、日本がそれだけの活路を求めなければならない危機的な状況にあるというふうに認識をしておりますから、大臣の決意なり現状認識について、お聞きをいたしたいと思います。
    〔金子(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
#65
○田名部国務大臣 今、局長の方からお答えいたしたように、何分にも事務レベルでなかなか前進が見られない状態にあるわけですね。ですから、トップ同士がいろいろ話し合っても、いわば我々もそうでありますけれども、いろいろな国から交渉されますと、まあ事務的に十分詰めてください、こう言うしかない。そこへ行って私が何か言ったから、あるいはブッシュがどういう会合をしたからということで、すぱっといくと私は考えられない。塩飽審議官も、一昨日ですか、帰ってきたばかりでありまして、とにかく事務的に各国に日本の立場というものは明確に申し上げております。
 各国からそれぞれおいでになる人には日本の立場というものを、なかなか理解しにくいようでありますが、今度日本のフードショーに来たアメリカのファームビューローの会長、それぞれ宮城県を拝見したようでありますが、それに詳しく日本の地形とか気候とか、いろいろなことを説明をして、大分理解してくれたかなと思うのでありますが、いずれにしても不透明な状態で推移をいたしておりますし、また、一方では金融・サービス、こっちも暗礁に乗り上げて、もうにっちもさっちもいかないという状況にあります。
 ですから、ダンケルはいろいろなことを言ったようでありますが、自分が出した案は最良のものだと思って出しているわけでありますから、それはいろいろな国に言われて、ああそうですかというわけにはいかないという立場も私たちもわかるような気がするわけであります。でも、案でありますから、それぞれの国の主張というものを取り入れて本当はもっと検討してほしい、検討した結果を出すということであってほしかったのでありますが、残念ながら余り議論もせずに自分の案を出したということで、不透明な状況になっているわけであります。
 いずれにしても、私たちの案はもう提出をして、これが日本の考え方だ、あとは修正するものは修正に応じてほしいということを主張しているわけでありますから、もうこれ以外の案は日本にはないわけでありまして、食糧の輸入国としての立場が確保されるように最大の努力をいたしてまいりたい、こう思っております。
#66
○鉢呂委員 これが主要な質疑でありませんから。しかし、やはり今の大臣のお話を聞いていますと、日本の輸入国としての主張というものをガットの中でいかに反映させるか、そのことの戦略といいますか、確かに今ECのバナナの問題ですとかアメリカでもさまざまな農業団体がこれに抵抗しておるというようなことも言われておる、あるいはカナダの乳製品、それらをむしろ日本政府はイニシアチブを握って、特にミュンヘン・サミットの前に、首脳会談の前にそういうものが反映できるような、これは単に事務段階に任せるというようなことではなくて、大臣がやはり率先して世界の中でイニシアチブをとるということが私は大切だというふうに思いますけれども、再度この点に関してのみ簡単に決意を聞かせていただきたい。
#67
○田名部国務大臣 必要であればいつでも乗り込んで理解を求める努力をいたす覚悟であります。
#68
○鉢呂委員 必要というのは、みずからもその必要性をつくっていくのだということで御理解をさせていただきました。
 きょうは獣医療法にかかわる畜産三法の審議でありますけれども、先ほど来お話もありますように、酪農、畜産の経営の発展なくして獣医療の健全な展開もないというふうに私思います。産業動物獣医師さんがなかなか集まらない、あるいは来週審議されるであろう農協法、農協の職員も大幅にやめていっておる、まさに農業を取り巻く関連産業の大きな影響というものも今日指摘をされておるわけであります。
 私は、まずそこで、酪農、畜産に直接関係のあります平成四年度の酪農、畜産の価格が先般三月の下旬に決定されたわけでありますけれども、この決定に当たり、農水大臣としての基本的な考え方はどこにあったのか、お伺いをいたしたいと思います。
#69
○田名部国務大臣 平成四年度の加工原料乳の保証価格等については、生乳の生産条件及び需給事情、その他の経済事情を考慮して、加工原料乳地域の生乳の再生産を確保するということを旨として決定しました。もちろん畜産振興審議会の答申に即して決定したわけであります。
 特に保証価格の決定に当たっては、規模拡大、飼料価格の低下、金利の低下等のコスト低下要因がある一方、ぬれ予価格が低下しているという状況についても十分配慮し、据え置きとしたところであります。
 また、価格関連対策としては、平成三年四月からの牛肉の輸入自由化により、ぬれ子等の個体価格が急落するという厳しい状況の中にあって、生産性の向上及び生乳の高品質化を図るため、平成四年度限りの臨時異例の特例措置として、総額四十八億円の酪農経営安定等緊急特別対策を実施することにいたしました。そのほかに、乳肉複合経営に対する助成の拡充等を内容とするいろいろな対策を講じたわけであります。
 いずれにしても、こういう対策で酪農家の皆さんに努力をしていただいてどういう結果がこれからまた出てくるか、あるいはもっと厳しい環境となっていくのか、いろいろ見てみたいと思います。その後にまたいろいろ考えられる手だてがあればその対応をしていかなければいけないかなと思っておるわけであります。
#70
○鉢呂委員 ところで、私どもには昨日配付されたのですけれども、平成三年度の農業白書、私ゆうべ見させていただきました。膨大な文章でありますけれども、この「むすび」のところに、今日の農水省の考えあるいは現状の認識があろうというふうに思いまして、若干読ませていただきますが、端的に言いまして、農業、農村の状況認識は私どもと同じ認識に立っているなというふうに思いました。
 三つ挙げておりまして、一つは、農業労働力が著しく減少しておる、また一方では高齢化が加速しておる、あるいはまた耕作放棄地が増加をして農業生産力が低下している、多くの作物で生産の減少が見られるというふうに述べております。二番目には、一方で国際的な農業への圧力が一層高まっている、一方で世界の長期的な食糧需給の見通しは楽観を許されないということも述べています。三番目には、農村の関係でありますけれども、地域間の不均衡が拡大して農村地域で活力が低下しておる、中山間地域での人口減少や高齢化が際立って進行して耕作放棄地の増加など地域資源の荒廃が急速に進んでおる、地域社会の維持さえ懸念され、国土保全機能などの発揮が危惧されておるというふうに農村、農業の実態を述べております。私は、そういった意味では、私どももそのような状況においては変わらないぐらい危機的な意識を持っておるというふうに考えています。
 そこで、農水省はその政策推進をする視点としてこのように述べております。「強い体質を有し環境変化に的確に対応し得る地域農業の担い手を育成・確保し、より一層の生産性向上を進め、国内での基本的な食料供給力の確保を図る」というふうに述べております。私は、この農水省の状況を踏まえたこれからの推進の視点として、ここに飛躍があるのではないか。確かに、生産性向上を図っていわゆる担い手を確保していくということはもっともらしいのでありますけれども、そこに至る結びつきがつながっていかない。その結果、農業の就業者なり農村人口が急激に減り続けておるのであります。
 私はこの間に、やはり今最も求められておるのは農業労働力をいかに確保するのか、これ以上減らさないのか、この視点が一つ。それから、農水省も述べておりますけれども、中山間地域あるいは条件不利地帯の地域社会や国土保全機能が崩壊するといった認識からすれば、私はやはり思い切った大胆な農業、農村政策がなければならないだろうというふうに考えるわけであります。特に、政府は食糧自給率の向上というふうに言われておりますけれども、ここには、国内自給率をいかに確保するかという視点は最近ではなくしておる、国内での「食料供給力の確保」といったあいまいな視点に下げておるわけでありまして、その結果、自給率が四七%に急落をし続けておるという実態にあろうと思います。
 そういった観点で、農水大臣として、現状認識は大変結構だと思いますけれども、その後の施策として、このような生産性の向上や規模拡大やあるいは新しい担い手だけを導いていくという政策でいいのかどうか、基本的な考え方だけを聞かしていただきたいと思います。
#71
○田名部国務大臣 基本的には規模を拡大して経営の安定を図りませんと、農業後継者いわゆる担い手を確保するということは困難だと思うのですね。私は、再三申し上げておりますように、他産業並みの収入を得るためにはどういうことをしなきゃならぬかということが基本です。
 御案内のように、七割が山に囲まれて、たった三割に一億二千万という人口を擁して、農業もやる工業もやるということですから、おのずから限界があります。ですから、何でも国内で自給できればいいわけでありますが、そうはまいりません。消費者の方も食品に多様なものを求めてきておるわけですから、あれもこれもということになると、この限られた国土では私は不可能だと思います。思いますが、基本的なものだけは何とか自給率を高めて、そして高生産、生産性の高いものにしていくという努力というものはしなきゃならぬ。しかし、どんなに努力してもだめな地帯というのがありますね。地域によってもあります。あるいは中山間地、お話しのようなところはどんなに努力したって規模の拡大もできませんし、そういうところはそういうことで別途にこれは対策を考えていかなきゃいけないというふうに考えておるわけです。
 ですから、いずれにしてもやりがいのある農業、魅力のある農業ということにするには、やはり収入が上がらないとどうしても収入の高い方に行く、獣医師もそういう傾向で、つらいところには、収入の少ないところにはなかなかそういうものが育ってこないという面があろうと思うのです。ですから、いろいろ考えておりますが、いずれ新しい、今検討しておりますのは近々方向性だけはつけて発表したいというふうに考えておる中で、今までと考え方を本当に異にしていきませんと、何年たってもこれから抜け切るということは困難であろうというふうに考えております。
 ですから、何回も申し上げるようでありますが、できるところは最大の努力をしていく、どうしてもできないところはそれなりの方法を立てて、農村というものは、いずれにしても国土の保全、水資源の涵養、そういう環境面からとらえてこの対策というものは私は必要だというふうに考えております。
#72
○鉢呂委員 その条件不利地帯なり中山間地域の現状認識はここにも書いてあります。大臣も言われたとおりです。しかし、これをどのように保持していくのかということについては、この農業白書でも明確にしておりません。言われておることは、そこでの農村生活環境の整備の必要性や就業機会の創出、抽象的に述べています。しかし、肝心のこの農業生産、その地域での農業生産をどう具体的にしていくのかということについては、農業白書は大変抽象的であります。私は答弁を求めようと思いません、これは必要でありませんから。したがって、農水省の今やっておられることは条件の有利地帯、有利地域あるいは条件の有利な作物、あるいは経営的に非常にすぐれた生産者、これは非常に経営感覚というのはあるようでこの条件に左右されるのでありますけれども、そういう農業地帯なり農業者しか残っていかないのではないだろうか、このまま続けていけば、私はそういうふうに思います。
 それとの関連で、先般の農水委員会では大臣がおりませんでしたから、乳価決定のときにおりませんでしたから、少し蒸し返しになりますけれども、酪農畜産政策においても、あの農水省の調査によっても、中間調査とはいいながら、半数以上の方がこれから酪農を、これは酪農だけでありますけれども、酪農を続けていくかどうかわからない、五年以内に一五%の方がやめたいと思っておると。まさに酪農は一人二人残ってやれるというものではありません。毎日、一日置きに集乳、生乳を集荷に来るという仕事が伴うわけでありますから、効率性からいっても集落に一つだけ残ってやれるというようなものではありません。しかも、酪農、畜産は比較的辺境なといいますか、いわゆる条件不利地帯に経営を構えておるのでありますから、私はそういった酪農、畜産に対する視点がどうしても必要になるのではないか。そのことから見ますと、今度の例えば乳価の据え置きという決定は、私はその後から酪農集会にも行きました。十五人ぐらい集まっている酪農地帯の集会にも夜の八時半から行ってきました。しかし、今度の決定には多くの酪農家の皆さんは本当に希望を失った、本当に我々に対しては必ず文句というか、非常な文句を言ってくるのですけれども、もう文句を言うすべもなくしたというような感じが非常に強い、そんな印象を受けた次第でございます。
 私は、そういった意味では、この酪農の現状、毎年五%ずつ減っておる。農水省は、規模拡大しておるからいいんだ、そのように言っていますけれども、私は早晩酪農、畜産は崩壊する羽目になるというふうに認識をせざるを得ないのでありますけれども、先ほど大臣から御答弁がありました。再生産を確保することを旨として決定をしたと。規模拡大やあるいはまた生産資材等の価格の引き下げに照らして据え置きをしたということを言われましたけれども、酪農業の実態とはかけ離れた決定であるというふうに私は考える次第でございます。
 そこで、御質問に移りますけれども、先般の私のこの委員会での質問の際に、三月二十四日の農水委員会でありますけれども、政府委員の御答弁として、畜産審議会に諮問をされる政府価格の算定に当たっては、過去の算定の中では需給事情がいろいろ変わって、例えば過剰基調なり不足事情なり、利子のとり方とかが変わるとか、その他の経済事情といいますか周辺の経済事情、それらを十分に勘案して判断するというふうになっております、そのように答弁をされております。いわゆる算定説明資料の中で算定要素をとりますときに、過去におきましても、その他の経済事情を参酌しながら算定を考えていく、このように御答弁をされておるのでありますけれども、そのとおりでいいのか、再確認をいたしたいと思います。
#73
○赤保谷政府委員 先日、平成四年度に適用される加工原料乳の行政価格を決定をいたしたわけでございます。先ほど大臣が御答弁申し上げましたような法律の趣旨に即して、審議会の議を経て決定をいたしたわけでございます。
 その結果、据え置きということにしたわけでございますが、価格関連対策としまして、ぬれ子の価格下落等いろいろ酪農家の経営の実情もございますし、先ほどこれも大臣がお答えを申し上げましたけれども、生産性の向上あるいは生乳の高品質化を図る、そのために、平成四年度限りの臨時異例の措置でございますが、総額四十八億円の酪農経営安定等緊急特別対策を実施することといたしました。それからまた、乳肉複合経営、これはかねてから進めておるわけですが、この際、単価のアップ等相当内容を充実をして実施をしているところでございます。
 価格の決め方につきましては、先ほど申し上げましたように、法律の規定の趣旨に即して決定をいたしたということでございます。
#74
○鉢呂委員 質問に直接答えてないのですけれども、いわゆる先般の三月二十四日の農水委員会の政府諮問に対する政府の保証価格、この算定のあり方、これについてはあのときの御答弁のとおりだというふうに理解してよろしいでしょうか。
#75
○赤保谷政府委員 加工原料乳の価格につきましては、生産条件、需給事情その他の経済事情を参酌するということになっておりまして、最終的には、最終的といいますか、再生産を確保することを旨とする。
 昨年六月までですが、生産費調査を基礎といたしまして、それを最新時点に引き延ばす、あるいはその費目、経費によりましては評価がえをするというような手続をとりまして、審議会に諮問をして決定をいたしたということでございます。
#76
○鉢呂委員 明確に答えてないのですけれども、そうすると、前回の御答弁は訂正ということでありますか。時間がないので、答えてください。
#77
○赤保谷政府委員 価格の決定に当たりまして考慮した事項というか、価格算定に当たっての経緯といいますか、私が申し上げましたとおりでございます。
#78
○鉢呂委員 酪農家の皆さんは、今回の据え置きに対して不信感を大変大きく持っております。それはなぜかというと、加工原料乳の主要地帯であります北海道の生産費が実は八・五%上がったのであります。しかし、実際の決定は据え置きであります。
 今、ことしの算定説明資料、明細に出ておりますから、私も持ってきて中身を見ておりますけれども、この算定要領の保証価格決定の、この日本語で書いてある言葉には明確であります。一切のさまざまな計数ではかられない要素というのは挿入されない仕組みになっております。
 そこで、それでは明確なお答えがありませんからお聞きをいたしますけれども、厳密なこの調査で、数字によってはじき出されておるというふうに思いますけれども、今年のこの乳価の算定の中で、実際には求める価格は七十六円七十三銭でした。しかし、これを二銭切り上げて七十六円七十五銭ということで、昨年並みとしたわけでございます。生産費の昨年の状況は、乳量についても伸び悩み、あるいは生産資材についても大きくは価格アップをしておらない。先ほど大臣がお話をしたように、生産資材等については若干値下がりというような状況もあったろうと思います。そこで、一番大きな算定要素で八・五%も生産費が上がったのは、いわゆるぬれ予価格が暴落をし続けたということで副産物価格が低くなっておる、それを差し引きますから生産費が上がるということであります。
 そこで、副産物を見ないで、純粋に実際にかかった生産費、この乳価の算定上で実際にかかった生産費を足しますと、昨年との関係でいけば、実に生産費が昨年対比で五%も下がっておるのであります。私は、ぬれ子を除いた実生産費、これが前年に比べて五%も下がるというような状況ではないというふうに思いますけれども、局長、どうでしょうか。
#79
○赤保谷政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、昨年六月までの一年間の生産費調査、これはいろいろな数字がございますけれども、私どもとしては、行政価格を決める場合には統計情報部の生産費調査、これを基礎にせざるを得ないというか、これを基礎にしているわけですが、昨年の六月までの生産費調査、それを最近時点までに修正をする、あるいは費目によりましては評価がえをする、そういうことで各費目積み上げまして、その結果、今先生紙をお持ちで、それと同じであろうと思いますが、若干切り上げて、昨年同額ということにいたしたわけでございます、
#80
○鉢呂委員 中身がこまいかもわかりませんけれども、言っている質問は理解できると思います。
 生産費が、おととしに比べて去年の乳価算定上の生産費が五%も下がっておるのであります。こんなに下がるはずはありません。その証拠に、これは若干違うかもわかりませんけれども、基準取引価格があります。基準取引価格も据え置いた関係上、製造メーカーのさまざまな管理費ですとかマージンも含めての、あるいは資本利子もすべて前年と同じなのであります。一年か二年の食い違いがないのに、生産者の保証乳価の算定をする場合の生産費だけが五%も下げて、その差し引きで乳価が据え置きになるというような算定をしておる。
 まさにこの算定方式は、きちんとした計算されていますから、だれでもこれはやれます。私もまずい頭ひねってやっても、実生産費をこんなに下げるというような算術を使った中身は何だろうか。単にこれは据え置きが最初にありきという姿勢で、これは本当に信頼のある数字とは言えないのではないか。このような細かいものを出すのであればむしろ出さない方がいい。こんなものを出して正当性を見せるようなことであってはならぬのではないか。
 私は前回の委員会でも、その他経済事情とか、計数にはかられないものがあるとすれば、それは生産費調査でこのようになった、しかしその他経済事情があるからこういうふうにする、この関係を明確にしなかったら、前回のこの御答弁のように、この算式の中に計数ではかられないものが入るというようなことは、この算式自体としても不信感を生むもとになるのではないかというふうに私は思うわけでありますけれども、御答弁を願いたいと思います。
#81
○赤保谷政府委員 今回の加工原料乳の価格決定に当たっての算定方式でございますが、これは長年にわたってでき上がったいろいろな検討、長年の経緯ありましてでき上がった算定方式、その方式で適正に算定をしておる。
 ちょっと何かはっきり理解できなかったのですが、何かこの算定方式の中に、何とおっしゃったのか、はっきり入れられないような形でというか、考慮しているとかしてないとかおっしゃいましたけれども、私どもとしては、今申し上げましたような、長年にわたって積み上げてきましたこの算定方式に従って計算をした、それで審議会にもお諮りをしてそれで決めさせていただいたということでございます。
#82
○鉢呂委員 わからないと言ったことはそちらで答弁してます。乳量が過剰のときには算定の中に利子等で変更させて織り込んで乳価を算定しているということを前回の委員会で述べておるわけでございますから、そういうことはあるのかということを私は先ほどからお聞きをしておるわけです。
#83
○赤保谷政府委員 算定方式につきましては、今申し上げましたように、長年検討しながら今のような形になってきている、その途中、昔――昔というか、以前の話であろうと思います。
#84
○鉢呂委員 いずれにいたしましても、このような算定方式、私ども少し詳細に見ただけでもわかるわけでありますけれども、算定方式としては非常にあいまいで、はっきり端的に言えば矛盾に満ちた数字ですから、うそは簡単につけるかもわかりませんけれども、やっていけば必ず矛盾がきちっと出てくるわけです。ですから、やはりそういう方法は問題があるんではないか。長年のことでつくってきたというふうに言われますけれども、明確にお答えにならないわけでありますけれども、そんな感じがして私は試算をさせていただきました。
 そこで、行きますけれども、例えば安定指標価格についても据え置き、しかし昨年一年間で、いわゆる乳製品が、実勢価格として安定指標価格に対して一〇%増しの価格で売られております。それだけ乳業メーカーは高く売られたと言ってもいいんですけれども、そうである限りは私は基準取引価格は上げるべきが正当じゃなかったか、基準価格は当然上がっていい。いわゆる乳業メーカーに過剰利潤が去年は生まれておったという結果になります。これを据え置いた理由というのは何でしょうか。
#85
○赤保谷政府委員 先生御承知のとおり、安定指標価格、これについては消費の確保を図るということを考慮して決める、そういう性格のものでありまして、そういう価格の性格を考慮して据え置いたということでございます。
#86
○鉢呂委員 私は、安定指標価格はそのとおりであります、しかし、消費の実勢は強含みでありますから、むしろ安定指標価格は上げて、上げた結果が基準取引価格も上がるわけでありますから、基準取引価格は安定指標価格にほぼ連動するわけであります。私は、それが相当である。やはり生産者の保証価格、初めに据え置きありきという考え方に無理があるというふうに思わざるを得ないのです。今回のこの保証価格等の一連の乳価の決定は、非常に矛盾に満ちた、不信感を植えつけるあり方であったというふうに思います。
 なかなか正当な答弁をくれませんからどうしようもありませんけれども、あとこの関連対策で三つだけ御質問をしますので、御答弁願いたいと思います。
 一つは、先ほど大臣からも御発言がありました酪農経営安定等緊急特別対策事業、これは、皆さんの要領の「事業内容」の中で一から四のことを生産者が実施して良質加工乳を供給すれば、加工原料乳の実績に応じて奨励金を交付するということになっており、四十八億円、いわゆる加工原料乳に限定をするように勘案すれば二円ということでありますけれども、この「事業内容」に沿って交付するというふうに考えてよろしいのかどうか。
 それから二番目の、これは名称が変わったようでありますけれども、酪農経営安定対策事業、去年までは乳肉複合経営でありますけれども、その中の初生牛対策で、一頭当たり三千五百円から七千円というふうに増額をしたわけであります。現在のこの初生牛価格の低落に対処するためには、酪農家における初生牛の自家哺育を推進するため、今はおおむね一カ月となっておりますけれども、これを酪農地帯の実情に合わせて十日なり二週間の哺育で済むような柔軟的な対策をとることができないのかどうか。先ほどもお話ありましたこの予算は、全部で四十億を見ておるわけであります。これは大変大きな金額であります。去年、おととしと、従来この対策が必ずしも予算どおりに実績が上がっておらない。酪農家が使いにくいということでありますから、ぜひ柔軟な対応を強く望みたいというふうに思います。
 三つ目。肉用牛の子牛安定基金の関係で、区分の問題であります。
 現在、第四・四半期、あるいはこの四月に至っても黒毛和種と褐毛和種が同じ区分になっておるのですけれども、そのうち褐毛和種は大暴落をしております。黒毛が一頭四十万を超えておるのに、褐毛は三十万を下回るという勢いであります。しかし、安定基金の保証基準価格が三十万四千円ということで、二つ一本でありますから、褐毛和種については補てんを受けられない。
 私は、きのうも酪農畜産農家から要請を受けたのですけれども、ぜひこれを明瞭にするように、黒毛和種と褐毛和種を区分して肉用牛の子牛安定基金制度を再発足してほしいという御意見がありますので、この点についてどうお考えになるか、この三つだけお伺いをいたしたいと思います。
#87
○赤保谷政府委員 まず最初の酪農経営安定等緊急特別対策事業についてのお尋ねでございますが、この事業は、牛肉の輸入自由化によりましてぬれ子等の個体の販売価格が急落をした、その結果、酪農経営に大きな影響を与えるという厳しい状況の中にありまして、酪農経営の安定を緊急に図るために、先ほど申し上げましたように、四年度限りの臨時異例の措置として実施することといたしたものでございます。
 その内容ですけれども、乳質改善、それから飼養管理等に係る指導計画を指定団体が作成をしまして、これに基づいて生産者に指導を行う場合に、この指定団体に対して、生産者が今後とも良質な加工原料乳を安定的に供給することを奨励するために、指定団体に対して奨励金を交付するというものでございます。この奨励金ですが、これは加工原料乳の実績に応じて払うことといたしておりまして、金額にいたしますと、総額四十八億円ということでございます。
 それから、その次の乳肉複合経営体質強化事業の初生牛、ぬれ子の生産奨励についての期間を短くできないかというお尋ねでございます。
 この問題につきましては、前々からいろいろ先生からも御要望がございますけれども、自分で持っているぬれ子という資源、それに付加価値をつけて出してもらう。搾乳部門だけではなくて酪農経営、内部門もあわせて所得の向上を図る、いわば乳肉複合経営をかねてから進めておるわけですが、その場合に、ぬれ子を四カ月齢以上まで――失礼しました。その前は御存じのとおり二カ月だったのですけれども、それを二十四、五日、おおむね一カ月の哺育に対して奨励金を交付することとしておるわけでございます。
 それで、通常十日程度でぬれ子を売ってしまうというわけですけれども、事故率の高い離乳前の時期を酪農家がみずから哺育をする。そういうことによりまして健康な肥育素牛として供給をする。あわせてぬれ子の付加価値を高めようとするものであります。
 それで、その哺育、育成におけるかかり増し経費を積算の基礎といたしておりまするので、今御要望のありました一カ月というものをもう少し短くできないかということでございますが、この要件を短縮することは困難であると考えております。
 それから、肉用子牛の不足払いにおける牛の種類を三つのグループに分けておるわけです。その中の黒毛和種と褐毛和種は一つのグループになっておりますが、この取引価格の低落時、回復時、そのタイミングを見てみますと、両者の価格は従来連動して動いているとみなし得る一そういうように考えられましたので、一つのグループとして保証基準価格を定めているところでございます。
 最近におきまして、その黒毛和種と褐もの和種の価格につきましては、その価格差が拡大をいたしていることも事実でございます。しかしながら、現状では、自由化直後のことでもございますし、このような価格の動きが今後とも継続するか否かを判断することは困難であるとともに、制度発足後まだ二年しか経過していない、そういうことから、今しばらく価格動向を注意深く見守る必要があるのではないかというふうに考えております。
 このような状況のもとで、褐毛和種等の特定品種の価格安定を図るために、平成四年度におきまして、新たに子牛生産から肥育までの産直型一貫生産体制の推進、産直でうちの近くのスーパーでかなり高く売れております、そういう産直型の一貫生産体制の推進だとか、安定的な流通販売体制の整備等、生産から流通、消費にわたる総合的な対策を講じることとしたところでございます。
 品種の区分につきましては、先ほど申し上げましたように、まだ日にちも浅いし、今しばらく価格の動向を注意深く見守る必要があると考えております。
#88
○鉢呂委員 特に乳肉複合経営については、これはできないという非常に冷たい答弁であります。四十億という大きなお金を投入しておるわけでありますけれども、それでは過去にこの予算案に対して実績はどうであったのか。これについて御答弁願います。
#89
○赤保谷政府委員 平成三年度の乳肉複合経営体質強化事業の予算額と執行見込み額でございますが、乳肉複合経営体質強化事業につきましては、平成三年度において十六億四千六百三十万。先生お話のありました経産牛対策、別なものが入っているかと思います。いずれにしても、乳肉複合経営体質強化事業につきましては、平成三年度十六億四千六百三十万円の予算措置を講じまして実施してきたところでありまして、その事業の執行状況でございますが、現在取りまとめ中でありますけれども、約八億円になる、そういう見込みでございます。
#90
○鉢呂委員 大臣にお伺いしますけれども、端的に言ってこの関連対策は非常事態ということでやるわけであります。特に酪農家は、初生牛の暴落ということ、これは大変な打撃であります。しかも乳価が上げられないという状況でありますから、この乳肉複合経営の四十億というのはやはり満席に使われるべきものであろうという形で、今大変制度的にこれがなかなか酪農家が使えないというような仕組みになっておるということに対して、もっと柔軟に対処していきたいということに対する大臣の決意といいますか、考えをお聞かせ願いたい。
#91
○赤保谷政府委員 予算を組みますときには、これはもう釈迦に説法でございますけれども、一定の考え方に基づいて積算をしているわけでございます。
 先ほど来先生御質問ございますおおむね一カ月程度哺育した場合の奨励金の交付、単価を上げましたけれども、これもぬれ子に付加価値をつける、そのためには一カ月程度哺育、育成をしてもらいたい。その際のかかりました経費を積算の基礎にいたしておりますので、おっしゃっておられることは理解できますというか、御要望はわかりますけれども、積算の基礎等もございますので、このおおむね一カ月というのを短縮するということは、これはちょっと難しいと思います。
#92
○田名部国務大臣 いろいろお話はあると思います。私も伺っておって、専門家でありませんが、この間の価格決定のときも一頭当たりにどういう助成をあるいは奨励をしておるかという一覧表を見まして、本当に農林省畜産局はいろいろな対策を立てるんだなということをしみじみと感じました。しかし、自由化で厳しいというのですからこれは当然のことだと思いますが、生産費が下がったということは、一方においては農家の皆さんの努力だということは言えると思うのです。
 ただ、据え置いたのはどういうことかということでありますが、これはいろいろ積算するとき、あるいは審議会を通すためにはいろいみとやはりきちつとした理論が通ってなければならぬという問題等もあります。特に、何といいますか、一方では内外価格差を縮めるという御質問を随分国会で私は受けました。その努力もしなければいかぬ。一方では、価格の場合は米でも麦でも何でももう上げろ上げろという要求が強い。一体そういうことをどう考えて、消費者のことも考える、あるいは製品をつくる人たちのことも考える、そういう全体を考えて価格というものは出すわけでありますけれども、お話のように平均でいきますから非常にいい人もあるわけですね。全部だめだとは私は認識してないのですが、その中にあってもその厳しい人たちのためにどういうことがしてあげられるか。
 いずれにしても、自由化したばかりでありますから、いろいろなことがありましてもこれでひとつ御理解をいただいて、さらなる努力をしていただいて、どういうことが結果として出てくるかということを見ないと、また新たな問題が出るでありましょうから、それがまたどういうことなのかということも私どもは検討していかなければならぬということだけは申し上げて、ぜひ御理解をいただきたい、こう思っているわけであります。
#93
○鉢呂委員 先ほど有川委員の御質問に対して大臣は、万全だとは思わない、しかし推移によっては手当てもというような話もありました。私は、この四十億の問題についてはやはり大臣が決断をして、現行の酪農経営の困難性にかんがみてこれはやるべきだ。やってやれないことはない。このままいきますと四十億はほとんど使えないで終わる可能性が強いというふうに思います。ですから、その辺の決断を大臣に求めておきたいというふうに思います。
 時間がもうなくなりましたので、獣医療法案の関係について若干御質問をいたします。先ほど有川委員の方から御質問がありましたので、私はかいつまんで三つか四つ御質問いたします。
 一つは勤務獣医師、これは産業獣医師のことでありますけれども、大変な困難性にあります。ですから、その処遇改善。私も酪農地帯で獣医さんのお友達がおりますから今回も聞きました。あるいは酪農家に聞きました。酪農家の皆さんは、我々以上に獣医さんが働いておる、もし獣医さんがいなくなったら我々は酪農経営をやっていけない。夜の往診から始まりまして、これはもう三Kと言われるくらい肉体労働者でもあります。あるいは今は過疎が非常に深刻化しておりますから往診地域が広くなっておるというようなことがありまして、ぜひともこの処遇改善に努めていただきたい。
 同時に、これは単に言葉で言うのではなくて特に農業共済の診療報酬、農業災害補償制度におけるこの改善がぜひとも必要である、これをどのように考えておるのか。また、特に今回保健衛生指導というものを法律的に明記をいたしました。しかし、往診の獣医さん、産業動物獣医さんは予防衛生といいますか、なかなかそこまでの指導はできない。そうであれば、これは何としても農業保険の中で技術料というような形で認めるというような方向が打ち出せないかどうか。
 それからもう一つ。きょうも新聞で報じておりますけれども、人間のお医者さんには自治医大方式というのがございます。五十二年の衆議院の農水委員会でもこの産業動物獣医の確保について、もう十数年前のところでも質疑が交わされ決議までされておりますけれども、これがなかなか実行されないところか悪くなっておるということでありますから、ぜひこの自治医大方式といいますか、産業動物の獣医さんを手当てをする方法、そのための奨学資金をきちんと拡充して、きょうは人間の自治医大の方式も出ておりましたからああいう方式をぜひとっていただきたいものだ。これは文部省の関係もありますから、その考え方についてお聞かせを願いたいと思います。
 それから、五十分で終わらせます、簡単に御答弁願いたいと思いますが、最近は養豚、養鶏等については飼養規模が大変拡大しております。群単位等の飼養が多くなっておりますけれども、疾病の発生予防に重点を置いた獣医療制度の整備というのが何としても必要ではないだろうか。
 同時にまた、医薬品でメーカーさんが薬を家畜舎に置いていくという点で総務庁の監察にもひっかかっておりますけれども、こういった直接農家に要指示薬が流れるというようなことをきちんと規制をしてほしい。それは都道府県の家畜保健衛生所でも使って、これはもう良質な畜産生産物を出荷するというのは我々の務めでありますから、そういうものに対する厳しい規制といいますか監視に行政として努めていただきたい、この点について御答弁を願いたいと思います。
#94
○高村委員長 赤保谷局長。簡明に御答弁願います。
#95
○赤保谷政府委員 要指示医薬品につきましては、安全な畜産物が生産されるようにこれまでもいろいろ指導してまいりました。さらに県、関係団体等を通じまして、適正に使用されるように指導してまいりたい。
 それから、疾病の予防が大事だ、おっしゃるとおりでございます。今回お願いしてあります法律案におきましても、そういう予防、集団衛生管理、そういうものにも着目した技術の向上、それを図ることも県の計画に入れております。関係者一体となってそういう努力をしていく必要があると思います。
 それから、自治医大方式、修学資金といいますか、今は三年生・四年生、五年生・六年生にだけ四万、六万出しております。今度は一年から六年まで通しまして月十万修学金を出す、ただし修学金をもらった期間の一・五倍だけは働いてもらうというようなことで、修学資金についても拡充を図っていきたいと考えております。
 それから処遇改善の話がございました。これは、獣医師さんは自由業でございまして、その収入について直接財政的な援助をするというのは困難でございますが、家畜共済に加入している家畜を診療した場合に支払われる診療技術料につきましては、一般的な給与水準の動向が十分反映されるよう考慮して、原則として三年ごとに必要な見直しを行っております。さらに、家畜衛生対策の中で、検査だとか注射等の業務に従事する獣医師に対して支払われる雇い上げ獣医師手当につきましても、これまで人事院勧告の給与上昇率に即して引き上げられるよう措置しているところでございます。
#96
○川合政府委員 畜産局長が若干触れておりますけれども、農業共済におきます診療技術料につきましては、地方公共団体等の類似業務に携わる者とほぼ同等の給与が得られるという考え方で、三年ごとに見直しを行っているということは御承知の点でございます。
 それから、保健衛生指導につきまして補償制度で取り入れられないかというようなお話がございました。これは保健衛生につきましては御承知の家保の制度がありますので、それとの一線を画きなければいけないという点はありますけれども、私どもの共済の立場に立ちまして安定的な運営を図っていくという意味では、損害の防止あるいは被害率の軽減という視点が大事でございますので、そうした面では私どもも対処していかなければいけないと思っております。
#97
○鉢呂委員 終わります。
#98
○高村委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五分開議
#99
○高村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。志賀一夫君。
#100
○志賀(一)委員 私は、獣医師法の一部を改正する法律案、獣医療法案等についてまずお聞きをいたしたいと思います。
 獣医師法の一部改正及び獣医療法案の趣旨は、我が国の農業の基幹的部門へと成長を遂げたことに伴う獣医師の役割の多様化への対応、また畜産の生産向上、公衆衛生の向上に寄与するための獣医師の確保及び保健衛生指導の強化、安全な畜産物の生産のための診療制度の改善、獣医師技術の進展に応じた診療の確保。しかもこの獣医師法等三法に一貫して流れておりますのは、多面的な獣医師の役割と使命は従来にも増してより拡大され、その重要性が一層増大しつつあるにもかかわらず、今日までの獣医師に対する社会的、経済的処遇は必ずしも十分なものであったとは言えない状況下にあったと思われます。
 また一方では、小動物を主として診療対象にする獣医師が急増する。産業動物の診療を行う獣医師は高齢化し減少する傾向にあり、かつ、新卒の参入も少なくなってきておる状況下にあることを考えれば、産業動物の獣医師を獲得するための抜本的な対策を行うべきではないでしょうか。
 その一つに、畜産団体等の団体所属獣医師は、開業獣医師に比べて昼夜の別なく、日曜、休日に関係なく、診療範囲もまた拡大して対応せざるを得ないという状況下にあります。これらの団体等の獣医師の処遇改善についていかなる考えを持っておられるか、まずお聞きをいたしたいと思います。
#101
○田名部国務大臣 今回、産業動物獣医師の確保をしたいという観点から、地域における高度な、しかも体系的な獣医療を提供する体制の整備を図るため、都道府県による獣医師の確保に関する目標の設定等を内容とする計画制度を設け、その目標の実現に向けての関係者の努力をぜひ促してまいりたいと考えておるわけであります。
 また、具体的な対策といたしましては、産業動物開業獣医師等が診療施設を整備する場合の農林漁業金融公庫による長期低利の資金を貸し付けること、あるいは産業動物獣医師を志向する学生を支援するため修学資金の給付を行うこと、あるいは臨床研修の実施を行い、また獣医師の不足する地域における民間獣医師による巡回診療の実施等の措置を講ずることとしておるところであります。
 以上の施策を国と都道府県が一体となって実施することによって、産業動物獣医師の誘導、定着を推進してまいりたいと考えております。
 あと質問がございましたが、担当局長から答弁をさせます。
#102
○川合政府委員 共済団体関係の獣医師さんの待遇につきましては、一つは、診療技術料という形でその改善を図ることによって対応しているわけでございます。地方公共団体などの類似の業務に携わる者とほぼ同等の給与が与えられるように配慮するという考え方に基づきまして、三年ごとに見直しを行っております。これは、先生なお御承知の点でございますけれども、家畜共済の掛金につきましては、農家負担に配慮いたしまして、国がその二分の一を負担しているところでございます。また、休日などの最近の勤務体制につきましても、なかなか難しい面はもちろんありますけれども、交代制をとるとか代休制の導入というようなことで対応してきているところでございます。
#103
○志賀(一)委員 今御答弁いただきましたけれども、やはり依然として従来の対応とそう極端に変わった施策はないな、実はこういうふうに感じておるわけであります。従来、獣医師は、社会的にも経済的にも必ずしも十分な処遇を受けていない、これが現状だと思うのでありますが、そういう中で今、これから特に団体等に属している獣医さんに対してやはり何らかの希望を与えるという施策をやらない限りは、過重な労働になり、先ほども申し上げましたように、過重な労働を強いられている状況下にある獣医師がどんどん期待に添うように入ってくるかといったら、そんなわけにはいかぬ。むしろどんどん少なくなっていくということになれば、これは、団体所属の獣医師が少なくなるということは日本の畜産の振興に大きな影響を与える。したがって、何らかのもっと前向きな対策を講ずべきではないかというのが私の主張です。いかがでしょう。
#104
○赤保谷政府委員 午前中来も申し上げておりますように、産業動物の獣医師さん、無医村というのか、そういう獣医師さんがおられない町村もかなりありまして、畜産の発展に支障を来しかねないというような地域もございます。そこで、何とかして獣医師さんを確保したい、産業動物の獣医師さんを確保したいということで、今度も、制度面でもお願いをし、またそれに関連していろいろな予算的な措置も講じ、獣医師さんの確保が困難な地域、その地域における診療の提供を確保したいということで、法案の審議もお願いをしているところでございます。成立させていただいた暁には、法案だけではありませんで、いろいろな予算措置も講じまして、何かやればいいというものではないと思います、いろいろな施策を総合して、全力を挙げて獣医師さんの確保に努力をしてまいりたいと考えております。
#105
○志賀(一)委員 一つは、やはり私は、団体等に属する獣医さんの処遇について再度検討すべきだという立場で、強く求めたいと思います。
 それと関連して、いわゆる産業獣医師の中で開業されている方々は、やはり農業共済組合とのかかわりが非常に強い。その場合に、農業共済制度の現状の中ではなかなか十分な診療報酬を得られないということもあるわけでありますので、この辺、農家に負担にならないような形でひとつ再検討さるべきではないのか、こういうことを強く求めたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
#106
○川合政府委員 農業共済制度の立場から見ましても、家畜共済というのは、今後の農業にとりまして非常に大きな意味を持つものだというふうに私どもも思っております。その制度にいろいろな形で御尽力いただいております獣医師さんがおられるわけでございますが、私どもは、こうした獣医師さんにつきましては、診療技術料という形でその処遇に対応しているわけでございますけれども、その算定に際しましては、獣医師さんの受け取ります手当が、開業医の場合ですと、診療所の獣医師さんの受け取る額に加えまして、例えば社会保険料相当負担分なども上乗せされているということでございまして、総体的に見ればそんなに低い水準ではないというふうに考えております。先ほどもちょっと触れましたが、三年ごとに見直しておりまして、地方公共団体等の関係の獣医師さんなどの給与水準なども十分に勘案いたしましてやっているわけでございます。こうした形で掛金に反映されるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、二分の一は国庫で見ているということもございます。やはり、家畜共済の経営におきます意義づけということを考えますれば、相当の掛金ということは、それはそれで経営のコストとして見ていただく必要があろうかと思います。私ども、診療技術料の改定ということを通じまして、これからもその水準について十分考慮してまいりたいと思っております。
#107
○志賀(一)委員 検討するということですから、十分いろいろな角度からひとつ獣医師さん確保のために御努力を願いたいと思います。
 次に、先ほども恐らくお話があったと思うのですが、今牛肉の自由化に伴って輸入牛肉が漸次増加し、加えてぬれ子の下落、乳廃牛価格の低下、乳価の低迷による酪農家の生産意欲の減退によって、中堅酪農家が相次いで廃業するという、畜産界全体がかつてない、あすへの不安と混迷の中にあると言ってもよい現状だと思います。そういう中で、産業動物獣医師がその渦中にあるわけであって、決して例外ではあり得ないわけであります。酪農家や肉牛肥育農家が長期展望の中で畜産に情熱を傾けて一生懸命頑張る、そういうような状態であれば、勢いそれに引きずられてと言うと語弊がありますけれども、それにつれて産業獣医師も熱意を持って畜産への振興に寄与するということは当然のことだというふうに思うのであります。
 やはり私は、この産業動物を扱う獣医師の確保をするには、ここでまず酪農や畜産業の将来展望をきちっと国によって立てて、意欲的に酪農家も畜産農家もやれるような状態に環境をつくっていく、このことが産業獣医師の確保を可能ならしめるものでありますし、大臣、この点は重要なことでありますから、私は、それに対していろいろな角度からよく検討をなさるべきではないのか、新たな展望をぜひ切り開いていただきたい、そういう立場でまず申し上げたいと思います。
#108
○赤保谷政府委員 獣医師さんの確保の問題にしろ農業後継者の確保の問題にしろ、それぞれ狭義の意味でのいろんな対策は講じておりますが、今先生おっしゃいましたように、産業としての長期的な展望を明らかにする、今は苦しくても先々何とかなる、そういう見通しがあればおのずと獣医師さんも産業動物分野に回ってくるでしょう、後継者も育つでしょう、私もそう思います。
 それで、それでは日本の畜産についてどういうような状況になって、どんな展望を描いているのかということですが、今先生お話のありましたような牛肉の輸入の自由化等国際化の進展の中で、生産性の向上と体質の強化ということが強く求められておるわけでございます。そういう中で一産業動物獣医師の皆さん方も、家畜の損耗の防止という意味で非常に重要な役割を果たしていただいておるわけでございます。将来を見通した経営の取り組みが可能になるようにどうしたらいいのか、中長期の展望を確立することが重要であると思います。
 このため農林省でも、平成二年の一月にいわゆる農産物の需給の長期見通しを策定をいたしまして、西暦二〇〇〇年を目標年次といたしまして、品目ごとの需要、生産の見通し等を示しておるところでございます。
 さらに、酪農それから肉用牛生産につきましては、この長期見通しに即しまして、現在新たな酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針を作成をしているところでございます。酪農、肉用牛生産の振興を図るためのいろいろな方策、生産を担うべき経営の指標、コストダウンの目標等につき今検討いたしておるところでございます。
#109
○志賀(一)委員 お話しいただきましたこと、話としては十分わかるわけでありますけれども、現実にはやはり多くの中堅的な酪農家がやめていっている。これは何といっても、もうこの乳価ではやれない、もう割に合わないからどうしようもないんだということは、農林省でも世論調査で把握されていると思うのであります。
 そういう状態、そしてまた酪農家も、私から言えば非常に過度な乳質改善等を要求されて、具体的には、例えば乳脂率が三・二から三・五に上げられた。この前も議論しましたけれども、その点十分算定はしているといっても、その算定は価格に反映されていない。それから、乳牛にかかわる病気も、関節炎を初めあるいは第四胃が大きくなったりということで非常に大変な病気が出ている。これがまた、病気になるから、やはり従来よりも家畜共済制度の中に入らないと困るということでどんどん入っている、そういう相関関係があるわけであります。
 これは別でありますけれども、しかし、いずれにしても、そういう酪農家のなかなか容易でない実態、病気もあるが、やはり酪農の償却費がかさんでいる。八度も十産もとるというのが昔のやり方だったけれども、今日ではわずかに三度、四座でも牛をかえなきゃだめになる、そういうような酪農経営を強いているのは、やはり今の体細胞とかあるいは乳脂率の極端な高さを要求している、そういうようなことから無理しているために乳牛の疾病が多くなってきているという事実が、反面酪農経営を困難ならしめているということになって、そして酪農に対する希望をなくしているというのが実態であります。
 そういうことを考えますと、やはりもっと本気になって酪農をどうするのか、肉牛をどうするのか、これほど日本のように自然環境が恵まれた状況の中で、自然と畜産を結びつけながらどうやっていくのかという長期展望に立った施策をやらないで、外国の要請にこたえて自由化のみに走っていったら、日本の畜産はなくなる。そういう観点からいえば、やはり酪農の、畜産の将来と獣医さんの確保というのは極めて重要な関連性を持つものだということを指摘しながら、それに対して大臣はどんな考えでいらっしゃるのか。この厳しい現実をどうとらえて、この獣医師法を立派なものをつくられて、本当にやる気がある酪農家であり畜産農家がふえる、そしてまたそれに伴って獣医さんも、よし、おれも協力するぞという機運を畜産界全体の中に醸成させるようなことをやらなければ、全く取り返しのつかない事態に日本の畜産はなっていくであろうということを私は極めて危惧するものですから、その辺に対する見解を、ひとつ大臣からもう一度いただきたいと思います。
#110
○赤保谷政府委員 酪農につきましては、日本の土地利用型農業の基軸として、畜産物の生産だけでなくて、本当に地域へ行ってみますと、酪農しかない、そういうところがございますし、まさに地域を支えている産業である。先ほど午前中も大臣が御答弁申し上げましたが、つぶすわけにはいかないというか、つぶれないように精いっぱい頑張るというお話がございました。そういう中でそういう位置づけをされている酪農でございます。その酪農の発展を図るためには、私は先ほど中長期的に申し上げましたが、今回法律改正でいろいろお世話いただいております獣医師さんの活躍といいますか、それは疾病の予防、診療といった面もございますし、さらに獣医師さんの持っておられる技術を活用して、品種の改良増殖、そっちの方でも働いていただく、要するにいい物を安くつくる、そして国際化の世の中でも対抗できるような製品をつくる、そういうようなことでいろいろな対策を総合的に推進をして、今後とも酪農の繁栄に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#111
○志賀(一)委員 もっと議論したいのでありますけれども、質問事項もありますので、前に進めさせていただきます。
 次に、家畜改良法の一部改正についてでありますが、昭和六十年以降は、民間機関及び民間技術者による受精卵移植の実施が急増いたしまして、生産頭数も増加しているのでありますが、家畜受精卵移植技術は、その進歩が急であっただけに問題が残されているのであります。具体的には、地域間での、あるいは技術者間での大きな差があり、受精卵の選定指導、採卵技術の向上、また技術者研修、受精卵の凍結保存技術の簡易化などが必要と言われているのでありますが、これらの課題をどうお考えになり、どういう対策をしようとしておられるのか、お聞きしたいと思います。
#112
○赤保谷政府委員 受精卵移植という新しい技術が開発をされまして、実用化の段階に入っておる。これは家畜の改良増殖にとって非常に画期的な技術であるわけです。体内受精卵移植についてはかなりもう定着をしてきて、幅広く行われております。最近、体外受精卵移植技術が実用化の段階に入っておる。これはまあ、技術のばらつきというのがございます。そこで、これは頭で考えてできるものではございませんので、各県の試験場に対しまして、そういう技術を実施するために必要な機械設備、そういったものの設置についての助成だとか、あるいは、技術者が実際に操作をしてみないとできませんので、そういう技術者の養成、そういうことについても今取り組んでいるところでございます。
#113
○志賀(一)委員 次に、生きた雌の家畜から卵巣を採取するときは獣医師が行い、雌の家畜屠体から卵巣を採取するときは獣医師または人工授精師が採取するということになっております。「また、獣医師又は家畜人工授精師が、家畜未受精卵を採取・処理し、家畜体外授精を行い、又は家畜体外受精卵を処理し、若しくは移植しなければならない」というふうにありますが、獣医師と同様に人工授精師に対してこれら一連の任務を認めることは、獣医師の資格条件、技術等々比較した場合に問題があるのではないかというふうに思うのでありますが、これについてお伺いしたいと思います。
#114
○赤保谷政府委員 現行の法律では、家畜体内受精卵移植のうち、体内受精卵の採取につきましては、これは診療行為を伴うということから獣医師に限定されているわけですが、それ以外の行為につきましては、一定の講習を修了いたしまして、都道府県知事の免許を受けた家畜人工授精師もこれを実施することができることとされておりまして、現在、受精卵の衛生的な取り扱い等を身につけた家畜人工授精師の皆さんが活躍をしているところでございます。
 家畜の体外受精卵の移植に関しまして、家畜の体外受精卵移植は体内受精卵移植を基礎とした技術でありまして、また、人工授精師は既に体内受精卵移植の分野で活躍しておりますので、家畜の体内受精卵移植の場合と同様に、診療行為を伴わない行為について、一定の講習会を修了し、必要な技術を身につけました家畜人工授精師が実施することについては、技術的、衛生的に見ても問題はないと考えております。
 今回、法案をお願いいたしておりますが、今申し上げましたように、診療行為を伴う場合には獣医師さんにお願いする、診療行為を伴わない行為については家畜人工授精師にお願いする、そういう大きな整理をいたしております。
#115
○志賀(一)委員 御承知のように獣医師さんは、四年制あるいは六年制の大学を経て国家試験を通って、高い技術力と能力を持っておられる方々である。それに対しまして人工授精師は、わずかの期間講習を受けて人工授精師になった、こういうことでありますから、その間には、技術力その他畜産についての基礎知識についても、いろいろな高度の技術についても、相当な格差があると私は思うのです。従来のように注入だけの人工授精師ということであれば問題はない。しかし、体内であろうと体外であろうと受精卵を入れる、注入するということについては何も問題はありませんけれども、卵巣から卵をとったり、それで今度は授精をしたり、それでまた、それをするには全体の家畜改良計画に基づいた牛の選び方もありますし、計画もあります。そういう広範な知識を持った上で計画的にやらなければいけない仕事であるのに、単に技術的にやるだけだから大丈夫なんだという見解では、これではやはり獣医師等はなかなか納得がいかないし、また、家畜改良という重要な使命からいって、人工授精に一定の制約を与えるべきではないのかというのが私の考え方であります。
#116
○赤保谷政府委員 これまでの現行法ですと、家畜の体内受精卵の移植を家畜人工授精師が行えるようにしてあるわけです。その際、体内受精卵の採取につきましては診療行為と見られますので、獣医師さんにお願いをする。今回も基本的な考え方は同じでございまして、体外受精卵移植についても診療行為と認められる分野については獣医師さんにお願いする。それ以外の分野については家畜人工授精師も行うことができることにしてあるわけです。
 ただその場合、従来は、体内受精卵移植の講習会を受けて修了した者、そういう方が人工授精師の免許を持っているわけですから、今回はそれに加えて、体外受精卵移植について必要な科目、それと実習、実技、そういうものを受けてもう一段上といいますか、そういう資格を取る必要がある。そういう過程を経まして、先ほど来申し上げておりますように、診療行為にかかわらない部分については獣医師さんと人工授精師さんが一緒になって、そういう技術を利用して日本の畜産の発展に役立てていただこう、こういうことでございます。
#117
○志賀(一)委員 何回も申し上げますが、受精卵を注入するということであれば私も抵抗を感じないけれども、屠体からとった卵巣に対して、今度は受精卵にするまでの一連の過程等にはやはり高度の技術的な判断、処理能力というものが必要だ。これはやはり診療行為に準じた行為であると私は言わざるを得ない。こういうことについては、今後実現する中で相当慎重に、しかも極めて微細なものを取り扱う、それに家畜改良という高度の技術もあわせて考えながらということでありますから、人工授精師のやるべき分野というものは極めて限定されるように、それについてはもう一度いろいろ検討すべきだというふうに思います。
 それから次の点は、都道府県の家畜改良計画に新たに雌畜を利用した家畜受精卵移植施設整備拡充事項が追加されるということについては問題がないわけでありますけれども、従来の県の家畜の改良計画に飽き足らずに、地域等の畜産組合が自主的に家畜改良を進めてきている例は全国にも多々あるわけであります。そういう場合に、これらの新技術の開発によって混乱を来さないように指導と相互の密接な連携協調が極めて必要ではなかろうか、こういうふうに思うのでありますが、この辺についての御見解を承りたいと思います。
#118
○赤保谷政府委員 都道府県の家畜改良増殖計画は、その都道府県における家畜の改良増殖を促進していく上での指針でありまして、この計画には御承知のとおり家畜の改良増殖の目標、計画の期間、優良雌畜の配置、利用それから更新に関する事項、そういう事項を定めることになっているわけです。
 この計画を定める際に、その都道府県は民間を含む改良関係者の意見を十分聞くこととしておりまして、さらにこのようにして作成された計画に基づきまして民間の改良組織の指導や援助も行っているところでございます。したがって、民間の改良組織の改良方針と都道府県の計画は整合性のとれたものになっていると考えられるわけですが、なお最近、近年になって肉用牛の生産に力を入れ出した、今先生のお言葉をかりますと、飽き足らない、そういう意欲的な地域、そういう肉用牛の生産に力を入れ出した一部の県におきましては、関係者の間では幾つかの自主的な改良方向が試みられている、そういうところも見受けられるわけですけれども、これらの改良方向が地域において定着していく過程の中で、遠からず県全体としての統一的な指針が固まっていく、そういうふうに考えているところでございます。
#119
○志賀(一)委員 次に、医薬品の適正使用についてお伺いをしたいと思います。
 安全な畜産物の生産を図るための、獣医師がみずから診療しないで投与または処方できない医薬品として省令で定める医薬品の追加をすることであるが、要指示医薬品、動物用医薬品についてその適正な使用を図り、安全な食品を確保するためどのような対処をされるのか。また、一方でこのような獣医師の新たな任務が医師の不足状況の中で今後十分な対応ができるのかという疑問を持つ方も少なくないのでありますが、どのようにお考えでありますか、お聞きしたいと思います。
#120
○赤保谷政府委員 獣医師法におきましては、獣医師が診察を行わないで農家等の依頼に応じて漫然とといいますか、劇事業や生物学的製剤を投与する、あるいは処方する、そういう場合には家畜の死亡あるいは病原体の蔓延、そういった危害を生ずるおそれがありますので、劇事業または生物学的製剤の投与、処方に当たりましては、獣医師がみずから診療することを義務づけているところでございます。
 最近、家畜疾病の発生要因が複雑、多様化する、そういう状況の中で抗生物質等の動物用医薬品を投与する必要性が増大をしている状況でございます。これらの医薬品は、その使い方によりましては耐性菌の増加による疾病の治療効果の低下という問題が生じますし、また伝染性疾病の蔓延の助長というようなことにもなりかねない、さらには動物用医薬品の残留の助長、そういった問題を生じさせまして、我が国畜産の安定的な発展を阻害するおそれ、そういうこととなることが懸念されるわけでございます。このため今回、これらの医薬品の投与あるいはその処方を行うに際しましても、獣医師みずからの診察を義務づけまして、これらの医薬品の適正使用を図ることとしたものでございます。
#121
○志賀(一)委員 最近、東京都立衛生研究所の分析したところによれば、都内で市販されている輸入豚肉や国産の鳥肉などに食品衛生法で禁止されている抗生物質や合成抗菌剤が残留していることが明らかになっています。畜産物あるいは養殖魚への抗生物質や合成抗菌剤の使用法は、戦後畜産や養殖の大規模化に伴って急激に増加したものであり、薬事法四十九条を無視して関係者が半ば公然と売買し、かつ使用されているというふうに聞いているのでありますが、検査体制や指導はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
 さらに、これらの事実は飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律にもかかわる事項ではないのか、こういうふうに考えますが、御見解をお聞きしたいと思います。
#122
○赤保谷政府委員 安全な畜産物の生産を図るために、動物用の医薬品の使用に関しましては必要な規制措置を講じているわけでございます。すなわち、副作用の防止、それから耐性菌の発生の防止、そういう観点から薬事法四十九条の規定に基づきまして要指示医薬品を指定する、それで獣医師みずからによって、または獣医師の指示のもとに動物用医薬品の使用が行われるようその販売を規制するということをいたしておりますし、また、畜産物への残留問題、残留を防止する、そういう観点から、これも薬事法八十三条の二の規定に基づく動物用医薬品の使用の規制に関する省令というものがございますが、この省令によりまして一定の動物用医薬品につきまして使用者が遵守すべき休薬期間、用法、用量等の基準を定めまして、その使用を規制しているところでございます。
 これらの規制措置につきましては、企業であろうと、大型農場であろうと、そういうところに対しましても各都道府県の家畜保健衛生所の巡回指導等によりまして周知徹底をしまして、その遵守を図っているところでありまして、今後ともこれらの規制措置の適正な運用に努力をしてまいりたいと思っております。
 なお、昨年度、平成三年度からは、生産者団体による使用規制の遵守状況の自主的なチェックを含めまして動物用医薬品等の適正使用の体制づくりを積極的に推進しているところでございまして、使用規制の遵守をより徹底して図ることといたしているところでございます。
#123
○志賀(一)委員 そうすると、東京都の衛研が指摘した状況下に現在あるということはお認めなんですね。
 それから、やはり今もお話がありましたけれども、半ば公然と大規模にやっている、企業的な経営でやっている、会社組織でやっているものとか、あるいは数多い畜産業をやっている方とか、そういう方々が獣医師の当然の診察、それによる検査等、獣医師の指導なくしてやっている場合がかなりある、こういうことからこの衛研のこういった結果が報道されておるものだ、そういうふうに理解しているわけですが、その辺の規制をもう一度ひとつお答え願いたい。
#124
○赤保谷政府委員 先ほども申し上げましたように、動物用医薬品の使用の規制については、要指示医薬品に指定をする、あるいは使用規制省令で使用者が遵守すべき休薬期間等の基準を定めてその使用を規制している。これらの使用規制については個々の農家、企業、大規模な農場、そういうことを問わず、先ほど申し上げましたように都道府県の家畜保健衛生所の巡回指導等によりましてその規制の周知徹底を図っているところでございます。今後ともその適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
 それから、今お話のございました東京都の衛生研究所の研究年報に基づくものでございますけれども、市販の食肉等に抗菌性物質が残留していたという報道がございます。これは東京都の衛生研究所が昭和六十三年度から平成二年の間に市販の畜水産物について残留抗菌性物質の実態調査を行ったわけですが、その結果、残留が認められたという東京都の都立衛生研究所の研究年報が出ている、それに基づく報道であるわけです。
 この調査は、生産部局との連携のもとに行われている通常のモニタリング検査、通常生産部局と連携をとりながらモニタリングをしておりまして、抗菌剤の残留が認められた場合には生産部局におきましてその原因究明を行い、生産者に対して適切に指導をしているわけですが、今回のはそういう通常のモニタリングとは別に行われたものであるとお聞きをいたしております。
 いずれにしても農林水産省としては、従来から安全な食品の供給は極めて重要なことであると認識をいたしておりまして、動物用医薬品及び飼料の適正使用につきまして都道府県を通じましてその徹底を図ってきたところでございます。また、今申し上げましたように昨年度からは生産者みずからが自主的に動物用医薬品等の適正使用体制を確立するための事業を実施して一層その強化を図ることといたしておりまして、このような関連事業等を十分活用しまして、今後このような結果が出ることのないよう関係者へ再発防止の指導の徹底を図りまして安全な食品の供給に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
#125
○志賀(一)委員 時間がなくなりましたからはしょって御質疑をしたいと思いますが、まず一つは、動物検疫所において書類審査のみで通る動物と、それから畜産物として輸入されたものに対しての書類審査のみの割合というのはそれぞれどれぐらいでありますか、お聞きしたいと思います。
#126
○赤保谷政府委員 申しわけございませんが、今資料を持ち合わせておりません。
#127
○志賀(一)委員 書類審査というのは、輸入される動物に限らず畜産物にしましても相手国の、輸出する国のよこす証明書に全幅の信頼を置いて、検疫所では、私が聞いている範囲では約八〇%くらいをパスさせているという実態を聞いているわけでありますが、特に外国の、例えば豪州にしても、豪州と我が国ではやはり検査基準も違いますし、また使う薬品等についてもおのずと違うわけであります。そういうものを、いわば向こうの国で証明して安全だというからそのままストレートに受けて、八〇%近くも書類審査だけで、あるいはそれ以外に牛の、動物の外観あるいは肉の形状だけを表から見ただけで多数の輸入畜産物がパスしてしまうというのでは、かなりこれは国民にとっては安心できないなという受けとめ方で、この問題をどうしているのかとお聞きしているところであります。今の話は、私が言っているのは、動物検疫所で扱う動物について、農水省のやっている、扱っているものについて質問しているので、厚生省のは今後ですよ。
#128
○赤保谷政府委員 先生今、書類だけで検疫をパスさせているという招請がございましたけれども、動物につきましては、書類とその動物と突き合わせるというのか、そういうことを原則としていたしておる。それから、肉等に残留しております医薬品なり農薬なり、そういうものについては食品衛生の立場から輸入に当たってのチェックをいたしております。
#129
○志賀(一)委員 農水省としてどんなことをやっているのかということを、農水省の枠内でのやり方を聞いているので、それに対して答弁――しないでいいですよ、もう時間がありませんから。後で、次回に機会をつくってまたお聞きしたいと思います。
 じゃ厚生省に、輸入される食肉検査をやっているわけでありますが、時間がありませんから端的に、生鮮肉類は平成二年度で約十万トン輸入されているわけであります。このうち八〇%は書類審査でパスしている。事実ですか。
#130
○伊藤説明員 お答え申し上げます。
 食肉だけではなくて輸入食品全部、輸入しようとする業者は厚生大臣に届け出をすることになっております。これが今先生おっしゃられました食肉について言えば十万件あります。なおかつ食肉の場合には輸出国の衛生証明書もつけなければならないようになっております。そういうふうな書類審査を十万件全部にしまして、そしてなおかつ輸出国の事情でありますとか前に違反になった事例があるかとか、そういうような状況から、実際に抜き取り検査をしまして細菌検査でありますとか理化学検査でありますとか、そういうふうな検査をするのが一万九千二百二件、約一九・二%。逆に言いますと八割ぐらいは書類審査で終わっているということにはなるわけですが、今のような経過を経まして、厳重な書類審査も経、なおかつ必要なものを分析、破壊検査をしているという状況です。
#131
○志賀(一)委員 今議論している余地はありませんから申し上げますが、十万件のうち実際に精密検査したのがわずかに百三十一件にすぎないのですね。まことに食肉に対する国民の立場からいえば安心して食べられないな、危険だな、こういう印象を持たざるを得ないわけであります。この書類審査が約八〇%、書類審査に準ずるべきものとして厚生省の指定検査機関でやっている検査、それから外国の公的検査機関でやっているもの、これを両方合わせますと十万件のうち約二万件近くありますね。これはほとんど、実際の行政検査の精密検査に該当するものではなくて、書類検査と言うに等しいものだと思うのですが、そうでしょう。
#132
○伊藤説明員 今申し上げましたように、食品衛生法に基づきます手続としまして、届け出の際には必ず輸入の届け出書をつけていただく、これはまさに書類であります。それから食肉について申し上げれば、輸出国の衛生証明書もつけてもらう。これは輸出国が屠畜場における検査の結果とかそのほかの検査を輸出国政府として証明しているものであります。これもまさに書類であります。そういう意味では書類の審査を十万件やりまして、そして抜き取ったものを理化学検査とかそういう検査は二割ということになります。
#133
○志賀(一)委員 だから、実際検査をしているというのは精密検査の百三十一件だけだ、こう認めますね。
#134
○伊藤説明員 検疫所において行いました精密検査が百三十一件であります。指定検査機関において七千三百八十件検査しておりますが、この中にもガスクロマトグラフでありますとか波クロマトグラフでありますとか、そういう意味での精密検査をしたものが含まれております。
#135
○志賀(一)委員 もう時間がありませんから結論を急ぎますが、私は最終的な結論で申し上げたいことは、輸入食品の監視体制をもっと強めてほしいということを強く要請したいと思います。食品の輸入件数は平成二年でまさに六十八万件、十年間で二倍になっているわけでありますから、これらの国民生活に占める重要性は極めて高いものがありますので、輸入食品の監視体制の充実強化は緊急な課題となっていると思います。したがって、今後ともまた輸入食品の増加を考慮すれば、食品衛生監視員の増員、輸入食品監視窓口の増設、輸入食品・検疫検査センターの増設等をぜひやっていただいて、監視検査体制の一層の整備を図ることが極めて重要だと考えますが、これらについての具体的な計画は厚生省としてお持ちですか。お聞きしたいと思います。
#136
○伊藤説明員 食肉を含めまして輸入食品の安全性の確保は国民の健康を守る上で極めて重要であることを認識しております。したがいまして、従来から輸入食品の監視体制の整備に努めているわけでありますが、最近の状況を御説明させていただきますと、現在二十六カ所の輸入食品監視窓口で百四十三人の食品衛生監視員が輸入食品の監視業務に当たっております。これに対しまして、平成四年度においては監視窓口を四カ所増設して三十カ所にする予定でありますし、それから食品衛生監視員は二十二名増員しまして百六十五名にする予定にしております。今後とも検疫所における輸入監視体制の充実に努力してまいりたいと考えております。
#137
○志賀(一)委員 どうもありがとうございました。
#138
○高村委員長 倉田栄喜君。
#139
○倉田委員 公明党・国民会議の倉田でございます。
 まず、獣医師法の一部を改正する法律案からお伺いをいたしたいと思います。
 今回の改正は、昭和二十四年に制定された当初の法律と比べまして、この改正をされました目的というものはどの点にあるのか。例えば二十四年当時の目的というのは、畜産業の発達というところに重きがあったのだろうとは思うわけですけれども、この点、今回の改正の目的は、二十四年当時の目的と比べますと、どのような変化があるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
#140
○田名部国務大臣 獣医師をめぐる最近の情勢の変化を見ますと、今お話しのように、昭和二十四年以来畜産業そのものが我が国の農業の基幹的部門に成長してきたというのがまず大きな違いであります。それを受けまして、一般家庭における小動物の飼育が広く普及したということで、この二つの大きな柱がまずあるわけでありますが、そのことによって、獣医師による的確な診療の提供はますます重要になってきた。また、獣医療技術の方を見ますと、新たな診療機器の普及、動物用医薬品の開発、その高度化が大きく進展してきた。大体大ざっぱに見ますとそういうことになってきているわけですね。
 また他方では、家畜飼養の多頭化等に伴い、その疾病が多様化、複雑化する等、新たな動物に関する保健衛生上の問題が生じてきているほか、産業動物獣医師の高齢化が一方では大変進んできておりまして、獣医師の確保が困難な地域が出てきた。またさらに、最近では、安全な畜産物の生産のための動物用の医薬品の適正使用等がより重要な問題となっている状況にある。
 こういうことから、いろいろと見直しをしていかなきゃならぬ。あるいは獣医師の確保、そのためには今お話し申し上げたように、診療機器等を取り入れる人が多くなってきた、そのためにいろいろと支援の措置を講じていかなきゃならぬ。そこへこの獣医事に関する研究会における獣医師制度のあり方についての検討結果を踏まえまして、所要の改善を図るべく獣医師法の一部改正案、獣医療法案、それぞれこの国会に提出したものであります。
#141
○倉田委員 二十四年、現行法ですけれども、その第一条と今回の第一条とを見てみますと、現行法は「目的とする。」というふうに目的として定めでありますが、今回の改正案は、目的ではなくて、いわば獣医師さんの任務規定、このようにしてあるわけでございますけれども、これは、あえて目的規定をとらずに任務規定としたのはいかなる理由によるものでしょうか。
#142
○赤保谷政府委員 今御審議をお願いしている法律につきましては、一条を「法律の目的」から「獣医師の任務」に変えておるわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、我が国の畜産業は基幹的な部門へと成長している、それから小動物の飼育が広がっている、それで獣医師による診療の重要性もますます増大をしている。国民の間でも食品の安全性に対する関心が非常に高い。それから公衆衛生分野における獣医師の活動範囲、これも拡大をいたしておりまして、公衆衛生の向上という面におきましても獣医師は非常に重要な役割を果たすようになっているわけでございます。さらに、近年獣医師は、実験動物あるいは動物園で飼われている動物園動物、そういったものに対しても獣医療の提供を行う。そのほかに、獣医療技術を活用して家畜の改良増殖だとかあるいは動物疾病、動物医薬品の試験研究、希少動物の人工繁殖、そういうものにも取り組むようになっているところでございます。一このように、獣医師の活動範囲が拡大をしまして、その果たすべき役割が著しく増大をいたしました今日の情勢を踏まえまして、獣医師の資格について規定する獣医師法におきまして獣医師に課された任務を明記する。獣医師がその社会的地位に対する十分な自覚を持っていただきまして、その自覚に基づいて資質の一層の向上を図って社会の要請に的確にこたえていくように、そのために現行の目的規定にかえまして獣医師の任務に関する規定を整備するということにしたわけでございます。
 現行の一条のように、法律の目的として規定する場合と、今度お願いしているように獣医師の任務として規定する場合との差異、違いに関しましては、両方とも獣医師なり獣医師という制度が社会的に果たすべき目的について規定するという点においては基本的に類似をしているわけですけれども、この法案は、獣医師の活動範囲が拡大をしてその獣医師の果たすべき役割が著しく増大をしている今日の情勢を踏まえまして、獣医師の行う任務を具体的に列挙したものとなっているわけでございます。同様の規定は、御承知のとおり医師法あるいは歯科医師法、薬剤師法、そういう法律に任務規定という形で規定をされているところでございます。
#143
○倉田委員 第一条を比較して見てみますと、新しく「動物に関する保健衛生の向上」、こういうのが入っていることに気がつくわけでございますけれども、この「動物に関する保健衛生の向上」ということと「畜産業の発達」、これは両立併記的に書いてあるわけですけれども、これは両立するものなのかどうか。そのことと、「動物に関する保健衛生の向上」ということ、この内容でございますね、その趣旨も含めてお答えをいただければと思います。
#144
○赤保谷政府委員 獣医師に寄せられる社会的な要請が多様化する中で、特に飼育動物の保健衛生指導につきましては、これから申し上げますけれども獣医師の積極的な関与が強く求められているわけです。
 すなわち、近年の疾病の多様化、複雑化の中で多頭飼育農場における伝染病の予防や一般家庭等における人畜共通感染症の感染防止、そういうことを図る上におきまして獣医師による衛生管理方法の指導が極めて重要になっていること。それから、近年の食品の安全性に対する関心の高まりの中で動物用医薬品の適正使用につきまして獣医師がより積極的に指導を行うことが要請をされている。そういうことから、今後獣医師がより積極的に保健衛生指導を行っていくことが強く求められていると思います。
 こういうような観点から、保健衛生の指導義務を法律上明記いたしますとともに、第一条の任務規定におきまして、獣医師がその社会的地位に対する十分な自覚に基づいてその資質の一層の向上を図って社会の要請に的確にこたえていくように、獣医師の任務の一つとして保健衛生の向上を規定することとしたものでございます。
 なお、畜産業におきましても保健衛生の向上を図るということはいろいろな面で重要な中身を持っております。的確なワクチンの接種だとか疾病の早期発見あるいは畜舎の消毒方法、健康状態を考慮した飼料の給与の仕方、医療品の適正使用等、そういう指導を通じて保健衛生上の向上を図ることは疾病の発生予防、発生防止による生産性の向上あるいは安全な畜産物の生産を推進することになりまして、畜産業の発達に寄与する、さように考えておるところでございます。
    〔委員長退席、金子(徳)委員長代理着席〕
#145
○倉田委員 先ほど大臣の御答弁の中にありましたし、また午前中からるる質問が出ておりますが、今回の改正の一つの目的の中で産業獣医師さんの確保、こういう問題点もあるんだろうと思うのです。
 そこでお伺いをしたいわけですけれども、非常に不足をしておって、中にはおられない地域もある、こういう話でございますけれども、そもそも今回の法律で開業獣医師さんの確保というのか今後の確保の見通しができると考えておられるかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
#146
○赤保谷政府委員 今回法案を御審議をお願いしている大きな理由の一つとして、産業動物の獣医師の確保を図るということがあるわけでございます。それで、獣医師の確保に関する目標を都道府県計画において定める、この目標に向けて関係者の努力を促すということにいたしておるわけでございます。
 こうした関係者の努力に対しまして、産業動物開業獣医師それから農業団体を対象とした診療施設の整備のための公庫資金、長期低利の資金の貸し付けということを考えておるわけですが、そのほか、在学中の獣医師を志望する学生さんを支援するための修学資金を拡充して給付をする、あるいは勤務獣医師のOBの方、そういう方々の産業動物診療への参入を促進する、そういうような事業も実施をいたしておりますし、獣医師の不足する地域に対しましては開業の民間の獣医師さんに巡回診療をお願いする、そういった事業の実施に対する支援も行っていくこととしているわけでございます。
 獣医師に求められる診療技術が多様化、高度化してきているという状況に対しましてその技術の向上を図る、これも必要でございます。それで、獣医師免許取得後における臨床研修の制度を確立する、昔のお医者様のインターンのような制度でございますが、そういうことだとか、あるいは産業動物獣医師が集団衛生管理のための技術あるいは高度診療機器を用いた診療技術等の習得を図るための高度な技術研修を実施することといたしておるわけです。
 国と都道府県が一体となりまして各般の対策を基本方針、都道府県計画に即しまして実施することによって産業動物獣医師の誘導、定着を推進していきたいと考えているところでございます。
#147
○倉田委員 産業獣医師さん、今御説明はいただきましたけれども、果たしてこれできちっとした確保対策になっているのかどうかということについては、私も非常に疑問を感じるわけでございます。
 職場環境そのもの、これも午前中から説明があっておりますけれども、非常に大変である。いわば三Kとも言われるようなこの職場環境、これに対してどう産業獣医師さんの定着を図っていくのか。これはもっと何らか方法を考えていかなければこの不足の状況というのは解消できないのではないのか、こう思うわけでございますが、一方でこの産業動物を扱われる獣医さんには、開業獣医師さんのほかに共済家畜診療所あるいは家畜保健衛生所、この二つ、合わせて三つあるわけですけれども、このそれぞれの相互の関係と申しますか、これをどのように考えていくのかということも開業獣医師さんの定着を図るためには一つ重要な視点ではなかろうか、こう思うわけでございます。例えて言えば共済家畜診療所並びに家畜保健衛生所、これを手厚くする必要もあるでしょうけれども、一方で手厚くすればなかなか開業獣医師さん自体は厳しくなってしまう、競争という部分を取り入れた場合にはそういうことも多々あり得るかと思うのですが、この点については、農水省としてはいかがお考えですか。
#148
○赤保谷政府委員 いろいろなところに勤務されておられる獣医師さんの関係というか、そういうことについての御質問でございますが、産業動物開業獣医師は、家畜共済に加入していない農家の家畜等の診療を実施するとともに、家畜共済事業においても指定獣医師等としまして、従来から農業共済組合等との相互の協力のもとに産業動物に対する診療を実施をいたしまして、畜産業の振興に大いに寄与してきているところでございます。また、今回の計画制度におきましても、産業動物開業獣医師と農業共済組合等の協力関係のもとに獣医療の確保を図っていくということが重要であると考えております。
 また今回、基本方針の策定に当たりましては、獣医事審議会の意見を聞くということにいたしておりますが、その審議会の委員は、畜産関係団体の代表者だとか農業共済団体の代表者一あるいは日本獣医師会の代表者、そういう方々によって構成することを考えておりますので、基本方針においては、産業動物開業獣医師の意見も十分反映されるものになると考えておりますし、また、都道府県が定める都道府県計画を作成する場合にも、それぞれ関係者の御意見を伺うことにいたしておりますので、県の計画におきましても、産業動物開業獣医師の意見も十分反映される。
 要するに、共済の獣医師さん、産業動物開業獣医師さんそれぞれ、従来から相互協力のもとに動物に対する診療を実施して畜産業の発展に御貢献をしてこられた。これからも、それぞれの持ち場持ち場で御活躍いただくと同時に、相互の連携を図りながら、日本の畜産のために御活躍をいただきたいというふうに考えているところでございます。
#149
○倉田委員 産業動物の獣医師さん、これは非常に仕事も大変でもありますし、また収入の面においてもなかなか大変である、こういうふうに聞いておるわけですね。そこで、例えば家畜共済の点数の問題であるとか、あるいは診療報酬の問題とか、これも午前中から質問をされております。
 家畜共済の問題に関していいますと、一方では、これを上げるということは畜産農家の負担にもつながっていくわけでありまして、なかなか難しい問題ではあろうかと思うわけですけれども、私が申し上げたいのは、やはり産業動物に対する獣医師さんも個人の獣医師さんもきちんとやっていけるような、そういう職場環境をつくっていかなければいけないのではないのか、これは異論がないところだ、こう思うわけです。そういうわけで今こういう質問をさせていただいたわけでございますけれども、ひとつしっかりと御検討願いまして、このまま開業獣医師さんが不足のままで終わってしまう、あるいは、現在六十一歳という平均年齢というふうに伺っておるわけですけれども、だんだん後継者もないまま途絶えてしまうということがないように、しっかりと対策あるいは種々の御指導をお願いを申し上げたい、こういうふうに思います。
 そこで次に、ちょっと条文を細かく切りますが、一条ずつ見てまいりたいと思うのです。
 第一条に「飼育動物に関する診療」、こうあります。この関連からいきますと、飼育動物に関する診療とそれから飼育しない動物、この飼育しない動物は第一条の中にはどういうふうに入ってきますでしょうか。
#150
○赤保谷政府委員 今度改正をお願いしております第一条は、「獣医師は、飼育動物に関する診療及び保健衛生の指導その他の獣医事をつかさどることによってと云々と書いてございます。「その他の獣医事をつかさどることによってこれは獣医学的な知識をもって処理すべき衛生上の事項一般を指すわけでございまして、そういう獣医事をつかさどることによって、「動物に関する保健衛生の向上」、ここは裸で書いております、それから「畜産業の発達を図りこその二つによりまして「あわせて公衆衛生の向上に寄与する」、そういうような構成にいたしておるわけでございます。
    〔金子(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
#151
○倉田委員 そうすると、ちょっと確認をさせていただきたいわけですけれども、この第一条の中には、「飼育動物に関する診療」、それ以外の、つまり飼育しない動物、これに関しては「その他の獣医事」、ここにも入るということと、それから、三行目ですか、「動物に関する保健衛生の向上」、この「動物」は、飼育動物にかかわらず動物一般にかかわる、このように考えてよろしいわけですか。
#152
○赤保谷政府委員 そのとおりで結構でございます。
#153
○倉田委員 それでは、この「動物に関する保健衛生の向上」は、飼育動物のみなちず動物一般に関してということでお伺いをしたいと思います。
 そうすると、動物一般に関して保健衛生の向上に寄与するものとするという獣医師さんの役割、それから獣医師さんの業務というのは、第一条で読みますと相当広くなると思うのですが、その後十七条に、「飼育動物診療業務の制限」の問題が書いてございます。この十七条との関係でとらえれば、どのように理解すればよろしゅうございますか。
#154
○赤保谷政府委員 一条の方は広く書いてございますが、十七条の方は、「獣医師でなければ、飼育動物」、限定しておりますが、「の診療を業務としてはならない。」、獣医師でなければ業務として診療してはならない動物を十七条で書いておりますので、その関係で十七条の方が狭くなっておる、そういうことでございます。
#155
○倉田委員 また後でもうちょっとお聞きすることはあると思うのですが、それでは次に八条、免許の取り消しの規定を書いてございます。取り消しの規定は書いてありますけれども、取り消された後、獣医師さんの救済の措置と申しますか、一回取り消されてしまえばその後はどうなるのかということについては、現行法も含めて、この改正ではどのようにお考えでしょうか。
#156
○赤保谷政府委員 免許の取り消しあるいは業務の停止を行う場合にありましては、獣医師法の八条の三項の規定によりまして、処分の理由を文書をもって通知をする、その獣医師または代理人に弁明をさせ、かつ、有利な証拠を提出する機会を与えた上で、獣医師免許審議会の意見を聞いて、取り消し、業務の停止を行っているところでございます。また、その法律の五条の二項の規定によりまして、免許の取り消しを受けた場合であっても、その取り消し理由が解消された場合には免許を受けることができるということとされているところでございます。
#157
○倉田委員 もう一度再申請をして、例えば五条の二項で書いてあります獣医事審議会の意見を聞いて免許を与えることがあるということでいいわけですか。
#158
○赤保谷政府委員 そういうことでございます。
#159
○倉田委員 それでは次、十条「試験の目的」でございます。これも先ほどの一条と十七条との関係でお伺いをしたいと思いますが、「試験の目的」として「飼育動物の診療上必要な獣医学並びに獣医師として必要な公衆衛生に関する知識及び技能について行う。」第十条はこのように書いてあります。
 そこで、先ほど申し上げました一条は広くということですが、この十条についてはどうなのか。例えば飼育動物以外の一般動物の保健衛生上の知識、あるいは一条の二「「飼育動物」とは、一般に人が飼育する動物をいう。」これは推論ですが、ここでは恐らく魚も入るのかな、こういう気もいたします。しかし、十七条では恐らく魚は入らない、こういうふうに思うわけでございますが、そういうことを考えると、十条においては、この試験の目的の範囲における動物というのはどのような取り扱いがなされるのか。
#160
○赤保谷政府委員 獣医師法の十条におきましては、「獣医師国家試験は、飼育動物の診療上必要な獣医学並びに獣医師として必要な公衆衛生に関する知識及び技能について行う。」とされておるわけでございます。
 このため、試験は家畜診療及び公衆衛生分野並びに基礎及び応用分野十七科目について実施をしているところでございまして、その対象動物としては大家畜、中小家畜、実験動物、魚類等の飼育動物が中心となるものの、飼育動物の診療に関連性の高い動物一般に共通する獣医師として必要な獣医学の知識、これについても広く試験を行っておりまして、一般動物の保健衛生上の知識も試験の内容に含まれることとなっているわけでございます。
#161
○倉田委員 そうすると、十条の方も、広く、こういうふうに理解をしたわけですけれども、通常言われる点も、それから飼育動物以外の鳥や野生動物も入っていく、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
#162
○赤保谷政府委員 今も申し上げましたように、飼育動物の診療に関連性の高い動物一般に共通する獣医師として必要な獣医学の知識についても広く試験を行っておりまして、一般動物の保健衛生上の知識も試験の内容に含まれるわけでございます。
#163
○倉田委員 そこで、ちょっと魚のことについてもう一度お伺いしだいのですけれども、いわゆる養殖魚における急病というのですか、この発生状況、いろいろ問題点がるる指摘をされておるわけでございますが、この点については、急病対策と申しますか、これはどのようにお考えでしょうか。
#164
○赤保谷政府委員 先ほどはっきりお答えをいたしませんでしたが、魚も入ります。急病も試験の新科目に入っております。
 それから、今お話のございました魚ですけれども、飼育動物の範囲に魚が入るのかどうなのか、急病の問題をどうするのか、こういうことでございますが、この政令による診療対象飼育動物の選定に当たりましては、基本的には畜産業の発達だとか公衆衛生の向上、そういう観点からの重要性、これが一つ。それから疾病の発生状況、これが一つ。それから獣医師による技術的対応能力、実際問題として対応能力がないと困る。そういったことを総合的に勘案しまして、法律で規定する場合と同一の基準によって政令で指定をするということにいたしておりまして、現在具体的には小鳥を予定しております。
 今お話ありました魚につきましては、現在魚病に従事する獣医師の数が極めて少ないという状況でございます。そういうことから、急病に係る対応の相当部分が各都道府県の水産技術者によって行われている。こういうことを考慮いたしますと、獣医師のみが対応するのではなくて、水産技術者と獣医師が相互に協力しながら対応をしていくことが適当であろうと考えておりますので、政令で定めることは今回考えておりません。
 それから診療業務が制限される対象動物、これは先ほど申し上げましたように飼育動物の一部であります。そこで、野生動物はそもそも飼育動物には含まれておりませんので、これも政令で定めることは考えておりません。
 しかし、獣医師さんがその専門的な知識に基づいて魚の防疫だとか野生動物の保護に積極的に貢献をしていくということは、社会の要請にもかなったものであると考えております。
#165
○倉田委員 食の安全性ということにかんがみますと、畜産と同時に魚も非常に大切なことであろうかと思います。ひとつこの魚に関しても、試験等々も含めて教育内容の充実、そして魚の病気に対する技術者の十分な確保、そういうことをぜひ対策を講じていただきたい、このように思います。
 そこで、「臨床研修」、第十六条の二でございますが、まずこれは確認をしておきたいと思うのですけれども、十六条の二「臨床研修を行うように努めるものとする。」、この「努めるものとする。」ということは、これは義務ではなくて努力規定、このように考えてよろしいわけですか。
#166
○赤保谷政府委員 そのとおりで結構でございます。
#167
○倉田委員 そうしますと、受ける人と受けない人が出てくる、こういうことになると思うのですが、基本的にはこれは全員受けるように指導していかれるのかどうか。そしてその場合、受けた人と受けない人で処遇について差が出てくるようなことがあるのかどうか。さらには、この臨床研修というものが診療費の引き上げにつながっていくようなことがないのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
#168
○赤保谷政府委員 臨床研修を受けることによって処遇に差が出るのかどうなのか、あるいは診療費の引き上げにつながらないのかという御懸念でございます。
 臨床研修は、疾病が複雑、多様化しておる、動物の飼育者の衛生的な知識が向上している、あるいは小動物に対する国民意識の変化ということを背景としまして、高度化、多様化が進展する動物診療に関しまして実践的な臨床技能の習得を推進するものでありますが、現在職場で行われている研修をより体系的に実施することによりまして飼育者に対してより的確で効率的な獣医療の提供をできるようにするものでありますので、長期的にはむしろ飼育者の利益につながるものであると考えておるわけでございます。
 なお、臨床研修を受け、的確な技能を習得した者につきましては、結果的にその方の評価が高まるということはもちろん考えられるわけですが、臨床研修を受けたかどうか、そのことのみによって獣医師の処遇に差異が生ずることにはならないものと考えております。
#169
○倉田委員 次に、薬の適正使用の問題についてお伺いをしたいと思うのです。
 これは人間の世界にもいろいろ言われることがあるわけですけれども、過度な薬の使い過ぎはないのかどうか、あるいは違法な薬を使うようなことがないのかどうか、この点も非常に大きな問題であろうかと思うのです。第十八条ではこの点について新しく規制がなされるとも思えるわけですが、この中で「農林水産省令で定める医薬品」という規定がございます。この「農林水産省令で定める医薬品」というのは現在どのようなものをお考えになっておるわけでしょうか。
#170
○赤保谷政府委員 現在は劇事業または生物学的製剤、そういうものが指定されているわけでございますが、最近の家畜疾病の発生要因が複雑、多様化する中で、抗菌性物質、ホルモン剤等の動物用医薬品を投与する必要性が増大をいたしております。
 これらの医薬品はその使い方いかんによりましては、耐性菌の増加による疾病の治療効果の低下という問題、あるいは伝染性疾病の蔓延の助長という問題、あるいは動物用医薬品の残留の助長、そういった問題を生じさせまして我が国の畜産の安定的な発展を阻害することとなる、そういうことが懸念されるわけでございます。それで今回これらの医薬品の投与または処方を行うに際しましても、獣医師みずからの診察を義務づけまして、これらの医薬品の適正使用を図ることとしたものでございます。
 そこで、農林水産省令で定める医薬品としては、今申し上げましたような理由から要指示医薬品、それから使用規制対象医薬品を追加をすることを考えているところでございます。指定されないその他の医薬品、どんなものがあるかということになりますと、ビタミン剤だとかミネラル剤、消毒剤等でございまして、いずれも作用が緩和で、使用方法も安易なものでありまして、問題を生ずるようなことはないと考えているところでございます。使用を指定されない医薬品につきましては、今申し上げましたようなものですから問題は生じないのではないかというふうに考えております。
#171
○倉田委員 その医薬品の畜産物への残留の問題であるとかあるいはその薬剤そのものの乱用というか、過度な投薬と申しますか、そういうことが指摘をされておるわけでございますけれども、今回のこういう十八条の規定によって、それが適切なものになり得るのかどうか、そういうことからお伺いをしたわけでございますが、今の局長のお答えを聞きながら、もう一点確認をさせていただきたいのですが、例えば、省令で定めない医薬品はビタミン剤とかなんとかそんなに危ないものでないからそんな心配はないでしょう、こういう御答弁であったかと思うのです。
 そこで、もうちょっと考えてみたのですが、この薬品を、あるいはこの指定をされる医薬品、これを十七条のいわゆる業務としてやる飼育動物ですね、これに投与する場合は、当然これはそもそも十八条、「診断書の交付等」のこの十八条の規定に真っ正面にぶつかるんだと思うのですが、同じ成分の薬を使ったとしてもこれ以外の、先ほど動物一般というふうに申し上げました、例えば魚であってもそうですが、そういう十七条以外の動物、一般動物にこういう医薬品を使う場合については、これはどんなふうにお考えなんでしょうか。
#172
○赤保谷政府委員 十八条には、「獣医師は、自ら診察しないで診断書を交付し、若しくは劇事業、生物学的製剤その他農林水産省令で定める医薬品の投与若しくは処方をしこ云々何とかしてはならないと書いてありまして、対象動物についてございませんので、飼育対象動物以外につきましても、この十八条の規定は適用されるということでございます。
#173
○倉田委員 同じ扱いだということでいいわけですね。わかりました。
 済みません。ちょっとこれは事前に勉強しなかったところですが、このいわば要指示医薬品と申しますか、この販売等については何か規制がございますでしょうか。私申し上げておりますのは、つまり、いわゆる動物用医薬品の適正使用、こういう立法の趣旨でございますので、使用については今十八条で全部やっていくんだ、こういうことでございますが、いわゆる販売そのものについてはどんなお考えでございましょうか。
#174
○赤保谷政府委員 要指示医薬品という制度がございまして、農林水産大臣は要指示医薬品を指定することができまして、その要指示医薬品に指定されると、医薬品の販売業者は獣医師の処方せんの交付または指示を受けた者以外の者に当該医薬品を販売できないことになる、販売の規制がかかります。現在、その要指示医薬品には副作用が強い医薬品あるいは病原菌に対して耐性を生じやすい医薬品、そういうものが指定されているところでございます。
#175
○倉田委員 それはいわゆる獣医さんの指定がなければ販売ができない、こういう趣旨ですが、それは一般動物全体に関してもそういうことでしょうか。
#176
○赤保谷政府委員 今のは薬事法の四十九条に基づく規定でございまして、今御審議をいただいているそっちの方の規定ではなく、薬事法自体でそういうような規制が行われているわけでございます。
#177
○倉田委員 薬剤の乱用という問題が確かにあるわけでございますので、この点も今回の法改正とともに、ひとつしっかりとした適切な使用ができるようにお願いを申し上げておきたいと思います。
 そこで、次にやはり十八条ですが、この診断書については交付義務、これは十八条をそのまま読むと別に交付義務はないみたいに思えるわけですが、これはどのように考えればいいわけでしょうか。
#178
○赤保谷政府委員 十八条自体にはその辺のところは書いてございませんけれども、診断書の交付について要求があった場合には、正当な理由がなければ交付を拒んではならないというふうに理解をいたしております。
#179
○倉田委員 そうしますと、要求がない以上は診断書を別に交付しなくてもいい、こういうことだと思いますので、それは要求しなければ別に交付しなくてもいい、このようにお考えになる理由というのはどういうことですか。
#180
○赤保谷政府委員 ちょっと具体的にはあれですけれども、診断書が必要な事務手続、いろいろあると思いますが、そういう必要でないような場合に交付の要求がない場合があるかもしれない、そういうときには交付の義務はないということであろうと思います。
#181
○倉田委員 診断書自体作成するのも手間暇かかったりいろいろ大変なのかな、それであえて要求、要望がないものに出す必要ないのかな、こういう規定なのかなとも思ったわけですが、この点についてはそれでいいのかどうかと思うところもあるわけでございますので、またぜひ御検討をいただきたい、こういうふうに思います。一方で、薬剤師法には獣医師の処方せんに対する対応義務というのが規定されているわけでございますので、この点との絡みでいって果たして交付義務というのがなくていいのかどうか、これは診療費との絡み、ほかにもいろいろ事情があるのかもしれませんけれども、ぜひ一度御検討をいただきたい、このように思います。
 それから二十条、保健衛生上の指導でございますけれども、「必要な事項の指導をしなければならない。」この「しなければならない。」ということは、これは指導義務ということで理解してよろしいわけでしょうか。
#182
○赤保谷政府委員 まさに義務的な規定であると理解をいたしております。
#183
○倉田委員 それでは次に、もう時間が参りましたので、獣医療法についてお聞きをしたいわけですけれども、獣医療法が新しくできることになります。この中で総論的にちょっとお伺いをしたいと思うのですが、いわゆる小動物、ペット、小動物獣医師さんですね、この分野に関して、企業診療というか、会社組織の小動物獣医師業界に対する進出が一部言われたりもするわけですが、この点については、どんなふうに把握をされておられますでしょうか。
#184
○赤保谷政府委員 診療施設の総数は、平成二年末現在で一万九百八十五カ所となっております。このうち会社組織による診療施設は四百八十三カ所、四・四%。そういう状況になっておりまして、こうした会社組織による診療施設の開設が問題を起こしたというような事例は聞いておりません。個人開業医を圧迫するのではないかというお話もございますが、通常より安い料金で診療の提供を行うということが想定されるような場合にはあれですけれども、現在までのところそうした問題が発生したということはお聞きをいたしておりません。
#185
○倉田委員 この法案の四条で、診療施設の構造設備の基準を決めてあるわけですけれども、さらに「農林水産省令で定める基準」、このような規定もございます。この農林水産省令で定める基準というのは大体基本的にどのようなことを念頭に置いてお考えになっているのか、明らかにしていただければと思います。
#186
○赤保谷政府委員 診療施設の構造設備の基準として、飼育動物の逸走、逃げ出すことを防ぐための係留等に必要な設備を設けることを予定しておるわけですが、これに必要な施設設備としまして、ケージ、かごですね、あるいは建物の扉だとか窓を診療または収容する飼育動物が自力で、自分の力で開閉できないような構造のもの、それから、産業動物にありましては、くいだとか柱、保定枠等によって診療または収容する産業動物を係留するもの、そういったもののいずれかが考えられるわけです。
 それから、収容施設を有する診療施設にありましては、院内での感染防止設備を設けることを予定をしておるわけですが、これは伝染性疾病にかかっている飼育動物を収容する設備として、収容している飼育動物を他の飼育動物と隔てることができる固定式あるいは可動式の間仕切りがあればよいのではないかというふうに考えております。
 それから、エックス線装置を取り扱っている施設につきましては、エックス線診察室、診療室からの漏えい線量を一。定値以下とするということを予定をいたしておるわけでございます。
 今幾つか例を挙げて申し上げましたが、そんなことを考えております。
#187
○倉田委員 この法案が成立をいたしますと、るるそのような設備を新しく設置をしなければならないことになるわけでございますが、これは現在既に開業をされておられます獣医さんの負担にならないのかどうか。あるいは法律が成立をいたしましていつごろの時点までにそれをきちんとしなければいけないのかどうか、この点についてはいかがでしょう。
#188
○赤保谷政府委員 診療施設の基準につきましては今申し上げましたようなことを考えておるわけでして、通常の診療施設におきましてはまあまあおおむね整備をされているんではないかという気もいたしておりますが、診療施設の基準については法律の施行の日から一定期間の適用の猶予を考えておるわけですけれども、具体的期間につきましては、施設基準の具体的内容あるいは診療施設の現状、開設者の負担額、そういうことを考慮しまして政令で定めてまいりたいと考えております。
#189
○倉田委員 その施設の基準が守られていない、こう認めるときについては、この第六条で診療施設の使用制限命令ができる、こういうふうになっているわけですけれども、この使用制限命令については例えばどういう基準で出されようとされるのか、その使用制限命令そのものについてお考えをお聞きしたいと思うのですが。
#190
○赤保谷政府委員 これから施設の基準を定めるわけでございますが、六条にございますように、そういう事項が遵守されていないと認めるときは、その開設者に対して期間を定めて施設の全部、一部の使用の制限をし、その他云々を命ずることができる。要するに守られるべき基準が守られていない場合には、それが守られるようになるまで施設の全部、一部の使用の制限を命ずることができるというふうに考えております。
#191
○倉田委員 次に、十一条に都道府県計画というのがあるわけですけれども、この都道府県計画の目的。その前に、第十条に、農林水産大臣は、基本方針というのを定めなければいけない、こういうふうにございます。この十条の基本方針と第十一条の都道府県計画、これはどんな関係にあるわけでしょうか。
#192
○赤保谷政府委員 今回、国と都道府県が、地域における実態を踏まえまして計画的に獣医療を提供する体制の整備を図っていくということを内容とする計画制度を設けることとしているわけでございます。
 この場合、獣医療を提供する体制の整備に当たりましては、地域における家畜の飼養状況だとか家畜疾病の発生状況あるいは獣医師の活動状況等、地域の実情等を十分に踏まえまして行うことが必要であると考えておりますひそこで、具体的な計画の作成につきましては都道府県において行うこととしているところでございます。
 しかし、この都道府県計画につきましては、獣医療を提供する体制の整備を包括的かつ円滑に図っていくためには、国と都道府県の連携によるいろいろな施策の推進が必要であるということがあるわけです。それから、都道府県計画を作成した都道府県において診療施設の整備を図ろうとするものは、その作成する診療施設整備計画につきまして都道府県知事の認定を受けた場合には、農林漁業金融公庫から診療施設の整備に必要な資金の貸し付けを受けることができる、こういうことになっておりますので、国が全国的な観点から定める基本方針と調和がとれたものであることが必要であります。そこで、都道府県計画は基本方針の内容に即したものでなければならないということにいたしているところでございます。
#193
○倉田委員 それでは、時間も少なくなりましたので、最後に家畜改良増殖法の一部を改正する法律案について何点かお伺いをいたしたいと思います。
 この点について、家畜人工授精師さんの果たされる役割というのがあるわけですけれども、これは家畜人工授精師の役割というものを今後どのようにお考えになっておられるのかどうか。例えば、家畜人工授精に加えて今回家畜体外受精卵移植についても獣医師さんと同じようにできるようになったわけですね。そこで、人工授精師さんの果たすべき役割、さらには獣医師さんとの関係、この点についてお尋ねいたします。
#194
○田名部国務大臣 現在、家畜人工授精師は、家畜人工授精の実施と家畜体内受精卵の処理、移植等を行うとともに、これらの業務を通じて農家に対し家畜の改良増殖や営農活動に関する助言をする、そういう重要な役割を果たしておるわけであります。さらに、今回の改正法に伴って新たに家畜体外受精卵移植の業務を行うことによって、当該技術の普及にも積極的に貢献していくことを期待しておるものであります。
#195
○倉田委員 それから、これはちょっと午前中にも質問に出ておったと思うのですが、もう一度確認をしておきたいのですが、今回の新しい技術の開発に伴って、例えば和牛の精液が海外へ流出をし、また外国で生産された和牛牛肉というものが輸入されるようなことになっていくのではないのか、このような心配も危惧されるわけですけれども、この精液の輸出というものについては基本的にどのようなお考えでおられ、また今後どのように対処していこうとされておられるのか、お尋ねしたいと思います。
#196
○赤保谷政府委員 優秀な和牛の精液等の遺伝資源につきましては、これは関係者の方々が長年にわたってつくり上げてきたもので、いわば国民の共通の貴重な財産であると考えております。したがいまして、和牛の遺伝資源につきましては、国内でより一層有効活用する、あるいは優先活用を図るということが必要であろうと考えております。
 日本の牛の改良増殖の過程、歴史、まだ浅うございまして、いろいろばらつきもある、そういう国内の家畜改良増殖に優先的に活用していくのは必要であろうと考えております。生産者団体におきましても、優良な和牛につきましては国内での利用を図ることが先決である、こういう方針のもとに、協議会を設立いたしまして優良な和牛の精液の国内での利用体制を強化しているとお聞きをいたしております。
 政府としましても、輸入牛肉に負けないような国産牛肉、要するに安くていいものをつくる家畜改良というものは非常に重要でございます。そこで、外国産にすぐれた品質の確保を図るということが重要でありますので、受精卵移植技術も取り入れて、和牛の肉質等の品質面での向上に重点を置いた改良対策の強化を推進していくことといたしております。
 ともかく貴重な財産でございます。国内で利用するということをまず考えていくということでございます。
#197
○倉田委員 我が国の貴重な財産なわけですから、開発をされるというか研究に当たられた方は国内でということを念頭に置かれるというか、そのことを考えておられるわけでしょうけれども、現実問題として規制が必要なのかどうか、これはわかりませんけれども、何もなければやはり海外に出ていくことも可能性としてはあり得るんだと思うのですね。規制できるかどうかということも含めて、ひとつこの問題に関しての対策も十分にお考えをいただきたい、このように思います。
 最後に、家畜改良センター、これは現在再編整備をされているというふうにお伺いをしているわけですけれども、この家畜改良センターの再編整備状況、これをお尋ねしたいと思います。
#198
○赤保谷政府委員 家畜改良センターの整備の状況ですが、牛肉の自由化等、最近、畜産の置かれた状況に対処するために、畜産の新技術を活用した家畜の改良増殖の推進が一段と重要となっているわけでございます。このため、最近開発された新しい改良手法を駆使して、より能力の高い家畜を生産するために、従来設置されておりました十その種畜牧場の機能を見直しまして、平成二年の十月に新たに家畜改良センターを発足させて、現在その計画的な再編整備を行っているところでございます。
 この家畜改良センターにおきましては、国の試験研究機関で開発されました新しい家畜の改良手法の実用化、それからこの実用化された家畜改良手法による種畜の生産、供給、それから家畜受精卵移植技術等についての技術の安定化、低コスト化、そういったことを推進をしておりまして、我が国の畜産の振興に寄与していくこととしているところでございます。
#199
○倉田委員 以上で終わります。
#200
○高村委員長 藤田スミ君。
#201
○藤田(ス)委員 法案の審議に入る前に、まず最初に、緊急を要する問題ですので、一問だけお伺いをしておきます。
 それは、きょうから三日間開かれますアメリカ大使館主催の米展示問題であります。政府は、今回のアメリカによる米の展示については、米の販売促進活動はしないなどの条件をつけ、研究、学術用としてそれを認められたというふうに聞いています。しかし、きょう私どもが現場に行って確認をしてまいりました。展示の仕方は昨年の幕張メッセにおけるフーデックスのアメリカ米の展示と全く同じであります。さらに、オープニングセレモニーではアマコスト大使が、このショーは日本の市場開拓のよい機会であり、ぜひごらんくださいとあいさつされ、米展示の前では、アメリカの米ビジネスを御理解ください、米契約の方法はといった解説をした、明らかに販売促進を目的としたパンフレットを配っているんです。それがこのパンフレットであります。
 この中には、こういうことが書かれています。アメリカ大使館の農務担当公使ジェームズ・パーカー氏ですが、「特に、このパンフレットによって、米国では、官民がともに日本向けにコメを輸出するための準備が十分に偏っていることをお伝えできること、さらに、将来において、米国のコメをお取扱いになる方々が、ビジネスをスムーズに行うために必要な情報を得るためのお手伝いをすることができることを幸せに思います。」こう書いています。
 農水大臣、これがどうしてあなた方の言う研究、学術用展示になるのでしょうか。明確に販売を目的としたものであり、食管法違反の行為であることは明らかであります。直ちに展示を中止すべきであります。いかがでしょうか。
#202
○京谷政府委員 ただいまのお尋ねの件でございますが、きょうから三日間の予定で開催をされておりますグレート・アメリカン・フード・ショーにおいて、米国産米の展示が行われておるわけでございます。これは、三月上旬に米国側から展示の意向が示されまして、その後在京大使館との間で協議を行った結果、輸入数量がわずかであり、また米国内の米の生産、流通の状況を紹介するものであって、販売促進活動を行うものではないということが確認されましたので、この展示目的の輸入を認めたわけでございます。
 私どもも本日、担当老が現場に参りまして状況を観察してまいったわけでございますが、昨年ございましたようなサンプルの無料配布でありますとか試食というふうな販売促進活動類似行為が見られず、特に許可条件の違反事実はないという判断を現在しております。
 今御指摘のございました配布された資料、パンフレットでございますが、私どもも内容を確認しております。アメリカの政府を代表する形で在京大使館の公使がいわばあいさつ文的なものを掲載しておりますけれども、資料自体については、アメリカにおける米の流通販売の状況を紹介しているという資料であると考えてございまして、これが販売促進目的を持ったものと断定をして、条件違反だというふうなことで論議するような性格のものではないのではないかという判断を私どもとしてはとっておるところでございます。
#203
○藤田(ス)委員 物は言いようといいますが、このパンフレットの中には「契約」と書いて、保険料や運賃込みの値段あるいは運賃込み渡し値段、それから「条件」というふうにちゃんとあるじゃありませんか。単なるあいさつですか、これが。随分ひどいと思うのです。もういいです、時間がありませんから。しかし私は、今回の展示はまさにこういうふうにあなた方がわざわざ解釈をゆがめて、そうして販売促進活動が明らかなのに、米の販売促進活動はしないと言っているということだけでこういうふうな展示を認めていくというのは、米自由化の突破口になるというふうに多くの人々が怒りを持つのは当然のことだというふうに思うのです。私は大臣に一言だけその点についてお伺いをして、先の質問に続けたいと思います。
#204
○田名部国務大臣 私のところに了解を求めて正式に来まして、日本の食管法を守りますということでありました。二俵の米に余り食らいついても、守ると言うのですから、守るのであれば結構ですということであったわけであります。決して販売しておるとも思えませんし、試食をさせているとも思えません。そうなることを期待しておるという、今ちょっと読みましたけれども、いずれそういうことをということは書いてありますが、今の日本の法律では許可を得ないものは入れることはできないわけでありますから、どうぞそういうことで、法律を守るということが大前提でありました。
 以上です。
#205
○藤田(ス)委員 とても納得できる答弁ではありません。大体売る気がないのになぜその商品を、市場開拓を広げていくための展示場に米を展示するのか、この点については多くの人が怒りを持って抗議をするのは当然のことであり、私もまたぜひ撤去するようここで抗議をしておきたいと思います。
 それでは、畜産三法の問題について入っていきたいと思います。
 今回の獣医師法あるいは獣医療法あるいは家畜改良増殖法というのは極めて重要な法案でありまして、私はそもそもこういうものを一括で審議するというのは徹底審議の立場からも無謀なことだということを申し上げてまいりました。その上に立って、限られた時間ですので答弁は簡潔にお願いをしながら質問を進めてまいります。
 まず、獣医療法の問題でありますが、「診療施設の構造設備は、農林水産省令で定める基準に適合したものでなければならない。」ということで、それに従うように命令もかけられ、それに従わないなら罰則もかけられるという強権的な法律であります。もしこのまま法改正が進められるなら、獣医師の中に大きな不安と混乱を招くのではないかと心配するわけであります。私どもも独自に、今回の改正案について獣医師の皆さんが御存じかどうかという点で、電話帳などでかなりの数当たっていきました。一言で言えば、全く知られていないのです。みんな電話口で唖然とされたりあるいはそんなはずがない、それは新規参入者を対象とするはずで、三十年、四十年やってきた獣医師が対象になるはずはないというようなことで、こちらの方があべこべにしかられるというような状態もありました。私どもも、一体この法案は本当に獣医師さんの意見、総意を十分反映してつくられたのかという点では大きな疑問を持たざるを得ません。
 そこでお伺いをいたしますが、中でも、農林水産省にゆだねられているこの診療施設の構造設備について一体どのような基準がつくられるのか。エックス線施設とか入院施設などと言われておりますが、各地の動物診療所は零細なところが多くて、新たな修繕や改築で多大な負担となり、転廃業にやむなく追い込まれていくというようなことになっては困るわけでありますので、そういうふうにならない保障はあるのか、まず明らかにしていただきたいわけであります。
#206
○赤保谷政府委員 今回、診療施設の構造設備の基準につきまして制度を設けようとしているわけですが、診療施設の設備内容を衛生上、保安上一定水準に保つために最低限遵守すべき事項を定めることといたしておるわけですが、その内容は、例えばエックス線の撮影台に鉛等の遮へい板を敷くこととする等、さほど大がかりな改築を要するものになるとは考えておりません。また、施設基準については一定期間その適用を猶予するということを検討いたしておりますので、これによりまして産業動物開業獣医師等に過大な負担を強いるようなことにはならないものと考えております。
#207
○藤田(ス)委員 適用猶予をするのは当然のことであります。エックス線については、上下に鉛板などを置けばいいのであって、それが大層な施設になるのではない、その他の収容、入院施設などについてもそんなに過度の負担になるものは考えていない、こういうふうに解釈していいわけですね。
 私は、これを進めるに当たっては、つまり政府が省令をこれから定めていくということになるわけですが、そういうふうな省令を定めるに当たってはぜひとも獣医師の意見、とりわけこの問題に一番深くかかわる小動物の獣医師の皆さんの意見というものを組み入れていくべきだというふうに考えますが、この点だけお答えください。
#208
○赤保谷政府委員 今回設定をいたします構造設備の基準は、衛生上、保安上の観点から最低限その遵守が必要とされる事項でありまして、産業動物開業獣医師等に過大な負担を強いることにはならないものと考えております。構造設備の基準は獣医事審議会の意見を聞くこととしてはおりませんが、基準のうち、エックス線装置に関する基準につきましては、科学技術庁に設置をされております放射線審議会の意見を聞くことといたしております。
#209
○藤田(ス)委員 私の質問に答えてください。獣医師さんの意見を今後十分組み入れながら省令を定めていくのかどうか。エックス線について科技庁の意見を聞くというようなことはわかっているのです。それは当然のことだと思うから確認しているわけですよ。
#210
○赤保谷政府委員 基準の設定に当たりましては、獣医師さんの団体の意見もお聞きしながら決定をしてまいりたいと考えております。
#211
○藤田(ス)委員 さらに、開業獣医師にとって重大な問題は、今回の獣医療法で雪印などの大企業の獣医療への進出を認めている点であります。このような企業の進出が全国的に展開されれば、零細な開業獣医師はひとたまりもありません。以前にも雪印が東京品川区に小動物診療施設であるヒューマン・アニマル・リレーション研究所というのを設置することを予定しました。東京獣医師会がこれに反対をしまして、現在計画中止を含む見直しとなっている事例が出てきております。政府として、適切な獣医療を確保するためにも、この企業の進出というものについては何らかの歯どめを考えるべきではないかというふうに私は考えますが、その点を明確にしてください。
#212
○赤保谷政府委員 企業の診療分野への進出につきましては、現在、既に企業が診療施設を開設している例がございますが、このことによりまして畜産業の発達あるいは公衆衛生上の実害が生じたということはない。また、万が一何らかの理由で畜産業の発達または公衆衛生上の実害が生じたとしても、獣医師である管理者の設置だとか報告の徴収、立入検査、さらには使用制限命令等の規定により十分対応できるものと考えられること等から、特段、企業の診療分野への進出に対して歯どめをかけるというようなことは考えておらないところでございます。
#213
○藤田(ス)委員 それはとんでもないことでありまして、だから私はさっきから、獣医師さんの意見をどの程度この法案を作成するに当たって反映させているのかということを言ったわけですが、一九八九年の日獣の全国大会では、獣医師以外の者による家畜診療施設開設の制限を規定するようというふうに獣医師法の改正要望事項の中で挙げております。それに対して農水省が理由をただしたところ、医療法と同様に本来営利目的であってはならないんだ、だから許可制あるいは一定の制限を求めているんだというふうに答えていらっしゃるわけです。私は、その獣医師さんの精神というものをやはり組み入れてこたえていくべきじゃないか、そういうものを無視してはならないというふうに思うわけです。そういう精神を無視してはならないということについてだけ簡単にお答えください、そう思われるのか思われないのか。
#214
○赤保谷政府委員 ただいまの前のお答えで尽きていると思いますが、獣医師さんと十分意見調整をしないまま出したというお話でございますが、日本獣医師会と十分意見調整をいたしております。四十年改正しておりませんので過去にいろいろいきさつはあったかと思いますが、今回法案をお出しするに当たりましては、獣医師の団体であります日本獣医師会と十分意見調整をいたしております。
#215
○藤田(ス)委員 やりとりしていても時間に制限がありますので、極めて残念ですが、実際問題としては、直接かかわりのある皆さんの意見というものがもう既に出されているにもかかわらず、その反映が見られないということを私は申し上げているんです。企業がずっと進出してきて、そして町の獣医師診療所が、小動物の診療所などがつぶされていったりいろいろなことが起こってくるということは結局利用者にとっても問題になりますので、日獣全国大会で要望された内容についてはぜひ検討していただきたいということを重ねて申し上げておきます。
 次に、広告の問題であります。
 厚生省にお願いをしておりますが、医療法では学位、称号の広告を現行規制をしておりますが、その理由を簡潔にお述べください。
#216
○伊原説明員 お答え申し上げます。
 現行の医療法の第六十九条というところで広告制限の規定がございますが、ここでは、国民が一般的に医療につきまして十分な知識がないため広告に左右されやすいという意味で、そういう意味での患者の立場の弱さに着目いたしまして、供与される医療内容につきまして優劣の誤解を与えるような内容の広告を禁じております。
 医師の学位に関する事項につきましては、これを広告する場合、当該医師の能力につきまして患者の判断に影響を与え、患者を病院等に不当に誘うおそれがあるというふうなことからこれを禁じておるわけでございます。
#217
○藤田(ス)委員 よくわかりました。
 要するに学位は診療に反映しないわけです。適切な医療提供という立場からも、こういうふうな医療法では学位、称号は含まれていないわけです。七九年の日獣の獣医療法案も現行法にある獣医師の学位、称号というものを削除しております。農水省、医療法でも禁止されているものをなぜ今回、獣医師会の方でも要求しているにもかかわらず獣医療法では学位というものの広告を認められたんですか。
#218
○赤保谷政府委員 獣医師法におきましては一獣医師が獣医療サービスに関する広告を行うことによりまして、十分な専門的な知識を有していない飼育者等を惑わしあるいは不測の事態の被害をこうむらせることのないように、その技能、療法または経歴に関する事項の広告を制限をいたしております。
 この場合、獣医師の学位につきましては、経歴に関する事項ではありますものの、これらについてその内容が誇大なものとなって飼育者等を惑わす可能性は少ないと考えられること、そういうこと等から現行獣医師法におきましても認められているところでございます。また、学位を広告できることとしていたことによりまして過去において問題が生じたことはない、そういうことで今回の改正案におきましても従来どおりの取り扱いとすることとしたものでございます。なお、この辺のところにつきましても獣医師の団体と今回調整というか打ち合わせをしておるところでございます。
#219
○藤田(ス)委員 せっかくこの法案を改正するんですから、やっぱりこれからの新しい獣医師さんの姿というもの、過去に学位があったというのは戦争という時代からの歴史的な流れの中で私はわからぬことはないわけです。しかし、これからはどんどん新しい若い人が出てくるわけですから、やっぱりそういうふうな新しい時代に即応した対応というものを行うべきじゃないかというふうに考えます。
 次に、水産医薬品の問題であります。現在養殖業についてはさまざまな抗生物質が投与されているわけであります。その投与については、水産業者が何の規制も設けずに自由にできるようになっているわけであります。私は以前から養殖魚介類の残留抗生物質について取り上げてまいりました。また、輸入の養殖魚介類にも相当な残留抗生物質があるとしてその検査を求め、現在不十分ながら検査が行われるようになりました。しかし、国内での養殖魚介類についてはさまざまな条件があって、食品衛生法上のチェックというだけに頼るには大変これは難しいわけです。もちろんそれは十分やられなければなりませんけれども難しい。だから、本来ならばむやみに投与しないという点で、そのような動物用医薬品の投与は他の畜産と同様に獣医師の処方が必要とすべきであります。消費者もそのような担保があればより安全性を確保できるというふうに思うわけであります。したがって私は、この飼育動物診療業務、政令でゆだねられているその中に養殖魚介類を入れるべきではないかなというふうに考えるわけでありますけれども、この点についてお考えをお聞かせください。
#220
○赤保谷政府委員 獣医師法の十七条におきまして、診療対象飼育動物として規定された場合には、獣医師以外の者はその診療対象飼育動物の診療の業務が制限されることとなるわけです。このため十七条の診療対象飼育動物としての選択は、いろいろな観点から行っているわけですが、畜産業の発達または公衆衛生の向上といった観点からの重要性、それから疾病の発生状況、獣医師による技術的対応能力といったものを総合的に考慮いたしまして、公共の福祉から必要性が高いと判断されるものにつきまして規定をしていくべきであると考えております。
 そこで、魚についてでございますけれども、現在、急病に従事する獣医師さんが極めて少ない状況にあること、それから急病に係る対応の相当部分が都道府県の水産技術者によって行われていること、そういうことを考慮いたしますと、獣医師だけが対応するということではなくて水産技術者と獣医師が相互に協力しながら対応していくということが適当であろうと考えているところでございます。
#221
○藤田(ス)委員 今お話を聞いていますと、政府の方はこの条件がない、今獣医師さんの対応能力が非常に乏しい、乏し過ぎると、したがって、政令でゆだねられている中にこれから入れるという、これからというのも当面は考えられない、こういうふうに解釈していいわけですか。
 私は、疾病発生状況と言われれば、これはトップクラスに入ると思うのですよ。一番疾病発生状況が多いわけです。だからこの問題については、昨年の二月ですか、総務庁からも指摘されておりますでしょう。それからもう一つは、獣医大学六年の一貫教育の中に急病を入れておりますね。国家試験の中にも入っております。国民の健康の立場からもこの問題は求められているわけであります。
 私はここに、一九八九年に畜産局、あなた方が出された家畜衛生問題検討会の報告書を持っておりますけれども、これの中でも、「急病診療を法的に獣医師の固有の業務とするべきものであるとする獣医師サイドの要望が提起されてきた。」と、ずっと長年要求されてきたということを書いていらっしゃいまして、「獣医師を急病分野に活用することは、養殖漁業の発展の上からも有意義なものと思われ、水産分野においても獣医師の活用を図っていくことが必要と考えられる。」と。かつては豚、鶏も獣医師が非常に少なかったけれども、やはり養成に努めていって、家畜保健衛生所などが中心になって努力をすると軌道に乗ってきたということを書き、これからそういうふうな「急病対応体制の基盤を築いていくことを検討することが必要」であるというふうにまとめていらっしゃるわけです。
 私はなかなかいいことを言っていらっしゃるというふうに読んだわけですが、やはり時代に即応したという立場から、もう一度重ねて聞きますが、条件がないから今はできない、しかし条件がそろえば、やはりこういう流れに沿って、時代の流れだということで考えていかなければならないというふうに考えていらっしゃると解釈していいですか。
#222
○赤保谷政府委員 法律の十七条の飼育動物の対象にいたしますと、その診療の業務は獣医師でなければできないという規制がかかるわけでございます。それで、先ほど急病に従事する獣医師さんが非常に少ないということを申し上げましたが、これまで急病に従事した獣医師さんは三十人余りというような状況でございます。養殖場と獣医師さんの配置状況等々考えまして、また片方、急病に係る今の対応状況、相当部分が都道府県の水産技術者によって行われているといったようなことを考慮すると、獣医師のみが対応するのではなくて、水産技術者と獣医師が相互に協力しながら対応していくのが適当であろう。先ほど申し上げましたように、三つの要素を総合的に勘案して、飼育動物とするかどうかという判断をすることにいたしているわけでございます。
#223
○藤田(ス)委員 それでは、次の問題に移ります。
 今回の獣医二法案について、産業獣医師を確保することが至上命題となっておりますが、果たして今回の改正で産業獣医師が以前より確保できるのかという点についてはやはり大きな疑問を持つわけであります。
 家畜改良増殖法の改正案では、体外受精卵移植のような高度な移植作業も人工授精師に行わせることを認める法改正を打ち出しているわけですが、もちろんこれによってますます人工授精師のニーズが高まる一方、さらにこの人工授精師に診断権も与えようとする動きもあるやに聞いております。そんなことは絶対にないと言い切っていただけますか。産業獣医師もこの受精卵移植には非常に意欲を持っているということが既にあなた方の報告書の中にも書かれておりますから、六年間の教育期間を経た獣医師さんが、果たしてこのような環境の中で誇りを持って産業獣医師として赴任することになるというふうにあなた方は思われるのか、その点を明らかにしてください。
 大変恐縮ですが、時間がありませんので、もう一点だけお伺いしておきます。
 体外受精卵移植については、今大企業が極めて付加価値の高いビッグビジネスとして参入しようという、既に優秀な遺伝形質を持った卵巣の買い占めに走っているということであります。結局、資金力の大きい大企業ほどこのような優秀な遺伝形質を持った対外受精卵を蓄積することができるのです。
 私この間、筑波研究所に勉強に行ってまいりましたけれども、今やバイオテクノロジーの技術進歩は極めて目覚ましく、極めて優秀な遺伝形質を持った一つの対外受精卵を分割して八つの受精卵にするクローンという技術をほぼ確立してきているというふうにも聞いておりますが、こうなると、ますます資金力の大きい大企業がそれらの優秀な遺伝形質を持った受精卵を独占していくということになりはしませんか。そういうものを規制していくあるいは管理していくという、その方策を示していただきたいわけであります。
#224
○赤保谷政府委員 二つお尋ねがございました。
 家畜体外受精卵移植につきましては、そのうち、診療業務に当たる生体からの家畜の受精卵の採取と、その後に引き続き行われます家畜受精卵の処理、ただしその処理の部分は、獣医師が家畜人工授精師に指示をして処理を行わせる場合は家畜人工授精師もできますが、そういう引き続いて行われる処理については、これを行うことができ款を獣医師に限定しまして一それ以外については人工授精師と獣医師の両者が行えることとしているところでございます。
 今回の家畜体外受精卵の移植は、屠畜場等での卵巣の採取だとか未受精卵の採取、処理、あるいは家畜体外授精等これまでの家畜体内受精卵移植と異なる作業を含むものではありますものの、技術的には密接に関連したものでありますので、家畜人工授精及び家畜体内受精卵移植のうち家畜の雌からの家畜受精卵の採取以外の行為を行うことができる家畜人工授精師が獣医師とともに当該業務を行えることとしたものでございます。
 なお、この場合においても、診療行為である家畜の雌からの家畜卵巣の採取につきましては獣医師に限定することといたしておりまして、このように、獣医師と家畜人工授精師の行うことができる分野については基本的にはこれまでの考え方を変えるものではございません。
 それから、資金力の大きな企業が優秀な受精卵を独占してしまうのじゃないかという御心配ですが、現在、家畜体外受精卵移植は、国の家畜改良センターや都道府県の畜産試験場を中心として、農協や乳業会社、飼料会社等の民間機関等、そういうところで実施されているわけです。平成二年度について見てみますと、実施機関は全国で七十六カ所でございます。このうち、国とか都道府県等の公共機関が四十八カ所、それから、農協、民間企業等の民間関係が二十八カ所となっておるわけです。今後とも、都道府県などの公的機関のほかに多数の民間事業体が体外受精卵の生産を行うものと見込まれることから、資金力の大きい企業が優秀な受精卵の生産を独占するというようなことは起こらないのではないかと考えております。
 なお、国としましても、受精卵の安定供給を図るために、都道府県の畜産試験場あるいは家畜改良事業団が行う受精卵の生産施設の整備に対しまして助成を行っているところでございます。
#225
○藤田(ス)委員 時間が参りましたので、これで終わらなければなりません。大変残念です。
 私の質問にきちんと答えてください。一言だけ。診断権も与えようとする動きもあると聞いているが、そんなことはないとはっきり言ってほしい、このことが一つです。
 もう最後の締めの言葉にいたします。きょうは、産業動物獣医師の確保の問題で、特にその産業動物獣医師の処遇の改善についてもお伺いをしたかったわけです。それからもう一つは、牛肉の輸入自由化のもとで、ホルスタインから黒もの和牛が産まれるということになれば、現在のぬれ子の暴落の中では、生産者はのどから手が出るほど要望が高いと思います。しかし、ホルスタインと黒毛和牛とでは当然扱い方が異なってくるわけですから、現在、政府が主張している乳肉複合経営でさえ新たな労働過重を伴うためになかなか進展しない中で、酪農家の新たな労働過重を招くことになりはしないか。さらに、これをきっかけにして黒毛和牛の供給量が一気にふえるということになって、肥育農家の体制が整っているのか。その供給量が急増すれば価格が低下して、このことによって和牛生産農家がまた打撃を受け、結局、牛肉の輸入自由化の最初の打撃が酪農家の方にいったけれども、その次には繁殖農家の方にいくんじゃないか。こういう点では、私は、やはり政府の根本的な輸入自由化政策というものを改めない限り、一生懸命政府が今提案されたその努力という点については全くわからないわけじゃありませんけれども、しかし、本当の解決にならないんだということを申し上げ、残念ですが、これで終わります。
 一言だけ、そんなことは絶対考えてないと言ってください。
#226
○高村委員長 赤保谷局長。一言でお答えください。
#227
○赤保谷政府委員 診療行為につきましては、獣医師法上、獣医師の免許を取得した者が行うこととされている行為でありまして、家畜人工授精師がこれを行うことは適当でないと考えております。
#228
○藤田(ス)委員 終わります。
#229
○高村委員長 小平忠正君。
#230
○小平委員 獣医師法は、昭和二十四年ですか、制定されてから四十年以上を経てきているわけでありますが、今回、実質的に初めての全面的な改正が行われようといたしております。一方、我が国の畜産業は、牛肉の輸入自由化、乳価や子牛価格の低迷など近年とみに厳しさを増し、畜産農家は苦しい経営の中で、あしたへの希望を模索しているという状況ではないかと思います。そこで、こういう厳しい状況を踏まえ、畜産業と獣医師のかかわり合いの中で、獣医師制度のあり方について原点に立ち返って再考するとともに、獣医師が畜産業の振興に果たす今日的な役割について考えていく必要があるのではないかという観点から、諸点質問をいたしたいと思います。
 我が国の獣医師、特に産業動物獣医師は、動物の保健衛生管理や疾病の治療あるいは家畜の増殖など、さまざまな場面を通じて我が国畜産業の発展に大きく貢献をしてまいりました。戦後獣医師法が制定されたねらいも、産業動物獣医師を中心とした獣医師全般の資質向上を図ることによって、畜産業の振興と公衆衛生の向上に寄与しようというものであったと思います。
 そこで、まずお尋ねいたしますが、今回獣医師制度の全面的見直しを行おうとするに当たって、産業動物獣医師が戦後、今日までの畜産業の発展に果たしてきた役割をどのように評価し、産業動物獣医師の重要性についてどのような認識を持っておられるのか、大臣、まずそこの基本的な御姿勢をお伺いしたいと思います。
#231
○田名部国務大臣 我が国の畜産は、食生活の高度化等を背景として、大変順調に発展を遂げてきたと思っております。この間、産業動物獣医師は、家畜の健康を保持することにより、畜産経営の安定、生産性の向上、畜産振興に大きく貢献してこられた、このように私は認識をいたしております。
 近年、国際化の進展する中で、我が国の畜産をめぐる情勢は、今お話しのように非常に厳しいものがあります。このような中で、多様化、複雑化する疾病による損耗の防止、あるいは安全な畜産物の生産の確保、受精卵移植等による家畜改良の促進、これらを図るためには、産業動物獣医師による適切な診療の提供、保健衛生指導等がより一層重要になるものと認識をいたしております。このため、今後とも獣医師がこのような要請に的確に対応し、獣医師に課せられた任務を十分果たすことを期待するものでありまして、私どもも、そういう意味からもこの法案についても、こういう方々がもっと社会的に十分役割を果たしていけるよう期待をいたしておるところであります。
#232
○小平委員 私は、今回の法改正は、獣医師の資質向上、技術の向上を含めて、これのためになるということ、これは私も評価をいたしております。そこで、時間の関係もありますので、私は特に、産業獣医師というここのところを基点にして幾つか質問いたしますので、そのことを御承知おきください。
 産業獣医師の数は、近年とみに減ってきております。特に、新卒者が産業動物獣医師になるケースは非常に少ない、こう言えると思います。このため、産業動物獣医師が確保しにくく、このままでは、地域によっては獣医師がいなくなってしまうといったことが心配されるわけであります。こういった農村における獣医師不足が一層深刻化しているのとは対照的に、都市部を中心としたペット獣医師は急増しておる、獣医師の偏在化が次第に顕著になってきているのが今日の実態ではないかと思います。畜産業の振興を図るという獣医師に課せられた大きな使命を考えるとき、このように獣医師の偏在と産業動物獣医師の不足が進行するのは大変ゆゆしき事態ではないかと私は受けとめているのですが、この実態をどう考えておられるのか、この点について政府の御見解をお伺いいたします。
#233
○赤保谷政府委員 産業動物開業獣医師につきましては、近年、その総数はほぼ横ばいで推移はいたしておりますけれども、近年、小動物ブーム、ペットブーム等を反映をいたしまして、新規学卒者の小動物診療分野への就職が多くなっている一方、新規学卒者の産業動物開業獣医師への就業は少ないために、その高齢化が進んでおります。平均年齢六十一歳。また、農業団体におきましても獣医師の採用は困難になってきている実情でございます。このため、今回獣医療を提供する体制の整備を図るための計画制度を導入いたしまして、農林漁業金融公庫による診療施設の整備に要する資金の融通措置だとか、診療に必要な技術の習得を図る研修の実施、あるいは産業動物獣医師を志望する学生のための修学資金の給付等を講ずることによりまして健業動物分野への獣医師の誘導、定着に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#234
○小平委員 おっしゃることはわかりますが、現在の獣医師教育、ここについて私はちょっと質問いたしま粉が、修学年限を四年から六年制に延長したのを初めとして、一貫して獣医師の資質と地位の向上を目指してきたということもまた事実であります。確かにそれによって獣医師の技術水準は向上したわけであります。しかしながら、そのことによって逆に獣医師になるためにより時間とお金がかかるようになった。獣医師が産業動物から離れて、もっと収入の得られるペット獣医師へと流れていってしまう。時間と費用がかかったことによって、それを取り戻すというか、そんなこともあってそういう方向に行ったのではないか、こう思うのであります。
 そこで、産業動物獣医師確保という観点から、現在の獣医師教育のあり方についてどのようにとらえておられるのか、何らかの見直しを考える必要はないのか、この点についてお考えなりをお聞きしたいと思います。
 また、今回の改正で臨床研修制度が新たに導入されることになっておりますが、これは獣医師を養成するのにさちに時間とお金がかかることになり、いわゆるペット獣医師への偏向に一層拍車をかけることになるのではないか、こんなふうに思うのですが、この点を含めていかがでしょうか。
#235
○赤保谷政府委員 獣医師を養成するに当たっての学校教育、大学教育のあり方についてのお尋ねがございましたが、これは文部省、私ども、いろいろな角度からそれぞれ慎重に検討していかなければならない問題だろうと思います。ただ、学校教育ではおのずと実技、診療、そういう面で対象動物も限られている。そういうこともありまして、私どもでは、卒後の研修に力を入れていこうということで今度制度の中にも取り入れることにいたしておるわけでございます。
 それで、臨床研修制度に関しましては、獣医系大学の学生が産業動物分野に就業しない理由の一つとして、就職後における研修機会が少ない、小動物については都会でいろいろそういう機会があるわけですけれども、産業動物については研修機会が卒後少ないということを就業しない理由として挙げているということ。そういうことも踏まえて考えますと、この臨床研修制度は、産業動物獣医師の確保を困難にするというものではなくて、むしろ獣医系学生を産業動物へ誘導する効果があるものと考えております。
 なお、研修を受けるに当たってその間の費用がいろいろかかりますが、それは個人の負担がほとんどないような形で研修を実施してまいりたいというふうに考えております。
#236
○小平委員 もう少しくこの点についてお伺いいたしますが、獣医学教育のことに私は今触れてみました。もちろん産業動物獣医師が不足している原因には、それ以外に最近の畜産業をめぐる厳しい状況が背景にあることは言うまでもありません。畜産に明るい将来展望が見えてこないことが獣医師が産業動物診療の現場から遠ざかる結果につながっている大きな原因だと思います。そして私は、産業動物獣医師不足が地域における畜産業を取り巻く状況を一層悪化させるという悪循環に陥っていることを強く心配しているものであります。
 ところで、産業動物獣医師の確保対策として、今回の改正では獣医療提供体制の整備のために国が基本方針を定め、これに即して都道府県では都道府県計画を策定できることになっております。この計画の中では、獣医師確保の目標や診療施設整備の目標などが定められることになっておりますが、若い獣医師が意欲を持って取り組んでいける環境をつくり出すためには、単に診療施設の整備などの問題だけではなく、国、都道府県、市町村、関係機関が一体となった、もっと積極的な産業動物獣医師確保のための具体的な対策、例えば公共の診療施設の建設や産業動物獣医師誘致のための助成金のようなものまで考えていく必要があるのではないかとも思うわけであります。
 そこで、産業動物獣医師確保のために具体的に今後何ができるのか、どんなことを行っていこうと考えておられるのか、この点について政府のお考えをお伺いいたします。
#237
○赤保谷政府委員 産業動物獣医師の確保のためには、都道府県計画において獣医師の確保に関する目標を定めて、この目標に向けて、今先生おっしゃいましたように関係者一丸となって努力を促すということにいたしておるわけでございます。
 こうした関係者の努力に対しましては、産業動物開業獣医師、それから農業団体を対象とした診療施設の整備のための農林漁業金融公庫からの長期低利資金の貸し付けのほかに、産業動物獣医師を志望する学生を支援するための修学資金の給付についても中身を拡充して、今は一年、二年には給付しておりませんで、三年、四年、五年、六年ですけれども、一年から六年まで一月十万円程度の修学資金の貸し付けというような、そういう給付の拡充のことも考えておりますし、また勤務獣医師のOBの方、家畜保健衛生所のOBの方、そういうような方の産業動物診療への参入を促進するための講習会を開催する、あるいは獣医師の不足している地域に対しまして、開業獣医師さんにお願いして巡回診療を行う、そういう事業に対しまして支援、助成を行っていくこととしているわけでございます。
 さらに、獣医師に求められる診療技術が多様化、高度化している、そういう状況に対処しまして、獣医療技術の向上を図るための研修制度、獣医師免許取得後における臨床研修の制度を確立する、また産業動物獣医師が集団衛生管理のための技術あるいは高度診療機器を用いた診療技術等の習得を図るための高度技術研修を実施することといたしているわけでございます。
 先生先ほどおっしゃいましたように、国、都道府県、関係団体が一体となっていろいろな対策を、基本方針、都道府県計画に即して実施することによりまして、産業動物獣医師の誘導、定着を推進していきたいと考えておるところでございます。
#238
○小平委員 私もそのような積極的な取り組み、施策が必要だと思います。
 そこで、この産業動物獣医師の確保という問題は一朝一夕には解決できるものではない、長期的視野に立った対策の着実な実施が必要であると思います。畜産の現場では、産業獣医師の不足は差し迫った切実な問題として畜産農家を初め関係者の方々の大きな関心事であります。また、長い目で見た対策ももちろん大事ではありますが、同時に、短期的に、産業動物獣医師の不足を補完する方法も考えていかなければならない、こう思うのであります。
 そこで、例えば都道府県の家畜保健衛生所は、全国に二百カ所余りですか設置されておりますですね。そしてそこには約二千二百人の獣医師が勤務をしておる。こういう中で、やりようによっては農村における獣医師不足を補完するものとして活用することもでき得るのではないかとも私は考えるのであります。産業動物獣医師の不足を補完するために、家畜保健衛生所を初めとした公的機関の積極的活用について政府はどのようにお考えなのか、その見解をお尋ねしたいと思います。
 またあわせて、そういった場合、産業動物開業獣医師の仕事に影響を与えないよう、むしろ産業動物開業獣医師を取り込んだ適切な連携を図ることも重要ではないか、こう思いますが、この点を含めていかがでしょうか。
#239
○赤保谷政府委員 産業動物獣医師の不足を補う緊急的な措置といいますか、家畜保健衛生所の職員の活用ということが考えられないかということでございますが、家畜保健衛生所は、御存じのとおり、地方における家畜衛生の向上を図りまして、畜産の振興に資するために重要な仕事をいたしております。家畜衛生に関する思想の普及、向上、あるいは家畜の伝染病予防、家畜の繁殖障害の除去、人工授精の実施、あるいは家畜保健衛生上必要な試験、検査等を実施しているところでございますけれども、適切な獣医療を提供するため、今後より一層の活用を図っていくことが必要であると考えております。
 ただ、この場合、家畜保健衛生所が地域における診療の提供を行うことにつきましては、今回、獣医療法に基づく都道府県計画の策定に際しまして、地域の関係者や関係機関の意見を十分に踏まえて検討を行いまして、この中で家畜保健衛生所の役割について位置づけていくべきものであると考えております。
 また、家畜保健衛生所にあっては、検査機器等施設整備が進んでおりますので、民間獣医師に対しまして施設を利用させるということ、あわせて、各種検査成績等獣医療に関する情報の提供によりまして民間獣医師との連携を図っていくということが重要であろうと考えております。
#240
○小平委員 るる述べてまいりましたが、この我が国の獣医師制度は、畜産業の発展を支え、これらが相互に密接に関連しながら今日まで歩んできたものであると言えると思います。そして今後とも、この獣医師は畜産業を支えて育てていくことを主眼としてその役割を果たしていくべきものではないかと考えているものでありますが、そういった観点から、産業動物獣医師の問題については、今後ともぜひ積極的に取り組んでいっていただくよう政府に強くこの際要望をいたしておきたいと思います。
 そこで次に、多少視点を変えて質問いたします。
 獣医師の診療対象動物については、現行では、牛、馬、綿羊、ヤギ、豚、犬、猫、鶏、この八種類が現在では定められております。この診療対象動物の制定は獣医師以外の者の行為を制限するものでありますから、極めて慎重に行うべきものであると言えると思います。
 ところが、今回の改正ではこれにウズラを加えることにするほか、政令で規定できるようにして、小鳥を追加する予定になっております。私は、診療対象動物にウズラと小鳥を追加すること自体はそれぞれの必要性を理解できるのでありますが、それならば両方とも法律で規定すべきであって、このような、国民の権利を制限するような事柄を政令で決められるようにすることは問題ではないかと考えるのでありますけれども、この点については、政府のこの際御見解をお聞きしておきたいと思います。
#241
○赤保谷政府委員 獣医師法十七条の診療対象飼育動物の規定に当たりましては、今後も畜産事情及び社会事情の変化の中で、畜産業の発達、公衆衛生の向上等の観点からの重要性、それから疾病の発生状況、それから獣医師による技術的対応能力等から、その対象とすることが適当とされる場合が生ずると考えられるわけですが、この場合、小鳥のようにその種類が非常に多い、多岐にわたるものにつきましては、その種の特定に際しまして専門的、学術的な判断を必要とするという事情がございます。また、獣医師の診療対象となるべき飼育動物につきましては、今後も、新たな疾病の発生状況に応じまして弾力的に対処する必要が生ずることが考えられる。
 そういうようなことから、診療対象飼育動物の規定の方法を政令に委任することとしたものでございますが、その政令で指定する場合の考え方というか基準といいましょうか、それは冒頭申し上げましたようなことでやってまいりたいと考えております。
#242
○小平委員 それでは次に、家畜改良増殖法についてひとつ質問をいたしたいと思います。
 体外受精卵移植技術は、優秀な雌牛の子を短期的に、効率的に増殖するすぐれた技術だと私は評価いたしております。また、その普及は、我が国の畜産業の生産性の向上や家畜の品質の改良に大きく貢献するに違いない、こうも言えると思います。しかし、移植するための凍結受精卵は簡単にその持ち運びができる、そういうことを考えるときに、我が国の誇る優秀な和牛などの受精卵が簡便に海外に持ち出されて、それが向こうで肥育され、日本に逆輸入されるといったことが将来増加していくのではないが、こう懸念されます。牛肉の輸入自由化によってぬれ子の価格も急落し、ただでさえ乳雄牛などには大きな影響が今日出てきております。このことを考えるときに、この上和牛まで逆輸入によって影響が山名ことになっては大変であろうと思うのであります。
 そこで、こういうことにならないよう十分な配慮をもって、そして技術の普及に努めていただきたい、こう思うのですが、これに関して政府はどのようにお考え、さらに進めていかれるのか、こういうことについてお伺いいたしておきたいと思います。
#243
○赤保谷政府委員 和牛の精液等の遺伝資源、これは和牛の生産及び改良を進めてまいりました多数の関係者の方々、生産者、関係団体、そういう方々を含めた、いわばそういう方が共有する貴重な財産であると考えております。したがって、和牛の遺伝資源につきましては、国内でより一層有効に活用する、優先的に活用する、利用するということが必要であると考えております。
 そのために、生産者団体におきましても、優良な和牛については国内での利用を図る、それが先決であるという考え方のもとに、協議会を設立をいたしまして、優良な和牛の精液の国内での利用体制の強化を図っているというふうにお聞きをいたしているところでございます。
 政府としても、輸入牛肉に負けないような国産牛肉を生産するためには、品質の確保を図るということが重要でありますので、受精卵移植技術も取り入れまして、和牛の肉質等の品質面での向上に重点を置いた改良対策の強化を促進することといたしているところでございます。
#244
○小平委員 以上です。終わります。
#245
○高村委員長 阿部昭吾君。
#246
○阿部(昭)委員 今まで各委員の皆さんから質疑がございまして、私は今回のこの畜産三法、基本的には一つの前進、こういうふうに思っているのでありますが、三年ぐらい前だと思うのでありますが、全国の獣医師会の大会、ここでいろんな議論が起こりました。そうして、昨年その中から法改正に対するいろんな要望点がまとめ上げられて今回の改正案になった、こういう認識をしているのであります。
 そういう意味で、今度の改正案、私は基本的には一歩の前進、こういう評価でありますけれども、率直に言って、これで今獣医師の皆さんが直面しておる問題がすべて解決をされていく、我が国の畜産業の現場、これも全部うまくいく、獣医師の皆さんのいろんな守備範囲、エリアにおいて直面しておる問題がすべて大きく解決をされる、こういうふうに思ってよろしいかということになると、そうは実はまいらぬぞと、一つの前進であることはそのとおりだと思っておりますけれども、なかなかこれだけで獣医師の皆さんが直面しておるいろんな問題というのはすべて解決はされない、こういう認識を持っているのであります。
 私の言わんとするところは、獣医師というのは、今は六年間専門教育、大学教育を受けて、そして非常に厳しい国家試験をクリアしなければ獣医師たることはできないわけであります。この獣医師の皆さんに対して、この社会において他の六年制の専門学校、専門教育、大学教育を受けた者と同じような処遇を与えらえておるであろうか、この根本問題は、残念ながら今度のこの改正案をもってしても解決をされておらないというのが私の認識であります。この点、農林省畜産局はどのような見解を持っておられるのか伺っておきたいと思うのであります。
#247
○赤保谷政府委員 とにかく獣医師法が昭和二十四年にできて四十年たっておるわけですから、その間、日本獣医師会、獣医師の関係団体の方々からいろいろ改正の要望がございました。最終的には、日本獣医師会と何度も調整というか、すり合わせというようなことをいたしまして今回の法案をまとめ上げたわけでございます。
 今回のこの法律の改正で、懸案事項というか問題点がすべて解決できたか、それは、獣医事問題研究会にもございますように、当面措置すべき事項と今後引き続き措置すべき事項と分かれております。引き続き措置すべき事項については、さらに検討を深めるということでございます。
 それから、六年間の専門教育を受けた獣医師さんに対する処遇の問題、これは国でありますれば人事院も関係する、県、それぞれいろいろ関係するところは多いわけでございますが、実態は普通の人に比べまして三号俸アップをされている、そういう状況でございます。
#248
○阿部(昭)委員 私は、実は長い間農村の中を政治活動のエリアとして力を入れてまいったのでありますが、私は一九二八年生まれであります。私がまだ幼かった時代の村の様子というものを命ずっと思い出しておるのでありますが、私のすぐ近所に獣医さんがおりました。この方は農林水産大臣、あなたの方の青森のどこかの畜産学校を出てこられた方で、ちょうど私の父親なんぞよりも少し年上の、恐らく一八〇〇年代の最後ごろか、そのあたりに生まれられた方なんだろうと思うのであります。昭和の十年代、私の村には自動車もなかったし、いわゆるバイク、オートバイなんていうのも全くなかった。そのときにこの獣医さんは、バイク、オートバイを乗り回してさっそうとして、そのころ大きい畜産家でも、乳牛の五頭も七頭も持っておれば相当なものだった時代であります。その当時の、さっそうたる昭和初期の獣医さんという姿を私は実は大変にあこがれながら見て育ったのであります。
 私は、戦後、この政治活動に入りましてから、やはりこれは青森の同じ獣医学校じゃないかと思うのでありますけれども、そこを出られた野清勝さんという政治家に青年時代に大変教わったのであります。私の認識としては、獣医というのはあの当時村社会の中では、大変社会的にも尊敬され、大きな社会的処遇というものを与えられておったというふうに私の印象の中にはあるのであります。今同じように六年制の大学、専門教育を受けられたお医者さんはどうかということになると、これは大変なことなんですね。それとの比較でいえば、獣医さんの社会的処遇というのは非常に低いと私は思っておるのであります。
 今二万七千人ぐらいの獣医さんがいらっしゃる、その中で産業用動物に携わられる獣医さんが非常に少ない、私はこう考えました。それではどうなっておるのかといったら、企業あるいは共済組合あるいは小動物の町場における開業、それと村の第一線現場における開業獣医さん、こういうふうになっておるのだろうと思うのですけれども、なぜこの産業動物を専門に担当される獣医さんの確保がなかなか難しいということになっておるかというと、私は今局長に伺いたいのでありますが、政府の補助単価、これによると雇い上げ獣医師の一日当たり日当は一万二千何ぼ、こう言っていますね。これは間違いありませんか。
#249
○赤保谷政府委員 一日当たりの雇い上げ獣医師さんの謝金でございますが、一万二千七十円でございます。
#250
○阿部(昭)委員 私は長い間、特に私の方は農水大臣と一緒の東北でありますから、最近は非常に減少いたしましたけれども、大勢の皆さんが季節出稼ぎにやってまいります。ことしは、去年のあの台風被害で青森なんそのリンゴ農家が大変なダメージを受けまして、大勢の皆さんが、私、現場を回って見ますと、私の郷里の皆さんと一緒に出稼ぎなど来ていらっしゃる。この皆さんの三省協定の賃金単価というのを御存じでしょうか。これは畜産局長に御答弁せいというのは無理であります。学校をそんなに出たわけでもない、農業の合間に三Kと言われる建設現場に出稼ぎに来ておる皆さんの三省協定の賃金単価よりも、雇い上げ獣医師の手当、この獣医師さんの政府の補助単価というのは実は低いのですよ。そういう意味で、やはり獣医師の皆さんの社会的、経済的な処遇というものをもっときちっとしていかなければ、産業動物を担当される獣医師さんの確保、こういった問題もそう簡単にはまいらぬのではないか、そういう感じを私は実は持っているのであります。
 しかし今回の改正は、三年前の獣医師会の全国大会、そして去年その中から法改正への要望点をまとめられて、これに随分子細にいろいろな検討を加えられて今度の改正を行われたということで、一歩の前進であるという判断を私はしております。しかし、これでもって獣医師さんの直面しておる問題は当面解決だ、私は、この認識はそうはまいらぬのではないか。さらに、やはりしっかり第一線現場の現状というものを掘り下げた、さらに第二、第三の掘り下げたところの解明の仕方があってしかるべき、こういう認識を持っておるのでありまして、農林水産大臣の所信をひとつ承って、私の質問を終わりたいと思います。
#251
○田名部国務大臣 私も、全くそう思います。
 ただ、やはり最近の建築現場の若い人たちの問題でありますが、もう極端な人手不足でありまして、多いときはそう上がらないのですけれども、少なくなってくるともう奪い合いになりまして、そうしてもう高騰していく。やはり何でもそうですが、需給のバランスというものが欠いてくるとそういう現象というものは出るのだろうと思います。
 しかし、何といっても畜産業がこれだけ発展してまいりました。おかげで、もう日本の基幹的な農業というまで育ってきているわけであります。一番問題になっておるのは、数そのものは、何とかこう現状をずっとでありますが、畜産の方が増加しておりますので、全体での仕事の量、そういうものは負担が大きくかかっているのだろうと思います。ですから、高齢化が進んで、若い人たちはペットの方でありますから、今どうしても若い人たち、後継者を育てるということが大変必要なことだと考えております。
 待遇についても、県で雇い上げのお医者さんとそう変わってはいないのですが、またこの辺のバランスというのがありまして、片一方だけを極端に上げるというのもなかなか大変なことだろうと思いますし、いずれにしても、全体的に畜産が振興すればするほど重要性が高まってきますから、そういう意味での待遇改善というのは逐次行われていくし、そうでなければならないというふうに考えております。
 十二人かの先生方でこれをいろいろ取りまとめをいただきましたので、これからもこの推移を見守りながら、さらにまた問題点があれば十分御審議いただいて検討をしてまいりたい、こう考えております。
#252
○阿部(昭)委員 以上で終わります。
    ―――――――――――――
#253
○高村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題となっております各案につきまして、明十五日午前十時、参考人として東京大学農学部教授竹内啓君、社団法人家畜改良事業団理事長岡正二君及び北海道農業共済組合連合会参事森田彰君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#254
○高村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
     ――――◇―――――
#255
○高村委員長 次に、連合審査会開会の申し入れに関する件についてお諮りいたします。
 建設委員会において審査中の内閣提出、地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律案について、同委員会に連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#256
○高村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、建設委員長と協議の上、公報をもってお知らせいたしたいと存じますので、御了承願います。
 次回は、明十五日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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