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1992/03/10 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第4号
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1992/03/10 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第4号

#1
第123回国会 厚生委員会 第4号
平成四年三月十日(火曜日)
    午後一時三十一分開議
出席委員
  委員長 牧野 隆守君
   理事 粟屋 敏信君 理事 石破  茂君
   理事 野呂 昭彦君 理事 平田辰一郎君
   理事 持永 和見君 理事 網岡  雄君
   理事 池端 清一君 理事 遠藤 和良君
      伊吹 文明君    衛藤 晟一君
      大石 千八君    岡田 克也君
      加藤 卓二君    坂井 隆憲君
      鈴木 俊一君    住  博司君
      戸井田三郎君    畑 英次郎君
      三原 朝彦君    宮路 和明君
      簗瀬  進君    山口 俊一君
      沖田 正人君    川俣健二郎君
      小松 定男君    五島 正規君
      清水  勇君    鈴木喜久子君
      田中 昭一君    竹村 幸雄君
      外口 玉子君    土肥 隆一君
      石田 祝稔君    大野由利子君
      児玉 健次君    柳田  稔君
      菅  直人君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 山下 徳夫君
 出席政府委員
        厚生大臣官房総
        務審議官    大西 孝夫君
        厚生大臣官房老
        人保健福祉部長 岡光 序治君
        厚生省健康政策
        局長      古市 圭治君
        厚生省薬務局長 川崎 幸雄君
        厚生省児童家庭
        局長      土井  豊君
        厚生省保険局長 黒木 武弘君
        社会保険庁運営
        部長      奥村 明雄君
 委員外の出席者
        自治省税務局市
        町村税課長   三沢  真君
        厚生委員会調査
        室長      高峯 一世君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二四号)
     ――――◇―――――
#2
○牧野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。住博司君。
#3
○住委員 心身ともに健康であり、経済的にもさほど心配がない、これが安定した生活を送る上での重要な条件の一つだと私は思っています。
 我が国の社会保障制度というのは、一つは年金、そしてもう一つは社会保険としての医療保険制度を根幹として確立されていると思います。昭和三十六年の国民皆保険体制のスタート以降、逐次内容の充実と適正な運営への努力が払われた結果、すべての国民が必要なときに医療が受けられる仕組みがとられるようになっている。ところが、こうした社会保障制度の運営には大変お金がかかるわけです。こんなに費用のかかる政策はほかにない。しかもその負担は国民がする以外に方法はない。勤労者世代を中心とした人たちが払う保険料、それに税金で賄わなければならないという前提があるわけです。
 これから高齢化がどんどん進んでいく。二〇一〇年には国民四人に一人が六十五歳以上のお年寄りになる。まあお年寄りという概念は変わっていくかもしれませんけれども、数字上はそうなってしまう。そのときに医療保険、社会保障をどのような内容にしておくのか、給付と負担の問題はどういう形にしておくのか、今からきちんと決めておかなければならないと私は考えています。今は、一人一人が自分の健康が守られて、働かなくなったときに年金が確保できれば、まあよしと言えるかもしれない。しかし、どうも今のやり方でこのまま進んでいくには少し不安が残るぞということだと思います。後の世代、若い世代が大変な負担を強いられるようになるとか、あるいは年金や医療が当てにできない時代を迎えることは絶対に避けなければならない。きょう議題になっております健康保険法等の一部を改正する法律案につきましては、そのような観点に立って幾つか御質問をさせていただきたい、こう思っている次第です。
 宮澤総理は、生活大国づくりをキャッチフレーズに国政運営に臨んでいるわけですけれども、山下厚生大臣も先日の厚生委員会で、「これから未曾有の高齢社会を迎えるに当たり、健康で心豊かに暮らせる長寿・福祉社会の建設に向けたきめ細かな施策を推進」すると所信を表明されました。少し質問があいまいかもしれませんけれども、「健康で心豊かに暮らせる長寿・福祉社会」とはどんな社会なのか、具体的にどんなことを考えておられるのか、まずお尋ねをしたいと思います。
#4
○山下国務大臣 お話もございましたように、二十一世紀には本格的な高齢社会になるわけでございます。四人に一人が六十五歳以上ということになるわけでございます。
 そこで、こういう高齢社会が到来するに当たりまして、本格的な高齢社会に対する施策を講じていかなきゃなりませんが、それはただその時点における高齢者ということではなくて、いずれみんなが高齢化社会に入っていくわけでございますから、将来に向かって、この際、高齢社会のしっかりした基盤をつくるという点をまず我々は考えていかなきゃならぬのかなと思うわけでございます。
 そのためには、今お話がございました、具体的な問題としては幾つか私も申し上げたいことがございますが、まず、何といっても高齢社会には自分で何とか生活を支えられる所得というものがなきゃならぬ。そのためには年金制度の確立てあり、また、高齢社会においては、いつでもどこでもだれでもひとしく医療を受けられるという立場から、医療保険制度を確立していくということであります。また、環境を整備して、だれでもが生きがいを感ずることができる、そんな社会をつくるということでございますから、例えば寝たきりの方に対して看護の体制をつくっていくとか、あるいはまた住みよい家庭環境をつくるために、私ども厚生省としてできるだけの手は尽くしていかなければならぬと思うわけでございます。
 さらにまた、先ほど申し上げましたように、一つの一家を形成していく以上は、次々にみんなが年をとる反面、また次々に若い世代、子供たちが出てくるわけでございますから、一つの高齢社会における一家のあり方としては、お年寄りと子供の調和ということも図っていかなきゃならぬ。したがって、そういうこれから生まれ育つ次代を担う子供のために環境を整備していくということも必要であります。
 それから障害者対策、これは国連障害者の十年がことしで終わるわけでございますが、それはここで一つの基盤ができたというわけであって、ひとつその基盤の上に立って、これから後の世代に
向かって次々と障害者に対するいろいろな施策を講じていかなきゃなりませんので、それはひとつしっかりとこの際あらゆる角度からあらゆる施策を検討していかなきゃならぬと思います。
 今申し上げた点が大体これからやらなければならぬことであるかと思っております。
#5
○住委員 今大臣から先の見通しについて大変きちんとお答えをいただきまして、どの政策にしても大変難しい課題があると思いますけれども、大臣みずからが先頭に立っておやりになる意欲をお示しいただいて、本当に心強い限りだと思います。
 私どもは、本人あるいは家族としていずれかの医療保険に加入している国民皆保険の形は、今や定着している、そして社会保障制度の基軸になっているというふうに考えます。しかし、各制度は対象別の縦割り分立制というふうになっているためでしょうか、制度相互間で縦横の調整を欠いているという指摘がある。つまり、各人の負担と給付の公平が保たれていないという指摘がやはりあるわけですね。
 厚生省は昭和五十九年に、医療保険制度の将来方向として、六十年代後半に給付の八割程度への統一及び財政調整等による負担の公平化、すなわち一元化を図るとして、その目標を明らかにしています。私は、昭和五十九年の健保法の改正というのは、それ以前の改正で見られた財政対策を脱却した、将来の長寿社会を視野に入れて制度のあり方まで踏み込んだ、いわば抜本改正の第一歩だったんじゃないかというふうに思っています。その意味で医療保険制度史上大変画期的な話だったのではないか。私は評価すべきだと思っているのです。その後、昭和六十一年に老人保健法の改正、そして六十三年と平成二年の二回にわたる国民健康保険法の改正、そして去年の老人保健法の改正と、次々と制度改正が実施されてきた。このような医療保険制度の見直しは、すべてが高齢社会に向かって長期的に安定した制度づくりを目指したものというふうに言えると思います。
 しかし、やはりどうしても避けて通ることのできないものが、私が冒頭に述べました一本化、一元化の議論だと思うのです。公的な社会保障制度という立場から医療保険制度を見れば、すべての国民にとって、どの制度に加入していようと給付と負担の公平化が必要だということは大方の賛同を得られると思うのですけれども、問題は、そのやり方とスケジュールについて各方面からいろいろな意見が出されて、一致した方向性、合意が得られていないという点がやはりネックになっていると私は考えています。
 もっとありていに言えば、一元化とは具体的に何を示すものか。例えば、七種に分立している医療保険制度を一つにする制度の統合一本化なのか、あるいは現行の分立した制度を認め、それを前提として給付と負担の公平化を進めていこうとする格差是正の考え方なのか、各制度の給付水準を統一して、共通部分をつくって負担の公平化を財政調整で行う方法なのか、さらに、これはとてもできることとは思えませんけれども、負担能力の格差を国庫負担の入れ方を変えることによって調整を図る方法なのか、いろいろとあると思います。また、そうした給付と負担の公平を図る前に、所得把握の不公平にメスを入れるという意見もある。それこそ調整が難しいわけです。
 つまり、一元化をめぐる議論は複雑で、かつ関係者の意見の対立や各制度の育ってきた歴史や沿革もまた無視できないことも相まって、どうも具体的なイメージが明確でない、私はそういうふうに思います。だからこそ高齢化社会に向かって長期的に安定した制度づくりは急務だと言えるし、誤りなき厚生行政の展開が強く望まれるわけです。
 今度の改正案には幾つかの柱があります。一つは政管健保の中期的な財政運営の安定を図ること、第二は出産関係給付の改善、第三は医療保険審議会の創設、この三つの柱があると思いますけれども、この中でも医療保険審議会は、将来の医療保険制度、つまり、一元化を含めた制度の将来像について考えていく場になると思います。特に国民健康保険制度につきましては、現在政府の専門審議会がないわけですから、一元化問題をきちんと話し合ういわば土俵ができると私は理解しているところです。
 そこで、その審議会の運営というのを考えていったときに、しかし、審議会に全部を任せ切りにするというわけにはいかないと思います。ですから、厚生省としても、ある時期に一定のビジョンというものを示す必要がどうしても出てくると思うのですけれども、どうでしょうか。答えられる範囲で御答弁をいただきたい、こう思います。
#6
○黒木政府委員 先生御指摘のように、我が国の社会はこれから本格的な高齢化社会を迎えるわけでございます。したがいまして、私どもはますます、すべての国民が安心して医療を受けられるようにどうするか、特に医療保険全体の長期的な安定を図るのにどうするかということが大切な政策課題だと承知をいたしております。
 御指摘のように、私どもは医療保険につきまして、老健法なり国保法なりいろいろな各般の制度改革をやってまいったわけでございますが、改めてこの時点で医療保険制度全体の高齢化に備えた再構築が必要だろうというふうに考えておるわけでございます。
 この場合の私どもの考え方でございますけれども、これも御指摘のように、医療保険の給付と負担の公平化の具体的なあり方なり医療保険制度の将来構想、これは関係者の意見が本当にさまざまでございまして、大変な意見の隔たりがある状況でございます。したがって、私どもは、今回つくります医療保険審議会の中で、まず医療保険制度の枠組みをどうするか、あるいは給付水準なり給付の範囲をどうするか、財源のあり方をどうするかという幅広い観点からの御議論をいただくために、まさしく医療保険審議会の創設をこの際お認めいただくというのは、時宜にかなった措置ではないかというふうに思うわけでございます。今後、基本的に私どもは医療保険審議会の御議論を踏まえながら、その状況の中で、あるいは合意の形成を見つつ政策判断をいたしてまいりたいと思いますけれども、いろいろな状況に応じて、私どもの考え方はタイムリーに出させていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#7
○住委員 まさに医療保険審議会というのは、先ほども述べましたけれども一つの土俵づくりだ、こう思うわけです。したがって、その土俵を大事にしていただきたい。速やかにその制度を創立させて、何とかいい方向に向かっての議論をしていただきたいし、将来の目標をきちんと立てていくということが何よりも大切なのではないかな、こう思います。しかし、そうはいっても、今ある制度ということもありますから、今ある制度の安定的な運営ということもまさしく重要なことだと私どもは思います。
 したがって、両立していろいろな議論をしていかなければいかぬわけですけれども、今度の改正案のもう一つのポイントというのは、政管健保の中期的財政運営の安定というふうにしてあります。かつて三Kの一つに加えられ、赤字の権化みたいにされていた政管健保ですけれども、昭和五十六年以降黒字基調にある。平成二年度三千四百億円、今年度は三千五百億円を超える黒字が見込まれているわけです。その結果として、今年度末には積立金の規模が一兆四千億円に達する見通したというふうに御説明を受けました。この積立金を活用して事業運営安定資金を厚生年金特別会計に設けて、調整資金的な機能を持たせるということなのでしょう。そして、さらに五年先を見通して安定的な財政運営を図るという、そういう御説明を事前に承りました。しかし、改めてこれからの財政見通しというのでしょうか、やはりそこのところがきちんと説明ができるものなのかどうなのか、そこのところをもう一度お伺いをしておかなければならないのではないか。そして、そういう中でどんな施策を打ち出していこうとしているのか、それについてお聞きいたしたいと思います。
#8
○黒木政府委員 政管健保の財政の見通しについてのお尋ねでございます。
 厚生省といたしましては、今後おおむね五年間につきましては安定的に財政運営が確保できるものと考えておりまして、予測できないような経済変動等がない限り、保険料率につきまして引き上げるような事態は起きないものと見通しているわけでございます。
 このような見通しをさらに具体的な数字をもって既にお示しをいたしているところでございまして、もっとも一定の条件をつけて試算をいたしているわけでございますが、これに沿って簡単に申し上げますと、平成四年度には収支差と申しますか、黒字が三百二十億で、積立金、今後は資金という形になりますが、一兆四千九百二十億円になりまして、平成五年度には八百億の黒字、そして資金の形で一兆六千三百七十億円、六年度には五百九十億円の黒字、資金の形で一兆七千六百六十億円、平成七年度には四百五十億円の収支差、そして積立金、資金が一兆八千八百十億円、八年度には三百六十億円の収支差が残りまして、資金も一兆九千九百二十億円の規模になろうかという試算をいたしておるわけでございまして、政管の財政運営は、私どもはこの五年間を見る限り大丈夫だというふうに考えておるわけでございます。
#9
○住委員 その前提が景気の変動が余り激しくないということですから、それはなかなか今おっしゃっていることがそのとおりになるかどうかというのは、これから見てみないとわからないというところもあるのだと思いますけれども、要するに、私どもからいえば、景気の変動や浮き沈みに余り左右されない政管健保の安定的な運営を図ってほしい、そしてぜひ適切に運営していっていただきたい、これが願いであるということだけは頭の中に入れておいていただきたい、こう思います。
 さて、こうした平成四年度から五年間の中期的財政見通しをもとに、財政運営の安定が確保される範囲内で保険料率及び国庫補助率を引き下げるということになっております。健康保険組合や共済組合とのバランスも勘案して保険料率を引き下げるということでありまして、そして同時に、国庫補助率については、保険料率の引き下げを実施してもなお黒字が見込まれるからという御説明を事前に承りました。さまざまな意見の中には、国庫補助率を安易に引き下げるべきではないという声もあるようですけれども、当分の間という暫定措置のその期間という点も含めて、こうした声にどうやってお答えになるのか、御説明を改めてお聞きしたいと思います。
#10
○黒木政府委員 政管の国庫補助率につきまして、安易な引き下げは認められないという声は、審議会等の御審議の過程においても私どもは承っているところでございます。
 私どもは、今回の国庫補助率の引き下げが、一つは暫定措置である、二つ目には、引き下げても中期的に政管の財政は大丈夫である、三つ目には、今回の引き下げました国庫の余裕と申しますか、それを今回の看護婦を中心といたします診療報酬改定の財源に資する、こういうことで関係方面の理解をいただいていると承知をいたしておるところでございます。
 今回の国庫補助率につきましては、基本的な考え方は、五年を通じての財政均衡が図られるような中期的財政運営の中で、健保組合等の保険料率とのバランスにおいて、バランスが失しない限り保険料率をまず下げる。そして、さらに余裕があるということの中で国庫補助の引き下げを行ったわけでございますから、現在の黒字基調であります政管健保につきまして、保険料率に合わせて国庫補助率を引き下げても安定的な運営が十分可能であるというふうに考えておるわけであります。
 さらに、今回の国庫補助率の引き下げにつきましては、暫定措置だと申し上げましたけれども、今後は新しくできます医療保険審議会を舞台に、国庫補助のあり方を制度全体を通じて御議論をいただいた上で、私どもは医療保険に対する財源の考え方をきちっと固めてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
#11
○住委員 今のお答え、ぜひきちんと実行していただきたい、こう思う次第です。
 それから、今ほども局長おっしゃられましたけれども、国庫補助率の引き下げの分、その分については診療報酬改定の財源確保にも資するものだということであって、特に今回の診療報酬改定に当たっては、よく言われるんですけれども、看護婦さんの処遇改善に取り組んでいくんだというようなお考えのようなんですが、その点の具体的内容についてお伺いをしておきたいと思います。
#12
○黒木政府委員 本年四月一日から診療報酬改定を実施することにいたしておりますけれども、今回の改定におきましては、良質な看護サービスの安定的、効率的供給という観点から、看護関連に特段の配慮を行ったつもりでございます。
 具体的には、まず改定率の設定に際しまして、夜勤改善の分等看護関連に配慮したところでございまして、平均引き上げ率五・〇%のうち、看護関連分枠が二・六%という形で設定をいたしております。また、具体的な点数の設定に当たりましても、看護料の約二〇%アップという大幅引き上げのほか、適正な夜勤体制及び労働時間が実施されている場合の加算という形で加算点数を新たに設定をいたしまして、各医療機関において勤務条件改善のインセンティブが働くよう、いろいろ工夫、配慮いたしたところでございます。なお、改定に際しまして、関係者に今回の改定の趣旨を十分周知するようにまた配慮しているところでございまして、こういった措置によりまして看護職員の勤務条件の改善が図られていくものと考えております。
#13
○住委員 看護婦さんにつきましては、医療を受けている患者さんにとりましては、言ってみれば天使のような方々ですから、ぜひそういう配慮をきちんといつまでも続けていっていただきたい、こういうふうに思う次第です。
 次に、事業運営安定資金の活用方法として、政管健保の被保険者の方々の健康づくりあるいは成人病予防など、保健福祉施設事業も拡大する方針だとお聞きしておりますけれども、これについても具体的にどんな内容のことをお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。
#14
○奥村政府委員 お答えをいたします。
 政府管掌健康保険の保健福祉施設事業につきましては、事業運営安定資金を活用することなどによりまして拡充していくべきものというふうに考えております。平成四年度予算案におきましても、前年度に対しまして約四百億円増額いたしまして千二百億円余の予算を確保し、拡充を図ることとしておるものでございます。
 今後の拡充の具体的内容といたしましては、成人病予防検診の実施人員の増加やその内容の充実、また、生活習慣の改善指導を必要とする者に対します保健婦などによります指導体制及び指導施設の整備、健康管理意識を高めるための健康づくり、健康増進事業の推進、それから、高齢化社会に対応いたしますための老人保健施設や看護婦不足に対応いたします看護婦養成所の整備、こういった事業を柱といたしまして拡充してまいりたいと考えておるところでございます。
#15
○住委員 ぜひそういうことについてはきちんと進めていただきたいと思いますし、まさにそういうことが運営資金を有効に活用するための一番の方策であろう、こういうふうに思っている次第です。
 もう一つ、標準報酬月額の改定もあるわけですね。政管健保、組合健保あわせて、いわゆる被用者保険特有の制度ですけれども、今回これで標準報酬月額の上下限の改定を行うとしている。これについての基本的な考え方も聞いておきたいと思います。
#16
○黒木政府委員 標準報酬の上下限につきましては、法律上一定のルールを定めておりまして、上限該当者が三%を超えますと、十月から見直して、おおむね一%程度になるように改定のルールが定められているわけでございまして、それに沿って今回改定を行いたいということでございま
す。下限につきましては、従来から最低賃金法に基づきます地域別最低賃金の最低額を考慮して定めているところでございまして、今回もその考え方に沿って改定をいたしたいということでございます。
#17
○住委員 ちょっと時間がなくなってきたのですけれども、医療保険審議会についてもう一度伺っておきます。
 審議会のメンバー予定というのを見ますと、学識経験者二十一人というふうになっておるわけですね。三者構成じゃないというのは、これはどういうことなんでしょうか。そのことについてちょっとお伺いをしたい。よく言われる意見の中に、これは自主性を損なうことになるんじゃないかなんという主張もあるわけです。そんなことはないとは思いますけれども、ぜひそのことについても御説明を承っておきたいと思います。
#18
○黒木政府委員 新たにつくります審議会が三者構成でないのはなぜかというお尋ねでございます。
 現在の健保の考え方は、労使が費用を折半して負担していただいておるわけでございまして、そういう意味で、これまでの審議会の構成は、その労使の代表に公益委員がさらに加わって三者構成の形をとっております。今回私どもは、この審議会にどうしても国保というものを入れないと、医療保険全体を通じた議論と申しますか、一元化なり給付のあり方等を含めまして、国保についてもこの舞台で御審議をしていただくことがこれからの医療保険のあり方を検討する場にふさわしいものということで、国保も新しい審議会のいわば所管事項に加えたわけでございます。
 国保は、御案内のように、労使の負担というよりも自営業者等の負担でございますので、どうしても三者構成になじみにくい形になっておること等を勘案いたしまして、これから国保、健保、船保の審議をする審議会として、三者構成よりも、いわば学識経験者の構成をとることが年金審議会と同じように私どもはふさわしいと考えております。なお、三者構成につきましては、これからの審議会で、例えば政管の運営のあり方なり船保の運営のあり方なりを審議するためには、それぞれの制度ごとの審議を運営する場合には、従来のような労使の三者構成の発想に立った部会運営を、これは部会で審議をお願いしたいと思いますが、部会運営の形で、従来の三者構成の考え方ということは維持させていただきたいというふうに考えております。
#19
○住委員 大変よくわかりました。ぜひそういう立場に立って運営をしていかれることを望んでおきます。
 最後に一つお尋ねをしたいことがあります。
 先ほど厚生大臣もおっしゃいました。いつでもどこでも質の高い医療を、これに加えて安い料金で受けられる体制がなければならない。今回の診療報酬改定ではいろいろと改善が行われたと聞いております。
 そのうち特に歯科に限ってお聞きしたいのですけれども、以前から私はよく歯科医療の不採算部門は補綴治療だ、こういうふうに聞かされてきました。しかも、今その補綴がふえているというわけで、なかなか経営的に苦しいのだという話をよく私の友人から聞かされることがあります。ところが、この診療報酬の中にはそれが適正に評価されていないのだ、あるいは新技術も速やかに点数に組み入れてくれないという、言ってみればそういう声もないわけではない。委託技工料の問題ですとか衛生士、技工士の質の向上の問題あるいは歯科医師の最近の過剰傾向、さまざまな点が、今度の診療報酬とは特に関係ない部分もありますけれども、今歯科を取り巻く分野ではいろいろと問題にされています。今回歯科技工料の引き上げであるとか歯科診療報酬の合理化というのが進められたというふうに聞いておりますけれども、今後の歯科診療報酬のあり方について最後に一つだけ見解を伺っておきたい、こう思います。
#20
○黒木政府委員 歯科の診療報酬についてのお尋ねでございます。
 今回の改正におきましては、従来に比べますと歯科の診療報酬の改定はかなり大幅な引き上げたと私どもは承知をいたしておるわけでございます。この配分に当たりましても、御指摘のように、日本歯科医師会等を初めとします関係団体の要望等を十分しんしゃくをしながら中医協で慎重に審議をしていただきまして、配分と申しますか、点数の設定ということを決めていったわけでございます。そういう中で、これからの高齢化等を迎えまして、補綴等が非常に重要ということも承知をいたしておりますし、あるいは初診、再診等への配分も重要でございますし、歯槽膿漏等の治療も重要でございます。そういうところにいろいろ目配りをしながら今回の改定をやったつもりでございますが、今後のあり方につきましては、中医協におきまして診療報酬全体の今後のあり方を議論している最中でございますから、歯科の診療報酬につきましても、今後の高齢化の進展とか歯科医学、歯科技術の進歩に応じた望ましい歯科診療報酬の体系のあり方について、幅広い角度から鋭意検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
#21
○住委員 もう時間も終わりに近づきましたが、今のお話は、やはり医療従事者が意欲を持って仕事に従事することができる、一方で医療を受ける側も満足する状態にしなければならない、こういう大変難しい課題なのですけれども、ぜひそういう観点に立って、どんな立場で仕事をしているのか、どんな環境で仕事をなさっているのかということも含めてお考えをいただきたい。そのことを要望いたしまして、私の質問を終えさせていただきます。
 きょうは丁寧な御答弁、ありがとうございました。
#22
○牧野委員長 池端清一君。
#23
○池端委員 私の質問は広範多岐にわたっておりますので、端的に、しかも誠意を持ってお答えいただきたい、このことをまず最初に要望しておきます。
 健康保険法が成立したのは大正十一年の四月でございます。一九二二年でございますので、ちょうどことしで七十年目を迎えたわけであります。まさに人間でいえば古希を迎えたのであります。この七十年の歳月というのは、健康保険法にとってはまさに波乱方丈の七十年でございました。特に戦後の健保法改正の歴史をひもといてみますると、それはまさに激動と波乱に満ちた改正の歴史でございました。幾たびか審議未了、廃案を繰り返し、あるいは強行採決、あるいは中間報告を求める動議の提出、牛歩等々いろいろなことが行われました。特に昭和四十二年の第五十六回国会では、健保特例法の改正をめぐって、我が党の当時の佐々木更三委員長、成田知巳書記長が辞任をするという事態まで惹起をしたわけでございまして、このことは皆さんも既に御案内のとおりでございます。
 そこでお尋ねをしたいのは、昭和四十年代ごろより五十年代の前半にかけて、健保は、国鉄、米と並んでいわゆる三K問題と言われて、多額の赤字に苦しんだわけでございますが、この健保財政の赤字の主たる要因は何であったのか。温故知新という言葉がございます。古きをたずねて新しきを知る、そしてこれからの教訓を引き出すという意味においても、その要因についてお尋ねをしたいと思うのであります。
#24
○黒木政府委員 池端先生の御注意に沿って簡潔に御答弁させていただきます。
 政管健保の財政は、昭和三十年代後半から逆調、いわば黒字から赤字基調に転じたわけでございまして、この傾向は四十年代に入ってからも変わりませんで、一層深刻な状況を呈するに至ったわけでございます。
 この財政悪化の要因といたしましては、私どもは、医学技術の進歩に加えまして、再三にわたる医療費の大幅引き上げとか老人医療の無料化等の給付改善等の結果、医療給付費の伸びが著しかったことに対しまして、保険料収入等の伸びが伴わなかったことが主たる要因であったというふうに
考えております。
#25
○池端委員 その赤字解消の一環として国庫補助が導入されたわけであります。当初、昭和三十年度の場合は十億円の定額補助でございました。それが今日いろいろな経緯をたどって一六・四%、こういうふうになっておるわけでありますが、この国庫補助率、どのような推移をたどってきたのか、その歴史について明らかにしていただきたいと思います。
#26
○黒木政府委員 政管健保に対します国庫補助につきましては、先生御指摘のように、昭和三十年度に初めて十億円の補助が行われたわけでございます。その後、財政状況に応じて補助がなされてきたわけでございますけれども、昭和四十七年度には二百二十五億円の補助が行われております。その後、法律改正によりまして、昭和四十八年の十月から一〇%の定率国庫補助が導入されたわけでございます。その後、昭和四十九年十一月からは一三・二%に、五十一年十月からは一四・八%に、五十三年二月からは一六・四%に改められたところでございます。五十六年三月からは、本則上は一六・四%から二〇%の範囲内で政令で定める旨規定されたわけでございますが、附則で一六・四%に補助率が法律上固定されまして、今日まで一六・四%で推移してきているところでございます。
#27
○池端委員 ただいま御答弁ありましたように、当初十億円からスタートしたわけであります。現在一六・四%になっておるわけでありますが、私はこの歴史の中に、この国庫補助率を引き上げるために、厚生省はもとより、先輩議員が本当に大変な御苦労をいただいてこのような数字に今日至っている、こういうふうに思うわけでございます。まさに悪戦苦闘した先輩の歴史が今局長が言われた答弁の中にあるんだ、私はこう思うのでありますが、このような先輩の文字どおり血のにじむような努力によって積み重ねてまいりました国庫補助率を、当面の措置とはいえ一六・四%から一三%に三・四%も引き下げる、このことの理由を明らかにしていただきたいと思うのです。
#28
○黒木政府委員 国庫補助率の引き下げの理由についてのお尋ねでございます。
 何度も御説明いたして恐縮でございますが、今回の保険料率及び国庫補助率の引き下げにつきましては、政管健保の財政運営を中期的財政運営に改めることに伴いまして、中期的財政運営の安定の確保が図られる範囲内で保険料率及び国庫補助率の調整を行うことにいたしたわけでございます。
 その調整の考え方でございますけれども、政管の黒字基調、三千五百億程度の単年度黒字を計上し、積立金も一兆四千億に達している状況の中で、どういうふうに保険料率及び国庫補助率を調整するかということでございます。まず保険料率につきまして、健保組合の保険料率と矛盾を来さない、バランスを失しない程度に保険料率を下げるという政策判断をいたしまして、そしてその後、国庫補助率につきましては財政運営に支障のない程度の、若干安全を見ながら程度の国庫補助率のあり方について検討をしたわけでございますけれども、結果的に三・四%の補助率引き下げても十分やっていけるということで、暫定措置の形で今回お願いをいたしておるわけでございます。
 なお、国庫補助率につきましては、今後人口高齢化に伴いまして増高が見込まれます老人医療費拠出金に係ります国庫補助につきましては、これを据え置くことにいたしまして、保険給付については今後の政管健保の中期的財政運営がさらに支障がないような形での工夫もいたしているわけでございますから、御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#29
○池端委員 確かに今御答弁にありましたように、平成三年度末では一兆四千億円の積立金が見込まれており、そういう意味ではまさに隔世の感がある、こういう思いがするわけでございます。平成四年度から八年度までの中期的財政状況の見通しによれば、今後も黒字基調で推移をする、平成八年度末には一兆九千九百二十億円の積立資金が見込まれる、こういう御説明でございます。
 そうすれば、平成九年度以降はどういうふうに推移するのか。いろいろ社会情勢の変化によって、今直ちに九年度以降を展望することはなかなか難しいと思いますけれども、今後の高齢化社会の急速な進展あるいは医療費の増高、さらには景気の後退等々のいろいろな要素を考えて、全く不安要素はないというふうにお考えなのか。九年度以降の見通しについてもお聞かせをいただきたいと思います。
#30
○黒木政府委員 九年度以降、つまり、五年を超える長期にわたる見通しについてのお尋ねでございますが、もうこの辺になりますと、私どもほとんどしかたることは申しにくい不確定要因が非常にあるのではないかというふうに考えます。
 しかし、これからの法案審議でどういう見通しにあるかということを申し述べよということでございますので、いろいろ中でも五年を超える長期の見通しについても議論をいたしているわけでございますけれども、幸いなことにと申しましょうか、老人人口の増加率、これが平成八年度をピークに減少に転ずるという財政好転要因があるということ等を考えまして、私どもとしましては、五年後の中期的財政状況の見通し、現在の見通しがそれ以上悪化する可能性は五年経過後もないのではないかというふうに少なくとも考えている次第でございます。
#31
○池端委員 人口増加率その他からいってもそれ以上悪化するようなことにはならないのではないか、こういう御答弁でございますが、昭和五十六年度以降黒字基調で推移しておるとはいえ、子細に点検をしてみますると、例えば昭和六十二年度、歳入が四兆一千九百九十五億円、歳出は四兆一千九百九十三億円、こういうふうになっておるわけです。まさに薄氷を踏む思いというのですか、こういうことでわずか黒字は二億円、収支差二億円という状況の年も昭和六十二年度にはあったわけでありますね。ですから、私は今後必ずしも楽観的な状況ばかりではないのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、本当に不安材料がないというふうに言い切っでいいのかどうか、その点について重ねてお尋ねをしたいと思います。
#32
○黒木政府委員 本当に大丈夫かというお尋ねでございます。
 確かに御指摘のように、六十二年度においては極端に黒字が小さくなっている。確かに私どもも、そういう状況というのがあり得るということは前提に置かなきゃならない事柄だというふうに思っております。この年は平均標準報酬月額の伸びが二・三%と非常に低かったのに反しまして、一人当たりの医療給付費の伸びが三・三%と高かったこと、さらにこれに加えまして、老人保健の加入者按分率の引き上げによりまして、老人保健拠出金が大幅に増加したという特殊要因が加わっていることによるものだと考えております。
 今回の中期的財政状況の見通しを御提出いたしておりますけれども、その作成に当たりましても、六十二年度のようなケースもあり得るという過去のトレンドも織り込みまして、今後の五年間については私どもは財政見通しを出しているわけでございまして、したがいまして、今後五年間の財政運営につきましては、よほど予測できないような経済変動等がない限りは安定的な財政運営が確保できる、こういうふうに考えております。
#33
○池端委員 確認の意味で質問をいたしますが、現行法第七十条ノ三に国庫補助についての定めがございます。それによりますと、保険給付費の千分の百六十四ないし千分の二百、すなわち、一六・四%から二〇%の範囲内においてこの補助率は政令で定める、こういうふうに規定をされておりますが、この規定は今後とも残ってなお存続している、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#34
○黒木政府委員 池端先生御指摘のとおりでございます。国庫補助の規定のしぶりにつきましては、現行の健康保険法第七十条ノ三の規定はそのまま残した上で、つまり、一六・四から二〇%の
範囲内で政令で定めるという規定は残した上で、当分の間の措置として附則の中で引き下げについて規定することにいたしております。
#35
○池端委員 そこでお尋ねいたしますが、今回の措置は今局長答弁のとおり当分の間の措置である、こういうふうに言われたわけでございますが、それでは当分の間とはどの程度の期間を考えておられるのか、その点も明らかにされたいと思います。
#36
○黒木政府委員 現段階で当分の間の措置の終期と申しますか、期間の長さについて私どもがお答えすることは非常に難しいわけでございます。基本的な考えを申し上げますと、政管健保に対します国庫補助のあり方につきましては、今後医療保険制度における費用負担のあり方全般の中で検討していくことが適当だと考えておりまして、その結論に沿って措置がなされるまでは暫定措置という形で、これで運用させていただきたいという趣旨でございます。
#37
○池端委員 この点は本当に大事な点でございますので、私は大臣にお尋ねをしたいと思うのであります。
 今後の政管健保の財政状況、どういう推移をたどっていくか、これはまあ明らかではありませんが、今後政管健保の財政状況が悪化するということも十分予想されるわけであります。こういうような財政状況が悪化した場合には、当然のことながら国庫補助率は復元されるもの、復元するものと理解してよろしいかどうか、明確な答弁をお願いいたします。
#38
○山下国務大臣 今回の改正によりまして、政管健保につきましては中期的な財政の安定が確保されるものと考えておりますが、今後予測不可能な経済の大幅な変動や医療費の大幅な増高がない限り、安定的に運営していくことができるものと考えております。万一そのような事態が起こった場合には、必要に応じて御指摘の趣旨をも踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
#39
○池端委員 いや、単に検討するじゃなくて、補助率というのはやはりきちっと本則に残っているんですから、一六・四%から二〇%の範囲内においてという本則に残っておるわけでありますから、これはきちっと措置してもらわなければだめだ、こういうことでございますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#40
○黒木政府委員 私どもの基本的な考え方は、今後政管の財政運営は大丈夫だということを試算数字をもってお示しをし、したがって、向こう五年間は保険料を引き上げないで済むという判断をお示ししているわけでございます、ただいま大臣がお答えいたしましたのは、そういう私どものスタンスから申し上げまして、五年間は保険料を上げないで済むように私ども判断をし、政策を立案しているわけでございますから、万一財政状況が悪化した場合の措置については、その事態に応じまして、必要に応じまして国庫補助の復元について検討させていただく、こういう趣旨でございます。
#41
○池端委員 私は今の答弁非常に不満足であります。検討し、措置するということをやはり明確にこの委員会の中で言っていただきたいということを強く要望し、またこの点については同僚委員から質問いたしますので、その際に明確な答弁をお願いをしたいと思うわけであります。
 次の質問に移りますが、昭和六十年度から平成元年度の五年間、国庫補助繰り入れの特例措置というものがなされているわけであります。これは、本来国庫補助として入るべきものが全額入らないで、国への貸付金として措置されているものが総額四千六百三十九億円にも達しているわけでございます。これは利息を加算していない額でございますので、利息を加えますと、もっとこれは膨らむと思うのであります。この国に貸し付けている貸付金、いつを目途に返済を求めていく考えであるか、その点も明らかにしてもらいたいと思います。
#42
○奥村政府委員 お答えをいたします。
 先生御指摘の政管健保の国庫補助減額特例措置につきましては、当時の一般会計の財政状況が極めて厳しいことなどのために講じられました特別の措置でありますので、国の財政状況等を勘案いたしまして、できる限り速やかに繰り戻されるよう適切に対処してまいりたいと考えております。
#43
○池端委員 これはやはり厚生省は財政当局に対してはっきりと物を言っていかなければだめだと思うのですよ。こういう貸付金があるのですから、これが今後チャラにされるようなことは到底我々は認められませんので、できるだけ早くとこういうふうにおっしゃいましたが、本当にこれはやはり再三請求をしてきちっとした正常の姿に戻してもらうように、これは厚生省、社会保険庁ともども努力をしてもらいたいということを強く要望しておきます。
 そこで、今回の国庫補助率の引き下げによって、国民健康保険や国保組合など他の制度への影響を心配、懸念する向きもございます。これら他制度の国庫負担及び国庫補助については、今回の措置によって連動するものではなく、何ら影響を受けないものである、このように理解してよろしいか、その点についてしかと承りたいと思います。
#44
○黒木政府委員 先生御指摘のとおり、関係者の中には、今回の措置によって、国保組合等を初めといたしまして、他の制度の国庫補助率の引き下げに連動するのではないかという心配があることも事実だというふうに私も承知をいたしております。私どもも明快に申し上げたいと思うわけでございますけれども、今回の措置は政管についての一定の中期的財政運営の中での措置でございまして、御指摘のように国保とか国保組合における国庫補助のあり方には直接関連するものではないと考えております。
#45
○池端委員 次に、保険料の問題についてお尋ねをいたします。
 先ほど来の御答弁のように、さしたる不安材料もない、また、財政に余裕があるというならば、保険料率、今回の原案によりますと、八・四%から八・二%とわずかに〇・二%程度の引き下げになっておるわけでありますが、私はもっと引き下げることが可能ではないか、こういうふうに思うわけであります。厚生省は盛んにこれで実質減税をやったんだということを胸を張っておるようでありますけれども、標準報酬等級の改定によってこれも帳消しになることははっきりしているわけであります。このことについては余り触れないわけであります。そして、保険料率を引き下げることだけ宣伝をしている。これは私は本当にその全貌を国民の前に明らかにしていないのではないかと思います。羊頭を掲げて狗肉を売るのたぐいではないか、こう思うのでありますが、この点についてはどうですか。
#46
○黒木政府委員 今回の保険料率の引き下げの考え方でございますが、基本的には、政管健保の財政運営が中期的にも安定が確保されるということが基本でございますけれども、その際、どこまで下げるかということについて考えてみました場合に、健保組合とか共済組合の保険料率とのバランス等をやはり勘案する必要があるということでございます。
 御案内のように、例えば健保組合の保険料率、特に比較するためには付加給付の料率部分を除きますと、八一パーミルになっているわけでございます。国庫補助なしで経営努力をされながら運営されている健保組合の料率よりも政管の料率の方が下回るということでは、健保組合の存立と申しますか、存在理由をなくすことにもなりかねないと私どもは判断をいたしまして、やはり健保組合の料率とのバランスぎりぎりのところで保険料率の引き下げを設定する必要があるという見地から、今回お願いしている料率にさせていただいているわけでございます。
 なお、平成四年度予算案におきまして三百二十億円の政管の実質黒字を見込んでおるわけでありますけれども、さらに例えば保険料率を〇・一%追加して下げますと約六百億円の減収になるわけでございまして、これ以上の保険料の引き下げは
平成四年度の収支バランスからいっても赤字となりかねないわけでございまして、私どもは、申しわけございませんけれども、これ以上の保険料率の引き下げは困難であると判断している次第でございます。
#47
○池端委員 健保組合や共済組合とのバランス、均衡も考えていかなければならないというそういう論理でございますと、改正後の法律でいきますと、第七十一条ノ四の六項で保険料率は六・六%から九・一%の範囲内で厚生大臣の告示で変更できる。いわゆる厚生大臣にこれが授権をされておるわけであります。しかし、今のお話でいきますと、こういう六・六というような数字は全く無意味になるのではないでしょうか。この六・六というのは、あるいは六・六から今回の八・二ですかまでの保険料率の引き下げは今後とも事実上不可能である、まさにこの法律は死文化した法律になっている、こういうふうに言わざるを得ないと思うのであります。均衡論を言われるのならば死文化している法律になるのではないか、こう思うのですが、その点いかがですか。
#48
○黒木政府委員 御指摘のように、現行法の七十一条ノ四の規定に基づきまして、厚生大臣の機能といたしまして、六・六%から九・一%の範囲内で保険料率の変更ができることとされておるわけでございます。その結果として、現在八・四%の保険料率を設定しているところでございます。今回の改正でこれを八・二%ということに引き下げるわけでございますけれども、今回新たに中期的財政運営方式をとりましたことのスタートという意味で、法律上八・二%を規定させていただいているわけでございます。先ほど申し上げておりますように、健保組合との料率バランスということから、今回の改定の引き下げはそこで頭打ちにならざるを得ないと申し上げたわけでございます。
 そういう意味では、おっしゃるように死文化に近い形になるわけでございますけれども、観念的に万々が一健保組合の料率が、どんな要素がはちょっと例は挙げにくいわけでございますけれども、大幅に下がるような事態がありますと、その頭打ち壁がとられまして、場合によっては、観念的でございますけれども、この規定が生きることがあり得るということで御理解をいただきたいと思います。そういう意味で先生の御指摘も当たっているわけでございますけれども、ぜひこの規定は従来どおりの形で置かせていただきたいと思うわけでございます。
#49
○池端委員 なかなか苦しい答弁のようでありますが、保険料率は少なくとも現行法でも六・六%まで引き下げることができるのだということを十分認識しておいていただきたい、このことは強く申し上げておきます。
 それで、保険料率は少なくとも向こう五年間、平成八年度までは引き上げることはない、こういうふうに理解しておりますが、それでよろしゅうございますか。また、平成九年度以降については保険料率についてどういう見通しを持っているのか、その点も明らかにしていただきたいと思います。
#50
○黒木政府委員 今回の政管健保の中期的財政運営の目玉は、まさしく保険料率を安定させよう。景気が悪くなると料率を上げ、よくなると下げるということがないように、安定的な保険料率というものをまさしくねらった制度として構築をいたすわけでございますから、私どもとしては、向こう五年間、財政の見通しも出しておりますように、保険料率の変更はしないで済むものと考えております。もっとも、現時点で予測し得ないような事態でも起こりますれば別でございますけれども、現時点で私どもはいろいろな予測をしておりますが、予測し得る限りにおいては保険料率の変更はしないで済むものと考えております。
 さらに、五年を超えてその後はどうかというお尋ねでございます。これも先ほどちょっと触れましたように、老人人口の増加率、この増加率が一番医療費の増高に関連をするところでございますけれども、幸いなことに平成八年度をピークに老人人口の増加率が減少に転ずるという財政好転の要因があること等を考えますれば、五年度以降も現在の五年間の見通しよりも悪化する可能性は非常に少ない。よって、保険料もそういう見通しの中で推移すれば上げないで済むというふうに考えておるわけでございます。
#51
○池端委員 上げないで済むというところは、どうも声が小さくなったようでちょっと不安でございますが、もうちょっときちっと胸を張ってその辺は答えていただきたいと思います。
 次に医療保険審議会のこと、先ほども自民党の委員から御質問がございましたが、今回の改正案によりますと、従来、公益、事業主、被保険者の各代表による三者構成の社会保険審議会でございましたものを、これを改組して政令で学識経験者で構成する医療保険審議会を創設する、こういうふうになっておるわけであります。我々は、この三者構成の妙というのはもう大事にしていかなければならないと思うわけでございますので、その構成については関係者の意見が十分反映されるようなそういう組織にするということで、現状を踏まえて対処すべきではないか、こう思うのでありますが、この点についてはどうですか。
#52
○黒木政府委員 新しく改組されます審議会の構成でございます。これにつきましては、現在の社会保険審議会の中でも、それから先生御参画されております社会保障制度審議会の意見としても、関係者の意見が十分反映されるような現状を踏まえての慎重な配慮が必要という注文を私どもはいただいておるわけでございます。そういう関係審議会の意見に沿いまして、現在社会保険審議会に参画をしていただいております関係者、つまり具体的に申しますと、今の審議会に推薦をしていただく推薦母体から引き続き推薦を願う形をとりたいと思っておりますし、また三者構成の実を上げるように、部会の設置とか、あるいは部会の委員の構成については三者構成ということで十分配慮してまいりたいと考えております。
#53
○池端委員 その点については、十分そういう配慮をしていただきたいということを重ねて申し上げておきます。
 次に、診療報酬の改定と看護婦さん等の労働条件の改善の問題についてお尋ねをしたいと思います。基本的にはこれは大臣からお答えを願いたいと思うのであります。
 昨年十月二日の当厚生委員会におきまして、当面緊急の課題となっております医療・保健・福祉マンパワーの確保に関する決議を全会一致で上げたところでございます。そのうち、看護職員の給与その他の勤務条件の改善について、このマンパワー確保に関する決議を受けでどのような対策を講じられようとしているのか、その基本的な方針を伺いたいと思います。
#54
○山下国務大臣 看護職員の確保を図る上で、働きやすい職場をつくっていくことが最も重要であると認識をいたしております。この観点から、平成四年度予算案におきまして、週四十時間労働、夜勤月平均八回、そして育児休業等の事項も踏まえまして、養成力の強化、院内保育施設への助成の強化等を内容として、看護職員確保対策費について前年度に引き続き大幅な増額を図るとともに、業務負担を軽減するための機器について税制上の特別償却制度の創設、社会福祉・医療事業団融資の充実を図ってまいるつもりでございます。また、今回の社会保険診療報酬の改定に当たりましては、看護料の大幅引き上げのほかに、夜勤体制及び労働時間を勘案した診療報酬の加算等を行うことといたしております。
 さらに、中長期的視点に立って看護職員確保対策を進めるため、先般、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案をこの通常国会に提出したところでございまして、今後とも看護職員の確保対策につきましては努力を重ねてまいりたいと思います。
#55
○池端委員 今の大臣の答弁をお聞きしますと、予算、それから法律、さらに診療報酬、この三本立て、三本柱で対策を講ずるということでございますが、ここでは診療報酬の改定に関連をしてお尋ねをしたいと思うのであります。
 我々も、さきに申し上げた十月二日の決議で、「診療報酬の在り方についても検討を行うこと。」こういう本委員会の意思を明らかにしているところであります。したがって、診療報酬の改定について異論はないところでございます。この四月一日から実施される診療報酬の改定幅五%のうち、看護関連分は二・六%とされております。この二・六%分が極めて今日劣悪にして過酷な看護婦さん等の給与、その他の勤務条件の改善にストレートに結びつくものになっているのか。すなわち、看護職員等の給与改善や夜勤改善、二・八の実施あるいは完全週休二日制の実施等について実効のある措置となっているのかどうか、ここが非常に問題でありますので、この点についてははっきりとお答えをいただきたいと思います。
#56
○黒木政府委員 診療報酬につきましては、先生も御承知のように、本来医療機関におきます使途を個別具体的に特定するものではないわけでございます。したがいまして、診療報酬上の措置が勤務条件の改善にストレートに結びつきますことを制度的に直接担保するということは、非常に困難な面があるわけでございます。
 そこで、どうするかということで私どもいろいろな知恵を絞っているわけでございますが、今回の改定におきましては、まず最も端的にわかりやすい看護料というものにターゲットを絞りまして、これを約二〇%という大幅な引き上げを行います。それから、あわせまして夜勤体制、おっしゃいましたように二・八とか週休二日制の問題、そういう勤務条件が整っている場合には加算点数を設定するというようなことによりまして、点数表上も勤務条件改善のインセンティブが働くように配慮いたしたところでございます。また、改定に際しましては、関係者に今回の改定の趣旨を十分周知をするように配慮したところでございますので、今回のこれらの措置によりまして看護職員の勤務条件の改善が図られていくものと私どもは考えております。
#57
○池端委員 真に実効が上がるような措置がとられなければ、まさに絵にかいたもちに終わるわけでありますから、きめ細かな指導と監督を十分にやっていただきたいということを強く要求しておきたいと思います。
 そこで、診療報酬上基準どおりに措置していない医療機関に対してはどのように対処するおつもりなのか、その対処方針。基準に満たない医療機関についてはどういう対処をするのか、その点具体的にお尋ねをしたいと思います。
#58
○古市政府委員 診療報酬上の基準に合わない、こういう御指摘ですが、診療報酬の方は、看護婦の職員基準に見合った段階で診療報酬が払われるということでございますが、それ以前の問題で、医療法の基準すら満たしていないという病院に対する御指摘かと思います。
 それに対しましては、私どもは全体的な考えとしては、今回提出させていただいております看護婦等の人材確保の促進に関する法律案でもって病院に要請をしていく。さらには、具体的には医療監視の現場でもって、そういうような医療機関にありましてはまず職員の確保を促す、それができない場合には入院患者を抑制していただく、そういうことも含めまして厳しい指導をしていきたいと思っております。
#59
○池端委員 この診療報酬の問題や看護婦さん等の処遇改善、人材確保の問題については、後ほど同僚の外口、五島両委員からさらに詳しくお尋ねをいたします。
 そこで、診療報酬についてあと一点お尋ねをしたいと思うのであります。
 総合病院で複数科にかかっている患者さんについては、今回の診療報酬の改定では、初診料、再診料については各科ごとに算定する今日までのルールを改めて、一回限りで算定する、こういうことになっておるわけであります。そうなれば、当然のことながら患者さんの方の一部負担金も一回限りということになるのではないか、こう思うのでありますが、この点についてはどうでありましょうか。
 また、高額療養費制度では、総合病院の各科を別の医療機関とみなして、患者の一部負担金が個々に三万円を超えるときにのみ制度が働く、こういうことにされておりますけれども、これも今回の初診料、再診料の算定ルールの変更に伴って、高額療養費の算定ルールも変更して総合病院の各科を通じて計算する、こういうふうに切りかえて患者さんの負担軽減を図るべきではないか、こう思うのであります。診療報酬でもそういうふうにしたわけでありますから、負担の方もそういうふうに合わせるべきではないかと私は考えみわけでありますが、この点についてはどうですか。
#60
○黒木政府委員 今回の診療報酬改定におきましては、総合病院につきましても一般病院と同様の区別ない措置として、初診料、再診料は一回限りということに改めたわけでございます。御案内のように、例えば産科を廃止したいというような病院等もありまして、そうしますと総合病院でなくなるということ等がございまして、病院側からの要請ということもありまして、一般病院、総合病院の区別はなくした形での診療報酬体系ということで、そういう改定をいたしたわけでございます。
 しかし、残念ながらということが当たっているかもわかりませんが、先生の御指摘でございますが、レセプトにつきましては、これもまた医療機関サイドの強い要望がございまして、どうしても実務的に各科単位での作成しか対応できないという御意見でございまして、したがいまして、現在健康保険における患者の一部負担の取り扱いにつきましても、レセプト単位での算定ということにしておることから、患者の一部負担金の取り扱いにつきましても、これまで同様の取り扱いにならざるを得ないわけでございます。
 また、高額療養費の取り扱いにつきましても、レセプトを基礎としております。したがいまして、御指摘の点につきましては保険者サイドの実務上の対応が困難であるなどの問題がございまして、高額療養費の支給方法の改善につきましては、保険者サイドにおけるレセプトの事務処理をどうするか、つまり、三万円以下のレセプトを保険者がどう名寄せができるかということが大事な点でございますけれども、そういった意味で、レセプトの機械処理等にまたなければならない面が多々ございまして、これらの進捗状況を踏まえながらこの問題は検討させていただきたいと思うわけでございます。
#61
○池端委員 レセプトの関係から実務的に困難だというお話でございます。なかなか大変だとは私も思います。そう簡単にはいかないと思うのでありますが、これは機械化の問題、電算化の問題とも関連する問題でありますから、やはり早急にそういう体制整備を行っていただいて、これは患者負担の軽減につながるわけでありますから、可及的速やかに対処してもらいたいということを強く要望しておきます。
 次に、健康保険法の中に「日雇労働者」あるいは「日雇特例」といった文言が数多く見受けられるわけであります。私は別に「日雇労働者」というのは差別用語だとは思いませんけれども、その話感からいって必ずしも適切な言い方ではないのではないか、こういうふうに思うわけであります。こういう「日雇」という文言を変えた方がいいと私は思うのでありますが、これについてはどうでしょうか。
#62
○黒木政府委員 現行法で私どもの法律、他省庁にもございますけれども、「日雇労働者」あるいは「日雇特例被保険者」といった用語を法律上用いているわけでございます。したがって、この表現を改めます場合には、他省庁の所管する法律にも絡みまして、幅広い見直しと申しますか、一緒の対応が必要になるというふうに思いまして、その点につきましては御指摘でございます。今後関係省庁とも相談をしながら検討してまいりたいと思っております。
 しかしながら、御指摘のように、一刻も早くできるだけできるところからやってまいるという方向をとるべきだという御意見を受けまして、厚生
省といたしましては、被保険者の手に渡ります受給資格者票及び被保険者手帳等につきまして、本年四月一日からその名称を、「日雇」あるいは「日雇特例」という言葉を取りまして、健康保険被保険者受給資格者票及び健康保険被保険者手帳等に改めることにいたしまして、先生の趣旨に合わせたいというふうに考えます。
#63
○池端委員 時間も参りましたので、最後に大臣にお尋ねをしたいと思うのであります。
 今回の改正法を見て率直に感ずることは、まず初めに健保法の改正ありきではなくて、診療報酬の改定ありきという印象を受けるわけであります。診療報酬改定の財源捻出のために目をつけたのが政管健保の黒字だ。そのためには国庫補助だけ引き下げたのでは世論の反発も招きかねない。そこで、若干の保険料率の引き下げと若干の給付改善に手をつける。私はこういった場当たり的な改正ということは、これは何としても了承できないのであります。そういう印象を私は率直に受けるわけであります。
 確かに、中期的な財政運営を行うということは前進面であり、これは一定の評価ができると思いますけれども、全体として医療保険制度をどういうふうに公平にして、より国民の側に立ったものに改革していくかという哲学、フィロソフィーがないのではないか、私はこういうふうに思うわけでございます。これは本会議で我が党の土肥議員も質問をしたところでありますが、その場しのぎではない長期的展望に立った医療保険制度のビジョンを示すべきではないか、それが今厚生省に強く求められているものではないかと私は思うのでありますが、この点についての大臣の所信を承って、私の質問を終わりたいと思います。
#64
○山下国務大臣 今後本格的な高齢社会を迎える中で、すべての国民が安心して医療を受けられるようにするためにも、医療保険制度を長期的に安定したものとすることが大切であり、給付と負担の公平化を図ることが必要であると考えております。このため、医療保険制度の枠組み、給付の範囲、財源のあり方など幅広い観点から総合的な検討に着手する必要があると考えておりまして、医療保険審議会における議論を見守りながら、厚生省としても幅広い角度から検討してまいりたいと思っております。
#65
○池端委員 終わります。
#66
○牧野委員長 外口玉子君。
#67
○外口委員 私は、一昨年の第百十八特別国会の厚生大臣の所信表明に対する一般質問におきまして、高齢化社会に向けての施策、制度のすべてに共通する何よりも重要な課題として、保健医療・福祉サービスに従事する人たちの育成と確保、すなわちヒューマンパワーの確保の問題を取り上げ、早急な取り組みについて政府にただしてまいりました。その中で、人の命にかかわる仕事に携わる者が相も変わらず前近代的な労働環境に置かれ、その労働の密度に比べて劣悪な待遇のままにあることへの行政責任に言及いたしました。そして、不安定な身分保障や社会全体の看護・介護の労働への評価の低さなど、国としての施策的対応の立ちおくれを指摘し、思い切った労働条件等の改善を含めた抜本的な政策づくりの緊急性を繰り返し政府にただしてまいりました。
 また、さきの国会におきましても、医療・保健・福祉マンパワーの確保に関する件についての決議が採択されたことは周知の事実でございますが、それらを今度こそ実効性のあるものとするために一体どのような手だてを尽くしていかれるのか、具体的な施策の提示を多くの国民が今厳しく見詰めているところでございます。
 さて、今回の健康保険法の改正、診療報酬の改定は、このような看護婦不足問題に対する国民の危機感に便乗して国民の負担を高めていこうとするものであり、なおかつ、その財源が看護婦の人件費に回るかどうか詳しくは明らかにされていない点がまことに懸念される次第です。そこで、先ほど池端理事からは全般的な、根本的な問題が指摘されましたので、私はこの本改正案においては看護婦の確保がどのように担保されているのか、この緊急な国民的課題に沿って幾つかの点について質問をさせていただきたいと思います。
 そこで、まず大臣にお伺いいたします。きょうは働く仲間たちがたくさん応援に駆けつけて、大臣並びに関係者の答弁を見守っておりますので、責任あるきちんとした御答弁をお願いしたいと思います。
 さて、今後の看護婦の確保対策を進めていくに当たりまして、長年言い尽くされながら一向に実効が上がらず、今や深刻な社会問題となっている看護婦不足問題、これをどのように受けとめておられるでしょうか。まず、今日の看護婦不足に対する大臣の基本的な現状認識について問いたいと思います。
#68
○山下国務大臣 ただいまの御意見のとおり、厚生省のいろいろな施策がございますが、現時点においてこの看護対策というのは最重要中の事柄であると私は理解をいたしております。
 そこで、現在不足しております看護職員の確保が大きな課題となっておりますことは今申し上げたとおりでございますが、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の推進、訪問看護婦の進展等を踏まえるとともに、今後ともその需要は増加していくものと考えられますので、国民に適切な医療を提供していくためには、資質の高い看護職員を十分確保する、これが一番大切な問題であろうと理解をいたしております。
    〔委員長退席、平田(辰)委員長代理着席〕
#69
○外口委員 資質の高い看護サービスをということで、それはどのように担保されるのかということについて後ほどお伺いしたいと思いますが、その前に、看護婦不足に対し厚生省は、一九七四年から一九八五年までに第一次、第二次看護婦需給計画を策定してきております。第二次計画の終了する一九八五年には、これからは看護婦の量ではなく質の時代であると、今大臣が申したようなことを言いまして、第三次計画策定には入りませんでした。しかし、一九八五年に実施されました医療法の改正によりまして、本来それが増床規制を目的としたにもかかわらず、第二次医療圏における必要病床という名の駆け込み増床が起こったことは、私がここで言うまでもございません。その数は七万床から八万床とも言われる数となり、需給計画は破綻し、今日に至っております。
 一九八九年には看護職員需給見通しという、計画から見通しという言葉に変え、あたかも当該局の責任を避けるかのようにあいまいな表現に変わっていたことも確かでございます。しかも、その見通しは、昨年十二月にはさらに見直しという言葉に置きかえられております。これら需給計画の評価に関しましては、看護婦等人材確保法案の審議の折に改めて詳しくお伺いすることといたしまして、ここでは看護婦不足が慢性的に続いてきている点、そしてさらに、なおかつ今日これだけの大きな社会問題となってしまっている点に対する行政責任が極めて大きいということを確認させていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
#70
○古市政府委員 将来に向かいまして医療関係従事者、殊に第一線の看護職員の確保についての行政責任は極めて重たいということにつきましては、御指摘のとおりでございます。
#71
○外口委員 そのような一般的なお答えではなく、もう少し責任者としての回答をいただきたいと思いますが、では、この看護婦不足の原因について厚生行政の責任者としてはどのようにお考えなのでしょうか、もう一度お聞かせください。
#72
○古市政府委員 第一点は、人口構造が非常に高齢化してきたということに伴いまして、病人、傷病というのが非常にふえてきた。また、それを供給する医療の方も、進歩によりまして非常に高度化して専門分化してきた。またさらには、看護に対する要望が、従来の保健医療の分野から福祉施設を含めまして看護職員の期待される活躍の場というのが非常に広がってきた。こういうことの総合で看護職員に対する需要がふえてきた。その中には、先ほど御指摘のように、医療計画の中でいわゆる病床数というものもふえまして、それに対
する病院の看護職員というものに対する需要がふえたということがございます。そういうようなことで、私どもは、それに対して先ほど御指摘がございましたように需給計画の見直しを行ったわけでございます。
#73
○外口委員 私は、ただいまのお答えでは大変納得しかねます。このことは大変に重要な問題でして、後ほどまた改めて後半の質問で触れさせていただきますが、ここで一つだけもう一度お考えいただきたい点は、次の三つの側面からぜひ考えていただきたいと思います。
 一つは、この看護婦不足というのは、一体看護婦をふやしていきたいのにもかかわらずふやせないからなのか。いわゆる看護婦が雇えない問題、すなわち雇う側の責任、病院経営者の責任性、そういうものについてどう考えるかという問題。また、そういう病院の経営上、若年労働に頼って人件費を抑制してきた今までの医療のあり方、そういう医療経営のあり方についてどのようにお考えなのか。
 また、病床数に比べて看護婦が少な過ぎるからなのかという二点目ですが、やはり百六十九万床というのは確かに多過ぎます。そういうことに対しての定員基準の低さというものがありますが、そういうことに対する行政の責任、あるいはまた、これまでは家族の介護を大変当てにしてきた病院の付き添い等の問題、そういう家族介護力の低下によってそういう矛盾が浮上してきたためではないか。
 また、三つ目としましては、看護婦の希望者がますます減少していくことを食いとめられない、そういう不安感が関係者の中にやっと生じたためなのか。そのような問題であるとするならば、看護婦の教育あるいは現場の条件を一体どのように改善していくのかといった、そういう側面からの責任ある御答弁をお願いしたいというふうに考えます。またこの問題につきましては、後半にもう一度伺わせていただきたいと思います。
 次に、今回の診療報酬のあり方について、幾つかの懸念されている点についてお話しして、それが現在の診療報酬体系の大変大きな矛盾をはらんでいるのではないかというシンボリックな問題として提示したいと思いますし、関係者の御答弁をお願いしたいと思います。
 今回の診療報酬の改定に大きな位置を占める看護関連について見ますと、看護婦の人件費を反映した形で基準看護料が見直されていること、また、夜勤回数の制限、週休二日制などの勤務条件の改善への努力に対し基準看護料への加算がなされていることなどは、看護婦の労働環境の改善への突破口を開いたものとして受けとめております。
 しかしながら、目指すべき診療報酬体系とはどういうものなのか。すなわち、サービスの利用者である、いわゆるユーザーである国民にとって望ましいサービスがどのようにしたら提供されるものかどうか、それによって評価されるものでなければならないはずと考えます。近年ようやくにしてサービスの利用者、すなわち、ユーザーが質のよいケアを求めていくという新しい動きが出てきておりますが、このようなときに改定されるに当たって、例えば看護婦の人員数と資格さえそろえば、その経験、熟練度については全く加味されていないという従来のあり方は根本的に変わってはいないように思われます。また、サービスの利用者側からすれば、よい労働条件のもとで、経験を積んだ看護婦が適切に配置されているかどうかが極めて重要なはずであります。
 そういった面から、私はここでお伺い申し上げます。質のよいサービスを求めるユーザーの声を反映する新しい仕組み、システムをつくるために、ユーザーを初め関係者間での討議を深める場をどのように行政としては担保していかれるおつもりなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#74
○黒木政府委員 私どもにとりましても、医療の質の向上あるいは良質な看護サービスの安定的な供給というのは非常に大切に思っているわけでございます。
 そういうことから、今回の診療報酬改定につきましても、看護サービスの質あるいは配置等にふさわしいような形の診療報酬の改定を目指したつもりでございます。しかしながら、先生が御指摘のように、看護婦さんの熟練度だとか経験をどういうふうに織り込むかというのは非常に難しいテーマでございます。医師についても、経験とかあるいはいわゆる腕をどう評価するかという難しい課題があるわけでございます。どうしても診療報酬は外形的と申しますか、人数だとか設備の状況等々、外的な基準によって配分をせざるを得ないという現状にあるわけでございますけれども、私どもがねらっております良質な看護サービスの提供というのは国民にとっても必要だし、私どもの診療報酬も、そういうものが達成されるように考えていかなければならないというのは御指摘のとおりだと思います。
 今後、今回の改定及びこれから診療報酬体系全体をどうするかという検討を行っていくわけでございますけれども、そういう中で、一層質の高い医療が効率的に提供されるような診療報酬体系のシステムづくりに私どもは取り組んでまいりたいと思っているわけでございます。
#75
○外口委員 どのような場を担保されているのかということをお伺いしております。今御答弁いただきましたようなことについて、今後どのような議論の場を設けようとしているのか。例えば、今回のように国庫負担を引き下げて、それを財源に充てるといった診療報酬改定による単なる利益誘導にのみ依拠するようなものではなく、今後の根本的な報酬体系のあり方について、より開かれた場で議論を進めていく仕組みをまずつくることが必要だと思いますが、そのことについて行政としては、責任者としてはどのようにお考えなのか、お聞かせください。
#76
○黒木政府委員 看護サービスの質の向上というのが私どもの願いであるというのは、申し上げたとおりでござます。しかし、この問題は、看護婦の養成から研修も含めまして、さらには看護婦さんの業務の見直し等々、幅広い医療供給サイドからの検討も必要だと思いますけれども、診療報酬体系としても、そういう検討状況を踏まえながら、今後の看護サービスの質の向上という見地からの診療報酬のあり方というものにつきましては、関係者の御意見も聞きながら検討させていただくということで、ご理解をいただきたいと思うわけでございます。
#77
○外口委員 私がなぜこのような開かれた討論の場を、あるいはどういうふうにこれからその仕組みづくりに取り組もうとしているのかということをお伺いするのは、例えば先般の老人保健法の改正によって、本年四月一日から指定老人訪問看護事業、いわゆる訪問看護ステーションを創設することになりました。この訪問看護ステーションをめぐっての看護の役割と機能に関する関係者の考え方や評価のあり方がさまざまな立場で食い違っておりまして、この点につきましては、新しい看護サービスの提供の仕組みをつくっていくという今後のモデルとして考えていくとき、看護職としては大変に注目しているところでございます。そして、その訪問看護ステーションが今回の診療報酬改定においてもどのように評価されているか、そういうことに関して多くの問題を感じておりますので申し上げているわけです。
 この訪問看護ステーションの中で、特に診療報酬改定の中で訪問看護指示料と明記されていることに関してお尋ねしたいと思います。
 今申し上げましたように、訪問看護ステーションは、看護職が初めて専門職として、従来の医療のヒエラルキー構造から相対的に自立していく方向を目指した新しいサービス提供形態と言えます。厚生省も、今何度も答弁の中で申しておられましたように、良質なサービスを提供するためにということでございますので、それぞれの専門職が経験と実績を積み上げて、チームワークによって医療の向上を図ろうとすることがどうしても必要だと考えます。
 そうした方向を目指した新しい試みである訪問
看護ステーションに対して、診療報酬上の裏づけの一つとして老人訪問看護指示料が新設されていますが、その中で看護指示という明文化は、具体的な看護行為そのものに対して指示を行うものとして受けとめられかねません。このような明示は、これから新しい仕組みを拡充していくに当たって、関係者の意識あるいは看護の働きに対する社会全体の理解を阻みがちなものとなることを大変懸念しております。そうした面から、この看護指示という概念を明示したことは、コ・ワーカーとしての看護婦の自立の動きにどうも逆行しかねないようなものと考えられますが、この点に関して責任者の御意見と、今後の取り組みについての御決意をお聞かせいただきたいと思います。
#78
○岡光政府委員 この訪問看護を行う際に、かかりつけの医師からその診察に基づいて指示書を交付してもらう、こういうわけでございますが、その趣旨は、在宅で療養生活をしている老人患者が、かかりつけの医師の治療方針に沿った方法で適切なケアが受けられるよう老人訪問看護に伴う指示を行う、こういう趣旨でございまして、その指示を行った際の診療報酬上の評価として、この訪問看護指示料をこの際設定したわけでございます。
 具体的には、この指示というのは、訪問看護の都度ではなくて、月一回程度行われるというものでございますし、その内容も包括的でございます。それから、老人に対する看護内容につきましても、個々の看護婦が決定をする訪問看護計画に基づいて行われるものでございまして、今先生が御懸念になりましたような訪問看護に当たる看護婦さん等の自立性を脅かすような、そういうものはないんじゃないかというふうに考えております。
 なお、こういった新しい形態のサービスの仕方は、いろいろ新しい問題を抱えるかもしれませんが、今後老人訪問看護制度が定着をいたしまして、関係者が経験と実績を積む中で、新しい連携関係がそれぞれの専門性に立脚しながらつくり上げられていくんじゃないだろうかというふうに期待をしているわけでございます。
#79
○外口委員 その点につきましては、今後さらに看護職としましては経験と実績を積み上げ、そして、新しい質のよいサービスを利用者が受けられるような仕組みづくりに励んでもらいたいと思いますので、関係者の一層の御努力を期待するものでございます。
 次に、医療保険審議会について質問させていただきます。
 現行の医療保険制度は、これまでもお二方が指摘されましたように、健康保険、国民健康保険などの各保険間の保険料負担、医療給付費割合、国庫負担額など、さまざまな格差から不公平感を強く感じやすい制度になっています。また、各保険の中でも地域格差などの内部格差が大きく、さらなる不公平感を増していることは、繰り返し私がここで言うまでもありません。政府は、今後医療保険制度の一元化を考えるとのことですが、二重構造の大きな格差、そのために不公平感の強いこれら保険をまとめ上げていくための具体的な議論の場をつくっていくことが、これからますます求められてきているはずです。
 このたびの健康保険法改正では、社会保険審議会を改組し、仮称医療保険審議会を創設するとしております。この創設される審議会は、従来は法律で定められていたにもかかわらず、政令で定めるとしており、審議会が政府のコントロール下に置かれやすくなって、国民や当事者の意見が反映しにくいものになるのでないかと大変懸念されるところでございますが、これについていかがお考えですか。
#80
○山下国務大臣 医療保険審議会は、現在国民健康保険につきましては専門審議会が設置されていないということから、社会保険審議会を発展的に改組いたしまして、健康保険、船員保険、国民健康保険等を通じた医療保険制度全般について審議する場として創設することといたしております。審議会の委員につきましては、学識経験者としての立場から参画いただくことになるわけでございますので一審議会の委員の具体的な構成につきましては、関係者の御意見が十分反映されるように、現状を踏まえて慎重に配慮をしてまいりたいと思っております。
#81
○黒木政府委員 大臣に補足いたしまして、設置根拠が政令になったということから、自主性が阻害されるのではないかというお尋ねでございます。
 審議会の設置根拠につきましては、御案内のように、臨調の第三次答申におきまして「不服審査、個別具体的な行政処分に関与するもの、その他法律により規制すべき特段の事由のあるものを除き、その設置・改廃は政令事項」で定めるというような提言がなされまして、厚生省でも年金審議会その他、政令に根拠を置く審議会ができておるところでございます。したがいまして、法律に根拠を置くか政令に根拠を置くかということにつきましては、そのこと自体で審議会の自主性、重要性等には何ら差がないわけでございます。大臣から申し上げましたように、構成、人選等については、十分関係者の意見が反映できるように配慮してまいりたいと思っております。
#82
○外口委員 私は、かねてより、医療関連の審議会のあり方について大変疑問を感じてきている者の一人でございます。結論から申しますと、基本的な考え方としては、先ほどから申し上げていますように、医療サービスの利用者の参画の仕組みをつくることがこれからの新しい時代における課題であると考えています。しかし、従来の審議会のあり方は、公益側、支払い側、診療側という利害関係者が折り合いをつけていくための場となりがちでありました。そこでは残念ながら、利害調整という関係でしか審議が進められてこなかったのではないでしょうか。そして、それぞれの案件の重要かつ具体的なことは、当事者はもちろん、広くは利用者の意見を反映することなく、とどのつまりは診療側と行政側とのこの二者の力関係で決定してしまってきているのが実情であります。
 このような現状のままでは、このたび創設される医療保険審議会の実効性も疑われるものとなってしまいます。今回の医療保険審議会というものをどのようなものとしていくおつもりなのか、お聞かせください。
#83
○黒木政府委員 中医協についてのお尋ねだと思います。
 これは、診療報酬について中医協が専管事項でございまして、御指摘のように支払い者側と診療側、それから公益委員ということで、厳格な法律上の構成によって規定をされているわけでございます。いろいろ中医協の運営なりその他について御意見がただいまあったわけでございますけれども、少なくとも現在の中医協は、支払い者側それから診療者側の熱心なる御討議によりまして、それを公益の委員がさばかれると申しますか、調整する形で議論が熱心に進められておりまして、良質の効率的な医療あるいは診療報酬の構築という意味でも、今回の改定においてかなり思い切った新しい時代にふさわしい診療報酬の御答申をいただきましたように、私どもは十分中医協として機能をしておるというふうに思っているわけでございます。
 これからの診療報酬のあり方につきましては、その中で基本問題小委員会等も設けられておりまして、ここを中心に今後の診療報酬体系のあり方というものも熱心に審議されているところでございまして、そういう意見を私どもは聞かせていただきながら、望ましい診療報酬の構築に向かって努力をしたいというふうに考えております。
#84
○外口委員 例えば、臨時脳死及び臓器移植調査会のように公開で行うなどの措置を講じられるべきと私は考えていますが、これらに関してはどのような見解をお持ちか、お尋ねしたいと思います。
#85
○黒木政府委員 中医協の運営は、中医協自体がお決めになりながら運営されているわけでございます。総会につきましては公開の形でやっておりますけれども、あとの懇談会形式による意見交換
は非公開になっているわけでございます。審議の内容によって、ケース・バイ・ケースで自由な意見ができる場の確保というのもまた大事でございますので、公開あるいは非公開の形式をとりながら、審議会あるいは中医協の運営が今後とも公平かつ適切に行われるものと期待をいたしておるわけでございます。
#86
○外口委員 私は、今例えばということですので、審議会が当事者やユーザーの意見を反映するものになるための要件は、もっと具体的に明らかにしていく努力を行政に求めるものであります。
 私が今回の法改正を契機に、そのような議論の場を強く求めるということをここで強調いたしますのは、例えば先ほど述べました老人訪問看護事業、すなわち老人訪問看護ステーションに関して、その運営のための基準を審議決定する過程で、多くの看護職能の意見の反映に関し、また利用者からの声を反映することに関し、問題点を痛感させられてきたからであります。例えば、人員基準、運営基準は老人保健審議会の老人保健施設部会で検討されます。また、取り扱いや療養費など事業運営を左右する基準については、中央社会保険医療協議会、先ほどお答えになりましたいわゆる中医協ですね、それの老人保健施設などに関する小委員会でそれぞれ審議されました。
 その構成を見てみますと、老人保健審議会の老人保健施設部会では、九人のうち老人訪問看護事業の主体である看護職関係者は、日本看護協会会長と看護大学の教授とのわずか二名でございます。その結果いかんで事業運営を左右する中央社会保険医療協議会の老人保健施設などに関する小委員会に至っては、看護関係者は一人も含まれておりませんでした。さらに、審議は厚生省があらかじめ案を提出し、それを審議会委員が確認、検討するという、大変に厚生省主導型のものであったことも確かでございます。
 そこでお聞きいたします。厚生省所管の審議会の中に占める医師及び看護婦その他のコ・ワーカーのそれぞれの人数をお聞かせください。
#87
○古市政府委員 まことに恐縮でございますが、非常にたくさんの審議会がありまして、現在手元に資料がございませんので、後ほど調べて報告をさせていただきます。
#88
○外口委員 私が過日政府委員室からいただいた資料によりますと、平成四年二月二十日現在の厚生省所管の審議会の委員が延べ六百三十八人中、医師、歯科医師が二百六十八人を占めているのに対し、看護婦はわずか十五人でございます。これだけ看護問題が社会問題化し、厚生省としても省を挙げて取り組んでいる今、なおこのような審議会の現状に、私は、本当に当事者や利用者の意見を反映していく審議会というものをつくり上げることができるのか、そういうような議論の場をつくり上げることができるのか、疑問を感じざるを得ません。このような実態に対してもう一度古市局長の見解、そして今後の改善への決意をお聞かせいただきたいと思います。
#89
○古市政府委員 それぞれの委員会、審議会がその目的を持っておりまして、それに最適な構成ということでメンバーが選ばれているわけでございます。したがって、ただいま御指摘の数、後からチェックいたしますが、その数だけでその審議会に期待されている機能がはかられていないとは思っておりません。しかし、看護問題、保健医療問題は非常に重要な問題でございますので、先生の御期待に沿うようなことができるかどうかというものはそれぞれの委員会ごとに検討させてもらいたいと思いますが、私どもは、私どもの局で扱っている審議会については、数は別といたしまして、十分それぞれの職の人たちの意見というものは反映されている、このように思っております。
#90
○外口委員 今回の本法案の改正の中でも、審議会というものが大変重要な機能を持つかに思われますし、この厚生省所管審議会、今二十二あるようですが、それぞれの審議会がどのように運営されていくかということに関しては、もう少し国民の知る権利というものを保障する。すなわち、その審議会のメンバーの公開はもとより、そこで行われた意見の公表、そして、それに対する国民からの意見を広く吸収していく、そういう仕組みをつくっていかなければ、この医療という閉鎖された社会の中でのデシジョンメーキング、意思決定のプロセスはなかなか民主化はされないというふうに思いますし、国民が自分が必要なときに医療を受けられる、そういうサービスの仕組みづくりに国民の声が反映するような方向に向かっていけないのではないかと大変危惧の念を持っておりますので、責任者のこれからの審議過程に対する一層の御努力、そして、国民の声を反映する議論の場づくりに努力していただきたいということをお願いして、次の質問に移らせていただきます。
 さて、利用者からのニーズにこたえる形で質のよい看護サービスを提供できる仕組み、評価の体系化の必要性を私はこれまでもさまざまな場で主張してまいっておるところでございますが、今回の診療報酬改定においていま一つ問題を感じでいることに触れておきたいと思います。時間がないので大変早口になっておりますが、ご了承ください。
 精神科の特例の問題でございます。精神は、結核とともに医療法の人員基準を根拠として例外的に扱われております。今、多くの精神病院がヒューマンパワーを吸収できない、そして、劣悪な労働環境にあることは大変憂えるところでございます。長年人員基準を低く抑え続けられたままに来ているという、そういう状況があって今日の結果に至っていると考えますが、そういう事態に至らしめた行政の責任は大変大きいと考えています。この特例を外していく方向をどのように目指しているのか、実効性のあるものにするための手だてを一体どのように備えていくおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
#91
○古市政府委員 精神病院が、殊に一般の病院と比べまして、四対一の入院患者対看護婦比率に対して六対一ということになっておるわけでございますが、これは精神、結核、老人等の特例だけでなくて、やはり基本的には我が国における看護職員というものの絶対数を増加していくということによって解決するわけでございますので、その方向で、先ほど来御説明しておりますように、需給計画も見直して、西暦二〇〇〇年に向かって総合的な施策で絶対数をふやそうという努力が第一番目に必要だということで、現在検討を進め、努力しているわけでございます。
#92
○外口委員 私がこの精神科の特例の問題を取り上げましたのは、私も精神保健の領域で長い間働き続けてきたという理由も一つでございます。そういう現場の切実な声をひしひしと受けながらこの場に立ってき続けているということも確かでございますが、それよりも何よりも、この現行の診療報酬の体系がまだまだ物を通して、すなわち、注射をするあるいは薬物を投与するということを通してしか報酬が上がらない、そういう評価。すなわち、精神科においては、人が人にかかわる、そういうことが最も重要なこの領域において、最も人の要素が大切な領域において人員がきちんと配置されない、低く配置されているという、そういう直接人がサービスを行うということを評価するシステムになっていない。その象徴的な問題としてこの精神科特例の問題を取り上げているわけでございます。
 そうした意味では、この診療報酬の矛盾が最もあらわれている精神科領域、しかも、そこで行われていることがなかなか目に見えないサービスである。そういうような目に見えない、しかし人にとって極めて重要なサービス、そういうようなサービスに対してどのような報酬の仕組みを、評価の仕組みをつくり上げていくかということがこれからの新しい時代のシステムづくり、政策づくりにおいて非常に重要ではないかと考えているわけです。そうした意味でお聞きしているわけですので、今のお答えでは大変私は納得しかねますので、もう一度御答弁いただきたいと思います。
    〔平田(辰)委員長代理退席、委員長着席〕
#93
○黒木政府委員 精神科の診療報酬についてのお尋ねでございます。
 御指摘のように精神科の診療報酬の問題、特に看護料の問題につきましては、医療法上、患者六人対看護婦または准看を一人という人員配置基準が現在決められているということを勘案いたしまして、一般病院と異なった取り扱いになっておるわけでございます。つまり、結核基本看護料が六対一を基本にいたしておるというところでございますが、これは医療法の取り扱いの差がこういう形で診療報酬上にも反映しているというふうに御理解いただきたいと思います。
 しかしながら、結核・精神病棟におきましても、六対一を五対一、四対一、三対一あるいは二・五対一というふうに看護婦さんの配置を高められますれば、一般病院と同じように高い評価で診療報酬を出しておるわけでございますので、現在ございます基本看護料のところの四対一と六対一というのは、医療法上の基準がそういう形で定められることを受けて、診療報酬上もそういう点数を基本として設定をせざるを得ないということにつき、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#94
○外口委員 看護関連、このたびの健康保険法改正を見るときに、先ほど池端理事からも指摘されましたように、国庫補助率を一六・四%から一三・〇%に引き下げ、その利益で、利益というか、そこで生じた千三百億円を社会保険診療報酬の引き上げに見込まれる千三百四十億円の支出増に充てるという形をとっています。そして、その診療報酬の引き上げ幅五・〇%のうちの約二・六%を看護関連に充てるとの基本方針が打ち出されているわけですが、この数値の配分の根拠というのは一体どういうようなものなのでしょうか。
#95
○黒木政府委員 今回五・〇%の診療報酬改定枠をセットいたしたわけでございます。その際、私どもは、改定枠をセットします場合に病院の収支状況というものを見ているわけでございますけれども、その中で看護関連経費、つまり、一つは人件費が、これは公務員のベアを見ているわけでございますけれども、大幅に伸びているということを重要な要素として考え、かつまた政策的に、夜勤、二・八の問題とか週休二日制につきましてはこれを普及していかなければならないという、そういう政策配慮も加えまして、今回の改定枠五・〇の中の二・六%を看護関連経費として改定枠に織り込むことが必要だという判断をいたしたわけでございます。
#96
○外口委員 私は、これは本来国が重要な施策として打ち出すべきものでありまして、国民の健康を守るヒューマンパワーに関する経費は別建てで保障するべきものであると思います。そういった意味では、このようなちょっと数字合わせのような、こそく的な手段で看護婦の人件費あるいは看護に回すというものではなく、きちっと国が責任を持って手当てすべきだと考えますので、これは看護婦人材確保法案等、これから提出される法案の審議過程においてより議論を深めてまいりたいと思います。
 具体的には、例えば看護婦の関連費引き上げ分が看護の人件費に充てられることが一体どのように担保されるのかどうかということについては、大変これはあいまいなものでございまして、例えば他の分野に比べて最も顕著な傾向として、看護婦の場合、中高年の給与レベルが横ばい状態に置かれ、熟練度に呼応して給与が上がっていかないという点が非常に大きいということは、もう繰り返し繰り返し述べられています。そうした意味では、自立した女性の職場をつくるという、そういう考え方の趣旨がまだこの領域には及んでいないということがわかります。そういった意味では、若年労働力を期待してきたそういうツケが回っているとも言えるわけでありまして、大きな問題と考えています。また、技術者としての経験の積み重ねが評価されない、あるいはキャリアとして正当に報われないということは、その労働、職場を魅力あるものには決していたしません。必然的に看護婦の定着率を低め、出産あるいは子育てを契機に離職しやすい不安定な職場を生み出していることは確かでございます。
 こういうようなはっきりとした原因が何度も言われておりますにもかかわらず、また、今回の健康保険法の改正案を受けた社会保険審議会の答申の中で、「この度の診療報酬改定に当たっては、特に看護婦等医療従事者の勤務条件の改善等を図ることが急務であり、その実効が期せられるよう格段の配慮と工夫について」と強く要望しておりますが、その趣旨が看護婦一人一人にまで効果が及ぶようにするために一体どのような方策を立てておられるのでしょうか、ぜひともここでお聞かせいただきたいと思います。
#97
○黒木政府委員 どうしても診療報酬の性格について御理解をいただかなきゃいけないわけでございますけれども、本来診療報酬は、病院、診療所等が保険診療を担当しでいただいたそのことに対します報酬として、保険医療機関ということに対します報酬としてお支払いをしているわけでございます。ただ、そのお支払いする形として、初診から再診から手術料から、あるいは看護料からいろいろあるわけでございますけれども、そういった中のいわば配分基準といいますか、あるいは評価基準という形で現行の診療報酬体系なり点数表があるわけでございます。
 そういう意味におきまして、診療報酬というものは、まあ医療費がそれによって対価として入ってくるというメカニズムは果たすわけでございますけれども、その使途についてまで、その報酬によってこういう機械を買うべしとか、こういう人件費に充てるべしというところまでは診療報酬体系の性格上及ばないというのは、まず御理解をいただかなければならないことだと思っております。これは経営者なり病院の中の労使がいろいろとお決めになることが多々あるだろうと思うわけでございます。
 そういう中で、しかし、私どもはさはさりながら、今回の改定が何度も申し上げておりますようにかなり大きな改定枠をとったわけでございますし、その改定枠の中で看護対策というものを非常に重視した形で診療報酬改定を行うわけでございますから、今回の配分に当たりましても、具体的に看護料に二〇%振り向ける、あるいは勤務条件の改善ということで、二・八体制、夜勤勤務の改善なりあるいは週休二日制といった労働条件の改善が実現している医療機関については、加算した形でプラスの点数報酬を払いますよというような工夫をいろいろいたしまして、今回の診療報酬と点数表改定をセットいたしたということでございます。
 そういう私どもの考え方を十分関係者に周知徹底をいたしまして、大きな意味で看護婦さんの処遇改善の原資は与えているわけでございますから、それが看護婦さんの一人一人の処遇改善に結びつくように今回の改定の趣旨を周知徹底しながら、そういう意味では通知等も発しているわけでございますが、今回の改定が看護婦さんの勤務条件の改善につながっていくというふうに確信いたしております。
#98
○外口委員 看護関連への配分について幾つか問題点に触れたいと思いますが、時間が限られておりますので、二つだけぜひともこれは特に問題と考えられますので触れておいて、最後に大臣の決意を述べて頂きたいと思います。
 今回創設された例えば基本看護料(U)などに看護婦と准看護婦の比率を明記しておりますね。この比率を明記したということは、准看問題が廃止の方向に今向かいつつあるとき、准看護婦の定着を前提にしたものであって、今後の方向性からすると大変逆行したものであると考えますが、大臣、これについてはどのようにお考えでございましょうか。
#99
○黒木政府委員 今回の診療報酬改定につきましては、かなり技術的な要素が強いわけでございますから、私から答弁をさせていただきます。
 特に基準看護の問題についてお取り上げでございます。本院においても再三御指摘がございますように、付添看護の適正化という観点が非常に重要でございます。付添看護の適正化を図るためには、できるだけ多くの病院で基準看護と申します
か、基本看護料以上の類別の承認を受けてもらう必要があるわけでございます。それをとりやすくするためには、看護婦さんだけの形での配置というのはなかなか現実的には無理がございますので、私どもは准看護婦の要素も入れながら、従来の基準看護の中で第二類というものをつくりまして、准看の確保によっても基準看護がとれるような形で付添看護の適正化を図っていきたいということでございます。もちろん今後看護婦の確保状況等を見ながら、こういった私どもの基準も見直していくべき事柄だというふうに考えております。
#100
○外口委員 ただいま付添看護の適正化を図るということを伺いました。このことにつきましては今後また改めて検討したいところでございますが、いずれにいたしましても、このように今後多様な能力を持つさまざまな人々の導入が図られていく傾向が強まってくる中で、そこでのケアの質を低下させないためには、病棟看護管理の責任は大変大きくなるものと思います。そして、その任務は重要になってくると思いますが、それに対する積極的な評価が今回の診療報酬の中には見当たりません。例えば看護管理料といった形で、そちらの側面からの手当てを一方ではすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#101
○黒木政府委員 看護婦のコーディネートの役割と申しますか、そういう能力というものは、私どもも大事な事柄だと考えているわけでございます。しかしながら、そういった看護を含めましたコ・メディカルスタッフの患者サービスにおける役割分担というものはこれからどうあるべきかというものも、やはりいろいろ検討を加えながらやっていかなければならないだろうというふうに考えておりまして、直ちに看護婦のコーディネート的な機能についての、あるいはそういう能力についての診療報酬上の評価については、これからの検討課題というふうにさせていただきたいと思うわけでございます。
#102
○外口委員 今の点につきましては一昨年におきましても指摘しましたが、看護婦のコーディネートする役割ということがますます求められてくると思いますので、看護職の主体性が発揮できる看護のコーディネート機能をどのように評価するかということについては、今後検討してまいる大きな課題としてここで確認させていただきたいと思います。そして、今後このような業務をより評価する具体的な仕組みというものを発展させていくための努力を期待したいと思います。
 大変時間がオーバーいたしまして、何度もお知らせが来ておりますので、最後に大臣の御決意を伺って私の質問を終わりたいと思いますが、この看護婦不足ということを一つの契機としまして、医療の変革を力強く進めていただきたい。しかも、具体的な政策を提示していただきたいと強く求める立場からのお答えをお願いしたいと思います。
#103
○山下国務大臣 先ほど来政府委員からもいろいろ御答弁申し上げましたのでございますが、ただいまお話がありました正君と准看の問題にいたしましても、先生の御質問にお答えしましたように、資質の高い看護婦ということは、それはとりもなおさず、正君をふやしていくという方向づけだけははっきりといたしているわけでございます。
 なお、先ほど来いろいろ御質問ございました中に、今回の二・六%の問題も御指摘ございましたけれども、これは現ナマでもってそのまま看護婦の給与で上げるよということではなくて、やはり看護婦の働きやすい環境を整備するため、あるいは看護婦の勤務条件を改善するためとか、そういうものにももちろん振り分けられるわけでございまして、そういうことを施策として施していくことが看護婦不足を解消する、いわゆる看護婦を志す人が多くなるということになるわけでございますから、そのように広い意味においてこの二・六というものは使われるということを御理解いただきたいと思います。
#104
○外口委員 終わります。
#105
○牧野委員長 五島正規君。
#106
○五島委員 今、外口議員からも今回の診療報酬の改定を含めて御質問があったわけでございますが、今回の健康保険法の改定によりまして料率が千分の八十四から千分の八十二に引き下げられる。そして、国庫補助率が一六・四%から一三%、千三百十億円減額している。そして、診療報酬の改定はね返り分の原資として千三百四十億円、それが充てられたというふうに考えられるわけでございます。しかも、ここ数年間医療費は大変抑制されまして、現実的にGNPに比較いたしまして低い水準で経過した。そのことが政管健保の黒字という状況になってきたわけでございます。
 その中には、医療費の抑制の中において医療関係従業員の労働条件が非常に悪化するという問題があり、数十万と言われているいわゆる有資格看護婦の医療職場からの離脱という状況も起こっております。そうした問題を今回の診療報酬の改定の中においてどのように改定されようとしたのか、まず今回の診療報酬改定の基本的なお考えについて大臣からお伺いいたします。
#107
○山下国務大臣 診療報酬につきましては、従来より物価や賃金の動向あるいは医業経営の実態とか保険財政の動向等、医療を取り巻く諸要素を勘案しながらやってきたわけでございます。医療費改定率等も参考にして、そして、そのための所要の財源確保を図っているというところでございますが、今後ともただいま申し上げましたような各般の要素を十分勘案しながら、それに適した対応を講じていきたいと思います。
#108
○五島委員 確かに今回の診療報酬の改定は、これまでにない非常に大きな改定であったことは認めます。しかし、その実態の中を検討いたしますと、今回診療報酬五%引き上げられました。そしてそのうちの二・五%は、いわゆる薬価の引き下げによる置きかえという内容でございます。もちろん医療が技術を中心に置きかえられていく、いわゆる薬価差益ということに医業経営を依存させないという意味において、その処置そのものについては問題ないと考えるわけでございますが、結果的に見た場合、今回の診療報酬の改定は約二・五%の改定である。これは二年に一度の改定でございます。そして、考えてみますと、この二年間だけをとりましても、各医療機関とも人件費率大体五〇%平均といたしまして、この二年間の人件費率に相当する分、その賃上げに相当する分が二年間で二・五%であったということは、決して十分な改定というふうには申せないというふうに考えるわけでございます。
 そこで、今回の改定の中でシステム的にどのように改善されたかということを検討していきたいというふうに考えます。
 今回の改定で診療所におけるプライマリーケア機能を積極的に評価している、このことについては私は非常に評価できると考えます。また、寝たきり老人を対象とする主治医制度ともいうべき制度の採用ということについても、積極的に評価できるだろうというふうに考えます。しかし、こうしたプライマリーケアの機能という問題を、そうした活動というものを診療所だけに限っている理由はどこにあるのか。今後、方向として診療所にこうした機能を強化していく、そういう機能を持たしていくということについては私も全く異存はないわけでございますが、同時に、現状では医者やあるいは看護婦、理学療法士、OTなどのマンパワーの点において、こうしたプライマリー活動というものを中小病院が担っている場合というものも非常に多いわけでございます。これら中小病院におけるそうした役割をどのように評価し、どのように考えていくのか、お伺いしたいと思います。
#109
○黒木政府委員 今回の診療報酬改定に当たりまして、やはり医療機関の役割機能を重視した評価が必要だろうということで、病院は入院機能を重視して評価し、そして診療所は外来機能を重視して評価する。病院でも外来機能を持っておりますし、入院でも有床診療所に入院機能を持っておりますけれども、それにウエートを置いて評価する
という形をとりたいということでございます。
 特に、お尋ねのようにプライマリーケア機能というものを重点的に評価する観点が大事だということで、中医協でも御議論があり、私どもとしてはかなり思い切った所要の点数の引き上げ等を行っております。具体的には、高血圧、糖尿病等一定の慢性疾患患者に対し治療計画に基づく療養指導を行った場合に、特定疾患療養指導料として、診療所にあっては新たに百七十点を算定できることにいたしましたほか、往診料とか在宅医療に係る点数の引き上げ、診療所間の患者紹介の場合の診療情報提供料の新設等を行うことにいたしておるわけでございます。
 そこで、お尋ねの中心は中小病院の役割でございます。私どもも、中小病院が地域医療において外来機能も合わせながら重要な役割を果たされているのは十分承知をいたしておるわけでございます。そういう観点から、外来における初診料の紹介外来加算を新設いたしましたほか、特定疾患療養指導料につきましても、これは実は診療所に特有の点数というふうに考えているわけでございますが、この特定疾患療養指導料につきましても、二百床未満の中小病院につきましては所定の点数が算定できるという道を開く等によりまして、私どもは中小病院の地域における役割は評価しているつもりでございます。
#110
○五島委員 診療所の機能として、今おっしゃったようなこういうプライマリー機能というものを強化していく、そのことについては私は評価できると申しました。しかし同時に、例えば寝たきり老人に対する在宅医療あるいは訪問看護というものを含めて、それをこれまで積極的に実施してきている医療機関としては、もちろん診療所においてもやられているところもあるわけでございますが、中小病院においてそうした機能を積極的に先行的にやってきておられる、そういう病院もたくさんございます。そうした病院においては、今回の改定の中で、病院におけるそういう機能というものは非常に差をつけられているわけでございまして、診療所と病院という形でもって区別されている。やはり診療報酬が、具体的に果たしているその機能によって評価されるということが必要なのではないかというふうに考えるわけでございます。
 その点について再度お伺いしたいと思うわけですが、現状のままで十分だと考えておられるのか、それとも中小病院におけるそうした機能は今後評価していかなければいけないというふうに考えておられるのか、明確にお答えいただきたいと思います。
#111
○黒木政府委員 現行の診療報酬におきましては、特に今回の改定におきまして、病院及び診療所の別に応じた点数設定を行っているところでございます。したがいまして、具体的に申し上げますと、例えば手術料だとか処置料とか薬剤料につきましては、診療所と病院で同じ点数になっているわけでございますけれども、病院機能であります入院時医学管理料とか看護料につきましては、病院と診療所に差を設けているわけでございます。したがいまして、例えば手術して入院されておりますようなケースを念頭に置きますと、入院機能が高く評価されております病院の方が相対的に有利な点数設定になることは、もう御指摘のとおりでございます。
 私どもは、これから病院と診療所がその機能をそれぞれ発揮していただきまして、そしてまた十分な連携のもとに地域医療の中におきまして国民医療に役立ってほしいというふうに考えておりますけれども、どうしても基本的には、評価の重点は、診療所は外来に、そして病院は入院にというところにウエートを置かざるを得ないわけでございますから、ケースによってと申しますか、点数の算定によっては相対的に病院の方に有利な点数となることも事実でございます。
#112
○五島委員 今、黒木保険局長もおっしゃいましたが、実はこうした矛盾というのは診療所の側にもございます。今、入院機能ということに着目する場合、病院と診療所の格差というのは非常に大きくなっております。病院の方が有利。診療所の方は非常にそういう意味においては制限された内容となっております。
 確かに医療法におきましては、診療所は原則収容時間を四十八時間以内というふうにされているわけではございますが、実態的にはそれが大きく崩れていること、もう御承知のとおりでございます。しかも、例えば耳鼻科とか眼科といったそういう科においては、専門的医療がいわゆる有床診療所で行われている比率が非常に高こうございます。また、それだけじゃなく、最近では脳外科や心臓外科などのそういうふうな高度の医療についても、複数の医師のもとで、あるいは看護要員を多数抱えながらも、いわゆる有床診療所という形でやられるケースというのは非常にふえてきております。そうした診療所においても、今回の診療報酬の中においては、病院に比べると入院機能という面で見た場合も非常に格差がついている。すなわち、病院と診療所という形で診療報酬の上で格差をつけているといった場合に、病院や診療所の果たしている機能と合わない部分というのが非常に大きくなってきている。その点についてどのようにお考えか、あわせてお伺いします。
#113
○黒木政府委員 何度も同じような答弁になるわけでございますけれども、やはり診療所はプライマリーケアを中心とした外来機能を重視した役割が期待されていると思いますし、病院につきましては、手術あるいはその後の入院ケアに見られますように入院機能を重視した役割が期待されるし、診療報酬も、その点に沿って診療報酬上の評価をしていくことが今後の医療の体系なり診療報酬体系を考えます場合に必要な事柄だというふうに私どもは思っております。
 さはさりながら、地域においては中小病院がいわば診療所の機能を果たされる場合がございましょうし、逆の場合があるわけでございます。私どもとしては、診療所、中小病院それぞれの今後のサービスの提供の変化に応じながら、今後それぞれにふさわしい診療報酬というものは当然考えながら配慮していく事項だと考えておりまして、病院、診療所、対立するのではなくて、機能を相補いながら国民にとってふさわしい医療が提供される、そのことに対する診療報酬のあり方というのは今後とも検討していきたい事柄だと考えている次第でございます。
#114
○五島委員 黒木局長、あなたのお話を聞いておりますと、まるでプライマリーケアというのは診療所だけでやってくれ、中小病院がプライマリーケアについてやる必要はないんだとおっしゃっているように聞こえます。
 実態的には、病院の方が看護婦や医師の余裕があるということで、これまでそうしたプライマリーの機能を病院が担ってきているというような部分は多々あるわけでございます。そういうようなものを何か否定されているように聞くことができます。またその反面、今日非常に高度な専門化された分野において、必ずしも病院でなくて、十九床までのベッドにおいて医療をやっているというところがふえてきております。ところが、黒木局長のお話を聞いておりますと、まるで手術や何かをしなければいけないような医療については二十床以上の病院でやってくれ、診療所のレベルにおいて医師や看護婦を整えてやっていったとしても、そのようなものは評価できないんだとおっしゃっているように聞こえます。これは今日の医療の実態から非常にかけ離れるんじゃないですか。
 確かに医療法がございます。それに引っ張られて今回このような措置をしたんだということであるならば、それは納得もできます。しかし、今日の医療の方向というのは、黒木局長おっしゃっているのと違った方向へ行っているんじゃないでしょうか。そうした病院や診療所の機能というものを診療報酬に反映させていく、そういう努力が必要なのではないでしょうか。どうお考えでしょう。
#115
○黒木政府委員 確かに病院もさまざまでございますし、診療所におきましても、本当にクリニック的なものから有床診療所まであるわけでござい
まして、それぞれの実態なりそれぞれの地域医療において果たされている役割について、私どもは十分評価しながら対応していかなければならない事柄だと思っております。
 今回の重点的評価については、それぞれ病院は入院機能、診療所は外来機能といっておりますけれども、病院あるいは中小病院のプライマリーケアあるいは往診とか在宅診療、そういうものの機能、役割を否定するものではございませんし、それなりに十分評価をいたしているつもりでございます。相対的な意味において、今後の医療の体系なり診療報酬の体系としてそういう評価をする、あるいはそういう形でのめり張りをきかして、役割なり機能を重視した形での診療報酬というものも必要ではないかということで、今回の改定ではかなりめり張りがきいた形になっておりますけれども、御指摘のように病院が地域医療においてプライマリーケアその他の役割を果たすこと、それに対する評価等については、先生御指摘のとおり我々も重要なことだと考えております。
#116
○五島委員 今回の改定で、病院での医療に限りますと、医療機関の中における看護婦、介護者の不足という問題が非常に言われてきたわけでございますが、その最大の原因は、やはり看護婦さん等の労働条件という問題に起因することが非常に大きいわけでございます。この点につきまして、看護婦の労働条件と配置数がこれまで以上に明確に診療報酬に反映される形になった、そのことは私は評価できると思います。特に週四十時間労働ということを明確に打ち出しながら、診療報酬上そうしたものを反映できるというのは――これまでの診療報酬はそこで働いている労働者の労働条件というものを全く考えたことがなかった。その結果、看護婦不足であったとしても、医療法ぎりぎり、いわゆる医療法に規定する三割減のところで維持するのが一番経営としては効率がいいなどと言われてきた。そういう実態を破る上においても、今回の診療報酬はかなり大きく一歩踏み込んだものであるというふうに評価します。
 しかし、現状に対応する診療報酬というその性格上、こうした今回の改定というものが、結果においては、例えば看護要員においては、医療法の本則とは非常に大きくかけ離れた医療現場の状況というものを浮き彫りにしたということも言えるわけでございます。特に老人医療についてはそうした感じが非常に強くいたします。
 そこで、これらの点についてお伺いするわけですが、まず今回の改定で介護機能をどのように評価したのか、その点をお伺いいたします。
#117
○岡光政府委員 今回の老人診療報酬の改定におきまして、特に病院の介護機能を適切に評価しよう、こういう観点から次のような趣旨で改定を行っております。
 一つは、入院医療管理料とか基準看護料の大幅な引き上げを行いましたが、新たに入院医療管理料につきましては、従来T型、U型でございましたが、V型を創設をいたしまして、より入院医療管理料を取りやすいような条件設定をしたつもりでございます。
 それから二点目は、老人病院につきましては、先生今御指摘ございましたが、看護職員、介護職員の現実に配置をされておる人数に応じて看護料を払う、こういうシステムを設定をしまして、たくさんの人員が置かれておればそれに応じて診療報酬も支払われる、こういうことでございまして、そういう意味で病院の介護機能の充実に資するのではないだろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#118
○五島委員 その点について後で改めてお伺いするといたしまして、あわせて介護の問題で、今回の改定で一般医療における例えば術後、重篤時の付き添い問題、これをどのように適正化したか。また、老人医療における付き添い問題というものの適正化をどのように進めていくのか。これを今回の診療報酬の中でどのようにしようとしているのか、お伺いいたします。
#119
○黒木政府委員 付添看護の適正化の問題でございます。
 不適正な保険外負担の是正という観点から、その適正化を図る必要があることは、本院でも再三御指摘をいただいているところでございます。
 そこで、今回、具体的には関係法令の改正による付添看護に係る保険医療機関としての責任の明確化を図りたいというふうに考えております。例えば、付添看護に依存しない体制へのスタッフの確保義務とか、付添看護に関します記録の整備保管義務とか、あるいは都道府県知事への報告の義務とか、付添看護がここでは認められない、ここでは場合によっては行われますよというような院内表示の義務とか、そういう形で国民にわかりやすく、きちっとした形での責任の明確化を図りたい点が一点でございます。
 二つ目には、現行の付添看護要件の見直しでございまして、特に私どもとしては、重篤、術後については有資格者に限定という形で、要件の見直しを厳格にいたしております。
 三つ目には、付添看護を要しない病院の拡大という観点からの基準看護の点数の引き上げや承認要件の緩和でございまして、これは基準看護の重点評価とか、新たに類別がとりやすいように、先ほども触れましたけれども、例えばやむを得ない准看の配置によっても基準看護がとれるように、特二類というような形での評価で基準看護をとりやすくする、私どもはそういったような改善をいたしたつもりでございますが、さらに老人関係については老健部長から答えます。
#120
○岡光政府委員 老人医療における付添看護の適正化の点でございますが、保険局長から申し上げましたように、付添看護に係る取り扱いの適正化を図るということのほかに、付添看護を必要としない病院の拡大を図ろうではないかということを考えておるわけでございます。
 先ほども御説明をいたしましたが、入院医療管理料を取れるようにその拡充を図るということと、それから直ちに入院医療管理科病院になれない病院もございますので、そういった病院につきましては入院医療管理料に移行できるように移行計画というものをつくっていただくようにしよう。そして、この計画に基づいて段階的に介護機能を強化をして、付添看護の必要性を少なくしていく、削減をしていくということを行おうとしているわけでございます。こういうことによりまして、介護が病院の責任ある管理のもとで行われるようにということで、一歩でも進めたいということを考えているわけでございます。
#121
○五島委員 黒木局長おっしゃったように、基準看護をとりやすくするというのは、それはそれなりにわからないではありません。しかし、結果として、基準看護をとりやすくしたために、現場においては介護力不足が基準病院においても起こってしまう。そこで、今まで以上に本人負担による付き添いというものが横行するのではないかというふうにも考えられるわけですが、それについては何らかの措置をお考えでしょうか。
#122
○黒木政府委員 先生御案内のように、基準看護病院においては付き添いがつけられないわけでございます。全部保険で給付するという形をとっております。したがいまして、現下の正君不足の中で、私どもは特例的に准看の体制によってもとれる道をバイパスとして開く形によって、これで基準看護病院がふえますれば、そこに入院される患者さん方が付き添いのない形での看護の現物給付サービスが行われますので、御指摘のように横行するというようなことはなくて、むしろ付添看護婦の解消に今回の措置が大いに寄与するものというふうに考えております。
#123
○五島委員 その点はかなり認識の違いがあるように思いますね。大学病院や公的病院においても、基準看護をとっているところにおいても、これまで現実には患者に対して付き添いが強要されるというケースは非常に多々ございました。そういう意味においては、これが医療機関から患者の家族なり患者に対して、いわゆる付き添いの強要ということの横行にならないような監視というものは、ぜひ今後強化していただきたいということをお願いいたしておきます。
 質問を次へ続けますが、今回の診療報酬の改定の中で、いわゆる老人の診療報酬の中で重点指導対象病院というものが挙げられています。これは特例許可老人病院にならないような非常に介護・看護力の劣っているというところが対象になっておりまして、それについては看護料については別に厚生大臣が定めるというふうになっているわけでございますが、これの診療報酬はどのようにされるのか、また、今後こうした病院をどのように指導あるいは誘導していかれるのか、お伺いします。
#124
○岡光政府委員 介護・看護職員が著しく欠如をしている老人病院につきましては、先生の御指摘がございましたように重点指導対象病院ということで、都道府県の方から特に重点的に指導を行うということにしております。
 こういった病院につきましての診療報酬上の取り扱いでございますが、一つは、老人看護料につきましては一日六十点という点数を設定する、あるいは点滴注射につきましては入院時医学管理料へ包括する、あるいは検査料なり画像診断料につきましても一定の量に抑制をする、それから、一年を超える入院患者の薬剤料につきましても上限を設定する、こういうふうな特別の扱いをしているわけでございます。これは過去のいろいろな、こういう体制が著しく悪い老人病院におきまして、いわゆる薬づけ、検査づけの実態があったものでございますから、そういったものの反省に立ってこの際こういう取り扱いにしたい、こう考えているわけでございます。
 それで、こういった病院につきましてはできるだけ体制を整えていただきたい、こういうことを考えておりまして、いろいろな指導を行いたいと思っております。もちろん一つは、人員を確保して体制を整えてもらう、こういう改善計画をつくるように指導する。それから、どのような状況になっておるか、実情についての報告を求める。あわせまして、いろいろ努力してもどうしても改善の見込みが立たない、こういうケースにつきましては、病床利用の再検討であるとか老人保健施設等への転換であるとか、そういう特に重点指導を受けるようではない別の体制に持っていってもらうということも含めて、いろいろと病院側と御相談をしながら、そういう実情を直していきたいと考えております。
#125
○五島委員 そういう非常に介護・看護力の不足している病院が指導によって改善できないという状況においては、ベッド数の再評価も含めて、そういう方向で指導されるということでございます。それは私はそれなりにやむを得ない趣旨ではないかというふうに考えます。
 あわせまして、老人の医療を考える場合に在宅医療、今回もかなり手厚く評価されております。また、寝たきり老人の在宅総合診療料というものも新設されました。先ほども言いましたように、これはまさに主治医制の評価ということで、評価するわけでございますが、この老人在宅総合診療料というものについて、これも先ほど言いましたように診療所にしか認めていないわけでございますが、こうしたものを今後どのようにしていこうとしているのか、また、その趣旨についてどういうふうにお考えでこういう制度をおつくりになったのか、お伺いいたします。
#126
○岡光政府委員 今後急増が予想されます寝たきり状態にあるお年寄り、こういった方々に対応するためには、かかりつけの医師が、訪問看護サービスであるとか在宅福祉サービスであるとか、こういう関係者との連携、関係サービスとの連携を図りながら、適切な在宅医療を行ってもらう必要があるのではないだろうか、こう考えまして、御指摘の診療料を設定したわけでございます。
 私ども期待をしておりますのは、こういう包括的な診療報酬を設定するということによりまして、在宅のお年寄りに対しまして診療所がかかりつけの医師としての機能を発揮していただけないだろうか。積極的に訪問診察等を行っていただきますし、また、老人訪問看護ステーションなど他の保健医療・福祉サービスとの連携を図ってもらいまして、いわゆる保健、医療、福祉が総合的に提供されるような、そういう方向につながっていってもらいたいものだと考えているわけでございます。
#127
○五島委員 さっきも申しましたように、この制度そのものは私は評価いたします。この在宅総合診療料あるいは訪問看護、訪問理学療法というものの組み合わせによって在宅医療が進むであろう、あるいは診療所がそういう方向に進んでいくだろうということを期待するわけでございますが、実は医療経費からいいますと、こうした医療がふえていくというのは、これまでの病院あるいは診療所外来の老人医療に比べますと医療費の伸びに直接つながってくるだろう。しかも、この部分は国保や何かへの影響あるいは老人保健への影響が非常に大きい問題でございまして、それに対する手当てというものをお考えなのかどうか、あわせてお伺いいたします。
#128
○岡光政府委員 とりあえずこういう在宅対策を組み込ませてもらいたいというふうに考えておりまして、ある意味では実験試行的な面もあろうかと思っております。
 ねらっておりますのは、ただいま申し上げましたように保健医療・福祉サービスの総合的な展開ということを考えておるわけでございまして、このような対応をするとしても、直ちに医療費の方に直に大きくはね返らないのではないだろうかと期待をしているところでございます。
#129
○五島委員 私は、はね返るくらい在宅医療が進めばいいと期待しているわけですが、その点は置いておきまして、次の質問へ進みたいと思います。
 今回の報酬の改定の中におきまして、病院における服薬の指導あるいは患者さんに対する薬歴管理の重要性、これは従来指摘されてきたところであるわけでございますが、今回調剤技術基本料の引き上げというものがなされております。あわせまして施設承認要件が改善されたわけでございますが、これをどのようにしていこうとしておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
#130
○黒木政府委員 今回の改定におきまして、調剤技術基本料に関しまして私ども大幅な改善をやったつもりでございます。
 まず、承認要件につきましては、二百床以上から百床以上へと緩和をいたしまして、対象医療機関の拡大を図りたいと考えております。病院における服薬指導等は非常に重要でございますから、そういう対象病院の拡大を図りつつ、さらに調剤技術基本料の点数を、承認施設につきましては二百点からその倍の四百点に引き上げる等の見直しを行うことにいたしております。
#131
○五島委員 保健と医療の連携の重要性というのが高齢社会を迎えますます重要となっている。かねて言われてきたことでございます。
 成人病検診の受診というのも近年非常に順調に伸びてきているわけでございますが、この成人病検診をさらに推し進めていくという努力とあわせて、実は検診機関で実施されたその検診の結果というものが、どのように主治医に活用されるかということが非常に重要とおってきております。検診機関から提供されました医療データ、これが主治医に提供された場合、その主治医がそれを診療なりそういうふうなものに利用する場合、その場合の診療報酬上の取り扱いはどのようになるんでしょう。他の医療機関で例えば心電図であるとかレントゲンを撮ったものを別の医療機関に持ってきた場合は、そういうふうなものは診療報酬の上で反映されております。しかし、今回見させていただきますと、こうした検診機関で受けたそういうふうなデータというものについては、そのまま診療報酬上は処置されていないと見受けられるわけでございます。今後こうしたケース、非常に大事になってくると思うわけですが、これを報酬上評価していくというお考えがあるのかどうか、あわせてお伺いいたします。
#132
○黒木政府委員 現在の状況を申し上げますと、検査結果とか撮影をしたフィルム等が主治医に提供される、他の医療機関でやったものが他に提供
される場合には、写真診断料として現行診療報酬上も評価を行っております。それからまた、保険医療機関から検査結果等を記載した紹介状を添えて他の医療機関に紹介した場合には、診療情報提供料ということで所定の点数がとれるようにいたしております。
 ただ、そういう検査結果だとかあるいは検査結果の紹介状とかいう形ではなくて、一般的なヘルス上の健診の情報の提供をどういうふうにシステム化するか、あるいはそれを診療報酬上どのように評価するかというのは、保険の世界の外から保険の世界にどう取り組むかというシステムの話になってくるわけでございますけれども、これは私どもとしては将来の検討課題というふうに考えておりまして、私どもも今後ますます保健と医療の連携というものが重要になってくる、先生の御指摘のとおりだと思いますから、検討させていただきたいと思います。
#133
○五島委員 局長もおっしゃいますように、保健と医療との連携というのは、やはり高齢化社会における医療の一つの重要な切り口だと思います。それを具体的システムとして進めていく上においてもぜひ御検討をお願いしたいというふうに思います。
 最後に、時間もございませんので、大臣にお伺いするわけでございますが、高齢社会を迎えて、良質な医療を提供できる診療報酬のあり方というのは今後も見直していかなければいけない、言うまでもないことでございます。しかし一方で、診療報酬の世界とそれから現状の医療法の世界というのは、全く別の世界とさえ言えるような状況になってきています。国民生活と極めて関連の深い医療が、たまたま今回健康保険法の改定がございまして、あわせて質問させていただいたわけでございますが、国会で審議もされない診療報酬の改定という手段でもってその方向性が誘導されているということは、非常に問題ではないかというふうに考えております。その点について大臣どのようにお考えなのか。特に、この二つの世界が全く別の世界まで分かれてしまったという現状について、お伺いしたいと思います。
#134
○山下国務大臣 御案内のように、高齢化の進展とあわせて医学の技術というものは日進月歩でございますから、常に良質の医療を提供するためには、やはりこの診療報酬につきましても常に改定、見直しというものが行われていかなきゃ私はだめだと思います。この点ははっきりそう申し上げておきたいと思います。現在、中央社会保険医療協議会において長期的な観点から診療報酬体系のあり方について検討が行われておりますので、この検討を見守りながら、厚生省としても適宜対応していきたいと思っております。
#135
○五島委員 今回の健康保険法の改定問題、一番最初に申しましたように、千三百十億円という国庫負担の引き下げということをはね返り原資としてなされたのであると考えるわけでございますが、このようなこそくな手段によって今後の医療を考えていこうとした場合、まだまだたくさんの問題がございます。例えば保険の給付の一元化という問題もありましょう。あるいは、先ほど外口議員からも指摘ございましたが、現実に医療機関の中における看護・介護マンパワーの不足という問題をどうしていくのかという問題もございます。そういう意味では、今回のこの処置というものは、これでもって基本的に制度が仕上がりであるという状況でないだけに、極めてこそくな処置と考えるわけでございます。
 「当分ノ間」という言葉がございます。早急にこの処置をもとへ戻すということは必要だと思うわけでございますが、最後に大臣に、当分の間今回の処置を続けるということでございますが、一体いつまでどのようにするのか、あるいはその当分の間続く間、診療報酬を含む医療というものを大きく改定するということ、原資を伴うような改定はしないということなのかどうか、その点を最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#136
○山下国務大臣 今回の国庫補助率の引き下げは当分の間の暫定措置であるということで、政管健保に対する国庫補助のあり方については、基本的には今後医療保険制度における費用負担のあり方、その全般的な中で検討していく、そういうことが適切であろうと思っております。
#137
○五島委員 終わります。
#138
○牧野委員長 石田祝稔君。
#139
○石田(祝)委員 私は、まず最初に国庫補助の問題からお聞きをしたいと思います。
 私も本会議で大臣に質問をいたしまして、お答えをちょうだいしましたので、まず本会議での答弁からちょっと確認をさせていただきたいと思います。三月六日の答弁の中で、国庫補助の問題に触れましたときに、こういうお答えでした。医療保険制度における費用負担のあり方全般の中で検討していくことが適当である、こういうふうなお答えをちょうだいいたしましたけれども、これに関してもう再質問もしなかったわけで、このことは具体的にどういう意味か、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。
#140
○黒木政府委員 やや各論でございますので、私の方からお答えをいたします。
 国庫補助の今後の見直しのお話につながるわけでございますけれども、私どもは、基本的には政管の財政というのは、今後五年間を見通しても、現在の保険料率及び国庫補助率で十分安定的に機能し得ると思っておるわけでございますが、万が一財政が悪化した場合の措置につきましては、その際費用負担のあり方について当然検討させていただくことに相なるということでございます。
#141
○石田(祝)委員 この費用負担のあり方ということですから、じゃ現実に費用負担をしている人たちはどういう人かというふうに考えてみますと、これは被保険者とそして事業主と国、特に被保険者の方は、受診の際の自己負担とそれから保険料の負担をしておるわけであります。ですから、費用負担のあり方を全般的に検討すると言うと、何かもっともらしく聞こえますけれども、具体的にそのお金の話になってくると、この三者以外に負担する人はおらないわけですから、例えばこの被保険者は、名目賃金が上昇しましたら、やはり標準報酬月額は上昇いたしますので、料率を今度千分の八十二にするわけですが、下げても十月一日から多分上がるのじゃないかと思います。
 そういうことがあるわけですから、費用負担のあり方全般にということを言ってみても、結局はその中でだれかが負担をしなくてはならない、こういうことになっておるわけですから、この三者の中で、じゃ具体的にどうなんだ、私はこういう疑問を持つわけです。この点に関して、そういう費用負担のあり方を検討しなくてはならなくなったときに、三者ともに負担をしていただくのか、それとも今回暫定措置で引き下げた国庫補助率にもとに戻っていただくのか、ちょっと具体的にそこのあたりをお願いしたいと思います。
#142
○黒木政府委員 何度も申し上げますように、今後五年は保険料の上げ下げがなく財政を運営したいというのが基本でございます。
 それでも万が一財政が悪化した場合に、保険料をどうするか、それから私ども申し上げております費用負担は、当然国庫補助をどうするかということも含めて費用負担のあり方を検討することになるわけでございますけれども、まず保険料率につきましては、健保組合とか共済組合の保険料率とのバランスをどういうふうに勘案して設定をするかということもございますし、それからあわせて、保険料率の検討に加えまして、費用負担の中で国庫補助がどういう役割を果たすのかというのが、そういう万一財政が悪化した場合の事態としての私どもの検討課題になってくるというふうに思っております。
#143
○石田(祝)委員 それでは、ちょっと別の角度からお聞きをいたしますが、今度の改正をこういう形でやるという中で、第七十一条ノ四というところがあります。ここをちょっと読ませていただきますと、保険料率のことで書いておりますが、「政府ノ管掌スル健康保険ノ被保険者ニ関スル保険料率ハ保険給付、老人保健拠出金及退職者給付拠出
金ニ要スル費用ノ予想額これがずっと続きまして「概ネ五年ヲ通ジ財政ノ均衡ヲ保ツコトヲ得ルモノタルコトヲ要ス」これは保険料率は財政の均衡を保つように決めなくてはならない、こういうふうな意味ではないかと私は思います、これはまた後で聞きますけれども。この中で「財政ノ均衡ヲ保ツ」、これはどういう意味でしょうか。
#144
○黒木政府委員 改正後の健保法第七十一条ノ四第二項で規定します御指摘の「財政ノ均衡」というのは、おおむね五年を通じての政管健保の収支バランスがとれていること、こういうふうに解しております。
#145
○石田(祝)委員 それでは、この財政の均衡が崩れる要因としては、今五年間は大丈夫だというふうにおっしゃっておりましたけれども、今後長い目で見た場合の問題としても、財政の均衡が崩れる要因、これについてはどういうものをお考えになっていらっしゃいますか。
#146
○黒木政府委員 今回の五年間の財政見通しては、私どもは過去の経験則にのっとって、いろいろとデータを伸ばしながら試算しておるわけでございますけれども、いわば私どもで予想できる、予測できるような変動というものは盛り込んでおるつもりでございます。
 したがって、今後どういう事態が生ずるかというのは確定的には申し上げかねるわけでございますけれども、デフレと申しますか、非常に景気が落ち込んで、ほとんど保険料収入のアップが見込めなくなったとか、あるいは診療報酬が、私どもは今回程度の大幅な改定等も盛り込みながら、財政収支は大丈夫と言っているわけでございますけれども、いろいろな特殊事情によって非常に大幅な診療報酬改定があったとか、そういうような意味で、通常では私どもの予測できないような事態が生じたことによってこの五年間程度の財政の収支バランスが壊れることももちろんあり得る、そういう事態ではなかろうかと思っております。
#147
○石田(祝)委員 これは収支の均衡ですから、収入が減っても均衡は崩れますし、支出が予想外にふえても均衡が崩れる。また、その両方が大きく崩れるということもあると思いますけれども、この第七十一条ノ四の第二項を見ますと、例えば「保険料率ハ」と、その次にここには支出の部分も書いているわけですね。例えば保険給付とか老人保健拠出金とか、こういうものが片やある。ですから、そういうものを含めて、この被保険者に関する保険料率は非常な義務規定というのでしょうか、この条文を読む限りは、均衡が崩れたときには「財政ノ均衡ヲ保ツコトヲ得ルモノタルコトヲ要ス」こういうふうに保険料率が頭から決められている。こういう大きな概念のもとで保険料率は決めていかなくてはならぬということだと私は了解しましたけれども、この「要ス」とはどういう意味なのか、このことについてお伺いいたします。
#148
○黒木政府委員 今回の私どもの財政収支バランスというのは、通常の予測されるような景気変動等については十分対応できる。剰余が出れば今度の資金として積み立て、不足があればそこから繰り出すという形で財政運営をしていくわけでございますが、どうしても五年程度を見通しても収支の均衡を図れないという場合には、保険料の改定を要すというふうに規定しておりまして、ねばならないということと同義だと思っております。
#149
○石田(祝)委員 最初に私が大臣の答弁の確認をさせていただきましたけれども、全般について見直すということでした。結局、負担をする人は被保険者と国と事業主だ、こういうふうに私は申し上げましたけれども、ここでは被保険者の保険料率というものは、ねばならないということだ、こういうお話でございました。そうしたら国に関しては、例えば同じように、国庫補助率は財政の均衡を保つことを得るものたることを要す、こういうふうなことをどこかに書かれておるのでしょうか。これは私が勉強不足かもしれませんけれども、ございますでしょうか。
    〔委員長退席、石破委員長代理着席〕
#150
○黒木政府委員 国庫補助を見直す場合の状態と申しますか、要件についてのお尋ねだと思いますけれども、一つは、大臣が申し上げましたように、今回の国庫補助というのは暫定措置になっているわけでございます。したがって、そういう意味で恒久措置と申しますか、政管としての国庫補助のあり方、将来展望の中であるいは各制度とのバランスの中で政管に対する国庫補助のあり方が検討の上確定されたときに、この国庫補助率を変えるということになるケースが一つ。
 それから二つ目は、ただいまおっしゃいましたように、五年を見通しても収支のバランスが壊れた場合に保険料を引き上げることになるわけでありますけれども、その際私どもとしては、当然ながら国庫補助についても、現在の引き下げております暫定措置でございますが、国庫補助率をどういうふうに機能していくべきかというのも、政管の財政が万が一悪化した場合の検討課題として、保険料の引き上げのあり方等、国庫補助率の復元等含めました変動があり得るというふうに、万が一の場合でございますが、予測できることでございます。
    〔石破委員長代理退席、平田(辰)委員長
    代理着席〕
#151
○石田(祝)委員 この保険料率に関しては、英語で言ったらいわゆるマストビーなんですね。局長の国庫補助率に関する意見はメイビーなんですね。ちょっと私は聞いていて違うのではないかという気がしました。ですから、何かあったときには先に被保険者の保険料率をまず考える、それで、それだけでは足りない場合には見合いで国庫補助率も上げるというふうにお考えになっているのかもしれませんけれども、こういう形でも条文の中で「タルコトヲ要ス」というふうに書かれている保険料率と国庫補助率、暫定だ暫定だと言いながらも、では本当にすぐに暫定を解消する方向に走るのかどうか、そこのところがいま一つ明確にならない、そういうふうな気が私はいたします。
 ですから、五年間は心配ないという前提のもとでもちろんやっていらっしゃると思いますけれども、収支の均衡、財政の均衡を考えた場合に、崩れたときにどうなるのか。ですから、まず第一義的に、均衡を失するときは国庫補助率を回復すべきである、こういうふうに私は考えますけれども、この点についていま一度御答弁をいただきたいと思います。
#152
○黒木政府委員 財政収支が悪化した場合の保険料の考え方でございますけれども、今回の設定においてもそうでございますけれども、そのような事態における料率のバランスは、つまり、健保組合なり共済組合との料率のバランスというものをやはり勘案する必要があるだろうというのが一点でございます。そういう事態におきまして健保組合も非常に大幅に保険料率が上がっておりますれば、政管の被保険者だけが低い現行料率でとどめおくということもやはりバランスを失するわけでありますから、まず健保組合等の料率が大幅に引き上げられるような事態の中で政管もバランスを見た引き上げが必要になる。それとの勘案、それとの相関において国庫負担がどれくらいが適当かというものを私どもは検討をさせていただく。そういう意味での費用負担のあり方を私どもは今後そういう事態には検討するということで、申し上げている次第でございます。
#153
○石田(祝)委員 これはまた明日も同僚議員がお伺いすることになろうかと思いますけれども、まず国庫補助率の暫定措置を解くべきである、こういうふうに私は申し上げたいと思います。
 続きまして、医療保険審議会についてお伺いをしたいと思います。
 これも先日の本会議のときにも、私も一方通行でありましたけれども、お聞きをして、お答えをいただきました。そのときにこういうふうなお答えだったと思います。ちょっと言葉のニュアンスは違うかもしれませんけれども、現在国民健康保険については専門審議会が設置されていない、ゆえに社会保険審議会を発展的に改組し、健康保険、船員保険、国民健康保険を通じて、医療保険
制度全般について審議する場として医療保険審議会を創設することとした、そして、なお医療保険審議会の構成等については、関係者の御意見が十分に反映されるよう、現状を踏まえ慎重に配慮してまいりたい、こういうふうに大要述べられたと記憶しておりますけれども、これで間違いないでしょうか。
#154
○黒木政府委員 間違いございません。
#155
○石田(祝)委員 社会保険審議会のことしの一月三十日の答申によりますと、「関係者の意見が十分反映されるよう、現状を踏まえ慎重な配慮を」してもらいたい、そして二月三日の社会保障制度審議会の答申でも、「慎重な配慮を求めたい。」こういうふうなそれぞれ答申に沿った、六日ですか、御答弁をいただいたと思いますけれども、なぜこれを政令で定める医療保険審議会に改組しなくてはならないのか、いま少し納得がいかない。わかったような気もするのですけれども、ではなぜ今までのような法律にのっとった審議会でいけないのか。
 また、これから後で聞きますけれども、三者構成のままにしてはいけないのか。例えば国保の方の代表を入れて四者構成とか、そういう言葉があるかどうかわかりませんけれども、そういう形でいけないのだろうか、素朴な疑問であります。このことについてお伺いをしたいと思います。
#156
○黒木政府委員 審議会の設置根拠につきまして法律から政令になぜ根拠を変えるのか、こういうお尋ねでございます。
 審議会の設置根拠につきましては、臨調の第三次答申におきまして、「不服審査、個別具体的な行政処分に関与するもの、その他法律により規制すべき特段の事由のあるものを除き、その設置・改廃は政令事項に改めるよう提言がなされまして、政府といたしましては、この方針に沿いまして逐次審議会の設置根拠について見直し、検討をいたしてきておるところでございます。
 そういう方向に沿って、今回私どもも法律で規制すべき特段の事由がないということで、つまり端的に申しますと、三者構成にすることには無理があるということから、一般の学識経験者によります審議会の構成が適当であるということから、第三次答申の趣旨に沿いまして、そういう審議会は政令事項にするようにということに沿って今回改正をお願いをしているわけでございます。
 それでは、なぜ三者構成が無理がというまたお尋ねがあったわけでございますけれども、御案内のように、国民健康保険につきまして、どうしても新しい審議会で、そこの所管事項として検討してもらいたいということが今回の社会保険審議会の発展的改組をいたします大きな理由の一つでございます。これからの将来の医療保険制度を議論していただく場としては、どうしても国民健康保険制度につきまして審議する場を私どもはつくる必要があるという発想からでございます。
 国民健康保険につきましては、御案内のように、労使という形での費用負担の割合になってないわけでございますので、自営業者の保険ということから、国保についての代表の方というのはやはり国保の関係者ということで、一般学識経験者としての御参加が適当である、こういうことから今回三者構成を変えまして学識経験者によります審議会に変えたわけでございますが、これにつきましては、先生御指摘のように、社会保険審議会あるいは社会保障制度審議会から、現状を踏まえた形での関係者の意見が十分反映されるような配慮が答申として指摘されているわけでございますから、そういう点を踏まえまして、今後の新しい審議会の運営については、あるいは構成について、あるいは人選については十分配慮してまいりたいというふうに思っております。
#157
○石田(祝)委員 国保の関係者というりは、極端に言えば私も国保の関係者ですよね、国民健康保険ですから。国会議員はほとんど国保の関係者だと思うんですよ。それから被保険者だったら市町村、そういう代表の方に出ていただいて五者構成になるんでしょうかね。ですから、そういう形ででも、ある意味で言えば今までやっておった形の踏襲になるかもしれませんけれども、それぞれの利益代表ということであれば、これはまた納得できる部分もあるんじゃないか、これは私の意見でありますけれども。医療保険審議会が全面的に悪いというふうに私は思いませんけれども、なぜ変えるのか。今までそれぞれある意味では利益代表が来て、同数で審議会を構成してやっておったのを、単なる学識経験者だけでやる。そして学識経験者も全部厚生省の方で、どういう形かわかりませんが、委員として委嘱をしていく。ですから、そこに何かちょっとみんなの手から離してやりたいんじゃないか、そういう気が私はいたします。これは時間の関係で、もうこれ以上触れません。
 次に、政管健保の国庫負担の一部繰り延べについてお伺いしたいと思います。
 これはちょっと確認をさせていただきたいのですが、今までの繰り延べの累計額が四千六百三十九億円、元利合計で六千十七億円、こういうことでよろしいでしょうか。
#158
○奥村政府委員 お答えを申し上げます。
 繰り入れの特例措置の額が四千六百三十九億円の累計でございまして、仮に年利四・五%ということで計算をいたしますと利息が千三百七十八億円、それを合計いたしますと、先生御指摘の六千十七億円となるわけでございます。
#159
○石田(祝)委員 このことは、私は、今後例えば先ほど言った均衡を失するようなときになった場合には、まず保険料率もあるし、国庫補助率の復元ということもありますけれども、それ以上に、ここにこういうちゃんともらうべきものをもらっていないという部分があるということを、まず第一段階で認識をしていただく必要もあると思います。
 ですから、これは提案でありますけれども、例えば、たしか平成元年度の末だったと思いますが、私たちが当選をしてきた後で、厚生年金特会で今まで国からこういう形で繰り延べされておった、貸しておった一兆五千億円、これを返還した形にして、その利子としてたしか七百五十億円を基盤安定化事業に使えるような制度をつくりました。ですから、全額元利合計耳をそろえて六千十七億円すぐに入れてくれというのは無理だとしても、もともと来るべきものを原資とした利子分、その果実の分は何とかこちらの方の政管健保の方でも使って、例えば健康予防事業とかそういう形で使えるようにしたらどうか。元利ともに預けっ放しで、いつ返ってくるかわからない、そういうことではなくて、少なくとも全部が無理であれば、その利子という果実だけでも使えるようなこういう交渉をしてみてはどうか。私は、これは提案でございますが、いかがでしょうか。
#160
○奥村政府委員 先生御指摘の点は、厚生年金保険の特例措置に対応いたしまして一兆五千億円の資金を厚生保険特会につくりまして、そして特別保健福祉事業のための資金ということで行っているものでございますが、政管健保につきましても同様な対応をしてはどうかという御提案でございます。
 特例措置、政管健保の減額措置分につきましては、国の財政状況等を勘案して、できる限り速やかに繰り戻されるように財政当局とも折衝をしてまいりたいと思いますが、先生御指摘の保健福祉事業の財源といたしましては、事業運営安定資金を今回創設をいたしますので、それを活用して拡充をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。いずれにしても、特例減額措置分につきましては、速やかに繰り戻されるよう努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#161
○石田(祝)委員 済みません、大臣に最後にお伺いをしたいと思います。
 これは言葉の問題も含めてでありますが、当委員会におきましてもしばしばこういう言葉が使われます。寝たきり老人という言葉を私も今まで使ってまいりましたし、先ほどから委員会を聞いておりますと、何度も出てまいります。この言葉、私は余りよくないのではないか、何かほかにいい言葉がないだろうかという素朴な考えでございま
す。そういう現状があるということももちろんですから、その現状を回復して、直して、そういう言葉が使われなくなったというのが一番いいと思うのですけれども、これは今後の保健行政のあり方とも大いに関係すると思いますので、大臣、聞かれて、その場に座って、寝たきり老人という言葉はよく出てくるなと何か自分でひっかかるものがあるのでしたら、ほかに何かいい言葉があったら探してみようかというお考えもありましたら、ぜひお伺いをしたいと思います。
#162
○山下国務大臣 これは語感の問題でございまして、非常に先生このことに御関心が深いようでございますから、むしろ先生に何かいい案があれば私は承りたいぐらいでございます。このまま直訳しますと、寝たきりの状態にある老人ということでございますが、ただ、これがもう定着していることは間違いございません。
 私のところにあります資料によりますと、何かこれは外国の資料だろうと思うのですが、この寝たきり老人を三つぐらいに区別したのもございますけれども、今改めてこういうものを例にとることで、果たして日本語にこれを訳した場合になじむかどうかという問題があるわけでございます。例えば、一日じゅうベッドの上で過ごし、全介助を要するものがベッドバウンドとか、車いすで屋内生活はある程度可能なものがチェアバウンドとか、あるいはおおむね屋内生活は自立てきるものがハウスバウンドとか、いろいろ書いてございますけれども、果たしてこれを訳してなじむのかなということで、率直に申し上げて私にはまだ合成案はございません。こんなものを一般から募集するのも変な話でございますし、確かにおっしゃれば何か余りいい言葉とは思いませんけれども、これにぴったりなじむような言葉をまだ不幸にして私は存じないのでございますが、あったらまた教えていただきたいと思います。
#163
○石田(祝)委員 どうもありがとうございました。終わります。
#164
○平田(辰)委員長代理 大野由利子君。
#165
○大野(由)委員 政管健保の保険の給付費に対する国庫補助率が、今回一六・四%から一三%へ実に二一%引き下げられたわけでございますが、保険料率の引き下げは二・四%ですから、はるかに大きな給付率の引き下げになったわけでございます。審議会でもおっしゃっているように、これは暫定措置であり、当面やむを得ないということでございますが、これはいつまでこのように引き下げられた状況であるのか。財政状況がどのような状況になればまた再びもとに戻されるのかについてお尋ねしたいと思います。
#166
○山下国務大臣 今回の国庫補助率の引き下げは、当分の間の暫定措置でございます。政管健保に対する国庫補助のあり方については、基本的には、今後医療保険制度における費用負担のあり方全般の中で検討していくのが妥当であると考えております。
 また、今回の改正により、政管健保については中期的な財政の安定が確保されるものと考えておりまして、今後予測不可能な経済の大幅な変動や医療費の大幅な増高がない限り、安定的な運営をしていくことができるものではないかと考えております。万一そういう事態が起こった場合には、政管健保の費用負担のあり方について、その時点において検討すべき問題だと思っております。
#167
○大野(由)委員 財政状況がもし現在より悪化した場合に、保険料率を引き上げるのではなくて、国庫補助率を引き上げるということをきちっと確約はできますでしょうか。
#168
○黒木政府委員 万が一政管健保の財政が非常に苦しくなった場合の保険料なり国庫補助負担の考え方でございますけれども、そういう事態というのは、大臣からお答えいたしましたように、医療費の大幅な増高あるいは私どもの予測不可能のような経済の大幅な変動等の場合が考えられるわけでございますが、そういう場合にはやはり健保組合の保険料率も相当に動いているんではなかろうかと私ども思います。
 今回の保険料率の設定についても、御説明いたしておりますけれども、政管の保険料率が自主的に国庫補助なしで運営されている健保組合の保険料率を下回るということでありますれば、健保組合の存立と申しますか、運営がやはり非常に問題が生ずるだろうと思っておりまして、両者のバランスというのは、同じ被用者保険の世界の中における保険料でございますので、絶えずバランスを見ていかなければならないというのが第一点でございます。そういうバランスを見ながらも、なおかつ国庫補助率について見直しが必要だということがあれば、当然その時点で検討をすべき事項だというふうに私どもは考えておるわけでございます。
    〔平田一辰一委員長代理退席、委員長着席〕
#169
○大野(由)委員 安易な国庫補助率の引き下げは決して行うべきではない、そのように思うわけでございますが、今御答弁いただきましたけれども、これからの経済の情勢によって、財政の状況によって国庫負担率の引き上げというものをするということをまずしっかり確約していただかなければ、国民として非常に不安に思いますので、この辺をぜひお願いしたい、そのように思います。
 それから、国保の課税最低限度額が現行四十四万円から四十六万円になるわけでございますが、昨年は四十二万円から四十四万円、これはどういう積算根拠によっているのでしょうか。
#170
○黒木政府委員 御指摘のように、国保の保険料の課税限度額につきましては、現在四十四万になっておりますが、これを四月から四十六万円に引き上げることを予定いたしております。これも御案内のように、被保険者間の負担の公平を図る見地から、上の階層の所得の方に対する保険料というものを年々引き上げていかないと、全般的な所得の伸びの中で被保険者間の負担の公平にもとる点が出るわけでございますので、私どもは毎年、所得の伸びを勘案しながら見直しを行ってきておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、平成三年度におきまして限度額は四十四万円になっております。この保険料が四十四万円の限度額に相当する四人世帯の年間所得を推計いたしますと約四百三十四万円、つまり、平成二年度所得で四百三十四万円の方が限度額の四十四万円の国保保険料を負担していただいているという状況に相なっております。
 これを平成三年度の所得に置きかえまして、四百三十四万円を国民所得の伸びを使い五・七%伸ばしました四百五十九万円、これがこの方々の平成三年度の所得というふうに私どもは推計をいたすわけでございます。保険料の料率が変わらないといたしますと、平成二年度の所得が四百三十四万円の方の平成四年度の保険料は四十六万三千円になるわけでございます。したがいまして、平成二年度の上限の方の所得が同じように上限に該当するように上限額を設定するといたしますと、四十六万円に引き上げますれば同じ上限の方がまた来年、平成四年度も上限に該当する世帯になる、こういう積算でやっておるわけでございます。
#171
○大野(由)委員 今回、約四・五四%の引き上げ、昨年は四・七六%の引き上げ率になるわけですけれども、これは消費者物価のいずれの上昇率よりも高いわけでございますし、また可処分所得の上昇率、給与所得の上昇率、そうしたものに比較して、いずれよりも国保の上限率の方が高いわけでございますので、そういった意味で、もっと課税限度額のあり方というものをぜひ検討いただきたい、私はそのように要望させていただきたいと思います。
 それから、同じく国保についてお尋ねいたします。
 最近、非常に働く女性がふえておりまして、既に有配偶者、すなわち、夫がいる女性の半分以上が仕事をしている、働いている、そういう現状でございます。夫の被扶養家族ではなくて、きちっと税金を払って、経済的にも自立している、そういう女性が非常にふえております。そういった中に、夫が組合健保また政管健保等に入って妻の方が国民健康保険に入っている、そういうケースも非常にふえているわけでございます。私自身も夫がサラリーマンなものですから、そうした一人に
なるわけですけれども、私の体験を話をさせていただきたいと思うんです。
 一昨年ですが、国民健康保険の請求が役所から参りました。これは夫あてに参りました。当然夫は自分の健康保険はちゃんと別個にお金を払っているわけですから、私の分でございますので、私がお金を払いました。後でまた役所から連絡が来まして、この請求の額が間違っていた、少ないからもっと払うようにということで追加の請求が参りました。これも夫あてに参りましたが、扶養家族じゃございませんので、当然私が払いました。その後役所から、今度は間違ってたくさん徴収し過ぎたからお返しいたしますという連絡が来ました。お返しいたしますけれども、銀行振り込みの口座ナンバーを教えてください、これは世帯主の、夫の名義の口座でなければ不可能です、それ以外の名義の人には返金できません、そういうお知らせが参りまして、非常に矛盾を感じて、しかし、夫の口座を役所にお知らせしたわけでございます。役所から夫の方に返金がなされて、私はその分を夫に請求したわけですが、夫は、これは厚生省が悪いんだからと言って、私の方にはいまだに返金をしておりません。
 こういう状況でございますが、こうしたことを国民健康保険課の方では一体どのように思っていらっしゃるのか伺いたい、そのように思います。
#172
○黒木政府委員 国保の保険料につきましては、基本的には世帯単位で賦課する形をとっておりますために、だれかしかるべき人を世帯主という形にしなきゃならないわけでございます。そこで、国保は、御案内のように主人が健保で妻が国保という場合には、主人の方を擬制世帯主という形で、その人に対して納税義務を課したり、あるいは例えば保険証の請求権というような形で権利義務の関係を世帯主に課している、そういう法律構成になっているわけでございます。
 なぜ世帯単位かと申しますと、保険料は基本的には所得割とか資産割とか平等割とか均等割というのでできておるわけでございまして、特に世帯当たり幾らというような保険料がこの中にあるわけでございますから、どうしても世帯単位での賦課ということが必要になります。
 その場合に、またその世帯の中でだれが権利義務を法律上構成するかということになるわけでございます。その際、私どもとしては、同一世帯に保険料税の負担能力のある国保の被保険者が複数おられた場合、例えば主人はサラリーマン保険で奥様と子供さんが国保に入っておられる、両方とも負担能力がある、所得がある場合に、国保の責任者あるいは市町村長として、所得割についても資産割についても均等割、平等割についても、だれに保険料を払えというふうに法律上権利義務を課すかというのは非常に難しくなるわけでございます。行政の方が恣意的にどちらの方というのに決めるのはなかなか難しい事態が生ずるということで、そういう意味で、複数いた場合に、国保の事務で、納付義務、課税義務を特定することが非常に困難であるということから、世帯主を納税義務者とせざるを得ない。つまり、擬制世帯主を制度上つくらざるを得ない、そういう制度になっておるわけでございまして、国保はそういう保険料の取り方の中でそういうシステムができるということでございますので、大変先生にも、あるいは先生の御主人にもいろいろ御迷惑をかけたようですけれども、どうぞ国保の制度ということでぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。
#173
○大野(由)委員 地方税法の七百三条の四の中の「国民健康保険を行う市町村は、国民健康保険の被保険者である世帯主に対し、国民健康保険税を課することができる。」こういう条文を今局長さんはおっしゃったことだと思いますが、この「世帯主」を世帯主または世帯の構成員で届け出た者、このように改めれば、こうした矛盾は解決するんじゃないか。届け出なければ世帯主がその責任を負う。しかし、世帯主または世帯の構成員で届け出た者、そのようにすれば、国保の加入者が複数いた場合、妻と子供が国保に入っている場合も解決できるのではないか、そう思いますが、御見解を伺いたいと思います。
#174
○黒木政府委員 地方税法の規定を御引用になりましたけれども、先ほど申し上げましたのは、七百三条の四の十八項の規定に「国民健康保険の被保険者である資格がない世帯主の属する世帯内に国民健康保険の被保険者がある場合においては、当該世帯主を第一項の被保険者である世帯主とみなして国民健康保険税を課する。」こういうふうに擬制をいたしておるわけでございます。
 そこで、御提案でございますけれども、複数いられた場合に、届け出制によって納税義務者を確定するシステムにしたらどうであろうかという御提案でございます。届け出があった場合に、市町村長がそのとおりというふうに、いずれにしたって世帯主がだれかを確定する必要があるわけでございますけれども、やはり届け出制では、私どもとしては世帯主の認定業務が不安定になるんではないかという心配がいろいろとあるわけでございます。そういう意味では、強制保険でございますから、世帯主の認定は届け出ではなくて一義的に、制度的には決めさしていただきたい、実はこう思っておるわけでございますが、先生の御指摘でございますから、そういう道があるかどうか、今後の研究課題というふうにさしていただきたいと思います。
#175
○大野(由)委員 これは私の健康保険証を持ってきたわけですけれども、この表には、要するに大きく世帯主である夫の名前が書いてある。それでわざわざ丁寧に、被保険者でない世帯主とただし書きが書いてあります。肝心の保険料を払っている私の名前はどこかと思ったら、一番裏に小さく書いてある。この健康保険証もちょっと様式を改めてもらいたい。
 今は世帯主ということですが、これは健康保険税のところと健康保険料のところがございます。東京二十三区は健康保険料の扱いをしておりますので、私の友人等の話では、保険料扱いですから必ずしも世帯主でなくていいということで、妻本人に請求書が来ている、そういう区もございます。世帯主の夫のところに来ているところもある。二十三区はばらばらのようでございます。健康保険料ですので、妻本人に国民健康保険の請求が来ている。そしてお金も妻が払っている。しかし、保険証はこれと同じく表に被保険者でない世帯主の名前が書いてあるということで、その私の友人も、請求は私あてに来て私が払っているのにこの保険証は何だ、国保では女性は一人前の扱いを受けてないんじゃないかということで、非常に憤慨をしている友人もおります。こうしたことも国民保険税と国民保険料で若干条文が違って、取り扱いが違うようでございますが、ぜひこの保険証の様式も検討していただきたい、そう思います。
 憲法の第十三条の中に「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」こうございます。このように、世帯主ではなくて世帯の構成員であっても、その届け出た者が国民健康保険税を払うというふうに条文を変えてもらうことは公共の福祉に反することになるかどうか、お伺いしたいと思います。
#176
○黒木政府委員 御指摘のように、国民健康保険関係の納付義務者につきましては、税法では税は非常に厳格な法律要件等を規定しておりますので、はっきり納税義務者ということで世帯主、世帯主が国保の被保険者でない場合には、世帯主とみなして国民健康保険税を課するというふうに厳格に規定しているわけでございますが、保険料につきましては、私どもの法律もそうでございますが、やや要件を緩くしておりまして、「世帯主又は組合員から保険料を徴収しなければならない。」ということで、一義的に書いてないわけでございまして、その辺はそれぞれの自治体の条例、準則等の運用で処理をされているわけでございます。
 御指摘のように、これから女性の社会的な進出がますます大事になってくる時代でございます。保険証に奥様の名前を今御指摘のような形で取り扱っている等を含めまして、保険証の様式等を含
めまして、私どもは新しい時代に即した保険証の様式あるいはいろいろきょう御提案をいただきました点を含めまして、今後検討をさしていただきたいな、かように思っておるわけでございます。
#177
○大野(由)委員 きょうは地方税法を扱っていらっしゃる自治省の方にも来ていただいておりますので、この問題について御意見を伺いたいと思います。
#178
○三沢説明員 ただいまのお尋ねでございますが、国民健康保険税につきましては、その実質は医療保険であるということで、国民健康保険料とできる限り整合をとって制度的な整備を行っているところでございます。
 ただ、これは地方税に規定しております税であるということからいたしますと、どうしても税としての厳格な要件というのが要求されることがございまして、特に一般論で申し上げますと、税におきましては、納税義務者がだれかということは税の世界の中でも最も重要かつ基本的な事項でありまして、こういう事項につきましては法律の中で明確かつ一義的に決めているというのが通常の扱いでございます。したがいまして、国保税につきましても、そういう先生おっしゃるような届け出制がとれるかどうかというのは、税という徴収形式をとるという観点からいいますと非常に難しいといいますか、微妙な面があるんじゃないかというような感じもいたしておるわけでございます。
 なお、厚生省の方で御検討されるというようなお話もございましたので、また必要に応じて十分厚生省とも協議してまいりたいと思っております。
#179
○大野(由)委員 時間がなくなってまいりましたので、最後に厚生大臣に要望をさせていただきたいと思います。
 このことに関しましては、男性の皆様から見ると非常に瑣末なことにこだわっている、そんなことどうでもいいじゃないかと思われるかもしれませんが、決してそうじゃありませんで、小さなことではなくて、女性にとっては大変重要な問題でもございます。今、夫婦別姓を求める声も非常に高まっておりますが、まずこの当然であるべき、税金もきちっと払っているにもかかわらず一人前扱いをされてないという、ちょっとした「世帯主」というのを世帯主もしくは世帯の構成員で届け出た者というふうに、そこのところを変えるだけで何ら不都合なしに変えられる問題でございますので、厚生大臣にもぜひこれは頑張っていただきたい、変えていただきたいな。本当に今そうした時代の趨勢ではないかと思います。
 その件と、昨日、我が党の遠藤議員が予算委員会で三歳児未満の医療費の無料化、大臣から大変前向きの答弁をいただいたということで喜んでおります。私も本来は、きょうこの三歳児未満の医療費のことをしっかりやりたかったわけですが、昨日もう終わっておりますので、きょうは繰り返すことはやめますが、この三歳児未満の医療費の無料化をしっかりと前向きにやっていただきたいということと、国保の書きかえの問題、厚生大臣の御決意を最後に伺わせていただいて、終わりたいと思います。
#180
○土井政府委員 恐縮でございます。大臣の答弁の前に、乳幼児医療の問題につきまして私から答弁をさせていただきます。
 乳幼児の医療費のうち、治療が長期にわたり経済的にも精神的にも負担の大きい小児慢性特定疾患並びに障害の予防や除去、軽減を図り、児童の健全な発育を図るために不可欠な養育医療や育成医療、これらの特に手厚い援護が必要な特別の疾病につきましては、既に治療費の公費負担を実施しているところでございます。このようなことから、医療保険制度が全国民をカバーしている中で、公費負担制度を乳幼児一般にまで拡大する考えにつきましては、私どもそのような考え方は持っておりませんので、御理解を賜りたいと存じます。
#181
○大野(由)委員 ちょっとおかしいのじゃないんでしょうか。どうでしょうか、大臣。
#182
○山下国務大臣 お答えいたします。
 先ほどの国保の件につきましては、御趣旨はよく承りました。
 なお、乳幼児の医療費の助成制度につきましては、ただいま政府委員が答弁いたしましたとおりでございますが、検討すべき課題だと考えております。
#183
○大野(由)委員 ぜひ前向きに大臣、よろしくお願いをいたします。大変ありがとうございました。
#184
○牧野委員長 児玉健次君。
#185
○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。この改正案は非常に重要な、深刻な内容を持ったものですから、十分な審議を求めたい、まずそのことを申します。
 さて、現行の健康保険法ですが、第七十一条ノ四、そこでいわゆる政管健保、保険料云々といって、保険給付費、保険施設費、老人保険拠出金などなど、こういった「費用ニ不足若ハ剰余ヲ生ジ又ハ生ズルコト明トナリタルトキハ」云々、こうあります。剰余を生じたときは健康保険料はどうなるのでしょうか。
#186
○黒木政府委員 現行の七十一条ノ四の二項の規定でございます。要するに、費用に不足が生じあるいは剰余が生じた場合の取り扱いについてのお尋ねでございます。
 ここで書いてございますように、社会保険庁長官は、不足があれば厚生大臣に対して保険料の引き上げを申し出ることになりますし、あるいは剰余があると厚生大臣に対しまして社会保険庁から保険料の引き下げを求めるということにこの規定は解釈をいたしております。
#187
○児玉委員 時間が限られています。ずばっと聞きますからずばっと答えてください。
 さて、剰余を生じたときは保険料率を引き下げることになる、そのとおりだと思います。一兆四千億円の積立金を積み立てるまでの間、明白に単年度でいえば剰余が出ているし、そして七十一条ノ四では「剰余ヲ生ジ又ハ生ズルコト明トナリタルトキハ」という規定もございます。そうなると、これまで保険料率の引き下げをしなかったのはなぜですか。
#188
○黒木政府委員 端的に申し上げまして、財政運営の見通しについて不安があったからでございます。
#189
○児玉委員 それは法の趣旨に反しますね、単年度でやる、明白にこのように言っているのですから。
 そのことについて指摘をした上で、今回の改正案では剰余という言葉が消えてしまっていますね。なぜですか。
#190
○黒木政府委員 今度の改正法では、同様の趣旨でございますけれども、中期的財政運営を図るための基本的な考え方を書いてございますが、「財政ノ均衡ヲ保ツコトヲ得ルモノタルコトヲ要ス」ということで、「財政ノ均衡」ということで、財政の不足あるいは剰余という感じの規定を置きかえているわけでございます。
#191
○児玉委員 その改正法の七十一条ノ四なんですが、引き上げについてはいわゆる三条件、保険料率の引き上げに係るものは診療報酬の改定だとか老人保険拠出金などの増加云々、こういうふうに述べてありまして、そして、しかもその範囲は千分の六十六ないし千分の九十一、先ほどの厚生大臣が授権されている範囲というのが明示されています。ところが、国庫補助率を変更することということについては、もっと端的にいえば、国庫補助率を引き上げるということについては全く規定がない。なぜでしょう。
#192
○黒木政府委員 現在の国庫補助率についての考え方も、一定の国庫補助率の幅の中で政令で定めるということに補助率はなっているわけでありますけれども、それを法律の附則で、当分の間現行の一六・四とするということで固定をいたしているわけでございます。今回もそういう許容の幅の中で、今回は法律で引き下げた額を明記させていただいたということでございまして、これまでの考え方とその点では規定ぶりは軌を一にしているというふうに考えております。
#193
○児玉委員 今の厚生省の答えは、本則で明示されている千分の百六十四から千分の二百、その間
で政令で定めるというふうになっていますね。その範囲の中で黒木局長の今のお話があるのであれば、私は幾らかわからないでもないのですよ。本則ではそうしておいて、そして附則で当分の間と称して千分の百三十とする。これは皆さんは多分法定事項だとおっしゃると思う。それを改めるというのは、本則で言っている国庫補助率の範囲の中でありませんから、そこをもとに復する場合などというのは、この可能性についてこの法律に規定を設けていないとおかしいと思うのですが、どうですか。本則の中の千分の二百から千分の百六十四の範囲であれば、厚生省の政策的判断で政令によって決めることができるだろう。その場合に引き上げについて明記しなくてももしかしたらいいかもしれない、私はそう思います。附則でその範囲を外れているのだから、書かなければおかしいじゃないですか。
#194
○黒木政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、授権の範囲で政令で定めることを得るわけでございます。現在も当分の間の規定として、一定の料率一六・四を固定させていただいておりますけれども、授権の範囲内で政令という規定はあるわけでありますが、同じように附則で当分の間の補助率ということで今回お願いをしておるわけでございますから、そういう意味では私どもは矛盾がないというふうに考えております。
#195
○児玉委員 授権の範囲内とおっしゃるけれども、範囲内という場合は、ある上下の間隔がありますね。千分の百三十と固定されている、当分の間という留保がついているけれども。そして、それを政令で改めるという言葉はここには及ばないと思うのですよ。そうなると、千分の百三十を動かすとき、どういう場合動かすかというのを書いておかなければ、たとえ当分の間という留保があったとしてもおかしいのじゃないですか。保険料率を上げるときについてはあれこれ明示されていますけれども、明らかに片手落ちじゃないでしょうか。
#196
○黒木政府委員 国庫補助につきましては当分の間の暫定措置でございます。したがいまして、国庫補助率についてどうあるべきかということを検討して、そういうシステムを今回導入するということではございません。暫定措置として今回お願いしています国庫補助率で十分中期的な財政運営が図れるということで、一定の料率への引き下げをお願いをしているわけでございます。
 したがいまして、おっしゃるような意味からすると、本則に対応します考え方という意味では、暫定措置でない形で国庫補助のあり方を早急に検討の上、ここを私どもは規定をしていく必要はあるわけでありますけれども、今回は私どもとしましては、その授権の範囲とは少しあれでございますけれども、政令で定めるものを法律の附則でこれまでも規定をいたしておりましたし、それは当分の間、暫定措置でございましたが、今回も暫定措置、当分の間の措置ということで、授権の規定とは別個に法律で料率を規定をいたしまして、それの御審議をお願いしているということでございます。
#197
○児玉委員 法で言う授権の範囲ではないということをお認めになったことを私は重視します。その点についてはまだ引き続き論議をしますが、二つ目の御質問です。
 事業安定資金を創設するというふうになっております。もし本当に政管健保の財政安定を願うのであれば、なぜせっかくの安定資金が発足するそのときにこういう大幅な国庫補助率の引き下げをやるのか。本当に政管健保の財政安定を将来願うのであれば、むしろ何らかの発足に当たってのプレゼントをして当たり前だけれども、そうでなくて引き下げて、さあどうぞ走り出せ、これは世間に通る話じゃないですが、いかがですか。
#198
○黒木政府委員 今回の事業安定資金をお願いをしているわけでございますけれども、制度発足に当たりましてどういう資金の機能を持たせるか、あるいはどういう保険料率あるいはどういう国庫補助率で中期財政安定を図っていくかというのが私どもの方の大きな政策テーマであったわけでございます。
 幸いに現在単年度で三千五百億円、積立金にして一兆四千億の積立金がある状況の中で、私どもの方は保険料率及び国庫補助率について、当然ながら大幅な黒字を計上し続けるよりも、保険料の引き下げという形で財政の均衡を図っていくことの方がこの時点の判断としては正しいということで、保険料の引き下げを検討し、あわせてなお余裕があるということで、国庫補助率の引き下げを今回お願いをしたということでございます。
#199
○児玉委員 今の点、さしあたって私は二つのことを指摘したいのですね。
 一つは、その積立金が出ているということについては、先ほど述べましたように「剰余ヲ生ジ又ハ生ズルコト明トナリタルトキ」、それが明らかになっていても、皆さんは保険料率を下げないままこれまでやってきた。単年度で下げるべきでしたよ。それをしなかった。
 二つ目は、きょうの審議の中でたびたび話に出てきますが、五年間の中期的な展望と不測な事態という言葉を厚生省は慎重にお使いになっています。それから医療費の増高ということもお使いになっています。そういう大きな要因を抜きにすればやっていける。それはそうかもしれません。ところが加入者にとっては、後から考えてみて見通しが外れたといって、わかりましたと言えるような筋ではないのですから、安定資金が走り出すときに、もしそれを五年間程度で見ることが必要だとお考えであれば、今まで以上に国の手当ては厚くして、さあ旅立てというのが普通は親のやり方ですが、そうなっていませんよ。
 そしてもう一つ、これも本会議の質問で大臣にお伺いしたことなんですが、国庫負担の一部繰り延べ措置、今年度末で五千四百九十一億円、九二年度末ではさらに金額がふえるでしょう。これを速やかに特別会計の健康勘定に戻しなさいと述べたのに対して、これは私率直に申しますが、本会議での答弁が宮澤首相と山下厚生大臣のニュアンスは違いました。宮澤首相は、国の財政状況を勘案してできればというふうなニュアンス、手元に会議録がないから、私はそういうニュアンスとして聞いた。山下厚生大臣はもう少し踏み込んで、早く戻してほしいというそういう意思をも表明されたように伺いますね。安定資金を本当に財政安定に向かわせるのであれば、国庫負担の引き下げをしないことと、この繰り延べ措置について速やかに戻させる、これが必要ではないかと思うのですが、大臣、この点いかがでしょう。重ねて伺います。
#200
○奥村政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘の政管健保の国庫補助の減額特例措置につきましては、一般会計の財政状況が極めて厳しいというような状況に対応して講じられた特別の措置でございますので、国の財政状況等を勘案しつつ、できる限り速やかに繰り戻されるよう、適切に対処してまいりたいと考えております。
#201
○児玉委員 できるだけ速やかにというのは、できなきゃしょうがないという意味ですよ。厚生大臣及び厚生省は、政管健保の加入者のある意味では守り手でなければいけないのだから、できるだけ可能なときなんて言わずに、ともかくこれは返してくれという立場で臨むべきではないかと思うのです。この点山下大臣、大臣の考えを聞かせてください。
#202
○山下国務大臣 ただいま政府委員が申し上げたとおりであります。
#203
○児玉委員 それじゃ、なおさらこの運営安定資金の将来を危ぶむということを私は述べておきましょう。次に、医療保険審議会についてです。本会議の質問で私は指摘をしたわけですが、ILOの疾病保険の一般原則に関する勧告二十九号、繰り返しませんが、要するに、この保険制度を管理していく場合に、被保険者の選挙された代表が重要な地位を占めなければならない、こういう趣旨です。今まで大体そうなっていましたね。ところが今度そうでなくなる。言ってみれば、これは審議会の性格からしても、そして、こういうことについて
の国際的な規範に照らしても問題を含むのじゃないか。いかがですか。
#204
○黒木政府委員 健保組合の組合の運営につきまして、あるいは政管の個別問題としての審議会における部会運営におきまして、私どもはできるだけ三者構成の趣旨に沿った運営が行われるべきだという考えは持っております。
#205
○児玉委員 ところが、実際はそうはならない。そして、先ほどの御答弁を聞くと、今まで推薦をしてもらってきた団体の推薦を引き続きもらう。しかし、仕組み自身がもう変わってしまうわけですから、この点は将来に問題を残すという点は指摘しておきます。
 次に、医療保険審議会は何をやるのか。本会議の答弁で、同僚議員の質問に対して皆さん方は、医療保険の一元化に向けて審議をする場となるという趣旨のことを何回かお答えになりました。
 そこで私は質問したいのですが、厚生省が一九八四年四月に発表された高齢者対策企画推進本部報告、この中の医療費の保障、医療保険制度の一元化、その部分で具体的方策として、各医療保険制度における給付の公平化と小項目がありまして、医療保険制度における給付率は原則八割程度で統一するとなっていますね。厚生省の考えは今も変わりありませんか。
#206
○黒木政府委員 今後、医療保険の一元化について御議論を願うわけでございます。
 私どもの考え方でございますけれども、医療保険の将来構想あるいは給付率等々につきましては、関係者に非常にさまざまな意見があるということでございますから、まず審議会の御意見を聞かせていただいて、その中で私どもの考え方を判断をしていきたいと思っておりますけれども、お尋ねでございます。
 私どもは、医療保険制度の枠組みにつきましては、被用者保険の枠組み、それから地域保険としての枠組み、それから老人保健の枠組みという、おおむね現行枠組みの中で制度設計を行う方が望ましい、あるいは現実的だと考えておりますけれども、給付につきましては、確かに企画推進本部で八割程度と書いておりますし、私どものこれまでの答弁も、そのような観点からの答弁をしてまいったわけでございますけれども、給付率につきましては、現段階では少し弾力的に考えておりまして、例えば入院と外来と給付率に差があっていいのではないか等々含めまして、給付率のあり方という意味では、非常に弾力的な考えで御意見をいろいろ賜るうかなというふうに思っております。
#207
○児玉委員 時間のようですから、最後に今のお話に関連してなんですが、各種健康保険制度の給付率の引き下げを検討するのでなく、この際そこのどころは厚生省としてははっきりさせていただいて、国民健康保険の給付率の引き上げを検討する、そのことが今最も国民的に迫られている課題ではないかと思いますが、いかがですか。
#208
○黒木政府委員 具体的にこれからの審議事項につきまして、引き上げる、引き下げるというのはなかなかお答えしにくいことでございます。私ども考えておりますのは、これからの高齢化社会を迎えまして、ますます若い勤労世代の負担がいずれ多くなってくるわけであります。その中で、一体医療保険全体としてどういう給付が望ましく、それの裏腹としてどういう負担が望ましいかという基本に立ち返った議論をまずする必要があるのではないかというふうに思っているわけでございまして、この段階で、ある保険は下げて、ある保険は上げるという発想ではなくて、まず医療保険全体としてどうするかという議論から出発していきまして、それから各制度についてのそれぞれのありざまというものについて検討をし、結論を出していきたいものというふうに思っております。
#209
○児玉委員 終わります。
#210
○牧野委員長 柳田稔君。
#211
○柳田委員 今回の健保法改正は、かつて三Kと言われて赤字財政の代表のような感じでございましたけれども、今回財政が立ち直りまして財政が安定した。さらにその基盤を確立していこうということで行われているというふうに理解をしているわけであります。すなわち、これまでは単年度ごとの収支均衡を前提としておりました政管健保の財政を中期的事業運営資金に切りかえて、その一層の安定を図るというのが今回の改正の大きな理由というふうに思っております。
 そこでお尋ねしたいのですけれども、今回政管健保について中期的財政運営方式を採用するということでございますけれども、具体的な運営方法はどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
#212
○黒木政府委員 具体的な財政運営についてのお尋ねでございます。
 私どもの方は、五年程度を見通しました中期的な財政運営ということで運営していくわけでございますけれども、このためには現在の積立金を資金の形にして、これが非常に重要な運営の、何と申しますか調整機能をこれから果たすものというふうに考えておりまして、事業安定資金の創設ということに非常に政策的なウエートを置いておるわけでございます。具体的には、各年度におきまして生じました歳入の余剰、この場合には資金に繰り入れますし、それから、歳入に不足が生じますれば資金から今度は繰り入れるということで、つまり、余裕があれば資金に積んでおくし、不足があればその資金から持ってくるという形で、五年間は保険料を上げ下げすることなしに安定的な運営が図られるのではないかということで、資金の創設を中心に、今回の中期的な財政運営安定のシステムなり具体的な運用は考えているところでございます。
#213
○柳田委員 今までは単年度ごと、これからは五年間を見通すということでありますが、この中期的運営と単年度、いいところもあれば悪いところもあるかと思うのです。すべてが中期的になればよくなるとも思えないわけなんですが、この辺で中期的にすれば、今御説明がありましたいい点もわかるのですけれども、こうして悪い点も何か出てくるようなところもあるでしょうか。
#214
○黒木政府委員 今回、中期的な財政運営のために資金の創設という形で行っているわけでございまして、そういう調整機能を資金が果たしますとともに、その資金の運営を今は短期で回しておりますけれども、長期で回すことによって、例えば健康づくり対策の資金を捻出するといったような形で、さらに財政運営の安定に資するといったようなことから見まして、私どもとしましては財政の運営の安定確保、あるいはこれからの政管の持っております保険事業の拡充といったような面から見ましても、今回の運営方式はメリットの方が多いのではないかというふうに考えております。
#215
○柳田委員 メリットの方が多い、そうだろうというふうに思いますのでは、なぜメリットが多いことを今回改正しなければならなかったのだろうか。去年でもよかったし、おととしでもよかったのではないかと思うのですが、なぜ今回この方式を採用されたのでしょうか。
#216
○黒木政府委員 私どもとしましては、今回の改正で中期的財政運営の方式に実は踏み切ったわけでございます。いろいろあちこちから、財政については単年度という方式ではなくて、中期的な発想が大事だという御指摘はいただいておったわけでありますけれども、それをどういうふうに導入に踏み切るかというのは、一種の悩みの種であったわけでございますけれども、幸いにも平成三年度には一兆四千億という積立金が生ずる。これで先ほど申しましたように、中期的財政安定に最も大事な資金という形でこれが確保できるという見通し、今回の予算編成等を含めまして積立金の一兆四千億円に達するという状況、そしてこれが資金の形で活用できる状況ができたということが、今回私どもがこのような改正に踏み切った理由でございます。
#217
○柳田委員 一兆四千億円という資金ができたからということでありますが、意地悪く聞けば、一兆円ではだめなんですかということにもなりかねないわけですけれども、それはさておきまして、中期的な財政運営をすれば安定的な運営ができるということでございます。
 ならば、政管健保だけではなくて、健康保険組合も中期的財政運営に改めてもいいのではないかなというふうに思うのですが、健保の方はいかがでございましょうか。
#218
○黒木政府委員 中期的財政運営の方式を健保組合にも当てはめていいのではないかというお尋ねでございます。
 何度も申し上げておりますように、中期的財政運営のかぎをなすものは、いわば積立金でございます資金でございます。私どもは、今回給付費の約三カ月分を保有いたしましてこの制度に踏み切ったわけでございます。
 それでは、健保組合に例えば三カ月分あれば同じように運営ができるかということでございますけれども、先生御案内のように、健保組合は財政規模が非常に小さいものから大きいもの良であるわけでございまして、財政規模が非常に小さいところは、そこの被保険者に非常に重病な、費用の高くつくような患者さんが一人、二人出ただけでも財政に影響が出るというようなことも言われているわけでございますから、健保組合について同じような方針、考え方でいいかどうかというのは、政管は三千万を超える加入者の集団でございますから、それと小集団の健保組合と同じような考え方でいいかどうか、私どもはこれから学者の先生にもお願いいたしまして、鋭意その辺についての検討をし、それを踏まえた今後の指導というものを心がけていきたいと思っておるわけでございます。
#219
○柳田委員 政管健保は資金ができましたから中期的財政運営に切りかえます、ただ、健保の方は資金もないし、財政規模も小さいのでもう少し辛抱してくれ。では、将来的には、資金ができた、さらには規模もだんだんまとまってきていいことになってきたら、中期的なものも取り入れるべきだというふうにとらえてよろしいのでしょうか。
 何を言いたいかといいますと、要は、このまま政管と健保の差が広がるのではないか。規模の大きさ、資金の保有、資金があるなしで、こういうふうな安定的な運営ができる政管健保と、単年度ごとで赤字になれば値上げしなければならないという健保と、だんだん差が出てくるのではないかなと思うのです。ですから、資金がなければ国から資金を拠出してあげればいいし、財政規模が小さいというならば、それなりのグループをつくってあげるように指導するということもできるかと思うのです。
 話はぱっと飛びますけれども、造船が不況になったときにグループ化を進めました。そして、やっと立ち直ってきたということもあるわけであります。健保に対してもそれなりの英断をしていただいて、安定的な運営ができるような組合に変えるというのも一つの手だてだと思うのですけれども、こういうことについてはいかがでございましょうか。
#220
○黒木政府委員 中期的な財政運営の考え方というのは、健保組合においても当てはまるものと基本的には私は考えております。したがいまして、健保組合においても、余裕があれば保険料を下げ、不足があれば上げるということで保険料が年々上下するよりも、安定的な料率での運営というものを心がけていただきたいと思っているわけでございますが、厚生省が健保組合を指導します場合に、もっときめ細かな指導が必要になってくるわけでございます。
 健保組合は、かなりの積立金を持っているところもあるわけでございますから、今でも同じような運営が可能かもわかりませんけれども、私どもとしましては、財政規模だとかあるいは健保組合の特殊性とかを踏まえながら、少し学問的と申しますか、健保組合についての財政運営に限っての専門的な研究をしてみたいな。さらには、市町村国保についても、今後そのような考え方をどのように適用していくかという話もでてくるわけでございますから、厚生省としても政管健保の今回の運営方式の改革を機に、他の医療保険についても今後の財政運営のあり方ということで幅広に検討してまいりたい、このように考えております。
#221
○柳田委員 最終的には一元化ということに結びつくような気もしないでもないのですけれども、先ほどいろいろと御質問がありましたけれども、高齢化高齢化、もう耳にたこができるくらい聞いております。高齢化になったときに考えなければならないのは、保険料率であり、国庫負担であり、自己負担のあり方であり、保険給付のあり方、いろいろと重要な問題があるわけであります。この辺をカバーしながら一元化ができれば、各組合によった差もできてこないだろうというふうには思うのですけれども、まだいろいろとハードルが多いだろう。しかし、しなければ皆さん同じような、公平な医療が受けられない。
 意味は保険料率とかということに関してですけれども、公平ではない、だから一元化を進めるべきだということもあるわけでありますし、また、政府の方も一元化についてそれなりの力を入れているわけであります。ただ、政府としての一元化に対する基本的な考えといいますか哲学といいますか、お持ちであればお答えを願いたいと思います。
#222
○黒木政府委員 一元化につきましては、厚生省としては大事な政策テーマだというふうに考えております。
 これまでは、御案内のように制度内の改革、老人保健制度をどうするか、国民健康保険制度をどうするかということで改正をし、さらに見直し検討というような形で、再度再改正をするということで、高齢化に対応するような形での医療保険制度のあり方ということで取り組んでまいったわけでありますけれども、幸い老健法につきまして見直し改正も先国会においてお認め願ったわけでありますから、この段階で私どもとしては医療保険の一元化、給付と負担の公平化に向かってまさしく検討に着手しなければならない、あるいは二十一世紀に向かって検討に踏み出す時期だというふうにいたく痛感をいたしておりまして、今回の社会保険審議会の改組も、そういう趣旨でお願いをしているわけでございます。
 私どもは、今後とも二十一世紀における医療保険についての理想像を追い求めながら、制度の枠組みから給付の範囲から財源のあり方から、幅広に新審議会の御意見もいただきながら、誤りなきよういい制度の構築を目指して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#223
○柳田委員 今、黒木保険局長からお答えを願ったわけでありますが、一元化を進めていく上での基本的考え、哲学、ここまで言っていいかわかりませんけれども、大臣に、こういう考え方で、哲学でやるというものがあれば、お聞かせ願いたいと思います。
#224
○山下国務大臣 今、保険局長がお答えいたしましたのが基本的な考え方であり、哲学であろうかと私は思います。今後この基本的な考え方を踏まえて、私どもこれを推進していくということでございます。
#225
○柳田委員 哲学を伺いまして、もう時間となりましたので終わらせていただきますが、ぜひ今後ともお進めを願いたいと思います。ありがとうございました。
#226
○牧野委員長 次回は、明十一日水曜日午後三時理事会、午後三時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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