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1992/04/17 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第8号
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1992/04/17 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第8号

#1
第123回国会 厚生委員会 第8号
平成四年四月十七日(金曜日)
    午前十時九分開議
出席委員
  委員長 牧野 隆守君
   理事 粟屋 敏信君 理事 石破  茂君
   理事 野呂 昭彦君 理事 平田辰一郎君
   理事 持永 和見君 理事 網岡  雄君
   理事 池端 清一君 理事 遠藤 和良君
      伊吹 文明君    衛藤 晟一君
      小沢 辰男君    大石 千八君
      岡田 克也君    加藤 卓二君
      坂井 隆憲君    志賀  節君
      鈴木 俊一君    住  博司君
      戸井田三郎君    丹羽 雄哉君
      畑 英次郎君    三原 朝彦君
      宮路 和明君    簗瀬  進君
      山口 俊一君    沖田 正人君
      川俣健二郎君    小松 定男君
      五島 正規君    清水  勇君
      鈴木喜久子君    田中 昭一君
      竹村 幸雄君    外口 玉子君
      土肥 隆一君    石田 祝稔君
      大野由利子君    児玉 健次君
      菅  直人君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 山下 徳夫君
 出席政府委員
        文部省高等教育
        局長      前畑 安宏君
        厚生大臣官房老
        人保健福祉部長 岡光 序治君
        厚生省健康政策
        局長      古市 圭治君
        厚生省保険局長 黒木 武弘君
 委員外の出席者
        厚生委員会調査
        室長      高峯 一世君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十七日
 辞任         補欠選任
  大石 千八君     志賀  節君
同日
 辞任         補欠選任
  志賀  節君     大石 千八君
    ―――――――――――――
四月十六日
 看護婦確保法の制定に関する請願(田川誠一君
 紹介)(第一五三六号)
 同(田川誠一君紹介)(第一六〇三号)
 同(上原康助君紹介)(第一六九七号)
 同(河上覃雄君紹介)(第一六九八号)
 カイロプラクティックなど医業類似行為の取り
 扱いに関する請願(竹下登君紹介)(第一五三
 七号)
 同(野田実君紹介)(第一六〇六号)
 同(藤尾正行君紹介)(第一六〇七号)
 同(水野清君紹介)(第一七〇一号)
 同(武藤嘉文君紹介)(第一七〇二号)
 はり、きゅうの健康保険方針の抜本的改正に関
 する請願(児玉健次君紹介)(第一五三八号)
 療術の制度化促進に関する請願外二件(粕谷茂
 君紹介)(第一五三九号)
 同外四件(山本有二君紹介)(第一五四〇号)
 同(大内啓伍君紹介)(第一六〇八号)
 同(小里貞利君紹介)(第一七〇三号)
 同(大内啓伍君紹介)(第一七〇四号)
 看護職員をはじめとする保健医療・福祉マンパ
 ワー確保のための立法と確保対策の具体化に関
 する請願(外口玉子君紹介)(第一五四一号)
 腎疾患総合対策早期確立に関する請願(石破茂
 君紹介)(第一五四二号)
 同(田口健二君紹介)(第一五四三号)
 同外二件(田邊誠君紹介)(第一五四四号)
 同(辻一彦君紹介)(第一五四五号)
 同(外口玉子君紹介)(第一五四六号)
 同(仲村正治君紹介)(第一五四七号)
 同(山口鶴男君紹介)(第一五四八号)
 同(山本拓君紹介)(第一五四九号)
 同(越智伊平君紹介)(第一六〇九号)
 同(岡崎トミ子君紹介)(第一六一〇号)
 同(加藤卓二君紹介)(第一六一一号)
 同(児玉健次君紹介)(第一六一二号)
 同(高木義明君紹介)(第一六一三号)
 同(武部文君紹介)(第一六一四号)
 同(辻一彦君紹介)(第一六一五号)
 同(寺前巖君紹介)(第一六一六号)
 同(中野寛成君紹介)(第一六一七号)
 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一六一八号)
 同(亀井静香君紹介)(第一六一九号)
 同(米沢隆君紹介)(第一六二〇号)
 同(臼井日出男君紹介)(第一七〇五号)
 同(小沢辰男君紹介)(第一七〇六号)
 同(加藤繁秋君紹介)(第一七〇七号)
 同(草川昭三君紹介)(第一七〇八号)
 同(小森龍邦君紹介)(第一七〇九号)
 同外一件(竹内勝彦君紹介)(第一七一〇号)
 同(竹村幸雄君紹介)(第一七一一号)
 同(辻一彦君紹介)(第一七一二号)
 同(辻第一君紹介)(第一七一三号)
 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一七一四号)
 同(日笠勝之君紹介)(第一七一五号)
 同(宮路和明君紹介)(第一七一六号)
 公的年金制度改善に関する請願(阿部昭吾君紹
 介)(第一五五〇号)
 同(田川誠一君紹介)(第一五五一号)
 同(古堅実吉君紹介)(第一五五二号)
 同(阿部昭吾君紹介)(第一六二一号)
 同(金子満広君紹介)(第一六二二号)
 同(倉田栄喜君紹介)(第一七一七号)
 同(辻第一君紹介)(第一七一八号)
 同(三浦久君紹介)(第一七一九号)
 国立医療機関の賃金職員の定員化に関する請願
 (五十嵐広三君紹介)(第一五五三号)
 同(井上普方君紹介)(第一五五四号)
 同外二件(伊東秀子君紹介)(第一五五五号)
 同外九件(伊藤忠治君紹介)(第一五五六号)
 同(池端清一君紹介)(第一五五七号)
 同(遠藤登君紹介)(第一五五八号)
 同外一件(小澤克介君紹介)(第一五五九号)
 同(小川信君紹介)(第一五六〇号)
 同(小野信一君紹介)(第一五六一号)
 同(岡崎宏美君紹介)(第一五六二号)
 同外一件(北川昌典君紹介)(第一五六三号)
 同(貴志八郎君紹介)(第一五六四号)
 同(小林恒人君紹介)(第一五六五号)
 同(五島正規君紹介)(第一五六六号)
 同(後藤茂君紹介)(第一五六七号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第一五六八号)
 同(沢藤礼次郎君紹介)(第一五六九号)
 同(嶋崎譲君紹介)(第一五七〇号)
 同(清水勇君紹介)(第一五七一号)
 同(新盛辰雄君紹介)(第一五七二号)
 同(関晴正君紹介)(第一五七三号)
 同(関山信之君紹介)(第一五七四号)
 同外六件(田口健二君紹介)(第一五七五号)
 同(田中昭一君紹介)(第一五七六号)
 同外一件(竹内猛君紹介)(第一五七七号)
 同(永井孝信君紹介)(第一五七八号)
 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一五七九号)
 同(堀昌雄君紹介)(第一五八〇号)
 同(堀込征雄君紹介)(第一五八一号)
 同(前島秀行君紹介)(第一五八二号)
 同外一件(松浦利尚君紹介)(第一五八三号)
 同(松原脩雄君紹介)(第一五八四号)
 同(三野優美君紹介)(第一五八五号)
 同(武藤山治君紹介)(第一五八六号)
 同(元信堯君紹介)(第一五八七号)
 同(山内弘君紹介)(第一五八八号)
 同(山中邦紀君紹介)(第一五八九号)
 同(吉岡賢治君紹介)(第一五九〇号)
 同(宇都宮真由美君紹介)(第一六二三号)
 同(岡崎トミ子君紹介)(第一六二四号)
 同(田中恒利君紹介)(第一六二五号)
 同(辻一彦君紹介)(第一六二六号)
 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一六二七号)
 同(藤田高敏君紹介)(第一六二八号)
 同(木島日出夫君紹介)(第一六二九号)
 同(児玉健次君紹介)(第一六三〇号)
 同(寺前巖君紹介)(第一六三一号)
 同(東中光雄君紹介)(第一六三二号)
 同(古堅実吉君紹介)(第一六三三号)
 同(正森成二君紹介)(第一六三四号)
 同(三浦久君紹介)(第一六三五号)
 同(山原健二郎君紹介)(第一六三六号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一六三七号)
 同(石田幸四郎君紹介)(第一七二〇号)
 同外二件(上原康助君紹介)(第一七二一号)
 同外一件(加藤繁秋君紹介)(第一七二二号)
 同(草川昭三君紹介)(第一七二三号)
 同(竹内勝彦君紹介)(第一七二四号)
 同(竹村幸雄君紹介)(第一七二五号)
 同(辻第一君紹介)(第一七二六号)
 同外一件(鉢呂吉雄君紹介)(第一七二七号)
 同(日笠勝之君紹介)(第一七二八号)
 同(山元勉君紹介)(第一七二九号)
 重度心身障害者とその両親またはその介護者及
 び寝たきり老人とその介護者の家族が同居可能
 な社会福祉施設の設置に関する請願(持永和見
 君紹介)(第一六〇四号)
 乳幼児から学童期までの保育の充実に関する請
 願(大野由利子君紹介)(第一六〇五号)
 同(上原康助君紹介)(第一六九九号)
 輸入食品の検査・監視体制の強化に関する請願
 (小沢和秋君紹介)(第一六八一号)
 同(金子満広君紹介)(第一六八二号)
 同(木島日出夫君紹介)(第一六八三号)
 同(児玉健次君紹介)(第一六八四号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第一六八五号)
 同(菅野悦子君紹介)(第一六八六号)
 同(辻第一君紹介)(第一六八七号)
 同(寺前巖君紹介)(第一六八八号)
 同(東中光雄君紹介)(第一六八九号)
 同(不破哲三君紹介)(第一六九〇号)
 同(藤田スミ君紹介)(第一六九一号)
 同(古堅実吉君紹介)(第一六九二号)
 同(正森成二君紹介)(第一六九三号)
 同(三浦久君紹介)(第一六九四号)
 同(山原健二郎君紹介)(第一六九五号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一六九六号)
 より安全な水道水の水質基準見直しに関する請
 願(鈴木喜久子君紹介)(第一七〇〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 医療法の一部を改正する法律案(内閣提出、第
 百十八回国会閣法第六七号)
     ――――◇―――――
#2
○牧野委員長 これより会議を開きます。
 第百十八回国会、内閣提出、医療法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石破茂君。
#3
○石破委員 たびたび継続審議になってまいりました医療法がこのたび審議に入るということは、大変によいことだと思っております。
 戦後、日本の国は幾つかの大きな偉業をなし遂げてきたと私は思っております。高度経済成長もそうでありますし、豊かな生活水準もそうでございます。その中で特筆すべきものの一つというのは、やはり今日の医療の体制であろうかと思っております。すなわち、世界に冠たる医療水準、そしてまた平均寿命の長さ、乳児死亡率の低さ、心疾患死亡率の低さ等々を見ましても、我が国の医療というのは世界のトップレベルにあり、それをなし遂げた戦後政治というものはそれなりに評価をされてしかるべきものだ、かように思っておるところでございます。
 それに加えまして、医療費の国民所得に対する割合も、我が国は非常に諸外国に比べて低いというふうに言われております。もちろん、高齢化の度合いの進展の相違がございますから一概に言えることではございませんけれども、アメリカの一〇%、西ドイツの九・八%、英国の七・二%、フランスの一〇・八%と比べて、平成元年で六・二%ということであります。要約して申し上げれば、少ない医療費で国民の健康を保持し、そして平均寿命が高い。言葉が適切かどうかは知りませんが、効率的な医療というものをやってきた、かように思っています。しかしながら、今までがよかったからこれから先もこれでいいのかといえば、それは決してそうではない。
 医療法というのは昭和二十三年に制定をされたものでございますが、今日に至るまで本質的な改正というものは一向になされておりません。今まで急性疾患中心であった医療体系というものを今日の慢性疾患中心のものに変えていく必要があるんではないか、かように思っております。したがいまして、これからの課題としてはどういうことが言えるんだろうか。
 それは、高齢化の進展にどのように対応していくかということ、そしてまた疾病構造の変化にどのように対応するかということ、そしてまたよく言われることでありますが、三時間待って三分診療ということが言われております。こういう患者の大病院志向というものにどういうように対応していくかということも考えていかねばならぬでありましょう。そしてまたいま一つ考えねばならないのは、増大する医療費に対してどのような対応をしていくべきかという視点も必要ではなかろうかと思っております。
 御高承のとおり、昭和六十年では国民医療費というのは十六兆円であった。十二年ではこれが四十三兆円になると言われ、二十二年になると八十八兆円になると言われる。これが本当に賄うことができるんだろうか、そしてまただれがそれを負担するんだろうか、そしてまた増大する医療費を賄った上で、今日の医療水準というものを維持することが本当に可能であろうかなということを考えていかねばならないと思っております。そしてまた、臨調や行革審におきましても、高齢化のピークにあっても国民の負担率というのは五割以内にしたい、こういうふうに言われておるが、それにこれから先の医療というものはどのような形で対応するべきなのか、かよう店視点も私は必要であろうと思っておるところでございます。
 そこでお尋ねをいたしたいのでありますが、今回の医療法の改正に関しまして、厚生省の側から、今回の医療法の改正というのは第一歩であります、全体を踏まえた上での第一歩であって、もちろんこれが完全なものではない、第一歩なんだよというお話をよく承ることでございます。私どもはお金がどれだけかかってもいいとは思っておりません。個人の負担はできるだけ少なくしていかなくてはならないし、公の負担というのもどこまでもしていいというものではない、それはあくまで国民の血税でありますから。
 そういうような形で、負担を抑えながら活力ある医療供給体制というのはどのようにつくっていくべきか、医療法の改正というのはまさしくそれに向けての第一歩でなくてはならぬ、かように思っておりますが、今回の医療法改正が第一歩であると言うからには、何に向けての第一歩であるのか、そのグランドデザインを承ることができれば幸いでございます。
#4
○山下国務大臣 ただいまお話しになりましたように、戦後約半世紀の間にあらゆる制度、あらゆる面において非常な長足の進歩を遂げておりますが、その中でも仰せのとおり、私はまさに医療は特筆すべき進歩を遂げていると思うのであります。これは、これに携わる関係各位の大変な日常の努力の結果だろうと思うのでございますが、しかし、いよいよ二十一世紀の高齢社会を迎えるに当たりまして、従来の手法でいいのかな、ここで一遍洗い直して考えてみる必要があるというのが今回のまず第一であったと思うのであります。
 従来は、いつでもだれでもどこでもという発想の医療でありましたが、ここでさらに、いつでもだれでもどこででも、より適した、より高度の医療を受けるということに着目したということであろうかと思います。言うなれば、合理的な医療体系へと今後変わっていかなきゃならぬと思うのであります。
 そこで、それが第一歩ということでありますが、この医療体系の再編成を今度やるのでございますけれども、医療も、あるいは医療だけではなくてあらゆる薬学にしても何でもそうでありますが、日進月歩でございますから、この機会にひとつとにかく従来のやつを洗い直して、再編成をやって大きく変革をもたらしたい。先ほど申し上げましたより合理的な良質なものを提供するとともに、今後この医療の進展につれて、あるいはまた将来に向かって適宜そういった改正があるかもしれませんが、今度はその将来に向かっての一つの新しいスタートに立った医療の改革だ、このように理解しておる次第でございます。
#5
○石破委員 今回の法律改正によって、初めて理念規定というものが設けられておろうかと思います。今までの医療法というのは、結局は、言い方が正しいかどうかは知りませんが、医療施設法的な意味合いというのが非常に強かったと思っている。今回の改正案において理念規定というのを設けられておって、医療そのものの質を高めるだけではなくて、これから先、多様化する国民のニーズとか長期化する療養体制にどのように対応するか、かような視点が入ってこようかと思います。
 そうなってきますと、これをどう訳すかは難しいのですが、クオリティー・オブ・ライフということを考えていかねばなるまいかと思っております。クオリティー・オブ・ライフというものを一体どういうような概念としてお考えになり、それが理念の中でいかに生かされておるのか、こういう点についてお尋ねをいたします。
#6
○古市政府委員 国民の生活水準の向上、国民の健康に対する関心、またニーズの多様化ということで、私どもは今後より広い範囲で良質な医療サービスが行われることが必要だと考えております。そのためには、医療そのものの質の向上に努めるだけではなくて、医療を受ける環境の整備、改善ということも必要かと思っております。
 こういうような趣旨から、今回の改正案におきましては、医療の範囲を広げる、それからまた長期にわたる入院生活に配慮いたしました療養型病床群の制度も導入するということで、良質、適切な医療を提供するように現在の医療制度を改良しようと図ったわけでございます。さらに、基本的には医師の研修そのものにも努めまして、先生御指摘のクオリティー・オブ・ライフというものに医療の観点からもこたえられる制度に持っていきたいと思っておる次第でございます。
#7
○石破委員 では次に、医療の担い手ということについてお尋ねをいたしたいと思います。
 当然のことでございますけれども、医療というのは、それぞれ関係する人たちが密接な連係のもとに、チームワークをとりながらその目的を成就していくべきものだ。当然のことでございますしかるに、この理念規定において、医療の担い手として医師と歯科医師というのが規定をされておる。ところが、申し上げましたように、医療関係者というのは何もお医者さんと歯医者さんだけじゃないわけであって、薬剤師もいらっしゃれば看護婦さんもいらっしゃる。
 そういう方々が密接に相互の連係を保ちつつ目的を成就すべきものだと思っておるが、医師と歯科医師しか規定をされておらないというのは、これは一体どういうことであるのか。そして、薬剤師、看護婦等々をこれにつけ加える必要が私はあるのではないか、かように思っておりますが、その点につきましての御見解を承りたいと存じます。
#8
○古市政府委員 患者の病状に応じまして良質、適切な医療を提供いたしますためには、もとより医師、歯科医師とともに薬剤師、看護婦の果たすべき役割というのは重要なものでございまして、医療関係者が協力して医療を提供する必要があることは認識いたしております。この医療法の改正案におきまして、医師、歯科医師が医療行為の主体となるものであることから、医療の担い手として例示をすることにしておるわけでございますが、薬剤師、看護婦も重要な医療の担い手であるということには変わらないと理解しております。
#9
○石破委員 ぜひその点は御検討をいただきたいと思っております。
 さて、本法律案の根幹でありますところの機能分化ということについてお尋ねをいたしたいと思います。まず、特定機能病院につきましてお尋ねをいたしたい。
 厚生省がよくおっしゃっておられますのは、あなた方はこんな思いをしたことがありませんか、三時間も待たされてたった三分しか診てもらえなくて、大変につらい思いをしたことはありませんか、そういうことではいけませんね、今回の改正によりそういうことがなくなりますよというお話なのだけれども、それは患者の側に立ってみると、いや、そんなことおれたち考えてないんだよということがあるのではないかと思うのですね。三時間待って三分の診療しか受けられなくても大病院に行くというのはなぜなのだろうか。近くに診療所があって、町医者があって、いろいろなものがあるのだけれども、なおそこに行かずに大学病院に行くのは何でなのだろうか。
 それはもう多分おもんぱかるに、ちょっと風邪を引いただけなのかもしれない、ちょっとおなかが痛いだけなのかもしれない。でも、大病院に行けば隠れた病気が見つけてもらえるんじゃないのかなというそこはかとない安心感、何に基づくものであるかというのはこの際議論の外に置いて、そういうような安心感があるからこそ患者は大病院に行くのではないだろうか、私はそのように思うのですね。
 もちろん機能分化しなければいけない理由はいろいろありまして、単なる風邪を引いたとか、本当に飲み過ぎたとが食べ過ぎたとか、そういう患者さんまで大病院に集中してしまえば、大病院が本来持つべき、大学病院が本来持つべき、そしてまた特定機能病院と言われるべき病院が本来持つべき研究機能やそういうものがおろそかになる。だから変えていかなければいけないよというのはよくわかるのですが、三時間待って三分診療というのはなくなりますよという話ではなくて、つまり、紹介患者は半分ですよ、外来半分にいたしますよというふうにしますと何が起こるかというと、下手をすれば六時間待って三分診療なんということが起こるのではないだろうか。やはり大病院に行って隠れた病気、端的に言ってしまえば、ひょっとしたらがんなのかもしれない、それを見つけてもらえるかもしれない、そういうような患者の安心感がある限りは変わらぬと思っておるのですが、その点についていかがなのでしょう。
 もちろんその病院が特定機能病院になるかどうかというのは、医療機関の側が選択するものであって、決して強制されるものではない。しかしながら、本当にそういうような患者の立場に立った特定機能病院というものをどのようにとらえるべきか、その点につきまして御見解を賜りたいと存じます。
#10
○古市政府委員 今、石破先生が御説明くださいました現状認識というのは、私どもも全くそのとおりではなかろうかと思っております。それをどのような制度を導入して、よりよいサービスができるように改善が図れるかといろいろ考え、また関係者の御意見も聞いて、制度として今回の法律の中に特定機能病院というものをつくってはどうかと提案をさせていただいているわけでございます。
 その意図に反して、結果的に非常に混乱が起こるということがないようにいろいろ配慮をしていかなかったらいけないと思っておりまして、最終的には審議会の意見も聞いて、特定機能病院の機能というものをどのような方向で行くかというのを御審議を願うことにしておりますが、ここで一言申しますと、患者さんのそのような不安というものは、やはり地域医療の、医療機関の方の連係体制が十分とれていないので、そこの最初にかかった病院でいわゆる重大な病気の発見がおく乱るのではないかということから、どんな場合にも一番大きな機械設備が整った病院に行こうということが大きな原因だと思います。
 そのために、近くの病院でも必要があれば大学病院と連係がとれている、また、直接大学病院に行っても、普通の医療機関でいいような疾患であったら逆に大学病院から戻していただく、逆紹介と言っておりますが、このような紹介制度を導入しないことには日本の医療機関の体制というものが前へ進まないのではないかということで、この制度を取り入れさせていただこうとするわけでございます。御指摘の点にも十分配慮しながら、この機能が所期の目的のように動くように私どもは努力していきたいと思っております。
#11
○石破委員 今の点は本当に十分に御検討いただかないと、目指したものと違うものができてしまうのではないかという気がしております。
 くどいようでございますけれども、本来的に問わねばならないというのは、特定機能病院たるところがその機能を本当に果たすことができるようにということも考えていかねばならない。そしてまた同時に、今はどの病院でも同じような施設がございまして、例えばあそこの病院にCTがあってうちの病院にCTがない、かようなことになると患者さんが来てくれないから、じゃ、仕方がないから無理してCTを買うかという話になっちゃう。そうすると、それはもう病院経営を圧迫するということになるので、ますます変なことになっていく。そういうような観点からも論じられなければいけないけれども、患者の側に立った医療法改正というものをもっと国民に向かってアピールする必要があるんじゃないか。
 この医療法改正というのが世紀の大法案であるにもかかわらず、いま一つ国民にとってぴんと来てないのは、一体患者の側からはどういうメリットがあるのということをアピールされてないからだろうと思っております。どうかこの点厚生省においてさらに御検討いただきたい、かように思っておるところでございます。
 今局長の御答弁の中にもございましたが、とにかくその辺のお医者様にかかっても、本当に病気の見落としかないという安心感がなければ、これはだめだと思うのですね。それは本当に胃潰瘍ですよなんて診断されて、実はがんでしたなんというような話は山ほどあるわけであります。これは我々が選挙区を歩いていても、そんな話はしょっちゅう聞く話ですね。ですから、その辺の安心感というものを担保してあげる、これはもう決して容易なことではないと思っております。今適切に御検討になるというお話でございましたが、その点を国民に明示することがこの法案の一番大事なところではなかろうか、かように思っております。
 そして、私は患者の流れという言葉は余り好きじゃないのですけれども、どのように患者さんが動いていくのか、そして、逆紹介というものがどういうものでありということも明示をしていただきたい、かように思っております。
 同時に、このような制度を普及させていくためには、どの病院になるかというのは、それは医療機関側が選ぶことだからそれまでだと言ってしまえばそういうことでございますけれども、しかし、医療機関の側にもメリットがなければ、制度として動いていかないはずだと私は思います。さすれば、診療報酬等々の面でいかなるメリットというものが医療機関側にあるのか。開業医さんの側にも特定機能病院の側にもかようなメリットがありますから、このように流れていきますというようなインセンティブをつくることが必要であろう、かように思っておりますが、その点はいかがでございますか。
#12
○黒木政府委員 今回の医療法改正案によりまして新たに制度化されます特定機能病院に係ります診療報酬上の取り扱いについてのお尋ねでございます。
 この病院は通常、一般の医療機関では提供することが困難な高度の医療を提供する病院であるというふうに位置づけられておるわけでございまして、私どもは、その有します機能とかそれに伴います人員配置基準等の具体的な内容を踏まえて、診療報酬を設定する必要があると考えておるわけであります。したがいまして、まずは中医協でその辺を含めて十分御議論をいただくことになると考えておるわけでありますけれども、先生御指摘のように、この特定機能病院の機能、メリットが十分出てきますよう、適切な診療報酬に向けて検討をいたしたいと思っておるわけでございます。
#13
○石破委員 もちろんそれは中医協の判断を待たなければ仕方がないのですよ。そういうふうに流れていくようなインセンティブというものをつくをべきだと思われますか、どうですか。
#14
○黒木政府委員 御案内のように、診療報酬はその病院の費用と申しますか、コストを補てんするというのが立て方になっておるわけでございます。したがって、インセンティブと申しますよりも、その高度の機能を発揮するために、どういう点で費用なりコストなり、人員配置等も含めまして私どもは配慮しなければならないかというのが検討のメーンテーマになると思うわけであります。いずれにいたしましても、高度な機能を、一般病院では困難な患者を扱ってもらえる病院でございますから、そのような診療機能あるいは診断機能が十分発揮できるような診療報酬上の配慮は必要だというふうに考えておるわけでございます。
#15
○石破委員 一言で言ってしまえば、これは機能連係がちゃんと行われなければいけない。その担保をどうしますか。そして、患者の安心感、患者が安心して医療を受けられるということの担保をどのようにいたしましょうかということ。そして、それぞれの医療機関がその特性を生かした医療供給ができるという担保は何なんでしょうかということ。そしてまたもう一つは、先ほど来黒木局長にお尋ねをしておりますように、経営がうまくいくという視点も同時に必要なことだと思っております。
 その四つの点についてきちんとした見解を示して、大丈夫なんだよということを明示することが何よりも大切なことだ、かように思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 次に第二点に、これと同じように療養型病床群というものが設けられるというふうに聞いておるところでございます。この療養型病床群というのは一体何でしょうかということをひとつお尋ねをいたしたい。これをつくることがどのような意義を持つのか。はっきり言っちゃうと、この療養型病床群においても出来高払いというものを今のまま維持をするのでしょうかということですね。そういうような体系というものがどのように変わっていくのか。これをつくった意義と出来高払い制をどのようにするのか、その点につきましての御見解を承りたいと存じます。
#16
○古市政府委員 前段の御質問にお答えをいたします。
 療養型病床群をつくった意義でございますが、現在我が国の一般病棟に入院している方のかなりの多くの人たちが、三カ月あるいは六カ月以上の長期入院になっている。これは、人口の高齢化と循環器疾患を中心とする疾病構造の変化によるわけでございます。
 このような方たちに対して、従来どおりの医療法の基準によります急性期疾患を中心とした医療施設で果たしていいのであろうか、こういうことから、先ほどお尋ねのクオリティー・オブ・ライフという観点もありまして、入院の場が療養だけでなくて同時に生活の場にもなっているという観点から、入院中の生活に配慮した医療が提供できるように、病室を広くして居住性を増す、またリハビリテーション機能を重視して機能訓練室を設置する、そういうような配慮をした病棟を日本の一般病院の中に導入をしよう、これが趣旨でございます。
 後段については保険局長からお答えさせていただきます。
#17
○黒木政府委員 療養型病床群の診療報酬についてのお尋ねでございますけれども、これも、その機能とか人員配置基準等の具体的内容を勘案いたしますとともに、中医協の御議論を踏まえながら今後検討することにいたしております。
 なお、出来高払いについてのお触れがあったわけでございます。私どもは、この療養型病床群の患者さんが、主として病状安定期にあって長期の療養を必要とする患者さんであるということから考えますと、定額払い方式というのが基本的になじみやすいというふうに考えておりますけれども、なお具体的な取り扱いにつきましては、対象者の年齢とか病状等を勘案しまして、定額払い方式と出来高払い方式の組み合わせといったようなあり方もあるのではないかというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、具体的な取り扱いということで、中医協で十分な御議論をいただいた上で私どもは判断をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
#18
○石破委員 非常に意地悪な見方をしますと、この療養型病床群というのが制度化される、そうすると長期に入院している人はそっちに行きなさいよということになっちゃうんじゃないか、つまり、追い出しになっちゃうんじゃないのかという見方があります。私どもは決してそうではないと思っておるのですけれども、それが追い出されるのではないかという懸念に対してはどのようにお考えになりますか。
#19
○古市政府委員 追い出しと先生のお尋ねの件は、一般病床に入っていた人が療養型病床群、病棟ができたときにそちらに移動をさせられる、手薄な医療陣のところに入れられるということかと思います。
 私どもは、この療養型病床群に収容される人というものは、主治医が、病気また病状が安定して、そういうところで入院治療をした方が全体的に適切であると判断され、そのことがまた患者さんにも話されて、患者さんの納得が得られて移るということでございますから、そういう強制的に移すということでは毛頭ございませんし、そういう懸念があるならば、審議会の中でもそれなりの注意を言っていただこうかと思っております。
#20
○石破委員 重ねてのお尋ねになるかもしれませんが、職員の配置についてはどのようにお考えになっておるか。つまり、そういうような職員、看護婦さんであるとかそういうものを減らしちゃうんじゃないかということを言う人がおりますね。そうではないんだ、病状に適応した職員体制をしくんだというふうに私どもは思っておりますが、その点についてもう一度御説明をいただきたいと思います。
#21
○古市政府委員 今申しましたように、そこに収容されます患者さんは、いわゆる病状が安定してインテンシブな医療、看護だけではなくて、やはり看護・介護ということが要請されるということから、看護・介護を含めて手厚い配置になるように、具体的に申しますと、その病棟単位になろうかと思いますが、現在医療法では入院患者四人に看護婦一人という一律の規定になっておりますが、この病棟にありましては入院患者六人に看護婦さん一人、そのかわりに、さらに入院患者の生活面にも配慮するということから、看護補助者の方を新しく規定いたしまして、六名に一人、そういたしますと、六名に看護婦さん一人と看護補助者の人が一人、六分の二で三人対一ということで、全体的にはそういう療養生活に対する支援というものを厚くできるんではなかろうか、このようなことを考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、この案をもとにしまして医療審議会にお諮りして、御決定をいただきたいと思っている次第でございます。
#22
○石破委員 結局、いつも指摘をされることなんですが、その負担調整というのはどうするべきなんだろうねということに対して、今回の医療法改正がどのようにこたえているのかということでございます。つまり、同じような症状で、同じような年ごろで、状況としては全く一緒なんだけれども、それがある人は病院に入って入院をしており、ある方は特別養護老人ホームにおって、ある方は老健施設におってというのが現状に違いないと思っておるわけです。
 ところが、それはもう同じような症状であるにもかかわらず、ひどい話になると入院しちゃうのが一番安いんだよというようなことになってしまう。これはくあいが非常によくないのではないかと私どもは思っておるところでございます。これについて、やはりこれから先の医療のグランドデザインということにも関連しようと思いますが、どのようなことを考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
 そしてまた、今回の改正によって老健施設というのが医療提供施設になるわけですね。しかしながら、実態というのは依然としてこれは福祉施設なんじゃないだろうか。治療を行う限りは医療機関であるけれども、実態は福祉施設なんだよという二面性がなお残ることになるのではないか、こんな気もしておるのでありますけれども、そういうような負担調整につきまして、これから先のグランドデザインも含めてお答えをいただければありがたいと思います。
#23
○岡光政府委員 療養型病床群と老人病院との関係をどういうふうに持っていくかというのは一つの課題でございますが、いずれにしましても、御指摘ありましたように老人病院とか療養型病床群といったもの、それから老人保健施設あるいは特別養護老人ホーム、こういった施設につきましては、介護を中心としたサービスを提供する、そういう面で共通の性格があるわけでございます。現実の負担関係は、御承知のとおり、老人病院の場合には一部負担というもので一月一万八千円、それから老人保健施設の場合には利用料という形で一カ月約五万円、特別養護老人ホームの場合には負担能力に応じた費用徴収という形でございますが、平成二年度で申し上げますと平均で二万七千円程度になっているわけでございます。
 もちろん性格とか費用負担の仕組みとか財源が異なっているわけでございますけれども、冒頭申し上げましたように、介護を中心としたサービスを提供するという共通の性格があるわけでございまして、こういったことを考えますと、費用負担面で大きな格差が生じるというのは適当ではないんじゃないだろうか。今後ますます介護に要する費用は増大をしていくことが考えられますので、こういった負担関係につきましての均衡を図るということは重要な課題ではないだろうかというふうに認識しております。
    〔委員長退席、粟屋委員長代理着席〕
#24
○石破委員 これで終わりますが、とにかく私は、大切なものはただじゃないと思っておるのです。よく命の次に大切な何がしなんて申しますが、やはり一番大切なものは命であり、そして健康なんだろう。そのようなものは決してただではない。だれかが何らかの負担をしてやっていかねばならない。将来的に日本の国が生き残っていくためには、国民が納得して負担ができる体制、そしてまた負担した者にしかるべき医療のサービスというものが提供されていかねばならぬと思っております。
 冒頭申し上げましたように、今日までは日本の医療というのは非常にうまくいってきた。これから先は決してそうはならぬだろうという危機意識がなくてはならぬと思っております。どうか厚生省におかれましては、国民に対しまして、なぜ今医療法を改正せねばならないのか、患者の側に立ってもこれはやられなければならないものであり、安心してできるものである、このような啓蒙をさらに深めていただいて、二十一世紀の高齢化社会に日本が活力を維持できますように、何とぞ御努力をいただきたいと思います。
 以上で終わります。
#25
○粟屋委員長代理 網岡雄君。
#26
○網岡委員 私は、きょうは今の日本の医療の中で一番おくれているインフォームド・コンセントの問題などを中心にいたしまして若干御質問を申し上げ、さらに、医療法の改正点の逐条的な問題について御質問申し上げていきたいというふうに思います。
 まず一つでございますが、今回医療提供の理念の規定が設けられたわけでございます。今回初めて医療法の中に医療提供の理念が入れられたわけでございますが、その入れた理由についてお尋ねをいたします。
#27
○古市政府委員 医療法の制定当時におきましては、医療機関の量的整備が急務であったということでございましたが、現在全国的に見ますと既に量的には相当の水準に達しておりまして、今後は医療の内容を一層充実させていくということが要請されているわけでございます。そういうような背景から、医療の提供はどうあるべきかについての考え方を法律上に明確にし、関係者がこの共通の理念に沿って医療を提供する責務を規定することによって関係者の認識を深め、医療の内容の一層の充実に資することをねらって、今回新しく理念規定を入れさせていただいた次第でございます。
#28
○網岡委員 今の御答弁によりますと、かなり重みのある理念の規定ということで入れたわけでしょうけれども、実際に見ますと、医療提供の理念の中では生命の尊重と人間の尊厳という形での文言が入っているわけでございまして、強いて言えば、これが人間の尊重、そして医療の現場におきます人権というものが保障されるような形の道筋をつけるというような感じはいたします。
 私は、そこで質問を申し上げたいのでございます。厚生省に、今行われている医療の現状というものが一体どうなっているのかということについての御認識をひとつお聞かせいただきたいと思うのでございます。
 私の見るところによりますと、今日の日本の医療というものは、患者から見ますと三つの壁があるというふうに言われているところでございます。
 その一つは、医療の密室性ということによって患者に医療の実態というものがなかなかわかりにくい、こういう現状があるところでございます。患者の個人の情報が結論的に言いますと患者に還元されてこないというところに、医療を受ける立場の人からいいますと大きな不満があるわけでございます。
 それからもう一つは、医療の持つ高度な専門性、こういうことからくる非常に素人ではわかりにくい状況がございます。これが結局ある場合によりますと医療の担い手の側に逆に利用される形になりまして、例えば医療の過誤があった場合でも、患者はそれらしきことを感じましても、実際はそれを立証することが事実上全く不可能だ、こういう状況が日本の医療の中には二つ目の壁としてあるわけでございます。
 それから三つ目の問題は、医療の閉鎖性、こういうことが言えるのではないかと思うのでございます。患者の側に立って証言してくれる医療の関係者「例えば医師などはほとんどもうわずかな状態でございまして、探さなければわからないというくらいでございます。結局、お互いが医療の一つの流れといいますか仕組みというものをかばい合っていく、こういう形での医療の閉鎖性というものが現実に日本の医療の現場の中に三つの壁としてあると思うのでございますが、この三つの壁の問題について厚生省としてはどうお考えになっているのか、お尋ねをいたします、
#29
○古市政府委員 ただいまの三つに分解されての御指摘は、総じて医療に対する国民の信頼というものがそれらの点において非常に欠けている、不信感を抱かれているという御指摘かと思います。
 私どもは、やはり医療に対する信頼の中心を担うものが医師でございますから、医師が患者に接して、よい人間関係、信頼関係を築きながら治療をしていくということが医療の基本であろうと思っております。そのためにも今回の低療法の中に理念規定を入れて、信頼関係に基づいて医療が行われるべきものだ、こうあえて書かしていただいたわけでございます。
 法律に書くだけではなくて、さらにその実効性を担保していく必要があるわけでございます。そのためには、やはりインフォームド・コンセントというお話もございます。また診療録、カルテの開示という問題もございます。いろいろ議論されております。私どもはそれは今後の重要な検討課題だと思っておりますが、現在やっておりますのは、医師となるべき人に臨床研修をやっているときに、その臨床研修の目標というものを決めております。その中にも、答申をいただきまして、「期待される医師像」ということから「臨床研修の意義」ということで「病める人の全体像を捉える全人的医療を身につける」というような項目を書かしてもらいましたが、さらに一般的目標といたしましても、患者及び家族とのよりよい人間関係を確立するよう努める態度を身にうける、そういうことも研修目標として具体的に挙げて、よき医師を育てようという努力をしているところでございます。
#30
○網岡委員 御答弁をお聞きいたしましたが、私は、ちょっと出ましたインフォームド・コンセントの問題で、後で触れていきたいと思います。
 やはり一番大事なことは、医療の現場で患者が医療についての中身を知っていく権利というものが保障されるような状態をつくっていくというのが、これからの医療の一番大きな柱にならなければならぬじゃないかというふうに思います。その上でお医者さんにどういう治療を受けるかということを最終的に決定するのは、それは自由な判断に基づいて患者が自分自身で決定をしていく、こういう体制をつくっていかなきゃならぬと思うのでございます。
 患者が自由な立場から治療の方向というものを決定していくための判断の材料というのは、医療を行う人間と受ける立場にある患者との間に一つは懇切丁寧な説明というものが必要じゃないか。そして、その説明も単なる説明だけではなくて、その患者に対して、こういう治療を行おうと思っているけれども、これがいかない場合はBという治療がございますよ、しかし、Aという治療を行った場合はこういう長所と欠陥がある、Bの治療を行った場合にはAと比較してこういう長所があるけれどもこういう欠陥がある、そして治療を行った場合にはAの場合にはどういうことになるのか、Bの場合にはどういうことになるのかということを懇切丁寧に説明した上で患者が判断をする、こういうことがやはりインフォームド・コンセントの一番大事なところであるというふうに思います。
 ところが従来、これからはまあ多少変わるかもわかりませんが、しかし、今までは単なる患者を納得させるといいますか、文句を言わないような状態に納得させる、そういうだけの代物でございまして、本当に自分が行おうとする場合に、患者の選択を仰いでいく医療の全体像というものをきちっと説明をしていくというものがなかったというふうに思います。これは最初の三つの壁にも出ておりますように、患者は自分の言うことを聞けばいいんだ、こういう日本の医療の中にずっと流れていた一つの欠陥が象徴的にあらわれているというふうに思います。
 したがって、これからの医療というものは、まず患者は医療の客体ではない、患者は自由な意思によって自分に関する医療を選択して決定する権利があるんだ、つまり自己決定権というものを持っているんだ、こういうことを尊重した上でインフォームド・コンセントを行っていく。そのインフォームド・コンセントの中身というものは、先ほど言ったように、治療に当たる情報をきめ細かくきちんと患者に与えていった上で、患者の自由な判断に基づいた同意を得ていく、これがやはり私はその一番基本でなければならぬと思うのでございます。そうでなければ、二番目でお聞きしようと思っておりますが、医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係というものはできないというふうに思っておるわけでございますが、この点について大臣の所信をお伺いいたしたいと思います。
#31
○山下国務大臣 今御指摘のとおり、患者にとってその治療方法等について知る権利というのは当然あると思いますし、もはや今日の段階ではそこまで来ている。つまり、人と人との関係ですから、人間関係という医療における大事な面からするとおっしゃるとおりだと思います。
 ただ、患者に対する告知といいますか、例えばがん等に対して、あなたはがんですよと言うことがいいことかという極めてデリケートな問題も私は入っていると思います。したがって、このインフォームド・コンセントという大切なことは考えなければなりませんが、同時にまた一律にこれを法律において権利として法文化することはいかがなものであるか、これはまだ若干時期尚早ではないかという、そんな感じを私は持っておるわけでございます。
#32
○網岡委員 今大臣から一番最後に、患者の権利として認めることは時期尚早である、こういうお答えをいただいたわけでございます。これは厳密に言いますと、インフォームド・コンセントという言葉は出ておりませんが、私どもも事前の説明会で何遍も聞いたことでございますけれども、医療提供の理念の中にある人間の尊厳と生命の尊重というものは、まさにこれはインフォームド・コンセントの具体的な表現だ、こういう形でおっしゃってきたわけでございまして、大臣の言われるようにインフォームド・コンセントというもののその中身といいますか、そのものは説明と同意というものがあればいいというものではないのでございます。
 その説明と同意のほかに、一番大事なことは、患者は一人の人間である、人間尊重の理念というものがそこに貫き通されておらなければ、私はインフォームド・コンセントではなくて、これはムンテラということになってしまう危険性を持っているというふうに思うわけでございますが、いかがでしょう。
#33
○山下国務大臣 基本的には私はおっしゃるとおりだと思うのでございます。いわゆる患者の知る権利、それについて説明し、同意を求めるということでしょうか。
 ですから、あなたのこの病状は外科手術であれば非常に早く治るという特徴があるけれども、しかし、ひょっとしたら死ぬという危険性も例えば二割ありますよ、内科的にこれをやれば非常に長くかかって、そして全治しないこともあり得ますよ、どちらを選びますかということはインフォームド・コンセントであって、今後これらの問題は私は推し進めていかなければならないと思いますが、先ほど申し上げましたように、まだごく一部に、例えばがん等に対してインフォームド・コンセントをそのまま適用していいのかな、そこらあたりの不安が若干残るなということを申し上げたのでございまして、方向としては、おっしゃるとおりインフォームド・コンセントは認める方向に行くべきであると思います。
#34
○網岡委員 答弁の中身については正確におっしゃらないと、インフォームド・コンセントの基本にかかわることの発言になりますので。
 今おっしゃった終末治療における問題は、これはまた別の意味でアメリカやスウェーデンや、そういうところはもうきちっとやっているのでございます。これから日本では論議をされていくことだと思うのでございますが、私個人の考え方でいけば、そういうところも含めてきちっと説明と同意を得ていく、こういうことがやはり必要じゃないかというふうに思っているところでございますが、それはこれからの課題ということで、後に譲るといたします。
 そこで、三番目の問題としてお尋ねをいたしますけれども、アメリカはもとより、スウェーデン、デンマーク、イギリス等におきまして、患者の基本的な権利は法律によって定められておるのでございます。
 例えば、きょう資料を取り寄せたところでございますが、アメリカのニューヨーク州法によりますと患者の権利章典ということで、約十七項目にわたって細かく患者の権利というものが明記されているところでございます。その中で私ども非常に特徴的なものとして評価をしたいと思っているものがございます。それは患者の権利章典の十五番目に、「無償で自分の医療記録を閲覧する権利。自分の医療記録のコピーを合理的な代金で取得する権利。あなたがその代金を支払えないという理由だけでコピーを取ることを拒否することは出来ません。」こういうふうに極めて具体的に定められておるわけでございます。
 そこで、こういう法律がアメリカでもありますし、スウェーデンでもありますし、デンマークでもありますし、イギリスでもあるということで、患者の基本的な権利というものが、生命の尊厳、人間の人権の問題というような言葉だけではなくて、患者の権利を守るために極めて具体的なことが出ておるわけでございます。例えばこの十五番目の自分の医療記録を閲覧する権利、そしてコピーをする権利というものを日本でもしやったとしたら、これはほとんど医療の側に保管をされまして、結局開示されないことになるわけでございます。もしそれをやろうとすれば、裁判で判決を得て開示をする、こちらへ渡すというようなことになるわけでございまして、このことからいいまして、アメリカやスウェーデンやデンマークやイギリスというところの患者の基本的権利というものは、非常に大きなものがあるわけでございます。
 とりわけ一番大事なことは、医療記録に対するアクセス権というものが最近これらの国々において明確に規定をされてきているところでございますが、日本の場合、先ほどの三つの壁に象徴されるように密室性ということの象徴的なもので、やはり自分自身の病気の資料ではあるんです。それは、言うなれば網岡なら網岡のプライバシーの問題であって、本来私自身が開示を迫ることのできる権利であるのでございますけれども、日本の場合はそれが認められずに、裁判をしなければ開示することができない、こういうところになっているために、医療にまつわるさまざまな事件が次から次へと起こっているわけでございます。しかも、それは患者の側に立ちますと、非常に厚い壁の中で、結局患者が泣き寝入りをしなければならないという事例が幾つかあるわけでございます。
 そこで厚生省にお尋ねをいたしますけれども、外国で既にこういうような形での患者の権利というものが保障されつつあるわけでございますが、日本では一体いつごろになったら――インフォームド・コンセントですらまだ先のような話でございますけれども、私は今度の医療法の審議の中で、このインフォームド・コンセントだけは、近い将来に頭を出すような何らかの方向がどうしても必要だというふうに考えているところでございます。そのことが一つと、もう一つは、この医療記録に対するアクセス権について、将来厚生省は一体どういう考えてこれに取り組もうとされておるのか、その時期も含めて御答弁を願いたいと思います。
    〔粟屋委員長代理退席、石破委員長代理
    着席〕
#35
○山下国務大臣 一言だけ申し上げて、あとは政府委員から申し上げますが、インフォームド・コンセントにつきましては、おっしゃるとおり私は現状を申し上げたんですが、この方向からすれば、やはり法制化する時期がやがて来るんだなという理解はいたしております。
#36
○古市政府委員 アメリカの幾つかの州、それからスウェーデンにおいて、そのような患者の基本的な権利が法制化されているということは、詳細にはわかりませんが、承知いたしております。
 我が国でどうなっていくのかということでございますが、私どもは、既にこれに一番関係の深い日本医師会の中でも検討会ができまして、そのインフォームド・コンセントにつきましての見解報告というものがその時点でまとめられておるわけでございます。そういうものを拝見いたしますと、やはり各国の医療制度、またインフォームド・コンセントなりそれから診療録の閲覧権というものは、その国の医療というのも文化の一部でございますから、国民の慣習それから医者と患者との関係、長い経緯を経て、場合によっては訴訟を経てそういうものが形成されてきたというぐあいに感ずるわけでございます。
 そこで、翻ってそういうものを参考にして我が国の状況はどうか、こうなった場合に、私は、先生が御指摘の方向で動いていくということは間違いございませんが、それをどういう手順で、どういう時期に、どういう方法で、あるいは行政的に導入していくかということにつきましては、十分慎重に検討したいと思っておるわけでございます。そういうことから、今回の医療法改正の第一条の中に理念規定を設けて、医療提供側と患者の信頼関係に基づいて行うべきものであると書いたのは、言ってみれば一つ画期的なことではなかろうかと思っておるわけでございます。これを機会にその論議が深まっていくということは必要であろうと思っております。
    〔石破委員長代理退席、委員長着席〕
#37
○網岡委員 今局長から御答弁がございましたけれども、私、一つ提案も含めて御質問申し上げたいと思うのでございます。
 やはり一番大きな問題は、一つはインフォームド・コンセント、それからもう一つは、決定的に医療の中身をえぐり出していくものは、今言いましたような医療記録に対するアクセスといったようなものをきちっと患者の権利として開示することができるものを医療法の中に、あるいはアメリカのような権利章典というような形でやられるかは別といたしまして、とにかく厚生省がこういうような問題についての検討を加えていく機関を、医療人だけではなくて学者や一般の民間人も入れた広い視野に立ったメンバーで検討を加えるというような検討会、あるいは審査会なら審査会といったようなものを早急につくる時期に今日来ているのではないか。そのことが国民に信頼を受ける医療を厚生省が積極的にやっているんだということのあかしになるというふうに思うのでございます。同時に、これは厚生省としての責任にも当たるものだというふうに考えているわけでございますけれども、お考えをお聞かせください。
#38
○古市政府委員 この種の問題につきまして検討機関を厚生省で設置すべきだということでございますが、ちょっとごろがおかしゅうございますが、そういう御提案につきましてぜひ検討をさしていただきたいと思います。
#39
○網岡委員 その検討をする審議会なりそういう組織を検討するというようなお答えが出たのは、今回が初めてのような気がいたします。この医療法の審議はきょうだけじゃなしに、これからもずっと続けていくわけでございますから、じっくり時間をかけながら、こういう問題について、やはり本当の医療を前進させるためのいろいろな方策というものを私どもも提案をしていく形の中で深めていきたいというふうに思っておりますが、とにかく今局長が御答弁いただきましたように、検討をするということの方向を示されたことにつきましては、私もそれなりの評価をさしていただきたいというふうに思います。
 次に移ります。四番目は、患者の個人情報の開示請求権は基本的人権の一つとして尊重されるべきだと考えるけれどもどうかという点について、改めてまたひとつお聞きをいたしますので、お答えをいただきたいと思います。
#40
○古市政府委員 これは行政機関が所有する情報の公開ということで、一度議論がほかの面からございました。そのときにも「病院、診療所又は助産所における診療に関する事項を記録する個人情報ファイル及び刑事事件に係る裁判若しくは検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が行う処分又は刑の執行に関する事項を記録する個人情報ファイルについては、この限りでない。」というようなことになりまして、一般情報開示の中で、医療とかそういう訴訟というのは非常に慎重に扱うべきものだということで現在きておるわけでございます。
 先生が先ほどから主張されておりますことは十分わかるわけでございますが、また大臣等がお答えいたしておりますとおり、カルテの中にはいろいろなことを総合的に記載しておりまして、そのことを開示することによって、西欧はどうかわかりませんが、日本の場合だと非常に患者個人に精神的なショックを与えることがございましょうし、治療上の好ましくない影響もありましょうし、いろいろなことがありますので、この問題は今後の検討課題ということにさせていただきたいと思うわけでございます。
#41
○網岡委員 これからの議論もございますから、きょうはこの辺にとどめておいて、次に移りたいと思います。
 一つは、脳死による臓器移植というものが調査会を通じて一月に結論が出たところでございますが、まずお尋ねを申し上げたいのは、日本では脳死による臓器の移植ということがなかなか進まない理由は一体どういうところにあると厚生省としてはお考えでしょうか。
#42
○山下国務大臣 今まで進まなかった理由といたしましては、御承知のとおり、和田教授による心臓移植がございましたが、この問題がやはり影響を及ぼしている。したがって、国民の間にはいまだにためらいというものが私はあると思うのです。
 それからもう一つは、脳死を法的にどう扱っていくかということについてまだ結論がついておらない。ここらあたりがこの問題についての作業が、作業といいますか、進まない一つの大きな理由ではなかろうか。そのようにまた一般的にも言われておるところであります。
#43
○網岡委員 私は、今厚生大臣が御答弁になったほかに、実はもっと大きな理由があるんじゃないかという気がいたします。
 それは、前の質問の中でも出たところでございますが、患者の権利というものが守られていない土壌が日本にある。例えば、さっき言ったような医療記録についても、アメリカなどはコピーがぽんと入れれば出てくるというような状況でございますから、輪郭がきちっとわかるわけですね。ところが、日本の場合には結局そういう部分が全部伏せられておりますから、患者の立場からいきますとこれは極めて不安で、どういうことになるか知れぬという心配が非常に大きいというところに、日本は余り進んでいかないという問題があるんじゃないかというふうに私は思うのです。
 そこで、さつぎのような条件整備というものが行われていきますならば、かなり違った局面というのが出てくるのではないかと思うのでございますが、欧米の先進国におきましては臓器の移植というものが非常に進んでいるわけでございます。この一つの大きな理由というのは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、アメリカではカルテの改ざんを防ぐための職種としてメディカル・リーガル・アシスタントという制度がございます。これが医療記録に対する問題につきましては非常な権限を持っておりまして、その診療録管理士といったような人が仮にある病院に対してカルテの提出を要求するということになった場合には、無条件で出さなければならぬというふうに非常に強い権限を持っておるわけでございます。
 そういう仕組みがありますから、したがって、もし事故があった場合でも、それは一体どういうことに基づいて事故が起きたのか、あるいはそれは自然になったのかということが客観的に信用される段階で判断ができるというところに、外国と日本の場合では随分違っているということがあると思うのでございますが、この違いについて健政局長、どういうお考えをお持ちになっていますか。
#44
○古市政府委員 私もそのよって来る違いというのは、先ほど各国の医療、文化、習慣が違う、こういう抽象的な言葉で申し上げたのですが、ちょっと恐縮でございますが、お許しいただければ、アメリカのインフォームド・コンセントについての権威とされておりますアーノルド・ローソフという方の対談の一節になるほどと思ったところがございますので、紹介させていただいてよろしゅうございましょうか。
  医師と患者の信頼関係が十分確立していて、
 医師が患者の置かれている状況、またその家族
 の状況を十分理解しているならば、このような
 インフォームド・コンセントという概念の必要
 性は必ずしもないかもしれません。
  しかし、医師と患者は必ずしもよく知り合っ
 ていない。アメリカの社会は移動性が高く、地
 域社会が必ずしも確立していない。お互いに他
 人という条件で医師と患者が接していることに
 なります。そのため、インフォームド・コンセ
 ソトは、患者が事実上他人である医師に対し
 て、自らの利益を確保するために必要になって
 きた概念であるといえます。
  もし日本で医師と患者の信頼関係が十分ある
 としたら、インフォームド・コンセントの概念
 そのものの必要性も少ないといえると思いま
 す。逆に日本で医療システムのもっている人間
 疎外的性質が顕著になって、医師と患者の親密
 性が失われているとしたら、インフォームド・
 コンセントの必要性は高まると思います。つまり、社会構造と深くかかわっている。これを読んで私は非常によくわかったような気がいたします。
 しかし、日本の今回の法では、インフォームド・コンセントについては法的にどうするのかというところまで至っておりませんが、少なくとも医療法の中では、この信頼関係を理念規定に入れるというぐあいに踏み切ったわけでございます。今後さらに検討すべき問題だと思っております。
#45
○網岡委員 局長の御答弁がございましたけれども、私はやはりいつでもどこでもその資料が手に入る、こういうガラス張りの状況のときに初めて本当の信頼というものが生まれていくと思うのでございます。今のような日本の土壌からいくと、私はアメリカのような形での制度というものがこれからの日本の社会においても大事な一つの仕組みではないかというふうに思っているところでございますが、御検討をいただきたいというふうに思うわけでございます。
 それから、最後でございますけれども、医療の倫理は国際共通と言われているけれども、国際社会の一員として、インフォームド・コンセントを医療の提供の理念として入れるというふうに、重ねてでございますが、この際入れる考えはございませんか。もう一度お尋ねを申し上げます。
#46
○古市政府委員 いわゆるインフォームド・コンセントの考え方につきましては、たびたび御要請のことでございますが、今後の医療の提供における重要な理念と考えております。そこで、改正案の第一条の二に規定されております「医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係」、これを支える一つの方法として重視されるべきものだということで、今後さらに検討させていただきたいと思います。
#47
○網岡委員 私も一つ読み上げさせていただきたいと思うのですが、これは日本医師会生命倫理懇談会の報告書の一番末尾のところでございます。
 おわりに
  多くの問題があるにせよ、今後「説明と同
 意」に基づいた医療をわが国において推進し、
 根づかせなければならない。そうすれば、「説
 明と同意」は、医師と患者の信頼関係を再構築
 するひとつの契機となるに違いない。
  医師は患者の言うことによく耳を傾け、やさ
 しい、わかりやすい言葉で患者に語りかけると
 ともに、平素から自らの立ち居振舞に心を配
 り、無言の信頼を得るように努めたい。医師は
 言葉を使う知的専門職である。いろいろと困難
 はあろうが、それを敢えて乗り越え、医療の場
 における新しい医師と患者の人間関係を築いて
 いくために、医師は「説明と同意」を真剣に考
 え、それを積極的に受けとめ、着実に一歩一歩
 前進してほしいものである。
  いま、医師たちは、そういう時代を迎えてい
 るのである。こういうふうに言っているのでございます。この言葉を裏づけするように、ことしの一月の時期に日本医師会の会長は、医の倫理というものは世界につながっているんだというふうにおっしゃっていて、日本の医療の倫理もアメリカの医療の倫理もイギリスの医療の倫理も、その目指すところの基本は皆同じだというふうに言われているのでございます。
 ここで読んだその文脈の中から流れてくるものは、やはり一刻も早くインフォームド・コンセントを確立しなければいかぬというところで、医師会もこれは決意として「おわりに」の中で言われているわけでございますから、こういう動かない現実というものを踏まえながら、厚生省は一歩も二歩も前へ出て、この問題解決のために全力を挙げていただきたいということを要望しておきます。
 それから次に御質問を申し上げたいと思うのでございますが、今度の医療法の改正で、薬剤師が、あるいは看護婦が医療の担い手として位置づけられているかどうか、この点についてまず御質問を申し上げます。
#48
○古市政府委員 医療の担い手の中には、病院、診療所、老人保健施設その他の医療を提供する施設において医療業務に従事する者すべてが含まれるものでございまして、薬剤師も当然含まれております。
#49
○網岡委員 そこで、医師、歯科医師というふうに代表例記をしている根拠というものは、一体どういうところに根拠がございますか。
#50
○古市政府委員 今定義をしていますのは医療法の中で書いてあるわけでございまして、医療法というものがいわゆる医療を提供する施設の基準というものを決めている関係から、その責任者で医療を提供する者として、医療の担い手の中から医師、歯科医師が代表して書かれている、こういうことでございます。
#51
○網岡委員 そこで、私一つ考え方を申し上げたいと思うのでございますが、恐らく医師、歯科医師という医療の代表例記がされている根拠というのは、局長がおっしゃったように、医師は医療における全体を統括していく立場にあって、身分的にも医療の中心にあるというようなものだというふうに考えてのことだと思うのでございます。私は、その点について若干御質問を申し上げたいと思うのでございます。
 例えば薬剤師でございます。薬剤師の場合には、これは御案内のように、身分法で、薬剤師法による規定に基づいて、医師、歯科医師と対等に置かれた職種でございます。そして、薬剤師の固有の権限というのは調剤権でございまして、法律によって薬剤師が独占的に与えられているものでございます。昭和三十一年におきましては、医師法、歯科医師法及び薬剤師法の一部を改正する法律案といたしまして、この関係三法が一本の法律で改正をされて、そして薬剤師の調剤権が確立されたということが言われておるわけでございます。
 そういうことからいきますと、薬剤師は、薬剤師法によって、何人にも譲ることのできない固有の権利として調剤権があるわけでございまして、そういう意味からいけば、医師の指示のもとに行われているわけではございません。薬剤師の調剤業務は、その持つ薬剤師の固有の権利として独立して調剤権を行っているわけでございますから、そういう点では、医療の担い手の中の大枠の中に丸められていくというような性格のものではないというふうに思っているわけでございますが、どうでしょうか。
 それからもう一つの点では、今日薬剤師の業務というものは、単なる昔の薬をはかって、そして処方せんに書いてある量を調合して患者に渡せばいい、こういうようなものではだんだんなくなっているわけでございます。特に病院におきます病院薬剤師の業務というものは非常に高度な調剤技術を必要といたしておりまして、御案内のように、医療現場で使います薬というのは非常に切れのいい薬を使っています。しかも重篤な患者に対して薬物を投与する場合は、これはIVHとかいうような手法を使いながら、本当に針の目を通すような形で薬物の投与を行っておるわけでございます。そして、そのことが治療の上におきまして非常にいい結果を招いているということは、局長も御存じのとおりだと思うのでございます。
 一例を挙げれば、病棟におきます薬剤師の活動といいますか仕事というものは、もうそういうところに来ておりまして、これは非常に大きな医療における貢献を独自の立場でやっておるわけでございます。このことはもう評価されているところでございますが、そういうことでいけば、これは医療の担い手の中の身分法で独立した権限を持っている薬剤師でございますので、代表例記としてやはりその中に入れられるということが当然であるというふうに私どもは思っている次第でございます。
 同時に、私ども社会党は、看護婦についても代表例記の中に入れるべきだ。看護婦の場合には、身の回りの世話は看護婦の独立した権限ということになっているわけでございまして、今日、極端な人手不足の中で日夜営々と医療現場の中で働いておみえになる看護婦さん、これはやはり身分的にも独立した一つの権限を持った職業でございます。
 この二つは、医師、歯科医師に続いて代表例記の中に入るということは当然だというふうに思っているわけでございますが、この点についてお尋ねをいたします。
#52
○古市政府委員 お話しの件は十分私ども理解しておりまして、調剤権の問題、それからまた近年におきます病棟における薬剤師の使命及び活躍ということは十分理解しているつもりでございます。
 ただ、今問題となっておりますこの条文で申し上げますと、医療法というものは、全体の規定が、病院と診療所がそもそも医師、歯科医師が医業を行う場所であるというところから出発して規定をしているということでございます。それからまた、医師、歯科医師というものが病院、診療所の管理者として医療法上の各般の規制を受けている。職員配置とか施設構造物ですね。そういうことから例示としては医師と歯科医師のみにとどめて、そのほかは医療の担い手という形になっている。医療法の構成上こうなっているということでございます。先生のお話で、実態の面は十分理解をしているつもりでございます。
#53
○網岡委員 実態をわかっていただいておっても、実際には全然形に出てこないということでは、理解をしていただいたということにはならないわけでございます。
 じゃ、もう一つ重ねて私申し上げたいと思うのでございますが、一つは、前回の医療法の改正の際に、地域医療の推進を図っていく上におきまして、第三十条の三第三項、三十条の六において医師、歯科医師及び薬剤師というふうに明記されたところでございます。こういう代表例記が既に六十年の医療法改正の際にされているわけでございますが、その点については今の御答弁とどういう関係になるのか、明らかにしていただきたい。
 それからもう一つ、薬剤師が実際にやっている業務というのは、昔の薬剤師の業務と大分違ってきています。御案内のように、最近は分業が非常に進んでおります。今全国で平均一二%でございます。しかも、部分的には三〇%に達するような市町村、県も出てきているところでございます。したがって、医薬分業に基づいて行っている薬剤師の調剤業務というものは、日本における医療において大きな貢献をいたしておりますことは御案内のとおりでございます。それから、医療費の中に占める薬剤費というものは、同時にこれは量にもなるわけでございますが、約三〇%を占めているという状況でございます。全医療費の三〇%ですよ。そういうことであったといたしますならば、医療の場におきまして薬剤師が果たしている役割というものは、医療費の中の三〇%というこの動かない事実、厳粛なる事実を眺めてみても、これはやはり医療現場における代表的な例示として入る資格を立派に持っているというふうに思うところでございますが、この点についてはどうでございましょう。
#54
○古市政府委員 繰り返しになって恐縮でございますが、そのように薬剤師並びに薬剤業務の重要性と、それから現場における活躍というのは十分私どもも認識させていただいておるわけでございますが、先ほど申しましたように、医療法自体が医業を行う場所ということで、その管理者である医師、歯科医師を例示の代表に出したという性格上、このようになっているというお答えを繰り返さざるを得ないわけでございます。
 なお、三十条の項目につきましては、医療法が前回改正されましたときに、地域医療計画を達成するということで、医療施設だけでなくて地域全体の医療施設のあり方という検討項目が入った、その中の改正に伴って入ったことだと理解しているわけでございます。先生の御指摘は十分わかっておることでございますが、医療法の構成上、現在こうさせていただいておるということでございます。
#55
○網岡委員 いつも歯切れのいいる長の答弁ですが、ちょっと切れ味の悪い御答弁でございます。これはまた機会をとらえてこの医療法の審議の中で申し上げたいと思いますけれども、今言った幾つかの事実というものは、局長自身も実はお認めになっているところだと思います。こういうものを認めておきながら例示の中に入らないということは、やはり理屈に合わぬ問題でございます。どうぞこの現実を直視していただきまして、ぜひ考え方を改めていただきたいということをお願い申し上げる次第でございます。
 次に、一条の四の第二項のところでございます。情報の提供ということについてお尋ねをいたしますが、これも今まで申しまし次ように、分業が着実に進展をしている。その中で薬局薬剤師が医療に参加している状況はさっきあったとおりでございます。薬剤師が適切な調剤を行いますためには、処分せんに関する疑義、患者が正しく服薬しているか、服薬後の患者の容体がどうなっているか、処方せんを発行した医師との間の情報交換がどうしても不可欠でございます。これは病院薬剤師だけじゃなくて、地域の薬剤師におきましても処方せん発行に伴って調剤していくわけでございますから、そういうことからいきますと、医師の方も重要な情報を持っているわけです。
 御案内のように、処方せんというのは、ある意味でいえば医療の哲学が込められているわけでございまして、医師がどういう判断に基づいてその処方を行ったかということは、ベテランの薬剤師であれば大体読み取るわけでございます。そういった情報、次に患者が来た場合にどうなっているかというようなことを逐一医師と情報の交換をする、あるいは医師の方にしてみれば、薬の量のかげんをしたものが一体どうなってきているとか、そういったような情報の交換がやられた場合に、初めて適切な医療というものが生きた形であらわれてぐるわけでございます。そういう意味でいきますと、その相互の情報というものは治療上において非常に重要な意味を持っているわけでございます。したがって、情報というものについて薬剤師、薬局は現に役割を果たしているわけですから、この一つの現実というものを直視しながら、法案にきちっと現実の形のとおりに明記していただきたいと思うのでございますが、局長、どうですか。
#56
○古市政府委員 薬局が医療情報を提供する施設として今回書かれていないということでございますが、医療法は、先ほども申しましたように、基本的には医師、歯科医師及び助産婦がその業務を行う場所というものを規制している法律でございます。理念規定におきまして医療を提供する施設を規定するに当たりまして、医師及び歯科医師が医業または歯科医業を行う施設として、病院、診療所と、さらに老人保健法において老人に対して必要な医療を行う旨を規定している老人保健施設というものを例示しているわけでございます。
 今御指摘の薬局につきましては、それ自体が単独で患者に対して疾病の予防、治療、リハビリテーションといった給付を行うわけではございませんので、この改正案の考え方によりますと、薬局は医療を提供する施設には含まないという考え方をとっているということでございます。
#57
○網岡委員 局長の御答弁、ちょっと気になるところでございますが、私は情報というところに着目しているわけでございます。この辺は、前段は医療施設のところでございますが、後段は医師その他の医療施設のところでの情報の交流といいますか、交換というところを示したところでございます。そうであるならば、調剤を行っている薬局というものはその情報媒介の重要な担い手になっているわけでございまして、もしそういうところの情報を聞かなかったら医療は片手落ちになるということになると思うのでございますが、どうでしょう。厚生省は医薬分業を推進する立場にお見えになるわけでしょう。そうなったとしたら、こういう事態というのはますますこれからふえてくるわけでございます。そういうものについて前向きに考えていただかなければならぬと思いますが、どうでしょう。
#58
○古市政府委員 先ほど、お尋ねの点に少し外れた答弁だったかと思いまして、失礼いたしました。この改正法案の中で、第一条の四の二項の中の後段のところの情報を提供する施設ということについて、薬局の使命、さらに現実の姿というものについて配慮して入れろということでございます。
 先ほどから申しましたようなことで、この医療法の方では医師、歯科医師並びにその関連の老人保健施設ということで通しているわけでございまして、先生のお考えは私ども十分理解はできるわけでございますが、法案は先ほど言った線で整理をさせていただいたということでございます。
#59
○網岡委員 それでは次に移ります。
 次は、医療における薬局の役割を、医療法によるか薬事法によるか、いずれにしても今後何らかの形で明確にしていただきたいという問題がございます。
 これは、さっき医療の施設の一つの例示の中で、薬局は医療施設ではない、こういうふうに言われておるわけでございますが、現実をひとつ直視をしていただきたいと思うのでございます。それは、薬局が調剤を行っておりますことによって扱っている処方せんというのは、一年間で一億四千五百万枚という多きに達しているわけでございます。これはもう大変な数でございます。そして、地域的にいきますと、先ほどもちょっと申しましたが、医薬分業は全国的には、一二%でございますけれども、地域によっては、佐賀市、上田市、三鷹、蒲田地区、若松といったところは三〇%の処方せん発行を行っておるわけでございます。
 こういうところからいきますと、局長の薬局は医療施設でないと言う意味も、販売行為があるわけでございますから、ある意味でいくと、これは私どももその事実を無視することはできないと思います。しかし、さりとて医療の調剤という形での行為をやっていることも事実でございます。結局、今の薬局の置かれている立場というものは医療法にもはまらないというような格好になってしまいますと、この薬局におきます投薬の業務というものが大きな問題を残してくることになろうかというふうに思うのでございます。
 その一例を挙げますと、ある病院の前に門前薬局ができたというふうに仮定をいたしますと、今の状況でいきますと、建物が設置基準に合っておれば、調剤室が設置基準に合っておれば厚生省は許可をせざるを得ないという状況にございます。しかし、門前薬局の弊害というものは、私がここで言う必要もないところでございます。ところが、実際はこういう門前薬局がどんどん膨らんでいくという状況にございます。これは厚生省は決して好ましい状況ではないというふうに思ってみえると思うのでございますが、その御見解をまずお聞きしたいと思います。
 そして、今度診療報酬の改定によりまして、ますますこういう形での門前薬局がこれから出てくる可能性というのが非常に大きいというふうに私は思う次第でございます。そうであるとするならば、何らかの形でこれを規制をしていかなければならぬところに今日来ているというふうに思いますが、これを具体的に処理をするために、今厚生省は一体どういうお考えをお持ちになっているのでしょうか。これは何らかの方法で手を打ちませんと、結局どんどんこれからふえていくことになるわけでございまして、大変な問題を起こす結果となります。この間、中医協でもこれは大きな議論になったと聞いております。中医協の中でも問題になったぐらいでございますから、ぜひひとつ厚生省においても検討を加えて、何らかの法の中で規制ができるように、法の運用を図っていかなければならぬところに来ているんじゃないかというふうに思うのでございます。どうでございましょうか。
#60
○古市政府委員 前段の問題につきましては、薬局の医療に占める比重、非常に大きいということで医療法の中での位置づけを、こうお尋ねでございました。
 先生もお触れになりましたように、先ほどから申した問題にさらにつけ加えますならば、医療施設というのは現在非営利という原則で貫かれておりますので、その点、薬局が行っているのは営利というものも含まれているということからも、ちょっと位置づけにくいという事情がございました。そういう観点から薬事法の第二条で薬局が定義されて、それなりの位置づけがされている、こういう理解で法は成立したということでございます。
 それから、第二点の門前薬局、通称第二薬局的なものということを御指摘かと思いますが、それについて厚生省は、好ましくないということで常時指導しているところでございます。申しわけございませんが、ちょっと担当所管の局ではございませんので、厚生省全体としては好ましくないということで、保険上もひとつ規制をして指導をしているという段階でございます。
#61
○網岡委員 それでは、次に質問を移りたいと思います。
 今度の医療法の改正案の中で一つの目玉にもなっておりますが、特定機能病院という制度が生まれるわけでございます。
 それで、薬剤師の問題で一言質問をさせていただきますけれども、御案内のように、薬剤師の配置の問題につきましては、医師が三人以上のところにあっては薬剤師を必ず置かなければならぬ、こういうことになっておるのでございます。ところが、後段のただし害き事項によりまして、都道府県知事の許可があった場合には、その限りでないというふうになっておりまして、知事の許可によってこの定めが除外されるという項目がございます。そのために、病院でありながら、かなり大きい病院でも、結局薬剤師が配置されていないという非常に困った現象が出ているわけでございますが、少なくとも特定機能病院というのは高度の医療を行う病院でございます。
 であるとするならば、先ほども申し上げましたからもうくどいことを申し上げませんけれども、病棟における薬剤師の仕事というものは、これはもうトップの段階にあるドクターからも高く評価されているところでございます。医療におけるメードとしてちゃんと評価をされて、しかも病棟における薬剤師の仕事というのは、本来ならば薬の処方というのはドクターの仕事でございますけれども、救急医療や重篤な患者を治療する段階におきましては、薬剤師が医者に対して処方せんを発行する前に処方設計に携わって助言をする、こういうようなところまで実は病棟活動の中でやっているわけでございます。
 そういう仕事は、これからも特定機能病院はますます分野が広がっていくことになろうかと思いますし、そういうことは薬剤師にとって働きがいがある職場の一つでもございます。そういう意味からいきまして、特定機能病院には薬剤師を必置するということの規定にしてもらわないと、せっかく高度の医療を行う病院だということをやっても、そういう仕事をやっていく薬剤師がおらないようなことでは、これは絵にかいたもちになるわけでございますから、この点について省としてどうお考えになっているのか、局長の御答弁を願います。
#62
○古市政府委員 特定機能病院につきましては、高度の医療を提供する上で、医薬品の投薬管理についても相当の専門性が求められるということが予想されるわけでございます。そういう業務を遂行する薬剤師ということでございますから、この薬剤師も含めまして、そうした機能にふさわしい職員配置を行うべきものだと考えております。
 この特定機能病院の内容につきまして、基準につきましては政省令レベルで細かく決めていかれることになろうかと思いますが、そのような考え方に基づきまして関係審議会でも検討していただくことになろうかと思います。
#63
○網岡委員 次に、特定機能病院における施設設置義務規定の中で、今これまた非常に重要な機能を発揮しておるわけでございますが、医薬品情報管理室というものをぜひ明記していただきたいというふうに思うわけでございます。
 医薬品の情報管理室の役割につきましては、これはもう余り説明の要はないと思いますが、今日医薬品の種類とか有効性、安全性といったものを見きわめていくのは、かなり多岐にわたる知識を吸収していかなければならぬわけでございます。そして、医療現場におきまして医者が処方せんを発行する場合に、新薬などでは、その薬効についての内容についてはわからない場合もあるわけでございます。その場合には、すぐ情報管理室に一報を入れれば全部細かく指示をした答えがドクターのもとに返る、こういうことになって、非常に役割を果たしているものでございますが、高度の医療を行う特定機能病院でございますから、ぜひひとつ医薬品情報管理室は必置とする、こういうふうに政省令の中で対応していただきたいというふうに思うわけでございます。
 なお、ちなみに申し上げますけれども、国立病院の設置規定によりますと、国立病院の場合には医薬品情報管理室は必ず設置をしなければならぬ、こういうことになって義務づけられておるところでございます。こういうことから見ますと、さらに高度な治療を発揮する特定機能病院でございますから、ぜひひとつその辺のところを踏まえて対処していただきたいということを申し上げる次第でございますが、お答えをいただきたいと思います。
#64
○古市政府委員 医療におきます医薬品情報、ドラッグインフォメーションの活動というものは当然必要でございまして、殊に最新的な医療、新しい技術を開発するということが期待されております特定機能病院においては、その機能は重要だというのは先生の御指摘のとおりだと思います。これは、法案が通りました暁には、この項目につきましても医療審議会で御決定いただくことになりますが、その趣旨も踏まえて御検討をしていただきたいと思っておるわけでございます。
#65
○網岡委員 それではもう一つでございますが、今度の医療法の改正法案の中に、医療機関等において広告を許される事項というのがございます。こういう広告につきましては、その病院の機能の全体像が広告を見ることによって一般の患者が一日で大体わかるというような形で、かなり思い切って現実のものに合うように広告掲示をしたい、これはある意味でいけば、患者に対するサービスという形になってあらわれているものだというふうに思うわけでございます。
 そういう広告の掲示の中に、例えば服薬指導管理サービスを行っている、あるいはそのほかいろいろな薬物治療を行っているわけでございますが、そういうような広告をすることが許されるかどうか。これは例えば四百点業務をやる、こういうことになりますと、四百点業務をやっているということは、余り申し上げることはないと思いますが、病院の機能としては、薬物治療を含めまして全体の治療というものほかなり高い水準を持っているというところでございまして、そういうことからいきまして、こういったような広告が示されれば、この病院は非常に水準の高い病院だということが患者にもわかることになるわけでございますから、そういう意味で、広告表示をこの改正ができましたならばぜひひとつ御検討をいただきたいというふうに思うわけでございますが、どうでございましょう。
#66
○古市政府委員 今回の改正によりまして、医療機関による広告というものにつきましても、医療環境を取り巻く状況の変化、それからまた国民の医療知識というものが非常に広がってきているということを踏まえて御審議いただくことになっておりまして、これには診療に関する学識経験者の団体等の意見を聞くということになっております。その中でどういうものが具体的になっていくのかということは、個々にはちょっと現段階ではわかりませんが、広く団体の意見を聞いて適切に対応をしていきたいと思っております。
#67
○網岡委員 それから、時間がまだちょっとあるようでございますから質問を続けさせていただきたいというふうに思いますが、現行の医療法によりますと、薬剤師の配置基準というのは八十剤に一人、こういう基準になっておるわけでございますが、こういう特定機能病院といったような高度な治療を行うところにおきましては、これからは院内における病棟の活動というものが、再三申し上げておりますようにかなり密度の濃い状態になってきます。
 そして、これからも議論が出てくると思うのでございますが、紹介患者の基準とかいったようなことなどをあわせて考えてみましたときに、従来の大病院志向というものから違ってくみわけでございます。そうなると、外来患者が減ってくるということになって、一方におきましては入院患者が今度はふえてくる、こういう状況になってまいります。そうなると、今までの物差しの基準でありました八十剤で一人ということの目盛りでは、これはちょっと薬剤師配置の基準に現実の問題として誤差が出てくるような気がいたすわけでございます。
 こういうような特定機能病院において薬剤師の配置基準というものを、細かい数字は恐らく検討されているところだと思うのでございますが、大筋の方向として、入院患者に対しても配置基準のファクターの一つに入るということで、総合的な判断がされるような配置基準の見直しというものが行われるのかどうか、この辺についても御答弁をいただきたいと思います。
#68
○古市政府委員 現在、医療法におきましては八十調剤に一人となっているのですが、それが時代の姿に合わないというのは御指摘のとおりでございます。大きな病院等につきましては、薬剤師の方に病棟の中で薬剤管理、薬剤情報の提供をやっていただいておる。そのことが病棟の看護婦さんの業務の改善にもつながっているということがございます。
 そういうことから、現在の医療法の職員配置基準というのは、いずれ見直すということが必要でございますが、今回提案した中では全部には及んでいないということでございます。ただ、御指摘の特定機能病院等におきましては、非常に高度、先進的、総合的な医療が期待されておりますので、その中における薬剤師というものは、どういう基準になるのかはわかりませんけれども、外来だけでなくて入院、医療機関全体の中で果たす薬剤師の役割という観点から御検討をいただいて、適正な結果にしていただけるものだと思っております。
#69
○網岡委員 最後でございますが、先ほども質問の中にありましたが、今度医療施設の中に老人保健施設というものが加えられたわけでございます。これが報道されまして、老人保健施設の管理者とかいう人たちがかなり心配をしている状況が出てきております。
 それは、もし老人保健施設が医療施設ということに定められることになりますと、まず医療従事者の配置基準が違ってくることになります。そうなると、今はたしか一カ月で五万円ぐらいという話をお聞きしているわけでございますが、それだけの料金では、人の配置がふえてくるわけですから、当然人件費がふえるわけですので、やっていけないことになるということを非常に心配をされております。関係者の心配は、いわゆる高齢化社会に備えて、当初出発は福祉と医療の中間施設ということでスタートを切っているわけでございますが、まず一点確認を申し上げたい点は、この中間施設としての定義はこれからも変わらないということなのか、その点をまず一つお尋ねをいたします。
#70
○古市政府委員 老人保健施設についての開設許可等の基準につきましては、これまでどおり老人保健法の定めるところによることとしておりまして、医療サービスと日常生活サービスをあわせて提供するというその性格が変わるものではございません。
 改正案では、老人保健施設の医療を提供するという側面に着目して、医療提供施設の一つとして老人保健施設を位置づけたわけでございますが、この件につきましては、先生御承知のように、老人保健法による老人保健施設をつくるときから、これは医療施設ではないかという議論がありまして、中間的な役割ですけれども、今回医療法の中にもやはり医療提供施設であると書かせていただいたわけでございます。しかし、扱い等について変わることではございません。
#71
○網岡委員 これは重ねてもう一度確認をしておきますが、将来、医療費に絡んで、この老人保健施設の取り扱いが中間施設のあり方から変わるというようなことはないというふうに思いますけれども、再度局長の御答弁をいただきたい。
#72
○古市政府委員 先般老人保健法については改正をしていただきました。また、今回医療法について御審議をいただいておるわけでございます。その中に尽きるわけでございますが、各種の施設が今後の日本の高齢化社会において必要になってくるということから、医療施設、福祉施設、その中にいろいろな施設が必要になってきています。この大きな中でそれぞれの施設がどういう方向に行くのかということについては、長い将来のことでございますから、いろいろ変動もございましょうけれども、現在の段階でそれが急激に変わるというようなことを想定しているわけではございません。
#73
○網岡委員 最後ですが、私は今までずっと質問をしてまいりまして、かなりの点で問題提起をいたしました。これは局長からの答弁がございましたが、医療の現場におきますいろいろな問題が今出ているわけでございます。どうぞひとつその意味でぜひ前向きに今後検討をいただきまして、日本の医療が輝かしい前途になるように、今まで私が申し上げましたインフォームド・コンセントの問題あるいは薬剤師の問題などなど問題提起をいたしましたが、これからも厚生省においては医療法審議の中でぜひひとつ前向きに検討していただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
#74
○牧野委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時六分開議
#75
○牧野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。五島正規君。
#76
○五島委員 まず最初に、大臣にお伺いしたいと思うわけでございます。
 この医療法は、御案内のように、昭和二十三年に施行されて以来、部分的には改定がなされてきたわけでございますが、医療提供を行う基本法としての基本的性格は手をつけられないまま今日に至ってきております。午前中石破議員からの御指摘にもございましたが、その当時はまだ国民皆保険制度も成立しておらず、また疾病構造も伝染病が中心、また国民生活も住宅や食糧不足の中、非常に混乱した状況でございました。そういうふうな中で、医療というものが医師あるいは歯科医師と、その介助者と当時みなされておりました看護婦によって提供されるということで、医療の施設を整備するということを中心に、医療供給のシステム法案としてこの法案ができ上がったというふうに解釈しております。
 しかし、その後、日本は非常に大きな変化を経験してきたわけでございますが、この変化に対応して、この法律の基本的な部分について改正がなされてまいりませんでした。
 この法律の第一章の第一条のところには「この法律は、病院、診療所及び助産所の開設及び管理に関し必要な事項並びにこれらの施設の整備を推進するために必要な事項を定めること等により、医療を提供する体制の確保を図り、もって国民の健康の保持に寄与することを目的とする。」というふうにはっきりと施設法案、医療施設を整備するという施設法案として医療提供というものを位置づけているわけでございます。しかし、今日国民の疾病構造も変わり、あるいはさまざまな形で社会全体が変化してくる中において、国民皆保険制度といったこの制度も定着し、それに対応した医療供給法案、医療供給の基本法はどのようなものでなければいけないかという、その根本に戻ってまず検討しなければいけないだろうというふうに考えるわけでございます。
 そういたしますと、今日医療の提供というものは、もちろん施設の面は極めて重要でございますが、あわせまして医療というものを支える担い手、あるいは医療従事者と申しますか、これをどのように確保し、そしてどのように配置していくかといった人の面からの配置というものが明確でないと、この医療基本法という内容にそぐわないというふうになってきていると思うわけでございますが、まずその点について大臣どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
#77
○山下国務大臣 お話の点は、医療法を医療基本法としてきちんと位置づけよ、こういう御趣旨であろうと思うのでありますが、確かに医療は人と施設、そしてそれにふさわしい理念といった要素の上に成り立っていると思うのでありまして、私としましては、今回の法案はこうした方向を目指して、ハードの面だけではなくてソフトの面からもこれに取り組んだと思っている次第であります。いずれにいたしましても、その方向を目指して今後とも努力をいたしたいと思います。
#78
○五島委員 大臣の基本的なお考えもそのような内容であるということであるならば、ぜひこの法案の中においても、それが見えるような形で御整備をいただきたいというふうに思うわけでございます。
 あわせまして、今回の改正の中におきましても、具体的に医療がどのような形においてなされていくかという点につきまして、改正案の中に第一条の二という形でもって定義しております。これは医療の担い手によって、医療を受ける者との信頼関係をベースとして、そしてそれぞれの状態に応じた治療というものが行われなければいけないということが基本的に書かれているわけでございまして、それはまさにそのとおりであるというふうに思うわけでございます。
 このように、本法の中にも、医療の基本として、医療の担い手とそれから医療を受ける者との信頼関係に基づいてということが明確になっているわけでございますが、この信頼関係というのはさまざまでございます。政治家と国民との信頼関係ということもよく言われるわけでございますが、この信頼関係というものは何によって構築されるのか、ここのところを明確にしないと、単に医療法の上において信頼関係という言葉を入れただけでは、これはやはり不十分だというふうに考えるわけでございます。
 この点、午前中網岡議員の方からもインフォームド・コンセントの問題について質問がございました。まさに医療を受ける者と医療の担当者との間における信頼関係というのは、患者に対する病状の説明あるいは療養生活のあり方、疾病に対する認識、再発の予防に対する知識、あるいは今日のように成人病が非常に増加し、病気を持ちながらも社会的にはあるいは労働生活を含めて健全者として過ごしてもらわなければいけない、そういう時代になってまいりますと、いかにして疾病をコントロールしていくか、そういうことについて数々の医療の提供側から患者さんに対するきちっとした説明というものが必要でございます。また、そうした説明に基づいて患者さんが受ける医療について、患者さんに納得をしていただくということが非常に大事でございます。
 この患者さんに対して納得していただくという納得というのは、権威なり押しつけによってではなくて、まさにその説明ということを通じて納得をいただくという行為を通じて、信頼関係というものが生まれるのであろうというふうに考えるわけでございます。まさにインフォームド・コンセントということにつきましては、先ほど例として大臣おっしゃいましたように、がんの告知の問題とか末期医療の問題というふうなそういう現象面においてどうなのかという問題じゃなくて、医療全体を通じて患者に対していかにそのような説明をしていくか、その説明を通じて患者さんの納得をどのように獲得するか、その行為を通じたものが信頼関係として反映されるものだというふうに考えるわけでございますが、そういう意味においてのインフォームド・コンセントという問題について、再度大臣どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
#79
○山下国務大臣 午前中にも申し上げましたように、インフォームド・コンセント、この方向に向かって日本の医療体系というのは進んでいかなきゃならぬことは私も全く同感でございます。したがいまして、その方向を目指しながら、この問題は真剣に受けとめていかなきゃならぬと思っております。
 ただ、現段階では、これを法文化するということは我が国においては若干時期尚早ではないか。欧米先進国でも早くこれを取り上げているところもございますけれども、何と申しますか、インフォームド・コンセントに対する一つの国民の理解とかまたその土地の風土とか文化とか、いろいろな問題もこの要素として入っていくわけでございますから、私は、今の日本としてはまだちょっとどうかな。その成熟化と申しますか、そういう点をよく見きわめながら、やはり時をうまくつかんでこれはやっていくべきである。そのためにはあと若干の日にちをかしていただきたい、こんな感じでございます。
#80
○五島委員 インフォームド・コンセントをどのように明確に文章化していくかという問題はいろいろあるかと思いますが、少なくとも明らかにしておかなければいけないことは、患者さんには自分の健康状態について真実を知る権利、それからどのような治療を受けるかということを自分で決定する権利がある。患者さん自身にその権利の行使を求められた場合、医師としてはそれにこたえる、すなわち説明する義務というものは当然ございます。
 あわせまして、医師の中には当然医療の中においてどの医療が最もいいという、自分としてはどの医療を提供したいかということを、そういう裁量権を持って患者さんに説明する権利があるというふうに考えるわけでございますが、そうした医師の説明義務と裁量権、そして患者さんの真実を知る権利と自己決定権、インフォームド・コンセントというものはこの二つの間において国民的コンセンサスを得られるべき問題だろう。そして、例えば先ほどおっしゃいました末期医療の問題、がんの告知の問題、そういう問題についてどうするかということにつきましては、例えば平成元年の六月に末期医療に関するケアのあり方についての検討委員会、たしか厚生省は発足されておられると思います。そうした問題を含めてその中において検討いただきたい。
 ちなみに私どものところでも、かって私自身が学生時代においては、がんの告知ということについては、医学教育の中において極めて否定的に教わってまいりました。しかし、今日、私は医者でございますが、私どもの病院においては、早期のがんに対しては患者に対して明確に言う。明確に伝えることによって早期の時点における治療というものを、ほぼ一〇〇%治癒するという確信のもとに、むしろ患者さんに知ってもらって、治療の時期を逸しないということでもってがんの告知をしますし、運悪く非常に進行がんで医学的に見てどうも手術のできぬ、いわゆる末期の状態に近い、そういう状態で患者さん自身ががんと気づいておられない、そういうふうな場合には、がんの告知というものはできていないというのが現状でございます。その辺はやはり日本社会とヨーロッパ社会、契約社会との違いというのもございます。
 しかし、そういう違いはあったとしても、患者さんには真実を知る権利と、どのような治療を選択するかという自己決定の権利はやはりあるんだ。それに基づいて医師に説明を求められた場合、医師はそれにこたえないといけない。このことはインフォームド・コンセントの基礎になると思うわけであります。ましてや手術をする段階において、強制的に同意書をとるということでなくて、その手術の内容あるいは目的、それによるところの副作用等々について、患者さんに対してどのような説明をされた上で同意されたかという内容まで求めていくということは、今日の医学にとって非常に大事だと思いますし、そういう行為を通じて信頼関係というものは生まれてくると思うわけです。
 これが医療法という法律の中身として書かれるべきものなのか、あるいは今回の改定案に基づいて厚生省が一定の指針ないしガイドラインとして整備されるべきものなのか、いろいろ議論はあると思うわけですが、このインフォームド・コンセントという問題に対して、まだ時期は成熟していないということで全く放置はできないというふうに考えるわけでございますが、その辺、再度御所見をお伺いしたいと思います。
#81
○山下国務大臣 先生はさすがに専門家でございまして、私がお答えするまでもなく理路整然とおっしゃいました。確かにインフォームド・コンセントというものは患者と医師の信頼関係に基づくものでありますから、おっしゃるとおりだと思います。
 私は、午前中にも例を示しましたように、例えばある病気を治すのに内科的な治療方法があるが、かなり長時間かかって完全に治るかどうかわからない、外科的にやれば完全にそれは治るかもしれないが若干の危険性が伴いますよという場合、その医師が判断するには本人の意思も必要であるということはわかります。
 あるいはまた、ちょっと前の例でございますが、フランスのドゴール大統領が前立腺肥大で手術をしなければならぬかなと。そこでフランスの医師が集まって、八十何歳のドゴール大統領の手術をやっていいかどうか、両派に分かれていろいろ議論したときに、大統領自身が手術をやれと言われたという話も聞いておりますが、そのようにやはり信頼関係と、そういう一つの本人の決断とかいろいろなものが入ってくると私は思いますから、先生のおっしゃるとおりです。したがって、日本の医療についても、インフォームド・コンセントの方向に向かって今後どんどん方向としては進んでいかなければならぬということは、私も理解できるわけでございます。
#82
○五島委員 ありがとうございます。
 あわせまして、この第一条の二の中に、こうした信頼関係に基づいて医療を行う「その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。」というふうになっているわけでございます。書かれている部分についてはまさにそのとおりでございますが、これが今日の医療の中において必要十分であるかどうかということについて、私は若干の疑念を持つものでございます。
 と申しますのは、今も申し上げましたが、今日非常に高齢社会になって、当然高齢者の就労問題あるいは障害者の就労問題といったような問題も大きな問題になっております。また、多くの人々がいわゆる成人病という疾病を持ちながらも、社会生活において、家庭生活において、健康者として生活しているというふうな状態が常態となってきているわけでございます。そうしますと大事なことは、病気があれば治してしまうか予防するかという、そうしたこれまでの医学の、とりわけ伝染病時代の考え方だけでなくて、疾病を持っていても、その疾病がいかに社会生活、家庭生活を破壊しないようにコントロールしていくかというふうな作業が非常に大事になってきております。
 これは古市局長にぜひお伺いしたいと思うわけで、古市局長は公衆衛生の大先輩でございますが、そういう意味において、いかに疾病をコントロールしていくか、言いかえれば、疾病を含めたそういう健康管理のシステムを具体的にどのようにつくっていくか、非常に重要な課題になってきていると思うわけでございます。
 かつて本委員会におきましても、多くの議員の皆さん方から、例えば光ディスクあるいはICカードによる健康情報の管理といったような問題についての御提起もございましたが、やはり年に一回あるいは二年に一回の総合的な健康診断、そしてそれぞれの医療機関等におけるそういう治療内容というふうなものをきちっとフォローアップできる管理システム、健康をどのようにコントロールし、管理していくかというふうなシステムが必要ではないか。これは健康と疾病のフォローアップシステムとでもいうべきものだろうと考えますが、社会党はかってからこうした問題につきまして、主治医選択制という形でもって、そういう制度はどうかということを御提案申し上げてきたわけでございます。今この医療法を改定するに当たって、こうした問題についてぜひ検討いただく時期に来ているのではないかというふうに考えるわけでございますが、その点についていかがでございましょうか。
#83
○古市政府委員 健康と疾病、それに対する医療制実のあり方につきましては、私は五島委員とほとんど同じ考えに立っているのではなかろうかと思います。
 御指摘のように、健康から疾病、さらに死に至るまでは連続的な現象であります。それに対しまして我が国の保健医療制度というものが非連続的に対応している。殊に臨床医療中心であったという反省から、さらに健康管理、それから第一次予防、リハビリテーションというものの強化が現在急がれているわけでございます。そういう状況に立ちまして、今回提案させていただきました医療法におきましても、第一条の理念の中に、医師と患者の信頼関係ということと同時に、医療の範囲というものを広く疾病予防からリハビリテーションまでと規定をさせていただいた。そういう反省に立って今後の体制というものを望もうという意思のあらわれだと受け取っていただきたいと思うわけでございます。
 なお、健康管理のための健康カードシステムの利用につきましては、これも非常に重要なことでございまして、私どもは既に淡路島におきまして、小さな町村におけるカード利用における健康管理システムの可能性というのを実施いたしました。さらに来年度は姫路市という都市に移しまして、都市の中で、このカードによりましてどの程度医療情報が集められ、健康管理、医療に利用できるかというものを実証的に検討したいということであります。引き続きまして、このシステムについて検討を進めてまいりたいと思っております。
#84
○五島委員 ぜひ、そうした地域的なモデル実験の上に立って有効であるということになれば、全国的に取り入れる方向に進めていただきたいと思います。
 もう一つ、この医療法の中で問題になると思われますのは、先ほど申しましたように医療が非常に大きく変わってきている。そういう中で、依然として文章の上では医療の担い手というものにつきまして医師、歯科医師を例示として挙げ、その他はいわば十把一からげで医療の担い手と。かつて医療の中において、医師とパラメディカルスタッフという言い方はよくされてまいりました。私は、今日の医療の中においてパラメディカルスタッフという言い方は極めて不適切であるというふうに考えているわけでございますが、そういう観点からでは、今後の医療あるいは保健の問題というのはうまくいかないのではないか。やはりここに例示するとするならば、医師、歯科医師、薬剤師あるいは看護婦といった機能について明示していくべきではないかと考えるわけでございますが、この点は午前中も論議がございました。
 その問題とあわせまして、さらにもう一つここで検討しておかなければいけないのは、それぞ札の医療スタッフあるいは医療機能の検討でございます。
 昭和二十三年の時点におきましては、確かに医者と看護婦ということで医療というものが基本的には成り立つという構造の状況であったと思います。しかし、今日の医療というものは、では医者と看護婦があればすべて成り立つのか。ここに書かれておりますように、予防からリハビリテーションまで含むという医療の範囲の中において、医師と看護婦だけでは成り立っていかない。
 また看護婦の機能にいたしましても、病棟という一つの範囲をとりましても、今日看護婦の業務の中においては、必ずしも看護婦でなくてもいい仕事ばかりで看護婦さんは忙しい。例えば、事務職の人たちがやれるようなクラークの仕事というのも看護婦業務の中に入っております。あるいは今日の医療の中において、午前中網岡議員からの指摘もございましたが、病棟における薬品の管理や点滴の調合といった本来薬剤師がやらなければいけない仕事、そういう業務も非常にふえてまいっております。あるいは今日の状況の中において、モニターによる病室の患者さんの監視というものが非常にふえてきておりますが、そうした部分について言うならば、臨床検査技師あるいは新しくできましたたしか臨床工学技士ですか、そういった人々、あるいは卒中その他の医療の中においては、早期における病棟、ベッド上のリハビリが必要だということになりますと、病棟の中におけるPT、理学療法士の方々の機能、そうしたものが総合的に今の医療の中には求められるのです。
 しかし依然として、そういう構造として、この医療法はどう読んでも今日の医療に対応するのではなくて、医師というものを中心に、それに看護婦というものを位置づけて、その両者の間だけで医療というものを考えようとしているのではないかというふうに受け取れるわけでございます。こうした医療の担い手の機能と分担の検討というものは今後極めて重要になるのではないかと思うわけでございますが、その点についていかがでございましょうか。
#85
○古市政府委員 三点ぐらいにわたる御質問かと思いますが、今回提案させていただきました医療法の中で、幅広い医療の担い手である看護婦、薬剤師その他の職種についての触れ方が足りないじゃないかということでございます。これは網岡委員にも御説明をさせていただきましたが、現に医療法の第十八条には専属薬剤師の規定がございます。それからまた看護婦などの医療従事者につきましても、二十一条に病院の法定人員に関連する規定があるわけでございます。そういうことで、薬剤師や看護婦等につきましても、重要な医療の担い手の一員であるということは、現にそうなっておりますし、認識しておるわけでございます。
 しかしながら、今回出させていただきました改正案の中におきましては、医療法の規定全体を見ますと、病院、診療所がそもそも医師、歯科医師が医療を行う場所であること、並びに医師、歯科医師は医療法上病院、診療所の管理者としての各般の規制を受けているというところから、例に挙げるのは医師、歯科医師にとどめて、その他の医療の担い手としたわけでございます。あくまでも例示の問題かと思います。
 それから第二番目に、現在看護婦の業務にはいろいろな幅広い雑用まで含まれているということでございますが、例えて申しますと、介護職員、薬剤師、臨床検査技師、事務員がそれぞれかわってカバーできる分野があるのではなかろうかということでございます。これは御指摘のとおりでございまして、現在私どもは平成三年度から看護業務の検討会を開催しておりまして、深夜交代を避ける勤務体制の検討と同時に、病棟事務員、看護助手等の活用、それから病院内の薬剤師との業務の関係の見直し、また看護業務自身としましては交代時における申し送りの改善等、幅広く検討しております。これは来年度予算におきましてはさらに全国の七施設ぐらいを選びまして、そこでモデル病院における実態を見まして、その結果をまとめて、全国的なモデルになるマニュアルをひとつつくりたいと思って検討を進めている段階でございます。
#86
○五島委員 その点につきましては後ほど改めてお伺いすることといたしまして、先ほど大臣の方からも、医療の提供というものは施設と人の両方の面というふうな御回答もいただいたわけでございますが、そういたしますと、医療におけるマンパワーの確保あるいはその養成というものは、当然国及び地方自治体にあるかというふうに思われるわけでございます。そして、そうした養成、確保という問題とあわせましてもう一つ極めて重要なのは、地域医療計画の中においてもそうしたマンパワー確保の問題というものを書いていくべきではないかというふうに考えるわけでございます。
 時間がございませんので、あわせましてこの地域医療計画の問題につきまして二、三御質問と御提案を申し上げたいと思うわけですが、地域医療計画が実施されまして具体的に実施できたのは、各地域におけるベッド数の規制ということぐらいしかまだ今のところできていない。この地域医療計画の目的の一つに、医者や医療機関の偏在の是正というものを具体的に進めていかないといけないのではないか。これはベッド数の問題としては非常に大きな形として進んできたと思うわけでございますが、二次医療圏の中をとりましても、依然として無医地区の問題、過疎地域の問題というものは残っております。また、医療といったものは単に医療機関があればいいということではなくて、それぞれの機能が整備されなければだめだと思います。
 その中でとりわけ、例えば救急システム、これはかなりの都市であれば、市単独においても救急体制というものは組めている自治体も多うございます。町村のレベルになりますと、どうしてもそれぞれの町村単独では救急の体制というものの整備が難しい。そうなりますと、やはり二次医療圏といったような単位において、地域医療計画の中で救急システムというものを具体的に記載していく、そういうふうなことが必要ではないかというふうに考えるわけでございますが、その点についてどのようにお考えか。
 あわせまして、そうした問題を考えますと、例えば今日、難病の治療というのが非常に大きな問題でございます。その難病の治療というのが、ベッドがないために通院、あるいは入院するために県をまたがってよそへ治療に行かなければいけないというふうな例があるところでございます。例えば、高知県は残念ながら子供の筋無力症に対する療養施設、治療施設がないということで、今ほとんど徳島の方までわざわざ行っているというふうな状態もございます。あるいは、そうした病気だけではなくて、患者さんが透析を受けるために、丸一日かけて通院してきておられるというふうな事例が全国至るところで見られるところでございます。
 こうした難病治療といったようなもの、あるいは今日非常に問題になっております精神医療についても、適所施設等を含む総合的な計画をこの二次医療圏ごとに策定をしていくといったような、きめの細かい地域医療計画の策定というものに入らなければいけない時期ではないかというふうに考えるわけでございますが、その点についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
#87
○古市政府委員 まず第一点のお尋ねの医療マンパワーの確保の責務が公的にあるのではなかろうか、またこれを法律に明らかにすべきではないか、こういう御趣旨かと思います。
 今回の改正案の第一条の三に「国及び地方公共団体は、前条に規定する理念に基づき、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならない。」ということで、公共団体の責務を明らかにしたわけでございます。なお、この医療従事者を確保するための所要の措置を講ずる、この中には、マンパワーの確保という概念が入っているというふうに理解しているわけでございます。
 それから、地域医療計画の充実、拡充ということでございますが、御承知のとおり、現在第二回目の地域医療計画の見直し時期に入っているわけでございます。第一次におきましては、まず急がれました二次医療圏の設定とその圏域内における病床の数の規制ということが中心でございましたので、当初それと同時に、あるいはそれ以上に重要だとされておりました保健計画との結びつきというのが、どちらかというと立ちおくれたという状況でございました。したがいまして、今回の見直しにおきましては、一応法律上都道府県の医療計画の中では任意的な記載事項とされておりますが、実質上には非常に重要でありますこれらの各種の保健医療との連係、それから保健サービス、さらには福祉施設との結びつき、そういうものを重点的に見直して新しい計画にしてください、このようにお願いしているわけでございます。
 そもそも僻地の問題、無医地区の問題は、いまだに解決できずに残っていることでございますが、そのことのためにも、それぞれの都道府県の中をどのような医療圏に分けたら、中核的な病院なり、それぞれの近隣の市町村が助け合って第二次医療が完結するのかという観点から医療圏を分けていただいたということでございますから、医療圏の設定ということ自身が、地域に対する一つの医療供給体制のあり方を示したということになろうかと思います。しかし、それでも地域によりましては解決できない問題が多々ございます。そこを今度の見直しでは、さらにどういう工夫を凝らすかということをやってください、こうお願いしているわけでございます。
 さらにお尋ねの精神等につきましては、二次医療圏単位では不可能という面もございますから、精神医療の施策というものは、三次医療圏の段階で完結することを医療法はお願いしているわけでございます。
 また、お尋ねの難病等特殊な治療ベッドの確保というのは、物によりましてはそれぞれの県単位では不可能ということがあるかもしれません。そのときには広域圏によりましてはかの県の方にお風いするということも含めて、特殊病棟に対してその都道府県でどのように対応するのかということも検討していただきたい、こういう観点で我々は指導し、依頼をしているところでございます。
#88
○五島委員 救急医療や僻地医療の問題は、保健医療の連係の中において解決していく方向を明確にしていただきたいと思うわけでございますし、また、今古市局長が精神医療等については三次医療圏でないと対応できないとおっしゃっているのは、余りにもベッドの問題という観点からの考えにとらわれ過ぎた方法だろうと思うわけです。今日の精神医療の問題を考えた場合に、まさに適所あるいは精神診療所といったような施設あるいは社会福祉施設等々、きめ細かく対応していかないといけない。
 二次医療圏というのは、別名生活圏ごとに分けられているという実態を考えた場合に、精神医療の問題等につきましても、あるいは難病等の問題についても、基本的に二次医療圏の中においてきめ細かく策定される必要があるということを、きょうは時間がございませんので押し問答いたしませんけれども、申し上げておきたいというふうに思います。
 さて、現行の医療法の中で何が一番大きな問題といいますか、医療法といった場合に、あれはあるだけの法律で、実際には何の役にも立たない法律なのだというふうに言われている最大のものは何かといいますと、私は二つあるだろうと思います。
 一つは、有床診療所が原則的として四十八時間以内しか患者を置いてはいけないというふうになっているということ、そしていま一つは、人員問題につきまして、医療法で定める定数を割った場合には十万円以下の罰金ということが法律の上に書かれているわけです。もちろんこれは条例でございますが、私が知っている限りにおいては、この罰則について、医療機関が医療法に定める人員を確保していない場合に十万円以下の罰金を課すことができるという条例を具体的におつくりになっている市町村は、一つもなかったというふうに聞いているわけでございます。
 そういたしますと、人の面あるいは有床診療所の面、非常に目につくところでございますが、この点において現行の医療法というのはまさに空洞化というよりも守られたことが一回もなかった法律であると言えると思うわけでございます。その点、これらの問題について厚生省、今回を手をつけておられないわけでございますが、今後どのようにしようとしておられるのか、お伺いしたいと思います。
#89
○古市政府委員 御指摘のように、現在有床診療所というものは、患者の一時的な収容のみを前提として医療法上位置づけられております。
 ところが、現実的には平均の在所日数というのは、平成二年の患者調査によりますと二十八・二日となっていて、現状と法律で決めたことと著しい乖離があるというのは御指摘のとおりでございますが、そうは申しましても、地域医療の中で二十数万床の有床診療所が果たしている機能というのは、非常に大きいものがあるということも事実でございます。このような状況でございますので、有床診療所の問題につきましては関係者の間でもいろいろ議論がなされておりますが、まだかなりその議論の間には乖離があるということも御承知のとおりでございます。
 そういうことで、私どもも検討はしておりますが、今回の改正で直ちに提案できるというところまでまとめ切れておりませんので、さらに今後の医療供給体制のあり方につきまして、今回の改正に引き続く課題として検討をさしていただきたいと思っているわけでございます。
#90
○五島委員 制定されて以来一度も守られたことがなかった法律というのは、法律にそう書かれているからそれがけしからぬという前に、この法律自身に問題があったのだと思うのですね。この四十八時間の規制というふうなものは、現実的にもう意味がなくなっているのではないか。また今日、眼科や耳鼻科、あるいは一部高度医療をやっている脳外科等の医療機関において、十九床もベッドがあればいいんだ、そういうところではわざわざ病院にするために二十床以上にする必要はない、むしろ十九床以下でも病院として認めてほしいという声もございます。そうした意味からいっても、この有床診療所の四十八時間規制という問題については、早急に再検討すべき時期に来ていることは明らかだ。全く守られない法律を昭和二十三年以来営々として四十年間を超えて維持してきたということが、むしろ異常なんだというふうに私は考えます。
 また、職員の配置基準にいたしましても、十万円以下の罰則を法律の中に設けておきながら、現実にそれを実施するための条例がどこの自治体においてもつくられていないということは、まさにこれまでの厚生省のそういう医療機関に対する指導、あるいは診療報酬を通じての運営に問題があったのだろうというように考えております。その点についても、まさに実施されない規定だけが残っているというのは、法に対する国民の不信をもたらすものではないかというふうに考えます。この点についてもどうせいい御返事はいただけないのだろうと思いますが、こうした問題について改めて早急に見直す気はないのかどうか、その点だけ簡潔にお伺いします。
#91
○古市政府委員 非常に厳しい御指摘でございますが、今医療法の中で有床診療所がどういう規定かということを御紹介させていただきますと、第十三条で「診療所の管理者は、診察上やむを得ない事情がある場合を除いては、同一の患者を四十八時間をこえて収容しないようにつとめなければならない。」ということでございまして、どんずばりということではございませんが、当初想定したのと違った実態になっている。しかし、これが現在果たしている役割というのも非常に大きなものがございますから、その実態も踏まえて、条文と実態との乖離というものは早急に是正のための検討をしたいとお答えしたわけでございます。さらに努力をさせていただきます。
#92
○五島委員 ところで、今回の法律の改定の一番大きな部分というのは、病院を特定機能病院、そして一般病院、そして療養型の病床群というものに分けるということにあるかと考えます。そして、午前中の議論の中にも、この特定機能病院というのは高度な医療を行うところなんだということを前提とした議論がたくさんあったわけでございます。
 特定機能病院は、現在伺っているところによりますと、大学病院の本院及び二、三の国立医療機関を指定するというふうに聞いているわけでございますが、高度な医療というものに着目して特定機能病院を設定するということになりますと、一体高度の医療というのは何なのかということを明らかにしていただかなければなりません。その点についてどういうふうに考えて特定機能病院というものを設定しておられるのかをお伺いしたいと思います。
#93
○古市政府委員 特定機能病院というものは、一つの基準をつくりまして、それに該当すると思う医療機関から申請をしていただいて、その申請に合致しているかどうかということで承認されていくことを想定して、今回制度を提案させていただいておるわけでございます。
 現在考えておりますのは、まず高度の医療を行う能力を有すること、これは何が高度かということが一つ問題になろうかと思います。これは、これまでに行われた診断、治療というものがどの程度最新、先端的な、また日本の中でも数が少ない難しいことをやったか。事例で申しますと、胆道閉鎖症とか肝切除術とか、それからまた内科的疾患では非常に珍しい内分泌疾患とか、そういうことが具体的に挙げられて、その実績から評価をされていくというぐあいにお考えいただければと思っております。その中身はまた審議会で詰められることになろうかと思います。
 それから、高度の医療技術の開発及び評価を行う能力を有すること、それからまた、それらの高度の医療をほかのお医者さん方に技術移転をしていくということを期待しているわけでございますが、そういうことをやる能力があること、また、そのほか厚生省令で定める診療科名を有し、また一定の施設基準に合格している、こういうことで、言ってみれば医療の先進性と医療施設全体としての総合性、実学性というものを総合的に項目を挙げて、合致しているかどうかというものを検討していきたい、このように考えているわけでございます。
#94
○五島委員 特定機能病院をあくまでそうした全体としての高度の機能ということで、古市局長の言われた内容というのは、単に特定の手術ができるということだけだというふうに受け取りますが、そういう形での高度な機能というものに一つの大きな重点を置き、そして、その上で教育の問題、研修の問題ということになりますと、特定機能病院というのは、今日言われているように、大学病院の本院をすべて含むとか、それから国立がんセンターとか、あるいは循環器病センターといった二、三の国立医療機関を指定するということではないというふうに受け取れるわけですね。例えば新設の医科大学と日赤中央病院、虎の門病院あるいは榊原病院といったような病院を、例えば循環器の手術あるいはその他のそれぞれの手術というものを比較していった場合に、どちらが高度な医療をやっているか、そんなものは言えないということになってくるかと思うのです。
 そうしますと、私どもの理解の仕方は、これはあくまで医育ということ、医学生の教育ということにあわせて、専門医に対する研修をさらにしていける、そういうポストグラデュエートなエデュケーションも担当できる、そういうふうな医療機関というふうに受け取ったわけでございますが、今の古市局長の話を聞きますと、どうも私どもの受けていた説明と違うように感じるわけでございます。その点もう少し明確にお伺いしたいと思います。
#95
○古市政府委員 先ほどお答えしましたように、医学技術の研究開発といったものができる医療施設ということで、その先進性と、それからまた、医療施設全体として、一つのピークだけではなくて全体のレベルが高い、総合的な医療を実学的に提供できるということから、各診療科というものもある一定数以上持っている、そういうことで御説明したわけでございます。
 それからまた、幾つかの疾患あるいは治療を御紹介したわけでございますが、それは単に事御でございまして、その治療ができるということと同時に、それらを新しく研究開発していくスタッフを持っている、また、そういう中に周りの医療機関からその技術を学ぶために人々が来ている、それに対するティーチングスタッフがいる、そういうことを総合的に一応勘案して決めていくわけでございます。
 具体的な施設名としては今申し上げるわけにいきませんが、多くの大学の附属病院だけでなくて、国立て申し上げますと、国立の中でもそういう治療をやっておるセンター的な施設、さらには総合的な国立病院も該当している。国立だけでなくて、民間医療法人におきましても、この枠に適合するものは申請していただくというぐあいに考えております。
#96
○五島委員 そうしますと、すべての大学病院の本院というのは特定機能病院に該当するかどうかわからないということですか。それとも大学病院の本院はすべてこの特定機能病院に該当させていくというふうに考えておられるのか、そこのところをお伺いします。
#97
○古市政府委員 今明確にお答えできませんが、先ほど申しましたような手順で申請をされて、その基準と照らして承認、認定されるということでございますから、今前もって現在の八十医科大学が全部該当するとか、そういうぐあいに申し上げるわけにいかないわけでございます。一つの基準に、一応イメージとしてはそういう施設だと申しましたが、幾つかの点でそこが当たらないというものもあり得るわけでございます。
#98
○五島委員 私は、医者である私が聞いても何が高度かわからないというふうな非常にあいまいなスタンダード基準をつくって、そしてそれに合致しているところは特定機能病院にするんだという言い方であれば、これはやはり病院に対する一定の差別化であるだろうというふうに思うわけですね。また、それに対する受診の機会というものにつきましても、紹介型ということを重点、五〇%ぐらいというふうな話も流れでございますが、そうなりますと、患者さんにとっても医療差別ということになってくるのではないか。その点についてどのようにお考えか、お伺いします。
#99
○古市政府委員 医師である先生にとってわかりにくいところがあるのは非常に恐縮でございますので、どのように説明すればいいかと思って今ちょっと頭を悩ますおけでございますが、逆に考えますと、日本は、医療法の上では二十床以上はすべて病院であるという規定だけでございます。唯一ほかの規定は、総合病院というのが、ある病床数と診療科名で決まっているわけでございます。
 ところが、現在の日本にある医療機関というのは非常に千差万別でございまして、国民の目から見たら、その病院がどういう方向に向かって自分の医療を提供しようとしているのかということがもう一つよくわからない。そこで、いわゆる大病院志向とも言われますが、大学病院とかいろいろなところに、自分の病気が最悪の例ではないかと思って行っている。結果的には、そういう高度の機能、スタッフ、検査機器の大型器械というものを持っている医療機関が、すべての一般的な患者さんに対応せざるを得ないという形にもなっている。
 そこのところを、どのようなことを導入して、病院機能の目指すところと、その診療機能がフルに国民に還元できるような形をマッチをさせればいいかということで、一つ考えたのが今回の特定機能病院である。そういうことで、先ほど申し上げましたようなところには、そこが持っている能力、技術というものと器械に一番ふさわしい人たちが一番行きやすい制度にするということから、そういう部門を設けたわけでございます。
 そういうことで、そういうことが期待される医療機関でございますから、そこでは我が国の国民のために新しい医療技術を開発していただく、その技術を周辺のお医者さんに普及していただく、地域の中からはそういう患者さん、一般の医療機関ではできない人たちを優先的に診てあげる、そういう病院ですよということで特定機能病院を称していただいて、そういう本来その病院の設置目的に合った方向に進んでいただいたらどうであろうか。
 しかも、それはこちらが強制することではございませんで、そういう枠をつくったので、今まで医療法でなかったけれども、その枠内でこそ自分の病院はできるんだといったところから申請していただいて、審査をして、それで動いていただく、こういうことを想定したわけでございます。
#100
○五島委員 押し問答になりますので繰り返しませんけれども、例えば大学病院という病院は世間一般では高度な医療が行える病院。確かにある意味においては当たっている。しかし、そこで与えられる医療が高度の医療であるかどうか、これは非常に問題があるということは、医者の世界においては常識である。大学病院に単に外来で飛び込んでいって、そして診察を受けるというようなことは、私は恐ろしくてようしない。通常大学病院の機能といった場合、その大学の中の何科の何医師ということでもって、非常に優秀な専門家がいる、大学の機能をフルに発揮した医療を行える医者というものが何人がおられる、そういうふうなところにおいて提供される医療というのが高度の医療なんであって、そこにおいて一般的に行われている医療というのは、地域において、あるいは自分たちの家庭として受けている医療よりも、むしろ高度でないと言って間違いないというのが現状だと思うのです。
 そういう意味からいっても、特定機能病院というものの指定というのは、患者さんに対して非常に誤ったイメージを与えるだけではないのか。むしろ特定機能病院というそういうあいまいな指定のやり方をやめて、例えば専門医に対する研修というふうな機能に着目して、医育病院及び専門医に対する研修病院というふうに明確にされたらどうかというふうに私は提案したいと思います。
 ところで、きょう文部省がおいでになっておると思うわけでございます。文部省の方にお伺いしたいと思うのですが、医科大学の附属病院というものについて文部省はどのようにその役割をお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
#101
○前畑政府委員 御案内のとおり、大学は、学術の中心として広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授、研究をするというのがその目的であります。したがいまして、大学において行われる活動というのは、基本的には教育研究活動でございまして、法律に基づきまして大学設置基準というものを省令で決めておりますが、そこでは、医学または歯学に関する学部には、教育研究に必要な施設として、附属病院を設置するということを定めておりますし、国立大学につきましては、国立学校設置法の施行規則をもって「国立大学の医学部及び歯学部に、附属の教育研究施設として、附属病院を置く。」このように規定をいたしております。
 しかしながら、いずれも病院でございますから、そこにおいて患者の診療が行われるということもこれまた当然のことでございまして、私どもは、設置をしておりますのは教育研究施設として設置をいたしておりますが、そこで患者の診療が行われておる、このように考えております。
#102
○五島委員 今文部省の方がおっしゃいましたように、大学の附属病院の目的というのはあくまで教育研究というところに中心がある。医学教育でございますから、その教育研究をするためには、当然そこにおいて臨床が行われなければならない。臨床というのは医療でございます。そういう関係として大学病院というものは位置づけられておるというふうに考えるわけでございます。
 医学の教育あるいは臨床の研修という立場からするならば、これは実は一方医療において医者に求められているのは、必要最低な形における検査、処置というものにおいて最大限の効果を発揮する、これは医療の側に求められている強い要請でございます。ところが、大学病院というのは医学教育あるいは研究ということに目的があるわけでございます。若い医師あるいは医学生の取り組みといった中においてそういう教育の機能を発揮するとするなら、当然本来の治療を目的とする医療から外れて、いわゆるオーバーな検査、オーバーな処置、そういうふうなものが入ってくることは教育上これは必要なんですね。
 また、そこにおいて診察する患者さんが、例えば紹介型という形で、それぞれの医療機関では非常に珍しい、自分のところで処置することが困難だという患者ばかりが大学病院に入ってきたら、そこで育ってくる医者はどうなるか。今でももう既にその方向が出てきているわけでございますが、せきがあるといえば肺がんを疑い、腹が痛いといえばがんを疑う、そういうところからしか診察できない、そういう医者が育ってくるんです。大学がもし教育の場ということであるならば、まさに常在病といいますか、一般の疾病についても正しく診断し、正しい治療をできる、そういう医者を教育する必要があるかというふうに思うわけです。
 しかし、そういう患者さんを大学の中でやっていくとするならば、通常の医療機関における治療費に比べると、はるかに大きな研究のためあるいは教育のための費用が要ってしまう、それも事実でございます。これを診療報酬で賄っているところに今矛盾があるんだ。これはまさに文部省がおっしゃいましたように、大学の附属病院というものは教育研究が目的であるならば、そうしたことに要する費用というものを文部省はどのように処置しておられるのか、お伺いしたいと思うのです。
#103
○前畑政府委員 私ども四十二の国立大学の医学部、その本院、研究所が持っております六つの病院、さらに分院が七つ、歯学部の病院が十一ございます。その全体に対する関係予算というのはいろいろ入り組んでおりますが、大ざっぱに申し上げますと約六千五百八十億、こういう数字でございます。これに対しまして収入として入りますもの、今先生御指摘の診療報酬として、診療行為に基づいてそれぞれの保険機関に請求をして入るお金というのが四千百二十三億余でございます。したがいまして、要する経費に対して約六割の診療報酬をちょうだいしておる、こういうことになります。
 私どもは、病院で保険に基づいて診療いたしましたときには、定められたところに従って適正な請求をし、所要の審査機関等の審査も受けて適正な報酬をいただいておる、このように考えております。
#104
○五島委員 費用の負担の中で診療報酬が幾らあるかということじゃなくて、教育を行うためには、医療というものに期待される範囲を超えた一定の検査なり治療、処置というものがある。そういうふうな費用を文部省はどういうふうに考えているのか。これは教育の問題だけじゃありません。
 文部省のおっしゃいましたように、医療においても技術開発というのは必要でございます。この技術開発の多くを現状においては医科大学を中心に行われていることも事実でございます。そして、その医療における技術開発というのは、当然これは臨床病院といいますか附属病院なしにできない、これも言うまでもございません。したがいまして、治療の一環という状況の中において技術開発が行われるわけでございます。
 こういうふうな費用も、これは言いかえれば日本の医療総体としては必要なもので、それを診療報酬の中でどれだけやっていくかという問題を起こしてくるから、そしてそういうふうな問題を、そのどれが教育のための費用であり、どれが技術開発の費用であり、どの部分が診療報酬として本来認められる費用であるかということを明確にしないままに、こういう特定機能病院というふうな制度を入れてきますと、いわゆる一物二価という状況としての非難というのが生まれてくるんだ。その点について文部省並びに厚生省はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
#105
○前畑政府委員 医師として医学教育をお受けになって、御経験がある先生に対して私が申し上げるのもいかがかと思いますが、患者の診療を行った場合に、それが保険に定められた診療でありますならば、診療報酬をちょうだいするというのが基本的な考え方としてございます。
 さらに、先ほど御指摘がございましたように、教育のために保険で請求すべきものでないものを行ったとき、あるいは技術の研究開発のために保険では請求できないものを行ったときには、これは別途、先ほども申し上げましたように、病院の歳出予算に対して収入は約六割強でございますから、残りの四割というものを私どもはきちんと補てんをいたしておりまして、それで教育研究が行われておる、このように理解をいたしております。
#106
○黒木政府委員 かねてから大学病院あるいはこういう医有機関の病院におきます医療費と申しますか、診療報酬と社会保険のかかわりというのはいろいろと議論があったところでありまして、私どもも大学医学部の諸先生方と随分検討を重ねてきたという経緯がございます。しかし、もう先生御存じのように、大学病院等で行われます医療につきましては、例えばオーバーな検査というお話がありましたけれども、その検査の中のどれが直接治療等に関する部分であるか、どれが医学教育や研修にかかわる部分であるかというのをどうしても明確に区別できないというのが実態でございます。
 建前としては、お尋ねの件につきましては、医療保険制度というのは、いわば基本的には、被保険者の疾病または負傷に関し、その治癒を目的として提供される一連の医療サービスについての給付の対象とするものであることから見ますれば、このような医学教育とか研修とか技術開発等に係る経費そのものについて、直接診療報酬の対象と申しますか、評価の対象とすることにはなじまないと私どもは考えておりますけれども、実態として非常に区分がしにくい問題であるということで、引き続きその辺は私どもは検討を深めていきたいと思っているわけでございます。
#107
○五島委員 私自身の経験からいっても、医者になった段階、今はインターンはございませんので、研修医という形で大学病院へ入った状況から数年間というのは、疾病を見た場合の診断の中におけるさまざまな検査あるいは診察を通じての診断学、それぞれの医師としての診断学というのが個人の中に確立していくわけでございます。そのためには、いわゆる治療というその目的一点に絞った場合には、むだと思われる検査あるいは治療というのが入ってくる。それはやはり一人前の医者を養成していく上においては必要なコストだというように思います。
 そして、その費用が六対四というふうなことでは到底ない。これは民間病院が研修医を引き受けたときの費用というのは、診療報酬の大体三倍ぐらいいろいろなことをやってくれるわけでございまして、非常に困るわけですが、そんな話ではないはずだというように思うわけです。その点について、それを整理しない限り、この特定機能病院ということでもって診療報酬上に格差をつけていくということになるならば、これは一物二価という批判を免れることはできないだろうということを申しておきたいと思います。
 あわせまして、文部省の方にお伺いしたいわけでございますが、新設の国立医科大学の中においても、自分の医療機関の医療スタッフの養成施設というのを持っていない大学がたくさんあります。今看護婦不足が非常に問題になっているわけでございますが、医科大学の中で看護婦の養成学校を持っていない大学というのは公私合わせてどれぐらいあるのか、お答えをいただきたいと思います。
#108
○前畑政府委員 端的に数でお答えを申し上げますと、看護婦養成機関を持たない大学は国立十四校、私立二校、計十六校ということでございます。
#109
○五島委員 新設医科大学の中には、その建設の段階で看護婦などの医療スタッフの養成学校をつくると地元に約束されて、その約束が全くいまだに履行されていないというところがあるわけでございます。今非常に看護婦が、例えば高知医大なんかの場合は、地元において看護婦の募集はしないという約束を医師会に対してしていた。しかし、現実はそうはならなくなって、大学が看護婦募集をするというふうな事態も起こってきた。看護婦募集をしたことがけしからぬかどうかという、そもそもそういう約束がどうなのかという問題はあるわけでございますが、少なくとも国立医科大学において、そこの大学病院の中に必要な医療スタッフを養成していく、自分のところの病院に必要な医療スタッフだけではなくて、やはりその大学病院の機能の一つとして、当然看護婦あるいはその他の医療スタッフの養成をする学校を備えるべきだ。
 まして特定機能病院ということに指定していくとするならば、今の医学、先ほども申しましたように、医療というのは決して医者だけの問題ではないということを考えるとするならば、当然それらの施設というものを整備していくべきだというふうに考えるわけでございますが、その点について文部省はどのようにお考えでしょうか。
#110
○前畑政府委員 御案内のとおり、新設医科大学と申しますか、その当時は単年度に三校、あるいは四校の場合もありましたが、単年度に三校ずつぐらい非常な勢いでつくったわけでございます。したがって、そのときには、基本的には看護婦の養成は地元にお願いをいたしたいということで、関係の自治体の了解もとってやってまいりました。
 しかしながら、今御指摘のように、近時における看護婦の不足ということが大きな課題になっております。私どもとしては、今先生御指摘のように、看護婦養成機関を持たないいわゆる新設医科大学につきましても、今後は当該地域の看護婦の需給状況の逼迫度、あるいは当該大学における看護婦養成のための教員の確保の可能性、さらには国の行財政事情等も見定める必要はありますが、基本的には積極的に対処をしてまいりたい、このように考えております。
#111
○五島委員 高知医科大学なんかの場合も、でき上がってかも十五年を超えたわけでございますが、これら十四もある国立医科大学の看護婦養成施設を持たない大学に対して、今後何年ぐらいの間にはこれを整備するのか、数字を具体的に挙げて御説明願うわけにいきませんか。
#112
○前畑政府委員 この場で具体的に数字を挙げるだけの検討をいたしておる状況にはございません。と申し上げますのは、先ほどもお答えいたしましたように、一つには看護教育を担当する教員というのが非常に逼迫をいたしております。私どもは、国立の新設医科大学で看護婦養成を行う場合には、これは各方面からの御要望がございますが、四年制のものとして考えていきたい、このように思っております。
 そういたしますと、通常の各種学校あるいは専修学校、あるいは現在国立て多く抱えております短期大学よりはさらに高度の教員を必要とするということになります。教員の確保にかなり困難な問題があるというのが一つございます。さらには、御案内のとおり、国の行財政事情というのもございます。そういうものを踏まえながら、また当該地域における看護婦の需給状況というものを踏まえながら、平成五年度以降の課題として積極的に対処してまいりたい、このように考えておりますので、また御支援をいただきたいと思います。
#113
○五島委員 文部省が看護婦の養成教員がいない、足りないと言われるとは思いもよりませんでした。また、四年制の看護大学をつくっていくというのは文部行政として当然のことであって、今私がお願いしている点とはまた違った、看護婦養成の教員がいないという状況からも、急がなければいけないことであろうと思います。
 そして、それとはまた相対的に違って、現実に国立医大の中において看護婦さんそのものがつくられていない。今看護婦が非常に不足し、そして看護婦の養成をふやしていくということが急がれている中において、これはぜひ文部省、あるいは厚生省もこの問題に対して、当然所管は文部省でございましょうが、無関係ではないと思うわけです。ぜひ協議して早急に、医科大学における看護学校の付設というものは近々のうちにも具体的な目標をつくって、整備計画というものを出していただきたいというふうにお願いしたいと思います。
 そうした問題も含め、改めて厚生省の方にお伺いするわけでございますが、先ほどから申しておりますように、厚生省は特定機能病院というものは決して差別医療としてなるものではないとおっしゃっているわけでございますが、これは機能なんだ、だから差別ではないんだというふうにおっしゃるとするならば、その機能は何なのか。それはやはり教育であり、あるいは専門医になった人に対する研修、あるいは医療技術の開発といったようなことであるだろう。そういう意味で、医有機関あるいは専門医に対する研修医療機関というふうなものなんだということを明確にされるお考えはございませんか。中途半端な高度医療というところにスタンダードを持って、特定機能病院という病院の存在を認めてくれと言われても、何としてもすっきり理解できたとは申せないと思うのです。
#114
○古市政府委員 このような先端的、また総合的な医療を期待される病院ということで、医療法の中でどのような名称が間違いなく理解されるか、御議論もいろいろございました。当初は高度医療という話も出たりいろいろした経緯がございますが、言葉といたしましては特定機能病院ということになったわけでございます。
 先ほど御説明したように、単純に最先端医療ということだけでございませんで、そういうもの全体が国民医療に普及していくというような、スタッフ、職員、またその研修、技術移転をしていく、そういう総合体制をとれているというところをひとつこの中に申請していただこうとしたわけでございます。そういうものは専門的、研修的な医療機関じゃないかということでございますが、名称の方もいろいろ考えた末、特定機能病院としてこの法案の中に位置づけたという経緯でございます。
#115
○五島委員 この特定機能病院について、紹介型ということで、紹介率五〇%などというふうな話も当初お聞きしたことがあるわけでございますが、紹介率はどの程度に設定しようとお考えなのか、お伺いしたいと思います。
#116
○古市政府委員 先ほど申しましたような機能をこの特定機能病院というものに期待されているわけでございますから、その外来のあり方というものも、入院患者にされる治療と同時に、一つの期待というものがあるわけでございます。こういうことで、今回の改定案の中では、そういう病院ではいわゆる一般の医療機関と同じような外来ではなくて、地域医療機関からの紹介というものにこたえる機能を強化していっていただく外来機能を持っていただこう、こういうことを要請していくことになろうかと思います。
 具体的な数につきましては現在まだ定まっておりませんで、今後そういう法で規定いたします趣旨にのっとって、その趣旨が生かされるような外来のあり方はどういうものかということを医療審議会でも御議論いただきまして、この外来の数なり、それからまた地域連係のあり方というものを決めていきたいと思っておる次第でございます。
#117
○五島委員 紹介型を導入されるということは、そのことによって患者さんの外来受診の際の費用負担等も変わってくる問題です。そういう意味において、この法案は二年間にわたって委員会の審議に入らなかった。その時間の間はあったわけでございまして、それが今の時点になっても、まだ紹介率について全くどうするかもわからない、審議会をつくってやるからその点について審議だけやってくれ、これはちょっと虫がよ過ぎるといいますか、大変問題がある言い方だというふうに思うわけです。
 そこで、具体的にお伺いするわけですが、これは紹介率が仮に五〇%になろうが三〇%になろうが、もしそういう紹介型となった場合、外来受診される患者さんに対して、いわゆる紹介型医療機関として自己負担というふうな話も聞いたわけですけれども、そういうようなこともお考えなのかどうか、その点については一切そういうことはないということなのかどうか、それをお伺いしたいと思います。
#118
○黒木政府委員 診療報酬の問題でございますので、私の方からお答えさせていただきます。
 もう先生御案内のように、現行診療報酬におきまして、原則すべて紹介患者と申しますか、一〇〇%紹介患者ということをねらいまして紹介外来型病院制度を既に設けているところでございます。したがいまして、こういうものに該当する病院につきましては、紹介患者の場合には初診料を高く評価しますとともに、紹介状を持ってこない紹介患者以外の場合には、救急患者の場合を除きまして、初診料相当額は患者に全額自己負担していただくという制度をとっているわけであります。したがいまして、先生のお尋ねは、それとの関連においてのお尋ねだと思うわけでございます。
 今回創設を見ます特定機能病院におきましては、高度な医療を真に必要とする患者を優先的に取り扱うことが望ましいということから、紹介制が導入されると聞いておるわけでありますけれども、その割合は一定割合で、先生五〇%とか三〇%とおっしゃいましたが、既に制度化しております原則一〇〇%の紹介外来型病院制度とは、そういう意味におきまして趣旨、目的とか要件の面でかなり相違があると私どもは思っております。したがいまして、これもまた中医協にお諮りしながら決めていくわけでありますけれども、既に行っております紹介外来型病院制度における紹介状のない患者についての全額自己負担のシステムを、直ちに今回の特定機能病院の紹介制の中に取り入れるということについては、私どもは少し無理があるかなというふうに考えておりますが、これもいずれ私どもは中医協にお諮りをして、結論を見出していきたいと思っているわけでございます。
#119
○五島委員 答弁の内容は評価するわけですが、そういうあいまいなことでなくて、まさに一〇〇%紹介型と違うということでございますので、現状において紹介外来型という形での患者さん個人に対する負担の増という形にはならないというふうに、明快にお答えいただきたいと思うのです。
 あわせまして申し上げておきますが、先ほども申しましたけれども、一〇〇%紹介型というのは、大学病院の教育研究、特に教育という機能を考えた場合、一体どういう医者をつくるのかというのを考えた場合、一〇〇%紹介というのはこれはもう無理といいますか、大学の附属病院の本来の目的からそぐわないということでございます。そういう意味で、局長、これは紹介外来型として現在の診療報酬で決められているシステムとは別のものだから、それには該当しないと明確にぜひお答えいただけませんか。
#120
○黒木政府委員 特定機能病院が地域に開かれた病院の機能をこれからも果たしていくであろうということは、私どももそのように思っております。ただ、どのような形での診療報酬になるかというのは、これはまず中医協という、御案内のように診療側とそれを負担される側の合意の中での点数設定あるいはルールの設定になりますので、私からこの場で確定的なことを申し上げることだけは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
#121
○五島委員 もちろん中医協での議論であるということはよく承知しておりますが、中医協に対して、それを紹介外来型という形でもっては保険局の方としては答申を諮られないというふうにおっしゃっていると理解して、質問を次に進めさせていただきます。
 この特定機能病院とあわせまして、療養型病床群という問題が出ております。これは言うまでもなく、病床群という言葉は非常に苦労して使われたのだと思うわけですが、基本的には看護を軸に考えておられるわけでございますね。患者さんの療養生活の問題、看護の問題をお考えになっている。そうしますと、これは本来であれば病棟、少なくても看護単位としてとらえるべきであって、病床群という非常にあいまいな言葉には一定の注釈が要ると思うわけでございますが、この療養型病床群というのは、少なくても一つの看護単位を指しているというふうに受け取ってようございますか。
#122
○古市政府委員 結論から申しますとそのとおりだと思います。
 これもいろいろな議論の結果こう来まして、ややわかりにくい療養型病床群という言葉になったわけでございますが、この議論の過程で、あらゆることが病棟単位で一応認められている。そういたしますと、病棟といいますと大体五十床というイメージになってくる。しかし、この療養型の人が養生じてもらうのに最適な施設といったら、何も丸ごと五十床ということでなくてもできるじゃないかという議論がございまして、結果的には今御指摘のように、看護婦の要員というものも決まるわけでございますから、現実には看護単位ということで運用されていくことにはなるのではないかと思っております。
#123
○五島委員 この療養型病床群の対象は、例えばかってこれも長期療養病床群あるいは病棟という言葉で統一されたことがございまして、それと非常にダブって語もれているわけでございますが、当然これは医療機関がみずから進んでその病床群をつくるわけでございますけれども、大体入院何カ月、例えば六カ月以上を対象とするとか三カ月以上を対象とするとかいうふうなのがあるかと思うわけです。それは一体どれくらいのところをお考えでしょうか。
#124
○古市政府委員 ここで療養が適当であると思われる患者さんと申しますのは、病状が比較的安定しながらも比較的長期間にわたってその後の入院治療を必要とするであろう、こういう患者さんに向かってこの施設をつくろうというわけでございます。
 そういうことで、原疾患の急性悪化、それからまた感染症の併発などにより、途中で動揺して集中治療に動くことがあるかもしれません。そういうことで、一律的に何カ月いたからこちらに移るということではございませんで、非常に極端なことを申しますと、入院されて一、二週間たってもうこの人はこういうことであった、端的に申しますと、骨折なんというのが一番わかりやすいと思いますが、最初の手術と固定が終わったらあと一カ月入院する、そういうときにはすぐそちらに移ってもいいんじゃないか。そういうことで、期間によって一律に決めるということは想定していないわけでございます。
#125
○五島委員 その辺は非常によくわかりました。
 ところで、この療養型病床群というのは、これは当然さまざまな病気の方がおいでなんですね。例えば、具体的に言いますと膠原病、コラーゲンなんかのそういう患者さん、難病の患者さんでは多くの場合は療養型病床群で、療養生活の処遇も比較的いいというところで療養されることが望ましい。そういう時間というのは長いと思うわけですが、しかし非常に容体が急変しやすい、シューブを起こしやすいという問題もございます。したがいまして、療養型病床群に入っていても、容体が急に変わった場合は、一般病棟に速やかに転床が可能な体制が必要ではないかというふうに考えるわけでございますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
#126
○古市政府委員 それぞれのケース・バイ・ケースでの対応になろうかと思いますが、一たん療養型病床群の方に移行した場合には、そこからなかなか動けないというようなことはございませんで、多くの場合には一般病院、病床を持った病院の中から、ある部分がこの療養型病床群の病棟看護単位になろうかと思います。したがって、隣の一般病床に移すことが必要でしたら、移って治療をするということが起こりましょうし、まだそこに入ったままで、医師なり器材をそちらへ持ち込んで、そこで治療をするということもまたございましょうし、それは一律ではございませんが、行ったら固定的にそこでおらざるを得ないということは考えておりませんし、そこは自由に医師が判断して、最適な病室、病棟の方で治療を行うということになろうかと思います。
#127
○五島委員 よくわかりました。
 そうなりますと、これはひとつ確認しておきますが、患者さんの容体が急変した場合、一般病床に速やかに移せる体制というものを確保しておかないといけないということになるとしますと、病院単位で丸々療養型病院ということになりますと、そういうことが非常に困難になります。したがって、これはあくまで一つの病院が丸々療養型になるということは想定していないんだというふうに受け取ってようございますか。
#128
○古市政府委員 それもまた区々でございまして、そういうぐあいに急変するおそれがある方、それである時期に症状が安定している、そういう状況の患者さんを抱えている医療機関でしたら、当然病棟の一部をそれに転換するということで、全体が転換するというのは実態上今の医療に対応できない、あり得ないと思います。一方、ほとんどの患者さんが症状が安定したという形の入院患者さんを持っているところでは、病院丸ごとでそういう転換も可能かと思います。
 したがって、今回の法律におきましては、病院単位で療養型病床群に行くことは禁ずるということにはなっておりませんで、そこは実態に合わせて行われる。しかし、御指摘のような前者の例が多いのではなかろうかと思っております。
#129
○五島委員 実はもうあと時間が五分しか与えられておりませんので、まだ質問したいことがたくさんございますが、今の話を聞いていますと、職員配置の問題等々は次回同僚議員に譲ることにいたしまして、この問題をもう少しお伺いしておきたいと思います。
 今は特例許可老人病院がございます。特例許可老人病院等の問題につきましては、療養型病床群ができますと、自動的に特例許可老人病院等は療養型病床群として廃止されていくわけでございますか。
#130
○古市政府委員 現在の特例許可老人病院の方は年齢の制限がございまして、主に高齢者、七十歳でございましたか、七割だったと思います。それを収容している病院が対象になって、それをとるということになっております。しかし、いろいろ考えてみますと、病状の安定というのは、何も老人だけが慢性疾患になるわけではございませんので、老人保健法がスタートして、老人医療の必要性からこういうことが一応先行的に行われて、今制度があるわけでございます。
 しかし、今回の医療法の改正では、そういう症状に注目して、年齢という枠を外して今度の療養型病床群が起こるわけでございますから、それで適用して、可能なものは特例許可老人病院であってもこちらに移行していただくということは当然想定しておりますし、この基準にかなうところは特例許可老人病院から療養型病床群の方に来ていただく、そういうことになろうかと思っております。
#131
○五島委員 そうしますと、療養型病床群でない特例許可老人病院というのはあり得るのですか、それはあり得ないのですか。
#132
○古市政府委員 制度が発足していくわけでございますが、ある時期並行的にあるということだと思います。最終的には、この療養型病床群も医療機関からの申請主義でございますから、一斉にこちらが強制するわけではございませんので、向こうの選択ということで、ある時期それは並行していくことだと思います。
#133
○五島委員 この療養型病床群につきまして、先ほど網岡議員の質問に対しまして古市局長から、職員の配置が、看護婦が患者六人に対して一人、それから介護者が六人に一人というふうな数字も具体的に出されて御返事ございました。その辺と現在の老人病院との関連、あるいは今回の医療法全体の改正と職員の配置基準の問題等々について、私としては質問したいというふうに思ったわけでございますが、質疑の時間を終わりましたので、私はそれらの質問を次回に譲りまして、終わらせていただきます。
#134
○牧野委員長 大野由利子君。
#135
○大野(由)委員 我が党は、医療法の継続審議に今まで反対をしてまいりました。その理由は、今回の医療法の改正の中には政省令にゆだねられた部分が大変多い、重要な部分が政省令にゆだねられているために、今回の医療法の改正の中身が見えてこない、どのように改正されるのかということがさっぱりわからないということで、継続審議に反対してきたわけでございます。
 平成二年の五月に、第百十八国会に上程をされまして二年たつわけですけれども、今回も政省令の中身が明らかにされないまま国会審議に入ったわけでございますが、これはもう当然政省令の案を早急にこの場に提示していただきたい。そうでなければ審議も進められないし、当然のことながら採決もできない。そういうわけで、今回の審議がこれからも続くわけでございますが、必ず次回までにこの政省令の中身を提案をしていただきたい。そういうことを初めに要望させていただきまして、質問に入らせていただきたいと思います。
 今回、医療施設の体系化が案として挙がっているわけでございますが、この医療施設の体系化みたいなものは必要であろうかと思います。しかし、この体系化が国民の医療の差別化につながるようなことがあれば、これは認めるわけにはいかない、そういう思いでございます。
 今回、特定機能病院に紹介による受診の制度を導入しようというわけでございますが、紹介のある患者にとっては、今までの三時間待って三分診療が解消されるのかな、紹介のある患者にとってはこれはプラスなのかな、メリットなのかなという面もあるわけでございます。紹介制による患者の割合というもの、先ほどちょっと五島委員の方も質問があったかと思いますが、あくまでまだ案の段階だと思いますが、厚生省が考えていらっしゃる数を示していただきたい。これは政省令で明確に示されるのかと思いますが、その案はいつ出されるのかということも含めてお尋ねしたいと思います。
#136
○古市政府委員 特定機能病院というものは、その病院に期待される機能にふさわしい入院治療があると同時に、その外来機能を果たしていただきたい。そこで、一般病院と違って紹介機能というものを大いに高めていただきたい、こう考えておるわけでございます。しかし、スタートの時点におきましては、現在の大学病院の紹介率が区々まちまちでございます。それからまた、先ほどお話が出ましたように、大学の附属病院の外来に期待されているものというのが、やはり医学部の教育ということから一般的な疾患も必要だ、地域の医療機関でもあるというところから、紹介率を一定に定めるということは難しいということでございます。
 しかし、これも実施の暁には、ある一定の考えというものを医療審議会の中で御議論いただいて結論が出てくるものと思いますが、現段階におきましては、その特定機能病院の外来というものに期待されている、いわゆる地域において紹介制を受けてやっていくという機能が十分果たされていくように、そういうものでひとつ率というものを御審議していただいて、その率をだんだん高めていくという方向にしていただけたらどうであろうか、このように考えておるわけでございます。
#137
○大野(由)委員 現在紹介率について、厚生省では大体患者の三〇%から四〇%のラインが検討されている等々の話を、あくまでうわさでございますが、聞いている状況でございます。私は、大変これは高過ぎるのではないかな。現在大学病院に紹介状を持った患者が殺到しているかといえば、決してそうではございませんで、大体平均で一二から一三%くらいの状況のようでございます。
 こういう現状の中で、紹介患者を例えば三〇%から四〇%以上というふうなことにしようと思うと経営が成り立っていかない、そういうこともございますし、紹介率というのはもっと低く設定する必要があろうかと思いますし、また、日本の国全体で一律にこの紹介率を設定するということはいかがなものかな。それぞれプライマリーケアを受け持っているところもございますし、それぞれの病院が、我が病院はこれ以上というような感じで決めるというふうなことも考えられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#138
○古市政府委員 現在大学附属病院というのは、私どもの数字でも、平均いたしますと一五%前後というのが紹介率ということになっております。お尋ねのように、全国一律というわけにはいかないのではなかろうか、このように考えております。やはり大学病院の外来が置かれておる地域の実情というものも反映させなかったらいけないのではなかろうかと考えております。
 ただ、ここで一言申し添えますと、紹介率というのは、これまで大学病院の中に周りの医療機関から紹介状を持って来るということが想定されているわけでございますが、私どもはこの特定機能病院として、大学だけでございませんが、機能病院の外来というものは、自分のところで見なくても周囲の医療機関でいいということになったら、そちらに逆紹介と申しましょうか、もう近くの先生のところでいいですと言って送り返す人の方もこの紹介率の中に一応入れていこう。それからまた、必要な患者さんが救急でお見えになったときには、それは紹介状がないからということでございませんで、救急にこたえなかったらいけないので入れよう。そういうことを考えて、いわゆる実情に合った検討をしていただこうと思っておるわけでございます。
#139
○大野(由)委員 全国一律ではなくて検討されるようでございますが、これが何らかの形で数が設定されてスタートを切るわけです。最終的にはこの紹介率みたいなものは、特定機能病院は、若干の救急患者を除いてですが、一〇〇%を目指そうとされているのかどうかについてお尋ねしたいと思います。
#140
○古市政府委員 現在の大学で申しますと、紹介率というのが一五%前後ということでございますから、何も最終的に一〇〇%になるということが日本の医療機関の機能分化の上で望ましいことだとは思っておりません。今回の改正の趣旨というのは、余りにも一律的に病院と診療所ということに基準が決まっているだけでございまして、そこの外来も入院も一律な規制のもとにいっている。それに対しまして、機能分化の第一歩として、一つは特定機能病院、もう一つは長期療養型病床群というものを設定して、それも選択制でスタートしようということでございます。
 また、先ほどお話がありましたように、地域医療機関としての特定機能病院でございます。それからまた教育という機能も持っております。そういうことで、一〇〇%を目指すということでございませんで、その期待される機能にふさわしい外来に向かって進んでいただければいいことだと思っております。
#141
○大野(由)委員 平成二年五月十二日の厚生省健康政策局の角田課長補佐でしょうか、社会医療研究所関東支部の医療法改正のセミナーで、特定機能病院では最終的には一〇〇%の紹介制を目指すことになると、そのように発言しているということが出ているわけですが、では、これは間違いであると、そのように解釈してよろしいでしょうか。
#142
○古市政府委員 ちょっと突然のことで、その事実を私は知りませんが、それが事実だといたしますと、現段階では明らかに間違いであるということでございます。
#143
○大野(由)委員 私も、最初のスタートはもちろん当然でございますが、将来的にも、特定機能病院が救急由者以外は紹介率一〇〇%を目指すというようなことであれば、患者が自由に特定機能病院で診察、治療を受けられるという門戸を閉ざしてしまうということになりますので、これは将来であっても一〇〇%を目指すということは決しであってはいけない、間違いであるという、それをはっきりと厚生省は明確にしていただきたい、そのように要望させていただきたいと思いますのでは、もう一度御答弁をお願いいたします。
#144
○古市政府委員 御指摘のとおりでございます。ただ、少し先生の言葉がきつくて、そういうことはあってはならない、間違いであるということではございませんで、そういう形は我々は想定していない。いわゆる現在一五%という紹介率ではやや問題があって、このほど改正法案で提出した特定機能病院ではもう少し高めていただきたい、こう思いますが、先生がおっしゃったように一〇〇%、そういうことはとても考えていない、地域の状況によって教育機能もあり、それは区々まちまちであろう、このように思うわけでございます。
#145
○大野(由)委員 大学病院のそばに今住んでいらっしゃいます方たちは、非常に例えば救急車のサイレン等々で迷惑を受けているというようなこともあるわけですね。その方々は別の病院なり開業医さんに診察を受けたくても、近くにはない、遠いところへ行かなければならない、すぐ近くがその特定機能病院であるというような場合もあり得るわけです。そういう人たちが紹介状がなければなかなか診察を受けられない、差別扱いを受けるというようなことがあってはならない、そう思いますので、先ほど、現状では考えられないけれども、何か将来はどうなるかみたいな発言がちょっと局長のお話の中にございましたが、私は将来的にもこれは門戸を一般の方にも開いておくということをはっきりさせていただきたい、そう思います。
 それから、特定機能病院に紹介なしで飛び込みで行った場合でございますが、現在紹介型病院では、急に紹介状なしで行った場合は初診料が自己負担になっているわけでございますが、これから特定機能病院におきましても初診料が自己負担みたいなことになるのか、またはそうじゃなくて別の割り増し料金というものがつくのか、部屋代に差がつくようになるのか、その辺についてどのように考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
#146
○黒木政府委員 先ほどもこの点はお答えしたわけでございますけれども、現行法の診療報酬におきまして、原則一〇〇%の紹介型の病院ということで紹介外来型病院制度を設けているわけでございます。この場合、原則が紹介患者でございますから、救急患者を除きまして、紹介状なしに飛び込みで来た患者には初診料相当額は患者に全額自己負担をしていただくということに、現行制度はそういうふうになっているわけでございます。
 今回の特定機能病院について同じようなことになるかどうかということでございますけれども、確かに特定機能病院も紹介制が導入されるわけでありますけれども、その紹介制は、紹介外来型病院の原則一〇〇%の紹介というのを前提にした病院ではなくて、一定割合の紹介制を導入する、あとは地域に開かれた病院としての機能を果たすという位置づけだと承知をいたしております。
 そういうことから、直ちに初診料相当額は患者に全額自己負担をいただくというような取り扱いにはならないんではないかというふうに考えておりますが、確定的なことは申し上げられないのは、いずれ本当に診療側とこれを負担される支払い側の御意見をちょうだいした上での最終的な結論となりますので、私の感じはそういうことで考えているということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#147
○大野(由)委員 割り増し料金はどうでしょうか。先ほどの質問の全部に答えていただいてないと思うのですが。
#148
○黒木政府委員 割り増し料金の意味がちょっと理解しかねるのですけれども、診療報酬を、例えば一般病院は一点単価十円をこの病院は一点単価十何円とか何かにするかという点でございましたら、そういう別体系の診療報酬体系をこの制度に導入することは到底考えていないわけでございます。
 現在中医協で、医療基本問題小委員会ということで議論をいたしております。将来の方向としては、この制度とは無関係に、病院の役割、機能に合った診療報酬体系はいかにあるべきかということで、現在甲乙という形での診療報酬を、機能とか役割に応じた診療報酬の体系というのは必要かどうかというようなことを含めて、基本問題として議論はなされておりますけれども、今回この制度ができたから直ちに別料全体系、割り増し体系ができるというふうには私どもは考えておりません。
#149
○大野(由)委員 今回の特定機能病院が、何と申しますか、一種のお金持ちの受診病院になる、実質的な値上げにつながるというようなことがあってはならないんじゃないか。グリーン車と一般車両みたいな、そういうような病院のランクづけが行われるようなことがあってはならない、そのように思うわけでございます。そういった意味で、紹介状のない患者に対しても割り増し料金を紹介状のある人よりもさらに取るというようなことは決してあってはならない、そのように要望をさせていただきたい、そう思います。
 それから、紹介のある患者とない患者、ない患者にも救急で来る人と一般外来で来る人がいるかと思いますが、これらの人の扱いは、実際にはどのように扱いが差ができてくるか。窓口が二つできるのか、それとも紹介状のある患者が先に診てもらって、終わってから紹介状のない患者を診るというような形になるのか、具体的にはどういうふうに区別されるのかについて伺いたいと思います。
#150
○古市政府委員 一つ考えられますのは、関連あるいは周辺の医療機関のところへ受診した人が、やはりそこの特定機能病院の方で検査なり診断をしていただく必要があるということになると、その人からの紹介状を持って、そのときにはお医者さん同士で何月何日の何時ごろ、こうなっておるわけでございますから、この紹介制がスタートを切りましたら、その方はほぼ予約制と同じような形でその特定機能病院を受診されることになろうかと思いますから、それが窓口が同じか別かは別にいたしまして、結局予約制のようなメリットはあろうかと思います。
 一方、一般的に地域の人たちに開かれている従来型の外来のところというのは、それは従来のとおりでございます。そういうことで、窓口が別が、時間帯はどうするのかというところまでは、ちょっと行政で決めるわけではございませんで、この紹介制の人はほとんど紹介状を持っていきますから、実質上は予約制のような形で非常に診療がスムーズにいく、こう想定しております。
#151
○大野(由)委員 紹介のない患者は現在は三時間待って三分診療ということでございますが、これからは紹介状のない患者は、今まで三時間であったものが四時間、五時間、六時間と待って三分間診療になるということが当然考えられるわけでございますが、厚生省はその辺はどのように思っていらっしゃるかについて伺いたい。
 例えば地元の病院で胃潰瘍と診断された。患者はひょっとしてがんだと困るから紹介をしてください、特定機能病院に紹介状を書いてくださいと言ったときに、いや、胃潰瘍だから心配要りませんよ、紹介状を書く必要はありませんよ、そういうふうに言われる場合もあり得るわけですね。そういったときに、紹介状なしでやはり行かなきゃいけないということがあり得るわけです。そのときに四時間、五時間、六時間待ってというふうになるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#152
○古市政府委員 現在の医療法の改正ということとは関係なく、大都市を中心として大病院の外来の混雑というのは非常に大きな問題になっておりまして、各病院でもそれぞれの工夫をして、外来の待ち時間の短縮という努力を重ねていっているわけです。その中には幾つかのいろいろな方法によって、著しく短縮したということも講ぜられていることは御承知のとおりでございます。したがいまして、医療法によりましてこういう機能になっても、一般の紹介なしの窓口の方の待ち時間の短縮という努力は続けていかれることだと私どもは思っております。
 その一つとしては、今まで来ている患者さんの中で、本当にその特定医療機関で数カ月にわたって外来治療をやっていく必要があるかどうかという反省も行われることでしょう。そういたしますと、その患者の中で自分の病院でなくてもいい人は、地元の医療機関に逆紹介でその医療機関から送り返してあげる、またおかしくなったときいらっしゃいということによって、今漫然とやっていると言うのもちょっと語弊があるかもしれませんが、大病院の外来というものが整理をされてくる。その中で私は合理化が進んでくるのじゃなかろうか、そうやろうという意欲のあるところがこの制度に申請をしてくる、このように思っておるわけでございます。
#153
○大野(由)委員 例えば先ほどの続きなんですが、紹介状を書いてくださいと依頼をしたときには必ずその紹介状を書いてもらえる。紹介状がなければ先ほど申しましたように大変な長時間待たねばならないというふうなことがございますので、紹介状を書いてほしいと患者がお願いしたときには必ず紹介状を書いてもらえる。また紹介される場合も、今のお医者さんの世界では学閥みたいなものがあって、一番ふさわしいところに紹介をされるというよりも、その先生の出身の大学に紹介をされるというようなことが往々にあるようでございますが、最も専門の適当なところに紹介をしてもらえるとか、その辺のことがきちっと指導されていかなければいけないのじゃないか、担保されていかなければいけないのではないかと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
#154
○古市政府委員 全く今のような心配と申しますか懸念がありまして、私どももそういうことに配慮しなかったらいけないと思っております。そのために、学校の系列で紹介するというのは悪いことばかりでございませんで、それだけ十分信頼関係があるところから送ってくるといういい面もあるわけでございますけれども、それが一方的に地域医療の中を縦割りに分断するというようなことがあってもいけないということでございます。
 そこで、この制度が通りましたら、特定機能病院というものになった医療機関は、その地域の医療機関との地域医療連係のための機能というものを持っていただきまして、それにはその病院の内だけでなくて、地域医療の代表の人たちと話して、そこの紹介外来型をどのように進めるかというものを適宜話をして、いい連係システムをその地域の中で構築していただく、そういうような機構も今度申請が出てきて許可するときに一つつけ加えたらどうであろうか、このように私ども考えております。そういうことで、通ったときには、その申請許可のときにそういう機能というものを医療審議会の中で御審議いただきたい、そしてただいまの御懸念というものにも対応できるような制度に持っていきたいと思っております。
#155
○大野(由)委員 特定機能病院の承認案件についてちょっと先ほどもお話が出ていましたが、高度医療ということについて、非常にファジーな言葉なものですからどういう意味なのか。その定義づけとともに、精密な器械があれば必ずしも技術が高度でなくてもいいような、相反するようなものも中にばあるわけでございまして、CTスキャンなどはその典型的なものかと思いますが、こういうものをどのように考えていらっしゃるのかということについて伺いたいと思います。
#156
○古市政府委員 どうも説明がファジーでということで、一生懸命お答えしているのですが、申しわけなく思います。
 それで、具体的イメージをわいていただくために先に事例から申しますと、例えばそこで行われるような研究開発、治療の高度なものの例といたしましては、内科的疾患と外科疾患にまたがるものとしましては、最近問題になっております骨髄移植を必要とするような血液疾患というようなことは、そうあちこちの病院でできるわけではございません。これを行うためには、いわゆる完全な無菌室というものが必要になってくるわけでございます。したがって、そういう治療を行うためには、いわゆる質の高い技術を持ったスタッフがある程度以上いなかったらいけないと同時に、施設、検査機器も必要になってくる。さらに外科では、頭蓋底の手術とか大動脈の血管置換術とかそういうものができる、またやった経験があるということになってくるわけでございます。
 また、診療科のピークの技術が高いだけではだめでございまして、いわゆる総合的に実学的にできるということから、診療科として必要なものはある一定数が必要ですよ、それからまた医師数、看護婦数、先ほど話題になりました薬剤師さんの数というものも、ほかの一般病院よりも高い配置基準というものが議論されてくる、このように思っております。
#157
○大野(由)委員 大変豊かな医療環境にいらっしゃる国の人々は、高度医療といえば、医療が高度か高度でないかというものを決める物差しは看護の質である、看護の質こそが医療の高度性を決定する大きなファクターである、そのように思われているわけですが、特定機能病院ではどういう人員基準を考えていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。
    〔委員長退席、平田(辰)委員長代理着席〕
#158
○古市政府委員 現在、医療法の基準というものが入院患者四人について一人ということでございますが、これより現実的には大学病院、それからまた医療センター等大きなところでは、保険の方でいいますと特三類、特二類というのをとっているのが実態でございます。そういうことで、それよりずっと職員比率というものは高いものが要求されてくるだろうと思います。
#159
○大野(由)委員 これも看護の質というものが高度医療には大きなファクターであると思いますので、もっと明確に今の看護基準を大幅に引き上げた基準を決めるべきではないか、そのように思います。
 それから、高度医療に限定をした特別の診療報酬体系みたいなものが新設されるのかどうかについて伺いたいと思います。
#160
○黒木政府委員 特定機能病院におきましては、一般病院では実施困難な高度の医療を、要するに診断から治療まで担当していただくということになるわけでございます。したがいまして、それにふさわしい診療報酬を設定してまいりたいと思っておりますけれども、その際の機能とか人員配置等がどうなるのか等々を踏まえながら、これもまた中医協の御議論をいただきまして診療報酬を考えてまいりたいと思っておりますけれども、先ほども触れましたように、この病院限りの特別な診療報酬体系、甲乙以外にもう一表つくるかというような体系の創設は考えておりません。
#161
○大野(由)委員 もし特別の診療報酬体系、その部分に限ってということですが、そういうものが設定されますと、医療機関のランクづけみたいなものにつながるのじゃないかな。同じ治療を受けて病院によって診療報酬の体系が変わってくるということは一物二価につながるので、この辺はこういうようなことがあってはならないのじゃないか、そのように思います。
 それから、療養型病床群のことについてお尋ねをしたいと思います。
 病室の面積を現行の四・三平米から六・四平米にする、そういう案のようでございますが、広くなるのは大いに結構かと思います。現行の病院、我が国は経済大国と言われながら、カーテン一枚で本当にお隣のベッドとくっつき合っている状況で、まるで野戦病院並みだなんという感じを受けておりますので、一人のベッド当たりの平米が広くなるのは大いに結構かと思います。
 現在の病室、六人部屋が四人部屋になるわけですが、これは当然患者数が減って、事実上の診療報酬の低下につながって、病院経営の悪化につながるのではないか、そう思いますが、御見解を伺いたいと思います。
#162
○古市政府委員 今お尋ねのように、必ずしもそこの病院が持っている全病床数がこれを導入することにより減るだけとは限りませんで、例えばある程度の入院率、逆に言えば空床率があるところだといたしますと、現実に許可の病棟は持っていてもそこは使っていないというところは、そのスペースを利用して現人員が六人部屋から四人部屋のスペースに移るということも可能でございますし、それからまた新しく一つの単位を立てる、スペースを立てるということによって総入院患者数が変わらないところもあるわけでございますが、今お尋ねの先生の想定では、現在いる六人の中から二人退院していただいて、それで四人になるということだと思います。
 しかし、それは別といたしまして、こういうような制度で、快適空間で一つ新しい基準での療養型病床というものが運営されることにつきましては、そのあり方に対応した診療報酬の支払い方式というものを最終的には中医協の議論の末、決定させていただくということを考えているわけでございます。
#163
○大野(由)委員 全国の都道府県の第二次医療圏が三百四十五圏ございますが、そのうち病床が過剰になっている医療圏と過少の医療圏の内訳、数を教えていただきたいと思います。
#164
○古市政府委員 平成元年度から二年度についての調査でございますが、第二次医療圏で日本全国で三百四十五の医療圏に分かれておりまして、病床過剰地域が百七十九地域、病床の非過剰地域が百六十六地域となっております。
#165
○大野(由)委員 過少医療圏のベッド数はどれぐらいございますでしょうか。
#166
○古市政府委員 過剰でございましたか、過少でございましたか。(大野(由)委員「過剰じゃない、非過剰」と呼ぶ)足りない方でございますね。足りない方だと、三十万二千百六十四というのが平成二年度末でございます。
#167
○大野(由)委員 病床ベッドの足りない地域、今の御報告を伺いますと、過剰のところよりも足りないところの方が若干少ないようでございますが、それでも三百四十五のうち半分近くはまだベッド数が足りない地域があるわけですね。要するに、ベッド数が多いところとベッド数が足りないところと非常に偏っているという状況が現実にあるわけですけれども、病床ベッドの足りない地域は、療養型病床群の導入によってますますベッド数が足りなくなって、入院したくてもどこもベッドがあいてない、入院できるところはどこもないという状況がますます強くなってくると思われるわけですが、病床の確保をどのように図っていかれるのか、伺いたいと思います。
#168
○古市政府委員 前回の通称第一次の医療法の改正によりまして、日本全国について、医療機関があまねく数の上からも質の上からも供給できるようにということを目指して医療圏を設定して、その医療圏の中での医療機関の整備を図ったわけでございます。ところが、今申し上げましたように、見てみますと過剰地域と非過剰地域が先ほど言ったような数であるわけでございます。
 そこで、私どもは融資につきましても、過剰地域よりも非過剰地域の方では低利の融資を行って、医療施設の新築、改築にはいろいろ支援をしているということがございます。そういうこともございまして、一般病床について見ますと、平成元年度から平成二年度にかけまして、病床の過剰地域におきましては〇・五%ベッド数が減少しておりますし、病床の不足地域におきましては逆に一・九%、約二%増加しているということで、平準化は少しずつでございますが、進んでいるということでございます。
#169
○大野(由)委員 現在の過少医療圏でございますが、現在の一般病院を療養型へ転換することよりも、ベッド数を確保する方が先決ではないか。一歩譲ったといたしましても、少なくともベッドの確保、病床の確保が同時並行で行われなければならないと思うわけですが、この辺の担保、保証はあるのでしょうか。
    〔平田(辰)委員長代理退席、委員長着席〕
#170
○古市政府委員 一点は、先ほどの特定機能病院にしましても療養型病床群にいたしましても、そこの医療機関からの申請によってスタートを切って、基準に合ったら許可をされる、療養型病床群は都道府県知事に申請、許可でございますが。そういうことでございますから、今度通ったときに、何か上からの制度の変更が行われて、その地区の府庁数が減ったりふえたりするということではございません。そこで、第二次医療圏で足りないところの病院を持っておられる方々が、また地方自治体の人たちが、しからば自分の医療圏の中ではどのような病棟に移っていけばいいかということを地域医療協議会の皆さん方とお考えになって決めていかれるということになりますから、一般的に、理不尽にその地区の病床が減ってくるということは起こり得ないと思っております。
#171
○大野(由)委員 申請制度ですから、当然今局長がおっしゃったとおりだと思います。しかし、今回医療法が改正されてこうなれば、当然そちらの方に大きく変わっていくわけでございます。そういう意味で、私は病床の確保についてもっと積極的な努力がなされなければいけないのじゃないかという意味で質問をさせていただいたわけでございまして、病床の足りない医療ゾーンが、このままベッドの確保よりも療養型への転換みたいなものが先行してなされるというようなことも当然考えられるわけでございますので、この辺をぜひしっかり見ていただきたいと思います。
 それから、一般病棟から療養型病床群に移行する場合は、当然これは日数で機械的に決められるべぎではないと思いますが、大体の想定される入院日数みたいなものがあるのでしょうか。全くないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#172
○古市政府委員 もろもろの統計をとりますときに、長期入院といったときに、一応三カ月以上の入院とか六カ月以上の入院が大体どのぐらいいるのかということになっているようでございます。しかし、今回の療養型病床におきましては、その入院期間の長短によってここに入る人たちが決められるわけではございませんで、あくまでも主治医が見て、病状が安定して、そこで療養するのがふさわしい方たちがそこに入るわけでございますから、期間でもって切れないということだと思います。
#173
○大野(由)委員 一般病棟から療養型病床群への移行に関しては、当然患者と家族の合意を得るべきである。先ほどお話がたびたび出ておりましたインフォームド・コンセントが非常に求められる。よく患者と家族の納得を得て移行をする、その辺のことをしっかりと今回の医療法の改正に当たって確認をすべきではないか。また、容体が急変したり新たな疾病が出てきた場合は療養型病床群から一般病棟へ戻る、こうした担保等もはっきり今回確認をしておく必要があるかと思います。
#174
○古市政府委員 現在におきましても、病棟間の移動ということよりも、もっと端的には、医療機関から退院するときに、その医療機関なり医師と患者、家族の間でどんな話し合いのもとに退院されているのかということだと思いますが、それももうここまででいいですよ、また家庭の事情、本人の病気に対する不安を総合的にいろいろ話し合われて、その結果、入院期間が少し延びたり退院したりということが行われていると思います。今度は同じ病院の中での病棟の移動ではございますが、同じようにお医者さんからの説明と患者さんとの納得のもとに行われることだと思います。
#175
○大野(由)委員 療養型病床群は、大体看護単位、フロア単位と申しますか看護単位に決定をされるというような、先ほどの質疑でそういう御答弁があったかと思います。もう一つ、病院丸ごと療養型病床群にすることも可能というような御答弁であったと思うのですが、当然療養型病床群というのは、一応ある程度慢性病の方で病状が安定した方が入院されるわけですけれども、健康な人が入るわけではございませんで、病気を持った人が入院するわけでございますから、容体が急変したり、また新たな病気を、合併症を引き起こしたりということがあり得るわけです。
 そのときに、病院丸ごと療養型病床群になっている場合は、そこから一般病棟に戻したくても戻せないという状況もございます。また、一般の病院に転院をするといっても、そう簡単に転院ができない、そういうことが当然あるわけです。となると、療養型病床群に入院しながら、そこで急変をしても治療を受ける、そのままお医者さんにその病床群に入院をしながら治療を受ける。その人だけ特別扱いを受けてというようになるのかもしれません。しかし、これが即介護基準の引き下げにつながってくるおそれがあるわけですね。介護型病床群というのは、一般病院に比べて看護婦さんの配置基準等々いろいろな面で基準が低いわけでございますから、介護基準が引き下げられた病院がふえてくる、そういうことが想定されるわけですが、この点いかがでございましょうか。
#176
○古市政府委員 先ほどもお答えさせていただきましたが、医師が判断して、そういう施設ができたときに、そこで療養、治療をする方がふさわしいと思った患者さんがそちらに彩られるということでございます。したがいまして、病人のことでございますから、病状がいろいろ変動するという状態が相当高く予想されるという人はまず移らないと思いますが、移った結果そういうことが起こったときには、必ずしももとの病床に戻す必要性があるとは限りませんで、行ったところで必要な治療を応急的にやるということはありましょうし、それからまた、それが一般病棟の方がふさわしいと判断されたら、そちらに戻られるということになろうかと思います。
 それから、丸ごとそういう病院になったときの懸念ということでございますが、それは最終的には近くの関連病院ということにもなるかもしれませんけれども、その医療機関の中でそういう臨時応急的な治療はできるということもあるわけでございます。そういうことを想定して、その医療機関がどちらに進むのかというのは、医療機関が自分たちのところに入っている患者さんの病状、また地域からどういうような機能を期待されているのかということを基盤にして申請していただければいいわけでして、これが一方的に決まるわけではないというのは再三言ったとおりでございまして、一番適切な方向というものを、今度の医療法改正が通った暁には、この機能をどう利用していこうかということで御判断いただければと思っておるわけでございます。
#177
○大野(由)委員 私は、この療養型病床群、丸ごと病院のすべてのベッドをこうする、このように変えるというのはいかがなものかな、病院によっていろいろ比率は違うかと思いますが、少なくとも一般病棟を必ず置いておく、そうすべきではないのかな、そのように思うわけでございます。今回の医療法の改正が結果的には老人の追い出し政策につなかったり、医療費の削減につながるのではないか、ベッド数が削減されるというところから結果的には老人の追い出しにつながり、また介護基準の引き下げということでもって医療費の削減という、それがもともとの厚生省のねらいなのではないか、そういう声も現実にはあるわけでございますが、この点いかがでございましょうか。
#178
○古市政府委員 医療法の提案理由の説明の中にも言った趣旨で、今回改正の御審議をお願いしておるわけでございまして、国民の医療の利用というものに対して、ひとつ病院と言って今まで一律だったものの機能を分化していこう、その第一歩としてこういうような病院機能を直していこうと提示したわけでございまして、先生が御指摘のように粗悪な医療にというような意図は毛頭ございませんで、提案理由の趣旨のとおりの体制を築いていきたいと思って提案させていただいているわけでございます。
#179
○大野(由)委員 療養型病床群の患者の入院給食費が将来患者負担になるのではないかと心配していらっしゃる方がいらっしゃいますが、この点についてはいかがでございましょうか。
#180
○黒木政府委員 将来の医療保険の給付のあり方として、家庭でも出されるような食費まで本当に公的給付をする必要があろうかという根本的な議論というのはあるわけであります。しかし、今回私どもが療養型病床群というものを設定することと、その食費の自己負担というのは全く関係ないわけでございまして、したがって、議論としてはあり得るとしても、直ちにそういう政策をこれに取り入れるつもりはございません。
#181
○大野(由)委員 ぜひそれは確約をお願いしたい、そのように思います。療養型病床群が老人保健施設化するのであれば、これは国民の皆様は認めない、許さない、私はそのように思いますので、将来にあっても入院給食費が患者負担云々というようなことがあってはいけない、そのように要望させていただきたいと思います。
 それから、療養型は診療報酬に定額方式、マルメ方式と申しますか、そういう制度が導入されるのかどうかについて伺いたいと思います。
#182
○黒木政府委員 療養型病床群の診療報酬上の取り扱いについてのお尋ねでございます。私どもは、この持ちます機能とか人員配置基準等の具体的内容を勘案して、ふさわしいものを設定していきたいと考えておるわけでございます。
 定額方式かマルメ方式かについてのお尋ねでございます。この療養型病床群の対象者が、主として病状安定期にあって長期の療養を必要とする患者であるということから見ますれば、私どもは基本的には定額払い方式になじみやすいものと考えておりますが、具体的にどうするかということは、いろいろ御議論をいえだいておりますように、対象者の年齢、これは年齢を問わない、したがいまして、病状の変動はかなりあり得るという御議論が行われておるわけでございますし、私どももそう思います。したがいまして、この診療報酬のあり方については、定額払いと出来高払いの組み合わせといったような方向もあるのではないかと思っておりますけれども、中医協の御議論を踏まえながら、この療養型病床群にふさわしい診療報酬のあり方について、幅広い角度から検討させていただきたいというふうに考えております。
#183
○大野(由)委員 私も出来高払いをぜひ加味する必要があろうかと思いますので、それはぜひ要望をさせていただきたいと思います。
 続いて、人員基準について質問させていただきますが、療養型病床群では看護補助者を入院患者何人に一人を想定していらっしゃるのでしょうか。また、看護補助者はどういう方を言うのかもあわせてお答えをいただきたいと思います。
#184
○古市政府委員 先ほど申しましたように、療養型病床群に収容されます対象患者というものは、比較的病状が安定期にあるということでございますので、看護職員の配置につきましては、現在の段階では、入院患者六人に対しまして看護婦さんを一人、しかし、生活面その他の介護というものへの配慮からも、さらに看護補助者の方を六人に一人ということで、六人に対して看護婦、看護補助者で二人つく、こういう基準ではいかがであろうかと考えておりますが、最終的には医療審議会によって御審議いただいて決められるということになろうかと思います。
#185
○大野(由)委員 看護補助者というのはどういう方を指すのか伺いたいと思うのです。全くの無資格者で、人の出入り、交代が多い、そういう方であれば、慢性期の患者や高齢者にふさわしい看護を担うにはふさわしくないのじゃないか、そういうふうに思うわけでございますが、一定の研修をきちっと受けたり、またこういう看護補助者の育成のマニュアルをつくるとか、きちっとこうしたものが必要であろう。介護、介助に強力な力を発揮できる人でなければいけないと思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。
#186
○古市政府委員 今申しました看護補助者の方が入院患者さんの看護に携わるということはないわけでございまして、よく問題になりますように、看護業務の見直し検討という中で、看護婦さんが、看護だけではなくて、極端に言えばそのほかの身の回りのいろいろなお世話とか、ほかの方でもやっていただける分野までやっているということは問題じゃないか、こういう御指摘もございました。この療養型病床群の方たちは、療養と同時に日常生活的なニュアンスもある人でございますから、身の回りのお世話というものをやるのは、看護婦さんの数をそろえるというよりは、その看護補助者の人にお願いいたしたいということで、看護婦と看護補助者のセットでもって基準をつくったらどうかということでございます。
 そこで、現在の段階では生活面でのお世話が中心になりますので、基本的なことをそこの医療機関でちゃんと教えておいていただければ、その後の特段の研修というのは不要かと思いますが、現にそういう人たちに対して研修をいろいろやっておる医療機関もございます。そういうことで、今後の問題として検討をさせていただきたいと思います。
#187
○大野(由)委員 もう一度ちょっとあわせて確認をさせていただきたいのですが、この人たちは介護もやるということはあり得ないのですか。看護じゃなくて介護です。
#188
○古市政府委員 看護と介護と分けましたら、介護の方はこの方たちにお願いする分野はあろうかと思います。私ちょっと聞き間違えたかもしれませんが、先生が看護と言われたのだと思いましてお答えしたので、介護の方でしたら、この人たちがタッチするところが相当あろうかと思います。
#189
○大野(由)委員 この看護補助者の方が介護をやるとなれば、私は当然研修は必要であううと思います。これは、研修を受けないでちゃんとした介護をするということはやはり不可能でございまして、患者六人に対して一人の看護補助者をつけましても、これは余り大きな力にはなれないというような面がございますので、介護、介助に力を発揮できるためには当然一定の時間の研修等を検討していただきたい、そう思います。
 それから、今回機能訓練室を療養型病床群につくるという案でございますが、これは一歩前進だと思いますが、どういう方が担当されるのでしょうか。
#190
○古市政府委員 療養型病床群では、日常比較的症状が安定しているということで、そういう人たちの社会復帰を目指す、または機能が入院期間中落ちないようにということで、そういう機能訓練室は必置の施設としているわけでございますが、これに対しましては、理想的に申せば、その専門のOT、PTの方が医療機関におられますれば、その人たちの指導のもとに、そこで機能訓練が行われるのが最適だと思っております。また、おられない場合には、医師、看護婦さん等が指導するということになろうかと思います。
#191
○大野(由)委員 看護婦さんも六人に一人しかついていないわけでございまして、機能訓練までとても手が回らない、リハビリまでは手が回り切れない、そう思うわけです。看護補助者の方も当然こういうリハビリ等は専門ではございません。そういった意味では、PT、OT、またメディカルソーシャルワーカーの人たちがこうしたリハビリ等にかかわっていただかなければいけない、そう思いますが、こういう人々の配置基準は決められる御予定でしょうか。
#192
○古市政府委員 現在のところはまだそこまで考えておりません。
#193
○大野(由)委員 ぜひこのPT、OT、またメディカルソーシャルワーカーの人たちの配置基準も決めるべきではないか。そうでなければ、実際的には療養型病床群が看護婦さんの員数標準の引き下げになって、若干看護補助者の方がっかれまして総数としては人数確保ができていると申しましても、プロの方々の手が足りなくて、この療養型病床群というものがどれだけ本当の治療、療養につながるかどうかということは甚だ疑問でございます。結果的にかえって寝たきり老人をふやす結果になるのではないか、そのように思いますので、看護補助者の研修とともに、PT、OT、またメディカルソーシャルワーカーの人々の配置基準についてもぜひ検討をお願いしたい、そのように思います。
 それから、だんだん時間が少なくなってまいりましたけれども、今日看護婦不足が大変な社会問題になっていまして、これから完全週休二日制とか、夜勤体制も複数の月六日制等にこれから移行させていかなければ看護婦さんの確保が難しい、そういう状況でございます。今回の医療法改正で看護職員の配置基準について踏み込んだ改正が行われるべきでございますのに、全く触れていらっしゃらない。これについては本当に信じられないわけでございます。入院患者三人に一人以上、まず三人に一人、または近い将来には二人に一人という配置基準を打ち出すべきだと思いますが、厚生大臣、これについていかがでございましょうか。
#194
○山下国務大臣 方向としては今のお話のとおりでございまして、率直に申し上げまして、この現行の基準をしっかり守っていただくということに全力を注がざるを得ないという現状でございます。別に御審議いただいております人確法案に御賛同をいただき、看護婦さんの確保に総力を挙げて取り組み、お話の方向が実現するように努力をしていきたいと思います。
#195
○大野(由)委員 もう一つ、今回医療の提供の理念が第一条の二にうたわれているわけでございますが、午前中網岡委員が詳しく説明をされたので、私の方も重ねて要望だけをさせていただきたいと思うのです。
 今回、医療提供の理念が第一条の二でうたわれながら、「医師、歯科医師その他の医療の担い手」云々と記載されているにとどまっているわけでございます。当然ここに薬剤師と看護婦、看護婦もお医者さん以上に多いわけでございますし、先ほど私が申しましたように、高度医療というのは看護が充実しているかどうかで決定されている、欧米においてはそのようなところもある状況の中にあって、薬剤師さんも高齢化の時代を迎えて本当に地域医療に大変大きな役割を果たしております。また、医薬分業の中にあってこれからますます比重が重くなってくるわけでございますが、ここにきちっと医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療の担い手、そのように例示をするべきではないか、そのように要望させていただきたいと思います。
#196
○古市政府委員 医療の中におきます薬剤師の役割の重要性というのは、十分認識をしております。ただ、医療法の規定の中におきましては、病院、診療所がそもそも医師、歯科医師が医業を行う場所であること、また、医師、歯科医師は病院、診療所の管理者として各般の規制を医療法上受けているということから、医療の担い手の例示としては医師、歯科医師までを挙げたという経緯がございます。薬剤師、看護婦については例示をしないということでございますが、医療の担い手として、その重要性は変わらないものだと認識しております。
#197
○大野(由)委員 では、最後に一つだけ厚生大臣に質問をさせていただいて終わりたいと思うのですが、今回、昭和六十年以来の大幅な改正になるわけでございます。しかし、患者の権利を医療法の中にどう位置づけるのか、それが全く明確でないわけでございます。「医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、」との表現があるだけで、ほかは何も明示されていないわけでございますが、この中にぜひインフォームド・コンセントというのをはっきり明記するべきではないかということと、それともう一つ、今後の目指すべき医療のあり方、全体像をどのように描いていらっしゃるのかということを最後に厚生大臣に伺って、終わりたいと思います。
#198
○山下国務大臣 私の考え方は何回も御説明申し上げたのでございますが、確かにこのインフォームド・コンセントは目指すべき方向でございますし、行政としてもこれは真剣に取り組んでいかなければならぬ問題だと理解をいたしております。ただ、医療はその国の文化、風土、いろいろな面から考慮していく、また関連がございますので、そこらあたりも考えながら、したがって欧米の諸国と違った点がございますので、この国の医療とインフォームド・コンセントということについてのルールの成熟度と申しますか、これはもう少し日にちをいただいて、それを見きわめた上でやる必要があるのではないか。これは私の個人の考えですが、そのように思っておる次第でございます。いずれにいたしましても、法文化につきましては、将来の課題として真剣に考えなければならぬ問題だと思っております。
 さらに、最後に締めくくり的な御質問がございましたが、患者の病状に応じた良質な医療を適切に提供していくということに尽きるわけでございますけれども、現在の法律では大まかに言って病院と診療所の別しか定められておりません。今回の案では、高度な医療を提供する特定機能病院、長期入院患者のための療養型病床群ということで、病院の機能とその役割の分担をはっきりさせていくということでございまして、現実の医療をよく見て、この問題は着実に進めていかなければならないと思っております。
#199
○牧野委員長 児玉健次君。
#200
○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。
 療養型病床群について、先ほどからの御答弁で問題点が非常に浮き彫りにされてきているように思います。今厚生省がどのように考えられているか、そのことより、私は法律に何と書いてあるかということに着目したいと思います。
 療養型病床群について、第一条の五「主として長期にわたり療養を必要とする患者を収容するためのものをいう。」先ほど古市局長は、長期というのを三月とか六月とか、そういうふうに考えてきたという趣旨のことをおっしゃった。現在全国の入院患者は百十万人。厚生省は療養型病床群の病床数がどのくらいになると見ていらっしゃいますか。
#201
○古市政府委員 先ほど私が三月とか六月とか申し上げましたのは、そこまでということではなくて、それ以上の入院期間ということで一つ例を引かせていただいたわけでございます。
 今お尋ねの療養型病床群がどの程度の数になるのかというのは、私どもは現時点では推定することもできませんが、ただ、そういう意味で、長期入院患者という数からいいますと、大体入院患者の四割近くの人が六カ月以上入院している。これは精神障害を除いてもそういうことだという実態で、数の上から見たち、かなりのところが療養型病床群に移行可能ということではなかろうかと思っております。
#202
○児玉委員 約四割、四十三万人前後ということになるだろうと思います。
 そこで、先ほどの厚生省のお答えの中に、病状の慢性化、これは老人だけに限られたものではない。病状の慢性化、安定化、この点に着目していけば、年齢を超えて同様のことが考え得る。速記をとったわけじゃないですから、言葉のあれこれには異同がございましょうけれども、そういう趣旨のことをおっしゃいました。非常に重要な答弁だと思います。その病状の安定化ということに着目をすれば、年齢を超えて全体がカバーできる。そしてその上で厚生省は、療養型病床群と特例許可老人病院はある時期並行していくことになるだろう、こうも言われている。そのある時期というのは大体何年間ぐらいをお考えになっていますか。
#203
○古市政府委員 これも明確な数字でお答えはできませんが、私がそのようにお答えしましたのは、老人保健法によりまして老人病院というものが、いろいろ経緯がございましたけれども、それぞれの地区で試行的に行われ、定着をしかけている。そこに医療法の改正が通りました暁に、年齢制限がない、方向としては同じような方向を目指す療養型病床群ができるわけでございます。それがどういうものか、それが本当にいいのかというのを第一線のお医者さん方が見きわめる必要もございましょう。この方がいいんだということになったら、現在の老人病院から移行されることもありましょう。そういうことで、ある一定期間というものは並行される。それが終わった後療養型病床群の方にかなり移行されるのではなかろうか、このように思っておるわけでございます。
#204
○児玉委員 非常に重要な問題を含んでおりますが、その点についての議論は後日に譲りたいと思います。
 それで、療養型病床群は、定額制の老人病院と人員配置の点ではほぼ同等というふうに以前から説明を受けております。そうだとすると、それに対する一定の対価となるべき診療報酬という点では、先ほど黒木局長から定額払いの方がなじみやすい、出来高払いと定額制の組み合わせというふうなお話もありましたが、その土台になるものは特例許可老人病院の定額制の部分。そこを基礎として療養型病床群の診療報酬が設定されていく、私はこういうふうに理解するのですが、どうですか。
#205
○黒木政府委員 療養型病床群の診療報酬につきましては、まだ確定的なお答えはできかねる状況でございますけれども、基本的には定額方式がなじみやすいと考えておるわけであります。年齢を問わない、病状の変動があり得るということから、組み合わせがいいのではないかというようなお答えをしたわけでございます。その基本になります定額について、どこの部分を持ってくるのかというお尋ねだと思いますけれども、そこまではまたしかと整理はいたしておりません。
 いずれにいたしましても、老人病院とのバランス等ももちろん考えなければいけませんけれども、新しい発想に立って新しいタイプの病床群ができるわけでございますから、新しい発想に立って幅広い角度からの検討ということで、ふさわしいものを設定しでいきたいというふうに考えております。
#206
○児玉委員 先ほどのお答えで、医師、看護婦の人員配置は特例許可老人病院と同じというふうにも聞いているわけですが、そうなると、全体として療養型病床群がある時期、先ほどのお話のように入院患者の約四〇%程度ということになり、かつ配置される看護婦さんが現在の基準看護の百床当たり二十五から十七に減少されていく。そうなると、そのことによって看護婦は全国的に配置数でどのくらい減少するか。これは仮定の問題ではありますけれども、お答えいただきたいと思います。
#207
○古市政府委員 今児玉委員が御指摘になりましたことは、私どもそんなことはないんじゃないかと思いますが、仮定でいいからということでしたら一応数字の上を申し上げますと、御指摘のように四十三万人の人が長期間の入院患者であるといたしまして、その中の約十一万人の方は特例許可老人病院に既に入っておられるといたしますと、三十万人の人がそれの対象になる。それに対しまして、現在一般病床として看護婦さんは四人に一人、これは守られてないところもございますが。そういたしましたら、必要な数が、百床当たりは二十五でございますから、これを掛けて出てくる。一方、今回提案いたしております療養型病床群の職員看護基準は百床当たり十七人、こういうことに一応なるわけでございますから、ここで百床当たり八人の減といたしまして、これに三十万床を全部掛けたといたしますと、二万四千人という数が一応は出てくるわけでございます。
#208
○児玉委員 特定機能病院についてですが、これも皆さんが提案されている改正案によれば、「他の病院又は診療所から紹介された患者に対し、医療を提供すること。」そういうふうに明記されています。それで厚生省は、今度の医療法の改正によって患者の流れができ、三分間診療が解消されていく、こういうふうに述べられております。
 一九九一年の九月に日本病院会がまとめた「病院に対する国民の意識調査」によりますと、ある人が健康上の何らかの障害を覚えた、そこでどうするか。一番多いのが近くの病院に行く、三〇・四%。次が主治医に相談する、二三・二%。近くの診療所に行く、一四・五%。そこまでで七〇%近くになります。大学、公立等大病院に行くというのはわずか六・八%です。皆さんが言われるように、ちょっとした風邪その他で大学病院に駆けつける人というのは極めてまれであって、多くの方は身近の病院に行く。そういう状態であって、この特定機能病院の紹介制をつくったからといって、今の日本の国民の知恵というものは、皆さんが宣伝されている実態とはおよそ違う。この点いかがでしょう。
#209
○古市政府委員 私どもが宣伝しているというわけじゃございませんが、今回の医療法の改正というのは、日本の医療の患者さんのかかり方というものに対して、殊に病院が一律に外来をやっているということに対しまして、そこに機能分化と明確化をひとつ持ち込もうということで、改正の第一歩と考えておるわけでございます。したがいまして、ただいま先生が挙げられました数値と近くの医療機関という中には、私はもうひとつ数字がわかりませんが、近くの大きな病院の外来が込んでいるということも含まれているのではなかろうか。またその一つのあらわれが大学病院の外来が混雑している、こう言われておるところだと思います。
 そういうことによりまして、特定機能病院の外来を紹介制に持ち込むということは、ほかの医療機関におきましても将来そういう紹介機能が開けてくる一つの端緒にしたいということでございまして、そのことでもって大きな流れが全部変わるということではございませんで、そういう方向を目指すということを表明をしているわけでございます。
#210
○児玉委員 ヨーロッパのかなりの国では、病院に受診するとき、ホームドクターとかそういったものから順次紹介されていくという制度がかなり定着している国もありますが、日本は医療機関に受診するとき、紹介制という仕組みが定着していると厚生省はお考えでしょうか。
#211
○古市政府委員 定着していると考えているかという御質問でございましたか。定着していないという立場で、それを定着と申しますよりも、そういう方向をもう少しとるべきではないかということが今回の提案の一つの趣旨であるわけでございます。
#212
○児玉委員 定着していないという点では、現状認識が一致しました。
 それで、日本の医療のよさということを考えるときに、これまたさまざまな資料がありますが、厚生省の皆さん方がよく執筆なさっている「厚生の指標」という非常に興味深い出版物があります。これの一九九〇年三月「日本の医療と欧米の医療の比較」、これでございます。そこで幾つかの先進国における国民一人当たり年平均受診句数のデータが出ておりまして、スウェーデンが年二・七回、フランス五・二回、アメリカ五・三回、日本二十一・〇、非常に受診回数が多い。そしてこれについて、何人かの方が共同で著作をされていますが、「病気にかかっても、何時でもどこでも自分の好みの医療機関で予約なしに気軽に医療を受けられるので、病気の早期発見、早期治療が出来る。」ここに日本の今日の医療制度のすぐれた特徴があると私は思っています。平均寿命八十歳にまで国民的な努力によって到達をした。特に医療関係者の御努力は大変なものです。そういう日本の医療の仕組みのよさ、それは身近なところに民間でかなりの高さの医療水準を持つ多くの一般病院がある、ここに基礎がある、そのように私は考えるのですが、厚生省、いかがですか。
#213
○古市政府委員 日本の医療の特徴というのは、数字から申すと、それが非常に端的にあらわれているというのは御指摘のとおりだと思います。私も欧米諸国の人にもこの数字を説明したら、とても信じてもらえない数でございました。何か計算が間違っているのじゃないか、一けた間違っている、こう言われたわけでございますが、積算するとそういうことで、本当に驚嘆しておりました。その驚嘆は何も尊敬するということでございませんで、もう少し合理化できないものかということも含めてでございました。これはその人の感じでございましょうが、私はやはりフリーアクセスというのは日本の医療制度の最も誇るべきところだと思いますが、それも程度によりけりだという意見が非常にあるわけでございます。
 そういうことから、やはり端的に自分の必要とする検査、それからまた相談に応じたところに適切に行っているという方向にするためには、医療機関の特徴を国民に明示し、そこの分野で集中的に機能を発揮していただくということで、開業医、有床診療所、病院、それからまた病院の中でも機能分化をしていく、それを国民に明示して、それを国民が適切に利用していくという方向に行ってもらいたいと思っておるわけでございます。
 そういうことで、今回の改正というのは、不十分でございますが、その方向性を目指す一つの端緒として御提案をさせていただいているという趣旨でございます。フリーアクセスというのは日本の誇るべき制度だという御意見には、私もそういうようなことかなと思っております。
#214
○児玉委員 先ほどからの議論の中でも、患者の判断によって、まさしく自分が選択する医師に、医療機関に気軽に受診を求めて、そしてこれも国際的な比較でいえば、比較的低廉な金額で治療を受けることができる、そのところによさがあるという点は、私は大いに強調しなければならないと思うのです。
 そこで、今、古市局長が言われた病院の社会的機能の分化の問題ですが、特定療養費制度、一九八四年の健康保険制度の改正の際に制度化されたものですが、ここにおける高度先進医療を行う特定承認保険医療機関というのがございます。現在六十ぐらいの医療機関が承認されているそうです。この医療機関を受けた場合にのみその高度先進の医療を施してもらう機会があって、そして診察と検査と入院料については保険給付の対象となる、非常に入り組んだ仕組みです。この仕組みが現存している。約六十ぐらいの医療機関がその適用対象になっている。皆さん方がお考えになっている全国百程度の特定機能病院、もしこれが実施されたとして、ふたをあけてみれば恐らく両者は重なり合っているだろうと思います。北海道でこの特定承認保険医療機関の承認を得ているのは、北海道大学の医学部と札幌医科大学の二つだと私は聞いています。
 さてそこで、今度の診療報酬で差額ベッドが厚生大臣の許可があれば五割まで認められることになり、それから特別材料食も認定される。そういった中で、この特定療養費制度における診療報酬がいまだ定かでないということは、先ほどの御議論でわかりました。しかし、一番新しい厚生省の答えで、高度の先進医療にふさわしい診療報酬という答弁も先ほど私は聞きました。
 この高度先進医療に関して、既に存在している仕組みと、そしてこの後者さん方が計画されている特定機能病院、ここのところが制度的にどのようになっていくかというのは将来の問題です。しかし、そこが結びついていくと、私は率直に言いますが、日本における高度先進医療がごく一部の病院に集中し、独占されていくことにならないだろうか、そして、高度の医療に非常に情熱を燃やして御努力なさっている医師などがみずからの技量を発揮しようと思えば、そこに行かなければならないというふうになっていかないだろうか、そのことを憂えるのですが、いかがでしょうか。
#215
○黒木政府委員 高度先進医療については、先生御指摘のとおり、特定承認保険医療機関制度を設けまして運用しているところでございます。新しい医療技術が開発される、しかし、まだ全国には普及していないという段階で、基礎的な治療費は保険が持ちまして、その高度先進部分について負担をしていただくという仕組みでございます。
 したがいまして、こういう病院というのは、ある特定なところに集中することはもうやむを得ない。また、そういうことからそういう制度を設けているわけでありまして、これが普及した暁には保険へのすべての導入ということになるわけでございます。そういう特定承認保険医療機関は今回の特定機能病院とは要件等もかなり違っておりまして、病床数が三百床以上とかあるいは単科の高度専門病院にも認めるということになっておりまして、別系統のものが二つ存在する形でいくわけでありますが、それは制度上の目的からいって仕方のないところというふうに考えているわけであります。
 なお、特定機能病院は、一般の病院では実施困難な高度の医療技術を要する傷病の診断とか治療を担当していただけるわけでありますから、それにふさわしい人員配置だとかもろもろの要素を勘案しながら、ふさわしい診療報酬を設定していくことがこれから必要だろうというふうにお答えしているわけでございます。
#216
○児玉委員 時間のようですから最後の質問ですが、今のお答えは、この仕組みでいけば高度医療の集中化、独占化にならないかという私の質問にお答えになっていないと思うので、それはこの次にまた議論したいと思います。
 私が最後に強調したいのは、今日の日本の医療の現状を私たちはすべて是とするものでは到底ありません。医療法は制定されて既に四十四年を経過しております。改めるべきところは改め、そして、維持し発展すべきところは大いに維持し発展しなければならない、こう思います。医療法の中で最も改めなければならないところはどこか。それは、敗戦直後の日本の病院の実態をそのまま置きかえた看護婦配置基準四対一、病室の面積一人当たり四・三平米、こういったところの改善から着手すべきであって、医療制度の改正については文字どおり広範な国民の合意を得てから進めるべきだ、そのように私たちは考えます。この点いかがでしょうか。
#217
○古市政府委員 今回の改正と申しますのは、その中で、医療法の欠点として職員配置基準というのが戦後のときの考え方のままであるという御指摘でございます。これは、私ども正直申しまして、医療の質を高めていくということからいろいろ問題があるということは承知いたしておりました。
 そのために、今国会にこの法案以外に看護婦等の人材確保の促進に関する法案というものを提出させていただきまして、日本における看護婦さんの総数というものをふやしていかないと基本的な解決にはならないということで、今お願いしているわけでございます。そういうことで、この分野に看護婦さんに毎年三万人ずつ参加していただこうということで努力を重ねていくわけでございますが、そういうことでだんだん増員されてきた暁には、おのずから医療法の基準というものも改正できるような背景ができてくると私は思っておるわけでございます。
 それから、もう一つは何でございましたでしょうか。(児玉委員「国民の合意を得てからやるべきだ」と呼ぶ)わかりました。
 医療法というのは、大臣の御説明にもございましたように、多くの問題があるわけでございますが、日本の百六十万の病床というもの、それから多くの医療従事者の方がこの法律によって長年動いてきたわけでございまして、これを一挙にあちこちと大改革をするというのは、現実的にはとても無理なことでございました。長年検討した結果、今回提案させていただいたことにつきましては、関係団体等、それからまた学識経験者からも、このぐらいのことは頑張ればできるのじゃないのかということで、合意が得られるという範囲内でやったわけでございます。この後、第三弾、第四弾の改正というものは、当然我々は検討していかなければいけないと思っているわけでございます。
#218
○児玉委員 終わります。
#219
○牧野委員長 次回は、来る二十二日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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