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1992/04/22 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第9号
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1992/04/22 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 厚生委員会 第9号

#1
第123回国会 厚生委員会 第9号
平成四年四月二十二日(水曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 牧野 隆守君
   理事 粟屋 敏信君 理事 石破  茂君
   理事 野呂 昭彦君 理事 平田辰一郎君
   理事 持永 和見君 理事 網岡  雄君
   理事 池端 清一君 理事 遠藤 和良君
      岩屋  毅君    衛藤 晟一君
      大石 千八君    佐田玄一郎君
      坂井 隆憲君    戸井田三郎君
      中谷  元君    丹羽 雄哉君
      畑 英次郎君    三原 朝彦君
      宮路 和明君    簗瀬  進君
      山口 俊一君    沖田 正人君
      小松 定男君    五島 正規君
      清水  勇君    鈴木喜久子君
      田中 昭一君    竹村 幸雄君
      外口 玉子君    石田 祝稔君
      大野由利子君    児玉 健次君
      柳田  稔君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 山下 徳夫君
 出席政府委員
        厚生大臣官房老
        人保健福祉部長 岡光 序治君
        厚生省健康政策
        局長      古市 圭治君
        厚生省保険局長 黒木 武弘君
 委員外の出席者
        厚生委員会調査
        室長      高峯 一世君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十一日
 辞任         補欠選任
  沖田 正人君     富塚 三夫君
同日
 辞任         補欠選任
  富塚 三夫君     沖田 正人君
同月二十二日
 辞任         補欠選任
  岡田 克也君     佐田玄一郎君
  鈴木 俊一君     岩屋  毅君
  住  博司君     中谷  元君
同日
 辞任         補欠選任
  岩屋  毅君     鈴木 俊一君
  佐田玄一郎君     岡田 克也君
  中谷  元君     住  博司君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 医療法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百十八回国会閣法第六七号)
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○牧野委員長 これより会議を開きます。
 第百十八回国会、内閣提出、医療法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、本案審査のため愛知県及び秋田県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員から、それぞれ報告を求めます。第一班持永和見君。
#3
○持永委員 第一班の愛知県の派遣委員を代表いたしまして、団長にかわりまして私からその概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、牧野隆守委員長を団長として、岡田克也君、住博司君、外口玉子君、土肥隆一君、大野由利子君、柳田稔君、それに私を加えた八名であります。
 なお、現地において、理事の網岡雄君、今枝敬雄議員、久野統一郎議員、田辺広雄議員、川島實議員、草川昭三議員が参加されました。
 現地における会議は、四月二十日午後一時より午後三時三十五分まで、名古屋クレストンホテル会議室において開催し、まず牧野団長から、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営の順序などを含めてあいさつを行った後、愛知県医師会副会長大輪次郎君、愛知県がんセンター病院内科診療科医長福島雅典君、名古屋工業大学教授山本勝君、藤田保健衛生大学病院長馬嶋慶直君の四名の方から、参考意見を聴取いたしました。
 陳述者の四君からは、いずれも本法案について基本的には賛成である旨の意見が述べられました。その意見の具体的内容につきまして、ごく簡単に申し上げさせていただきます。
 大輪君、山本君の両君からは、今後の医療の目指すべき方向として、生命の尊重、個人の尊厳の保持、医師と患者の信頼関係に基づき適切な医療を提供すること、人口の高齢化、医学医術の進歩、医療ニーズの多様化などにより、医療施設の体系化の第一歩として特定機能病院、療養型病床群を規定することは妥当である。また、医療に関する適切な情報を患者に提供することは必要であり、基本的に賛成である。
 このほか、プライマリーケア体制の充実、ネットワーク体制の整備充実、人的資源の開発と育成向上などの具体的施策の展開が必要である。特定機能病院と一般病院、診療所との連係システムの構築、紹介外来患者の比率の規定、療養型病床群と老人病院、老人保健施設などとの整合性を図る必要があるとの意見が述べられました。
 福島君からは、高齢化社会に向けて適切に対応する医療、情報化社会に対する国民的ニーズに対応するものであれば妥当である。そのときそのときに最高レベルの医療を快適な環境で受けたいと願うのは当然であり、今回の改正は、我が国における医療の質的向上のための第一歩でなければならない。
 特に、医療提供の理念にインフォームド・コンセントの規定、薬剤師、看護婦の明示が必要である。特定機能病院の対象には、大学病院のみならず一般病院にも極めて質の高い高度医療を行っているところもあり、それを支援する仕組みが不可欠である等の意見が述べられました。
 馬嶋君からは、特定機能病院は、将来の展望が具体的に不明瞭のため、患者が医療機関を選択する権利を損なう懸念がある。大学病院として高度医療に積極的に取り組んでいるが、その費用の捻出に苦慮している。さらに、紹介外来制の導入によって、地域医療を分担している私立大学病院の経営は厳しくなり、財政上の配慮が必要である。
 また、紹介方法について、どのような形態の紹介とするのか極めてあいまいであり、紹介率についても地域の特殊性、病院の機能に即して柔軟に定められるべきであるとの意見が述べられました。
 意見の陳述が行われた後、各委員から医療提供の理念の中に、インフォームド・コンセント及び薬剤師、看護婦の明示、特定機能病院の紹介外来の必要性と一般外来者との関係、療養型病床群と老人保健施設などの機能分担、地域医療のシステム化、高度医療機器の購入などについて熱心に質疑が行われました。
 以上をもって第一班の報告を終わりたいと思いますが、この会議の開催につきましては、関係者多数の御協力により、極めて円滑に行うことができた次第であります。
 以上でございます。
#4
○牧野委員長 次に、第二班野呂昭彦君。
#5
○野呂委員 第二班の秋田県の派遣委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、団長を務めました私のほか、石破茂君、平田辰一郎君、池端清一君、遠藤和良君、鈴木俊一君、五島正規君、児玉健次君の八名であります。
 なお、現地において、川俣健二郎君が参加されました。
 現地における会議は、四月二十日午後一時より午後三時四十分まで、秋田ターミナルホテル会議室において開催し、まず私から、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営の順序等を含めてあいさつを行った後、秋田県医師会長畑澤実君、秋田県厚生連平鹿総合病院院長林雅人君、秋田大学教育学部教授佐藤怜君、社団法人全日本病院協会常任理事内藤賢一君から、参考意見を聴取いたしました。
 陳述者の四君からは、おおむね賛成である旨の意見が述べられました。
 畑澤君、佐藤君の両君からは、医療提供の理念を掲げ、国、地方公共団体さらには医師、歯科医師その他の医療の担い手の役割と責務を明示したことは評価すべきであり、医療機関の機能を患者の状態に対応した特定機能病院、療養型病床群に分化し、効率的な医療を提供することについても妥当である旨の意見がありました。
 なお、この改正案が二十一世紀を目指しての医療供給体制の第一歩であると理解し、今後の要望として、患者の受療動向に合わせた医療施設の体系化、マンパワーの確保、在宅医療を中心とした診療所、中小病院の役割についての十分な配慮、特定機能病院選定に際しては地域の特殊事情を考慮する必要があるとの意見がありました。
 また、林君、内藤君の両君からは、特定機能病院の規定や救急医療に対する特定機能病院の役割が不明確であること、在宅医療に対する一般病院と診療所の役割分担の必要性、医療に従事する要員の確保や養成の責任、国公立病院と民間病院の医療上の役割分担、政省令の決定前に関係団体、学識経験者等の意見を聞く必要性を明記することのほか、総合的な医療基本法を策定する必要があるとの意見が述べられました。
 以上のような意見が述べられた後、各委員から、診療が大病院に集中する原因と病院の機能分化による経営上の問題、特定機能病院と療養型病床群のあり方と配置、マンパワーの確保対策、インフォームド・コンセントの法定化、地域医療計画の中における救急医療システムの整備、潜在看護婦問題、国民医療費の現状と負担のバランス、病院の特定機能型と療養型病床群固定化への患者の懸念等の問題について熱心に質疑が行われた次第であります。
 以上をもって第二班の報告を終わりたいと思いますが、この会議の開催につきましては、関係者多数の御協力により、極めて円滑に行うことができた次第であります。
 以上でございます。
#6
○牧野委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。
 お諮りいたします。
 ただいま報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録が後ほどでき次第、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○牧野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#8
○牧野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。外口玉子君。
#9
○外口委員 病む人に手を差し伸べる人間本来の営みとしての医療、その医療のあり方を方向づける基本法であります医療法の改正に当たりまして、私は、主に三つの側面から政府の見解をただしたいと思います。
 一つは、病む人の固有の権利への配慮がどのようになされているのかという側面からであります。二つは、医療システムの再構築が医療の現場に働く者にとってどうなるのかという側面からであります。三つは、経済的な価値や効率性よりも人間の価値を最も重視しなければならない医療活動、それを支える社会の仕組みづくりという側面からでございます。それぞれの側面から大事な点を確認してまいりたいと存じます。
 私たちがいざ病気になったとき、あるいは病気ではないかと心身の不調和を察知したときなど、一体どこへ行ったらよいのか、どのような扱われ方をされるのか、何を基準に判断して自分に見合った援助を得ることができるかなどなど、だれもが心細く不安を募らせた御経験をお持ちのはずでございます。このように人が支えを最も必要とするとき、安心して自分の状態を伝えたり、知ろうとしたりすることができる相談の場所や、相談の相手がなかなか得られないというのが我が国の実情だと思います。
 これは患者一人一人の個人的な問題としてではなく、医療の入り口のところでの仕組みの問題として重大だと考えるものでございます。つまり、現在の医療システムにおいては、国民が医療を利用する出発点とも言うべき相談機能が欠如しています。そうした中で、国民の医療の受け方が極めて不安定なままに置かれてきているわけです。自分の状態に見合った医療サービスを求めていくためには、十分な情報提供がなされていなければならないはずです。しかし、実際には医療の閉鎖性、密室性は強く、主体である患者はやむなく選ばされていっている状態に置かれ続けております。これは医療の利用者である国民一人一人にとっての基本的な権利の侵害と言わざるを得ません。
 今回の医療法の改正に当たって、このような国民の知る権利が行使されるような体制づくりに向けて、基本理念の中に明確に示される必要があると考えますが、まずこれについての御所見をお伺いしたいと思います。
#10
○古市政府委員 今回提案させていただきました医療法の改正につきましては、いわゆる国民がどのようなときにどのような医療機関に行くべきかということにもこたえる第一歩として、医療施設の機能分化というものを打ち出しているわけでございます。
 それからまた、お尋ねの医療情報の提供につきましても、現在の医療法の規制によりますと非常に限られた情報しか提供していないということがございますので、そこの点も今回の改正案ではいわゆる規制の枠を緩めようということで、院内表示の義務化と同時に、院外広告についても必要な情報が提供できる仕組みの法案の改正を提出させていただいているわけでございます。
#11
○外口委員 今のお答えで十分ですので、後にインフォームド・コンセントの問題をめぐってもう一度御所見を伺いたいと存じます。
 次に、医療法が制定されてから既に四十三年以上の年月が過ぎています。そして今、社会全体が経済成長だけでは評価できない価値を重んじるような社会に向かいつつあるといった、時代の大きな転換期に置かれてもいます。この医療法が制定された一九四八年、すなわち、昭和二十三年当時と今日の医療を取り巻く状況とについてどのような認識をされておられるのか、まず大臣にお伺い申し上げたいと思います。
#12
○山下国務大臣 今お話がございましたように、従来の医療法のもとで長い間日本の医療が行われてまいりました。それはそれなりにやはり国民の要望にこたえた医療が行われ、また欧米諸国に比べても遜色のない医療体系であったと思います。ただ、御承知のとおり、二十一世紀の本格的な高齢社会の到来に向けて一体これでいいのかというと、かなり変わってきております。
 従来の医療は、今申し上げましたけれども、その主眼というものは若い人たちといいますか、そういう方々の疾病等に対して、急性疾患等が中心で今日までやられたと思うのでございますが、だんだん高齢化してまいりまして、慢性疾患とかいう長期医療を要するものがだんだん多くなってきたということでございますから、やはりここらあたりで医療法を改正して、医療の中心というのはどこにあるかというのをもう一遍考え直す時期が来たということであろうかと思います。そこで、今申し上げた医療が長期化する人が非常に多くなってきた現在におきましては、その医療体制というものもこれに対応した改革がなされる必要がある、これが今回の医療法の改正の主なポイントであろうと思うのでございます。
#13
○外口委員 医療法制定以来、技術革新の波によって、医療分野においても機械化が推し進められてきています。ますます医療技術における人の要素が軽視される風潮にもあります。患者の訴えや病状よりも検査データや薬物の投与に重きが置かれていくに従って、病院が巨大化し、権威化してきているのも確かです。また、それに伴って患者が人としてというより物として扱われがちな状況にもあります。病む人を援助しようとする人と病む人との関係が、これによって大きくゆがめられてきていることも事実です。医療の高度化に加えて、高齢社会の到来による医療費の増大を抑えてどう乗り切るかといった経済的効率化の勢いが、人の命に直接的にかかわる医療の領域にまで入り込んできているように思えるのは私だけでしょうか。私は大変に危惧の念をそこに覚えるものでございます。こうした事態にあって、改めて医療の公共性を確認し、それを重んじる立場から、国の責任を明確にしてまいりたいと思います。
 そこでですが、今回の医療法の改正におきまして最も問題と思うことは、この法律の実質的な部分のほとんどが、これまで二十七カ所にも及び政省令によって行われてきている点であります。国会の審議なしに行われる小改正は、まさに医療の利用者である国民の声を無視するものと言うことができます。今回も、これからの医療のビジョンが明らかにされないままに、実質的な部分を利益誘導的な色彩の濃い政省令にゆだね、法文として明確化する努力が見られない改正となっていることは大変に残念に思います。これは医療への国としての責任逃れとも言えるのではないでしょうか。この点について大変私は憂えているものでございます。多くの政省令にゆだねていくやり方は、医療における患者不在の実態がまさに典型的にあらわれていると言ってもよいのではないでしょうか。この点に関しいかがなお考えをお持ちなのでしょうか、お伺いしたいと思います。
#14
○古市政府委員 現行の医療法の組み立てが、法定事項として医療機関の有すべき施設の最低基準というものを中心として書いておりました。そういうことから、今回の改正に当たりましても、この特定機能病院または療養型病床群等を規定します場合に、その法令をもとにして改正したということから、その細かい内容については、前の現行法律と同じように政省令事項になっているということでございます。しかし、この政省令事項につきましては、意図的に審議会において決めるということじゃございませんで、できる限り明らかにしてお答えして、先生方の質問には、疑念にはお答えしたいと思っているわけでございます。
#15
○外口委員 医療法は医療の基本法であるはずでありますから、医療の主体である患者の権利保障は、まず患者の声を反映した法改正のやり方から実現の第一歩を踏み出していただきたいと思います。
 さて、法律を改正するからには、その法律改正によって目指されるこれからの医療の方向性が国としてはっきりと打ち出されてしかるべきと考えます。このような重要な法律が改正されるときに、国の責任においてビジョンが提示されないことは、国民に不安を感じさせるものでもあります。現在の医療の現実を踏まえて、国としてどのような方向を目指し、どのような施策を行っていくのかを明示すべきではないかと思います。その点についていかがお考えでしょうか。
#16
○山下国務大臣 やはり患者が自分の症状に応じた最もいい医療を提供してもらう、これは医療を受ける側の希望であり、またそうなるべきだと私は思っております。いわゆる医療供給体制というものがそういうものに対応する体制をつくっていくということでありまして、そういう点からしますと、従来の医療というものは、まさに画一的な一つの医療の提供であったということが言えると思うのであります。例えば手術をする、あるいは投薬をするというような従来のやり方からすれば、そういうところに主眼が置かれた医療であった。
 それを今度は、この医療機関が果たすべき機能、役割というものを、制度上明確でないことをはっきりしまして、大学病院等大病院においてはこれこれの医療供給をやるんだよということを明確にする。つまり、従来のように急性は急性、慢性は慢性、もうとにかく何でもかんでもあらゆる病院が一緒にやっていたということを区別いたしまして、そして、慢性は慢性の専門のところに行くということにした方がやはり合理的な医療である。こういうことで、例えば大学病院みたいな高度なところには、そういう急性とか、あるいは特定疾患、あるいは非常に重い病気というような、まあ必ずしも重い病気とは限りませんけれども、そういうふうな形のものに、それから治療を長く要するところにはまたそれなりの療養型病床群というふうに、いわゆる選別という言葉が当たるかどうかわかりませんが、その病状によって分けて、その供給体制をとるというふうにするということであります。
 また、患者が十分な情報を得て、そして医療機関を選択できるように、広告の規制というものを見直さなきゃならぬ。今広告の非常に厳しい規制がございますが、これを緩めて、例えば予約制であるとかあるいは基準看護とか往診とか、あるいは夜間あるいは訪問看護、いろいろな面を広告に書きまして、国民が広告を見てわかりやすくする、選べるようなそういう体制をとっていかなきゃならぬ、こういうことでございます。
#17
○外口委員 ただいまの大臣の答弁の中で大変気になる点が二つほどありました。
 一つは、よい医療とは何か。今おっしゃったのは供給する側からの患者のより分け、それが大変前面に出ていたように思います。今回私どもが主張しておりますのは、医療を利用する側の患者の視点からのよいサービスとは何かという、患者の視点に立った仕組みづくりということが重要だと考えています。そしてまた、そうした患者の自己決定権あるいは選択権を保障するような医療における情報の公開、そういうものが非常に重要である。その上に立って初めて患者にとってよい医療を患者自身が選び取っていくことができると考えます。そうした意味では、先ほど大臣がおっしゃられました広告とは、患者の知りたい情報と全く異質なものと私は考えます。そうした点で幾つかの疑義がございますが、後ほどの質問の中でその点については御見解をお伺いしたいと思って、先に進ませていただきます。
 さて、厚生行政についてその全般を総括し、国民に示す厚生白書が本年もこの三月に出されました。福祉は、福祉関連八法の改正によって、地域への転換を図る施策に取り組み始めたところですが、医療は、社会的入院が増加していく中で、医療以外のニーズへの対応を余儀なくされているのが実態であります。ベッドを削減したら患者の行きどころがないなどといった現状を固定的に考えたままで、医療が責任を負い切れないところまで病院が抱え込んできている実態というものがあるのではないでしょうか。
 そうした観点から、白書では「保健医療・福祉サービスの総合的な展開」と題してさまざまな見解を報告しておりますが、保健医療・福祉サービスの包括的な統合のビジョンとはどういうものなんでしょうか。また、それをどのように実現していこうとお考えなのでしょうか、お伺いしたいと思います。
#18
○古市政府委員 それぞれどちらかというと独立して体制がとられてきました我が国の医療、保健、福祉につきまして、それはやはり受ける側から見れば医療も保健も福祉も一体的なものであります。殊に高齢者が非常に多くなった現在におきましては、医療を受けるお年寄りが同時に福祉のサービスも必要だ、また、地域においては保健のサービスというものは必要であるということから、私どもは地域医療計画の中におきましても、それを総合的に地域保健医療計画、さらには福祉の立場も入れた包括的な計画を立ててくださいということで、各都道府県にお願いしているわけでございます。
 そういうことで、具体的にとおっしゃいますと、現在都道府県にお願いしております地域医療計画の中における総合的な対策のあり方、これについて指導し、支援をしていくという立場にあろうかと思います。
#19
○外口委員 後に地域医療計画についてはお伺いすることにして、保健医療・福祉サービスの統合という問題で、医療が他の領域を取り込んで肥大化していく傾向に危惧しているものとして、もう一点お伺いしたいと思います。
 私が三十年以上もかかわり続けてきた精神医療の分野では、特に病院が収容所として患者を抱え込んできた歴史があります。たとえ治療がほぼ終了したとしても、そこで満足な生活面や就業援助などの福祉的な援助が十分に行われず、結局何十年と病院の中でその生涯を過ごす方がいまだに多くおります。そのような方々の中には、くしくも医療法が制定された昭和二十三年に入院し、その後、医療的には対応がほぼ終えているのにもかかわらず、病院の患者の確保の目的で積極的に患者の退院への援助が行われず、福祉サービスを受けられないまま、今もって入院を続けている方々がおります。これは一例でございますが、医療が患者の確保、つまり、経営上の安定のために福祉をも取り込んできたために生じたことであると私は考えております。
 保健、医療、福祉の統合は、医療が他分野を取り込む方向にではなく、多様な施設を地域内に生み出していく方向をとるべきと考えます。そしてまた、それらの機関、施設をネットワーキングしていくということによって、統合されたサービスの提供が実現されていくと考えるものでございます。
 そのために何よりも重要なことは、今回の改正においては、施設の機能分担が先ほどの説明の中でも先行して説明されておりましたが、本来医療は、その医療の担い手の機能分担が明確にされ、その担い手たちのチームワークのあり方が非常に重要視されるものと考えます。それによって初めてさまざまな能力を持つ人々を保健医療分野は吸収していくことができ、より統合されたサービスの提供が可能となるのではないでしょうか。そういった観点から、この保健医療・福祉統合サービスを実現していくに向けて一体どのような担い手の側の機能の役割分担を考えておいでなのか、お伺いしたいと思います。
#20
○古市政府委員 前段の御指摘では、今回の医療法の改正におきましても、第一条の二の二項で、単に医療機関だけで患者が治療されるということではないという立場から、「医療を受ける者の居宅等において、医療提供施設の機能に応じ効率的に提供されなければならない。」ということで、その辺の必要性に対して医療のこれからあるべき姿というものも書いたわけでございます。
 それから、福祉の分野まで医療が持ち込んでいたというのは、そういう御意見もございます。そういうことから厚生省では、御承知のようにゴールドプランで各種の施設を地域の中に整備していくという方針を打ち出して、その整備を進めているわけでございます。
 それからまた、医療関係者のチームワークでございますが、これは全く御指摘のとおりでございまして、この医療法におきましても「医師、歯科医師その他の医療の担い手」ということで、全員がそれぞれの役割に応じて医療を担当していくということを書いているわけでございます。
#21
○外口委員 その担い手の機能分担のあり方については後ほどより詳しくお伺いしたいので、次に進みたいと思います。
 私が次に最も問題と考えますのは、今回の医療法改正案において、医療施設機能の体系化を図るためとして、長期入院患者のための療養型病床群の制度の導入が図られている点であります。先ほども説明されておられましたが、この本意はどこにあるのでしょうか、お伺いいたします。
#22
○古市政府委員 今度、療養型病床群というのを一つの病院の機能として分けようという法改正を提案しておるわけでございますが、これは高齢者のみでなく、年齢を問わず、病状が長期安定している、また長期安定するであろうという人に対しましては、現在の医療法による一律の病室で治療を受けるよりは、それにふさわしい療養環境を提供すべきではなかろうか、こういうことから、そういう方々の入院中の療養と同時に、生活面にも配慮した施設基準をつくろうということで提案させていただいているわけでございます。
#23
○外口委員 利用者が病院に対し期待する機能は、必要なときに専門家によるサービスを利用し、できるだけ早く身体的、精神的、社会的な苦痛の軽減が図られ、もとの生活へ戻れるようにすることであると言ってよいと思います。であるとするならば、長期入院のための療養型病床群を設置する方向よりも、まずは入院期間の短縮、在宅医療の充実、リハビリテーションの充実に向けての重点的な施策を図るべきだと考えるものでございます。医療が本来の機能を充実させ、緊急事態に即応した医療サービスを保障することによって、福祉との連係もまた進めやすくなるものと考えております。今回の医療法改正案において療養型病床群を設置しようとすることは、医療本来が行うべき救急医療体制、急性期の対応などの施策を置き去りにしたまま、福祉の分野を取り込もうとすることになりかねません。
 そこで、医療における機能分担のあり方についての見解をお伺いしたいと思います。この際、従来の供給側からによる見解ではなく、視点を変えて、利用者の側から一体どのような機能分担が望ましいのかについて明らかにしていただきたいと思います。
#24
○古市政府委員 医療を受ける側からの医療に対する要望というのは、多々あろうかと思います。しかし、この場合、今回の改正法案に沿って御説明いたしますと、一つは、病院と診療所の機能の連係ということで、どこに行けばどういう医療が受けられるかということがよりわかりやすくなるということ等も目指しまして、特定機能病院、また病院の標榜科名、それから広告規制の緩和ということを出しておるわけでございます。
 それから、療養型病床群で患者さんがどのような医療を受けるかということも、現在の医療法の規定の中での病室で治療を受けている人に対しまして、非常に長期的な入院期間にわたるといった場合には、今回提案させていただきましたような療養型病床群というもので、部屋の広さ、さらには機能訓練室、食堂等も付設した施設で医療を受けるということが現在よりはずっと改善されるのではなかろうかということで、法案の改正をお願いしているところでございます。
#25
○外口委員 療養型病床群と特定機能病院との関連について大変いろいろな問題を感じておりますので、その点について質問いたしながら、なお療養型病床群についての問題をさまざまな側面から伺ってまいりたいと思います。
 まず、今回の医療法改正案におきましては、特定機能病院が置かれて、これによって患者の流れを形成して、医療資源がむだなく効果的に扱われるようにするとのことのように思われます。しかし、特定機能病院、一般病院、療養型病床群、そして老人保健施設といった段階的なリハビリテーションということは、現実的には全く不可能というか、患者にとっては非常に不都合な面が多いと私は経験してきております。これはあたかも工場の生産率を高めるためのベルトコンベヤーの流れを思わせるような、患者の振り分けの発想につながるもののように思われます。利用者が求めているのは、医療資源が効率的に使われるかどうかではなく、まず身近なところに安心して気軽に相談できる窓口があり、そこで信頼に足る専門家に出会い、求めるサービスができるだけ短期間のうちに供給されることであるはずです。
 医療法改正案によると、特定機能病院と療養型病床群とがあたかも医療機関の両極をなすかのように位置づけられていますが、利用者の側から見れば、これはさまざまな問題を含んでいます。これは同僚議員からも今までも質問で幾つか出された点でございます。一体こういう上の方の、ちょっと語弊がありますが、医療のランクづけではなく、下の方というか基礎的なところでの仕組みづくりが必要だと考えます。そのような点にこそ取り組む必要が今回はあるのではないかと私は認識しているのですが、どのように考えておられるでしょうか、お伺いしたいと思います。
#26
○古市政府委員 ただいま申し上げましたように、医療のこれから改善していくべき点というのは多々あるわけでございます。
 お話にありましたように、地域住民の立場から、どこに行けばどのような医療が受けられるかという安心感のある医療提供システムというものをつくっていかなかったらいけない、私どももそのとおりだと思っております。そのことの改正の第一歩として、今回二つの機能の病院の施設を提案させていただいているわけでございますが、その後、中小病院のあり方、それからまた有床診療所、それらの地域における連係の仕組みというものも引き続いて検討していく必要性は十分感じているわけでございます。
#27
○外口委員 今お触れになったように、利用者にとって望ましいシステムは、まず窓口としての、例えば診療所のような身近な医療機関を充実させていく方向だと思います。診療所の機能に学校医や家庭医、またナースプラクティショナーなどが備えられ、地域ケアが充実されていることが大切だと私は思っております。そして、このような動きは保健との統合と言ってもいいかもしれません。
 そこでお伺いいたしますが、今回の改正案では診療所に対する施策の充実が盛り込まれていないのはなぜなのでしょうか、お伺いいたします。
#28
○古市政府委員 診療所を直接改正の対象とはいたしておりませんが、今御説明しましたように、地域の中でそれぞれの病院、診療所の持つべき役割を明らかにしていくということが基本的に重要でございます。その点から考えますと、特定機能病院というものの中に紹介制というものを期待しておりまして、それは地域関連の中小病院、それから開業医さんからその特定機能病院の機能が紹介によって利用される、また特定機能病院で得られた結果というものが地域の開業医の先生方に還元されるという道を今回の改正で開こうということでございます。
 したがって、診療所のあり方というものは今後の一つの大きな問題でございますが、今回の改正の中でも、そういう地域の中における連係というものに対しても改善の一歩をしるそうとしているわけでございます。
#29
○外口委員 今おっしゃられましたように、診療所は、地域における小規模な医療サービス提供の場として利用者にも大変身近なものだと考えます。そして、日本の歴史を振り返ってみましても、診療所は日本のこれまでの医療を底で支えてきたと言っても過言ではないと思います。
 また、今その診療所が、医師の平均年齢の上昇あるいは後継ぎの不足などの問題で、地域での医療を支え切れるだけの力がなくなってきている現実がございます。どうして診療所の力が弱くなってきたのか、これまでの厚生行政を担当していた方としての御見解をお伺いしたいと思います。
#30
○古市政府委員 原因はいろいろあろうかと思いますが、若い人たちが卒業しますと、どうしてもしばらくの間は最新医術というものの研修に時間がかかりますし、また興味もそちらに向くわけでございます。そういうことから、現在日本の年齢構成別の医師の勤務場所というのは明らかな二方性になっておりまして、第一線の開業医さんは六十歳前後のところで山ができております。一方、毎年八千人卒業して新しく参画してくる医師というものは、勤務医として残ってくるわけでございますが、これが将来的にいつまでも勤務医でおれるというわけではございません。そういうことから、これらの人たちが一定期間の研修、また病院勤務でのいろいろな経験を積んだ後、それぞれの地域で中小病院なり開業医として働いていただくということが重要になろうかと思っております。
 そういうことから私ども考えますと、都会での開業医さんの医業の継承というものが非常に難しくなっているということがございます。それからまた田舎におきましても、地域では大病院に外来の患者さんが集中して、そこではなかなか医業経営が成り立ちにくいというようなことがございます。
 そういうようなこともありまして、すべてではございませんが、今回の改正の中でも、一大病院がほかの医療機関と競合するような形で外来患者を診るのではなくて、それぞれ機能に応じた役割を果たそうということで、特定機能病院の中には紹介制というものも導入いたしまして、地域医療機関と一緒になって医療提供をしていく仕組みの端緒を開こうというものでございます。そういうことから開業医の先生方がふえてくるということも期待しているわけでございますが、近年の統計によりますと、四十歳のところで開業医の山ができつつあるという数字もうかがえますので、さらに我々は努力していきたいと思っております。
#31
○外口委員 利用者に対する身近なサービス提供の場として求められている診療所や多くの一般病院は、民間の力に頼っています。しかし、医療法においてこれらの民間診療所、医院に対する法的な位置づけは定かではないことは、今申し上げました。また、たとえ位置づけたとしても、一方で民間に対するしっかりとした助成あるいはチェックシステムの確立などがなければならないと思います。そうした公的責任を国が果たさなければ、十分にこれらの機関は機能しないと考えます。今回の法案改正において、公的責任をどこまでどのように果たすおつもりなのかを問いたいと思います。
 私がこの点にこだわりますのは、つい最近まで医療者として、最も典型的な民間依存を続け、国の責任ある施策が長い間放置されてきた精神保健の領域にかかわってくる中で、多くのことを学ばせられてきたからであります。精神病院の歴史と、近年それを後追いしているかに見える社会的問題となっております有料老人ホームの実態、この二つは今後の医療における公的責任のあり方を考える上で非常に重要な問題と考えているからでございます。
 そこでお尋ねいたしますが、精神病院については、後ほど特例の廃止の方向に向けての質問の中で触れさせていただきたいと思います。
 まず最初に、有料老人ホームの問題についてお尋ねいたします。
 私は、昨年の八月三十日の厚生委員会、続いて十月一日の物価問題等に関する特別委員会並びにことし三月十二日の予算委員会第四分科会において、民間の福祉施設である有料老人ホームと有料ナーシングホームについて、公的責任の不備が老人を営利追求の道具にしていることへの警告をいたしてまいりました。有料老人ホームや有料ナーシングホームでは、良質なサービスを提供しようと努力しているところは、施設費や人件費がかさみ、経営が悪化し、ようやくのことで経営が成り立っているところがあります。その一方で、サービスの質を落とし、収容型、営利追求型の経営をしているところほど経営がうまくいっているやに伺っております。このような現実に対し、厚生省もようやく対応策を講じ始めているようですが、その点について具体的に伺いたいと思います。
 さきの予算分科会においての私の質問の後、四月一日付で有料老人ホームの広告等に関する表示の基準が示されたことはその第一ステップと考えられますが、これは先ほど古市局長の広告の緩和といった点についても、我々に大変多くの示唆を与えるものでございます。この四月一日の有料老人ホームの広告等に関する表示の基準の通達を作成する際に、厚生省は施設からパンフレットを取り寄せ、その内容すべてについて確認したそうですが、そうした作業の中で具体的にどのようなことが問題となったのか、御説明いただきたいと思います。
 また、そこで見直しが必要とされたパンフレット類が通達に従って本当に見直されているかどうか、厚生省は確認をする必要があると思います。これはいつどのように行う計画なのでしょうかというのが二つ目の質問です。
 三つ目。通常パンフレットなどは数年分をまとめて印刷するのが慣例です。そして、それを徐々に配布していくということになっておるのが私の経験するところで知る限りのことですが、今回の通達によって、あと数年分は保有されていると思われるパンフレットにもし厚生省が通達したような不備な広告あるいは文章があったとするならば、そのパンフレットは即無効になると考えておられるのでしょうか。あるいは配布する際、訂正箇所を明らかにするような指導をなさるおつもりなのでしょうか。
 この三つの点についてお伺いしたいと思います。
#32
○岡光政府委員 有料老人ホームの広告の関係でございますが、まず具体的な事例としましては、特に言葉の問題でございますが、誇大な表現を用いているようなものとか、あるいは介護と医療、看護と混同した実例、こういったものがございました。それから終身介護と看護・介護あるいは医師の常駐、常勤とかといったところについても非常にあいまいな表現がございました。したがいまして、介護と医療、看護の意味を明確に区分をする、あるいはサービスの内容とか費用負担につきまして明確にするというふうなことを基本に置きまして、表示のガイドラインを定めたものでございます。
 これは有料老人ホームの皆さん方で全国有料老人ホーム協会という社団法人をつくっていただいておりまして、会員にその表示の基準というものを作成をして、入居案内等の改善指導を開始したところでございます。私ども、どのような改善がなされていくかということにつきましては、今後ともフォローをしていきたいというふうに考えておるわけでございますし、現実に用意をされる入居案内書等につきましても、こういったガイドラインに則するような格好で内容をチェックし、また、ふさわしくないものについては改善をするように一層指導していきたいというふうに考えております。
#33
○外口委員 二点、三点目についての御答弁をいただいてないと思いますが。
#34
○岡光政府委員 御答弁申し上げたつもりでございますが、まず確認でございますが、今申し上げましたように、全国有料老人ホーム協会を通じましてその確認をいたしたいと思いますし、その確認をした上でなお不備のものについては訂正をしてもらうわけでございますから、その訂正状況も把握をしてまいりたいと思います。
#35
○外口委員 三点目について、パンフレットへの対応。
#36
○岡光政府委員 三点目とおっしゃるのは、そういうガイドラインに則さないような入居案内書をどうするかということだと思いますが、それはガイドラインに則するような格好で訂正をしてもらうということで、指導を徹底してまいりたいと思います。
#37
○外口委員 三点目のところで、保有しているパンフレット類が非常に不適当である、不適切な表現を使い、ガイドラインに反している場合、どのような処置をされるかについてお伺いしたのですが、御答弁をお願いしたいと思います。
#38
○岡光政府委員 その保有をしておいでの入居案内書につきましても、ガイドラインに則してチェックをしてもらう、そして、その部分についてふさわしくないという中身であれば内容を訂正をしてもらう、こういうことで指導を徹底してまいりたいと思います。
#39
○外口委員 この表示のガイドラインは公的な責任の第一歩だと思いますので、今後とも引き続き取り組んでいっていただきたいとお願いいたします。
 次に、有料ナーシングの点について、昨年来、先ほど申し上げたさまざまな委員会において幾度も私が確認してまいりました介護専用型有料老人ホームの設置運営指導指針についてお伺いしたいと思います。
 委員会での御答弁では、ことしの三月中には出すことができるとのお約束をいただいたはずですが、今現在四月になっておりますが、いまだ出されてきておりません。この指針は、公的責任として、そしてまた関係者がよりよいサービスを提供していくためにも、一刻も早く示してほしいと待っているものです。一体いつになったら厚生省は提示されるおつもりなのでしょうか。行政の責任者としてこのおくれの責任をどのように考えておいでなのか、お伺いしたいと思います。
#40
○岡光政府委員 介護専用型有料老人ホームの設置運営指導指針の作成は鋭意進めております。実は、平成三年十二月の初めに検討会を開催いたしまして、既に四回ほど開いておるわけでございますが、なお煮詰めなければならないという問題点がございます。例えば、十分な介護サービスを提供するその提供のあり方をどうするかとか、入居者の処遇の透明性、どういうふうに処遇していくのかということをはっきりさせる、あるいは医療機関との連係のあり方、この点につきましてなお検討会の中でいろいろ意見がございまして、まとまっておりません。したがって、こういったことを中心になお検討を進めているわけでございまして、この検討会をまとめた上で、また関係者の意見を聞いた上で、できるだけ早くこの指針をつくってまいりたいと考えておるわけでございます。
#41
○外口委員 公的サービスが大変乏しい中で、有料老人ホームが人々の人生の締めくくりの時期に利潤の追求とされている、そういうような実態を憂えて、これまで何度か行政の責任を果たしてほしいと要望してきたところでございますけれども、今の御答弁ですと、いろいろと困難な点が多いということで幾つか挙げられましたが、そのような問題を今どのように克服していこうとされておられるのか、お伺いしたいと思います。
#42
○岡光政府委員 まず介護専用型の有料老人ホームについて、既に相当数あるわけでございますが、こういった状況につきましてまず把握をしてみよう。そういったものを参考にしながらこの検討会で煮詰めていただいて、かつ広く関係者の意見を聞いて中身を固めていきたい、このような発想をしておるわけでございます。
 まず、先ほど申し上げました三つほどの問題につきまして、十分な介護サービスの提供がどのような格好でなされるかということでございますが、その場合に、介護専用型でございますから、契約でどういうことをうたい、そしてどんどん体のぐあいは悪くなってまいるわけでございますけれども、その際にどのような介護サービスが当該の施設で行われるのか、あるいは当該の施設でどうしても対応できなくなった場合には、関連の施設とどういうふうな連係を図るのかとか、こういったことをあらかじめ明確にしておきたい。しかも、そういう入居者の心身の変化に応じてどのような処遇をしていくかという方針について、あらかじめ明確に入居者にもわからしておく、こういうことが必要じゃないだろうか、こう考えておるわけでございます。
 それからまた医療機関との連係につきましても、どのような機能について医療機関と連係を図るか、これはまたケースによっていろいろ違っているわけでございますから、その辺もあらかじめ明確にしておく。こういうことで、いろいろなタイプを念頭に置きながら指導指針としてまとめていきたいという格好を考えておるわけでございます。
#43
○外口委員 いつまでにその指針を提示するとお考えになっておられますか。その目安をお伺いしたいと思います。
#44
○岡光政府委員 ただいま申し上げましたような関連の作業がありますし、また関係者の意見も聞かなきゃなりませんが、できるだけ早くと考えておりまして、三月中にはやりたいと思っておったのですが、こんなぐあいでおくれておりますが、馬力をかけて急がせたいと思っております。
#45
○外口委員 皆さんが馬力をかけると大変速いと思いますが、大体いつまでと……。
#46
○岡光政府委員 五月は連休がございますので、そこも考えて、そうですね、余りここではっきり申し上げても後で困ってしまいますけれども、本当にまあ六月中にはどうしても出さなさゃいけないのではないかなと思っております。
#47
○外口委員 では、三月から三カ月後の六月というお約束をいただきましたので、ぜひとも御努力していただきたいと思います。
 さて、今有料老人ホームの問題についてお伺いしましたが、古市局長、これは何も老人ホームの問題だけではなくて、私が先ほどから申し上げております医療の公共性、そして国としての責任、そういうものをどのように進めて、明らかにしていかなければいけないかということの大変に大事な一つの証左として、私は今ここで改めて質問させていただいた次第です。
 今幾つか岡光部長から出された困難さ、課題は、これからの病院あるいは療養型と称する病床群の中でも、同じような問題が含まれていると私は大変懸念しているものでございます。そうした立場からまたお伺いしたいと思いますが、療養型病床群における人員配置基準についてでございます。
 医療は人なり、どのような人がどのような技能を持って、そしてどのように動機づけられて取り組むかということが、先般、質の向上を図ると主張されていることの大きな、最も重要な裏づけと私は考えるものでございます。したがって、この人員配置基準は、療養型病床群として医療施設の中に定員基準を大変低く抑えた病棟を生み出してしまう危険性があるのではないかと考えますが、この点についてどのようにお考えでございましょうか、まずお伺いいたします。
#48
○古市政府委員 今回の療養型病床群における職員配置の標準というものにつきましては、従来の医療法の考えを改めまして、有資格の看護婦だけでなくて、看護補助の方の支援も得て全体のレベルを上げたいと考えておるわけでございます。
#49
○外口委員 療養型病床群の人員配置について具体的にお伺いしたいと思いますが、例えば五十人の看護単位が二つあって、その一つが療養型病床群となったとき、看護者の配置にどのような差が生じてくるのでしょうか。また、その場合、療養型病床群では、看護者の勤務体制としていわゆる二・八体制を確保できる見通しが一体あるのでしょうか。その点についてまずお伺いしたいと思います。
#50
○古市政府委員 今回考えております療養型病床群におきましての職員配置の標準といたしましては、医師は入院患者百人に対して三人、看護職員は六人に対しまして一人ということで、さらに入院患者の生活面への配慮ということから、新しく看護補助者を入院患者六人に対して一人配置してはどうか、このように考えているわけでございます。
 これに基づきまして、例えば百床の病院で一般病床が五十、五十に分かれた場合にどうなるかというお尋ねかと思います。少し細かくなりますが、百の病床が一般病床が五十、療養型病床群五十に分かれたということでお答えいたしますと、一般の基準でいきますと看護職員が十三名でございます。これに対して分かれた五十の方が療養型病床群にいきますと、看護職員は九名ということになります。しかし、そのほかに看護補助者というものの設置が九名必要になってくるわけでございます。したがって、一般病床と合わせますと、従来の一般病床百でいっていますと看護婦さんが二十六名ということでございますが、今回五十、五十と分かれますと、看護婦さんは二十二名となりますが、看護補助者の方が九名、合計三十一名、このようになるわけでざいます。
#51
○外口委員 そうしますと、こういう人員配置で、実は私、昨夜試算をお願いいたしまして、けさほど受け取ったのですが、これは私も病棟責任者として勤務を組んだ経験がありますが、このようなものを私のところにお出しになるということは大変私の想像を超えておりまして、こういうような勤務体系ですと、恐らく有資格者は夜勤ばかりを担当することになってしまうことが懸念されますし、これでは今後も魅力ある職場にする方向でのヒューマンパワーの確保というものがより阻害されていってしまうという懸念を大変に持つのですが、その点についてどのようにお考えなのでしょうか。
#52
○古市政府委員 外口先生の御専門のところでございますが、私どもが今申し上げました体制で夜勤がどうなるのかということでございます。
 私どもは、療養型病床群に対しましては夜勤が二人、しかし、この場合には有資格看護婦さんは一人、それから看護補助の人が一人ということで、三交代制でいきまして夜勤の勤務回数が六回あるいは七回というところでおさまるということに、一応日割り表をつくってお出ししたかと思います。
#53
○外口委員 この点については私は大変疑義を持っておりますし、今後さらに検討をしたいと思っております。この試算の結果を見れば見るほど、療養型病床群は不足している現在の看護マンパワーをそのままにして、低い看護基準に切り下げていくための便法ではないかと思われます。今後その点についてぜひとも積極的な対応をしていただくことを望んで、次の質問に移らせていただきます。
 今回の医療法改正の前に、一九八五年に第一次医療法改正が行われたわけですが、そこでの第二次医療圏のいわゆるかけ込み増床が起こって、それを契機に看護婦不足が一層先鋭化したと関係者が言及しているところでございます。改正の前後で病床種別ごとにどのぐらいの増床があったのか、その数値を具体的にお示しいただきたいと思います。
#54
○古市政府委員 平成元年度から平成二年度にかけましての病床数の増減ということでお答えをさせていただきたいと思いますが、一般病床につきましては、病床過剰地域におきまして四千五百七床の減少、これはパーセントでいいますと〇・五%の減であります。病床不足地域におきましては五千五百八十一床の増加、一・九%の増加となっております。病床の不足する医療圏の数も百六十六圏域から百五十一圏域と減っておりまして、全体として病床数の地域的偏在というのが、少のうございますが、是正の方向に向かっているかということかと思います。
#55
○外口委員 病床種別ではどのような状況にあるんでしょうか。
#56
○古市政府委員 ただいま一般病床だけ申し上げました。
 そこで、精神病床につきましては、老人痴呆等の特別病床、これは除いた方がいいかと思いますのでこれを除きまして、病床過剰地域におきましては百十八床の減少、これは〇・一%の減であります。病床不足地域におきましては千二百三床の増加、〇・九%の増となっておりまして、これも同様にやや均衡の方向には向かっているということでございます。
 次に結核病床につきましては、病床過剰地域におきまして五十八床の減少、一・二%の減、病床不足地域におきましては千百六十六床の減少、三・一%の減となって、ともに減少しているわけでございます。結核につきましては、少しおかしいなということかと思いますが、これは結核患者数の激減がございまして、それにもかかわらず結核病床が残っているということから、患者数と病床数のずれがございます。これにつきましては、平成三年の六月に必要病床数の算定基準の見直しというものを行いましたので、今後はマッチしてくると思うわけでございます。
#57
○外口委員 今お示しいただきました数値は、一応平準化への一つのステップをしたと大変肯定的な評価をされています。私は、前回の改正は厚生省の所期の目的とは大変ずれが生じていると考えておりますが、それについてどのように評価されておいでなんでしょうか。また、残されている課題はどういうものなのかについてお答えいただきたいと思います。
#58
○古市政府委員 所期の目的とは違ったのではないかということでございますが、いわゆる出だしのところでは初めて医療法の改正を行いまして、今まで自由であった病床、病院の設立というものについて歯どめをかけたということでございますから、御指摘のように昭和二十三年以来約四十年ぶりの改正をやった。そこに病床規制を地域ごとに盛り込んだ、これはまた非常に大きなインパクトを与えたわけでございます。したがって、当初は幾らか不自然な動きもあったわけでございますが、結果的には今申し上げましたように、医療圏域ごとに医療供給体制が平準化するという方向に向かっているということかと思います。
 次に、さらにどのような課題が残されているかということでございますが、数の規制は一応達成に向かっているわけですが、医療の質、さらには利用する患者の立場からの供給システムの合理化等の観点から、一つは、今回の医療法改正で対応すべき医療機関の機能の明確化と分化ということがございましょう。それから、病診連係と言われるように、地域における医療供給体制のシステム化を図っていかなかったらいけないということがございます。さらには、冒頭御指摘ございましたように、地域医療計画だけでなくて地域保健計画、さらには地域保健医療・福祉計画包括化に向かうという課題が残されていると思っております。
#59
○外口委員 平成二年の医療施設調査・病院報告の概況によりますと、医療施設の病床数は総数で百九十四万九千四百九十三、そのうち百六十七万六千八百三が病院、二十七万二千四百五十六が一般診療所です。前年に比べ〇・五%増加していますが、厚生省としてはこの病床数は多いとお考えですか、あるいは少ないとお考えですか。
#60
○古市政府委員 国民対病床数というものは一概に多い少ないと言えないと思いますが、先進国の例と比較いたしましても日本の病院病床数というものは最高のレベルでございまして、非常に多いと言われているわけでございます。また、一般診療所の病床二十七万でございますか、これがどのような機能を担っていくかという問題とも関連することかと思います。
 そういうことから、病床数というのは一律に医療法に決めた基準だけではなくて、あるものは特定機能病院、あるものは療養型病床群ということで、機能を明らかにした方向に進むべきだ。数の上から申しますと、もう大体医療提供の数としては目標の値は達成している、このように理解をしております。
#61
○外口委員 先ほどの増床のところで、申請病床数と許可病床数とのずれがあるというようなことを聞いております。もちろんこの数値から見ますとずれがあるのですけれども、使われてない病床の規制、そのようなものはお考えでございますか、削減。
#62
○古市政府委員 ちょっと御質問の趣旨を把握しかねたわけでございますが、その地域の中に許可されている病床があるが、それにもかかわらず実際には使用されていないという病床もあるんじゃないか、そのギャップに対してどのように考えるかということといたしますと、私ども医療機関に対しましては医療監視というのでその実態を把握し、また病院報告で数をつかんでいるわけでございますが、ある一定の医療圏の中に許可を受けておきながら使わないという病床があったら、それは問題でございますし、実態上病床利用率が非常に低いということですと、有効に利用されていないということかと思います。そういうことは医療監視を通じて病院の開設者、管理者に注意を喚起していく、また、それが要らない場合には返上してもらうということもあり得るんじゃなかろうかと思っております。
#63
○外口委員 そうしますと、今後医療施設機能を体系化していくに当たって、具体的にどのような地域医療計画を進めていこうとされているのか、病床数の規制、地域ケアの充実等について具体的に御見解を伺いたいと思います。
#64
○古市政府委員 医療法によります地域保健医療計画の策定というのは、国で基本的な項目を示しまして、それに従って都道府県におきます協議会、これは関係者が皆集まっております。この人たちが自分の県ではどのようにすればいいかということを地域の実情に応じて考えていただいて、それが都道府県医療計画として公示されるわけでございます。また、それができます前には、それぞれの二次医療圏ごとにその医療圏の中における関係者が協議いたしまして、二次医療圏の要望というのをまとめます。また、この過程で市町村長の意見は当然聞くことになっています。
 そういうことによって、日本全体で現在三百四十五の二次医療圏がございますが、都道府県ごとにそれぞれの都道府県の実情に応じた地域医療計画ができてくると思うわけです。しかし、国の立場から総合的に申しますと、先ほど来申し上げておりますように、それぞれの必要な医療機関が整備され、それぞれが自分の機能に応じた連係が持たれる、そして、その圏域内の住民に対して質の高い医療が安心して提供できるということが目的でございます。
#65
○外口委員 では、積極的に進めていく方向を期待して、次の質問に移らせていただきます。
 さて、今後の医療に対する中長期的展望に立った手厚い施策、そのための十分な裏づけがないままでは、医療の荒廃をもたらすのではないかと今まで幾つかの懸念を申し上げてまいりましたが、このことは歴史が豊富な例をもって私どもに証明してくれておるわけです。
 さきに触れました療養型病床群について考えるとき、これに極めて類似した、残念な心痛む例が既に我が国では存在しております。それが精神病院をめぐる問題です。精神病院はその九割近くが民間病院であり、その多くは公的な援助がなく、また公的な規制も受けておりませんでした。また、そこでの人員基準も国として低く見積もられ、その結果十分な人員配置が行われず、医療も十分に行われずに、医療の場である病院が、かえって収容所としての機能を果たしているような結果となっている。そして、そこで暮らす人々は、そこで住みたくも、過ごしていたくもないそういう施設の中で、劣悪な、時には人権を侵害されるようなサービスを受けているというゆがんだ医療状況が生み出されていることは、皆様も御存じのことと思います。
 そうした中で、患者の人権の問題について大変大きな社会問題となり、それが国際的な問題ともなって、国連の人権小委員会からの指導も受けたという経過がございます。先ほど取り上げた有料老人ホーム、または精神病院、そういうもののたどった道筋を療養型病床群がたどりかねない懸念は大変にあるわけでございます。特にこうした施設においては、人と人とのかかわりが最も重要になるわけですから、そういうところに人の基準が一番低く定められているということは大変に問題ではないかと考えておるわけでございます。これまでの歴史を二度と繰り返してはならない、これまでの歴史の中から学びたい、そんな思いから私は質問させていただきたいと思いますが、精神病院の特例として人員配置をしておりますが、そのことについてまず事実を御説明いただきたいと思います。
#66
○古市政府委員 現在の医療法では、職員配置の標準の特例といたしまして、結核・精神、さらに老人というものにつきましては、看護職員の入院患者当たりの比率というものが、一般病院にあって四人に一人ということが、入院患者六人に一人と設定されているわけでございます。
#67
○外口委員 心病む人にとって、例えば一日十分安心できる人との会話があればどれほどのサポートになるかということは、私どもの想像を超えるものがあるということを私は経験の中で実感させられてきておるものでございます。このような人と人との支えを通しての治癒が特に求められる精神病院において、現行の医療法の特例人員措置というものは今後どのように改正していくおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
#68
○古市政府委員 私どもは、結核・精神だけでなくて、医療の担い手という専門職種の人に大いに国民の保健医療の向上のための仕事に参画していただきたいと思っております。そういうことから、現在、医療法におきまして標準の数を決めているわけでございますが、これは言ってみれば最低基準ということでございまして、それをまだ達成していない医療機関が現にあるという非常に厳しい状況にございますので、この現在の基準の達成というものが一日も早く来るように、あらゆる手段を尽くしてやっていかなかったらいけない。その一環として看護婦の人材確保法案等も提案させていただいているわけでございます。
 そういうことで、これからの医療環境の変化、また看護婦養成の状況等にかんがみまして、この全体に対する入院患者対職員比率というものも今後の課題として検討していきたいと思っております。
#69
○外口委員 ただいまの御答弁では、最低基準が満たされてからとおっしゃいましたが、大体国が決める最低基準が最高基準になっているという現実は、古市局長も十分に御存じのはずだと思いますけれども、今の答弁に対しては私は大変不満を持ちます。
 では、現行の基準が決められた理由は一体何だったのでしょうか。医療法の制定当時、精神科が特例とされた理由をぜひともお聞かせください。
#70
○古市政府委員 何分昭和二十三年に医療法が制定されたということでございまして、いろいろ繰ってみましても的確な資料がないわけでございますが、残っている国会答弁等から見ますと、その当時の結核・精神の治療が国立病院・療養所において大きな割合を占められていたということから、国立病院・療養所の患者対職員比率というものを参考にしてそのとき設定された、このように理解しております。
#71
○外口委員 当時の国立病院・療養所での精神医療状況と現在行われている医療状況とを比較してみて、どのようなお考えをお持ちなのでしょうか。
#72
○古市政府委員 それも昔、まだ私が生まれてしばらくたった時代のことだと思いますので、よくわかりませんが、いろいろ考えてみますと、結核につきましてはその当時は国民死亡率の第一位でございましたし、しょうけつをきわめていたという状況、それに対して的確な薬もなかったということで、その当時の結核療養所というのはかなり厳しい中でやっていたのではなかろうか。また、精神医療につきましては、先生の御専門でございますが、患者の人権その他いろいろな意味から配慮がされていたとはとても思えませんし、また、的確な向精神薬というものも開発されていなかったという状況の中で医療が行われていたのかと思います。
 現在では、結核の方はおかげさまで死亡率のベストテンからもう既に駆逐されまして、減少の一途をたどっている。治療法も診断方法も確立しております。一方、精神疾患につきましては、最後の難病と言われているようにまだ極めて難しい状況にある、このように理解しております。
#73
○外口委員 私は、これからの医療の基本的なコンセプトは、物の介在を中心とした医療のあり方から人の手による治癒の重視であると主張してきているものでございます。今回の法改正に医療の理念として、「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき」云々とあります。この信頼関係をつくり上げていくことを具体的に保障していくための施策、それはどういうものなのか、お聞かせいただきたいと思います。
#74
○古市政府委員 これが一番重要な問題でございまして、何々対策、何々対策というように簡単にいく代物ではないと理解しております。したがいまして、医師みずからは、医学部の在学中、卒後研修、あらゆる時期に医療の重要性、患者に対する態度というものを身につける教育訓練がなされなかったらいけないということが第一かと思います。
 それからもう一つは、何と申しましても現在三分診療というような実態の中では、医師と患者との信頼関係というのもできないわけでございます。また、狭い病室で、外来でカーテン一枚越しに個人的なことは話せないということがございます。そういうことで、医療環境の改善ということも大事かと思います。
 そんな観点から、私どもは、今回提案させていただいております特定機能病院の外来のあり方の改善が図れないかということ、それからまた、現在行っております医師研修部会、医師国家試験の中におきましても、患者と医師との信頼関係というものにつきまして、到達目標を決めて研修の課題としており、国家試験にもそのような観点からの出題もするということになっているわけでございます。基本的に、医療担当者と患者との信頼関係は、あらゆることの基本となる最重要課題だと思っております。
#75
○外口委員 そのような信頼関係が最重要課題だと今おっしゃったこと、これが最も今必要とされている領域は心を病む人々の療養する場であると私は思いますが、そこに、現行の一般病院の四対一でさえ低いとほとんどの関係者が考えられているにもかかわらず、精神科等はさらに六対一と低く見積もられ、この四十年間放置されてきたことに関しての国としての責任をどのように考えておられるでしょうか。
#76
○古市政府委員 先ほどお答えしましたように、医療法が発足しましたときからの扱いということで今日に至っているわけでございます。その間に医療環境は変わり、また、治療方法等いろいろ変わったわけでございますが、この基準については現在もこの形で来ているということでございます。
 これでよいのかと言われますと、精神医療だけではなくて一般医療におきましても、もう少し状況に応じた傾斜配置というものが必要かと思っております。これは既に、国の医療法の基準は六対一となっておりますが、現に先生がおられた医療機関は、非常に手厚い看護婦さんの配置になっていたのではなかろうかと思います。これは各医療機関の中で、病棟ごとの傾斜配置ということでも工夫をしていただきたいと思うところでございますが、全体の看護職員というものがふえていかなかったら基本的には解決しないということでございますので、その増加を第一として、少なくとも、現行の基準が全国一律でございますから、これが守られるような状況に一日も早く到達し、さらに改善に向かって努力していきたいと思っているわけでございます。
#77
○外口委員 私は、一般的な方向ではなく、今回の医療法改正の中で、今局長がおっしゃったように、大きく変わったとする精神科等の領域における特例というものを廃止するお考えはおありなのでしょうか。
#78
○古市政府委員 現段階では検討課題と思っておりますが、直ちに廃止するということは考えておりません。
#79
○外口委員 その理由をお聞かせください。
#80
○古市政府委員 先ほども申し上げたかと思いますけれども、日本全体の看護婦さんというのは、平成十二年に向けて三十万人の増員を図らなかったらいけないということで、現在、毎年毎年三万人の方にこの医療の分野に入ってきていただいているわけでございます。このことによりまして、いわゆる病床が、先ほど申し上げましたように地域医療計画によって、もう総数はほとんどふえないという状況でございますから、ここ数年来、東京を見ておりますと、過去百床当たり平均二十五名であった看護婦さんの数が現在は三十四名近くになっておりますし、看護婦の供給計画が円滑に達成できますれば、百床当たり五十名という看護婦さんになるわけでございます。
 そういうことがあって初めていろいろな標準というものも見直す状況が来るわけで、字面のところだけで改正して、実態ができないということは行政としてとり得ないということから、問題として意識は持っておりますが、検討を続けていきたいと思っているわけでございます。
#81
○外口委員 ただいまの御答弁では、現状を固定してこれからの基準を設定しているやに受け取れます。そしてまた、現在の看護マンパワーの不足、その側面から基準の妥当性を説明されているやに受けとめました。これは大変な問題でございまして、こういう特例の廃止の根拠が先ほどから伺っていますとないのにもかかわらず、現行のマンパワー不足から、あるいは現状がまだ基準を満たしていないからということが理由とされておりますけれども、もしそうであるならば、そのことをどのように解決するかということが国の責任だと思いますが、いかがでしょうか。
#82
○古市政府委員 ただいま看護婦数ということでお答えさせていただいておりますが、殊に精神病院にありましては、いわゆるOT、PTという方がおられます。それからまた、現在資格はございませんが、MSWという方もおられます。そういうことで、私どもとしてはどうも看護婦さんの数だけでなくて、殊に精神病院におきましては、そのほかのコ・メディカルの人の数というものも医療法の中でも検討しなかったらいけないのではなかろうか、このように思っておるわけでございます。右代表で看護婦数で申しましたが、そういう精神病院にふさわしい職種のあり方ということも含めて、検討課題とさせていただきたいと思っております。
#83
○外口委員 では、できるだけ早く検討して、より積極的な対応をとっていただきたいと思います。
 さて、今の問題とも関連するのですが、患者の権利の保障がなかなかされていないというのが我が国の医療状況への国際的な批判でもございます。先ほど局長が申し述べられましたように、信頼関係が成り立つ背景には、医療の供給者、需要者がそれぞれにそれぞれの立場から生じる権利をきちっと保障されていなければならないはずです。特に社会的にいわゆる弱者とされがちな患者にとって、国は患者固有の権利を保障する体制というものに大きな責任があると考えるものでございます。
 世界各国の動きを見ましても、一九四七年の医学研究における倫理のニュールンベルグ綱領をきっかけにし、四十年以上も前の一九四八年に、世界医師会のジュネーブ宣言により患者の治療に当たる医師の基本姿勢を定められ、一九七〇年代に入り、患者の視点からその権利を保障する病人憲章が一九七四年にフランスで、また患者憲章がEECで作成され、さらに一九八一年の世界医師会総会での患者の権利に関するリスボン宣言が採択されております。現在アメリカでは、二十余りの州で患者の権利に関する法律がつくられています。また、スウェーデンでは、ヘルスケア及び医療法という医療の基本法の中で患者の権利がうたわれています。「外国の立法」「特集 患者の権利」というリーフレットの中にも全内容が載っております。
 こうした世界各国の動きを踏まえて、一体日本においてどのような患者の権利保障を明記するのかをお伺いしたいと思います。医療法をもし医療基本法として御認識されているならば、今回の医療法の改正に当たって患者の権利を保障する法文が明記されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#84
○古市政府委員 患者の権利ということから、適切かどうかと思いますが、いわゆる医師は十分患者さんの信頼にこたえる医療を行わなかったらいけない、また患者さんはそれを受ける権利があるということかと思います。ともすると日本は、昔からよい意味でも悪い意味でも医師任せという形で行われてきた。それが現在の段階ではそういうことではだめだということで、いわゆるインフォームド・コンセントということからいろいろ意見が出ているわけでございます。
 これは結局行き着くところ、医師にはいろいろ状況を説明する義務があると同時に、医療を行う上での裁量権というものがあるわけでございますし、患者の方からは、今先生おっしゃったように真実を知る権利、それからまた自分が決定する権利があるということでございます。この両者の均衡をどこでとるのかというのが、これから知恵が求められてくるところだと思います。現在そういう段階にあろうかと思います。
 そこで、いろいろ先生が経緯をおっしゃいましたが、大体そのとおりでございます。例えばアメリカの大統領委員会におきましては、患者の権利とは少し違いますが、「医療従事者と患者の意思の疎通は、本来法律によって促されるのではなく、教育、資格試験、研修によってもたらされるべきである。」という項目もあるわけでございます。日本よりはずっと進んだ項目について患者の権利を述べておりますが、その中の項目ではこういうことも書かれている。
 そういうことから、私どもは今回の医療法改正におきまして、そういうものを背景としまして、初めて理念として、ここに医師、歯科医師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づいて医療は行われるものだ、こういうことを法律に書かせていただいたということでございます。あと、これ以上の点につきましては問題がなしとは思っておりませんで、今後十分に検討していくべき課題だと思います。殊に、この検討課題と同時に、それを法的にどのように規定するのかということになりますと、非常に難しい、いろいろなところで意見を聞く必要があろうかと思っております。
#85
○外口委員 今回の医療法の中にどのように規定しようと今検討中なのでございますか。
#86
○古市政府委員 今申し上げましたように、医療法改正案では、第一条の二で医療の定義、それからまた信頼関係に基づいて行うことということを規定しているわけでございます。
#87
○外口委員 その信頼関係の確立にとって不可欠な大前提条件としてインフォームド・コンセント、説明と同意と訳されておりますが、私は、患者の知る権利を満たした合意と訳して雑誌等に発表しております。いずれにしましてもこのインフォームド・コンセントは、今局長がおっしゃった信頼関係の確立にとって不可欠な条件の一つと考えておりますが、その概念を今度の法文の中に入れていくということに努力しないならば、恐らく国際的に日本の医療が患者の基本的人権に基づいて行われているという信頼を回復しないままになってしまうのではないかと懸念します。そういった意味では、国際社会における医療援助に対する信頼をも失い、そのような資格がないものと国際的にも受けとめられかねないと懸念するものでございますので、はっきりとその辺の姿勢をお伺いしたいと思います。
#88
○古市政府委員 今回の改正法案の中におきましては、今申し上げた表現になっているわけでございます。なお、この問題は非常に重要な事項でございまして、既に日本医師会の生命倫理懇談会におきましても、「「説明と同意」についての報告」というので広くその問題について触れ、かつ全国の医師にも配布しているということでございます。
 また、私どもは医療関係者審議会研修部会におきましても、その研修の目標の中に「患者の持つ問題を心理的・社会的側面をも含め全人的にとらえて、適切に解決し、説明・指導する能力を身につける。」というものを目標と掲げて、研修項目を挙げているということでございます。こういう努力をさせていただきたい。さらに先生御指摘の問題については、引き続き検討させていただきたいと思います。
#89
○外口委員 私は、インフォームド・コンセントは、単に言うか言わないか、知るか知らないかといった問題ではない。すなわち、人が自分の病気に対して知ることは当然の権利である。そして、そのための情報公開というものに努力する必要がある。しかし、病む者にとって、知りたくないときもあるのは確かです。それは、もし知ってしまったら自分は耐えられるだろうかという不安が生じるからでもあります。それは私もこれまでの現場経験の中で十分に実感しているものでございます。
 だからこそ、このインフォームド・コンセントの概念を医療の中に浸透させていくためには、サポートシステムの確立がされていなければならないわけです。それを知ることがいやされることになるような手当てがあって、初めてこの権利が行使されていくと考えます。そういった意味では、そのようなサポート体制を充実する方向に向けて厚生省はどのような施策をお考えでしょうか、お聞かせください。
#90
○古市政府委員 今申し上げましたように、医師としてスタートする前段階の医学教育において、その期待するべきものとして重要項目としてやっております。それからまた、これはちょっと合わないかもしれませんが、国家試験の課題にも出している。また、この二年間の研修の中では、先ほど申し上げましたようなことで、重大な一般的な目標として掲げている。医師の生涯研修の中では、医師会みずからが先ほどの報告書というものに基づいて会員への徹底を図っている、こういうことかと思います。
 全体のサポートシステムと申しますのは、そういう気持ちがあっても診療時間が短いために意を尽くして言えない、また医療施設の環境が六人部屋、非常に大勢押し込まれている、そういうところではなかなかインフォームド・コンセントも医師と信頼関係というものがないわけでございまして、全体の医療環境の改善、それから医療従事者の教育、そういうものを高めていく必要があろうかと思います。
#91
○外口委員 今のサポート体制の必要性との関連で、もう一つ患者の知る権利を行使していく上で重要な、非常に大きなハードルがあることを私も認めざるを得ません。それは、医療における権威構造、病院の組織構造の問題でございます。その中における患者の位置というものは大変に弱い状況にあります。
 皆様も御存じのように、医療に従事する者が属している組織は、医師を頂点としたいわゆるピラミッド構成になっております。医師以外の医療従事者は、医師の指示のもとに業務を行うことになっております。しかし、これが時にコ・ワーカーの専門性、主体性、自律性を侵害することにもなっている現実があります。医師もまた、これまでの歴史の中で権限を医師に集中する余り、本来医療の専門家でありながら、専門分野以外の病院の経営等々、多くの負担を負ってきてしまっております。あるいはまたその責任が、病院が肥大化すればするほど非常に重いものとなって、多くの医師たちからも、このような仕事と責任の負担に限界を感じていると言われています。さきの名古屋の公聴会においても、現場の意見陳述人からもそのような意見が出されております。
 そこでお聞きいたします。一九八五年の医療法の改正の折に衆議院の社会労働委員会において決議された附帯決議の中で、「医療法人の理事長を医師又は歯科医師を原則とする規定については、医療法人の実態を考慮した適切な運用を行うこと。」とありましたが、この点に関してこの六年間にどのような場所でどのような議論がなされてきているのか、お伺いしたいと思います。
#92
○古市政府委員 御指摘を受けたことにつきましては、関係者の中で検討会を行っているということでございますが、ちょっと突然のことでございまして、詳細についてはこの場では持ち合わせておりません。
#93
○外口委員 どのような検討会をいつどのように持ち、その議事録なりを公開するというおつもりはございますでしょうか。それもインフォームド・コンセントだと思いますが。
#94
○古市政府委員 関係の医師の団体、殊に医療法人協会等とはその問題につきまして懇談会、勉強会を何回か持ってきているということで、中身につきましての資料は、ちょっと今手持ちがございませんので、御容赦いただきたいと思います。
#95
○外口委員 では、後ほどの報告をお待ちするということで今後の課題とし、また次回の質問の際にお伺いさせていただきます。
 権力集中型の組織機構では、頂点にいる者の重圧と下部に位置する者の自己発揮の場がないことから、仕事の中の充実感を失い、専門職としての自信をなくし、それが職場を去っていく原因にもなりかねません。今、チーム医療を目指して組織を変革しようとする動きが多くの場で出てきています。そして、このチーム医療が利用者にとっても医療者にとっても、また職場環境にとってもよりよい医療を生み出していくということがはっきりしています。このような組織構造の変化を助長するような施策はどのようなものなのでしょうか、お伺いいたします。
#96
○古市政府委員 医療施設の中におけるチーム医療のあり方というのは、それぞれの医療施設の中で検討されていると理解しておりますが、私ども厚生省の立場からできますことは、そのようなときにチームの最終責任者、また診療の方針を出す医師のあり方についての向上ということでございます。そういうことから、私先ほど申し上げましたように、研修の中で「期待される医師像」として、その中で「自己の能力の限界を自覚し他の専門職と連携する能力を有する。」「チーム医療のコーディネーターとしての機能を有する。」「医療関係スタッフの業務を知り、チーム医療を率先して実践することを学ぶ。」というようなことを課題として、そういう医師となるように教育に心がけているところでございます。
 それからまた、コ・メディカルワーカーの人と一緒にやっていかなかったらいけないというのは当然でございますが、ただ、この際に、みんながそれぞれ平等にやるという構造ではございませんで、日本の医療というものは、多くのコ・メディカルの方は医師の指示のもとに診療の補助をいろいろやるという仕掛けになっておりまして、最終的には医師がその診療の責任をとるということになっているわけでございます。その責任体制をとるところから、ややもするといわゆるパターナリズムと言われていることで、権威主義と批判されるところがございますが、これは改善すべき課題だと思っております。
#97
○外口委員 今回の改正案には医療施設機能の体系化をうたっていますが、人の手による治癒、今局長が答えられましたが、人の手による治癒が必要になるならば、医療の担い手である医師、看護婦、薬剤師、臨床検査技師などなどがそれぞれの主体性と自律性を発揮できる場や、また配置がまず必要なのではないかと考えます。今回の改正にはその担い手の機能分化と連係システムについては触れられておりません。今後、各専門職が専門家としての自律性を高めつつ、チームを組んでよりよい医療サービスを提供していくためには、どのような施策に取り組むお考えがおありなのでしょうか、お伺いしたいと思います。
#98
○古市政府委員 今申し上げましたように、チーム連係をどのようにとるのかということになりますと、これは国の施策と申しますよりは、それぞれの医療機関の中における皆さん方の知恵と協議によってそういう体制ができるべきものだと思っております。国の立場になりますと、まず必要とされる資格というものに身分法をつくる、また、それによって資格を得た人たちが国民保健医療の陣営に一人でも多く参画していただけるというために、人材の養成、それからまた確保というものが国の第一義的な責任だと思います。それらの人たちが医療の現場でどのようなチームをつくるのかということは、それは医療機関の方で考えていただくということになろうかと思いますが、それぞれの資質についての教育研修というものにつきましては、私どもが国の立場でできることをやっていくということかと思います。
#99
○外口委員 もし医療法が日本の医療の基本法として位置づけられているならば、担い手の機能分担のあり方、位置づけこそもっと明確に明文化すべきだと私は考える立場です。今、医療構造の問題に関連して質問してまいりましたが、そのことについて、具体的な典型的な例として訪問看護ステーションの機能あるいはあり方について触れながら、もう一度御見解を伺いたいと思っております。
 といいますのは、今局長が述べられましたように、訪問看護ステーションは、さきの老人保健法改正の際に、新しい形の地域における看護サービス提供システムの一つとして、その芽生えとして私は積極的に評価して賛成したものでございます。ただし、その運営に当たって、あるいは訪問ステーションの機能を十分に発揮するための裏づけの不十分さについては、さまざまな課題があると指摘いたしてまいりました。そして、本年四月一日から指定老人訪問看護事業、つまり、この訪問看護ステーションが創設されているはずでございます。このような地域の中における看護機能の新しい役割と機能が今後どのように育っていくかということは、医療におけるチーム医療のあり方、あるいは最初に述べました保健医療・福祉サービスの統合といった方向を目指す上でも大変に重要なものであると私は考えます。そうした点から、この四月一日からどのぐらいの老人訪問看護ステーション指定がなされているのか、具体的な数字をお示しいただきたいと思います。
#100
○岡光政府委員 全国各都道府県から今報告を集めておるところでございますが、二十一の府県から四月二十一日現在、昨日現在で報告がまいっております。その状況を申し上げますと、現在知事の指定を受けて実際に訪問活動を開始をしたところが全国で三カ所でございまして、宮城県、それから長野県、大阪府、それぞれ一カ所でございます。それから二十一の府県で申請相談中というものが三十一件ございます。そのほかの県についても今状況を聴取をしている状況でございます。
#101
○外口委員 私は、さきの老人保健法改正の際にも強調したところでございますが、このような訪問看護ステーションは、看護職が初めて専門職として、従来の医療のヒエラルキー構造から相対的に自律していく方向を目指したサービス提供形態だと主張し、そこでの看護機能の発展を通して国民の目に見える形で看護サービスを提供していく、そして、そのような利用者の後押しを得て医療構造を克服し、その中でのより開かれたチームづくりをしていきたいというふうに考えているものですが、この訪問看護ステーションの運用に当たっては、さまざまな懸念をその折、持ちました。
 そして、今四月一日からの創設で、十五日現在で、私の手元にも夕べ資料をいただきまして、指定件数と申請等の件数がありますが、多くが医療法人からの申請件数になっております。今三十一のうち十九が医療法人からの申請になっている。この点は私は大変懸念したところでございます。せっかくのこういう新しいサービス提供システムが、やはり医師の傘のもとで、そして医師に報酬が一度流れる形で間接的な報酬が支払われていく、こういう病院の中のこれまでの構造をそのまま地域に延長した形での運営のあり方を非常に危惧したものの立場から、この申請等件数の偏りについて責任者としてどのようなお考えをお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
#102
○岡光政府委員 委員よく御承知のとおり、老人訪問看護ステーションを設置できるところは、市町村、公共団体と医療法人、社会福祉法人、それから看護団体、それからその他のいわゆる公益法人、こういったものを念頭に置いているわけでございます。私ども看護団体について大きく期待をしているわけでございます。先ほど申し上げました現実に動いておる三カ所の中で、宮城県の場合は宮城県の看護協会が設置主体でございまして、そこが事業者になっているわけでございます。そういう意味では、多くのこういった看護ステーション設置主体があらわれることを期待しているわけでございます。
 基本的な仕組みとしましては、委員よく御承知のとおり、主治医からこの訪問看護ステーションに指示が参りまして、あとはその指示の考え方に基づいて具体的な看護計画をこの看護ステーションの主体的な判断のもとに設定をしてもらって、その看護計画に基づいて実際の訪問看護を行う、こういうことでございますので、あくまでもこの訪問看護という事業につきましては看護ステーションの主体性が発揮できる。また、そのようにしてうまく医療機関、主治医との連係が図れて、かつまた福祉のサイドの連係も図れて、それぞれの患者の段階での保健、医療、福祉の総合化ということが実現するものというふうに考えておる次第でございます。
#103
○外口委員 その折の質問においても、医師の指示という概念を明示したことは、大変コ・ワーカーである者たちの意欲を損なうものであるとして改善を要請したわけでありますけれども、再度ここで、今回の医療法改正の中で確認したいと思います。
 訪問看護ステーションもそうですが、医療の側からの、病院の側からの延長線上での訪問看護というよりは、生活支援の中からのニーズを把握して、そこからそれに対応する、そういうサービスの提供のあり方がより訪問看護ステーションの機能を発揮させていくものだ、これからあるべき姿として私は考えているものでございます。そういった意味から、既存の医療構造の中での医師を中心としたチーム医療の考え方をどのように乗り越えていくかということがこれからの新しい医療のあり方の中では大変重要だと考えますけれども、一つだけもう一度確認しておきます。
 今回の医療法の中で、医師、歯科医師、そして薬剤師、看護婦等の機能の明確化について、この医師の指示のもとに行う業務ではなく、独立した業務を持っている職種、その独立した業務を遂行できる、主体的に判断し、それに基づいて遂行できる、そういうことを保障していかなければこれからの医療はよくならないし、また利用者にとっても活用しやすいものとなっていかないのではないかと考えますが、この点についてはっきりと局長からもう一度御見解を伺っておきたいと思います。
#104
○古市政府委員 現在の医療関係の法律というのでは、それぞれ身分法と業務というものが決められているわけでございます。先生が御指摘になりましたことにつきましては、その法律の中で現在動かざるを得ないわけですが、現場の問題といたしましては、チーム医療という大きな流れでございます。また、先ほど来お話しになっております訪問看護ステーションにいたしましても、従来の医療陣営、医療施設体系ではカバーし切れないという実態から、看護を主として地域の中で、在宅でという新しい分野が出てきたわけでございます。
 これに対しましては、医者が今まで往診していたということから、必要に応じては看護婦さんだけが、場合によってはOT、PTの人が行く。ただ、最終的にその医療の責任は医者が後ろで見るという体制になっているわけでございまして、業務は従来から考えると非常に独立、自主的な分野が広がってきているということかと思います。こういうことで、新しい制度の体制というものは、皆さんの力によってチーム医療が全うされるという方向に進む、それは間違いないことだと思います。そういうことから、今回の改正では直接触れておりませんが、医療法の次の段階の改正では、できるところからそういう方向に進めたいと思っております。
#105
○外口委員 ただいまのお答えでは大変不十分だと思いますし、検討するということではなくて、この医療の基本法こそこれからの医療の方向を規定するものとなりますから、先ほどの患者の権利保障に関する明文化とともに、それぞれの医療の担い手の機能の発揮、その保障をきちっと明文化していく努力を進めていただきたいというふうに考えます。
 さて、それと関連してでございますが、時間が迫ってまいりましたので、さきの厚生委員会の質問におきましても申し上げましたが、政省令に法律の実質的な部分が多くゆだねられているということに関して、審議会の閉鎖性あるいは機能が大変に問題であるというふうに私は指摘したところでございます。そのような審議会のあり方、今回の医療法においても、こういう医療審議会の中に一体利用者にとって開かれた討論の場がどのように保障され得るのか、そのような点についてまずお伺いいたします。
#106
○古市政府委員 お尋ねは、医療審議会の中において広い討論が期待されるのかという御趣旨かと思いますが、現在医療審議会の委員というものは、構成から申しますと、医師、歯科医師、薬剤師、それぞれ専門団体の方が入っておられますと同時に、医療を受ける立場にある者ということになろうかと思いますが、自治体の知事さん、市長さん、町長さん、またNHKの方、それから健康保険組合の方、また一般の方、さらには学識経験者、大きく分けますと三つの構成から成り立っておりまして、この中で広く医療を受ける立場の方々の御意見というものも反映されるものと思っております。
#107
○外口委員 従来の審議会のあり方は、公益側、支払い側、診療側という利害関係者が折り合いをつけていくための場となりがちでありましたし、利害調整という関係でしか審議が進められてこなかったという部分が大変あると憂えているところです。そして、特に診療側と行政側とのこの二者の力関係で多くは決定してしまってきている実情ということも、大変にこれから改善していかなければならないことだと思っております。そういう点について、これから審議会の構成メンバーに関しては十分な配慮をしていっていただきたいというふうに思います。
 時間が迫りましたので最後になりますが、このような審議会のほかに、施設、機能の評価マニュアルの作成とか、利益団体以外の第三者が加わった医療内容のチェックシステムとかガイドラインとか、さまざまな条件整備というものが開かれた医療を実現していくには重要だと思います。そういうようなことも含めて今後ぜひとも検討してまいりたいというふうに思います。
 以上、さまざまな項目について質問してまいりましたが、今の質問またその答弁を踏まえまして、この医療法の改正に際して、日本の医療をめぐるさまざまな問題に対しこれからどのように取り組んでいこうとされているのか、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
#108
○山下国務大臣 いろいろ貴重な御意見を承りまして、大変参考になりました。要は、医療というものは、患者の病状に応じた良質の医療を提供する、しかも患者の信頼のもとにやっていかなければならぬと思います。したがって、医師と患者の関係については、あるいは法律だけで割り切れない人間関係、先生も御指摘のとおりでございまして、ここらあたりも今後十分心すべきことだと私は思っております。
 先ほど来局長が答弁いたしましたように、今回の医療法でまだ十分解明できていない面もございます。残された面もございます。例えば中小病院の問題、病院と診療所等の問題につきましても、あるいは広告の問題等、まだ残された問題がいろいろございますが、まず今回は基本的な問題を整備いたしまして、さらに今後また私どもは何回となく、この問題はその時期に応じて、改正すべき点は今後ともまたさらに全きを期するために改正していかなければなりません。当面する問題といたしましては、いろいろと先ほども局長から申し上げましたように、一応今回の医療法に盛り込んでいると思います。
 さらにまた、パラメディカルと申しますか、看護婦と薬剤師とか、その他いろいろな問題も御指摘ありました。先般の救急救命士の試験を受けた者の大体九割ぐらいは看護婦ということを私も新聞で見たのでございますけれども、みずからの職業に対してさらに全きを期するために、これらの人々が資格を取り、研修を受けてより立派な医療をやろうという、これらの方々の意思というものを大変尊重しながら、また我々は、そういう方々の医療機関における、医療という体系の中における格付とかそういうものに対しても、今後またよく勉強してまいらなければならぬと思っております。
#109
○外口委員 私は、今大臣のお話を伺って、最後に一言だけ言わせていただきたいと思います。
 私は、これまで三十年余り医療福祉現場におりまして、初めて国政に送り出されて二年二カ月が過ぎようとしておりますが、この間、当委員会において福祉関連八法、老人保健法、育児休業法、救急救命士法、そして医療法と、二十一世紀に向けての保健、医療、福祉の仕組みを方向づけるこの時代に最も重要と言えるような法案、改正案が提出され続け、その審議に加わらせていただいてまいりました。今考えますと、その責任の重さと、そしてまた、それに反比例して医療現場の声を届かせ切れなかった私自身の無力感といいますか、無念さをかみしめながら今大臣のお話をお伺いし、この席に立っている次第でございます。
 この間の医療の流れを見てまいりますと、どうも人の価値よりも経済的価値を重んじる今の社会の風潮が、人の命に直接かかわる厚生行政までにもひたひたと押し寄せているんだということを実感せざるを得ません。そして、最も公共的役割を期待されている厚生行政が、いわゆる臨調民活路線と言われる中に組み込まれ始めているのではないか。そういった意味では、厚生省の存在意義すらも疑われる事態に至っている。そういう私たちの現在の社会のありように対し、深い憤りを覚えているものでございます。経済的価値が人間本来の営みよりも優先してしまっているこの時代だからこそ、次の時代に向けて一人一人が自分らしさを存分に発揮できるそういう医療の仕組み、そして社会の仕組みをつくっていくよう、これからも努力してまいりたいと思います。
 病む人も老いた人も障害を持つ人もともに暮らし合えるような、そしてお互いが支え合い、経験を分かち合い学び合う社会、医療者もケアワーカーとしてお互いの専門を尊重し合い、さまざまな職種がその特徴を生かしながら、人との出会いを大切にし、そしてまた身近に相談する人と場が保障されていく、そんな仕組みづくりに行政も国民も努力してまいっていきたいと思いますので、責任者のこれからなお一層の努力をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
#110
○牧野委員長 午後零時四十分より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時四十二分開議
#111
○牧野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。小松定男君。
#112
○小松委員 最初に大臣に見解を問いたいと思いますけれども、今回の医療法の改正は、いろいろと説明がありましたように、将来といいますか、二十一世紀を目指しての日本の医療問題に対する問題を提起しているわけですけれども、それにしては残念ながら大変不十分である、私どもはそのように理解しているわけであります。
 例えば第一条の目的につきましても、これにふさわしいものに改正をする必要もあるのではないか、このように考えます。具体的には、医療の担い手と医療を提供する施設整備の両面とあわせて、国民がいつでもどこでも安心して受けられる制度の確保が目的の中に明確にされていかなければならないと思います。これが一点目です。それから二つ目には、国・地方公共団体の責務をもっと明確にすべきではないか、現行法よりも拡大をして目的にうたうべきではないかということを私どもは考えます。三つ目には、この改正によってやはり国民が期待しておるのは、現状の二時間待ったり三時間待ったり、そういうことでわずか三分診療くらいしか受けられない、こういうようなことが本当にこの改正によって解消できるのかどうか。この三点についてまず大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。
#113
○山下国務大臣 今回の改正は、御案内のとおり、人口の高齢化あるいは疾病構造の変化等によりまして、医療を取り巻く環境がかなり変わってきております。したがいまして、それに対応すべき方策を今回はきちんとするというのが目的であります。
 ただ、医療そのものについて、これが一体だれの責任であるかということにつきましては、なかなかこれはお答えが難しいと思うのでございますが、医療を供給する体制の確保という面からいたしますと、これはやはり地方公共団体とかあるいは国ということが明確であり、今回も法案に明記をしたところでございます。それから、患者さんの大病院集中ということで、今御指摘ございました三時間待って三分診療ということがございますので、今回の医療法によって、それぞれの患者さんに対して医療を受けるべき一つの道しるべと申しましょうか、そういうものを明確にして、それぞれの病状に見合った病院を選択してもらうというのが一つの目的でございます。
 したがいまして、なかなか今回一回だけで国民がなるほどなと、すべてがパーフェクトな、理想的なものは一回にしては無理かもしれませんが、そういう方向に向かって一歩一歩近づいていく。今回はその基礎をつくって、今まで問題になっておった点は一応今回全部取り入れ、あるいは改正すべきはした、こういう判断に立っておるわけでございます。
#114
○小松委員 一歩一歩ということでございますが、少なくともこれによって国民が期待し得るようなそういう改正を望んでいるわけでございまして、その点については十分これからの問題として私どもも指摘をし、そして改善できるものは大いに大胆に改善していただきたいと思います。
 そこで、このことについては、今回の社会保障制度審議会の答申を見ましてもいろいろと前段言われておりますが、最後の締めくくりとしては、今回の改正案は時代の流れに沿ったものであるが、「ただし、これによって将来の医療の全貌が必ずしも明確になったとは言い難く、また、具体的内容についてはしかるべき検討にゆだねることになろう。」審議会でもこういう指摘をされておるとおりでありまして、こういう立場からいたしますと、この問題を十分認識して今後に対処していただきたい、これがまず一つです。これは大臣に先ほど答えていただいたとおりです。
 そこで、二つ目に、国及び公立病院の役割についてお伺いしたいと思うのですが、例えば救急、休日・夜間、それから今度は僻地、無医地区といいますか、こうした医療についての機能を国及び公立病院が積極的に役割を果たしていただきたい、このように私どもは考えているわけでございますが、今回の医療法の改正によりましてもこのあたりは余りはっきりと出ておりません。例えば現状を見てください。救急とか休日とか夜間、この役割については、各県段階に行きますとあるいは市町村段階に行きますと、ほとんどが民間に頼っておりますが、むしろ公立病院におきましてもこうした休日・夜間を含めて積極的に扱うべきではないのか。そのことが一つにはこうしたことに対する国民の負託にこたえることになるんじゃないかというふうに考えておりますので、まずこの辺の見解についてお聞きしたいと思います。
#115
○古市政府委員 救急・僻地医療等につきまして公的機関による比率を高めるべきだ、私どももその重要性はそのとおりと思っております。ちなみに、先生が御指摘になりました中でも、休日夜間急患センターというのは、自治体を中心として約七五%が公的にカバーされております。救命救急センターでは、国立の一一%を含めまして、自治体立も合わせまして大体半数以上が公的ということでございます。僻地中核は、自治体立を中心として、国も入れまして大体七〇%を超すということでございます。全般的に申しますと、救急告示の医療機関等では民間比率が非常に高い、また、大変な休日・夜間も民間で二五%になっていただいているということで、今回の改正では直接触れておりませんが、重要課題として対応していきたいと思っております。
#116
○小松委員 ぜひお願いしたいと思います。
 次に、特定機能病院について伺いたいと思います。
 この特定機能病院の承認を得るにはいろいろと条件がございます。この法案を見ましても、ア、イ、ウ、エ、オ、カと四ページに参照されております。この特定機能病院ということになりますといろいろと条件が整うわけでございますが、現時点で想定できる特定機能病院、これはどのくらいを想定しているのか、これが一つ。それから、特定機能病院か一般病院かということを住民に知らせるには、具体的にどういう方法をとって住民がこのことを知らされるのか、このあたりも伺っておきたいと思います。
#117
○古市政府委員 先生が御指摘のように、特定機能病院の要件ということで、高度の医療を担う能力を有し、高度の医療技術の開発及び評価を行う能力を有する、また、高度医療の研修を行う能力を有する、それから政省令で定める診療科を持ち、また一定数以上の病床数を持って、人員配置も省令で定める、こうなっておりまして、全体的に申しますと、医療技術の研究開発機能といった面からの先進性というものを日本で担っていく医療機関であり、かつまた病院全体で総合医療ができるというようなことを想定しておるわけでございます。そういうような条件を満たす医療機関は、現在私どもの方が想定いたしますと、大体百から百数十というところになるのではなかろうかと思っておるわけでございます。
 それから、この法案が通ったときに、特定機能病院をどのような形で国民の方々にわかっていただくのかということがございますが、これは、この法案で同時にお願いしております院外の広告という規制を緩和いたしますので、院外広告でこの名称を表示することができますし、都道府県を通じての広報、それから地域医師会への協力依頼等で明らかにしていきたいと思っている次第でございます。
#118
○小松委員 今、特定機能病院は百から百数十想定しているというのですが、例えば、私は埼玉県なんですけれども、埼玉県では大体どのくらいが想定されるのでしょうか。
#119
○古市政府委員 詳細にその中の一つ一つをチェックするわけにはいきませんので、最終的には病院から申請していただくということになって、厚生大臣が承認することになっております。
 大ざっぱな話でございますけれども、先生の埼玉県では、埼玉医科大学の附属病院、埼玉医科大学の総合医療センター、大宮の赤十字病院、防衛医科大学校の附属病院、こういうクラスがこれに該当するとイメージしていただければと思います。
#120
○小松委員 これは関連しておるので、後で質問もしたいと思うのですけれども、例えばこの機能を兼ね備えたところがそれ以上ありまして、それが申請された場合には認定されるという理解でよろしいのでしょうか。
#121
○古市政府委員 そのとおりでございまして、先ほど幾つか要件を申し上げましたが、さらに詳しくなりますと、高度の医療を行う能力、高度の医療技術を開発、評価する能力といいましても抽象的で決まらないわけでございますので、関係の審議会でも議論していただきますが、どういうような手術をどの程度やっているか、また学会にどのような論文が発表されているのか、そういうことで高度医療を行った実績と研究能力、さらには研修を期待しておりますので、どういうお医者さん方にオープンでその技術を研修して、技術移転をしているかというようなこと、そういう細かいことになりますと省令の段階で決めていく。それを審議する委員会で申請していただいたものの内容をチェックして、合格しておればそれは厚生大臣が許可する、こういう仕組みになろうかと思います。
#122
○小松委員 この特定機能病院の認定に当たっては医療審議会の意見を聞くということに定められているのですけれども、地方自治体の意見というのはどういうふうに反映されるのか、それが一つです。
 それから二つ目は、認定された場合に特別に国からの財政援助あるいは何か優遇的な扱いがあるのかどうか。これは診療報酬の面からもどういうふうに優遇措置が与えられるのか、この辺も伺っておきたいと思います。
#123
○古市政府委員 第一点の特定機能病院の申請に基づきます認可の折には、現在の法律の中では地方自治体の意向等を聞く仕組みにはなっておりませんが、これは非常に重要なことなので、制度運用の際にその必要性について御審議していただき、その意向を反映させたいと考えております。
 それから第二点の財政的な援助でございますが、その中の医療機器また施設に対する援助というのは現在想定しておりませんけれども、そのようになった特定機能病院にふさわしい診療報酬のあり方ということの中でカバーされていくことになろうかと思います。
#124
○小松委員 ぜひひとつ地方自治体の意見を尊重されるように、今そういうお答えですので、それを推進していただきたいと思います。
 次に、今回改正されるこの提案では厚生省令で定める項目がたくさん出てくるわけで、これがいろいろ今までの審議の中でも、国会が優先すべきではないかということで、できるだけ法律の中に組み入れるものは組み入れてするべきじゃないかということも含めた意見もありました。
 そこで、きょう先ほどこの政省令の内容が提示されたわけでございます。これを見ましても、こうした問題を国会の中で十分審議しなければならない、そうしたこともたくさんあると思います。そういうことからして、私もきょう先ほどこの資料をもらったわけですから、逐一全部を検討しておりませんが、これだけの政省令の中身というものがあるわけでございまして、このことは、中身としてこれ一つ一つが非常に関心がある問題でございます。
 したがって、一般の国民がこれをどういうふうに知るか、こういうことも大事だと思います。政省令が出されたといっても、我々はこういう審議の場におりますから、こういう資料提出を要求したりして出てくるのですけれども、一般の国民になりますとなかなかそういったことがわかりにくいというのが現実でございます。したがって、これらをどういうふうにして国民に、政省令としてはこうだよということが知らせられるのか、その辺についても伺っておきたいし、またぜひこうした問題は、国民側といいますか患者も知ることによって、ああそうか、こういうものが今度出たんだなということで、国民といいますか、今度は患者の立場になりましてもいろいろとチェックができる、こういうこともあるのじゃないかと思いますので、あえてこのことについての国民に対する知らされ方法、こういうことを伺っておきたいと思います。
#125
○古市政府委員 私どもが医療法を提案させていただきましたのがもう二年前になろうかと思いますが、それ以来この医療法の御批判の中に、一つの大きな項目として、法律改正が政省令事項にゆだねることが多くて、改正の姿がわからないという御批判がございました。そこについてはかねがねできるだけ具体的な改正内容を明らかにしたいと思っていたわけでございますが、一応手続の上からは、国会で御審議をいただいて、法案が通った後で審議会にお諮りするということになっておりますので、厚生省からは言うに言えないというような状況もございまして、関係の方にも甚だ申しわけなかったと思っているわけでございます。
 そこで、先生御指摘くださいましたように、この法案が通りましたら、この政省令に関することは関係審議会でいろいろ多角的に御議論いただきますが、それが決まりました暁には、あらゆる広報の機会を通じてこの新しい医療法の内容を明らかにしたいと思うわけでございます。先生が今御説明くださいました、多分医療法改正に関する考え方メモだと思いますが、これも最終的には手続上審議会になりますが、我々が考えておることはこういう内容であるということでお示しさせていただいて、討議の一助にさせていただいた次第でございます。
#126
○小松委員 政省令でこれだけの項目がはっきりしてまいりましたが、どうも私も国会の方へ出まして、いろいろと今までにもよく政省令ということで出されてくるのですけれども、例えば法律で出る場合と、政省令の基準というのがあると思うのですけれども、この基準はどこで線を引いているのか、このあたりもついでに伺っておきたいと思います。
#127
○古市政府委員 法律によりまして、それからまた法律ができた時代によりまして、法律事項か政省令事項かという扱いが変わってきていると思います。
 ただ、この医療法と申しますのは、何しろ昭和二十三年にできた法律でございまして、そのときには医療の理念とか、今医療に求められている状況ということじゃなくて、とにかく戦後の荒廃の中から日本に医療施設を、また最低の医療職員配置でやろうということでございまして、多くの柱は決まっておりますが、その数とか部屋の広さとか、そういうものは全部政省令に落ちていた。その法律を今回改正しようというものですから、そこに沿って書きますと、どうしても改正事項も政省令事項の中に数字が並ぶということでございます。先生おっしゃいましたように、今の時代になってみれば、もっと法律の中にどんどん入れていくべきだった。最近の新しい法律ではそういう方向に動いているのかもしれませんが、医療法のそういう経緯から、今回こういうような仕儀に相なったということで御了解いただきたいと思います。
#128
○小松委員 その点は本当に私だけが感じている問題じゃないと思うのです。皆さんそのように痛感しておるので、できるだけ法律に組み入れられるような今後の十分な体制をぜひ整えていただきたいということを強く求めておきたいと思います。
 それから、これは確認しておきたいと思うのですが、この法律にしても政省令にしても、問題はここに出された。例えば今度の特定機能病院にしてみれば、病床数は五百床程度ですよ、あるいは人員配置については、百床あたりに十五人から二十人程度の医師の数は必要ですよ、こういう具体的な数字が載ってくるのですが、これはいわゆる最低がこうだということで、最低基準として我々は理解してよろしいのでしょうか。これは最低ですよ、これより上じゃないとだめですよ、こういうことなのか、その点をちょっと確認しておきたいと思います。
#129
○古市政府委員 最低基準という言葉は各要件のすべてについて余り適切ではないかもしれませんが、これが一番下のクリアすべき基準でありますよということで、たくさん並んでいる中それ全部をクリアしないとだめだという意味でございます。どれかを持っているということだけじゃなくて、それ全体を持っているのが特定機能病院だ、こういうことで審議をさせていただこうと思っております。
#130
○小松委員 この法律もそうですけれども、私どもは法律でできた一つの基準というのは、これ以下ではいけませんよ、こういうことに理解をしてきているわけなのですね。ですから、そういう意味で先ほども聞いたのです。そういうことでこれからも理解していきたいと思うのですが、そういうことで進めさせていただきたいと思います。
 そこで、次に移らせていただきたいと思いますが、今度の改正案で広告の問題があります。これについてはいろいろと新たに政省令でも出されてまいりましたが、今までの広告の規制で具体的にいろいろな支障なりそういうものがあって、そして今度はこういうことに改正をしたいということだと思うのですが、これらの問題についてはどういう点で特に不都合な問題があったのか、このあたりもちょっと明らかにしておいていただきたいと思います。
#131
○古市政府委員 何しろ昭和二十三年に医療法が制定されましたときには、国民に対して医療提供側が誤った情報を流して患者を誘う、また競合するというようなことがあってはいけないということから、かなり厳しい規制でございました。
 ちなみに申し上げますと、現在広告できる主な事項というものは、病院、診療所の名称、住所、電話番号、それから医師の名前、診療日、診療時間、保険医療機関である旨、これくらいのことでございます。ところが、現在の時代になりますと、患者さんは医療機関から多くの医療情報というものを要求してくるわけでございますので、これだけではその医療機関の目指すところ、また性格がとてもわからないのじゃなかろうかということで、今回この規制を緩和しようということにしたわけでございます。
 現在考えておりますのは、従来の広告事項にさらに加えまして、例えばその医療機関が予約制をやっておりますということでしたら予約制、その方法というものは広告してもよろしい。それからまた、往診してもらえるかどうかということもわからないわけでございますので、往診をするしない。老人保健法による訪問看護の有無。さらに処方せんを発行する医療機関であるかどうか。紹介制という制度をとっているか、こういうことは広告していただいても差し支えないのではなかろうかと考えております。
 さらに施設につきましては、病室、それから物によっては機器の保有、規模、それから人工透析をやっているか。この人工透析も、現在広告をしておるところもあるようでございますが、現在の医療法からは外れているという状況でございます。それから、保険の方で今回認められるようになったようでございますが、基準給食、基準寝具、さらにはその利用料金、室料差額の有無、どの程度の規模、それから附帯する施設、こういうことは構わないのじゃなかろうかということで御審議願おうかと考えているところでございます。
#132
○小松委員 これは大事なことでありますので、国民にわかりやすい、納得のいく広告をするように、ぜひ厚生省の方からも十分な指導を含めてしていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。
 さて、次に移るわけでございますが、今回の改正のポイントといいますか一つは、一般病院、それから先ほど出ておりましたような特定機能病院、三つが療養型病床群、この三つに類型化されるのかなというふうに私は理解をしているわけでございます。この一般病院と療養型病床群の問題でいろいろと想定されるような問題もこれからも出そうだし、またこれまでも幾つかこの問題が出ておることは御承知のとおりです。
 そこで、具体的に私はお聞きしたいと思うのですが、例えば七十歳の老人が脳梗塞で入院します。この患者の治療は、全身の状態の管理をしなければなりません。さらに、別な箇所に梗塞が発生しないような予防のための投薬を含む処置、そしてまた血圧の状態が落ちつけばリハビリを当然必要とするわけでございます。こうしたケースになりますと、今回の医療施設の類型化、ここで一般病院と療養型が出てくるのですが、このケースは今までは一般病院で全部できたわけなんですが、今度はどこかの時点で療養型病床群に移されるようになると思うのです。したがって、このようなケースの場合はどこでどういうことになっていくのか、こういう問題についてお聞きをしておきたいと思います。これは具体的ですから、具体的に答えてください。
#133
○古市政府委員 一昔前は、脳卒中でも脳梗塞でもそういう方がなられた場合には、すぐ最寄りの医療機関、それは一般病院であったのでございましょう、そこに収容されて、そこで集中的な治療を受けて、よくなったらそこにまたずっとおって、家に帰るという状況だったと思います。最近の医療事情からいいますと、まず脳梗塞を起こしますと、ICUに救急車で入るということになろうかと思います。そこで、集中治療室で病状が改善されたときに一般病室の方に移られる。そこでさらに病状がよくなって、肺炎の心配もない、そのほかの梗塞の再発もないというのを見きわめて、その後のリハビリが大事だとなったときには、その病院の中に今度の療養型病床群がございましたら、そこに移って療養を中心とした診療を受けられるのがいいということで、今まで一律に一般病床であったものを、病院機能もある程度機能分化、類型化して、患者の病状もいろいろ動くわけでございますから、それに適した療養環境を提供しようという趣旨でございます。
 そこで、どの時期にどう移るかということは、あくまで主治医がその方の病状を診て、また本人にも申し上げて、納得の上でその病室が移るということになろうかと思います。
#134
○小松委員 そうしますと、この問題で恐らく医師なりその病院がその判断を一方的にするんだと思うのです。
 そこで私が聞きたいのは、患者の声は一切そこには反映をされないという心配が多分にあるような気がするわけです。したがって、病院の都合あるいは医師の考え方だけである一定の時期にあなたはこちらへ移りなさいよと言われたら、患者はこちらにいたくても、そっちへ移っていかなければならないようなことになりかねないと思うのです。したがって、そうしたことを見ますと、患者の声も十分生かしてもらわなければいけないということが一つです。
 それから、今のケースで言うならば、今度は療養型に移りましても、リハビリの施設が当然必要になりますから、移ってもリハビリの施設が当然確保されると思うのですが、そういう療養型病床群でも施設としては十分完備されると理解していいのか、この二つについて伺います。
#135
○古市政府委員 第一点の病室の移動が病院あるいは医師の一方的な指示で動かされないかという不安でございますが、現在におきましても、患者の病状によって病室を移るということは行われているわけでございますし、さらにもっと激しいのは、退院するときに、その医療機関と患者さんあるいは家族の間で話し合いが行われているところでございます。そういうことで、一般的には一方的には行われないことでございます。
 殊に今回の収容施設を移動する場合は、療養型病床群を設けました趣旨が、患者さんの症状に合った、療養の上ではより適切である、現在の一律の、例えば六人部屋もある一般病床だけではよくないということで、新しい療養環境をつくろうということで、従来の六人部屋は四人部屋で使おう、廊下の幅も広くなる、そこでお尋ねのリハビリの施設、機能訓練室も付設しなかったらいけないと必置のことにしております。さらには、食堂、談話室等の設置もできて、そちらがより快適な長期療養者用の施設であるということを想定しているわけでございますから、時期が来ればそちらに移るということで、話し合いでそう問題は起こらないと思っておりますが、趣旨として、ここにいたいという人を無理やり動かすということは病院側としてもできないことですし、それはあってはならないことだと思っております。
#136
○小松委員 今まではこういう法律がありませんので、今いろいろと局長が言われたようなことだと思うのですが、この法律ができますと、法律で一般病院と療養型病床群に区分けをしたことになりますから、当然これは法律で保証をされたことになるのでしょうか。そうなりますと、なお今までも、局長はそう言うけれども、しかし、患者の声というのはなかなか通りにくいという声は率直に言ってあるわけなんですね。ですから、もう少し患者の声というものあるいは家族の声というものも十分反映してもらいたいということは、我々もよく聞いております。だがしかし、今回こういうふうにはっきり法律的にできてしまいますと、なお一層それが一方的な判断によってやられたのではたまらない、こういう心配もございます。したがって、この点についてはぜひひとつ十分な対処をしていただきたいということです。
 それから、例えば大きな病院の場合、こういう法律で受け皿がもちろんあるわけですから、当然入院をしていなきゃならないのが期間より早く転院させられる、そういう心配も出てくるんではないかなということが一つです。
 それから二つ目は、これが両方とも同じ料金ならばそうかなということもあるんですが、例えば療養群に入る場合には、まあどういうふうになるのか、定額になるのかあるいはそうでない今の医療費でいくのか、この辺がちょっとまだ定かじゃないんですが、もし一般の病院と療養群に入った場合の診療の料金といいますか、診療報酬が違った場合なおさらそういう矛盾が出てくるんじゃないかなという気がするんですが、このあたりはどうなんでしょうね。両方とも診療報酬が同じなら、局長が言うこともある程度理解できるんですが、今度違うんだと思うんですね。片っ方は定額でやるんでしょう。そのあたり答えていただきたいと思うんです。ぜひお願いします。
#137
○黒木政府委員 医療法改正によりまして、新しく二つのタイプの機能を持った病院ができるわけでございます。特定機能病院と療養型病床群でございます。したがいまして、診療報酬上は、その持つ機能、そしてその機能を果たすための人員配置等の基準が決まるわけでございまして、それを踏まえて、そういう機能が十分発揮できるような適切な診療報酬をつくりたいというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 その場合に、療養型病床群については、定額にするかあるいは出来高にするかという判断はあるわけでございます。これも先日お答えしましたけれども、患者が主として病状安定期の長期療養患者ということから見れば、一々注射をしたから何ぼ、何をしたから何ぼというよりも、定額でお支払いする方がふさわしいんではなかろうかと思っておりますけれども、若い人も対象になる、そしてやはり病状の変化がかなりあり得るという判断でございますから、出来高との組み合わせと申しますか、出来高を加味したような診療報酬がふさわしいんではなかろうかということで私は考えておりますが、いずれ中医協で御議論をいただきたいと思っておるわけでございます。
 そこで、ふさわしい診療報酬をつくった場合に一般病棟と点数上差が出るのではないか、出た場合にどうなるのかというお話でございますけれども、確かにふさわしい診療報酬をつくった場合に、これも仮定の話でございますが、点数で算定しますと料金に差が出ることもあり得ると思います。しかし、御案内のように、入院しますと大部分は数十万から、高度の病院ですと百万ぐらい治療費がかかることがあるわけでございますけれども、健康保険法上は高額療養費という制度がございまして、ほとんど上限が月六万円の自己負担で済む仕掛けもとっているわけでございます。そういうことから私どもは、患者さんの負担面でそう著しい差はないし、あるいは公平な負担という観点からの矛盾は出ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#138
○小松委員 この点については、私も想定される心配の点を申し上げたのですが、ぜひそういったことが起きないように、十分な配慮が必要だというふうに指摘をしておきたいと思います。
 さてそこで、先ほども、また今回のこの法案審議の中でも特に出ております患者へのこの問題に対するインフォームド・コンセント、これによるいわば転院をぜひここでもうたってもらいたいと思うわけです。今回の流れを見てみますと、どうしても患者の立場というものが何かますます弱いような気がしてならないのです。したがって、せっかくこういう法律をつくるのであり、また先ほど来厚生省は答えているわけですから、すなわち、医師と患者の信頼関係を高めていきたいということもあわせて、これらの問題に対処していかなきゃならないと思うのですね。そこで、私はぜひこの法案の中にそうした位置づけをはっきりうたった方がいいのじゃないかというふうに考えているのですが、この点についてはいかがに考えているのか、質問しておきたいと思うのです。
#139
○古市政府委員 いわゆる治療を行う側の医師が受ける側の患者さんに十分その状況を説明して、治療を行う内容、その結果の予後、そういうものについて説明した上で医療を行う、また患者さんがそれを聞いて理解して、同意をして行うということから、インフォームド・コンセントという言葉で、説明と同意ということで現在の医療に求められているわけであります。ただ、私どもはその必要性は十分理解しておりますが、今回の医療法の改正に当たりまして医療提供の理念というのを書いたわけでございますが、その中には、医療の担い手と患者との間の信頼関係に基づいて医療が提供さるべきものだと、従来にない規定を盛り込みました。さらにそれ以上の患者の治療を受ける権利あるいは説明と同意を、これは重要なことでございますが、法的にどのように書くのかということにつきましては、まだ十分議論が煮詰まっていないということでさらに検討すべき事項だ、このように思っているわけでございます。
#140
○小松委員 この問題は大事なことですから、検討がまだ煮詰まってないようでございますが、こうしたことについてはぜひ患者の声というものが十分反映できるように、法律の中に何らかの形で加えてもらうことを重ねて強く要請しておきたいと思います。
 そこで、次に移らせていただきます。今回の特定機能病院、高度な技術を持ったりしておるわけでございますが、これが中には現在の保険が適用できない、そして高い料金でなければ治療を受けられないというようなことになっては、これは金持ちを中心にしてしかかかれない、こういうことになったのでは、せっかくのこうした施設が目的を達しないんじゃないかというふうに思いますので、こうした特定機能病院に対する点について、医療費の負担が高まらないようなことを厚生省は当然考えていなきゃならないと思うんですが、この点はどういうふうに理解しているんでしょうか。
#141
○黒木政府委員 特定機能病院においてどういう高度の診療が行われるかということは、これから私どもも勉強していかなきゃいけないわけでございますけれども、健政局から、一般病院では特に実施が困難な高度の医療技術ということで、いろいろいただいております。
 例えば、内科では重症またはまれな血液疾患、骨髄移植を含む。外科では気管支形成を伴う肺切除術とか、脳神経外科では頭蓋内腫瘍摘出術とか、いろいろな難しい医療技術の例をいただいておるわけでございます。現在の健康保険上の取り扱いは、これらのもののほとんどが健康保険の適用対象になっているわけでございます。したがいまして、私どもはそういう個々の手術料について、特定機能病院になったからこれを一般病院と違った点数にするという考え方は持っておりません。ただし、高度の機能を果たすためにお医者さんをたくさん擁するとか、そういう面をどういう形で診療報酬上配慮するかというのは当然行わなきゃならないわけでありまして、その面が他の病院よりも少し高くなるということはあり得るかもわかりません。
 しかし、それは先ほど私から申し上げましたように、そのために例えば自己負担がほかの病院よりも著しく高くなって、金持ちの人しか受けられないということは決してない程度の手直しだと思っております。仮にかなりの手直しがあったとしましても、先ほども申しましたように、現在の健康保険の制度として高額療養費という制度を持っておりまして、こういう高度の技術というのはほとんど百万円以上取ると聞いておりますけれども、六万円の治療費で済むという形の上限の制度を持っておりますので、私どもは、今回の診療報酬改定に伴いまして、この病院が金持ちの人しか利用できなくなるんではないかという御懸念に対しては、そういう御心配は要りませんとしか答えようがございません。
#142
○小松委員 ぜひひとつそういうことで、心配のないようなことにしてもらいたいと思います。
 そこで、次に移りたいと思うんですが、今回のこの改正案の中に統計的記録について云々とありますね。これはこの法案の中で見ますと、「診療等に関する記録を体系的に備え、統計等の記録であって患者の秘密を害する恐れがないものとして厚生省令で定めるものについて、当該病院に患者を紹介しようとする医師等の求めに応じ閲覧させること。」こういうふうになっているんです。ここで、これは医師があるいは病院が閲覧を要求した場合にこういう統計が出てくるんですが、患者が要求した場合はこの法案では出てこないんです。患者側もぜひ自分の、あるいは全体を知ることも当然ですが、それから場合によると、患者から見た場合には病院を選ぶ権利もあるわけですから、そういうものを含めて、ここではそういうことだけでなくて、患者にも必要に応じて閲覧をさせるということがなぜ入らないのか、ここのところもちょっと質問しておきたいと思うんです。
 それからもう一つ、時間もありませんので続けて聞いちゃいますが、この統計的記録というのは一体どういうことなんでしょうか、これもあわせてお願いいたします。
#143
○古市政府委員 その条項は、特定機能病院というものが地域の中で地域医療機関と一緒になっていい機能を発揮しなかったらいけないということでございますから、そこに紹介しようとする医療機関の先生方から見て、どのような医療をどの程度やっているのか、どういうような治療法までやっているのかという医学・医療情報というものはやはり先生方に知っていただかなかったらいけない。それを見て、しからば私のところに来ている患者さんをそこに送りましょうということになるわけでございます。そういうことで、この条項は、いわゆる紹介しようとする医師に対して特定機能病院が情報提供すべき義務を書いているわけでございます。それがまた個人個人に、この例でどうなりましたということまで知る必要はございませんので、あくまで医療実績を統計的に示せば、その特定機能病院の性格、水準というものが理解していただけるということから、そういう統計数値としたわけでございます。
 先生御指摘の、患者さんがその病院はどうかというのを知ることは同時に必要であるという点に関しましては、そこまで詳しい情報は必要でないと思いますし、先ほど言いましたように広告規制の緩和をいたしまして、その病院の性格というものがわかっていただける程度にはしたいと思っている次第でございます。
#144
○小松委員 統計はどうなんですか。
#145
○古市政府委員 したがいまして、患者の動向に関する基本的情報と申しますのは、この病院では例えば何年何月から何月までにどういうような患者さんを紹介制によって治療しまして、その患者さんは入院が何%、外来ですぐ帰った人が何%という統計ですね、紹介制特定機能病院の性格を明らかにするような数値を統計処理して提示する、こういうようなことになっております。
#146
○小松委員 時間も迫ってまいりましたので急いでお聞きしたいと思いますが、老人医療に関して伺いたいと思うのです。
 実は先日、私どもも勉強会をやりました。北欧関係と日本の老人の医療問題、特に寝たきり老人の問題で勉強会をやったときに、たまたまスウェーデン、デンマークを見てきた講師がこういうことを話しました。日本の場合は寝たきり老人とよく言うのですが、これはむしろ寝かされっ放しの老人というふうな言い方の方が的中しているんじゃないかと言われたときに、はあなるほどなと、そういうふうに思いました。ところが北欧の方へ行きますとそうではなくて、もう本当に動けない人は別ですけれども、少しでも動けるような人は、できるだけ床から離れて少しでも自分で歩いたり、また自分でしたいこともするというようなことで、これこそ本当に生きがいじゃないかなと。
 例えば日本の場合は、もう寝かされっ放しで、食事になれば無理やりに口の中に流し込まれて、そしてあとは一日寝っ放し。それで、床ずれや何かができちゃって大変だということが起きて、これを解決するには、先ほど来出てきておりますように施設ケア、あるいはまた在宅ケア、地域ケア、この三つが確保されなければ当然できないんです。この点が日本の場合はどうしてもおくれているということが指摘をされております。したがって、これは最も大事なことでありますので、日本より経済性の悪い北欧でもこういうことができているのに、世界一の高度経済成長を誇っている日本でこういうお粗末なことでは、全くこれはけしからぬと思いますし、改善しなければならないということで、ぜひこの点については寝かされっ放しの老人ではなくて、むしろ本当にそういう人たちが生きがいを感じられるような施策を講じるために、この三つの問題については十分な対策を講じるべきじゃないかということを含めて、ぜひお聞きしておきたいと思います。
#147
○古市政府委員 御指摘のとおりだと思っております。先ほど北欧の話も出ましたが、これは参議院の大浜先生が視察されて非常に詳しいお話をされまして、向こうは三Mということで、マネー、それからマンパワー、さらにはマインドだということでやっているということでございました。私ども厚生省でも「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の中で、寝たきり老人ゼロ作戦ということで事業を進めさせていただいております。
 今回の医療法の改正におきましては、理念規定の中でも、医療の範囲でリハビリテーションを明示するとともに、医療を受ける者の居宅等においても医療を行うという観点から、在宅医療を位置づけたわけでございます。また、リハビリテーション機能を充実させた療養型病床群を制度化するということも提案させていただいております。そういうことで、今後先生の御指摘に沿って施策の強化を図ってまいりたいと思っております。
#148
○小松委員 時間も終わりましたので、まだいろいろと聞きたいところもあるのでございますが、以上で質問は終わりたいと思います。
 そこで、今までもいろいろ出ておりますが、ぜひ今度の法改正によってこういった問題が特に解消できたということになるためには、どうしても抜本的な対策を講じなきゃならない問題がたくさんあるわけでございますが、これらを含めて、日本の医療も大変進んだという気持ちを国民が持たれるような制度にさせていくように心から期待をいたしまして、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#149
○牧野委員長 石田祝稔君。
#150
○石田(祝)委員 私は、まず最初にお聞きをしたいことは、きょう医療法改正に関する考え方メモというのをちょうだいいたしました。我が党は、百十八国会以来この医療法改正案がかかっておりましたが、その中身が政省令に関する部分が多くて非常に不透明であった、こういうことで継続審議等にも反対をしてきたわけであります。そういう経緯の中で今回審議に入りまして、考え方のメモというものが出されたわけでありますけれども、このメモの位置づけと言うとおかしいですけれども、これはいわゆる考え方メモということだけしか書いておりませんので、どういうふうな位置づけをされているメモなのか、単なる備忘のためのものか、それともある意味では中医協の審議にかけるときのたたき台、数字なんかはもうこれ以上いじらないとか、いわゆる公式の考え方を示したものなのか、このメモの位置づけについてまずお伺いをしたいと思います。
#151
○古市政府委員 今回の改正法案が通りました後、政省令事項は医療審議会で御審議いただくことになっておりますので、確定的なことが言えないというはざまにあったわけでございます。しかし、現段階で厚生省、私どもが考えているものをここに書いたわけでございまして、大体この線で御審議いただいてどうでしょうか、このようにいたしたいと思っております。また、国会の御審議の御意見によってこれは変わるところと思いますけれども、現段階ではこのように考えているというふうに御理解いただければと思います。
#152
○石田(祝)委員 ということは、今後まだ審議の日程等もとっていただけるようでありますから、この政省令が出てきたときに、これを見ながらその中身について検討してもよろしい、それを一つのたたき台にして考え方をまとめていただいても結構だ、こういうことでしょうか。
#153
○古市政府委員 今回の国会の御審議を通じまして、ここがおかしいというようなことでしたらいろいろ御意見をいただいて、それを反映して審議会の方にその意向を伝えて、最終的に政省令が決まる、こういうことでございます。
#154
○石田(祝)委員 それでは、今後このメモを参考にさせていただいて審議をさせていただきたいと思います。
 中身に入ります前に私がお伺いをしたいのですが、四月十九日付で厚生省が発表いたしました一九九二年度の国民医療費の推計に関して、先にお伺いをしたいと思います。
 推計によりますと、一九九二年度は国民医療費が二十三兆一千七百億円、前年度に比べまして一兆五千億円の増、そして伸び率は六・九%、国民一人当たり年間十八万六千円だ、こういうふうに言われております。そして、この伸び率は一九八七年度以来五年ぶりに国民所得の伸び率見込みを上回る、こういうふうに言われております。一九九二年度は医療費の伸び率が六・九%、国民所得の伸び率が四・六%ということで逆転をする、こういうことでありますけれども、今回過去最高の増加額、また国民所得の伸びを上回った原因についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
#155
○黒木政府委員 石田先生御指摘のとおり、平成四年度の国民医療費の伸び率は六・九%と推計をいたしております。
 なぜこのように高い推計が出たかというお尋ねでございます。端的に申し上げまして、今回、看護関連経費を中心とした医療費の改定を平成四年度に予定しているからということでございます。その内訳をもう少し細かく申し上げますと、六・九%の増加要因の内訳としまして、先ほど申し上げました診療報酬改定による分として二・五%、それから人口増による分として〇・三%、人口の高齢化によるものとして一・六%、その他の増として、いわゆる自然増と言っていますが、医薬の進歩その他もろもろの要素によります増として二・四%ということで、合計六・九%と推計をいたしているところでございます。
#156
○石田(祝)委員 それでは、この件でちょっとお伺いいたしますが、今四点に分けてお話をされました。いわゆる診療報酬の引き上げの影響、それから人口増、それから高齢化の影響、それから医療技術の進歩など自然増、この四つに分けてそれぞれ数字を教えていただきました。
 今後日本の高齢化社会は欧米の三倍ぐらいのスピードで進んでいくだろう、こういうふうに言われております。局長、この四点、今お話しいただきました数字、これから考えて、ことしより下がるだろうというふうに見られる数字はあるかな。例えば人口増の影響、平均出生率とかは下がってきているとはいいましても、人口は確実にふえているわけですね。それから高齢化の影響、これも高齢社会において高齢化がどんどん進んでいくだろう。また医療技術の進歩など自然増、これもやはり医療技術の進歩した部分を保険に適用、取り入れていかない限り進歩はおくれていくと思います。こういうことを考えて、また診療報酬等の影響等も考えますと、まだまだ人材確保に関して今年度で十分かどうか、これは私は今後の議論になるかと思いますけれども、そういうものを考えてみた場合、例えばこの九二年度の推計で人口増、高齢化の影響、医療技術の進歩などの自然増、これだけ合わせると四・三%になるのですね。ですから、こういうものを考えたときに、今後この九二年度の推計より下がるだろうと考える要素がなくなってくるのじゃないかと私は思うのですけれども、この点についてちょっとお考えをお伺いしたいと思います。
#157
○黒木政府委員 今後の国民医療費をどのように持っていくかということは、厚生省にとっては非常に重要な課題だと思っております。確かに、人口増なり高齢化増というのは不可避の医療費の増加要因だと考えております。私どもは国民医療費を国民所得の伸び程度、あるいは範囲内ということで政策目標にさせていただいておりますけれども、このために、いわば総合的な対応ということを考えておりまして、まず健康づくりというようなことを大々的にやっております。できるだけ国民一人一人が自分の健康を管理していただいて、できるだけ病気にかからないような健康な生活、健康な体づくりをやってもらって、受診率をできるだけ下げてもらうというのが一点だろうと思いますし、医療機関サイドで言えば、むだだとか間違った請求とかないように、医療機関に対する指導監査に努めなければいけないと思っております。
 また、老人医療費については、すべて医療費ということではなくて、私どもはゴールドプランその他で受け皿を用意しておりますけれども、地域社会の中において、あるいは家庭にというようなことで、私どもがこれからの最も増加要因と考えます老人医療費についても、そういう在宅への方向ということでいろいろ対応策を考えているわけでございます。
 そういう総合的な国民医療費に対する対応の中で、私どもは、国民がこれからも過大な負担にならないような国民医療費のあり方を模索していかなければいけない。そのためのキーワードと申しますかポリシーは、効率的なシステムなりそういう形に我が方の医療を持っていくことによって、良質で効率的な医療を目指すことによって国民の医療費の負担が過大にならないように、国民所得の伸び程度ということを長期的な私どもの政策目標として努力をさせていただきたいと思っているわけでございます。
#158
○石田(祝)委員 ここで大臣にお伺いをしたいのですが、今保険局長は、医療費の伸びは今後とも国民所得の伸びの範囲におさめたいというお話でございました。初めに医療費の伸びは国民所得の伸び以下に抑えるありき、こういう一つの努力目標、政策目標というお考えかもしれませんけれども、例えば今年度はそれが達成できなくなった。その要因を見たら、これはしようがない、これはどうしても必要な部分でこうなっている、ですから必要な部分を確保した上で国民所得の伸びというふうに、ある意味では景気の動向に左右される部分が出てくる。そういったときに、景気の動向をにらんで、じゃ来年は厳しくなりそうだから診療報酬を抑えようかとか、どうしてもそういうふうな考え方が出てこない限り、その枠内におさめることは無理だと私は思うのです。また、なかなか厳しくなってくるのではないかと思うのです。
 ですから、この国民医療費の伸びを国民所得の伸びの範囲に抑えるという政策目標、これはある時期は妥当性があったかもしれませんけれども、今後こういうものを一つの目標にして、ある意味では金科玉条的なものにしてこれから二十一世紀の医療体制を考えていくのは妥当なのかどうか、それを私は心配するわけであります。いろいろ新聞記事等、またいろいろな方の御意見を聞いても、日本の医療費は決して高くない、欧米に比べても、対国民所得でも対GNP比で見てもそんなに高くないのではないか、今後の医療体制を考えた場合に、今より一割ぐらい医療費をふやしてもいいのではないか、そういうふうなお声もあるように聞いております。
 ですから、ここで大臣にお伺いしたいのですが、こういうふうな医療費の伸びを国民所得の伸びの範囲に抑えるという政策目標、今後ともそういうものを持って進まれるのか、また、それ自体にどうしてもやらなければならないという意味での妥当性があるのかどうか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
#159
○山下国務大臣 国で編成されております予算というものは、やはり国政全般にこれを振り分けて、国の勢力あるいは民生の安定等に寄与していかなければならぬのでございます。そういう中において医療費の伸びがふえていくということは、必ずしも国家の将来のためにいいことではないと私は思います。
 今御指摘の、一体国民所得というのは将来にわたってどうなのだということになりますと、私も将来のことはわかりませんが、少なくとも過去の国民所得の推移を見ておりますと一定のカーブでもって上昇しつつある。したがって、当分の間その推移というものは過去の実績からしても見通すことができる。その見通せる範囲内においては、国民所得と国民医療費と見合って、国民所得の伸びの範囲内において編成していくことは可能である。そこらあたりが妥当な数字である。結論から申し上げると、医療費についてはそういう一つの方針で今後とも編成されていっていいのではなかろうかと私は思います。
#160
○石田(祝)委員 これはまた今後ぜひ御議論をしたいと思います。
 そこで、今回の改正案で、数字的な面で見ますと、今後の医療の目指すべき方向で、第一条の二第二項で「医療は、国民自らの健康の保持のための努力を基礎として、病院、診療所、老人保健施設その他の医療を提供する施設、医療を受ける者の居宅等において、医療提供施設の機能に応じ効率的に提供されなければならない。」「効率的に」という言葉があちこちで解説等を読みましても出てまいります。ですから、効率と言ったときに、その根本に、私がさっき言ったような国民医療費の伸びを国民所得の伸び以下に抑えるということが、ともかくもそういう効率とかいろいろな意味で考えたときに、それがどうしても大前提にあって効率というものを追求する形になっていやしないか。むだを省くということはもちろん大事なことでございますけれども、その考え方の大前提に、国民所得との関係でそれ以下にどうしても抑えるのだ、そのために効率というものを追求していくのだということがストレートにつながっていくようであれば、私は今後非常に禍根を残すのではないかと思いますが、このことについていま一度局長または大臣でも結構ですけれども、お願いしたいと思います。
#161
○古市政府委員 今回の改正法案の第一条の二の二項に書いております「医療提供施設の機能に応じ効率的に提供されなければならない。」の「効率的」でございますが、これは、地域における医療機関間の連係等によりまして、医療資源を効果的に使用して提供していくという趣旨でございます。これは直接医療費を念頭に置いたわけではございませんが、そのような結果から、紹介制によって重複の受診あるいは検査、むだな投薬等が排除され、結果的にはむだな医療費の伸びが節減されるということはあろうかと思います。直接的には効果的な医療資源の使用ということ、地域連係ということから使った言葉だと御理解いただきたいと思います。
#162
○石田(祝)委員 続きまして、私はこの医療法改正案を提起するに至る基本認識についてお伺いいたします。
 平成二年一月に二十一世紀をめざした今後の医療供給体制の在り方の提言がなされております。その中で「医療供給体制は、全国的にみれば、量的には欧米諸国と比べても遜色のない水準に達した」と言われておりました。そして、今回の医療法改正案の提案理由説明の中でも、「我が国の医療は、昭和二十三年に制定された医療法の基本的な枠組みのもとで、供給の総量としては、基本的に充足を見るに至りました。」こういうふうな認識が基本にはあるのではないかと私は思います。その中で両方に共通するのは、「量的に」とか「総量としては」とか「全国的に」とかいうふうな、ある意味で言えば、それぞれの地域にそれぞれの人が一人一人、一億二千四百万人が今住んでおるわけでありますが、そういうものを捨象して、数字として全体的に遜色のないところに来ているのではないか、こういうふうな認識のもとで今回の医療法改正案を提起されたのかどうか。これは平成二年の一月ですから、ちょうど百十八国会に医療法改正案が出される前ですね。それが下敷きに基本認識としてあるのではないかと私は思いますが、どういう根拠でこういう認識になっているのか、そのことをお示しいただきたいと思います。
#163
○古市政府委員 欧米諸国と比較しまして、量的には同じ水準に達しているということが背景になっております。
 例示をいたしますと、病院の数というのは、人口十万人対で日本八・二、アメリカ二・六、イギリス三・六、西ドイツ五・〇、フランス六・七、スウェーデン八・六、イタリア三・二というふうに、日本が大体トップである。さらに、その持っている病床数からいいますと、人口十万人対で、年次はちょっと違いますけれども、我が国は千三百五十六、アメリカは四百九十三、これは統計の違いがございまして、御承知のようにアメリカではこのほかにナーシングホームという施設を相当数持っております。これを入れますと、日本の病床よりは下でございますが、かなり近い数字になっております。イギリスは非常に少のうございまして五百九十五。それから、日本より多いというのはスウェーデンだけで、それもわずかでございまして千四百八十。それからフランス、西ドイツは日本よりやや少なくて、千三百、千百というところでございます。
 それからまた医療従事者の代表といたしましては、医師数は、我が国は各県一県一医科大学ができまして以来急増いたしまして、現在人口十万対百七十一ということでございます。欧米諸国は二百を超している、さらにフランスでは三百を超している、イタリアでは四百を超している。これはどうにもならぬくらい多過ぎるということでございますから、これも遜色がない。歯科医師数もほぼ同じでございます。薬剤師数は日本は欧米より二倍多い。問題は看護婦数でございまして、これは欧米諸国に比べて非常に少ないということから今国会でも確保法案を提出させていただいておる、こういう状況かと思います。
#164
○石田(祝)委員 今、数字はお示しをいただきましたが、これは全国的にとか量的にとか総量としては、こういう世界の話なんですね。ですから今後、医療法改正案は成立を期してやられていると思いますけれども、この中で、これは改正案が成れば全国的に網がかかるわけでございますし、数的に云々というよりも、それぞれの患者の立場から見たらお一人お一人の立場でどうなのか。ですから、根本の認識として、数的には足りていますよ、総量的にはもう欧米と遜色ありませんよ、そう言われても、それぞれの地域に住んでいる人から見たら、うちは医者がいないとか、医者のところに行くまでに何時間もかかるとか、こういうこともあるわけです。
 私の県の例であれですけれども、今度例えば特定機能病院というのが手を挙げてやるかもしれない。そのときに、高知では大学病院の本院というのは一つしかありません。そこに行くには、一番端のところから少なく見ても車で四時間はかかる、そういうふうな状況なんです。ですから、量的に見たらそうかもしれないけれども、じゃ地域的にはどうなんだろうか、そこらあたりのことは、基本認識の中でそういうことも考えられて、今回そういうことも全部踏まえてやっているんだよ、こういうことなんでしょうか。
#165
○古市政府委員 医療施設、それに伴います医療従事者の地域的な分布のゆがみということにつきましては、前回六十年に医療法の改正案の第一弾として出させていただきました。これに基づきまして現在地域医療計画を都道府県で立てていただくということで、先生の高知県かと思いますが、非常に特異な県でございますので、医療圏の切り方というのは非常に難しかったかと思います。各都道府県ごとに地域の審議会で、どのような医療圏で病床を整備していけばいいかということをもとに、現在検討整備が進んでいるわけでございます。
 先ほど申しましたのは全国一本の数字でございますが、全国都道府県、さらには医療圏によってまちまちでございまして、地元の医療審議会の審議を通じて整備を図っていかなかったらいけない。また、全国的には三百四十五医療圏の中で見てみますと、過密と過疎というものが全国トータルでは平準化される方向に動きつつあるという傾向でございます。
#166
○石田(祝)委員 続きまして、今回の医療制度改革の全体像と今後のあり方ということでお伺いをしたいのですが、昨年の九月のある新聞の記事で、「厚生省は今回の改正を医療制度改革の第一歩としているが、将来像の全体的なイメージもわいてこない。」こういうふうなコメントが載っておりました。それは一つは、今回の改正内容自体については政省令が多過ぎるということ。今回これをメモとして出していただきましたけれども、今回の改正の内容もそうでありますけれども、今回の改正の内容そのものではなくて、今回の改正がこれからの二十一世紀に向かっての高齢化社会、また高齢社会全体を見通しての医療制度の改革の中においてどういう位置づけをされているのか。
 私は、今回の医療法改正で終わりじゃないと思うのですね。今回を入り口として、二次、三次というふうにお考えになっていらっしゃるかもしれません。そういうふうな先を見通した中の今後の望ましい医療制度という観点から見たときに、今回の改正がどういうふうな位置づけになっているのか、どういう位置づけとして考えられているのか、そして、今回をどういう形で一つのステップとして次に進もうとされておるのか。ですから、この改正の内容自体はもちろん今後審議を通して私も質問いたしますけれども、それ以外に今回の改正の持つ意味、その位置、そういうものがどういうふうにこれからの医療制度の改革とつながってくるのか、その位置づけについてお伺いをしたいと思います。
#167
○山下国務大臣 御案内のとおり、あと十年足らずで高齢社会の到来となるわけでございまして、従来は急性疾患と申しますか、そういうものを念頭に置いた医療の体系というものがあった。若い人口構成を中心とした体系ではなかったかと思うのでございます。ところが、今申し上げましたようにだんだん時代が変わってまいりまして、お年寄りがふえる、成人病、慢性疾患がふえてきたということで、来るべき高齢社会に備えてこれに対応した医療体制をつくっていこうという、まずそれに見合った今回の医療制度の改正、こういうふうに私どもは理解しているわけでございます。さらに現実を見きわめながら、これ一回ではなくて、将来必要な都度また改正すべき時期もあろうかと思いますが、現時点で大体私どもが念頭にあることは、今回の医療法に盛り込んだつもりでございます。
#168
○石田(祝)委員 今大臣の御答弁で、現時点ではすべてのものを盛り込んでいる、こういうふうなお考えであるということを承りました。そうしたら、そういうお答えを聞いてこういう質問をするのもおかしいかもしれませんけれども、それじゃ今後の問題として、例えば今回改正案が成れば今世紀中は大丈夫だろうとか、いろいろお考えがあろうと思いますが、今後も引き続いてこの医療制度改革というものを進めていかれるお考えなのか、そこのあたりをもう一度お伺いしたいと思います。
#169
○古市政府委員 昭和六十年に数量的な立場から医療法を改正いたしまして、地域医療計画の策定を義務づけた。今回提案させていただいておりますのは、医療機関の質の向上、機能の明確分化というものを図った第一弾だと思っております。そういうことで全体の医療機関の性格を明確にして、連係の強化を図るということをこれが通った後引き続いて検討して、早期に実現していきたいと思っておるわけでございます。
#170
○石田(祝)委員 そのことはまた今後の審議で詳しく聞いていきたいと思います。
 時間の関係で、私は最後に一つお伺いしたいと思います。また後ほど詳しくお聞かせをいただきたいと思いますが、今回機能の分化ということを打ち出されておりますけれども、これで患者の立場からすると非常に心配なことがたくさんあります。その一つをきょうお聞きをしたいと思います。
 今、大学病院等いわゆる総合病院、非常にたくさんの科目を抱えているところになぜ人が行くのか。例えば、自分が風邪だと思って行くと、実はその中にとんでもない病気があった、こういうことが往々にしてあるのですね。また、何かのときにその病院の中で間に合う、こういうことがあろうかと私は思います。ただ単に近くにそういう大学病院があるから、行きやすいからとか、知っている人がいるからとかそういうことじゃなくて、万が一のときにその病院の中でバックアップしてくれる、私はそういうことが大学病院等に人がたくさん詰めかける大きな原因ではないだろうかと思います。ですから、この機能分化をしたときに、特定機能病院にはなかなか行けない、紹介状がなければ行けないということになったときに、近くのお医者さん、これは信用しないというわけじゃありませんけれども、自分の思っていた病気ではなかった、もっと大きな病気が隠れておったときに、そこからまた発見をしていただいて、紹介状をもらって行くということでは間に合わないのではないか、何かのときに手おくれになるのではないか、こういうふうな心配が患者の側から見ればあるわけであります。
 実は私、先日新聞を見ておりまして、四月十八日付の新聞でありますけれども、旭化成工業の会長さんの宮崎輝さんが十七日の午後亡くなった、こういうふうな記事が載っておりました。非常にお元気な方だったようでありますけれども、この方は大阪にいるときに風邪をこじらせて入院をした、そして十七日に亡くなられた、こういうことです。入院をしてから四日間で亡くなっているわけであります。そういうふうに風邪で入院した、それでも四日間で、お年がいっておったからかもしれませんけれども、亡くなられたということもあるわけであります。
 ですから、ちょっとした病気であると思っても、実は死に至るようなこともないとは限らない。だから、機能分化ということは考え方としてはいいのですけれども、そのときに手おくれにならないのかということ、いろいろな問題点の中でも患者さんはまずこの心配をするのじゃないかと私は思いますけれども、こういうことは全く心配ないのかどうか。杞憂かもしれませんけれども、最後にこのことをお聞きをしたいと思います。
#171
○古市政府委員 患者の身になってみますと、自分の病気がいかに軽い症状でも、万一重要な病気の初期症状じゃないかと思われる、これは無理のないことでございます。
 今回の改正におきましても、特定機能病院は紹介制を主としていきたいということを申しましても、そこが全部紹介制になるわけじゃございませんで、行きたい方は従来どおり自由に行ける。ただ、万一万一という患者さんが全部そこに集まったら、そういうことを期待していっても、一人の大学病院の先生が一日に百人も診察するということは、結果的には親切な十分な医療ができないということになるわけです。したがって、本当に必要な人が必要な診断、治療を受けられるということで、やはり患者の受診というものをある程度秩序正しくしていくということも必要なわけでございます。そういうことから今回の制度の導入をお願いしているわけですが、しかし、これは患者さんが行きたいというのをとめるわけでは決してございません。
 そこで、私が申しますのは、万一という患者さんが百人見えたら、統計的にその中の九十五人は近くの医療機関でいいわけです。そういう人を大学病院が逆紹介で、あなたは大丈夫だったから近くの病院に行きなさいよといったことも紹介制という中にカウントしたらどうですか。その結果、近くでかかりつけのお医者さんと患者さんとのいい関係が育ってくる。そういうことで、何かあったらまたいつでも入院させますよ、こういうことをしていただければ、わざわざ遠くのところまで時間をかけて行かなくてもいいじゃないか。そういう一つの機能を今回の改正で取り入れて一歩を進めてみたい、こういう趣旨でございまして、そういう患者さんの不安な気持ちをシャットアウトするということはどこにもないということで、御理解いただきたいと思います。
#172
○石田(祝)委員 私は機能分化が頭から悪いというふうには考えておりませんが、そういうふうな不安感、心配感というものを取り除かない限り、万が一のときを考えたらという気持ちで行かれる方は減らないのじゃないかと思うのですね。ですから、そこのところをどういうふうにそういう信頼感を醸成していくのか。そういう万が一手おくれにならないような体制はいつでも組んでいるのだ、ですから安心して地域のお医者さんで診てもらってください、こういうことを国民お一人お一人が、患者の側が納得しない限り、機能分化というのは体系的には決めてもうまくいかないのじゃないのだろうか、私はそういうふうな心配をいたしております。
 この後、遠藤理事が質問に立ちますので私は終わりますけれども、今後時間をいただけるようですから、またいろいろお聞きをしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#173
○牧野委員長 遠藤和良君。
#174
○遠藤(和)委員 私は、まず最初に大臣にお伺いをしたいのでございます。
 本来医療法の改正の第一着手というものは、患者の最も身近なところにおります家庭医、ホームドクター、この整備充実から始めるのが筋ではないのかと思うのです。患者のことを四六時中わかっている家庭医の方がいて、この方がいろいろな医療の相談を受けて、あるところに紹介をしたり交通整理をして、すべての医療機関がネットワークを組んで患者のために働く、こんな姿になるのが医療法の改正ではないのかと思うのでございます。
 ところが、この医療法では、まず特定機能病院をつくった、それから療養型病床群をつくった。これは、そういった国民の側からの医療法改正というよりも、まずやりやすいところ、関係者の意見がつくところ、ここから始めた嫌いがあるのではないか、こういう心配をしているわけでございまして、本当に厚生省は国民のために医療制度をつくり上げていく決意があるのかないのか、ここのところをまずお伺いしたいのでございます。
#175
○古市政府委員 個別にわたりますことは私から答弁をお許しいただきたいと思います。
 制度改革ということもさることながら、何よりも国民の身近で医療を担うお医者さん方の家庭医機能を充実さす、これが基盤ではないか、御指摘のとおりだと思います。私どもは、今回の法律と直接関係はございませんが、そのことにつきましては、かねてよりプライマリーケアの推進ということの中で幾つかの事業をやってきたわけでございます。すなわち、地域での開業医さんが高齢化してくるということから、この方々の地域での家庭医機能を強化するために、その医業が継承されますような事業を社会福祉・医療事業団において実施する。それからまた、今後この医療を担っていただく医学生、さらには若い医師へのプライマリーケアの研修というものを非常に強化しているということでございます。
 それから、この法律の関係で申しますと、特定機能病院ということの中に紹介制を導入するということは、地域の中で大病院が外来患者を一般の開業医と競合して集めるということではなくて、それぞれ持ち分持ち分でやりましょうということの端緒を一つ切り開くことになるのではなかろうか。この中で、病院と診療所の連係の中で患者医療サービスが行われてくるということになろうかと思います。やはりこれから家庭医というのは大事でございますが、国民の希望というのは、大きな器械で大きな施設で検査を受けないと安心できないということがあるのも事実でございます。そのときに、必要なときに自分のところで全部やるのではなくて、後ろの医療機関とやれる体制を整えるというためにも、今回の医療法の改正が一助になろうかと思っている次第でございます。
#176
○遠藤(和)委員 インフォームド・コンセントの話がこの委員会でも議論されておりますけれども、やはりインフォームド・コンセントだとか、あるいは患者の権利だとか、そういうものを明記いたしました医療基本法という概念になる法律、まずこれをつくる、そしてもう一方では医療制度改革の全体像を示す、この二つが一番大事な問題だと思うのですね。私、この医療法の審議に当たりまして衆議院の本会議でも代表質問をさせていただきましたが、宮澤総理もこの医療基本法の問題については将来の課題として検討したい、このような答弁をされているわけですが、これについて厚生大臣の考え方を聞かしてください。
#177
○山下国務大臣 今回の医療法の改正は、一口に言うならばハード面の改正だと言っていいのではないかと私は思います。お話しのように、法律において基本的な性格を与えるということになりますと、さらにソフト面においてもっと踏み込んだ改正にならなければいけないのじゃないかと思うのでございます。そういう意味においては、今回のは万全とは言えませんけれども、現段階においてはできる限り踏み込んだ法律の改正というふうに私ども思っているわけでございます。したがいまして、今後の審議の中で、インフォームド・コンセントとかマンパワーあるいは負担の問題、これらを包括した法律となるような、そこまで行くために一歩一歩さらに前進することを私どもは念頭に置きながらやってまいりたいと思います。
#178
○遠藤(和)委員 医療基本法を厚生省として検討するかしないか、これだけ答えてください。
#179
○山下国務大臣 おっしゃることは私ども同感でございまして、そこに到達するまでこれからさらに進んで勉強してまいりたいと思っております。
#180
○遠藤(和)委員 開業医の皆さんが今一番指摘されている問題点は、やはり老齢化の問題ですよね。開業医の皆さんの若返り政策というのが大変大事なわけでございまして、ここに活力がなければ、本当に国民のための医療というものをつくっていく前提がなくなるのではないか、大病院志向がますます助長されるのではないか、こういうふうなことを懸念するわけですが、開業医の皆さんの若返り政策について具体的な方策を持っておりますか。
#181
○古市政府委員 現在、具体的な対策といたしましては、地域医療を担う開業医が円滑に医業を継承できるように、平成元年度から社会福祉・医療事業団におきまして開業医承継支援事業というものを実施しているわけでございます。これはその後継ぎを紹介するということですが、まだまだ実績は報告できるような段階に達していないわけでございます。
 ただ、私が思いますのに、大勢の人が病院勤務になっているわけでございますが、毎年八千人の後輩が出てきてそれぞれの医療機関のポストを占めるわけですから、いつまでも病院勤務ではおられないわけです。定年になりますと、六十歳を超しますと、院長、副院長以外は出ていかざるを得ない。それからそのお医者さんたちがどこに行くのかといったときに、もう医業をやる場所がないということでは、日本の医療の将来の供給体制というのも極めて問題が多い。したがいまして、今回の改正を契機といたしまして、それぞれの病院それから診療所、有床診療所が役割を明確にして、それぞれの持ち分を担当できるようなシステムをつくらなかったらいけない。地域の中にシステムなくして、従来どおり一人の医師一医療機関が成り立たないというのがこれからの時代だと思います。そこで、地域の中での連係システムはいかにあるべきかということを踏まえて、今回関係者の合意が一応できるという分野で、この機能分化の第一歩を提案させていただいたわけでございます。
#182
○遠藤(和)委員 ですから、医療法改正の着手は患者の身近なところから始めるべきであった、この見解を私は言っているわけでございまして、次の改正の時点では、この開業医の問題、それから中小の民間病院あるいは診療所、この方々の医療計画全体の中での位置づけを明確にするような改正をぜひとも着手すべきである、このように意見を述べておきたいと思います。
 それから、医療法につきまして国民の皆さんから不安の声や心配の声が寄せられております。それを私なりに四つに体系化をいたしましてお聞きしたいと思うのです。この不安を解消するというのはやはり国会の責務でもございますから、それを今から述べていきますから、その不安は杞憂であるのかどうか、明確にお答えを願いたいと思います。
 まず第一点は、この体系化というものは認めるものの、政省令あるいは診療報酬のつけ方によっては差別医療になるのではないか。端的に申し上げますと、特定機能病院はお金持ちしか行けなくなるのではないか、こういう心配を持っておりますが、これは単なる杞憂でしょうか。
#183
○古市政府委員 先生の仰せのとおり単なる杞憂でございまして、診療報酬の支払い方式というのは中医協で議論されることになりますが、それとても特定機能病院が従来の負担に比べて非常に高くなるということでは全くございません。それからまた外来の紹介制についてもいろいろ心配されているようでございますが、従来どおりの地域医療の役割を担っていることもございますので、紹介機能を高めていくということは考えておりますが、全部シャットアウトするというようなことは全然考えていないということで、そういう心配はないということでございます。
#184
○遠藤(和)委員 第二点は、医療機関のランクづけになるのではないかという不安です。一般病院は普通車で特定機能病院はグリーン車になるのではないか。特定機能病院に一律に診療報酬をアップするようなつけ方はしない、このように断言できますか。
#185
○黒木政府委員 診療報酬は、もう先生御案内のように、療養の給付、保険診療を担当していただいた費用を報酬の形でお支払いするわけでございます。したがって、特定機能病院が医師等の数がほかの病院よりも多いというところの費用増に着目してお支払いをするということはあり得るわけでありますけれども、高級だからとか上等のことをやっているからということで、そういう評価をして高い診療報酬を支払うということはございません。
#186
○遠藤(和)委員 例えば、一般病院で盲腸の手術をしたとしましょう。特定機能病院で全く同じ盲腸の手術をした。このドクターフィーというものは一物一価であるから全く同じである、このように理解してよろしいのですね。
#187
○黒木政府委員 先生おっしゃったとおりでございまして、盲腸の手術代そのものに差をつけるつもりはございません。
#188
○遠藤(和)委員 それから、特定機能病院に紹介外来制を導入するということは、紹介のない人を玄関払いするのではないかとかあるいは紹介率を全国一律に決めてしまうのではないかとか、こういう不安がありますが、そのようなことは心配ないと言えますか。
#189
○古市政府委員 私どもは、特定機能病院というものの性格からして、一応高度な難しい医療を地域の中で代表して担っていただくということでございますから、その外来も、周囲の医療機関から非常に診断に困るとか検査が難しいとかいうものを担っていただきたいと思っておるわけで、紹介制を入れました。しかし、それを全部するということは考えておりませんで、そういう機能の割合を多く担っていただきたいということでございますから、そこまでシャットアウトすることは全くございません。そういうことで、紹介状を持ってきた方がストレートで予約制で早く行くということはあるかもしれませんが、今までの患者さんが今までどおり行くという分野も十分残っているということでございます。
#190
○遠藤(和)委員 この政省令案なるものを見ますと、紹介率については当初五〇%ということを考えていたようですが、それは全く書いてありません。ということは、全国一律につけるということは断念した、こう理解してよろしいか。
#191
○古市政府委員 断念したというわけじゃございませんで、当初から紹介率については、そういう機能を持つべきだということはありましても、率とかいうのは今後の検討ということでございまして、しかもまた全国一律ということよりも、地域によって医療機関の立つべき地域医療の背景というのは異なりますので、地域ごとの事情を反映してそれは考えられるべきものだと思っております。
#192
○遠藤(和)委員 紹介のあり方につきまして若干細かい質問をしますけれども、紹介というのは一体どういうことが定義になるのか。例えば電話一本でも紹介は紹介ですが、保険の算定ということになりますと、やはりきちっとした書面でお医者さんの所見がついたもの、そういう様式が整備されてしかるべきだと思いますが、その紹介の方法というのは一体どういうものであるのか。
 それから紹介率の問題です。今地域に任せるというふうな感じの話がありましたが、この率を決定する機関は、例えば病院の自己申告によるものか、あるいは都道府県の医療審議会で決めるのか、あるいは国の医療審議会で決めるのか、どこで決めるのでしょう。それから、もし率というものを決めた場合はどのようにして算定するのでしょう。その期間ですね。きょうは何人までです、それ以上の人はもうシャットアウトする、そんなことはなかなかできないと思うのですよ。率というのは一年を通して結果的に決まるわけでございますから、期間とか人数だとかあるいは把握の方法はどのように考えているのか。それから、率というものを一遍決めてしまうと、それを遵守させるあるいはチェックさせる、そういうものを考えるのかどうか。あるいは率が下回りそうになると一般外来を制限してしまうのかどうか、この辺についてもあいまいもことしておるわけでございまして、どういう考え方か、明確にしてもらいたいと思います。
#193
○古市政府委員 まず、特定機能病院に紹介をするということになりましたら、これは一定の紹介の様式を決めて、それに従って、文書によって紹介状を持ってその医療機関に行っていただくということかと思います。多くの場合に電話一本、名刺一枚という形の紹介も多いわけでございますが、やはり最初にかかって、自分はこの人のこういうようなことの訴えを聞いている、しかし自分のところではできない、こういう面についてひとつお願いしたいということで、できればその医療機関、さらには相手の診療科、そういうものを書いた紹介状を持っていくということになろうかと思います。
 それから、紹介率に関しましては、全国一律に決めるということはどうも考えておりませんが、しからばその率をどのように考えるのかということになります。現在、特定機能病院の中で該当すると思われますがんセンター、循環器病センター、国立の場合ですと紹介率がいろいろなタイプを交えて七〇%ということになっております。一方、大学の附属病院等は一五%が平均ということになっておりますが、これは少ないところから非常に高いところまでございます。そういうことで、この率は、審議会によってこういうような考え方というのを決めていただいてスタートするということになろうかと思います。したがって、自己申告とか自治体で決めるということではなくて、地域の状況も踏まえて一応この程度ということで申請を出される。そのときに、国の方が紹介率についてこういうことでやってくださいということを決めてお願いするということになろうと思います。
 それから、紹介率を一度決めたらもう不変かということでございますが、スタートからだんだん紹介率を高めていただくことが現実的だと思いますので、これは年次計画をもって、紹介率をこの程度まで高めますということを申請していただくことになる確率が非常に高いのじゃなかろうかと思っております。それから、それを下回ったときというのは、出されるときも、それからまた下回ったことも短い期間では言えませんので、年単位なり数カ月単位の平均値で出していただいて、短期間に変動したって直ちに取り消しになるということは考えておりません。
#194
○遠藤(和)委員 それから、第四番目の不安ですけれども、療養型病床群というのはお年寄りを一般病床から締め出すものではないのかとか、あるいは医療費を削って安上がりのものにするいわゆる老人切り捨てであるとか、社会的入院の追認ではないのかという不安でございますけれども、少なくとも入院九十日で機械的に移動させるということはしませんか。
 その移動に当たっては、患者と家族の理解と納得を得るよう最大限に配慮すべきだと思うのですが、この辺のことにつきましてどう考えていますか。
#195
○古市政府委員 今回の改正で療養型病床群を病院機能の一つとして導入したいという趣旨は、年齢にかかわらず、高齢者を含めて長期入院患者の方に療養上の生活への配慮という観点から、それにふさわしい人員配置、施設設備を提供しようという考えでございますから、年齢により、また入院期間により一律に移動を強いるというようなことは全く考えておりません。
 移動に当たりましては、もちろん医師が一方的に命ずるのではなくて、それを説明して、病状が安定化したということで、そちらでどうですかという納得の上で動いていただくということに当然なろうかと思います。
#196
○遠藤(和)委員 特に難病患者の皆さんが心配していることは、難病患者の皆さんというのは長期入院する方が多いわけでございますが、この方々を念頭にした療養型病床群ではないと断言できますか。あるいは、特定機能病院に現在入院している方々が特定機能病院から追い出されてしまうという心配はありませんか。
#197
○古市政府委員 年齢及び病気の種類でもって収容の施設を区分けするということは全く想定しておりませんで、その病状に合って、それがふさわしいとお医者さんが思ったときに、そういうことを紹介して移動するということでございますから、難病の患者さんが不安に思われているという話は耳に入りますが、十分説明をしたい。それは全くの誤解であると思っております。
#198
○遠藤(和)委員 今、不安の代表的なものを申し上げたわけでございますが、地域からの声といたしまして、この間秋田に参りましたが、秋田の皆さんもおっしゃっておりました。自民党推薦の医師会の会長さんも心配しておりました。この特定機能病院は、厚生省の考えていらっしゃる政省令案によりますと、ベッド数が五百程度ということでございますけれども、そうなると、秋田でまさに特定機能の医療を行っている県の脳血管研究センターが入らないということもあります。あるいは、地域におきましてはがんセンターとか循環器病センターとか優秀な高度な医療の蓄積のある、まさに特定機能を行っている病院が特定機能病院には指定されないことになるわけでございますけれども、ここをもう少し政省令案を考えるに当たっては、地元の医師会の皆さん等の理解を得るようなものにしていく、こういう考え方はありますか。
#199
○古市政府委員 地方公聴会の折に秋田県立脳血管研究センターを見ていただいたということでございますが、私どもの調べによりますと、ここは百六十床ということで、しかも単科の専門であるということで、非常に高度な医療を提供して、予防活動と一体的にやり、秋田県下の脳卒中の半減の中心的な役割を果たした機関でございます。非常に高い機能を誇るところでございますが、私どもの今回の改定では、ある程度の高度医療が総合的に提供できる総合性と専門性をやりましたために、現在のところはこれは入らないということでございます。
 しかし、このような単科のあるいは少数科の専門病院で、非常に高い技術を持っているところはまだほかにもあるわけでございまして、専門性を何で規定するのかという基準もまた検討いたしまして、この改定が終わった後、第二次の医療法、第三次の医療法の改正にはぜひそういう機能群の病院を明確化して、そういうものを伸ばしていきたいという気持ちは持っておるわけでございます。
#200
○遠藤(和)委員 四月一日にいわゆる診療報酬の改定が行われたわけでございますけれども、この診療報酬の改定の中に今回の医療法改正案に関連する部分が前もって行われている、このように私は理解しておりますが、どこの部分ですか。
#201
○黒木政府委員 四月一日からの診療報酬改定におきまして、私どもは医療法改正に盛り込まれております施設類型の分化を想定した改定は行っておりません。したがって、どの部分を先取りしたかというお尋ねでございますけれども、そういう施設類型で今回の改正を前提とした改正は行っておりません。
#202
○遠藤(和)委員 健康政策局はどうですか。
#203
○古市政府委員 私どもは、この医療法の改正案を二年前の百十八国会に提案して御審議をお願いしたということから、点数改定のときも、法案が通ったときにはそれを裏支えするような診療報酬の改定ということで、保険局とは絶えず勉強、連絡をしてきたという経緯はございます。
 したがって、今保険局長がお答えいたしましたように、今回の医療法が目指す医療機関の類型化に適合するようなことがさきの診療報酬点数表で先取りされたということはないわけでございますが、その幾つかの改定の中で、人員配置に従ってきめ細かい点数ができたというようなこと、それからまた看護婦の夜勤体制というのがいろいろ議論になっているから、それに対する加算ができたとか、そういうことで、印象としては先生のお尋ねのようなところがあるのではなかろうか。具体的には、対応したところは、お答えするようなところはないのではなかろうかと思っております。
#204
○遠藤(和)委員 基本的には、今度医療法ができた後、それにふさわしい診療報酬の審議があると思いますけれども、審議が始まらなくても、少なくとも受け皿的に人員配置基準が適合するとか、そういう意味で、そういう改定を念頭にしたと受け取られる改定はあると私は理解しているのです。
 具体的に申し上げましょう。例えば高度医療の提供のための施設整備及び人員の評価で、今回新しく入院時医学管理料に一般病院(III)というのをつくりましたね。これは常勤医師が百床当たり十二人以上で、入外比率一・五以下、これは従来の四百五十四点から九十五点を五百七十三点から百六点にした。長期療養型病床群と人員配置基準が全く同じでございます。看護が六対一、介護が六対一の特例許可老人病院入院医療管理料(III)というものを導入いたしまして、一日六百二十一点という点をつけた。これは、こういうふうな療養型病床群をつくるとこの点数を算定できる、このように理解してよろしいのじゃないでしょうか。
#205
○黒木政府委員 私どもは、今回の診療報酬改定におきましては、病院とか診療所の機能、特質に応じた評価を大きな柱にいたしまして、病院の入院機能を高める、診療所の外来の機能を高める、そういう方向への重点的評価を行ったわけでございます。あわせて看護料、看護関連ということで、看護婦さんの具体的な配置に応じた看護料の設定というようなことも行いました。あわせて医師についても、具体的に医師数の配置に応じた診療報酬の評価ということをいたしました。お医者さん、看護婦さんがいてもいなくても同じような点数というのはいかがかということで、非常にきめ細かいランクごとの配置に応じた点数表を設定いたしたわけでございます。
 そういう意味では、今回の特定機能病院は医師数が大変ふえますし、それから、療養群のところの看護の配置基準というのにも該当するタイプの報酬があるわけでございますけれども、人員配置以外に施設とか設備とか、いろいろなものが今回あわせて政省令で動くわけでございます。私どもは意図してやったわけではございませんが、今回の人員配置等に応じた幅広の中で該当するものが生じておることも紛れもない事実でしょうけれども、新しくできます人員配置なり設備なりを総合的に判断して、それにふさわしい診療報酬を改めて見直してつくらなければならないという意識でいるわけでございます。
#206
○遠藤(和)委員 特例許可老人病院の入院医療管理料(III)というものは、要するに七十歳以上の入院患者が全体の六〇%以上いるということが条件になっておりますけれども、それに見合わない療養型病床群が例えばマルメあるいは定額払い制を導入することは、今の保険の点数ではできませんね。
#207
○黒木政府委員 今の点数表のままではだめでございます。おっしゃるとおりでございます。
#208
○遠藤(和)委員 それで療養型病床群については、政府の答弁は、出来高払い制は加味するけれども基本的には定額払いあるいはマルメで行う、こういうことでございますが、今の保険の点数にはそれはないということであれば、当然診療報酬の改定を医療法改正に合わせてやる、こう理解するわけです。診療報酬の改定というのは、二年に一遍やるというふうに原則のようなものがあるわけですが、これは二年先までそういうことはやらないということでしょうか、それとも法律が通れば特例的に診療報酬の改定を医療法の改正に合わせて特段の配慮として行う、こういうことなのでしょうか。
#209
○黒木政府委員 本法は、成立後一年以内で政令で定める日となっておりますけれども、一年以内に施行に合わせるべく、診療報酬の改定についても準備をいたしたいと思っておるところでございます。
#210
○遠藤(和)委員 それで、この診療報酬の改定についてはこの国会の中でもいろいろな議論があるわけでございまして、診療報酬のつけ方によっては、いろいろな差別医療になったりランクづけになったりする心配がある。政府の答弁は、いつも診療報酬の話になると中医協での御議論をという話ですが、ぜひ国会の審議の内容というのが診療報酬の世界の中においても反映できるようにお願いをしたい。
 特に療養型病床群の診療報酬のつけ方で心配なことは、患者を一般病床と療養型病床群を行ったり来たりさせることによって診療報酬の点が上がるとか、そういうふうなつけ方は絶対すべきではない、こう思うのですね。病院の収入を得るために患者をたらい回しにするような診療報酬は絶対につけるべきではない、こう思いますが、そう理解していいですか。
#211
○黒木政府委員 病院の経営の観点から患者さんをあっちのベッド、こっちのベッドに移すということはあってはなりませんし、また、ないものと思いますけれども、そういうことが仮にあり得るとすれば、私どもいろいろ研究、勉強いたしまして、そういう患者にとって不都合が起きないような配慮も勉強させていただきたいと思うわけでございます。
#212
○遠藤(和)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
#213
○牧野委員長 児玉健次君。
#214
○児玉委員 皆さんが提出されている改正案、療養型病床群についてですが、「主として長期にわたり療養を必要とする患者を収容するためのものをいう。」こういうふうになっております。十七日のこの委員会の審議で、厚生省は、何回か病状安定期にあって入院を要する患者という言葉をお使いになった。長期にわたり療養を必要とする患者と病状安定期にあって入院を要する患者とは同じものなのか、それとも若干の違いがあるのか、まずそこからお答えいただきたいと思います。
#215
○古市政府委員 病状安定にあるというのは医学的な状況でございまして、入院期間がその結果長期にわたるかどうかというのはまた差が出てきますが、実態としては一緒の姿と思います。ただ、先生が御懸念になるように、例えば長期にならないとそちらに移らないのかということじゃなくて、病状安定ならば、入院して短期間そちらに入って、後かなりの期間を療養型病床群で過ごす、こういうようなことがあろうかと思います。
#216
○児玉委員 先日、今局長がおっしゃったケースとして骨折をお挙げになりましたね。骨折という場合は割合理解ができるのですが、長期にわたり療養を必要とするというのは、入院期間の長短に着目したカテゴリーだと思いますね。そして、皆さん方が特にこの審議が始まって強調されている病状安定期にあって入院を要する患者というのは、医学的な判断がかなり高度に働く、そういう範疇ではないかと思うのですが、どうですか。
#217
○古市政府委員 おっしゃるとおりかと思います。
#218
○児玉委員 そこで、一つの具体例として、今も遠藤委員が質問されましたが、神経難病、例えば筋萎縮性側索硬化症、ALSと普通言っておりますが、この場合、先日私は主としてそういった神経難病を扱っている専門病院にお伺いして、担当の医師からゆっくり話を伺ったのです。このALSの場合、症状というのはなだらかに次第に重症化していくわけではない。階段状だ。ある時期症状がそれこそ安定する。安定した後、極めて短期間に急性の増悪をする。それが階段状に進んでいく。そして、これも皆さん専門家ですからあれこれ言う必要はありませんが、ALSの場合、知的能力は極めて鮮明に保持されていく。それで、入院期間は数年、時には十年を超すことがある。そういう患者の場合に、今回の医療法の改正で、この患者を治療する上で最もふさわしい施設というのはどういう施設になるでしょうか。
#219
○古市政府委員 それには直接お答えはできないと思います。その患者さんの状況によってどのような施設がいいのか、さらに言いますと、果たして今入っている病院がいいのかどうかという問題までさかのぼるわけでございます。ただ、繰り返して申しますように、あくまでもその医療機関の中で限って言うならば、どの病棟で療養をするのが一番いいのかというのはお医者さんの判断でございますから、その先生がおっしゃった状況も、そちらに移す方がいいのか、今の一般病床のままの方がいいのかという御判断があろうかと思います。それが先ほど御質問のように行ったり来たりというのはいけませんけれども、同じ病気でも、ある時期そちらへ行って、ある時期は急性悪化した場合には一般病床というのはあり得ることだと思います。
#220
○児玉委員 ちょっと局長は誤解があるようですけれども、私は一般病院というふうに言っているのじゃないので、どの施設が一番適当なのかと。それで、古市局長のただいまのお答えで私も全く同感なのは、どの種類の病院でその患者を治療するのが最も適切かという判断は、まさしく医師の職業的な選択といいますか、医師が最もふさわしいと思うところで治療するのが最も好ましいと思います。もちろんその前提には、先日来議論になっているインフォームド・コンセントの問題もありますけれども、それはそれとしてもう少し議論をしたいと思います。
 そこで、先ほど言ったALSなどについて、一般病院でなく特定機能病院で治療するのが最もふさわしいと医師が考える、そのことが今日の医療制度のもとで貫徹できるでしょうか。
#221
○古市政府委員 御質問の趣旨は、特定機能病院と療養型病床群というものの組み合わせかと思いますが、それは形としてあり得るということでございます。ただ問題は、一つの病院の中に何から何まで持ってその機能をやっていくのがいいのか、それとも専門の医療機関との連係を深めて、自分のところでなくても、お互いの技術が交流できるということが大事なのかという観点からの考えはあろうかと思いますが、論理的には両方はあり得るということでございます。
#222
○児玉委員 担当されている専門の医師の方が、ある患者の集まりで講演をなさったものの速記を持ってきておるのですが、「特に神経内科疾患で重度の看護を要する筋萎縮性側索硬化症、そういう病気で、しかも呼吸器を使っている患者さんに、直接看護に要する時間は大体九〜十時間ぐらいです。少なくとも一人の患者さんに一人の看護婦さんがかかるということです。」これは大変なことだと思います。そして、先ほど言いました階段状に病が重くなっていくとき、急性に増悪するときは、高度の専門性を擁する数人の医師が、大変なチームワークでそれに対処しないと対処し切れないことがよくある。そういう場合に最も好ましいのは、医療法がまだ改正されてないんですから、高度の医療を提供している大学病院だとか一部の国立病院とか、そういうところでこういった患者は多く治療を受けています。
 さてそこで、医師は引き続いてこの病院で治療を受けさせたいと考えるわけだけれども、現在の医療制度、例えば入院時医学管理料、これが持っている逓減制、階段の刻みが非常に強烈な逓減制、そして四月から実施された診療報酬の中で、これは従来もそうでしたが、今度特三が入院二十五日以下と二十五日超とで看護料も変わっていく。そうなっていきますと、医師の判断にもかかわらず、経済的な側面から医師がやろうと思っていることがやりにくくなっていく。その状態が、特定機能病院と療養型病床群、間に一般病院もある、そういった病院の機能分化のもとでますます医師にとってやりにくくなるんじゃないか。やりにくくなりますと現にその医師は述べているんですが、この点どうですか。
#223
○古市政府委員 今、二つの面があろうかと思います。実態上そのような患者さんが施設の中で医療を受けるというのは、どのような形が一番望ましいかということ。それは、お医者さんの判断によって、その持てる施設の中で最適の形のところで治療を受けるべきだと私は思います。
 もう一点は、それに対して現在の診療報酬が適切に対応していないという御指摘かと思いますが、それは、筋萎縮性側索硬化症を例に出されましたが、いろいろな病気について、現在の診療報酬点数表が十分適切かどうかということについては問題のあるところでございまして、それは折々の改定によって是正をされている、その中で検討されることだ、このように理解いたします。
#224
○児玉委員 ただいまのお答え、非常に重要なお答えだと思うのです。医師がみずからの高度の専門家としての職業的な判断から、もしその医師が大学病院にいたとしますよ、この患者は引き続いて自分の病院で診ていきたいと思うときに、それに対する経済的な強制力が働きますから、その部分について特例的措置を講ずるということであれば、古市さんのおっしゃることはそのとおりだと私は思う。その特例的措置を講ずる必要が今あるのじゃないかと思うのですがね。次の改定のときでなくて、現にそういうことが問題になっており、医療法の改正で難病患者の方が非常に危惧されている。そういうときに、高度の医療を長期にわたって必要とする患者については、診療報酬の扱いなどについても特例的な措置を講ずるということを明らかにされる、それが今必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#225
○古市政府委員 この法案を成立させていただきました後に、特定機能病院なり療養型病床群の細かいところが最終的に決定され、それに従って診療報酬が議論されていくということでございますから、その中で先生の御懸念のようなこともあわせて十分配慮して検討される事項になろうかと思います。
#226
○児玉委員 次に、人員の配置について若干の質問をさせていただきたいのですが、長期の入院ということで皆さんが一つの法律上のくくりをなさっている。その長期の入院というのは、先ほど冒頭にお伺いしたことに関連するわけですが、病状安定期ということとほとんど事実上は重なっている。ところが、先日来黒木保険局長の御答弁の中には、療養型病床群に病状が急変する可能性のある老人以外の世代が入ってくる可能性もある。そこから診療報酬についても、単純に今の出来高払いをとっている例えば特例許可老人病院の(III)型といいますか、ああいったものをそのままというふうにはならぬというお話なんですが、そのあたりの療養型病床群が収容すべき患者像についてどういうふうにお考えになっているのか、もう少し立ち入ったお答えをいただきたいと思います。
#227
○古市政府委員 その中に収容されます患者というのは、具体的にというのは難しゅうございますが、例えば年齢を問わず、脳血管疾患が起こってその後のリハビリに向かう人たち、同じように心疾患など循環器系の人、また慢性関節リューマチの患者、変形性関節症など筋骨格系の患者さん、それから先ほど先生おっしゃいました骨折など、そういうような種類であろうかと思います。しかし、これらの単一の疾病名だけではなくて、多くの患者さんは幾つかの合併症を持っており、症状も千差万別でございますから、病状も動揺することがあるわけでございます。したがって、一律的に一般病棟にふさわしい疾患、療養型病床群にふさわしい疾患というわけにもいきません。また、期間でも決められないということから、主治医の判断で一番適切なところに一応指示をしていただく、こういうことに説明させていただいているわけでございます。
#228
○児玉委員 皆さんが診療報酬の改定で「「老人慢性疾患」の範囲について」というのをお出しになっていて、そこでは高血圧症、糖尿病、貧血、痴呆、慢性気管支炎、慢性関節リューマチなどが挙げられていますね。若い方も入ってくるとすると、これにあとどんなものが加わるのだろうかということについてお答えいただきたいと思います。
#229
○古市政府委員 今先生がおっしゃいました疾患はすべて六十五歳以上がなると限った病気じゃございませんで、若年性とつけば全部そういう人がいるわけでございますから、大体この医療法の中で老人病院ということで年齢を区切って、主に七割以上とやったところが大体無理があるんじゃないかという反省にも立っているわけでございまして、今回の療養型病床群という制度が定着しましたならば、この老人病床、老人病棟というものはその中に吸収していって差し支えないんじゃないか、このように思っております。
#230
○児玉委員 今のお答えでも随分わかってきたんですが、いわゆる病状安定期とかそれから慢性症状とかいろいろ言われますが、結局のところ、長期に入院を要する患者というふうにくくるのがもしかしたら自然じゃないかと思いますね。
 そうなってきた場合の医師と看護婦の配置の状況。けさ外口委員が複数、八日以内の夜勤がこれで可能になるかという観点からの御質問があって、非常に興味深くお聞きしておったんですが、医療供給の厚さ薄さという点で、若い人も入る、そしてかなり高齢の方も入る、症状についてもさまざま。それを現在の百床当たり医師六名、そして資格を持っている正看護婦、准看護婦二十五名、それを医師についていえば一挙に半減、そして看護婦さんについていえば二十五人を十七人にする、そういうふうに薄くして、皆さんが今構想されている療養型病床群が国民の期待にこたえられる医療施設になるんだろうか。私はならないんじゃないのか。ここのところが今度の医療法改正の中での最大の問題点だ、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#231
○古市政府委員 療養型病床群に対する看護職員の配置につきましては、今先生が申されました以外に、現在の医療法では全然規定しておりません看護補助者という人をこの法律に書いて、配置標準数を定めるということで、さらに看護婦さんが患者六人に一人だけでなくて、患者六人に一人の看護補助者を入れるということから、全体の数はふえるということでございます。
 それで、先ほど来御説明しておりますように、この病棟に入られます方は、症状が変化して常時医療上の監視の目を離せないというのとは様子が違いまして、看護、医療よりも、どちらかというと介護、日常的なケアということにウエートが置かれる人たちが入られる。そうとするならば一律に看護婦四、一ということではなくて、六、一の看護婦と六、一の補助者、全体では三、一と手が厚くなる。また部屋も広くなる、食事もベッドの上で食べるのではなくて食堂をつける、そこで食べる、リハビリ訓練室もある、そういう医療施設環境が必要ではなかろうかということでつくったわけです。しかも、これは医療機関の申請に基づくことでございますから、一方的、強制的にやるということじゃございませんで、そういうオプションを提供して利用していただきたい、このような提案でございます。
#232
○児玉委員 難病患者の皆さん方は、医師が必要だと思う医療機関で引き続いて治療を受けたいと念願されていますが、もしこの医療法の改正が実施に移されれば、かなりの部分が療養型病床群に行くのではないかというふうに危惧されているようです。
 そして、局長が今おっしゃった看護と介助の問題について、私がお会いした方が先ほどのALSに関連して、患者さんに食事を食べさせるというときに、この病気では舌の動きが悪く食べ物を口の奥に持っていけない場合、持っていけてもそこで飲み下す反射が起きない場合、それでもなおかつ食べさせようとすると誤飲性の肺炎を起こすことが少なくありません。ですから、重度の神経難病の方の介護というのは、実際は看護そのものであって、介護にかえられないというふうに指摘をされています。だから、看護職員が手厚いから大丈夫だということは説明にならないんですが、どうでしょうか。
#233
○古市政府委員 先ほど来、疾病とかそれから疾病名、疾病群、年齢で一律に言えないと申しましたのは、いわゆる難病にもいろいろございますし、それから疾病名を限っても、その症状によっていろいろな段階があろうかと思います。したがいまして、ある段階では、難病の患者さんによりましては療養型病床群というのがふさわしい人もおりましょうし、またある時期は、極端なことを言ったらICUに入れないといけないという状況もありましょう。それはやはり医師の判断によって適切なところに収容されざるを得ないということで、その病名によって扱いを一律的にやることは間違いであるということは、先生の御指摘のとおりかと思います。
#234
○児玉委員 そろそろ時間のようですから、最後に大臣にお聞きしたいのですけれども、きょうの私の質問で、ある患者がどういう医療施設で治療を受けるのが一番いいのか、それは医師の判断にまつのが最も適切だ。そして現在の診療報酬の体系その他でそれが困難になる場合に、そのことについては速やかな機会に検討することもあるだろうというお答えがありましたが、これは非常に重要だと思います。大臣として、その点をぜひ政治家として力強くフォローしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
#235
○山下国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、今回の制度の改正は主としてハードの面においてまずやるわけでございますけれども、逐次ソフトの面でもまた今後十分考えていかなければならぬと思いますが、現段階において実際にどこにどうするというような問題につきましては、これは担当の医師が判断すべき問題であると私は思います。
#236
○児玉委員 ですから、その担当の医師の判断が経済的な強制力によって困難になるような事態が現在あるわけですから、そこを直さなければいけない。そうでなかったらだめですよ。どうですか。
#237
○山下国務大臣 そういうことはないようにしてまいらなければならぬと思います。
#238
○児玉委員 では、終わります。
#239
○牧野委員長 次回は、来る五月八日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時八分散会
     ――――◇―――――
  〔本号(その一)参照〕
    ―――――――――――――
   派遣委員の愛知県における意見聴取に関す
   る記録
一、期日
   平成四年四月二十日(月)
二、場所
   名古屋クレストンホテル
三、意見を聴取した問題
   医療法の一部を改正する法律案(第百十八
   回国会、内閣提出)について
四、出席者
 (1) 派遣委員
   座長 牧野 隆守君
      岡田 克也君    住  博司君
      持永 和見君    外口 玉子君
      土肥 隆一君    大野由利子君
      柳田  稔君
 (2) 現地参加委員
      網岡  雄君
 (3) 現地参加議員
      今枝 敬雄君    久野統一郎君
      田辺 広雄君    川島  實君
      草川 昭三君
 (4) 政府側出席者
        厚生省健康政策
        局長      古市 圭治君
        厚生省健康政策
        局総務課長   伊原 正躬君
 (5) 意見陳述者
        愛知県医師会副
        会長      大輪 次郎君
        愛知県がんセン
        ター病院内科診
        療科医長    福島 雅典君
        名古屋工業大学
        教授      山本  勝君
        藤田保健衛生大
        学病院長    馬嶋 慶直君
 (6) その他の出席者
        厚生委員会調査
        室長      高峯 一世君
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#240
○牧野座長 これより会議を開きます。
 私は、衆議院厚生委員長の牧野隆守であります。
 私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いしたいと存じます。
 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言あいさつを申し上げます。
 皆様御承知のとおり、当委員会におきましては、医療法の一部を改正する法律案の審査を行っているところでございます。当委員会といたしましては、本案の審査に当たり、国民各界各層の皆様から御意見を聴取するため、御当地におきましてこのような会議を催しているところでございます。
 御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわりませず御出席をいただき、まことにありがとうございます。忌憚のない御意見をお述べいただくようお願いいたします。
 まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
 会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。
 なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序につきまして申し上げます。
 最初に、意見陳述者の皆さんから御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
 出席委員は、自由民主党の持永和見君、岡田克也君、住博司君、日本社会党・護憲共同の外口玉子君、土肥隆一君、公明党・国民会議の大野由利子君、民社党の柳田稔君並びに現地参加委員として日本社会党・護憲共同の網岡雄君、以上でございます。
 なお、現地参加議員として、今枝敬雄君、久野統一郎君、田辺広雄君、川島實君、草川昭三君、これらの方々が出席されております。
 次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。
 愛知県医師会副会長大輪次郎君、愛知県がんセンター病院内科診療科医長福島雅典君、名古屋工業大学教授山本勝君、藤田保健衛生大学病院長馬嶋慶直君、以上の方々でございます。
 それでは、大輪次郎君から御意見をお願いいたします。
#241
○大輪次郎君 愛知県医師会の大輪でございます。
 本日は、現在国会に提出されまして、衆議院厚生委員会で審議中の医療法改正案につきまして、名古屋市での公聴会に意見発表の機会をいただきましたことを感謝申し上げます。
 医師の身分、権利、義務を規定した医師法と並びまして、医療法は、医療機関の施設基準、開設者、管理者、国及び都道府県の義務を規定した医療に関する二本柱の法律でございますが、何分にも昭和二十三年に制定されたものでございまして、急速に変化するもろもろの社会情勢にそぐわない部分も多く、改正の必要があることは私ども医師、医療担当者も認めるところでございます。
 昭和六十年第一次改正におきましては、医療圏域の設定、必要病床数の算定を主軸といたしました都道府県保健医療計画の策定が行われました。今回の第二次改正案では、医療提供の理念規定、医療施設機能の体系化、医療に関する情報提供の拡大、医療関連業務の委託、医療法人の業務範囲の一部拡大等が含まれているようでございます。
 まず、第一番の医療提供の理念規定について申し上げます。
 日本医師会及び愛知県医師会では、従前から医師と患者の信頼関係を医療の根源といたしまして、地域包括保健医療・福祉システムの構築を目標として、医療機関の機能分担と連係、在宅ケアの推進等についての提言、モデル事業、そして一部地域では具体的事業として進めているところでございます。
 今回の改正案に示されました医療提供の理念規定では、今後の医療の目指すべき方向として、生命の尊重、個人の尊厳の保持、医療担当者と患者の信頼関係に基づきまして、患者の病状に応じた適切な包括的保健医療を、医療施設や患者の居宅において効率的に提供することとしています。そして、その実現のための国及び地方公共団体、医療担当者、医療施設の責務を提示しています。これは日本医師会、愛知県医師会の目標としますところに合致いたします。全面的に賛同するところでございます。
 なお、理念規定の中で、老人保健法により規定された老人保健施設を医療を提供する施設の一つであると規定されておりますことは、かねてから医師会が主張していたところでもございます。
 第二番目に、医療施設機能の体系化について申し上げます。
 近年の急速な人口高齢化、疾病構造の変化、医学医療技術、医療機器の飛躍的な進歩、医療機能の専門化、細分化、そして国民の医療ニーズの多様化などによりまして、従来の医療法に規定された一般病院、精神病院、結核病院、らい病院、伝染病院、有床診療所、無床診療所という医療施設の区分では対応し切れなくなっております。では、これらをどのように再編成し、体系化するかにつきましては、なお広く議論の行われているところでございまして、最終的な結論は出されておりません。しかし、その第一歩として、高度医療を必要とする患者を対象とした特定機能病院と、病状は安定しているがなお長期入院を必要とする患者を対象とした療養型病床群を規定することは妥当と考えます。
 しかし、特定機能病院について申し上げれば、まず、その制度の仕組みでは、紹介外来を主体とするということでございますが、その比率については規定されておりません。紹介外来患者比率の規定がなければ、特定機能病院への一般外来患者の集中傾向は依然として改まらないばかりでなく、三時間待ちの三分診療を改善しようとする所期の目的は達成されません。特定機能病院と一般病院、診療所との連係システムの構築とともに、認定承認基準の中で紹介外来患者比率を規定することは絶対必要であると私どもとしては考えております。
 また、療養型病床群につきましては、現在、健康保険法に基づく診療報酬によって規定されております、つまり入院日数による区分、それから老人保健法に基づく老人病院、これは特例許可そして重点指導対象病院といったものが含まれますが、それから老人保健施設などとの整合を図る必要があると思います。これは十分整理しないと混乱を招くおそれがあると思います。
 また、療養型病床への患者の転床などにつきましては、三カ月以上経過した患者などと日数で限定するのではなく、患者の意思を尊重した上で主治医の判断に任せるべきであると考えます。
 三番目に、医療に関する情報の提供につきまして申し上げます。
 情報化社会の今日、医療に関する情報はなお閉鎖的でございまして、そのため国民の誤解を生むことも少なくありません。また、医療そのものも、医学医療技術の進歩に伴い、細分化、多様化して、一般国民に理解しにくい部分も多くなってきています。そのため医療に関する正確、適切な情報を患者に提供することは必要なことであり、医療情報の拡大につきましては基本的に賛成いたします。ただし、拡大すべき情報の内容につきましては、どこまでを義務づけ、逆に広告的な部分についてはどこまでを規制するか、これは今後、学識経験者、日本医師会などの意見を十分に勘案し、医療審議会の意見を聞いて定められることになると思われます。しかし、地域の状況もあり、また過大宣伝のチェックも必要です。こういったことは地域でなければ難しいと思います。したがって、都道府県と地域医師会との話し合いで定められる余地を大きく残していただきたいというふうに考えております。
 また、標榜診療科名の規定につきましては、従来法定であったものを政令で定めるということになっております。日進月歩の医学医療の進歩に対応する柔軟性を与えたと言えますが、一方では、現状では各学会の専門医、認定医の基準も千差万別でございます。また、取得後の生涯研修につきましてもさまざまでございます。このような状況下での診療科の選択と認定にはかなり問題がございます。政令での決定につきましては、今後十分検討され、具体的な現場の声を反映していただきたいと考えております。
 四番目に、業務委託の水準の確保ということでございます。
 医療の進歩による複雑化、細分化、多様化に伴いまして、また、国民の生活水準の向上に伴うニーズの多様化、高度化も相まちまして、医療の周辺には医療担当者が直接対応し切れない業務が増大してまいりました。このため、このような業務の委託を受けて行う企業の参画が目立ってきています。検体検査、寝具、医療機器などの消毒滅菌、給食、医療廃棄物処理などの直接医療関連部門を初めといたしまして、入浴サービス、介護者派遣、療養介護機器のリース、販売、こういった生活関連部門、また、がん保険、介護保険などの金融保険部門まで、種々雑多な企業が参入を計画しております。しかし、非営利を規定された医療に営利を目的とする企業が参入するためには、当然的確なチェックが必要となると思われます。現在、厚生省の指導のもとに、日本医師会、各種企業の参画した医療関連サービス振興会が設置されまして、その任に当たるべく業務を開始しています。愛知県でも、愛知県医師会の提唱によりまして、県衛生部、民生部の応援をいただいて、各種企業とともに医療関連ビジネス研究会を開催し、医療関連ビジネスの水準確保と健全な育成に努めているところでございます。
 今回の改正によりまして、これら企業のうちで特に医療関連性の強いものについては、政令並びに省令で規定するということはまことに適切で、時宜を得たものと考えます。今後も医療関連サービス振興会も全国的にネットワークを進め、医療法の規定と連係して、医療関連ビジネスの水準確保と健全な育成に当たることを期待しています。
 最後に、医療法人の業務範囲の拡大ということが含まれておりますが、医療法人に対する非営利性への規制は、従来の医療法では、いわゆる学校法人、宗教法人等に・比べまして格段に厳しく、かねてから規制緩和の声が強かったところでございます。今回の改正で、疾病予防のための施設設置を認めることについては賛成いたします。しかし、今後無条件に拡大を認めるのではなく、営利に走るおそれのある事業は除外し、単に医療経営の安定を図るに足る範囲で、医療関連事業に制限すべきであると考えます。
 以上申し述べましたように、今回の医療法改正案につきましては基本的に賛成いたします。ただし、政令、省令にゆだねられました細部につきましては、私ども地域医師会としてもいろいろ意見もございます。また、地域特性に応じ、地域住民の声もございます。それぞれの項目、たしか二十七項目ぐらいあると思いますが、これにつきまして、現場の意見を十分に聞いて政令、省令が発令されますよう、国会議員の先生方並びに厚生省の御理解と御協力をお願いする次第でございます。また、特に医療施設機能の体系化の問題につきましては、現在なお議論のあるところでございますから、各界の意見を十分聞いて、今回の第一歩から次の段階に進むに当たりまして、慎重に改正をお考えになるようお願い申し上げます。
 以上でございます。どうもありがとうございました。
#242
○牧野座長 大輪先生、ありがとうございました。
 次に、福島雅典君にお願いいたします。
#243
○福島雅典君 愛知県がんセンターの福島でございます。
 今回、日本の医療にとって非常に重要な、しかも時代のニーズにこたえるという形のこの医療法の改正に関連して意見を述べる機会をいただきましたことを、心から感謝いたしております。
 今回の医療法の改正は、日本の医療を高齢化社会に向けて適切に対応できる堅固なものに構築し直すという意味と、それからいや応なしの国際化に対してきちんとした対応のできる医療にするということと、情報化社会に大きく変わりつつあるこの日本の中で、医療というものをその時代にマッチしたものに、国民のニーズにこたえられるものに変えていくという非常に大きい、重要な意味を持っているというふうに認識しておりまして、今回の医療法改正は、まことに時宜にかなった大変結構なものというふうに考えております。
 ここで、この医療法改正に関連して、理由ということで三点述べられております。第一点は、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保するということ、つまり、医療の質を向上するということを大きな目標に掲げ、そして医療に関する理念を明確に規定するということが第一点。二番目は、療養型病床群制度と特定機能病院制度を創設して、従来から指摘されておりました日本の医療は機能分化していないという点に対してきちんとした方向づけをしようという、非常に重要な法的な枠組みの提示ということがあります。それから、それらを保障するために、情報を公開するということを明確に打ち出しています。この三点は相互に連関しておりまして、切り離して考えることができるものでございません。
 そこで、まず第一に、情報を公開するということが、やはり機能分化を病院間に求めた場合に、どうしても患者さんの側がきちんと自分たちで病院を選択し、医療を選択し、さらに自己決定をしていく上で不可欠のものであるということから、この情報公開を明記するということは極めて重要なポイントになってきます。医療の中でこの情報公開ということを考えましたときに、これは従来から各界で指摘されておりますインフォームド・コンセントを理念の中に取り入れるということを必然的なものとして要請するものと考えます。
 といいますのは、医療の中で説明と同意というのは、既に日本医師会が一九九〇年一月に報告書でそれを推進していくという方向をまとめて、その時点で日本の医療は大きく、従来の一言で言えばパターナリズムといいましょうか、お任せ型の医療から、患者さんが医療の主体として参加していく近代的な医療に転換しつつある。現在もう既にその方向で転換しているというふうに私は認識しておりますので、そのことをこの医療法の中で明確に理念の中に規定するということは、画竜点睛といいましょうか、この医療法のねらいを成功させる上でも最も重要なことというふうに考えます。
 また、医療がこれからは国際的なものとして問われることになりますので、どうしてもこの説明と同意というものを医療の中心に考えないと、患者さんと医師との関係についてもいろいろな問題が生じてくることが予想されます。そういうことで、この医療法の理念の中にやはり説明と同意という、日本医師会が推進しようとする方向であるそのキーワードをどうしても入れるということが、この医療法を、特にその理念である機能を分化させていくという方向づけの中で、患者さんが適切に知る権利を行使して自分の病院を選択する、ともするとこういうような機能分化をすることによって病院間に格付が生じて、選択しにくくなるのじゃないかという懸念がございますので、その辺を保障する上でも重要だというふうに思うわけであります。
 次に、この医療法の中の一番重要な機能分化に関する規定でございますけれども、日本の医療の中で最も機能分化がおくれているというのは、言うまでもなく医薬分業でございます。そういうことですから、まず病院間の機能を分化させる。その中で、その機能が十分客観的に妥当なものとして機能するようにするためにも、今日のように薬の数が多く、量が多いような状況で、医師がそのすべての薬に関する情報に責任を持つというのはもう既に限界に来ておるということもございますし、客観的に、医師と患者さんとの間に入りまして、薬剤師がその機能を分担するということはもはや現代の医療においては当然のことでありますから、ぜひともこの機能分化の中に医薬分業ということを念頭に置いた形での記述が法案の中には必要であろうと考えます。
 具体的には、法案の中に出てきます医師、歯科医師その他医療関係者というふうにあるのを、医師、歯科医師、薬剤師、看護婦及び他の医療関係者というふうにした方がいいのではないか、具体的にはそう考えます。
 看護婦の役割は医療の中において極めて重要でございまして、特に今日、看護婦不足ということもありまして、今後の高齢化社会に向けて看護婦の機能を独立したものとして強化して、薬剤師とともに、医師と薬剤師、看護婦のパートナーシップを機能的に確立していかないと、この医療法の改正の趣旨を将来にわたって上手に生かすことができないというふうに考えております。
 最後に、この医療法の中で、特に病院、診療体系の機能分化ということについて触れますと、特定機能病院イコール大学病院というような図式が何となく描かれているわけですけれども、実際私ども現場で見ておりますと、現在、特に国公立大学の医療の地盤沈下というものは大変憂慮すべきものがございます。現実に、大学病院には新しい機器がなかなか入りにくいということもございます。例えば、腎臓結石という病気がありますが、腎臓に石ができたとき、昔はこれを手術して取り出しておりました。しかし、今はこれを衝撃波でもって外から割って簡単に治すことができます。この衝撃波で石を割る器械、最先端の医療機器でございます。ESWLと申しますけれども、この機器も国立大学にはまだ入ってないところが随分多い。にもかかわらず、一般病院には相当な数でこれが入っております。日本のESWLの保有台数は世界のトップになっております。またMRIという先端の断層撮影の器械、これも世界のトップになっております。しかしながら、そういう先端の機器がなかなか現在のような大学教育制度のもとでは入りにくいということもございまして、一般病院の方が既に先端治療では進んでいるというケースがしばしばございます。
 そういうこともございますので、一律に特定機能病院イコール大学病院という形で特定機能病院のみを優遇するような行き方ですと、これはやはり患者さんにとってちっともいいことはないということになってしまいます。ですから、一般病院において特にすぐれた医療を行っているところに関しては、きちんとした支援をする体制が何らかの形で必要であろうというふうに考えます。
 また、昨年、厚生省の班研究で私ども明らかにすることができましたのは、例えば卵巣がんの三期の患者さんの過去の成績を全国、北海道から九州まで二十二施設で調査してみました。三期の卵巣がんですから、ほっておくと二年ぐらいで全例亡くなってしまいます。しかし、これに対してきちんとした治療を行えば、現在の最先端の治療を行えば、五年生存率として、ほぼ国際的に見ますと二〇%から三〇%まで得られる。つまり、十人のうち二人から三人までは治るレベルの治療が国際的には施されないといけない、こういうことになっているのですけれども、実際ふたをあけてみますと、五年生存率ゼロ%から五三%ぐらいまでに分布しました。
 つまり、現在、大学及びそれを主として行っているような先端的な病院においても、施設間に明らかに治療成績の差があるということは、これは医者の間では常識的なことだったのですけれども、実際に調べてみますと、そういうことがきちんとした客観的な事実としてつかむことができました。こういうことがございますので、一律に特定機能病院としてラベルしまして、それを一律に援助していくような形のものであってはならない、やはり厳密にその水準を評価することが必要であろうと考えます。
 それから、今日の日本の医療の中で、先ほど大輪先生が指摘されましたように、病診連係というものが求められているのにかかわらずなかなかうまくいってないというところで、この医療法に私どもが期待するところは非常に大きいものがございます。ですから、病診連係を各地域で上手に行っていくようなプログラムをつくらないといけない。つまり、病診連係とか患者さんの振り分けに関するソフトを何らかの形で開発していくように考えないといけない。
 そのためには、例えば先ほどの大学間のいろいろな疾病に対する治療成績に差があるというような調査、これは厚生省のがん助成金による研究班の仕事なわけですけれども、こういうような助成金をやはり各地域の病診連係、医師会と基幹病院あるいは特定機能病院になるような大学病院とかがんセンターとかというところで、そのネットワークをどういうふうにつくるかというような研究も開始する必要がある。そういうための助成金を今後相当な額で考えていただきたいというふうに思うものであります。
 それから、最後になりますけれども、この機能分化という問題は、既に米国では三十年以上前から営々と築き上げておりまして、これは教育の問題を無視して語ることができません。医師、薬剤師、さらに看護婦の教育に関しまして、それは言ってみますればほとんど手つかずでございまして、戦後今日まで、例えば工学部は非常にたくさんの科ができました。ところが、医学部は解剖学一、二、三、内科一、二、三で、これは基本的に枠組みが変わっておりません。機能分化をしていくということと関連しまして、日本における医学教育は抜本的に考え直す必要があると認識しております。これは薬剤師の教育に関しましてもしかりでありまして、また看護婦の養成に関してもしかりでございます。これは二十一世紀の医療を展望した上で、今から相当努力して準備する必要があるというふうに認識しております。この機能分化と体系化を成功させる上でも、どうしてもこの問題は避けて通れないというふうに考えます。
 例えば病診連係をとりましても、今の教育体制では肝心かなめのゼネラリスト、全人的に医療を診られる家庭医、開業医の先生というのを養成することが非常に難しくなっておりまして、大学を卒業するとすぐ内科にフィックスして外科のことはさっぱりわからぬ、お産のこともわからないということになってしまいますと、これはやはり患者さんにとって不利益以外の何物でもない。ですから、機能分化と関連して、ゼネラリストの養成を含めまして、大学の教育の問題は抜本的に手をつける必要があるというふうに考えます。
 以上でございます。ありがとうございました。
#244
○牧野座長 福島先生、どうもありがとうございました。
 次に、山本勝君にお願いいたします。
#245
○山本勝君 私は、名古屋工業大学でシステム工学講座を担当しております山本でございます。
 私は、地域医療システムの視点から、またこの十五年間、愛知県における地域医療システムに参画してきた経験から、今回の医療法改正に対する見解を総論的に述べさせていただきます。
 御承知のように、二十一世紀高齢社会に向けて、医療を取り巻く諸状況は大きく変わってきております。特に、国民の医療及び保健福祉に対するニーズはますます高度化、多様化してきております。これに対して我が国においては、医師を初め多くの地域医療関係者らの努力により、医療資源、医療技術は着実に整備充実されてまいりました。しかしながら、一方では医療資源の有効利用、地域格差、看護婦等の人手不足など、幾つかの重要な問題が未解決となっておりますのも事実でございます。
 さて、産業界では、一般消費者の商品あるいはサービスに対するニーズ及び価値観の時代変遷は、その商品、サービスを所有するだけで満足していた時代から、これを名詞の時代とある人は言いますが、その商品、サービスに対して多機能性、効率性、高度性を要求する時代へと、これを名詞の時代に対して動詞の時代と言いますが、さらに現在では、多機能、高品質に加えて優しい、美しい、楽しい、心地よいなどの条件を備えた商品、サービスを求めるいわゆる形容詞の時代へと消費者の価値観は変わってきていると言われております。
 これを医療サービスに対する国民のニーズ、価値観に置きかえて考えてみますと、ぜひ我々の町にも病院が一つぐらい欲しいといった名詞の時代の医療ニーズから、今やこういう機能を持った病院が欲しい、こういうサービスをしてくれる施設が欲しいといった動詞の時代へと、そしてさらには親切で優しい医療サービス、きれいな病院、心豊かな施設、快適で便利な施設などを要望するいわゆる形容詞の時代へと、国民の医療サービスに対するニーズ、価値観は変化してきていると言えるのではないでしょうか。
 このような医療を取り巻く社会状況並びに国民の価値観の変化の中で、昭和六十年の医療法改正で、各県において地域保健医療計画の策定が義務づけられたことは、まことにタイムリーで適切な法改正であったと高く評価しております。しかしながら、この地域医療計画において、必要的記載事項よりもっと必要であり、そしてもっと重要であると考えます、いわゆる任意的記載事項に関する具体的検討と各地域での地域特性を配慮した地域医療システムの実施が、地域関係者らの努力にもかかわらず、なかなか計画どおりには進んでいないのが現状であります。
 ここ愛知県におきましても、これからの社会状況と愛知県の地域特性を踏まえ、県民に対していかに良質の保健医療及び福祉サービスを効率よく提供していくか、そしてそのためにはどのような保健医療及び福祉供給体制、すなわち、地域医療システムを構築していくのがよいかを地域関係者が一致協力して進めているところであります。
 このとき、地域医療システムづくりにおける三つの重要なキーワードは、参加と連係と調和であると考えます。すなわち、これまでの保健医療・福祉関係者とともに、新たに地域住民及び民間活力などを含むより多くの人々からの積極的な参加により、地域医療システム全体の目的と理念に基づいて、調和と信頼関係のとれた連係ネットワークづくりをそれぞれの地域特性の中で積極的に進めていくことが最も大切であります。
 今回の医療法改正においては、この参加と連係と調和の精神にのっとり、国民のために開かれた地域医療システムの構築へ向けての理念と方向が明確に示されており、まことに適切であると考えます。
 また、二十一世紀の地域医療システム構築のためには、次に挙げます四つのシステム化課題に対する具体的施策の展開が必要かと考えます。
 その一は、在宅ケアの充実、かかりつけ医、保健婦らを中心としたプライマリーケア体制の整備充実であります。その二は、整合性、一貫性、継続性のある各種保健医療・福祉サービスを効率的かつ効果的に提供していくための連係体制づくりを中心としたネットワーク体制の整備充実であります。その三は、住民の健康教育、健康意識改革、参加意識及び保健医療・福祉におけるマンパワーの確保と育成並びにこれらの人々の信頼関係、協力関係を構築していくための人的資源の開発と育成向上であります。最後にその四は、以上述べました三つのシステム化課題の積極的な実践を情報面から支援していくために、必要な情報を必要な人に、必要なとき、効率的に提供していくための情報支援体制の整備が必要不可欠であると考えます。
 県下あるいは各地域におきまして、この四つのシステム化課題の実践があって初めて、地域医療計画の目的であります地域住民、患者の症状及び置かれている状況に合った良質な各種の保健医療及び福祉サービスを効果的に、そして効率よく提供していくことが可能となってまいります。
 また、これらのシステム化課題の中で、特にネットワーク体制の整備充実における具体化の一つとしての医療機関間における適切な機能連係を推進していくことが強く望まれます。しかしながら、愛知県医師会が昨年行った「保健・医療・福祉関係者における連携意識調査分析」結果によりますと、医師にとって連係の必要性を最も強く感じる相手は、医師であると同時に、最も連係のしにくさを感じる相手も同じ医師となっております。また「連携促進の条件・課題」として医師からの指摘が多かった順に、なお三つまでの選択となっておりますが、第一位に医療機関間における相互信頼の確立、これが五八%、第二位に適切な機能分担、これが五七%、第三位に適切な情報提供、四一%、第四位に経営基盤・採算性の確保、三七%、第五位に住民・患者らの積極的参加、二六%の順となっております。
 確かに、医療機関間における適切な機能分担と機能連係は、車の両輪のようなものであります。また、それぞれの医療機関の置かれている立場あるいは諸事情により、すべての人々が、関係者が一〇〇%納得できる医療機能の分化と分担と連係を短時間で一気に実現することは非常に難しいことであります。
 以上のことから、地域医療システムの立場から見て、適切な医療機能分化、調和と関係者からのコンセンサスのとれた機能分担のあり方とその方法、客観的な機能評価と適切な機能公開の方法及び医療機能の特徴と目的に応じた効率的な運営並びに連係方法等に関する制度面、情報面、人間関係面からの弾力的な配慮が必要となってくると考えます。
 このような観点からも、今回の法改正での特定機能病院及び療養型病床群の設置は、病院機能の分化と分担における両端として、また今後の機能分化の拡大並びに体系化への第一歩として、極めて適切な試みであると考えます。そして、この高度医療を行うための特定機能病院及び病状安定期にある患者のための療養型病床群には、それぞれの設置目的及びそれに課せられた本来の機能、役割にふさわしい患者が優先的に利用できるメカニズム、仕組み、運営方法を、それぞれの地域特性及び当該病院の特性、諸事情を十分配慮しながら検討していくことが、地域医療システム全体の視点から見て重要かつ本質的であると考えます。また今後は、住民、患者からの多様化、高度化してきた医療ニーズにこたえられる整合性のとれた医療機能の適切な分化、分担と連係に関する医療法の計画的かつ継続的な改正を期待するものであります。
 次に、地域医療システムの観点から見て、二十一世紀に向けて地域における包括的な保健医療・福祉システムを構築していくためには、次の四つの方針あるいは課題が重要と考えます。
 その第一は、住民、患者の立場に立った地域医療のシステム化理念、目的の確立、すなわち地域医療システムにおけるフィロソフィーの確立であります。第二は、患者と医師及び保健医療・福祉関係者間における信頼関係、協力関係の確立、すなわち地域医療システムにおけるヒューマンウエアの確立であります。第三は、効率的で効果的な運営、組織、制度、すなわち地域医療システムにおけるソフトウエアの整備充実であります。第四は、適切ですぐれた施設設備、技術、すなわち地域医療システムにおけるハードウエアの開発と整備充実であります。
 これまでの、どちらかといえば医療施設等のハードウエア面における量的な整備充実に加えまして、これからの厳しい社会状況の中で、また先ほど紹介しました動詞の時代、さらには形容詞の時代の国民の医療ニーズ及び価値観にこたえられる、より良質で信頼できるバラエティーに富んだ医療サービスを公平かつ効率よく提供していくことができるためには、今後は特に地域医療システムにおけるフィロソフィー、ヒューマンウエア並びにソフトウエア面における整備充実が必要かと考えます。これが今回の医療法改正のねらいとする量から質への、物から人への、ハードからソフトへの質的転換であり、二十一世紀高齢社会における地域医療システム構築に向けての理念、方針かと考えます。
 今回の医療法改正においては、医療提供における理念規定の整備、医療施設機能の体系化、医療に関する適切な情報提供のあり方、業務委託における水準確保など、この地域医療システムにおけるいわゆるフィロソフィー、ヒューマンウエア並びにソフトウエア面での改善、改革に対する考え、方向が盛り込まれており、高く評価したいと考えます。そして、今後さらにそれぞれの地域特性を十分に考慮しながら、この方針の積極的な推進に向けて、継続的かつ計画的に医療法改正を推進していただきたいと要望する次第であります。
 二十一世紀高齢社会の地域医療システムは、国民に優しいシステムでなくてはなりません。この国民に優しい地域医療システムの構築には、ただいま述べました四つの方針に対するバランスのとれた推進が必要であります。
 地域医療システムづくりはエンドレスであります。終点のない、終わりのない駅伝マラソンでもあります。地域医療システムに対する正しい理念とシステム思考に基づいて、できるところから、必要なところから、コンセンサスの得られるところから、一歩一歩着実に計画的に推進していくことが大切であります。
 また、地域医療システムは生き物でもあります。常に社会の変化とともに柔軟に発展していくことが必要であります。このため、地域におけるよりよい人間関係のもとで計画、実施、評価を継続的に繰り返しながら、住民の健康と幸せを守っていくための地域医療システムをステップ・バイ・ステップで構築していくことが目標でありまして、医療法並びに法改正は、このための有効な手段及び支援体制の一つとして、その本来の役割を果たしていくことを希望するものであります。
 地域医療システム工学の立場から、また同時に、愛知県において医療関係者とともに県民のための地域医療システムづくりに参画している一人としまして、今回の医療法改正に対する考えと要望を述べるとともに、今回の法改正の早期成立を強く要望する次第であります。
 以上をもちまして私の意見陳述を終わります。ありがとうございました。
#246
○牧野座長 山本先生、どうもありがとうございました。
 次に、馬嶋慶直君にお願いいたします。
#247
○馬嶋慶直君 ただいま御紹介いただきました藤田保健衛生大学病院長の馬嶋でございます。まず最初に、私のような者にこのような場を与えられましたことを、関係各位の皆様方に厚く御礼申し上げます。
 さて、今回の医療法の一部を改正する法律案について、法案趣旨であります患者の病状に応じた良質かつ適切な医療の供給体制の確立という基本的な考え方は大変いいことだと思いますし、高度医療には、私どもも既に現在も行っておりますが、さらに将来も、本法案の趣旨に従いまして積極的に参加したいと思っております。しかし、我々私立大学病院の立場から見ますと、実情は厳しいものがありまして、それについて二、三意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず一点は、医療施設機能の体系化についてでございますが、現行の医療法上では総合病院という区分があるだけでありまして、医療機能上の区分はございません。大学病院は、一般診療、高度医療の提供だけではなく、三つの側面といたしまして、一として医学部学生の教育、二として医師の卒後研修、それから三番目に医師の生涯教育、さらには臨床研究も行うと同時に、地元の住民や医師会などとのネットワークによる連係など幅広い役割を担っていまして、現在の医療制度を考えた場合に、医療をそれぞれの機能によって区分するということは必要なことかと思います。しかしながら、今後の医療界への影響を考えまして、この運用を誤れば本来の趣旨に反することにもなりかねないので、特に慎重に行わなければならないと考えております。
 今回の医療法の一部改正による特定機能病院の設定につきましては、将来の展望がやや具体的に不明瞭なために、若干の懸念があるのではないでしょうか。近年、インフォームド・コンセントとともに自己決定権が主張されている中で、患者が自由に医療機関、すなわち医師でありますが、それを選択する権利を損なうようなことになるかもしれません。これでは時代の趨勢に逆行しているのではないかと思います。仮に医療機関がおのおのの機能によって分類、体系化されたとしても、診療を受ける医療機関は、患者がそのおのおのの医療機関の機能や特性を十分に知った上で、自由に選択できるような姿が望ましいと考えるわけであります。この点について医療法の一部を改正する法律案では、医療の提供が重視され、医療を受ける側である患者の意思がやや軽視されており、患者不在になっているのではないかと推測をする次第でございます。
 二点といたしまして、大学病院が地域医療に果たす役割でございますけれども、大学病院自体は、特定機能病院として一般病院、診療所の紹介による受診が基本と定義されておりますが、現在のところではその実情はやや異なっていると考えられます。
 例をとるならば、私どもの大学病院では常に先端の高度医療に取り組んではおりますが、高度医療のみならず、名古屋市あるいは東名古屋医師会等の地域医師会との病診連係システムの確立はもちろん、その他に関連病院、協力病院との連係を確立し、休日や深夜における救急患者の受け入れあるいは地元豊明市の休日診療所や名古屋市医師会と協調して深夜・休日急病センターへ医師を派遣するなど、関連の医療機関や医師会などとの綿密なネットワークにより、対外的にも地域に根差した患者のケアを受け持っているのが現状であります。
 例えば、国立がんセンターとか循環器病センターのような特定の疾病の医療だけを受け持つ医療機関とは異なった性格を持ちまして、私ども私立大学病院は、高度医療とともに、地元住民の期待を担って、市民病院的な性格も有していることを御理解いただきたいと思う次第であります。
 三点といたしまして、大学病院と医学教育に関してでございますが、従来医学部あるいは医科大学は、御承知のように教育、研究、診療を三本の柱として運営しております。そして、大学病院の大きな役割の一つである教育という側面において、医師やコ・メディカルの教育、養成も行っておるわけであります。医師の卒後研修、生涯教育、その他看護婦などの医療職の実習あるいは教育のために、高度医療はもちろん必要でありますけれども、プライマリーケアによる一般的疾病の医学教育も必要不可欠なことは今さら言うまでもないと思いますが、この点はいかがなものでしょうか。また、大学病院として、既に現在も先進高度医療に対して積極的に取り組んでおり、今後も意欲的に参加していくことは最初に述べたとおりであります。しかし、この高度医療のために要する費用は、御承知のように際限がなく、私立大学病院としましては、財政的にもこの費用の捻出には極めて苦慮していることが現状であります。
 第四点としまして、大学病院の運営費用についてでありますが、私立大学の運営に係る費用については、研究、教育費までもが大学病院の診療報酬によって賄われているという誤解が一部にあるようでありますが、診療報酬はあくまでも御承知のごとく基金などの査定のもとに請求されておりまして、病院運営のために用いられておりますことをこの際念のために申し添えておきます。大学病院の財政は、診療報酬だけでは病院を運営するのにも困難な状況にあるのが実情であります。
 五番目に、紹介外来制の導入に関する問題点でありますが、最初に大学病院の経済面について、この点にかかわって申し上げますと、最近の医療経済は非常に厳しい環境にあります。本年四月から改定されました診療報酬は、公称は五・四%の引き上げとされておりますが、実情を見ますと、諸物価や人件費の高騰により、また医学の進歩、それから高度化に伴う医療設備の充実のための費用などによりまして、私立大学病院の経営はますます苦境に立っております。こうした状況の折に外来の紹介制が導入されることになりますと、地域医療を分担しております私立大学病院の経営はますます厳しくなり、経営的な危機感を持たざるを得ないと思うわけであります。したがいまして、紹介外来制の導入に当たりましては、大学病院への財政上の措置に関しましても御配慮いただきたいとお願いする次第であります。
 次に、紹介外来制の導入の様式でありますが、紹介外来制におきますところの紹介の意味について、二、三の問題点があると思います。実際、現在、すなわち現実の状態でいいますと、現在では、医師というのはお互いに仲間意識が強いということがございますので、電話や名刺による簡単な紹介から、また時には詳細な検査資料あるいは患者さんの症状などを添付した書面による紹介まで行われております。今回どのような形の紹介をもって紹介とするのか、この点が極めてあいまいな感がするわけであります。また、仮にこの紹介制を実施するといたしましても、患者のホームドクターである医師が大学病院へ紹介するために、患者にその紹介料を請求することは、日ごろ診ておる患者さんでありますので、心情的になかなか難しいのではないかと考えられます。それからまた、主治医としてかかっているドクターに患者さんが、症状が悪いから他の病院へ行きたいということはなかなか言い出しにくい点があるのではないか、こういう点が考えられるわけであります。
 次に、この紹介患者の外来数に対する紹介率でありますけれども、紹介外来制による紹介率を五〇%程度にするという、一律化することについては、おのおのの大学病院の立地条件や地域性などにかんがみまして検討した場合には、それぞれの病院の実情があり、なかなか紹介率をコントロールすることは無理ではないかと考えるわけであります。と申しますのは、我々の大学病院でも、最初に申し上げましたように、やはり地域の医師会あるいは市民病院的な性格を持っておりますので、この点うまく運営できるのかどうかという疑問が残っております。
 それから、患者の意思によって来院した際に、五〇%を超えてしまうといって診療を拒否することはできないと思います。例えば、患者さんが診てほしいと言ってきた場合に、紹介状を持ってきた場合でも、きょうは、何月何日は五〇%を超えているからだめですよということは、医師としては病める患者さんにはなかなか言いにくいというわけであります。したがいまして、この紹介率というのは、地域の特殊性などおのおのの病院の機能や特性に即して柔軟に定められるべき性格、あるいは定めるべき性格のものではないかと思っております。
 以上、医療法の一部改正法律案における特定機能病院に関して意見を述べさせていただきましたが、私立医科大学病院としての悩みを率直に訴えた次第ですので、よろしく御高配いただければ幸甚に存ずる次第であります。
 なお、我々私立大学病院に関してのいろいろな訴えをしてまいりましたが、この件に関しまして、先週に名古屋で開催されました東海・北陸ブロックの全国の医学部長、病院長会議におきましても、国公立の大学病院でさえもこれと似たような意見が述べられておりまして、しかもある国立大学の病院長も、大学病院が高度医療を推進するに当たっての問題点として、さらに大学病院が置かれている財政上の問題についても、我々と同じような方向に向かっていろいろ御配慮いただきたいということを申しておりました。
 以上で、なるべく簡単に我々の本法案の改正に関しますことに対しまして御意見を申し上げまして、私の方の意見は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
#248
○牧野座長 馬嶋先生、どうもありがとうございました。
 以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#249
○牧野座長 これより委員からの質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。持永和見君。
#250
○持永委員 自由民主党の持永でございます。
 本日は、医療法の改正案につきまして、大輪、福島、山本、馬嶋の四先生には大変お忙しいところをわざわざおいでいただき、それぞれの御専門の立場から貴重な御意見をいただきましてまことにありがとうございました。常日ごろ、皆さん方には医学医術の進歩あるいは地域医療の確保のために力を尽くされておりますことに深く感謝を申し上げたいと思います。
 我が国の医療制度は、御案内のとおり、医療機関の整備だとか医師の確保、そういった問題では、欧米諸国に比べましても決して遜色のない水準に達しているのではないかと思いますが、医学医術の進歩は日進月歩、まさに今後ともかなりの勢いで続くと思いますし、また、人口の高齢化とか疾病構造の変化とかあるいは患者の大病院志向など、医療を取り巻く環境は大変な変化をしておりまして、そういった変化を踏まえての今回の医療法の改正であろうかと思います。ただ、今回の医療法の改正には、国会の審議の過程でもいろいろと問題が出てまいりましたけれども、政省令にゆだねられている事項が大変多いというようなことで、ぜひひとつこういった現場で医療を担当されておられます皆さん方の御意見を聞きながら今後の審議を進めていきたい、こういう気持ちでこの公聴会を開かせていただいたようなことだと思っております。
 それでは、時間も余りございませんので、要点を絞ってそれぞれの先生方にお伺いを申し上げたいと思います。着席のままでいいという委員部からの御連絡がございましたので、失礼いたします。
 まず、医師会の副会長をおやりになっております大輪先生にお伺いいたしたいと思います。
 今回の改正案の中で、先ほどもいろいろ議論ございましたお医者さんと患者との信頼関係、生命の尊重、個人の尊厳というのが基本にあっての信頼関係が保たれていかなければならないと思いますけれども、その一つとしてインフォームド・コンセントの問題がございます。このインフォームド・コンセント、いろいろ議論のあるところだと思いますが、すべての医療にこれを適用させた場合にも問題ないのかどうか、そういった点を大輪先生と、そして先ほど福島先生もその点お触れになりましたので、お二人の先生にひとつ御意見を伺いたいと思います。
#251
○大輪次郎君 大輪でございます。
 医師と患者の信頼関係という問題につきましては、これは古い昔から現在に至るまで変わることのない医療の根源でございます。そして近来、インフォームド・コンセント、つまり説明と同意という言葉が盛んに出てまいりました。これは、もちろんその信頼関係をつなぐ非常に重要な柱の一つであるということは私どもも認識しております。
 ただ、私ども申し上げたいのは、信頼関係は、このアメリカ式の契約の考え方もありますけれども、人間と人間との関係ということが一番大事な部分であると思います。そして八〇%のお医者さんは、その患者さんとの人間関係においてつながっていると思います。そういう面で、インフォームド・コンセントということを、あらゆる場合に必要であるというふうに法に規定することについては問題があると私ども思います。もちろん、医学教育あるいは医師の生涯研修、その他あらゆる場においてこのインフォームド・コンセント、同意と説明につきましては十分徹底していく必要があります。
 それからもう一点は、すべてを説明することが患者さんに対していい場合、あるいは診療上ちょっと問題がある場合、いろいろ出てくると思います。その辺の判断につきましては、やはり人間関係がつながった上での主治医の判断というところにお任せをいただきたい。そのためには、法に規定されるについては反対いたします。
 以上、お答えいたします。
#252
○福島雅典君 福島です。お答えします。
 医師と患者さんとの関係というのは信頼関係が基本であるというのは、それはもう議論の余地がないと思います。
 患者さんにすべての情報といいますか、悪い情報も含めて情報をきちんと伝えた方がいいかあるいは悪い情報は与えるべきでないかという議論は、ギリシャ時代のヒポクラテス、プラトンの時代からある議論であります。しかしながら、一九一四年、アメリカで、外科医によって、きちんとした説明と同意を受けずに患者さんが胃の腫瘍を摘出されるということがございまして、患者さんが、黙って同意なしに外科医が自分の胃を全部取ってしまったということで訴えた事件がございました。一九一四年に判決がありまして、医師が患者さんに対して医療行為をする場合には、同意を得ない限りそれは不法行為になるということがその時点で判決として出ました。以来、患者さんに医療行為を行う場合は、同意を得ることが原則となりました。
 あの第二次大戦中、ナチスの人体実験とか、残虐な医療の枠を超えたようなもの、そういう行為に対して、ニュールンベルグ綱領で、被験者の人権、患者さんの人権ということが強く訴えられるようになり、それからヘルシンキ宣言で、医の倫理としてインフォームド・コンセントは全世界共通であるということがはっきり明確になりました。ことしの一月だったか、羽田医師会長も、医の倫理は世界共通であるということをはっきりと述べておりますし、先ほど述べましたように、一九九〇年の一月に日本医師会も、インフォームド・コンセント、患者さんに対する説明と同意というのを医の倫理の軸に置く、そういうのを推進していくということを既にはっきり打ち出しているわけであります。
 実際に患者さんが不満に思うほとんどの理由は、説明が不十分である、わかりにくいということによっています。これは何も脳死、臓器移植だけでなくて、普通に風邪という診断を下して風邪薬を出す場合にも、どういう所見があるから風邪を考える、ひょっとしたら風邪でなくて別の病気の前兆かもしれない、そういうようなごく簡単なことの説明から、レントゲン写真を撮る、あるいはある検査をするということについての説明が一々不十分であるということで、多くの場合、誤解も含めまして、患者さんはそこで不満を持つということになります。
 したがいまして、説明と同意というのは、医師が患者さんと人間関係を築く中で最も重要なことでございます。これを実際に我々が臨床の現場で思っていましても、医師の方が十分説明したつもりでも、患者さんはまだ説明に不満足、まだいま一つわかっていないということがあって、それが後になって誤解となることもございますので、実際にトラブルを避けるためにも、説明と同意というものをはっきりとこの際打ち出した方がいい。
 また、機能を分化し、情報を公開するという場合でも、医療行為の現場では、説明と同意がその場合原則として最も重要なものになります。ですから、これを規制という意味ではなくて、理念としてその中に入れるのは、これは世界共通の医療における根源的な認識というふうに考えます。
#253
○持永委員 次に、今度の医療法改正の一つの大きな柱が医療施設の機能分化であろうと思います。その中で、いろいろと御意見がありました特定機能病院の問題でございますが、大輪先生の御意見の方は、紹介制を主として、特定機能病院の診療機能を今のような三時間待ちの三分診療、あるいは大学とか特定機能病院にあらゆる患者が集中するようなことは避けるべきだ、それが絶対不可欠なことだ、こういうような御意見であったかと思いますけれども、実際に担当されております地域医療、個々のお医者さんの、地域のお医者さん方の病院なり診療所の立場から、これはとても大事なことじゃないかと思いますが、その辺をどのようにお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
 また、馬嶋先生の方には、この特定機能病院の紹介制についていろいろと問題点の御指摘がございました。やはり紹介制外来というのが基本的には必要なのだけれども、いろいろ問題があるというようなお考えなのか、あるいは紹介制そのものが余りにも地域の病院の実態からして無理であるとお考えなのか、その辺をもう少し突っ込んでお話を承れればと思います。
#254
○大輪次郎君 この紹介外来制の問題でございますが、最初に申し上げましたように、紹介外来率だけをきちっと決めるということではなくて、特定病院それぞれの病院機能の評価があって、その機能に応じて連係システム、つまり、一般の診療所から、一般病院から特定機能病院までの連係システムを同時に構築していくことによる、それが第一点でございます。
 それから、地域の市民病院的な機能、それからもう一つは、医学教育に関して一般病が必要であるというような御意見もございましたが、まず地域の市民病院的機能と紹介外来制の率を決めるということは、それほど矛盾しないと思います。つまり、省令なり規定の中で逆紹介も紹介外来率に入れる。つまり、そういう特定機能病院へ一般の患者さんが行かれた。そうすると、これは地域のドクターで診てもらいなさいと言って紹介する逆紹介も紹介外来率というふうに考えれば、これはそれほど矛盾しないと思います。
 それからもう一つ、医学教育に関する一般病ということですが、紹介外来以外のものを例えば一〇%、五%というふうじゃなくて、少なくとも半分は一般病の方が見えるということであれば、教育に直接は影響は少ないと思います。
 また、病院の運営に関して、いわゆる特定機能病院に来る高度医療について経費が非常にかかる、したがって、この問題についてというようなお話もございましたが、大学病院における医学教育、医学研修については、これはむしろ国、文部省の方でお考えになるべきことであって、その費用まで賄うためのいわゆる報酬体系というものはむしろ問題であろう、以上のように考えます。
#255
○馬嶋慶直君 それでは、ただいま私が申し上げました中にも、最初に申しておりますが、もちろん紹介制を含んだ本法案の一部改正に関しましては、基本的にその考え方はよいと思っております。しかしながら、ただいまも大輪先生がおっしゃいましたように、私ども大学病院というのは、医学部の附属病院あるいはまた別個な形の医科大学病院も、やはり医学教育というものはこれを無視することはできないと思います。もちろんこの医学教育には、医学部学生の教育もございますけれども、卒後の医師の研修の問題、これを含めますと、これは必ずしも無視できないことと思います。
 それから、地域性の問題でありますけれども、これは各大学病院の所在の位置によって違ってくると思います。特に、都市周辺あるいは都市から少し離れたところの地域性を持った病院でございますと、先ほど私が申しましたように、どうしても市民病院的な性格を持っておりますので、必ずしも紹介制が円滑に行われるかどうかは疑問だと思います。まして、五〇%にしてはどうかという御意見でございますけれども、この辺のコントロールはなかなか難しく、この紹介率のパーセンテージというものは、これは一律にかけるのではなくて、それぞれの大学病院の地域性あるいは特殊性にかんがみて検討していただければいいかと思っております。
 以上でございます。
#256
○持永委員 それでは次に、これからの日本の社会の中で医療あるいは福祉というものを考えていく場合に、先ほどもお話ございましたが、保健、医療、福祉というのがシステム的に一体化して、体系的に整合的に推進されなければならない。そういった意味での保健医療・福祉サービスの充実というのが問われている・時代だと思っております。
 そういう意味で、今回病院機能の体系化の一つとして制度化されようとしている療養型病床群の問題でございます。これについて老人医療という面から見てみますと、あるいは高齢者に対するサービスという面から見てみますと、例えば老人保健施設、それから特別養護老人ホーム、療養型病床群、こういうようなサービスの担い手というのがあるということになるわけでございますが、こういった療養型病床群についての老人保健施設なり特老との機能の役割分担、こういったものについてどういうふうにお考えなのか、地域医療の担当でございます大輪先生の方から、愛知県の実態などを踏まえながらひとつ御説明をいただきたいと思います。また、保健医療システムのシステムエンジニアでございます山本先生からも、この点について御回答いただければと思います。
#257
○大輪次郎君 先ほども申し上げましたように、療養型病床群というのは、一般病院の中でもそれほど高度な医療は必要ないがまだ長期の入院を要する、そういう患者さんをその病床群に転床させるということでございますが、これにつきましては、従来の老人保健法に基づいて老人病院というのが規定されております。この老人病院という中にも、また特例許可、それから特例許可外、この許可外というのはもう間もなくなくなるようでございますが、それにかわって今度は重点指導対象病院という取り決めも行われるようになっております。また、老人保健施設、これも老人保健法の方で規定されまして、一体これがどういうふうに整合していくのかということにつきましては、私どももある程度疑問を感じております。むしろ省令その他によりまして、ここをはっきりこうなんだということをお示しいただかないと、私ども戸惑う部分があると思いますし、実際に老人保健施設あるいは老人病院をおやりになっている先生方は、今非常に混乱を来しておられると思います。
 それからもう一つは、福祉の方で行われております特別養護老人ホーム、これとの関連につきましても、現状でも老人保健施設とそれから特別養護老人ホームにどこに線を引くのか、つまり、医者がいるかいないかだけの問題じゃないかというような感覚もございます。この辺につきましては、法の中というよりは、省令なり通知なりでもうちょっと整理をしていただかないと、私どもは非常に困る点があると思います。
#258
○山本勝君 私は余り専門ではありませんけれども、地域保健医療・福祉システムを現在構築しておりますけれども、やはり医療と福祉との境界線というのがだんだんなくなってきているように思います。
 これは見方を変えればいい傾向じゃないか。保健、医療、福祉の融合を考えますと、そういうお互いの境界線が非常にあいまいになるということはいい傾向かなというふうに思っておりますし、住民のニーズが非常に多様化、個性化してきますと、それぞれに応じた施設あるいは医療機関というのがあっていいのじゃないか。それぞれの特徴、個性、機能を持った、もちろんよく似通ってはおりますけれども、そういう微妙な違いの多種多様の施設設備があっていいのじゃないか。しかし、それらはいずれは自然淘汰されて、本来の意味のいい形になっていくのじゃないか。そういう意味で、過渡期としては、このまま一度試行錯誤的にやっていくことは、地域医療システムの観点から見ますといいのではないかというふうに思います。非常に素人的な発想でありますけれども、そういうふうに感じます。
#259
○持永委員 次に、医療情報の提供の関係で、今回の医療法の改正の中に医療機関の広告規制の見直しがございます。広告規制を緩めるということは、患者サービス、患者さん方に広く情報を提供するという意味ではサービスの向上につながるかと思いますけれども、一方医療には、先ほどもお話ございましたように、非営利性というのを非常に大事にしなければならない。また医療の持つ公共的性格、そういったものが非常に大事でございます。そういった意味で、余りにも広告的な広報というのはいかがかなという感じがいたします。
 そういった意味で、医療関係者あるいは医師会などの関係団体においてもそういった点での御懸念をお持ちかと思いますが、こういった点について自主的な規制というようなものなどについて具体的に何かお考えになっているかどうか、大輪先生にお願いを申し上げます。
#260
○大輪次郎君 広告規制といいますか、広告、情報提供の緩和という問題につきましては私どももいろいろと検討しておりますが、これは非常に地域によって幅があると思います。例えば、隣のお医者さんがどういう仕事をやっているのか全然知らないといういわゆる都会の真ん中と、それからある程度の中小都市あるいは農村、漁村等では、あのお医者さんは何代目でどういうことだということまでわかっているぐらいの地域もございます。したがいまして、法の部分では大筋の取り決めをさせていただいて、細かい部分につきましては、都道府県と都道府県医師会との間で十分話し合った上で、住民のために最もいい形で、しかも過大広告、過大宣伝にならないように、そこらをチェックしながら地域の実情に合った緩和を考えるべきではないか、そのように考えております。
#261
○持永委員 それでは次に、山本陳述人にお伺いいたしたいと思いますが、六十年の医療法改正で地域保健医療計画というのが定められることになりました。これは二次医療圏を単位として進められてきたわけでございますが、現在の地域保健医療計画が必ずしも十分な成果を上げたとは言えないのではないかというような感じが私どももいたしております。そういった意味で、この二次医療圏に関する地域保健医療計画、こういった点が成果を上げられなかった問題点はどこにあるのかなというようなことをひとつ御説明いただきたいと思います。
 それから、これからの地域保健医療システムのシステム化について、量から質へ、物から人へ、ハードからソフトへという御意見がございましたけれども、この二次医療圏の現在の地域保健医療計画をどういうふうに具体的に見直して新しいシステム化につなげるか、その辺の御意見をお伺いいたしたいと思います。
#262
○山本勝君 大変難しい質問でありまして、私自身も各医療圏における地域保健医療・福祉システムの構築に向けて、こうしたらいいという確固たる方針とか考えというのはありません。
 やはり、それぞれの二次医療圏の地域特性に応じた地域医療システムをつくっていくしかない。すなわち、各地域の地域特性は各地域によって違いますし、急にこういう法律ができたから、こういう地域医療システムをつくる義務が生じたからといってすぐできるものではなくて、私は地域医療システムというのは人づくりだというのを一つの思想にしておりまして、やはりまずその地域の住民自身が、我々の地域のそういう保健医療・福祉のシステムを住民みずから参画して積極的にやっていこうという意欲と、そしてその地域の保健医療・福祉関係者がお互いに歩み寄って、お互いに協力し合っていろいろなシステムをつくっていこう、そういう意識、意欲がない限りは、すべて絵にかいたもちに終わるのではないかと思います。
 そういう意味で、私は、なぜ六十年の医療法改正で任意的記載事項等のいろいろな案ができたにもかかわらずそれが各地域で実践されないかは、それぞれの地域の方々がまだそれほどニーズ、意欲を感じていないということと、どうしていいかということが、まだ方法が具体的にわかっていないというのが一番大きな問題であると思います。
 しかし、六十年から現在まで七年近くたっておりますが、それぞれの地域においては試行錯誤的に、あるいはモデル事業的に実施されているいろいろな地域がございます。そういう成果を踏まえながら、一つ一つ体験しながら、我々の地域の中ではこういうような任意的記載事項に関するシステムづくりを行っていくのがいいのではないかということでございまして、一般的に画一的にこうやったらいいとかという方法はないと思いますし、逆に言いますと、そうあってはだめだ。
 やはり地域医療システムというのは、その地域の特性を踏まえたユニークな発想と、その地域の人たちの今まで培ってきた人間関係のもとで一歩一歩つくっていくのがいい。そして、そういうシステムづくりをサポートする意味で、いろいろな法律あるいは診療報酬体系、そういうものでバックから支援していくということは必要と思います。しかし、一番大事なことは、その地方の人たち、地域の人たちがみずからの努力と協力でもって、みずからの地域にふさわしい地域医療システムをつくっていく、そういう思想が行き渡ることが大事じゃないか、非常に抽象的ですが、そういうふうに考えます。
#263
○持永委員 これが最後になるかと思いますが、大輪先生にお伺いいたしたいと思います。
 今回の医療法改正で、先ほどお話がございましたが、疾病予防の施設設置などが認められることになりました。しかし、いわゆる営利、非営利との関係で非常に難しい問題があろうかと思いますが、医療経営の安定を図るという意味からは、医療関連事業で何かこういった疾病予防のための施設設置なり、あるいは先生もおっしゃいましたように、これは無条件というわけにはいかないと思いますが、それ以外に今一応先生の手元で何かこういう事業はどうだろうかというようなお考えがおありになりますれば、お聞かせをいただきたいと思います。
#264
○大輪次郎君 医療法人の業務範囲の拡大につきましては、私今ここで、こういう事業というふうに申し上げる具体的な考えはまだ持っておりません。まずは疾病予防に関する部分ということが規定されるわけでございますが、今後十分法人を実際におやりになっている医療機関の御意見を入れて検討していきたいと思っております。具体的には今持ち合わせておりません。
#265
○持永委員 ありがとうございました。
 以上で終わります。
#266
○牧野座長 次に、土肥隆一君。
#267
○土肥委員 土肥隆一でございます。主に福島先生、それから大輪先生に御質問したいと思います。
 時間がございませんので、インフォームド・コンセントなどについて具体的にお聞きしたいと思いますが、今がんセンターでがん患者さんは何割ぐらいいらっしゃるのか、そしてがんセンターで、いわばがんの告知を何%ぐらい出しておられるのか、それが第一点でございます。
 それから、大輪先生にお聞きしたいのですが、開業医の先生方が機能型病院などに紹介をなさるときに、いわば自分の今までの患者さんのデータを送付なさると思うのです。従来、電話ないしは名刺等の場合は必要ないかと思いますが、細かな診療経過を御説明なさるときには、患者さんは大体それを持っていかれると思いますが、その内容は公開性があるのかどうかということです。
 それからもう一つは、よくたくさんの薬を患者さんはもらうわけですが、これは個人医のみならず大学病院もそうでありますが、常識として私が知っている範囲内で言えば、全部飲まない、ほとんど捨ててしまう。それから、お薬が出ましても、それが何に効くのか、必ず飲むべきものなのか、ほっておいてもいいのかというようなことは非常に不明瞭になっておりまして、これも一種のインフォームド・コンセント、つまり、この薬はこういうものに効き、必ず飲んでくれというようなことは、一応飲むべきものとじてお出しになるのでしょうけれども、放置されている、捨てられている状況じゃないだろうかというようなことも含めまして、インフォームド・コンセントというのは医療の全体を網羅するものだろうというふうに思います。そして、最も患者さんの立場に立ってなさるべきものだと思います。
 再度福島先生にもお聞きしますが、今医療法の第一条の二の改正で述べられておりますように、信頼関係とかあるいは患者さんの心身の状況に応じてとかいうふうになっていますが、これはもう少し明確にしないと、この文だけを見てお医者さんは、これはインフォームド・コンセントのことだというふうに認識していただければいいのですけれども、やはりもう少し説明と同意というものに最も近い言葉をここに入れるべきだと考えておりますが、両先生、お答えをお願いしたいと思います。
#268
○福島雅典君 福島です。お答えいたします。
 まず、うちの病院でどれぐらいの告知率であるかという件ですけれども、具体的にそれを調査した実績はございません。ただ、はっきりしていますのは、一九九〇年、日本医師会が説明と同意というものを進めるという報告書を出して以来、大きく医師の意識は変わっていることは確かです。説明と同意を軸にしますと、これは今までの言ってみれば一方的なといいますか、医師が全面的に自分自身の裁量でもってやる医療から、患者さんに一つ一つ、病状から次に行う検査、治療の内容、その意味、そしてその効果等についてあるいは副作用について説明する、つまり、患者さんを主体に医療を進めるというふうに、ある先生が、これは百八十度変わるなということをしみじみと言っていました。
 現実に、それまでインフォームド・コンセントに非常に消極的だった先生も、その医師会の、我々は勧告と受け取ったのですが、その時点から大きく変わるようになりまして、従来は早期がんの患者さんにだけいわゆる告知、がんあるいは腫瘍という病名を話していたのが、大きく変わるようになりまして、多くの患者さんに基本的に病名も話すように変わってきております。それから、国立がんセンターでは、もうきちっと話すというふうに今は変わっております。それによって患者さんは、信頼関係はむしろ強くなるというふうに言ってよろしいかと思います。むしろ、説明と同意ということを実地医療の中で行っていく過程で、医師は非常に強くその責任を自覚させられるようになりますし、そのサービス内容について相当プレッシャーをかけられるということになりまして、大局的に見た場合に、日本の医療の質の向上に資するところが非常に大きいというふうに考えます。
 また、国際的にいろいろな論文を我々が新しい治療方法を開発した場合に出す場合も、インフォームド・コンセントをとってないというものはもう最初から認められません。そういうことで、国際的な観点から見ましても、もはやインフォームド・コンセントというのを抜いた形の医療の理念というのは考えられないと言ってよろしいかと思います。
#269
○大輪次郎君 まず第一点、紹介をするときに、その紹介状の内容について公開性のあるものかどうかという御質問でございますが、大部分の例につきましては、当然内容をすべて患者さんに既に説明してあるものであると思います。そして今、説明と同意なしに治療を行うという開業医は、ここ十年前に比べて格段に減っておると思います。
 ただし、場合によりまして、必ずしも一〇〇%全部公開できるかどうかというこの判断は、やはり主治医と患者さんとの間であると思います。例えば、末期の乳がんである、これはどう手を尽くしても治りようがないというような場合に、あなたは乳がんですから、これこれの病院へ行ってもう一回きちっと診てもらいなさいと患者さんに言いますと、恐らく患者さんは完全にそれだけで参ってしまわれる場合があります。ですからその点、確実とは言わなくても、早期ではなくても治る可能性が十分あるものについては、その患者さんのあるいは家族の状態を見ながら主治医が話をしている。そういう場合には紹介状にもそのように書いてありますけれども、場合によってそういう部分は省いた紹介状を渡して、直接紹介先へ連絡しておくというような場合もあり得ると思います。だから、一〇〇%公開性があるかどうかということは、ちょっと言えないと思います。
 それから、薬剤などで患者さんに投薬した薬が、大部分というのは少し大げさだと思います、一部捨てられているものがある、これも確かにあると思います。そして、これは医師の説明が不足しているという部分もございますけれども、過去何年間かに医師と患者の信頼関係が一時非常に悪くなっていた時代がございます。もう私どもは時代と言いたいのです。今現在は、もう大部分のドクターは一生懸命何とか説明をし、同意を得てやろうというふうに考えております。しかし、そういう中で、お医者さんがくれる薬は半分は要らぬ薬だから、捨ててもいいという感覚が患者さんの方にもあると思います。この辺でも、やはり主治医と患者さんとはよく話をし合うということは今後必要だろうと思います。
 また、たくさんの剤数が投与されているということにつきましては、これは必ずしもたくさんの剤数だから、多くは要らぬ薬だということではございません。例えば、昔はすべて散薬をまぜ合わせて、十種類の薬なら十種類の薬をまぜ合わせて一服の薬として投薬していました。ところが、厚生省の指導もありまして、一剤、一つの剤型の中に一つの成分しか許可になっておりません。そうしますと、例えば十の成分を出そうと思うと十種類の薬を出さなければいけない、そういう場合もあります。だから、そういう場合には、これはたくさんだけれども、こういうふうだという説明をするということに関しては私どもも努力しておりますし、会員の先生方にもそういうふうにやっていただくように今お願いをしております。
#270
○土肥委員 終わります。
#271
○牧野座長 次に、外口玉子君。
#272
○外口委員 四人の先生方、それぞれのお立場からの御提言、本当にありがとうございました。私は時間の関係上、ここでは日夜臨床の場で御努力されております福島雅典先生にお伺いしたいと思います。
 先生は、医療現場の実態を踏まえて、これからの時代にふさわしい医療システムの再構築に向けての課題と方向性というようなものについて、今お話しくだすったと受けとめております。そのために私どもに求められているのは視点の転換である、その視点の転換の二つの点についてお伺いしたいと思います。
 一つは、従来の医療サービスというのは、供給の側から医療サービスのあり方を提言してきているけれども、もっと医療サービスを利用する側から医療の質の向上を図ろうとする、そういう視点が大事なのではないかと強調されたと理解しております。その点に関しまして、一体では今回の医療法改正も含めまして、どのように医療の質の向上を図っていくための具体的な施策が必要かということについて、まずお伺いしたいと思います。
#273
○福島雅典君 お答えします。
 医療の質の向上というのは、国民の悲願、全人類の悲願でございますが、なかなかこれに対する要領のいい回答とアプローチというのは、まだ残念ながら各国とも持ち合わせていない。どんどんお金ばかりかかっていってしまうというところで、どの国も何とかしないといけないということで大変悩んでいる状況にあります。その時点で、そういうような背景の中で、今回の医療法の持つ意味は極めて重要でございます。そこで、機能分化ということを初めてこういう形で明確に打ち出してきたことは非常に評価されます。ただ、これが絵にかいたもちにならないようにするためには、結局は人間が行うことですから、それを明確に意識し、計画的に考えていかないといけない。
 そこで、まず医療の現場を直視してみますと、先ほど申しましたように、薬剤師の方がまだ医療の中に医師のパートナーとして正常な役割を担っていないがゆえに、看護婦さんが病棟で患者さんに薬を配る、それから病棟で薬を調製する、そういうことが非常に看護婦の負担を大きくしているのが実態であります。ですから、看護婦さんの本来の看護業務が一体何だかわからないということを、看護婦さん自身がこんがらかってくるようになる。ですから、その辺を機能分化ということを考える中ではっきりさせないと、これは単に病院を格付するだけでないかという各界からの指摘そのままになっていってしまうおそれがあるので、特に医薬分業と看護業務の独立と効率化を私は重視しております。
 そういう意味では、看護職員確保法案なるものも極めて重要であります。しかしながら、現実に今看護婦さんが不足しているといいながらも、自治体や国では四十歳以下でないと再雇用しないということがあります。しかし、実際考えてみますと、四十歳ぐらいになっている看護婦さんというのは非常に人生経験も豊かですし、むしろそういう方が例えば末期ケアとかあるいは長期療養の患者さんに対応するようになれば、より質の高い看護が得られることは確実なわけで、この四十歳で切ってしまうというのはもう現実的におかしいし、現在のように非常にフレキシブルな職業的な感覚になっている状況では、パートタイムとかあるいはフレックスな時間制の導入というのを看護業務の中にも取り入れる必要があるというふうに考えます。
#274
○外口委員 ありがとうございました。
 もう一点について、ただいまのお答えとも関連すると思いますが、従来医師の権限というものがどうしても拡大し続ける方向にあって、今先生御自身もおっしゃいましたように、一職能として医師は担い切れないほどの責任を背負わされている状況というものにあると思います。今後の方向性としては、やはりチーム医療というものが目指されるべきだということは四人の先生方もそれぞれのお立場で触れられておりましたけれども、そうした医療の担い手が、医師以外のコ・ヘルスワーカーといいますか、そういう担い手たちがどのような機能を発揮し、どのように配置されていくべきかということについては、これから非常に重要な問題であると私は考えます。そのような方向を目指して、今先生が実際にお働きになっている現場で、このような機能分担のあり方をめぐって、どういうようなそれぞれの職能の方々との意見の交換あるいは見解の交換をし合っているかという点についてお伺いしたいと思います。
#275
○福島雅典君 本質的なところなんですが、実際にはまだそこまでいっておりません。どういうふうに機能を分担していったらいいかについても、まだ現場で具体的に話し合って、計画的に何かプログラムをつくってやっていこうというところまで現場は動いておりません。
 現実に、一人一人の医師が医薬分業ということを考えましても、実際には受け皿がどうなっているのだろうかとかいろいろな問題がございまして、それに対しては、やはり国自体がその方向で何らかの方針を示して、具体的に推進するようにしていただかないと、現場からすぐにどうのこうのということは非常に難しいというふうに認識しております。これは現場の意見としては、率直にそう思います。実際は日常に追われています。
#276
○外口委員 ありがとうございます。
 もう時間があれですので、今の点について国の責任においてということでございましたけれども、今後の教育訓練システムについてどのようにお考えなのかということに触れていただき、それぞれの職種が主体的な判断に基づいて自律的にそれぞれの能力を発揮していく方向、つまり、さまざまな能力を持った人が参入してくるような開かれた医療システムをつくっていくという上で、どのような人材をどういうふうに育てていったらいいかということをお伺いしたいと思います。
#277
○福島雅典君 概念として、今先生がおっしゃったことは非常に重要であり、それを一つの目標として、今後教育体系を整備していく必要があるというふうに思います。先ほど述べましたように、現代の文部省が管理する医学教育は、特に臨床面において薬学、医学、そして看護学に関してかなり重大な問題を抱えているというふうに思います。
 例えば、看護婦に関しては、これは教育を一元化する必要が早急にあるというふうに思います。質の高い医療を確保するためには、やはり質の高い看護婦を養成しないといけないということが第一点で、現在ある准看護婦というのですか、あれについても考え直す必要があるのじゃないかというふうに個人的には思います。
 また、医学部の教育に関しましては、例えばハワイ大学は医学部ございますが、大学病院を持っておりません。基幹病院四つぐらいが教育病院として有効に機能しております。ですから、大学病院で医学部臨床教育をするという従来の固定的な観念は、もう見直してもいいかというふうに思います。
 先ほど述べましたように、一般病院にも非常に質の高い、高度な医療を推進している病院はたくさんございますし、逆に大学病院、特に国公立では、救急医療を満足にできる病院というのは非常に限られているのが現状でございます。ですから、今日のように救急医療について国民の関心が高く、また脳死、臓器移植の問題についても非常に日本では議論されている中で、救急病院がどうも教育的な見地から見るとなおざりにされているという感が現場からはします。そういう意味から、今のような硬直した臨床教育の体系に関しては抜本的に考え直さないといけない、先ほど述べたとおりでございます。
#278
○外口委員 ありがとうございました。
 柔軟な教育を含めたシステムと、そしてそれを支える基本的な理念、それの重要性を改めて伺うことができ、今後の医療法改正の審議に反映させてまいりたいと思います。ありがとうございました。
#279
○牧野座長 次に、網岡雄君。
#280
○網岡委員 時間も限られておりますので、私は二つお尋ねをいたします。
 一つは、私ども社会党が一番今度の医療法で最重点として重視をしている問題は、今議論になっておりますインフォームド・コンセントの問題でございます。これは福島先生からも御指摘がございましたが、かつてナチスが医療実験に当たって非人道的な行為を行ったということに対する医療人の実は反省から出発していると思うのでございます。そういうことによりますと、医療は人間の病気を治すということでございますから、改めて言うこともないと思いますが、その根底に流れるものはヒューマニズムであり、人権だと思うのでございます。
 そういう点からいきますと、今度の法律で、第一条の二には「生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、」こうあるわけです。書いてある意味はよくわかるのでございますが、しかし、今、日本の医療で問題の点は三つあると思うのです。
 それは、一つは医療の密室性でございます。大輪先生もおっしゃいましたが、インフォームド・コンセントはもう大体実施をされている、しかし、それは大半だ、一〇〇%ではないという御発言がありました。その発言が端的に今日の医療をあらわしていると思うのでございますが、いわゆる医療の密室性ということで象徴されていると思いますね。
 それからもう一つは、医療の面からの高度の専門性ということによって患者に非常にわかりにくい。したがって、日本の医療は、もし過誤の医療があった場合でも、それを立証するということができないという欠陥を持っています。したがって、もしそういうようなことが起きた場合には、それを患者が立証していくという権利が片一方になければ、二十一世紀を踏まえていく近代医療にならないのじゃないかというふうに思うわけです。
 それから三つ目は、医療の封建性です。閉鎖性という言葉を福島先生さっきおっしゃいましたが、まさに閉鎖性でございまして、この三つがあるということは、どんなきれいごとを言っても日本の医療というものは発展をしない、こういうふうに思います。
 したがって、患者と医師を中心といたします医療関係者との間の信頼関係というものの確立が最大の要務であるとすれば、説明と同意ということに基づくインフォームド・コンセントというものは、一条の医療の理念の中で手続的な内容も含めて、例えばアメリカが七二年において患者の権利章典に関する宣言ということをうたったわけでございますが、その中には、患者は、インフォームド・コンセントを与えるのに必要な情報を医者から受けることのできる権利を持っているのだということを明確にしているのでございまして、私は、こういうようなことを医療法の中にきちっと明記をしなければ、弱い立場にある患者の権利というものは守られないのじゃないかというふうに思いますが、こういう点について大輪先生、福島先生、馬嶋先生、三人の御意見をぜひひとつお聞かせいただきたいと思います。
#281
○福島雅典君 先ほど意見陳述の中で述べましたように、医療法の理念の中に説明と同意をという記述を入れるということは時宜にかなっており、既に医師会が、何回も申しますように説明と同意というのを進めるという方向をもう二年前に打ち出している以上は、もうこれを理念の中に入れることに何ら差しさわりはないし、それを入れることによって医療の質の向上が図られる。
 それは先ほど指摘されましたように、既にこの一九九〇年を境にして、恐らく後世の歴史家は、日本の医療がアメリカが一九六〇年代に行った転換と同じような転換、つまり、供給者側の論理から消費者、受ける側の論理に転換したというふうに見るだろうというふうに考えますので、もう理念の中にその説明と同意を入れるということは極めて重要であり、時宜にかなっているというふうに思います。
#282
○大輪次郎君 ただいま網岡先生が弱い立場の患者さんの権利とおっしゃいましたが、私ども第一線の医者からいいますと弱い立場の医師という時代になっておりますし、まさに患者さんの権利、主張は非常に強くなっております。したがって、私どもの方がむしろ弱い立場という時代に変わりつつあります。
 患者さんの権利を法の理念規定の中でというふうにおっしゃいましたけれども、権利を規定するからには患者さんの義務も規定すべきである。その辺で、権利だけを規定して、義務は規定されないという片手落ちな書き方はおかしいと思います。その辺で、まだ議論の余地が十分あるところですから、法に規定する前に、その議論をまず固めていただきたいと思います。
 それから、密室性、専門性、閉鎖性という問題を最初に挙げられましたけれども、愛知県医師会では現在県下のすべての医療機関の機能評価、機能分析を行って、これを公開すべく今必死に努力しております。つまり、医療機関がどのような機能をお持ちになっているか、これはもちろん特定機能病院のような大病院から一般のプライマリーケアの医師に至るまで、例えば往診できる、訪問診療をやられるとか、それから私はこの科で、内科なら内科でやっておるけれども、実は内科の中でも呼吸器が得意であるとかというような機能評価、それから公開について今盛んに努力をしている段階でございます。
 したがって、閉鎖性、密室性、専門性という言葉は、もうここ数年で恐らくなくなってくると思います。患者さんも医師も、病気を治すあるいは病気を予防するという目標に向かってお互いに話し合いながら、説明し合いながらいくということは、これは早晩一般に進むと思います。私どもそのように考えてやっております。
 ただ、法の中で患者さんの権利あるいはインフォームド・コンセントということをたとえ理念規定でも入れるについては、まだいろいろの議論の余地があると思っておりますので、私の意見としてはそういうことでございます。
#283
○馬嶋慶直君 ただいま網岡先生の御質問に対しまして、福島先生、大輪先生のお答えはまさに当を得たものと思いますが、大輪先生がおっしゃいますように、患者さん自身の権利と義務というものをわきまえていただいて、この両者の間に立って、そして将来理念規定の中にこういうものを含んでいったらいいと思います。
 以上でございます。
#284
○網岡委員 あと二分ありますから、済みません。
 患者の義務というものの中身を聞きたいのですが、時間がございませんので、次の機会に譲ります。
 そこで、最後ですが、先ほども話がございましたけれども、これからの医療の近代医療はチーム医療だと思いますね。医者だけでやるというものではなくて、医者を中心にした薬剤師、看護婦、理学療法士、作業療法士、ずっと各医療従事者のチームワークを組んだ全体の力というものが医療に貢献していくことになるというふうに思うのでございます。そういう意味からいきますと、細かいことは申しませんが、例えば薬剤師の場合は身分法によって独立した職業的権限を持っておりまして、今日医療現場における薬物の治療というのは、例えばIVHとかあるいは血中濃度とか院内製剤とか、例えば心臓の手術をするときなんかは、血の流れをとめる薬と流す薬と二つ用いていく。その薬の運用を一つ間違えば、生命にかかわるような非常に際どい調剤の運用をやっていくということでございまして、昔の目方をはかっていくだけの業務というものじゃないわけですね。
 そういうところからいきますと、やはり医師だけではなしに、医師、歯科医師、そして薬剤師、看護婦というところまでぐらいは医療を代表する職種として法律の中に明記されるべきでないかというふうに思うのでございますが、この点についても大輪先生、福島先生、馬嶋先生、御意見をひとつお聞かせください。
#285
○大輪次郎君 チーム医療という問題につきましては、これは全く賛成でございます。この問題につきましては、名古屋市医師会でも、在宅療養支援事業という事業をこれは名古屋市が始めておりますが、この中で、医師、歯科医師、薬剤師、それから保健婦さん、看護婦さん、それから介護に当たる人、そういった人たちが一つのテーブルで一人の対象者について指導方針を話し合いながら事業を進める、そういう形で既に行われております。
 ただ、今、医療法の規定の中で、医療の担い手について、医師、歯科医師以外に薬剤師、看護婦さん、これを入れたらよいのではないかというお話でございますが、そのほかにも非常にたくさんの、しかもきちっとした身分を持っております医療に関連する担い手はございます。例えば理学療法士、作業療法士あるいは臨床検査技師、放射線技師、そういった方々が、それでは私はなぜ代表者の中に入れてもらえないかという問題が出てきます。そういう意味で、現状では、医療チームの代表者として医師、歯科医師と入れてあることは、私はそれほど矛盾してはいないのじゃないかと考えております。それでなければ、そういった担い手のすべての職種を書くべきでございます。そうでなければ非常に片手落ちの問題になると思います。
#286
○福島雅典君 おっしゃるとおり、法的根拠があるのは薬剤師、看護婦なんですね。それ以外は医師の指導のもとにという項目がありますので、独立した職種として医師、歯科医師、薬剤師、看護婦というのはどうしても挙げないと、これは法律用語上の欠陥にもなるというふうに考えます。
 それから、この機能分担に関しまして、日本はアメリカからほぼ三十年はおくれているというふうに考えています。それは、現代の医療を発展的に創造的に今後二十一世紀に向けて構築し、さらに、世界に冠たる医療をつくる上でも、日本がまた国際的に医療の分野で貢献するという上から見ても、これはやはりはっきりきちんと明記するべきである。それは、今後臨床科学――医療というのはサイエンスとアート、二つで成り立つ非常に高度なシステムです。そういうシステムを創造的に発展させる科学を臨床科学と言います。しかしながら、臨床科学という言葉はまだ医師の間でもなじみが薄く、旧来のドイツ医学流の決定論的な医学でまだ考えている先生方が多いのですが、臨床科学というものは、これは戦後、アメリカが物すごい大量のお金を使いまして、今日のように高度に構築した科学です。そういうような体系を今から日本は学び、急速にそれに追いついていかないとならない。そこのところで薬剤師と看護婦がここに対等のパートナーとして参画することはもう待ったなし、不可欠です。
#287
○馬嶋慶直君 両先生の御説明で今さら私が申し上げることはないわけでございますが、もちろん、医師それから薬剤師、その他看護婦のいわゆるチームワークとして医療は確かに成り立っていると思います。
 したがいまして、いろいろな理論の問題は先ほどお二人の先生から十分御説明いただきましたので、実際、現在我々のところでもドラッグ・インフォメーション・ルームというものをつくりまして、そして入院・外来患者に対しましてドラッグに対するいろいろな説明をしておる。したがいまして、今後我々も、網岡先生の御質問にございましたような方向に向かって進んでいくべきと思っております。
#288
○網岡委員 終わります。
#289
○牧野座長 次に、大野由利子君。
#290
○大野(由)委員 きょうは四人の先生方、御専門の立場から大変有意義な陳述をありがとうございます。
 私は、初めに、私立医科大学病院の立場からお話をくださいました馬嶋先生に質問をさせていただきたいと思います。
 馬嶋先生の病院も、高度医療等を担当していらっしゃる特定機能病院に該当する病院でいらっしゃるのじゃないか、そのように思うわけでございますが、高度医療機器の購入というものが病院の経営等に与える影響が大変大きいのではないか、そのように思うわけですが、最近購入された主な器械と大体のお値段、それから減価償却等にどれぐらいを要するものなのかということについてお尋ねしたいと思います。
#291
○馬嶋慶直君 私は、一般論といたしまして、私立大学における高額医療の問題についてお話しするといいのでございますけれども、なかなかデータが調べにくいのでございまして、ただいま大野先生から御指摘を受けましたように、我々の大学におきまして高額医療機器を購入いたしまして現在医療をしておりますので、その点の問題をお話ししていきたいと思います。
 ただいま御指摘ございましたように、最近購入いたしました医療機器でございますが、これは、まずエックス線の骨密度測定装置というのがございます。金額でございますけれども、これは大体三千万近くかかります。それから、皆様方既に御承知と思いますけれども、超電導MRI装置のように、附帯工事を含めまして一台で三億円に達するものもございます。それから、先ほどお話が出ておりましたけれども、例の結石の破砕装置、これも月大体四百二十万ぐらいのリースでございますので、年間五千万近くかかるということであります。
 こうした高額の医療機器というのは、大学病院におきまして高度な医療をするために必要に迫られて購入するのでありまして、高額の医療機器というのは、診療報酬による収入ではなかなか償却するということはできません。一般的に言いまして、医療機器というのは、据えてあるものであれば五年ぐらい、それから可動性のものは三年ぐらいと言っておりますけれども、これだけ高額になりますと、保険点数がついてもなかなか償却はできない。しかしながら、大学病院として診療を行うためにはこういう高度な機器は不可欠のものでありまして、採算を度外視して購入する機器もこれ以外にも多くございますけれども、要求が出てもなかなかすぐ買うことはできないということであります。
 また、ただいま申し上げましたのは手術あるいは診療用の機器でございますけれども、これだけでなくて、病院管理の観点から申しまして必要な機器、例えば心電図のファイリングシステムのように、検査用紙にしますと膨大な量になりますので、これを解析とともに保存するという機器も場合によっては購入しなければなりません。要するに、直接報酬につながらないというものもあるわけであります。
 さらにつけ加えますと、病院の財政上の問題では、先ほどもちょっと申しましたけれども、諸物価や人件費の高騰もあります。したがいまして、診療報酬によります増収よりもこの諸物価や人件費の方が高くなりまして、年々病院の経営は圧迫されております。
 病院にとりましては、医師だけでなく看護婦などの医療スペシャリストが必要でありまして、特に看護婦に要する人件費については、現在深刻なものがございます。これは、全国的な規模では看護婦の充足はされたと言われておりますものの、この地区においては他の医療機関でも慢性的な看護婦不足が続いておりまして、需要と供給のバランスにおいて人件費は上昇しているのが現状と考えます。特に、重症な入院患者を多く抱える大学病院では、一年間三百六十五日を二十四時間体制で稼働しなければならないために、他の業種に比べまして労働条件が厳しく、週休二日制の普及などもあり、非常に厳しい状況になっております。良質な医療や高度医療を提供するためには、機器の設備だけではなくて、こうした人的確保も必要でありまして、それに要する経費もさらに上乗せしますと、大変なものになります。
 また、先ほどちょっと出ましたけれども、今日社会問題となっておりますところの医療廃棄物の処理に関しましても、これまた頭を抱えているのが現状であります。この医療廃棄物の処理に要する費用も、現在年間数千万円でありますが、これから多く出てまいりますと、年間では億単位になるとも推定されております。
 このように、大学病院を取り巻く経済環境は極めて厳しいものがありますので、大学病院が財政上の基盤を失うことのないように、この場をおかりしてまたお願いするとともに、このような高額な医療機器というものはなかなか償却ができないということを繰り返し申し上げます。
 以上でございます。
#292
○大野(由)委員 紹介患者の率のことで馬嶋先生にお尋ねしたいと思うのですが、今一般外来は、恐らく十一時とか十二時とか、窓口を時間で区切っていらっしゃるのじゃないか、日によって、曜日によって、月によって外来患者の数は随分違うのではないか、そのように思うわけです。紹介患者の数が同数であっても、一般外来の患者が多ければ紹介率が落ちてしまうし、一般外来が少ないと紹介率が上がる、そういう状況になるのじゃないか、そのように思うのです。紹介率というのは、外来の時間で区切った場合、来た患者さんを拒否することができないと思いますので、結果として紹介率が何%というふうに決まるのであって、最初から目標何%というのは難しいのではないかと思うのですが、その点はいかがでございましょうか。
 それと、あわせてもう一つ。今一般大学病院は紹介率が大体一五%ぐらいだそうですが、これがもし三〇%とか五〇%とか高く設定された場合には、その分一般外来をうんと低く抑えなければいけないというふうになってまいりますので、これもまたいろいろ経営等に与える影響も大きいのではないかというふうに思うのですが、その辺御見解を伺いたいと思います。
#293
○馬嶋慶直君 ただいま大野先生からの御質問の内容そのものでございまして、紹介率の問題は結果としてわかることでありまして、目標として挙げるのはなかなか難しいと私も思います。
 目標の紹介率を超えたからといって来院した患者さんの診療を拒否することはできないということは、これは先ほども申し上げたことでございまして、このことは非常に重要なことでありまして、医療機関の区分はしても、患者が診療を受ける医療機関、すなわち医師は、これも先ほど申しましたけれども、患者の意思に任せるという姿が望ましいということで、外来患者の紹介率の設定という問題には疑問が残りますので、先ほども私が申し上げた中にもありましたけれども、その設定率、いわゆる紹介率というものは、それぞれの病院の事情によって決めていかなければいけないのではないかというふうに考えております。
 それから、最後の御質問にございましたけれども、全国の私立大学の紹介率が大体一五%ということでございますけれども、確かに現在では大体その程度と思います。したがいまして、そうなりますと、病院の経営の問題もさることながら、先ほどから大学病院という特殊性の問題、これは教育に関係しますけれども、特に卒後の研修でありますところのプライマリーケアという研修医の勉強が果たして十分できるかどうかという懸念を持っておりましたので、その二点からいいますと、なかなかこの紹介率というものは決めがたいのではないかと考えております。
 以上でございます。
#294
○大野(由)委員 大輪先生にお尋ねをしたいと思います。
 先ほど、紹介比率が決まらなければ一般患者が病院に集中する、三時間待って三分診療というのは改まらないのではないか、そういう意味では紹介比率を決めなければいけないというようなお話があったかと思いますが、これをあえて直す必要があるのかどうか。例えば、ドクターが診察したら間違いなく胃潰瘍だから、わざわざ紹介する必要はないとドクターは思ったとしても、患者さんががんノイローゼになっているという場合もあると思うのですね。やはり紹介してもらって特定機能病院に行きたい、そして、がんではないですよ、胃潰瘍ですよと言っていただいたら本当に安心できるわけですが、そういった意味では、近所のお医者さんにがんではないですよと言われただけでは、がんノイローゼから離れられないというふうなこともあって、患者さんが自分の好きな求める病院に行く権利、患者の権利とか、ある面では患者の決定権というものは守られなければいけないのではないか。そういう意味では、紹介比率というものをあえて決める必要があるのかどうかということが一点でございます。
 もう一つ、紹介は、地元の病院から特定機能病院等に紹介するだけじゃなくて、逆に特定機能病院の方から、大変厳しい状況は逃れて今安定した病状になったから、逆紹介で地元の病院に紹介をするということがあると思うのですが、この逆紹介もスムーズに行われるためには何がポイントになるか、何がかぎになるか、スムーズに逆紹介が行われるためのかぎみたいなものがあれば御意見を伺いたいと思います。
#295
○大輪次郎君 まず、患者さんの希望を無視してということは、私どもは考えておりません。
 ただ、私どもが申し上げたいのは、ある程度の比率を定めないで、先ほどもちょっと触れられましたけれども、むしろ特定機能病院が高度医療機能に対する経費をカバーするために一般外来の収入を充てる、そういう発想に賛成できないということでございます。つまり、一般外来でもうけた金で高度機能を持つという、そういう発想に対しては私は反対いたします。高度機能に対する経費については、これは当然国あるいは自治体がカバーすべきであって、一般外来、つまり一般の軽い人の病気で金もうけをして、それで立派な器械をつくる、そういうことについてまず反対であるということです。
 それからもう一つは、患者さんが例えば自分の意思で、がんではないかと言ってかかられた。これはがんではなかったけれども、もし心配ならばまた診察に来ることはいいけれども、実際にはあなたは地域のお医者さんで十分、プライマリーケアの先生にかかっておればいいですよということで再び紹介をされれば、それは逆紹介としてカウントされるような制度にすれば、決して紹介率に関係はないと思います。したがって、ある比率、それが三〇%が妥当なのか五〇%が妥当なのか、これは十分検討されるべきであると思いますが、やはり一定の比率というものを定めないと問題である、そういうふうに考えております。
#296
○大野(由)委員 大変ありがとうございました。本来でしたら、高額医療に対して援助みたいなものが必要ではないかとおっしゃった福島先生等にもちょっと御意見を伺いたかったと思いますし、今、大輪先生も、高度医療は単なる一般外来で賄うのではなくて、別途考えなければいけないのじゃないかというお話もございました。この点ももう一歩伺いたいところでございますが、時間が参りましたので、以上で終わります。
 大変ありがとうございました。
#297
○牧野座長 次に、柳田稔君。
#298
○柳田委員 きょうはどうもありがとうございました。一番最後でございますので、一点か二点ほど、時間もございませんのでお聞かせ願いたいと思うのですが、大輪先生、福島先生、馬嶋先生にお聞きしたいと思うのです。
 今回、特定機能病院を初めとして機能の体系化が進むわけであります。これは第一歩だろうというふうに思うのですが、今後もいろいろな面で進んでくると思うのです。先ほど来お答えの中で、高額な医療機器の購入もしなくちゃならない、また難しい技術料も評価してほしいというふうなお話もあったわけでありますが、この体系化が進むと同時に、診療報酬も体系化していかなきゃならないのではないかなという気がしておるのですけれども、このことについてお答えをお願いしたいと思います。
#299
○大輪次郎君 診療報酬の合理化がこの医療施設機能の体系化には必要である、そういうような御質問だと思います。
 当然高度の医療に対しては費用がかかる、これはもう当然のことでございます。では、それをすべて診療報酬体系の中でやるべきかどうか、この辺については私どもはある程度異論がございます。ということは、現在の社会保険制度自体が総枠においてもうピンチに達しております。その中で高度な医療に対する費用を賄えるだけの診療報酬を設定するということは、いわゆる社会保険診療報酬の総枠が拡大しない限りは不可能であろうと思います。だから、これについてどういう形の診療報酬を決め、あるいはその総枠をいかにふやしていただくか、これはむしろ私どもから国会議員の先生方にお願いしたいところでございます。
 さしあたりそれではどうしたらいいかということになるわけでございます。この辺については医師会でもいろいろと検討しておりますし、それから高度機能を持たれる病院でももちろん御検討のことと思います。ただ、具体的にこうしたらいいというふうには、今お答えは難しいと思っております。
 ただ、診療報酬体系につきましても、あるいは医療保険の一元化、一本化につきましても、これは日本医師会として盛んに主張しておるところでございますので、これにつきましても今後十分検討したいとは思っております。
#300
○福島雅典君 体系化と絡んだ診療報酬の問題は、非常に難しいところがあると思います。体系化を誘導していくために診療報酬をどういうふうにいじっていくかというのは、これは恐らく厚生省が最も頭を悩ませるところだと思うので、これを一言で述べてしまうことは、この場では不可能だというふうに思います。ただ、大筋としては、大輪先生がおっしゃいましたように、診療報酬の中だけにそれを求めていくというのには、特に高額医療に関しては問題があるかもしれないというふうに思います。
 肝心の体系化の点ですが、これは今回の法改正で療養型病床群とそれから特定機能病院というふうに分けても、これを支えていくソフトがどういう形で実際に今後運営されていくか、どういう形でソフトが確立していくかという点に非常に大きい問題がまだ残っているというふうに思います。
 ただ、情報公開ということと説明と同意というのを、これを支える柱として入れてあるのは非常に賢明であるというふうに考えます。明らかに、先ほど問題になりましたセカンドオピニオン、ある診療所で胃潰瘍じゃないかと言われても、ちょっとどうも心配だからよその病院へという、そういう患者さんのセカンドオピニオンはやはり保障されるべきでありますし、また、きちっとした情報公開を各病院がして、その病院の実績あるいは成果というのを、医療関係者一般だけでなくて、患者さんにも何らかの形でそういうことの情報が入るようにしていかないといけない。
 ですから、ある疾病に関しまして、例えばがんの、胃がんなら胃がんの治癒率が現在の水準ではどの程度あるかということを公開する。そういうことはもう既にアメリカは、昨年から世界じゅう各地で、どこからでもファクスでその情報を入手することができるようになっておりますので、現在日本の水準としてこれだけの治癒率、これだけの成績は確保したいという情報は、やはり厚生省、医師会等が積極的に日本国民に、どこからでもその情報が入手できるように流していく必要がある。
 それから、そういう基準診断、基準治療なるものがプログラムとして全国で普及していくような、今厚生省は積極的にいろいろな研究助成を行っておりますけれども、これは本質的には文部省の助成と同じように、個人の研究者に百万から百五十万、二百万程度で均等に配られてしまいますので、そういうようなやり方でなくて、一つの班として、何年間もそういう治療水準を向上させ、治療を普及させることができるようなプログラムとして、今の研究班制度あるいは研究助成の制度を大局的に見直して、そういう形で研究費をもっと上げてバックアップする必要がある。
 それから、病診連係に関しても、医師会、基幹病院、特定機能病院との間のスムーズなネットワークを各地域で構築できるように、これも何らかの形で支援しないといけないというふうに考えます。それが体系化に関する、ソフトに対する一つの私の見解でございます。
#301
○馬嶋慶直君 病院機能の体系化に伴いますところの診療報酬の体系化というのは、特定機能病院を新設しました病院にとりましては非常にありがたいことだと思います。そして、大学病院問題懇談会というプロジェクトチームがございまして、平成元年につくられました文書の中にも、高度医療病院に認められた場合には、医療に見合うだけの財政的な措置はしていただきたいということを申しておりますので、もしこれができれば非常にありがたいと思います。これに関しましては、私わかりませんけれども、いろいろな背景があると思いますので、ここでは私は意見を述べることは控えたいと思います。
 以上でございます。
#302
○柳田委員 どうもありがとうございました。
 時間も余りなくなったのですけれども、サラリーマンの立場でちょっとサジェスチョンといいますか、教えていただきたいのですが、三時間待って三分診療、よく言われることですし、さらには病院に行きまして、初診ですか、それから検査をして数カ月後にしか答えが出てこない、こういうのが実態だと思うのです。この辺が今回の医療法の改正で進むのかと言われると、私は非常に難しいと思うのですけれども、ぜひとも進めなければならないと思うのですが、何かいいアドバイスなりサジェスチョンがございましたらば、三人の先生から教えていただければと思います。
#303
○大輪次郎君 三時間待つ前に、かかりつけ医をお持ちになっていただきたいと思います。かかりつけ医から紹介される場合、三時間待ちはかなり解消すると思います。
 以上でございます。
#304
○福島雅典君 大輪先生と全く同じでございます。各個人がホームドクターを持ち、ホームドクターと自分自身の健康管理について日常的に話し合うようなスタイルが定着するという方向がまず第一に重要です。
#305
○馬嶋慶直君 私も両先生の御意見と全く同様でございます。
#306
○柳田委員 今お話を伺っていますと、国民も意識改革をしてほしいというお答えであったかと思うのです。我々自身としても変えなきゃならないと思うのですが、心情的に、やはり大きなところに行けばそれで安心するという面もございます。このことについては我々もいろいろと考えていかなきゃならないと思うのですが、先ほどもう一つ言った検査が何カ月もかかる、これを短縮できる方法について、福島先生、何かいいアイデアはございませんか。
#307
○福島雅典君 柳田先生がおっしゃっていることはまさにポイントでありまして、今回の医療法改正のねらいも、まさにそういうところを解消して、より効率的な質の高い医療を実現するためだと思います。ですから、それに対してこれだという解決策があれば、法改正をする前にこうやってやればいいということで済んでしまうのですけれども、現実にはどこの病院でもできる限り早く検査の結果を知らせようという努力はしていると思いますし、やむを得ず予約制で検査がいっぱいになっていまして、一カ月後とかいうことは実際にどの病院でもあることだというふうに思うのです。
 そのときにやはり一つは、医師側の努力でどうにもならない部分もあるのだけれども、患者さんの方も、それをおかしいということを実際にドクターなり病院に訴えるということもしなければ、まあこれでいいのだろうということでそのまま過ぎていってしまう部分もあるので、そこはいろいろな手があると思うのです。この病院でだめでも、隣の病院に行けば実際にすぐに検査できるということもありますので、そういうのは医療資源を適切に有効に使うような、やはりこれもソフトに属する、知恵に属することだと思いますけれども、何もかもその病院でやってしまうというのではなくて、病院間のネットワーク、有効に医療機器を使用するという、医療資源は日本には十分あるわけですから、それを有効に利用する。つまり、まだ我々はそのソフトを開発してないということだと思います。
#308
○馬嶋慶直君 私も両先生の御意見と全く一緒でございまして、特に意見としてはございません。
#309
○柳田委員 時間でありますけれども、今回の法改正の趣旨は十分理解をして、一歩でも前に進めるべきだという御意見だと承りました。ただ、この法案の中を見ておりますと、相当地域の皆さんにお願いをせざるを得ない面が多々あるかと思いますので、今後も医療の充実に関して精いっぱいの御努力をお願いして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#310
○牧野座長 これにて委員よりの質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 意見陳述の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。
 拝聴いたしました御意見は、本法案の審査に資するところ極めて大なるものがあり、厚く御礼を申し上げます。
 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、深甚なる謝意を表する次第でございます。
 それでは、これにて散会いたします。
    午後三時三十六分散会
     ――――◇―――――
   派遣委員の秋田県における意見聴取に関す
   る記録
一、期日
   平成四年四月二十日(月)
二、場所
   秋田ターミナルホテル
三、意見を聴取した問題
   医療法の一部を改正する法律案(第百十八
   回国会、内閣提出)について
四、出席者
 (1) 派遣委員
   座長 野呂 昭彦君
      石破  茂君    鈴木 俊一君
      平田辰一郎君    池端 清一君
      五島 正規君    遠藤 和良君
      児玉 健次君
 (2) 現地参加委員
      川俣健二郎君
 (3) 政府側出席者
        厚生大臣官房審
        議官      山口 剛彦君
        厚生大臣官房総
        務課長     阿部 正俊君
        厚生省健康政策
        局計画課長   小林 秀資君
 (4) 意見陳述者
        秋田県医師会長 畑澤  実君
        秋田県厚生連平
        鹿総合病院院長 林  雅人君
        秋田大学教育学
        部教授     佐藤  怜君
        社団法人全日本
        病院協会常任理
        事       内藤 賢一君
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#311
○野呂座長 これより会議を開きます。
 私は、衆議院厚生委員会派遣委員団団長の野呂昭彦でございます。
 私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いいたします。
 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様御承知のとおり、当委員会におきましては、医療法の一部を改正する法律案の審査を行っているところでございます。当委員会といたしましては、法案の審査に当たり、国民各層の皆様から御意見を聴取するため、御当地におきましてこのような会議を催しているところでございます。
 御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわりませず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。忌憚のない御意見をお述べいただきたく心からお願いを申し上げます。
 まず、会議の運営につきまして御説明申し上げます。
 会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。
 なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序につきまして申し上げます。
 最初に、意見陳述者の皆さんから御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
 出席委員は、自由民主党の石破茂君、平田辰一郎君、鈴木俊一君、日本社会党・護憲共同の池端清一君、五島正規君、公明党・国民会議の遠藤和良君、日本共産党の児玉健次君、並びに現地参加委員として日本社会党・護憲共同の川俣健二郎君、以上でございます。
 次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。
 秋田県医師会長畑澤実君、秋田県厚生連平鹿総合病院院長林雅人君、秋田大学教育学部教授佐藤怜君、社団法人全日本病院協会常任理事内藤賢一君、以上の方々でございます。
 それでは、畑澤実君から御意見をお願いいたします。
#312
○畑澤実君 ただいま御紹介をいただきました秋田県医師会長畑澤でございます。医療法の一部を改正する法律案に関する意見を述べさせていただきます。
 昭和二十三年制定の医療法に基づく基本的な枠組みの中で、我が国の医療は量的に国際比較の上でも十分満たされてきたことを踏まえ、昭和六十年に第一次医療法改正が行われ、地域医療計画が立てられてベッド規制が実施されました。量から質への転換の第一歩が踏み出されたわけで、今第二次の医療法改正がここに提示されているわけですが、私は県医師会長であり、診療所医師である立場から、率直にこのことに関して意見を述べたいと思います。
 まず、医療とはと問われれば、いろいろの表現の仕方があろうかと思いますが、医療とは医学の社会適応であると理解しております。
 医学が今、日進月歩といっても、まだ足らないほどの目覚ましい発展を遂げています。生命の誕生から死の臨床に至るまで、さらにはあらゆる科学を結集し総合した診断、治療、手技の開発等々、一日としてとどまることのない進展というべきでしょう。このような成果を国民の財産として直ちに国民の健康のため、疾病治療のため、クオリティー・オブ・ライフのため社会に適応させたいという熱意は、医師であればだれしもが念願していることもまた事実でございます。
 一方、その適応させるべき社会を見るとき、これまた驚異的な高齢化の到来、加えて生活環境、特に食生活の変化等が主因となって疾病構造が著しい変化を見、さらには生活水準の向上に伴う医療、保健、福祉へのニーズの高級化があります。医療を規定する医学も社会も目まぐるしい変化を遂げているわけで、このような事態に対応するための対策として、医療提供の仕組みを現状に対して合理的にしようとするものがこの第二次改正案であると理解しているところでございます。
 さらにいま一点、現場医療担当の立場から、医療は常に医師と患者の信頼の上に成り立つものであるということを申し述べておきたいと思います。すなわち、信頼関係があって初めて医療が成り立つということが医療のあり方の基本であるということでございます。
 このような二本の柱を原点に置きながらこの改正案の全体を見るとき、第一条に医療提供の理念を掲げ、国、地方公共団体、さらには医師、歯科医師、その他の医療の担い手、さらには医療提供施設の開設者、管理者のそれぞれの役割と責務を明示したことは高く評価すべきものと考えます。
 第四条以下数条に及んで特定機能病院、療養型病床群の構想をその役割、使命とともに規定したことは、医療の現状においてそれぞれの病態に応じて最も良質にして効率的医療を提供する仕組みとして妥当な対応というべきで、これによって公正な医療提供に前進し得るものと評価したいと思います。
 第十四条以下の医業に係る広告に関するもの、第十五条以下の業務委託に関すること、第四十二条以下の医療法人の業務に関すること等々は、この法案に流れる趣旨を踏まえ、十分な審議、協議、検討をもって、政令、省令でその実効を生むべきものと考えます。
 以上のごとく概観しての総括的意見としては、この改正案は十分評価し得るものと考え、賛意を表する次第です。
 しかしながら、医療現場の立場から、特に秋田県医療の実情から見た場合、この運用に当たっていささかの不安と危惧を感じないわけではありません。この改正案が二十一世紀を目指しての医療供給体制の第一歩であると把握理解し、この改正案のよりよい実効のためにも、今後の改正のためにも幾つかの点を指摘し、その解決を希望したいと思います。
 第一点は、医師のプロフェッショナルフリーダムが阻害される危険性がないのかということでございますし、また、患者の受診の自由の権利も阻害されるおそれがないだろうかということでございます。体系化は患者の受療行動がそれに乗らなければ機能しないわけで、この改正案では医療提供施設の掲示広告あるいは医師の判断でということになっておりますが、それで十分所期の目的が達せられるのか、疑問と不安を感じる次第でございます。例えば一般病床から療養型病床へ、あるいは特定機能病院から一般病院へと、医師の判断とはいえ、患者、家族の了解と信頼を損なわずにその責めを果たすことが果たしてうまくいくのかどうか、医療担当者として不安を感じます。この点についての細かい配慮が必要であると指摘したいと思います。秋田県並びに秋田県医師会が行った県民医療調査の集計によっても、さらには四月十三日の地元新聞に取り上げられた大学病院の患者受療動向にかかわる記事でも、この大病院志向をだれがどのようにして教育し啓蒙するか、大きな問題だと思っています。
 第二点として、体系化に伴って必要となるマンパワー確保の問題です。秋田県医療審議会看護部会の試算によれば、労働条件を充足し将来の必要数を満たすには、千ないし千五百人の看護婦が不足と算定されております。あらゆる関連職種に関してこれを考えると、その充足、養成が可能かどうか、不安をぬぐい切れません。
 第三点として、現在、社会の重要な要請として医療、保健、福祉の一体化があります。地域に根差したその活動を主体的に担っている診療所、中小病院の体系内の位置づけがこの改正案では配慮が薄いと感じざるを得ません。在宅医療を中心に、これら診療所、中小病院の役割について十分な配慮が望まれるところでございます。秋田県医師会の会員調査によっても、地域保健福祉への参加意欲が会員の中では旺盛であることが明らかでございますが、施設体系の役割の中に十分な位置づけと対応が必要だと考えております。
 第四点として、この改正案が医療現場の実情に即応して、常に血肉の通った法律として機能することを心から念願しております。常に医療計画に沿った形を堅持しつつ、医療にまつわるあらゆる法律、医師法を初めとする関連職種それぞれの法、健康保険法から診療報酬体系まで、もちろん保健に関するもの、福祉に関するものすべてが整合性あるものに整えられることを強く要望したいと思います。
 第五点として、最後に強調して希望したい事項を申し上げます。
 全国各県とも地域事情ともいうべき特殊事情があることと思いますが、特に本県のごとく人口密度、秋田市一極集中型の県事情、医療機関の全県的配置状況、全国屈指の超高齢社会、マンパワーの県外流出、食生活習慣を初めとする生活環境、労働形態、もろもろの構造的特色から際立った疾病構造の特色が浮かび上がっております。
 元来、地域的特徴を考慮して設置されたはずの県医療審議会が今こそ真に機能すべきときであり、これが機能し得るように大幅にこの改正法案の運用を県医療審議会にゆだねる処置が必要と考えます。医療現場の混乱を防ぎ、改正法案の趣旨を全うする状況に軟着陸するためには、ぜひこの英断が必要と思います。
 例えば最新情報によると、五百床以上、十診療科目の総合病院でなければ特定機能病院に指定されないということであれば、最先端の研究医療機関である脳研センターあるいは県医師会の循環器疾患の高度研究医療機関である成人病医療センター等、特定機能病院としての人的配置、内容を満たしながらも、専門指向のために総合病院たり得ず、五百床病院ともなり得ず、特定機能病院としての指定の道が全く閉ざされることになるわけで、実際に果たしている役割と体系の中の位置づけとが大きな乖離を生む結果となります。
 この法律の細部が政省令にゆだねられている部分が多いというすぐれた発想をさらに展開して、各県医療審議会の意向を十分生かすことにぜひ絶大な理解を示していただきたいと重ねてお願い申し上げます。
 最後に締めくくりとして、この改正案に秋田県医師会は賛意を表し、私たち医師会員は常に県民の健康のため、県民の幸福のためを第一義として、この法のもとで診療に励む決意を申し述べ、意見陳述を終わります。(拍手)
#313
○野呂座長 ありがとうございました。
 次に、林雅人君にお願いいたします。
#314
○林雅人君 医療法一部改正案についての意見を地方中核病院の院長として申し上げたいと思います。各論についてはもう申し述べることはやりませんが、まず根本的な事柄についてのみお話しさせていただきます。
 まず、今回の医療法一部改正案については、医療理念については、医師と患者の信頼関係に根差すこと、それから疾病予防、在宅ケアも含むなど、医療の原点としてまとめられて、私は妥当なものと思います。ただ、具体的施設機能については幾つかの不明な点、問題点もありますので、その要点だけを述べさせていただきます。
 まず第一に、先ほど畑澤先生からも言われましたけれども、私は角度を変えて、特定機能病院の規定について、これが不明確である。例えば高度医療を行う能力とはどのようなレベルをいっているのか不明である。救急医療に対する特定機能病院の役割はどういうぐあいになるのでしょうか。高度の医療を要する救急患者は年間約一%ぐらいを占めておりますけれども、特定機能病院の役割はどうなるのでありましょうか。大都市はともかく、地方に専門機能を持つ総合病院がなくなると、非常に遠くなって、そこのところに行くまでの距離が大きなネックとなります。先ほど申しましたように、高度の医療を要するような救急患者が年間に約一%ぐらいを占めておりますけれども、秋田県では救急患者は人口の一二%、その中で救急車によるものが一二%、このうち大体七〇%が二次の公的病院を受診しております。このような中で特定機能病院の役割はどうなるのでしょうか。これも先ほど畑澤先生が申されましたけれども、先日の地元紙に、特定の大学病院に患者が集中して、高度な医療を発揮するのにかなりディスターブされているというような記事が出ていましたけれども、その辺の役割分担が明確でないように思われます。
 第二番目に、現行法による総合病院は、従来から内科、外科、産婦人科、眼科及び耳鼻科となっておりますけれども、これでは不十分ではないでしょうか。救急医療では第二次救急、先ほど言いましたように、特に体制が不十分なために一次救急の患者が非常に多いというのも問題なのですが、救急救命士の一次研修であるとか、これから出てくる脳死の判定など、そういういろいろな内容が要求される総合病院について現行法の拡充が必要なものと思われます。例えば麻酔科であるとか脳外科であるとか、そういうような協調がなければなかなか難しいのではないかということが考えられます。
 第三番目に、在宅医療の義務化について案文にありますが、その担当に特定機能を持たない病院、これは一般病院ということになるわけですが、それと診療所に任されておりますが、その役割分担が必要ではないかと思われます。現実的には診療所の医師の高齢化、特に農村部では非常に高齢化してまいっております。そのため、一般病院の負担が非常に大きくなる可能性があります。公立病院の少ない地域ではその点がなお一層顕著になると考えられます。
 今回の医療法の一部改正案は、全体としてその流れは一歩前進している点で評価できます。私は、こういう法案を通していただくことは賛成ですが、現在の医療の具体的な問題点として現場のスタッフが悩んでいる事柄、例えば今申し上げました救急医療の問題、在宅ケアの問題、厚生省も非常に力を入れていると言われている疾病予防としての検診のあり方、それが医療機関がどのようにかかわってくるかというようなことについてはほとんど触れられておりません。これから高齢化社会を迎えてきて、その役割分担がしっかりと決められないと、ある一部のところに重荷が行って、医療が法で定められているようになかなか運用されない可能性があります。
 この点も先ほど畑澤先生が申されましたけれども、都会で考えられた考え方が秋田県のような過疎な地域においても同じような方法で組み入れられなければならないという現実を考えるときに、そういう点での配慮がもっと欲しいように思います。高齢化していく社会と高齢化していく現場の診療所の医師、そういうものがうまく組み合わされながら病院経営ができ、医療が患者に満足されるような、住民からサポートされるような医療体系にしていくためにも、ぜひそういうような法的なバックアップが必要なのではないかと私は思います。
 先ほども申し上げましたけれども、今回の医療法の一部改正案については、私は一歩前進したものとして評価しておりますので、この法案を通していただき、さらに二段、三段と進めて、さらによいものを次に持ってきていただければということを要望して、終わりたいと思います。(拍手)
#315
○野呂座長 ありがとうございました。
 次に、佐藤怜君にお願いいたします。
#316
○佐藤怜君 私は、ただいま紹介にあずかりましたように、現在秋田大学の教授として、発達心理学、社会心理学、家族心理学等の講義及び実験演習等を教育学部及び大学院教育学研究科で担当しておる者でございます。
 私は、傍ら、畑澤先生などとも御一緒することがございますが、秋田県からの委嘱を受けまして、秋田県社会福祉審議会、秋田県社会教育委員会などの委員経験を通しまして、地域社会の福祉及び教育のために、微力ではございますけれども御支援申し上げております。
 本日は、医療法の一部を改正する法律案の審査のための現地公聴会の意見陳述人としまして、衆議院厚生委員長の牧野隆守様から御依頼を受けましたので、これからの我が国の医療のあり方につきまして、福祉との関連を含めまして、私の意見を述べさせていただきます。
 最初に、我が国の医療と福祉の現状でございますが、今日我が国は、戦後以降一貫した努力によりまして公衆衛生対策が浸透してきていること、地域保健活動が活発化してきていること、医学あるいは医療技術の飛躍的な進歩などによりまして、国民の健康管理あるいは国民自身の健康意識が徐々に改善されてきておりますし、また乳児死亡率の低下、疾病治癒率の向上などを通しまして、今日では我が国は世界でも一、二を誇る長寿国となってきております。この長寿国に対する貢献は、日本の医療福祉がそれなりの努力をしたことであると評価しなければならないと思っております。
 また、我が国におきましては、国民は自由に医療機関を選択し、診療を受けることができるという医療制度を持っております。さらに、国民皆保険という制度のもとで、国民の医療が保障されております。これらのことから、我が国の医療制度及び医療内容は、世界的に見ましても高い水準を維持しつつあるということを示しているものと思います。
 ところで、我が国におきましては、昭和二十三年に医療法が制定されて以来、医療機関あるいは医療従事者の量的な整備が順調に行われてきております。一部、医師の過剰の問題であるとか、あるいは逆に看護婦の不足というような問題はございますけれども、今日におきましては、病院数、病床数ともに諸外国に比べても引けをとらない状況となっております。例えば、人口十万人対比の病院数、病床数では、スウェーデンに次いだものとなっております。また、医療従事者につきましても、一県一医学部または一医科大学を設置するなど、医療従事者の養成が積極的に行われてきており、今日におきましては、医師数、歯科医師数、薬剤師数などは欧米諸国並みの水準になっております。
 このように、我が国の医療施設につきましては、量的な面での整備はほぼ達成されたものと思います。したがいまして、今後の我が国の医療は、人口の高齢化、医学及び医術の進歩、疾病構造の変化、国民の医療への要求の多様化、高度化という、医療をめぐりまして現在変化しつつある状況に対応した医療供給体制の質的な面での検討がなされる必要があるわけでございまして、このことにつきましては、昭和六十年以降、関係各位によりまして鋭意なされてきていると評価することができますし、また、このような討議のプロセスを経ているということは、当然の対応として私は理解しております。
 そして、このたびの医療法の改正は、このようなこれまでの検討を踏まえながらなされていくものであるというふうに思いまして、今後の我が国の医療におきましては、医療の質を深めるという新しい流れ、日本の医療につきましてはいわゆる質の時代という一つの方向を指摘しているものとして、評価することができるのではないかと思っております。
 次に、私が関連しております福祉施策についてでございますが、福祉施策につきましては三つの柱がありまして、一つは、子供の健全育成を保障することをねらう児童・家庭福祉でございます。これは、それぞれの家庭への支援、地域ボランティア活動の定着をもとにしまして、施設福祉面でも保育、養護、教護、あるいは医療と関連のあります障害児の療育という専門的な処遇が進められてきております。
 二つ目の柱として、障害者福祉というものがございます。障害者にはさまざまな障害を持った方々がいらっしゃるわけでございますが、このことにつきましても、医学と教育と社会の三つの側面からの福祉対策が、心身障害児あるいは心身障害者に対しましてさまざまな関連する法律、例えば心身障害者対策基本法、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法、精神保健法に基づきまして、在宅での福祉あるいは施設での福祉、それぞれに障害の種類や程度に応じて対応してきているところであります。この点でも、やはり医学的な治療、それからリハビリへ導入する療育といったものでかかわり合いを持っております。
 三番目に、老人の福祉でございます。最近の急速な高齢化に伴う高齢者への所得保障、就労の保障のほかに、医療との関連では医療の保障あるいは介護サービス、さらには心の面の支援として生きがい支援という対応が求められてきており、さらに寝たきりあるいはひとり暮らし、痴呆という要援護老人への在宅や施設での福祉サービスが求められてきているところでございますが、これにつきましても老人福祉法あるいは老人保健法を軸としながら、最近ではゴールドプランという高齢者の保健福祉支援のプランニングの展開が順調になされつつありまして、老人福祉の充実がさらに図られつつあると認識しております。
 このように、医療と福祉というものは車の両輪のように連係し合い、国民一人一人の健康で幸せな生活を保障してきているということを指摘することができると思います。
 これからの福祉と医療についてでございますが、これまでの福祉施策は、どちらかといいますと在宅福祉よりも施設福祉に偏りがちでございました。したがって、福祉の対象となります障害者あるいは高齢者等の社会的な弱者を、ともすれば一般社会から隔離して収容するという差別的な暗い印象でとらえられがちでございましたが、これからの福祉は、一般社会の中で処遇していくといういわゆるノーマライゼーションあるいはインテグレーションという理念を生かしながら、在宅福祉と施設福祉の相互を活用し、福祉対象者の自立と社会参加を保障し、一般の社会の方々とともに生きていくという地域に根差した福祉の展開が期待されるところでございます。このことにつきましても、当然医療的な面からのかなりの大幅な支援というものが必要になるところでございます。
 これらの医療に関しましては、最近の疾病構造を受療率から見ますと、感染症等の疾患が減少し、成人病、非感染症の疾患が増加しており、入院の長期化への対応が必要となってきております。また、高齢者の増加により、老人医療の比重も次第に大きくなってきております。さらには、国民の医療に対する要求がより高度なものを求めるというような状況になってきております。
 これらの状況に対応していくためには、先ほどのお二人の方々の意見の陳述にもございましたように、今回の医療法改正の中にも指摘されております医療機関の機能を体系化する、あるいは役割分担を明確にするということが一つのポイントになろうかと思いますが、長期入院患者、一般の患者、高度な医療を要する患者というように区分して対応すべきであるということがございまして、それに対応した療養型病床群、一般病床群や診療所、特定機能病院というふうな三つに分化した形で、国民が医療機関を効率的に利用していくという点を提示してあるわけでございますが、このことは妥当なことであると考えます。またさらに、国民が医療機関の利用に際しまして、利用情報が乏しいための不安、ためらいの解消のために、医療に関する適切な情報の提供も、今後かなり幅を広げていく必要があるのではないかと思っております。
 ちなみに、私の受療の経験を申し上げますが、私の町内には開業をなさっているお医者さんがおりまして、ここ二十年来いわばホームドクターとして、軽い風邪とか胃腸障害といった疾患などについては、主にこの家庭医を通して治療を受けております。これは私だけでなく、家族がそういう状況になっています。この開業医の方とは地域的なつながりもあり、また人とのつながりということもございまして、大変便利な形で活用させていただいておりますが、私どもといたしましては、時々治りにくい疾病でありますとかあるいはちょっと重そうだなというふうな場合には、開業医に相談いたしますと、先ほど出てまいりました脳研センターでありますとか地域の成人病のセンターでありますとか、あるいは大学の附属病院などに紹介されまして、そこでさらに精密なあるいは高度な診療などを受けております。そこからまた逆に紹介されるといいますか、逆紹介という形で再び開業医に戻ってきて治療するというような形をとっております。
 これは、私がたまたまこういうような形をとっているわけでございまして、すべての地域の方々にこのような利用の仕方をさせようというふうなことを考えましても、なかなか難しいのではないかと思います。この点につきましては、畑澤先生からも御指摘ありましたが、大病院志向といいますかあるいは大病院信仰といったらいいのでしょうか、一般の病院よりは大学病院とかそういうところにかかっていると、患者としても格好がいいのではないかというようなイメージがありますので、どうしても大きい病院に集中しがちになるという点がございますので、この点の国民に対する医療機関の利用の仕方について、きめの細かい御指導が必要になるのではないかということを感じております。
 それから、秋田は、先ほど御指摘がございましたように、辺地の方々が比較的恵まれない状況にありまして、病院に通うのにも、朝五時に起きて一日いっぱいかかるというふうな状況もあるわけでございまして、この辺のひずみの是正ということも、今後の地域的な課題として挙げられるのではないかと思います。
 最後に要望でございますが、医療と福祉というものの対象者は、ともに社会的な弱者という点では共通しております。その点では福祉及び医療の業務に携わっている方々の並み並みならぬ力に負うところが大きいわけでございます。したがいまして、医療におきましても、人材の育成と確保ということのために今後とも御尽力をお願いしなければならないと思っております。かつて医は仁術というふうに言われておりました。それから、医は算術とも言われたこともございます。今日は医は技術という技術中心になってきております。これらのものを統合して、私は、さらに今後は医は人術、人の術ということとしまして、今回の医療法改正で理念を規定しておりますけれども、医療従事者と患者との人的なかかわり合いの中で医療を行っていく、人を大切にしていく、そういう人間こそ福祉の面でも医療の面でも求められているのではないかと思いますので、人材の育成、確保ということについても今後の課題なのではないかと思っております。
 以上をもちまして、少し長くなりましたが、私の意見陳述を終わらせていただきます。(拍手)
#317
○野呂座長 ありがとうございました。
 次に、内藤賢一君にお願いいたします。
#318
○内藤賢一君 前のお三方がもうほとんど意見は述べられておりますので、私は極めて具体的に本法案についての意見を述べさせていただきます。
 私は、父の後を継ぎまして、約二代にわたりまして小さな町で開業しておりましたその経験、それから全日本病院協会に約二十年おりまして、その間、医療法改正につきましての意見も二度ばかり提出をしたことがございますので、それらについて、そういう経験からまた意見を申し上げます。
 原則的には、この医療法改正そのものは賛成ではあります。しかし、あくまでもこれは一部改正でありまして、医療体系がますます複雑になってきておるということについては、非常に残念であると思うのです。以下、意見を六つばかりにまとめて申し上げます。
 第一条で、国及び地方公共団体は、医療を効率的に提供する体制が確保されるように努めなければならないとされておりますけれども、それに伴って医療に従事する要員の確保、養成の責任について、ぜひこういう法案の中で明記をしてほしいと思うのであります。
 その理由といたしましては、前回の医療法改正で老人保健法が導入されて、さらに医療計画が新設されました。前者は老人医療を複雑にしましたし、後者の医療計画は、病床数の急激な増加、要するに駆け込み病床と称していますが、それを起こさせまして、それに伴いまして看護婦の不足が全国的に巻き起こりました。これは、将来の推移の見通しがないままに、また準備のないままにこの法改正をしてしまったということだろうと思いますし、今回の保険点数の改正に伴いましても再び急激な看護婦不足が起こってくると思います。こういうことで医療体系が混乱しては非常に困りますが、これは多分基本的にしっかりした医療法というものがないためじゃないか、私はそういうふうに思います。看護婦を初めとする医療従事者の計画的な養成の責任を国、地方公共団体が負いまして、さらに福祉施設も含めて人口動態あるいは高度医療の発展等に合わせていけるように、そういう問題を前倒ししていかなければならない、こういうふうに思っています。
 二つ目は、病院、診療所の定義の中で、収容施設が二十名という入院患者を境にして診療所あるいは病院というふうに分けるというふうな法律がございます。これは全く現在では必要のない法律だと思います。同様に、総合病院においても患者百人以上のベッドが必要だというふうになっておりますが、これも現状にそぐわない全く不必要なものだと思います。またこれと同様に、法十三条というものも不必要だと思います。
 病院の定義は、その構造や従事する人数の規定があれば十分でありまして、新規に開業する場合の二十あるいは三十名という収容施設では、経済的に当然これから成り立たない。また、これは総合病院でも同じでありまして、現在百床の病院が総合的な病院であって、経営が成り立つかといいますと、全くこれも成り立ちませんから、こういう百人なんという人数で規制する必要は全くないと思います。また、法十三条は、施行以来今まで一度も適用されたことがない法律でありまして、こういう法律はまことに不要だろうと思います。
 三番目は、国公立病院と民間病院、あるいは民間診療所も含めていますが、その医療上の役割分担をはっきりと法の中で書いてほしいと思います。今回は特定機能病院という国公立病院を対象とした新しい考えが導入されたわけでありますけれども、これに対する医療上の機能その他の能力が要求されています。しかし、こういうところにこそ国公立病院と民間病院との役割分担をはっきりと示すべきだと思います。
 あわせて、その機能が十分発揮されるように、財政上の国あるいは公共団体の責任をも導入して明記されたいと思います。特にこういう点で問題になりますのは、研究開発、教育を行っております病院の財政上のよりどころが健康保険の請求から成り立つというようなことはまことに遺憾でありまして、さらに今後こういう部面が多くなると思いますので、そういう教育や研究やさらに開発に必要とする経費は、医療費以外より出されるような法律をぜひ考えなければならないと思います。
 また、今回新しく設定されます救急救命士の制度などもありますが、これらもその受け入れ態勢が十分に整備されないままに救命士がどんどん養成されるということになりますと、さらにそのことによってまた医療の体系が非常に混乱する。もちろん国民も混乱しますので、そういう制度を十分に生かせるようなものをあらかじめ考えておいて、そういうものをどんどん先行させておいてそういう制度を生かしていく、そういう考えがぜひ必要だと思います。
 それから四つ目でありますが、この法令の中で、前からもあるのですが、省令で定めるという項目が非常に多い。省令というものは、この法律を生かす生かさないの非常に大事な問題でありまして、法律ができても、その省令のいかんによってはまことに反対の方に動くということも考えられます。そういう意味で、省令を出す場合に、あらかじめ関係団体ないしは学識経験者の意見を十分に聞く、そういうことをはっきりとこういう法律の中で示してほしいと思います。
 五つ目であります。これはいろいろな他の法律との関係、例えば病院の建築におきましては建築基準法あるいは消防法、そういうものに非常に複雑に絡んでおります。また、従業員については労働省のいろいろな事項がございます。例えば週休二日制にしましてもそれから休暇をとるにしましても、一般の会社と病院とは違います。そういう問題は十分にお互いに協議をしまして、うまく運営ができるような場をぜひつくってほしいと思います。
 結局、この医療法というものは施設法でありますので、国の医療百年の大計を立てる法としては成り立たないと思います。ですから、それにかわるものとしまして例えば医療基本法というようなものを考えまして、少なくとも医療に関しては、こういう立派な基本法の上に立つというようなものをぜひ今後考えてほしいというふうに思います。
 極めて具体的なことばかりでございましたが、そういうことで私の話は終わります。
 最後に、きょうでもそうでございますけれども、立法府におられます衆議院、参議院の議員の先生たちには、いろいろ日ごろ苦労なさっておりますので、感謝申し上げることであります。しかし、国民の健康保持や疾病の治療あるいはリハビリなどをいろいろ含めまして、そういうものを今後決めていく重要な法律の改正でございますから、こういう公聴会を二カ所にするというようなことでなくて、もっと早い時期にもっと多い場所で十分に開いていただいて、国民の声を聞いていただきたいと思います。そういうことをお願いしまして、私の陳述を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
#319
○野呂座長 ありがとうございました。
 以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#320
○野呂座長 これより委員からの質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石破茂君。
#321
○石破委員 陳述者の先生方には、本当にお忙しいところお出ましをいただきまして、心から厚く御礼を申し上げます。また、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、心から感謝をいたしておるところでございます。
 今日、戦後日本の国というのはさまざまな偉業をなし遂げてきたわけでありますが、最も輝かしいものの一つが、先ほど来お触れになっておられる方々が多いのですけれども、これだけ長生きの国になった、乳児死亡率も減り、心疾患も減ってきた、それはやはり大きな成果であろうというふうに思っております。しかし、今回医療法の改正を取り上げておりますのは、今までがよかったからこれから先もこれでいいという話には相ならない。高齢化は進行いたしますし、そしてまた国民医療費は二十三兆を超えてしまったというようなことで、これから先の日本の国が今までの医療法で対応できるかといえば、それは無理なのであろう。昭和二十三年、より医療施設法的な意味合いを持ち、なお急性疾患を中心とした体系で組み立てられている今日の医療法がこれから先も通用するとは思えませんので、そういうような観点から、先生方にもおおむねの方々が御賛成をいただいておるのではなかろうかなというふうに思っておるところでございます。
 今回改正をして、では一体何がどうなるのか、本当に二十一世紀の日本の医療のシステムというのは、この医療法改正でうまくいくのだろうかということをまだ皆が疑問に思っておる。よく指摘をされますように、三時間待って三分診療というのはよろしくない、これを何とかしようというのがキーワードみたいに使われておりますね。ただ、私は思うのですが、患者さんは何も大病院に行けと強制をされておるはずではない。なぜ患者が大病院に集中をするのかというのは、これはどういうわけなのでしょうか。
 先ほど、大病院に行っている方が格好いいのだというようなお話も佐藤先生からございましたけれども、私は、大病院に患者さんが集中いたしますのは、ひょっとすれば、おなかが痛いのだけれどもがんなのじゃないだろうか、頭が痛いのだけれども何か重要な病気があるのじゃないか、大病院に行けば隠れたるところの重要な病気というのが発見してもらえる可能性があるのじゃないか。それを信仰と言っても何と言ってもいいのですが、そこはかとない安心感というのが、三時間待とうが六時間待とうが大病院に集中する一番の原因ではないのかなというふうに思っておるのです。
 これが下手に大病院が紹介半分、外来半分ということになりますと、患者の流れはどうなっていくのだろうか。もし一歩間違えますと、三時間待っていた者が今度は六時間待とうと大病院集中ということが起こりはしないか。その辺をうまく流れをつくっていかなければいかぬなと思っておるのですけれども、そのあたりの患者さんの心理、そしてまた、うまいぐあいに患者さんの流れをつくっていくためにはどのようなやり方が望ましいと思われるのか、それぞれの先生方にお尋ねをいたしたいと存じます。
#322
○野呂座長 四人の先生方にそれぞれ、それでは畑澤実君からお願いいたします。
#323
○畑澤実君 ただいまの患者の流れの整理をどうしたらいいかというお尋ねですが、先ほども申し上げましたように、はっきり言って決め手はないと思います。
 というのは、現在の国民の健康に対する意欲というものが異常に高まっている、それからまた、これはいろいろな情報のためだろうと思いますが、まさにおっしゃるとおり最悪の場合を予測する、こういうようなことがあながち否定はできないと思うのですね。そしてまた、これが悪いとも言えないと思うのです。したがって、これを防ぐためには、一番の問題は地域医療、検診、かかりつけ医師というような方向を法的にも、また我々医師会もその方向に取り組んでいくことが先決だろうというふうに考えております。
#324
○林雅人君 私も、根本的なことについてはちょっと申し上げられませんが、大病院志向ということは確かにそうだと思いますが、診療所でも、非常に多くの患者を診ていられる診療所もありますし、非常に少ない診療所もあります。大病院であっても非常に少ない科もありますし、非常に多く集まってくる科もございます。これは、患者がどのように医療をエバリュエーションするかという問題が一つ入っているのじゃないかというぐあいに思います。
 ただ、一つ問題なのは、先ほどから話が出ていますように、非常に長時間待ったけれども短時間しか診てもらえないということよりも、診察時間が非常に短いことによって誤診をしたり、いろいろなエラーを生むおそれがあるということの方がずっと重要ではないかというぐあいに思います。したがって、一人の医師が診れる限界点というのはある程度明示した方がいいのじゃないかというのが私の考え方で、むしろ非常にたくさんの患者さんを診過ぎることによって、誤診するというようなことを防ぐ何らかの方法は考えてもよろしいのではないかというぐあいに私は思っていますが、患者の動く方向を規定するということはなかなか難しいことだろうというぐあいに思います。
 以上です。
#325
○佐藤怜君 私、先ほど大病院信仰とか志向というようなことを言いましたが、御指摘のとおり、やはり不安で大病院へ行って精密な検査をしたいという要求のもとで、大病院へ行かれる患者さんもいらっしゃると思います。そういう場合に、がんでなければ、ではどうするかというようなことも考えないといけないと思うのですね。がんでなければ、今度は大病院から地域の医療機関に逆にフィードバックして、逆に紹介していってもらって、そこで今度は地域で診療していただく、そういう流れをつくっていく必要があると思います。
 そのためには、やはり地域の医療機関、大きい病院、中程度、さまざまなものがあると思いますが、そういう病院間のネットワークというようなことによって大病院から診療所または一般病院にフィードバックしてくる、そういうことで流れをある程度変えていくことができるのではないかというふうに思っております。
#326
○内藤賢一君 これは、一つはホームドクター制を導入するという考えはあると思います。例えば、イギリスなんかで地区について自分のかかる医師を決めていくという案ですね。ここまで日本はやれませんけれども、少なくともそういう方法もあるということは一つでありまして、病院側としましては、来る患者の時間を予約するというような方法で、今言ったような六時間、三時間待ちの一分というようなことは幾らかでも解決できるようになると思います。
 ですから、そういう医療に対する癖を国民につけさせるという問題も非常に大事でありまして、これはやはりマスコミの力が非常に大きく働きますので、医療についてのマスコミのいろいろな表現を十分に考えていただきたいと思うのです。そういうことである程度の解決はできるだろうと思います。
#327
○石破委員 結局、決め手はないということだと思うのですね。ですから、国民の意識、そしてまたお医者様方の意識というものをそういうふうに変えていかねばならぬのだろうなと思いますが、実際問題これは経営上はどうなっていくのでしょうね。
 つまり、この特定機能病院というものをつくるというのは、それはそれなりに意味のあることで、今誤診の率を減らしていくという話もありましたし、そしてまた高度の医療というのをなし遂げるためには、風邪を引いたとかおなかが痛いとか飲み過ぎちゃったとか、そんな人まで一々診ておったらば、それはとても高度なことはできないだろう。やはり高度な医療提供機関たるためには、そういう患者の流れであってはいかぬのだろうと思います。ですから、それぞれの病院が機能連係を行って、患者が安心して医療が受けられて、医療機関もその特性が発揮できて、なお経営が成り立つということの流れをつくっていかねばならぬと思うのです。
 ところが、こういうふうに分化していくことによって、それぞれの診療所、開業医さん、そういうものの経営というのはどうなっていくものなのでしょうか。今まで大病院に集中しておったのが開業医さんに流れてくるということになっていくのか、そしてまた、これはちょっとおかしいなと思ったらすぐ紹介をする、だからそれはもうある意味で、非常に変な言い方をすれば、お客さんが逃げちゃうということにもなるはずなのですね。でもこれは、どうもおかしいなと思ったらすぐ大病院に紹介する、特定機能病院に紹介する、そうすると紹介料などというものがやはり根底になければ、そういうような流れはつくれないのじゃないかと思っているのですけれども、その辺、開業医さんのお立場から畑澤先生にお教えいただければありがたいと思います。
#328
○畑澤実君 先ほど最後に申し上げましたように、私たちは医師として、経営ということは二番目で、患者にいかなる良質の医療を適切に与えるかということが我々の使命だと思っています。したがって、先ほどのように、この基本法に賛成だということは、それなりに良質な医療を適切な病態に応じて提供できる体制だと思っております。
 今御指摘の経営上どうだということについては、場合によってはこれは別途に考えるべきことであって、経営上どうかということを混在させながら医療の質を確保するということを考えると、いびつなものになるだろうというふうに判断しております。
 さらに申し上げますと、先ほどのように地域医療、地域の保健活動あるいはいろいろな地域内での医師の生活、そういうものによって、かかりつけ医師という制度は、場合によっては制度化しなくともでき上がっていくだろうというふうに考えております。もちろん紹介制ということは、これから大きくあらゆる面で取り上げられていかなければならないと思いますので、それに対するいろいろな、おっしゃるようなそれぞれの体系の中で位置づけられたそれぞれの診療所、中小病院が成り立つような経営的な対応は当然必要だろうし、それは別途に考え、要求していかなければならぬだろうというふうに考えています。
#329
○石破委員 続いてお尋ねしますが、畑澤先生、別途というのは大体どのようなものが考えられるのかということ、そしてまた、もう一つお教えいただきたいのは、かかりつけのお医者さんという概念が最近やや薄くなってきちゃったような気がするのですね。昔はうちの先生がねというので、本当に家族の一員みたいにしょっちゅう往診に来てくださり、おじいさんから赤ちゃんに至るまでみんなの病歴、健康状態というのをきちんと把握している、そういうようなお医者さんがどこにもあったように思うのです。ところが、それが今は、患者の方もわがままなのかもしれませんが、あそこのお医者さんがだめなら今度はここのお医者さん、ここのお医者さんがだめなら今度はこっちのお医者さんなんというようなことで、いろいろな病院の渡り歩きみたいな話で、薬を何種類ももらって副作用を起こしちゃうようなことがあるようなことですが、そのかかりつけのお医者さんというのは何でなくなってきちゃったのでしょうね。それはどうしてかということ。それから別途というのはどういうことなのか。
 それから第三点は、今でも紹介というのはやっているわけですね。開業医さんがこれはちょっと危ないなと思うと、大学病院にさらさらっと紹介状を書いてお送りになる。ところが、話はそこで切れちゃうのですね。紹介して大学病院に行っちゃったら、後は大学病院のお医者様の責任でありますということであって、そこの機能連係というのが全然図られていない。アメリカみたいに院外医師という制度を認めるかどうかは別といたしまして、紹介はした、しかしながらその後は知らぬよということではなくて、紹介した開業医さんもともに医療に当たるというようなことを考えることができないのか、その三点お教えいただければありがたいと思います。
#330
○畑澤実君 まず、かかりつけ医ということが薄れてきた、なくなってきたということの一番大きい原因は、開業医の高齢化だと思っています。これは、開業医が高齢化しますので、二十四時間診療に走り回るということはほとんど不可能になってきました。そういうことから、時間外、緊急あるいは診療以外のおつき合い、いわゆる病気の相談その他ということに割けるような時間ができなくなった、これがまず一つの大きい理由だと思っています。もちろん、御指摘のように住民サイドの意識の問題もあると思いますが、何にしても一番の原因は開業会員の高齢化だと思っています。
 その次に、先ほどお尋ねのように、なぜ紹介した患者さんが言ってみれば行きっ放しになっているのかという問題については、これは大いに医師会内の医療のネットワークということで、これから真剣に取り組んでいかなければならない問題だと思っています。ただ、秋田県内では、実は先ほど申し上げた秋田県医師会が成人病医療センターというものをつくりまして、そこでは登録医制度を設けて、自由にその施設を利用し、そこのスタッフと連係をとりながら診察し、そしてまたその患者を受け取っていくという体制をとっております。こういうものが各地域につくられるような状態になれば、あるいは中小病院、あらゆる病院が今後こういうような形態をとっていくだろうと期待しております。
#331
○石破委員 それから、紹介料とかいうものは別途やられるべきだという点はどうですか。
#332
○畑澤実君 そういうものは当然、現段階では診療報酬体系の中に盛り込まれていかなければならないものだと思っています。
#333
○石破委員 これは林先生に教えていただきたいのですが、特定機能病院というのは大体どれぐらいの配置であるべきなのでしょうね。要するに、今言われているのは、全国で百ぐらいを指定しましょう、ベッド数五百ぐらいで高度な医療を提供してというようなことなのですが、そうしますと一県に一つみたいな話になっちゃう。そしてまた非常に離れた、秋田みたいな大きな県ですと、秋田市にぽんと一つあってもほかの人が来にくいということもあるのかもしれませんが、特定機能病院なるものは大体どれぐらいの配置基準であるべきだと思われますか。
#334
○林雅人君 例えば今のお話のように秋田県に一つぐらい、全国で六十ないしというような数であるとすれば、さっきも私申し上げましたけれども、秋田の地方から動線が非常に長くなるというようなデメリットがありまして、入院するにも、秋田までしょっちゅう通ってくるというのが非常に大変であろうというぐあいに思います。したがって、少なくとも秋田県を大きく分けて、県北、県南、県中、最低限三カ所、できたら五ヵ所ぐらいあれば、比較的近距離にそういうような特定病院があるということになりますので、それほど交通の不便さというのは大きくはなくなる。もちろん地元にあった方がいいわけですけれども、東京なんかと違って秋田とか岩手とか、北海道もそうですけれども、そういうような距離のあるところは、患者サイドからいうと、遠いところに行って入院しなければならぬという非常に不利な要件が出ますので、今お考えになっている数の三倍から五倍ぐらいの数を考えていただければというように私としては思っております。
#335
○石破委員 同じ問題で佐藤先生、いかがですか。
#336
○佐藤怜君 この問題は、私は直接専門でありませんのでちょっとわかりかねますが、感じといたしましては、各郡というのがございます。その中に中核になる町とか市があるわけですけれども、少なくとも各郡を一つのブロックと考えて高度な機能を果たせる病院を配置した方が、地域住民のためによりきめの細かい、しかも密度の濃い医療を施してもらえるのではないかと思います。ただ、特定機能病院というのは、かなりスタッフとかさまざまな機能を備えていないといけないという制約がございますので、実際問題としてはなかなか難しいと思います。したがいまして、希望としては、秋田の場合ですと少なくとも各郡一カ所ぐらいずつはあれば、地域住民のために非常によいのではないかというふうに思っております。
#337
○石破委員 内藤先生にお尋ねしますが、先ほど医療基本法というお話をなさいましたね。私は、この医療法こそが医療基本法的な性格を持っているのじゃないか。今までの医療法というのは確かに医療施設法的であったけれども、この新しい改正案で理念ということを盛り込むことによって、やや基本法的になってきているのじゃないかと思っているのですが、先生がそういう医療基本法という概念を提示される理由につきまして、そしてまた具体的内容についてお考えがあれば、御教示賜りたいと思います。
#338
○内藤賢一君 余り具体的と申されますとちょっと困るのですが、ただ、こういう医療法を今まで見ておりまして、今回若干そういう理念的なものが入ってはまいりましたけれども、これで将来百年にわたりまして日本の医療をやれる、そういう基本的なものについてはまだまだ不足しておると思います。ですから、こういう数字的なものがたくさん入っております法律ですから、そういうものなしに、やはり日本の医療を将来どう持っていくかという基本的なものを盛り込んだものが必要じゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
#339
○石破委員 次に、療養型病床群の評価について、それぞれ簡潔におっしゃっていただきたいのです。
 結局、慢性の高齢者特有の病気というものに対応するには、今の看護婦さんの配置とかそういうものはやや不適合ではないか。看護職員的な者が多くあってもいいけれども、看護婦さんの配置が今のように四人に一人というようなことでは、ちょっとこれは難しいのではないか。そういうような意味で、この療養型病床群というのは評価されてしかるべきものじゃないかと私は思っているのですが、いかがでしょう。お一人ずつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
#340
○畑澤実君 おっしゃるとおり、療養型病床群については私どもとしても全面的に同意、賛成いたしております。これが各病院で、あるいは各圏域で十分機能しますようにぜひお願いしたいと思います。
#341
○林雅人君 私もこの療養型病床群ができることは非常に歓迎しております。できましたらもう少し具体的な名前、これはいろいろの経過があって療養型病床群というような名前になったように聞いておりますが、例えば療養型の病棟であるとか療養型の病院であるとか、そういうような単位のつけ方も具体的にした方がいいのじゃないかとは思いますが、内容についてはこの考え方は賛成で、これは将来高齢者が多くなってまいりますと、長期療養の患者さんを診る上で非常に重要な役割を果たすというぐあいに考えております。
#342
○佐藤怜君 療養型病床群につきましての構想が指摘されておりますけれども、慢性の疾患で比較的長期に入院しないといけないというふうになりますと、生活面でのある程度の快適性とかを保障していかざるを得ないと思いますし、そういう点では、いわゆる家庭に近い感じの、アットホームな中で療育するというようなことを構想していくということでございますので、基本的には私も賛成しております。ただ私は、この中にもう入れ込んでしまってというのではなくて、時々は家庭に帰してみるとか、特に長期療養者の場合、家族とのつながりというふうなものを大事にしていきたいと思いますので、そういう点での交流なども配慮していかれれば、さらによいのではないかというふうに思っております。
#343
○内藤賢一君 これは原則的に私も賛成ではあります。ただし、本当にこういうものを必要とする患者が病院に入れるためには、病院の受け入れ態勢が非常に大事でありますから、施設の構造とか準備するいろいろなものについても、これからの経過を極めてきちんと考えていかなければ上手に運営されないと思います。その点を十二分にひとつ御配慮願いたいと思います。
 例えば、これは大都会のような建築費や土地の高いところで新しくいろいろな設備を設けることは極めて困難でありますから、そういう意味で、現在の病院の中でこれを生かそうとすれば、理想的なものをつくるのに幾つかの段階を設けまして、それで順次理想的なものに近づけていくというような配慮が必要だと思います。
 以上であります。
#344
○石破委員 畑澤先生に情報提供についてお尋ねをいたしたいと思います。
 今回、広告がかなり緩和をされるということになっております。診察日、担当医の氏名、診療時間、必要な料金、休日・夜間の受け付け方法等々がわかると言われている。ただ私は、この広告の緩和というのは、特定機能病院というのとそれから開業医さん、一般病院との流れをつくる上で一つ考える必要があるのではないだろうか。私の診療所ですとここの病院に紹介してあげますよとか、私にかかればだれでも治るなんて、そんな誇大広告はいかがなものかと思うけれども、そういう患者の流れをつくっていく上において、広告の緩和というのは一つ考える余地があるのではないかなという気がしていますが、いかがですか。
#345
○畑澤実君 この広告の問題については、まだまだ検討する点がたくさんあると思っています。というのは、今言われているように紹介先を広告する、そういうことはある意味では医療機関の系列化につながるだろう。これはやはり十分検討してみなければならぬ。
 それからもう一つは、機能を明示するということが即いわゆる一般に言われるランクづけということにつながらないか。こういうことを考えれば、広告、公示、掲示が必要なことは十分わかりますし、この体系を生かすためにはどうしてもやらなければならないとは思いますが、こういう点をどうクリアしていくかという点については、まだかなり慎重に考えていく必要があるだろう。広告というのは、常に受け取る側のレベルの問題もありますので、その点は慎重に扱っていただきたいし、扱いたいと思っています。
 以上です。
#346
○石破委員 最後に、内藤先生、もう一度教えてください。
 福祉と医療の問題なのですが、結局、同じような症状の人たちが、ある人は老人病院に入り、ある人は特養に入り、ある人は老健施設に入って、ある人は療養型病床群に入る。実は同じ症状、同じような状態なんだけれども、それがばらばらに四つにいるわけですね。これは負担が全然違うわけですが、将来的にはこれはどうあるべきだとお考えですか。
#347
○内藤賢一君 それは当然受け取る側が非常に混乱しておりますから、あくまでも早くできるだけ一つのものにまとめていくという方向が必要だと思います。今のように同じような症状がありましても、片方は病院にいるし片方は特養にいるというようなことで、負担が変わるということは非常に変な話で、やはり老人に対するいろいろな施設がどんどん細分化されていっては非常に困りますので、ぜひ一つのものにまとめていくという方向でお考え願いたいと思います。
#348
○石破委員 ありがとうございました。終わります。
#349
○野呂座長 それでは次に、池端清一君。
#350
○池端委員 陳述人の先生方、きょうは大変御多用中貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。これからの審議の中で先生方の御意見を十分反映できるように我々も努めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
 そこで私、最初に基本的な問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。
 昨今、患者さん方の健康や医療への認識、特に自分の健康は自分で守るという権利意識というものが非常に高まっておるわけでございます。そのことに関連をいたしまして、いわゆるインフォームド・コンセント、説明と同意、こういう考え方が最近非常に強まっておるわけであります。先般、平成二年一月九日に日本医師会の生命倫理懇談会が「「説明と同意」についての報告」というものをまとめられておるわけでありますが、その中でも、最後のところで
  多くの問題があるにせよ、今後「説明と同意」に基づいた医療をわが国において推進し、根づかせなければならない。そうすれば、「説明と同意」は、医師と患者の信頼関係を再構築するひとつの契機となるに違いない。
  医師は「説明と同意」を真剣に考え、それを積極的に受けとめ、着実に一歩一歩前進してほしいものである。
  いま、医師たちは、そういう時代を迎えているのである。
こういうまとめの御報告がなされているわけでございますが、この点について諸先生方はどのようにお考えになるか。私は、もっとこの考え方を定着するならば、お互いの信頼関係も増進して、よりよい医療が提供できる、こういうふうに考えるわけでございますが、この点についての御見解をそれぞれの先生から承りたいと思います。
#351
○畑澤実君 インフォームド・コンセントにつきましては、冒頭申し上げましたように、これなくして医療は成り立たない、これがあるからこそ医療というものが生まれるんだということが我々医療現場の、日常診療に携わっている者としての基本的な考え方でございます。したがって、日常の診療の中で、これを失った診療はないはずだと理解しております。現段階で法にこれを盛り込むということについては、まだまだ医療の現場ではなじまないと思っております。
 ところが、御承知のように、確かに現在医療の中で、例えば臓器移植とか人工授精とかというような、際立ってインフォームド・コンセントの必要な分野が生まれてきていることもまた事実でございます。しかし、現段階では、このようなことに関してはそれぞれ倫理委員会というような場を経て運営されておりますので、インフォームド・コンセントを法に位置づけた場合、日常診療の場ではまだなじまない、むしろ医師の倫理としてこれを考えていくべきだというふうに考えております。
 以上です。
#352
○林雅人君 私も、今畑澤先生がおっしゃったことと同じように考えております。
 医者と患者の信頼関係というのは、インフォームド・コンセントがなければいけないことは当然のことでございまして、これなくしては医療というのは成り立たないものだというように思っておりますが、医療の中にはいろいろな事柄がありまして、例えば手術をするにしても小さい手術から大きな手術までありますし、ターミナルケアを行う場合にどの人を対象とするとかというような問題もありますけれども、そういうような事柄に関して事細かに規定されてしまいますと、そっちの方に気をとられてしまって、医療の本質が、しっかりした医療よりは、きちっと告げているかどうかということにとらわれ過ぎてしまうという嫌いもなきにしもあらずというぐあいに思います。
 ただ、おっしゃる趣旨は、これは医者としては根本的なことなので、すべての医療に関してそういうインフォームド・コンセントがなければいけないということだけは確かだと思いますけれども、それがとれていなかったということで医師が責められるとすれば、すべての医療現場で、風邪からさっき言いました外科の非常に簡単な手術まで、すべてそういうような内容が理解できるように話ができるのかどうかということは、現実問題として現段階としてかなり難しいのではないか。ただ、物の考え方としては、おっしゃるとおり、こういうことが医療現場の原点であるという点では、そのとおりだというように私は思います。
#353
○佐藤怜君 インフォームド・コンセントの問題につきましては、私も今後の医療提供の理念としては大変重要なことだと思います。先ほども申し上げましたように、医療従事者と患者との人的なかかわり合いの中でそういった疎通が生まれ、そこで説明、同意というようなものが展開されるものでありまして、これは基本になる理念であると考えてよいと思います。ただ、医療現場におきましては、理念としてはそうなんだが、日常診療あるいは医療現場ではまだなじみにくい面もあるという御指摘もありましたので、こういった理念を大事にしながら進めていくということについては、おっしゃるとおりであるというふうに思っております。
 私どもがかかわっております教育や福祉の面でもやはり同じようなことが言われておるわけでございまして、医療というものは最終的には人と人とのかかわり合いの中でというふうなことを今後とも大事にしていく中で、インフォームド・コンセントの解決できにくい問題についても、努力しながら徐々に好ましい方向に持っていくべきであろうというふうには思っております。
#354
○内藤賢一君 この問題はもう既に前の皆さん方が述べておりますけれども、実はこういう問題は我々はもう従来もやってきた問題であります。ですから、簡単なものでしたら患者側も割に理解ができますのでいいのですけれども、現在みたいに高度医療が発達していろいろな複雑な医療ができるに従いまして、その説明が非常に難儀であるということ、それから受け取る側がそれをなかなか理解しにくいという問題がありますので、まあ小さな病気についてはそういう問題はないと思いますが、今問題があるとすれば、そういう高度医療の問題が主だと思います。
 もう一つ、例えばがんのように、もはやこれは治らないという患者に対する問題があるのですが、これは日本の国民の宗教的なといいますか、そういう問題が外国とは違いますので、簡単に、あなたはがんですからこうなりますよというようなことを患者に説明できるというような立場に我々は今はない、そういう問題を考えておいていただきたいと思います。
 以上であります。
#355
○池端委員 畑澤先生にお尋ねをしますが、先ほど先生は特定機能病院の問題についてお触れになりまして、厚生省が、まあこれは一応の案として、今後医療審議会等で決めるのですが、十以上の診療科名あるいは病床数は五百床程度といったような考え方が出ているわけでありますが、決してこれにとらわれないで、もっと弾力的に措置されてしかるべきではないかという趣旨の御発言があったと思うのであります。特に秋田では、秋田県の脳血管研究センター、固有名詞を挙げられてお話しになったと思うのであります。私どもも後ほどこの病院は視察をしたいと思っておるのでありますが、これについてのお考えをもっと具体的にお尋ねをしたいと思うのです。
#356
○畑澤実君 現在秋田県内には、先ほど申し上げましたように脳血管疾患に関して脳研センターがありますし、循環器疾患に対しては成人病医療センターがございます。これは、この特定機能病院の趣旨と同じように、今後医療はますます高度化していくだろうということから、むしろ専門化した形で、例えば小児療育の問題とかあらゆる面について、むしろ専門的な病院というものが今後必要になっていくだろうというふうに考えております。そしてまた、そういう専門病院こそ高度医療の行われる場であらなければならない。それなのに、そういうところが総合病院とか五百床とかということであれば、当然重症患者だけを抱えていますので、現在でも十分言われているような特定医療機関の人員の配置もしくはそれ以上の人員配置をして対応しております。そういう場合に、こういうものが特定医療機関の対象にならないということで完全に道を閉ざされたとすれば、今後高度の医療を追求していくセンター的なものはつくりにくくなるだろう、できていかないだろうということで、この点については十分な配慮が欲しいということを申し上げたわけです。
 以上です。
#357
○池端委員 私から最後に畑澤先生、林先生にお尋ねをしたいと思うのですが、例のマンパワー確保の問題でございます。
 今日、看護婦さんを初め医療従事者の皆さん方の人材確保というのは非常に大きな問題になっておるわけでありまして、先ほどのお話でも、秋田県では千人から千五百人程度の看護婦さんの不足だというようなお話もございました。この問題については、この四月一日からの診療報酬の改善でもって看護婦さん等の労働条件の改善を図る、あるいは今国会で審議をされております人材確保法案によってこの対策を講じていく、あるいはまた平成四年度の予算でさらに具体化を進めるというような三本柱で現在やっておるわけでありますが、それでもなお私も十分な実効が上がるかどうか、非常に危惧と不安を持っておるわけであります。
 何か先生方、先ほども養成であるとか人材の充足については不安を持っているというお話があったわけでありますが、何か具体的な、これはというような妙案はないとは思いますけれども、何かお話を承れれば幸いである、こう思っておるわけであります。時間もございませんので、畑澤先生と林先生にお尋ねをしたいと思います。
#358
○畑澤実君 まさしくおっしゃるように、なかなか決め手の見つからない問題で、一つには、今後こういう職種を志望する若年者がふえてくるかということが問題だと思います。たとえ養成機関を設立しても志望者が来るだろうかという不安もあります。ただ、それを克服していくためには、一にも二にも待遇だろう、それから職場環境の改善だろうというふうに考えております。
 さらに最も大きい理由は、看護婦さん離職の理由のトップは夜勤でございます。こういうことをどのようにして今後の病院運営の上で、あるいは患者さん看護・介護の上で、この夜勤という問題を現状のままで解決するということはちょっと難しいのじゃないか。そうすれば、夜勤体制に関して看護婦さんの役割、そういうものを十分これから再検討していかなければならぬだろうというふうに考えております。なかなか解決策とは言いがたいと思いますが、不安と危惧だけでございまして、よろしくお願いします。
#359
○林雅人君 秋田県では、看護婦に関して県で昨年から五〇%の補助ということで、看護婦の養成はやりやすくなりましたけれども、従来こういうような技術者を養成するためには、非常に大きな赤字を覚悟で養成しなければいけないというようなことがあったわけでございます。こういうような看護婦不足が来るということは、当然以前から予見されていたわけですけれども、それがかなりおくれたので、全国的に看護婦不足という問題が起こったのだろうというように思います。こういう人方を養成するためには、国なり県なり、要するに行政側ができるだけ財政援助をして、一生懸命こういうものをつくって、やりやすいような体系をつくっていただきたいということを私はまず第一に望みたいと思います。
 現状を申し上げますと、私の病院はもう二十三年前から高等看護学院を持っておりますけれども、毎年大体二千万ぐらいの赤字を出しております、学校経営だけで。昨年からメンテナンスに関しては県のサポートをいただきましたけれども、今度看護婦を養成する人数をふやすためには学校を大きくしなければいけない。これには五〇%の補助しか出ませんから、ここ二、三年はまだ同じような赤字が続きます。こういうような時期にはもう少し大きなサポートをいただいて、いろいろなところでそういう人が早く養成できるような方法を考える必要が一つあるのではないかというように私は思っております。
 それから第二点は、今、畑澤先生がおっしゃいましたけれども、看護婦の夜勤、三Kと言われておりますけれども、看護婦のなり手がいない。ですから、学校を卒業しても看護婦になるわけではないというようなことがよく言われております。幸いにも、私たちの高等看護学院を卒業した生徒で看護婦をやめたのはおりませんけれども、これは教育の問題もあると思いますし、それから一番大事なことは、看護婦がそういう夜勤をやっても、自分の職業に誇りを持てるような職場であれば、これは我々こういうような地方病院にいる医師は二十四時間働いておりまして、本当に厳しい生活をしておりまして、決して看護婦だけが大変なのではない。
 今脚光を浴びているのは看護婦さんですけれども、医師も非常に厳しい現状にあります。我々医師は余り前面に出てまいりませんが、そういうことを考えれば、医師はある程度プライドを持てるから頑張っているのであって、看護婦もそういうようなプライドを持てるような職場にすれば、きっと居つくだろうと思うのです。したがって、これからの看護婦に関して、自分の職業に誇りを持てるような形に持っていくことが非常に重要なのではないかというぐあいに私は思っております。
#360
○池端委員 どうもありがとうございました。
#361
○野呂座長 五島正規君。
#362
○五島委員 池端議員の質問に続きまして、若干お伺いしたいと思います。
 先ほど内藤先生の方から、国及び地方自治体の責務として要員確保の問題を提起されたわけでございますが、御案内のように、現行の医療法は医療施設の提供法ということでございます。しかし、医療提供ということを考えますと、今お話にありましたように、看護婦さんを初めとする医療担い手の養成、確保というのは非常に重要だ。そういう意味においては、医療の担い手、とりわけ看護婦さんの確保というのは、医療法の中で施設とあわせて要員の確保というものを明確にすべきでないかというふうに考えるわけでございますが、林先生、畑澤先生、どのようにお考えでございましょうか。
#363
○林雅人君 ちょっと最後の方、聞き取りにくかったのですけれども、確保のことでしょうか。
#364
○五島委員 失礼しました。現行の医療法の第一条の総則、目的の中に、現行の医療法は施設を確保することによって医療提供という形になっているわけですが、今日的には、施設だけでなくて、施設と人員がそろって医療が提供できる。当然のことでございますが、そういう意味において、国及び地方自治体の責務として、こういう医療関係者の医療を支える担い手の確保、養成というものを公的な責務とすべきではないかという意見でございます。
#365
○林雅人君 できることなら、そうしていただければ非常に私たちはありがたいというぐあいに思います。
 先ほども看護婦のことで申し上げましたけれども、自分のところの医療を担う人間は自分のところで養成するというのが今までの建前でございまして、そのほか国立とか県立とか公的なものもございますが、民間でかなりの人が養成されている。責任は決して国だけでなく、民間も持つべきであるという考え方もあろうかと思いますけれども、そういうときの財政援助は、民間には非常に薄くて官に厚いというのは一般的でございまして、今おっしゃられたように、そういうものを民間でも同じようにサポートできるような体制をつくってもらう、その施設、人員、要員といいますか、そういうような医療に携わるスタッフを養成するためのいろいろな手段を行政側からサポートしていただくということは、ぜひお願いしたいというぐあいに私は思っております。
#366
○畑澤実君 ただいま林先生からお話がありましたように、当然人員確保についても十分な対応をしていただきたいということは同じ意見でございますが、先ほど申し上げましたように、この法あるいはこういうような体系を生かしていくためには、おっしゃるように人員ということがそろわなければ機能しないと思っています。
 したがって、例えば秋田県では先ほど申し上げたような人員の不足がある、こういうような状況で、これは各県ともまちまちだろうと思います。こういうふうな事態を起こしたかつての経緯については、今問題にしても何の意味もございませんので、今後これを解決できるまでの間、例えば先ほど申し上げましたように、県の医療審議会の判断にゆだねながら、これを順調に運用できるような形に持っていくというようなことも一つの考え方でしょうし、あるいは特に療養型病床群などの場合には、例えば福祉との関連とかそういうものを勘案しながら、人員配置の基準を双方とも満足できるような形で組みかえていくとか、そういうような判断もまたいわゆる地域特性として必要な場が出てくるだろう。そういうことについて十分な御検討と御理解を賜ればというふうに考えております。
 以上です。
#367
○五島委員 あわせまして、公的責任の問題につきまして、先ほど畑澤先生、地域医療計画についてお触れになられたわけでございます。今日、地域医療計画の中で病床の規制だけは決まったわけでございますが、現実にそれぞれの二次医療圏ごとにおける救急システムの整備であるとかあるいは難病のベッドであるとか、そうした国民の中から非常に課題の出ている問題がございます。こういうふうな課題を地域医療計画にのせて、そうしたものを今後広げていくということが一つは必要ではないかというふうに考えるわけです。
 あわせまして、時間がございませんので、もう一問御一緒にお答えいただきたいと思うわけですが、先ほどインフォームド・コンセントの問題について、先生方おっしゃったことはよくわかるわけでございます。今回の医療法の改定の中におきましても、非常に重要な問題でございますが、医師と患者の信頼関係というのが出されているわけでございます。この医師と患者の信頼関係は何によって生まれるかということになりますと、先生方がおっしゃったようにインフォームド・コンセント。このインフォームド・コンセントというのは、具体的な中身としていいますと、患者さんにとっては真実を知る権利と自己決定権、それから医療の側にとっていえば説明の義務と、そして畑澤先生もおっしゃいましたようにプロフェッショナルフリーダムに基づく裁量権、この両者によってインフォームド・コンセントというのは確立されると思うわけです。この部分が何らかの形で明確にされないと、医師と患者の信頼関係という言葉は余りにも抽象的過ぎるのではないかというふうに思うわけでございますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。畑澤先生、林先生、内藤先生にお願いします。
#368
○畑澤実君 ただいまの前段の地域医療計画との整合性についてでございますが、現在、地域医療計画が立てられておりますが、それぞれの地域においてだれがこの計画を実現していくのかという点が明確でございません。今度のこの法の運用によって国、地方公共団体がということが明確に我々に理解されてきましたので、今後そういう方向で進みたいというふうに考えております。
 また、もう一つはインフォームド・コンセントの問題ですが、現在我々地域の現場では、インフォームド・コンセントが成立した上に医療が成り立つという基本的な考え方は変わりございません。ただ、これを法に盛った場合、逆にいろいろな問題あるいはスムーズにいかないものがかなりふえてくるのじゃないか。ということは、医療の分野というのは、かなり長時間かけて説明しないと理解されない部分がたくさんございます。むしろ日常診療の中の例えば風邪とかを患者さんに、おまえは風邪なのだということを理解させるというのは大変に困難です。そういうような面から考えて、あるいは逆に患者さんの側からいえば、理解力がどの程度なのか、これもまたなかなかつかみにくい問題でございまして、現在のところは、一般的な診療に関してはあえて規定を設ける必要はないだろう。もちろん現段階では、インフォームド・コンセントということが理解されてない限り患者さんは診療に来ないと言ってもいいほど、患者さんは自由な選択で医療機関に来ているというふうに理解しております。
 以上です。
#369
○林雅人君 医療法の改正点の最初のところに、先生がおっしゃられたようにインフォームド・コンセントという言葉は入っていないのですけれども、医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師その他の医療の担い手が患者との信頼関係を持つというぐあいにうたってあるわけでございまして、今、畑澤先生がおっしゃられましたように、外科手術をやる場合に、例えば胃切除をするとします。その場合にがんがあったとして、家族でも結構だと思うのですけれども、三分の二取るという説明をして、あけてみたらもうちょっと広く取らなければいけなくて全摘になった場合、これは説明不足ということで訴えられます。
 この辺は非常に難しい問題で、正確にそこまできちっとわかるのであればいいのですけれども、医者といえども神様ではないわけですから、その辺のところが間違っているからといって、このインフォームド・コンセントが成り立たないというぐあいに言われると、手術をするのが非常に大変である。いろいろそういうような微に入り細に入り、非常に細かく説明できない医療の事情というのもございまして、すべてクリアにインフォームド・コンセントという言葉で片づけられないような難しい問題もある。ただ、心情的には、医者としてはインフォームド・コンセントという原点に立って医療を行わなければいけないということは、まず間違いないことなのですが、それが法の上にうたわれた場合には医療上いろいろ問題が出てくるのではなかろうかということで、私は、法にうたわなくても、この言葉でよろしいのではないかというぐあいに思ったわけです。
#370
○内藤賢一君 医師と患者の信頼関係というものは、深く考えてみますと、要するに医者になりたいと希望する者が昔とは大分変わってきております。学校に入る場合、この人が医者になるのに適性かどうかということでなくて、要するに、ここに行けば受かるよという意味で入ってくる者が非常に多くなっているということですね。もう一つは、学校教育の中で患者を材料と考えるという考え方があるのですね。これは、一つは第三者の立場で冷静に診るということから、ある程度は必要なのですが、あくまでも患者の人間性を考えるという教育が現在の教育の中には不足しているのではないか。そういう問題がありまして、開業した場合あるいは勤務した場合にも、そういう傾向が少し少ないということは否めないと思います。
 ですから、そういう根本的な問題からこれは考えていかないと、なかなか解決する問題ではないというふうに思います。現在は、さっきも申したように、必要なものとなかなかやりにくいものがありますから、その辺はきちっと物で決めるというわけには今のところはいかないだろう、そういうふうに思っています。
#371
○野呂座長 川俣健二郎君。
#372
○川俣委員 せっかく秋田にお見えになったので、まだまだ先生方にお聞かせ願いたいところでございますが、せっかく私にも現地でぜひ一言という皆さんのお計らいでございますので、先生方にお礼を申し上げながら、二つだけ端的に申し上げます。
 これはどの党の発想というわけではないが、看護婦不足の問題がさっき出ましたのですが、これは代表して畑澤先生にひとつ。潜在看護婦が四十万から四十五、六万、これを何とかということはだれしもが言う。したがって、例えば家政婦の紹介とか、これは別かもしれませんが、看護婦さんもがっちり縛られるとなかなか出れないんだが、パート的に、もちろんお医者さんの指示で、開業権というとまたちょっといろいろあるのですが、何となく聞こえてくるような気がします、看護婦の開業権というのが。その辺、畑澤先生にお聞かせ願いたいというのが一つ。
 それから、ちょっと出ない問題ですが、脳死と臓器移植、ぼつぼつ答申が終わって、超党派の議員連盟もあるのですが、これについて福祉との関連をお話しになった佐藤先生に、どういうように思いますかということをちょっとこの機会に伺って、私は終わります。
#373
○畑澤実君 潜在看護婦の問題については、人数としては四十万とか五十万とか三十万とかいろいろあるわけですが、我々医療の現場から考えた場合に、潜在看護婦をもって看護婦総数を考えるということはいささかどうかなというふうに感じております。と申しますのは、現在の医療は、これもお話ししましたように、目まぐるしいほど高度化してまいっておりまして、潜在看護婦が直ちに現在の医療現場に復帰できるというふうにはいささか考えにくい。
 さらにもう一点は、この看護婦さんが免許を持ちながらいわゆる潜在という分野に入っていった原因というのは、恐らく夜勤があるだろうし、その他家庭の事情があるだろうし、いろいろあると思います。そういうものの解決ができているとも思えない。そういうことから、確かに先生がおっしゃるように、パート的な掘り起こし、それによって現在の看護パワーを軽減していく、例えば八時間勤務している人の二時間なり三時間なりの部分をその人たちにというような形で、看護婦さんの労働力を軽減していくというような方向は、十分考えるに値するだろうというふうに思います。
 それからもう一つ、看護婦さんの開業という問題ですが、これは恐らく例の訪問看護事業という分野でにわかに起きてきた問題だと思います。この問題に関しては完全に否定はいたしませんが、現在のところ医師会としては、主治医、医師の関与しない場での看護業務の独立ということについては、いささかもろ手を挙げて賛成というわけにはいかないだろうというふうに判断いたしております。したがって、看護婦さんの開業という問題については、現在のところ否定的な考えでございます。
 以上です。
#374
○佐藤怜君 川俣先生から脳死、臓器移植の問題が出されましたが、医療法改正の最初のところにもございますように、医療というものは生命の尊重、さらに個人の尊厳ということをうたっております。したがいまして、この枠内で考えていかないといけない問題ではないかと思います。そういう点からいいますと、私も心理学というもので人間を取り扱う仕事に携わっており、しかも人間の心の問題にかかわる領域を担当しておりますが、やはり人間の尊厳性とか個人の尊厳性というふうなことをどこまで尊重し、そこに技術がどこまで入れるのかということがこの問題の焦点になろうかと思います。
 最近、とかく医療だけでなくて、ほかの領域においても技術優先ということがしばしば問題になっております。このことが自然を破壊するとか環境を汚染するとかという問題も提示されております。私は、環境からだけでなくて、人工的な操作が入ることによって、人間からも自然が失われていくことになってはいけないのではないかというふうなことを考えております。
 したがいまして、高度な医療技術が先行していく中で、私たちは人間の生とか人間の死というものの意味を深く考えてみる中で、例えば脳死の問題ですと、心の働きが停止した段階では、心臓とかほかの内臓器官が働いていても死と見るべきなのかどうか。確かに人間の存在というのは、精神活動というものがほかの動物に比べまして優先されて評価し、とらえられているわけでございますが、そういう点で、果たして心の働きがとまった段階で死と言えるのかどうかというようなことについて、また、他人の臓器を借りて、あるいはそれを活用して生命を延ばすということの意味についても、私どもはやはり慎重に対応しながら、この問題に対してかかわっていくべきでないかというふうに私の個人の立場からお話し申し上げました。
#375
○川俣委員 ありがとうございました。
#376
○野呂座長 遠藤和良君。
#377
○遠藤(和)委員 きょうは意見陳述者の皆さんには本当にありがとうございます。
 私は、ちょっと角度を変えましてお話を承りたいのですが、厚生省はきょうの公聴会、意図したのかどうかわかりませんけれども、平成四年度の国民医療費の推定をいたしました。きのう発表したのですが、この国民医療費の総額と、また、その負担のあり方について四人の先生方の御意見を承りたいと思います。
 日本の医療費はどうも抑制され過ぎているのではないか、こういうふうな意見があります、安上がりの医療であるとか効率的な医療であるとか。そういう中で病院の経営が薬価の差益によらざるを得ない、そんな側面があることはまことに不健全だと私は思うわけでございまして、技術料を中心にいたしました診療報酬の適正な改正があって、これが本来の医療の姿であろう、このように思うわけでございますが、診療報酬というのは実態的には国の予算で決まってしまうのですね。国の公費負担をどうするかというところで決まってしまうわけでございまして、その辺をどのようにしていくかということがあるのでございますが、国民医療費の現状につきましてどのようなお考えか、あるいは公費負担それから患者負担、保険者負担とあるわけですが、その負担のバランスについてどういう御意見をお持ちか、お伺いしたいと思います。
#378
○畑澤実君 医療費の増については、基本的には高度な医療、良質の医療、これを国民のニーズにこたえる形で提供しているわけですので、医療費が伸びるのは当然だというふうに考えております。さらには、医療関連職種が非常にふえておりますので、医療費といっても、医療に携わるあらゆる人たちの増加に伴って、当然費用は増大するだろうというふうに考えております。
 ところで、この負担の問題ですが、一つの例を申し上げますと、今回、診療報酬の原資として、例えば政管健保とかいろいろな面で余っておるようなので、そちらから出せというような形で解決したやに伺っておりますが、これは国民の生活水準、文化水準あるいはニーズの水準が上がるということが即収入の増ということにもつながっていることですので、医療を一人の人間の生活、人生の中で一体どのくらいのパーセントに考えるかということが本来あるべきであって、したがって、ことし余ったから基準を下げようとかいうような考え方は、いささか疑問があると思っております。公費負担は、国の財源で負担する部分は、いろいろな考え方から決められるだろうとは思いますが、その割合に従っていろいろ決めていくということは不合理だろうというふうに考えております。基本的にはそういうふうに医療費というものを考えております。
 以上です。
#379
○林雅人君 医療費の増大は、今、畑澤先生がおしゃいましたように、医療内容の高度な専門医療ということが一つあります。それからもう一つは、疾病構造が変化して、何回も言われているように高齢化人口、たくさん病気を持っている高齢者がふえている、この二点が主な点だと思います。
 これも同じことを申し上げますけれども、医療を支えている医療機関の医療費というものは、医療材料とか薬品とか、そういうものの占める比率が非常に高い。今おっしゃいましたけれども、薬価差益というようなもので医療を支えるということは本末転倒であって、こういうことがあってはいけないことだと私は思います。
 しかし、現実問題としては、今二年、二年で一五%から一一%まで二年ごとに持っていかれるということですから、四年ぐらいたつとそういうぐあいになるのかもしれませんが、ダウンしたもので医療費を上げる。今回は、そのほか看護婦さんの養成費とかということで二・五という数字が出ておりますけれども、二・五というのはどの医療機関が二・五なのかどこもわからないし、それから、どういうぐあいに算定されるかということも十分わからないわけですけれども、現在公的病院の六〇%ぐらいは赤字だというぐあいに言われております。
 これは、一つはそういう病院が不採算医療をたくさん担っているからだろうというぐあいに思います。例えば夜間診療、さっきも言いました救急医療であるとか検診であるとか、いろいろ不採算なものを公的医療機関が負っているからだと思いますが、できることならそういうものは別に見るという考え方でなければ、これはなかなか医療が適正に、しかも健全な財政ではいけないであろうというぐあいに私は思います。したがって、オーバーオールで収支がゼロになればよろしいわけですけれども、赤字がたくさん出てくるということになると、医療機関として非常に困るというようなことがございますので、何とかその辺を考えていただきたいということが私の要望でございます。
 では、その財源をどうするかということです。お金がないから医療の質を落とそうというわけにもまいりませんので、これは今回の法の趣旨にも書いてありますけれども、これからの健康増進、老健法でもいろいろと検診を一生懸命やって、それからことしの老健法ではライフスタイルを変えるということに非常に力を入れられているようなので、これも非常に重要なことだというぐあいに思いますが、その効果がすぐ出るとは思えませんので、その間かかった患者の医療は質を落としてそれを補うのか、その間どうするのかということは非常に大きな問題になろうかと思います。それが一部の公的病院の赤字ということで賄われてよろしいのかどうかということについては、私はそれは不服である。何とかその辺も面倒を見てもらわなければ、不採算医療は、やってもよろしいとは思うのですが、ゼロになるように何とか工夫していかなければいけないという点で、もう少しその辺の配慮をいただきたいというように思います。
 では、財政の全体としての支出をだれが払うのかということになりますと、これは税金ということになります。税金が余り上がっていくと、みんなほかのことでも非常に困るので、できるだけその内容を効率的に詰めていって、医療機関もきちっと健全な医療ができて、しかも全部の医療費が上がらないような工夫、そのためにも、これは医療法の改正の最初だろうとは思いますけれども、私などが見るとまだまだ問題点はたくさんあると思いますし、これは勘ぐりかもしれませんが、一部のところにお金が行くようなシステムになっているような気もせぬでもないような気もしますので、全体としては、余り医療費全体が上がらないような仕組みの中でその改定をしていただければというぐあいに思っております。
#380
○佐藤怜君 私は、医療費の問題につきましては、福祉の問題の領域で高福祉高負担というようなこともありまして、利用者、受益者がある程度負担するのはやむを得ないというふうに思っております。そのことによって診療を受ける意識もまた変わってくるのではないかと思います。ただ、これがまた負担し切れないような状況になりますと困りますが、その辺の兼ね合いが問題になると思います。
 そういう点で、高医療に対して高負担までいかなくても、ある程度負担はやむを得ないのではないか。そうでなければ、今税金の問題が出ましたが、公的な負担というのは今後ますます大きくなっていきまして、国のその他の財政の面でのひずみが出てまいりますので、ある程度受益者が負担するという気持ちを育てていかざるを得ないのではないかというふうに思います。この点につきましては、福祉もそうですが、医療につきましても、余りただに近いような感じで受けられるというようなことについての配慮も、今後は当然考えていかないといけないと思います。
 それと同時に、私は、何も薬品とか高度の機器を駆使したものが高医療とは考えません。先ほど来指摘されております、医師が患者と対話をしていく中で見えないサービスがいっぱいあるわけです。そういう見えないサービスに対する報酬というようなことも考えていっていただけないかということを私は思っております。
 以上でございます。
#381
○内藤賢一君 現在、医療費が非常に多くなっているということにつきましては、高度医療あるいは国民の高齢化ということで、これは当然なのであります。しかし、一つは、かなり前から国及び地方公共団体でも医療の無料化というものを盛んに実施した時代がございますね。確かにその時代の国民経済からいきましたら、これは当然やっても差し支えなかったのでありますけれども、しかし、何十年か後に日本にはもう高齢社会が来るということが厳然たる事実としてわかっているわけですから、そのときになって慌てて医療費が多くなったぞというのは、いささか僕はそういう意味では先見の明がなかったのではないかという気がします。
 しかし、そう言ってもおられませんので、これからの医療費の抑制という問題は、もう一つ今の医療費の内容について検討する必要がある。先ほども申しましたけれども、研究費なり教育費なりいろいろな開発費がもし医療費の中から出るとすれば、実際に医療を受ける国民の側にとっては非常に遺憾な話で、そういう点は十二分に考えてほしいと思います。
 それからもう一つ、薬価の問題が出ましたが、この薬価の問題も、今の薬のつくり方、あり方、売り出し方に非常に問題があります。我々は日ごろ安くてよい薬を使っていたいのですが、その薬がどんどん姿を消して、要するに新薬と称する非常に高い値段のものが次から次へと出てくる。出たときは非常にいいのでしょうけれども、たちまちそれと同じような薬が出まして、それがコストダウンされる、こういう機構上の問題がありますので、実はここをもう少し深く掘り下げて、これを防ぐような方法をひとつ立法府で考えてほしい、こういうふうに思います。
 そういうことですから、医療費が多くなる、あるいは人の命を助けるには金がかかるというのは当然ですが、やはりどの辺まで無料化でいいのか、どの辺まで保険の上で全部できるかという問題は、十二分に確かめられた方がいいのではないかと思います。
#382
○遠藤(和)委員 内藤先生にお伺いしたいのですが、先ほど具体的な六項目の御意見がありました。一々ごもっともな話でございまして、これが実現する方向で私は審議の中で頑張ってみたいと思いますが、特に二点について確認をしたいのです。
 国家百年の大計に立って医療基本法をつくれということは全く同感です。特に今度の医療法改正で一番心配なところは、全体像というものがはっきり示せないで、まず療養型病床群と特定機能病院という関係者の合意が得られるところから始めたにすぎないのではないか。本当は一番大事なのは開業医の方、特に家庭医、先生も民間病院の役割を明記せよという話があったのですけれども、これの若返りをもっと図っていって、患者と直接応対する窓口になるわけでございますから、ここから医療法の改正を行うべきが本筋ではないのか。そして、開業医を中心にいたしまして医療機関が国民のためにネットワークを結んでいく、こういうあり方が本来の姿ではないのかと思います。これが第一点。
 それからもう一つは、政省令とか診療報酬のつけ方によっては反対の方向に動く心配があるという話がありましたが、この御指摘はまさに国民が不安を持っていることだと思うのですね。特に、だれでも自由にどこでもフリーアクセスできる、このいい側面が体系化によって差別医療になったり医療機関のランクづけになったり、あるいは紹介制を導入することによって締め出しになったり、あるいは何か医療費を抑制するために療養型病床群に行かせるのではないか、こういうふうな国民の側からの不安があるわけでございまして、体系化だとか交通整理は必要なのですけれども、それが患者へのペナルティーになっていくような交通整理のやり方は、少なくとも避けるべきであるというふうに私は考えております。
 以上の二点について御意見を賜りたいと思います。
#383
○内藤賢一君 医療基本法をつくれというお話をしたのですが、確かに現在の医療法は施設法でありますから、数字その他がいろいろ入っていまして、これはその時代その時代によって非常にそぐわないものがある。この法律の中には、もう現在の状態にそぐわないものが非常にたくさん入っています。ですから、これは施設法の中で直すのですが、しかし、施設法だけで医療法がいいかというとそうではないので、例えば他の法律、健康保険法なりそういういろいろな法律がありますが、この医療法が施設法である限り、ほかの法律と対等の立場にあるのだろうと僕は思うのですね。
 ですから、そういう意味ではなくて、日本の国の医療をどうするかというもっと基本的な考えがあって、その上に初めて施設法なり保険法なりというものが出てくる。それで、医療基本法の中にはそういうものを踏まえた考えを十二分に入れておく、こういうものが必要だ。これは理想ですから、この理想にどうやってみんなが追いつくかということを努力すればいい。そういうものが必要だ、こういうふうに私は申し上げているわけであります。
 それから、後段の方でございますけれども、日本の医療が現在まで来ている歴史を考えますと、国が法律をつくり、実際にはそのことをやったのは民間医療なのですね。現在だんだん国立、公立の病院が整備されてきましたけれども、やはりそういう民間病院あるいは民間診療所の歴史的な役割を考えてみますと、これは日本の医療のよさの一つでもありますから、十分に教育して、しかも、やれるような体制を十分にとっていきたいと思います。そういう意味で、医療基本法なり医療法の中にはっきり分担を考えていく、役割を考えていく、そういうものの表現が必要だと僕は思います。
 それから、特定医療機関と申しますと一つ危惧がありますのは、先ほど皆さんが申しましたが、やはりこれが特別なものだという誤解をされるおそれがある。あるいは病院同士でも、特定機能病院に私はなりたい、なぜしないのかというような問題が多分起きてくる。これは、今までのいろいろな病院の中の格差をつけないという問題からいきますと逆行いたしますので、その辺の理解を十分にしていただきたい。先ほども例えば県に幾つ要るかというような問題がありましたけれども、これは大学の同じような教授の中でもおのおの得意がありまして、あそこの教授は、同じ内科の教授だけれどもこういうものが専門だというようにたくさん分かれております。ですから、特定機能病院があるから、そこで何でもできるというような誤解を与えては非常に残念なことでございますから、その辺も十分に考えてこの特定機能病院というものはやっていかなければならない、こういうふうに思っております。
#384
○遠藤(和)委員 最後に一問だけ畑澤先生にお伺いしたいのです。
 先生は運用を県の医療審議会にゆだねるべきだというお話をされましたが、特に厚生省は、特定機能病院の紹介率を全国一律に考えるという感じもあるわけでございます。特定機能病院の役割というのは当然地域によって違うわけですから、これは少なくとも地域で考えるべきだ、このように考えますが、この点に対して意見を言ってください。
#385
○畑澤実君 まさにそのとおりで、例えば秋田県の場合は、耳鼻科とか眼科とかというものが地域的に非常に少ないわけで、そういうところはストレートに大学病院に行くというのはやむを得ないと思うのですね。そういうようなそれぞれの地域的な問題があるので、紹介率などというものはそれこそ地域に任せるべきだというふうに考えたわけです。
 以上です。
#386
○遠藤(和)委員 終わります。
#387
○野呂座長 児玉健次君。
#388
○児玉委員 きょうは御参加くださってありがとうございます。
 最初に、日本病院協会の役員をなさっている内藤さんにお伺いしたいのですが、四月一日の診療報酬の改定で、一般病院の外来部門が非常に厳しい状態になっているというふうに私たち承知しております。
 そこで、今度の医療法の改定ですが、特定機能病院と療養型病床群に機能分化をしていくということが非常に強調されております。そうなると、日本の病院の七二%を占めている民間病院が、ごく少数の短期入院患者を中心とし、高度医療を担当し、そして特三類を選ぶ、そういう少数の民間病院と、そして多数の民間病院が結局療養型病床群的な役割に分化していくのではないか、こう危惧されておりますが、秋田ではそのあたりはどうでしょうか。
#389
○内藤賢一君 ちょっと秋田の内部についてのお答えは十分にできないと思います。
#390
○児玉委員 全国的でも結構です。
#391
○内藤賢一君 確かに今度の医療法改正の中の特定機能病院というのは、先ほど申したように非常に問題が出てくるおそれがあると思います。
 それで、今の特三類という看護婦の数の問題が出ましたけれども、これは先ほど私が申したように、これから看護婦の引き抜き、それから不足が生じる一番大きな原因がここにあります。こういう問題が健康保険の中で経済的に誘導されて、そっちの方がいいぞというような感じが出ています。これは大変な誤りでありまして、看護あるいは医療の質の向上を人間の数ですりかえている。例えば、卒業したての看護婦なりあるいはお医者さんが十人いるところと、それから非常に経験の豊富な看護婦あるいは医師が若干いるところと一体その医療の質、看護の質がどちらがいいか、非常に難しい問題ではありますけれども、そういう問題があろうかと思うのですね。
 そういうものを全然考えないで、数が多ければ質がいいというような格好に今医療費を持っていっていますから、これは非常な誤りが将来出ると思いますね。そういう問題をこれからどうクリアするか。
 それからまた、さっき言いましたように、看護婦の問題は、国立病院はさらに上の看護体制をとれるということですが、その内容を見ますとほとんど看護婦なのですね。普通は看護婦何名につき准看何名、それから付添人何名という比率でもって収入が決まってくるという法律ですけれども、これが国立病院なんかはほとんど看護婦です。そうしますと、その看護婦というもの自体がもうその時点で不足してきている、こういう問題があります。ですから、そういう問題をこれから早く解決しないと、また再び引き抜きのような混乱が起きる、こういうふうに危惧しています。
 それから、今の新しい制度の長期療養群ですけれども、福祉が十二分に行き届かない、特に寝たきり老人その他が施設には全然追いつかないという現在では、やはり現在ある病院なりそういうものを十二分に利用して、国民のために使うということは賛成であります。ただし、これが追いついた時点で、ではどうするかという問題がありますが、これは今の計画を見ますとなかなかそう簡単には追いつきませんから、現在ではこういう形でみんなが長期療養者をかばっていこう、そういうような立場をとるべきだろうと思います。それには施設が一つ非常に問題になりますので、先ほど申したようにこれは段階的に解決していってほしい、こういうふうに思っています。
#392
○児玉委員 林先生にお伺いいたします。
 今御指摘のあった療養型病床群に関連してですが、御承知のように、もし特例許可老人病院と同等だとすれば、現在の百床当たり医師六名が三名に、看護婦二十五名が十七名に、明らかに医療の供給が希薄になります。そこで、神経難病の皆さん方、高度の医療を必要として、しかもかなり長期の療養が必要だ。病状の安定化というのとは違って階段的な増悪がよく指摘される。そういう方々にとって、今度の医療法の体系の中では行くべき病院がなくなるのじゃないか、こういう非常に痛切な指摘がございますけれども、その点についていかがでしょうか。
#393
○林雅人君 今御指摘のとおりのことはあると思います。ただ、特定機能病院というのは、短期入院型で非常に回転が速いということは、必ず医師とか看護婦の数は多く必要です。ただ、長期になりますと、その患者の容体とかヒストリーとかいうものはほとんど主治医も看護婦も頭に入りますので、長い目で見ていくという点とそれから短期間に物を把握するということに関しては、労力は全然違います。高度な知識は必要ですけれども、マンパワーの点では、慢性型になりますと数は少なくて済むというのは医学的な常識でございます。
 ただし、それがランクづけされて、高度機能病院はランクが上で、長期療養型の病床群というのがランクが下だということになると、これはいろいろ問題があろうかとは思いますが、高度ということで比較的短くてというようなものを対象として、それに付随する人数が多く必要だという考え方には、私は賛成です。慢性になれば、幾ら優秀な方であっても、そんなに同じぐらいの数のスタッフが必要だというぐあいには一般的には思いませんので、数はある程度少なくてもよろしいというぐあいに思いますが、ランクを下に見るかどうかということについては、もしそういうことがあるとすれば非常に問題ですけれども、人数の配置が少なくて済むということは、私はそれでよろしいというぐあいに思います。
#394
○児玉委員 林先生に重ねてお伺いしたいのですが、いわゆる高度医療の対象になる患者は比較的その症状が速やかに快方に向かっていく。そして病状安定期にある患者、それは長期療養、医療供給の希薄なところでいい、こういうふうに図式的に分けられるだろうか。それで、私がさっき言いましたのは、そういった図式的に合わない一例として神経難病のことを述べたのでございますが、その点はいかがでしょうか。
#395
○林雅人君 最初に申し上げましたように、私もそういうぐあいに思います。一般的にそういうような患者さんの扱いというのはかなり難渋しますので、それが療養群の中で非常に少ないスタッフでということに関しては、確かに大変だろうと思いますけれども、長い間、例えばMSと言われるような多発性硬化症とか筋ジストロフィーとか、そういうような患者さんを診ていて私たちが思うことは、これは分単位のものではなくして、長い長期展望に立って治療スケジュールを立てます。ただし、その洞察力というのは必要としますので、それがランクが下だというぐあいに言われると非常に困るのです。
 マンパワーが同じように要るかどうかということと、そういうような経験が豊富で専門性が必要だということとは別であるので、名前のつけ方には、おっしゃるように問題点があろうかというぐあいに思います。
#396
○児玉委員 畑澤先生にお伺いいたします。
 先ほど先生、今度の医療法の改定の中で医師のプロフェッショナルフリーダムがどうなるかという点で危惧を持つ、そういう趣旨の御意見を承りましたが、そこのところをもう少し具体的に御説明いただきたいと思います。
#397
○畑澤実君 今御指摘ありましたように、もし在院日数でこういうことが決められるとすれば、まさに医師としての診療権、診断権を侵害されるということになりますので、在院日数じゃなくて、医師が必要と認める医療ということで体系化の中に位置づけていくべきだろう、そういうことがぜひ担保されてほしいというふうに考えております。そういう意味で先ほど表現したわけです。
#398
○児玉委員 終わります。
#399
○野呂座長 これにて委員よりの質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 意見陳述の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
 拝聴いたしました御意見は、法案の審査に資するところ極めて大なるものがあると考えております。厚く御礼を申し上げます。
 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして心より感謝を申し上げ、御礼を申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午後三時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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