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1992/05/19 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 大蔵委員会 第14号
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1992/05/19 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 大蔵委員会 第14号

#1
第123回国会 大蔵委員会 第14号
平成四年五月十九日(火曜日)
    午前九時三十四分開議
出席委員
  委員長 太田 誠一君
   理事 井奥 貞雄君 理事 中川 昭一君
   理事 村上誠一郎君 理事 持永 和見君
   理事 柳本 卓治君 理事 小野 信一君
   理事 細谷 治通君 理事 日笠 勝之君
      浅野 勝人君    石原 伸晃君
      岩村卯一郎君    江口 一雄君
      衛藤征士郎君    狩野  勝君
      亀井 善之君    河村 建夫君
      久野統一郎君    小林 興起君
      左藤  恵君    関谷 勝嗣君
      戸塚 進也君    林  大幹君
      前田  正君    山下 元利君
      池田 元久君    佐藤 観樹君
      佐藤 恒晴君    沢田  広君
      仙谷 由人君    富塚 三夫君
      中村 正男君    早川  勝君
      堀  昌雄君    渡辺 嘉藏君
      東  祥三君    宮地 正介君
      正森 成二君    中井  洽君
      菅  直人君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 羽田  孜君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局経済部長 糸田 省吾君
        大蔵政務次官  村井  仁君
        大蔵大臣官房長 篠沢 恭助君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    日高 荘平君
        大蔵大臣官房審
        議官      小川  是君
        大蔵大臣官房審
        議官      石坂 匡身君
        大蔵省主計局次
        長       涌井 洋治君
        大蔵省主税局長 濱本 英輔君
        大蔵省理財局長 寺村 信行君
        大蔵省証券局長 松野 允彦君
        大蔵省銀行局長 土田 正顕君
        国税庁課税部長 坂本 導聰君
        農林水産大臣官
        房審議官    今藤 洋海君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局経済部調
        整課長     山田 昭雄君
        参  考  人
        (日本銀行理事)小島 邦夫君
        参  考  人
        (東京証券取引
        所副理事長)  佐藤 光夫君
        大蔵委員会調査
        室長      兵藤 廣治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 委員派遣承認申請に関する件
 証券取引等の公正を確保するための証券取引
 法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇
 号)
 金融制度及び証券取引制度の改革のための関係
 法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七三
 号)
     ――――◇―――――
#2
○太田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案及び金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案の両案を議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事小島邦夫君及び東京証券取引所副理事長佐藤光夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔異議なしと呼ぶ者あり〕
#3
○太田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#4
○太田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。
#5
○仙谷委員 おはようございます。
 まず、大蔵大臣にお伺いしたいわけでございます。
 昨日の日経平均株価、一万八千円強と言うのですか、ちょっと超えるぐらい、出来高が二億一千万株ぐらいであったのじゃないかと思います。自民党の方もあるいは政府もいろいろな対策とおっしゃることをやられてきたわけでございますが、依然として株式市場の方にお金が回ってこない、つまり出来高ができない、したがって、当然のことながら株価も低迷を続ける、こういう事態だと理解をしておるわけでございます。
 もういろいろな方からよく言われておるわけですが、原因としては、そもそもエクイティーファイナンスということで大変な過剰発行がなされた。そしてまた、その資金が財テクに回ると同時に、一方では設備投資にも過剰に回って、今や供給過剰になっておる、実物経済の方も供給過剰になっておるということ。あるいは日本の株式の配当利回りが極端に低い、一%以下であるというようなことも言われておるわけでございます。
 かてて加えて、昨年来の補てんでございます。補てん問題に一応決着をつけてといいますか、そして現在、証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案、証券取引等監視委員会の設置を柱とする法案審議に入っておるわけでございますが、どうも依然として市場に対する信頼感がわき出てこない。その上に飛ばしというとんでもない怪物まで出現したというのが今の状況ではないか。
 この法案の審議をするに当たりまして、私は多少考えてみたわけでございますが、やはり政治とか権力の方が市場問題について余りくちばしを入れたり手を入れたりすることがかえってマイナスになっているのではないか、市場は市場に任せる、そのために、監視委員会と略させていただきますけれども、今度の監視委員会をつくるということではないだろうかな、そういう基本的な考え方を今持っておるわけです。その点については大蔵大臣、つまり市場と監視委員会といいますか、あるいは市場と政治の方からの働きかけという点についてはどういうふうにお考えでございましょうか。
#6
○羽田国務大臣 確かに株価は御指摘のとおり低迷しておりました。ただ、御案内のとおり、このところ多少底が見えてきたといいますか、ある一定のものが今確保されておりますけれども、しかし、昨日あたりの扱いというのは二億二、三千万というようなことでございまして、扱いというのは非常に少ないものであろうと思っております。
 これの要因につきましては、今御指摘があったように、エクイティーファイナンス等が大変大きく行われたという中で、これが圧迫要因になっていることは事実でありましょうし、企業の業績悪化といいますか、そういったものがいろいろと表面に出されておることで嫌気が差したということもあろうと思っております。それと、御指摘の配当率がコンマ以下という日本の株式の現状に対するものがあろうと思っております。
 しかし、何といっても一番の問題というのは、御指摘がありましたように、大口投資家、こういった人たちには損失補てんがあって一般の人にはないということに対する不信、または、その後残滓として出てきております飛ばしの問題、こういったものが一番大きな問題になっておるのであろうと思っております。
 ですから、いろいろな対策というのは、経済の動向によってやることが必要なんでしょうけれども、小手先生言ってはあれですけれども、政府が、権力が元来この市場に介入すべきものではない、環境整備は必要でしょうけれども、直接の介入はすべきではないというのは御指摘のとおりであろうと思っております。その意味で、私どもは市場というものは一般大衆投資家の人たちにも均てんされるものである、いわゆる公正なルールがきちんと守られておるということと、いろいろな投資家の人たちが判断する材料がきちんと提示されるというようなことが基本であろうと思っております。
 そういうことで、今度の委員会をつくったということも、そういった不正なものが行われないようにということで、まさに株主の信頼を市場に取り戻すということで私どもは大きな役割を果たすだろうと思っておりますし、あと協会とかに自主的な一つの権力、権限といいますか、そういったものを業界の中で投資者保護のためにきちんと確立するということが、本当の意味で株式市場に対する信頼を取り戻すことになろうと私も考えておりますことを申し上げます。
#7
○仙谷委員 市場の関係者に話を聞きますと、やはりわかりやすさといいますか、それがないとどうも投資家は投資をしない、あるいは信頼感というものが一番大事だ、そんなことを言う方が多いわけでございます。翻って考えますと、今までの証券行政というのはまさに証券業行政であった。証券業者を指導、監督、検査することによって間違いなきを期するといいますか、証券会社の経営の健全性を保つとともに、取引行為自体にも適正といいますか、不正なことが行われないようにする、いわばそういう法体系であるし、そういう行政の体系であったのではないかと思います。
 ところが、つい最近の飛ばしという例を拝見しましても、飛ばしを起こして、それが損失穴埋めなのか損失補てんなのか、言葉はいろいろありましょうけれども、そこで顧客に払ったお金が証券会社の経営の存立すら危うくしかねないような決算が出ておる会社も見受けられるわけでございます。これを見てみますと、業者の監督、指導、検査を通じていわば不正行為を予防する、あるいは証券会社の健全性を担保するというやり方は、結局のところ限界があるのではないかという感じがするわけであります。
 その限界を、なぜそうなるのかというのを考えますと、せんだっての大蔵委員会の議論でも、私ちょっとカジノ化というふうな言葉を使いましたけれども、どうも市場関係者に聞きましても、カジノ的な部分がないと証券市場にお金を出すという部分が少なくなるといいますか、そこがカジノ的な部分があるから証券市場というのは魅力なんだという議論をする方がいらっしゃるわけです。そして、そのこと自体、つまりキャピタルゲインをとりにいこう、配当利回りだけではなくてキャピタルゲインがとれるという、そこに魅力を感じて投資をする人が相当数いらっしゃるからこそ証券市場が成り立っている。つまり、銀行のような安定的な秩序が余り色濃く証券市場に出ると、証券市場というのは全く何の魅力もなくなってしまうようでございます。私は、証券市場がそういうカジノ的な部分が避けられないということをむしろ踏まえて、そこで業者の指導を通して市場をコントロールするということは、大いに限界があるのであって、やはりこの際――この際といいますか、原則として証券取引の行為自体を規制する。先ほど大蔵大臣もおっしゃった、ルールを明確にするとともに、チェック機関を確立をして、そうして証券取引の行為自体を規制する方向に大胆に大きく証券行政のスタンスといいますか、基本的立場を変えなければならないのではないか。
 そういう観点から見ますと、今度の監視委員会は、やや中途半端といいますか、半煮えといいますか、そんな感じがするわけでございます。この監視委員会の独立性について、これで十分なのか、あるいは中身で独立性の濃いものにするんだということなのか、その辺ちょっと抽象的でございますけれども、大蔵大臣にお答えをいただきたいと存じます。
#8
○羽田国務大臣 今お話がありましたように、確かに株式市場には二面性があろうと思っております。確かに基本的には市場で資金を得る立場の方、あるいはまたこれを運用することによって利益を上げていくという方があります。そしてまた、このやり方についても、投機的なものと投資的なものの二つがあろうと思っております。しかし、いずれにいたしましても、これが公明正大な市場によって議論されていくべき問題であろうと思っておりますけれども、それであるだけにルールだけはきちんと守ってもらわなければいけないということで、またそういったものをチェックする機関が必要であろうということで、私どもは今度は八条委員会といいますか、この監視委員会をつくるようにしたということであります。確かにアメリカなんかはSECを外につくってある。それをやるべきであるといういろいろな議論もあったわけでありますけれども、私たちはこの効果を本当に発現する必要があろうという中で、行政のいろいろな調査とか集めた資料を十分活用しながら、あるいはこういったものを大臣に対してこのように対応すべきであるということを勧告できるとか、また大臣がそれをきちんと尊重して行ったかどうか報告を受けるとか、そういったことはきちんとされておるということ、またその身分が保障されておるということ、また委員等につきましても国会で任命されるというようなこと、そういうことから考えたときに、完全なものはなかなかできるものではないと思いますけれども、私は、今現在の状況の中にあっては、これが独立性を保ちながら、しかも要請にこたえる仕事をやることができるであろう、それによってまた株式市場に対する信頼を回復する大きな助けになっていくであろうという確信を持っております。
#9
○仙谷委員 大蔵大臣は確信を持っていらっしゃるようでございますので、話を進めますが、結局、ただ難しい問題なのは、主観的に確信を持つかどうか、あるいは私どもがこれでいいだろうというふうに答えを出せないということだろうと思うのです。つまり、監視委員会が公正な市場を提供できるかどうか、あるいはそこで自由な取引を保障するに足りる存在であるか否か、この問題は、結局また市場の方で、マーケットの方で答えを出してくる問題であるというところが怖いところでございます。そして私は、そういう観点、そして今の市場の状況等々を見ますと、やはりこの監視委員会がより独立性が高められるような運用といいますか、あるいは政令の規定、そしてまた透明性がより高い、そういう制度にして運用しなければならないのではないだろうか、そう考えておるところでございます。
 具体的にお伺いをいたしたいと存じます。
 まず、権限の問題でございます。昨日、政令事項というものをいただきました。一生懸命読んだのでございますけれども、よくわからない。つまり犯則調査の対象になる部分と監視委員会の検査の対象になる部分、それから大臣官房金融検査部による検査の対象となる部分、この仕分けがどういう基準に基づいて行われたのか、この政令の骨子というのを読んだだけでは私はちょっとわからないのですね。この仕分けは何に基づいて、監視委員会のマターであるのか、そして監視委員会の中でも犯則調査と検査のそれぞれの事項であるのか、それから検査部検査の対象となっているのか、大体どんな基準でお考えになっておるのでしょうか。
 それともう一つは、この政令のところに書かれておるもので大体尽きておるのか、それとも全く、ほかの項目については追い追い政令として、先ほどから申し上げている三つの検査の対象にするということなのか、これはいかがなのでしょうか。
#10
○小川政府委員 新しい委員会と官房の金融検査部の間の職掌の違い及び委員会で行われます強制調査、それから証券会社に対する立入検査、それぞれの違いを政令でどのように書き分けようとしているのか、また考え方はどうかというお尋ねだと存じます。
 そこで、まず証券会社、証券関係の検査について申し上げますと、官房の金融検査部で行います検査は、証券会社の財務内容の健全性に関する検査でございまして、片方、委員会の方で行う検査あるいは調査の対象は、証券会社の財務内容の健全性ということではなくて、市場における取引あるいは証券会社が顧客と行う取引などにつきまして、さまざま決められているルールにのっとっているかどうかということを検査あるいは調査するものでございます。したがいまして、官房金融検査部で行います証券会社に対する検査は、その意味では銀行等に対する検査と似ているわけでございまして、企業体あるいは経営の健全性を財務面から見るという検査が金融検査部に残るわけでございます。
 それでは、次に委員会で強制調査と一般の立入検査を分けているメルクマールは何かと申し上げますと、強制調査の対象範囲といたしましては、考え方として直接的に市場の機能を損なうような行為あるいは取引の公正を損なうような行為を考えているわけでございます。
 政令で条文を引こうとしておりますものを内容的に申し上げますと、例えば相場操縦であるとかインサイダー取引であるとか、また証券会社による損失保証あるいは損失補てんといったような条文を政令で掲記しようとしているわけでございます。これらの行為は、いずれも今申し上げました直接的に市場の機能を損なう行為あるいは取引の公正を害するような行為であるということで、犯則調査の対象にすることを予定いたしております。
 残るところは、委員会によります証券会社に対する立入検査でございまして、これはお客さんと取引をするときにさまざまなルールを守らなければならない。例えば今度でも、大量推奨販売のようなことをやってはならないとか、あるいは値段が上がるというような断定的な判断を示して、この株を買いなさいといったようなことをしてはならないというルールがございます。こうしたものは証券会社が営業で守らなければならないルールでございまして、こうした証券会社のルールの遵守状況を見守るというのが立入検査の内容でございます。
 そうした考え方で、それぞれ政令を書き分ける考えでおるわけでございます。
#11
○仙谷委員 ちょっと細かくなるかもわかりませんけれども、この政令事項の中に、反則調査の対象になる場合、つまり第二百十条の一項でありますが、「委員会の犯則調査の対象となる罪としてこということで、いただきました骨子の中に書かれております。これを拝見しますと、百九十七条の一号、八号、九号というふうに書かれておるわけでございます。例えばの話なんですが、百九十七条の一の二ないし一の六というふうな規定もあるようであります。そして、こういう罰則規定の中に盛られた構成要件といいますか、これについてはどこが検査するということになるのでしょうか。
#12
○小川政府委員 お尋ねがありました証取法の百九十七条の一号といいますのは、いわゆる粉飾決算のような場合でございまして、虚偽記載のある有価証券の届出書の提出というものがあった場合に、これを今回は強制調査の対象とするということでございます。例えば八号というところで、相場操縦等、不正の手段、計画等あるいは相場操縦といったようなものについても強制調査の対象にするということでございます。
 お尋ねは、百九十七条のこの間の抜けている一の二号から以下の部分がどういうことになるかということでございますが、これは、虚偽記載のある有価証券の報告書の提出というところにはいろいろなケースがございまして、それを引いてあるわけでございます。したがって、ここでは「等を定める。」と書いてございますように、典型的な例を例示いたしてございますので、これに相当するような他の届出書の提出に虚偽記載があった場合の調査権限も委員会の方に定めるということを予定しているわけでございます。
#13
○仙谷委員 そうすると、端的に言いますと、証券取引法上罰則規定が盛られておるものは、例外があるのかないのか私も詳しく検討しておりませんけれども、原則としてほとんど犯則調査の対象になるというふうにお伺いしておいていいのでしょうか。
#14
○小川政府委員 今お尋ねがありましたように、強制調査の対象とする事項につきましては、基本的には刑事罰のかかっているものでありかつ委員会の性格からいたしまして専門的な知識を要するようなもの、例えば非常に簡単なあるいは委員会がその専門的知識をもってするのではなくてむしろ司法当局がふさわしいというようなものはこの委員会の強制調査の対象にはしない、そういう考え方でございます。
#15
○仙谷委員 昨年の証券特別委員会で補てんの検査をめぐって問題になりましたのは、つまり証券会社がある株の取引を仲介する、まあ普通のスタイルはそういうことでございますが、市場から株を買うことを委託されて行うということになるわけですが、委託者に対する調査、検査というのがどうしてもできないというニュアンスが証券局の当局から語られたわけでございます。それは、旧来の検査の対象が基本的には証券会社だけなんだ、だから相手方である事業法人については調査、検査が及ばないのだという話でございました。
 その点は、つまり今度のこの委員会の検査、強制調査というものは原則としてはどうなんでしょうか。犯罪の構成要件のある――規定の定め方にもよりましょうが、しかし原則として行為を検査しもしくは調査するということならば、行為の相手方というものも調査の対象に入ってくるというふうにお伺いしてよろしいのでしょうか。
#16
○小川政府委員 先ほど申し上げましたように、いわゆる損失補てんといった問題につきましては、既に条文が整備されておりますので、今回の委員会の強制調査の対象となる条文とすることを予定いたしております。
 そこで、今度はそうした条文に違反している、つまり犯則事件があるのではないかという場合には、具体的には新しい証券取引法の二百十条、今御提案しております第二百十条によりまして、そうした犯則事件を調査するため必要があるときは、犯則嫌疑者もしくは参考人に対して出頭を求め、質問したりすることができるということになるわけでございます。その上で、確かに犯則があるということで裁判所の令状をとって捜索したりいたしますときには、犯則嫌疑者だけではなくて、その事件を立証するために必要なところを捜索することができるということでございます。したがいまして、犯則者としての実行行為者だ付ではなくて、これを立証するために必要な相手方、その他の取引先等を参考人として調べることができるということでございます。
#17
○仙谷委員 今二百十条のことが述べられたわけですが、その前にちょっと百九十条についてお伺いしたいわけでございます。
 百九十条に「検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、検査の相手方に提示しなければならない。」この「検査」というのは、これは証券取引等監視委員会の検査ということなんでしょうか、大臣官房の検査部の検査ということなんでしょうか。それともう一つ、二項に「前項に規定する各規定による検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」という規定がございます。この二つの解釈についてお答えをいただきたいと思います。
#18
○小川政府委員 お尋ねになりました第百九十条の第一項の規定は、先ほどの分類で申し上げますと、新しい委員会が主として証券会社を対象にして行う立入検査、ルールの遵守状況の検査でございます。したがいまして、これは証券会社の営業を一般的に検査する目的でございまして、そこにインサイダー取引とか相場操縦とか損失補てんがないかというような犯罪の存在を想定して行うものではございません。それが百九十条二項に「前項に規定する各規定による検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」という規定を置いているゆえんでございます。
#19
○仙谷委員 そこで二百十条の二項についてお伺いをするわけでございますが、「委員会職員は、犯則事件の調査について、官公署又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」という規定がございます。刑事訴訟法の百九十二条でございましたか、同じような規定でございます。照会ということになるわけでございます。
 私、去年の金融・証券特別委員会での議論を思い出してみますと、つまり証券局の検査というのは、相手、つまり証券会社に協力をしてもらわなければならないんだ、だから余り厳しいことはできないんだといいますか、基本的に強制調査権がないんだ、こういうお話があったわけでございます。小川審議官が今おっしゃったように、百九十条の方はどうもそういう部分なのかなという感じもするわけでございます。もっと大ざっぱに言いましても、大臣官房金融検査部による検査、そして証券取引等監視委員会による検査等々という検査、もともとは犯則調査ではない検査の結果を犯則調査のために照会をして使うというふうなことができるのかどうなのか。つまり、もともと犯罪を捜査されるという前提でなくして任意に調べに応じたのに、それが犯則調査に使われるということになってもやむを得ないのか、あるいはもともとそんなものだということなのか、その点をお答えいただきたいと思います。
#20
○小川政府委員 お尋ねは、一般的な証券会社に対する検査、任意の検査の結果をそのまま強制調査に利用することができるかということでございます。まさに、先ほど申し上げましたように、あるいは御指摘ありましたように、百九十条の第二項で一般的な証券会社に対する、いわゆる立入検査と呼ばしていただきますが、立入検査は犯罪捜査のために行われるものと解されてはならないということが明文で記されておりますから、この立入検査を犯罪捜査のために、目的として行うということは法文士許されないわけでございます。
 しかしながら、それでは立入検査を行って証券会社の営業状況を調べておったところ、そこにたまたま犯罪の端緒になるのではないかという事実を当該検査官が把握した場合に、これをどう処理するかということでございまして、その場合には、一般に公務員につきましては、刑事訴訟法上も、犯罪があると思料するときは告発をしなければならないという規定の精神から読み取られますように、こうした行政上の目的で行った立入検査の結果、たまたま犯罪の事実を把握した場合には、これを告発する、あるいは犯罪捜査の権限を有するところに情報を伝達するということが許されるのは当然のことでございまして、委員会の場合にも、たまたまそういうことが起これは強制調査の方にそうした情報を提供するというのは、いわば責務であるというふうに考えられるわけでございます。
#21
○仙谷委員 監視委員会の調査についてもう少し詳しく聞きたいんですが、時間がございませんので、次に進みます。
 調査の権限は新たな委員会ということになったわけでございます。ところが行政処分手続だけは従前の証券取引法三十五条、三十六条によることになっておるようでございます。これはどういう関係になるのかなというのが私の頭の中で整理がされない問題でございます。そして、もう少し言いますと、ついせんだっての処分事案、それから昨年の処分の事例というものについて様子を職員の方からお伺いをしました。これは、もともと法の規定によりますと公開が原則でございますので、私でも傍聴できるはずでございますし、そこでつくられる審問の記録というのは公開されるのが原則ではないかというふうに私は思っておりますけれども、いずれにしましてもお伺いをしたということでございます。
 どうもお伺いをしますと、これはもう我々が考えてイメージする処分手続としての審問というようなこととはちょっと遠いんではなかろうか。つまり、昔風に言うと、糾問手続といいますか、お白州裁判といいますか、何かもう証券会社の方は恐れ入ってただただ平伏をするのみというふうな雰囲気が伝わってくるわけでございます。私は、この監視委員会ができてそこで調査をするわけですから、処分の手続を大蔵大臣の権限として残すのであれば、いわば訴える側が監視委員会、大蔵大臣が裁判官的な役目をする、そして当事者は当事者でいわば対立構造、対審の中で答弁をする、こういう構造が望ましいし、そういう処分の手続、一種のデュープロセスが備わらなければならないというふうに考えておるわけでございますが、この点、大蔵省の方はいかがお考えでございましょうか。
#22
○松野(允)政府委員 証取法に基づきまして大蔵大臣が行政処分をする場合には、審問を行わなければならないということになっているわけでございます。証取法上の審問手続につきましては、私どもは他の行政法規におきます聴聞手続などと同じように、行政処分といういわば相手方にとって不利益な処分をするわけでございますので、その処分の対象となる事実を確認する、あるいは被処分者に対して弁明の機会を与えるというようなために設けられている手続であるというふうに考えているわけでございます。したがいまして、行政処分を行う場合のいわば最終的な判断、さらに行政処分の内容についての判断というものを行うための前提になろうかと思うわけでございます。
 審問手続につきましては、確かに御指摘のように、法律上は原則公開ということになっております。ただ、それにつきまして、被審問者の業務の秘密あるいは公益上必要がある場合には公開しないことができるということになっておりまして、私ども、いろいろな事案について、その事案の性一格を見ながら公開し、あるいは非公開で行うということを行ってきているわけでございます。証券会社の行政処分の対象になります取引は、大部分が個別の取引の場合が多いわけでございまして、個別の取引になりますと、個々の投資家と証券会社との取引関係になるわけでございまして、顧客のプライバシーとかそういったようなもろもろの関係で、どうしても非公開にする場合が多いということは御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、監視委員会が行います検査に基づいて行政処分の勧告が大蔵大臣に行われますと、その勧告を受けまして、行政処分の必要な事前手続であります審問を行うということになろうかと思うわけでございます。
    〔委員長退席、柳本委員長代理着席〕
#23
○仙谷委員 細かい話で恐縮なんですけれども、今度の改正は、旧来の百八十二条を百八十六条に改正しようとしておるわけですが、旧来の条文は「審問は、すべてこれを公開しなければならない。」という規定だったわけですが、改正法案は「審問は、公開して行う。」、つまり「すべてこれを公開しなければならない」というのを、わざわざ「すべて」というのを削って、「これをしなければならない」というのを削って「公開して行う。」というふうに変えたのは、何か意図があるのでしょうか。それとも、公開はあくまでも嫌だという証券局の願望がここに出てきておるのでしょうか。いかがですか。
#24
○松野(允)政府委員 御指摘の百八十六条三項でございますが、確かに現行法文は、「審問は、すべてこれを公開しなければならない。但し、」云々とあって、公開しないことができる。改正法案では、「公開して行う。ただしこことなっております。これは、最近の立法例がこういう改正法案のような表現で行われているのが一般的ということで、それに単に合わしただけでございまして、全然他意はございません。
#25
○仙谷委員 それを聞いて安心したわけでございます。
 そこで、これは制度が変わることもございますので、審問記録を原則として――原則というよりも、すべて公開をする。つまり、先ほどおっしゃっておるのは、審問自身は公開できない場合があるんだ。私が証券局のやり方を見ておりますと、何か非公開が原則で公開は例外みたいに実質的には感じられるわけでございますが、それは後の問題にしまして、審問記録を作成しなければならないというふうになっておるわけですね。原則公開の審問の記録が非公開、これいかにという話になるわけでございまして、今後はこの審問記録を公開する。固有名詞は何らかの格好で、墨で消すかA社、B社に変えるかは別にしても、事案としては公開するということをお約束をいただきたいのでありますが、いかがでございますか。
#26
○松野(允)政府委員 この審問の記録につきましては、先ほど申し上げたようないろいろプライバシー等もございまして、そのまま公開――これは審問手続そのものを公開すれば、もうそれで公開になるわけでございますが、いろいろな事情で審問手続を公開しない場合に審問記録そのものを公開するということはなかなか難しいと思うわけでございます。
 ただ、私ども、例えば今回の山種証券に対します行政処分におきましても、その行政処分の内容だけではなくて、行政処分を行う判断になりました事実関係、これは審問手続を経て確認された事実関係でございますけれども、固有名詞は書いてございませんが、これをできるだけ詳しく公表いたしまして、行政処分の発表の中にそういうものを織り込んだということでございます。そういう点、審問記録そのものを公表するということにつきましては、審問手続の公表の問題と同じような問題があるわけでございまして、私ども、決してその審問手続で確定した事実関係の中身について恣意的にどうこうするというつもりはございません。行政処分の根拠となる事実関係については、できるだけその行政処分の際に明らかにしていきたいというふうに思っております。
#27
○仙谷委員 我々が新聞発表で見るのが一番詳しいということにならないような、これは大蔵委員という立場もそうですけれども、一般の国民もアクセスをしようとすれば手に入るという体制をひとつとっていただきたいと存じます。
 次に、今、公表の問題が出ました。新しい制度で、委員会が毎年その事務の処理状況を公表する、こういうふうになっております。どの程度のものを公表されようとしておるのか、お答えを願います。
 といいますのは、昨年の証券特別委員会の中で細谷委員が質問をしました中で、昭和五十年ぐらいからの証券局年報を見てみますと、どうも一般的なことしか書いていない。ちなみに平成三年度、この一番新しい証券局年報を拝見しまして、その検査のところを見ましても一般的なんですね。つまり個別具体的な事例、それはもちろん固有名詞を書くのが妥当かどうかという点はあると思いますけれども、事例が全然出てこないのですね。抽象的な評価を交えた文章しかこの平成三年版も出ていません。多分平成四年版は昨年のことを詳しくお書きになるのじゃないかと私は思っておりますけれども。
 それはさておきまして、この委員会の公表ですね、これはどの程度の具体的なことを公表されるおつもりなのか、お答えをいただきたいのであります。検査事務の透明性を確保するための公表ということになっておりますので、ひとつ具体的、特定性があるような事実を公表していただきたい、そういう観点から質問をいたします。
#28
○小川政府委員 御提案しております大蔵省設置法の改正条文第二十二条では、「委員会は、毎年、その事務の処理状況を公表しなければならない。」というふうに書いてあるわけでございます。ここで、「事務の処理状況」といたしましては、例えば検査にかかる前の検査方針であるとか検査の重点事項であるとかいったもののほかに、検査実績あるいは調査実績というものが考えられますし、また、それを全体を通じまして、委員会として、各形態別にあるいは業種別に、証券会社あるいは金融機関、為替検査の別に、総じて」ういうことであったというような判断もあろうかと存じます。
 最も具体的に大きな関心を持ってお尋ねがあったと思いますのは、例えば、委員会が調査を行った結果、大蔵大臣に対して具体的なケースについて処分の勧告を行った、さてその勧告はどんな勧告があったのか、単なる件数だけなのか、その勧告を受けて大蔵大臣はどのような処分をしたのか、それは単純な件数だけなのか、具体的中身はどの程度なのかというお尋ねであると存じます。それはまた強制調査、犯則調査についても同じことであろうと存じます。そこは、結局のところ具体的な案件ごとに新しい委員会において、一方でこういう公表の規定が設けられている趣旨、それと、他方においてそこに関与する人々あるいは企業その他のもののプライバシーなり利益であるとか公益といったようなものを勘案して、具体的なところは考えていかれることと存じますが、今御指摘のような問題を十分念頭に置いて、公表め内容を委員会として判断していかれるものと考えております。
#29
○仙谷委員 この問題は、透明性を図ることによって市場の公正を確立するという問題であるとともに、市場関係者がある意味でのトレーニングをしていく、そういう資料になる、教訓になるというふうに私は考えております。したがいまして、でき得る限り具体的に事例として公表をいただきたい、お願いをしておきます。
 時間がなくなりましたので、次に一点だけ証券局にお伺いするわけですが、例の省令五十五号でございます。補てん禁止の問題、つまり証券取引法五十条の二第三項ただし書きに規定する大蔵省令で定める場合として、「裁判所の確定判決を得ている場合」「裁判上の和解が成立している場合」「民事調停法第十六条に定める調停が成立している場合」「証券会社の代表者等が」云々、こうございます。要するに、これは補てん禁止の条項に触れない特別の場合を書いてあるわけでございますが、どういう理由からこんなものをおつくりになったのか、それが一点目。
 それから二点目は、ここの「確定判決」というふうにお書きになっているのは、民事訴訟法上のいわゆる欠席判決、認諾判決はいずれもこの「確定判決」に含まれるのか、その点をまずお伺いいたします。
#30
○松野(允)政府委員 まず、証取法を改正していただきまして、損失補てんを罰則をもって禁止したわけでございます。これは法律の規定は非常に一般的、包括的な規定を置いていただいたわけでございまして、損失を補てんする目的、あるいは利益を補てんする目的で財産的利益を供与するという行為を禁止したわけでございます。そうなりますと、例えば証券会社の営業マンが、そのお客、投資家との間で取引を、注文を受ける、あるいは注文を執行する際にいろいろ不適切な行為を行ったというようなことを通じて投資家が損害を受けた場合に、その損害を補てんするということを証券会社が行おうといたしますと、形式的には証取法上の損失補てんの禁止行為に触れてしまうということになりまして、そういう場合も投資家は何ら救済を受けられないというようなことになってしまうということから、そういうケースについては、いわゆる証券事故、これは従来から証券事故という概念があったわけでございますけれども、より明確にいたしまして、証券会社の営業員のそういう不適切、違法、不当な行為によって投資家が損害を受けた場合については、一定の手続を経て証券事故として認定をされれば、その生じた損害を補てんしていい、補償するということを認めたわけでございます。その認める場合として、大蔵大臣が確認をするという手続を導入したわけでございますが、その大蔵大臣の確認を必要としない場合として三つのケースを挙げております。これは省令に規定しているわけでございますが、確定判決と裁判上の和解、それから民事調停法上の調停でございます。これらにつきましては、いずれも裁判官がその手続に関与しているわけでございまして、裁判官が関与して、しかも裁判上の和解あるいは民事調停法上の調停は確定判決と同一の効力を持つということになっております。そういった観点で、この三つのケースについては大蔵大臣の確認を要さない場合というふうにしたわけでございます。
 御指摘の民事訴訟法上の仲裁でございますが、これにつきましては、確かに民事訴訟法上の仲裁も、その仲裁者というものが審判をするということに両当事者が合意をいたしますと、その手続が行われ、そこで合意が成立いたしますと、それは確定判決と同一の効力を有するというのが民事訴訟法に規定をされております。しかし、仲裁人というものについては、この民事訴訟法上の仲裁では特に資格が制限されておりません。そういったことで、裁判官が関与するというようなことがどうも行われない、裁判官の関与はないということでございますので、このケースについては、あえて、先ほど申し上げました三つのケースと同様の確認を要さない場合ということにはせず、裁判官の関与ということを非常に重視をしたわけでございます。
#31
○仙谷委員 仲裁の点は今から聞こうと思ったんですが、先にお答えになりましたので、今からお伺いします。
 私、二月の大蔵委員会で申し上げましたけれども、この省令でも即決和解は抜いてあるんですね。局長がおっしゃるように、裁判官が関与すれば、それはある種の権威があるんだということになれば、即決和解だって簡易裁判所の裁判官が関与しているんですよ。ところが、今お伺いした問いにちゃんとお答えになりませんでしたけれども、欠席判決と認諾判決というのは裁判官が関与していますけれども、要するに言いなりですね。原告が請求原因事実を主張して、第一回口頭弁論期日に欠席をすれば、すべて認めたことになってしまうから、裁判官としてはそのとおりの判決を書かざるを得ない。認諾判決というのは、被告になった立場の証券会社が、請求原因事実について認めるという一行を書けば、裁判官は認諾判決を書かざるを得ないわけですね。
 そういう関与の仕方と、例えば今大阪弁護士会と第二東京弁護士会が機関仲裁というのをやっております。そこで両当事者が仲裁に合意して第二東京弁護士会の仲裁センター、それから大阪弁護士会の仲裁センターに申し出ると、その時点では弁護士ですけれども、ほとんどの場合は裁判官出身の弁護士二名と普通の一普通のというとおかしいのですけれども、弁護士資格のある人が、三名が仲裁人になって、両当事者から言い分を聞いて証拠を精査して、そこで仲裁判断を書くという仕組みになっておるわけです。その仲裁判断は当然のことながら確定判決と同一の効力を持つことが民事訴訟法上規定をされておる。
 どちらの方がより実質的な判断、つまりなれ合いじゃない――つまり実質的な補てんを、裁判所というフィルターを通すだけの危険性があるようなものよりははるかに公正で実質性が担保される、そういう仲裁判断を一方では排除しながら、非常に形式的に、確定判決があれば何でもいい、裁判上の和解であれば何でもいいというふうなことになってきますと、これは甚だ倒錯した議論ではないかということになるわけでございます。その点ひとつ再考をいただきまして、実質的に裁判官が関与し、あいは公的な立場の、法曹資格といいますか、権威のある者が関与した仲裁とか和解とか判決、調停、そういうものについては認める、こういうふうにぜひこの省令を是正していただきたいのであります。
 時間が終わりましたからやめますけれども、もしお答えいただけるのであればお答えをいただきたいと思います。
#32
○松野(允)政府委員 今の御意見は私どもとしても承っておきたいと思います。
 ただ、私どもの考え方は、こういう損失補てんを初めて法律で罰則をもって禁止したわけでございまして、形式的と言われればそうかもしれませんが、いずれにしても、裁判官が関与し、かつ何らかの場で一応当事者間でお互いの言い分が闘わされて、結果としてそれを見ながら裁判官が関与し、調停あるいは和解が行われるというような手続を厳密に取り上げたわけでございまして、もちろんそれ以外は原則に戻って大蔵大臣の確認ということが可能なわけでございます。今御指摘のありましたようなケースにつきまして、もちろんその実質的な公正性が担保されていれば、これは当然確認はされるものだろうというふうに思います。
 いずれにいたしましても、今の御意見は承って勉強させていただきたいと思います。
#33
○仙谷委員 終わります。
#34
○柳本委員長代理 渡辺嘉藏君。
#35
○渡辺(嘉)委員 この証券取引等監視委員会等の問題についての質問を行います。
 今回は証券業界の問題等だけに重点をかけた質疑をいたしますが、それでも非常に広く、深く、また複雑多岐で大変なんです。私ども国会議員の立場でいろいろ審議をさせていただくについても、とてもじゃないが、今の能力と人手じゃできない。そこで、かつて与野党一致して、政策秘書を置こうじゃないか、そうしないとアメリカその他の国会議員のような議員立法を初めとする国会審議はもう不可能に近い。私はこれは痛切に味わっておるわけなんですが、大蔵省が頑としてうんと言わないそうですが、私はこれは国会審議を阻害しておる、むしろ空洞化させるためには余り人手は与えない方がいいんじゃないか、こういうような伏線があるような気がして、これでは本物の政治改革もできないし、国会審議ができない、こういうふうに思っておりますので、この点はまず強く申し上げて、非常に苦しい人手の中でやっ一でおることをまず冒頭に申し上げておきます。
 まず第一に、証券会社の当期の決算結果がこの十五日に公表されました。これは私はおかしいと思うのですが、私どもはこれを当然大蔵省に資料要求しました。ところが、これはそれぞれが新聞発表したものを皆さん方にお渡しをしますということ。話が逆じゃないか。私は新聞発表、公表されることは結構なんです。しかし、きょう私どもがこの証券取引等の監視機構を初めとする一連の審議をするに当たって、それの土台になる資料が完全に出てこない。これはおかしな話だと思うが、しかし、一応でも出てきたのが上場会社の二十五社の分、これはもう新聞にも当然出ておりますので御承知のとおりでありますが、私は少なくともこんなものはもう全部出ておるのだから、前に私がいただいた五十四社分、これだけはこれの内容を資料として出して、国会審議に当たらしていただくのは当然だと思う。ところがそれがなされない。こういう大蔵省の閉鎖的な、あるいはまた秘密主義の対応は、私は非常に義憤を感じておる次第です。
 それでもこの二十五社を見ますると、残念ながら当期損益は二社を除いてはあと全部二十三社が赤字であり、山一証券の五百三十二億という膨大な赤字を筆頭に、この決算が出てきたわけですが、この決算について、大蔵省としてはこれからこれに対してはどう対応しなければならぬか、緊急の問題を含めてまず御答弁をいただきたい。
    〔柳本委員長代理退席、委員長着席〕
#36
○松野(允)政府委員 まず証券会社の決算状況でございます。
 これは上場会社につきましては、決算短信という形で取引所において各社が公表をいたします。私どももその段階で把握をするわけでございますが、そうでない会社の場合には、一つは有価証券報告書提出会社という概念がございます。これは有価証券報告書の提出期限までには報告書が出るわけでございますので、その段階で我々も把握することができますし、またそれ以外の会社の場合には、これは率直に申し上げまして財務局で監督をしておりまして、必ずしも一律に出てくるものでもございません。なかなか全体の姿を見るというのが、私どもとしても現時点ではすべて全体の姿を把握しているわけではないわけでございます。
 発表されました上場会社の決算の中身、これは今御指摘がありましたように、非常に赤字の会社がほとんどでございまして、これは当然株式市場が平成四年三月期を通じまして非常に低迷をしていたというようなことがございます。したがいまして、その売買手数料も減少しますし、あるいは資金調達が行われませんので、いわゆる引受手数料も減少します。あるいは投資信託の売れ行きもはかばかしくないというようなこともございまして、こういう姿になっておるわけでございます。
 こういう姿については、少なくとも四年三月期までの時点でございますと、現在までのところは、御存じのような四、五年にわたりまして株式市場が非常に好調だったものですので、証券会社の財務体質が非常に強化されておりまして、この四年三月期の赤字をもって直ちに証券会社の経営基盤が危うくなるというようなことは言えないと思います。もちろんマクロとしての話でございまして、ミクロ的には非常に厳しい状態になっている証券会社も数社あるわけでございます。
 そうはいいましても、その財産状態というものをいつまでも頼りにしているわけにはいかないわけでございまして、やはりこれから先、もちろん証券市場に対する証券投資家の信頼が回復して、証券市場が拡大をしていきますと、これは非常に好ましいわけでございますけれども、少なくとも証券会社の態度としては、いわゆるバブルの時代に膨張した企業規模をある程度縮小せざるを得ない、特に営業費用などの面でやはり相当膨張したものを縮小せざるを得ないというような考え方に各社立っておりまして、御存じのように、例えば役員の報酬をカットするなりあるいは管理職の報酬カットまで打ち出しているところもございます。もちろん役員の賞与というものも赤字の会社の場合には返上をしております。
 そういったようなことで、やはり営業費用の方の圧縮というものに努めながら、証券市場の信頼が回復するための努力を一方でし、一方で今申し上げたいわゆる水膨れ的な部分を取り除いていくという努力を各社真剣にしておりますし、私どもも、もちろん信頼回復の努力も当然必要ではございますけれども、一方ではそういういわゆる経営体制をスリムにするということがぜひ必要だということを指導しているわけでございます。
#37
○渡辺(嘉)委員 営業収益をそれぞれ見てみますると、一時の半分または三分の一なんですね。それはそうなんですよ。株価が半分に低落しておるし、取引そのものが、十億、八億、このくらいあったものが今二億前後なんです。五分の一、四分の一になっている。総体で合わせれば十分の一なんです。そんなものは幾らスリムにしようと思ったってできっこないのです。だから、これは深刻な問題なんで、後ほどからまた聞きますけれども、この対応については具体的に早急に対応しないと、私はこの数社を見てみますると、こんなものはもうとでもじゃないが収益を上回ってしまった。山種の百六十二億の収入に対して二百五十四億の赤字が出た。あるいはまたコスモその他ずっと一連を見ますると、これは大変な状態なんです。役員の賞与ぐらいカットしておさまる問題じゃないのですね。
 これは、また後ほどからも聞きますけれども、こういう緊急に対する問題を含めて、この赤字を出したところの会社が会社ぐるみをもって飛ばし等をやっておる。ここでこの飛ばしを会社ぐるみでやったということになると、これは株主に対して商法に言う特別背任に当たるのではないか。株主に対しては大変な被害を与えるわけなんですが、この点はどういうことになりますか。
#38
○松野(允)政府委員 このいわゆる飛ばしにつきましては、御存じのように、証券会社の営業マンが会社の帳簿を一切通さない形で顧客間の直取引を仲介をしたわけでございまして、なかなか会社が把握できなかった、そのうちに損害額が非常に大きくなったということがあるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、営業マンの仲介行為だということで証券会社は使用者責任を問われ、それによりまして裁判所の和解あるいは民事調停等の調停によりまして損害賠償を支払ったわけでございます。
 今御指摘がございましたような数社の場合には、確かに飛ばしにかかわる今申し上げた使用者責任から支払った損害賠償額は非常に巨額に上っておりまして、それが結果的に最後の損益のところに反映をしております。したがいまして、形の上では営業収益、いわゆる収入よりも損失が大きいというような非常に異常な形になっているわけでございまして、こういうものはもちろんそういう営業マンの行為をチェックできなかった、あるいは営業姿勢の上で問題があったということは事実でございますので、そういう点についての証券会社の営業マンの教育なりあるいは内部管理、チェック体制というようなものをより厳正にしなければならない、そういうことによってこういう不測の損害を企業としても防がなきゃならないということは事実でございます。そういったような対策を、現在、各社もちろん講じてきておりますし、あるいは法人の取引相手方に対しても十分チェックといいますか、営業マン以外の人間がそれに対して照会をするというようなことで、隠れた損失といいますか、そういったようなものがあれば早目にそれを発見するということに努力を重ねてまいったわけでございます。
 したがいまして、確かに不況といいますか、株式市場が低迷している時期に、証券会社の収益が悪いのに加えまして、今申し上げたような飛ばしの損害賠償ということが重なっているわけでございます。しかし先ほど申し上げましたように、個々の企業を見てみました場合に、その財務体質からいたしまして、仮に御指摘のような会社におきましても、直ちに証券会社の経営体制が揺らぐというようなことまではいかない。もちろんいろいろな支援策というようなものも考えられているわけでございますけれども、証券会社の営業が立ち行かなくなる、あるいは投資家に非常に大きな不測の損害を与えるというようなところまではいかないで、経営体制なりあるいは営業姿勢を立て直していくということはできるというふうに考えているわけでございます。
#39
○渡辺(嘉)委員 証券局長今御答弁になったけれども、非常に甘い見通しを持っていらっしゃる、まだまだ含みがいろいろある、私はそうにらんでおるわけです。これはまたぼちぼち出てきます。
 そこでもう一つは、ワラント債がこのように非常に大量に出回ったわけなんですが、六十二年、六十三年、一時は年間に九兆円を超えるワラント債が発行されたわけです。現在の残高が三月末で二十一兆八千五百六十五億あるわけなんですが、このワラント債の未行使残高二十一兆円、これはどういうことになるのですか。今のように株価が半分になって、そうしてワラントが切りかえられるような可能性があるのかどうか、これは紙くずになっておるのじゃないか、この実態はどういうふうに調査して対応を考えていらっしゃいますか。
#40
○松野(允)政府委員 確かに御指摘のように、このワラント債、大量の資金調達の時期に国内、海外で相当大量に発行されております。特に海外発行分が多いわけでございまして、平成四年三月末現在では、御指摘のように、ワラント債の残高が二十一兆八千五百六十五億円ございます。そのうち海外発行分が二十兆円を超えております。このワラントの場合には債券とワラントというものと二つあるわけでございまして、通常は債券部分というものとワラント部分というものが別々に消化をされております。したがいまして、ワラントだけを所有している投資家が多いわけでございます。
 ワラントだけを所有しておりますと、そのワラントにはいわゆる行使価格というのがございまして、幾ら払い込めばそのワラントを出した会社の株を一株購入できるという権利がついているわけでございます。その行使価格が、株式市場が非常に好調のときに発行されたものが多いものですから、行使価格が現在の発行会社の株価を上回っているということが多いわけでございます。したがって、仮に行使いたしまして株を取得いたしましても、それを売却すると損が出るというような形になるわけでして、そういう場合には実際には行使が行われないわけでございます。行われないままで期限が、行使期限がございますから、この行使期限が来てしまいますと、これは全くそれで行使権限がなくなりまして終わりになってしまうわけでございます。ワラントというのはもともとそういう性格のものでございまして、そういった意味ではかなり投機性の高い商品である。うまくいけば売買益を得られますけれども、今申し上げたような状況が続きますと、まるっきり無価値切ものになってしまうということになるわけでございます。そういったワラントの性格を十分考えた上で投資家に販売をするということが何よりも必要なことで、私どももそういった観点から指導してきているわけでございますけれども、世上ではやはりなかなかそういうリスクが高い商品だということを十分認識されないで購入された投資家もおられて、それが苦情になっているというような現状もございます。
 いずれにいたしましても、私ども、このワラントがこれだけ大量にあるということは、今申し上げたような問題以外にも、株式市場で株価がある程度回復してまいりまして、行使をして、株を手に入れて売却すると利益が出るということになりますと、行使が行われるわけでございまして、絶えずいわば株の供給要因になっている。いわゆる潜在株式と言っておりますが、そういったような状況にあるわけでございまして、そういうものが、どの程度の行使価格のものがどういう時期まで行使ができるかというような点についてある程度の分析はしているわけでございますけれども、どうしてもそれが株式市場のいわば頭を押さえる一要因になっているということは十分認識をしているわけでございます。
#41
○渡辺(嘉)委員 では、どの程度の数量のワラントが行使不可能になるのではないかと予想していらっしゃいますか。
#42
○松野(允)政府委員 この株価につきまして、私どもこれからどうなるかというのを予想申し上げるということはできませんし、また適切ではないと思うわけでございまして、今申し上げたように、ワラント権を行使して株を手に入れて、それを売却して利益が出るというような状況になるかどうかという点については、私ども一概に申し上げられないわけでございます。
 私どもが把握しておりますのは、そのワラント債が一体いつごろ償還期を迎えるか、償還期の分布の状況というものをとらえておりまして、ワラント債の場合には四年債というようなものがかなり多いわけでございまして、そういった意味では、ワラント債の場合に平成五年に償還を迎えるものが十兆円を超える額がございまして、これが一番大きな山になっております。それに次ぎまして平成四年、ことし、それから平成六年あたりがやはり四兆円から五兆円ぐらいの償還といいますか、行使期限が来るということになっております。
#43
○渡辺(嘉)委員 これはもう非常に重大な問題だと私は思っております。だから、それの対応をきちっとやらないと大変なことになる。
 次に、これは大蔵大臣に聞きたいのですけれども、今のバブルの崩壊で株価の急落、土地の値下がり、証券界にとりましても補てんの問題、飛ばしの問題、金融界では不良債権の増大、あるいはまた金融不祥事件等、異常な出来事が起きておるわけですが、これに対してアメリカのドラッカー教授が、世界経済は変わったという本の中でも明もかにしておりますし、宮崎義一教授も、今の不況は金融自由化の帰結としての調整過程の複合不況である、こういうふうに言っていらっしゃるわけです。すなわち、金融・証券の不良資産、バブルの長期調整とGNP実物経済、フローの製品在庫の調整の両面から複合不況対策をしなければならぬのじゃないか。従来のように、財・サービスの実物経済から、資本の移動だとか為替レートの変動だとか株価の動きというようなシンボル経済が実物経済より独立してひとり歩きを始めた、ここに問題があるのだと。イギリスのスーザン女史は、西側経済はギャンブラー、カジノ経済資本主義だとまで酷評しておるわけです。このような不健全な経済はケインズ経済の終えんだとまで言われておるわけでございます。これのスタートが金融の自由化から始まった、こういうふうに指摘をしていらっしゃるわけですが、大蔵大臣は現在の経済の実情をどういうふうに認識していらっしゃいますか。
#44
○羽田国務大臣 確かに現在の状況というのは、今御指摘がございましたように、バブルというものが生まれた、生まれたのは六十年九月のプラザ合意、この後急速に進展したわけでございまして、円高のもとで経済活動が停滞するという一方で物価が安定基調にあるということでございまして、政府の方では、財政と金融両面にわたりまして内需を中心とした景気の拡大、これを図るための政策運営に努めてきたところでございます、その結果として、一我が国経済が昭和六十一年に底を打った後で内需中心の景気拡大というものが進められてきたというふうに思っております。そこで、土地ですとかあるいは株式ですとか、資産価格の上昇というもの、これが経済の情報化とかあるいは国際化、こういうものを反映いたしまして大変上昇したということがあろうと思っております。
 ですから、現在の不況の一つとして、土地なんかが値上がりした、あるいは株式が上昇したということによるものが崩壊したといいますか、そういった中で含み損とかいったものが相当大きく出ているということは御指摘のとおりでありまして、こういったものを一遍に今調整しようといってもなかなかできない。銀行等においても三年とか五年そういうものをやっていかなければならぬということでは確かに今までとは違うというふうに思っております。それと同時に、実物といいますか、生産する土台である設備等についても二けた台のものが投資されたということで、ただ在庫の調整というだけではなくて、生産基盤である設備のストック、これの調整もしていかなければならないところが今までの不況というものと違う、非常に注意深く私どもとしても対応していかなければならない場面であろうというふうに考えております。
#45
○渡辺(嘉)委員 そこで、今また金融の自由化ということが、金利の自由化を初めとして、引受手数料は自由化ですけれども、受託手数料の自由化、そういういろいろな問題がメジロ押しに俎上に上っておるわけですが、先ほどのワラント債もありまするし、先行投資の問題あるいはまたファントラの問題、こういうようないろいろなものが洪水のごとく市場にあふれて、これに対して丸三証券の金子会長は、こういうことを言っていらっしゃるのです。「先物の世界はある意味では、丁半ですから、銘柄を育て、直接金融を育てることはできません。」こういうことを言い切っておるのですね。私も、そういう可能性が強い。だからこういうことを踏まえながら、金利の自由化については、ここにもいただきましたけれども、定期預金の金利については遅くとも今後二年程度で、その他の預金金利については今後三年程度で完全自由化を図りたい、あるいはまた、一年以内の審議によって株の売買手数料の自由化を念頭に置きたい、こういうことが出ておるわけですが、これはより慎重にしなければいけない、私はこう思っておるわけですが、どうですか。
    〔委員長退席、持永委員長代理着席〕
#46
○土田政府委員 預金金利の自由化についてのお尋ねもございましたので、まず私から御説明を申し上げます。
 預金金利の自由化は金融自由化の非常に大きな柱でございます。申すまでもございませんが、金融自由化は三つの観点から進めております。一つは、預金者、金融機関、借入者の間の公平な所得分配の実現のためでございます。第二は、金融機関相互の競争促進による経営の効率化のためでございます。それから第三は、我が国の金融市場の国際的貢献を考える立場に立ってのものでございます。
 そこで、この進め方につきましては、御案内のように、金融機関経営に与える影響などにも十分配慮しながら段階的にこれまでも進めてきておるところでございまして、今後も所要の環境整備を図りながら着実にこれを実施してまいりたいと思っております。この金融自由化の進展に伴いまして、金融機関は経営上の創意工夫を行い、みずからの特性を生かしながら、金融環境の変化に応じた業務展開を行うことになりまして、金融機関の間の競争が促進されることになります。
 関連いたしまして、今回御提案申し上げております改正では、信用金庫や信用組合などの中小金融機関の業務範囲の拡大なども図っておりまして、このような多様な金融商品、それから的確なきめ細かいサービスの提供が確保されることによって、こういう中小金融機関の競争力が高まり、そして経営体質の向上にも役に立つということを期待しておるわけでございます。
 なお、このような競争的な市場のもとでは、例えばバブル関連のような信用を失墜する行為を行いますならば、利用者の支持を失うということになりますために、金融機関は自主的な規律を求められることになると考えられるわけでございます。
 このような意味で、金融自由化の進展による競争の促進、それは金融システムが国民の信頼にこたえるものになるための重要な前提であるというふうに考えておりまして、基本的には、着実にこれを進める、その進め方につきましては、環境整備を図りながら着実に実施してまいりたい、そのように考えておるところでございます。
#47
○渡辺(嘉)委員 今の景気動向が非常に複雑であるだけに、これはもう少し長期的な視野に立って判断しなければならぬということとともに、今の金融制度の改正につきましては、また別な機会に深く質疑をいたしますので、今は全部割愛をいたします。
 そこで、先ほどの質問で本当は株式の売買手数料のことも答弁をいただきたかったのですけれども、同じ答弁だったらいいですし、変わった答弁だったらひとつ……。
#48
○松野(允)政府委員 株式の売買手数料につきましては、私ども、証券取引審議会でもいろいろと議論をしていただきまして、証券市場における適正な競争を促進するという観点から、諸外国の例などを見ても手数料の自由化を展望する必要があるのではないかという考え方が打ち出されております。
 そうはいいましても、手数料を自由化いたしますと、証券会社のみならず、投資家、特に個人投資家、さらに市場に与える影響というのがいろいろと議論されているわけでございまして、そういった観点から、現在私どもがまた証券取引審議会で議論を続けていただいておりますのは、とりあえず機関投資家を相手とした大口取引というようなものから自由化を進めていって、その影響を見ながら次の段階を考えるというのが適当ではないか、そういうような方向で、具体的には作業部会を設けて十分時間をかけて議論をしていただくということにしております。
 もちろん、手数料の自由化というものが仮に行われた場合に、それが非常に過当な競争に走るというようなことになりますと問題があるわけでございまして、自由化を図りながら公正な市場を維持する、ルールを遵守するということを片一方で確保する必要があるわけでございまして、そういうことをしながら適切な競争を促進していくという道を探っていく。手数料の自由化についても、そういう基本的な考え方でいるわけでございます。
#49
○渡辺(嘉)委員 今のような紋切り型のことでなくて、これは、今のような厳しい証券業界の中身で、スリムにしなければならぬ。そして、これを大口から自由化すれば必ず小口は上がる、これはもう外国の例で明らかなんです。この際、そういう一年ということでなくて、もっと長期的に、弾力的にこれを取り扱っていくように考え方を改めてもらいたい、こういうふうに思います。
 次に、証券監視委員会のことについてですが、証券取引等監視委員会のことを略称したわけですが、これには、本部で八十四人と地方組織を入れて二百二人でやられるわけですが、これの総数で果たしてこれからの複雑多岐なこの証券のいろいろな、気がつかなかった飛ばしまで出たというようなことに対して対応できるのか、あるいはまた外国との交流がこれだけ頻繁になっておるわけなんですから、これで果たして十分できるのかどうか、私は非常に疑問を持っておる。
 一つの例を皆さんのお手元にもお渡ししたわけですが、これは海外を使った空売りの手口なんですが、これはあくまで仮の例でありまするが、実情に即した、この春に行われた銀行株の動き等々を念頭に置いてつくったものなんです。こういうふうな流れから考えますると、海外経由で、ここで出てきまするようなAがA’、海外の子会社に回した。そうすると、それを今度は海外のそれぞれの法人同士が移転をして、そしてそれをまた日本に持ち込んで東証に持ち込む。そうすると、ここには、株を借りただけなんですから、これがもし上がって千八百円で売れたという場合には、今度はこれによってどっと売れば、また値が下がった、その下がった値によって買い戻した。株だけ戻せばいいんですから、利益はここで仮に三百八十円、ここにぽんと出るんですね。こういうことを果たしてこれで監視できるのかどうか。あるいはまた、今度はここでAの本社を抜きにして、現地のAだけで、AとB’とBとがやった、こういうような場合も想定できるわけなんですね。こういうような手口に対しての監視ができるのかどうか。当然海外には監視機関は置かれないと思うのですが、これに対しての万全が期せるかどうか、一度聞かせてください。
#50
○小川政府委員 ただいまお尋ねのありました証券取引の国際化の進展に伴いましてどのような対応が可能かということでございます。
 従来からも、大蔵省は、外国証券当局との間で必要な情報の交換を行ってまいっております。
 また、ただいまお尋ねのありましたような、証券会社により例えば海外現法を悪用した違法行為がある、あるいはその疑いが極めて強いといったような場合に、これをチェックするのにどうしたらいいかと申しますと、現在証券取引法の改正前の条文で申し上げますと百八十四条の二でございますが、外国証券当局に対し行政上の調査を行うように要請し、その結果得られた情報の提供を求めることができるという規定がございます。したがいまして、そこに今お配りいただきましたペーパーの個別のケースということではなくて、いろいろな取引の中に何らかの証券取引法に違反するような疑いがありという場合には、ただいま申し上げました条文を使って外国当局に調査を依頼するということが考えられるわけでございます。
#51
○渡辺(嘉)委員 いや、手続とかそういう条文があるということじゃないんです。今の、本部では八十四人、果たしてこれでできるのかどうかということなんですよね。そんなものは、富士山の山を、そんなものを僕がひっかこうと思ったって崩せるものじゃないんです。それと一緒なんですよ。だからこの八十四人の本部機構、それに地方を合わせたって二百人、これでこんなものできっこない、私は前からそれを考えていたわけですね。だからそのことを指摘したのです。そのことについてはまた答弁をいただきますが、それとあわせて引受手数料の問題について公取に少し聞きたいと思いますからお願いいたします。
 引受手数料は本来自由である、これはもう御指摘のとおりですが、この引受手数料はその八〇%以上が四大証券で独占しておることも、現実の事実は御案内のとおりであります。これに対して、過日、朝日新聞初め各新聞に、株式手数料の引き下げ、規模に応じて三段階、こういうふうな広告が出まして、証券業各社は、企業が株式、債券を発行する際の引受手数料について引き下げを検討し、八日、これまで一律のを三段階に分けて下げることを決めた、新料全体系は五百億未満は三・一%、千億以下は三%、これを超えると二・九%、これは九日に正式に決定して実施をした、こういうことが朝日新聞ばかりでなくて、日本公社債新聞、日本金融新聞、金融財政事情その他に明らかですし、CB、ワラントについてもそれぞれ出ておるわけなんです。
  こういうようにこれが堂々と出て、そして発表されておるわけですが、これは明らかに実質的には四大証券が独占的な引き受けをしておるという実情と、そして自由であるべきものがこうして新聞できちっと出てしまう、これがいわゆる四社におけるところの話し合い、談合によって行われた独禁法違反ではなかろうか、こう疑いを持ち、今でもこれに若干の、ミニ的な調整をしながら大綱はこれで行われておるわけなんですが、この点について承りたいと思います。
#52
○山田説明員 有価証券の発行に係る引受手数料につきましては、先生御指摘のとおり、証取法による規制はございません。引受手数料を幾らにするかは各証券会社が公正かつ自由な競争を通じて自主的に決めるべきものである、そのとおりでございます。
 したがいまして、各社間の話し合いによりまして引受手数料が決定されることがあるとすれば、それは独占禁止法に違反することとなるのは当然でございますが、仮にその引受手数料の水準が各社間同であるとしても、そのことのみをもっては直ちに独禁法違反と言えないと思います。
 事実、御指摘のような、各社の引受手数料の水準はかなり似通っている面がございまして、公正取引委員会といたしましても、独占禁止法違反というわけではございませんが、この点につきまして関心を持っておるわけでございまして、すなわち、引受手数料の決定について安易な協調や追随が行われるとするならば、それは競争政策上決して好ましいことではありませんし、仮にその間に意思の連絡が介在していれば独占禁止法に違反することにもなりかねないわけでございます。政府規制分野あるいは寡占的な業界におきましては安易な協調が起こりやすいこともありまして、私どもとしては、こうした行動につきまして今後とも厳しく監視してまいりたいと思っております。
#53
○渡辺(嘉)委員 これは、これだけの新聞その他に堂々と出ておる、こういうふうに決めたと書いてあるじゃないですか。それを今まで公取が――私は、株式の委託手数料の自由化の問題からおかしい。これが自由化でありながら自由になっておらない。ところが、この株式の手数料の方を自由化せよということは、これはもう本末転倒なんだ。これには公取は何をやっているんだ。だから実質的な面から見れば、こんなものは当然今までに調査し、そして必要によっては勧告その他の措置をとるべきであったと思うのですが、これは今まで何もやらなかったのですか。また、これからどういうふうにやるつもりですか。
#54
○山田説明員 引受手数料につきまして、発行体の方で出すことにつきまして、大口の発行につきまして引受手数料が同一であるということについては、もっと引き下げるべきではないかというような発行体側からの要請もありまして、ある証券会社が引き下げ、そしてその他の証券会社がそれに追随していくという事実があったことは承知しております。ただ、そのことのみをもって直ちに独禁法上違反というわけにはいかないわけでございまして、その中に、「共同して」というのは意思の連絡があるということでございまして、そういう事実があるかどうかということにつきまして引き続き私どもとしても注意してまいりたい、このように考えているわけでございます。
#55
○渡辺(嘉)委員 これは一社に追随したんじゃないのですよ。事前に協調して、こうなんだということで三段階にしたのですよ。だから、その点をきちっとこれから、過去のことはともかくとして、これからきちっとこれについて監視をしていただきたい。
 次に、農林省からも来ていただいておるわけですが、農協、農信連の問題について承りたいと思いますが、農協並びに農信連が、農民のために、あるいはまたそれに関連する事業のために資金をお預かりし、その資金を必要によって運用していく、そして農村の事業の拡大、その他関連事業の資金供給によって発展を図っていく。これは私が言うまでもないのですが、農協、農信連の保有しておる有価証券の問題なんですが、農協が本年の二月末で三兆一千九百五十三億、農信連は本年三月末で十一兆一千六十三億という莫大なものがあるわけなんですね。
 そこで、私は特に農信連について承りたいわけですが、農信連は各県ごとに農林水省が指導いたしまして一個の組織となっているわけですが、これを各県別に見てみますると、これはもう非常に驚くべき中身が明らかになったわけです。農林水省の資料によりますると、資金量の三割以上を有価証券、いわゆる株を初めとする有価証券に投入しておる、これが明らかになったわけですね。
 ちなみに申し上げますると、栃木の場合には、八千七百六億の資金に対して有価証券は三千十三億、三五%。長野が一兆六千八百三十七億の資金に対して有価証券は五千六百六十五億円。石川が五千六百六十五億の資金量に対して千八百六十二億。岡山が一兆二千五百七億に対して六千四百九十二億の有価証券、実に五二%も持っておるわけですね。そして広島が一兆三千二百十九億に対して五千三百三十一億。香川が一兆七百四十一億に対して四千三百九十五億。それぞれ四〇%をみんな超えておるわけなんですね。中には三〇%もあります。その他中身を見てみますると、このような資金運用が農信連の目的として果たして正しいやり方であるのかどうか。あるいはまた、この中には、山口の場合には、昨年は七千五百十七億の資金に対して二千六百二十六億、三五%保有していたわけですが、ことしはその数字が多少上下いたしまして二九%に減少いたしておりまするが、しかしこれが山一証券から昨年十三億九千八百万円の損失補てんを請求して受けておるわけですね。この事実から考えましてもおかしいのじゃないか。そのほか、山口だけじゃないのです。補てんを受けておるところはもう数府県に及んでおるわけですね。
 こういうのに対して、農林水省はどのような指導をして、これの資金運用をやっておられたのか、承りたいと思います。
#56
○今藤政府委員 県信連の資金の運用でございますが、平成三年度末で資金量総体約四十六兆円ございますが、これにつきましては、会員その他地場企業への貸し付け、それから農林中金への預け金とともに、今お話ございました有価証券による保有ということで約十一兆円の保有をしているわけでございます。
 御案内のとおり農協系統でございますので、農家組合員から農協が貯金を預かりまして、貸し付け以外の資金はほとんど信連さらには農林中金等上部団体に運用を依頼して、効率運用によって農家組合員にそれを還元していくということでございます。信連につきましても、今申し上げましたとおり中金に運用をしておるのが大変多いわけでございますが、有価証券につきましても、国債、地方債、政府保証債、金融債といったような安全なもの、過半がそういった形で運用されているわけでございます。
 そういうことで、現在、効率運用に努めて農家組合員への還元を確保するという姿勢でやっておるところでございますが、信連を取り巻く環境は、御案内のとおり不透明な金融情勢の中で、金融の自由化、国際化の進展、さらには他業態との競争激化、こういった大変厳しいものがございます。農林水産省といたしましても、そうした資金の効率運用に努めますとともに、自己資本の充実、リスク管理体制の強化、経営の効率化、合理化、こういったことにつきまして必要な指導を行ってまいりたいと考えているところでございます。
#57
○渡辺(嘉)委員 私は、各県別に収支を出してほしい、こういうふうにお願いしたわけですが、これはどうしても出なかった。しかし、総枠では出てまいったわけですが、全国のこの四十八信連のトータルによりますると、六十三年の収益は二千九百二十四億円、元年が二千二百九億円、二年、いわゆる昨年の三月末では千六十四億円、一時の三分の一に落ちておるわけです。ことしの三月は果たしてどうなったのか。これも私は、かなり厳しい数字が出ておるのじゃないか。
 と同時に、昨年の三月、そしてことしの三月、有価証券の評価損、こういうものはこの中に含まれておるのかどうか。有価証券の評価損ですね、含み損、こういうものは入っておるのかどうか。この点を承りたいと思います。
#58
○今藤政府委員 有価証券の評価につきましては、一般的なルールのもとに指導しているわけでございますが、上場株式につきましては低価法でございますので、評価損につきましては当然決算に反映されてございますが、その他のものにつきましては原価法の採用ということもございまして、決算上は出てこないといったものもございます。
#59
○渡辺(嘉)委員 そういたしますと、その他の部分の評価損はまだまだ出てくる、そしてこの一年間ある。もしこれが一割下がったとしても、これはもう十一兆ですからね、ですから一千億ぐらいの利益は全部飛んじゃうわけですが、中には上下が出てくるはずなんです。
 と同時に、これの融資先に日本住金がある。これは大蔵省が主導でつくった会社だから心配ないというようなことでどんどん農信連が入れた、こういうこともあるわけなんです。これについては、どういうふうに中身を把握し、そしてどう対応を考えていらっしゃいますか。
#60
○今藤政府委員 信連の貸出先についての運用等につきまして、私どもも十分関心を持っておるところでございます。常々効率運用とともに安全運用といいますか、リスク管理等につきましてもちゃんと指導をしておるところでございまして、今お話がございましたような貸付先につきましては、これから十分関心を持って指導してまいりたいと思っております。
#61
○渡辺(嘉)委員 まだ聞き漏らしておるのですが、そうすると、ことしの三月末の収支について報告は受けていらっしゃいますか。
#62
○今藤政府委員 平成三年度の決算につきましては、現在、各信連において確定作業を行っておるところでございまして、最終的な報告はまだ受けておりません。
#63
○渡辺(嘉)委員 農信連は少なくともディスクロージャー、いわゆる開示制度に基づいてこれを明らかにしなければいけない、またすべきである、こういうふうに私は強く要請をしておきます。
 最後に、時間がありませんので、幾つもはしょりましたが、一、二だけ聞きます。
 この別表をまたお渡ししましたが、これについて、インサイダー防止の関係なんですが、親子関係の銀行、証券が出てまいりますと、そうすると、こういうようなインサイダー防止のための壁をきちっとつくらないと、いわゆるファイアウオールと言われるこの壁をつくっておかないと、幾ら制度的につくりました、条文をつくりましたといったって、こんなものは、一緒にちょっと肩をたたいて、どうやった、こうやった、こうやったとやれば一発なんです。あるいはまた、一杯飲んだ際に何かしゃべる。そんな不謹慎な方はないと思うけれども、私は非常に危険だと思う。
 なぜこれを言うかというと、山種証券の支援の関係から、さくら銀行が主導になって山種の支援をするのだ、こういうのが今度出ておるわけですが、この点と関連をして、そういうふうにさくら銀行、さくら銀行というのはもともと太陽神戸三井銀行なんです。どんどん合併してきておるのです。これに、今度は証券にまでいろいろなものを送り込んでくる。これはどんどん肥大化してくるのです。これは、銀行そのものはどんどん巨大化してきておりますから、そういうような意味から見て、こういうファイアウオールをきちっとしておかないと、こういう支援の関係の中からも出てくるし、そして金融制度の抜本改正の、これについては先ほど申し上げましたように、別の機会にもっときちっとやりますので、きょうはそういうことに余り触れませんけれども、今聞きました点、この点と、そして山種支援のこのさくらの問題、これについては大蔵省とも調整し、あるいはまた主力銀行とも調整するというようなことも聞いておりますが、大蔵省はこれについては関与してないのかどうか。
 最後に、山一ファイナンスが、これがまた行き詰まっておるというようなことから、これまた大蔵省、関係の山一証券等々でこの支援を考える、こういうことになっておりますが、山一証券そのものも、こういう状態の中でそこまで手を広げてやっていけるのかどうか、こういう点もきちっと聞いておきませんと、現在のこの不透明な証券業界に対して大蔵省がこういう体制をきちっととっていくのだということを明確にしないと、まだまだこの不透明が続いて、そしてもっと危険な状態が想定されますので、私は承っておきたい。
#64
○松野(允)政府委員 お尋ねのまず第一点の、このいただきました表の親子会社のインサイダー防止の問題でございます。
 これは私どもも、まさに御指摘のように、こういうような関係があった場合に、厳格なファイアウオールが有効に機能するかどうかという点が一番の大きな問題でございます。親会社と融資関係がある企業、この場合には往々にしてメーンバンクというような地位に立っている場合が多いわけでございますが、そういった問題も含めまして、子会社であります証券会社と親銀行との関係、そういうところから証券市場にいろいろな不公正な取引を行うようなことにならないかどうかというような点を防止するためにファイアウオールをいろいろと考えているわけでございまして、この弊害防止措置は、法律にも幾つか規定をいたしますし、機動的、弾力的に対応するということもございまして、省令に規定する部分もございます。いずれにいたしましても、競争を促進するという意味での新規参入、銀行の子会社による証券業務への参入ということを私どもは考えているわけでございますが、それが証券市場に弊害を与えるというようなことになると非常に好ましくないわけでございまして、実効性のあるファイアウオールを考えていきたいと思っております。
 それから、山種証券の件でございます。
 これはさくら銀行の支援云々というようなことが言われております。これは基本的には山種証券の経営判断の問題ではございますけれども、私どもも、この問題については、免許企業である証券会社の経営判断の問題でございますので、非常に関心を持っておりまして、適宜その内容の把握に努めておりますが、少なくとも私どもがこの山種証券とさくら銀行の話し合いに直接関与しているということはございません。
 それから三番目の、山一証券といいますか、山一ファイナンスの問題でございます。
 山一証券の関係会社であります山一ファイナンスの経営悪化ということが言われているわけでございまして、現在、山一証券を通じてその内容把握をしているわけでございます。いろいろな対策が考えられているようでございますが、いずれにいたしましても、その山一証券の関係会社の経営悪化が証券会社本体に悪影響を及ぼさないように証券会社を通じて指導することは必要だと思いますし、また、関係会社に対する証券会社の管理監督というものも強化していく必要があるというふうに考えているわけでございます。
#65
○渡辺(嘉)委員 終わります。
#66
○持永委員長代理 沢田広君。
#67
○沢田委員 大臣にまずお伺いいたしますが、株、いわゆる証券と国民との関係はどういうふう
な位置づけというふうに受けとめられておりますか。
#68
○羽田国務大臣 市場を通じながら資金を得るという立場の企業の方があると思います。また一方では、その市場を活用しながらみずからの持つお金というものを運用していく、弔ったい言葉で言いますと利殖ということをやっていくということであります。いずれにいたしましても、自由主義、市場経済という中にあっての市場というのはまさに国民と本当は一体なものであろうというふうに思っております。今度、特にG7その他でずっと一回りいたしましていろいろな国の方と株の問題についてお話し合いをしておったんですけれども、先進国の各国なんかでは本当に一体になっておるなという感じのものを持ちまして、それだけに私どもは市場というものが信頼をされるものになっていかなければ、成長していかなければいけないということを強く思っておる次第であります。
#69
○沢田委員 証券、株といいますのは、言うならば国民的な視野また利害、そういう点で見るべきである、こういうふうに解釈してよろしいでしょうか。返事は求めなくてもいいと思います。
 前に谷村さんが、今審議会の委員長をやっておられますが、株は投資家のものであって、一般国民とは無縁であるといったような答えをされたときがございました。それに対して、大臣の答えとは若干似て非なるものがあるわけでありますが、改めて大臣からそれはどういう価値観で受けとめられるか、重ねてこれは谷村さんの発言も加えた意味で、それが審議会の会長をしていると果たしてどうなのかな、やめると言っている意味ではないですけれども、そういう見解の人と果たしてどうなのかな、こういうふうに思いましたので、この際あえてそのことを知っていてお答えになったのかどうか改めてお願いいたします。
#70
○羽田国務大臣 その発言は私は実は存じません。ただ、市場というものを客観的に見ながら、また、これからの成長というものを考えていく、そういったときに、私は投資家のものであるということに対して、国民がだれでも参加できるものでなければならないというふうに思っております。いずれにいたしましても、それであるだけにだれもが安心して信頼して市場に参加できる、しかしそれと同時に株式にはリスクがあるということもきちんと念頭に置きながらこれに対応しなければいけないものであろうというふうに考えておりまして、私は、成熟した資本市場というのはまさに国民のものであろうというふうに考えておるところであります。そうして国民の皆様も、例えばみずからが得た利益といいますか収入、こういったものをさらにふやしていくために、今預金というのが一つの一般の概念としてありますけれども、しかしいろいろなものを選択することができる、これが今日の社会であろうというふうに私は存じております。
#71
○沢田委員 その前提で日本版SECといいますか監視委員会というものをどういうふうに考えていくかという基盤が、どこに原点を置くかということによって内容は非常に変わってくると思うのです。ですから、取引の監視委員会というものの役割が、どういう視点でこれから運営をされていくかということの基本的な位置づけというものになるわけです。それで、投資家だけの保護ということは、ある一定の限度ももちろんあるでしょうが、例えば今六十兆円の含み損があるというお話がさっきも出ましたが、そういうようなことでこの損害はだれが埋めるのかといえば、結果的には国民、大衆の資金運用なり預金なりが当然対象となっていくわけです。ですから、今の大臣の答弁で証券の取引は国民的視点に立って、もちろん税金で役人まで抱えているわけでありますから当たり前のことでありますけれども、国民的視点に立ってこれは行われるものである、そういうふうに確認しておきたいと思うのでありますが、大臣いかがでしょうか。
#72
○羽田国務大臣 まさに御指摘のとおりであろうというふうに私は考えております。
#73
○沢田委員 ある意味においては、大蔵省は今度できる委員会とは、敵対関係とまでは言いませんけれども、言うならば監視者と被監視者というような関係にもなってくるわけでありまして、大臣に聞いてもあるいは正鵠を射られるのかどうか、大臣の立場だけで考えれば余りこっちからは口を出しては困るという意味になっていくのでありましょうから、なかなか言いにくいと思うんでありますが、これから若干伺っていきます。
 さっき公正取引委員会の方の答弁で、あれは手数料が題材になっておりましたね。手数料が題材になっていて、結果的に同じ率になった、片っ方が先に出した率に対して後が追いついたんだから、共通の意思がなければ、いわゆる談合といいますか、そういう打ち合わせ会議がなければ、それは独占禁止法に触れない、こういう解釈ですが、それが決まった結果の運営としては、やはり独占禁止法の運用になるのではないか。経過としてはそうであるかもしれません、一歩譲って。しかし、生まれた結果として運営されれば独占的な市場介入ということになるのではないのか。その点、公取から来ていただいていると思いますから、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#74
○糸田政府委員 先ほどもお答え申し上げたところではございますけれども、独占禁止法それ自体の解釈としては、例えば価格とか手数料というものが同一の水準に合っていたとしても、そのことだけをもって直ちに違反というものではないわけでございます。しかしながら、一般的に申し上げまして、例えば企業同士が安易に協調し合うとか安易に追随するということは、これは独占禁止法に違反する、しないという話は別として、決して好ましいことではないのじゃないかというように私ども考えているわけでございます。特にこういったような動きというのは、いわゆる規制産業とか高度に寡占的な業界において間々見られることでもございますので、私ども常日ごろからこういった問題に関心を払いまして、できるだけ企業が自主的な経営判断のもとに行動すみ、そういったことが何よりも大事であるという観点で仕事をしているところでございます。
#75
○沢田委員 もう一回確認しますと、経過が談合という形にならないで、部分的に追随があったりあるいは任意的に結果が独占的な形態になっても、その後の独占的な営業については独占の法律には触れないというか、告発の責任はない、こういう意味に言われたものと解していいですか。
    〔持永委員長代理退席、委員長着席〕
#76
○糸田政府委員 今いろいろ申し上げましたのは、独占禁止法で禁止しておりますカルテルというものにつきまして、これを法律上のいわば構成要件という観点から申し上げれば、ただ単に行為の結果が一致しているということだけでカルテルが成立するというわけではなくて、行為の結果が一致することにつきまして、例えば企業の間で共通の意思というものが形成されている、意思の連絡があるということの要件も必要であるという観点で申し上げたわけであります。
 こういったことで、さらにもう一つ、二つ御説明申し上げたいと思いますのは、一方で独占禁止法は、例えば十八条の二という規定によりまして、高度に寡占的な業種につきましては、価格の同調的引き上げという問題について措置を講じてもおりますし、それから、これまた市場の構造が極めて寡占的であるといった場合に、その市場に弊害が生じているというようなケースについて、いわば独占的状態という物の考え方をして、こういったものに対する対応が独占禁止法で用意されているところでございますが、お尋ねのカルテルという観点で申し上げれば、以上のとおりでございます。
#77
○沢田委員 しかし、公取としては、第九条に「端ちよ」あるいは「事実の概要」「関係法案」となっておりますし、また、この後になれば「審査経過「事実の概要」。今言われたように形態が結果的に独占の形態を示しているときには、少なくとも審査対象にはなるのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
#78
○糸田政府委員 私ども、例えばどこかの業界でカルテルの疑いがあるといったような手がかりに接しました場合には、もちろんこの独占禁止法に基づいて厳正な手続を進めていくということでございます。お尋ねのようなケースがその手がかりになるかどうかということでもございますが、これは個々のケースについて個別に判断しなければならないことであろうか、かように考えております。
#79
○沢田委員 公正な取引を確保するために必要なことは、それまでの談合がもとにあるのではなくて、問題は、結果としてその寡占化が進み、あるいは独占化が進んで国民経済に重大な影響を与えることを防止することが本来の目的ではないのですか。その点、どうですか。
#80
○糸田政府委員 おっしゃるとおり、公正取引委員会が運用している独占禁止法の第一条の「目的」にもございますとおり「公正且つ自由な競争を促進」するということが私どもの任務、使命であるというように考えているわけであります。
 それの具体的な業務として、もちろん言うまでもなく、独占禁止法に違反する行為があれば、これを徹底的に排除するということをしていかなければならないと思います。また、それだけではなくて、これは独占禁止法違反とかなんとかという話から外れますけれども、第一条に書いてありますとおり、公正で自由な競争をいかにして維持し、あるいは促進していくのかということの努力もまた怠ってはならないことである、かように考えております。
#81
○沢田委員 結果的に、先ほどは、プロセスにもし意思の合意ですか、そういうことが行われなければ、あなたの方では、それは公取としてのあれにはなりません、そういう答えがあった。
 だから、今度は結果として起きている独占の形態というものについては、公取としてはどういう責任を持っていくのか。それが公取の仕事ではないのか。出発点はあるいは違っていたかもしれぬが、結果として後で追随しようが何しようが、手数料がさっき出ていたから同じ題材でいきますと、手数料が一体化されて、大きいのも小さいのも皆同じ手数料でやっていたという状態が続いているということは、独占禁止法からして好ましからざる状態である、少なくともそうは言えるのではないですか。
#82
○糸田政府委員 お話のようなケースが独占禁止法に違反するかどうかということは別といたしまして、私ども、先ほど申し上げたように、公正で自由な競争を促進するという観点からいたしますと、例えば安易に協調する、安易に追随する、それで結果が、価格なら価格の水準が同一になっているということについては、これは独占禁止法違反ということではありませんが、私ども非常に関心を持っているところでございます。企業の自主的な経営判断による事業活動、それがまた公正で自由な競争を促進する上においての大前提でもございますので、そういったことをいろいろな角度から促すというようなことは私どもの仕事でございます。
#83
○沢田委員 結局あなたの所管の段階で答えれば、今のような場合に答えるのは、好ましくないけれども自重を求める程度であって、どこかに改善を求めるわけでもないし、傍観しているという状態が結果的には続く、そういうことになるわけですか。
#84
○糸田政府委員 独占禁止法に違反する行為ということであれば、委員御承知のように、これは独占禁止法に基づいて徹底的にその排除を図っていかなければならないというのはそのとおりでございます。
 独占禁止法に違反しないものであっても、先ほど来申し上げているように、公正で自由な競争という観点からいかがなものかというものについては、これは法律に違反する話ではございませんから、法律に基づいて措置をとるというようなことではございませんが、私どもの考えているところを十分に相手方に伝え、また企業の方も自主的に行動をとるということを促す、そういう仕事が私どもの大きな役割としてある、そういうふうに考えているわけでございます。決して事態を傍観するとかということではなくて、どういう状況にあるのかということを絶えず見、ま。た私どもの観点から関心を払わなければならない点については、その都度産業界に対しても物を申し上げるという立場をとっているところでございます。
#85
○沢田委員 公正取引委員会は昭和二十八年にできて、それから今日まで何回か改正はされました。そうしますと、今のような場合に監視はしている、警告までいかない、あるいは担当大臣にこういうものは直してほしいという要請もするわけではない。ということになると、私の言う傍観しでいたということになるわけでありますが、そういうことについて、私の方の県で起きたことですが、例えば土曜会みたいな場合に、結果として告発に至らなかったけれども、その後は無罪放免です。さっきの手数料も後は無罪放免ですと、これが公取として、今日までの十何年間に一回という割合だそうですが、そうなると、公取として果たしている、日本の経済の公正を確保する役割を果たし得たと自任できるのですか。それとも今日まで公正な取引が十分に維持できなかった、残念ながらどうもできなかった、行政の方が強かった、あるいは業界の方が強かった、そういうことになるのですか。あなた自身を振り返ってみて、公取自身の役割あるいは生きがい、そういうものに対してどのように感触を得ておられますか。
#86
○糸田政府委員 公正取引委員会の役割は、申し上げるまでもなく独占禁止法を厳正かつ忠実に運用する、また、それによっていわば競争制限的な行為というものを世の中から排除するという大きな使命がある、かように考えておりまして、昭和二十二年に公正取引委員会ができて四十五年たちますが、私どもそういった精神、考え方のもとにこれまで業務を行ってきているところでございます。
#87
○沢田委員 大臣、今までのを聞いていたかな。大臣、聞いていたとすれば、公取のこういう法律的な能力においても、いわゆるでき上がった結果についてからのものまではなかなか手がつかない、こういう現象が出ているわけです。
 今回の法律で日本監視委員会としては監視していく。監視だけはできるのでしょうが、それに対する改定とか解釈とか、先ほども述べられたように、言うならばいろいろな問題がある。例えば損失保証もありましょう。損失保証を例に挙げますと、例えば外務員が約束をしてきて、その約束は、絶対お損はかけません、ですから、ひとつこれについては任してほしい、あるいは買ってほしい、こう言って損が出てきた。しかし、その前に、これは大臣に言っておきたいと思いますが、株というのは一つの投機ですね。ですから、これが不公正でない限り、これは損をしてもしょうがないのですね、自分の当てが外れるわけですから。ただ、そのことが国民経済に不当な損害を与えない限り、その損得は個人の問題、投資家の問題であるというのが一つの限定的な解釈だろうと思うのですね。しかし、株そのものは個人投資家と取引所の問題である、こういうふうに位置づけるわけでありますが、さっきの公取のような話とごっちゃになるだろうと思いますが、その点まず大臣から、公取の状況の解釈とあわせて、今の投資家と取引所、会社ですね、そして同時に国民との関係に重ねてひとつお答えいただきたいと思います。
#88
○羽田国務大臣 まず公正な取引というものが望まれるということでございまして、私どもの方といたしましては、市場というものが健全に運営される、そういったことが確保されることによりまして、投資家も保護されるということでありましょうし、また、先ごろ起こっているようないろいろな問題が起こりまして、それがほかに連鎖していくということになると、国民経済にもマイナスになっていくということでありましょうから、やはりそういったものを防止していくということ、これが私たちに今望まれるところではなかろうかというふうに考えます。
#89
○沢田委員 そこで、損失補てんを例示しますが、これは言い返し、もとへ戻すわけですが、今言ったように、それは私法上の契約である。同僚議員が先ほども質問をされておりましたが、それが損失補てんする根拠なんです。だから、言うならば外務員は会社の代行的な、代理権を持った交渉人ということになって、そのときにそういう約束をしておれば、損失の保証をする、それがいわゆる飛ばし、あちこちでやっていきますから、それでそれが飛ばしとなっていくわけでありますが、そういう損失保証というのは私法上有効であるというふうに、今度の法律改正によっても、その解釈は成り立つのですか、成り立たないのですか。
#90
○松野(允)政府委員 損失補てんにつきましては、今度の法律改正によりまして罰則を伴う犯罪行為になったわけでございます。それ以前は、そういう罰則まで伴う犯罪行為ではございませんでした。そういったことで、改正前におきましては、損失補てんあるいは損失保証というようなことが行われても、直ちに私法上その契約が無効であるということにはならないというような解釈であったわけでございますが、罰則をもって禁止をする犯罪行為になったということでございますので、これはいろいろと、最終的には司法当局の判断になろうかと思いますけれども、一般的には、やはり私法上の効力も有効ではない、つまり私法上の効力が認められないというようなことになる場合が多いというのが一般的な考え方であるというふうに私どもは承知をしております。
#91
○沢田委員 もう一回そこのところに返りますが、私法上、今外務員はみずから会社の代理権を持って顧客と交渉し契約することは、今日でも可能ですね。そして、私が言ったように、私法上の。契約としても、これも有効といいますか成り立っていますね、代理権を持ってそれを約束するのですから。ただ、それが補てんをされるかされない。か、このことは、あなたの解釈のとおり違うかもしれません。それは拘束をすることは間違いないでしょう。そうですね。そして、拘束をして、あなたは司法当局の判断による、こう答えた。罰則があるからやらないだろうという意味なんでしょう。罰則があるから、それは私法上有効であるけれども、そのとき罰則を受ける者は契約をした当事者ということになるのでしょう。だから、その罰則を受けても、私法上の拘束力を守るということは起こり得るのではないですか。
#92
○松野(允)政府委員 御指摘のように、証券会社の営業マンは、証券取引法上は証券会社のために契約を締結する権限を与えられております。したがいまして、外務員、営業マンが投資家と契約をするということは、これは可能なわけでございます。その契約の中に罰則をもって禁止される違法な行為があったとした場合に、それを、つまりその行為について実現するといいますか、例えば損失補てんを約束して実際に損失補てんが受けられるかどうかということになりますと、これは裁判になるわけでございまして、先ほど私が申し上げました司法当局による判断というのは、裁判上の判断にゆだねられていくのではないか。一般的には刑罰をもって禁止をされているような犯罪行為の場合には、裁判上その効力が認められるかどうかということはへかなり認められない場合が多いというふうな意見が一般的であるというふうに先ほど申し上げましたけれども、お尋ねの営業マンと投資家との間の契約を締結するということの場合に、そういう違法な契約を締結するという権限まで与えられているかどうかということが問題になるわけでございまして、その辺はやはり裁判手続で判断をされることになろうかというふうに思います。
#93
○沢田委員 例えば、その場合は、大蔵省なりがそれは違法な契約である、だから無効だということを言い立てない限り、それは恐らく、裁判所が勝手に無効にするわけにはいかないと思うのですね。片っ方は民事契約で、片っ方は証券法ですからね。だから、証券法の方で罰則は受けます、罰則は受けますけれども、損失補てんはしてもらいますということは、言い得る可能性があるわけです。
 これを私が今なぜ質問しているかというと、そういうことが――先へ行きます、もうそのことは。ここの、日本の監視委員会で、日本の監視番で、そういうものをどこで端緒を見出して、どこでそれを発見して、どこで食いとめるかということを具体的に言ってもらいたいのです。
#94
○小川政府委員 監視委員会が一般的に、例えば損失補てんのような犯則事件、犯則ありということをどういう端緒で見出すかということでございますが、これは他のインサイダー取引であれ、相場操縦であれ、委員会にとりましては、みずからの日々あらわれます各種の公開の情報、新聞雑誌等もありましょうし、そのほか市場における価格形成もございましょうし、そのほか投書といったような形で入ってくるものもございましょうし、また証券会社に対する任意の立入検査というところから犯罪ありと思料して通報をしてくる場合もございましょうし、そういう意味では、どこに犯則があるかということの端緒をつかむのは区々であり、まさにそれがその後の強制調査の活動にかかってくるわけでございます。
#95
○沢田委員 損失補てんもいまだに行われているわけでありますし、それはなかなかわからぬということでしょう。例えば監視委員会ができたらそういうものをどこから情報を得るかというと、本人同士などどうせ黙っておるに決まっておるのですから、それをどこが、だれがあなた方に――そういう調査網というのを持っていますか。そうすると、どうしても個人のプライバシーですか、プライバシーの方にまで立ち入っていろいろと調べていかなければ、例えばうわさを種にしてやっていかなければ、そういう行為は見つからないのじゃないですか。
 それから、さっき答弁として、民事では成り立つ、しかし証券法ではこれは無効だという法律はどこにありますか。だろうとかじゃなくて、法律としてこういうことは無効になりますというその法律はどこにありますか。これは証券局長の方の答弁。それからもう一つは、どうやってそれを追跡するか、それをお答えください。
#96
○松野(允)政府委員 私、無効ということを決めつけてお答えしたわけではございません。あくまでも損失補てん行為が証取法上は罰則をもって禁止されている犯罪行為であるということでございまして、それが私法上どういう効力を認められるかというのは、あくまでも民事裁判上の判断になるわけでございます。したがいまして、行政当局として、例えば私どもが損失補てん行為を見つけた場合に、これは犯罪でございますから告発をすることになりますが、これはあくまでも刑事手続でございまして、それについて民事上、その補てん契約が実行できるかできないかということまで私ども行政当局として判断する立場にはございません。これは民事裁判で判断される問題だろうと思います。
 それから、端緒の話は小川審議官の方から御答弁してもあれなんですが、私ども監視委員会の中で、御存じのように証券会社に対する立入検査権がございます。立入検査の場合には、財務状況については官房に残ります検査部で行いますが、営業状況、特に取引の営業が適正に行われているかどうかというような点については監視委員会の立入検査の対象になるわけでございまして、そういった検査の一環で損失補てんの行為――損失補てん行為にはいろいろな態様がございました。例えば、市場位格から非常に乖離した値段で売買をするとか、短期間に売買をするとかといういろいろな取引形態がございました。そういった取引形態を監視委員会が端緒として見つけて、それをもとに損失補てん行為について、当事者に対して、必要なちば強制調査権を利用して行うということは可能ではないかというふうに思うわけでございます。
#97
○沢田委員 これは今までの実例に照らしても、今おっしゃったとおり、片っ方は民事で片っ方は司法なんですから、そのことによって民事契約が無効になるということは、これはまた全然違うんだということで、あなたが改めたとおりなのであります。
 そうすると、この監視委員会にそういう権力もなければ、法律に規制もしなければ、例えば暴力団なりやくざ社会では身がわりなどというのはいっぱいいるわけですが、政治家の中にも、選挙法の違反なんかでも身がわり逮捕などというのがあるわけでありますが、そういうのと同じ結果が生まれてくる可能性を持っておる。
 それからもう一つ、立入調査の時期は恐らく表に出ていないのですよ、こういうものは。それが、今度のようにバブルがはじけてきて、こんな損をした、おまえ約束したじゃないかということを突き詰めていってから発見されるものであって、帳簿上これが出てくるということは恐らくないと思うのですね。また証文が入っているわけでもないだろうと思うのです。その点はどうやって見つけていくつもりなんですか。
#98
○小川政府委員 この監視委員会が犯則調査を実施する上で求められておりますのは、一つは証券取引法に関する専門的な知識でございますし、また、証券取引等の実態についての十分な資料、情報等が必要なわけでございます。
 今度委員会において犯則調査を担当することとなるスタッフの大半につきましては、現在大蔵省において証券会社検査等に従事して、従来から証券取引の実態を承知している者、証券会社を検査した場合、どこにそのような端緒があるかといったような知識あるいはノウハウを最も有している者でございます。同時に、この委員会の事務局には、犯則調査の結果を告発に結びつけていく場合に起訴にたえ得るだけの証拠固めを必要とするわけでございますが、こうした観点から、国税庁の査察官経験者あるいは検察官経験者にもスタッフに加わっていただくことを予定しているわけでございます。こうした組み合わせによってその力を発揮できるのではないかと考えております。
 また、先生がおっしゃっておられるのは端緒のことであろうかと思います。犯罪の端緒というのは、ただ立っていてもわからないのはそのとおりでございまして、あらゆる目、あらゆる耳を使って、ふだんから網を張りめぐらせているということになるわけでございます。
#99
○沢田委員 これも未成熟なままになりそうですが、過度な勧誘行為の過度というのは、当面どの程度をもって過度と解釈しておりますか。
#100
○松野(允)政府委員 これは非常に難しい問題でございます。一つの基準を示しますと、それによってそれ以外のものが過度でないというようなことになってしまうわけでございまして、あくまでもケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないわけでございます。
 昨年問題になりました東急電鉄株などの場合に、私どもが重点的といいますか主眼を置いて見ましたのは、ある営業所においてある特定の銘柄の売買シェアがどの程度までいっていたか、あるいはそういったものが積み重なりまして、取引所におきます。その銘柄の全体の取引量に占めるその証券会社の売買シェアというようなものをいろいろと検討いたしまして、また、営業の実態におきまして、ある特定の銘柄をどういう形で推奨したか、これは本社から営業店への情報の流し方、あるいは営業店における勧誘のやり方あるいはその管理、営業マンに対する指令、管理等々の問題ももちろん調べたわけでございますが、過度と言うには、私どもが考えておりますのは、今回の場合には公正な価格形成をゆがめるおそれという表現を入れておりまして、つまり、公正な価格形成をゆがめるおそれがあるような行き過ぎた勧誘ということでございますので、取引所におきます。その銘柄の売買シェアあるいは執行の仕方が価格形成をゆがめないかという問題がやはり大きな判断のポイントになるわけでございます。
 そういったことで、明確な基準をつくることはできないわけでございますが、今申し上げましたようないろいろな要素を勘案して、行き過ぎた勧誘かどうか、それが公正な価格形成をゆがめるおそれがあるかどうかという判断をすることになろうかと思います。
#101
○沢田委員 まだ二つしか題材を出せなかったのですが、結果的に両方ともどうにもならないということですね。これは告発できる材料にはなっていかないということです。そうすると、監視委員会は周りの方をきょろきょろ見回しながら、どうしましょう、どうしましょう、こういうことで時間がたってしまって、不発弾になるという経過、この委員会はなかなか告発までできる状況にはない。特に、例えば公取の方は具体的な商品によって価格がある程度表に出ていくわけですけれども、こちらは一対一の場合の方が多いし、あるいは会社でも一対一になる場合が多いので、内部告発でもない限りはなかなか発見しにくい状況が続いてくるのではないか。結論めいたことを言っては申しわけないのですけれども、つくってはみたけれども、どうも余り効果がない、手も足も出ない。しかも、自主管理規制がある、そして大蔵省の監督はある、そのはざまを縫って、この監視委員会が告発をする、こういうようなことはとてもじゃないが周りの条件。からできないのじゃないか。自主規制も尊重しなければならぬでしょう。大蔵省の監督権も尊重しなければならぬでしょう。そんな中でこの監視委員会だけが告発しなさいということは事実上不可能なんじゃないでしょうか。大臣、どうですか。
#102
○羽田国務大臣 今御議論がありましたように、過度な取引あるいは勧誘が一体どういうところなのか、その枠をあれするのは確かに大変難しゅうございますけれども、価格の形成のされ方とかそういったものを、経験の中である程度感づいていくことができるであろうというふうにも考えております。
 いずれにいたしましても、監視委員会は、証券会社につきまして証券取引にかかわる諸規則の遵守状況を検査するのみではなくて、証券取引にかかわる犯罪事件についての臨検、捜索、差し押さえといった強制調査権、調査の中で行うことができますし、またその調査及び検査の結果に基づきまして、犯則があったときにはみずから告発したり、大蔵大臣に対して行政処分の勧告、建議ができるという権限は持っておるということでありまして、そういう非常に厳しいものがあるよというのが全体の動きを抑えていくということにもなりましょうし、今最後の方で御指摘のございました自主ルールを進めていく証券協会もちゃんと証券取引法の中に位置づけられていくということですから、みずからが責任を持ってやっておるということで、これは邪魔になるというよりは、むしろそういったものがきちんとあるということがより効果を発揮していくのじゃなかろうかと思っております。
#103
○沢田委員 政省令もきょう拝見させてもらいましたが、若干抽象的に過ぎるのではないか。今言ったように、政省令の中には、具体的な判例ではありませんけれども、これは今までの過去の実績に照らしてつくり出した法律でありますから、当然今まで起こり得た証券の不祥事がたくさんあるわけですが、それが二度と起きないような仕組みに法律はできていなければならぬのですが、その足らざるところは政省令をもって補っていく、そういう意図で成り立っておると思うのでありますが、その点はいかがですか。
#104
○小川政府委員 ただいまの政省令につきましては、これは法律で技術的な点あるいは複雑な点を明らかにしたいという趣旨でございまして、どこまでも新しい委員会の任務は法律で書かれているとおりでございます。
 問題は、それでは今までのような不祥事が発生することがないかという点でございますが、これはこうした法律によって委員会に強制調査権が与えられて、これだけの組織ができるということの一般的な牽制効果によって犯則が生ずることをある程度抑えることが期待されるというのが一点であろうかと思います。
 しかし、万々が一そうした事件が起きたときには、今までに比べますと強制調査権というのがあるわけでございますから、犯則ではなかろうか、犯則があるのではないかということを的確にとらえて、それを犯則まで形づくっていく上でより容易になるという点があろうかと思います。
 第三点といたしまして、こうした制度ができることによって、当該関与されている投資家だけではなくて、多数の投資家は時に利害が相反するわけでございますから、そうした投資家の方あるいは証券会社の方、そのほか広く国民の方々がどこかに不正が行われていないか、価格形成に不純なところがないかという点に対する監視という一般的な効果も期待できるかと考えているわけでございます。
 以上、全体といたしまして、こうした委員会によって再発がゼロとなるかというところは、一般的牽制効果がどの程度働くかでございますが、少なくとも見逃されるという可能性は小さくなってくると考えるわけでございます。
#105
○沢田委員 今のお答えの中に一般国民の言うならば投書あるいは忠告というようなものは大いに歓迎していく、そういう監視体制も大きな役割を果たしていくことを期待しているというふうにも解釈してよろしゅうございますか。簡単に言ってください。
#106
○小川政府委員 期待しているという言い方がどんなものかという感じがいたしますが、証券市場に関心を持っている人々が、そこで不正が行われているのではないかというときに、そうした声をこの委員会に寄せられるということはあり得ることだと思っております。
#107
○沢田委員 あり得るのじゃなくて、これからはインサイダーにしても外務員の問題にしても、政省令の中に若干細かく出ておりますけれども、自主機関の規制の問題にしても、それぞれ多くの国民の監視下に今後は置く、大臣から一番先にお答えをいただいた、証券市場も国民の財産であるという立場で、国民的な利害に関連するわけでありますから、その立場から多くの情報を提供してもらうことを歓迎しながら委員会の強化を進めていく、積極的にそういうふうに答弁してもらう方がよかったのではないかと私は思うのですが、それはそういうことだということでよろしいですね。
 続いて、時間の関係もありますので、ノンバンクの問題でこの間大臣に大分、言葉も相当厳しくなったかと思うのでありますが、申し上げました。公報等で拝見はいたしておりますが、現在はどの程度まで大臣の方は、いわゆる議員立法であるから議会の方で、大蔵委員会の方でやってほしいということであれば、これはまた与党の皆さんともお話をしながら、ここだけは聖域ですと残すわけにはいかないと思うのですね。ですから、すべての金融機関もこれからどんどん変わっていくわけでありますから、証券の方もこのように国民の監視下の中に置かれていく状況でありますから、ノンバンクの一部だけがいわゆるノーマークで聖域として動いていくわけにはいかないのではないか、当然そういう措置は講ぜられるものと考えますが、その点はどういう進行程度か、大臣の知り得る範囲内においてお答えをいただきたいと思います。
#108
○土田政府委員 このノンバンクの問題につきまして、議論をされ始めたのは非常に新しいわけでございます。多少ここで従来私ども行政府としてやってまいりましたことを振り返ってみたいと存じます。
 金融機関のノンバンク向け融資を中心にいたしまして、ノンバンク問題に焦点を当て始めたのは平成元年十月の通達からでございます。その後、平成二年三月のいわゆる総量規制の導入に当たりまして、あわせてノンバンクに対する貸し出しの実行状況を報告させることにした、これがいわば第二弾でございます。さらに、昨年の平成三年八月三十一日の金融システムの信頼回復のための措置の一環として、金融機関に対して関連ノンバンクの管理体制の強化を求めました。これがいわば第三弾でございます。さらに、昨年の九月から、これは議員提案でこの大蔵委員会で可決せられました貸金業規制法の改正が施行されましたので、それに関連いたしまして、このノンバンクについての金融機関に対する注意事項も再度発出したところでございます。
 このようなことで、私どもは現在の法律の規定で認められました権限に基づき、さらに加えてノンバンクの自主的、自発的な協力も前提にしながらできる限り実態把握に向けて努力をしているということでございますが、そこについて十分な実態把握ができているとは申しかねる状況にあるかと思います。したがいまして、さらにそれに対する指導のあり方を考えていかなければならないのでございますが、この点は従来から再三申し上げておりますように、これまでの経緯にも顧みまして、立法府の御議論を十分踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。
#109
○沢田委員 上場していないノンバンクの経営状況を概括的に言ってみてください。
#110
○土田政府委員 現在ノンバンクにつきましてある程度まとまった営業の実態についての統計を入手し得る方法は、一つは毎年三月末時点でのこれは貸し金業者全体についての統計を徴収しているわけでございますが、これは大体約一年おくれて集計ができ上がるという状況でございます。それに加えて、これは貸金業関係ノンバンクの自発的な協力を前提として、上位三百社程度につきまして調査をしております。その中では損益の状況などはつかんでおりません。端的に申しますと。
#111
○沢田委員 いいです、それで。
 これからの実態調査をするのには、金融機関から出ていった金がどこへどう流れたかということの全部をやるということではないにしても、幾つか上場している、いわゆるディスクロージャーのあるところでない分野については、ある程度は実態調査に入らなければ、自主申告もなければ、報告もなければ、それこそアンケートなんというのは大半うそもあるし期待もあるし、そういうもので公の場で議論を展開するという論拠になり得るものではないですよ。ですから、これから実態調査なんといったら、百年たったってそんなことはできやしない。だから、それをするために、何もあらを探そうというのではないが、その部分だけはベールにかぶせておくという状態を続けるということはよくない。そういうところから出発して、特に不適当なものについては、大蔵省の――大蔵省なのですよ、我々がやるわけじゃないのだから、実態調査は当然対象となってもやむを得ないのではないか、そこだけが聖域で残るということはあり得ない、こういうことで言ってきたわけであって、銀行局長とうかしてるぞ、全く。そんなことで何が実態把握、これ、何年かかってやるのですか、実態把握を。そんなアンケートで実態把握ができますか。被害者もどこまでかわかりますか。どんな被害を受けているかわかりますか。言ってみなさい。
#112
○土田政府委員 私どもは現行の貸金業規制法に基づきまして、資金需要者の利益を図るため、これにつきましては、定期的に状況も聴取し、検査もし、また苦情などもございますならば、財務局及び都道府県において適切に対処すべく努めておるわけでございます。それとは違いますような、いわば昨年の議員立法による改正の結果というものにつきましては、これは御承知のように、土地融資の適正な管理のために限られておるわけでございますが、それに限らず、さらにノンバンク側の自主的な協力を前提にして、できる限り実態把握に向けて努力をしたいというふうに考えております。
 ただし、実際にこの新法が施行されましたのも昨年の九月からでございますので、一巡した統計がある程度整備されますのは、これは多少時間がかかるということはやむを得ないところである。私どもは、その間にも主要ノンバンクのサンプル調査を重点といたしまして、極力その概要を早期に把握したいと考えております。
#113
○沢田委員 そんなごまかし答弁ばかり続けてるなよ、何が実態調査が。それでわかるということになるのですか。いいかげんにしなさい。五百億以上の土地の売買だけでしょう、報告が来たって。政令は五百億で決めて、それ以下については全然不問に付してしまっているでしょう。これだって十分なものだとは言いがたいのですよ。弁護しなければならぬ理由はどこにあるのですか。銀行局長は、そういうものの実態を把握するのに弁護しなければならぬ理由はどこにあるのですか。公正な貸金業なら公正な貸金業、みんな同じような状態によって扱っているのですよ。同じことを二度言いたくない。とにかく銀行局は態度を改めなさい。そういう態度で国民の利益を守るという姿勢では私はないと思う。
 これは後の問題がありますから、残念ながらきょうはこれまでにしておきますが、銀行局長、ひとつもっと反省して対応してください。必ず歴史はそういうことを証明してくれるだろうと私は確信いたします。
 続いて、子会社の基準ですが、子会社がこれからだんだんあちこちでできるそうですが、証券取引法においても同じく子会社が生まれるわけでございます。子会社というものの定義づけ、連結決算の範囲、関連決算という言葉がいいかどうかわかりませんが、関連決算という言葉を私はつけていますが、その点について一応連結決算をどこまで考えているのか、お答えいただきたいと思います。
#114
○松野(允)政府委員 子会社の定義でございますが、これはまず出資比率が五〇%を超えるということが一つの要素でございます。それからもう一つ、私どもまだ検討中ではございますが、今考えていますのは、出資比率の五〇%超に加えまして役員が過半数、半分を超えているというような場合も子会社という概念でどうかという検討を進めているところでございます。
 連結対象子会社というのは、今ちょっと資料が手元になくてまことに申しわけございませんが、これはディスクロージャーの観点から、企業会計原則、あるいは私どもが管理しております有価証券報告書などのルールの中に連結対象の概念がございます。これはたしか、私の記憶に間違いなければ、五〇%超の子会社は連結対象になっていたと思います。
#115
○沢田委員 これをもっと私は省令の方では引き下げていくべきだ。今までの調査、この前お配りをいたしましたけれども、ノンバンクの中にもそうですし、また一般の子会社をつくる場合も資本金が三割を超えたら連結決算をさせる。大体今二五%かそのぐちいでやっている場合の方が多いのでありますが、三割を超えた場合は連結決算なり、連結決算という言葉が気に食わないなら関連決算、いわゆるメーンバンクを持っている一つの会社ですから、関連会社としての決算を公表していく、そういう姿勢を、これは今証券ですから、証券の方ではやはり子会社ができていく場合については、三割以上を持っている場合についてはディスクロージャーの対象としていく、そういうことが必要であるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#116
○松野(允)政府委員 私どもの方は、今申し上げましたように、ディスクロージャーの充実という観点からいろいろなことを検討してまいっているわけでございます。御指摘の、例えば出資率三割超の会社を子会社として連結対象にするかどうかという点につきましては、これはなかなか難しい問題がございますが、金融機関の場合には、御存じのように、独禁法で原則五%ということになっておりまして、金融機関本体で所有をするということになりますと、五%を超えて所有する場合には現在は一〇〇%の子会社しか認められておりません。これは不動産管理会社とか、そういうようなものでございます。そういったことからいいますと、少なくとも今回証券子会社として参入するものについては、私どもは責任を持ってある程度はっきりするという意味では五〇%超の子会社を考えておりまして、これは完全に連結対象になるわけでございます。
 今、一般的にディスクロージャーの充実のために連結対象を広げるべきではないかという御指摘でございましたが、これは私どもも一つの勉強の課題にさせていただきたいというふうに思います。
#117
○沢田委員 終わります。
#118
○太田委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十五分開議
#119
○太田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。
 金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、審査の参考に資するため、委員を派遣いたしたいと存じます。
 つきましては、議長に対し、委員派遣承認の申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#120
○太田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
 なお、派遣地、派遣の日時、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#121
○太田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
     ――――◇―――――
#122
○太田委員長 証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案及び金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案について、質疑を続行いたします。早川勝君。
#123
○早川委員 証取法の一部改正案に入ります前に、なかなか技術的な問題が中心になりますので、冒頭大臣に、直接この法案とはかかわりございませんけれども、二点伺っておきたいと思います。
 一つは、最近地球環境問題が大変に深刻になっておる、またそれに対して全般的に取り組まなければいけないということも重々御承知のことだと思っております。その中でも、森林の問題というのも十分またこれは理解いただいていると思っておるのです。来月からは来年度予算の枠づくりだとか、そんな作業がスタートするわけですけれども、最初に大臣の、森林の問題、そしてまたとりわけ大蔵大臣といたしまして国有林の再建、立て直しについてどんな認識をされているのかということを伺いたいと思います。
#124
○羽田国務大臣 環境問題を議論いたしますときに、自然、特に森林の整備、森林の保全ということはやはり非常に重要なテーマになってこようと思っておりまして、私どもといたしましても、これから地球環境の問題について考えるときに、やはり森林問題というのは基本的に考えなければならぬ、そしてこれは我が国自身の森林問題について考えていかなければならないであろう。いわゆる森林の果たす役割というのは非常に大きいこと、特に環境に対する役割の大きいことを認識すべきだろうと思っております。
 そういう中で、今御指摘がございました国有林の整備についてということでありますけれども、平成三年の七月に策定されました新たな国有林野事業の改善に関する計画、これに則しまして、引き続き要員の規模の縮減ですとか、あるいは組織、機構の簡素化ですとか、事業の民間実行の徹底ですとか、あるいは自己収入の確保といった自主的な改善努力、こういったことを尽くすとともに、これを保全していくために必要に応じた所要の財源措置というものを講ずることにいたしております。平成四年度の予算におきましては、国有林野の特別会計に対します。般会計からの繰り入れというものを、前年度に比べまして約二一%増の三百三億円といたしたところでございまして、私どもといたしましては、今後ともこの自主的な改善努力というものを講ずるとともに、必要に応じた財政措置というものを確保していく必要があろうということを考えております。
#125
○早川委員 森林、そしてまた国有林の問題というのは、昨年、今大臣も答弁で述べてもらいましたけれども、長期計画ができるとか、あるいは国有林に対しての一般会計の繰り入れの新しいスタートを切ったということがございます。過日公表されました林業白書というのは、人材、担い手の問題、これが大変深刻だという指摘がされているわけですね。これは悪く言えばいわゆる三Kの一つじゃないかと言われておりますし、また若い人が国有林の営林署に勤めても二年、三年したら転職をしてしまう、こういう現象も出てきているわけですね。こういったことを考えますと、ぜひ来年度予算につきましても、まず日本の森林というのは国有林は非常に重要になっている、軸になっているということは重々御承知のことだと思いますので、今年度予算そしてまた来年度予算ということで配慮を重ねてお願いしたいと思っております。
 それからもう一点ですが、経済金融政策の絡みの問題でよく公定歩合の引き下げ、今引き下げの問題が関心を呼んでいるわけです。その中でも、この引き下げに当たりまして総裁の首を切ってもやるべきだというような、与党の大変な人が発言をされたわけですけれども、御存じのように日銀の中立性ということがよく言われるわけですが、そういったことを考えてみますと、どうも総裁あるいは副総裁の今の選び方が、そこに欠陥があるんじゃないかと思うのですけれども、そのあたり、どう認識されておりますか。
#126
○羽田国務大臣 確かに中央銀行の役割というものは近年非常に大きなものを持ってきておるであろうと思っております。
 たしかEC等におきましても、やはり中央銀行の中立性というものを守るために――いわゆる独自性というものを持たせよう、これがずっと流れてきている一つの大きな流れであろうというふうに思っております。特に最近では、やはり中央銀行の組織というものを別にするように法律なんかも考えているなんという話も実は聞いておるところでございますけれども、現在我が国では、やはり日銀法によりまして日銀の、特に公定歩合等の操作の問題につきましては日銀の最高意思決定機関でございます日本銀行政策委員会、これの所管の事項といたしまして決定権の所在というものを明確にいたしておるということでありまして、私どもといたしましては、こういづたものがいわゆる政治勢力ですとかそういったものに左右されないというふうに考え、やはりこういったものの統一性といいますか、そういったものを保持することが要求されてくるんであろうというふうに思っております。
 そういう中にありまして、私たちの方といたしましては、いわゆる日銀の政策委員会には政府の代表委員として大蔵省及び経済企画庁からもそれぞれ代表委員一名を政府において任命し、両院の同意を得た上で内閣が任命するということでありますし、また総裁の任免は内閣が行うということが決められております。政府の権限と責任というものはここで明確にされているんであろうというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、私たちは、国民経済全体に与える影響というものは非常に大きいということで、これからもこういったものについての対応というのをきちんとしていかなければならないというふうに考えておるところであります。
#127
○早川委員 日銀法の第十三条ノ四に政策委員会七人、今大臣も触れられましたけれども、日本銀行総裁以下七人ということになるわけですが、その中で、「金融業二関シ優レタル経験ト識見ヲ育スル者二人 内一人ハ地方銀行二関シ経験ト識見ヲ育スル者十シ他ノ一人ハ大都市銀行ニ関シ経験ト識見ヲ育スル者トス」。それから第五が商業及び工業に関し経験ですね。それから六が「農業ニ関シ優レタル経験と識見ヲ育スル者一人」。この四人ですね。この四人の人は「両議院ノ同意ヲ得テ内閣ニ於テ之ヲ命ズ」、こうなっていますね。内閣が任命する。つまり議会にかけるわけですね。ところが、「総裁及副総裁ハ内閣ニ於テ之ヲ命ズ」というふうに書いてあるわけですね。つまり、中立性ということをより担保するためには同じくらいに、つまり両議院の同意を得て、これくらいのことを考えてもいいんじゃないかと思うのですけれども、どこか不都合があるわけですか。
#128
○土田政府委員 政府と日銀との関係、原則論としてはただいま大蔵大臣からお答え申し上げたとおりでございます。
 金融政策につきましては、もちろんその発動は中央銀行の自主的な決定にゆだねられておるということを意味するのでございますが、それはやはり政府の経済政策と高次元での統一性を保持すべきことが要求されるということでございまして、そこでこの政府、具体的には大蔵省が日本銀行法により日本銀行を監督する関係にあるわけでございます。
 ただいまのいわば人事権の問題でございますが、これは各国の例はさまざまでございますけれども、国家の首長、例えば大統領とか国王とか総督が任命権を有している事例もございますし、それから政府もしくは主務大臣が任命権を有している事例もございますし、またそうでない事例もございます。一概には申し上げがたいのでございますが、この日本銀行の場合には、やはり政府の経済政策と高次元での統一性を保持すべきことが要求されるという前提に立ちまして、このような組織、機構が法律で定められているというふうに理解をしております。
 ただ、日常の業務についてその自主性を尊重しながら緊密な意思疎通を図っているということは申すまでもないところでございます。
#129
○早川委員 外国の事例はどちらでも私はいいと思うのですね。そういったことを考えますと、高次な政策的な統一性と言われたわけですけれども、だとすればなおさら独立性を、総裁の任命にかかわる分ですが、そしてまた副総裁においてそうですが、先ほど十三条ノ四の委員の任命のところで指摘いたしましたけれども、ああいった形が少なくともとれてもいいんじゃないかと思うのですけれども、これは大臣に伺いたいと思います。
#130
○羽田国務大臣 先ほども申し上げ、また今局長の方からもお話がありましたように、確かに中立性というようなこと、これは保持されなければならないということと同時に、金融政策というものは政府の経済政策と高次元における統一性というものを保持しなければならないということでございまして、私どもは現在の置かれておる立場というものが、いわゆる委員の皆さん方の四名の方々が国会によって承認されておるということでございまして、そういうもので私どもは中立性というものは確保されているであろうというふうに考えております。
#131
○早川委員 そういう答弁でございますけれども、私は本当に、人事面においても中立性をきちんと担保することがああいった発言を出させない条件づくりにもなるんじゃないかと考えておりますので、ぜひ考えてみたいなと思っております。
 そこで、証取法の問題でございますが、これまでの議論でも何度かいろいろな形で出されているわけでございますけれども、実はリクルート事件が起きたときに、八九年、昭和六十四年二月にある新聞にこういう記事が載ったわけでございます。見出しは「東京地検の捜査を大蔵省は見守るだけ リクルート証取法違反 プロの「調査」に疑問の声」、プロというのは大蔵省のことでございます。その末尾の方なのですけれども、このリクルート証取法違反事件の問題を通じまして、「大蔵省が証取法の番人になるのは余りに荷が重いことが立証された」という声もあるということがここに載っているわけですけれども、そういった声を考えてみますと、今回のこういう監視委員会を設置した、あるいはするんだということに対しまして、この記事は全部否定できる、そういった自信をお持ちかどうか、ちょっと伺いたいと思います。
#132
○羽田国務大臣 この問題について御指摘のありましたのは、もちろんこの法律についてまだ審議がされてなかったわけでありますけれども、今度この法律ができることによりまして、捜索ですとかあるいは差し押さえといった強制調査というものを行うことができるという中で私どもは有効に機能することができるであろうというふうに思っております。
#133
○早川委員 日本が今度設けようとしているこの監視委員会とアメリカのSECとの違いというのはどの辺にあるわけですか。けさの質疑の中にも出ておりましたけれども、そしてまたこれまでの証取法もそうなんですけれども、調査対象の企業に対して違いがあるのかないのか。これは事務局で答弁をお願いいたします。
#134
○小川政府委員 アメリカと我が国と行政制度あ一るいは司法制度に違いがありますので単純な比較は難しゅうございますが、今のお尋ねは、主として調査権限において両者にどんな比較ができるかということであると存じます。
 今度の委員会につきましては、相場操縦、インサイダー取引あるいは損失補てんといった犯則事件については調査対象に限定なく捜索、差し押さえ等の強制調査を行うことができるわけでございます。調査対象に限定なくという意味は、犯則嫌疑者及び参考人という趣旨でございまして、犯則事件を明らかにしていくために必要な相手に対して裁判所の令状を得て強制調査を行うことができるわけでございます。
 SECにつきましては、我が国のような強制調査というような権限はないと聞いております。ただSECの場合には、米国の司法制度上、証人の召喚とかあるいは資料の提出を命ずる召喚状を発することができる、そしてそうした対象も限定されていないということから、実質的な調査の実効性が担保されているというふうに聞いております。その意味におきましては、いずれも調査対象と申しましょうか、権限という面におきまして類似しているのではないかというふうに考えております。
#135
○早川委員 証取法の二十六条には「有価証券の引受人等に対する監督検査権」という規定がありまして、「大蔵大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、有価証券届出書の届出者こつまり例えば事業会社だとか発行会社、そういうものに対しても参考となるべき報告または資料の提出を求めることができる、そしてまた帳簿書類の検査もできるんだ、こういう規定があります。今回のこの委員会にはこういう権限は与えられていないわけですか。つまり、犯則の話は合されたのですけれども、そうじゃない、一般的にこの公益というのは、重複するかもしれませんけれども、またちょっと説明していただければいいと思いますけれども、公益または投資者の保護にとって必要とあらばできるんだ、こういう規定が二十六条にあるわけですけれども、ある意味で今度の監視委員会にもそれが必要なんじゃないかな。犯則がなくても、そこまでいかなくても、その実態を明らかにする必要があるんだという観点に立ては、この規定が適用されてもいいんじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
#136
○小川政府委員 ただいまお話のありました証取法の二十六条の関係の規定は、有価証券の届出書であるとかあるいはその他報告書等が提出されま一した場合に、その内容について不審の点があれば一それについて報告を求めたりあるいは資料の提出を命じたり検査をすることができるということでございます。この規定は現実にどう働くかと申しますと、これらの報告書あるいは届出書は、投資家に投資判断に資するための正確な情報を提供するということが目的でございます。それを確実にするためには、もし提出された書類に誤りがあれば速やかにこれを訂正させる必要があるといったような観点からこの二十六条が運用されているわけでございますし、改正後におきましても、これは証券局において行政の中の一環で届出書等を受理したときに運用をいたしてまいりたいと思っております。
 もう一つの問題は、お尋ねは、証券取引法の五十五条によりまして、証券会社の財務の状況あるいは営業の状況について検査をすることができるようになっております。この場合には、検査の対象といたしましては証券会社でございますが、そのほか、報告を求めたりあるいは資料提出を求めることができるのは証券会社のみならずその取引の相手方についてもできるという規定になっておりますので、その規定が働く場合があるわけでございます。
#137
○早川委員 ということで、また最後に強調させていただきたいと思うのですが、具体的な例について説明を伺いたいと思っております。
 リクルートコスモス株の問題が継続しているのか休息しているのかという微妙な状況ではございますけれども、リクルートコスモス株はいろいろな問題を提起したわけです。大蔵省証券局といたしましては、この問題は一体何が問題であったのか、そしてどんな措置を講じたのか、今日の時点で説明を伺いたいと思います。
#138
○松野(允)政府委員 リクルート問題につきましては、まず証券取引法上の違法行為があったかどうかという観点から一つ問題がございました。これは、リクルートが昭和五十九年の十二月と六十一年の九月に行いましたリクルートコスモス株の譲渡が証券取引法に定められております売り出し、いわゆる不特定かつ多数の者に対して有価証券の売りつけをするという行為に該当するという認定に至ったわけでございます。したがいまして、この売り出しについて証券取引法の第四条に基づく届出書の提出が行われていなかったという点で証券取引法違反であるということで、届出書の提出を求める措置をとったわけでございます。この届出書は平成元年の九月に提出されております。
 またもう一つ、その過程で既に出されておりましたリクルートコスモス株の譲渡に関連した有価証券報告書の中の役員の所有株式の数の訂正を要するというようなことがございまして、これも同じく訂正報告書が出されております。
 それから、証取法違反の問題といたしましては、リクルートコスモスの第三者割り当て増資が行われ、そのリクルートコスモスの株式の公開前に多数の者に株が渡された、それが結果的に公開後非常に価格が上昇して、転売によって利益を得たという問題があったわけでございます。これにつきましては、証取法ではなくて、株式公開に伴うルールということで証券取引審議会で公開制度そのもののあり方について審議をしてもらいまして、今申し上げたような株式公開前の株式の移動、売買あるいは第三者割り当て増資に対する規制を強化し、さらに公開の際の価格決定につきましても入札制を一部導入するということで公開株の価格決定方法の見直しを行ったわけでございます。これらは平成元年四月からそういうルールをつくって実施に移したわけでございます。
 リクルート関係につきましては、証取法違反の問題は今申し上げた報告書、届出書の問題、それから公開株の売買あるいは公開価格、公開方式の改善ということをルールとして見直しを行って、その改善を行ったということでございます。
#139
○早川委員 今の証券局長の説明の中にも、五十九年の百二十五万六千株の話だと思いますが、それと昭和六十一年の九月三十日、この話が紹介されたわけですけれども、先ほどの審議官の説明では、この二十六条を適用すれば必要に応じて相手方も調査できるのだという答弁をされたわけですね。ということを前提にいたしまして、一体今回このリクルート問題というのは、もう少し証券問題としてどういった問題があったのかということをさらに伺いたいと思っております。
 いろいろなデータでちょっと調べてみますと、四月三十日がこの企業の決算期になるわけですね。五十九年十二月の話が先ほど出されたわけですけれども、私のデータによりますと、五十九年の十一月十日に第三者割り当てで、株数は省きますけれども、価格にいたしますと二百六十七円という数字があるわけですね。それから五十九年の十二月、先ほど言われましたが、千二百円ですね、リクルート社から出された。それから、六十年の二月十五日には第三者割り当て増資完了で二千五百円、こういう数字が出るわけです。実はその間に、これは推測でなかなかわかりがたいのですけれども、五十九年の秋ごろに江副氏から十九万七千株、有価証券報告書から株主教をだれが何株持っているかというのを逆算しますと、十九万七千株を五百円ぐらいで出したのじゃないかというような推測ができるわけですね。つまり、五十九年の十一月十日から六十年の二月十五日までの三カ月間に株価が、あるときには二百六十七円、あるときには五百円、あるときには千二百円、あるときには二千五百円、四通りぐらいの価格で出されているわけですね。といったことを考えますと、未公開株の妥当な株価というのは一体どういうふうに考えてみたらいいのかということを説明をいただきたいと思います。
#140
○松野(允)政府委員 未公開株の価格をどう考えるかというのは、実は非常に難しい問題でございます。未公開株でございますから流通価格が存在しないわけでございまして、通常そういう株式の評価方法につきましては、純資産方式あるいは類似会社比準方式などの方法が認められて、そういうもので行っている場合が多いわけでございます。純資産の場合には、一株当たり純資産が幾らになるか、それから類似会社比準方式の場合には、似たような企業の株価を参考にして決めるというようなことでございます。
 御指摘のリクルートコスモスの株式の売買といいますか、第三者割り当て増資あるいは売買につきましては、今御指摘がございましたように、昭和五十九年の十一月にリクルートコスモス社がその社員持ち株会に対して第三者割り当て増資を実施しておりまして、これの割り当て価格が二百六十六円五十銭ということになっております。
 それから、五十九年の十二月に今度はリクルート社がリクルートコスモスの株式を先ほど申し上げました売り出しに該当する行為で売却したわけでございますが、このときは一株千二百円。それから六十年二月、それからもう一つ四月にも行われておりますが、やはりリクルートコスモス社が第三者割り当て増資をしておりますが、この価格が二千五百円ということでございまして、非常に値段が異なっているわけでございます。
 当時の算定の根拠を私どもが聞いたところでは、一応、五十九年十一月に行われました社員持ち株会に対する第三者割り当ては、簿価を基準にして純資産額を出してそれの一株当たり価格を参考にしたということで説明を受けております。それから五十九年十二月の売却価格でございますが、これは六十年四月期、四月が決算期でございますので、六十年四月期の決算の予想に基づく純資産額、それから六十年早々に合併が予定されておりました会社の持っております資産の時価評価というものを行って、基本的には一株当たり純資産額方式で計算して千二百円になったということでございます。それから六十年二月及び四月に行われました二千五百円の価格での第三者割り当て増資、これは六十一年四月期のさらに将来のといいますか、六十一年四月期の決算予想というものを出して、それをもとに類似会社比準方式によって算出がされております。
 こういうふうにやることでいろいろな計算が行われているわけでございますが、どういう価格が妥当かということは、私ども行政当局として一概に決めるわけにはいかないわけでございまして、そのときどきにおきます発行会社の判断あるいはそれを引き受けるものの判断というものになるわけでございます。純資産額方式あるいは類似会社比準方式どちらをとりましても、どちらがよくてどちらが悪いということは一概には言い切れないわけでございますし、こういう未公開株で、しかも第三者割り当て増資あるいは相対での売買ということでございますので、市場価格はございません。どういう価格水準が適当か、妥当かということについては、一概に判断しがたいというのがこのケースだったというふうに考えます。
#141
○早川委員 例えば五十九年四月三十日というのは、このリクルートは十五期の決算期なのですけれども、今最初に私が言いましたように、わずか三カ月ですね。三カ月間、つまり決算期をまたいで今言われた純資産の評価を変えたとかあるいは類似業種との比較で決まっていったというのならよくわかるのですけれども、わずか三カ月間で、二百六十六円五十銭ですか、二百六十七円がありまして、そして一万二千五百円になるわけですね。わずか三カ月間の間に決まったということは、例えば四月ですが、今局長四月と言われたのですけれども、六十年の二月十五日にも八百万株が二千五百円で出されて、そしてまた四月にも七百万株、七百一万八千株が二千五百円。四月までとっても五カ月、二月までとると三カ月間ですね。この三カ月の場合に、例えば二月のところを考えてみますと、これは金融機関二十六社へ二千五百円で割り当てたのですね。ところが、それをずっと見てみますと、二月十五日に第三者割り当て二千五百円で金融機関へ、二十六社ですね。ところが、一月七日には取締役会の決議があるわけです。そして、聞きますと、普通二週間前ぐらいに取締役会に通知を出すそうですね。ということは、一月七日の二週間前、半月前といいますと、五十九年の十二月末、二十日過ぎぐらいになるわけですね。ところが、五十九年十二月には、リクルートからそれぞれの個人に千二百円でそのときは出ているわけですね。そうしますと、つまり三カ月間というのは、先ほど言いましたように、きちんと期をまたがって一年後あるいは二年後というならわかるわけですけれども、わずか三カ月間とか五カ月間に、そして手続をさかのぼってみますと、ほぼもう初めからわかっているのだ。持ち株会に対しては二百六十七円、それから個人に百二十五万六千株、これは千二百円。それから金融機関、これには二千五百円。つまり、もうはっきり決めてしまって、そして、あるいは江副氏のを入れますと四つの価格が形成されるわけですけれども、どうも不自然じゃないかと思うのですけれども、今局長、いや、それぞれ根拠があって、それが妥当なんじゃないかというふうに私は受け取ったのですけれども、やはりそうなんですか。
#142
○松野(允)政府委員 私、二月と四月と両方ということで申し上げました。決して妥当だということを申し上げたわけではなくて、私どもとして、この価格の評価について判断ができない、つまりどれが適正であるか判断をする立場にないということではないかというふうに思うわけです。
 もちろん、非常に短期間のうちにこういう幾つもの値段があるというのは、形式的に見るとどうしてだということになるわけでございまして、私どももそういう問題意識を持って今のような調査を、一応説明を受けたわけでございますが、一つ一つの行為を取り上げますと、例えば五十九年十二月に行われました行為は、リクルートが持っておりましたリクルートコスモスの株を売ったわけでございます。六十年二月に行われた行為は、リクルートコスモス社、つまり発行会社が金融機関とか事業会社に対して第三者割り当て増資をやったわけでございます。その後、また今度は売り出しという行為があるわけでございますが、いずれにいたしましても、第三者割り当て増資というのは発行会社が行う行為でございますし、売却の方は大株主でありますリクルート社が行ったわけでございます。
 いずれにいたしましても、市場外で、しかも相対取引あるいは第三者割り当て増資というようなことで行われる行為でございまして、それについての価格というのは、やはりどうしても相対で決める、あるいは第三者割り当て増資を受ける者との間で決めるとかいうような形になるわけでございまして、私どもは市場価格というものを基準にして、証券取引法というのは原則として市場での価格を前提にして公正か不公正かという判断が行われ、あるいは市場価格に対する操作が行われているかどうかというようなことをチェックするわけでございますが、こういう市場外で、相対で、しかも未公開会社の株の売買あるいは割り当てが行われるというものにつきましては、価格の水準について何らかの判断を下すということは、私どもとしては残念ながらできないという立場にあるのではないかというふうに思うわけでございます。
#143
○早川委員 大蔵省としてはできないといいますと、今度の監視委員会等もやはりこういうことについてはコメントはできないというふうになるわけですか。つまり、一般の国民の感情としては、一どうも釈然としないという思いを持ち続けると思うのですね。
 じゃ、一体本当にこういうことが許されていいのかなということを含めまして、先ほど届け出が出てないとか、あるいはこの問題に関しては通達と省令の問題だとか幾つか問題が出たわけですけれども、それはおきまして、私が聞いているのは、まず現実にそういった価格で取引が行われた。確かに市場の公正、市場というのはオープンの市場だと限定してしまいますと、今言われたようにそこへはタッチできないのだ、言及はできないのだ、こういうことになると思うのですけれども、やはりこれは監視委員会においてもそういう結果になるわけですか。
#144
○小川政府委員 監視委員会のなすべき仕事は、法律で具体的に所掌及び権限として書かれているわけでございます。どうも今伺っておりますと、ただいまのケースにつきましては、現在ある権限あるいはルール、こういうことをしてはならないというルールがあって、そのルールに違反しているかどうかということを検査をしたり調査するわけでございますが、そのルール以前の問題のように伺われるわけでございます。
 むしろ問題は、ルールがないときに、しかしそのような取引あるいは価格形成、市場外であってもあるいは未公開株であっても、もう少し健全なルールを持つことが証券制度全体にとってプラスではないかというような議論、あるいはそれを補うべきではないかという議論によって政策的に後追いをしていく、そういう分野の問題ではなかろうかという感じがいたします。
 いずれにいたしましても、特定の条文のルール違反ということを委員会は基本的な任務としているわけでございます。
#145
○早川委員 つまり、そういうことになってしまえば、最初に新聞の記事を紹介したのですが、プロの調査は結局そこまでいかないのだということですし、先ほどの議論にありましたように、事務処理状況の公表がされるわけですけれども、何か国民の気持ちのところ、問題意識のところ、そこに触れないで、先ほど仙谷委員が聞いたように、現在出されている年報の検査状況あるいは会計検査院の報告、どのあたりのところの内容を詳しく出されるかわかりませんけれども、そういうところに国民的な関心事はあるのだ。
 しかし、監視委員会においても、今の既成のルールなり法律に反しているかどうか、そこがこの委員会の機能でありその任務だということになりますと、先ほど言いましたように、例えば四つ、局長、一つパスされて三種類が形成されたのですけれども、言うことはできないと言われると、これはなかなか、権限を持たないということと、社会的に見て妥当なのかどうかというのは違うと思うのですね。まさに公正であるのかどうかという問題なわけでして、そこも触れられないなとなると、どうもこの監視委員会というのはいささか何のために、今まである分野とほとんど変わらないのじゃないかなという印象を持ってしまうわけですね。そんなふうに感じます。
 先ほど、審議官も言われましたように、二十六条において必要とあれば調べることができる、こう言われたのですが、江副氏の株の売却について調査されましたですか。つまり、何株どれぐらい持っていて、結局どうなったのだろうかということぐらいは、あれだけ問題になった事例であるだけに調べたことはございますか。
#146
○松野(允)政府委員 江副氏の株の売却につきましては、当時、先ほど申し上げましたようにその売却が証取法違反に当たる売り出しに該当するかどうか、つまり届け出をしないで売り出しに該当するかという観点から調査を行ったわけでございまして、その調査の結果、売り出しに該当することが明らかになったものにつきましては届出書を提出させるという措置を講じております。ただ、それ以外の部分につきましては、これは直接の証取法上の問題のある取引ではございませんので、それについては特別の調査をしていないという部分もございます。
#147
○早川委員 答弁が、してないと言われたら困るのですが、五十九年の四月三十日、十五期の決算報告書を見れば出ているわけですけれども、江副氏は四百九十五万株持っていたわけですね。ところが、翌十六期、一年後、六十年四月三十日には四百七十五万三千株です。額面五百円ですから、五十円に直してますけれども。六十年四月三十日には、十六期の決算時には四百七十五万三千株。それから翌一年後、四百五十五万八千株。そして店頭売買を開始するときの六十一年十月三十日、二百八十万株を売るわけですね。そして、六十二年四月三十日、第十八期、つまり一年ごとに見ていきますと、六十二年四月三十日は百七十六万三千株、こういうふうに減るわけですね。したがって、減った分だけどこかへ売っているということで先ほど来聞いておるわけですけれども、そういう調査というのは、先ほど言われたように、法律に抵触していない限り全然関心を持たないということになるわけですか。
#148
○松野(允)政府委員 江副氏の持ち株の推移は、私どもがとっております有価証券報告書にもちろん出てまいります。しかし、その中で証取法上の問題として私どもが調査をいたしましたのは、売り出しに該当するかどうかというところでございまして、それ以外の売却については、特段に、その当時証取法に触れるおそれのあるような取引があるというような情報あるいは心証を得ていなかったということもございまして、すべての江副氏の株式の売却取引について調査はしておりません。
#149
○早川委員 未公開株を売買する場合どういった形で行われるのかということを伺いたいと思います。
 つまり、有価証券取引税を当然払わなければいけないわけですね。どういう形で支払われるわけですか。
#150
○濱本政府委員 お答えを申し上げます。
 有価証券取引税の納付の仕方でございますけれども、有価証券の譲渡の態様によりまして幾つかの類型に分かれるわけでございます。証券会社が有価証券を譲渡しました場合には、これは申告による納付を行う。それからまた、証券会社へ売り委託をする、売り委託により譲渡した場合あるいは証券会社へ譲渡した場合には、特別徴収による納付によるということとされております。
 具体的に申し上げますと、譲渡が行われました際に、証券会社が有価証券取引税を納税義務者から徴収しまして、その徴収日の属する月の翌月末日までに、徴収高計算書を各営業所ごとにその所在地の所管税務署長に提出する、同時にこれに記載された税額を現金で納付する。今早川先生がお尋ねの、恐らくその次の類型、証券会社が介在しない場合の譲渡ということかと思いますけれども、いわゆる相対売買の場合には、有価証券を譲渡した者が有価証券の譲渡をした日の翌日までに現金で納付し、有価証券取引書を作成して、これにその納付にかかる領収書を貼付、張っておかなければならないということになっております。
#151
○早川委員 先ほど江副氏の、あるいはリクルートの会社でもいいですが、未公開株を売買しているわけですね。そうすると、相対でやられている部分が非常に多いと思うんですけれども、国税庁は今主税局長が言われたような形で徴収するわけですね。有価証券取引税がきちんと納付されているかどうか、これは調べたことございますか。
#152
○坂本(導)政府委員 一般論として申し上げますと、国税当局といたしましては、ただいま御指摘の有価証券について証券会社を通さないいわゆる相対取引という事実を把握した場合には、その相対取引に係る有価証券取引税を納付しているかどうかということを領収済み通知書等により確認しまして、申告漏れ等がある場合には必要に応じて納税者を調査する、あるいは指導するということをやっております。
 ただ、個別のことについては答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#153
○早川委員 このリクルートの百二十六万株の場合にも、あるいは六十一年の九月三十日の七十六万株ですかの場合においても、取引が相対じゃないかと思うのですね。
 今一般的な説明を伺いました。これは取引税法に書いてあるとおりでございまして、私の聞きたいのは、この一連の、五十九年のときから六十一年の店頭公開するまでの取引について、ほとんどが相対だとすれば、今主税局長も説明されたんですが、有価証券取引書というのが取引税法にちゃんと書いてあるんですね。これを交わさなければいけない。そこへ十万円以下の場合には印紙を張りなさい、そうでなければとにかく現金で税務署へ納めなさい、こうなっているわけですね。この有価証券取引書というのは相対でやられた場合、すべて取り交わされるものですか。
#154
○濱本政府委員 原則として、有価証券の譲渡をしました場合には、有価証券取引税法の定めますところによりまして、有価証券取引書を作成するということが義務づけられております。
#155
○早川委員 先ほど一般的に、それが相対取引で取り交わされて、それがきちんと納められているかどうかを調べるんだと言われて、個別のケースだから遠慮します、こう言われたんですけれども、この場今いろんな形で計算してみますと、取引を整理してみますと、五十九年の十二月からこの有価証券取引書というのは二百五十九枚か二百六十枚までいかないくらいで済んでいるはずなんですね。つまり、売り手がこれを持っているわけでしょう。それだけでいいですから、調べましたか調べなかったか、それだけ答えてください。
#156
○坂本(導)政府委員 これも恐縮でございますが、一般論で申し上げますと、領収済み確認書で確認をして、課税漏れがあるかどうかということを把握するということで実態はやっておりますが、個別は差し控えさせていただきたいと思います。
#157
○早川委員 実はここでそういう答弁しかできないと言われたわけですけれども、よく考えてみますと、これは法的な書類なんですね。これは必ず取り交わさなければいけない。有価証券の種類、銘柄、単価、数量、それからだれにいつ渡したかということが全部書いてあるわけですね。それで、有価証券取引税額をここへきちんと書くようになっているわけですね。売った人がだれに売ったかということを書いてあるんですね。国会でいわゆるリクルートの三点セットが、譲渡、売買契約書とか何のかんの言われるのですが、あれよりも、これは確実にあるわけですね。つまり、極端に言えば、払い込みというのは現金で、私的な売買でやってしまえばわからないのですが、必ずこれは有価証券取引書を取り交わして、必ず取引税を納めなくちゃいけない。したがって、収入印紙で納めているかあるいは現金でもって税務署へ納めるか、どちらかやるわけですね。そうすると国税庁は知っているわけですね。だれに幾らで売られたのか。しかも、この書類は七年間たしか保存義務があるんですね。そういうふうになっているのですけれども、そのとおりですか。
#158
○坂本(導)政府委員 ただいま御指摘の有価証券取引書に限らず、国税の立場としての法定資料というのは各種ございます。そういうものは確実に把握して、それに基づいて調査を実施しているということでございますが、個別はあくまでも差し控えさせていただきたいと思います。
#159
○早川委員 つまり、個別のケースは答弁を控えさせてもらうと。ただ、調べたか調べてないかと言うと、何か本来の業務だ。やっぱりちゃんと納めてもらった。四千万くらいになるんじゃないですかね。五十九年から六十一年の店頭までの間のこのリクルート関連、江副氏絡みでの取引を整理してみますと、有価証券取引税というのは、あのときは万分の五十五ですか、そうやって計算しますと、四千万円ぐらいの有価証券取引税が本来はきちんと納付されていなければいけないわけですね。それぐらい納められていたんですか。それだけでも答えてください。
#160
○坂本(導)政府委員 恐縮でございますが、ただいまの御質問に答えるということは個別の案件にお答えすることになりますので、やはり差し控えさせていただきたいと思います。
#161
○早川委員 いや、最初は調べたかどうかと聞いたら、それは答えられない。だけれども税金は納められたかどうか、それもやはりだめですか。
#162
○坂本(導)政府委員 各種税法上、公示義務があるものについては私ども発表しておりますが、それ以外のものについては一切表に公表するということはいたしておりません。
#163
○早川委員 公表するしないはともかくといたしまして、最初に伺いましたように、こういった監視委員会をつくるんだという意味は、ある意味で、いろいろなスキャンダル、インサイダーがSECの主任務だ等々言われたわけですけれども、リクルートの引き起こした問題あるいは突きつけた問題というのはあるわけですね。そういったものに対して一体今回の改正案、昨年も改正法案が出た、今回はこういう新しい委員会を設置するといった一連の流れを追った場合に、政府側の対応としては十分だ、国民の疑念なり不信感を払拭するに十分自信があるんだというふうに考えておられますか、これだけ伺いたいと思います。
#164
○小川政府委員 ただいまの個別の案件についてのお尋ねは、伺いますと、三つの問題があると思います。証券取引法上の問題、あるいは税法上の問題、その他の問題とあろうかと存じます。
 委員会はその中で、証券取引法の規定が守られているか、犯則事件が生じていないかという観点からは、きちっとした対応が今後行われるものと考えております。
#165
○早川委員 これで終わりますけれども、個別だからできないというふうに言われたのですけれども、例えば株価が三カ月、あるいはちょっと延ばしても五カ月間で三種類も四種類もあると考えますと、それは評価の仕方が違うんだというと、多分、特に同族会社の経営者などは相続税を、じゃ株を、長男はこのときにこういう評価でやりましたとか、長女にはこういった収益でやりましたとか、つまり相続に移る場合、相続の評価にも影響してくるのじゃないかなという感じがふっとするのですけれども、主税局長とうですか。
 つまり、何が適正な株価がといった場合に、先ほど二カ月、三カ月で三つも四つもあるんだ、非常に乖離があるんだという場合ですね。相続税だけ同一だというのじゃなくて、知恵を働かせるわけです。ことしの初めにはこういう形で贈与しておく、こういうふうに変わっていくのじゃないですか。悪用されるのではないかと思うのですけれども、そういう懸念はないですか。
#166
○濱本政府委員 相続税におきます評価の問題につきましては、先般来もいろいろ御議論を賜ったところでございますけれども、相続時点における相続資産、財産の価格をどのようなルールで評価するかということに集中いたしまして考え方を整理するほかはないと考えます。
 今お話しのようないろいろな時点での取引価格は、さまざまな価格形成が行われるということが確かにございますけれども、相続税の評価に当たりましても、先年の議論以来、相続します株式の評価額を決めますときに、その相続が発生いたしました時点からさかのぼりまして一定の期間内における株価の動きというものをある程度の長さでつかまえまして、その中から妥当と思われる価格を定めることができるというルールになっておりまして、今の考え方というものはその限りにおいて実態にマッチしたものだというふうに私は考えております。
#167
○早川委員 この委員会ができるわけですけれども、先ほどリクルートの例をずっと言ってみたのですけれども、やはり国民の立場からすると、とにかくそういった今の法律なり関心をきちっと透明にしてほしいとか公正にしてほしい、そういう意味でこの委員会がつくられているわけですけれども、いろいろなケースが出てきた場合、限界が出てくるのじゃないか。つまり、先ほどの二十六条の例にしても、あれはやらなかったと言ったわけですね。リクルートの場合、検査権は発動しなかったというわけです。つまり、有価証券報告書を出されたときにチェックするだけであって、ああいったリクルートみたいに価格がずっと不自然ではないかなというケースが起きてもやらなかったわけですね、おかしいなと。法に抵触しなければやらないということを答弁されたのですけれども、そうじゃなくて、法に抵触する以前の問題として、そういう疑念を晴らすためにこの委員会に期待されている部分があるのじゃないかと思うのです。そういったことを考えますと、スタートした後でもいろいろな問題で限界が訪れるのじゃないかなと思うのです。八条委員会と三条委員会とあるわけですけれども、そういったことを考えてみますと、事情によって、あるいは状況によっては検討をする、これにやぶさかではないということをぜひ大臣に一言だけ伺いまして、終わります。
#168
○羽田国務大臣 この委員会をつくりますのは、先ほど来申し上げましたように市場に対する信頼を回復するということでございますから、私どもは、やはりこれを機能あらしめるように執行面で気をつけていきたいと思いますし、常々法律というのは、実際に執行しながら、問題があれば当然修正する、改正するということだってあり得るわけでございます。
 いずれにしましても、私どもといたしまして、よくこれの執行がきちんといくように、まず運営面といいますか、それをしっかりとしていきたいということを申し上げておきたいと思います。
#169
○太田委員長 佐藤観樹君。
#170
○佐藤(観)委員 本日、パリにおきましてOECDの閣僚理事会が行われておりまして、どういうコミュニケになるのかわかりませんけれども、新聞の報ずるところでは、やはり日本に新たな財政出動をさせるべきであると財政支出を要請する各国からのいろいろな声があるやに報道されております。この後、サミットを七月に控えているわけでございますけれども、日本の財政事情あるいは金融事情からいきますと、なかなかそう手がないのではないか、なかなか難しい財政運営、経済運営を強いられるのではないかと思うわけでございます。
 最初に、そういったサミットを控えて、大蔵大臣として今の景気の状況、特に在庫調整は本年度の予算審議のときから比べますとずるずると後ろにずれ込んでいるわけです。そういうことも考え、かつ貿易収支が一千億ドルというような史上初の大台に上っていること等々を考えますと、世界の見る目というのもなかなか厳しいものがあるわけであります。この三月三十一日に発表しました緊急経済対策を着実に実行して、その浸透を待つということで果たして七月のサミットまで済むものであろうかどうか。一体今の景気の状況、そのあたりをどういうふうに見ていらっしゃるか、冒頭にお伺いしたいと思います。
#171
○羽田国務大臣 我が国の経済、今御指摘がありましたように、調整過程にあろうというふうに思っております。この調整はまさに、実際に現存する在庫そのものはそうでありますし、あるいはこの間大変高い水準に合わせた設備投資等が行われてきておるということでございまして、こういった面でのストック調整というものも進められておるところであろうと思っております。ただ現在の状況は、私ども昨年の暮れにゼロ国債等を大きく見ました補正予算、これに引き続きまして四月九日に平成四年度の予算を国会で議決していただいたわけでありますけれども、これが議決されると同時に、前倒し等の措置をするということによりまして、国と県、これは内需拡大ということを中心にしながら、これらの措置がとられてきております。
 これにあわせまして、金利につきましても四次にわたって引き下げられ、特に四月一日に〇・七五という大幅な引き下げが行われたということがございます。こういうものの措置によりまして、住宅等につきましても回復の兆しというものが見えてきておるということがございます。
 それともう一つ、個人消費の方も物価が比較的安定しておるということでございまして、確かに今までのように額の大きな伸びというのはございません。多少へっこんでいるところもありますけれども、しかし数の面では余りへっこんでおらないということでございまして、底がたく推移しておるというふうに申し上げることができるであろうと思っております。特に金利が下がったということで、さらにこれから住宅投資というものが行われますでしょうし、また予算の中でもこういった住宅に対する対策というものがなされておるということから見まして、これが両々相まって一つの効果をあらわすであろうと思っております。
 また、設備投資につきましても、生産を刺激するというものではなくて、省力化あるいは時間短縮ということを進めるという中におきまして、将来労働力不足というものがなおあるであろうということが予測されます。そういう意味で、このための、省力化、時間短縮のための設備投資というものも、金利が引き下げられておるという中にありまして、追い追い進んでいくであろうということを考えております。これらがうまく連動して進んでいくことによりまして、インフレのない持続可能な成長へと円滑に進んでいくであろうというふうに思っております。
 なお、今御指摘のございました、確かに経常収支というものが大変大きなものになっておりますけれども、しかしこの中におきまして、製品の輸入というものが非常に高くなってきておるというのが現状でありますし、また輸出につきましては、現地生産、そういったものが各国において進んでおるという現状等を見ましたときに、今までのようにどんどん黒字がふえていくのじゃないのだ、そういう構造じゃなくなってきておるということが言えるのではなかろうかというふうに思っております。また、加えまして、最近の円高、円が高くなってきておるという状況からも、そんなに輸出にドライブがかかっていくものじゃなかろうというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、今私たちがそれぞれとりました措置というものがどんなような効果をあらわしてくるか、ちょうどそれぞれが今一カ月ぐらいたったところでございますから、もう少しその様子を私たちは見きわめていくべきであろうというふうに考えております。
#172
○佐藤(観)委員 大臣も行ったIMF、G7のときが日本の成長率二二一と言っていたわけですね。そしてOECDの今度の出ている数字が一・八とか一・九とか、だんだん下がってきているわけです。そして、今大臣から説明ありましたけれども、後でちょっと大蔵省から、公共事業の前倒しの国と地方自治体の数字がわかれば、七五の目標というのがどのくらい超えたのか、ちょっと示してもらいたいと思います。
 いずれにいたしましても、今人手不足の中で、確かに地方におきましても、単独事業で意欲はあるけれどもなかなか人手がないということで、一体果たしてそこまで実行できるのかどうか。それから、今住宅の問題言われましたけれども、公共事業の前倒しというのは、いわば土地がなければできないわけですから、そういう意味で地価問題について、せっかく下げようとしたところをこれによって逆に全体的にまた上げていってしまうという問題も含んでくるわけであります。
 それから、公共事業というのはかってほど、建設業界そのものはいいけれども、かつてほど経済にもたらす波及効果というのはない、非常に波及率が少ない。素材産業そのものはいいけれども、設備投資そのものに波及していくようなことにならない。今大臣が言われた設備投資云々というのは、いろいろな省力化に対する金融をなるべく出していこうというようなことの効果というのをねらっているのだろうと思いますけれども、ただ、設備投資も景気がいいこの五年間にかなりしたと
ころがありますから、一体これがどのくらい出てくるのかというのは正直言って余り自信がないところではないかと思うのです。
 そういった中で、既に三・五%の成長というのが、いい悪いは別といたしまして、国際的には国際公約になっておるわけでありまして、その意味で今大臣が言われた方策で一体サミットまでもつのかな、ちょうど参議院選挙でありますけれども、もつのかなということを懸念をせざるを得ないわけであります。そのあたりの観点から再度、どういうふうにお考えになっているか、お聞かせを願いたいと思います。
#173
○羽田国務大臣 御指摘のとおり、三・五%というのは経済企画庁が示しました私どもの目標であるということ、これはそのとおりであります。そして、本当にもつのかなというお話でございますけれども、実はG7の中で議論をされましたときにも、やはり各国が今抱えます財政赤字というもの、こういったものについてはきちんとしなければいけませんということ、それからインフレというものについて注意をしなければいけない、そういうところから財政政策、金融政策というものを十分見きわめながら対応していくべきであるということがこの中でも議論をされたところであるわけでございます。
 今委員の方から御指摘がありましたように、うっかりした措置をするということになりますと、むしろ人手不足という中から逆に労賃なんかを上げてしまうというような問題が起こってきたり、あるいは不動産をまた上げるという問題を起こしてきたりするということであります。また財政的にも非常に厳しいときでありますから、これ以上の、今何か六十五万人ぐらいずつ年金を支給する方々が一年間にふえているということでありまして、よその先進各国に比べますと、日本の年金といいますか、こういったものはまだ成熟度合いが非常に低いところにありますけれども、これは確実に五年、六年、七年と、もうそんな遠くないときに実際に成熟してくるであろうということを考えましたときに、そのときに大きな財政赤字というものをつくっておくということは非常に危険であろうというふうに考えます。もつかもたないかという話でありますけれども、いずれにしましても、現在まだ一カ月経過したばかりというところでありまして、私どもは、こういったものがインフレなき持続可能な成長というものをつくり上げていくものであろうということを確信しながら進めていきたいと思っております。
 私どもも全国各地を回りますけれども、中にはどうも気分的な、余り不況、不況と言うものですから、全体が不況になっているような気持ちになるけれども、実際に我々のところはしっかりやっていますよというような声もありますし、まだまだ労働力不足という現状もあるんだどいうことなんかを強く訴えられるなんということもございます。
 いずれにいたしましても、私たちは現在の景気動向というものを注意深く見守ると同時に、また、こういったものが輸出ドライブをかけるようなことのないように、ひとつ注意をしていかな付ればいけないだろうということを非常に幅広い目で見ていかないと、今度の一般に言われるところの不況というものは今までとはちょっと違うのだ、御指摘のとおり、今までは公共事業を出せば何とかなったというものでありますけれども、今度の場合はそうでないということで、非常に注意深い注意と分析、そして対応というものが求められるであろうというふうに思っております。
#174
○佐藤(観)委員 二つ目のところだけ申し上げておきたいのですが、一つは、ついつい我々、私の先ほどの質問もそうですけれども、成長率で物をすぐ言いたがる傾向がある。しかし、もうどんどんパイが大きくなってきたわけですから、同じ四%の成長でパイの大きいものでやったら大変な量がふえることになるわけであります。したがって、かつては我々の党も四%台の成長が一番日本経済にとって適切ではないかと考えましたけれども、だんだんGNPが大きくなってくれば、これは同じ量を生産するときに、それはパーセンテージとしては、成長率としては減るわけですから、余り成長率だけで物を言うのはいかぬなというふうに思います。
 それから、大臣も言われましたけれども、どうも世界の方から日本が財政赤字でこれだけ苦労しているんだというのが余りぴんとして返ってこない感じがするのですね。どうも余り世界に理解されていないんじゃないか。日本はアメリカの財政の赤字、双子の赤字の話はよくしますが、世界的に日本が一番、GNPに占める割合からいっても、一般会計で占める割合が二二・八%という大変高い割合になっているわけだし、世界と比較いたしましても、国債の利払い費というのが一七・〇なんというのは、もうアメリカ、フランスよりもはるかに、一番多いわけですね。当然重い負担になってきておるわけですが、どうもそのあたりが余り世界に理解されていないような感じがするわけで、つい簡単に財政出動と言うけれども、後半によほど盛り上がって、法人税が予想以上に出てくるというのはちょっと考えられない。そういうことを考えていくと、補正予算というものはよほどいいことがないとなかなか難しいんじゃないかな。残るは財政出動だとまた言うけれども、これは私が羽田さんの立場に立ってみても、そううまくいくかなという感じがするわけでありますが、一体世界に出ていって、財政の赤字の重さというものはどんなふうに世界は理解しているんだろうか、これだけちょっとお伺いをしておきたいと思います。
#175
○羽田国務大臣 確かに国際会議では、今議論されておりますのは、もう御案内のとおり、CISの支援を初めとして世界がともかく同時に何か大きく動いたということ、そういう中で非常に資金需要というのは大きい。それに対する市場経済を今日まで先行してきた国というのがなかなか回復の足取りが鈍いということでありまして、実際にIMFの分析あるいはOECDの分析、こういったものを聞きましても、その中にあっては最もファンダメンタルズがしっかりしているのは日本であるということであるわけであります。
 しかし、今御議論がありましたように、日本だけが一つの世界の機関車なんかになるなどといっても、これはもうとても引っ張っていけるものじゃないわけであります。ただ、そういう中にありまして、やはりそれぞれがみずからのファンダメンタルズというものをしっかりっかみながら、その中でいいパフォーマンスをとっていくということなんでしょうけれども、そういう中で、日本に特に財政出動ですとか、そういったものをさらに実はどうなんだろうかなというような議論があることは事実です。それの根元になっておりますのが、先ほどちょっと触れましたが、日本の財政赤字というのは確かに相当大きなものがあります。そして利払い賞なんというのは、年間に占めるのは、よその国に比較しても、ほかの先進国に比べても高いものがあるわけです。しかし、彼らがよく議論をするときには、やはり中央政府ということで、例の年金、これも含めて議論をする、ここが割合と堅調じゃないか。全体を合計しますと、日本いいじゃないかという話でありますけれども、先ほど申し上げましたように、日本の高齢化というのは非常に速いスピードで進んでおるというのが現状でございまして、そういったことからいったときに、今そういったものをもくろみながら、念頭に置きながら、財政にそれを使ってしまうというようなことがあったならば、今日の財政運営に使ってしまうということがあったならば、後になって大変な憂いを残すことになるであろう。そういうつもりで実は私どもも、この前のG7のときもよくその点は皆さんに御説明申し上げたところでございまして、ここらあたりを私たちは各国の皆さんにいろいろな機会を通じながら理解を求めていく必要があろうというふうに思っております。
 いずれにしても、これ以上やはり財政赤字はつくってはいけないんだということを基本にしながら対応すべきであろうということを感じております。
#176
○佐藤(観)委員 一番いいのは、この一千億ドル余に上ります経常収支の黒字というものをうまくどこかでスイッチをして、そして財政赤字と埋め合わせられるようなシステムができれば一番いい。そのためには、消費の拡大なり貯蓄をもう少し消費に回すなりといういろいろシステムズイッチ変換できるような、そういうことをかなりきめ細かくやっていかなければいかぬということだと思うのでありますが、きょうはちょっとそこまで入っていく余裕が時間的にありませんので、それはそれまでといたしまして、現時点で聞く限り、サミットに向けて羽田大蔵大臣としては、公共事業の前倒し執行を初めとするあの三月三十一日に決めた二十九項目の緊急対策以外に、とりあえずはサミットまでには新たな手はなかなか出てこないというふうに理解をしてよろしいですか。
#177
○羽田国務大臣 それよりまず、先ほど来申し上げておりました一つの効果の発現というものがあらわれてくることを私たちは期待しながら、またそういったことのために、先ほどちょっと御指摘がありましたけれども、公共事業あるいは民間でも大手のいろいろな企業に前倒し等を進めていただくことによって、その発現効果というものをより大きなものにしていく、その努力というものをする、そういったきめ細かい運営というものを、執行というものを進めていく必要があろうと思っております。
#178
○佐藤(観)委員 次に、法案に入ってまいりますけれども、各位から、証券取引等監視委員会につきましては一体実効が上がるんだろうかといういろいろな角度での疑問がございます。私も今までの方の質問と違う角度で疑問があるわけでありますが、それは、監視委員会と自主規制機関との関係におきまして、一体どういうふうにこの監視委員会というものは機能するんだろうかという観点から少し質問しながら、私の意見も述べてみたいと思うのであります。
 御承知のように、今度できます監視委員会、それから大蔵省の中に残します官房の金融検査部、これが二つ目、そして日本証券業協会にございます監査部、これが三つ目、それから東京でいえば東京証券取引所の売買審査部、これが四つ目、そして東証の中にございます考査部、いわば五つ、いろいろな角度からの監視、監査、考査、検査するところがあるわけですね。私も一応これの役割につきまして勉強してきたわけでありますが、証券局長、この五つございます、監視委員会、おたくの官房金融検査部、それから証券業協会にございます監査部、それから東証にございます売買審査部、考査部、簡単に役割、一体どこがどう違うのかお答えいただきたいと思います。
    〔委員長退席、中川委員長代理着席〕
#179
○松野(允)政府委員 御指摘のように、いろいろなところがございます。この監視委員会、新しい委員会と官房の検査部との関係につきましては、これは先ほど担当の審議官からもお話し申し上げましたように、主として官房の検査部は、証券会社につきましては財務の健全性をチェックするということでございまして、取引のルール、公正な取引を維持するために必要なルールは、すべてこの新委員会の方の検査あるいは強制調査の対象になるわけでございます。
 それから、協会、取引所の監査、考査あるいは取引所の場合には売買審査というのがございます。協会、取引所のは自主規制機関でございまして、おのおの自主的なルールをつくっているわけでございます。協会の監査は、これは協会員であります証券会社について、主としてその協会の自主ルールの遵守状況をチェックする。もちろんその過程で証取法違反行為があれば、それに対する対応をするわけでございますが、主として協会の自主ルールの監査をするということが主眼になろうと思います。それから証券取引所の考査、これも取引所の会員であります証券会社の取引所ルールの遵守状況というものが主として対象になろうかと思います。それから売買審査部、取引所の売買審査部でございますが、これは取引所における日々の取引をチェックしているわけでございまして、取引所において取引が適正に行われているかどうか、価格形成上問題がないかどうかというのを日々チェックをしております。そういったことから申し上げますと、この取引所の売買審査部の仕事というのは、新委員会の、取引の公正を確保するための検査なり調査とかなり密接な関係を持っておりまして、日々の売買審査の中で証取法に触れるような価格形成上の問題があるとかいうことになりますと、これは必要に応じて新委員会に情報を提供するというようなことも行われることになろうかと思います。
 いずれにいたしましても、載然とすべて分業で分けているということではございません。主とした検査対象、特に協会の監査、取引所の考査というものは、主としてそういう自分のルールをチェックするわけでございますけれども、やはりそれ以外のものも、もしそういう端緒が見つかれば、これは証取法違反としての指摘をするわけでございます。ですから、若干オーバーラップしている部分がございますが、主としてということで考えれば、今のような関係になろうかと思います。
#180
○佐藤(観)委員 確かに言葉として説明すれば、今局長が言われるようなことだと思うのですが、例えば企業経営、証券会社の財務の健全性ということでいえば、今局長が言いましたように、官房の検査部、それから証券業協会の監査部、それから東京でいえば東証の考査部というのは、例えば証券業協会の場合には会員全般の企業経営の健全性ということはやれるが、東証の場合には東証の会員しか当然のことながらできないという違いはございますけれども、いずれにしろ企業財務の健全性を監督する。ところが、そうはいったって、その中には、例えば証券業協会の監査部がやる項・目についても、これは協会のルールを遵守することは当然でありますが、それ以前に言うまでもなく法律の遵守というのが大前提であるわけですね。そういう中においては、禁止事項、例えば損失保証、損失補てんの問題とか一任勘定取引の受注とか、あるいはインサイダー取引の問題とか、こういったものも、企業財務の健全性ということは言うけれども、事実上こういったことは監視委員会なりあるいは東証でいえば売買審査部のやることとかなりダブるわけです。いわば五重とは申さないけれども、新たにつくります監視委員会とこの自主規制機関とのタイアップと申しましょうか、調べられる方にしてみると、何も証券会社の立場に立つわけじゃないですけれども、東証の正会員でいいますれば、事によっては五回の検査や考査や調査があるというようなことは極めて不合理ではないか。
 皆さんのところも大変苦労して八十四名、監視委員会にとりあえずは張りつけなさる。それから日本証券業協会は十一名の監査員というものを今度二十二名にして監査を強めるということにしておりまして、東証でも、直接に例えば売買審査部だけは  売買審査部を言うよりも、この場合考査部を言った方がいいと思いますが、考査部が二十七名で企業の財務の健全性を検査なさるということであります。確かに大蔵省の行政権限あるいは今度の告発権限を持って調査をする場合と、そうじゃない、基本的にはいわば仲間内であります証券業協会の監査とは、裏打ちとしては違うけれども、内容的には非常にやえる部分があるのではないか。今証券業協会が二年に一回でございますか監査をしていくということになっている、あるいは東証の方でいえば、一企業七、八人ずつで一週間ぐらいかけて企業財務のことについて健全性を確かめるために考査部では検査をするというようなことになっていて、お互いに苦労しながら限られた人数で考査なり検査なり調査なりをやるということで、これは監視委員会と自主規制機関とこれから非常にタイアップしていかないと効果が上がらないのではないかというふうに思いますが、そのあたりはどう考えておられますか。
#181
○松野(允)政府委員 先ほどお答えいたしましたけれども、確かにかなりオーバーラップしている
部分もございます。それから、そうはいいましても、例えば新委員会で行います立入検査にいたしましても、ある程度の人数の制限もございまして、やはり周期があるわけでございますし、協会、取引所の監査あるいは考査というものも、それなりの周期でしかできないということにはなるわけでございます。
 御指摘のように、確かに同じようなことをやっているということに結果としてかなりの部分はなるわけでございまして、その辺は新委員会ができました後、特に新委員会が行います証券会社に対する立入検査につきましては、協会の監査あるいは取引所の考査部門とも必要に応じて打ち合わせをするということが望ましいのではないか。現在でも、証券局が行っております検査の場合でも、協会、取引所と必要に応じて打ち合わせをしております。そういったようなことで、基本的には周期がかなりございますから、一つの証券会社が同時に三つの検査なり監査、考査を受けるということはないと思いますけれども、効率的に検査を行うためには、やはり十分打ち合わせをしてやっていく方が望ましいのではないか、また新委員会もそういうことで運営されるのではないかというふうに思います。
#182
○佐藤(観)委員 特に協会の監査と東京でいえば東証の考査というものとは、例えば正会員の場合には完全にやえるわけですね。このあたりはやはり調整する必要があるだろう。
 先ほど私は東証の方の考査、七、八人と申しましたが、大きいところについては十人で十日間くらいかけてやっていこうということのようで、小さい支店については四、五名で七、八日かけてやっていこう、こういうことであります。そういう意味では、実際に営業しているわけですから、しかもお互いに、これも全体の構図を見てみますと、足りない人数を同じような検査、しかも、もうちょっとお伺いしますけれども、企業の営業の健全性というものと財務の健全性というものは、先ほど申しましたようにダブる部分が極めて多いわけですね。そういった意味で、調査は現場に聞けということで、例えば売買が本当に正常に行われているかどうかを把握するのは、東京でいえば東証の売買審査部が一番現場に近いわけですし、確かに審査部自体は人員は四十三名ですけれども、実際これは審査部だけで審査しているんじゃなくて、株式部の百五十名、債券部の七十一名、そして上場部の四十六名、そして考査部の二十七名、これがお互いに情報交換をしながら、その間の、おのおのどういう情報交換をしているかは申し上げませんけれども、情報交換をしながらやっているわけですね。そして、例えば売審、売買審査部では、例えばインサイダー取引の場合には、証取法で言うところの重要事項が実際に公表されているかどうかとか、あるいは株価操作の場合でも、異常な株価の引き上げとかあるいは固定したものがないかどうか、あるいは主要な株主の異動がないかどうか、価格面での異常性がないか。インサイダー取引の場合には、年間に二、三千件、何もそれが全部違反という意味じゃなくて、どうだろうかなと思う、チェックするものが二、三千件出てくると言うのですね。それから株価操作の場合でも、年間二百件ぐらいがどうかなと言って、今、何といいましたかね、通知書体制というので、証券会社に、どうですかというのでいろいろ調べる体制ができているわけですね。
 ここまで、例えば東京の場合に、東証の売買審査部でほかの部の方々と連携をしてやっていて、その上今度つくりますこの監視委員会というものが、そこから報告をもらうわけだけれども、先ほど小川審議官から説明があったが、検察の方だとか税の専門家、あるいは公取の専門家、会計検査院、検察庁、警視庁、警察庁等々入れたいと言いますけれども、現場でそれだけ売審を中心にしながらお互いにあらゆる情報を駆使しながらやった上に、この監視委員会というのは、そこから情報をとって一体監視委員会が調査に入るということが実際とれだけ効果があるかなといったら、私が申し上げましたように、行政権限とそれから告発権を持って調査をする場合と、実際に売審の場合には、インサイダー取引でも、おかしいなと思っても強制権がありませんから、強制権限を持って調査に行く場合に新しい問題があるかもしれない。
 そういったことを思いますと、これは監視委員会ができたけれども、実際に起こったこの前の補てんの問題等見てみましても、市場の中だけで行われているわけじゃなくて、やはり証券会社そのものの中を調べてみてわかるというものも、この前おたくの方で出しましたこの補てんの類型の四つのケース、国債等の顧客にとって有利な価格による短期売買、非上場の債券の低廉譲渡と高値買い取り、外貨建てワラントの低廉譲渡と高値買い取り、新発転換社債の大量割り当て。金銭の支出はまたちょっと別のケースでありますけれども。以上四つの実際に起こった損失補てんのケースというのは、これはお互いに、その意味では、証券会社の財務の健全性を調べる部分と営業の正しいあり方を調べる部分というのは大変重なっておって、その意味では、私は、東京でいえば東証の売買審査部を中心とするところの連携というもので、果たしてそこからなおかつ上がってくるような事案というものがあるかなという意味において、あるかなという意味において、つくりますこの監視委員会というものが一体どれ、ほど機能するかな、こういうふうに、現場の実態を思うと、そういう意味で疑問を持たざるを得ないのでありますが、局長、自信ありますか。
#183
○松野(允)政府委員 確かに、今言われましたように、日々の取引を一番身近で見ておりますのは、証券取引所の売買審査室を中心とする部門でございます。そこで異常な取引が発見されますと、会員であります証券会社を調査するわけでございますけれども、いろいろな証券市場における不正行為の中で、今例えば例示されました損失補てんの問題、これは直接的にはその取引所の取引を見ていてもなかなかわからない。むしろ証券会社に立入検査をして、それによって、あるいはそこから端緒を得て、証券会社以外の第三者に対して強制調査を行うというようなことになって初めて全貌がわかるという場合が多いと思います。
 しかし、例えば株価操作という問題を取り上げました場合に、これは証券取引所の売買審査部で、仮におかしな価格形成が行われたということで会員証券会社を通じて調査をいたしましても、それにはおのずから限界があるわけでございまして、もし株価操作というものがはっきりと非常に疑わしいということであれば、直接その注文を出した投資家にこの事情を聞かなきゃいけない、あるいはその周りの人に聞かなければいけないということで、そういう意味では新委員会の強制調査権というものが非常に威力を発揮する。もちろんそういうものがたびたび行使されるということは決して好ましいことではないわけでございまして、むしろそういうことが非常に大きな牽制効果となって株価操作が市場で行われないようになることが望ましいわけでございますけれども、いろいろなタイプの不正行為の中には、今申し上げたように、監視委員会が持っております強制調査権というものを発動して初めて不正行為の全貌が明らかになるというようなもの、インサイダーも同じようなものかもしれません。したがいまして、端緒をつかむということについては、確かに取引所の売買審査室で端緒をつかむことがかなりケースが多いと思いますけれども、そこからさらに全貌を調べて、場合によっては告発をするあるいは行政処分をするというような事実関係の全貌をつかもうということになりますと、新委員会が持っております調査権というものをかなり活用せざるを得ない、あるいは活用することによって初めて可能になるというようなケースが大いにあるのではないかというふうに考えるわけでございます。
#184
○佐藤(観)委員 いずれにしろ、監視委員会と自主規制の機関とのいい意味での連携、なれ合いではないいい意味での連携なくして、これだけの人数でこの複雑な売買取引をいろいろな意味で監視をしていくことは私は不可能だと思うのです。なるがゆえに、自主規制機関というのがそれなりの価値を持つと思うので、そのあたりの運営につきましては十分配慮してもらいたいと思います。
 次に、俗に言う株式売買の委託手数料の自由化の問題と、それから損失補てんの問題についてお伺いをしていきたいと思うのであります。
 昨年の証券国会、金融国会と言われた中で損失補てんの問題というのは、株式の委託手数料が固定制になっているから、そこに原資があるんだという論議が随分あったわけでありますが、固定制という言い方は非常に紛らわしいと私は思うんであります。かなり有力な方でも、大口も小口も全部同じ値段になっているんだと思って固定制と言っている方もいらっしゃるようでありまして、非常に固定制というのは世間に誤解を招く表現だと思います。これはいわば公定手数料と言う方がまだ近いのであって、現に大口、小口で十段階に分かれているわけでありますから、そう呼ぶべきだと私は思うのでありますが、この問題は、本来ならもっと深めて証券会社の免許制のあり方そのものとリンクをしていかなきゃならぬわけでありますが、きょうはちょっとそこまで時間がありませんので。
 アメリカなりイギリスの例を見た場合に、この手数料を自由化した場合にどういうことになっていくか。言うまでもなく小口なり個人というものは相対的に当然高くなっていくわけであることは言うまでもありませんし、当然のことながら、機関投資家、大口、こういったものは安くなっていく。しかも、彼らは大変情報を集める能力を持っていますから、いわば情報の部分はもう要らないよ、本当に売買の手数だけやってくれればいいよということになってくれば、ますますそれは限りなくゼロに手数料が近くなっていくようなことも、アメリカなりあるいはイギリスを見た場合にあり得るわけであります。そうなってくると、中小の証券会社の経営不安定ということに当然つながっていくわけであります。不安定になれば、当然自己売買、ディーリングに走らなければならぬということで、せっかくここまで来た証券界というものがまた別の方向で、どうにもならない方向に走っていってしまう。この問題は後ほど金融制度改革の問題の中でさらにじっくりやっていきたいと思います。
 きょうも午前中質問がありましたように、証取審の報告の中には、一月でございましたか、出た報告の中には、「比較的問題の少ないと思われる大口取引に係る手数料について自由化を図りこ「現実の影響を十分見極めつつ、その後の自由化への展望をさぐることが必要である」とされておりますし、そして後ろの方には、「米英等の自由化の姿とは必ずしもかかわりなく、我が国市場の実情に応じた自由化の在り方について検討することも必要である」ということで、例えば固定制の維持などというようなことで書いてあるわけであります。
 耳にしますところ、大蔵省においては、この報告に基づいて、まず大口のものから自由化したらどうかということを具体的に検討を始めたということになっておりますが、簡単で結構でございますが、そのあたりはどうなっておりますか。
#185
○松野(允)政府委員 昨年の不祥事に絡みまして、競争の促進あるいは手数料、固定といいますか公定といいますか、手数料のあり方が問題になりまして、証券取引審議会で議論をしていただきました。その結果、今御指摘になりましたような報告書を一月にちょうだいしたわけですが、それに従いまして、現在専門家を含めました作業部会を設けて検討を開始しております。四月から議論を始めたわけでございます。
 その議論の前提といたしましては、今御指摘いただきましたような証取審報告書、つまり比較的問題の少ないと思われる大口取引の手数料の自由化を図って、その影響を見ながらその次のステップを考える、あるいは、例えば小口については固定制を維持する等、市場の実情に即した自由化のあり方について検討することも必要であるというようなことでございまして、そういったような証取審の考え方を受けまして、今申し上げた作業部会で、当面一年程度をめどにして、例えば大口からやるとした場合に、一体大口とはどの程度の水準からをいうのかとか、それがどの程度市場あるいは証券会社、投資家に影響を与えると考えるのかとかいうようないろいろな議論を専門家を含めて今後やっていただくことになっております。
#186
○佐藤(観)委員 そこで、それは本格的にいろいろな角度からやらなければいかぬのでありますが、私はこの問題そのものをやるのではなくて、この問題と損失補てんとの問題のかかわり合いの問題であります。
 というのは、局長、去年の損失補てんというのが問題になったときに、これは不公平だという言葉が出たわけでありますが、一体何と何を比較して不公平なのかという問題であります。富や財産の分配が不公平だという分配の問題での不公平ということならば、例えば年金福祉事業団について、国民の皆さんからおまえもかという声は出てこないだろう。なぜならば、本来あそこならば、将来にわたって高利で運用して、受けられる方々にたくさん年金を支給するのが本来の役目でありますから、その意味ではそういう声は出ないはずでありますが、しかし、年金福祉事業団おまえもかという声が出たわけでありますから、所得や富の分配という観点ではないのではないだろうか。
 投資家も投資収益率から不公平ではないかという観点もあろうかと思うのであります。しかし、これも大口の方でいろいろ情報を集めたり、いろいろ人から金を借りて、金利のかかる金でやっている方と自分のお金でやっていらっしゃる方とはコストが違うわけでありますから、この投資収益率というのが変わってくるケースというのが当然あり得るだろうと思うのであります。
 どこが不公平かというと、私の思うところ、基本的には補てんを受ける機会、受けられる機会がある人ない人、ここが基本的に不公平、国民が思う不公平の原点ではないか。大口には、あるいは常時運用している人には補てんがあって、小口については補てんがない。大口対小口、まあ小口でも必ずしも個人とは限らない方もいらっしゃいますけれども、いずれにしろ、大口、小口というのは一番わかりやすいと思いますので、この大口と小口ということの不公平、ここがやはり補てんというものをおたくの方でも禁止をされた、世論に沿って禁止をされた、私は基本的な哲学でなければならぬと思いますが、いかがでございますか。
#187
○松野(允)政府委員 損失補てんを、法律をもって罰則づきの、要するに犯罪行為ということにするときの考え方といたしましては、今御指摘になりました、いわゆる不公平であるという問題、それに、それよりも実は証券市場の機能をゆがめるのではないかという考え方があったわけでございます。それはやはり自己責任原則というものをゆがめ、そういう特定の恩恵を受ける立場で投資家が市場に入っていく、そういうことを期待できない投資家と一緒になって市場で取引を行うということになりますと、これはやはり市場の価格形成機能をゆがめることになる、そういうような観点がもう一つございました。それと、今申し上げた市場仲介者、証券会社が証券市場における仲介者としてやはり不公正なことをやっているというような二つの観点で、罰則をもって禁止する犯罪行為であるということにしたわけでございます。
#188
○佐藤(観)委員 私は、大口、小口という言い方で機会の均等、不平等ということを申し上げたのは、言うまでもなく本来自分でリスクを負ってやらなければいかぬものについて、そのリスクをカバーしてくれる人、もらえる人、もらえない人、もらえる人というのは結果的に大口であり、もらえなかった人というのは小口であるということも含めて申し上げたつもりでありますが、当然のことながら、そこから出てくる価格形成のゆがみということがみずから首を絞める結果になったということになるわけであります。
 そこでもし、今株式の委託売買手数料というのは十段階になっていて、一番大きい大口のところが、十億円を超える場合というのが一番大きいランクになっておって、これは約定代金の〇・〇七五%プラス七十八万五千円という、全体の売買では一〇%ぐらいの方々がこの十億円超という場合の売買だと聞いておるわけでありますけれども、証券局の方でもやっていらっしゃると思いますけれども、この四社あるいは準大手と言われます十三社、そしてその下の中堅十六社でございましたか、そういったところの売買手数料合計と損失補てんで出した割合というのを計算したことは当然あられると思いますが、一体どんな数値になっておるでしょうか。
#189
○松野(允)政府委員 大変恐縮でございますが、ちょっと今手元に数字がございません。手数料合計は当然これはわかりますし、その損失補てん額もわかりますので、後ほどわかり次第お知らせ申し上げたいと思います。
#190
○佐藤(観)委員 当然それを割り算すればいいわけでありますけれども、例えば一番最近で言えば、平成三年の三月期、委託手数料、四社の合計が、これは時間がありませんが、パーセンテージだけで申しますと、五・九六、約六%ぐらいですね、委託手数料の中に補てんが占めた率であります。異常に高いのが、昭和六十三年九月期の山一が二二・八三というのがあるわけでありますが、平成二年の三月期を見てみても、野村が五・四七、日興八・八〇、大和六・八八、山一四・〇五、新日本証券七・七五とかずっとあって、例えば四社の平均が平成二年三月期が六・三〇、十三社が三・一六、十七社が五・〇四。いずれにしろ売買委託手数料のうち損失補てんに回したというのが五、六%の金額になるわけですね。
 そこで問題なのは、この五、六%というのはいろいろ商売をやっている人にとってみますと、損失補てんという問題は、先ほど言いましたように、市場の原点を曲げる、価格形成そのものを曲げることであるということは言うまでもないわけでありますが、例えばどこのデパートだってどこのスーパーだって、おまけというのはやっているわけですね。いつも上得意だからおまけしておきましょうというのは商売のルールとしては当然あるわけであります。しかも、その五、六%、一〇%、物によってはそれは二〇%だって、ディスカウントすればもっといろいろあるでしょうけれども、五、六%ぐらいというのは世間その他の商品の場合にはおまけということで大口に対してはあるわけですね。
 そこで、もし十億円超の売買手数料というものを自由化をした場合に、先ほど読み上げましたように、十億円超が約定代金の〇・〇七五%プラス七十八万五千円でありますから、十億円の株の売買が行われた場合には七千五百七十八万五千円という手数料が今の公定手数料でいえば入るわけですね。しかし、これを自由化した場合に、まあいつもいつもおたくにはお世話になっているからということで、しかし残念ながらうまくいかなかった、もうこれは三十年来のお客だ、まあちょっと手数料の方でまけておきましょうかということだってあり得ると思うのですね。こういった手数料をまけるという、自由化した場合の話ですよ、十億円超の売買委託手数料を自由化をした場合に、この手数料の代金を、いつもいつも三十年来のお客でもあるし、今度はちょっと思うようにうまくいかなかったから、じゃ手数料おまけをしておきましょうというふうにおまけをした場合と損失補てんとは区別がつくのでしょうか。
#191
○松野(允)政府委員 確かに大口の手数料を自由化いたしますと、それは証券会社と大口投資家との間の交渉によって手数料が決定されることになりますので、その過程においてどういう手数料水準に決めるかというのは原則として自由になるわけでございます。しかし一方で、証取法の改正をいたしました五十条の二の損失補てんの禁止におきましては、損失を補てんするために財産上の利益の提供を禁止しているわけでございます。手数料の割引が損失補てんに当たるかどうかという問題になるわけでございますけれども、財産上の利益の提供に当たるということは言えると思います。
 問題は、損失を補てんするためかどうかという問題になるわけでございまして、そこは自由化いたしました場合、問題となっております証券会社の手数料の、まあ交渉といいましても証券会社側には当然一つの考え方があるわけでございまして、したがって、ほかの似たような大口顧客と比べてどうかという問題が一つあるわけでございます。つまり、社会通念上妥当と見られるような、その会社においてとられております割引ということであれば、それは自由交渉制でございますから当然問題はないわけでございますが、そういうことでどうしても説明がつかないような、特定の顧客にだけ特段の理由なくして他の似たような顧客と全く違った手数料を適用するというようなことになりますと、それが果たして損失補てんのための財産上の利益提供になるかどうかということが問題になり得るというふうには思うわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、これは実際に自由化してみて、大口に対して証券会社がどういうふうな手数料を取るという方針を立てるかによるわけでございまして、全くばらばらにやるというようなことは通常ないわけでございまして、やはりそこは似たような取引事情であれば似たような割引料というようなことが考えられるわけでございます。具体的にどういうふうな場合はどうかというのは、実際のケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないわけでございますけれども、通常の社会通念上の割引であれば損失補てんということにはならないのではないかというふうに考えられます。
#192
○佐藤(観)委員 もしそういうことになった場合には、新たなグレーゾーンが発生するだろう。ただし、私は、手数料の自由化の問題というのはその観点からだけ別に問題視をしているわけではなくて、冒頭申し上げましたような基本的な問題がありますから、さらにこれは審議を深めていかなければならぬわけでございますけれども、あわせまして、今局長が言われるように、そんなきれいに割り切れるだろうか。長いお客さんの場合に、どこの商売でもやはり暗黙のうちに、じゃおまけをしておきましょうということだってあり得るわけで、それが本当に損失補てんとそんなに峻別できるだろうかという問題は新たに起こってくるだろうということだけ指摘をしておきたいと思います。
 次に、エクイティーファイナンスの問題についてお伺いをしておきたいと思います。特に、その問題について、今回のことは起こってしまったことでありますからしょうがないにいたしましても、再びこういう状況が起こらないためにどうすべきかというのが少なくとも当委員会の非常に重要な責務ではないかと私は思うわけであります。時間がありませんから、一々大蔵省から挙げてもらいませんけれども、言うまでもなく異常なエクイティーファイナンスが行われたわけでありまして、八六年に六兆二千億円だったものが八七年十二兆五千億と倍になって、八八年が十六兆、八九年が二十七兆、これは大変大量に出たわけであります。九〇年に十一兆一千億、九一年が六兆四千億ということで、エクイティーファイナンスに本格的に入る前の八六年と八九年を比べてみれば発行量が四倍以上になっているわけですね。全国上場企業の二千十九社のうち、この八七年から八九年に公募増資なり転換社債なりワラント債なりをした企業が千百二十五、五割以上が何らかの格好でエクイティーファイナンスをやっているということでありますが、それによって事実上今発行市場というものは停止をしてしまっているわけですね。私は大変いびつな状況になっていると思うわけでありますが、この行われましたエクイティーファイナンスというものがどのくらい過剰だったのか。いろいろなはじき方が恐らくあるのでしょう。今振り返ってみれば証券局としては一体どのくらい過剰だったと思っていらっしゃるのですか。ただ、これもいろいろな影響がございますから言いにくいことなんでしょうか、いかがですか。
#193
○松野(允)政府委員 確かに御指摘のように、昭和六十一年度から平成元年度にかけて大量のエクイディーファイナンスが急増を見たわけでございます。振り返ってみてこれがどの程度供給過剰だったかというお尋ねでございますが、これは私どもとしても具体的にどの程度だということを申し上げるのは非常に難しいわけでございます。民間ではいろいろな計算をしておりますが、私どもとしてどの程度が過剰だったということはなかなか申し上げにくいわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、発行市場におきますこういう大量のエクイティーファイナンスというものが行われたことをどういうふうに考えるかということが私どもとしての今後の問題でございまして、もちろん基本的には発行市場は証券会社と発行会社との間で運営される自由な市場でございます。そういった意味では行政当局として発行額の枠をかけるというようなことはやるべきではないわけでございまして、やはり発行市場におけるいわゆるプライスメカニズムといいますか、そういったものが働くことによって発行額が適正な水準にとどまるように、何らかの市場メカニズムが働くような環境づくりをするというのが私どもの非常に大きな課題として現在検討をしているところでございます。
 具体的に幾らが過剰かという点についてはどうもお答えをできないところは御理解いただきたいと思います。
#194
○佐藤(観)委員 たとえ形式であれ、おたくに届けを出して発行されているものでありますから、なかなかそれは言いにくい立場でもあることはわかりますが、三和総合研究所調査部研究員の植木鉄也さんという方が一定の前提を置いて計算をされております。株主の資本利益率というものから見た過剰調達というものを研究していらっしゃる。わけでありますけれども、これが発行されたものが全部設備投資に使われたとしてという前提、それから利益を生み出すまでのタイムラグ、つまり設備投資をされてもすぐ利益につながるわけじゃありませんから、そのタイムラグを四年というふうに見て、それから今後の経常利益が八〇年代の平均の年二・六%という前提にして計算をしてみますと、二十七兆円というエクイティーファイナンスが過剰だったではないかという計算をされています。
 二十七兆円というのは、先ほど申しました八七年、八八年、八九年というエクイティーファイナンスが華やかなりしころの合計が五十五兆五千億でありますから、いわばその半分、一番盛んだったころの半分が過剰な調達だったのではないかという計算をされておるわけであります。非常に貴重な計算だと私は思うわけでありますが、問題は、先ほど前の方の質問にもございましたが、このツケというものがこれから回ってくるわけです。本来ならこれをどう証券局が重大に考えて、どう見ているかというのを聞きたいところでありますけれども、時間がありませんので、問題の重要性だけを指摘をして、私の一つの提案をしたいのであります。
 言うまでもなく、現在発行市場というものは事実上機能しなくなっておるという大変いびつな情勢になっておるわけでありまして、株価が低迷をしている。その根底には、何といってもこれだけ異常に発行された株というものが売り圧力になっていることは言うまでもないわけでありますし、先ほど出ましたように、新たにこれが、ワラントも行使されない、転換社債も転換されないということになりますと、償還資金というものが当然のことながら必要になってくるわけでありまして、九三年のピークが九兆七千億円、約十兆円近い新たな資金が必要なのではないかという計算がされております。
 それから、この借りかえによります金利負担増が三年間で六千二百三十六億円という、これは全国の上場会社の経常利益の三・二%という重い負担になってくるという計算もされておるわけであります。当然、先ほどお話があったように、外貨建てが随分ありますから、スイス・フラン等が一番多いわけでありますが、これは今のように円高の場合には為替差益が出てまいりますけれども、しかし事によってはリスクが出てくる可能性というリスクを企業が負うことになるわけであります。
 もう一つ、細かいけれども重要なのでありますが、プットオプションつきのスイス・フラン建ての転換社債がございますね。これが、ある期間が来たら割り増しで期間前に償還をしなければならないという、プットオプションがついていますから、そういう意味では恐らく、これがみんな早目に回収してくださいということになりますから、九百五十億円の余分な負担がふえるというのが懸念されておるわけであります。
 これは、今のように株価が右下がりで下がったという場合でありますけれども、上がっても、実はこの大量のエクイティーファイナンスのツケというのが出てくるわけであります。潜在資本というものが顕在化してくるわけでありますから、この二十七兆円と言われます過剰なエクイティーファイナンスが株価にして約三百二億円、上場株式数の八・八%という計算になってまいりますから、当然新たな配当コストというものが出てくるわけですね。これが当然ふえてくる。そして株主資本配当率も九〇年度並みの二%というものを維持しなければならぬといいますと、八千億円という新たな、企業がこれだけもうけを出さなければいかぬということで、配当金が負担になる。八千億円というのは九〇年度の配当総額の二七%、四分の一以上という大変な金額になるわけであります。
 そこで、今局長が言いましたように、今度証券業協会が「有価証券の引受けに関する規則(公正慣習規則第十四号)」というので、引受会社が自主的な判断と責任でしなさいよという非常に重い――その意味では評価をするわけでありますが、「引受業務の適正な運営、投資者の保護、資本市場の健全な発展」ということで、特に重要なことは、この第十四号の第三条、「引受けの審査」「協会員は、引受けを行うに当たっては、当該発行会社が将来にわたって投資者の期待に応えられるか否か」つまり転換社債、ワラントなどが転換できるか、行使できるか、そういった投資者の期待にこたえられるか否か。「及び当該発行が資本市場における資金調達としてふさわしいか否か」つまり量的にどうかということの観点から、当該会社の「財務状態・経営成績、株式等の発行数量・発行額、株価等の動向、過去に発行された株式等の状況、調達する資金の使途こ本当に設備投資に使われるのかどうかというような、「調達する資金の使途、利益配分状況」配当性向等と思いますが、「利益配分に関する考え方等について厳正に審査」をしなさいということで、後の方には、配当性向が一株当たり五円以上あるいは直前の事業年度における一株当たりの税引き後経常利益が十円以上なければいかぬとか、それから数量につきましても、発行株式数の一五%とか、時価転換社債、新株引受権つき社債の場合は二〇%を超えてはならないというような数量的な目安がついておるわけでございます。
 いずれにしろ、これはいわば発行体と協議をします引受証券会社がしっかりしなさいよということに尽きるわけですね。確かに私もそうだと思うのです。
 しかし、重要なことは、引受証券会社の場合には、そこで手数料をいただくという発行会社との利益共同体的な、表現は正しいかどうかわかりませんが、機能を持っているわけですね。当然証券業協会の中でそれだけ厳しく審査をしたかどうか、後で余りにも過剰だったんじゃないかという場合には、証券業協会の規則に違反をしたということで罰則を受けるわけでありますけれども、一つ私は欠けている観点というのは、確かにその部分部分で発行体と引受証券会社とが一体になって本当に市場の状況やらあるいはその発行体自体がそれだけの健全な企業かどうかということを十分審査をする、その部分でそれだけの責任、自覚を持ってやってもらうというその部分は正しいけれども、一体市場自体が命どれだけ飽和状況にあるかというのは、それを十分審査をしなさいということは、今読み上げましたように書いてはあるけれども、引受証券会社自体がそれだけ本当に全部掌握をして、そして全部その責任を持ってやることができるだろうかということについて私は大変疑問を持っております。だからといって局長が言いましたように、全部そこで発行市場というものを行政の枠をかけて、いわば免許制というか、要するに何月はこれだけしか発行してはいけませんよということは、これは統制経済的で本来あるべきではないと私も考えるわけであります。
 そこで、何かそういったものがビルトインスタビライザーのような、異常なものになった場合にはいろいろな意味で圧力がかかる、例えば先物市場が異常な活況になった場合には保証金を上げるというようなことをやって冷やす役目になっておるわけでありますが、今後のためにも、このエクイティーファイナンスこれ自体は決して悪いことじゃないけれども、このような発行市場を事実上機能麻痺をさせたような状況、そして今後の証券市場、金融市場を考えますと、大きな禍根を残した、これだけの事態を迎えてしまった一つのこの結果というものを、奇貨とするという表現をすると怒られるかもしれませんけれども、単なる証券会社にそれだけの重荷を背負わせるだけではなくて、証券業協会がいいのかどこがいいのかわかりませんが、もう少し自動安定調整装置のようなものを、例えばクーポンの率でやるのが本当にできるかどうか、私もまだ今研究中なのでありますけれども、何かそういう機能というものを、これだけの事態を迎えたら次の糧にするために考えるべきではないか。
 今申しましたようなこの公正慣習規則第十四号というものでやらなかったのは全部証券会社が悪いのだと言うだけで、証券会社の置かれている発行体との関係におきます、そして手数料をいただくという弱い立場にある証券会社だけにすべて責任を負わして、本当の意味で、私は別に証券会社の肩を持つという意味じゃなくて、本当にこの大変な事態を招いた状況を次には起こさせないということはできるだろうかどうだろうかということについては、十分今後研究する必要があるのではないかというふうにつくづく感ずるわけでございますが、いかがでございますか。
#195
○松野(允)政府委員 まさに御指摘のとおり、発行市場における自動調節といいますか、行き過ぎた資金調達が行われないようにするにはどうしたらいいかというのは、私どもも非常に、どういう方法が適当かというのをいろいろと考えているところでございます。
 その一つは、今御指摘のありました証券会社に課しているルールでございますけれども、やはりそれだけでは必ずしも十分ではない。発行会社と証券会社の関係というのはそう一朝一夕に変わるものではございませんし、証券会社の体質を完全に変えてしまうというのもなかなか難しい問題でございます。そういったことからいいますと、いろいろな手段を組み合わせるしかないのではないか。
 例えば私ども、できればこの引き受けの場合に多くの証券会社を参加させる引受シ団を組むのはどうか。これは、市場の消化力というものの判定。に対していろいろな証券会社が意見を言えるような仕組みを用意するというようなことも一つ考えられるわけでございますし、あるいは発行会社にコストの負担を感じさせる、つまり配当政策を見直す。やはり配当というものが、エクイティーファ牛テンスというのもかなりコストの高い調達手段であるというような認識を持ってもらう必要もあろうかと思います。さらには、競争を促進して発行市場における引受機能というものを強化できないかどうかというようなことも考えているわけでございまして、私どももいろいろな手段を複合して、先ほど申し上げたような発行市場における価格機能といいますか、市場機能が働くような方策を考えているわけでございますが、なおいろいろと御示唆をいただいて、検討してまいりたいというふうに思っております。
    〔中川委員長代理退席、委員長着席〕
#196
○佐藤(観)委員 終わりますけれども、今局長から言われましたように、本来ですと証券業協会が三月二十四日に出した「引き受けに際し協会員が遵守すべき発行会社の利益配分に関する事項一というものとも含めてやりたかったのでありますが、時間がありませんので、きょうはそれを省かせていただきますが、このエクイティーファイナンスの過剰発行の問題については、次回にはこういうことが起こらないような手だてというものはやはりもっとお互いに研究していく必要があると思います。
 なお、残余の問題につきましては、金融改革のときにもう一回じっくりとやらせていただくことを申し上げまして、私の質問を終わります。
#197
○太田委員長 宮地正介君。
#198
○宮地委員 私は、先日の本会議でも総理初め大蔵大臣に、今回の証券取引法の改正並びに金融制度改革について質問をさせていただきました。
 きょうは証券取引法の改正を中心とした議論でございますが、まず、現在の株価が非常に低迷をしております。景気も非常に今鈍化をしているわけでございます。こうした経済環境の中で今回の証取法の改正あるいは金融制度改革が行われるわけでございますが、まずこの株価の低迷の原因、また景気の今後の推移、そうした経済環境の中において、今回のこうした改革案について、大蔵大臣はどういうような見方をされているのか、その点からお伺いをしてまいりたいと思います。
#199
○羽田国務大臣 ちょっと、その前に大変恐縮でございますけれども、先ほどの佐藤委員の方に申し上げました、諸国が日本の財政事情についていろいろ云々するというところで、私が中央政府とたしか言ったような気がするので、中央政府ということで申し上げたと思いますが、一般政府というふうに訂正をさせていただきたいことをお願いしておきたいと思います。
 今、宮地委員の方から御質問のございました点につきましては、先ほど来申し上げてまいりましたけれども、やはりまず第一の問題としては、今まさに御議論のございましたエクイティーファイナンス、これが相当量が多くなったということ、これが圧迫要因になっているということが一つであろうと思いますし、またバブルが崩壊したというようなことで全体的に景気が低迷しておるというようなこと、業況判断、いろいろなところからそういったことが言われておること、これがやはり一つの低迷の要因であろうと思っております。しかし、やはり一番の問題というのは、例の損失補てんということで、大口の方だけが特別に扱われたということに対する一般の投資家の方あるいは小口投資家の方からの非難というものがありましょう。それからもう一つは、いわゆる市場離れというものがあろうと思っております。それと、最近の飛ばしというのがまた残滓として表面に出てきておるということが、これはやはり大きな市場離れの要因であろうというふうに思っております。
 そういうことから考えましたときに、私どもは、やはりまず信頼を回復するということが何といっても重要なことであろうというふうに考えまして、今この法案について御審議をいただいておるところでございまして、こういったものが整備されたときに再び市場に対する信頼というものを確保することができるんではなかろうか。そういう中に、株価の活況というものを呈してくるであろうということも言えると思っております。
 それから、景気の把握のことでございますけれども、確かに現在の景況というのは、いわゆる企業家マインドを中心にいたしまして冷え込んでおるということ、それで実際にもういわゆる在庫の調整過程あるいはストックの調整過程にあるということで、厳しい状況にあるということが言えると思います。
 ただ、私どもといたしましては、この三月三十一日にとりました緊急経済対策あるいは四月一日に第四次目の公定歩合を引き下げたということ、それから十四日から予算を前倒しし執行していこうということ、こういう措置をいたしたということ、こういったことの効果の発現というものが出てくるということは、私どもは予測されるわけでございまして、その意味で、この時期が一体いつごろかということになると、これは非常に難しいことであろうと思っておりますけれども、私は、今の住宅建設が復調しておること、あるいは一部の資材等について在庫の調整も割合と進んでおるという現実を見ましたときに、そんな遠くないうちに一つの方向というものが、兆しか見えてくるんじゃなかろうかというふうに考えておるところであります。
#200
○宮地委員 大蔵大臣はある意味では非常に楽観的に見ているのではないか。既に御存じのとおり、四月の貿易黒字も十六カ月連続で大変に増加をしてきております。対外的にも、日本の内需拡大というのが今回のOECDの閣僚の理事会でも出されているわけであります。しかし一方では、特に中小企業を中心とした企業の倒産もこの四月では千二百三十九件ということで大変な悪化をしているわけであります。その負債額も約一兆円近い。大臣が、予算が成立し前倒しもした、あるいは公定歩合の再引き下げをした、もう少し様子を見てみたい、気持ちとしては私は理解できるわけでございます。しかし、日本経済は大臣の思うような方向に比べて、むしろ非常に厳しい悪化の状況に今あるわけであります。対外的には、今申し上げましたような大変な黒字である。そして、やはり日本は先進国として今後世界経済の牽引車になってもらいたいという期待がヨーロッパを初めアメリカなどからも表明されているわけです。こうした内外の経済環境、情勢というものを見た場合に、少なくとも参議院選挙が終わって間近い時期に臨時国会を召集して大型の補正予算を編成していく、やはりそうした認識をしっかりと持つべきではなかろうか。一現段階ではなかなか言いにくいと思いますが、やはりそうした認識を財政当局がしっかり持って先手を打っていきませんと、大変に後手に回って、結果的に国益にもあるいは国民生活にも多大な影響が出てくるのではないか、私はこのように危惧をしているわけであります。
 もう一点は、平成元年度以来、あの消費税導入のときの税制改革によって累進税率など種々の税制改革を行いましたが、この三年間、賃上げあるいは物価の上昇、こういう面から勤労所得者の可処分所得というものが今非常に目減りをしてきております。大蔵省の試算でも、この三年間で約七千億円の可処分所得が目減りをしている、こういうようなデータも出ているわけでございます。大型補正を組む、そうした内需拡大型の編成の中で、やはり思い切った所得税減税も視野に入れて、でき得れば大型の補正予算の編成の中からスタートを切っていくべきではないか、来年度、平成五年度の予算編成の中では当然実行に移すべきではないか、私はこのように考えているわけでございますが、この二点について大臣の見解を伺っておきたいと思います。
#201
○羽田国務大臣 確かに今日の業況判断というものについて、私たちも厳しい中にあっていろんな兆しか見えてきているということを思いつつも、実際にどんなふうに動いていくのか、これはやはり一つずつきめ細かくチェックしていく必要があろうというふうに考えております。
 ただ、私どもといたしまして考えなければならないのは、今日まで景気というものが落ち込んでおるということ、この状況というのは数年前に比較してみたらどうなのかといいますと、決してそんなに低い水準じゃないということでありますね。ですから、今までと同じようなものをただ取り戻そうということでは実際にこれは無理であろうということで、私どもといたしましては、この調整局面というものはやはり避けて通れないものだろうと思っているのです。ですから、在庫等について調整をするあるいはストックについても調整をしていくということでなければ、逆に例えば輸出等についてのドライブがかかっていってしまうであろうというふうに私は考えております。
 そして、そういう中にあって今公共事業等についても財政出動を世界から求められておるということでありますけれども、しかしこういうものの底に流れるものといたしましては、OECDですとかIMFですとか世銀、そういったところの皆さん方の見方というものも、各国ともやはり財政を健全化しなければいけないということが実は指摘されておるわけであります。我が国の今の財政状況についてるる申し上げることは控えますけれども、やはり非常に厳しい状況にあるということ、それから先ほども申し上げましたように、一般政府という立場からあれしたときにも、年金等の需要はこれからさらに大きく加速がかかってくるであろうということ、これを念頭に置かなければいけないといったときに、やはり安易な財政出動というものは私たちは控えなければいけないんじゃなかろうかと思っております。
 また、こういったものを刺激するためにというお話が今あったわけでありますけれども、目減りといいますか、いわゆる可処分所得というのは厳しくなっているというお話であります。今物価が二・一、二%ぐらいに対して、ことしの賃上げというものも四%を少し高いぐらいのところで今推移しております。これは四・五%前後ということを申し上げてもいいのかもしれませんけれども、可処分所得より高い伸びで実は伸びておるということでございまして、私はその面でも消費というものは、これからもある程度堅調に進んでいくんじゃないかなと思っております。ここでもし所得税減税をやるということになりますと、そのための財源を一体どこに求めるのかということがやはり大きな課題になってまいりますでしょうし、また所得税につきましては、六十一年、六十二年にとりました措置によりまして、課税最低限というものも非常に高くなって、世界の中でも、先進国の中でも最も高いところにありますし、あるいは税率につきましては最も低いところにあるんじゃなかろうかというふうに考えましたときに、今所得税の減税をやるということは、むしろ日本全体の将来の経済運営にとって決してプラスになっていかないんじゃなかろうかというふうに私どもは考えておるところであります。
 しかし、いずれにいたしましても、景気の動向等につきましては、これは生き物でありますから、よく毎日毎日の動きというものを十分我々も把握しながら、でき得る対応というもの、きめ細かな対応というものはきちんと進めていくべきであろうというふうに考えております。
#202
○宮地委員 所得税減税についての大蔵大臣の見解は非常に消極的なんですが、やはり経済の基本的な原則、ルールからいけば、消費性向を高めるということは景気対策の非常に重要な柱なんですね。消費を喚起させていく手段としては、所得税減税が今までの経済原則から見てもやはり一番有効的である。これをやることがまた財源のはね返りにも十分なるわけですから、大臣、今から所得税減税はノー、余り効果がない、こういう見方は、十分慎重にされた方がいいのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。大型の補正予算を組んでいく場合に、平成四年度の財政状況を見れば、当然これは建設国債の発行というものも十分検討の視野に入れていかなければならないわけです。そういう点で、やはり公共投資を重視した中での内需拡大、これは先ほどもお話ありましたが、人手の問題とかいろいろあります。しかし、消費を喚起していく、消費性向を高めていくためには、やはり国民の懐の中身を豊かにしていくこの所得税減税というものの効果については、私は大臣と違った立場の見解をもっているわけでございます。
 そこで、私ども公明党は、過日、まず一兆円を超えた減税を実施をすべきではないか。そういう中で、基本的には今後の所得税法の改正の中で、いわゆる給与所得控除の最低控除額の引き上げ、現行六十五万円を七十五万円に引き上げるべきではないか。あるいは基礎控除の現行の三十五万円を四十五万円に引き上げるべきではないか。これをやりますと、まさにパート減税についても、現行百万円から百二十万円に連動するわけであります。
 もう一つは、現在の扶養控除の中において、子育て減税というのを我々は主張しておるわけです。現在、教育費控除という意味合いの中から、十五歳から二十二歳の高等学校、大学については、三十五万円の扶養控除を四十五万円、配偶者控除より十万円アップしてあります。我々としては、六歳未満、ゼロ歳から六歳までのところの扶養控除を三十五万から四十五万円に十万円アップして、この子育て減税というものも一つの方法ではなかろうか。
 こういうような提言を含めて、中高年層のそうした可処分所得の物価調整減税的なものと、もう一つは、消費を喚起するための、景気浮揚のための、そうした一石二鳥をねらった有効的な施策ではなかろうかと、まじめに我々は積算をして提言させていただいておるわけでございます。この点について大臣、もう一度御見解を伺っておきたいと思います。
#203
○羽田国務大臣 確かに景気をてこ入れするためということ、そういう中で、消費がやはり減退しているのじゃないかという御指摘があったわけでございますけれども、俗によく言われるのですけれども、個人消費というのは本当に景気の足を引っ張っているかということでございますけれども、確かにここのところ、額の面では少し低下しておるという現状があります。しかし、先ほども申し上げましたように、雇用者所得というものが着実に伸びておるということでございまして、量の面では決して消費の方は減退しておらないだろうというふうに思っております。そして、金融資産そのものも、国民の中には一千兆とか、今郵便貯金だけでも百五十数兆円というものが実はあるということが言われておりまして、そういうことから考えたときに、個人の蓄積というものが今ないから消費の足を引っ張ってしまっているのだというのも、私はちょっと違うのではないかなということを率直に申し上げさせていただきたいと思っております。
 今御提言のございましたパート減税ですとか、あるいは子育て減税ですとか住宅減税その他今お話があったわけでございますけれども、ともかくこれは多額の減税財源というものを要するということを考えましたときに、これを今やることは、結局将来にツケを残してしまうのじゃないのかということを申し上げざるを得ないということと、あるいは税負担の適正ですとか公平の問題、こういう中にも問題を提起してくることになるのじゃなかろうかということで、お気持ちは、私は心情的にはわからぬことないわけでありますけれども、しかし、今それらをやるときではないのじゃないのかなということを率直に申し上げさせていただきたいと思います。
#204
○宮地委員 この議論は、もう少し時間がたって、また秋の臨時国会ぐらいのときにゆっくりと、結果が出ますから、これはしっかりやって、大臣の見解が正しかったかどうか、この結果はいずれ時間がきちっと解決すると思いますので、どうか後手に回らないように、大蔵当局としてもきょうの議論をしっかり踏まえて、先手を打てるような認識をしっかり持ちながら対応をお願いしたい。きょうは要望にとどめておきたいと思います。
 そこで、具体的に、今回の改革案の中の証券取引等監視委員会の中身について少し議論をさせていただきたいと思います。
 今回の証券取引等監視委員会、これは国家行政組織法の八条機関になっております。そういう中で、まず一つは告発ができる。いわゆる裁判所から令状をとって立入検査、強制調査ができる、こういうようになっているわけでございます。
 まず、伺いますが、今回のこの委員会の陣容が八十四名ですが、この陣容で対応するおつもりなのか、この点から確認しておきたいと思います。
#205
○小川政府委員 委員会は、委員長ほか委員二名、合計三名で構成することとしておりますが、その事務を処理するために専属の事務局を置くことにいたしております。
 事務局の員数といたしまして合計八十四名ということを考えておりまして、このほか、地方における委員会の活動を財務局が支えますが、そこまで入れますと約二百人の陣容ということになるわけでございます。
#206
○宮地委員 この八十四名の事務局の中で、いわゆる証券Gメンと言われる、国税庁でいうならマル査的な陣容は何名になりますか。
#207
○小川政府委員 委員会の事務局は、お尋ねがありましたように、犯則事件の調査等を担当する課と、いわゆる証券会社に対する立入検査等を担当する課の二課を置くことにいたしております。そのうち、いわゆる犯則事件の調査を担当する者は二十三名程度、委員会の事務局八十四人のうちの二十三名程度と予定いたしております。
#208
○宮地委員 二十三名の証券Gメンといいますか、陣容ということですが、果たしてこれだけの陣容で今後、今回のような証券不祥事の事件あるいは金融不祥事の事件に対する再発防止、これが事実上機能するのかどうか、国民の期待に沿ってこの委員会が動くのかどうか、これは私は非常に危惧するところであります。
 国税庁においても、これはいわゆる税務査察でありますが、少なくとも令状をとるまでにそれなりの時間と労力をかけて内部調査、普通内偵と言うようでありますが、こういうものが相当な時間と労力がかけられて、その結果、裁判所から令状をとって立入調査に踏み込むわけです。
 今回の一連の不祥事件、先ほどから証券局長お話しのように、株価操縦的なものにしても非常に巧妙であります。この二十三名の陣容で国民の期待に沿った対処が果たしてできるんであろうか。国税庁は全国の税務署を持ちながら約五万二千名の陣容です。当然マル査の陣容は限られております。しかし手足がしっかりしております。アメリカのSECにいたしましても二千名の陣容です。ここも非常に手足がしっかりしておる。今回形はできましたけれども、本当に国民の期待に沿った再発防止の機能が、特にこの告発というところについて十二分に果たせるのかどうか、私は非常に心配と危惧をしております。ましてや財務局の委員会を入れても二百人。恐らくこの中心は事務局二課の二十三名、まず物理的に、そうした告発に至るまでの機能、運用、こういう点について大丈夫なのかどうか、これが一点。
 もう一つは、それじゃ、この二十三名と言われる方々の経験とか資質、こういう点ほどうなんだろうか。今後この監視委員会がそうした立入調査、告発をしていくためのそうしたGメンの教育訓練、養成、国税庁には税務大学校というのがありますが、そうした一つの機関というものも検討していく考えがあるのかないのか。この八条機関であるいわゆる証券監視委員会というものは、形はできたけれども、国民の期待に沿って機能、運用面で果たして大丈夫なのかどうか、この点についてまず大蔵当局の明確な答弁を求めたいと思います。
#209
○小川政府委員 まず二十三名の陣容で十分であるかという点でございます。
 この点につきましては、御指摘のとおり、この陣容で犯則事件のいわば内偵に相当する、そういった事件が進行中であるかどうかということについて内々の調べをつけるわけでございまして、その陣容につきましては、当然証券取引法あるいは証券取引についての知識、そのほかそうした強制調査についての知識あるいは経験を積んでいなければならないということから、中心は現在の大蔵省証券局の職員でございますが、そのほかにも検察であるとかあるいは国税庁の査察といったところと人事交流をお願いしようと思っているわけでございます。これらの職員につきましては、それ以外の一般の者も含めましてでございますが、委員会が発足いたしましたら研修を重ねまして、そうした意味で新しいノウハウも積み重ねていく必要があると思っております。
 なお、現実に裁判所の令状をとって、そして強制調査に入るという段階におきましては、これはこれだけの陣容では足りないということでございまして、現実問題といたしましては委員会の事務局のもう一つの一般の検査を行うところも、恐らくはこうした強制調査着手のようなときには援軍となる必要があろうかと思っております。
 第二点といたしまして、SECと大分違うではないかというお話でございました。
 承知いたします限り、SECでは二千人のうちの約四割程度がこうしたいわば強制調査に相当するところを担当していると聞いております。かの国ともちろん実態の事情が違うと存じます。さらに、こうした委員会が強制調査権を持ってスタートするということが我が国における証券取引に犯則行為を起こさせない一般的な牽制効果が大きく期待できるのではないかというふうに思っているわけでございます。
 第三点といたしまして、国税庁の査察調査の場合には相当大きなスタッフがあり、バックアップがあるという点はそのとおりであろうかと存じます。恐らく税務との違いと申しますと、脱税、適脱といったようなことは、いわば継続的な経済行為の中で続いているわけでございまして、これを、納税者がいろいろな誘惑に駆られるというものをどう税務行政全般で抑えていくかということであろうかと思います。片方、証券犯罪の方は、これは先ほど来お話ありますように、市場における価格形成が不審であるといったようなところが大きな端緒になりますように、とかく風評としてもとらえやすい点もございます。
 そういったところから、陣容の大きさには違いがございますが、今回の問題を契機として、こうした強制調査権が与えられ、そして特別の部門ができるということは、今後における取引の公正の確保を図る観点から大いに期待できるものと確信している次第でございます。
#210
○宮地委員 今審議官お話しのように、いざ立入強制調査というときには一般の事務局も合わせてと。大体直接脱税等の国税の査察とは性格なり性質が異なるにせよ、大体この強制調査の場合には普通四十名程度ですね、一班編成というのは。この二十三名のGメンのメンバーですと、恐らくこれ、一回出動してしまうと一つの案件でもう取りがかりになってしまう。一般の事務局の方を入れないと当然足りないと思うのです。そうすると、実際にそうした悪質な案件が出たときに、どの程度この強制調査令状をもって対応できるのかな。少なくともこれは何班かやはり編成をしておかないと、これからやはりこの証券の問題についても中身は非常に巧妙になってくると思うのですね。それなりにこちら側もそうした資質を整えた調査官というものもやはり私は必要だと思うのです。
 そういうことを考えますと、やはり人的な面において、質の面、量の面ともに、まあ発足当初についてはやむを得ないにせよ、今後やはりこれは国際化していくおそれもあるわけですし、一つの機構という組織はできましたけれども、むしろ中身の充実、このための今後の拡充というものもやはり大変必要だと思うのですね。この点についても配慮されているのかどうか。先ほど言ったような国税の税務大学校のようなそういう教育機関、こういうものも十二分に検討していく必要があると思いますが、そういうようなものについてもお考えを持っているのかどうか。やはり相当な今後の対応をしていきませんと、組織はつくったけれども、実際には抑止力だけで現実的には余り機能しないというのであれば国民の期待を裏切ってしまうんではないか。今あなたもおっしゃったように、アメリカは約八百人いるわけですから、日本は二十分の一ですね。そういうことで大丈夫なのかという心配をしているわけです。この点について簡単に御答弁いただきたいと思います。
 もう一つは勧告の問題ですね。今回、この委員会が検査をして、そして行政処分はこの委員会はできない、大蔵大臣に勧告をする、大臣はその勧告を尊重しなければならない、こうなっているわけですね。私は、少なくともこの証券委員会――行政処分は八条機関でも可能なわけです。八条機関はできないというわけではない。免許権は証券局が持って、大臣が許認可権を持っておりますが、免許権の取り消し等までは委員会が持てとは言いませんが、少なくとも自分たちが検査をして、これは行政処分に値するな、悪質だな、告発まではいかないにせよ、強制調査権を発動するまではいかないけれども、何らかの行政権として、結果として営業停止とかあるいは役員の解任とか、その程度の行政権というものは委員会にあっても決しておかしくないのではなかろうかというふうに感じているわけでございます。
 まず、その点の行政権の行使の問題と、勧告についても、これは大蔵大臣、大事なんですから直接御答弁いただきたいのですが、勧告を受けたら尊重しなければならないということは、やはりスピーディーに行政処分を今度は実行する、ここが大事なところだと思うのですね。監視委員会が検査をした、勧告をしました、大蔵大臣の方は間があいてしまったというのでは非常に有効的な機能にはならない。この勧告と大臣の行政処分というのは表裏一体でさらにスピーディーに措置すべきである、私はこう思っておりますが、この点については大臣から見解を伺っておきたいと思います。
#211
○羽田国務大臣 御指摘のように、勧告を受けたら私どもといたしましては、相手方の方から審問するという手続は経ますけれども、今御指摘のありましたように、適切にこれを有効あらしめるために迅速にやるということは大切なことであろうというふうに認識をいたしております。
#212
○小川政府委員 第一点の職員の水準を少数精鋭でどうやってレベルアップするかという点につきましては、もとより初めて強制調査ということを行うわけでございますから、その水準を上げていくのには、研修等によって時間の経過とともに上がっていくわけでございます。さしあたり、大蔵省の中で財政金融研究所というのがございまして、ここでかなりきちっとした研修システムを持っておりますので、その中にこの委員会の事務局職員の研修というのも位置づけていきたい、そういうところで訓練をしてまいりたいと私ども思っております。
 なお、行政処分権の問題につきましては、これは委員会において検査あるいは調査を行い、行政処分は大蔵大臣が処分権を持つ。今大臣から申し上げましたように、それを尊重して手続を進めるということにいたしておりますが、検査というものがどこまでも監督行政を全うするための重要な手段であるというところから、やはり監督行政と検査という行政は一体性を持つ必要がある。
 ただし問題は、検査あるいは監視をする、その独立性と申しますか公正性と申しますか、あるいは世間から見ての透明性というところが問題でございますから、これを大蔵大臣のもとで、証券局ではなくて独立した委員会、いわゆる八条委員会において行う、そして最後に必要な処分等が確実、的確に行われるということが全体としての信頼を回復するゆえんでございますから、大蔵大臣はその勧告を尊重するという手順が法律に示されているわけでございます。
#213
○宮地委員 あと一点、大臣、この委員長と委員の二名、今回の不祥事件の一つの大きな問題になったのは、余りにも証券会社に大蔵省のOBが天下りをしている、こういう誤解を非常に国民から受けているわけです。まさか、この委員長や委員二名、ここに大蔵省のOBを配置するような考えはないでしょうね。これはもちろん両院の了承をとって大臣が任命するわけですが、事務局としてどういう人を人選するか。そうした人選の原案の段階においてOBを入れることはないと思いますが、そうした点についてはどういう考えを持っておりますか。また現在、委員長の人選についてはどう進められておるのか。この点について伺いたいと思います。
#214
○羽田国務大臣 実務に通暁しているというような理由で、大蔵省OBであっても適当な人がいれば委員に選任すべきであるという御意見というのはないことはありませんけれども、しかし、委員会を設置することとした経緯などに照らしたときに、少なくとも当面は大蔵省関係者を委員に充てるということは、やはり見合わせるべきであろうと私ども思っております。そして、今それについては、この法案がまだ通過してないという段階において、私どもが作業を進めておるというものではないということだけは申し上げておきます。
#215
○宮地委員 大変意味深な答弁で、当面はということで、では将来は入ってくるのかなという感じがするのですが、少なくとも監視委員会という中立公正な委員会でありますから、国民から誤解を招くような人事はやるべきでない、私はこう思いますので、その点については十二分に配慮をして今後の人選に当たっていただきたいというふうに強く要請をしておきたいと思います。
 時間も迫ってまいりましたので、もう一点確認しておきたいのですが、今回の改革案で、大量推奨販売ですね。この大量推奨販売のところは、今までは省令で禁止しておりました。そして行政処分、こういうことで対応してまいりましたが、今回法律に格上げをされました。たしか五十条の一項の五号だと思いますが、法律に格上げをされたけれども、実際に罰則の扱いにはなっていない。この点はどうしてこのようになってしまったのか。恐らく構成要件が難しいとかいろいろとおっしゃるかもしれませんが、それならば構成要件に、つくるように努力をすべきではなかったか。この点について確認しておきたいと思います。
#216
○松野(允)政府委員 いわゆる大量推奨販売につきましては、東急電鉄株の問題をめぐって問題になったわけでございます。今回の法律改正案を考えますときに、東急電鉄株の事例を参考にいたしまして、現行法では、行き過ぎた大量推奨販売は、そういう業務体制を是正するというような間接的な禁止行為になっているわけでございます。しかし、行き過ぎた大量推奨販売といいますのは、公正な価格形成をゆがめるおそれがあるということが言えるわけでございまして、そういった観点からいいますと、公正な価格形成をゆがめるおそれがある行為だということで、行為そのものを禁止行為にするというのを今回の法律改正案に含めているわけでございます。その際、これを五十条の行政処分の対象となる行為にしているわけでございまして、罰則をもって禁止する行為にはしておりません。
 いろいろと私どもも検討したわけでございますが、今御指摘がございましたように、非常に構成要件が難しいという問題、それから、これはやはり行き過ぎた大量推奨販売というものをとらえる場合に、証券会社の営業の実態、あるいは市場におきます取引の執行状況、あるいは市場におけるシェアというような、いろいろなものを考えて総合的に判断をして行うわけでございまして、そういったことから申し上げますと、罰則の対象とした場合には、かなり適用される行為が限定されてしまうおそれがあるのではないか、やはり証券会社の営業のやり方ということに関連している行為でございますので、機動的に、かつ総合的、今申し上げたようないろいろな要素を総合的に勘案して発動できるようにする方が、より投資者保護に資するのではないかというような考え方をとったわけでございます。この行為自体を禁止行為にいたしましたので、現行と違いまして、一番極端な場合には免許の取り消しを含む行政処分ができるわけでございまして、そういう意味では現行の是正命令よりははるかに厳しい行為ということで、証券会社の営業についての十分な抑止力となり得るというふうに考えているわけでございます。
#217
○宮地委員 行政処分の方が厳しいという言い方でございますが、やはりこれは罰則の対象にして、少なくとも刑事事件に持っていくような、やはり告発をしていく方が社会的制裁は厳しいわけですから、その辺の認識を持って、今後しっかりと対応、対処していただきたい。これも強く要請しておきたいと思います。
 最後に、答申と今回の法案の関係については、私なりに若干後退しているのではないか。平成三年九月十三日の臨時行政改革推進審議会においては、新たな検査・監視機関の任務及び権限というところにおきまして、「監督行政のための検査計画、検査実施方針等検査に係る基本的事項の決定」ということで、この監視委員会が、検査の計画、実施の方針の決定をすべきではないか、こういう答申が出されていながら、今回の政府案の大蔵省設置法第二十一条によりますれば、まさにこれは決定の事項が抜けているわけです。「大蔵大臣は、毎年、検査の実施方針その他の基本的事項について委員会に諮りこいわゆる委員会に諮問をして、「その意見を聴かなければならない。」こういうことですから、委員会としては、検査の計画とか実施方針については、大臣から諮問を受けて答申をする、こういうように一歩弱まった、後退をしている。私は、法律をつくる立場からすれば、やはり答申というもの、諮問機関の答申というものは最大限尊重して法律をつくるべきであると思うのですが、なぜこのようになったのか、この点について確認をしておきたいと思います。
#218
○小川政府委員 御指摘のとおり、二十一条では、基本的事項について委員会に諮って、「その意見を聴かなければならない。」ということでございますから、法律の条文上からは、当然のこととして大蔵大臣はそうした義務を負っているわけでございます。その限りにおいて、委員会は、これらの基本的事項について意見を述べることができる、そういう立場に立つわけでございます。
 あと残りますのは、確かに行革審答申において「決定」という言葉が使われていることと、こういう「意見を聴かなければならない。」という法律構成に食い違いがあるかという点でございますが、私どもは、この行革審答申をそのまま尊重して法律に置きかえた形がこういうものであるというふうに考えております。と申します意味は、金融機関等の検査を行います主体はどこまでも大蔵大臣であり、金融検査部ということにいたしておりますので、その方針、あるいはどういうふうに検査をするか、何を検査するかという最終的な決断はどこまでも大蔵大臣の責任でございます。しかし、それを決めるに当たっては、この基本的事項を行革審答申では委員会が決めなさいと言い、それを法律では大蔵大臣は意見を求めなければならず、委員会はそれについて意見を述べることができるという形に置いたものというふうに御理解いただきたいと存じます。
#219
○宮地委員 そういう、今までいろいろ御覧。関してきた中で、八条機関の限界といいますか、やはり三条機関との違いというものが各所に出ているのは事実であります。
 今回の証券不祥事件において国民が最も期待したことは、やはり大蔵省から独立した、そうした再発防止、できれば三条機関的なものにしてもらいたい、こういう声が非常に強かったわけであります。しかし、今回は、答申あるいは法案において八条機関でこうして国会で議論されておるわけでございますが、要は二度とこうした証券不祥事が起きないように、この法律をもとにして今後国民の期待にどうこたえていくかであろうと思います。その点についての決意を大臣から伺って、質問を終わりたいと思います。
#220
○羽田国務大臣 この委員会というのをつくるということ、そして、この法律を御審議をいただくというのは、まさに証券市場というものに対して信頼を取り戻さなければいけないということであろうと思っております。その意味で、せっかくこの八条委員会で設置をするということを決定していただいたならば、私どもは、その目的とするところに向かって適切にこれらを運用し、対応していきたいということを申し上げたいと存じます。
#221
○宮地委員 終わります。
#222
○太田委員長 正森成二君。
#223
○正森委員 今度の証券監視委員会をつくるに当たりましては、証券スキャンダルが一つの大きなきっかけになったことは御承知のとおりであります。そこで私は、各委員が非常に詳細な議論を展開されましたので、初めに返って、そもそも論から伺いたいと思います。
 昨年明らかになりましたが、証券会社は一体だれに補てんしたんですか。企業が圧倒的に多かったわけですが、その補てんした企業のうち、証券会社が引受業務等について幹事証券をやっていた割合はどれぐらいあるか、四大証券について答えてください。
#224
○松野(允)政府委員 昨年公表されました損失補てんの先について、大手四社について見ますと、損失補てん先のうちの事業法人の数でございますが、野村証券が二十五社、日興証券が三十一社、大和証券が三十六社、山一証券が四十二社ということになっております。そのうち証券会社と幹事関係にある事業法人の数でございますが、これは、野村証券が二十五社のうち十八社、日興証券が三十一社のうち二十九社、大和証券が三十六社のうち三十三社、山一証券が四十二社のうちの二十六社ということになっております。
#225
○正森委員 今お答え願ったように、幹事証券の比率が非常に大きいですね。
 証券局長、念のために伺っておきますが、幹事証券の中には、四社が横並びで全部なっているものと、主幹事等あるいは一社だけ決めているものとがあると思いますが、その区別をされた上でお答えになっておりますか。
#226
○松野(允)政府委員 今申し上げました幹事関係といいますのは、幹事証券に入っているケースでございまして、いわゆる主幹事というのはこれとは別でございます。主幹事関係にある事業法人数を申し上げますと、野村証券の場合は六社、日興証券が十六社、大和証券が十二社、山一証券が十七社ということになっております。
#227
○正森委員 今お聞きいただいてもわかりますように、ずっとおっしゃいましたからパーセンテージまでは出しませんが、幹事証券の場合は、補てんをした事業会社の九〇%前後をいっていると思います。また、その中で主幹事をやっているパーセンテージも、野村は少し低いようですが、ほかの会社は非常に高い。四社で平等に持っているとすれば二五%程度のはずですが、それをはるかに一上回る数字になっていると思います。このことは、今回の補てんが、顧客が何千、何万あるいは何十万というようにあるわけですが、その中でごく少数の事業会社に集中しておる。中には年金福祉事業団とかあるいはほんのわずかの個人がありましたが、大部分が事業会社であった。その事業会社は、またみずからが幹事証券をしているところに対して非常に大きなパーセンテージで補てんが行われているというのが、今の答弁から明らかになったと思います。
 そこでもう一つ聞きますが、この間の八月の証券国会のときに補てんの手口について証券局長から御説明をいただきましたが、その中で圧倒的に多いのは、新規公開株やあるいはワラント債等を特定の投資家に集中的に割り当てることによってキャピタルゲインを得させるとか、あるいはワラント債や株価指数先物を一たん顧客に売却して、相場とは非常に離れた非常に高い値段で買い取ることによって利益を得させる、こういう二つの手法が非常に多かったと思いますが、間違いありませんか。
#228
○松野(允)政府委員 補てんの手口別の内訳でございますが、私どもが把握しております中で一番多いのは、今御指摘のありました売買価格差を利用したもの、つまり安く売って高く買い戻すというのが半分以上、六割ぐらいを占めております。それから、その次に多いのは、実は先物を利用した取引でございまして、自己で先物の売りと買いを両方建てておいて、それを短期間のうちに決済をして利益の出た方だけを大口客につけかえるというのがその次でございます。新発のワラント、転換社債を割り当てるという割合は、全体の中では金額にして二%ぐらいでございまして、比較的少ないという状況になっております。
#229
○正森委員 今の答弁では、新発債を親引けといいますか割り当てることによって利益を得させるのは少ないということでしたが、今のお話を聞きますと、みずからのディーラー業務を通じて、それで安く買わせて高く買うということで補てんをしたことは紛れもない事実であります。そうしますと、今度の補てんの内容というのは、多くの顧審の中で事業法人に非常に集中的に補てんする。その事業法人は、また自分が幹事証券その他で株券、債券等を発行する場合にお世話をする企業に対して非常に手厚くする。そのまた補てんの仕方は、ブローカーとして株の売買をお世話しているわけですが、自分のディーラーの職務を利用して、あるいはパーセンテージは比較的少ないと言われましたが、株の親引け等を利用する場合にはアンダーライターの資格を利用して補てんをしたということが今の答弁でも明らかになったと思うのです。そうすると、これらのいずれの恩典にも浴さない個人が、これはとんでもないことで補てんをやったというので、株から離れていくという気持ちになったのは、これは否定することのできない事実だと思うのです。
 その次に伺いたいと思いますが、この間、特に一九八五年、六年以降、資本市場での資金調達が非常に大きくなったというように統計にもあらわれております。私もここに資料を持っております。大蔵省の証券局年報ですけれども、最近の傾向で、資本市場における資金調達の推移についてごく簡単に言ってください。
#230
○松野(允)政府委員 特にこのエクイティーファイナンス、エクイティーファイナンスと申しておりますのは、株式の発行による資金調達、それから転換社債の発行、新株引受権つき社債の発行、この三つを合わせましてエクイティーファイナンスというふうに言っておりますが、このエクイティーファイナンスが特に昭和六十二年、六十三年、平成元年度と非常に急増をしております。数字を申し上げますと、昭和六十二年度が、これは海外と国内と両方ございますが、合わせまして十一兆六千九百三十六億円出ておりますし、それから六十三年度が十七兆六千二百三十四億円、平成元年度は二十六兆四千五百九十六億円ということでございまして、この三年間で五十五兆以上のエクイティーファイナンスが行われたという姿になっております。
#231
○正森委員 今の答弁は、エクイティーファイナンスということで通常の事業債の発行は除いてあると思います。それを入れますと、御指摘の六十二年が十三兆六千億円余り、六十三年が十九兆五千億円余り、平成元年が二十八兆六千億円余りということになるはずであります。それを過去と比較してみますと、同じように事業債はほとんど数字が大きな変動がないわけですが、それを入れても入れなくても余り違いがありませんが、見てみますと、これは証券局年報ですが、昭和五十年から五十五年までは年間の資本市場における企業の資金調達、これはエクイティーファイナンスも含むわけですが、大体三兆円前後で推移しております。それから、昭和五十六年ぐらいから上がりまして、大体五兆円ぐらいになりました。それから、プラザ合意の昭和六十年ごろに六兆円ぐらいになっております。ところが、昭和六十一年からふえ始めまして、六十二年、六十三年、平成元年で非常な勢いでふえているのです。これはその直前に比べても二倍、三倍あるいは四倍という額であります。昭和五十五年ぐらいの平均から見ますと、これは五倍から八倍というような数字になっているわけであります。
 そこで伺いますが、企業はそれだけ資金を調達して設備投資に回したのですか。これは学者なんかの論文を見ますと、ここに国民経済年表を持ってまいりましたが、一九七〇年から九〇年の約二十年間、民間企業の設備投資は平均八%程度の伸びであります。最近を見ましても、多い年でも十数%、少ない年は一%あるいは三%という年もあり、平均すると八ないし九%ということになっております。ところがそういうぐあいに、設備資金の需要額というのはそういう推移でいっているにもかかわらず、資本市場による資金調達が、今言いましたように何%の増大ではなしに、何倍ということに昭和六十一年から特に六十二年、六十三年、平成元年ではなっている。資金調達をした類とそれから設備投資の比率を見ますと、これは六十一、二年ぐらいをピークにして、その前と後とは数字が全然違うのじゃないですか。
#232
○松野(允)政府委員 調達された資金の使途でございますが、これは、資金調達に際してまず有価証券届出書が提出をされます。その有価証券届出書に資金使途を書くということになっておるわけでございます。これは必ずしも企業の財務内容をあらわす情報ではございませんけれども、資金調達の、従来といいますか、昔は緊急性というようなものを判断するための一つの要素として資金使途というものをとっていたわけでございます。
 この私どもに提出されております有価証券届出書から資金使途を集計したわけでございますが、実は手元には一九八六年から九〇年までの数字しかございませんので、それ以前の数字と比較することはちょっと難しいわけでございますが、いわゆる大量のファイナンスが行われました時期の合計で見てみますと、資金使途が全体の調達額の大体七割が設備資金あるいは投融資ということでカバーされております。残りの三割のうち半分、一五%ぐらいが借入金の返済ということになっておりまして、さらに残りの一五%がその他運転資金あるいは社債を償還するための資金とかいうようなことになっております。もちろんこれは届出書ベースでの資金使途でございますので、実際にこのように使われたかどうかという点についてのフォローはなかなかできないわけでございます。設備資金といいましても、直ちに支出が起こるとは限りません。一時的に滞留するということも考えられるわけでございまして、実際のお金の流れというものはなかなか把握しにくいわけでございます。
 こういったようなことで、資金使途につきましては、従来は届け出、事前にチェックをするということで行っていたわけでございますけれども、今回協会の自主ルール、先ほど御紹介ございました引き受けに関するルール、公正慣習規則では、少なくとも直前のファイナンスについての資金使途は事後にチェックをするというようなことは行うべきではないか、これはアンダーライターとしての一つの引受審査の一環ではないかというようなことで、そういうルールを新たにつくったわけでございます。
#233
○正森委員 今の証券局長の答弁は、資金調達をやるときの大蔵省に対する居け出からだけ見ているので、実際にどういうぐあいに使われたというのは出ておりません。もしその届け出とおりだとすれば、どれもこれも立派な目的のために使われたようになっておって、それじゃ、なぜファントラだとか特金だとか、そういうものが九〇年の初めには四十一兆円にふえるなんというようなことが起こったか説明がつかないのですね。そのうち、もちろん一五%ぐらいは借入金の返済に早目に充てられたようですが、そうすると銀行の方は金が余りますから、それがいろいろ別のところに使われ、あるいは土地投資に向けられるということがあるでしょうけれども、大蔵省に届けたのと実際とは違っているのではないですか。
 大体、その直前のプラザ合意以後のことを出されたのですが、私が出しているのは共産党の調査じゃないですから。証券局が出している年報の中で、昭和五十年から五十五年は三兆円くらい、それ以後も五兆、六兆で推移していたのが、昭和六十一年、六十二年くらいから急にはね上がったわけですから。それも何%といってふえたのではなしに、三倍、五倍、六倍、八倍というようにはね上がったわけですから。それが結局どこに使われたかといえば、財テクに使われたのじゃないですか。資金は獲得したけれども、それが実際直接の設備投資に向かって物を生み出すのではなしに、特金だとか営業特金だとかファントラだとか、そういうことで株式市場に流れ込んだのじゃないですか。だからこそ、それが余りにも過度に過ぎるというので、営業特金はこれ以上は認めないとかいうようなことが行われたから今度の証券スキャンダルに結びついたということになるのじゃないですか。ですから、資本市場が非常に活発に動いて値段が非常に上がって、そして売買回数も非常に回転が速いという、活況に見えたときに、まさに今のバブルがはじけたことの原因になるようなことが行われていた。
 本来の証券市場の目的というのは、初歩から伺いますが、何ですか。
#234
○松野(允)政府委員 証券市場は株式市場、債券市場とございます。いずれにいたしましても、それは長期の資金を調達する場でございまして、主として御指摘がありました設備投資資金を企業としては調達する場と認識しておりますし、また資金運用者の側からしましても、やはり比較的長期の資金をそこで運用するということでございまして、そういったことからいいますと、基本的には設備資金の調達あるいはそれに対する長期資金の運用というものが、価格機能を通じて資金配分が行われる場であるというふうに考えております。
#235
○正森委員 今大体お答えになりましたが、学者その他が言っているところでは、証券市場の経済的役割というのは、社会の資金配分を決定する。簡単に言えば、貯蓄を投資に結びつける。だれからだれにどれだけの資金をどんな条件で配分するか、こういうことを決めるから証券市場が非常に大事なんですね。発行市場だけでなしに流通市場があるのは、その場合に株券等を非常に手軽にといいますか、いつでも現金に換金することができるというためにあるわけです。ところが、エクイティーファイナンスを含めて発行市場そのものが、設備投資に必ずしも使わないのに、株価が高いから新株発行やその他で非常に安い資金が入るということで行われて、それが設備投資に直接向かわないで、非常に大きな部分が証券市場にまたファントラだとか特金だとか営業特金だとかいうことで還流してくるということは、証券市場のある意味では自殺行為なんですね。その結果バブルがはじけて、これを補てんする。その補てんする場合には、自分が発行についていろいろお世話をした幹事会社に対してまず真っ先に補てんを行う。これでは個人がばかばかしくなって証券市場から離れていくというのは当然のことであるというように言わなければならないと思うのです。
 そこで、東証に来ていただいておりますが、個人株主の推移について大まかに答えてください。
#236
○佐藤参考人 大まかに申し上げますと、昭和二十四年、戦後東京証券市場が再開した当時は、個人持ち株比率というのは約七〇%程度ございました。その後、累年その比率が低下をいたしまして、現在、一九九〇年、平成二年の数字で見ますと二三二%、その裏腹と申しますか、法人ないしは機関投資家の持ち分がふえておる、こういう状況でございます。
#237
○正森委員 これも市販されている資料ですけれども、調査が開始された昭和二十四年は約七〇、正確に言うと六九・一%ですね。それが昭和三十三年度には五〇%台を、四十五年度には四〇%台を割り込む、四十七年度には三二・七%になるということで、上下して、そして最近では、平成元年に至っては二二・六%、それで平成二年は二三・一%。それに対して金融機関や事業法人はどうなっているかといえば、昭和三十五年からいいますと、事業法人は一七・八%から平成二年は二五・二%にふえております。それから金融機関、投信を除きますが、これは二三・一%から平成元年は四二・三%、それから平成二年も大体そのぐらいですね。証券会社は現在一・七ないし二%であります。そうすると、投資信託を除いて、事業法人と証券会社と金融機関、これを合わせればほぼ三分の二以上、七〇%に近くなるのですね。つまり、株式の七割近くが株式会社によって持たれている、こういう状況になるわけですね。なぜこういう状況が起こったのですか。
 そこで伺いたいのですが、たしか昭和五十一年の一月十一日号の「証券」というのに、株価水準と個人持ち株比率について調査研究なさったその結果が出ておりますね。時間の関係で私の方から申し上げますけれども、これは東京証券取引所がお調べになって、それで出た数字ですが、それでは、株価のある水準までは、株価が高くなるに従って個人持ち株比率は低くなっている、この水準を超えて株価が高くなると、株価と個人持ち株比率との間に有意な関係を見出せない、しかしながら、株価の高い銘柄のグループの個人持ち株比率は概して低いと言える、こういう意味の調査結果が出ているはずであります。
 そこで、それを前提にして、東京証券取引所の証券政策委員会が昭和四十九年六月に発表した「株式所有構造の変化と証券市場のあり方」という報告書があるはずであります。その中で、個人持ち株比率減少の理由として私の手元にある資料では五つないし六つ理由を挙げておりますね。その中で、「投資魅力の減退」「新株発行段階における個人取得の減退」「証券会社の営業態勢の問題」というようなことが出ておると思いますが、それに間違いありませんか。その三点についてごく簡単に説明していただけますか。
#238
○佐藤参考人 ただいま御指摘の三つの要因が働きまして個人持ち株比率がダウンをした、そういう報告書になっていることは間違いないところでございます。
 簡単にコメントをいたしますと、個人が株式を所有いたしましても必ずしもリターンと申しますか収益というものがそれにふさわしい高さが得られない。逆に申し上げますと、上場企業の側からの配当が十分ではないというようなこと、あるいは証券会社が本当に投資者の立場に立って営業をやらなければいけないのではないかというようなこと、あるいは税制の問題等も指摘されているかと思いますけれども、そういったことが要因になって個人持ち株比率がダウンをいたしたとこの報告書は言っていると思います。
#239
○正森委員 今要約してお答えになったのですが、例えば「投資魅力の減退」というところを読んでみますと、額面発行増資のもとでは、増資が事実上の増配になり、これが株式の長期所有の要因として働いたが、時価発行増資のもとでそれがなくなり、増配や無償交付が十分に行われていない、また、「額面発行増資が実質的に株式分割の役割を果たし、株価水準の引下げが行なわれてきたが、近時、時価発行増資が行なわれても株式分割等があまり行なわれず、これによる株価の引下げがないため、株価は高水準に固定されがちとなり、投資金額との関係から一般投資者が投資しにくい状況となっている。」あるいは「新株発行段階における個人取得の減退」では、「第三者割当て増資が増加し、また時価発行増資において親引け比率が高いなど、新株の発行段階で法人に対する優先的割当てが多かった。」云々と書いてあります。
 そこで大蔵大臣、初歩的なことを伺いたいと思うのです。
 証券局長、あなた方の先輩の谷村裕さんという人がいます。これは東京証券取引所の前の前ぐらいの理事長のはずであります。その方が「ずいひつ 株主勘定復活論」という小冊子を三冊にわたって書いているのです。それを見ますと、これはその二番目に、今から十年ほど前にお書きになったものですけれども、非常におもしろいことが書いてあるのですね。それは、「あなたは何を楽しみに株式投資をしていますかという問いに対しては、「配当が楽しみで」「増資が楽しみで」「値上がりが楽しみで」という三つの答が返ってくるのが常だった。今から二十年ほど前、私が大蔵省で証券行政を担当していたころの話である。」昭和五十五年から見て二十年前ですから、昭和三十五年ごろの話ですか。「そのころは高度成長の時代だったから、企業はどんどん大きくなっていった。収益力の増加は株価の値上がりを呼び、それがまた増資を可能にした。増資は株主に対しての額面割当てだったから、株主は五十円払込むだけでその数倍の時価の株を手にすることができた。配当もまた額面をもとにして考えることができたから結構いゝ利回りになった。いまはどうだろう。三つの楽しみのうち残っているものといえばせいぜい「値上がりの楽しみ」くらいのものだが、すでに経済は低成長の時代である。みんなが値上がりを追えば、所詮ババヌキのような勝負ごとにならざるをえない。いや、そういう需給相場で目先の値を追うのが楽しみなのだという人もいるだろうし、それをまた一概に否定するわけにもいくまいが、それが投資のすべてになってしまっては、流通市場は昔に逆戻りである。証券取引法のもとで、実物取引を中心とした流通市場が発足してから三十年経つ。いま、証券市場は大きな転換点に立っていると思う。こゝで途を誤まれば、わが国の自由私企業体制はとんでもないことになってしまうような危機感をさえ私は持つ。」こう言っています。
 私がわざわざ自由私企業体制のことについて言うのもおかしな話ですが、ともかく谷村さんが今。から十年前に、株を持っている楽しみ三つのうちの二つはなくなってしまった、残り一つも怪しいものだということで非常な危機感を持って、だから「株主勘定復活論」ということで、経営者が時価発行増資なんかすれば、資金コストの安いおれの金が入ってきた、これは言うたら、本来株主に帰属すべきキャピタルゲインを会社が横取りしているようなものですよ。しかもこれは、きょうは主税局長が来ておらないようですが、税制の上から、もちろん利益ではないから税金は払わないでもいい、それでプレミアム分は別に株主に対して配当をしなくてもいい、だからぬれ手にアワで安い資金を獲得した。だから、アメリカヘ行ってとんでもないものを買いあさってみたり、あるいは土地を買うてみたり、株式にファントラだとか特金だとかいって投資してみたり、そういうことをエクイティーファイナンスをやってやるのです。だから、こういう状況になれば個人株主が離れていくのは当然であるというように言わなければならないんですね。
 こういう問題について、大蔵大臣でもあるいは事務当局でも東証でもよろしいが、何とかしなければならないとはお思いになりませんか。
#240
○羽田国務大臣 今御指摘のありました谷村さんのあれは、まさに私は至言であろうと思っております。
 いずれにしましても、配当あるいは増資、そして値上がりというものを個人の人たちは期待しているものであろうし、また証券市場というのは、やはり国ですとか企業、また家計に対しましても効率的で安定した資金調達あるいは運用の場を提供して、国民経済におけるその適切な資金配分を行っているということでありましょうし、その役割というものは果たしているのじゃなかろうかと思っております。また、特に近年ではこういったものが国際的にも急速に拡大してきておりまして、日本経済だけではなくて、世界経済全体に対する効率的な資金配分機能、先ほども御指摘にありましたけれども、その資金配分機能というのは国際的なものとしても今重要視されるというふうになっております。
 そういうことでありますから、私どもはそういう要請にこたえまして、我が国の証券市場というものは国際的な市場としてもやはりきちんと認められる、そういう市場をつくり上げるために、諸規則あるいは諸慣行というものも見直しまして、市場の透明性、公正性を高めるとともに、本当の意味での競争原理の導入を図ることによりまして、一層自由で効率的な市場を構築する。それと同時に、一般の個人投資家に魅力のあるものをつくり上げていくことが重要であろう。いずれにしましても、やはり信頼を高める。いわゆる問題を起こしての心配というだけではなくて、魅力のあるものにしていくということが重要であろうと思っております。
#241
○正森委員 東証の副理事長が来ておられますので、あすは理事長がお見えになるそうですから、理事長に伺った方がいいかもしれないのですが、例えば四月十六日の読売新聞を見ますと、東証の長岡理事長が四月十三日に講演された内容が一部載っているのです。それを見ますと、「個人金融資産は一千兆円を超えている。個人投資家をいかに市場に呼び戻すかがカギだ」、こういうように訴えられたということが新聞に出ております。あなたもそう思いますか。
#242
○佐藤参考人 もう申し上げるまでもありませんが、多数の個人投資家が私どもの市場に参入してくれるということが、市場にとっての大変重要な要件であります。異なる投資判断を持ち込んでくれますし、したがいまして市場の安定性も高まりますし、何といっても企業が資金調達をするときに、流動性豊かなセカンダリーマーケットと申しますか、流通市場がなければうまくワークしないわけでありますので、そういう意味で、公正、透明な市場づくり、それによって資本市場全体が有効に機能するように私ども努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#243
○正森委員 今流通市場のことを言われましたが、流通市場だけではないんですね。発行市場という点を考えても、個人投資家を、あるいは既存の株主をと言ってもいいのですが、もっと尊重しなければならない点があるのじゃないかと思います。
 これもやはり谷村さんの「ずいひつ 株主勘定復活論」の、今のは「その二」を引用しましたが、「その三」です。「その三」の中で、四十一ページ以下にこういうことを言っておられるのです。いろいろ批判を書いた上で、「公募価格と公募方法とをいまのまゝにしておいて世間の批判を避けるわけにはどうもいきそうにも思えない。だとすれば、それに対処する方策として、もう一度株主割当増資というものを見直してみる必要がありはしないだろうか。」現在では株主割り当て増資の割合というのは非常に低いですね。せいぜい二〇%か二十数%じゃないですか。公募増資が恐らく六七、八%、第三者増資がそれ以外というような比率になっていると思います、細かい数字は違うかもしれませんが。それに対してこういうことを言っているのです。「ひとつ中間発行というやり方があることを考えてみたらどうだろうか。」東証副理事長はもちろん御存じですね。「中間発行の場合には、まず株主が然るべき価格で払込む。もちろんその前に一部を権利付きのまゝ市場で売ってもよいし、増資がすんだ後で市場で売ってもよい。いずれの場合でも市場で買う第三者は適正に形成された時価で取得することになるから、文句をつけられることはないはずである。」その場合は証券会社に引受料は入りませんから。そういうことはあるだろう、こう言うた上で、「そのことよりも中間発行がもたらすだろうメリットとしては、株主が持ち続けることを楽しみにすることである。たしかに公募によって既存株主以外に株主になる人はふえる。しかし比較的多くの個人株主は、公募株をすぐに値ざや稼ぎのために売ってしまい、相当部分はあらかじめ予定されていた法人にはめられるといわれる。」これはもうそのとおりですね。法人にはめられておる。「しかし、もし株主に将来また新株の割当があるということになれば、株を持ち続けることは選択の機会が訪れることを意味する。全部を持ち続けるか、一部を売って残りを持ち続けるか、これも選択の問題だが、とにかく持株に対して将来増資割当があるだろうということは、株主にとってそれが得と出るか損と出るかは別として、選択を自らの手で出来るという喜びを与えることになる。この心理は私は大切にしなければならないと思う。」こう言っています。
 私は、谷村さんの所説には全部賛成するわけではありません。キャピタルゲインに対する課税その他の問題については私とは明白に見解を異にしております。けれども、こういうように今の企業の経営者が既存の株主、特に個人株主を全く無視するようなビヘービアをとっておるということに対して証券取引所の理事長として非常に危機感を持っておられたというような、「危機感」という言葉を使っていますからね、これは紛れもない事実で、今から十年以上前にそういう考えを持っておられたということは、一種の先見の明があるというように言ってもいいと思うのですね。
 それはどこに原因があるかといえぱ、これは大臣にも考えていただきたいのですが、我が国の経営者は株式を発行すれば、これはNTT株が何よりもいい証拠なんですが、余りたくさん株主ができますと、需給関係で供給が非常に多いから株の値段が下がる。そこで、市場に出回る株式の数を少なくすればいい。それにはどうしたらいいかといえば、株式は発行するけれども、その大部分は銀行やらお得意さんにはめ込んで、これは株式の持ち合いですから、一方が売れば自分も売られるからお互いに売られないようにする。そうすると、ここで見てもわかりますように、株式総数の約七割近くは企業が持っておるのです。そのうちの一部分はお互いの持ち合いてない人もおるでしょうが、大部分は持ち合いであるということになれば売らないのです。そうすると、東証なりなんなり、証券市場に売りに出る株数は非常に少ないということになれば、ちょっと買いを入れれば値段がびゅっと上がるのです。上がったところで株式の時価発行をやれば、ぬれ手にアワで、非常に安いコストで、経営者はそういう考えを持つのですね。それで自分のところへどっさりと金を取り入れて、税金はかからない、配当はしなくてもいいから勝手ほうだいに使う、財テクにも使う、こういうことをやってきたんじゃないんですか。だから、それがとうとう行き着くところがなくなって、特に特金とか営業特金というのは原則として一年ごとに利益を出さなければならない。大体、今株の額面に対する配当率というのはせいぜいのところ一%でしょう。あのバブルの最中には〇・三七%が平均だということになっていたんでしょう。額面が五十円で五十銭の配当もないというようなことで、そんなものを持っておっても仕方がないから、皆、後はどうなるかといえば値上がりだけですよ。その値上がりも、売れば値が下がるんだから、どこかの投信か何か買わなければならない。それをくるくる繰り返しておるうちに、どうにもこうにもしようがなくなり、それで世界的な傾向もあって、結局バブルが崩壊するということになっていくんじゃないですか。だから、今の企業同士の株式の持ち合いで、そうして需給関係を逼迫さしておいて、ちょっと買いが入れば値段が上がるようにする、こういう高株価経営あるいは政策をとってきたということのどん詰まりがここへ来たんじゃないですか。それを反省をせずに、その後始末の損失補てん、それもまたお得意先の事業法人に有利なように決められたんですが、それだけを問題にしたんでは、現在の株式の非常な状況を改善することはできないんじゃないですか。
 大蔵大臣あるいは証券局長でもいいですが、皆下を向いておられますが、答弁していただきたいと思うんです。今株価が非常に崩壊しているというのは、お互いに持ち合いをしておったのが、とうとう持ちこたえられなくなって、今までは売りに出なかった法人まで売りに出したということが大きな原因だと言われているでしょう。そうすると、今度はそれを何とかするために会社が自社株を保有するのを緩和しょうなんという動きがあるでしょう。とんでもない話じゃないですか。法人間の株式の持ち合いでさえ今の株式市場を空洞化するということになっていたのに、法人が自社株を取得する、そんなことをすれば商法の自社株取得の禁止というかあるいは自己資本の充実というか、よその方から資本を出してもらって仕事をしている会社が、その資本の結果もうかった利潤で自分の株を買う、そんなばかなことがありますか。しかも報道によれば、ここへ新聞を持ってきましたが、証券局長は何かそれを奨励するような発言をしていますね。今エクイティーファイナンスが多過ぎて株がちょっとだぶついているから、自社株を買うて、それを少なくすれば需給関係が改善されて株の値段の改善になるかもしらぬというようなことを参議院で答弁しているでしょう。句を考えておるんですか、あなた。商法を改正しようといったって、商法関係の学者は、まず第一に自社株の取得解禁で過小資本になる。それから自分の会社のことは自分が一番よく知っているんだから、文字どおりインサイダー取引じゃないですか。それから、株価操作は思いのままにできるでしょう。そんなことをやって今の株価を持ち直そうなんというのは邪道も邪道、とんでもないことじゃないですか。
#244
○松野(允)政府委員 株の持ち合いからいろいろと御指摘がございました。確かに私どもも、この株の持ち合いが非常に進んで、金融機関あるいは事業法人の持ち株比率が非常に高くなってきているということについては、これが株式市場にどういう影響を与えているか、あるいは与えるおそれがあるかという点については非常に問題意識を持っているわけでございます。
 ただ、株式の持ち合いそのものにつきましては、なかなか我々としてそれを直接制限したり禁止するということは難しいと思います。それなりの理由があるわけでございまして、安定株主づくりとかあるいは取引先との関係強化とかいうようなことがあるわけでございます。しかし、行き過ぎますと、それはやはり個人株主の軽視につながっていくわけでございまして、そういうことからいいますと、直接禁止をすることができないにしても、むしろ個人株主をいかにふやしていくかという方策を考えていく必要があるというふうに考えているわけです。
 それから、おしかりをいただきましたけれども、自社株の問題でございますが、これにつきましては緊急経済対策でも一応自社株保有禁止の見直しという問題、商法上の観点も含めて検討ということが言われております。自社株保有そのものの問題は、実は日本の商法の禁止規定は非常に厳しいわけでございまして、諸外国と比べて厳し過ぎるというような問題であろうか。御指摘のように、それ、は自社株取得を認めますと、インサイダーあるいは株価操作というようなことも起こり得るわけでございます。それに対しては、アメリカなどではSECがちゃんとルールをつくって、自社株を購入する場合には非常に厳格なルールのもとでしか認めないということを行っているわけでございます。しかも、それもそんなに無制限に買えるというようなことではないわけでして、自社株保有というものが一体日本の商法に禁止されているような厳しい禁止をしなければならないのかどうかというような観点からの議論でございます。何も目先の株価対策のための自社株というような観点ではないわけでございます。
 もちろん、御指摘のありました、それに類似しておりますというか、いわゆる大口投信という問題であろうと思うわけでございますけれども、これも実は自社株を買うための投資信託ではないかというような批判があるわけでございますが、投資信託といいますのは、あくまでも運用は独立した運用者が行うわけでございまして、販売をします証券会社がその運用の内容についてコミットをすることはできない商品でございます。そういったようなことから、大口顧客向けの投資信託というのは、既に過去においてもかなり販売が行われたわけでございまして、今回が初めてという商品でもございません。そういった投資信託の仕組みというものを考えた場合に、必ずしも販売業者が購入者の株を入れますというような約束ができるようなものでもございません。そこはやや誤解があるんではないかというふうに、自社株ファンドというふうに銘打たれたのは、やや誤解があるのではないかと思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、確かに投資信託というものは個人投資家に販売するのが本来の姿でございますけれども、今申し上げたように、大口投信というものも過去に存在をし、そういうものをつくりたいと、商品の自由化といいますか、そういった観点からは、そういったものをつぐることについても我々としては規制を緩和していくというような姿勢でいるわけでございます。
 自社株の問題でいろいろと御指摘がございました。確かに私どもも市場に与える影響というのは非常に問題意識を持っているわけでございまして、仮に商法の問題を検討する際にも、今申し上げたような、それがインサイダーとか株価操作に使われるとか市場の公正さを害するようなことにならないような手当てというのは、SECのルールと同様に必要であるというふうに考えているわけでございます。
#245
○正森委員 投信の問題の方に議論をそらしましたけれども、しかし、株価操作とかインサイダー取引の問題はなくても、株式会社がその株主からいただいた資本を使って、資本プラス自分の内部留保、あるいは場合によったら銀行から物すごく金を借りるのかもしらぬけれども、それで自分の株を買うなんというのはとんでもないことですよ。資本なり資金をいただいて、それを設備投資なりそれぞれの本業に投下して、それで利益を稼ぐというのが株式会社の基本じゃないですか。それを高い金を出して自分のところの株を買うなんというのは、これはとんでもない話だ。だからインサイダー取引だとか株価操作の問題がなくても、そもそも株式会社のあり方を否定するようなとんでもない議論だということを証券局長が持たなければ、これは法制審で、商法部会で議論をするときの出発点からしてかみ合わないということを申しておきたいと思うのです。
 大蔵大臣に伺いますが、私が今谷村さんの説を引用して中間発行とかいうようなことを申しましたが、それについては別に御意見を承っておりません。それからまた、国会での答弁などを見ますと、個人株主が離れていく大きな原因である配当性向の低さ、日本では依然として額面の株に対して一割あるいは二割配当すればいいというような考えになっておりまして、株主資本といいますか、全体の資本に対してどういうことであるかということが考えられていないのです。だから配当性向については、東証の副理事長もおりますけれども、私が持っている資料では、大体今三〇%を割っているでしょう。三〇%以上割っておって、本来の資本やらエクイティーファイナンスでただ同然で集めたお金やら、それで得た利潤やら、そういう一切合財を含めて上げた利益のうち三〇%だけ、税引きですよ、それで残りは自分が抱え込んでおるというようなことをやって、どうして個人株主を満足させることができますか。法人の場合はいいですよ。お互いさまだ。自分のところが五〇%、五〇%配当すれば相手も配当する、同じことになるから、自分のところが少なくても相手も少ない、それで相殺できるということになるかもしれませんが、個人株主はそうじゃないのですね。内部留保、内部留保と言うけれども、本来なら個人株主に配当して、そこからまた資本としていただく、増資をするなり、今言うた中間発行するなりというのが本来の常道じゃないですか、私は別に会社の社長になったわけでもないけれども。それをエクイティーファイナンスはやるわ、全然株主には還元しないで自分で持っているわ、おまけにその金で自社株を買おうとするわというようなことは、これは本当に、何遍も言いますが、物に投資して、そこで地道に稼いで業績を上げるという、そういう本来の目的からはるかに反した邪道じゃないですか。大蔵大臣、どう患われますか。
#246
○羽田国務大臣 確かに資本市場あるいは証券市場の果たす役割としては、先ほど申し上げましたけれども、その中でやはり投資家に対する配当性向あるいはまた配当率、こういったものについて高めて、投資家に対してこたえるということが重要であろうということは、今一つの声として大きく上がっていることを私も存じております。そして、やはり株を長いこと持ち続けるということによって、それに楽しみを持つというのが本来であろうと思いますし、いろいろな国の人たちとも議論をいたしておりましても、まさにそういう中で、今度は企業が健全に発展していくことも株主さんが望む、そして健全に発展することによってさらに配当を得られるということで、会社の安定的な発展というものさえ株主の人たちが思うようになっておるということ、これはやはり重要なことであろうというふうに私は思っております。
#247
○正森委員 時間がわずかになりましたので、監視委員会の問題についてあすも質問がありますので、あすに続けたいと思いますが、証券スキャンダル、その背景にあるものは、今私がいろいろ申しましたような問題がありますが、もう一つ大蔵省と証券業界との癒着といいますか、大蔵省の監督権限不行使という任務解怠というようなものがあるのじゃないですか。
 例えば、ここに「エコノミスト」の九一年八月二十七日号があります。その中で、またあなた方の先輩を引用していけませんが、元証券局長の坂野常和という方が意見を書いておられます。「許
認可行政と市場監視・不正行為摘発の両機能をもつ大蔵省は、一種の「利益相反」の立場に立っており、客観的に監視・摘発機能の十分な発揮に対する疑問を招くおそれがある。」、こう言うた上で、「たとえば、元証券局長の坂野常和氏は「日本のような証券会社の免許制のもとでは、不適格者にどうして免許を与えたのかと批判されるから、何か事が起きても免許を取り消すことはできない」(「日本経済新聞」七月一四日)として、免許制のもとでは大蔵省の事前指導に重きを置いた証券行政の有効性を強調している。」、こう言いまして、中間は省略しますが、「しかし反面、大蔵省は、不公正取引、不健全経営を発見した場合、それを公表せ一ず、部外者に理解できないような個別的な方法で処理するインセンティブをもつ。ここに「行政指導」の曖昧さ、不透明さが生まれる危険が存在する。したがって坂野氏の指摘が正しいとすれば、大蔵省内部に監視機構をもつことの有効性を疑問視する考え方を否定できないのである。」、こういうぐあいに言っておられます。
 同様な意見は、例えば日本弁護士連合会が意見書を出しておりますが、その中で、「前記不祥事事件は法の不備欠陥によってだけ惹き起こされたと考えるのは甚だ疑問である。かえって、大蔵省の証券行政が証券業者の保護育成の方に過度に傾斜し、大蔵省と証券業者との間にいわゆる癒着が生じ、監督権限不行使という任務懈怠をもたらしてきたのが根本的原因であると考えるものである。」「したがって、一般投資者保護の法律である証券取引法が積極的に活用されるためには、現在その創設が準備されつつある証券監視機関が、大蔵省から明確に分離された高度の独立性を持ち且つ強九な準司法的機能を有する行政機関でなければならない。」、こう言って、「国家行政組織法三条の独立行政委員会たる証券取引委員会を設置すべきである。」「第三者監視機関には、規則制定権、強制調査権限、刑事告発権限、行政処分権限、自主規制機関に対する監督権限、紛争解決権限を与えるべきである。」云々、こう書いてあります。
 先ほど同僚委員からも非常に似た意見の表明がありました。我が党はこういう点の大部分を入れた修正案をあす提出するつもりであります。
 大蔵大臣に伺いたいと思いますが、こういうような元証券局長までが批判している点についてどう思われますか。
#248
○羽田国務大臣 今正森委員から御指摘のあった点につきましては、ほかの議員の皆さんからも御指摘があったところでありますし、私どもも、そういった議論というものも踏まえながらも、やはり行政を通じて得られた資料ですとかあるいは情報等を活用すること、これが不可欠であろうというふうに考えておりまして、そういった中で私どもといたしましては、八条委員会というものがやはり今御指摘のあったことを念頭に置きながら運営することによって、執行していくことによって一つの効果を上げていくことができるであろうというふうに考えながら、今御提案を申し上げさせていただきました。
#249
○正森委員 非常に不十分でしたが、あす質問がございますので、この続きはあすやらせていただきます。
#250
○太田委員長 中井洽君。
#251
○中井委員 証券法の改正に絞ってお尋ねをいたします。
 この法案がつくられ提出されるまでの間、極めて短期間、私どもは日本版SECを思い切って大蔵省の外へつくれということを提言をしてまいりました。しかし、同一政権内、今の行政の機構の中でなかなか難しい面もあるかと考えて、政府内の調整を見守らせていただいてまいりました。短期間の間にかなり思い切った委員会設置を中心とする案がつくられた。携わられた皆さん方に敬意を表したい、このように考えております。不満な点も幾つかございますが、私どもは現在の証券業界あるいは証券市場のあり方等を考えて、この法案を早く国会で成立をさすことが一つの前進と考えて法案に賛成をしてまいるところであります。そういう点から幾つかの問題で質問をしてまいります。
 最初に大臣にお尋ねをいたしますが、昨年の不祥事以来、あるいはその以前から、日本の証券市場は低迷をし続けております。昨今少し底打ちをしたかという感もありますが、しかし一番低迷をした時期に、私どもは世界経済に大変な影響を与えるのではないか、このこともあわせ心配をしたところであります。しかし日本が低迷している間、アメリカの市場を含めて世界の証券市場というのは意外と堅調であった、あるいはまた好況であったという感じが否めません。そうすると、私どもは日本の証券市場というのは世界の金融の中で大変大きなものを占めておるとひそかに誇りに思っておったのでありますが、世界から見ると意外と小さいのか、あるいはローカルなのか、こういう思いを抱くものでもあります。同時に、お話のあった日本経済のファンダメンタルズが強い、まずこの不祥事さえ乗り切ればということで見ておるのか、いろいろな思いで世界の証券市場の値等を見詰めております。大臣はこれらの動き、どのようにお感じ取りになっていらっしゃいますか。
#252
○羽田国務大臣 お答え申し上げます。
 確かに現在の株式市場というものが低迷しておるというその背景には、このところ例のバブルがはじけてしまったということ、そして大きく設備投資あるいは住宅、車の販売台数、大変高いところにあったというもの、こういったものがなくなったということ、そういう中で企業業績というものが心配されるというようなことがある、これはやはり一つの大きな理由であろうと思っております。しかしそれだけではなくて、先ほどから御議論のございますエクイティーファイナンスが非常に大量に発行されたということで、株式投資に対する魅力というのが失われたと思います。
 そして、何といっても最大の理由というのは、例の損失補てんの問題、そして今残滓として出てきております飛ばしの問題、こういったものが個人投資家のみならず機関投資家の人も市場から離れさせてしまったということにあろうと思っておりますし、またそういうものを踏まえながら――踏まえながらといいますか、そういったものが底にあるものですから、やはり証券会社の皆さん方の勧誘というものも萎縮してしまっておる一面があろうというふうに思っております。そういったことがやはり最大の問題であろうと思っております。
 それに比較いたしまして、ニューヨーク株式市場というのは昨年以来景気が回復したということで期待感、これはややというのでまだ足取りが遅いと言われておりますけれども、この期待感というものが大きいということ。それともう一つは金融緩和期待感、こういうもので上昇に転じまして、五月四日にはニューヨークでダウでもピークをつけるというぐらいに堅調に推移しておるということが言えると思っております。また、ロンドン市場も景気がやや回復しつつあるということで、堅調な展開となっておろうというふうに思っております。
 しかし、各国の株式市場の動向というのはそれぞれの国における固有の事情に左右される面が大きいので、我が国の市場の動向と外国の株式市場の動向を単純に比較することは適当ではないというふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましても、私どもばやはり今申し上げましたような背景というものを取り除いていくことが必要であろうということで、今度も金融・証券の二法案を国会にお願いをいたしまして、何といっても信頼を取り戻すことこそということでお願いをいたしておるところでございます。その意味でもぜひとも、今賛成というお話をいただいたわけでございますけれども、これをぜひ一日も早く可決していただけますように、さらに御理解いただきますことをお願い申し上げたいと思っております。
#253
○中井委員 過日、証券各社の平成四年三月期の決算が発表されました。御承知のように昭和四十年来の大変な不振でありまして、大半の会社が膨大な損失を出しております。ところが、日本におります外資系、五十社ぐらい証券会社があるかと思うのでありますが、それの半分以上は、日本系の証券会社が大赤字の中で黒字を出しておると聞いております。この違いはどんなところにあると大蔵省はお考えですか。
#254
○松野(允)政府委員 日本の証券会社が非常に決算状態が悪いのに比べまして、日本に進出してきております外国証券会社はかなり好調な会社が多いわけでございます。
 その理由には幾つかございますが、まず一つは、外国投資家の日本株投資というのがかなりふえております。これは昨年ずっとふえておりまして、その外国投資家の日本株投資の取次業務といいますか、これによる収入というのが相当ふえております。それからもう一つは、よく言われますいわゆる先物を利用した裁定取引でございまして、この先物を利用した利益が非常に大きい会社と、それから今申し上げたような外国投資家の取次業務というものがかな力大きな、これは会社によって違いますけれども、目立った特徴だというふうに考えております。
#255
○中井委員 日本の証券会社がみんな同じような形態、そして悪いことをするときにはみんな同じようなことをやる。赤字を出すときはみんな同じ赤字だ。外国証券はそういう中で黒字を出したということは、一つはやはり将来に対して日本の証券会社あるいは証券業界はもっとバラエティーに富んだ営業あるいは会社の存在価値、こういった方向を見つけていくべきじゃないか、こんなことを感じるわけであります。
 現在、証券業界そのものも大変な反省の中で御努力をいただいておると私どもは聞いております。一向に私どものところへは風こえてまいりませんが、大蔵省としては日本の証券業界が去年以来の不祥事、損失補てんあるいは飛ばし、こういった反省を踏まえてどういう内部的な努力、そしてまた証券会社としてどういう方向を模索しておると理解をされておるか、その点をお尋ねいたします。
#256
○松野(允)政府委員 国内証券会社、二百十社ぐらいございます。規模は大小さまざまでございますし、置かれております経営環境あるいは営業基盤も違うわけでございまして、なかなか一律にというふうには申し上げにくいわけでございますが、比較的大きな規模、特に四大証券を中心といたしましては、今回の不祥事を踏まえまして営業姿勢の適正化というものに非常に取り組んでいかなければいけない。堅実な個人の金融資産が導入され、個人の資産形成の場として証券市場、特に株式市場が利用されるようになる必要がある。やはり財テクなどで法人中心の営業というものでは非常に安定性に欠けるというような反省が出ておりますし、また営業マンにつきましても、できるだけ営業マンが個々に勉強して投資情報のサービスをするというような教育をする必要があるというふうな考え方をとって努力をしております。
 それから、比較的中小規模の証券会社になってまいりますと、なかなか経営環境が厳しくなってまいりますと、今御指摘ありましたように、例えば外国証券会社のようにどこか個性、特性を求める、つまり専門化といいますか、専門性を持つという方向にいくところもございますし、あるいは小さいながらも総合化を目指すというところもございます。
 いずれにいたしましても、現在の証券業務はコンピューター化がかなり進んでおりまして、固定費が、固定費率が非常に高くなっております。そういったことで市況の低迷になかなか弾力的に対応できないという状況で大きな赤字を出しているわけでございますけれども、人件費を初めとして、今申し上げたようなコンピューター経費等の経費の節減にも努力をしております。
 私どもとしても、大小いろいろな規模の証券会社がございますので、一律にどうしろというようなことを指導するというのもなかなか難しいし、またそうすべきではないと思います。基本的には各証券会社の経営判断というものを尊重することになるわけでございますけれども、今申し上げましたように、基本的に営業姿勢を見直す、あるいは今の証券市場の中で自分の存在意義、特色をどこに求めるかというような点について経営者として真剣に考える時期に来ているのではないか。これからは参入を初めとしてさらに競争が促進されるわけでございますので、そういった環境を十分踏まえた上で経営方針を立てていく必要があるというようなアドバイスをしているところでございます。
#257
○中井委員 証券市場の活性化に対して政府あるいは自民党さんもいろいろな御議論をされていると私ども聞いております。その中で、自社株の保有あるいは手数料の自由化等私もお尋ねをしたかったわけでありますが、他党の同僚議員から。質疑がありましたので省いていきたい、このように思います。
 そういう中で、けさの新聞に、簡保の資金運用で株の長期保有をということが郵政省サイドで検討されるという記事が出ております。実は、ちょうど十日ほど前の逓信委員会で、私逓信委員も兼ねておりますので、自民党さんと私の方から、株を持つということを、特にNTTの株を中心として長期的。な資産運用という意味で直接運用ができることを考えたらどうだ、こういう質問をいたしました。もちろん郵政省の方は株について、これはできないという答弁でありました。それが急速こういう形で新聞発表されたこと、少し驚いているわけであります。しかし、幾つかの新聞には、これは大蔵省が当然認めないということも載っておったわけであります。しかし、株の運用については、現在、八七年から、一年間黒字ということを原則に簡保で直接運用も、ある部分金額を区切って認められているわけであります。日本の経済状況からいって、長期的な資産運用ということで考えでいけば、株というものほかなり安全な、また利益性の高い運用になるのじゃないかと私どもは判断をいたしております。これから財政状況が厳しい中で、JR、JTの株、こういったものの放出等を考えますと、簡保の膨大な資金、こういったものを頭の中へ入れていくということは決して悪いことではない。
 大蔵大臣、銀行局長と証券局長しかいらっしゃいませんから、突然で恐縮ですが、簡保の資金運用の中で長期的な株の資産運用、こういったことについて郵政省あるいは他の政策面から提言があったら十分検討する、こういう形でお考えをいただけるかどうか、お答えをいただきます。
#258
○羽田国務大臣 この問題について、実は私も新聞を読んだだけで、まだ正式に郵政省の方からあれしておりませんけれども、予算に向けてこの問題について大蔵省と議論をするという話であります。
 実はこの問題は相当古くからありました。特に最近では、自由化というものが進むという中にありまして、簡保としても有利な運営といいますか、安定性のある運営というものをしていかなければいけないということで、財投だけではなくてそういったところからの資金運用というものを図りたいという意思があることを私は承知いたしております。ただ問題は、今までも議論をしたときに、公的な年金ですとかあるいは政府がまさに直接お預かりする簡保のようなものについて、私たちは安定性を持たせることが大事だと思っておりますが、市場というのはやはりリスクを負うものであるということであります。そういったことから、元本というものは保証されないこういう市場に直接お金を投ずることが果たしていいのかなという議論があるということでございまして、私ど。もといたしまして、そういうお話があるとすれば、これは慎重に議論をさせていただかなければならぬ問題であろうというふうに考えております。
#259
○中井委員 幾つかの国では政府の資金が直接株式運用されているように私どもは承知もいたしております。同時に、株なら何でも買えるということを郵政省も私どもも言っているわけではありません。そういったことは十分御承知であろうかと思いますが、十分な御議論をいただくよう要請をいたしておきます。
 委員会の問題に入らせていただきます。
 私どもは、この委員会が行革審の答申等を受けでこういう形でつくられたことを十分承知をいたしておりますが、問題は、大蔵省からどれだけ独立をして仕事ができるかということであろうかと思います。そういう意味で幾つかお尋ねをしていきたいと思います。
 最初に、思い切って委員会に今までの証券の検査というものを全部移してしまう、こういうことをとらなかった理由をお聞かせいただきたいと思います。
#260
○小川政府委員 昨年の九月に行革審の答申がございまして、この中では特に、証券市場における明確なルールのもとに公正な取引が行われることが必要であって、これをきちっとした目で監視をするということが重要であるというふうに強く指摘をされているわけでございます。この答申の中では、そうした考え方から、どちらかといいますと犯則事件に相当するものについての強制調査を中心に新しい委員会をつくるということが提言されているわけでございますが、その中に流れている精神というのは、市場における取引ルールがある、そうしたルールが遵守されているかどうかということはよほどしっかりした独立・中立の目で見る必要があるという考え方でございます。そこで私どもは、この委員会につきまして、そうした犯則事件の調査に加えまして、証券会社が営業においてこうした市場ルールを遵守しているかどうかという一般的な検査も委員会の方に移すのが適当であろうと考えたわけでございます。これに対しまして、官房の金融検査部に銀行検査とともに残すことにいたしました証券会社の財務の内容の健全性に関する検査という部分につきましては、従来も法律上財務及び営業というふうに書き分けておりますように、やはり証券会社も企業体としての健全性ということをチェックする必要があるということでございます。そこで、こうした企業体としての健全性と、やはりルールを守るかどうかということを監視するという目は別のところでということで、官房の金融検査部に会社の健全性、財務の健全性の検査は預けることにして御提案した次第でございます。
#261
○中井委員 そうしますと、この大臣官房に残りました金融検査部というのは、銀行、証券と区分けせずに一緒に両方検査をなさる。ここで、万一おかしいな、不審だなという事件が起こったら、証券局へ報告をして、それから行政的な指導をなさるのか、あるいは委員会へ直接報告をして委員会が調べられるのか、どちらですか。
#262
○小川政府委員 財務の健全性の検査というのはちょっと抽象的であるかと存じますが、例えば、自己資本規制が合っているか、あるいは取引損失準備金であるとか利益準備金であるとかいったような積み立てが適切に行われているかといったような角度からの検査でございます。
 そこで、現実の検査を考えてみますと、委員会と官房の金融検査部である程度調整を行って、場合によっては両者一緒の検査、同時検査を行うということもあろうかと思います。しかしながら、証券会社のまさに財務内容についてチェックをする必要があると考えるときには官房金融検査部で単独で検査を行うということもありましょうし、その場合の検査結果は、これは証券局に検査結果を報告するわけでございまして、必要な財務についての指示あるいは指導といったようなことは、証券局が直接証券会社に対して行うということになるわけでございます。
#263
○中井委員 いわゆる飛ばしの問題で、過日山種証券が行政的な処分を受けました。例えばこの問題で大蔵省は調査の中で、検査の中で事実を知っておった、そして法令に基づいた処理をするように、こういう指導をしておったという報道がなされております。今後こういう問題が例えば金融検査の中で見つかったとき、これは証券局へ行っちゃって委員会へ行かない、こういうことであるならば、どうして委員会は検査を総括すると書いてあるのか。やはり検査の報告あるいはおかしい問題というのは検査から当然委員会へ行くのであろうと私は思いますが、違いますか。
#264
○小川政府委員 先日のいわゆる飛ばしの問題は、取引ルールの遵守に関する問題でございますので、通常であれば委員会が行います証券会社に対する定期的な立入検査の中でああした取引の仕方というものが見出されて、その結果に基づいて、例えば証券局に対してしかるべき処分を行うべしという勧告が行われるということであろうかと思います。
 ただいまのお尋ねは、全く別に、金融検査部が証券会社の本当は財務内容の健全性がちゃんといっているかどうかという検査を行った、そうしたらたまたまどうも取引ルールに違反している営業が行われているのではないかということが財務内容を調べているときに端緒があったというような場合であれば、官房金融検査部から委員会に対して、この営業がルールを遵守しているかどうかという点をさらにきちっと調査をしていただく必要があるという形で委員会の方が検査に入るということになろうかと思います。
#265
○中井委員 私、初めからそういうつもりで聞いておりますから、ちゃんとお答えいただきますようにお願いいたします。時間がないものですから。
 万一、そういう検査部でやる、しかし検査部は証券局へ報告する、それで証券局の方で会社を呼んで、これはどうもおまえ、まずいじゃないか、内々の指導や処分をしちゃう、委員会は委員会で調べられる、そして委員会の方で処分のやつが出てきた、相矛盾するというようなことにはならないのですか。あるいは逆に、もっと嫌な聞き方をしますと、例えばこの委員会というのは証券局をお調べになることができますか。
#266
○小川政府委員 ただいまのような事例でございますと、委員会は独立して職権を行うわけでございますから、何らかの検査をしなければならないというふうに判断をいたしました場合には、証券局が仮に当該証券会社を何らかの形でヒアリングをしていたり、あるいは指導というのでしょうか、それをして、仮にそういう状況があったといたしましても、委員会は独立したみずからの判断で行うわけでございます。ただし、そのことは現実の問題といたしまして、大蔵省のもとに証券局があり、独立した八条委員会があるわけでございますから、そうした問題がいわばわかった場合には、お互いにこの問題についてどういう対応をしていくか、委員会はこういう検査をいたしますよというようなことを当然連絡をし合うことになろうかと思います。しかし、重ねてでございますが、仮に証券局が何か動いたといたしましても、委員会がみずから動くことを妨げるものではございません。
 最後のお尋ねの、証券局を調査とか検査とかいうものではございませんで、行政機関の内部におけるお互いの連絡であったり照会であったり、意見を聞く、そういう関係でございます。
#267
○中井委員 この委員会に派遣をされますといいますか、彩られますメンバーというのは、人事交流で大蔵省に戻ったり、あるいはこの検査部へ戻ったり、検査部から委員会へ戻ったり、こういう形になるわけですか。その場合の人事はだれがやるわけですか。
#268
○小川政府委員 委員会事務局職員の大事につきましても、一般の原則に基づきまして公務の要請に基づいて適材適所の人事配置を行うということでございます。そこで、委員会の事務局におります。職員についての人事権でございますが、これは一般職の公務員でございますから、大蔵大臣がその事務局の職員につきましても人事権を持つわけでございます。
 そこで、それでは一たん事務局にいた職員は他の部局、大蔵省の内部部局に配置がえになることがあるかという点でございますが、それは他の職員と同様、配置がえになることがあり得ると存じます。特にその場合には、委員会が証券取引だけではなくて、金融検査等の関係につきましても基本方針等について意見を述べるとかあるいはヒアリングをするという立場に立つわけでございますから、事務局で働いていた職員は証券行政や銀行行政にかかわることにより、証券・金融の実務知識を修得することはこれまたその後のためにも重要なことであろうかと思います。こうした形での人事の配置がえということは十分あり得ることでございます。
#269
○中井委員 長年大蔵省でお育ちになった方でありますし、大蔵省にプライドを持ってお入りになってお仕事をされておったわけですから、委員会へ出ていく、また当然大蔵省へ戻れるのだろうなという不安の中でこういう委員会がつくられる。そして、戻られるというのは当然だ、こうお考えかもしれません。それはそれでよくわかります。しかし一方、国会の期待やら国民の期待というものは、やはり大蔵省証券局、これと独立した形で委員会がきちっとした仕事をしてほしい、こういうことであろうかと思います。いろんなプロを育てられる、また警察やら国税の専門家も入れていただく、そしてレベル高くやっていく、これは賛成であります。しかし、この委員会で専門家をお育てになって、そして逆にこの委員会を、まあまあ自分は第二の人生、違う人生へ行きたいんだと言えば、例えば会計士になれる、あるいは弁護士の道を歩める、そういう方向をお考えになって、委員会の地位あるいは能力の高さ、そういったものを積み上げていくことが大事じゃないか。大蔵省に戻る、そしてどうも私どもは何を見ても証券局とのかかわり、これがあいまいもことしておる。今のお話を聞くと、証券局と相談をしながら委員会は調査等もやるんだというお話。それだったら、過日からの、去年からの不祥事で、大蔵省は監督と検査と両方やってけしからぬじゃないかという話がまた一緒になってくるんじゃないか、こういう心配を抱くものであります。人事の面で、人の面でよくわからないことはわかりますけれども、どうかそういう方向での独自性、そしてそこへお勤めになったらまた新しい道も開ける、そういうプライドのある方向というのはお考えにならないのか。大臣、いかがですか。
#270
○羽田国務大臣 もう、この法律をお願いをする基本でございますから、そのあたりはきちんと対応できるように、またプライドを持ってやはり仕事をやっていけるようにしていかなければいけないというふうに思っております。
#271
○中井委員 おわかりになっていらっしゃるのかどうかわからぬ答弁でございましたけれども、まあ言うだけ言って次へ参ります。
 証券協会それから証券取引所、それぞれ法改正の中で自主ルールもおつくりになり、そして、それぞれの監査、考査の体制も強化をなさると聞いております。証券協会あるいは証券取引所の監査、考査の強化、それと同時に、それぞれの監査、考査の部局が、証券協会から、取引所から、やはり独立した機関として踏み出すような何か新しいシステムをおつくりになるつもりなのか、お尋ねをします。
#272
○松野(允)政府委員 証券業協会及び証券取引所におきます監査、考査は、協会の会員あるいは取引所の会員を対象にして行うわけでございまして、協会あるいは取引所の中での独立性というようなものは各自主規制機関の中での運営の問題になるわけでございますが、私どもとしては、協会あるいは取引所という自主規制機関が適正に監査、考査を行っているかどうか、あるいは行った結果について適正な処理が行われ、例えばルール違反があった場合にそれに対してちゃんと対応して処分をしているかどうかという点についてのチェックを行政当局で行うことになっております。これは監視委員会、それから官房の検査部、特に監視委員会の方が行うことになるわけでございますが、今回お願いしております法律におきましても、今申し上げたように、仮に協会、取引所が会員に対して必要な措置をとることを怠っている場合には、大蔵大臣は必要な措置をとることを命ずるような規定を入れております。そういったことを通じて自主規制機関の機能というものは十分発揮できるし、最後の担保としての監督というものも可能ではないかというふうに考えているわけでございます。
#273
○中井委員 私の質問の仕方がどうもおかしいのかどうか、違う面からお尋ねをいたします。
 証券協会に対してあるいは証券取引所に対しての検査、あるいは監査というのですか、監視ですか、こういうのはこの委員会がやるんでしょう。お答えいただきます。
#274
○小川政府委員 今証券局長から申し上げましたとおり、基本的な部分につきましては監視委員会の方から両自主規制機関を監督、検査をいたすわけでございます。ただ、一部、管理的な面については委員会ではございません。その部分をあわせてお答えしたわけでございます。
#275
○中井委員 証券協会の管理部門については金融検査部もやるということですか。
#276
○小川政府委員 そのとおりでございます。
#277
○中井委員 そうしますと、先ほどの同僚議員の質問にもありましたけれども、少ない人数でおやりになる、そして証券協会あるいは証券取引所、それぞれのチェック機構があって、それらと協力して証券会社あるいは市場のおかしな取引についてチェックをしていく、協力を求める、こういうことであります。ところが、監視委員会というのはそのチェック機構の入っている証券協会や証券取引所を監視するのです。だから、私どもは、証券協会の監査の部局あるいは証券取引所の考査の部局ですか、そういう自主ルールの中における検査、監査の部局等もやはりそれぞれの協会から独立性というものを持たす方向、その中でお互いが協力して情報を交換し合ってやっていく、こういうのが筋道じゃないか。協会の下に監査機構がある、その協会を委員会が検査する、しかし個々の会員に対しては委員会と監査課が情報交換し合ってやる、これでは少しおかしいのじゃないですか。
#278
○松野(允)政府委員 お尋ねの趣旨は、例えば証券業協会の場合に、証券業協会の中で会員に対する考査を行う部門、これが証券業協会の中で独立性を保つべきだというふうなお尋ねではないかと思うわけでございます。これは先ほどちょっと申し上げましたように、自主規制機関の運営の問題になるわけでございまして、もちろん証券業協会というところは自主規制機関でございまして、自主ルールをつくってそれを会員に守らせるという機能を持つわけでございます。しかし、行政当局と違いまして、直接監督権限を、そんなに強い監督権限を持っているわけではございません。あくまでも、自主的なルールをつくって、その自主的なルールを守っているかどうかという点を監視するわけでございます。したがいまして、協会の中で監査を担当する部門というものは、協会の中ではそれなりにやはり独立したといいますか、単独で行動するということには当然なるわけでございまして、そういうものも含めて協会のあり方全体について、特に取引ルールの、自主ルールの遵守状況をどういうふうにチェックしているかというような点も含めて監視委員会がさらにチェックをしている、監視をしている、検査をするというようなことでございます。
 したがいまして、監視委員会と協会の監査部門あるいは取引所の考査部門とが証券会社の立入検査について意見調整をするというようなことも一方で行われるわけでございますけれども、そういうものも行われる一方で、今申し上げたように協会全体の運営のあり方について、特にルールの遵守がきちっとできるような体制がどうかという点については、監視委員会がそういう目で協会全体をチェック、検査するというような仕組みになっているわけでございます。
#279
○中井委員 くどいようですが、そういう仕組みだからこそ、この監視委員会が、独立して、証券市場に参加する一般大衆から本当に信頼を得られるかどうかというのは、幾つもの独立した機関と打ち合わせをし、あるいは話し合いをし、あるいは情報をもらい、そして調査をしていく、チェックをしていく、これがなければならないと思うのです。
 しかし、これだけの人数でおやりになる委員会が、例えば一方では証券局と密接なつながりを持
つ金融検査部から情報をとる、この金融検査部とは人事交流がしょっちゅうある、本来監視をして見ておる証券業界の内部機構である調査の機関あるいは取引所の内部機構である調査の機関、そういうものと情報交換したり情報をもらったりして調査する、こういうので本当に独自の情報やら調査、業界やら取引所から影響を受けずに、あるいは証券局から影響を受けずに委員会が調査をする、ことができるのか、こういうことを尋ねているのです。だから、せっかく大蔵省もこういう形で独立した、独立したとおっしゃるのなら、自主ルールでおやりになる協会やらあるいは取引所の考査や監査の部局も何らかの独立性というものを担保していく方法もお考えになったらどうですかと申し上げているのですが、お答えをいただきます。
#280
○松野(允)政府委員 今の御指摘は、自主規制機関であります証券業協会あるいは証券取引所の自主規制力がどこまで発揮できるかということにかかわってくる問題だと思うわけでございまして、そういった観点から、この改正法では新たにといいますか、証券業協会あるいは取引所の自主規制機関としての地位の強化拡充を図っているわけでございます。そういう考え方に沿って考えますと、今御指摘をいただきましたような協会あるいは取引所におきます監査、考査についても、自主規制機関としての機能が十分発揮できるような形のものに持っていかなければならないということは言うまでもないことでございまして、そういう点も十分配慮しながら、自主規制機関としての運営あるいは機構のつくり方というようなものもこの改正法のもとで考えていく必要があるというふうに思っております。
#281
○中井委員 もう一つ、証券協会のことが出ましたからお尋ねいたします。
 この金融制度改革の法案が通りますと、いろいろな形態の証券の子会社ができるわけです。これらの子会社もすべて証券協会へ入るのかどうか。アメリカやイギリスでは、証券協会へ入っていない株式会社と証券会社というのがかなりあると聞いております。日本では、みんな入っておる。そこら辺も、これから自主ルールあるいは協会として自主的にモラルを高めていく、こういう場合に大きな問題になろうかと思いますが、大蔵省としては、銀行等の証券の子会社がすべてこの協会へ入るべきだ、あるいは入らなくてもいいのだとお考えですか。
#282
○松野(允)政府委員 この制度改正によりまして、銀行等の子会社の証券会社が新たに証券業務に参入してまいるわけでございまして、その際に証券業協会への加入をどうするかということが一つの検討課題になったわけでございます。
 一つの考え方としては、唯一の証券業協会をつくってそこに強制加入させるということが考えられるわけでございますが、自主規制機関ということからいたしまして、そのただ一つの協会をつくりそこに強制加入させるというところまではやや行き過ぎかな。もちろん、一つの協会に子会社も含めてすべての証券会社が参加、加入するのであれば、それはそれにこしたことはないわけでございますが、しかし万が一、新たにできます証券子会社が別の協会をつくるという場合には、その選択の道も考えております。
 それから、証券業協会に全く参加しないというようなこと、これは日本の場合には余り考えられないと思うわけでございます。というのは、証券業協会に加入しているということで、例えば店頭市場というものへの参加ができるというようなメリットがございますので。しかし万が一、そういういずれの証券業協会にも加入しないというような証券会社が出てきた場合に備えまして、それに対する大蔵大臣の監督規定を改正法の中に設けております。それによりまして、証券業協会に加入したのと同じような、証券業協会がつくっておりますいろいろな自主ルールと同じようなルールに従うように指導するというようなことにしているわけでございます。
#283
○中井委員 他の点でお尋ねいたします。
 この監視委員会は犯罪の調査部門を持たれる、この調査部門が国税のマル査みたいに相手先の帳簿等を強制的に調査する権限を持たれるわけでありまして、これは私どもは反対でありませんが、逆に言えば、大変な権限であろうかと考えております。従来、証券局がどれだけおやりになっても、証券会社に対する調査あるいは取り調べしかできなかったのが、今度、取引相手の帳簿等を強制的に調査できるということであろうかと思います。どういう手続でこれをおやりになるのですか。例えば、裁判所の令状等をとっておやりになるのか、調査すると言えばこの委員会の令状みたいなもので強制的に出させることができるのか、その点をお尋ねいたします。
#284
○小川政府委員 その点は、新しい証券取引法の第二百十一条におきまして、「委員会職員は、犯則事件を調査するため必要があるときはこ「裁判官があらかじめ発する許可状により、臨検、捜索又は差押えをすることができる。」と規定されておりまして、裁判所の令状をもって強制調査ができるということでございます。
#285
○中井委員 私も大蔵委員会、まだ新しゅうございまして、去年から証券のことをわからぬなりにいろいろと質問しておりますが、その中で一番わからないのは、損失補てんでも飛ばしても、いわゆる不法な行為をやった相手方を罰することは何もできない、やれないということであります。前回の損失補てんを禁止しました法改正におきましても、何か相手先に認識がなければ罰則も罰金もつかないということでありました。こんなものは、普通の犯罪からいえば全く考えられない状況であります。大金を、しかも違法な形で約束して動かして相手方が認識していないなんというのは、全くの日本的行政判断の上に立つ処分だと考えております。この飛ばしの問題でも、これだけのことをやっておるけれども違法な損失補てんを求めた相手先には何ら罰則がつかない。証券会社も悪かったけれども、自己責任で株の取引をしなかった機関投資家等も当然罰せられるべきだと私は思います。今回こういう形で監視委員会が相手先も調べられる、こうなったときに、相手先を罰する法律というのが一体どこに準備されているんだろう。こういったことを少し証券取引法で考えていかなきゃならないんじゃないか、あるいは相手先に対する罰則を十分今の証取法の中で適用できるんだ、こういうことで強制調査権を付与してあるんですか、どうですか。
#286
○小川政府委員 二点お答えしたいと思います。
 まず一点は、先ほど申し上げました裁判所の令状を得て強制調査をすることができるというのは、どこかにだれかを犯則嫌疑者として、そして犯則事件の調査をするわけでございます。そのときに、例えばよく行われますのは銀行く行って取引口座を見てその証拠を固めるという意味でございまして、必ずしも相手方という意味ではございません。ある犯則嫌疑者の犯則を固めるためには、さまざまなところへ行って強制調査をできるということでございます。
 それから、損失補てんの件につきましては、顧客が罰せられるケースがあるということは、昨年の法改正でそれが定められているわけでございます。したがって、それに従うということになろうかと思います。
#287
○中井委員 時間ですので終わりますし、あした実は質問があるのですが、私他の委員とかわって、自分で採決に加われませんので、最後に、長い長いこの質疑の中でこういう法案ができてまいりまして、あしたいよいよ採決ということになりました。国会の長い論議は、各党ともに、大蔵省から本当に離してきちっと公平な形で監視するものをつくるべきだという圧倒的な意見であったと私は考えております。冒頭申し上げましたように、こういう委員会がつくられることに敬意は表しますが、この運用の中でいつの間にかトップに大蔵省が座っておってまた同じことになったとか、そういうことを言われることがないように、せっかく委員会をつくったけれども前の証券局の下にあった検査と一緒じゃないか、こういう非難を受けることのないような運用をなされることを強く要望して、質疑を終わります。
#288
○太田委員長 次回は、明二十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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