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1992/05/27 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 大蔵委員会 第17号
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1992/05/27 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 大蔵委員会 第17号

#1
第123回国会 大蔵委員会 第17号
平成四年五月二十七日(水曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 太田 誠一君
   理事 井奥 貞雄君 理事 中川 昭一君
   理事 村上誠一郎君 理事 持永 和見君
   理事 柳本 卓治君 理事 小野 信一君
   理事 細谷 治通君 理事 日笠 勝之君
      浅野 勝人君    石原 伸晃君
      岩村卯一郎君    江口 一雄君
      衛藤征士郎君    狩野  勝君
      亀井 善之君    河村 建夫君
      久野統一郎君    小林 興起君
      関谷 勝嗣君    戸塚 進也君
      前田  正君    山下 元利君
      池田 元久君    佐藤 観樹君
      佐藤 恒晴君    沢田  広君
      仙谷 由人君    富塚 三夫君
      中村 正男君    早川  勝君
      堀  昌雄君    渡辺 嘉藏君
      東  祥三君    正森 成二君
      中井  洽君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 羽田  孜君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局経済部長 糸田 省吾君
        大蔵政務次官  村井  仁君
        大蔵大臣官房長 篠沢 恭助君
        大蔵省主税局長 濱本 英輔君
        大蔵省証券局長 松野 允彦君
        大蔵省銀行局長 土田 正顕君
        農林水産大臣官
        房審議官    今藤 洋海君
        中小企業庁計画
        部長      桑原 茂樹君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   林  則清君
        労働省労政局勤
        労者福祉部長  廣見 和夫君
        参  考  人
        (日本銀行信用
        機構局長)   本間 忠世君
        大蔵委員会調査
        室長      兵藤 廣治君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十七日
 辞任         補欠選任
  鳩山由紀夫君     山下 元利君
  松浦  昭君     石原 伸晃君
    ―――――――――――――
五月二十五日
 共済年金改善に関する請願外二件(前田武志君紹介)(第二六七七号)
 同外一件(奥野誠亮君紹介)(第二八四〇号)
 電波によるたばこ宣伝の廃止に関する請願(佐藤祐弘君紹介)(第二六七八号)
 同(中西績介君紹介)(第二六七九号)
 同(三浦久君紹介)(第二六八〇号)
 同(関山信之君紹介)(第二八四一号)
 同(中西績介君紹介)(第二八四二号)
 消費税廃止・飲食料品即時非課税、課税最低限引き上げに関する請願(小沢和秋君紹介)(第二六八一号)
 同(金子満広君紹介)(第二六八二号)
 同(木島日出夫君紹介)(第二六八三号)
 同(児玉健次君紹介)(第二六八四号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第二六八五号)
 同(菅野悦子君紹介)(第二六八六号)
 同(辻第一君紹介)(第二六八七号)
 同(寺前巖君紹介)(第二六八八号)
 同(東中光雄君紹介)(第二六八九号)
 同(不破哲三君紹介)(第二六九〇号)
 同(藤田スミ君紹介)(第二六九一号)
 同(古堅実吉君紹介)(第二六九二号)
 同(正森成二君紹介)(第二六九三号)
 同(三浦久君紹介)(第二六九四号)
 同(山原健二郎君紹介)(第二六九五号)
 同(吉井英勝君紹介)(第二六九六号)
同月二十六日
 消費税廃止、国民本位の税制改革に関する請願(永井孝信君紹介)(第二九三三号)
 電波によるたばこ宣伝の廃止に関する請願(岩田順介君紹介)(第二九三四号)
 同(関山信之君紹介)(第二九三五号)
 同(中西績介君紹介)(第二九三六号)
 同(楢崎弥之助君紹介)(第二九三七号)
 同(渡部行雄君紹介)(第二九三八号)
 同(岩田順介君紹介)(第三〇五四号)
 同(三浦久君紹介)(第三〇五五号)
 消費税廃止・飲食料品即時非課税、課税最低限引き上げに関する請願(石井智君紹介)(第二九三九号)
 同(岡崎宏美君紹介)(第二九四〇号)
 同(新村勝雄君紹介)(第二九四一号)
 同外二件(永井孝信君紹介)(第二九四二号)
 同(山元勉君紹介)(第二九四三号)
 同(山元勉君紹介)(第三〇五六号)
 共済年金改善に関する請願(久野統一郎君紹介)(第三〇五二号)
 同(増岡博之君紹介)(第三〇五三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七三号)
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○太田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。
 この際、本案審査のため、去る二十五日、二十六日の二日間、大阪府及び北海道に委員を派遣いたしましたので、派遣委員から、それぞれ報告を求めます。第一班持永和見君。
#3
○持永委員 第一班、大阪班の派遣委員を代表いたしまして、団長にかわりまして、私からその概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、太田誠一委員長を団長として、小野信一君、岩村卯一郎君、早川勝君、東祥三君、中井洽君と私の七名で、現地参加委員として柳本卓治君、左藤恵君が参加されました。
 会議は、大阪銀行協会において開催し、現地各界の意見陳述者の方々から、現在本委員会で審査中の金融及び証券取引制度改革法案について意見を聴取し、これに対して各委員より熱心な質疑が行われました。
 意見陳述者は、関西経済同友会代表幹事井上義國君、京都大学経済学部教授吉田和男君、日本証券業協会大阪地区協会会長巽悟朗君、全国信用金庫協会副会長・大阪府信用金庫協会会長大木令司君の四名でありました。
 その陳述内容についてごく簡単に申し上げますと、今後、我が国において有効かつ適正な競争を促進する金融制度改革を進めることは緊急の課題であり、むしろ遅きに失したとの意見が述べられ、相互参入の形態として子会社方式を採用したことは、弊害防止及び競争条件の公平性という観点から妥当であり、地域金融機関にとっては、本体での業務範囲の拡大及び業務規制の緩和と相まって、地域住民等のニーズに的確に対応でき、地域経済の活性化のために重要であるとの意見が表明される一方、中小証券会社が株式ブローカー業務に経営の基盤を置いていることから、株券取扱業務に条件を付すことは適当であり、また、CB等についても同様に取り扱っていただきたい旨の陳述も行われました。
 さらに、有価証券概念の整備及び私募に関する法整備は、利用者の立場及び投資家保護の見地からも重要であり、流通性のある証券化関連商品の機動的、弾力的な政令指定の実施と、私募はあくまで公募市場を補完するものとして、その市場がゆがまないよう十分配慮する必要があるとの意見のほか、諸規制、諸慣行の見直し、政省令や運用にゆだねられている部分についての適切な対応等について、要望が行われました。
 次いで、各委員から陳述者に対し、銀行の証券子会社方式への対応の見通しとその場合のブローカー業務禁止の妥当な期間、銀行の参入が証券市場にもたらすメリット、ユニバーサルバンク制度等に対する見解と我が国にとって将来望ましい金融制度の姿、金融自由化の影響及び米国から学ぶべき事項、私募債市場の拡大についての評価と見通し、金融制度改革に伴う信用金庫業界の展望、中小証券会社の新たな業務展開の方向、金融の証券化の見通し、我が国が国際金融センターとしての役割を果たすための方策、株式委託手数料の自由化、銀行の不良債権の開示等について質疑が行われ、滞りなく全部の議事を終了した次第であります。
 以上でありますが、会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じますが、速記録ができましたならば、本委員会の会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。
 なお、現地会議の開催につきましては、地元の関係者を初め多数の方々の御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表し、報告を終わります。
#4
○太田委員長 次に、第二班井奥貞雄君。
#5
○井奥委員 第二班、北海道班の派遣委員を代表いたしまして、団長にかわり、私からその概要を御報告申し上げます。
 当班の派遣委員は、中川昭一理事を団長として、細谷治通君、日笠勝之君、鳩山由紀夫君、仙谷由人君、正森成二君と私、井奥貞雄の七名で、現地参加委員として松浦昭君が参加されました。
 会議は、京王プラザホテル札幌において開催し、現在本委員会で審査中の金融及び証券取引制度改革法案について、現地各界の意見陳述者の方々から意見を聴取し、これに対して各委員より熱心な質疑が行われました。
 意見陳述者は、北海道旅客鉄道株式会社代表取締役社長・北海道経済同友会代表幹事大森義弘君、北海道大学経済学部教授浜田康行君、上光証券株式会社代表取締役社長山本實君、株式会社北洋銀行頭取・第二地方銀行協会北海道地区協会会長武井正直君の四名でありました。
 その陳述内容につきましてごく簡単に申し上げますと、金融・証券相互参入の促進により地域企業の資金調達及び資金運用が多様化し、新商品の提供等による地域経済に与える効果は大きい。自己資本比率規制による銀行等金融機関の貸し出しが伸び悩み、企業の資金調達多様化策として私募市場の整備が不可欠である。株式市場活性化は、小手先の株価対策よりも制度改革による健全な金融システムの構築こそ王道である。今次の金融・証券制度改革が、大銀行、大証券の業容拡大による大小格差を増幅し、規制緩和、公正競争の促進による地域金融機関の経営に与える影響も懸念される。また、現下の厳しい経営状況のもとで、証券業務の新規参入に伴う中小証券会社の経営に対する配慮が必要である旨の意見のほか、金融・証券制度改革と金融・証券不祥事対策との区分対応、銀行の証券子会社に対するブローカー業務規制の強化、株式委託手数料自由化問題の多面的検討の必要性等について意見、要望が述べられました。
 次いで、各委員から陳述者に対し、業態別子会社方式による相互参入の有効性と利益相反問題、金融・証券制度改革が地域経済に与える効果、ノンバンクの金融制度に占める位置づけと規制強化のあり方、金融・証券不祥事の原因と過剰エクイティーファイナンスとの関連性、金融・証券制度改革後の地域金融機関における人材育成方針、金融・証券制度改革における利用者利便の担保策、自社株式保有問題の是非等について質疑が行われ、滞りなく全部の議事を終了した次第であります。
 以上が第二班の概要でありますが、会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じますが、速記録ができましたならば、第一班と同様のお取り計らいをお願いいたします。
 なお、現地会議の開催につきましては、地元の関係者を初め多数の方々の御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表し、報告を終わります。
 以上であります。
#6
○太田委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。
 お諮りいたします。
 ただいま報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録ができ次第、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○太田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#8
○太田委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行信用機構局長本間忠世君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○太田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#10
○太田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺嘉藏君。
#11
○渡辺(嘉)委員 過日、大蔵省からこういう文書が届いたわけです。これは「第一弾と第二弾の一括審議の必要性」という文書、その他ずっと一連の文書が届いております。これによると、第一弾というのは「証券取引等監視委員会の設置等…公正な取引の確保」第二弾は「金融制度・証券取引制度の改革…有効かつ適正な競争の促進(「垣根を低く」)」「子会社方式による相互参入」銀行業務、証券業務、信託業務を相互参入させる、あるいはまた「協同組織金融機関の業務規制の緩和」こういう一弾と二弾の注釈のついた幾多の文書が届いたわけです。
 これを一括して審議するのがいいのか悪いのか、これは私ども立法府が考えることなんです。行政機関としては、こういう気持ちがあれば、それはお伝えいただくのは結構ですけれども、少なくともここに出ておる今までの経過を踏んまえて判断いたしますと、第一弾の「証券取引等監視委員会の設置」につきましては、過日もう議決をいたしたわけです。これに関連いたしまして、銀行局にありましたいわゆる検査部門を官房に移しまして、そして銀行局から切り離した、こういうようないろいろな措置は行ったわけなんです。ところが、この第一弾は、昨年来のあの金融・証券不祥事の中で、証券のいわゆる損失補てん、大量推奨株のああいう不祥事、こういう幾多の問題、それに暴力団の絡まった問題、そのような問題から、これは早急に、そしてきちっと投資者また国民が納得できる解決をしなければならぬということで、昨年の一部法改正と本年のこの監視委員会の設置によって、一応これは軌道に乗るのではないか。だから、第一弾は済んだのです。第二弾も一緒でなければならぬということはないのです。
 なぜか。中身を見てみますると、これは言うまでもなく、第二弾は今申し上げたような新しい有効な競争を促進するための法律なんです。今日この証券界の問題につきましては、かなり厳しい今度の規制と法改正を行い、これからの監視もすることになったわけです。そうすれば、この金融改正の十六法の法案は、むしろこれから新しい競争を促進しようじゃないか、それによって公正を確保しよう、こういうふうにうたってありまするが、実態は、証券業界悪者論というものがかなり一部に蔓延したことは事実ですが、私どもが判断いたしますると、証券についての問題は一応ピリオドを打ったけれども、しかし、金融機関における幾多の不祥事、あれだけ大蔵省の銀行局の検査担当が万全を期したと言いながら、損失補てんの金額の何倍、何十倍という不正が東洋信金を初めとして幾多の銀行で起きた。富士銀行しかり、住友銀行しかり、東海銀行しかり、びっくりするような中身が天下の都銀の中から出てきておる。これのうみをまだ完全に出し切っておらない、また、これについての発表も十分なされていない、こういう段階で相互参入のための新しい競争体制をつくるということはいかがなものだろうか。
 いま一つは、私は前の委員会でも申し上げたわけですが、今日のこの不況は複合不況だ、こういうふうに唱え、そして、実物経済からいわゆる表面的なシンボル経済に移った。物、サービスからいわゆる金融・証券という、そういうゼロさえ足せば幾らでも価格がふえていくという、いわゆる価格のひとり歩きのするようなシンボル経済に行っておる、こういう複合不況なんです。これのスタートは金融自由化に大きな責任があるのだ、こういうことが言われておるわけです。こういうような意味合いから、私は、党の方針もこれあり、そういう金融制度十六法の法案審議は後日にゆっくりとまたやらせていただきますので、きょうは、当面この金融機関にまつわる、あるいは証券不祥事にまつわったノンバンク問題が焦眉の急でありますので、この焦眉の急のノンバンク問題に集中して質疑を行いたいと思うわけであります。
 そこで、まずノンバンクについてでありますが、現在ノンバンクには九十八兆円という多額な貸し出しが行われておるわけですけれども、地銀の百十七兆円に次いで、信金の六十兆円を超える膨大な貸出業務を行っております。ここに大蔵省銀行局の「ノンバンク上位二百社の貸付金の実態調査結果について」という書類がありますが、これは大蔵省の書類ですね。お見せしますか。
#12
○土田政府委員 大分古い時期でございますが、私どもが部内用につくっております書類でございます。
#13
○渡辺(嘉)委員 そのとおりなんです。これは古いのです。古いというても、それなら、古いと言うならいつです。
#14
○土田政府委員 ただいまそこのページを拝見しましたが、平成二年三月末時点の計表があるように思います。
#15
○渡辺(嘉)委員 そのとおりなんです。ですから一年前の資料なんですけれども、こういう書類が大蔵省にあります。私どもの手元にはこういう書類もなかなか出てこない。これがもっと早く欲しかったわけです。とすると、これは、私どもがあの法律を改正して、四十一条、四十二条の一部改正をいたしまして、大蔵省へ事業内容の報告を求める、そういう決定をする前の書類なんです。こういうものがあなたのところには既にあるのです。こういうものがありながら、なぜ私どもがいろいろ要求するときには資料が出ないのか。この点はどうなんです。
#16
○土田政府委員 この点に関連して特に御理解をいただきたいと思いますのは、私どもの銀行局の行政におきましていわゆるノンバンク問題なるものを認識し、それについてスタートからその研究を始めたというのがごく最近のことであるということでございます。すなわち、私どもの方で、一応ノンバンクが貸し金業者の中でも一つの特筆すべき存在として大きな活動をやり、それが例えば土地取引などについて積極的に活動をしておる、これに対する取り組みを考えなければならないというふうに感じましたのが、最も早い時期では昭和六十二年の十月の銀行局長の通達でございましたが、この通達はあくまでも金融機関に対するものでございまして、貸金業そのもの、業者そのものに対するアプローチではなかったのでございます。
 それで、貸し金業者そのものに対するアプローチを始めましたのが平成元年十月の対策からでございました。そのときからデータをゼロから集め始めたわけでございまして、しかもそのようなデータは、関係の貸し金業者の自発的な協力によって、私どもが部内用に取りまとめたものでございます。したがいまして、そのようなものを世間に対して公表をするということができるような段階ではないというふうに、ごく最近まで考えておったわけでございます。
#17
○渡辺(嘉)委員 押し問答は時間の浪費ですからいたしませんけれども、こういうものを既に法改正の以前から持っていらっしゃるのです。それなら委員会審議に当たっては、私どもはもう先輩議員から何回もノンバンクの問題については質疑しておるわけですから、今五百億以上についてはこれは報告を義務づけた。いまだに私のところにもその名簿が出ないのです。こんなものは、報告した人の名簿くらい出すのは当然だと思うのです。ところが、既にこういうものをとっておきながら、我々国会審議に当たっては、三万数千もあるノンバンクのこんなものの一覧表を見たって、何が何だかさっぱりわからない。その中の八〇%を占める三十社について私どもが何回も名簿を出して、それの資料要求をしても出てこない。私はこういう大蔵省の私ども国政審議に対する姿勢は好ましくない、これは改めなければいけない、強くお願いをいたしておきます。
 そこで、今度新しく私の手元へ出てきたのが、大蔵省から出てまいったわけですが、これによりますと、ノンバンクの貸付債権のうち、先ほど申し上げたように九十八兆からあるわけなんですが、そのうちの延滞債権、これはまた不良とまでは言えるかどうかはいろいろ疑問があるわけですが、延滞債権が一カ月以上の占める比率は、二〇%以上が三二・四%、一〇%から二〇%が二七・九ですから、合わせると六〇%が危険水域にある。特にこの中で二〇%以上が三二%あるということなんです。
 過日、日経新聞等には出たわけですが、日債銀、日本債券信用銀行の系列のノンバンク、クラウン・リーシング、日本トータルファイナンスそうして日本信用ファイナンスサービス、これに対して日債銀は金利をゼロにして支援に入っていった。この貸付総額が一兆七千三百億、不良債権が三千五百億、二〇%に当たっております。とすると、延滞債権が二〇%以上のところが三二%のノンバンクにあるということは、これはゆゆしき問題ではないか、こういうふうに思うわけなんです。この三つのノンバンクは、こういう二〇%という比率によって行き詰まって、支援を仰ぐ結果になったわけなんですが、延滞債権を二〇%持っておる、このことは、この三二%、三分の一のノンバンクが危険なのかどうかということが一つ。いま一つは、しからばその中の本当に不良債権と見られるのはどれだけあるのか、この点を明らかにしていただきたい。
#18
○土田政府委員 まず、ただいま御指摘のありました個別案件の話でございますが、これについては、私どもは、日本債券信用銀行から、御指摘の三社の策定した経営改善計画に対して全面的に支援、協力する方針である旨の報告を受けたところでございます。何分にも個別の融資でございますので、立ち入った支援内容についてのコメントその他は差し控えさせていただきたいと思いますが、このような経営不振に陥った企業に対する金融支援につきましては、基本的には金融機関みずからの経営判断によって対処すべきものであると考えております。
 ところで、そのような例はほかにあるかということでございますが、それは私どもは金融機関から、すなわち、個別のノンバンクからではなく金融機関を通じて、その金融機関が大きな問題であるという認識を持つに至った個別案件についていろいろと報告を受け、それから、その金融機関のその問題についての取り組み方、その姿勢などを聴取するということはいたしておりますけれども、現在このような延滞債権を持っておるノンバンクの業況全体について、特に申し上げるほどの調査はいたしておりません。
 それで、ただいま委員の御質問にもございました延滞債権一カ月以上のものが二〇%以上もあるノンバンクが三百社のうち三二・四%であるというような数字は、私どもが個別のノンバンクから自発的な協力によってアンケート調査をいたしましたその回答を集計したものでございまして、それ以上立ち入った細かい分析資料は持っておりません。
#19
○渡辺(嘉)委員 私は、これは大変な数字だと見ておるわけです。
 あわせて、預金担保を預かって貸し出しをした、その中の四六・七%に問題があった、それから十億以上の貸し出しをしたときには、預金担保の場合には六二%に問題があった、こういうことが出てくるわけですね。そうすると、これはどういうことになるだろうか。預金担保で問題があった。架空預金の問題もあったわけですが、現在これに対する貸し出しを行っておりますのが、銀行が八一・八%。ノンバンクの資金は、八一・八%が金融機関がその借入先であるわけですね。その八一・八%のうちで銀行がノンバンクに融資いたしておりまするのは五十九兆七千三百七十一億円。これは昨年の三月末なのです。ことしではありません。一三・八%。ですから、十二年前の四%から見ると、これは実に三倍以上に膨れ上がっておるわけです。だから、平成四年の三月末になると、もっと大きな数字になっておると思うのですが、これについては現在どのようになっておるのですか。
    〔委員長退席、柳本委員長代理着席〕
#20
○土田政府委員 預金証書担保貸し付けについての御質問がございましたが、これにつきましては、昨年幾多の不祥事が明るみに出ましたときに、実際には不正に作成されたものないしは偽造であったものが多かったわけでございますけれども、その預金証書を担保としてノンバンクが貸し付けておったものが幾多認められましたので、私どもの方で預金証書担保貸し付けについて十分な注意を払うようにというように、いわば注意を促したというようなことがございました。今回のアンケート調査によりますと、預金担保貸し付けの推移は、平成二年九月末一兆一千億円から平成三年三月末七千七百億円、平成三年九月末、これが激減いたしまして、三千九百億円というふうに急減をしておるわけでございますが、これは事件の報道と、私どもの注意喚起があずかったものと考えております。
 その次に、ノンバンクに対する資金供給の問題でございますが、これは委員からただいまお示しがありましたとおり、平成三年三月末での貸し金業者の資金調達状況を調べたデータがございます。そういたしますと、その資金調達のうち自己資金は全体の四・三%にすぎず、あとは借入金、すなわち九五・七%が借入金となっております。その九五・七%の中の八一・八%が、これは銀行だけではございませんが、いわゆる金融機関からの資金調達であるという数字を所持しております。
 このような数字をより新しい時点でとったものはあるかということでございますが、現在このような網羅的な統計は、これより新しいものは所持しておりません。ただ、全体として貸し金業者は自己資本がほとんどなく、また自己資本金といっても限られたものでございましょうから、結局、既存の銀行その他の金融機関から資金調達、資金を仰ぐ、ないしは他のノンバンクから資金供与を受けるといういずれかであろうと思われます。その他のノンバンクも、そのまた源をさかのぼりますと、金融機関から資金を仰いでおるものが多いであろうというふうに推定をしております。
#21
○渡辺(嘉)委員 東京佐川急便に関連した債権者リストがここにあるわけなのですが、このリストによりますると、銀行、ノンバンク、生保等々の合計をいたしますると、四千七十二億八千九百万円に上っておるわけですね。そのうちの中でも大口は都銀なのです。住友が三百二十九億、三井信託が二百八十九億、協和埼玉が二百七億、東海が二百四億、そして富士が百三十八億、東京が百八十一億等々、その他合わせまして、千八十八億は都銀を中心とした金融機関から出ておられますね。これは、いわゆる金融機関本体と系列のノンバンクから出しておるのです。このバブルの横行と不祥事に常にノンバンクが顔を出しておるということは、もう今さら私は時間をかけて繰り返しません。とすれば、このノンバンクに対して正しい規制をいかに行うべきかということは、重大な問題であると私は思っておるわけです。
 先日も金融制度調査会の答申が出まして、そして大蔵省から私どもの手元へ来たわけですが、これによりますると、ノンバンクに対しては「異なる業態の金融機関間の合併及び転換に関する措置」、金融機関の経営上の選択の幅を広げるために、長期信用銀行、外国為替専門銀行を普通銀行へ転換したり、また他の業態の金融機関と合併することが容易となるように法律改正を行うことが妥当である、こう出ておるわけですね。ところが、今度の金制十六法には、このノンバンクについての規制は何も入っておらないわけです。ですから、今おっしゃったように不良債権、何がどうなっておる、かにがこうなっておると言ったって、これはわかりませんというようなことなのですが、こういうことが出ておりながら――もちろん時間的に間に合わぬとおっしゃるかもしれない。しかし、こういう動きはもう既に二年も前から出ておるということなのです。ですから、大蔵省自身がもう既に部内の秘密資料でいろいろ集めていらっしゃるのだ。これに対して今度のこういう金制十六法の中になぜ何もこれが入ってこなかったのか。大臣からも答弁ください。
#22
○土田政府委員 東京佐川の問題につきましてまずお尋ねがございましたが、この東京佐川急便事件につきまして、立ち入った御説明を申し上げる機会であるとは思いませんけれども、銀行及びノンバンクがこの東京佐川急便に融資し、ないしは東京佐川急便の債務保証を得て紹介先の企業に、これはノンバンクが主でございますが、融資をしておったというような事実は、私どももある程度概略は認識をしております。
 ただ、これにつきましても、東京佐川急便自体に対する金融機関からの融資そのものにつきましては、もちろんケース・バイ・ケースではございましょうが、御高承のように、この事件の発生前は、比較的収益力に富む優良企業であるという評価を受けておった面もあるということは、やはり金融機関の審査担当者の頭にあったものと思われます。ただ、いずれにいたしましても、今後はこの東京佐川急便問題の解決につきまして、会社側の経営体制の刷新ないしは関係の会社の合併その他による再建の動きとあわせて、既存の銀行からの債権の回収を図る、ないしは企業全体の立て直しに協力するということが当面の金融機関の姿勢であるというふうに私どもは認識しております。
 ところで、それはそれといたしまして、いろいろ御指摘のように、このようなノンバンクが大きなプレゼンスを占めるに至った段階におきまして、このビヘービアにつきまして正しい姿勢を求めるということは、まことに大切なことであると思っておるわけでございます。そして、そのノンバンクの融資業務の健全性を確保いたしまして、金融システムの安定的な担い手として機能するようにすることが重要であるという認識は私どもは持っております。
 そこで、そのためにでございますが、これまでも国会において幾多の御指摘をいただいたところでございまして、例えば、昨年の国会における証券及び金融に係る不祥事の再発防止につきましての特別委員会での御決議でも、このノンバンクの実態把握の重要性、適切な指導体制の確立を図る必要性が指摘されておったところでございます。行政当局としましては、従来の御議論及びこのような御決議をも踏まえまして、ノンバンクの実態把握を図ってまいる所存でございます。ただ、それとともに、その際には業界団体による自主規制の活用、その他何らかのいわば体制の整備が必要であるのではないかと考えておるところでございます。
 なお、この中で、貸金業規制法の改正問題が今回御提案申し上げております制度改革法案の中にないではないかという御指摘がございましたが、それにつきましては、御高承のように、この貸金業規制法はもともとが議員によって提案され、制定されたものであり、さらに昨年も、議員立法により改正がいろいろ御議論の末になされたところでございますので、私どもとしましては、国会での御議論を十分踏まえさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。
#23
○羽田国務大臣 ただいま局長の方からお答え申し上げたとおりでありまして、非常に社会的存在が大きくなり、また、今この一連の出来事の中で非常に大きなかかわりをしておるということ、また、そういったものがそのままに放置されたりなんかしていきますと、やはり社会的不安というものを助長させてしまうであろうというようなことで、今話がありましたように、金融システムの中できちんとした役割といいますか、そういったものを果たしてもらうためにも、ノンバンクというもののちゃんとした経営の内容ですとか財務の内容ですとか、そんなものがわかっていると、国民にもあるいは社会的にも安心というものが得られるのではなかろうか。そういった点で、私たちもこういった問題について考えていかなければならないというふうに思っております。
 いずれにしましても、貸金業法を国会で成立させていただいたことでございますので、私どもも国会での御議論というものを踏まえながら、適切に対応しなければいけないというふうに思っております。
#24
○渡辺(嘉)委員 先ほど申し上げた東京佐川の債権者一覧表に載っておるリスト、この金額は間違いありませんかということと、それから、しからばノンバンク、貸し金業者というものは金融機関という範囲に入るのか。どうなのですか。
#25
○土田政府委員 実は、私どもといたしましては、東京佐川急便ないしはその関係者から直接事情を聴取するということはいたしかねますので、主要取引銀行から随時連絡を受けてまいったところでございますが、私どもから申し上げることができますのは、ことしの三月三十日に東京佐川急便と佐川急便とが、これはいわば本社に当たる会社でございますが、合同で東京佐川急便の現状と今後の進むべき方向について発表をいたしました資料の中で、この保証債務の金額、さらには金融機関からの支援を仰ぐそのような金額、その他が記載されておるということでございます。
 ちなみに、そこに出てまいります保証債務等の金額は三千九百五十八億円という数字、これはことしの一月二十日現在という注記でございます。そのような数字は所持しておりますが、ただいま御指摘がありましたような具体的な金額については、私どもは承知しておりません。
#26
○渡辺(嘉)委員 私は、大蔵省は知っておんさらぬという話やけれども、そういうことはないと思う。そんなものは知らずにやっておんさるはずがない。今おっしゃった三千九百五十八億円、私が申し上げたのが四千七十二億円、余り違いませんけれども、それで銀行間の内訳も申し上げた。こういうふうな銀行、そしてそれとセットになったノンバンクがどんとこうやっておるという、ここにノンバンクは金融機関なのかそうでないのか、そういう疑問が出るわけです。実態は、銀行本体がやりづらいようないろいろなことをノンバンクを通じてやらせておるというのは、今までの国会審議でも明らかになっておるとおりなんです。その実態から見てもこれは金融機関のはずだと私は思うのですが、どうなんですか。
#27
○土田政府委員 東京佐川急便関係で、殊にこの東京佐川急便の債務保証を得て関係の企業などに貸し出したものの中にノンバンクが主力を占めておるということは、御指摘のとおりでございます。
 ただ、それが、要するに実態は銀行のいわばさしがねによるものであるというふうに一概には考えられないと思いますのは、これはいろいろな機会に申し上げておるところでございますが、いわゆるノンバンクというものにはさまざまな態様がございまして、その中には、確かにいわゆるメーンバンクとの関係が極めて密接であり、それで、いわばある意味ではメーンバンクの別働隊的に行動しているノンバンクもございます。しかし、それがすべてということでは到底ないのでありまして、銀行系でありましても、実際の資金調達や貸し出しの実行は独自の判断のもとに行われておるような大型ノンバンクもございますし、それから、そもそも銀行系と言いかねるような大型ノンバンクも多々あるわけでございます。
 そのようなところから、私どもは、いわば銀行のビヘービアを通じ、いわば銀行からの情報収集を通じてノンバンクの動向を把握することには、到底限界があるというようなことを感じておる次第でございますが、東京佐川急便関係をめぐるノンバンクの行動についても、同じようなことが申せるのではないかと思っております。
#28
○渡辺(嘉)委員 金融機関はどうなんですか。
#29
○土田政府委員 失礼いたしました。
 何を金融機関と言うかというのは、なかなかこれは言葉の問題でございます。普通これまで長い間、金融機関といえば、やはり預金や、債券を発行いたしまして資金を調達し、貸し出しを行うもの、それが株式会社形態であれ組合形態であれ、そういうものを金融機関と言ってまいったと思いますが、ただ、そのときには、今日話題になっておりますようなノンバンクというものは世の中に存在いたしませんでした。このようなノンバンクまで金融機関と言うのが適当であるかどうかというのは、私どももまだ的確に申し上げるような研究を積んでおりませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
#30
○渡辺(嘉)委員 それがおかしいと思うのですけれども、先ほどから局長も合点していらっしゃるように、ノンバンクの資金は八一%まで金融機関から来ておるのです。金融機関は預金者の金なんです。とすれば、八一%までが金融機関から来ておるということになれば、当然これはもう金融機関に準ずる機関として、金融機関の範疇に入るのは当たり前のことなんです。それを野放しにしておくからこういういろいろな問題が起きたのです。私は、これは当然金融機関として扱っていくべきではないか。
 これに関連をしてもう一つ申し上げておきますが、先ほど申し上げました日債銀のノンバンク三社に対するいわゆる支援体制が出ておりますが、銀行がどんどん支援してくるのです。金利はただにします。二%にします言うて、これから支援をしていくのです。これは三社ばかりじゃないです。これはどんどん出てくるはずです。
 今、私の手元へは、あるリース会社です、ちょっと名前だけは差し控えますが、これも主力銀行は日本債券信用銀行なんです。もう一行つきまして二行でやっておるのです。これについても主力行は利払い停止はしなければならぬのじゃないか、そしてまた、それもするというふうに大体取りざたされておる。これも六千百億の貸付残高を持っておるところなんです。これはもうとてもじゃないが、やっていけないような状態なのです。あるいはまた、あるモーゲージ会社も五千百億貸しておりますが、これも金利の減免をしなかったらとてもやっていけない。だから、そこの親会社である信託銀行は社長を派遣せざるを得ない。そのうちの四千三百億資産処分やるというけれども、こんなものは実際売る段になれば、いいものは売れていくけれども、くずは残るのです。こんなものはこの程度のことでできるはずがない。こういう問題がこれからびしびしと出てくるのですね。こういうときに、この貸し金業者、ノンバンクに対してこれからどういう方針をとるつもりか。
 先ほどの答申にもあるように、法改正して何かしなければいけない、こういうことまで出ているのに、これを怠っておられる。今日、ノンバンクの中身は不良債権のために空洞化しておるのではないか、中身が溶けておるのではないか、そしてノンバンクの六〇%、中には八〇%までは危ないのではないかということまで言われておるわけですが、それに関連をすると、先ほど申し上げたように、問題のあるノンバンクが既に三分の一を占めておる。そういうところへ融資しておるのが金融機関だ。もしもこういうことになると、そのノンバンクのツケはそのまま金融機関に来るのです。どういうふうに認識と把握をしていらっしゃいますか。
#31
○土田政府委員 いろいろな論点をお示しいただきましたが、御指摘によれば、まず八一%が金融機関からの金であるから、これはいわばそういうような業界は金融機関に準ずるものである、したがって、金融機関は当然それに対してある意味では責任というか、かかわり合いがあるということでございます。これにつきましては、むしろ私どもの気づきの点でございますが、資金の主なるものが金融機関から出ているということだけでノンバンク問題を特別扱いするということは、必ずしも適当でないと思います。これは余りいい言葉ではございませんが、世間の一般の大型倒産の実例から見ましても、資金の大半を金融機関に仰いでおるという例が間々見られるわけでございます。
 そのような一般企業とノンバンクとを区別するメルクマールがどこにあるかということでありますけれども、それはノンバンクが貸金業を行っている、いわば金を扱っておる、そういうところに金融システムの広い意味での一角を担うということで特殊性があると考えるべきかどうか、そういうアプローチではなかろうかと思うわけでございます。
 そこで、そのような貸金業を行っておりますようなノンバンクが最近いろいろ経営不如意に陥っている現象がふえておる、これはまことに御指摘のとおりでございます。ここに至る経緯といたしましては、金融機関はかつて、これは具体的には土地とか株の取得につきましての世間の旺盛な資金需要に対しまして、ノンバンクが前向きに対応してきた。それを支えると申しますか、それに対する資金供給者としての銀行もまた、必ずしも慎重な態度を持するということではなく、業容の拡大に走って貸し込んできたというような事実があったろうと思います。この点は非常に反省を要する点でございます。
 そこで、現在、景気動向その他の変化によりまして、いわばそのツケが回ってきておるというような感じでございますが、こういう大口の貸出先が経営不振に陥った場合に金融機関がどのような対応をとるかということは、これはやはり個別の金融機関みずからの経営判断により対処すべきものであろうと思います。ただそのときに、例えば延滞債権の悪化を食いとめることが、ひいては自分の銀行のみならず、関係の多くの取引金融機関の負担を最終的には極少化、いわば最も少ないものとし、かつ信用秩序の維持を図る最善の選択であるという判断をするケースもあり得る、これが銀行のとる立場であろうと思っております。
 そこで、私どもの今後のこの問題への取り組みについてのお尋ねでございますが、これにつきましては、先ほどから申し上げておりますけれども、融資活動を行っておる、そういう点につきまして他の一般企業とは異なる性格があるのではないかと私どもは考えておるわけでございます。そこで、このような問題の現状を踏まえますと、ノンバンクの融資業務の健全性を確保して、そして幅広い金融システムの安定的な担い手として機能するようにすることが大切であろうかと思います。それに向けては対策の組み立て方をいろいろと私どもも考えておるわけでありますけれども、ノンバンク業界みずからの自己努力、自主規制をも含めましたいろいろな自己努力というようなものも必要でありましょうし、近年その方面の行政を開拓してまいったわけでございますが、金融機関のノンバンクへの取り組み方について、さらに適正を期するというように指導することも必要でありましょうし、また、これらを通じての前提といたしまして、ノンバンクが現在どのような融資業務をやっておるのかというようなことについての実態把握についてまず心がけてまいらなければならないのではないかと感じておるところでございます。
#32
○渡辺(嘉)委員 そういうふうに言葉の上ではおっしゃるけれども、今の資金調達の実態は、言うまでもなく銀行を初めとする金融機関、そして証券業界、証券市場、そしてノンバンクだと私は見ておるのです。これが資金調達機関の現状としてあるわけなんです。こういうようなところから見ると、この際、金融機関という範疇でこれの規制をすることが、これがばっこすることによって、また逸脱することによって、資金調達をする金融市場を混乱させた今日の大きな原因から見ても、当然の帰結、これからの進路だと私は思っておるわけです。
 そこで、大蔵と日銀とに、この前御無礼いたしましたが、あわせて聞きます。ノンバンクをもしこのように預金者の金で金利はただにしてあげますということでどんどん救済してくる、しかし、そうなると銀行の方はもたない、こういうようないろいろな悪循環が出てくることは当然なんです。そこで、金融機関がそういうものを抱えながら、今どのような状態にあるかということについても、きちっと把握しておかなければならないのですが、大蔵省も日銀もこれは当然把握をしていらっしゃると思うのです。そして、把握をしたのならば、これはディスクロージャー、開示制度である程度明らかにすべきなんです。そうでないと、銀行の株だけがひとり歩きをしても困るわけなんです。事実、公正な価格形成は当然市場で行わなければならぬわけです。私どもも幾多の事例で今日までそういう中身をいろいろとあげつらってきたわけですが、そういう事実から考えましても、今年一月の金融制度調査会の報告書にも、投資家に対してこれら銀行の不良債権額の開示を求めるという答申が大蔵大臣に提出をされておるわけです。
 それに当たりまして、過日も問題になりましたが、いわゆるフィナンシャル・タイムズ、これからFTと言いますが、このFTが日本の銀行界の不良債権は四十二兆から五十六兆に達しておると五月十六日に報じ、朝日新聞もそれを掲載したわけです。これに対してFT社はその後訂正をいたしまして、日銀の内部資料ではなく、日銀の内部レポーターに基づくと言われるリポートであると訂正をしたが、中身は訂正をしていない。
 この際、これの不良債権の定義もいろいろあります。先ほどのノンバンクのような「問題のある債権はここからだ」ということで、大蔵省が私に提示になった。いわゆる一カ月以上債権の利払いが滞ればこれは問題だ。ところが、税法から考えまして、金融機関に対しましては六カ月以上の利払いは益金に計上しない、資産に計上しない、こういうことになっておりますし、担保の有無その他いろいろ定義が変わるわけなのですが、問題は先ほども申し上げましたように、ノンバンクがこの三月末で、三百社の統計によりますと不動産担保が六四・九、有価証券が一〇、こういうふうに、約七五%が株等を中心とする有価証券と不動産担保なのです。これが値下がりをしておることはもう事実なのです。
 こういうところから見ると、今日これらを抱えた金融機関の不良債権はしからば幾らなのだ、この際明らかにしていただくのが当然のことであり、大蔵省はいつもオウム返しに、私の方の観測によれば不良債権は七、八兆、焦げつきは二、三兆である、こういうような説明をしていらっしゃるのですが、私は巷間いろいろ聞いてみますと、そんなものじゃない。少なくとも三十兆近いのじゃないか、五百十兆ほどのこの百五十四社の金融機関の貸し出しのうちで、約三十兆に近いのじゃないか、こういうふうに言われておるわけですが、この際日本銀行並びに大蔵省から、まず日本銀行はこういう内部資料があるのかないのか、あるいはまた全然そういうことも調べずに、どんどん公定歩合で銀行へ金を貸しておるのかどうか。そんなことならこれは問題だと思うのですね。やはり当然きちっとした考査と、中身の貸借対照表、決算諸表を取り寄せてやっていらっしゃるはずなのですから、当然わかっておるはずなのです。だから、これがどの程度あるのか。それから大蔵省は、オウム返しに今まで言うていらっしゃることじゃなくて、実態はどうなのだ、この点を明らかにしていただきたい。
#33
○本間参考人 お答えをさせていただきます。
 私ども日本銀行は、取引先の金融機関に対します実地考査でございますとかあるいは日常のモニタリングを通しまして、各般の報告を徴求しておるわけでございますが、金融機関の貸し出しの内容につきましても、当然適宜その調査を行っておるわけでございます。
 その中で、委員ただいま御質問いただきました一部FT等にございますような、金融機関の不良債権につきまして三十兆とかあるいは五十六兆とかいったような数字が報道としては出ておるわけでございますが、そういった調査結果は私どもには存在いたしません。
 もとより、私どもといたしましては、常日ごろから取引先の金融機関に対します実地考査の際に、実際にその資産の中身を見まして、その査定を通しまして不良資産の金額を把握するように努めておるわけでございます。この点は委員御指摘のとおり、さらにこれから鋭意把握について一層充実させていく必要があると存じておりますが、実際の考査の時点はそれぞれ異なっておりまして、特定の時点の不良資産の総額というものを把握しているわけではございません。
 いずれにしましても、日本銀行が行っております考査は、日本銀行法に定められました通貨価値の安定と信用制度の保持育成という使命を達成いたしますために、相手先の金融機関との信頼関係を基礎にして、それに基づきます取引の約定に基づいて行っているものでございます。また、事柄が信用秩序に悪影響を与えかねない性格を持ち得ることにも配意いたしまして、考査等を通じまして得ました個別金融機関の情報をお示しすることは難しいという点も御理解いただきたいというふうに思います。
#34
○土田政府委員 ノンバンクの資産内容の悪化がそれに対する資金供給者でありますところの金融機関の財務内容に悪影響を与えるのではないかということは、御指摘のとおりの懸念を踏まえまして、私どもも十分今後気をつけたいと思っておるところでございます。ただ、個別銀行の経営内容そのものにつきましては、ディスクローズはまずその銀行がみずから行うべきものであろうというふうに考えております。私どもは折に触れまして全体としての計表を取りまとめ、便宜それを解説したり発表したりしているところでございまして、最近も御高承のように、ことしの三月末時点で、貸出金利息が六カ月以上未収となっている貸出金について、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行の三業態からヒアリングを行った結果、その金額はおおむね七、八兆円になる見込みであるということを対外的に説明をしております。
 ところで、実態はもっと多いのではないかという報道はいろいろ我々も見ておるところでございますが、まず私どもが申し上げたいと思いますのは、この三月末時点での私どもの説明は、これはもちろん決算見込みで、速報値をベースにいたしましてとりあえず集計したものでございますけれども、現実に各銀行からのデータの裏づけのある根拠のある数字であると考えております。
 それから、何十兆というような話につきまして感じますことは、まず第一に、これは委員の御指摘にもございましたが、いかなる定義に基づいてそういう不良債権なるものをカウントしておるのか明らかにされていない場合が多い。それから第二に、一体いつのことを言っているのかよくわからない。物によりましては、今ではないが、今後もっとふえるだろう的な感じで論述をしておるものもあるようでございます。それからさらに、その範囲につきまして、金融機関本体のみならず関係会社のものも単純に合算しているのではないかと思われるようなものがございますが、そのような取り扱いは私どもはいささか異論がございます。
 いずれにいたしましても、私どもは全体としての動向の把握に努めておるところでございまして、今後の問題といたしましても、行政面においてもまた検査の面においても、金融機関の資産内容の推移に十分注意をしてまいりたいと思います。ただこれは、日本銀行から御説明がありましたように、特定時点で一斉に全体を検査などを通じて把握するということはやっておりません。この点は日銀の考査と同様でございます。
#35
○渡辺(嘉)委員 続いて、去る五月二十日の日本テレビで私は見たのですけれども、あの中で「協和埼玉銀行の元支店長が在職中に暴力団関連の企業などに総額三百二十四億円という巨額の問題融資を行いまして、懲戒解雇されていたことが日本テレビの調べでわかりました。これに対して協和埼玉銀行では昨日、急きょ三十五億円分だけは不正融資を認めるという対応をしています。」中略いたしますが、「このうち少なくとも四十八億円は元支店長自らが不動産登記書類を偽造した上、暴力団関連企業への融資を不正に仲介したり、ダミー会社を使って暴力団関連企業にトンネル融資するなど不正なものでした。さらに元支店長は融資先の企業から謝礼として現金三百万円やゴルフクラブ、絵画などのリベートを受け取っていたこともわかりました。」こういうふうなことが出まして、今お手元へ配りましたそういう記事、これがテレビ放送で出ました。
 私は、その朝に日経新聞で、協和埼玉銀行の前支店長は、迂回融資を不動産規制を逃れるために三十七億行った。これは個人に三人、企業に五社だ。そして、今回の融資は発覚後一部返済されて、現在の残高は三十五億五千五百万円である。そのうち八億二千万円が担保不足の状態で回収に懸念がある、こういう記事を見ておっただけに、ちょっと意外な感じを持ちました。ちょっとどころじゃない、大変に意外な感じを持ったわけであります。
 そして、その日の夕刊には今度、共同通信の記事、地方新聞で私はこれを見たわけですが、これは当然私の地元の岐阜新聞です。これによりますると、不動産会社九社、個人三人等々に旧埼玉銀行が直接融資で六十億、関連企業の首都圏ファクターあるいはまた首都圏モーゲージ等々ノンバンクを通じて六十五億、計百二十五億を融資したのだ。そして、この中には問題の取引停止の人あるいはまた融通手形等々いろいろ問題があった、こういうふうに記事が出てきたわけですね。こういうような記事について、この事実を大蔵省はどのように把握していらっしゃいますか。
#36
○土田政府委員 個別の報道でございますが、これにつきましてさしあたり御指摘のありました銀行から報告を求めましたところ、その内容はただいま御指摘がありました何種類かのマスコミの中の一つに出ておったのと大差ない話でございますが、迂回融資等の金額は三十七億円である、うち回収に長期を要する金額は八億円であるというような報告を受けております。
 それから、三百億円を上回る数字が報道されたということも承知しておりますが、それにつきまして問い合わせをいたしましたところ、これに対しましては、事実関係調査の初期段階において、ノンバンクへの紹介案件を含め種々のチェックを銀行として行っており、その三百数十億という金額は、恐らく銀行としてのこれらのチェック作業の対象となった金額の総額ではないかと予想しているというような説明を受けております。
#37
○渡辺(嘉)委員 この件について日本銀行は報告を受けていらっしゃいますか。
#38
○本間参考人 お答えさせていただきます。
 本件につきましては、協和埼玉銀行の元支店長が融資に関します内部規定違反、すなわち、不動産融資規制を逃れるために迂回融資あるいは融資先の分散を行ったもの、そういう意味での違反というふうに承知しておりますが、これを起こして退職したという旨の報告を受けております。
#39
○渡辺(嘉)委員 私はちょっと意外に思ったものですから、これをビデオに撮りまして、そして後で書き直したのが今皆さんのお手元に渡したものなんですね。
 それで、私は私なりに独自に調査をしてみたわけですが、これをちょっとお見せしますが、こういう書類が大蔵省、日銀に報告が来てますか。
#40
○土田政府委員 これと同一のものを見た、ないしは受け取ったということはないと思います。
#41
○渡辺(嘉)委員 私はこれをいろいろな角度から確認をとってみたわけですが、これはおたくの方へ出ておるのだというふうに確認をしましたし、私自身はもう確信を持っております。これは書類と私が調べた中身をずっと打ち込んだわけですが、私はこれに自信を持っておるのです。これから私が申し上げますから、もしもないということなら、初めて見たとおっしゃるなら、日銀を含めて、日銀もなかったですか。
#42
○本間参考人 私どもの方も見ておりません。
#43
○渡辺(嘉)委員 それでは、私が調べた事実をこれから申し上げていきます。
 これによると、まず昨年の七月二十六日に、合併して間もない協和埼玉銀行の本店で、東京地検特捜部が摘発をいたしました七十九億ほどの不正融資事件についての記者会見が行われていたわけです。その記者会見によりますと、銀行当局は、十分な内部検査機構が働かなかったことを深く反省しています、全部同様のケースがないか直ちに調査いたしましたが、現時点ではありません、こういうふうに説明をしております。これは東京営業部次長が架空預金証書を偽造して、ノンバンクを経由して悪用した七十九億の不正融資事件のことでございます。
 ところが、旧埼玉銀行の新宿新都心支店の支店長は、昨年の六月六日に垂れ込みの通告があって、以下内部で調査をした。その結果、問題があるということで、七月の十五日から十九日は新宿新都心支店、二十二日から二十三日は八王子西支店、これを検査部並びに融資部で実地調査をやっていらっしゃるわけですね。そして八月には支店長の更迭、こういうことになったわけです。そうすると、記者会見をやっておるときには、まさにこういう調査をやっているさなかなんです。どうですか。この金額の問題は後にいたしますが、こういう事実が昨年の七月の二十六日の記者会見のときに隠されていた、こういうふうに私は事実としてこれをつかんでおるわけですが、どうなんですか。
#44
○土田政府委員 昨年の七月のころの記者会見で銀行がどのように説明をしたかを含めまして、ちょっと私どもただいま明確に記憶をしておりませんので、満足な御回答ができませず、これは申しわけございません。
#45
○渡辺(嘉)委員 私は、大蔵省にはこういう事実はもう当然報告が来ておるのだから、知っておると思うのです。そういうあいまいな答弁はかえって問題を陰湿にしていくのじゃないか。そうすると、銀行と、金融機関と大蔵省の癒着という問題が、むしろ痛くない腹を探られるのじゃないか、こう思うのです。
 それなら、この私の資料によりますと、調査した結果、問題点は、一億円の浮き貸しの可能性がある。私文書偽造の疑いがある。それから迂回融資、割引手形、分散貸し出しの疑いがある。そして融通手形の疑いがある。今申し上げた迂回融資と分散貸し出し、割引手形、いろいろあるわけですが、迂回融資については三十六億三千七百万円、それから融通手形の疑いについては十億四千百万円、そして導入預金等による預金造出と質権設定が百六十三億円、こういうふうな金額になって出てくるわけなんですが、これによると合計四十七億七千八百万円になるんですね。三十五億五千五百万円と違うのは、ある程度回収したとかいろいろなことを言っていらっしゃるわけですが、少なくともこれが正しい融資であるのかどうか、それから、こういう導入預金をやっておるのはいいのかどうか、どうなんですか。
    〔柳本委員長代理退席、委員長着席〕
#46
○土田政府委員 銀行の報告によりましても、本件は不祥事件であるというふうに位置づけておるわけでございますので、その中にはいわば不正常な行動があったというふうに私どもは認識をしておるわけでございます。
 結局、そのようなときに、今のようなお話に関連した問題点といたしましては、事実関係の真相究明はもちろんといたしまして、司法当局への届け出その他はどうなっておるかというのも一つの論点でございます。この点につきましては、私どもの指導をしているところではございますが、その銀行が事件の事実関係や損害額、違法性などを総合的に勘案いたしまして、銀行みずからが決定すべきものであるというふうに考えております。そこで、本件につきましても、実は私どもがこの銀行から報告を受けておるところによりますと、その銀行では、弁護士と十分協議をいたしました結果、内部規定違反ではあるものの違法性が薄く、かつ損害額が比較的軽微であると見込まれること等から、告訴を行っていないというふうに聞いておるわけでございます。
 それからなお、個別の問題につきましては、例えば導入預金ではないかという御指摘がございましたが、このようなことは私どもは銀行からの報告は受けておりません。
#47
○渡辺(嘉)委員 それがおかしいと思うのですね。当然銀行からは、この私の調査した内部資料によりますと、白金エンタープライズ百二十億円、これが平成二年九月五日から十月三十一日まで六十億、そして九月十一日から九月二十八日までは六十億、その他、佐藤晴行十三億、中村成金二十億、白不二株式会社十億、合計百六十三億と載っておる。私の調べにはこれが明らかに出てきたのです。そして、その手口も事詳細に出てきたのです。これは時間がありませんから申し上げませんが、こういうことをやっておるのです。それなら東京の営業部次長がやった七十九億のあの不正事件のときに、その後にこういう問題が出てきたわけですが、大蔵省としては検査をおやりになりましたか。
#48
○土田政府委員 まず、検査をやったかどうかという話でございますが、昨年の六月以後、まだ検査を行ってはいないと思います。
#49
○渡辺(嘉)委員 導入預金がこのようになされておる。これは平成二年のことなんです。ですから、六月の検査なら、そのときにはもう当然検査の対象になっておったはずなんです。これが見抜けないはずない。もし見抜けないとすれば、ここで検査機構が問題になるのです。
 と同時に、今の件について問題が二つあるんですが、一つは、この一億の浮き貸しの問題につきましては、弁護士が立ち会いで和解をしたのです。新宿新都心事件の件については「平成三年十二月九日関係者との和解が成立しましたので下記の通りご報告致します。」と、いろいろずっと書いてあるのです。だから、これは明らかに銀行に損失を与えたんです。その結果は、この一億の求償権は九千八百八十万八千四十七円で買い戻しました。そして、結局銀行の損で、のせておるわけです。
 この件についての弁護士の見解というのは、もうその元支店長の「行為が出資法違反だとしても当行には刑事上の責任はなく、民事上の責任を負う理由にも乏しい。」と書いてある。こんなのは弁護士がこう言っておるだけなんです。と同時に「銀行の債権回収の手段として社会的に是認される姿勢ではない。」。なぜか。取引停止になった倒産の会社の債権を保証人に、ある銀行、ノンバンクを紹介して、そこから金を借りさせて保証人から金を入れた、こういう事件なんですから、この浮き貸しは。とすれば、当然こんなのは出資法違反ですよ。だから、出資法違反になるから銀行としてはそのノンバンクから求償権を買い戻さざるを得なくなった。こんなのは明らかに出資法違反じゃないですか。
 いま一つは、先ほども申し上げましたように、手数料の受領ということで現金を受領しておるのです。これは白金エンタープライズ株式会社から三百万円、そして品物が絵画一点とゴルフクラブなんです。私は絵画とゴルフクラブはどんなものかよく知りませんけれども、しかし、三百万円というのは現金なんですから。これが手数料、こうなっている。いいですか。埼玉銀行は支店長にこういうあっせん業務をさせて、そして手数料を取る銀行なんですか。どうなんですか。
#50
○土田政府委員 銀行の正当な業務として、そのようなことを銀行が容認しているとは思われません。
 それから、本件につきましては刑事責任の問題もいろいろ研究したようでございますが、総合的に判断して、告訴に相当しないという見解を持っておるというふうに聞いております。
 なお、銀行の内部におきましては、これは先ほど委員から御指摘がありましたような事故者の懲戒解雇を含め、関係者の責任及び経営責任について人事処分を行っているという報告を受けております。
#51
○渡辺(嘉)委員 そうすると、今の三百万円は受け取っておるという報告を受けられたわけですか。
#52
○土田政府委員 やや細かい話でございますが、銀行からの説明の中では、そのような供与を受けたことは事実である、ただし、その後すべて返還したと聞いておるという説明がございます。
#53
○渡辺(嘉)委員 それなら聞いておるわけですね。すると、かなりの中身の報告を聞いておるはずなんですよ。そして、もらった後、見つかった、しかられた、返した、それですべてこれから大蔵省はオーケーするのですか。
 ここにも問題の融資案件の一覧表があるのですが、これによると三百二十四億三千八百万円問題の融資はある。はっきり書いてある。その中に、本人がタッチしたのが二百三十七億八千六百万円、これも明確なんです。そして、こういうものはノンバンクを通じて動くのです。銀行本体の金とノンバンクとで動き始める。ここに私が絶えずノンバンクが問題だということの一端があるはずなのですが、この本人がタッチした二百三十七億八千六百万円という報告は受けていらっしゃいますか。
#54
○土田政府委員 その大きな金額の方のお話は先ほど申し上げましたが、銀行から聞いておりますものは、ノンバンクへの紹介案件を含め銀行として種々のチェックを行っておる、そのチェックの対象となった金額の総額ではないかと予想しておるという説明を受けておるところでございます。
#55
○渡辺(嘉)委員 迂回融資をやったそういういろいろな金額をずっと全体をまとめて今の二百三十七億八千六百万円、これは本人が直接タッチして問題のある融資なんだ、これはもう明らかだと私は思うんですね。だから、今お配りしたようなものを含めて、そして、その他を全部含めて三百二十四億三千八百万円、こういう報告も行っておるはずなんです。と同時に、ここで問題は、三百万円はもらったということははっきりしたわけなんです。
 いま一つは、迂回融資をやったあるいはまた導入預金をしてもらった、これは暴力団関係者であり、その舎弟企業なんです。しからば、こういうマル暴関連リストというのはおたくの方へは出ませんでしたか。
#56
○土田政府委員 暴力団関係の話でございますが、それにつきましては、協和埼玉銀行の方で当初の段階から手広く、風評を含めてあらゆる情報を集めたということは事実であったようでございます。ただ、暴力団関係というようなお話につきましての協和埼玉銀行からの報告は、不祥事発覚時における事実関係調査に際しまして、顧客に係る種々の情報を収集し、弁護士への調査依頼などあらゆる手段とルートを通じて調査をしたが、そのような先と特定することはできなかったという報告を受けておるところでございます。
#57
○渡辺(嘉)委員 それはうそだ。必ずこういう資料が出て報告が行っておる。
 では、日本銀行もこういうマル暴関連リストとして――迂回融資したものは、白不二を初めとしてトロン企画、マリブグランプリ、木村一成、成金、こういう各企業。白不二は稲川会の旧三本杉一家であり、石井前会長とは親交のある人だ。これはトロン企画もそうだし、マリブグランプリもそうなんです。そして木村一成、成金は二率会会長代行小金井一家八代目総長の親交者なんです。それから、先ほどの浮き貸しの対象のエスティープランニングの佐藤並びに永井事務所は住吉一家なんです。それぞれ舎弟企業なんです。こんなものはっきりしておるじゃないですか。大蔵省も日銀も報告が行っておるに決まっておる。こんなもの知っておらなかったらおかしい。それならば、もしもこういうことも調べておらなかったら、銀行の調査機能と大蔵省の検査機構はどうなっておるか。両方からお答えください。
    〔委員長退席、柳本委員長代理着席〕
#58
○土田政府委員 問題となります事案の発生に至りましたときに、私どもの方でその事案の軽重に応じましてしかるべく銀行に問い合わせを出し、銀行から報告を求めておるということは事実でございます。その件も含め、種々の報告を個別の銀行から徴しておるわけでございます。しかしながら、それは銀行の健全性確保、銀行全体としての経営のしぶりというようなものを点検するという観点から、行政当局として必要と考えられる資料や報告などを徴しておるものでありまして、私ども、職務上いろいろ知り得た事実関係はございましても、公表を前提としておるものではございません。まずこの点を御理解いただきたいと思います。
 それから、検査そのものでございますが、御承知のとおり、この検査は犯罪捜査のために行われるものではございません。それで、金融検査の目的は、銀行業務の健全かつ適切な運営を確保するために行われるものでありまして、例えば自己資本の充実度とか資産の健全性、経営管理、収益状況、流動性、そういうようなものを着眼点といたしまして、殊にこの資産の中で大宗を占めます融資などにつきましては、可能な限り個別に融資の内容なども審査をいたしまして、その結果を積み上げ、そして最後には経営姿勢の問題に結論をまとめるというようなことをやっておるわけでございます。その検査の過程で犯罪その他刑事事件に関連するような事実があるのではないかと思料いたしましたときには、それはしかるべくその事案の内容に応じて関係当局に連絡をするということもあるいはあろうかと思います。ただ、いずれにいたしましても、個別の進め方には十分慎重でなければならないというふうに考えております。
 それからまたもう一つ、この金融検査は、基本的には金融機関との間の信頼関係に基づいて、金融機関から得られた情報によって行っていくという関係でありますので、その関係で銀行経営の機微に触れるような問題につきましては、いろいろ御理解をいただいて、御説明を差し控えさせていただいているところでございます。
    〔柳本委員長代理退席、委員長着席〕
#59
○本間参考人 協和埼玉銀行が不動産の融資規制を逃れるために、迂回融資でありますとか融資先の分散を行うというようなことを通した不祥事をいわばここに招来したわけでございまして、こうした不祥事は金融機関の信用、信任を著しく損なうものでありまして、私どもとしても、まことに遺憾であるというふうに思っておるわけでございます。
 同行に対しましては、事実関係の徹底的な究明と再発防止策の早期の確立を行うように、委員御指摘のような大きな趣旨に沿いまして、私どももさらに強く指導をしていくべきところであるというふうに強く感じておるところでございます。
#60
○渡辺(嘉)委員 じゃ、警察庁に承りますが、きょうはおいでいただいてどうも。
 今申し上げましたように、二点。新聞によれば銀行は告訴しない、こういうふうに出ておる。また、銀行当局もそういうふうにこの元支店長を告訴しない、こういうことを言うておるわけですが、三百万円もらったということは大蔵省もお認めになった。ただし返した。このことが一つ。
 それから、こういう暴力団関連で融資が行われた。こんなのは今、日銀もお答えになったし、調べればわかるのです。そして暴力団関係が、稲川会の旧三本杉一家一連が関連しておりますから、だからそれの謝礼が出たのです。これが三百万円なんです。絵なんです。ゴルフなんです。今大蔵省おっしゃったけれども、東京地検の特捜部をやっていらっしゃった河上和雄さんに聞きますと、「刑事訴訟法によれば犯罪があると知った公務員は告発しなければならないことになっている。大蔵省としても本来ならそうしたものを捜査機関に告発すべきだったと思います」こうおっしゃる。とすれば、これはもう当然大蔵省は告発すべきで、銀行は告訴すべきなのです。この件について警察庁はどういうふうに事実の把握と所見をお持ちですか。
#61
○林説明員 お尋ねの件につきまして、警察といたしましては、具体的な事実関係については把握をいたしておりません。
 いずれにいたしましても、警察といたしましては、いわゆるバブル経済の崩壊に伴って発生いたしました各種犯罪については、その真相解明に努めてきたところでございます。お尋ねの件につきましても、暴力団の資金源の封圧という観点を含め、関心を持って適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
#62
○渡辺(嘉)委員 大蔵省はどうですか。
#63
○土田政府委員 事件の概要及びそれについての銀行の考え方につきまして報告を受けまして、その内容は概略今までに御説明を申し上げたとおりでございます。
 私どもといたしましても、引き続きこのような事件の再発防止、それから銀行の内部管理体制その他についてのいわば体制の強化について積極的に関心を持ち、十分に指導してまいりたいと思っております。
#64
○渡辺(嘉)委員 いやいや、そうじゃないのですよ。警察庁の方へ、捜査当局の方へ、こういう事実があったということを、暴力団の関係あるいはまた三百万円の問題、そういうことを通報されたかどうか。そして同時に、おたくの方では告発はしない、こういうことなんですか。
#65
○土田政府委員 私どもの方といたしましては、既に御答弁申し上げておりますとおり、このような問題の処理の一環といたしまして、司法当局への届け出を含めて、協和埼玉銀行の態度はどうかということを問いただしておるわけでございます。それで、そのような法的措置をとるか否かにつきましては、先ほど申し上げましたように、その銀行がまず事件の事実関係、損害額、違法性などを総合的に勘案いたしまして、その態度を決定すべきものであると考えております。
#66
○渡辺(嘉)委員 これは的確にやって、少なくとも日経新聞、共同通信の記事、そして日本テレビの放送、こういうものが食い違ったままでこのまま等閑に付されるというようなことは、国民はそういうものを見ておりますから、何やっているんだ、こういう政治、行政、そして金融・証券に対する不信すべてが民主主義政治の危機につながっていくのだ、私はこう思うのですよ。ですから、ひとつ警察庁の方も、今厳正にやるとおっしゃいましたが、この際これはきちっとおやりいただきたい、こういうふうに思います。
 次に、今度は東洋信金の問題なんですが、これもノンバンクの問題ですから、そういうふうにお聞きいただければ結構です。
 ノンバンクよりの貸し出しが二千二百億円ありました。そして東洋信金を分割再建のために、大蔵省はノンバンクに対しては四二・二%の切り捨てを指導された。もちろんこんなものは大蔵省が指導されて、そしてまた、日銀も当然これには参画されたと私は思うのです。そうすると、その中で四二・二%も切り捨てられることは我々としては合点できないということで、オリックス・アルファは訴訟を起こされた。これはもう御案内のとおりです。
 問題はここなんですね。架空の預金証書による第三者の善意ある融資は妥当なのかどうかはこれから法で争われるわけなんですが、もし善意ある第三者としてこれがオリックスの勝訴になった場合、そうすると今度は四二・二%を切り捨てたあとのノンバンクはどうなるのか。ばかを見たのはこの人々じゃないだろうか。そして、これが銀行救済という形になるわけです。九百二十八億四千万円、こういう莫大な金がこういうことで消えていいのかどうか。
 この点について、もしもオリックスが勝訴になった、そして、この預金証書によって善意ある第三者機関として融資をしたことは合法的なんだ、こういうことになった場合には、これに介入された大蔵省はどうされますか。
#67
○土田政府委員 御指摘の和解の件でございますが、これは東洋信用金庫がその発表の際の説明にもございましたように、将来を展望し、預金者保護、取引先を初めとする地域金融の信用不安回避、従業員の雇用維持等に思いをいたすならば、裁判による長期的な争いを避け、早期和解を成立させることが何よりも必要と判断するに至りました、このように述べておりまして、そこで例えばノンバンク各社に対しては、債権額の五七・八%分を和解金として支払うことで基本的に合意が成立いたしました、こういう説明を受けておるわけでございます。ただ、その際に、ノンバンクの関係者の中で一社だけこの和解の対象になっておらないものがあり、そのものについては恐らく裁判手続が進むということであろうと思います。
 私ども、そのような裁判手続の勝訴、敗訴その他について、予断ないしは仮定をもってこの場で議論を申し上げるということは、差し控えさせていただきたいと存じます。
#68
○渡辺(嘉)委員 これは大変なことになると私は思うのです。これについて大蔵省は介入を一切しませんでしたか。相談にも乗りませんか。
#69
○土田政府委員 大蔵省は、関係部署におきまして、事件の発生以来種々関係者との間に情報のやりとり、それから意見交換をしてきたということは事実でございます。ただ、今回のいろいろな判断、殊に和解の合意というものは、これは先ほど御説明しましたような見地から、東洋信金において行われたものでございます。
#70
○渡辺(嘉)委員 東洋信金において行われたという結論を強調されるのですが、こんなものは大蔵省の指導において、泣く泣く銀行を初めそれぞれが切り捨てをやっていったんですよ。だが、大蔵省が介入する法的な立場はない。先ほども何回もおっしゃったように、アンケートをとるとかなんとかというような話ばかりしておる。実質は中身が入っておるのです。私は、大蔵省がこういう介入をすること、ノンバンクなんですよ、いいですか、あなた金融機関でも何でもないと言うたでしょう、金融機関なら当然免許機関であり、検査機構を持っておりますからいいのですが、そうでないところへ入り込んでいって、ノンバンクに四二・二%、九百何十億も切り捨てさせる。だからもしもオリックスが勝訴になった場合には、大蔵省は責任がありますよ、これは。この責任について大蔵省、どういうふうにお考えですか。もう一遍きちっとお答えをいただきたい。
#71
○土田政府委員 かた苦しい言い方でございますが、大蔵省の立場は、この四月二十八日に世間に発表いたしましたとおり、東洋信用金庫から偽造預金証書問題についてノンバンク等と基本的な和解合意に達し、和解金支払いのため東洋信用金庫の事業の大部分を大阪府下信用金庫に譲渡するとともに云々という旨の報告を受け、関係金融機関等からもそれぞれ同趣旨の報告を受けたという立場でございます。
 もちろん私どもは、それを全く受け身で眺めておったということではございませんので、それに至るまで、多数の関係者との間に情報ないし意見の交換をしておったということはございますし、それでこの四月二十八日も、申し上げましたように、今回の関係金融機関等の合意を高く評価し、関係者の決断に敬意を表するものであるという態度を打ち出しております。
 ただ、この具体的な個別の裁判の勝訴、敗訴、そのようなものについてここで立ち入った予断ないしはその結果の予想を申し述べることは、繰り返すようでございますが、差し控えさせていただきたいと存じます。
#72
○渡辺(嘉)委員 最後に大臣に承りますが、今までの論議を聞いておられまして、ノンバンクの抱えておる問題というものがいかに国民生活の上においても、社会的においても、金融市場においても大変な問題であるかということはおわかりいただけると思うのです。同時に、先ほども私は触れたのですが、大蔵省の検査というものは、銀行の健全性と適切な運用のためにやるんだ。暴力団に融資しておるというようなことが健全性になるかどうか。こんなことはあり得ないのです。そういうことを知っておりながらそのまま見逃したのか、検査機構が不十分だったのか。とすると、この前私どもは、官房の中に検査機構を置くことにしたわけですが、果たしてこれでできるのかどうかという疑念が出てくるのがまず第一なんです。
 それから、このようなノンバンクに対して、今度は十六法の中には何も問題に触れておらないのです。私は当然これはもっと慎重に審議をして、先ほどからくどくど言うておるわけですが、ノンバンクも含めたいわゆる新しい金融秩序をつくり出す。その中における証券市場と間接金融の銀行のあり方、こういうものの位置づけもきちっとすることによって、私は二度と再びこういう不祥事件は起きないのじゃないだろうか。ばたばたと臭いものにふたをするようなことではないけれども、そういうことに思われるような拙速な、一弾、二弾一緒にやらなければいかぬというような、当初に申し上げたこういうビラを配るなんということは、私はもってのほかだと思っておるのです。このノンバンクにこれほど大きな問題がいろいろ内蔵しておるわけですが、これから大蔵大臣はこれに対してどう対処していこうと思われるのか。
 そして東洋信金を初めとする銀行の問題、これは住友も出ました。あるいはまた富士も出ております。東海も出ております。大銀行でこれだけのことが出ております。そのほかにまだまだ隠されたこともたくさん出てくる可能性があるわけですが、もうこれ以上出ないものかどうか。検査機構で十分やれます、こういうふうな決意なのか。もしもこれから出てくるようなら大変なことなんです。それがために私は最後に言うておきますが、金融十六法については別にもう一度じっくりとまた審議をさせていただきますので、その点を申し添えまして、大臣の御所見を承りたいと思います。
#73
○羽田国務大臣 今一連のお話をお聞きいたしながら改めて思いますことは、やはりバブルというものがもたらしたものというのは大変大きなものだったな。また、普通でございますと想像することさえできないようなことも起こっておったということがあろうと思っております。そして、その中におけるいわゆるノンバンクの存在というもの、ここがやはり一つの大きな問題になっているということも、実は改めて知らされたわけでございます。
 いずれにいたしましても、今金融機関についての検査、これが官房の中の検査部として検査というものが本当に十分に行われるのかというお話であったわけでございますけれども、今お話があったようなことを踏まえ、そういったいろいろな問題があるんだということを踏まえながら、新しくできる検査部におきましては、当然厳正にこういったものを進めていくことであろうというふうに私どもは確信をいたしております。
 なお、ノンバンクの問題についてもこの法律の中で扱うべきじゃなかったのかということでありますけれども、これはもう既に何回か申し上げましたように、まさに貸金業法そのものについて、国会の中で御論議をいただいたという経緯もございます。ですから、今度のこの御議論を通じながら、一体こういった問題について新たにどう対応していくのかということを私どもとしても検討していきたいというふうに考えております。
#74
○渡辺(嘉)委員 それならば、議員立法で出した問題は、行政当局としては指をくわえて見ておるだけだということはあり得ないと私は思うのです。ノンバンクにおいていろいろな問題が起きた。当然行政当局としても、私ども立法府と一緒になって、この点どうしましょう、この点直そうじゃありませんか、あるいはまた閣法で、内閣提出の法案で、ノンバンクについてはかくあるべきだ、そして、この定義もこの際きちっとして、私が先ほどから何回も言うように、銀行による金融機関への融資、証券市場における直接資金調達、ノンバンクによる資金、この三本で今回っておる。こういう実情から見て、この際これの位置づけもきちっとしてやるべきだ。そうすれば、この十六法案はもう一遍精査し直して、出し直しをするのは当然だと私は思うのです。
 特に、私は先ほどから何回も言うのですが、暴力団が絡まっておるようなことが、報告を受けておりながら、これをそのまま等閑に付しておる。こういうようなことは絶対にあってはいけない。だから大臣、本当にそういう報告がなかったのかどうか、こういうことと、そして、時間がまだちょっとあるそうですけれども、早いほどいいと思うので、まだ二、三質問が残っておりますが、ついでじゃないですけれども、用意してある質問の中で一つだけ聞いておきます。
 先日朝日新聞で、大蔵省の圧力で全銀協の不良債権情報開示を後退させた、こういうことが出てきたわけです。先ほどから私は何回も言うように、不良債権その他を開示すべきだ、もっと明らかにすべきだ。こういうことについて全銀協も、これに前向きに取り組もう、こういうことになっていたわけなんです。大蔵省はこの全銀協の動きに対してストップをかけまして、開示項目の決定を先延ばしした。三月期決算で一部都銀が予定していた自主開示の動きもストップする、こういうことが結果的に起きた。これに対して大蔵省の銀行課長の方から「大蔵省が直接口をはさんだのは、誤解を招いたかも知れないが、情報開示を遅らせる意図はなかった」こう言っていらっしゃるが、これはどういうことなんですか。
#75
○土田政府委員 この報道につきましては、過日も当委員会で御指摘がございまして、そのときに申し上げたことでございますが、私どもといたしまして、銀行の情報開示を抑えるような発言をしたという事実はございません。
 この問題は、ごく簡単に申し上げますけれども、銀行法上の規定がございます各金融機関による自主的な情報開示の努力を促すという関係の運用の一環でございます。その規定でございますが、これはいわば自発的な開示を促すという意味で訓示規定であり、それで、どのような項目を開示しなければならないかというような定めは規定の上ではございません。しかしながら、これは昭和五十六年の前回の銀行法改正のときに入りました規定でございますが、それ以来多年のうちに、その中のいわば必要的な記載事項、義務的な記載事項について各行横並びで統一をとろうというようなことが行われるに至りました。その問題を毎年処理をしながら、開示項目を年々ふやしておるわけでございます。
 お尋ねの、ただいま御関心がございました不良債権の開示につきましてもその一環でございますが、これは前の全銀協会長が記者会見でも言っておられますように、もともとは全銀協の下部の経理専門委員会の拡大小委員会で会長行としての案を提示したということでございますが、それをめぐる各行の意見は調わず、それで、金融秩序にも影響があると考えられる問題でもあり、ある程度の準備期間が必要との議論も理解できるし、実務的にも、担保の再評価を行いより正確なものを開示したいとの意見があり、全銀協傘下の各行一斉ということを平成四年三月期に行うのは難しいという結論に達しまして、この分はいわば今回合意を見るには至らなかったということであります。
 私どもとしましては、このような種々の問題を含めて、金融制度調査会にディスクロージャーに関する作業部会を設けて、そこで専門的立場も踏まえて検討結果を出していただき、これを参考に関係者が今後の方針を決定するというふうになることを希望しております。
 今申し上げましたようなことで、繰り返しますが、これは各行横並びのルールとして取り上げるには至らなかったということでございますが、そのもともとの規定がそれぞれの銀行の自発的な個別の判断を促すということでございますので、その個別の判断までを抑えるというようなことはございません。また、新聞には大蔵省の担当者の何がしかの発言もコメントされたようでございますが、私どもが全融界の動向を見ておりまして、このような点で意見がそろっていないとか、このような点は意見がそろっているようだとかいうような情報なりヒアリングを通じて得た印象を関係の者と相談し合うということは平素よくあることでございます。しかし、その意図が、共通の開示項目としての不良債権のディスクロージャーを抑えつけるという意図をもってなされたものでないということは、最初に申し上げたとおりでございます。
#76
○渡辺(嘉)委員 以上で、あとは次回に譲ります。ありがとうございました。
#77
○太田委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三分開議
#78
○太田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。池田元久君。
#79
○池田(元)委員 本日から、金融制度改革について本格的に論議してまいりたいと思います。社会党は決して金融制度改革に不熱心ということはありませんので、よろしくお願いいたします。
 さて、制度改革の視点、それから相互参入の方式、いわゆる業態別子会社、さらにはファイアウオール、最後に展望という順序で順次お尋ねしてまいりたいと思っております。
 まず、今度の金融制度改革のねらい、目的、なぜ制度改革が必要かという基本的な点についてお伺いしたいと思います。
#80
○羽田国務大臣 お答え申し上げます。
 我が国の金融制度、これはもう御案内のとおり、普通銀行制度あるいは長期信用銀行制度、信託銀行制度、銀行・証券分離制度等の専門別あるいは分業制、これを特色にしておるということであろうと思っております。俗に言われるところの縦割りの金融制度ということです。
 しかしながら、もう既に我々も実感するように、金融の自由化あるいは国際化、証券化が大変大きく進展をいたしております。そういう中にありまして、各種の金融機関の業務の同質化が進んでおりますことから、銀行の現行の金融制度を見直す必要性、これが急速に高まっておるということが言えると思います。金融制度改革によりまして金融・資本市場における適正な競争を促進することによりまして、金融機関及び証券会社が国民の多様なニーズに対応して新しい金融商品あるいはサービスを開発し提供できるようにすることということが一つであり、また、金融の効率化を通じた国民経済全体の発展あるいは経営効率化を図っていくということです。それから、金融・証券をめぐる一連の問題で低下した金融機関や証券市場に対する国民の信頼を回復するというのも新たな問題として大きなことであろうと思っております。また、世界各国の金融・資本市場の一体化が進む中にありまして、我が国の市場が世界の主要な金融センターという責務を果たしていくためには、諸外国との調和のとれた金融制度及び証券取引制度、これを構築する必要があろうと思っております。
 そういう意味で、今回、金融・証券をめぐる課題にこたえるために、私どもは制度改革をぜひ実現したいということであります。
#81
○池田(元)委員 今の大臣答弁をこれから順次検証してまいりたいと思います。
 大蔵省がつくりましたこの資料ですが、制度改革に当たっては四つの基本的な視点を挙げております。利用者の立場、国際性、金融秩序の維持、地域の活性化、これを今の答弁も含めてこれから論議してまいりたいのですが、まず、利用者の利便が向上すると言いますが、これを具体的に説明していただきたいと思います。
#82
○土田政府委員 今度の金融制度改革の着眼点のうち、利用者の立場というのは最も重点を置かれたところであると考えております。この制度改革が実施されますことによりまして、やや具体的に申しますと、利用者のニーズの多様化に対応した商品、サービスが提供されるようになるということがございます。その点につきましては、いわゆる諸規制、諸慣行の問題なども大きな着眼点になるかと思われます。
 第二に、競争の促進によりまして、各金融機関の商品、サービスの生産性が向上いたします結果、各種手数料の引き下げ、預金金利の引き上げ、貸出金利の引き下げ、サービスの向上などが進むことになるのではないかと期待されるわけでございます。
 第三に、他業態への参入というような系列の問題になりますが、原則としては子会社を通しまして、ないしは本体で若干の部分について新しい業務に進出するということも含みまして、他業態の業務を行うような金融機関が出てまいります一方、自分の得意分野に特化する金融機関もあるということで、いろいろな多様な金融機関が並び存する、その結果、利用者が自己のニーズに合った金融機関を選択することが可能になるであろうということがございます。
 以上、三つが具体的なイメージでございますが、そのほかに、やはり金融というのは非常に幅の広いものでございますので、目に見えない形でも、この金融システムが効率化されれば、結果的にはそれが国民経済全体の効率化につながりまして、その形で利用者利便につながるという面もあるのではないかと考えております。
#83
○池田(元)委員 これに関連して、金融制度調査会の審議で参考人の意見聴取が行われたのですが、この資料にもございますけれども、参考人七十四人のうち、消費者代表が四人、産業界代表が七人で十一人、これはちょっと少な過ぎるのではないかという感じがいたします。また、金融制度調査会の報告書では、取りまとめの段階になって利用者にどんな恩恵があるのかということを付論として盛り込むことを決めたわけです。利用者の視点というものが後回しにされている、軽視されているのではないかという感じもするのですが、その辺についてお伺いしたいと思います。
#84
○土田政府委員 ただいま御指摘のように、金融制度調査会における審議の過程におきまして、七十四名の方々に参考人としての発言をお願いいたしました。その中で、消費者代表とか産業界代表の方々、これを足しますと十一名になります。これは利用者代表の典型的な例でございますが、ただ先ほどもちょっと申しましたが、利用者利便の向上というような場合に、例えば金融商品が多様化するというような目に見える形で直接あらわれる場合もございますけれども、そのほかに目に見えない形で、いわば金融の効率化というものを通じた国民経済全体の効率化、これによって利用者利便が間接的にもたらされる場合もある、この面を見逃してはならないだろうと考えるわけでございます。そのような点まで考えますと、そういう幅広い意味での金融の効率化について論ずる参考人の方々は、このほかにも多々おられたところであろうかと思います。
 それから、後段の御質問でございますが、利用者の立場というものをいろいろと申しますときに、御指摘のように昨年の六月の金融制度調査会の答申において、付論として「制度見直しのもたらす利用者利便」という項目がございます。ただ、これは本文にないものを慌てて付論に最後に継ぎ足したという趣旨のものではございません。これはこの答申のその部分にも書いてあるわけでございますが、この制度見直しがどのような利用者利便をもたらすかについて国民に対してわかりやすく説明すべきであるという委員の御意見もございましたので、この御意見を踏まえまして答申の内容をわかりやすい形で整理し直したというものでございます。この付論は、本文の中にいろいろ出てまいりましたものをわかりやすい形でまとめて書き並べるとこういうふうになりますというようないわば添付書類的な位置づけでございまして、本論そのものの中に利用者利便については随所にうたわれているところではないかと私どもは読んでいる次第でございます。
#85
○池田(元)委員 そうであれば、付論ではなくて冒頭かあるいは重要な位置で書いていただきたい、このように考えるわけございます。
 次に、国際性です。今回の制度改革によりまして我が国の金融・資本市場が諸外国の制度と整合性のとれた金融制度となる、このように言っておりますが、実際そうでしょうか。お答えを願いたいと思います。
#86
○土田政府委員 御承知のように、情報通信技術の発達などによりまして、世界各国の金融・資本市場の一体化が進む傾向がございます。その中で、我が国の市場は世界の主要金融センターとしての大きな位置づけを持つに至っているわけでございます。それは、例えば東京市場をニューヨークなりロンドンなりと比較してみました場合の銀行の債権残高とか、外国為替の取扱高とか、株式売買代金の金額とか、短期金融市場の残高とか、いろいろなメルクマールによりましても、東京が世界指折りの主要金融センターになりつつあるということは申せると思うのでございます。
 そのような状況のもとで、各国、具体的には世界の他の主要金融センターを抱えております国が、自分の国の市場を内外の利用者に対して一層使いやすいものにするために、いろいろな意味での制度の改革なり運用の見直しなりを行うというのが近年あまねく見られるところでございます。我が国も、事ここまで世界の金融センターの中で大きな位置づけを持つ市場を有するに至りました以上は、やはり国際的に調和のとれた金融制度及び証券取引制度を構築していく必要があるというふうに申せるわけでございます。主要諸外国におきまして一斉に金融制度の見直しが行われておるということも、また近年の一つの特徴として申し上げることができるわけでございますが、そこの中の一つの共通項として、業務の多様化ないしは他の業務にいろいろな形で進出をする、そういうシステムの構築というのが一つ見られるところでございます。
 このような観点から申しまして、今度の金融制度改革でもいわば相互参入というものを一つの大きな特色にしております。その他いろいろなものがございますが、全体として今度の改革は諸外国からも関心を持って見られているところであり、国際的に調和のとれた金融制度、証券取引制度を構築するための手がかりとして積極的な意味を認め得るものと私どもは考えておるところでございます。
#87
○池田(元)委員 整合性のとれた金融制度となるかどうかをお聞きしているわけでありまして、この点では、ヨーロッパではユニバーサルバンク、そして子会社方式をとっているのはカナダのみということで、その辺との兼ね合いをお聞きしたかったのですが、このままいきますと時間が三時間くらいかかりますので、お答えをできるだけ簡潔にお願いしたいと思います。
 次に、金融秩序の維持についてお尋ねします。
 今回の制度改革により我が国の縦割りの金融制度の抜本的な見直しが行われるが、その際に、金融機関経営の健全性の確保を図っていく、また、急激な変革によって市場に混乱が生じないようにする、このように述べておりますが、果たしてそのようにできるかどうか、具体的な説明を簡潔にお願いしたいと思います。
#88
○土田政府委員 今回の法律案では、先ほど申しましたような各種の業務分野への参入を初めといたしまして、協同組織金融機関の業務規制の緩和なども主な内容になっております。このようにいたしまして、各種金融機関が法律上認められる業務が多様化された中で、自分たちで創意工夫を発揮しまして、自分たちの特性を生かしながらいろいろな環境変化に対応した業務の展開が可能になる、ということは、経営の安定にもつながるものであると考えております。
 このような問題のほかにもう一つ、今回の法律案では、自己資本比率規制などの法令化が図られましたり、協同組織金融機関について経営内容の開示についての規定の整備が図られるなど、金融機関の経営の健全性確保のための方策も講じておるというふうに考えますので、全体として金融システムの安定性ないしは金融秩序の維持に十分な配慮が払われたと言っていただいてもいいのではないかと思っておるところでございます。
#89
○池田(元)委員 四つの視点のうち、この金融秩序の維持というところだけは非常によく理解できると思います。
 さて、最後の点、地域の活性化について、果たしてそのような効果があるのかどうかお尋ねしたいと思います。
#90
○土田政府委員 これもいろいろな仕組みを考えているわけでございます。例えば信用組合などが公共債の窓販を行うとか、それから協同組織金融機関による外国為替業務や社債等の受託業務を行うとか、もちろんこれは法律上の枠取りという問題で申し上げているのでございますが、そのような規定が入っております。また地域金融機関が、例えば土地信託等の信託業務によって都市開発に信託のスキームにより参画できるような法律上の枠取りもしてございます。
 このようにいたしまして、地域金融機関、これは大都市圏に限らずもっと幅広い全国各地において地域金融機関の業務範囲の拡大が地域住民、中小企業、農林漁業者等に対する金融サービスの均てんと申しますか、金融サービスを広げていくということは、やはり地域間格差の是正などについての地域金融面からの貢献ということに相なると思われますので、一つの目標であります地域の活性化に資するものであると考えております。
#91
○池田(元)委員 以上、四つの視点を検証してまいりましたが、この四つのうち金融秩序の維持、また今の地域の活性化につきましてはある程度理解できるとしても、利用者の利便の向上、国際性につきましては、説明は余り訴えるところが多くはなかったという印象を持ちました。
 時間がありませんので、次の点に移りたいと思います。
 相互参入の方式でございます。
 法案の言う新しい金融制度の枠組み、それからその中心である相互参入の方式について議論してまいりたいのですが、今回の改革ではいわゆる業態別子会社による他業態への参入が原則となっています。この業態別子会社方式をとった理由につきまして簡潔にお答えを願いたいと思います。
#92
○土田政府委員 現在いろいろな業態に分かれております企業体、金融機関もあり証券会社もございますが、それが他の業態の業務を行うようにするのにどのような方式がいいかということにつきまして、数年間の金融制度調査会の審議の中でいろいろな方式を比較検討したのでございます。その結果、この子会社方式、すなわち子会社を通じて他の業態の業務に幅広く参入していくという方式が一番よかろうという結論になり、これに基づいて法律案を組み立てております。
 この子会社方式のすぐれた点は、一つは預金者保護。別組織でございますので業務の状況の把握が容易である、そういう意味で預金者保護に資する。また、同様の観点から、利益相反による弊害の防止といったような金融秩序の維持の観点からもすぐれているというふうに考えておるわけでございます。
#93
○池田(元)委員 この業態別子会社方式そのものが果たして改革の名にふさわしいものかどうか、検討してみる必要があると思います。
 子会社の方式は「各業態の現行の業務分野を前提としつつ」というふうにこの文書にも書いてありますが、まさに分業主義そのものでございます。先ほども申しましたが、この方式を採用しているのは世界ではカナダのみということでございます。金融制度改革の中で、その脱却したいという縦割り金融制度がそのまま残ったのではないかという感じがいたしますが、この点についてお考えを伺いたいと思います。
#94
○土田政府委員 これは、現実に縦割りの金融制度が存在し、そのもとに多数の金融機関なり証券会社がそれぞれ営業を行っておる、そういう事実を踏まえ、それをどのように変えていくかという問題に取り組むことになりますので、やはりそれぞれの持っております既成の営業状態、既にでき上がった営業状態というものを考慮の中に入れなければいかぬということでございます。それからまた、当局側で例えば一方的に一つの業態から他の業態に移すような制度改革を図る、それからある業態そのものを法律上なくしてしまうというようなこともやはり避けるべきではないかというふうに考えたわけでございます。
 そこで、業態別子会社方式について、先ほど申しましたメリットのほかにもう一つ、いろいろな金融機関などが新しい分野に参入していきますときに、公平な条件のもとで競争を行う。すなわちこれはその業態の中におります既存の業者と新規参入者との関係においても、公平な条件のもとでこの競争を行えるというような点でも、幅広く言えば金融秩序の維持の観点からすぐれているというふうに考えているわけでございます。一応白紙からいろいろな制度をつくるのではなくて、現在既にある現実を踏まえて、それをなるべくスムーズに幅広い業態間の相互参入に持っていきたいという考慮が働いておるということを申し上げておきたいと存じます。
#95
○池田(元)委員 今、今度の金融制度改革の一つの考え方が出ていると思います。現状を踏まえることは当然です。しかし、改革をやる場合は、いわゆる政治的な改革でも何でもそうですが、やはり一面ゼロクリアといいますか白紙にして考えることも必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。
 さて、イギリス、ドイツ、フランスなどでは銀行業務と証券業務を幅広く兼営できますユニバーサルバンクが中心をなしております。このユニバーサルバンク制度をとらなかったのはなぜか、お伺いしたいと思います。
#96
○土田政府委員 ユニバーサルバンク制度と申しますのは、一言で申せば一つの企業体が銀行業務と証券業務を幅広く兼営できる仕組みのことでございます。これについても、この金融制度調査会の方の説明といたしましては、一応研究はしたのでございますが、一つには、証券業務に伴うリスクが銀行の経営の健全性に影響を与える可能性に注目しなければいけない。別会社ではなくて本体そのものが行うわけでございますから、それなりに影響を与える可能性は大きい。それから第二に、銀行、証券業務間における利益相反の発生の可能性にも注目しなければならない。これも子会社と違いまして本体の中で一緒にやっておりますので、やはりその可能性に注目しなければいけない。それから第三に、これは証券会社としての経営の独立性、健全性が保持できない場合の資本市場の健全な発展に影響を与える可能性も考えなければならないということで、現時点では問題が多いと考えられるというふうにされておるわけでございます。
 これは証券取引審議会におきましてもさらに熱心に議論され、大体同じような観点での意見になったというふうに理解しております。そのようなこともございますので、今回の法案ではユニバーサルバンク制度を採用いたしませんでした。
 なお、一言申し添えますと、このユニバーサルバンク制度が可能な国というふうに言われております例えばイギリスなどにおきましても、実際には銀行を主として行う企業体と証券業務を主として行う企業体とが分かれておるというような、そういう実行上の別会社形態というようなものも見られるところでございまして、ユニバーサルバンク制度をとっておるという建前の国の中の金融組織が必ずしも一律同じではないという点も考えておく必要があるかと存じます。
#97
○池田(元)委員 銀行、証券の相互参入に当たりましては、ただいまも出ておりましたが、利益相反、利用者保護の視点から業務の間のファイアウオールが有効に働くことが必要であると思います。ところが、今度の改革案では業態別子会社方式をとることになっているわけです。この方式では親会社の意思を子会社の経営から隔離するのは難しいのではないかと思います。そこで、独占禁止法では設立を禁じられておりますが、いわゆるファイアウオールが有効に働く持ち株会社方式をとるという議論がなかったかどうか、お尋ねしたいと思います。
#98
○土田政府委員 最前、幾つもの種類の案について研究したと申し上げましたが、その中に持ち株会社形態を利用するということも一つの案として研究された段階がございました。しかし、そこにつきましては、この答申にもございますが、持ち株会社を禁止する独占禁止法の規定がございます。この規定は我が国産業全体に関するものでありまして、現時点においては金融制度見直しという目的だけのためにその改正を求めることは適当とは言えないと考えられるというふうな結論が出ておるわけでございます。このような意見も踏まえまして、今回の法案では持ち株会社方式を採用しておらないところでございます。
#99
○池田(元)委員 この部分で最後に大臣に一言お伺いしたいのですが、ただいま相互参入の方式について議論してまいりましたが、ユニバーサルバンクとか持ち株会社方式ということも視野に入れて、この相互参入の仕方として業態別子会社方式をとることがいいのかどうか、その辺について御見解を賜りたいと思います。
#100
○羽田国務大臣 お答え申し上げます。
 今度の制度改革の目的というのは各業態間の垣根を低くする、このことによりまして金融・資本市場における有効かつ適正な競争を促進をしていきまして、市場の効率化ですとか、あるいは活性化を図っていくことによりまして、多様な良質な金融商品・サービスを利用者へ提供を可能とすることであろうというふうに考えます。業態別の子会社はそのための一つの手段でございまして、金融秩序の維持及び投資者保護の徹底を図りつつ改革の目的を達成する観点から、この方式は極めて有効なものであろうというふうに私ども考えておるところであります。
#101
○池田(元)委員 次に、その業態別子会社の業務範囲、それから資本金等についてお尋ねしてまいりたいと思います。
 この業態別子会社には重要な制限がつけられております。まず銀行の証券子会社につきましては、当分の間、取り次ぎ等の業務を認めない、その認めない理由と、その当分の間の期間についてお尋ねしたいと思います。
#102
○松野(允)政府委員 銀行のつくります証券子会社につきまして当分の間株式のブローカー業務を認めないということにしておりますが、一つは、銀行は御存じのように非常に大量の株式を保有しております。その子会社が株の取次業務を行うということになりますと、取次業務には当然株の推奨といいますか、情報提供が伴うわけでございまして、その辺親銀行が保有している株との関係が非常に難しい問題があるのではないかという点が一つあります。
 それからもう一つは、これは実際上の問題でございますが、株式の取次業務は現在中小証券会社の経営の主軸の業務でございます。こういったような点をあわせて考えまして、当分の間、株式のブローカー業務の免許を認めないということにしたわけでございます。
 当分の間とはいつまでかというお尋ねでございますが、これは今申し上げたような事情でございますので、やはり一つには中小証券会社の今後の経営の状況、株式取次業務への依存の状態、さらには銀行の証券子会社というものが親銀行から独立して業務を行う、つまりファイアウオールが十分実効性が上がっているかどうか、業務の実態、さらには株式の流通市場の状況等々を勘案して判断をしていくということで当分の間ということにしているわけでございます。
#103
○池田(元)委員 次に、銀行の証券子会社の資本金の制限についてお尋ねしたいと思います。
#104
○松野(允)政府委員 この証券会社の資本金でございますが、これは銀行の子会社でありましても、やはり証券会社には変わりはございません。証券会社の最低資本金につきましては、現在政令で免許の種類等に応じて定められておりまして、いわゆる総合証券会社、これはすべての種類の免許を持っておりまして、かつ引き受けの際に幹事証券になれるというものでございますが、この最低資本金は現在三十億円ということになっております。ただ、この最低資本金は実は免許制が実施されました昭和四十三年以降、全然変更がされていないわけでございまして、その間におきます証券市場の規模の拡大あるいは証券会社の業務の拡大、物価水準の上昇等々を考えまして、証券取引審議会においても議論をしていただいたわけでございますが、一月の証券取引審議会の報告書におきまして、今のような事情を勘案して三倍程度の引き上げを行うことが適当ではないかというような御意見をいただいております。私ども、この意見を踏まえまして、最低資本金について引き上げを考えておりますが、いずれにいたしましても、これは御審議いただいております法案の審議の内容を踏まえながら、この法案が実施に移るまでの間に最低資本金の見直しを行いたいというふうに考えているわけでございます。
#105
○池田(元)委員 その最低資本金の引き上げの段取りといいますか、銀行の証券子会社の部分を行うのかあるいは全体の中で行うのか、その辺を簡潔にお答え願いたいと思います。
#106
○松野(允)政府委員 今も申し上げましたように、証券会社全体の最低資本金の見直しという中で行いますので、特に銀行の証券子会社だけを差別待遇するとかいうことは考えておりません。
#107
○池田(元)委員 御存じのように、銀行の最低資本金は十億円ということです。百億円というのは高過ぎて参入しにくい、そういう立場の議論もございます。とにかく一律主義といいますか、ちょっとその百億円というのは非現実的ではないか、このような議論があることは承知でいらっしゃると思うのですが、その辺いかがでしょうか。
#108
○松野(允)政府委員 百億という数字が出ておりますが、私どもまだ決めたわけではございません。ただ証取審報告で、先ほど御紹介しましたように三倍程度の引き上げ、こうなっておりますので、三十億を三倍程度というと百億ぐらいではないかというふうな考え、観測だろうと思うわけでございますけれども、先ほど申し上げましたようにこの三十億というのは、いわゆる総合証券会社の最低資本金でございます。総合証券会社、つまり全部の免許を持ってかつ幹事証券を行うということでございまして、現在の政令におきましても、例えば引受専業の証券会社の資本金は十億円ということになっておりまして、いろいろな業務の態様によって資本金を分けております。そういうことでございますので、銀行の証券子会社がどういう業務を行うかということによって決まってくるわけでございまして、必ずしも百億というような数字が必須のものであるということではない。百億がまだ決まったわけではございませんが……。
#109
○池田(元)委員 次に、大蔵省の方は当分の間という言葉が大分お好きなようでありまして、それでもう一つ当分の間をお尋ねします。
 昨今ビヘービアが非常に問題となっております長信銀が普通銀行に転換した場合、金融債を当分の間発行できるというふうにしているようですが、この当分の間というのはどうか、お尋ねしたいと思います。
#110
○土田政府委員 その問題にお答えいたします前に、ちょっと答弁の補足をいたします。
 金融機関につきましても、実は最低資本金をどうするかという問題、先ほど銀行は十億円ということで御指摘がございましたが、その最低資本金につきましては、これは、自己資本の充実等の見地から、「金融機関をめぐる経営環境を見定めながら、その引上げを行うことが適当である。」という趣旨の金融制度調査会の報告もございますので、今後なお検討したいと思っております。
 このことを申し添えまして、そこで、お尋ねの当分の間の御説明でございますが、今回お尋ねの規定が設けられておりますところは、長期信用銀行または外国為替銀行が普通銀行に転換する場合及び普通銀行を存続金融機関として普通銀行と合併する場合におきまして、仮に合併、転換以後は金融債を発行できないこととした場合には、これは多額の貸し出しの回収によって金融債の償還財源を賄う必要が生じまして、借り手である企業の長期的な資金計画に重大な混乱を招きかねないという点が一つ。
 それから、長期信用銀行や外国為替銀行の店舗数、これは比較的少ないものでございますが、この店舗数を見ますと、合併、転換後の金融債の償還財源をすべて預金によって調達するということも困難であろうと考えられることが一つ。
 それから、長期資金の調達手段である金融債を保有することによりまして、資金調達と運用のいわば期間ミスマッチと申しますか、それを回避しながら企業の長期資金需要にこたえることができるという点も考えまして、金融債を発行できることにいたし、その期間を当分の間という文字で表現をしておるわけでございます。
 いわばこれは経過措置期間の定めでございますが、経過措置であるという観点から、そういう合併、転換を行う長期信用銀行または外国為替銀行の取引先である企業の長期的な資金計画に混乱を招かないかどうか、また、合併、転換後の普通銀行の資金調達と運用のミスマッチが生じないかどうか、また、普通銀行の長期資金の調達のための方策が、追い追い今後の問題でございますが整備されているかどうか、その成り行きなども総合的に勘案する必要があると考えておりますので、現時点においていつまでと明確に数字をもって申し上げることは困難でございます。
#111
○池田(元)委員 次に、いわゆる業務隔壁、ファイアウオールについてお尋ねしてまいりたいと思います。
 銀行、証券などの相互参入につきまして、この防火壁、ファイアウオールが問題となっているわけです。ファイアウオールの重要性についてどのように認識されているか、簡潔にお答え願いたいと思います。
#112
○松野(允)政府委員 特に証券市場に参入してまいります銀行の子会社と親銀行との関係が私ども非常に問題になるわけでございまして、その間に親子関係を利用した取引が行われますと、それは証券市場におきます取引を非常にゆがめるおそれがあるわけでございます。証券市場における取引の公正さを確保するという観点から、親銀行と子会社の証券会社との間にファアウオールを設け、証券会社というのは市場の仲介者でございますので、その仲介者の独立性、健全性を確保するあるいは利益相反を防止する、競争条件の公正さを確保する等々の理由から、弊害防止措置を設けることにしているわけでございます。
#113
○池田(元)委員 このファイアウオールは、不公正な取引を防ぐ、また預金者を保護するという点に意義があるわけでございます。昨今、新規参入がしにくいからファイアウオールを低くしろとか、子会社の採算性に問題があるからファイアウオールをもっとさらに低くしろ、そういう議論もあるようです。しかし、これは別の次元の話ではないでしょうか。ファイアウオールというのは、設定しただけで意味があるわけではもちろんございません。有効に働くことが何よりも大事だと言えますが、その辺の議論につきまして当局の御答弁をお願いいたします。
#114
○松野(允)政府委員 ファイアウオールの意義は今御指摘のとおりでございます。そういう観点から申し上げますと、今御指摘いただきましたように、仮に高いファイアウオールが設けられることによって証券子会社の採算がとれないというような意見があるにいたしましても、私どもとしては、ともかく証券市場における取引の公正を確保するというより重要な機能を弊害防止措置に求めているわけでございますので、それは証券子会社の採算とは別の問題であると認識をしております。
#115
○池田(元)委員 よく承っておきたいと思います。
 さて、この法律案には役員の兼職制限、そしてまた子会社の優遇、抱き合わせ取引の禁止が盛り込まれておりますが、これ以外も法律に書き込むべきではないかと思うのですが、その辺をお尋ねしたいと思います。
#116
○松野(允)政府委員 ファイアウオール、特に弊害防止措置の中身につきましては、今御指摘がございました法律に規定しているもの以外に、昨年六月の証取審報告書などでもいろいろなものが指摘をされております。それらにつきましても、法律案作成の過程で私どもも検討したわけでございますが、法律に書くものと省令に委任するものというふうに分けてあるわけでございます。省令で規定するものは、証券市場の環境の変化などに応じて適時見直しをしなければいけないようなもの、これはもちろん強化するものもありますし、緩和するものもあると思いますが、そういったものは省令で規定をするというふうにしたわけでございます。
    〔委員長退席、持永委員長代理着席〕
#117
○池田(元)委員 以下、具体的にお尋ねしてまいりたいと思います。
 まず、店舗の共用ができるかどうか、同じように、施設設備面でディーリングルームやコンピューターを共用できるかどうか、その辺をお尋ねしたいと思います。
#118
○松野(允)政府委員 店舗の共用につきましては、証券取引審議会の報告書でも好ましくないという指摘を受けております。私どもも、親銀行と証券子会社が一体であるような感じを与えるということになりますので、店舗の共用は好ましくないと思っております。
 それから、ディーリングルームの共用でございますが、これも、情報が遮断されるかどうかという点に問題がございますし、ディーリングルーム自体が広い意味ではやはり営業部門でございますから、店舗の共用と同じような感じがするわけでございます。
 コンピューターの共用の問題でございますが、これはいろいろと意見があるかと思うわけでございます。一番の問題は、コンピューターを共用することによって情報が相互に流用されるということになると非常に望ましくないわけでございます。ただ、コンピューターの使い方によっては情報を遮断するというようなことも可能である、これはアメリカなどではそういうことが行われております。そういう情報遮断がちゃんと担保できるのであれば、あえてコンピューターの共用を一切禁止するというところまでは必要ないのじゃないかなというふうに考えております。
#119
○池田(元)委員 昨今、休職出向とか併任とか、そういった言葉が非常に重要な問題になっております。私も休職出向についてお伺いしたいのですが、それはそんな大それた話ではございません。銀行員を証券子会社に休職出向をさせることができるかどうか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
#120
○松野(允)政府委員 銀行の職員が証券子会社に銀行を休職して出向するということにつきましては、まだ完全に検討が終わっているわけではございませんが、一切禁止をするということまで必要かどうか。もちろん、無制限に認めますと、これはいわば一心同体みたいな形になってしまいますから、それは好ましくないわけでございますが、一定の限度であればそういうような出向を認めることも考えられるのではないかということで今後検討していきたいというふうに思っております。
#121
○池田(元)委員 もう一つお聞きしたいのですが、メーンバンクの子会社はその銀行の融資先企業の普通社債を引き受けることを認めるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#122
○松野(允)政府委員 この点につきましても証取審でいろいろと議論がございまして、報告書におきましては、やはり我が国においては銀行が一般的に企業に対して影響力を及ぼし得る特別な地位を持っている、そういうことにかんがみまして、銀行が影響力を行使して証券子会社が引き受けるというようなことになるのは望ましくないというような指摘がなされているわけでございます。メーンバンクという言葉は、言葉としては簡単でございますが、なかなか内容を確定するというのは難しいわけでございまして、ただ、今申し上げたような証取審の報告書における指摘を踏まえまして、何らかの形でこういうようなことを規制するような方法を考えていきたいというふうに思っております。
#123
○池田(元)委員 ここで、証券の定義の見直しについて一点だけお尋ねしたいのですが、有価証券の定義の見直しにつきましては、証取審の答申によりますと、今後出現してくることが予想される多種多様な証券化関連商品をも対象にすることができるように包括的な規定を設けるということをうたっております。しかしながら、結局は、表現はやや詳しくはなったものの、実質的に限定列挙の形になったわけでございます。この辺の理由についてお尋ねしたいと思います。
#124
○松野(允)政府委員 今回の有価証券の定義の整備におきましていろいろ検討を行ったわけでございますが、確かに証取審の報告書には今御指摘のような表現もございます。ただあわせて、証取審の報告書では、基本的にはそうだけれども、法技術的な問題もやはりあわせ考える必要があるということも書いてあるわけでございまして、検討の過程、法案作成の過程におきまして、やはり証券取引法が適用になります有価証券ということになりますと、それが募集などがなされる場合には、情報を開示するディスクロージャー制度というのが適用になります。したがいまして、情報開示をしないで募集行為を行いますと、これはディスクロージャー違反になりまして罰則がかかるということになります。また、そういう有価証券の取り次ぎ、売買行為を行いますと、これは証券業に該当しまして、無免許営業というような問題にもなるわけでございます。そういう観点からいいますと、やはり証券取引法の適用になる有価証券かどうかということが一般に周知していないといけないというような法律上の要請があったわけでございまして、そういった観点から今回の改正案におきましては、政令指定の基準を明確にする、例えば流通性とか投資性とかいうような概念をもう少し法律に合わせて基準を明確にいたしまして、そういう基準に合ったものは政令指定ができるというようなことにしたわけでございまして、そういう基準を明確にすることによって政令指定がしやすくなったというふうに考えているわけでございます。
#125
○池田(元)委員 この点につきましては、新しいそういった証券化関連商品を開発しても、そのために大蔵省などの認可が必要になって時間がかかるということが言われております。それからまた、縦割りの金融制度から脱却するというのがうたい文句の金融制度の改革で、この問題につきましては縦割り行政のあおりを食ってこのようになったという説明もされております。この点につきましては、さらに検討を深めて、より厳密な意味での定義というものを考えていく必要があるのではないかと考える次第でございます。
 さて最後に、今度の金融制度の改革案、改革というには、先ほどから申し上げておりますように、不徹底な点がかなりあるということでございます。また、行政権限も逆にまた大きくなる傾向にあるということが言えるのではないかと思います。業態別子会社方式によって実際には相互参入というのはどの程度起きるのか、その辺の見通しといいますか展望についてお尋ねしたいと思います。
#126
○土田政府委員 なかなかこれはどのくらいの数の子会社ができるのかというようなお話では御説明しにくい話題でございますけれども、先ほどからいろいろ申し上げておりますように、今回のこの制度改革によって有効な、かつ適正な競争を促進する、そして公正な取引を確保するということでいろいろな金融・証券をめぐる課題にこたえたいということでございます。そのときに、いわば金融機関にとってはみずからの選択した経営路線に従って金融環境の変化に適応した業務の展開を可能にするというような機会を与えるというねらいがございます。一言申し添えますと、こうやっていろいろな枠取りを考え、基本的には業態別子会社方式でございますが、また限られた業務については本体での相互乗り入れもあるわけでございますが、そのような法令上は可能とされた業務であっても、それを実際に全部取り扱うことができるような能力、体力を備えた金融機関というのはほとんど存在しないであろうと思います。それで、メニューの中から何を選ぶかというのは個別の経営判断を待つべき事項でございます。
 それで、これは若干期待を込めて申しますと、法律上は格別の仕切りはなくても、それぞれがみずからの得意わざを選び、そして自然にすみ分けができる、そのようなところが今後に期待される姿であろうと思うのでございます。そのためには、実は各銀行なり証券会社において個性的、自主的な判断をしていただくということが基礎になるわけでございまして、その辺もどのように実際に経営に取り組んでいただくか、私どもにもにわかによくわからないというところもございます。私どもはこのメニューを用意し、枠取りを用意いたしましたが、その中から何を選ぶか、それはむしろ個別の金融機関なり証券会社の経営者に問いかけておるというような気持ちでございますので、何とぞ御理解をいただきたいと存じます。
#127
○池田(元)委員 お話が文学的になりました。
 さて、ここ数年金利自由化が進展しまして、金融機関の経営が変わりつつあることは御承知のとおりでございます。また、バブルとその崩壊、さらには一連の金融・証券不祥事も起こりました。
    〔持永委員長代理退席、委員長着席〕
こうしたことから、金融機関の経営の破綻とか合併、他業態への転換が現実味を持ってきたのではないでしょうか。こうした点から見ますと、今度の改革法案は、制度改革自体を進めるというだけではなくて、いわゆる金融再編成への布石ではないかという見方が出ておりますが、その辺について簡潔にお答え願いたいと思います。
#128
○土田政府委員 このたびの制度改革法案ないしは関連の政省令におきまして、いろいろな例えば再編成絡みの問題につながるような事態を想定した規定を設けておるという点は若干あろうかと思います。ただ、その点につきましても、基本的には、再び今申し上げた考え方に戻るわけでございますが、どのような生き残りの路線を選ぶか、それからどこかと合併なりなんなりをしようというときにどこを選ぶかというようなことは、最終的にはそれぞれの経営上の判断でございます。その経営上の判断をする際に、法令上はどのようなことができるかという、そのできる範囲を広げるということは、今度の制度改革のときに多少は意図的にそういう仕組みを入れているところもございますけれども、特別それが多用されるといいますか、それが積極的に用いられることを期待しているがためにそういう仕組みを考えているというわけではございません。基本的にはやはり、合併にせよ再編成にせよ転換にせよ、個別の金融機関の経営上の判断にかかっている問題だというふうに私どもは考えております。
#129
○池田(元)委員 最後に、このような金融制度改革でございますが、改革をするならばやはり利用者の利便の向上、国際性という視点を重視して進めるべきではないかと思うのですが、今度の金融制度の改革案につきまして、仮に実施されましたらいろいろ問題がございますので、当然見直しの必要が出てくると思うのですが、その辺いかがでしょうか。
#130
○土田政府委員 私どもは、金融制度調査会ないしは証券取引審議会等のいろいろな御議論も踏まえまして、現段階では最善と考えております案を御提案申し上げております。そのことはまず申し上げておきたいのでございますが、それとは別に、やはり諸外国の金融制度の見直しなどの勢いは甚だ急でございます。そのようなものを見定めながら、またそれと整合性をとるようなもの、重ねての手直しというものが必要になるという時期はやがてはまた来るかもしれない、そのように思っておるのでございますが、それを具体的に、寿命は大体どのぐらいだろうということを申し上げることは御勘弁いただきたいと存じます。
#131
○池田(元)委員 金融制度改革はまだ始まったばかりといいますか、始まろうとしているわけですね。しかしながら、今度の改革案の中身は漸進主義といいますか、だんだん徐々に進んでいく、その方向性は別として第一歩だということで、また内容を見ますと、いろいろ先ほどから答弁に出ておりますように、これから変わり得ることもございます。当然見直しが必要になってくると思うのですが、その辺につきまして大蔵大臣の方の答弁をお伺いしたいと思います。
#132
○羽田国務大臣 今度の制度改革につきましては、御案内のとおり大変長いこと、六年ほど検討されてきたということそしてこの間に、今お話がございましたように国際的にもまさにボーダーレスという時代、また私どもが予測しなかったような速さで垣根を乗り越えておるというような状況であるということでございまして、これはやはり今の時代のニーズにこたえるものであるということで、今局長の方から御答弁いたしましたように、考えられる範囲のもの、また議論のあったもの、こういったものを私ども皆様の方に申し上げておるわけであります。しかし、時代は大きく動きますし、また実際に運用していきますとやはりいろいろな問題点が出てくると思います。そういったときには当然はばかりなく見直さなきゃならぬということがあろうと思っておりますけれども、これをぜひ御審議いただきまして、一日も早く通していただきますこと、そこからまずスタートであろうというふうに思っております。
#133
○池田(元)委員 また改めて論議していきたいと思います。これで終わります。
#134
○太田委員長 中井洽君。
#135
○中井委員 質問の順番に御配慮をいただきました委員長以下他党同僚議員の皆さんにお礼を申し上げます。
 先週に引き続いて当法案の質疑に入りたいと思います。
 最初に大臣にお尋ねいたしますが、今回のこの法案で民間の金融機関の変化、これについての枠組みができるわけであります。しかし、御承知のように日本には他国にない郵貯であるとかあるいは政府系金融機関、こういったものがあります。利用者の便利あるいは国際化、金融自由化に対応する、こういうことでありますが、これら政府系金融機関のあり方について御議論というのはこれからお進めになるのか、生命保険については来年を目指して議論がなされておると聞かしていただいておりますが、政府系金融機関についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
#136
○土田政府委員 まず私から、金融制度調査会での議論の模様などを御披露申し上げたいと存じますが、政府関係金融機関はやはり政策金融という独自ではありますが重要な分野を担っております。これにつきましては、これまでも例えば行革審の答申などを踏まえて見直しなり適切な対応が行われてきているところではございますし、また、この問題は単に金融制度の問題にとどまらないものでございます。したがいまして、従来の金融制度調査会なり保険審議会が民間の業界のあり方を審議してまいりましたその延長線上での議論にはなかなかなじみがたい一面もございます。したがって、そのような幅広い性格にも十分留意しながら、長期的な観点から引き続きこの見直しを行っていくことが必要であろうと金融制度調査会の答申でも言っておりますが、ここでやるというところまでは言い切っておりませんので、これはいわば毎年の業務の見直しなどを通じまして個別の政策金融機関の特性に応じた再検討を続けていくということが結局一番早道ではあるまいかと思っておるところでございます。
#137
○中井委員 この委員会審議の間にも、ノンバンクのあり方等をめぐって金融制度の一元化とかいろいろなことが前向きに論議なされてきているわけであります。政府系金融機関のあり方、そして変化の早い国際金融あるいは日本の金融市場、こういったものに十分有効に対応できるような体制づくり、枠組みあるいは役割分担、こういったものを常に論議していただきたいし、私どもも委員会審議を通じてそういったことをやっていきたいと考えております。
 そういう中で、過日、逓信委員会でふっと質問したことがあるのでありますが、郵貯の問題であります。大変膨大な資金を持って運用がなされております。日銀の政策というものは、御承知のように政策委員会というのが最高決定機関であり、この政策委員のメンバーを見ますと七人ということであります。過日、大阪の公聴会におきましても、社会党の同僚議員からこの問題に少し触れられたわけでありますが、今農業が日本に占めておる役割の大きさ、こういったものを考えますと、郵貯はもっと大きいのじゃないか、そうすると、この日銀の金利政策等を決める政策委員会に、膨大な資金を持つ郵貯あるいは郵政省、ここらを代表するメンバーというのもつけ加える時期をもう越しているのじゃないか、こんなことすら考えて、逓信委員会で郵政大臣にそういうことを考えないかという質問を実はしたわけであります。この点について大臣、どのようにお考えになりますか。
#138
○羽田国務大臣 確かに、郵貯の役割といいますか、あるいは郵貯が持ちます金額というものは、まさに世界一の銀行なんて言われるぐらいに実は貯金を集めておるというのが現状であります。また、そういうものを背景にしながらも、現在金利の自由化を初め、金融というのは非常に多様化してきておるというような状況の中で、一体郵貯が果たす役割というのはどういうことなのか、こういったことも含めて、私どもといたしまして、今後、今、日銀の政策委員という中での御質問であったわけではございますけれども、私どももいろいろと議論はしてみたいというふうに考えております。
#139
○中井委員 法案に入ります。
 先ほどもファイアウオールの問題が出てまいりました。私も過日の委員会で幾つか例を挙げて質問をいたしました。政省令の骨子みたいなものが当委員会の質疑の前に出されているわけでありますが、それを見ましても、何を書くということが書いてあるだけで、中身が全然見えてこない状況であります。政省令は法案が通ってからおつくりになるんですから、それはそれで結構でありますが、ファイアウオールをつくるということ自体どういう目的なんだ、そしてどういう基本的な理念でこのファイアウオールをつくっていくんだ、これを聞かないと、ファイアウオールのことに関してお尋ねをすると、どうも証券局長ばかりが答弁をする。証券会社のためにファイアウオールがあるのじゃないと私は思うのですね。ところが、質疑の中ではどうもそういう形態になってきておる。このことを心配いたします。しかも、その政省令で、これから大蔵省の、あるいは当局の判断の中でつくられていく。そうではなしに、やはりファイアウオールというものをつくるならつくるで、どういう理念で、どういう基準でこれをつくっていくんだ、そういったものがなければならないと思うのであります。お聞かせをいただきます。銀行局にお尋ねします。
#140
○土田政府委員 従来、ファイアウオールにつきまして証券局から御説明を申し上げておりますのが多いのは、これは今度の法改正の中身で証券取引法系統の話が話題になることが多かったからでございます。
 実は、余りファイアウオールというふうに私どもの方では言っておりませんが、銀行法の中でも、今度業態別子会社を金融制度の中に取り込むことによりまして、弊害防止措置についての規定を設けております。これは、銀行が子会社などを有する場合に、その子会社との関係によって、この場合は親を想定しておりますが、親の銀行の業務の健全かつ適切な遂行が阻害されることを防ぐという目的でございます。
 そこで、法案におきましては、銀行とその子会社などとの間において、その条件が当該銀行の取引の通常の条件に照らして当該銀行に不利益を与えるものと認められる取引を禁止する、いわゆるアームズ・レングス・ルールを定めたいというものでございます。この趣旨は、子会社等との間でも独立企業間と同様の取引または行為を求めるものでございまして、そうした基本的な考え方を「取引の通常の条件」というような表現で明確にしたものでございます。今度は省令におきましては、ややこれと逆のケースでございますが、銀行がしてはならない取引または行為として、子会社等との間で、その条件が当該銀行の取引の通常の条件に照らして当該銀行に不当に有利と認められる取引をすることを定めたいというふうに考えております。この銀行法上の弊害防止措置は、この二つの規定を主な内容とするものでありまして、このような考え方に基づきまして、銀行と子会社等、または子会社等に係る顧客とやはり銀行との間での取引または行為について適正を期したい、そういう趣旨で銀行法の方では弊害防止措置を設けることを予定しております。
#141
○中井委員 証券局どうですか。
#142
○松野(允)政府委員 私どもの方が弊害防止措置ということで考えておりますのは、どうしても証券市場の公正を害するおそれがあるということを非常に重視をしているわけでございます。したがいまして、この弊害防止措置というと私が答弁に立つ機会が多いわけでございますが、やはり証券市場というのは、御存じのように、いろんな投資家が参加するわけでございまして、その中で、仮に銀行の証券子会社が親銀行と一緒になって変な行為をするということになると、これは証券取引行為をゆがめる、ひいては価格形成の公正さをゆがめるということにもなりかねないという問題、それからもう一つは、やはり競争条件という観点に立ちまして、親銀行が余りにも子供の証券会社に利益を与えるということになりますと、競争上非常に子会社が有利になってしまうというようなこともあるわけでございます。いずれにいたしましても、証券市場における証券会社というのは仲介業者でございますから、これは仲介業者として公正中立に業務を行わなければいけないわけでございまして、そういうものを確保するためにいろいろな弊害防止措置というものを考えているわけでございます。
 具体的には、証取審の報告書にいろいろと書いてございますが、大きく分けますと、今申し上げた経営の独立性、健全性を確保する、それから利益相反行為を防止する、それから競争条件の公正さを確保する等々、そういうねらいの中で具体的に細かい弊害防止措置というものを考えているわけでございます。その主なものを法律に規定いたしまして、あと省令に必要な弊害防止措置を規定するということを考えているわけでございます。
#143
○中井委員 銀行の方は銀行業務の健全性、証券の方は市場の正常な機能性、こういったことでいわゆるファイアウオールというものを規定していく、こういうお答えであります。しかし、この法案の大きな目的は、やはり利用者の便宜あるいは国際化ということであろうかと思います。業界間の調整の中でいろいろと従来の利益を守るために議論があったことを承知しておりますが、余り細かく、余り目に見えない指導のもとで、こういうものが次から次へとつくられていって、結局利用者の便宜等が大きくそがれる、あるいは国際化から見ておかしい、こういったことのないようにお願いを申し上げておきたい、このように思います。
 次に、外資系の銀行、これらが例えば証券子会社を日本につくるとき、今回五〇%ルールの撤廃等が入っているわけであります。この出資比率の問題と、日本の銀行が証券子会社をつくるときと外国の銀行が日本に証券子会社をつくるときの違い、そしてどうして変えているのか、その点を御説明いただきます。
#144
○松野(允)政府委員 外国の銀行が日本に証券子会社をつくるということも、今後内外平等ということで認めることにしたわけでございます。この場合の一番の違いは株式の取次業務にあります。外国の銀行がつくります証券子会社につきましては、私どもはあえて株式の取次業務を認めないというような取り扱いはしないということにしております。これは、一つには外国の銀行でございますから、日本の企業の株式をたくさん持っているということはまず余り考えられないということで、子会社が行います株式のブローカー業務とのいわば利益相反的な関係というものをそれほど考えなくていいのじゃないかということ。それからもう一つは、外国の銀行でございますから、それほど日本の企業なり経済に対して影響力が大きいというわけではございませんので、仮に株式の取次業務を認めても、それが中小証券会社の経営に非常に大きな悪影響を与えるということまではないのではないかというようなことで、外国の銀行の証券子会社につきましては、株の取次業務を禁止しないという扱いにしております。
#145
○中井委員 こういう外国からの参入を迎えますときに、どうも外国向けにだけ特別にいい顔をする、国内は別だ、こういうのが従来からの日本のやり方のように思います。国際化という中で外国の銀行にそういうことをやるなら、もっと思い切った、日本の銀行にも同じ形にしていくことが国際化であろうかと私は思います。交渉事ですから、歴史もあり、なかなか難しいことでありますが、そういったものを別々にしながら国際化だ国際化だというところに日本の説明の難しさが存在する、こんなふうにも考えています。そういった意味で、この差をどんどん縮めていただく、このことをぜひ頭の中に置いていただきたい、このように考えます。
 それに関連しまして、我が国の銀行が外国に随分証券子会社をつくっているやに聞いております。今回の法律改正後、外国にあります我が国の銀行系の証券の子会社が逆に日本へ支店をつくる、こういったことは御許可なさる予定ですか。
#146
○松野(允)政府委員 日本の銀行が海外に持っております証券子会社が日本にいわば逆上陸するという問題でございます。
 これにつきましては、まず、支店の形でやってくるということになりますと、これは証券取引法ではなくて外国証券業者に関する法律の域内になるわけでございますけれども、現在の外国証券業者に関する法律はそういったものを全く予想していないわけでございます。そういうことからいいますと、支店の形で逆上陸をしてくるということについては、我々としては今の法律の中では認めにくいのじゃないかというふうに考えております。
 ただ、それではその証券子会社の形で、また日本に子会社をさらにつくるというような形で上陸をしてくるということが考えられるわけでございますが、この場合には証取法の適用があるわけでございまして、その場合には、仮に、外国の銀行が日本に証券子会社をつくるのと同じような扱いになるわけでございます。したがいまして、日本の銀行の海外証券子会社がさらに日本に証券子会社をつくって証券業をやるという問題については、証取法の適用ということで検討に値する。ただ、日本の銀行が、直接自分で証券子会社をつくれるにもかかわらずそういうものをつくるかどうかという問題は、これは経営判断としてはどちらを選ぶかという問題はあろうかと思いますけれども、法律的な枠組みとしては、そういうものには対応できるということにはなっております。
#147
○中井委員 予想もしていないし、まあつくろうと思えばつくれる、しかしあのニュアンスでは許さない、こういうお答えであろうかと思いますが、そういう曲がりくねった質問を私どもがしなければならないほど、今までの行政のあり方というのが曲がっておったのではないかと私は逆に考えます。そういう意味で、日本の銀行が外国で証券子会社をつくって、そしてそれが日本へ支店をつくったらいける、ごういう道があるということだけ御指摘を申し上げ、もっと素直な形で金融市場の自由化というものが進められる、このことを要望いたしておきます。
 それに関連して、銀行系の海外の証券子会社に対していわゆる三局指導というのがある。銀行局、証券局、国際金融局であります。そしてこれは、証券の引受業務の中で主幹事になってはならないというようなことが口頭で告げられておると聞いております。金融制度調査会の報告の中では、これらの口頭指導も廃止すべきである、こういうことが書かれておるように聞いておりますが、今回の法改正に伴って、この三局指導というのはなくなりますか。
#148
○松野(允)政府委員 いわゆる三局指導でございますが、今御指摘がございましたように、これは日本の企業が海外で資金調達をする場合に、日本の銀行の海外証券子会社が幹事証券会社にはならないという指導でございます。これにつきましては、これは非常に古い指導でございまして、当初は日本の銀行の海外証券子会社にそれだけの能力がない、それにもかかわらずそういうことをやるということは、とりもなおさず、親銀行が国内で発行企業に働きかけをするのではないかというようなことで、事実上国内において親銀行が六十五条に違反するような証券業務をやるということが考えられるということで、それを予防するための指導ということで始まったわけでございます。その後、現在日本の銀行の海外証券子会社は非常に力をつけてきております。したがいまして、親銀行が国内で日本の発行企業に接触をしなくても、海外の証券子会社だけで十分な力を持っているという意見もあるわけでございます。今回の制度改正の一環として、証取審におきましても、この三局指導の見直しということは言われているわけでございまして、今申し上げましたように、日本の銀行の海外証券子会社が十分実力を備えてきているというような実態を見て、三局指導というものを見直していく必要があるというふうに私どもも思うわけでございます。
 ただ、その中でもう一つ問題は、国内におきます発行市場の改善という問題がございます。つまり国内の債券、社債発行市場はいろいろと法的な制約があるわけでございまして、例えば受託制度というようなものを見直さなければいけないとか、あるいは発行限度というものをどう考えるとかいうような、いわゆる社債関係法の見直しというような問題があるわけでございまして、やはり国内発行市場の改善あるいは規制緩和、自由化というようなものも必要であろう。三局指導そのものについては、やはり環境が変わり、あるいは銀行の海外の証券子会社の実力がついてきたという状況を考えて見直していく必要があるわけでございますが、あわせて国内の市場というものの改善も必要であるというふうに考えているわけでございます。
#149
○中井委員 ユーロ債の引受額等を見ますと、もう日本の海外の証券子会社というのは十分そういう引き受けをやる実力を備えておると思います。そういった意味で、報告にあるとおり、こういう指導は時期時期ですから、時期を見て早目に撤廃をする。同時に、私どもも知らないような目に見えない慣行あるいは諸規制というのがまだまだいっぱいあるやに聞いております。今回の法改正の中でそういったものをできる限り政省令化する、こういうお約束もあるわけであります。できる限りきちっと目に見えた、法律に基づいた指導、そういったことになるように御努力をいただきますよう要望をいたしておきます。
 時間がありませんので、もう一問だけお尋ねをして、他は次の機会に譲らしていただきます。
 信用金庫が信託業務に本体でも参入できる、同時にまた、代理店等活用して業務の枠を広げられる、こういうことになるわけでありますが、信用金庫がその本体で信託業務を行えるとき、全部の信用金庫が行えるのかと聞きますと、いやそれは一つ一つ個々に見て許可をするということでありますが、これは金庫の預金の大きさでいくんですか、あるいは中身の健全性でいくんですか。そういう基準があると思うのでありますが、そういった基準についてどのようにお考えか、お尋ねをします。
#150
○土田政府委員 本体で、ごく限られた範囲ではありますが、信託業務を営み、それによってその地域のニーズにこたえるという道を開くということを考えておりますが、これにつきましても、いわばその審査基準は信託銀行子会社に係る認可の審査基準などとも平仄をとりながら考えていかなければいけないと思っております。それで、これをなるべく早目に、この研究をして考え方を示すようにできればいいと思っております。
 その詳細について、現在立ち入って御説明する準備はございませんが、着眼点といたしましては、一つは、この金融機関の体力の問題。これは例えば大きさとかいろいろなメルクマールではかることができると思います。それから第二には、そのやろうとするものの能力の問題。これは比較的専門的な業務でございますので、例えばいろいろな資格を備えた者が何人おるかとか経験者が何人おるかとか、そういうようなものは着眼点になると思います。それから三番目に、これは土地柄といいますか、地盤といいますか、その地域にどのようなニーズがどのくらいできておるかというようなものも着眼点といたしたいと考えております。
#151
○中井委員 信用金庫が信託子会社をやって、公益信託に限って本体業務でできるわけでありますが、地域の金融機関でありますから、例えばその地域の地方公共団体と福祉を目的とした信託業務経営を考えて、こういう新しい商品をつくり出し、地方自治体と一緒にやっていく、こういうやり方というのは公益信託の中で許されるものですか。
#152
○土田政府委員 この具体的な仕組みについてさらにいろいろ研究する必要があるかと思いますが、原則論といたしましては、これは金融制度調査会の答申にも出てまいりますように、土地信託や公益信託の中でさらにどのようなものが実務上考えられるかよく研究してまいりたいと思っております。
#153
○中井委員 もう一つ最後に。銀行の信託子会社というものができる。この信託子会社とあるいは信託銀行との合併、信託子会社同士の合併、こういったことは許可されるものですか、可能ですか。
#154
○土田政府委員 信託子会社につきましては、原則としては新規設立を想定しております。その後の二次的な問題といたしまして、どのような展開があり得るかでございますが、これは、私どもはこの信託子会社というものを業態別子会社の中の一つの重要な骨組みとして想定しております関係上、論理的には例えば経営破綻の問題を生ずるとかいうような異常な事態について全く考えられないこともないかと思いますが、少なくとも設立早々のときから合併とかそのようなものを想定するということは不自然であろうと考えます。
#155
○中井委員 時間ですので、終わります。
#156
○太田委員長 佐藤恒晴君。
#157
○佐藤(恒)委員 制度改革の質問に入ります前に、今度の金融二法の早期成立の必要性ということで、銀行局あるいは証券局がいろいろと努力をされているということについては十分に理解ができるわけでありますが、先般法案の説明というか、そういうことで当局からわざわざおいでをいただいた際に一通の書面をいただいたわけでありますが、これは大蔵省内部の文書だというふうに理解をいたしますけれども、それを拝見しまして、改めてお伺いをせざるを得ないな、こういう気持ちになりましたので、まず大臣にお尋ねをしたいと思います。
 それは、一つは「両法案早期成立の必要性」という大蔵省内部の見解を記した文書でありますが、ここに書いてありますように、私も二法の成立ということについて、この二法の重要性については理解をいたしております。そうはいっても、この制度改正はバブル崩壊についての対策としてとられた制度改正ではないと思います。しかしながら、この文面、この考え方としては、バブル崩壊の対策として今度の二法があるかのように強調されている点が非常に気になるわけであります。そういう考え方を推し進めていきますと、金融・証券等の業界の再編成、合併ということを目的にしてやるんだというふうに読み取っても差し支えないような感じさえ受けるわけであります。例えば、これが実現しないと、証券監視委員会ができないと困る、それができることによって、中間を省略しますが、市場の活性化が図れるというようなことになっておるわけでありますが、しかし、市場の活性化というのは、監視委員会ができて機能化していくようなことによってもたらされるということじゃないのではないか。業界なりそれぞれの企業において、自主規制団体やあるいはまたみずからの自主規制によって信頼を回復することによって市場の活性化が図られるということがまず大前提条件ではないのか、こういうふうに私は思うわけであります。しかも午前中も御指摘ありましたように、相変わらず金融関係の不祥事件が絶えないというのは、これは検査機構がどうかという問題よりは、むしろ自主規制、あるいは自主規制団体の機能、実はここに問題があるのだろうと思うわけであります。そういう意味で、この論調については、主張点についてはいささか理解できない。
 それから、この監視委員会そのものにつきましても、独立性、実効性について議論があるけれども、どう運用されるかを見守ることが大切だという考え方になっているわけですね。この法案を審議する立場から、ここまで審議したんだけれども、それではでき上がったものをしばらく運用の状況を見よう、こういうのは私どもの立場からは当然言い得ることでありますけれども、しかし提案をしている側から、いろいろあるけれども、とにかく運用を見てくださいよ、こういうようなものであるのだろうか。既に本案は衆議院は可決しているわけでありますけれども、少なくともこれからも関連していろいろ議論が出てこようかと思います。三条か八条かとか、あるいは人的な体制をどうするかとか、さまざまな問題が出されておりますけれども、それらが十分に審議が尽くされたというふうには思っておりませんから、あのような附帯意見もついたもの、こういうふうに私は理解をいたしております。
 それから三つ目には、片一方の法律だけの成立では金融機関も証券会社も具体的な将来像を描きようがない、こういう主張であります。今日の厳しい環境の中で、金融・証券の公正な市場をつくるとか、あるいは発展を図るということで、限りない自由化という言葉を使わせていただきますけれども、そういうことが果たして万能なんだろうか。生保あるいは損保の相互参入問題もいよいよ具体的な課題になってくる。金融機関以外からの参入、あるいは先ほど来も出ましたように、それぞれの業態間あるいは業種のファイアウオールの問題とか、あるいはまだ不十分であります株式の委託の手数料の自由化問題とか、こういうような問題がまだ不透明な状況にあるわけでありますから、この二法が成立したからといって、それぞれの厳しい状況下にある証券・金融それぞれの企業なり業界が将来像を描けるなどというものではないのではないか、そういうふうに私は思うわけであります。金融機関もこの二つの法案を一体として受けとめている、こういうふうなことになっております。それはそうでしょうけれども、しかしそうはいっても、この法案に対する見解は、それぞれの業界においてさまざまであるようであります。果たして、この二法が成立すれば、金融機関なりあるいは証券会社等々が自由化の中で将来像を描けるようなものだというふうに業界の皆さんがお考えになっているということであれば、私は非常な疑問を感ずるということであります。
 四点目は、この法律で金融機関による企業の直接金融のバックアップが不可欠というふうに考え方が述べられているわけでありますが、企業の側には、窓口だけがふえても決してプラスにならない、証券とか銀行の利益になるだけではないのかといったような見解もございますし、あるいは金融・証券市場というのは、決して機関投資家やあるいは大企業のみにだけあるのではないと思うわけであります。直接金融の機会を求めております二百万法人と言われるような中で、声なき声という言葉がありますけれども、声なき法人の金融をどうするかという問題、あるいはまた個人事業者の金融をどうするかというような問題などを考えてまいりますと、さまざまな課題があると思うわけであります。
 最近のノンバンクあるいは中小金融機関の救済合併等々の動向をあわせて考えてまいりますと、今度の制度改正は合転法の問題も含めまして、いわば大手といいますか、そういう銀行等の市場支配力を一層高めるというふうにさえ心配される部分が多いのではないか。金融・証券等の自由化という問題は、一にかかって国民経済あるいは中小企業の経営活動、こういうものにプラスになるのかどうかというような視点が極めて重要だと実は思うわけでありますが、そういう論調は感ぜられないというふうに思うわけであります。
 五つ目には、業界の動向ということについても書いておるわけでありますが、この大蔵省内部の見解のように、それぞれの業界がすべてこれに賛成だ、まあ表向き反対だということで運動しているところはないようでありますから、それは賛成ということになるのでありましょうけれども、参入の仕方なりあるいは参入してこられるという立場において、この法案に対しては基本的に問題を表明してきた経過というのは明らかであります。
 そういった点を考えてまいりますと、このたびこの二法の審議に当たって大蔵省内部で持っておりますこの見解というものについてはいささか疑問を感ずる部分がありましたので、五点ほど申し上げましたけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#158
○羽田国務大臣 今、私どもの役所の者が持ちましたペーパーについて、これをもとにしてお話があったわけであります。
 今一番初めに御指摘がありましたように、今日の証券・金融、こういったものに対するいろいろな不信、こういったものにこたえるための合併、これが一番大きな目的じゃないのかというお話もあったわけでありますけれども、御案内のとおり、この法律というのは思いつきといいますか、非常に短い間で議論されたものではございません。実は相当長い時間をかけながら、今新しい時代の要請にこたえようということでこの二つの法案というものをお願いをいたしておるということがまず基本であることを御理解をいただきたいと思うわけであります。
 ただ問題は、このバブル崩壊という中におきまして、金融機関あるいは証券関係、こういったところに対する国民の不信といいますか、そういうものは非常に大きくなってきておるということがございまして、確かにそういった問題に対してもやはりおこたえをしていかなければいけないということで、特にこの監視委員会等につきまして御理解をいただこうといたしておるわけであります。この一連の証券不祥事の発生に対しましては、市場監視のための検査の独立性、こういったものを確保しなさいということもございまして、私どもは、そういったものを重く受けとめながら、行政部門から独立的であり、中立的な第三者機関である委員会を新たに設け、証券取引等については、その取引の公正を確保するために設けられている諸ルールの遵守状況を監視させることといたしたものでございます。したがって、一刻も早い委員会の設置こそが、市場ルールの遵守状況を公正、中立の立場から監視する機能の充実強化を通じまして、投資家の市場に対する不信感を払拭し、市場の活性化にやはりつながろうというふうに私どもは考えております。
 また、委員会の独立性ですとか実効性につきまして、合議体という組織形態ですとか、あるいは国会の同意人事等の独立性確保のための手当てによりまして、検査の結果というものが行政へ適切に反映される仕組み、こういうもの等につきまして十分な配慮がされておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、これは新しい組織でございますので、委員の選任ですとかあるいはその運営面でも我々といたしましてはやはりいろいろな立場から十分配慮していく必要があろうと思っております。
 今御指摘がありましたように、これができたから直ちに信頼が回復される、そんなものじゃないだろうということでありますが、それはもう御指摘のとおりでありまして、本来はやはり、特に市場の場合には、これは市場が自主的にルールをつくる、これをまたみずからが守っていくということが大事でございまして、そういう意味で、今度は証券取引所ですとかあるいは証券協会を証取法上に位置づけたということでございまして、やはり自主的にルールを守るということ、これが最も大事なことであろうと思っております。それを補完する、要するに、そういったルールがきちんと守られておるかということでありまして、こういう委員会をつくることによって国民の皆様方もまた安心していただける、それを私たちは期待をいたしたいと思っておるわけであります。
 なお、こういったものをつくったからといって、本当に各業界の人たちはという話でございますけれども、私どももいろいろな、これは今ここに網羅されております各業界の皆様方ともお話をするわけでありますけれども、やはりそれぞれ時代が非常に大きく移り変わっておる。これは委員も御自身で選挙区等ごらんになっていただきましても、各選挙区の中におきます中小零細企業というものが、やはりこの十年、あるいはもっと短い五年の間に急に大きく変貌しておるであろうというふうに思っております。こういったものに現在の信用組合ですとか信用金庫ですとか、その他の地域にあります金融機関が本当にこたえられるか、なかなかこたえにくくなってきておるという、新しいニーズにこたえていくという意味で、やはりみずからも変革をしていきたいという意欲というものを持っておるのじゃなかろうかというふうに、私どもは方々で実はお話し合いをしながら、そのことを感じておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、新しいしかも相当多くのものを取り込んだものでございます。そういったことで、御指摘をいろいろといただかなければならぬ点もありますでしょうし、実際にこうやって動き出していかないとなかなかこれは完全に読めるというものでないことも事実だと思うのです。ですから、私どもはまず、今大きく変わりつつある時代に対してこたえるということ、そういう中でこの法律をぜひともひとつ通していただきたい。そして、一歩でも前に前進させることが重要であろうというふうに考えていることを申し上げさせていただきたいと思います。
#159
○佐藤(恒)委員 それじゃ、中身に入りたいと思いますが、主として合転法等の問題も含めて中小金融機関といいますか、そういう分野についてお尋ねをしたいと思います。
 今般提案をされております合転法の改正については、極論をいたしますと、何でもかんでも合併する、あるいは転換できるという再編政策ではないかというふうに言ってしまいたいような気分のする改正だと私は思っております。今日の環境では、特に中小あるいは協同組織金融機関につきましては、金利自由化の中で大手銀行といいますか、つまり大銀行と一口に申し上げますが、そういう銀行の小口金融あるいは消費者金融という分野への進出、そういう中で地域的あるいは歴史的または協同的な役割というものが否定されかねないというような状況になっているわけであります。中小及び協同組織金融機関の今日的な役割というものについて明らかにしながら合転法というものを考えていく必要があるし、また仮に改正されるとして、その運用について誤らない対応をすべきではないのか、こういうふうに実は思うわけであります。もちろんこういう法律ができ上がってくるうちには、それぞれの業界において個別の、あるいはまた個別の金融機関等において主体的な努力を払っていくということはもちろん当然だと思います。
 そこでお尋ねをいたしますが、大変細かいことになりますけれども、例えば九〇年三月で経常収益の対前年比が、例えば信用金庫の場合にはマイナス二五%という状況にあるのでありますけれども、例えばそれが九二年三月期ではどのぐらいになっているのかということをまずひとつ数字でお示しをいただきたい。
 続いて、平成二年度の損益にかかわる諸比率について若干申し上げますと、例えば預金の利回りにつきまして、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合等々、四つのものを比較してみますと、前年比で最低で一・三三、最高で一・六七の利回りのアップですね。つまり自由化によって金利が上昇したということだろうと思います。それから預貸の利ざやにつきましては、農協についてはちょっと資料が手元にありませんが、最低で〇・〇三、最高で〇・八というマイナス様相です。つまり利ざやが縮小したということですね。それから総資産の利ざやでありますけれども、これは先ほど申し上げた四つの機関で最低が〇・一〇、最高で〇・六九という利ざやの圧縮、つまりそれだけ利幅が少なくなった、こういう状況になっているわけであります。
 今申し上げたように、これは預金の金利の自由化という問題が大きな影響の要素の一つになっておりますが、こういうものが結局経営の悪化につながっている、こういうことになってくるわけでありますから、それぞれの金融機関の生き残り作戦というのは大変な状況にあろうかというふうに思うわけであります。
 そういうことでお尋ねをしたいのは、九二年三月期について、今申し上げたような数字についてもし統計が出されておるならばお示しをいただきたい、こう思うわけであります。まず、そこの点をお尋ねいたします。
#160
○土田政府委員 お尋ねの最後の部分、平成三年度の決算状況についてでございますが、現在までのところ、この協同組織金融機関につきましては、決算の最終結果についての報告もそろっておりません。それで、若干の地域的な速報なりなんなりを比べ、また他の業態と比較類推して申し上げる程度にとどまることを御勘弁いただきたいわけでございますが、一般論といたしましては、確かに預金金利の自由化の進展もございますが、他方、金利の低下傾向が進んでおる時期でございましたので、いわば預金と貸し出しとの間の利ざやは若干拡大したものではないかと思われます。
 それで、そのようなものもあずかりまして、いわゆる業務純益でございますが、これは前年度に比べて増益になっておるものと思われます。ただし、この後は、これは銀行等も同じ現象でございますけれども、経常利益となりますと減益であろうと思います。
 その減益になります原因は、大きく分ければ、一つは株式等の値下がりによりまするところの償却等による損失、それからもう一つは不良債権の増加による償却その他による損失ということが考えられますが、一般に他の業態、殊に銀行などでは、株式等償却の方がこの両者の中では大きかったわけでございまして、信用金庫についても恐らくは同様であろうと考えております。したがいまして、そのようなこともございまして、経常利益が減益であり、また最終的な当期利益も減益になったというように今考えられるのでございます。
 申しわけございませんが、まだ全国的な意味での協同組織金融機関の決算数字そのものができ上がっておりませんので、傾向的な御説明で御容赦いただきたいと存じます。
#161
○佐藤(恒)委員 部分的には経営諸表の改善の見られる部分もありますけれども、総体としては、今お話あったように大変厳しい決算状況にあるのだろう、こう思います。
 ところで、預金保険機構を動員した東洋信金の整理救済、これは大蔵省主導で行われたのだろう、こう思いますけれども、そういうような非常にショッキングな状況があったわけでありますが、いずれにしましても、中小金融機関においては自立化への努力を積み重ねているというふうに思うわけであります。
 そこで、中小企業庁にお尋ねをいたします。
 この制度改正によりまして、経営体制の確立や、あるいはまた組織運営面での、あるいはまた業務分野での拡大ということで対応策が出されているということについては理解をいたしておりますが、自己責任の経営努力への道を開いてやることが何よりも大切だというふうに実は思っておるわけであります。
 例えば、信用金庫あるいは信用組合の貸出残高のシェアを見ますと、近年、地域別、例えば東北であるとか九州という地域別でありますが、例えば、四国が最低で、全貸し出しのおおよそ一一%がこういう金融機関で占められている。あるいは甲信地域では約三〇%のシェアを占めているわけであります。これは若干前のデータでありますけれども、今日においても、こういう基本的な状況は、いわゆる貸出残高のシェアはそう大きくは変わらないだろうとは思いますが、どんなものでありましょうか。
 同時に、信用金庫の貸出約定金利などを統計などで拝見をいたしますと、全国都道府県別に見た場合に、大体二%以上の差があるようであります。これは俗に言う金融の寡占体制といいますか、つまり地元の大手銀行一社か二社がほとんどのシェアを占めておって、あとは小さい金融機関が存在するという程度で、金融機関同士の競争が激しくない地域ということになるかと思いますが、信用金庫の約定金利で約二%以上の差があるということは、ここで議論する中小企業対策と、それから全国的に、個別地域的に見た場合の中小企業に対する金融対策という点では非常な問題を残しているというふうに言えようかと思います。また、全国的な平均で見ても、中小企業向けの貸出シェアは、国金とか中小公庫等々の機関も含めてでございますけれども、約三〇%ではないかと思うわけでございます。
 このように信用金庫、信用組合など地域金融機関としての役割というのは非常に大きいというふうに私は評価をしております。過去の金融の引き締めの時期におきましても、中小企業向けの残高は、そういう時期にはおおむね減少するという状況がございますけれども、いわゆる保証残高では増加傾向を示すというような一つのパターンがあろうかと思います。九一年度の保証協会の代位弁済も、過般新聞で、対前年度で九五%アップ、一千七百十七億円、こういうふうに報道されております。こういう中で、金融機関の態度の変化によって間接金融というような問題が盛んに議論をされるわけでありますけれども、しかし、金融機関の融資態度の変化とかというものに対応して零細中小企業は直接金融に頼るということはできませんから、どうしても間接金融に頼らざるを得ない、こういうことになってくるわけであります。いかに直接金融の分野が広がっていっても中小企業はなかなかこれを活用することはできない、こういうことだろうと思います。
 中小金融機関については、今経営が非常に厳しいという中で、吸収あるいは合併という問題も幾つか具体的な実例として挙がっておるわけでありますけれども、今日段階で、単に合併という形で中小金融機関が姿を消していくというのではなくて、規模の経済を追求するというような形での合併が、同種の合併というのが望ましいのではないか、こんなふうに実は私は思っているところであります。そういう立場から、中小企業のための中小金融のあり方というものについてどんなふうな見解を持っておられるのか、中小企業庁の方にお尋ねをしたいと思います。
    〔委員長退席、柳本委員長代理着席〕
#162
○桑原政府委員 御指摘のとおり、中小企業の資金調達の大宗は間接金融であるというふうに我々も考えております。最近、私募債発行というようなことで直接金融への関心も中小企業の中でかなり高まってきておるということもございますけれども、大宗は間接金融であり、銀行とか信金、信組等にお金を借りるということであろうかと思っておるわけでございます。したがいまして、中小企業がいろいろな金融機関から安定的に必要な資金を借り入れることができる状況を維持することが極めて重要であるということでございます。
 信金、信組の御指摘がございましたけれども、我々といたしましては、中小企業全体として約二〇%の資金を信金、信組に頼っているというふうに思っておりますので、信金、信組が引き続き健全な経営を確保しつつ中小企業のニーズにきめ細かく対応していくことを大いに期待しておるわけでございます。
#163
○佐藤(恒)委員 重ねて中小企業庁にお尋ねをいたします。
 自由化ということで低コストの資金を調達できるのではないか、あるいはまた金融機関のサービスが向上するのではないか、こんなふうに一般論としては考えられるわけでありますけれども、先ほども御指摘申し上げましたように、借入金利、資金調達金利が高くなるということになれば、逆に借り手の方にそれが転嫁をされていく、あるいは融資面での差別化というものが進行していく、預金金利の自由化等による連動制というようなことでリスクの問題が出てくる。さらにまた、先ほども地域別の信用金庫の約定金利の差ということについて申し上げましたけれども、地域間の格差というものは依然として続くのではないか、こういうことが反面予測されるわけであります。
 こういうことの中で、今度の制度改正でこれらをクリアする、中小企業のための金融制度ということで今度の制度改正がそれを補う、私は四つの疑問点を申し上げましたけれども、これらをカバーしていくような積極的な制度改正だ、こういうふうにお考えになっているのかどうか。また、こういう改正案が出たことに対応して今後いかなる対策をとっていくかというような検討をしておられるのか、中小企業庁の見解をお尋ねしたいと思います。
#164
○桑原政府委員 金融自由化の中小企業に与える影響でございますけれども、金利変動リスク等を懸念する声があるのは事実でございますけれども、一方、金融機関の適正な競争というものが促進されるということを通じまして、中小企業にとっていろいろな面でサービスが向上するのではないかという期待もございますし、また、中小企業が金融商品をいろいろ買います場合などに、その銀行を通じましていろいろな多様化が図られるというようなこともあるわけでございます。
 我々、昨年、中小企業に対しまして金融自由化による影響というものをどう考えているかというアンケート調査をしたわけでございますけれども、約半分程度の中小企業が、金融自由化によりまして金融機関のサービス向上が期待できるのではないかというふうなことを言っておりますし、また三分の一程度の中小企業が、資金運用手段が多様化するのではないかというような期待もしておるわけでございまして、全体として言えば、金融自由化の進展が中小企業にもいい影響を与えるということを期待しているわけでございます。
 なお、今回の制度改革法案の中身でございますけれども、信用金庫等によりますところの社債等の受託業務であるとか、あるいは私募債の取り扱い等を可能にする、こういうような措置が設けられておりまして、地域金融機関が中小企業の資金調達というものにきめ細かく対応することが可能になるということでもございます。そういう面からも、また中小企業に対する好影響を期待しているわけでございます。
#165
○佐藤(恒)委員 大変結構な答弁でありますが、今回の制度改正と並んで、農協法の改正も実は出されているわけであります。というよりは、もう審議は終わっているわけでありますが、この改正の中で、信用事業の譲渡ということについて触れられておるようであります。この場合に、定款に定める組合の区域あるいは組合員の資格という問題について新たな定めが必要になってくるのではないか。その子細については私もわからないのでありますが、いずれにしましても、信用事業部分だけを譲渡すれば、当然その区域が変わってくることだけは間違いないわけでありますから、信用協同金融における区域の問題、組合員の資格という問題に新たな認識が必要になってこよう、こういうふうに思っているわけであります。そういう新解釈を協同組合、農協法の改正によってなされていくというのは、ある意味では時代に沿わざるを得ない、そういう意味では積極的な解釈も必要になってきているのではないかというふうにも私は思うところであります。
 そこで、労働省の方にちょっとお尋ねをいたしますが、協同組織の広域合併化というのも、私今申し上げましたように進む環境にあろうかというふうに思っております。信用組合法も、県の区域を越える定め、あるいはまた労働金庫法も合併についての規定がございます。けれども、この区域の考え方については、協同金融の本質を失わないという限りにおいて積極的なというか柔軟な解釈をしていくべき時代に入ったのではないか、こんなふうに実は思っておるわけであります。特に、労働金庫の場合には、信用組合や信用金庫と違いまして、団体加入の協同組織であります。しかもまた、その加入構成員というのは勤労者になるわけでありますが、全国的、横断的な組織の中で、また会社の都合等による広域的な人事異動等によって他の労働金庫の営業区域にも転勤をするという状況も一般化してきているわけであります。この業務の全国的な統一化というような問題はもちろん積極的にやらなきゃいけないというふうに私も思いますし、経営体制の充実、確立ということも、これまた重要な課題だというふうに思っております。そういうことを認識しつつも、やはり加入者、利用者の視点、そしてまたその組織の性格、こういう点から、私は全国の労金の単一化というのは非常に望ましいことであるというふうに実は考えております。
 冒頭に申し上げましたように、この農協法の改正等によっても、区域の新たな認識が必要になってきているという時代でありますから、そういったことも考えながら、今日までの労金の全国統合という問題についての経過は十分認識いたしておりますので、その経過の説明は必要ございませんが、この全国統合に当たってのいわゆる協同組織としての統一をする場合についての区域あるいは資格というものを積極的に解釈をしていくべきだという私の立場に立ってお尋ねをするわけでありますが、全国の単一化についての基本的な見解をお尋ねしておきたいと思います。
    〔柳本委員長代理退席、委員長着席〕
#166
○廣見説明員 お答えいたします。
 今先生からお話のございましたように、確かに労働金庫につきましても全国規模の労働組合が会員になる。そういたしますと、その支部あるいは分会が各金庫と会員になって利用する形になってくる。そういたしますと、その間接構成員である労働者の方々も転勤等によって労働金庫間を越えた移転が見られて、そこで利用の問題も考えてくる必要がある等々の問題が出てまいっておりまして、そのような意味におきましては、やはり労働金庫におきましても、全国的な業務、斉一的な取り扱い、こういったようなものが望ましいであろうという面もあることは御指摘のとおりでございます。
 こういったような面につきましては、労働金庫の方とされましても、例えば全国労働金庫協会を中心とされまして、全国的なコンピューターネットワークシステムをつくる、あるいは各労働金庫間の提携商品を開発するといったような努力も行われているというふうに私どもも承知しているわけでございます。ただ、今お話のございました労働金庫の全国の一本化という問題になりますと、これはまた労働金庫の経営の根幹にもかかわってくる問題でもございますし、今御指摘のございましたような面も含めながら非常に多様な面から考えるべき問題、いろいろと判断していかなければならない問題であろう、このように考えておるわけでございます。
 そういう意味で、私どもといたしますと、現段階で見てみますと、やはり各労働金庫の大きな経営上の格差がある、あるいはまた、業務運営上さらに改善していく必要な問題点もいろいろと見られる、こういったようなことでございますので、現段階で一気に、また一斉に一本化するということにつきましては、労働金庫の問題を解決するための最良の方策というふうには確信が持てない、こんなふうに私ども今考えておるわけでございまして、一本化の問題について関係者の方々とお話等もいたしましたとき、私どもから今のようなこともお示ししたということでございまして、基本的にはこのように考えております。
#167
○佐藤(恒)委員 大蔵省にお尋ねいたしますが、今労働省のそういう見解はございますけれども、仮に単一化とか合併というような問題があった場合には、これはもちろん労金内部の認識統一の問題とか、今お話のあったようなことが前提となりましょうけれども、非営利の原則に立った規模の利益の追求ということも、これは当然必要になってくると思うのですね。それぞれの存在する姿そのもので今日の競争の中に打ちかてとだけ言ったのでは、やはり中小零細金融機関というのは、労金だけでなくて、それは容易ではないという状況にあると思います。協同組合の原則である非営利の原則に立った上で、なおかつ規模の利益を追求するということは、私は、当然にして求められてくるのではないか、こういうふうに思いますが、基本的な見解だけをお尋ねしたいと思います。
#168
○土田政府委員 いわゆる全国一本化についての見解につきましては、ただいま労働省から御説明があったような状況である、私どもも同じように考えております。しかしながら、労働金庫の現状を考えますと、当局としても、当面のいろいろな厳しい状況に対処するために何らかの対応策を講ずる必要があると考えております。
 そこで、労働金庫業界で検討されておりますように拝承しておりますが、労働金庫の本来の使命達成に向けての基盤整備を行う必要があるという観点から、例えば、今後の検討課題といたしまして、一定の地域を基礎とした労働金庫相互間の適切な合併に向けての自発的努力、それから全国労働金庫協会の位置づけの見直し、実はこの点については今度の制度改革法案でそれに即応した措置を講じております。それから、系統利用率の向上策とか業務精通者の理事への登用、この点についても多少の手当てをしております。それからさらには、当局の監督体制の問題その他について、いろいろ私どもの方も可能な限りの協力と指導を惜しむものではございませんし、また、今後とも引き続き協議を進めてまいりたいと存じております。
#169
○佐藤(恒)委員 労働省の方にお尋ねをしたいと思いますが、今日でこそいわゆる消費者金融というものがさまざまな形で販売されておりまして、だれでもが利用できる。それだけにカード倒産などというような状態も実はあるわけでありますけれども、しかしかつては、地域経済に寄与する、例えば住宅資金の貸し付けといったような問題について他の金融機関が全く見向きもしなかった時代に、例えば十万円前後の限度を持った融資であっても、住宅資金としての金融が喜ばれて、労働者の住宅建築に寄与したというようなこともあるわけであります。また、福利厚生資金というような形で、中小零細企業の経営について側面から寄与してきたという時代もあるわけであります。二十年代後半からのたび重なる産業構造の転換の時期に、それぞれのスクラップ・アンド・ビルドといいますか、そういう中で、企業が相次いで倒産をしていく中でも、その果たしてきた役割というのは非常に大きいものがあるというふうに私は考えておるわけであります。
 一般金融機関というのは、とりわけ消費者金融については、やはりそのスタンスは採算性というところにそのスタンスがあるというふうに私は思っております。しかし、そういう採算性というものにスタンスを置いた、一般といいますか大手の金融機関の企業の論理ということでは、消費者金融というのは、いずれ時代が来ればやはり軽視されるという時代があろうかというふうに思いますが、協同組織金融機関というのは、私は、そういう意味でスタンスが違う。
 そういうふうに考えてまいりますと、勤労者の自主福祉金融制度というものは今後とも強化をすべきではないのか、強化されるべきではないのか、こう考えておるわけでありますが、労働省の見解をお尋ねをしておきたいと思います。
#170
○廣見説明員 労働金庫につきましては、確かに今先生御指摘になられましたように、労働組合あるいは労働者のための専門的な金融機関という性格を持っておるわけでございまして、大きな役割も果たしてまいっておりますし、またこれからも、労働者の金融ニーズが多様化していくということもございます。そういう中にあって、その役割はますます重要なものになってくるのではなかろうかというふうに私どもも考えているところでございます。
 そういう意味では、労働金庫が、これまた先ほど先生のお話もございましたように、基本的には自助努力ということで体質の強化を図っていくということももちろん必要でございますが、さらに、今申し上げましたように労働者の福祉のための金融機関としての役割を十分に果たしていくために、行政といたしましてもそれを支えるという視点から、私どもといたしましても可能な限りの指導や協力を行っていく、こういうことが必要なのではなかろうか、こういう考えに立って取り組んでまいりたい、このように思っております。
#171
○佐藤(恒)委員 次に、農協関係について若干お尋ねをしたいと思います。
 農協系の資金総量は六十兆円とも聞いているわけでありますが、しかし、最近のバブルの崩壊ということも関連いたしまして、極めて経営状況が思わしくないというか、あるいはまた多大な事故、事件的なものが発生しているようであります。とりわけ経営という点では、信連等については東北あるいは北関東、四国、九州といった地域が非常に厳しいといったような報道もございます。さらにはまた、五月二十二日の新聞によりますと、埼玉県信連は二百億円の赤字の見通しだ、こういうことで、有価証券の投資の失敗がその原因であるという報道もございまして、非常に大変な事態になっているのではないかと思います。昭和五十七年五月の衆議院農林水産委員会における農協法の改正に関する附帯決議の中で、「信連の員外融資については、地域還元を基本とし、かつ、融資の健全性に十分配慮した運用を確保すること。」となっております。あるいはまた、信用事業依存体質を改めなければならないというような指摘もこの決議の中に実はあるわけでありまして、今日の事態を考えてまいりますと極めて適切な指摘であったのではないか、こんなふうに残念ながら思うわけであります。
 そこで、大蔵省に簡単にお尋ねをいたしますが、経営が非常に問題になっておりまして、それぞれの金融機関が再建のために支援策をとっております住宅専門会社、住専についてでありますが、約十兆円の借り入れのうち、農協系統からは四兆円の借り入れであるというふうにも聞くわけでありますが、農協系統に対する再建支援の要請というものはないというふうにも聞いておりますけれども、その再建について、農協系統金融機関等に対する要請、あるいはまた、私は今約四兆円と申し上げましたが、実際にはどれだけの農協系統からの借り入れがあって、債権保全についてはどんな状況なのかについて、御報告を伺いたいと思います。
#172
○土田政府委員 最近、住宅金融専門会社の経営問題がよく話題となるようでございます。それとの関連でございますが、まず、農協系統資金がどの程度入っておるかということでございますけれども、これは、住宅金融専門会社八社全部をとりまして、概数で申しわけございませんが、約五兆円弱であろうというふうに見ております。
 そこで、この中の一部の住宅金融専門会社につきまして、最近の業況にかんがみまして経営の立て直しが議論されておるということは承知をしております。このような経営問題は、その背景といたしましては、最近の不動産市況の低迷がございまして、それが住宅金融専門会社の融資先であります住宅開発業者の業績を悪化させ、それが住宅金融専門会社に影響を与えているものと考えられます。
 ただいま申しましたように、全部ではございませんで、一部分についていろいろ問題が取りざたされているわけでございますが、経営の健全性は、まず第一には会社それぞれがみずから維持していくべきものでありまして、私どもは個々の会社の経営に直接口を挟む立場にはございません。ただ、金融システムの安定と健全な発展に悪影響を与えることがないようにという関心は、他の業態に発生した問題と同様でありまして、御指摘のような農協系統資金の取り扱いに関する問題を含め、当面なお会社の実態の把握に努めてまいりたいと存じております。
#173
○佐藤(恒)委員 今、五兆円という答弁がございましたが、その五兆円の債権確保については特に問題はないのかというか、債権確保の見通しの状況はどうか、こういう点をあわせて私はお尋ねしたわけですけれども、お答えをいただきたい。
#174
○土田政府委員 住宅金融専門会社のうちの一部につきまして、現在いろいろ経営の再建問題が発生しているわけでございますが、そのような問題を抱えております会社につきまして、今後の経営の方向につきましては、現在なお関係の、系統の親となりますメーンバンク筋の銀行なども参画いたしまして、計画の策定に努めている最中でございます。私どもは、まずその努力を見守るというのが現在の段階でございます。
 ただ、全体といたしましては、ただいまも申しましたように、金融システムの安定に十分配慮しながら、なるべくそういうものに悪影響を与えることがないようにということで、その状況を注意深く見守ってまいりたいと考えております。
#175
○佐藤(恒)委員 ちょっとわからないのですが、要すれば、農協系統からの五兆円の融資の債権については、一部の専門会社においていろいろ再建策をやっている、こういうことだけれども、債権確保については問題が生じ得るような状況になっているのか、あるいはまた、農協系統の融資の債権確保についてはそういう中でも問題がない、メーンバンクが背負うのだから問題ないのだ、こういうことなのか、そこのところをちょっと伺いたい。
#176
○土田政府委員 委員の御関心は重々承知いたしますが、ただいま再建計画の実施あるいはその検討が行われている段階でございます。その再建計画に当たりましては、程度の差も若干ございますが、各社のメーンバンクの全面的な支援により骨組みをつくり上げたいということが共通して検討されておると思うわけでございます。
 ただし、住宅金融専門会社は、その発生、設立の経緯からいきまして、それぞれメーンバンクなり母体というものはまちまちでございますし、その会社ごとに再建計画の組み立て方についてのやり方なり負担の度合いも異なってくるのではないかと考えております。私どもは、そういう個別のケースにつきまして、再建計画が完了した、一応完了したようなものも一部ございますが、完了したというようなものを除きまして、現在鋭意なおこの計画を策定中であるというような段階にありますものも若干ございますので、現在の段階としては事態を見守ってまいりたいと言うほかはないのでございますけれども、その背景といたしましては、再三申し上げておりますように、この金融システムの安定に悪影響を与えることがないように注意深く実態の把握に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#177
○佐藤(恒)委員 余りはっきり言えないという段階でしょうから、そのぐらいにいたしまして、農水省にお尋ねいたします。
 信連の貯貸率は二一%ぐらいだというふうに聞いております。また、農協の貯貸率は二五、六%。今質問いたしましたこの住専への融資については貸し出しのうち約三〇%を占める、こういうふうにも聞いておるわけであります。
 金融部門の損益分析でありますが、単位農協から信連まで通した、連結した損益の状況というものはどういうふうになっているのか。単位農協で見ますと、総合農協で一年間の収益が一億二千三百万ということで、部門別にずっとさまざまな分野が、購買とか販売とかあるわけでありますが、それらは全部赤字ということで、信用事業でもって他の分野の赤字を埋めていくといったような経営状況にあるようでありますが、申し上げましたこの金融部門の信連を通した、単協から信連を通した損益状況というのはどんなふうになっているのでしょうか。
#178
○今藤政府委員 農協の経営状況につきましては、先生からただいまお話がございましたように、平成二年度で見まして平均一億二千三百万円の黒字ということでございますが、そのうち信用事業部門が一億二千百万ということで、ほとんどこの信用事業に黒字を依存しておるといった状況に相なっておるわけでございます。
 信連につきましては、最近こういった金融情勢の中でかなり収益性が悪化をいたしておりまして、私どもは今後さらに指導力強化をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#179
○佐藤(恒)委員 農業をめぐる環境も非常に厳しいものになっておりますし、また、いわゆる信用事業の分野も都市地域的な部分では非常に膨大な規模のものになってきているわけであります。
 いずれにいたしましても、農業の現状と農業協同組合の現状を考えてまいりますと、信用事業の今後のあり方については、単に今般の制度改正といったような問題の枠組みの中で考えていくというようなことだけでいいのかどうか、他の協同組織の金融機関とは農協の場合には多少異なるのではないか、こんなふうに思うのでありますけれども、そのあたりについてどのような見解を持っているのか、最後に農水省にお尋ねして、質問を終わりたいと思います。
#180
○今藤政府委員 農協の経営につきましては、確かに信用、共済依存型であるという点は、私どもといたしましても、これを、最近のそういった信用、共済の陰りの中で、部門別の経営管理の一層の徹底を図っていくという中での経営の健全性を十分指導してまいりたいと思っておるわけでございます。
 また、信用事業につきましては、金融の自由化に対応いたしましてその体制を強化するということで、これまでも、職務権限の明確化、計画的な人事配置などによります内部牽制体制の整備確立、審査体制の強化などリスク管理体制の充実、さらには内部留保の充実等によります自己資本充実への取り組み、こういった点も指導してきたところでございますが、今般の金融制度改革の一環といたしまして、農協の信用事業につきましても、他業態とのバランスのとれた競争条件を整備するための諸規制の緩和を行うということでございます。
 こういったことを踏まえまして、業務の専門化、高度化に対応するため、農協の金融業務につき十分な識見と能力を有する人を理事に登用するとか、職員の資質向上を図るための信連への金融業務のトレーニー制度や、農協・信連間の人事交流の実施、さらには、責任と機動性のある執行体制の確立、内部牽制体制の強化、こういったことについて、引き続き一層強力に指導してまいりたいと考えておるところでございます。
#181
○佐藤(恒)委員 終わりますが、一言だけ。
 ひとつ枠組みを超えた発想の検討を農水省には要請をしたいと思いますが、なお大蔵省においては、中小企業及び協同組合組合員のためになるような金融のあり方はいかなるものかということについて今後の御検討をお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
#182
○太田委員長 東祥三君。
#183
○東(祥)委員 公明党の東祥三です。
 大蔵大臣、本題に入る前にぜひ大臣の腹づもりをお聞きしたいのですが、本金融・証券制度改革法案を本当に成立させるおつもりなのかどうなのか。今週の日曜日、二十四日付の新聞を読みまして、あれ、大蔵大臣はもうこの改革法案を成立させるつもりはないのかな、あきらめたのかな。同日選発言、PKO法案の成立次第、成立がどうなるかによって解散もあり得る、こういう発言をされているわけですけれども、そうすると、本題に入る前にこういう質問をしている、その答弁いかんによっては質問しなくていいのかな、こういうふうに思うのですけれども、大蔵大臣お願いします。
#184
○羽田国務大臣 この問題についての、これは報道のされ方なんですよね。私が実は記者さんの方から聞かれたのは、一体今の状況の中で解散はどうなんですかという話だったんですよ。私は、基本的にはもともと解散というのは本当に国会がどうにもならなくなったときに行われるべきものであって、二年たったから、あるいはどのくらいたったから解散というようなことに対しては私は基本的に反対である、もともと四年論者であるということを実は申し上げたわけです。
 ただ問題は、今のPKOなんかの議論について、これはまさにそれからひっかけられたわけですから、そういうもので本当に議論というものは沸騰しない、しかも何か物理的だとかいろいろなことが言われているということになってくると、私たちはあちこち歩いていますと、国民も皆それについて心配しているわけです。国会として一体どういう方向を出すんだということを言われておる。ということになると、まさに国民にも日本の行く先というのはなかなか理解されない、あるいはそれだけ値打ちのあるものであるということ、そしてまた、よその国から見たときにもその辺がはっきりしない。ということになると、これは国民の信を問うということは、そういうことはあり得るのですかねという発言が、何か解散容認論みたいなことを言われておるのですけれども、私はそういう意味で申し上げたということであります。
 そして、証券の問題、金融制度の問題、これはまさに日本の国の自由経済、市場経済が一体これからどうなっていくかという問題、長いこと議論をされた、またその過程の中にありまして、今の金融不祥事の問題ですとかあるいは証券の不信の問題ですとか、こういう問題が新たに起こってきておる。こういうものをあわせて考えたときにも、どうしてもこの法案はやっていただかなければならないということなのであって、国会は本来御審議をいただく場でございますから、ぜひともひとつこれは通していただけるようにお願いを申し上げたいと思います。
#185
○東(祥)委員 解散はないと承りました。
 それでは本題に入ります。有価証券の概念についてお伺いいたします。
 平成三年六月の証取審報告書では、御案内のとおり、新たな有価証券として幅広い証券化商品にも証取法の開示規制、不公正取引規制が及ぶようにすべきであるとしてあります。アメリカ最高裁のハウイ判決で示された三つの投資契約基準と同様な投資性を有することが新たな有価証券概念とのことであります。
 どういうことかといいますと、まず第一に、複数の者が拠出する、第二番目として、その拠出した資金をもとに第三者がその資金を運用をする、そして第三番目は、拠出者はその果実としての利益の分配を受けるということです。これが三つの投資契約基準でございます。そして、「今後多種多様な証券化関連商品が出現してくることが予想されることから、」「これらのものを包摂しうる包括条項を設けることが必要である。」ということでした。しかし、本法案ではこのような包括条項は結局採用されなかったわけですけれども、これは一体いかなる理由によるのでしょうか。
#186
○松野(允)政府委員 証券取引審議会の昨年六月の報告書には、今御指摘になりましたような表現がございます。ただ、証取審報告書におきましても、そういう基本的な考え方に沿って規定の仕方を考えていくというような表現になっているわけでございます。そういう報告を受けまして、私ども金融の証券化への対応のための有価証券の定義の整備を検討したわけでございます。
 証券取引法の場合には、今ハウイ判決を御引用いただきましたが、そういう投資基準というものが一つの大きな要素になるわけでございますけれども、あわせまして証券取引法はディスクロージャー制度あるいは不公正取引規制ということで投資家保護を図っておりまして、証取法の目的にも、円滑な流通という目的が掲げられております。そういったことからいいまして、投資契約でありかつ流通性のあるというような基準で、今回法改正作業を行ったわけでございます。
 それで、できるだけ包括的な条項にということでございますが、証券取引法の適用になります有価証券ということになりますと、今申し上げましたような投資家保護の枠組みを適用することになりますので、例えば募集をする場合には情報開示、ディスクロージャーを義務づけておりまして、ディスクロージャーをしないで募集をいたしますと、ディスクロージャー違反ということで罰則の対象になりますし、また、有価証券の売買取り次ぎを行いますと、無免許で証券業をやっているというようなことになり、これも罰則対象になるわけでございます。
 そういったことで、証券取引法の適用対象になる有価証券については、一般によくわかる、明瞭性、明確性というものが求められたわけでございます。つまり、罰則がかかるか、かからないかというところをはっきりしなきゃいけないということで、法技術的な問題あるいは罪刑法定主義の問題でございますが、そういった観点から、どうしても抽象的、一般的な包括条項を直ちに証取法の中に規定をし、それに該当するものをすべて証取法の対象にするということは、今申し上げたような事情で難しいということになったわけでございます。
 それで、今回御提案申し上げています法律案では、そういうことを踏まえまして、投資性あるいは流通性等々、いわゆる証券取引法に規定しております投資家保護上必要な場合にはこういうものは政令指定をするという政令指定の基準をより明確化いたしたわけでございます。これによって政令指定がより機動的にやりやすくなったということで、そういうことから申し上げますと、金融の証券化に伴って出てまいりますいろいろな商品について証取法を適用するという法的な枠組みは十分整備されたというふうに考えております。
#187
○東(祥)委員 今の答弁に関連して質問させていただきますけれども、証券取引法第二条第一項では、CP、コマーシャルペーパーなどを加えた上で、今御答弁の中にありました流通性というものを一つの基準として政令指定するような表現がなされているわけですけれども、それは従来の政令指定方針がそのまま維持されたことと見てよいのでしょうか。それとも、従来政令指定に要件がなかった、なかった上に流通性というものを導入したこと、入れたことによって、逆に狭い概念になったのじゃないのか。いかがでしょうか。
#188
○松野(允)政府委員 御指摘の改正法案の二条一項十一号には、従来の第九号というものと比べますと、「流通性その他の事情を勘案し、公益又は投資者の保護を確保することが必要と認められるもの」というような表現が加わっております。これは今申し上げましたように、証券取引審議会の報告に沿いまして、どういうものが証取法の適用対象となるのが適当かというような基準を示したものでございまして、これによって証取法の適用となる有価証券の基準がむしろ明らかになったというふうに考えるわけでございまして、範囲が狭くなったとか広くなったとかいうことではなくて、証取法の適用の対象となる有価証券はどういうものが適当かということがより明確になった、したがって政令指定が容易になったというふうに考えているわけでございます。
#189
○東(祥)委員 第二項第三号でも、今度は流通状況という言葉が使われているわけですけれども、今後証券化商品が出現する際に、どの程度の流通の状況があれば証取法上の有価証券として指定されることになるのでしょうか。
#190
○松野(允)政府委員 この法案の二条二項三号に「流通の状況」ということが書いてございます。これは二条二項でございますので、新たに今回有価証券の形をとっていない権利についてもここで概念を拡張しております。たとえ権利でありましても投資家間を転々流通するものというものが証券化に伴って生じてきているわけでございまして、そういったものも証取法の適用の対象とすることによって投資家保護を図るというような考え方を明らかにしているわけでございます。
 流通の状況ということでございますが、これは今申し上げましたように投資家間を転々流通するということを一つの基準として考えておりまして、具体的に証券化商品がいろいろ出てまいりましたときに、その流通の実態を見て考慮していきたい。先ほど申し上げましたように、証取法の投資家保護の大きな柱は、ディスクロージャーの場合のいわゆる公衆縦覧制度というものでございます。それと不公正取引規制でございます。こういったものは、やはり投資家の中を転々流通するということになる場合に初めて投資家保護の枠組みとして有効に機能をするということでございますので、そういう流通の実態を見て、投資家間を転々流通するような商品は政令指定をするという考え方をとっているわけでございます。
#191
○東(祥)委員 流通の実態を見て、そういうお話でございますが、今後間違いなく種々多様な証券化商品が生まれてくる、そういうことが予想される。証取審で、有価証券を包括的に定義することによって投資家被害の未然防止を図るべきことが提言されていたわけですけれども、今回はそういう形をとらない。今回の法案はこれまでと同様に政令指定方式であって、いわば後追い規制のままになっているのじゃないのか、このような印象を免れないわけですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
#192
○松野(允)政府委員 今回の改正案におきまして、まず現在存在いたしますいろいろな証券、これにつきましては、証券取引法の適用が適当であると考えられるものは具体的に列挙をしております、それはコマーシャルペーパー等々でございますが。それで、それ以外のものにつきましては、先ほど申し上げましたように、証券取引法の政令指定が行われる基準を法律上明らかにしているわけでございます。その基準に合致するということで証取法の適用をすることが適当であるというようなものは、政令指定が容易にできるということになったわけでございまして、投資家保護に欠けることのないようにできるだけ迅速に政令指定をしていくということが基準を明らかにすることによって可能になり、かつまた、迅速にその政令指定をしていく必要があるというふうに考えているわけでございます。
#193
○東(祥)委員 それでは、どのような証券化商品を政令指定していくおつもりなのでしょうか。
#194
○松野(允)政府委員 既に今存在いたします商品につきましては、証取法上で列挙しております。その中には、例えば今申し上げましたコマーシャルペーパーがございますし、あるいは海外で発行されておりますコマーシャルペーパー、さらに海外の金融機関がその貸付債権を証券化した商品がございます。これはアメリカなどでつくられているわけでございますが、それを日本に持ち込んで販売したいというようなニーズがございます。それから、国内におきまして既に住宅ローン債権が証券化される、信託受益権という形で転売がなされております。
 そういったものについては具体的に新たに証券取引法を適用していくということになるわけでございますし、今後新たに出てまいりますいろいろな新商品につきましても、基本的には先ほど申し上げたような考え方で機動的に政令指定をしていくという考え方を持っているわけでございます。
#195
○東(祥)委員 いろいろな証券化商品が出てくる。そうすると、従来の考え方では必ずしも大蔵省所管でない商品も出てくるのではないのか。そうしますと、大蔵省が証取法上の有価証券としてそれらを監督する十分な能力があるのか。この点についてお答え願いたいと思います。
#196
○松野(允)政府委員 証取法の適用対象にするのが適当な証券かどうかという観点、基準は、やはりあくまでも投資家保護にあるわけでございまして、投資家保護のための証取法上の枠組み、情報提供の制度あるいは不公正取引規制というような投資家保護の枠組みを適用するということが投資家保護上必要であるというふうに判断されるものについては、政令指定をするなりして証取法が適用されるわけでございます。
 したがいまして、そういった意味からは、先ほど申し上げたように投資家間を転々流通するものが対象になるわけでございます。商品の所管というようなもので判断しているわけではございません。あくまでも証取法上の投資家保護の枠組みを適用し、それによってそういう公正な市場をつくっていく必要がある。公正な市場が整備されるのが適当というような観点から判断をしているわけでございます。
#197
○東(祥)委員 新商品への対応の困難さということでございますけれども、この点についてお伺いさせていただきたいのです。
 例えばCP、コマーシャルペーパーというのは、形式上はいわば高級融通約束手形でありますし、預金契約証書であるCDもあります。株式指数の先物取引あるいはまた将来の一定時期までに有価証券を一定の価格で売買できる権利を売買する取引、オプション取引と言うらしいですけれども、こういうものなどもあり、複雑、多様化してきているのではないのか。そうすると、問題が起きてはならない、また、起こしてはならないということが前提の我が国の金融制度と諸外国の制度とは一概に比較してはならないと思いますし、また比較にならないのではないかと思うわけですけれども、アメリカの場合ですとSECがあったから広範な証券の規制が機能し得たと言えるのではないでしょうか。我が国の縦割り行政では、大蔵省証券局だけがまがい商法やすべての責任を負うわけにはいきません。例えば、訪問販売だとかマルチ商法などは通産省の所管なわけです。そうすると、こういう点を踏まえますと、証券あるいは証書の特徴だとか、所管は何なのかというところに力を注ぐよりも、投資者保護をするために証取法上の規制、つまり答弁のあった開示義務あるいは不公正取引規制を適用する必要があるのかないのかという点を基準にして証取法上の有価証券とするかどうかを決めるべきではないのか、このように思うのですけれども、いかがですか。
#198
○松野(允)政府委員 確かに今御指摘のとおりでございまして、私どもも基本的には証券取引法が目的としております投資家保護の枠組み、開示義務あるいは不公正取引規制というものを適用することが必要かどうか、適当かどうかという観点からいろいろな新しい商品について判断をするわけでございます。
 その場合に、日本の証券取引法の場合には、先ほど申し上げましたように流通性ということが一つの大きなファクターになっております。投資家間を転々流通するということで、開示義務にいたしましても一般に開示をするという公衆縦覧という制度を設けているわけでございますし、不公正取引規制も同じような観点から設けられているわけでございます。したがいまして、基本的に投資契約であり、かつ投資家間を流通するというようなところで投資家保護の必要性というものが出てくる、それに対して証取法を適用していくというような考え方に立っているわけでございます。
#199
○東(祥)委員 わかりました。
 ところで、CPといえば十兆円のヒット商品と聞いております。しかしながら、銀行の大口定期にこのCPを入れて利ざやを稼ぐというような不健全なことも起こったのも事実です。現在のCP市場がどれくらいであり、どのような状況になっているか、お伺いします。
#200
○松野(允)政府委員 このCP、いわゆるコマーシャルペーパー市場でございますが、これは昭和六十二年の十一月に市場が創設をされまして、その後順調に発行額、流通取引高もふえてまいっております。平成三年のコマーシャルペーパーの年間発行額は、延べにいたしまして七十五兆円に上っておりますし、流通取引高は千八百七十一兆円という数字になっております。発行残高でございますが、これは平成三年末で十二兆四千億、これまで発行いたしました企業は二百九社に上っております。実際に発行されますCPは二週間以上九カ月以内ということになっておりますが、実際には二カ月未満の比較的短期のものが発行額の五割から七割ぐらいを占めているというような状況でございます。
#201
○東(祥)委員 巨大な市場になっているわけですけれども、聞くところによりますと、CPなどを証取法上の有価証券にすると有価証券取引税がかかると聞いております。そうしますと、CPの商品性というのは逆に破壊されて市場というのはなくなっていってしまうのではないのか、何のために証取法上の有価証券として投資家保護を図ることとするのかわからなくなってしまうわけですけれども、この点について税務当局としてはどのようなお考えになっていますか。
#202
○濱本政府委員 お答え申し上げます。
 今般の証券取引法の改正によりまして新たに追加されることになります有価証券に関して、有価証券取引税法上の取り扱いをどうするか、今具体的にはCPの問題の御指摘がございましたけれども、これにつきましては有価証券取引税法のルールに照らしまして、従来から有価証券取引税が課税されている有価証券との課税上のバランスなどの観点から今後検討していくことになるというふうに考えております。CPも含めまして、いろいろな新しい有価証券、そういったものがどういう位置づけを得るかということに対応いたしまして、今後検討されていくことになると存じます。
#203
○東(祥)委員 ちょっとよく理解できなかったのですが、そうしますと、有価証券取引税がCPに関してかかるかどうかというのはまだ検討中ということですか。
#204
○濱本政府委員 結論的に申し上げますと、今後の検討にまつということなのでございますけれども、有価証券取引税法の対象とします有価証券と、証券取引法の対象とします有価証券は、観念的に別のものだと思います。ただ、実際どうなっているかと申しますと、有価証券取引税が導入されまして以降、これまでのところ両者の内容は見合ったものになっております。
 なぜそうかなということなのでございますが、有価証券取引税法というのは、個人とか法人が通常投資または投機の目的をもって所有すると認められますそうした有価証券の譲渡に担税力を認めまして、これを課税対象とする、こういうことでございますし、他方、先ほどから御議論ございますように、証券取引法は投資者の保護という観点から対象有価証券を選別するということになると思います。その結果として、互いに見合ったものになっているということだと思います。
 ただ、今の段階は、まだ有価証券につきまして新しい改正法上の規定はいわば抽象的なものになっておりまして、具体的には今後政省令等で指定されることになると存じます。そういったものを受けました上で、税法上の扱いを検討するというのが手順か、かように存じます。
#205
○東(祥)委員 次に、子会社方式による相互参入の問題について質問いたします。
 まず初めに、中小証券について、株式のブローカー業務から得られる収入というのは全収入のどれぐらいになっておりますでしょうか。
#206
○松野(允)政府委員 中小証券ということでございますので、私どもの分け方では各財務局が直接監督をしております証券会社ということで受けとめさせていただきたいと思いますが、これが百八十八社ございます。この財務局監督の証券会社百八十八社の営業収入に占めます株式ブローカー収入の割合でございますが、本年三月の決算期を含みます過去五年の平均というものをとってまいりますと、七〇・九%ということで、七割を占めております。
#207
○東(祥)委員 済みません、ついでに聞きたいのですが、大手四社の場合ですとどうなりますでしょうか。
#208
○松野(允)政府委員 大手四社の同じこの四年三月期で終わる五決算期の平均をとりますと、株式ブローカー収入が営業収入に占める割合は三七%でございます。
#209
○東(祥)委員 附則の第十九条第二項に、親銀行の証券会社のブローカー業務の当分の禁止という部分があります。前にも質問させていただいた点でございますが、ここで私が質問したいのは、銀行の証券会社は、当分の間ブローカー業務ができないということになっております。一方、銀行と親密な関係にある中小証券会社を銀行がてこ入れしてバックアップするために買収した場合はどうなるのか。まずこの点についてお答え願います。
#210
○松野(允)政府委員 銀行が新たに証券子会社をつくる場合につきましては、当分の間株式ブローカー業務を認めないということにしているわけでございます。
 ただ、それだけではなくて、今お尋ねの、銀行が既存の証券会社を買収する場合はどうかということでございますが、これにつきましては、我々としては、今回の制度改正はやはり新規参入による競争促進ということが一つの大きなねらいでございますから、そういう制度改正の趣旨からいきますと、既存の証券会社を買収するというものは、私どもの競争促進という趣旨から言うとややその趣旨にそぐわない面があるわけでございますけれども、しかし考え方としてはあり得るわけでございます。特に、今御指摘のありましたように、いわゆる破綻を来しそうな証券会社を銀行が買収するというような事態というものが全く考えられないわけではないわけです。
 そういった場合につきまして、この法律案の附則十九条二項におきまして、そういう場合においても、既存の証券会社でございますから当然ブローカー業務を行っているわけでございますけれども、株式ブローカー業務を場合によっては取り上げることができる、つまり、株式ブローカー業務の免許を取り上げることができるというような趣旨の規定を入れております。これは、今申し上げたように、新設の場合には与えないということを規定しているわけでございますので、いわば、それのしり抜けを防止するための規定であるというふうに我々は考えているわけでございます。
 ただ、では銀行が破綻を来しそうな証券会社を買収する場合にブローカー業務を具体的にどうするかという点になりますと、基本的には今申し上げたような、新設が原則であるということでブローカー業務を認めないという考え方に立っておりますので、その趣旨を逸脱するといいますか、脱法的になるような行為であれば、これは認めるわけにはいかないというふうに思うわけでございまして、そういうケースについては個々に判断をしていくしかしようがない。ただ、判断に当たって今申し上げたような趣旨を生かすために、十九条二項でブローカー業務の免許を取り上げることができるという規定を入れたわけでございます。
#211
○東(祥)委員 基本的には、個々、ケース・バイ・ケースで対応する。それは言葉をかえれば行政の裁量権に任されることになってしまうのじゃないか。
 そうしますと、実質的に新設に焦点を当てているわけですけれども、実際のところ、子会社をつくるよりも買収を助長させることにはならないのか。もし、買収した場合ブローカー業務を行わせないならば、中小証券のメーン業務のほとんどは売買ですから、何もできない不良会社を救わなければならないということで、今度逆に、不良債権をたくさん抱えた銀行が積極的な対応をしなくなってしまうのじゃないのか。不況状況にある証券業界に打撃を与えることになるかもわからないわけです。そうしますと、適切な競争を促すためにも、この第十九条第二項により、銀行が証券会社を買収してそして株式のブローカー業務を認める場合の基本的な考え方というのは明示しておかなければならないのじゃないのか、このように思うわけですけれども、いかがですか。
#212
○松野(允)政府委員 今申し上げましたように、一項におきまして原則としてブローカー業務を認めないという方針を立てているわけでございます。したがいまして、銀行が既存の証券会社を買収するとしましても、仮に全く問題のない証券会社を買収するということになりますと、これは明らかに第一項で考えられているブローカー業務の禁止を免れるためのいわば脱法的な買収であるということになるわけでございまして、そういったような買収については、一項の方針からして我々は認めるわけにはいかないと考えられるわけでございます。
 それでは、そうじゃなくて全く破綻を来したような場合にはどうするかという問題があるわけでございますが、これにつきましては確かに考え方をある程度整理をしていく必要があると思います。
 まず、破綻というものをどう考えるかでございますが、証取法の中には、五十四条で、財産状況が非常に悪くなった場合には是正命令を大蔵大臣が出すという規定がございます。そういうような状況にならなければ、破綻した証券会社であるとはなかなか言いにくいのではないかというような点が一つあろうかと思います。
 あと具体的に、それではそういう破綻したような証券会社を金融機関が買収する場合にブローカー業務の扱いをどうするかという点についてはいろいろな場合があるわけでございますが、お客が別の証券会社にスムーズに移れるのであれば、ブローカー業務をストップしても投資家保護にはそれほど支障がないというケースもあろうかと思いますし、その証券会社の存在する所在地といいますか、そういったようなものも考えなければいけないし、投資家保護がある程度図られることが必要でございます。
 いろいろなケースが考えられて、考え方をすべて明らかにすることはなかなか難しいわけでございますけれども、前提としては、今申し上げたように、財産状態が非常に悪化をして五十四条による是正命令が大蔵大臣から出されているということが少なくとも一つの大きなメルクマールになると考えているわけでございます。
#213
○東(祥)委員 その点ですけれども、例えば自己資本のリスク総額に対しての比率が一〇〇%以下になったときが経営の破綻、こういう考え方でよろしいですか。証取法によれば一〇〇%以下は是正指導に入らなければいけないと書いてあるわけですけれども。
#214
○松野(允)政府委員 自己資本比率が一〇〇%を割るというのは一つの大きなめどだと思います。ただ、それでは割った場合にはそれですぐ破綻と決めつけるかどうか、つまり、増資ということが行われますとこれはまた改善をするわけでございまして、再建計画をその証券会社がみずから自主的に素早く立てれば是正命令を出さなくてもいいケースもあるわけでございます。何もしないで、自己資本比率が一〇〇%を割ったままで、ただずっと放置されるあるいはどんどん悪化するという状況になれば、これは我々としては対応しなければいけないわけでございまして、そういう意味では一〇〇%というのは一つの大きな基準に考えていいのではないかと思います。
#215
○東(祥)委員 この点について公取はどのようにお考えですか。
#216
○糸田政府委員 附則第十九条第二項の規定の基本的な考え方については、ただいま証券局長がお答えになったとおりであると私ども承知をいたしております。
 独占禁止法の関係でどうなるかということでございますけれども、五%を超えて株式を持つことになるわけでございますから、独占禁止法第十一条で公正取引委員会が認可をするかどうかということにかかってくるわけでございます。その場合に、今お答えにもありましたように、例えば危険に瀕しているある証券会社を救済するのにやむを得ずこの株式を五%を超えて所有するのだといったことになったときに、それが真にやむを得ない行為であるかどうかということをいろいろな角度から私ども検討いたしまして、いわば独占禁止法の趣旨に照らして特に問題はないといったように認められる場合には、これはもちろんケース・バイ・ケースの話でございますが、第十一条による認可をするというところも考えられるところでございます。
#217
○東(祥)委員 次に、ファイアウオールについて質問させていただきますが、この証取法の弊害防止措置について省令等で定めようとしている内容を説明していただきたいと思います。
#218
○松野(允)政府委員 弊害防止措置につきましては、法律には、親子会社間における取締役等の兼務の規制の問題、兼務をしてはいけない、それから親子間において通常の条件と異なる条件での証券取引の規制、さらには親子間における信用供与にかかわる抱き合わせ販売というようなものの規制というような三つを法律に規定をするということで改正案を準備したわけでございます。あと、その他省令で定める行為ということになっておりまして、私どもは昨年の六月の証取審報告書でいろいろ指摘されております弊害防止措置をできるだけその中に織り込みたいと思っております。
 証取審の報告書で指摘されております弊害防止措置といいますのは、まず一つのカテゴリーとしては、新規に参入する証券会社の経営の独立性、健全性を確保するという観点からのものがございます。これは例えば、一つは証券子会社の経営が特定のものとの取引に過度に依存しないというようなこと。過度に一人の顧客に依存いたしますと、具体的には例えば親会社に依存するということになれば、これは独立性ということで問題がある。あるいは、親会社のリスクが子供の証券会社に及ばないというようなことを確保する必要がある。
 それから第二のカテゴリーは、利益相反の防止という観点でございまして、これは典型的には、親会社が発行する証券をその子供の証券子会社が引き受けるというような行為。あるいは、親銀行が貸し付けております企業が経営不振に陥ったときに、その親銀行が貸付金を回収するために証券を発行させて、その発行した証券を証券子会社が引き受けて販売する。これはアメリカで典型的に指摘をされている利益相反行為でございますが、そういったようなもの。
 それから第三のカテゴリーとして、競争条件の公正さを確保するというような観点からのものがございます。これは例えば、親銀行が証券子会社の業務を支援するために証券子会社の取引の相手先に何か有利な条件で取引をするというような、証券子会社の顧客に対して親銀行が特別の利益提供をするというようなことが考えられますし、また、これは信用供与の先ほどの問題と同じでございますが、何らかの形で資金貸し付けをする、あるいは保証をするというようなことで証券子会社との取引を誘引するというようなことが考えられます。
 その他の主な措置としては、やはりいろいろ議論が出ております例えば店舗の共用の問題とか、あるいは非公開な情報を親子間で伝達をするというような問題、さらに親銀行が影響力を及ぼし得るような企業が発行する証券を証券子会社が引き受ける、いわゆるメーンバンクの問題でございますが、こういったような問題につきまして、できる限り省令で規定をして明らかにしていきたい。
 メーンバンクというものの定義はなかなか難しいわけでございまして、どういうふうに考えるかというのはまだ検討が詰まっておりませんけれども、考え方としては、そういうふうな弊害防止措置を規定することによって証券市場における取引の公正を確保し、かつ公正な競争ができるようにしていきたいというふうに思っております。
#219
○東(祥)委員 一般論としてはよくわかります、証取審に全部書かれていることですから。では、一体具体的に何をやられるおつもりなんですか。
 では、例を出します。証取審には十一書かれているわけですけれども、一つは人的交流の問題、あるいは店舗の問題というのは物だろうと思います。それからまた、局長が御説明なされた情報交換の問題、それからメーンバンクの企業への影響ですね。一つ一ついきますけれども、人的交流に関しては何を具体的にやられるつもりですか。一つは、兼職はだめということですか。
#220
○松野(允)政府委員 人的な問題につきましては、これは実は法律に規定をしてございますけれども、証券会社の職員と親銀行あるいは親の法人の役職員が兼任をすることは原則として禁止しております。大蔵大臣の承認がある場合にはこれを認めるという規定になっておりますけれども、同じく法律に規定をしておりまして、銀行の場合にはそういうものを認めないというような規定が既に法律に置かれております。そういうことで、親子間における役職員の兼任というものは、特に銀行の証券子会社の場合には禁止をするということになっております。
#221
○東(祥)委員 それは役職の高い取締役等だけなんですか。
#222
○松野(允)政府委員 原則として役員・役員の兼任をもちろん禁止しているわけですけれども、例えば親銀行の職員が子供の証券会社の役員になるというような場合も、これは禁止をしております。職員・職員については、禁止ということまではしていないわけでございます。
 ただ、職員・職員でも、兼任といいますのは、一般的に同じ仕事、つまり銀行業務と証券業務両方行うという意味でありましたら、これはやはり好ましくないということで禁止をするわけでございまして、いわゆる出向という形で、銀行の職員が証券会社に出向して証券会社の職員として証券業務だけに従事するというようなことであれば、これは限度の問題はありますけれども、全く禁止をするということにはしておりません。基本的には、やはり兼任、つまり両方の業務を行うということは好ましくないということでこれを禁止するということにしております。
#223
○東(祥)委員 出向の問題はまた後で聞きます。
 兼職の件ですけれども、同じ仕事というより、親銀行に一つのポストを自分が持っている、そして証券子会社がつくられる、親銀行にも一つのポスト、そして子会社にももう一つのポストを持つ、これを兼職と普通言うわけですね。これを禁じるのかどうなのか。取締役だけを禁じるということなんですか、どうなんですか。
#224
○松野(允)政府委員 休職をして出向するという形をとる場合には、今申し上げたように、例えば銀行の職員が銀行を休職の形になっていて、それは休職でございますから籍は置いてあるわけでございますね。例えば福利厚生関係の資格というのは続いているわけでございます。しかし、銀行の仕事は一切しないで、証券会社に出向して証券業務だけを行うという形であれば、職員・職員についてはそういう形のものは認めるということを考えておりますが、そういう形でなくて、籍を置いて、まあ籍を置いているという意味が今申し上げたように例えば福利厚生上の関係で籍を置いているということであれば職員・職員については特に問題はないわけでございますが、そうでない形で事実上両方の業務をやるということであればこれはやはり好ましくない、認められないというふうな考え方になっているわけでございます。
#225
○東(祥)委員 ということは、兼職は禁止するということですね。一般の社員もそういうことですね。
#226
○松野(允)政府委員 兼職という言葉がもし両方の仕事をするということであれば、これはだめだということでございます。
#227
○東(祥)委員 兼職は両方の仕事をするという場合はだめである。
 それじゃ出向の場合ですけれども、自分が親銀行にいた、親銀行の社員だった、それで親銀行から証券子会社に出向する、この場合普通の出向と転籍出向というのがあるみたいですけれども、自分自身のよって立つ場所を証券子会社の方に移す、これは認められるのですか、どうなんですか。
#228
○松野(允)政府委員 今のは、籍を抜くということは銀行を一応やめた形になると思います。やめて証券子会社に行くのは、これは構わないということでございます。
#229
○東(祥)委員 その場合は、一たび親会社をやめて子会社に行くと、また戻れるのですか。
#230
○松野(允)政府委員 これはいわゆるノーリターンルールという問題でございまして、実は私どもまだそこまで検討しておりません。ここは非常に難しい問題でございまして、基本的に職業選択の自由というのがございますので、一律に禁止できるかどうかという問題があるわけでございます。
 ただ、例えば現在、証券会社と投資信託委託会社との間ではノーリターンルールというものを自主的に設けております。これは、行ったり来たりするということはやはり問題があるということでそういうルールを設けているわけでございますが、銀行とその銀行がつくります証券子会社との間でどこまでそういったものができるかという点については、私どももまだ検討の途中であるということでございます。
#231
○東(祥)委員 検討の途中というのはよくわかるのですけれども、方向性としてはどうなんですか。素人ですから邪推するわけですけれども、戻ってこられるとなると基本的にはファイアウオールにはならないのじゃないのか、基本的にはノーリターンルールを適用しなくちゃいけないのじゃないのか、このように思うわけですけれども、局長、どうですか。
#232
○松野(允)政府委員 確かにそういう問題があることは、私どもも認識しております。要するに弊害防止措置というのは、先ほど申し上げましたように、証券市場における取引をゆがめるあるいは非常に利益相反的な行為を起こすというような点が主眼でありまして、そのためにどういうふうなファイアウオールが必要かという、いわば目的と手段の関係になるわけでございます。そういった観点からいいますと、できるだけ厳しくしてしまった方がいいということが言える面もあるわけでございますけれども、一方ではやはり職業選択の自由といいますか、そういったものも全く無視するわけにはいかないわけでございまして、その辺の兼ね合いといいますかバランスをどうとるかというところが難しい問題でございます。
 私どもとしては、少なくとも弊害防止措置がきかないような、実効性が全く失われるようなことにするわけにはいかないということは考えているわけでございますが、そこをどの程度の制限までしなければならないのか。これは多分に、制度の問題もさることながら、やはり人のモラルといいますか、そういう問題にも絡んでくるわけでございまして、その辺のバランスをどこでとるかということを今検討しているというふうに御理解いただきたいと思います。
#233
○東(祥)委員 それでは出向はどうですか。例えば親銀行から証券子会社に人事部付の形で出向する、派遣と言ってもいいでしょうか、これはどうですか。これは期限つきだということですね。
#234
○松野(允)政府委員 この出向の問題は、先ほどちょっと申し上げましたように、これは銀行に籍を置いているわけでございます。もちろん銀行の業務には従事しませんけれども籍を置いておいて、例えば人事部付になっておいて証券子会社に出向して証券子会社の仕事をする、こういうことになるわけでございます。現実にそういうことがある程度いわゆる系列証券会社と言われているところで行われているわけでございますが、これは、一つにはといいますか、最大の問題は、先ほど申し上げたいわゆる福利厚生関係で、どうしても親銀行に籍を置いておかないとそういういろいろな資格問題が出てくるという問題があるわけでございまして、個々の職員について、そういう福利厚生関係の事情からどうしても親会社に籍を置いて、そのかわりもちろん親会社の業務を行わないわけでございます。そういう者については、やはり職員レベルではある程度認めざるを得ないのではないか。これはその職員の処遇の問題にかかわってまいります。もちろんそういう者が転籍しても何ら問題がないというような事情であれば、あえて籍を置いておくことを認める必要はないわけでございますけれども、その辺は親会社と子供の証券子会社との職員の処遇の問題が絡んでまいります。そういうものを個々に判断しながら考えていくといいますか、対処していくしかないのじゃないかというふうに考えておりますが。
#235
○東(祥)委員 そうすると、例えば兼職はだめ、転籍出向の場合はいい、出向の場合はいいというふうになると、全部がたがたになってしまうのじゃないですか。どうですか。
#236
○松野(允)政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、いわゆる弊害防止措置を一体何のために設けなきゃいけないかということになるわけでございまして、今言われたように、例えば人の問題としてこういう場合はいい、こういう場合はいけない、こういうことを形式的といいますか、ある程度のところで、ケース・バイ・ケースという余地もありますけれども、割り切りをせざるを得ない部分もございます。それが果たして、弊害防止措置の実効性を全く失わせてしまうということであればこれは非常に問題でございますから、そこは考えなければいけないわけでございますが、弊害防止措置というものが制度的といいますか、形式的な人の転籍あるいは出向というような問題もさることながら、具体的にそれがどういうふうに証券子会社の営業なりあるいは取引に影響を与えるかということが問題になるわけでございまして、そういうことを通じて証券市場の公正な取引がゆがめられるということになればこれは問題でございますけれども、そういうこともあわせ考えながら、今のようなある程度形式的に仕切る部分もございますし、あるいは実質的にケース・バイ・ケースで判断せざるを得ない部分もあろう。いずれにしても、要するに弊害防止措置の実効性が担保できないようなものはやはり認めるわけにはいかないというふうに考えるわけでございます。
#237
○東(祥)委員 これはやはり具体的に詰めていかないとできない問題なんだろうと思うのですね。今の出向ということに関連して、より具体的に質問させていただきますけれども、例えば親銀行から証券子会社に出向する、この両社間に賃金格差があるとする、それは補てんするんですか、どうなんですか。
#238
○松野(允)政府委員 給与補てんというのは、我々としては非常に問題だというふうに考えております。先ほど申し上げたのは、あくまでも一つの親会社に籍を置くということがいろいろな福利厚生の関係で必要だということでございまして、直接的に給与格差を親会社が補てんするということは、やはり好ましくないというふうに考えております。
#239
○東(祥)委員 給与補てんはしない、そういうことですね。
#240
○松野(允)政府委員 そうでございます。
#241
○東(祥)委員 物で考えますと、例えばコンピューターの共用というのは認めますか。
#242
○松野(允)政府委員 これは、先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、コンピューターを共用することによる問題は、やはりそのコンピューターに入ります情報を共有できるかどうかということになるわけでして、共有ができないような仕組み、プログラムということも可能なわけです。これは、アメリカなどではそういうキーを持っている人でないと情報が取り出せないという仕組みになっているわけですから、そういうことが十分担保できるのであれば、物理的にコンピューターを共用するということは、これはそういう担保があれば可能だろう、認めてもいいのではないか。問題は、そういう情報を遮断できるようなプログラムがちゃんと入っているかどうかということになろうかと思うわけでございます。
#243
○東(祥)委員 次は、非常に難しいと思うのですけれども、情報の交流を遮断するということに関してですが、基本的にはだめだということはよくわかるわけですけれども、具体的にそのための措置というのは一体どういうことがとられるのか。
#244
○松野(允)政府委員 情報をお互いに流用するということを禁止するというのは、非常に難しい問題でございます。先ほど申し上げました、例えばコンピューターでそういう担保ができていればいいわけでございますけれども、物理的にどうするかというのは非常に難しい。それは、例えば店舗の共用をしないというようなこと、同じところで働いていないというようなことも一つのあれではございますけれども、しかし、それは情報の遮断をするのに完璧な措置かというと、必ずしもそうではない。したがいまして、情報の遮断というものを物理的に担保するというのは非常に難しい問題だというふうには考えます。
 しかし、要は情報を遮断しなければいけない、つまり、相互に非公開情報を流用してはいけないということを省令で規定をするわけでございまして、もしそれを破った場合には、これは行政処分の対象になる、そういうペナルティーが科せられるわけでございますので、そういう点で、しかもそれについては、これは取引の公正にかかわる問題でございますので、そういうものが守られているかどうか、あるいは疑わしいということになりますと、これは新しくできます委員会の検査対象になるわけでございます。やはり、そういったようなことで担保をしていくということになろうかと思います。物理的にどういうふうな工夫をすれば情報が完全に遮断されるかというのは、率直に申し上げて非常に難しい問題だというふうに思います。
#245
○東(祥)委員 メーンバンクの影響力をどのようにするのかということですけれども、これも非常に難しい問題だろうと思うのです。親銀行が証券子会社をつくる。親銀行と取引している企業に、特別な融資をする条件として証券子会社を使え、それはだめだということはよくわかるわけですけれども、日本のメーンバンクの定義それ自体も非常に難しいと思うのですが、銀行のビヘービアというのは、大きくなればなるほどそれを明確な形では示唆しないんではないのか。あうんの呼吸みたいなものがあって、証券子会社をつくったよと、その事実だけを知らせれば、何らかの形で企業に影響力を行使できるというのが日本の銀行のビヘービアとしてあるんではないのか。そういう部分は一体どのようにできるのか、非常に難しい問題だとわかって言っているんですけれども。
#246
○松野(允)政府委員 このメーンバンク問題というのは、私どもも非常に頭を悩ませている問題でございまして、非常に難しい問題でございます。
 今言われたように、確かにあうんの呼吸というのが日本の社会では非常に通用をするものですから、メーンバンクというものをどのようなメルクマールで決めるか、例えば受託を行っているとかというようなことも一つの要素にはなると思いますし、あるいは、ただ受託といっても、どのぐらいの頻度で行っているか、常に受託をやっているかどうかというようなこともありましょうし、それから融資のシェアにいたしましても、どの程度の融資をしているか、あるいは株式につきましては、これは五%以下ということになっておりますから、なかなか難しいわけでございます。あわせて、そういうものに加えまして、相手の企業のいわば対抗力といいますか、企業の力というものも考えなければいけない。ある程度大きな企業になってまいりますと、いろんな銀行を使っているというようなケースもあるわけでございまして、そこら辺の影響力をどういうメルクマールで決めるかというのが非常に難しい問題だというふうに考えております。
 しかし、いずれにいたしましても、これは何らかの形でそういうファクターを取り上げて、こういったようなものについては、そういうような影響のある企業が発行する証券を引き受けるということについては何らかの規制をしていく必要があるというふうに考えているわけでございます。なお、このメーンバンクあるいは影響力という点については、もう少し具体的な要素というものを固めていく必要があるというふうに思っております。
#247
○東(祥)委員 先に進みたいのですけれども、今の質疑を通じて、やはりファイアウオールに関してはより具体的な形で明示できるようなものを広範に持ってないと、多分重要な審議の欠陥になってしまうのじゃないのかと思うのですけれども、これはいつごろ出るのでしょうか。
#248
○松野(允)政府委員 弊害防止措置についていろいろな項目がございます。それについて私どもも今鋭意作業しているわけでございますが、比較的簡単なものであれば、これは簡単につくれるわけでございまして、できるものから順次明らかにしてまいりたい。一番難しいのはメーンバンクだろうと思うわけでございますが、できるだけ御要求に沿うような形で明らかにしていきたいというふうに思っております。
#249
○東(祥)委員 次に行きます。
 アームズ・レングス・ルールですけれども、拘束条件つきの取引の禁止ということが証取法に書いてありますけれども、これらについての監視は一体だれがやるのでしょうか。証券市場と相対取引が絡みますと、監視も相当難しいと推察いたします。どうでしょうか。
#250
○松野(允)政府委員 弊害防止措置の監視体制でございますけれども、特に証券子会社と親銀行との間の弊害防止措置ということで申し上げますと、これは証券市場における取引の公正を確保するという観点で設けられるものでございますので、取引の公正確保のための監視ということになります。したがいまして、新しい委員会が検査を行う、それによって監視をするということになるわけでございます。もちろんいろいろな難しい問題はございますけれども、今申し上げたように、我々としてはできるだけ弊害防止措置の具体的なものをつくっていきたいし、また具体的なものに加え、証券子会社が実際にどういう営業を行っているか、その営業の実態を見ることによっても弊害防止措置がどの程度守られているかということもわかるわけでございまして、そういう点も踏まえて委員会で十分な監視が行われるというふうに持っていきたいと思っております。
#251
○東(祥)委員 証券局長ばかりでは恐縮でございますので、銀行局長、メーンバンクの問題と関連するわけですけれども、言うまでもなく、我が国では企業に対しての銀行の影響力というのは極めて強いわけですが、証券子会社を持つ場合、間接金融に加えて直接金融も支配してしまう可能性が出てくるのじゃないのか。この意味で、さまざまな弊害防止措置が必要と考えられるわけですけれども、証取審報告に挙げられているような弊害に銀行が関与している場合であっても、証取法によって証券会社に対してしか行政処分を科すことができないということになっているわけです。証取法の弊害防止措置は証取審報告に挙げられているような内容となると信じますけれども、銀行法の省令では弊害防止措置はどのようなものを予定しているのでしょうか。具体的にお願いします。
#252
○土田政府委員 お尋ねの前段の方はちょっと私の方で申し上げるのはどうかと思います。後段の銀行法の御説明でございます。
 この銀行法上の規定、私どももまた似たような言葉で弊害防止措置と言っておりますが、この規定を設けるゆえんは、行為規制ではございませんで、銀行の業務の健全かつ適切な遂行が阻害されることを防ぐ目的の規定でございます。その場合の規定の対象は、銀行法でございますので当然銀行であります。銀行が親であり、その親銀行が子会社を持つという場合に、その子会社との関係によって銀行の業務の適切な遂行が阻害されることを防ぐ。
 そこで、これは法案にございますのは、銀行とその当該子会社等との間において「その条件が当該銀行の取引の通常の条件に照らして当該銀行に不利益を与えるものと認められる取引」を禁止するという規定を入れてございます。これを私どもはアームズ・レングス・ルールというふうに言っておるわけでございます。その趣旨は、親銀行と子会社等との間であっても独立企業間と同様の取引または行為を求めるものでありまして、そういう基本的な考え方を表現したものでございます。この法律案の条文には、その他「大蔵省令で定める取引又は行為」もこの規制の対象になります。
 その省令におきましては、今申しました規定と逆のケースでございますが、親である銀行が子会社等との関係で、その条件が取引の通常の条件に照らして親である銀行に不当に有利と認められる取引を禁止するというような規定その他の規定を設けたいと考えております。
#253
○東(祥)委員 公取に伺います。
 独占禁止法十一条の株式保有五%ルールについて、これはどのような背景でできているのでしょうか。
#254
○糸田政府委員 お尋ねの独占禁止法第十一条という規定でございますが、これは、いわゆる金融会社が、資金供給等を通じまして事業会社などに対しまして影響を及ぼし得る立場に一般的にあるわけでございますが、そういった場合に、これに加えて株式所有を通じましてさらに影響力を行使できるということになりますと、金融会社がその相手方事業会社を容易に支配し得ることになるということでございまして、そういった支配というものを除去するという観点から、金融会社につきましては特別に他の事業会社の株式につきましては発行済み株式総数の五%、証券会社の場合は一〇%でございますが、五%ないし一〇%を超えて所有することはできないということで禁止をしているわけでございます。ただし、公正取引委員会が認可をした場合、その他法律に規定している二、三の場合は例外でございます。
#255
○東(祥)委員 例えば、銀行親会社と証券子会社とがある企業の株式をそれぞれ五%持つことはできますか。
#256
○糸田政府委員 今御審議いただいております、例えば親銀行が証券子会社をつくるといった場合に、親銀行がある企業の株式を持ち、また証券子会社がその企業の株式を持つといった場合、一体幾らまで株式を持つのが適当かということでございますけれども、これは、独占禁止法第十一条の趣旨、それからまた今回の制度改革の本来的な意義ということから考えますと、親銀行と証券子会社と合算して五%の範囲内にとどまるべきである、このように考えております。
#257
○東(祥)委員 このほかに、独禁法の立場から銀行の証券子会社運営についてどのような条件を付すおつもりなんですか。何らかの条件を付すとお考えになっていますか、いかがですか。
#258
○糸田政府委員 大事なことの一つは、今お尋ねになった両方合わせて五%の範囲内にとどまるべきであるということを、認可をする際にきちんと公正取引委員会が申し渡したいと考えております。その他、当然のことではありますが、独占禁止法違反の行為の行われることのないようにということも十分注意深く伝えておきたい、かように考えております。
#259
○東(祥)委員 次に、不良債権を多く抱えた銀行が、BIS規制を守っていたとしても、証券子会社や本体での証券業務という形で証券市場に乗り出していく、資金を使うことによって本来の決済業務等に支障を来すような事態が起こり得るのではないのか、このように危惧するのですが、この点についてはいかがでしょうか。
#260
○土田政府委員 お尋ねの一面において、親会社であります銀行についてやはり子会社を持てるかどうかの適格性を審査すべきである、子会社そのものというよりも、親会社について子会社を持てるかどうかを審査すべきであるという着眼点は御指摘のとおりであろうかと思います。そこは、金融制度調査会の答申におきましても、「各業態別子会社を設立しようとする親会社の経営の健全性を確保する観点からは、その親会社についても、各業態別子会社の設立を通じて新規業務への参入を行うに相応しい自己資本その他の面における財産的基礎、業務遂行能力等を求めるべきである。」とされているわけでございます。
 ただその次に、しからばその審査基準ということで、例えばBIS規制というのはどうだということでございますが、これは、まだ審査基準については具体的には考え方を持っておりませんで、これからいろいろ研究してまいりたいと思います。
 このBIS規制につきまして申しますと、確かにこの自己資本比率規制というのは、銀行の経営の健全性を判断するために重要な着眼点ではございます。それからまた、例えばこれは日本の話ではありませんで外国、具体的にはアメリカでございますが、アメリカではこの自己資本の水準に基づいて金融機関を五つのランクに分けまして、そのランクごとに規制、監督の具体的内容を違えているというような例もあるわけでございますから、自己資本比率規制は一つの重要なメルクマールではございますが、ただ、銀行の経営の健全性を判断するための着眼点というのはいろいろございまして、この自己資本比率規制のみが唯一絶対的な基準であるとは申せないと思います。したがいまして、例えば資本金の大小その他、総合的に財産的基礎を判断することが適切であろう、そのような面も含めて審査基準をなお今後研究してまいりたいと思っております。
#261
○東(祥)委員 そうしますと、BIS規制を守られないような銀行についても、子会社による他業への参入を認めるということですか。そういうこともあり得るということですか。
#262
○土田政府委員 まだあり得るかあり得ないかを論ずべき段階でもなかろうと思うんでございますが、テクニカルな点を一つ申しますが、BIS規制を自分の銀行の自己資本比率のメルクマールとして採用するかどうかは自由でございます。それは実は、BIS規制の沿革から申しまして、国際金融関係業務に従事する者はこれによることが必要であるという規制がございまして、実際上大銀行はすべてBIS規制を守っております。しかしながら、業態から申しますと、第二地方銀行協会所属行の半分以上はBIS規制に従っておりません。それは、BIS規制によるかどうかというのは、そこにも選択の自由が働いておるということを申し添えておきたいと存じます。
#263
○東(祥)委員 よくわからないんですけれども、今回の金融制度改革法案の一つの柱に国際化があります。日本の国際金融市場の国際化ということがうたわれているわけですけれども、ミニマムスタンダードの基準八%以上というのが、これはBIS規制ですけれども、これを遵守するという国際規制があるにもかかわらず、金融大国を目指そうとしているのが、金融大国なのかその辺のことはよくわからなくなってしまったんですけれども、我が国がそれを実施しなくていいのかどうなのか、こういう判断の問題が出てくるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#264
○土田政府委員 多少御説明が不行き届きでありましたかもしれませんが、この自己資本比率規制の中の一つの態様としていわゆるBIS基準、国際統一基準というものがあるわけでございます。この国際統一基準の適用対象は、海外営業拠点、具体的には支店や現地法人を有する金融機関については、いわば必須の適用対象になります。ただし、海外営業拠点を有しない金融機関も、継続して適用することを条件に国際統一基準、BIS基準を選択できるものとするという建前になっております。で、現在都市銀行、長期信用銀行、信託銀行まではすべての銀行がBIS基準を採用しております。地方銀行は大半のものが採用し、一部のものは採用しておりません。第二地方銀行協会加盟行はBIS基準を採用しているものはごく一部でございます。採用しないということは、それらのものが支店や現地法人を海外に持っておらなければそれを採用しないことを選択することができる、そういう仕組みでございます。
#265
○東(祥)委員 突っ込んで聞いちゃいますけれども、大手の銀行の中でBIS基準を満たしてない銀行というのは幾つぐらいあるのですか。都市銀行で結構です。
#266
○土田政府委員 この三月末時点では、まだ経過基準の適用期間内でございます、すべての銀行がBIS基準を達成しております。
#267
○東(祥)委員 であるとすれば、それを一つの基準として置いても一向に構わないんじゃないですか。
#268
○土田政府委員 今後いろいろな基準なり考慮すべき点を組み立てるときの確かに一つの着眼点にはなると存じます。
#269
○東(祥)委員 これぐらいにしておきます。
 株式手数料の自由化についてお伺いしますが、大口取引から自由化するという方向でお考えになっているみたいですけれども、大蔵省はどのようにお考えでしょうか。
#270
○松野(允)政府委員 株式の売買手数料につきましては、昨年の事件の後、行革審あるいは証取審でいろいろと議論が行われまして、特に証券取引審議会では、自由化の証券市場あるいは投資家に与える影響等についていろいろな角度から議論が行われたわけでございます。その結果、本年一月の証取審報告におきまして、やはりこの手数料の自由化というのは避けて通れないという判断が示され、しかしながら自由化というものが証券市場にどういう影響を与えるのか、あるいは投資家にどういう影響を与えるのかとか、特に小口投資家に与える影響というものはもう少しよく検討する必要があるということで、そういうような観点からいたしますと、大口の取引から自由化を始めていって、それが市場なり投資家、証券会社等に与える影響を見ながら次の自由化のステップを考えていくのが適当であるというような報告をいただいたわけでございます。
 それで、こういう報告に沿って、作業部会で今審議が具体的に進行開始したわけでございますが、私どもも、この証取審の報告にありますように、まず大口の取引から自由化を進めていって、その影響を見ながら次のステップを、次のテンポを考えるということが適当であろうというふうに基本的には考えております。
#271
○東(祥)委員 もう時間が来てしまって、最後になるかわかりませんが、銀行の仮名・借名口座についてお伺いします。
 同僚の日笠議員が既に証券市場における仮名・借名口座の禁止を鋭く追及されて、その結果として、自主ルール規制に基づいて最高額一億円という罰則も科せられるようになった。ところが、銀行の仮名・借名口座に関しては何も言われていない。この点についてどのようにお考えですか。
#272
○土田政府委員 私どもの方では、金融機関における仮名取引の取り扱いの厳正化について、再三にわたりその通達を発出して注意を喚起するなど努めてまいりましたことに加え、さらにマネーロンダリングを防止するために口座開設時に本人確認を実施するなど、一層の厳正化を図っておるところでございます。さらに、このたび、ことしの七月一日から麻薬特例法にかかわる疑わしい取引の届け出制度が施行に移される予定でございますので、それに合わせましてさらに本人確認のより一層の厳格化、これは努力規定から義務規定への格上げでございますが、その厳格化を図り、その際、あわせて仮名預金の厳格化についてもより一層徹底する方向で検討を進めているところでございます。
 なお、銀行ということで御指摘でございますが、殊に預金取引その他金銭の受け入れというものについての規制は、単に銀行のみならずそのような機能を営むすべての業者に平等に適用される必要があるというふうに考えております。
#273
○東(祥)委員 最後に、罰則はあるのですか。
#274
○土田政府委員 罰則はございません。
#275
○東(祥)委員 それでは、そういう状況が判明したときにどうなるのか、ただ指導ということで終わってしまうのですか。
#276
○土田政府委員 この問題はちょっと私、余り詳しく御説明する能力はございませんが、麻薬特例法の御審議の際にも一つの検討課題であったと思いますけれども、結局、事実認定の問題その他のいろいろなことを考え合わせて、罰則の規定は盛り込まれていなかったと考えております。
#277
○東(祥)委員 終わります。
#278
○太田委員長 正森成二君。
#279
○正森委員 それでは、前回の質問の続きも含めて、若干の問題について聞かせていただきたいと思います。
 まず第一に、主として公正取引委員会に伺いたいと思います。初めに断っておきますが、この間のときに引き続いて質問すると言いながら、時間がなくて質問ができなくて申しわけありませんでした。
 私がお聞きしたいと思うのは、平成三年六月十九日に出されました証券取引審議会の「証券取引に係る基本的制度の在り方について」という文書があります。事前に申し上げておきましたので、あるいはごらんいただいたかと思いますが、その二十三ページには「新規参入に伴う問題への対応」ということで「弊害防止措置」として、「資本市場の健全な発展を図るという観点から別法人の形態で新規参入が行われる場合、それに伴い市場機能が歪められるということがあってはならない。したがって、(a)市場仲介者としての経営の独立性、健全性の確保、(b)利益相反の防止、(c)市場仲介者間の公正な競争の確保、のために実効性ある措置を講ずる必要がある。」というように言われておりまして、以下順次記載されております。全部は申しませんが、特に公取との関係では「主として市場仲介者間の公正な競争を確保するという観点」から幾つかの問題が述べられております。これは先ほどの東委員の質問にも証券局長に対してございました。
 その後で、特に「銀行による証券業務への参入について」というところがございまして、「銀行による証券業務への参入については、銀行がその本体で広く証券業務を行うことが適当でないことは、既に述べたとおりである。また、銀行が子会社の形で参入することには、独占禁止法上の制約があることは前述したとおりであり、今後、別途、関係行政当局において、所要の検討が行われる必要がある。」こうなった上、続いたところで「我が国においては、銀行が一般的には企業に対し影響力を及ぼしうる特別な地位を有していることに鑑み、銀行が影響力を行使し、市場に悪影響を与えることを防ぐ観点から、例えば、親銀行がその影響力を及ぼすことができるような企業が発行する証券を、証券子会社が引き受けることを規制する必要がある。」等々、いろいろ書かれております。全部は読みません。
 そこで私が伺いたいのは、新聞紙上によりますと、公正取引委員会では独占禁止法上の運用基準を今回の金融制度改革の進行に伴ってまとめるというように出ております。そこで、この問題については関係者は非常に関心が深いと思いますので、現在のところ発表できる範囲で、できるだけ詳細に運用基準あるいはそれについての考え方について御説明願いたいと思います。
#280
○糸田政府委員 今回の制度改革に伴いまして生ずるような経営の健全性の確保の問題とかあるいは利益相反行為の防止という点につきましては、これは銀行法あるいは証券取引法の分野の話であろうかと思っておりますが、それとは別に私ども公正取引委員会としても、独占禁止法の観点から公正な競争というものを確保していかなければいかぬ、公正な競争を阻害するおそれのある行為は独占禁止法で厳しく規制していかなければならない、かように考えているところでございます。
 今委員御指摘のありました証券審議会の報告書なども私どももつぶさに拝見しているところでもございますが、こういったようなことも参考にしながら、どういった行為が独占禁止法で問題となるのだろうかといったことの研究を続けてきているところでございます。もちろん、実際には個々の行為についてそれが独占禁止法でどうなのかということをケース・バイ・ケースで判断するということに尽きるわけでございますが、あえて一般論的に申し上げるならば、例えばこんなようなことが考えられるのじゃないかと思っております。
 それは、例えば親銀行が貸出先の顧客に対しまして、自分の取引上の地位が優越しているということを利用しまして証券子会社との取引を強要するような行為とか、あるいは銀行が顧客に対しまして、貸し出しの実行に当たりまして証券子会社からの証券購入を条件とするといったようないわば抱き合わせ的な行為、例えばこういったようなものが行われた場合に、これが公正な競争を阻害するおそれがあるということであれば、これは独占禁止法で問題となるというように考えておりまして、こういった考え方をこれから事あるごとに外部にもわかりやすくお示ししていきたいというように考えているところでございます。
#281
○正森委員 大蔵省に伺いますが、その公取の運用基準というのは、公取が独自につくられるというのに任せるおつもりですか、それとも事前に銀行局あるいは証券局と意見交換あるいはすり合わせというようなものをなさる御予定ですか。率直に承りたいと思います。
#282
○糸田政府委員 私の方からお答えした方がよろしいかと思いますが、私どもこういう考え方を外部の方々にわかりやすくお示ししようというのは、もちろん独占禁止法の立場からでございますから、公正取引委員会の責任においてこういったものをつくっていこうということでございますが、その過程で、当然のことながら監督官庁の御意見も伺うというようなことはあろうかと思っております。
#283
○正森委員 場合によっては意見を伺うことがあるが、独自にお決めになるというように受け取りましたが、そういうことで次に進ませていただきたいと思います。
 それでは次に、これもこの間途中までで時間が参りました附則十九条の二項の問題について伺います。これも先ほど同僚委員が相当詳細にお聞きになりましたので、重複する部分は避けたいと思います。
 この間の説明でも、証取法五十四条に言う是正命令が出るかどうかというのが一つのメルクマールになるというような御意見でしたが、同時に証取法の三十四条によりますと、「合併等の認可」という項目があって、「次に掲げる事項は、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」という第一に「証券会社の合併又は営業の全部若しくは一部の譲渡若しくは譲受け」るというのがあります。この認可のときに一定の条件を付するという法律上の仕組みになると思うのですが、それは間違いありませんか。
#284
○松野(允)政府委員 ちょっと突然のお尋ねであれでございますが、私どもこの三十四条の認可に条件をつけるということは、法文上は予定しておりません。免許の際に条件をつけるというのはございますけれども、認可に条件をつけるというのは法文上明記されておりません。
#285
○正森委員 そこで法文上に認可をされていないからこそ、附則の十九条の二項のただし書きでああいう規定を設けたんじゃないですか。
#286
○松野(允)政府委員 附則の二項の方はこの合併というものだけではなくて、買収という一般的な書き方になっておりますが、まことに今の御指摘のとおり、合併についてもあの規定を適用するということになろうかと思います。
#287
○正森委員 そこで、いろいろ証券局長からお話があったのですけれども、新聞評論等を見ますと、それについてなかなかうがったことが書かれております。
 例えばこれは三月十四日付の読売新聞ですが、「金融制度改革法案作りが大詰めを迎えた三月上旬、法案の付則に、急きょ、一本の条文が書き加えられた。」ということで附則十九条の二項のことを触れまして、「あわてたのは証券業界。「将来の金融再編に当たり、銀行による証券会社の買収を促進するためのもの。また(大蔵省)銀行局にやられた」と、一部で大騒ぎになった。」これは大手証券幹部の発言ということになっております。「しかし、真相は意外なところにあった。条文は、証券業界の立場に配慮する大蔵省証券局が「ブローカー業務しかしていない中小証券が経営危機に陥った場合に備えての救済措置」などとして、土壇場で押し込んだものだった。」こうなっております。
 そしてその後で、「しかし、競争の促進は、同時に、バブル崩壊後鮮明になっている企業間の体力差を一段と拡大し、再編を促すことにつながる。大蔵省はそのことを強く意識し、法案には、随所に多くの”仕掛け”が盛り込まれたのだ。」こう書いておりますが、これはあれですか、当たらずといえども遠からずというところですか。
#288
○松野(允)政府委員 私もその記事を拝見いたしましたが、非常によく、むしろ私どもが考えてないようなことまで考えているというふうに申し上げた方がいいと思います。
 私どもが十九条の二項を設けましたのは、あくまでも一項で、新設の場合に免許を与えないということを書いてあるわけでございまして、ところが、観念的には買収ということも考えられるわけでございます。買収については、基本的には我々は、新規参入という観点からいきますと、今回の制度見直しの趣旨に沿うものとは思わないわけでございますけれども、しかし、そういうケースも考えられるということで、むしろ二項は一項の禁止の趣旨を買収の場合にも適用できるといいますか、そういうしり抜けにならないようなものとして二項を置いたわけでございまして、それに対していろいろな解釈がなされておりますが、あくまでも我々としては、一項のしり抜け防止だという位置づけをしているわけでございます。
#289
○正森委員 銀行局長に念のために伺っておきますが、「また銀行局にやられた」というコメントに対してはどうコメントされますか。
#290
○土田政府委員 私の実感からは遠いコメントでございます。私どもは、そういうやった、やられたというような観点では仕事をしておりません。
#291
○正森委員 断っておきますが、これは私が言ったのではなくて、新聞には大手証券幹部がそう言った、こういうことになっておるのですから、念のために申し上げておきたいと思います。
 そこで次に、今度の改正の意図について、このごろいろいろ議論されております。それを拝見しますと、例えば、持ってまいりましたのは「金融財政」のことし三月三十日付の論文ですが、「制度改革から金融再編成の手段に変質」という論文が出ております。
 そこではどういうぐあいに指摘しているかというと、今度の改革案が「改革の名に値するのか」というようなことで、「第一に、業態別子会社方式そのものが果たして改革の名にふさわしいか」とか、あるいは「第二に、子会社の業務範囲に重要な制限が加えられている」とかいうことを若干指摘した上で、こう言っております。「金融制度改革の視点から改革法案を評価すると以上のようになるが、」以上のようなというのは、今言うたことですね。
 別の視点からみるとちがった評価ができる。当局の意図はむしろそこに重点を置いているように思われる。というのはこうである。
  金融制度改革がテーマにのぼってからのこの数年を振り返ってみると、もう一つの金融自由化の柱である金利自由化が進展し、流動性預金金利を含め平成六年春には完全自由化されることになっており、既に金融機関経営は大きく変ぼうしつつある。他方この間、バブル経済とその崩壊、さらには一連の金融・証券不祥事の発生をも経験し、ここへきてこれまで軽視されてきた金融自由化の「影」の部分が顕在化しつつある。金融機関の経営破たん、吸収合併、他業態への転換、金融再編成が現実性をもって日程に登場しつつあるといってよい。この視点からみると改革法案はいくつかの道具立てを用意している。
  すなわち、証券子会社、信託子会社については新設のほか、既存の証券会社、信託銀行の買収を新たに認め、合併転換についても長期信用銀行、外国為替銀行、労働金庫を対象に加え、存続金融機関の継承業務についていくつかの特例を設けるなど現実的なケースを想定した措置を講じている。さらに銀行法第十六条の二では銀行による銀行子会社の五〇%超の株式所有をも認めているのである。
  金融制度改革法案はこのようにみてくると、制度改革というよりは金融再編成のための備えとして受け取るべきように思われる。そのことは近い将来実証されるはずである。
こう言っております。
 これは私どもが読ませていただいて、ある程度当たっているのではないかというように思わざるを得ないわけでありますが、大蔵大臣あるいは局長どちらでもよろしいが、お答えを願います。
#292
○土田政府委員 その雑誌はたしか私も読んだような気がいたしますが、いろいろ個人的には意見がございます。
 まず、改革の名に値するかというような話、それは、そういう御指摘はわからぬでもないですけれども、とにかく金融機関は現実に大小さまざまなものが存在するわけでございますから、そういう現に存在する金融機関相互間の競争条件とか現行制度との連続性に配慮しながら、金融制度の見直しが混乱なく着実に行われるということが必要であるという観点から、例えば業態別子会社というものが一番すぐれておるとされておる理由の一つもそこにございますし、また、この制度改革の当初に当たっていろいろと激変緩和措置が講じられるということも当然のことであろうと思っておるわけでございます。
 それで、第二点に、当局の意図はどちらに重点があるかということでございますけれども、そこは前々から申し上げておりますように、競争機会を拡大することが可能になるように、金融機関や証券会社のいずれもが可能となるように配慮をするというふうに考えておるわけでございまして、例えば業態別子会社という手法のほかにも、直接本体によっていろいろな業務を取り扱うことができるというふうに仕組みましたり、それから協同組織金融機関はそれぞれ業務範囲を拡大し、さらにその連合会に対しては子会社の保有をも認めるというような措置を講じておるわけでございます。
 それとは別途に、御指摘にありましたような金利自由化のいわば影の部分というものが意識されるようになり、それから、バブル経済が破綻するというか、それに基づくところのダメージが顕在化するというようなことも確かに客観情勢としてはございますので、個別の金融機関それぞれのリスク管理に一層配慮すべき時代になったということは事実でございますが、それは当局が云々いたしますよりも、まずそれぞれの金融機関が一生懸命自分の経営の健全性維持に気をつけていただいて、それからさらに、やや大きな意味では、今後の金融環境の変化に適応した業務の展開のためにみずからはどういう経営路線を選択するか、これは役所の決める話ではなくてその金融機関が決める話でございますが、そういういろいろなことを考えていくに当たりまして、その道具立てないしは選択の範囲を広げるという意味ではこの制度改革は確かに若干再編成問題に関係はございますが、その再編成問題の主導権は当局が持つものではなくて、それぞれの金融機関や証券会社が実は持つものである、そういうふうに私どもは考えている次第でございます。
#293
○正森委員 そういう御説明がございましたのでそう伺っておきますが、いずれは、時間がたてば、金融再編成にも非常に役立ったということが証明されるであろうというように私は思います。
 それで、その次の問題ですが、四月に公定歩合が引き下げられたわけですが、現在の三・七五%というのは、物価を考えた実質金利でいいますと、バブル期の二・五%というのをさらに下回る面もあるのではないですか。
 例えば四月十九日の読売新聞では、「二十日からの引き下げで、一年定期は年四・一五%、定額貯金一年以上一年半未満は三・一七四%(半年複利による利回り)となる。政府が見込んでいる今年度の消費者物価の上昇率は二・三%だから、実質金利はそれぞれたったの一・八五%、〇・八七四%とほんの申し訳程度となってしまう。」「普通預貯金の金利を年度間の物価上昇率で差し引くと、これまでもマイナス金利だったが、このマイナス金利幅はさらに大きくなる。公定歩合が二・五%まで下げたあのバブル下の超低金利時代にも、」途中省略しますが「物価が地価を除けば安定しており、昭和六十二年などは上昇率がゼロに近かった。今回は、物価上昇率が二―三%台の中での利下げ過程にある点がバブル下の低金利時代と違う点だ。」こう言っております。
 ですから、二・五%のプラザ合意後しばらくしてから二年五カ月続いた超低金利時代とは名目数値は違いますけれども、物価の上昇という点を考えて実質金利で考えると、もう十二分に下がり過ぎているということも言えるわけであります。与党のある有力政治家は最近、まだこの間のは下げ幅が足りなかったというようなことを言うておられるようでありますが、これは非常な考え違いの発言ではないですか。
#294
○土田政府委員 金利水準についてとりあえず事実関係として申し上げますならば、確かに、公定歩合は二・五%よりもまだ高い水準でございますけれども、今回の場合、実質金利ないしは個々の長期、短期の各種金利は、過去において公定歩合が三・七五%であったときの水準よりも既に低くなっておるというような点は幾つかございまして、その点はその御指摘のとおりであろうかと存じます。
#295
○正森委員 そこで、銀行局から資料をいただきましたが、九一年末で、個人の預貯金は総計幾らになっておりますか。それから、銀行の企業向け貸出残高は総計幾らになっておりますか。
#296
○土田政府委員 九一年末ということでございますが、個人金融資産は、預貯金で五百二兆、信託が四十三兆、公社債五十三兆、投資信託三十六兆、以上を足しますと六百三十六兆円になります。それから、銀行の企業向け貸出残高は、同じくその時点で、法人三百四十兆、個人六十九兆、その他、便宜地方団体等も入るようでございますが、わずかでございますが十一兆といたしまして、合計で四百二十一兆円という数字を持っております。
#297
○正森委員 この間〇・七五%下がったわけですから、これが影響して金利に連動するとしますと、信託や公社債や投資信託を除いて個人の預貯金だけで今おっしゃった五百二兆円ですから、利息は約三兆七千五百億円一年間に失われる、あるいは目減りするということになります。一方、銀行の企業向け貸出残高は地方公共団体等を除くと三百四十兆ですから、これは結局二兆五千五百億円金利で得をするということになるわけであります。
 そこで、ここに東京新聞四月三日付がありますが、都内に住む六十代の女性がこう言っているというのですね。「「私たち年金生活者は利下げには大反対です。なけなしの貯金を大事に大事に使っているのに……。利息の目減りを先頭に立って奨励する自民党には絶対、投票しません」と、憤まんやる方ない口調だ。」なかなかいいことを言っているわけであります。それで、これはほかでもいろいろ言われておりまして、例えば、ここに読売新聞四月五日の投書を持ってまいりましたが、三十二歳の主婦が「利下げ筋違い」という題で、「このところ地価や株価が下がり、ようやくバブルが解消し始めたという矢先に、早くも利下げや、テコ入れを求める声があちこちから聞こえてきます。表向きは景気対策とのことですが、今の日本は大不況に陥り、国民の多くが路頭に迷っているわけでもありません。政府は一体何を考えているのでしょうか。
 これまで「土地神話」や「株神話」が温存されてきたのは、「上がる自由は認めても、下がる自由は認めない」、とでもいうような国や経済界の態度に問題があったのではないでしょうか。損をしたら、国が何とかしてあげますよ、では到底自由主義経済とはいえません。
 やはり「バブルのツケ」はバブルに乗った人がきちんと払うべきです。それを利下げという形でまじめな預金者に回されても困ります。」こう言っております。あるいは、五十八歳の主婦は「弱者に大打撃」という表題で、「バブルでいい思いをした者ならいざ知らず、地道に生きている者がばかを見る世の中。おえらい政治家の先生様、あなた方には微々たることかもしれないが、我々弱者には公定歩合引き下げは大変な痛手です。どうか底辺に生きる者のことも真剣に考えて下さい。」ということを言っております。つまり、利下げは企業の借金の一部を一般の預金者が肩がわりする行動だというように言われているわけであります。
 そこで、時間が参ったようですから、大蔵大臣に伺いますが、経済全体を考えて利下げが必要だというような意見もバブル以来いろいろあったわけですけれども、同時に、そのことによって年金生活者その他庶民の大部分が非常に大きな犠牲を受ける、経済学的に言えば、そこに入るべき利息が企業の利息支払いを減額するという形で所得の移転が行われておるという面を持つことは疑い得ないところであります。大蔵大臣としては、その点も配慮して今後のことを考え、たとえあるグループの有力者であろうとも、理に合わない方の御意見は聞かないというぐらいの気持ちが大蔵大臣には必要だと思われますが、いかがですか。
#298
○羽田国務大臣 公定歩合についてこれをどうこうするということについて、私の立場からコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、しかし、御指摘のとおり、公定歩合についての物を考えるときには、今お話があったように、全体の総合的な判断に立とうというものでございまして、私は、ただ一概に公定歩合だけ下げなさいというものではない、そういう意見の持ち主ではございませんで、むしろ企業としてもいろいろ厳しいことがあるでしょうけれども、現在の状況というのは調整過程、これは避けて通れない一つの局面であろうというふうに思っております。そういう意味ではみずからが立つといいますか、自立する、そういった思いを持ってもらいたいなということを常々実は私は申し上げておるところであります。
#299
○正森委員 ありがとうございました。
#300
○太田委員長 次回は、来る二十九日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十四分散会
     ――――◇―――――
  〔本号(その一)参照〕
    ―――――――――――――
   派遣委員の大阪府における意見聴取に関す
   る記録
一、期日
   平成四年五月二十五日(月)
二、場所
   社団法人大阪銀行協会
三、意見を聴取した問題
   金融制度及び証券取引制度の改革のための
   関係法律の整備等に関する法律案(内閣提
   出)について
四、出席者
 (1) 派遣委員
   座長 太田 誠一君
      岩村卯一郎君    持永 和見君
      小野 信一君    早川  勝君
      東  祥三君    中井  洽君
 (2) 現地参加委員
      左藤  恵君    柳本 卓治君
 (3) 政府側出席者
        大蔵大臣官房審
        議官      金子 義昭君
        大蔵大臣官房審
        議官      高橋 厚男君
 (4) 意見陳述者
        関西経済同友会
        代表幹事    井上 義國君
        京都大学経済学
        部教授     吉田 和男君
        日本証券業協会
        大阪地区協会会
        長       巽  悟朗君
        全国信用金庫協
        会副会長
        大阪府信用金庫
        協会会長    大木 令司君
 (5) その他の出席者
        大蔵委員会調査
        室長      兵藤 廣治君
     ――――◇―――――
    午後二時一分開議
#301
○太田座長 これより会議を開きます。
 私は、衆議院大蔵委員長の太田誠一であります。
 私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いいたしたいと存じます。
 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様御承知のとおり、当委員会におきましては、金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案の審査を行っているところでございます。当委員会といたしましては、法案の審査に当たり、国民各層の皆様から御意見を聴取するため、御当地におきましてこのような会議を催しているところでございます。
 御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。忌憚のない御意見をお述べいただくようお願いいたします。
 まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
 会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。
 なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序につきまして申し上げます。
 最初に、意見陳述者の皆様から御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
 出席委員は、自由民主党の持永和見君、岩村卯一郎君、日本社会党・護憲共同の小野信一君、早川勝君、公明党・国民会議の東祥三君、民社党の中井洽君、並びに現地参加委員として、自由民主党の柳本卓治君、左藤恵君、以上でございます。
 次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。
 関西経済同友会代表幹事井上義國君、京都大学経済学部教授吉田和男君、日本証券業協会大阪地区協会会長巽悟朗君、全国信用金庫協会副会長・大阪府信用金庫協会会長大木令司君、以上の方々でございます。
 それでは、井上義國君から御意見をお願いいたします。
#302
○井上義國君 井上でございます。私は、金融・資本市場の利用者の立場から意見を申し上げます。
 日本の金融・資本市場も、今や世界三大金融センターの一つとしてイギリス、アメリカに肩を並べるまでに至りました。最近、世界との共生、世界との共存共栄という言葉が非常にはやっておりますが、これからは、日本だけの繁栄ではなく、世界全体の繁栄を考えることが大変重要な時代になってまいりました。そういった意味合いで、我が国の金融・資本市場を一層国際化するという観点から、制度改革を行うことは、日本経済の発展のみならず、世界経済の活性化のためにも大変重要な課題であると考えられます。
 近年、我々企業も、グローバルな視野で、より有利な条件で資金調達、運用が可能な市場を選択し、実施するようになってまいりました。日本の金融・資本市場が欧米市場と同じ条件で、つまり、より自由な条件で競争できるような体制を整備することは、利用者である我々企業としましても、ぜひとも実行していただきたいことであります。
 御存じのとおり、世界各国は既に金融・資本市場の一体化を進めておりまして、イギリス、ドイツなどEC諸国は、ユニバーサルバンク制度を取り入れまして、銀行、証券業務を幅広く兼営できる体制となっております。アメリカも、ユニバーサルバンク制度こそ取り入れておりませんけれども、金融の自由化という面では日本よりもはるかに進んでおります。日本の金融・資本市場の国際化という問題は、利用者の立場から考えましても、緊急の課題であると考えられます。
 我々企業は、過去、石油ショックや円高不況といった幾たびかの試練に遭遇して、それを乗り切ってまいりました。これは、市場競争原理をばねとして、自由な発想に基づいて、経営のイノベーション、合理化などいろいろな努力を傾注した結果でありまして、その点では、戦後一貫して大蔵省の保護行政下にありました金融・証券業界が、規制緩和を進め、徹底した競争原理を導入するということは、業界の活性化のためにも大変重要な課題であると考えております。このことが翻って利用者へのサービスの向上をもたらし、新商品開発を促進し、結果として国全体の資金効率を高めることになりますから、我が国をより豊かな生活大国に発展させることにつながることになるわけであります。
 今回の金融制度改革法案は、以上のような金融・資本市場の抱える課題の対応策としては、おおむね適切なものであると考えております。
 次に、金融制度改革法案の中身に対する評価でございます。
 まず第一に、相互参入を促進するという点でございます。
 相互参入の促進は、当然業態間の垣根を低くすることになり、利用者である我々企業にとって、資金調達、運用面における選択の幅が広がります。その結果、各種手数料の引き下げでありますとかサービスの向上が促進をされることになると期待しております。さらに、新しい血が導入されること、規制緩和が進められることによってこそ新サービス、新商品の開発が促進されるわけでありますから、利用者ニーズの多様化に対応できるという効果も、今度の改革法案の成果として期待しております。
 また、新規参入に子会社方式を採用するという点についてでありますが、銀行の企業に対する影響というのは、ともすると非常に強くなるおそれがございます。そういう弊害防止という観点からも、競争条件の公平性の観点からも、今回の改正案は妥当なものと考えております。
 二番目に、証券業務の範囲を拡大するという点でございます。
 最近は、金融の証券化が進みまして、これまでの伝統的な有価証券の概念に当てはまらない新しい商品が続々と生まれてきております。我々も、そうした新しい商品を活用し、できるだけ、より有利な調達、運用を行っております。今回の改正案の中では、有価証券の範囲を明確にしてこれを拡大することや、現在は証券取引法の対象外である私募債につきましても法整備を進めようとしておるわけでありますが、利用者の立場からも、投資家保護の見地からも、非常に結構なことだと考えております。
 三番目には、地域経済の活性化という観点からでございます。
 地域金融機関が、今回の改正案によりまして、本体での土地信託等の信託業務が可能となりますし、協同組織金融機関の業務範囲が拡大されることによりまして、地域住民、中小企業、農林漁業者などに対する金融サービスがまんべんなく、きめ細かく実施されることになりますので、地域経済の活性化につながるものと、そういう観点からも期待をいたしております。
 いずれにいたしましても、今回の金融制度改革法案の目的は、金融・資本市場における有効かつ適正な競争を促進することによりまして、国民の多様なニーズに対応して、新しい金融商品の開発とサービスの向上が促進されること、また、とかく日本の制度は、海外から見まして透明性、簡潔性に欠けるという点で批判が多いわけでございますが、そういった制度の透明性、簡潔性といった点からもグローバルに通用する制度への改革を目指しておりますので、外国金融機関の参入も容易となりますし、国際競争が促進され世界経済の発展につながることを目的とするものでありますので、今の日本の置かれました立場からも、大変時宜にかなったものと考えております。そういった意味で、本法案は、できるだけ早い時期に、できれば本国会での成立が必要であると考えておる次第でございます。
 最後に、こうした法改正を伴うものだけではなくて、社債市場を初めとする金融・資本市場には、いわゆる諸規制、諸慣行というものがまだ数多く残っておりまして、企業の自由な活動を束縛しております。この機会に、そういったものの見直し、撤廃を行っていただくことも必要かと考えております。
 また、各省庁の縦割りの管轄、郵便貯金は郵政省、ノンバンクは通産省、金融・証券の大筋は大蔵省といった伝統的な管轄も見直していただき、最終的には金融・資本市場における基本原則自由というところまで進めていただければ、利用者としては大変ありがたいと考えております。制度としてのすみ分けではなくて、企業の自由な企業戦略に基づく結果としてのすみ分けになることが最終的には望ましいことであると考えております。
 以上でございます。
#303
○太田座長 ありがとうございました。
 次に、吉田和男君にお願いいたします。
#304
○吉田和男君 京都大学の吉田でございます。金融制度改革法案についての意見を述べさせていただきます。
 この法案のまず第一の印象といたしましては、今回の法案提出というのはむしろ遅過ぎたのではないかというふうに考えるわけであります。金融の自由化は一九七〇年代から始まっており、この世界的な金融の自由化の流れに対しての対応であるわけですから、もっと早く提案され、審議されるべきであったのではないかというふうに考えるわけです。
 かつての日本の金融制度は極めて統制色が強く、低金利政策、金利規制、融資規制、業態規制といった金融制度としての統制色の非常に強いものであったわけでありますが、これが我が国の高度経済成長に非常に適合したという事実がございます。設備投資を刺激し、産業を重点化し、そして高い成長と輸出を維持していこうという戦後の政策に非常に大きな役割を果たしたかと思うわけです。その結果、日本経済が欧米にキャッチアップすることに寄与したということは間違いないことであったかと思うわけです。しかし、一九七〇年代からは、高度成長期のパラダイムというのは終了を始め、そして、産業政策の方向も随分変わってきたかと思うわけです。そして、むしろ金融規制というのは徐々に不要なものとなり、この統制的な側面というのはマイナスの影響になりかねない状況になってきたかと思うわけです。企業の活力を活性化し、経済効率を高めるためには、金融の自由化というのが不可欠のものになってきたわけでございます。
 また、個人のサイドから見ましても、個人の貯蓄というのは経済的にもあるいは国民生活にとりましても重要な役割を果たしているわけでありまして、金融が自由化されることによりまして、広く投資機会が開かれ、また広範囲な金融サービスを受けるということが、国民生活にとっても重要なこととなってきたわけであります。こういった状況に対応して、徐々に金融は自由化されてきたわけであります。そして、その金融の自由化に伴いまして金融サービスが多様化し、そして、金融も随分発展してきたかと思うわけです。
 さらに考えるのに必要なことは、国際化の影響でございます。
 先ほども申しましたように、世界的な金融の自由化の傾向でありまして、一国の制度がこれから独立であることはできないような状況になってきたわけであります。特に、一九八〇年代になりましてからは、金融の国際化は法制的にも完備され、これがまた金融の自由化を促進する大きな動因になったと見られるわけであります。
 金融の自由化は、もちろんいわゆる金利の自由化等の規制の緩和から始まったわけでありますが、この金融規制の緩和の進展とともに、業態の自由化というものも重要なものになるかと思うわけです。今回の提案もその一環であるわけであります。すなわち、金利規制が行われているもとでは割り当て問題が発生いたしまして、この割り当て問題が業態の規制というものを有効にせしめ、また、これを利用することを可能ならしめるわけでありますが、金利が自由化されるということがこういった業態規制の意味を下げる、さらに言いますと、多様な金融サービスの発展を阻害するといったこともなくなるわけであります。したがいまして、金融の自由化の中で業態の自由化というのも非常に重要な問題であるわけでありまして、今回の改正も、その流れに沿ったものであると理解するわけであります。ただ、先ほども申しましたように、金融の自由化は始まりまして久しいわけでありますし、その変化も非常に速いものであるわけです。また、経済社会の変化も非常に速いわけでありますから、そういった意味で、もっと早い時点で議論されてよかったのではないかなというふうに考えるわけです。
 この根本原因を考えてみますと、これは言うまでもなく、業態間の対立があったというのが大きな問題ではないかと思うわけです。これは金融の問題が、日本経済の発展あるいは国民生活の向上といった観点ではなくて、業態間の既得権益の観点から議論されたということにあったかと思うわけでありまして、まことに残念なことだったと思うわけです。これには、金融界、証券界は大きく反省が必要ではないかなと思うわけであります。金融・証券が免許制になっているのは、そもそも既得権益を守るためのものではありません。公益を守るということが改めて認識されるべきであると考えるわけであります。
 具体的な内容に入らせていただきまして、金融改革の中心課題である業務の相互乗り入れが実現することは、金融の効率化の観点から見まして当然であろうかと思うわけです。しかし、今回の改正案におきましても、基本的な問題にはまだ問題が残っているかなという気がするわけであります。
 まず第一には、いわゆる業際問題につきまして、果たしてこれで根本的に解決されたかというふうに思いますと、やや妥協的な帰結というふうな印象を受けるわけであります。子会社方式は、いわゆる既存の体制を維持しながら実質的に自由化を行うという形では非常によく考えられた制度であるかと思うわけでありますが、しかし、本来、もっと根本的な業態の自由化の問題に踏み込むべきではなかったかなという気もするわけであります。
 それは一つには、業態の自由化というのは非常に重要でありますが、同時に、証券、銀行の兼営には多くの問題があるのは明らかであるわけです。その点につきましても、改正法案ではさまざまな配慮はされているわけでありますが、いわゆる利益背反行為あるいはインサイダー情報といったものをどういうふうに扱うかということが重要になってくるかと思うわけです。子会社方式におきましては、種々の措置をとることによってこれをカバーしようというわけでありますが、いわゆる子会社方式というふうな会社形態の問題ではなくて、もっと本質的にこういった問題を処理する弊害防止のための措置を置くことが考えられる必要があるのではないかなと思うわけです。
 そういうふうに考えていきますと、私は、ユニバーサルバンキングの方法が最適であるとは考えないわけでありますが、こういった子会社という形だけではなくても、各金融機関が明確かつ実効性のある弊害防止のための措置を置くことにおいて、相互乗り入れすることも可能ではないかなというふうに考えるわけであります。基本は信用秩序の維持といいますか、信用をいかに形成していくかということに関して根本的な検討が行われる必要があるかと思うわけです。それはこの信用秩序が公益を実現するという観点でありまして、そのためには金融機関の内部の組織にも踏み込んで、金融機関という企業の内部の規制というものにまで踏み込むことが必要ではないかなと思うわけです。また、その実行行為者に関する責任を直接問うことで、こういった弊害に縛りをかけるという形も検討に値するのではないかなというふうに思うわけです。
 いずれにしろ、業際問題はこれで決着したというふうに考えるよりも、今後、初めて乗り入れが行われるわけでありますから、その成果をフォローアップしてより議論を深めていただいて、効率的な金融システムのあり方の検討を続けていただきたいというふうに考えます。特に、先ほど申しましたが、業態間の既得権益の調整という考えではなくて、国民経済の観点からさらに工夫をしていくことが必要ではないかなと思うわけであります。
 また、CP等新しい有価証券の問題でありますが、この問題はもう随分長い間議論されてきたわけであります。その間、どうも私の印象では、これは野菜か果物かといったような概念論争的なものが非常に強かったように思うわけです。どうしてかといいますと、その概念の切り分けが業態間の切り分けとなり、これが既得権益に結びついているというところに問題があったかと思うわけです。金融サービスの多様化、すなわち、金融が経済に対していろいろなサービスをしていくということは不可欠のことでありまして、制度は、この新しい金融サービスを引き出す方向になければならないと思うわけです。これからも新しい金融手段というものがどんどん出てくるかと思うわけでありますから、これに対して早く処理ができて、こういった概念論争で精力を費やすよりも、国民経済にとってどういうふうな形が望ましいかということが議論されるような形に持っていっていただきたいと思うわけです。したがいまして、新しい金融手段の開発がこれからもどんどん進んでいくわけであります、自由化が進み、コンピューター技術が向上していくわけでありますから。これに対して、預金者保護、投資家保護それから金融の効率化を実現するために、制度を柔軟に改革していくということが重要であるわけであります。改めて強調したいのは、この際、業態間の既得権益の問題ではなく、むしろこれを排除するように政界、官界の人は努力していただきたいと思うわけであります。
 基本的に金融の自由化は喫緊の課題でありまして、積極的に進められなければならないものであります。しかし、今日、金融の自由化が引き起こした諸問題というのは、やはり留意する必要があるわけです。自由化は金融のアナーキーを意味しているわけではありません。基本的に金融は制度によって維持されているということは再認識されるべきであります。自由化とは何をしてもよいということではなくて、各機関がより大きな責任を持つことで業務に当たっていただきたいということになるわけです。これは、それぞれの金融機関、証券等の社会的責任を自覚するということが基本であるかと思うわけですが、同時に、罰則の強化等法制的な支援も求められることになるわけです。社会的責任を通じて金融が経済社会に貢献していることが中心であるということであるわけです。
 また、ディスクロージャーの重要性も強調する必要があるかと思うわけです。自由化に伴いまして、投資機会がふえて、国民あるいは経済にとって大きなプラスになるわけでありますが、これには情報の公開ということが非常に重要なポイントになるかと思うわけです。
 一方、政府の方としまして、自由化の進展とともに、いわゆるインサイダー情報の規制、不正金融の防止など、規制の強化が必要になることを強調したいと思うわけです。自由化と規制というのは表面的には背反するような概念であるかに思われるわけでありますが、むしろ自由化とともに、基本的な規制というものあるいは検査というものはさらに重要なものになってくるかと思うわけです。また、的確な処分が行われるということも重要でありまして、日本社会はとかく不透明になりやすいという点に注意する必要があると思います。行政当局は積極的にこういった問題に対応していただきたいと考えるわけであります。
 ただ、自由化を行って、それがどういう問題を生じるかというのを事前にすべて知ることは不可能なことであるわけですから、自由化が進展する中で、これからも問題が起こらないというふうなことはないかと思うわけですので、できる限りタイムリーに基本的な規制を打ち出すような形で、行政あるいは立法が進められることが望ましいと思うわけであります。また今回、検査の強化の法案も、これは趣旨が違うかもしれないわけですが、同時に提出されているわけでありまして、これは非常に望ましいことではないかなと思うわけです。
 また、行政の方を見ますと、自由化に従いまして、これまでと違った意味での行政の複雑さを引き起こすことになるかと思うわけです。今回の改正でも、子会社の業務の認可など複雑な行政的対応が必要になってまいるわけでありますので、これに対しても行政の対応の明快さが求められるかと思うわけであります。明確なガイドラインを明らかにして運用していただければなと考えます。
 いずれにしろ、金融の自由化は不可避の状況にあるわけですし、しかも時間的にはむしろ遅きに失しているというふうなことがあるわけですので、継続的な活発な議論によって、日本の将来を支える公正で効率的な金融制度の実現に向かって努力していただきたいと考える次第でございます。
 以上、金融制度改革法案についての私の意見を述べさせていただきました。
#305
○太田座長 ありがとうございました。
 次に、巽悟朗君にお願いいたします。
#306
○巽悟朗君 日本証券業協会副会長・大阪地区会長を務めております光世証券の巽でございます。
 本日は、衆議院大蔵委員会大阪地方公聴会で意見を申し述べさせていただく機会をちょうだいいたしました。大変光栄に存じております。先生方におかれましてはお耳を煩わすことになりますが、主として中小証券会社の立場から現状を織り込んで御報告を申し上げ、法律案について私の意見を申し述べさせていただきます。
 まず初めに、昨年来の証券不祥事につきましては、先生方を初め国民の皆様に多大の御迷惑をおかけしましたことにつき、まことに遺憾であり、深くおわび申し上げる次第でございます。
 不祥事によって証券界及び証券市場に対する信頼が大きく損なわれることになりましたのは、非常に残念なことであります。証券界といたしましては、内外各方面からの御批判や御叱責を厳しく受けとめ、指摘されている証券会社の営業体質を抜本的に改め、証券界及び証券市場への信頼回復に向けて全力を傾注して業界改革に取り組んでいるところでありますので、何とぞ御理解を賜りますようお願いを申し上げます。
 法律案に対する基本的な考えを申し上げますと、有効かつ適正な競争の促進等による金融・資本市場の効率化、活性化並びに諸外国と調和のとれた金融制度及び証券取引制度の構築を図るという本法案の趣旨は十分理解しております。また、今回の制度改革法案に先行して審議されたいわゆる公正を確保するための改正案の諸施策とともに、活力ある金融・資本市場の再生に寄与することを期待するものでこざいます。
 私どもの基本的な考え方は、今回の制度改革は、証券取引審議会において長年にわたり審議されてきたことを踏まえて、平成三年六月十九日の証券取引審議会報告書「証券取引に係る基本的制度の在り方について」に沿ったものにしていただきたいと存じます。
 私ども証券界といたしましては、その点と、法案の上で政省令あるいは今後の運用にゆだねられている面があることに一抹の不安を感じるものでございます。政省令の概要については大蔵省の方から大蔵委員会の方へ示されたところでございますが、今後の行政の運用方針についても明確にならなければ判定できないところであり、十分御審議をいただきますようお願いを申し上げます。
 法律案の主要点に入る前に、まず、私ども中小証券会社の現状と抱えている問題点を簡単に御報告を申し上げ、先生方の御理解を得たいと存じます。
 本年三月末の段階では、我が国には、国内の一般証券会社二百十社、才取り会員等特殊証券会社七社、それに外国証券会社五十社の計二百六十七社がございます。そのうち、近畿二府四県には四十六社がございます。少々乱暴かとは思いますが、理解を進めるために、国内二百十社中、本省監理会社二十二社を除く百八十八社の一社当たりの平均値から中小証券会社のイメージを描いていただきたいと存じます。資本金規模十二億円、従業員規模二百七人、店舗数八・五店というところでございます。これを近畿地区で、本省監理会社一社と特殊証券会社一社、計二社を除く四十四社で見ますと、一社当たり資本金規模二十一億円、従業員数二百四十三人、店舗数八・九店というところでございます。
 中小証券会社の経営状況や財務状況を見ますと、平成三年三月期決算では、百八十八社合計で、経常損益一千百五億円、当期損益六百七十三億円。平成四年三月期決算では、経常損益九百十四億円の赤字、当期損益八百二十七億円の赤字と大変厳しい決算を余儀なくされ、中小証券会社の約八割が赤字であり、四十五社が無配に転落しております。近畿の数字は、平成三年三月期決算では、四十四社合計で、経常損益二百五十一億円、当期損益百八十二億円。平成四年三月期決算では、経常損益二百八十億円の赤字、当期損益二百九十億円の赤字で、八割強が赤字であり、十二社が無配に転落しております。
 証券会社の営業収益は、大きく受け入れ手数料、金融収益及び有価証券売買損益をもって構成されますが、先ほどと同様に平成四年三月期決算から見ますと、全国の国内証券会社二百十社全体では、本省監理会社二十二社合計が、営業収益二兆九十一億円、受け入れ手数料一兆三千百七十五億円、六五・五%に当たりますが、うち株式委託手数料七千十九億円、これは三四・九%であるのに対し、財務局監理会社は百八十八社合計で、営業収益五千七百五十億円、受け入れ手数料三千四百五十五億円、六〇・一%、うち株式委託手数料二千八百八十七億円、五〇・二%となっております。近畿の中小証券会社四十四社合計で、営業収益千六百八十六億円、受け入れ手数料九百七十億円、五七・五%、うち株式委託手数料八百十七億円、四八・五%となっております。このように、中小証券会社では手数料収入、とりわけ株式委託手数料が五割を占め、さらに金融収益の大部分は信用取引に係るものだけに、株式ブローカー業務に経営の基盤を置いているということになるわけでございます。また、営業の方法も、店舗数が限られているところから、地域に密着したきめ細かいサービスを行っているというのが実態でございます。
 このため、昨年六月の証券取引審議会報告書では、新規「参入の分野・テンポについては、漸進的段階的に考える必要があり、行政当局において、このような点に留意しつつ、適切に対応すべきである。」また、「特に、銀行による株式のブローカー業務への参入については、銀行が歴史的に株式の売買業務を行ってこなかったという経緯、銀行自身による大量の株式保有とブローカー業務の適切な執行との関係及び中小証券会社の経営の主軸の業務であるという事情を十分考慮し、例えば法律により、当分の間は認めないこととする措置を講ずることが適当である。」とされ、今回の法律案でも、附則第十九条第一項で株券に係る業務をしてはならない旨の条件を付するものとするとされており、私どもは大変ありがたく思っているところであります。
 しかしながら、私ども中小証券会社といたしましては、いたずらに現状に甘んずるのではなく、自由化、国際化、証券化等の大きな流れの中で、多様化する顧客のニーズに積極的に対応すべく努力するのは当然のことと認識しております。
 日本証券業協会大阪地区協会では、昭和六十三年十一月、環境変化に対応した中小証券経営のあり方を研究するため、証券会社の経営者で構成する中小証券経営研究会を設置し、自来、商品戦略や総合化、専業化の選択等さまざまなテーマについて検討を行い、一方で視察団を組織し、米国の中小・地方証券会社の実態を調査する等活動を行っております。
 今回の法律案では、証券会社も銀行子会社を持つことができることになっておりますが、証券子会社と比べて設立に大量の資金を要するであろう銀行子会社を中小証券会社が持つということは現実問題として無理であり、また、証券化関連商品の取り扱いや私募の取り扱いという業務についても可能性は小さいと言えましょう。私どもといたしましては、顧客ニーズにこたえられるよう最大の経営努力を傾けるものの、その存立基盤である株式等エクイティー関連のブローカー業務に銀行が参入してくることは阻止していただきたいと願っております。
 それでは、法律案の内容について申し上げます。
 まず、有価証券の定義でございます。証券取引審議会の報告書では、有価証券概念に包括条項を入れようということでございました。しかし、法律案では米国のような包括条項は落ちて、有価証券は従来のように各号列記の上、その他のものについては政令委任することとされております。現行証取法の対象証券は限定列挙となっており、政令指定もできることになってはいますが、現実には政令指定は行われませんでした。このような状況は、市場の公正性の確保、投資者保護の観点からすると、必要な規制をかけられず問題であったわけでございます。そこで、証券取引審議会では、商品が流通していくためにはミニマムな規制が必要で、それが市場のインフラストラクチャーの整備になるという議論がなされ、有価証券概念に包括条項を入れようという報告書が取りまとめられたと仄聞しております。今後開発が予想される証券化関連商品のほとんどは、政令指定という方法がとられない限り、証券取引法上の有価証券となりません。そこで、流通性のある証券化関連商品については、証取法上の有価証券として機動的、弾力的に政令指定できる方向を打ち出していただくようお願いをいたしたく存じます。もしこれが円滑に行われなければ、そのことが創意工夫による新しい証券化関連商品の導入の障害となり、制度改革の趣旨に反することにもなりかねません。また、もし個別の商品の指定の際に時間を必要とするものであれば、例えば証取法上有価証券として指定できないものであっても、証券会社が取り扱うに当たっては支障のないように、なるべく兼業承認という形で認めていただきたいと考えております。
 次に、私募についての法整備について申し上げます。
 残念ながら、私ども中小証券会社では私募はほとんど取り扱っていないのが実情でございます。私募は銀行貸し付けの変形と言われ、銀行の相対取引延長線上の業務でございます。米国では参加者はプロであり、機関投資家であり、私募の商品性はいろいろ工夫され、イノベーションの源泉であるとともに、ディスクロージャーのコストが比較的低く効率的であると聞いております。しかしながら、証券市場は、いろいろな判断を持った多数の投資家が自由に市場に参加するオープン市場であるということからすれば、公募市場が中心で、私募はあくまで公募市場を補完するものと位置づけるべきと考えております。したがって、効率や実験的という点に目を奪われて、銀行の相対的手法により、中心である公募市場の機能までが悪影響を受けていびつに変形しないよう警戒する必要性を感じております。今回の法律案及びこれに基づく政省令の制定、運用に当たっては、このような点に十分配慮していただきたいと考えております。
 なお、国内公募債市場の方は、海外市場における発行や私募債に比べて十分に機能していないのではないかと言われております。その背景として、我が国証券市場が未発達な時代に持ち込まれた諸規制、諸慣行が、これまで改善が進められてきたものの、基本的な部分で引き続き存在することがその原因であると指摘されております。このため、最近、適債基準の緩和、社債発行限度額の拡大、手数料の引き下げ等幾つかの改善措置が実施され、また、社債関係法の改正についても法制審議会商法部会においても検討が進められておりますが、証券界といたしましては、公募市場における諸規制、諸慣行の見直し、なかんずく受託制度の見直しは金融制度の改革と密接不可分のものであるところから、速やかに実施していただき、公募市場が機能を回復し活性化するようお願いいたしたいと存じます。
 最後に、銀行等による証券業務への新規参入について申し上げます。
 我が国証券市場には本日現在で外国証券会社が四十九社、ピーク時は五十二社でありますが、免許を受けて進出してきており、五社に一社は外国証券会社という状況は、決して新規参入が制約されているというものではないことを証明していると考えております。免許制のもとにおいても新規参入が行われ、公正な競争が行われるようにするのは自由主義体制下において必要なことと考えております。しかしながら、新規参入者には適格性を要求されるべき、つまり特定企業や企業グループのみを顧客として依存するいわゆる機関店的な参入者は排除されるべきであると考えております。
 銀行、都銀、長信銀、信託、地銀、第二地銀は、平成三年三月末において店舗数一万六千二百四十一店、従業員数四十四万人と、証券会社の三千二百十三店、十五万人をはるかに凌駕しており、強力な信用力やメーンバンクとしての情報力から、リテール、ホールセールいずれの分野においても圧倒的な力を持っております。このような強力な競争力を持つ銀行が証券業務に参入してくることは、中小証券会社にとっては大変な脅威でございます。単に経営上の問題のみならず、市場仲介者として十分機能できるかどうか、危惧の念を持っております。
 そこで、今後の法案審議におかれましては、次の点について明確にしていただくようお願いをいたしたいと存じます。
 利益相反の防止、銀行の市場支配、企業に対する影響力の防止、銀行の健全性確保等という証取法六十五条の基本的な考え方を生かすことが重要である。証券取引審議会報告書では、銀行の子会社方式での相互参入に当たっては、親銀行の影響が証券子会社に及ばないように有効な弊害防止措置、ファイアウオールを構築することが必要とされております。法律案では、親子会社間における取締役等の兼職禁止、親子会社間における通常の条件と異なる条件での証券取引禁止、親子会社間における信用供与に係る抱き合わせ販売の禁止の三つが規定されております。
 しかしながら、我が国の場合、銀行は大量の株式を保有し、融資、役員派遣等によりメーンバンクとして企業に影響力を有しているので、例えば人事面のノーリターンルールや店舗、バックオフィスの共用禁止等、一層厳しい規制が必要と考えます。
 株式ブローカー業務は、当分の間、銀行等の子会社には認めない趣旨が明記されておりますが、この制限は、その趣旨から見てCB、ワラント債等のいわゆるエクイティー商品や株価指数先物取引、同オプション取引に関するブローカー業務についても運用上同様に取り扱っていただきたいと思います。
 これに関連して、銀行等の子会社に認められる業務の範囲を明確にしていただきたい。さらに、銀行本体が取り扱える証券化関連商品の範囲を明確にしていただきたい。附則第十九条第二項では、金融機関等が買収、合併等により既存の証券会社の過半数の株式を所有することとなる場合に、当該証券会社の免許に対して、当分の間、株式のブローカー業務「をしてはならない旨の条件をつけることができる。」とされ、「できる。」というのは、第十九条第一項の、株券に係る業務「をしてはならない旨の条件を付してするものとする。」という規定と表現が異なっているが、決して脱法的行為が行われないように運用していただきたいと考えております。
 以上、取りとめもなく意見を申し述べさせていただきましたが、冒頭申し上げましたように、金融制度の改革は必要なことであり、私どももその中でいささかでも役割、機能を果たせるよう努力を尽くす所存でございます。制度改革が効果を上げ、我が国証券市場が活性化し、国民経済に貢献できるようにという観点から、常々気になっておりましたところを二、三申し上げさせていただきました。中小証券会社の置かれている実情を御賢察賜り、何分の御配慮を賜りますようお願いを申し上げます。
 御清聴ありがとうございました。
#307
○太田座長 ありがとうございました。
 次に、大木令司君にお願いいたします。
#308
○大木令司君 社団法人大阪府信用金庫協会会長の大木でございます。
 本日は、本公聴会にお招きをいただき、金融制度改革法案に関する意見を申し述べる機会を与えてくださいましたことに、まずお礼を申し上げます。
 本題に入ります前に、一言おわびを申し上げたいと存じます。
 昨年八月、私ども大阪府信用金庫協会のメンバーであります東洋信用金庫において巨額の偽造預金事件が発生し、皆様に大変御心配をおかけいたしました。大蔵省、日本銀行初め、多くの方々の御努力により最悪の事態は回避でき、今日に至っておりますが、先月末より三和銀行との合併、二十五カ店を我々大阪府信用金庫協会の会員金庫が引き受けるという形で、日本興業銀行や全国信用金庫連合会の御支援をいただきながら、解決に向かうことに相なりました。我々が引き受ける二十五カ店の割りつけも済み、今のところ作業は順調に進んでおりますが、今後まだいろいろな問題を解決していかなければなりません。私どもも精いっぱい努力いたしますが、何分の御理解、御高配をお願い申し上げたいと存じます。
 さて、本日のテーマでございます金融制度改革については、実は私は、金融制度調査会制度問題専門委員会の特別委員として、今回の法案の基礎となりました金融制度調査会答申の取りまとめの議論に参加させていただいておりました。そこで、まずは金融制度調査会の議論において私が常々持っておりました感想のようなものから始めさせていただきたいと存じます。
 金融制度調査会におきましては、制度改革の意義として、一、競争の促進による我が国の金融・資本市場の効率化、活性化、二、多様化する利用者のニーズに対する対応、三、欧米の制度と調和のとれた制度の構築、四、地域金融の振興、こういったことが強調されました。これらはいずれも我が国金融・資本市場の発展、ひいては日本経済の発展に大いに資する重要な政策目標であると私は認識いたしております。
 しかしながら、制度改革の成案を得るまでに六年を超える年月を要したことは、それだけ詳細な検討が必要であったわけではございますが、実は我が国金融・資本市場の効率化、活性化などの政策目標の実現がその分だけおくれてしまったことになり、大変残念なことだったと言わざるを得ません。しかし一方では、結論が出るまでに六年の歳月が費やされたことによって、制度改革の議論は経済の好況時と不況時の両方を経験することができ、好、不況それぞれの経済状況に基づき議論を深めた上で今回成案を得られたことは、幸運なことであったとも考えられます。
 以上で述べましたことに基づき、私といたしましては、制度改革の時期は十分に熟していると考えております。この上は、いやしくも個々の業態の利害に縛られることなく、制度改革に向けての関係者のエネルギーが高まっているうちに、一日も早く制度改革が実現することを強く念願しているところでございます。
 本日は、このような観点から、今後の国会での御審議に当たり、何としても御理解いただきたい点といたしまして、まずは金融制度改革の必要性について簡単に述べさせていただきました後、私ども地域金融機関の最大の関心事であります金融制度改革と地域金融の振興について申し述べさせていただきたいと存じます。
 まず最初に、金融制度改革がなぜ必要であるかについて、三点ほど簡単に述べさせていただきたいと存じます。
 第一に、現行金融制度は、歴史的な使命を終えたという点であります。
 専門金融機関制度、銀行、証券分離制度を特色とする今の金融制度は、基本的に戦後の限られた資金を経済の各分野に安定的に供給するために整備されたものであります。しかし、我が国の金融・資本市場が著しく発展した現在においては、現行制度は逆に、各業態の既得権益を擁護することで資金の効率的配分を妨げるという弊害を生ぜしめる懸念が大きくなっております。こうしたことから、私は、現行制度はその役割を十分に果たし、ほぼその使命は終えたと認識しており、業務規制を緩和する方向での新しい金融制度づくりが今まさに私どもに課せられた歴史的な使命であると考えております。
 第二に、高度化、多様化するお客様のニーズへの対応であります。
 金融資産の増大とともに、国民の金融ニーズが高度化、多様化しておりますが、これに応じ、供給側である金融機関においても新たな金融商品・サービスの開発が活発に行われなければなりません。しかし、我が国においては、旧時代的な縦割りの金融制度によって、新たな商品・サービスの開発が抑制されているだけではなく、仮に開発されても、それが各業態間にまたがる場合、主として担い手をめぐる業態間の対立により、お客様へのスムーズな提供が原則として進みにくいといった傾向が顕著となっております。このようにお客様の利便が犠牲になっている現状は、長い目で見た場合、金融界全体にとって大きなマイナスになると考えられます。したがいまして、各金融機関がお客様のニーズに応じ、幅広く的確な金融サービスを提供し得るような金融制度を早急に整備することが必要であると存じます。
 三番目には、国際的な整合性であります。
 今日、我が国の金融・資本市場は、ニューヨークやロンドンと肩を並べる世界の主要金融マーケットに成長いたしております。ましてや世界の金融・資本市場の一体化が急速に進展している中で、我が国が独自の金融制度を維持し、内外の金融機関の自由な活動を制限することは、国際的な理解を得にくいばかりか、国内市場の空洞化や国際的な資金配分機能への悪影響といった事態を生じさせる懸念があります。私も金融界の一員として、早期に欧米の制度と調和のとれた金融制度を実現し、我が国の責務を果たしていく必要があると考えます。
 次に、今回の制度改革と地域金融の振興について、地域金融機関の立場から何点か申し述べさせていただきたいと存じます。
 地域金融に期待される役割としましては、一、地域の住民、企業などに多様な金融サービスを広く供給すること、二、地域経済の活性化、地域間格差の是正に対して地域金融面から貢献することなどが考えられます。私は、今回の制度改革法案は、このような地域金融の機能の拡充に大いに資するものであると考えています。
 私ども信用金庫は、地方銀行、第二地方銀行、信用協同組合、労働金庫、農業協同組合などとともに、金融制度調査会答申において地域金融機関とされております。地域の中小企業と地域住民を主要取引先として、綿密な店舗網を通じ地域に密着した活動を行っています。しかし、最近は金融の自由化、証券化の進展、あるいは都市銀行などのリテール分野への攻勢によりまして、地域内の競争が熾烈化しているというのが実情でございます。
 こうした状況のもとで、地域住民、企業の金融ニーズに適切に対応するためには、私ども地域金融機関に対しましても経営の選択の幅を広げていただくことが、何としても欠かせないことと考える次第であります。地域の中小企業や住民のニーズに対し、金融サービスを公平に、まんべんなく提供し、かつ地域の活性化、地域間格差の是正に大きな役割を果たす、地域とともに生きる金融機関を育成していくためには、制度改革を行い、地域金融機関においても幅広い分野の業務の取り扱いが可能となることが必要であると考えます。この点について、今回の法案は、協同組織金融機関を含めた地域金融機関及び地域金融の振興について十分に御配慮をいただいており、私どもといたしましても、法案の内容は満足のいくものであると考えております。
 以下、今回の法案と地域金融について、さらに具体的に申し上げたいと存じます。
 まず、制度改革の大きな柱である相互参入の方式につきましては、今回の法案では、地域金融機関のうち地方銀行については、業態別子会社方式と本体での限定的参入のいずれかを選択でき、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合などについては、土地信託、公益信託などは本体で行い、子会社はそれぞれの連合会で行うということになっております。これは、地域金融機関と他の金融機関との競争条件の公平性を確保し、また制度改革による利用者利便などの効果を地域住民に広く行き渡るようにするため、私どもの要望を取り入れていただきましたものであります。これにより、地域金融機関は地域住民のニーズに対応して、本体で土地信託、公益信託などの信託業務を行うことができるようになります。
 また、今回の法案では、協同組織金融機関の業務規制の緩和も大きな柱となっております。具体的には、法律が施行されますと、信用金庫、信用協同組合などが、社債などの募集の受託及び担保つき社債信託業務を行うことができるようになり、また信用協同組合、労働金庫、農業協同組合などが、国債の窓販及びディーリング業務、外国為替業務を行うことができるようになるなど、協同組織金融機関の業務規制が大きく緩和されます。
 現行法上、私ども信用金庫は社債の受託業務を全く行うことができないこととなっておりますが、最近では、信用金庫の会員であります地域の中小企業においても、私募債発行による資金調達のニーズが高まっておりまして、現在、そういった会員の方々から、銀行にできてなぜ信用金庫にはできないのかという不満が多く寄せられているところでございます。御案内のとおり、我が国経済の発展は中小企業の活力に負うところが大きいわけでありますが、今後ともこの層の厚い中小企業が持続的な成長発展を遂げるためには、直接金融への道が広がり、資金調達手段の高度化、多様化が図られることが肝要かと存じます。中小企業専門の金融機関である信用金庫としては、こうしたニーズに積極的に貢献していかなければならないと考えておりますことを、ぜひ御理解賜りたいと存じます。
 また、同じ協同組織金融機関である信用協同組合、労働金庫、農業協同組合などにつきましては、現在、外国為替業務を行うことができないほか、国債の窓販業務は代理の形でのみ取り扱っております。しかし、信用組合や農業協同組合の組合員の中にも、外国為替業務に関するニーズが強いこと、また、国債の窓販についても、他の金融機関の代理業務としての取り扱いでは組合員のニーズに十分こたえられませんので、法案の成立により、これらの金融機関が本体で外国為替業務や国債の窓販業務を行うことができるようにすることが、地域のニーズにこたえ、地域金融の振興を図り、ひいては地域経済の活性化のために重要であると考えます。
 以上で申し上げましたように、私は、今回の制度改革は、我が国の金融・資本市場の効率化、活性化を図り、金融機関がお客様の多様なニーズに適切にこたえ、また、我が国市場が国際的な責務を果たすために必要であるだけではなく、地域金融の振興、ひいては地域経済の活性化のために不可欠であると考えているわけでございます。
 また、冒頭に述べましたように、制度改革に対する議論は長期間にわたり十分になされており、この上は、我が国金融・資本市場の発展、地域金融の振興を図るためにも、一日も早く本法案が成立しますよう、改めて強くお願い申し上げる次第であります。
 大変貴重な時間をちょうだいいたしまして意見を申し上げることができまして、ありがとうございました。
#309
○太田座長 ありがとうございました。
 以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#310
○太田座長 これより委員からの質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。早川勝君。
#311
○早川委員 四人の御意見、大変参考になりまして、ありがとうございます。委員会とは違いまして大蔵省、政府に聞くわけではございませんので、時間が足りなくて、ぜひもう少し敷衍したかったなというような観点で、私の問いに答えていただければ幸いだと思っております。
 先ほど来のお話の中で、率直に言いまして、巽さんのお話を伺いまして、大変恐縮なんですけれども、さんで通させていただきますが、最初に吉田先生、冒頭、既得権を守るのではなくて公益の観点から取り組むべきだというお話をされたわけですけれども、協会会長の巽さんのお話を伺いましてどんな印象を持たれたのかということを、ちょっと伺わせていただきたいと思います。
#312
○吉田和男君 非常に答えにくいことかと思いますが、確かに巽さんのお話というのは現実ではあるかと思うわけです。どんな業界も、それぞれの制度の中で一番いい経営をやっているはずですから、制度が変わることによって、その政策を変えていかなければいけない、あるいは経営資源の状況を変えていかなければいけない、これは確かにつらいことではあるかと思うわけです。しかし、金融制度は、やはりそういう観点はセカンドの話である。第一の問題は公益であって、それは経済社会の基礎をなしているわけでありますから、その改革というのはかなり大胆にやっていただきたいなというのが希望でございます。確かに、制度が変更されますと、その変更されたことによって利害関係が生じてまいります。ですけれども、これはある程度は受忍する、ある程度は法律で経過措置を置く、そういうふうな配慮があってやられるべきものではないかなと思うわけでありますが、制度改革の基本の考え方は、まさにその業態の成績表の問題ではなくて、経済における機能の面から考えるべきではないかというふうに考えるわけであります。
#313
○早川委員 今度のこの法案をいわゆる銀行と証券というサイドから見ますと、巽さんも先ほど言われましたように、中小の証券を引き合いに出されて言われたのですけれども、つまり子会社としての銀行をつくるのは大変だ、当分できない、これは実態だと思います。その逆を考えてみますと、銀行の方は、子会社としての証券会社というのですか、これはかなりつくりやすいのではないか。したがいまして、今度の制度改革を見ますと、既得権のお話が出るわけですけれども、どちらにウエートがかかるかなといいますと、金融、大手の銀行サイドからの対応が非常に急速に進むのではないか、こんな認識を持つわけでございます。吉田先生はいかがですか。
#314
○吉田和男君 金融機関における産業組織上の問題とやはり切り離して考えるべきではないかなと思うわけです。すなわち、証券には中小が多い、したがって参入ができない、では、その中小という産業の組織の状態がいいのか悪いのか、そこから考える必要があるかと思うわけです。
 私が思いますには、そのすべての業務ができ、そして効率化のために規模が大きくなればいいという意見には反対でありまして、確かに参入する方は形式的に、形式的といいますか、確かに参入することは可能でしょうけれども、ではそこに参入して本当にやっていけるかどうか。逆に言えば、その中小証券会社が他の新規参入者に対してアドバンテージのあるような経営資源を持ってないのかという問題になるかと思うわけです。私は、少なくとも、現実に証券業務を随分やっている人が新規参入者よりも弱いということは直ちには考えられない、すなわち、資本力の大きさだけで云々する議論ではないと思うわけです。特に金融の場合には、金融技術、あるいは顧客のニーズといったものにどういうふうに対応するかという、単に資本力だけでやれる問題ではないと思うわけです。
 ですから、私が申し上げたいのは、金融組織上の問題と制度上の問題を切り離して考えた方がいいのではないかな。したがいまして、どうしても証券界の方でそういった資本力がなければアドバンテージがないということであれば、思い切って産業組織上の変更をするべきではないかなというふうに考えるわけです。
#315
○早川委員 それとも絡むわけですけれども、先ほど巽会長は十九条の条項を引用されまして、「当分の間、」というのを大いに評価されて、ぜひ十分配慮してほしいということを言われたのです。極端な例は別にしまして、我が国の当分の間というのは四十年にも近い当分の間というのもあるわけですけれども、実態的に見まして、どんなスパン、インターバルを考えておられますか。
#316
○巽悟朗君 流通市場では、株式転換社債、株価指数先物・オプション取引の売買高に占める大手証券のシェアは、いずれも減っていく傾向になっているわけです。有効で適正な競争を促進する方策としては、新規参入の必要性は市場の現状から見て発行市場に比して小さいと思うのです。それと、銀行による株式ブローカー業務への参入については、銀行が歴史的に株式の売買業務を行ってこなかったという経緯、銀行自身による大量の株式保有とブローカー業務の適切な執行との関係、及び中小証券会社の経営の主軸であるという事情を十分考慮して、法律により当分の間認めないとする措置を講ずるのは適当である、こういうふうに申し上げたのですけれども、そういう意味におきまして、証券界といたしましては、物理的な時間の長さは考えておらず、株式の流通市場の状況、銀行の証券子会社に対する弊害防止措置の実効性の確保の状況、中小証券会社の経営の状況等を総合勘案して検討すべきである、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
#317
○早川委員 それとも関連すると思いますけれども、井上代表幹事が、子会社方式を新規参入の形態として了とされたわけです。私の聞き違いでなければ、そうであっても、特に銀行の支配力が強まるようなことがないように、あるいは、今まで以上のことを念頭に置かれて言われたのかは定かでないのですけれども、できるだけ銀行の支配力をいわば弱めてほしいというようなニュアンスを先ほど述べられたとお聞きしたのですけれども、つまり、実態的に見ましてどういった危惧を懸念されているところがあるのか、もしお聞かせいただけたら御披露いただきたいと思います。
#318
○井上義國君 一般論として申し上げたわけで、今度の改正によって銀行が特に強くなるという危惧は抱いておりません。従来の縦割りの方が、金融面でむしろ銀行の企業に対する影響力が強かったのではないかという、そういうケースがともすればある、一般的にあるわけではないけれども、ともすればそういうことが起こりがちなものであるという一般論として申し上げまして、今回の改正によってさらにそれが強くなるから気をつけろという意味合いではございません。ですから、今度の改正案の中で、その点の弊害防止ということで、子会社という形で分離して新規参入するというのは妥当なことではないかという意見を申し上げたわけでございます。
#319
○早川委員 銀行としての支配の問題は今までも同様にあった、今現在もあるわけですけれども、この証券子会社をつくることによって、逆にそれらの領域を通じてもという感じを持つと間違いですか、そういう意味なんですけれども。
#320
○井上義國君 ちょっと質問の意味がよくわからなかったのですが……。
#321
○早川委員 つまり、今までですと、銀行と企業と、こうあるわけですね。それで、一般的な金融業務としての支配力、一応いろいろな形であるわけですね。ところが、今度証券子会社をつくるわけです。今ですと証券会社で、一応全然別になっているわけですが、今度子会社も持つわけですね。そうすると、企業というのは両サイドでつながる可能性があるわけです。つまり、金融、銀行とつながっていた部分と証券とのつながりは、今まで別々だったわけです。それが今度子会社をつくられるわけですね。そういう意味で、結局二つのものが、分かれていたものが一つのところへつながる、そういう意味で強まるという、そういう懸念はございませんか。
#322
○井上義國君 それは、ともするとそうなるおそれがある、そういった意味で、そういうことによって、今度は利用者の立場といたしましては、子会社になれば銀行本体が扱うよりはそういった圧力を受けずに済むのではないかという考え方でございます。
#323
○早川委員 吉田先生が先ほど、いわゆる子会社方式というのはいわば日本的に知恵を働かせたものだというふうに評価されて、そこが日本の経済の強さかもしれないし、知恵のあるところという評価もできるのですけれども、将来的に一番望ましいというのは、いわゆるECで行われているドイツ等のユニバーサル方式が好ましい。試行錯誤をしながらいかざるを得ないということも含めてなんですけれども、そのあたりをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#324
○吉田和男君 結局、申し上げたかったのは、この相互乗り入れによってどういう効率化が行われるか。確かに制度として開放されても、実態、要するに各金融機関というのが自由化によってすべての業務をやっていくというふうに考えるのは、私は適当ではないと思うわけです。それぞれの金融機関の持っている経営資源のアドバンテージを生かすような方向で行われるのが、多分現実だろうと思うわけです。ですから、これがまず効率化の観点から一つのポイント。
 それからもう一つは、弊害防止のお話であります。これまでたくさん弊害防止の観点で指摘されてきたわけでありますが、まだまだ我々の知り得ないようなことが起こる可能性もあるかと思うわけです。いわゆる利益背反行為といっても、どこまで利益背反行為なのか、そういうのは具体的にわかっていく必要があるかと思うわけです。先ほど申しました、こういった自由化によって、一つのプラスの面と申しますか、金融の効率化あるいは業態の中でどういうふうな自然的な整理が行われていくかというのを見ながら、そしてまた同時に、いろいろな問題も多分全くないとは言い切れないわけでありますから、そういったものの現状を見ながら、引き続いて検討されていかれるべきではないかということであります。
 最終的にユニバーサルバンクが適当かどうかというふうなところまでの結論は、私も持っておりません。
#325
○早川委員 その中でどういった問題が出てくるかということを考えた場合に、先ほど多くの方もそうですが、ディスクロージャーの問題が非常に重要になると思うのですね。これは吉田先生にもお聞きしたいわけですし、また大木会長にもできたら御披露いただきたいのですけれども、いわゆるディスクロージャーの場合に、信用不安にかかわるようなところまでは必要はないのではないか、すべきではないということもあるわけですけれども、先ほどの公益という観点をいいますと、できるだけ実態を明らかにしてほしいなというふうに思うわけですね。これは企業サイドも多分そうだと思うのですね。それが明確に出されていかないと、逆な不安が高まるのではないかと思います。そういった意味で、ディスクロージャーの必要性について、吉田先生にも理論的な面からもう少し敷衍していただきたいと思いますし、大木会長の方からは実務のサイドから、一体限界があり得るのかどうかを含めて、原則を立ててほしいなという希望がございましたら、これまた御披露いただきたいと思います。
#326
○大木令司君 銀行のディスクロージャーと私ども信用金庫のディスクロージャーはちょっと違います。信用金庫のディスクロージャーについては、銀行法の規定を準用するという形になっております。六十年六月の金制調報告を受けて、六十三年の一月から業界で統一開示基準を定めて、現在はそれによって私どもはやっております。
 今話題になっておりますのは、今先生御指摘のような、これから不良債権のことまでディスクローズするかどうかということであります。ただ、私ども協同組織の金融機関は、株式会社銀行ほど広範囲にディスクローズする必要もないわけであります。というのは、会員組織でありますので、基本的には、定められた一定の会員とそれからお取引の方々だけでありまして、そういう意味で、独自のディスクロージャーというのをこれから考えていかなければいけないわけであります。
 ただ、不良債権の公表なんかは、確かにそれによって信用不安が起こるのではないかという懸念が一方ではあるわけでありますけれども、しかし一方では、そういったことが困るから厳正な経営をする、こういうことになるわけでありますので、そういう意味では、今この時期に一気に不良債権のディスクローズというところまではまいりませんでしょうけれども、将来の姿としてはそういった方向へ向かっていく、これが金融機関の自己責任とか健全性を保つ上にもぜひ必要ではないかな、そんなふうに私は考えております。
#327
○吉田和男君 まず、ディスクローズの内容を二つ考えたいと思うわけです。一つは、今大木さんも指摘されましたように、一般の資料では明らかにされない部分、先ほども示された例ですと不良債権のようなもの、あるいは含みのようなもの、そういったものがどういう形でなされるかという議論が一つあるかと思います。それからもう一つは、このディスクローズする意味がどういうふうなところにあるかという観点も必要かと思うわけです。すなわち、ディスクローズの場合、一番原則的なのは、株式会社というのは株主に対して経営内容をディスクローズするというところが一番の出発だと思うわけでありますが、預金者に対してはどういうディスクローズが必要か、投資家に対してはどういうディスクローズが必要か、そして、特にこれだけ証券なりいろいろな金融手段というのが複雑化してまいりますと、それぞれに対応したディスクローズの考え方が必要であるかと思うわけです。
 それで、先ほどの第一番目の点に関しましては、不良債権あるいは含みといったものを一定のルールをつくってどういう形で公表するかということを皆さんに御議論いただきたいなというふうな感じを持っております。
 それからその後の方、すなわち預金者に対して何をディスクローズしなければいかぬか、あるいは投資家に対しては何をディスクローズするか。その会社のディスクローズあるいはそれを扱う人たちのディスクローズ、いろいろな形のディスクローズがあるかと思うわけでありますが、やはり自由化というのは基本的に、投資をする、資金を運用する人の自己責任の問題でありますから、それを保障するのはディスクローズであるわけですので、自由化を行うに当たってディスクローズの重要性というのは、まさにディスクローズをどういうふうに考えていくか、これを一般論として割り切って議論することはますます難しくなると思うんですね。ですから、個々の問題について議論が深められていくということが大事かと思うわけであります。
#328
○早川委員 あと二点ほど伺いたいのです。
 一つは、最初に吉田先生ばかりで恐縮なんですけれども、アメリカの金融自由化、制度改革の問題でも、日本がそれを見ながら、当初予測されていたよりもアメリカが早いんじゃないかという予測で対応した部分があると思うのですが、実態はそうはなっていないということがあります。確かにECの市場の問題、そういう問題もあるわけですけれども、証券と銀行との関係だけではなくて、やはり我が国の特性なり歴史的な経過を踏まえて、国際化の問題とか自由化という大きな流れというのはあると思うのですけれども、それに対応していく場合に、やはり段階的にというのですか、子会社も一つの事例と言えば言えるわけです。そういったことを考えると、日本的なものがあって十分じゃないか、その中で国際社会、そして金融の世界においても対応していけばよろしい。巽さんの例でいいますと、外国のは十分入ってこれている、免許制でも十分入ってきていてそれなりに国際化に対応していると、事例を話されたわけですね。そういったことをいろいろ考えてみますと、確かに外国の事例というのは非常に貴重だし、流れというのは、大きな流れは同じ方向に向いているかもしれないけれども、それぞれの、そして我が国の成り立ちを含めて考えていって当然じゃないかと思うのです。一般論ではそうだと言われてしまうと、それで済んでしまうのですけれども、その点いかがですか。
#329
○吉田和男君 おっしゃられる点は十分理解できると思います。それは各国、制度のハーモナイゼーションというのは必要でありますが、同じである必要は全くないわけであります。
 今先生の御指摘されたのは、外国とのハーモナイゼーションということであるかと思うわけですが、それだけでなくて、向こうの進展がどうこうということ以前に、例えば外国を見ておりますと、金融制度が非常に緩和されたところで非常な技術革新が起こったりしているわけですね。現在の日本の制度ではそういうことはできないという面が少なくないような気がするわけです。例えば、証券、銀行の複合的なサービスというのは、これは七〇年代でしたか、ちょっと時期は忘れましたけれども、メリルリンチなんかが非常にアグレッシブな商品を開発するとか、そういったことが我が国では非常に少なかったわけですね。それは業態間の制度だけの問題ではないかもしれないのですけれども、そういったものが足かせになっているということが問題ではないかと思うわけです。特に、これから国際金融が盛んになってまいりますと、ローンで出したものを債券化するとかあるいは国際市場と取引するというふうな、そういった新しい金融技術あるいは金融の枠組みというのですか、そういうものを生んでいくような制度にする必要があるんじゃないか。逆に、伝統的に我が国の制度の中で、そういうことがますますプロモートできるようなところはないかということを考えてやっていく必要があるのじゃないかというふうに思うわけです。
#330
○早川委員 最後になりますけれども、井上代表幹事さんに伺いたいのです。
 先ほどの陳述の中に大変興味のあることを触れられまして、これは考えなければいけない問題でもありますし、いわば広い意味での行革の対象になる課題かと思っているのですが、諸規制の見直し、撤廃をぜひ考えてほしいなという意味で、それはある意味で一元化のことかもしれません。例えば郵便貯金は郵政省の問題じゃないか、それからノンバンクは通産、こう事例を出されて言われたのですけれども、それらの観点で若干もう少し敷衍したい、理解してほしいなという問題がございましたら披瀝いただけたらと思います。
#331
○井上義國君 特につけ加えることもございませんが、今の改正法案というのは、民間同士の競争を促進しようということで改正されるわけでありまして、もう一歩突っ込めば、官業対民業の競争促進というような問題に発展していくのが望ましいのではないか。基本的には原則自由まで行くのが望ましいという利用者の立場の希望を申し述べたことでございまして、これ以上つけ加えることも特にございません。
#332
○早川委員 本当の最後の最後なんですが、吉田先生に、これは今話された問題と、あるいはこの金融制度改革と若干離れるのですけれども、常々日本銀行の中立性の問題を、今のままではおかしいんじゃないかと思っているのですね。政治的にどうこうというんじゃなくて、制度的に、例えば政策委員は七人ですけれども、七人目と言ってはしかられるのですが、農業代表者が入っている。農業の方がどうこうというんじゃないですけれども、あの法律ができたときには、戦争直後で非常に重要な産業分野だったと思うのですね。そういった形で入っていたんじゃないかというふうに考えます。
 そういったことで、これからの日銀の中立性、そしてその委員の問題を含めて任命の仕方の問題、総裁はたしか大蔵大臣の任命になっていたんですか。それで、その七人のうち四人は国会が、両院が了承して内閣が任命するというワンクッション、ちゃんと議会が関与するようになっているのですね。総裁と副総裁だけは議会が関与しなくて直接やれるんだということで、日銀の中立性、あり方ということを考えるとどうも好ましくないんじゃないかなと私などは思うのですけれども、最後に御意見ございましたらお願いします。
#333
○吉田和男君 その任命の制度と日銀の中立性がどういう関係にあるか、ちょっと私勉強したことがないのでよくわからないわけでありますが、例えば司法の関係も任命制度というのはあるわけでありまして、司法の独立性というのも一つは伝統の力の中でつくられてきているかと思うわけであります。ですから、日本銀行もやはり日本銀行たるためにぜひ頑張っていただきたいというふうに考えるわけであります。
 ただ、最近の金融政策というのは、独自の国内政策のターゲットだけで運用できなくなっているというところが非常に難しい点でありまして、ある意味で言いますと、金融政策の決定の相当部分が外国との協調とか資本市場の流れの対応といったようなことになってきているかと思うわけです。ですから、古典的な意味での通貨の番人、中央銀行の独立性ということとは随分イメージが変わってこざるを得ないわけですので、新しい時代の中央銀行の独立性というものに関する概念をどうやってつくるかというのを議論する必要もあると思いますし、また、日銀はその当事者として頑張ってやっていただきたいというふうに考えているわけであります。
#334
○早川委員 ありがとうございました。
#335
○太田座長 次に、小野信一君。
#336
○小野委員 小野信一です。意見の開陳、ありがとうございました。御礼を申し上げます。
 最初に、井上代表幹事と吉田先生にお尋ねします。
 御存じのように、金融制度調査会と証券取引審議会が長い時間審議をいたしまして答申、報告書を提出いたしました。ところが、この報告書が国会に反映される前に不祥事件が起きてしまいまして、検査制度、監査制度の方が先に審議されてしまいました。私は、この金融・証券検査委員会の設置は二つの報告書の内容を十分反映しているとは考えておらないわけでございます。むしろ、特に金融制度についてはごみをかぶったまま今回の制度改革に入ったのではないかなという危惧を持っておるのですけれども、この二つの報告書が今回の制度改正の中にどれほど反映されたという感じをお持ちでしょうか。いや、現状から見てやむを得ない制度改正だとお考えになるのでしょうか。それとも、報告書を忠実に制度改正に反映させるにはまだまだ足りない、こういう考えをお持ちでしょうか。お二人に御意見をお聞かせ願いたいと思います。
#337
○吉田和男君 先ほどもちょっと申しましたけれども、この自由化というのと検査制度というのは、対立するものというよりもむしろ補完的な関係にあるものというふうに考えるわけであります。先生が先ほど御指摘になられましたように、ちょうど折しもいわゆる金融不祥事というものを動機としてこの検査体制の強化ということが出てきたかと思うわけであります。ある意味で言いますと、今回の不祥事というのは自由化の一つの側面であったような感じもいたします。自由化だけじゃなくて、自由化されるということを前提に考えたときに起こった問題でもあるかもしれないわけです。ですから、今回の事件が一つまた反省材料になってこういうふうな形で検査体制が強化されるということは、先ほども申しましたように、自由化を進展していくためにも必要なことであり、結果としてプラスになったのではないかなと思うわけであります。
 現在のこの制度改正の中に盛り込まれている点で十分かどうかという御質問だと思うのですが、この法案が具体的にどれだけ規制の実を上げるかというのは、正直なところ、やってみないとわからないというところがあるかと思うわけです。金融制度改革、やはり制度改革というのは一般に、私はそう思うのですが、やってみないとわからない、事前に予知することは不可能であるということが多々あるかと思うわけです。ですからこそ改革というものは、改革が行われた後その問題についてフォローして、また討議をし、積み重ねていくという作業がずっと続けられるということが大事ではないかなというふうに考えるわけです。
#338
○井上義國君 私は、金融不祥事、証券不祥事と今回の改正案とは直接関係がないという考え方をしておりまして、金融・証券不祥事の問題というのは、いわば企業倫理、経営者の倫理の問題の方がウエートが高いのではないかという考え方をしております。そういった意味で、そういった問題との絡みではなくて、要請されているのは、やはり国際化、グローバルに通用する制度に改正するということの方に重点があるのではないかと考えております。もちろん、自由化されたからといって企業の行動がすべて自由になるわけではありませんけれども、そのために規制を強化するということよりは、むしろ企業経営者として、企業として反省すべき、あるいは倫理を確立すべき問題であると理解しております。
#339
○小野委員 私は、損失補てんはセールスマンや過当競争からくる個人的な責任ではなくて、日本の証券業界の構造的な問題から派生したのではないか、こういう考え方を持っておりますから、今代表幹事がおっしゃったような形ではとらえておらないつもりでございます。
 そこで、巽会長にお尋ねしますけれども、さきの質問と同じになりますけれども、今回の報告書が今回の制度改正に十分反映しているとお考えになりますか。それとも、現在の情勢からまいりますと行き過ぎがあるのじゃないかと思いますか。それとも、まだまだ不十分、もう少し前に進むべきだったとお考えになりますか。具体的にこういうところが行き過ぎだ、こういうところが突っ込み不足だということがございましたら、お聞かせ願いたいと思います。
#340
○巽悟朗君 先生が先ほど証券界の構造的な問題ということをおっしゃいましたけれども、私は、やはり日本の風土に自己責任原則というのが欠如していたことが一番大きな問題だと思います。
 それから、証券監視委員会ができたことにつきましては、それによって強制捜査のほか従来の証券検査の大部分を担当していただけますし、また、証券会社の財務状況における検査は従来どおり大蔵省の検査部門が担当する、そのほか、証券取引所が流通市場の管理の観点から会員証券会社を対象に主として取引所、市場を通ずる売買取引の執行等について考査を行いますし、それから証券業協会は、全国の証券会社を対象に顧客からの有価証券の売買注文の受託、受け渡し等を中心にした営業活動に関する諸規則の遵守状況や顧客管理、内部管理等について監査を行うわけであります。この四つの組織が検査、監査の役割を分担することによりましてそのようなことを二度と起こさぬようなことになるということで、そういう点につきましては、委員会との密接な連絡をとって行っていきたいというふうに考えております。
#341
○小野委員 二つ目。吉田先生と巽会長にお尋ねしますけれども、銀行と証券会社が子会社を持って相互参入を図ることで競争の促進を図る、プラスだという解釈であります。しかし、両者にかなりの力の差がございますから心配な点は十分考えられるわけでございます。先ほど巽会長は、子会社にブローカー業務を禁止しておるので十分ではないだろうか、こういう話がございました。しかし、この前の国会の審議の中で、現在、当分の間は確かに禁止はしておるけれども、条件さえ整えば直ちにこれを廃止したい、そういう模索もしなければならないという答弁がございました。もし業界として、このブローカー業務禁止を緩和するということになるとすればどういう条件がそろったときにしてほしい、そういう希望があったならばお聞かせ願いたいと思います。
#342
○吉田和男君 これは先ほど早川先生へのお答えでもお話ししたことでありますが、産業組織として見る面と金融の自由化というのは視点が違うのではなかろうかというのが私の意見であります。すなわち現時点においても、固有名詞を出すのはあれですが、野村証券と中小証券には力の差があることは歴然としているわけでありますが、中小証券はそれなりに総体的な活動をしているわけであります。それは証券業というものの特殊性によるものだと思うわけでありますが、完全に規模の利益だけで説明し切れない、すなわち、資金力の大きさだけの話ではなくて、経営資源をそれぞれ持っているということになるかと思うわけです。
 そこで、今回のこの子会社方式で参入が行われたとすると、それぞれの機関の持っているいわゆる経営資源のすぐれたところを発揮するように競争が行われるはずであるわけですから、その結果どういうふうな形態になっていくかというのは、まだこれはやってみないとわからない面があるわけでありますが、かといって資金力だけで、力の差があるからという理由でこれが淘汰され、そして一方的に銀行が金融を全部支配してしまうというふうなイメージを持つ必要はないのではないかというのが私の考えであります。
 もう一つの経過措置の話でありますが、それは先ほども少し述べましたが、制度改革というのは基本的にそれぞれの業態に対してプラス・マイナスを引き起こすのはやむを得ません。それは公益の観点から改革が行われたとして、私益に影響があるというのは、これはやむを得ないことであるわけです。ですから、それに対して半分は我慢してもらう、半分は経過措置をとるということを申し上げたかと思うわけですが、その半分が多分ここに記載されている経過措置にもなるかと思うわけです。けれども、本来の考え方からまいりますと、経過措置というのは経過措置でありまして、余り長く続けるというのは適当ではないように思うわけであります。その経過措置の扱いというのは、むしろ経過措置があることによってそれぞれの会社、業態なりが対応するということが早急に行われるようなインセンティブを与えるようなものでないといけないと思うわけです。ですから、弱いから経過措置をだらだら長くするというふうな考え方は適当ではないと考えるわけであります。
#343
○巽悟朗君 銀行は企業の株式を大量に保有しておりまして、また、融資を通じて取引先企業の内部情報も蓄積しているわけでありまして、株式ブローカー業務に参入した場合は、相場操縦、インサイダー取引等のおそれがありますし、仲介業者としての問題があると思います。株式ブローカー業務は、中小証券にとりまして先ほど申しましたように経営の主軸でありまして、銀行の進出による経営基盤への影響が大きく、中小証券の経営に問題が生ずれば、市場の安定性を損なうおそれがあると思います。
 なお、米国では、銀行持ち株会社の証券子会社に株式ブローカー業務が認められていますが、銀行本体の株式保有は認められておらず、兼営の弊害がないことになっております。
#344
○小野委員 巽会長と大木会長にお尋ねしますけれども、銀行が子会社を持って証券業界に参入することは、新規の顧客の開拓に大変役立つ、現在の証券業界の活性化のため、株価の低迷を打破するためには大きな力になるのではないだろうか、こういう意見がありますけれども、現場から見た場合にどういう感じをお持ちになりますか。
#345
○大木令司君 やはり垣根が低くなることによりまして適正な競争が促進されますので、そういう意味では株価にもいい影響を及ぼすだろうと思います。
#346
○巽悟朗君 私は、今まで歴史的に見ましても、証券と銀行が車の両輪としてやってきたことで、日本の証券市場は非常にパフォーマンスの高い、世界に冠たる市場として成長してきたと思うのです。ですから、先生のおっしゃるように現在低迷しているから銀行が参入すれば顧客がふえるということにはならないと思います。
#347
○小野委員 続いて、井上代表幹事と巽会長にお尋ねしますけれども、金融の国際化あるいは完全な自由化、これは金利が中心に行われていくだろう、こう思います。ところが、アメリカの要求あるいは日本の識者のある人たちの意見を聞きますと、日本の市場金利に連動して調達するのは資金のシェアで五〇%ぐらいではないだろうか、あとの五〇%は市場金利よりは安く提供されておる、同時に、日本の銀行は日銀からは低利で十兆円以上の資金の融資を受けておる、これは安く受けておる、そういう意味で、こういう二つの条件は外国の銀行は受けていないわけですから、不公正な措置である、こういう意見がございます。金利の自由化とはそういうところまで早急に進んでいかなければならないとお考えになりますか。それとも、やはり日本の実情に合ったスピードで進んでいかなければならないのだ、こうお考えになるでしょうか。
#348
○井上義國君 私、経理を担当しておりませんで、実際の金利がどうなっておるのかについては余り詳しくは存じ上げません。ただ、当社のケースを考えましても、日本の銀行だけではなくてよその銀行からの調達も行っておりますし、それは、調達条件がとりもなおさずいいということだろうと思います。そういった意味で、やはり日本だけの特殊のというのはできるだけ少なくして、国際化、グローバルな競争を進める条件を整えるのが日本にとってかえって将来には有利になるのではないかと考えております。
#349
○小野委員 それでは、吉田先生と巽先生にも同じ質問のお答えを願いたいと思います。
#350
○吉田和男君 要するに、内外の金融機関に対して不公平な状況があるのではないかということであります。私が考えますには、内外の金融機関に対してそもそも不公平が生じにくいような形が進むのが自由化の本筋かと思うわけです。すなわち、規制があればどこかにひずみが生ずるわけですから、それが不公平をつくっていくかと思うわけです。多分先生の御指摘というのは、いろんな裁定の余地がまだ残っているではないかということであるわけですから、これはむしろ自由化が進んでいないところがあるのではないかということかと思うわけです。ただ、先ほども申されましたような日銀との関係とか、そういった制度的な意味でのアドバンテージの問題は、これはまた別途考える必要があるかと思うわけです。逆に言いますと、外銀も同様のアドバンテージを何か持っているわけでありまして、特に国際金融市場において有利な資金を導入する方法を持っているからこそ進出してくるわけではないかなと思うわけです。ですから、そこはもちろん、おっしゃられますように、規制があってそれが不公平をつくっているというところを積極的に除去していくのが本筋の自由化ではないかというふうに考えております。
#351
○巽悟朗君 先生のおっしゃった御質問は非常に高度な金融政策にも絡むことですので、私が軽々しく述べるだけの知識もございませんが、こういったことを論ずる前に、私の証券界におきますことを考えましても、常に、外国ではこうだ、英国ではこうだ、米国ではこうだ、こういう議論がすぐ出るわけなんですけれども、せんだっても、この三月三十日、三十一日、大阪で国際証券サミット、国際証券業協会会議というのをやったのですが、過去五年間私も出席しましたけれども、やはり日本のよい制度は守るべきだというのが各国首脳の意見なんですね。やはり守るべきものは守りながら、漸進的にそういう方向に向いていくというのが非常によい自由化の方向ではなかろうか、何もかも外国がこうしているからと、全然違った環境においてそういうふうに進めていくというのは問題ではなかろうかと、常々こういう議論をするときには私は考えるわけなんです。ですから、ちょっと先生の御質問にはあれですけれども、よろしくお願いいたします。
#352
○小野委員 最後に、吉田先生と大木先生にお尋ねしますけれども、金融の自由化、これはアメリカの例を見ますと、御存じのように一年に百も二百も倒産するという例がございます。日本の場合に、確かに自由化はアメリカの後を行くわけですから、反面教師といいますか、学ぶべきところがたくさんあって、自由化をしたからといって、アメリカのように銀行が直ちにたくさん倒産するということはないと思いますけれども、このアメリカの金融の自由化の帰結が銀行の倒産であるということは、一面の真理をついているのだろうと私は思います。そうならせないためにはどういう配慮が必要なのか。いや、やはり経営の内容の悪いものについては一回倒産させた方が預金者にとっても大蔵省にとっても必要なことではないだろうか、こういう意見だって成り立ち得ると思いますので、自由化の帰結の銀行の倒産という問題について我々はどういう配慮をすべきなのか、アメリカから何を学ぶべきなのか、お二人の御意見を聞かせていただきたいと思います。
#353
○吉田和男君 自由化と倒産というのは、私は非常に強い関係があるかと思うわけです。それは資本主義社会というのは企業が倒産するのは極めて当たり前のことであるわけで、限界企業が消滅することが資本主義の効率を維持する最大のポイントであるかと思うわけです。したがいまして、金融機関が倒産するということ自身は、私はそれほど恐れる必要はないと思うわけです。倒産することに関連して、例えば預金者を一定枠内で保護するために預金保険制度をどう構築していくか、あるいは倒産した金融機関の経営資源、これをどういうふうに活用していくか、そういった議論は十分される必要があると思います。
 ただ、倒産があると困るから倒産を防止する制度をつくるというのは、私は必ずしも賛成いたしません。資本主義社会は倒産、つまり限界企業がなくなっていくことがより効率的な企業を生む動因になるわけでありますし、また、非効率な企業がたくさんの経営資源を抱えるということ自身がマイナスを呼び起こすことになるわけでありますから、それについて余り神経質に議論するのは私はよくないのではないか。ややタカ派的で済みませんが……。
#354
○大木令司君 自由化と金融機関の倒産ですけれども、随分前にこの自由化が始まりましたころに、自由化によってつぶれた金融機関はない、そうじゃなくて、やはりそれ以外のいろいろなリスクテーキングなことをしたために、金融機関は欧米の例を見てもつぶれるんだ、そういうことをよく聞かされまして、そのときは私は非常に反発をしたのでありますけれども、最近いろいろな事例を見てみますと、まさにそのとおりでありまして、我々もやはり本業をきっちりやっていれば、今話題になっているようないろいろな困難な問題というのはほとんど起こらなかったのではなかろうか、そんな気がいたします。アメリカのSLの例を見ましても、SLが金融の自由化によって大変な経営の困難に遭遇した、その段階でいろいろな新しい業務に挑戦をしてそれでしくじったというようなことを聞いております。そういう意味では、我々信用金庫の業界というのは本当にマイナーな業界でありますけれども、まさに決められたことをきっちりやる、そして、確かに自由化によっていろいろ、預金利回りが上がるとかコストアップだとか、あるいは競争によって貸出レートが低くなるとか、そういった困難はございますけれども、それはそれなりの経営努力で何とかやっていけると私は思っております。本当にその実務を通じて感じておるところでございます。
 それから、今度たまたま大阪ですので、こういった大きな事件がありましたので申し上げますが、またつぶさないようにしたのじゃないかというふうなあれですが、やはりこれは、私どもは何もむやみやたらに引き受けたわけではございませんで、東洋信用金庫というのは、それ自体は非常に健全経営をしておったのですが、一支店長の犯罪ということでああいった事件になったわけであります。そういう意味では経営資源はそれはそれなりに評価できますので、その経営資源を生かすということで、あの案を考えたわけであります。したがいまして、これは預金保険のお金を非常に少なく使えたのじゃないか、これをつぶしてしまえば大変大きな預金保険のお金を使わなければならなかったのじゃないか、そんな気もいたしますので、そういう意味では、先生の御質問に対してはいささかちょっと違うことを申し上げるようでありますけれども、なるべくつぶさないように頑張っていかなければいけないと考えております。
#355
○小野委員 まだ五分ありますので、もう一問させていただきたいと思います。
 我々の問題になるのは、やはり手数料の自由化の問題、固定化の問題がございます。私は先ほど、損失補てんの問題は構造的な問題じゃないか、こう申し上げたのも、手数料の固定化が一つの大きな要因になっている、これも間違いない事実だろうと思います。したがって、これから手数料は自由化すべきなのか、それとも、今までと同じような最低の効率の悪い証券会社を経営維持できるために決める手数料の固定化、こういう制度が守られるべきなのか。先ほど大木会長と吉田先生の意見は全く私は相対立した意見だと思うのですが、お二人に御意見を聞かせていただきたいと思います。できれば巽会長もお願いいたします。
#356
○巽悟朗君 株式委託手数料の自由化につきましては、既に自由化を行った英米の状況等を踏まえると、交渉力の大きい機関投資家の大口手数料を下げ、交渉力のない個人投資家の小口手数料は引き上げることになるとなっていますし、証券会社はブローカー業務から収益が少なくなるので業務の多角化を図っているが、これが証券会社経営の体質の弱体化を招き、ひいては証券市場の健全な発展に支障を来しております。証券会社が自己売買に重点を置くようになりまして、証券経営、証券市場の健全性が損なわれる、また、委託手数料に大きく依存する中小証券会社が疲弊し寡占化が進行する等の問題が生ずるおそれがありまして、極めて慎重に検討する必要があると思います。
 先生は先ほど超過利潤という話をされましたけれども、これはやはり五年間ほど見てみましても、ここだけのバブルで乗った、そのときだけの一時的現象でありまして、やはり平均して長期間で見ますと、超過利潤は製造業の方が大きいわけなんです。その辺はひとつ……。
 本年一月二十八日に取りまとめられました証券取引審議会報告では、株式委託手数料につきましては、大口取引に係る手数料について自由化を図る方向が打ち出されまして、今後作業部会を設置して自由化の対象となる大口取引の水準や実施時期等について具体的な検討を行うことになりましたけれども、手数料問題は証券会社の経営への影響というだけでなく、投資家や証券市場のあり方にも大きく影響する問題でありまして、拙速な結論を避け、作業部会で証券市場の健全な発展の観点から十分な御審議を行っていただきたいというように思います。やはり日本の証券市場というのは、先ほど申しましたように世界に冠たるパフォーマンスを誇っている市場であります。それが損なわれることのないようにしていただきたいというふうに思っております。
#357
○吉田和男君 私は、基本的には自由化論者であります。ただ、証券の手数料を完全に自由化していいかどうかというのは、やや問題があるかと思うわけです。
 それは要するに、短期的に見ますと、その商売をするためにどれだけ費用が追加的にかかるかということが仕事によって違うわけですね。あるいは、お客さんによって違うわけですね。ただ、その間をどういうふうに調整するかということになってくるかと思うわけです。すなわち、追加的な費用が小さいところは低くてもいいし、追加的な費用が高いところは高くてもいい。ただ、それを事前に投資家にインフォメーションを置いてやらなければならないわけですから、いわゆる個別的なところまで自由化するということはなかなか問題が出てくるかと思うわけですね。ですから、一定の枠内あるいは、ちょっと方式をいろいろ考えて工夫をして、基本的に自由化をしながら、手数料によっていわゆる過当競争を引き起こすということを避けるような形の工夫をしていく必要があるのではないかなと考えています。
#358
○大木令司君 私も、証券業界にいたら巽さんと同じようなことを言ったと思います。ただ、巽さんも、金利の自由化については、これは一つの流れだということで恐らく反対はなさらないだろうと思います。
 それで、私どもから証券業界を見ますと、今度の損失補てんだとか飛ばしだとか、そういった中にはやはり手数料問題というのは全く関係がないとは言いがたいわけでありますので、そういう意味では、今吉田先生おっしゃいましたように、一定の範囲での自由化というのですか、そういったものが検討されてもいいのではないかな、そんなふうに考えております。
#359
○小野委員 ありがとうございます。終わらせていただきます。
#360
○太田座長 次に、中井洽君。
#361
○中井委員 民社党の中井洽です。四人の陳述人の皆様方にお礼を申し上げます。同時に、発言の順位を大変御配慮いただきました委員長や同僚の議員の皆さん方にもお礼を申し上げます。
 最初に、井上代表幹事に二つお尋ねをいたします。
 一つは、私募債のお話がございました。巽会長さんから、公募債が主で私募債は従でいくべきだというお話が述べられたように思いますが、私は、これだけの日本の金融市場、また世界の市場のことを考えますと、公募債が主で私募債が従だというような発想ではなしに、もっと私募債も公募債も、特に私募債の分野を大きく育てるべきだと考えております。この点について、お考えをお尋ねいたします。
 もう一点は、今回のこの法案で相互参入ということになっておりますが、過日、委員会の質問で、他業種からの参入というものを考えないのか、許可しないのか、こういうことを言いましたら、大蔵省は、今回の法案の精神に基づいて窓口をあけるんだ、こういうことを答えられました。これがどこまでできるかどうかわかりませんが、もし他産業から銀行・証券参入が許されるということになれば、かなり参入があると考えていいものでしょうか。
#362
○井上義國君 公募債か私募債かという問題につきましても、ごく最近、経理の担当者といろいろ意見交換をいたしましたけれども、日本の現状では私募債というのは主流にはならぬでというのが我が方の経理の担当者の見解でございまして、やはり公募債が主で当分はいくのがこの世の中ではないかというのが我々の見解でございます。
 二つ目の他業種の参入について、今回の法改正では窓が開いたわけでございますけれども、果たして金融・証券業界に他業種が参入するほど魅力があるかなということになりますと、余り魅力ないのと違うかなというのが正直なところでございます。
 以上でございます。
#363
○中井委員 ありがとうございます。
 巽会長にお尋ねをいたします。
 先ほど外国証券の参入のお話がございました。五十社以上が日本で営業されておるわけですが、平成三年度の決算を見ますと、この五十社の過半数以上が黒字だ。しかし、日本の中小証券は八割以上が今回赤字を出した。どうも経営方針がどこか違うのか、あるいは営業のやり方が違うのかと私どもは漠然と感じているわけであります。どんなところがこの日本の証券会社と日本へ来ておる外国証券会社のやり方が違って、こういう差が出たとお考えでしょうか。
#364
○巽悟朗君 これは、一に先物取引並びにオプション取引の影響だと思うのです。
 御存じのように、今、大阪では日経二二五が世界一になりまして、オプション取引も世界一です。我々、昭和五十八年にこの大阪で新構想研究会というのを設置いたしまして、いち早くそれを取り込んでやろうということで、先ほどから出ておりますように金融の先進国では全部先物時代に入っている、これは一日も早く日本でも取り入れぬことには劣後に立つということで、昭和六十年ごろから我々盛んに運動しました結果、当局の御理解も得て、株先五〇というのからスタートしたわけですね。そのとき、私も何回か団長としてアメリカへもイギリスへも行ったわけですけれども、結局これは知恵比べなんですよ、国際的な。向こうは、一昔前の株式売買だけによるそういうベテランというのと違って、本当に、アイビーリーグをトップで出たような連中のコンピューターを駆使した知恵比べなんです。我々が行きましても、知恵比べをやろうじゃないか、こういう格好なんですね。私、ソロモンへもモルガンへも勧誘に参りましたけれども、そのときに、大阪市場は開かれていますよ、一日も早くどんどん出てきてください、あなたたちが稼げない大阪であるならば、大阪市場の国際性は成り立たないんだというようなことを言ってやってきたわけですよ。
 ところが、果たして彼らが来まして、そのときに一番危惧しましたことは、日本の投資家、それから我々担い手、これの勉強をさせないといかぬ、教育が大事だということを盛んに我々は言ったわけなんです。言っていたわけなんですけれども、先ほどからいろいろありますように、この日本の国はやはり自己責任原則というのが徹底しておりませんのでああいう不祥事が起こるわけなんですが、そういう土壌で、これをまず教育しなければいかぬじゃないか、そういうことでその辺に一手に我々は力を入れたつもりなんですけれども、スタートしますと、この日本の金融資産を背景に一気にトップに躍り出たのです。それで、大阪はそれまでは、昭和五十七年までは五十四社でしたけれども、今はもう会員が百二十社ぐらいになった、開放したんですね。それで、シューマー議員なんかも、会員権を開放して、東京へ来ましたときに、我々は大阪で、なぜ大阪へ入らないのだということを盛んにやったのです。その結果、こういう先物時代というものをまざまざと見せつけたというのが今度の決算ではないかと思うのです。
 今、先物罪悪論とか、株式が低迷しているのは先物が罪悪だとかというのがいろいろ出ていますけれども、いろいろな規制を行ってその実験をやった結果、SIMEXがふえただけで、現物がふえないという状態で、これはもう現物が悪いわけなんですね。それから、先物を批判している方々に、私ども必ずその批判をこうむったときに申し上げるわけです。先物を知っておりますか、知りません、先物をやっておりますか、やっておりません、こういう方たちがこれを批判するわけですね。向こうは向こうでちゃんとシステムを組んでやってくるわけですから、そういう結果出た決算でありまして、これはもう、本当に知恵比べの結果だというふうに申し上げざるを得ないと思います。
#365
○中井委員 もう一つお尋ねをいたします。
 先ほど、百八十幾つの中小の証券会社はこの法案ができてもほとんど銀行業務に参入できない、こういうお話がございました。証券業界全体として、この法案が通過したときに、銀行の業務に参加できる能力といいますか力のある証券会社、あるいは意欲のある会社、大体どのぐらいの数あると御認識でございますか。
#366
○巽悟朗君 難しい質問でありまして、今考えられるのは、やはり今の銀行の力に対抗できるのは四社だけというふうに答えたいのですけれども、このごろの現状を見ますと、それもそういうふうにはっきり答えられないというのが現状であります。
#367
○中井委員 大木会長にお尋ねをいたします。
 先ほどのお話の中で、信用金庫として地域と密着してこれからも頑張る、こういう御意見も述べられました。しかし、業態別にきちっと分けられておった今ですら、こういうバブルがはじけたときに同じようなつらい結果が出ておるわけでございます。今回、こういう垣根が低くなって、そして自由化が進んだときに、本当に特徴ある信用金庫としての活動というのがこれからもできていくんだろうか。逆に、大変失礼でありますが、系列化であるとかあるいは吸収だとか合併だとか、そういった方向へ流れが速まっていくんじゃないかと私どもは危惧もいたしております。そんな点について、お考えをお聞かせをいただきます。
#368
○大木令司君 大手の銀行がこのところ巨大合併等をやっておりまして、そういった数のイメージから、それよりもうんと小さな信用金庫なんかはもっと大変だろうというふうに理解されておると思いますが、実はそうではごさいませんでして、いろいろな細かい計数、今はそれを申し上げるあれはございませんけれども、それらを見ましても、私ども信用金庫の業界が銀行よりなお経営上、例えば利ざやの確保が難しい、そういった状況にはございません。ですから、我々としては、金融自由化の中でも我々の一番得意とする地域金融の分野で十分やっていける自信はございます。
 それからまた、今度のバブルは私どもの業界はほとんどかかっておりません。ということは、今度の事件を振り返ってみましても、日本の金融機関の融資というのはそう堕落はしていないと私は思います。結局、その分を系列のノンバンクにやらせたというところに問題があるわけでありまして、銀行自身は今までの、やはり格調の高い融資基準というのはお持ちだった、しかし、その分をノンバンクにやらされたところに問題があったのではないかなと思います。我々は、そういった自前のノンバンクを持てるほどの規模でもございませんし、それからまた、一定の融資の大口規制の基準がございますので、そんなにたくさんの資金を自社の系列のノンバンクに供給するというわけにもいきませんから、そういう意味では、今回のバブルではほとんど影響を受けておりません。したがって、さっき御案内したような、しんどいところがあったら頑張ろうといったこともできるだけの余力は現在ございます。
#369
○中井委員 最後に、吉田先生にお尋ねをいたします。
 もう既に、手数料の自由化の問題、お答えをいただいたのでありますが、私どもの党内でも、これについていろいろ議論がございます。自由化すべきだというのが圧倒的なんですが、個人投資家の手数料、これは現行ぐらいでとめておいて、他を自由化する、こういうのはどうだろうということで落ちつきつつあるのですが、率直に先生の御意見をお聞かせいただきたい。
 それからもう一つは、先ほど、規制をどんどん撤廃して自由化の流れを速めなさい、その中で、いわゆるモラルというものをきちっとしてもらう、同時に、それを破ったときの罰則を強化するんだというお話がございました。これは私どもも大賛成であります。しかし、去年からいろいろな論議や法改正をやりました中で、この罰則、例えば補てんのとき、補てんを強要した相手方に対するあるいは機関投資家と言われる人たちに対する罰則というのがなかなか難しい。私どもは、あんな認識をしていなかったなんというのはとんでもない話だと実は思っておりますが、そういう株式市場に参入している機関投資家あるいは一般投資家に対する罰則の強化ということがどういう形で考えられるか、お考えをお聞かせいただきます。
#370
○吉田和男君 まず、自由化のお話でございますが、具体的にどういうシステムがいいかというのは、これはむしろ行政的な観点になるかと思います。私どもの立場からは、原則論的な形にしかなり得ないと思うのです。手数料の問題が出てまいりますときに、必ず出てくるのが個人投資家の手数料の問題、これは不公平じゃないかという話になるわけでありますが、この辺は、私は、割り切った方がいいというふうに考えております。といいますのは、手数料の持っている意味と申しますのはそれぞれの対応するサービスに対する価格であるわけですから、それぞれのサービス、企業向け、つまり大口向けのサービスと個人向けのサービスとは違うと思うのです。それぞれ違った内容のサービスをしているわけでありますから、同じ果物でもリンゴとミカンの値段が違うように、違ってもいいというふうに私は考えています。
 それから、二番目の罰則でありますが、日本的風土と申しますのは、会社の中で、会社の利益のためにやれば相当何をしても免責されるような雰囲気が非常に強いわけですね。これはやはり是正していかなければいけない。特に金融機関というのは経済の根幹をなすところでございますから、私は、一般の企業以上に相当考えていいんじゃないかなというふうに思うわけです。例えば、運輸会社のトラックの運転手は会社の命令で運転しているわけですけれども、交通違反をしたときにはその人は処罰されるわけです。ですから、それと同等に、会社でお金を動かすという仕事、それも判断を伴うお金であるわけですから、これは相当個人というものに踏み込んで考えていく必要があるのではないかなと思うわけです。相手側、要するに免許をかけてないところに対する金融規制のあり方、これは具体的には非常に難しいと思うわけです。法制的にも、多分かなりしんどい話になるかと思うわけです。ただそれは、どういうガイダンスをつくっていくか。基本的には、多分法律的には厄介ですが、それも、法律で網のかけられる方で何か対策を講じることしか難しいのではないかなという気がするわけです。ただ、金融界全体にモラルといいますか倫理、出し入れ両方とも、お客というものもまた交通ルールを守るという姿勢が必要ではないかなとは思っております。
#371
○中井委員 ありがとうございました。
#372
○太田座長 次に、東祥三君。
#373
○東(祥)委員 公明党の東祥三でございます。本日は、貴重な御意見の開陳、まことにありがとうございました。できるだけ質問に重複がないように努めたいと思います。
 先ほども証券ブローカーの業務禁止について御質問があったわけですが、もうちょっと具体的に証券業界と経済同友会にお聞きしたいのですけれども、証券ブローカー業務禁止の期間はどれぐらいが適当だと思っていらっしゃいますか。井上代表幹事と巽会長にお伺いしたいのです。
#374
○井上義國君 結論から申し上げますと、よくわかりません。そのもともとのねらいが、銀行が子会社をつくった場合の弊害禁止でございます。しかし、相互乗り入れをするということは、同じことをやって競争をさせようというのが目的ではなくて、その中から新しい知恵が生まれ、新しいサービス、新しい商品を生むというのがもともとのねらいですから、今ある商品、サービスだけを対象にしていろいろ議論をするというのも利用者の立場としては甚だ迷惑であるな、むしろ新しい商品、新しいサービスが、相互乗り入れ、競争促進によってどの程度生まれてくるのかという方に我々は関心がありまして、証券ブローカーといったことでは、銀行の子会社の証券会社に我々が委託するかといいますと、必ずしもそうはならないというぐあいに考えております。
 お答えになりましたかどうか、そういう感想でございます。
#375
○巽悟朗君 私は先ほども申しましたように、物理的に時間がどれくらいということは考えておりません。株式の流通市場の状況、それから銀行の証券子会社に対する弊害防止措置の実効性の確保の状況、先ほども言いました中小証券の主体の経営の状況等を総合勘案して検討すべきであるというふうに思っております。
#376
○東(祥)委員 もうちょっと、数年あるいは二、三年で適当だとお考えになりますか、両人にお伺いします。
#377
○巽悟朗君 それは無理だと思います。
#378
○井上義國君 それで結構だと思いますが、新しく銀行の子会社として証券会社ができたから、そこにまたブローカー業務を認めたからといって、そこに任せるかどうかという点については、そこに流れるというふうなことはないという感想を持っております。
#379
○東(祥)委員 巽会長から率直な御意見が開陳されていて、銀行の証券子会社によって中小証券会社が極めて脅威な感じがする、こういう意見の御開陳があったのですけれども、中小証券会社が今後新しい業務にもし乗り出していくとすれば、どういう業務が適当である、このようにお考えですか。
#380
○巽悟朗君 残念なことですが、せっかく銀行業務や信託業務に進出できるような法律に変更されましても、先ほど申しましたように、現実問題としては不可能に近いと言わざるを得ないと思うのです。中小証券会社にとりましては、金融制度の改革は一体どういうメリットがあるのだろうかと考え込むようなのが実情であります。
 御質問にあえてお答えするといたしますならば、中小証券会社でも、比較的規模が大きく海外に現法、支店を有するところでは、企業の外債発行や投資家の外国証券投資の拡大に伴い、証券会社の本来業務遂行あるいはリスクの機動的回避のために、先物予約を含む外為業務を認めていただければありがたいというふうに考えております。
 また、これは行政マターであるかと思いますが、不祥事以来発言がはばかられていましたが、制度の改革は広義の金融の自由化の一環であることから、証券行政における規制の緩和もお願いしたいというふうに思います。
#381
○東(祥)委員 井上代表幹事に同じ質問をいたしますけれども、中小証券、子会社が新しい業務に乗り出していくとしたらどのような業務が適当である、このようにお考えですか。
#382
○井上義國君 大変無責任なお答えでございますけれども、証券業にそれほど詳しいわけでもございませんので、どんな商品というのは今まで考えたこともないわけでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、結果としてすみ分けということになっていくのが最も望ましい格好ではないかと考えておりますので、そういった意味で、銀行の新しい子会社としての証券会社、既存の中小の証券会社、大きい証券会社、いろいろな形がありますが、それは企業戦略の問題でありますので、はたからとやかく言うことでもなかろうかという感じがいたしております。
 以上でございます。
#383
○東(祥)委員 吉田教授にお伺いしますが、今回の業態別の子会社方式による相互参入に対して高い評価をされていたと推察するのですけれども、例えばアメリカなんかの場合ですと、持ち株子会社をつくっている、持ち株会社を置いているわけですけれども、この持ち株会社方式についてはどのようにお考えでしょうか。
#384
○吉田和男君 たしか金融制度調査会ではいろいろな形態について、五つほどありましたですか、検討がなされたと思うわけです。それぞれ一長一短のところがあるかと思うわけです。持ち株方式というのも、業務を切り離したりあるいは情報を切り離したりする上ではプラスの面があるような気もするわけですが、ただ、次に何をねらって自由化するかということを考えたとき、子会社方式というのは比較的プラス面は大きいんじゃないかなと思うわけです。それは、複合商品とかそれからまた一般情報、個別情報は遮断しなければいけないけれども、一般情報は活用していいと思うわけですね。それから、例えば複合商品をつくったときに自社のコンピューター内で処理してしまうとか、そういったことはやりやすいわけですから、私、金銭の議論はフォローしてませんけれども、そういった面を評価するということが多分あったんじゃないかなという気もするわけですね。
 ですから、どういうポイントにおいてやってみるかというのが今回の柱だと思うのですが、まず第一段階としてやってみるということは、先ほども申しましたけれども、子会社方式はなかなかよく考えられているというふうに思うわけですね。
 ただ、同時に議論してほしいのは、本質的なところをもっと議論してほしかったと申し上げたのが先ほどの私の意見でございます。
#385
○東(祥)委員 続いて、吉田教授にお伺いしたいのですけれども、有価証券の概念として、アメリカは証券化が極めて盛んなわけですけれども、日本という特殊な事情を考えますと、有価証券、紙、紙中心の概念になっている、そういうことを勘案いたしますと、果たして日本において証券化というのは進んでいくのだろうか、このように素朴に思うのですけれども、この点についていかがお考えでしょうか。
#386
○吉田和男君 金融の形態がこれからどういうふうなところのウエートが高くなるかという見通しとも関連すると思うのですが、ごく一般的に企業金融を考えてみましたときに、日本の金融は、伝統的に相対的なローンの形をとるということで進められ、しかもそのローンを行うということが企業との密接な関係を引き起こして、それがこの金融の柱になっていくという、いわば情報とお金とがセットになっているところに特徴があるかと思うわけですね。特に、メーンバンク制なんていうのはまさにその典型であるかと思うわけです。ですから、証券化してマーケットで自由に売買されるということは、確かに今の段階ではなじみが少ないんじゃないかなと思うわけですが、自由化が進展していき、国際化が進んでいった段階で企業と銀行の関係がどうなっていくかという、いわば日本的経営の一側面でもあるわけですけれども、これがどう変化していくかということにも関連してくるのではないかなと思うわけです。
 具体的にどういうふうな予測ができるかということですが、確かに証券化というのはそう早く進まないんじゃないかなというのは一般的な観測だとは思いますが、これがあるときを期して金融機関と企業の関係が再整理されていくということがあれば、また大きな変化を引き起こすと思うわけです。その問題に関しては、そういうふうな受け皿があるということは非常に重要なことではないかなと私は考えています。
#387
○東(祥)委員 井上代表幹事と大木会長にお伺いいたしますけれども、私募債との関連ですが、大木会長は私募債に対するニーズが非常に高まっている、こういう御発言がありましたし、井上代表幹事は私募債は余り主流になっていかないんじゃないだろうか、こういうお考えがあったわけです。
 ディスクロージャーとの兼ね合いでいきますと、私募債と公募債との過去数年における動きというのを見ていますと、公募債というのは平成元年度前ぐらいまでぐっと下がってきて、私募債というのは上がっている。平成元年度以降両方とも上がってきて、私募債もかなりな額に達しているわけですけれども、日本という土壌を考えますと、ディスクローズする、したい、そういうスタンスの企業が集まっていればいいんですけれども、私の邪推かわかりませんが、基本的にはディスクローズしたくない、そういう企業が多いのではないのか。そういう視点から考えますと、ある意味で私募債の方に流れていく、つまりディスクロージャーを避けるために流れていく、こういうふうに思っているのですけれども、もしそうなれば公募債市場が先細りの方向に行ってしまうのではないか、このように思っているのです。この点に関して御意見を伺わせていただきたいと思うのです。
#388
○井上義國君 ディスクローズという面から見れば確かにおっしゃるとおりだと思いますけれども、そういう一面だけではなくて、私募債がそれほどではないだろうというのは、じゃ引き受け手がだれになるのかというような問題から考えまして、かなり制限された相手になるのではないか。そういった意味ではそれほど大規模な私募債を、これは少し経験の範囲が狭過ぎるかもわかりませ。んけれども、自分の企業を中心に考えているだけかもしれませんけれども、そこから考えますと、どうも私募債を、ディスクローズするのが嫌やからそっちに行こうかというような単純な発想にはなかなかならないということであります。そういった意味から、上場していない企業というふうな形でのものはあるかもしれませんが、上場している企業というのはディスクローズには随分なれておりますし、また、それはどんどんやっていかざるを得ないと考えておりますから、そういった意味で、それを嫌がって私募に走るということはないと考えております。
#389
○大木令司君 私募債のニーズが強いということを申し上げましたのは、実は私どもの協同組織金融機関のお客様の中では、今井上さんからおっしゃったような上場企業のような企業よりももう少し小さいレベルの企業が多うございますし、そういう意味では、そういったお客様の中で私募債がちょうど手ごろな資金調達の方法であるという関係で、私どもの実務を通じてはこのところ大変強い私募債募集の要望がございます。
 ディスクロージャーの件は、さっき井上さんのおっしゃったように、それが直接関係があって、ディスクローズするのが嫌だから私募債に行く、そういったことは余りないと私も思います。
#390
○東(祥)委員 大木会長にお尋ねします。
 今回の金融制度改革によってある意味で、今までわざわざ使用しなければならなかった例えばロンドン金融市場、それを使わなくていいということになるわけですけれども、実際の問題として日本の市場で取引がなされるようになるのだろうか。この点についていかがお考えですか。
#391
○大木令司君 恐れ入りますが、もう一度。
#392
○東(祥)委員 資金調達のために今までは例えばロンドン市場ならロンドン市場を通じて資金調達していたものが、今回の金融制度改革によってそこには行かなくて済む、日本の市場で十分である、日本の市場で取引を行えるように実際の問題としてなっていくのだろうか。つまり、国際化とのかかわり合いで申し上げているのですけれども。
#393
○大木令司君 私どもの資金調達で今ロンドン市場から資金を調達するというような事例はございませんので、ちょっとその問題についてはお答えしかねます。
#394
○東(祥)委員 同じ質問を吉田先生にお伺いさせていただきたいと思うのです。
#395
○吉田和男君 金融制度が変わることによってどういう資金の流れが生じるかという御質問かと思うわけですが、基本的にマクロの視点とミクロの視点を分けて考える必要があると思います。
 すなわち、仮に今例を挙げられました外国からの資金調達というのは、マクロの観点からの資金調達ということで起こっている場合、すなわち国内に資金が不足しているために資金調達が行われているとした場合には、これは特段大きな変化はないと思いますが、これがミクロの、要するにある特定の取引が、ロンドンから引いてくることよりもコストが下がるということになれば、その取引に関しては資金の流れが変わってくるはずであります。
 実は、そういうことが起こることが大事なわけでありまして、それはまた、今度は国際市場にもはね返ってくる。世界各国で大体今自由化競争みたいなのをやっていますから、各国の金融の効率化が世界全体の金融の効率化を引き起こすということになるかと思うわけです。それで、マクロの資金として不足するという意味では、もちろん不足している場合には外国からの資金の流れが生じるということはあるかと思いますが、その資金の効率を促進するようなルートの変更というのは、これはあり得ることであって、むしろこれは目的でもあるんじゃないかと思っております。
#396
○東(祥)委員 大木会長にお伺いします。
 信用金庫の場合ですと、利用者というものがある意味で限定されている、地域に密着しているというふうに申し上げた方がいいかもわかりませんけれども。また、全国ベースでのネットワークといいますか、そういう規模の面においても他と比べると格段の相違がある。そういう視点から考えますと、本日大木会長の方から意見開陳してくださったその上に、この金融制度改革を審議していく過程においてつけ加えておかなければならない点だとか、そういうのがありましたら、どうぞおっしゃっていただければと思います。
#397
○大木令司君 今度の改革が、例えば業態別子会社方式だとか、私どもの場合はこれは連合会でしかできないことになりましたが、さっきから例えば中小証券で子会社がつくりにくいというような、それと同じようなことが我々のレベルでも問題が起こるわけであります。ただ、我々としては、新しいルールといいますか、今法案に盛られているような新しいルールが施行せられることによって、そこから新しい競争とか新しい工夫をしなければならないわけでありますので、そういう意味では、今度の法案は、この上にまだ我々が何をお願いしたいというようなことを考えてみたところで、これは下手をすると業界エゴになりますので、むしろそれよりも、ここで描かれている新しい環境に一日も早く我々がなじんで、その中で生き抜いていけるようなことを工夫していかなければならない、そのように考えております。
#398
○東(祥)委員 ありがとうございました。
#399
○太田座長 次に、岩村卯一郎君。
#400
○岩村委員 自由民主党の岩村でございます。
 先ほど来、大変御熱心な、適切な御答弁をいただいて、あるいはまた御意見を伺いまして、生の声として大変貴重な体験をして感銘を深くいたしておる次第であります。心から御礼を申し上げます。
 この法案につきましては、自由民主党といたしましても、いろいろな議論を踏まえまして最終的に、ベストである、こういうことで政府提案を了承いたしているわけでございます。したがいまして、自民党としても大いに責任があるわけでございますので、その立場から順次御意見をぜひお伺い申し上げたい、こう思うわけであります。
 まず私自身の現状認識を先に申し上げまして、次に御見解を伺いたいと思うわけでありますが、日本経済の現状を直視いたしますと、いわゆるバブル経済の崩壊の影響を受けまして、それがまだ尾を引いております。株式市場は依然として低迷を続けております。我が国の金融・資本市場の先行きは必ずしも平たんではございません。この際、日本経済が持続的な安定成長を遂げていくためには、バブル時代の体質改善と構造調整を早急に行う必要があるものと考えるわけであります。銀行や証券会社にとりましては、こうした業況の中で、まさに金融の本格的な国際化、自由化の時期を迎えているというふうに認識をいたします。
 御案内のとおり、これまでも金利の自由化を初めといたしまして、各種の規則や慣行の見直し等の金融の自由化が行われてきております。この点は一定の評価ができるものと思っております。しかしながら、金融自由化の進展のもとで金融業務の同質化が進んでおるにもかかわりませず、戦後間もない時期に、産業資金の効率的な配分、そういう観点から整備されました縦割りの金融制度というのが依然として存続しておりまして、自由化という時代の要請に対応した効率的な金融システムになっているとは言いがたい、まさにこういう状況にあると考えます。かかる現状のもとにおきましては、金融機関の有効かつ適正な競争を促進して、金融の効率化や多様な金融商品・サービスの提供を可能とするための金融制度の改革を早急に行って、預金者の皆さん、投資家の皆さん等、利用者のための新しい金融制度をつくり上げることが必要となってまいってきておるわけであります。
 また、昨年夏以来の一連の証券・金融不祥事は、我が国証券・金融市場に対する内外の信頼を損なったものでありまして、まことに遺憾であります。この不祥事を機に、個人投資家の証券市場離れに一層拍車がかかったとも言われておりますし、また、最近の株価の軟調な推移や低調な出来高の一因は、不祥事に伴う証券市場に対する国民の信頼の喪失にあると断言してもよろしいと思います。証券市場のこのような状態が続きますと、我が国経済の成長にも大きなマイナス要因を与えかねない、このように考えるわけであります。
 また、我が国証券市場は、近年急速な拡大あるいは国際化を遂げまして、ニューヨークと並んで世界を代表する市場になっております。このことは、日本経済のみならず、世界経済全体に対する効率的な資金配分機能も期待されているところでございます。
 このような観点から、我が国の経済のみならず世界経済の発展のためにも、証券市場に対する内外の信頼を回復して証券市場の活性化を図ることが、最も緊急にしてかつ重要な課題であるというふうに認識をいたしております。したがいまして、今回の法案によりまして金融・資本市場における競争を促進する制度的な枠組みを構築することは、金融・証券をめぐる不祥事の再発を防止して金融システムに対する信頼を回復する上におきましても、極めて大きな意義を持っているものと考えるわけであります。
 このような認識のもとに、私は、今回の法案につきまして皆さんの貴重な御意見を伺いたいと思うわけでございます。しんがりになりましたので、最初から各委員から適切な御質問もございまして、なるべく重複を避けたいと思いますが、多少そういう点もあった場合は、確認の意味でお尋ねするわけでございますので、何とぞ御了承をお願いしたいと思います。
 まず最初に、井上代表幹事さんにお伺い申し上げますが、冒頭、御自身お触れになりましたけれども、銀行の証券子会社ができることによりまして発行体の資金調達の選択肢の幅が広がる、こういうことなのでありますが、その点について、実際に広がる、こういうふうな御認識をお持ちかどうかお伺い申し上げます。
#401
○井上義國君 銀行の子会社の証券会社ができるだけで選択肢が広がるとは考えておりません。そういう相互乗り入れをすることによって、新しい血から新しい知恵が浮かび、新しい商品、新しいサービスというものが生まれる土壌といいますか、基盤といいますか、そういうものが整備されることによって、利用者としての、企業としての選択肢が広がると思っております。
#402
○岩村委員 条件整備が前提になる、こういうことでございますね。わかりました。
 それからいま一つ、ついででございますけれども、発行市場におきます諸規制、諸慣行、こういったものの見直し、撤廃について井上代表幹事はどのようにお考えになっておるのか、また、これに対して御要望等がございましたならばお聞かせをいただきたいと思います。
#403
○井上義國君 今の諸規制、諸慣行の中では、やはり社債発行に関しましての受託制度の簡素化というのが一つの問題だろうと思います。今は投資家保護のためということで受託制度、主受託会社、副受託会社というぐあいに決められておりますが、企業の格付というのも国際的にいろいろ整備されてまいりまして、無担保債も出せる状況でございますけれども、無担保債を出せる企業でも投資家保護のための受託会社が要るというのは少しやり過ぎではないか、そういった点はもっとフリーにした方がいいのではないかというのが一つでございます。
 あるいは、銀行の預金制度に関しましても、銀行の預金は三年以上の預金はございませんし、また信託商品は三カ月未満というのはございません。そういったものも、利用者という立場から考えますと、規制緩和を進めてもう少し自由な発想で、もっと利用者の使いやすい商品というものの開発が必要だろうと考えております。原則は届け出だけ、原則は自由になっているものも、運用面でしばしば許認可と同じような規制を受ける場合がありますので、そういった点についての規制緩和をお願いしたいと考えております。
 以上でございます。
#404
○岩村委員 ありがとうございました。
 次に、大木さんにひとつお伺いしますが、協同組織金融機関の立場から今回の制度改革に最も期待されるところはいかなる点であるか、こういう点でございますが、いかがでございましょう。
#405
○大木令司君 特に私どもの協同組織の立場から大きな望みを持っても、なかなかそれはかなえてもらえるものではございません。一般論として、今回の制度改革は、国際化、情報化します中で、地域住民の中小企業者などに対する金融サービスの多様化、そういったニーズに対して可能な限り垣根を低くして、協同組織金融機関においてもそれぞれの体力に応じて地域のニーズにきめ細かく対応していけるような、そういった道を開こうとするものでございます。それで、専門制、分業制に基づく各業態間の垣根を低くすることによって有効かつ適正な競争が促進されますし、これを通じて、各金融機関の経営基盤の強化や自己責任体制の確立に向けての努力が必要不可欠となってきまして、その結果、協同組織金融機関においても、経営の安定とかあるいは金融システムの安定的な発展に今度の制度改革は十分寄与するものだ、そういうふうに強く期待をいたしております。
#406
○岩村委員 もう一点大木さんにお願い申し上げますが、金利自由化の進展というのが金融機関の経営に与える影響、これはどのような影響を与えるか、この辺についての御認識を承りたいと思います。
#407
○大木令司君 大変大きな問題でございますのでお答えになるかどうかわかりませんが、金融自由化は、国際的な規制緩和のいわば大きな流れの中で我が国においても逐次進められております。全面的な自由化へ向けて今一歩一歩進んでおるわけでございます。金利自由化の進展は、預金金利、貸出金利の市場連動性の高まりを通じて、金融機関の調達コストそれから運用利回りの変動を非常に大きくしておるわけであります。そういう意味では、ALM的な対応の必要性が高まっていることも事実でございます。この間金融機関は、規模の大小あるいは地域のいかんを問わず、これまでの大きな変革に対して問題を生ずることなく対応してきております。状況の変化に応じて機敏に適応していくための経営努力は欠かせないのですが、これまでの段階で、多くを学び、今後もこれを乗り切っていけるという自信をつけている金融関係者も大変多いのではないか、こういうふうに考えております。
#408
○岩村委員 巽さんにお伺いします。
 いろいろ巽さんには御質問がありましたが、そのほかにぜひお伺いしたいのは、今回の法改正によりまして有価証券の定義が拡大すれば、中小証券会社にとりましても、ビジネスチャンスの拡大、そういう点に結びつき得るというふうに考えるわけでございますけれども、どのようにお考えになっておられましょうか。
#409
○巽悟朗君 ただいまの御質問につきましても、残念ながら私ども中小証券会社にとりましては、一体何ができるのかとみずからに問うてもなかなかよい答えは出てまいりません。
 すなわち、これまで存じている証券化関連商品につきましても、その開発には相当の開発費を要し、人材、コンピューター等の投資も必要であります。中小証券会社にとりましては、これまで伝統的有価証券と言われる株式、債券についても、ホールセールではなく、リテール中心に業務を行ってきております。その意味でも、今回、法第二条一項に追加されました八号のCP、十号のCARDSや、それに今後政令指定される可能性がある証券化関連商品につきましても、どこか大手が開発した商品の販売に加わる程度ではないかと考えております。
 また、私の知る限りにおきましては、米国の中小証券会社や地方証券会社の中においても、セキュリタイゼーション関連で大きな収益を上げている会社はなく、やはり大手の金融機関や証券会社がセキュリタイゼーションの中心ではないかというふうに思っております。
#410
○岩村委員 学者の吉田先生、前は大蔵に籍を置かれていて多少顔なじみの方もおられるようでありますから、ざっくばらんに御経験を生かして承りたいのでありますが、近年の金融の自由化あるいは国際化、証券化等の進展には、まことに目覚ましいものがあるわけでありますが、このような業況に対応して、今後の日本の金融行政はどう行われるべきであるか、極めてこれは総論的なことであるかもわかりませんが、その辺がぜひ承っておきたいわけであります。
#411
○吉田和男君 大変お答えしにくいのですけれども、私の基本的な考えは、先ほどの公述の中で申し上げさせていただきましたが、金融の自由化というのは不可避であるわけですので、これに合わせて金融制度という衣を相当なスピードで取りかえていかなければいけないということがあるかと思うわけです。しかし、金融の本質というものは変わっていないはずであります。それは、信用秩序というものであるかと思うわけです。信用秩序というのは、秩序というのは壊すのは簡単、つくるのは非常に難しいものでありまして、これが一つには公権力をバックにした制度というものがあるわけですし、それから一つは、金融が伝統的に行ってきた実績というものが大きな役割を果たしているかと思うわけです。したがいまして、金融不祥事なんというのも、ある意味で金融秩序に与えたマイナスというのは決して小さいものではないように思うわけです。ですから、まさに金融界の人たちのモラルとそれから適切な制度改革というものが相まって、この秩序が維持されていくものであるかと思うわけです。それに沿ってやはり次から次へと議論をして、これからも自由化はどんどん進まざるを得ないと思うわけです。そしてまた、そういうふうな自由化を進めることによって日本の経済の効率化は実現されるわけでありますから、相当のスピードで、先ほど申しました衣は取りかえていかなければいけない、かつ根幹を維持していかなければいけない、この両面の仕事が、もちろん私が申し上げるまでもございませんが、これから重要な仕事ではないかなというふうに思っております。
 まさにこれだけ変化の多い時代ですから、国会の先生方もそれから官界の方々も、要するにこれは将来の不確実性が非常に高いものなわけですから、できるだけ金融制度の本来の姿を求める形でいろいろ議論していただければな、そういうふうに思っております。
#412
○岩村委員 議論の進め方についてまで御指導いただきまして、どうもありがとうございます。
 もう一点だけお伺いしますけれども、各国の金融・資本市場の一体化が進んでまいりますが、その中で、我が国が世界の主要金融センターとしての役割を果たしていく必要があるわけでありますが、それについてはどのような方策が必要であるというふうにお考えでしょうか。
#413
○吉田和男君 日本が主要金融センターになっていく二つの理由があるかと思うわけです。
 一つは、現在続いておりますように経常収支黒字でありまして、いわゆる資金過不足上からいきますと余剰国、しかも世界の中で非常に余剰国は少なくなってきているわけですね、アメリカは非常な赤字国、そして途上国は大部分が赤字国、ヨーロッパは、この間までドイツがあれだったのですけれども、合併することによって経常収支も赤字になってしまう、そういった中で日本が世界に向かって資金を供給していかなければならないという、これまでにない立場があるということが一つかと思うわけです。
 それからもう一つは、これは過不足の問題ではなくて、金融の効率的な仲介者としての役割もこれからは果たしていくべきではないかなと思うわけです。そのためには、やはり金融機関の中で金融技術あるいは国際金融の知識とかノウハウをどんどん蓄積していかなければならないと思うわけです。ですから、これからの一つ重要なことは、こういったノウハウの蓄積、技術の開発、そういったものに適合する制度であってほしい、先ほど申しましたように、新しい技術革新を阻害するような形で制度が成ってはならない、新しい技術革新、知識、ノウハウの蓄積を引き出すような形の制度であってほしいなというふうに考えております。
#414
○岩村委員 貴重な御意見、ありがとうございました。
#415
○太田座長 これにて委員からの質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 意見陳述の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうこざいました。
 拝聴いたしました御意見は、法案の審査に資するところ極めて大なるものがあり、厚くお礼を申し上げます。
 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして心より感謝を申し上げ、お礼を申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午後五時一分散会
     ――――◇―――――
   派遣委員の北海道における意見聴取に関す
   る記録
一、期日
   平成四年五月二十五日(月)
二、場所
   京王プラザホテル札幌
三、意見を聴取した問題
   金融制度及び証券取引制度の改革のための
   関係法律の整備等に関する法律案(内閣提
   出)について
四、出席者
 (1) 派遣委員
   座長 中川 昭一君
      井奥 貞雄君    鳩山由紀夫君
      仙谷 由人君    細谷 治通君
      日笠 勝之君    正森 成二君
 (2) 現地参加委員
      松浦  昭君
 (3) 政府側出席者
        大蔵大臣官房審
        議官      内田 輝紀君
        大蔵大臣官房審
        議官      西村 吉正君
 (4) 意見陳述者
        北海道旅客鉄道
        株式会社代表取
        締役社長
        北海道経済同友
        会代表幹事   大森 義弘君
        北海道大学経済
        学部教授    浜田 康行君
        上光証券株式会
        社代表取締役社
        長       山本  實君
        株式会社北洋銀
        行頭取
        第二地方銀行協
        会北海道地区協
        会会長     武井 正直君
     ――――◇―――――
    午後零時三十分開議
#416
○中川座長 これより会議を開きます。
 私は、衆議院大蔵委員会派遣委員団団長の中川昭一でございます。
 私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いいたしたいと存じます。
 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様御承知のとおり、当委員会におきましては、金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案の審査を行っているところでございます。当委員会といたしましては、法案の審査に当たり、国民各界各層の皆様から御意見を聴取するため、御当地におきましてこのような会議を催しているところでございます。
 御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。忌憚のない御意見をお述べいただくようお願いをいたします。
 まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
 会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。
 なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序につきまして申し上げます。
 最初に、意見陳述者の皆さん方から御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
 出席委員は、自由民主党の井奥貞雄君、鳩山由紀夫君、日本社会党・護憲共同の細谷治通君、仙谷由人君、公明党・国民会議の日笠勝之君、日本共産党の正森成二君、並びに現地参加委員として、自由民主党の松浦昭君、以上でございます。
 次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。
 北海道旅客鉄道株式会社代表取締役社長・北海道経済同友会代表幹事大森義弘君、北海道大学経済学部教授浜田康行君、上光証券株式会社代表取締役社長山本實君、株式会社北洋銀行頭取・第二地方銀行協会北海道地区協会会長武井正直君、以上の方々でございます。
 それでは、大森義弘君から御意見をお伺いいたします。
#417
○大森義弘君 本日は、金融制度改革法案に対しまして、金融機関と証券会社の利用者である経済界の立場から忌憚のない意見を申し上げたいと思います。
 なお、経済界としてすべて意見集約したわけでございませんので、これから申し上げることにつきましては、個人の意見としてお聞き取り願いたいと思います。
 一九八〇年代、世界の主要国は、政府の経済への介入を極力排除し、規制緩和により民間部門の自由な競争を通じて経済の効率化、活性化を図ってまいりました。我が国もその潮流の中で、国鉄の分割・民営化を初めとして電電公社や専売公社の民営化を断行し、民間の活力を最大限発揮させようとしたわけでございます。
 JR北海道も、会社発足以来五周年を迎えておりますが、全体的に大変活性化してまいりまして、今日まで順調に経営を進めてきております。しかし一方では、航空機あるいは高速バスとの激しい競争にもさらされておるわけでありますが、民営化の趣旨を体してさらに一層これからも経営努力を重ねてまいるつもりでおります。
 このような規制緩和によります競争促進のうねりが金融の分野にまで及んできたということではないかと思うわけでございます。確かに、専門制、分業制を特色とします我が国の金融制度が、戦後の復興、その後の高度経済成長を支え、我が国経済の発展に大きく貢献してきたことは事実であります。しかし、金融の自由化が進展し、世界の金融・資本市場が一体化していく中で、各種金融機関の業務分野は重なり合い、同質化してきております。にもかかわらず、縦割りの金融制度を抜本的に改革しなければ、各金融業態間の既得権益が擁護され、我が国の金融・資本市場は非効率的なものとなり、資金の効率的な配分を阻害することになると考えます。
 このような状況のもとで、現在審議されております制度改革法案によって、金融機関間の競争が促進されることは喜ばしいことと考えます。銀行、証券などの業務分野への相互参入、有価証券の定義の整備、協同組織金融機関の業務規制の緩和、金融機関の健全性の確保により、預金者保護及び投資者保護を図りつつ競争の促進を図る本法案の早急な成立が図られるよう強く期待するものであります。
 次に、法案に対します具体的な意見を申し上げます。
 昨年の夏以来、一連の証券・金融不祥事は、適正な競争の欠如、金融機関の自己責任意識が不十分であったことなどから発生した遺憾な出来事であります。今回の法案には、業態間の相互参入を図ることによって適正な競争を促進するなど、その再発防止の措置が盛り込まれております。一連の不祥事にけじめをつけるものでもあるというふうに考えられます。今回の金融制度改革がもう一年早く実施されておれば、事態は異なっておったのかもしれません。行革審の答申におきましても、証券・金融両市場におきまして競争促進の立場から金融制度改革を推進する必要が指摘されております。制度改革をおくらせることは、金融システムに対する不信を一層増大することにもなりかねないというふうに考えます。
 地方におりますと、中央のことがよくわからないことがございます。今回の制度改革法案の審議に入るまでに約一カ月かかっておるということ、あるいは論議が進んでいないということが見受けられるわけでございます。国民経済上の視点から見まして、新しい時代に適応した健全な金融システムの構築は機敏に行う必要があるのではないかというふうに考えるわけでございます。
 私たちにとりまして関心が高い地域経済への影響につきましては、相互参入の促進によりまして業態間の垣根が低くなり、地域の企業は資金調達、運用面における選択肢が広がるとともに、地域の住民は信託業務に係る新商品の提供、サービスの提供が受けられるという効果があります。例えば信用金庫等の地域金融機関では、地域開発の支援に通じる土地信託、篤志家によります奨学金支給を目的とする公益信託、地域の企業のための社債の受託や外国為替業務が行えるようになり、地域社会のニーズに対応できることとなるように思います。
 このように地域金融機関の業務範囲の拡大によって、地域の住民、企業、農林漁業者は、多様で良質な金融商品・サービスを受けることができるようになるとともに、地域金融面からの貢献を通じて地域間の格差の是正、地域経済の活性化に資することが期待されるわけであります。
 この機会に産業界からの要望を申し上げたいと思います。
 金融・資本市場において自由な競争を阻害しておる諸規制、諸慣行の見直しを、産業界より金融制度改革に対して要望したいと思います。企業への多様な資金調達手段の提供、資金の仲介者の競争促進を通じた資金調達コストの低下、より多くの企業が市場を利用することが可能となるようぜひお願いを申し上げたいというふうに思います。
 企業の資金調達面においては、国際的目標でございますBISの自己資本比率規制への対応などから、銀行の貸し出しはその伸びに限度があります。直接金融による企業の資金調達を容易にするためには、私募についての法整備が不可欠であると考えます。普通社債についても、海外市場における社債発行が活況を呈しておるのに対し、国内市場については十分と言えません。国内社債発行市場の活性化、国際的に整合性のとれた市場の実現に向けて一層の対応が望まれます。
 また、規制の緩和によりまして、企業が余剰資金を安全かつ効率的に運用できるような良質で多様な金融商品の提供や各種手数料の引き下げなど、サービス面でも向上が期待されます。
 さらに、幅広い有価証券概念を導入することにより、資本市場での資金調達と資金運用手段を広げることとされておりますが、より一層自由な資金調達活動が展開できるようにぜひお願いをしたいと思います。
 株式市場への影響でございますが、株式市場におきます株価の下落は、バブル経済の崩壊と金融システムへの不安を大きく反映しております。株式市場が不振を脱するまでは痛みを伴う制度改革は避けるべきだという慎重論もございます。しかし、先行きの枠組みも決まらない市場にリスクに敏感な投資家が戻ってくるとは考えにくいわけであります。個人投資家もあつものに懲りている状態にあるのではないかと思います。株式市場を活性化するためには、市場の仲介者に新しい血を入れ、新しい顧客を発掘していく必要があります。小手先の株価対策よりも、制度改革による健全な金融システムの構築こそが株価の回復の王道であるというふうに考えます。
 金融制度改革法案は、市場の取引の公正性、透明性を推進する目的もあります。株離れを食いとめ、市場に資金を呼び戻す上でも有効だというふうに考えます。制度改革がおくれることになりますと、現在の市場が温存されることとなり、投資家の市場への不信感は一層増幅するのではないかというふうに考えます。
 バブル経済の崩壊によりまして、金融機関の経営も悪化しております。特に証券会社は、この三月期決算におきまして軒並み大幅減収の状況にございます。このような状況が続きますと、この夏以降容易ならざる事態が起こるかもしれないという説もございます。
 それぞれの地域の金融機関、証券会社が生き残るための具体策は経営者がみずから決定することではございますけれども、そのためには法律上の選択の幅が広くならなければならないというふうに考えます。金融の自由化の中で、今後業務範囲をどのように拡大できるのかという内容が法案に盛り込まれております。制度改革のおくれは銀行や証券会社の戦略的対応を混乱させることになりかねないというふうに考えます。
 万が一、銀行や証券会社の経営が悪化した場合は、地域経済に与える影響は非常に大きいものがございます。その救済方法や異なる金融機関間の合併などをスムーズに進めるために、多様な手段や受け皿が必要であろうと思います。特に銀行や協同組織金融機関は、信用秩序の維持という普通の企業とは異なる公共性を担っていることを十分わきまえておく必要があります。
 金融自由化の先進国でございます米国では、貯蓄貸付組合を中心に経営危機に追い込まれた金融機関が続出いたしまして、このため預金保険機構とは別に破綻貯蓄貸付組合の整理のため整理信託公社を設けまして、一千億ドル規模の財政資金を投入する措置をとっております。これが米国の財政赤字を膨らませていることは周知の事実でございます。
 我が国におきましては、税金で金融機関を救済するような事態にはまずならないと考えておりますが、金融機関の経営の健全性を図ることは重要であります。その意味で、法案により法的根拠を与えられる自己資本比率規制等の経営諸比率規制が、金融機関の活動を直接的に制約しない形で金融機関の経営の健全性を確保する手段として有効ではないかというふうに考えます。
 また、国際的立場でございますけれども、我が国の金融・証券市場は、ニューヨーク、ロンドンと肩を並べる世界の主要マーケットとなっております。世界の金融・資本市場の一体化が進んでいる中で、我が国が独自の金融制度を維持し、内外の金融機関の自由な活動を制限することは、我が国での業務の拡大や新商品の売り込みを希望しております外国銀行、外国証券の批判を招きかねず、国内企業にとってもそのような資金運用が利用できない状態が続くことになるわけでございます。金融制度改革がおくれるということにでもなりますと、国際的理解を得にくいばかりか、国内市場の空洞化や世界的な資金配分機能への悪影響、ひいては我が国の国際的な信用が失墜するという事態が生ずる懸念もございます。したがって、早期に主要国の制度と調和のとれた金融制度を実現し、我が国の責務を果たしていく必要があろうかと存じます。
 最後に、利用者の立場として申し上げますが、今回の金融制度改革法案は、時宜にかなった重要な法案であるので、ぜひとも今国会において成立させていただきたいと考えます。
 最後に、利用者からの要望として、利用者のニーズに合った金融機関を選ぶ手がかりが欠かせないために、金融機関の経営内容の開示、ディスクロージャーの拡充が必要であろうと思います。さらに、政府に対しましては、金融制度改革を実施する際に、利用者の視点に立った健全な金融システムの姿を見据えて、個々の業界の既得権益や利害に引きずられ、利用者の利便の向上がいやしくも妨げられることのないよう希望してやみません。
 以上、大変貴重なお時間をいただきまして意見を申し上げさせていただきました。ありがとうございました。
#418
○中川座長 大森君、ありがとうございました。
 次に、浜田康行君にお願いいたします。
#419
○浜田康行君 北海道大学の浜田でございます。
 私は、いつもこの時間は大学で講義をやっている時間でございまして、学生に謝ってこちらに参ったわけでございます。今ごろ休講掲示板を見て、きょうは休講だというふうに思っている学生がいると思いますけれども、そういうわけで、私にとっても貴重な時間でございますので、論点を絞って手短にお話ししたいと思います。
 私は、いつも金融のことを考えるときには、ある簡単なイメージを頭に描きます。それは三つの丸を頭の中にかくのです。一番左の丸はお金を余す人、一番右側はお金を借りる人、真ん中はそれを仲介する人、そういう簡単な絵をかきます。今お手元に座長の許可を得まして資料をお配りしてありますけれども、それは今私が申し上げた三つの丸をもう少し複雑にしたものであります。
 金融の意義というのをこの三つの丸でいつも考えるのですけれども、片方に、所有しているけれども使わない、右の片方には、使いたいけれども持っていない、お金という最も有用なものをそのままにしておくと有効利用が妨げられる、そこで、持っている人から使いたい人へ速やかにお金を移動する、これが金融の意義の一番原理であります。
 金融の効率化ということがよく言われますけれども、それは真ん中にいる仲介者がいかに迅速に使い手の使い勝手のいいように届けてあげるかということが金融の効率性であります。
 余談になりますけれども、金融が効率的に働くかどうかということは、社会の経済発展に非常に大きな意味を持っております。旧社会主義国が経済発展におくれをとったということの原因はいろいろあるわけですけれども、その一つに、効率的な金融制度がなかったということが言えると思います。モスクワ大学では、最近、銀行論の講座を開設するということを聞いております。
 金融というのはそういうものでありますから、お金を余す側、それからお金を借りる側の状況変化によってみずからを変革していかないと、効率的であり続けられないという宿命を持っております。
 余す側の変化というのはどういうことかと申しますと、例えばお金を余す主体、外国人が入ってくるとか、それからどういう種類のお金を余すのか、どういう動機で余すのか、そして何より量の問題がございます。借りる側にも、お金はどういう人が借りるのか、どういう種類のお金を借りるのか、どういう動機で借りるのか、そして量の問題があるわけであります。仲介者の能力も技術革新によって進歩しますので、こういうことを考えますと、金融制度というものはそのときどきに応じて変化していかなければならないわけであります。
 現行の金融制度は戦後形づくられた。その後の金融変化というものを考えますれば、今回の金融制度改革というものは当然のことでありまして、制度を改革するという総論に反対する人はまずいないと思います。私も賛成であります。
 ただ、個々の点ではいろいろ意見があると思いますけれども、私は次の二点について私の見解を述べたいと思います。
 第一点は、今法案の精神であります。基本哲学と言ってよいようなものでありますが、誤解を恐れず申し上げれば、今回の法案には二つの魂と申しますか、二つの精神が盛り込まれている。幾つかの精神があってもそれは一向に構わないのですが、それが同じ方向を向いていれば、それを束ねて一つの法案にすればいいわけですけれども、私の見るところでは、どうも方向が違う二つの精神が盛り込まれているというふうに見えてならないわけであります。
 今回の法案は、長年の金融制度調査会の結論を踏まえたものであります。その報告書にもありますように、現行の金融制度は資金不足の時代の産物であって、資金は貴重品でありますから、それを使ったら経済発展に一番貢献できる、そういうところに効率的にお金を流す、そういうためにさまざまな規制がつくられたわけであります。規制金利であるとか業際規制、いわゆる垣根の問題とかというのはすべてそういうためにあった。しかし、状況は変わって、今やそういうものはかえって金融効率化の障害になったということが調査会の基本的な意見であります。そこから出てくる結論は極めて明白でありまして、規制を緩和し、自由化を進めるということであります。
 答申を読みますと、自由化、規制緩和という言葉が何回も出てまいります。基本的な答申の潮流、そして今法案に盛られた精神の基本的なものは自由化であり、規制緩和であるということは明らかであります。
 では、もう一つ、反対方向のものというのは一体何でしょうか。それをもたらしたものは、金融不祥事という一連の事件であります。金融制度改革を実行するに当たって、いわばその改革論議に接ぎ木する、表現は適当でないかもしれませんけれども、金融制度改革という大きな木に金融不祥事防止という枝を接ぎ木するという形で事態が展開したのではないかというふうに考えております。問題は、この接ぎ木がうまくいくかどうかであります。
 私は、一方的に接ぎ木と申し上げているのですけれども、法案の形成過程を見れば、こういうことがあったということは明らかではないかと思います。基本答申が出ました後、フォローアップ委員会というものが開かれまして、それは法案の経緯というところに書かれているのですけれども、そこには、制度問題と関連させて不祥事防止問題を議論したというふうになっております。金融制度というのは、後でも申し上げますけれども百年の計でありまして、非常にさまざまな議論があります。ややもすれば議論がおくれがちになる。そこで、金融制度の改革という問題を金融不祥事対策ということを追い風にして議論したというふうに言ってよいのではないかと思います。
 このフォローアップ委員会の報告書というものが出たのですけれども、それを見てみますと、銀行の自主管理、自己責任ということを基本としつつも、規制緩和という文字も見えるのですけれども、それと同時に、健全性の諸比率は行政当局が定めるとか、検査ということに言及したりしまして、この後者の方は明らかに規制緩和とか自由化とかいうのとはちょっと違った方向性を示しているのではないかと思います。
 どうしてそういうことになったかと申しますと、不祥事に対する考え方からそれは出てきたのであります。不祥事はなぜ起きたか。それは、経営の自覚不足であるということがもちろん言われて、私は全くそれに異議はないのですが、それと同時に、監督不行き届きであったという反省がなされているのであります。私は、そういう反省をする必要はそんなにはなかったのじゃないかというふうに個人的には考えているのですが、監督不行き届きだということになりますと、表現はどうあれ、監督を強化するという形にならざるを得ないのであります。
 しかし、よく考えてみると、金融制度改革ということと金融不祥事への対策ということは、私は別の問題だと思っております。この点では、先ほどの大森さんの意見とは全く反対のことを私は言うわけですけれども、一緒に議論ができるのであろうか。金融制度改革というのは百年の計であります。金融不祥事というのは、ここでは詳しく申し上げられませんけれども、いわゆるバブル経済の一現象、一側面でありまして、一九八〇年代の後半に日本経済に生じた一つの病理であります。それがどんなウイルスであったか、そのウイルスがどうして出てきたのかということは学会でも今検討中であります。
 私の言いたい第一点は、法案のメーンは、基本精神のメーンは自由化、規制緩和でありますから、そこに不祥事防止から来るやや反対方向の接ぎ木をするということがどんなものであろうかということであります。こういうことを申し上げると、その接ぎ木をした苦労が大変だったんだというふうに法案作成当局からおしかりを受けるかもしれませんけれども、私は、問題は分けた方がよいというふうに思っております。
 第二点に移ります。
 地方に住む者にとって今回の法案に係る最大の関心は、地方金融機関、地域金融機関は一体どうなるのかということであります。申すまでもなく、地域経済を支える最大の経済勢力は中小企業であります。その中小企業に金融的サービスを提供する、そういう面で地域金融機関は多大の貢献をしているわけであります。その将来がどうなるかということは、恐らくここにお集まりの方々の共通の関心だろうと思います。
 さて、法案では、競争の促進ということがよく使われております。その競争を促進するということと地域金融機関がどうなるかということ、この二つの関連が焦点だろうと思います。
 競争には横の競争と縦の競争がございます。横の競争というのは、例えば都市銀行間の競争であります。縦の競争というのは、ある地域において都市銀行の支店とそこに本拠地を置く例えば信用金庫とが競争するというような競争であります。
 まずここでは、縦の競争について考えてみます。
 大銀行は規模の経済を生かしてコストを下げ、良質のサービスをする。地域の金融機関は、これに対抗するためには土着性、ちょっと言葉は適当でないかもしれませんが、土着性を生かし、面倒見を生かし、地域との関係、そういうものの深さを生かしていく。そういうもので競争し合って、現在では適当な折り合いがついているところだと思います。一九八〇年代は別であります。一九八〇年代は、都市銀行が地域金融に大幅に進出しましたので、とったとられたという激しい競争戦があったのですが、現在のところは一定のすみ分けがついて、競争のバランスがとれた状態になっているだろうと私は判断しております。
 さて、そういうところで今回の法案が通りますと、大手の方は一層総合化、規模の利益を前面に出してくることができるでしょう。地域金融機関の場合には、ややそういう面ではおくれをとる。そこで競争のバランスが崩れて地域金融機関は苦境に立ってしまう、これが一番心配された図式であります。これはこうなると言っているのではなくて、こういうふうな図式もあるということです。法案はそういうことを配慮してさまざまな手を打っております。地域金融機関に業務の多様化を許す、組織のフレキシビリティーを考える、員外役員等々、それからセーフティーネットについてもきめ細かい規定を用意してあります。いわば大手の金融機関は一層デパート化するわけです。それに対抗するために地域の金融機関は、今まで持つことを許されなかったさまざまなカード、トランプで言えばさまざまな切り札を持つことができるようになったわけであります。私の申し上げたいのは、そういうことを、そういうカードを使いこなせるかどうかであります。
 外国為替業務一つとりましても、また信託業務一つとりましても、それはノウハウとそれを持った人材がなければこのカードは使えないわけであります。こういうものが地域の金融機関には今決定的に不足しております。地域の金融機関と申しましても、きょうここにおられる武井頭取のところなどは非常に大きいものでありまして、私が念頭に置いているのは、もう少し小さい、小型の金融機関を念頭に置いております。そういうところではカードを渡されても使えるんだろうかという問題があると思います。行政の過保護は禁物ですけれども、この問題、つまりソフト面ですね、そういう面について、地方公共団体とともに政府が地域経済政策、中小企業育成という観点からソフト面での援助をお願いしたいというふうに思っております。
 ほかの論点もありますけれども、時間でございますので、これで私の発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#420
○中川座長 浜田君、ありがとうございました。
 次に、山本實君にお願いをいたします。
#421
○山本實君 上光証券の社長を務めております山本でございます。
 本日は、ただいま本委員会において御審議が進められております金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案に関しまして意見を申し上げる機会を与えていただきまして、まことにありがたく、厚くお礼を申し上げます。
 まず最初に、先生方の御理解を得るため、私ども中小証券会社の現状等について御説明申し上げたいと存じます。
 昭和四十三年に証券会社の免許制が導入されて以来四半世紀を経過いたしましたが、本年三月末現在、証券会社として免許を受けております会社数は全国で二百六十七社でありまして、このうち外国証券会社五十社及び才取り会員等特殊な証券会社七社を除きますと、一般の証券会社は二百十社になります。この一般証券会社二百十社のうち二十二社が直接大蔵省に監督されており、残りの百八十八社が財務局の監督を受けております。このように財務局監理会社であります中小規模の証券会社は、一般証券会社二百十社のうちの約九割を占めておりますが、この北海道地区にはいわゆる地場証券会社が私どもの会社を含め三社ございます。
 最近の株式市場の低迷等の影響を受けまして、中小証券会社の収益状況は極めて悪化し、本年三月期決算において受け入れ手数料収入は前年の四二%減の三千四百五十五億円に落ち込み、経常損益は九百十四億円、当期損益では八百二十七億円の赤字を計上しております。社数で見ますと、中小証券会社の約八割が赤字を計上するという深刻な事態でございます。私ども上光証券におきましては、本年三月期決算において受け入れ手数料収入は前期比較三五%減の十億円まで落ち込みまして、経常損益、当期損益とも赤字を計上し、残念ながら今期は配当を断念せざるを得ない状況になっております。
 証券市場の発展や顧客のニーズの多様化に対応しまして、中小証券会社におきましても近年営業面の多角化の努力を続けておりますものの、この三月期決算における収入面を見ますと、受け入れ手数料収入のうち、株式を中心とする委託手数料収入は二千九百三十六億円と、受け入れ手数料収入の約九割を占める状況になっておりまして、さらに信用取引等に係る金融収益を含めますと、営業収益の大宗は株式ブローカー業務によるものとなっております。これは中小証券会社が伝統的に株式投資を選好する個人投資家を中心に営業活動を展開してきたことによるものと存じます。したがいまして、株式ブローカー業務は、中小証券会社にとりましてはその会社経営を左右する非常に重要な業務であることが御理解いただけるものと思います。
 それでは、以下、今回の制度改革法案につきまして、中小証券会社の立場から意見を申し述べさせていただきます。
 私どもも、今回の制度改革が我が国の金融・資本市場の自由化、国際化を進めるために必要なものであり、長い時間をかけて証券取引審議会や金融制度調査会で審議され、その審議結果を踏まえたものであることは十分承知いたしております。しかし、私どもの本音を申し上げることをお許しいただければ、現在のような経営状況が極めて厳しい時期に制度改革という荒波に直面せざるを得ないことは、中小証券会社にとりましては何とも大変つらいなという感じを強くしております。
 また、制度改革について、証券化関連商品の導入、機関投資家向けの私募市場の育成、証券会社の銀行子会社設立の可能性等が具体的に話題になるわけでありますが、率直に申し上げまして、私ども中小証券会社にとりましては、これらの改革の目玉は遠い世界の話であります。今回の制度改革は、結局一部の大銀行や大証券会社の業務拡大につながることにより、金融・証券分野における大小格差をさらに増幅することになるのではないかという懸念も強いわけであります。
 もちろん、今回の法案では、株式ブローカー業務を当分の間銀行等の証券子会社には認めないことを明記されるなど、格別の御配慮をいただいておりますし、私ども中小証券会社としても、いたずらに現状に甘んずることなく、自由化、国際化、証券化等の大きな流れの中で、多様化する顧客ニーズに積極的に対応すべく、的確な経営方針のもとで全力を尽くさなければならないと考えております。
 したがいまして、私は、今回の制度改革に反対するという考えではありませんが、改革の結果、私ども中小証券会社の経営が立ち行かなくなるようなことはぜひとも避けていただきたいと思っております。この意味で、新しい証券会社の新規参入のテンポ、銀行等の証券子会社に認められる業務の範囲、銀行本体が取り扱える証券化関連商品の範囲等については、十分な配慮がなされる必要があり、これらの諸点について、今後の行政運用方針の明確化を含め、慎重な御審議をお願い申し上げます。
 以上、総論的に申し述べさせていただきましたが、次に、二、三具体的なことについて意見を申し上げたいと存じます。
 第一に、本年一月の証券取引審議会報告において、新規参入のあり方が検討されたことを踏まえまして、今回の改正法案に免許の審査について「証券業における公正な競争が確保されるよう配慮しなければならない。」と規定されております。私どもは、適格性を有する者が、証券会社として、かつ実効性ある弊害防止措置が講じられることを前提に、証券業務に新規参入することに反対するものではありません。しかし、その参入は、先ほど申し上げましたように、中小証券会社の立場にも留意されて、当面発行市場を中心に、漸進的、段階的に行われるべきであると考えます。適格性に関しましては、特定企業や企業グループのみに依存するようないわゆる機関店的な証券会社は認めるべきでないと思います。
 第二に、中小証券会社を経営している者といたしまして日々実感しているところでございますが、銀行の力が現実の金融・証券取引の分野で強大であるということであります。
 私どもの営業の中心であります個人営業の面でも、競合する銀行の総合力、すなわちこれは店舗網、人材、情報力、信用力等のすべてが含まれると思いますが、この銀行の力が顧客に強い影響を与えていると思います。また、法人営業の面でもいろいろな面で、銀行自体の取引については当然のこと、銀行の取引先である事業会社の証券取引についてもその影響力が及んでおり、銀行の総合力の強さということを感じるわけであります。
 仮にこのように強力な銀行が子会社により証券業務の分野に参入するというようなことになれば、それは中小証券会社の経営にとって大変大きなインパクトを与えることになり、これにより万一中小証券会社の経営が不安定になるようなことがあれば、当然証券市場の仲介者として十分な活動ができず、ひいては市場の機能発揮にも支障を来すことになるわけであります。
 今回の改正法案附則第十九条第一項では、証券取引審議会報告に基づき、銀行の証券子会社については当分の間、株式のブローカー業務を認めない趣旨が明記されております。法文上は株券に限定されておりますが、こうした制限は、その趣旨から見て、CB、ワラント等のいわゆるエクイティー物や株価指数先物取引に関するブローカー業務についても運用上同様に取り扱っていただきたいと思いますので、今後の法案審議において、この点について明確にしていただきたいと存じます。
 第三に、発行市場に関する証券業務を行う銀行等の証券子会社が設立された場合には、私ども中小証券会社が、それぞれの経営方針や営業規模に応じて、これら銀行等の証券子会社が引き受けた証券の分売業務に参加すること等は十分予想されることであり、このようなやり方によって制度改革の目的を達成することが現実的な道でないかと考えております。
 第四に、昨年夏以降の証券不祥事の発生もあって、株式委託手数料制度の見直し論が強まり、昨年十月以降証券取引審議会でこの問題が取り上げられ、本年一月、委託手数料について自由化への展望を探ることは必要である、まず比較的問題の少ないと思われる大口取引の手数料の自由化を図る、大口取引の水準、実施時期等の実施細目については作業部会で十分検討する等の方向が取りまとめられたことは、先生方も御承知のことと存じます。この作業部会の検討はまだ始まったばかりですが、私どもは、株式委託手数料問題は単に証券会社の経営問題というだけでなく、証券市場のあり方や投資者の投資行動にも密接に関係する問題であり、慎重な検討が必要であると考えております。
 第五に、中小証券会社の経営問題についてであります。本年一月の証取審報告書には、「自由化によりブローカー業務から撤退せざるを得ない証券会社が出てきたような場合」とか「証券会社の経営の悪化により投資者が不測の損害を被ることのないよう各般の努力を行う必要がある。」等の表現が見られ、また、今回の改正法案には、既存証券会社の経営破綻を救済するため、銀行等がそれを取得する場合を予想したと思われる特則も置かれております。まさに今回の制度改革が自由化や競争促進を目指すことによって、その過程で個別会社の経営破綻が生じることもあり得るという割り切った考え方が示されているように思われます。
 私どもは、決して護送船団方式と言われるような保護行政を続けてほしいと主張するわけではありませんが、証券市場の仲介者という重要な役割を適切に果たすためには、どうしても経営の安定化が必要不可欠な前提であります。また、大小の別なく個性のある、独立性のある証券会社がそれぞれ自信を持って活躍できることが証券市場の活性化の基本ではないかと考えます。このような経営問題について、ぜひとも先生方の御理解を賜り、有益な御支援をいただきたいと存じます。
 以上、いろいろ申し上げましたが、私は基本的に、昨年六月の証取審報告書「証券取引に係る基本的制度の在り方について」に則した制度改革を実現していただきたいと思っております。その趣旨はこの改正法案に盛り込まれているわけですが、政省令の内容、今後の行政運用の方針等を含め、この点について十分な審議をお願いしたいと存じます。
 証券界全体といたしましては、新しい証券化関連商品を有価証券に機動的に指定すること、私募の対象証券を明確にするとともに私募市場の転売規制等を行うこと、銀行本体の取り扱える証券化関連商品の範囲や証券子会社に当面認められる業務範囲を明確にすること、親銀行と証券子会社との間に実効性ある弊害防止措置を構築すること等を重要なポイントとして強く要望しておりますので、先生方の御理解と御支援を重ねてお願い申し上げる次第でございます。
 以上をもちまして私の意見陳述を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
#422
○中川座長 山本君、ありがとうございました。
 次に、武井正直君にお願いいたします。
#423
○武井正直君 北洋銀行の武井でございます。
 私はきょう意見を述べさせていただく立場でございますけれども、私どもの銀行は百十九支店がございますけれども、そのうち百十八が北海道にございまして、典型的な地域金融機関でございます。規模は一兆三千五百億ぐらいでございまして、地方銀行全部、百数十行の中でちょうど真ん中ぐらいになる、最も典型的な地域金融機関ではないかなと思っております。
 きょうは、全般的なこの法案に対する考え方と、それから、地域金融機関でございますので地域金融機関としての意見と、この二点について私は意見を述べさせていただきたいと思います。
 なお、私どもは平成二年の二月に相互銀行から普通銀行に転換をさせていただきまして、今度の法案の中で相互銀行法廃止法案というのがあるのはまことに感慨無量なものがございます。そういうわけで、相互銀行から転換いたしまして大変その点ではイメージが上がりまして、そういう意味でもすべての改革ということはいいことだなと思っておる次第でございます。
 私は、現在の社会現象というものを総覧いたしますと、国際化、それから国民のニーズの多様化、それから情報化、通信の著しい進歩といいますか機械化の進歩というようなことが進みまして、すべての社会現象のシステムというものが、これは政治、経済、金融、文化、すべての面で従来のような縦割りだけではうまくいかないという枠組みの変化というのでしょうか、その枠組みを変えなければその変化に対応できないという、大きな時の流れの一環として今度の法案が提出されたのではないだろうかというふうに理解しております。そういう意味におきまして、その趣旨から見ますと、私は基本的にこの法案に対して賛成の立場をとっております。
 まず全般的な観点でございますけれども、これは一つは、日本経済の世界に占める比率というのがここ十数年間で著しく増大いたしまして、国際化ということはどうしても避けて通れない。特に金融市場というものは、情報通信の発達によりまして、より便利な商品のある市場に全部シフトしてしまうということでございますので、日本の市場がもし閉鎖的で縦割りになっておりましたら、恐らく日本の金融市場というものは衰微してしまう。そういう観点から見ますと、国際的に共通の基盤というものが必要になってくるし、その整備が必要ではないか。これが私は今回の法案に賛成する第一点でございまして、また、もう一つは、我が国の個人の金融資産、この金融ストックがふえてきたということは事実でございまして、そういう意味から金融商品というようなものの多様化がどうしても必要になってくるということが言えるのではないだろうか。このような状況から見ますと、今度の制度改革というものは世界の大勢から見まして時宜に適したものであるというふうに思っております。
 しかし、バブル経済が崩壊いたしまして、これを処理するのにまだ数年かかるだろうというふうに思うわけでございます。したがいまして、改革の推進とか業務の範囲の拡大のためには、信用秩序の維持と、それから過度の競争をある程度上手に整理していくということがないと、金融機関が危殆に瀕するようなことは、これは金融機関というのは自己責任の原則でやるのが当然でございますけれども、アメリカの例に見られますように、社会的コストというのですか国家的コストが非常に増大してしまって、SアンドLのようなことが起こりますと、これは国民の税金で賄われたファンドを使わにゃいかぬわけですから、そういうことがないような措置というものもあわせてとっていく必要がある。したがいまして、さっき浜田先生がおっしゃったように、一つのそういう国際的なニーズと、もう一つバブル崩壊という、これは接ぎ木だと言われますけれども、接ぎ木かどうかはちょっと別といたしまして、たまたま不幸にしてこういう問題が起こっているということの調整を図っていく必要があるのではないか。そのためにはやはり、この進捗状況といいますか自由化の進捗状況と、どういう問題点があるんだということを見ながら着実に前進させて、信用機構の安定性と信頼性というものを確保する必要があるのではないか。したがいまして、私は基本的には、すべて銀行の指標その他というものは法令で定めるのが好ましい。これは透明性とか公平性というような意味で、慣行、規制を含めまして、その方が好ましいとは思いますけれども、今のようなバブル崩壊の後処理というような問題を考えますと、政省令にある程度ゆだねられた行政裁量の余地というものも必要な措置であるのかなというふうに思っております。
 それからもう一点、全般的な問題といたしまして、我が国の金融制度はかなり規制緩和を見たわけでございますけれども、歴史的な経緯から見まして、縦割り的要素が極めて強く残っておるという点もあるわけでございます。資金の不足時代から余剰時代に変わりまして、縦割りの業務のみでは対応できないというふうに私は思います。金融商品の自由化というのはかなり進みましたけれども、また二、三年のうちには完全自由化ということが予測されると思います。
 それで、業態別にどういうシステムが一番好ましいか、これはヨーロッパのユニバーサルバンキングシステムとアメリカのような証券と銀行とを分離している、最近は相互乗り入れが起こっておりますけれども、グラス・スティーガル法の精神にのっとっているのとどっちが正しいかというような点から考えますと、私は証券、銀行分離の方が好ましいという基本的な精神は持っております。ただ、今申し上げましたような自由化が非常に進んできておりますし、何が証券で何が銀行だということがわからない、業際が不明になっている部分が非常に多くございますので、そういう点で今回考えられた解決策としての業態別子会社方式という方式は漸進的な解決方法であったのかな、そういう意味で、現在のところではこの方式が最も好ましいというふうに私は思っております。したがいまして、この法令が出ましたら、政省令の細部というようなものが今明示されておりませんけれども、これは速やかに制定されることを期待してやまない次第でございます。これが全般的な問題でございます。
 次は、私ども地域金融機関から見てこの制度がどうなのかという点の意見を述べさせていただきます。
 子会社方式と本体で参入する方式というのがございますけれども、私ども程度の規模の銀行を考えてみますと、それからもうちょっと小さい方も含めまして、自己の体力とかリスク回避、それから地域性、それから予想されるお客様のニーズというようなものを勘案いたしますと、私どもとしては当面本体で相互乗り入れ方式を考えております。地域金融機関として、例えば信託業務というものについて、土地信託とか公益信託というもので大体お客様のニーズにはこたえられると思います。また、業務提携方式にするのか代理方式にするのか、この辺は政省令の細部を検討してみないと、まだどちらにするかということは決めておりません。
 それから、証券業務につきましては、子会社をつくるつもりもございませんし、山本社長のところの業務を侵害するような行動はするつもりはありませんけれども、地域金融機関として、証券関連商品という、CPなんかも入るわけでございますけれども、そういうものが拡大してくればやはり非常にお客様のニーズに対応できるようなことができるので、子会社はつくらなくてもいいのかなというふうに思っております。
 子会社方式と本体での相互乗り入れということの業務範囲につきましては、本体方式の方が範囲が狭くなっておるように思われますけれども、実際は遺言信託とかなんかである程度の金銭信託というようなものも今後出てくるのではないだろうかと考えておりますので、その辺は経営の裁量である程度できるような方式の方が私は好ましいのではないかというふうに思っております。
 また、協同組織の金融機関が本改革の推進によってどうなるかという点でございますけれども、私ども地域金融機関として見ておりますと、むしろ我々よりも協同組織のところというのは、地域密着度が非常に高いという点で顧客のニーズに非常に細かく対応しておられる、地域経済への寄与度が非常に高くて比較的安定した経営をしておられるというのが北海道の現状ではないのか。これは財務局が言われることなんで私が言うべきことではありませんけれども、私はそう思っております。したがいまして、金融の現状から見まして、業務範囲を拡大するということは適切なことでございますし、浜田先生がおっしゃったような適切なソフトをだんだん教えていく、教えるというのでしょうかな、対応していくということが好ましいのではないかというふうに思っております。
 それから、中小金融機関、私どももその範囲に入るのですが、今度の法令改革でつぶれるんじゃないかというような危惧の念もないとは言えないと思いますけれども、それと中小金融機関を利用しておられるお客様の利便が損なわれるという点を心配される向きもありますけれども、私はそういうことは割合ないのではないか、楽観的かもしれませんけれども。ですから、規模とか資本力の大小によって決まるのではなくて、地域に密着した地域経済への寄与度が大きいところの方が生き残るというふうに私は思います。これは先進国のアメリカの例を見るまでもなく、アメリカの大銀行、コンチネンタル・イリノイズを初めといたしまして、そういう銀行がそれじゃびくともしなかったかというとそんなことはないんで、今アメリカで最も生き生きしている銀行はスーパーリージョナルバンクなりリージョナルバンクなんで、私はそのことは、今回の改革によって中小金融機関が危殆に瀕するようなことはない、それは経営のあり方そのものに問題があるのではないかというふうに思っております。
 したがいまして、大銀行だけが容易になるんじゃなくて、今回の不祥事件その他を見ておりますと、大銀行も相当やられておるようでございますので、我々の方は余りやられておりませんので、大きいものが勝って小さいものが負けるということは私はないと思います。それは確信しておるわけでございまして、地域に密着し、顧客のニーズに対応した者が生き残るということが言えると思いますし、これはまた生活者の立場からの利便を考えても、例えば私どもの銀行は、地域の集めました預金の一〇〇%を東京にはほとんど、いやむしろコールローンを東京から引いているぐらいでございますので、地域の活性化というのには、むしろ道外資本を当地方へ入れているという立場であるわけですから、私はその地域の活性化というものにつながってくるのではないか。
 私は、もう一言言わせていただきますと、日本の場合は郵便局との関係がございまして、これは今度の改革法案には入っておりませんけれども、去年一年間の北海道の個人資本の流入状況を見ますと、約七千億あるわけですが、そのうち郵便局が約四千五百億で我々銀行は二千五百億なんです。これはやはり自由化がおくれているということによりまして、お金の流れが郵便局の方へ行っちゃった。これは定額貯金の優位性というのもあるわけですけれども、地域金融機関としては今度の金融改革法案以上にこの辺の対応をどう見るか、しかも郵便局のお金は財政資金として吸い上げられて地域には資本として残らないわけですから、資本の収奪が起こるということになるのではないか、そういうふうに思います。
 それから、縦割りというものから考えてみますと、今度長プラが上がるかもしれませんが、そういう点を見ますと、縦割りの長期信用銀行は六・三%でございますし、我々のところは今短期プライムレートが五・二五で、五年超ならプラス〇・五でございますので五・七五、これはまことに奇妙な現象が起こってしまうというようなことで、これが自由化されたらどっちにお金を借りに来るかというと、我々の方に来るんじゃないかというふうに思いますけれども、それはわかりませんが、やはり自由化した方がお客様の利便にもなるんじゃないかというふうに思っておる次第でございます。
 以上、地域金融機関の立場としての意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。
#424
○中川座長 武井君、ありがとうございました。
 以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#425
○中川座長 これより委員からの質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦昭君。
    〔座長退席、井奥座長代理着席〕
#426
○松浦(昭)委員 私は、当札幌を含みます北海道一区の選出の松浦昭でございます。
 現地で参加をいたす委員としてこのたび意見を言わせていただく機会を与えていただきましたことを大変ありがたく思っている次第でございます。
 また、意見陳述者の方々、大変お忙しいところをどうもありがとうございました。また、貴重な御意見を承らせていただきまして、心から感謝をいたす次第でございます。
 私から御質問申し上げますが、最初十五分間でございますので、一括してお聞きをいたしまして、適当に御意見をお述べいただければありがたいと思います。
 まず浜田先生、それから武井頭取、それに山本社長にお伺いいたしたいと思うのでございますが、二つに分かれておりまして、まず浜田先生からちょっとお伺いをいたしたいと思います。
 今回の法案の特色と申しますのは、銀行が証券子会社や信託銀行の子会社をつくって、また証券会社が銀行子会社や信託銀行子会社をつくることによりまして、各金融業態内部の相互参入を図っていくという形になっておりまして、その点が非常に特色ある法案になっていると私は思います。そしてまた、この子会社方式というのが今回の法案の一つの大きな目玉になっているのではないかと考えるわけでございます。
 この制度改正が行われます大きな背景には、当然金融の市場が自由化していくあるいは国際化していくという傾向があると同時に、またユーザーの多様な選択にこたえていくという大きな目的があってこのような改正がなされていこうということになっていることはよくわかっているわけでございますが、もしも業務を多様化するということであれば、本来本体業務で相互参入をやっていけばいいのをわざわざ子会社方式にしてあるということは、いろいろ御意見を承りますと、やはり利益相反の関係があるとか、あるいは先ほどからるるお話がございました公正な競争を確保できるかどうかということが論点にあると思うわけでございます。しかし、この業態別の子会社の方式というものがこういったいろいろな弊害を除去する効果があるとすれば非常に意味のあることでありますけれども、そういった弊害を防止するということに効果的でないとすれば、本来本体の相互乗り入れということに帰着していくことでありますし、またヨーロッパの銀行もユニバーサルバンクというような形でむしろ本体の乗り入れという形になっているわけであります。特に浜田先生にお伺いしたいのは、こういう子会社方式というものが有効に活用できるものであるかどうか、効果的に機能するものであるかどうかという基本的な御意見をちょっと承りたいと思う次第でございます。
 それから、武井頭取には、また山本社長には、先ほどからもお話を承りまして相当よく御主張の論点は理解をしたわけでございますが、さらに加えまして、今回の子会社方式での相互参入方式、あるいは証券化関連商品や私募の取り扱い、土地信託等を行う場合には本体での参入が認められる形になりますが、こういったことが金融界あるいは証券業界にとってどういう意義を持っているかという点について、先ほども随分お伺いをいたしましたけれども、もう一度きちんとお話をいただきたいということをお願い申し上げる次第であります。
 私の質問はそれぐらいであります。
    〔井奥座長代理退席、座長着席〕
#427
○浜田康行君 ただいまの質問にお答えします。
 業態別子会社方式をどういうふうに理解するかということについて、私は一つの例え話でちょっとイメージをつくっております。それはこういうことであります。親のうちが建っている敷地の中に長男が結婚してそこに別のうちを建てる、次男が結婚したらまた別のうちを建てる、こういうイメージを業態別子会社というのであろうと考えております。
 それで、松浦議員の御質問は、そういう方式でやると利益相反、それから公正な競争という二つのことが守れるのかという御質問だと思うのですけれども、今回の法案を見ますと、二つのことが書かれております。一つは役員兼職の禁止ということであります。先ほどの例え話でいけば、母屋と庭に建てた子供のうちは家主が別である、表札別というようなことだろうと思います。それと公正な競争というのは、こういうふうに法人格を持った別のものにしますと、両方の間で取引することは独立した企業同士の取引になりますから、いわゆる独禁法とかそういう取引を規制する法律が適用できるような状態を一応つくっているわけですね。ところが、これが母屋の中で一緒になっているというのがユニバーサルバンキングですけれども、そうなりますと、例えば営業一課と営業二課の間で部内取引をやっても、これは規制の対象にはなかなかなりませんので、そういう意味では一応業態別子会社方式で今回二つのことを法律に明記してありますので、保険がかかった状態であるというふうに私は理解しております。
 しかし、取引が公正に行われるか、競争を阻害しないか等々というのは今後の関係法の運用であります。地下にトンネルが掘られたり、いろいろな問題が起きるかもしれませんけれども、そういうのをいかに防止していくかという課題はもちろん残っていると思います。
 以上です。
#428
○武井正直君 土地信託あるいは公益信託で地域のニーズに十分対応できるかという点でございますけれども、これは信託という業務は私どもも実際にやっております。提携みたいなことでやっておりますけれども、利益の上がる業務は非常に少ないわけです。信託銀行が今日の隆盛をきわめておりますのは、御案内のとおり貸付信託という預金変則業務で大変大きくなっておるわけでございまして、今回のバブルが発生する以前は、信託というのは我が国では余り脚光を浴びるような制度ではなかったわけでございます。
 ところが、個人がお金持ちになったりなんかしたものですから、信託というものも非常に重要性を帯びてきた。私ども銀行として見るならば、信託業務を自分でやらないとお客様に、今のお話の、別宅の方だけ一生懸命面倒を見ておったら母屋を持っていかれてしまうということを恐れるわけです。したがいまして、信託という部分も我々がやらせていただいて、そうして母屋と別宅とをあわせて兼営したい、こういうような考えで、信託業務で子会社をつくって採算に乗るというのは、東京あたりの大金持ちのおるところは別でしょうけれども、北海道では私は無理じゃないかなと実は思っておりまして、先ほど申し上げましたような、本体で参入し、ノウハウなどは業務提携なり代理というようなことで対応したいと考えておる次第でございます。
#429
○山本實君 山本でございますが、今の先生の御質問にお答えしたいと思います。
 今回の制度改革は、御承知のとおり金融の自由化、国際化、証券化等の進展の中で、金融機関の経営の健全性の確保や投資家保護の徹底を図って、金融機関及び証券会社の有効かつ適正な競争を図っていくものというふうに理解しております。これによりまして、金融・資本市場の効率化及び活性化を通じました国民経済全体への効率化、また内外の利用者に対しましてより良質な金融商品・サービスを提供することができるというように私どもも理解しております。相互参入によりまして競争を促進するということは利用者利便につながりますし、また既存の証券会社の体質の改善を促す効果もありますし、またこの観点から適格者が新規参入してくることは結構なことではないかというふうに思います。
 しかしながら、昨年六月の証取審報告書にもございますように、別法人の形態で新規参入が行われる場合でありましても、それに伴い市場機能がゆがめられることのないように、一つは市場仲介者としての経営の独立性、また二つ目は利益相反の防止、また三つ目には市場仲介者間の公正な競争の確保、このための実効性ある措置を講ずる必要があると昨年六月の証取審報告書には書かれているわけでありますが、この旨提言されておるわけですけれども、この趣旨を体しまして弊害防止措置が講ぜられているということが前提になろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
#430
○松浦(昭)委員 まだ少し時間がございますので、大森社長にお伺いいたしたいわけでございます。
 地方公聴会がせっかく北海道で行われているところでございますけれども、今回の金融制度改正の措置が、全般的には大森社長おっしゃられたことを理解いたしておるわけでございますが、この北海道にとって、具体的な北海道経済という立場に立ちますとどのような意義を持っているかということにつきまして少し具体的にお話しをいただきたいと思います。
#431
○大森義弘君 今回の法案が成立いたしますと、これはもう金融・資本市場におきます競争の促進という立場から見まして、市場が効率化するあるいは活性化するということをねらっているわけでございますから、例えば我々企業にとりまして、いつでも必要に応じて資金を調達できるようになるのではないか、そしてまたそのコストも低下するであろうという期待ができますし、また道民にとりましてもそれぞれの資産をニーズに応じて多様な金融商品に運用することができるようになるのではないか、そういう期待を持っておるわけでございます。
 また、北海道経済という観点から見ますと、地方銀行等が本体で土地信託を行えるということになるわけでございますし、また信用金庫、信用協同組合、労働金庫、農業協同組合等も業務規制の緩和が行われるということにもなりまして、大変この点も重要ではないかというふうに思っております。これによりまして、広大な北海道の全域に多様な金融商品やサービスがより安価に提供されるということも考えられるわけであります。また、土地信託のスキームによりまして地域開発等が行われることになりますと、北海道の活性化にもつながってくるのではないか、そのように考えております。
#432
○松浦(昭)委員 終わります。
#433
○中川座長 これにて松浦君の質疑は終了いたしました。
 次に、細谷治通君。
#434
○細谷委員 陳述者の皆様、大変御苦労さまでございます。福岡から選出いただいております社会党の細谷でございます。
 私的なことでございますけれども、実は大森陳述人はかつての私の上司でございまして、大変何かやりにくいわけでございますけれども、立場上お許しをいただきまして御意見を賜りたいというふうに思います。
 幾つかお尋ねしたい点がございますけれども、私の持ち時間十五分ということでございますので、最初総括的なことをお尋ねし、そして残余の問題については後ほどまたお尋ねをいたしたいというふうに思います。
 まず、昨年来、証券にとどまらずに銀行等金融機関におきましても大変多くの不祥事を惹起いたしました。信用秩序の安定、維持ということから見ますと大変心配される事態であったわけでございます。二度とこういうことを起こしてはいけない、まさに金融システムに対する国民の信頼を失うことになりかねないわけでありまして、私たちとしては大変危惧をいたしております。それなりに銀行業界におかれましては対策を打たれたわけでありますけれども、まずこの原因はどこにあったというふうに認識されておるのか。御専門の立場または御専門じゃなくて一般の立場で結構でございますけれども、どういうふうに認識されておられるのか。そして、先ほどちょっと浜田先生からも接ぎ木論というお話がございましたけれども、対応はいかにあるべしとお考えになっておるのか。そして、適正な内部管理の強化等自主的な防止策というものは講じられておるわけでありますけれども、果たして信頼回復の期待に十分こたえるものになっているのかどうか。こういう制度改革を考えていくに当たって大変重要なポイントとなる点でございますので、まずこの辺について御意見をそれぞれ賜れれば結構だと思います。よろしくお願いいたします。
#435
○武井正直君 利害関係がございますので大変お答えしにくいのでございますけれども、今の、なぜこういう問題が起こったかという点、私は二点あると思います。
 第一点でございますけれども、日本の金融制度のもとでは、これは証券も同じだと思いますが、固定の手数料、それから金融につきましても規制金利という資金吸収手段があったわけでございます。したがいまして、規模を大にすれば収益が増大するという必然的な結果をもたらしたわけでございまして、これが規模増大への動きを助長したという点が第一点あると思います。そういう基本的体質があったのではないか。
 それから二番目は、昭和六十一年以降、やはり貿易バランスが崩れたということから内需拡大ということが国家的な至上命題となりまして、金利が極めて低下していった。この過程におきまして、金融機関としたら何で飯を食っていっていいのかわからないような状況に一時的になった。それは、証券市場でエクイティーファイナンスを方向といたしまして金融機関の貸し出しが全くできないような状態になってしまった。
 この二点が私は今回の不祥事を起こした最大の間接的原因というのか直接的原因というのでしょうか、これがあるのではないか。こういう観点から見るならば、今回の改革法案でその自由化というものを促進するならば、手数料も恐らく競争関係において低くなるということのディシプリンが働いてくるかなと思うわけでございます。
 では、対応は何ぞやということでございますけれども、これは私は銀行の本質的な問題として、銀行とノンバンクの最大の差は何ぞやというならば、銀行は貸し出しという業務と預金という業務を両方できるわけでございまして、つまり信用創造機能というのを持っているのは銀行だけなのです。したがいまして、銀行というものは、いわゆる金融の良心というのでしょうか、ファイナンシャルプルーデンスというものが経営者になければならないわけでございます。それが今申し上げたような二つの原因によりましてやや揺らいだというところに今回の状態がありまして、これを実は反省しているだろうと思いますけれども、これによって対応ができる。ですから、これはいかに規制を強化したとしても、経営者の一人一人のプルーデンスがなければ、監督官庁が朝から晩まで伝票を一枚一枚見るわけにいかぬわけですから、それは私は必要ではないか。
 私自身の経験をもとにして言うならば、幸いにして私のところには――それから融資と預金というものを分離しているシステム、今は全部そうなりましたが、前は支店部と称するもので一括してやっておった銀行が多いわけでございますが、そういうところが比較的こういう不祥事を起こしている。要するに、チェック・アンド・バランスの機能が働かないというようなことでございまして、私のところの銀行はその辺を、旧態依然たる資金吸収と審査機能というものを分離して行動しておりましたので、幸いにいたしましてそういう不祥事を起こさずに済んで、こういうところに出させていただいているということを感謝申し上げます。
#436
○山本實君 山本でございますが、先生からの御質問にお答えしたいと思います。
 御承知のとおり、昨年来の損失補てん等を初めとしました不祥事が発生いたしましたことは、いろいろ議論されておりますように、法令上の問題のほかに投資家の市場に対します信頼性を著しく損なうものでありまして、大変遺憾なことだと思っております。こうした不祥事が発生しました原因にはいろいろなことが考えられるわけでありますが、基本的には、いわゆるバブル経済と言われました経済状態の中で、企業等の財テク志向の高まり等を背景にいたしまして証券会社の収益偏重の営業姿勢が強まりまして、行き過ぎた法人営業が展開されたことが大きな原因でなかったかというように思われております。
 こうしました一連の不祥事件の再発防止につきましては、日本証券業協会におきましても、昨年の八月以来、業界改革推進本部ですとかあるいは有識者懇談会というものを設けまして、国会を初め関係各界からの御指摘や御批判を真摯に受けとめまして業界改革に取り組み、自主規制ルールの整備ですとか監視体制の強化、あるいは営業責任者制度の創設、協会員における厳正な規則の確立など一連の具体策を策定いたしまして、今、逐次実施に移しているところでございます。
 今回、証券取引等の公正の確保に関する証取法の改正が行われることになりましたので、今後証券業協会といたしましては、これら改正法の施行と相まちまして、自主規制機関としての協会機能の一層の強化を図るとともに、さらに一段と業界の改革に取り組み、証券取引の公正性、透明性を確保しまして、市場の活性化、健全な市場機能の確立のため最善の努力をしていく考えでございます。
 以上でございます。
#437
○浜田康行君 細谷議員の御質問にお答えします。
 お答えしますといっても、出された問題は非常に難しい問題であります。金融不祥事はバブル経済の一面であるというふうに私は先ほど申し上げましたけれども、それではバブル経済というのは何であったのかということは、先ほど申し上げましたように今学会でも議論をしているところであります。六月に東京で開かれるある学会ではこれがテーマになっております。
 私も日ごろそういうことを考えまして、ある論文を書いております。それは六月にある雑誌に出ますけれども、その原因の方は今ちょっとおいておきまして、対応なんですが、これは民間の企業の経営者の倫理がどうであったとか、経営がどうであったとか、そういうことは、それにどういうチェック機能というか対応が働くんだというふうに聞かれましたら、経済学者は多分、それは市場が答えを出すんだ、つまり、悪いことをした、何らかの意味で社会に迷惑をかけた、そういう企業は利潤が減って企業の存立が危うくなるというふうに、市場がペナルティーを科すんだというのが我々の世界の基本原則であります。
 ただ、市場原理というものはおくれて働くこともあります。また、ひょっとして働かないということもあります。そこに市場原理を補うための何らかの機構というものがなければならないというのが大方の経済学の考え方であります。今回、市場原理は働き始めまして、証券会社は大幅な欠損という形になっているわけですね。しかし、そういうものを待っていたのでは、おっしゃるように金融秩序の問題とか、社会の安定性に問題が起きるであろうということであります。
 それでは、何が市場原理が働くまでにその経営者の失敗あるいは失態というものをチェックするのかということになりますと、日本の大手の企業はほとんど株式会社ですね。建前は株主がチェックする株主総会というものがあるわけです。ところが、これから六月になって株主総会開かれますけれども、これは僕は大変不幸なことだと思うのですけれども、日本の株主総会というのは、言ってみれば機能しておりません。そういうチェック機能はありません。じゃ、だれが――ドイツで行われたように従業員の経営参加とかそういうことがあれば、そういうところからのチェックとかいうことが入ってもおかしくないわけです。
 経営者というものは、社会から、従業員から、株主から信託を受けて経営しているのだけれども、それが反社会的なことをしたときにはチェックする機構というのが本当はなければいけない。そういうものをビジネスデモクラシーというふうに私は呼びたいと思うのですけれども、そういうものが不幸なことに十分でないということが今回わかったことの一つだろうと思います。これは私たち教育を担当する者も一端の責任があるわけですけれども、そういうビジネスデモクラシーをどうやったらつくれるかということを考えるべきであろうというふうに考えています。
 ちょっと答えになりませんけれども、話し出すと長くなりますので、次の方にお譲りしたいと思います。
#438
○大森義弘君 既に皆さんから御意見が出ていますとおり、今回のいろいろな不祥事は、一つは、やはり新しい時代といいますか、バブル経済と呼ばれるような状況の中で、金融機関が適切な内部管理といいますか、職員の教育とか指導とかいう点についての内部管理を怠ったまま安易な業容拡大と収益の追求に走ったことが今回の不祥事の主たる原因ではないかというふうにも考えております。そしてまた、新聞報道でも明らかなように、今回の不祥事は一部職員の犯罪でございまして、このことは否定しようがないわけでございますけれども、他方、金融機関の経営姿勢あるいは経営管理といった組織全体の問題としてとらえなければならぬ側面もございます。そういう意味で、金融機関がそうした反省に立って意識改革を急ぐとともに、内部管理体制の再構築を図ることが必要ではないかというふうに考えますし、また、不祥事の再発防止のために、あるいはそういう観点からも金融の分野に競争原理が一層導入されることが必要ではないかというふうに思うわけであります。
 現在、各銀行ともバブル時代の反省に立って、それぞれ体制改善あるいは内部管理の強化等に自主的に努力されておりますけれども、ともかく金融機関の信頼回復のためには地道な努力の積み重ね以外にないのではないかというふうに考えますし、私どもも、そうした観点から金融機関各社の努力を見守っていくことが必要ではないかというふうに考えています。
#439
○中川座長 ありがとうございました。
 これにて細谷君の質疑は終了いたしました。
 次に、日笠勝之君。
#440
○日笠委員 意見陳述者の皆様、本日は、公私ともにお忙しいところをありがとうございました。
 私、岡山一区の公明党の日笠でございます。
 蛇足でございますが、岡山県は北海道と定期航空便が開設いたしまして、札幌雪祭りには桃太郎像が出展をしたという仲でございますので、張り切って本日は参った次第でございます。
 さて、法案の内容につきましては、まさに皆様が当事者でございますから、大変よく御理解され御承知のことと思います。私は、先ほどからの御意見をお聞きしながら、若干、木を見て森を見ないような感のある質問になるかと思いますが、時間も限られておりますので、簡潔にお教えいただきたいと思うわけでございます。
 まず、浜田先生、先ほど「金融の概念図」ということで資料をいただきました。今度の金融制度改革も、金融制度調査会が六年間にわたって答申を出し、それを踏まえた法案ということですが、実はペンディングになっていることがございます。それはノンバンクと政府系金融機関と郵便貯金のことです。この概念図の中にはノンバンク、郵貯、政府系金融機関というのが、関係づけられるかもしれませんけれども、載ってはおりませんが、先生から見て、特に最近ノンバンクは貸し出し百兆円とも言われておりますが、このノンバンクの位置づけを今後どのように考えればいいのか、簡単に御意見を賜れればと思います。
#441
○浜田康行君 私の差し上げた絵は、ノンバンクも入れようと思えば真ん中の丸のちょうど真ん中に入るわけですけれども、おっしゃるように、ノンバンクがいっぱいできまして、今大変なことになっているのですが、これは一種の不動産ブームというのですか、そういう非常に日本に特殊な現象の中で僕は拡大されて展開したものだというふうに思っております。
 御承知のように、銀行法はいろいろな規制がございますので、銀行本体でやらないことというのがありまして、それを外に押し出していく。そういうことは当然やっていいわけですけれども、その中でも特に、ややリスキーな部分とかそういうものをある特定の子会社に押し出して、そこをトンネルにして大量の資金を供給したというようなことは、それに対するペナルティーは既にもう来ているわけですが、今後あってはならないことだと思います。
 ただ、それをどう規制するかということなんですけれども、やはりこれは武井さんもおっしゃいましたが、それを一々帳簿をめくって全部検査してというようなことは人的にもできないわけですね。やはりそれに関しては、まず第一には市場が答えを出すんだ、それで間に合わないときは、その親銀行というのが全部あるわけですから、そこの問題として取り扱うという以外に方法はないだろう。ただ、余りこの問題を今回の制度改革と結びつけて考えない方がいいのではないか、僕は非常に特殊な問題だろうというふうにとらえております。
 ちょっと焦点がずれているかもしれませんけれども、私のお答えは以上です。
#442
○日笠委員 それでは、山本社長さんにお伺いいたします。
 証券子会社が相互参入で設立できて適正な競争が働く、こういうことですが、附則の十九条のこともおっしゃいました。ブローカー業務なんですが、我々の今までの審議の中では、証券子会社が例えば非常に経営の厳しい証券会社と合併をした場合、是正命令等が出ておるような場合は、合併した場合はブローカー業務はやむを得ないのではないか、今のところこういうふうなお答えが大蔵省の方からは出ておるのです。この附則十九条の今言ったような観点のブローカー業務ですが、大変中小証券会社にとっては厳しいのだというようなお話も聞いておりますが、例えば今のような、証券子会社が経営の厳しい中小の是正命令が出ておるような証券会社と合併してブローカー業務をすることができるという点についてはどのようなお考えを持っておられますか。
#443
○山本實君 今の段階でお答えするのは大変難しい問題があるのではないかというように思っております。
 先ほども陳述で申し述べさせていただきましたけれども、中小証券の非常に大きな特徴の一つに、株式の委託売買取引が業務の中心になっているということがございますので、その分野に証券子会社の業務が参入するということは大変なことで、それが附則十九条で制限されたわけでありまして、その点については、いろいろ御検討していただいた結果だと思いますので、適切なことだとは思っておりますけれども、株式手数料が自由化ということになりまして、現実にそういう場面に至った場合の証券会社の救済策というふうなことになりました場合のことにつきましては、私どもの立場としましても、今のところ、先ほど申し上げましたように、大変厳しいな、さてどうしようかというようなことでいっぱいでありまして、現実にそうなった場合のブローカー業務をそういう買収しました会社に認めることにつきましてまではまだ実は考えが及んでいないということで、御勘弁いただきたいと思います。
#444
○日笠委員 ちょっと酷かもしれませんね。
 武井頭取さんにちょっと一、二お伺いします。
 先ほど銀行本体で信託業務に参加をされるというような御決意もありましたけれども、今のところ、銀行本体での信託業務の範囲は「公益信託、土地信託等」ということで「等」というふうに出ておるのですが、これ以外に信託業務を拡大してもらえればという御要望がございますれば、それが第一点。
 それから、最後に郵便貯金のことをおっしゃいましたね。これも諸規制、諸慣行の緩和ということで、いわゆる銀行にも定額預金のようなものを認めてもらいたいとか、三年超の四年物とか五年物の定期預金も認めてもらいたい、さらに言えば、長信銀が発行しているような金融債、こういうようなものも将来的には認めてもらいたい、いろいろな御要望があると思いますが、一つは先ほど申し上げました信託業務の範囲での御要望と、諸規制、諸慣行の緩和での御要望等がありますれば、お聞きしたいと思います。
#445
○武井正直君 私どもとしては、お客さんの御意見を聞いておりますと、地方公共団体を含めました土地信託と公益信託、これで大体間に合うかな。ただ、遺産相続というような問題が起こっておりまして、そういう意味だと金銭信託というもののある種の部分というのは必要になってくるかなというふうに思いまして、金銭信託といいますと非常に範囲が広くなりますけれども、ある程度の制限された金銭信託でいいのではないか。
 確かに今まで金融制度として信託銀行というものは店舗も制限されておりますし、これを全部認めてしまうと日本の金融秩序そのものが非常に乱れますので、全部認めてくれというような希望を私どもとして申し述べるつもりはございませんけれども、ある種の、遺言信託のようなもの、こういうようなものが、本体でも、子会社じゃなくて、地方のある特殊な部分だといいのではないか。例えば北海道の場合だと、信託銀行というのは札幌と旭川にしかございませんので、非常に僻遠の地まで行ったところでそのサービスが提供できるのは我々であるというふうに思いますので、そういうことがあれば非常にありがたいというふうに思うわけでございます。
 それから、さっき郵貯の問題をお願い申し上げましたけれども、今度の制度の中で金融商品が非常にふえてくるということは我々としても大変歓迎しているところでございます。ですから、例えば今までは定期預金というのは二年まででございますけれども、これを三年なり四年に拡大していくということが必要でございますでしょうし、そうなってきますと、金融債との経済的差異は何ぞやということになりますと、流通性があるかないかというだけの、指名債権かあるいは流通性のある債権か、こういうだけのことで、経済的なベネフィットを受けるという点ではそんなに差はないだろうと思うのです。
 ただ、十年固定金利で銀行を経営しろと言われますと、これは、例えば八%の金利のときに多額の預金を取り入れましてこれを十年間運用するということになると大変難しい問題を経営上持つと私は思います。したがいまして、今おまえのところで十年物の固定金利の定期預金を創設するかと言われると、やはりちょっと考えさせていただきたいなというふうに思っておりまして、せいぜい三、四年ぐらいのところでちょうどそれに見合うような債権があれば見合わせてリスクを回避するというように考えておる次第でございます。
#446
○日笠委員 実は、なぜそれを聞いたかといいますと、最近の報道によると、都銀が十年物の変動金利ということでそろそろ考えておるということもありましたので、お聞きしたわけです。
 ではもう一点、時間がございますので浜田教授にちょっとお伺いしますが、先ほど、地域金融の育成ということでソフト面を政府が援助したらどうか、こういうふうに私聞いたのですが、具体的にこのソフト面での政府援助というのはどういうことを想定されておっしゃったのか、もう少し詳しくお聞かせ願えればと思うのです。
#447
○浜田康行君 ソフト面というのは、私の念頭にあるのはやはり人材育成であります。これは、大手の銀行になりますときちんとした研修制度もありますし、これは私たちの責任でもあるのですが、例えば北海道大学を出た学生はやはり大手の金融機関に就職しまして、中小の金融機関に余り行きません。そういうこともありますので、どうしても最初に人材面で大手の金融機関に多少差をつけられるというか、個々人の資質がどうこうということを言っているのじゃないのですが、スタート時点でそういう問題がありますので、業務を拡大していろいろなことができるようになったら、その札を使える人材育成ということをしなきゃいけない。ところが、人材育成というのは、一人二人でやるというと非常に効率の問題もありますし、やはり今法案で盛り込まれていますけれども、いわゆる連合会組織の活用とかそういうことを通じて、そんなにコストがかからない状態で人材育成を図っていくということが一つであります。
 それと、地域の金融機関の問題というのは中小企業の問題でもありますから、それに直接かかわるのは地方公共団体ですので、中小企業の省庁それから地方公共団体、そういうところと総合して、足並みそろえて、金融に限らず地域経済全体を育成していくという形のスタンスで向かっていただきたい。その内容はというと、これは非常に多岐にわたると思いますので、現在でも中小企業政策というのは非常に多様でございますから、それを今ここで一つ一つ挙げていくわけにはまいりませんけれども、私の頭の中にあるのはその二つのことでございます。
#448
○日笠委員 ありがとうございました。
#449
○中川座長 これにて日笠君の質疑は終了いたしました。
 次に、正森成二君。
#450
○正森委員 それでは、私からまず最初に浜田参考人に対して伺いたいと思います。
 浜田参考人が、制度の改正というのはどちらかと言えば規制を自由化するというか緩和する方向で、不祥事対策というのは、対策という以上は規制する方が強くなるんで、接ぎ木的なもので、本来は別に考えるべきだというように言われましたが、それはある面では確かにそのとおりだと思うのですね。ただし、制度そのもの及び制度の運用面のひずみが今度の不祥事を引き起こしたということは否定することのできないことだ。
 私は北海道大学の学生ではございませんので、先生の講義を聞いておりませんから、「金融の概念図」を今見せていただきましたが、あるいは理解が不十分でピント外れになるかもわかりませんが、この概念図を見せていただきますと、真ん中に中央銀行や短期及び長期の金融、下の方にボンドワールド、証券の世界、エクイティーワールドとなっていて、そこで調達された金が現物の世界へ行って生産に使われる、こういう構造になっておるのですね。ただ、この図を見せていただきますと、証券の世界から現物の世界へ金の流れの矢印は一方交通になっておりますね。本当は、この紙をこういうぐあいに丸めて理解すべきなのかもしれません。恐らくそうだろうと思うのです。
 今度の証券不祥事を見ますと、エクイティーファイナンスで調達された金は、昭和五十年代は大体二兆五千億円から五兆円ぐらいで推移しておりましたが、バブルの昭和六十年ごろから急激にふえて年間十兆円をはるかに超え、最盛期の八九年前後は二十七、八兆円ということで、ふだんの調達額の五倍から八倍も調達されるということになりました。我が国の民間の投資が大体毎年、平均すると、長期的に見ますと八%ぐらいふえております。年間で見ると、少ないときは数%ですが、多いときは十数%、そういう点から見ましても、バブルの時代の数年間というのは株式市場から調達された金が余りにも過大で、しかもその金が物の世界で生産に使われてそこで利益を上げてもう一遍金融市場へ返ってくるのならいいのですが、調達されるや否や直ちに特金、ファントラという形で証券市場に返ってくる。九〇年の初めは特金、ファントラなどの残高が四十兆円に達しておりますね。
 これは、この概念図というのは丸めて見るべきものかもしれませんが、先生のお考えは恐らく、物の世界で十分物をつくって、そのためにこそ証券市場があるわけですから、そういうものだと思われておったのが、実はそうじゃなくて、エクイティーファイナンスで調達したらそれをすぐまた流通市場の方で投げ返して、そして投機で金を稼ぐ、いわゆる財テクが行われたのも今度の証券不祥事の大きな理由の一つだったと思うのですが、そういう点はいかがお考えですか。
#451
○浜田康行君 ようやく私のお配りしたこの概念図に出番が回ってまいりまして、正森議員に感謝しなければなりませんけれども、議員は非常に経済関係にお詳しい方であるというふうにお見受けいたしました。
 確かにこの図は、現物の世界のところを点線にしてありますけれども、そこをのり代にして裏表ひっつけて見ていただきたい。これをつくったのは、今正森議員御指摘になったようなことをかなり念頭に置いております。金融の世界は現物の世界から離れては存在し得ないということを示したいわけですね。そういう意味では、私は学生に正しいことを教えているというふうに自負をしておりますけれども。
 それで、今回の事態は、やはりこの真ん中の白抜きの金融の世界が余りにも肥大化したという問題であります。現在の過程は、現物の世界の大きさに合うところまで縮小しているところだろうと思います。どこら辺が均衡点かということはだれにもわかりませんけれども、証券市場の期待は、だから現物の世界が縮まないでほしい、景気が悪くならないでほしい、そうすると証券の世界の縮むのがとまりませんから、そういうことだと思います。
 そういうわけで、正森議員の概念図の理解は正しいのでありますけれども、御質問のあった、接ぎ木というふうに私言ったのですけれども、この問題は、金融不祥事、証券不祥事と日本はいろいろ不祥事が出てきましたけれども、ちょっと同じに議論しない方がいいのじゃないかというのが私の見解であります。証券不祥事の方は確かに証券の制度上の問題があったと思います。例えば固定手数料とか、それから証券市場に対する適正な、SECのようなものがなかったとか、いろいろ証券に関しては問題があって、だから制度問題として議論するということに僕は賛成なんですけれども、それじゃ金融制度の方に何か構造的欠陥があって、そこから必然的に不祥事が生まれるようなものであったかどうかということは、これはちょっと議論してみなきゃいけない。そこで私のさっきの接ぎ木の話が出てくるわけでございます。
 それから、例えばエクイティーファイナンスが二十兆を超えたとかいうことがありますけれども、その点に関して私が一つよく機会あるごとに皆様に申し上げているのは、バブルというのは真ん中に核、コアがあったんだ。バブル経済というと、これはマスコミ用語でありまして、事態の本質を大変うまく簡明に表現しているのですけれども、一つ問題があるのは、吹けば飛んでしまうようなバブルじゃなくて、実はその中に核があった。その核というのは、一九八〇年代に日本の経済の中にたまった一つのお金、それは恐らく企業の内部留保、リテインドプロフィットという形で展開したんだろう。一九八〇年の主要企業の金額が一兆数千億で、八九年の数字をとってみますと単年度で四兆円ぐらいになっているのですね。そういう核があって、それが普通なら、経済学の教科書どおりにいけば設備投資に回る。
 ところが、設備投資に行かない環境があったのですね。やはりそのことを抑えて、それが自社のビルを買うとか、自社の土地を今まで借りていたのを買うとか、関連企業の株を買うとか、そういうおとなしいスタイルから始まって、徐々にいわゆる財テクが始まって、無差別に土地を買うとか、もう株式だったら関連企業なんて関係なしに買う、社長室の隣に株式投資室をつくったという会社もありますから、そういうふうに展開していく。
 ただ、バブルの核が何でできたか、それから増幅器に何回かかかって今日の事態ができた、そういう二段階に考えて整理した方がいいというのが私の見解であります。
 お答えになったかどうかわかりませんけれども……。
#452
○正森委員 大森参考人に伺いたいと思います。
 今の質問とも関係するのですけれども、あなたの御発言の中の要望のまず最初に、コストの安い多様な資金調達をお願いしたいというのが出ました。これは経営者としてはある意味では当然のことだろうと思うのですけれども、コストの安い資金が欲しいということで株式の時価発行が盛んに行われたわけですね。そのときに、株価が高ければ高いほど株主に対して配当しなければならない部分は少なくて済むのですね。だから、ある意味ではキャピタルゲインを会社ないし経営者自身が獲得するということになって、これは非常にコストの安い資金だ、こうなったんですけれども、それは本来株主が手に入れるべき株主資本の一部をなしているのですね。そういうぐあいに、安く資金は手に入れるが、その金は株主に直接還元されない、配当には回らないということで、非常に問題が起こったというように言われているわけであります。
 そういう意味からいいますと、あなたが先ほど、個人株主あるいは個人投資家もあつものに懲りているのではないかということを言われました。あつものに懲りてなますを吹くという言葉がありますけれども、しかし、個人投資家にそういうことが少なくも去年、ことしの段階で言えるであろうか。例えば個人株主は昭和二十四年には六九・一%を全体で占めておりましたが、現在では二二、三%に減っているのですね。それはなぜかといえば、株価配当率を見ますと、一番ひどい場合には〇・五%を割っていたのですが、このごろでもやっと一%あるかないかですね。そうしたら、配当を楽しみにして株を持つというようなことはできないで、投機をやってキャピタルゲインを得るより仕方がない。あるいは増資の魅力があるかといえば、それは時価発行で、自分自身は必ずしもあずかれないという点があります。しかも損失補てんするとなれば、個人には全然損失補てんされないで、企業、それも証券会社が幹事証券として引き受けなどをやっている企業に対して圧倒的に補てんを行うということをやったのがこの間のバブルですね。そういうことが行われたのを目の前に見ていて、現実に株式投資のメリットが個人にとっては非常に減っているという場合に、一概にあつものに懲りているのではないかというような表現を個人投資家に対してするというのはやや一方的な感じがするのではないかというように思いますが、いかがですか。
#453
○大森義弘君 今回の証券不祥事あるいは金融不祥事ということの原因と、今の言われております個人投資家の、何といいますか志向との関係とは若干私は事柄が違うような気がしておるわけであります。今回の不祥事が起きたのにはそれなりの先ほどからの議論がありますような原因があるわけでございまして、現在の株式市場が非常に低迷しておるということと、それとの関連はもちろんあるわけでありますが、私が言おうとしたのは、現在の株式市場の下落をこのままほうっておいていいのかどうかという観点から見ますと、今回の金融制度の改正こそ必要ではないか。すなわち今回の制度改正を行うことによって株式市場の活性化あるいは市場の仲介者に新しい血を入れて、新しい顧客を発掘していく、そういうような非常に大きなメリットが生じてくるわけでありますし、また新しい金融制度の改正によって先行きの枠組みといいますか、こういうものが市場にはっきりと出てくるということに非常に大きな意味がある。
 したがって、そういう意味で今回の金融法案の改正こそ現在の市場に、小手先の株価対策ということをちょっと言いましたけれども、小手先の株価対策をするよりも、制度改正による健全な金融システムの構築こそが株価の回復の王道ではないかというふうに言ったつもりでおりまして、ちょっと観点が違うような気がいたしております。
#454
○正森委員 今のお言葉ですけれども、この間国会で証券監視委員会の審議で東京証券取引所の長岡理事長に来てもらったんです。そのときに私もいろいろ聞きましたら、あの方が一番心を砕いているのは、どういうぐあいにして個人投資家に証券市場に戻ってきてもらうか、あるいはその株式所有比率を高めるかということだということでいろいろお話があったわけです。
 ですから、あなたも、観点が違うというだけでなしに、個人投資家が減ってきた、そういう状況について経済界としてもやはり心を動かしてそういう方向を考えるということが、長い目で見て、我が国の資本主義制度を長く続かせるために必要なんじゃないですか。もしもこれが国会での質問で、あなたが政府委員ならもっと申し上げるのですが、きょうは参考人として御意見を承るということになっているからこのぐらいでやめておきますけれども、やはりそういう関心があって、個人投資家を大事にするということでなければ、法人資本主義なんて言われる日本の資本主義も永続的に発展しないということを有力な人が言っているのですね。これは制度を認めておられる人がですよ。
 ですから、その点を申し上げて、時間が参りましたので今回の私の質問は終わらせていただきます。本当は山本さんにいろいろ伺いたかったのですけれども、時間が参りましたので、その次に発言を許されたときにお伺いをしたいと思います。
#455
○中川座長 これにて正森君の質疑は終了いたしました。
 これより質疑のある委員は挙手をお願いいたします。
#456
○仙谷委員 日本社会党・護憲共同の仙谷でございます。
 山本陳述人と武井陳述人にお伺いするわけでございますが、先ほどちょっと株券のブローカー業務に対する銀行等の証券子会社の参入問題がございました。株式の投資信託とか社債の投資信託という商品がございます。これについて今の段階でいわゆる政省令が決まっていないというふうに私は伺っているわけでございますが、地方銀行の立場での御希望それから地場証券あるいは証券会社としての立場での御希望はおありになるのでしょうかということをまずお伺いしたいのでございます。
#457
○武井正直君 証券化関連商品の範囲の問題の概念だと思いますけれども、株式投信とかあるいは証券投信というものをおまえたちやる気があるか、こういうことでございますけれども、私どもとしてはやる気がありません。
 私は、基本的に、これは業界全体の意見を集約しておりませんので、要らざることを言って、あいつが言ったと言われると私も困りますけれども、やはりリスクの非常に多い商品とそうでない商品というものはあるわけでございまして、バンキングというのはあくまでも安定性、信頼性というものが基本でございます。したがいまして、株式投信とかあるいは証券投信というものをもし子会社をつくったとしてもやるのはいかがなものか。やはりこれはリスクが非常に大きい。ちなみに私の銀行では投信というものを一切持っておりません、勘定科目から。財務局の御指導もありまして、やっておりません。経営の好みの問題もあるかもしれませんけれども、私はやる気はありません。
#458
○山本實君 お答えさせていただきます。
 御質問のように、子会社によります投資信託の取り扱いについてどう考えるかということだろうと思いますが、先ほど陳述の中でお話しさせていただきましたように、私ども証券会社としましては、大きな力を持っている銀行あるいはその他業種の子会社が証券業務に入ってまいりますことは経営上も大きな影響があるということで心配しているわけでありますが、現在のところは株式ブローカーレージは当面認めないという方向で御検討されているようですし、それはどちらかといいますと発行市場に限るというような方向で行っておりますので、それ以上の業務につきまして、証券業務に徐々に参入されるということになりますと我々証券会社にとりましても大きな影響が出てくるのではないかと思いますので、どちらかといいますと、株式投信の取り扱いにつきましては、参入につきまして、現在のところは、私の考えといたしましては賛成はいたしたくないという考えでございます。
#459
○鳩山(由)委員 北海道四区の鳩山由起夫と申します。
 まずは、意見陳述人の皆様方、御苦労さまでございます。大変におもしろく拝聴させていただきました。
 私はもともと技術畑の人間でありましたから、特にバブルの時期など理工系離れというものが学生の間で大変に起こってしまったことを憂慮しておった人間でございまして、そんな意味では、ある意味で一段落しつつあるのかなということでほっとしているところでございますが、それこそ皆さんがおっしゃいました、浜田教授も武井頭取もおっしゃいましたが、要は私は人材の問題だろうというふうに考えておりまして、自由競争を行う社会、自由化が進めば当然のことながら弱肉強食的な面が強化されるわけでありますから、すべてがハッピーだというふうな話にはまずはならないだろうなと思って伺っておったのであります。すなわち、泣く者も出てくるのではないかという気がして聞いておりました。
 そんな中で、地域と大都市の問題あるいは大企業と中小企業との問題、格差がどうなっていくのか、開くのか。要は能力の問題だというふうにお話をされましたが、このことに関して、むしろ大森社長さんに伺いたいと思いますが、それこそ地域にとって、浜田教授は若干懸念を表明されましたし、武井頭取はそんなことはないぞ、大が中小を食う、あるいは大都市が地方都市を食うということは必ずしもないというふうにおっしゃいました。大森社長さんの御意見を伺えればと思っております。
#460
○大森義弘君 大変難しい御質問なので的確な回答ができるかどうか疑問に思っておりますが、確かに大が小を食うとか、あるいは自由競争社会においてはそれぞれ対応が違いますので、どちらが有利でどちらが不利かというと、大きい方が有利だということはもうどの社会でも言えることではないかというふうに思います。したがって、自由競争を進めるということは自由社会においては必要ではありますが、そこの公正さといいますか、大小によって大きな差ができて、そのために小が生きていけないというようなことを防ぐためにいろいろな規制だとかいろいろな保護措置というものがとられているものと私は考えております。したがいまして、決して心配ないと言われるのは、そういう意味での保護措置あるいは規制があるということを前提としておるのではないかというふうに考えます。
 したがって、資本主義社会においてこれから自由競争がどんどん、どんどんというわけにいきませんでしょうけれども、できるだけ規制が緩和され、そして自由競争が活発になることは全体の活性化につながりますし大切なことでありますが、その反面、弱肉強食といいますか、そういう面での不合理といいますか、不正義にわたるようなことだけはやはりいろいろな面で保護措置を講じていく必要があるのではないか。
 そんな話しかできませんが、それでよろしいですか。
#461
○井奥委員 武井頭取にお伺いをしたいと思います。
 今大森社長もお話しになりましたが、しかし活力というのは、国鉄もそうでありますが、分割・民営をされて五年間であります。かつての国鉄であれば毎年運賃の値上げをしておったわけでありますけれども、私は五年間、あの三%が転嫁された以外は、ほとんど運賃の値上げをされてないのじゃないかなと思う。それは、やはり競争原理というものをそこに持ち込んで、それぞれがサービスの質の向上を含めた競争をしてこられたということでありまして、金融と証券というのは垣根を越えてそれぞれがその中での競争をしていく、いい意味での競争をしていくということでありまして、山本社長さんもおっしゃっておられましたが、これは銀行の総合力の恐ろしさというものをしみじみ味わっておられてとても大変だなということを私はお話の中で伺ったわけでありますし、逆にまた武井頭取の方は、北海道という特殊性もあると私は思うのですね。沖縄と北海道はまだ開発庁があるわけでありまして、東京とかあるいは大都市圏と北海道というのは多少違いがあると思いますけれども、私はその中で北海道の金融機関としての大きな役割を果たしておられるというお話を聞いて感服をしたわけであります。
 百十九店ある中で百十八店が道内の支店で、そこで集めたものをほとんど北海道のために貸しておられるということでありますし、一店は逆にそれを中央から吸収してまた北海道のために寄与しているのだという自負心があるのですが、金融構造というのは物すごく変わってきて、かつてのように政策金融、産業界のために興業銀行があったり長期信用銀行があったりという時代から、銀行が多様化によって同質化をしてしまった。そういう中で安易な金、安易な金と言ったらしかられますけれども、お金を集めるということについてはエクイティーファイナンスをやったり、あるいはまた転換社債、CBを発行したり、いろいろなことをやって市中から安い金を借りられたということで、産業界がそういうところから金を求めなくなったということは事実で、全体が同質化をしてきたというのはそういうところにもあって、縦割り金融の恐ろしさということを非常に説いておられました。このままではいかぬのだ、横割りのものと縦割りのものをしっかりと絡ませながら一つのものをやっていくのだという御議論でありましたので、私もそのとおりだと思うのですね。
 その中で、浜田先生が政府からの援助はソフト、人なのだということを言われましたが、特に中央の銀行を見ておりますと、これは大蔵とか日銀から頭取が出るとか社長が出るとかという議論は別にしても、大体担保がなければ金を貸さぬというのが普通だと思うのです。しかし、それには支店長の教育というものが物すごく大事になってくると思うのです。地場産業の育成ということについて、やはりそこの支店、支店の支店長にどういう形で、これは学術的な教育だけでは実際人は育っていかないわけであって、学術的なそういう理論というものに対して、金を貸してとれなかったという失敗とか、そういうものがその人のいろいろな面での知恵というものを増幅していくものでありますから、そういう面を、どういった形で頭取のお考えを下の方にきちっと伝達して、下からまたボトムアップされておられるのか、そういうところをお聞きしたいと思います。
#462
○武井正直君 語れるほど立派なことをしておるわけではございません。後ろに財務局長がおられますので……。
 しかし、先生のおっしゃられることは私はそのとおりだと思います。それで、北海道は信用金庫も三十二ございまして、面積が全国の二一%あるわけですから、そこに人口が日本全体の四・五%しか住んでおらないわけでございます。したがいまして、例えば何かお金が要るぞといったときに即決しなければいかぬ問題というのはたくさんあるわけなのです。ですから、これは東京まで聞いておったのでは間に合わないわけです。倒産してしまうわけです。したがいまして、それぞれの拠点でそれぞれの決裁をして、それぞれの人間が生きていくという地域経済というものは絶対にあるし、それからどんなに金融が再編成されようと、そういう金融機構というものは人類が存在している限り、貨幣経済がある限りあると私は思います。
 それで、私のところでは一店一品運動というのを実は北海道で一番早くからやっておりまして、それから後で道庁などもまねしてやっておられる動きもありますけれども、実は一番最初からやっておりまして、地域の振興なくして金融機関はあり得ない。
 それから、私は、金融が前面に出るということは間違いだと思うのです。やはり金融機関というものは、光と影なら影なのです。さっきの、実物経済があって初めて金融が存在するということを支店長には非常によく教育しております。ですから、私は、金融機構でいろいろな不祥事件が起こるということの最大の責任者はだれだといえば、やはり経営者だと思います。支店長だけが悪いわけじゃないです。経営者が悪いからおまえが悪いのだ、こういうことがあると私は思いまして、私のところは一週間に一回ずつ、今こんな問題があるしこういう点は注意しなさいということを全店にビデオを送りまして、全部放送して、このごろは物を読まなくなっておりますので、融資についてはこういうことをしなさい、それから土地担保だけがすべてではありませんよ、大体土地担保金融というのが横行したところに今回の問題点もあると思いまして、やはり人を見て融資をしなさい、そういうようなことを気長にやるわけでございまして、学術研究、金融論だけやっている人が銀行業でうまくいくかというと、浜田先生に申しわけないけれども、金融論ばかり論議しておったって銀行は経営できないわけでございます。したがいまして、今先生がおっしゃったそういう意味では、私のところなどはそういう実物経済、どぶ板を渡りながら相手の経営者が何を考えているかということの方が実を言うと最大の審査項目ではないだろうかと思っております。
 それから、合併の問題の中で、日本で金融再編成がそんなにむちゃくちゃに起こらぬだろうというのは、アメリカとか欧米の場合にはレイオフというのを簡単にやりますけれども、私どもの考えでは絶対にレイオフということはあり得ないのです。ですから、そういう意味で合併の効果は一体どれだけあるかなというふうに私自身は考えておりまして、そういう意味では地域経済が発展するためにはどうしたらいいか。北海道の特殊性といえば、これだけ広いところにこれだけの人間しか住んでいない難しさというのがありますけれども、それはそれなりに、幸いにいたしまして都市銀行はそういう効率の悪いところには余り入ってきておりません。ですからそういう意味では大変生き延びる道があるというふうに思っております。
 お答えになったかどうか知りませんけれども……。
#463
○細谷委員 せっかくの機会でございますから、御要望をぜひ聞かせていただくという意味におきまして、武井陳述人、山本陳述人にお伺いしたいと思います。
 業態別子会社、本体で相互参入していくということになっているのですけれども、業務範囲について詳細にわたってはこれから政省令で定めていくという部分が大分多いわけでございます。これからの作業にゆだねられている部分がありますけれども、銀行として、そして証券として、何かぜひこういうことだけはやっていただきたい、それからまたファイアウオールの問題もありますけれども、その詳細についても今後の政省令といいましょうか、そういうものに任されている部分がございます。もし何か御要望がございましたら、こうしていただきたいという御要望がございましたら、国会の審議にも反映させたいと思いますのでぜひお聞かせをいただきたい。なければ結構でございます。
 それからあわせて、先ほどちょっと日笠委員の方からお話がございましたけれども、私ども、ノンバンク問題というのは、なるほど今浜田先生がおっしゃいました、やはり市場に任せるしかないのじゃないかな、確かにそうだと思いますけれども、だからこそ逆に言うと、特殊事情というのがあったと思いますけれども、大変ノンバンクが不祥事を起こし、ひいては銀行経営などにも大変大きい影響を及ぼしているわけです。我々としては、仕組みとして、今不動産融資業務だけ報告を聴取することができるようになっておりますけれども、もう少し仕組みとして検査できるような、報告をとれるような、そういう仕組みだけはつくっておかないとだめじゃないか、銀行を介して間接的に介入するというものには限界があるのじゃないか、それほどノンバンクの持つ機能というものは非常に肥大化していると思うのです。ですから、我々としては仕組みとしての立入検査権とか報告聴取ができるような権限というものを盛り込んだ法改正をぜひやらなければいかぬというふうに考えておりますけれども、先ほど浜田先生のお話がございました。今度は大森陳述人に、経済界の立場でこの辺の問題についてどういうふうにお考えになっておりますか、それをお伺いしたいと思います。
 それで、浜田先生には、今回の一連の制度改正が、逆に言うと、規制緩和というよりむしろ大蔵省の権限強化につながっているのじゃないかということを言われております。そういう批判もあるわけでありますけれども、その辺について、先生のお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
 以上でごさいます。
#464
○山本實君 それでは、今の御質問にお答えしたいと思います。
 今の御質問は二つあったと思いますが、一つは今後の希望というようなことで、政省令に決められることについての問題と、もう一つは弊害防止措置、いわゆるファイアウオールのことについてだと思いますので、最初の方からお答えしたいと思います。
 今回の法案では、具体策につきましては今後の政省令にゆだねられている部分が大変多いのじゃないか、こう思っております。それにつきましては、先ほど陳述のときに意見を申し述べさせていただいたわけでありますが、基本的には、昨年六月に取りまとめられました証券取引審議会の報告で「証券取引に係る基本的制度の在り方について」ということが提言されておりますが、その提言に則しました制度改革をお願いしたいと実は考えているわけであります。この提言の趣旨は今回の法案に盛り込まれているわけでありますが、なお政省令の内容、今後の行政運用の方針等を含めまして、皆様方には十分な審議をお願いしたい。
 そして、私どもとしましては、今後お願いする具体的な事項といたしましては、幾つかあるわけでありますけれども、親銀行と証券子会社との間に実効性ある弊害防止措置を構築していただきたいということがまず一つであります。それから二つ目は、新しい証券化関連商品を有価証券に機動的に指定していただきたいということであります。また三つ目は、私募の対象証券を明確にするとともに、この私募市場の転売規制を行っていただきたいということでございますし、最後になりますが、四つ目でありますが、銀行本体の取り扱える証券化関連商品の範囲や証券子会社に当面認められる業務範囲を明確にしていただきたいということでございまして、先ほどからお願いしていますようなきめ細かな御配慮をお願いしたいというように思っております。
 それから、二つ目のファイアウオールの強化の必要性についてでございます。
 今回のこの制度改正につきましては、子会社方式による相互参入という形がとられたわけでありますが、これは意味するところは、この親銀行の影響が証券子会社の営業活動に及ばないようにするためでありまして、この意味では、我が国におきましては実効性あるファイアウオールが設定されることが必要不可欠でないかというように考えております。
 我が国におきましては、御承知のとおり、銀行と証券子会社が兄弟会社ではなくて親子関係にあるということになるわけでありますが、この銀行が事業会社の株式を保有できること等によりまして、銀行の及ぼす影響力が大変強いというように考えられております。そういう意味では、米国におきましてもグラス・スティーガル法で幾つかの、多くのファイアウオールが設けられていると聞き及んでおりますけれども、米国よりも強い実効性のあるファイアウオールの構築が必要であると思います。そういうことで、少なくとも昨年六月の証取審の報告にて言及されたものにつきましては、それぞれはっきりした措置を講じていただきたい、こういうように思っております。
 また、これらのほかに証券界全般としましては、クロスマーケティングの禁止ですとか、人事ノーリターンルールですとか、あるいはメーンバンク規制につきましても、何らかの規制を講じるようお願いしているところでございますので、お含みいただきたい、このように思います。
 以上で終わらせていただきます。
#465
○武井正直君 今後の御審議でもし意見を入れていただけるならば、業務範囲の問題につきまして、実はまだこの法令が出てから政省令が出るわけでございまして、私どももその内容を熟知しておりません。したがいまして、どういうことになるのか、ちょっと見当がつきませんけれども、これは信託でございますが、本体で参入する場合と子会社をつくった場合と――本体で入っていくというのは余り体力のないところがやるのじゃないかな、体力がありながら本体でやるというところは恐らく御認可にならぬだろうと思いますので。そうなってくれば、やはりその地域の皆さん方の御要望にこたえる、こういうことでいうならば、資産管理手法の範囲を広めるというような意味を含めますと、ある特定の、例えば遺言信託による金銭信託を盛り込むとか、その程度のことは入れていただいてもいいのかな、これは政省令の範囲内の問題だろうと思いますけれども。これは沿岸領海をどこで引くかという問題はあろうかと思いますけれども、許される範囲でなるべく多い方がいいのではないか。
 それからもう一点、本体で入って、それから世の中が変化してきたら、ある場合には子会社をつくってそっちへ乗り移る。一回本体で入ったらもう未来永劫だめだ、こういうことも困るので、その辺はどうなるのかな、その選択がいろいろあるわけでございますので、経営の意思によって選択ができるような方法というのもひとつ考えていただければありがたいと思うわけでございます。
#466
○大森義弘君 先ほども申し上げましたとおり、今回の金融制度の改正を一日も早く成立していただくことを期待しておるわけでございますが、具体的な実施に当たりましては、やはり細部にわたりまして政令等に移管されておる部分がたくさんございますので、その辺をこれからつくられるに際しまして、ぜひひとつこの法律の趣旨が生かされるような、そういう意味できめ細かな御配慮をお願い申し上げたいということだけ申し上げておきたいと思います。
#467
○浜田康行君 大蔵省の権限が強化されるというか、そういうことになったら、一番困るのは大蔵省に働いている人だと私は思います。霞が関の残業というのは海外でも有名でありまして、私が外国人を連れてあのあたりを歩きますと、いつも夜遅くまで電気がついている、何をしているんだという話があるくらいですから、そういうことにならないようにした方がいい。
 私は、原則はもう二つしかない。強者、つまり大人に対してはルールをしっかり決める、そしてそれを破ったら大きなペナルティーを科すということです。青少年に対してはそうはいきませんから、これは例え話でしているのですけれども、指導とか教育とか監督とかいうのは必要だ。それで、監督しているだけじゃだめなんで、いろいろな援助をしてやる、一方で監督する、こういうふうに進めるべきだと私は思っております。強者、大手の金融機関とか大手の証券会社、そういうものに対してはやはり明確な規則だけを決めておく、法律を決めておいて、これに違反したときにはとにかくどんな大きな会社でも消滅させてもいいぐらいの、そういう罰則をつくってやる、それがいいことであろう。
 ただ、そういうことにすると、不正が発覚して騒ぎになるまでに非常に多くの被害者が出てしまうというところが問題なんですね。それを事前に抑え込まなければいけないというところが事前に監督するということの意義だと思うのです。それは確かにあるだろう。しかし、それをだれにゆだねるかということが、さっきビジネスデモクラシーだと私が言ったのですけれども、これが一番コストのかからない方法なんだということを申し上げたいわけです。
 それと一つ、銀行監督ということに関しては、私の絵に戻りますけれども、この白抜きの金融世界の一番上に「中央銀行」というのがございます。「中央銀行」というのは、私の絵では、短期金融市場にみずからもかかわっている参加プレーヤーの一人であります。日常的に金融機関と土俵を同じくというか、ちょっとまわしのぐあいは違うのかもしれませんけれども、そういうことで日常的に接触している銀行の銀行であります。そういうところに先進国では相当の監督権限をゆだねているという体制になっております。やはりこれは答申にも書かれていたのですけれども、そのことを利用するというか評価するというか、そういう面は議論の中であっていいだろうというふうに思っております。
 あと、市場に任せた方がいいと言うと、何かいいかげんなことを言っているようですけれども、これは経済学の一つのアダム・スミス以来の原則でありまして、神の世界と市場の原理というのが非常に近い、同心円に近いというふうに考えたのはスミスの考え方で、そうじゃないというのはマルクスの考え方で、円がずれているからそのずれているところを調整するということがケインズの考え方だと。経済学には幾つかのそういう考え方があるのですが、とにかく、非常に大きな問題が起きて被害者が出てきてしまう、それが困るというのだったら、事前に抑えるということの意義はある。ただ、そこのところはだれがやるかという問題はもう少し議論してくださいというのが私の意見であります。
#468
○日笠委員 今回の金融制度改革というのは、利用者の利便ということが大きく位置づけられておるわけです。利用者というのは確かに企業、投資家、いわゆる機関投資家ですね。しかし、忘れてならないのはやはり小口の一般金融関係の利用者、いわゆる庶民、大衆と言った方がいいかもしれません。
 このたびの、昨年六月二十五日の金融制度調査会の報告書、答申ですか、答申を見ますと、「付論」ということで、利用者利便ということが延々と十一ページにわたってうたわれておるわけなんです。今度の金融制度改革がもたらすメリットというのは、ちょっと読んでみますと「利用者に対しても、各種手数料の引下げ、預金金利の引上げ、貸出金利の引下げあるいはサービス内容の向上等という形で、利益の還元が進むこととなると考えられる。」と、非常にハッピーなお話なんですね。こんなにいい話をなぜ六年間も審議し、なぜ早く通さないのか、こういうことにもなるわけですが、浜田先生、こういうことが担保されるといいましょうか確保される何かポイントといいましょうか、条件といいましょうか、どういうことが考えられるかお聞かせ願いたい。
 あと二、三ございますので、ちょっと考えていただいて、それから今度個別具体的なまた細かい話になるのですが、山本社長さんにお伺いしたいのです。
 先日の大蔵委員会でもちょっと議論をしたのですが、新しい証券子会社は名前が肝心ですね。名は体をあらわすと言うのです。そこで、北海道であれば、拓銀さんは都銀ですから証券子会社を出すかもしれません。その場合、拓銀証券とかいう名前ですね。それから、私は中国地方ですから、広島銀行であれば広銀証券とか、中国銀行であれば中銀証券とか、銀行の銀という名前がつくような名称の証券子会社はいかがなお考えか。銀証の垣根を低くするといいと言う人もおれば、ファイアウオールが実際どうなっておるかと言う方もいらっしゃいますので、これは御感想で結構でございます。
 それから、数が多くて申しわけございませんが、武井頭取さんにお伺いいたします。
 本体で信託業務に参入をすると先ほどおっしゃいました。信託業務の場合は、本体で参入、子会社で参入、代理制、業務提携と非常に幅広くいろいろな形で参入できるのですが、個別具体的で結構ですが、北洋銀行の頭取さんとすれば本体だけの参入を考えておられるのか。しかし、百十九支店でございますか、支店もいろいろなところにあると思うのですが、そういうところでは、例えば信託銀行と代理制の契約を結ぶとか、またほかの支店では業務提携をするとか、そういうような幅広い信託業務への参入ということはお考えになっておるのかどうか。
 それから、大森社長さん、ひとつ最後にお聞かせ願いたいのですが、経済団体からいわゆる自社株の所有ということで今いろいろな議論が出ておりますね。企業を預かる社長さんとして、この自社株所有についての率直なお考えをお聞かせ願えればと思います。
 以上です。あれやこれやで済みません。
#469
○浜田康行君 今回の法案が通ったら、我々消費者というか一般の預金者はどういう利益があるのか、それを確保するにはどういうことを担保しておけばよいのか、そういう御質問だと思いますけれども、ちょっと議員の御質問には側面から答えることになると思います。
 一番最初に私が発言したときに申し上げましたように、金融制度というのは、金融制度が円滑で効率的であるということが国民経済の発展をもたらす、そのことが国民一人一人の利益になる、こういうつまり最初にマクロ的な、こういうのを経済学ではマクロ的というふうに言うのですけれども、マクロ的な利益が先にあって、それがまず第一目的なんですね。そういう意味では、この答申でしょうか、これは、どういう利便が向上するか、例えばなどということをいろいろ書いてありますけれども、こういうことを書かないと法案を通すときにいろいろ問題があるということはわかるのですが、あくまでも制度改革というのはそういうものだ、つまり迂回して国民の利益になる、それが非常に大きいのですね。そういうことをやはり考えるべきだと思うのです。
 では、ミクロ的な利益というか、私がボーナスをもらってどこかに預けたら、ちょうど法改正の後で大変もうかったというようなことがあってはいけないのかというと、決してそういうわけではありません。ただ、私の絵で言えば、預金が集まって金融世界に入るというのは、ここの、これは金融調節のバルブなんですけれども、そこからお金が流れ込む、最初の現物世界のところから流れ込むところにさまざまなインセンティブがあって、新金融商品ができて、そういうものがあるがゆえに、たんすにしまい込まれる部分とか不活性なお金が金融世界に、そういう商品があるがゆえに吸い込まれていく。その吸い込まれていくことが、やがて金融世界から現物世界にまた再び貸し出される資金の量、流れ、そういうものをよくするという、マクロ的な利益につながる範囲でミクロ的な利益というものは是認されるというふうに考えた方がよろしいかと私は考えています。
 例えば、金融機関がめちゃくちゃな競争をしていろいろな商品を開発する、これは金融機関の収益をどんどん下げます。もしそういう形で金融機関がどうかなってしまったら、国民は非常に大きなツケを払わなければいけないことになるわけですね。だから、そのマクロ的利益が第一義であって、それに貢献するという形でミクロ的な利益がついてくるというふうに私は構造的にはあるのだろうと考えております。
 余り議員の御質問の趣旨に沿わなかったと思いますけれども、そういう見解を持っております。
#470
○山本實君 それでは、お答え申し上げたいと思います。
 御質問は、銀行の証券子会社ができた場合に、名は体をあらわすではありませんけれども名前というものも大変大事になるのではないか、例えばこちらであれば拓銀さんの証券子会社ができるとしたら拓銀証券という名前になると思うが、どんな感想かという御質問かと思います。
 実際、この業際問題が少しずつ具体化してきております中で、私ども地場の、中小といいましても小の方でありますけれども、証券会社としましては、そういうときが刻々近づいてきたら、どうしたらこの経営がいいのかなということで頭がいっぱいでありまして、この証券子会社の名前までも実は今まで考えたことがなかったというのが実態であります。御承知かどうかわかりませんけれども、私も実は銀行出身者でございまして、お答えするになかなかお答えしづらいのでありますが、拓銀さんの場合も、関係の子会社にはほとんど業務の前に拓銀何々という名前をつけておりますので、あるいは先生御指摘のようにそういう名前をつけられることになるかもしれませんので、困ったなということであります。
 実は当社は、資本の面ですとかあるいは私がこちらへ来ているものですから、世上拓銀系列の証券会社と言われているわけでございまして、これが銀行さんの名前をつけた証券子会社ができるということになりましたら、さてどうしようかな、困ったことになるなというところが率直の気持ちでございますので、このあたりで御勘弁いただきたいと思います。
#471
○武井正直君 先ほど本体で信託に参入するというお話を申し上げましたけれども、実はこの部分について細かい部分の政省令が出ておりませんので、これを篤と研究させていただきまして、今先生がおっしゃったような本体だけでいいのか、あるいは代理なのか、業務提携なのか、これは状況によりまして実は幅広く考えてまいりたい。ただ、子会社の設立となると、資本金その他の問題でとてもコストは合わぬだろう、恐らく日本でも合う会社はほとんどない。さっきの浜田論理によれば、市場原理で淘汰されるだろうというようなことになって、私どもとしては淘汰されないような方法を考えてまいりたいと思っております。ですから、幅広く参入してまいりたい。
#472
○中川座長 大森さんに対する御質問があったのですけれども、戻ってこられてからということでよろしいですか。
#473
○日笠委員 いいですよ、自社株の件はね。結構です。
#474
○中川座長 それでは、鳩山君。
#475
○鳩山(由)委員 伺いたいことがあったのですが、時間の関係で、それではどなたでも結構ですが、浜田教授にお伺いしたいのですが、多分文芸春秋の二月号だったと思いますが、ソニーの盛田さんが論文を書かれました。それに対する御見解をお聞かせいただければと思うのです。特に、金融不祥事などは利益至上主義的な発想から出てきてしまった、その中における産業界からの反省としての企業倫理の確立のようなお話をかなりなさっておるわけでありますが、結局のところ、このような法律をつくったとしても、私全く私見でありますが、金融業界の先般における不祥事が完全になくなるとは思えない部分がありまして、そんな意味で産業界からの反省を込めた盛田論文に関する浜田先生の御見解をお聞かせいただければと思います。
#476
○浜田康行君 大変申しわけございませんけれども、その論文を私読んでおりませんので、今鳩山議員が要約していただいたことを念頭に置いて、それから盛田さんのほかの著作で彼の見解にはいろいろ接触する機会がございますから、それをちょっと念頭に置いて、ちょっと無理な答弁になると思いますけれども。
 産業界のああいういわゆる大物の方が言われることの中の一つには、やはり製造業というのは何なんだ、金融というのが肥大化して、さっき鳩山議員もおっしゃいましたけれども、文科系の卒業生の多くは金融関係に就職する、ひところは理科系を出た人もかなり証券会社に入るとかそういうことが起きる、どう見ても金融偏重の世の中じゃないか、そういうことに対する日ごろの思いということがあるんだろうと思います。
 それは私もそういう意味では同感でありまして、諸外国の例を見ていますと、例えばイギリス経済というのはあれだけ繁栄したんですけれども、金融を残してほとんど産業という産業はだめになりつつある。今戦後最大のリセッションの中にありまして、それこそ自動車産業から何から基幹的なマニュファクチャーというのはほとんどだめになる。ところが、金融だけはシティーにそびえ立っているという構造になっているのですね。発展段階説からいけばそういうふうになるんだというふうに言ってしまえばそれまでなんですけれども、それでいいのか。経済というのは、というか人間の経済活動というのは、物をつくるところを原点にしているのじゃないのか、そういうことだろうと思いますけれども、私はそれはそのとおりだというふうにいつも考えております。私のかいた絵もそれをいつも念頭に置いて、現物経済から離れて金融経済だけが繁栄するということは、手品でもない限り長続きしないんだというふうに日ごろ考えているわけです。
#477
○松浦(昭)委員 大分時間が経過いたしましたので、簡単に御質問を申し上げます。
 これだけ御議論が熱心に進んでまいりましたので、実は私の伺いたいこともほとんど共通の事項を御質問なすった委員が多いので、ただ視点がどうであるかということだけが若干私お聞きをしたいことであります。
 武井頭取にお聞きしたいと思いますけれども、私もノンバンクには大変関心を持っております。それで、先ほど浜田先生からのお答えがあったわけでございますけれども、ノンバンク、御案内のように日本の経済に非常に大きな影響を及ぼしましたし、また、現在経営内容の悪化ということでまた大きな課題を背負っているという状況になっているわけです。
 それで、バンカーの立場にお立ちになって、武井頭取、一体どんなふうにノンバンクの規制の問題をお考えになっているんだろうかということを伺いたいのが一点と、これも頭取にお伺いしたいのですけれども、さっきこれも浜田先生がお答えになったことですが、実は私、協同組合金融をかなり大蔵省と一緒に監督官庁の立場に立って監督指導をやっておりまして、そういったときの経験から申しますと、やはり北海道の場合には信用組合あるいは農業協同組合、漁協とか、こういった信用供与機関がたくさんあるわけですけれども、しかし今度新しく国債等の窓販であるとかディーリングであるとかあるいは外為業務というようなことをつけ加えて、チャンスだけは平等に与えてもらったわけですけれども、果たしてそのチャンスを生かし切れるかどうかということが非常に心配であります。また同時に、対等な競争が果たしてこういう金融機関にはできるんだろうかということを、例えば利用限度量の問題なんかありますし、協同組合組織というのはおのずから貸出先の範囲というものも決まってきますので、そういう意味では果たして競争力が対等にあるのかどうかという感じがするわけです。その点で、北海道の金融がそういう面に非常に大きく依存をしているということを見ますと、これから非常に大きな問題が出てくるのじゃないかということは、浜田先生の御意見と比較的似た心配を持っているわけであります。きょうは残念ながらそういった方面の方が陳述人に入っておりませんから、これが適当な御意見の反映になるかどうかわかりませんけれども、頭取のお考えで、ごらんになって、北海道の金融全体がこういった非常に複雑な仕組み、しかもすみ分けをしながら進んでいる、そういった機構のもとで、果たしてどんなふうに地方金融というのを持っていったらいいのか、その点をちょっとお話しいただければありがたいと思います。
#478
○武井正直君 第二点の方からお答えいたします。
 協同組合その他地域の協同組織の金融機関に今回の改正によって何らかのメリットありやという点でございますが、私はあると思います。ということは、例えば外国為替業務とか国債のディーリング、これは例えば農業協同組合にしても、その組合員が今まで国債を買おうとしてもどこかへ出かけていかにゃいかぬわけですよ。旅費使って、汽車賃使って、いや国鉄に申しわけないけれども、稚内の近辺から出てきましたら、これは少々の金利ぐらい吹っ飛んじゃうわけですよ。それができるようなところならば、これは先生が今御指摘のように外国為替、どこかへ旅行したいというときに米ドルをちょっと持ってこいと、今までは扱えないのが扱えるようになるわけでしょう。それでその手数料をいただける、それから国債もちゃんといただけるようになるというわけですから、その地域地域によって私はそれなりのすみ分けというのができている。それは例えば、東京の町の真ん中で農協さんと某銀行とが隣り合わせたら某銀行へ行くかもしれませんけれど、しかしそれもその某銀行の方に行くかどうか、不親切な銀行には行かないと思いますよ。そういう意味では親切な農業協同組合に行くと私は思いますよ。ですから、今回の改正で全くメリットがないかと言えば私はあると思います。これは生かし方なんです。ですから、例えば預金者の立場で物を考えるというならばそれだけのメリットが、今までは高利に運用できないものが運用できるようになるという利点が第一点としてあると思います。これが二番目の答えでございます。
 それから、ノンバンクについておまえはどう思うかということでございますけれども、ノンバンクとバンクとの差は何ぞやというと、資金吸収ができるか、信用創造ができるかというところがバンクとノンバンクの差でございます。ですから、ノンバンクという日本語はまことに奇妙なもので、銀行以外は全部、あらゆる企業はノンバンクに違いないのですけれども、なぜノンバンクと言うかというと、バンクのようなことをやりながら資金吸収と信用創造をしてないからなんです。
 それであるならば、ノンバンクについておまえは銀行家としてどう思うかということでございますけれども、これは信用創造をするファンクションを持っている銀行がノンバンクに対して過剰な融資をしたというところに私は問題があったのではないだろうかというふうに思っております。金融大緩和の過程ではあるいはやむを得ない部面もあったと思いますけれども、これはやはり経営スタンスとしてあるわけでございまして、じゃおまえの銀行はどうだと言われますと、私のところの銀行はほとんどノンバンクに対する貸し出しはございません。それはやろうと思えばできるわけです。そのかわり資金の伸び率が悪いので怒られるということはありますけれども、それは関係ないわけでございまして、これはやはり言うならば銀行の、さっき言ったファイナンシャルプルーデンスの問題だというふうに私は理解しております。
#479
○中川座長 先ほどの日笠君の質問に対して、大森陳述人に自社株保有についての御見解をということでございますので、お願いいたします。
#480
○大森義弘君 ちょっと中座いたして申しわけございませんでした。
 自社株問題ですけれども、最近の株価対策の一環として出ている話題だと思うのですが、しかし自社株問題には非常に複雑な問題がたくさんございまして、一概に、直ちに緩和すべきかどうかということについては、私自身も定かな自信がございません。特にMアンドA対策とかあるいは従業員の持ち株制度の充実とか、いろいろなことを含めた総合的な観点から判断すべきことではないかというふうに考えております。
 以上でよろしいですか。
#481
○仙谷委員 先ほど武井頭取がちょっと誤解されたんじゃないかという気もしたのでございますが、つまり、証券投資信託に御社が投資するんじゃなくて、証券投資信託のファンドの商品を銀行でお取り扱いになりたいのか、なりたくないのか、なるべきじゃないのか、そういう趣旨でございました。といいますのは、先ほどから浜田先生のお話にございますけれども、資金の還流という観点からいいますと、大衆投資家といいますか、庶民が株式市場に直接入っていって、鉄火場で売り買いするというふうなことはほぼ無理だというのが私の判断でございます。そうだとすると、証券市場に大衆投資家の資金が流れない、つまり現在のような状況ですね。インセンティブもなければ不信感だけがあるという状況が果たしていいのかということを考えますと、これは普通の実物経済の中でも、一般消費がなければ幾ら会社が物をつくっても物もお金も回らないという話と同じことでございまして、やはり一般投資家というのが存在しない限り証券市場というのはほぼ成立しなくなるのではないだろうかというのが一つございます。そうすると、投資信託にいかに庶民にといいますか一般の方々に参加していただくのか、いただけるのかということが証券市場の一つの生命線ではないかという気持ちが非常に強く私はございます。
 そういう観点から今度の金融制度改革を考えますと、まさに銀行が子会社をつくり、あるいは本体業務の中でできることになるのかどうかわかりませんけれども、その支店網を使って多様な商品を品ぞろえし、大衆に提示をし、そして買っていただくということが資金還流に益するとすれば、むしろ銀行が投資信託に出ていくこと、投資信託の販売をすることそのものの方が意味があるのではないかという判断が一つあるわけでございます。にもかかわらず、業界的に言いますと、多分ここは証券会社、特に中小の証券会社から見られますと最もさわっていただきたくない部分ではないだろうかという、ここは私の推測でございますのでどちらとも言えませんけれども、したがいまして、その点につきまして、やはり銀行側の率直な御意見をいただきたかったということでございます。もし私の、頭取が誤解をされてお答えをなさったのじゃないかというのが当たっておりましたらお答えをいただきたいと思いますのと、その点につきまして、浜田先生のお答えをいただけたらと思います。
 それからもう一つ浜田先生に、先ほどディスクロージャーの問題が出ました。それともう一つは、市場の答えの話が出ました。どうも市場で答えを出していただく前提としては、例えば今銀行の持っております不良債権の話がディスクロージャーされるべきなのか、されるべきじゃないのかというのが新聞紙上等々でも問題になっております。私は、市場で答えを出すという以上は、その前提としてはディスクロージャーが適正にそしてしかるべき時期になされるという前提がないと、持っておる資産が不良なのか正しいのか、含み益があるのかないのか、そこがわからないような財務内容では、これは投資家としても安心して投資できるはずがないわけでございまして、私は今の銀行株の冷え込みというのはその不信感が関係しておるのではないか、こういうふうに見ております。したがいまして、個別不良債権のディスクロージャー問題に入るとお答えしにくいかもわかりませんけれども、市場の解とディスクロージャーの関係についてお答えをいただけたらと思います。
#482
○武井正直君 先生の先ほどの御質問に対しましては、私は誤解をしておりました。間違った答えをして申しわけありませんでした。
 今のお話でございますけれども、証券投資信託を取り扱う意思ありやという点でございますけれども、ございません。ということは、価格変動商品でございますので、バンキングというものは元本保証の商品を扱うところに一般庶民の安心感というものが私はあると思います。したがいまして、私は、国債その他におきましても、非常に価格変動の大きなものが組み込まれて、あたかも高利に回るような話をして銀行が売りつけた、元本は損した、あの銀行はインチキだ、こういうようなことになりますと、それはそれぞれの経営の判断かもしれませんけれども、私の個人的な見解でございますけれども、御遠慮したいというふうに思っております。
#483
○浜田康行君 一番目の御質問は、投資信託の銀行取り扱いということでしょうか。これは、私は今回の目玉の一つでありますし、やれるところはやって競争した方がいいというのが私の見解であります。
 それで、二番目なんですけれども、証券市場の話なんですが、まず今回の株価の低迷というのはいろいろな原因があるのですけれども、ひとつこの絵を見ていただきたいのですが、預金者から金融機関にお金が入るところに一つバルブの絵をかいてあるのですけれども、このバルブは預金利率のバルブです。中央銀行と金融界のところに一つバルブがついていますけれども、これはいわば公定歩合ですね。これを動かすと、預金金利それから貸出金利が連動するように大体つくってあるわけですね。一時証券業界が期待したのは、とにかくこの預金金利のバルブを締めてください、つまり下げるということが締めることになりますけれども、締めるとこの絵から、簡単に書いてありますように、お金が行きにくくなって、その分こっち側に流れて何とか復活するだろう、こういう今から考えれば非常に安易な図式を考えていたのだろうと僕は思う。ところが、これが破られたのが、四月の初めでしたでしょうか、第四次公定歩合引き下げ、〇・七五というのがありまして、あの発表のときに株が逆に下がったのですね。僕は、あれは非常に象徴的な事件であって、証券市場というのはもはや金融的なあれこれではどうにもならないぐらいに自分が病気になっているという状態を示したのだろうと思うわけですね。その中の原因には、おっしゃるように個人投資家というものを余りにもないがしろにして、もう嫌になってみんな出ていった、NTTの株も下がったということもありますけれども、そういうことだろう。それで、市場の信頼というと何のことか実はよくわからないのですが、要は個人投資家が戻ってくるかどうかということにかかっているのだろうと思います。
 御質問のあったディスクロージャーの件なのですけれども、ディスクロージャーがなければ市場の答えは出ないというのはまさにおっしゃるとおりであります。ただ、それをどの程度までするかということは、これは我々消費者というか一般の庶民の方も多少勉強しなければいけないところもあります。どういうところに行ったらそういう資料が見られるのか、人づてでなくて、一体自分がそれを見ているのかどうか、やはりそういう我々の側の問題もあるのですね。しかし、私は、一般論としてはディスクロージャーをもっとやった方がいい、日本の金融機関のディスクロージャーというのは諸外国に比べて不十分だと思います。
 それと、一つついでに発言したいことがあるのですが、それは、いろいろ監督当局が金融機関を調べますね。そうしたら、その結果の中の差しさわりのない部分というものはディスクロージャーしてほしい。それが国民にとっては非常に手っ取り早く見るチャンスだと思いますね。日本の国民は日本政府というものをそういう意味では非常に信頼しておりますから、そういうところが取りまとめて、そういうディスクロージャーということもぜひ皆さんのお力でお考えになっていただきたいと思います。
 以上です。
#484
○中川座長 予定の時間がそろそろ参りますので、正森君の質問がございましたら、これで終了させていただきたいと思います。
#485
○正森委員 先ほど予約しましたので、山本さんに伺いたいと思います。
 山本さんが今、私のメモに誤りがなければ、手数料収入が三五%減って十億円、赤字になって配当を断念せざるを得なくなった、しかもその中で株式ブローカー業務によるものが約九割ですか、こういうような意味のことをおっしゃって、それで本音で言えばということで、経営が非常に厳しいときに改正の荒波にさらされるのはつらいということを言われ、この改正では一部の大銀行の業務拡充あるいは拡大と格差がもたらされるのじゃないかと言われましたが、この種公聴会としては非常に異例の率直な意見だと思うのですね。
 しかし、私がお顔を見ておりますと、それをもってしてもまだ十分に本音をおっしゃり切れていないのではないかという気がします。さる雑誌によりますと、御心配は無理はないので、あなたははっきり条文まで挙げて言われませんでしたが、附則十九条の二項というのがありますね。それを見ると、易しい言葉で言いますと、大蔵大臣は、当分の間、銀行や銀行の証券子会社が既存の証券会社を買収する場合にブローカー業務をしてはならない旨の条件を付することができるというのがあるのですね。これは逆に言えば、場合によってはブローカー業務を認める場合があり得るということですね。中央で証券局の証券審議官という幹部がいて、断っておきますがそこに来ている審議官と別の人物でありますが、それがここを説明した。これは何のためだと言ったら、これは万一のときの救済のためですと言ったので、ばかにするなというので物議を醸したのですね。結局取り消したのですが、取り消したら取り消したで、その立ち行かなくなったときの救済のため以外になおかつブローカー業務を認めることがあると言って、それはどういう場合だというので非常に問題になったのです。
 仮に救済されるとすれば、その中小証券ブローカー、今お話がありましたようにブローカー業務が仕事のほとんど大半ですね。ところが、そこが立ち行かなくなって、銀行子会社が吸収合併か何か知らぬけれども助けるのに、肝心のうまい部分のブローカー部分はやってはならないという条件をつけられてそれで助けるところがあるだろうかと考えると、そこを突破して大銀行が子会社を通じてあらゆる部門に進出してくるという危惧を持たれるのは当然のことだと思うのですね。ですから、そこら辺も含めて、残るわずかな時間ですが、こういう機会ですからおっしゃりたいことは遠慮なくおっしゃってください。
#486
○山本實君 こういう席でございますので、先生がまだ言う点があるのじゃないかというようなお話でございましたけれども、私どもといたしましては、ここで本音を申し上げることをお許しいただければとお話ししていますように、お話し申し上げていることは本音でございます。
 今お話がありましたようなそういう経営が厳しくなるというようなときに、本当にそういう条項がどのように働いてきて、それが業界にどのように影響してくるかということは、大変厳しい見方をせざるを得ないかなというような感じがいたしますが、まだこの法案審議の段階で、またこれがどういうふうに、業界の先行きがどうなるかというような、いろいろと考えますと難しい点がございまして、先ほど申し上げましたように現在のところは意見をちょっと差し控えさせていただきたいなというところでございます。
 いずれにしましても、そういう銀行の証券子会社がそういうような事態に至りました証券会社の救済ということになります場合には、必ずしも一方的なことだけで考えるわけにもいかないようなことになってくるのかなという感じもいたします。
 御返事になりますか、なりませんかちょっとわかりませんが、このあたりでひとつ御勘弁いただきたいというように思います。
#487
○中川座長 これにて委員よりの質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 意見陳述の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。
 拝聴いたしました御意見は、本法案の審査に資するところ極めて大なるものがあり、厚く御礼を申し上げます。
 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして心より感謝を申し上げ、御礼を申し上げます。
 それでは、これにて散会いたします。
    午後三時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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